P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
123回国会参議院1992/05/25

決算委員会 第2号

発言数
243
登壇者
44
会派数
6
開催日
1992/05/25

会議録

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る五月二十二日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。  また、本日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として西岡瑠璃子君が選任されました。     ―――――――――――――

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ござうませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に村田誠醇君を指名いたします。     ―――――――――――――

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) 昭和六十三年度決算外二件及び平成元年度決算外二件を議題といたします。  本日は総括的質疑第一回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 まず最初に、労働省の方にちょっとお尋ねをしたいんですが、平成四年の四月一日より労働保険料の料率が改定されまして、それに伴いまして各地で説明会を開いておるんですが、その説明会の席上配付しております資料その他によりますと、ちょっと細かい話で申しわけないんですが、建設業の有期事業の一括の計算の仕方については、消費税を含めた請負金額に労務費率を掛け、そして保険料率を掛けて保険料を算定しろという指示が出ているわけでございます。  通常考えますと、税金を入れて計算しろという指示が出たのは初めてでございますが、これはどういう経過で出てきたのか、この辺について労働省の方から御説明をいただきたいと思います。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 先生御承知のとおり、労災保険料の計算につきましては、事業主がその事業に使用いたしますすべての労働者に支払われます賃金総額に労災保険料率を乗じて算出しているわけでございます。その場合に、建設事業におきましては下請事業の労働者の賃金を正確に把握することが困難な場合もございますので、請負金額に労務費率を乗じましてその答えを賃金総額として保険料率を算定する、こういうことにいたしておるわけでございます。  ところが、消費税が導入をされたことによりまして、建設事業における請負金額には三%の消費税が含まれることとなったわけでございます。したがいまして、従来の労務費率を用いました場合には、実質的に賃金総額が変更していない場合でありましても自動的に保険料が三%増加をするという結果になるわけでございます。このため、暫定的に請負金額にまず百三分の百を乗じまして消費税額が加わる前の請負金額に戻した後に、労務費率と労災保険料率を乗じまして保険料を算出するということをしてきたわけでございます。  しかしながら、昨年度におきまして消費税額を含みました請負金額と賃金総額の関係を調査いたしまして、今年度から新たに請負金額に消費税を加えた額に基づいた労務費率を設定したところでございます。このために、先ほど申しました百三分の百をまず請負金額に掛けるという暫定措置が不必要になりましたので、その旨の説明をいたしておるところでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 今の局長さんの御説明ね、よくわからないんです。各地でこの質問がみんな出ているんですよ。出先の担当者がいろいろ説明しているんですけれども、全部説明が違うんです。だから困り切っちゃって、国会で質問してくれということになったんです。  本来、消費税分というのは、外税でなってれば、これは外すのはわかりますよ。内税になっていても、百三分の百を掛けて税金分を外して、そして掛けていたんですよね、今まで。本年になってなぜ消費税分を入れて計算しろという指導をするんですか。そこのところがわからないんですよ。税金部分を入れて計算しろというのは、どう考えたってわからないんですよ。もう一度御説明いただけますか。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 今年度から新たな労務費率を設定したわけでございますけれども、この労務費率の設定につきましては昨年度調査いたしました結果に基づいているわけでございまして、この調査というのは消費税額を含みました請負金額と賃金総額の関係を調査しているわけでございますので、新たな労務費率と申しますのは、この請負金額に消費税額が入っているという前提のもとでの労務費率になっているわけでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それじゃ、局長さん、昨年度調べた結果としてこういう措置をとった方がいいという、そういう御説明なんですね。しかし、みんなに配っている資料にはこう書いてあるんですよ。「労務費率の改定に伴い、消費税に係る暫定措置」、暫定措置というのが今あなたが言った内税になっているものは外せという、こういう計算方式をしなさいという暫定措置が「平成四年三月三十一日で廃止されました。」と書いてあるんです。  ところが、大蔵省に聞いても、消費税にかかわるこういう暫定措置というのは聞いたことがないと言うんですよ。だから、これは労働省だけが勝手に決めた措置なんですか。この文言はどういうふうに理解したらよろしいんですか。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 労働省としましてはもとより消費税を取り扱っているわけではございませんから、消費税にかかわる暫定措置という表現は若干誤解を招いたかと思いますけれども、その意味は、消費税制度が設けられたことによりまして、請負金額の算定に当たりまして従来の方法、つまり労務費率をストレートに掛けたのでは自動的に賃金総額が三%多くなるという結果になりますので、それは正しくないということで、その消費税の額を除く計算をまずやってから労務費率を掛けて保険料率を計算をする、こういう措置をとっていたという意味でございます。  それはなぜ暫定措置であるかと申しますと、新しい労務費率を設定をいたしまして、三%の消費税額が労務費率を掛けた後に影響を残さないような労務費率を設定するということによってその問題が解消されますので、そのような新しい労務費率を用いまして今年度から計算をするというふうにした、こういう意味でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 よくわからないんですね。労務費率が確かに建設業によって一部下がっているのがありますよね。これを下げたから、何か消費税分を内税でかかっているものを入れて計算しろ、これはどう考えてもおかしいと思うんです。何回も言っているとおり、本来請負金額の中に消費税の内税として入っている分があれば百三分の百を掛けて税金分をまず除く、そして残ったものに一定の計算式に従って掛けていくというのが、これが従来労災保険の計算の仕方じゃなかったのかと思うんです。これが本来の仕方なんですよ。  あるいは百歩譲って、そういうふうに計算するのが面倒くさい中小企業があるとすれば、まあとりあえず中に入れちゃってもいいですよ、暫定的に入れて計算してもいいですよというなら、これは話はわかる。しかし、本年の四月一日から全部こうしなさいという、この説明がわからない。  それと同時に、この書類は五月十五日までの法定納期限があるので、みんな文句は言ったけれども、期日までに出しておかないとまずいというので、全部出しているわけですよね。あなたの説明を聞いていると、どう考えても、ここに書いてあることとやっていることは逆のやり方をしているんじゃないか。だから、みんなから質問を受けたら末端の担当者は答えられない。で、本省の方に問い合わせしますと言ったきり答えも返ってこない。だれがどう考えても、税金分を入れて計算しなさいなんというそういう指導、結果として労務費率が少しいじったから変わりませんとか、安くなりますなんという説明は、それは通らないんですよ。税金分を入れて計算しなきゃいけないという、具体的な理由を説明してください。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) この労務費率は何年か置きごとに改正をしているわけでございますが、その改正の考え方といいますのは、人件費が上昇する、あるいは省力機械の導入等によりまして、あるいはまた建設資材の価格の変動等により労務費の割合が変動してくるということによりまして、時々調整をする必要があるのでございます。そういった要素の一つとして、平成元年度より実施されました消費税導入ということもあるわけで、今回の新しい労務費率といいますのは、この消費税導入の影響も含めました請負金額と労務費との関係を調べた結果に基づくものでございます。  したがいまして、説明として消費税を含めたものに労務費率を掛けるということは、あたかも消費税分だけ労務費率がかさ上げになるというような印象を受けられた方があると思うんですが、それはそういう意味ではなくて、とりわけ暫定措置として百三分の百を掛けるというような操作をしなくても、消費税分は影響しないという形の労務費が新たに設定をされた、こういう意味でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 労働省だけで済んだらよかったんですけれども、ちょっと大蔵の方にお聞きしたい。  大蔵省の方は、消費税を何とか定着させていきたいという御希望があるやに聞いておりますから、内税方式が一番痛税感を感じなくていいのかと思って、こういう形でどんどん内税化してくるやつがあると思うんです。労働省が書いているように、消費税法の施行に伴って従来行っていた暫定措置が廃止をされた、こういう文章になっているんですよね。これはみんなに配った文書なんです。国民に配った文書なんです。こういう措置が消費税法の施行に伴って、特に労働省の労災保険の徴収に関して、こういう臨時措置というものがあるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) ただいま労働省の方からるる御説明がございましたけれども、今御説明申し上げましたように、要するに計算上の数値の整合性をどうとるかという計算式の問題でございまして税法上の問題ではない、仕組みの問題ではないというふうに理解をしております。  ただいま労働省の方から御説明がございましたように、従来用いておりました労務費率、これは私ども労働省から伺って承知している範囲内でございますけれども、この労務費率は消費税導入前の労務費率であったというふうに承っております。  つまり、労務費率と申しますのは、申し上げるまでもないことですが、労務費割る請負金額ということでございますが、この労務費にも請負金額にも消費税が入ってない、消費税導入前の数値であったわけでございます。消費税が施行になりましてから、直ちにこれを見直しまして消費税導入後の数字に置きかえればよろしかったのかもしれませんけれども、その調査は最近になって行われたというふうに伺っております。この調査と調査の間に消費税が入ったものでございますから、この消費税の影響を除去するために、先ほど先生がおっしゃいましたように、百三分の百を途中で掛け算をするというふうな計算式を用いていたというのが暫定措置であるというふうに承知をしております。  今度その新たに調査をし直しましたものは、請負金額分の労務費の中で請負金額の方が消費税が入った数字になる、そういうことで調査が行われて結果が出てきたというふうに承っております。そういたしますと、そこで消費税の影響が排除されますので、百三分の百という掛け算が要らなくなった。そこで、計算式としてはそういう変更が行われたというふうに私どもは承知をしております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 こればっかりやっていてもしょうがないんですけれども、最後にもう一つ、それじゃ労働省にお聞きしたい。  これは内税として入っているから今後は外さなくていいよということと、外税のやつは消費税分を加えて計算しろということになるんですか。計算方式に二つの方式があるんですね。労働省の指示でいくと、これは内税だけの指示みたいですけれども、外税をとっている請負金額の場合は、三%消費税分を乗せて計算をしろという指導なんですか。その点についてちょっと。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 労働省の所管にかかわります労災保険料の計算方法は、内税、外税というような問題として扱っているのではございませんで、あくまでも建設業のように賃金総額を把握することが困難な場合がある事業につきまして、便宜上、請負金額に労務費率を掛けて賃金総額を計算するという一つの技術上の取り扱いでございます。この場合以外は、要するに賃金総額にそのまま保険料率を掛けるわけでございますので、そういったような問題は起きないわけでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それじゃ、あなたの説明でいくと、外税でとったやり方と内税でとったやり方じゃ全然違ってくる数字になるですよ。契約その他で外税で明らかに三%分別になっていますよということなら、もうそれは請負金額がぴたっと出てきますよ、それがもとになるんだから。しかし内税の場合は、明らかに消費税分を含んで今度は計算しろと。抜かなくていいということになると、あなたが言っているのは、安くなるのか高くなるのか細かく出してみなきゃ、それはいろいろな場合によって少し計算が違うですよ。安くなるからいいとか高くなるからという問題じゃなくて、私が言っているのは、これは請負金額じゃないんだから、税金分を明らかに入れて計算をすることが是なんですかということなんですよ。そのことだけを最後に聞いて、ちょっと別の問題に移ります。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 先ほどから御説明をしておりますように、今回新しい労務費率を設定いたしました。その労務費率の設定に当たりまして、昨年度行いました調査はその消費税の導入という点も考慮に入れての調査でございました。  したがいまして、新しく設定されました労務費につきましては、消費税の実施によりまして実質の請負金額に三%の消費税がかかっていることにかかわらず、そういった税額の影響がない結果が出るような労務費率を設定したということでございます。  したがいまして、内税、外税というようなことの性質に関係なく、税金の影響を受けない労務費率、これを設定して、それによって労災保険料率を計算する、そういう方法をとったということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 ほかの問題もありますのでほかの問題をやりますけれども、少なくとも保険料を計算するときに、税金分を入れて計算しろなんという指導をされるんじゃ末端の方が大混乱を起こしできます。そのことだけを強く言い、また時間のあるときに質問させていただきます。  次に、国際連合における平和維持軍の問題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  現在、日本が分担しております国連の経費、これは通常経費のほかにPKOの分野に関しても分担していると思うんですが、この二、三年で結構でございますが、日本の分担金額それから、平和維持活動をし過ぎて国連の財政が困難だと、それは平和維持活動の分担金を払わない国があるということが世上言われております。参考までにで結構でございますが、上から三番目ぐらいの大口滞納者の、滞納者というんですか、滞納国の名前と金額ぐらい、おわかりになりましたらちょっと言っていただけますか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生十分御承知だと思いますけれども、まず後者の方からお答え申し上げますと、PKOの滞納額でございますが、一番滞納しておりますのはアメリカとソ連でございます。丸い数字で申し上げますと、私たちが承知しておりますところ、アメリカは一億五千六百万ドルぐらいの滞納額があるということでございます。ソ連につきましては、八千三百万ドルぐらいの滞納額があるというふうに承知いたしております。第三番目の国は、ちょっと承知しておりませんけれども、相当額が下がるのではないかというふうに承知いたしております。  それから、日本の分担でございますけれども、このPKOの経費の分担につきましては、まさに先生御承知のとおり三つの方法で行われておりまして、一つは国連の通常の予算が使われるもので、これは各個が通常予算を支払うその中から使われていく、こういうことでございます。  それから二つ目は、各国の自発的な拠出金によって賄われるものでございます。典型的なケースはキプロスにおきます平和維持隊でございますが、日本は大体年間四十万ドル程度拠出いたしております。  三つ目が、一番問題になるところだろうと思うんですが、義務的にPKO特別分担金として割り当てられてくるものです。これには大きく言って三つのグループがございます。一つは、安保理常任理事国五カ国につきましては、通常の国連本部予算の分担金にさらに上回った比率が要求される。アメリカの例をとりますと、通常予算は二五%ですが、このPKO分担金につきましては三〇%強の支払いが求められる。二番目のグループは、以上申し上げた五カ国以外の、一句と申しますか、経済先進国二十二カ国ぐらいございますが、これは通常の本部予算と同じ負担を行えばいい。日本の場合には二一・四五%になろうかと思います。それから三番目のグループは二つに分かれますけれども、丸く一つのグループとしてとらえますと、非常に比率が小さいグループでして、通常分担率の二〇%かあるいは一〇%で済む国、こういうふうに分けられます。  最初の御質問でございますけれども、分担金だけで見た場合に、まさに丸い数字で過去三年間どのくらいの金を国連が特別分担金として総額割り当ててきたかと申しますと、九〇年につきましては私の手持ちの資料では二・七億ドル、九一年につきましては四・八億ドル、ことしは恐らく七億ドル前後になるんじゃないかという計算がございますけれども、その一二・四五%を日本が持ってきた、こういう次第でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 外務大臣、お聞きと思うんですけれども、日本は金だけ出して人は出さないじゃないかといろいろ論議がありますけれども、人も金も出さない国もあるわけですよ。これは国際司法裁判所で義務的経費だという認定、認定というんでしょうか、見解が出ているにもかかわらず払わない国もあるんですね。そういうことについてどう思うのかという質問をすると長々やられてしまいますので、こういう質問をしたいと思います。  我が国において、憲法はいろいろな解釈があると思いますけれども、自衛の権利は持っている。これは大体皆さん一致するところですね。国連においても、平和維持軍が行動する場合に自衛権というものを持っているんだ、固有の自衛権を持っているんだ、国連としての任務を遂行する上、自衛権というものを持っている。この自衛権の概念を大臣はどのようにとらえていますか。つまり、日本の憲法とかそういうのは抜きにして、国連本来の持っている、本来といいましょうか、国連が考えている自衛権の概念というのはどこら辺までが自衛の行動として考えているのか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国連の規約の解釈の問題ですから、国連局長から一応説明させます。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生、自衛権というお言葉の意味、必ずしもこの場合私が理解しているかどうか自信ございませんけれども、一般論として申し上げまして、国連の平和維持隊に参加する各国の軍事要員は武器を携行することができるということになっておりますことは、先生御承知のとおりでございます。  この場合、国連の関連の文書あるいはこれまでの慣行によりますと、このように携行されていった武器は厳密に自衛のため以外の武器の使用は行ってはならないという原則がございまして、その場合の自衛とはということで大きく二つを言っておるわけですが、一つは要員の生命等を防護するためということ、それから二つ目は任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対抗することという二つが挙がっておるわけでございます。  ちなみに、国連平和維持隊は、まさに先生も御承知のとおり、紛争当事者の間に停戦の合意が成立し、紛争当事者が平和維持隊の活動に同意していることを前提に、中立、非強制の立場で国連の権威と説得により任務を実行しているものであります。そのような基本的性格からして、国連の平和維持隊においては、従来から、先ほど申し上げた二番目のケース、任務の遂行を実力をもって妨げる企てというものが起こった場合に、即座に武器を使用してもいいということにはなっておりませんで、まず説得による平和的手段がすべて功を奏さなかった場合に初めて武器の使用を行うことが許される、かつ武器を使用する場合であっても、相手方が発砲を続ける限りにおいてのみ応射することができるということになっております。  以上が平和維持隊における武器使用についての一般的な考え方でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 その二つのケースの場合、日本政府として国連の平和維持軍が行う自衛の範囲として、日本政府はその見解を支持するんですか、それとも日本政府の見解は、国連がそういう行動をとることについて一部留保する部分があるんですか、それとも全面的にそういう概念について従来から反対してきたんですか、どちらですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、PKOは四十三、四年間の歴史を持っております。その歴史の中から実践を通じて積み上げられてきたのが今申し上げたPKFの武器使用についての一般的な原則的な考え方でございます。そういう意味で、これは慣行として積み上げられてきたものでございますので、日本政府が反対するとか賛成するということでなくて、そういう慣行として既に成立してきているといったぐいのことでございます。  他方、日本が軍事要員と申しますか、日本がこの国連PKF活動に参加する場合の日本としての考え方が別途あり、それが法案に盛り込まれていることは、先生御承知のとおりだと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは、局長さんにお尋ねしたいんですけれども、国連の活動、国連の平和維持軍の活動を義務として遂行する場合、つまり平たく言えば、総会なり安全保障理事会の決定もしくは決議を受けて現地の国連平和維持軍が行動する場合、これに実力でもって抵抗する部隊があれば排除する、これが義務的な行使ですよ。これも国連の自衛権の行使の範囲内である、慣行としてやってきた自衛権の範囲内である、このように理解してよろしいんですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生の御質問の趣旨、申しわけありません、必ずしもよく私が理解しておらないんじゃないかと思いますが、おっしゃいますとおり、PKFへの参加というのは国連加盟国にとりまして、それ自体は義務ではございませんで、あくまでもボランタリーな自発的な参加というものがベースにあるわけでございます。参加していったそのときの武器の使用の態様というものは先ほど御説明したような態様であり、日本の考え方は別途法案に盛り込まれたような考え方で武器の使用を行います。こういう整理になろうかと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 総会や安保理の決議、要請に基づいて平和維持軍が武力行使をした。それは、自衛の名のもとに武力行使をしたというケースは、コンゴを含めて幾つかあるんですよね。だから問題なことは、我が国がこの国連の平和維持軍活動に参加するのであれば、国連総会もしくは安全保障理事会が決定した事項を遂行するときにそれを実力で阻害する部隊が出てきたら、これを排除しても、国連で言うところの自衛権の行使の範囲内だというのが従来の考え方ですよね。ただ、今局長さんが答弁しているのは、それはそうなんだけれども、参加する日本としては別の考え方をとっているんだと聞こえるんです。  それじゃ、具体的に聞きますよ。あなたも言われた国連平和維持隊の隊員の生命、財産に対する攻撃に対して実力で排除することは、国連の立場から言えば自衛権の行使の範囲内だ。それじゃ、ある日、国連の他の国の部隊が攻撃をされて、その国の現地の部隊長から国連の現地の指揮官に対して救援を求めてきた。一番近くにいたのが日本の部隊だ、日本の部隊が救援に行け、国連平和維持隊の他の国の部隊が全滅の危機に瀕している、これは助けなさいと現地から命令がされたときに、日本政府としては、現在の法律がどうのこうのじゃないですよ、これについて参加するあんいは行動を起こすことが、そのための武力行使をすることが可能なんですか、できないんですか、その点について。