建設委員会 第4号
- 発言数
- 201 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1992/04/16
会議録
○委員長(山本正和君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る八日、國弘正雄君が委員を辞任され、その補欠として青木薪次君が選任されました。 また、去る十日、中川嘉美君が委員を辞任され、その補欠として及川順郎君が選任されました。 また、昨十五日、松本英一君が委員を辞任され、その補欠として小林正君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回、本案の趣旨説明は聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○青木薪次君 公有地の拡大の推進に関する法律でありますが、我が国はアメリカとの間に平成三年から十年間、紀元で言えば二〇〇〇年までに四百三十兆円に公共事業を拡大いたしましておくれている社会資本を何としてもストックさせていく、こういう建前でやっているわけでありますが、これはもう日米両国がフォローアップされているわけでありますからいいかげんなことはできないということであるし、そのこと以外に貿易摩擦を解消するということについては当面いろんな知恵は見当たらないので、いわゆるおくれている社会資本をストックさせる機会としては余りないのではないかと言われるくらい重要な問題としてこれが提起されているわけであります。 今回の改正の問題点としては、いろいろあるわけでありますが、主として届け出とかあるいはまた申し出にかかわる対象に都市計画区域外に存する都市計画施設の区域内に所在する土地を加えた理由というものについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(伴襄君) お答え申し上げます。 今回の法律で都市計画区域外に存する都市計画施設の区域内に所在する土地を先買いのための届け出、申し出の対象にした理由は何か、こういうお尋ねでございます。 一般的に、都市計画施設の整備を進めていくためにはその施設用地の先行取得は極めて重要でございます。それは都市計画区域の内外を問わず大事だと思っておりますが、他方、近年、市街化が進展しているあるいは交通量が増大するというようなことで、例えば特に都市間を連絡する高速道路あるいはバイパス、そういったものをつくるわけでございますけれども、それが往々にして都市計画区域外ということが多いわけでございます。それから、大規模な公園だとかあるいは下水道処理場等も都市計画区域内になかなか用地が見つからないということで都市計画区域外に立地するというようなことが多うございまして、こういったケースがかなり出てきております。 そこで、こういったものの施設の用地をどうして取得するかということが問題になっているわけでございまして、今後ともこうしたケースはますますこれからもふえると思われますので、こういった都市計画区域外の都市計画施設の用地を確保するためにも、現行法の公有地拡大法の先買い対象は都市計画区域内の都市計画施設用地等に限られておりまして、場面があくまで都市計画区域内と限られておりますので、この際、都市計画区域外の都市計画施設用地で、例えば高速道路の都市計画決定してあるところとか大規模の公園の予定地とか、そういったところにつきまして先買いを進めたらどうか、したがって、それを公有地拡大法の届け出なり申し出の対象にしたらどうかということで、今回この対象区域を広げるという提案をさせていただいているところでございます。
○青木薪次君 今回の改正の二点目として、特定公共用地等の先行取得の資金融資制度がありますが、この制度の趣旨というものについて簡単に説明してもらうと同時に、百五十億ということが言われております経費のひねり出しはどこから出すのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(伴襄君) この今回の特定公共用地等先行取得資金融資制度でございますが、これはもう既に県等でつくっております土地開発公社に対して先行取得するときに低利の融資をしようということでございます。これは、例えば補助事業とかあるいは県単の事業等につきましてはそれぞれいろんな資金の手当てがございますけれども、例えば土地開発公社が直轄の道路の用地とかあるいは公団の用地とかそういったものを取得するときには特に恩典がないわけでございます。しかし、土地開発公社にそういうのにかわって取得していただくというようなこともございまして、そういったところをねらって低利資金を融資したいというようなことを企画したわけでございます。 今回のこの融資制度の中身でございますけれども、国費を十億円入れまして、それに財投資金、これは六十五億と考えておりますけれども、合わせて七十五億を土地開発公社に貸す。そのときに同額の資金を地方の方でも用意していただく。地方の財政資金、例えば土地開発基金等がございますので、そういったものから同額を用意していただいて事業規模の確保を図ったわけでございます。十億と六十五億で七十五億、それに地方の資金が七十五億入りますので、百五十億円。これでもって今回発足する予定であります先行取得資金融資制度を応援していきたいというふうに考えているところでございます。
○青木薪次君 これは百五十億ということで画期的な提案だとは思いますが、これだけでは限られたものであって限度があると思うのであります。その点はいかがですか。
○政府委員(伴襄君) こういう資金はなるほど多々ますます非ずというところがございますけれども、今回もいろいろ努力いたしまして、国費十億、それから財投資金六十五億にプラスして地方の資金も応援していただくということで百五十億、そういうことで極力事業規模の拡大には努めたわけでございます。 特に今回企図しておりますのは、例えば相続が起こったとかあるいは事業を転廃業するとかいうようなことで土地を手放したいといったときに機動的に手当てをする必要があるわけでございますが、なかなかその賃金の手当てができていない場合がございましたので、そこで、そういうスポット的な土地買いにはこういうのを優先的にやったらどうかと思っておりまして、したがいまして、事業予定地内のそういうスポット的に出てきた地権者からの買い取り請求に対応していくという意味ではかなり広範な地域での活用が可能かと思っております。 今回、こういう形で発足させていただいて、実際の資金需要、これはこれからいろいろ出方を見る必要があると思いますので、それを見きわめながらこの制度の資金の充実についても一層努力していきたいというふうに思っております。 それから、こういう用地の先行取得につきましては、この制度だけではございませんで、いろんな総合的な公共用地対策が必要かと思っております。したがいまして、例えば代替地情報についてプールしてそれを連絡するとか、あるいは税制の応援をいただくとか、場合によっては土地収用法の活用をするとかといったいろんな形の公共用地対策があるわけでございますから、そういった中でこの制度の的確な運用を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○青木薪次君 今回は都市計画区域外に存する都市計画施設の区域内の土地を対象に入れて、かつ融資制度を創設したわけでありまするけれども、将来、総事業費としてどれくらいの規模を予定ないしは希望しているのか、お伺いしたけと思います。
○政府委員(伴襄君) これは実際に運用してみないとわからないところがございますが、基本的には当年度の予算で公共用地の取得費を手当てするというのが一点ございます。それから、五年ぐらいの範囲内ですと、用地国債と言っておりますが、用地の取得のための国庫債務負担行為でやるという手がございます。そういった中で、今回のこの制度は五年よりもう少し手前の用地取得を考えたいと思っておりまして、発足させていただいてその運用を見ながら必要額を探っていきたいというふうに思っておりまして、必要な額を欠かせることないように運用をしながらそこを見きわめていきたい。 したがいまして、今のところ額が幾らぐらいかというようなことはちょっとここで具体的数字としてお示しするわけにいきませんけれども、いずれにいたしましても、今後の規模の推計がちょっと今の時点で難しいものですから、今後の財政事情だとか先行取得の必要性とか、そういうこと等を勘案しながらこの充実に努力していきたいというふうに考えております。
○青木薪次君 今の先買いによるところの用地取得の現状というものについては、どれくらいの率になっていますか。
○政府委員(伴襄君) 今必要な用地量は年度当初に実際に手当てしております用地量で、その時点からどのぐらい先まで事業ができるかというようなことを出しております。それを我々は用地ストック率と言っておりますけれども、それが五十年代の後半ごろは一・回近く、一・四倍、要するに一・四年分ぐらいございました。最近それがダウンしてまいりまして、一年分を割ったこともございますが、また最近やや持ち直してきております。 いずれにいたしましても、一年分をやや上回るような程度のストックを用意しておるわけです。したがってそれが先買い分になっておりまして、大体一年分ちょっとぐらいのところをストック量としては先買いして確保しているというところでございます。
○青木薪次君 農業水産省に聞きたいんですけれども、農振法十七条で、農用地を農用地以外の用途に供することはいかなる場合であってもできないということになっているわけでありますが、この点はいかがですか。
○説明員(上木嘉郎君) お答え申し上げます。 農振法十七条におきましては、農用地区域内の農地、採草放牧地につきまして農地法による転用の許可をするに当たりましては、農用地利用計画に規定された用途以外の用途に供されないようにしなければならない、こういうふうに規定してございまして、農用地利用計画におきましては、農地だとかあるいは採草放牧地であるとか混牧林地だとかあるいは農業用施設用地だとか、こういうような用途の区分が農用地区域内の土地について行われておるわけでございまして、今申し上げましたような用途以外の用途に供されるような農地転用の許可は行われないということになるわけでございます。
○青木薪次君 そうしますと、先ほど伴局長の話によれば、公団が取得するとか、あるいはまた公団の取得したものを県、市町村の開発公社が買うとか、あるいはまた開発公社が直接農用地を買う、もっと単純に言えば、調整区域と言った方がいいかもしれないが、そういうようなものを買うということを対象にして、例えば出たら買いといったような、先ほど話のあったような後継者に譲るとか商売をやめたとか、そういうような場合に買ってもらうというようなことでこの法律が出ているわけですよ。それで、大臣、この法律は閣議で決まったんでしょう。したがって、それらの問題はクリアしていなきゃいかぬということになるわけですけれども、その点はいかがですか。
○説明員(上木嘉郎君) ただいま農振法の十七条の規定につきまして御説明を申し上げましたが、農地転用の許可を要するものにつきまして、その転用許可の処分に当たっての判断基準として農振法の十七条は規定されておるわけでございまして、例えば道路公団が道路の敷地に供するというもののために取得する場合には、これは農地法第五条の許可不要というような取り扱いになっておるわけでございますので、十七条の世界に入ってこない、こういうことでございます。もともと道路公団が道路の敷地の用に供するために農地を取得するという場合には農地法の許可は不要でございますので、農振法の十七条の世界に入ってこない、こういうことでございます。 したがって、現在農用地区域内にある農地であっても、道路公団が道路の用に供するというようなそういうことは論理上可能であるということでございます。そういうものにつきましては、実際上の行政運営としては、その部分は農用地区域から除外していく、こういうようなことに相なろうかと思います。 そのほか、道路公団以外にも、主体の公共性と事業目的の公共性の両面から、具体的な転用に係る事業計画を持っているものにつきましては、種々、農地法第五条の転用目的での許可につきまして許可不要という取り扱いをしているわけでございます。
○青木薪次君 しかし、農地法では、例えば県は農地を取得してこれを保持することができるけれども、開発公社、市町村は持てないということにきっちりできていると思うのでありますが、その点はいかがですか。
○説明員(上木嘉郎君) 御指摘のとおり、農地法におきましては国、都道府県は農地法の三条ないし五条の許可につきまして許可不要、こういう取り扱いをしておるわけでございます。 農地法三条、五条においてそういうような取り扱いをしておりますのは、国、都道府県はそれぞれの行為につきまして規制ないし指導監督をする立場にあるわけでございまして、それぞれの規制目的に反するようなそういう事態を招くおそれがない、こういう判断のもとに、そういう許可不要という取り扱いをしているものであるというふうに考えられます。 また、市町村につきましては、都道府県と同様の取り扱いをしてないわけでございます。市町村につきましては、市町村が具体的に、例えば公共育成牧場をつくるとか、あるいは育苗のための施設をつくるとか、そういうような具体的な耕作の目的を持って取得する場合にはもちろん許可されるわけでございますが、要するに、具体的な利用計画がないままに取得するということは認められておりませんし、もちろん許可不要ということにはなってないわけでございます。 その点につきましては、土地開発公社についても同様であるわけでございます。土地開発公社の場合には、御承知のとおり、今申し上げましたような公共育成牧場とかなんとかいうようなものをつくるとかあるいは管理するとか、そういうような機能が与えられてないわけでございますので、農地法三条の世界で農地を取得するということはまずあり得ない、こういうふうに考えます。
○青木薪次君 そうすると、伴局長の言ったことと矛盾すると思うんですが、いかがですか。
○政府委員(伴襄君) 都市計画区域外で農地の可能性が大いにあるんじゃないだろうかという御指摘かと思いますが、もちろん農地でないところもたくさんあるわけでございまして、その点は今でも問題はないだろうと思いますけれども、現在、今農林省の方から御答弁あったように、公有地の先行取得業務で農地法上どう取り扱うかということで、特に公社がみずから買う場合、もちろん公社がみずから事業をやる場合はいいわけでございますけれども、例えば国の直轄のためあるいは公団のために買う場合には、公社みずから農地転用を行わないわけでございますので、そこで今の現行の農地法上では不耕作目的で農地を取得するという問題になってしまうので、農地法上の根幹にどうもかかわる問題ということでございます。したがって、国とか公団とかが直接やる場合はともかくとして、肩がわりするという場合には難しい問題と思いますけれども、今後こういった形の先行取得はいろんな場で必要でございますので、農林省を初めとした関係省庁ともよく協議して何とか解決の可能性を、今すぐというのは間に合わないと思いますけれども、可能性を探っていきたいというふうに思っているところでございます。
○青木薪次君 しかし、きょうは法案を決めるんですよ。その中で、先行取得ですから、これは事業計画、農用地転用に対する許可を、ここでこういうために農用地を買いますよということだったら、これは百歩譲っていいということも考えられる。いわゆる農振法十五条の十五によって大体目的がはっきりしてくる。しかし、現状ではなかなかそうはいかない。将来何か代替地とか、将来ここを何とか、道路が通るようになるかもわからぬとかいうような大枠でもって農地を開発公社が買うということ自体ができないし、また持つことができない。この点について、農林省はいかがですか。
○説明員(上木嘉郎君) 農地法におきましては、具体的な転用目的を持って事業計画を策定し、その権利取得主体がみずからその事業の用に供するという場合には農地法の五条の許可が受けられるわけでございますが、それ以外のものはすべて農地法三条の許可を要する、こういう構成になっておるわけでございます。 三条の許可の眼目と申しますのは、不耕作目的での農地取得の禁止ということでございまして、具体的な利用計画もなしに投機的な目的とか資産保有目的で農地が取得されることによって農地が遊休化することを防止する、それによって農業の生産力を維持増進する、こういうことであるわけでございまして、伴局長から今お答えがございましたように、非常に農地制度の根幹にかかわる問題であろうかと思うわけでございます。 私どもこれまでに、みずから事業の用に供するということを基本にしながら、例えば宅地分譲をやるといった場合には、最終の利用主体は別の人になるわけでございまして、その人に譲渡するということを目的にするわけでございますが、それは事業完了後遅滞なく最終的に利用する主体に譲渡されるというようなことが担保される場合には、これは農地法第五条の許可在するというような取り扱いをするようにいたしておりますが、実際に事業の用に供するまでに相当の期間遊休地化するということが生ずるおそれがあるわけでございまして、これはまあ違法行為になるわけでございますが、現に今までそういうような事例があちこちで出てまいっております。 どういうような形で公共事業の円滑な推進ができるかということにつきましては、今後さらに検討はしてまいりたいと思っております。
○青木薪次君 建設省も農林水産省も私の質問に対して的確に答えていないというように言うことができると思うんです。 大臣、こういう問題について、建設省と農林水産省の関係というのは立場が非常に異なるという、その辺は理解いたしますけれども、この辺について調整してその結論をひとつ後で説明してもらうということがなければ、そのことがやっぱり明確に納得できるようなことにならなければ、私はこの法律を認めるわけにいかないということになるわけです。 したがって、その点については、方向性というものはいいが、今の農地法なり農振法なりをいろいろ考えた場合に、いわゆる今度の法律の眼目というものは、端的に言えばこれは都市計画区域外に存する農用地ですが、これを取得するということが目的で出されているんですから、そういう点については、開発公社は持てないんですから、そういうことで、しかも先にこういうことになるらしいぐらいのことで農用地を手放すことはできないことになっているわけですから、そういう点から考えてみて、後でこの問題について調整した結論を責任を持って説明してもらいたいということを注文として申し上げて、まだもう少しやりたいけれども、時間がないからきょうは私の質問は以上でもって終わりたいと思います。
○小林正君 公拡法の関連について御質問させていただきたいと思いますが、初めに建設大臣にお伺いをしたいと思います。 八七年の四全総、いわゆる東京一極集中という状況の中から地価狂乱というような事態を招来いたしまして以後、各自治体が用地取得には大変困難な中でさまざまな努力をされてきているわけでございます。そもそもというところからまいりますと、土地というものが公共財であるという概念というのはずっと長い間日本の歴史の中では位置づいていた。しかし、明治のいわゆる地租改正から所有権というものにかなり大きなウエートが置かれるようになって、今日、土地神話と言われるような事態になって、言ってみれば土地の価格については右上がりのカーブが永遠に続くというようなところからさまざまな投機的な問題が出て、大きく社会問題化してきた。 そのことに着目をして八九年に土地基本法というものが制定をされて、新たな国土概念というものを持とうということが与野党の合意の中で出てきたわけです。なかんずく本院では、土地基本法の十二条の二項というところで公有地の拡大ということを、当時、自民党の皆さん方、衆議院段階では合意を得られなかった問題について参議院段階で修正をされたというような経過があるわけですけれども、こうした過去の経過を踏まえて、今日、公有地拡大の改正案が提起をされるに至った経過と今後へのねらいといったようなものについて、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま先生が御指摘されました土地基本法改正の経過については私も勉強させていただいたところでございますが、今回の公拡法の改正法は、公共投資基本計画が策定をされたことを機といたしまして、公共用地の先行取得や代替地の確保のための方策について総合的な検討の成果の一環といたしまして、先買い制度の一層の活用を図るという見地から行うことにいたした次第でございます。 今度の法改正の中では、第一点として、現在、先買いの対象とされていない都市計画区域外の都市計画施設が増加しておりますこと、第二点といたしましては、こうした先買いを主として行っている土地開発公社に対する資金的な支援が必要であることにかんがみまして、本法の先買い対象区域を拡大いたしますとともに、先買いを行う土地開発公社に対しまして都市開発資金の貸し付けを行うこととするものでございます。 ただいま申し上げましたとおり、公共投資基本計画が策定をされまして、公共用地の確保が極めて重要なポイントになってまいるわけでございます。この点がネックとなりまして公共投資基本計画の遂行に障害を生ずるということを何としてもできるだけ解消いたしたいという念願のもとにこのような新しい施策を行おうとするものでございますので、御理解をちょうだいいたしたいと存じております。
○小林正君 さっき申し上げました国土概念といいますか、土地は公共財であるという基本認識の国民的な合意形成ができれば、この用地取得というのはかなり理解と協力を得ることが可能なわけです。ところが、労働生産物でない土地に対する所有権というものが諸外国と比べますと日本では非常に意識が強いですね。これはあくまでも利用して価値が生ずるものだということがその共通認識になっていれば、全体のものになるんだということからするとかなり理解が得られるはずのものであるわけですけれども、そこのところがなかなか得にくい。そして憲法二十九条で言っている憲法上の問題が前面に出てきて、公共の福祉という概念がなかなかこの土地利用に関して国民的な合意を得るのに難しい局面があると思うんです。 各自治体もいろんな取り組みをされていますけれども、そのところの隘路についてどういうことが考えられているのか、この間の経過を含めまして御見解があれば伺っておきたいなと思います。
○政府委員(伴襄君) 私どもの公共用地確保の問題意識といたしましては、一つは必要な用地量、ストックが減ってきている。したがって、事業をやろうというときに必要な用地が確保できてないといったような点がございます。それから、いろいろ用地交渉をいたしますときに価格の点で御不満があったり、特に最近、傾向的には、先生が御指摘のような土地を保有したいという御意向が強いということもあろうかと思いますけれども、代替地を求める、代替地が欲しい、代替地が提供されるなら応じるといったようなケースがかなりございます。 そこで、一般的にはこのストック量を確保したいということと、それから代替地対策をどうするかといったようなことを一番大きな課題として考えているわけです。 もちろん今回提出させていただいておりますこの法案はそういったことにもかなうわけでございますけれども、公共用地対策はこれだけでございませんて、いろんな手当てをする必要があろうと思います。その一つの大きなところは例えば税制でございまして、税制につきましても今回の平成四年度の税制改正でも公共用地の取得については代替地の取得も含めていろんな手当てをしていただいておりますけれども、そういったこととか、それから予算の措置では、国庫債務負担行為、用地国債と言っておりますけれども、それの拡充ということも大事なことでございますので、これも毎年のように伸ばしていただいておりまして、今回もかなりの割合で伸ばしていただいております。 そのほか、代替地の取得のためにはいろいろな情報交換をするというような必要もありますので、それに対する対応だとか、ネックはいろいろございますけれども、大きく分けて今のような大きな二つのネックがございますので、それに応じて今回の法案を含めたいろんな総合的な公共用地対策をつきまぜながら対応していくというふうに今考えているところでございます。
○小林正君 日本と基本的に土地概念が違っているので直接的な比較ができるかどうかわかりませんけれども、例えば北ヨーロッパの諸国、それからドイツ、フランス、イギリス、こういう国々の公有地の占める割合はどの程度になっておるんでしょうか。
○政府委員(伴襄君) 今、ドイツというふうにたしかおっしゃったと思いますが、かつてはかなり積極的にドイツなどでは土地の公有化を図っていた時期もあったというふうに私ども聞いております。ただ、ちょっと今どの程度かというのはよくわからないんですが、どうもこの公有地政策というのは国によっても違いますし、また同じ国でも時代によってかなりぶれている点がございますので必ずしも把握できないでおりますけれども、我が国の場合は、国有林がかなりのウエートを占めておりますけれども、今、少なくとも国土面積の三分の一以上は国有地であるというふうに思っております。 ちょっとドイツとかその他の国がどの程度であるかというのは承知しておりません。申しわけありません。
○小林正君 都市計画とか町づくりとか、そういう点でいうと、広大な面積の公有地を持っていてその地域の住民の皆さん方との大変な討議を含めてみんなで町づくりをする、そのための条件を整える公有地を持っているわけです。そういうことから統一的な町ができてくる。そういう点で考えると、日本の場合には先ほど申し上げましたような経過からなかなかそれは困難だということがあると思うんです。したがって、今後の国土利用というものを考えたときに、やはりそうしたものを優先させていくという基本的な考え方が必要ではないかなというふうに感じているわけでございます。 そういう点で、今後ゆとりとか豊かさとかということ、そしてまたそれが実感できるような、宮澤首相も生活大国の実現ということをおっしゃっているわけですけれども、そういう立場からすると、計画区域外への対応ということでよく指摘をされるのは、道路とかダムという大きなプロジェクトといったような観点での問題、それも重要だとは思いますけれども、やはり生活者の空間をどう快適なものにするかという視点からの対応ということで自治体がそれぞれ努力、工夫をされている経過もあるわけなんで、そういう公有地拡大ということになりますと、国民も積極的にそういうことならいいじゃないかという話にもなってくるんじゃないかなという気がするわけです。 例えば駅前の関係でいうと、日本の風景としては、駅前にあるのは銀行、リクルート、それからパチンコ屋さん、どこの町でもそんな風景が見られるということなんですけれども、それが結果として私権が横行した一つのあらわれであるわけでして、むしろ全体のものとして使えるような公共的な空間として、本当に利用者のためになるようなものとして自治体としても取り組みたいと思っているわけですけれども、なかなか隆路があってできない。そういうような視点から、今度の法案がそうしたものへも目を向けていくきっかけになるのかどうか、ぜひお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(伴襄君) 先生御指摘のとおり、一般的に、いろんな開発を進めていくのに、例えば種地となるような公有地を持っておるとかあるいは公共空間を持っておるということは大事なことだと思っております。一般論としては、そういうふうにできるだけ国公有地を確保していくことは大事なことだと思っております。 しかし、一方では、先買いをやりますときには、いろんな私権制限も伴っておりますので、買い取りの協議に入るときには具体的な利用目的を示して買い取り協議に入るというような規定になっておるわけでございまして、したがって、それは恐らく余り使う見込みのないような不用な土地を地方公共団体が抱え込むことのないようにというような配慮が一方にあるんだろうと思います。したがいまして、きちんとした利用計画を立てて、そしてその利用計画に合うような必要な公有地はどんどん確保していくということかと思っております。 今回のこの法改正では都市計画区域外のところで公有地拡大ができるようにしていただくようなあれになっておりますが、加えて、今現在二百平米以上の土地については申し出できるようになっておりますけれども、その規模の引き下げ等も考えまして、幅広く公有地の拡大を、この法改正だけではなくて、例えば政令改正とか、そういった面でも対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○小林正君 先ほどの青木委員の御質問に対して、事業用地についてストックが一・四、そしてひどいときは〇・九幾つと、私もその折れ線グラフを見せてもらいましたけれども、大変厳しい状況だなというふうに思うんですが、実際にすぐ今使うということでの手当てということではなくて、やはり五年なり十年というものを展望してストックができるような条件づくりということが本来の意味での公有地拡大ではないかなと考えているわけでございます。 次へ移りますけれども、大蔵省にお尋ねします。 公有地拡大に協力する土地所有者に対する土地譲渡所得税についてなんですけれども、二分の一軽減というものもありましたが、いわゆる租税特別措置法による特別控除額千五百万円、これは大幅に引き上げるべきだというふうに思うんです。いかがでしょうか。 自治体から国への要望としても、公共事業用地の取得促進ということで、地価高騰などの影響でその取得が困難となっている事業用地を円滑に確保し都市基盤整備を進めるために税制上の優遇措置の拡充ということが指摘されておりまして、特に事業を特定しない代替地の先行取得に対する特別控除の適用及び譲渡所得の特別控除額の引き上げをという要望も出ているわけでございます。 このことについて、大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(窪野鎮治君) 御説明いたします。 御案内のように、先般の土地税制改革におきましては、土地基本法が定める土地についての基本理念を踏まえまして、土地に関する税負担の適正公平の確保という観点、それから土地政策の一環としての税制、こういう二つの視点から総合的な見直しか行われたところでございまして、土地譲渡益課税につきましてもそういう観点からの検討が行われたわけでございます。 御指摘の土地譲渡所得の特別控除のあり方についてもいろいろな議論が行われましたが、特別控除の適用によりまして土地譲渡益のかなりの部分が課税対象から除かれているという点からの税負担の公平確保という観点からの問題、それから、一定の金額までの譲渡益について税負担を求めないということになるために土地の切り売りを助長しかねない、こういう問題点が指摘されまして、特別控除につきましてはその水準を据え置く、こういうこととされたところでございます。 ただ、しかしながら、税率の方におきまして、一般の土地譲渡益に対しましては一律三〇%の税負担を求めるという適正化が行われたわけでございますが、その一方で、公共用地の確保あるいは優良住宅地の供給を促進する観点から、この目的にかなう土地の譲渡につきましてはその軽減税率を従前の二〇%から一五%に引き下げたところでございます。したがいまして、現在千五百万円の特別控除が適用されているいわゆる公的主体に対する土地の譲渡につきましては、この千五百万円の特別控除に加えまして、今申し上げました一五%の軽減税率が適用されることとなるわけでございます。 こういうことで、先般の土地税制改革におきましては、このように公共用地の確保といった土地政策の面については最大限の配慮をしているというふうに申し上げることができるかと思います。
