決算委員会 第3号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/06/18
会議録
○委員長(久保田真苗君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、西岡瑠璃子君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。 —————————————
○委員長(久保田真苗君) 昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件を議題といたします。 本日は総括的質疑第二回として、内閣総理大臣 に対する質疑を行います。 質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。 それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しを得て、決算委員長として若干の質疑をいたします。 昨年、国会法が改正され、今国会から常会の召集が一月に変更となり、これを受けまして、決算の国会提出も例年の十二月下旬から約一カ月おくれるという事態になりました。決算審査の促進と予算審議への反映の観点から、その早期提出を求めてまいりました決算委員会の立場から申しますと、まことに残念であります。 常会の一月召集については長い経緯があり、昭和四十六年以来、参議院が先行する形でこの問題を取り上げ、国会改革の中でようやく実現を見たわけであり、それは歩といたします。しかし、この変更の主要な背景に、政府の予算案提出が財政法の規定どおり十二月中に提出されておらず、またその実現が今後も難しいという政府サイドの事情がありました。 ところが、決算は、従来から財政法に定める期限の一カ月半も早く十月中旬に、昨年はもっと早めて十月四日には内閣から検査院に送付し、早期提出のための内部努力をしていただいているわけであり、検査院からの回付を待っての国会提出が、今回の法改正の結果、逆に従来より一カ月もおくれるということは、政府側の今までの努力をむだにすることであり、我々の本意ではありません。 財政法上の問題もありましょうが、常会以前の早い時期に決算を提出することを法が禁止していないと解することができるならば、決算の早期提出のための工夫、具体的検討をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 もし財政法の規定がネックであるなら、現行法が制定されたそろばんの時代から今日のコンピューター処理への状況変化をも踏まえて、早期にその改正の検討が開始されてしかるべきであると思いますが、総理の所見を伺います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 決算の国会への提出をなるべく早くするということは、例えば予算編成に反映させる、あるいは決算の効果的な審議をお願いする等々いろいろな意味において、もとより望ましいことと考えております。政府としては、従来からそのような努力をいたしてまいったと考えておるところでございます。 国会提出前に必要な手続でございます内閣から会計検査院への送付は、法律では翌年度十一月三十日までとされておりますが、平成元年度の決算まではこれを一カ月半繰り上げて十月中旬に送付をいたしております。二年度決算におきましては、さらに促進を図りまして十月四日に検査院へ送付をいたしているところでございます。上 次に、委員長から御指摘のありました財政法四十条、「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。」というこの規定が決算の早期提出に支障になっておるかどうかというお尋ねでございましたけれども、ただいま引用いたしました財政法四十条は、決算の常会提出を常例とすると申しておりますものの、しなければならないとは書いてございませんので、常会でなければ提出をしてはいけないと言っているものではないと思います。常会以前に提出することは、財政法上別にこれを禁じておるところではないと考えております。 今後とも、決算作成事務の促進を図るべく、最善の努力をいたしてまいる所存でございます。
○委員長(久保田真苗君) 次に、参議院では昭和六十一年度決算に続いて、昨年四月、六十二年度決算も否認という事態になりました。六十三年度及び元年度決算につきましては、その後今日まで審査を続け、間もなく採決に付される段階にございますが、内閣の提出した決算を是認しないという事態に対し、その責任をどのように果たしていかれるのか、総理の見解を伺いたいと思います。 特に、宮澤総理は、六十一年七月から六十二年十一月まで中曽根内閣で、引き続き竹下内閣で、六十三年十二月にリクルート問題で引責辞任されるまで大蔵大臣として予算の編成とその執行に当たってこられたわけで、その責任は大きいと思われますが、宮澤総理として、この決算否認の事態をどのように考えておられるのかお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十一年度決算及び六十二年度決算について、衆議院では御理解を得られましたけれども、参議院では御理解を得ることができませんでした。否認という結果になりました。まことに遺憾に存じます。 政府としては、国会のこの際にもございました御審議、御指摘を踏まえまして、今後とも予算の適正かつ効率的な執行に努め、国会の御理解をいただけますように努力をいたしてまいりたいと存じます。
○委員長(久保田真苗君) 六十三年度及び元年度はバブル経済の渦中にあったわけですが、その反省に立ってその後の経済財政運営がなされ(金融政策がとられてきたと思いますが、昨年からの景気の減速、後退局面における政府の対応を見ますと、バブルの再現を警戒する余り、経済財政政策、金融政策が後手後手に回っているのではという意見がありますが、この点はいかがですか。 また、三月の緊急経済対策の浸透度合いと現在の景気動向をどう見ておられるのか、ミュンヘン・サミットを控え、海外からは内需拡大をさらに求める動きもありますが、総理の見解をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府が平成四年度予算を編成いたしましたのは昨年の十二月でございますが、私としてはそのとき既にかなり景気が下降を始めておるという感じを持っておりましたので、大蔵大臣とも御相談をいたしまして、平成四年度予算は国及び地方を通じましてかなりの高い公共事業を盛り込んでございまして、これを早期に発動することによって景気の下降に対応しようと考えたわけでございます。 しかし事実上は、経済界の在庫調整を見ておりますと、一部には非常に早い在庫調整に取りかかったところがございますけれども、機械、電機というあたりは十二月に初めて大きな在庫調整が行われておるというようなことで、経済界自身の対応がかなりおくれておったという事実があったように思われます。予算そのものは、四月に成立いたしました後直ちに前倒し等々の施策を講じまして、緊急経済対策をいたしました。現在、公定歩合も下がりましたので、その浸透を図りつつあるところでございますが、そのような意味で、在庫調整がかなりおくれた部分だけ経済の回復がおくれておるというのが実情ではないかと考えます。 バブルに懲りて対応を恐れた、羹に懲りてなますを吹いたというようなことは私は感じておりませんで、政府としてはできるだけ早く対応したつもりでございますけれども、在庫調整に一部おくれがあるということは事実であったと思います。 ただいまのところ、これからどう考えるかというお尋ねでございましたけれども、何分にも大きな公共事業の前倒しをいたしておりますので、その効果は必ずあると思いますが、しかし下半期において前倒しいたしました分だけ先食いをされておるわけでございますから、必要がございますればこれについては当然必要な対応をいたさなければならない。もっともっとそういう考えがございませんと、これだけ大きな前倒しはなかなかできるものではございませんので、それはそのような心構えで考えておりますし、また必要がございますれば、時を移さずそのような対策を講じたいと考えております。
○委員長(久保田真苗君) 総理、今のお答えの中で、海外からの内需拡大をさらに求める動きのこと、お願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 失礼いたしました。 委員長のお尋ねの中に、海外から我が国の内需拡大をさらに求める声が既に起こっておるし、またサミットもあるので起こるであろうというお尋ねでございました。そういう外側からの要望は確 かにございます。ございますが、現実の問題といたしまして、先ほども申しましたように、そのような予算を考えて組んでおりまして、その前倒しを四月に予算成立とともに始めたわけでございますから、すぐ矢を継いで何かをしろといいましても、我が国の予算制度、国会の御審議等々から見て、それにはおのずからやはり施策の浸透を政府として見守っていくだけの時間が必要でございますし、また我が国全体の制度がそう矢継ぎ早にいろいろなことができるということにはなっておりません。 ですから、海外のそのような要望は十分理解をいたしますので、我が国として必要であれば、必要なときに施策を講じなければならない、こういうふうに考え、またこういうふうに答えてまいりました。これからもそう答えるつもりでございます。
○委員長(久保田真苗君) 次に、政府開発援助について伺います。 昭和六十三年度決算報告に掲記されておりますように、我が国の援助事業のうち、会計検査院のわずかな調査によりましても、直接借款の貸付対象となった機材等が十分稼動していないなど不適切な事例が見られますが、援助の原資が国民の税金等であることを思いますとき、援助資金が適正かつ効果的に使用されるように、政府全体としての取り組みがさらに必要であると思いますが、いかがですか。 また、この関連で伺いますが、現在政府開発援助大綱の策定に向けて政府部内での作業が続いていますが、この作業を政府限りとせず、国会の議決によるODA憲章の制定を目指すとか、地球環境問題への対応を含めて、政府開発協力基本法の実現に向けた国会と政府の共同の努力が必要であると思いますが、総理の見解はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 援助のあり方につきましては、国会でもしばしば御議論があり、また会計検査院等々からも御批判をいただいているところでございますので、今後とも十分注意をしてまいります。 なお、援助の基本理念の問題でございますけれども、先般審議会にも御議論をいただきました。現在、政府開発援助大綱といったような基本方針を策定いたしたいと思いまして、作業を進めております。まとまり次第公表をいたすつもりでございます。 なお、具体的な問題につきまして、必要でございましたら政府委員からお答えを申し上げます。
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。 ただいま総理からの御答弁のとおりでございますが、まず御指摘の援助の適正、効果的、効率的な使用という点に関しましては、従来我々といたしましても、まさに御指摘のとおりでございまして、案件の審査、援助の入り口の段階から出口の段階、つまり評価、事後評価でございますが、その間に至るまでの種々の段階でのチェック体制というものに種々の対策を講じてきているつもりでございます。今後ともODAの適正な執行、実施に万全を期してまいりたいというふうに考えております。 ただいま総理からもお答えが既にございましたけれども、大綱につきましては、現在鋭意検討中でございまして、我々といたしましては、ODAの実施に際しまして、従来とも国会に対しまして、相手国の立場も配慮しながら、随時所要の報告、資料の提出等を行いまして、援助に対する一層の御理解を得るべく努めているところでございます。今後ともこのような努力はもちろん鋭意続けてまいりたいと存じております。 我が国のODAの実施体制といたしましては、全体として順調に機能しているというふうに我々考えておりまして、現行の法令の枠内で先ほどから申しましているような一層の実施の効果的なあり方等を追及してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○委員長(久保田真苗君) 最後の質問です。 昨年十月、本決算委員会は、財政執行状況等視察のため、石川、富山及び新潟と日本海側の各県に委員派遣を行い、その中で、環日本海圏地域の交流と将来構想の実情についても調査してまいりました。 自治体レベルでは、日本海を取り巻く相手国の国情や体制の違いもあって、何をどう進めるべきか、その方向を模索する現状がうかがえましたし、また、民間、各界におけるさまざまな交流の実情も知ることができました。 そこで私は、冷戦後のアジアの新時代に向けて、日本海を「覇権を争う海」ではなく、「交易と文化交流の海」とするために、国情の違いを超えたダイナミックな対応が、我が国の外交、国政の上で必要ではないかと強く感じました。 戦後、国際政治の節目節目で重要な役割を果たしてこられました宮澤総理、日米関係を中心にした太平洋に顔を向けるだけではなく、日本海にもぜひ目を向けていただき、平和の創生と地域の発展のためにリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、総理の御見解はいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる環日本海圏の問題でございますが、この問題について我が国の側で特に関心を持っておられますのは当然のことですが、日本海沿岸の北海道、府、県でございます。そして、相手方といたしましては、かなり幅が広うございますけれども、中国で申せば東北三省、黒龍江省、吉林省、遼寧省、それからロシア連邦の極東地域、沿海地方、ハバロフスク地方、サハリン、アムール州などでございましょう、及び韓国、朝鮮民主主義人民共和国ということであると思います。 久保田委員長の言われましたように、殊にこういう冷戦後の時代になりまして、これらの各地域と我が国の道府県等々がお互いに相補い合うような経済的な条件をかなりいろいろ持っておるのではないか。労働力にいたしましても水産資源にいたしましても木材資源にいたしましても、それを超えましてさらに両地域間の人の交流は、今後非常に大きな潜在性を持っておるというふうに考えております。また、そうでありますことが冷戦後の時代の本来あるべき姿であろうと思いますので、私としてもいわゆるこの環日本海圏の地域の間の接触というものには強い関心を持っております。
