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123回国会参議院1992/04/28

国際平和協力等に関する特別委員会 第3号

発言数
222
登壇者
25
会派数
7
開催日
1992/04/28

会議録

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び風際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 本論に入る前に、総理に主として確認をしておきたい二、三の点を申し上げたいと思います。  その一つは、我が国の国際社会に占める地位、役割などから見て、これから積極的に国際協力、国際貢献を行っていくべきだ、大々的に展開をすべきだという点では共通の認識に立ち得ると思いますが、その点はいかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる冷戦後の時代を、私は過度に楽観的になるわけにはまいりませんけれども、しかし新しい平和秩序が構築される時代である、そういうふうにとらえ、そしてその中において、長い間人類が武器のために、戦争準備のために使っておりましたエネルギーを開放して、いわゆる平和の配当というものがおのおのの国ばかりでなく南北問題にも充てられるようになる。  そういう状況の中で、我が国は戦後そういう運動の先頭に立ってきた国でございますから、そのような新しい平和秩序のために積極的に貢献をしなければならない。また、そのような新しい平和秩序の中で国連の活動というものに期待されるところが大きい、そういう意味でそのような国連の活動にも積極的に貢献をすべきである、私どもはそのように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 内容的な話はおいおい申し上げてまいりますが、私ども社会党も国際貢献、国際協力、これは大胆かつ積極的に展開すべきだという基本的な立場に立っております。  問題は、その内容と担い手をどうするかということで恐らく見解が分かれる分野があると思いますが、問題はこれからの国際政治に対してどうかかわっていくのか、どういう進路を選択するのか、日本の将来についても非常に重大な問題でありますから、時間をかけて徹底的な討論をし、国民的なコンセンサスを得ることがまた非常に大事だというふうに思っております。性急に事を運べばよいという性質のものでない。そこで、国民的な合意を得られた分野、部分から実施に移すというような手順なども含めて、これからの論議の立て方、ありようについて私は申し上げておきたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、政府は政府といたしまして最善と考えます法案を国会に御提出いたしまして、既に何回かの国会において御審議を賜っておるところでございます。また、ただいまもその御審議がこの委員会において再開されようとしておるわけでございますが、政府といたしましては、ひとつ政府の御提案いたしましたところを十分に御審議をいただきまして、かなり時間も経過いたしておることでございますので成立をさせていただきたいと念願をいたしております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 どうもすれ違った答弁になっておりますから、この点はまた別に議論をいたしますが、本格的な議論を起こし徹底的に討論をして、これからの日本の方向づけ、あるべき姿、国際社会とのかかわりというようなことについて万般の議論をすることは非常に大事だという認識を私は強調しておきたいと思います。  そこで、総理からもお話がありました国際協力にかかわる基本姿勢、どういうスタンスで臨むのかということについて、一つは国連の役割と改組改革も含めて申し上げたいと思うのでありますが、総理からもお話がありましたように冷戦構造解体後、新しい国際秩序の構築をめぐってさまざまな議論が今行われております。その中で、国連の役割や機能に対する期待も非常に大きくなっているというふうに思いますが、しかし今日存在する国連は、世界的な軍縮、地域的な紛争の防止、南北格差の是正あるいは環境保全、人口問題、疾病や麻薬の問題などさまざまな課題が国際的にはありますけれども、これらの諸課題に有効に対処できる体制を国連は持ち切れていないというのが実は現実だと思います。  そこで、国連の改組改革を含む体制、機能の強化が非常に大切だと思っております。例えば安全保障理事会の改組もその一つでありましょう。さらには環境と開発に関する理事会を新しくつくってはどうかというような提案もなされております。そしてまた、平和保障基金の創設なども私どもが提唱しているところであります。こういうことも含めて本格的な国連の改組改革が必要なのではないかというふうに考えておりますが、総理はこの点どんな認識を持っておられるでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国は、戦後いわゆる国連中心主義を唱え、実践してまいりましたけれども、米ソが対立しております間は、そのような問題になってきますと国連がなかなか有効に機能しない場合が多かったということは御指摘のとおりであると思います。  しかし、いわゆる冷戦後の時代になりまして国連というものがにわかに大きな役割を果たすことになり、また湾岸戦争のような場合にその役割を果たしたわけでございます。また、米ソがいわば対立の解消をしたということは、従来世界を米ソがいろいろ取り仕切って紛争を未然に防止していたという面を考えますと、逆に局地的にいろんな紛争が起こりやすい状況であるということもまた申せますが、その場合にまた国連の平和維持、戦争防止の活動に期待するところが大きい。そのほかに、矢田部委員がただいま言われましたように、いわゆる非軍事的な、軍事的でないいろいろなもろもろの地球上の問題、これも国連に期待するところがにわかに大きゅうございます。そのような展開がここ二、三年の間に非常に急でございましたために、国連自身がそのような大きな仕事を十分に遂行するだけの体制になっていないということは事実であろうと思います。  先般も、安保理事会に代表を出しております国の首脳の会議がニューヨークでございましたけれども、やはりこの新しい事態に立って国連をより有効的に、効率的に、実効性のある仕事をしてもらうためにいかにすべきかということがすべての人々の関心事であったわけでございます。それは組織の面でもございますし、財政の面でもございますし、いろいろ今後とも国連が有効に機能するために加盟国が努めなければならない役割は非常に大きい、それは御指摘のとおりでございます。  殊に、国連憲章そのものは非常に古い文章になっておりますので、それについていわばこれを新しい時代に沿うように改めなければならないという議論は長いことあるわけでございますけれども、問題は極めて複雑でございますので、そのことがすぐに行えるような状況にはございません。しなければならない仕事ではございますけれども、なかなかすぐには実現しがたいところがたくさんございます。  したがいまして、ただいまとしましては、そういう問題を念頭に置きながら、現実に起こってくる問題に対して国連がどのように有効に対応できるかということに当面努力を傾注しなければならないのではないかというふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 新しい国際秩序の構築が国連を中心に行われるべきだ、その国連が必ずしも有効に機能をしていない、そこで国連改革ということが非常に国際政治の上でも大きな課題になってきているということの視点から申し上げましたが、もう一つは国際政治にかかわる我が国自身の姿勢と役割もまた大事な観点だというふうに考えております。  これは野田さんに伺った方がいいかと思いますが、我が国に対する国際社会の期待も非常に大きいし、また我が国としても積極的な役割を担っていくべきだと思います。特に期待が大きいのは我が国の資金力、技術力に対する期待が大きいわけであります。それにこたえるのはもとよりでありますが、それだけでは当然不十分なのでありまして、例えば平和と軍縮であるとか、それから持続可能な開発と環境保全の課題などもその重要なつでありますし、今回問題になっております人的な面での参加と貢献も非常に大事なテーマだというふうに私たちは思っております。こういう諸課題、これらにこたえるための理念と姿勢が実は問われていると思うのであります。  私どもといたしましては、平和主義と国際協調の精神を掲げた日本国憲法の立場に立脚をして、その精神を国際的に生かすことが国際政治に臨む我々の基本姿勢でなきゃならぬというふうに考えているのであるし、また冷戦構造解体後の世界はそのことがより現実的な課題になっているというふうにも認識をしているのでありますが、野田さんはいかがお考えでしょうか。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) 矢田部さんにお答えいたします。  我が国は、明治以来一九四五年まで数十年の間、世界から侵略者あるいは軍国主義の国、こういう目で見られ続けていたわけでありますから、とりわけアジアの国々が受けた痛みというものは非常に大きいわけでありますし、特に最近の従軍慰安婦問題に見られるようにその後遺症はいまだに続いているわけであります。したがって、我が国の国際貢献策につきましては、PKOの問題についてもあるいはまたODAの問題についても、非軍事に徹して、いささかもアジアの国々から軍事的な面で懸念を持たれるようなものであってはならない、このように考えています。  二つ目には、日本の国際貢献策は相手国の平和の構築、民主化の促進、そして人権の尊重、社会経済の発展に寄与するものでなければならない、これに逆行するものであってはならない、このように考えております。  それから三つ目には、我が国の国際貢献策は地球の環境の保全、このことを今私どもは重要な問題として考えていかなければならない、そういう立場に立って日本の経済力に見合った国際貢献策を国民の合意のもとで実施をすべきである、このように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 引き続き野田さんに伺いたいと思いますが、今お話があったような姿勢に基づきまして、政府の提出したPKO法案にする対案を社会党として野田さんを中心に出されました。この対案を政府案との比較を明確にしながら、その特徴点を説明をしていただきたいと思います。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) ただいまの御質問でありますけれども、政府案は、警察、それから選事業務、一般の行政に対する指導、この三つの分野の支援を除いては、PKFの分野も民生の分野もすべて自衛隊の派遣を中心にして行うことになっています。まさにこれは初めに自衛隊の派遣ありき、自衛隊派遣法と言ってもいい内容だと私どもは受けとめています。  したがって、私どもが提案をして御審議をいただいている社会党案は、この点に対して非軍事、民生、文民の立場に立って自衛隊を構成員とはしない常設の平和協力隊を置いて国連の平和維持活動や災害の救助に当たっていく、このような立場に立って御提案をしているところであります。また、国連の平和維持活動への参加に当たっては事前に国会の承認を受けていく、このことについても政府案と異なる部分でございます。  これが私どもの提案と政府案との一番の基本的な対比でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 国際協力を推進するに当たって、その担い手として政府は自衛隊を中心に考えているようであり、特にPKO法案はその色合いが強いわけであります。社会党の場合には文民による、文民を担い手とするということと、あわせて常設の機関を設けてこれに当たるということに特徴があろうかと思いますが、専門の機関、しかもそれは専門家や技術者などを集めた常設の機関を設けるということの意味と中身について、もう少し説明をいただけませんでしょうか。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) 常設という問題について考え方を御説明いたします。  国連の平和維持活動の記録を見ると、スウェーデンそれからフィンランド、ノルウェー、デンマーク、こういう国々の貢献が際立っています。これには二つの大きな理由があると私どもは受けとめています。  一つは、これらの国々が長い間国際紛争にかかわらず常に中立的な立場を維持してきた。このことの国際的なスタンスが評価をされて、国連の平和維持活動に受け入れやすい条件を持っている。このことが一つであろうと思います。それから二つ目には、これらの国々はPKO待機軍という常設の組織を持って平素からトレーニングを行い、派遣に備えているということであります。  したがって私どもは、北欧の待機軍と分野においては違いますけれども、待機軍を持っているという、常設的な組織を持っていることに着目をいたしまして、我が国が非軍事の分野で文民による平和協力隊を持つことによって国際的な要請に速やかに即応できる体制を持つことが国際貢献の上で非常に重要なことだ、こういうふうに考えているわけです。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 この点は総理にも伺っておきたいのでありますが、日本の国際貢献策の中で、PKO法案は特にそうでありますが、常設の組織なり体制を持たずにそのときどきにかき集めて人を送る、自衛隊を派遣する、こういうやり方には問題があると思うんです。自衛隊そのものに問題があると同時に、そういう協力の仕方よりも、今野田さんから提案のありました常設の組織を持っていろいろな専門家集団の結集を図る、それからさまざまな人々の協力をいただく、そして語学や技術の研修やいろんな準備をして海外に展開できるような体制をつくる。  常設機関の必要というようなことについては、総理は認識をどんなふうにお持ちでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 社会党の御提案を読ませていただいておりますが、ただいま常設の機関をつくることをどう考えるかということでお尋ねでございますけれども、どうもこれから社会党の御提案について御議論が当委員会でございますところを、冒頭に何か私が批判がましいことを申し上げることはいかがかとこう考えますが、多少そうなりましてもよろしゅうございましょうか、――それでは申し上げさせていただきます。  私どもは、自衛隊にこのような国連の平和維持活動に当たって機能をしてもらいたいと考えておりますわけでございますけれども、その理由といたしますところは、自衛隊が長年にわたって蓄積してまいりました技能、経験、あるいは組織的な機能を活用することが最も実効性のある人的貢献になると考えておるわけでございます。  地域によりましては、いわば平和維持活動に当たります人々の生活自身、それは水であるとか電気であるとかいうことから始まりまして食糧の確保、住居、それから衛生、いわば安全と申しますのは、戦闘行動はやんでおりましょうけれども、盗賊でありますとかあるいは地雷でありますとかいうこともございますし、それから移動等々のことを考えますと、かなりそのような訓練を受け、経験を持ち、組織を持っておるものでないとこのような平和維持活動になかなか当たりにくいということを大切に考えておりまして、そういう意味では新しくそのような中央の組織をお設けいただくよりは、現にそのような訓練を受け、本来の国の安全及び国際の平和に貢献をする仕事をしております自衛隊というものを活用することが一番相当ではないか。どうして、何ゆえにそのためにあります自衛隊を排除しなければならないのかということを私どもは理解ができないというふうに考えております。  次に、御提案によりますと、そのような国際協力隊は船舶、航空機等を保有するということでございますが、もとよりそのような船舶、航空機の保有には、仮に保有、運営が上手にできるといたしまして、大きな国家予算を必要といたします。自衛隊を持っておりますこと自身も相当な国民の負担でございますが、何ゆえにそれに加えていわば二重のそのような負担をしなければならないのかという問題があろうと存じます。  また、そのような国際協力隊についての要員をどのように確保するのか。にわかに、すぐには集まりがたいというふうに考えられますけれども、それをどうするかといったような幾つかの問題がございまして、私どもは今現に国民の大半の支持を受けております自衛隊がこの仕事に当たることが一番適当ではないかと考えております。  御提案の批判に当たりますところがございましたら、どうぞお許しをいただきたいと思いますが、そのように考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 批判はどんどんいただいて結構なのであります。むしろ、これは本格的な議論に私どもはのせたいと実は思っているのであります。  自衛隊はもともとソビエトの軍事力を潜在的な脅威だということで拡大をしてきました。そのソビエトが滅びました。だから、冷戦構造も本格的な解体過程に入っておるというところでは、もはや軍縮の対象。ここから出た資材や人や資金をアジアの貧しい人々、あるいはいろんな点で困っている方々に積極的に協力をしていくという思想が非常に大事だと私は思っております。ですから、自衛隊の持つ能力を軍縮とリンクさせて私たちも活用することにやぶさかではありません。問題は、自衛隊をそのまま派遣したり海外展開の突破口をそれて開こうとしたりすることに私たちは厳しく反対をしておるのであります。  そこで、これから軍隊ではない専門家の集団あるいは技術者の人々、あるいはさまざまな人の結集をつくって、少しく時間もかかりましょう、費用がかかるのも当然であります。そういうことを積極的にやっていくことがこれからの国際貢献策として、しかも常設の機関を設けてやっていくことが非常に大事なんだということを私たちは言っているのであります。その点、例えば医療のためには病院船をつくろうではないか、自衛隊を軍縮すれば輸送機などはどんどん持てるじゃないかということを具体的に提案をしているのでありまして、誤解のないようにお願いをしたいと思います。  自衛隊を現在のあるがままにしておいて、別に費用や資材をということだけ宣言っているのではないことを御理解いただきたいと思いますが、その点について野田さんにもう少し詳しい説明をいただきましょうか。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) 先ほど北欧の待機軍のことを説明いたしましたが、北欧の国々の待機軍がPKOに派遣されることに対して世界が信頼を置いているのは、この国々がかつて一回も侵略戦争に加担をしたことがないから信頼を受けているわけであります。我が国の場合には、国内でこそ自衛隊という形でカムフラージュされておりますけれども、アジアの国々から見れば従前の一九四五年以前のイメージが依然としてつきまとっているわけであります。だからこそ、隣の韓国や中国やその他の国々から懸念が表明をされているわけであります。  したがって、私どもが国際的に貢献を進めていく、しかもそれを時宜に適して速やかに対応できるような形の国際貢献策を進めるためには、やはりある程度の人員を常設的に持っていることが適切であるし、この常設的の意味が自衛隊ということであれば、また国論が二分をして今回のように二年余りの議論が続いても国民の合意が得られない、こういう状況が続いているわけでありますから、私どもとしては、矢田部さんからも御指摘がありましたが、軍縮とリンクをさせて自衛隊についでは削減を進めていく、そして片一方において常設的な国際平和協力隊という形で国際貢献の組織をつくっていく、このことが私は今の時宜に適した措置だ、こういうふうに考えているわけです。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 次のテーマに入りますが、最近、政府提案に係るPKO法案に対する修正論議がいろんな場所、いろんな形で行われております。その修正論議の一つのポイントにPKF、平和維持軍を凍結したらどうかという意見や動きがあるわけでありますが、これ自体私は幾つかの問題をはらんでいると思います。  一つは、もともとPKOには軍事部門と非軍事部門がございます。この両面がありますのに、政府のPKO法案なるものは、選挙などごく一部を除いて非軍事部門まで自衛隊の海外展開で賄っていく、自衛隊を担い手とする、ここにもう一つ大きな問題点をはらんでおるというか、そういう構造になっているのであります。なるほどこのPKF、平和維持軍は軍事部門の中心的な部分でありますから、それを抜くということが一つ問題点になることは当然でありますが、しかし、それを凍結したりその条項を削除したからといって自衛隊の海外派遣という全体的なこの法案の構造は変わらない、そこをやっぱり指摘をしておきたいと思います。  とりわけ非軍事部門である人道的救援活動、あるいはまた国際緊急援助という広範な非軍事部門にまで自衛隊を派遣する、ここがまたもう一つの批判の大きな対象になっておるのでありますして、この点をやっぱり見逃してはならない。F抜きとか平和維持軍は凍結をするということでは片がつかない問題が、本質的な問題が含まれているということを一つ私は指摘しておきたいと思うのであります。  そこで、PKFの凍結問題について数点伺っておきたいと思います。  最近、PKFへの参加は凍結するという提案や動きがあり、渡辺外務大臣もこれを促したり、受け入れる趣旨の発言を再三にわたってしておるわけであります。この点は後で渡辺さんに直接詰めたいと思いますが、どうなんでしょうか、政府のPKO法案では平和維持軍条項と停戦監視団の条項は毅然と区分けがまずできるんでしょうか、その点を伺っておきたいと思います。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。  この法案に基づいて行われる活動につきましては、この法案におきましては、第三条におきましてそれぞれの業務について仕分けをいたしております。ただいま先生の御指摘は、PKFと停戦監視団、どちらかと申しますと組織の面できちんと仕分けができるかという御指摘でございました。  私ども、ただいま申しましたような業務の面に着目して法案を作成いたしてはおりますけれども、同時に、今申しましたPKFとか停戦監視団のそういう仕分けの意味におきましても可能であるというふうに考えております。  まずPKFにつきましては、御指摘のようにこの法案のPKFの、私どもがいわゆる本体の業務と呼んでいる部分でございますが、法案第三条三号のイからへに掲げている業務、それからさらにはPKFの後方支援の業務といたしまして、これは法案のヌ、タでございます、輸送あるいは通信、それから医療でございます。  それから停戦監視団と今先生が御指摘でございましたが、これはいわゆる個人参加で停戦の監視等の業務に従事するわけでございまして、法案におきましてはイ、ロ等で規定している。そういうふうにきちんと仕分けが可能というふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 私が見る限り、この法案上もそう毅然と仕分けすることが極めて難しい。相互にオーバーラップしている部分もあるというふうに私は見るわけであります。  その議論とあわせて、概念上の仕分けはあるいはできても、もともと正式な定義があるわけではありません。最近のいろんな動きや国連の諸文書などを見ますと、むしろそれが混在している。停戦監視団と平和維持軍が一体化しているという事例が非常に多くなってきております。  例えば「ブルーヘルメット」という本などで紹介があります。   「国連平和維持活動は幅広いカテゴリーに分けられる。監視団はおもに、ほとんどの場合非武装である職員から構成されており、平和維持軍は軽武装の歩兵部隊から構成され、必要な兵站支援部隊をともなっている。」という一応の仕分けはいたしますが、続いてこう言っております。「しかしこうしたカテゴリーは完璧なものではない。監視団は普通、特別な目的や短期間の場合に、歩兵および、あるいは兵站部隊で強化されることがある。平和維持軍はその活動において、非武装の軍事監視団に援助されることが多い。」ということで、毅然と分けられるような状況には必ずしもなっていないということが実は指摘をされております。  特に、幾つかの例が挙げられております。例えばUNIKOM、湾岸戦争で多国籍軍とイラクとの間の停戦の際につくられたPKOでありますが、これは監視団に武装部隊がつくというような事例でありますし、それからナミビア、中米の監視団にやっぱり軍隊がつくというようなことで、現場は決して二つに截然と分けられて、これはいいがこれはだめというような関係にはなっていないというようなことを考えなきゃならないのでありまして、だからFを凍結するとかFを抜くという議論にも多くの問題点をやっぱりはらんでいるということをまず指摘をしておきたいと思います。  それから、これは法制局長官に伺いましょう。  平和維持軍を凍結する、これは凍結というのはどういうことを言うんでしょうか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  私も新聞等でそういう表現を拝見しておりますけれども、その意味するところといいますか、実質的にどういうことをということにつきまして、私の立場から申し上げる段階にはございません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 じゃ、一般論から聞きましょう。  法案を審議をしている最中に、あるいはこれから審議しようというときに凍結などということをした先例がございますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 法案の審議過程におきましていろいろの議論がなされることは事実だろうと思います。その中に、ただいま凍結ということの実質的意味がどういうことであるのか私もはっきりいたしません、法律的にはっきりいたしませんということを申し上げましたけれども、そういう意味で、法案の審議過程における議論の一つとしていろいろの立場からいろいろなことが言われている、かように思いますので、今の御質問に対して的確にこういうことというふうに申し上げるわけにはなかなかまいりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 的確にとかなんとか聞いているんじゃなくて、法案の削除とか修正とかというのは私もわかるんですが、凍結などという言葉は少しく耳なれないので、どこかの冷凍庫にでも入れておいて、時が来たらまた解凍するのかと思ったりもしたりするのでありますが、いずれにしても、そういう凍結というようなことを法律的に処理した先例がございますかと聞いている。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  ただいまも申し上げました繰り返しになりますが、凍結ということの意味が必ずしも法律的に明確でございませんので、その内容いかん、それによりましては法律的にどういう扱いになりますか、それによりまして判断すべきことと存じますが。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 政治的な発言、政治的な問題ですから、それはそれで言葉はいいんですよ。問題はしかし、法律が出ているんですから法律でどう始末をつけるのかということが同時に実は問われるのでありまして、そんな先例は私も寡聞にして見たことも聞いたこともないので伺ったのでありますが、そこで、次の問題に入りましょう。  これは内閣、総理がいいでしょうかね。恐らく先ほど冒頭にも総理が申されましたように、この法律案がベストとして考えて出された法案、しかも衆議院では強行採決までして無理やり通した法案、それが今次々に矛盾が露呈をして収拾がつかなくなってきた。国の内外からの批判も高まり、強まっている、というような状況から、政府自身もPKF外しを言わざるを得ないような状況、代表選手は渡辺外務大臣でありますが、みずからこれを促し、かつ受け入れるような積極的な発言をするということになると、一体法案提出者の責任はどうなんだと。完全に見通しを誤ったということではありませんか。認識が間違っておったということではありませんか。その点はどうお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は積極的に修正を求めるような動きをしたことはありません。  我々は原案を出しておるわけでございますから、原案どおりぜひとも成立をさせていただきたいということはもう口を酸っばくして言っておるわけでございます。しかしながら、参議院の現状から見て、自民党でこれを成立させるだけの議席数を持たないということも事実でございます。(「表れだな」と呼ぶ者あり)まあ哀れといえば哀れでございますが、しかし現実は現実でございますから、何とかこの法案を成立させたいという気持ちは十二分に持っておるわけです。そうしますると、やはり成立をさせるためには複数政党の御協力を得なければならない、そういうことであって、どういうようにすればそれができるのか、政党間で国対委員長を中心にいろんな動きのあることも事実でございます。  政府の意見を聞かれれば、我々は原案どおりオール・オア・ナッシングだというような硬直した姿勢では話し合いの政治にはならぬわけでございますから、話し合い、話し合いというのは皆様方のいつもおっしゃることでございますので、その話し合いに我々は応ずる意思があるかないかと聞かれれば、それは全くありませんというようなことは申し上げられません、やはり民主主義は話し合いでございますのでね。ですから、そういう場合には、仕方のないことであるが、原案になるべく近い形で、我々の仕事の一〇〇%はできないまでにも、なるべく近い形で話し合いをまとめていただければ次善の策だというようなことは言ったことがあります。(拍手)