○小林正君 この千五百万円というのが決まったのはいつでしたかね。
○説明員(窪野鎮治君) 五十年度改正で千五百万円になっております。
○小林正君 私は、自治体の用地を取得するのに隆路となっている税制上の問題をできるだけ自治体要望に沿った形で対応していくというのが、公有地拡大へ向けての大変大きな課題だろうというふうに思うわけです。そういう点で、もう既にかなりの年月がたっている一千五百万円が、ほかの措置とあわせて対応ということで、このままですというお話ですけれども、予算委員会の中でもこの問題が指摘をされてもおりましたので、ぜひ御検討をいただきたい、このように思っているところでございます。 次に、土地の情報登録制度の問題についてお伺いをしたいと思います。 先ほど伴局長の御答弁を伺っている中で代替地の情報システム云々というお話もございましたけれども、実は横浜市が二十一世紀プランの中で、二十一世紀の街づくり土地情報登録制度、あなたの土地が横浜の未来を育てますということで、横浜市内の地主の皆さんに土地情報を登録していただく、こういうことで平成二年の十一月からこれが発足をしているわけです。このことを通して既に平成二年十二月から平成四年の三月三十一日までの間にここで登録されておりますのが八十八件ということで、かなり関心を集めている。 先ほどの右上がりが永遠に続くと思われたグラフがどうも必ずしも右上がりっぱなしではないという、バブルがはじけたという状況も反映しているのかもしれませんけれども、そんなような状況になっておりますし、かなりの件数の土地情報が寄せられて、これがストックされて、用地取得へ向けての情報システムとして非常に有機的に機能しているということがあるわけです。こういったようなことは国の立場で相当取り組んでいく必要があるんではないかなというふうに考えているわけですけれども、これについての御見解をいただきたいと思います。
○政府委員(伴襄君) 今先生のお話の横浜市における土地情報登録制度というのは、例えば児童公園といったような事業用地とか公共事業の代替地、そういったものに活用しようということで民間から土地の買い取り希望に関する情報を積極的にそんな形で集めまして、市役所の中にいろいろな各部局がございますから、その部局間で情報を融通し合うという制度だと聞いておりまして、これは大変すぐれたものだと思っております。 それで、こういった先駆的な形で公共団体が土地情報の登録制度を設けているのはほかに数県あるいは数市ございまして、例えば広報紙によってそういう情報を集めてその情報交換をしようというようなところが出てきております。一般的に、こういった民間の土地情報をプールしまして、いろんな形の事業者がおりますから、それを多くの事業者間で活用し合うというのは、特にこの代替地を中心といたしました公共事業用地の確保の観点から非常に有効だというふうに思っております。 そこで、今年度の予算で、建設省といたしましては代替地の情報バンクみたいなものができないかなというふうに構想しておりまして、今の横浜市のような制度をこの中に取り込みまして、自治体あるいはその他の公的機関からの情報だとか、それから宅地建物取引業者も結構そういう代替地情報を持っておりますからそういったものとか、あるいは個人が持っている土地の提供意向に関する情報とか、そういったいろんな各方面の情報を提供していただいて登録するというような形で、代替地として活用可能な土地に関するきめ細かい情報を一元的にプールし、それを幅広くその事業者が活用してもらうといったようなことを構想しております。 これを我々は代替地情報バンクと言っておりますけれども、平成四年度に行政部費がついておりますので、これでもって検討してぜひとも実現に持ち込みたいというふうに考えておるところでございます。そういった中で、今の横浜市のような情報もこの中にぜひとも入れさせていただく、またそういう形を横浜市だけでなくて各公共団体でもとっていただくということにしたいというふうに思っております。
○小林正君 かなり関心を持たれておりまして、福岡市とか千葉市からも横浜へその調査にお見えになっているということですから、国の立場でその問題について音頭取りをしていただいて、その情報バンクの充実をぜひお願いしたいというふうに思います。 ちょっと質問が前後しましたけれども、先ほどの青木委員からの御質問にもありましたが、この法案で公共用地先行取得資金として百五十億円というのが計上されているわけですけれども、この額で政府としてどの程度の効果を期待しておられるか。 適切な比較ということではありませんけれども、例えばこれに「豊かな社会づくりと公共用地」ということで横浜市の高秀市長の対談が載っているわけなんです。この中で「横浜市でも、平成二年度で一七〇億円を土地開発基金に繰り入れまして、その資金で買っております。これは無利子の資金ですね。もう一つは、土地開発公社を活用したり、国などから借入して、先行取得資金を一、六〇〇億円ぐらいに拡充しています。そういうことの組み合わせで、積極的に市が土地を持つということをやっております。」と、こういう言い方をしているんですね。 この百五十億円ということでどういう効果を期待するのかというのはなかなか言いにくいかとは思いますけれども、やはりこの百五十億円について一定の理屈の通る説明をしていただきたいなと思うんです。
○政府委員(伴襄君) 土地開発公社の先行取得をいろんな形で支援する方法がありますが、特に財源的な意味で支援するという観点からはできるだけ多くの低利資金を用意することが一番望ましいと思っております。まあ今回は特に制度発足というようなこともございまして、今後どういう需要が出てくるかということを見きわめながらその必要な資金の確保に努めていきたいというふうに基本的には思っておるわけでございます。 それで、この百五十億円の額でございますけれども、一般的に、今までのようにまとめて買うときには確かに大量の資金が必要でございますけれども、これは例えば用地国債なんかは五年間でございますから、その五年よりもっと前の時点で急に相続で土地を買ってほしい、手放したいというようなこととか、あるいは転廃業をされたというようなときにさっとスポット的に買うというようなことで、まあ我々「出たら買い」と言っておりますけれども、出てきたら買うので出たら買いでございますけれども、出たら買いをするというようなことで対応したいと思っておりまして、そういう資金としては非常に有効に働くのじゃないかなというふうに思っております。 それから、今回、地方公共団体のこういう用地の先行取得資金の手当てにつきましては、自治省の方も大変力を入れていただいておりまして、例えば土地開発基金も平成三年度も五千億の地方交付税の措置、手当てをしておりますけれども、平成四年度も同額五千億の手当てをしております。そのほかに公共用地の先行取得事業債、これもかなり拡充して対象範囲も広げたりなんかしておりますので、いろんな財源手当ではそういった大きな一環の中でやっていきたいと思っております。 しかも、現在、特定公共用地先行取得資金融資制度でやっておりますのは直轄あるいは公団等の用地についてというふうに思っておりますので、これを十分にこの枠の中で活用して、それで状況を見ながら今後その拡充に努めていくということでやらせていただければというふうに思っておるところでございます。
○小林正君 最後に、建設大臣に土地行政の一元化という立場からお伺いしでおきたいんですが、この四月八日付の日経新聞のトップに、自治省が来年度に向けて自治体の土地取得を促すいろんな方策を打ち出して、公社の規制緩和の問題とかいろいろ出ているわけなんですけれども、今度の公有地拡大法と来年自治省が目指すそういうこととの関係で、これは自治省が言っているわけですから自治省に聞けばいいんでしょうけれども、土地一元化という基本的な視点に立って今後どういう関係の中でこの促進を図るために省庁間の協力をされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(山崎拓君) 今後とも公共用地の先行取得は非常に重要な施策でございますので、この法案を成立させていただきました暁には運用等の実態を見きわめつつさらに拡充を図ってまいりたいと思います。ただいま局長が答弁申し上げたとおりでございます。 ただいま先生が御指摘の土地政策の一元化という観点は非常に重要な観点であろうと存じますので、自治省等とも十分協議いたしまして、今後できるだけ有効に行えますように検討してまいりたいと思っております。
○小林正君 終わります。
○猪熊重二君 私は、公有地拡大推進法の改正案の質疑に入る前に、この公拡法に関連して二、三点質問しておきたいと思います。 前回の委員会で、私は、建設省の地方建設局と土地開発公社が土地の先買いに関して協定書を結んでいる件について質問いたしました。前回は、この協定書の内容が国庫債務負担行為との関連において少々問題があるんじゃなかろうかというふうに申し上げたわけですが、きょうは協定書の当事者である建設省地方建設局の職務内容あるいは土地開発公社の職務内容に関連して、このような協定書を結ぶような職務権限をそれぞれが持っているんだろうかという観点から質問したいと思います。というのは、この協定書の問題でいろいろ勉強している間に今の点が非常に疑問になってきたんです。 まず最初に、建設省地方建設局は道路敷地となるような土地取得の権限を持っているんだろうかどうだろうかという点について、持っているんだということだとすればその根拠を教えていただきたい。
○政府委員(伴襄君) 直轄の工事につきましては、今、地方建設局が用地の買い取りをやっておるわけでございますが、その買い取り権限を持っている根拠は何か、こういうお尋ねかと思います。 建設省の直轄事業にかかわります用地取得業務は、これは従来からも本省の指導のもとに、事業の実施を直接担当しているのは地方建設局でございますから、地方建設局がその実際の業務をやっているところでございます。組織体制もそういうことになっておりまして、各地方建設局の本局の方には用地部というのがございまして、それから出先の工事事務所には全部ではありませんけれども用地課というのを備えているというような組織体制になっております。 この根拠でございますけれども、建設省の設置法の中に地方建設局の所掌事務が決めてあるところがございまして、そこでは「河川、道路、砂防その他国の直轄の建設工事及びその施行に伴い必要を生じた工事に関すること。」というのが掲げられておりまして、私どもの理解としましては、この「工事」という言葉、工事の施行の前提として用地取得業務というのがあるわけでございますから、その工事施行の一環として用地取得業務を実施しているというふうに理解しておるわけでございます。 なお、蛇足でございますけれども、本省の建設経済局の中に調整課という課がございましてここで用地関係のいろんな指導をしているわけでございますが、その調整課の所掌事務を建設省組織令で決めております。その中でも、本省としての各地建への指導業務でございますが、「地方建設局等、公共用地の取得に関する事務の運営の指導及び改善に関すること。」というのが調整課の仕事だと。だから、地方建設局で公共用地の取得の仕事をしているという、それが前提になった書き方になっておりまして、こういったところからも地方建設局が公共用地の取得の業務を直接担当している根拠になるんではないかなというふうに思っているところでございます。
○猪熊重二君 建設省の設置法によれば、第六条で「建設省に、地方支分部局として、地方建設局を置く。」、第七条で「地方建設局は、建設省の所掌事務のうち、次に掲げる事務の全部又は一部を分掌する。」、こういうことになっています。 今、局長がおっしゃったのは、この第七条の一号の「道路の建設工事に関すること。」という中に土地の買収権限も含まれているんだ、こういうお話なんですが、しかし、日本語で道路の建設工事と言ったときに、建設工事の中に土地の買収権限も含まれているんだなんということは通常は読めない。それで、それ以外にはもう地方建設局が土地を取得するなんということの権限に関連するような条項は何もないんです。 なぜ私がこんなことを申し上げるかというと、設置法というのは法律なんです。この法律で地方建設局というものをつくる、その地方建設局の職務権限はこういうものだと決めているんです。その「建設工事」の中に土地の取得も入っているなんということは日本語としてあり得ない。要するに、道路の建設工事をすることということは、その道路の敷地が国の所有地であろうが賃借地であろうが他人の土地であろうがどこの土地であろうが、建設工事は道路の工事をするということだけなんです。この建設工事をするということの用語の中にその道路敷地を買う権限も含まれているなんていうのは、いつからそういう解釈をしているんですか。
○政府委員(伴襄君) これは地方建設局の所掌事務を決めている規定でございますので、建設省全体の仕事のうち地方建設局の所掌事務はこうだと決めているところでございます。 もしここで読めないとなると本省へ行くというような話になってくることになるわけでございますが、この規定は実はもう建設省発足の当初、二十三年以来こういう書き方でございまして、工事の前提として公共用地を取得して工事を実施するということで、恐らくその「工事」という言葉の中に読み込んで運用しているものというふうに思っております。特に特記しないで当然にその工事の前提、工事というのは恐らく物理的な行為をそれぞれの現場でもってつくり上げるということでございますから、そのつくり上げる前提となる用地の確保というのはこの中で読むということできているんだと思っております。 そういうことでございまして、昭和二十三年以来この規定で現実に、用地取得というのは一番、何というんでしょうか、現場で地をはうようにしてやらざるを得ないような業務でございますので、地方建設局あるいはその出先の工事事務所等でやるのが一番ふさわしいということでこういうふうに分掌したんだというふうに考えております。
○猪熊重二君 建設省全体の所掌事務は三条に書いてあるんです。その三条に書いてある中で、七号には、必要な条文だけ読めば、道路の取得並びに取得した財産の維持及び保存を行うということが建設省の仕事になっています。別に三十二号には「道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を行うこと。」ということで建設省の所掌事務の中に、ほかにもいろいろ条文はありますけれども、要するに、建設工事ということと道路敷地の取得ということは三条の建設省の所掌事務の中で明確に区別して書いてある。ほかのところを読んでも、例えば五十八号の場合だったら「公共団体の委託に基づき建設工事を行うこと。」という規定もあるんです。要するに、三条では「建設工事」の中に建設工事のための用地の取得なんということは全然読めない規定になっている。三条では建設工事とそのための必要な土地の取得というのはもともと別にしてある。 それから七条も同じなんです。七条の一号に「建設工事」と書いてある。三号には「建設並びにこれらに必要な土地の取得を行うこと」というふうに別に書いてある。七条一号の「建設工事」の中には土地の取得も含まれると言うけれども、三号の方は建設工事と土地の取得というのは別に書いてある。そんなおかしな法律ないじゃないか。七条の一号の「建設工事」の中には土地の取得も含まれる、三号の方は建設工事と土地の取得というのを別に書いてある。要するに私が言いたいのは、今、局長、いろいろ実際に地べたをはいずって一生懸命苦労しているとかどうとか、それはわかるんですよ。そういうことじゃなくて、もう少し法律というものは読んでもわかるようなものにしておいてもらわなきゃ困るんです。一号のときは「建設工事」と書いてあってこの中に土地の取得は入るんだ、三号のときは建設工事と用地の取得は別なんだ、こんなことじゃ困るんです。 これは先ほど局長おっしゃったけれども、この法律の下の省令だとか規則だとかそこでいろいろ書いてあるからいいというのは、これは本末転倒なんです。政令、省令、規則の規定、そういうふうなものは法律の範囲内でしかできないじゃないですか。法律で地方建設局の職務はこれだけだよ、用地の取得なんというものは書いていないよというのに、下位規範でそれをくっつけたからそれでいいんだなんという、そういうふうに行政が勝手に法律解釈されたら困る。法律をせっかくつくった意味がない。その辺、どうお考えになりますか。
○政府委員(伴襄君) 今、御指摘が二つございました。 一つは、設置法の三条の方の書き方で財産の取得とか財産の維持、保存というのが別に書いてあるというお話でございましたが、この三条の条文の中では、本当に書きづらだけで申しわけないんですけれども、例えば河川につきましては「改良、維持、修繕」という言葉で書いてありますし、道路では「新設、改築、維持、修繕」という言葉になっておりまして、「工事」という言葉は使っていないわけでございますが、この七条の方には「工事」という言葉があって、そのほかに「財産の取得」というのがあるという形にはなっていないということが一点ございますかと思います。したがって設置法全体の中では「工事」の中で用地取得というのを読むということになるんじゃないかなと思います。 それからもう一つは、今お話しの七条の三号の方で、これは実は官公庁施設の営繕の関係でございますけれども、「営繕」という言葉と、それからそのほかに「土地又は借地権の取得」、二つになっております。この「営繕」という言葉は、この場合は、官公庁施設の建設等に関する法律というのがございまして、そこに「営繕」という言葉の定義がございますが、これはどうも建築物の建築、修繕または模様がえだけを言うようでございまして、ここには土地の取得とかあるいは借地権の取得とかというのは入らない、別であるというふうに定義づけておるようでございます。したがいまして、「営繕」という言葉を引く限りはどうもその言葉の中には土地取得が入らないということでわざわざ書き分けたんじゃないかなというふうに思っております。 いずれにいたしましても、御指摘のとおり大変厳密さを欠いておって、一見しただけでは入るのかなという先生の御疑問のようなことがあるかもしれませんけれども、この際は「工事」というところでそういう用地の取得も含んでおるんだというふうに御理解賜れればと思っております。
○猪熊重二君 ちょっとしつこいようだけれども、それじゃ三条の五十八号を見てください。 三条の五十八号だと、いろいろ書いてあるけれども、ピックアップして読めば、「国民金融公庫の委託に基づき、建設工事を行うこと。」という条文があります。いろいろいっぱい事例が並んでいるけれども、例えば一つの例として「国民金融公庫の委託に基づき、建設工事を行うこと。」というのが建設省の仕事の中身になっています。この「建設工事」の中には今局長がおっしゃったように用地の取得も入るんだということになったら、建設省は、国民金融公庫の委託に基づく建設工事だけじゃなくて、この「建設工事」という用語の中には国民金融公庫のための土地の取得も入っている、こういうことになるんですか。ここにいろいろ掲げてある各種団体のために土地の取得を全部することができるんですか。
○政府委員(伴襄君) どうも言いわけみたいで申しわけありませんけれども、「工事」という言葉を使った場合に、今の御指摘の条文は「建設工事を行うこと。」、こうなっておるわけでございまして、したがって工事そのものを行うという書き方になっているんですが、先ほど先生のおっしゃっておられた七条の一号の地建の所掌事務、これは「工事に関すること。」というふうになっておりまして、要するに工事関係のこと、こういうことになっておりますので、「工事を行うこと。」というのは確かに物理的な建設工事そのものかもしれませんけれども、「工事に関すること。」というのはその工事の前提になるような用地取得も入るんだ、そういう意味じゃないかと思っております。したがって、この「工事に関すること。」というところが今の例えばお示しの「委託に基づき、建設工事を行うこと。」との違いじゃないかなというふうに理解をしております。
○猪熊重二君 あなたのおっしゃることはなるほどなというふうに理解できないけれども、それじゃ次に、今度は土地開発公社の方の問題についてお伺いします。 土地開発公社は公有地拡大のための公社なんです。公有地とは何かと言ったら、地方公共団体の所有に属する土地が公有地なんです。ところが、土地開発公社が国のために土地を買うということは公拡法のどの規定から出てくるんですか。
○政府委員(伴襄君) 土地開発公社の使命といたしましては、もちろん設立団体である県あるいは市町村が直接使われる公有地そのものの先行取得といったようなことも重要な役割でございますけれども、例えば国の直轄事業とかあるいは公団事業等につきましても、これは当然その地域と密接に結びついた事業でございますので、したがって、地方公共団体だとかこういった土地開発公社と密接な連携をとって進めていく、用地買収についてもこういう公共団体だとか開発公社の協力を得ながら進めているということでございます。 そこで、土地開発公社は発足当時から公有地拡大推進法に基づいてできておるわけでございますけれども、その中でこういう直轄の用地あるいは公団の用地についてもかわって取得するという役割を担わされておるわけでございまして、それは例えば公有地拡大法の四条一項二号で高速自動車国道の用地についてもこの公有地拡大法の先買い制度で取得し得るというようなこととされておりまして、公団の用地についても取得するものでございますから直轄についてもできる、こういうことで運用しておったわけでございます。 ただ、先生のような御疑問もございまして、公有地拡大法と言っているんだから将来国有地あるいは公団の用地になるようなものについてはもう少しはっきりすべきじゃないかというようなお話がございまして、そこで、これは前回の昭和六十三年の公有地拡大法の改正のときに、十条に土地開発公社の設立目的の規定がございますけれども、そこの中で「地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべき土地の取得」、こう書いてあったわけですが、この「公有地となるべき土地」の「土地」の後ろに「等」と入れて公有地だけではないですよという趣旨を明確にしたということでございまして、やっぱりそのときにもそういういろんな御議論があって条文上はっきりさせたというふうに聞いております。
○猪熊重二君 今、局長がおっしゃったようなことは全然わからないんです。私もこの公有地拡大法を何度も読んでみたけれども、国のために土地を取得できるなんという規定はどこにもない。そして、建設省に聞いたら、「公有地となるべき土地等の取得」、その「等」の中に国有地が入るんだと。ところが、この「等」の中に国有地が入るなんて読める人は日本人の中にだれもいないんです。 「等」というのはどういう言葉遣いをするかというと、これは昔の法務府、現在で言うと内閣法制局ですが、この「等」についての解釈をしているんです。 一般に法令の規定で、一ないし数個の列挙事項を掲げて、その直後に「等」の字が用いられた場合は、別異に解すべき特別の理由がない限り、その「等」に包含される事項は、列示事項とその規範的価値において同じ性質の重要性を有するものと解するのが相当である こういうことになっているんですね。要するに、何々と書いてあって、その下に「等」とあれば、それとほとんど同種のものというのが法律の用語の使い方としては当たり前なんです。だから、原則として「その他これに類する事項」というのが「等」という法令用語の通常の用い方なんです。 そうしたら、「公有地となるべき土地等」と言ったときには、公有地となるべき土地とそれに類するような、準ずるような土地ということです。この法律を読んでみても、せいぎり読めるのは政令の一条に書いてあるような団体の土地、すなわち港務局、地方住宅供給公社、地方道路公社、住宅・都市整備公団及び地域振興整備公団、このような団体の土地ならば「公有地となるべき土地等」の中に入り得るけれども、全然この公拡法と無関係な国をここのところへいきなり持ってきて、「等」の中に国有地も入るんだなんという解釈はほとんどできない。昭和六十三年にこの法律を改正したときに、この「等」をここに入れればいいというようなお考えだったらしいけれども、全然わからない。 局長、法律というのはだれのためにつくるんですか、それをまずお伺いしたい。
○政府委員(伴襄君) 昭和六十三年に公有地拡大法にこれを入れた趣旨はそういうことだと聞いておりますが、今の先生のおっしゃった「等」というのがここで適当かどうかというのも恐らく法制局で議論されたろうと思いますけれども、私が考えますのに、これ、「地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべき土地等」と、こうなったわけでございますが、恐らくその「地域の秩序ある整備を図るために必要な」というところでは、たとえ直轄の道路の用地であろうと公団の用地であろうと、それは地域の秩序ある整備を図るために必要なところだというようなことで、その上にかかっている言葉が共通語ということでやっているんじゃないか。幾ら国の直轄の道路であろうと、それはもう本当に地域に密着して地域のための事業であるわけでありますし、公団の用地もそうだと思っております。 だから、そういう意味では、およそ関係のないものがぼっと入ったのではなくて、目的的には「地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地となるべき土地」、それから「等」ということでくくれるということで入っているのではないかなというふうに理解しております。
