厚生委員会 第2号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1992/03/26
会議録
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告をいたします。 去る二月二十八日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として菅野壽君が選任されました。 また、昨日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
○委員長(田渕勲二君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件につきまして質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○前島英三郎君 おはようございます。 早速質問に入らせていただきます。国際障害者年も一九八三年から十年、始まりましていよいよことしは最終年を迎えるわけでございますけれども、私たちはまだまだ日本におきましては未解決の問題も多うございますし、でき得ればこの最終年が新たな始まりであってほしい、こういう気構えのもとに、ことしは国の内外においていろいろなイベントが計画されております。 宮澤総理が「生活大国」ということを打ち出しまして、いろいろと施策に取り組み頑張っておられるわけでございますが、大臣は所信演説の中で、総理が高々と掲げられました「「生活大国」の実現に全力を傾注」すると述べられております。厚生大臣という立場から、この「生活火届」の基本条件は何であるとお考えになりますか、まず冒頭お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 私は、やっぱり国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる、これが「生活大国」の基礎的条件であると思います。その基礎的条件の具体的な問題としては、社会保障がいかなる役割を果たすかという問題でありまして、その主なるものは年金であり医療であり福祉であると、このように私は理解をいたしております。そこで、年金や医療保険につきましては、長期的かつ安定的にこれがずっと運営していかれるような制度の確立をまずやらなきゃならぬ。それから高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づく高齢者に対する保健サービスの充実を図っていく。それから自立した生活と社会参加の促進、いわゆる国連のテーマにありました「完全参加と平等」という立場からそれを推進するということでありますが、そのためには障害者の住みよい町づくりの推進等を図っていくということであります。さらに、次代を担う子供たちが健やかに生まれ、育つ、そういう社会環境をつくるということであろうと理解いたしております。
○前島英三郎君 大臣は、今も力強くおっしゃっていただいたわけでありますが、所信の中では「一人一人が豊かさを実感でき、その豊かさを社会全体で共有できるよう努めていくことが求められています。」と、こう述べられているわけであります。この「一人一人」の中には当然今おっしゃいましたように高齢者や障害者やいろんな人たちが含まれるわけでありますけれども、とかく社会的に弱い立場の人々は、社会の中におきましてもどうしても弱い立場に追いやられる傾向がございまして、豊かさから取り残されがちでもございます。それゆえに、現時点では「生活大国」の基本条件等述べるに当たりましては、必ず障害者、高齢者などにつきましても格別に言及しなければならない。社会がなすべき基本的事項について強調する必要があると、こういうふうに思うわけでございますけれども、大臣いかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 今先生のお話のとおり、私は所信表明の中で「国民一人一人が豊かさを実感でき、その豊かさを社会全体で共有できる」と、そういうものをつくり上げていくために努力をしたいと、こう申し上げたのであります。 そこで、国連障害者の十年の五年終わった段階で、後期五年のいわゆる後期計画というものがつくられたのでありますが、その重点施策の中にも障害者や高齢者ができる限り住みなれた家庭の地域で生活できるような、いわゆるノーマライゼーションの理念について述べておられるわけでございまして、私はこれを重要なテーマとして推進していかなければならないと思っております。 さらに、障害者や高齢者に対する国民の理解と協力を求める、あるいはまた国や地方公共団体の総合的な施策の実施についても基本的事項の一つとしてこれまた欠くべからざるものであると思っておる次第でございます。 議員の御指摘になりましたこれらの手本を、常に強調していく必要があると私も考えております。
○前島英三郎君 宮澤総理は二十三日、経済審議会の主なメンバーと懇談されまして、生活大国の計画哲学としまして、一つは地球的規模の視点、二つ目として一人一人を尊重する視点という、この二点を具体的に挙げられたと言われております。これは新聞報道で私は知ったわけでございますが、この計画哲学というのは、言ってみれば厚生大臣の所信と相通ずるものがある。大変勇気づけられたわけであります。しかし、この経済審議会生活大国部会がまとめる報告の中でも、同じようにこれは障害者やお年寄りのことを格別に強調してこそ初めて他の一般国民とのバランスがとれるものと考えられるわけでありますが、今後、厚生大臣もこういう会で御発言する機会があろうと思いますので、ぜひこの点を総理にも御進言をいただきたい、こう思うんでございますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) 経済審議会におきましては、国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる、そんな生活大国の実現に向けての方策についてでございますが、検討事項の一つとして審議されると承知いたしております。総理もその席上におきまして一人一人が価値ある豊かさを求める時期に来ている、こういうふうに申しておられるわけでございます。 御指摘のような障害者や高齢者への配慮につきましては、今後の経済審議会の審議を見守りながら、もちろん私どもその重要性を十分承知いたしておりますので、関係方面とも十分理解を深めながら推進してまいりたいと思っております。
○前島英三郎君 よろしくお願いをいたします。 生活大国に関連いたしまして、もう一点お伺いしたいんですが、「生活大国」の基礎の一つは家庭生活でありまして、家庭に暮らす家族の生活でもございます。近年出生率の低下が大きな問題として認識されるようになりまして、一・五四ショックとか五六ショックとかいろんなことが取りざたされておるわけでありますけれども、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりのための政策もその重要度を増しております。育児休業制度とかあるいは児童手当の額の引き上げとか、いろんな対応がなされてきているわけでございますけれども、私の認識ではまさに我が国の未来がかかった問題となっているというふうに思うわけでございます。 そこで、風連では一九九四年を国際家族年と定めましてさまざまな角度から取り組むことにしておりますけれども、我が国にとってはその意義ははかり知れないものがあろうというふうに私は推察しているわけでございます。とはいえ、国際家族年によって、例えば、国際障害者年の存在が薄れてしまったりあるいはかき消されてしまってはならないと思いますし、家族年という新たな枠組みの中で新しい角度からの取り組みがなされるべきではないか、このように思っているわけであります。 厚生大臣あるいは厚生省としても、国際家族年についてどのように受けとめておられるのか、またどのように今後取り組むお考えか、また現時点までにどのような準備を進めておるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) お話にありましたとおり、一九九四年の国際家族年につきましては、各国におきまして、家族問題について政府や民間の関心を高め、取り組みの強化をすることを目的として一九八九年に採択されているところでございます。国連サイドにおきましては、障害者を初め婦人、児童などの分野におけるこれまでの国際的な活動の成果を踏まえて取り組むことが望ましいとしておると伺っております。国際家族年につきましては、政府全体の取り組みに向けまして、現在外務省から関係省庁に対しまして情報提供や相談が行われている、そういう段階でございます。 厚生省といたしましては、御指摘のように家族や家庭の重要性にかんがみまして、今後政府全体の取り組み体制等が具体化していく中で、関係省庁と連絡をとりながら国連障害者の十年などの成果を十分踏まえまして適切に対応してまいりたい、そのように考えているところでございます。
○前島英三郎君 厚生省の何かのパンフレットだったと思いますが、国際家庭年、家庭年というとらえ方をしているところもあると思うんです。これは、なかなか日本語は難しいところですが、家庭年がいいのか家族年がいいのか。私は率直にやっぱり家族年だろうというふうに思うんですが、日本語の定義の難しさもあろうかと思いますが、その辺はもう固まっておりましょうか。
○政府委員(土井豊君) IYFということでファミリーということでございまして、それを「家庭」と訳するか「家族」と訳するかという問題であると思います。それと同時に、このことは中身にもかかわる問題であろうというふうに思っております。現在、私どもの方で伺っておる範囲では、どちらの訳ということではございませんが、 一般的には国際家族年という使い方で現在のところは受けとめておりますけれども、これは政府全体の言葉の問題でもありますので、外務省等を中心にしてどういう言葉が正しい訳になるかということが出るのだろうと思っております。
○前島英三郎君 この間の予算委員会で、児童の権利条約で、野党のどなたでしたか、子供条約がいいか、児童条約がいいかというので児童と子供の議論がありましたが、流れていって後で混乱するよりもあらかじめ、私は家族年というのがふさわしいのではないかという感覚を持っておりますけれども、ぜひその辺は最初の部分が大切だと思いますから、一つの定義づけをしていただければというふうに思います。 さて、大臣の所信では、国際社会における我が国の貢献につきまして、先ほど引用した部分に続けまして、豊かさを社会全体で共有できるように努めることが、ひいては日本が世界とともに歩み、世界の人々の幸福に貢献すると述べておるわけでありますが、いわば自分たちの生活を豊かにすることが世界の幸福につながるという側面がないとは言えませんけれども、しかし、現在の国際社会の状況と、その中における我が国の立場とあわせ考えますと、それだけでは不十分であろうというふうに思うんです。もっと積極的に踏み出しまして、国際社会における役割を果たすことが今、日本に求められているというふうに思います。 さきの所信では所信の一端であったようでございますので、大臣として当然もっと積極的なお考えをお持ちだろうというふうに思いますが、改めて国際社会への我が国の福祉外交とでも申しますか、そういう観点からの貢献について決意あるいは構想などございましたら承りたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 御指摘のとおり、世界の経済社会状況が大きな転換期を迎えております。今、百七十カ国近くの国があると理解しておりますが、その全体の百七十カ国の総生産、GNPの一割を日本一カ国で持っておるということでございますから、国際社会からさまざまな形で日本にいろんな希望なり要求が出されている。毎日の新聞に、これはもういろんな厚生分野以外にもあるわけでございますが、私ども厚生省といたしましては、現在所管しております保健、福祉の国際協力について、いわゆるベーシック・ヒューマン・ニーズというんでしょうか、私この言葉はよくわからないんですが、基礎的な生活分野と、こう訳してございますが、これにかかわる重要な分野において、厚生省は従来よりさらに積極的に協力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに決意をいたしておる次第でございます。 具体的には、外務省や国際協力事業団が実施する事業への専門的立場からの支援あるいはWHOを通じて、WHOに対する負担金も日本はたしか一位か二位であると思いますが、さらにこれを通じた多国間協力あるいは厚生省独自の研修事業等の実施、こういうことも行っていく。今後ともこういう面においては、いわゆる保健、福祉の分野においてはさらに国際協力をもっと進めていかなきゃならぬ、こう思っておる次第でございます。
○前島英三郎君 参議院でも間もなくPKO法案が再審議されると思っておりますけれども、国際社会への貢献につきましては、諸外国から我が国に対しまして、とかく金だけ出して人を出さないといった批判が大変多いわけでございます。厚生省が所管する分野で見ましても、国際協力活動に従事する人材が国力に比べて相対的に少ないことは、これは否定できないのではないかというふうに思います。厚生省が所管する分野、福祉や医療の分野といいますと、人間が支える比重が他に比べまして一段と高いわけでございますから、その意味でも今後この分野で国際協力に携わる人材の養成を一層充実させる必要があると私は思っているわけです。 国内でも福祉の担い手の養成、マンパワーですね、人材確保法案、こういうものも今国会に提出されておるわけでございますが、そういう国内での福祉の担い手の養成、確保ももちろんでございますけれども、これとあわせてやはり国際的な担い手、人材、こういう貢献を強めるための計画的な人材の養成ということが大変重要だというふうに思うんですけれども、この点につきまして厚生省、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。 御指摘のように、人的な国際貢献と申します場合に、福祉や医療のように人間が支える比重が高いと先生もおっしゃったように、こういう分野における国際協力においては人材養成が特に重要であるという点について私どもも同感でございまして、そういう認識で従来から事業に当たってまいっております。 このため、国立病院医療センターという新宿にございます医療センターに国際医療協力部というのを設けまして、そこに開発途上国に行って国際協力に当たる専門的スタッフをまずプールいたしまして、そこで訓練を受けさせ、また必要に応じて外国へ出ていくという体制をまず整えて、専らそのスタッフの増員に逐年努めております。それが一点でございます。 それから、民間の方々で将来機会があれば外国へ行って貢献しようというお考えの方々に、基礎的な知識や経験を持ってもらうための研修事業というものも派遣専門家人材養成事業という名前で平成元年度からスタートさせていただきまして、これは一年度五名でございますが、主として医療関係の職種が多いんですが、そういう方々をそういう現地、開発途上国での訓練に備えた研修をしていただいております。それから、そういう方々の養成のための拠点、まあハードといたしまして、国立病院医療センター内に国際医療協力研修センターというものを整備いたしました。これは平成三年度、今年度に整備が完成いたしました。今後ここを使ってますますそういう人材の養成に努めていきたいと思っております。 それからもう一つ、人的貢献と申します場合に、私ども念頭に置かなければいかぬのは、WHOなどの国際機関にもっと日本の方々が多く出ていってほしいと思っておりまして、これにつきましても、厚生省として機会あるごとに例えば厚生省職員というように出ていく意欲のある方にそういう機会がある場合にはぜひ行ってもらうという方向で人材の海外進出に期待をかけ、またそのために努力をいたしております。それが一点ございます。 それからもう一つ、人材と申します場合には、特に福祉や医療の分野でございますと、途上国そのものにおける人材が育つ必要がございまして、そういう意味で日本においでいただきまして、福祉から医療、いろんな分野の研修を受けていただいております。これは厚生省独自でも予算を計上いたしまして研修をさせていただいておりますし、JICAも別途そういう研修をしておりますので、それには厚生省は側面から協力するというような形で途上国における人づくりにも努力をいたしております。 そういう三方面にわたって今後とも一層、先生の御指摘も踏まえながら努力してまいりたいと考えております。
○前島英三郎君 毎年アジアの途上国から十人、十五人を日本に障害者自身も招いて六週間ぐらいのコースでトレーニングをしている、大変いいことだというふうに思っておりますし、また福祉に携わる方々も十人、二十人と八週間コースぐらいで今勉強していただいているという、JICAとの協力で厚生省が全面的に表に立ってやっています。こういう形も大切ですし、あるいは日本における、また日本から出かけていって、特にカンボジアなんかでは地雷によって手足を失った子供たちの映像なんかを見ますとまことに悲惨ですし、こうした技術移転、技術協力なども含めた福祉分野でのこれからの人材の養成というのは大変厚生省にとっても必要なものであろうと思いますので、よろしくお願いをいたします。 さて、先ほどから申し上げておりますように、本年は国連障害者の十年の最終年でございますが、先般本院予算委員会におきまして、総理も厚生大臣も、我が国の障害者対策の推進にとって重要な一つの節目であるという認識のもとに、総理のお言葉をかりますと終わりの始まりであり、これまでの総括、評価をきちんと行った上で次のステップを真剣に考えるという姿勢を示されたものと理解いたしております。 厚生大臣は、就任の記者会見で障害者対策の重要性を述べられたくらいでもございますし、特に障害者問題に対する御理解は非常に深いわけでございます。特に精神障害者、障害を持った人たちの中でも絶えず谷間に置かれている精神障害者の問題ということに大変御腐心をいただいておることに敬意を表する次第でございますが、この最終年に対する御認識というものをまた改めてお伺いをしたいと思うんです。いかがでございましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) 仰せのとおり、ことしは国連障害者の十年の最終年次でございます。それだけでも非常に意味がある年だと思っております。 そこで、政府といたしましても、障害者年金の改善であるとか、在宅福祉及び施設福祉対策の推進といろいろやってきておるわけでございますが、これらの問題につきまして、あるいは記念事業についても予算も計上いたしておるわけでございます。そこで、とにかく十年で終わりだということではなくて、さてこの十年の後にどうするかというのはさらに重要な問題であると考えております。 国連からは何も言ってきておりませんけれども、従来のように同じテーマでもって十年というような長期にわたってやるのか、あるいは各国々が独創的ないろんな工夫を凝らしてやるのか、あるいはまた年次も一年ずつ区切ってやるのかという、全く今のところ国連としてのこれに対する態度というのは鮮明にされておりませんけれども、今までの十年間一生懸命やってきたその実績の上に立ってさらに積み上げていく、そのためには国民の深い理解がなければいかぬと思いますので、そういう面もあわせて努力してまいりたいと思います。
○前島英三郎君 今大臣もいみじくもおっしゃいましたが、世界、国連を中心とした動きの中で第二の十年を取りざたする国もあったり、もう十年でいいんではないか、先進国にはそういう意向も強いようなことを我々は感ずるわけでありますが、我が国の方針につきましては、二月から中心協で検討が始まりましたけれども、国連の方はまだ打ち出しをされておりません。しかし、ことしはそうは言ってもいろんな形で国連の動きも活発になるであろうと思うんですが、こうした中で厚生大臣、先日予算委員会で答弁されましたアジア・太平洋地域障害者の十年という話はその後レールに乗りつつありまして、四月のESCAP会議で中国の提案によりましてこれが議題となることがほぼ確実になってきたという情勢であります。 先日の御答弁のように、前向きに取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、あわせて中国政府もでき得れば日本も共同提案のような形でというようなことの動きもあるようでございますので、その辺また外務大臣にも協力を要請していただきまして、ぜひ何とか、日本にもまだ山積していることが多々ございますが、アジアにおきましてはいよいよこれからというようなのが現状であろうというふうに思いますので、ぜひお力添えをいただければと思います。いかがでございましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) 今のお話のアジア・太平洋地域の障害者十年、まだ公式には何も届いておりません。しかしながら、そういう構想があってだんだん進められているということは伺っております。したがいまして、この提案がもしもあった場合には、これはアジア・太平洋地域の障害者対策としては非常に大きな貢献になると思いますので、外務省等とも話し合って積極的にこの問題について推進に我々も努力しなければならぬ、こう思っております。
○前島英三郎君 さて、きょうはいろんな関係省庁の現場の方々にもおいでいただいているわけですが、障害者福祉対策というのは厚生省だけの専売特許であってはならないとかねがね考えておりました。そこで、関係省庁の担当課長さんにおいでをいただいて、ひとつ広い角度で幾つか議論をしてみたいと思うわけでございます。 まず文部省さん、幼いころから障害を持って頑張っている人たちにとって教育はハンディキャップを補うという意味からまことに重要なものでございます。そして、人生最初の社会参加は教育、すなわち学校ということになります。学校を子供たちにとって社会と呼ぶならば学校社会ということになろうかと思います。ですから、障害を持った人にとって学校というものが持つ重みはある意味では障害を持たない人たちよりも重いものがあると言っても過言ではないと思います。 その重みのある学校をめぐる一つの出来事がありました。それが法廷の場で裁かれざるを得ないという経過をたどりました。幸い判決は我々というよりも多くの国民にとって納得のいくものであり、被告の尼崎市側も控訴せずにようやく決着をしたわけでございます。筋ジストロフィーという難病の玉置君の仲なんですけれども、新聞報道によりますと、文部省のこの判決に対するコメントは私には少々驚かずにはいられないものがありました。いずれも辻村高等学校課長の談話でありますが、M紙のものを読んでみますと、「文部省では従来から、障害があるというだけで受験の門戸を閉ざしたり、不合理な扱いをしないように指導しており、同じ程度の障害を持った子を受け入れている学校も相当数ある。判決はその他の学校に大きな影響を与え、障害者への門戸は広がると思う」というものでございます。 言いかえれば、文部省はちゃんと指導しているんだけれども、それに従わない市がいけなかったのだと言っているような感じがとれるわけでもございます。文部省の指導に不徹底な部分がなかったか、あるいは施設設備の改善のための予算措置が本当に十分であったのか等々、文部省としても反省すべき点があったのではないかというふうに思えるわけであります。あるいは、後で触れるつもりでございますが、義務教育段階で就学指導という形で分離教育を推進していることが高等学校の段階に影を落としている部分があったのではないかということも考えられるわけですね。いずれにせよ、今回の判決までに至る一連の経過から謙虚に学ぶ必要があると考えるものでもございます。 以上のような点を踏まえて、今回の判決までに至る一連の経過について、文部省として受けとめ方を改めて伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(辻村哲夫君) 今回の判決に至ります経緯でございますけれども、これは昨年、平成三年度の入学者選抜におきまして、ただいま先生御指摘になられましたとおり、筋ジストロフィーの生徒が市立尼崎高校に入学志願をいたしましたところ、高等学校の全課程を無事に履修する見込みがないと判定されまして不合格処分になったものでございます。この不合格の決定は昨年の三月十九日に市立尼崎高校の校長により行われました。 文部省では、この合否発表後この問題について承知したわけでございますけれども、申すまでもなく、高校の入試の合否と申しますのは学校長が決定権限を持つものでございまして、そうした個別の合否判定処分をめぐりましては、文部省としてその当否について言及することはできないわけでございますけれども、障害を持った生徒たちの高校入学にかかわる重要な問題だという認識を持ちまして、兵庫県の教育委員会を通しましてその実情を把握してきたところでございます。 昨年の六月十九日に、不合格処分の取り消し、慰謝料の支払いを求めまして訴訟が提起されました。その後も文部省といたしましては、県の教育委員会から報告を求め、関心を持ってこの審理の推移を見守ったところでございますが、去る三月十三日に、神戸地裁によりまして不合格処分の取り消し等を命ずる判決がなされました。また、尼崎市では、先ほど先生御紹介のとおり控訴をせず、二十一日に同校より合格の決定がなされ、本人に通知されたというものでございます。 文部省といたしましては、障害を持った生徒たちの高校入試につきましては、先ほど申し上げましたように、個々の合否の判定について言及する立場にないわけでございますけれども、やはり高等学校にかかわります大変大きな問題であるという認識を持っておりまして、毎年度各県に対しまして、高校入学選抜についての実態状況調査というものをしているわけでございますけれども、そうした調査におきましては、各県が障害を持った生徒たちに対して入試上どのような配慮を行っているのかというような調査を行うことなどを通しまして、各県に配慮をお願いしてきたところでございます。 今回の判決を私ども大変重く考えておりまして、この判決をきっかけといたしまして、障害を持った生徒たちの教育の問題というのは、単に学校だけの問題あるいは一地方公共団体だけの問題ということではなくて、学校それから教育委員会、そして国、文部省がさらに意思疎通を図りまして、一層連携、協力をもって一体となって取り組んでいかなければならない課題である、こういうふうに考えているところでございます。
○前島英三郎君 今課長も言われたように、高等学校は比較的統合といいますか障害を持つ生徒が普通学校に通うケースが多くなって、それゆえにいろんな取り組みをしなければならない、好ましい傾向であると思うんですね。しかし、義務教育の段階ではいささか様子がちょっと違っておりまして、私は長年にわたり養護学校の役割を評価しつつも、希望する児童生徒については可能な限り地域の普通学校に通えるようにすべきだと、これが私の一貫した主張でもございます。近年、教育問題について質疑を行う機会が少なくなりまして、何とかしなければならないというふうに考えていたやさきの判決でもあったわけであります。 そこで、義務教育の問題に触れますが、養護学校の義務化が実施されたのは昭和五十四年であります。以来十三年が経過しているわけでありますが、この間順調に進んだと言えるかというとそうでもない。重度の障害を持つ児童が就学免除、就学猶予とならずに憲法二十六条にのっとりまして就学の機会を与えられる、これは大変大きな成果であろうとは思うんですが、普通学校への就学を希望する児童生徒が心ならずも養護学校に就学する結果となったというような事例を実にたくさん残してきたし、私もそういう人たちと出会ったりしてきているわけでありますけれども、これはいずれきちんと調査して、どういう傾向なんだと、これは文部省としても私が求めるようなデータは現在まだ持ってないし、きっと調べてないだろうと思うんでございますが、そろそろ養護学校義務化以来十三年間の総括をどのようにすべきかという時が来ているのではないかという気がするんですね。 何らかの形でこの制度の見直しといいますか、それに類するようなことを、文部省では議論が始まったのか、始まるのか、今どんなふうな状況か、ちょっと例えればと思います。
○説明員(霜鳥秋則君) 心身障害児の教育につきましては、その障害の種類や程度に応じて適切な教育を行い、その能力を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会に参加する人間に育てることが重要だと考えております。そのため、障害の程度の重い児童生徒につきましては盲、聾、養護学校で、それから障害の比較的軽い児童生徒につきましては特殊学級等で、それぞれ適切な教育を行うことといたしております。 先生お話しの養護学校教育の義務制化というのが昭和五十四年度に実施されておりますが、その後、就学免除、就学猶予となる児童生徒が大きく減少しておりまして、そのことは御指摘のとおりだろうと思います。その結果、教育の機会を広く提供すること、あるいは教育の機会均等の実現という意味で大きな成果があったというふうに私どもは考えております。また、その後の教育実践の積み重ねということもあり、障害の重い児童生徒の教育、社会参加、自立の促進ということにまた大きな成果を上げてきたものと評価しておるところでございます。 心身障害児の教育に関しましては、早期教育、それから後期中等教育の機会の充実、障害の重度、重複化への対応、通級等、これまで行政施策の及ばなかった軽度障害児への対応などが今後の課題と考えておりますが、お話しの通常の学級への就学を含めた制度全般の見直しということについては、現在のところ考えておりません。
○前島英三郎君 障害を持つ子供さんが普通学校への就学をもし実現した場合、そこに教育が存在すると障害を持つ子供にとってばかりではなく、ともに学んだ子供たちにとってすばらしい教育が成り立つということがしばしば実践的に報告もされておりますし、社会は完全参加と平等と言っているわけでありますが、どうも教育の現場はそうではない。 私は、教育のノーマライゼーションといいますか、教育の正常化ということは今後いろんな意味で人間形成にとって大切なことだろうというふうに思うんです。 そこで、交流教育というのが行われておりますね。この交流教育の成果はどうとらえていますか。
○説明員(霜鳥秋則君) お話しの交流教育の関係でございますが、盲、聾、養護学校に在学する児童生徒が経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てるという意味で小中学校の児童生徒との交流を行うということは望ましいことと考えております。このため、これらの学校の学習指導要領におきましても、児童または生徒の経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てるため、学校の教育活動全体を通じて小学校の児童または中学校の生徒及び地域社会の人々と活動をともにする機会を積極的に設けるようにすることというものを示しておるところであります。 そこで、盲、聾、養護学校におきましては、地域や学校の実態等を考慮して、学校行事やクラブ活動などの実施に当たりまして、できる限り小中学校の児童生徒との交流を行うということにいたしております。 また、交流教育そのものは障害のない一般の子供たちにとりましても、心身障害児に対する理解、認識を深めさせるとともに、他人の立場を理解する態度や能力を育て、人の気持ちを思いやる心を育てるきっかけとなるということが期待されるわけであります。文部省といたしましては、社会一般の方々の理解、認識を深めるための実践研究を行うという意味で、心身障害児交流活動地域推進研究校の指定、あるいは交流活動を中心とした心身障害児に対する正しい理解や認識を深めるための指導のあり方について、一般の小中学校で研究を行うという心身障害児理解推進校の指定、あるいは一般の小中学校の教員等を対象といたしました交流教育の事例を紹介した心身障害児理解推進指導資料といったものを作成しておるところであります。 今後とも、こうした意義のある交流教育を積極的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
○前島英三郎君 まさに触れ合いが光を生み出すという感じだろうと思うんですね。交わりつつ流れつつ、大河に水は注いでいくわけですから。一方では門戸を閉ざしつつ、一方では交流の方から光を生み出すというのに、ちょっとどうも文部省の考え方に私は矛盾さえも見出すところがあるんですが。 霜鳥課長は割合アメリカが長かったでしょう。どうですか。アメリカの教育なんというのはいろいろ我々には長所しか伝わってこないんですが、率直にアメリカのいわばこうした日本との形態とは違う教育というのはどんなふうに見ていますか。
○説明員(霜鳥秋則君) お話のアメリカの教育の関係でございますが、一般的にアメリカの教育というのは州あるいは各学校区というところがその責任と権限を有しておりますが、特殊教育の分野におきましては連邦政府が財政面を含めて大きく関与しております。 アメリカの特殊教育は、その対象を三歳児から二十一歳までと幅広くとらえておりまして、そのうち我が国と同様の特殊教育のいろんな学校に通う者というのが約二十五万人で五・九%、小学校等のセパレートクラスと呼ばれる特殊学級と思われますが、そういうところで学んでいる者が約百九万人で二五%くらい、通常学級で教育を受けている者というのが約二百八十八万人ということで六七%くらいになっております。その最後の通常学級で教育を受けている者の中では、学習障害とされる者が四七・二%で過半数近くおるということでありますし、三六%ぐらいは言語障害ということでありますので、大部分が比較的軽い障害の者というふうになっております。 特殊教育を受けている者の割合という七ごろで見ますと、アメリカでは該当の児童生徒数というのが九・二%という大変大きな数になっております。我が国の場合は〇・九%ということでございますので、大きな差があるというふうには言えるかと思います。 また、盲、聾、養護学校や特殊学級という私どもの考えております特殊教育の場というところでの教育を受けている者は、アメリカが二・七%、日本が〇・九%ということになりますので、このことからアメリカの特殊教育では障害児を我が国と比較して非常に広くとらえているということを特徴とするとともに、一方で特殊教育諸学校や特殊学級などで手厚い教育を受けている者もかなり多いということがわかると思います。