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) まず前段の、国連絵会の決議あるいは安保理の決議によって、一定の場合に武器の使用というものが義務づけられたケースというのは、恐らくないんだろうと思うんです。  コンゴの国連軍の場合には、一九六一年二月の安保理決議によりまして、最後の手段としてコンゴの内戦防止のため武力の使用を承認する、オーソライズするという決定が下されておりますけれども、先生御承知のとおり、実はPKFの歴史の中で国連は、コンゴのケースはやはり失敗のケースだというふうに考えて、その後武器の使用について非常に慎重な対応をとり、まさにそれが先ほど申し上げた一般的な考え方の中に、冒頭で御説明した中にあらわれてきておるというのが恐らく実態ではないであろうかというふうに考えます。  第二番目の御質問の、PKFというものが存在して、各国が自分の任務の地域というものがそこに割り振られて、集団といいますか、隊として存在して活動をするわけですが、別なところにいる外国の部隊というものが攻撃された場合、例えばこの場合の日本の対応ですけれども、日本がどういう対応をとるのかというのは、抽象的にそういうケースをおっしゃられても私は難しいんだろうと思うんです。  現場の状況、起きてきた事件のプロセスあるいは発展ぐあい、そういうものを見ながら、日本としてはそういう場合、必要に応じて国連の司令官と協議、相談しながらどういう対応があり得るかということはあろうかと思いますが、いずれにいたしましても武器の使用ということが行われるのは、この法案の範疇の範囲内ということが我が国から見て一番重要なことであろうかと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 あなたもおわかりになって答弁しているんだと思うんです。国連の考え方は、すべて武力行使をすればいいという、自衛のためだったら何でもできるんだという考え方はとってないですよ、それは局長さんが言われるように。あくまでも抑制的にやりなさい、説得をして最後にそれでもだめな場合は武器を使ってよろしい、こう言っているわけです。  それはなぜかといえば、自衛の行動というものを自由に解釈したら、第七章で言うところの戦争行為、武力の行使は強制力を持った国連軍と区別つかなくなるから、だから抑制的に扱いなさいと、しかも国連の各種文書を読んでみると、こういう場合は武器の行使をしてもいい範囲というのがある程度例示的に書いてあるわけです。それが局長さんの言われたまさにその文書ですよ。その中には、先ほど言ったように、他の部隊の要員の生命、財産を守るために出ていくこともこれは国連の自衛権の範囲内だと、こう言っているんです。それと同時に、あなたも御存じでしょう、国連の指揮下に入って一体性の原則でもって同一行動をとるんですよ。それは配置するとかどういう任務を与えるかというのは別問題として、配置された国の軍隊あるいは平和維持軍は統一した指揮のもとに置かれるんです。これも書いてある。そのとおり全部やっているかどうかというのは、我々全部の例を検証してないからわかりませんけれどもね。  しかし、今我々がここで論議しているのは、カンボジアのことだけを念頭に置いているんじゃないですよ。すべてのケースを念頭に置かなきゃいけない。そのときに、部隊の指揮官が救援のために行けと、しかも現地で武器の使用が行われているときに、日本の部隊に対して命令して、行け、そして武器の使用をしろと言われたときはどうするんですかと、私は聞いているんです。そういうことができないのか。それともそれはケース・バイ・ケースで、その場になってみなきゃわからない。こんなことだったら、隣の部隊が攻撃されて今まさに日本部隊に助けてくれと言っているときに、本国から訓令が来ないから日本の部隊は動きませんと、あなたはこういう答弁をするんですか。  日本の憲法の制約があるというんだったら、それはそれでいいですよ。しかし、国連が考えている平和維持軍の活動というのは、明らかにその部分までもやれということが明記されているんです。それができなかったら、国連の平和維持活動あるいは平和維持軍への参加はごく限られたところ以外はできないということなんです。  その辺についてどうなんですか、重ねて聞きます。他の部隊が攻撃されているとき、日本の部隊じゃないですよ、他の国の部隊が攻撃されているときに横にいる日本の部隊はその国連の現地の指揮官の指揮のもとに行動して、なおかつ相手が抵抗した場合には武器の使用をすることができるんですかという、そのことについて明確に答えてくれませんか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生、申しわけありませんけれども、私、先生とのきょうのやりとりの冒頭で、PKO、PKFの本質について触れさせていただきましたが、PKF活動の大前提は停戦の合意というものが存在しているということなんです。  PKFは、先生もこの問題は大変詳しいのでもうこれ以上申し上げませんけれども、戦いに行くわけじゃないわけです。先生御承知のとおりです。したがいまして、今先生が想定される、どこかから大規模な攻撃が発生したという事態のときに、私も先生と同じように全部の例を検証しているわけではございませんのでそうしたということは申し上げませんけれども、過去の例を見まするに、要するにそういう場合には、前提が崩れたということでむしろ各国は砲火を交えるといいますかそういうことなしに、任務を中断したり身を避けるという行動をとっている例がたくさんあるわけですね。  したがいまして、そういうときに外国が応戦している、そこから日本が救援を頼まれた場合どうかというのは、単に抽象的にそういう質問を受けても先ほどのような御答弁あるいは今申し上げていることの答弁しかちょっと私はできないわけでございまして、一番重要なことは、いずれの事態に対応する場合でも日本はこの法案の枠内でしか行動しないということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それは、局長さん、あなたもいろいろ調べて御存じだと思うんですよね。私も一、二、例を調べてきました。  一九五七年にガザ地区で五名のイスラエル兵がスウェーデンのPKOのパトロール部隊に発砲した。で、一方、発砲されたPKOの部隊がこれに武器を持って応戦したという事実もあるわけでしょう。あなたが言うように、大規模にぶつかるということもあるかもしれないし小規模でぶつかることだってあるんですよ。だからこそ国連の場合は、こういう自衛の行動というのを限定して物事を言っているわけでしょう。確かに、戦争しに行くんじゃないんですよ。しかし、国連軍というのは軍隊としての軍事的な性格を持っているわけですから、司令官が命令したらこれに従わなければならない。これはあなたも御存じのとおり。  それから、第四次中東戦争のときだって、イスラエル軍あるいはシリア軍が停戦監視ラインを実力で突破して、国連の兵隊の前をどんどんどんどんと通っていった。あるいは、それを妨害するために国連の車両を道路に置いたら、そこをイスラエルの戦車が踏みつぶしていった。多勢に無勢だったから撃たなかったのかどうかは知りませんけれども、これに発砲を命令したら、そこで戦闘が起こったはずですよ。そういう紙一重の行為というのはいっぱいあったと思うんです。  今、日本が平和な状態中で、そんなことをいろいろ想定したってできませんと、答えられませんとあなたは言うかもしれないけれども、国連の過去の活動をずっとこうやって見てみると、そういう危険性があるから片一方で武器の使用も認める、認めるかわりにそれは自衛権の範囲内だ、自衛の概念の範囲内だというのが国連の基本的な考え方じゃないですか。あなたの説明を聞いていると、日本の自衛権の行使の範囲内の概念と国連の自衛権の概念と明らかに違うように説明している。  それじゃ、物事をわかりやすくするために、日本の自衛権の考え方と国連の自衛権の考え方とどこが違うのか、どの辺が違うのか、あるいはこの部分が一緒なのか、いろいろ論議されていますよ。ちょっとそれを聞かせていただけませんか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 今の先生の二つ目の例でございましたか、もしこちら側の司令官がそういう命令を下して発砲したら紛争になっただろうと。司令官が発砲の命令を下さなかったのは、まさにそこにPKFの本質があったから発砲の命令を下さなかったというのが私の理解でございます。  それから、自衛権という言葉を先生使われますけれども、要するに、武器の使用がいかなる場合に認められるかという言葉に引き直して考えさせていただきますと、先ほどの私の説明の中に含まれておるつもりでございますけれども、国連のPKF活動において武器の使用が許されるのは厳に自衛の場合のみである。その自衛というのは、先ほど申し上げましたとおり、要員の生命等を防護するため、二つ目は、任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対抗するためということでございます。  二つ目につきましては、相手の組織あるいはその相手の行動いかんによっては日本の憲法上の論議の対象になりかねない事態になるということで、日本といたしましてPKFに参加するに当たっては、二つ目の事態については武器を使用しないという、そういう考え方が法案に盛られておるわけでございます。  ちなみに、まさに四十四年間を全部検証したわけではございませんけれども、過去のPKF参加主要国にずっと当たってみたのですが、二の場合に、任務を妨げられたという、ただそれだけの理由で武器を使ったと、そういう説明をしてくれた国というのは実はないんです。ですから、確かに概念的には第二のケースというのはあるんでしょうけれども、現実の国連の歴史で見ると、全くゼロとは私ここで言い切るあれは毛頭ございませんが、むしろ二のケースが一に移って、そこで武器が使用されるというケースがあるいは多かったのではないかというのが私たちの得ている印象でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 そうすると、PKOの与えられた任務に基づいて任務を遂行する必要上、武器を使用しなきゃいけない場合は日本の憲法上疑義がある。ということは、裏返して言うならば、国連が慣行として積み上げてきたPKOの活動、平和維持軍の活動について日本は全面的に協力できない、そういう部分が存在している。局長さん、こういう理解でよろしいんですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 観念的にはそうでございます。ただ、私今申し上げたのは、それじゃ実態上あるかということになりますが、実態として見た場合、先ほど申し上げましたようにゼロとは申しませんけれども、他方第二のケースの場合に武器を使用したという国は、いろいろ当たってみたけれども、これがあのケースだという説明はなかなかなかったということもあわせて申し上げた次第でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 先ほどあなたは、コンゴの例が平和維持活動の失敗例だと、こう言われました。私も同じ考え方を持ちますよ。しかしこのコンゴの例は、すべての学者とかあるいは世界の政治家がすべて国連のPKO活動の一分野、一つの例としてみんな検証しているんですよ。これはそのうちの一つの例ですけれども、カタンガ州の分離独立の問題に関して安全保障理事会が外国人傭兵を追放しなさいという決議をし、これに基づいて現地のPKOの部隊が軍事行動を起こした。軍事行動というのか、行動を起こし、そして戦闘行動になったというのが現実にあるわけです。  これは否定するか、PKOの活動の分野じゃないと言うのかもしれないけれども、コンゴの場合は、まさに私も言った任務を遂行するために行動を起こし、それによる戦闘行動が起こったという事例でしょう。ただ、局長が言うように、まさに平和の部隊だから、本来戦闘を目的としていないから戦闘が起こらないんだという考え方は、それは理屈として成り立つのかもしれませんけれども、現実にコンゴの例は戦闘行為をしてしまったんです。そういう意味で、失敗作という評価を歴史から受けているわけですよ。  しかし現実には、この国連の現地に派遣された部隊は任務の遂行をするために、国連の安全保障理事会で決定した決議に基づいて行動を起こしたんですよ。その事実はあなた認めるんでしょう。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 私は先ほどの六一年二月十五日の安保理決議を引いた上で、それがまさに安保理がそういう行動を命じた決議であると。他方において、もし私の見落としたところがあって間違ったところがあったら謝りますけれども、その後国連はその種の決議を安保理として行ったことはないんだろうと思うんです。  そういうコンゴのような紛争に介入してしまったことを受けて、キプロスの平和維持隊設立との関連で当時のウ・タント国連事務総長が六四年の四月十日付のエードメモワールを書きまして、先ほども先生に賛成していただいたと思いますけれども、武器の使用について、非常に慎重にあれほど事細かくあそこに書いたのはまさにコンゴというものの反省の上に立ってのことでして、繰り返しますけれども、私の記憶では、国連安保理が先生の言及しておられるような決議というものをしたという例は、恐らくそれ以降はないのではないかというふうに考えております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それじゃ、角度を変えてお聞きします。  PKOの軍隊のいろいろな原則というものの一番古典的な文書というんでしょうか、一番最初の国連の文書は、ハマーショルドが送った国連緊急、軍の設置及び活動に基づく経験の研究摘要というもので、この中にPKOのすべての原則が網羅されている。そういう意味での古典的な――何というんでしょうか、原則とここに書いてありますね。その中で特に重要なのが、法案の中にも書いてあると思いますが、関係各国の同意で、この関係各国というのは受け入れる国の同意というものが当然含まれてくるわけでございます。  今まで国連が活動してきた中では、確かにPKOの軍隊を受け入れる国は、受け入れるというその同意をするだけじゃなくして、どこの国の軍隊を受け入れるかの諾否まで出しているはずでございます。つまり、この国はだめだとか、この国が入っては困るとか、そういうことを出しております。一番典型的に言えば、イスラエルなどは自国を承認していない国の軍隊が入るのはだめだと、こういうことを言っているわけです。それに従って、国連の方でだめだと言われた国は出していないはずです。  そこで、お聞きをしたい。カンボジアに現在派遣されている国連の平和維持軍は当然この原則に基づいてやっているんだろうと思う。ハマーショルドが決めたといいましょうか、考えたものを慣行の中でずっと引き継いできた政策ですね。それでは、国連とカンボジアの間の合意といいましょうか、地位協定というんでしょうか、この中に、日本の部隊を出してくれ、受け入れますという文書があるのかどうか。まずこれが一点。  それから、カンボジアに派遣された平和維持軍は、従来国連がとっておりました、今局長さんが言われた自衛のための武力の行使の範囲、これが狭められているのか広げられているのか、それともそのまま受け入れているのか、明文の規定があるのかないのか。  この二つ、ちょっと御説明いただけますか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) ハマーショルドの研究摘要につきましては、あの中にPKO活動の基本的な原則が述べられており、それが現在まで基本的に引き継がれてきておるという性格づけにつきましては先生と同意見でございます。  ただいまの御質問でございますけれども、現在までの段階で、UNTACのいかなる分野にいかなる規模で参加してほしいという、国連事務当局からの正式の要請は日本には来ていないわけでございます。そういうような状況でございますので、国連とカンボジアの当事者との間で、日本の部隊を受け入れる、あるいは受け入れないといったような文書というものは現在まで存在していないと思います。見たことはございません。  それから、第二番目のUNTACにおきますところの武器使用の考え方が、今まで先生とのやりとりで私が御説明申し上げてきた範囲内に入るのか入らないのかという点につきましては、実は四月の二十日前後でございましたか、UNTACのSOPが存在しているかどうか問い合わせたのに対してまだ存在していないと、しかし基本的な考え方はモデルSOPの範囲内だという趣旨の説明がたしかあったと記憶しております。そういう意味では、現在あるいはもうSOPができているのかもしれませんけれども、私の推測は、基本的にはこれまでの武器使用の考え方の範囲内に入る、そういう武器使用の性格づけがUNTACの中でも行われているという理解でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは、防衛庁長官にお聞きしたいと思うんです。  今論議されている法律案が仮に通ったといたしますと、自衛隊が全部かどうかは別として出ていく。しかし、今局長さんが言われたように、受け入れる方のカンボジアの司令官は、従来慣行としてとってきた国連の自衛権といいましょうか、武器使用の範囲内の考え方で何らかの問題が起こったときは対応しますと、そういう考え方を基本的に持っているという説明でございます。  その場合、先ほどもちょっと言いましたように、日本の自衛権の考え方というんでしょうか、法律上の制限というんでしょうか、憲法上の制限というんでしょうか、私らから考えますと、明らかに国連の自衛のための武器の使用と日本が考えている、許されている自衛のための武器の使用との範囲において、ものすごい落差があると思うんですね。その落差について、先ほど言ったように、その過程で行使をしろと命令されたらという質問が出るんですけれども、明らかに範囲について違いがあると思うんです。その点についてはどのようにお考えでしょうか。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(宮下創平君) これは特別委員会でもしばしば議論されているところでございますが、今国連局長の丹波さんが答弁されたとおりでございまして、国連としては隊員の生命、身体の擁護のためとそれから任務遂行が実力で妨害されたときと、こういう二つの類型の御説明がございました。  私どもの今回提出しております法案は、あくまで第一の要員の身体、生命を擁護するための武器使用しかこれを認めないということで法案が構成されていることは委員御指摘のとおりでございまして、今いろいろの想定で議論がされておりますけれども、私どもが派遣される場合は、一つの単位として一定の任務を帯びておりますから、私どもは外国軍隊と混成部隊になることはないと思います。そしてまた、外国の軍隊が任務遂行上やられたから来援するというようなことはおよそ考えられないわけでございまして、もしもそういうような紛争の状況になって、国連の他の派遣部隊が任務遂行上武力行使をするんだと、武器使用をするんだという場合でありましても、この法律によりまして場合によると業務の中断をいたします。そしてまた、それが長期間に及ぶような場合は撤収をするということの構成になっておりますから、私どもはこの法の命ずるところで厳然とそういったことを処理してまいりたいと思っております。  しかし、さはさりながら、ただ、外国の軍隊がやられているときに影響を受けるのではないかという委員の御指摘、これはケースとしてあるいは理論上は想定されるかもしれませんけれども、さような場合には、今申したような対応をきちっとやっていくということをたびたび委員会でも私どもは申し上げておるとおりでございまして、委員に対してもそのように申し上げさせていただきます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 大体わかってまいりました。  その決定に基づいて国連の平和維持軍として任務遂行をする、そのときにもし武器の使用をしなきゃいけない事態が起こったときは引き揚げるんだと。それは裏返して言えば、先ほども言ったように、他の国の部隊が攻撃をされていて幾ら救援を求められても、日本としては本国の訓令を待つで行動しなければ動けません、部隊の行動を指揮したりあるいは武器の使用をするようなことはできない、表現を変えれば、見殺しにしていさます、こういうことですね。  そこで、もう一つお聞きしたいんですよ。  PKOの原則のもう一つに、派遣された国と国連との間の忠誠義務がぶつからないようにどっちの命令に従うのか。日本の法律ではこういうことをやっちゃいけないというふうに書いてあるけれども、配属された平和維持軍として命令された場合に行動しなきゃいけない義務と両者がぶつかることを想定して、二重の忠誠義務がぶつかったときはどうするのか、これについては国連の利益を優先してくださいというのがハマーショルドの原則にも書いてあるんですよ。書いてあるというか、そういうのが慣行としてあるんですね。  だから、現地の部隊の司令官がその派遣したもとの国の法律に基づいて、これはできませんと幾ら言ったって、その辺について国連はきちっと考え方があるんですね、それはだめですよと。国際公務員としてだめだと。もちろんいやだというやつは絶対できないから中断も起こり得るかもしれないけれども、その国連の要請に基づいて部隊が動いても処罰の対象にはしないんです。つまり、本国の規定をそのまま持ってきてやるわけにはいかないというのがこの二重の忠誠の原則というものですよ。衝突が起こった場合はどうするかということが書いてある。部隊を率いて助けに行けと命令されているんだし、仲間がやられているんだから男気を出して、これはいいんだといって行動を起こしてもいいんですよ。もちろん行動を起こせというのが本来の国連軍ですよ。ところが、日本の法律はそれはだめだ、こう言っている。  日本の法律か憲法か、これに従わないで行動した場合、日本の現地の部隊長が命令して部隊を動かした、これはどういう処罰になるんですか。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(宮下創平君) 処罰という話の前に、これはもう特別委員会でしばしば議論があるところでございますし、さっき国連局長がお話し申し上げましたが、我が国は国連の要請を受けて、行くか行かないかは諸条件を全部勘案をして決めます。そして、行く場合にはこの法案の構成上実施要領を定めることになっておりまして、その点が特別委員会でも相当たびたび議論になっておるところでございますが、国連のコマンド、これをいわゆる指図と訳してといいますか使用しておりますが、このコマンドに従って我が国の実施要領を定め、そして私どもが指揮権を持ってこの派遣をするわけでございます。  したがって、この法案では武器使用については二十四条に書いてございますから、もうそれ以上私どもは許容されていないし、私どもは許容すべきでないと思っておるわけで二ざいまして、形式的に言いますと、そういう国連の系統の命令があったとしても、要請があったとしても、私どもはこのPKO法案の要件に該当する以外の場合にそのような武器使用をするということはあり得ないわけでございまして、派遣する場合には、やはりそういうことをきちっと訓練をしていかなければならないと存じます。  既存の侵略を受けた場合の隊員の対応としては、これは常識的にそんなことはあり得ないというのは当然でございまして、しかし今回、国外に国際協力の一環としての平和的業務、停戦が終わった後で協力する場合の条件を厳格に規定をしておるわけでありますので、私どもそれに従って厳密に行動していく。つまり任務遂行上、普通の直接侵略、間接侵略に対応する場合は、当然部隊行動として対応しなければならないような事態がよしんば海外で、そんなことはあり得ないんですが、小規模で起こったとしても、私どもはこれを一時的に回避して、そして中断、撤収をするということになっておることは委員御承知のとおりで、私どもたびたび申し上げているところでございますから、派遣する場合はこの点を厳格に、自衛隊の本来的な任務と全く違った意味の国際平和協力業務であるという基本的な認識のもとに、訓練をし心構えをさせて派遣をしたい、こう思っておるところでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 今の御説明を聞きますと、基本的に国連が考えている平和維持軍活動と日本政府が規定している平和維持活動とは、明らかに物すごい大きな隔たりがあるんですよね。  それで、今の説明をそのままもし部隊を出すんだ、あるいは日本の活動としてやるんだということであれば、国連が日本政府の見解に全面的にそのとおりですと、武器の使用についても指揮命令についても、すべて日本側の条件をのみます、あるいは日本とすれば、それを全部のんでくれない限りは出せませんと、こういうことになると思うんですね。  それで、もしそうだと仮に認めてくれるのならば、そこで部隊を出すことが国連との間で、協定なのか覚書なのか別として、そういう文句が入った覚書というんでしょうか、契約というんでしょうか、条約というんでしょうかね、地位協定というのか何と言うのか知りませんが、今言ったようにその文書に日本側の条件が全部列記されてこれを国連も明文でもって了解をした、そういう文書が当然交わされると思いますので、その文書は国会に提出していただけるんですか。