○猪熊重二君 要するに、私がこんなことを余り有益ではないかもしれませんけれども申し上げたのは、たまたま建設省の所管の法律を読んでみると、今申し上げたように、まず建設省の設置法から、設置法の地方建設局の職務権限の問題にしろ、この公有地拡大推進法の規定にしろ、全然読んでわからないんです。生意気を言うようですけれども、私も弁護士を三十年やっている。そういう人間が読んでも全然理解できないような内容を盛り込んだようなものは、法律として非常に不備だと私は思うんです。 法律というのは、確かにこれは行政官庁間の職務権限に関するような法律ではあるけれども、しかし、やはり国民に向けられたものなんです。国民が読んで全然わからぬ。私も三十年弁護士をやっているけれども、これを読んでもわからぬ。わからないというのは、何も役所が悪いんじゃないですよ。きちんとしてわかるように書いていないから、わからないんです。そして、局長のお答えを聞いていると、言っては申しわけないけれども、詭弁みたいなことを弄している。そういうふうなことでなくして、もう少し根本的に直したらどうですか。 要するに、地方建設局の業務としてこういうものが必要だというのだったら直すべきだし、公有地拡大法ももう少しきちんとわかるように書かなければならぬというのだったら、わかるように書いてもらいたい。そのことを要望しておきます。 それでは、改正案についてお伺いします。 今回の改正案で都市計画区域外の都市計画施設の区域内の土地を届け出の対象にしましたけれども、これによって全国的にどのくらいの面積の土地が追加されることになり、追加されることによって届け出数はどんなように増加するというふうに予測していますか。
○政府委員(伴襄君) 今回、新たに届け出対象土地を加えようとするのは、都市計画区域外の都市計画施設でございます。この都市計画施設全体の中で都市計画区域外の都市計画施設がどの程度あるかというと、面積あるいは延長、施設によって違いますけれども、大体数%程度が都市計画区域外だ、こういうふうになっております。 最近の都市計画決定の傾向からすると、そういう都市計画区域外の都市計画施設がふえてきておりますので、今後とも増加すると思われます。これに対応して届け出も、都市計画区域外は今は数%ですけれども、そういう都市計画区域外の施設がふえるということで届け出も恐らく増加すると考えられますが、数量的には、土地取引の動向その他さまざまな要因の影響もありますのでちょっと把握は困難でございます。 いずれにいたしましても、今回の改正は、面積の引き下げなんかでございますと届け出の対象の量的な拡大を図るという意味があるわけですけれども、今回は特に都市計画区域外の都市計画施設を対象にしたというのは、今後そういったところでかなり増加するということが考えられておりまして、そういうものの整備を円滑に進めたいという意図でやっておるものでございます。そういった意味で、この対象区域の拡大に大きな意味があるかなというふうに思っておるところでございます。
○猪熊重二君 要するに、一つの法律をつくるためには、その法律を必要とする立法事実があるんです。前提となるこういう事実がある、こういう事実があるからこういう法が必要なんだと、法律をつくるには改正案であっても一つの立法事実が前提にあるんです。 私がお伺いしたのは、こういうふうな立法事実があるから拡大する必要があるんだということだとすれば、どの程度の範囲の土地がそれに含まれることになり、それによってどのぐらい届け出数がふえるんだろうかということが当然予測されなければならない。なぜかというと、これを一つやられることによって国民は迷惑するんです。届け出しないでも自由勝手に売り買いしていればよかったものをどうしてもまず事前に届け出しなきゃならぬということで、国民にとっては迷惑なんです。迷惑だとすれば、しかしこういう立法事実があるから迷惑であったとしても法が必要なんだという合理性がなければ、ただやみくもに単なる予測でやられたら国民は迷惑千万なんです。 そういう観点から、どのくらいの土地がこの届け出対象地域になってそれによってどのぐらいの件数が届け出られるだろうか、そういうことを当然に予測して法の改正というものをやるべきであるという観点から質問したんです。 次の質問に移ります。 建設省はこの第四条二項九号の届け出不要土地の地積を現行の二百平方メートルから引き下げる予定だと、こういうことが言われています。これも、今までは二百平米以下だったら届け出しないでも済んだのに、今度は数値を下げることによってまた届け出しなければならないというものがふえることになるわけですが、これを引き下げる予定があるのかないのか、あるとしたらどの程度引き下げる予定があるのか、お伺いします。
○政府委員(伴襄君) この届け出の最低面積要件は今二百平米でございます。これは実はそれまでは三百でございましたものを平成元年に二百に下げたわけでございますが、その後地価高騰等に伴いまして土地取引面積がかなり小規模化してきているというような実態がございまして、したがってその届け出で把握し得る私人間の土地取引の割合が低下してきております。さらに、実際の需要といたしましても代替地要求がかなりふえてきておりますので、小規模な土地についても先買いを行うことは必要であり、代替地としては有効であるといったようなこともございまして、そこでその面積要件をさらに引き下げたいというふうに考えております。 これは実は政令で改正するわけでございますが、その面積は一定規模と考えております。現在のところ、二百を百平米に引き下げることを考えておりますが、ただし、先生御指摘のとおり地域の実情に応じてその対応がいろいろあろうかと思いますので、百平米を最低としまして、どの程度下げるかは都道府県知事の判断ということで、都道府県の規則でもって定めるということにしたらどうかな、こういうふうなことを今検討しております。
○猪熊重二君 平成元年度の国土庁の土地保有移動状況調査によれば、ゼロから百平米までの取引が三〇%、百平米から二百平米までの取引が二一・五%と出ています。これは市街化区域の土地の売買というふうには書いてございませんから必ずしもこの数値が公有地拡大法の対象と一致するかどうかは別にして、いずれにせよ、二百平米以下の土地が五一・九%を占めている。これは、今、二百平米以下だから届け出しなくてもよろしいということになっているわけです。ところが、もし百平米以下にすると、この土地取引の半分以上を占める二一・九%、これがまたさらに届け出せにゃならぬということになる。ですから、届け出をさせればいいというだけの発想で百平米とされた場合、土地取引をする人の二割近くがまた届け出業務を課されるわけなんです。 私がなぜこんなことを申し上げるかというと、届け出しろと言って届け出させておきながら、実際には届け出したにもかかわらず、公有地拡大法に基づいて土地開発公社が取得した件数というのはまことに少ないんです。平成二年度を例にとれば、届け出しろと言われたんでしょうがなく届け出したのは二万四百九十六件。その中で土地開発公社が買い取り協議したのは四百三件、一・九七%なんです。その中で買い取りが成立したのは四十二件、〇・二%にすぎない。そうすると、今までの届け出しろと言われたものでも、二万四百九十六件持ってきて、実際に買い取りが成立したのは〇・二%の四十二件にすぎない。 それにもかかわらず、今度また届け出しろという面積を百平米まで下げて今まで不要だった小面積の取引をさらにまた届け出させる。それで届け出件数がどのくらい増加するのか知りませんが、その辺の数値を建設省としてはどう把握しているのか。先ほどのお話だと、どのくらいふえるのかふえないかわからぬというようなことですけれども、届け出させられるのは迷惑なんです。こういうことからいけば、これしか買い取り請求が成り立っていないにもかかわらず、なぜ届け出させる必要があるんだろうか。もし現行の状況のままでいくんだとしたら、むしろ届け出の義務を減少させるべきじゃないか。 この法律があることによって国民の方は届け出義務、自分の土地の売買に事前に届け出せにゃならぬという負担をかけられる。そしてまた、地方団体にもその届け出のための行政の負担がある。しかし、効果はほとんど上がっていない。四十二件、〇・二%にすぎない。としたら、現行のままでさらに届け出をふやすなんということは国民に対する迷惑千万な話が余計ふえるだけだという考えも成り立つわけなんです。 この辺を一体どう考えておるんですか。
○政府委員(伴襄君) この届け出対象土地の面積要件は、御指摘のとおり、私権の制限を伴うものでございますから、どの程度の面積にするかということは慎重に決めることが必要かと思います。したがって従来からこの面積要件を決めるときには、先買いの必要性だとか、義務づけをするわけですからそれがどの程度国民に負担を課することになるかとか、それから一方では公共団体も事務量がふえるわけですからその事務量だとか、そういうのを総合的に勘案して決めておるところでございまして、今回これから例えば二百を百に下げるということの場合でも、そういうことを踏まえて的確に対応していきたいと思っております。 したがいまして、今回も、今検討しておりますが、先ほどちょっと申し上げたように、都道府県の実情に応じて二百から百の間を決めるのは規則で決めていただこうというふうに考えておるところでございます。 それから一方、現在、実は監視区域という制度が国土法でございまして、これでかなり届け出義務が課されておるわけでございます。首都圏の中枢部はほとんど監視区域になっておりまして、この監視区域は土地取引をやりますときには届け出るわけです。例えば東京都なんかですとほとんど全域が監視区域になっておりまして、百平米以上のものは全部届け出るということになっております。それで、国土法の手続によって届け出た場合には、公拡法の方でも届け出たとみなすということになっておりまして、国土法の届けで済ませているわけです。 したがいまして、実際には、例えば今既に監視区域がかかっているような東京とかそういったところでは既に百平米以上の土地取引は全部国土法で届け出ているという事態もございますので、そういうものについては百平米に下げたとしても重ねての負担にはならないといったような事態もございます。 そんなこともございますので、そういったことを総合的に勘案して、先生御指摘のとおり、不必要な負担を国民に課すようなことがないように十分に注意して運用していきたいというふうに考えております。
○猪熊重二君 局長がたまたま国土法の届け出の問題をおっしゃったからついでに申し上げれば、国土法の場合は届け出があれば、例えば先ほどのように二万件あるということであれば、その二万件については、公示価格との関係からこの取引をそのまま認めますよとか認めるわけにはいきませんよということで、一応の行政の判断があって、その上で届け出られたものについて全部の処置が一応はなされている。ところが、この公拡法による届け出は、届け出しろと言っただけで、後はもう買い取り協議がなければただ全く国民に届け出させただけの問題なんです。 それで、買い取り協議がどのくらいあるかといえば、先ほど申し上げたように一・九七%、端数を切り上げて二%。そうすると、二%は買い取り協議があるけれども、あとの九八%はただ届け出しろという国民に対する負担だけの問題で、行政は何もそれに対する対応がないんですよ。国土法の届け出と全然質が違うんです。国土法の場合は、その届け出に対する一応の行政判断というものがあるから意味があるけれども、これは投網をかけて、ただ届け出ろ届け出ろと言われている国民の方は迷惑千万な話なんです。 私は、これ、届け出を今のような状況でふやすのは国民の負担と行政の負担が増大するだけだから意味がないと思うんです。だから、やめたらどうですか。それよりも、むしろ本当に公有地拡大ということを考えるんなら、せっかく届け出させたんだから、届け出はさせたけれども何で買い取りに至らなかったかというその原因を究明して、どういうふうにしたらもっと届け出させたものから買い取り合意が成立するかというふうなことに対して建設省の考えがいくべきであるのに、そうじゃなくて、ただまた投網をもう少し広げようというふうな発想じゃ困るんじゃありませんかということを申し上げているんです。 それじゃ、なぜ買い取り協議が二%弱しかないのか、実際に買い取りされたのはなぜ〇・二%にすぎないのか、こういうふうな実情をどういうふうにしたらもう少しせっかくつくった法律の趣旨に従って公有地が拡大できるんだろうか、逆に言えば、公有地を拡大するためにはどうしたらいいか、そういうことを建設省としてはどう考えているんですか。
○政府委員(伴襄君) 御指摘のとおり、届け出と申し出がございまして、申し出の場合はかなり成約件数が多いし、率もこういうふうに高いわけです。届け出の方は低い。 これは、一つは、申し出というのは、やはりもう公有地として公共団体に売りたい、そういう意思を持って申し出られるわけで、そもそも公共団体に売りたいという譲渡の意思がある方との契約でございますからかなり成約件数が高いわけでございます。一方、届け出の場合は、もう既に譲渡の相手が決まっておりまして、この人に売ろうという時点で出てくるわけでございます。したがって、地方公共団体は第三者として入ってくるわけでございまして、強制的に取得する制度がこの場合にはございませんし、そこは当事者の協議が成立すればということになっておりますので、それで低くなっている面があるんじゃないかなというふうに思っております。 いずれにいたしましても、特に届け出制度は先生御指摘のとおり必ずしも成約率が高くないわけでございますけれども、その所有者がたとえ第三者であろうと別の方であろうと、土地を手放したいという機会でありますから、それをぜひとも機敏にとらえて公有地の確保につなげるということは非常に大事かと思っております。ただ、そういう中で、低いと言えば低いんですけれども、譲渡相手が決まっている時点での先買い制度としてはまあ一定の成果を上げているかなという評価もいただいている面もございますけれども、そういうふうに考えております。 いずれにいたしましても、届け出をこれからより充実していくためには、一つは、届け出られた土地について利用計画が策定されてあるとかあるいは具体化されているといったようなことで、これを先買いする主体が決まっていることが一番いいわけですから、そういう受け入れ体制が整備されているといったようなことが一点必要かと思います。 それから、買い取り財源、必要な資金が確保されている、しかも低利な資金が確保されているということが大事だと思います。 それから、税制上の恩典、優遇措置もございますので、こういった税制について、例えば届け出で公社に先買いしてもらうと千五百万控除がありますよといったようなことが非常に大きなメリットになっているわけでありますし、その上に軽減税率が適用になるわけですから、そういったところの、先買い制度は有利ですよということのPR、周知措置、これが大事だと思います。 こんなことをやりながら、関係者とも連携しながらこの届け出制度の一層の活用を図っていきたい。この関係省というのは特に自治省でございますけれども、そういった方面ともよく相談しながら、この届け出制度の成約率が上がるように、協議の件数が上がるようにしていきたいというふうに思っております。
○猪熊重二君 いろいろやっておられるんだがなかなか成果は上がらぬということですけれども、今のお話を聞いても、これで少し買い取りの成果が上がるのかなというふうな希望的観測はほとんど出てきませんね。 あとわずかな時間ですので、最後の質問をさせていただきます。 建設省からこの法案審議に際して資料をいただきました。この資料の中に「用地取得のあい路となっている原因」という統計があります。それから、同じく建設省からいただいた資料に「用地ストック率の推移」という表があります。 私が申し上げたいのは、この「用地取得のあい路となっている原因」という資料も、「用地ストック率の推移」という資料も、これは建設省の直轄事業に関する資料なんです。建設省の直轄事業の資料を公拡法の審議に際していただいても、間接的には役に立ちますが、これは建設省の問題なんです。そうじゃなくて、土地開発公社の公有地取得について用地取得の隘路となっている原因は何だという統計がなかったら、公拡法の審議に直接役に立たないんです。あるいは「用地ストック率の推移」も、建設省の直轄事業の用地ストック率が一・五だとか〇・九だとか言ってみたところで、それと土地開発公社が持っている土地の保有量の推移というふうな問題とは全く無関係になってくる。 要するに、私が申し上げたいのは、どうも建設省のお考えは、公有地拡大推進法ということを、地方団体の公有地拡大推進という観点よりも、何か建設省の直轄事業もしくは補助事業の便益のための法律というふうにお考えになっているんじゃなかろうか。もう少し地方団体の公有地拡大ということに本当に役立つという観点からいろいろ御検討されたらいかがか。これは私の感想ですから答弁は要りませんけれども、建設省のやっていることは、何か自分のことを一生懸命やって、そのおこぼれが地方団体にいっているような感じがするので申し上げておきます。 以上で終わります。
○委員長(山本正和君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ―――――・――――― 午後一時三分開会
○委員長(山本正和君) ただいまから建設委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○上田耕一郎君 国民生活に必要な公共施設などの用地を自治体が確保するための先買い権の強化、これは必要なことだと考えていますが、幾つか問題がありますので、質問をさせていただきます。 九〇年度の先買いの実績、これは先ほども猪熊委員が問題にされましたが、調査室の資料の三ページに数字が出ています。対象となった土地の件数を見ると、届け出の土地は七〇%、ところが成約したものは、件数、面積ともに九九%が買い取り申し出の土地ということになっています。申し出られた土地については八六%が協議成立、ところが届け出の土地については協議成立はわずか〇・二%で、協議の通知自体が届け出件数の二%になっています。 伴局長は先ほど猪熊委員の質問に対して、この問題について、しかし一定の成果との評価もいただいている、そう答弁しましたけれども、〇・二%で一定の評価というのはまことに甘いと思います。申し出の土地よりも届け出の土地の方が買収の必要性は恐らく高い土地だろうと思うんです。しかし、もう譲渡先が決まっている、それから値段も公示の地価が基準だというので、最初からあきらめてしまって通知もしない、二%という数字はそういうことじゃないでしょうか。実態はどうなんでしょうか。
○政府委員(伴襄君) お答え申し上げます。 この公拡法では届け出、申し出と二つの制度があるわけでございまして、両方とも大変大事な制度だと思っておりますし、両方ともその所有者の土地を手放したいというチャンスをとらえて機敏に公有地として結びつけたいということになるわけでございますが、トータルで申しますとかなり成果を上げているんじゃないかと思っております。特に最近は毎年千三百ヘクタールぐらいの用地を取得しておりまして、過去は大体これの半分ぐらい、六百五十ヘクタールぐらいでございました。それが倍ぐらいになったといったようなところで、全体としては実績を上げてきております。 ただ、届け出というのは、もう先生本当に御指摘のとおりでございますが、既に譲渡相手が決まっている、それでもう契約せんばかりになっているところで地方公共団体が間に入ってきてかわりにこっちに買い取りたい、こういうことになりますので、自分は公共団体に売りたいと言ってくるケースであります申し出と懸隔があるのはどうも制度的にはやむを得ないかな、特に強制的に取得するというような制度がもちろんありませんで、あくまで協議でやる、しかし協議でやるからこそ幅広く弾力的に出してきていただけるという面もあるわけでありまして、こういう中でのことでございます。 したがって、甘いという御指摘もありましたけれども、既に譲渡相手が決まっている中での先買いというのはなかなか苦労が多いというところでこういう率の成果を上げているということかと思います。 要は、この先買い制度を一層活用せにゃいかぬ、特に御指摘のような届け出制度をもう少し率を上げにゃいかぬということでございまして、届け出られたときに公的主体の方がそれを買って活用すべき土地だということになるためには、やはりその土地についてのいろんな具体の利用計画等が決まっていて、こういうところが出てきたらそれをこういうふうに使おうというようなあらかじめの受け入れ態勢があれば一番いいわけでありまして、そういった具体的な土地利用計画みたいなことがきちんと決まっていることも必要かと思います。 それから、やや繰り返しになりますけれども、財源の問題がありますので、買い取り財源を確保するとか、あるいはこういった制度につきまして、公共団体に売った方が税金その他で有利だよといったようなことをよく理解していただいて、トータルでその税金のことも含めてよく話し合いに応じていただいて買い取りに結びつけるというようなことも必要かなと思います。いずれにいたしましてもこういう制度のPRをよくやっていく必要があろうと思います。 これは、一般の方だけでなくて、公的主体というか、買い取り主体の方にもこういう制度があるということを、あるいはこういう土地があるということをよく周知させるという措置が必要かなというような気がいたします。
○上田耕一郎君 都市計画上、地方公共団体が土地をどれだけ持っているかというのは非常に重要だと思うんです ヨーロッパを調べてみますと、「ヨーロッパの土地法制」という本がありますが、フランス、ドイツに先買い制度があることは建設省も御存じだと思います。対象地の範囲は日本と異なるけれども、かなり参考にすべき点があります。 例えば買い取りの通知、それが日本は届け出から三週間以内だけれども、フランスもドイツも二カ月以内と、かなり長い期間が設定されている。フランスの場合は、届け出の予定譲渡と同じ条件で買い取る場合にはもう通知だけで売買が成立する。それは高過ぎると言って自治体が提起して、売り主の方がそれではということになると、収用裁判所で決定される。その場合は、対象区域設定時の一年前の価格が基準になります。ですから、収用裁判所まで行くのが嫌な場合は、売り主は市場価格を基準にして任意で合意するか、あるいはもう譲渡そのものをやめるということしかなくなるという制度になっているんです。 ドイツの場合も先買い権が非常に強くて、一定の条件を満たさない限り先買い権の行使は排除できないということになっていて、価格はその時点の市場価格、嫌な場合は売買契約をやめる、それにも一定の制約がついている。基本的な仕組みは、買い取り通知を受けた土地を売りたければ市場価格で先買いに応じる、そういうことになっているんですね。 日本の場合は協議に応じる義務だけになっているために、これではなかなか先買いできない。〇・二%というようなことになるわけですね。三週間頑張っていれば後は自由になるというこの現状をやっぱり改善する必要がどうしてもあると思うんです。ですから、協議期間の延長、特に合理的な価格設定のやり方、その場合当然財源が問題になりますので財源の保障等々、こういう点について今後どう前向きに取り組んでいくかということについてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(伴襄君) 今、先生の方からフランスの例のお示しかございましたが、日本の場合でも形成権先買いというふうな制度は実は都市計画法の方にございます。都市計画法の場合は事業の実施直前、すぐにでも事業実施にかかるといったときには形成的に取得してしまうというような、フランスと同じような制度があります。それに対してこの公有地拡大法の先買いというのは、それよりもっと早い早期の段階でより幅広い範囲で当事者間の任意の協議てやろうという、そういうやわらかいというんですか、ソフトな制度で弾力的に公有地を先買いしていこうという制度でございます。この二つの制度がそれぞれの目的に応じて両方の面で対応可能な枠組みができているのかなというふうに思っております。 それから、買い取り価格の方も、公有地拡大法の方は地価公示法による公示地価を規準とすることにしておりますけれども、都市計画法の方の形成権先買いは原則は届け出価格でございますけれども、もし先買い主体がこれを買えないと言ったときには収用の手続もやれるということでございまして、それぞれいろんな制度を持っておるところでございます。 外国には歴史とか国民意識等の中でいろいろな制度があろうかと思いますけれども、一応手法としてはそういうバラエティーに富んだ持ち合わせがあるということでございますので、それをうまくいかに組み合わせてやるかということかと思っております。 今、期間の点もお話がございましたけれども、当初四十八年のころは二週間でございました。現在はその買い取り協議期間を三週間に延ばしておりますけれども、これも一概に延ばすと私権の制限になりますので、どの程度が適当かというところがございますけれども、三週間でもかなりの実績を上げているというふうなことで、今こんなところで落ちついているところでございます。 それから、財源のお話がございましたけれども、土地開発公社に対する財源の手当てはいろんな面で自治省等とも相談しながら、特に自治省が主力でいろいろな財源の手当てをしているわけでございます。土地開発基金というのがございまして、平成三年度、四年度続けて五千億円ずつ地方交付税の措置をとっておりますが、そういった金だとか、あるいは地方債でもって手当てするとかといったような点もございますので、そういったことも含めて財源手当ては自治省ともよく相談しながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○上田耕一郎君 局長は都市計画法による先買いがあると言われたけれども、これは公示の十日以降届け出義務があって買い取り通知は届け出後三十日以内というんだけれども、実際にはもう有名無実でほとんど使われていないんですね。そういう点を見ても、今度のこの法律でもそうですけれども、この先買い権の実際的な運用で効果あるようにしていくことは大きな課題になっていると思います。 もう一つ、面積要件について質問します。 都市計画施設の区域や公共施設の予定区域以外では届け出義務は、市街化区域で二千平米以上、その他の都市計画区域で五千平米以上になっています。これは国土利用計画法の届け出面積と同じで、国土法の届け出は公拡法の届け出に代用するということになっているわけですが、国土法では都市計画区域以外でも一万平米以上、また監視区域では条例によって届け出義務面積を引き下げている。 そうなると、せっかく国土法で届け出られても、公拡法の届け出面積以下のものについては公共的必要があっても買い取り協議ができない、こういう仕組みになります。新たに届け出義務を課するわけではないのですから、国土法の届け出地については公拡法の協議対象にできるようにしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伴襄君) 都市計画施設用地は別としまして、それ以外のいわゆる白地の都市計画区域における届け出対象土地は現行法でも二千平米というようなことに市街化区域ではなっておりますし、その他の都市計画区域では五千平米ということになっておりますが、この二千平米としたのは、立法当初、学校あるいは公園等の公共施設の用に供し得る土地というようなことで、例えば児童公園だとかあるいは保育所、幼稚園といったものの基準面積が二千平米程度だといったようなことで決められたというふうに聞いております。そんなことを考慮して決めたんだと思います。 それから五千平米というのも、市街化区域外で公共用地の需要の程度を考慮すると大体五千平米、〇・五ヘクタールかなというようなことで決められたというようなことだと聞いておりますが、これも特に届け出の場合は、私人間の土地取引に公共機関が介入するということでございますので、権利制限の合理性というような点もあわせて考えなきゃいかぬ問題じゃないかなというふうに考えるわけでございます。 ただ、こういう二千平米、五千平米については、何もこれは永久に固定した話じゃございませんで、先買いの必要性だとか、権利制限の合理性とか、あるいはそのときどきの土地取引の動向だとか土地需要の実態とかを踏まえて、これでいいかどうかということでやるとすれば、フォローアップしていく必要があるというふうに思っております。 なお、今回、申し出面積とかあるいは都市計画施設内の区域におきます届け出面積の下限を、現在二百平米となっておりますけれども、これを地域の状況に応じて弾力的に、例えば百平米まで下げるというようなことをしたいと思っておりますので、例えば御指摘のような小規模なものについて取得したいときには、面積下限を引き下げますから、この面積下限を引き下げた申し出制度の活用というようなことで相当程度対応できるんではないかなというふうに考えております。
○上田耕一郎君 今、公営住宅は用地難でなかなか建設が進まないので、この先買い制度の活用というのは非常に大事だと思うんですね。 住宅は、敷地が一ヘクタール未満だと都市計画施設にならない。都市計画施設の区域外では二千平米以上ということになっている。どうしても数が限られるので、先買い権を活用するためには小規模のものでもやっぱりどんどんやれるようにする必要がある。 そういう答弁がありましたけれども、今、例えば生産緑地が大問題になっていますけれども、将来公共施設用地として買い取ることを想定している生産緑地は五百平米以上が対象になっているわけなので、だから、公拡法でも市街化区域内については生産緑地で五百平米以上となっているのだから、そのくらいにしてもおかしくないのではないかと思うんですね。そういう問題点も検討してほしいし、もう一つは、バブルがはじけて買い占めた土地が売れないで遊休化しているところもかなりあるそうで、今チャンスなので、積極的な運用をこういう遊休地についても行うべきだと思うんですが、以上二つについてお答え願います。