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 拍手するようなことじゃないんだよ。  政府は、もう前にも議論が出ていると思いますが、国会法五十九条で、一つの院を通過した法律案については撤回または修正をすることはできないという法律になっているんですね/だから、あなたが修正だの撤回だの次善の策だのということを言うこと自体が軽率かつ不謹慎のそしりを免れがたいのでありますが、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)五十九条を読んでごらんなさい、法律を。これは法律の精神にも反するんです。五十九条は明確にそう書いてございますから、よくお読みください。  そういうことをしばしば口走るのも大変問題でありますが、これから参議院でいよいよ本格論戦が始まろうとそういうときに、この法律の根幹にかかわる部分についてその修正を受け入れるというような対応を政府自身がすることになるとすれば、その発一言は実は重大なのでありまして、法律の中心部分が抜けてしまう。我々は何をそれならば審議したらいいのか、何を論議すべきなのかということにすら実はなるのでありまして、その点では一連の発言、重大なやっぱり問題であって、もしそういうお考えが基本にあるとするならば、私は、そのほかいろんな問題が今飛ぴ交っております、指揮権の問題もそうであります、国会承認の問題もしかりであります。PKFの凍結、それを受け入れるということがやぶさかでないような発言が相次いで行われるということであれば、もう法案を審議するに値しない。全部一回白紙に戻して出し直すべきだ。政府がしかし撤回はできないのでありますから、これは自民党の責任ででもやっぱりやってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) もう矢田部先生は法律の専門家ですから釈迦に説法だと思いますが、国会法五十九条は当然のことを書いてあるだけなんです。衆議院を通過したものが参議院に来た場合、政府はそれを撤回したり修正したりすることは、やろうとしてもできませんよと、当たり前のことを書いてあるだけなんです。したがいまして我々は、先ほど言ったように、それを修正してください、ここはこう直してくださいといって我々が積極的に走り回ったとしても、そういうことはできませんよと書いてありますから、そういうむだなことは私はやりません、それはできないんですから。極めて積極的に我々が動いたわけでも何でもありませんから。  しかしながら、今まで政府案が衆議院から参議院に送られて何回も修正されていることはもう御承知のとおりでありまして、日常茶飯事なんです、これは。そういう場合に、それは社労の委員会でもどこででも、もう政府と与野党話し合いで、審議中に、じゃこうしょうああしようという妥結点を求めてやっていることはいっぱいありますから、それがみんないけない、こう言われたのでは私は本当に話し合いの国会運営というのはできなくなっちゃう。政府は常に硬直的なことばかり言っていると。そうじゃなくて、それは私は、やはり我々受け身の立場ではございますが、それらについて各党間でなるべく多数の党がまとまるというので成立てきるというのであれば、それは仕方のないことである、こういうことは、それは言ったって少しも私は法律違反になるとは思っておりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 いろんな提案や論議をする」のは、政府は一たん通った以上はこれは撤回ができないとか修正ができませんという立場は、それはきちっとお守りいただかなければならない。しかし、事実として修正とか撤回とか廃案とかという形があることももちろん当然でありますが、それはやっぱり政党政治ですから、政党間でやりなさいというのがこの趣旨だと私は受けとめております。したがって、政府が軽々に口をきいたり態度を示すべきではないというのがその趣旨だと思いますので、御注意をしておきたいと思います。  問題は、これだけ重要法案について連日のように各党の首脳やそれぞれの人々が毎日のようにいろんな発言をしているわけですね。どの政党が何を言おうとしているのか、法案が一体どうなってしまっているのか、国民の目から見ると実は見えなくなってしまっている。そこで我が党はきちっとした対案を出して内外に社会党の政策を明らかにしました。だから、他の政党もいろいろ言われることは結構ですが、公然とやっぱり公の場でこれを出していただきまして、委員長に対する要望、要求でありますが、やっぱり参議院のこれからの審議の仕方も考え直さなきゃならぬ。  本来は、全部白紙に戻して、全部最初からやり直しなさいと言いたいし、第一にはそれを求めますが、それぞれの政党がPKOに絡む国際協力のあり方、ありようはこう考えております、こういう政策で臨みますということを明らかにし、そして各党間で討論を起こし、質疑をやり、何がこれからの日本の進路であるのか、どういう道を選ぶのがいいのかということで、この総括質疑が三日ほど続きますが、これが終わったら委員長の主宰で各党間討論を起こしてほしい。そして国民から見える国会、わかりやすい国会運営にすべきではないかというふうに思いますが、委員長、いかがでしょう。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいまの矢田部委員の御発言につきましては、一応御意見として承って、検討させていただきます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは理事会で相談をする、提案を受けとめて相談をするということでよろしゅうございますか。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 一応、私が検討させていただいたその上で、理事会に語らせていただきたいと思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 正式の提案でありますから、委員長の検討じゃなくて理事会協議にしてください。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。  矢田部委員の御提案につきましては、委員長として検討させていただき、その上、必要な場合には理事会に語らせていただきます。  速記をとめて。    〔速記中止〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。  私の方で検討させていただく過程の中には、各党の意見も十分承りました上で、その上で私が判断して理事会に語らせていただく、こういうことにさせていただきます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 各党がそれぞれ連日のようにいろんな発言が相次いでいるわけでありますから、そしてまた政府との関係では、政府も修正に応ずるというニュアンスを渡辺さんなどが中心に出しておるわけでありますから、やっぱり正式の場でこれは本格的な討論をする、国民に見える国会にする、わかりやすい国会にするという意味では大事なテーマでありますから、ぜひそういう場をつくるよう御努力をいただきたいと強い要求をしておきたいと思います。こういう国会の政治、(「だめ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)逃げることはないじゃありませんか、どうして逃げるんですか。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 静粛に願います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 次に、指揮と指図の問題を伺いたいと思います。  日本がPKOを出すに当たって、その平和維持活動をだれが指揮するのか、どこに指揮権があるのかをめぐって前国会からずっと争いが続いてまいりました。国連はもう各種文書で繰り返し、この指揮権は国連にある、こう言っております。それに対して日本政府は、処分権や懲戒権を有する日本政府に指揮権はあると。国連の考え方、諸文書と日本政府の考え方は真っ向から対立しています。大内委員長は、国連に指揮権があることを認めさせる、そうすべきだと政府に迫るというふうに言っておられますが、宮澤さん、それをお認めになりますか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 新聞では見ておりますが、政府にじかに言ってこられたということはないんです。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 じかに言ってきたかどうかということを伺っているんじゃなくて、そういう要求が新聞を通じて出ておりますが、そういう要求があれば認めますか、そういう認識に立ちますか、こう聞いているんです。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ要求が正式にありませんし、政党間でいろいろネゴシエーションといいますか、話し合いが一部行われておるようには聞いております。政府・与党の間でございますから、改めて国対委員長等から相談があればそのときにきちんと政府の考えは申し上げたいと思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そこで、大内さんの見解というか認識は、私は正しいと思います。国連文書は全部そういうことで一貫しております。平和維持軍でありますから統一的な指揮、統一行動、統一対処を求めるのはもう当然の話なのであります。国連の指揮にのみ従って、それぞれの自国の指揮に従ってはならない、排他的な権利を国連の指揮権は持つとここまで書き込まれているのでありますから、日本政府に指揮権があるなどと言うのは大間違い。  なぜ指揮権があると日本政府が言わざるを得ないかということになると、憲法上、国連に指揮権をゆだねると武力の行使の問題とか幾つか設定したガラス細工のような条件が全部崩れてしまう。憲法上違反ということを言われることを恐れて、また事実違反になるのでありますから、無理やりこのこじつけの指図という言葉を使い出したのであります。  この問題をめぐっていろんな論争が起こりました。処分権や懲戒権がないから指図なんだというのが政府の御意見でした。だから指揮権マイナス懲戒権イコール指図という新しい言葉を編み出したのでありますが、これがまたインチキなんですね。  そして、法制局長官の統一見解が出されました。処分権あるところに指揮権があるのが通例だと、こういうものです。そうでしょうか。同一行政組織内であるならば処分権と指揮権は一致しております。それがまた通例でありましょう。どこかに派遣をした、ある行政機関から他の行政機関に派遣をした、お手伝いに行ったというときには決してそういう格好になっておりません。  今から一つ一つその例示をいたしましょう。  まず、災害対策基本法。国土庁長官、どうなっておりますか。

東家嘉幸自由民主党国土庁長官

○国務大臣(東家嘉幸君) 災害に対する責任を持つ私ども国土庁としては、海外に対するそうした問題等には、今、内容について私も具体的には承知しておりませんので政府委員から答弁させます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 国土庁長官に聞いているんだよ。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) 委員長から指名を受けたので、私の所管じゃないのでございますけれども、災害対策基本法の関係について、指揮ということで御答弁させていただきたいと思います。  災害対策基本法では、第六十七条第二項、七十二条第二項及び七十四条第二項に「指揮」という文言がございまして、指揮とは、市町村等が応援のために出動した他の市町村等の職員等に対しまして、その所掌事務について方針、基準、手続等を示し、これに従わせることを言うものである、そういうふうに理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ある県に災害が発生した場合に、他の県に応援を求めます。応援を求めたときには、そこの災害の救援活動はだれの指揮に従うかということになると、行った先の知事の指揮に従う。そう書いてあるんです、「当該応援を求めた都道府県知事等の指揮の下に行動する」と。いいですか。その際、懲戒権、処分権はどこにありますか。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) 災害対策基本法の先ほど申しました六十七条、七十二条、七十四条に基づいて、他の地方公共団体で発生しました災害に係る応急措置への応援に従事する者は、身分の異動を伴わないために、今、先生御指摘の懲戒処分等につきましては応援を求められた地方公共団体の長が行う、すなわち派遣親元の長が行う、そういう仕組みになっていると理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 指揮権は手伝いに行った先の方にある、それから処分権は原庁といいますか、最初に雇われたところに残る、これは常識ですよ。  消防法はどうなっていますか。

渡辺明消防庁次長

○政府委員(渡辺明君) お答えいたします。  応援出動いたしました消防職員の指揮についてのお尋ねでございますが、消防組織法第二十四条の四に定めがございまして、「応援を受けた市町村の長の指揮の下に行動するものとする。」とされているところでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 処分権、懲戒権はどこにありますか。

渡辺明消防庁次長

○政府委員(渡辺明君) 応援に従事いたします者は、先ほどお答えがございましたように、身分の異動を伴いませんので、懲戒処分は応援を求められた市町村長等が行うことになるものでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 法務大臣に伺います。  法務省、検察官は一般捜査について警察官に対し指揮権があると言われておりますが、懲戒権、処分権はどこにありますか。

田原隆自由民主党法務大臣

○国務大臣(田原隆君) まず、指揮権について申し上げますが、法務大臣として法務省全般の一般的指揮権と、検察庁に対しては検察庁法によりまして一般的指揮権と同時に個別の指揮権がありますが、個別の指揮権は検事総長を通じてのみ行えるということになっております。それに従わない場合の処分権は当然指揮者にあるはずでありますが、詳細は政府委員に答えさせます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 ちょっと全然とんちんかんな答えなんです。  私は検察と警察の組織、捜査に関する指揮と処分との関係を伺っている。

則定衛法務省大臣官房長

○政府委員(則定衛君) お答えいたします。  刑事訴訟法の規定によりまして、検察官が捜査活動を行います場合に、必要に応じて司法警察職員に対して具体的指揮を行うことができるという規定がございます。この具体的指揮に司法警察職員が従わなかった場合の懲戒でございますが、検察官がその指揮しました相手が属します警察組織の責任者に対して懲戒処分の請求をすることができる。したがいまして、実施権者は当該警察組織の責任者と、こういうことになるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そのとおりです。  運輸省、海上保安庁はどうなっていますか。

奥田敬和自由民主党運輸大臣

○国務大臣(奥田敬和君) 教えていただかなきゃいかぬかもしれませんが、一義的には保安庁の長官にありますけれども、最終の責任は運輸大臣でございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これは私の方で、そろそろ面倒になってきましたから、お教えしましょう。  海上保安庁法の二十八条というのがありまして、捜査などについては警察や税関と協力をしてやることになっているんですね。それでお手伝いに行くと、お手伝いに行った先の指揮に従うんです。しかしその懲戒権、処分権は原局といいますか、そこに残る。これが法律の体系なんです。基本構造なんですよ。これは当たり前のことでしょう。それを今度は、国連に派遣したときには、政府は、処分権が日本政府に残っているから国連には指揮権がないんだと言う。それが通例だなどという統一見解を出したから、それは間違っていると。これは国内法上もそうだし、今度は国際法を見てみましょうか。  防衛庁長官、NATOはどういう関係になっていますか。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(宮下創平君) 突然のお尋ねでございまして、NATOの組織、運営その他に関することでございますので、正確を期する意味ではあるいは外務省の方から御答弁いただいた方がよろしいかと存じます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これも時間のために、NATOそれから国連軍、といっても余りまともな国連軍じゃないんでありますが、在韓国連軍、この指揮と懲戒権との関係はどうなっているか。防衛庁でも外務省でもだれでも結構です。

柳井俊二外務省条約局長

○政府委員(柳井俊二君) 突然のお尋ねでございますので、私必ずしもその関係の資料を持っておりませんが、私の記憶では、NATOの場合にはNATOの統一司令部というのがございますけれども、ただ、各国がそれぞれの軍隊を提供している。で、司令部において作戦行動等について調整を図るという関係になっていると記憶しております。  それから、在韓国連軍でございますが、これは先生も御承知のとおり、国連憲章に基づく本来の意味での国連軍とはちょっと性質が違うわけでございます。これは安保理の勧告に基づきまして米国その他の加盟国が軍隊を提供したわけでございますが、これも国連安保理の決議によりまして、在韓国連軍は米軍の司令官の指揮下に置かれるということでございまして、懲戒権等はその派遣元の方が持っているというふうに理解をしております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 お聞き及びのように、国際法的に見ましても、NATOの場合にはNATO軍司令官が指揮権を持つ、当たり前なんですよ。しかし懲戒権や処分権はその派遣国が持つ。在韓国連軍の場合は、これは特別でありますが、アメリカの司令官に指揮権を持たせている。しかし処分権は、アメリカの指揮官ではなくて、派遣国の国々がそれぞれ持つ。これが国内法でも常識だし国際法も常識なんです。  ところが、ここで政府が大変な間違いを犯してしまったのは、法制局長官、これはもうやめなきゃならぬぐらいの重大な誤りですよ、一貫して衆議院から参議院まで説明をしてきたのは、処分権が日本に留保されているから、国連に平和維持軍として送っても国連には指揮権がありませんと。総理もそれに乗って、国際公務員でもない、国連の公務員でもないものがどうして国連に指揮権があるんですかと開き直ったりもいたしました。  そして、いろんな論議の経過があった中で統一見解を出している。いいですか、統一見解を読んでみますと、「我が国の国内法の用例では、一般に「指揮」又は「指揮監督」は、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対して職務上の命令をすること又は上級官庁が下級官庁に対してその所掌事務について指示又は命令することを意味しており、その違反行為に対し懲戒権等何らかの強制手段を伴うのが通例である。」、この通例からして処分権がない、国連には指揮権がない、指図しかできないんだ、そういうことで「指図」という用語を発明したんだ、こう言うのであります。  同一組織内は確かにそのとおりです。他にお手伝いに行ったり派遣したりした場合には処分権と指揮権が分離することになります。それでも法制上は全部指揮と言ってきた。全部この統一見解は間違っている。その限りで言えば、大内さんの指揮権は国連にありという主張は正しい主張ですよ。だから全体の派兵を認めるという立場には立ちませんけれども、その限りでは正しい主張です。これはもう統一見解を撤回しなければおさまりがつきません。まずそのことを求めます。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。  ただいま矢田部先生の方から、指揮あるいは指揮監督の特に国内法上の用語例に着目いたしまして、何が通例であるかという御指摘がございました。  私どもは、やはりこの見解で示しておりますように、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対する職務上の命令をする場合とか、上級官庁が下級官庁に対してその所掌事務について指示または命令する場合に用いられておって、したがってそれが違反行為に対し懲戒権等何らかの強制手段を伴うというのが通例であるというふうに認識しております。  それで、ただいまいろいろ地方自治体等の関係で御指摘にありましたけれども、そういった点につきましては、やはりこれはこのような制度の多くは、どちらかと申しますと臨時の必要に応ずるためのいわば例外的な組織の動かし方というふうなもので定めたというふうに認識いたしております。  したがいまして、私ども、この見解で申し述べた点、特に指揮の用語、国連のコマンドを指図としている点あるいは指揮についての認識について基本的に間違いがあるというふうには認識いたしておりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 全然問題になりません。いいですか、もう一回言いますと、軍事とか消防とか災害とか捜査とかというのは、お手伝いに来た人もお手伝いを受けた方も統一指揮のもとに統一行動、統一対処をしなきゃこれはやれないんですよ。それが本質であり常識なんだ。それが通例なんだ。特別の事例じゃないんです。同じ行政組織内なら指揮権と処分権は一致しているんですよ。これはまさに国連に派遣をする、平和維持軍として参加をする、その場合に日本国が処分権持っているから国連に指揮権ありませんなどというのが通例だと、そんなばかなことは絶対ないのでありまして、これはやっぱりどうしても撤回して、明確に、これまでの議論は全部これで通してきた、この責任者を処分するぐらいの大きな問題ですよ。そこをはっきりさせてください。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 法律専門家から言わせれば、ただいま答弁したとおりが正しいんだと私は思います。問題は、法律家はやっぱり純粋に物を考えますから政治家とちょっと違いますからね、厳格に考えていると。  しかしながら、コマンダーのもとでコマンドを受けるということは当然のことなんですね。受けられないようなコマンドについては、あらかじめ日本の政府と国連との間で約束事がありまして、そこでこの実施計画、実施要領、そういうもののすり合わせをやっておりますから、仮にそのコマンダーのコマンドを受けても憲法違反になるようなことは最初からやらないように仕組んで行くんですと、こういうことなのであります。  だから、それはわかりやすく言えば、それは指揮権に入るというのは非常にわかりやすい言葉なんですよ。だけれども、指揮権に入ったからといって国連の事務総長が懲戒権を持つわけではありませんと。  一般的にこの指揮という言葉はいろいろ使われますよ。例えば常識的に言って、今のような法制でなくて、デモの指揮者とかね。デモの指図者とは余り言わない、私知らぬ、確かに。デモの指揮者と。じゃ、各単産別な単産を指揮して、そいつがデモをジグザグやるな。やったからといって懲戒権は別にありませんし、それは運動会でも指揮者はおりますし、コンダクターも指揮者と言いますが、これはある意味では懲戒権は幾らかあるのかもしらぬ。高い音出せと言っているのに低い音ばかり出していると、そういうのを外すことはできるかもしらぬ。(発言する者多し)  だから、ちょっと静かに聞いてください、だから指揮といってもうんと厳格にばかり、全部懲戒権つきということには限らない場合もあるということは、先ほどの法制上からもそうなんですね。  だからこの問題も、もう一応部隊を向こうへ出した以上は出す条件があるわけですから、条件のすり合わせを最初から決めて出すわけですから、出した以上はやはり向こうの要するにコマンドに入ると、当然のことだと私は思います。(拍手)