○前島英三郎君 いいです。データは後で結構です。大体わかりました。そういうことですね。 ちょっときょうはたくさん各省庁呼んじゃったものですから、申しわけありません。時間で、せっかくお答えをいただく機会を得られないところは後でゆっくり個別に伺いたいと思います。 先日、実は三月二十一、二十二日、字幕放送シンポジウムというのが東京で開かれまして、アメリカでテレビデコーダー法という法律が成立いたしまして、九三年からですか、米国内で生産販売される十三インチ以上のテレビはスイッチ一つで字幕が表示されるデコーダーを内蔵したものでなければならないという、これも法律なんです。アメリカはADA、これも大変いろいろな形で、発効によって大きくアメリカの福祉というものは前進していくと思うんですが、日本では文字放送なんですけれども、字幕放送の放送時間が、アメリカは二百時間、日本は週十三時間。こうしたアメリカの情報を聞いた聴覚障害者の人たちが、日本の字幕放送がふえないのに業を煮やして昨年からこういうシンポジウムを開いているんですね。 シンポジウムには郵政省からも担当課長さんが出席しておられましたが、文字放送の普及が日本ではどうも思うに任せない。これはよく見ると、文字放送の免許は普通のテレビ放送の免許と同等なもので、実施しようとする放送局は文字放送用の免許を別に取らなきゃならない、こういうことらしいですね。そうすると、どうしても設備、検査、免許の費用が相当かかっちゃうものですから、なかなか民間放送では、現在関東地区と関西地区のほかは福岡と富山の二局だけしか実施していない。 こういう現状があるんですが、文字放送のテレビの電波のごく一部を使用するものですから、これはもう免許制度を簡略なものにすべきではないかというふうな指摘があるんですが、この辺郵政省、きょうおいでいただいているんですけれども、免許制度の簡素化といった点についてぜひ、四年度予算の中では視聴覚障害者向け放送番組等の制作・流通に関する調査研究のための経費を上げているんですから、そういう方向だろうと思うんですが、ちょっと一言御説明いただければと思います。
○説明員(岡田克行君) 字幕放送の充実につきましては、聴覚障害者の方々が放送の効用を享受する上で必要不可欠なものであるというふうに考えております。 このため、郵政省では、これまで字幕放送の充実を図るために文字放送設備の整備に対する財政投融資に対する支援策、それから字幕放送を専門に行います文字放送に関しまして毎日放送義務を緩和いたしました。また、NHK及び日本民間放送連盟に対しまして字幕放送の充実につきまして要請等を行ってまいりましたが、先生の御指摘にございますように、字幕放送の実施状況は必ずしも十分とはいえない状況にございます。このため、平成四年度の予算要求に際しまして、国連障害者の十年の最終年に当たって取り組むべき重点施策にも則しまして視聴覚障害者向け放送番組等の制作・流通に関する調査研究に係る経費を要求いたしまして、政府原案に計上されたところでございます。 この調査研究におきましては、視聴覚障害者のための放送番組等に関する制作及び流通の実態、それから直面する諸課題、その解決方策につきまして多角的に調査研究することを予定しておりまして、先生御指摘の字幕放送に関する免許制度につきましてもその中で十分検討してまいりたいというふうに考えております。 郵政省といたしましては、こうした諸施策を通じまして、今後とも字幕放送の一層の充実に努めてまいりたいと考えております、
○前島英三郎君 ぜひよろしくお願いいたします。 これは耳の聞こえない人々に対する情報アクセスという点で大変重要だと思うんですが、もう一つ、生活アクセスというか移動アクセスといいますか、きょうは建設省と運輸省にもおいでいただいているんですけれども、中心協からの意見具申でも大変重要な視点が移動の問題と住まいの問題でございます。 ハード面、ソフト面、いろんを形で生活環境の整備が重要になってくるわけでございますが、まず運輸省関係なんですけれども、「公共交通機関の整備の促進」という表題で、この辺は次のように述べられております。「障害者の自立活動に必須の交通・移動等社会参加の条件整備のために、公共交通機関のターミナル施設にエスカレーター、エレベーター等の設置を推進するとともに、車両や公共バス等の改善こ、ちょっと中は略しますが、これらも進める。「また、公共交通機関に関する適切な指針の策定及び民間事業者に対するその普及推進等効果的な措置を進める。」と、こういう内容なんですね。 最終年、運輸省でもいろいろ取り組みをして調査もいよいよ入っていこうということですが、現状では重度障害者の移動が大変なんですね、移動の面では。例えば車いすの人々が独力で乗りおりできる駅がどのくらいあるか、十年前と比較してかなり変わってきたのか、いかがですか、その辺は。
○説明員(山田隆二君) お答えいたします。 各鉄道事業者におきましては、車いすを使用される方々の鉄道利用に伴います負担の軽減を図るために、従来からエレベーター、エスカレーターの整備をしてきておるわけでございますけれども、その進捗状況につきましては、一番最新の平成二年度末の時点と十年前の昭和五十七年度末の時点で比較いたしますと、エレベーターにつきましては、JR各社と大手民鉄十四社の合計で見ますと、昭和五十七年度末設置駅数が六十四駅でございましたが、平成二年度末時点で百六十六駅になっております。 それから、エスカレーターにつきましては、同じく五十七年度末で百四十八駅が平成二年度末三百四十九駅となっております。
○前島英三郎君 障害を持った仲間たちもいろいろ観光なんかに出かけるわけですけれども、日本はなかなか旅行するのに大変だ、しかし外国は全部洋式便所だからそれだけでも大変楽だなんということがありますが、WTO、ワールド・ツーリズム・オーガニゼーションですか、世界観光機関という国際組織がありまして、日本もその正式メンバーでありますが、昨年十月の第九回総会で、九〇年代における障害を持つ人々のための観光機会の創出という決議を採択いたしておりますが、この辺は運輸省としてどう受けとめておられますでしょうか。
○説明員(中島健三君) 先生御指摘のとおり、昨年十月に開催されました世界観光機関、これは観光に関する唯一の政府間の国際機関でございますけれども、WTOと申してございます。その総会におきまして、九〇年代における障害のある人々に対する観光機会の創出に関する勧告というものが承認されたわけでございます。 運輸省といたしましては、観光の面におきましても、身体障害者の方々ができる限り健常者と同様に活動し得るような諸条件が整備されていくことが必要であり、望ましいということで考えておりまして、このWTOの勧告の中身につきましては、非常に多岐にわたるものでございますので、その周知徹底を図るため、昨年の十二月に関係省庁とか都道府県、それから観光関係団体等に通知して周知してきたところでございます。 運輸省といたしましても、身体障害者が容易に旅行できるような条件整備につきまして今後とも努力してまいりたいというふうに考えてございます。
○前島英三郎君 意見具申の中で、建設省関係の部分では、特に「住宅・建築物の整備とまちづくりの推進」というのが掲げられておりまして、これは高齢化時代を迎えますとなおのこと、障害を持った人たちに住みよい町はお年寄りにとっても住みよい町、お年寄りにとって住みよい住宅は障害を持った人たちにも便利であるということで、公的住宅の標準的な設計も容易に障害者向けに改良したり、お年寄り向けに調節できるようなものにすることをぜひお願いしたいと思うわけであります。 例えば、出入り口やエレベーターなどの共用部分をアクセシプルにしておくことも一つの条件だろうというふうにも思います。こうした設計思想というのは、アメリカのADAの発効によって、アダブダブル住宅と呼ばれて近年脚光を浴びているんだそうですけれども、我が国でもこういうふうな方向を採用すべきだと思うんですが、建設省いかがでしょうか。
○説明員(中澤守正君) お答え申し上げます。 障害者、高齢者等が暮らしやすいように設計に配慮しました公営住宅等の供給を推進することは非常に重要であると考えております。このため、建設省では、ノーマライゼーションの達成に向けまして、平成三年度において公営住宅の建設基準を改正いたしました。 その内容の主な点は、屋外通行部分におけるスロープの設置であるとか、階段への手すりの設置、また屋外の階段、共用階段等についての手すりの設置であるとか、屋内面におきましては住戸内の床の段差の解消、浴室、便所への手すりの設置、または将来についてそういうものを取りつけられるようにというような内容でございまして、これにつきましては、すべての公営住宅を新築する場合にはこの基準を適用させていただいております。また、三階建ての中層のアパートにつきましても、エレベーターの設置に対して助成を行うようにしておるわけでございます。 以上の対策のほかに、障害者向けの公営住宅につきましては、ハーフメード方式と言っておるんでございますけれども、建設段階の途中で入居者の方を決めさせていただきまして、その方の障害の程度や内容に応じまして、その人に合わせまして浴槽とか洗い場、それから便器を選択するとか、流しの高さや手すりの位置などを決定するような方法を取り入れております。また、上下可動式の設備であるとか、移動できるような収納スペース、そういうようなものの設計の採用であるとか、将来身体障害者の方が入った場合に改築が容易に行われるような配慮をした設計を行うように、それぞれいろいろと創意工夫を凝らすように事業主体に指導しておるところでございます。 御指摘の趣旨も踏まえまして、今後とも障害者の暮らしやすい公営住宅等の供給に努めてまいりたいと思っております。
○前島英三郎君 そういう点では、障害を持つアメリカ人にADAの発効によって、これが日本にも大きな衝撃になっているわけですが、移動という点でのアクセス法のようなものがそろそろ日本でも必要ではないか。これは高齢化社会を展望して、移動するのにはすべての人が移動できるように、あるいは建築基準法も、すべての人が利用できるように設計施工されなければならないというような建築基準法のようなものが少し見直しが必要ではないか、こんな声もささやかれるんですが、その辺は検討を建設省、運輸省、やっていますかね。
○説明員(梅野捷一郎君) ただいま御指摘になりました建築基準法の関係のことでございますが、今もアダブタブル住宅で御指摘がございましたように、建物におきますいろいろな配慮というのは、それぞれの条件によりましてかなり個別的に対応するということが実は望ましいわけでございます。一方、建築基準法というのはどうしても技術基準を直接書くというようなこともあって大変なじませにくい点がございます。 そんなことで、従来から、設計者がきちんとしたノウハウを全員が持ってもらおうということを我々の基本的なアプローチにしてきたわけでございます。そのために設計標準等も情報をたくさんつくりまして送るという体制をとってきたわけですが、これについても、また見直しをしようということをやっておるところでございます。しかし、一方では地方公共団体が、建築基準法に基づきます条例の段階で、先生がただいま御指摘のような点も考慮した動きも見られるようになってきいるわけでございます。 そのような動きも十分考えながら、今後とも研究を進めていきたいなというふうに考えているところでございます。
○説明員(浅井廣志君) 先生御指摘のとおり、ADA法は、雇用、公共サービス、それから公共施設の利用等、非常に幅広い分野における障害に基づく差別を禁止するという法律でございます。交通関係におきましても、障害者が公共交通機関を利用する上で差別されることとならないように所要の措置をとるというふうに定めたものと聞いております。 我が国におきましては、先生御承知のとおり、心身障害者対策基本法を中心といたしまして関係省庁で施策を講じているわけでございます。こうした心身障害者対策基本法を受けまして、運輸省におきましては、これまでもガイドライン等によりまして施設整備を進めてきているという状況でございます。 法律におきます義務づけの問題につきましては、社会福祉政策全体での位置づけの問題でございますとか、あるいは障害の態様、程度に対応する必要性からなかなか一律の基準を決めにくいといったような問題、それから施設整備に当たっての用地の確保等の問題もございます。そういったようなことで、今後慎重に検討しなければならない、このように考えております。 ただ、私ども、ADA法は昨年末全面的に施行されまして、その中で交通関係につきましても非常に詳細な基準を定められているというふうに聞いておりますので、これらは今後のガイドラインの見直しの中で参考にさせていただきたい、このように考えております。
○前島英三郎君 最後に、一番実は重要な障害者対策の中で、雇用就労対策ということで、労働省坂本課長さんにいろいろお話を伺う予定でありましたが、新しい法律も労働委員会に付託されたようでございますから、その場でじっくりとお話を伺うことにいたしまして、時間になってしまいましたので、大変申しわけありませんでした。 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○堀利和君 在留資格が切れた外国人、短期滞在外国人が窮迫状態にある場合に、医療機関にかかっても医療費が払えないということでいろいろ問題がございます。この件につきましては、私は昨年の三月二十六日の委員会で取り上げさせていただいたわけです。一昨年までは生活保護法を例外的に準用されて、こうした事態に対して措置をとっていたわけですけれども、それが厚生省の口頭による通達といいますか、口頭による指示によって生活保護法を準用できないということになって、地方公共団体、自治体では大変困っているわけです。 それで、確かに生活保護法の法理論上ではかなりこの問題はきつい、厳しい問題だろうと、憲法二十五条における、いわゆる属人法としての視点から見れば生活保護法を準用することは極めて難しいなということも、私自身昨年述べたところでございます。だからといいまして、こういった問題をそのまま放置していいかということになりますと、本来ですと国として十分責任をとった抜本的な対策を講じる必要性があると私は思うんです。 しかし、今のところそれがなされない以上は、緊急避難的な措置として何かできる限りのところで措置を講ずることはできないだろうかということから、昨年私は、一つの提案としては社会福祉事業法の二条三項の五、生活に困窮する者に対して無料または低額な料金で診療を行う事業ということ、これが適用できないかという提案をさせていただきました。同時にもう一つは、大分古い法律でございますけれども、明治三十二年に制定されました行旅病人及行旅死亡人取扱法、これの適用はどうかということで御提案して審議させていただいたわけです。 その後、一昨日都議会におきまして、社会党・都民会議の広田議員が都知事から答弁を引き出したわけですけれども、都としては対象範囲等不十分な法律ではあるけれども、こういった問題に対しまして、都としてこの行旅病人及行旅死亡人取扱法を適用する方向で実施主体である市町村とも協議検討するということが表明されたわけです。 そういうことから、私はこの問題につきまして、政府、厚生省としての御見解をお伺いしたいと思うんです。抜本的な対策が講じられない今、少なくとも都がこういう方向に踏み出したわけですから、いわゆるチェックするとか、厚生省の方から口を挟むということではなくて、少なくとも見守るという姿勢が必要かと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(末次彬君) いわゆる行旅法と言っております行旅病人及行旅死亡人取扱法という法律でございます。この法律は、救護者のいない行旅病人、これを対象としておりまして、要件といたしまして、いわゆる旅の途中の行き倒れという要件に該当する場合に適用し得るということになっております。 したがいまして、東京都も以上の点を踏まえまして検討していかれるというふうに思いますが、現在のところ具体的な事例を承知しておりません。東京都の検討状況を当面見守ってまいりたいと考えております。
○堀利和君 あわせて、もう一つお聞きしたいんですけれども、行旅病人及行旅死亡人取扱法が制定された明治三十二年に、同じく同年の六月十九日に内務省令の二十三号で、飢餓、凍餒、凍えている方に対しましては、今の町村長に当たりますけれども、十分医療的な措置を含めて手だてをしなさいという内務省令があります。ということから考えますと、行旅病人及行旅死亡人取扱法も、これは公的扶助としての性格があるのではないかと私は理解するわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(末次彬君) 何分先ほど聞いたばかりでございまして、省令そのものも内務省令ということで、時期も明治三十二年ということでございますので、現在この趣旨がどういうふうに引き継がれているのか、その辺は少し私ども時間をいただきまして、調べさせていただいた上で先生に御報告いたしたいと思います。
○堀利和君 私は、この点について政府、厚生省として前向きに考えていただきたいと思うわけです。この行旅病人及行旅死亡人取扱法は明治三十二年という古い法律でございまして、大分眠っていた法律だったわけです。これを昭和六十二年に整備しまして、団体委任事務にしたわけですね。つまり国ではなくて地方公共団体の責任のもとに財政的にも置いたわけです。その二年か三年後の平成二年に、生活保護法で先ほどの医療費の問題でも例外も認めないという経過を見ますと、六十二年の団体委任事務にした時点からこういう事態を予測して、国としてはどうも責任回避に向いているような気が私はしないでもないわけです。 抜本的な対策はもちろんですけれども、そういった後ろ向きでは大変困るわけですので、十分考えていだだきたい。しかも、この行旅病人の法律のルーツを見ますと、養老律令の七五七年ころに既に行き倒れ、あるいは病気で病んでいる方、それがたとえ犯罪者であっても逃亡者であっても、たとえそういう方であっても、言うなれば郡司、今の県知事に当たりますけれども、郡司が村人である市町村長に対して、医療等を含めた、当時の医療というのは大した水準ではないんですけれども、きちっと面倒を見なさいと、今から千二百年前からこういった流れがあるわけですよ。 経済大国日本と言われ、国際貢献と言われている今日、こういうことが積極的に対応できないということであれば非常に情けないというふうに私は思います。抜本的な対策を求めるとともに、緊急措置としてのこの問題について私は前向きにやっていただきたい。きょうは時間がありませんので、他の質問をしなければなりませんので、とりあえずここでこの問題は打ち切りたいと思いますけれども、引き続きこれは政府に対して追及といいますか、要求していきたいと思います。 次に、特に我々視覚障害者の場合ですと、はり、きゅう、あんま、マッサージという仕事しか、ほとんど唯一これしかないわけです。そういう点でこれをやはり一方では守っていかなければならないわけでございます。そこで、昨今町中で特にカイロプラクティック療法の看板を見るわけですけれども、これにつきまして質問をしたいと思います。 まず、カイロプラクティックというのは、ギリシャ語でカイロは手、プラクティックというのは技術という意味なんですが、まさにこのカイロプラクティックというのは手技療法であり、医業類似行為に含まれるということでしょうか。
○政府委員(古市圭治君) いわゆるカイロプラクティックにつきましては、広義の医業類似行為の中に含まれると解釈いたしております。
○堀利和君 それでは、この手技療法、医業類似行為としてのカイロプラクティックを業とできる者はどういう者でしょうか。
○政府委員(古市圭治君) 現在、法律的に医業類似行為というのが明らかに書かれておりますのは、御承知のように、あんまマッサージ指圧師、はり、きゅう、柔道整復という範囲について書かれておりますが、このカイロプラクティックにつきましては、特段規制されたことではございませんので、資格というものはなくても自由にできるという状況でございます。
○堀利和君 そうしますと、広義の医業類似行為と狭義の医業類似行為があるんだと、狭義の場合にはあんまマッサージ指圧、鍼灸等の法律で業とすることはできないけれども、広義の意味での医業類似行為、カイロプラクティックは可能なんだという根拠は何でしょうか。
○政府委員(古市圭治君) 私が広義の医業類似行為と申しましたが、その分け方というのはなかなか難しゅうございますが、端的に申し上げますと、狭義の医業類似行為とするものにつきましては、あんまマッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復師が資格、免許制度のもとに行える業ということでございまして、そのほかにそういうものを要しない無害な、人体に危害が加わらないという分野につきましても、いわゆる今お話がございましたカイロプラクティックのような行為が医業類似行為としてあるということかと思います。
○堀利和君 カイロプラクティックというのは、あんまマッサージ指圧と同じように人体に触れて手技療法として行われるわけです。片や、あんまマッサージ指圧、鍼灸については、法律に定められて三年間医学的な専門的なものを勉強して、そして今度来年から国家試験になるわけです。国家試験を受けて、そして施術するわけです。一方では、無資格、無免許なんです。しかも無届け。もちろん法的にもそうですから、無届けということなんでしょうけれども、片方では免許を取るための試験があってやっている、片方ではいわゆる野放し状態になっている、こういうことについての御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 同じような行為を行う者について片や資格、国家試験ということ、もう片一方が無免許ということではございません。試験を要する医業類似行為、あんま、それからマッサージ指圧、はり、きゅう、さらに柔道整復師というのは、それぞれある程度の危険も伴い、また、医学的な学理も定まっており、その根拠に基づいてそれを業として行われることでございますから、そこに対しましては三年間の学習と国家試験というもので担保して、それを業として行うというようにしたものでございます。 一方、通称言われておりますカイロプラクティックというのは、そのようなことがなくてもできる範囲のことをやっておられる、また、そこに限るべきだと、このように思っているわけでございます。
○堀利和君 しかし、これは同じ手技療法なんですね。 こういう聞き方をしますけれども、あんまマッサージ指圧等の勉強を三年間して試験を受けて、合格発表を見に行ったら不合格だった。それじゃ、明くる日からカイロプラクティックの看板を出してカイロ療法やろうということは許されるわけですね。
○政府委員(古市圭治君) ただいま申し上げましたように、カイロプラクティックがやられる範囲が健康に害がない範囲での脊椎に対する矯正ということでございましたら、それは可能だということでございます。
○堀利和君 私は大変問題だというふうに感じるんですよ。まさにこれがあんまマッサージは手技療法として医業類似行為としてやっている。今言ったように免許が必要、試験を受けてこれで営業できるわけです。この試験に落ちたら、じゃ明くる日からカイロプラクティックの看板を出してやるという、私は国民の健康にとっても非常に問題があると思うわけです。厚生省は常々、カイロプラクティックについても、先ほどの見解から取り締まることはできないんだと。事故が起きた際には取り締まる、これは当然の話です。警察がまずきちっとそれは措置をとるわけです。 そこで、私は事故があったから取り締まるのではなくて、事故が起きる、そういった危険性のあるカイロプラクティックというもの、カイロ療法という行為を私は問題にしなければいけないと思うんですが、実は昨年六月に医事課長通知も出ました。それに基づくものとしてカイロプラクティック等に関する研究報告も出ました。その中身を見ますと、禁忌対象疾患というところで、従来から一般的に腫瘍性や感染性などはこれは禁忌疾患である。さらに徒手調整手技によって悪化し得るものということで、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症等、まだまだありますけれども、こういうようなものについてはだめですよということなんです。 ところが、医学的に専門的な生理学や病理学、解剖学も勉強していない全く無資格の者がこういったぐいのものを果たして判断できるのかどうか。禁忌対象疾患を医学的な勉強をしていない者が判断できるのかどうか。こういう人がカイロ療法をやっているということ、これこそが私は危険だろうと思うんです。事故が起きたら取り締まるんじゃなくて、今言った観点からいえば、まさに事故が起きたからではなくて、カイロ療法の行為そのものを私は国民の健康の立場から見ても取り締まらなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりだと認識はしております。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で禁止処罰の対象とされております医業類似行為というものは、人の健康に害を及ぼすおそれがあるものとされておるわけでございまして、これは先生がお話しのように、必ずしも具体的な事故が発生してからでないと取り締まりができないとは解釈いたしておりませんで、そういうことでカイロプラクティックにつきまして、人の健康に害を及ぼすおそれがある行為というぐあいに認められました場合には禁止処罰の対象になり、それからまた都道府県の医療関係担当部局に対しましても、その取り締まりはお願いしているという状況でございます。
○堀利和君 国民の、人の健康に害があるかないか、まさにカイロ療法の行為をしている時点でだれが判断できるのかといえば、私は実はカイロプラクター、カイロプラクティック療法をやっている方にもわからないと思うんです。つまり、あんまマッサージ指圧、鍼灸等の資格を持った方は三年間医学的な勉強をしているからそれなりの知識経験も含めて何が危険かもわかるんです。危険であるがゆえに法律で定められているわけです。法律で定められていないから何をやってもいいんだではなくて、まさにこういう危険性を伴っているカイロプラクティック療法の行為、事故が起きてから後から取り締まりますよというのでは、そんな悠長なことは私は言っておれないと思うんです。 次に質問しますけれども、昨年の六月の研究班の報告を見ますと、これまでカイロプラクティックについては頸椎に対して急激な回転等を与えるスラスト法というのがなされておりまして、これは危険である、やってはならぬということにもなったわけです。そうしますと、カイロもそうですけれども、矯正法や運動法を含んでいるあんまマッサージ指圧、これとスラスト法などが禁止されたカイロプラクティック療法と、同じ手技療法として医学的にどこが違うんでしょうか。
○政府委員(古市圭治君) 今お話しになられましたスラスト法というのは、カイロプラクティックの一つの技法として欧米等でも行われているということでございます。ただ、日本におきましては現状からこれは極めて頸椎に急激な回転伸展を与えるということでございますので、危険であるということで、これは先ほどから申しました健康に被害を及ぼさないカイロプラクティックの範囲から明らかに逸脱しておりますので、これは禁止ということにしておるわけでございます。 それからあんまマッサージ、それからまた柔道整復師の方が行っておる医業類似行為あるいは医行為という中で行われるいろいろの手技とは学理的にもカイロプラクティックが行っている療法とは違う。片一方は脊椎の調整を行うという意味で骨格さらにはその中の神経系に対する作用というもので手技を加えているわけでございまして、もう一方のあんま、また柔道整復師という方は筋肉、例えば循環系に対する改善というものをねらっていろいろな手技が行われているということかと思います。
○堀利和君 私はやっぱり厚生省が逃げ腰だというふうに感じるんですね。つまり、六月の研究班の報告で明らかにスラスト法は危険であるからやってはならぬとなったわけですが、これはもちろん時間の流れからいえば仕方がないことであろうかもしれませんが、それまではいわゆるスラスト法もやっていたわけです。 そうしますと、厚生省としては昨年までは危険なスラスト法をやっていたことに対してどう責任を感じていらっしゃるのか、研究班の報告がなかったからやむを得ないというのもこれは事実としてそうかもしれませんが、しかし結果として大事な国民の健康、体に対して昨年六月以前までは危険なスラスト法を認めたカイロプラクティック療法を厚生省としては取り締まっていなかったというこの事実、この責任に対してどうお考えですか。
○政府委員(古市圭治君) ただいま申し上げましたことは、従来から厚生省の立場でございまして、改めて研究班の結果を踏まえて通知を出したのが昨年の六月二十八日付であったということでございます。 御指摘のように、そういう立場で厚生省は指導していたわけでございますが、だんだんカイロプラクティックという手技がふえてきている。御指摘のような危険性もいろいろ出てきているということから、研究班に二年間検討していただいた結果を踏まえまして、昨年の六月に通知を出したということでございます。しかし、立場としては従来から同じような立場で指導をしてまいったということでございます。
○堀利和君 そういったことが無資格、無届け、もちろん無免許、こういうことに対してどこまで厚生省の行政指導が周知徹底されるのか私は疑問なんです。この療法を受けるいわば利用者といいますか、消費者といいますか、という立場の国民に対してどこまでこういった事実、実態が周知徹底されているのか。この昨年の六月の医事課長通知がどういう形で都道府県から流れて、そしてカイロ療法を行う方々に対しても、あるいは国民に対してもどういう形で周知徹底されているのかお聞きしたいと思うんですね。 衛生部に行き、保健所でこの通知が眠っているのかどうか、私は大変疑問なんです。というのも、無届けでもありますから、カイロ療法を行っている方々にどういうふうにそれを伝えるのか。町中で、私からいえば勝手に看板出しているわけですよ、無資格、無免許、無届けで。そういう方々に対して厚生省は認可も何もしてないわけですから、どういうふうに伝えるのか。私の聞くところによると、既に一万数千人の方々がカイロ療法の看板を出してやっているというふうに聞いております。その辺の事情をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 私の手元に電話帳のコピーがございますが、まず無資格云々の前に、広告はこれは明らかに違反ではないかと思うのでございますが、診療内容としていろいろ書いてございまして、糖尿病とか痔とか具体的に診療科目を書いてある。その中に学力向上なんて、これは医療法にも何もない。IQの指数が上昇するとか、これはたわいない問題といたしましても、具体的に診療科目がたくさん書いてある。これは明らかに違反ではないかと思うんです。したがって、こういう誇大広告といいますか、あるいは法律に違反する広告は、まずここらあたりから最初にきちんとさせなければいかぬと私は思っております。
○堀利和君 今の問題も取り上げておりますけれども、つまり周知徹底させていく、国民の側にもカイロ療法を行っている方々にも、やはり医事課長通知がどういう形で効力、効果を持ってくるのか、この辺の事情が非常に不明確なんですね。 このこともお伺いしながら、今答弁といいますか、お話しされた中で、やはり広告の問題というのも大きいわけです。あんまマッサージの法律では、第七条で「広告の制限」というのがあります。ですから、あんまマッサージ、鐵灸を営む際には施術所の場所や電話連絡先、名前、名称などしか広告表示できないんです。一方、皆さんのお手元にもお配りした資料を見てわかりますように、電話帳を比較すればわかると思います。片や今言ったようにかなり制限されて適応症も書けない。どういうものを治療対象として治すことというふうに書けない。一方は何の規制もないから、冷え症は治りますよ、神経痛は治りますよ、便秘も治りますよとか、むち打ち症も治りますよということを一方に書いているんです。 先ほどからも言っていますように、片や医事課長通知が出されてもどこまで徹底しているのかわからない。そういう現状の中で、むち打ち症は治りますよ、神経痛も治りますよ、腰痛は治りますよと電話帳に書いても何も法的に引っかかるわけじゃない。がんが治癒します、治りますよ、これは誇大広告だからやってはいかぬという通知は中にあります。しかし誇大広告でなければ可能なんですね。こういう矛盾というものをどうお考えですか。
○政府委員(古市圭治君) 前段の、昨年の六月に医事課長通知で出しましたものがどのように地方自治体で徹底しているのかということからお答えさせていただきます。 この通知では、カイロプラクティックと称する手技が多く行われるようになってきて、トラブルを生ずるケースも確かにふえてきたということから、地方自治体に対しましてはやってはいけない禁忌対象疾患の認識というものをこの研究会の報告を踏まえて明らかにいたしました。それからまた、危険な手技としてスラスト法のようなことをやってはいけない、これも明らかに通知いたしました。それから知識がないことから漫然とそこでの行為を受けていて、疾病の治療、発見の機会が遅くならないように、そういうことは十分注意するということ、また誇大広告の規制というものについて注意を促す通知を出したわけでございます。 これにつきましては、例えば北海道でございますが、道の広報資料として、道民の方々にそういうようなことに紛らわされないように通知を五月の道の広報で出していただくというようなことが行われておりますので、そういうこともさらに徹底するように私どもからお願いしていきたいと思っております。 それからもう一点の広告のことでございますが、これはちょっと背景を申し上げますと、この医業類似行為につきましては、例えばこれが柔道整復師、それからあんま、はり、きゅうの法律に違反するのではないかというのが最高裁まで争われた経緯がございまして、そのときに、この類似行為というものが健康に明らかな危害を及ぼさないという範囲内で行われるものであるならば、憲法二十二条の職業選択の自由というところから見てこれを禁止するというわけにはいかない、こういうような判例が出たわけでございます。 そういうことも踏まえまして、この医業類似行為の中でのカイロプラクティックというのは、健康に被害を及ぼさないという範囲内で行われるならば、これはほかの職業あるいは広告と同じに扱わざるを得ないんじゃなかろうかという範囲でやっておるわけでございます。しかし、先ほどお配りいただいた資料のように明らかに逸脱がございますので、そのことについては厳しく取り締まってまいらねばいけない、このように思っております。