○政府委員(伴襄君) 種々御指摘がございましたが、最低面積要件というのはいろんな、今たまたま生産緑地の話がございましたけれども、そういう新しい需要に応じて検討すべきだと思っておりますけれども、一方では余りにも広く権利制限するのはどうかということもありますので、その辺は実際の取引動向だとか必要な土地、その実需の動きとか、そういったものを勘案しながら検討していきたいというふうに思っております。 特に申し出制度の方は今現行二百平米でございますし、それから今後の対応では百平米まで下げられるということでございますから、申し出の手続でやっていただく。またこれが、先ほどのお話にはございませんけれども、そういう本人が公共団体に売りたいという意思を伴ったようなものでございますので非常に成果が上がるものでございますから、こういったもので対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
○上田耕一郎君 ぜひ積極的な対応を要望したいと思います。 次は、土地開発公社の土地先買いに都市開発資金から融資する改正の問題です。 私どもこれも必要だと思いますけれども、一つ懸念するのは、自動車専用道路、高速道路、これも私ども全部反対というわけじやありませんけれども、特に環境が悪化するということで住民の反対が強いケースもしばしばあるわけです。そういうことに使われないように希望をしておきたいと思うんです。 そこで、国道建設用地の土地開発公社による先行取得、これが問題になってきている。建設省はこれは国の債務負担行為じゃないと言っているんですけれども、問題になったものの中には高規格幹線道路もあって、道路公団の高速道路予定地を先行取得させたという場合もある。これは土地開発公社の本来業務ではないのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(伴襄君) 土地開発公社が設立したときから、もともとこの土地開発公社が任意で法律の根拠がないときから、実は直轄の用地とかあるいは公団の用地とかを公社の役割としてはやってきたわけでございまして、それがこの公有地拡大法で位置づけられて正式に法律でもって根拠を持った土地開発公社になったわけでございます。そのときからこの土地開発公社は、もちろんその本来の公共団体が直接使う用地は当然でございますけれども、それ以外に直轄用地の先行取得あるいは公団用地の先行取得も業務の一つとして位置づけられております。 それは公拡法の目的に、地域の秩序ある整備を図るために必要な公有地等、こう言っておりますように、公団の土地であろうとあるいは直轄の土地であろうと、地域の整備に必要な土地、地域のために必要な土地ということでございまして、国あるいは公団が行う事業の用地については、この公社ができたときから、法律で認知される以前から、そういう役割を担わされてきている、あるいは重要な業務の一つとして行っているというふうに理解しておりまして、今後ともこの土地開発公社にはそういう機能も大いに期待したいというふうに思っておるわけでございます。
○上田耕一郎君 国などとの協議に基づいて事業用地の先行取得を土地開発公社にやってもらう、仮にそういうことをしようとするなら、その負担を地方自治体に負わせるべきではないと思うんです。だから財投金利より一%低い金利にしてあるということかもしれませんけれども、九二年度予算を見ますと、民間都市開発推進機構融資のための一般会計繰り入れが四十七億円あります。これは全額が一般会計繰り入れで無利子なんです。民間都市開発推進機構にこういう無利子で融資できるんなら、国、公団の事業のための土地の先行取得を土地開発公社にやってもらう分くらいは無利子貸し付けしたらどうかと思うんです。 土地開発公社融資の金利引き下げのための繰り入れは十億円ということなので、こういう措置を思い切ってとることはできませんか。
○政府委員(伴襄君) 今回のこの低利融資制度と言っておりますのは、公社の先行取得機能を資金面から援助しようということで低利で融資をするということでございます。 この土地開発公社が行う先行取得支援の低利融資制度は、既にございます先行取得資金支援制度とバランスする中で決める必要がありますけれども、その中では極力有利な条件として決めたつもりでおりまして、これによって地方財政に特別の負担を強いるものではないというふうに考えております。 また、実際の運用に当たりましても、地方の自主性を尊重するという意味から公共団体から同額の資金を貸し付けていただくということにしておりますので、土地開発公社の設立主体であります地方公共団体が融資ができる用意があるところに国から同額の金を入れるということにいたしまして、極力地方の自主性を尊重していくというようなことでやっていきたいと思っております。 それから、民間都市開発機構への国からの無利子融資のお話もございましたけれども、民都機構の無利子融資は採算のとりにくい公共施設を含む土地開発事業について民活を誘導する目的でやるということでございますが、実はこれは開銀の方に無利子の金が行きまして、そこで開銀の中で財投資金と合成されます。合成されて開銀の公共特利という形でエンドユーザーに融資されるわけでございます。それで、この合成金利の額はおおむね財投マイナス〇・五%で貸し付けると聞いております。 私どもの制度は、先生お話のとおり財投マイナス一%というようなことで運用しておりまして、その辺からいってもそう民都機構とのバランスを失していないのじゃないかなというふうに思っているところでございます。
○委員長(山本正和君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 最後に一問、建設大臣に。 生産緑地、これは指定の申し出が東京で半分になっている。藤沢市だとか豊中市で宅地並み課税分について三分の一を保有したり貸し付けたりするという政策を打ち出しているんですけれども、建設省は自治省と一体となって特別交付金をとめるぞとか抑制する姿勢を示していると報道されているんですけれども、市町村が実情に応じてこういう措置をとろうとすることに対してそういう態度をとるべきでないと思うんですが、お答えを伺って質問を終わります。
○政府委員(市川一朗君) 先生御案内のとおりに、今回市街化区域内農地につきましては、数年来の議論を経まして、本院でも法案審議をいただきまして、税制改正がなされ、生産緑地法も改正されました。その結果、市街化区域内農地のうち宅地化するものと保全するものとを都市計画で明確に区分する、それで保全するものについては従前どおり農地としての課税を継続するという制度が確立されまして、現在その作業に入っておりまして、税制の経過措置も含めまして十二月末に向けまして今鋭意作業中でございます。 その過程におきまして、ただいま御指摘ありましたようなところで宅地化する農地の方を選択した農地について農地としての継続を奨励する方向での施策の展開がなされておったわけでございますが、その点に関しましては、それぞれの市におきまして、市の執行部の方が提案した案につきまして議会においていろいろ議論されておりました。 その過程で私どももいろいろ意見を求められたりしたわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような経緯にかんがみまして、今回の制度改正の趣旨からいたしますと、保全するものは生産緑地ないしは調整区域への編入という形で保全する、それ以外のものは宅地化する方向でやるというのが制度の趣旨に合致することであって、その線を守っていただくべきであるという考え方を持っておるところでございます。
○山田耕三郎君 土地の大部分が私有になっております我が国の制度の中にありましては、公共用地といえどもその取得はなかなか困難であります反面、地権者の側においてもその所有権を守るということが大変難しくなってきております。おおむねの場合、所有権者の方が数が多く、売買の交渉に際してもノウハウの蓄積も少ないため、各個に分裂を仕掛けられ、特に最近では悪質な地上げに見られるごとく暴力的な嫌がらせまで加わり、常に弱い立場の方や無知な人たちが不本意にも売らされている場合がかなり多いように思われます。その結果、所有者すなわち地権者がますますかたくなになってしまっているところにも土地取得を困難にしている原因があるように思われます。 このことは、役所側にも責任があります。役所は、当然のことながら開発事業に関しては民事不介入を標榜しておりますが、実態はそうはなっておりません。例えば、今日、多くの自治体では事前審査だとかまたは予備審査だとかいうことで事業者に開発事業の計画書の提出をあらかじめ求めております。計画書を受領しても、その計画区域内にある地権者には何ら情報は提供されておりません。もちろん地権者側からは何の意見も求めておりません。ただ役所の立場だけで、役所側の必要とするチェックポイントだけを審査して可否を決定しているようであります。予備審査とはいえ、これを通ればこの開発計画は行政に認知されたにしきの御旗となり、ひとり歩きするようになり、結果は、例えばあなたの田んぼは道路がありません、周囲は全部買収をしましたので埋め立てをしますがどうされますかといった調子の強引な買収交渉が始まるのです。この予備審査のやり方は民事への完全な介入でありますのに、これを介入と理解しない担当者の多いところに問題があります。 改正法案が目指しておられますところは、公共用地を先行取得しやすくするために、土地を売りたい方があれば、都市計画区域以外でも都市計画施設の区域内にある土地まで加えますから買い取り希望を平たく言えば申し出てください、公共施設に必要な土地はもちろん代替地として適当な土地であれば譲渡の交渉に応じ三週間以内に交渉の決着をつけます、譲り受けることになった土地開発公社には低利で資金の貸し付けもいたしますというのが趣旨と理解をいたしております。 この趣旨のとおり事が運べば至極適切な制度であるように思われますが、現実はなかなかこのようには運びませんことは、建設省御自身も調査結果に基づく各種の隘路を提示しておられますとおり、いろいろな原因が絡み合って非常に複雑なものにしております。その上、バブルの時代を体験してきた私にとりましては施策上の矛盾を感じる点もありますので、それらについて質問をいたします。 第一点は、公共用地の取得が法案の趣旨のとおり順調に契約が成立、代替用地の確保まで公有地が拡大されたといたしますと、今日の経済緊急対策としての公共事業の七五%前倒し発注を重ねて考えた場合に土地の移動は相当な面積になると思いますが、このことが、地域によってはせっかく鎮静化に向かっておる地価を刺激し再び地価の高騰を招くのではないのか、たとえ高騰とまではいかなくても地価の下支えとなって地価の引き下げという現下の大きな政治課題に水を差すことになるのではないかと危惧をいたしますが、その点はいかがですか、お尋ねをいたします。
○政府委員(伴襄君) 公共用地の先行取得を強力に進めていくということ、また、強力に進めていきまして公共施設を計画的に整備していくということは、土地の有効利用の促進にも寄与するわけでございまして、そういう意味からも地価対策になるというふうに一つは考えておるわけでございます。 それからまた、公共事業に必要な土地を、例えば都市計画決定も済んでいるし事業主が確実だと見込まれる早い段階から、相続だとかあるいは転業、廃業といったようなことが起こったとき、それがすなわち土地所有者に売却意思が生じたときでありますけれども、そういったときを機敏にとらえて適時適切に先行取得していくということは、まとめ買いの場合よりもかなり土地需要を平準化するわけでございます。しかも、価格の面からいいますと、売りたいときに買うわけでございますので、そういう意味からいいましても、一定区域における土地の需要も平準化するし、地価も安定させるという方に寄与するのではないかというふうに思っておるところでございます。 それから、土地開発公社が公有地拡大法の先買い制度によりまして土地を先行取得する場合は、公有地拡大法に書いてございますけれども、地価公示法による公示価格を規準とするということになっておりまして、そういう運用をいたしますが、ただ、近傍類地で例えば取引価格の下落が生じているといったような状況で買って、改めて不動産鑑定士によって新たな鑑定評価をやった方がいいといったようなときには、適正な価格を再度鑑定するといったようなことを努めたいと思っております。 いずれにいたしましても、地価がいろんな動きをする中でありますので、地価の動向を踏まえながら、先行取得が的確に適正な価格で取得されるように土地開発公社等を指導していきたいというふうに考えております。
○山田耕三郎君 第二点は、建設省もお示ししておられますように、公共用地の取得の隘路となっている最も多い原因は代替地が得られないということであり、その次は価格の折り合いがつかないということになっております。その原因はいろいろありますこととは思いますが、まず平均的に考えられますことは、今、不動産をお金にかえても、経済の先行き不透明な今日、極めて危険である上に、低金利時代が予想され、貨幣価値の変動にも対応できる妙案がありません。そうなりますと、鎮静化したとはいえ、まだまだ土地が一番安全などの心理が働き、代替地の要望は今後ともに衰えないことと思います。 また、価格の問題は、差し迫ってお金を必要としていない上に、土地は一たん譲渡してしまえばそれが最後であるだけに、やっぱり売りますときにはできるだけ高値で売却をしたいという心理が働くと思いますが、公共用としても、取得側が高値誘導することは慎まなければなりません。 ただいまのところで公共用地に譲渡する場合の魅力をつくり出せるものは何か。それは税制の面しかないのではないかと思います。租税特別措置法の改正による土地所有者の優遇しかないと思いますが、これなれば地価の引き上げに直接連動するようにも思われません。税制当局ではない建設省側の所見を承りたいと存じます。
○政府委員(伴襄君) 公共用地の取得に際しまして税制上のいろんな優遇措置を講じるというのは公共用地の取得の円滑化に極めて有効だというふうに思っておりまして、かねてからその拡充にも努力してきております。 その結果といってはなんでございますが、平成三年度の税制改正におきましては、例えば収用交換等の場合の五千万円の特別控除、今まで二年とか三年とかいう年限があったのを恒久化しております。 それから国とか公共団体、土地開発公社等へ土地を譲渡する場合には軽減税率の引き下げというのをやりまして、例えば一般ですと、所得税が三〇%かかるところを一五%、地方税が九%を五%といったようなことをやりました。 それから今回、平成四年度の税制改正におきましては、法人税の方にも着目いたしまして、法人税では一般的に一〇%の追加課税というのが長期譲渡所得にはございますが、これにつきまして例えば国とか公共団体、土地開発公社に売る場合はその一〇%の追加課税をなしにするといったようなことを認められました。 それから道路公団等が代替地を取得する場合にはその軽減税率を新たに適用するといったような措置とか、あるいは公拡法の改正で届け出、申し出の対象の例えば今度都市計画区域外の区域で土地を譲渡する場合にも、その法律改正が認められれば千五百万円の控除を認めるといったようなことをやってきております。 いずれにいたしましても、一般の民間に対する譲渡がかなり譲渡課税を中心として厳しくなっておりますので、その反面といっては何でございますが、公共用地として国とか公共団体に売る場合は軽減しておりますので、それだけ非常にめり張りが効きまして、一般で厳しくなった分、相当程度有利になっているといったようなことがございまして、相当優遇措置としてはメリットが出てきているわけでございます。 こういった税制、制度をよく土地所有者にも周知し活用しながら、円滑な用地取得に努めていきたいというふうに思っております。
○山田耕三郎君 第三点は、公共用地先行取得の交渉期間が三週間とありますが、用地取得の難度から見て果たしてこの期間が適切なのかどうか。今日の公共用地取得が極めて困難な実態から見て、この期間に決着をつけるのは神わざとしか考えられませんが、一たん交渉が破談になってこの物件が第三者に譲渡された場合はもちろんのこと、同一人が地権者として土地を持っておったといたしましても、再交渉というだけで価格の引き上げは必至であります。このようなことは通常あり得ないことだと思いますが、どうしても決着をつけておかなければならないのだとすれば、やはりそれだけの期間を必要とするように思いますけれども、これで十分なのかどうか建設省のお考えを承りたいと思います。
○政府委員(伴襄君) 買い取り協議の期間は、過去は二週間でございましたが、現在は三週間に延長しております。 買い取り協議期間は確かに先買い制度の効果を高めるという意味では御指摘のとおりと思いますけれども、一方これは、三週間というお話がございましたけれども、届け出から買い取り協議の通知があるまでの時間が三週間ございまして、その後協議期間が三週間あるわけでございまして、合わせますと、六週間、私権制限がかかる。したがって、私権の制限としてはかなり厳しいものになるわけで、これ以上延長いたしますことはこの私権制限との関係でいかがかということがあろうかと思います。 それとあわせて、現在、結構この買い取り期間で実績を上げておりまして、先行取得で近年は毎年千三百ヘクタールぐらいの実績を上げております。 こういったことを見ながら、現時点ではこれを特に延長する必要はないんじゃないかなというふうな気がいたしております。この期間の中で有効適切な運用をして買い取りの方に結びつけるという運用をしていきたいと思っております。
○山田耕三郎君 最後に建設大臣の御所信を承りたいと思います。 私は、公共用地の取得ほど難しい問題はありませんし、今回のこの公拡法案だけでは余り期待が持てないのではないか、このように思っております。 私事を交えましてまことに恐縮ですが、お許しをいただきたいと思います。 先ほど猪熊さんの質問を聞いておりまして、地方で土地開発公社の理事長をも兼ねておりましたことを思い起こし、大変大まかなことをやっていったなと思って反省をいたしておるのでございますけれども、戦争に負けましたとき、アメリカの軍隊が日本に駐留をいたしまして、私の町にも来ました。この人たちに清浄な野菜を供給するために野菜の水耕栽培が行われました。その土地は戦争に負ける一年前、軍部が農民の土地を買収して予科練と少年航空兵の施設をつくったところでありますが、負けまして要らなくなりました。米軍に働きかけまして、返還を求めまして、返してもらったというわけではありませんが、地元増反として入植をするように話し合いをつけました。 そこで、私の地元の農民の皆さんが入植をいたしました。ところが、そこの土地が規制を受ける期間を過ぎましたらどんどんと住宅に売り出されまして、学校を建てなければならぬようになった。当然のこととして、その残されたところへ用地買収に入りました。 地元でありますから市長さんが入ってくださいということでありましたので、大丈夫だろう、私は返還のために気張ってきたところだからと思うような気持ちで入りましたけれども、第一番に受けた要望は、こんなに田んぼの残りの少なくなったところへ学校を建てないで、もっと広い田んぼの余っておるところへ建ててくださいということでした。当然のこととして、田んぼのたくさんあるところには人が住んでおられませんから、子供はおいでになりません。ここは田んぼに人様が住むようになられましたから子供さんがふえてきて学校をつくらなければならなくなったのですからとわけて頼みましたけれども、結果的には一人の人が頑として応じてくれませんでした。 用地担当者と相談をいたしまして、どうしても代替地を出さなければなりませんかと言ったら、そうしていただければありがたいということでした。私もたくさんではありませんけれども農業を営んでおりましたので、それじゃ私の田んぼを代替地に出そうと思って決心をして、その話をしました。 これで一件落着かと思っておりましたけれども、数日したら担当の職員が大変つまらなさそうな顔をしてまた入ってきました。またいきませんかと聞いたら、はい、いきませんと言います。どう言わはるのと言いましたら、面積はそれでよろしいけれども売ります。ですから私の手元にちょっとはお金が残らぬと困りますということだったそうです。それだったら、高く買うことはできませんから私の代替地の地価を引き下げるより仕方がないということで、そうしてその点は納得をしてもらいました。 これで終わったかと思いましたら、なかなか終わりませんで、また入ってきまして言うことは、高圧の送電線が通っておりますから線下補償をしてくださいとおっしゃいます。線下補償は電力会社がなさることだがなと言っておりましたけれども、その話をしておりますと、四月の開校に間に合いませんということでございました。これはやっぱり弱いですから、そうしなければ仕方がないと思いまして、私の方は関西電力株式会社ですけれども、そこにかわりまして私が線下補償をしてやりました。 そのときに心配をいたしましたのは、たくさんもない土地を私自身が代替地として出すことになればこのことが全部に波及していくのではないかということでありました。けれども、このことは波及しないで、八年間の任期の間これ一件で済みました。それから後、用地交渉が非常に楽になりました。行政一般についても市民の理解が得られやすくなりました。私は、お金では損はしたけれども、誠意を持って対応していくということが一番必要なのではないか、このようなことを感じまして、今はそのことをむしろ喜んでおるようなことでございます。 だまされだまされして売らされていっておる人たちは、もう役所を金輪際恨んでおります。そういうことになったら住民との間の良好な関係は破壊をされてしまいますので、たくさんの担当者がおいでになりますと思いますけれども、やっぱり誠意をもって当たるように御指導をしていただきたい。 もう一つの問題は、用地係のベテランが申しました。地元ではもちろんのこと、東京においてでも、政治スキャンダルが起こりますとそれだけで用地取得が困難になります、やっぱり政治は正しくいってもらいたいものです、こういうように言っておりましたことを思い起こしてこの公拡法の勉強をいたしておりましたけれども、みんな苦労をして用地買収に応じております。ですから、今申し上げましたような点は重々ひとつ間違いのないように御指導していただきますことをお願い申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま山田委員の貴重な御体験談を傾聴させていただいたところでございます。 ただいまのお話から、公共用地の確保にさまざまな困難を乗り越えまして努力いたしております用地職員の苦労に対しまして思いを寄せました次第でございます。 先生の御指摘のとおり、誠意を持って事に当たるように指導いたしますとともに、その苦労に思いやりをいたしまして、処遇の改善あるいは業務環境の改善にも努力をいたしたいと思っております。 また、政治家として襟を正して一般国民が公共の問題についてより深い理解をするように努力せよという最後のお言葉、肝に銘じてこれからの建設行政の推進に当たってまいりたいと思っております。
○山田耕三郎君 終わります。
○山田勇君 宮澤総理が所信表明の中で述べられました生活大国を実現するためには、欧米に比べてまだまだおくれていると言われております住宅、社会資本の整備を推進し、国民生活の質の向上を図ることが重要であります。平成二年六月に策定されました公共投資基本計画におきまして、二十一世紀までの十年間に約四百三十兆円に及ぶ公共投資の実施が決められておりますが、しかしながら、これらの住宅、社会資本整備のためには必要な公共用地が確保されることが大前提であります。そこで、今後の公共用地取得を推進するための具体的な取り組みについて、幾つかをお尋ねをいたします。 建設省のこの資料によりますと、最近の公共用地取得をめぐる環境は非常に厳しいものがあるようでございます。例えば、いわゆる用地ストック率が昭和六十一年度までは約一・四年分程度あったものが、最近は一年分程度に低迷をしております。また、代替地の要望に十分に応じられないことが用地取得の隘路の一つにもなっているようであります。 そこで、まずお尋ねをいたしますが、私の感じといたしまして、用地ストック率というのでしょ一つか、これはもう一年分程度であればよいのではないかなあと思うんですが、建設省といたしましては用地ストック率の適正な水準は一体どのくらいの傘とお考えになっているのか、まずお尋ねをいたします。
○政府委員(伴襄君) 公共事業用地の取得は、それぞれの箇所の事業が地元調整などによって事業進捗がかなり左右されるわけでございまして、そういった中でやりますので、工事を実施する数年前から複数の事業年度を射程に入れて取得しているところでございます。しかも、ときどきの地価動向とか地域の状況によりまして用地取得の難易にもいろんな差がでくるわけでございます。こういったことから、一定の年度分の用地取得のみを今年度はこれだけだと正確に限定してその年度の当初に確保しておくということは不可能でございまして、ある程度の余裕、幅を見ておかないとなかなか対応できないというようなところがございます。そこで、今までの用地取得の現場におきます経験から申し上げますと、事業を円滑に進めるためにはどうも一年半分ぐらいの用地ストックが必要だというふうに確認しておりまして、それを目標に用地の先行取得をしているところでございます。
○山田勇君 このような公共用地取得をめぐる厳しい状況に対応するのには、事業用地や代替地を先行的に取得すべきだと考えますが、その点はいかがですか。
○政府委員(伴襄君) 円滑な施行にはあらかじめ事業用地、代替地を確保することが大変重要でございます。これまでもいろんな諸制度の改善によりまして事業用地、代替地の確保に努めてまいりました。 この平成四年度におきましても、今御提案申し上げております特定公共用地等先行取得資金融資制度というものの創設、それから公有地拡大法の改正によります先買い制度の充実、これもその一環でございます。それから、代替地が大事でございますので、この情報管理をしようというようなことで情報を一元的にプールする代替地情報バンクを整備するというようなこととか、あるいは用地取得の国庫債務負担行為の大幅な拡充といったようなものを講じてきているところでございまして、こういった種々の施策を総合化しながら先行的、計画的に事業用地あるいは代替地を取得していきたいというふうに思っております。
○山田勇君 僕はちょっと素人なんで、その辺、ここに代替地がございまして、それで、ここに道路計画あるというときに、ここを立ち退いていただくための代替地を、こことここですよ、いかがですかと言った場合、ここよりこっちの方がいいと言われた場合、こっちをまた代替地として御努力でこれを買ってやります。そうすると、この代替地というのは余ってくるわけです。浮いてきます。これがストック率でございますか。
○政府委員(伴襄君) 代替地は、その地権者のニーズを聞きながら、それがむだにならないようにするということが必要でございますので、かなりよく詰めて対応しておりますが、通常のストック率と言っている場合には、その代替地は入りません。だから、例えば道路の予定地ならば、その道路の予定地として買ってあるものでございます。代替地はその幅員外が普通でございますので、それは入りません。
○山田勇君 次に、融資の額についてお聞きしますが、国からの融資が七十五億円、また地方からの融資が七十五億円、合わせて百五十億円となっております。 そこでお尋ねしますが、全国で展開される直轄事業あるいは公団事業の額は近年とのぐらいでしょうか、またそのうち用地及び補償費はどのぐらいでしょうか。
○政府委員(伴襄君) 例えば平成三年度で申し上げますと、建設省所管の直轄あるいは公団事業の事業費は六兆三千二百十九億円でございますが、そのうちに用地費、補償費の額は一兆三千八百九十九億、一兆四千億というところでございまして、二二%に当たります。
○山田勇君 この費用の大きさに比べて百五十億円程度の予算額では実効性に乏しいのではないかなと考えますが、その点はいかがですか。