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 拍手するような中身じゃないんです。  処分権がないのは指揮と言うわけにはいかないから、それと区別する意味で指図という言葉を使ったんだと。ところが、ほかの法律は全部処分権がないのに指揮という言葉で統一されている、災害だの消防だの捜査だのというのは。これはもう中身が問題があると同時に、立法ミスですよ。こんな用語の引き方ないですよ。日本の法体系が全部これはごちゃごちゃになってしまう。こんなでたらめな立法はない。立法技術的にも間違っている。内容上、大変問題がある。国連との関係でも幾つかの問題点が既に指摘されている。これは全部撤回すべきだ。それをしないうちはちょっと了解できません。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) ただいま指図という用語が今御指摘のいろんな点から明らかに間違いであるという、そういう御指摘がございました。  私ども、この機会にはっきりと説明させていただきたいと思いますが、この指図という用語を法案で選ぶに当たりましては、特に次の二つの点からいたしましてこの法律において使うのに最も適当な用語であるというふうに判断した次第でございます。  一つは、我が国の国内法上の用例で先ほど私が指摘しました。御理解得られなかったようでございますけれども、私どもとしましては、一般に指揮または指揮監督亡いう言葉を使う場合には懲戒権等何らかの強制手段を伴うというふうにして使っているのが通例であると認識しております。これに対しまして国際連合のコマンドと申しますのは、これはいわゆる派遣国と国連との間のモデル協定でも規定されておりますとおり、派遣国の要員がその国の公務員として行う任務に関して国連が行使するという性格の権限でございまして、懲戒権等の強制手段を伴わない作用であるということでございます。  そのような意味におきまして、国内法上使っております通例の用語例であります指揮または指揮監督とは性格を異にしているという認識、これがまず第一点でございます。  その次に、この法案ではほかの箇所におきまして、国内法上の通例の用語例としての意味で指揮監督という用語を用いております。やはり同じ法律の中で同じ用語は同じ意味で用いるべしという基本的な原則からいたしまして、私どもとしましては指揮または指揮監督以外の言葉をどうしても使いたかったわけでございます。その見地から、種々これは法制局長官とも審議いたしまして御教示を得まして、一番、法令用語担当といたしまして、この実態に着目いたしますと最も適当な用語例といたしまして指図がそれに該当する、そういうふうに判断いたした次第でございます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。    〔午前十時二十八分速記中止〕    〔午前十時四十八分速記開始〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。  矢田部君の質疑に対する補足の説明があります。渡辺外務大臣。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど私が答弁したんですが、それを要約して申し上げますと、要するに行った以上、指揮権の問題、こう言っているわけですから、国連の現地司令官は派遣される要員や部隊の配置、行動についての権限を持っています、このような権限をこの法案では指図と規定しておるのですと。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 指揮権は国連が持つ、具体的には国連事務総長、その委任を受けた現地司令官が指揮権を持つというお話でいいのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、今言ったように、私は要するにコマンダーがコマンドするんですと言ったわけです。そのコマンドをどう訳すかということでいろいろやりとりがあるんですが、政府はこれを指図と訳しておりますと。向こうへ行った人について、じゃこの指図に従わないのかというような問題がありますが、あらかじめこういうものはできます、こういうものはできませんというように、日本では自衛隊を派遣する以前において国連と実施計画とか実施要領をすり合わせしますから、その中で向こうの指図を受けることですから、向こうとの契約違反とかそういう問題は起きませんということを言っておるんです。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 渡辺さん、まだわかってないんだね。  それじゃ、指図と指揮というのはどこが違うんですか。指揮と指図の違いは。いや、ちょっと待ってください。渡辺さんの認識を聞いているんだ、知っているというから。わからなきゃその後あなたが出てくればいいんだ。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 丹波国連局長に最初にこれ答弁させて、それから外務大臣からやります。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生、申しわけありません、委員長の御指名を得ましたので。  今の外務大臣の答弁、基本的に外務大臣のおっしゃるとおりでございますが、既に先生御承知の国連の派遣国とのモデル協定というのが昨年の五月、国連で作成されておりまして、これは過去四十四年間にわたりますところの国連のPKO活動のエキスというものを取り出してモデルとして作成されたものでございます。その中の第七項、「権限」というところに次のような規定があるわけです。  参加国によって利用に供される人員は、PKO活動に派遣される間、引き続き本国の役務に服するものであるが、安全保障理事会の権限のもとに事務総長に付与された国際連合のコマンドのもとに置かれる。したがって、国際連合事務総長は、参加国。によって利用に供される人員を含むPKO活動の配置、組織、行動及び指令について完全な権限を有する。この権限は、現地においては、事務総長に対して責任を負う派遣団の長によって行使される。派遣団の長は、権限をさらに委任することについて統制する。  こういうふうにございまして、まさに先ほどから何度も申し上げておりますが、現地の国連の司令官が日本から行った要員に対して配置、組織、行動及び指令について完全な権限を有していろんな行動上の指図を行う、これをそのまま実施されるような仕組みを国内法でつくって出ていくことになっております。  したがいまして、それを今ここでどういう言葉で呼ぼうが、国連がこうしろああしろということは基本的にそれを実施する仕組みをつくって行っております。したがいまして、その言葉を指図とこの法令では呼んでおりますけれども、大臣が先ほど申し上げました、俗に言う指揮というものと中身はほとんど同じである。しかし、この場合には身分までにはそういう権限が及びませんので、誤解の起きないように念には念を入れるという意味で指図という言葉を使いましたけれども、実態的には司令官の言っていることをそのまま実現する仕組みを法案でっくっているんです。これは先生御承知のところだと思うんです。  よろしく、ひとつ御了解いただきたいと思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 余り力んだり長く説明しなくてもわかっているんですよ、そんなことは。だから私が指摘をしていますのは、なぜ指図という新語を発明したり使ったりしたかということもあるんですよ。これは憲法との関係。国連に指揮権を認めたりすると、国連の方針と我が国の方針に乖離が生じた場合、武力の行使だとか中断だとかいろいろ議論があるわけですから、それは別途やらなきゃなりません。それでは指揮と言えない。  そこで、前々から議論をしているのは、指揮と言わないためには、処分権がない、懲戒権がないから指揮とは違って指図という言葉を使った、こういう説明です。そうしたら、じゃ懲戒権のない、災害だとか他県に手伝いに行ったり、それから消防だとか捜査だとか、全部同じ用語例に直したり何かしなければ、用語上のまず混乱が起きます、同じ日本の法律の中で。それから、軍隊、連合軍とか共同で作戦行動をする場合には、統一司令官というのを置いて、全部そこの指揮に従う、しかし身分とか処分とか懲戒という権限は留保する、これが国際常識なんです。  余計な混乱をしている。日本の法制上もこれは非常に混線をしてしまっている。そして、国連の指揮を一貫して排除する姿勢をとってきた。ここが問題なんです。だから、今の説明は何度聞いたって、そんなことで結構ですなんという話にはなりません。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。  先ほど国連局長から答弁いたしましたが、国連のコマンドとは、要するに派遣された部隊がいつどこでどういう業務に従事するかといった点を指図する権限であるというふうに理解されておりまして、ポイントは、日本政府のと申しますか日本側の指揮権というのは、この法案の仕組みのもとでは、今申しました国連のコマンドをそのとおりに実施するために政府が部隊員に対して有している懲戒権等を伴う権限である。そういうことでございますので、私はその国連のコマンド、それを今申しましたオペレーショナルにいつどこで何をやるかという業務に従事することを指図する権限、それをまさにそのままそのとおりに実施するために、日本政府としてその部隊員に対して今申しました懲戒権等の強制力を伴う権限を有しておるわけで、まさにその権限のもとでそのとおり、コマンドどおりに我が国の部隊によって実施される、そういう関係に相なるわけでございます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 終わりにしてください。全然了解できません。法体系が全く基本の理解が違うのであります。そんな事実関係の説明を幾らしたって、今までの政府答弁は全部間違っているんですから、これはもう大変な問題ですよ、政治的にも、それから立法技術的にも、内容的にも。全部間違っているんですよ。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。  委員長といたしましては、本件の答弁に関し、政府においてさらに整理検討するよう強く要請いたします。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 委員長の指摘を厳しく受けとめて、そうしていただきたいと思っております。  そこで、次の質問に入ります。  人道的な国際救援活動というのがこの法案には盛られております。これは、人道的な救援活動にも自衛隊の部隊等が出動することになっております。この自衛隊の部隊等が出動するに当たって、どんな武器が携帯できるのか、どんな装備が持てるのかということについては、国連事務総長が必要と認める限度のものにする。――失礼しました。人道的な救援活動について自衛隊等が出動することになっている。その装備について、国連平和維持活動の場合には事務総長が必要と認める限度でその装備の枠組みをつくるということになっておりますが、自衛隊が出動した人道的救援活動についてはこの種の歯どめの規定がない。これはどういうふうにするのでしょうか。  人道的救援活動における自衛隊の装備の種類、数量などは日本が独自に決められることになっておる。しかも、法律的な歯どめがありませんから無制限になるというおかしな法体系になっているのでありますが、これはどう考えるんでしょうか。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) ただいま先生御指摘の点につきましては、この法案の第六条の四項で、この第二項第二号に掲げる装備こ装備の中に武器は入るわけでございますが、それがどういうふうに実施計画で定められるかということが書いてございまして、その中に幾つかの基準を設けております。  一つは、第二条第二項に照らして、これは第二条第二項と申しますのは武力の行使であってはならないという基本原則でございます。それから、同じく第三条一号、これはPKOでございますが、二号の人道的な国際救援活動の定義の規定の趣旨に照らしということもございます。こういった点に照らしまして、人道的救援活動を実施するのに必要な範囲内で実施計画に定めるということでございまして、特に人道的救援活動の定義の部分に戻っていただきますと、基本的にはこれは被災民の救援、あるいは紛争によって生じました被害の復旧のための人道的な精神に基づいて行われる活動でございます。そういう大きな枠組みの中での活動であるということがございます。  また、この法案に基づく人道的な国際救援活動、これは何分停戦の直後とかあるいは治安等がまだ混乱した状況のもとで行われることがあり得ますので、そういう意味で例外的な場合に自衛隊等の部隊に所属する自衛官にも武器を携行させるということはあり得るという考えのもとでつくっておるわけでございます。  ただ、私も申しましたけれども、第六条四項の規定に照らしますと、基本的におのずとそれについては歯どめがある、限度があるというふうに理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 武器の携帯、携行をどういうふうにするかというのは非常に重要な問題なんですね。これについて歯どめの規定がないんです、ここは。  特に、その次を申し上げますと、文民の隊員もいるわけです。この人たちにも小型武器を携行させ谷、貸与すると。人道的な国際救援活動、いろんな機関がやっております。ユニセフだとかWHOだとかUNHCR、難民高等弁務官事務所ですね、国際赤十字もそうです。武器なんぞはだれも持っていませんよ。日本のこういう人道的な救援活動、しかも自衛隊が持つのも大変問題だが一般の文民にまで武器を持たせてやると。こんな法制がありますか。いろんな厳しさはあるかもしれませんが、一切武器などは持たずにこういう人道的な活動に国際機関は従事しているんです。それについて歯どめもなければ、逆に文民にまで小型武器を持たせる、こういうような法制も大変問題だと私は思います。  そして、国際緊急援助活動につきましても、閣議で決めるとかなんとかいって、これにも法的歯どめ措置が全くありません。自衛隊が全面的にこの法案にかぶさり、そして担い手には武器を持たせる。人道的な救援活動まで歯どめなき武器の携行が許される。国際緊急援助についてもそうです。災害援助でありますが、これは自衛隊の艦船や航空機や海上保安庁の船などが行くことになると思います、法案では。これは一体的に附属をしている武器が全部出張っていくことになる。こんな法制、法体系がまず根本的に問われなきゃならぬと思いますが、いかがでしょうか。

野村一成外務省大臣官房審議官

○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。  人道的な国際救援活動につきまして、私先ほど強調させていただきましたのは、これは紛争に伴う停戦直後、あるいは治安等が混乱している状況のもとでございますので、その辺やはり要員の安全の確保という点に対する応分の考慮というのが必要だろうと思います。  他方、ほかの国の例ということで御指摘がございましたが、私どもこの点につきまして欧米主要国に照会いたしました。その結果、カナダにつきましてはほとんどの場合にそういった活動については武器を携行しない。ドイツにつきましては、例えばヘリコプターのパイロットの制服にはピストルが含まれており、そのまま携行するということがあり得る。イギリスについては特に法的な制約はない。イタリアにつきましては、軍の参加というのを前提としますれば武器の携行は必然である。ただし、その場合でも武器の使用例はないということでございまして、これは先ほど申しましたような人道的な国際救援活動という定義、その趣旨にかんがみますれば、本当に要員の護身と申しますか安全の確保、そういう見地に着目いたした対応であるというふうに考えて、そういうふうに理解していただきたいと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 紛争地域だから要員の安全だとか云々というお話でありますが、そういうところでも国際機関は武器など持たずに仕事をしているんですよ。おかしな話じゃありませんか、これから日本が国際的に出かけていくのに、自衛隊はもとより文民にまでピストルとか小型武器を持たせると。そういう法体系を公然とつくって何が国際貢献かと私は言いたい。重要な問題なんですよ、これは現地に行った場合に。  時間がありませんので、幾つも課題があってと一でも足りませんが、あと残された時間をカンボジア問題に少し絞って伺っておきたいと思います。  カンボジアの和平と復興につきましてはだれよりもカンボジア人自身の努力が中心とならなければならないと私は考えております。すべてを国連が握ったり、海外からの支援に頼るという構造にしてはならない、海外からの支援に頼るという構造になってはならない、この原則の上でUNTACなどに代表される国際社会の支援策がつくられるべきであり、その中で適切かつ可能なものには日本も積極的に参加、協力するという姿勢が必要であると思います。  この観点から社会党は先日、カンボジア国民の自立支援策というものを発表いたしました。この考え方も、非軍事、文民、民生という基本に立って今カンボジアのために何をなすべきか、何ができるかを明らかにし、同時にまたその政策と方針を持って今我が党は調査団をカンボジアに配置をしました。現場を見、直接カンボジアのさまざまな要求を持ち帰ってまた政府にもお願いをしたり、それから国民的な課題として取り上げていきたいというふうに考えておりますが、そのカンボジア政策について野田さんの方で考えているところがありましたら一言コメントしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) 矢田部さんにお答えいたします。  まず、カンボジアの支援につきましては、日本はかつて戦争中に援蒋ルートを軍事力によってストップする、こういう軍事目的であそこに武力で進駐をしていった、こういう過去の暗い事実、これを反省する上に立って現地での平和的な支援を行っていく、こういうことでなければならないと思います。そしてまた、今カンボジアではボランティア活動等もかなり行われているわけでありますけれども、私どもがカンボジアについて今まで調査をした中で、支援として一番有効であり現地から求められているものはインフラの整備、具体的に言えば自動車の修理であるとか、あるいは井戸を生活地域に掘ることであるとか、医療の供給、そういう分野が一番求められている、そうい立場でカンボジアのまず自立を促進していく、そういうことで支援をしていくべきだと、こういうふうに考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 そういう立場から三つの分野にわたって私どもは政策と方針を明らかにしました。  一つは、難民の帰還と定住についてであります。それから、二番目には、難民だけではなくて国内の避難民というのも相当数おられるわけでありますが、これを含めたカンボジア国民の生活基盤の整備、復興、インフラなどでありますが、これを第二に提起しました。そして三番目には、UNTACの活動への参加、協力の問題ということであります。  そこで、幾つかの点で政府にも見解をただしたいのでありますが、一つは資金であります。UNTAC本体で難民の帰還や復旧資金に合計約二十五億ドル、三千三百億円ぐらいのお金でありますが、こういう計画を立てております。明石代表は、そのうち三分の一ぐらいは日本で負担してほしい、負担していただけないかというような希望を表明しているようであります。金額としてはしたがって千百億円程度でありますが、それについては渡辺外務大臣、どんなふうにお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ具体的な金額の話までは相談に至っておりませんが、応分のことはしなければなるまいと考えております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 応分のこと。三分の一ぐらいという一つの考え方を示しているんですが、それについては十分検討されるということでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国連の分担金等は一二・四五%ということで一応決まっておりますが、プラスアルファと。三分の一という数字を申し上げるわけにはまいりません、プラスアルファ。そのアルファがこれくらいか、これくらいかはこれからの相談であります。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 カンボジアが大事だ大事だというお話、自衛隊を前面に出すんじゃなくてやっぱりお金を基本に一つ置く必要がある、もちろんお金だけじゃありませんよ。  それから二番目には、国民の生活再建という課題が大きいわけですね。それにつきましては、道路や上下水道、電気、あるいは病院、学校、それからカンボジア国民の生活に必須である基盤整備、それから人材の養成というような問題も含めて最大限の支援がなされなければならないというふうに考えております。そして、それは当面の課題としてだけではなくて、例えばODAの緊急援助、あるいは青年海外協力隊員の大幅な増員とその配置、さらにはNGO、これはいろんな活動を既にもうやっておられますが、これに対する。思い切った補助の増額というようなことも含めて政府として緊急に検討してはいかがかということを考えておるのですが、その点はいかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) いろんな問題を総合的に検討いたします。負担をするということは、国民にそれだけ負担をしてもらうということですから、やはりこれは慎重にやらざるを得ません。財政当局とも政府内部でよく相談をした上で決めていきたいと考えます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 それから、これからの復興援助をするに当たって大事なポイントの一つに、既にいろんな問題が出ておるのでありますが、タイ及びベトナムの国境地帯などを中心にして森林の伐採が大変無秩序に行われていて、環境破壊が既に問題になっている。そういう環境破壊が深刻になり、日本の企業が既にこれにかかわっているという指摘もなされております。  そこで、この援助だとか開発という美名に隠れて環境破壊とか利権とか汚職というようなことについて十分に注意をしていかないと、いろんな点で戦後開発復興ということには問題がまつわるものですから、その点、心してこれから政府も対処していただきたいということですが、その点はいかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) もう十分心して対処します。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 それから地雷の撤去問題があります。これは私たちも非常に重要だと思っているのでありますが、五十万個とも三百万個とも言われておる。これをどう撤去するかということについては私どもいろいろ調べました。  一つは国際条約があります。特定通常兵器条約。その議定書を見ますと、地雷などは埋めた人が掘る、これが原則になっておるんですね。国際法上のこれが基本になっているということは一つ踏まえておく必要があると思います。  それからもう一つは、UNTACの作業というのは武装解除、兵隊さんが武装解除されるわけですね。これは相当数、当面は七〇%の武装解除を行うということが予定されております。そうしますと、二、三十万の人たちが失業状態になります。この人たちの生活を見る対策にはまだなっておりません。  そこで、ここは知恵を出す必要があるのでありますが、その人たちに例えば一定の手当を支給して現ってもらう、これが一番生活や雇用の面から見ても適切であるというふうに私は思っておるんです。この経験は既にアフリカで国連が行っておりますし、カンボジアでも今そういう実験的な作業が始まっております。こういう方向を促進していくことがやっぱり一つ重要な視点じゃないか。それについて日本も一定の資金なりを提供していくということなども考え、推進をしてみてはどうかというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) まず、地雷の撤去でございますけれども、現実に軍として地雷の撤去にかかわっておりますのは、先生御承知のとおり、タイから来ております七百人余のタイの軍人さんでございますが、これに加えましてニュージーランドそれからイタリアの地雷訓練のための要員を国連が今養成いたしております。この地雷訓練のための要員はそれではどういう訓練をするかと申しますと、一部には先生が今おっしゃった動員解除された後のカンボジア人もそういう訓練の対象とするということをUNTAC自身が考えておるというふうに理解しております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 UNTACはこれからいろんな作業をしていくわけでありますが、例えば選挙監視あるいは文民警察という分野でもいろんな人員の計算が出され、日本にも恐らくいろんな要請が来つつあると思いますが、この現状はどうなっておるでしょうか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生おっしゃるとおり、例えば、この選挙の問題をとりますと、国連は投票の時期には国際要員として千四百人の要員が必要であるというふうに言っております。それから、その前に選挙の登録の問題もありますし、そういったことで数字が挙がっておりますが、現実には例えば投票は来年の四月か五月に予定されておりますので、現在はその人集めと申しますか要員の募集というのはまだ行われていないというふうに承知いたしております。  ただ、先般、赴任の途次東京に滞在しておりました明石代表は、この選挙監視の千四百人のうち四百人はボランティアなんですが、そのボランティアの四百人のうち四十人ぐらいは日本から来てもらえないだろうかと。それから残った千人のうちの一〇%ぐらいはできたら日本から来てほしいなというような発言をしておられたということは御紹介させていただきたいというふうに思います。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 これから選挙の実務とか体制づくりとか、それから公正な選挙が行われるような監視とかということで、非常に大量の人たちをカンボジアの内外から求めているのがUNTACの現状だと思います。それからシビルポリスといいますか、文民警察につきましても世界に対して三千六百人ぐらい要請をしている。  ということになりますと、私どもは、例えばこの選挙関係では、選挙の実務経験者というのは都道府県、町村にはおりませんから市レベル以上におるわけでありますが、各県で十人ぐらいずつ出していただいて五百人前後と。それから警察もそうでありますが、都道府県から約三百人ぐらいの協力を求めて出すような準備と条件づくりをしてみてはどうかというような提案もしているのでありますが、その点、選挙ですから自治大臣がいいでしょうか、どんなふうにお考えでしょうか。  政治論だよ、自治大臣だ。