○委員長(久保田真苗君) ありがとうございました。 以上で私の質疑は終わります。
○委員長(久保田真苗君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。
○委員長(久保田真苗君) それでは、質疑を続けてまいります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○会田長栄君 百二十三国会もあす一日で終わります。決算委員会は、六十三年度、平成元年度、二年間について精力的に閉会中も審査をして本日総括審査になりました。大変な努力でございました。 そこで、何といっても私は、きょうの総括審査に当たりまして、今日国内に起きている国民の政治不信といった問題と宮澤内閣の政治姿勢という問題について、幾つかの点にかかわって尋ねていきたいとこう思いますので、どうぞ誠意ある回答をよろしくお願いいたします。 まず、これは決算委員長からも御質問ありましたが、決算委員会といたしまして、昭和六十一年度、六十二年度の決算報告につきまして参議院は否認という結論を出しました。この六十一年度、六十二年度の結論に従いまして、その当時海部総理が、これはまことに政府にとりまして政治責任がありますということを申しました。どういう政治責任があるのかということについては具体的に明快な答弁がございませんでした。そして、今まさに六十三年度、平成元年度の二年間についても、この六十一年、六十二年の否認にかかわっての政治的責任と、それに対応する予算編成という ことで、その努力の跡というのが見受けられませんでした。したがって、六十三年度、平成元年度はどのような結果になりますか、あすになればわかりますが、率直に言いまして、もしも六十一年度、六十二年度、六十三年度、そして平成元年度と四年にわたって仮に否認されるということになれば、単なる政治責任はありますということだけで私は済まされないのではないだろうかとこう思いますので、この問題についての見解を率直に聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十一年度及び六十二年度の決算、衆議院では御理解を得られましたけれども、当院におきまして否認となりました。まことに遺憾に存じております。 政府としては、その後国会の御意向を踏まえまして、適正な執行に努めてまいったつもりでございますが、さらに否認を受けるというようなことになりますと、なお私どもの努力に足らざるところがあったかと反省をいたさざるを得ません。具体的にどのようなことについて御指摘をいただくことになるのか、もしそうなりますれば、それを十分承りまして過ちを繰り返さないようにいたしたいと存じております。
○会田長栄君 前総理は、この決算が否認されたということについては、まさしく政治責任がありますということを答えました。その政治責任とはいかなるものなのかということについては抽象的で明らかになりませんでした。その点、宮澤総理はどのような所見をお持ちか聞かせていただければ幸いであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、否認を受けましたところの理由、原因等につきまして、政府として十分反省をし、同じ過ちを繰り返さないということが政治責任を全うするゆえんであると存じます。
○会田長栄君 わかりました。 それでは、同じ過ちを繰り返さないように努力していくということでありますが、現実に六十一、六十二、で、六十三年、六十四年となりますと、同じことを繰り返すことになりますね。これはきょうの総括審査というのは非常に大事になってきているということでございます。だからそういう意味で、同じ過ちを繰り返すようならそれは政治責任をとっていることにはならないでしょうと、少なくとも衆議院で承認されていますから、参議院という一院だけにそれは努力したように見えても、結果的に予算編成上あるいは執行上、何ら変わっていない。従来のものを継続しているということであれば、それは参議院軽視につながっていくでしょうということを私はあえて申し上げておきます。 それでは二つ目、お伺いします。 これは、昭和六十一年、六十二年、六十三年、平成元年と決算会計につきまして、会計検査院の検査結果について報告が出ております。なかなかこれは政府にとりまして大事な問題が報告されているわけでありますが、この報告についての総理の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) お許しを得まして、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。 予算の執行につきましては、各省各庁の責任において、法令または予算の定めるところに従い、適正かつ効率的に行わなければならないものでございます。政府としては、従来から厳正かつ効率的な予算執行に努めているところでございますが、不適正使用の事例が生じていることは事実でございまして、まことに遺憾でございます。 大蔵省におきましては、各省各庁の適正、効率的な予算執行にあわせ、指摘事項が毎年減少することを期待し、従来から文書による要請のほか、各省各庁等の予算、決算担当者会議や会計事務職員研修など、あらゆる機会に予算の効率的な執行及び指摘事項の周知徹底、再発防止の指導等を行ってきているところでございます。
○会田長栄君 それでは、私若干申し上げますから、総理としての見解なり御所見をいただきます。 昭和六十一年の年に不当事項あるいは意見を表示しまたは処置を要求された事項、改善処置事項、特に掲記を要すると認めた事項と、この四段階に分けて会計検査院から検査結果が出されています。昭和六十一年は百五十六件、金額にして二百十四億三千五百四万円、昭和六十二年二百九件百七億九百四十七万円、昭和六十三年二百二件百五十一億一千五百六十七万円、平成元年二百二十件百四十三億九千八百二十八万円、この四年間で七百八十七件六百十六億五千八百四十六万というのが先ほど私が四項目目を指摘しながら説明した中身であります。依然としてこの件数、金額、そんなに努力されているとは見えません。 総理も御承知だと思いますが、会計検査院の対象機関数あるいはこの検査対象機関、こういうものを比率で申し上げますと、五%台から六%、七%、八%、ようやく九%台の検査対象機関となったわけであります。対象機関数の約一割にまだ満たないんです。それでもなおかつ、こういう結果が会計検査院から報告されている。限られた要員の中でこれだけの検査をするというのは大変だろうと思います。とりわけ、行革の中にあって会計検査院の職員も少ないわけでありますから、検査院そのものの努力というものには私は敬意を表しますが、決算委員会としては、このものが年々減っていく、あるいは努力の跡が見える、こういうものでなければならないと思うから、こういうものを続けるならこれは政治不信というもののきっかけになる。 したがって、決算委員会の審査に当たりまして、この問題につきまして一体どういう見解をお持ちか所見を伺いたいと、こう申し上げたんです。それは細かいことなんですが、しかし今説明すれば、大体人一倍能力のある総理大臣でありますから答えられると思いますので、ひとつ所見を聞かせてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお話しになられましたように、不当事項につきましては平成二年度にありましてもなお八十四億円、件数にいたしまして二百四十件でございますか、その他是正改善処置の要求をされたもの等々、ただい文言われましたような状況でございます。 これは、毎年こういう指摘を受けて改善に努めてまいっておりますけれども、なお会計検査院からこの数年間、今お話しになられましたように、件数、金額ともどうも改善の結果は出ておりません。まことに残念なことでありまして、さらに努力を重ねてこのようなことを少なく、また起こりませんような努力をいたさなければならないと、このように考えております。
○会田長栄君 国民のあらゆる階層の中からもろもろの問題を出発点にして政治不信というのは増大していくわけでありますから、私ども国政に携わる者としては、一つ一つこういうものを改善に向かって努力していかなきゃならない。余りにも金額が大きい。したがいまして、もしもこれが九%の検査対象機関でなくて、二〇%などということで検査対象にしていったら、一体どのようになるのであろうかという想像をすると、本当にこのむだ遣いという問題につきまして、もう少し真剣に対応していかなければならないと思っている一人であります。その点は総理もどうぞよろしくお願いいたしておきます。 次に問題にしたいのは、総理、業界誌と言われている「輪際」という雑誌を見たことありますか。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 存じません。
○会田長栄君 そうですか。これは、今や霞が関業界誌と言われる「輪際」座談会問題について雑誌あるいはマスコミにおいて論じられていて、一体政界というところは、あるいは政府というところはどうなっているんだという疑問が出ている例であります。これもまた政治不信の種であります。 それは御承知のとおり、三月三十一日、渡部通産大臣が閣議後記者会見で公式に「輪際」問題に触れて陳謝している。これは内閣として知らないでは通りませんよ。なぜ私はそう言うかという と、こんなことが政府と民間のあるごく一部の人がつながっていわゆる金もうけをしている、あるいは癒着している、こういうふうに勘ぐられたら、政府がどんなにまじめにやっていたってここから崩れていく。知らないというのではどうにもなりませんけれども、後からでも結構でありますから、今若干説明申し上げますから、後ほどひとつ研究させてみてください。本来であれば、総理にこの種の問題は報告しておかなきゃならない。少なくとも宮澤内閣の中でそれぞれの大臣が公式に記者会見の中で陳謝するなどということは、綱紀粛正上からあってならないことですよ、これ。ましてや、関与しているのは国家公務員の上級職員ですよ。 そういう意味で、例えば三月三十一日、渡部通産大臣が記者会見で陳謝をしている。陳謝しているというのはそのとおりだということなんですから、そのとおりでなけりゃ謝ることないんだ。これは御承知のとおり、実際は私は陳謝した中身を知っていますかと聞きたかったんです。知っているだろうと思ったんです。これは「輪際」という特定のところにしか配らない雑誌があるんですよ。官庁にはみんな配られていると聞いています。国会図書館にはありません。書店にもありません。全く関係しているところしか配らない、こういうことであります。これは通産省のお偉い方が、お偉いといっても大臣じゃありませんよ、ある高級役人の人たちが業界に働きかけて座談会を招集するんです。そして座談会をやるんです。同時に、役所からファクスで招待状が行った企業には、この「輪際」という企業誌を発行している人に五十万ないし六十万を納入してもらいたいという仕組みになっているんです。これは大変な問題ですよ。これはあなた、一般の下級公務員なんかがやったものならたちまち綱紀粛正となって処罰ですよ。こういうことが行われていたから、官民癒着の見本ではないのかということで、渡部通産大臣が公式に陳謝したんです。 それだけじゃありませんよ。これ一つぐらいなら私もさわる気はなかったんです。今度は郵政省、さわりました。郵便事業創業百二十周年記念座談会としてこの業界誌「輪際」を八千九百部郵政省は買い上げている。私はこの八千九百部だけかと思ったんです。ところが、過去二年間に郵政省がこの座談会というのを平成二年は五月、六月、九月、十月、最低でも四回開いている。平成三年度は四月、五月、十月、平成四年は一月、ここまでしか調べられない。そして、そのたびに協力金を要請して、いただいているという現実なんですよ。ところが郵政大臣は、そんなこと郵便事業創業百二十周年記念座談会でやっていることですから何ら問題はないと言って開き直っている。そして、開き直ったらその次に、実は過去二年間にこういうことがあって同じことが繰り返されているということがわかった。郵政大臣としてまことに私は不適切だと思いますよ。こんなことは一日も早く国民の前に明らかにして悪かったら悪かったと言って率直に謝らぬと、政治不信というのは増大してくるんです。これだけじゃありませんよ。みんなは総理が知っているものと思ったんですわ。やっぱりこういうことも知るようにひとつ部下に研究させてください。こういうことがちまたでは国民の間で議論になっているんですから。 運輸省、これもまた奥田運輸大臣が閣議の後に記者会見で公式にこの問題を認めた、運輸省もやっているということ。運輸省というか、運輸省の部下のある者がやっているということを認めた。認めただけならいいんですけれども、まことに申しわけないと。これはだれかが始めたことで、いつの間にかこういうことがふえてきた、うつってきた、その大もとになったところをこれからやっぱり手繰り寄せていかなきゃいかぬと言って、奥田運輸大臣は怒っているんですよ。怒るのは当たり前だと思う。それも損害保険六社をこの座談会に呼んでいるんです。もちろん、呼んでいるからには協力金として五十万から六十万は納めるようになっている。これは運輸省のある人がやらなけりゃ業界はだれも来ないんです。業界誌の編集長がやりますからなんと言ったってだれも行くわけない。運輸省のお偉い人がやるから行く。行ったらちゃんと金は納めなさいと、こういう仕組みになっているんです。これはだれが考えてみたって、損害保険会社と運輸省との間に政策的に何らかの関係があるからこういうことが成り立つんだと私は思うんですよ。厚生省もまたこれと似たものがある。各省庁がみんなこういうことに汚染されているのでないかという気がしてならないんですよ。 決算委員会、閉会中も何回もやりまし夫が、この問題に全くさわらずして決算審査終了したというのではこれも問題が残るというので、きょうは最後でありますから、総理が来るし、率直に聞いていただきましょうかと、こうなったんです。私は本来こう長く説明するつもりはございませんでした。しかし、まあまあ信じてもいいと思うなら、ひとつ見解を聞かせてください。これはもう各大臣が公式に記者会見で発表して陳謝しているわけでありますから、私の言うのはうそでも輪を大きくしたわけでもございません。どうぞ。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま具体的な実情を会田委員から承ったわけでございますし、お話そのものは恐らく正確なお話をなさっておられるに違いないと思います。といたしますと、それはまずこの座談会を催す呼びかけをする役人が事実上かなりの権限を持った立場にあって、そしてそういうことを背景に業界に呼びかけて座談会をしたというようなことであろうかと思われます。 厳密なことを今申し上げられませんけれども、これは確かに綱紀の粛正を要する出来事ではないだろうかと、お話を今伺った限りでそういうふうに考えますので、実情をよく調べまして、まだそういうことをやっておりましたら、これは直ちに改めるようにいたさせます。