○政府委員(伴襄君) たびたびのくどい答弁で申しわけございませんけれども、事業規模をなるべく大きくしたいということでございまして、限られた予算の中で極力その事業費を確保したいというようなことで、初年度でございましたけれども国費十億円に財投資金六十五億円、それから地方の同額のお金を合わせまして百五十億円ということにしたわけでございます。新規の制度としてはとりあえずこれで相当程度確保できたから、これでもって事業予定地内の地権者からスポット的に出てくるような買い取りには機動的に対応できるというふうに考えております。 今後もこういう資金需要の推移、どの程度必要かといったようなことを見きわめながら、必要な額を今後の予算措置の上で確保していきたいというふうに考えております。
○山田勇君 次に、公有地の拡大の推進に関する法律いわゆる公拡法に基づく先買い制度でありますが、今般の改正ではこれまで対象となっていなかった都市計画区域外の都市計画施設を新たに加えると聞いております。具体的にはどのような施設がこの対象となっていくんですか。
○政府委員(伴襄君) 市街化が進展いたします、あるいは交通量が増大しますというようなことになりますと、どうしても都市間に高速道路が要るとかあるいはバイパスが要るとかということになります。通常、この高速道路やバイパスというのは都市計画区域の中におさまらないで、都市計画区域外ということがかなり多いわけでございます。それから用地の問題等がございまして、大規模な公園用地を確保するとかあるいは下水の処理場というようなものを確保するというようなことになりますと、これももう都市計画区域内よりも外に求めるというようなケースが多いわけでございます。したがって都市計画区域外にそういった大規模な施設を求めるケースが多いわけでございます。 今後もこういうケースがさらにふえるんじゃないかと思いますし、こういう都市の骨格を形成するような都市計画施設というものを円滑に整備していくということは大事なことでございますので、今回、都市計画区域外でもそういう事業予定地につきましては先買いの対象にするといったようなことで用地確保に貢献したいというふうに考えて、都市計画区域外のそういう施設の予定地について公拡法の届け出、申し出の対象にしたということでございます。
○山田勇君 面積要件については、先ほど来局長の御答弁を十分聞いておりましたので割愛をさせていただきます。 次に、この代替地対策についてでありますが、最近は、昔と違い、公共事業を実施するに当たって事前に十分代替地を確保しておかないと用地取得が円滑に進まないと聞いております。しかし、一方で、この代替地といいますと、代替地要求が増加してかえって用地取得が進まないということも考えられますが、建設省といたしましてのこの代替地対策の基本方針、今後このような対策を考えているというお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(伴襄君) 被補償者、補償される側から代替地を要求されるケースが非常に多くなってきておりまして、それには、特に居住あるいは生業のために必要な土地というようなことになりますと、極力その代替地要望にはこたえていきたいという精神でもって公共用地取得交渉に当たっております。ただ、代替地を確保するには、いろいろ地権者の要望が多岐にわたりまして、いろいろな土地をせんさくされるというようなことがございます。それから、代替地提供者にさらにまた代替地を提供するというようなこともあったりしまして、用地取得の現場ではいろいろ苦労しております。 そこで、代替地につきましてはいろいろな希望があると思いますので、代替地情報を極力一括して集めまして、そこから必要な情報を提供しまして、それで、ここにはこういう希望されているような土地がこんなような価格でありますよといったようなことが把握できるようにすることが一番大事かなと思っておりまして、代替地情報バンクというものを今構想しております。 この代替地情報バンクには、例えば個人の方の情報だとか、あるいは公共団体の情報、それから宅地建物取引業者のような不動産業者、そういう方々の持っている情報も入れたいと思っております。現在、例えば公共団体なんかでも宅建の業界と協定を結んで情報交換しているところもございますけれども、これを宅建業界だけじゃなくて、幅広く、しかもいろいろな全国べースでこういう情報バンクをつくったらどうかというふうに考えておりまして、今その整備に努めております。これをメインに代替地対策をやっていきたいというふうに思っております。
○山田勇君 それは大変いいことでございます。 最後に、問題点はいろいろとありますが、住宅、社会資本の整備推進は建設省の重要な役割であります。地価下落傾向にある今こそ公共用地対策の充実を図るべきだと考えます。平たく言えば、今、土地が下落しているんですから、公共用地先行取得を今おやりになったらどうかなというふうに思います。別にそれを買って建設省が土地転がしをやるわけではないんで、これは国民に寄与することなんで、何か思い切って今大きな土地対策というようなことをお考えになっておりませんか。大臣に最後にお伺いしまして、僕の質問を終わります。
○国務大臣(山崎拓君) 公共事業の執行に当たりましては、公共用地をまず確保いたしますことが大前提になるのでございます。 今どう考えているかという御質問でございますが、一九九〇年代は、公共投資基本計画によりまして四百三十兆円という公共投資の達成目標がございますので、とりわけ公共用地の確保が重要であると痛感をいたしておるところでございます。 このため、ただいま御審議をいただいてまいりました公拡法の整備を通じまして、先買い制度の活用でございますとか、特定公用地等先行取得資金融資制度の活用充実でございますとか、代替地情報バンクの整備、あるいは税制の活用、さらなる国庫債務負担行為の活用等々、総合的な公共用地対策を今後強力に推進してまいりたいと考えております。
○山田勇君 ありがとうございました。 ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、渡辺四郎君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本正和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、種田君から発言を求められておりますので、これを許します。種田誠君。
○種田誠君 私は、ただいま可決されました公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、豊かさを実感できる国民生活を実現するための公共事業を円滑に実施するため、引き続き、総合的な土地政策の推進を図ること。 二、土地開発公社が積極的に公有地の先行取得を行うことができるよう、必要な資金の確保等に努めること。 三、公共事業の円滑な実施を図るため、代替地として利用可能な土地情報のシステム化等に努めること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(山本正和君) ただいま種田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本正和君) 全会一致と認めます。よって、種田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山崎建設大臣から重言を求められておりますので、この際、これを許します。山崎建設大臣。
○国務大臣(山崎拓君) 公有地の拡大の推進に関する法律及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。 今後、審議中における委員各位の御高見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。 ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。 どうもありがとうございました。
○委員長(山本正和君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 次に、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山崎建設大臣。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま議題となりました治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 政府におきましては、現行の治山治水緊急措置法に基づき、昭和六十二年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定し、これにより治山治水事業の計画的な実施を進めてまいりました。しかしながら、依然として我が国の国土は災害に対して脆弱であり、山地及び河川流域においてしばしば激甚な災害が発生するとともに、各種用水の不足はなお深刻であり、治山治水事業を一層強力に推進する必要が生じております。 この法律案は、このような状況にかんがみ、現行の五カ年計画に引き続き、平成四年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することにより、これらの事業を緊急かつ計画的に実施して国土の保全と開発を図るものであります。 以上がこの法律案を提出した理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。 第一に、現行の計画に引き続き、平成四年度を初年度とする治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画を策定することといたしました。 第二に、新たに治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画が策定されることに伴い、国有林野事業特別会計法及び治水特別会計法の所要の改正をすることといたしました。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(山本正和君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○青木薪次君 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案については、特に第七次の治水事業五カ年計画の達成率が一一〇%でありますが、これは評価できるといたしましても、具体的整備目標に対する達成状況がどうなっているのか、簡単に説明してください。
○政府委員(近藤徹君) 第七次治水事業五カ年計画は平成三年度で終了するわけでございますが、この計画におきましては当初、大河川におきましては戦後最大洪水、これは第五次のころから掲げておったものでございますが、三十年から四十年間に一度発生する規模の大洪水に対する整備率を一応五七%から六二%に向上させよう、こういう目標を掲げておりました。また、中小河川におきましては、時間雨量五十ミリ相当の降雨、これは五年から十年に一度程度発生する降雨でございますが、これに対するはんらん防御率を二八%から三五%に高めよう、約七%向上させよう、こういう計画でございました。 一応、平成三年度の末におきまして当初掲げました目標はほぼ達成できる見込みでございます。
○青木薪次君 第七次計画はもとより事業費の規模が少なかったので整備目標が低過ぎたのではないかと実は思われるわけでありますが、治水事業の長期構想によれば、西暦二〇〇〇年までの目標として、大河川については戦後最大洪水、都市の中小河川については今お話のあったように時間雨量五十ミリということになっているわけでありますけれども、これに対応するといたしましても、現在の整備率が四五%という現状から照らして目標達成が可能かどうか、この点をお聞きいたします。
○政府委員(近藤徹君) 第八次治水事業五カ年計画策定に当たりましては、従来、大河川と中小河川と二本掲げた整備目標で皆様方にも御説明してまいったわけでございますが、国民の認識としては自分の住んでいる地域がどのような危険率、はんらん防御率なのかということだろうということで、私ども、二つの整備率を調整いたしまして、現在のところ時間雨量五十ミリに対してはんらん防御率はどうなのかというふうに今回は整理させていただいたわけでございます。というのは、大河川を整備してもまた中小河川ではんらんすることもあり得るということなので、両者を調整したわけでございます。その結果といたしまして、私ども、現状認識として時間雨量五十ミリに対する整備率は一応四五%と見込んでおります。 長期目標といたしましては、これを二十一世紀初頭におきましては少なくとも人家連檐部においては概成させたいという見込みでおりまして、その過程におきまして五カ年分を取り上げてみますと一応五三%になろうと思います。これを今回の五カ年計画の整備目標とさせていただきたいというふうに存じております。
○青木薪次君 生活大国の実現を目指す上で、災害に対する国民の生命財産の安全が欧米並みに大体確保されているということになればこれはいいんですけれども、現状では生活大国というようなわけにはいかないというように考えているわけであります。 治水対策の長期的目標をどこに置くべきかという点について、ひとつ答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 欧米と我が国とでは治水上の条件が大変違うということをまず最初に御説明させていただきたいと思うんですが、よく例に出しますアメリカは河川のはんらん区域に居住している人口は全人口の九%でございますが、それに引きかえ我が国は約五〇%ということで、二人に一人は一たんはんらんしたら危険な区域に住んでいるということでございます。それは、地形的にも欧米はいわば平野が構造平野、もともと大陸の平野でございますが、我が国の平野は山を雨が削って押し流してきて土砂がたまった沖積平野で、我々はそこに住んでいるということで、我々の住んでいる平野はかつて河川のはんらんを経験した地域であるという点に大きな差異があると思います。そういう意味で言いますと、河川の整備は、欧米においては長い間時間をかけて整備してきたということに対して、我が国は絶えず水と闘いながら生活領域を広げてきたという意味でまだ整備率が極めて低いんだろうと思います。 そこで、欧米では例えば数百年に一度ぐらいの河川の整備についてもほぼ概成しているという状況でございますが、我が国としては、例えば利根川クラスについては百年から二百年に一回程度の洪水にも耐えられるような目標を長期的には掲げておりますが、また中小河川においても時間雨量八十ミリあるいは百ミリ程度でも十分な整備をしてまいりたいということを長期目標としては掲げておりますが、何せ戦後に起こりました洪水に対する整備についてもまだ概成していない状況、また時間雨量五十ミリでも極めてはんらんの危険が高い状況では、その前に一応暫定目標としてただいま掲げましたような時間雨量五十ミリに対してまず国土の平均的な安全度を掲げたいということで進めておるところでございます。 ただ、長期目標は絶えず念頭に置きつつ、手戻りのないように進めていく方法が我々の治水対策の手法というふうに存じております。
○青木薪次君 今の河川局長の答弁、外国の河川の流域に住む人口と日本の河川の流域に住む人口との関係についてはよく承知をいたしているわけでありますが、例えばオランダあたりは一万年に一回、イギリスのテムズ川においては一千年に一回の洪水確率を整備目標としている。ということになれば、私どもは大河川については三十年、四十年に一回発生する降雨に対応することを当面の目標として整備が進められているけれども、これではまだ低い、さらに高い整備目標を掲げて、その目標達成に邁進する必要があろうと考えているわけであります。 近時は、ともかく壊滅的な被害を防止しようという方向に治水の哲学が変化したと聞いているわけであります。また、昨年、河川法が改正されてスーパー堤防の整備事業を推進しやすくなったというように言われているわけでありますが、この流れに沿ったものということが言えるのではないだろうかと思います。今回の新たな五カ年計画の基本方針にも超過洪水に対する管理施策が挙がっているけれども、その底流にある新たな治水哲学を説明していただきたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 先ほど言いましたオランダでは、一万年に一回というまずほとんど起こり得ないであろうという目標につきましても、既に一九八五年には完成していると聞いております。しかしながら、我が国はただいまのように大変整備率が低い状況でございますので、何としても安全度を上げていくのが私どもの責務だと存じております。 しかし、これらを積み上げていったあげくに、また例えば時間雨量五十ミリで整備が終わった段階で時間雨量八十ミリにするとか、あるいは大河川は三十年から四十年に一回の整備が終わった段階で次に百年に一回、二百年に一回、さらには五百年に一回と次々の段階へ一応上げていくわけですが、その過程においてせっかくつくった堤防等をもう一回つくり直すとかそういうことがあってはならないということでございます。 超長期目標としては、河川の破堤のような災害によって人家人命に壊滅的な被害を及ぼすことはまず避けるようにするのが私どもの責務であろうというふうに存じておりまして、その点で、現状の低い安全率を高く上げつつも、一方で将来的には手戻りのないような目標を絶えず掲げつつ進めていこうという判断からこの危機管理施策を掲げたわけでございます。 この考え方の根底には、河川がはんらんすれば当然ながら被害が出るわけですが、その被害を考えられる限りできるだけ最小限にとどめよう、したがって利根川のような大河川におきましても、あれが破堤してはんらんすれば大東京圏が壊滅的被害になるわけでございますが、スーパー堤防の発想の中には、破堤はさせない、少しぐらいははんらんしてげた履き程度で歩ける程度の浸水は残念ながら避けられないとしても、これが人家を押し流すような、あるいは東京の主要なライフラインまでも壊滅させてしまうような被害だけは絶対に避けたいということがございます。 そういうことで、まず昨年、絶対破堤させない堤防、その象徴としてスーパー堤防を掲げまして、河川法改正をさせていただいたわけでございまして、このように目標としては現段階における低い安全度を上げる一方で、我が国のこれだけの経済大国が将来の段階において全く壊滅的被害によって再建不可能となることだけは絶対避けるということを常に念頭に置きつつ、各施設の設計、計画に取り組んでまいりたいということでございます。
○青木薪次君 河川整備の問題を取り上げたいと思います。 中小河川の整備がおくれているんです。これは何でだろうか。 中小河川は流域面積が狭くて比較的短時間の集中豪雨による洪水が起こりやすく、五ないし十年に一度の降雨に対してさえ整備率が三四%ということになっているわけであります。治水施設の未整備が地域の発展の阻害要因になってはならないというように考えるわけでありますが、大都市の大河川と地方都市の中小河川の整備の優先度をどう考えているのか。 それは、例えば三四%ということを申し上げましたけれども、大河川は六二%。今、スーパー堤防の建設が二百年とか三百年とか四百年というようなことを局長から話があったけれども、この辺に対する日本特有の中小河川に対する被害というものが甚大であるということについて、大変私は心配を実はいたしておるのでございます。 いろいろと調べてまいりますると、私の住んでいる静岡県を見てまいりますと、一昨年破堤いたしました大場川というのがある。これはあと一時間ぐらい降雨が続けば町じゅうが全部泥水ということになっているところでありました。私の家も実はそこにあるわけでありますが、それだから関心を持っているというわけじゃございませんが、そういうことを考えて、これが特に緊急対策として建設省も認めて相当な手当てをいたしておりますけれども、この進捗率が六〇%。これは中小河川改修費、ビジネスの改修が六〇%で、災害の復旧助成が五三%。 それから、その近くの都市河川、小規模河川になりますけれども、御殿川というのは五〇%。これはもう大分以前から、昭和三十九年から対応してきたのでありますが、非常に災害の多い川であります。さらに太田川とか浜松を流れる馬込川、こういうところについてもやはり同じように昭和二十七年とか昭和三十九年に着工いたしましても馬込川あたりはまだ九・四%という状態で、馬込川の治水対策期成同盟が市長を先頭にいたしまして、もちろん建設省の工事事務所、土木事務所も参加いたしておりますけれども、やっております。 そういう状態にあるという現状について、もう少し中小河川の改修対策について考えていくべきではないかと。いうように思うのでございます。 また、特にこれから中小河川のあり方についていろいろと考えていくわけでありますが、治水砂防事業の重要性は理解するとしても、その対策がいつまでもコンクリートむき出しの工法であるということは、これはもう大変危険だというように考えます。今度の伊豆災害等を私は見てまいりましたけれども、コンクリートのあれがみんなひっくり返ってしまって、そのひっくり返った残骸がかえって災害を大きくしている。こういうようなことを考えてみると、その地域に合った自然の生態系や景観を十分配慮した工法を使うべきじゃないかということを考えております。 時間がないからまとめてしゃべりますけれども、今、雲仙・普賢岳が火を噴いております。ここへも私は行ってまいりましたが、火山国の日本では第二、第三の雲仙・普賢岳災害がいつ発生してもおかしくない現状にある。今回の反省点の一つに火砕流が発生すると対策を実施する区域が限定されてしまうことがある。そのためには事前に十分な対策をする必要があるんだけれども、ハード対策ばかりでなくて特にソフト対策が今日必要である。それから、昨年秋の台風十八号に見られるように、大分県あたりはもう風倒木で全滅の危機にさらされて非常に厳しい状態に今日あるわけであります。森林被害にとどまらずに、今後の雨によっては土石流の発生や流木被害の発生とその災害の甚大化を県が心配されているのであります。そういう意味で渓流とか河川における流木対策をしっかりやるべきだというように考えております。 そういうような中小河川に対する治水対策は、これはもう林野庁の皆さんも来ていると思うんでありまするけれども、やはりその辺の上流をしっかり守ると同時に、小さい中小河川を守っていくことが日本的な土壌の中で非常に大きな緊急に迫られている問題である。しかし、非常に予算が少ないというように考えているわけであります。 いろいろ申し上げましたが、そういう点についてひとつまとめて答弁をしてもらいたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 広範な御質問でございましたので、まず大河川と中小河川との関係について御説明させていただきたいと思います。 もとより中小河川はそれぞれの住民の皆さんの生活に密着したものであり、それがはんらんすることによって大変な被害になるということは当然のことでございまして、中小河川の改修を進めていくことは先生のおっしゃるとおりでございます。 ただ、申し上げたいのは、中小河川が何本か集まって大河川に流入したあげくにおいての大河川の洪水は大変エネルギーを高められた状況でございますので、一たん破堤したときの被害規模は大変大きくなるという意味で、まず大河川の破堤、はんらんのようなものは厳に避けなければならない。大河川を固めつつそれに流入していく中小河川を整備していくというのが我々が従来とってきた手法でございます。したがって、大河川の整備は究極のところ中小河川の整備をしていく上でも大前提というのが一般論でございます。 今、大場川のお話もありましたが、大場川の流入する狩野川も過去に大変な被害を出しました。したがって戦争による中断等も含めつつも狩野川放水路をついに昭和四十年に完成し、何とか今ある程度の安全度を確保しましたが、それにしましても、狩野川が安全だという住民の皆さんの認識がまだないという状況でございますので、したがいまして、この辺は技術的判断ではございますが、究極のところ、中小河川の安全度を上げるということを大前提にしながら、それと並行して大河川の整備を上げていくことが肝要であろうと存じております。 そこで、地域の発展のためにどのような河川を優先させるのかということでございますが、我が国土の均衡ある発展のためには、やはり地方部の河川も十分相応して安全度を先取りして整備していくことが重要であると存じております。 ただ、都市部におきましては、先ほどの大場川も一つの都市河川の典型だろうと思いますが、今まで皆様が住んでいなかったようなところにも住宅が大変できてきて、従来はんらんはしたけれども被害にはならなかったようなところにも人家があるために、結果、被害を経験する、あるいは中小河川の水源地等で従来は地中に雨水が浸透することによって河川への流出量が抑制されていたものが都市化することによって流出量が増大する、こういう関係がございますので、都市部においては都市化の進行に先行させて治水対策をとっていく必要があります。 そういう意味では、結局、どれも一生懸命やらにゃいかぬということになるわけでございますので、私ども、地域の実情とりわけ地域の社会的な変動を絶えず踏まえて、きめの細かい治水対策を推進してまいりたいと存じております。
○青木薪次君 林野庁の方、見えてますね。 林野庁も大変な合理化の中で治山事業も大変だと思うんでありますが、渓流とか小川とか、いろんなせせらぎとかということで皆さんに親しまれているわけでありますが、奥地の開発が進み過ぎて一斉に土石流として流れていくというような中で、そのことがまた一つの集落を壊してしまう、あるいはまた自然の景観や緑を全く絶やしてしまうというようなことがあるわけであります。今、河川局長から、大河川をしっかり守るという答弁がありましたが、これも大切でありますけれども、今日的事情の中で災害の危険箇所、地滑りとか崩落とか、そういった危険箇所がたくさんに年ごとにふえているということを考えると、林野庁のこの面における対応の仕方というものについてもひとつ答弁していただきたい。 と同時に、先ほどから答弁のありましたように、この十年間で二〇〇〇年までに四百三十兆円の公共事業費を使って社会資本を完全にストックさせていくんだというような決意のもとに今やっているわけであります。その意味では我が建設委員会に与えられた任務というものは極めて大きいと考えておりますけれども、特に渓流とかせせらぎとか小川とかを担当される林野庁の意見も聞きたいと思います。
○政府委員(小澤普照君) 私どもの方で実施しております治山事業は、非常に広大な面積を有しております森林地域におきまして、その森林の維持、造成を図ることによりまして国土の保全あるいは水源涵養等の森林の機能の発揮を保全する事業でございます。国土面積の七割が森林でございますので、守備範囲も大変広いということになるわけでございますけれども、その中で鋭意治山事業を実施いたしまして、本来の使命を果たしてまいりたいということで、今般第八次治山計画も策定させていただくということでございます。 その中で、特に今先生からも御指摘がありました、開発等に伴う森林の機能低下があってはならないという観点から、開発に当たりましても、保安林の行政でございますとかあるいは林地開発規制等におきまして厳正な運用を図るということを常々考えてやってまいりたいと思っております。 なお、今後の森林の果たしてまいります役割が国土の保全から始まりまして環境の保全面まで非常に広がっておるということも考えますと、私どもこの際、治山事業の実施に当たりましては災害について耐性の強い森林造成ということを考えさしていただきたいわけでございますので、整備の目標としては、戦後最大降雨、私どもこれは平均的に見ますと日雨量四百ミリを想定しておるわけでございますが、これに耐え得るような防災施設、治山施設の整備を図ろうとしております。 また、先ほど先生から御指摘がございました火山災害につきましても、今回の八次計画の初年度に当たります本年度から火山地域防災機能強化総合治山事業を創設してまいりたいと考えております。 なお、先ほど台風災害の問題も御指摘されましたが、これにつきましても、特に二次災害防止という観点から、私も現地も見さしていただいたりいたしながら、風倒木の早期処理、これは場合によりましてはヘリコプター等も導入するとか、あるいは関係省庁との連携も緊密にさせていただきまして対策に当たりたい、このように考えておる次第でございます。