秋本敏文自治省行政局公務員部長

○政府委員(秋本敏文君) お答え申し上げます。  地方公共団体の職員で選挙関係の事務に従事している職員がございますので、そういうような事態が生じました場合に、関係機関と御相談をしながら、地方公共団体の自主的な発意による協力を求めるということで私どもも努力してまいりたいと思います。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(塩川正十郎君) これは法案の中に業務として書かれておりますので、この法案が通りましたならばそれに従いまして実行するということでございますが、実行に際しましては先ほど公務員部長が言っておる基準に従って実施いたしたいと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 その姿勢が問題なんですよ。私どもはずっと今幾つかのケースを例示、列挙してまいりましたのは、法案が通らなくとも、自衛隊が行かなくてもいろんな分野で日本が協力する対象がいっぱいある。どうしてそれをやろうとしないのか。法案が通らなければとか通ったらやるという性質のものじゃないんじゃありませんか。渡辺外務大臣も時折言っておられるようでありますが、法案が通らなければ出せないとか、出さないとか、難しいとかと。これはどういうことなんでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、法案が通らないということは考えていないんです。必ずこれは話し合いの上で法案は通していただけると。あと何カ月もかかるわけじゃありませんので、だから今から法案が通らないことを前提で作業はいたしておりません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 法案が通る通らないにかかわらず、現実にこのUNTACの作業が始まっておる。いろんな要請も来始めている。ということになりますれば、非軍事、民生の分野でいろいろ協力をすべきことがたくさんあるじゃないかと。法案に係らしめる必要は全くないんですよ。どうしてやらないんですか。どうして法律ができなきゃだめなんですか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) できるものはちゃんとやっておりますし、現実に財政面の援助やなんかもいち早く日本はやっております。しかしながら、組織的にやるようなことについては、法案が間もなくこれは成立する見込みでございますからお願いをいたしまして、そう思っておりますから、それと並行的にやっていきたいと思っています。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 自治大臣、これは法案が通ったらやるというのはどういうことですか。通らない前はできないということですか。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(塩川正十郎君) 第一、具体的な要請はまだ来ておりませんし、またそれが来たといたしましても、国内法で処理する場合にはやはり根拠法としてこの法案が成立しておることが条件であろうと思っております。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 全部間違っているんです。この法律がなくても、いいですか、法律が根拠法になる、根拠だというのは間違いです。以前、例えばナミビアの選挙監視には日本から二十七人の人員を派遣しております。別にこれは法律なしにできているんです。今の政府の姿勢がきちっとしさえすれば十分にできるんです。それをあたかもPKO法案を人質にとって、それが成立しなければカンボジア援助はできないと、そういうごまかしで政治を仕切ったり対応しては断じてならないと私は思っているんです。とんでもない話なんだ。  例えば定員法の問題がありましょう。五十一万人ぐらいでしょうか、今の総体の数は。実際はしかし、四十八万ちょっとしかおらないわけですから、十分定員法の枠内で、法律の改正なしに何百人かの人たちを送ることは今の制度で可能なんですよ。身分とか補償についてもナミビアの立派な経験があるわけです。それをPKO法案が通らなければ出せないとか出さないとか、こういう姿勢こそが国際社会からむしろ厳しく問われているのであります。そして、自衛隊だ自衛隊だと、何でも自衛隊だというのがこの法律である。  これは総理に伺いましょう。そういうことで、総理も以前は、日本の国には国際的な協力や貢献をするについてもやっぱり日本の個性、特色、これを生かした貢献策があると。平和憲法という立場ももちろんあります。そこで、かって総理も非軍事的貢献、日本の特色を生かした貢献を中心にすべきだということを物の本などにも書いておられます。この立場からしても、これはカンボジアの支援というのは国民的な合意になってきているわけでありますから、自衛隊を抜きで、そしてこれだけの貢献策があるわけでありますから、これを積極的に推進すべきではないでしょうか、予算措置や人の配置も含めて。そして、日本ができることをやっぱり中心になって日本がやるという姿勢に立つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど矢田部委員から、この法案の第三条でございますか、イからイロハニホ、ずっと列挙してございますこの仕事の中で、なかなかはっきり分けられないものもいろいろあるんではないかという御指摘があって、あるいはそういうことがあるかもしれない。つまり政府としては、これ全部合わせましてこういうことをいたしたいと思いますということを、その中にはおっしゃいますように、厳密に言えば法律がなくてもできるものもあろうかと存じますけれども、全部合わせましてひとつ国会のお許しを得たい、こういうふうにお願いをいたしておる立場から申しますと、国会で御審議の途中でもってその中のある部分だけをこれはできますのでさせていただきますということは政治的には、法律的には不可能でないと思いますけれども、政治的にはやはりよほど考えていたさなきゃならない問題であろうと考えております。  国会でこれ全部もうよろしいよとおっしゃっていただければよろしいんですけれども、そうでない、御審議中でございますものですから、この部分だけは実は法律はなくてもできますのでということは政治的にどういうものかなということを私自身は実は考えておりますの止、それからちょっと違う話でございますけれども、先ほどもナミビアのお話をなすって、私は、かつて選挙管理と申しますか監視と申しますか人を出したことがあるということを事務当局に聞いてみますと、それは余り大きな人員ではなかった、二十何人と言ったと思います。  そういう意味で、外務公務員に身分を変えるとか、あるいはたまたますミビアはそんなに難しい、いわゆる瘴癘の地と言ってはいけませんけれども、比較的勤務といいますか活動状況の楽なところであったのに対して、カンボジアの場合は必ずしもそうは言えないと。したがって、どうやっていわば生活をしながら選挙の手伝いをする、安全とか生活とかいうもの、移動ということもございましょうし、そういうことになりますと、やはり身分とか補償とかいう問題が現実にはあって、地方からひとつ出てくれないかと勧奨をしましても、そこのところがどうもはっきりしなければなかなか出しにくいというような、たしかそういう実情を私は政府委員から聞いておるんでございますが、その辺のことはお許しを得て政府委員から申させていただきます。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 時間もありませんから私から説明しますが、例えば定員法の枠内で操作が可能なんですね。これは実人員と定数との間に二万人ぐらいの幅があります。それを外務省の職員にするというのは通常のやり方だと思いますが、これは閣議で可能なんです。  それから身分の問題については、これはナミビアの経験があるのでありまして、例えば手当を五割増しにするとか、公務員災害補償制度の適用をやるとか、それから保険などは保険料を負担して掛けるとか幾つかの手だてを横じますれば、予算措置はある程度立てなきゃなりませんが、つまり政府の姿勢いかんでやれると。そしてまた、これをやるためには語学の研修だとか現地にかかわる勉強とかも既にもう準備をしなきゃならぬ。これをPKO法案に係らしめるというやり方だけは私は断じてやるべきじゃない。   カンボジアについてはやっぱり緊急にこれは各党間の意見もまとめて、民生支援、非軍事貢献、この典型例をつくり開いていく必要がある、そのことを私は強調しておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、先生のおっしゃっていることの中で、政府は法案を出したじゃないか、出しておきながら修正に同意するとはけしからぬ、法案を出しておるんじゃないかと。まして法案が今通りそうな間際まで来ておるときに、それを通らないことを前提にして別な行動を開始すると、こういうことはできません。

矢田部理日本社会党・護憲共同

○矢田部理君 重大な発言ですよ。今極めて人道的な支援をしようと、戦争をおさめてこれから戦後復興に協力をしていこうと、そのときに、(「そんなところに行くやつはおらぬよ」と呼ぶ者あり)いや、大勢のボランティアが既に先行していますよ。いろんな活動していますよ。NGOの活動なんというのはやっぱり立派なものです。これを政府がやらないということは国際貢献に対する姿勢が問われることになる。自衛隊の海外派兵だけをやっぱり念頭に置いている。この法案にはそういう点で私は厳しく反対をしていきます。  同時に、このカンボジアの支援については、緊急に政府が策を構じ手だてを講ずることを強く求めて、私の質問を終わります。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 私は、自由民主党を代表いたしまして、基本的な若干の問題について質問をいたします。  まず、平和の必要性と平和の意味するものについてでございますが、きょうは記念すべき日でございまして、第二次大戦で敗れた我が国が国際社会への復帰を果たしたサンフランシスコ平和条約の発効から満四十年を迎えた日でございます。総理としては直接的間接的にこれに関係をされ、今日の豊かな平和な時代を迎えたこのとき、感慨深いものがあろうかと思うわけでございます。我々の生きている二十世紀は二度の世界大戦と冷戦を経験し、平和がいかに大切かを身をもって経験してまいりました。冷戦時代の終了により、再び真の平和を構築する時代を迎えたと言わなければなりません。これから二十一世紀に向けて平和をいかに長期にわたって定着させていくのか、まさに人類の英知が試されていると言っても過言ではないのであります。  経済の発展と情報化の飛躍的な進展によりまして、人類はこれまでかつて経験したことのないほどの相互依存関係を見るに至りました。環境問題、人権問題、貧困や麻薬の問題、そしてテロといった国境を越えた地球規模の人類共通の課題に直面をいたしておるのであります。残念ながらこれまで東西対立のもとでは取り組めなかったこのような問題も、平和が確保されて平和をベースとして初めて解決の可能性が出てきたのであります。したがって、私どもは何としてもこの地球上に国連を中心とした平和の実現を図らなければなりません。戦争と平和の問題は決して一国だけの問題ではなく、国際社会がひとしく立ち向かわなければならない人類共通の命題であります。その意味でも、我が国だけがきつい、汚い、危険なことはしない、安全はただでといった考え方をとれば、それこそ一国平和主義のそしりを受け、国際的に孤立への道を選択することになると思うのであります。  一昨年来、国会で行われているPKO法案審議や国際的な責務に関する論議もまさに時代が要請をしている課題であり、我々日本人は、日本が平和の果実を単に享受するだけでなく、世界の平和と安定のためにいかなる責務を果たすのかという問いに対する答えを明確な形で示さなければなりません。その点にこそ日本と日本人の真価が問われていると思います。この点について総理の御認識をお伺いいたします。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) サンフランシスコ講和条約が発効いたしましてまさに四十年、来し方を振り返りましてお互いに感慨の深いものがございますが、あのときに単独講和か全面講和がという非常に難しい問題がございました。我が国はああいう選択をいたしまして今日の繁栄をいたしましたが、ただ一つ、その結果としてソ連との講和条約というのは結ばれていない。これは、やはり領土問題を解決いたしまして講和条約を結ぶべきときが来ているというふうに考えます。また、日米安保条約を締結いたしました結果、我が国が必ず戦争に巻き込まれると言われた政治勢力は当時相当あったわけでございますけれども、幸いにしてそういうことにならなかったことは喜ぶべきことであるというふうに考えております。  あの当時、我が国はいわば世界の平和の受益者であったわけでございますが、今日、ただ受益者であることはもはや許されない、御指摘のとおりであると思います。平和に積極的に貢献をしなければならない、そういう責務を持っておる国になったというふうに考えております。  殊に、冷戦の終結ということは、おっしゃいますように新しい平和が構築される、そういう時代になってきた。それに対して、積極的に国を挙げて貢献しなければならないと思いますし、また、そのような新しい時代、国連を中心に新しい平和を構築していくということに、米ソの対決が解消いたしましたこともあり、また各地で紛争あるいはむしろそれと同じぐらい非軍事的な御指摘のような地球上のいろいろな問題等々は、国連が中心になってやはり平和を増進していくという必要を我々に教えておると思いますが、それに対して我々もまた貢献をいたさなければならない、そういう新しい時代に我々としては新しい国としての任務を持っているというふうに考えております。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 ただいま御答弁をいただきましたが、平和への構築、なかんずくPKOの問題認識を、私ども政治家が選挙や政局に絡めたり党利党略の観点からのみ議論することは、国民の目から見ますとまことに奇異に映ると思うのであります。地域紛争、飢餓、悲惨な状況の解決に水を差すような政治感覚では、道義的、国際的な責任の欠如が厳しく問われなければならないと考えますが、この点についての総理の御所見を求めます。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、いわゆる冷戦が終わって新しい平和の時代が構築されるということは、いわゆる平和の配当というものがおのおのの国に対して、また御指摘のような南北問題に対して与えられなければならない、与えることができる時代というふうに考えます。我が国は戦後、そのようないわば軍事大国にならないということで平和と繁栄のために世界の先頭に立ってまいった国でございますけれども、このときこそ、そのような我が国の今までの歩んできた道から考えまして、そのような貢献を我々はする資格があるし、またそのような責任があるというふうに考えております。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次世、地球的規模の課題と我が国の国際的責務についてであります。  開発途上国の人口は、一九九〇年現在で約四十一億人であります。今後も急激に増加していくと予測され、五億一千万人程度と推定される開発途上国の飢餓、栄養不足人口もさらに増加を続ける見込みであります。世界人口の増加や経済の拡大は、必然的に資源、エネルギー、食糧等の需要増大をもたらし、これに伴って地球の温暖化、熱帯林の減少、砂漠化、酸性雨等の地球規模の環境問題が、人間の生命を危なくし、人類の存続すら脅かしつつある現状により、より重要性を増しつつあると言わなければならぬのであります。さらに、世界経済が必要とするエネルギーや非鉄金属資源は有限であるということを認識し、資源を地球全体でより有効に活用する必要があります。  以上述べた地球的規模の問題は、世界的な対応が必要とされています。これは、東西対立のもとでは対応ができなかったが、今や東西の対立がなくなり、冷戦状態がなくなり、平和をベースとしてこれらの問題を解決できる時代を確実に迎えたとの認識に立って、平和こそ問題解決のベースであるということをしっかり受けとめたいのであります。  私は、我が国は今後、国際社会のリーダー国家となることを目指し、地球的規模での責任を果たすべきと考えますが、その際、資金的協力のみならず、世界の人々とともに汗を流す協力をより重視する必要があると確信します。例えば、先般のペルシャ湾の掃海艇の派遣に対しては、その功績をたたえるためクウエート政府からメダルが授与されたほか、各国よりその貢献を歓迎し高く評価するとの言葉が寄せられたと聞いていますが、今後の我が国の協力のあり方を考える際、これは重要な出来事であります。  我が国は今後地球的規模の問題に関していかなる国際的責務を果たしていこうとお考えになっておるのか、総理のお考えをお示しいただきたいのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) まさに、御指摘になりましたように、冷戦というものが遠のいていったからこそ今のような地球的な課題に我々が取り組むことができる、そういうことになったという御認識は私もまことに同感でございます。  いわゆる冷戦の時代には、我。々は大きな武力を持ちませんので、世界の戦争、平和を左右する力というものは決して大きくはございませんでした。しかし、冷戦後の時代にあってこそ、我々は我々の本領を発揮していわゆる地球的ないろいろな問題に貢献することができる、いわば我が国のような国の出番になったというふうに私は考えるべきであろうと思います。  そして、幸いにしてかなり大きな経済力を持つに至りましたので、やはりそのような世界的な規模の地球的な課題、これはいろいろおっしゃいました、たくさんございますが、南北問題もその一つですが、そういうために我々の持っている力を全力を挙げて貢献をしてこそ我々の平和憲法が我々に教えているところを実践することができる、そのように考えておりまして、また、先ほど申しましたように、このような平和の構築はやはり国連が一つの中心になる力でございますから、国連が行う行動に対しては、我々としてできるだけの協力をするということが我々に求められておる責務であろうというふうに考えます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次に、日本の国際貢献に関する世論調査についてお尋ねをいたします。  日本の国際貢献に関する世論調査、四月二十二日付読売新聞でございますが、日本が国際的に貢献していると考えている人は、日本が六二%であるのに対し、英米独ではいずれも五〇%以下であり、我が国と欧米諸国との認識にかなりのずれがあることが明らかになりました。  このような認識のギャップを埋めるためには、政府のみならず、広く国民一般においても、日本がどのような国家になろうとすものかという国家理念と、いかなる分野において国際的責務を果たそうとしていくのかといった目的意識の明確な提示が必要であり、残念ながら我が国においてはこの点に関する国論も統一されていないのであります。すなわち、我が国の目指す国家像が明確な形で存在していないことに問題があると言わなければなりません。  総理としては、世論調査に示されているこのような事実につき、どのように認識されておるのか、お尋ねをいたします。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘になりました世論調査で、日本が国際的にどのくらいの貢献をしておるかということで内外における認識の差があるということは私も気がつきましたが、恐らくそれは従来の世界平和の維持という、これは軍事的な力が関係したわけですけれども、それについて我が国は軍事的には大きな影響力を及ぼすことはできなかったわけでございますから、そこのところと全く非軍事的な部分とが、まだその時代から遠ざかっておりませんので、多少オーバーラップしているんではないかというふうに考えて私は読んでおりました。  しかし実際には、我々は余り世界に知られず、国民も十分に意識していないうちに、ODAの供与国としては世界第一になっております。年によりまして、アメリカ、フランスと一、二が入れかわることはございますけれども、今後を考えますと倍増計画などがございますから、もう我が国はODAではやはり世界第一の援助国になる、もうなっていると申し上げてよろしいんだと思いますが、そういう事実がございますし、またそういうことをやはり国民全部も意識をして、そして決して世界にえらい宣伝をするということは要らないかもしれませんけれども、そのような国家像としての日本をやっぱり私は発展させていきたいと思います。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 私は午前中の質問で、我が国の求めるべき国家像、どのような国家になろうとするのか、その国家理念を首相にお尋ねいたしました。  英国の元首相、ヒューム卿は、孫への手紙の中で、社会倫理、道徳の価値に基礎を置かぬようになり、その基礎を脅かされたとき、これを守るため立ち上がる構えがないならば、そのような社会は存続に値しないと言っております。言うなれば、国家社会のあり方や、孫が国民の一人としてそのような国民になってくれるような願いを込めて言っておる言葉だと思うんです。そのような意味を込めて、総理の国家像、どのような日本は国家を求めていくのか、その点についての理念もお聞かせをいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) ダグラス・ヒュームの今のことでございますが、自由と独立ということについて述べたものと私は承知をしておりますが、やはり我が国の国家像というのは、憲法で定められておりますとおり、まず基本的人権ということであろうと思います。そして自由であり、しかも民主的である、そういう国家、願わくば国民全体が繁栄をする、そういうための努力をする国家像、そういうものとして私はとらえていきたいというふうに考えております。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次に、今後の国連の役割と我が国の立場についてお尋ねをいたします。  冷戦時代が終わりまして、世界の秩序を維持し構築するため、国連は今や名実ともに中心的な役割を果たすことになりました。東西対立の解消により超大国の大規模な紛争の可能性はなくなりまし。たが、さりとて局地的な世界における新しい不安定要因があることも事実でございます。今後の世界における国連の役割を、このような状況下のもとで総理はどのようにとらえておられるのか、そして国連に対し我が国としてはどのような役割を果たしていこうとされておるのか、お尋ねをいたします。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) これは過般、本会議でも申し上げたことでございますが、米ソの対立というものがこういう状況になりましてから後、国連が文字どおり湾岸戦争のような場合に機能をする存在になりつつございます。  このことは、やはり世界のすべての国が加盟する機関としてすべての国のために行動をする機関であってほしい、そういうものにつくり上げていかなければならないと考えておりますが、同時に米ソの冷戦がなくなりました結果として、かえって局地的な紛争というものが散見をされるに至りまして、そういう場合に国連が紛争の未然防止あるいは起こりましてから後の平和回復に果たすべき役割は、この二年ほどの間でもほとんど毎日ニュースがございますほどふえるようになりました。また、他方で非軍事的な意味での、午前中も上杉委員が言われましたような、いゆる地球的なたくさんの課題も国連が中心になって解決あるいは対処に当たっておるものが多うございます。  そういったようなもろもろのことについての国連の活動、それはかなり急速に国連の存在がクローズアップいたしましたので、国連自身がそれに十分に対応できるだけの体制を必ずしもまだまだ整えているとも申しがたいところがありますので、我が国としましてはそれに対して幾つかのことを既に提案をし、あるいは実行をいたしております。  それは例えば、国連事務総長の権限の強化、調査等に対する権限の強化。それから国連の平和維持活動に対する十分の備えを持ってほしいということ。また国連の財政をさらに強いものにいたしたいというようなこと、あるいは国連が、我が国が提案いたしましたように、武器の登録等についてその中核的な存在になって、行く行くは、いわゆる武器についての世界各国の無制限とも言えるような今の考え方についてやがては反省を促したい。とりあえずは登録ということでございますけれども。そのような国連の機能の強化等々、我が国も幾つかのことを提案いたしており、あるいは実行をいたしておりまして、国連の機能を強めたいというふうに考えておるわけでございます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 戦後四十五年を経て、国連の組織や機構は時代の変化に十分対応できないと言われることも十分承知をいたしておるわけでございますが、そのような意味では、世界の平和を構築するためにも、今後の国連としての役割を果たしていくためにも、国連の機能の強化、時代の流れに対応できる体制づくりというものは極めて大切な条件であろうと思うわけでございまして、そのような意味で、我が国が経済大国となった今日、それにふさわしい役割を果たしていくべきだと思うわけでございます。  国連の中心的な任務としてのPKOでございますが、かねてより国連中心外交を掲げてきた我が国としては、国連の主要なメンバーの一人といたしまして、国連の果たすPKO活動に憲法の枠内で積極的な人的、財政的な協力を行うことは当然の責任であろうと思うわけでございます。  我が国の国連に対する財政的な負担は米国に次ぎ第二位でございます。その規模は常任理事国である英、仏、中の三カ国を合計したものよりも多い分担金を支払っております。しかしながら、このことについて国内でさえもそのような理解もないし、また国外においても理解、評価がなされていない。ましてや湾岸危機の際の百三十億ドルの負担もそうでございましたが、大規模な財政負担をしておるにもかかわらず、それにふさわしい国際的な理解と評価が我が国に与えられていないのはなぜであろうと私どもは考えざるを得ないのであります。  そのような意味から考えますところ、日本の役割がこれまで財政的な分野に限定され、人的な協力と国際的なルールづくりへの主体的な関与をなおざりにしてきた、これが原因ではないか、このように思うわけでございまして、そのような意味からもPKOへの協力は必然的な条件であり、我が国の務めである、こう言わざるを得ないのであります。  PKOへの人的貢献に関しましては、カナダが現在千百四十三人の要員を派遣しているのに対し、我が国はこれまで選挙監視要員としてわずか三十三名を派遣するにとどまっております。このような事実を総理はどのようにお考えになっておりますか、また何が原因とお考えでありますか、お尋ねをいたしたいのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) つい最近まで、世界の平和というのが米ソの核兵器の抑止力を初めとするいわば軍備によって維持されていたという時代には、我が国のように軍事大国にはならないという道を歩いてまいりました国が世界の平和に貢献していると考えられる度合いが少なかったことは、あるいはやむを得なかったかもしれません。そういうイメージが各国にあったということが、今上杉委員の言われますようなことに関係いたしておると思います。  しかし、今や米ソの冷戦というものが終わって、世界の平和というものがもう少しそういうものでないものに大きく依存するようになりつつあるときに、やはり我が国はその方面の貢献を、各国に認められるだけの貢献をしなければならないというふうに考えておりまして、先ほど我が国のODAは世界の事実上第一位であるということを申し上げたのでございますけれども、こういうこともだんだんに国際的に知ってもらわなければならないことだと思っております。たまたま一昨年、湾岸危機がございましたときに我が国の貢献のあり方というのは世界からも問題にされ、国内でもいろいろ議論がございました。金を出すということは大事なことでございますけれども、それだけなのかという批判があり、国内にもまたそれについての反省なり議論がいろいろございまして、やはり金だけというわけにはいかない、我々も汗をかかなければならないではないかという国民的な自覚の高まりが私は非常に強く起こってまいっておったと思います。  そのこともございまして、憲法の許す限りにおいて我々は財政ばかりでなく人的にも国際平和のために貢献をしなければならない、こういう国民の意識の高まりの中から、先般政府が提案を申し上げ、ただいま御審議をいただいておりますようなこういう法案として、今後我々が財政的にも人的にも国連の平和維持活動に貢献をいたしたい、こういう考えのもとに法案を御提出いたしたところでございます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 法案にかける決意をさらにお伺いしたいと思うんですが、先般、総理は安保理サミットで、PKOの人的貢献を可能にする体制整備のため今国会でのPKO法案の成立を期すとの演説をされました。いわば、これは世界に向かつて我が国が公約をしたのと同じであります。もし今国会で不成立になれば、我が国は世界の国から見れば国際公約も果たせず、ある意味では利己主義的な国、特殊な国としての見方をされても仕方がないのでありまして、このようなことを懸念しながら、現在まさに国民各位が、そして世界の多くの人々が我が国の今後の国際社会へのかかわりの基本ともなるこの法案の行方を注視いたしておるわけでございまして、この法案にかける総理の決意のほどをお尋ねいたしたいのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国は、かねてから国連の平和維持活動に対しては、その最初のいわ、ゆる立ち上がり段階の経費を率先して負担する、あるいはまたこの支援強化信託基金を設立して、その基金に率先して拠出するというようなことをやってまいった国でございます。  先般、安全保障委員会の理事国になりましたにつきましては、余計理事国としてのそれだけの責務もまた重いということから、なかんずく我々が言ってまいりました国連の平和維持活動については日本として最善のことをいたさなければならない、こういうふうに期待もされ、また我々も考えておるわけでございます。先般、安保理事会のいわゆるサミットで私が申しましたことも、国会で慨にかなりの時間をかけて御審議を願っておりますこの法案を成立させていただいて、ただ財政的のみならず人的にも我々が国連の平和維持活動に貢献できる道を開きたい、こう思っているということをサミットで演説をいたしました。  私としては、ひとつ国会の御審議を経てこの法律を成立させていただきまして、そのような私どもの国連に対する務めをぜひ果たさせていただきたい、こういうふうに切望をいたしておるところでございます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 私どもは、本年度の予算成立後、PKO法案を一日も早く審議入りをと願っておりましたが、一部野党の時間稼ぎによりまして二週間以上も継続法案が本会議の審議に入れなかったことは……(発言する者多し)