○堀利和君 昭和三十五年の最高裁判決の、いわゆる有効無害であれば憲法二十二条における職業選択の自由の観点から取り締まれないんだと。しかし、厚生省もいつも言うんですが、いわゆる加持祈祷も含めて取り締まれない。そうでしょう。しかし、明らかに先ほども言っているように、カイロプラクティック療法とは手技療法なんです。人体に触れてやるわけです。医学的な知識もないと言っていいと思います。それはもう公的な形でやっていませんから、無資格ですから。そういうものが果たして危険ではないと言えるのかどうか。 昭和三十五年判決ばかり振り回しておりますけれども、私はカイロプラクティック療法については違うんだと思います。職業選択の自由から取り締まってはならないし、職業として自由にやっていいことは、これは取り締まってはいけません。しかしカイロプラクティック療法は明らかに手技療法として、しかも昨年六月の医事課長通知では禁忌対象疾患認識、こういう通知を出しているわけです。どれが禁忌対象疾患の認識として、手でさわった場合に、この状態は治療をしてはいけないとか、いわゆる療法をしてはならないとか、このこと自体が判断できないんですよ、カイロ療法をやっている方には、医学的な勉強をしていないんだから。 ですから、皮肉にも言いましたけれども、あんまマッサージの免許を落ちた、合格発表を見たら名前がなかった、不合格だった。じゃその次の日から生きるためにカイロプラクティックの看板を出してやろう。こういうようなことは法治国家としてどうなのか。私は大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどちょっと私は診療科目等を書くのはこれは違法であるという趣旨の答弁を申し上げましたが、やはりまず法律に触れるような行為は、これは厳に慎まなきゃなりません。したがって、それは今誇大広告とか違法広告等について申し上げましたけれども、基本的に体に害を及ぼさないものについては、これは取り締まることはなかなかできないのでございまして、例えば首をひねるとかそういうようなことはいけないということになっていますから、現在カイロプラクティックの療法の中で常時そういうものが取り入れられるとするならば、そこらあたりは厳に厚生省としても取り締まるべきである。 ただ、自由ないわゆる営業をみずから行う上については、何も法律に触れない範囲内においては、私はこれを取り締まり全面的に業を認めないというわけにはいかないのかな、こんな感じがしているわけです。
○堀利和君 私はこの問題をやるといつも堂々めぐりになるんです。エンドレスになるんです。二十四時間やっても同じめぐりなんです。しかし、これだけは言いたいんです。通知でも出しているように、禁忌対象疾患の認識、この認識がどういう知識でできるのか。ここをよく考えていただきたいと思います。 次に、やはり法律に基づいてはり、きゅう、マッサージの施術を行っている多くの方々、我々視覚障害者にとっても大変重要な問題ですけれども、いわゆる柔整、柔道整復の施術をやっている方の中には、これは本当に一部だと思いますけれども、どうも保険点数について不正があるようにいろいろ見聞きするわけです。私は地方公共団体の方の資料も見させていただきました。そうしましたら、明らかに柔道整復に関して保険請求額におきましては一部位のみならず二部位、三部位、四部位、通常では考えられないような多部位、したがって高額な請求が行われている施術者もいるわけです。こういう実態についての認識はどうでしょうか。
○政府委員(黒木武弘君) 柔道整復につきましては、御案内のように一定の要件のもとで療養費として保険給付の対象としてきているところでございます。療養費の支給要件とか支給額の基準は厚生省において定めておりまして、その適正な運用については従来より都道府県等を通じまして指導を行ってきているところでございます。 保険請求の状況なり実態でございますけれども、御指摘のように団体間で部位数等にばらつきの傾向があるというのは承知をいたしておるところでございますけれども、私どもは医療費の適正化という観点はもとより、国民の柔道整復に対する信頼を確保していく上でも療養費の請求の適正を期することは極めて重要と考えておりまして、各都道府県における審査委員会の活用等を通じまして、今後ともこれが運用の適正を期してまいりたいというふうに考えております。
○堀利和君 柔道整復施術者が、もちろん有資格として免許を持っているわけですけれども、鐵灸治療も行っているところがあります。柔道整復以外のはりなりきゅうなり等で施術をしながら、実際に保険請求する際にははり、きゅう施術ではなくて柔道整復の施術で保険請求をしている事例が幾つかあります。そういうふうに見聞きしております。 もちろん、大変まじめにかつ真剣に不正のない方々が多いわけですけれども、こういったようにはり、きゅう等の施術を患者さんにはしながら実は、それでは医師の同意書がなければ保険請求ができませんから、この同意書もなかなかもらえませんので、同意書なしてはり、きゅうの治療をして、保険請求の際には柔道整復でやるという不正が正直に言ってあります。一部の方だと思います、本当に。こういうことについて実態をどう御承知しているでしょうか。
○政府委員(黒木武弘君) 柔道整復の保険の扱いにつきましては、私どもは通達で柔道整復師は関係法令及び通達を遵守し、懇切丁寧に柔道整復に係る施術を行わなければならないといったような一連の遵守事項を定めておりますけれども、その中で柔道整復師は請求に当たって他の療法に係る費用を請求してはならないという形で明確に通達でお示ししているところでございます。 他の施術をやりながら柔道整復の施術として一種の振りかえなり、そういう形の請求があるかどうかについては私どもは承知をいたしてないところでございますけれども、先ほども答弁いたしましたように、そういう保険請求は本来あってならないことでございます。仮に御指摘のようにそのようなケースがあるとしますれば、私どもとしましては個別に厳正に対処すべきものと考えております。
○堀利和君 厳正に対処するという大変前向きな答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。 何ゆえこういう問題を取り上げたかといいますと、もちろん法治国家として法を犯したり、不正があってはならぬということは言うまでもありませんが、実は法律に基づいてはり、きゅう、マッサージ等の看板を出してまじめに施術を行っている多くの仲間がおります。はり、きゅうの治療をする際には医師の同意書が必要なんです。ところが、先ほども言いましたようになかなか同意書がもらえないために、言うなればはり治療をしても数千円という高額な治療費がかかるわけです。これは国民にとっても大変なんです。 ところが、一方では不正をやっていますから、はり治療を柔整の方がやって、患者さんからは言うなれば通常の数千円かかるはり治療とは違って低額あるいはもらわない等の、あるいはそういう形のいろいろごまかしをしながらやる。そうすれば当然患者さんにとっても国民にとっても、柔道整復の方に行った方がいいわけです。ですから、お年寄りの方が朝早くから接骨医の前で並ぶという姿も多々見られるわけです。 一方、まじめにはり、きゅうを看板を出してやっている方は、患者さんにとっては数千円という多額ですから来ない。片方は安くやってもらえる、こういうことで、結果として視覚障害者の、はり、きゅう、マッサージの業をやっている方にとって非常に圧迫になっている事実がありますので、そういう点では厳正にこの問題に対して措置していただきたいということを重ねてお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(田渕勲二君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 ―――――・――――― 午後零時四十分開会
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件につきまして質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○竹村泰子君 私は、きょう脳死を含めまして、いわゆる生命操作と申しますか、そういった問題について質問をさせていただきたいと思います。 初めの段階では、まず生殖操作という、生殖操作技術の実施にかかわる問題を御質問申し上げたいと思います。 私がきようの質問で顕微授精のことを第一番に取り上げようとしておりましたら、けさの報道で大きく第一面トップに取り上げられておりまして、もう皆さんごらんになったと思いますけれども、受精から分娩に至る人間のいわゆる生物学的な発生の過程で、非常に科学技術の干渉が加わる機会がふえていると言えると思うんです。生殖操作の例として、昨今世間で問題となっておりますのが、いわゆる顕微授精であります。 顕微授精というのは、精子の数が少ないとか、動きが悪いとか、受精が成り立たないで、男性側に不妊の原因がある場合に、顕微鏡で見ながら細いガラス管で卵子に穴をあけて、そこに精子を強引に注射して無理やりに受精を遂げさせるという方法でございます。この授精技術自体は五年前、八六年に京都大学農学部でウサギを使った実験で成功して、それ以来人間への応用も検討されてきたわけですけれども、人間的関与が非常に大きいために、臨床応用の倫理的な是非をめぐって関係学会で検討が行われてまいりました。 不妊学会とか泌尿器学会とかは、昨年一九九〇年に顕微授精の臨床応用を承認していますけれども、産科婦人科学会では生殖操作の暴走に歯どめをかけるべく、体外受精などの実施経験を積んだ医療機関のみに実施を制限するなどと条件をつけて許しているわけです。しかし、全国各地の大学、医学界では、これをゴーサインと受けとめて、きょう報道されておりますような、自前の倫理委員会に臨床応用を求める施設が相次ぐであろうということが予想されるわけでございます。 もう御存じのことと思いますけれども、宮城県岩沼市のS病院では既に早い段階で先駆けとなって、この産科婦人科学会の公式見解を待たずして、八月から教組の夫婦に顕微授精を施していたことが報道によって明らかになりました。子供に恵まれない夫婦がたくさんいらっしゃるということは私もよく知っております。女性ですから、どんなに子供が欲しく思っておられるかということもよくわかります。しかし、学会の結論を待っているわけにはいかないとして、このS病院では顕微授精に踏み切ってしまった。成功率は五%以下と低いわけです。こういういわば母体に危険を負わせるかもしれない、人体実験といったら言葉が過ぎるかもしれませんけれども、十分な確証が得られないままに踏み切ってしまう、この生殖操作を暴走させている象徴的な出来事ではないかというふうに考えております。 母体や出生時に長期的な影響が十分わかっていない危険を含みますし、社会倫理上の諸問題についての議論すらほとんど行われない。そういう中での現場の進行状態、このことについて御質問申し上げますけれども、厚生省にお伺いいたします。各種こうした生殖操作技術の暴走への懸念について、厚生省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 顕微授精につきましての学会の見解といたしましては、今お話がございましたように、平成二年の十一月に不妊学会の方から一つこれを実施するということについての基準的なものが出されております。その後、平成二年の十二月に泌尿器学会の方から、これを追認するというような形でやられたわけでございますが、さらに一年かけまして、産科婦人科学会の方で平成三年の十一月に一応学会の見解というものが出されたわけでございます。 したがって、今後は一番関連の深い、また検討を十分にした産科婦人科学会の基準によってこれが行われていくということになろうかと思いますので、決して暴走というぐあいには解釈しているわけじゃございません。そういうことで、まあしかし新しい試みでございますから、学会の基準にのっとってこの技術が行われるということを私どもは見守っているわけでございます。
○竹村泰子君 今、私も申し上げましたとおり、各学会がばらばらの見解や実施承認を出しているわけですね。各病院がこれに基づいて、特に都合のいい意見だけを選んで生殖操作実施の方針を決めているということについて、私はお伺いをしております。どういうふうにお考えになりますか。それと規制をするおつもりがありますか、どうですか。
○政府委員(古市圭治君) 今申し上げました三学会の基準と申しますか、これは少しずつ違うというところがございますが、お話ししましたように、平成二年の十一月、さらには十二月、それから平成三年の十一月ということで時点が違っておりまして、並べてみますと、産科婦人科学会の基準というのが今一番適切なものではなかろうか。しかし、この項目については全部基本的なことでは医学的にほぼ共通した基準であるというぐあいに理解しております。したがって、現段階で法的な規制というものは考えておりません。
○竹村泰子君 それでは現場に任せて、そして見守っているとさっきお答えになりましたが、見守っているという方針なのですね。 病院倫理委員会というのがありますけれども、この実態及び厚生省の考え方をお教えいただきたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 病院倫理委員会と申しますのは、殊に、この後お尋ねがあるんじゃないかと思いますが、臓器移植に関して非常に注目を浴びまして、そういう技術を持っている、また行う可能性のある各医療機関、大学が中心になりますが、そういうところで院内の倫理委員会をつくって、そういう社会的にもまた倫理上も問題のある行為についてそこに諮って許可が出た上でそういう行為を行っていこう、こういう趣旨でできているわけでございます。 ちょっと古うございますが、平成元年度に私どもの厚生科学研究費によりまして、全国の三百床以上の一般病院について調査をした結果がございますが、それでは、回答された七百七十七医療機関の中で倫理委員会を設置済みというのが、その当時で百十三ございました。現在ではもっと多くの医療機関で設置されていると思います。
○竹村泰子君 その倫理委員会がどんな権限と義務を持っているのか、あるいは医療過誤がもしあった場合にその責任をとれるのかとれないのか、とらなくてもいいのか。それから病院の倫理的判断の相互調整といいますか、こっちの病院ではそれはもちろんオーケーだけれども、こっちではノーと言っている場合の相互調整とか、調整役としての厚生省のあり方と申しますか、そういったことをもう少し詳しく教えていただけますか。
○政府委員(古市圭治君) 医療機関におきます倫理委員会につきましては、どの範囲の事項を扱っていくのかということにつきましては詳しい調査はございませんが、それぞれ少しずつ違っているかと思います。 また、そういうときに倫理委員会で承認した結果で医療過誤というものが起こったらどうなるのかということかと思いますが、それは事の性格によりまして区々まちまちだと思いますが、最終的な問題は倫理委員会ですべて解決できるわけでございませんで、これは民法上の訴訟ということもあり得るかと思います。その過誤についてどこまで責任をとるのかということについて決めた倫理委員会というのは、私は現在の段階では承知していないわけでございます。 それから、各医療機関ごとにできております倫理委員会につきましても、基本的なことについては共通的な基準で構成され、運営されるべきではないかということから、病院間の相違をどうするのかと、こういうお尋ねかと思います。 そこで私どもは、例えて申しますと、今話題になっております臓器移植等につきましては、一病院の倫理委員会だけではなくて、それに関連する学会全体での検討機関というものでも最終的な担保というものができるような仕組みが望ましいのではなかろうかと、このことは先般いただきました臨時脳死臓器移植調査会の方からも指摘を受けているところでございます。
○竹村泰子君 私はこういう、これまでにも少しずつ報道されておりますけれども、この生殖操作のような動物の飼育とか酪農、そういったことではもう既に先行しているわけですけれども、人間の体でこういう科学的な、半ば実験的なことが許されていいのかどうかと思うのです。大臣どういうふうにお考えになりますか。 けさの新聞によりますと、夫婦二組の方が顕微授精で初の妊娠をされて十一月に出産予定と書いてあります。もしも生殖操作に伴う医療事故あるいは有害な影響が母体や赤ちゃんにあった場合にどういうふうに厚生省は責任とられますか。それは病院のやったことでございますと、全く私たちは知りません、見守っておりましたとおっしゃるんですか。それとも、きちんとこれから追跡をして規制をしながら、長期的な追跡調査もなさるというふうなお。答えを私はできればお聞きしたい。野放しにしてていいのかということです。
○国務大臣(山下徳夫君) 顕微授精の適用に当たりましては、各医療機関がこの見解に基づいて十分検討した上で、慎重かつ遣切に実施されることが望ましいと、このように考えておりますが、厚生省としましては、この顕微授精による妊娠についても慎重に、その後の推移を見ながら、野放しにするとかほっておくとかということじゃなくて、もう少し推移を見なければというような、そんな立場で今見守っているところであります。
○竹村泰子君 大臣、推移を見ながらとおっしゃいますが、その間にもうどんどん現場は進行しているんです。赤ちゃんがこういう方法で生まれれば子供のない御夫婦にとってはそれはどんな喜びかもしれません。それはよくわかりますけれども、無事に生まれれば、もし何事があっていろんな人体への影響があった場合に、私は大臣の御所見を伺っております。お役人の書いたメモをお読みにならないであなたのお考えを聞かせてください。
○国務大臣(山下徳夫君) 私の考えを申し上げますと、こういった医療行為について、個々の問題についてまで行政がどこまで申し上げることができるかということは私自身が率直に申し上げて疑問を持っているわけでございまして、そういう意味で今後の推移をと申し上げたわけでございます。
○竹村泰子君 わかりました。 それでは、次の問題に移りたいと思いますけれども、引き続きまして、やはりこれも生殖操作の一種になると思いますが、代理由産です。代理由産の国内実施や外国の代理由産事業に対する考え方とか規制とかをお伺いしたいと思います。 近年、子産み、子育てにかかわる国民の意識にも重大な変化が始まっていると思いますけれども、その典型的な例はいわゆる代理由産であります。これは代理母とか、おなかを借りるとか呼ばれることもありますけれども、要するに子供をつくりたいがさまざまな理由でできない御夫婦が、その精子や受精卵を第三者の女性のおなかの中で育ててもらうという方法です。しかも私がとても問題だと思っておりますのは、大部分が金銭報酬を代価にしたものなんです。ただで、もちろんボランティアでおなかを貸してあげますよなんて言ってくれる人はないわけで、十カ月も苦しい思いで、私も母親の一人でございますけれども、そんな思いをして産んでくれる人はいない。やっぱり金銭報酬が代価になるわけです。 アメリカでニュージャージー州などで起きたベビーM事件というのを御存じだと思いますけれども、請け負った代理母メリーベスさんという人がベビーMの監護養育権と親権を求めて争ったわけです。かわいくなってしまう。私の子供だという思いになってしまう。私は人情として当然のことだと思います。争われましたので有名ですけれども、日本では産科婦人科学会が体外受精は夫婦間に限るという見解を出しておられますね。ですから日本ではこういうことは起こり得ないと。しかし、大学や病院の倫理委員会の中にはこの学会見解を拡大解釈する例なども見られるところでございます。 最近読みました報道では、去年の報道ですが、アメリカの代理母あっせん業者が日本の民間業者と業務提携していよいよ昨年の九月から日本の国の中で代理母の扱いを商売としてやる。アメリカでは代理母あっせん業者というのが随分あるそうですけれども、低賃金で貧しい人たちがどうぞ私のおなかを使っていいですよということで代理母を申し出ている。日本の御夫婦がお金に物を言わせて開発途上国の女性たちに子供を産んでもらうという、そういうことが早くも考えられるわけですし、アメリカの代理母の関係で日本人のベビーが既に四人生まれているという報道もあります。そしていまだに九組待機をしているという一あっせんをしているアメリカの弁護士さんがそういうふうに言っておられまして、この報道は国際倫理摩擦のおそれが十分あるということを伝えております。 以上のようなことを踏まえまして、厚生省は昨年七月に、生殖技術の倫理的側面などを検証するためにリプロダクティブヘルスに関する研究班を発足させておられますが、このことをお伺いしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) お尋ねのリプロダクティブヘルスに関する研究についてでございますが、女性の生涯にわたる健康づくりのあり方などを検討するために、本年度、昨年の夏ごろでございますが、平成三年度から開始をいたしております。 社会環境が変化する中での出産の社会的あるいは医学的な意味合いなどにつきまして学際的な研究をお願いしているものでございます。この研究の中の一部といたしまして、体外受精などの医療技術や生命科学の進展に関する技術的、倫理的評価につきましても、代理母の問題も含めまして御検討をいただいておりまして、平成五年度を目途に研究の取りまとめをお願いしているところでございます。
○竹村泰子君 このリプロダクティブヘルスに関する研究班というのをおつくりになって、こういう生殖技術の暴走というか、そういうことがあってはならないという、そういうお考えもあってこの研究班をおつくりになったと思いますけれども、今私が申し上げましたような代理由産についてどういうふうにお考えになるか、厚生省及び法務省の見解を伺いたいと思います。
○政府委員(土井豊君) 我が国における体外受精につきましては、先ほどお話もありましたが、日本産科婦人科学会の見解によりまして、夫婦間に限って実施をされている。当面代理母につきましては我が国で実施される可能性はないだろうというふうに考えております。 ただ、この代理母の問題自体につきましては、医学的な観点、倫理的な観点などから整理すべき課題が多くあるのだろうというふうに思います。行政としての関与のあり方につきましては、結論を急ぐことなく、今後関係者の御意見を幅広くお伺いしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○説明員(岡光民雄君) 新しい問題でございますので、これから十分勉強していくことになろうかと思いますが、民事法の観点から申し上げますと、一点大事な問題といたしまして、母親がだれか、卵子を提供された方なのか、おなかを貸してくださった方なのか、その問題があろうかと思います。お恥ずかしい次第ですけれども、その問題につきましても、いずれの見解もあり得るという程度のところまでしか現段階ではお答え申し上げられるような状況ではございませんけれども、引き続き新しい問題につきまして勉強してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○竹村泰子君 これは厚生省とも十分御相談いただきまして、大変な問題ですから十分法務省でも研究、検討していただきたいと思いますけれども、これについても例えば、今は産科婦人科学会の、夫婦間に限るということが定義となっておりますが、外国で外国の代理母をお願いして報酬を払って産んでいただいた場合に、そういうことは外国の事例として取り扱われると、国内法ではできない。ですから、日本人がどこの国へ行ってこういうことをやっても、やはり国内法の、国内法というか、国内での規制がきちんと対策として定義づけられていて、それを守っていかなければならない。例えば片親であっても、夫婦間以外の場合も十分にこれからは、外国であったら治外法権というか、わからない場合もあるかもしれない。 ですから、そういうことで厚生省、法務省、規制をきちんとしていただかないと、これは一学会が夫婦間に限ると言っているだけで、この辺のところをどういうふうに政府はお考えになるのか、もう一度そういったことを含めて厚生省、法務省、両方にお聞きしたいと思いますが。
○政府委員(土井豊君) 外国との関連でございますけれども、私ども現時点で了知している範囲では、例えばアメリカでは幾つかの州でこれについての規制を行っている。その場合の内容を見ると、あっせんの禁止であるとか、あるいは有償の代理母の禁止、そういうことを規定している州があるようでございます。また、オーストラリア、ここでは倫理委員会での承認というようなものを規定していると伺っております。これは法律ではございません。それから西ドイツでは、一九九〇年の法律では、代理母そのものを禁止している。フランスでは検討中。いろいろな立法例があるようでございます。 私どもの方としては、先ほど申しましたとおり、現時点では日本国内では、学会の見解に示されますように、その可能性はないであろうというふうに考えておりますが、外国へ行って日本人がそういう形で代理母というものを利用するといいましょうか、使うというような問題についてどう考えるかという点だと思いますけれども、行政としての関与のあり方自体につきましては、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、結論を急ぐことなく、今後関係者の御意見を幅広くお伺いしていきたい、そういうふうに考えているところでございまして、あっせんの問題についてもそういう中で勉強していこう、そういうふうに考えているところでございます。
○説明員(岡光民雄君) 民事法の立場でこういったテーマについて規制的な方向で何かできるか、そういう事柄となりますと、やや手段として適当なものを私ども持ち合わせているかどうか定かではございません。厚生省さんの方と合い議を受けつつ引き続き勉強してまいりたい、かように思っているところでございます。
○竹村泰子君 私は、妊娠とか出産とか、そういった極めて個人的なものに国がなるべくかかわらないでほしいと思うんですよ。かかわってほしいと言っているんじゃないんです。そういうことは個人の選択であり権利であると思うんです。しかしまた、それに反対のようですが、受精や着床や、そういったことに人工的な力がかかわらないでほしい、これは人間が越えてはならない領域なのではないか、そういう思いも非常に強く持つわけです。 ですから、何を言いたいかといいますと、こういった野放しの状態で、さっきも言いましたように、開発途上国の貧しい女性たちのおなかを借りて、日本にも代理母の窓口がオープンしたという記事があるんですけれども、これによりますと、費用が、代理母への謝礼、渡航費、滞在費などを含めて約一千万円ぐらいかかるだろう。これはもう既に昨年の十一月の報道で伝えられておりまして、代理母窓口が日本でオープンしているんですね。既に早くも五十組の夫婦が相談に来ていると、こういう状態を野放しにしておいて厚生省はいいとお思いかどうか。申しわけないですが、大臣、どういうふうにお思いになりますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 率直に申し上げまして、この代理母の問題につきましては、国家とか行政がどのようにかかわっていくかということは非常に難しい問題だと私は思います。個人の自己決定権といった、人が生きる上での根幹でございますから、これはもういろんな問題も含んでいると思います。 いずれにいたしましても、どう取り組んでいくかについては真剣に検討しなければなりませんが、今の時点におきましては、大変難しい問題で、直ちにこれが妥当であるという意見は私は実は持ち合わせておりません。
○竹村泰子君 大臣はずっと社労族でおられまして、こういった医療とか社会保障あるいは福祉の問題に非常に詳しい方でおられますから、私は今大臣に御所見を伺っているわけですけれども、この代理母出産あっせん業者の日本窓口に対して、きょうは法務大臣おられませんけれども、法務省はこれに対してどういうふうに思いますか。
○説明員(岡光民雄君) 私どもは、行政という形でそういうテーマに取り組む立場にちょっとないものでございますので、厚生省さんの方からお答えをいただければというふうな感じを持っておりますが。
○竹村泰子君 そうじゃないんです。厚生省は厚生省の立場があるでしょう。しかし、こういうあっせん業者の窓口が開かれて、そこでもしもいいですよと、私のおなか貸してあげてもいいですよと言う人がいたら、この日本の五十組も百組も待機している夫婦たちは喜んで外国に行ってそういう代理出産をしてもらうかもしれないんですよ。これは外務省であり、法務省であるわけでしょう。だから聞いているわけです。
○説明員(山本和昭君) 規制の一態様としましては、罰則の制定等もあるかと思いますけれども、何しろ新しい分野のことでございますので、きょう出ましたような議論も踏まえて十分勉強させていただきたいというぐあいに思っております。
○竹村泰子君 今後の問題ですけれども、生殖操作、さっきの顕微授精も含め、代理母、代理由産、これらのこともやはりどこかできちんとした定義づけというか規制をしなければ、今のように、ええそうですかと、マスコミが報道して、ああそれは大変ですねと、いや、しかし見守っておきましょうという野放しの状態で私は決していいとは思わないんです。これは個人の問題ではなくて、はるかにそれを超えた倫理の問題であり、そして規制できる問題であるというふうに思いますので、今後の御検討をぜひお願い申し上げたいと思います。 それでは、脳死の問題に入りたいと思いますけれども、私も厚生省からいただきましたが、この「脳死及び臓器移植に関する重要事項について」の答申、平成四年一月二十二日に出されましたこの臨調答申についてどのようにとらえておられますか。
○政府委員(古市圭治君) 答申の方で幾つかの点が御指摘されておりますが、要約いたしますと、良識ある臓器移植というものが推進されることを期待するということでございます。 したがいまして、その中で指摘されました項目について、それぞれ関係機関で対応していくということでございますが、既に政府といたしましては、答申を尊重して対策に、本問題に取り組むという対処方針が決定されております。それに従って現在作業が進んでいるという状況でございます。
○竹村泰子君 大臣、御所見を伺わせていただけますか、臨調答申について。
○国務大臣(山下徳夫君) 御案内のとおり、これは一月の二十二日に答申がなされまして、三十一日には閣議決定もいたしておるわけでございます。既にそれまでに約二年にわたって三十三回も審議が行われて、長いときには七時間、八時間というかつての各種委員会ではこんなに真剣に、慎重に審議されたことは余り例がないと思います。したがって、私どもはこれは諮問は政府がしたのでございますから、それだけ慎重に、十分審議を尽くされて出ました答申については、やはり私どもとしてはそれを尊重しなきゃならぬという立場に立っていると思います。 そこで、人の死ということにつきましては、おおむね社会的にこの答申からすれば合意されたという私は一応判断に立っていいんではなかろうかと思うのでございますけれども、しかし、今日なお配慮すべきいろんな問題がある。これに対していろいろとまた御意見あるいはその答申のとおりにはなかなかいかないよという、答申に対していろいろな意見もございますから、私はこの問題についてはさらに関係方面、例えば医療界、いろいろな医療界の団体がございますが、あるいはまた関係省庁、警察庁とか法務省、そういうところとも十分相談をしながら、この問題の解決については、いつまでも延ばしてはいけない。せっかく答申、それだけ慎重に検討して答申をちょうだいしたんですから、いつまでも時間をかけるわけにはまいりませんけれども、今申し上げたような事情でございますから、拙速もいけない。 また、国会の内部におきましても、このことについては、一つの皆さん方で研究機関を持っておやりになって、総理とお会いになっていろいろ御意見も申し上げられているという、内外にいろいろと問題を抱えているわけでございますが、基本的に、繰り返し申し上げるように、政府が諮問をしたことに対して、慎重審議の結果、答申が出た。この答申は、一応社会的合意ということをまず念頭に置きながら、さらにこれに対していろいろ御意見がある。その点については、さらに十分耳を傾けながら対処してまいらなきゃならぬと、こういう考え方でございます。
○竹村泰子君 今大臣、二年間三十三回にわたって大変な議論が交わされたというふうにおっしゃいましたけれども、当然のことなんですよ。こんなもので足りないと私は思います。だって、命にかかわることですから。私たちが死んだときに、もしかしたら脳死の状態で臓器を提供しなきゃならないかもしれない。そういうもう大きな問題ですからね。これは私は全然十分な議論が尽くされたなんて思わないんですね、まあいろんな考え方があるかもしれませんけれども。 しかし、この答申を読みまして、予想どおりと言うべきか、予想を超えてと言うべきか、私は人間の死の定義は変えられなかったと思います。二番目に、それにもかかわらず、答申は、脳死段階での移植を含む臓器移植一般を推進すべき医療と定義している。認めているんですね。これにゴーサインを出しました。しかし、もちろん臨調の最終的なねらいが移植にある、移植さえできればいいということではないとは私は思いますよ。偉い先生方が何年もかかって議論されたんですから。 しかし、この答申の中にも、これの七ページにもありますけれども、「医学的に見た「人の死」と社会的・法的な「人の死」」というふうなことで、「直ちに社会的・法的にも脳死をもって「人の死」とすることができるかということになると、なおそこには問題があると言わねばならない。死とは何かという重大な問題についてこ「社会がそのことを受容するかどうかを無視することはできないものと考える。」というふうにありますとおり、社会的な合意というのは得られていないんでしょう。 しかし、死の定義は変えずに、つまり臨調は、面倒くさいから、死とは何か、人間の死とは何か、脳死とは何かということを超えて、どうでも脳死を人の死とするというふうに私は読めてならないんですね。この厚生委員会には、お医者さんがたくさんおられます、厚生省にもおられますから、私のような素人が何を言うかとおしかりを受けるかもしれないですが、今回の答申は、脳死をつまり人の死と決めることに成功はしなかったんだと私は思うんです。人の死は何か、脳死で人の死とするかという前提条件をちょっと切り離して、既成事実の積み重ねと移植立法化によってなし崩しに脳死を人の死とするところまで持ち込もうと、こういうふうに私には読めるのでございます。 臨調の内部にも死の定義を変えることへの強い反対意見があって、これを説得できなかったということもあると思いますけれども、もっと根本的な理由は、社会的な合意が形成できなかったというふうに私は思うんですけれども、厚生省はどういうふうにお思いになりますでしょうか。
○政府委員(古市圭治君) 報告書は一つでございますが、いろいろな読み方があるということは了解いたします。しかし、答申が二年間非常な御苦労を願ってやった趣旨は、今先生がお話があった状況とは全く違いまして、何らかの意図を持ってやったということでは決してございません。我が国のこれからの移植に対する対応としては、国民の福祉、健康の上からも、また社会倫理的面からもどのようにするのがいいか、あらゆる角度から真剣に検討して、何物にもとらわれずにやった結果があの報告書でございますので、今のような形で読まれたというのは、私関係した者として非常に残念だと思います。 しかし、それはそうといたしましても、事実、脳死は人の死であるかどうか、また脳死状態で移植をしていいかどうか、この二つが大きな議題でございまして、それについては、臨調の多数意見は、脳死は人の死である、また脳死状態からの移植というものは良識ある形で推進されるべきであるという結論に達したわけでございます。 しかし、いろんな方の意見がございまして、いわゆる委員の方の少数意見というものは第四章を設けて明確に書き、委員会の中でもいろんな意見があったということを明らかにした、こういうような状況でございます。 しかし、全体の答申は多数意見をもって答申とするということでございますので、先ほど大臣が申しましたように、いろんな条件を整備して良識ある臓器移植が推進されるべきである、これが臨調の答申の趣旨でございました。