柳井俊二外務省条約局長

○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の我が国がPKOに参加するという場合に、国連との間でどのような取り決めができるかと。また、それを国会に提出するかどうかという問題でございますが、先生も御承知のとおり、これまでいろいろな取り決め、あるいはより広く枠組みと言っていいと思いますが、それが行われてまいりましたわけでございます。  そして、これまでのいろいろな慣行を踏まえまして、最近、国連の事務局におきましていわゆるモデル派遣取り決め、それからもう一つはモデル地位協定というものを発表しております。モデル派遣取っ決めあるいは派遣協定と申しますのは、要員を派遣する国と国連との間で結ぶもののモデル、それからもう一つは、国連と受け入れ国との間で結ぶ協定のモデル。後者の方は、派遣されたPKOの要員なり部隊なりが受け入れ国でどのような取り扱いを受けるかというものでございます。そして派遣国は、その受け入れ国での取り扱いにつきましては、国連と受け入れ国との間のいわゆる地位協定で取り決められたものを派遣取り決めを通じて、いわゆる特権・免除等を享受するという関係になるわけでございます。  今後、ただいま審議していただいております法案が成立いたしました場合に、そして国連から具体的な要請があって我が国の要員を派遣するという場合にどのような取り決めをするかということは、現時点で具体的なケースを離れて的確に申し上げることはできないわけでございます。  いずれにいたしましても、我が国の派遣がこのPKO法案、成立すればPKO法になるわけでございますが、その枠内で派遣されるということは何らかの形で明確にすべきことは当然でございます。ただ、具体的に取り決め上どのような文言を用いるかというようなことは、これは現時点では、大変残念でございますけれども、申し上げる状況にございません。  したがいまして、その場合にできることあるべき協定なり取り決めはどのような枠組みになるか予断を許しませんけれども、それを国会に御提出するかどうかという点につきましても現時点では何とも申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても我が国が条約なり、あるいはより広く国際約束を締結いたします場合には、昭和四十九年のいわゆる大平答弁で示された基準に沿いまして国会の御承認を締結に当たって必要なもの、その基準が出ているわけでございますが、これに照らして判断するということでございます。  繰り返しになりますが、我が国の派遣はこの法案あるいはその他の関係法令の範囲内で行うというのが基本でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 もっと長々とやっていたいんですが、ちょっと時間の関係で、ほかの大臣もいらしてますので、別の問題に移らさせていただきます。  日本の経済がこれだけ発展してきたから、物や金の交流だけじゃなくて人の交流もやってほしいという要求がかなり出ております。日本も技能者あるいは半技能者を含めて入れているわけでございますが、まずお聞きしたいのは、研修生として現在日本に許可を受けて入ってきている人はどのくらいいるのか、あるいは俗に言う単純就労者、不法就労者と言った方がいいのかもしれませんが、こういった人たちは現在どのくらいの人間がいると推定されているのか。ちょっと法務省の方から御説明いただきたい。

高橋雅二法務省入国管理局長

○政府委員(高橋雅二君) お答えいたします。  まず、研修生の入国の現状でございますが、過去の例で言いますと、昭和六十二年に一万七千八十一名入国しております。それで、毎年ふえておりまして、平成三年、昨年は四万三千六百四十九名と逐年増加を見ておりまして、平成三年とそれから五年前を比べますと約二・五倍にふえていると、こういう状況でございます。その内容といたしましては、特に職種別の分野というのはとっておりませんけれども、機械、電機、自動車等の製造業が多くございますし、またその他比較的多いものといたしましてはコンピューター関係、建設関係、医療保健関係、そういうものでございます。  それから、不法就労のお尋ねでございますが、不法就労、厳密に申しますと不法残留して就労している者、そのほか資格外活動等ございますが、これを厳密に正確に把握するというのはそもそも本質的に非常に困難な面がございますので、不法残留がどの程度あるかということで私たちはそれをはかっているところでございます。  それで、現在の数字を申し上げますと、平成三年五月一日現在、法務省入国管理局の電算機でもって算出して推計したところによりますと、十五万九千八百二十八人、約十六万人の不法残留者といいますか、不法滞在者がいるというふうに推計しております。このほとんどの人は不法に就労しているというものと考えられます。  以上でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 少し時間がなくなってきたので、答弁の方も簡単にお願いしたいんですが。  要するに、不法就労者あるいは不法残留者というのか、単純就労しているこの人たち、私たちば単純にこういうふうにいいのか悪いのかという論議をしますけれども、運輸省の方にちょっとお聞きしたいんですが、単純就労、入管法でかえて言えば就労が許可された人以外は働いちゃいけないわけでございますが、その中に船員というのが職種として入っていないんですね、入管法の中には書いていない。しかし船員は、単純就労といいましょうか、単純と複雑と分け方は難しいんでしょうけれども、要するに機関長だとか船長だとか通信士、こういう上の位の人たちは別として、上甲板から下で働く船員、漁船員、こういうのが就労していいことになっているんですね。これは何ゆえにそういう区別がされているのか。概略はもうわかっているので簡単で結構です。なぜここらだけが認められるのか、簡単に御答弁いただきたい。

金子史生運輸省海上技術安全局船員部長

○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。  外国人船員の日本船への配乗に関しましても外国人労働者に関する閣議了解を準用いたしておりまして、日本船舶で日本の船社が配乗を行っているものにつきましては外国人船員を配乗しないよう行政指導しているところであります。しかしながら、先生御指摘のとおり、現在日本船で外国人船員を配乗しているものがありますが、これはマルシップと申しまして外国の船社に貸し渡されたものでありまして、外国の船社が船員の配乗を行っているところから閣議了解の適用対象とはされないというものでございます。実質的に見ましても、この方式は海運労使の話し合いのもとに実施されておりますし、また外航航路において運航されているところから、我が国の経済や社会に及ぼす影響という面から見ても問題はないものと考えております。  なおこの制度は、厳しい国際競争にさらされている外航海運界で、日本船を維持する上におきまして一定の役割を果たしているものと理解しております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 そこで、法務省にお尋ねしたいんです。  日本の所属であることがはっきりしている船舶、これは当然日本の法律がそのまま適用されるわけでございますが、この人たちはなぜ入管法による就労の許可が得られるんですか。私はこれを攻撃しているんじゃないんです。漁船員と船員についてのみこういう単純就労を認められるのであれば、何ゆえに日本国内においてこういった海外から来る単純労働者を受け入れることができないんですか。裏返して言えば、法律の適用が船の上と陸上とで区別されなければいけない理由について御説明いただきたい。

高橋雅二法務省入国管理局長

○政府委員(高橋雅二君) この就労の問題に関しましては、船の上とか下、外ということではございませんで、入管法の適用される職種につきまして、この入管法で言う就労ができる資格に当たる者として雇用者から申請があった場合は、入管法の規定に照らしまして許可をするということになっておりまして、たまたまそういう船員の場合はその規定に当たりませんので許可になっていないと、こういうことでございます。  それから、単純労働を認めるか認めないかにつきましては、これは日本の国内におきましてもまだ国民的なコンセンサスができておりませんので、慎重に各方面で検討をいただいているということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 だから、局長さん、入管法という法律に基づいて、そこで許可された職種以外は働けないわけですよね。その中には船員、漁船員という項目はないんです。それはお認めになるわけでしょう、法律なんだから。それなのに、日本の貨物船、日本のですよ、海外籍の船やなんか言ってない、日本の船と日本の漁船についてだけ、しかも遠洋ですよ、外洋じゃなくて遠洋で日本国内に戻ってこない船、もっと単純な表現をすれば、船を海外の港につけっきりにしておいて人間だけを交代させる、そういう就労形態をとっている漁船、これについてだけは認めているんですよ。この点については法務省は御存じでしょう。だから私は、なぜ日本の法律の適用下にある船の中において単純就労、要するに就労許可のない分野について認められるのか、裏返して言えば、それができるのだったら、なぜ日本国内でも認められないのかということを聞いているんです。

高橋雅二法務省入国管理局長

○政府委員(高橋雅二君) 日本の船でございましても、雇用という観点からいいますと、船員というのは入管法の適用を受けない、許可の対象になっているものではございませんので、今先生御指摘になったような問題はあるかと思いますが、そういう現状にあるわけでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 要するに、先ほど運輸省の方が言ったように、陸上労働に関する禁止なんですよ。つまり、日本国内に来たら教育の問題だとか住む問題だとかいろんな問題が出るから、極論を言えば、日本国内に入ってこない人たちだったら、海外で幾ら雇ったって構わないというのが日本の政府の態度じゃないんですか、法務省の態度じゃないんですか。だから、こういう問題が起こるんです。しかも、漁船員や船員の中から、もっと広げてくれという要求が出てきているわけでしょう。日本の港を母港にして動く漁船あるいは船舶についても認めろという要求が出てきているわけでしょう。これが海外の基地を母港とする漁船と区別する、船舶と区別する理由はどこにあるんですか、説明してくれませんか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○政府委員(高橋雅二君) なぜそういう区別をしているかということでございますが、そもそも入管法の建前上、乗員手帳といいますか、船員については外国人の入国というものについて適用を外しているところでございますので、その限りにおいて適用されないというわけでございますが、それではなぜこういう場合に外国人の単純労働者を認めていながら、国内的にはほかの職種において認められないのかというのが先生の御質問でございます。  これにつきましては国内経済に与える影響が非常に多うございまして、市場経済の問題とか不況になったときにどうするのか、あるいは人手不足が解消された場合あるいは景気が不景気になった場合どうするかとか、社会コストをどうするかとかいろいろな問題がございまして、日本の国内において単純労働者を入れるべきかどうかについてコンセンサスが得られていないというのが現状でございまして、法務省といたしましては、この単純労働者の入国を許可するかどうかにつきまして、慎重に検討をしていきたいということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 だんだん時間がなくなってきたので、不法残留者の人たちについてちょっとお聞きしたいと思うんです。残留している人が全部が働いているかどうかというのはちょっとわからないんですが、そういう意味でちょっと大ざっぱに聞きます。  社会保険や労働保険を適用する場合、日本語の名前になっていればわかるんでしょうけれども、片仮名になっていますと現場の窓口で就労許可を得た人間なのか、それとも不法に働いている者なのか識別ができない人が出てくるわけでございます。それは御存じのとおり、ベトナムの難民で日本に定住を許可された人たちがいるわけですね。定住を許可された人は当然日本で働いていいということになっていますから、片仮名文字だけでは識別がつかないということが起こってまいります。そうすると、役所の窓口に健康保険あるいは労働保険、失業保険の適用のために事業主が行ったときにこれを受け付けるということが起こってくるはずでございます。なぜなら、最初からこの人たちは不法就労者だという前提で役所の窓口は対応しておりませんので、合法的に働ける人という理解をしてすべて書類を受け付けるようになると思います。問題は、その人たちが給付を受ける段になって問題が発覚した場合、一体どのような対応、措置をとるのか、労働省と厚生省の方にお聞きをしたいと思います。