○青木薪次君 時間がありませんから、最後に大臣から所信の表明をいただきたいと思いますけれども、我が国の地勢から見て、非常に急流が多い、狭い面積に人がたくさん住んでいる、しかも流域に住んでいるということは、災害の発生が予見される大きな材料だと思うんであります。今回の十年間の四百三十兆円の重点的配分について河川局長と林野庁長官から今聞いたわけでありますが、その点に対する大臣の見解を聞いて、終わります。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま御審議をいただいております第八次治水事業五カ年計画におきましては、二十一世紀に向けまして真に豊かさを実感できる生活大国を実現いたしますために、安全な社会基盤の形成、水と緑豊かな生活環境の創造、超過洪水、異常渇水等に備える危機管理施策の展開を図ることを基本方針に推進してまいるところでございます。 実は新聞にも出ましたけれども、経済審議会におきまして新経済五カ年計画を策定中でございまして、その中間報告が出されておりますが、その中にもただいま申し上げました安全な社会基盤の形成が特に取り上げられておりまして、二十一世紀にふさわしい国土の形成を図りますためには災害に対する脆弱性への対応が必要だという指摘が行われているところでございます。 先生御指摘の四百三十兆円の公共投資計画の推進に当たりまして、この件に関しましても特に力点を置きまして取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○青木薪次君 終わります。
○小林正君 気象庁にお尋ねをしたいと思います。 昨年の気象災害は、いずれも近年余り例のない大変大きなものがあったわけであります。その中でも、死者十三万人以上と伝えられました四月のバングラデシュのサイクロンによる被害、インド、中国、フィリピン等でも七月から十一月にかけて大変大きな災害が発生をいたしました。日本では、昨年七月から十月にかけて上陸した台風が八個。六一年から九〇年までの三十年間の平均が五個と言われているわけですけれども、倍近い値になったわけであります。この中で十七号、十九号などが大変大きな災害をもたらしたわけであります。 そこでお尋ねをしたいのは、一つは、昨年の気象災害は、いわゆる異常気象によってもたらされたのかどうかという点であります。 二つ目は、この異常気象という言葉については最近マスコミもかなりセンセーショナルに取り上げている部分もありますけれども、学際的に言う言葉と一般的に使われているのとでは若干ギャップがあるのかなという気がいたします。その因果関係として地球の温暖化の問題ですとかあるいはエルニーニョによってもたらされたなどという指摘もされているわけですし、気象庁のさまざまな資料等でもそうした指摘もあるんですけれども、そういうことについてお伺いをしたい。 〔委員長退席、理事種田誠君着席〕 それから三つ目は、最近の日本の天候の特徴として、昨年は特に暖冬、不安定な夏の天候、台風がたくさん襲来するということなどが指摘をされております。こうした傾向が一体今後どこまでどういう期間続くのか。 以上三点についてまとめてお答えをいただければと思います。
○説明員(吉住禎夫君) お答えいたします。 異常気象の定義といたしましては、大体二十五年とか三十年に一度ぐらい起こるような現象を異常気象と称しているわけでございます。 それから、異常気象に関連して、それが温暖化あるいはエルニーニョとどういうふうに関係しているかということでございますけれども、温暖化につきましては国連の関係のIPCC等で現在調査中でございますけれども、異常気象が温暖化に伴ってはっきり増加するかどうかということについてはまだ結論を得ていないところです。 それから、エルニーニョに関連しましては、これはいろいろこれまでに調査がございまして、日本で言いますと夏は高温にはならないという傾向がございますし、インドネシア等では雨が少なくなる、それからアメリカにおきましても南部の方で大雨が起こりやすくなるとか、それからアメリカ大陸の北西部では気温が高くなるとか、そういう傾向がございます。エルニーニョに関連しては、そういう異常気象が世界各地で起こる傾向があるということが知られております。 それから、日本の最近の暖冬の傾向についてでございますけれども、これは現在いろいろの調査の結果から見ますと、気温の長期的な変化にもいろいろな周期の変動がございまして、数年以下、それから十年程度の変化、それからもう少し長い変化、そういったいろんな変化の高いときがちょうど最近重なってきて暖冬傾向が続いたんだろう、そういう見方になっております。
○小林正君 それから、夏の気候が非常に不安定である、台風が大変多く襲来する、昨年のケースで言うと八個ですか、というようなことで、この台風の発生についてはどうなんでしょうか。 〔理事種田誠君退席、委員長着席〕
○説明員(吉住禎夫君) お答えします。 台風の発生数についても長期的な変動がございまして、六〇年代ごろ発生数が多い時期がございました。その後七〇年代に発生数が少なくなりまして、最近また少し増加傾向にある、そういうことでございます。
○小林正君 昨年の場合は、特に発生数というより上陸する回数が多かったということと、もう一つ、台風が発生する地点がかなり北に偏っていたためにすぐ日本の本土にやってきたというようなことも指摘されていたと思うんですが、その辺の傾向はどうですか。
○説明員(吉住禎夫君) 上陸数につきましてもいろいろ長期的な変動がございますが、今ちょっと上陸数の数字を持ってきておりませんので接近数でお答えしますけれども、五〇年代、六〇年代に多い傾向がございまして、それから七〇年代接近する数が少し減少いたしまして、最近少しまた五〇年、六〇年と同じぐらいの件数に近づいてきているかと思います。
○小林正君 これだけ大きな気象災害が起こるということになると、気象庁として、長期的なトレンドといいますか、そのことについての見通しを立てて行政的な対策を講じていくという連携が非常に必要になってくるだろうと思うんですが、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
○説明員(吉住禎夫君) そういう傾向につきましては、いろいろなところで情報を流してきているところでございます。
○小林正君 どうも私は気象庁は非常に慎重だと思うんです。しかし、異常気象というのは、非常に学際的な側面からの対応としては厳密に三十年云々という異常値を通してというお話もございましたけれども、私は日本の場合は、特に狭い国土で非常に人口密度が高くて経済活動が稿密に行われている地域の中で、気象災害のもたらす甚大な被害ということをやっぱり想定して、気象上の問題と産業の関係、もう少し連携をとって対応する、そして警鐘を思い切って鳴らしていくというようなことを、今までの傾向からすると異常値が高いから警戒すべきなんだというようなことを大胆に提起していく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
○説明員(吉住禎夫君) 我々の答えられるところで、これは予報精度とも関係するわけでございますが、我々の得た情報あるいは予報については、農水省なりほかの関係省庁の方にも適宜流しているところでございます。
○小林正君 実は昨年暮れ、「時の動き」という雑誌でしたか、日本損害保険協会のまとめで出ているんですけれども、それによると台風十九号の損害保険金の支払い総額、これが損保会社全体で六千三百億円、これは世界最高額だということが報じられていたわけです。つまり、それだけ日本の国土というのは経済活動が活発に行われていますから、十九号のパンチによってこれだけ損害をこうむったということなわけであります。 また林野庁の被害調査で、十七、十八、十九号の民有林、国有林合わせての被害総額は二千百五十九億円という数字がはじかれているわけです。これは大変な損害で、果たしてここで出てきた数字のとおりなのかどうなのかということも、これは今倒れている木や何かを含んだ数字として出ているんでしょうけれども、これから後これを復旧するのには三十年、五十年という長い期間を要するわけですから、その間山が荒れていくという問題も含めて考えると、数字であらわされた被害ということでは済まない深刻な問題を抱えているんじゃないかというふうに思います。 それで、先日十四日付の朝日の「論壇」で国民森林会議のアピールが紹介をされていたわけでありますけれども、台風の直接的にもたらす被害と、それからその状態が続いていることによってことし梅雨になったり台風が襲来するということから起こってくると予想される二次災害等を考えると、大変深刻な事態に今なっていて、台風の被害というのは実はこれから起こるのではないかという指摘もされているわけです。 そこでお尋ねしておきたいのは、一つは、先ほど青木委員からの御指摘もございましたけれども、風倒木の処理が進まないことからことしの梅雨、台風期に被災地の崩落、土砂の流出が大変懸念をされているわけですけれども、ことし発足する第八次治山五カ年計画で果たしていいのかという問題が当然出てくるだろうと思うんです。そうした場合に、危険箇所の重点復旧にもっと力を注いでやっていかないとさらに被害が拡大してしまうんじゃないかということが予想されるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(小澤普照君) 先生今お尋ねの台風災害は大変甚大なものがございまして、この処理につきましては迅速かつ計画的に行う必要があるということでございます。被害総額で二千百億を超えておりますけれども、これは治山的復旧を要する被害、あるいは林道のような施設災害も含めての数字でございますが、いわゆる森林そのものだけでも千五百億円程度の災害を受けているということでございます。 これにつきましては、森林災害復旧事業あるいは治山事業によりまして復旧に努めるということにしておりますけれども、平成三年度は発生年度ということもございまして全体的な進捗状況はおおむね一〇%程度ということになっておりますが、私どもは全体の復旧を五年でやりたいというふうに今考えておりまして、そういうふうに考えますと、平成四年度が大変重要な時期であるということは事実でございます。 したがいまして、二次災害防止という観点も含めまして風倒木の処理あるいは跡地の森林の再造成ということを鋭意実施してまいるわけでございますけれども、今回の第八次治山五カ年計画におきましても、山地災害防止等の観点から、治山事業の施行箇所につきましては実行段階でしっかり定めてまいりたいと思っております。 特に十九号台風等の林地荒廃につきましては、平成三年度で既に災害関連緊急治山等事業により緊急対応をいたしておりますけれども、さらに平成四年度におきまして特に被害の著しい状況にございました大分県の北西部の地域に新たに治山激甚災害対策特別緊急事業を実施いたすということにしております。さらに、復旧治山事業等を積極的に実施いたすことによりまして対応してまいりたいということでございます。 なお、出水期を控え良して流木等によります二次災害が憂慮される箇所につきましては、治山事業におきましてもヘリコプターの活用も含めまして風倒木等の緊急除去の推進を図るということでございますが、これらにつきましては、関係省庁との連絡調整も密にいたしながらこの治山事業の計画の中で有効な実施を図りたいと思いますし、それから同時に、治山事業以外につきましても森林災害復旧事業、いわゆる造林手法によります対策もあわせて講じて、災害の迅速な復旧に努めてまいりたいと考えております。
○小林正君 今度の台風被害の教訓を踏まえて、例えば国民森林会議で言っていますのは、一つは「画一的な森林の仕立て方」云々という指摘もしているわけですが、治山とか林野行政全般についてあり方を再検討して、財政的な裏づけについても抜本的な検討が今求められているんじゃないかなという気がするわけです。 今も御答弁がありましたけれども、この平成四年二月の閣議了解として治山投資規模が二兆七千六百億円というものが計上されております。しかし、こうした激甚災害が今後多発することも傾向としては予測をされているという状況の中でどうかなという心配もあるんですけれども、そのことについてもお伺いしたいと思いますし、昔は「国破れて山河あり」と言ったんですが、今の日本は「国富んで山河なし」というような指摘がマスコミあたりからされている状況もあるんです。この点についていかがでしょうか。
○政府委員(小澤普照君) 森林の整備の方向につきましては、先生もただいま御指摘されましたけれども、森林の災害に対する機能の向上を図りますと同時に、現今、森林に対する国民の要請、期待が非常に高まっておりまして、多様な要請があるわけでございます。それに対しまして、私どもも森林の内容整備ということに力を入れたいというように考えておりまして、戦後大変御努力をいただきました一千万ヘクタールの人工林がございますけれども、これを今後どうやって内容を強化していくか、それからまた多様性を持たせていくかということに力点を置いて考えてまいりたいということでございます。 したがいまして、森林整備全体につきましては、長伐期施業に移行していく、あるいは複層林施業というように内容の濃い森林を造成していく、あるいはさらに天然林につきましても育成天然林手法ということで内容の充実を図りたいということでございまして、治山事業につきましては二兆七千六百億円の投資計画でございますけれども、同時に、今般、森林整備事業計画ということで、造林的な問題あるいは林道等の整備につきましても三兆九千億円の投資計画を初めて策定させていただきまして、閣議決定も行っていただいたところでございますので、この辺をあわせまして我が国の森林の整備に努めてまいりたいと考えております。
○小林正君 十九号等については、日田の杉と青森のりんごは特に話題になっているんですけれども、全国的に相当大きな被害が波及をしているわけで、国土の七割を占める日本の山でありますから、ぜひこれを国民の財産として守るための行政を進めていただきたいというふうに思います。 次に、都市河川事業についてお尋ねをしたいと思うんです。 先ほど来いろいろ御指摘もありましたが、山が七割だと沖積平野に人が集中して住む、これは一つの宿命的な要素でもあるわけなんですけれども、先ほどの損害保険の話じゃありませんけれども、それだけ稠密な経済活動が行われていて人が多く住んでいる、またそこにしか住めない、住む余地がないという日本の事情の中で、大きな川も小さな川も、これは生命財産という基本的な問題にかかわっているわけですから、ゆるがせにできないというふうに思うんです。 特に私の住んでいる神奈川県で申しますと、八百万を超える人口が極めて小さい地域の中でひしめき合って暮らしているというような状況の間を川が流れているということで、一極集中の東京周辺のベッドタウンの機能とかそこでの産業云々ということで対応をされているわけですけれども、ここに住んでいる人たちの日常的な不安として水害の問題があるわけです。これがもう県の行政の中でも非常に重要な施策の一部をなしているわけです。その流域の都市化という社会の構造的な変化がもたらした結果としてさまざまな問題が出てきているわけで、こうした河川をめぐって環境の変化という面からお尋ねしたいわけです。 一つは、河川法十六条に言うところの工事実施基本計画の査定の要素としての河川の流量算定方式、これについて、一つは予想を超える降水量がある。一定の量を想定して対策を講ぜられているその問題と、もう一つは算定方式ではこの程度の降水量ならばと言ったにもかかわらずなお溢水といいますか洪水が生じてくるという事態も起きているわけですね。そういうことになると、この算定方式そのものについてもう一回検討する必要があるんじゃないかという指摘もされているわけですけれども、この点についていかがでしょうか。
○政府委員(近藤徹君) 都市部におきましては都市化の進行によって河川の流出形態が大変激変しているという観点からの御質問だろうと存じますが、その前に私どもの計画策定の考え方を若干御説明させていただきますと、基本的には、各河川の流域の大きさあるいはそこに居住する住民の人口規模その他を勘案いたしまして、河川ごとに計画の規模を定めるわけでございます。 計画の規模の定め方として、例えば過去に発生した洪水を確率処理しながら、一応、利根川クラスですと二百年に一回程度の洪水にも耐えられるような計算をするわけでございます。その前提としましては、過去に発生した洪水を分析いたしまして、降雨、流出形態等を追跡計算しながら、二百年に一回ぐらい起こるであろう洪水を再現させて、それに対応する治水施設を整備していくというような手法をとっております。 ただ、中小河川になりますと、過去に起こった洪水の形態がそのまま現時点でも再現できるかといいますと、水源地が都市化してしまって地中への浸透機能が失われているために降った降雨はほとんど流出してくるというような形態もあるわけでございますので、都市部におきましてはむしろ降った雨が場合によってはほとんど出てくるであろうということを想定しつつ、過去の流出形態に必ずしもこだわらずに算定をしなきゃならないという事情がございます。 そういう意味で算定方式については技術的にいろんな手法をとっているわけでございますが、いずれにしてもある計画規模を想定するわけでございますが、これは自然現象でございますので、その計画規模を上回る洪水というのは絶えず発生する危険性を持っているわけでございます。私どもそれを異常洪水あるいは超過洪水と申し上げているわけでございますが、一応、現段階では、想定した洪水に耐えられる治水施設を計画し、それに基づいて逐次整備していくという手法をとっております。 そこで、計画を超えてしまったような洪水が発生したらどうなるのかというのが大きな課題でございまして、先ほども申し上げさせていただきましたが、私どもは気象の異常現象において計画を超えてしまったものに対しても災害を極力最低限にとどめるような努力をしてまいりたい。そこで、今回の五カ年計画においてはこれを危機管理施策の展開ということで掲げさせていただきまして、計画内のものは当然安全でありますが、計画を超えてしまっても災害は最小限にとどめるような施設のあり方を追求してまいりたい、そういうふうに考えております。 それから、都市化の問題につきましては、特に先生のおひざ元にございます鶴見川等が大変顕著でございまして、昭和三十年代の流域の市街化率一〇%が四十年代に二〇%になり、現在は八割に近い状況で急激に都市化しておりますために、昔はそれほど洪水というふうに住民が認識していなかったのが今やちょっとした雨でも洪水になるというような現象になってきたわけでございます。私どもはそういう現象に着目いたしまして、こういう問題は単に河川内の対応だけでは耐えられませんので、流域においても流出抑制の施策をとっていただく、あるいは常襲はんらん区域については浸水実績を公表することによって住民の皆さんにあらかじめ出水時における心構えをしていただく、そういうような施策をとってまいりまして、全国でまず真っ先に先駆けてこの施策、総合治水対策と申しておりますが、それを展開してきたわけでございます。 その成果の上において、今、鶴見川は十数年前から比べれば何とか最低限の安全度は確保できたという段階でございますが、それにもかかわらずまだ流域の都市化が急激に進行している状況を踏まえますと、さらに一段と安全対策を推進してまいりたいと存じます。
○小林正君 今も局長から御答弁いただきましたが、その鶴見川の問題についてこの間建設省に大変御努力をいただいていることはもう重々承知をして感謝申し上げているわけでございますけれども、実は県、横浜市等からも国へ要望等も出ておりまして、その多目的遊水地事業というものの推進についてお尋ねをしておきたいと思うんです。 実は神奈川県で平成十年に国民体育大会が開催される予定になっております。その前年にはいわゆるプレ国体というのがあります。そこで、この遊水地を国体の主会場にということで、大変規模の大きい運動公園的なものをつくる、国立競技場を上回る七万人収容という大きな計画が今進行しているわけですけれども、この遊水地というのは多目的な事業の一環として進行しているわけで、国の施策の進捗状況と平成八年度という完成年度が非常に関心を高めているところでございます。また一方、水害に悩まされている流域住民にとっては、この遊水地事業が一刻も早く完成をして安心して暮らせるという環境に浄っていきたいという期待も大変大きいわけでございます。 そうした地元の状況というものを踏まえまして、もう一言御答弁いただければと思います。
○政府委員(近藤徹君) 鶴見川の関係については、大変都市化の進行によって治水の安全度が急激に低下してきた川という認識がございまして、私どもも従来から総合治水対策という施策を掲げて重点的に進めてまいったわけでございます。現在の計画といたしましては、鶴見川の治水計画は二千三百トンという計画高水流量を前提にしておりますが、現時点では大変安全度が低い状況でございますので、まず当面千三百トンの流量を安全に流してまいりたいという暫定緊急計画を持っておるわけでございます。 その中でも、下流部は、御承知のとおり鶴見区等の密集市街地でございますので、当然ながら川幅を広げることは不可能でございます。したがいまして、中流区間、新横浜駅前にかなりまとまった農地がございましたので、この地域に遊水地を設置しようということで従来から関係者と協議をしてまいりまして、この遊水地計画に取りかかり、現在、用地買収を計画的に進めておるところでございます。ただ、何せ地価も高く周辺は大変都市化が進行している地域でございますので、用地所有者の御理解をいただくということで懸命に努力しておったところでございます。 横浜市といたしましてもこの地域を平成十年に神奈川国体のメーン会場にしたいという御要望がございましたので、せっかくの土地でございますから、河川としての治水対策と同時に、そのような運動施設として使われることも大変結構であろうということで、これを多目的遊水地構想の一環として進めることとしたわけでございます。 そこで、取得予定面積でございますが、六十五ヘクタールでございまして、平成三年度末までに四三%の取得が終わったところでございます。今後は資金的にも国の直轄事業及び横浜市等の資金も導入いたしまして、平成六年度までには何とか用地買収を完了させるように努力してまいりたいと存じております。
○小林正君 どうもありがとうございました。
○猪熊重二君 法案について二、三質問したいと思います。ただ、私は治山治水緊急措置法というのは初めて読みましたので、ほかの先生方と違って非常に初歩的な疑問でまことに申しわけありませんが、お伺いします。 今般の法改正は平成四年度を初年度とする治山治水五カ年計画を策定するということを眼目にした改正案ですが、まずこの五カ年計画というものの性質は何なんだろうということについてお伺いします。 法第三条によれば「農林水産大臣は、中央森林審議会の意見を聴いて、平成四年度以降の五箇年間において実施すべき治山事業に関する計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければ狂らない。」ということになっております。同様に、建設大臣も治水事業五カ年計画を策定することになっています。このように閣議決定を経た治山及び治水五カ年計画は都道府県知事に通知されることになっておりますが、この計画は国会に対しては何らかの応答があるんでしょうか。要するに私は、この五カ年計画というのは各大臣が策定されてどのような規範的な意味を持っているんだろうかということについて、それぞれの省庁からお伺いしたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 治水五カ年計画のそもそものスタートは、昭和三十四年の伊勢湾台風によって五千名に上る方々がお亡くなりになったということもあり、治山治水対策は国政の極めて重要な課題であるということから従来それぞれの担当部局が財政当局と交渉しつつも治水事業を積み上げてきたわけでありますが、もう少し長期的な視点に立って事業を進めていくべきではないかという国家的な認識のもとにこの治山治水緊急措置法が制定されたと存じております。 そこで、現時点でも依然として我が国の国土が災害に対して脆弱で、河川流域において激甚な災害が発生し、治水事業を強力に推進する必要が生じている状況にかんがみまして、第七次治水事業五カ年計画が平成三年度で終了いたしましたので、平成四年度を初年度としまして治水事業五カ年計画の策定を政府としてするべく、そのための根拠としてお願いしているところでございます。この法律の制定によりまして、建設大臣は五カ年間に行うべき事業の実施の目標及び事業の量を定めた治水事業五カ年計画の案を作成いたしまして、閣議の決定を求めるものでございます。 政府といたしましては、治山治水緊急措置法に基づき閣議決定した治水事業五カ年計画は、これを強力に推進するため、各年度ごとの治水事業予算の政府案は投資金額等五カ年計画の達成を基本に作成することとなります。しかしながら、当然ながら予算として成立するためにはそれぞれ各年度に国会の審議を得ることが必要でございまして、その意味におきましては国会を拘束するものではないと存じます。
○政府委員(小澤普照君) 治山事業につきましては、この事業そのものが山地に起因する災害から国民の生命財産を守る、また水資源の涵養でございますとか生活環境の保全、創出等、まことに重要な国土保全施策の実施を内容とするものでございまして、長期的な視点に立ち、さらに計画的かつ継続的な事業の推進を図る必要がございます。このために、治山治水緊急措置法第三条に基づきまして、農林水産大臣は五カ年間に行うべき事業の実施の目標及び事業の量を定めた治山事業五カ年計画の案を作成いたしまして、閣議の決定を求め、治山事業の緊急かつ計画的な実施を促進することとしているわけでございます。 また、同法第四条におきまして、政府は治山事業五カ年計画を実施するため必要な措置を講ずるものと規定されておりまして、この規定を受けて計画的な治山事業の推進をするということでございます。 なお、治山事業五カ年計画は投資規模を定めているわけでございますが、これを実施するために必要な措置を講ずるものとされておりまして、これにつきましては毎年度予算において実行してまいりますが、予算額につきましては治山事業五カ年計画の投資規模を考慮しつつ、社会経済の動向、財政事情等を踏まえて定めるものでございます。 五カ年計画が直接毎年度の予算を拘束するものではございませんが、今後の事業の緊急かつ計画的な推進を図りますために、必要な予算額の確保に務め、その達成に万全を期してまいるということでございます。
○猪熊重二君 今お二人からせっかくいろいろお話しいただきましたけれども、私の質問には全く何ら答えていないのです。要するに、治山五カ年計画、治水五カ年計画がどういうことで必要だとか、それの趣旨だとか、そういうことはお話しになりましたけれども、私が質問したのはそういうことじゃない。この五カ年計画というのは閣議決定を経て決定した段階においていかなる法規範的意味を有するとお考えですかと伺ったんです。 ということは、この五カ年計画というものは国会に対してどういう意味を持つんだろうか、あるいは行政府自身に対してその後の行動をどれだけ覊束するものであるか、あるいは国民に対するどういう約束事なんであるかという意味において、この五カ年計画というものの規範性はどこにありますかという質問を申し上げたつもりなんです。また後でいろいろ考えてみてください。 私が聞きたいのは、この五カ年計画には、三条二項によれば五カ年間に行うべき事業の実施の目標、五カ年間に行うべき事業の量というものを明確に決めなければならないというふうに書いてあるんです。それで、第七次の五カ年計画というものを読ませていただきました。第七次の治山事業五カ年計画、これは昭和六十二年九月二十五日閣議決定。治水事業五カ年計画も読ませていただきました。 しかし、この両方の事業計画を見ても、五カ年間に行うべき事業の実施の目標あるいは事業の量というのは、結論的に言うと金額が書いてあるだけなんです。要するに、それぞれの計画においてどれだけの金額をめどにして仕事をしますということが書いてあるだけなんです。この五カ年間に行うべき事業の実施の目標だとか事業の量というものが何で金額になるんですか。 例えば第七次の治山計画では治山事業の事業の量は一兆四千百億円だそうです。それから、治水事業の方は八兆円ということになるんですが、事業の量というのが金額だというのは、これはどういうことなんですか。法律が書いてある事業の実施の目標だとか事業の量というのは、どういう事業を実施するかあるいはその事業をどのくらいの分量をやるかということであって、金額の問題なんということは私には全然考えられないんです。どうしてこれを金額に転換してしまうのですか、また金額を書くことがどうして事業の実施の目標だとか量だとかということと関係があるんですか、その辺をお伺いします。
○政府委員(近藤徹君) 第七次治水事業五カ年計画の内容について御説明させていただきますと、当然ながら、総額としては十二兆五千億円の治水投資を行うことを基本方針のもとに、以下の目標について実施するということに定めてあります。 ポイントだけ申し上げますと、安全で活力ある国土基盤の形成を図るため、大河川のはんらんによる壊滅的被害の防止、都市の慢性的浸水被害の解消、土砂災害による被害の防止、農山村の活力を促すための治水対策の推進を目標として、国土保全上または国民経済上特に重要な水系にかかる河川及び渓流、近年において災害の著しい河川及び渓流、総合治水対策特定河川等の市街地及びその周辺地域における河川及び渓流、地域開発等に関連する緊要な河川及び渓流等々、それぞれ事業名をある程度特定いたしまして、そういうものに重点を置いて進めるよう計画としては定めたところでございます。