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) お静かに願います。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 まことに残念と言わなければなりません。ましてや審議未了、廃案を前提としてこのような挙に出たということであれば、これは議会制民主主義にももとると思わなければならぬのであります。我々は国際的に、少なくとも世界の人々が受け入れ、認め、評価するような日本国家とならなければならないのであります。  PKOの基本的性格についてでございますが、この法案によって協力する国連の平和維持活動、いわゆるPKOは、一九八八年ノーベル平和賞を受賞していることからもわかりますように、国際的に高い評価を受けております。今までこれに八十カ国以上の国々が五十万人以上の人を参加させ、平和のために多くの人が汗を流しているのであります。これは現に戦闘が行われているところに戦闘に行くためのものではありません。停戦が成立した後に、紛争当事国の要請を受けて、中立・非強制の立場で、国連の権威と説得によって平和の状態を維持するものであります。  先般、国連難民高等弁務官をされている緒方貞子さんは、PKOの性格について、同じ軍人が戦争をするためでなく、平和に導くため、つまり戦争とは違った目的のために出て行くものであり、これは平和の国連の一つの新しいクリエーション、創造であると述べておられました。PKFが戦わない部隊とか敵のいない部隊とか呼ばれるのは、まさにこのようなPKOの基本的な性格をあらわしているのであります。  このように、PKOはあくまで紛争当事国の平和の努力を国連の旗のもとで協力して支援するという性格を持っていると理解しておりますが、このようなPKOの役割、基本的な性格について、総理から明確な御説明をいただきたいと存じます。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう先生今おっしゃったことで特別につけ加えることはないと思います。  戦争が、紛争が終わった後をどうして後片づけして、また内紛が起きないようにするかと、専ら平和維持活動そのものでございます。そのためにやはりノーベル平和賞を受けておるということであります。言うならば、湾岸戦争のときに日本の海上自衛隊が機雷の除去に参加をいたしました。あのときも、やれ憲法違反であるとかどうとかという騒ぎもありましたが、これは国際的な大変な絶賛をされまして、各国が掃海をした後で、もうないと思ったところからよくぞ三十数発も拾ったと、こういうことは本当にすばらしいことで、まさにPKOというのはそのようなものであると、こう思っていただけば結構だと存じます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次は、UNTACへの我が国の協力の意義についてお尋ねをいたします。  カンボジアにおきましては、御高承のとおり、UNTACの特別代表に明石国連事務次長が就任をされ、国連難民高等弁務官には緒方さんが就任されておられます。このようにカンボジアにおける平和の維持と復興には我が国としてお二人の方が大変な努力をされておるわけでございまして、我が国としても積極的な支援をし、同じアジアの  一国であるカンボジアの平和と復興に最大限の努力をなすべきことは当然のことでございます。  このような状況下の中で、プノンペンを多くの日本人が観光やビジネスのために訪れる一方で、UNTACには積極的に参加し得ないような事態が生ずるということになれば、今日国際社会においてまたまことに残念な恥ずかしい思いをしなければならない。このことは何としても避けなければならず、さような意味でのカンボジアの支援、UNTACに対する我が国の考え方をお尋ねいたします。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これも特別につけ加えることはないのでございますが、まあ、UNTACはPKO活動そのものであると言っても過言ではありません。したがいまして、既にUNTACに派遣中のもの、あるいは派遣を決定した国は三十六カ国ございます。主要な派遣国について申し上げれば、軍事部門ではタイとかインドネシア、フィリピン、マレーシア、中国等、アジアの各国が参加をしておりますし、欧米におきましては既にフランス、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ等が要員を派遣中と、このように承知をいたしております。国連としては五月末をめどにUNTACの全面展開を目指す方針でありますが、他方、特に医療、通信、輸送等の後方支援分野におきましてはまだ要員の確保は必ずしも円滑に進んでいないというのが現状であります。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 先般三月十一日、衆議院のPKO特別委員会に参考人として出席をされた明石特別代表は、UNTACには中国も含めて軍事的部門には三十二カ国、文民警察部門には四十七カ国の参加が計画をされているが、その中に日本の国名がないのは寂しいと発言をされております。このことを我々は厳粛に受けとめなければならぬと思うのでございます。  カンボジアにおけるPKOに関し、国連及びカンボジア政府関係者らからは、我が国に対して具体的にどのような分野での要員派遣の期待が寄せられているのか、現行法のもとでそのような期待にこたえることがどの程度可能なのか、お尋ねをいたしたいのであります。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 国連からの正式な要請ということではございませんけれども、例えば先生が合言及された明石代表とか、現地のカンボジアのフン・セン首相とかあるいはシアヌーク殿下とか、そういう方々が折につけ表明しておられる御意見というものを取りまとめますと、日本からの協力の分野といたしまして医療、通信、輸送等の後方支援部門、それから文民警察ということをしきりに言っておられるわけでございます。緒方難民高等弁務官はかつて日本に対して地雷の除去を何とかしてもらえないかということを発言したこともあるいは御記憶であろうかと存じます。それから、先ほどここでも申し上げましたけれども、例えばそのほかにもちろん選挙の登録あるいは選挙監視そういった部門における要請ということも表明されていることは御承知のとおりでございます。  先生の後半の方の御質問にございます現行法の状況の中で対応できるかという問題でございますけれども、幾つかのことを私たちやはり法案がない場合には考えなければならないと思いますのは、一つは、カンボジア現地の気象状況あるいは衛生状況といったものが非常に悪い、それから長い間の戦争で疲弊しておりましてインフラが極端に未整備な状況にあるということ、まさにそういう状況でございますので、UNTACは各国に対して歩兵部隊を出してくる場合には六十日間の間は少なくとも自給できるような態勢を整備してきてほしいということを言ってきておるわけです。   ですから、そういうことを考えますと、一定の身分保障あるいは一定の制度の整備ということなしに、現在御審議をお願いしておりますような法案におきますところの枠組みなしに現行法令の範囲内で人をたくさん出して行くというのは、今申し上げたような状況の中では非常に難しいんじゃないかということでございます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 去る四月十五日、ガリ事務総長は北京において、「PKFはすでに構成されている。新たに他の国に参加を求める理由はない。」と発言いたしましたけれども、その後、発言の趣旨を明確に正しく伝えるために記者発表を行いまして、さらにプノンペンにおいても、真意が伝わっていないとして、PKF及び国連の活動における日本の部隊を歓迎すると、改めて記者会見で発言をいたしました。  PKOの母体たる国連事務総長の発言は重要な意味を持つものと考えております。ガリ事務総長の発言は、UNTACの歩兵部隊に限って言えばある程度のめどがついたが、それ以外の輸送、医療等の後方支援部門についてはいまだ充足しておらず、これらの分野での日本の参加が期待され、歓迎されているとの趣旨と理解しておるわけでございます。UNTACの現状に即して御説明をいただくと同時に、ガリ事務総長発言についての所感もお聞きしたいのであります。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) UNTACの構成を見ますると、軍事部門と文民の部門に分がれておりまして、軍事部門の中では、歩兵部隊が行います武装解除の監視、それから武器の備蓄と管理といったようなことを歩兵部隊一万二百名が行うことになっております。軍事部門はそのほかに、例えば道路の整備、通信、輸送、医療、そういったものがずっとあるわけです。それに加えて文民部門があるという、こういう構成になっております。  先ほどの、先般の北京におきますところのガリ事務総長の発言は、ほとんど専ら、この歩兵部隊一万二百名、十二カ国からそれぞれ八百五十名ずつの歩兵部隊を要請するわけですが、この歩兵部隊の部門に関する限りは当座めどがつきましたという、そこだけを言ったわけですが、あたかも日本のプレスではUNTACの部門は全部埋まったと、したがって日本はもう必要ありませんというような報道になったのは、国連から見ても大変不幸なことであったということでございまして、この歩兵部隊の行います仕事のほかに、道路の補修、通信、それから空港、航空輸送、医療、それに加えて文民部門があるわけでして、この部門につきましては、国連は今関係国にいろいろ人を出してほしいと、日本に対しても非公式ながらいろんな要請が来ている、そういう状況にあるわけです。  そういう部門に日本が参加していくことについて、ガリ事務総長がもう十分整っているということを言ったものではございませんので、それは誤解であるということで、ガリ事務総長としては、いろんな記者会見でそういう印象を払拭するための努力をした、こういうことでございます。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次は、UNTACへの自衛隊参加の必要性についてであります。  先ほどよりの御説明によりまして、停戦監視、地雷の除去のみならず、医療、輸送、通信、その他のロジ活動についても、現在のカンボジア情勢に対応できる十分な装備と訓練された要員でなければこれは十分な協力は実際上行いがたい、こういうふうに判断をいたすわけでございます。そのような意味で、明石UNTAC事務総長特別代表が、先ほども触れましたけれども、PKOの特別委員会において、タイの一個大隊が地雷の除去という危険なことをやっている、安全なことだけをやるようでは日本に対する外国の評価は決していいものにはならない、こう述べられておるわけでございまして、全くそのとおりだと思うわけでございます。この言葉の重要な意味を受けながら、私としては、参議院におけるPKO特別委員会に参考人として御出席いただいて直接話を聞くことができなかったことをまことに残念に思うわけでございます。  現に要員を派遣しているタイ、インドネシア、中国等アジア諸国を含む各国も、カンボジアにおける状況を認識した上で的確な対応をとっているとお聞きをしております。  ところで、先日提出された日本社会党の国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案は、残念ながら我が国がPKOに協力し得る分野を極めて狭い範囲に限定していると言わなければなりません。しかも、医療、建設、その他の分野にも自衛隊の参加を認めないといたしておるのであります。我が国だけがこのように限定的で不十分な協力しかできないということになれば、カンボジアや他の参加国にはどう映るのでしょうか。私は、UNTACにおいて日本の自衛隊の知識、経験、組織的な機能を活用すべきであると思うのであります。国際的な常識にかなった当然の選択をすべきであると確信いたしております。  さて、我が国のPKO参加についての近隣諸国の理解についてであります。  中国と近隣諸国の一部には、PKO及び国際緊急援助活動のために自衛隊を海外に派遣することについては慎重な対応を求めている向きもあると聞いております。しかしながらPKOは、先ほど述べましたとおり、国連の権威のもとで平和を維持する活動でございますしかるがゆえに、当の中国もASEAN諸国もドイツも、非加盟国のスイスすらも、ともに手を携えて参加をいたしておるのであります。我が国もこの現実に参加するだけのことでありまして、このことを今後ともあらゆる機会をとらえ近隣諸国に説明をしていかなければならないし、世界的に国際責務を果たす我が国の生き方が信頼を欠くようなことになってはなりません。PKO法案に対する近隣諸国の反応、そして近隣諸国の一層の理解をどのように求めていくかについて、総理の所見をお尋ねいたします。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本のことをよく知らない国もあることは事実でございます。私は、去年、大臣になる前ですが、東南アジア等を歩いたときに、PKOに参加するあるいは掃海艇をぺルシヤ湾に出すという話をしたときに、懸念を表明した首脳がおりました。しかし、これはこういうことでやるんですよということをよく話をいたしますと、ああ、それならばそれは当然ではないかということで、よく話せばわかるんですね。  立場上いろいろありますから、どんどんやってくださいと言わない国もあります。慎重にやっていただきたいという国もございます。しかしながら、それは国連の安保理で決めることですから、そこで反対があれば我々出ていかないだけの話でありまして、国連から要請があり、しかも受け入れ国が賛成をして歓迎されるという状態で、ほとんどもう非武装に近いような形で出かけていくわけですから。特に、普通はいかにして敵をせん滅するのにうまい方法をやるかという訓練をやっているんでしょうが、PKOの参加部隊はいかにして武器を使わないようにするか、いかにしてうまく逃げるか、そういう訓練をたくさんやるわけですから、だから普通のなにと違うんですね。だからそういうことをよく話せばわかるわけであって、話さなければわからない、よく話をして理解がだんだん得られるようになったということであります。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 先ほども自衛隊の海外派遣について触れましたが、種々お伺いしてまいりましたけれども、私は、ここでこの法案をめぐるかぎとも言うべき主要な諸点について改めて政府の見解をお伺いいたします。  第一点は、自衛隊の海外派遣についてであります。  既に伺ってまいりましたとおり、我が国がPKOに積極的な協力を行うに当たっては自衛隊の活用を囲みことが必須であることは言をまちません。平和のために各国から派遣された部隊、要員とともに汗を流すことは、これはまさに国際社会において我が国が求められている責務そのものであります。一部野党は、子供を戦場に送るななどと自衛隊があたかも戦場に出かけていくがごとき主張をしていますが、これはPKOの精神と現実、法案の基本をあえてねじ曲げて国民に誤解を与えようとするものであって、遺憾のきわみであります。  昭和三十五年の国会における代表質問において、社会党の大元老の鈴木茂三郎氏は、新日米安全保障条約に関して、戦争に通ずる道を選ぶか、お互いに平和共存の道を選ぶか、重大な岐路に日本は立たされていると述べられました。この発言が正しかったか否かはその後の歴史が証明をいたしておるのであります。一体それ以来、我が国はただの一度だって戦争に巻き込まれるようなおそれがあったでありましょうか。日米安全保障条約は戦争への道ではなくて、平和の道の選択であったと判断をいたしております。余りにも展望のない無責任きわまりない判断、発言と言わなければなりません。今回のPKO法案に関しても、社会党が今再び同様の愚を繰り返し、過去のわだちを踏むことのないよう、心から期待をいたしておる次第であります。  また、自衛隊のPKOへの参加に反対する人々はいまだ世論の理解が十分でないと主張されますが、例えば去る二月に発表された社会党支持の最大労組である自治労の意識調査によっても、六五・八%もの方が自衛隊の海外派遣を支持されております。支持しているというこの事実は、自衛隊の海外派遣についても国民の理解は確実に深まりつつあることは今や疑いのない事実でございます。中国の書経に、恐るべきは民の目であると述べられています。我々はこのような国民世論の動向を勇気を持ってかつ厳粛に受けとめるべきであると考えますが、社会党が現実を直視し、国民にこたえる健全野党となることを期待しておるのであります。  昨年四月の掃海艇の派遣に対しては、今さら申すまでもなく、クウエート、サウジはもとより多くの国々から謝意が表され、我が国は国際社会の一員として大いに肩身の広い思いをいたしました。我が国は今こそ平和のために世界の多くの国々と手を携えて、堂々と我が国としてなし得る最大の役割を果たすべきときと考えます。世界の平和維持のために行われる国連のPKOに対し、この法案に基づいて自衛隊を派遣することが一体憲法第九条に違反するものなのかどうか、これは憲法で禁ずる海外派兵に当たるのかどうかについて、内閣法制局長官に見解を承りたいと思います。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  ただいまのお尋ねでございますが、我が国の憲法はその九条におきまして武力の行使を禁じております。その場合、我が国の憲法と今回の法案に基づきます自衛隊のPKO参加との関係について申し上げますと、次のようなことであろうかと存じます。  まず、我が国の自衛隊が平和維持隊への参加に当たっての基本方針、これに沿って立案されました今回の法案に基づきまして参加するという場合には、いわゆる五原則、その中の特に武器の使用は我が国の要員の生命または身体の防衛のために必要な最小限のものに限られること、あるいは紛争当事者間の停戦合意が破れるなどして、我が国が平和維持隊などの組織に参加して活動する前提が崩れ、短期間にこのような前提が回復しない場合には我が国からの参加した部隊の派遣を終了させる、こういった前提を設けて参加させることとなっております。したがいまして、仮に他国から派遣された平和維持隊などの組織が武力行使をするようなことがあるといたしましても、我が国としてはみずから武力行使はいたしません。さらに、当該平和維持隊などの組織の行う武力行使と一体化しない、かようなことが確保されているものと存じます。そういう意味で、我が国が武力行使をするという評価を受けることはないものと考えます。  したがいまして、我が国自衛隊が今回の法案に基づきまして平和維持隊などの組織へ参加することは憲法に違反するものではないというふうに考えます。  また、従来からいわゆる海外派兵の問題がございます。海外派兵についてただいまお尋ねがございましたが、海外派兵につきまして一般的に申し上げますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することというふうに従来定義して申し上げているわけでございます。このような海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものということで憲法上許されないと解しておりますが、今回の法案に基づきますPKO活動への参加、この場合には、ただいま申し上げましたとおり我が国が武力行使をするとの評価を受けることはございませんので、そういう意味で今回の法案に基づくPKOへの参加というものは憲法の禁ずる海外派兵に当たるものではない、かように考えております。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 湾岸戦争がございまして、PKOを湾岸戦争の多国籍軍と同一視する向きが国民の中にはございます。したがって、その誤解を解くために、湾岸戦争における多国籍軍とPKOとの差異についてお尋ねをいたします。  ただいままでPKOの役割、基本的性格について種々お答えをいただいたのでございますが、このPKOが湾岸戦争の際に見られたようないわゆる多国籍軍とはどこがどう違うのか、御説明をいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 基本的なことを申し上げますと、湾岸危機に際してのいわゆる多国籍軍というのは、湾岸の平和と安定の回復のために国連の安全保障理事会の決議、これを守らせる、その実効性を確保するために各国が湾岸地域に展開した兵力の総数、それを多国籍軍と、こう言っているわけです。要するに、安保理決議に基づいて、その決議を実行させるために展開した各国の軍隊の総称を言っております。したがいまして、この多国籍軍は最後の手段として、安保理の決議によって平和回復のため実力の行使が許されるものであります。  他方PKOは、紛争当事者の同意を前提にして、中立・非強制の立場に立ちまして、国連の権威と説得によって停戦監視等の任務を遂行するものであります。そういう点が非常に違うわけであります。片一方は場合によっては武力行使をして戦うわけでありますが、片一方はそうじゃないということでありまして、これは戦わないことが原則ということになっておるわけです。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 国民の意識改革の必要性について官房長官にお尋ねいたします。  PKOが国民に正しく理解されていないことは、私どもが広く交わるときによく感じることでございますが、我が国は今や米国に次ぐ世界第二位のGNPを有し、国際社会の中で極めて大きな存在となりました。それに応じた国際的責務を求められるに至っておりますが、日本国民はこの現実を必ずしも十分理解をしているとは言えない向きがございます。私は、日本国民の一人一人がこの事実を理解し、それぞれがその意識を改革していくことが必要であり、そのためには学校教育、社会教育等幅広い意味での教育を通じ、あるいは政府の広報活動を通じてそれらのことが、日本の置かれた立場あるいはPKO等正しく理解されるべきと存じますが、この点についての官房長官の所見をお伺いいたします。

加藤紘一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(加藤紘一君) 昨年の湾岸危機等を契機としまして、国際社会で我が国がどういう役割を果たすかということにつきましては、戦後五十年近くたちますけれども、その中で最も議論の高まったときであろうと思っております。  その際に一番重要であったことは、一つはもちろんここで議論されておりますように、どのような国際貢献をするかということでありますが、そのもう一つ前に我が国が、従来宮澤総理が言っておりますように、国際社会からの平和と安定の受益者であるばかりではなく、それを積極的に構築していく能動的な責任者の一人として立たなければならない、そういう時期に来たという、そういう認識であろうと思います。もう我が国は世界の中で有数のいろんな意味での総合的な国力を持ち、その国力を背景に大変な影響力を持つようになったんだ、その我々の国の持つ重さというものについて国民がどのように認識するかということが一番大切なことだったんではないかなと思っておりますし、その状況は現在も変わっていないと思っております。  したがって、政府としましては、これから政府の広報等を通じて、この我々の国際的に置かれた立場についての正しい認識と国際貢献に対する理解、支持というものを精いっぱい国民に訴えていかなければならないし、また、学校教育の場においても我が国の責任を自覚してもらうような方向での教育というものが今後ともますます重要になり、政府としてもその努力を続けていきたいと思っております。