若林之矩労働省職業安定局長

○政府委員(若林之矩君) ただいま雇用保険ということがございましたので、雇用保険について御説明を申し上げます。  雇用保険の被保険者資格の取得につきましては国籍のいかんを問わないことになっておりまして、外国人でございましても雇用保険の適用事業に雇用された場合は原則として被保険者になるわけでございますが、雇用保険の失業給付は労働者が求職活動を行う間における生活の安定を図ることを目的とするものでございますので、不法就労者のように国内で合法的な就労や求職活動を行わない場合には失業給付を支給することができない、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、私ども出先におきましては、そして外国人の方の適用についての申請がございましたときには、それらの方々についての在留資格がどうなっているかということを伺いまして、その上で適用作業をするということにいたしておるわけでございます。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 労働保険のうち労災保険について申し上げます。  労災保険につきましては、労働基準法の適用事業に雇用されている労働者であれば、外国人、日本人を問わず適用になるわけでございます。  直接お尋ねの件は、不法就労ということでございますが、私どもは不法就労の存在を容認するものではございませんけれども、労働者として雇用されていた不法就労者が仮に業務上災害をこうむったといたしますと、これは所定の手続に従って給付がなされる、こういうことになります。

黒木武弘厚生省保険局長

○政府委員(黒木武弘君) 不法就労者に対します健康保険あるいは厚生年金保険の取り扱いでございますが、適用についてはおおむね労働省から答えたとおりでございますが、お尋ねの不法就労者であることが判明した場合の取り扱いでございます。  私どもは、一応適法な手続により健康保険、厚生年金保険の適用を受けた者であることから、資格取得時にさかのぼって資格を取り消すようなことはしておりません。事業主に対しましては、不法就労であることが判明した場合には、事業主に対しまして資格喪失届けを提出するよう指導しているところでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 この問題は簡単にもう一度労働省と厚生省にお聞きしたいんですが、一つの例でございます。  九〇年五月二十三日の参議院の予算委員会で労働省の基準局長は、労基法違反で個人的に不法就労者が救済を求めて役所の窓口に来た場合は労基法の適用を優先する、そしてその人たちがどういう人。であるかを入管当局に違反の事実は通報しない、こういう答弁をなさっているわけでございます。この見解は現在も労働省の方で変わらないのか、あるいは厚生省の方において健康保険の給付その他を受けるときに、このような事実がわかったときは入管当局に通報するのかどうか。ちょっと時間がありませんので、あわせて簡単にお願いいたします。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 私ども公務員としまして、不法在留の事実を知ったときには通報する義務があるわけでございます。  ただその場合に、労働基準法違反というような申告がありましたときに、そういった問題の解決をしないままに処置をするということは考えておりませんで、まずは基準法の違反の事実があるということで申告があれば、そちらの方の調査、是正をやるべきであるというふうに考えております。

黒木武弘厚生省保険局長

○政府委員(黒木武弘君) この事務を取り扱っております社会保険事務所、もとより公務員でございますので、知った場合には通報の義務があるものと心得ております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 もう時間がなくなりましたので、ちょっと政府専用機の方についてお聞きしたいと思います。  秋口から訓練をされまして大分もう進んでいるんだろうと思うんですが、先般の総理大臣の外遊のときにこの飛行機をせっかく持っていながら使わなかったわけでございますが、政府専用機を使わなかった、あるいは使えなかったのか、その理由についてちょっと御説明いただきたいと思います。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 政府専用機の運用の問題でございますけれども、防衛庁にとりましてこの政府専用機の機種でございますB-747-40〇といった大型輸送機は全くの新規機種であることに加えまして、実績といたしましても恒常的な海外運用を行うという事例がこれまでございませんでしたので、安全のために十分な訓練を要するということで相当の期間をかけないと安全な運航ができないということがございまして、その期間が相当程度かかるということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 いつごろ飛べるようになるんですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 現段階で確たることは申し上げられませんけれども、十分な安全運航ということを念頭に置きまして、大ざっぱに申しまして、一年程度の訓練期間は必要であろうというふうに考えているところでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 民間の会社と単純な比較はできない、それは前提条件ですけれども、この同じ機種、474型は日本航空、全日空では一体どのくらい練習すれば飛べるようになるのか条件がついていますけれども、大体座学で百時間ぐらい、あとはシミュレーターの模擬訓練で三十時間ぐらい、実際に飛行機そのものを使ってやるのが一時間か二時間、大体期間が四カ月から五カ月あれば操縦できると言っているんですよ。  防衛庁は一年以上かかってもこの飛行機を飛ばせないんですか。防衛庁の方のパイロットの技能が民間のより落ちるというふうには私は思いませんけれども、こんなに長い時間がかかるのは一体どういう理由なんですか。もうちょっと詳しく説明していただけませんか。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(宮下創平君) 委員の御疑問は、防衛庁になるとえらい訓練期間が長いということでございますが、基本的にはやはり自衛隊のパイロット、これは例えば優秀なパイロットでございますと、F15のパイロット等ですが、これが仮に民間に行きましても大型の機種の航空機の操縦を直ちにできるわけではございません。逆に言えば、今自衛隊は精強なパイロットを持っておりますけれども、大型機ということになりますと、今防衛局長の言いましたように、初めての経験でございまして、安全の上にもやっぱり安全な態勢をとって、そして万全を期してこの任務を遂行したいと思っておりますので、民間機の訓練期間とはおのずから違うわけです。  民間機の方は、そもそも大型機を運航しているパイロットは、機種が若干新しくなってもそう基本的に大きな相違はないわけでございますので、その点の御認識はいただきたいと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 これは、総理大臣あるいは要人が海外に行くときにその必要な経費を賄う、その部隊で行くためにやっているわけでございますから、総理大臣が海外に行くときに使えなかったんじゃ、まず何の役にも立たない。しかも、いつ飛べるのかもわからない。場合によったら今論議しています難民の救済だとか邦人の救出にもこれを使おうという計画でございますけれども、自衛隊の方の訓練が行き届かないのでいつ飛べるかわかりませんでは、これは役に立たない。要するに、むだ遣いということになってしまいます。  もう時間が来ましたので、防衛庁が安全に安全にと言っておられる意味はわかります。これは最後に言うんですが、飛行機が安全なのは下に置いてあるときが一番安全なんですよね。多分そういう意味で飛び立たせないように自衛隊が頑張っているのかなということだけを言いまして、そろそろ時間が来ましたので、終わらせていただきます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私の質問の主な柱は六項目あります。したがいまして、時間の関係もありますから、順不同でお尋ねする場合もあります。御了承いただきます。  今の政府専用機の話を聞いていて、私は頭にきましたよ。それはなぜかといったら、訓練が足りない、準備不足、いつ飛べるかわからないなどということを、私は答えてはならないと思う人です。それは国会軽視も甚だしいですよ。それは自衛隊だってそんな話されたら、あなた、頭にきますよ。やっぱりそういうところは私は本音を出して、誠意を持って答えなきゃだめだと言うんです。しかし、この問題は私の質問するところではありませんから、意見だけ言っておきます。これはもう国会にも自衛隊にも、みんなに失礼ですよ、その答弁は。そのことを前段に申し上げておきます。金のむだ遣いだとまで言われたでしょう、今。大変なことですよ。  まず第一に、会計検査院長に対してお尋ねいたします。二点あります。  一つは、単年度ごとに「会計検査のあらまし」という報告書が国会に提出されております。しかし、この報告書を見ますと、検査をどういうやり方でやり、指摘されている問題が出てきたのかがなかなかわからないんです。また、検査の仕方が不明なので、指摘されている問題以外で問題点がないのかどうかもわからない。したがいまして、検査の方法、使用した資料、検査の具体的経過が明らかになるようにしていけば、この報告書も行政情報を盛り込んで、私は今後誠実にやっていけば、今申されたような金のむだ遣いなどというものはなくなるんだろうと、こう思います。というのは、検査院でもおわかりのとおり、けさの朝日新聞、「会計検査前、ニセ工事撮影」、手抜き工事、自治体の首長も知っていたかのような報道をされておりますよ。  そこで、この一点目について、今の私の意見も含めて、どういう報告書のつくり方ということをお考えか、御所見をいただきたい。

中村清会計検査院院長

○会計検査院長(中村清君) 検査報告の書き方の問題でございますが、私どもは、従来指摘事項として最終的な結論をつけたものについて検査色して掲記する、こういう形でやってまいりました。  しかし、一ただいま先生がおっしゃったように、それだけでは十分でないという場合があるということも考慮いたしまして、今回の検査報告から、社会的関心が極めて高いというものにつきましては、従来の検査報告の指摘事項になじまない場合であっても、業務報告的なものとして一連の検査状況を示す、また所見も示すというふうな形で社会的関心に積極的にこたえていく。こういうことで検査報告に新たに一章を設けて掲記したところでございます。  この点につきましては、今後とも活用してまいりたいと、こう考えております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 二つ目の問題は、昨年の九月、国会で大蔵省が御答弁したことと関連をしてお尋ねいたします。  これは、年金福祉事業団などに対する検査院の実地検査とその結果の問題についてであります。これは検査院が九月中に検査を予定していると、調査をすると、こういうことになって、いましたので、それと関連をしてであります。  証券不祥事、特に損失補てん問題には会計検査院も関心を持っていただいていると思いますけれども、直接の検査対象である年金福祉事業団、商工中金、JR九州についての実地検査はどうなっていますか。

中村清会計検査院院長

○会計検査院長(中村清君) 御質問が具体的な検査状況になりますので、局長の方からかわって答弁させることにいたします。

小川幸作会計検査院第二局長

○説明員(小川幸作君) お答えいたします。  事業団への損失補てん問題に関しましては、年金資金の運用におきまして不適切な経理がなかったか、そういう観点から事業団の事情聴取をするとともに、平成三年の九月二日から四日まで三日間にわたりまして実地検査を行っております。資金運用にかかる書類等に基づいて調査を行ったわけでございます。  調査の内容といたしましては、事業団が行っております年金資金の運用のうち、自家運用、特に国債の短期売買を中心にいたしまして、証券会社からの売買報告書等に基づいて行っております。  調査の結果でございますが、昭和六十三年の一月から平成二年三月までの間に野村証券及び日興証券との間に行った国債の短期売買の中には、多額の国債を購入し、購入の当日または数日のうちに高く売却することが一カ月前後の間に繰り返し行われていた、そういう事態が見受けられました。これらの売買差益についてみますと、事業団が損失補てんを受けたとされる金額に、大略では照応するものとなっておりました。  しかし、結論として申し上げますと、まず国債の短期売買の売買価格を見ますと、すべて東京証券取引所終値のプラス・マイナス二%の範囲内におさまっておりまして、異常な取引価格ではなかったこと。それから、損失補てんがあったか否かを立証する証券会社側の資料が得られなかったこと。それから第三に、年金福祉事業団も証券会社から資料の提出を受けられず、詳しい事情を聞き出せないでいたこと。こういった事情で、調査した国債の短期売買のうち、国税当局の方で更正決定の対象となったのがどの取引かを特定することも困難でございました。これらの短期売買によって、事業団が両証券会社から利益の供与を受け、不適切な経理があったと判断することはできなかったわけでございます。  また、事業団で担当者から説明を聴取し、帳簿書類等に基づいて調査した限りにおきましては、事業団が損失補てんや利回り保証を証券会社に求めていたとする資料は見受けられませんでした。  以上でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 今度の国会で証券改革法案というのが国会審議の対象になっているわけでありますから、こういうことというのは、検査をしたその結果というものをこの審議に役立たせるようにしていくことが私は肝心だと思うので、会計検査院に対してお尋ねしているんです。  損失補てんしたことの結果というのはなかなか証拠がなかったと言うけれども、現実には、もう既に証券特別委員会の中でも大体五十三億は年金福祉事業団には損失補てんをしている。ところが、これ以上の金額を補てんされている準公共団体もあるというところまで発表されているわけであります。院法の第三十四条には、直ちに関係者に対しては意見表示する、こういうこともできると書いてあるわけでありますから、こういうことが二度と起きないようしていくためにも、会計検査院に与えられている役割というものは非常に大事でありますので、その点について既にしてあるのか、していないのか、お聞かせください。簡潔でいいです。

中村清会計検査院院長

○会計検査院長(中村清君) 国会で調査を約束した件につきましては、検査報告に掲記するかどうかということに関係なく、積極的に報告すべきものであるというふうに考えております。したがいまして、本件につきましても、御質問を求められた先生には、調査のまとまり次第報告すると、こういうふうな形でまいったわけでございます。  ただ、一般的に申しまして、今先生のおっしゃることはごもっともでございますので、そうした線について私どもとしては可能な限り努力していきたい、こう考えております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 よろしくお願いいたします。  それでは、次に国営木曽岬干拓事業の問題について会計検査院にお尋ねいたします。  本格工事に昭和四十五年に着工、総事業費百六十三億五千万円のうち、平成三年度までに百五十三億八千百万円、総事業費の九四・一%を支出、残り九億六千九百万円、これはスプリンクラーなど、かんがい施設のための費用と聞いている。したがって、平成四年度の予算の中では管理費として一千二百万のみ載っけているという現状になっている事業であります。  会計検査院長にお尋ねしたいのは、昭和五十五年のときに会計検査報告書で、特に掲記を要すると認めた事項としてこの問題を指摘しています。約八年過ぎております。そして、平成元年度に改めて意見表示をしています。  この問題について、会計検査院として、二度目ですからね、どのような所見を持っているのかお聞かせください。簡潔で結構であります。

白川健会計検査院第四局長

○説明員(白川健君) お答えいたします。  ただいま委員御指摘のとおり、昭和五十五年度に特記事項として掲記して以来約十年近く経過したということでございますけれども、その間、私どもといたしましては、当干拓事業が順調に推移しているかどうかということを中心に推移を見守ってきていたところでございますけれども、依然、事態が進展していないということがございます。  それから、その後農業を取り巻く情勢が大幅に変わっているということを踏まえまして、農林水産省におきまして、昭和六十二年に当干拓地の営農計画を策定したわけですけれども、その営農計画に基づきまして、果たしてここで農業が順調に経営できるかどうかという観点から検査を実施いたしました。  その結果、これは農林水産大臣にあてた改善意見に掲記したとおり、ここでもう農業を経営するのは非常に困難が伴う、収支面から見ても困難である、それから労働力を確保することも困難であるということが予測されたということから、先ほどもお示しのように、約百五十億円を超える事業費を投下したこの資金の効果が早期に発現できるように農水省に対して、何らかの形で対処すべきであると意見を申し上げた次第でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 今大事なことが答弁されたんですが、改めてそこのところだけ確かめますよ。  農水省の方が、農業後継者やその他の事情によって、農業の営農計画としてはこれはうまくいかないという報告を聞いていたと言ったんですか、今。ちょっと短く言ってください、そうならそうと。

白川健会計検査院第四局長

○説明員(白川健君) いや、そうではございません。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 では、何とおっしゃった。

白川健会計検査院第四局長

○説明員(白川健君) 農林水産省におきまして種々検討していたデータをもとに、私どもがそのほかの資料を入れまして検討をしたということでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 農水省からデータをいただいて、会計検査院として意見表示、二つの内容になったということね。

白川健会計検査院第四局長

○説明員(白川健君) そのとおりでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それはそのとおりでありますね。意見表示は二つあります。早急に県境を確定して事業を完了させること、二つは、干拓地の利用については多角的に検討すること、こうなっている。その後の対応としてはどういうことを会計検査院に報告されていますか。これも簡潔に。

白川健会計検査院第四局長

○説明員(白川健君) 私どもの意見に対しまして、農林水産省におきましては平成二年十二月及び三年十月に、関係の愛知、三重両県知事に対しまして、文書によってこの県境問題の早期解決の要請を行っているところでございます。  また、先ほどお話し申し上げました農業事情の関係でございますけれども、これにつきましても、東海農政局におきまして再度調査に入ったという報告を聞いております。  さらに、愛知、三重両県におきましては、平成二年十一月より幹部間におきまして木曽岬干拓問題等協議会を設けてこれまでに六回の協議を行い、またその後両県副知事で計三回の会議を行っております。しかし、まだ結論には至っていないという報告を承っております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 これ、忘れないでほしいんだよ。百五十三億九千万円、大変な多額のお金を使って実際は今野ざらし、こういう状態ですよ。それはもう会計検査院がその点を指摘されたから、今度は農林大臣にお聞きいたします。  今の話を聞いていて、どういう所見を持ちますか。

田名部匡省自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田名部匡省君) かねがね大変な問題だということで努力はいたしておりますが、基本的には愛知県と三重県が協議をしなければ一歩も前進しない問題でありまして、一そのために両県に対して再三にわたって県境の早期画定を要請しておるわけでありますが、いまだその決着を見ていないということはまことに残念だと、こう思います。  しかし、全然進んでおらぬかというと、それぞれこの検討のための干拓問題協議会を設置して、平成三年十一月には部長レベルの協議から副知事レベルの協議とするなど努力はいたしておるようでありますが、先ほど申し上げましたように、いまだ決着を見ていない。決着いたしませんと私どもは手の打ちようが実はもう全くないわけでありまして、残念なことでありますが、とにかく両県で早期に決着を図っていただきたいということであります。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 この事業の責任者はどなたですか。