○竹村泰子君 それではお伺いいたしますが、脳死事件にかかわる刑事告発がたくさんございます。御存じだと思いますけれども、いわゆる治療延命処置の打ち切り、あるいは臓器摘出など、現行の法律体系のもとでは刑法の各種条文に抵触するというふうに考えられ、場合によっては犯罪であるというふうなことも訴えられているわけです。 脳死患者に対するこうした違法行為について、八四年に実施された、有名になりましたいわゆる筑波大学の膵臓、腎臓同時移植実験ですね。これはドナーとレシピエントの双方が死に至りました。ことしに至るまで相当多くの刑事告発が、私が持っておりますだけでも、岡山協立病院の場合あるいは広島大学医学部附属病院の場合、その他その他ございます。これらの訴状と申しますか、告発状を読んでおりますと、やっぱり大変なことを現場ではやっているんだなと思うわけですよ。 ところが、これらの告発されていることに対して検察当局が態度を保留したままなんですね。法的にいわば保留してあるわけですから、空白の状態の中で、これはもう大変な人権侵害が起こっているわけです、脳死患者への冷酷な人権侵害。これらの刑事告発を法務省はどのように取り扱ってこられましたか。
○説明員(山本和昭君) お尋ねの告発事件でございますが、先ほども出ましたように、筑波大学におきます臓器移植事件につきまして、水戸地検において昭和六十年七月三日、東京地検が同年二月十五日に受理した殺人罪による告発事件の移送を受けたものから、新しいものでは、平成三年九月九日に医療生協岡山協立病院における臓器移植事件につきまして、岡山地検において殺人罪による告発を受けておるということで、現在七件抱えております。いずれも捜査中であるというぐあいに承知しております。 脳死の判断についての空白期間云々ということで先生がおっしゃったわけでございますが、先ほど来から出ておりますように、政府としましては、脳死臨調答申を尊重して対処するという対処方針を決定しておりまして、法務省としましても、これの対処方針に沿って関係部局において必要とされる事項について検討を行っているところでございます。 その一つといたしまして、脳死が人の死であるかどうかということにつきましては、確かに委員内部で十三対二ということで意見が分かれましたが、脳死を死と認めない委員の方々も、臓器移植については積極的に進めるべきであるということで、臓器移植立法の点につきましては全員一致の結論が出ているわけでございます。そこで、法務省としましても、臓器移植と犯罪捜査との関係も含めまして、厚生省等と協力しながら臓器移植立法の実現に向けて前向きに努力していきたいと考えているところでございます。 ところで、立法ができるまでどうなるのかということでございますが、この答申の中にもありますように、この答申は、立法がなくても臓器移植できるとしながら、他方で移植の条件、例えばドナーの同意その他いろいろ条件を付しているわけでございますが、示しているところ等にかんがみますと、答申の趣旨に沿ってなされ、かつ社会的に相当と評価できる臓器移植である限りは、立法前であっても人権侵害の問題は生じないのではないかなというぐあいに考えております。
○竹村泰子君 それでは、私は一つここに持っております例を引きながらお伺いをしていきたいと思います。 これは、大阪府立千里救命救急センターと阪大第二外科の問題なんです。大阪府豊中市在住の一人の男性、Aさんとしておきましょう。この方は、九一年六月三十日午前一時五十分ごろ、国道交差点を横断中に乗用車にはねられ、脳挫傷などで意識不明となり、大阪府立千里救命救急センターに収容された。同センターの医師は、三十日の午前一時五十分に運び込まれて、七月二日の午前十一時二十分と同日午後五時、同月三日の午前十一時の三回にわたって脳死判定を行って、脳死であると診断した。 この人たちが、家族に脳死状態であることを説明して、臓器提供を働きかけた。もちろん本人は何も知りませんね。その結果、家族から提供の申し出を受けて、大阪大学医学部第二外科の肝移植グループに連絡をして肝臓移植の準備に着手をした。具体的には、脳死状態と診断されたものの心停止には至っていないAさんについて、片足のつけ根を切り動脈に管をつなげた上、腹部も切り開き、肝臓の門脈へ管を挿入した上、これらの管から冷却水を流した。このような準備をした後、Aさんについて肝臓を摘出しようとしたんだけれども、大阪府警から、脳死は死と認められない、脳死段階での臓器摘出は捜査妨害である、犯罪にもなるとの強い警告がなされたため、断念して、心停止後の移植に切りかえることとした。人工呼吸器のスイッチを切ったわけであります。これは肝臓の移植は断念し、亡くなられてから腎臓と膵臓のみを移植したという事件でありましたけれども、こういうことが行われているんですね。 これらのことが現場でどんどん先行していってしまっている。にもかかわらず、検察当局は態度を保留しておられる。なぜなのか。いつまで保留をされるんですか。
○説明員(山本和昭君) 具体的事件の処理ということにつきましては、それぞれの担当捜査官の問題でございますので、いつまでに処理できるかということについてのお答えはできかねるところでございます。 先生が先ほど挙げられました具体例自体については、事実関係を十分把握しておりませんのでコメントできませんけれども、一般論として申し上げますと、脳死状態に陥る者の中には犯罪ないし犯罪の疑いのある行為に起因して生じる場合と、そうでない場合とがあると思われます。犯罪に関係なく生じた脳死状態というものにつきましては、私が先ほど説明したようなことで足りるかと思います。犯罪行為に起因した脳死状態ということになりますと、一方で医療行為の問題と、他方で犯罪捜査ということと両方の要請がコンフリクトを起こすわけでございまして、そこの調整ということが確かに御指摘のように必要でございます。 そこで、法務省としましても、現在警察庁と協議しておりまして、そういった場合にどのように対処するのかということを検討しているところでございます。
○竹村泰子君 いたずらにと申し上げては言葉が過ぎるのかもしれませんが、判断を保留しておられる間に、もう私がここに持っているだけでも八件も九件もありますが、法務省はどのぐらいこういった刑事告発されている事件をつかんでおられますか。
○説明員(山本和昭君) 先ほど申しましたように、七件であるというぐあいに承知しております。 わざと態度を保留しているわけではございませんで、やはりこの種の重要な事件でございますので、不起訴にすれば検察審査会の審査を受けなければなりませんし、また起訴すれば裁判所の判断を仰ぐわけでございますので、それらの判断にたえ得るような十分な捜査を尽くすということも必要なのでございます。検察官は捜査を遂げた上、迅速かつ適正な処分をするという使命を帯びておりますので、その使命にのっとって作業をしているというぐあいに考えております。
○竹村泰子君 刑事告発されている事件の名前を挙げていただげますか、例えば何々大学の例とかというふうに。
○説明員(山本和昭君) 七件ございまして、一件目は、先ほど申しました筑波大学の事件でございます。二件目は都立広尾病院における臓器移植事件でございまして、昭和六十二年三月三十一日に東京地検において告発を受けております。三つ目は、新潟県内の信楽園病院における臓器移植事件でございまして、昭和六十三年十月十四日、新潟地検におきまして受理しております。四つ目は、同県内の水原郷病院における臓器移植事件でございまして、平成元年三月十日、やはり新潟地検において告発を受理しております。五つ目は、大阪大学附属病院の臓器移植事件でございまして、平成二年十月二十五日、大阪地検において殺人罪による告発を受けております。六つ目は、千里救命救急センターにおける臓器移植事件でございまして、平成三年九月九日、大阪地検において告発を受理しております。七つ目は、先ほど申しました医療生協岡山協立病院の事件でございます。 以上です。
○竹村泰子君 そのような刑事告発がされて、そして殺人罪として告訴されるということがありますから、脳死といいますか臓器移植を早く法的に正当なものにしてほしいという非常に強い、医師やそれから厚生省の働きかけが今回の臨調設置などに至る経過であったというふうに言っては言い過ぎでございますか、厚生省。
○政府委員(古市圭治君) 厚生省と申すよりは、現在事実問題としてそういう臓器移植に頼らねばそこで生命が絶たれるという方々が、日本ではできないということで海外で移植の機会を得るために獲られるというふうなことが行われております。 そういう中で、日本の医療技術からもってすれば、今御指摘の問題さえ解決つければ、合法的にやれるじゃないかというようなことがもう数年来言われていたわけでございます。それに対して、厚生省とか云々ということではなくて、国民のこの問題にどう対応するかということで、いわゆる脳死臨調というものも議員立法で二年間の時限で設置をされた法律でございまして、それに基づきまして、各界の人たちの英知を集めた二年間の報告書が出た、そういうような経緯を経て現在に至っているということかと思います。
○竹村泰子君 臨調を設置されたのはいつですか。
○政府委員(古市圭治君) 平成元年の十二月、脳死臨調設置法によって制定されました。
○竹村泰子君 十二月ですから二年満たないわけですね、二年足らずですね。一年何カ月間がで、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、設置をされたのはもっと後でしょう、古市さん。それは法案が通ったときだと思いますけれども、実際に審議をされた期間はどのくらいですか。
○政府委員(古市圭治君) 設置が今申し上げました平成元年の十二月でございまして、その翌年の三月には脳死臨調の第一回の会合が開かれているわけでございます。 先ほどお話が出ましたように、このときから二年間三十三回にわたって会合が開かれて、この一月三十一日でもってこの時限が来たということでございます。
○竹村泰子君 わかりました。ちょうど二年だったわけですね。 さっき大臣が、二年間三十三回にわたって十分な審議を尽くしたとおっしゃいましたが、今のお答えを聞いておりましても、社会的な合意は得られていないということがはっきりしますよね。国民が、それではみんな脳死を死と認めようと、臓器を提供されれば生きられる人もいるんだから、それじゃ全員とはいかなくても、少なくとも過半数がそういうふうにわかりましたよと、国民的な合意というふうにはなっていないわけですよね。私は、今の尊厳を決めるのに二年という期間、余りにも短いという気がしてならないのです。 脳死患者から摘出した臓器の同意手続についてお伺いいたしますけれども、脳死患者から摘出した、先ほどの私が挙げました告発されている例などは、もう御本人は交通事故によって脳挫傷でもって意識不明なんですから、御本人のインフォームド・コンセントなんというのは全くとれるわけはない。家族の提供ということでオーケーされたわけですけれども、例えば脳死になる方たちというのは交通事故だとか、はしごから落ちられたとか、いろいろな思わぬ事故によることが多いわけですが、脳死患者から摘出した、例えば腎臓が死体腎として腎移植に用いられている。腎臓の場合は死体腎でとられることが多いわけですけれども、その実情、どのくらいの例がこれまであったのか、数とか同意の状況もわかれば教えていただきたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問の件でございますが、死体腎の提供に関する状況はどうかというのをまず御説明申し上げたいと思います。 直近の三カ年ぐらいの数字で申し上げたいと思いますが、昭和六十三年、平成元年、平成二年、この三カ年を合計いたしますと、腎移植の総数と申しますのは二千二百五十八件でございます。そのうち、死体腎移植は六百五十七件、したがいまして腎移植のうちで死体腎移植の占める割合というのは二九・一%と申しますか、三〇%弱でございます。これは日本移植学会の数字でございます。 それから、今どのような形で承諾とか、そういうようなものを取りつけているのかというような御質問だと思いますけれども、やはりこの五年間でございますが、一九八四年から一九八八年までの五年間のことにつきまして研究者の発表がございます。そこで申し上げますと、その間の腎提供は四百二十五例把握されておるわけでございますが、その腎提供の経緯について調査をいたしましたということでございまして、それでは受け持ち医の依頼によるものが二百五十三例でございますから五九・六%、それから家族の申し出というのが百三十九例三二・七%、それから移植医の依頼というのが十八例ほどございまして四・二%、それからドナーカード、これはいろいろと普及を図って努力をいたしておりますが、ドナーカードによるものは十五例というふうに、三・五%程度でございます。
○竹村泰子君 ドナーカードの方は十五例、これはもう本人の意思ですよね、本人の意思ですが、あとの場合は本人の意思ではないわけですね、と言っていいと思いますけれども。 また、ドナー登録を行う人に対して、厚生省は脳死状態をも死とみなして腎摘出を行うこともありますよというふうな説明を、あるいは同意を取りつけておられますか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御指摘の腎臓や角膜のドナーの登録についてでございますが、現在のところやっておりますのは腎バンクやアイバンクというところにおきます死後本人の腎臓または角膜を提供するという旨の書面をもって本人とその近親者の同意を確認しているところでございます。したがいまして、脳死状態での摘出について特別に確認はとっておりませんと承知いたしております。
○竹村泰子君 角膜は次にお聞きしようと思っていましたが、まとめてお答えいただきましたけれども。 つまり、腎臓の場合は死体腎として取り扱われる、あるいは角膜の場合も亡くなった方からとられる、とられるというと変ですが、摘出をされる、そういうことになっているけれども、場合によっては脳死の状態で、本人の承諾ももちろんなく脳死の状態で摘出をされている例があるかもしれない。それはどう思われますか。
○政府委員(寺松尚君) 脳死状態からの腎臓移植の実態でございますけれども、私ども細かな現場のことでございまして、詳細には承知しておりません。しかし、日本移植学会で発表された報告がございます。そのアンケート調査の結果なんでございますが、人工呼吸器、ベンチレーターをつけたままで腎臓を摘出した例は一九八四年から一九八八年までの五年間で死体腎摘出例の二割弱と、こういうふうな報告がございます。
○竹村泰子君 ですから、十分考えられるわけですね。わかりました。 私たちが、私も含めて、どういう状態で命の終了を迎えるかもしれないそういうときに、私はやっぱり自分の問題としては自分できちんと決めておきたいと思うわけですけれども、今お聞きしますと腎と角膜についてはおおむね死体からの摘出であるけれども、しかしその死の定義が、ずっとさっきから申し上げているとおり、死の定義ということが位置づけられない、そういう場合において、これはもう死んでおられます、お亡くなりになっておられます、これはお医者さんが判断をなさるわけでして、そのお医者さんがたまたま脳死で摘出してもいいと思っておられるお医者さんだったら、私も脳死の状態で腎臓や角膜ですら、あとの臓器はもちろん、摘出をされることもあり得るわけです。 こういったことが十分考えられるのでございますけれども、車ほどさように、私もこのことを、素人でありながらこういう問題を取り上げてずっと考え続けてまいりまして、脳死臨調の答申が出されて、これはいよいよ臓器移植へのゴーサイン、立法化という動きが急になるだろうということは考えておりますけれども、しかし、余りにも問題が大き過ぎる。ですから、もしも不幸にしてそういうことになったとしましても、この課題はずっと日本人として、一人の人間として考えていかなきゃならない問題であると思いますけれども、きょうはとりあえず第一段階として取り上げさせていただいているわけです。 次に、ちょっと今までと扱いが違うかもしれないんですが、大学医学部の倫理委員会ですね。大学医学部及び病院に倫理委員会なるものが続々と生まれております。その実態を把握しておられますでしょうか、厚生省と文部省。
○説明員(喜多祥旁君) 昭和五十七年以来、大学に倫理委員会が設置され始めまして、現在すべての医科大学七十九大学に倫理委員会が設置されておるところでございます。
○政府委員(古市圭治君) 先ほど触れたかと思いますが、平成元年度に実施した病床数三百以上の一般病院、このとき千百五十四施設を対象にいたしまして、その回答数が七百七十七ということでございましたが、そこで倫理委員会が設置済みというのが百十三カ所ということでございました。これはちょっともう古うございますから、現在では相当変わってきているかと思います。
○竹村泰子君 その各倫理委員会がそれぞれ独自の判断をしているわけですね。独自で死亡あるいは脳死の判定基準をつくりつつある、やっているとは言いません、まだつくりつつある。各大学ないし病院は、それについて、その基準に基づいて死亡診断書を書いたり、死体の取り扱いを行ったり、脳死であると判断したり、こういうことをしているわけですけれども、各大学や病院の倫理委員会に任せておいて、ばらばらの基準判断でいいわけですか。どういうふうにお考えになっておられますか。厚生省、文部省、法務省にお聞きして、最後に厚生大臣の御意見も伺いたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 今のお尋ねの件で、倫理委員会が事項がばらばらということではなくて、例えばその中で大きな課題となっております脳死判定基準について、それぞれ施設によって差があるではないかということかと思いますが、私どもはいろいろ検討してきまして、厚生省では脳死の判定基準といたしますのは竹内基準というものを出したわけでございます。これが今回の臨時脳死及び臓器移植調査会の中でも検討されまして、答申の中では、いわゆる竹内基準は現在の医学水準から見る限り妥当なものであるという見解を示しました。しかし、これと同時に、社会の安心感を強めるためには、必須とされている検査以外であっても実施可能なものは判定に取り入れることが有意義であるという意見もつけられております。 そういうことによりまして、この竹内基準に加えて、大学によってはいわゆる聴性脳幹反応とか、脳の血流の非侵襲的な証明とか、そういうものが加わっているということでございますから、いわゆるそれぞれによってまちまちということじゃなくて、一応竹内基準というのはそろっていて、その上にほかの検査が入っている、また、第二回目の判定時間との間に一応施設によって差がある、こういう状況だということだと思います。
○説明員(喜多祥旁君) 各大学の倫理委員会におきまして作成されております脳死判定基準でございますが、今厚生省から説明がございましたように、いわゆる竹内基準をベースにしまして、各倫理委員会で議論をし、脳死の最終判定の時間的経過について、例えば六時間を二十四時間に延長するとか、あるいは聴性脳幹反応の消失あるいは脳血流の停止などの補助検査項目を追加しまして、より慎重を期した内容にしておるというふうに承知をいたしておるところでございます。 基準を定めるに当たりまして、各大学はその自主的判断によって行っておるところでございまして、その際には関係学会の意見を踏まえ、またほかの大学における審議の状況につきましても、これを参考とした上で審議がなされているというふうに聞いておるところでございます。
○説明員(山本和昭君) 大学の医学部の倫理委員会等が作成しています脳死判定基準というものは、今説明がありましたように、竹内基準を基準としながら、観察時間や補助検査の実施等について若干付加した基準を作成しているものというぐあいに理解しております。ただ、詳しいことにつきましては、医学的見解に基づいて作成されているものでありますので、法務当局としては、その適否ということについてはお答えするのは適当でないと考えます。 いずれにしましても、今後厚生省等と協力しながら、臓器移植立法を推進していきますにつきましては、脳死判定の正確性を担保するということが必要でございますので、その点を念頭に置きつつ検討したいと考えております。
○竹村泰子君 今、それぞれお答えいただきましたけれども、私が大学病院の倫理委員会の現状を知りたいと言いましたら、一枚だけのこういう数字を持ってきてくださったんですが、これは数字はわかりますけれども、現状とか実態がどうなっているのかという私のお尋ねに対しては余り答えてくださらないんですよね。 私、ここに持っておりますのは「わが国の倫理委員会の現状・一九九一年 医学会総会パネル「倫理委員会のあり方」より」、徳島大学の斎藤隆雄先生がお書きになっているものです。この方は、たしか全国の大学倫理委員会連絡懇談会の事務局長でいらっしゃいましたか、そういう方なんですけれども、倫理委員会についていろいろと意見をお書きになっておられます。 大学病院以外の病院に設置された倫理委員会がむしろ大学型の医学研究審査委員会というふうな機能を果たしているというふうなことでありますとか、委員構成についても払お聞きしたんですけれども、これは厚生省がどこか調べてくださいましたでしょうか。およそこんなふうでございますというふうなお答えがありますでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 私の方からお話しするということになりますと、国立病院の話になるわけでございますが、ちょっと今手元に二例ほどございまして、申し上げたいと存じます。 国立循環器病センターというものがございますが、そこの倫理委員会は内部の委員と外部の委員といらっしゃるわけでございますが、外部委員が三人ぐらいいらっしゃいます。女性の方を入れまして三人でございます。あと内部の方が十四人ばかりで、十七人ぐらいの構成でございます。 それから、がんセンタドの方でございます。国立がんセンターの方は、全部で十一人のメンバーでございますが、外部から二人の方が入っていらっしゃいます。 以上でございます。
○竹村泰子君 私のさっき申し上げましたこの論文でも書いてあるんですが、「委員構成の特徴的な事は、学外から余り人を入れていない事で、平均九・六人の委員総数のうち八・四人が学内者でこ、これは九一年ですからちょっと一年前ぐらいですが、「八・四人が学内者で、そのうち七・一人が医学部または付属病院教授だった。学外委員数は平均一・二人で、学外委員を全く入れていない大学数が二五校あった。」ということなんですね。 非常に私は、この倫理委員会というのが人の死を決める基準を、それぞれに竹内基準にプラスしてということですが、基準をつくって脳死判断をしているにもかかわらず、社会に重大な影響を及ぼす決定を行っているにもかかわらず、社会に対して非常に閉鎖的であるということを言われていると思うんです。 もう時間がないから私が申し上げますが、どういうふうに公開しているかというと、「倫理委員会の審議を公開していると答えた大学は二五校、非公開とした大学は五二校、回答を保留した大学が二校だった。」と、この調査はそういうふうになっているんですね。ということから見てもわかりますとおり、これは公開をするということは考えていないようですね。公開したって素人にはわからないじゃないかという、そういう専門家の方たちの、お医者さんたちのお考えもあるのかもしれないし、あるいは公開すると非常に、この場合は脳死と認めますよと、あるいはこの場合は植物状態だと思いますよと、この場合は生きていらっしゃると思いますよというふうな判断を公開するということになれば、これは大変なことだと思ってらっしゃるんじゃないかなと思うんですけれども。 私はやっぱりもっと外部の人を入れるべき、少なくとも私たちの代弁者というか、そういう方たちを、弁護士さんとか先生だとか、あるいは一般の女の人だとか、青年だとか、そういう人たちをこの倫理委員会の中に、大学病院というのは地域医療を担当しているわけですから、そういう閉鎖的なことでは困るのじゃないかなと思いますが、この見通しあるいは対策について厚生省、文部省、お聞きしたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 今御指摘のことは脳死臨調の方でもそれに配慮するようにということが答申の中に盛り込まれておるわけでございます。私どもはこの倫理委員会の論議を公開すべきだという御意見もこの基本答申の考え方に沿ったものだということでございます。 ただ、個別的にプライバシーの問題等もございますので、個々の事例について判断の上で各施設によって答申の趣旨に沿って対応していただけるものと思っております。
○説明員(喜多祥旁君) 倫理委員会に医学部以外の学識経験者を加えるようにということは機会あるごとに指導しておるところでございまして、現在五十二の大学に倫理委員会に学外者を含めておるという状況でございます。 それから、倫理委員会の公開につきましては、最近私ども調査いたしましたところ、審査の結果について常に公開している大学が二大学、審査の内容を結果について必要と認めるときに公開するというのが七十大学、公開しない大学が七大学というふうに承知をいたしておるところでございます。 審査結果の公開につきましては、審査対象事項の性質あるいはプライバシーの問題もございまして、各大学が自主的に判断すべき事項であるというふうに思っておるところでございます。
○竹村泰子君 時間がなくなりましたので終わりますが、脳死という問題、非常に大きなことであります。人の命にかかわることであり、国内でも大きな議論が行われているところですけれども、最近、つい二、三日前の新聞報道でも、脳死は人の死と認めるか、認めるという人が四七%、認めぬという人が四一%、決して過半数を得ているわけではないのです。社会的な合意を得ているわけではないのです。 大臣、臨調の答申が出されたから、もうそれでゴーサインとするのではなくて、十年かかっても二十年かかっても後世に悔いの残らないように、十分に社会的な合意が得られてから結論を出し、ゴーサインを出していただきたい。自分の生を終えるときにどうあるべきかを問う一人の人間として、またこの大きな課題を折を見て御質問していきたいと思います。 ありがとうございました。大臣、御所見を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど来申し上げましたように、政府が諮問をしました脳死臨調のこの方々は大変な権威者ばかりでございまして、私は、数はともかくとして各界の権威者がそろってこの問題を二年余にわたって検討されてきたということは、これは私はやはり世論の代表の方々と見ていい。つまり、その結果はおおむね社会的に受容された、私どももそう判断するわけでございますが、しかしただいまの御意見の面もありまして、四十何対四十何というそういう一つの統計もあるかもしれませんけれども、臨調の答申のように今後とも慎重を期してこの問題については対処をしていくということが大切であろうと思っております。
○木庭健太郎君 午前中も少し堀委員の方から指摘があっておりましたけれども、外国人労働者、とりわけ不法就労者の医療問題について、最近随分いろいろ論議されるようになりましたし、一応厚生省の見解なりをこの際まとめてお伺いしておきたいと思っております。 外国人労働者の入国者数は随分ふえておりまして、平成二年外国人の入国者総数が三百五十万人になっております。この十年間で約三倍ということでございます。この不法就労の問題についても数についてはなかなかわかりませんけれども、少なくとも十万人を超すというようなことが今言われているわけでございます。 その中でもとりわけ人道上の問題、いろんな意味で問題になっているのが医療保障の問題でございます。去年から新聞をいろいろ繰ってみましたけれども、いろんなケースが報道されておりまして、例えばフィリピンの男性三人が交通事故に遭った。運び込まれる。医療費は保険がありませんから一千万円。もちろん本人たちは払えない。会社と病院でトラブルになってみたり、またこういう方々ですから神経的にいろいろ異国の地でなれずに腹膜炎とか盲腸とか起こす方が意外に多くて、そのたびに百万円とか二百万円の医療費が払えずに病院が肩がわりしているようなケースが多いようでございます。 この問題で一番頭を悩ませているのは病院そのものだと思うんです。医師法を見れば、何人たりとも医療をやらないということは言えないことになっておるわけですから、これは拒否することができない。一方、相手には支払い能力がないというような問題が起きておると思います。また、午前中も指摘があっておりましたけれども、幾つかの自治体で生活保護法の医療扶助の適用の問題があったりして、これに対して厚生省は、不法就労者の医療扶助についてこれは認めないというのが従前からの考え方でございますが、結果的に自治体が医療費を肩がわりするというようなケースになってみたり、東京都がどうやるかわかりませんけれども、先ほどお話があっていたように行旅病人死亡人取扱法を少し利用してみょうとか、いろんなケースが今出ているわけでございます。 こういう実態を厚生省としてどの程度御掌握になっていらっしゃるのか。もう随分国会でも何回か取り上げられましたし、私どもの衆議院の委員の一人でございます草川というのがおりますけれども、これが質問主意書を出してみたりいろんなことがあっております。それを踏まえた上で、厚生省は今こういう実態をどのように把握されているかをまずお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君) 今先生御指摘の点でございますが、必ずしも不法滞在の外国人に限ったということではございませんけれども、外国人に関しまして、診療を受けた外国人の診療費が、あるいはいなくなってしまったとか、あるいは支払い能力がないというようなことで未収になっておる、そのために医療機関や地方自治体がいろいろ対応に苦慮しているという幾つかの事例につきまして、今先生御指摘のように草川議員提出の質問主意書のケースでありますとか、地方自治体からの照会等でいろいろ幾つかの事例を知っております。 それから、先般総務庁の行政監察の実態調査が出まして、それによりますと、診療を受けた外国人、調査対象となりましたのが千三百九十六人となっておりますが、そのうちの二・四%が未払いになっておるというような実態でございまして、そういうような情報から、いろいろ医療機関なり自治体が対応に苦慮されているという状況を、すべてというわけにまいりませんが、多くのケースを承知いたしております。
○木庭健太郎君 なぜ不法就労者のことを言うかというと、不法就労者の方がどちらかというと職場的にもかなり厳しいところ、要請があるから来ている部分もあるんですけれども、そういうところに働いているものですから、どうしても健康管理も行われていない。摘発されれば当然強制送還になるわけです。そんなことですから、かえって病気になってもなかなか本人も行きにくいし、また雇っている側も行がそうとしないし、そうすると結果的にどうなるかというと、もうぎりぎりの状態の中で、生きるか死ぬかの状態まで退い込まれて初めて来るというようなケースになってしまうわけです。 先ほど、確かに医師法ではこういう者は拒んじゃいけないということになっているけれども、実際最近幾つか、これも報道の事例でございましたけれども、医療費の焦げつきの問題が出るものですかも、例えば救急車が運び込もうとしてそれが外国人だとわかると今度はそこに受けようとしないというふうな病院のケースも実際に、たらい回しみたいなことになると思うんですけれども、そんなケースも指摘されていると思うんです。いろいろ不法就労の問題あると思うんですけれども、緊急性が高くて人道上の問題である医療という問題をきちんとやっておかなければ、不法就労者の場合はいわば見殺しみたいな格好になってしまうんじゃないかと思えてならないわけでございまして、不法就労者であっても一個の人格を持つ人間であるということに変わりないし、命と人権というのは平等であるべきだろうと私は思います。 我が国において、不法であるという一点のみで最も医療の緊急性の高い外国人労働者を医療保障から排除するというのは、これは許されないんじゃないかというふうなことも思うんですけれども、この点について厚生省の今の見解を聞いておきたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君) 確かに御指摘の点は難しい、しかし非常に慎重な考慮を要する点だと思います。根底には、そもそも外国人労働者が国内に入ってくるのをどこまで認めるかというような出入国に関する基本的な考え方に影響される部分もあるわけでございますが、それを不法滞在者の医療という点に限って考えました場合に、いわゆる内外無差別ということで、社会保障適用という観点につきましては、私どもも従来からの国際社会の考え方に沿いまして適法に滞在する者の場合は国籍を問わないで、所要の負担のもとででございますが、必要な医療が受けられるという体制にしているわけでございます。 それから、短期的に旅行等で来られた方等は、適法滞在でありましても生活の基盤を国内に置いておりませんので、やはり公的な社会保障制度としての医療保障の体系に入れるというわけになかなかまいりませんものですから、その方々の母国の医療保険なり旅行者保険等を活用していただくとか、あるいは自己負担をお願いするというような形での対応を結局お願いをしなければならぬというふうに整理せざるを得ないというふうに考えておるわけであります。 そこで、不法滞在の場合はどうかということになるわけでございますが、人道的見地から何らかの措置が必要だという先生の御意見はそれなりに私ども十分理解できるところでございますが、制度としてこれに対応していくということについてはどうしてもなかなか難しい点がございますし、不法滞在を前提としての公的な医療の保障ということについては基本的には難しい点が残る、難しいと、こういうことであろうと思っております。