上杉光弘自由民主党

○上杉光弘君 次に、社会党案と、別個の組織の問題点についてであります。  社会党が提出された法案では、一つには自衛隊とは全く別個の組織として国際協力隊を置く、二つには、そしてこの国際協力隊には自衛隊の参加ぽ認めないこととされております。今動き出しておるUNTACの例えば医療、建設等の活動に対する協力をカンボジア国土において直ちに効果的に行い得る新たな組織がすぐにできるというのは全く非現実的なことではないかと思うのであります。  また、四月十一日に発表された社会党のシャドーキャビネットの国際貢献に関する十項目の提言によれば、この国際協力隊は約二千名の常設の組織とされております。昨日も趣旨説明でお伺いをいたしました。二つには、船舶、航空機等の装備を持つとされています。現在、自衛官一人当たりの人件費、教育訓練費等の維持経費は一年間で約一千万円弱であります。仮に二千名とすると、この維持費だけで年間二百億円のコストとなります。政府専用機として昭和六十二年に政府が契約したボーイング747型機の調達価格は約百八十億円であります。さらに、二千名もの要員はどうやって確保するのか。工夫次第ではこのような新たなコストは節約できるにもかかわらず、国民に莫大な財政負担をかける、国際社会には極めて奇異な印象を与える、国際社会には受け入れられない、国際社会には理解をされない、しかもUNTACへの協力には到底間に合わないとするとなれば、このような選択をとることができないものと私は思うのであります。  以上、私は、我が国の国際的責務を果たすためには、この法案の成立は一刻もゆるがせにできないとの強い決意に立ってお伺いをしてまいりました。  現下の状況を見ますと、今国会におけるこの法案の成立を期すためには、この法案の目指す基本的方向につき意見の一致している各党が、それぞれの立場に固執することなく小異を捨てて大同につくことが必要なものと考えるのであります。また、政府におかれましては、このような各党間の論議を受けて、今国会においてこの法案をぜひ成立させねばならないとの見地に立って極力弾力的に対応されるよう強く求めるものであります。私は、そのような法案の成立に向けての関係者の前向きの努力により、この法案が真に国際社会から受け入れられ評価されるような実質的な内容のある法案として一日も早く成立することを切望いたすものであります。  なお、冒頭に申し上げましたが、実は私は、これまで冷戦状態、東西対立のもとでは到底なし得なかった、取り組むことさえできなかった地球規模、国境を越えた政治的課題や政策的課題について、今まさに平和という基盤、ベースの上にこれらの問題が地球規模で、あるいは国境を越えた形で取り組める時代を、ある意味では新しい時代を迎えたと思うわけでございまして、これらの問題に我が国は国際国家として極めて強いリーダーシップを発揮する国家を目指さなければならないと思うわけでございます。  そのような意味でも、総理以下政府の皆様の強い決意のもとにPKO法案の成立に向けて一段の努力を求むるものであります。最後に、総理の決意をいま一度お聞かせをいただきまして、PKO法案の質問を終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 午前中から、この冷戦後の世界において、しかも重みを加えております我が国が国際的に貢献すべきもろもろの義務、またそのあり方について多いろいろな観点から御指摘があり、また政府の所信をお尋ねがございました。まことに御指摘の点はごもっともに私ども承りました。そして、この法案の必要性についてもるる御所信をお聞かせいただいたわけでございますが、その点につきましても私ども考えを同じゅういたします。  御指摘になられましたように、事はかなり急を要することでもございます。また、長い間御審議をいただいていることでもございますので、国会の御意見をよくよく承りながら、私どもとして考えるべきところは柔軟に考え、しかし迅速、的確に国連の要請に実効性のある対応ができますような、そのような法案を国会でお認めをいただきまして、我が国としての国際的な貢献を果たしてまいりたいと考えております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、この法案の審議をさせていただくものであります。  きょうからようやく日本の国際貢献のあり方を問う論議が再開されたわけでございます。私たちは、国会の論議を通じて私たちなりに考えている日本の国際貢献のあり方、特に人的貢献のあり方について政府に要求もきちんとしていき、論議の中でその実現を求めていきたい、そう思っております。  しかしながら、あの湾岸戦争以来、私どもの国はこの人的貢献のあり方を審議し出しまして、もう足かけ三年が過ぎてしまったわけでございます。午前中からも皆さんおっしゃっておりましたけれども、この間、もう世界じゅうは本当に大きく動きました。冷戦構造が壊れる中で、世界は国連を中心にして一つの平和を構築するという動きがある一方で、やはり私たちの認識は、総理もおっしゃっているように、地域とか民族とかそういう紛争が激化している、そういう認識を持たざるを得ないわけでございます。  その中で、国連を中心にして今このPKOというものが本当に見直されてきて、UNTAC初め、もう昨年来新たに六つのPKOができたと聞いております。国連自体も今機構改革に取り組んでおりまして、このPKO部門については強化しょう、そういう動きすらある。一方、私どもの国内におきましては、昨年、私、まだ国民にこのPKOというのは誤解されているということを何回も指摘いたしました。その意味ではこのPKOに対する評価が、一部の人たちがおっしゃったように、これは、戦場に人を送るんだ、こんな認識が徐々に変わってきていることも事実でございます。  総理にまず冒頭お伺いしたいのは、こういう国際状況の変化、PKOに対する国際的な取り組みを踏まえた上で、総理自身、どうこの国際平和をつくる、またPKOに取り組む、日本としてどうやればいいかというのを国民の前にきちんと最初に明らかにしていただきたいと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる冷戦後の時代になりまして、国連というものが殊に先ほど御指摘もありました湾岸戦争の対応に当たりまして中核的な役割を果たすことができた。また、これも御指摘がありましたように、米ソの冷戦解消後にかえって局地的にたくさんの紛争が起き、その紛争の事前防止あるいは平和の回復のために国連の活動が広く求められるようになってまいっております。また、非軍事的ないろいろ地球上の問題につきましても国連の負うべき責任はいよいよ重大になってまいりました。  我が国のように軍事大国にならないことを決心し、そして国連中心主義で四十何年、戦後を過ごしてまいりましたが、ここに来て初めて国連というものが実際に仕事をしてくれる、そういう世界の中心の存在になりつつあるときに、我々はいよいよ従来からの方針でありました国連中心、国連への協力というものを積極的に進めなければならない時代に参っておるというふうに考えております。  それで、我が国は今まで経済力をもちましてはかなりの貢献をいたしてまいりましたが、湾岸戦争のときに国内で広く議論をせられましたように、憲法の許します範囲において人的貢献もやはりしなければ、いかにも金だけで、苦労のあることはよその人にやってもらっているというようなことであってはならないという、そのような国民的な世論を背景にいたしまして、政府としてはこのような法案を御提出いたしまして、御審議をお願いして、我が国の国際的な貢献をいたしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 総理は今、この状況の中からPKO法案の必要性というのを強調なさったわけです。私どもの立場もやはりPKOの本格参加にはこの法案が欠かせないという確信を持っております。  しかし、一方では、いまだに今のこの日本の法律の範囲内でPKOに本格参加できるんだ、昔、選挙監視団やったじゃないかという意見もあるわけです。またもう一つは、非軍事の民生また文民だけでこのPKOの本格参加には十分対応できるとおっしゃっている方もいらっしゃるわけであります。  確かに国連の中で、今、軍事部門だけじゃなくて、民生とかそういう分野にもこのPKOを拡大していこうという動きがあることは私も承知しております。それができれば、当然そういう参加をしていただきたいと思います。しかし、実際の今のPKOは何かということを見ると、やはり軍事部門が中心にならざるを得ないし、また、行った人たちの安全というものを考えても軍事的要素がどうしても必要だというのが、私たち実際現地を見た感想なのであります。  国連を中心にして、今、紛争解決でぎりぎりみんな努力している、PKOに積極的に取り組もうとみんながしている、こういう状態のときに、私どもとしてみれば、将来はそういう民生部門がふえるかもしれないけれども、それまで待っていたんでは世界に通用しない、そう言わざるを得ない一面があるわけです。  総理に率直にお聞きしたいんです。今みたいにいろんな意見があるわけです。このPKOの本格参加に今の法律の範囲内でできる、また、民生、文民でできるという意見があるわけです。これについての総理の基本的な考え方をきちっとしておいていただきたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、湾岸戦争が起こりまして国内にいろんな議論が始まりました時点から、国連の平和維持活動、それは停戦監視であるとか武器の撤収であるとか、いわゆるやや軍事的な色彩を持った分野もございますし、また文民的な分野もある、いろいろございましょうが、そのいずれの場合でも、我が国の場合で申せば、自衛隊のようなかねての組織と訓練と経験を持った、そういう実体を持ったものでなければ現実に国連の平和維持活動に協力を全面的にするとすれば役に立たないのではないかということを当初から考えております。  それは平和維持活動の行われる地域にもよることでございましょうけれども、例えばカンボジアといったような具体的な例を考えてみますならば、仮にいわばそういう訓練あるいは組織のない人々がそのようなボランティア活動に入ろうといたしましても、まず自分自身がどうやって暮らしていくか。食料、住居、衛生、医療、それから移動、いわんや全体がインフラが不十分でありますし、まだいろいろな危険がある、そういう中で、生きていくことだけが実は非常に難しい。  それではとても平和維持活動への協力はできないわけでございますので、やはりそういう意味では我が国の場合で申せば、自衛隊というような組織が実際出ていって平和維持活動に従事することでなければ有効的に国連の維持活動に貢献することはできないだろう、私は当初からそう考えておりましたし、ただいまもそう思っております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 今、総理から具体的な話でカンボジアのUNTACという話が出たわけでございます。私は、この点も国民の皆さんにはっきりわかるようにする必要があると思うんです。  何をわかるようにする必要があるかというと、UNTACの実体は何なのか、そして本当に日本が今例えば現行法内でできるのかどうか、これはっきりしなくちゃいけないと思うんです。今の法律の範囲内でできるならば、それは私もやっていただきたいと思います。  ただ、例えばの例で聞きます。例えばこのカンボジアのUNTACに文民警察官約三百人、選挙監視団約五百人を今の日本の法律の範囲内で出すことができるのか。警察法上、先ほども疑問が呈せられておりましたけれども、外務省の設置法上本当に可能なのかどうか、そこを政府からきちんと明らかにしていただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、総理からもお話がありましたように、カンボジアの状況というのは、停戦というお互いの話し合いはできましたが、しかしながら武装解除も一〇〇%武装解除するわけじゃありません。七割武装解除をすると。そのようなことで治安は必ずしもいいとは限りません。また、衛生面その他でも非常に劣悪な状態にあります。そういうようなところにかなり訓練してまとまった人たちが自己防衛をしながら自活の道を行くという場合になりますと、ホテルから通って選挙監視に行くようなわけにはいかないのでございます。中央だけの監視ではなくて、本当に選挙監視するということになれば末端の村の隅々まで行くわけでありますから、そういうようなことになりますと、一般の人を募集して大量にまとめてといっても、なかなか現実はそういうわけにはいかないということであります。  それからもう一つは、法律がなくたってやれることはあるだろうからどんどん準備を始めるという先ほどもお話がございましたが、もう法律も、大体審議も終了に近いところまで来ておりまして、(「始まったばかりじゃないか、不謹慎だよ」と呼ぶ者あり)いやいや、長い、もう二年近く、一年以上やっておるわけですから、全体からまいりますと、かなり中身については問題点とかいろんなことは皆わかっておるわけですよ。そういうところでは、やはり各党間いろいろありましょうが、小異を残し大同につくという言葉もございまして、どれが国益になるかというようなものを見て話し合いをしてもらえばそう何カ月もかかるというわけではございませんので、今法案のもう最終段階に私は来ておると思いますよ、あと五カ月も六カ月もかかるはずはないのでありますから。  ですから、そういうようなところで、法案がなくてもできるじゃないかと、また別なことが始まれば始まったように、何だ政府はもうあきらめたのか、じゃやる気がないんだなと、今度は反対勢力、こちら側、別な勢力から私はやっつけられるわけですから、これはいろいろなことをやってできないことはないでしょうが、しかし現在はやはり法案を成立させた上で正々堂々と非常に効率的な集団を派遣することがいいと、そう思っておるわけであります。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しましては、警察官がこのまま警察官として派遣できるのか、こういう御質問であったと思っております。  現在の状態で警察官という身分で派遣することはできません。でございますから、例えば他の省庁に職員を移してやるということは、しかしこれは勤務いたす者にとりましてもやはりそれだけの心得と矜持がございましょうし、やはりPKO法案をきちっと通していただいて、堂々と警察官として派遣していただきたい、こういうことを念願いたしております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 もう一つ、同じような問題があるわけです。  先ほどUNTACの問題で指摘があっておりました。例えば輸送、通信、医療それから復旧の問題、これは民生でもできるじゃないかとおっしゃった方がいらっしゃいました。ただ、じゃ今のUNTACの実態で、こういう輸送、通信、医療、復旧の分野をだれが担当しているんですか。今のUNTACの中でだれがやっているんですか。今、UNTACに人を出しているいろんな国々はどういう人間をこういう分野に送っているのか、これもきちんとやっぱりわかるように説明がなきゃわからないと思います。答弁を求めます。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 御説明申し上げます。  UNTACにおきまして輸送、通信、医療の各分野を担当しておりますのは、あるいはこれから担当しようとしておりますのは各国の軍人でございまして、各国よりそれぞれの分野において部隊として参加することとなっております。  例えば、例示的に申し上げますと、現在までに、通信部隊は豪州、航空部隊はフランス、医療部隊はドイツが今までのところ十五人ぐらい出しておりますけれども、さらにそれに百五十名追加する。さらに医療部隊としてインド、オランダが国連と話し合い中というふうに聞いております。  他方、これらを含みます後方支援分野につきましては、現時点におきまして必ずしも各国が全部充足したということにはなっておりませんので、国連としてさらに各国の軍人を出してほしいということで呼びかけておるということでございます。  ちなみに、その復興の分野につきましては、UNTACの一部門として文民が置かれておりますが、実際の復旧のための支援を実施するのは関係の国際機関ということになろうかと思います。そういう意味では、もとに戻りまして輸送、通信、医療、これらの分野をとりますと、これは各国の軍人が分担しておるということでございます。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 ちょっと聞きたいんですけれども、中国が工兵隊を派遣しているんですけれども、これは何のために派遣しているんですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 中国の工兵隊が現地に到着したという報道がたしか二、三日前にございました。四百名でございます。彼らが従事をするのは、私の理解では道路、橋梁、そういったところの補修工事であるというふうに承知いたしております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 だから国連局長、その辺まで、いわゆる橋をかけるとか道路を整備することに関しても、現地の状況で言えば、現段階。では軍人を派遣せざるを得ない状況があるわけですよ。そういうことをきちんとわかるように言わなければ、それは文民、民生でできるならやってほしいですよ、結局もうできない現状があるわけでしょう。そこをきちんとやっぱり明らかにしていただきたいと思うんです。  昨年夏、私、カンボジアに行ってまいりました。その中でオカキという国内避難民のキャンプまで足を運びました。多くの人がそこに住んでおりまして、国際機関が協力して井戸を掘ってそこの水を確保して、荒れた耕地を耕して飢え死にするのを防ぐというような状態で、一生懸命生活しておりました。子供たちを見たら、かわいそうで、本当に栄養失調の子が多くて、皮膚病の子も多かったんです。彼らはどこから来たかというと、国境地帯から逃げてきた難民というか、農民がほとんどなんです。この農民たちが何と言っていたかというと、自分たちは内紛が起きても、弾が飛んできてもそこで畑を耕そうと頑張っていた、しかしだんだん内紛が激化したときに地雷がばっとばらまかれてしまった、これにはどうしようもなくなった、しようがなく今逃げ出してきてこのキャンプにたどり着いたと、そんな話をしている方が実際に多うございました。  先ほども意見がございました、地雷というのは埋めた当事者がきちんと処理すれば、その各派がやればいいと。それも一つの意見は意見だろうと思うんです。(「条約だよ」と呼ぶ者あり)条約でもそうなっているかもしれません。しかし私が言いたいのは、この地雷のために、紛争に巻き込まれた農民の方、難民の方たちが一日でも早く帰還したい、そういう願いを持っている。その声にこたえて世界各国も、条約があるにしても、こたえようとしている現実もやっぱり見なくちゃいけないと思うんです。  もう一つ。マスコミの中で、我が自衛隊には地雷処理能力は全くないという報道もなされていました。防衛庁長官、こういう発言にどう反応すればいいんですか。少しは怒りませんか。  私は、ただ即座に自衛隊を、この地雷処理のために部隊をどんと送れというようなことは言いません。しかし、このPKOの法案が通ったなら、このPKOの本隊業務でなくても、例えば現地のそういう軍隊の方たちにその地雷を処理する指導をするとか、そんなことはできるはず、打つ手はあると思うんですけれども、きっちり意見を聞かせてもらいたいと思います。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(宮下創平君) 自衛隊が国際平和協力の業務を多々やることは、この法案の三条に書かれております。そして、PKF以外でも自衛隊が参加することが書かれておるわけでございまして、私どもはそれをきちっとやっていきたいと存じます。  今お尋ねの地雷の点でございますが、専守防衛の建前で我が国も地雷処理の訓練をやっております。そして、これは陸上自衛隊の各師団等におきまして、これは特別な部隊編成はしておりませんけれども、これらに対して有効な訓練と対処方法を研究しているところでございまして、この法案が通りますならば、私どもはたびたび申し上げておりますようにカンボジアにおける地雷処理に協力はできるものと、こう存じておりますが、しかしながら我が国の自衛隊の保有する地雷の種類等々はおのずから限定されたものであることもまた事実でございます。また、今委員御指摘のように、広範にばらまかれたこの面的な処理を一度に大量に我が自衛隊が処理し得るかどうかという点になりますと、これはいろいろ検討を要する点もあろうかと思います。  しかしながら、そういった点を通じて、また先ほど御質疑のございましたように、訓練センター等に行きましてこれを指導するなり助言をするなりすることはもちろん可能であろうかと私も思っております。そうして、この三条で列記されている十七項目の最後の項目に、これらに準ずるものとしていろいろバラエティーに富んだものを政令で定めることも可能でございますから、私どもあとう限り自衛隊の平和協力という見地に立って協力すべきものと、このように考えております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 今、UNTACの現状、それから実際のPKOの現状を聞いてまいりました。私たちも国連がこれからPKOの中で民生、文民の分野を広げていただくことを念願しております。  しかし、何回も指摘しているとおり、現実のPKOを見たら、やっぱり軍事的知識なり、総理も何回もおっしゃっています、荒れた土地で自力で作業する能力、それが要ることも事実でございます。もし、一部の人たちがおっしゃるように、自衛隊の海外派兵というのを本当に政府がねらうというのであれば、我々は真っ向から反対いたします。しかし、世界の平和構築のために日本が汗を流そう、PKOに本格的に参加しようと決意したなら、やはり我々は自衛隊の方々に協力をお願いするというのは当然の帰結だろうと思っております。  ただ、本法案は自衛隊を一たん国際平和協力隊に移して訓練するわけですけれども、形としては自衛隊の部隊派遣ということにつながっていきます。まさに国民の皆さんの心配もここにあると思っております。だからこそ、私たちは何度も何度もシビリアンコントロールの問題を指摘いたしました。つまり、国会の決定に自衛隊が従うということが最重要と考えまして、PKOの参加五原則を法律に明記して、その法案を国会で承認していただく。さらに、事前事後の国会報告を義務づける。加えて、修正ではございましたけれども、PKF派遣二年後の継続承認、いわば国会承認と言える三つの歯どめも政府に求めて現法案の中に入れたわけであります。政府としてこのシビリアンコントロール、国会の関与という問題についてどう真剣にお取り組みになる考えなのか、総理にお伺いしておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) この法案では国会承認ということが入っていないのは、いろいろな条件があらかじめつけられておりまして、そういうような意味からこの法案どおりに実行すれば特別に問題がない、こういうことで国会承認というのは入れてなかったわけでおります。また、派遣の都度に国会に持ち出して賛成だ反対だというようなことで非常に二カ月、三カ月とかかってしまう、こういうこともいかがなものかと、いろいろ考えました結果、法案に詳しく条件を書けば、その条件どおりにやるんだから必要がないではなかろうかというのが政府の考え方でありました。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 ということは、外務大臣、もう一回ちょっと聞いておきますけれども、承認を盛り込まなかったことまでお話しになったんですけれども、政府として、自衛隊派遣に現法案の中で法的に十分な歯どめができているという認識を外務大臣はお持ちになっていると理解してよろしいんですか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国会承認ということは非常に耳ざわりもいいし、非常にいいことではありますが、法案の中でいろいろ仕組んでありますから、なくともよいじゃないかという考えで、また先ほど言ったように、その都度賛成と反対と分かれてなにをするというのもいかがなものか。だから、法律どおりにやれば間に合うだろう、そういう考えで国会承認ということは書いていなかったのであります。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 私どもは、先ほどから指摘しているように、今外務大臣もおっしゃったように、現法案の中に既に五原則、報告義務、事後の承認といういわば三つの国会承認があり、政策的には十分な歯どめができているというふうに認識をいたしております。  多数決で事前にPKF派遣を承認することについては、一つには、今自衛隊に関してこういう国会承認を求めているのは防衛出動と治安出動でございまして、いわばこれは武力行使を伴って国家の危機に関するような種類の問題であります。平和目的で国連に協力するPKOがそれと同じに見えるようにするのは、かえって国民にPKOの本質を誤解させないだろうか。また、もう一つ言う、ならば、PKOの参加の是非だけを多数決で決めるとなってくると、例えば最も大事なPKOの参加五原則という問題、これを崩す危険性がないか、そういう危惧を抱いておることだけはこの際指摘をさせていただきたいと思います。  さて、先ほども御意見があっておりましたけれども、PKOへの国民の理解という点について少しお伺いをしたいと思うんです。  三月にある放送局が実施しました世論調査を見てみました。自衛隊の貢献のあり方について、画衛隊は一切参加すべきでないという意見は一四%でございました。武器を持たない災害復旧や医療活動などに参加するべきという意見は四六%を占めていたわけでございます。しかし一方で、兵力の引き離しとかそれから武器の保管とかいったいわゆるPKF本体業務の参加ということになると、これはもう残念ながら一一%にとどまっていたのでございます。これに限らず、いろんな世論調査を見てみますと、自衛隊の参加は認めてもいいという意見がかなりふえたにしても、いわゆるPKF本体の業務については、いろんな意味で部隊参加の問題を心配されている方もあるだろうし武器の問題で心配されている方もあるだろうし、まだまだ心配がぬぐい切れてないというのが私の実感でございます。  総理は、やっぱり国民の意見に一番耳を傾けなくてはならない方でございますから、総理から国民の今のこういう意識について、総理御自身どのような御認識を持っていらっしゃるのか伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に幅広く国民の御意見を世論調査等々で伺ったわけではございませんし、また、実は問題がかなり複雑な問題でございますから、答えられる方もイエス・ノーで簡単に答えられないといったような場合も私は少なからずあるのではないかと思いますが、それらのことを申し上げました上で申し上げますならば、我が国はやはり金だけでは貢献が足りない、したがって憲法が許すのであれば何かの人的貢献をすべきであるということは国民の多くの方がそう感じておられるということをまず第一に申し上げて間違いなかろう。  その場合に、やはり自衛隊が参加をしないと有効な貢献ができないのではないかと思っておられる国民がどちらかといえば私は多いのであろうと考えております。ただ、どうもそのあたりで男女というふうに分けますと、多少その間にお考えの違いがあるような感じがいたしますが、明確ではございません。もとへ戻りまして、自衛隊がやっぱり参加をしなければ有効な貢献はできないだろうというところまでは国民はますますイエスと考えておられる方が多いと思います。  それから先でございますが、しかし自衛隊が参加したときに、いわゆる軍事的な色彩のあるところへ入っていくと、それは海外において何かこちらの意思でなくても紛争に巻き込まれる危険があるかもしれないということを心配しておられる国民もあるのではなかろうか。その辺になりますと、実は態様そのものを国民側自身がはっきり把握しておられるわけではないし、また一つ一つの維持活動で違いますものですから、一般論としてイエスかノーかを聞くことに無理があるのかもしれないのでございますけれども、その辺のところで国民の中で、自衛隊が出るまではいいがその自衛隊が意図に反して紛争に巻き込まれるようなことになるのはやはり避けた方がいいと、そこらあたりでこのいわゆる世論調査ではなかなか一概にこうイエス・ノーで分けられないような微妙な反応があるのではないか、そういうような判断でございます。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 国民の理解ともう一つ非常に大事な問題は、やはりアジア各国の理解という問題がどうしても残ります。  私は戦後世代でございますけれども、日本が戦中戦後から行ってきたことに対してまだまだいろんな意味で認識の違いもあるし、そういう責任についてもいろんな形で論議がなされております。私どもも東南アジア各国を回り、そういう国々の話をお聞きしました。確かに、カンボジアやタイやマレーシアのように日本のこのPKO参加について積極的に賛成論を述べられる国もありますけれども、やはりベトナム、韓国、中国あたりは慎重にしてほしいという答えがどうしても返ってまいります。  先日来日された中国の江沢民書記、日本のPK ○参加について慎重に対処してほしいと総理に要望されたと聞いております。総理御自身この言葉を、またその後のいろんな形からお聞きになったと思うんですけれども、この言葉をどう受けとめられたのか、率直な御意見をお伺いしておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 江沢民総書記との会談でこの話は出ましたけれども、我が国のPKO法案というものがどのような内容のものであるかということを別に詳しく御説明をいたしたわけではございませんし、また恐らくは多くの我々がそうであったように、いわゆる国連の平和維持活動というのはどういうものか、関係国、紛争当事国からまずもう紛争をやめるから来てほしいというそういう招請があり、周辺国からもそうしてほしいという招請があった場合に初めてこういう事態が起こるというようなことについて、どれほど江沢民さんが御存じの上で答えをされたかは必ずしも明確ではございません。私どももそんな詳しい説明をしたわけではございません。  恐らく、しかし江沢民さんの気持ちにありましたことは、かっての歴史がございますから、何かのことで、日本の昔の言葉なら軍隊でございますが、そのような海外派兵というようなことが起こることになれば、それは自分としては関心を持たざるを得ないと、こういう気持ちで言っておられるのであろう。したがいまして、現実に我々が考えておりますような国連の平和維持活動を自衛隊が招請せられて行って、国連に貢献するということそのものについて判断を正確に下されたと、そういうお答えとは私は受けとっておりませんでございます。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 私は、このPKOへの国民の理解の問題、またアジア各国の理解というものを考えた場合、やはりこのPKOは慎重にできるところからやっていくのが大事なことではないかと思います。  外務大臣、外務大臣御自身もこのPKOのやり方について、若葉マークからとか青葉マークからとおっしゃっております。ちなみに、わざと使われているのかもしれませんけれども、初心者からという意味でいけば若葉マークなんですね。青信号からという意味では青なんですよ。青葉マークというのはございませんから、子供が間違えたらいけませんからその辺はしっかり答えていただきたいと思うんですけれども、私自身思っておりますのは、まずこのPKOに関しては、PKFという一番ある意味じゃ軍事色彩が強い部門に関してはまず凍結をしていただいて、その他のPKOから参加すべきではないか、私どもはそういう考えでおりますけれども、まず外務大臣の見解を伺っておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が若葉マークと言ったのは、法案はこのまま成立をさせていただいて、それで実際の実行についてはみんなが安心できる、もう疑いのないような部分から徐々にやって  いくことが実務的ではないか。そういう意味で免許証はもらっても最初から百キロの高速道路は走らない、四十キロぐらいのことをやって、なるほど安心だということでなれさせる方がよいのではなかろうかということを申し上げたのであります。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 最後に、総理に伺っておきたいと思います。  PKOの参加については、これまで各国の状況を見てきましても、スイスにしてもまたオーストリアを見ても、どちらもある意味では段階的に徐々にPKOに参加する分野を広げてきて、今のオーストリアは実際にPKFまで参加するようになりました。スイスは今、最終的にこのPKFに参加するかどうかを議論しているところまで参りました。ドイツにしてみても今のUNTACに、先ほど指摘がありましたけれども、衛生丘ハのみを派遣する、こういうことを行っております。我が国としてもPKOにはやはり一・歩一歩進むことが必要であると思っております。  そこで、私たちはこの今の法案の附則に、例えば別の法律でPKF参加を解除するまではPKFの派遣は行わないというふうにきちんと明記して、やはり法案そのものを修正し、将来別の法律としてPKFへの派遣を行うものとするという、そういう別の法律をつくって、これが成立して初めてPKFの凍結を解除する。国民にある意味ではわかりやすく、なおかつ国会の関与がきちんとしたやり方でやるべきだと考えておりますが、総理の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 以前から申し上げておりますとおり、政府といたしましては、政府が提案をいたしました考え方を最善であると思っておるものでございますけれども、三権分立のお立場から、国会においてまたそれと違う所見を持たれるということは十分あることであると思います。国会が多数でそういう御所見をお持ちになりました場合には、政府はそれに対しまして無論弾力的に対応いたさなければならないと考えております。

