P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
123回国会参議院1992/06/17

大蔵委員会 第9号

発言数
277
登壇者
16
会派数
6
開催日
1992/06/17

会議録

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、村田誠醇君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。     ―――――――――――――

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  昨年の証券及び金融をめぐる一連の問題につきましては、政府といたしましても極めて深刻に受けとめ、その際、国会及び臨時行政改革推進審議会よりいただいた御指摘を最大限尊重し、これらの問題の再発防止及び我が国の金融資本市場に対する内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでいくこととしたところであります。  また、金融資本市場の自由化、国際化を進めるため、これまでも逐次各種の措置を講じてきておりますが、さらに、金融制度及び証券取引制度の面におきましても改革を推進する必要があると考えております。  本法律案は、このような観点から、内外の社会経済情勢の変化に即応し、金融機関の経営の健全性の確保による預金者等の保護及び投資者保護の徹底を図りつつ、内外の利用者のため、金融機関及び証券会社の有効かつ適正な競争の促進等による金融資本市場の効率化及び活性化並びに諸外国と調和のとれた金融制度及び証券取引制度の構築を図るためのものであります。このため、金融機関及び証券会社の各種の業務分野への参入を初めとする金融制度及び証券取引制度の包括的な改革を実施することとし、所要の措置を講ずるものであります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、金融機関及び証券会社が、各種の業務分野へ参入できるようにするため、銀行等の証券子会社及び信託銀行子会社並びに証券会社の銀行子会社及び信託銀行子会社に係る規定を設けるとともに、信用金庫等について、本体で信託業務を営むことができることといたしております。  第二に、証券取引制度の見直しを行い、金融の証券化の進展に対応し、有価証券の定義を整備し、新しい有価証券に、情報開示制度、不公正取引規制等の証券取引法の投資者保護の枠組みを適用するほか、公募について、人数基準の明確化、投資者の属性に配慮した見直し等を行うとともに、私募についての法整備及び情報開示制度の充実を図ることといたしております。  第三に、協同組織金融機関の業務規制の緩和等を行い、信用金庫等について、社債等の募集の受託業務を、信用協同組合、労働金庫、農業協同組合等について、国債等の募集の取り扱い及び売買業務並びに外国為替業務を行うことができることとする等の改正を行うことといたしております。  第四に、金融機関の健全性の確保を図るため、銀行等が経営の健全性を判断するための基準に係る規定を設けるほか、大口信用供与規制、子会社等との間の取引の規制等の措置を講ずることといたしております。  その他、業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧についての規定、金融機関の合併及び転換に関する規定等について所要の整備等を行うほか、相互銀行法を廃止することといたしております。  以上が、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。  以上であります。

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私は、まず最初に、大臣にぜひ日本社会党の気持ちを承知していただきたいと思うんですわ。  会期末とはいいながら、今日の国会情勢というのは非常に何か釈然としないような国会情勢であることは私から申し上げることもないと思うんです。国会の正常化が本当に行われているのかいないのかということを考えた場合に、私どもとしては、こういう委員会の開催ということを、実はそこまでの踏み込む気持ちというのはないんですよ。けれども、国民生活の重要な関連法案であるということから、あえてこういう審議をしているということを私たちは国民の前にも前らかにしながら、そういう立場に立って我々は審議に入っているということをまず十分理解してほしいと思うんです。  二つ目は、にもかかわらず、これだけの金融の大改革という各般にわたっての問題であるわけですから、理事会でいろんな議論があったわけでしょうが、本来であれば、短時間でこれだけの広範な問題を議論を尽くすということは不可能だと思うんですね。そういう意味では、この法案がどういうふうに採決されるかは別にしても、ここで決まっちゃったからすべて終わったんだ、すべて政府の提案がもう通っちゃったんだというような認識を持たず、引き続き日本の金融制度というものは国民生活から見て一体どういうふうであった方がいいんだろうかということを常にチェックしながら対応するような委員会運営というか、そこにぜひ大臣としても協力してほしいということをまずお願い申し上げておきたいと思います。  さて、今提案の説明があったんですが、私はこれから質問するに当たりまして、認識としてこういうことを思っており、なおこういう点が疑問だということを質問したいと思うんです。  まず、金融の自由化の現状でございますが、認識としては、金利の自由化は流動性預金を除く定期性の預金分野はほぼ自由化が終わりつつあるというか、終わったというか、そういう現状にあると思うんです。それから今回、外国為替取引は従来まで原則禁止だということになっておったのが今度は原則自由になった、こういうことだと思うんです。同時に、金融業務の自由化は今までこれ残っているわけですね。だからそういう意味では、私どもも国際的な観点から見たときに、金利が自由化していけば必然的に業務の自由化をせざるを得ないんじゃないか。これはこれなりに現状対応という意味からは理解できないわけではありません。もう一つは、取り扱う商品が制限されていると規模の大きいところがどうも有利になる、こういう面からは公平の原則を欠いているんじゃないか。こういう意味でもある程度検討の、つまり話し合いは進めにゃならぬということもわかりました。  さて一方、国際的な状況を見ますと、ECの動きというのが私は大変気になっています。このECの動きというものが、アメリカ中心で来た日本の一経済・金融政策がヨーロッパとの関係においてどういうふうになっていくんだろうかということについても、やっぱり深い思慮を加えなきゃならぬと思っています。  ところが、我が国の特徴としては、長期金融機関と短期金融機関とがつまり分離されているという現状があるわけですね。それから、信託の分野においても信託銀行が商品を扱うということになっているわけだと思うんです。また、中小企業は中小企業の金融が対応する。つまり専門制というものをとっている我が国の現状にあると思うんです。それから、金融業務と証券業務のつまり兼業ができないということにもなっていると思うんです、我が国の特徴として。それを相互参入させようということが今回の法案なんだろうというように認識しています。  そこで、抽象的ではございますが、基本的な部分の問題点をこれから質問していく課題として、まず第一に、この金融制度の改革というのはだれのための金融改革なのか、この点がはっきりしないように思うんです。後ほど具体の問題として質問して。いきます。  二つ目は、先般起きた不祥事件という問題は、この金融改革が行われれば本当に解消するのか。こういう二つ目の問題点を私は感じます。  三つ目は、地域格差が生じやせぬか。つまり、一極集中型と言われる東京とか大阪とか大都市には支店、店舗を数多く持つことができますけれども、地方に行ったときにどういうことになるんだろう。それだけの支店、店舗が確保できるのかと考えますと、やっぱり金融は大都会に集中するというような状況になりやせぬか、こういう心配点を持ちます。  四番目には、先ほど申し上げました国際的な状況から見て、今日の日本金融制度がいかに対応するかということを考えたときに、まだまだこの改革だけで本当にいいのかというような私は認識も持っています。  五番目は、仮に今回提案されているこの制度が、金融機関、特に銀行を中心とするような改革であるということになれば、銀行の、また同時に金融の寡占化体制が進んでいっちゃって、終局的にはその寡占化体制が産業の寡占化、支配まで進みやせぬかというような心配を持っています。  そして六番目として、分離とか分業とかというような証取法六十五条に基づく精神が一体どこまで浸透していくのか、堅持されていくのかというような問題点を感じます。  最後に、この改革は当分の間、もうこれで終わりだというのか、これは先に改革の終着点を展望して、今回はまあ改革の一里塚というような認識に立つのか、ここのところが業界は大変大きな目で見ているように私は感ずるんです。  今の私が述べた点はお答えは要りませんよ。そういう認識に立って私は以下質問してまいりますから、御見解を明らかにしていただきたいと思うんです。  さて、そういう意味から第一の問題は、金融不祥事と金融制度改革についてお尋ねをいたします。  まず、昨年の偽造預金証書を使った不正融資などの金融不祥事の反省に立って、本年一月十七日、金融制度調査会制度問題専門委員会は、「金融システムの安定性・信頼性の確保について」と題する報告書をまとめたと思うんです。私も読ませていただきました。ここで改めて、この金制調が出した見解というものを、どういうことを言わんとしているのか、まずお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御指摘のように、金融制度調査会は、ことしの一月に「金融システムの安定性・信頼性の確保について」という報告を提出いたしました。それのサブタイトルは「金融制度改革と金融機関経営のあり方」というものでございます。  この要点は、私どもの理解しておりますところでは、金融不祥事の反省の上に立ちまして、今後不祥事の再発の防止など金融システムの安定性、信頼性を確保するためには金融制度改革を早期に実施し、金融資本市場における適正な競争を促進することが重要な前提であるということが確認されたものであるというふうに考えております。  なお、具体的に金融システムの安定性、信頼性の確保のためのいろいろな方策、すなわち内部管理体制の充実とかディスクロージャーの推進、自己資本の充実、モニタリング機能の向上、預金保険制度の適切な運営等に加え、ノンバンクのあり方など具体的な問題についても提言をちょうだいしているところでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 そのように私も読まさしていただいたんですが、その前段のくだりについてちょっとお尋ねしておきたいと思うんです。  これを読んでみますと、証券不祥事に対する認識は、その根本的な原因というのは何だろうということをたどってみると、「適正な競争の欠如」にあったと言われている。つまり、「金融機関が限られた分野で歪んだ競争を行わざるを得なくなる」異常な状況と、「ルール尊重に対する意識が希薄」であったことが不祥事につながった原因であると、こう分析されております。  そこで伺いますが、金融機関が限られた分野でゆがんだ競争を行わざるを得ない状況に置かれていたということは一体何を言わんとしているんですか、お尋ねします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘のような表現がこの報告書に見られるところでございますが、そこのところで説明されておりますように、現在の金融制度そのものは、基本的には戦後草々の間に、いわば資金不足の時代に組み立てられたものでございますが、その後、冒頭に御指摘がございましたように、金融の自由化や国際化が進み、また国民の金融資産め蓄積が進むに伴いまして利用者のニーズも多様化してまいりました。  そこで、これに対応いたしまして、金融業務はある程度それぞれの金融機関の垣根の中で同質化を進めてまいったのでございますが、しょせんこれは縦割りの金融制度による制約というものがございます。その中で利用者のニーズに的確にこたえられないとか、ないしはそれぞれの金融機関としての潜在能力を十分に生かし切れないというようなことになりまして、いわば自分たちの垣根の中でできる限りのニーズをとらえるための競争はするけれども、やはり全体として垣根についての見直しが必要となる、業務分野規制に対する必要性にも次第に疑問が抱かれてくる、そのようなことを踏まえた指摘であるというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 端的に申しますと、今の局長の答弁は制度上に問題があった、運営上しゃなくて制度上に問題があると、そういう指摘でございますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 制度上の問題のみであるとは申しておりません。もちろん、私どもの見ておりますところ、金融機関の金融についての取り組み方にいろいろ、殊にバブル経済のときに見られましたような行き過ぎた面があったということは事実でございます。それからまた、私どもの行政の方でそのような動向を的確に把握し、迅速にその予防措置、強制措置をとってきたかどうか。それは私どもも努めてまいりましたが、十分であったかどうかについては種々御指摘もちょうだいしております。ただし、それだけではなくて、やはり制度面の見直しも必要とする状況になったのではないかというふうには私どもも考えておるわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 それでは、制度上の問題についてもうちょっと具体的なお尋ねをしますが、戦後、基本的な枠組みとして、専門金融機関制と金融機関の分業制は、各業界分野、企業規模の大小などによってさまざまな資金需要に効果的に対応するシステムであるということで従来まで評価されてきたと思うんですね。その評価されてきたものが、いつ、どういう意味で変化をしたのか。つまり、こういう分業制とか分離制度というものは、メリットとして考えられておったのがデメリットみたいに今話されているわけですね。これはいっどういうふうに評価が変わっちゃったのか。  私に言わせると、昭和六十年という年は円・ドルのあの会議があったわけですが、あの円・ドルのところから、ユーロ市場との関係などもあってアメリカからわいわいわいわい言われちゃって、この辺のところからどうも認識が変わってきたというように私は思わざるを得ないんですわ。それはなぜかというと、つまりユーロ市場の問題もさることながら、今いみじくもおっしゃった金余りとか財テクとかというようなものが走り出した時期とも一致するものですから、たまたまそういう時期であるときに円・ドルの問題が出てきたということで、円・ドルの方を中心に省は説得されているようでございますが、こういうメリットがデメリットに変わった状況と背景、そしていつごろなんだということをもう一度お尋ねします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 非常に大きなお尋ねでございますが、確かに御指摘のとおり、戦後、現在の分業制を基本とする金融制度を組み立てたときには、金融のいわば総量と申しますか、それは絶対的に不足しておりまして、殊に良質な資金、端的に申しますならば長期資金のようなものについては非常に欠乏しておる。さらに、これから証券市場についても大いにその展開を図らなければいけない。そのようなそれぞれの分野についていわば専門家を育てまして、それによって金融サービスの向上を期待する、そういうことで戦前の伝統を受け継いだ分業制を組み立てておったと思うのでございます。  それが次第に変わってまいりましたのは、これはいつからということはなかなか申せないのでございますが、図式的に申しますと、一つには、御指摘のように金融の国際化というものが始まった。それは端的に申しますと、私どもの方の行政で申せば、内外金融機関の相互進出が始まり、それから我が国の金融機関の世界市場におけるプレゼンスも飛躍的に高まった。そういたしますと、これは我が国の市場そのものも外国に対して開放せざるを得ない。そこで、国際化というものが本格的に進展することになる。それに拍車をかけたのが御指摘のようないわば円・ドル委員会報告書ということであったかと思います。  ところで、そのような国際化の状況、それからまた自由化、なかんずく自由化の中の大きな系列といたしまして金融の証券化という現象がございます。金融の証券化に大きく拍車をかけましたのは、昭和五十年代以降の国債を初めとする公共債の大量発行ということがあり、それによりまして一段と金融市場における証券化が進んだということがあったかと思います。この公共債の大量発行というのも見逃しがたい原因であったと思うのでございます。  そのように、国際化が進み、証券化が進み、それから証券化を軸といたしましていろいろな自由化も進んでまいるというようなことで、戦後想定しておりましたような専門制、分業制だけでは資金余剰を迎えた今日に金融資金の安定的な配分を図るということがうまくワークしなくなってきたということがあるわけでございまして、これを受けまして昭和六十年以降金融制度調査会において我が国の金融制度の改革について審議を行ってまいったということもあったかと思うのでございます。  具体的にいつからということをなかなか申し上げにくいのでございますが、基調といたしましては、金融の国際化が進んだということ、それから証券化を初めとする金融の自由化が進んだということ、その二点はやはり重要な原因となったというふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 局長、そこのところ、私の持ち時間たくさんございませんから、なるべくコンパクトにお願いしたいんです。  今の結論をちょっと確認しておきたいんですが、つまり分業制や分離制というものでは対応できなくなっておりますという認識が強くて、今回こういう改革案を出したということでございますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 専門制、分業制によりまして資金の安定的な配分を図るというかつてのようなメリット、その意義、それが相対的に薄れてきているという認識でございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 いずれその点は証取法六十五条との関連で後ほど議論させていただきます。  ところで、もう一つお尋ねしておかなきゃならないのは、この報告書で見ますと、各専門分野においてゆがんだ競争が行われる原因は、各金融機関に対する業務規制と、安易な業容拡大と収益追求、つまり経営陣の利益至上主義にあったと言われておりますね。しかし、業務規制とか利益至上主義は従来からのあなた方の指導ではなかったんですか。大蔵省の基本的指導では、「金融の効率化」という言葉があもんですよ。その金融の効率化というものが根底にあって、免許制であるがゆえに銀行と大蔵省との間の金融政策上の問題が一体不可分の問題として進んできたんじゃないですか。ところが今回の改正の案では、その部分は「適正な競争の促進」という言葉に変わっているんですわ。金融の効率化とか安易な何とかかんとかというのも、言葉が変わって、「適正な競争の促進」と。これは、従来からとってきた大蔵省の指導である金融の効率化という問題と、適正な競争の促進という今回の提起はどう違うんですか。私は、一歩誤れば、適正な競争というのもゆがんだ競争になりかねな。いという認識なんですが、この言葉の定義というのはどういうふうに理解すればいいわけですか、いつ路線が変わったんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 端的に御説明申し上げますが、私どもは必ずしも路線が途中で変わったというふうには理解しておらないわけでございます。  実は、金融効率化を正面からうたいましたものが金融制度調査会の昭和四十五年の「一般民間金融機関のあり方等について」という答申でございます。そこで金融効率化を一つの視点として取り上げておりますが、そのときに、効率化を進めるために「適正な競争原理の導入が必要」であるというふうに唱えております。「適正な競争」とは何かということでございますが、その答申によりますと、「金融機関の公共性の見地から国民経済的にみて望ましい競争の場を広げ、競争を通じて、良質の資金供給のため、企業努力による効率化の実現を図っていくことが必要であるし、そのように昭和四十五年の答申は述べておるわけでございます。  ただ、このようなことで長年にわたってその路線を歩んでまいりましたが、最近における金融環境の激変、それに対応できず、ある意味では内部管理体制が不十分なままで安易に業容の拡大と収益の追求に走っだということは申せるかと思われます。端的に申しますと、例えば預金金利が規制されておりまして、ある意味で預金と貸し出しの間のさやが安定的に保障されております制度では、量的拡大がすなわちそのまま利益の拡大につながるわけでございます。そのような自由化がまだ十分行われていない時期において、預金獲得競争に走ったというようなことなどはやはりゆがんだ競争の一面ではなかったかと考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 まだよくわからないのですが、私が質問しているのは、「金融の効率化」という言葉があるんですよね。金融の効率化というのは何ですかと。これが今までの大蔵省の指導の根底に流れているんですよ。つまり、業務規制とか収益至上主義とかという問題はあるかもしらぬけれども、省の指導方針としては、金融の効率化を進めなさいよと、こう言われてきたんですよ。それが今度は適正な競争だという言葉に変わっているんだけれども、それは路線の変更かと。新しい時代に即応したように変えなきゃいかぬということなのか、その点をはっきりしていただきたい。  つまり、私が言いたいことは、大蔵省も新しい時代に変えなきゃならぬという、あなた方も今までの指導に対して謝らにやいかぬ、反省せにやいかぬよということを言わんとしているんですよ。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御指摘の面はあろうかと思います。繰り返すようでございますが、金融の効率化を唱えました昭和四十五年の答申で、そのための手段として適正な競争原理の導入を必要とするということでございますから、考え方として路線の変更があったわけではございません。ただし、それをそのときどきの金融情勢に反映させながらいわば金融機関を指導していきます。そのやり方につきまして、金融環境の急激な変化という事情はありましたものの、なお私どもも先手をとるというか、十分であることを期するということについて若干遺憾な点があったのではないかということは、やはり御指摘をいただく余地があると考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 さらに別な角度からお尋ねしますが、これから省も反省をしながら新しい時代に対応しなきゃならぬという点は、まさに私はそうだと思うんですわ。不祥事が起きた状況の中で反省してみると、次の点をはっきりしていただきたいんです。中身は後ほど質問をしますから、考え方だけちょっと述べてもらえばいいんですよ。  つまり、一つは、不良債権の定義というものはもう確定したんですか、確立しておりますか。そうでないと、省側の不良債権の定義と業界の不良債権の定義が違うというようなことで、証券の問題に端的にあらわれたようなことになりますので、不良債権の定義は確立なさっておるんですか。  二つ目は、護送船団方式というのがございますね。今まではこういう方式に頼ってきたんだけれども、これはこれからどういうことになりますか。  それから、今お答えがあったから言わなくても結構ですが、私に言わせれば、俗に言われているはしの上げおろしまで大蔵省が銀行を指導してきたというような状況は本当にそれでいいのか、そういう反省点ほどうか。この三つを言いたかったんですが、三つ目はお答えがあったから、反省の色が十分あると見ましたので、一番、二番について簡単にお答えいただければと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 実は、不良債権につきましていろいろ昨今報道なり議論なりが盛んに行われているところでございますが、現在のところ、ただ不良債権と言った場合にどういう定義であるかということについては、一義的には定義はございません。私どもはこうこうこういうとらえ方をすれば幾らだというような説明をしておるわけでございます。なお、この辺の不良債権の取り扱いにつきましては、今後いろいろと専門的な議論の余地があると考えております。  第二に、護送船団というのは実は私どもの金融行政を指してよく耳にする言葉でございますが、私ども当局からは、従来から我々が護送船団行政をやっているというような言い方はしてこなかったつもりでございます。ただ、この意味が、ある程度弱体な、競争で劣後しそうな金融機関までもかばって安全な経営を保障しようとするというような行政であるというふうに考えますと、それはやはりこれからの全般的な金融自由化の進展に伴いましてその考え方は変わらざるを得ない。もちろん、私どもは金融秩序、信用秩序というものを守るために全力を尽くさなければならないと思っておりますが、その反面でやはり自由化、競争、そういうものが進み、金融機関の経営環境は一層厳しくなる、そのような状況になるというふうに見ておるわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 この部分はまた後ほどちょっと触れますからこのくらいにしておきます。  大蔵大臣、ぜひこの点は大臣に御協力いただきたいという意味で申し上げるんですが、その前段に局長からちょっと答弁していただきますが、金融改革後の検査体制のあり方について、やっぱりしっかりしておかにゃいかぬなという気が私はするんです。市場取引であった証券取引については今度八条委員会で監視委員会ができ上がるわけですが、金融機関の取引は金融先物取引を除いて監視の対象となっていないわけですよ。そうした点から一層私は金融検査についても一従来の貸し出しの健全性というものに重点を置いた検査、もちろんこれは必要ですよ。けれども、もっと多様化、複雑になってくる金利リスクやシステムリスクなど、つまりリスクマネージメントがうまく動いているか動いていないかというような質の高い検査がこれから求められてくると思うんですが、そういう金融検査の内容や方針について再検討する必要があるかないか、これは局長から答弁してください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 各論的に申し上げますと、まことに御指摘のとおりでございまして、私どもは、従来のような貸し出しを中心とするいわば信用リスクの観点に立った検査のみならず、さらに今後、具体的には各種のリスクを総合して把握するというような検査のアプローチ、さらに手法といたしましては、電算化の推進など検査手法を充実すること、それから金融機関内部の検査組織との連携動作を保つこと、そのようなことを考えておるわけでございます。もちろん、人員それから経費、その他限られた範囲内ではございますけれども、私どもとしては極力検査体制の充実に努めてまいりたいと考えております月