○会田長栄君 よく公務員が、一例を申し上げますと、どうしても賃上げをしてほしいと、生活が苦しいから、なかなかいい回答が出ないから、ひとつ実力行使でもやって、ストライキでもやってみましょうかといってやったことがあります、過去にね、過去ですよ、ずっと前ですよ、今はもうやりませんが、そういうことは。五分間遅刻しただけでも処分されたんですよ、総理、五分。一体これは国家公務員法九十九条からいったら抵触しないんだろうかという気がしてならないんですよ。私は過去に自分の仲間が遅刻五分で処分されたことを知っているんです。遅刻五分ですよ。五分といえどもだめだと、こういうことでございました。ひとつこれは内閣の威信にかけても、こういうことが二度と起こらないようにぜひお願いしておきます。決して国民の目から見たらこれはいいことではありません。ましてや、トラの威をかりて金を集めるなどというやり方は絶対にあっちゃいけない。これをなくしていかない限り政治不信というのは消えないですよ。その例であります。 その次、今度は防衛庁。総理、かつて決算委員会の私ども防衛庁を見学いたしました。そこで防衛庁の移転計画というのが出ているということがわかりました。これは防衛庁を市ケ谷駐屯地に移転するという問題です。昭和五十八年にこの建物は中央指揮所というのが八十七億かけて完成しているんですよ。耐用年数五十年から六十年という約束のもとに完成しているんです。ところが、この完成する年から防衛庁を移転しようと計画していたというんですから、これは金のむだ遣いじゃありませんかということなんです。 これは総理に聞くよりも防衛庁長官に聞けば一番いいわけでありますが、少なくとも臨時行政調査会の答申に基づいて、基本的に誠意を持って宮澤内閣はこの答申を尊重してやりますという公約をしておる。ところが、一方でこういうことがあるというのは一体どういうことなのかという気がしてなりません。多額の金をかけて完成するや、移転するという計画を直ちに始めて市ケ谷駐屯地に移す。使えばこれから五十年は黙って使えます。こういうことが明らかになっていながら、この移転問題というのは私は政府全体から見たら再 者の余地があるのではないだろうかと、こう思って総理に臨調答申の関係からお尋ねしようとしたわけであります。ひとつ見解があったら聞かせてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、防衛庁本庁の庁舎移転計画がございますが、このこと自身が不適当だと言われたのですか、それとも、移転の計画があるのに一部のものの新設を行っているのが不経済ではないかと言われたのですか、どう言われましたのですか。
○会田長栄君 昭和五十八年度に中央指揮所というのが完成をしたんです。耐用年数は五十年から六十年どこうなっているんです。ところが、完成したときから市ケ谷駐屯地に移転計画が始まったというから、これは国民の側から見たら決して好ましいことではないでしょうと。それなら最初から中央指揮所をつくらないで、市ケ谷なら市ケ谷を考えた方がいいでしょうという意味も含めてなんですよ。何でこういう粗末な金の使い方をするんですかということが入っているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました。そういうことかと思いました。 中央指揮所を五十八年につくったのには、防衛庁の機能を発揮するために、新しい機能を備えた中央指揮所が事実上必要だということで完成をいたした。このこと自身は、もう既にそれから十年近くなりますけれども、それとしての機能を営んでおるわけでございます。 他方で、防衛庁の本庁舎を移すことが大事だということ、これはまた私自身、今のあそこの六本木のあのあたりでございますけれども、どうもあそこに防衛庁があることは普通考えましても役所がいるところではないような気がいたします。周辺に商業ビルが高くなっておりますので、通信とか警備とかという面では多分余り適当でないということだと思っておりましたけれども、移転をすることが必要だという、これはこれとしてやはり大切な問題だと思います。 しかし、この移転計画そのものは既に相当長い時間がたっておりますけれども、今日もまだ実施に移されておりません。それはそれなりの理由がございますようです。したがいまして、仮に今日まで中央指揮所を持たずにいた方がいいのかと言われれば、移転完成までにまだ相当長い時間がかかるでございましょうから、少なくとも十何年は中央指揮所の建設というものはやめておいた方がいいかということになりますと、なかなかそうも言い切れないであろう。大きな役所の移転の問題でございますから、それなりの時間がかかる。その間、片方の必要な施策を差し控えておくということもなかなかできないという、こういうことだったと私は思います。 ちょっと視点を変えまして、役所というものは、いかにも物を決めてからそれが実行されるまでに長いじゃないか、そういう行政は問題があるという一例としての御指摘であれば、それはそういう嫌いは確かにございます。ございますが、この場合にはそのような事情であったものであろうと思います。
○会田長栄君 予告していませんが、大蔵大臣、これは大蔵大臣の方が適切かもしれません。要するに、防衛庁の中央指揮所というのは、正確に言えば八十六億円かけて昭和五十九年に完成しているんです。昭和六十年というのは中曽根さんの時代でしょう。そのときから市ケ谷駐屯地の方に中央指揮所というよりは防衛庁全体が移転する計画が始まっている。移転するということは、その中央指揮所を壊すということですからね。言われていることは、後、これを更地にして売るということなんだそうですから、壊すということなんですよ。それは今総理がおっしゃったように、大体役所というところは着想してから計画してでき上がるまで相当長い年月がかかるというのは、それはわかります。わかるが、私が今大蔵大臣にお尋ねしたいのは、八十六億で耐用年数五、六十年でつくった建物が、完成して祝賀会をやったその次の日から移転する計画というのは余りにも国民には納得しかねる問題ではないでしょうかと、その点でひとつ所見があったら聞かせてください。
○政府委員(三井康有君) 事実関係につきまして私どもの方から御説明をさせていただきます。防衛庁の中央指揮所でございますが、これは昭和五十一年にいわゆるミグ25事件というのがございまして、このときの反省を踏まえまして、防衛庁といたしましては、自衛隊の行動時等に関しまして、防衛庁長官が情勢を把握しまして適時所要の決定を行い、部隊等に対して命令を下すまでの一連の活動を迅速かつ的確に実施することを目的として建設が始められたものでございまして、具体的には建設工事は五十六年度から着手いたしまして、終了いたしましたのが五十八年度でございます。そして、その運用は昭和五十九年の三月から開始をされたということでございます。 他方で、市ケ谷移転の問題でございますけれども、中曽根内閣当時に今おっしゃったような御議論があったことは私どもも承知はいたしておりますが、防衛庁といたしましては、それによって移転を決定したということではございません。私どもとしては、先ほど総理から御答弁いただきましたように、防衛本庁の置かれております檜町、一般的には六本木地区と言われておりますが、この地区の商業化が近年御案内のとおり著しく進んでおるものでございますので、こういった事態を前にしまして、昭和六十一年から二年間にわたりまして檜町地区に所在する施設を仮に市ケ谷に移転するという場合の可能性について調査を実施いたしまして、この二年間にわたる慎重な調査の上で、防衛庁といたしましては昭和六十二年の八月にこの庁舎移転計画を決定いたしまして、昭和六十三年度予算において施設整備が認められ、自後毎年この計画を進めておるというところでございます。決して、中央指揮所ができてその翌日から移転を進めておるというようなことではございませんので、御理解いただきたいと思います。
○会田長栄君 なるほど、理路整然と説明されるとそうかなと聞こえる。しかし、これは私なんか聞くと、どうもそうもいかぬなと。せっかく五十九年度に八十六億円の金をかけてうちをつくって祝賀会やって、あしたからいいぞとやっていたら、次のときから今度は別なところに行くというやり方は、国民に理解されないでしょうと、私はこう言っているんですよ。されませんよ。十年間にどういう方向で一体防衛庁は政策をやっていくのかというそれぐらいのことを見通せないでやっているんだとしたら、とても日本の防衛なんというのはおぼつかないですよ。 一面で、総理、今盛んに行革といって統廃合という形で縮小しているでしょう、金がないから、不足しているからと言って。運輸大臣にこの間気象庁の問題を言ったんですよ。幾ら世の中が進歩したからといって、異常地帯の気象観測所を夜間に勤務することないようにしたり、すべて機械で賄いますというようなことだけで一体済むんですかと申し上げたことがあるんです。それはもう気象庁も同様、林野庁も同様、すべての官庁が今苦しいながらもそうなっているんですよ。私は余り地方から機関を揚げるということには賛成ではありません。しかし、そういう努力をしている一方で、歳入が容易でないというもとで、こういう金の使い方というのはいいんだろうかということなんです。だから、言う人に言わせれば、本来はあそこを壊しで更地にして売る。バブル経済の中で二兆円に売れるという計算をしていた。ところが、今やバブル経済は沈静化してしまって六千億くらいにしか売れない。それが計画がなかなか前に進まなくなってきた要因ではないかなどということを指摘する人もあるんですよ。 六十五年の耐用年数だとすれば、せめて三分の一ぐらいいったときに何かの理由をつけて引っ越すならわかるけれども、そんな問題ではないでしょうということを私は言いたいんです。これは決算審査をやって果たして有効効率的に金が使われているかどうかというところを審査対象にしたときに、こういうものも国民の前に一つ一つ提起していけば政治不信というのは重なっていきますということを申し上げたくて聞いているんです。そ こを一つ押さえておいてください。今私は引っ越すことに反対だの賛成だのと言っているんじゃないんです。それぐらい目先をきかせてやらなきゃいけないんじゃないか。八十六億といえば大変な金ですよ、政府から言わせれば大したことないのかもしれませんけれども。こういうものが一つ一つ積み重なっていくと国民が政治不信を持つようになってくる。政治家を信頼しないようになってくる。陰にだれかまた政治家がいるんだろうと推測される。それでは困るのでこの問題を出しているんです。 それではその次に、総理、バブル経済の問題というのも総理にやっぱり御意見を承っておいた方がいいと思うんです。 六十三年度の決算、平成元年度決算のうち、この当時は両年度の財政経済運営の責任というのは総理だったですね。したがって、この財政経済運営の責任者として総理がその当時執行していた。しかし、バブル経済というものが実際に出てしまった。だから、このバブル経済の根源というものを探っていくというと、どうしてもこれは低金利を余りにも長く続け過ぎたというところに問題があるのではないかということが今反省の意味を込めて言われているんです。 当時のことを振り返りまして、公定歩合を引き下げるというのは、当然それは日銀総裁の職務でしょう。しかし、日銀総裁の職務とはいいながら、日銀総裁は大蔵大臣に全く話さずに下げるなどということは不可能だし、できるものではない、そうはなっていても。だとすれば、宮澤大蔵大臣がその当時日銀の総裁から相談があって低金利政策というものを長く続けたために、今日の問題が出てきているのではなかろうか、こう一つ思います。その点、総理としては、その当時を振り返りまして、今を押さえてどのような所見、反省といったものをお持ちか聞かせてほしい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 当時を振り返って述べよと言われますので、多少長くなりますがお許しをいただきたいと思います。 事の起こりは、やはり近因で申しますと、一九八五年でございますから昭和六十年の九月、いわゆるプラザ合意がございまして、そのときからドル安に誘導する、円高に誘導するという各国の合意がございましたことを御記憶でございましょう。で、我が国もその合意を受けまして、当事者として円高・ドル安へそこから全力を挙げて施策を行ったわけでございます。このプラザ合意の日のドルは二百四十二円でございますが、政府が非常な努力をいたしました結果、その年の暮れには二百円になっております。九月二十三日から十二月の末でございますから、わずか三カ月で四十円、円が上がりました。翌年の夏ごろには百五十円になっております。つまり、ほとんど一年の間に百円余り円が上昇をいたしたわけでございますが、私が就任いたしましたのはその夏の七月ごろでございます。 で、御記憶にありますように、このようなことは我が国経済初めてでございますので、企業はほとんどこれに対応するすべを知りませんでした。これでは設備投資をしても到底利益は上がらない、やむを得ず東南アジアにでも投資するかというような相談をして重役会を終えてみたら、またきょうも円が二円上がっておるというようなことをずっと続けておったわけでございますが、そのうちに企業だけの問題でなくなりまして、企業城下町というところから大きな不況が起こり始めて国全体いわば大不況、そして雇用の問題になっていったことは御記憶のとおりでございます。 そこで、政府は何をしているのか、このような不況に対してどう対応するのかということを強く国会からも国民からも求められまして、補正予算を組み、後には、六十二年にはいわゆる六兆円と言われるところの大きな緊急経済対策を、公共事業、減税等をあわせていたしました。ここらで国民経済が円高というものにようやく対応するための準備ができてまいりまして、結果といたしましては、これを境についせんだってまでの戦後二番目の長い好景気が続くことになって、我が国はそのころには円高のメリットをようやく生かすことができるようになったわけでございますけれども、その当初の段階において、経験したことのない不況を救うために政府としては全力を減税、公共事業等々で尽くしました。このためには確かに相当の資金の流出があったわけでございます。またそれと同時に、連日ドルが下がり円が上がる、毎日二円、三円というようなことは到底急激な変化に経済が耐え得ませんから、政府が相場に介入いたしまして、かなり大きな介入をしてドルを随分買いました。つまり、この変化というものをできるだけ緩やかにするための処置でございますけれども、ドルを買ったということはそれだけ円が出たということでございますから、ここからの円の流出も大きなものでございました。両方合わせますと、後から振り返りまして、相当ないわば過剰流動性が生じた。これはもうおっしゃいますとおりであります。 そのことは否定のできないところでありますが、他面の結果としては、日。本経済はこの円高というものにようやく調整ができまして、その後の長い好況とまた我が国による海外資産の取得、あるいは東南アジアでの設備投資等々それなりの大きなメリットもあった。そこを今から反省として考えますと、それだけの効果はあったことであるけれども、しかしその過剰流動性を何とか他方で吸収することはできなかったのか。効果を上げた後の薬というもので別の形で何とか吸収できなかったか。それができなかったものですからそれが土地に向き、株に向き、いわゆるバブルというものになった。そこは、私は否定できないことだと思っております。もしもう一度同じことがありましたら、これはやはりあのときの国の対応、為替相場への介入はどうしても必要であったとは思いますけれども、その後始末をもう少し上手にやれなかったかというのが、いわば反省の材料であると思っております。