木庭健太郎公明党・国民会議

○木庭健太郎君 ありがとうございました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は、日本が国際的な協力あるいは貢献をするという場合には、かつての専制支配の誤り、そして大変な惨禍をもたらしたあの侵略戦争、この厳しい反省の上につくられた日本国憲法の平和原則、これを厳守することが極めて重要だ。同時に、他民族の民族の主権、これを尊重して、そしてその中で積極的な役割を果たしていくべきだというふうに考えます。  宮澤首相も繰り返しおっしゃっているように、憲法の枠内で可能な限りということを常に述べておられます。ところが、実際の内容を見てみますと、今回の自衛隊の派遣を含むこのPKO法案、これが合憲だというふうに政府が主張している点については、どういう名目であっても私たちは容認することができないのであります。  そこでお尋ねしますけれども、政府は憲法前文の「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しょうと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」、こういう文章を引用されて、これを武器を持った自衛隊の海外派兵の根拠にしようとしておりますが、これがどうして自衛隊の派遣の根拠になるのでしょうか、この憲法の前文が。御説明いただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 憲法並びに前文を含めました憲法全体の精神というもの、考え方が、私は、日本はいわゆる軍事大国にならない、そして海外において武力行使をすることはいたさない、そういう形で世界の平和を求めていく、こういうことが憲法の基本的な精神であろうと思います。  そして、副本はそういう立場をとるが、各国の善意に信頼をして、そして平和を全うしていきたいと考えているという趣旨のことは、やはり国連といったようなものを頭に置きながら、そういう世界全体の国から成る組織が世界平和を維持し増進するという、そのために日本は貢献をしていくという考え方、そういうことの中で平和、世界の平和を実現していこう、これが私は憲法並びに前文の精神であると考えておりますので、したがいまして、国連の平和維持活動に協力いたしますことは憲法の考え方に沿うものであるというふうに思っておるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今、首相は、私が引用した文章それ自体から、自衛隊の海外派遣、これが合憲であるという根拠として説明することができませんでした。一般的、抽象的な内容として述べられたわけですが、今私が申し述べた憲法前文の「専制と隷従、圧迫と偏狭」、こういう国であったということは、あの第二次世界大戦のときに諸外国から国際的に厳しく日本が批判されてきた内容そのものなんですわ。これはカイロ宣言を見てもあるいはポツダム宣言を見ても明確にその点が指摘されているわけで、それを地上から除去すう側に日本の政府が立脚すること、このことによって「名誉ある地位を占めたい」というのは、まさに侵略戦争の反省の結果であるというのがこの発言そのものなんです。ですから、その発言を、軍隊である自衛隊を派遣して名誉ある地位を占めたいと思うなどとすりかえることは全くの歪曲であるということを私ははっきり申し上げておきたいわけですが、首相、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 世の中が変わりますと変わるんですよ。憲法ができたときに、独立の国家として軍隊を持たないようなものに反対だと言った政党もあります。しかし、その後になりまして、自衛隊は反対だ、しかしながら一応解散するが赤軍をこしらえるんだと言った政党もございます。そしてまた別なことを、時代が変われば別なことを言うわけでありますから。  我々は変わらないんです。我々は、この憲法は、日本が要するに紛争を解決する手段として武力の威嚇や行使は行わない、しかしその一方においては国際貢献をするということも憲法には書いてあるわけですから、国際貢献の仕方として武力の威嚇、行使、そういうことをやらない。国際貢献としてやはりこのPKOは許されるという解釈であります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は宮澤首相に答弁をお願いしたんです。首相として答弁台に立つのは渡辺さんは少し早いんではないかということだけ申し述べておきたいと思うんです。  憲法の九十九条には明確に、大臣すべてが守らなければならないものということが憲法の最高法規として述べられております。そして問題は、その当時の状況の変化等々の説明をされますけれども、ここで行われているのは、名誉ある地位を占める国際的な協調、これらの問題について日本が行わなければならないものとしては、平和的な手段、あくまで平和的な方法、これ以外には問題の選択の基準はないんです、憲法においては。ですから、軍隊であるとされている自衛隊でなければならないなどという根拠は全く憲法にないということだけを私は明確に指摘しておきたいと思います。  そのことと関連して、具体的にカンボジアの問題をめぐってお尋ねしたいと思います。  これまでのカンボジアのいわゆる四派の軍隊は総数で約十七万あるいは二十万というふうに言われております。この軍隊については、先般のカンボジア紛争の包括的な政治解決に関する協定の附属文書第五条では、七〇%の動員解除を段階的に行うとされていて、三〇%の軍隊がそれぞれ維持されるということになっている点は注目される点であります。さらにポル・ポト派による国連ヘリ銃撃事件、またポル・ポト派とプノンペン軍との間での軍事的大規模な衝突がコンポントムでも起こったなどということがかつてありました。最近の報道によりますと、プノンペン派も自分たちの支配地域に受け入れるというふうな態度を表明しておる等の変化はありますけれども、既にカンボジアに派遣されるUNTACの軍事部門の構成はほぼ決定され、部隊ごとに武器、装備が携行されているわけでありますが、この部隊が携行している武器、装備、それはどういうものであるのか御説明をいただきたいと思います。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、UNTACの展開が全部完了したわけではございません。展開が現在行われつつあるという段階でございます。それが一つ。そういう意味もございまして、全貌を把握しているということではございませんけれども、現在私たちが承知しております国の武器の携行でございますが、例示的に三つ四つ申し上げます。  例えばインドネシア、歩兵部隊を提供していることは御承知のとおりですが、携行しておりますのはけん銃、M16型小銃、そういったようなもの。それからバングラデシュが、地雷処理のためだと思いますが、歩兵大隊を出していますけれども、ガイドラインに基づき武器を携行ということで、その内容はそれ以上はわかっておりません。マレーシアにつきましても、歩兵大隊を出していますが、自動小銃、それから非武装の運送用の車両、それからブローニングのけん銃を携行しておるというふうに承知いたしております。それから、先ほどここで話題になりました中国の工兵部隊ですが、小銃を携行している。  以上、例示的に申し上げた次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今の丹波さんの例示的な説明ということですが、政府はこのUNTACの軍事部門に自衛隊を参加させるという方向の態度をとっているわけですね。このPKO協力法案によれば、第六条の四項で、国連事務総長が認めた武器、装備を携行することができるとされているわけです。ですから、例示的に述べるんではなくて、このカンボジアのUNTACの軍事部門に参加する部隊はどの程度の武器を持つことができるのかということを明確にされることが審議上必要だと思うんです。  これを外務省は調査して資料を提供するように委員長に求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 外務省、答弁願います。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 私どもが現時点で承知しておりますところでは、国連は、この院でも御論議の話題になりましたSOPも作成されてございません。それから各国に対して一定の何と申しますか、これとこれとこれの武器を携行するようにといったようなガイドラインというものも発出されておるというふうには承知いたしておりません。各国と国連との個々の話し合いあるいは了解のもとで、各国がそれぞれの装備を選択して携行しているというふうに理解いたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その点は非常に私は問題だと思うんです。ポル・ポト派の軍事組織による武力行使、戦闘があったというふうなことがかつて報道されましたし、現に三割に上る部隊が残留するわけです。こういうところに行く点について、これまでも問題になっていたように、標準作戦規定によってはどういう場合に武器の使用ができるのか、どういう限界をもって武力行使が容認されるのか、これは任務として明確にSOPで規定されているわけですね。  そういう標準作戦規定に基づいて行動が行われるということになっているわけですが、今回のカンボジアに対してのこの作戦規定というのはどういうふうになっているんですか。全然ないというのは了承できかねるんですが、その経過について説明していただきたい。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) まず、先生のお言葉をあれするつもりはございませんけれども、作戦とかそういったぐいの目的で出ていっているものでないことは先生御承知のとおりでございまして、私たち国連に聞きましたところでは、現在のところUNTACが展開し始めてから時間も間もないので、今のところSOPは作成されていないと。しかし、基本的には、先生も御承知のSOPのモデルが加盟各国のと申しますか派遣各国の念頭にあって、そういうものが基準になって、そういうものに合わせて行動をしているのではないか、そういう考え方ではないかという説明を受けておる次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 作戦規定というのはおかしいと言いますけれども、SOPを訳せば作戦規定というのはなかなか合った翻訳であるということだけ私は指摘しておきたいと思うんです。  問題は、この標準作戦規定に基づいてどういう行動をとるかということが任務として出されている、これらの問題については明確にされないであいまいのまま行われるということはこれは問題になるので、その国家間においてのモデル協定が結ばれなければならないということになるんではないかと思うんですが、その点はどうなっていますか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) UNTAC設立に関しまして、先生御承知のとおり、事務総長が大変詳細なUNTACの構想に関します報告書を出しております。先生もお読みだと思いますが、それを読んでいきますと、例えば軍事部門の任務といたしまして大変詳細な規定が置かれておりまして、停戦の監視、軍隊の収容の監視、それから武装解除の監視あるいはカンボジア軍各派の動員解除の監視、武器の管理、地雷の除去、訓練といったことで、決してその内容はおどろおどろしいものではなくて、まさに紛争が終わった後の平和を見守るという活動であることはもう先生も十分御理解のところだと思うのでございます。  それから、各国の取り決めと申しますのは、先生が意味しておられるのは国連と派遣各国との間の取り決めを念頭に置いておられると思うのでございますが、私たちが調査いたしましたところでは、この院でも何度も御議論になっておられるモデル協定のような詳細な派遣取り決めというものではなくて、非常に簡単な口上書に基づいてどういう人間が何人と、もう少しのことが書かれておるようですけれども、どちらかといえば簡単な口上書的なものでのやりとりで行われているというふうに承知いたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 問題は、相手からもまだ要請されていない、そしてあなたが言うように、SOPつまりカンボジアに関する作戦規定、これはいまだに存在していないと。また、それぞれの国が結ぶモデル協定についても承知していないと。しかし、日本がこれに参加をしたいという限り、国連との間での文書のやりとり、会議のメモ、これらの問題については一切ないのかどうか。あるならばその内容を提出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生、申しわけありませんけれども、SOPは日本政府が作成するものではございませんで国連が作成するもので、それがまた作成されていませんという事実を私は申し上げているだけなのでございます。  それから、国連が派遣に当たって各国との間でやりとりをする書類については、国連とその国との間の関係の問題であるので外に出すことはできないということを言っておるんで、私たちはそういう意味で何と申しますか、お出しすることはできないわけで、情報として知っておるというだけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先般の国会のときもSOPモデル協定、標準SOPですね、これ自身も全然政府は出そうとしない。それから、国連が提出しないということを口実にしてそういうことをあくまでやってきて大変な国会での審議をおくらせ、あるいはその問題についてあいまいな態度をとるという根拠にしてきたことは絶対に私としては認めることができないわけです。  カンボジアの問題にあなた方自身がいわゆる自衛隊を送りたいということを主張して、そうであるならばそれがどういう内容に基づいて送られるのか、武器は何を携帯するのか、どの範囲の任務が与えられるのか、どの部分に参加したいということになるのか、それらの内容について全然明らかにしないで、SOPは国連がつくるものです、こちらは関与していません、まだつくられたかどうかもわからない、入手したって出すことができない、そんなやり方で審議ができますか。  その点は私は厳しく、この問題については理事会で資料をきちっと出さない限り、カンボジアに自衛隊を送るというようなことを口実にして、PKO協力法案ができないならばカンボジアについて何らもできないかのように主張して、カンボジア問題を人質にするようなやり方というのは絶対に許しません。ですから、その資料を必ず提供するということを求めたいわけですが、いかがでしょうか。委員長、それを理事会で諮っていただきたい。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 本件は、外務省のお立場で検討されてできるものの範囲において出すということだと思いますから、それに従って外務省の方で今御説明をしたんですが、委員の方で今またそれに十分御理解をいただけないということであれば、もう一回外務省からおわかりいただくように御説明願いたい。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は、この問題については外務省に反省を求めたいと思います。こんな国会の審議を形骸化するような、資料も提出しないような態度というのは厳しく私は指摘しておきたい。その態度は改めるべきだということをこの点では主張しておきます。  そして最後に、自衛隊の海外派遣については憲法上これは許されません。どのように政府が言い繕おうとも、今日のカンボジアの状況を見ても、カンボジアのUNTACの軍事部門への参加はいかなる形であろうとも憲法の違反であります。もともと自公民の幹事長、書記長は、一昨年の十一月八日の合意で自衛隊とは別個の組織をつくることとするというふうにされています。ところが、結局は自衛隊の海外派遣に道を開くということになったわけです。今いろいろの修正が言われておりますが、これも憲法違反の自衛隊の海外派遣を閉ざすものには全くならないということを指摘しておきます。  問題は、真に憲法の平和原則、これをしっかりと守り、諸民族の友好関係を重視するならば、他民族の主権を尊重し、PKO協力法案は廃案以外にないということを申し述べて、私の質問を終わります。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表して質問をいたします。  実はきょう、私は質問をするべく質問事項を準備しました。しかし、今立木委員が少し触れられましたが、私が質問をしようと思っていることについての関連資料の提示がけさ八時二十分でありました。したがって、私の質問の趣旨はどうなのか、その趣旨に沿った答弁をしたいからとおっしゃいましたが、その趣旨をつくろうにも、資料はこのように遅く、しかも少量ではできない。したがって、通告をした質問についてはもういたしませんと、非常に残念なことを答えざるを得ませんでした。  考えてみると、私が質問をしたいということで通告したことはすべて、これまで矢田部委員及び各質問者が尋ねられたカンボジアの情勢についてであります。先遣隊のやったことはどういうことなのか、あるいはUNTACが引き継いだ後どういう状態になっているのか、さらに今日本がカンボジアから人を出してほしいと思われているというところはどの部分なのか、そして事態はどういうことになっているのか、そのことについて六点ほど質問したいという通告をしたわけです。  このことは、実は参議院での特別委員会が始まればだれもが聞きたいことであるということはわかり切ったことであります。そのわかり切ったことであれば、あれほど理事懇談会でも早く再開をしようといって、ようやくきょう委員会が再開になるわけですから、なぜ外務省はそういう関連の資料についてどんどん議員に提示をしていただけないのか。  これはもちろん議員は自分の力で情報も収集をしなければなりません。すべてを政府や、あるいは自分の努力の足りないことを棚に上げてけしからぬと言うわけにはいかないと、私はそれは十分承知をしておりますが、しかし現在のカンボジアの動静なり、日本がPKO活動でカンボジアとかかわりを持たなければならないという場合には、一番その情報をたくさん正確に持ってみえるのは恐らく外務省をおいてほかにない、これはもう明らかだと思うんです。もちろん新聞や雑誌、あるいはボランティアで行かれた方の報告もあるでしょうけれども、そうだとすれば、なぜ資料がこんなに遅くなって、きょうはこういうふうにNHKのテレビで貴重な国の報告をされるというときにまことに残念なことだ。  例えば、今ごらんのような資料はいただきました。しかし、このような資料を見ますと、本当にきのう夜十時までかからないとつくれなかったような資料が、決してそういう資料はありません。そうだとすれば、きょうの日程が決まっても、資料の提示が間に合わないから審議の日程をずらしてほしいというのが外務省の本当の立場じゃないでしょうか。「政府に対する資料要求及びその対応状況一覧」というのはいただきました。これは出せません、あれは出せません、これは出せます、これは三角でしたが出せることになりましたと。しかし、そういった資料が届かないわけです。  そこで、私は、きょうの質問は総務庁にしたいと思います。  どうしてかといいますと、私はたびたびこれまで総務庁にお尋ねをしたことがあります。日本は、行政機関が持っている情報について、行政機関の方が、これは国民に知らした方が適当だ、これは国民に知らしても構わないという行政機関の一方的判断で情報を公開するだけでございます。しかし、外国には、行政機関が持っている情報について、国民の方が知りたいから出せ、開示をしろという場合に、特定のものを、特定の資料のみを除いては国は開示をしなければならないという制度があるわけです。行政機関が持つ行政情報については、一定の制約はあるにしても国民に開示をしなければならない法律制度があるわけです。  日本においては、この法律制度は、政府の総務庁においても検討を続けられてまいりましたが、現段階では検討中であるといいますか、必要ないといいますか、あるいは時期尚早であるということをおっしゃってみえます。だから、私どもですらこのような情報を得ることが難しい。国民は一体どうしたらいいのか。しかし、カンボジアのいろんな事情について、ここで私どもがいろいろ尋ねていろいろ答えられれば、まだきょうはテレビで国民は知ることができます。  私は、先ほど委員長から御報告を受けました、資料開示が遅いので委員長が関連省庁の方をお呼びになって厳しく注意喚起したと。これは、たびたびこれまでそのことを繰り返しております。そこからどういうことを考えるかといいますと、やはり国の機関が持っている情報で差し支えないものは出さなければいけないんだよという、そういう義務があるんだという認識がないから、いつもおれたちが出してやるんだとこうなるから、忙しくて準備ができない、あるいはいろんなほかの仕事で準備ができなかった、あるいはこれは自分が判断すると出すべきではないかもわからないと思ったから出せなくなりましたと。しかし、本来出さなきゃいかぬ義務があるんだ。そういう法律制度をやはりつくらない限りは、国論を二分するこういう問題についても大変憂慮すべき事態がある。  そこで、総務庁長官にお尋ねをしたいんですが、行政機関の情報公開法制度について今どのようにお考えかということであります。  念のため申し上げますが、私ども参議院の社会、公明、民社、それから社民連は参議院にありませんが、社民連の方七連合参議院で行政機関の保持する行政情報についての公開法案を既につくりました。上程をしたいと思っておりますが、その法案の中で、外務省に関係のある条項で私どもが考えた条文を申し上げます、非常に短いものでありますので。  第八条にこういう規定を設けました。「行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が次の各号に掲げる情報のいずれかに該当すると認める場合は、これを開示しないことができる。」そのいずれかの場合に該当するというところが五号でありますが、「外交に関する情報であって、開示することにより、我が国と他国との信頼関係を損なうおそれがあることが明らかであり、又は外交交渉上我が国が不利益を被るおそれがあることが明らかであるもの」、この場合には開示しないことができる。つまり、それ以外は開示しなければならない、こういう条文を既に案としてつくっておりますが、その点も踏まえまして御見解をまず伺いたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○国務大臣(岩崎純三君) 情報公開に対します総務庁が取り組んでまいりました今日までの基本的な考え方、それから今後情報公開を進めるに当たりまして取り組んでまいります事柄、さらに情報公開の制度化の問題に対する問題点等々について簡潔にお答えをさせていただきたい、こう思います。  御案内のとおり、行政情報の公開につきましては公正で民主的な行政運営を実現する、そのためには、そのことによりまして国民の行政に対する信頼が高まるであろう、そういった考え方を基本にいたしまして今日まで文書閲覧窓口制度、こういったものを進めまして、国民が求める必要な情報の公開に努めてまいったわけでございます。特に、閲覧窓口の目録登載件数、これは今約四十七万件に上っておりまして、五年間で見ますると約二・六倍にその枠が広がってまいりました。また、国民の方々のそういったものを利用する件数、これは六万三千件ございまして、過去五年間で四・三倍の伸び率になっておるというのが現況でございます。  さらに、昨年十二月に、国民の皆さん方からの行政情報の公開請求の件について取り組みました結果、各行政機関が公開の可否を判断できまするように、そのための共通的な基準といたしまして行政情報公開基準を策定いたしたところでございます。この行政情報公開基準につきましては、行政情報公開を求める運動団体の方々からも大変評価をいただいておるところでございます、今後とも行政機関が管理する文書を広く公開する、そうした立場に立ちまして的確に運用し、公開範囲の拡大に努めてまいりたい、このように考えております。  最後の情報公開法の制度化の問題でございますが、この件につきましては平成二年九月の情報公開問題研究会の報告によりますると、検討すべき課題が非常に多い、この報告を受けまして、今調査研究をいたしておるさなかでございます。  以上であります。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 検討すべきことが多いので今引き続き検討しておる、そういう状態だといつまでたってもきょうのこの事態は変わらない。  今PKO法案で国会承認のことがいろいろな角度から問題になっております。五条件をつけたんだから任せてほしい、いやこれは大変なことだから国会の承認はどうしても必要だ、それは俗に言うといいますか、いわゆるシビリアンコンドロールの観点からの議論がほとんどでございます。  しかし、果たして今のような資料開示の寒々とした状況の中で、国会承認が仮にあっても、実施計画について本当に国民の知りたいことが開示されて国会でまともな議論がされるかどうか。あるいは日本のPKOの参加が実現して、その経過の報告なり、その前に着手のときの報告なりも本当に行政情報が十分開示をされるだろうか。常に、検討をいたします、これでは役所は開示をしなきゃならない義務があるということじゃなくて、開示をしてやるんだこだからこの程度でいいんだとか、あるいはこれは国民には難しいからだめですとか、こういう事態になるわけです。  そこで、そういう点で言いますと、シビリアンコントロールの点から国会承認を必要だという声のほかに、実はこういう情報の開示がないとすれば、国会の承認という中でもほとんど上滑りな議論しかされないとしたら、これこそ問題である。  今回各党が請求をされました資料について、丸というのとペケ、三角とあります。それで、今お話しになりましたSOP、これはバツ印です。これは国連との信頼関係を損なうから勘弁してもらいたい。しかし、具体的な信頼関係は一体どこにあるのか、その点になるとPKOの理事会においてもよくわからない。しかし、それでも一歩譲って、丸になって出しますという資料もけさの八時しか来ないとしたら、これは事実上ペケと一緒のことなんです。  そういうことを考えますと、私はこういう委員会で委員長にお尋ねするのはちょっといけないのかもしれませんが、きょうお昼に委員長がお話をされたことについて、できればここでお答えをもう一度伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 井上委員からの今御質問でございますが、この資料の問題につきましては、けさほどの理事会でやはり問題になったことでございます。そのときの皆様の御意向に従いまして、早速資料を提出すべき関係各省を休憩の時間に呼びまして、私の方からまず実情を聞きました。  その結果、私の方から特に強く要望いたしましたのは、今委員御指摘の丸という問題、これはすぐに利用するという必要があるわけですから、丸ということがはっきりしているものは一刻も早く各理事の方に提出すること。それからまた、バツということの場合には、これもいつまでもバツかあるいは丸がわからないままの状態に放置されたのではその利用の余地が非常に狭まってくるということがありますので、この点もなるべく早く関係者に御連絡をする。  それからまた、翻訳の問題があります。資料の中で、英文の翻訳がありますから、この問題につきましては御要求が出ておる資料の翻訳はこの連休中にすべて終える、そして提出するということをお願いいたしました。ただ、そのためには外務省でやれない場合もありますので下請の方に出すことがありますので、場合によっては仮訳ということになるかもしれないが、迅速にということで連休明けまでには必ず提出するということにいたしました。  また、各理事からそれぞれ御要求のありました資料につきましては、提出のときにすべて全理事に同時に提出するということになる。  いずれにいたしましても、この資料の提出については、今後ともさらに協力的に各理事の御意向に従うように努力するように申しつけた次第でございます。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 時間が来ましたので終わりますが、委員長におわびの言葉はありましたでしょうか。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) その説明の中で、そのような言葉がありました。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 終わります。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して質問をしたいと思います。  前国会で継続審議となりましたPKO法案もやっとこの国会で審議が始まったわけであります。我々は、PKO法案、つまりPKOに自衛隊も含め参加することは基本的に賛成であります。しかし、国民の理解をできるだけ幅広く得ること、また一方では行く立場になって、自衛隊の方とかあるいはPKOに参加する方々が安心して誇りを持って行けるような体制をつくること、三番目は海外の諸国民の方々が危惧を持たないような万全の措置をとること、これが必要だと思います。したがって、一つはシビリアンコントロールによる歯どめをしっかりとつけること、それから法案の中に幾つかの疑問点もありますけれども、そういう疑義を晴らして明確にすること、これが重要ではないかと思います。  衆議院におきましては、我々はシビリアンコントロールを徹底するために国会における事前承認の必要性を述べました。残念ながら法案にはそのような趣旨が取り入れられなかったので、我々は法案には反対をいたしました。また、そのほかも幾つかの疑問点が残っております。  これからの参議院の審議を通じてこういう疑問点を明らかにするとともに、できれば必要な修正を加え、より多くの会派、より多くの議員の合意を得て成立するように努力すべきだと思います。この点について総理の基本的な姿勢をまずお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま田渕委員の御指摘になりました諸点、いわゆるシビリアンコントロールの問題、あるいはこの法案で申しますならば国会に実施計画を御報告するというような点についての問題、その他我が国の憲法との関連におきますもろもろの配慮、政府原案におきましてそれらは十分に配慮をいたしたと私どもは考えておるところでございますが、なおただいま田渕委員の御指摘になりました三つの点につきまして国会におかれまして御疑念を持たれる、あるいはよりベターな考えをお持ちになるということは、これは私どもは私どもの最善と存じておりますけれども、国会の御審議において、また国会の多数の御意見として別の御意見が出るということは三権分立の立場からあり得ることであると存じております。  私どもは、願わくは私どもの案を御承認いただきたいと存じつつ、しかし立法府のそのような御意思はこれはもとより尊重しなければならないところでございますので、御疑念があればできるだけ御疑念にお答えを申し上げ、なおその末におきましての立法府の御決定であれば、これは行政府としては当然に弾力的に考えなければならない、このような心構えをいたしております。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 それから、今までの審議の中で他の委員の方から国会承認の問題あるいは指揮権の問題等についての御発言がございました。これは我が党が主張しておることとも非常に関連がございますので、民社党としての立場を明らかにしておきたいと思います。  まず第一は、国会承認についてでありますけれども、これはやはり武装した自衛隊を部隊として初めて海外に派遣するということになるわけであります。したがって、これはシビリアンコントロールでも最高級の歯どめをつける必要がある、したがって国会承認が必要だということを言っておるわけであります。  それからもう一つは、五原則というものがあるわけでありますけれども、しかしこれから生じてくるPKOというものはいろんな形態、いろんな対応が考えられます。一つ一つはみんな違うと言っても過言ではないと思います。したがって、五原則は満たしつつもなおかつ検討すべき点は生じてくるのではなかろうか。それからさらには、近隣の国々との関係、近隣の国々の意見、そういうような情勢も配慮しなければならないこともありましょう。それからさらには財政的な事情というものもあります。それからまた、我が国の自衛隊を派遣することになるわけでありますから、我が国自体の防衛体制への影響ということも考えなくてはならない。したがって、私は、五原則があるから国会承認は不要というのではなくて、五原則以外のいろんな要素について国会に諮った方がベターである、こういうことが生じてくると思うのであります。  それからもう一つは、緊急の場合間に合わぬではないかということもありますけれども、防衛出動、治安出動の場合にはむしろPKOよりも緊急性が高い場合が多いのではないかと思います。これでも国会承認というものが法律上設けられておるわけでありますから、PKOに関してそれができないわけはないだろう。また、国会閉会中に必要がある場合は、我々は次の国会での事後承認という弾力性も考えておるわけであります。  それから、もう一つの重要な点は、行く立場の自衛隊の側に立って物を考えることが必要ではないか。先般、掃海艇が中東に派遣されまして大きな成果を上げて帰ってまいりました。しかし、この掃海艇が呉に帰ってきたときに、国会議員で出迎えたのは自民党の方と民社党だけだったということを聞いております。私は、せっかくあの暑いところへ行って、半年も狭い船の中で苦労して危険な仕事に携わって帰ってきても、国民がみんな本当に喜んでくれておるのだろうか、国民がみんな喜び歓迎してくれるならばそういう苦労も報われたと彼らは感ずると思うんです。ところが、一部の政治勢力は、自衛隊の基地を取り巻いて反対デモをやっておる。私はこういう状態では自衛隊の人に気の毒ではないかと思います。少なくとも日本の国民の意思をあらわす最高の機関である国会できちんと承認をして出してあげることの方がいいのではないか。  こういう理由で国会承認を主張しておるわけでありますけれども、この点についてどう考えられるか、お伺いをしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 時間の関係もありましょうから、繰り返してくどいことは申し上げません。  政府は政府の立場で原案を出したわけでございますが、先ほど総理からお答えがありましたように、やはり三権分立て、国会は国会の中で各党が話し合いをして、一致点を見られるようであれば極力政府原案に近い形で一致点を見ていただきたい、そう思っておるわけでございます。  したがいまして、具体的に各党からいろいろ案が出るでございましょうから、そういうときには国会対策委員長を中心としておやりになるか、書記長、幹事長でやるかわかりませんけれども、いずれにしても話し合いをしていただく。そして、その結果につきましては政府としても国会の大多数の御意思はこれは尊重をしなければなるまい、そう考えておるわけであります。  ただ、それぞれ政党はみんな別でございますので、話し合いというものは一〇〇%というわけにはなかなかいかないので、みんなが小異を残しながら大きな道で一緒になれるという方向が一番望ましいと存じます。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 次に、指揮権の問題につきまして若干質問をしたいと思います。  国連の平和維持活動のSOPによりますと、平和維持活動の活動は国連事務総長の指揮下で行われる。国連事務総長は、みずからの活動の一切の面につき安全保障理事会に対して責任を負う。加盟国政府により提供される軍事要員は、活動事項につき事務総長の指揮下に入る。しかし、賃金及び懲罰事項については出身国の命令に従う。平和維持活動における軍事要員は、活動事項に関しては出身国の命令は受けず、国連事務総長から命令を受ける国連指揮官の命令のみを受けることが平和維持活動における基本原則である。この指揮命令系統の違反は、活動上の、政治上の重大問題を引き起こすことがある。このように決められております。  私は、この考え方が非常にもっともだと思うんです。各国の軍隊が他国へ派遣されて、そしてその軍隊がそれぞれの国の指揮下に入るということは極めて危険なことではないかと思うんです。やっぱり国連という世界各国の合意によってつくられた国際的な一つの機関のもとで働くからこそ、受け入れる国も安心して受け入れられるわけであります。この点について、もし日本に指揮命令権が帰属するということになるならば、これは国権の発動ということに当たると思います。国連の指揮といったががはまっていないのであるならば、日本独自の判断で行動できる余地もある。これはむしろ非常に危険なことで、憲法上からもむしろ疑義が生ずるのではないかと思います。この点についてお伺いをしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 当然に、自衛隊は総理大臣の指揮下に入るのであります。総理大臣は、憲法に従って指揮をするわけであります。  今回の国連のPKOに参加をするという場合において、いろいろな作戦とかあるいはいろんな配置とか、いろんなオペレーションの部分がございましょう。そういうものにつきましては、当然にそれは国連事務総長の指図に従うということは当たり前のことだと私は思います。したがいまして、どうしてもできるかできないかということについては、日本のPKOが行ったら邪魔になるというようなことじゃ困るわけでございますから、それはあらかじめ日本の政府と。国連の方で実施計画等をつくるときにすり合わせをして、こういうような方面でこういう活動をしてもらう、それで十分だというときに初めて合意されるわけでございます。  それがどうしてもすり合わない場合は、残念ながら出せないということもあり得るということだと存じます。出した以上は、やはり話し合いの上で仕事の内容をあらかじめ予想して決めるわけですから、その決めた中では国連の事務総長の指図、あるいはそれを指揮というような訳があったとしてもそれは別に奇異なことではなかろう。ただ、指揮といっても純粋な指揮かどうかということについていろいろな問題がありますので、コマンドを指図と訳しているということであります。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 私は、前に政府が出された統一見解と、きょう外務大臣が言われた答弁とは食い違いがあると思うんです。前の見解のこの部分にかかわる点を申し上げますと、「我が国から派遣された要員は、本部長が作成する実施要領に従い、我が国の指揮監督に服しつつ、国際平和協力業務を行うこととなる」ということで、「我が国の指揮監督に服しつつ」とあるんですね。それから「実施要領はこ、ちょっと飛ばしますけれども、「国連の「指図」に適合するように作成される」。つまり国連の指図に適合するように実施要領をつくる。国連の指図というのは実施要領をつくるときに指図があるだけ、あとは我が国の指揮監督命令下に置かれる、こうなっておりますね。これはきょうの外務大臣の答弁とちょっと食い違っておりませんか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は違わないと思うんですが、要するにもう派遣された以上は、右に行け左に行けというような問題についてそれはあらかじめ合意された中で行われることですから、それは国連事務総長の指図に従うということであって、その指図と総理大臣の指揮とは恐らく一体のものとして考えられるということだと存じます。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 私は、前の政府の統一見解というのはやっぱり考え方が間違っておると思います。  本来は、PKOに参加するとか撤収するとかあるいはどういう条件をつけるというのは、これは指揮命令ではありません。国連と我が国との間の交渉なんです。条件なんです。そういう条件をつけた上で我が国がPKOに参加することができる、そしてその条件のもとを国連事務総長も了承して我が国の部隊を使うことができる。そして、出した以上は国連事務総長の指揮下に入らないといかぬ。その条件に反したときだけ我々はそれに従わなくてもいいわけである。だから、組み立て方が全く逆だと思うんです、政府の統一見解は。この点はいかがですか。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど言ったように、要するにコマンダーのコマンドに従うと言っているわけです。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 外務大臣の答弁は私が言ったことに割に近いんです。近いとすると、前の統一見解とは矛盾するということになる。この点を、矢田部委員の要請もありましたけれども、より明確に整理をして出していただくように要請をいたします。  それから、このPKO法案もそれから国際緊急援助隊の法案も国際貢献ということが非常に大きく言われております。ただ、国際貢献とは何かというのは非常にあいまいで、また人によって多少イメージが違っておるように思うわけです。また、そういうところがこういう議論が食い違うもとにもなっておるのではないかと思います。  国際貢献というならば、我々はこれまでも経済援助とか技術援助、そのほかのいろんな面で貢献はしてきております。ただ、この国際貢献の中でなぜ自衛隊を出さなければならないかということが問題なんです。国際貢献というと何となく我が国も一人前になった、金持ちになった、だから少しは世界のお役にも立とうではないか、社会奉仕みたいな感じがします。それならそんなことにわざわざ自衛隊を使わなくてもいいじゃないかと思う人もいるかもわかりません。そういうところがやっぱり問題になっておるので、単なる国際貢献というような軽いものではなくて、総理は国際責務ということを言われましたけれども、責務ということでもいいんですけれども、私はもっと日本の国の平和戦略、安全保障政策、それの根幹にかかわる問題だということを考えないといかぬと思うんです。  今まで日本の平和が保たれたというのは、私は前国会でも指摘しましたけれども、東西両陣営の力の均衡とイデオロギーの対立のらち外に我が国がいたからではありません。世界のイデオロギーの対立と力による均衡の中に組み込まれて、しかもその中で平和を保つことができたんです。  これには私は三つの理由があると思います。一つは、東西間に全面的な戦争がなかったことです。これは非常に幸いなことでした。しかし局地戦争はありました。第二番目は、我が国が分割されなかったことです。分裂国家にならなかった。ヤルタ体制で線引きをして、乱暴なことに一つの国を二つに分けたところがあります。ドイツがそうです。朝鮮がそうです。ベトナムがそうです。そして、朝鮮とベトナムでは戦争が起こっております。日本は分割されなかった。幸運でした、これも。第三点は、西側、東側の中で、西側に属したことです。これは日本の国が経済的に繁栄するために欠くことのできない条件だったと思います。さらに、西側に属したことは日米安保体制というもので国の安全保障をやることになる。私はこれが日本が今まで半世紀にわたって平和が保たれた大きな理由だと思います。  もう時間がなくなりましたけれども、しかし今このヤルタ体制が崩れて新しい時代に入ろうとしておる。今までの日本の平和が保たれてきた基盤がなくなるんです。新しいものをつくっていかないといかぬ。その一つとして国連の機能強化ということが避けて通れない。だからそのために我々が自衛隊も送り協力するというのは、日本の安全のために必要なことだからです。日本の安全のために必要だから自衛隊を送らぬといかぬわけです。その点をもっと明らかにしていただきたいと思います。総理の御見解をお聞きします。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに御指摘のように、一般的に国際貢献といえばこれはいろいろなものがございますので、このたびの法案を国際貢献というだけで説明するわけにはまいりません。これは私が本会議でも申し上げましたように、平和の配当を各国が求めるような冷戦後の時代に、その平和の維持と増進の中心になるべきものは国連であるというふうに考えております。  したがって、その国連のもろもろの活動を助けることは平和国家としての我が国の務めでありますし、殊に国連の平和維持活動、戦争を事前に防止し、また平和を回復し増進するという、そういう国連の平和維持活動に貢献するということが即我が国の国際貢献の大事な部分であり、また我が国自身のためである、こういうふうにこの法案を考えておるところでございまして、御説明には全く同感でございます。