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 大臣、今答弁があったんですが、私はさらに最近の金融取引というのは、債権の流動化商品やそれからスワップ、オプション取引、こういうものが、テクニカルな取引というのがこれから頻繁に行われてくると思うんです。盛んになると言ってもいいかもしれません。大蔵省の検査も、こういった分野に検査技術とか知識などをしっかり修得させなきゃならぬ、そう私は思うんです。  さて、そう考えたときに、現状の金融に対する検査の体制、人員も含めて、人材育成などのそういう経過などを見ますと、もう少しきちっとした体制をとっておかないと、いつも私が人の問題を言うと総定員法まで出てくるんですけれども、こういう問題はこれからの非常に複雑、多様化した金融取引の現状にかんがみて、検査体制というのはしっかりしておくべきだと思うんですが、この点についての見解と、ぜひ胸に置いて次の査定の問題についても、定員問題について御努力いただきたいと思うんです。いかがですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 先ほどから御議論がありましたように、この金融、もろもろの自由化というものが進んでいく。そういう中にありまして、今までのチェック体制というものであってはもうそういったものに対応できないであろうというふうに考えております。  そういう金融の自由化ですとかあるいは国際化の進展、こういうものに伴いまして、金融市場を通じてまさにさまざまな商品が開発されてくる。そういったものに対して私どもとしてきちんとした検査、これを進めていくということが必要であろうというふうに考えておりまして、研修、そういったもののいわゆる検査技法、こういったものの向上に努めると同時に、今御指摘がございましたような人員なんかも必要なものについてはきちんと確保していく、そういったことにこれから留意していかなければならないであろうということ、今御指摘のありましたことを私ども念頭に置きながらこれから体制をつくってまいりたいというふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 次は、この不祥事に絡んで暴力団の問題をちょっと尋ねておきたいと思うんです。  最近の暴力団の活動を見てみますと、ますます巧妙なやり口で、つまり賭博だとか、それからいわゆるノンバンクを通じてのゴルフ場の問題であるとか、いろんないわゆるダーティーな資金というのがたくさんあるわけですね。それをきれいにかえようというようなことで金融機関が利用されるという面が非常に最近多く、巧妙になっていると私は思うんです。  各金融機関は自主的にその対応というものを、全銀協の態度を見てもうかがえますが、根本的な問題は、暴力団とは取引するなということを言っても、この人は暴力団なのですかという見分けがなかなかつかないんだよ、本当の話。それから、見分けがついたとしても、私取引できませんということが実際に法律上できますか。私はなかなかできないと思うんですよ、金融機関は。そういう現状にあるときに、もう少し行政の側が法律的にそのことをバックアップしてやるというような体制というものをとっておかないと、金融機関だけにしっかりせいと言っても、ちょっとこれは問題がありはせぬかなと思うんですが、その点についての見解を聞かせてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) この点はまことに御指摘のとおりでございます。このたびの暴力団対策法の運用によりまして、はっきりとそういう組織であるというふうに認定されたものであればそれは識別はある程度客観的にできるわけでございますが、それの外側と申しますか、殊にこの数年来問題になりましたところのいわゆる企業舎弟と申しますか、そのようなものにつきましては、それを明確に認定するというような手続はございませんように思われす。  それからさらに、これも御指摘のとおりでございますが、何となく好ましくない相手であろうということであったといたしましても、その者との間に、融資のようなものはこれは厳に慎むべきであるかもしれませんが、送金取引とか預金取引とかそのようなものまでとめるのかどうか、これは大変難しい問題でございます。  ただ、いずれにいたしましても、この辺につきましては、昨年麻薬特例法が公布され、それから暴力団対策法もこのたびその関係の活動が開始されたところでございますので、従来よりも制度的には著しい前進を見ておるということは言えるかと思うのでございます。私どもといたしましても、今後とも暴力団対策法を所管する当局から助言を求めながら、政府部内でよく相談をいたしまして、いかなる対応が具体的に可能であるか検討を続けてまいりたいと思っております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 ぜひその点はしっかりした対策をお願いします。  金融制度と不祥事の問題に関連する最後の質問ですが、これは大臣にお尋ねいたします。  今短い時間で総論的に述べてきたんですが、今回の改革案が提案されますとこういう不祥事というようなものは絶対になくなる、そういう自信をお持ちですかどうですか、その点を聞かせてください。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今度の一連の不祥事の原因といたしましては、金融資本市場における適正な競争が欠如しておるということ、あるいは金融機関の自己責任意識、これの内部管理がまた不十分であったということ、こういったことが考えられますけれども、今回の法律案ができることによりまして、業態間の相互参入、これを図るということをいたしております。また、金融相互間の適正な競争、これを促進するということ、また自己資本比率規制の根拠規定の新設ですとか、あるいはディスクロージャー規定の整備などによりまして、金融機関の自主規制と自己責任、これを尊重しながら経営の健全性の確保を図るということでございまして、この法律が通ったならば、私どもはこの運用をきちんとすることによってその再発の防止に資するものであろうということを考えておることを申し上げたいと存じます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 今の部分はせっかくのお答えですからそのまま受け取っておきますが、一般的にはこういう改革案を出せば再発防止にプラスになりますよという答弁は当然でしょうね。絶対大丈夫ですかと言われたらどうですか。いやそう努めますとしか言えないですわな。それ以上追及しませんけれども、国民の金融機関に対する信頼回復ということは日本経済の一番私は大きな原点だと思うんですね。証券も同じだと思うんですよ。きょうあたり株価見たって御案内のとおりでしょう。これは時間があったら私は内需拡大策、サミットを迎えてどうするのかということも聞きたいんですが、法案の審査ですからその点はおきますけれども、信頼性回復というものは非常に重要な問題ですから、ぜひその点には留意をしてこれからやっていただきたいと思うんです。  それでは、金融制度改革法案の中身について入らせていただきます。  まず一番最初は、この改革案の性格についてちょっとお尋ねしておきますが、昨年六月の金制調の答申を見てみますと、まず基本的な認識として次のようなことが書かれています。「我が国の経済情勢や国際情勢が現行金融制度の整備時とは大きく変化し、内外において金融の自由化、国際化、証券化等が大きく進展している今日においては、従来の縦割りの金融制度を見直して、銀行が証券業務をも含む各種金融業務を営めるようにすることが国民の多様なニーズに応えることとなる」と述べていると思うんです。つまり制度改革を示唆しているんだと思うんです。  そこで尋ねたいんですが、「国民の多様なニーズ」というのは一体どういうものを言っているのか。言葉をかえて言えば、新しいものに対応できる、つまりニーズというんであれば、裏を返せば国民が不便を感じているということと裏腹でしょう、これは。そこで不便を感じている点について私は質問したいんですわ。  国民が不便に感じているという場合に、二つに分けにゃいけませんね。なぜかというと、国民というのには、家計の部分を担当する個人というのがありますな。それから企業である法人というのがある。個人の多様なニーズ、不便を感じてい省ものと企業がこうしてほしいというもの、不便を感じているもの、こういう双方があると思うんです。いわゆる国民のニーズとか不便を感じているという点をどういうふうに受けとめていらっしゃいますか、お伺いします。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) まず、「国民の多様なニーズ」ということについてでありますけれども、例えば個人におきましては、金融資産の蓄積に伴いましてより有利で利便性の高い商品を求めて資産運用を多様化しようとするニーズがあろうと思っております。また企業におきましては、より機動的で効率的な資金の運用、調達を図るというニーズですとかあるいは効率的な財務管理、これを行うというニーズが挙げられようと思います。また、今回の制度改革によりまして、利用者といいますか国民の皆さんにつきましては、金融商品が多様化すること、あるいは金融資本市場の効率化によりまして各種手数料の引き下げなどのサービス、これが向上されるであろうということ、またそれぞれの人々のニーズに合った金融機関、こういったものの選択が可能となるであろうということ、また地方の住民ですとか中小企業あるいは農林漁業者に対して広く金融サービスが行き渡るということがあろうと思っております。  また、新たに有価証券となるものにつきまして、ディスクロージャー制度、こういったものが適用されることによって証券取引法上の投資者保護、これが図られようというふうに考えておりまして、いずれにしましても、金融資本市場の効率化を通じて、国民経済全体の効率化といった形でいわゆる制度改革のメリットというものを享受することができるんじゃなかろうかというふうに考えます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 今大臣の答弁は、だれのための金融改革かということを私は別な角度から質問しますが、今のお答えでは納得できません。  そこで、今度は別な角度から御質問しますが、金制調では、いわゆる三つの観点ということで、利用者の立場というのと国際性、金融秩序の維持、そういうものを留意するとともに、同時に地域金融については地域の活性化も検討の視点として制度の見直しを行うべきである、こう言っているわけですね。今回の法案は十分それにこたえるものとなっていますか。これは総論で結構ですから、大蔵大臣に見解を伺いたいんです。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今回の制度改革法案でございますけれども、私どもはやはり地域住民ですとかあるいは地域社会のニーズ、こういったものに対応していくべきであろうということでございまして、信用組合などが公共債の窓販、これを行うことが可能となるような所要の規定を整備するほか、また協同組織、農協ですとかそういった協同組織金融機関によります外国為替の業務ですとかあるいは社債等の受託業務の新たな業務、これに関する規定を設けるということでございまして、こういったニーズというのは最近では非常に強く出てきているであろうと思っております。また、地域金融機関が駅前の開発などの都市開発に信託のスキームなんかで参加できるよう土地信託等の信託業務、これに関する規定を設けることなども内容といたしております。  このような地域金融機関の業務の範囲の拡大というものは、地域住民ですとかあるいは中小企業、農林漁業者等に対しまして金融サービスの均てんをすること、あるいは地域間の格差、これを是正することで地域金融面からの貢献を通じまして地域の活性化に貢献するものであろうというふうに私どもは考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 それも、地域金融と地域格差という問題でまた具体的にお答えをいただきます。  今お話を聞いていますと、言わんとすることはそれなりにわかるのですが、具体的にどういうものを指して今大臣が言われたようなことになるのかという点が明らかにならないと、ただ言葉のやりとりで過ぎちゃうと思うんです。私は、今度の改革案というものは、金融機関のための改革ということが非常に中心にあるのじゃないかと思われてならぬのです。俗称、銀行・証券の銀証戦争とか、銀行・銀行間の銀銀戦争とか、そういうものが多々あったものですから、なるべく業界のつまり利害調整というようなものをやっておけばうまくいくんじゃないかというような点が非常に強調されている面があると思うんです。  例えば、本当に効率化しようと思うのであれば、何で子会社をつくってブローカー業務はやらせないんですか。理屈からいうと非常に私はおかしく感じているんです。だから、先ほど言った六十五条の問題もここに絡んでくるんですが、そういう面から見ると、本当に国民のため、つまり一般大衆、個人、そういうものに対する制度改革じゃなくて、業界の、それも大きいところが力を持って、だんだんだんだん弱肉強食でというみたいな感じが非常に私はしているのでございますわ。  その点で、今のお話しのやつを、利用者は何が得するのですかというものを考えてみると、私は今のところ何もないんじゃないかと思っているんです。つまり、新しく設立される金融・証券の子会社は、企業取引を中心とするものでありますから、その子会社の競争が間接的に企業以外の消費者に効果をもたらすというものに私はすぎないと思うんです。  加えて、この改革案のもとでは、大口取引、メーン取引の優遇だけが生じるのじゃないかというようにも思われます。二つ目に、いみじくも今大蔵大臣述べられましたが、金利、手数料の私は階層化が進むと思うんですわ。預金の金利の問題と貸し出しの金利の問題、こういう問題を考えてみると、それぞれの業種において金利の階層化が進む。三つ目は、法人の取引か優遇されるようになるんじゃないですか。それはそれぞれの経営が効率化、同時に自分の経営を考えればやっぱり大口の方がいいというようなことの傾向があらわれるんじゃないだろうか。四つ目に、リテールの問題を考えてみると、地域金融サービスの低下が生じるんじゃないか。そして五つ目には、法人取引の採算性割れをカバーするための個人金融の高負担化が私は非常に懸念されるんです。そう考えてまいりますと、個人、国民のためのニーズにこたえるとおっしゃいますが、どうもそうはなってないんじゃないですか。  そこで局長にお尋ねしますが、大臣が今おっしゃった国民のためのニーズにこたえると。私に言わせるならば、国民が不便を感じている点は何ですか、それをどう解消するんですか、つまり利用者の目に見える利益が具体的な形でどこまで実現するのかということをおっしゃってもらわないと、この改革はだれのための改革かということになると思うんです。それから、制度改革による不安材料をどうやって取り除いていくんですか。こういう私は問題があると思うんですが、これにお答えいただけませんか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 具体的ないわば制度改革によるところの利用者にとってのメリット、これをどういうふうに説明するかということはなかなか大きな問題でございますが、難しい面もございまして、これにつきましては、御案内のとおりとは存じますけれども、昨年の六月の金融制度調査会の答申では、全体にいろいろと記述されましたような金融制度見直しの論点を利用者の立場からまとめまして、付論といたしまして「制度見直しのもたらす利用者利便」ということで、やや具体的な例をも含めて説明をしておるわけでございます。  それは、詳細は省略いたしますが、例えば中長期預金のような、現在発展中でございますが、なお今後いろるいろな意味での長期資金の調達手段、金融機関の側から見れば調達手段であり、消費者の立場からすれば資金の運用手段の多様化が図られるというようなこととか、それから例えばそれを裏づけといたしまして住宅ローンに対する取り組み姿勢がより積極化するであろうとかというような一例もございます。ただ目に見える利益そのものだけではないというようなこともこの答申ではいろいう言われておるわけでございまして、やはり金融の効率化、再三出てまいりますが、金融の効率化を通じた国民経済全体の効率化というような目に見えない形で間接的にもたらされる場合もあるという指摘は、私どももそのとおりであろうど考えております。そのときに、これを具体的に提供いたしますものは金融機関でございますから、やはり金融機関を現実に動かしていきます上におきまして、一つの何と申しますか、金融秩序への配慮というものは、これはやはり制度改革のときに見逃し得ない観点でございまして、そのような観点から、これは若干機能的には不完全ではないかという御指摘もあるかもしれませんが、業態別子会社方式というものを基本としたわけでございます。  ただし、これも業態別子会社というものだけにいたしますと、大都会とかそのようなものではまず業態別子会社もできましょうけれども、なかなか地方にまで行き渡るようなサービスというものはにわかに期待しがたいというところから、協同組織金融機関も含めまして、いろいろ金融機関、証券会社、その本体でいろいろな業務を扱うことができるというようなところも組み合わせたわけでございます。したがいまして、地域金融サービスにつきましても配慮をしておるというふうには考えております。  なお、法人取引が優遇される、ないしは個人金融が負担が高まる、大口、メーン取引のみが優遇されるのではないかという御懸念、これは私どもも十分考えていかなければならないところでございますが、まさにそのようなところで競争条件から見てすき間がある、そこに入り込んで新しい営業ができる、それは十分採算に合うということであれば、そういう金融サービスを提供する者が必ずあらわれるはずでございまして、それがいわば適正な競争と申しますか、競争原理と申しますか、それの一つのメリットであろうというふうに、私どもは基本的にはそのように考えておるわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 続いてしゃべられると、なるほどなとは思う点もあるんですけれども、私みたいな頭が悪いのはよくわからないんですわ。つまり、国民が見て、大衆が目に見えるようなメリットというか、それは何ですかということをやっぱり聞かにゃ、ここで法案が通っていくんですから。金制調でこう言いました、ああ言いました、ああなりましたと言ったって、それは制度化されるわけじゃないんだから。国会の審議というのはそこに問題があると思うんですね。  そこで、もっと具体的にお尋ねしますが、今のお話、大衆が目に見えるような形でというのであれば、例えば定期預金はどうなりますか、中国ファンドはどうなりますか、貸付信託はどうなるんですか。それ以外に新しい商品を出してこたえてもいいんだということを言わんとしているんですか。そういうことができるんですか、それを答えてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 具体的なイメージについてのお尋ねでございます。  私どもは、例えば定期預金につきましては、先ほど申し上げましたが、いわゆる中長期預金というようなものにつきまして今後一段の進展があるものというふうに期待をしております。もちろんこれは預金者のニーズによることでございますが、現に三年の定期預金というものを銀行で本格的に扱い始めたのはつい最近のことでございますし、そのほかいろいろな金融債なり信託商品なりを含めまして商品の多様化が現実に進んでおります。そのような方面のいわば便利さというものが一段と進むことを期待しておるわけでございます。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 中国ファンドについてのお尋ねがございました。中国ファンドにつきましては、従来からいわば自由金利の商品ということで、金融機関との関係がございましてなかなか改善が進んでいないわけでございますけれども、御存じたと思いますが、最近新しく日本版のMMFという商品ができまして、むしろ証券界はそちらの方をこれから主体にしていきたいというふうに考えております。これは仕組みそのものは中国ファンドとほとんど同じでございますけれども、資金の運用の幅がはるかに広いわけでございます。中国ファンドというのは名前のとおり中期国債を主として運用するというファンドでございますけれども、MMFといいますのは中期国債のみならずいろいろな短期のCPなりCDなりを入れて運用するというような商品でございまして、利便性もはるかに高いわけでございます。  こういうような商品、これは一方で金利の自由化、定期預金の金利の自由化はかなり進んでおります。続いていわゆる流動性の預金、普通預金を初めとする預金の金利の自由化も見られるわけでございまして、そういう金利の自由化に即してこういう商品についても徐々に商品性の改善をしていく。行く行くはこういうものが普通の銀行の預金と同じような場で競争するというようなことで商品性の改善が進んでいくというふうになることが望ましいというふうに思っているわけでございます。  中国ファンドそのものも依然として大きな商品ではございますけれども、今申し上げたようなことで、将来を考えますと、日本版の新しいMMFという、これはもう現在既に残高が二兆円を超えるような規模になっております。そういったものが拡大し、あるいはさらに新しい商品が出る。これも競争というものが行われますと、やはり新しい商品が出てくる誘因が強くなるわけでございまして、そういったことが今度の制度改正による競争促進でいろいろな新商品が出てくるということを私どもは期待しているわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 今両局長が述べられたことは、あれでしょう、昭和六十年の譲渡性預金の導入、そのときに大蔵省は、議事録でもはっきりしているように、大口定期の創設とかMMCの最低預け入れ制限の撤廃などが急速に進むから、平成五年には定期預金の定全自由化というところまで努力したいよということを答えているんですよね。これはこれで何も今改めて答えてもらわなくたってわかるんです。  私が聞いていることは、今定期預金とかそれから中国ファンドとか貸付信託を言ったことは、例えば銀行関係で三年を超える定期預金というようなものの改正が行われるんですか。同時に、変動型定期預金というようなものはどうなりますか。証券で言うんであれば、中国ファンドとは言うけれども、クレジットカードで支払いができるような今日でしょう。一カ月は解約できないということにはなっているんだけれども、もう実際は崩れちゃっているような状態でしょう。こういう問題について、この改革案はどうするんですかということをみんな見守っているんじゃないですか。  それを、まあそれは業界の経営との関係で、新しい商品だからなに大蔵省がそこまで口出すことないんだよということを言っているのか、省はこういうような適正な競争を行った方がいいよということを言うのか。相変わらずの免許制なんだから、必ずあなた方ははしの上げおろしまで言うんだから、そういうはしの上げおろしは最近余りやりませんよとは言ったんだけれども、そこのところの部分の実際の仕事上の問題について、自主的な経営に任せるのか、自分たちはこういう方針が日本経済の目に見えない格好でも貢献するんだと言ってるんだから、その点の指導のあり方についても含めて答弁してください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 今御指摘になりましたのは、具体的には例えば預入期間が四年というような定期預金はできるのであるか、それから金利が半年なり一年後なりごとに変わっていくが全体としての預入期間は三年とか四年というようなそういう定期預金というものは登場するのであるかというようなお尋ねであろうかと思います。  私どもが制度論議として申し上げたいと存じますのは、従来はそのような預金商品を生み出そうといたしましても各種のいわば垣根、例えば長短分離というようなもの、そのものを見直す議論をしないうちにはなかなかそういう長期預金というものを新しく生み出すということは容易ではないという事実を申し上げたいわけでございます。それは現に、昔定期預金といえば一年まででございましたものが、その後だんだんと長くなりまして、今は三年という定期預金がやっとできておりますけれども、そういう定期預金を長期化するときに大変な議論と手間を費やしたという過去の歴史によっても、なかなかこの分離制度を維持したまま新商品をつくるということは難しいということは申すことができると思うわけでございます。その点は、制度見直しによりまして、利用者の希望に応じて多種多様な預金が生み出しやすくなるということは基本的には申せると思うわけでございます。  そのときに私どもは全く何も口出しをしないかというお尋ねでございますが、それはやはりそのときそのときの状況によるわけでございますし、一つには、そのような預金なり商品とそれから運用とがうまくマッチするのか、新しいリスクをしょうことはないのかどうか、そのような点も個別の金融機関ごとに慎重な検討が必要である、そういうところまでよく考えていますかということについて注意を喚起する、そういうことはあろうと思いますし、現実に多数の金融機関がそれぞれ主力商品を別々に掲げて競争しておるわけでございますから、それに対する多少の激変緩和的な配慮というようなものをいろいろな行政を通じて示すということは今後もあり得るかと思います。  ただし、繰り返しになりますが、従来はおよそ議論をするのに制度の垣根の問題から見まして甚だしき障害があったというところに、そのような障害がなくなっていく、ここに一つの制度見直しの大きなメリットがあるというふうに私どもは考えているわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 後からお話が出てくるんだろうと思いましたが、今出たから申し上げますが、大蔵省は指導というか監視検査というか、混乱が起きないようにやっぱりそれぞれのときに口を出さなきゃいかぬということを今おっしゃったわけですよね。  ただ、私が一番心配するのは、もっと自主的に任せた方いいんじゃないか――大蔵省口を出したらいいんじゃないかということを考えるときの一番問題点としては、大蔵省の権限が強くなりやすい、また大蔵省権限が強くなるんじゃないのかなという心配があるんですよ。なぜかというと、子会社方式ができましょう、子会社方式ができて、それで認可をするときに、経営がどうも危ういなというのにはだめよと、これは健全だと、言葉は健全という言葉を使っているけれども資本が大きくて安定的だ、というのは大きい経営なんですわな。だから、そういう認可をするときの場合でも、結局は何かホールセール型みたいな大口ばかりの方にその目が向いちゃって、小口の方には、つまりテール業務の方にはさっぱり目が向かないというようなことが起きやせぬか、その点が非常に心配なんです。  そういう心配を持っている反面、もう一つ私の心配は、そうはいっても競争だからそれはもう強い者が勝つのかもしらぬのですわ。その強い者が勝つというところにごり押しかありはせぬか、すると適正、公平、そういうものが欠けちゃうわけですね。だから、その点にはやっぱり大蔵省も国民経済の全体を見て多少は口を出さなきゃならぬのじゃないかなという、そういう疑問も両方私は持っているんですわ。だから、どういう態度でこれからお進めになりますかということもきちっとしておいていただきたいと思うんですが、いかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 大変その点は重要な御指摘であるというふうに考えております。第一の権限が強くなるのではないかという御指摘もございますが、基本的には自由化を進めるものでございまして、その過程において交通整理的な役割がふえるということは経過的にはあるかもしれませんが、究極的にはやはり金融機関の自由な経営にゆだねられる範囲というものがますます広がっていくであろうというふうに私どもは考えております。  現に、片一方でこのような新しい事態に備えまして新しいいわば交通整理的な行政がふえていくということはございますけれども、他方、これまで長年の間に、例えば預金のような商品とか、それから業務とか、さらには店舗その他のような組織運営とかについてのいわば行政規制というものが大幅に軽減され、緩和されてきているということはやはり申し上げることができると思うわけでございます。  それから、その次に小口零細、一般消費者、そのようなものに向かなくなる心配はないかという点も、確かにこれは私どもの行政面の基本的な留意事項とすべきところでございまして、いわば金融機関の公共性という幅広い概念で普通物を申しておりますが、その点は、銀行を初めとする金融機関は極めて高い公共性を持っておる、したがってそれが免許事業としていろいろな規制が加えられている根拠であるというふうに私どもは基本的に理解しておるわけでございます。公共性というものにつきまして、具体的な中身はその時代その時代でアクセントが変わるということはありましょうけれども、やはり一般消費者、零細預金者というものをおろそかにしてはならないというような金融機関の姿勢を常時求めていきたい、そのような指導は従来とも心がけておるところでございますが、今後とも決して忘れないようにしていきたいと考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 その点から、小口の、個人、利用者と言う方がいいのかわかりませんが、ここのサービスが低下しないように心がけるということは大変大切なことだと思うんです。今まで話を聞いていると、どうもリテール業務というものが小さく扱われるような気がしてならないんですな。というのは、これは根本的な議論として、子会社にブローカーを認めない、それから信託銀行子会社に対する信託を認めないというようなことに全部象徴されていると思うんですわ。  なぜかというと、これは聞きたいんですが、今からの展望として、例えば設立される金融子会社の数というのはどのぐらいに見られているのか。恐らく私は店舗数も、当面少ないんじゃないかなと思うんですよ。東京、大阪とか、大都会はさっきみたいにいいんですけれども、余り県の名前を挙げるわけにいきませんけれども、地方にどのくらいのサービスのそういう子会社みたいのができるのかというような分析、展望はどのようにお持ちですか、お聞かせください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) ただいまの御指摘のうちに、例えば銀行の証券子会社にブローカー業務を認めないとか、それから信託銀行子会社に貸付信託を認めないとか、そのようなお話がございました。私どももそういう位置づけを考えてはおりますが、それはいわば制度導入の当初の段階、あるものは当分の間かもしれませんし、あるものは比較的短いかもしれませんが、当初の段階での交通整理としてそのような配慮が必要であろうということを考えておりますけれども、最終的な姿としてそのような制限がいつまでも続くというふうには、私どもは建前論としては考えておらないのでございます。  それから第二の、子会社は一体たくさんできるのか、そんなにできないんではないかというお話でございますが、これはやはり基本的には今後の経済情勢でありますとか、それから個別の銀行や証券会社などの営業状況によることでございます。確かに一時期たくさんいわばラッシュするようなことで過度に参入をする、それで市場に混乱をもたらすということは好ましくありませんが、片一方で、せっかく制度をつくりまして、余り子会社をつくろうというものが出てこないというのもこれはまあ寂しいわけでございますが、そこのところはやはり今後の諸情勢による。  ただその際に、これは一言申し添えますと、今度は子会社をつくらなくてもできる、本体でできる業務というものをいろいろと組み合わせてあるわけでございまして、そのような本体でできる業務の拡充を図っておるというのは、これも再三御指摘がございましたが、地域の振興、地域の活性化に配慮しておる、大都会だけではなく地域にも新しい金融サービスを広げていく、そのようなことをねらっているものであるということを申し添えたいと存じます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 それぞれ組み合わせながらやりましょうということはわかりました。  ただ一つ一先に答弁があっちゃったから私大変戸惑っちゃっているんですが、その子会社方式というのはずっと続けていくという気はないんですな。つまり、将来はそういう制度というものはなくしてもいいんだというように今ちょっと聞いたんですが、そういう方針なんですか。――まあいずれ議論しますわ。何だかユニバーサルだか何だかわかんないけれども、そっちの方はそっちの方で議論しますが、どうも局長の答弁を聞くと、のっけからこの改革は将来はそういうふうに行くんだよというふうに私はっと今受け取ったんですが、いかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御説明が至りませんで失礼いたしましたが、私が申し上げましたのは、子会社の業務範囲といたしまして、例えば証券子会社にブローカー業務を認めないというのは、制度導入時の当分の間の措置である。しかし、恒久的な姿としてはいつまでもブローカー業務を認めないという制度にはなっていない、貸付信託についても同様である、そういうふうに申し上げたつもりでございます。どうも失礼いたしました。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 中小金融機関に与える影響というのは、非常に私はやっぱり問題だと思うんです。  それで、もう一回、くどいようですがお尋ねしますが、現状の自由金利預金の状況を見ますと、平成三年度時点で都銀は約七〇%、それから地銀や第二地銀では六〇%、信用金庫においても五〇%を超えているんですよ。この状態は、ある意味では中小金融機関の経営に私は相当の影響を与えていると思われる数字だと思うんですわ。同時に、金利の自由化は預金者にとっては多少有利に働く面というのはあるかもしれませんね、個人にとっても。だけれども、金融機関にとっては、これは大変なことですわな、さっきの預金と貸し出しの面の調整というのがありますから。  そう考えてくると、そういう貸し出しと預金の穴を埋めるための、つまり顧客の開拓というんですか、これをやっていかなければとても身がもたないわけでしょう。身がもたない時代になるから、しっかり地域に根差したようにおまえら頑張れと。頑張れと言っても、もう倒産して合併をしなきゃならぬような状態のときに、私は今まで倒産が行われるかもしらないといって大蔵省が中に入って、行政が中に入って合併を促進させていくというような状況とは随分違うと思うんです。なかなかどうも口出せない。つまり、いや応なしに、顧客の開拓ができないということにおいて合併に追い込まれていくということが私は当然起きてくるんじゃないのかなと思うんですよ。  そういう状態で、本当に地域経済に根差した地域金融機関の使命とか性格というものは全うできるんだろうか。もうそんなことはなくともいいんだよというのか、やっぱり地域経済に根差した地域金融というのは育てにゃならぬ、そういう立場に立つのか、仮にそういう立場に立つというなら、具体策として何を用意なさっているのか、その点を伺っておきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 預金金利の自由化をめぐる非常に重要な御指摘でございますが、確かにこれは、預金金利の自由化によりまして預金者に有利に働くという面はあろうかと思います。ただ、その部分だけはいわば金融機関内部でないしは効率的な資産運用によってその負担をどこかで吸収しなければならない、それが中小金融機関の場合にはなかなか吸収しにくいであろう、したがって中小金融機関をめぐる経営環境は一層厳しくなるという点は基本的には私どももそのように受けとめまして、個別の金融機関に対して対応の姿勢を促しておるわけでございます。  ただ、それならば中小金融機関は成り立たないかということでございますが、私どもは決してそのようには考えておりません。現に、アメリカの例が時々話題になりますけれども、アメリカの例は多少例外といたしまして、ヨーロッパなどほかの国では預金金利自由化に際しましてさほど大きな混乱があったとは聞かないのでございます。手順を踏んで自由化を実施し、そしてコスト削減や資金運用面での経営努力を促すならば、全体としては泊由化の影響は吸収できるはずであるというふうに考えております。  殊に、その際に、固有の地盤、固有の歴史を持ち、固定的な取引先層を持っておるというすぐれた地域金融機関、これにつきましては、それがたとえ中小の非常に小さいものでありましても、自分たちの固有の戦略によりまして、自分たちの適所と申しますか、普通ニッチという言葉で言っておりますが、それを見出して生き残ることができるはずであるというふうに私どもは考えておりますし、私どもは地域金融機関が全体として衰弱するとかなくなるというようなことがあっていいとは決して考えておりません。その点につきまして、今回いろいろな意味での中小金融機関に対しての業務範囲の拡大を認めましたのも、ある意味では彼らの競争手段をふやすという効果をねらっているわけでございます。  ただ、反面、御指摘のように経営に与える影響というものを十分注意しなければいけない、そういう時代になってまいりますと思いますので、私どもも今後いわば健全経営の維持のためのいろいろな日常活動、モニタリングその他の活動については、さらに十分配慮してまいりたいと考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 局長の将来展望、将来分析、それほど中小金融機関、地域金融機関心配しなくてもいいですよというお話ですから、次の質問が非常にしにくいんですが、私はそう思わないんですよ。そうあってほしいという願いはある。みんなでやらにゃいかぬ、それはそう思う、あってはならないという意味で、それはやらにゃならぬとは思うんだ。諸外国の例を見てもと今おっしゃったけれども、金利の自由化はそうかもしらぬ。しかし、業務の自由化によって混乱が起きている外国だってあるんですよ。だから、金利の自由化の面だけを強調されても、私は実態をなさないと思うんですね。アメリカとかカナダとかドイツとか、それはそれでまた午後にも質問さしていただきます。  私は、あってはならないかもしらぬけれども、そういうふうな金利の自由化、業務の自由化はどうしてもそういうものが勝っていくというような傾向に走りがちであるし、走るであろうと展望しているんですよ。私はですよ。そうあっちゃならぬということも願いながら、けれどもそういう傾向に走るだろう。だとすると、一番最初に申し上げましたように、経営の悪化した中小金融機関や証券会社が大銀行や大証券会社に買収されたり合併されたりするというような状況を見ると、それから進むのは金融の寡占化というものがどうも進んでいくんじゃないのか。それが歯どめがきかなくなってくると、銀行による産業支配というようなところまで進んじゃうんじゃないか。大変これは大きな私は問題だと思う。  だから、この金融制度の改革の問題というのは、そう軽々簡単にぱっぱっと上げるわけにいかないよと言ったのもそこなんです。そういうところの議論を国会で本気になって、政治の道を我々がそれこそ全うしようとするのであれば、学者だとか何々審議会じゃなくて、国会が、法案を決める議員の立場からすると、もう少し深刻、そして展望をしっかりしてやることが必要だと思うんですよ。余り業界の問題について、私は業界の人の経営のあり方とかなんとかのことに一々口を挟まなくたって、それはもう専門家なんですから。けれども今業界とか学者が知ろうとしているのは、一体国がどういう展望に基づいていくのかという、そういう金融の哲学について今知りたいと思っているんじゃないですか。だから、そういう意味で、非常に時間が短くて残念ですけれども、金融の寡占化及び産業支配に対してどういう展望をお持ちか、どういう対策をとろうとするのか、まとめてその点を聞かしてくれませんか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 非常に大きなお尋ねでございますが、私ども確かに御指摘のような経営環境の悪化、それによって金融機関の買収なり合併なりが進むというような面は、可能性として否定はいたしません。しかしながら、そのような合併などは、これまでのところ明らかになっておりますように、基本的には個別の経営者の経営上の決断によるものでありまして、私どもが二足の地図を描くというようなものではございません。  それから、産業支配に関連する御議論でございますが、これにつきましては、このたび主として証券取引法の方の世界でもいろいろ御議論があったところでございますけれども、歯どめと申しますか弊害防止措置と申しますか、そのようなものを手段として組み込んでおるところではございます。  ただ、あえて申し添えますと、金融の自由化が進み、殊に証券化が進展いたしますと、既成の金融システムが地盤沈下に陥るおそれと、いうのが若干米国などでも指摘されております。それで、欧米などではむしろ逆の心配と申しますか、これはオーバーキャパシティーというような言葉で普通言われておるのでございますけれども、銀行のオーバーキャパシティーを懸念する議論というものも出ておるわけでございます。すなわち、環境変化の結果、銀行が健全で収益性に富むようなそういう資金の運用先を失いつつある。にかかわらずやはり前のままの組織や経営構造を維持しておって、加えて自由化で体力を消耗する。もしそのような事態を放置いたしますと、結局それぞれの銀行の業務内容それから組織、人員、それを根本的に見直さなければいけなくなる。  そういうようなことで海外、具体的にはアメリカなどでも随分思い切った合併と人員削減が続いておるわけでございますが、やはりそのような個別の銀行の努力というものも現実に必要になっている国がある。片一方、でやはり制度改革などによって銀行の業務内容が現代に適合するように改めるという、そういう工夫を政策当局はしなければならない、そのようにも考えるわけでございます。  私どもは、もちろん産業支配というものを招いてはならないと考えておりますが、逆に既成の金融システムが過度に地盤沈下し、くたびれるというようなことがあってはならない。その辺につきまして、なお種々御指摘もちょうだいしながら今後の行政のかじ取りをしなければならないと考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 ここは大蔵大臣にお尋ねしておきたいんですが、つまり羽田大臣の時代に金融の改革が行われたという実績が残るわけですね。いずれあなた総理大臣になるかもしれませんから、その時代を顧みてああ失敗だったというようなことがあっちゃいかぬと思うんです。  今局長は、金融の寡占化というものが進むんじゃないかという私の質問に対して、つまり中小金融機関に対してもやるだけのことはやらにゃいかぬのだから、今私が答弁する時期ではございませんと。それはそうでしょう。やるだけのことをやると言っておるのに、そんなことないじゃないかなんと言ったって答弁のしょうがないんですから、第一歩は私はそれでいいと思うんです。けれども、今いみじくもおっしゃったアメリカの例じゃないですけれども、金融というものが、金融の証券化に伴ってシステムが混乱する時代が来るのはもう明らかなんです。これは時間の問題だと言ってもいいくらいなんですな。そのときにこの改革案と、今そういう金融の寡占化とかそれから産業支配だとかいうようなことが起きたらこれは大変なことになると思うんです。  したがって、この法案を可決する前に、やっぱりこの時代における先見性ある羽田大臣のこの問題に対処する見解を聞かしていただけませんか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 基本的には銀行局長がお答えしたとおりでありますけれども、今鈴木委員の方から御指摘がございましたように、やはり大きな機関といいますか銀行、こういったものの寡占化というものが進むということについて私どもは心配といいますか、そういったことが進むことに対して憂慮をしておるということ、これはもう事実であります。  しかし、考え方によりますと、例えば金融の自由化ですとかあるいはボーダーレスの時代にそういうものが進んでいくということ、あるいは先ほどかもずっとお話がございました新しい商品が次から次と出てくる時代であるということ、こういったものはもう避けて通れないものでありますし、また地方といえどもこういったものに自分たちも参加することを望むようになってきておりますし、また地方もそれぞれ例えば産業なんかにしても強いものが出てきておること、またそういう中で個人なんかも資産の運用といいますか、そういったことなんかを強く望む時代になってきておるということを言えると思います。  そういったときに、今度は地方の金融機関ですとかあるいは地方の証券なんかを扱っているところなんかにいたしましても、そういったものに対応できなければならないということでございまして、私どもはやはり何としてもこの金融制度の改革というものは今進めなければいけないであろうというふうに思っておるところであります。  そして、そういったときに、それでは地方のものですとかあるいは小さな機関というものが全部押しつぶされてしまう、あるいは吸収されてしまうかといいますと、そういったところなんかの場合でも、新しいそういったもの、商品を扱えるようになること、あるいは垣根が低くなって自由に活動ができることによりまして力を持ってくるであろうというふうに思っております。また地縁性というのは、大手の銀行ではなかなかこれはむしろ地縁性というのは持つことはできないであろうという、その強みを逆に持っております。また、例えば労働金庫ですとかあるいは農協の機関ですとか、こういったところはまた特性として一つの特別な会員を持っておるという強みというのは、ほかのものに比べてさらに私は強いであろうというふうに思っております。そういう中で創意工夫等を図りながらこういう時代にこれらの皆さん方も頑張っていただく必要があろうというふうに思っております。  ただ、私どもといたしましては、そうかといって野放しに自由化というものを一遍に進めてしまうということになりますと、これは本当に地方のあるいは中小のものは押しつぶされてしまうという危険があろうというふうに考えまして、その意味で子会社方式をとるとかあるいはいわゆるファイアウォールといいますか、そういったものをきちんとしておくことが大事であろうというふうに考えております。  それにいたしましても、やはりこういった問題について今後の推移等を間違いのないように定着さしていく、この必要があろうということでございまして、これからもこういった国会における御審議なんというものは私は非常に重要なものであろうというふうに考えておりまして、今御指摘のあったこと等を私ども念頭に置きながら間違いのない運営あるいはこの法案の定着というものを図っていく必要があろうというふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 それでは次は、アメリカの金融改革と証取法六十五条の精神について伺いたいと思います。  もう御案内のとおり、我が国と同様に銀行と証券が分離されている制度がとられているのはアメリカだと思うんですね。そこで、アメリカが持ち株会社を通じての相互参入を行おうとした金融改革法案が結局成立しながったわけです。これはなぜだと分析なさっておるんですか、教えてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 私どもの見ておりますところを端的に申しますと、一つには、預金保険制度の再建などが緊急を要する課題でございまして、それを優先させたこと。もう一つは、銀行の証券参入などの場合に厳格なファイアウォールを課そうとする動きが見られまして、もちろん業界もそうでございましょうが、これを財務省などの当局が忌避したことなどによるものであろうと考えております。ただし、アメリカの政府は、本年の大統領予算教書などにおきましても引き続き業務規制の緩和、撤廃を含む包括的な金融制度改革の実現の必要性を訴えておると承知しております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私のつたない知識でございますが、一九二九年、あの大恐慌のときに証券業務を広く行っていた銀行の多くが倒産しちゃった、そういう教訓から分離政策というものがとられてきたと思うんですね。我が国も、証取法制定に当たってこういう状況や考えを参考にして現在に至っている、こういうふうに私は理解しているんですが、これは間違いでございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、我が国の証券取引法六十五条は、基本的にはアメリカのいわゆるグラス・スティーガル法にならって導入された規定でございます。ただ、アメリカの場合と違いますのは、アメリカの場合はむしろ日本で言います銀行法の中に規定がされておるわけでございます。日本の場合は証券取引法に規定されております。  ただ、いずれにいたしましても、金融機関がみずから本体で証券業務を行うということにつきましては、グラス・スティーガル法などのときに議論されましたように、利益相反の問題が起こるとか、あるいは市場支配、さらには銀行の健全性に問題が起こり得るというようなことで証取法六十五条というものは規定をされているわけでございまして、この考え方は基本的には現在でも重要な意義を持っているというふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 証取法六十五条、つまり分離とか分業とか、分離の方がいいでしょうが、このことを議論する、結論づけるというのには、前提として証券というものは非常にリスクがあると。証券というものは投機的なものだから大変リスクがあるんだというように大前提として見るのか、いやそうじゃない、トータルとして見ればそれはリスクがないんだというように見るかによって利益相反の問題というのが議論されるというように私は見てきたんですが、そういう見方はおかしいですか。  同時に、大蔵省は、日本の証券というものはリスクがある、依然としてリスクが伴っている、そういう認識に立たれているんですか。その点を伺いたい。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに証券業務と申しますのは、金融業務とは異なった全く違った業態、業務でございまして、したがって金融業務とは異質のリスクがある、質の異なったリスクがあるということは言えると思います。  ただ、どちらのリスクが大きいかというのはなかなか一概に言いにくいわけでございまして、御存じのように、金融業務と申しますのは金融機関がみずからリスクを負っているわけでございます。これは貸し出しをするということで、審査を通じてそのリスクをいかに評価するかということが金融業務の本質でございます。一方、証券業務と申しますのは、基本的には投資家の注文を市場に取り次ぐ業務が主でございます。これにつきましては、そのこと自体はそれほどリスクがあるわけではございません。ただ、それに伴いまして、例えば一定の証券を保有する、いわゆるポジションリスクと申しますか、そういったようなものもございますし、もともと非常に価格変動が激しい商品でございますから、そういったことに伴うリスクというものがあるわけでございます。  したがいまして、リスクが全く異なっているということが言えると思います。そういった意味では、先ほど申し上げましたように、銀行自体が銀行業務と証券業務と両方行うということについては、相当違ったリスクを同時に負担するということになりますので、その点は、日本の場合は、あるいはアメリカの場合も、そういうことを認識して証取法六十五条なりグラス・スティーガル法というものが置かれているというふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 そうすると、今の松野局長の見解からいうと、日本でもアメリカでも、証券と銀行が、双方リスクを持っているものが一緒になればなお負担が大きくなるからやっぱり分離をしておいた方がいいという考え方というものが六十五条の精神であるので、今日我が国においてもそういう分離の考え方は踏襲しておった方がいいという結論になるというふうに見ていいんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 基本的には私どもはそういうふうに考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 そうすると、つまり相互の利益の相反が行なわれてはいかぬので、それを分離するということになると、どうしても垣根が必要だということになりますな。その垣根がいわゆる俗称言われているファイアウォールということなんでしょうね。  それで、証取法六十五条をどう認識するかによって銀行と証券のファイアウォールに対する設定の仕方も非常に変わってくると思うんです。もっとはっきり言うのであれば、日本の証券にリスクの度合いが大きいと見ればそっちの方を重点にして考えにゃいかぬ。銀行の方が多くリスクが伴っているというのであればそういうやり方も考えにゃいかぬですな。これは日本の場合にはどういうふうに考えたらいいんですか。松野さんの方がやっぱりリスクが多いですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、どちらが多いということはなかなか一概に言いにくいと思います。全く質が違うということは言えると思います。  今御指摘のございましたファイアウォールでございますけれども、これはやや銀行のサイドから見た考え方と、それから銀行が証券子会社をつくった場合の証券子会社あるいは証券市場から見た考え方とは少し局面が違います。今までの議論では、銀行が証券業務に子会社の形で出るにしてもそのリスクが銀行本体に及ばないようにするという意味でのファイアウォールというものは、これは銀行の健全性あるいはひびいては金融秩序なり決済システムの安定性ということから、銀行サイドから見て非常に重要なことであると思います。  ただ、逆の方、今度は証券市場の側から見た場合に、やはりそこに入ってまいります証券子会社が親銀行の影響のもとに業務を行う、あるいは親銀行に左右されて業務を行うということになりますと、これは証券市場における公正な取引をゆがめるというような危険があるわけでございまして、私どもの方はそういう観点から、公正な証券市場を維持する、確保するという観点からのファイアウォールというものを証取法の中に規定をしているわけでございまして、同じファイアウォールと申しましても、今申し上げたように銀行サイドから、見るかあるいは証券市場のサイドから見るかによって少し考え方といいますか角度が違うということが言えると思います。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 銀行の方で言えば、貸付業務と信託業務でも利益相反というのは起きますわな。だから、その考え方を踏襲していくと、ここにもやっぱり何かが必要だと考えなきゃいかぬのですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 信託制度の運用でございますが、これは委員よく御承知のように、実質的には他人の財産をみずからの名義において管理運用するという仕組みでございまして、銀行自身の財産を運用するものと立場が違っておる。その分はいわば信託については受益者というものの権益を害してはならないというのが基本であるというふうに従来から考えられております。そのような観点から、いわば信託機能の適正な発揮を促すということで、これが戦前以来のいわゆる信託分離の考え方の基本になっておるわけでございます。  このような受益者の保護を重視するという信託の機能というもの、それは今後とも維持されなければならないというふうに考えておるわけでございますが、これにつきましては従来から証券取引におけるファイアウォールとは違ったいわば分別管理、そして受益者の保護というような信託の理念に従って信託を取り者が信託財産を管理運用しておる、それを当局は乱に流れることがないように指導しておる、そのような仕組みで運用してまいってきております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 もう一つ松野局長にお尋ねしたいんですが、私も本当はここのところちょっとよく自分でもわからないんですが、証券のディーリング業務というのがありますな。それから逆にアンダーライティング業務というのがあります。ここでもそういう利益相反というものは起きると見ているんですが、これに対する見解というか状況、考え方をちょっと教えていただけませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように証券会社が行いますアンダーライティング、つまり引受業務でございますが、これとディーリングあるいはブローキング業務との間にも利益相反が生ずる可能性というものはございます。それはやはりアンダーライティングをやっておりますと発行企業の情報がかなり入るわけでございまして、そういった発行企業の情報、特に、例えば日本の場合ですと、増資とかが行われるというような情報がありますと従来は株が上がるというような傾向があったわけでございます。本当は余り合理的な動きではないわけで、増資が行われればそれだけ株の供給がふえるわけでございますから、アメリカなどではむしろ下がるわけでございますけれども、日本の場合は上がるというような傾向があったわけでございます。  そういったようなことを考えますと、企業が増資を予定しているという情報というものは、これをもしブローカーなりあるいはディーリング業務に利用いたしますと、これは明らかに情報を乱用するということになって、利益相反というような問題が起こるわけでございます。そういったようなことからいわゆるインサイダー取引規制というようなものを導入したわけでございまして、証券会社の内部で引き受けを担当している部門とそれからディーリングなりあるいはブローカー業務を担当している部門との間の情報の遮断といいますか、これは必要だということで、インサイダー取引規制を導入したときにかなり厳格な情報遮断措置をとっているわけでございます。そういった意味では証券会社の中でも利益相反行為というのは起こり得るということが言えると思います。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 そうすると、今までお聞きしてきた面から見ると、いずれにしてもあらゆる、あらゆるというかすべての面で利益相反が起きる、そういう行為が起きるというように考えますと、どうしてもファイアウォールというか防火壁というか、それが必要であるというように考えざるを得ないわけですね、今のお話からしても。私もそう思うんです。  そこで、今度、信託の方とは、証券と銀行とちょっと意味が違うんですが、証券と銀行との関係だけから見など、松野局長はどっちがどっちだとは言えないと。リスクの面ですよ。つまりどっちもあると。だから、どっちかを対象にしてやるわけにいかないという意味なんだと思うんだが、九対一でも双方リスクを持って一いるわけでしょう。銀行が一で証券が九の場合もあるかもしらぬし、銀行が九で証券が一かもしらぬですな。そういう割合から見たらどういう見解をお持ちですか、証券と銀行とどっちのリスクが大きいか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) これはなかなか定量的にどちらが幾らということは、リスクを評価するというのは非常に難しいわけでございます。  先ほど申し上げたことの繰り返しになって申しわけございませんが、私の考え方では、やはり銀行業務におきますリスク、これは主として貸し出しにおけるリスク、つまり貸し出しか回収できるかどうかというそういう貸し出しに際してのリスクを審査するということになるわけでございますし、証券の場合におきますリスクというのは、主として一定の証券を保有してお客の注文などに対応する。特にそういう場合、債券の場合が多い。株式につきましては大体お客の注文を取引所に取り次ぐという行為が多いわけでございますので、みずからたくさん株を保有しているというリスクは余りございませんけれども、債券の場合にはかなりたくさんの債券を保有しております。そうなりますと、やはり金利が動きますと債券の価格はかなり動くわけでございまして、そういった面での証券、特に債券を保有することによるリスクというのはかなりございます。株式の場合でも、やはり持っておりますからその分のリスクというのはあるわけでございますし、また価格が変動する商品でございますから、証券業務の場合にはどうしても投資家との間である程度のトラブルが起こるという、こういうリスクも当然ございます。  そういったリスクが考えられるわけでございますが、なかなかこれを定量的にどちらが大きいというのは非常に難しい御質問でございまして、そういう質の違うリスクがあるということを十分やはり認識をする必要がある。特に銀行が証券子会社をつくって証券業務に進出をしようとする場合には、金融機関が負うリスクと証券子会社が負うリスクというものは全く異質のものだということを十分認識する必要があるというふうに考えるわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 ちょっとしつこいようですが、定量的にはなかなか言えない、質が違うんだから定量的には言えないと。この前の証券みたいな問題が起きたかと思うと、飲み屋のママさんにあれほど金を貸すみたいな問題が出てみたり、どっちもどっちだというのかもしらぬですが。  私がこのことをなぜ聞くかというと、ファイアウォールを設定しなきゃならぬとすると、どういう設定の仕方を考えているのかということが大変これは重要なことなんですよね。別に意地悪く私質問しているわけじゃないんですよ。だから、定量的にはやれないけれども、質の違うということを見たときに、質の違うものであるだけに、どういうように設定すべきかということを考える根拠がなければ、単に一般的に垣根を設けておきますというだけでは納得しないんじゃないんですか。これは業界も納得しないし、国民も納得しないと思うんですよ。そんなあやふやな言葉上の概念的なものだけで設定をすると言ったら、余計なことだと言うかもしらぬですね。午後になってカナダ方式とユニバーサル問題も議論させていただきますが、ここのところは重要な、私はその垣根問題というのは大きい。これは今までだってあったんですから、現に続いているんですから、だからそこのところはよほど慎重に、また大局を見て、もう一回、どちらでもいいですから御答弁いただけませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かにこのファイアウォール、弊害防止措置を設定いたしますときに、どういう基本的な考え方に基づいて設定するかということは非常に重要な問題でございます。  これは、私の方から申し上げますと、例えば金融機関が子会社をつくって証券業務に入ってくるというようなことを考えた場合に、私どものそういう証券子会社と親銀行との間のファイアウォールを考えます場合の一つの基本的なスタンスは、幾つかございますが、まず第一に、やはり利益相反を防止する。例えば親銀行が、貸し付け先であります企業がもし非常にぐあいが悪くなってその貸し出しを引き揚げたいという場合に、その企業に証券を発行させてその発行かわり金で償還させる、これはアメリカでそういうことが行われたと言われております。そういったような典型的な例はございますが、そういうような利益相反を防止するというのが第一のポイントでございます。  それから第二のポイントといたしましては、証券会社はあくまでも証券市場におきます仲介業を行うわけでございますので、やはりその経営が独立してかつ公正な仲介業務を行わなきゃならないという問題がございます。そういった意味では経営の独立性あるいは健全性を確保する必要がある。つまり、例えば親銀行の注文だけに依存するというようなことになりますと、これは非常に経営基盤が不安定でございますので、どうしても経営基盤を安定させるためには親銀行からの注文というものをある程度抑えるといいますか、ほかのところからの注文をかなりたくさんとることによって経営基盤を安定させるということが必要だと思います。  証券市場の公正性を維持するという観点から申し上げますと、大きくは今申し上げた利益相反の問題あるいは公正な仲介業務を行うという観点からのファイアウォールということになるわけでございますが、それに加えまして、現に証券市場でいろいろな証券会社が業務を行っているわけでございます。余りにも競争力が優位に立つようなことになるのも困るわけでございまして、これは具体的には親銀行が子供の証券会社に非常に大きなフェーバーを与えるというようなことになりますと、これは競争上優位になってしまいますので、そういったような意味での競争の公正さを確保するというような観点も必要であろうと思います。  あとは、先ほど申し上げましたように主として銀行サイドでございますけれども、やはり金融機関の健全性を守るというような意味でのファイアウォールという考え方もあろうかと思います。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 午前の最後の質問ですが、そうしますと、設けなきゃならぬという場合に、一律に、つまり行政が指導をした形の中ですべてをつくるという場合と、業界なら業界にこの部分だけ自主的に任せるとか、そういうような対応の考え方というのは特別ございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたような観点でいろいろなファイアウォールを考えているわけでございまして、御提出申し上げております法律案にも基本的なものが二つ、三つ書いてございます。あとは省令でいろいろ規定をしたいと思っております。  私どもの方からいたしますと、やはり基本的に、証券市場の公正さを維持する、確保するためにどうしても必要なものにつきましては法律、省令で規定をしたい。ただ、それ以外にいろいろな市場関係者の意見もございます。そういった中には、協会の自主ルールになじむ、の方が適当だというようなものもございます。いろいろなレベルでいろいろなことを考えていきたいと思うわけでございますが、基本的にはやはり透明性ということからいいまして、できるだけ法律、省令、さらには証券業協会のルールというようなもので透明さを確保していきたいというふうに思っております。