○会田長栄君 これと関連をいたしまして、バブル経済の中で実は政治不信が増大していったというのは、要するに政治家に関する汚職事件が次々と発生していったというところにまた出てきたんですね。だから、このバブル経済というのは大変な問題を残していったわけです。それは証券業界の問題、金融界の問題すべてこういうものと関連しているんです。したがって、その責任をとったというのか、橋本大蔵大臣も一定の再建策を講じて身を引いたわけでしょう。しかし、現実にバブル経済の被害に遭ったと言うのがいいのか、あるいはこれを利用したと言うのがいいのか、今話題になっていますところの汚職事件があるでしょう。これも百二十三国会の予算委員会の中で、あるいはそれぞれ関係する委員会の中でも、汚職ではないか、金をもらったのではないかと言われる人たちが参考人なり、あるいはその他の調査を受けられました。しかし、こういうことは国会の中でなかなか本当のことをしゃべらない。本来であれば、素直にいただきました、こう言ってしまえば気は休まるものを、次々と重ねていって最終的に公判の中で明らかにされていくというような問題が出てくるんです。 総理も御承知のとおり、阿部元長官は大変なことをやっぱり述べているんです。これなどはまさしく政治家仲間として許されるものではありません。とりわけ、選挙に金がかかり過ぎる、選挙のたびごとに借金がふえる、泥棒してでも金が欲しかったんですと言って、金を受け取ったことがさも政治が悪いからだというように言い逃れしているということは、政治不信を一層拡大する以外の何物でもないと言うんですよ。 恐らく共和の事件も、会社は破産したし、政治家は残っているし、公判をやれば次々とその中身が明らかになるし、これは政治をする者にとって、内閣にとってこれほど不信を招くものはない、こう思っています。公判が進行するでしょうから、恐らく次々とこれは明らかになっていくでありましょう。したがって、一日も早くそれこそ率直にやっぱり本当のことを言って肩の荷を軽くする、そして二度とこういうことが生じないよう にしていかなきゃいかぬ、こう私なんかは思っているんですよ。しかし、一向にその傾向はない。だから、時間がたつにつれてその中身が阿部さん本人だけでなくて今度は塩崎元総務庁長官も入ってくる。そして、自分の仲間の政治家も入ってくる。政治家をやっている限り名前だけは死んでも言えないなどということを言って、さもそういうことが仲間の中にたくさんいるように口述しているというのは、私は決して日本の政治を進めるに当たって政治の信頼などというのはから取れるものではないと思って、これと関連をしてお尋ねしているんです。 この共和、そのうちに佐川急便と出てくるでしょう。佐川急便の後に今度は一体何が出てくるのかというように、こんな心配ばかりしているようではいい政治はできない。これは当たり前の話です。そこで、今日の公判の進行の中で、総理としてこの共和事件について一体どういう見解をお持ちか、この場で聞かせてほしいというのが本音です。
○国務大臣(宮澤喜一君) バブルというものが日本国民に与えた経済的以外の影響についてお話があって、私も同感するところが多うございます。 つまり、お互い努力して金をもうけた、あるいは非常な成功をしたといったようなときに、どのぐらいもうけたか、どのくらい成功したかということはおのずから常識の範囲というものがございます。自分の届く範囲あるいは背伸びしてこれだけできたという常識的な範囲がございますけれども、バブルというものはその常識というものを全く崩してしまったというふうに思います。ですから、これは経済ではなくて言ってみればルーレット、パチンコをはるかに離れてルーレット、かけの世界になってしまった。そういうところで価値判断というものが失われたということからああいう出来事が起こってきた。それは私は御指摘のとおりだというふうに思います。 いわゆるバブル現象というものは、確かに経済的にも大きな出来事でありましたけれども、人の心をす岩ませたという点でさらに大きな害悪を流した。そこから我々は学ぶところが当然なければならないわけでありまして、それは一つは、政治家について言えば、政治改革という問題であろうと思います。しかし、経済界について言えば、やはり証券界におけるいろいろな問題、それが先般の監視委員会という立法をお願いしたゆえんでもありますので、そういう意味で、今まで戦後比較的順調に、しかもやや日本的な風土の中で独特の育ち方をしました日本経済の立っている基盤について、基本的な反省を迫られたというのがこのバブルというものであったと思います。 したがって、バブルの及ぼした影響というのは極めて大きいものがあって、それから我々はいかにして学ぶかということが今我々が直面している問題であり、またそのために努力をいたさなければならないというふうに考えております。
○会田長栄君 次に、地球サミット欠席とPKOの問題で所見を承っておきたいと思います。 この地球サミットに総理が欠席をしたということは、環境問題について興味と関心と持って運動を続けている人たちは大変がっかりしたようであります。ここは参議院ですから、あえて他院の出来事は申しませんが、そういう中で、本当に地球サミットに行きたい、行かなきゃいかぬという宮澤総理の決意のほどは私どもにも伝わってまいりましたが、結果的には欠席された。欠席されたことによって、日本の外交の上で大変世界から注目を集めたことも事実でしょう。その後のサミットに対する日本の政府の対応の仕方も話題になったでしょう。しかし、この問題というのは、私などから言わせれば、PKOの問題は結論を出さないで、二カ月ぐらい休んで行ってきてゆっくりやったらいいだろうと、私ならですよ、思ったぐらいでありますが、総理ならそうもいかなかったんでしょうけれども、意外と大きなものをほうったと、こう感じているんです。 そこで、この地球サミットを欠席したことについての感想、いわゆる所見などを聞かせてほしいんです。私は行くべきだったと思うんです。PKOの問題は二カ月、三カ月おくらせたって行くべきだった。しかし、カンボジア問題については、日本政府として可能なことだけは徹底してその期間やろうと言えば、二、三カ月おくれたからといって、あえて私はそれほど反省する材料でもなかったのではないかと、こう思っている一人でありますからお聞きいたします。今ごろだからそう言えるんだと言われりゃそれまででありますけれども、どうぞそこは率直に聞かせてください。 私は、どちらかというと、国論を二分してあれだけの国会の状況になっていたならちょっと冷めた期間を置こうかな、総理ならそれぐらいの結論を出すのでないのかなとこう思って期待していたんですが、そうでなかったものですから、地球サミットとの関連で所見をまず承っておきたい、こういうことです。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる地球サミットにつきましては、御承知いただいておると思いますけれども、我が国としては参加国の中で一番積極的な、しかも具体的な対案を出すことのできた国でございますので、余計私としましてはこの会議に出席をいたしたい、またそれは我が国としての義務であるというふうに考え続けてまいりました。 しかし、参議院に次ぎまして衆議院においてPKOの御審議が夜を日に継いで行われたような状況の中でありました。私としましては、具体的に申せとおっしゃいますので申し上げますけれども、大体往復で飛行時間が五十時間でございますので、現実に現地に十時間滞在をいたしますれば、六十時間あればとにかく最低の仕事はできると考えておりまして、たまたま金曜の夕方まで飛行機その他を待機させておりました。その日の夜八時ごろに出れば、今の六十時間の範囲内で月曜日の朝には東京に帰ってこれる。通例土曜、日曜は国会が休まれるということであれば、その中でぎりぎりのことができるという期待を持っておりましたけれども、国会の御審議が実際上は昼も夜も、土曜も日曜も休みなく続けて行われておりまして、しかもその間に、内閣の不信任案でございますか、信任案でございますか、内閣総理大臣がいなければ行い得ない議事が予定されるに至りましたので出席を断念いたしました。やむを得ないことであったと思っております。 その点は、民主主義の国は比較的理解をしてくれやすい事情でこざいましたけれども、そうでない国には大変理解がしにくかったであろう。しかし、いろいろございましたけれども、私の演説の内容は公式に会議に配付されることが許されましたので、日本政府の主張は各国に演説のテキストを通じて知ってもらうことができました。映像を通じて演説をするということは、本来私どもの発想ではございませんでして、この会議をずっと主導してこられましたストロング事務局長の好意ある発想であったわけでございますが、いろいろな事情があったようでありまして、主催事務当局の中での合意の不完成といいますか、十分でなかったと申しますか、そういうことから実現をいたしませんでしたけれども、これは我が外務当局の責めに帰するべきものではございませんで、そのようなやや複雑な事情の結果そうなったということでございます。 いずれにいたしましても、出席できませんでしたことを大変残念に思っておりますけれども、我が国が提案をし、約束いたしましたことは、世界の中でも最も具体的な、かつ前向きのものでございますので、これを誠実に履行することによりまして我が国の誠意を各国にもわかってもらうようにいたしたいと思っております。
○会田長栄君 私は、総理のこれからの政治姿勢、今までの政治姿勢と関連をいたしまして、実は決算審査に当たって幾つか大事なところの経過の上に立って今まで質問してきました。 もちろん、地球サミット、PKOとの関係、これは総理が新聞協会で演説なさったでしょう、このPKO法が憲法違反なら罪万死に値するということを申されたでしょう。それだけの自信と確信 があるなら、一カ月ぐらい休んで行ってきてもよかったのではないかと、こう思っているからお尋ねいたしました。 その次にお尋ねしたいのは、ODAの大綱の問題です。 これは、決算委員会でも随分ODAの問題については議論してきたところであります。一九九二年、平成四年六月十六日、読売新聞夕刊に「ODA大綱の最終案」という形で発表になっています。このようにまとまっているんですか。案ですよ、案。
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。 まず、読売新聞のあの記事でございますが、これは新聞のいわばリークでございまして、現在鋭意作成中という段階でございます。その点をまず申し上げておきたいと思います。 先生御案内のとおり、政府開発援助の大綱につきましては、昨年の春と秋、二次にわたりまして第三次の行革審で、主としてODAの全体的な見直しという作業が行われまして、十二月に出されました第三次行革審の答申におきまして、政府開発援助——援助の基本理念、考え方等を盛り込んだ開発援助の大綱というものをつくるべきであるという御答申をいただいた経緯がございます。この行革審の答申に基づきまして、昨年の十二月二十八日、政府は閣議決定を行っておりまして、政府開発援助の大綱というものの作業に入るということを決めたわけでございます。 この決定を踏まえまして、これは政府開発援助の基本理念等を明確に内外に示すということが基本的な目的でございますが、そういう考え方に基づきまして、ただいま策定の作業を鋭意進めているところでございます。まとまり次第、これは内外に公表するという予定にいたしております。 その内容につきましては、先ほどの行革審の答申にも項目がございましたが、基本理念、原則・配慮事項、援助の重点事項・分野、実施体制といったようなものを含んだものにする予定で今議論をさせていただいております。 それから、最近の流れをちょっと申し上げますと、政府部内での策定の参考にさせていただくために、本年五月八日でございましたけれども、政府の対外経済協力審議会というものが大綱に盛り込むべき主要項目、それから基本的考え方については既に意見具申を行っておりまして、政府といたしましては、これを参考にしながら鋭意作業を進めているということでございます。 その基本理念の中身といたしまして、今申し上げました意見具申では、人道的な配慮、相互依存関係の認識、自助努力の支援、地球環境の保全といったような重要な項目を掲げておりまして、このような対外経済協力審議会のお考えなども十分踏まえながら策定作業を進めているというのが現在の状況でございます。