○猪熊重二君 私が言いたいのは、まことに不勉強で申しわけないけれども、私が今持って読んでいるのは、これは第七次五カ年計画なんです。第六次五カ年計画を勉強する時間がなくて申しわけないけれども、今度あなた方が策定しようという第八次五カ年計画もこの五カ年計画の日付と金額を変えれば同じものじゃありませんかということを言いたいのです。要するに、緊急などうしても直ちにやらなきゃならぬということのために、わざわざ治山治水緊急措置法なんです。ところが、書いてある中身はちっとも緊急でも何でもない一般的なこと、一般論をずっと羅列してあるだけなんです。 だから、今度は第八次計画をつくるときにどんなものをおつくりになるか私は知らぬけれども、第七次五カ年計画の前の第六次と比べてみれば恐らく日時と金額が違っているだけでしょう。今度第八次を日時と金額が違っているだけのものをもしおつくりになるようなことだとすれば、法律が予想している事業の実施の目標だとか事業の実施の量だとかなんということはどっかへ飛んでいっちゃうじゃないですか。これを私は言いたいんです。この次は緊急措置に見合うような事業実施の目標とか事業の分量を書く計画を立ててください。毎回同じで、金額と数字だけ変えればいいというふうだったら法律が予想しているものとはちょっと違うんじやありませんかということを申し上げておきたい。 それからもう一つ、今度は別の観点から申し上げると、今回もいろいろ、八次における治水計画の方は十七兆五千億円だとか治山の方は二兆七千六百億円とか、こういう金額が出ています。この金額は投資規模と書いてあります。この投資規模というのは、これは一体事業計画とどういう関係があるんでしょうか。この法律の条文からは直接は出てこないんです。 事業規模がどうだとかこうだとか、政府はそのための措置を講ずるということは書いてありますが、そうすると、この事業規模というのは五カ年計画を策定した後、政府がそのための措置を講じなきゃならぬということのこれが中身なのか。だとしたら、これは国会の審議においてどういう意味を持って皆さん方は提出されるのか。もしこれをどうしても出すんだったら、きちんと法律の条文にわかるように書いたらどうなんでしょうか。 この十七兆五千億円あるいは二兆七千六百億円という投資規模というものの性質は、何なんでしょうか。
○政府委員(近藤徹君) まず、政府でこの五カ年計画策定に至る段階の御説明をさせていただきたいと思いますが、昨年の年末におきまして、政府予算原案を策定するに当たりまして、第八次治水事業五カ年計画の案としては十七兆五千億というものをもとに策定しようということが建設大臣と大蔵大臣との間で一応合意されたわけでございますが、それを受けまして先日、二月の二十一日の閣議了解の場におきまして、十七兆五千億の投資規模とするというところまでが決まった段階でございます。それで、これから国会の御審議を経まして第八次治水事業五カ年計画を策定すること、その場合に建設大臣が案を策定して閣議決定をしてもらうということまでをここで御決定いただくことになります。それを受けまして、恐らく今年この国会以降のある時期におきましてさらに詳細な五カ年計画案を建設大臣が策定するわけでございます。 ちなみに、第七次治水事業五カ年計画におきましては、投資規模を当然書き込んでおるわけでございますが、同時に事業の実施の目標も書き込みまして、そこにおきましては、大河川が大変壊滅的被害を招きやすいという現状を踏まえ、かつ都市においては都市河川が常時浸水被害に見舞われておること、あるいは先ほどからの議論のように土砂災害によって貴重な人命財産が奪われておるという現状を踏まえて、それぞれにきめ細かい施策を実施すべきであるということが目標として恐らく書き込まれることになろうと存じます。 それを受けまして、事業の量としては、大きな方向といたしまして、まだ事務的には申し上げる段階ではございませんが、現在三本の柱と申し上げているような、安全な社会基盤の形成、あるいは水と緑豊かな生活環境の創造、超過洪水、異常渇水等に備える危機管理施策の展開等、それぞれの目標別にどのような事業を展開するかというところまで恐らく書き込まれることになろうかと存じます。
○猪熊重二君 書き込まれることになろうと思いますと言うけれども、この金額は何かということをお伺いしたら、結局これは四条の政府は必要な措置を講ずるという、その必要な措置の金銭的な裏づけだということなんでしょうが、答弁が余りはっきりしませんね。 それで、先ほどの質問と関連するようなことなんですが、過去の五カ年計画の実施状況について建設省と農水省から計画の達成実施状況が報告されています。例えば第七次計画について、治山事業の方は計画事業費一兆四千百億円、事業費一兆四千七百二十五億円、達成率一〇四%。治水事業では計画事業費八兆円、事業費八兆八千十六億円、達成率一一〇%。私みたいな素人から見ると、この達成率というのは何を言っているのか全然わからない。 費用を達成したということはどういうことなんですか。仕事をしたときに、仕事をどれだけ達成したかということは世の中で言えばわかるけれども、予定の費用を全部使ったよ、それで一〇〇%達成したよ、あるいは計画事業費が八兆円ですよ、それでこの事業費は八兆円の計画だったんだけれども実際には八兆八千十六億円使ったから達成率は一一〇%だと、こうおっしゃっているんです。 国民が知りたいのは、銭を予定どおり使ったか使わないかなんということじゃないんです。予定した仕事がどれだけできたかできないかということが達成の問題なんです。こんな達成率なんて言われたって、達成したかせぬか全然わからない。例えば十キロメートル堤防をつくりますと言って五年間で十キロメートルつくったと言えば、ああ一〇〇%達成したな、こう思うわけです。ところが、十キロメートルつくりますと言って、予算の関係や物価の上昇や工事費の上昇で十キロメートル予定したけども五キロしかできないと言ったら、事業の方の達成率は五〇%じゃないですか。 銭だけは一〇〇%使った、だけど仕事の方は五〇%だと。だとしたら、両方の省庁から出ているこの達成率、銭を使いましたなんという達成率は国民は知らなくてもいいんです。金が残れば余計いいんですから。事業はできたけれども金は余ったと言えば喜ぶけれども、金は全部使ったけれども仕事はどのぐらいやったんだかわからぬというんでは困るんです。どうしてこれが達成率という言葉になるんですか。
○政府委員(小澤普照君) 先生の御質問にきちっとお答えしなきゃいけないわけでございますが、私どもがここで達成率と言っておりますのは、計画自体が投資規模を目標率として掲げているということから、達成率ということになりますと金額表示をやっているわけでございます。 ただし、それでは確かに先生御指摘のとおりわからないじゃないか、こういうお話もございますと思いますので、その点につきまして別の言葉、例えば整備率という言葉もあるわけでございます。 実際には、治山事業の方で申し上げますと、芝の第七次計画期間中に一兆四千七百二十五億円の事業費を投入したわけでございますが、中身等につきまして申し上げますと、治山ダム等の治山施設を設置して山地崩壊地あるいは荒廃した渓流、地すべり等につきましては十三万ヘクタールの整備を行ったということが一つです。それから海岸砂地あるいは雪崩危険地、水源地域、それから都市周辺の良好な生活環境の保全創出を図る必要のある箇所等におきまして十四万ヘクタールの森林の整備を行ったということ。 そのようにして二十七万ヘクタールの荒廃森林等の整備を行っておりますが、これを整備率という形で見ますと、第七次計画当初三一%の整備率でありましたものが三八%に向上したということが御説明できるということでございますので、この辺をあわせて御判断いただきたいと思いますし、また我々もよく御説明をしなければいけない、このように思っております。
○猪熊重二君 結局、私が先ほど質問した一番最初の第八次五カ年計画というその計画の段階において、仕事についての計画じゃなくて銭の計画なんです。こっちが八兆円だとかこれが二兆幾らだとか、計画の段階において銭のこと、金額が出てくる。だから、達成率の方にいったって金額だけしか出てこない。 そうじゃなくて、計画自体においてどういう仕事をどれだけやるか、これが緊急でやむを得ぬことだからこういうふうにやるんだという仕事がまずなければならぬ。その仕事があって、これをもとに考えれば、達成率といったときだって必ず仕事が出てくるはずなんです。一番最初から、この五カ年計画の金額は幾らだ幾らだと言うから、金額が使い切ったから一〇〇%、こうなっているんです。少し考え直す必要があるんじゃないでしょうか。 最後に、大臣にお伺いします。 これは常識的な。ことなんですけれども、治山治水というのは必要不可欠なことなんです。それはなぜかというと、国民の命と財産にかかわる問題だからです。それに対して、これは大臣に言っては申しわけないんですが、建設省の大仕事かもしれませんが、道路は、あればあった方が便利だという問題なんです。川は、はんらんしてきて死んじまったら、命が終わったらおしまいなんです。そういう意味において、治山治水というのは必須の不可欠の仕事である。道路は、高速道路ができれば便利ですが、なくてもいい。「いい」と言うといろんな人に怒られるけれども、道路はあればよりいいという問題なんです。 治山治水は国民の命と財産にかかわる根本問題なんです。ですから、道路だけ取り上げて言うわけじゃないんですが、建設省の所管の中で治山治水というものについて非常に強い関心を持ってやっていただきたいということが一つ。 もう一つは、下の方の堤防を幾ら高くしたって何したって、上の方の森林を伐採して山崩れしたり、先ほどのどなたかおっしゃったように土石流が流れて下へ行けばはんらんするんです。そうすると、治山治水と言うけれども、私は自分が農水委員会にいるから言うわけじゃないんですけれども、今回の計画は金額的に見ると治水事業の方は治山事業の六・四倍になってます。逆に言えば、治山事業は治水事業の一六%しか金額的には上がってません。 しかし、幾ら下流の方を整備して堤防を高くしたり広げたり下をさらったりいろいろやったって、上の方の森林を荒廃させて裸の山にして、大雨が降って上から土砂が流れてくる、あるいは流木が流れてくれば、下の方がはんらんすることはもう当たり前のことなんです。もう少し上と下、上流と下流というか、山と平野部のありようというものについていろいろ考えていただかなきゃならないんじゃなかろうかと思います。 この二つの点についての大臣の所見を伺って、ちょっときょうは事情がありまして質問時間が短いですけれども、終わりにさせていただきます。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま猪熊委員が御指摘になりました二点は大変重要な御指摘であると受けとめております。 まず第一点は、建設行政の中でとりわけ重要な事業として治水対策を重視しろ、こういう御提案であると存じますが、先ほどの答弁でも申し上げたのでございますが、安全な社会基盤の形成は私どもの治水事業を推進する上での課題の一つでございます。そして、経済審議会におきましても災害に脆弱な国土をもっと安全な基盤を持つ国土に形成しろと、こういう方向性も打ち出していただいておるのでございまして、今後、建設行政を進める上におきまして治水対策にさらに一層の重点を置いて取り組んでまいりたいと考えております。 それから第二点は上流と下流の問題でございますが、これはこのたびの台風十九号あるいは十七号がもたらしました災害におきましても実は風倒木の問題が発生をいたしておりまして、この風倒木は治山の問題でありますと同時に、例えば梅雨期におきましてこれが下流に流出してまいりましたときには大災害をもたらす可能性もございますので、上流、下流一体となって、すなわち治山治水一体となりまして対策を講じていく必要性をまさに雄弁に物語っている事態であると考えております。今後、一層緊密な連携をとりまして対策を講じていく所存でございます。
○猪熊重二君 ありがとうございました。終わります。
○上田耕一郎君 日本の国土は依然として危険箇所が多数ありますし、国民生活の安全確保のために引き続き計画的な治山治水事業の推進が重要です。もちろん、過剰な水需要の見通しによる水資源の開発とか大企業本位のリゾート開発への治山治水事業の利用など幾つか問題点はありますけれども、基本的には新しい五カ年計画を策定する今回の改正は必要なものだと私どもも考えております。 本論に入る前に一つお聞きしておきたいんですが、昨年、下水道整備緊急措置法改正のときに、都市河川の総合治水対策について質問いたしました。雨水の貯留浸透施設をきめ細かく整備することの重要性を指摘しました。ところが、その後調べてみますと、特に国の仕事の進展が非常におくれているんです。 東京都では、国の施設の整備が全部で二十六カ所ありますけれども、神田川、目黒川、石神井川、これは総合治水対策の計画ができている三つの川ですけれども、国の施設は計画七百七十二ヘクタールに対して実績はわずか二・二ヘクタールで、達成率は〇・三%です。この三川流域で、東京都は達成率が六・二%、区と市は一四・六%、民間でも五・二%なんですね。それと比べると、国の達成率〇・三%というのはおくれが甚だしいと思うんです。この現状から、改築まで何もしないというのではなくて、浸透ますの設置などはできるわけですので、ぜひ推進していただきたい。この問題についてお願いします。
○政府委員(近藤徹君) 流域の都市化の進行が急激な地域におきましては、それぞれ水源地の持っている雨水の保水遊水機能が失われることによって洪水の流出を増大させるという状況がございます。そのために私どもは、昭和五十年代初めから、都市化の進行の著しい地域において、は都市整備に当たって従来有していた保水遊水機能を確保するよう都市化をしていただくよう、それぞれの流域において流域協議会を設けて対応してきたところでございまして、それなりの実績を上げているところでございます。 近年に至りまして、神田川のように既に流域が全部都市化してしまった地域において昔の保水遊水機能を回復させるということも河川行政の一つの指針としていこうということで、最近に至りまして都市化が進行してしまった区域においても総合治水対策を展開することにいたしたわけでございます。 その一環としまして、神田川等におきましては、流域の関係の区、機関等が協議会を設けまして、それぞれの管理する土地の中で流域の貯留浸透機能を拡大するよう努力していただいているところでございます。 昨年の下水道に関連した御審議の中で、国が関連するところでは他の施設と比べると達成率が低いという先生の御指摘があったことは承知しております。その後でございますが、一年たちまして、当時、国の施設で貯留浸透対策が実施されました状況としては、都全体で二十六カ所とお話を聞いておりますが、一年たちまして現在四十七カ所になりました。それぞれ立ち上がりは遅かったわけでございますが、今後ともそのような状況であることを関係機関にも御理解いただき、流域全体として治水対策に取り組むよう、もちろん国の関係機関にも要請してまいりたいと存じます。
○上田耕一郎君 最近、治水事業で河川の環境問題が重視されてきたことを私は高く評価しています。 河川の環境問題が重要課題として初めて位置づけられたのは八一年の河川審議会答申で、河川管理には治水、利水及び河川環境、三つの面がある、そう規定しました。それで、八七年度からの七次五計で、主要課題の一つに初めて潤いと触れ合いのある水辺環境の形成、そういう目標が掲げられました。それから去年の十二月六日の河川審議会の答申、これは新しい展開として、潤いのある美しい水系環境の創造、それから超過洪水対策などの危機管理施策の展開、これを打ち出したわけですが、これを受けた今度の八次五計で水系環境の創造ということがしっかり出てきたわけです。 そこで、七次五計の水辺環境の形成から今度の水系環境の創造、これはどういう発展があったんでしょう。
○政府委員(近藤徹君) 河川は、平時は大変穏やかなものでございますが、一たん洪水になると人命財産を奪うという大変恐ろしい存在である。そのために私ども治水対策は懸命に努力してまいりましたが、近年の河川周辺の都市化に対応して、河川の持つ潤い、触れ合いといった水辺空間の存在が住民の生活環境に極めて重要な認識を持たれてきたところでございます。そういう意味で、水辺環境という言葉を使って河川の持つ安らぎ、潤いの機能といいますか、価値観をさらに高める努力をしてきたところでございます。 近年に至りましては、さらに、川は人間生活を維持していく上で貴重な水資源を確保する存在でもあり、また川の水そのものがきれいであるということが生態系の保全の上でも極めて重要であり、単に空間的な価値観だけでなく、水の質と量、あるいはその水系全体の中で河川が潤い、触れ合い、緑といったものを提供していることにかんがみまして、もう少し幅広に質、量から始まって人間生活の隅々までその存在感が行き渡るように努力していきたい、そういうことで新たに水系環境という言葉を使わせていただいた次第でございます。
○上田耕一郎君 九〇年十月に建設省は、「「多自然型川づくり」実施要領」を発表されました。多自然型川づくりのこのパンフレットを見ても、局長が今言われたような幅の広い生態系まで考えた川の環境をつくろうという具体的な取り組みを始められていることは、大変いいことだと思います。何でこういうのが出ていて長良川河口ぜきでああいうことをやるのか、近藤局長は二重人格のように見えるという欠点もあるんですけれども、きょうは長良川河口ぜきの問題は取り上げません。 それで、ドイツやスイスの近自然河川工法、ナトゥールナーエル・ワッサーバウというのを近自然河川工法と訳したんだそうですが、これもかなり取り入れられたようで、河川局治水課の方々の「建設月報」などに出されている論文を見ましても、かなりこの研究があるんですね。 この「近自然河川工法」という本は関係者からバイブル扱いされている本で、クリスチャン・ゲルディというスイスの専門家と西日本の科学技術研究所の福留脩文氏が共著の本です。ゲルディ氏は八八年に日本に招かれて、こう書かれてます。「大阪から東京に向かう新幹線の車窓から日本を代表するさまざまな河川の状態を眺めながら、近自然河川工法を開発するにはスイスよりも日本の河川の方が条件がすぐれていることもあるとつぶやいた。」と、こうありますので、日本の美しい河川環境を守る上でいい仕事をぜひしていただきたいと思っています。 ところで、きょう取り上げたいのは、多摩川水系の平井川改修で取り組まれている多自然型川づくりについてです。これは今後のモデルとなっているものなので、真価が問われる事業じゃないかと思うんです。 私は去年、秋留台開発の調査で現地へ行きまして、この平井川開発も数カ所見ました。それで、きょう質問をいたしますので、政策スタッフが十一日に現場へ行きました。それから、きょう偶然、NHKが朝七時四十五分から十分ぐらい、平井川の多自然型川づくり問題を紹介して、さらに専門家の批判的意見なども紹介していたのをちょうど見ることができたんですが、以前よりも方向はなかなか私はいいものになっていると思うんです。 しかし、実際に平井川の多自然型川づくりでは旧来の遺産というか、がまだ残ってまして、欠点をつつき出すというのではなくて、現地の住民のこの運動をしている人々の声や専門家からもさまざまな問題点が指摘されていると思うんで、ですから、きょうは若干そういう問題取り上げて、今後のモデルとなると思われる平井川の多自然型川づくりについてもう一度さらに研究、検討をしていただきたい、そう思うんです。 平井川というのは、秋川市の日の出町を流れている川で、これは十三年前の東京都の環境保全局の平井川の調査なんですが、十三年前を見ると、野性のヤマメの生息する河川として貴重だとか、豊富な魚類相を有する貴重な川だとか、現在の宅地開発が進んでいくと危なくなる、本川にかつての多摩川本流における魚類滅亡の歴史を繰り返させることのないよう自然環境の保全を強く訴えるものである、これが東京都の環境保全局の十三年前の結論なんです。 現地では多自然型の前から始まった改修工事についてさまざまな意見が出てきて、自然を守る住民組織がいろいろ生まれています。例えば、日の出には有名な絵本作家の田島征三、喜代恵御夫妻が中心になって「日の出の自然を守る会」というのをつくられている。それと「秋川の自然に親しむ会」、「川といのちの会」で「平井川流域自然保護団体協議会」というものまでつくられて、東京都に要望書なんかを出したりしています。それから、二月の四日にはこの本の共著者の福留さんを呼んで講演会を開いて、スイスの近自然河川工法の研究を市民レベルで始めているということまで非常に熱心なんです。 それで、現地で見ますと、南小宮橋から多自然型が始まっているんですけれども、大型機械で河原やヨシの生えた原っぱが押しつぶされ、埋め立てられて、一様に高水敷に変わっていて、さまざまないい点も、例えば新しい自然石の空積み、これはコンクリートブロック張りよりははるかにいいわけです。それから、のり面は緑化ブロックができていて、ここは緑が将来植えられるんだろうと思うんですね。かなり前進した面はあるんだけれども、まだまだいろんな問題が残っているように思うんですね。それで、今進んでいるものを変えるというのはなかなか大変でしょうけれども、今進んでおりますのは御存じのように南小宮橋から代田橋まで六百四十メートルで、これが九一年度ですが、今後さらに上流へ向かって進むので、ぜひ改善していただきたいと思うんです。 一番問題になっているのは諏訪下橋と羽生橋との間の約四百メートルの渓谷なんです。私も去年ここを見ましたけれども、左岸は切り立ったがけになっていて、右岸は山に続く斜面の森、すばらしい渓谷美なんです。トウキョウサンショウウオの産卵地が点在している、岸にはカタクリの群落もある、化石の宝庫でもあるという、観察した人々が東京にこういうところがあるのかとぴっくりするような非常にいい渓谷なんですけれども、ところが、ここも都市計画決定で全部同じ幅になっているんで、この狭い幅の渓谷が全部削られてしまうということになっているんです。どうもこういうやり方は改善する必要があるんじゃないか。自然を守る市民の方々が一番重視している問題の一つです。 建設省の九〇年十月の「「多自然型川づくり」実施要領」、この第4に留意事項というのがある。その(1)の①は「現在の河川が有している多様性に富んだ環境の保全に努めること。」、こう書いてある。②には「横断計画については、標準断面を設定したうえで上下流一律の川幅で計画することはできるだけ避け、」こういう言葉もあります。だから、この実施要領から考えても、あの渓谷美を残すために、この都市計画決定は五十八年にできたもので大分前のものですから、今、多自然型で進める以上、あそこのところは建設省の実施要領から考えても再検討が必要じゃないかというふうに思うんです。 「建設月報」のことしの三月号に河川局治水課の「多自然型川づくり」という論文が載っている。これには、基本は河川の河道計画そのものの取り組みなんだと、河道計画の取り組み、ここが一番基本なんだということが強調されていて、「あまりにも標準化され過ぎた標準横断図というテクニカルタームに代表される、感覚的に言えば川の個性を無視した河道計画からの再出発の起点なのです。」と、こうまで言っているんです。治水課の方がこういう論文も書かれている。この論文には、多自然型多自然型と言って実際にはただ自然を模しただけで誤解されるケースもあるんだといって写真までいっぱい載っているんですね。 ですから、せっかく平井川でそういういい仕事に建設省が取り組んでいる以上、前に決めた都市計画決定で川幅が決まっているのをそのままやるというだけでなくて、本当に多様性を生かす、今の自然、生態系を生かすという方向でやってほしい。 ドイツ、スイスなどでは住民参加というのが非常に重視されておりまして、この中に一つ出ている住民参加で決定した実例というのは、マルターレン村というところで、いろいろ反対意見なんか出てきて六つの代替案を検討して、六つの代替案の中の幾つかをコンビネーションで結びつけてすばらしいのができた、村議会などの意見なんかうんと取り入れたという報告があるんですけれども、その点を近藤局長に検討していただきたいということを要望したいと思うんです。
○政府委員(近藤徹君) 今、平井川を一つの事例としてお話がございましたが、平井川の改修の状況については今先生お話のとおりでございます。 今、下流部において改修中でございます。上流部の諏訪下橋-羽生橋間において渓谷のような状況になっているところを従来の都市計画決定そのままに実施するのか、その辺は見直してはどうかというお話だろうと存じますが、私どもも、現今の河川環境に寄せる国民の厚い期待にこたえましてそういうような時代の要請に応じて河川事業は展開してまいりたい、その一環で見直すべきものは見直したいというふうに考えているところでございます。 ただ、この点について若干従来からの担当者の熱意を御説明さしていただければ、東京都としては将来的には時間雨量八十ミリとかそういうオーダーの雨水対策を進めてまいりたいということと存じておりますが、現在の整備水準の低い段階では当面時間雨量五十ミリ相当の洪水を安全に流したいということでございます。その際の計画高水流量は百七十トンとなるわけでございますが、この区間は現在は四十トンしか流れない、その上流には日の出町があるわけでございまして、その集落が洪水の危険に遭うというところから、どうしても治水の安全上は河川改修が必要だとなるわけでございます。 ただ、その際に画一的な幅でやるかどうかについてはもう少し知恵の出しようがあるのではないかと思いますし、東京都もその前提で各専門分野の学識経験者等から成る委員会で多自然型の河川整備について検討をしておるそうでございますので、その検討結果を踏まえて極力自然環境に配慮をした改修方式をとられるように私どもも指導してまいりたいと存ずるわけでございます。 なお、私が二重人格ではないかというお話で、若干釈明させていただきますと、私は長良川河口ぜきに関しましては大変合理的で極めて環境に配慮した事業であると存じておりますが、依然として先生方の御理解得られないのは、どちらかといえばもっとほかでやっている改修についてコンクリートで固めていることに対する御批判と受けとめまして、私どもでは特にこの五カ年計画を契機といたしまして、水系環境に配慮した、なおかつ治水上安全な川づくりに邁進したいということでございまして、人格的には何ら表も裏もないわけでございますので、釈明させていただきます。
○上田耕一郎君 人格の問題は別にしまして、今後よく見ていきたいと思います。 東京都のお話がありました。平井川は知事管理なんですけれども、「「多自然型川づくり」実施要領」で、当分の間、建設省と協議して進める、こういうことになっておりますので、ぜひ東京都ともよく協議して住民の希望を生かしていただきたいと思います。 あの平井川はサギ、カルガモ、セキレイ、カワセミなども姿を見せる、ホタルの自然発生も上流にはある、カジカやサワガニもとれるという、そういう非常に貴重な川だと思うんです。 流量があそこの渓谷のところは足りないという東京都のお話がありましたが、その点で「近自然河川工法」でクリスチャン・ゲルディ氏が非常に重視している点があるのでちょっと紹介しますと、三つ重要なことを言っているんですね。「その計画している改良・技術は、自然にとって必要なものか」、二番目が「そのめざしている目的は、もっと少ない改良・技術で達成することができないものか」、三つ目が「自然へかける負担は、どのような方法でそしてどのような材料によって軽減できるのか」、この三つを非常に重視している。せっかく多自然型川づくり工法で平井川の問題に取り組まれておられるところなので、この今の四百メートルの渓谷のところ、こういうところもぜひ再検討、見直しを大いにやっていただきたい、こういうように思います。 長良川の問題をちょっとお触れになりましたけれども、建設省のこういう問題を進める手法で私どもいつも言うんですけれども、川の問題だけじゃなくて、住民参加という問題、この点をもう一度深く取り組んでいただきたい。 行政側で計画を決めて、地方公共団体の意見あるいは学識経験者の意見を部分的に取り入れて、それで住民参加だと言うのでなくて、計画の初めから住民によく情報を伝えて、そこの地方自治体だけではなくて、住民団体、一番その問題に関心を持っている人々の声をよく聞いて、それで必要な場合には、そういう声から、今まで行政が詰めた計画もスイスの例のようにもう一度見直して、どういう代替案があるか、渓谷の美も環境も守れると同時に必要な流量も保障できるようなそういう代替案がどうやったらつくれるか、もちろん住民の意見も全部正しいとばかりは言えないと思うんですけれども、本当にそういう住民参加の姿勢でぜひ進めていただきたい。 治山治水事業は、行政の仕事、地方自治体、それから住民、これが共同して初めて共通の財産である国土を十分に守ることができるというふうに思いますので、ぜひ住民参加を深めていただきたい。建設大臣、これは治山治水事業の問題だけでなくて、日本の建設事業で住民参加という言葉を言葉だけのものにしないで本当に中身のあるものにしていくためにもっと研究を進めていただきたいということをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(近藤徹君) ちょっとその前に、大変貴重な御意見だと思いつつ、御理解いただきたいのは、これだけの多自然型工法をやるとなると当然ながら用地は格段に必要となるわけでございますのでその用地提供者のお気持ちも配慮し、かつ水害に脅かされている皆さんの安全度を早期に確保したい、なおかつ川が持っている自然機能を確保していきたい、これらは住民の皆さんそれぞれの立場があって、住民全体で必ずしもまとまるかどうかという問題もございますので、それぞれの専門の学識のある方の御意見を聞きつつ地方公共団体の長の皆さんと御意見を踏まえつつやっていくのが現状では私ども一番いい案ではないかと思っていることをつけ加えさせていただきます。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま河川局長が申し上げましたとおり、これから河川の事業を行っていくに当たりまして自然との触れ合いのある事業をやろう、こういうことは先生も冒頭にお認めいただいたところでございますが、その際できるだけ住民の意向を尊重しろ、こういうことであろうかと思います。これは当然と言えば当然のことでございますが、住民の意向を取りまとめてくださるのは地方公共団体でございますので、地方公共団体とは十分河川の事業を進める上におきまして連絡をとりながら計画の立案から当たってまいりたい、そのように考えているところでございます。