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩    午後一時開会      ―――――・―――――

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。     ―――――――――――――

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 午前の質疑に引き続きまして午後の質問をさせていただきます。  午前中アメリカの問題を取り上げましたが、今回の改革案が、いろんな諸外国の例を見てみますと、俗称カナダ方式というんでしょうか、この子会社方式の採用と大変似ているように思うんです。制度改革についてどういう方向を持って対処するのかという質問をさきの委員会、大分前ですが、そのときに大蔵省のお答えは、五つの方式の中で一か二ぐらいのところに参考になるんじゃないかというお答えもあったようでございますが、俗称カナダ方式というのはどんな内容であるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) カナダの金融制度改革でございますが、カナダの大蔵省は、一九八六年十二月に「金融部門の新たな方向」といういわゆるブルーぺーパーを発表いたしまして、業態別子会社方式により業態間の相互参入を促進することなどを内容とする金融制度改革の概略を明らかにいたしました。その後、一九八七年六月には、まず銀行、それから信託・貸付会社、保険会社が子会社方式により証券業務へ参入できることとなりまして、さらに昨年十二月には、この八七年の改革とあわせて銀行業、保険業、信託業、証券業の四業態相互間の子会社方式での参入を可能にする金融制度改革法が成立いたしました。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 今御説明のように、私なりにも承知している点を申し上げますと、一九八七年だと思うんですが、四業態がそれぞれ法律による縦割りとなっているため新たな金融ニーズに対処できないという事情があったということで、この子会社方式がとられたというように私も聞いておるところでございます。  ただ、我が国と一つだけ異なる点が私はあるんじゃないのかなと実は思っています。つまりカナダは、証券会社はイギリスの証券会社の伝統を受け継いておりますから、いわゆるパートナーシップと言われるものを採用していると思うんです。そのために内部留保が十分でなく、自己資本が脆弱であった点が指摘されていたと思うんです。こうした点からカナダ政府は銀行資本を注入するという資本充実政策をとり、形態として業態別子会社方式が選択されたと承知しているのでございますが、間違いございませんでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 基本的には御指摘のとおりであると理解しております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 つまり、我が国の状態と大変似ている点はあるけれども、イギリスのいわゆる方式、パートナーシップをとっているという点が若干違うという点をまず頭に置いておくべきだと思うんです。  しかし、改革後どのような現象が起きているかということを調べてみましたら、このようなことがはっきりしたのでございますが、その点をただしたいと思います。  つまり、一つは、大半の証券会社が銀行の資本参加を受けて系列子会社となったということですね。二つ目には、銀行の資金面、業務面、人事面からの介入が強まり、銀行の支配力が強まった。こういう傾向があるということも言われています。三つ目は、証券会社特有の積極性や専門性が薄れちゃった、こういうことが文献から言われていることを私は承知しました。  同時に、利用者のサイドから言いますと、一つは、銀行に価格支配力が見られ、株式売買手数料や引受手数料が低下せず横ばいとなっている。しかも、大口の手数料は低下しているのにもかかわらず、小口の手数料は上昇している、こういう傾向があるわけです。二つ目には、ネットワーキングが機能しておらず、証券業務サービスの専門性が薄れ、利用者が離反する傾向が見られる。三つ目は、自己取引や利益相反のおそれがあるので、利用者が銀行系証券会社を避けて独立系証券会社を選択するようになったと言われているのでありますが、大蔵省は改革後の現状について、私が今申し上げた点についてどういう見解をお持ちかお聞かせください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 私ども必ずしも御説明できるほどつまびらかに存じておるわけではございませんが、カナダにおきましては、まず八七年の改革後、大手証券会社の幾つかが銀行の子会社となったようでございます。ただ、これによりまして国内証券会社のいわば資本力が強化されまして、外資系の証券会社との競争が促進された、そのようなことがあったと聞いております。  手数料につきましては証券局長から御説明申し上げます。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) このカナダの改革によりまして手数料がどうなったかという問題でございますが、実はカナダの場合には、改革以前に既に手数料が自由化されております。一九八三年と聞いておりますが、手数料が自由化されまして、その結果御指摘のように大口が下がり小口が上がるという状況が見られたわけでございます。  これは、実は株式の売買手数料を自由化いたしますと、そういった現象がカナダだけではなくてアメリカあるいはイギリスなどにも見られるわけでございます。手数料の自由化という問題と銀行の証券参入という問題とはやはり若干局面を異にするわけでございまして、私どもも手数料の自由化についてもあわせて現在検討を進めているわけでございますが、完全に自由化いたしますと確かにコスト等の関係から小口の手数料が上がるということが言えるわけでございまして、そういった点をどういうふうに考えるのか。つまり、完全に自由化するということが果たして適当かどうかという問題も含めて現在検討を進めているわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私の分析について、つまびらかに承知はしていないけれどもという局長のお話でございますが、私は一番最初に言ったとおり、そういう問題の分析が国会で討論されなければ、カナダ型の子会社方式が本当にいいのかということの決断をするのには非常に時間が少ないということを申し上げたと思うんです。  したがいまして、私はこの分析について時間がございませんから今一つ一つ詰めることはしませんけれども、私にだけでもいいですから、カナダのこういう状況について、なお関係者から報告をするようにしていただけませんか。お願い申し上げます。  そこで、こういう現象というものをとらえたときに一番私は問題だと思うのは、改革後こういう問題ができたときに、問題点を解消しようということであれば、子会社方式ということをカナダは考えたけれども、先ほどのアメリカの例じゃございませんけれども、効率化とか適正な競争とかいうことを考えた場合に、やっぱりこのカナダ方式というのは、ユニバーサル化を図るための一里塚というように位置づけているんですが、省はこのカナダ方式の方向性についてどういうふうに分析されているか聞かせていただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 世界各国通じまして、いわゆる銀行業務と証券業務との関係につきましては、いろいろな手法によって相互乗り入れが進むという一般的力傾向が見られるということはある程度まで申せると思います。ただし、それの制度的な組み立て方は、これはそれぞれの国情、歴史その他を反映してさまざまであるし、それを必ずしも世界的に統一のとれたような姿にするというふうには動いていないというふうに一般的には考えておるわけでございます。  我が国は我が国なりに、御承知のとおり明治以来の金融制度の沿革というものがございますし、それから証券業務と銀行との関係につきましては、確かに戦前、一部の大銀行は社債の引き受けその他の活動をやっておりました。ただし、戦前におきましても銀行が株式のブローカー業務のようなものを自分でやるというような例は安定した時代の現象としてはさほど見られたことはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  そのような我が国の国情をも踏まえつつ、金融制度調査会では、ただいま御指摘がありましたような五つの方式について具体的に比較検討をいたしました。その中にはユニバーサルバンク方式もございましたが、この五つの方式を比較検討の上、具体的な中心となる方式としては業態別子会社方式を取り上げたわけでございます。  当面、この業態別子会社方式に続くその次の段階というものは、私どもではにわかに予見しがたいところでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私が聞いているのは、カナダのこの業態別子会社方式というものはいわゆる子会社方式でとどまるのかユニバーサルバンク方式に移行していくのか、その点は我が国が子会社方式、この方式を参考にしているという点なので、非常に重要だから聞いているんです。我が国との関係はまだいいんですよ。これはもう子会社方式、それでとまるのかユニバーサル化に入るのか、そういう展望についてどう省は把握しているかを聞かせてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 外国の制度の今後につきまして私どもから見通しを述べるということはできかねるわけでございます。  ただ、カナダに影響を及ぼしております国を強いて申しますならば、それはアメリカでありイギリスである、恐らくその二つであろうと考えられます。アメリカの場合には、これはユニバーサルバンクがアメリカで登場するということは考えがたいわけでございます。それからイギリスの場合には、制度としましてそういうユニバーサルバンクの登場を禁止する制度はないように理解しておりますが、実際上はいわゆる一種の分業と申しますか、証券関係をやる組織は別会社に切り離しておるというのが従来の主流でございました。もっとも、いわゆるビッグバン以降、多少その辺は変わっておりますけれども、基本的にはイギリスではいわば実行上別会社方式が行われておるわけでございます。  そのような両国の影響が強いということを考えますと、カナダでユニバーサルバンク方式に移行するということは、私ども憶測を交えてもなかなか考えがたいというふうに存じます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 そうすると、カナダの方式はユニバーサルバンク型に持っていくのは困難だ、そうは思えないと、そういう今お答えですな。間違いないですな。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 外国のことでございますので的確な見通しを申し上げるのは御容赦いただきたいと思うのでございますが、まあ思いつきにすぎない、大変恐縮でございますが、関連する諸国との比較からいいまして、ユニバーサルバンク方式に移行するという可能性は少ないだろうと見ております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 ここに「東銀週報」というのを持ってきておりますけれども、東京銀行トロント駐在員事務所長浦部さんという人がカナダの銀行についての展望を述べていますね。その結語としてこう書いてありますから読み上げますが、「今後、カナダの金融制度は、形式上は、いわゆる「業態別子会社方式」が踏襲されるとしても、市場・顧客という金融サービスの利用者にとっては、実態上、一箇所で全ての金融サービスが受けられるという方向に展開していくものと考えられる。」ということで、このカナダの方式はいずれはユニバーサルバンク型に変化していくであろうということを述べていらっしゃいます。  これと今の局長の答弁とはどう関連しますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御説明を申し上げるほどの知識を持っておりませんのは大変お恥ずかしい次第でございますが、ただ、ただいまの記述がいわゆるワンストップバンキング的なものを考えて言っておるのか、制度そのものにまで影響するような見通しとして言っておるのか、ちょっと私どもその辺も詳細に承知しておりません。大変恐縮でございますが、立ち入ったコメントができるほどの知識を持ち合わせておりません。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私が非常に心配している点は、この金融改革の問題がいずれ日本もユニバーサルバンク型に移行するんじゃないのかということを先ほどからも、午前中も聞いたと思うんです。しかしそこまでいくのには若干問題があるから、今ちょっと当面は子会社方式でいこうということであるんじゃないのかということを私は思っているんですよ。  ところが、他方、ドイツそれからECを見ますと、ユニバーサルバンク型というのはドイツが中心でありながら、ECは二年後にそういう方向に持っていきたいというような発表もされていますね。そうすると、日本の金融制度というものは諸外国との、つまり国際化と言っている面では一体どういうふうにこれが関連してくるのかということが非常に心配です。はっきりしないですね。これが一つの問題点。  二つ目の問題点は、ユニバーサルバンク型に持っていくというのであれば、銀行主導型ですね。だから、そういう銀行主導型になっていくということは非常に私は問題があると思うんです、先ほどの、つまり寡占化問題も言ったとおり。  なぜそういうことを言えるかというと、まず一つは、今日までの審議会の議論の経過や今日までの運びを見てみると、大銀行、つまり都銀とか長期信用銀行の声が非常に大きい。この人たちはユニバーサルバンク型に持っていきたいというのははっきりしているんですよ。これが一つ。二つ目は、業態別の子会社も寄せ集めればユニバーサル型の銀行と言えるんじゃないんですか。三つ目は、子会社を設立する力のあるところとないところの対応に大変格差が出てくると思うんです。四つ目は、行政が許可の認可条件を厳しくすればするほど子会社の設立は大資本の銀行に限られちゃうんじゃないか、こういう問題点を感じます。五つ目は、証券会社の一体何社が銀行業務に参入できるのかということなどを分析すると、結果として巨大な銀行資本がずっと進出しちゃって、そして巨大な銀行ができ上がる、こういうことになるんじゃないかと思うんです。  そこが私は今回の改革が、午前の一番最初に質問した、この改革はユニバーサル型を展望しながら今回は当面一里塚として子会社方式をとっていくということなのか、将来まで通じて子会社方式を定着させるということなのか、基本的な問題をはっきりしてもらわないと困るということを言ったんですよ。そういう意味で、私が今述べたことに関する見解を聞かせてください。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 証券市場に関することが主でございますので私からお答え申し上げたいと思いますが、少なくとも証券市場という観点から申し上げますと、証券取引審議会でいろいろと議論が行われたわけでございますが、何といいましても、日本の場合には御指摘のように金融機関の力が非常に強いということは否定できない事実だと思います。特に企業に対する影響力も、最近は低下しているとはいうものの、やはりかなり無視できない。  そういったようなことを考えますと、証券市場、特に日本の証券市場はアメリカと並ぶ、あるいはアメリカ以上に大衆化が進んでいる市場でございまして、一般投資家の人が自由に参加をして、規模も非常に大きくなっておるわけでございます。そういうところに銀行が支配力を直接発揮するような形で参入するということになりますと、証券市場に対して非常に大きな影響を与える。やはり市場を支配するというようなおそれがあるわけでございまして、したがいまして、少なくとも証券市場への参入ということを考えました場合には、私どもとしては銀行の支配力を極力排除するという形が望ましい。しかし、やはり参入による競争促進ということも必要だということでございますので、業態別子会社の形での参入ということが望ましいという結論に達したわけでございます。  もちろん子会社でありましても、御指摘にありましたようにいろいろな面で銀行の影響力が及ぶ可能性があるわけでございまして、それをいかに遮断するかということは非常に大きな問題になるわけでございます。弊害防止措置にしましても、もし実効が上がらないようであればそれをさらに強化するというようなことも考えなければならないわけでございまして、証券市場の今後の健全な発展という観点から申し上げますと、少なくとも日本においては、ユニバーサルバンク制度による証券業務への参入ということは決して市場にとって望ましくないという考え方を持っているわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私の質問に全然答えてないんですよ。私の結論は、今回の改革は一里塚なのかこれで終わりというのかと、そこを聞きたいんです。だから、ごちゃごちゃ要らないんですよ。大蔵省は、ユニバーサルバンクではなくユニバーサルバンキングといううまい言葉をつくってくれたと、館さんのこういう文献もあるわけだ。だから、将来一体どういうところまで展望しているのかということだけ聞かせてもらえればいいんですよ。  それを聞くと、業界は業界なりにいろいろ考えるんですよ。そこのところをいつもあなた方は不明確なんだ。だから、当面こうやる、将来はこうだと、それで当面やっているうちに問題が起きればこうするとか、そういう方向性をはっきりしないと、業界はそれを待っているんですよ。みんなが注目しているんだわ。そこのところをはっきりしてくださいよ。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私は業態別子会社方式ということで今回の制度改革を考えておりまして、その後のステップを考えているということばございません。したがいまして、業態別子会社方式で証券市場の競争を促進していくということでございまして、ユニバーサルバンクヘのワンステップであるというような位置づけは全くしておりません。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 しからば、これから起きることを展望してもう一回尋ねますが、例えば子会社方式をとったとします。子会社方式をとったとしても、これはある系列から言うと、総務だとかなんとかかんとかという管理部門はいっぱいつくらにゃならぬのですよ、子会社別ごとに。そうでしょう。これは経営の効率化になりますか。どこの会社だってなるべく小さい金で高い利益を上げたいというのは当然じゃないですか。そうすると、今は垣根をつくって子会社方式だけれども、何年か過ぎていくと、これは系列化されるということはもう火を見るより明らかじゃないですか。  それから午前中も答弁があったけど、親会社と子会社の関係。垣根をつくったとしても、日本の風土の中では、ちょっとおまえ子会社に行ってこい、だけど後から戻ってこいと。そういうことがあるから、おまえおれの言うことを聞かにゃならぬよと。これは日本的風土でしょう。  そういうようなことを考えてみると、子会社方式が一番いいんだということをおっしゃるけれども、将来はそういうふうになりかねないんじゃないか。なりかねないということは、勢いユニバーサルのバンク型になっていくんじゃないんですかということの展望を加えて私は言っているんですよ。そこのところをはっきりしてくださいよ。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 証券市場の方の観点からの議論は証券局長から申し上げたようなところでございます。片一方で、金融制度というものから見ましたユニバーサルバンクの利害得失というようなものについて、これまでの議論の経過を考えてみますと、これは金融制度調査会の文書に数回にわたって出てくる問題でございますが、確かにユニバーサルバンク方式というものを具体的な方式の一つとして研究をしたということは事実でございます。  それで、研究をした結果、最も基本的なところだけ申しますと、「銀行経営の健全性の維持、利益相反による弊害の防止等の面で、現時点では、問題が多いと考えられる。」というのが昨年六月の金融制度調査会の答申のエッセンスでございます。  今後、さらにもしこのユニバーサルバンク方式を考えるについては、これは現行制度との連続性、その点から問題がありますほか、時々御議論が出ておりますが、金融機関の株式保有や大銀行による寡占の問題をどう考えるべきか、利益相反の問題にどのような対策を講ずるべきか、銀行が証券業務に直接に本体で進出しても預金者保護という点で問題はないかなどの課題についての検討が必要であると思われるという調査会の指摘を私どもはそのとおりに受けとめております。  もちろん、金融制度は長く運用してまいりますうちには、国際的な諸情勢の進展やその他の理由によりまして時々大きな見直しか行われてまいりましたし、今後ともそういう見直しかないとは言えないのでございますが、それはしかしそのときに、やはり今申しましたような議論をどのように改めて考えるかというようなことの検討を踏まえたそのときの判断があるべきである。  現在私どもが御提案申し上げておりますのは、ユニバーサルバンク方式への一里塚であるというような意味で業態別子会社方式を取り上げているという意識は全くございませんということを申し上げておきたいと存じます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 言葉としてはわかりますけれども、わかるという意味は、先を考えて一里塚ではないんだとおっしゃっているわけですな。だけれども、その前に答弁したことは、問題があれば問題があるようにまた直していかにゃならぬということで言っているわけです。そんな便宜主義なあやふやなこれ改革案なんですか。何のそこまでの検討もなくだ、とりあえず調査会、審議会が言うからそんなことでやってみょうや、悪かったら直せばいいじゃないかと。私はそんな簡単な問題じゃないと思うんですよ。大改革ですよ、これは。それだけに、そこまでの展望を踏まえた上で、きちっとした行政のあり方をしていかないと、何となく私はこれはあやふやで、ただつつかれるからやったというような感じしかならぬですよ。  だから、私はその点は大臣にも聞いておきたいのですが、その点をはっきりしないと業界はまた混乱するんですよ。ある方向性をちゃんとやれば、プロなんだからプロはプロなりに考えていくんですよ。また考えるかもしれない、何も知らないというのであれば、またごね得も生じかねないんですよ。そういう問題点がありますので、そこのところは答えは要りませんけれども、よく踏まえておいてほしいと思うんですよ。これは研究がもう少ししっかりしてほしいと思いますね。  さてその次は、時間がだんだん迫っできますから、一つだけ、事務的なことになるかもしれません、これは事務的というよりか基本的なことです。  買収する証券会社のブローカー業務を認めていますね。つまり、銀行の証券子会社にはブローカーを認めていないんだけれども、これは認めているんでしょう。それから、銀行の証券子会社の株式に係るブローカー業務を制限している理由というのは一体何なんだ。例えば中小証券会社経営に対する影響を考えたという面もありましょう。二つ目が、利益相反が発生しやすいからだというのもあると思うんですね。特に私が心配するのは、銀行が自己の保有する証券の価格をつり上げるために顧客に購入を勧めて、そしてその購入資金は銀行が貸し付ける。金余り現象です。そういう状態が起きるということが非常に私は心配だ。片方ではそういう意味でブローカーは認めないと言っておきながら、買収する方には認めるという余地を残しているのはちょっと矛盾があるんじゃないですか。これの考え方を聞かせてください。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 銀行の証券子会社につきまして、株式のブローカー業務を禁止しております理由は、今まさに御指摘のとおりでございます。買収の場合に認めるではないかという御指摘でございますが、これは確かに法律の附則におきまして、銀行が証券会社を買収した場合についてはブローカー業務を禁止することができるという規定になっておりまして、その禁止をしない場合があるということには規定上なっているわけでございます。  これは、まずそもそも買収というものを認めるかどうかという問題がございます。我々としては、今回の制度改正の大きな目的は、やはり新規参入による競争促進ということがねらいでございますので、そういう意味では新規設立ということが望ましい、制度の趣旨に合っていると考えるわけでございまして、買収というものはそういう意味では別に新規参入ではございませんので、競争促進効果というものをそれほど期待できないということがございます。したがいまして、買収というものを積極的に認めるというつもりは全くございません。  問題は、それでは行き詰まった証券会社が出てきた場合に、それを銀行が支援するというようなケースが考えられるわけでございます。その場合にどうするかという問題でございますが、行き詰まった証券会社ではありましても、既存の証券会社でございますので現に株式のブローカー業務は営んでいるわけでございます。それを銀行が支援するという場合に、自動的にそのブローカー業務を失効させる、取り上げるということは果たして適当かどうか。これは投資家の問題もございます。やはりケース・バイ・ケースで考えざるを得ないのではないのかというのが買収、これは破綻証券会社への支援ということで考えているわけでございますけれども、そういうふうな考え方でこういう規定を置いているわけでございます。  もちろんそういう場合におきましても、基本的に銀行が子会社でも株のブローカー業務を行うことにつきましては、先ほど御指摘がありましたようないろいろ利益相反の問題が生じ得るわけでございますので、できるだけそれは認めたくないという気持ちではございますけれども、今申し上げたような状況、破綻証券会社を支援するというような状況のときにはやはりある程度ケース・バイ・ケースで考えざるを得ない。余りにも投資家に与える影響が大きいという場合にはブローカー業務を自動的に取り上げるというわけにもいかないんではないかというような趣旨で設けたものでございまして、決して新設と同じレベルで買収を認めるということではございません。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 その苦労の跡は日本語の言葉の中ににじんでいますから、それはそれなりにわかるんですけれども、何となく理不尽というか、つじつまが合わないというような感触を持って受けとめられておりますので、その趣旨をよく踏まえて対処してください。  それから次の問題は、業態別子会社の設立の認可の時期についてちょっと伺っておきます。  平成三年六月二十五日の金制調の答申でこの問題についていろんなことが書いてありますね。時間がないからはしょりますが、そこで、例えば長期信用銀行や外国為替専門銀行について、普通銀行より早く子会社の認可をするのですか、それとも証券会社の銀行子会社と普通銀行の証券子会社の設立認可と同時に行われるのか、認可の時期について教えてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 具体的な認可の時期につきましては、今後考えるべき問題でございます。その際の金融制度調査会の方の議論は委員御指摘のとおりでございますので、詳しくは立ち入りませんが、参入段階における競争条件の公平性の確保などの観点から業態別子会社を設立する親会社の店舗数などの格差、それから親会社が営む業務との間における親近性などを考慮していくことが適当であるというふうにされているところでございますので、そのような考慮もあわせながら認可の事務を考えてまいりたいと思います。  そういう観点からしますと、例えば長期信用銀行のような業態について言及されましたけれども、店舗数が少ないとか、それから証券業務につきまして長期信用銀行の中にはかなり習熟した者がおるとかというような点は私どもも意識しないではございませんけれども、一つの業態を片づけてそれから次の業態に進むというような画一的な進め方にもまた問題があるように考えております。その辺につきましては、なおこの法律の施行を控えまして諸情勢をよく考えまして具体的な認可を研究してまいりたいと思っております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私は確信的な意見を持っているわけじゃございませんけれども、公正とか公平とかということを考えると、やっぱり時期はなるべく統一した時期が一番いいんじゃないのかなと思っているんです。非常に関心を持っている事項でございますから、これから検討されるんでしょう、検討されるんでありましょうけれども、その点を考慮して十分対応していただきたいと思います。  同時に、長期信用銀行と外国為替専門銀行の将来性についてちょっと伺っておきたいと思うんです。  今回の改正では、このような業態の子会社の設立を予定していないようでありますね。これらの銀行には予定していないと思うんです。それは長期信用銀行、つまり日本興業銀行、日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行の三行だと思うんです。今日まで設備資金や運転資金の貸し付けなどで長期五年の金融債などを発行してきたが、現状では都市銀行と融資面で同じようになっているとの分析から、もうその使命は終わったというようなニュアンスが読めるような意見も、報告もあるようでございますが、これについてはどんなふうにお考えになっておいででしょう。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) これからの問題として考えますと、確かに金融制度調査会の答申にあります考え方の中には、「専門制・分業制に基づく現行の金融制度を維持する必要性は相対的に薄れてきている」という記述もございますし、それから今後、自由化、国際化が進展いたします中で、従来のような、制度をスタートさせたときにおけるようなそういう専門銀行というものを新たに生み出す必要性というものは余り考えられないというようなことはあるかと思います。  この金融制度調査会の答申では、外国為替専門銀行子会社については「新たに設立する必要性はないものと考えられる。」と申しますし、それから長期信用銀行子会社につきましては「新たに設立する必要性は基本的には小さいのではないかと考えられる。」という記述があるわけでございます。  ただ、その問題と、それから現在それぞれの長期信用銀行法なり外国為替銀行法に基づいて設立され、長年にわたってそのような運営をしてきた銀行が今後どのような経営路線をとるかという問題とは切り離して考えるべきであろうかと思っております。やはりこの専門制、分業制というものが一気に廃れるということはないわけでございますし、それぞれの銀行のレーゾンデートルとして、いろいろな経営努力によって営業を維持してまいっておるわけでございますから、それぞれの長期信用銀行なり外国為替専門銀行であり続けたいというような経営判断はもちろんあり得ることであります。ただ、そうではなくて、金融環境が変わったからみずからの責任で他の方面に業務展開を図るという考え方があるのであれば、制度改革の際の一つの法制上の手当てとしてそのような経営上の選択を妨げるべきではない、経営上の選択の多様化を図るための仕組みは制度的にはつくっておこうというふうに考えているわけでございますが、そのような個別の長期信用銀行や外国為替専門銀行がどのような経営路線をとるか、現在の基本線を守ろうとするか、ないしは新たな方面に進出しようとするか、それはそれぞれの金融機関が自分の責任で考えるべきことであるというように私どもは考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 今の発言は大変重要だと思うんですが、それぞれの金融機関が考えろということなんですか。いみじくも今局長は金制調のくだりのところをずっと説明したんだけれども、それはそう書いてありますよ、私は読まなかったけれどもね。だけれども、それはそれとして、一体大蔵省、行政はそれをどう考えるかということがなきゃいかぬのじゃないですか。私が今言ったように、長期信用銀行とか外国為替専門銀行の将来性という問題は、基本的にはこれは長短の区分なり長短の分離のことが一番問題なんでしょう、子会社を認めないということは。そこの長短の区分と長短の分離というものをどういうふうに総括するのか、そこから出発せにゃならぬわけでしょう。それが普通銀行ともう変わりないんだと、そういう時代に入ったんだというんであれば、要らないと言う人もいるし、いやそれはそうじゃなくて、こういう面で育成をしていくんだ、定着させるんだというんであれば、分離制度は分離制度で考えなきゃいかぬのじゃないですか。  特に先般、合併転換法によって長銀が普通銀行に転換できる道は開いたわけでしょう。このことは、長銀の使命や任務について検討の結果、私は要らないとまでは言わないけれども、使命は終わったという認識が根底にあったんじゃないですか。だからこういうような道を私は開いたんだと思うんですよ。しかし、転換後も当分の間は金融債の発行は認めているんですよ。これもまたちょっと理解できないんですな。だからそういうようなことから見ると、つまり銀行の性格というものをはっきりしてやらないと、何か野放しにしておいておくような気がしてならぬですよ。  そこで、三つの点についてはっきり答えてください。一つは、長銀の存続は今でも必要と考えているんですか。もうごちゃごちゃ言わないで、考えているとか考えていないとかにしてください。それから二つ目が、普通銀行にも長銀並みの金融債の発行を認めるんですか認めないんですか。三つ目は、これから一年物の割引債と五年物の利付債のほかに新たな金融債も認めていくんですか認めていかないんですか。そこのところはっきりしてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) これは非常に委曲を尽くした御説明が必要なところでございますが、御指示もございますので結論的な部分だけ申し上げさせていただきますと、第一に、長期信用銀行の存続を不要とするような状況ではない、存続して結構であるというふうに考えております。ただし、それは新しくそういうものを生み出す必要があるかということは、私どもは必ずしもそういう必要があるとは考えておりません。  それから第二でございますが、普通銀行による金融債の発行につきましては、多々論点があるところでございまして、金融制度調査会でも、この報告書にもその論点は言及されております。それらの答申などを踏まえまして、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。  それから第三に、金融債の種類でございますが、これは現に、割合最近に二年物の利付金融債が発行されております。その他今後における多様化というものはあり得ると考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 私も全く同感でございまして、普通銀行にも長銀並みのこれを認めるか認めないのかということは、これは非常に重要であり、大変混乱みたいなことが起きる場合も想定されますので、ぜひ慎重に取り扱っていっていただきたいと思うんです。  その次は、外国為替専門金融機関、俗称東京銀行でもいいんですが、これについてもこの形態というものは見送られたわけですね。それで、外国為替業務については、外国為替管理法において別途外国為替公認銀行外の外国為替専門金融機関制度を特に設けておかなくてもよいという考えからこういうことになったのでございますか、それとも東京銀行についてはどういう将来性について考えているんですか、お答え願います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) この場合には制度そのものの適用を受けておる銀行が一つしかございませんので甚だ立ち入った議論をしにくいわけでございます。ただし、結論的に申しますと、外国為替専門銀行を新たに設立する必要性はないというふうに考えておりますが、現在、いわばそういうステータスを一つの経営のポイントとしていろいろ取引先に対して訴えかけ、それなりの地盤を持っておる、そういう銀行につきまして、その存立の基盤となるいろいろな要件を急激に変えなければならないという必要はない。そこはやはり現在の路線で引き続きやりたいという経営上の判断であればそれで結構であるというふうに私どもは考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 確かに個別の銀行の問題ですから、ここで余りわあわあ言って混乱を起こさせるつもりはないんですが、やる気があるならどうぞおやりなさいという態度というのは、私は、局長、どうも納得がいかぬのですよ。それならみんな余計なこと口出さないでやりたいことやらせればいいんですよ。ところが何か起きると、どうだこうだと言うんでしょう。この東京銀行については、昭和二十九年でしょう、横浜正金の救済で。そのときの懇談会の議事録を見せてもらったんですが、全会一致じゃないんだよね、これもう反対も相当多かった。時のだれかが助けてやれと言うものだからできちゃっただけのことなんでしょう。何もあそこはなくたって別に不自由はないんですよ。だから、そういうよ一つな状況から見るとちゃんとした理屈を立てて、制度的にどうあるべきかということはきちっとすべきだと思うんですよ。制度的にあそこに存続しておくことがやっぱり正しいというんであればそれはいいんですよ。ただ、やりたけりゃやりなさいということは私は納得できない。そういう意味でこれからの指導をしっかり、見解をまとめておいていただきたいと思うんです。  その次は、もう一つの問題点は、あと十分しかございませんけれども、預金保険機構の問題なんですわ。これから合併だ何だかんだすると倒産も起きてくるというような状況で、預金者保護という立場から預金保険機構というのがいつも議論されているんですが、これには私は両端あると思うんです。つまり保険機構というものを充実しろという意見がありますな。二つ目には、充実しろ、つまりカバーをきちっとしろというと放漫経営になりかねないという問題もあるんです。三番目は、そんなら充実しろと言うけれどもだれがどういうお金で充実するかというと、何のことはない、みんな預金者の負担なんでしょう。こういうような問題点があるんですが、これに関してどういうような見解をお持ちか聞かしてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 預金保険制度につきましては、これは従来から、いわば経営破綻に陥るような事態が発生することがないとは言い切れませんので、そのような事態が生じた場合にも適切に対応し得るようという観点からその充実を図ってきておるところでございますし、責任準備金も年々増額されております。しかし、これはあくまでも預金者保護のためのいわばラストリゾートでありまして、まずその前に個別の金融機関の経営に当たりその健全経営を維持するという基本的な姿勢がなければなりませんし、それから経営が多少困難になりましたときにも、まず自助努力、それからいろいろな関係金融機関なり何なりの協力による救済手段をいろいろ考えた後の最後の手段として検討されるべきものであるというふうに考えておりますのでございますので、預金保険制度の充実を図りさえすればそれで金融機関の経営破綻に対する手当てができた、能事終われりというような考え方は全く持っておらないわけでございます。  他方、これは御指摘のとおりに、この預金保険制度の運用に当たってはいわゆるモラルハザードと申しますか、金融機関の経営規律の弛緩、緩みといった弊害が生ずることのないように注意していくということも当然でございます。これは保険というものの性質がどうしてもそうなんでございますが、結局その保険料は金融機関が拠出するわけであり、その金融機関の原資の大半は預金でございますから、確かに見方によりましては預金者が預金保険の保険料を負担しておるというふうにも言い得るわけでございまして、それが乱用されたりするようなことがあってはならない。繰り返しますが、基本的には個別金融機関のきちんとした経営があらゆるものの基本であるというふうに私どもは考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 どうも時間がなくて申しわけございませんけれども、あと二つばかりなんですが、一つは有価証券の定義、概念の問題なんですわ。  この前の、新聞読んでおっても大蔵省と通産省がけんかしちゃって、それでどっちに軍配が上がったんだかわがらぬのですけれども、各省庁の縄張り根性があるためにおる商品が発行できないとか、それからある意味では意図的に流通性を抑えちゃったとか、そういう問題がずっと叫ばれているんですよ。私は、国民の側から利用者のサイドから見れば省庁の縄張りでこんなことが決められたん七や大変だという意識があるんです。これからいろんな商品が出ていく可能性をたくさん秘めているわけでしょう。したがって、有価証券の規定、概念をするに当たっては、もう少し私は、金融全体を見たときにこれは大蔵省が何でほかの省にがあがあがあがあ言われにゃならぬのですか。そういう行政指導がきちっと、免許制である限りはあなた方が責任を持たにゃいかぬことなんじゃないんですか。そういう意味で有価証券の認可についての考え方についてお聞かせいただきたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、金融の証券化に伴いましていろいろな証券が出てまいりわけでございます。それを証券取引法の適用対象にするというのが今回の私どもの非常に大きな柱であるわけなんですけれども、証取法は御存じのように、まず証取法の適用対象になります有価証券といいますのは、いわゆる投資性があるといいますか、投資の対象であるということと、それからもう一つは証券取引法という法律の、当然のことでございますけれども、流通性があるという二つのメルクマールがあるわけでございます。  そういうような商品につきまして、証取法はいわゆるディスクロージャーといいますか、投資判断材料の提供を求めて、投資家が適正に判断できるようにする、あるいは不公正な取引が行われないような規制をするというような投資家保護の制度を用意しているわけでございます。したがいまして、投資性があり、かつ流通性のある商品については広く証券取引法を適用していくということが基本的に私どもは望ましいし、またそうしないとそういう証券の指導ができていかないというふうに考えるわけでございます。  ただ、じゃそういう商品を一体どういうふうな規定で定義をするかという問題があったわけでございます。なるべく広く適用するということから言いますといわゆる包括条項のようなものを置くのが適当なわけでございますけれども、逆に証券取引法が適用されますと、今申し上げましたように、情報提供を行わないでそれを発行いたしますと罰則の対象になるという問題、それからそれを取り扱いますとこれは証券業になってしまいますので、無免許営業になるというような、いわゆる罰則適用になるということになってしまうわけでございます。そういった観点からは、罰則がかかるかかからないかというのがはっきりしてなければいけない、一般の人に周知していなければならないという問題がございまして、いわゆる罪刑法定主義といいますか、そういった要請からやはり証取法が適用対象になるものはできるだけ具体的に書くべきだという要請が一方であったわけでございます。  その二つの要請を踏まえまして、投資性があり流通性がある商品についてはできるだけ具体的に列挙はいたしますけれども、それ以外のものについては省令あるいは政令で指定をするという仕組みにしているわけでございまして、基本的にそういう流通性あるいは投資性というような要件が法律に書いてございますので、政令指定あるいは省令指定が機動的にできるというふうに考えているわけでございます。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 質問の最後は、労働金庫でございますが、労働金庫は長年金国一本化ということについて大蔵省に再三の申し入れ、陳情をしてきたんですが、どうしてこれが認められないんですか。同時に、これからの対応についてどういう問題が解消すれば認めるという方向に行くのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 全国一本化の議論にはいろいろな経緯があるわけでございますが、現時点での私どもの考え方を申しますと、全国の四十七労働金庫の経営状況の格差や各金庫に業務運営上改善すべき問題点が多く見られることにかんがみまして、現段階では一気かつ一斉に一本化することには大きなリスクが存在いたしまして、労働金庫の抱える問題を解決するための最良の方策であるという確信を持つまでには至らなかったのでございます。  しかしながら、やはり当面の厳しい状況に対処するために何らかの対応策を講ずる必要があると考えておりまして、そのために今後とも労働金庫協会と引き続き協議を進めていく考えでございます。  具体的には、第一に一定の地域を基礎とした労働金庫相互間の適切な合併に向けての自発的な努力とか、第二に系統利用率の向上策の検討とか、それから第三に、これは今回の改革法案にも盛り込まれているわけでございますが、全国労働金庫協会の位置づけの見直しによる指導力の強化や業務量通者の理事への登用などを当面の対応策として考えております。