○会田長栄君 問題はここに非常に大事なことがあるんですが、時間もありませんから、一つだけ私の考えを意見として申し上げておきます。 それはPKO法が成立するまでの間大いに議論になりましたが、私は端的に言って、総理、武器を輸出する国がある限りこの地球上から紛争はなくならない、紛争のある限り日本はいつでも後片づけするのかと、こう思っている一人なんですよ。したがって、この地球上から紛争をなくしていくのには、主要国と言われている国々が開発途上国や、あるいはみずから武器を生産、製造することができない国に断じて売ってはならないということを、国連の中でも日本政府が今問いかけていかなきゃならないと思っているんです。それは政府も問いかけているようであります。この発表の中身を見ますと、前例に基づきまして、原則あるいは基本事項の中で、それらしいことが述べられている。しかし、注意を払うぐらいの言葉になっている。これは非常に大事なことだと思いますよ。どんなに国際貢献と言っても、片方で争いの種をつくる限りどうにもならないんですから、これ。 これは仮にカンボジアに行ったって、一体何百万個という地雷はどこで生産された地雷かといったら、ほとんど主要国でしょう。自国で生産している地雷などというのは数少ないんだ、こう思っている一人であります。しかしいかんせん、武器を生産し売る、買う、争い、武器で勝つ、こういう流れというのはなかなか地球上からなくなりません。したがって、日本が憲法の上に立ってそれを世界の先頭を切って私は走る必要があるのではないか。だから、もっと強力に内閣としてもやってほしい。でなければ「後始末日本」などと言われるようになります。金は出す、人は出すが、どうにもなりません、と思っている一人であります。 その意見だけ申し上げて、私の質問時間を終わります。ありがとうございました。
○猪熊重二君 初めに、私は宮澤総理に対し、去る十五日成立したPKO協力法に関連して、二点ほど伺いたいと思います。 まず第一点は、国連平和維持活動に従事させるため、自衛隊を海外に派遣することを内容とする今回のPKO協力法は憲法に違反するという見解が主張されております。私は、このPKO協力法は違憲であると主張される方々の中に、全く別個の根拠に立つ、二種類の区別があると考えるんです。これを明確にしないと、違憲である違憲であると言われるけれども、言われる方も何が違憲なんだかわからないんです。 一つは、自衛隊の存在そのものが憲法九条に違反する、こういう立場からの主張なんです。この見解に立つ限り、自衛隊は国外すなわち海外で活動する場合ばかりでなく、国内で活動している場合であっても常に違憲の存在であるということになるはずだろうと思うんです。この見解によれば、PKO協力法をいろいろ論ずる以前に自衛隊そのものの合憲性が否定される、こういうことになるわけです。こういう観点からのPKO協力法は違憲だという考え方、これに対して総理はどうお考えになるのか。 それからもう一つの見解は、自衛隊は専守防衛に限定された自衛権の行使としての武装集団であるから憲法九条に違反するものではないという前提には立つんですが、この見解に立脚した場合でも、自衛隊のPKOによる海外派遣は専守防衛、領土保全の枠を超えるゆえに憲法違反である、こういうふうな主張もあるだろうと思うんです。こういう見解に立った場合には、自衛隊員によるPKO活動が武力行使に当たるか否かということが論議の核心になるはずだろうと思うんです。 ですから、この二つの見解、PKO協力法は違憲だという二つの見解の中で、どの立場に立って違憲であるとおっしゃるのかがはっきりしないと、違憲であると言われる方も困っちゃうんです。総理も困るだろうと思うんです。 私は、公明党の一員として、PKO協力法は違憲であるというふうな見解には全く立ちません。総理は、PKO協力法が違憲であるというこの主張に対して、今申し上げたような二つの立場からの違憲論があるはずだろうと私は思うんですが、そのそれぞれについて違憲じゃないんだということについてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は昨日、新聞協会、これは新聞、テレビ、ラジオ等々の経営者、社長の会の総会でございましたけれども、そこでお尋ねがありまして申し上げたことでございますけれども、このPKOをめぐりまして国会でも大変に長いこと両院で御議論がありました。また、新聞の社説、論説等々の中でもいろいろなお考えがあって、この法案は違憲であるという言葉には何度か接しましたけれども、なぜ違憲かということについての具体的な指摘というものはなかった。私は、もし私が憲法に違反するようなことを本当にしたとすればそれは後世に罪万死に値するものであると考えておりますので、どうしてもこの点ははっきりさせておきたいと思いますと申し上げて、お尋ねに答えたわけです。 今猪熊委員の言われますように、第一の、自衛隊というものがそもそも違憲である、したがって何をしようと自衛隊がすることは違憲であるということは、雲仙・普賢岳では御苦労でありました が、あなた方のやっていることは違憲であるというようなことはほとんど成り立たない話であるし、国民の多くが今自衛隊というものを受け入れるというコンセンサスに傾いておるというか、コンセンサスができつつあると私は考えております。それは当たり前のことであって、自衛ができないような国というものは自衛のできないような個人と同じことで、そんなことは本来的にあり得ない。自衛と称して侵略をすることがあってはなりませんけれども、自衛のための権利というものは本来的に国にも個人にもあるものであると考えますから、自衛隊がその原則に従って行動する限り、これが違憲であるということはあり得ないと思いますので、第一に対する答えは比較的簡単であろうと思います。 問題は第二でありますが、私はきのう実はその席でも比較的わかりやすい例として申し上げたのですが、湾岸危機のときにいわゆる多国籍軍というものができました。多国籍軍は確かに国連の安保理事会の決議に従ってこれを執行するために行動をいたしましたけれども、しかし多国籍軍は、いかにサダム・フセインが悪でありましょうとも、これを武力をもって破ることを目的とした軍でありますから、これに我が国が参加するということは、目的が仮に国連が認めておることであったとしても海外において武力を行使するという点では、その武力行使がいかに正しくともそれは自衛でない限りはやはり憲法との関係では問題があると私は当時から考えていて、したがって多国籍軍に我が国が参加することは、私は賛成できないと当時から申しておりましたし、今もそう思っております。 いかに国連の決議であるとはいえ、それはやはりそう考えるべきものであろうと私は思っておりますが、PKOというのは全くそれと異質のものでありまして、何度も国会でも御議論になりましたように、PKOが発砲をするような事態になればそれは戦争当事者に堕してしまうわけであって、それでは国連の平和維持の目的は達成できません。どんなに苦しくても発砲しないということがこのPKOの本質、本体であって、そのゆえにノーベル賞を受けておるのでございますから、これに参加するということが武力行使であると考えることは、私は本来的に間違いだというふうに考えております。したがって、そこは我が国の憲法が禁止しているところではないというふうに思っておりますが、しかしそれだけでは、我が国がこのような憲法を持っている立場から言えば、不十分であると政府も考えましたし国会もお考えになって、それに二つの安全弁をかけております。 その第一は、そうではあろうが、国連が平和維持活動をやっているうちに妨害を受けた、発砲を受けたというときはこれは実力をもってこれを排除するということはあり得るのではないかということについて、その場合には我が国は、国連のスタンダードコードはともかくといたしまして、我が国の決断としてそのような行動を中断することができる、また撤退することもできる。みんながやっているのに日本だけ撤退するのかねという話は余り格好のいい話でないかもしれませんけれども、しかしそこまでして、我々は武力行使にわたることは避けなければならないということをこの法律が定めております。それが第一であります。 第二は、その我々の平和維持行動の際に攻撃を受ける、攻撃を受けたときに発砲をすることの可否でございますけれども、私どもとしてはいわゆる正当防衛、自分の身が危ないという場合にのみ武器を使用することができる、それ以外の場合には武器を使用してはならないということを明確にこの法律の中に書いてございます。それは行動に従事する人からいえば実はあるいは非常に不安であるかもしれません。しかしながら、もし過って正当防衛を超えて相手方に対して武器を使用するということが武力行使になってはいけない、そういう配慮からこの法律はそれを禁じておる。 この二つのことをつけ加えまして、どのような観点からもこれは憲法に違反するものではないというふうに私は自信を持って考えております。
○猪熊重二君 ちょっと長く御答弁いただいて、質問しておいたんだからやむを得ませんけれども。 第二点は、要するに現在在籍している自衛隊員に今回のPKO協力法が成立したからといって海外への服務、一口に言えば出向を命ずることができるんだろうかどうだろうかという点に関してなんです。新聞報道等に見られるように、今隊員は非常に不安に思っています。隊員の言いたいことは、入隊時には海外には出ないという約束だったんだ、それで私は自衛隊に入ったんだ、こう言っているわけです。 総理にお伺いしたいのは、何もそんな難しい法理的なことじゃなくて結構ですけれども、この改正前の自衛隊法に基づいて自衛隊に入隊した現在籍のある自衛隊員に海外服務義務があるのかという点なんです。要するに、現在の自衛隊員は海外への出向命令を何ら不利益を受けることなしに拒否できるのか否か、この点を簡単に答えてください。
○政府委員(坪井龍文君) お答えいたします。 自衛隊法あるいは防衛庁設置法に自衛官につきましては「命を受け、自衛隊の隊務を行う。」というふうに現在の法律でそういうふうになっております。したがいまして、自衛隊員というものはその法令に従いまして整々と任務を行うということでございまして、今先生の御指摘に海外云々ということがございますが、現在もあるいは南極に行ったり教育訓練で外国に行く等々がございまして、地域を限ってその隊員が服務を拒否するだとか、あるいはそれだったら行くとかというそういう自由はないと思います。隊員自身は、命令とあればどこにでも行くというふうに法律上なっております。 それから、さらにつけ加えさせていただきますと、自衛隊法上、特に自衛隊の隊務で非常に都合が悪いときを除きましては、隊員はやめる自由もございます。
○猪熊重二君 今の話はおかしい。なぜかと言えば、要するに政府の今までの見解は、専守防衛ということを限度にして領土、領海、領空に限っての自衛隊の存在であり、そういう職務としての自衛隊の隊員の募集だったんだ。だから、新聞にいろいろ出ているように、私が入隊するときには国内にいるだけで国外にはいなかった、こういうことになっているんだ。そういうふうにして募集しておいて、それで今度は外へ行けといったって、それじゃ約束が違うじゃないか。 人事局長は言うけれども、私が聞いているのは、南極へ行ってください、ああいいよと言って行く人はいいですよ、私は行きたくないという人に行けということができるのかどうなのか。しかも、南極観測隊の護衛だとかあるいは国賓の護衛だとか、そういうものが法令上、自衛隊法に規定された後から就職した、就職と言うとおかしいけれども、採用された人間は別だけれども、今度海外に行くというのは今回できて、まだ法が施行されていないじゃないか。行かないということは、政府の今までの見解で全部国内に限るということを言っていたのに、今度は行けということを後から言われたんじゃ、現在いる自衛隊員は困る。自分が承諾して行くのはいいですよ、それは問題じゃないんです。命令されて、おれは行きたくないという人が何で行かなきゃならない。それは、南極観測だとかそんな問題とは全然質が違う。もう一回答弁を求める。
○政府委員(坪井龍文君) お答えいたします。 今度の法律が成立いたしましたので、改めてそれは自衛隊の業務となるわけでございまして、隊員はその業務につきまして、整々と命令に従って従事するということになるわけでございます。もちろん今後は、隊員の募集等につきまして、いろいろそういう説明ということは新たにすることになると思いますけれども、これまでの我々の法律の立て方の中ではそういうことになっております。 それから、外国に行けない事情とか、行きたくないとか、隊員の個人的ないろんなことがあり得 ると思いますが、そういう人事上の個人的な事情のしんしゃくということは、これは当然我々は配慮して隊員を選定するということになろうと思います。
○猪熊重二君 そんな個別的なことを聞いているんじゃないんですよ、私は。要するに、それは募集したときの労働関係、労働契約と違うじゃないか。そんなことを強制することはできませんよと、大分前の決算委員会でも私は防衛庁長官に聞いているんです。要するに、国がペテンにかけるようなことを言ったらいけないということなんです。 今回初めて海外という問題が出てきたのであって、それまでは国の中だということはもう政府も、あるいは国内の全般的な合意だったんだ。今度新しい業務ができるから海外に行くというのは、それは結構な話なんです。しかし、いやだと言う人に行けという命令はどこから出てくるんですか。特別権力関係のような理論を持ってくれば別だけれども、そうでない限りは、そんな、あなた、一生懸命仕事をする規定があるなんという規定で連れていかれたんじゃたまらないんです。そんなことじゃない。しかも、自衛隊を含めて国家公務員に対する特別権力関係というふうな観念は、もう現時点において否定されているじゃない。 もうこれは時間がありませんので、自分の意見だけ申し上げる。総理、この辺はよく考えてもらわぬと、今いる自衛隊員は心配で心配てしょうがないんです。いやな人はやめろとか、どうしても都合が悪い人は面倒見てやるとか、そんな恩恵的な問題じゃないはずなんです。義務がないはずなんです。 以上、終わり。
○諫山博君 総理大臣の宮澤喜一。あるいは自民党総裁の宮澤喜一、こういう立場と離れて、政治家としての宮澤さん、衆議院議員としての宮澤さんの政治信条をお聞きします。 あなたは原爆死没者の遺族に弔慰金と遺族年金を支給することに賛成ですか、反対ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる原爆被爆者援護法というものがそのようなことを内容としておると思いますけれども、私はこの法律の制定について賛成をいたしておりません。