○委員長(山本正和君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として三石久江君が選任されました。
○委員長(山本正和君) 質疑を続けます。
○山田耕三郎君 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案は、御説明にもありましたように、農林水産大臣は治山事業の五カ年計画を、建設大臣は治水五カ年計画を、いずれも平成四年度を初年度とする第八次計画策定のため、その年度に法律の文言の改定と、国有林野事業特別会計法及び治水特別会計法と治山治水緊急措置法の一部改正をする法律案でありまして、至極当然の改正ではあります。 〔委員長退席、理事種田誠君着席〕 しかし、その目指す内容にはかなりダイナミックなものがあり、しかも具体的に示しておいでになりますが、その目標が計画どおり進捗するのかどうか、及び、他の関係法令との整合性についても一部疑義を持ちますので、それらについてお尋ねをいたします。 まず第一点は、この計画による治山治水の整備目標を概括いたしますと、次のようになります。すなわち、 大河川については、はんらんによる家屋の流失等壊滅的な被害をなくするため、百年か二百年に一回程度発生をする降雨に耐えられるよう長期的な整備目標をしっかりと守って、当面は戦後最大洪水にも耐えられる安全を確保する。 二つ目には、中小河川については、都市の慢性的浸水被害と土砂災害による人的被害を防ぐため、当面は時間雨量五十ミリメートルの降雨量に耐えられるよう整備を概成する。 〔理事種田誠君退席、委員長着席〕 三つ目は、水資源開発施設については、経済社会の発展に対応して安定した水供給が行われる水資源施設の整備を推進して、おおむね水需給のバランスを達成する。 四つ目は水辺環境の形成で、これまで河川事業は洪水防止などの治水と取排水といった利水が主だったが、最近は河川環境を守るという新たな観点も打ち出されて、これらについても豊かで美しい水環境を形成する。 五つ目は、治山については、二十一世紀初頭で、当面、戦後最大の雨量による山地災害を防止すること等を目標として荒廃山地等の整備を促進しその概成を図る。 大体以上のことを平成十二年すなわち西暦二〇〇〇年までに概成したいと言っておいでになるのであります。概成の程度に多少問題も残りますが、まことにすばらしい社会の実現に夢を与えております。しかし、建設省及び農林水産省発表の資料によりましても、果たして大丈夫なのかの疑問が残ります。 例えば第八次治水事業五カ年計画における整備目標として、はんらん防御率を平成三年度末見込み四五%から五三%とされ、この五年間に八%の進捗率で、この計算で積算をいたしますと、第八次を過ぎて第九次の五カ年計画の終期、すなわち二〇〇一年になりますけれども、これを迎えてもようやく六一%でございます。治山事業の整備目標の中で治山整備率を見てみますと、平成三年度末見込み三八%から第八次五カ年計画の終期は四五%に向上させるとのことであり、五カ年に七%の進捗率です。この計算でいきますと、第九次五カ年計画の終期を迎えても治山整備率は五二%であります。 これでは、長期構想の中にあります二十一世紀初頭に安全確保をするとか平成十二年度までに概成をするとかの長期計画は看板に偽りありになりますが、この辺について建設省及び農林水産省両省の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 現在、我が国の治水の安全度としてはんらん防御率が時間雨量五十ミリ相当の降雨に対して四五%であるということは、先生のおっしゃるとおりでございます。私どもは第八次治水事業五カ年計画において五三%に高めたいということを基本としておりますが、その考えの根底は、二十一世紀初頭におきましては時間雨量五十ミリ相当の降雨に対して少なくとも大河川における壊滅的被害を回避する、それから人家連檐部における浸水常襲地帯を解消するということにいたしておりまして、これらの目標の上で五カ年を取り出してみますと四五%が五三%相当となるものでございます。したがいまして、次の五カ年においては、今、先生六一%とおっしゃっておりますが、私どもとしてはもう少し高い水準に当然ながら上がるんではないか。 その考えの前提といたしましては、四全総に含められました我が国の二十一世紀初頭の社会資本整備のあり方、また公共投資基本計画に二十一世紀までの残っている期間において社会資本に特に重点を置いて整備していくという政府の理念が掲げられておりますので、その中ではもう少し高い水準になりまして、したがって、この五カ年計画、また次の五カ年計画によって所要の整備水準に高められるものと私どもは考えておりまして、その前提でまた取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
○政府委員(小澤普照君) 治山事業につきましては、山腹崩壊地等の荒廃地等につきましては戦後最大の日雨量四百ミリメートル相当の降雨による荒廃の防止ということで目標を設定しており、また、海岸砂地、水源地域の荒廃森林等につきましてはそれぞれ造成整備を図ることを当面の目標としておりまして、第八次治山五カ年計画におきましては投資総額が二兆七千六百億円でございますが、整備率で申し上げれば平成三年度の三八%から四五%というようなことになるわけでございます。 今後の私どもの治山事業の進め方といたしましては、直接の人家あるいは公共施設等に被害を及ぼすおそれのある山地災害危険地区、あるいはまた水資源の確保上重要な水源地域の整備等、重点をしっかり見定めまして、そのような重点的なところから事業の効率的な実施に努めるというようなこともあわせて行いまして、着実な事業実施を図りまして、二十一世紀初頭を目途に当面目標の概成を努力目標として最大限のまた努力をしてまいりたいと考えております。
○山田耕三郎君 山は人間の生活に無限の恵みを与えてくれております。この恩恵を受けている不特定多数の国民が負担をする税で国有林野事業も守られていくべきが真の姿だというのが私の持論であります。 最近の豪雨による災害は、むしろ治山の荷くれに原因する場合が多いように思います。 つい先日、国民森林会議会長の大内力先生が「森林の台風被害復旧を急げ」という論文を朝日新聞の「論壇」に発表しておいでになります。その中の一部を引用させていただきますと、「昨年秋の十九号台風などによる森林被害は、わが国の森林が病み、ひ弱になっていて、われわれの生活と生存の基盤がもろくも崩壊しつつあることを示した。 またその被害の把握に数カ月もかかったことは、過疎の進行のなかで、山村にはもはや被害の通報者すらいなくなったことを物語っている。」ということで大変憂えておいでになります。さらに「過疎による林業労働者不足や高齢化も加わって、被害地の後片付けだけでも三十年はかかるといわれる地域さえある。」ということで、このままで梅雨期を迎えて大丈夫なのですかという警告を発しておいでになります。 山を治めることが肝心だという立場から、治山事業のより一層の進捗を図るべきだと申し上げさせていただき、林野庁のお心構えをお尋ねいたします。
○政府委員(小澤普照君) 新聞に掲載されております論文等は、私どもも常日ごろ関心を払って読ませていただいているわけでございます。 昨年秋の台風等による被害は大変甚大でございまして、調査その他の対応につきましても大変関係者に努力をしていただいているところでございます。関係の県あるいは地方自治体その他の関係者の御努力は大変なものがございます。私自身も、昨年の秋、九州地区の現地を見せていただき、またつい最近も現地の進捗状況あるいは二次災害対策の観点からも現地へ参りましたし、さらにまた私ども林野庁の災害の担当官を二グループに分けまして現地派遣も行って中間の状況を把握したり、今後の対策につきまして具体的な実施を行うために現地調査もいたしたところでございます。 それらの報告等もあわせて考えますると、大変長年月かかるんじゃないかという御指摘もあるわけでございますけれども、私どもはこの五年間で対策を集中的に実施したいというように考えておりまして、全国的な数値で申し上げれば、三年度末まででおおよそ一〇%、それから四年度におきましては、これは各県からの計画あるいは報告等を集計いたしますとおおよそ四〇%ぐらいまでは進めたいというように現在考えておりまして、そのためには災害の大変多い県につきましては他県からの応援も入っておりますし、また、国有林からも応援の派遣をいたしたりいたしておりますけれども、とにかく私ども、関係省庁とも緊密着連携をとりまして鋭意対策を進めてまいりたいと思っておりますし、また、現在山村地域等におきまして担い手不足の問題もございますから、担い手問題も含めた総合的な対策を講ずべく鋭意努力しているわけでございます。 そのような努力をあわせまして、我が国の森林の保全あるいは造成等に努めてまいりたいと考えております。
○山田耕三郎君 次は、リゾート法と治山治水緊急措置法との相関関係についてお尋ねをいたします。 我が国の森林面積は国土の七〇%を占めており、その約三分の一が保安林として保護されております。この広大な森林が私たち人間生活にばかり知れない恵みを与えてくれております。御承知のとおり、森林は私たち人間に清浄な水と空気を平等に供給してくれております。国土の保全に大きな貢献をしておりますことは今日までの定説でしたが、森林が人間の保健機能の増進に役立つことが認められてから人たちの関心を引くようになりました。 リゾート開発の直接の引き金になったのは昭和六十二年に施行されました総合保養地域整備法、すなわちリゾート法であります。最近、リゾート開発事業が各地で行き詰まり、特に景気の減速傾向が強まった昨年秋以降、撤退する事業者もふえておるということですが、開発に伴います自然破壊も目立ってきました。 ゴルフ場やリゾートマンション、あるいはリゾートホテルの開発は、広大な森林を伐採することを伴います。リゾート法は開発の対象地である特定地域を選定するのに当たって豊かな自然環境に恵まれていることが条件とされておるため、景観のすぐれた地域にブルドーザーが入り、生態系を破壊しております。このように、森林の伐採、開発を認めることは森林の持つ治山治水機能を著しく低下をさせ、土石流、地すべり、土砂崩れといった災害を助長することにつながるのですが、リゾート開発の影響をどう考えておいでになりますか、林野庁の御見解を求めます。
○政府委員(小澤普照君) 私どもは、森林地域におきますリゾート開発に当たりましては、森林の持っております機能、国土の保全あるいは自然環境の保全等、このような森林機能に支障が生じないように森林法に基づきまして適切に対応をいたしているところでございます。 それから保安林、これを大変重要な森林として指定してございますけれども、これにつきましては、できる限り転用を回避するとともに、またやむを得ず解除をする場合は解除面積を最小限にいたしまして、一定の森林面積の確保あるいは堰堤等代替施設の設置等によりまして保安林の指定目的が達成されますように慎重に措置をいたしているところでございます。 また、保安林以外の森林でございますけれども、この場合は、林地開発許可制度に基づきまして、公益的な森林機能を重視いたしまして機能の高い森林以外の土地に開発行為を極力振り向けるようにいたしますとともに、やむを得ず開発行為の対象となる場合には、地元の市町村等の意見を徴しまして、一定の森林面積の確保あるいはまた防災施設の設置等によりまして、森林の有する機能に支障を及ぼすことがないよう適切に措置をいたしているところでございます。 なお、保安林の解除の要件等林地開発許可の基準につきましては、先般その改善を図ったところでもございまして、今後ともリゾート開発に係ります森林の転用に際しましては、保安林制度あるいは林地開発許可制度を適切に運用いたしまして、山地災害の発生の防止のほか森林機能の維持につきまして十分な留意をしてまいりたいと考えております。
○山田耕三郎君 最近における河川敷の利用は、水と緑のあるオープンスペースとして住民の憩いの場となって、利用者は急激に増加をいたしております。しかし、河川敷地の利用は、公共利用の点からも特定者の占用となってはならないし、また場所によっては飲料水の水源にもなっておりますだけに農薬等の使用が住民に与える影響が大きい。建設省もこの点に着目されまして、河川敷の公共的利用を進める上から通達等により行政指導を行っておいでになりますが、余り効果が上がっておらない結果を地方自治体の行政監察の結果は指摘いたしております。 監察区域での占用許可面積の五割近くをゴルフ場が占めている様子です。しかも、建設省は昭和四十年の通達でゴルフ場は許可しないよう行政指導を行っておいでになるにもかかわらず、大運動場計画に盛り込むと許可をされるということのようでございます。このような矛盾した行政指導がなぜ継続されておりますのか。また、公共的利用を進める見地からゴルフ場は会員制でなくパブリック化を指導しているにもかかわらず、一向にその実績は上がっておりませんようです。 また、農薬の使用についても指導が守られないで、農薬の減量使用の指導を受けながら増量使用をしておりますと、利用者の中にはその水系の水を自分の飲用に利用しておられる人もあるだろうにと疑問を持つものでございますが、これこそ国民の命を守るためにおろそかにしてはならないことだと思います。なぜもってもっと効果的な指導ができませんのか。国民に君臨する必要はありませんが、国民全体の健康や権利の侵害にかかわる事項に関する通達ぐらいは守られるよう権威を持ってほしいと思います。最近よく、役所と民間との癒着に関する批判が紙面をにぎわしておりますが、そのような結果行政指導が無視されておるのであれば、これは大変なことであります。 河川管理のお立場からの御見解を求めます。
○政府委員(近藤徹君) まず第一点の河川敷のゴルフ場の占用、特に国有地の占用の問題でございます。 皆様が河川敷をごらんになったときにゴルフ場が設置されている事例は多いわけでございますが、その中にはもともと民有地で実施されているものもございます。国有地を占用しているものは二千九百ヘクタールでございまして、全国有地の占用面積の一割弱ということでございますので、念のため申し添えさせていただきます。 それから、河川敷の占用に当たって必ずしもゴルフ場は一切許可しないと言ったわけではございませんで、昭和四十年に河川敷地占用許可準則を設けました際に、公園、緑地のほか、営利を目的としないもので、その占用方法は河川管理に寄与するものについては認めるということにしております。 それからさらに、近年は、各河川をどのように占用したらいいか、どのように管理していったらいいかという立場から、河川環境管理基本計画の中の空間計画として、地元の地方公共団体の長及び学識経験者等の意見を聞いて、また地域のニーズの動向、河川に対する住民の要望等を調整いたしまして、それぞれの地域に合った土地利用、占用のあり方、あるいは管理のあり方を定めたところでございます。これにのっとり、かつ河川敷地占用許可準則に基づいて、また治水、利水、環境その他自由使用等の関係等の観点からその許可の是非について判断しつつ対応しているところでございまして、ゴルフ場の設置の申請があった場合にもこの観点から判断しているところでございます。 そこで、運動公園の中にゴルフ場を設けるといった事例の中にも、運動公園がそのままゴルフ場ということではなくて、大きな地域住民の運動空間の中で必要のある場合においてはゴルフ場も許可する事例もあるわけでございます。また、その許可した場合においても、ゴルフ場は営利を目的としないということで、仮に収入があった場合も、その収入が河川全体の管理に寄与するように経理されているものについて認めるように努力しているところでございます。 それから、新しく認める場合につきましても、まず市町村長、財団等の公共的主体の設置するものについて、パブリック制、低料金を原則としまして一般の利用に供せられるよう配慮しているところでございます。また、現に会員制のゴルフ場になっているものについては、会員の優先プレー日の制限、プレーは申込順または到着順とすること、会員数を抑制すること、低料金化を進めること等を指導しているところでございまして、着々とパブリック化するよう努力しているところでございます。 それから、農薬使用の問題でございますが、従前、河川敷内における除草等において農薬を使用した例もございますが、農薬については、農薬取締法に基づき適正な使用が図られておれば本来問題がないという観点ではございますが、河川管理者の姿勢として、私ども、水道用水の取り入れ口の上流については除草剤の使用を見合わせようということを内部通達いたしまして、現在は水道用水の取り入れ口の上流においては直轄区間においては使用しておりません。 それから、河川敷地内にあるゴルフ場につきましても農薬安全使用基準等に基づき実施するよう要請しているところでございまして、まず農薬使用状況の提出を求めること、それから各自治体が制定したゴルフ場における農薬安全使用基準等がある場合にはそれに基づき実施した調査データの提出を求めること、ゴルフ場からの排水が直接河川に排出されないように池等の設置を指導し、また排水口の位置については水道の取り入れ口との位置関係について調整をするよう指導しているところでございます。また、特に排水口付近には魚類等を飼育させる等の指導を行って、河川巡視に当たってはこれらが観察できるように指導しているところでございまして、各関係者もこの指導方針に沿って御協力をいただき、調査データの提出あるいは池の設置、排水口の位置の調整等を行っていただいているところでございます。
○山田耕三郎君 終わります。
○山田勇君 私が最終質疑者でございます。最終質疑者というものは、前の議員の質疑と重複することがございます。何を隠しましょう、私も、一昨日十四日の朝日新聞の「論壇」から、こう入る予定でしたが、前の山田同僚議員に食われたものでございますから、そこはアドリブの山田と言われておりますんで、若干角度を変えてお話をさせていただきたいと思います。 御承知のとおり、大内東大名誉教授が、台風による森林の被害が思ったより大きかったのは森林全体がひ弱になっているからだ、こう指摘しておりますが、長官、いかがでしょうか、特に去年からことしにかけて報道されております酸性雨の被害という問題も含めて、そこに大きな台風が来て被害が一層大きくなったというようなことはございませんでしょうか、まずお伺いいたします。
○政府委員(小澤普照君) これはいろいろな見方があるかと思います。私が現地を見せていただいたりしました事柄に基づきまして若干お答えをさせていただきますと、今回の被害は何といいましても、現地に参りますと風速が五十メートルから六十メートルもあったと言われているわけでございまして、時速にいたしますと二百キロを超えるような台風でございましたので、それで非常に被害が大きかったわけでございます。大分県の日田地方というのはもう何百年も林業をやってきていたところでございまして、こういうところが激甚な被害を受けたということで、現地の方のショックも大変大きかったわけでございます。 実際に現地を見ますと、かなり大きな木が実はやられております。かつて雪の害によりますようなときは幼齢木が大変損傷をいたしましたが、今回はかなり大きく育ったものが倒伏したりあるいは折損したりしているということでございますので、私どもは、何といいましてもこのような被害を起こしたのはこの台風の程度が相当大きかったということをまず感じましたけれども、同時に、森林が脆弱であってはならないということも考えておるわけでございます。 特に戦後造成いたしましたような森林につきましては、まだ生育途上でございます。したがいまして、必要な間伐等の手入れを怠りますと確かに脆弱な森林になるということがございますので、私どもはそういうことがあってはならないと考えておりまして、森林の整備につきましても計画性を持ちまして鋭意努力をいたしてまいりたいと思っております。 最近はそのような状況に対処するために新たに第八次の治山五カ年計画も樹立させていただき、また一般の森林整備についての整備計画も新たに今般策定させていただいたところでございますけれども、さらにこれをしっかりと守るためには必要な予算措置あるいはまた担い手対策等も総合的に講じさせていただいて、私ども我が国の森林の整備に力を尽くしてまいりたいと考えております。
○山田勇君 どうもありがとうございました。 何とか今季といいましょうか、気象庁はもうロングランで発表しておりますが、こういう少し気象条件が不安定なときには夏の台風、秋台風は大型が来るなんということを言われております。まだ立ち直ってないところにまたことし大きいのが来ると二次災害的な被害も出てまいりますので、どうかひとつよろしくその辺をお願いしたいと思いますが、いかんせん御承知のとおり、各議員も申し上げますとおり、林野に関する労働力不足といいましょうか、高齢化といいましょうか、そういう点で非常に苦慮なさっていることも十分わかるわけであります。 多少角度を変えて申し上げますが、今回の被害でリンゴ園がほとんど倒れてしまった。あのリンゴの木というのは何十年かという一つの年数があって実がなるそうで、本来ならばリンゴの木を植えるとき、必ず何年物何年物とサイドに植えてあって、この大きい本体が倒れても次の木がまた実をなすというような方法があるそうですが、それが、リンゴ園をやっている人が高齢化、労働力不足ということから一本の木だけでやっていた、ほかの木を植えてなかったということで、その本体が倒れて被害がものすごく大きく広がってしまったということもあります。そういった点で、労働力不足も大変お悩みでしょうが、ひとつその辺は林野庁の力で森林を守っていっていただきたいと思います。 そこで、我が国の森林の取り扱いにつきまして、森林を保全管理する制度としまして保安林制度と林地開発許可制度がありますが、まず保安林の種類、面積及び今後の保安林整備の考え方はどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(小澤普照君) 保安林と申しますのは森林の中でも特に公益機能を発揮させる必要のあるものにつきまして指定をいたしているものでございまして、保安林の種類は水源の涵養、あるいは土砂の流出崩壊の防備、あるいは公衆の保健等かなり多岐にわたっておるわけでございますが、これらにつきまして平成二年度末現在の数字で申し上げますと、全国で約八百三十万ヘクタールの保安林が指定されております。なお、保安林の種類が重なり合っているものも含めますと、延べ面積ということで申し上げれば八百八十二万ヘクタールの指定がなされているわけでございます。 保安林の整備につきましては、保安林整備臨時措置法がございまして、この法律に基づきまして保安林整備計画を樹立しておるわけでございます。現行の整備計画は昭和五十九年から平成五年にわたります十カ年の計画でございまして、この計画に基づきまして現在着実な実行を行っておりますけれども、平成二年度末までで見ますと、現在の保安林整備計画は第四期になるわけでございますが、九八%の進捗状況でございます。 なお、これらの保安林につきましては、今後その指定を計画的に行いますとともに、治山事業の強化を図りまして保安林の機能の増強も図ってまいりたいと考えております。
○山田勇君 次に、保安林以外の森林であっても開発を抑制しなければならない森林もあると考えますが、このような森林開発の転用に対して国としてはどのような指導を行われておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(小澤普照君) 保安林以外の森林につきましては、森林法におきまして開発行為につきましての許可制度を運用しているわけでございます。 保安林以外の森林で開発行為が行われます際には、その森林が有しております災害の防止機能、あるいは水源の涵養機能、環境の保全等の機能に着目いたしまして、林地開発許可制度によりまして適正な調整を図ってきたところでございますが、特に林地の保全、あるいは自然環境、生活環境の保全、形成に留意をすべき森林等につきまして極力転用を避けるような運用を行い、森林の保全に十分配慮いたしてきたところでございます。 今後とも開発等にかかわります森林の転用につきましては、この林地開発許可制度、さらにまたあわせまして保安林制度の適切な運用によりまして森林の機能の発揮に支障を来さないように努力してまいりたいと考えております。
○山田勇君 では次に、最近のリゾート開発に関連してでありますが、開発に伴う林地の転用に対し昨年林地開発許可制度が改善されたと聞いておりますが、その内容はどういうものか、お伺いをいたします。
○政府委員(小澤普照君) 今、先生昨年とおっしゃいましたけれども、私どもは昨年も確かにこの制度の運用につきまして改正をいたしておりますが、若干詳しく申し上げますと、この林地開発許可制度につきましては、一昨年、平成二年の六月化、まず大規模な森林の土地利用に当たりまして残置すべき森林の割合を増加させるというようなことで、許可基準の改善を図ったところでございます。 なお、御質問の昨年でございますが、昨年の四月には森林法の改正を行いまして、開発行為を行う土地の周辺を越えて広域にわたります影響を判断する必要があるという観点から、開発行為によりましてその森林が有しております水害の防止の機能が損なわれ下流地域において水害を発生させるおそれを生じさせない、こういうことを許可要件として追加するということにいたしたわけでございます。さらにまた、従来、都道府県知事は許可に当たりましては運用上必要に応じまして関係市町村長や都道府県森林審議会の意見を聞いていたところでございますけれども、開発に対します地元の意向を的確に反映させるとともに開発に伴います影響を技術的あるいは専門的な見地から慎重に判断し得るように、法定の手続といたしまして関係市町村長や都道府県森林審議会の意見を聞くことを義務づけといたしたところでございます。
○山田勇君 最後に、これらの制度と相まって森林の有するいろんな機能を高度に発揮する観点から、治山事業の果たす役割は極めて重要であり、そのためには森林を守る林業労働者に対する認識を改め、山村に定着させるための抜本的な対策など緻密な計画を持って、そして国土を守り国民の生活を守る使命感に燃えて治山事業を積極的に推進されることを強く要望して、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本正和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、山崎建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山崎建設大臣。
○国務大臣(山崎拓君) 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。 ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。 どうもありがとうございました。
○委員長(山本正和君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十六分散会 ―――――・―――――