鈴木和美日本社会党・護憲共同

○鈴木和美君 大蔵大臣、私の時間はあと一分しかございませんけれども、今までずっと質疑をさせていただきました、もう一回申し上げますが、私は今回の金融の制度改革というのは大変なことだと思っているんですよ。そんな簡単な問題ではないと実は思っているんですわ。したがいまして、我が党は、法案について社会党としても金融の自由化、金利の自由化、業務の自由化、そういうものの道はこれは外して通れない、その道は通らざるを得ない、そういう問題認識であることは事実です。しかし、その余り、拙速に走って後からまた手直しするというようなことであってはいかぬと思うんですわ。ですから、この法案には賛成ですが、今まで私が述べてきたこと、大変僭越ではございますが、どうぞ参考にしながら、改革の法案が通ってもまたいろんな問題があったら率直に議論し、手直しするような方向をとっていただきたいことと、今までの質疑の感想をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) きょう午前中から鈴木委員の方から本当に幅広く、しかも相当深く掘り下げて御懸念等率直にお述べいただきましたことを本当にありがたく思っております。  私どもも、今度の改革というのは決して生易しいものでない、本当に大変な大きなものである。しかし、これだけ大きく、新しい商品が出てきたり、あるいは国際化が進んでいくということになると、ここで一歩をちゅうちょして踏み出さないということは許されないということでございまして、私どももこの法案をお願いすることになったわけでありますけれども、今御指摘のございました点も私どもよく念頭に置きながら慎重に、しかも拙速にただ走るということじゃなくて、よく状況を把握しながら対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 金融制度調査会の「地域金融のあり方について」の報告を読んでみますというと、経済の大都市集中、地域格差の是正が我が国経済社会の最大の課題だということが強調されております。  最近の農業・農村の動向を見てみますというと、新たに学校を卒業して農業につく者はゼロも同然ということになりました。この一年の新たな動向で見てみますというと、既に農業についている若手・中堅従事者も農業から離れていくという状況が生まれ始めてきました。この状況をそのままにしておきますというと、過疎化は山間部から平場へ広がっていくという時代となっていくでありましょうから、これにどう歯どめをかけていくか。そのために農林水産省も新農政のあり方の検討を急いでおり、そしてまた同時に、農協に対して農業・農村を維持していくための主体的な努力が求められてきておるのであります。  今日の農協の経営状況を見てみますというと、営農事業や販売事業では持ち出し、信用事業の黒字でようやくつじつまを合わせているというところなのでありますが、そこへ今度は金融の自由化ということになってきたら、農協が立ち行くのかどうかということが新たな問題として出てまいりました。農業・農村、そして農協を立ち行くようにしていくためにということで既に参議院の農林水産委員会は農協二法の改正、これは先般成立したところでありますが、そして三つ目の課題として、本日ここに提案されておる金融制度改革法案の審議ということになったわけであります。  地域金融機関というのは大手の都市銀行とは性格が違う。地域と運命共同体的な性格を持っております。とりわけ農協について申し上げますというと、採算がまるで合わない山村にも店舗を持ってやるというようなことをやっておるのであります。そういう状況があるから国土と環境が維持されておる、だから大都市も存立することができるというような関係になっておるわけであります。  そこで大臣に伺いたいのは、地域間格差是正に向け地域金融機関対策についての基本的姿勢、とりわけ系統信用事業の強化に向け業務範囲の拡大等についてどのようにお考えになっているか、その御所見を承りたいのです。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 地域の金融機関は、地域の住民などのいろんな金融ニーズ、こういったものにきめ細かい対応をする機能ですとか、あるいは地域の資金を地域に還元するなど、こういった役割を持っておろうと思っております。また、地域経済の活性化ですとか個性化、これが重要な一つの課題となっておる中におきまして、今後その機能ですとかあるいは役割は一層大きくなっていくであろうというふうに考えます。  こうした観点から、今回の金融制度改革法案におきましては、地域金融機関が本体で補完的に信託業務を行えることにしたほか、農協などによります協同組織金融機関、こういったものにつきましては、国債の窓販あるいはディーリング業務、あるいはこのごろは外国なんかにも出かける人もありますし、またこういったものを扱う方々も出てくるという中で外国為替業務、これを法令上認めることといたしております。  こういった措置をとることによりまして、地域金融機関は地域の利用者のニーズに対するより的確なきめ細かな対応ですとか、あるいは組合員の皆様方に対する資金のより円滑な供給というものが可能になりまして、地域の個性のある発展にも十分寄与していくことができるものであろうというふうに考えております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 業務範囲の拡大問題はまた後ほど伺いたいと思います。  次に、今回の金融制度改革で農協、信連、農林中央金庫について利用者の利便向上のために信託・証券業務への参入の道が開かれました。そこで、信託、証券とも業務知識、リスク管理等必要となってくると思うのでありますが、実際の業務参入の見込みはどうなのかについて伺いたいと思います。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 今回の法改正によりまして、農協系統につきましても証券・信託業務への参入といったことが認められることになったわけでございますが、これに対応いたしまして農協系統につきましては、特に、リスク管理対策の強化はもちろんでございますが、業務執行体制の強化と内部牽制体制の充実、こういったこと等々を早急に進めていく必要があると考えているところでございます。  このため、先般成立いたしました農協法の改正におきましても、理事会制・代表理事制の法定化、員外理事枠につきましても四分の一を三分の一に拡大するとか、監事の業務・会計監査機能の拡充、こういった措置を講じたところでございます。今後こうした新規業務に対応し得る体制の整備と人材養成がますます必要になってくるわけでございます。  また、お尋ねがございました農協系統の金融機関が証券・信託業務に参入することにつきましては、それぞれのまた業法上の認可なり免許が必要になってくるわけでございます。実際上の参入につきましては、組合員のニーズ等事業遂行の必要性、それぞれの能力、体制の整備の状況等に応じましてそれぞれの経営判断のもとに立ちまして順次行われていくということでございますので、現時点でその具体的な見通しということは困難でございますが、いずれにしましても新規業務に対応し得る体制整備をまず充実していくということで十分指導してまいりたいと思っております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 その点の指導は強くこの際お願いを申し上げておきたいと存じます。  続きまして、土地信託問題について若干伺いたいのであります。  農地価格はこれはもうどんどん下がっていくという状況なのでありますが、残念ながら宅地価格というのは途方もない価格になってしまっております。したがいまして、土地の売買の伴わない住宅づくりは低家賃住宅確保の上からも大変結構なことでありまして、その意味では系統農協の土地信託というのを導入したというのも大変歓迎されてしかるべきでないかと思うのでありますが、私が感ずるのに、一般の民間の機関と農協とが土地信託について同列ないし同列以下、以下という意味は後で申し上げますが、扱われている点、一体これはどういうことなのかということについて疑問を持っておるのであります。  御存じのように、大都市での宅地開発については、これまで民間業者が行ってきたものと農協によるものとを比べてみますというと格段の違いがあります。どう違うのか。民間業者の場合、特に外から入ってきた中小業者の場合に多く見られてまいりましたのはスプロール化、乱開発という例が多かったのであります。これに対して農協の場合にはそうした例がほとんど見られないということもありました。民間業者の場合にはもうけることが基本であって、農協のように地域と結びついていないという違いがあるとされておるのでありますが、私は問題はそれだけじゃなかろうと思います。  といいますのは、農協が行っておる宅地開発の多くは、農家に農業経営を継続してもらいながらその一部を宅地化していこうという例が極めて多いのであります。三大都市圏の住民を対象とした、町に農業があった方がいいのかどうかというアンケート調査などを見てみますというと、大多数じゃなくて圧倒的多数が都市に農業を置くべきだという結果が出ています。これは決して日本だけの例じゃないんですね。  御存じのように、例えばアメリカで言いますというと開発権買い上げ制度、シアトルの場合がそうですね。宅地価格と農地価格の差額について公共団体が補助金としてそれを流しながら都市に農地を残していくというそういう努力をしております。旧西ドイツの場合でしたら、クラインガルテン法ですか、これが典型でありますし、世界一町づくりがうまいと言われるのはイタリーであります。そのイタリーで見てみましても、例えばフィレンツェの場合には都市の中に農村をつくるという努力をしておる。さらにはまたミラノで言うならば、都市と農村の共存のためのパルコ計画なるものがつくられておるわけであります。都市づくりについての考え方というのは、世界全体が今大きく変わろうとしておるのであります。  この土地信託制度を農協がやれるようにしていこうという道を開くに当たって、どういう都市づくりをするかということをあわせて検討されてきているのかどうか。まるで検討しないままにやったって、これはもう縦割り行政の弊害そのものというふうに私は思えるのでありますが、このことが一つ。  それからもう一つの問題は、これは同列といいましょうか、農協については物の信託しか認めてないんですね。一般の金融機関とそこは違っちゃった。そこで、土地信託について同列に扱うということ、どうも私にとっては納得ができないのでありますが、その辺についての考え方をお聞かせいただきたいのです。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 土地信託事業につきましては、金融制度調査会におきましても、農協の地域金融機関として地域開発の支援機能を強化すべきという観点から今回導入されたわけでございますが、先生野にお話しございましたように、農協につきましては昭和四十八年から宅地等供給事業ということで、三百程度の農協でございますが、現在農家の土地活用や資産管理、こういったことについて進めてきておる実績も持っております。また、私どもといたしましても、市街化区域における農地と宅地との利用調整を図りつつ、適正な宅地を供給していくという必要性にかんがみまして、予算等もつけましてそういった地域地域の開発計画を立派に農協にやっていくようにという指導なり助成もやっておるところでございます。  こうした実績もございますので、今回この土地信託事業を認めていただきますれば、新たに信託スキームを通じまして組合員の資産管理のニーズにこたえ、なおかつ地域の町づくりの要請にも対応していくということがよりしやすくなっていくというように考えておりまして、一般の信託を行っておる会社といいますか、そういったものと違ってまさに地域の住民、地域に根差した農協でございますので、土地利用の円滑な調整なり農地と緑資源、さらには宅地との調和のとれた開発、こういったものを進めていくということで農協が実施主体になるのは大変望ましいことだろうと思いますし、そうした形で町づくり、緑資源の確保と宅地供給をあわせて進めていくように今後とも指導してまいりたいと思っております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 当局は一応積極的であるということは、今のお話で私もよくわかったのであります。  そこでちょっと確認をしておきたいのでありますが、農協に積極的に土地信託等の信託業務を認めていくという考え方、店舗の拡大なども含めて。そこはいかがですか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) これも新しい事業でございますので、それぞれノウハウなり実施体制といったものが整備されているということでございませんと、すぐ取りつくというわけにもいきません。そういったことから、現在かなりの信連、農林中金を通じましてそうした信託関係の業務の修得に実際努めておるといった状況もございますので、そうした準備状況を見ながら順次認めていきたい、こういうことでございます。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 店舗の拡大も含めて積極的に推進するように、これは農業だけの問題じゃなくて国民全体の問題ですからね。この点は特に強くお願いをしておきます。よろしいですね。  もう一つ伺いたいと思います。  それは、早期にひとつやるようにしていただけないかということであります。確かにバブルは消えました。バブルは消えましたけれども、例えば三大都市圏で言いますというと、既に生産緑地法が成立し、発足をしておって、宅地の供給、これがどんどんふえていくというような状況が一つあります。首都圏で言いますと、最近は、東北線で言うならば大宮から宇都宮、上越線で言いますというと行田あたりから高崎あたり、ここらのところの宅地開発が随分盛んになってきておるところであります。それにまたごく最近のことで言うと、今国会で拠点都市法が成立をする、そして間もなくその指定が行われるというような状況等があるわけですから、やっぱりこの業務は急いでやらないと後手後手に回っちゃいかぬわけでありますから、その点、実現についてぜひひとつ早期にやっていただきたいということでありますが、いかがですか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 今お話しございましたように、生産緑地法の実施等々、そういった状況の変化がございます。農協として役割を果たしていく必要性がとみに強まっていると考えておりますので、実施体制の整備を急がせながら認めていくようにしてまいりたいと思います。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 次に、自己資本の充実問題について伺いたいと存じます。  経営基盤強化のため金融機関は一層の自己資本の充実が必要だとされておるのでありますが、協同組織の金融機関、なかんずく農協、漁協の場合は自己資本が十分ではありません。それだけに一層の充実が必要だとされるわけであります。金融制度調査会の報告を読んでみますというと、協同組織性に配慮しつつ優先出資制度の導入検討を進めるべきだというふうに言っております。これは当然のことでありましょう。  そしてまた同時に、私が伺いたいと思いますのは、農協、信連、農林中央金庫を通しまして自己資本充実拡大のための方策、どのようにお考えになっているか伺いたいのです。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 農協系統の金融機関につきましても、御指摘がございましたように、自己資本の充実は大変大きな喫緊の課題でございます。役所といたしましても、六十二年でございますか、農協につきましては六%、信連につきましては四%ということで自己資本の目標を定めまして、おおむねそれに近い水準に現在達しておると思ってはおりますが、今後いろんな面でのリスク管理をきちっとやっていくという面で、さらに自己資本の増強というのは大変重要でございます。今後とも、出資の増強、内部留保の拡充といったようなことによりまして自己資本の充実を十分指導してまいりたいと思いますし、さらに御指摘の優先出資制度の導入につきましても今後専門家の意見を聞きながら実務面、法制面の検討を早急に進めていきたいと考えております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 銀行の場合でしたらこれは増資も簡単にやりやすいし、それからまた転換社債等々の方法もありますが、農協の場合は、出資と今お話しのあったように内部留保以外にどうも道がないというような状況なんですね。でありますから、農林中央金庫については優先出資制度の導入、これはもう当然のこととして、調査会の報告にもあるのでありますから、それは進めていくとして、信連、農協の場合、特に農協の場合、出資以外にどういう知恵があるのか。例えば私の思いつくところで言えば、回転出資とかあるいはまた後記出資とか利用高配当といったようないろいろの問題があるような気がするんです。そうした問題について、農家の納得がいくような方法で十分なひとつ検討を詰め、これをやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 今お話しございましたように、農協の場合にはいわゆる外部からの資本を持ってくるということはなかなか難しいわけでございます。そういったことで回転出資だとか内部留保の充実という指導をしておるわけでございますが、一方では利益を組合員・農家に還元しなきゃいかぬといったこともまた期待されておるわけでございますので、十分その辺は農家、組合員の理解を求めながらおっしゃいますような形での資本充実に今後とも努めてまいりたいと考えております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 大臣、参議院の農林水産委員会で五月の十四日、農協二法が成立したときの附帯決議にこういうことが入っております。読んでみますというと、「金融の自由化・国際化の進展に対応し、農林中央金庫を含め農協系統についても、自己資本の充実に必要な措置を早急に検討し、その実現に努めること。」ということであります。  今までこれは農林水産省の方にいろいろと話を伺ってきたのでありますが、優先出資制度の導入なども含めて大臣の考えとも同じですね、これまでの答弁と。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 基本的に同じでございます。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 次に、ディスクロージャーの問題について伺いたいと存じます。  金融機関は公正な役割の発揮が求められておるわけでありまして、その意味ではディスクロージャーは一層強められる必要があるだろうと思います。ただその際、協同組織金融機関との、農協系統の扱いはどのようになっていくのか。一般の金融機関と違い相互扶助を基本とする組織であります。したがいまして、協同組織性、自主性への配慮というのがあって当然だと私は考えておるのでありますが、その点いかがでありましょうか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 農協系統の金融機関につきましては、今おっしゃいましたような協同組合といったようなこともございまして、ディスクロージャーの規定をこれまで置いていなかったわけでございますが、今回業務拡大に伴いまして構成員以外の利用者との取引が増加もしてきておりますし、ディスクロージャーも必要性が高まってきておるわけでございます。  そういうことで、銀行と同様の規定を今回整備いたすことにしておるわけでございますが、具体的なディスクロージャーの内容、あり方につきましては、今お話しございました相互扶助的な性格なりそれぞれの対応の可能性等にも配慮をしながら、銀行等のディスクロージャーのあり方についての金融制度調査会における今後の検討、他の協同組織金融機関の動向も踏まえつつ、みずからの判断により積極的に対応することが望ましいと考えております。行政としても適切な指導を行ってまいりたいと思っております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 例えば単協で言いますと、これは販売事業もやっておりますし、購買事業もやっておりますし、共済事業もやっております。信用事業は言うなればその一部というようなことでありまして、ディスクロージャーといってもおのずとそこには難しさが私はあるように思うのです。でありますから、そういうふうな条件等も踏まえたことで対処をしていくというふうに理解をしておいていいんですか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○政府委員(今藤洋海君) 農協につきましては、今お話しございましたようにいわゆる総合事業体といったこともございますし、また従来から開示しております内容との連続性なり整合性、そういったことも踏まえまして実態に応じた形で指導してまいりたいと思っております。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 私の持ち時間は三十分でありまして、あと残り四分少々ということになってしまいました。  最後に羽田大蔵大臣に伺いたいと思います。農業・農村の金融改革というような意味合いで若干のことを伺いたいのであります。  調査会の言う一極集中、地域格差の是正というのは、農業・農村の振興を抜きにしては実現は難しい、こう申し上げてよかろうと存じます。  大臣も御存じのように、先日閣議に農林水産省が検討中の新農政の中間報告があったはずであります。新農政が言っておることは、端的に言うなら望ましい経営体像というのを描きました。米で言うならば単作十ヘクタールから二十ヘクタールを目指していこう、そして複合なら五ヘクタールから十ヘクタール。そして一集落以上の集団的な農業経営といったようなビジョンが示されておるわけであります。同時に、中間報告は、その実現について農家の創意と自主性の発揮、これを強く求めておるわけであります。農協の果たすべき役割が極めて重大になってまいりました。  ところが、農協の実態を見てみますというと、多くの問題が大臣ありますね。私は三離れと言っておるのでありますけれども、三つの離れというのが顕著になりつつあります。大型農家、若手農家についてですよ。一つは補助事業離れです。補助金要らぬというやつがそれです。二つ目の離れというのは農協離れです。三つ目の離れは去年あたりから出てきた農業離れ、これはまだ一部ですが、その傾向が今出てきておるのであります。  なぜ補助事業がこれらの大型農家、若手農家に嫌われるのか。言うなれば構造改善事業が典型でありますけれども、条件が厳し過ぎる、したがって農家の創意性が発揮できないとか、あるいは物によっては要らないものまで買わされるといったような問題等々があってのことであります。  そうしてみると、私は農業金融制度のあり方を変えていかなきゃどうにもならないのじゃないかという気がいたします。つまり、地域農業づくりに農協が主体的な役割を発揮することができるようにするのには、農協が持っている資金、これを政府助成によって近代化資金よりももっと低利のもので地域に還元させていくことができるような、そういう資金制度をつくっていきますというと、農協離れの大型、それから若手農家も戻っできますし、そことの結びつきというのが基本にあって初めて地域農業づくりというのが回転していくわけであります。  そうした点や、さらには今回の農協法の改正では、農協が行うべき事業の新たなものの一つとして、福祉事業の問題が加えられてまいりました。こうした事業をやっていくにしても、やっぱり農協の資金を低利で使うことができないものでしょうかという声がぽつぽつ今出始めておるわけであります。そのために私は、農業関係の補助制度、補助金、これは総見直し、総洗い直しをやるべき時期に来たと思うのです。そして、それをやりながら、農協が持つ資金を地域の農業や福祉事業等に還流することができるような新たな資金制度、これをつくっていくということが大事になってきているのじゃないか。それをやっていくなら地域の自主性を基礎にした農家の力発揮というのが出ていくわけであります。  こうした質問を行いますというと、おれは大蔵大臣だから、それは農林水産大臣に聞いてくれという冷たいことは言わぬで、閣内では、いやこれはもう政府・自民党を通してあなたは最も農政通とされておられる方でありますし、この際、言うなれば一国務大臣としてのあなたの所見を伺いたいのであります。いかがでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) ただいまの御指摘は、まさに日本の農業の現状、あるいはその中で果たしている農協の役割、またそれに対する農民の声といいますか、そういったものが全部網羅されてお話があったわけでございますけれども、確かに今農業に従事する人たちが将来大変減ってくるという大変深刻な問題があります。あわせまして、日本の農業の将来というものに対してもいろいろな外圧その他なんかもあるということで不安を持っておる。  しかし、食糧問題ということで考えたときに、このままでよろしいのかということを考えなきゃいかぬ。それと同時に、本当にやろうという人たちが意気込みを持ってやるものでなけりゃいけないということ、それから農村というものが活力のある場所でなければいけないのじゃないかということ、要するに農民たちが生活をしていく場所というのをしっかりしなきゃいけないんじゃなかろうかということなんかを今度の「新しい食料・農業・農村政策の方向」というところで位置づけながら、ずっと勉強されたのがこの間発表されたことであろうというふうに思っております。私といたしましても一つの時宜を得たものであろうと思いますし、やっぱり踏み込んでここで議論するということが、つらいこと、苦しいことに真っ正面から議論するということが今大事なことであろうというふうに考えまして、また今先生の御指摘なんかも私ども本当に傾聴させていただいたところであります。  そういう中にありまして、これは全部についても申し上げる時間がございませんからいたしませんけれども、確かに農業を進めていくのに当たりましても、補助金というのは条件が非常に厳しいということと同時に、画一化されておる。どうしてもそういうものでなきゃ公平でないということがあるということであったんでしょう。しかしまた、そういったものでございますとどうしても補助金にぶら下がってしまう、いわゆる創造的なものがない、自主的なものがないということを考えたときに、補助金というものについて私どももある程度目的を達したものについて今これをだんだん外す、そういったことをしてきたわけですけれども、しかしそれだけじゃなくて、自主性を生かす方向でいくことが大事であろうということで、そこで金融というものがクローズアップしてくるであろうと思っております。  政策金融といたしましては、近代化資金ですとかあるいは自創資金ですとか、こういったものを拡充してまいりましたし、また新たに農業へ参入しようとする人たち、あるいは規模を拡大しようとする人たち、こういった人たちに政策金融で対応しようとしておりますけれども、この場合にもある程度、これはほかの業態といいますか、農業じゃないところと全然違ったものをやるということはなかなかこれは許されるものじゃないということで、おのずと限界があろうと思っております。そういったときに、農協の金融というのがそういったことを意識しながらこれに対して対応していくということは、私は非常に重要なことであろうと思っております。そういうことをしていくのが農協のまた役割であろうというふうに考えております。  そういった中で、低利の融資の制度というものをどこまで政策金融とうまくあわせていくかというのは、これはまた予算等の全体の中で私たちも議論していかなきゃならぬ問題でありますけれども、しかしそういったことに意欲を持って農協もお金を出していくということは真剣に考えていかなきゃいけない問題だろうなというふうに思っております。そしてそれと同時に、先ほどからお話がありましたように、構造改善事業なんかとあわせて、農村に住宅ですとかあるいは都市づくりなんということについても一、二年前から本格的に始めようというモデル地区なんかについての仕事が今始まっておりますけれども、農協というのはそういう役割を果たしていかなきゃいかぬと思っております。  それと、農家の皆さん方が蓄え、あるいはつくり上げた資金というものを、これを資産運用の面でもちゃんと生かせるようなもの、これを今度の金融制度改革の中で果たしていかなきゃならぬという新しい一つの問題があろうと思っておりますので、私どもといたしましても、こういった問題も今後とも今御指摘のあったような視点を踏まえながら勉強していきたいと思っております。  また農協も、先ほどから話がありましたように、それぞれの機関等に人を出したりして人材の養成をしておりますけれども、やっぱりいろいろなもの、ディーリングの問題ですとかあるいは信託の問題ですとか、これはなかなか本当に技術が、大変知的な技術というのが非常に必要であるということ、それと地縁性があり過ぎるということのためになかなか切るときに切れない、あるいは的確な指導というものがやりにくいなんというものもあろうと思っております。ですから、非情になれと私は言いませんけれども、農協が新しい時代の金融制度の中できちんとした役割を果たしていくために、そういった面においてもそういった人たちの養成というものは非常に重要であろうということを改めて感じておることを申し上げておきたいと思います。