○木庭健太郎君 おっしゃっていることもよくわかるんですけれども、根底的考え方の中に、こういう不法就労の人たちをやった場合はこういう不法就労を助長するというような厚生省の従来からの考え方があるんですよ。緊急であってもやるとだめだということの考え方がどうも根底にあるように思うんです。 ただ、実際に今そういう人たちを受けて診療している病院は、焦げつきながらでもやっているわけですよね。それは医療法上そう決めているわけですから、やらなくちゃいけないことで焦げつきながらでもやっている人たちがいる。自治体も何とかこれに取り組まなくちゃいけないということで、知恵を出してやろうとしているところもある。それでもできない場合は、新聞報道なんかになった場合は、市民団体とか、個人ですよ、そういう市民グループがみんなで支えてやろうということで募金活動までして何とか医療費を捻出しようとする。いろんな意味で皆さんが努力されている。 こういうことについて、じゃそれはそれで皆さんがやればいい話なんだと、国としては今のまま状況を見守りましょう、そういうことで本当に済むのかなという気がするんですけどね。先ほど言いましたけれども、人道上の見地から、何か方法を見出さなくちゃいけないと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(大西孝夫君) これだけ国際化が進んでまいりまして、人間の国境を越えた移動が盛んになってまいりますから、従来のいわゆる国家観というふうなものに余り、何といいますか、固定した観念で物を考えるべきではないのかもしれませんが、しかし社会保障制度というものが一応国家というものを前提に考えておりますし、その国家が人間の移動につきまして出入国という形で管理をする、その体制のもとでの話でございますものですから、公的に制度としてそういう不法滞在の外国人に対しての医療保障ということになりますと、どうしても制度的には難しいという問題が出てくると思います。 ただ、先生が今御指摘のように、地域であるいは自治体で医療機関でいろいろ知恵を出し、御苦労しながら受けていただくということは、いわゆる人道主義的な考え方というものが日本人にはないんではないかと言われる、批判があるかどうかについては、日本国民はそういう形でとにかくそういうものに対処しているわけでありますし、国民全体として見たときに、人道主義的な対応をそれなりにしていただいておる。ただ、そういうことに任じておいていいのか、こういうまたおしかりなんだと思いますけれども、制度的にというところになりますと、どうしても不法を前提にということになりますし、その不法滞在を容認、助長するということにつながる話になりますと、私ども国として制度を考えます場合には、どうしても難しいのかなというところへ議論が返ってしまうわけでございます。 お答えにならないかもしれませんが、どうしてもそこは難しいかなと思っております。
○木庭健太郎君 別に完璧な制度をつくって、たとえ不法就労者であっても、最初からその不法就労者がどういう状況であっても、全部国が面倒を見ろと、そんなことは私は全然言うつもりありません。それは、当然医療を受けるんですから、本人が払えるなら払うだけの努力はしてもらわなくちゃいけない。次はそういう不法という問題にかかわるわけですから、それを連れてきた会社なりそういうところが責任を持ってやるという第二番目の問題がもちろんある。そういう問題をやりながら、それでもなおかつというケースがあるということなんですよ。そんなにこれをやることによって全部が全部、医療制度が日本にできれば不法就労者は安心して日本に来れる、だからつくれないんだとは論議が私はちょっと違うという気が本当はしているんです。大臣、お考えがあるなら、聞きましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) 申すまでもなく、日本は法治国家であります。法律を守らなくてもいいということは、そもそもそれはもう社会秩序の破壊でありますから、したがって社会秩序を破壊し、否定するようなそういう存在を認めていいかという、基本的にはそこから私は出発しなきゃならぬ問題だと思います。 そこで、そういう者の存在は許されないという前提に立つならば、わかり次第に強制送還するというのが今の法の手続であります。それを、日本に来たら、とにかく違法であっても潜り込みさえすれば医者も面倒見てくれるというような、そんな制度になって日本の社会秩序を維持できるかというと、私はそれがまず最初に出てくる問題であって、したがってあくまで不法滞在というものに対しては、我々としてはこれはもう公的な医療は認めるべきではない、法治国家でございますからね。 今潜り込んで、潜り込むと言うと言葉は悪いですけれども、密入国した人たちが公序良俗に反していろいろな問題が起きている。さらに、それに医療費まで面倒見てくれるということになれば、ますます密入国等がふえるという、ますます社会秩序が維持できない。基本的にはそこから出発しなきゃならぬ問題だと思っております。
○木庭健太郎君 そうすると大臣、例えば、本当は順番でほかのをやらなくちゃいけないんですけれども、平成二年十二月に、すべての外国人を対象とする移民労働者とその家族の権利保護に関する条約というのを国連で採択をいたしました。日本はいろんな立場でまだこのことについては見解を示してないようなんですけれども、この中でいろいろな項目が定めてあるんです。特に定めているのは何かというと、緊急医療――医療といっても全般の医療が、日常の医療が受けられるんじゃないんですよ。緊急医療に関しては違法入国のゆえに拒否されてはならないということをわざわざこれは規定しているんですよね。国際社会の中で、ある意味で国際法の中でいろんなことを考えていく上で、法治国家といえども、法治国家の上でありながら人権なり命なりということを考えた場合は、この緊急医療のことについては世界的にそういうこともやってみようということの第一歩が始まっているということも事実なんです。 その辺は、大臣、法治国家であると。もちろん私もそう思っております。この条約に関してどういうふうにお受けとめになられるか、特にこういう緊急医療に関しては違法入国のゆえに拒否されてはならないという規定をわざわざ設けていることに関して、どういうお考えを持っていらっしゃるかお聞かせください。
○政府委員(大西孝夫君) 先生御指摘のとおり、一九九〇年に採択をされておりますこの条約でございますが、内容的には移住労働者、それも「すべての」という形容詞がつくわけですが、その家族につきましての基本的人権の保障でありますとか、恣意的追放の禁止、雇用、労働、教育、保険等における内国民待遇の付与といったことを規定して権利の保護を図ろうという内容の条約でございますし、一昨年の国連総会で投票なしの形での採択がされたというふうに承知しております。 私どもも含めまして日本政府といたしましては、この採択の際に、いろいろ我が国としてこの条約についての考え方、問題点というような指摘はそれなりにしてはいるわけでございますが、あくまでもこれは私見でございますけれども、この条約、ある意味では非常に先ほど申しました国家というものをベースにした世界秩序を一歩さらに踏み出す、言うならば地球市民的な発想を踏まえた、そういう意味では非常に新しい考え方を踏まえたものであるし、また一面で移住労働者のサイド、それから移住労働者を出す国側のサイドというものの要請、期待というものを非常に織り込んだ形の条約であろうと思いまして、まだ現時点ではいずれの国も批准までいっている国はないわけでございますが、今後そういう内容につきまして各国でもいろいろ批准のための検討も進めると思うんです。 ただ、今御指摘になった二十八条の問題を含めましても、まずその場合の医療を受ける権利というものが、医療を受けるけれども負担の問題は別という解釈なのか、負担のいかんを問わず医療が保障されるという趣旨がという点の解釈は、まだ条約の解釈そのものとして残るわけでありますが、もし後段のように不法滞在者であっても医療が受けられるという趣旨の規定であるとしますと、先ほどちょっと触れましたように、適法で入国されて保険料という形の一定の負担を負った上で医療保障を受けておられる外国人あるいは日本人そのものとの有利不利という関係で、不法滞在者の方が有利になるというような扱いになるんではないか、そういう点は問題ではないかという点は政府として指摘をした点なのでありますが、そういうような問題を実は含んでおりまして、これをそのまま日本国内で日本の現在の法制と矛盾なく運用できる条約かどうかという点になりますと、これは一厚生省にかかわらず、教育、労働、各般にわたりましていろいろそういう意味の問題がまだたくさんある、そういう条約であると私は認識をいたしております。 二十八条の問題にいたしましても、考え方としては、新しい地球市民的な発想を踏まえたという点でそれなりに歴史的な意義のある考え方だとは思いますが、現在の国家というものをベースにした世界秩序の中ではなかなか直ちにがえんじがたい問題となる点を幾つか含んでおるというふうに考えております。
○木庭健太郎君 地球市民的といういい言葉を使われました。そうなんですよ。一つは国家というものをまず考え、もちろん今そういう国の体制でやっているわけですからそれが基本なんですけれども、そういう新しい流れがある。 大臣、法治国家だったら違法な者は医療を受けられなくてもしょうがないんだと、それはちょっと言い過ぎで、例えば国内に犯罪者がいたとします。もう犯罪者はどうしようもない人間だと、殺人を犯してもうこんなやつはどうでもいいんだと、法を犯すやつには医療は必要ないんだというような言い方になってしまうと、これはやや誤解を招きますから、そういう言われ方は大臣としてはなさらない方が私はいいと思いますし、逆に言えば、そういう視点もとっていただきたいという気持ちがございます。
○国務大臣(山下徳夫君) 今、政府委員からも答弁申し上げましたように、正当に入国してこられた外国人はちゃんと保険料を払っておられる。もちろん、日本の国籍を持つ我々日本人もちゃんと保険料を払いながら医療を受けている。違法の者だけは入ってきても医療費を何も払わなくてもできるんだよと。ですから、私は、違法な者も医療を受けられるという、そのこと自体が、そういう感覚がいいのかなと思うんですよね。私はそれは間違いではないかと思うんです。どうしてもそれは納得できないんです。
○木庭健太郎君 それは根本的に私は、人道的見地から言うならば、大臣の考えとは異なります。どんな状況に置かれた人間であろうと命がかかわるという問題が起きたときは、これから我が国がどういう国家を目指すか知りませんけれども、そういう人権というものを最も大事にする国家になってほしいと私は思っておりますから、それは見解は異なると思います。 ただ、小さな話ですけれども、これはぜひお伺いしておきたいんです。今は、不法就労が摘発されると即刻強制退去の対象となります。おっしゃるとおりでございます。ただ、その時点で医療を要する状態にある、まだ命が安定していないというか、何か病気であるという状態のままで、それも即刻退去というのが今の法体系なんですけれども、それは私はいかがなものかと思うんです。医療を要する状態にあるのであるならば、少なくとも強制退去になるまでの間、必要な医療を行うだけの体制整備をとる必要はあると思うんです。これについての厚生省と法務省の見解を伺っておきたいと思います。
○説明員(大久保慶一君) お答えします。 不法就労者につきましては、入管法違反者として退去強制手続をとります。しかし、入管当局の収容施設に収容中の者が病気にかかっていると認められる場合には、最寄りの病院で治療を受けさせるなどの健康管理には万全を期させております。 なお、本来、退去強制手続をとるべき者が重病にかかっているとか、人道上、直ちに退去強制をとるのが相当でないといったような事情があった場合には、本人の健康状態、治療状況などを考慮いたしましてその手続を一時差し控えるなど、事案の状況に応じまして適切に対処しているところでございます。 以上です。
○政府委員(大西孝夫君) 厚生省のサイドにおきましても、その強制退去の対象となる方々について法務省サイドで可能な限りの手段があれば講じていただきたいという趣旨の申し入れを昨年もいたしまして、爾来、お話し合いをさせていただいておるわけでありますが、厚生省独自としてその対策を講ずるという点につきましては、先ほど申したような理由で困難でございまして、今後、今法務省の方から御回答がありましたような線でやはり政府としては対応をする、こういうことになろうかというふうに考えております。
○木庭健太郎君 今、きちんとやるというお話をされましたが、ただケースとしては、そうでなく、出ていったケースもあるというようなことも少しお聞きをしているんですよね。まだ治療を要する状態であったけれども、法律的には即刻強制退去になっているわけですから、出したケースがあるとも聞いております。その辺はきちんと今後そういう問題が出ないような形でやっておいていただきたいと思いますし、厚生省としてもぜひそういう観点だけは最低限やっていただきたいと思っております。 それともう一つ、外国人労働者の問題で一問だけ、適法に入国した方々の問題でございます。先ほど局長も御指摘になられておりましたけれども、行政監察局の就労に関する実態調査、私も見させていただきました。先ほど大臣は、適法に来た人はちゃんと保険に入っているから、これはやって当然なんだとおっしゃいました。ところか、実際に治療を受けた方々を見ると、五〇%以上は公的医療保険に入っていない方なんですよね。 なぜかというと、もちろんPR不足みたいなものもあるでしょうし、雇用している側の問題もいろいろあるでしょうし、そんな問題があると思うんですけれども、一つ私がぜひお願いしたいと思うことは、今、国保では一年の在留期間という要件がございます。こういった問題も、これから日本が国際化する中ではこういう要件の緩和の問題も考えていかなくちゃいけないし、また外国人を対象とした実費制度の費用負担を見込んだ共済制度の発足みたいなことも検討する必要が今出てきているのではないかなと思います。 また、もう一つ問題なのは、外国人の方々が医療機関にかかっても言葉が通じないという問題が大きな問題でもあるわけです。 ですから、どこにでもっくるわけではないんですけれども、モデルケースとして国際医療クリニックみたいな形の設置の問題とか、それから通訳を派遣するような制度を創設するとか、そういうことも必要になってくると思うんですけれども、適法入国者に関してこういう制度を今後やることについてどうお考えになるか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(黒木武弘君) 外国人に対します医療保険の適用についてのお尋ねがまずございました。もう御案内のように、適法に我が国で就労する外国人に対しましては健康保険、それから御指摘のありましたように健康保険の適用を受けない者でありまして、我が国に適法に一年以上滞在すると認められる外国人に対しましては、国民健康保険を適用することにいたしておるわけでございます。 御指摘ございました、まず国民健康保険の適用基準の緩和の問題でございますけれども、国保というのは、これも御案内のように住民の相互扶助でございまして、お互いが保険料を出し合う形で保険が成り立っているわけでございます。したがいまして、保険料は前年の所得を基礎にいたしているわけでございまして、どうしても一年以上というような形で、前年の所得で保険料を公平に負担していただいていること等から見まして、あるいは外国人の一年未満の方の生活実態等々いろいろ考えますと、現時点で一年未満の短期の滞在者に対しましても国保を適用するというのは非常に難しい問題が多々あろうかと思っております。 ただ、国保の加入に当たりまして、外国人向けのパンフレットその他PR等が不十分だという御指摘を受けているわけでございまして、外国人説明用のパンフレット等を市町村に用意させまして、国保等の適用についての周知徹底をこれからも積極的に行ってまいりまして、適法に入国されている外国人の方々に対します医療保障の適正を期してまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 もう少しいろいろ言ったんですけれども。
○政府委員(古市圭治君) 医療機関に受診した場合に、母国語で症状を説明して治療を受けたい、こういうようなことかと思います。 これは、昨年の行革審の方でも外国人に対する情報提供のサービスということで指摘を受けているところでございまして、多くの医療機関のお医者さんは、英語は一応そういうことでは間に合うと思うんですけれども、もっといろん宣言葉ということになるとなかなか難しいということでございますので、関係団体とも今後検討をさせていただきたいと思っております。
○木庭健太郎君 この問題はもっと大臣と本格的にやりたいんですけれども、まだやりたいこともありますので、これを芽出しとしまして、これからもしっかりやらせていただきたいと思っております。 次は、人工透析を受けていらっしゃる腎臓病患者の方々の問題で幾つかお聞きします。 今の高齢化社会の中で医療とか福祉等いろんな問題を抱えていると思うんです。私自身現場をいろいろ回るときは、厚生省じゃないんですけれども、何か給付と負担の問題を思わず言ってみたりすることもあるんですが、いざ難病の方々とか、それからこういう透析の方々に実際会ったり、家族の方に会って話をするときは、何か思わず言葉が詰まるようなときが正直ございます。 人工透析の患者の方々というのは、もう既に平成二年で十万人を突破されたとお聞きしておりますし、また、決して好ましい話じゃないんですけれども、医療費増大の話の中で必ずこの人工透析の話というのが取り上げられるような現実もございます。今後、透析に移ってもおかしくないという予備軍の方たちも随分多いと聞きます。厚生省、今この人工透析の方たちが今後どんなふうに推移していくのかということをどんなふうに御認識なさっているか、まずお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 私ども、今先生御指摘されました人工透析患者の数でございますけれども、平成二年の末で十万三千人を超えております。年々七千人から八千人ぐらい増加しておるというような状況でございます。 今、先生がおっしゃいました今後どういうふうになるんだろうかという見通しの話でございますが、私どもも、高齢化の問題でございますとか、あるいは非常に医療技術が進みまして、あるいは患者さんの生活態度が非常によろしいとかというようなことで、非常に長生きをされるということは大変喜ばしいことでございますが、もちろんいろんな要素がございます。 そこで、ちょっと私どもが、今見通しの数字を持っておらないんでございますけれども、ぜひ知りたいと思っておりまして、私ども厚生科学研究費を受けまして、腎不全医療研究事業ということで研究班を持っておりまして、そこで今後の患者の推計というようなこともお願いしてございます。その辺の数字が出ましたら、私ども大体の見通しがつくんではないかと思っております。
○木庭健太郎君 今おっしゃったように、いろいろ技術の進歩もございまして、だんだん透析の方々が長く生きられるような時代になっているわけです。ただ、長く透析を続ければいろんな問題もまた起こってくるというのも事実でございます。 昨年六月に、全国腎臓病患者連絡協議会の方々が患者さんの実態調査報告書を出されております。今回で六回目とおっしゃっておりました。それを見てみますと、透析技術が進んでいく中で、十五年以上も透析を続けていらっしゃるという方々が八・七一%にも今なっていらっしゃるそうでございます。しかも、ただ透析すると体の必要な部分までとられるような部分もあるそうで、それに伴って透析に伴う合併症みたいな問題もございまして、こういう長い透析歴を持つ患者さんを中心にして、この調査報告を見ましたら、視力障害の方が五一%、号とか関節障害の方が四二%、聴力障害が一五%というような結果が出ているようでございまして、やはり合併症とか重複障害という問題が起きてきているようでございます。 私、こういった事態を見ていくと、これからは人工透析患者といっても透析だけをやっていたんじゃだめなんだということをつくづく感じざるを得ませんで、これからは例えば人工透析とそれによる合併症との研究、予防、先ほど研究班つくったとおっしゃっていましたから、透析技術の開発だけじゃなくて、ぜひそういう予防対策が必要だろうし、またそういう合併症みたいなものにも対応できる総合病院での透析設備の設置促進みたいなものも必要になってくる。 また、そういういろんな体の障害が出てくるということであれば、透析施設と今度はリハビリ、そういうものとのリンクという問題も出てくると思うんです。この実態調査を見る限り、総合的な対策をとる時期に今来ているような気がするんですけれども、このことに対しての見解を伺いたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今先生が御指摘されましたように、長期間人工透析をやっていらっしゃる方々にいろんな形で合併症が出てまいります。高齢化の問題ももちろんあるわけでございますが、そこで私どもは、先ほどもちょっと申し上げました腎不全医療研究事業におきまして長期透析療法の合併症に関する研究班というものを設けておりまして、調査研究をお願いいたしておるわけでございます。 その調査の結果で、今ちょうど先生が御指摘なさったようなこと、そのほかにも貧血でございますとか、あるいは骨粗鬆症でございますとか、あるいはアミロイドの沈着というようなことが起こりまして、いろいろと患者さんの方々が苦しんでいらっしゃるということも私どもその報告から聞いております。 そこで、私どもは、この腎の不全対策というようなことにつきましていろいろと専門家の御意見を聞いておるわけでございます。六十一年度に私ども設けました腎不金対策推進会議というものにおきましていろいろ御議論をいただきました。そのときに、実際まとめられましたのは六十三年でございますが、その中身をちょっと御紹介いたしますと、一つは腎不全患者増加に対応した人工透析機器の整備、これは先ほどもちょっとおっしゃいましたが、病院等にそういう人工透析機器を備える、あるいは診療所に備える、こういう問題でございまして、これに補助をいたしておるわけでございます。 それから、実際、マンパワーが非常に大事でございまして、臨床工学技士等の人材養成ということもやっております。 それから、この腎透析をやっていらっしゃる方々を何とかそれから解放するためには腎移植ということを進めなけりゃならぬというようなことで、腎移植のためのシステムを構築して今やっておるわけでございますが、その中で重要な役割を果たしていただきますのが腎移植推進員、いわゆるコーディネーターという方々でございますが、その辺の方々も例えば腎移植センターあるいは地方腎移植センター、あるいは都道府県の腎移植推進センターとか、あるいは救命救急センターというようなところに、そういうような人を配置するというようなこともやっております。それから、先ほどから何度も申し上げております研究事業でございます。 このようなことを進めておるわけでございますが、私どもそういうことにつきまして、今後特に研究につきましてその成果を期待しております。それに基づきましてさらに充実した腎不全対策を進めてまいりたい、このように思っております。
○木庭健太郎君 今移植の問題が出ました。先ほどから論議をずっと、竹村さんの論議も聞きましたし、移植を待つ方々が多いし、この問題は最終的にはそれしか解決の方法がないというのも事実なんです。先ほどの論議聞いていても、なかなかこの問題難しい側面もあるし、だからこそ私は逆に言えばこの移植ということが本当にできるようになればいいけれども、まだまだ乗り越えなくちゃいけない問題があると思っています。そうなると、やっぱり透析患者がふえていくという現実になる。ただ、移植の方ばっかりに目を向けるんじゃなくて、ぜひ透析ということを抱えながら生きなくちゃいけないという問題にもしっかり目を向けておかないと間違いを犯すんじゃないかなという気がしますので、それはちょっと指摘をさせていただきます。 また、もう一つこの連絡協議会の調査の中で特に顕著でございましたのが、高齢化の中で独居患者の方たちとか、小家族世帯の人たちが非常にふえておりまして、三〇%を超える方たちが独居か二人だけというような現状が浮き彫りになっておりました。しかも、自宅で療養する患者さんたちにとって一番深刻なのは、この透析の場合は透析を受けるために必ず週二回から三回は病院まで行かなくちゃいけないという問題があるわけで、そうすると行くにしても、先ほど言われたように、合併症で骨が弱くなっていればだれか介護者がいなければ病院まで行けないという問題がある。また、どうやって行くかという、普通の人なら公共機関を使って行けばいいんですけれども、なかなかそういう障害を抱えちゃうと公共機関では行けないという、どうやって足を確保するかという問題があると思うんです。 ちょっと患者さんのケーススタディーを見ましたら、山形の方なんですけれども、今足が不自由で公共機関では行けない。奥さんも今ちょっと調子が悪くて自分としては一人で行かなくちゃいけない。その場合はタクシーを使うしかない。月幾らの費用がかかっているかというと、自宅から病院までは五十分タクシーでかかるそうで、そうなると通院費用だけで月に九万一千円、大変だなと思います。 それから、富山のこの方は、介助をする人がだれもいないので通院するときは日本救急センターの職員に依頼をしておりまして、その費用がまたかかっている。年金がこの方は年八十万円ということなんです。もちろん行くときはそういう救急センターの車で行くんですけれども、通院費用、こういう依頼をすると大体月六万円。そういう意味では通院するまでの足をどう確保するか、また介護者をどう確保するかという問題が大きくなっていると私は思いました。 まずはこの問題をやってあげなくちゃいけないと思うし、例えば先ほど人材の確保の話もありましたけれども、これはホームヘルパーさんの問題になるのか、地域ボランティアの方たちをどう育てるのかとかいろいろな方法はあると思うんです。そういったものを育てなくちゃいけないし、またタクシーしか使えないなら、それに対してどういう形ができ得るのかということの対策も必要になってくるんじゃないかと思うんですが、この通院の足という問題について、どんなふうなお考えをお持ちかお聞きしたいと思います。
○政府委員(末次彬君) この人工透析の患者につきましては、身体障害者福祉法サイドではまず更生医療の適用をやっておりまして、医療費自己負担額を軽減いたしております。また、日常生活用具給付事業におきましても透析液加温器というものを給付するということで、福祉サイドとしての支援をしておるわけでございます。 通院の問題でございますが、通院につきましては身体障害者に対してホームヘルパー事業、ホームヘルパーの派遣事業をやっておりまして、この事業の一環として通院等の介助を行うという仕組みをとっております。また、先ほどお話がございました合併症として重度の視力障害がある方につきましては、外出時におきます移動の介護を行ういわゆるガイドヘルパーの派遣というのも実施しておるところでございます。 通院費用そのものにつきましては、これは地方によりましては福祉タクシーというような格好で単独事業をやっている例もあるというふうには聞いておりますが、一般的に申し上げまして、患者の通院費用についてこの福祉対策の中で援助していくということにつきましては、これは慎重に考える必要があるんじゃないかというふうに考えております。
○木庭健太郎君 ガイドヘルパーのことをおっしゃったんですけれども、ガイドヘルパー、この実態調査を見たら六百人ぐらいの実態調査の中でガイドヘルパー便えている人は二人だけなんですよ。だから、それもやっているとおっしゃる。大切なことだけれども、そういう面じゃよく意見をお聞きして、どういうふうにしてふやせばいいのかという問題もあると思うんですよ。その辺をぜひ御検討いただきたいと思うんです。言葉ではいっぱいあります。言葉の中身がどうなっているかということですから、ぜひ御検討いただきたいと思います。 それともう一点、これはなかなか私も難しい話だと思いました。ただ患者団体の方々もこういう方法もあるのじゃないかという御意見がありましたので、ひとつ研究課題として聞いておきたいと思うんです。どういう問題かといいますと、今厚生省も福祉と医療というのはきっちり縦分けるのじゃなくて、これをどうリンクさせながら高齢化社会に対応するかという取り組みをしている。 そんな中でこういう提案なんです。例えば、今特別養護老人ホームがある。これは、福祉主体ですから医師は泊まり込みじゃなくて派遣されている、看護婦さんは泊まっていますけれども、そういう施設がある。そういう特別養護老人ホームみたいなものを医療機能を強化して、例えば透析を受けながら生活する場というようなものを、福祉と医療をリンクさせたモデルケースみたいなものをそろそろ検討し始めてもいい時期に来ているのではないかと思うんですけれども、こういうものについての考え方だけを聞いておきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 先生重々御承知だと思いますが、特別養護老人ホーム、お医者さんを配置し、かつ協力病院というものを定めて、今御指摘がありましたように入所者の中で腎不全の患者がおいでの場合には、お医者さんと協力病院連携のもとで透析を受けるという、そういうふうにやっていただきたいと思っております。 もちろん福祉と医療とを連携させなきゃいけないということでございますが、私どもモデルケースでいろんなことを考えなきゃいけないと思っておりますが、一般論として申し上げますと、特別養護老人ホームの入所者は非常に重度化をしている、あるいは痴呆老人も増加をしているということでございますので、その介護をどのように必要としているのかという実態を把握して、施設に必要な介護医療はどうあったらいいのだろうか、それに伴った人の配置というのはどうあればいいんだろうか、こういうことはひとつ勉強してみたいと思っております。 先生の御指摘のそういう問題も踏まえながら、幾つかのモデルで勉強はいたしたいと思っております。
○木庭健太郎君 それでは、ひとつ大臣に、今いろんな問題を御指摘させていただきました。難しい問題が多々あることも事実でございます。しかし、先ほどから言っているように、十万人という大きな数になってきているという今の現状がある。また、高齢化とか合併症の問題が大きくなっているという現実を見ると、ぜひ総合対策に本腰を入れていただきたいと思うんですけれども、大臣の決意を伺っておきます。
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおりでありまして、平均寿命が長くなるとともに、人工透析をお受けになる方が二十年、三十年という非常に長い方も出てきたということで、そのための困難性もいろいろあるかと思います。合併症のお話も出ました。特に、三割ぐらいは糖尿病の方が多いということですから、そういう点についてはどうするかという、大きなこれは研究課題だろうと思います。 今、研究班をつくるということを政府委員から申し上げましたけれども、一つは腎炎の方々がこの病気にならないような予防についても、あわせてもっと突き詰めて検討する必要があるなということで、みんなで寄ってたかってこの病気に対しては親切に、真剣にやっていくべきだというふうに考えております。
○木庭健太郎君 本当は医療法の問題のときにお聞きしなくちゃいけないんですけれども、その前に医療法を考える上でぜひ一点聞いておきたいことがございます。 それは難病患者の方々の問題でございまして、これは慢性疾患で治療法がない、それで結構重症な方もいらっしゃるという現実で皆さん苦しんでいる面もございます。いわば高度な医療も必要だし、高度な介護も必要だし、病状としては安定していながら長期化というような問題の方々のことでございます。 医療法を見ていると、今度変わると一般病床、急患的なものの一般病床、長い形で生活を確保する療養型病床、それと特定機能病院という縦分けになってしまって、そうなると、その中で一体難病の方々はどこに行くんだろうかということも、私も法案を勉強させてはいただいておりますが、よくわからないのですけれども、一体どこにこういう難病の方々は行くことになるのか教えておいてください。
○政府委員(古市圭治君) いよいよ医療法の改正について御審議していただく時期に入るんじゃないかということでございますが、その前に難病についてということで私どもは、現在国会に提案させていただいております医療法の改正の中では、現在の法律で二十床以上を病院としているという病院を、もう少し現在の医療の要請に合ったように機能を明確化して、そのような方向に進んでいただこうじゃないかということで、今御指摘の大学病院等を中心とする特定機能病院というものと、それから長期療養型の人たちが入って治療をしていただく療養型病床群、この二つを定義してその施設基準をお示ししよう、こうしているわけでございます。 そこで、難病の患者さんでございますが、難病と申しましてもいろいろございます。現在の医療法の方では、病気の種類によって収容施設先が変わっておりますのは、御承知のように結核と精神ぐらいでございまして、そのほかはいかなる病気であれ全部一般病院病床に入っているということでございます。今回改正の医療法におきまして、病名によって収容先が変わるということは一切想定されておりませんし、そういうことも行われない。ただ、難病の中で非常に高度な診断、治療を要するという人は今回想定しております特定機能病院というところで治療を受けられるということが一つ考えられます。 そしてまた、それで治療方法が決まって、そして大体症状が安定したというころになりますれば、今度想定されます療養型病床群、その方で治療される方が快適な療養ができるということがあろうかと思います。それらはすべて医療機関の中で主治医の医学的な判断に基づいて選択が行われるということでございますし、また同時に、患者さんの了解というものに基づいてどこで治療を受けるかということが決まっていくということになるわけでございます。
○木庭健太郎君 そうなると、一番心配されたのは大学の病院なんかに入っていらっしゃる方々だったんです。大学病院の位置づけは今でいけば特定機能病院ですから、長期化している方が結構いらっしゃいます、長く入院されている方が。そうすると、もしこんな法案を通したら、追い出されるんじゃなかろうかというような気持ちになっているわけです。その辺をきちんとそういう方々にも法案を審議する前にぜひ理解できるようにしていただきたい。 逆に言えば、彼らが非常に要求していたのは、療養型病床群というのはこういういろんな障害を抱えている場合に、本当に介護の意味で大丈夫なのかしらという心配なんです。そういう素朴な感じを持っていらっしゃるわけです。できれば、それこそ長期療養で、なおかつ慢性でありながらただ安定しない、ずっと長い方たちをどう位置づけるかということを言えば、いわゆる長期療養型みたいな形、彼らの言葉では難病病床という言葉になりますけれども、そういったものもひとつ考えたらどうかという御提案もあります。 医療法をやる前に、ぜひそういうことについてのお考えももう一点だけお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(古市圭治君) 十分御説明する機会もなくて誤解を受けているところで気になっておりまして、こういう機会に御質問いただき、非常にありがたいと思っております。 そういうことで、この特定機能病院なり療養型病床群と申しますのは、医療法によりまして行政の方からそれを決めるということじゃございませんで、あくまでも改正法案が通った暁におきましても、それは医療機関からの申告に基づきまして、自分たちは地域医療の中でこの型をとるのがいいといったことに基づいて、特定機能病院でしたら厚生大臣、療養型病床群でしたら都道府県知事が承認していくということでございますから、その医療機関の意思に逆らってこれが行われるということは全くございません。そういうことで、医療機関の中がそういう性格になったときに、その中の患者さんというのは、またこれに合わなかったら、ある期間になったら外へ出ていかなくてはいけないというような規制は全くございませんで、冒頭申し上げましたように、病名によって収容先が変わるということは一切行政的にございません。それはすべてお医者さんの判断、それからまたその患者さんの同意というものに基づいて行われることだと思います。 それから、御提案の難病型の病棟というものはどうかというのは、これは今回改正された医療法が施行されました暁には第三弾、四弾の医療法の改正でそのような必要な病床については検討してよりよい病院機能の明確化を図っていきたい、このように思っているわけであります。 少し先回りでございましたが、この機会に説明をさせていただきました。どうもありがとうございました。