○諫山博君 次に、被爆者の健康管理と治療、療養をすべて国の責任で行うことに賛成ですか、反対ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまいわゆる原爆二法によりまして保健、医療、福祉等の処置を講じております。これをもって、これを充実することが大事であるというふうに思っています。
○諫山博君 反対の答弁だと受け取ります。 次、被爆者全員に被爆者年金を支給する、障害を持つ者には加算することに賛成ですか、反対ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もう少し具体的におっしゃっていただけませんと、抽象的にそういうことにはお答えできません。私の答えは、今の原爆二法によって行われている施策を充実することが大事だということです。
○諫山博君 あなたは、私の提起した問題について、肯定的な答弁はされませんでした。 これは、あなた自身が署名している請願書の内容の紹介です。あなたは、今指摘したような内容が盛り込まれている要請書に署名されたのではありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる被爆者等援護法案に私は賛成の署名をしたことはありません。
○諫山博君 私の手元には、平成二年二月四日付の宮澤喜一のサインと判こを押した賛同署名書があります。これは被爆者団体から私はお借りしましたけれども、こういうものにあなた自身あるいはあなたの秘書が署名したことはありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私自身署名したことはありません。
○諫山博君 私は秘書についても聞きました。秘書が署名したことはありますか、ありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の意思を体してしたことはないはずです。
○諫山博君 あなたの意思を外しようと外しまいと、あなたの秘書が署名したことはありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは調べてみます。しかし、私の意思を外しないものは私の意思を外しないものであります。
○諫山博君 あなたはリクルート事件でも同じような言い逃れをしました。あれは秘書がやったことだ、おれは知らない、こういう説明をされましたけれども、政治的な秘書は議員の代理人ではありませんか。秘書がやればそれは議員がやったことだと理解するのが我々の世界の常識です。 あなたは、こういう署名があることを今まで知りませんでしたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 済みません。調べてみますけれども、それは私の意思を外したものでないことは明らかであって、調べてみましょう。
○諫山博君 総理大臣にもあるまじき無責任な答弁ですよ。秘書がやったことだから、おれは責任がないと。いうようなことを……
○国務大臣(宮澤喜一君) やったと言ってないまだ。
○諫山博君 じゃ、調べられますか。これを私がお見せします。これを見てだれの筆跡かわかるはずです。——いいですか。
○委員長(久保田真苗君) どうぞ。
○諫山博君 見てください。(資料を示す)
○国務大臣(宮澤喜一君) はい。
○諫山博君 わかりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりません。
○諫山博君 この署名がされたのは一九九〇年の二月四日です。二月四日というのは前回の衆議院選挙が公示された翌日です。つまり、これから衆議院選挙が始まろうというときにあなたは、あるいはあなたの秘書はこの署名を被爆者団体にお渡ししております。そうすると……
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと待って。そんなことしていないと言っている。
○諫山博君 あのね、あなたは否定されますか。じゃ、していないということを否定されますか。それは全くごまかしです。だれが署名したかという、この文書はもう広範に出回っていますよ。例えば海部さんも署名をしました。現閣僚では塩川自治大臣、鳩山文部大臣、野田経済企画庁長官、東家国土庁長官が署名をしておられます。そして、全体の数を言いますと、衆議院では五百十二名中三百三十八名が署名しています。自民党の議員の四二%が署名をしております。だれが署名しているかというのはちゃんと一覧表が名前入りで出回っております。 つまり、あなたのこの前の衆議院選挙のときには、あなたの選挙区の有権者、とりわけ被爆者あるいは被爆者の親戚とか友人は宮澤さんも被爆者援護法に賛成をしていると、こういうことで衆議院選挙が行われたわけです。念のために言いますと、あなたの選挙区のすべての候補者は署名をしておられます。恐らくあなただけがこれに署名をしなかったとすれば、衆議院選挙に何らかの影響が出たことは避けられないと思います。こういう事実があるのに、あなたは調べてもいないんですか。これから調べられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃっていらっしゃいますことが余り一貫しないと思いますが、秘書という者がやったかどうか、これから調べます。私はそういうことはしておりません。私の選挙にそれが影響があったとかほかのだれがどうとかしたとかいうことは、何にもこれに関係がない。
○諫山博君 公示の翌日に署名されて、有権者に当然これは知らされるわけですよ。少なくとも被爆者団体の人には周知させられるわけです。これが衆議院選挙に影響を及ぼさないことはあり得ないでしょう。 そこで、次の問題です。参議院で被爆者援護法の制定が二度にわたって可決されました。ところが奇妙なことに、衆議院に回るとこれが審議されないままです。今度の国会でも審議されないままで継続審議になるだろうということが報道されて おります。ところが、署名者の数を調べると、圧倒的な多数が署名しているわけですよ。署名した人が責任を負うなら当然この法律はもう制定しておかなければおかしいわけです。署名した人の中で共産党、社会党、公明党、民社党の人は署名どおりの活動を議会の中で行いました。ところが、署名をしておきながらその態度を全然議会活動にあらわさないのが自民党の議員です。衆議院では、自民党二百七十八名の中の百十七名が署名をしております。参議院では、自民党百十四名の中の三十六名が署名しています。いろいろ自民党席からやじが出ているようですけれども、恐らくやじを飛ばしている議員も署名している人がいるはずです。署名をしている以上は、やはり責任を持ちなさいよ。 あなたは自分自身でわからないように答弁しておりますけれども、総裁としてこの立場を貫こうとは思いませんか。つまり、被爆者援護法を速やかに審議して採決をしてもらいたいということです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院が可決をせられない、あるいは審議未了になるということはなぜかということは、これは院の問題でございますので、私からお答えするのは適当でないと思います。
○諫山博君 あなたがそういう得意の逃げ口上をすることは私も予想しておりました。院のことだと言われます。あなたはPKO法案でそういう態度をとりましたか。PKO法案の成立て、あれは院のことだからおれは関係ないという態度をとりましたか。そうではないでしょう。どうしても成立させたい問題については、あなたは自民党総裁としてやはりいろんな努力をする。ところが、被爆者援護法になると圧倒的な多数の議員が賛同署名しているのに、あれは院のことでございますというような答弁をするのは、PKOに対する態度と一貫しないじゃないですか。 なぜ、PKOであなたがとったように積極的にこれを成立させようと努力しませんか。そのことを強く要求して答弁を求めます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 申すまでもございませんが、PKO法案は私と私の政府が御提案をいたしたものでございます。この成立について私は責任がございます。今のおっしゃっていらっしゃる法律は政府に関係のないことでございます。
○諫山博君 確かに、これは政府提案ではありません。野党の議員が提案しました。しかし、自民党の圧倒的多数の人が賛同署名をした。しかも、あなたの閣僚でも、あなたを含めて五名の人が賛同署名しているんです。さらに、歴史的に君かのぼると海部さんもそうだった。これは有権者から見れば、海部さんも宮澤さんも被爆者援護法の制定に賛成をしている政治家だ、こう受け取るのは当然ではありませんか。 あなたが賛同署名したということはたくさんの人が知っているし、恐らく広島県の被爆者あるいは被爆者関係者で知らない人はいないと思いますよ。あなたはその問題について責任をとろうとはしませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、私が署名したことはございません。秘書というものがいたしましたかどうかは調査をいたします。
○諫山博君 調査をされるそうですから、調査の結果を委員長に報告していただけますか。だれも署名した者はいなかったということになるのか、秘書の何某が署名したということになるのか、委員長に報告していただけますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) だれかがしたということがわかりましたら御報告いたします。
○諫山博君 いつごろどこに御報告していただけますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) だれもしなかったという御報告はこれ無限でございますので、その時間のお約束はできません。
○諫山博君 だれもしなかったならだれもしなかったという報告をしてください。必要とあればコピーをお渡しします。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最善の努力をいたしてみます。
○諫山博君 最善の努力をいたしますと言うけれども、あなたは調べると言われるから、調べた結果、だれも署名していなかった場合でも報告をしてもらいたいということです。それはできるでしょう。政治家として、現に有権者に宮澤さんは被爆者援護法に賛成をしている政治家だというふうに理解されておりますから。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最善の努力をして調べてみます。
○諫山博君 私は、この問題を通じて、自民党の議員は無責任だと思います。たくさんの自民党の議員が賛同署名しているんですよ。だれが賛同署名したかということは一覧表が出回っております。この人たちが賛成すれば、もうとうの昔に被爆者援護法は制定されなければおかしいわけです。ところが、有権者に対しては援護法に賛成というような態度をとりながら、実際の国会の行動では全く反対の対応をとっている。これがどうも総理大臣経験者の中に何人もおられるというのは、私は日本の政治の中の腐敗現象だと思います。 こういう点は自民党総裁である宮澤さんが先頭を切って改めていただく、署名をした以上はその署名に責任を負う、こういう処理をしていただきたいと思いますけれども、答弁してください。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのためには、そのお名前を挙げられた方々が御自分で署名されたかどうかがはっきりしておりませんから、そういうはっきりしていない根拠に立って何もするわけにはまいりません。
○諫山博君 自民党席から盛んに応援の声が出ますけれども、しかしとにかく署名している一覧表が出回っているんですよ。これを見る限り、自民党の国会議員もやはり被爆者に理解があるんだなとみんな誤解するじゃありませんか。だから私は、そういう無責任な態度はとらない、署名した以上はその署名に責任を負うというような自民党にしていただきたいということを要望して、終わります。
○井上哲夫君 連合参議院の井上でございます。また出てまいりましたけれども、私は決算委員会の委員でございますので、きょうは内閣総理大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 PKOの法案については、私どもは自衛隊の存在そのものは認めるけれども、法案については残念ながら賛成できないという態度をとりましたが、どうあれ成立をした法律でありますので、法律は成立したと、そのことを前提にお尋ねをいたしたいと思います。 今回のPKO法案で今総理からるる御説明ありましたように、五原則があって、憲法上の問題はそれでクリアできると。私はきょうは憲法論争じゃなくて、その五原則の中で停戦の合意あるいは相手国の同意、さらに中立性の保障と申しますか、担保といいますか、その辺について現実問題のカンボジアの情勢がきのうきょうの新聞紙上でいろいろ具体的に報道されておりますので、新聞が本当かどうかという問題はもちろんあるわけでございますが、その新聞紙上で出てくる前提でお尋ねをいたしたいということでございます。 まず第一は、昨日ロ本経済新聞には、「プノンペン政権が反攻」というような表題で、「カンボジア中部のコンポントム州でプノンペン政権軍がポル・ポト派部隊への反撃作戦を開始、大規模な戦闘が続いている。」というような記事が出ました。中身を見ますと、「激戦が続いているのはコンポントム州とその北のフレアビビア州の州境付近。」、境の付近というようなことで、ポル・ポト派が国道十二号線の切断をねらって攻勢をかけ、緊張が高まっているというような記載があります。 そうすると、停戦合意があることを前提に、今回の法案で日本も派遣をするという場合には、その停戦合意の確認は実際に国連と実施要領をして実施計画について閣議決定を経て、出ていく際にどの段階のどういう形の停戦合意を踏まえていく か。これは昨年十月のパリ停戦協定があるからそれでいいんだという考えもあるだろうし、あるいはもう派遣の直前の停戦合意を確認していくんだとか、あるいは停戦合意についても文書の合意を確認していくのか、現実問題の停戦合意状態といいますか、そういうものを見定めていくのか、細かく言えばいろいろ問題が出てくる。