谷本巍日本社会党・護憲共同

○谷本巍君 終わります。     ―――――――――――――

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま大島慶久君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。     ―――――――――――――

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 午前からの質疑を聞く中で、大変今回のこの金融制度改革というものには奥深い問題点もあるような気がいたしております。  それはさておきまして、ただいまの金融機関を取り巻く環境というものは、ここ二十年ほどの間大変目まぐるしく急速な変化をいたしております。そして金融の自由化、国際化、証券化という世界的な動きというものを避けることはできない状況にあると思います。一九八四年の五月に「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」が発表され、また日米円・ドル委員会報告も発表されております。この基本方針のもとに各種自由化や規制緩和措置が実施されてきたと思うわけです。  そこで、今回の証券取引制度及び金融制度の改革は、こうした国際環境変化に伴う業務範囲の拡大にこたえようとするものであると私はとらえております。また、金融のグローバリゼーションが進む中で、平等な条件のもとで競争をしていく環境をつくるためにということでございますけれども、そうしたとらえ方の中でこの金融制度改革を見ていっていいのか、改革の月内をもう一度お答えいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御指摘のような金融の自由化、国際化の進展によりまして、金融機関を取り巻く環境が急速に変わりつつあるということでございます。  そこで、この環境の変化に対応いたしまして、これまでの専門制、分業制に基づく縦割りの金融制度の見直しをいたしまして、その際に、殊に地域金融機関、中小金融機関をも含めましてそれぞれの金融機関の行い得る業務の範囲を拡大し、そしてそれぞれの金融機関の主体的な判断のもとに自主的な経営路線を選択してもらって、その中で適正な競争を促していこうというふうに今私どもは考えるわけでございます。  全体としての制度改革の目的、趣旨等につきましては、おおむね御指摘のとおりであると考えております。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 中小金融機関とそれぞれの立場の金融機関との競合ということに関しましては、細かい点はまたあすお聞きしたいと思います。  そうしますと、こういうことを論じる際に、昨年来、金融・証券不祥事が大変続発したわけでございますけれども、金融機関のあり方といいますか姿勢が大変問われることになると思います。偽造預金証書による不正融資事件とかノンバンクを経由しました銀行の過剰な不動産融資など、大変厳しい問題が続いてきたわけでございますので、そういう不祥事についての反省が欠かせない問題として出てくると思います。今後、金融機関がそういう経営姿勢を見直して正当な業務に戻ることが最も求められる大変重要な課題ではないかと思います。そうした意味で、すべての金融制度改革の大前提に経営の健全性を確保することが私は求められなければならない。そうした意味で、今回の法案においてこの辺の監視は十分手当てされているものか伺いたいと思います。  そしてまた、私が思いますには、まだ業務運営の正常化を見届けていない気がしております。今回の改革がなされようとしているわけでございますけれども、二度と不祥事を起こさないと言える体質改善がされたのか、内部監査は進んでいるのかという、そういう点をどのように思ってよいのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御指摘のように大変遺憾な不祥事の発生を見たわけでございますが、その原因については、もちろん個別の事件ごとにいろいろな事情はございましたけれども、これをやや総括的に申しますと、一つには金融機関の自己責任意識なり内部管理が不十分であったこと、これはやはり指摘しておかなければいけない問題であると思います。それに加えまして、制度論に結びつく問題といたしましては、金融資本市場における適正な競争が欠如していたのではないか。それからさらにこれは証券取引などの問題でございますが、取引の公正の確保に係る法令などの遵守の状況を監視する機能が十分ではなかったのではないかというような反省点があろうと思うわけでございます。  そこで、これに対します総合的な対策といたしまして、先般可決をしていただきましたいわゆる公正確保法案と、それから現在御審議をお願いしております制度改革法案、この二つを通じましていろいろな手当てを考えておるわけでございます。第一に、業態間の相互参入を図りまして、金融機関相互間の有効かつ適正な競争を促進するというようなこと。それから第二に、自己資本比率規制の根拠規定をつくるとか、ディスクロージャー規定の整備をするとかによりまして経営の健全性の確保を図ること。それから第三に、証券取引等監視委員会を設置いたしますほか、証券業協会など自主規制機関の機能強化を図ること。そのような組み立てによりまして不祥事の反省を生かしたいというふうに考えておるわけでございます。  そのような制度的な手当てと並行いたしまして、いやむしろそれよりも前の問題といたしまして、やはり個別行政面におきましても行政の透明化とか検査体制の充実を考えていきたいと思いますし、それから個別の金融機関におきましては内部管理体制などの総点検、それからいろいろな見直し、改善、そのようなものを促すという行政をとっておるわけでございまして、金融団体、それから個別金融機関、それぞれに業務運営の点検なり内部管理の見直しか一斉に進められてまいっているところでございます。またそれが完了したと申すことはできませんが、私どもとしましては、今後ともそういういろいろな金融機関が一丸となりまして不祥事の再発防止に向けた自主的な経営努力を発揮することを期待しておるところであります。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 競争によって改革をしてという御意見でございました。改革の中心に、各金融機関の経営の幅を広げ効率化を図るという縦割りの行政を改めて、金利の自由化に今回の業務の自由化というものを加えて競争原理によって利用者に便宜を与えていくというようでございますけれども、私は、今おっしゃったように、競争の促進によってその効果が利用者の預金の金利とか貸出金利とかあるいは手数料の自由化などに反映するということばかりではなくて、ある意味でその金融機関のランクによっては経営条件を厳しくする側面も出てくるのではないかと大変心配するわけですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) この点も御指摘のとおりでございまして、確かに金利なり業務の自由化が進みますと、プラスの面といたしましては、経営戦略の選択の幅が拡大をいたしますし、それからこれは中小金融機関を含めて各種金融機関が創意工夫を図りながら、規模、業態の差などのほかに地域密着性というようないろいろなそういう特色をも十分に生かした経営を行うことが可能になる、その点はプラスであるというふうに考えてよろしいわけでございます。  ただし、その反面、やはり金融機関相互間の競争は、一層強まってくるということは避けられないわけでありまして、各金融機関におきましては、これまで以上に経営の効率化なりリスク管理体制の整備が必要でございます。  また、これは必ずしも金融の自由化と不祥事件の発生とはつながりはないというふうに私どもは考えておりますが、いよいよ今後各種の業務が多様化する際に、不祥事件を未然に防止するというための体制の整備強化に努めていくということも従前にも増して各金融機関にとり必要であるものと考えております。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 金利の自由化というのはもう数年末来ているわけでございまして、既に自由化の競争の中に来たわけです。そこに、金利だけが自由化というのではなく、要するに業務の自由化も同じレベルに、どこの銀行にしても同じことができるようにして競争をしたいということであると思いますけれども、やはり体力的に余裕のある銀行と、そしてまた地方の銀行との競争というものを同じレベルですべてのものが自由化して果たしていいものか、私は心配をいたします。  農協とか、それから先ほど来御説明のありました労金とか、それから信用組合におきます体力で都市銀行と同じ立場に立たされて走れと言われましても、やはりそこには自然無理があるのではないか。果たしてそれが本当に各銀行同士の競争で、そして効率化をさせることによって健全な運営をしていけということは、私はちょっと酷ではないかなという気がしてなりません。  私どもは、そういう体質の弱い銀行のこともきちっと考えてあげなければならないと思いますし、ひいてはそこに預金をする中小零細企業、そしてまた一般庶民の方たちにとってそれは反映してくることでありますので、一遍に枠を取り払って小さいものも大きいものも一緒に走れ、一つの同じレベルのハードルを越えろというのには私は矛盾があるとしか考えられませんが、いかがでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) このたびの改革法案で各金融機関の業務範囲を広げておるわけでございます。ただ、これは申し上げるまでもないことではありますが、その結果としてすべての金融機関が同じことができるというか同じような業務をやるということを想定しているのではないわけでございます。自分たちがやり得るいわば選択の範囲を広げるということではございますが、その中のどのような業務をやるか、ないしはどのような業務をやらないか、それはそれぞれの金融機関の立地条件その他の環境を踏まえた自主的な判断があってしかるべきであるというふうに考えるわけでございます。  その際に、中小金融機関なり地域金融機関にはある意味では大手の銀行にはない独特の強みがあるわけでございます。その強みというのは、やや抽象的な言い方になりますが、地域の情報に強いということでございます。したがいまして、そのような地域の情報に強いという持ち味を生かす場合に、その生かし方の道具として、従来のような預金、貸し出しのほかに、いろいろ金融取引も多様化してまいりましたから、役に立つようないろいろな新しい業務をやりたければそれを使ってもらいたい、そういうことで業務範囲を法律上の枠取りを広げておるわけでございます。  ただ、それにつきましては、これも御指摘のように、体力の弱い金融機関がいわば体力を無視して極端な張り出し型の経営をするということは、これはやはり健全経営の確保という観点からは問題があるわけでございますので、その点につきましては別途個別の金融機関の健全経営を確保する手だてを私どもも考えてまいるし、それから個々の金融機関の経営者にも強くその面についての配慮を促したいというふうに私どもは考えております。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 金利の自由化による金融機関のメリット・デメリットというのは確かにあると思いますので軽くて進みやすい面もあるかもしれませんけれども、またその細かい面に関しましてはあすお伺いすることといたします。  現在の縦割り金融制度を見直して、そして各業態が子会社によって相互に参入することを基本的な姿としたものだと思いますけれども、金融の自由化と言うときの自由というのはどういう形態を認識したらいいものなのか、お聞かせ願いたいと思います。  それは、改革の当初に各子会社の業務を制限し、様子を見ながら徐々に緩和する方針をとっているわけですけれども、改革法は銀行の行動に関して行政が指導しないことを意味されているのか、金融取引の運営は銀行と当事者に任せて、不正が行われたときにのみ指導をしていくという方針なのか、そのあたりについてお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融自由化という概念は、やはり金融に関する諸規制、諸慣行を緩和、撤廃する動きを指すものであるというふうに大づかみには申せると思います。それがいろいろと金利なり業務なりの自由化ということで具体的な形をとっていくわけでございます。そのような規制の緩和、撤廃でございますから、行政の出番は従来のような個別行政としてはだんだん少なくなっていくであろうというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、片一方で、やはり金融機関について免許制をとっておりますゆえんのものは、その金融機関の持っております重要な公共的な業務が支障なく遂行されまして、国民経済、国民生活に便益を提供するということが目的でございますので、まず例えば健全経営を維持するというようなことは、これは相変わらず今後とも要求されるところでございますし、そのための金融行政上の指導というものは、これはなくなることはないと思うわけでございます。  ただし、個別の指導の重点と申しますか、それは若干今後は変えていかなければいけない。一つには、極力行政指導について透明性を高めることであろう。それからもう一つは、金融機関の経営の自由を尊重しながらの行政規制というものにだんだんと重点を移すべきであろうということでございまして、例えばバランスシート規制というような言い方がございますが、一定の財務諸比率を維持するように義務づける。ただ、それを維持するようなやり方は、実際には経営には何通りものやり方があるわけでございますが、そういう個別具体的な組み立て方については行政の干渉を手控えていく、そのようなのが今後の行政指導の姿であろうかと思っております。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 要するに、自由に任せるというならば、業務制限の解除の時期とか内容について判断するのは大蔵省の金融行政当局ということになるのでしょうか。時期、内容について判断を決めていくのは大蔵省の当局のお考えですか、それは。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 今回、中小金融機関を含めまして、かなり新しい業務を認めることになるわけでございますが、これはいわば法律上の枠取りでございますので、個別金融機関がそのような業務を開始するに当たりましてはまた個別の認可が必要であるというような例は少なくございません。  それは、例えば外国為替業務の取り扱いを始めるときとか、それからその他いろいろな受託業務を認めるというようなものにつきましても法令上の個別の認可が必要なケースはございます。そのような認可を進めるに当たりまして、そこはやはり行政の出番があるわけでございますが、その後は、例えば健全経営上の観点から要求される経営諸比率などを満たす限りにおいては個別金融機関の経営の自主性を尊重すべきであるというふうに一般的には考えております。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 改革後においても金融行政当局が調整権限などを持つということは、利用者の利益を保護するためには必要だということであろうと思いますけれども、ということは大蔵省の持つ権限、影響力というものを維持していくということにほかならないのではないでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融機関に対する規制というものは、やはり銀行法やなにかにございますような法律の目的を維持するために必要とされるということであろうと思います。そういうことからしまして、法律の運用上必要な当局の権限の行使、影響力の行使というものは続くわけでございますが、ただこれは過去何十年の実際の移り変わりを見ましても、内容的には随分行政指導の重点の中身が変わってきております。  それからまた、総量はどうかということは、これはなかなか定量的には把握しがたいわけでございますけれども、やはり全体的には規制緩和、自由化というような大方針に背馳しないように行政当局としても気をつけてまいったつもりでございます。