海野研一農林水産省構造改善局長

○政府委員(海野研一君) この国営の干拓事業、事業主体としては、最高責任者は農林水産大臣であると思います。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 これは同僚の決算委員の方でも質問する人がありますから、この点は私も簡潔に最後終わりますが、部長会議を何回やりました、副知事会議を四回やりました、六回やりましたと言ったって、結論が出なけりゃ何の意味もないんですよ。何ぼやったってだめなんです。  そこで、私はお聞きいたしますが、自治大臣、これは地方自治法第九条第一項、第二百五十三条第一項、第二項、これと関連をいたしますと、両県の間で農林大臣から何ぼ要請が行っても、打ち合わせ、会合だけは積み重ねているようでありますが、何らいい結果を今日まで得られない、会計検査院が昭和五十五年に指摘している問題であるにもかかわらずであります。この法律に基づいて自治大臣がもう世話をする段階に来たんじゃありませんか。どうですか。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど農林水産大臣が御答弁しておりますように、現在副知事で鋭意詰めまして、この平成四年の二月でございましょうか、新しい会合もしておるわけでございます。相当事実関係の確認が煮詰まってきたように私たちは聞いております。  この種の問題は、自治大臣の最終権限であるとはおっしゃいますけれども、しかし現地におきますところの地方自治の本旨をわきまえていかなきゃなりませんので、それぞれの県においての話し合いがやっぱり十分に煮詰まってくることが不可欠でございますのでございまするので、その段階をもうしばらくお待ちいただきたい。  中海の干拓のときの境界線につきましても、この種の問題でなかなか事実確認並びにその地元におきますところの理解というものでお互いにそれぞれの主張をいたしておりますので、そういうことを現地において十分煮詰めさせた上で、適当な時期に私らの方で両県知事からの要請を受けて決定いたしたい、こう思っております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私が心配しているのは、会計検査院が意見表示として指摘をした二項目目なんですよ。  農林大臣、この事業の目的というのははっきりしているんですよ。しかし、この事業の推移を見ていって会計検査院としてはもう農地はあきらめた方がいいんでないのと、こう言っているんだ。それを多目的利用などという言葉を使っているんですよ。これは農林省にとったら大変な問題なんですよ。これは農林水産委員会でも、今や全国の国営農地開発事業で農家の負担金の問題が出てどうにもならない状態になってきているときに、多目的利用というものの検討に入ったっていいんではないかと、こう言っているんです。そのときは、絶対そういうことはだめですよ、こう答えているんですよ。ところが、一方ではこういう御意見が出されているこういうときでありますから、これはぜひ今後真剣に検討してほしいと思います。  自治大臣、今答弁ありました。両県知事の間でいいところまでいっている、最後の一歩でありますと、こう言っていますから。しかし、私どもも決算委員会の一員といたしまして、二度まで意見表示されて、そしてなおかつその問題が今後も何年間もかかるというのでは、これは参議院の決算委員会というのは何のためにあるんだという疑問が出ますから、その点はひとつよく踏まえておいてほしい。  それで、改めてこの席をかりて決算委員長にお願いしておきます。自治大臣も現地の知事を待つ、農林省も指導している、しかしなかなか前に進まない、こういう状況でありますから、何かのきっかけがなければどうしてもこれ以上出ないとこう私は判断しているので、次回の決算委員会には両県知事に参考人として来ていただいて真剣にその議論を聞いたり、聞かせられたりしてみたい、こう思いますので、ぜひ次回理事協議会の中で相談をしてほしいということをお願いしておきます。

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) 承知しました。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それでは、次に移らせていただきます。  今度は、いわゆる岩手県盛岡市の通称岡部山事件で非常に長い間争われている問題について、法務大臣並びに関係局長、関連をして農水大臣、林野庁長官にお尋ねをしてまいりたいと思います。  この問題は、参議院の決算委員会において過去再三取り上げられている問題であることを私は申し添えます。しかし、なかなか決着がついていないという長期にわたっての係争でありますし、これは非常。に大事なことでありますから、二、三点お伺いしたいと思います。  一つは、昭和三十六年三月二十八日の農林省訓令第二章第三条に基づき、昭和三十六年四月、青森営林署長が雫石営林署長に赴任して、昭和三十六年十月九日の検測作業の内容証明書、及びその翌日から十四日間の境界の管理の必要が生じたとして検測作業を行って、ここから争いになった問題であります。  この山林の土地所有権の争いは、昭和三十七年八月十四日、盛団地裁に対し所有者が山林所有権確認の訴えから今日まで続いている問題であります。大変長い期間苦労されている問題であります。この方が言わんとするのは、日本は少なくとも法治国家でしょう、法治国家ならすべての国民に平等であるはずであります、公正でなければならないということを再三私も聞かされています。そこで、私はこの話を聞いていまして、本当にこれは私から見れば不思議でならないのでお尋ねするわけであります。  一つは、この物件は、明治四十二年、大正二年、大正六年、大正八年と非常に古い話で、元酒造業の大久保千代松さんという、これは貴族院議員だったそうでありますが、抵当権がこの物件に対して設定されている。この抵当権が設定されたときに、ときというのは大正九年九月二十九日、当時としては莫大な金の二万六千四百円で設定されている。当時の所有者の土地代金というのは三十七円六十六銭、要するに七百倍の抵当権を設定されていた物件であります。同時に、株式会社盛岡銀行が、現在の岩手銀行です、この所有権に対し三万四千円にて肩がわりを行った事実で、肩がわりしたわけでありますから、当然銀行で金だけ出して何にもないというのでは困りますから、銀行に保管しであったこの所有者の実測図というのも当然あります。そういうふうに聞きました。この実測図の山林の面積というのは四千三百九十六町歩だそうであります。  そして、準公共団体とも言うべき雫石森林組合も、昭和四十一年八月、実測面積三千六十四町歩と認めているそうであります。昭和十年六月ごろ、雫石営林署の森林主事もこれまた大久保さんの所有であるということを認めていたそうであります。これは林野庁の管理部長である田中啓一氏も所有権を認めていたということが、今日はっきりしてきていると聞かされています。  そこで、この争いは昭和十三年十月十五日付の書留にていわゆる所有者から山林境界立ち会い及び確認願が提出されていたんです。ところが、提出されていましたが、昭和十三年十月から昭和三十六年まで、何らその確認願の届け出もこれに基づく対応も営林署はしなかったと聞きます。  この問題に関連をして、昭和四十五年十月九日の参議院決算委員会において質問されて、林野庁の政府委員は、この確認願が提出されていません、受理されたことはありませんということを国会の中で答弁しているとい、つこともわかりました。ところが、これが争いの途中で本当は受理されていたということがはっきりしました。要するに、昭和十三年十月から三十六年までこの件は、受理していたにもかかわらず受理しない、対応しないというままほうっておかれました。このことがこの争いの発端だと私は感じます。  そこで一つお聞きしたいのは、林野庁長官、国会で答弁したことがうそであったということは事実ですか、どうですか。

小澤普照林野庁長官

○政府委員(小澤普照君) 私も当時の議事録を見させていただいたわけでございますけれども、岡部岩雄氏から雫石営林署長あてに出したと言われます山林境界立ち会い確認願につきましては、林野庁といたしましては、当時の答弁によりますと、「当時の件名簿を公式に調べてみましたけれども、件名簿の中のどこにも載っておりませんので、どうも、正式には役所で受けつけていないのではないかというふうに考えられます。」と答えておるわけでございます。  このことにつきまして現在どういう判断かということになるわけでございますけれども、このことの事実につきましては現在も間違いございません。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 法務大臣、そういう答弁をして、それが実際は、言葉は悪いが、うそであったということがわかった。実際は受け取っていた。ところが、受け取っていたんだけれども、昭和十年から三十六年まで何ら対応しませんでした。そして、三十六年に農林省訓令を出して、内容証明を出してこの境界の立ち合い検測作業に入っていった。そこで、先ほど申し上げたようないわゆる所有者の抵当権が設定されている物件であるにかかわらず、そのことを認めないで全部国の所有としてしまったというところからこの争いが続いている。  だから、最初からこの問題に、願いが出ているなら出ているように正直に申して、林野庁が誠実に対応していれば今ごろこの争いはなくて済んでいたのではなかったのかと、こう思うわけです。そして、今や何十年も過ぎたわけでありますから、その当時の問題は時効ですということになっているんだそうですよ。  私は、出発点のところが真実でない問題で出発しているとすれば、時効などは成り立たないと思うんですよ。この点について法務大臣の見解をひとつお聞きしたい。

加藤和夫法務省訟務局長

○政府委員(加藤和夫君) 具体的事案の事実関係に関することでございますので、政府委員の方から答弁させていただきます。  お尋ねの文書が営林署長において正式に受け付けられたかどうかという点につきましては、ただいま林野庁長官の御答弁のとおりでありまして、この点は件名簿等にも記載されていないので受け付けられていないということのようでございます。  それで、法務省は違う見解をとっているのではないかという御指摘だろうというふうに推察いたしますが、この点は平成二年に東京地裁の一万一千六百八十七号損害賠償請求事件という事件がございまして、この中で国は、平成三年三月二十六日の口頭弁論期日に陳述いたしました同年二月十二日付の準備書面で実は認否しているわけでございます。  この認否の内容でございますけれども、御指摘の立ち合い及び確認願、この文書が提出されたということについては確かに認めております。しかし、これがおっしゃるように受理されたということは認めていないわけでございます。したがって、この文書が受理されたということを前提にされている御質問については、お答えいたしかねるわけでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私は、その係争の中身に細かく入っていくつもりはないんですよ。どう考えても不思議でならないのは、昭和十年のときに山林境界立ち合い及び確認願というのが所有者から出されており、それを三十六年まで林野庁が対応しないで見逃がしてきた。そして、三十六年の十月に入って農林省訓令を出したら途端に境界立ち合い検測作業というものをこの訓令に基づいてやっていった。そして、所有者の抵当権として設定されていたものが個人所有者から途端に国有林に変わっていったという問題なんですから。  しかしこれは、お互いに所有者と林野庁でお話していけばいいんでしょうけれども、十年から三十六年まで知らぬふりと。言葉は悪いけれども、うそついていたんでないかと思うんですよ、私は。それが後で、国会の答弁でそういうことは受理していません、形跡もありませんと正式に答弁していたものが、何十年か過ぎたら林野庁から実際はその答弁は真実でなかったと、いわゆる受理はしていたんですということがわかった以上、私は誠意を持って話し合いしたっていいのではないかという視点に立って聞いているんです。だから、法務大臣はどう思いますかと聞いているんです。これは出発点のところが悪いんだ。

加藤和夫法務省訟務局長

○政府委員(加藤和夫君) ただいま委員がいろいろ御説明されたそういう問題点につきましても、先ほど来お話のある山林の所有権確認訴訟の中で双方から主張、立証が十分された上で、第一審の盛団地方裁判所及び第二審の仙台高等裁判所は、いずれも岡部さん側の所有権はないと、それは国の側の所有権であるということ、国の勝訴の判決を出しているわけでございます。そして、この判決は既に確定しているわけでございます。したがいまして、この点については既に決着済みというふうに法務省としては考えております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 地判の一審で判決が出て、高裁でも判決が出たというのは私も読んで知っているんです。昭和四十五年の十月九日に参議院の決算委員会で山林境界立ち合い及び確認願が所有者から提出されて、書留で出したんだから着いているのは当たり前なんです。私が今問題にしているのは、提出されていたんでしょうと言われたら、受理されていませんというのが政府の答弁だったんですよ。これは議事録にあるんだからわかります。そして、去年の三月二日、裁判上で実は受理していたということがわかりましたと言って、それを訂正したんですよ。違いますか。

加藤和夫法務省訟務局長

○政府委員(加藤和夫君) 今おっしゃる点につきましては、既に所有権確認訴訟の判決が昭和五十年九月二十五日に出ておりますけれども、この中で、「山林の境界立合及び確認願なる文書につきまして、この文書が同営林署に郵送されたことは当事者間に争いがないし、このように書いてございます。  ですから、既に過去のこの所有権をめぐっての訴訟におきまして、その点は争いがないということを前提にして判決がなされている。しかもその判決は確定しておる、こういうことでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それは、一審から続いて争っている中では、今申されたとおりでしょう。私がここで問題にしているのは、国会で受理していませんということを言って、みずからの弱さというものについてふたをしてそのまま争いを続けてきたということについては、これはただしておかなきゃいかぬということなんです。これは素直になった方がいいですよ。受理していたにもかかわらず受理していなかったとあの決算委員会では申し上げたんですと、しかし平成三年の年になってその証拠が出てきたものだから、今度は国会で申し上げたのはうそでしたと、真実は、受理していたんですというのと同じじゃないんですか。私はそこを確かめているだけなんですよ。

加藤和夫法務省訟務局長

○政府委員(加藤和夫君) 受理という言葉は委員がお使いになっている言葉でございますが、この提出したことを認めた趣旨は、この訴訟の原告の方から訴状で、岡部岩雄は営林署長あてに山林境界立ち合い及び確認願を書留郵便で提出したと、こういう主張があったわけでございますが、これに対してその提出を認めたということでございまして、その受理を認めたということではございません。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 こんなやりとりをする気はありませんから、今度で終わりますよ。  要するに、昭和四十五年十月九日に参議院の決算委員会においてこの問題が質問されて、政府委員として、その山林境界立ち合い及び確認願という文書は書留で所有者が提出をした、こう言っているんだが、そういう書類は受理されていませんと答えた。それは事実ですな。そうですと言ってください。そうですと。

小澤普照林野庁長官

○政府委員(小澤普照君) 先ほど御答弁をさせていただいているわけでございますけれども、この本件確認願なるものが営林署側の件名簿に登載されていないことは事実でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 ところが、国会で受理されていませんとこういう答弁していたものが、平成三年二月十二日にこの書類は受理しました、そしてこの問題について対応しませんでしたということが明らかになった。これは認めなけりゃ認めないと言ってください。