○木庭健太郎君 いつ審議させてもらえるかわかりませんけれども、審議の段階になればまたしっかりこの問題やらせていただきたいし、そのことだけをちょっと確認しておきたかったんです。 あと時間が少しだけなんですけれども、新薬開発研究事業のことでちょっとだけお話をお聞きしたいと思います。 三月四日、中央薬事審議会がビオプテンという新薬の製造を承認いたしました。何かこの薬はたった十八人の患者のために開発された、ああ日本もたまにはいいことができるんだなということをつくづく思いました。聞きましたら、これが新薬開発研究事業の援助を受けた薬だったということも聞きました。 こういった形で、いわゆる本当に少数の患者さんたちのために新薬を開発するという事業をやっていらっしゃるようですけれども、このビオプテンのほかにこういった形で製造承認をとった薬があるのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(川崎幸雄君) ただいまお話がございました、私ども現在実施しております新薬開発研究事業、この研究の成果といたしましては、昭和六十年に脊髄小脳変性症を適応症といたしますヒルトニン注射液が承認されております。
○木庭健太郎君 こういう少人数のための薬というのは、私もちょっと聞きましたら、民間企業はとても採算に合わずに敬遠されて、いつになっても開発されないというようなことを聞きました。六十三年から平成四年度までの事業の予算がどんなに推移しているかをお聞かせください。
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま申し上げました新薬開発研究事業に関します予算額でございますけれども、昭和六十三年度が三億一千三百三十万円でございます。平成元年度は三億一千七百万強、平成二年度から平成四年度までは同額でございます。
○木庭健太郎君 お話を承ったところによりますと、厚生省としてはぜひこの事業は額をふやしたいということでいつも御尽力をいただきながら、なかなか今全体枠の問題の中で難しい側面があるということも聞いております。 ただ、こういう希用医薬品、オーファンドラッグと言うそうですけれども、こういった問題、例えば日本とか例えばアメリカとか、そういう国でなければなかなか取り組めない問題でもあるだろうと思います。研究施設がどうなっているのか、今までどれだけの実績があるのかということで言えば、やはりそういった国々がつくることによって世界に対してもある意味では貢献できるような部分になってくると思うんです。実際には、アメリカにはこのオーファンドラッグアクトといって、薬品のための希少疾病用医薬品法という法律までつくってこの問題に取り組んでいらっしゃって、額を見ましたら大体日本円にすると十何億かになりますね。それくらいの金額も実際に助成もなさっているそうでございます。 私は、日本としてこういった事業に取り組めればうれしいし、本当ならば新薬を開発するのは百億、百五十億ぐらいかかるんだそうですけれども、そういった問題に国としても取り組んでいく、そして世界に対してもそういうものが貢献できる、しかも少数の患者さんたちにとっても一人の人権を守るということにもつながると思います。この点について、平成五年度もまたぜひこういうものを伸ばすように努力をしていただきたい。これに対する大臣の見解を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおりだと思います。今、新薬の開発につきましては、それぞれの企業が中心になって自分のところで研究所を持ってやっておられる。大変それは結構なことでございますけれども、中小の製薬会社ではなかなか今おっしゃるとおり百億、百五十億、あるいはもっとかかるかもしれません、できません。そういう現在の企業における新薬の開発の状況でございますから、オーファンドラッグというんですか、こういうものは国が関与してやらなければできないと思うんですね。例えば、今のエイズの薬だって、日本のどこの会社がどうやっているのか私まだ承知しでおりませんけれども、国家国民のためにここ一番というときには政府がそれに打ち込んでいかなきゃならぬと思っております。 さっき申し上げたように、製薬会社がそれぞれやってくれておりますけれども、採算ベースに乗らないといえども、これは国家、社会のためにやらなきゃならぬというときはさらに国が製薬事業についても直接力をかしてやらなきゃならぬと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間ですが、大臣所信についてお尋ねしたいと思います。 大臣所信をせんだって伺いましたけれども、この所信を拝見いたしますと、「子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりを進めることは、高齢者対策とあわせて車の両輪とも言うべき内政上の重要な施策であると考えております。児童環境づくり対策について国民一人一人の関心を高めながら取り組んでいくため、児童環境づくり推進協議会を設置してまいります。」とお述べになっておられます。私は、幸いというんですか、大変長らく要望しておりました児童の権利に関する条約もどうやら今国会では批准の運びになったように伺っておりますが、そういう事態に遭遇をしてきているわけです。 考えてみますと、いわゆる我が国における出生率というのが、一・五三ショック等々の問題が急速に高まってまいります中で社会的な問題にも発展をしてまいっております。そのことは、もう当然のこととして労働力不足あるいは経済全般に及ぼす影響、社会保障への影響、子供自身に対する影響等々大変多面的な影響が懸念をされるという事態になっております。私は、二十一世紀を担っていくべき子供たちが健やかに産み育てられる環境というものに本当に本腰を据えて対応しなかったら、我が国の人口構造のひずみというのが急速にひどくなるであろうし、回復をなかなかできない状態になってくるであろうということを感じるわけでございます。 そういった中で、限られた時間ですからたくさんはお伺いできませんけれども、政府がそういった客観的な情勢を踏まえてであろうと思いますけれども、関係省庁連絡会議を設置して、平成三年一月に「健やかに子供を生み育てる環境づくりについて」とする方針を定めておられますね。この方針に沿って厚生省も施策の展開を進めていかれるんであろうと思いますが、そうでしょうね。大臣いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) いろいろと御心配の向き私どももよくわかるんでございまして、これはやっぱり御婦人とか夫婦だけの問題ではない。私はよく言うんですが、中年の御婦人あるいは若い婦人にも言うんですが、とにかく四十過ぎておむつの世話までしなきゃならぬよりも早く子供を産んで後から楽をしなさいというようなことをよく言うんでございますけれども、それは価値観が変わってきているということも一つは言えると思うんです。婦人の方々がいわゆる人生の価値というものに対して私たちの時代と違う、それは私ども認識しなきゃなりません。 しかし、だからといって夫婦あるいはお一人の責任じゃなくて、社会全体が産み育てる環境をつくるということがより大切なことは私ども承知をいたしております。そのためにいろんなことをやってまいりました。十八省庁から成る連絡会議も設置いたしておりますし、また児童手当制度を初めいろんな、ここで一々読み上げませんけれども、やってきておりますが、今後児童環境づくり推進協議会、こういうものを設置して官民一体でとにかく取り組む。これは日本の将来にとって、私は人口問題研究所とか厚生省あるいはその他総務庁の統計局の話をいろいろ聞きますと、今のような調子でいくと一体百年、二百年後の将来日本はどうなるかと、本当に何か恐ろしいような気がいたしますので、この問題は本当に厚生行政の中でも真剣に取り組むべき問題だと思っております。
○沓脱タケ子君 私、後で大臣にもお伺いをしなきゃならぬと思いますが、問題はそういう社会的な問題化している人口のひずみの状態、そして二十一世紀を担うべき子供たちの健やかな成長を保障していく立場という点では、関係省庁連絡会議の「はじめに」という理念のところを拝見して、何という頼りないことを言っているんかなという感じを率直に受ける。だって、これは次の時代を担う子供たちの健やかな成長のために子供をどう見ていくのかという立場というのは本当に考えているんかなということを実は感じました。 そして、たまたま東京都が平成二年の十一月に、「多様化する保育需要に対応するための総合的保育施策について」という答申を出しておるんですね。これをちょっと拝見していましたら、大分格調高いんです、残念なことに。第一章の冒頭にこんなふうに述べておられます。これは東京都のですよ。「児童福祉の使命は児童の人権の保障仁ある。それは児童が生きていく権利であり、心身ともに健やかに育ち必要な保護を受ける権利である。この権利を保障するために行われる社会的努力が、児童福祉の本質にほかならない。」と、非常に明快だと思うんですね。かいつまんで申し上げますと、「このような状況に対応する社会的保育は、適切な養育環境を社会の手によって整え、児童の心身の発達を確保していくものである。」という大変格調の高い答申が出ておるわけでございます。 時たまたま児童の権利宣言、権利条約を批准するという段階になっておりますので、前々からこれは早く批准をという強い国民的要望もあったわけですが、権利条約をせっかく批准するという段階であり、我が国でも子供たちの健全な育成のために本腰を据えなきゃいかぬというところへ来ているというとき、たまたまこの権利条約の批准をするということになるわけですから、私は権利条約に明記されている基本理念というのを我が国の政府、とりわけ厚生省もそういった立場にきちんとお立ちをいただくということが今大事ではないんだろうかと思うわけです。 これちょっと読んでみましたら、この権利条約の三条にはこない書いてありますよ。児童にかかわるすべての活動をする場合には、それが公共的社会福祉機関のなすものか私的な機関のなすものであるとを問わず、児童の最善の利益を図ることが第一義的に考慮されなければならない。それからその三条の3には、締約国は、児童のケアまたは保護の責任を負う機関、サービス及び施設が、特に安全及び保健の分野、関係職員の数及びその適性並びに的確な監督に関して、権限ある機関の定めた基準を確実に守るように確保しなければならないと、かなり的確に指摘をされているわけでございます。 そういう点で大臣、こういう人口問題も含めて社会問題化してきているという段階なんですから、政府の方針には、権利条約にもあるように、あるいは東京都が指摘しているように、子供には最高のものが与えられる権利があるんだという点はひとつきちんと柱を立てていかなきゃいかぬのじゃないか。子育てに対しては社会的支援、児童の健やかな成長に対する社会的扶養というのが必要なんだという点を、これはこの二つの柱というのを基本点として明確にするということが非常に求められているんではなかろうかと思いますけれども、簡単で結構ですから、大臣の御見解を伺っておきたい。
○国務大臣(山下徳夫君) 児童にそのような権利があるということは、保護者を含めて国家社会が今度は義務があるということでございますから、そういう意味におきまして私たちは置かれた立場で最善の努力を払わなければならぬと思っております。
○沓脱タケ子君 そういう児童福祉全体をカバーするわけに時間的にいきませんので、きょうはその中の保育所行政、その部分について改めて見直していきたいし、御見解も伺っていきたいと思っております。 こういう私が申し上げた社会的扶養あるいは児童には最善の権利が与えられるものだと、そういう基本的理念というものを口で言うか言わないかにかかわらず、そういったことが必要とされる社会的な情勢というのが、全国的に見ましても地方団体で既にいろいろと動きが出てきているというのは御承知のとおりだと思いますが、若干実例を申し上げますと、例えば府県ごとの動きなんです。 これは秋田県です。秋田県、もちろん出生率の向上策ということもあるわけです、人口が減っておりますから。ここでは第三子以降の保育料の全額免除を実施している。子育てに対する経済的負担をできるだけ軽減するのが目的で、負担の大きい高等教育費への支援のために、同じく第三子以降を対象とした奨学金の制度をつくっている。 大分県でも同じく人口の高齢化の中で出生率の低下が起こってきているということで、出生率問題検討委員会というふうなことをやりながら、三歳未満児の保育料の軽減やら、三歳未満児の医療費の無料化、そういうことをやっているんです。 私、注目をいたしますのは、保育料の減免というのを、認可保育所の三歳未満児保育料を、三歳未満児の保育料だから高い方ですね。高い方の保育料を三歳以上児と同額にするという制度をつくって、そしてそのことを実施する市町村に対しては実費の二分の一を県が補助するという制度をつくっているんですね。 その他、乳児の入所希望がありながら、設備がだめなために受け入れられない、それじゃ設備の改善の経費というふうなものも補助する、最高三百万円まで、これは民間に対してやっておりますが、負担の割合は県、市町村、保育所の三者で三百万円までというふうなこと、こういうことを県がやり出してきているというのが私今日新しい動きだと思います。直接の措置権者である市町村がいろいろとカバーをしてきているというのは、今までも随分ありますよね。新たなそういう動きが出てきている。そのほか山口県や愛知県、北海道等々でも人口問題の視点からではありますけれども、研究が始まってきている。 各県の動向を見てまいりますと、資料で明確になっておるんですけれども、子育ての中での保育料という問題が高過ぎるんじゃないかということが出てきていますね。これはいろいろな資料がございますけれども、たまたまこれは秋田県の県内の二十歳以上の男女千四百人を対象にして行われた調査でも、子供は三人欲しいと言っている。しかし、みんな二人以下なんですね。そのギャップというのは何でやということの理由を回答してもらっての複数回答ですけれども、一つは収入がまだ少ない、もう一つは教育費、保育料の負担、保育の負担が大きいということ、そういう経済的要因というのが非常に出てきているというのが特徴になっております。 逆に言うたら、私は国の定めている保育料の徴収基準というのですか、これが高過ぎるんじゃないかというのは、これは前回にも数年前に御指摘申し上げたんですが、依然としてそういうことが若い夫婦、子育ての中ではどうも収入の実態に見合いにくい高さになってきているんではないかということを感じるわけですけれども、これは厚生省どうでしょう。
○政府委員(土井豊君) 最近の出生数の減少というような背景から、今お話がありましたように、幾つかの都道府県でそれぞれ独自の対応が始まりつつあるということは私どもよく理解をしております。 保育所の問題でございますけれども、これは仕事と子育ての両立という観点から非常に重要な施策であると私どもも基本的な認識を持って取り組んできているところでございます。ただ、保育料につきましては、現在保護者の負担能力に応じた御負担を願うというような考え方で、御案内のとおり十の所得階層区分を設けまして、一番低い第一階層は保育料ゼロ、それから第二階層は、三歳以上児で申しますと千四百円、三歳未満児でありますと二千円ちょっとと、そういうような形でその後収入がふえるにつれまして、一番上の第十階層におきましては保育単価をいただく、そういう形で徴収基準を策定しておりまして、そのもの自体は保護者の所得に応じた妥当な御負担をいただいている、そういうふうに考えているところでございます。 ただ、平成三年度におきましては、祖父母同居世帯の世帯合算の分離とか、あるいは保育所への三人以上子供を預けている場合の軽減措置、そういった新たな軽減策も実施しておりまして、今後とも保護者に過重な負担とならないように配慮しながら運営をしてまいりたいと考えているところでございます。
○沓脱タケ子君 それでもちょっとは高いということに気がついたんですかね、祖父母やらの収入やら、そんなのをカットするというふうにやりだしたのは。 それで、突いたり押したりしてもしょうがないんで、標準的なサラリーマンで共働き、子供二人持っている世帯がどんな状態かということを具体例を申し上げましょう。これは父親は二十九歳の公務員です。母親は同じく二十九歳の私企業です、公務員じゃなくて。それで子供はゼロ歳と二歳。給与はこれもずらずら言っていると時間がかかりますけれども、健康保険、厚生年金、所得税、住民税、これを全部引きまして父親は何ぼかというと二十五万九千八百六十三円です。これは手当等はもちろん入れてですよ。それで、母親は十二万一千三百九十二円、だから合計三十八万一千二百五十五円です。 三十八万円あるんだから何とかなるのと違うかというふうに思われるんでしょうが、これは大阪でございますから、家賃が五万五千円なんです。そうなってまいりますと、家賃を差っ引いてあと生活費その他に使える費用というのは三十二万六千円です。家賃を引く前の三十八万に対して、それじゃ二人の保育料はどうなるかというと、これは三歳未満児ですから国基準では第九階層です、この金額は、三十八万云々は。第九階層になるようです。そうしますと三歳未満児の第一子が五万六千八百八十円でしょう。第二子はそれの二分の一ですね。合わせて八万五千三百二十円になるんです。そうするとどうなるかというと、家賃も込みで生活費と考える収入に対しての保育料というのは幾らになるかというと、率でいいまして二二・三%です。家賃五万五千円を差っ引いた残りで見たら二六・一五%になるんです。四分の一を超すんです。 そういう若い世帯で、まだ給与も低い、自分の持ち家もないというサラリーマンの生活の中で四分の一以上を保育料が超すということになりますと、これは大分厳しいと思いませんか。こんな感じないですか。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話しのケース、多分第九階層に間違いなくなるんだろうと思いますけれども、私どもの第九階層というのは所得税額四十一万以上ということで……
○沓脱タケ子君 中身を聞いているのと違うんです。若い標準的な世帯の収入の中で二人子供が生まれたら、三歳未満だからたまたまだけれども、その保育料が国基準でいったら家賃を差っ引いたら二六%にもなるというのは酷だと思いませんかということを言っているんです。それはしょうがない、ということだと三人目は絶対産まぬですわ、そうでしょう。
○政府委員(土井豊君) 高いか安いかというのは物の見方だと思いますけれども、例えば三歳未満児と三歳児というのは、三歳児になれば保育単価というものが安くなりますから、そういう意味ではいろんな生活設計というのはそれぞれの世帯においてあるんだろうと思います。私ども一概に高いということではなくて、保護者の負担能力に応じた御負担をという形で設定をしているつもりでございます。
○沓脱タケ子君 そういう制度になっているということを見直さないかぬ時期に来ているのと違うかなと思うから具体例を出して言っているので、今の制度を説明してもらわぬでも皆大体わかってますので、そのつもりで御答弁をいただきたいと思うんです。 これはやっぱり考えてもらわないかぬと思うんですよ。その上に保育単価という全額払っている親の負担、この子供の数がまた物すごくふえていますな。政府の資料によりますと、これは三歳未満児だけしか算定していないんですけれども、保育単価、つまり全額という人が少ないわけですが、実際に現場では三歳以上児、これは上限があるということはありますけれども、全額払っているという子供は、これは大阪の実例で見て私はびっくりしたんです。 例えば高槻という、これは三十五、六万の市ですが、大阪市のベッドタウン化して急速に人口ふえたところですが、三歳以上児というので全額負担しているのが何と七二・四八%です。枚方というのも似たようなところですが、七二・七五%。ところが、東大阪ということになると五八・三八%。これは町の構造が違うんです。五十万都市ではありますけれども、古い町がたくさんあって、新しい世帯がふえてはいますけれども、枚方だとか高槻のようなふえ方をしていない。そうしますと六〇%を切るんですね。それで、大阪狭山と言われる、これは全く新しいベッドタウンの町ですが、ここは七五・五となる。それが全部全額徴収階層の比率になっているんです。 だから、これでは少々、政府は上限は抑えているというけれども、もうちょっと考えないと、経済的支援を政府が避けている、全額払っているじゃないかということになっているんですよ。その辺を考えていただかなければならないんじゃないか。 そこで、そういう実態でございますので、それが結果としてはどういうことになってきているか、国の出すべき費用と父母の負担という関係がどういう格好になってきているかというのは、これは前回も私そちらからいただいた資料でお示しをしたんですけれども、実にきれいにやっているんですね。 昭和五十四年、このときには国の負担分というのは四八%、地方負担は二一%で親負担というのは四〇%ですね。ところが、臨調行革と言われるいわゆる補助金カットが次々進みました六十年、六十一年ということになってまいりますと、六十一年はどうなったかというと、国の負担分の四八%が何と二四・四五%になっている。親負担が五一・一%になっている。地方負担が二四・四五と、五十四年の二倍になっている。まさに国の負担分と親負担とが逆転するという状態がその時期に起こって、それがずっと続いておるというのが今日の状況なんですね。 こういうことになってまいりますと、本当に本腰入れて子育て支援をやらなくちゃならないということになるならば、この機会に抜本的に考えてみなきゃいかぬのではないかと思うんです。というのは、いわば利用者国民から言うたら、徴収基準は厚生省どんどん上げるんやと、わからへんのやから、基準が何でそない上がっていっているのやら。補助率は次々下がっていくと、結果としては負担が逆転するというふうなことになっているわけだから、せめてその逆転をもとへ戻してほしいというのが率直な意見のようです。私も数字を見たらそう思います。 私は、前回にも申し上げたんだけれども、本腰据えて子育て支援をやるというのであれば、せめて保育所を運営する経費の半分は全部国が持つ、あとの半分を地方団体と親の応能負担にしていくというふうなことにすれば、これはうんと助かるんではないかと思いますが、抜本的に考えてみる必要がありはしないかと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(土井豊君) おっしゃるとおり、昭和五十四年ごろから最近までの数字の状況は先生のおっしゃるとおりだと思います。私ども、御案内のとおり国と地方との関係におきましては、補助率の見直しという法律改正を経まして現在のような状況になっているわけでございます。ただ、福祉の措置につきましては、保育所を含めまして基本的に保護者の負担能力に応じた徴収全体系というものをベースに置いておりまして、その具体的な計算の考え方といたしましては、例えば保育所保母さんの必要経費、そういったものの動向を反映して必要な経費を計算していくということでやっているものですから、現在のような状況になっているものと理解をしております。 ただ、先生がおっしゃるような全く新しい発想がとれないかという御指摘でございますけれども、現時点においては私どもこれまでのようなやり方のベースに立って今後努力してまいりたいと考えているところでございます。
○沓脱タケ子君 大臣、局長頭かたいでしょう。確かに石橋たたいて渡るという格好だと思いますけれども、客観的に置かれている情勢、腹を据えて構えなければならないというときだから特にそのことを申し上げているんですが、局長の段階ではそれしか言えないと思いますよね。 私は、もう一つ言っておきたいのは、保育所というのは単なる子供の預かり場所と違うでしょう。保育所ではいろいろ工夫をして、その小さな多くの保育所では児童の人間的な育成、成長あるいは健全育成のために随分苦労していますよ。それを本当に実効ある児童育成をやるためには十分な環境と人手というのが要るんですね。 ところが、私もう時間が余りないからはしょりますけれども、随分保母さんの賃金が安い。ちょっと労働省の婦人白書の平成二年の短大卒の平均を見ますと、十三万八千百円です、初任給が。ところが私保連の資料、私立保育連盟の資料によると十二万九千円ですから、初めから一万円運うんです。五年ほどたったらこれは一般の平均が十八万六千五百円で、私保連のあれでは十六万二千円ですわ。そういうことで公私の格差というのは物すごく広がっています。 これはたまたま福岡県の資料でございますけれども、初任給が一万円違い。それから三十歳になったら公務員の方は二十二万二千五百円。それで民間保母は十六万八千三百円という。そんな開きが四十歳になったらもっと三十万と二十万ぐらいの開きになってくる。これでは保母さんを確保できないと思うんですね。よそへ流れるのは当たり前や。大阪なんかいろいろ問題になっているんですが、公立の保育所でも保母さん確保が困難になってきている。なぜかといったら短大卒の保母の有資格者はたくさんおるんだけれども、大体保育所というのは入る子供の数と年齢で四月の初めにならぬと措置費が決まらへん。そんなら保母さん、新卒の人雇おうかと思ったって、雇っていいやら悪いやら、子供がどんなんが来るやらわからぬということの制度になっているもんだから、新規採用できないわけです。全部秋の間に商社だとか銀行だとか、そんなところへ歓迎されてどんどん流れていく。これでは保育所の子供たちの健やかな成長というのは保障できないと思うんですね。 そこで、私は特に申し上げておきたいのは、措置費で動かしているという問題のあり方、とにかく保育所が四月になって何人、何歳の子供が来るかわからぬ、園長初め保母何人雇っていいかわからぬというのは、それでは実際不安定きわまりない。中で働いている人たちだって不安ですわな。やめえ言うかもわからぬなみたいなことになりますと、その辺、措置費のあり方そのものをちょっと考えてみる必要があるんじゃないかなというのが一つ。 それから、措置費というのが人件費を保障しているわけですから、人件費を保障するという点では、これは措置費のあり方の改善というのはもう市町村から指定都市から保育団体から全部要求をしておるんで、そこを改善するということが急務になっておると思うんです。その辺の重要課題というのを解決しなきゃならぬのではないかなというふうに思うんです、一つは。 もう時間がないからまとめて言いますけれども、大体職員配置基準も昭和四十四年に決めたんですね、二十年以上前ですよ。その後乳児加算という制度を追加されましたけれども、基本の制度というのは昭和四十四年ですわ、そうでしょう。これは見直さなきゃいかぬ段階に来ていると思う。第一、週休二日やらんならぬでしょう、保母さんにも。しかし保育所は休まれへんでしょう、土曜日。それで地域の子育てセンターやいって新たな仕事を厚生省もどんどん広げるということを方針にしていなさるでしょう。しかもそういうことをやっていくということになれば、配置基準を改定して見直すというのは不可欠なところへ来ているんではないかなと思うんですが、その点はいかがでしょうかね。諸外国、ヨーロッパあたりと比べても悪いですよ、配置基準。もう時間ないから具体的に言わぬけれども、よう御承知でしょう。決して自慢はできませんよ、世界では。三歳以上児が、四歳児か五歳児だったか、韓国より悪いですわ、基準は。だからやっぱり見直すということが必要ではないかと思います。いかがでしょ一つ。 これ今すぐにやりますと言ってもらわぬでいいですわ。そういう状況をお認めになったら、子供の健やかな成長を保障するために審議会にかけて御検討いただくとか、御研究いただいていいんですよ、今やりますと言ってもらわぬでも。そういうことで前向きに本当に腰を据えた施策として進めていかれますかどうですかということです。
○政府委員(土井豊君) 配置基準の問題でございますが、私どもは現在の配置基準を適当であると考えておりまして、見直しを検討する考え方は持っておりません。
○沓脱タケ子君 まだ頭がたいな。だからヘビーホテルみたいなものがいっぱいはやるんですよ。もう時間ないから言わぬけれども、ベビーホテルの資料もらいました。正の全国的な情報はつかんでおられる。しかし私は東京都のベビーホテルを見て驚いたんですが、大体雑居ビルにあるのが四割以上。ベビーホテルというのは二階から七階以上にあるんです。下でスナックやら食堂やらあって、その三階や四階、五階で子供がベビーホテルやいって育てられている。児童の健全な育成についてこれはふさわしいかなと思うんですよね、実際。しかしそういうところが活用されざるを得ないというところにやはり行政の不十分さがある、こういうふうに見なきゃならぬのじゃないですか。子供の健全な育成のために大いに力を尽くしていただきたいものだと思います。 それから最後に、もう時間ないから申し上げておきたいのは、いわゆる学童保育。昨年からでしたか、二百万円人件費をつけて、予算補助がふえたいって大分関係者は喜んでおられたんですがね。ところが、中身見たら、百万円が親負担で、あとの百万円が国と府県と市町村。国は二百万のうち三十三万しか持ってない。これではあかんと思うんですね。せっかく予算補助をふやして文句を言うたら悪いけれども、しかし私は昭和五十年からずっと学童保育というのを制度化しなさいということをずっと言ってきているんですが、大臣、こういう問題についてもひとつ、もう時間ありませんから最後に、一遍に法律に、児童福祉法に書き加えるということができなくとも、制度化をせめてするというところまでは踏み出していただけないんかな。私昭和五十年からずっと言っているんですよ。どうですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 私、全部お答えするだけの細かな資料も持っておりませんし、残余の点は政府委員から話しますが、おっしゃるとおり、保育所の現在の制度には、一つ一つ御指摘になればなるほどというところも私ども承知をいたしております。 ただ、それでも親御さんの負担が半分で、あとは税金で立っているというような、大体そういう計算であろうかと思います。したがって、子供がいるところといないところとの親のバランスもございましょうし、今御指摘になりました家賃を除いて幾らというような、しかしその中には昼食代も入っておるわけでございますし、必ずしも先生のおっしゃることだけでそれが一般的な平均のバランスに適合するかどうかという問題もございますが、いずれにいたしましても、子育てということは一番大変な問題でございますし、私どもも大いに考えていかなきゃならぬ問題、いろいろと御指摘の点は今後とも逐次解決していかなきゃならぬ。 今、多様化してまいりまして、いろんな夜間保育だ、時間保育だ、季節保育だとか、あるいは身体障害児の保育だとか、経費も確かにふえてきていることでございますし、それにあわせてそのふえたものは全部国が見ろというわけにもなかなかいかぬ問題もあると思いますし、少しずつよくしていかなきゃならぬということはわかっております。
○政府委員(土井豊君) 学童保育の関係でございますが、放課後児童対策として、平成三年度から新しく予算上の位置づけを行いまして、児童クラブの育成等の内容でもってやっているところでございます。今後ともその内容の充実等については最大限の努力をしてまいりたいと思います。
○粟森喬君 私は、大臣の所信表明で、「生活大国」という言葉とか、「豊かさ」という言葉、これは厚生大臣の所信だけではなく、総理の所信表明にも出ています。仏その言葉を聞いて率直な印象なんですが、何となく言葉としては当たりもいいし、結構なことだと思うんです。じゃ、どこの省庁がそのことを本当に推進をする役割をするのかということを考えますと、今の行政官庁の仕組みからいくと、日本には生活文化省もないし、それぞれの省庁で分担をしているんだろうというふうに思いますが、そのうちで特に厚生大臣が厚生大臣の立場で言われたので、私もそのことに関連をして幾つかのことについて質問をし、意見をお聞きしたいと、こういうふうに思います。 私は、まずことしの予算の問題、これは予算の委嘱もございますからそこで論議がまたされるんだと思いますが、平成四年度の予算の厚生省にかかわることで言うならば、一般歳出の伸び率を、社会保障関係費も医療費も、私の手元にあるのは昭和六十一年以降の伸び率の資料でございますが、これを見たとき初めて下回っている。下回っているということと、いわゆる生活大国とか社会保障を充実をするということの中で、まあこれ一つ一つの中身を今度予算の委嘱のときにもちょっとやりたいと思いますが、いろんな経過があってこうなったということについて、私たちも多少承知をしていますが、果たしてこれでいいのかどうかということについて私は大きな疑問を持っています。 このことについて、厚生大臣、まずどうお考えでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 現在ございます各省庁の中で、生活大国に最も密接な関係があるのは我が省だと私も考えております。ただ、これは総理の公約でございますし、総理の高く掲げた現内閣の理想像でございますから、それはそれを構成している二十の大臣が全部省庁によってみんなが分担していかなきゃなりませんが、その中で、私どもは一番大きな問題をしょっているなということは、私自身もそういう使命感を感じておる次第でございます。 したがいまして、厚生省は、現宮澤内閣においては、それを推進する重要なバックボーンであるという考え方で今後対処してまいりたいと思います。