前畑幸子日本社会党・護憲共同

○前畑幸子君 規制緩和措置の方向に進むということですけれども、例えば競争原理のもとに再び収益至上主義などに走らざるを得なくなったときには、やはり金融機関としての体質とか企業倫理などを考えると、結局は規制の強化をせざるを得ないときが来なければいいがと思いますが、大蔵大臣、その辺に関してはどうお思いでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 必ずしも十分なお答えになるかあれでございますが、金融機関も収益事業でございますから収益を求めるという活動自体に不都合な点はないのでございますが、しかしながら、他方御指摘のような企業倫理の観点からいっていかがと思われるような行動をとるというようなときに、いわば広い意味での銀行業務の公共性の観点から当局がいろいろと物の考え方を示すというようなことはあり得るわけでございます。  そのような効率性を追求する活動と公共性を守る活動というものがいわば二つの目として、それで全体の銀行のパフォーマンスというものを決めておる。それで、あるときには確かに公共性の問題が非常に大きく取り上げられ、あるときにはさほどでもない、そういうようなやはり変遷は状況の推移とともにあるわけでございまして、その状況をにらみながら、それに的確に対応した行政をやってまいらなければならないというふうに私どもは考えているつもりでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 本題の質疑に入る前に、二点ほど大臣に伺いたいんです。  一つは、所得税制の見直しの件でございまして、これは八八年の税法改正のときに、総合課税への移行問題も含めて、施行後五年を経過した後見直し、こういう案文が盛り込まれているわけでございますが、最近の報道によりましたら、「政府税調 金融関連所得課税見直し 総合課税含め検討」と、こういう報道もされているわけでございます。ちょうどこの五年後の見直しの時期にも当たりますし、大蔵省といたしましても今、明年度の予算編成の作業に入られているということでございまして、この所得税制の見直し、総合課税を含めまして利子所得課税の見直しということもございますし、株式売却益課税の見直し、こういうこともございます。この辺大臣としてはどのように具体的にお考えでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 具体的なことは担当の方からまた申し上げたいと思いますけれども、現行の所得税制につきましては、総合課税、これを原則として、利子、株式の譲渡益課税につきましては、その所得の性格などに応じまして実質的な公平を図るために分離課税、これが採用されておるとこみでございますけれども、利子、株式譲渡益に対する課税のあり方につきましては、六十二年九月及び六十三年十二月の所得税法の改正の際に、総合課税への移行問題も含めて見直しを行う旨の規定が設けられておりまして、この規定の定めるところに従いまして、私どもといたしましては、税制調査会の方で今年の秋以降見直しを行うということで作業を進めることになっておるということを申し上げたいと思います。  具体的には政府委員から。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) ただいま大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、所得税法等の見直しをいただきましたときの六十二年の所得税法等の一部を改正する法律附則第五十一条、それから六十三年の改正の際の所得税法等の一部を改正する法律附則第八十一条に規定がございますとおりに、見直しの時期を迎え、見直しの作業を進めていくべきものと考えておりますけれども、税制調査会におきまして今後どのように審議をお進めいただきますかにつきましては、これから後、税制調査会で御検討いただくということになろうと存じます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 回りくどい言い方なんですが、総合課税への方向性の中で検討されていると、こういうふうに理解していいわけですな。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 失礼いたしました。  この見直しか問題になりましたときに御議論ございましたことは、法律の条文の中にその議論の痕跡をとどめておるわけでございますけれども、先ほど申し上げました附則五十一条では「利子所得に対する所得税の課税の在り方については、総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行う」とされておりますし、株式の譲渡益の場合も、先ほど申し上げました八十一条に「株式等の譲渡益に対する所得税の課税の在り方については、納税者番号制度の導入問題等所得把握の環境整備の状況、最高税率の水準を含む税率構造全体の在り方及び適切な源泉徴収制度との関連に配意しつつ、総合課税への移行問題を含め、所得税法等の一部を改正する法律附則第五十一条の規定に基づく利子所得に対する所得税の課税の在り方の見直しと併せて見直しを行うものとする。」と書かれておりまして、見直しに当たって総合課税への移行問題が含まれるべきであるということはこの法文にありますとおりでございます。  具体的にその問題をどのように論議されていくかということは、先ほど申し上げましたように今後の税制調査会の審議にゆだねたいと思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 別に書かれている法文を読んでもらう必要などございません。わかっているわけでございまして、私は方向性を聞いておるわけでございます。  じゃ、もう一点お伺いしますが、今回、金融制度改革でいわゆる相互参入が図られていくわけでございますが、既に従来から、例えば郵貯とか政府系の金融機関また中小金融機関に対しては固定資産税の減免とか印紙税の非課税、こういういろんな特別措置がとられているわけでございます。これ相互参入がずっと図られていってもこういう措置は当然必要であると私は考えますが、大臣、これはどのようにお考えですか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 印紙税のお話でございますけれども、これは原則として課税物件表に掲名されております文書すべてに対しまして印紙税を課税することとされておりまして、若干の特例がございますが、その特例につきまして申し上げてみますと、郵便局でございますとか国民金融公庫でございますとか住宅金融公庫など国、地方公共団体あるいは資本金の全部を国、地方公共団体が出資している法人、そういったものに該当するものにつきましてその作成する文書について特例を設ける。あるいは信用金庫とか労働金庫などが作成いたします預貯金通帳などにつきましても、これら金融機関の創設目的が会員等の経済的、社会的地位の向上と保護を目的とする組織体でありますことやら、その預貯金金額が比較的少額であるといったようなことを勘案しまして特例措置を講ずるなどの措置が講ぜられてまいっております。  こういった印紙課税のあり方につきましては、その文書の作成形態でございますとか他の文書との負担のバランスといったようなものを踏まえながら必要に応じて検討を加えてまいっておりますし、今後も必要が生ずれば検討してまいるべき問題と思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 大臣、だから今主税局長がおっしゃったようなそういう措置がとられているわけでございますが、相互参入でだんだん自由化されていってもこういう機関にはそういう措置を継続すべきである、私はそういう主張をしているわけでございます。それに対するお考えで結構なんです。こういうことをやられているというのをくどくどと要らぬわけでございます。大臣、御所見を伺いたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 基本的に、今局長から申し上げましたように、私どもといたしましては、こういった問題につきまして、負担のバランス、こういったものを踏まえながら引き続き検討させていただきたいということを申し上げたいと思います。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 それでは、本題に入りまして何点かお伺いしたいと思います。  まず、今度いわゆる相互参入の形態をとられるわけでございますが、私の理解するところでは、金制調と証取審の報告の内容を読みましたら微妙に違いを感ずるわけです。例えば金制調の方では、当初の業務範囲ば一定の制約をやむを得ぬこととしながら、今後は段階的に拡大すべきだ、このように書かれておりますが、証取審の方では、公正な競争の確保のための実効性のある弊害防止措置を講ずる必要がうたわれておりまして、参入の分野、テンポについても、漸進的段階的とする、このような表現。段階的に拡大すべきだということと、漸進的段階的、こういう表現がそれぞれされているわけでございます。  大蔵省として、この法案実施に当たりましてどちらに重点を置くというか、これは一緒なんだと言われりゃそれで終わりなんですが、この辺の見解をどう踏まえていらっしゃるか、またどういう方向性で実施していこうとされているか、基本的な考えをお伺いしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、両報告書を詳細に並べてみますと若干違いがあるわけでございます。これは、証券取引審議会の報告書といいますのは、やはり証券市場への新規参入という問題を中心にして議論を進めたわけでございます。金融制度調査会の方の議論は、単に証券市場への参入だけではなくて金融制度全般、金融業態の中の相互参入という問題も議論の対象になったわけでございます。  証券市場への参入という、もちろんその逆に証券会社が金融業務に参入するということも当然証取審でも議論されたわけでございますけれども、実際問題として証券会社が金融業務に参入するという問題というのはなかなかすべての証券会社ができる問題でもございません。そういうようなことで、証券市場への参入という問題が大きな中心テーマとして議論がなされたわけでございます。そういうようなことで、相互参入といいましても実際の可能性というものがかなり違うという問題、背景がございます。  それと、証券界の場合には御存じのように非常に企業規模の格差が大きいわけでございまして、中小証券会社というようなものの存在というものをやはり念頭に置きながら議論がなされた。さらに新規参入による競争の促進といいましても、例えば発行市場と流通市場とでは必要性が違うというような議論もあるわけでございます。そういったようなことから、漸進的段階的に業務範囲を拡大する、あるいは参入を認めていくというような議論になっているわけでございます。  しかし、その参入の最大の目的はやはり競争の促進でございますから、そういったことから申し上げますと、激変緩和の形はとりながら将来的にはできるだけ業務範囲を拡大していくという方向性はこれは我々としてもそういう方向性が出ているというふうに解釈をしております。  また、ファイアウォールにつきましても、これも証券市場におきます新規参入者の行動、特に銀行の証券子会社の行動というものについてかなり危惧があることも事実でございます。これは銀行の影響力が及ぶかもしれない。しかも、証券市場というのは相対市場ではなくて不特定多数の投資家が参入する市場でございますから、そこでいろいろ利益相反行為などが行われますと取り返しのつかない弊害、悪影響が出るというようなこともございます。そういったような観点で、証券市場の公正さあるいは健全さを維持するという観点から議論をいたしますと、どうしても弊害防止措置というものについてかなり厳しい見方をせざるを得ない。ただ、もちろん不必要に厳しいものにする必要はないわけでございますけれども、やはり市場という観点からいたしますと、ファイアウォールについては証取審の方がやや厳しいといいますか、細かい点まで言及をしているということが言えると思います。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 そういう基本認識のもとに、具体的なことを何点かお伺いしたいと思います。  まず一つは、証券の親会社が証券売買の手数料の収入をふやそう、こういう目的で信託会社に過度に売買させる、こういうケースがあるわけですね。また、売れ残った引受証券、そういうようなものを同じく信託の子会社に買い取らせる、こういうケースも起こり得るわけでございますが、こういう事例はどのように対応されますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 証券会社が信託銀行子会社をつくった場合に、手数料収入をふやすために過度に売買をさせるというような懸念というのは、それはないわけではないと思います。そういうようなことになりますとこれは非常に問題でございます。  私どもは、まず一つには、証取法上の考え方として、やはり証券会社が余り特定の取引に過度に依存するというようなことは望ましくない、これは仲介業者というものの中立性といいますか公正性からして問題があるわけでございます。そういった点から、できるだけ親証券会社と子会社の間の独立性といいますか、子会社の独立性を確保するということが必要になってまいるわけでございまして、人的な関係等々についての弊害防止措置を講ずるわけでございます。  もちろん一方で、これは信託銀行のサイドでございますけれども、信託銀行としても委託者でありますお客に対して忠実でなければならないという善管注意義務というのが当然あるわけでございまして、そういったことで、必要以上に売買を行うということは信託銀行にとっても決して許されることではないというふうに考えるわけでございます。この辺は証券会社がっくります信託銀行子会社というものの営業の内容を具体的にチェックすることによって、そういうようなことが行われないようにする必要があるというふうに考えているわけでございます。  また、もう一つの、引き受けた証券を信託銀行子会社に買い取らせるのではないかということでございますが、これにつきましては、実は私どもは、弊害防止措置の中の一つとして、証券会社が引き受けた証券を引き受けてから一定期間内に親銀行に売却することを規制するというようなことを考えているわけでございますけれども、御指摘のケースはそのちょうど逆でございまして、親証券会社が引き受けたものを子会社である信託銀行に買い取らせるということでございますから、逆のケースも一定期間はそういうようなことをしないように、引受業務というものが適正に行われるためにはそういうようなことが行われないようにする必要があるわけでございまして、その辺もやはり何らかの形で具体的な措置を考えていきたいというふうに思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 許されないことが起こり得るんで、こういう具体的な事例で御質問しているわけでございます。厳格にお願いをしたいと思います。  次に、こういうケースはどうですか。  今回、信金等は信託業務が本体でできるようになったわけですね。それで、同じ一つの信金の中で自己業務と信託業務の間のファイアウォールの問題が起こってくるわけでございます。これはどのようにお考えですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) この自己業務とそれから信託業務との関係につきましては、従来から、いわば信託を営んでおります信託銀行などに適正な取り扱いを促しておるところでございます。それと基本的には同じであると思いますが、要は、信託勘定に属します財産は、名義はその受託者の名義でございますが、実際には他人と申しますか、委託者ないし受益者のために運用すべき義務を持っておりますので、それと受託者であります信託業者自体との利害が衝突するようなときに、自己の利益を優先させるというようなことで行き過ぎた行為がないように指導してまいってきております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 それだけですか、局長。それで要するに同じ一つの信金内で二つの業務をされるという、そういう問題は解決されるんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 確かに、従来いわば信託業者の数は極めて少なかったわけでございますし、その業者はおおむね昭和の初めから長い間営業をしておったわけでございますので、それぞれの銀行の中における取り扱いもおのずから大体安定した、確立したルールに従って行われておったわけであります。その点、今度部分的にもせよ信託業務を取り扱う者が非常にふえます場合には、具体的な注意事項などについて従来よりもわかりやすい形で基準を明らかにしなければいけないかというようなことも考えております。なお今後検討したいと存じます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 基準を明確にしてください。  具体的な事例として、こういう場合も銀行局長あり得るんですね。自己勘定と信託勘定、両方に貸し付けされている、ところが貸付先の経営が非常に厳しくなった、担保をどちらかの勘定に操作して優先してしまえば一万の顧客に不利益を与えることもこれは考えられるわけです。こういう事例はどのように防がれますか。信金の例ですよ。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) そのような場合は、これはやや検査で発見されて適正でないというような取り扱いの是正を指示するというような実例が出てくることがあるかというような問題であろうかと思います。  一般的には、これはやや観念的な言い方でありますけれども、自己勘定、固有勘定による運用と、それから信託勘定による運用とを比較しまして、信託勘定による運用に不当にしわ寄せをすることがあってはならないという考え方そのものは確立しておるのでございますが、それを具体的にどのようなケースについて認定するかというのは、これは従来は担当検査官などの個別の指摘にゆだねられているような感じがございます。先ほど申しましたような取扱業者が非常にふえるというような場合には、もう少し基準を明確にするということも確かに御指摘のように考えなければいけないんではないかと思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 こういうケースもあり得るんで、先ほどと同じように基準を明確にして、検査官のそういう判断だけではなしに、しかるべき対応をしていただきたいと思うわけでございます。  次に、日本にはいわゆるメーンバンク制というのがあるわけでございますが、衆議院の審議を見ておりましたら、親銀行が証券子会社に引き受けをさせる場合、引受幹事会社などは規制する、しかしシンジケート団の一員ならいい、こういうふうに答弁されたと伺っているんですが、これはそれでいいんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 幹事と引受シ団のメンバーとの違いといいますのは、幹事は発行会社と直接引受契約の交渉をするわけでございます。引受シ団の方は、シ団に入っているメンバーというのは、引き受けたものを販売するといいますか、募集取り扱いをするというような格好になるわけでございまして、そういったことから申し上げますと、単に引受シ団のメンバーに入るということであれば、仮に親銀行がメーンバンクである企業であっても、シ団の中の配分というのはおのずからやはり販売力によって決まってまいるわけでございますので、それほど影響力を行使するということにはならないのではないかということで、そのようなお答えをしたわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 そういう答弁をされたとは伺っているんですが、日本は独特のメーンバンク制があるわけで、そういうメーンバンクがありますから、その銀行の子会社とメーンバンクになっている会社の関係というのは非常に不公正な形で取引がされやすいということで、これは一つ幹事とシンジケートという区分けをされたわけですが、そういう区分けだけで十分であると、こういうふうにお考えなんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 基本的には、今申し上げましたように、やっぱりシ団メンバーというものの果たす機能と幹事が果たす機能とは違いますので、原則といいますか、基本的にはそういうことだろうと思うわけでございますけれども、もちろんケース・バイ・ケースによっては、単にシ団のメンバーでおりながら発行会社に親銀行が影響力を行使して何らかのシ団メンバーとしてはやや問題のあるような引き受けをするというようなこともないわけではないと思います、例えば引受シェアにいたしましても。そういったようなことについてはやはりケース・バイ・ケースで判断をしていかざるを得ないわけでございます。一般的に、画一的にシ団メンバーに入ることまで禁止するということは、やはり先ほど申し上げたような機能から考えましてやや行き過ぎではないかというふうに考えるわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 今引受シェアとか、ケース・バイ・ケースだと、こうおっしゃったわけでございますが、そういう観点から考えましても、いわゆるメーンバンクというのは非常に大きな意味を持つ。そういう意味でメーンバンクとは何かということで、これは証券局長が衆議院で答弁されていると伺いました。貸出量が一つの目安である、しかしこれだけでよいというのではない、今後検討すると、このように答弁を伺っているわけでございますが、これはその後何かつけ加えることございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) あのときは、たまたま融資量という問題がございましたので、そういうお答えを申し上げたわけでございます。  確かにメーンバンクを定義するというのは非常に難しい問題でございまして、なかなか定量的、一つの基準ですぱっと割り切るというわけにはまいりません。融資量も一つの要素ではありましょうし、あるいは役員、人の派遣の状況とか、あるいは持ち株、持ち株といいましても銀行は五%しか持てませんのでこれは余り参考にはなりませんけれども、銀行グループというようなものも存在をするわけで、そのグループによる持ち株比率というようなものもありましょうし、あるいはいわゆる受託業務というようなものもあるわけでございます。ただ逆に、逆の面では企業といいましてもいろいろな企業があるわけでございまして、非常に大きな企業で銀行借り入れが少ないような企業の場合には、これはメーンバンクとしての力を発揮できないようなケースもあり得るわけです。そういったようなことをいろいろと考えなければならないわけでございまして、なかなかどういうふうにメーンバンクというものを定義したらいいのかというのは難しい問題でございます。  ただ、証券取引審議会の報告書でも、そういう特別の地位にある銀行というものが存在することは事実だと、これについてやはり何らかの規制をしなきゃいけないという指摘を受けているわけでございます。したがいまして、いろんなメルクマールを考えながら、そういった問題について何らかの実効のある措置を考えていく必要があるというふうに考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 もう一点、今回の銀行が証券子会社をつくって参入されることに対しまして、今申上げましたメーンバンク制そのものをどのように認識されるか、証券市場にとって問題があるのかないのか、問題があるとすれば何らかのまたそういう規制が必要であるというふうに考えられているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) メーンバンク制、これは人によってそれがかなり力が弱くなってきているという指摘というか主張もあるわけでございます。ただ、私どもが証券市場に銀行の子会社が参入してくる場合の問題としてメーンバンク制を意識しておりますのは、やはりメーンバンクという影響力を利用してその子会社が引受業務に影響力を利用するということになりますと、どうしても競争上優位に立つ、あるいは場合によってはいわゆる市場の分断のようなことが行われかねない。やはり特定の発行会社の発行するそれの引受業務がある特定の証券会社に固定してしまうというようなことになりかねないわけでございます。もともと、引受業務というのはかなり継続的な関係はございます。市場取引ではございますけれども、継続的な関係があって幹事証券というような概念があるわけでございますが、そういうものがメーンバンクというようなものをバックにしてより強まってしまうということは非常に市場にとって決して好ましいことではないわけでございまして、せっかく競争促進のねらいで参入を認めながら事実上逆に競争がなくなってしまうというようなことになるのは避けなければならないわけでございます。  そういった観点から、このメーンバンク制というものについては、かなり大きな問題意識を持って何とか何らかの形でそういう弊害を防止できないかというのを検討しているわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 そういう心配されている点が起こり得ますので、十分検討をしていただきたい、このことを訴えておきたいと思います。  次に、これは先ほども審議されておりましたが、既存の証券会社を救済合併する場合ブローカー業務が認められる、こういう論議、指摘がされておりました。それはそれでいいわけでございますが、しかしながら、ブローカー業務を当面させないというふうに考えられた背景、考え方というのがあるわけですね。証取審の報告書にも書いてございます。「銀行自身による大量の株式保有とブローカー業務の適切な執行との関係及び中小証券会社の経営の主軸の業務であるという事情を十分考慮し、例えば法律により、当分の間は認めないこととする措置を講ずることが適当である。こういう答申も踏まえまして、当面ブローカー業務は認めないと、こうされたと理解しております。  しかし、救済合併して既存の証券会社を子会社にされた場合は、当然ブローカー業務ができるわけですから、そういった場合、こういう証取審の答申、基本的考え方、これは成り立たなくなりますね。親銀行が証券会社をつくる場合、非常にこういう危惧があるんで当面ブローカー業務はやらないと決めたことが、救済合併すると直ちにできるわけです。そうすると、こういう考え方が成り立たなくなるんですが、これはどうされるのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) これは先ほども別の委員の方にお答え申し上げましたけれども、私どもとしては、救済合併というような形を初めから法律上想定をしてこの規定を置いたというわけではございません。むしろ、新設をするときに禁止をするということが原則であって、その考え方は今御指摘いただいたとおりの考え方に基づいているわけでございます。  したがいまして、買収についてこういう規定を置きましたのは、やはりあくまでも理論的には買収ということはあり得ると、つまり銀行法上、銀行が証券会社を持てるという規定を今度入れたものですから、銀行が証券会社を所有できるという、所有する形態には新設と買収と両方考えられるわけでございます。そういったことで買収というようなものが理論的に考えられるということで、その場合に備えてブローカー免許を取り上げることができるという規定を入れたわけでございます。  確かに、例外的に救済合併、銀行支援というようなケースはあり得るわけでございす。その場合には、今御指摘のありましたような親銀行の大量の株式保有との関係というのは出てまいるわけでございまして、そういう例外的なケースが出てきた場合には、やはりそれに対しては今のような弊害が起こらないような対応をそのケースについてはしていく必要があるというふうに思います。  これは一律的にどうこうという問題ではなくて、やはり個別のケースでの対応ということになろうかと思いますけれども、考え方としては、ブローカー業務の適正な執行というものを確保する必要があることは事実でございますので、その点についてはそういうケースが出てきた場合に、できるだけそういうふうな歯どめ策というんですか、そういうものを考えていく必要があるというふうに考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 ですから、当面ブローカー業務をやらないというふうに決められたその趣旨のことを、救済合併しても何らかの規制をされるということですな、今のお話は。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) そういうことでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 それでは次に、利益相反の話がずっと出ておりますが、これはいろんな情報がどういうふうに隔離されるか、またお互い共有されるかという、非常に目に見えないもので動かされていくことが実際は多いわけですね。それをいかに分離、管理するかということが非常に大事になってくるわけでございます。例えば、証券会社内で引受部門、投資、調査、ブローカレッジ部門との間、また信託銀行内で言いましたら与信部門と信託財産運用部門との間、そういう間で情報の共有を防止するということ、非常に難しい問題があります。それを例えばハード面でどのようにされるのか、またソフト面といいますか、実効性を確保するために外部からの評価、判断の方法を設けるなど監視をどうされるのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) この親子間の情報の遮断というのは非常に難しい問題でございます。情報というのは目に見えませんので、なかなか実効性のある措置というものを考えるというのは技術的には非常に難しいと思います。ハード面では、そういう情報遮断のための措置として例えばフロアを別にするとかあるいは別のビルにするとかいうようないろいろなことが考えられるわけでございますが、しかしそういうことをしても情報というのは電話一本で連絡がつくわけでございまして、ハード面での対応というのは非常に難しいと思います。例えばコンピューターなんかの場合には、一定のキーを持っている人しか情報が取り出せないというような仕組みというのはできますので、それはある程度可能なわけでございますけれども、すべての情報を遮断するということを具体的な措置として決めるというのはなかなか難しい問題だろうと思います。  ただ、一つ言えますのは、例えば銀行の証券子会社の営業の実態、営業の状況あるいはやり方を見ておりますと、ある程度情報が遮断されているかどうかというのがわかる面もあるわけでございます。こういった弊害防止措置につきましては、これは基本的には我々は証券取引の公正さを確保するための措置であるという位置づけをしておりますので、新たにできます監視委員会の検査対象になるわけでございまして一そういう証券子会社の検査を通じて、そういった営業の実態からある程度考えていくということになりますし、また万が一そういう情報が流れているということになりますと、これは法律違反ということで行政処分の対象になるという牽制効果があるわけでございます。そういったようなことを考えながらいろいろな面で、もちろん本来的には親子間といいますか、人のモラルの問題に帰するわけでございますけれども、ある程度は営業を見ながらチェックができるということも考えているわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 モラルどおり商売をされると一番いいですけれども、世の中はそういうふうに動いていませんね、残念ながら。その辺をきちっとされるのが当局の責任だから私は質問しているわけでございます。  次に、外銀系の証券はブローカー業務も認められるということでございますが、これはもう一切野放しでしょうか。極端に言えば、外銀系の証券子会社があちこちばあっと支店できて、証券業務全体にかかわるわけですから、物すごく広範に業務がされるというケースも理論上は考えられないわけじゃないんですが、この辺は一切何らかの規制をやらないというお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 外国の銀行の証券子会社につきましてブローカー業務を認めるということにいたしましたのは、先ほど御指摘がありましたように、日本の銀行と違いまして外国の銀行は日本の企業の株式をそんなに持っておりません。そういったことがあって、ブローカー業務と親銀行の大量の株式保有との関係というものを考慮する必要がないんではないかという問題。  もう一つは、これは中小証券会社の経営の主軸であもということがあるわけでございます。こちらにつきましては、例えば今御指摘のように、外国銀行の証券子会社が大量の店舗をつくりまして株式ブローカーを行うということになりますと、これは場合によっては中小証券会社に影響を与えるということも考えられるわけでございます。現在、外国の銀行の証券子会社の支店が日本にございますけれども、これはもうほとんどのものが東京に支店を持っているだけでございまして、ごく一部が、それも本当に大都市にだけ店舗を持っております。我々は、そういうような現状からして、仮にブローカー業務を認めたとしても、コスト等の関係からしてそんなに大量の店舗網をつくり上げるということは考えられないんではないかというような前提で今考え方を申し上げているわけでございまして、もしそういうふうな御指摘のようなことになってくる場合には、やはりそういうケースについてはある程度考えていかざるを得ない面もあろうかと思います。  ただ、店舗をつくる地域にもよります。これは大都市につくるんであれば、幾らできてもそれほど影響はないんではないかと思うわけでございまして、その辺はやはりケース・バイ・ケースで考えていかざるを得ないんじゃないかというふうに思います。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 じゃもう一点。これは理論上のことでございます、理論上起こり得るということでお伺いしたいと思います。  外銀系の証券会社が今回設立されるいわゆる邦銀系の証券子会社、そういうものと合併した場合、国内の邦銀系の証券子会社には認められていなかったブローカー業務、これはどうなるんですか。もともと外銀系の証券会社はブローカー業務認められているわけですね。それが日本の銀行の証券子会社を合併したと、こういう場合はどうなりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) そういうケースの場合には、実は幾つかのケースがあるわけでございます。つまり、外銀系の証券子会社が日本の銀行の証券子会社を吸収合併するという場合には、これは問題ないと思います。外銀系の証券子会社がブローカー業務をやっておりますので、これはそのままブロー力ー業務を行うということになろうかと思います。  しかし、逆の場合、日本の銀行の証券子会社が外国銀行の証券子会社を吸収合併するというような場合につきましては、これは実は吸収される証券会社の免許が自動的に全部失効いたします。したがいまして、邦銀系の証券子会社が持っております。務しかできません。ということは、ブローカー業務はできないということになります。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 次にお伺いしたいことは、日本の銀行がアメリカならアメリカ、海外で銀行を現地法人としてつくっていると。それが日本に逆に証券子会社をつくる。こういう場合はどこまで認められるんですか、ブロー力ー業務に関して言えば。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 日本の銀行の海外証券子会社というものが日本に逆上陸をしてくるというケースだと思います。  この場合には、日本に逆上陸してくる場合、日本に海外の証券子会社がさらに子会社をつくる、つまり銀行からいいますと孫会社になるわけでございます。ということになりますと、それは証券取引法上の免許の対象になるわけでございまして、そういうケースにつきましては、これは現在のところは外国銀行の証券子会社と全く同じ扱いという考え方をしております。  しかし、そうはいいましても、国内に親銀行がいるわけでございますから、その国内にいる親銀行と出てまいります孫の証券会社との関係というのは、我々としても全くその関係を無視するわけにはいかないわけでございまして、そこについてのやはり弊害防止的なことは考える必要がある。これは外国の銀行の場合も同じでございまして、外国の銀行の証券子会社を日本につくった場合に、その外国の銀行が既に日本で銀行支店を持っているといたしますと、その間の弊害防止というものは考えているわけでございまして、そういった意味では同じような考え方がとれるというふうに思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 ちょっとややこしい関連した話になる人ですけれども、外証法で、外資系の証券会社が日本で業務を行う場合、例外措置として国内に支店がなくてもできる業務がございますね。これは邦銀系の海外証券会社、海外の証券会社は当然こういう例外措置を受けることになるわけですね。これはどうですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) お答えする前に、ちょっと先ほど舌足らずな点がございましたので、訂正させていただきたいと思います。  日本の銀行が海外に証券子会社を持っておりまして、その証券子会社が日本に出てまいります場合には、これはさっき申し上げたように親銀行から見ますと孫会社になるわけでございます。実は法律の手当てでは孫会社についてまでブローカー業務の禁止をしております。したがいまして、株式のブローカー業務はできません、ということでございます。弊害防止措置については先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、今のお尋ねでございますが、確かに外証法では一定の取引について日本に拠点を設けないで業務を行うことを認めております。外証法はもちろん日本の証券会社の海外証券子会社についても適用されるということになります。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 証券局長ね、非常にこれややこしいことで、そうなんですよ、ブローカー業務できないんです。私が伺ったのではできない。だから先ほどの場合は、邦銀の海外の証券会社が孫になって帰ってきても、本当言うと、もとは日本ですけれども、アメリカならアメリカ系の企業になっているわけですが、いわゆる外銀系の証券会社との違いがあるという、こういう点もございますし、逆に言うと、今の例外措置の方を見ましたら、一たん海外で証券会社つくれば、それは外資系の証券会社と同じような資格、例外措置を得られる、こちらは同じような待遇されていますね。何かそういう扱い上不都合があるように思えてならないと私は思うんです。両方扱いが違う。  それともう一つは、そういうアメリカならアメリカにつくる証券子会社と国内のいわゆる証券子会社との差ができるわけですね、ここで。日本の銀行が国内につくる証券子会社とアメリカにつくった証券子会社が日本に子会社をつくる場合と差ができるわけです。もっと言いましたら、親銀行との関係が、要するにアメリカから来た場合は例外措置を適用されるわけですから、非常に不公正な取引になりやすい温床がある。日本でつくる子会社は非常に厳密に定義されておりますが、そういう差ができるというふうに言えると思うんですが、これはどうですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) ただ、例外的な取引と申しますのは、外証法に書いてありますのは二つございまして、一つは日本の企業が海外で証券を発行する場合に、外国の業者が日本にやってきまして引受契約の協議をするということを認めているわけです。もう一つは、海外で販売することを前提にして国内にやってきて引受契約に参加できる、その二つの行為だけを認めているわけでございまして、あくまでも外で売るというのが前提でございます。  しかも、今申し上げました外で売るために日本にたまたまやってきて発行会社と引受契約の協議をするという場合、これにつきましては、親銀行がもしそれをバックアップいたしますと、当然これは六十五条違反に親銀行がなりますから、親銀行のバックアップはできないということになります。  それからもう一つ、海外で売るために日本にやってきて引受契約に参加する、つまり具体的にはサインをするわけでございますが、これについては大蔵大臣の許可を受けるということになっております。したがいまして、これも親銀行の影響力が及ぶような形の場合には許可をできないということになろうかと思うわけでして、そういった意味では御指摘の海外に日本の銀行の子会社がいて国内に拠点を持たないでやる行為というのは極めて限られているわけでございまして、必ずしも日本の国内市場に影響が及ばないような形のもの、あるいは親銀行が影響を及ぼしてバックアップをするというようなことができないような行為に限定をされております。  