小澤普照林野庁長官

○政府委員(小澤普照君) 平成三年二月の、今先生おっしゃっていますのは準備書面との関連で言われているというように思いますけれども、この御指摘の損害賠償請求事件に係る国側の準備書面は、岡部氏の要請に対し対応しなかったという事実を認めたものでございまして、受理したというふうに認めたものではございません。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それからもう一つですけれども、要するにこの争いは、所有者と林野庁と検察庁と裁判所という中で証拠書類のようなものが何回か差しかえられたというような話も聞いています。そういう複雑かつ疑問に満ちたものがここに流れているんですね。だから私は、難しくなったら原点に戻れということがあるわけでありますし、大蔵省、盛岡銀行含めまして認めてきた物件なんだから、その点を出発点にしていったら解決の糸口がつくのではないかと思って、この問題をきょうお伺いしたわけであります。これは決して法治国家日本としては見逃すことのできない中身でありますから、その点だけ御意見を申し上げておきます。改めてこの問題を私も研究をして御意見を承りたい、こう思います。  次に移らせていただきます。  次は、これは大蔵省、大蔵大臣、関係局長でありますが、消費税の課税実績を見ると平成元年度、二年度ともに大幅に見積もりを下回る結果となっている。その原因を一体どのように分析しているのかということをお聞きしたい。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 消費税の見積もりと実績の差についての御質問でございますが、まず数字からちょっと申し上げさせていただきたいと存じます。  元年度の消費税収は四兆八百七十四億円でございまして、先生御指摘のように予算額に対しましては四千億円余、比率にいたしまして九・六%という減収でございました。また、二年度の消費税収、これは五兆七千七百八十四億円でございますけれども、これも補正後予算額に対しまして三千九十一億円、約五%の減収となったわけでございます。  毎年度の税収を見積もります場合には、予算編成の時点で利用可能な資料、この中で最大限の努力を傾けておるわけでございますけれども、見積もりとしての性格上乖離が生ずることは避けがたいところでございます。特にこの平成元年度、二年度の消費税の見積もりにつきましては、実は伝統的に、税収を見積もります場合にまず基本となりますものは、これまでの課税実績、つまり税収の実績でございますが、それを基礎にいたしましてその翌年度のいろいろな経済の指標等を参考にしながら数字をつくってまいるわけでございますけれども、消費税は元年度に初めて導入をされたわけでございまして実績がございません。また、二年度税収を見積もる時点におきましても、まだ元年度消費税の税収の帰趨というものが定かでないということでございまして、いわば見積もり時点で課税実績のデータが全くないという中での作業でございました。  そういうことから、付加価値統計でございますとか法人企業統計でございますとかあるいは経済見通してございますとか、そういった極めて大きなマクロの数字をもって推計せざるを得ないという事情にあったわけでございまして、そういう事情の中で最大限の努力をいたしましたけれども、大変申しわけないことではございますけれども、先ほど申し上げたようなそごが生じたということでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 消費者が支払った消費税が国庫に納付されず、事業者の手元に残ったままになっていることによって見積もりどおり税収が得られなかったのか、それともマクロ経済の動きが予定と違って、課税取引の予定が下回ってこのようになったのかということについて簡潔に教えてください。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 先ほどの益税のお尋ねでございますけれども、これはマクロのベースではございますが、計算をいたします場合に計算の基礎に見込んでございます数字につきましては、予算委員会あるいは決算委員会等の資料の中でも出させていただいておりまして、約五千億円ほど減算をした上で歳入の見通しを立てたわけでございます。したがいまして、これは織り込み済みの数字であったというふうに御判断をいただきたいと存じます。  それから、先ほど申し上げましたように、課税実績がないものでございますから、どれぐらいそもそも税収があるのかというところの実績がございません。したがって、それをいろいろな意味でのマクロの数字、法人企業統計でございますとか各種の統計、それから輸出入の動向あるいは経済見通しのさまざまな数字の伸び率というものをもとにして計算をしております。それが見通しと実績が違ってきたという点と、それから非常にマクロの数字で推計せざるを得なかった。この二つの要素がやはりこの実績と見通しの乖離につながったということでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 もう一つお尋ねしたいのは、消費税の還付金の関係についてお尋ねいたします。  還付金が非常に多いんです。日本国の税制の中では飛び切り違っているんですね。これは消費税の還付金が金額、比率ともに他の税目と違いまして大変高い。平成四年度は一四・一%還付されている。平成二年度は一九・六%が還付されている。私にすればこの数字というのは異例に映ります。消費税というのは、今から三年前に大激論になった問題であります。  この点について、これは予想どおりなんですか、当初からこれぐらい還付金があるものと予想されて消費税導入されたんですか、そこをちょっと教えてください。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 還付が多いのではないかと。いうお尋ねでございますが、実はこれはほかの税制と消費税とは仕組みが大分異なっております。そういう仕組み上の差に基づきまして、還付金というものがどうしてもある程度は発生せざるを得ないという事情にございます。  それはどういうことかと申しますと、消費税は多段階の前段階の累積排除税額控除方式ということでもって制度を仕組んでおります。どういうことかと申しますと、売り上げにかかる消費税から仕入れにかかる消費税を控除した金額、これを納めていただくという税制としてこの税制が成り立っているわけでございます。還付が起きます場合は、この売り上げに対する消費税よりも仕入れにかかる消費税額の方が多いという場合に、この還付という事態が発生するわけでございます。これは制度導入の当初から、そういうことで還付が発生するであろうということは、考えられる事態でございました。  その典型的な例は輸出でございます。これは、輸出に至るまでは国内の取引でございますから消費税がかかった取引でございますけれども、輸出になった段階で、国境税調整で国際的にすべての国が輸出の段階で輸出免税といいましょうか、輸出に対しては消費税がかからないという状況になります。そこで、還付という事態が輸出について起こるわけでございます。それから、設備投資なんかを多額にいたします。その設備投資も、これは普通の企業の損益計算とは違いまして、消費税の場合には仕入れ計算になりますので、この仕入れに対する消費税額という方に入ってくるわけでございます。したがいまして、輸出が多い事業でございますとか、あるいは非常に多くの設備投資をやった事業という場合には、還付という事態が発生するというシステムになっておるわけでございます。そうした関係から、今御指摘になりましたように、還付という事態が発生しておるわけでございます。  なお、当初見込んだ数字とどうかというお尋ねがございましたけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、実はちょうど決算の数字が明らかになっております平成元年度あるいは平成二年度の消費税収は、先ほど申し上げましたマクロのネットの計算でもって行っておりますので、この還付がどれくらいあるかということは、当時の積算としては計算ができませんでした。したがいまして、見込みの数字とその出てきた実績を対比するということができないわけでございますけれども、平成三年度以降は、これは既に実績が平成元年、一二年と積み重なってまいっておりますので、この還付というものも計算上見込めるようになっております。したがいまして、今委員がお尋ねの点は、もうしばらく今後の実績を見た上で御判断を賜りたいと思うわけでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 平成元年度が六千六百八十三億円の還付金、平成二年度が一兆四千九十億円の還付金。これと関連をいたしまして、消費税で一番頭の痛い人たちというのは、これは年金生活者ですよ、低所得者ですよ、子供ですよ。そして、この年金生活者に対しては導入時一回ぽっきり一方、五万で終わり。  ところが、実際この還付金を考えていきますと、大変な額、率になっているということがあるものですから、この点について大蔵省としては政策的に検討されているのか、いわゆる年金生活者に対して初年度だけでなくて、これからどうするかということについて検討されているのかどうか、お聞きします。また厚生大臣にも、この点について一体どう今後対応していったらいいのかということについて研究、対策などをしていたら、どうぞその点について聞かせていただきたい。

山下徳夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(山下徳夫君) 消費税の導入時に特別の措置を講じましたけれども、これは一つのショック緩和と申しますか、そういう趣旨でもってやったのでございますから、性格からしてもこれは一時的なものでございます。それはもう今後継続しないということは、そういう趣旨から御了解をいただきたいと思います。  なお、この導入の時点におきまして通常の物価スライドよりも高い年金額を定めたということは、年金の底上げをしたということでございますし、当時としては十分の措置は講じてありますし、これらによってショックどめをいたしましたから、これで御了解をいただきたいと思います。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私は、年金の底上げ、物価スライドなんというところの視点に立って言っているんじゃないんです。消費税がこれほど還付されるとは国民は予想もしなかったし、導入するときも予定しなかったと思いますよ。こんな税率はないんです。税率でいったら一九・六%戻るなどという税率はありませんよ。それを導入するときに、年金生活者の生活を補てんするという意味で、二項目にわたって一方、五万というのを一回やりましたと。それは物価スライドで年金は上げていますと言うが、現実には年金の支給平均というのは低いですよ。したがって、消費税が高齢化社会に向かっての投入財源とするなら、厚生省は約束したんだから一回で終わりだと言わないで続けていく必要があるのではないのか。あるいは別な意味で、年金のスライドという問題について、その点を含めて物価スライドだと言っているけれども、現実には物価の上昇というのは非常に生活関連の方が高いんですね。対策を練ったっていいのではないか、こう思っているから聞いているんです。  大蔵省も消費税法を考えるだけでなくて、これだけの還付率があるんだから、ちょっと財政的に高齢化社会に対応する一つの施策として研究してもいいんではないか、所見があったら聞かせてくださいと、こう言っている。大蔵大臣は、いや、いただくように決まってしまえば、私の方は厚生省にお任せするんですというんではちょっと……。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) お話をあれしておりますとちょっと誤解を受けてしまうと思うんですけれども、この税そのものの仕組みでありまして、いわゆる売り上げ、それに対して、例えば設備投資が行われたとか、あるいはその中で輸出の取引の割合が多いということ、これは先ほど御説明がありましたように、いわゆる消費されるのではなくて輸出するものということでありますから、そこで還付されるということなことでございまして、ちょっと今の御議論の性格が違うのではないかというふうに存じますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 性格は違っても、あなた、間接税だったら還付したって一%、所得税だったら今は三%ぐらいですか。これはもちろんそれと一緒にはできませんけれども、要するに、この年金生活者に対する対応の仕方というものがもう少し積極的であってもいいんではないかということと関連をしてお伺いしているわけでありますから、それ以降厚生省を中心として、やっぱり消費税の導入というのは大変な影響を受けているんですよ。  そこで次にお伺いするのは、外務大臣に二つだけお伺いいたします。  これは、質問通告ではミャンマー、タイに対する日本政府の外交姿勢についてお聞きしたかったんですけれども、もちろんこれと関連をしてお聞きするんですが、まず一つは、今PKO法案の問題で国会は大変な審議と苦労を重ねている。なかなか国民合意が得られない。こういうことを考えていくときに、どうしてもやっぱり外務大臣にお聞きしたいのは、武器を生産して輸出して、相手国に売り渡して争いをさせて、結果的に避難民とかいろいろな施設が破壊されて、日本がそれを復旧するということに相当力が入っているし、入れているということです。ところが、今国連が一番問題にしなきゃならないのは、こういう国を平和にしていくということと同時に、どうすれば一体武器輸出問題に終止符を打たせるのかというところに私はあるんだと思っているんです。  その点で、国連の中で武器輸出問題について、日本政府がどのように提起をして、国連の中でどのような議論されているのか、何が阻害しているのかをひとつ見解を交えて聞かせてください。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国連の中の経過報告的なことは、国連局長から説明をさせます。  我々といたしましては、もう既に御案内のとおり、戦争を少なくするためには、意外な国が意外なほどだれも知らないうちに武器を買い込む、こういうようなことがあったのでは突如として戦争が起きるということもあり得ますので、まずは通常兵器につきましても、国際間の武器の移動、それは無償であれ有償であれ、そういうものは登録制度をこしらえて明らかにしてもらうということで、これは日本がイニシアチブをとって採択されたことはもう御案内のとおりでございます。  したがいまして我々は、外国等に対する人道的な、あるいはまた自立の道を与えるためのODA等におきましても、軍事大国になるようなもの、あるいは武器の輸出をあからさまに行っておるようなもの等は、その援助のときには考慮しなきゃならぬという原則を持っておるわけであります。  国連の関係については国連局長から答弁させます。質問通告がないから来ていないようでございますが、以上ではぐあいがまずいでしょうか。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私は、どうも紛争処理国になっちゃってきている。国連は当然でありますけれども、今どんなに厳しい案件であっても、国連が今やらなきゃならないことは、当面起きている問題を平和裏に解決していくということと同時に、何としても国連の中から、主要各国からいわゆる紛争が起きるであろうという国に対しての武器輸出というものをどうして食いとめていくかということを考えていかな。いと、日本が経済大国だの、金がたくさんあるなどといったって、いつでもこの問題が絡んでいきます、こういうことです。そういう意味では、ぜひ日本政府が今外交の基本をどこに置くかということで、いろいろ重点項目ありますが、この武器輸出に対する問題については厳しく受けとめて、国連の中であるいは二国間外交の中で私は主張していってほしい、こう思いますから、その点はお願いしておきます。  それから二つ目の問題は、ミャンマーとタイの軍事政権について、一体日本政府、外務省はどのような分析をして、どういう対応をしているかということを簡潔に聞かせてもらいたい。

渡辺美智雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まず、ミャンマーの方でございますが、これは、今までソウ・マウン議長が非常に選挙の結果を尊重しないで非常識なことをやってきたことは事実で、我々もこれに抗議をし、速やかに国会を召集して民主的な憲法の草案をつくって、国民投票にかけるべしということは言ってきたわけであります。ところが、本年の四月二十三日、突然ミャンマーのソウ・マウン議長が辞任をする、それでタン・シュエ議長が今度は就任をするということになったわけであります。そこで、四月二十八日、総理並びに私からそれぞれ向こうの新議長並びにオン・ジョー外務大臣あてに書簡を発しまして、一日も早くスケジュールを決めて、民主化の手続をとり、民生に移管をしてほしい旨の要請を行っているところでございます。  また、タイの方につきましては、まだ政権がはっきり確定をしておりませんが、一日も早くこれらも民主的な手続によって議会が構成され、また新内閣ができることを望んで、その旨通告をしておる次第であります。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 続いて、行政情報の公開促進と関連をいたしまして、二、三質問をいたします。  一つは、行政資料の取り扱いについてなんですが、資料探索の政府努力というものがどういう状況になっているか、お伺いいたします。  というのは、旧植民地国民のいわゆる強制連行や従軍慰安婦問題に、当時の政府や軍部がどのようにかかわっていたのか。その問題を解明するためには、当時の行政及び軍部の関連資料を探索する必要があると思っているんです。政府はどのような努力を現在しているのかということを端的にお聞かせください。

有馬龍夫内閣外政審議室長

○政府委員(有馬龍夫君) 昨年の十二月以降、政府部内におきまして、内閣官房が調整をしながら関係があり得ると思われる省庁、外務、文部、厚生、労働各省と防衛庁、警察庁において資料の探索に努めているところでございます。  既に防衛庁からはかなりの数の資料が公にされておりまして、また文部省からも一件の報告に接しておりますけれども、その他の省庁においては引き続き現在調査を行っているところでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 二つ目は、朝鮮人、中国人などにかかわる強制連行関連資料探索の要請範囲についてお尋ねいたします。  これは、強制連行問題は、労働省職業安定局庶務課が担当していると聞いています。関係資料の探索について協力要請をした相手方の範囲及びその要請内容、そして要請した時期などについて要点を絞って報告してもらいたい。  なお、要請の対象範囲については今一部お聞きいたしましたが、中央官庁、都道府県、関係企業の別でひとつ明らかにできるならしてほしい。

若林之矩労働省職業安定局長

○政府委員(若林之矩君) 本日、近藤労働大臣が検査のために病院に赴いておりますので、私からかわって御答弁申し上げます。  いわゆる朝鮮人徴用者等の名簿の調査につきましては、平成二年五月の日韓外相会談の際に、韓国側からいわゆる朝鮮人徴用者等の名簿の入手について協力要請がございましで、日本国政府として協力することになりましたことを受けまして、労働省が中心となって関係省庁と協力して調査を行ってまいったところでございます。  第一点の中央省庁でございますが、平成二年五月と六月の二回にわたりまして内閣官房主宰のもとで、総務庁、法務省、外務省、厚生省及び労働省が集まりまして、各省庁それぞれ関係する部署において調査を行う旨、申し合わせが行われたところでございます。また、これ以外の省庁につきましても、必要に応じ内閣官房や労働省から協力を要請しておりまして、警察庁、北海道開発庁、防衛庁、沖縄開発庁、文部省、農林水産省、運輸省、建設省、自治省に協力を願っているところでございます。  地方自治体につきましては、平成二年六月、全都道府県め職業安定課長に対しまして都道府県組織に関する調査を指示いたしますとともに、平成三年十一月、内閣外政審議室長と職業安定局長の連名で各都道府県知事に対し、特に公共事業関係資料を重点に再度調査を行うよう依頼したところでございます。また、平成二年七月、全市区町村長に対しまして、各県の職業安定課長名により調査依頼を行いますとともに、平成三年十一月、知事に対して行ったと同様の依頼を再度職業安定局長名で行っております。  最後に、民間企業でございますが、これにつきましては平成二年六月以降市販の関係図書や新聞等に掲載された関係事業所のリストや地元住民の情報等をもとに、終戦前から存続している事業所でございまして、いわゆる朝鮮人徴用者等を受け入れていた可能性のあると思われる事業所など約八百カ所に対しまして、所在地の都道府県や公共職業安定所の職員が直接その企業の総務や労務の担当の方に、いわゆる朝鮮人徴用者等の名簿を保有しているかどうかの確認、及び保有している場合における名簿の提供の要請を行ってまいっておるところでございます。  以上でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私も福島県内における強制連行問題の調査団の一員でありますが、非常に厳しいですね。関係省庁、都道府県、市町村の自治体まで含めていっても、結果的になかなか進まないというのが実情です。したがって、民間の人たちというものと合わさってやっているわけなんですが、古い文書なものだからなかなか出てこないということがあるんです。  この点で私がなぜこの問題を質問したかというと、これはシンガポールの前の首相が関西の財界セミナーに来まして、本当に気になることを言っていたんですね。それから西ドイツ、今のドイツの元首相であるシュミットさんも大変気になる話を残して帰っでいっている。そのことがあるものですから、この問題は日本政府が力を入れて徹底的に仕上げていかなければならない、ここからアジアの中に占める日本の立場、信頼関係という立場がつくられるんではないか、こう思っているからこの問題をお聞きしたわけであります。これは、従軍慰安婦の問題も含めまして、資料探索も含めて、全力を挙げてやってほしい、こう思います。  この三つ目の問題は、諸外国に対する協力要請というのは外務省はなされているんですか、強制連行並びに従軍慰安婦問題で。

谷野作太郎外務省アジア局長

○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。  従軍慰安婦の問題あるいは強制連行については事柄の性質上、当面は日本の内部におきまして、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、関係省庁の御協力を得ながら調査を進めておるところでございます。  他方、もとより外国から発掘されます資料について全くこれを放置しておるわけではございませんで、例えば従軍慰安婦の問題につきましても、先生もあるいは御案内かもしれませんが、米国等より資料が出てきておりまして、それらのものにつきましては逐一在外の大使館から報告を受けております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 意外と我が国で調査してわからないことが外国の図書館にあったり、あるいは秘密文書として扱われてきて、年度が過ぎて公開してもよろしいということになって資料が入ってくるということがたびたびある。したがってその点で、この仕事を仕上げていくためにも外国への要請というものをひとつ各省庁やっていただくことを願いしたい、こう思います。文部省にお願いしておきたいのは、図書館、大学関係の中にこの種の資料というのがあるということも私はわかりましたので、そういう意味で文部省も積極的にこの役割を果たしてほしいということをお願いしておきます。  最後でありますが、もう一つは、情報公開の中で行政資料をどうしても公開してほしいという視点に立ては、日本の政府の中では秘密文書が多過ぎる、それから焼却文書が多過ぎる、これを何とか保管できないだろうかということです。仮に秘密文書でも何十年か後にはそれは公開できる、そのためには保管するというように長期的にできないんだろうかという意見を私は持っているんです。その点での所見を聞かせてください。