○粟森喬君 そこで、今私の手元に「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」という資料と、もう一つは「国民負担率の推移」と、こういう二つの資料がございます。 ここで、特に厚生省にお尋ねをしたいのは、社会保障の中身の問題以前に、社会保障負担の問題がございます。それで、昭和五十八年の社会保障の負担は、これは五十七年も五十八年も同率でございますが、一〇%でございます。それが平成三年までの推移を見ますと、途中で変化をしない年もありますし、例えば一つの例で申し上げますと、平成元年から平成二年は〇・六%伸びている。しかし、トータルベースで言えば、毎年毎年社会保障の負担率というのは〇・二%ずつふえているわけでございます。 一方で、社会保障の給付の問題で言うと、年金なら年金を見ますと、これは消費者物価指数しか上げていません。そうすると、生活大国とか豊かさというのは、現状の消費者物価なら消費者物価を最低にしても、それよりよくしなければならないという、どこかにそういう発想が入らなかったらいかぬと思う。それで、現役のサラリーマンにとって言うなら、社会保障の負担率がますますふえるというのは、これは社会保障負担というのは義務的に取られるわけでございますから、「豊かさ」という言葉や「生活大国」という言葉から見ると、ここが下がっている。一万の給付を受ける一つの年金なら年金を見たら、これは変わらない。 そういう数字から見たときに、果たしてこれで「豊かさ」とか「生活大国」という言葉と適合しているのかどうか、整合しているのかどうか、ここをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君) 「生活大国」という言葉は非常に意味深遠でございますし、広範にわたると思いますが、社会保障、特に年金というような観点で考えます場合に、私どもはやはり年金を含む社会保障制度というのは、国民が豊かなゆとりある生活を営む上の基礎的条件といいますか、言うならば不安という要素をなくするというその基礎を形づくるものだと考えております。したがいまして、一人一人が豊かさを感じていくというのは、そういう社会保障制度を踏まえて、その上で一人一人の国民がいろいろレジャーを楽しみ、あるいはいろいろ趣味を持ってというように、家庭生活の中に入っていく話でございますが、今の負担率との関係で申し上げますと、高齢化が急速に進んでおりますので、社会保障負担率の方は、やはりこれは上がっていかざるを得ないと思っております。 一方、それはだからマクロの話でありますが、年金の給付の方になりますと、これは御承知のように五年ごとに国民水準の動向等を勘案して見直し、その間は物価でスライドさせるという建前でございまして、ミクロといいますか、個人個人の受給者の立場で考えた場合に、それはその水準が適当に設定されているかどうかという問題を除きますれば、とにかく現在、私どもが設定している水準が一応確保されている形でありまして、個人個人の人々から見た場合に、年金というものが、そうやって設定されたものが、確実に間違いなく支給される制度が長期にわたって運営されるということが生活大国の基礎として必要な部分を構成する、こういうふうに考えております。
○粟森喬君 これは、大臣や総理大臣にもう一遍聞かなければいかぬ機会もあるかと思いますが、今の政府委員からの答えだと、現行の水準を維持することが生活大国だ、あるいは豊かさだと。確かにいろんな現状があるんですが、それよりよくするという言葉でなかったら、「豊かさ」とか 「生活大国」というのは言葉として適当ではないんじゃないか。少なくとも政治の世界の中でそういう言葉を使うというのは、より高い水準を求める、こういう言葉がその中に入ってしかるべきだ、こういうふうに私は思っております。 そういう意味で、今の点は何となく納得できないところでございますが、具体的に幾つかのことをちょっと申し上げてみたいと思います。 先ほど申し上げた資料のもう一つに、これはあくまでも推計ということで昭和六十三年の消費税導入のときに、七十五年度といいますか、西暦二〇〇〇年のときに何がどうなるかということを幾つか書いてございます。これは、まさにトータルベースでございますから、どこをどうということは非常にあれでございますが、例えば社会保障負担は一四%から一四・五%程度になる、こういうことがここで言われています。国庫補助も金額としては倍ぐらいふえる。そして、給付も例えば六十三年度から見ると約二・五倍から三倍弱ぐらいに伸びる。高齢者がふえて物価も上がっていくわけですから、当然そういう試算はトータルとしては成立をする。しかし、この中身で、先ほども五年ごとの見直しという言葉が出たり、負担ばかりがふえて本当に水準がよくなるのかどうかという問題。これから五年ごとの見直しか来るときに、例えば年金なら年金を一元化しようという話が、政府なら政府からそういう問題提起がある。医療保険も一元化しようという話がある。一元化をされたときに個別の利害は当然ついて回ります。しかし、実態とすれば、私は全体の給付が悪くなる傾向というのは否定できないような感じがします。したがって、例えば社会保障負担が一四%から一四・五%になるときに、その保障の具体的な中身が本当に保証されているのかどうかとなると、かなりここはややこしい。 それで、〇・二%ずつふえるとすれば、このままいくと、一四%に届くためには、これをあと八年というふうに計算しますと、一・六%でございますから、仮に一四%としても、ここの部分はかなりゆとりがある。しかし、税の方でどうなるかということもありますから、国民負担率全体は、ここの数字には出ておりませんが、行革審の国民負担率の展望というのでは、いわゆるヨーロッパの水準、これは四〇%台の中程度という言葉ですから、恐らく四五%ぐらいが限界だということをここでは言っているんだと思います。 そういう中で、今いろいろな社会保障政策を進めるに当たって、この辺の数字の整合性は本当に持たせてやっているのかどうか旧非常に気になるのは、この試算は、現行制度を前提として、社会保障にかかる給付費及び負担を仮定試算したものであると。したがって、お金がなければここを下げると。ですから、日本の今の社会保障政策なり負担のあり方というのは高負担高給付でもない、低負担低給付でもないという、一つのミドルのクラスをいっていたと思いますが、その辺の基本的な政策のあり方を、この展望をつくったときの基本的なガイドラインみたいなものをこれからも変えずにやっていこうとしているのか。多少の変更はやむを得ないものとして考えているのか。 私は、少なくとも「豊かさ」とか「生活大国」と言ったときには、社会保障負担はできるだけ現行の〇・二%ぐらいずつを維持して、むしろ一般的に租税なら租税を負担するところをできるだけ国庫負担としてふやしていく、こういう発想が厚生省なら厚生省の政策の中に財政政策的にも貫かれなければならないと思います。その辺のところについて、厚生省が中期展望なり二〇〇〇年までを考えたときに、もちろん二〇〇〇年まで同じ部署におる方はおられませんが、そういうことを継承的にやられているのかどうか、このことについてお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君) 大変難しい御質問でございますが、まず基本的なスタンスに関連して申し上げておきたいのは、非常に世界に例のないスピードで今後高齢化社会が進む際に、私ども社会保障制度を担当する者として心がけなければならぬのは、その高齢化のピークが来たときに社会保障制度が円滑、安定的に運営されている状態を急いでつくる、その準備を進めるということでございます。 それでもう一つ、行革審あるいはそれに先立つ臨調等を通じまして、高福祉高負担あるいは低福祉低負担といろいろな選択のある中で、基本的には日本の風土を考慮に入れた中福祉中負担型でいこうという考え方がおおむね行革審等で貫かれているわけでありまして、そういう意味で、社会保険料負担等も租税負担と合わせても五〇%を起さないように努力しようというのがもう一つの大きな流れでございます。その中で私どもは、昭和で申しますと五十年代から幾つか年金あるいは医療につきまして長期的安定に資する改革というものに努力してまいっております。 それで、生活大国という議論をします場合に、もちろんすべてが今よりよくなるという夢を与える部分があるわけでありますが、社会保障に関しましては、制度的にはおおむね西欧の水準に達しておると私どもは判断しておりまして、一番大事なことは、それが高齢化のピークを迎えたときにも安定的にとにかく運営できる状態をつくらなければいかぬということでありまして、だから、個々の給付水準云々ということを言いますと、今よりどんどん伸ばしていくという発想にはどうしてもならないわけでございまして、むしろ将来にわたって全体を眺めつつ安定的に、国民の負担も過重にならない範囲内で、かつ受給者も喜べる範囲内の給付というのは何ぞやということを常に念頭に置いた運営を心がけなければならぬということになります。 そこで従来から、六十三年の展望でありますとかあるいは福祉ビジョン等々を、そういう考え方を一部に踏まえつつ資料を出しておりますが、ただ、今言われた六十三年の展望は、今の制度のまま、しかも国民所得の伸び等を一定にした場合にどうなるだろうかという一つの目安を示させていただいたという性格のものでございまして、厳密な意味の将来推計ということになりますと、当然五年ごとの見直しかどうなるか、あるいは制度改正がどうなるかというような要素、さらには経済動向がどうなるか、人口構成がどうなっていくかという点を本当に詳細に見た上でやらなければなりませんし、逆に言うと非常に難しいことになります。 私どもとしましては、先ほど申しました二つの大きな考え方を踏まえながら、とにかく生活大国というものを実現していく上で、社会保障制度が特に留意すべき点は、長期にわたって安定的に運営できるという点を特に重視して、そのために必要な制度の改革をしなきゃならぬ、そういうふうに考えておるところでございます。
○粟森喬君 今答弁いただいたように、難しいことだというのは私も十分承知しておりますよ。お互いにそんなことはわかり切っている話。問題なのは、現行の水準を維持するということと、例えばことしの予算で社会保障費が国の予算の伸び率全体を下回ったというのは大きな問題だと思うんです。 それで、この際、このことだけを論議するつもりはございませんので、厚生大臣にぜひともお願いをしたいのは、現行の水準を維持すること、これが最低なければ、もう「生活大国」とか「豊かさ」なんという言葉はあり得ないということをまずきちっとしてもらう。特に一元化するときの問題は、医療の場合でも年金の場合でもそうだと思いますが、必ずどこかを切り下げて平均にならすというときは、これは大きな問題だと思う。 したがって、トータルの総数がふえるということと、この二つの関係の中で現行の水準を維持するということを厚生省としても基本的に確認をしておいていただかないと、社会保障費の国民負担率〇・二%ずつ確実にふえるというのは今までの傾向ですよ。この数字はこれからも変わらないんだけれども、一万の水準は下がるということでは、国民の中で不満も出てくるし、問題の出てくるところでございますから、この点を明確に大臣の所見としてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 理念としてはおっしゃるとおりだと思います。ただ、国民負担だけ、自分の財布から出す分だけが社会保障の助長になるかというと私は必ずしもそうではないと思っております。それはさっき申し上げたように、生活大国というのはもう政府の機関すべてがそっちの方に向かって前進していくということですから、極端に言いますと、インフラ、橋をかけたり、いろいろなことをするのも生活大国に結びつきますし、すべての私たちの生活環境を見た場合に、ただ社会保障という銭金の問題だけで済むかというと私はそうはいかないと思います。 しかし、手っ取り早い話が、あなたのおっしゃるように、銭金が目の前ではっきりするものですから、そういう意味におきましては、国民がよくやってくれているなということをわかりやすくするためには、そういった意味におけるいわゆる社会保障も前進していかなきゃならぬと思っております。
○粟森喬君 私、厚生大臣にお尋ねしたので、橋をがけるとかそういうところは十分私も理解しています。 それからもう一つ、私はこの際ですから申し上げておきますが、給付にかかわる問題も重要なんですが、厚生省にかかわる生活大国なり豊かさを実感できる、その種の関連費というのは、もちろん例えば廃棄物の問題なんかでもちゃんとやるというのは一つの大国というか、豊かさというか、きれいというか、そういう意味でわかると思います。そういう厚生省関係でもいろんなインフラを、これは次の質問のところでもちょっと触れさせていただきたいと思いますが、そういうことにも十分配慮をして厚生省の予算という実績がふえていくような、そういう道筋を明らかにしていただくという意味でここは申し上げておきたいと、こういうように思います。 そこで、先ほどから同僚議員の方からもいろんな意見が出ているわけですが、次に、国連障害者の十年の最後の年でありますので、そこにかかわる問題を幾つかお尋ねをしたいと思います。 今、国連障害者の十年というのは総理府に本部が置かれておることは知っております。総理府からいろんな資料も出されておりますし、国の予算の伸び率以上にいろんな国連障害者の十年に基づくさまざまな施策がやられていますが、私は根本的には日常的にこの問題に取り組むのは厚生行政だと思います。 厚生省という立場で、この十年の総括というのも、数字がすべての総括なのかということもございますが、私は中身の問題もありますので、お尋ねをしたいと思うのは、この十年というのは、幾つかの展望を持って十年計画なりをやってきたことが、本当にこれでやり切れたというふうに言えるのかどうか、まず厚生省として聞けるかどうか。 それから、十年が終わったら途端に、財政措置も私はもうかなりの積み残しかあるというふうに思っています。そういう意味で、厚生省がこれからどの部分に、どういう力点を置いてこの問題に取り組もうとしているのか、基本的な問題としてまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(末次彬君) 国連障害者の十年、この間の障害者福祉対策の取り組みにつきましては、政府の障害者対策に関する長期計画、それからその後期重点施策に基づきまして、障害者の完全参加と平等という視点から強力に推進してきたつもりでございます。 この間の我が国の障害者対策につきましては、昨年七月の心身障害者対策協議会の意見具申におきまして、総体的には、制度的な法改正も含めまして障害者対策は全般的に各部門において着実に進展を見せているというふうに評価されております。また、障害の有無にかかわらず、だれもが家庭や地域において暮らせることが重要であるという、いわゆるノーマライゼーションの理念、これも国民の中に浸透してきたというふうに評価をされておるところでございます。 今後取り組むべき課題という点から申し上げますと、昨年、やはりこの中央心身障害者対策協議会の中で、格段に配慮が求められる事項といたしまして四つ挙げられておりまして、一つは、啓発等によりまして障害あるいは障害者についての正しい認識の普及に努めるべきだ。それから建築物、交通機関におきまして障害者のアクセスを十分配慮した施策を展開すべきだ。また、三点といたしまして、障害者施策について関係機関との連携による総合的な推進を図るべきだ。四点といたしまして、日常及び社会活動におきます障害者の具体的な参加を促進すべきだというような点について特に触れられておるわけでございます。 御承知のとおり、この障害者対策は大変広範多岐にわたっておりまして、さまざまな分野でいろんな議論が行われているところでございます。こうした残された課題につきましては、先般、二月の二十日でございますが、中央心身障害者対策協議会を開催いたしまして、今後の障害者対策についての審議を始めていただいたところでございますので、政府といたしましても、その審議の取りまとめを待って今後の対応をしていきたいというふうに考えております。
○粟森喬君 私は、ノーマライゼーションという言葉も多少定着をしたかもしれないけれども、先ほどからの同僚議員の質問に対しての文部省の見解や、いろんな見解を聞いておったら、これはとてもじゃないがまだまだだなという感じがします。教育の現場でさえそれを区分けするといいますか、分類をしていくという限りは、私はノーマライゼーションというのはかなり難しい、こういうふうに見ていますが、そのことはちょっときょう、余り全体を触れるとまた時間がありませんので、二つ問題を、一つずつ申し上げます。 一つは、政府側にもお渡ししてありますが、障害児の逸失利益は年間七万円、これは自閉症の神奈川県立伊勢原養護学校の男子生徒が水泳の授業中に水死した事件の損害賠償請求で、横浜地裁で県が主張した。県は、逸失利益の算定方法について、障害児であることを考慮して算定すべきである。そうすると年間七万円だと。私は月額七万円かと思ったら、これ年間七万円です。月にすると六千円です。一日にすると二百円です。 これは私、何でそんなことを言うかといったら、平均の逸失利益の計算の仕方については常識的に私たちも承知をしているつもりです。しかし、これは何といったって人間の一人の、障害者の人権というのが七万円として評価されたと。これは私は重要な問題だと思うんです。もちろんこれは県が言ったことだから、もう政府側が答弁するとき必ず言うのは、これは県が主張したことであって国は関係ありませんと恐らく言うんだろうと思いますが、私は厚生省は、少なくともそういう基本的な障害のある人たちの問題をとらえるとすれば、このような県が主張することについて、おかしいということの一つぐらい言えなかったら、さっきから十年間よくやってきたという話とかなり私はここは矛盾するんではないかと思いますので、答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) ただいまの御質問の判決でございますけれども、私どもまだ詳細は承知しておりませんが、御案内のとおり、争点は障害者の稼得能力をどう評価するかという点である、そういう意味での民事上の問題というふうに思います。ただ、仮に国がこういうような被告になったような場合にはどうするのだという点につきましては、具体的な事例に即して関係省庁ということで相談をした上で対応をするというのが基本的な対応の仕方でございますけれども、この裁判自体がまだ東京高裁の方に上がって審理中でございますので、私どもとしてどうだこうだという意見を申し上げる立場にない、そういうふうに思います。
○粟森喬君 私は、言うべき立場は十分あると思います。もちろん、県が原告ですから、東京高裁に行って、恐らくこのまま行くと、これは最高裁までやるんじゃないかという気もするけれども、少なくとも障害を持つ人たちが逸失利益で年間七万円として算出されるようなことは、厚生省が少なくとも障害者の立場に立って物を考えるというときに、それは県ちょっと改めるべきだということを言われても私は当然のことだと思うんです。 そうじゃなかったら、さっきから言っていること全部、県と国は違うと言うけれども、行政をお互いがなさるときには当然連係プレーもあるわけです。多少の濃淡あっていいと思うけれども、この判決までの間における県の対応というのはけしからぬと思う。大臣、このことについてどういうふうにお考えか、ちょっとひとつ。
○政府委員(土井豊君) 事柄が東京高裁で審理中の事案ということで、司法の場においていろいろ審理をされていることでございますので、行政の立場としてそれに対して意見を申し上げるのは差し控えたいということでございます。
○粟森喬君 国に聞けば常にそういうことを言われるというのはこの間のすべてでございますが、私は少なくともこれは原告である行政の側、県ですかね、ここは、ここが主張を改めることによってこの裁判の結果は変わってくるんです。私はそういう性格のものだというふうに理解をしている。したがって、さっきから言っているようなことを繰り返していては決してそうはならないということを、私の主張として申し上げます。 時間の関係もございますから、次に移ります。障害者の十年の対策でちょっと私見てこれまた思ったわけですが、生活環境、住宅建築物の整備に当たって、公営住宅をつくるときには心身障害者世帯向け公営住宅として心身障害者の生活特性に配慮した設備を有する住宅の供給、それから車いす利用者が居住可能なものをつくれということだとか、エレベーターのつくり方、いわゆる段差のないフロアの設定などなど出ています。 さっきの豊かさとも関係するんですが、これはそういう障害を持った人たちが生活をする場だけつくったってだめなんです。ノーマライゼーションというのは、障害がある方が、例えば車いすの方がどこかの家を訪問したときに、その家を訪問できる条件がそれぞれの家にできる、こうでなかったら私は本当の意味でノーマライゼーションを達成したなんていうことにはなってないと思う。そういう意味で全世帯を調べたら、恐らく百軒に一軒も車いすで訪問をして、いわゆる普通の健常者だけが住んでいる家の中へ車いすでその家に入ることでさえかなり至難でございます。ほとんどはもう玄関先に車いすを置いてみんなで抱えて介助をしてやっていくというのが実態でございます。全体にそういうことをすることが、さっき橋の話もされたので、大臣ここはよくお願いをしておきたいのは、ノーマライゼーションにするというのは、普通の家でそういうことが受け入れる条件をつくっていく、それが生活大国であり豊かさでありという、私はそういう概念で障害者の立場から思うと思っているんですが、大臣としてその辺のところについてこれからの主張の中で述べていただけるのかどうか、その辺をお尋ねをしたい。 それから、特にお願いをしたいのは、国連の十年が終わったらこれで終わりにならないと、新たな十年というのか、そういうものの中でそういうことを織り込んでいただきたいということを、私の期待を込めて答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 私、さっき橋の例を言ったのは適切でなかったかもしれませんが、ただ、厚生省の所管である社会福祉だけをもって生活大国が実現するとは思わないという例から申し上げたのでありますが、そういう意味におきまして、各省でそういう問題についてはみんなが取り組んでいかなきゃならぬということでございます。 身体障害者の十年が終わりまして、後はどうなるんだということはしばしば私も御答弁申し上げているのでございますけれども、まだ国連がその後どうするかということを具体的に何も打ち出しておりません。しかしながら、私、また厚生省の幹部みんなそう思っておるのでございますけれども、やはり十年で打ち切りだよということではなくて、ここで一つのやるべき基盤ができたと、その基盤の上に立ってそれをどう前進させるかということが言うなれば第二次の段階である。その第二次の段階が従来どおり十カ年単位でいくのか、これはもちろん国連もいろいろそのうちに打ち出すと思いますが、あるいはまた区切ってもっと単年度で次々に改正しながら前進しながら行くのか、あるいはまた完全参加と平等という、これは大きなスローガンでございますが、そういうことじゃなくて具体的に今度はこういうことをやろうというふうにやっていくのかということはこれからの問題でございます。 ことしか最終年次でございますから、来年を迎えるに当たってなるたけ早い機会に打ち出さなきゃならぬ。その一つとしてアジア・太平洋地域における一つの障害者対策をやろうという意見が出ておりますが、具体的に聞いておりませんけれども、これはそういう地域においては大変いい福音であるなど、もしもそれが会議の場で具体化するならば我々も積極的にこれに対しては対応していかなきゃならぬと、こう思っております。
○粟森喬君 お願いしたいのは、私は国連が十年言って、その次に十年言わなくても日本がむしろ幾つかの現状を見てまだおくれているところがかなりあると、もう少し前へ出るというか、国際協調というか、国連の旗振りも私は非常に重要だと思うけれども、世界に冠たる日本というものを考えたときに、私はこの種の問題がかなりおくれているというふうに思っています。 関連をしてちょっと幾つか、これは要望というか、これからのこともあるからぜひともお願いしたいのですが、例えば障害者の雇用率の問題、こんな話をするとこれは労働省の話になってくる。労働省は労使のいわゆるそういう受け入れの体制をつくるのであって、今例えば私が十年というものを見たときに、昭和五十八年が一・二三です。平成三年の実績が一・三二です。これは法定が一般企業で一・六、非現業で二%ですから、とてもじゃないがこの十年間に伸びた数字というのは〇・〇九でしょう。だから、今までから見たらどれだけの人数が本当にその機会に恵まれたかといったら、まだまだこれはおくれている。 そうすると、私は厚生省というのはそういう障害を持つ人たちの立場を尊重して労働省に申し入れをするとか言っていく、そしてそういうことの役割というのは本当にどの程度あったのかというと、我々がこの種のことを聞くと、ああそれは労働省の問題ですと、こういう感じになってしまうところに私はまだ行政機構としても完全に機能していないと思うんです。 同じようなことが例えば高齢者の問題でも、確かに高齢者の雇用はふえました。これは七割超えたというのですね、まあええこっちゃな。ところが、雇用率の実態と実際のそこに就労を希望している実態とはこれほど差がある。有効求人倍率がどれだけよくなってもここだけ悪くなる。そうすると、高齢者の意見や障害を持つ人たちの意見を代表するという、そういう厚生省のアクションというのがほとんど見えをいというところに大きな問題があるのではないかと思います。したがって、大臣の答弁は、ある意味ではそういう気持ちをこれからも生かしていただけると思いますから、これ以上ここでのあれは終わりますが、これからぜひとも考えていただきたいと、こういうふうに思います。 そこで、次に時間の関係もございますので、バーゼル条約のことについてちょっとお尋ねをしたいと思います用意見も申し上げます。 新聞やその他でもいろいろ出ているわけですが、バーゼル条約をどこの省庁が出すかということをかなり、おもしろおかしくと言ったら多少語弊があるかと思いますが、いろいろ出されております。私は、環境汚染を防止するためのバーゼル条約でございますから、果たしてこれが厚生省がやるのが適当なのかどうか、これは通産省に対しても適当なのかどうか。といいますのは、全く同じ事例だと私は思わないけれども、この間大蔵で金融の問題でいろんなことが起きたのは、推進をするといいますか、その行政を推進する立場と環境の立場でそれをチェックするという立場とはかなり論理の上でも、私は環境庁ができたというのはもともと厚生省の外局のような格好で出発をしたんだと思いますが、そういう総合監督官庁の役割というものを何となく厚生省は今までやってきた仕事の延長だから、バーゼル条約に伴う国内法の整備というのは果たしてそれで適当なのかどうかと思いますので、そのことについて厚生省のただいま現在の見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林康彦君) バーゼル条約は有害廃棄物の輸出入についての規制をしようとするものでございますが、バーゼル条約で言っております有害廃棄物には、国内法上の廃棄物でございます無価物と有価物も含まれておるところでございます。このうち、無価物につきましては、国内の廃棄物の処理制度と密接不可分なものでございまして、国内の制度と整合性をとることが必要と考えております。 具体的に申し上げますと、輸入されました廃棄物というのは、国内におきまして廃棄物処理法に従って処理をされる必要がございますし、廃棄物の輸出に当たりましても、これは国内で発生した廃棄物の処理の一つの形態ということで排出事業者の責任を担保しなければならない、こういう側面がございますので、国内で廃棄物処理を所管しております厚生省も必要な役割を果たしていくべきものと考えております。こうした観点に立ちまして、関係をいたします厚生省、通産省、環境庁の三省庁で対応すべく検討を進めておるところでございます。 結論的に申し上げますと、我が国では廃棄物処理法に基づきまして、厚生省を中心にいたしまして廃棄物の適正処理を確保するという体制をとっておりますので、この体系のもとで国内法、この部分につきましては体系を整えるべきものと考え、努力しておるところでございます。
○粟森喬君 これだけで論議をしているとかなり時間がかかるんで余り言いませんが、各国のこの批准をしたときの規制にかかわる対応官庁というのはほとんどが環境省とか環境庁です。もちろん中身で言うと、そこで廃棄物処理の法案をつくっているとか、そういうことはあります。それなら日本の場合もそういうふうに変えればいいんであって、皆さんの方は何となく聞いておると、これからの行政のあり方のシステムみたいなものを考えたときに、何か既得の権益みたいなものの延長の中で一つずつやるけれども、もう少しこの辺の枠組みを変えていくという発想もないといけないのではないか、こういうふうに私は思います。 ただ、もう時間もございませんので、最後に一つだけ。都市計画法の改正が今度閣議決定されました。これは今国会に出るんだろうと思いますが、私はこの閣議決定までに厚生省がたしか都市計画の改正にどなたかがかかわって意見を言う立場があったと思うんです。大事なことなんですが、さっきノーマライゼーションとか高齢化社会の中でデイサービスのところ、都市計画の区域をつくったときにどこに幾つぐらいつくるのか、こういうこともちゃんと定めてあるのかどうかということをはっきりしてほしい。どうも私が仄聞するところによると、入っていないような気がします。 それから、小さいことのようで非常に大切なことですが、地域社会においては今ごみ出し場の問題が大問題なんですね。皆さんのところではリサイクルしたり分別処理をすると言っているんです。ヨーロッパヘもう皆さんも行かれた方もおられると思いますが、あの処理場というのは道路なのか公共用地なのか個人の所有地なのかといったら、日本の場合は道路か所有地なんです。公共用地としてそれを確保しているところはほとんどないんです。そういうことをちゃんとやるというのがインフラだし、大事なことだと思う。そんなことがかなり抜けているような気がするんです。 その辺のところについて、厚生省の今までの経過と見解を聞いて、私の質問を終わります。
○政府委員(小林康彦君) 都市計画法の改正につきましては協議がございまして、用途地域の細分化等私どももその趣旨を了解しておるところでございます。 現行の都市計画法におきまして、ごみ焼却施設等廃棄物の処理施設も都市計画の対象になって運用をされておるところでございます。 それから、収集施設につきましては、宅地開発あるいは新規のニュータウンの造成等におきましては、計画の当初から検討をし、適切なものを設置するという趣旨に基づきまして、大都市を中心にいたしまして要綱をつくるなど最初の時点から計画に参加をし、分別収集のステーションあるいは施設的な対応というところも図っておるところでございます。 御趣旨のように町づくり、都市計画の中で廃棄物を組み込んで快適な生活環境及び廃棄物の適正処理を図るということは極めて大切なことと私ども認識をしておりまして、その面での努力を強めていきたいと考えております。
○勝木健司君 今国民の中で大きな問題となっております問題の一つに、お年寄りの増加に伴って寝たきりになったりあるいはぼけてしまったり、そうしたお年寄りのお世話の問題があろうかというふうに思います。こうしたお年寄りを抱えた家庭はつきっきりで目が離せない状態となっているところも多くて、肉体的にも精神的にも、また経済的にも大変な負担となっておるわけであります。 〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕 政府は、平成二年度から寝たきり老人ゼロ作戦という対策を進められております。高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランの中でも十年計画のうち既に三年目を迎えようとしておるわけであります。この十年間で達成する目標を数字で示されておりますけれども、実際的には三割が達成されていなければならないわけでありますが、現実的に消化されていないという話も聞いておりますし、予算どおりまた予定どおり消化されているのか、実態はどうなっているのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。
○政府委員(岡光序治君) 十カ年戦略の進捗でございますが、私ども、先生今ちょっと御指摘ございましたが、各種のサービスを整備していくのに十年間で各年度均等に整備をしていくという、そういう発想をしておりませんで、むしろそれぞれの各サービスの必要度、緊急度に応じて毎年度の事業量を設定していこうではないか、こういうふうに考えているわけでございます。 したがいまして、特別養護老人ホームのように待機者がかなりあって整備を急がなきゃならないというものはむしろ前倒しでやっているわけでございまして、例えば平成元年度は十六万二千床でございますが、これを計画では十一年度に二十四万床にしようとしておりますが、平成四年度段階ではその必要整備量に対しましての計画では三八%というふうに少し前倒しでやっているわけでございます。 ほかの事業につきましては、それぞれ新しい事業である場合には少しずつ積み重ねをやっていくというふうに、そういう意味で、何というんでしょうか、各年度均等ということではなくって進めておるわけで、その点ひとつ御理解をいただきたいと思いますが、実績が出ておりますのは平成二年度でございまして、重立った項目について予算と実績の対比色申し上げたいと思います。 まず、在宅対策の一つのホームヘルパーの関係でございますが、平成二年度の予算三万五千九百五人に対しまして、実績は三万八千九百四十五人で若干上回っております。それからデイサービスにつきましては、予算は千七百八十カ所でございますが、実績は千六百十五カ所ということで、若干これは到達が悪うございます。それからショートステイは、予算上は八千六百七十四床でございますが、実績は九千六百七十六ということで、若干上回っております。それから特養は、ただいま申し上げましたように整備が進んでおりまして、予算上十七万二千床でございますが、実績は十七万五千。それから老人保健施設は、予算は四万七千八百十一床でございますが、実績は四万五千床ということで、若干これを下回っております。 こんな状況でございまして、二年度の状況を総括して申し上げれば、大体予算に即応して進んでいるというふうに思っておるところでございます。
○勝木健司君 確かに十カ年の目標が出されておって、その都度その都度の予算の消化状況が今報告をされておるわけでありますけれども、均等にはやらないということは今お伺いいたしました。しかし、やはり十年後の目標はこうだということを具体的にビジョンを出されておるわけでありますから、それを具体的に実行していくために年次計画を立てて実現を目指すべきじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、これについての考え方を聞いておきたいというふうに思います。 〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
○国務大臣(山下徳夫君) 今も答弁いたしましたように、十年後の最終的な目標だけはきちんと決めておく、そしてそれを十で割るのではなくて、必要の度合いといいますか、あるいはまた国民の期待に沿うようなことから重点的に前倒しにやっていくということですから、そういう面におきましては割る十ではなくて毎年重要の度合いによってやっていく、毎年毎年きちんと決めていった方がベターではないかというふうに思っております。 御懸念はよくわかりますが、これは政府全体として、宮澤総理ももう事あるごとにゴールドプランは言っておられることだし、我々としても最重要課題と思っておりますから、政府全体の問題、全体の責任としてこれをぜひやっていかなきゃならぬ、こういう決意を持っておるわけであります。