そういった意味では、たまたま国内に拠点を設けた場合と設けない場合とでアンバランスがあるという御指摘でございますけれども、我々としてはそれほど大きなアンバランスといいますか、国内で売るわけではございませんし、親銀行が影響力を及ぼすこともチェックできるということで、こういうような取引といいますか、一定の行為だけを認めているというふうに考えているわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 もうこれでやめますが、それは当然国外で外債発行する場合の業務なんですけれども、そういう場合も懸念ないとおっしゃいますが、私どもは、そういう親銀行との関係性が国内で厳密にやられている割に、外国で取引したって別にそれは同じようなそういう関係性はあるわけですから、それを懸念して言っているわけでございます。  次に、相互参入のことに関しましてちょっと基本的なことをお伺いしたいと思うんですが、これは法案が成立したと仮定いたしまして、要するにどの程度の数の新規参入者、これは相互ですから非常に厳しい問題がございますが、考えていらっしゃいますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 今度のこのいわゆる制度改革で業態別子会社方式を主体とする相互参入を図る、そのためのいろいろな法制上のスキームは用意しておるわけでございます。ただし、具体的にどの程度の数の新規参入者が想定されるかということにつきましては、これはやはりあくまで各金融機関の自主的な経営判断にまつべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  今回のスキームによりましては、業態別の子会社をつくらなくても、本体でもある程度限られた範囲ではございますが業務を取り扱うことができるわけでありまして、それによって当面取引先のニーズにこたえる、こういうことができるという道も開いておるわけでございますから、子会社を本当につくるかどうかということは、例えば金融機関の場合でございますと、それぞれの金融機関の経営戦略の基本にかかわる難しい判断であろうと思います。いずれにいたしましても、まずそのような経営判断をまちまして、それで私どもは申請を受けて認可なり免許なりの事務を進めてまいるわけでございますが、それにつきましては今後の経済情勢とか、それから銀行、証券会社などの営業状況、これは個別の営業状況ということもありますし、それから全体の業界の営業状況というようなものもやっぱり考慮する必要があるのではないかと思いますが、そのようなものを踏まえながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  なお、これは申請が非常に多いというような場合を想定したケースでございますが、一時期の過度の参入によりまして市場に混乱をもたらすことがないように配慮すべきであるというふうには考えておるわけでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 自主性が一番大事なわけですが、今最後におっしゃいましたように、過度に申請があった場合に、大蔵省として例えば株や許可時期を当然これは調整されることはあり得ると理解していいわけですね。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 調整することはあり得ると考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 もう一つ。どこから新規のそういう会社が設立されていくかということなんですが、そういう一つの経営内容の実態もございますし、考えとして自己資本比率の充足率といいますかいろんなメルクマールがあると思いますが、そういうものも十分これは配慮というか検討の材料にされるでしょうね。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) これから審査の考え方を詰めていかなければならないわけであります。御指摘のような自己資本比率、これは銀行の経営の健全性を判断するための重要な基準であるというふうには考えております。ただ、これだけではございませんで、資本金などとともに総合的に財産的な基礎を判断することが適切ではないかというふうに考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 よくわかりました。  もう一点、業務範囲の問題でございますが、中小証券への配慮としてブローカー業務を一時期禁止されているわけでございますが、そのほかにも業務範囲、これは法律以外でも規制、制約されますか。要するに、もっと行政の裁量で決められる部分はありますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 基本的には株式のブローカー業務以外は我々としては申請が出てくればそれを認めていくという姿勢でございます。  ただ一方で、中小証券会社というものを考えた場合に、仮に中小証券会社に新しい業務展開の機会を与えないと、いつまでたっても株式ブローカー業務を開放できないというような問題もあり得るわけでございまして、そういったことからいいますと、中小証券会社の営業の拡大という問題をどう考えるのか。例えば株式に余り偏らないで、債券とかそういったようなものにもう少し経営を多角化していく必要があるのではないかというような考えもあるわけでございまして、これは基本的には今申し上げたように、法律で禁止した当面認めない業務以外は認めていくのが適当だと思うわけでございますけれども、やはり中小証券会社の置かれている立場、その地域等も勘案しなきゃいけないと思います。そういった面からいいますと、具体的にやはりある程度の地域、新規に子会社ができます地域、大都市の場合にはそれほど問題ないと思いますが、そういったものもやはり全く考慮に入れないというわけにはいかないのではないかというふうに考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 また違った観点でお伺いしたいんですが、いわゆる金融の自由化または金利の自由化ということがあるわけですが、政府系の金融機関がございますね、これはどのようにお考えになっているかということを伺いたいんです。  一つは、政府系金融機関の貸出金利、これはどのような自由化のプロセスを踏まれるのか、もしくは自由化のプロセスは関係ない、そういうふうにお考えになっておるのかどうか、それが一つ。もう一つは、政府系金融機関が金融制度見直しの過程で今後の政府系金融機関のあり方そのものに変更が加えられる可能性があるのかないのか、この二点をお伺いしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 第一点の方でございますが、政府関係金融機関のいわば基準貸出金利につきましては、現在、原則として民間金融機関の長期プライムレートと同一水準に設定されておりまして、そのほかに政策的な重要度に応じてより低利のいわゆる特別金利が設定されているところでございます。  この基本的な考え方は、やはり民間金融の補完を行うということ、それから中小企業者その他に対しましての政策的な配慮を行うということに基づいておるわけでございますが、このような考え方は今後とも維持してまいりたいというふうに思っております。長期プライムレートそのものの今後の成り行き、それについてはいろいろ議論もそろそろ出始めているところでございますが、現在のところ、まだ私どもとして長期プライムレートに準拠しているというつ今のやり方について、これと異なる考え方を持つというまでには至っておりません。  それから第二の点でございますが、これは重要な金融の一翼を担うものではございますけれども、やはり民間金融と違う面がございまして、民間金融のみでは対応困難なものへの質的な補完という役割を担っているものだというふうに私どもは受けとめております。そういう業務が経済社会情勢に適したものであり続けるためには、これは何年に一回かの制度改革ということではなくて、極論いたしますと毎年、不断の見直しが必要であるというふうに考えておるわけでございます。  それからさらに、マクロ的な意味での政府関係金融機関の役割につきましては、これは若干金融という側面を超えまして財政や行政とも密接な関連を有する問題でございまして、その観点をも踏まえた多面的な検討を必要とするという問題でございますので、必ずしも私ども大蔵省銀行局の仕事の範囲内のみに限られる問題ではございませんが、私どもの立場からすれば、民間金融の補完、それから特定の政策目的の奨励という基本的な観点を踏まえまして不断の見直しを行って、適切な業務運営を期するというあり方でなければならないと考えております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 じゃ、ちょっと視点は変わりますが、BIS規制がございまして、株価も不動産も値下がりして銀行も大変な実態であるという報道がよくされております。研究所とかで試算された形で、日経平均株価がこのぐらい下がればこのぐらい自己資本比率が下がるというそれぞれデータが挙げられているわけでございますが、これは大蔵省としてこのぐらいでこのぐらい下がる、そういういわば平均的な考えはお持ちですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) いろいろな研究所等の試算は時々目を通すこともございますが、実際には個別銀行の財務内容によりまして、株価の変動がいわゆるBIS規制によるところの自己資本比率に与える影響というのは非常に変わってまいります。そういうことでございますので、余り私どもの方として自分の手でマクロ的なチェックというものはいたしておりません。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 されてないわけですか。わかりました。  それでは、公取からきょうは来ていただいているんですが、時間がないので申しわけございません。今回の金融制度の改革で、これはどういうふうに動いていくかわかりませんが、弱小金融機関というのは大手に吸収されていく、そういう可能性も非常に多くあるわけです。金融コンツェルンの排除というのが公取の一番の主命題でございますが、これかも金融界がどう動いていくかわかりませんが、厳重に監視、取り締まりをしていただく観点で、八〇年に発表されました合併審査に関するガイドライン、これは今後も金融界に関しましてもこういうガイドラインで見ていかれる、審査されていく、こういうふうに考えていいんですか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 委員御承知のように、独占禁止法で一定の取引分野における競争を実質的に制限する合併はこれを禁止するとなっているわけでございまして、私ども金融業であろうといかなる業種であろうと会社の合併についてはこの規定の厳正な運用を図っていきたいと考えておるわけでございます。  この規定の運用の関連で、ただいま御指摘のございました合併に関するいわゆるガイドラインというものを昭和五十五年につくっているわけでございますが、このガイドラインによりますと、例えば公正取引委員会が合併の、これは事前に届け出が必要なわけでございますけれども、事前の届け出があった場合に審査をする際の考え方というものを示しているわけでございまして、これまた金融業を含め業種のいかんを問わず定めたものでございますので、今後とも私どもこのガイドラインの考え方に沿って独占禁止法の厳正な運用を図っていきたい、かように考えておるところでございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 そこで、野村証券が野村土地建物の株の問題で、独禁法十一条を適用されたわけですね。これは非常に大事な問題なんですが、日本の場合は、前にも私審議したことがあるんですが、系列とかグループとか、法律の枠内であるわけですが、そういうグループで物すごく一定の企業に対して影響力を持つということが非常に多いわけですね。  そういう観点で、特に金融を中心に考えましたら、私、資料を大蔵省にお願いしてつくっていただいたわけでございますが、銀行とノンバンクの系列、銀行と証券会社の系列、子会社、これは私リストをいただいているんですが、それぞれこれをお持ちですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 銀行系列の証券会社とよく言われております。系列というのをどういうふうに定義するかというのはなかなか難しいわけでございますが、私どもは行政の運用上、銀行自身は五%しか持っていませんけれども、銀行グループ、銀行とその関連会社を含めて一五%以上の株を持っているか、あるいは銀行出身者が代表権のある取締役になっているというような証券会社を一応系列証券会社というふうに考えまして、いろいろな指導をしているわけでございます。そういう会社は、有価証券報告書を提出しておりますいわゆる公開証券会社について見ますと現在十三社ございます。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 じゃ、銀行局長いいですわ。私、一応メモをいただいているんです。  もう時間ないので終わりますが、銀行系のノンバンクも系列があるわけで、例えば銀行系のいわゆる系列証券会社でも、役員のうち半分が銀行から派遣されている、三〇%、四〇%派遣されている、こういう証券会社もあるわけです。ノンバンクもしかりでございます。複雑に絡み合って、系列とかグループで金融、またそういう取引が行われているということ、これは公取としても厳重にこの辺は見ていただく必要があると思うんですが、最後に公取の御意見と、できましたら大臣にこういう実態を見られてどう思われるか感想を伺って、質問を終わりたいと思います。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 例えば銀行とか証券会社がその傘下に系列の企業を持つ、ノンバンクを持ったりあるいは系列の証券会社を持ったりするという問題でございますけれども、独占禁止法の立場からいたしますと、金融会社については、独占禁止法第十一条で五%を超えて株式を持ってはならないということになってございますので、こういった観点から系列の問題というものにそれなりに適切に対応できるものと考えております。  それからまた、冒頭委員お触れになりました昨年の野村証券のケースでもございますが、証券会社とその傘下の系列の企業とで特定の企業の株式を持つといった場合に、これは今申し上げました独占禁止法第十一条の趣旨というものが損なわれることのないように私どもとしても独占禁止法の厳正な運用に努めていかなければならない、かように考えているところでございます。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 私どもといたしましても、いわゆる業務がゆがめられないようにこれはやっぱりきちんと指導していかなきゃならぬというふうに思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 これは午前中から何度も指摘がありましたけれども、本法案は現行金融制度を基本的にかつ広範に変えようとする重大な法案であります。  銀行業務と証券業務の分離を基本とする現行制度は、世界大恐慌の教訓として制定されたアメリカの銀行法、一九三三年のグラス・スティーガル法で規定されて以来、今日に至るまで健全な銀行経営の原則として確立してきたものであります。我が国でも戦後の経済改革の一つとして取り入れられて、大きく三つの役割を果たしたと思います。一つは銀行の社会的責任、公共性維持の観点、それから二番目には利益相反の防止、三番目には経済力集中の阻止、こういう重要な役割を果たしてまいりました。  こういうことの包括的な改革を行うわけでありますから、その与える影響は極めて甚大であります。ですから、当大蔵委員会として十分な審議、検討がなされるべきであります。現に、衆議院では参考人質疑を別に行い、委員派遣も行い、そして委員会質疑も相当程度行われて、それなりの審議が行われたんだと思います。しかし、先ほど私は理事会で申し上げました。もっと言えという助言もありましたので改めて申しますと、当委員会では総理質問も含めてわずか十二時間の質疑で採決に入ろうとしているわけであります。私は、昨年の当委員会の審議のあり方について、理事会で文書で当時の大河原委員長に提出いたしましたけれども、法案の重要性に比べて余りにも審議時間が少ない。これはやはり参議院の大蔵委員会の質疑が形骸化しているんじゃないかという指摘をしましたし、その改善も求めました。要望のかいなく、またきょう同じことを言わざるを得ないということは極めて残念であります。こういった観点から私は、きょうあすの審議だけで採決に入るということは将来に禍根を残すことになるんじゃないかということを改めて指摘して、質問に入ります。  まず、これは先ほど来の質疑でもそうですし、また銀行局長などの答弁でもそうなんですが、銀行の証券参入が国際的な流れである、だからこれはもう当然なんだということがどうも前提になっておるようです。だから国際化の時代もこれは避けて通れないというんですが、私は決してそうではない。なぜ我が国に必要なのか、果たして外国で言われているような参入の状況から、直ちに我が国がそれじゃ当てはまるのかどうか、このことについて抜本的に検討する必要があると思います。  まず、ヨーロッパです。ヨーロッパではユニバーサルバンク制度の方向がずっと進んできましたが、まず質問したいのは、それにはそれなりの背景があると思うんです。その背景と理由について簡潔に述べていただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) ヨーロッパ大陸の諸国は、伝統的に相対取引を中心とする銀行中心の金融システムでございまして、いわゆるオープンな証券市場は近年急速に発展、発達してきたのが実情であるというふうに言われておるように思います。このような歴史的な背景もございますので、ヨーロッパ大陸諸国では、金融システムの中心的な担い手であります銀行がその本体で証券業務を幅広く兼営できるといういわゆるユニバーサルバンク制度が前世紀以来発達してきたものと考えられておるようでございます。  なお、現在ヨーロッパにおきましてはEC市場が誕生じつつございますが、明年一月に総合されますEC市場を効率的なものにするために、ユニバーサルバンク制度を前提とした単一免許制度の導入などを内容とするいわゆる第二次銀行指令が採択されたところでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そうなんですね。だからやっぱりそれなりの事情があるんですよ。今も銀行局長触れたように、証券市場が未発達だったということ、加えて私は指摘したいのは、証券会社の資本力が弱かった。その結果、ヨーロッパ各国が警戒したのは、アメリカや日本などの証券会社が資本力に任せて影響力を増していくことに危機感を抱いたんです。その起死回生策を図る必要があったことが一つなんです。それだけのやっぱり背景があったんですね。  それからもう一つは、これも局長が触れたように、EC統合化に当たって相互主義的な考え方がとられるという意味では、まさにヨーロッパではユニバーサルバンク制度の方向というのが必然性があるんです。そのために銀行は本体あるいは子会社を通じて証券に参入している、そういう背景がある。だから決して我が国とは同じじゃない。これはまず第一に頭に置くべきことだと思うんです。  それから二番目にアメリカです。アメリカの問題については、これは十二月三日の当委員会で銀行局長と議論いたしました。銀行の証券参入などの大改革の法案が出されましたけれども、しかしこれは修正削除されて、むしろ自由化促進を抑える結果となった。これはまさに事実ですね。これについて私の指摘に対して銀行局長は、世界的な規模の業務自由化の大きな流れとアメリカの国内事情とは区別して考えなきゃいかぬと答弁しておるんです。ヨーロッパにはヨーロッパの事情がある、それからアメリカにはアメリカの事情があるからこそ、むしろ業務自由化じゃなくて抑制したんですよ。だから日本には日本の国内事情がある。それに即した金融制度が決まり、そのあげくの世界的な規模の金融制度となっていくわけです。  それを無視して、業務自由化の世界的な規模の流れと局長は断定したんですが、断定する根拠はないじゃないですか。ヨーロッパはヨーロッパの事情、むしろ証券会社が弱かったから、日本やアメリカが入っていくことに対抗したいという事情、これはある意味じゃわかります。それ一部は銀行局長もお認めになった。アメリカはむしろ逆に、アメリカはある意味じやこの分野では一番進んでいるところですからね。そこでは逆に抑えるんですよ。一体どこに業務自由化が世界的な規模の大きな流れなのか。何かここではそれが当たり前になっちゃっているけれども、私はそのこと自身に一つ根本的な疑問を呈したいし、まさに事実はそうなんですから、そう簡単に言ってもらっちゃ困るんです。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御質問の中心ではないかと思いますが、アメリカの金融制度の問題について一言申し上げますと、昨年成立いたしました法案は、確かに当初提案されたもののごく一部分のみが骨格となったというものではございますが、米国政府は昨年不成立に終わった包括的な制度改革の実現の必要性をことしの大統領予算教書においても訴えているところでございます。  それはぞれといたしまして、もちろん日本には日本の国内事情があり、それを無視してならないことは当然でありまして、私どもそのような観点から、具体的な案として業態別子会社方式というものを御提案申し上げておるわけでございます。が、一つ関連する話題として無視できない動向があると思いますのは、国際化と並びます金融の証券化の進展でございます。すなわち、金融に関する債権債務が証券の形をとりより流動性を持つようになるという現象でございまして、これは日本でもまた外国でもやはり証券化というものは進んでおるように思います。  それで、この点は例えば米国あたりでは新しい試みでございますが、住宅抵当債権とか自動車ローン債権とかクレジットカード債権、そういうようなものを裏づけとするABS、アセット・バックト・セキュリティーズといいますが、そのような新種証券も考案され、そういうものが例えば米国から日本へ持ち込まれようというようなときに、日本の今の制度ではなかなかこれに対応しにくいというような問題もあるわけでございます。  銀行の本業とするものはどちらかといえば間接金融でございますけれども、このような全般的な金融の証券化現象の進展というものを考えますと、やはり世界各国におきましてそのような証券化の動きに適応するような制度改革なり個別の制度上の運用が工夫されていくというのはある程度共通した現象であると申し上げてもよろしいのではないかと考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 証券化の実態は私もそれは認めます。銀行が金融に関係する以上、その証券に何らかのかかわりを持つこと、それは当然ですよ。と同時に、またそうであるからこそ、銀行業務・証券業務分離というこの原則は逆に私は大切にされなければいけないんだと思います。  アメリカの例について言いますと、これは前回、十二月に銀行局長も答弁していますが、規制緩和が貯蓄貸付組合の経営破綻の急増を招いた、銀行の業務範囲を拡大することが銀行に新たなリスクを負わせて銀行の経営破綻につながることを恐れる声があったことは事実、こういった声がむしろ議会では自由化を抑える。ですから、拡大していくというのはたしかブッシュ大統領の意見、また大統領府の方向であることはそれはそのとおりでしょう。しかし、議会がノーと言ったんですからね。これはアメリカの実態。そして、またあと二年ぐらいは今の事態がさらに進むわけにはいかないんだと思うんですね。  アメリカの事情をさらに考えてみますと、金利の自由化によって銀行の預貸金利の利ざやが縮小して、従来の銀行業務だけでは経営が困難になってきた。それからMアンドAのあっせんなどによる手数料収入が銀行の収入源として重視されてきたこと、それから金融の証券化、いわゆるセキュリタリゼーションによって証券型金融商品を手がける必要が出てきたことなどがあるわけです。そういう中で、銀行の競争力の相対的な弱まりを克服して、そして競争力強化のために証券業務への参入が要請されている。そういう傾向があること、しかしそれはアメリカのこういう事情があること、もう一方では抑える力があるということ。  ところで、我が国の場合どうなのか。我が国の証券会社は四大証券を中心にして競争力が強いですよ。それから証券市場の取引も非常に活発、まあ最近ちょっとありますが、それは自業自得。ヨーロッパのような心配はないんですね。他方、銀行の方は、我が国の都市銀行はこれは世界のトップランクに名を連ねる巨大銀行です。これ以上競争力をつけさせる必要は特にない。アメリカにはアメリカの事情があって弱まっている。ヨーロッパの場合はヨーロッパの場合で銀行がむしろ証券業務に入っていく必要がある。ところが、日本の場合にはむしろ逆の事態です。だから、証券参入が世界の流れだというこういう断定がそもそも大問題であるし、仮にそうだとしても、そういう動きが現にあるにしても、我が国ではそういう改革を行うのをむしろチェックする機能が働いてしかるべきてはないのか、  その一つとして、金融不祥事ですよわ。アメリカではそれが一定のチェックの作用する側の原因になったわけであります。となれば、アメリカでチェックをしたその原因たる事実、これはむしろ我が国ではチェックの方に作用すべき動きではないのか。それがむしろ逆の方向へ進もうとしているから、私はこれは大変だ、こう思って今指摘をしたわけです。これは大臣いかがですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今我が国において銀行による証券参入を認める理由は一体何なのかということとあわせて、先般の証券・金融不祥事の教訓、これ一体どうなんだという御指摘でありますけれども、いずれにしましても我が国の資本市場への新規参入の必要性につきましては、もう御承知のとおり、証取審におきまして新しい参入者に対して免許を付与していくことが適当であるという指摘がなされておるということが基本でございまして、今回の金融制度改革というものは、金融の業態間の垣根を低くして金融資本市場における有効かつ適正な競争を促進することによりまして市場を効率化することを目的としておりまして、業態別の子会社方式というのはそのための手段として銀行の証券業務への参入を可能とするものであろうというふうに思っております。  また、不祥事の原因としましては、金融資本市場におきます適正な競争が欠如しておったということでありましょうし、またバブルという一つの現象があったせいもあるんでしょうけれども、金融機関の自己責任意識ですとかあるいは内部管理、こういったものが不十分であったというふうに考えられております。  そういう意味で今回の法律案におきましては、不祥事の反省を踏まえながら業態間の相互参入というものを図って金融機関相互間の適正な競争、これを促進すること、あるいは自己資本比率規制の根拠規定の新設をすること、あるいはディスクロージャー規定の整備などによりまして金融機関の自主規制と自己責任、これを尊重しながら経営の健全性の確保を図る、こういった措置というものを定めておるものであるということを申し上げたいと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういう方向やそういう結論が出る根本に問題があるよというのが私の指摘でありまして、大分すれ違いでありますが、ちょっと私の指摘に対しての的確な御答弁は局長の方からありますか。あったらお願いします。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 基本的には今大臣から申し上げたとおりでございますが、特に証券市場のサイドから見た場合、今回の証券取引制度の基本的見直しは二つの大きな柱がございます。  一つは証券界への参入、これは余りくどく申し上げません。それからもう一つは競争の促進、特に日本の証券市場の場合には確かに非常に規模が拡大し活発な取引が行われてきたわけでございますけれども、その中で何といいましてもやはり発行市場における寡占体制というようなものがいろいろな弊害をもたらしていることも事実でございます。そういったことからいいますと、まず発行市場への参入ということが非常に必要であるということは、これは不祥事が起こる前から既に議論がされていたわけでございます。あわせて、この不祥事の反省の上に立って、やはり競争が必要であるというようなことで証券市場に新規参入を認めるという方向を確認をしたわけでございます。  銀行による参入という問題、これは証券市場のサイドからいいますと、別に銀行の子会社だけに参入させるという考え方ではございません。もっと一般的に広く参入者があった方がいいという考え方でございまして、その一つのケースとして銀行の子会社による参入というものを位置づけているわけでございます。もちろん、銀行の子会社による参入には御指摘のように銀行の支配力というものがございますから非常に難しい問題がありまして、弊害防止措置についてもかなりその点についてはきめ細かい配慮をしなきゃいけないという問題もあるわけでございますが、しかし、一般的な競争促進という問題と銀行の支配力を抑えながら参入を認めていくということは両立し得るんではないかというのが私どもの基本的な考え方でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 競争性と効率性が改革の中心になっている。そのとおりなんですね。私は今回の改革に当たって、証券スキャンダル出る以前から議論があったと言うけれども、しかしその後出たんだから、それだったら抜本的に振り返ってみるべきですよね。この教訓をどう受けとめるかということが大変大事なことだと思うんです。そういう意味では、私企業であるけれども経済の血液として金融機関が高い公共性と社会的責任を求められる。その点が大変後ろの方に追いやられているということを指摘せざるを得ないわけです。私は何よりも公共性を優先させる改革でなければならないということを改めて指摘をしますが、それはむしろ犠牲にされているというぐあいに思います。  少し理論的な問題に入っていきたいと思うんです。  我が国の場合、銀行の企業支配力、これは先ほど来問題になってきました。「企業集団の実態について」という公取がことし二月に発表した報告書があります。これによりますと、大体金融機関が同一企業集団のメンバー企業のうち株式を所有しているメンバー企業の比率は、いずれの企業集団でも一〇〇%、それから同一企業集団内の銀行から役員を受け入れている企業の比率は、都市銀行ですが四九・五一%、半分ですね。それからメンバー企業から派遣されている役員のうち銀行から派遣されている役員の比率は五一・六%。これらのいろんな比率は少し低下しているといいますけれども、依然として高い比率を示しておりますし、やはり銀行の企業支配力というのは絶大なものだと思うんです。  証券市場における競争というんですけれども、逆にこういう企業支配力の強い、しかもみずから大量の株を持っているこういう銀行が、子会社とはいえ証券業務に入っていくということは、今四大証券会社の寡占状況と言われておるけれども、やがてそれは崩れるかもしれませんね。しかし、もっと変わった、もっと深刻な意味の大銀行による市場支配の強化となる面は全く考えられないのか、この点についてはどうですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほども申し上げましたように、私どもも銀行の支配力というものを十分認識して、銀行の子会社による証券業務への参入というものをいかに銀行の支配力を抑えながら認めるかということを検討しているわけでございます。いろいろな弊害防止措置を講ずるというようなことで対応をしていきたいわけでございますが、もちろん証券市場というのは御存じのように非常にオープンな市場でございまして、そういったところでそういうふうな銀行の支配力が悪影響を及ぼすようなことになるということになればこれは非常に影響が大きいわけでございます。御指摘のような懸念も全くないと申し上げるつもりはございません。しかし、やはり競争促進ということをねらってともかく参入を認め、証券市場が健全に発展していくということを試みなければならないわけでございまして、その中で今御指摘のありましたような金融機関の支配力が証券市場にまで及ぶという点については、もちろんスタート時点で考えられるだけの防止措置はとるわけではございますけれども、やはりその状況に応じて対応していく必要があろうかというふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いろいろな対応措置、それは考えられておるようです。  ただ、一つ一つとってみますと、先ほども答弁あったとおり、情報遮断が非常に難しいと言っていますよね。これは大臣も午前中に、銀行の寡占化には憂慮していると、それから証券局長も我が国における銀行の力は非常に強いと。これはお認めになっているように、今も寡占化の危険は否定されていないわけです。そして、客観的にはまさに日本の銀行の支配力は大変に強いんですから、となりますと、私はこれはむしろアメリカの教訓をチェックの方向に引き出すべきだったんじゃないかなと思います。  そこで公取に聞きますが、今回の制度改革後、証券子会社の認可に当たってどういうぐあいに競争促進のための配慮を行うのか、簡潔に答弁してください。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 御承知のように、今回の制度改革に伴いまして金融会社が他の業態の金融子会社を持つといった場合には、独占禁止法第十一条で株式所有についての認可をすることになるわけでございますが、これはもちろん個々のケースごとに独占禁止法の目的であります公正かつ自由な競争の促進という観点から厳しく審査をした上で認可すべきものは認可していくというようなことを考えていかなければならないと思っています。  それと同時に、特に留意しなければいけないのは、今申し上げた十一条の株式所有制限、要するに五%を超えて持つちゃいかぬという規定でございますけれども、これは親の金融会社とそれから子の金融会社が同一の第三の企業の株式を持つ場合には両者合算して、合わせて五%を超えて持ってはならないということでもございますので、このあたりも厳しくそういった考え方を示していかなければならないと思っております。  と同時に、今回の制度改革につきましては、先ほど来いろいろと御答弁もありますように、いろいろな観点からの適切な弊害防止措置が講ぜられるわけでございますが、公正取引委員会といたしましても、独占禁止法の観点から公正な競争を確保するという趣旨で、例えば不公正な取引方法がこれに伴って行われることのないように十分留意してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 銀行が証券業務に参入するについて、理論的な問題として大変大事なことがあると思うんです。ということは、これはいかなる理由によって一定の証券が銀行の業務の対象から除外されたのか、また、どういう歴史的経過の中でされなければならなかったのか、そのことは銀行のどういう特質に由来するのか、私はそのことを理論的に明らかにする必要があると思うんです。ところが、そういうことは全く考えないまま、むしろ政治的あるいは無理論的な妥協、あるいは業界の利害などの妥協によって決定されておる。それがやっぱり現状だと思うんです。  例えば株式発行業務、今回は、当面ですが、証券子会社の業務を発行業務に限ることにしていますね。しかし考えてみましたら、発行業務こそ最もリスクの大きい証券業務ですよ。要するに、引受業務というのは、募集残、必ず、必ずかどうかは別にして売れ残りの危険が起きること、その負担をするという、これが本質ですよね。そこが流通業務とは違うところです。ところが銀行がそれを行う場合は、銀行はみずから大量の資金を保有していますから、募集残をみずから保有するかあるいは関係会社に資金を貸し付けて保有させるか、これができるわけです。それはその場はそれで済むけれども、客観的に言いますとリスクを一層大きくする危険を持っている。ということは、私は、銀行業務の本来から見まして、発行業務こそ逆に銀行から最も遠ざけるべき業務じゃないか。  これは理論的に大変大事な問題です。このことは学者もかなり真剣に論じていますよね。そういう理論的な面しゃなくて、むしろ政治的、無理論的にこれがくっつけられたり分けられたりしているというのが現状じゃないんでしょうか。理論的にお答えいただきたい。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、発行業務、引受業務はいわゆるブローカー業務に比べましてリスクが大きいということは言えると思います。ただ逆に、先ほど申し上げましたように、現在の日本の証券市場の状況を考えますと、引受業務への参入、競争促進ということはやはり非常に必要だというふうに私どもは考えているわけでござます。  もちろん引受業務に伴うリスクというものは、これは当然引き受けの際に考えなければいけないことでございますし、引き受けのタイミングあるいは引き受ける条件、発行条件等々、要するに消化可能性というものを十分判断した上で引き受けを行うというのが、これが引受業務の本来の姿でございます。そういったような形で適正な引受業務が行われるということであれば、そのリスクをある一定の限度にとどめるということができるわけでございますし、またそういうふうな引受業務でなければ発行市場が適正に運営できないというふうに考えるわけでございます。  今御指摘のありましたような、例えば親銀行が募残を引き取るとかあるいは信用を供与して募残を買い取らせるとかいうようなことが行われますと、これは引受業務としては極めて不適正な行為になるわけでございまして、そういった点については我々も十分そういうことを防止する必要があるというふうに考えているわけでございます。  引受業務は、先ほど申し上げましたように、証券市場の現状からいうとやはり一番競争を促進したい部分でございますので、そういう一定の財産的基礎というようなものも、当然リスクにたえるための財産的基礎を持って新規参入していただかなければいけないわけでございますけれども、適正な引受業務を行うということによるリスクを限定するということは可能ではないかというふうに思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それが私が指摘した無理論性なんです。  これは熊野剛雄さんという銀行問題の専門家、学者がこう指摘しています。「初期においては銀行が応募することによって証券発行が進展したドイツや日本では銀行が引受業務を営んだという歴史的事実から、銀行が証券業務を営むときは流通市場業務よりも発行市場業務、とりわけ引受業務を営むべきであるとする考え方もありうる。」と。しかしそれは間違いなんだ、理論的じゃない。やっぱり考えるべきは、なぜ除外されなきゃいかぬのか、そして銀行のどのような特質からこれは考えられるべきかということであります。そういう意味じゃ、私は発行業務こそ最も遠ざけられるべきなのに、今言ったとおり最も必要だという判断があるので、これは大変問題だと思います。  流通業務につきましては、今もちょっと触れたとおり、一般的に言えば、流通市場における業務が単なる媒介行為にとどまる限りは、要するに顧客の注文に応じて顧客の計算に応じて行われる限りは、それを媒介する行為にリスクは伴いませんから、だからそれは理論的には認めもれてもいいんです。ただ、我が国の場合は銀行が本体で大量の株式を保有しているわけですから、これは事情が違う。銀行が大量に証券を保有して、そして流通業務を行いますと、私は二つの大きな問題が出てくると思う。  一つは、流通市場を操作しようという強い誘惑が動く。これは避けられないことですよね。豊富な資金と貸付能力を持って、預金その他を通ずる豊富な顧客情報を持つこういう銀行が、これは二番目の問題ですが、全国に展開する無数の銀行店舗を通じて流通業務を積極的にやりますと、多くの国民をリスクの大きい証券業務に誘い込んで大きな予期し得ない危険を伴うというようなことが考えられる。だから参入は認めないんですが、理論的に言えばそういうことじゃないんでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 株式のブローカー業務を当分の間認めないということにしましたのは、今御指摘のありましたような、親銀行が大量の株式を持っているという現実を踏まえて、それが子会社である証券会社の営業に影響を与えるんではないかというようなことから認めないというふうな理由の一つになっているわけでございます。  もちろん、それ以外に現実問題として中小証券会社の問題もございます。しかし、理論的にはまさに御指摘のとおり、日本の場合には銀行が大量に株を持っている。これと子会社の株式ブローカー業務との関係というのをやはりなかなか割り切れないという問題があろうかと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 珍しく一致しましたね。  時間が来てしまったので理論的問題から一転現実的問題に入りますと、銀行のサービス残業です。労働省来ていますか。一これは東京労働基準局などの調査で、多くの銀行に法違反の事実がある。そこで、どんな指導を違反銀行に行ったのか、どういう改善がとられているのか、簡潔に。  それから、あと大蔵省、こういう調査で明確な法令違反が指摘されておるので、その是正については大蔵省も真剣に取り組むべきだと思いますが、それぞれ簡潔にお答えいただいて、時間が来ましたので質問を終わります。