羽毛田信吾内閣参事官室首席内閣参事官

○説明員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  先生御指摘の秘密文書につきましては、申し合わせを政府部内でいたしておりまして、その趣旨は、秘密の区分を整理いたしまして秘密文書の指定をできるだけ最小限にとどめていこう、そしてまた秘密文書の指定等の手続についても厳格にしていこう、こういうような趣旨で申し合わせをいたしておるわけでございます。  したがいまして、その中で言っておりますことは、秘密文書と指定されたものでありましても、秘密にしておくべき期間が経過しました場合、あるいはその経過期間中でございましても再度考え直しまして、秘密文書にする必要がもうなくなったという時点になりましたら、これを秘密文書指定の扱いからは外すようにというようなことを政府部内で申し合わせをいたしておりますが、このことの徹底につきまして、さらに今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 終わります。ありがとうございました。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 私はきょうは三つの問題についてお伺いします。  一番最初の問題は、先ほど会田理事の方からもお話がありました木曽岬干拓事業についてお伺いします。  この木曽岬干拓事業の問題については、先ほど会田理事の方からもお話がありましたように、会計検査院は昭和五十五年及び平成元年の二度の決算検査において事業費の支出の妥当性についていろいろ意見表明をしています。私もこの問題に関しては、平成三年四月二十四日の本会議及び平成三年五月二十一日の当委員会において、農水大臣に対し早急に解決策を考えるべきだということを質問しました。当時の近藤農水大臣は、両県が一日も早く協議して合意が得られるよう進めていきたいと、こう言っておられたんです。  大臣、私がちょうどこの決算委員会で質問してから一年間が経過したんですけれども、境界確定に関してどのような進展があったのか、また協議の成立する見込みはどうなのか。要するに、部長級の会合があったが、それが今度副知事級の会合になったというふうなことを何回伺っても仕方がないので、協議の成否の行方について、どのようにお考えですか。

田名部匡省自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田名部匡省君) この解決の見込みということでありますが、見通しを立てていつまでに終わるとか、こういう解決方法があるということを今の段階で申し上げることがなかなかできないことはまことに残念であります。  いずれにしても、話し合いで決着をしていただく以外に何か強制的な方法というものも今のところ見当たらぬわけでありますから、とにかくいろいろ事情があるでしょうけれども、譲り合ってお互いに解決のための努力を、まあ下の方でやっているようでありますが、やっぱり最終的には知事同士で話をして決めてほしいという気持ちであります。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 大臣はそうおっしゃるけれども、この木曽岬干拓事業については、事業着工間もない昭和四十四年、三重県、愛知県両県知事において国営木曽岬干拓事業に関する覚書というものを両知事が締結している。そして、境界については、速やかに地元関係町村長及び三重県、愛知県両知事において協議する、こういう覚書を締結しているんです。だから、こういう覚書があって、速やかに協議、確定するということになっているんですね。  まず、なっているかなっていないかお伺いして、もしなっているとすれば、昭和四十四年からといったら現在まで二十四年間たっているんです。私が去年質問してから一年しかたっていない。だけれども、あなた、最初両・方でちゃんと境界を決めてきちんとしますよと言ってからもう二十四年たっているじゃないですか、全然進んでない。どうお考えになるんですか。

海野研一農林水産省構造改善局長

○政府委員(海野研一君) 御指摘のように、確かに両県知事の間で昭和四十四年十二月一日に速やかに解決するべく覚書が結ばれております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 どう考えているんですか、二十四年間。

海野研一農林水産省構造改善局長

○政府委員(海野研一君) 速やかにということは、二十四年といいますか、二十三年と申しますか、たつということを当然両県知事とも想定したわけではなかったろうと思います。確かに、この協議がいつまでも終わらないということの結果といたしまして、土地配分契約その他ができないために内部の工事ができないということで、平成二年度からは事実上工事の休止の措置をとっているというようなことになってきてしまっているわけでございます。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 これは解決する方法は大きく言えば二つあるだろうと思うんです。一つはもう全く別個な方法で両県知事の協議によって境界を確定するという方法と、もう一つは事業計画を変更してしまうという方法、これによってこの問題を解決する。まず最初の両県知事の境界問題の協議が成立しない限り、十年たっても二十年たっても、今後さらに五年たっても十年たっても確定しないというふうなことでは国費の乱費、これに余るものはないんです。  そこで、自治省にお伺いします。  境界確定、直接的には木曽岬の問題です。一般化しても結構ですが、この境界問題の確定を法的にはどのようになし得るのか。なし得ないはずはないんです。両方が承知しなきゃいつになってもできないなんということじゃ法律の不備ですから。自治省としてこの問題に直接ということになると非常に具体化して答えにくいかもしれませんが、一般論として、境界について両県知事が幾らやってもだめだといった場合の法的な確定方法についてお伺いしたい。

紀内隆宏自治省行政局長

○政府委員(紀内隆宏君) 公有水面のみに係る境界決定につきまして、一般的に申し上げたいと思います。  まず御理解いただきたいのは、この問題は現在県境問題としてクローズアップされておりますけれども、法律的に申し上げるならば、これは市町村の境界の問題であるということでございます。それで、市町村の境界が確定した暁に都道府県間の境界も確定すると、こういう構造になっているところでございます。  以下、その市町村の場合についての考え方について御説明申し上げますと、地方自治法の九条の二と九条の三と二通りの規定がございまして、まず市町村の境界に関して争論がないときは関係市町村の意見を聞いて、この意見を出す場合には議会の議決が必要でございます、都道府県知事が決定することができる、これが一つのルートでございます。  それからもう一つ、争論がある場合、この場合には都道府県知事が職権によって自治紛争調停委員の調停に付すか、ここで調ってしまえば境界が確定するわけでございます。または、当該調停によっては市町村の境界が確定しないとき、もしくはすべての関係市町村が裁定することについて同意した場合、この同意にも市町村の議会の議決が必要でございます。そういう同意がある場合には都道府県知事が裁定することができる、こういう規定になっておりまして、裁定も不服がなければ確定するわけでございます。  今申し上げましたのは同一県内の市町村の場合の規定の例でございまして、これが市町村の境界が都道府県の境界にかかってくる場合、この場合には依然として知事の仕事ではございますけれども、その場合にどちらの知事がその権限を行うかということを協議するわけでございます。その協議によっていずれかが決まればそのいずれかの知事がその手順を行うわけでございますけれども、その協議が調わない場合、その場合には自治大臣がその事件を処理すべき知事を定めるか、またはみずからその知事にかわって権限を代行する、こういう手順になっております。  法的な手順は以上のとおりでございまして、現在の具体的な問題につきましては、この争論がある場合と争論がない場合のいずれの場合にもまだ当たらない、その前段階として実質的に調整が進められているという段階と理解しております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 農水大臣ね、境界確定するためには、ただ口をあけて待っていなければならぬということじゃなくて、要するに地方自治法によれば、今局長がいろいろ言われたけれども、どうしても、話がつかぬならば自治大臣が決めろということなんです。それなら、その自治大臣が決めたのにどっちもあるいは片方が不満ならば、それは最終的には裁判所で決めてもらえばいい。要するに、両方の話がつくのをいつまで待っていたってしようがなければ、ひとつ自治大臣が両県知事の意見を聞いた上で決めてくれというふうに言ったら早く決まるんでしょう、どうですか。

田名部匡省自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田名部匡省君) そういうことになるかどうかわかりませんが、余り時間をかけることも結構でありませんので、よく相談申し上げて円満に決めるということが前提でありますが、努力をしてみたい、こう思っております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 私は、そのことよりももっと根本的な問題は、この干拓事業によって土地の配分を受ける可能性がある人の利益の相反の問題でなかなか話はつかぬとすれば、今言ったような境界確定というふうなことをやるよりは事業計画をすぽんと変更してしまったらどうだ、こう考えるんです。事業計画を変更するということに関連して簡単にお伺いすると、農水省としてもしこれを今のような状況で配分したら、配分を受け得る可能性がある人に対する払い下げというか、配分の価格はどのぐらいになりますか。

海野研一農林水産省構造改善局長

○政府委員(海野研一君) これはまだ工事が全部終わっていないということもございます。同時に、配分の場合には大抵の場合には都道府県が負担をするということがありますので一概になかなか申せませんけれども、周辺地価から比べればはるかに安いものになると思います。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 あなたはそんなことを言うけれども、あなたの方から持ってきた資料にはちゃんと書いてある。平成五年度に完了したと仮定した場合に配分する価格は十アール当たり二百九十四万円ぐらいになりますというんです。私もそうだろうと思うんです。ということは、一番わかりやすく言えば坪一万円ぐらいで配分になるんです。坪一万円ぐらいで配分になって、それを今度は仮に他に転売するの何のといったときに、この辺の地価がどのぐらいしていますか。どのぐらいしているか調べて、もし直接この地価がわからぬというのだったら近隣の地価で構いませんけれども、この辺の地価はどのぐらいしていますか。

海野研一農林水産省構造改善局長

○政府委員(海野研一君) 少なくとも十倍以上にはなると思います。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 だから、平成五年になって、愛知県の方の農家あるいは三重県の方の農家、この人たちはもし自分のところへ配分があれば坪一万円で配分を受けられるんです。しかも、あなたは十万円と言ったけれども、私もあなたも不動産屋じゃないから正確な金額はわからぬけれども、それが坪十万するか二十万するか、場合によっては三十万するかもしれない。それだけの土地を坪一方で配分を受けるんだったら、愛知県の農民だって三重県の農民だって、県知事のしりをたたいてどんどん持ってこい、もっと持ってこいと言うのに決まっているんです。これじゃ幾らたったって解決のしょうがない。  そこで、会計検査院が平成元年に指摘した会計検査の中に、先ほどの会田委員も言っておられましたけれども、こういうことを言っています。当該干拓地の立地条件や将来の農業情勢等を総合的に勘案し、干拓地の土地利用について多角的に検討する必要がある、このように平成元年に会計検査院も指摘しているんです。この会計検査院の干拓地の土地利用について多角的に検討する必要があるとい、つのは、具体的には何を言っているのかわかりませんけれども、直接的に事業計画の変更を述べているものではないですけれども、私は今申し上げたような農用地の必要性の低下だとか、農業経営の変化とか、近隣土地の市街化など、種々の要因によってもはや農用地上して不的確だというふうに考えるんです。だから、むしろこれを土地改良法に基づく農用地の造成という今から三十年近い前の当初の事業計画をもう変更して、全然違うことに転換したらどうだと。そうすれば坪一万円で買って十万、二十万で売れてもうかるかもしれぬと思う人もいなくなるし、事はすべてスムーズに行くと私は思うんです。このような事業計画の変更について、農水大臣の御意見をお伺いしたい。

田名部匡省自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田名部匡省君) いろいろ考えてみましても、最終的には両県の知事の同意を必要とするわけでありますから、何としても決着をつけていただかぬと、これは農地として許可をし、そしてこれを仮に他に目的を変えるとしてもまた両県の知事の同意といいますか、許可が必要になるわけでありますから、いずれにしてもここのところでひっかかりが出てくるということであります。  先生おっしゃるように、もう何十倍もするのであれば農地でなくて何かいろんなものを私も現地へ行ったわけじゃありませんが、図面で見せてもらうといい場所だなという感じはします。むしろそういうことに使われた方が有効であろうかと思う感じがするのでありますが、それを変更するにしても両県の知事の問題が出てくる。こういうことでありますから、いずれにしてもこの解決を図って、会計検査院の多角的な土地利用ということについても、そこがなければそっちにも進んでいけないという問題があります。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 大蔵大臣ね、農水省のことでお伺いするので非常に押しわけないけれども、しかし、もう先ほど申し上げたように、三十年前にもう少し畑が必要だ、田んぼが必要だということで始めたんだけれども、もう今は畑が余っている、田んぼも余っている、こういう時代の変化に応じて、単に愛知県、三重県というふうな小さな地域における受益者というふうなことを考えないで、中部圏全体の人にこの土地がどういうふうに利用されたら、国費をこれだけ出したものが有効になるかというふうな観点から、もう少し事業計画の変更等農水大臣とも協議した上で、国の銭なんですから、国の銭をもう少し国民的利益に転換するというふうなことについての御所見をお伺いしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 先ほどから御議論をずっとお聞きしておるわけでございますけれども、確かに大変長い時間がかかっておるということ、しかも国として大変貴重なお金というものを多額に実は投資しておるということからいいましても、やはり早くこの話し合いというものがついて、事業効果というものの早期発現というものが図られなければならないものであろうというふうに私ども承知をいたしております。しかしいずれにいたしましても、この土地利用につきましては今農林水産省から今後県境問題の解決とあわせまして関係県、市町村の意向を聞きつつ検討していこうというふうにお聞きしておりまして、私どもといたしましてはこれら関係者によります検討をまって対応していかなければならぬだろうというふうに思っております。しかし、今お話がございましたように、ここまで時間がたっている問題ですから、やっぱり大乗的な見地からそれぞれの関係者が話し合ってもらいたい、私どもも強くそう思います。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 この問題はそれだけにして、次に運輸省にお伺いします。  去る五月十四日付の朝日新聞によると、運輸省は国有海岸の利用促進のための研究会を設けて、その提言を受けて海岸のレジャー施設設置による利用を検討中だというふうな報道がなされています。運輸省として国有海岸にレジャー施設等を設置するための研究会等を設けたのか、そしてその研究会の提言というのは一口に言うと、どんなことになっているかお伺いします。

上村正明運輸省港湾局長

○政府委員(上村正明君) 運輸省は昨年七月、社団法人日本マリーナ・ビーチ協会に、ビーチ利用促進のための新たな海岸管理のあり方について検討を依頼いたしました。同協会は学識経験者から成る研究小委員会を設けまして検討を進めていただきまして、本年三月、運輸省に提言がなされたものでございます。  その提言の内容を一口で申し上げますと、最近海岸を場としたレジャーが非常に拡大しておりますので、従来海岸といえば国土保全の対象だけであったのでありますけれども、今後は、国土保全ということを大事にしながらも、そういった利用の増加についても対応すべきであるという観点からの御提言がと思います。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 ちょっと細かいことをいろいろ聞きたいんだけれども、時間がありませんので。  私はこの研究会というものの提言を読んで、大きく言って二つの点について非常に問題があると思う。  なぜかというと、まず第一が、現在海岸がどのように私企業によってプライベートビーチ化されて使われているかということについての象徴的な問題として沖縄の問題があるわけです。ところが、この沖縄の問題についてこの提言は、「質の高いサービスを実現しているものとして、沖縄に見られるリゾートホテル型のビーチ利用の形態がある。」「ビーチとホテルが一体的になって、各種利便施設を設置するとともに、ホテルが養浜、清掃などを行いライフガードも運営することによって、ビーチの快適性、安全性を高めているなど、海岸に求められる多様なサービスを提供し、多くの利用者の支持を得ている。」、こういうことが提言内容に書いてあるんです。しかし、沖縄のプライベートビーチ化の問題について、「多様なサービスを提供し、多くの利用者の支持を得ている。」というふうな評価をしていられるような段階じゃないんじゃありませんかということなんです。  沖縄県は、このようなホテルによるプライベートビーチ化に対して、どのように対処しているか。私は、平成二年十一月二十八日、やはりこの委員会で、沖縄のプライベートビーチ化問題に対して沖縄県議会が平成二年十月十五日全会派の一致をもって海浜を自由に使用するための条例を議決した一その辺のことについていろいろ質問しています。そしてまた、建設省なり沖縄開発庁なりからいろいろこの条例に関する御意見もいただいている。県議会は、この条例を定めるに際して沖縄県下の五十三全市町村の意見を聞いて、こういう状況じゃ困るんだ、こんなプライベートビーチ化されたら国民の海岸の自由利用はできなくなるということで、この条例をつくったんです。ですから、海浜レジャー企業の立場に立たない限り、沖縄県の現状に対してこんな提言が言うような多くの利用者の支持を得ているなどという結論は絶対出てこないはずであると思うんです。まず、これについて運輸省の見解いかん。どうですか。

上村正明運輸省港湾局長

○政府委員(上村正明君) 先生御指摘の、沖縄県におきましてホテルによるプライベートビーチ化の問題が起こり、それに対して県議会で条例が制定された事情などは十分承知しております。  それから、先ほど先生がお取り上げになりました提言の中で「多くの利用者の支持を得ている。」というくだり一があるわけでございますが、この点につきましては、私どもは、企業の立場というのではなくて、純粋に学識経験者の立場から、沖縄の快適で安全なリゾートホテル型の海浜の利用者が多いという事実関係に言及しておられるのだというように認識しております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 沖縄の県議会にしろ市町村にしろ、これでぐあいがよろしいといったらこんな条例つくりゃしないんです。こういうことで、県民、自治体はもとより、県に観光に来る人が、何だ沖縄の海は銭取られなきゃ入れないのか、こういう状況をどうするんだということで条例をつくってるんだ。それが沖縄のリゾートビーチ、プライベートビーチは非常に結構だ結構だという、これはどういうことなんだ。何を検討してこういう結構だなんていう話が出てくるんだ。それで、こういうふうな沖縄のこの問題を、沖縄県民の立場ではなくて、企業の立場に立つからそういうふうに結構な話だというのが出てくみだけじゃないかど私は思うんです。そうでなくて、実際にいろいろ調べてみて、その上で結構だということでこの提言ができているのかどうかということなんだ。  それで、提言の第二番目の問題は、これは、海浜利用関連施設の設置者として結果的には企業を置いているんです。これはもう文章を読みません、文章を読むと時間がなくなっちゃうから。しかし、もし本当に海岸を国民のために利用することが必要ならば、まず企業じゃなくて、国もしくは地方公共団体による設置ということを考えるべきじゃありませんか。それでもだめだったら今度は第三セクターとか何らかいい方法はないだろうかと考えるべきなのに、この提言は、そんなことは全部すっぽかして企業利益、市場原理を導入して民間活力を起用する、こういうことを言っている。しかもこれは、あなた、国有財産たる海岸そのものについての企業の利用関連施設の設置をしろと言っている。これについてはどう考えているのか。