田渕哲也民社党・スポーツ・国民連合

○田渕哲也君 終わります。

喜屋武眞榮参院クラブ

○喜屋武眞榮君 我が国が国際貢献をしたい、国際貢献そのものは大変これ結構、いいことだと思っております。それがPKOとPKFの問題だと私は思います。  ところで問題は、のど元過ぐれば熱さを忘るという言葉もありますが、日本人が、我が国が本当に国際貢献をするという前提には、国民に対してもそして外国に対しても理解と信頼を求めてそれを前提にしたものでなければ、いかなる問題であっても必ずそこには疑惑、疑問、反発が生まれてくるということはこれは理の当然であります。  そういう点から、国民に対してあるいは外国に対して理解と信頼が不徹底であるということを私は申し上げたい。であればこそ、国民の中にも、いまだに国会の中でも問題があるし、そして外国からしてもぼつぼつこの問題に対する反論が出されておるということも事実であります。こういう状態の中で、どんなにいいことだから飲めとが食べよとか言ってみたところで、それはありがたく受け付けるわけにはまいらぬ。これが今問題のPKO、PKFの問題だと思うわけなんです。  そこで私は、日本の国際貢献のあり方について、PKO参加について尋ねたいと思うのでありますが、日本の国際貢献はあくまでも日本国憲法の平和主義の原則にのっとって行われるべきであると私は考えます。国際連合の活動といえども、日本は武力の行使につながるおそれのある活動には自国憲法の基本原則にのっとって参加すべきではないと考えております。したがいまして、PKFはもちろんめこと、PKOも非軍事の分野に限って参加すべきである。もし外国から、日本がPKOの軍事的分野に参加しない、日本は人的貢献をしないということに対する批判があるとするならば、宮澤総理は率先してそのことに対する憲法の平和主義の理念を説明し、理解を求めるべきであると思います。  冷戦が終結し、新しい世界秩序の構築が模索されている現在の世界情勢のもとにおいてこそ、日本の総理がこのような主張をすることは、世界政治における日本め自主性、主体性の確立と世界の恒久平和の創造に大きく貢献するものであると考えます。したがいまして、宮澤総理は大国日本の総理としてこのようなリーダーシップを今こそ発揮されるお考えはお持ちだろうかどうか、まずその腹をお聞きしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御指摘の中心の部分は、我が国は海外において武力行使をしてはならないということについてであったと存じます。その点は私もそのように考えております。我が国が海外において武力行使をすることは憲法の許すところでないと考えております。したがいまして、この法案を作成する過程におきまして、万一にもそのようなおそれにつながりませんように、武器の使用の場合及び停戦の約束が破れました場合に、我々は他の国と異なる我が国の憲法に従ったような行動をするということをこの法案の中に盛り込んでございまして、委員の御指摘のごとく、どんな場合にも何かのはずみで我が国の自衛隊が海外で武力行使をするようなことが起こりませんように、そういう配慮をこの法案の中でいたしてございます。  そのことにつきまして海外から批判がありましょうとも、それは我々の憲法の規定するところでございますから、何も海外の批評に遠慮をする必要はないし、のみならず、国連自身が、我々がこういう法律案のもとに国連の平和維持活動に参加するということについては、国連も基本的にそれで異存がないということを申しておりまして、我々の立場は認められておるものと考えております。

喜屋武眞榮参院クラブ

○喜屋武眞榮君 次に、自衛隊の海外派遣の是非についてお尋ねいたします。  まず初めに、私は自衛隊の海外派遣は絶対にやるべきではないと考えております。これは条件論の問題ではありません。自衛隊の違憲論とか合憲論の問題はさておいて、自衛隊は専守防衛を任務とする存在であるということは、今さら申し上げるまでもなく、政府は言い続けてきたではありませんか。自衛隊が海外に出ていくことに対して、中国を初めアジアの近隣諸国はたびたび懸念を表明しておるし、日本国民も反対する者が多いということが現実であります。  このような内外の情勢の中で、なぜあえて自衛隊を海外に派遣しなければいけないのか、その真の理由をお聞きしたい。もし、現実に自衛隊のような訓練された組織でないと役に立たないというのであれば、非軍事、文民、民生の分野に限った国際協力のための組織をつくって、訓練を積んで国際的貢献をすることぐらいは現在の我が国の経済大国の現状からしまして朝飯前のことではないでしょうか、やろうと思えば。そこで、そのことを総理にお尋ねいたしたい。  同時に、社会党が自衛隊とは別個の組織で国際貢献を行うという最大の理由は一体何であるのか、お尋ねいたしたい。  以上です。

宮澤喜一自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げたことの続きになるわけでございますが、我が国は海外において武力行使をしてはならない、この法案におきまして万一にもそのような危険が起こらないように幾つかの配慮をいたしておりますことは、申し上げたとおりでございます。したがって、この法案の結果が自衛隊が海外で武力行使をすることになるということは、まことにそういうことをこの法案は考えておりません。国連の平和維持活動のために自衛隊が協力をするということであって、どう間違いが起こりましてもそれが武力行使になりませんようにということは十分にこの法律案が配慮しておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。

野田哲日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(野田哲君) 私どもが自衛隊とは別個の組織を御提案を申し上げております第一の理由は、憲法はやはり厳密に守っていかなければならない、こういう立場が第一であります。  第二には、近隣諸国の懸念に対して耳を傾けて、少なくとも我が国が行う国際貢献が近隣諸国の反発を招くような貢献策であればそれは国際貢献としての意味がない、このように考えております。  三つ目には、本院は自衛隊の発足に当たって、海外に派遣せざること、この趣旨の国会決議を行っております。本院としてはまだこの点についての別の解釈は出されておりませんので、私どもは、本院で提案する法案はこの決議を厳格に尊重しなければならない、このように考えております。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、来る五月七日午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会

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