山中秀樹労働省労働基準局監督課長

○説明員(山中秀樹君) 私ども、先生の御指摘のとおり、特にサービス残業、労働基準法の三十七条違反といことで監督、指導を行っております。その場合、法違反が認められた場合はそれぞれ必要な是正措置を講ずるように勧告を行っておりますし、また場合によっては事業主団体等に労働時間の管理について必要な改善を行うよう要請を行うなどサービス残業の解消に向けて努力を行っているところでございます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) この問題は労働行政に係る問題ではございますが、私どもの考え方を申し上げますと、金融機関は公共性の高い免許法人でありまして、その営業活動等に当たりましては、社会的批判を受けることのないよう各種法令等の遵守に格段の努力を払うように指導してまいっておるところでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 終わります。

池田治連合参議院

○池田治君 このたびの金融制度改革の論議は一九八四年、昭和五十九年の日米円・ドル委員会作業部会報告を契機に始められたと認識しております。それが金融制度調査会の審議を経て今回の改革法案となって今国会へ上程されているんだと思っておりますが、この期間はざっと計算しますと六年間かかっておるわけです。臨調の問題でも三年程度だったと思っております。これは、これほど長い期間かかったのはどういう理由があったのか、まずお伺いしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今回の制度改革は金融資本市場におきます有効かつ適正な競争、これを促進し、市場の効率化、活性化を通じて国民経済の健全な発展に資するため行われるものでございますけれども、御指摘のとおり、今回の制度改革は金融制度調査会及び証券取引審議会、ここで六年にわたる論議がなされたということでございます。  この間の論議といたしましては、金融制度調査会の場合、昭和六十年以来専門委員会を設置いたしまして相互銀行の普通銀行くの転換等順次その実現、具体化を図りつつ、各種金融機関の相互参入の形態あるいは地域金融機関のあり方等につきまして子細な検討が行われてきました。また、証券取引審議会では、昭和六十三年以来、金融の証券化への対応等証券取引に係る基本的制度のあり方につきまして詳しく検討がなされてきております。  このように今回の制度改革は中長期的な視点に立ちまして将来展望をしたものでございまして、こうした制度改革の意義に照らしまして、私どもといたしましても、長い時間をかけたものの上に、この間のいわゆる反省に立ってこれらを整備したということでございまして、ぜひとも御審議を早く進めていただきたいというのが私どもの願いでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 長期間かかった理由は多少分かりましたけれども、これは大臣、初めのうちは金融改革をして二十一世紀に向けての我が国の新金融制度改革をしようという熱意に燃えておられたということでございますが、そうこうするうちに、バブル経済が崩壊いたしましたし、また証券・金融の不祥事も出てきましたりして、こういうことでいたずらに時間をとったという点も見逃せないんじゃないでしょうか。  そしてまた、そうこうするうちに、銀行と証券会社の自己利益の擁護と申しましょうか専守防衛といいましょうか、こういう防衛的な考えがありまして、これを調整するのにもまた時間がかかって、結果として審議会の報告は利害調整の妥協としてあらわれたものではないか、こういう御批判もあるようでございますが、この点はどう見ておられますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) そのような御批判は私どもも耳にしておるところでございますが、強いて私どもの考え方を申し上げますと、御指摘のように、金融制度調査会の方がまず検討を始めたわけでございまして、その初期の段階では専門金融機関制度をめぐる研究をしたわけであります。しかしながら、金融制度といたしましてはやはり一つの部分、専門金融機関という部分を論ずるにつきましても他の金融界への幅の広がりというものがどうしても意識されてくるということでありまして、具体的には協同組織金融機関とか地域金融とか、そのようなものについても議論を広げる必要を生じたと、これがやはり金融制度調査会の議論を長引かせた一つの背景であります。また、金融のみならず証券業務についての議論をするに当たりましては、金融制度調査会の研究もさることながら、証券市場のあり方としてこの問題をどのようにとらえるかという議論が当然必要であるということもございまして、昭和六十三年から証券取引審議会が関係の議論を始めだというような経緯もございます。  したがいまして、スタートは広い意味での金融・証券業界の中の一部分のあり方を議論するというようなことで取りかかったものでございますけれども、やはり相互に非常に関連の深い金融サービスの提供のあり方をめぐりましてどんどんいわば範囲が広がっていった、それにつきましてそれなりの日数がかかったというような一面は確かにあったと考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 また、調査会の答申では国際性とか金融機関の健全性というところに頭を奪われて、ユーザー不在の答申ではないかという議論もあったようでございます。そこで最後の報告では、「付論」として「制度見直しのもたらす利用者利便」という項目を掲げておりますが、それを見ても、「特に利用者の立場を重視して、制度全般のあり方について審議を行ってきた」と述べておられる割には、どの程度ユーザー、いわば一般庶民にとっての利便の向上があるのかいま一つはっきりしません。  そこで、利用者の勝手のよいことだけを考えますと、ほかの理由は別としまして考えますと、午前中論じられましたユニバーサルバンク方式が一番利用者には便利だと、かように考えますが、この審議に当たりましてはユニバーサルバンク方式以下五つの方式があったと伺っております。これがどうして業態別子会社方式という形になったのか、ひとつ御説明を伺います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 御指摘のとおり、五つの方式を比較検討したという段階がございます。この一つ一つについて議論を御紹介いたしますと長くなりますので省略させていただきますが、その中で、やはり金融秩序の維持とか預金者保護とか利益相反による弊害防止などの観点から業態別子会社方式を採用したというのが今度の案の組み立てでございます。  なお、もちろん利用者の利便ということのみを考えますならばユニバーサルバンク方式も有力な案でございます。しかしながら、これにつきましては、既にいろいろ御議論が出ましたように種々の問題がございますので、現段階としましては、金融制度調査会もユニバーサルバンク方式について、なお検討すべき点が残されているという位置づけで、これを正面から採用するというようなことにはならなかったものでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 そうしましたら、今度は制度改革によりまして証券市場への銀行の参入ということで、一般的には競争が激化されて、その結果、銀行が広範囲の金融商品やサービスを取り扱うことになるので消費者や利用者にとって便利になるとも言われております。しかし、確かに一般的に言えば新規参入によって競争の促進ということは図られることが予想されますけれども、このことが自動的に効率性の向上に結びついて、さらに利用者にメリットをもたらすとは限らないんじゃないかと思います。銀行と証券との間ではもう既に普通預金と中国ファンドを連結した商品も開発されておりますし、さらに保険やカードの共用化、証券担保金融などの提携も進んできております。最近では、異種の業態の金融機関や証券会社、それにノンバンク等も結びつきまして、従来の業務範囲を超えた多種多様な商品やサービスを開発し得る可能性も出てきておりますし、現にそれもしておると思います。  そうしていきますと、単なる銀行・証券の相互参入ということだけで、利用者の利便を図ろうということは考えなくても、従来のままでも経済は既に成功しているんではなかろうか、こう思いますが、銀行局はいかにお考えでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 商品、サービスそれぞれにつきまして急速な発展を遂げておるところはまことに御指摘のとおりでございます。利用者の利便という意味から申しますならば、それは業態別子会社方式でなくてもいろいろな方法が考えられますが、しかしながら、殊に証券業務につきましては、やはりこれを本体で金融機関が営むということについては種々の問題があるということもございますので、先ほど申しましたような考慮に立ちまして子会社方式を軸としたわけでございます。  ただ、そのほかに利用者の利便としての面から見逃せませんのは、あわせて本体で限られた範囲のそういう他の種類の業務を営むことができるようにしてございますほか、地域金融機関、協同組織金融機関などにつきまして、従来系統の金融関係の取り扱い得る業務の範囲を広げるという意味での法律の枠取りをしておりまして、これらが証券業務以外の部分につきましても利用者の利便につながるということは現実に期待できるものではないかと考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 業務範囲の拡大ということはよくわかりますけれども、金融業全体の資金量というものはそう変わらないわけでございますので、そこに証券の子会社、銀行の子会社という子会社がたくさん出てまいりますと、会社の数もふえるし、また従業員の数もふえる。こういうことになりまして、一社当たり、また従業員一人当たりの資金量の取り扱いというのは当然これは減ってくると思われます。そこで、本当に預金の金利が上がり、貸し付けの金利は下がる、手数料は下がるということなどして利用者の利便の向上が図れるだろうかという疑問が出てまいります。新規参入によってコストがふえた分だけ利用者の利便は損をする、こういう形になるんじゃないかと思うのが一つ。  さらに、競争の激化によって中小金融機関、特に証券の方が、四大証券を除いた証券会社がかなり負担を強いられるんじゃないかということで、将来は経営危機に陥る会社がたくさん出て倒産の危険も予想されるんじゃないかと懸念される方もおりますが、銀行局や証券局はどう眺めておられますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融関係で申しますと、やはりこれは委員の御指摘にもございましたが、今度のねらいは有効かつ適正な競争を促進するということにねらいがあるわけでございまして、競争が促進されますと、市場が効率化され、それを通じまして国民経済全体の効率化も促されるであろうというふうに期待をしておるわけでございます。したがいまして、単純に従業員なり会社の数なりがふえた分だけ業界全体のコストが増加する、一方、生産性と申しますか、それは変わらないというふうには認識をしておらないわけでございます。もちろん、これにつきましては各金融機関の経営上の創意工夫の発揮が前提になるわけでございますが、これにつきましても、経営の選択肢を拡大することによって創意工夫を促すというねらいを込めておるわけであります。  他方、これも御指摘のように、競争が進みますと、別の面の現象といたしまして経営に圧迫が加わる。その結果、例えばよく言われるのは、中小金融機関などの経営がなかなか容易ではなくなるのではないかというような問題は、これは気をつけなければいけないわけでございますが、ここはなかなか、競争を促進するということとそれから金融機関の経営に安住を許すということは両立しがたいような面がございまして、必ずしも手放しで楽観しているわけではございませんけれども、そこはやはり健全経営のための工夫というものを制度的にもまた行政的にも積み重ねていきますことによりまして、全体としての金融システムの混乱を防ぎたいというふうに私どもは考えております。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 中小証券会社に対する影響でございます。  私ども、中小証券会社というのはやはり地域に密着して、特に個人投資家を相手に株式を主とした営業を行っているわけでございますので、株式市場にとりましては非常に貴重な存在であるというふうに認識をしております。したがいまして、競争が激化することによって、全く影響がないということはございません、それはいろいろな影響がございます。  ただ一方では、今回の場合に主軸業務であります株のブローカー業務については一応参入をしないという扱いをしておりますし、他方、いろいろな商品あるいは私募等、経営の多角化というような選択の幅を広げるというような措置も用意をしているわけでございます。免許企業ではございますけれども、やはり競争し、競争の中でそのようないろいろな経営の多角化、工夫を図っていくということで対応していく必要があろうかと思いますし、また地域に密着をしておりますので、そういうニーズを十分吸い上げていけば、個人の資産運用のアドバイザーとしては十分機能するんじゃないかというふうに考えているわけでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 競争と安定ということは二律相反するようでもあり、また両者が整合性があるようにも考えられますね。競争に負ければ倒産する、競争に勝てば経営は安定して健全性は保たれる、こういう性格のものでございますので、極言を言いますとそうなると思います。  そうすると、そういう極言に走っていきますと、資本力のある者が資本力のない者を食うというのもまたこれは自然の原理でございますので、午前中の話をお伺いしていますと、銀行の方が資本力があるというように伺っておりますから、結局長い期間をかけますと銀行が弱小証券会社を食って、吸収もしくは買収して銀行系列下に置かれるんじゃなかろうかという懸念を私はしておりますが、この点はいかがでございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 中小証券会社が仮に経営努力をしても行き詰まっていってしまうというような状況が競争の中で起こり得るということは、これは私どもも考えておかなければならないことだろうと思うわけです。その場合に、銀行が支援をするということも考えられると思います。  しかし、今申し上げましたように、地方の中小証券会社はそれなりに安定した営業基盤を持っているわけでございまして、その営業基盤をいかに拡充していくか、充実していくかということについてのいろいろな選択肢、経営上の選択の幅を広げるわけでございます。そういったことからいいますと、そういう健全な中小証券会社を銀行が買収するということについては、これは今回の制度改正では私どもは予定をしていないわけでございまして、むしろそういう健全な中小証券会社が地方のニーズに合った営業を拡大していく、それによって競争の中で対応していけるということが望ましいし、我々としてはそちらの方に行政としてもできるだけの支援はしたいというふうに考えているわけでございます。  銀行による買収というのは、いろいろと言われておりますけれども、それは破綻が起こりますとそういうことは起こり得るわけでございますけれども、基本的な今度の制度の見直しの中では、あくまでもやはり中小証券会社にもそれなりの経営努力の余地を広げ、経営選択の幅を広げ、あるいは一方ではブローカー業務をある程度守るというようなことで、競争に対応できる時間を十分がして、その中で経営が安定するように努力をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 証券局のお考えはわかりましたが、今銀行が証券会社を、子会社でもいいんですが、設立しようとしますれば、大体二百億円から四百億円程度の資本の投資とそれから数十名の人材が必要となると言われています。経営危機に立った中小証券会社を買収する場合、資金的には二百ないし四百億という、同程度かもしれませんが、人材的には経営のノウハウを取り入れたり営業実績を持つ経験豊かな人材が利用できるので、この方が便利じゃなかろうかと言われています。そうすると、この法案が通り、数年たってきますと、新規設立の子会社をつくるよりも中小証券会社を買収もしくは吸収した方が手っ取り早いということになってくるんじゃなかろうかと懸念しております。  そこで、今回の金融制度改革は、証券会社の大量倒産に備えて銀行による証券会社救済の道を開くためにやられたんじゃなかろうかという極論を言う方もありますが、この点は証券局長いかがお考えでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもの考え方は全くそういうことではございません。先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の証券市場を考えた場合に、問題点としては、一つは証券化への対応というのが十分できない、いわゆる証券市場というものの機能を十分拡大し、証券化に対応して証券市場が十分その機能を発揮できるようにしていくということが一つの柱でございますし、もう一つは、特に発行市場における競争促進をする必要があるということでございます。  発行市場における競争促進といいますのは、現在の四大証券に加えてしかるべき競争相手が出てくれば、それによって引き受け業務というものの活性化が図られますし、またそれが間接的には中小証券会社が引き受けシ団に参加するという可能性も高まってまいります。そういうことで、発行市場における競争促進が中小証券の取り扱い商品の拡大にもつながっていくというようなことも考えられるわけでございまして、中小証券会社の救済合併を目的とした制度改正だというような指摘もございますけれども、私どもの考え方としては全くそうではなくて、証券市場をいかに健全な形で発展拡大させていくことができるかというところに重点があるわけでございます。証券市場が拡大をいたしますれば、その仲介業者の機能も当然拡大をしていくわけでございまして、そういったことから言いますと、中小証券会社にも十分その拡大していく証券市場の中で営業基盤を確立強化していくチャンスがあるというふうに考えているわけでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 銀行とか証券会社の子会社が営業基盤を確立して健全な経営を続けていくためには、やはり子会社といえどもその業務範囲といいますか業務の内容につきましては、各業法に定められておるすべての業務を認めなければ金融改革にならないと私は思っています。それで初めて業態別の子会社方式は金融制度改革に役立つ、こう考えていますが、今回の改正では、いろいろな事情がありましてさまざまな制限がつけられております。既存の金融機関に対してこれで果たして子会社が競争力を持って、しかも一般国民にとって魅力のある証券子会社が誕生するんだろうかという点は私は疑問に思っております。一般国民のほとんど利用しないような子会社がたくさんできることは、これは利用者の利便の向上を目指した金融改革とは言えないんではなかろうか、こう思いますが、これは銀行局はどう思っていますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 業態別子会社の一般的な考え方でございますが、制度改革の目的に顧みましても、やはり最終的には業法に定めるあらゆる業務が認められるという事態を想定しておることは間違いございません。それからまた、事実子会社が行う銀行業務についてはすべての業務が可能でございます。  ただ、信託業務それから証券業務がいい例でございますが、やはり当初の業務範囲に制限を付するということは、預金者、投資家の保護とか金融秩序の維持とかの観点からこれはやむを得ないところでございまして、何分にも現在既にかなりの数の金融・証券の業者がおりまして、それが営業をしておるわけでございますから、競争条件の公平性とか現行制度との連続性などに配慮しながら改革を混乱なく着実に進めていくためには、当初若干の期間そういう制限を付するということはやむを得ない、この点は何とか利用者にも御理解をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 さまざまな制限もやむを得ない点だろうと私も思っておりますが、それによって、利用者は我慢するとしましても、子会社の方の経営が成り立つかどうか、これを心配しているのでございますが、この点の御配慮はいかがでございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 銀行の証券子会社の採算性の問題でございます。  証券業務の中で銀行の証券子会社ができない業務は、法律上は株式のブローカー業務だけでございまして、それ以外の証券業務については法律的にはできるような仕組みにしております。したがいまして、例えば株式につきましては引受業務ができますし、債券の場合には引受業務と流通業務もできるわけでございます。債券の流通業務といいますのは、これは主として、取引所に集中しておりませんので、ディーリング業務、自己売買業務になるわけでございますけれども、株式の引き受け、あるいは債券の引き受け、債券の流通業務というようなものを考えますと、現在非常に債券がたくさん出ておりますし、また従来株式に片寄り過ぎていた資金調達の反省もございます。やはり株式と債券というものがある程度バランスのとれた形で発行され、流通されるということが必要なわけでございます。  そういったようなことを考えますと、株式のブロー力ー業務ができないということで必ずしも採算が全くとれないということはないんではないか。株式というのはかなり価格変動の激しい商品でございます。銀行の場合には恐らく債券の引き受けあるいは債券の販売というようなものがよりなじんでいるのかもしれませんが、いずれにいたしましても株式のブローカー業務というものがないから致命的であるというふうな感じはいたしませんし、また先ほど申し上げましたように、私どもはまず発行市場において引受業務で競争をしていただきたいという考え方が強いわけでございます。  そういったことを考え、基本的には各銀行の経営判断になるわけでございますけれども、今申し上げたような状況からいたしまして、株式のブローカー業務を禁止したことが直ちに銀行の参入に致命的な影響があって全然参入ができないというようなことになるというふうには考えていないわけでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 そのとおりで進んでいくことを私も希望しております。  次に、このたびの制度改革は、我が国は世界の三大金融センターの一つとして、諸外国との調和のとれた制度とする責任があるからなどの理由も含まれているようでございます。確かに、先進国でも金融制度改革はかなり行われているようでございますが、我が国とは全く事情を異にしておるんではないかと思います。  すなわち、イギリスやフランスの制度改革を見ますと、自国の証券会社の国際競争力の強化、国内市場の空洞化回避等を直接目的として始められたものであります。カナダでも銀行、証券、保険、信託・貸付会社からの子会社方式による相互参入の制度改革がなされておりますが、これも基本的にはイギリスやフランスと同様の思想に立っていると言われております。  我が国の金融改革法では、銀行の証券参入ということで、銀行経営の健全性を確立することが第一で、証券市場や証券制度の整備拡充は第二次的になっているのではないかとの批判もありますが、この点、銀行局並びに証券局はどのように見ておられますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融の観点から申しますと、これはまことに御指摘のとおり、ヨーロッパ、それからカナダ、それから見方によってはアメリカもそうでございますが、いわば自国の市場や制度を内外の金融機関の利用者にとってより魅力的なできるだけ使いやすいものにしようとする動きがございます。それは例えば今おっしゃいましたような国内市場の空洞化の回避であるとかないしは自国の金融機関に競争力を付与するとか、それぞれの目的をあわせて持っているものであろうというふうに考えるわけでございます。  我が日本におきましても、やはり金融の国際化が進みまして金融資本市場が一体化していく中で、自国の市場を効率化し、それから内外の資金取引の交流をできるだけ便利にするようなそういう配慮というものを忘れてはならない、これが広い意味ではやはり利用者の利便につながるというふうに考えるわけでございます。  このたびの改革につきまして、殊に銀行の証券市場への参入を中心にしていろいろ御指摘のあるところでございますが、確かにそういう一面もございますけれども、そのほかに、再々申し上げておりますが、地域金融機関、それから中小金融機関に至るまで、業務の範囲を拡大し、創意工夫の発揮を通じまして自主的な経営上の判断による経営路線を選択していくという道を開いておる、それによって利用者の利便の増進に資するというようなねらいもこれまた持っておるわけでございます。もちろん、金融機関の経営の安定性は重要な課題でございますが、その問題を中心にして、いわば証券市場の問題を二の次にしておるというふうな考え方は私どもは持っておらないところであります。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今回の証券取引制度の改革でございますけれども、証券市場は資金調達を主として行います企業と資金運用を行います投資家とが利用者として考えられるわけでございます。そういう証券市場の利用者がより効率的な市場で資金調達、運用ができるようにというのが競争促進の一つのねらいでございますし、また、あわせていろいろな形の証券化商品が出てくる、これも資金調達者あるいは運用者にとってもそういう市場が整備されるということが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、証券市場の機能を強化する、あるいは効率化を図るという観点から今回の改革を考えているわけでございます。  参入という中で、銀行の子会社による参入というのが非常にクローズアップされているわけでございますけれども、私どもの考え方としては、あくまでも証券市場の機能を証券化に沿って拡大強化する、あるいはより効率的な市場をつくり上げていく、それによって証券市場の利用者である企業なり一般投資家の資金運用、調達がよりやりやすくなるといいますか、より開かれた市場にするということが必要ではないかというのがねらいでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 そうすると、一次的、二次的ということは考えなくてもよろしゅうございますか。最後に御質問して、時間ですから終わります。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 一次的、二次的と言われるのは、第一段階、第二段階というような意味かもしれません。私どもとしては、今回のこの改正が今申し上げたような趣旨に沿って現状で考えられる一番いい方策であるというふうに考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 終わります。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 この金融・証券関係の改革法案は、本当に金融・証券の各方面にわたっての案でございまして、民社党としては賛成の法案としているところでございます。したがって、これの改正の方向というものについては納得をするわけでございますが、きょうは特に改正をされる金融のあり方、金融・証券行政のいわゆる透明性の確保ということが答申の中にも特に入れられておるわけですね。制度的には非常に改革され、構図としてはいいんだけれども、その実際の運営については、行政の透明化ということに尽きるんじゃないかと思うわけです。  したがって、行政の透明化ということで見ると、結局この法案そのものがどれだけ行政の中できちんと法令化されていくか、それからまた、金融機関そのものが、自分たちが運営していくときに、その実施がどの程度、個別的な指導ということでなくて、制度的にきちんと定められたものとして、そういう基準なり、制度化されて客観的に決まったものの中で自由競争をやり効率を高めていくということに自信を持ってやれるようなことが必要じゃないか、こう思うわけです。  そこで、行政の中で区別して見ますというと、どの程度のものが行政の対象の中で法律事項として今度取り上げられたか。政令、省令の関係の問題として、通達からどの程度政令にし省令にしたか。三番目としてこれはイ、ロのところの答弁を光やってもらって、実際の運用の部面の検査基準というものに分けてやってみたいと思います。その点で、透明性の高い行政をやる場合の、法律事項と政令、省令事項との二つに分けて、これがどの程度今度の大改正の中で実現しているか、法令読めばわかるとおっしゃればそのとおりですが、一通り御説明願いたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 確かに今までの行政の中で、御指摘がございましたように、通達行政というようなことが言われました。これについて、この法律をあれするときに透明性というものを打ち出さなければいけないということでございまして、通達の中で重要なものにつきましては法令上の位置づけ、これを明確にすることの考え方に立ちまして、例えば自己資本比率規制その他健全経営のための指標につきましては、これは法令で根拠を規定するというふうにいたしております。  また、大口信用供与規制ということについて申し上げますと、その根拠自体は従来も法律で規定されたものでございますけれども、今回の制度改革に伴いまして、親子の連結ベースの規制を実施するに当たりまして、さらにその関係法令、規定を整備することによって対応するということにいたしております。  さらに、通達の簡素合理化を目的といたしまして、平成四年の四月一日付で、金融業界に共通の預金業務関係あるいは防犯対策関係のものなどで百三十一本を五十三本に整理をいたしております。それから、さらに四月三十日付で、普通銀行関係のもので百九十二本を四十三本に整理したところでございまして、合計三百二十三本が九十六本になったということを申し上げることができると思います。  いずれにいたしましても、通達の見直しにつきましては、内容の専門技術性ですとか、あるいは。業態間の実情の相違といった金融行政の特性とともに、御指摘の行政の透明性という観点を踏まえながら今後とも適切に対処していきたいというふうに考えております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 法令化を大臣から詳細に御説明いただいたんですが、自己資本比率については何か国際的にも規定されておるんですよね。その基準と同じようなものが、今度法律事項として自己比率を規定するということが書いてあるが、具体的なやつはやはり政令でやるのか省令でやるのか、自己資本比卒がどれぐらいになるのか、まだ検討中なら検討中。国際基準の、BISというんですか、そういうものに合うようになっているのかどうか。それから、健全経営の指標についての指導基準というんですか、そういうものはやはりマニュアルじゃなくて政令や省令の中でやる考え方なのかどうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 自己資本比率を例にとって申しますと、これは内容そのものにつきましては、いわゆるBIS規制というようなものをとっておりますものと、それから従来の、私どもは国内基準と言っておりますが、そのようなものと二種類あるわけでございますが、このたびは自己資本比率規制そのものについて法令に根拠を置くものにいたしたいと思っております。  ただ、その具体的な数字の定め方につきましては、これは今のところ告示でその数字を定めるということを考えております。  そのほかの経営諸比率規制につきましては、この際どのような規制がアップ・ツー・デートであるか、もう一遍見直したいという気持ちも持っておりますが、やはり原則といたしましてはその規制の比率そのものは、あるものは告示であり、それから多少専門的、技術的なものについては従来どおり通達によるというようなものも多少はあるかと思っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 それから、この金融機関のあり方について一番重要なのは、やはり金融機関に対する検査だろうと思うんです。その検査というものは、検査官が行って検査をするんだけれども、各検査官はいずれマニュアルを持って、訓練されてやるんでしょうが、税務調査と同じように、マニュアル的な客観的な検査の見どころ、こういうものに対してはどういうふうな見どころで検査をやって、それをしかも計量化していくことが必要じゃないかと思うんです。そういうものはいわゆるマニュアル的にやるのかどうか。税務調査そのものは私は細かいことは聞いていないわけですけれども、税務調査とはどういうふうに違う考え方になるか。銀行検査のマニュアルというんですか、基本というものについてきちんと成文化したもので教育指導をやっていくか。また、その基本の最重要項目については、検査対象たる金融機関にもきちんとこういうものが検査の対象として必要ですよというふうなことがわかるような基準の文書がつくられるのかどうか。また、どういうふうに改善しようとしているのかということについて御説明願います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融機関検査の進め方につきまして、例えば税務調査と非常に違う面があるということをまず申し上げたいと思いますのは、税務調査は要するに最後に所得なり税額なりが数量で、数字で集約される、それが結論でございます。  ところが、金融検査のそもそもの目的は、これは金融機関の健全性、経営の健全性をチェックするということが最終的なねらいでございます。健全性を評価するためには、例えば不良債権というようなものを積み上げていき、それが正味の、つまり対外的に公表したものではないありのままの実態を示すバランスシートの中でどのくらいの割合を示しておるかというように定量的に測定できる要素もございますけれども、しかしそれ以外の数量化できないような要素というものがやはりあるわけでございます。現在、この検査では、アメリカ方式に倣いまして、健全性の評価基準ということでキャメル方式というものを採用しております。これは自己資本の充実度とか資産の健全性、それから経営管理、収益の状況、流動性の状況ということで、基本的には数字で表現できる部分が多いのでございますが、経営管理のようなものはこれは数字では表現できません。したがいまして、やはりここは計量化して相互に比較するということにはどうしても限界があるということをまず御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから、検査の手法は長年の運用によりまして、大体今日では金融検査というのはどういうことをやるのかということについて検査を受ける方の金融機関に共通の認識はあると思っておりますが、このたび、実は証券取引等監視委員会に対しまして金融検査の概況などを報告するというような事務もふえてまいりますので、検査の実態をどういうふうに客観的にそういうような委員会の方々に御説明できるかどうか、その点はさらに工夫をしてまいりたいと存じております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 そこで、ひとつ具体的に聞くんですが、検査官の検査基準に、いわゆる融資が適正に行われているかどうかについて、一つの重要な要件として担保をとっているか、その担保の率が正しいかどうかということが挙げられると思うんですが、そういうような、いわゆる土地の担保率、株式の担保率について、具体的に担保率についての基準なんかを示される予定ですか。  それから、いま一つは不良債権ということがよく言われるんですが、不良債権と見る基準、これについては、検査上どういうものを不良債権として指定するか。あなたのところを検査した結果これだけの不良債権があると、積み上げたのが不良債権の累計になっているだろうと思うんですが、そういうふうな不良債権として認定する基準というようなものが検査官にきちんと示される予定がどうか。また、それは現にあるのかどうか、その二つについて。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 第一のお尋ねの担保の問題でございますが、実は担保徴求その他債権保全のあり方につきましては、やはり基本的にはこれは金融機関みずからの経営判断において決定すべき性格介問題であるというふうに考えておるわけでございます。例えば担保をとるとらない、それから担保をとった場合に、不動産や有価証券等の物的担保でどの程度の債権を保全するかというようなことは、これはやはり個別の経営判断でまちまちでございまして、事実問題として、いわゆる信用貸し付け、端的に申せば無担保、無保証の貸し付けも相当存在しているというふうに私ども。は承知をしております。  ただ、そのような個別判断によるものでありますから、一概に担保もとらないで貸すということがよくないとか、ないしは担保の掛け目が見方が甘いとかいうようなことについて、だからといって頭からその融資が不健全であると決めつけることはできないのでありますけれども、やはり専門家の金融実務上はおのずから一つの常識的な相場というものがあります。例えば不動産担保につきましては、ことしの三月に全銀協でまとめました報告によりますと、担保価格の算出につきましては、「銀行間によって異なるが、担保掛目は通常七八割とみられる。」というような記述もあるわけでございまして、やはり個別に一々機械的なルールを当てはめるということはできませんが、やはり業界の常識的な運用の考え方というものはあるというふうに見ておるわけでございます。  次に、不良債権のお尋ねでありますが、これにつきましては、ただ不良債権というだけでは一義的な定義はございません。そこで、昨今議論になっておりますときにも、私どもはこういうような定義によれば幾らであるというような定義を示しながら数字を説明しております。  具体的に金融検査の場合に、不良資産なり不良債権は、これは個別にチェックして積み上げるわけでございますが、このときの認定基準は一応文章としてまとまったものはございますけれども、その中で個別の融資をいわば査定していく場合に、この中の幾らの部分が不健全であるか格別の注意を要するか、その認定はやはりケース・バイ・ケースで、検査官の個別の判断にまつという要素がどうしても残るわけでございます。ただし、これも各金融機関横並びで、いろいろ検査をしておりますうちにおのずから共通の運用基準、判断基準というものがあるというふうに私どもは見ておりますので、決して恣意的に流れることはないと思っておりますが、私どもなお個別の検査の運用につきましては今後とも工夫をしてまいりたいと存じます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 それから、金融機関の経営のあり方について調査会で出ておりますね。経営のあり方について、各金融機関自身も自分の中の審査機能の充実、それからリスク管理の徹底をする。リスク管理の徹底ということは、いわゆる不良債権の発生をどういうふうにして防ぐかということのリスク管理を自分の行内でやれ、こういうことですね。それからいつも銀行局長が言う職員の教育、指導面というものを金融機関独自でやって、そして自己責任体制を確立せい、こういうことであるわけなんですね。  こういうふうな銀行経営のあり方についての三つの指標について、行政当局として金融機関の経営についての共通事項として、銀行協会なり信用金庫なり業界ごとにマニュアル的に経営のあり方についての協議というんですか、自主的な標準的なものをつくって研修をしてほしいということは、結局金融の不祥事に対処する方法として金融機関個々でやるものがあるけれども、銀行協会なり各金庫なり各業界ごとにそういうものについてのいわゆる申し合わせというんですか、そういうふうなものがあるんですかどうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融機関の経営のあり方につきましては、なかなか私どもの方から網羅的、包括的な訓示的な指導内容を文書で明らかにするということはしておらないわけであります。やはり根本的には銀行法の目的規定にもありますように、経営の自主的努力を尊重するということが基本でございます。  ただし、個別問題につきまして従来から法令、通達等に基づきまして例えば健全な融資態度の確立てあるとか、審査管理体制の充実強化であるとか、立ち入った問題では人事管理や教育研修などにつきまして、いろいろ基本的なあり方について触れた指導通達のようなものを出したことはございます。ただし、これまでのところ網羅的なものというのはちょっと記憶にないわけでございます。  それから、公共性その他につきまして、業界団体で何か具体的なきっかけがございまして考え方をまとめるというようなことは随時折に触れて行われておるわけでございます。先ほどちょっと御紹介いたしました不動産融資のあり方についての全銀協の研究などもその一例でございますし、それからもう少しいわば反省を込めた全銀協なり何なりの業界申し合わせというものも昨年以来多少の例を見たところでございますが、やはりそれは基本的には横並びで業界を共通に縛るということではなくて、それぞれの経営者が自分で気をつけていただく、これが基本であるというふうに私ども考えておるわけでございますので、指導といいましてもむしろその点は余り立ち入り過ぎないように気をつけるべきではないかというふうに考えております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 そこで、今度のバブル経済の進行過程を原因をそれぞれ調べてみると、こういうことが言えるんだと思うんですが、どういうふうになるんでしょうか。  結局、バブルの崩壊というのは過剰融資が原因だと思うんです。その中で、分類していけば、無担保貸し付け、担保貸し付け、それから債務保証。佐川急便のような債務保証ということを銀行検査でどういうふうに見ていたのか。こんなことがあっても佐川急便は銀行局で検査するわけにはいかぬですよね。各銀行ごとでぽっぽと債務保証が出てくる、捜査すればわかるけれども、銀行検査では佐川急便がどれだけ債務保証しているかということはちょっとわからぬと思うんです。佐川急便が総合的にどれだけというようなことはわからぬだろうと思う、銀行検査では。そういうようなものを見ていくというと、結局融資の限度額というものについて、やはり大蔵省と銀行協会ですか、各業界でそれぞれ自主規制の基準がなくちゃいかぬと思うが、どうでしょうか。  それからもう一つは、非常に今度顕著にあらわれたのが暴力団関係の会社とめ融資の関連。これは銀行にとってみれば非常に迷惑な話かもしれぬですね、融資する対象が暴力団であるかどうかわからぬ。一般的なゴルフ場の開発なり一般の土地開発なりで、一々それを銀行が責任もってこれは暴力団の融資かどうか事前に調査してなんかということまで大蔵省としても要求はなかなかできないだろうと思うんです。そこで、時たまたま、警察庁の方で暴力団新法ができて暴力団の取り締まりが今度実際に行われるということになっているので、大蔵省としてこの暴力団取り締まりとの関係で銀行融資をどういうふうに利用しょうとされるか、ぜひ利用していただきたいと思うんです。警察庁の方には、その次にどういうふうな協力ができるか、ぜひ協力してもらいたいという質問を後ですぐします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 暴力団関係の融資が非常に昨年以来問題となっているわけでございますが、これは昨年の八月二十八日でございますか、金融取引等における暴力団の介入排除につきまして、警察当局から各業界団体あてに要請を行いたいということで私どもに協力要請がございました。私どももその考え方を受け入れまして、金融機関の業界団体、さらにノンバンクの業界団体であります全国貸金業協会連合会というものもございますが、そのようなものに対しましても、暴力団の介入排除に努めるよう指示をしたところでございます。  今後とも暴力団の介入排除に向けて、業界及び個々の業者が自主的に最大限の努力をすることを期待いたしますし、それから確かに御指摘のようになかなか実務上難しい問題もございます。そのような問題につきましても、暴力団対策法を所管する当局からの助言を求めながらよく相談をして、どのような対応が可能であるか検討を続けてまいりたいと思っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 それで、警察庁に御質問しますが、今大蔵省の方の受け入れ体制が御説明あったわけですが、そういうことで僕は特にお願いしたいのは、結局銀行が融資をするときに、これが暴力団関係の会社であるのか隠れみのの会社であるかどうかということを知るために、おたくの方が、これはもう隠れみのの暴力団関係の会社ですよということが果たして具体的に大蔵省なり各銀行協会なり各金融団体なりに通知することができますかどうか。

石附弘警察庁刑事局暴力団対策部暴力団対策第一課長

○説明員(石附弘君) お答え申し上げます。  金融機関等の行ういわゆる暴力団関係企業に対する融資等が結果的に暴力団の不当な行為を助長することとなることは、これは暴力団対策上まことにゆゆしいことである、こう認識をしておる次第でございます。暴力団対策を効果的に推進しかつ暴力団の根絶を図っていくためには、暴力団を容認したりあるいは利用したりする土壌を除去する必要がある。こういう基本的な認識のもとに、今回できました、また施行になっております暴力団対策法におきましては、第十条において、「何人も、指定暴力団員に対し、暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。こういう規定を置きまして、その違反に対する罰則規定も設けたところでございます。  今先生御指摘の暴力団関係会社のリスト等を金融関係機関に通知なりあるいは周知させたらどうかという趣旨の御質問でございますけれども、しかしながら、一口に暴力団関係会社と申しましても、暴力団の活動への協力ないし関与の程度あるいは態様、これは必ずしも一様なものではございません。また、この種企業と金融機関との間の融資等の取引の目的あるいは内容にも種々のものが考えられるところでございまして、暴力団と何らかの関係があるという一事をもってこの種企業の名称の一覧を明らかにするということは、公務員の守秘義務等の問題もございましてなお慎重な検討を要するところでございます。  しかしながら、民間の公益団体による暴力団排除活動を推進していくために新たに暴力追放運動推進センターというようなものを整備しておりまして、そこにおきましては、暴力追放相談事業を守秘義務を有する相談委員が責任を持ってかつ専門的に行えるようにしてございます。そこと警察との連携、また御指摘のように大蔵省、また関係業界との連携によりまして、国民の願いでございます暴力団壊滅のために私どもも最善の努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 非常に難しい問題だろうと思うんですが、結局これは情報の把握の問題だろうと思うんですよね。だから、これは役所が直接はまずければ、今おっしゃったような暴力団対策関係の団体も警察庁の方でつくっておられるようですし、銀行の方も協会なり団体があるわけだから、その相互の連携を図るような、協力というんですか指導というんですかをやってもらって、そつのない的確な情報の収集をして誤りのないようにしてもらいたいと思うわけでございます。  そこで、きょうの締めくくりとして大臣、金融機関というのは日本の資本主義の根幹をなすわけですよ。どちらかといえば金融機関の不祥事件の方が証券業界の不祥事件よりか僕はその信用度というのは大きいような気がするわけですね。だから、金融機関の不祥事というものは、私は証券の不祥事以上に大蔵省としては、大臣としては重要視して今後当たっていただきたいと思うわけです。  これで質問を終わります。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今るる御指摘があったこと、私どもずっと傾聴させていただいたわけでありますけれども、御指摘のとおり、それこそ漫画なんかにも、えっ、銀行までが。なんというのが実はあったぐらいでございますから、確かに日本の資本主義の中におきまして、金融市場はもちろんあれでございますけれども、その中にありまして、銀行と金融市場というのは非常に大きなものがあろうというふうに考えております。今御指摘のあったことも十分私たち念頭に置きながら、これからもきちんとした指導というものをしていかなければいけないというふうに思っております。

竹山裕自由民主党

○委員長(竹山裕君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会      ―――――・―――――

国会会議録検索システムで原文を見る ↗