その辺について御見解を一つは承りたい。 それからもう一つは、相手国の同意についても、カンボジアの場合には四派の停戦合意云々というふうにいつも四派という形で始まります。プノンペン政府もその四派の中にあるわけでございますが、そうすると相手国の同意については、実際に具体的な同意はどういう形になるんだろうか。これも東京新聞、私の地元の三重県では中日新聞と申しますが、この中日新聞のけさの新聞では、UNTACの明石特別代表が、ポル・ポト派が今武装解除にいやいやしているというか、同意をしていないような気配があって云々、しかし国連の事務総長が派遣の要請をして日本がその事務総長の要請を受諾すれば、ポル・ポト派の同意は要らないんだと、こういうふうに語ったというこれまた新聞記事でございます。 したがって、相手国の同意というものをどのように考えて対処すべきか、そしてそのこといかん、つまり停戦合意の受けとめ方、それから相手国の同意の認識の仕方によっては、第三の原則の中立性の担保といいますか、保障という問題がやはり影響を受けざるを得ない。そういうふうなことを考えまして、今のような新聞報道がきのうきょうとなされている中でどのようにお考えか、御見解を承りたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 先生、私の方から答弁させていただきたいと思いますけれども、幾つかの問題を先生御提起になられまして、現在先生御指摘のコンポントム州を中心に幾つかの州で衝突が起こっておることは、それを大規模と評価するかどうかは別といたしまして事実であろうと思います。コンポントムにつきましては、先生も御記憶のとおり、例えば二月の末にヘリコプターが射撃されたりして、二月、三月は不安定な状況があったわけですが、四月の一日、二日ぐらいまで国連は様子を見てやっとコンポントムに入った。その後、私この席でも引用させていただきましたけれども、五月の一日の事務総長報告では、コンポントムはやっと平穏になったという記述があったわけですが、その後また状況が不安定なものになってきておる。それがコンポントムのみならず、先生の指摘されたフレアビビア州でございますね、そういうところにも広がっているということでございます。 そういうことで、私たちも注目しておりますが、日本のUNTACへの参加ということとの関連で御説明申し上げますと、まず国連というものから具体的な要請があって、それを受けて、そのとき日本として現地の情勢というものを協力法に照らしどう判断するかという問題と関係してくるんだろうと思うんです。確かにクメール・ルージュの側から非協力な態度というものが出てきておることは事実だと思うんですが、クメール・ルージュは停戦のいわゆる第二段階入りに次の二つのことを条件として出してきておるわけです。一つは、すべての外国軍隊のカンボジアからの撤退というものが検証されるべきであるということ。それから二つ目は、SNCが実質的な権限を行使するように強化されるべきだという条件をつけているわけです。この条件のつけ方から見て、パリ協定の枠組みそのものを否定し、挑戦しているというふうには現在の段階では見られないのではないかと私たちは考えております。 いずれにいたしましてもこの問題は、日本が具体的な国連からの要請を受けてUNTACに参加するかしないかを考えるときに、現地に調査団を派遣したり、いろんな情報収集その他をして考えていくべき問題ではないかというふうに考えるわけです。 先生が引用になられた明石特別代表のきょうの御指摘のインタビューの中で、UNTACは全体としては活動しているけれども、今のような状況が起こっているところでは、例えばオランダ部隊はそこに行かないで様子を見ているということを言っているわけでして、まさにそういう意味では、全体としてはまだ枠組みは存在しているけれども、その場所には気をつけて行かないようにしているという、そういうことを言っておられるわけです。 それから、二つ目の御指摘の同意の問題でございますけれども、これはもう申し上げるまでもないことですけれども、六条の実施計画の策定のところで「内閣総理大臣は、我が国として国際平和協力業務を実施することが適当であると認める場合であって、次に掲げる同意があるときはことしておりまして、その同意を先生論じておられるわけですが、国際連合平和維持活動のために実施する国際平和協力業務については、二つ挙がっておるわけです。「紛争当事者及び当該活動が行われる地域の属する国」、その二つからの同意ということが論じられておるわけです。それとの絡みでUNTACの場合にはどういう同意の問題になるのかという御質問がと思います。 まず、国という観点からとらえますと、先生も御承知のとおり、パリ協定によりますと、民主カンボジアが選挙の後設立されるまでの暫定期間の間はカンボジアの最高国民評議会(SNC)がカンボジア国家の唯一の合法機関であり、国家の主権及び統一を具現しておるということでございますので、この協力法六条の一項一号で言うところのその「国」というのは、この場合SNCの同意であろうというふうに考えております。 それから、先ほどのもう一つの紛争当事者の同意というのは何かという御質問ですが、現在SNCの枠組みそのものはまだ存在しておりまして、その中に四派というものが代表を送っておるわけでございますので、やはりこの場合は、一義的にはこのSNCの同意というものが紛争当事者の同意に一致するのではないかというのが私たちの考え方でございます。 ちなみに、それでは同意をどのように取りつけるのかという点につきましては、過去の国連加盟国が参加していく場合の例にかんがみますと、参加各国が現地に出かけていって、その国なり紛争当事者から同意を取りつけるということではございませんで、この場合は、国連事務総長がまさにそういう同意というものをSNCから取りつけるというのが、その同意の取りつけ方ではないかというふうに理解しておる次第でございます。
○井上哲夫君 私は総理にお聞きをしたかったんですが、時間がもう来てしまいました。 もう言うことはありませんが、ポル・ポト派が昔政権をとっていたときには日本政府はこれを支援していた。あるいは五月に私どももほんの駆け足で行ったときには、クメール・ルージュのタ・モック派が依然として戦闘に近い行動を起こして、地雷もいまだに敷設をしているというようなことをカンボジアのプノンペン政府の方からも聞いております。 今私が尋ねたことについては、慎重の上にも慎重な措置をとっていただきたいということを申し上げて、大蔵大臣への御質問、時間が来ましたので失礼をいたします。終わります。
○委員長(久保田真苗君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、守住有信君が委員を辞任され、その補欠として合馬敬君が選任されました。
○委員長(久保田真苗君) 他に御発言もなければ、昭和六十二年度決算外二件及び平成元年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認めます。 宮澤内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
○委員長(久保田真苗君) この際、御報告いたします。 内閣に対する警告案の取り扱いにつきましては、理事会において協議を行いましたが、意見の一致を見るに至りませんでした。 したがいまして、本件決算につきましては、是認するか否かの議決のみを行うことに決定いたしましたので、御了承願いたいと存じます。
○委員長(久保田真苗君) これより昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件について討論に入ります。 それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○村田誠醇君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件に対し、いずれも是認することに反対の態度を表明いたします。 この議案の対象となった昭和六十三年度及び平成元年度は、リクルート疑惑と消費税問題で国会は混乱し、第十五回参議院通常選挙では与野党の議席が逆転するなど、政局が大きく揺れた時期でもありました。こうした政情のもとでありながら、いわゆるバブル景気による花見酒に酔いしれた政府の財政運営には幾多り問題がありました。以下、具体的に指摘をし、是認することに反対の理由を申し述べます。 第一は、不正不当な国費の使用に関する点であります。 会計検査院の決算検査報告を見ると、相変わらず国費のむだ遣い、ずさんな経理とされた箇所が今回も繰り返し指摘されております。政府の執行監督責任が問われている点であります。会計検査院に不当事項と指摘された金額は、昭和六十三年度で四十八億四千百二十七万円、平成元年度で百二億六千八百四十八万円に上っております。しかしながら、これらは実施検査率八・五%、九・二%の結果であり、この検査率から推測するならば全体ではどのくらいの金額に上るものなのか、まさに氷山の一角と言わねばなりません。政府は、国民の税金の使途について指導監督を徹底すべきであり、またこのような事態の再発防止に向けて必要な措置をとるべきであります。 第二は、大型の補正予算を組んだ点であります。 昭和六十三年度に引き続き、平成元年度も経済は拡大基調にあり、民間設備投資は過剰ぎみで、労働力不足も顕著でありました。こうした中で二年連続して大型補正予算が組まれましたが、この時点ではむしろインフレ対策として引き締め基調をとるべきであったにもかかわらず、これを怠り、それぞれ当初予算に対して大幅に税収超過が発生するというバブル景気に政府みずからが浮かれ、景気後退が将来発生して税収不足が起こったときの手当て、例えば決算調整資金会計に資金をプールするとか、そういった手当てを忘れてはいなかったかという点であります。 第三の理由として、経済のバブル状態を放置したことであります。 政府は、従来から円高不況対策の名のもとに、内需拡大と金融緩和を続けてきました。その結果、地価が全国的に高騰し、資金は株にも流れるいわゆるバブル経済が現出しました。企業等の財テクに走る兆候は、その時点でもはかり得たはずであります。的確な状況把握とともに、適切な政策提起があってしかるべきでありましたが、それをなし得なかったのは、政府の責任と言わざるを得ません。 また、公定歩合の操作にも問題がありました。あの時期に長期間にわたり史上最低の金利水準を維持し続ける必要があったのであろうか。当時の経済分析に適正を欠き、金融引き締め策への転換が遅きに失したのではなかったでしょうか。日銀の対応もまたバブル経済の助長要因となったのであります。 さらに第四の点として、国民生活の水準を後退させたことであります。 両年度とも、財政再建、赤字国債脱却の目標のもとに、当初予算のシーリングは厳しく、社会保障費を初め国民生活、文教、科学技術関係費、中小企業対策費は軒並み抑制を受けたのであります。この反面で防衛費は異常な突出が続いており、冷戦終結に向かっている国際情勢をどう分析しているのかと疑いたくなります。こうした生活後退、軍事優先の予算執行は、国民の期待を大きく裏切るばかりか、世界の動向に逆行するものと言わざるを得ません。 第五は、平成元年度補正予算で六基金の設置が急遽計上されたことであります。 税収の好調に浮かれてはらまき行政を行いましたが、これが本来の新規施策であるならば、なぜ当初予算に盛り込んだ上十分な国会の審査を受けなかったのか問題であります。 以上が両年度決算の是認に反対する理由でありますが、最後に警告について一言付言したいと存じます。 本来、決算審査の使命は、政府の財政運営、予算執行上の問題点を集約し、以後の予算編成、政府施策に反映させることにあります。我が党は、審査の過程で、公務員の綱紀粛正、木曽岬干拓問題の早期解決、ODA検査体制の充実強化等を警告に盛り込むべく準備を重ねてまいりました。しかし、今回もまた警告を議決することができず、まことに残念であります。決算を是認しない場合は警告もすべきでないとする与党の態度は全く不可解であり、納得できないことを強調し、是認反対の討論といたします。
○大浜方栄君 私は、自由民主党を代表して、昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件に対し、これを是認することに賛成の意思を表明して、以下討論を行います。 是認に賛成する第一の理由は、昭和六十三年度から平成元年度にかけての我が国の経済、財政運営が適切であったことにあります。 すなわち、プラザ合意後の円高不況から脱却して、安定成長期としては抜群の景気上昇を継続させ、戦後最長を記録したいざなぎ景気に匹敵する経済成長を実現させる基礎を築きました。 また、我が国経済を内需中心に、その構造転換を進めることによって、国際収支のインバランスの改善に努めたことであります。この間、物価は総じて安定的に推移しております。 国際的には、この時期、東欧経済が次々に破綻し、社会主義経済の失敗が明白になる中で、我が国が黒字減らしと資金還流に努め、自由主義経済の安定に寄与したことは、これまた評価されるべきでありましょう。 賛成する第二の理由は、長年の悲願であった財政再建に大きな区切りをつけたことであります。 すなわち、平成二年度までに特例公債依存体質から脱却し、公債依存度の引き下げに努めるという財政運営の目標を、両年度決算において当初予算以上に実現し、昭和五十年度補正予算以来、十五年間続いた特例公債の発行を平成元年度で最後といたしました。 これには、経済活動の拡大に伴う両年度の、予想以上の自然増収が寄与したことはもちろんでありますが、ここに至るまでには、困難かつ地道な行財政改革に向けられた当局のたゆまぬ努力があり、大いに賞賛されてしかるべきであります。 しかも、両年度における厳しい財政事情の中にあっても、内需拡大の要請にこたえるため、NTT株の売却収入を活用して、一般公共事業等に連続して一兆三千億円配分し、事業の拡充を行っております。 また、国際社会における我が国の責任を果たすために、ODAを大幅に増額するなど、資源の有効な配分とその実施に努力しているところであります。 賛成する第三の理由は、昭和六十三年に抜本的な税制改革を行い、既存税制のゆがみを是正したことであります。 すなわち、重税感の著しかったサラリーマン層を中心に大幅減税を実施し、一方、二十一世紀を展望し、高齢化の進展等に備えて安定的な税体系の確立を目指し、平成元年四月から消費税を導入 したのであります。 消費税をめぐっては国民各層にさまざまな意見や指摘があり、政府もこれに真剣に耳を傾けてきました。また、各党間で協議が続けられた結果、その見直しか実現したことは御承知のとおりであります。減税には賛成するが、消費税には何が何でも反対するという姿勢は、国政に責任を持つ政党の態度とは言えません。 以上、賛成の理由を三点に絞って述べましたが、昭和六十三年度及び平成元年度を振り返ってみますと、内外のさまざまな状況を注意深く見つめながら、基本的には適切な経済、財政運営がなされたと確信いたします。 しかし、円高のもとで内需を拡大する必要性から、長期の金融緩和政策がとられたため、いわゆるバブル経済を招来し、大都市圏、地方中核都市の地価が異常に高騰したことはまことに遺憾であります。 これを重要な反省材料として、再び社会的不公平感が生じないようにすることが肝要であります。そして、勤労者がマイホームを持てるような、希望ある社会の実現に努めていただきたいと思います。 最後になりましたが、昭和六十三年度決算検査報告において、不当事項百六十六件、金額にして四十八億四千百二十七万円、平成元年度はさらに増加して、不当事項百九十二件、金額は百二億六千八百四十八万円の指摘が行われていることは、まことに遺憾であります。政府は、不当事項の指摘を繰り返し受けないよう、一層の努力をすべきであります。 また、当委員会におきまして、我が党からも、高齢者保健福祉推進十カ年戦略を踏まえた保健、医療、福祉分野における人材確保の問題、火山災害対策、麻薬対策など数々の指摘、提言をいたしております。 政府は、これらを含め、今後一層、財政の効率化と行政の適正化に努め、国民の付託にこたえるよう要請して、私の賛成討論を終わります。