○勝木健司君 今のお話では、予算を組んでその予算に対しての実績を御報告をなさったわけでありますので、私どもの言っておるのは、例えば十カ年戦略ですから十等分した場合からいけば伸び縮みがあるわけでありますので、ある程度年次計画を踏んでやっていった方が最後に達成度が、完成度が高まってくるんじゃないかというふうに思っておるわけでありますので、そういうことで進めた方が、より国民に対してもわかりやすいんじゃないかというふうに思っておるわけであります。 そこで、ゴールドプランの実現を図っていく上で、当然保健医療とか福祉マンパワーの確保が、実際にそういうことを図っていくことが極めて重要じゃないかということでありまして、ホームヘルパーとかあるいは看護職員とか、社会福祉施設職員等の各職種ごとにその置かれた状況を踏まえてきめ細かく対策を講じていくことが重要だろうということであります。こうした意味でのホームヘルパー、看護職員あるいは社会福祉施設職員等の人材確保の進捗状況についてもどうなっておるのか、来年度予算に見合った確保も大丈夫であるのかどうか、その現状と見通しについて御説明を願いたいというふうに思います。
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。 先生今御指摘のとおり、ゴールドプランを今後推進していくためにマンパワーの確保ということはどうしても重要な課題でございますし、その課題は職種ごとにきめ細かくという点もまさにおっしゃるとおりでございます。 私どもこれまでの状況を申しますと、まず看護職員でございますが、昨年十二月に公表させていただきました看護職員需給見通しによりますと、平成三年末で約七万人不足しておるということでございまして、その早急な確保が必要となっております。それから社会福祉施設職員、ホームヘルパーにつきまして、地域等による差異はございますが、全体としてはおおむね必要数が現時点では確保できているのではないがと考えております。 ただ、ゴールドプランを実現するためには平成十一年度までの間に、新たにこれは平成二年度からでありますが、その十年間に社会福祉施設の寮母、介護職員で約十一万人、ホームヘルパーを約七万人確保しなきゃならぬということでありまして、これは現段階から着実に確保対策を進める必要があると考えております。 そういうこともございまして、平成四年度の予算等におきましても、これらの職種につきまして勤務条件等の改善でありますとか、養成ガの強化、就業の促進等々、予算や融資、税制等各般にわたりまして施策を進めることにしておりますし、そういう施策の言うならばベースとなるべく看護婦等の人材確保法案、それから社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、この二つのマンパワー確保法案を出させていただいておりまして、その早期成立をお願いしたいと思っております。 いずれにしましても、このマンパワー確保の問題は今後の保健医療でありますとか、福祉サービスに対する需要の非常に急激な増加ということを考えなきゃなりませんし、若年労働力が減少していくことを当然考慮に入れて考えなきゃいけませんので、中長期的な見地から息の長い取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
○勝木健司君 寝たきり老人がふえておるということでありますので、そういうことを考えますと特別養護老人ホームの増加も緊急な課題というふうに思います。この特養ホームに希望をしながら入所できない人がたくさんおるというふうに聞いております。 厚生省、この実態はどのように把握しておられるのかお尋ねをいたしたい。そして今後この特養ホームをどのように充実させていくのか、方針をあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。
○政府委員(岡光序治君) 特別養護老人ホームに入ったくて待っておるという人たちの数でございますが、平成二年度十月現在で各都道府県から把握をされている数字を報告をしてもらいまして集計をいたしましたが、その結果は約二万九千人という数字になっております。 整備方針でございますが、まず私どもは待機をしている人たちをなくしていかなきゃいけない。先ほど先生も御指摘ありましたが、特別養護老人ホームの整備につきましては、毎年度均等にするのではなくて、むしろ待機者を解消するというそっちの方向で当面緊急整備をするという発想をしておりまして、平成元年度までの整備のペースを速めまして、平成二年度以降しばらくの間は一万床ずつ整備をしていこうではないかということで、いわば前倒し的な対応をしようとしておるわけでございます。 これを進めるに当たりまして、例えば大都市でそういったものがなかなか得られないわけでございますので、大都市につきましての整備では割り増しをするとか、それから痴呆性老人のように介護を非常に多く必要とする人たちもふえておりますので、そういった人たちもちゃんとお世話できるようにということで職員の加配をするような内容にするとか、そういう内容整備、内容を厚くするということも考えながら、私どもそういう整備を急いでいるわけでございます。 特に四年度におきましては、在宅福祉と連携を図らなきゃいけない、そういうことも考えましていわゆるショートステイというよりももっと何というんでしょうか、長い、二カ月とか三カ月入るような、私どもミドルステイと言ったらいいんじゃないかと言っておるんですが、こういったものを試み的にやってみるとか、あるいは機能回復訓練を特に行うということで、そういうものをモデル的にやってみるとか、そういうモデル事業も絡み合わせながらいかに実態に即した整備を図っていくかという方向で内容を考えながら、取り急いで整備を進めたいというのが当面の方針でございます。
○勝木健司君 寝たきり老人とかあるいは痴呆性老人を抱えておる、ただ単に抱えておる家族の問題だけじゃないんじゃないかということで、マンパワーの問題、ボランティアを初め国民全体で支えていけるような、そういう意識の啓発なりあるいは介護技術の習得など、対応を拡充する必要があるんじゃないかというふうに思います。そういった意味で、お年寄りの介護のために働きたいと考えている人もたくさんおられるんじゃないかというふうに思いますので、そういう方が一体どういう形で、具体的にどうすればそういう職業につくことができるのかとか、あるいはボランティアができるのか、もっとわかりやすいPRも必要じゃないかというふうに思いますが、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(岡光序治君) 委員御指摘のとおりでありまして、私どももPRを一生懸命やっているつもりでございます。例えば、学童生徒につきましてボランティア活動をやっていただこうというわけで、小中高等学校を協力校として指定しております。 平成四年度までの状況を申し上げますと、全小中高校のうちで約一九%程度指定ができたわけでございますが、そういうふうなことをやるとか、あるいはボランティア活動に参加したい方に情報を提供するためにボランティア情報誌を発行して、これは全国で四万部配布しておりますが、そういうことをやるとか、あるいは全国各地でボランティア活動を活発化するためのボランティアフェスティバルというものを開いたり、あるいはボランティア活動を一生懸命やってくださった方に厚生大臣が表彰申し上げるとか、こういうふうなPRをしているつもりでございます。 それから、平成四年度、ぜひともこれはお願いしたいと思っておりますが、地域の人々に老人の介護の啓発とか実習を行う介護実習・普及センターというのを整備したい、こういう拠点をつくりまして介護についての御理解を深め、かつ実践をしていただけたらどうだろうかというふうなことも考えておるわけでございます。 それから、働きたい人のためには人材確保のための拠点をつくりたいということで、そのようなものも全国的に整備をしていきたいと考えておりますが、いずれにしましても、地域の人々、企業の人々、それから学校の学童生徒、あらゆる点に配慮をいたしまして、ボランティア活動なり、あるいは介護の仕事についての理解を深めてもらうように、いろんなところでPRをしていきたいと思っております。
○勝木健司君 私ども民社党は、高齢者や障害者が可能な限りその人の生まれた、あるいはなれ親しんだ家庭や地域で生活を保障するというノーマライゼーションの考え方に立って、個人住宅の改善に対する援助とか、あるいは高齢者、障害者向けの公営住宅の建設促進、ケアスタッフと同居する専用住宅の設置などを政府に強く求めてまいったわけであります。 しかし、政府の対応は甚だ不十分じゃないかということで、例えば個人住宅の改善の援助にいたしましても、住宅金融公庫の通常のリフォームのローンの限度額であります四百九十万円に、高齢者、身体障害者用の設備設置工事費としてわずか五十万円の増額が認められておるにすぎないわけであります。そしてまた、この五十万円でどれだけの工事ができるのかということで、しかもこの五十万円はリフト、キッチンの手すり、フットライト、スロープ、ホームエレベーター等々使途が限定されておるということでありまして、例えば移動ベッドや車いすが通れるように廊下の幅を広げようとしてもこの五十万円を使うことはできないという制限がございます。 そういった意味で、高齢者、身体障害者用の設備設置工事費を、生活大国構想ということであればもっと引き上げていく必要があるんじゃないか、二百万円程度に増額したらどうか、あるいはその使途についてももっと柔軟性を持たせることが必要じゃないかというふうに思うわけであります。 さらにまた、寝たきり老人とか身障者を抱えた場合に、経済的にさまざまな負担がかかっておるわけでありますので、そうした負担を緩和するためにも、返済についてもぜひ低利制度の創設、あるいは期限の延長なども検討していただきたいというふうに思うわけでありますが、これは建設省ですか、見解をお伺いしたいというふうに思います。
○説明員(石井正弘君) お答え申し上げます。 高齢者や身体障害者の方々が暮らしやすい住まいづくりを推進するということは、住宅対策におきましても大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。 ただいま御質問ございました住宅金融公庫融資の住宅改良貸し付けでございますが、これにおきましても、その必要性にかんがみまして、平成二年度から高齢者、身体障害者用のトイレあるいはバスユニットの設置等、高齢者等の日常生活に必要な設備を設けることを目的とする住宅改良につきまして、通常の貸付額に加えまして五十万円の割り増し貸し付けを行っているところでございます。 平成四年度の予算案におきましては、この住宅改良貸し付けの通常貸付限度額、先ほど四百九十万というお話でございましたが、これを五百十万円に二十万円引き上げるということといたしております。それから今申し上げました五十万円の割り増し貸し付け、それに加えましてさらに特別割り増し貸し付けということで百万円がございます。合計六百六十万円の融資が受けられることとなっております。 御質問によりますと、五十万円だけでこれらの工事をどれだけできるのかということでございますが、住宅改良貸し付けにおきましては、高齢者あるいは身体障害者用の設備設置のみを目的とする住宅改良工事におきましても、この六百六十万円全額を利用できるわけでございまして、私どもといたしましては、相当の融資額を確保しているのではないかというふうに考えているところでございます。 それから、もう一つ御質問の金利でございますが、現在、百五十五平米以下の住宅につきましては、特別割り増し貸し付け分を除きまして、当初十年間五・二五%となっているところでございますが、この金利水準は、既存の住宅に対する貸し付けといたしまして、中古住宅購入に対する貸し付けとのバランスに配慮いたしまして、これと同水準といたしているところでございます。 それから、もう一つ御質問の償還期間でございますが、現在二十年以内としているところでございます。最大六百六十万円という貸付額の規模を考慮いたしました場合、一応この二十年ということで適切な期間になっているのではないかというふうに私ども考えているところでございます。 今後とも高齢者、身体障害者の暮らしに配慮した住宅対策に努めるよう進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
○勝木健司君 特別割り増しの百万円の制限規定はあるわけですかな。
○説明員(石井正弘君) 制限規定はございませんので、御希望の方には融資ができることとなっております。
○勝木健司君 それと、車いすとか移動ベッドが入れるような廊下の幅の広さとか、そこら辺にもすべて使えるということで解釈していいんですか。
○説明員(石井正弘君) 今申し上げましたとおり、六百六十万円全体で高齢者、身体障害者用の設備設置ができるわけでございますが、今御質問にございました通路の拡幅というものは、これは高齢者、身体障害者用に現在リストしております貸し付け対象になっておりません。したがいまして、それは一般の住宅改良貸し付け、かようになるわけでございます。五十万円の割り増し貸し付けの対象とはなりません。したがいまして、五十万円を除いた六百十万円分の中で対応していただくことになります。 繰り返して申し上げますと、五十万円というのは高齢者、身体障害者用だけではない、六百六十万円全体がその対象工事になっているということを御説明させていただいているわけでございます。
○勝木健司君 逆に言えば、六百六十万円のうちの五十万円が高齢者、身体障害者用の設備工事費として増額が認められておるということだと思うんですが、それでいいんですね。
○説明員(石井正弘君) おっしゃるとおりでございまして、高齢者、身体障害者用の工事の場合五十万円の上乗せが認められている、そういう説明でございます。
○勝木健司君 大臣、こういうことでいいと思いますか。これからの生活大国構想を実現していく上でもっと増額をすべきだと思いますが。
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように、今の内閣挙げてということで各省庁全部一生懸命やっているわけで、建設省としても精いっぱいのことをおやりいただいていると思っております。
○勝木健司君 今後ぜひ各省庁で検討していただきたいというふうに思います。 寝たきり老人とか痴呆性老人を抱える家庭では、介護疲れのために家庭が崩壊してしまうようなケースも聞いておるわけでありますので、ぜひ家族の在宅介護を支援するための介護休暇制度、これは労働省の問題だというふうにまた返ってくると思いますが、厚生大臣としてこの介護休暇制度の創設についての御見解を聞いておきたいというふうに思います。
○政府委員(岡光序治君) 労働省とよく連絡をとって進めたいと思いますが、私の知る限りで申し上げますと、この介護休暇を普及するために今いろいろと御尽力をなさっているというふうに承知をしております。
○勝木健司君 次に、出生率の低下ということで沓脱先生からも出ておりましたが、これについて若干お尋ねをしたいというふうに思います。 昨年、育児休業法が成立をしてことしの四月から施行されるわけでありますけれども、本当にこの育児休業制度が実効あるものとするためには、やはり保育所の柔軟な運営が望まれておるところであります。 具体的には、育児休業明けに女子労働者が職場に復帰するに際して子供を年度途中に保育所に受け入れてもらえるかということも重要な問題となってくると考えられておるわけでありますが、このような子供の円滑な受け入れの対策、方策についてのお答えをいただきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 育児休業制度の普及定着を図るためには、お話がありましたとおり、育児休業後の職場復帰の際に保育所への受け入れが円滑に進むことが非常に重要であると考えております。 私どもといたしましては、平成四年度の予算案におきまして年度途中入所対策費というものを新しく計上いたしまして、これを活用することによりまして保母さんの確保でありますとか、入所前の児童に対する指導などを保育所が行いまして、円滑な受け入れ態勢の整備が図られるようにいたしたいと考えております。 それと同時に、一定の限度内ではございますけれども、保育所の定員を超えでもこのような場合には子供を受け入れることができるようにするということで、既に都道府県に対しまして私どもの方からその対応についての通知を出しているところでございます。 いずれにいたしましても、この円滑な普及のために保育行政サイドとしても最大限の御協力を申し上げるという形で取り組んでまいりたいと思っております。
○勝木健司君 乳児の保育の問題もクローズアップされてくるだろうというふうに思いますので、この乳児保育の一層の充実が必要になってくるんじゃないかというふうに思います。 これまでの乳児保育の実績と、育児休業法が成立をしたわけでありますので、今後の考え方についてもお尋ねをしておきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) お話がありましたとおり、従来から乳児保育等の特別の保育需要への対応という形で、私ども精いっぱいの努力をしてきておるつもりでございまして、具体的な実績について若干申し上げますと、昭和六十三年度三千三百七十九カ所、平成元年度四千三百四十カ所、平成二年度五千一カ所、それから平成三年度は五千六百六十二カ所、それから平成四年度の予算におきましては、それの六百六十一カ所増の六千三百二十三カ所というものを予定しておりまして、この箇所数というのは実はそれだけの人数の正規保母さんを保育所に配置するという内容でございます。 育児休業制度等の実施に伴いまして、今後乳児保育に対する需要がどのように変わってくるかという点につきましては、ことしの四月以降の実施状況をよく見きわめたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、乳児保育の充実につきましては、今後とも特段の努力をしてまいりたいと考えております。
○勝木健司君 同じように関連してですが、特に就労形態の変化も進んでくるということでありますので、延長保育とか夜間保育という保有需要に対しての対策も必要じゃないかというふうに思いますが、具体的にそこら辺の見解についても、お伺いしておきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 御指摘のとおり、女性の就労の増大でありますとか、あるいは就労形態の多様化などに伴いまして、夜遅くまでの保育、あるいはお母さんが病気の際の保育など特別の保育需要が増大してきていると考えております。 このような状況にかんがみまして、従来から延長保育などの特別保育対策の推進に努めておりますけれども、平成二年度には一時的保育事業というのを新しく創設いたしました。平成三年、昨年の秋でございますけれども、長時間保育サービス事業あるいは企業委託型保育サービス事業、これを新しくスタートをさせております。 今後とも就労形態の多様化などを勘案しながら、就労と育児の両立を支援するためのきめ細かな保育サービスの充実に努力をしてまいりたいと考えております。
○勝木健司君 それでは、公的年金制度の一元化についてお伺いをしたいというふうに思います。 公的年金制度全体を通じて、給付と負担の両面にわたる公平を確保するということで、平成七年を目途に制度の一元化を図ろう、産業構造、就業構造の変化に対応できる財政基盤とするためということで、そういうことを政府はもくろんでおるわけでありますけれども、この方向に沿って六十年改正においては、基礎年金の導入による一階部分の一元化が行われております。さらにまた、平成元年に被用者年金制度間の費用負担の調整措置が行われところでありますが、今後の平成七年を目途にということで、一元化に当たっての政府のビジョンとか、あるいはプロセスについてお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 今お話がございましたように、本格化いたします高齢化社会に向けて公的年金制度の全体を就業構造、あるいは産業構造の変化に対応できる長期的に安定するということが一番大事だと思います。それと給付と負担の両面で公平を確保していく。そして、今お話がございましたように、平成七年には公的年金の一元化を図る。 ただ、率直に申し上げて、制度間にいろいろと必ずしも利害が一致しない面があるかと思いますので、これは一つの大きな問題で、私どもは一元化に向けてそういう問題を除去するために慎重に、かっこういう問題については準備を十分進めてまいりたいと思っております。
○勝木健司君 制度間調整事業については、平成四年度までの間に公的年金制度の一元化を展望しつつ、その運営の状況等を勘案して見直しをするということになっておるわけであります。マスコミ等々でも見直し作業に今着手したとも伝えられておるわけでありますので、その進捗状況について御説明をいただきたいというふうに思います。 あわせて、一元化との関係についても御報告願いたいというふうに思います
○政府委員(加藤栄一君) 今御質問がありました制度間調整事業でございますが、平成四年度までの間に公的年金制度の一元化を展望しつつ、その運営状況等を勘案して見直しを行うということに法律で定められております。この見直しに当たりましては、政府に被保険者、事業主及び学識経験者から成ります検討の場を設置するべき旨の国会の附帯決議をいただいておるところでございます。私どもできるだけ早い時期に関係省庁で協力をいたしまして、政府にこの検討の場を設けるように現在鋭意準備を進めているところでございます。 今後、政府といたしましては、関係省庁間で連携をとりながら、まず平成四年度中に制度間調整事業の見直しを行う、これに取り組んでまいりたい。さらにこの制度間調整事業の運営状況でありますとか、あるいは見直しの検討の推移を見ながら必要な時期に関係審議会、それぞれ制度を所管しております審議会が分かれておりますが、それぞれの審議会での御検討もいただいて、平成七年を目途とする一元化に向けまして準備を進めてまいりたい、かように考えております。
○勝木健司君 次に、厚生年金の在職老齢年金制度についてお伺いをいたしたいと思います。 今後、高齢者雇用を促進していくためには、今の在職老齢年金制度の充実改善が必要じゃないかというふうに思われます。現行制度におきましては、月の給料が二十五万円未満のときは給料により年金が二割から八割支給されることとなっておるということでありまして、高齢者がせっかく働いても年金がカットされてしまう仕組みとなっておるわけでございます。いわゆるノッチ問題ということで、賃金と年金の合計額が減額率の変わる賃金水準の前後で逆転するという問題も生じておるということで、高齢者の方から働く意欲を失うというようなことも聞いておるわけであります。 そこで、なぜこのような制度になっておるのかということと、時間が余りありませんので、高齢者の方々の勤労意欲を増大させるためにはこの制度を改善すべきじゃないか。例えば給与が増加すれば給与と年金の合計所得が増加するような、制度の仕組みを一度手直しをするべき時期に来ておるんじゃないかというふうに思いますし、また、標準報酬月額の上限の引き上げとか、あるいは支給割合段階の増加なども検討ずみ時期に来ておるんじゃないかというふうに思いますが、あわせて御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(加藤栄一君) 老齢厚生年金に在職老齢年金制度が設けられているわけでございますが、退職年金でございますので、原則としては働いておられます方は被保険者でございますので、制度に加入いたしまして保険料もお払いになっておりますので、退職した後より多くの保険給付を受けられるということを期待されるわけでございますけれども、ただ、高齢者、特に六十歳から六十四歳の方におかれましては、在職中の方でも賃金が一定以下の方についてはできる限り生活の保障をしていくという観点から、今申し上げましたような在職老齢年金、先生御存じの賃金額に応じて年金額の一定割合を支給する、こういうふうな制度の仕組みになっておるわけでございますが、もらわれる方の方からごらんになりますと、年金額がカットされる、こういう逆からごらんになるということなんでございます。 在職老齢年金につきましては、私どもも高齢者雇用促進の観点に配慮して考えていかなければならないということは当然と思っております。したがいまして、平成元年の法律改正におきまして、支給範囲を拡大いたしますとともに、支給割合の刻みを、それまで三段階でありまして、刻みが少ないと刻みの前後で、今先生おっしゃいました逆転現象も生じがちでございますので、それを七段階にふやすという改善措置を講じたところでございます。 しかしながら、まだそういう意味では働けば働くほどふえていくという度合いの問題ということではいろいろと御意見もございます。今後私ども次の財政再計算に向けていろんな問題について検討に入ろうとしているところでございますが、在職老齢年金のあり方を含めまして、高齢者雇用と年金制度のあり方の関係につきまして、どのような対応をしていくべきかということを今後慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
○勝木健司君 時間が参りましたので、余り質問はできませんけれども、障害者のことで若干お尋ねしたいと思いますが、現在障害者の対象には入っておらないわけでありますけれども、いわゆる小人症の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。 小人症の方々が、機能障害ではないけれども、働く場所がないとか、お嫁に行けないとか、非常に苦労をされておるというふうに聞いておるわけでありますので、ぜひこうした方々を身体障害者の対象として取り入れていただきたい。公的助成の対象に入れていただくということが必要じゃないかということで考えておるわけでありますので、厚生省の考え方を聞いておきたいというふうに思います。 あわせて、労働省からも来ていただいておりますから、こういう人たちの雇用対策についてどのような対応をされておられるのか、お聞きをしたいということと、障害者のリハビリテーションの事業の対象にこの小人症は入っておるのかどうかということで、おらないということであれば、ぜひ入れていただきたいということで、あわせてお尋ねをしたいというふうに思います。
○政府委員(末次彬君) 小人症に係ります身体障害の認定につきましては、昭和五十七年三月の身体障害者福祉審議会の答申の中で、小人症等「社会的不利を有するもの一般を身体障害者の範囲に含めるべしとする意見もあるが、これらについては一般的に身体障害者として取扱うべきものではなく、個別的に障害の程度によって施策の対象とすることが適当であろう。」という御意見をいただいております。こういう観点から、小人症によります関節の拘縮のために可動域の制限等の身体障害を伴う場合、こういう場合につきましては、身体障害者手帳の交付を現在行っておるところでございます。
○説明員(坂本由紀子君) 障害者の雇用の促進等に関する法律におきましては、障害者を「身体又は精神に障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」というふうに定義をいたしております。したがいまして、小人症の方につきまして、この定義に該当するような方におかれましては特に手厚い雇用対策の対象にしておるところでございます。 とりわけ、職業リハビリテーションといたしましては、公共職業安定所におきまして専門の職員が求職登録制度を活用いたしまして、ケースワーク方式によるきめ細かな職業指導、職業紹介を行っております。 加えまして、各地域に置かれております障害者職業センターで、それぞれの方の能力の評価でありますとか、あるいは職業準備訓練、職業講習等を行っておるところでございます。
○勝木健司君 時間が参りましたので、あと大臣に見解をお伺いして質問を終わりたいというふうに思います。 厚生行政とか福祉行政に責任を負っておられる山下厚生大臣でありますが、やはり障害者が一般社会と共存できるノーマライゼーションの世の中こそ宮澤内閣の掲げる生活大国のあるべき姿じゃないかというふうに思います。先ほどもありましたように、障害者の十年終了後に厚生省としてどういう対策を重点に打っていくのか。例えば障害者の日を祝日にする等、もっとダイナミックな啓蒙活動も必要じゃないかというふうに思うわけでありますが、お伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 障害者対策に関する長期計画というものをつくりまして、後期の五年間について重点的にやってまいりましたが、先ほども御答弁申し上げましたように、ことしは十年の仕上げの年でございますから、一つの区切りでございます。振り返ってみて、これでよかったかなという反省とともに、今まで積み上げてきた実績に基づいて、その上にどうやっていくかということは、国連がやるかやらないかにかかわらず、日本は日本としてやっていかなきゃならぬ。あるいは国連がまた何かやるかもわかりませんが、私どもはそれも期待しながらも、やはり我々は我々でやるという腹を決めてやっていく。 もう一つは、アジア・太平洋地域において十カ年計画をやるやに聞いておりますが、正式にはまだ何も私どもの方に報告は来ておりません。それはそれなりにまた非常に意義のあることで、特にそういう場合においては、アジア・太平洋地域で日本が中心になっていかなけりゃならぬという、日本の置かれておる立場からこういう問題を進めてまいりたい。 いずれにしましても、十カ年で終わることなく、これを基盤としてその上にさらに積み上げていくという、そういう気持ちでやっていきたいと思っております。
○勝木健司君 終わります。
○委員長(田渕勲二君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。 ―――――――――――――
○委員長(田渕勲二君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山下厚生大臣。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 政府管掌健康保険につきましては、昭和五十六年度以降黒字基調で推移してきており、積立金も平成三年度末には約一兆四千億円の規模に達することが見込まれております。今回の改正は、このような財政状況を踏まえて、一層の財政運営の安定を期するため、現行の財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率について所要の調整を行うものであります。 また、これにあわせて、出産手当金の支給期間の改善を図るほか、今後の高齢社会を見据えて、健康保険制度及び国民健康保険制度等の重要な諸問題について早急に検討に着手するため、新たに政令で定める審議会として医療保険審議会、(これは仮称でございますが、)を創設すること等の改正を行うことといたしております。 以下、この法案の主な内容につきまして御説明を申し上げます。 第一は、政府管掌健康保険の中期的財政運営の安定を図るための措置についてであります。 現行の単年度ごとの収支均衡を前提とした財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改め、その間、短期的な景気変動等の影響を受けない安定的な保険料率を設定することとし、この場合、単年度における収支を調整する機能を果たす資金として事業運営安定資金を創設することといたしております。 これに伴い、中期的な財政運営の安定が確保される範囲内で、保険料率及び国庫補助率を調整することとし、保険料率については、現在の千分の八十四を引き下げ、法律上千分の八十二に改めるとともに、国庫補助率については、老人保健拠出金に対する国庫補助率現行千分の百六十四は据え置くこととし、その他の保険給付に対する国庫補助率について、当分の間千分の百三十とすることといたしております。 第二は、出産手当金の支給期間の改善についてであります。 出産手当金の支給期間については、分娩の日前四十二日、分娩の日以後五十六日以内において労務に服さなかった期間支給されることとなっておりますが、分娩が予定日よりおくれた場合でも、このおくれた期間について支給すること等の改善を図ることといたしております。 なお、これにあわせて、政令で定める現行の分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額についても二十四万円に引き上げることとしております。 次に、医療保険審議会の創設についてであります。 現在、国民健康保険については、専門審議会が設置されていないことから、社会保険審議会を発展的に改組し、健康保険事業、船員保険事業及び国民健康保険事業に関する重要事項を審議するため、新たに政令で定める審議会として医療保険審議会を創設することといたしております。 以上のほか、標準報酬等級の下限の改定及び上限について現行政令で定めている部分を法定する等の改正を行うことといたしております。 最後に、この法律の施行期日は、本年四月一日からとしておりますが、審議会の創設に関する事項は、公布の日から三月を超えない範囲内で政令で定める日から、標準報酬に関する事項は、本年十月一日からとしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、政府は、この法律の施行後、政府の管掌する健康保険事業の中期的財政運営の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の健康保険法附則第十二条の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の規定を置くこととする修正が行われております。 何とぞ、慎重に御審議を賜りまして、速やかなる御可決を賜らんことをお願い申し上げます。
○委員長(田渕勲二君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、衆議院厚生委員長代理理事池端清一君から説明を聴取いたします。池端君。
○衆議院議員(池端清一君) 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。 修正の要旨は、政府は、この法律の施行後、政府の管掌する健康保険事業の中期的財政運営の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、新健保法附則第十二条の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(田渕勲二君) 以上で趣旨説明の聴取並びに修正部分の説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会