○猪熊重二君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件について、いずれも是認することに反対の討論を行います。 以下、反対の理由を申し上げます。 反対理由の第一点は、議決形式が不当であることであります。 決算の審査は、既に国会の議決によって確定されている歳入歳出予算がいかに適法妥当に執行されたかという観点からなされるべきものであって、審査の中で明らかになった問題点につき政府に対し、次の予算編成あるいは予算執行において確実に是正改善の措置をとるべきことを要求するところに意義を有するものでありますしかるに、これから採決されようとしている決算審査議決の形式は、決算を是認するか否かについての二者択一的判断だけなのであります。このように、いわゆる警告決議を行わずに、単に決算の是否のみを決しようとすることは、決算審査の責任をみずから放棄し、国会の決算審議の意義を否定するものであり、断じて賛成することはできません。決算審査の締めくくり方すなわち議決の形式として、内閣に対する警告を行うことを必須の要件とするように、議決の方式を改めることを強く要望いたします。 反対理由の第二点は、国費のむだ遣いが後を絶たないことであります。 実地検査率が一割に満たない会計検査によってすら、昭和六十三年度においては十二省庁十五団体にわたり総計二百二件百五十一億円余、平成元年度においても十三省庁十四団体にわたり総計二百二十件百四十三億円余もの指摘が行われており、国費のむだ遣いが普遍的に行われていることは疑いありません。中でも、国営木曽岬干拓事業については、会計検査院により、昭和五十五年度に問題提起され、再び平成元年度に指摘を受けたにもかかわらず、現在もなお何ら進展の気配さえないという極めて遺憾な事態となっており、政府の責任ある対処が求められています。政府は、木曽岬の問題を自治体の境界争いの問題として、まず、自治体間の協議をまつべき性格のものだとしておりますが、事の本質は、そのようなところにはありません。三十年前には生鮮野菜の供給基地として新たに農地を造成することが必要であったとしても、その後の時代の変化によって、もはや干拓地を農地として配分しても、そこで農業経営が成り立つような情勢にはありません。愛知県、三重県という小さな地域における受益者の利害を超えて、中部圏全体の発展のために、この土地をどのように有効活用していくべきかという観点に立って、他の用途への転用をまず決断すべきであると考えます。いずれにせよ、かかる事態を座視することは、予算執行の妥当性を欠くものであり、行政の責任として許されざるものと言わざるを得ません。 反対理由の第三点は、我が党を初め、各会派の質疑を通じて明らかになったように、行財政運営について是正すべき事項が数多く存在することであります。 例えば、食糧管理費用のうち集荷手数料等の算定根拠、米買い上げの予約概算金支払いの妥当性など、社会経済情勢の変化に伴って支出の相当性に疑問のある経費について積極的な見直しか行われておりません。また、刑務所における作業員与金についても、実際の作業成果、一般社会の賃金及び社会復帰のための更生資金としての機能の観点から総合的に評価するとき、著しく低額なものと言わざるを得ず、社会復帰を阻む要因にもなりかねないのであります。 政府の行財政運営に対する真摯な検討、取り組みが必要とされるところであります。 最後に、反対理由の第四点として、証券業界のいわゆる損失補てん問題に関して、大蔵省の証券監督行政が的確に機能せず、結果として、証券業界の異常な低迷という重大事態を招来したことを特に指摘しなければなりません。 以上、両年度の予算執行並びに行財政運営に数々の問題点があったことを指摘して、私の反対討論を終わります。 以上です。
○諫山博君 私は日本共産党を代表して、昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件について、これを是認することに反対の意見を表明します。 平成元年度の決算は消費税を主要な歳入とした戦後最初のものであります。消費税は、本院の税制特別委員会で強行採決、本会議での我が党などの牛歩を含む抵抗を押し切って強引に導入されました。これに対して、列島騒然とも言える国民の強い反対の声が沸き上がり、同年六月に行われた参議院選挙で与党・自民党が過半数を割るという国民の歴史的な審判が下されました。にもかかわらず、消費税について廃止するどころか、若干の手直しをしただけであえて執行した平成元年度決算は到底承認することはできません。これが是認に反対する第一の理由であります。 反対理由の第二は、両年度を通じて大軍拡が進められたことであります。 軍事費はいずれの年度も突出し、GNPの一%枠突破も固定化されました。その中身はアメリカの核戦略支援のための戦力増強が特徴でありました。すなわち、イージス艦の新規計上、P3C航空戦力の大幅拡充など、枚挙にいとまはありません。在日米軍への思いやり予算も大幅に増額されたのであります。 反対理由の第三は、政府が両年度にわたっていわゆるバブル経済を主導したことであります。 大企業中心の大規模開発をNTT株売却代金を活用して強引に推し進めるというやり方に典型的に見られる手法は、今ではその破産が余すところなく明白になっています。証券会社による損失補てん問題もこうした政策から必然的に生み出されたものであります。この重大な失政の後遺症で、今国民は狂乱地価以来の高地価とバブル崩壊の不況に苦しめられているのであります。 反対理由の第四は、国民生活の圧迫が進められたことであります。 生活保護費は連続して削減されました。私学助成は経常費の一五%となり、十五年前の水準に逆戻りさせられました。この間、国民年金に学生を強制加入させるという制度改悪も強行されました。中小企業対策費は七年間連続引き下げ、食糧管理費は九年間連続引き下げられました。 本決算執行中の一九八八年十一月十六日、公安調査庁による我が党本部の盗み撮りが摘発されました。これは、結社の自由、政治活動の自由などを乱暴に踏みにじる権力犯罪であって、民主国家として絶対に許されないことであります。これが反対の第五の理由です。 この二年間の予算は、竹下内閣のもとでつくられ、竹下、宇野、海部の三つの内閣で執行されました。その間、リクタルート事件が発覚し、自民党だけではなく野党にも金権体質が深く浸潤していることが明らかになりました。私たちは、企業献金の禁止を中心にした金権腐敗政治の一掃を最大の課題として、国民から負託されたものであります。しかし、政府・自民党はこの課題を放棄しただけでなく、共和事件のようにこの決算の執行中に、その内閣の閣僚が新たな汚職に手を染めたという、救いがたい腐敗ぶりが明らかになったのであります。 三年前に国民の厳しい審判を受けておきながら、腐敗政治をそのままにしていた政府・自民党に国民は今度もまた厳しい審判を下すであろうことを警告して、私の反対討論を終わります。
○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表して、昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件について、いずれも是認に反対であることを表明し、以下、その理由を簡潔に申し述べます。 第一は、不当事項及び改善を要する事項が多数存在することであります。 会計検査院の検査の結果では、昭和六十三年度において総計二百二件百五十一億円余、平成元年度においては総計二百二十件百四十三億円余もの指摘がなされております。しかも、会計検査院の実施検査率は一割に満たないものであり、これらはほんの一部の事例にすぎません。このような国費のむだ遣いは毎年繰り返されており、政府の責任は重大であると言えます。かかる事態を再び起こすことのないよう、政府は監督を徹底すべきであります。 第二は、政府開発援助についてであります。 我が国の政府開発援助は年々増額され、年間一兆円を超えるものとなっております。特に、平成元年度においては、その総額がアメリカを追い越して世界一の援助大国となったところでありますしかるに、援助が有効に機能していない事例が会計検査院の決算検査報告に掲記されております。しかも、これらは政府開発援助のうちのごく一部の事例にすぎず、政府開発援助についてはその実態が非常に不透明であります。 政府は、援助資金を有効適切に使用するとともに、政府開発援助に対する会計検査のあり方についても一層の充実を図るべきであります。 第三は、バブル経済、証券不祥事と大蔵省の責任についてであります。 昭和六十三年度及び平成元年度は、いわゆるバブル経済がはびこり、拡大をした時期でありますが、そうした土壌の中で、証券・金融不祥事も、行くところまで行った感があります。 まず、バブル経済に関しましては、金融緩和政策のもとで内需拡大を優先し、土地、株への融資の行き過ぎを放置した大蔵省の責任は大であります。そして、証券・金融不祥事は、業界と大蔵省の癒着関係を露呈したばかりか、業界に対する大蔵省の監督能力の低さを証明したものであります。 こうして見ると、この時期における大蔵省の財政運営は、経済情勢の的確な分析のないまま効果的な政策提起も行われておらず、適正を欠いていたと言わざるを得ないのであります。 第四は、審議の過程で問題となった事項についてであります。 まず、木曽岬干拓事業は、着工して二十五年が経過、事業費百五十二億円を投じ干陸化を終了しておりますが、当該土地は十年以上にわたり更地のままの状態に置かれております。干拓地の帰属をめぐる三重県と愛知県の対立が原因とのことでありますが、国費の効率使用の要請に照らし、放置できない大きな問題であります。 次に、公務員による不正では、東京大学及び裁判所の旅費経理が浮かび上がりました。また、国税庁、地方検察庁、入国管理局等における収賄、郵便局の不正経理等も取り上げられました。政府は、これら公務員による国民の信頼を損なう行為に対しては、徹底した管理監督を果たすべきであります。 さらに、原子力船「むつ」は、研究事業として最終段階に入っていましたが、当初計画に比べ事業期間で二十二年のおくれ、事業費で八倍の支出増となっておりました。国費のむだ遣いの最たるものとして、審査されてきましたが、こうしたプロジェクトの実施に当たっては、諸条件について細心の配慮とともに、国費の効果的使用に努めるべきであります。 以上が、両年度決算について、是認できないことの理由でありますが、最後に、大幅におくれている決算審査の取り戻しか必要なこと、審査の集約である警告の取りまとめと議決が必要なこと等を申し述べながら、反対討論を終わります。
○委員長(久保田真苗君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず、昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和六十三年度政府関係機関決算書の採決を行います。 本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、昭和六十三年度決算につきましては、多数をもってこれを是認すべきものと議決いたしました。 次に、昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。 本件につきまして、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。 次に、昭和六十三年度国有財産無償貸付状況総計算書の採決を行います。 本件につきまして、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。 次に、平成元年度一般会計歳入歳出決算、平成元年度特別会計歳入歳出決算、平成元年度国税収納金整理資金受払計算書、平成元年度政府関係機関決算書の採決を行います。 本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、平成元年度決算につきましては、多数をもってこれを是認すべきものと議決いたしました。 次に、平成元年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。 本件につきまして、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。 次に、平成元年度国有財産無償貸付状況総計算 書の採決を行います。 本件につきまして、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(久保田真苗君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十四分散会 —————・—————