上村正明運輸省港湾局長

○政府委員(上村正明君) 提言は、質の高いサービスを利用者に提供しようという観点から主としてなされていると思います。しかし、これを私どもがどう受けとめるかということはまた別の問題でございまして、国や地方公共団体、いわゆる公共セクターはそれなりの特質を持っておりますし、また第三セクターも民間や公共セクターにないいい点を持っております。それからまた、民間セクターにつきましても、非常にきめ細かいサービスを提供するという点ではいい点も持っておりますので、具体的な考え方をまとめるに当たりましては、単に民間だけではなくて、先生がおっしゃいますような公共セクターあるいは第三セクターというようなものも十分念頭に置きながら考えていきたいと存じております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 だとしたら、企業の集団であるような社団法人マリーナ・ビーチ協会というふうなところに研究委託するという、その第一発が間違っているじゃないの。そうじゃなくて、もっと客観的なものをつくったらどうなんです。  いずれにせよ、運輸省でどういうふうにこの提言を実現していこうと考えているのか考えていないのか知らぬけれども、海岸は運輸省だけの所管じゃないんです。運輸省の所管以外に農水大臣の所管もあるし建設大臣の所管もある。ほかの所管でないものは建設大臣がとりあえず所管する、こういうことになっている。運輸省が所管する国有海岸にいろんな施設をつくって、海の中を含めて、それから海岸も含めていろんな施設をつくる、それでこれが国民の利便だ利便だと、こう言う。建設大臣、どう考えますか。あなたの所管する方は全然手をつけないで向こうだけ手をつけるなんて、こんなアンバランスな国土、海岸の利用ということについてどうお考えですか一

山崎拓自由民主党建設大臣

○国務大臣(山崎拓君) 建設省といたしましては、国有の海浜地は国民の貴重な共有の財産であり、公衆の自由な使用に供されるべきものと考えております。したがいまして、その利用につきましても、海浜地としての自由な利用を妨げない限度で、かつ海岸の保全に著しい支障を及ぼすおそれがない場合に限り認めているところでございまして、今後もこの方針を堅持してまいりたいと考えております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 大蔵大臣、運輸省から私が直接聞いたわけじゃない。新聞報道によれば、国有財産法十八条の規定をいろいろ自由勝手に解釈すれば、そういうふうなものを国有財産たる海岸に設置できるようにお考えみたいなことなんですが、国有財産法によれば、「行政財産は、これを貸し付けこ「又はこれに私権を設定することができない。」「その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は。収益を許可することができる。」、個別的な許可なんです。ところが、この提言が言っているのは、海岸に単なる夏のよしず張りの海水浴場じゃなくてちゃんとしたものをつくって一年じゅつ通じてやっていくんだと、期間は貸すなら十年ぐらいがいいなんて言っているんです。こんなものは国有財産法違反じゃないですか。にもかかわらず、そんな提言を受け入れるか受け入れないか知らぬけれども一そんなふうなことを言っている。海岸利用にそんな十年も期間をきちんと決めて、鉄骨でつくるか何だか知らぬけれども、海水浴場だとかホテルみたいなもの、そんなものをつくるということについて、大蔵大臣はどうお考えですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 先ほど御指摘がございましたように、海岸には運輸省が所管いたしますもの、あるいは建設省または農林水産省が所管するものがあるということでございまして、この管理につきましてはこれまでも話し合いをしながら統一的な考え方に基づいて行ってきたところであります。  運輸省が国有海浜地の管理方法につきましてどのような方向で検討されているのか、私どもも直接伺っておるところではございませんけれども、広く公共の用に供するという公共用財産の性格、こういったことを重視しながら利用の公正性あるいは管理の整合性の確保が肝要でございまして、適切な基準のもとに環境の保全等も考えながら有効に運用する必要があろうというふうに考えております。  国有財産を総括するという立場に私どもございます。今後関係省庁と十分に連絡をとりながら、適切な対応というものをしていかなければいけないだろうというふうに考えます。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 時間がありません。  脳死の問題についてお伺いします。  まず法務省に、現行法上いわゆる三徴候による心臓死を死とするということについて直接の定義規定はありませんけれども、明治以来、心臓死を人間の死とするということは法律上当然に適用されてきていると思いますが、百年にわたって適用されてきたこの心臓死を死とするということ、これを法律上どのように位置づけておられますか。

濱邦久法務省刑事局長

○政府委員(濱邦久君) 今委員御指摘になられましたとおり、現行法上いわゆる三徴候をもって人の死と認める旨の明文の規定はございません。これまで三徴候をもって人の死とすることが社会的通念となっていたということから、その社会的通念に従いまして、死及び死亡の解釈がなされてきたものというふうに考えているわけでございます。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 法務省としては、従前の三徴候による心臓死をもうずっと法的に死としてきているわけですから、もし脳死を人の死であるというふうにした場合には新たな立法の必要性があると考えますか、なくて構わぬと思いますか。

濱邦久法務省刑事局長

○政府委員(濱邦久君) これはもう委員も御案内のとおり、人の死の問題は、一般的に社会通念によって決定すべきものであるというふうに考えられるわけでございます。これまで三徴候をもって人の死とすることが、先ほどお答え申し上げましたように、社会的通念となっていたのでございますけれども、広く脳死を人の死と認めることが社会的通念ということになるに至れば、これは法解釈を通じて、各法律の分野における人の死を脳死段階で認めることができるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、特別の立法措置は必要ないものというふうに考えるわけでございます。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 これはおかしい。しかし今ここで論争している時間がないので、厚生省に伺う。まず、今回のいわゆる脳死臨調の答申の中で、二点だけはどうしてもおかしいということでお伺いしておきたい。  脳死の判定基準について答申は、「竹内基準は現在の医学水準からみる限り妥当なものであろう」と、「必須とされた検査以外のいわゆる補助検査についても実施が可能なものは判定に取り入れることが有意義である」、こう書いてあります。  これは何を言っているかというと、いわゆる竹内基準によって六項目の検査項目がある、この六項目で検査して脳死の人は脳死でいいと、こういうことが最初に読んだ方なんです。竹内基準でいいと。問題は、竹内基準で六項目でいいと言っておきながら、ただし、そのような六項目の「必須とされた検査以外のいわゆる補助検査」、この補助検査というのは脳血流停止検査とか聴性脳幹反射テストとか言われるものなんですが、こういう「補助検査についても実施が可能なものは判定に取り入れることが有意義である」と書いてあるんです。  しかし、この六項目の検査項目をやればもう死人ですよと一方で言っておきながら、さらに補助的な検査をやればそれも有意義だと言うのです。人間が死ぬのに、この六項目でいいけれども、さらにあと二項目三項目追加して補助検査するのが有意義だなんて言われたんじゃ、死ぬにも死に切れないんです。六項目で死んだとされるのか、そのほかに追加検査を持ってこなきゃ死んだことにされるのかされないのか、こんなあいまいなことはないと思うんですが、どうですか。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) ただいま御指摘の答申の中では、すなわち竹内基準でいろいろな角度から調べた結果、これで十分であるということでございますが、さらに結果が目に見えるような補助検査をあわせて実施することもいわゆる社会的な配慮、またそれに関係する家族の立場から納得が得られるということから、そういうものをやることが有意義であるということでございまして、医学的には竹内基準で十分だということには変わりがないということだと理解しております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 もう一点。この答申は、去年の六月のときは、「脳死が「人の死」であるとする社会的合意は成立しつつある」と言っていたんです。ところが、半年たったことしの一月になると、「脳死をもって「人の死」とすることについては概ね社会的に受容され合意されているといってよい」、こう言っているんです。  この六カ月間の間に、「社会的合意は成立しつつある」と言っていたその脳死を死とすることが、半年たったら、おおむね社会的に合意がされていると言う。じゃ、この半年間の間にどれだけの変化があったか、何もありはしない。何もありはしないところか、むしろその間になされた世論調査等によっては、かえって反対だとかわからぬという人がふえている。平成三年九月の一般国民の世論調査によれば、反対が二四・五%、わからないという人が三〇・九%いるから、合わせれば五五・四%の人が反対あるいはわからないと、こう言っている。あるいは本年の一月、二月とNHKあるいは時事通信等の世論調査によっても、別に脳死をいいと言う人がふえたわけでもないんです。それにもかかわらず、半年たったら、合意が形成されつつあるなんていう合意が、もういつの間にか形成されちゃっているんだ。  というふうなことで、脳死臨調の答申はこの二点だけとってみてもまことに納得しがたいと思う。この点について御意見はどうですか。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) 各種のマスコミの機関の調査が発表されました。それからまた、脳死臨調自体でも、有識者調査それから個別の国民調査をやりました。  先生御指摘のところでは、この答申の中でもその経緯を書くために明確に、「平成三年九月に実施した一般国民を対象とした「脳死及び臓器移植についての世論調査」によれば、賛成四四六%、反対二四・五%に達していること、また、問題の性格上、国民の中にある程度の反対意見があることはむしろ当然であり、こうした国民感情も今後かなりの程度解消していくことも予想されることから、脳死をもって「人の死」とすることについては概ね社会的に受容され合意されているといってよいものと思われる。」、こういう文章になっておりまして、御承知のとおり有識者調査があり、各種の世論調査があり、臨調自身が調査をやったとか、そこで問題になりますのは賛成、反対のほかにわからないという部分が相当あったということで、そこの解釈についてもいろいろ臨調内で御議論がありまして、このような結果に至ったというぐあいに我々は理解させていただいております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 時間で残念ですけれども、終わります。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 私は自由民主党の木暮山人でございます。  本日、昭和六十三年度決算及び平成元年度決算の締めくくりの総括質疑に当たり、その議題となっております昭和六十三年という年は「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」、また「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」という二つのビジョンが策定された年であり、また平成元年は高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランが示された年でもありました。高齢社会に向けて長期ビジョンが相次いで発表された画期的な年でもまたあったのであります。  本格的高齢社会の到来を目前にした今日、今申し上げたような社会保障の分野のみならず、人生八十年時代にふさわしい総合的かつ体系的な社会経済システムの構築が求められているのであります。    〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕  この点、政府は昭和六十一年に長寿社会対策大綱を策定され、雇用・所得保障システム、健康・福祉システム、学習・社会参加システム及び住宅・生活環境システムに係る各種のプログラムを実施しておられるところであります。  しかし、残念なことにと申しますか、予算上あるいは決算上、これらのプログラムは個々の省庁の枠の中で個別に編成され、実行されている状況であります。超高齢化社会に向けまして社会システムの変革が急務となっている現在、予算あるいは決算上、各種の長寿社会プログラムが政府全体としてどのように行われているか、それを一くくりにして明らかにする工夫がなされてもよいのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。また、大蔵省においてこれらの長寿社会対策を実行に移すための中長期的財政ビジョンを明らかにしていただきたいと考えております。  まず、大蔵大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 我が国社会の高齢化に対応した長寿社会対策予算につきましては、厚生省初め関係の施策を実施しております各省庁ごとに予算計上をいたしておるところでございますけれども、その全体像を明らかにし、関係省庁間の緊密な連絡をとる意味で、毎年度、取りまとめ官庁でございます総務庁におきまして、長寿社会対策関係費として把握され、長寿社会対策関係閣僚会議、この場で実は配賦されておるというふうに私ども承知いたしております。  また、長寿社会の推進に当たりましては、中長期的観点に立ちまして昭和六十一年六月の閣議で決定された長寿社会対策大綱、これに即しまして関係各省庁におきまして施策が講じられているところでございまして、財政当局といたしましてもこの大綱及び毎年度の予算要求等踏まえまして、今後とも適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。  次に、平成四年度予算において、社会保障関係予算は従来に引き続き一般歳出の各経費の中で最大の伸びを占め、かつ一般歳出の三分の一を占める状況であります。その一方で、バブルがはじけた今日、財政状況は大変困難な状況に直面しておるわけでございます。  しかしながら、社会保障予算は人口の高齢化に伴い毎年多額の当然増を余儀なくされ、また低経済成長期にあればあるほど、国民の生活のよりどころとなる側面がございます。また、ゴールドプランは本格的高齢化社会に向けての基盤整備として、何としてもやり遂げていただかなければならない課題であると考えております。  そこで、厳しさが予測される今後の財政運営に当たりまして、今後とも必要な社会保障予算が確保されることについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 従来から社会保障予算につきましては、将来にわたりまして安定的であり、またかつ有効に機能する制度を築き上げていくために、医療あるいは年金など各種の制度、施策につきまして絶えず合理化、適正化に努めるとともに、今後の高齢化社会というものを展望しながら高齢者保健福祉推進十カ年戦略の着実な実施を図るなど、真に必要な施策につきましてきめ細かな配慮を行ってきたところでございますけれども、御指摘のございました点を私ども念頭に置きながら、今後ともその観点に立ちましてさらに適切に対応していきたいというふうに考えます。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。  次に、厚生省関係に、質問いたしたいと思います。  最近では、歯科診療の現場におきまして歯科衛生士等のスタッフが欠くべからざるものとなってきております。また、歯科衛生士はかつては一年の養成期間の養成所でありましたが、現在はすべて二年制となり、教育内容は以前に比べ極めて充実してまいりました。さらに、今年度から全国統一の歯科衛生士国家試験が実施され、その社会的地位も一段と上がったものと思われます。  しかしながら、一方では歯科衛生士を志す者が減り、またせっかく歯科衛生士となっても離職する者が増加してきていると聞いております。過去にも増して範囲が拡大し、内容の向上した歯科衛生士の業務を保険診療の場において適切に評価することが望まれております。また、そのことが歯科診療への人材確保の有力な手段となるものと思われます。  以上の点から、厚生省は今回の診療報酬改定でどのような対策を講じたのか、お答えをお願いいたします。

黒木武弘厚生省保険局長

○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、歯科医療におきましては歯科医師のみならず歯科衛生士と一体となったチーム医療が非常に重要であると認識をいたしております。また、これらのスタッフがその技術を十分発揮できますよう診療報酬上の評価を行っていくことは、これもまた重要と考えております。  お尋ねは、今回の改定において歯科衛生士関係でどのような措置を講じたかというお尋ねでございますけれども、今回の改定におきましては良質な歯科医療の提供ということの柱の一つといたしまして、その中で歯科衛生士が行う実地指導に係る点数を新設したところでございます。  具体的に御紹介いたしますと、齲歯(虫歯)の多発傾向者に対しまして歯科衛生士が行う実地指導、それから歯槽膿漏等の歯周疾患患者に対しまして歯科衛生士が適応検査と同時に行います実地指導等でございまして、いずれも歯科衛生士の業務として定められている歯科保健指導につきまして、歯科保健指導料を保険点数上新設いたしまして、適切に評価したところでございます。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございます。歯科衛生士の業務に対して評価がなされたことは大変結構なことだと思います。  続きまして、歯科衛生士は歯の健康づくりを担っている重要なスタッフであります。今回、新たに歯科衛生士の行う歯科保健指導等に対する評価が保険点数上でなされたことは大変結構なことであると思います。今後とも適切な保険点数の改正がなされることを期待するものであります。  ところで、歯科衛生士に対する評価が保険点数上で行われたことから、今後歯科診療所で業務に従事する歯科衛生士に対する需要がますますふえてくるようにも考えられますが、実際に歯科診療所には現在どのくらいの数の歯科衛生士が業務に従事されているかお伺いしたいと思います。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) 歯科衛生士は、平成二年の十月一日現在の調査で四万八千九百七十四人が医療に従事しておりますが、そのうち歯科診療所には四万四千八百六十三名、九二%に当たります。これは、歯科診療所数が全国で五万二千二百十六でございますから、単純に割りますと一診療所当たり約一人、〇・九人ということになろうかと思います。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。  次に、歯科衛生士の保険点数上の今回の評価、それから勤務状況については今御答弁を賜りました。  ところで、今や全国に広く知れ渡ってきた八〇二〇運動ですが、このことにつきましてはまたお尋ねするといたしまして、この八〇二〇運動を推進する上にも歯科衛生士は大変重要なスタッフになっております。それは、保健所や市町村等の公衆歯科衛生の現場活動だけではなく、歯科診療における臨床の現場においても同様であります。歯科衛生士をより有効に活用し八〇二〇運動を推進するためにも、より一層評価を歯科診療報酬の面で行うべきかと思いますが、この点につきまして厚生省はどのようなお考えにいるかお伺いしたいと思います。

黒木武弘厚生省保険局長

○政府委員(黒木武弘君) 八〇二〇運動の推進におきましては、歯周疾患と齲蝕による歯の喪失を防ぐことが具体的な。課題でございます。したがいまして、保険診療におきましても歯の喪失を防ぐための治療等に係る評価が極めて重要になるものと考えております。  今回の歯科診療報酬改定におきましても、先ほど申し上げました歯科衛生士による歯科保健指導点数の評価というのは、こういった八〇二〇運動の重要性にかんがみたもので、その結果でございます。今後とも、国民の歯科診療への受療行動やニーズの変化、歯科医療技術の進歩等を考慮しつつ、中医協におきます御議論を踏まえながら、歯科衛生士の業務が適切に評価されるよう努力してまいりたいと思います。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。  次に、国民が高齢化してきていることから、今後歯科衛生士が歯科保健指導を行うことがますます重要になってくると考えられますので、今後とも歯科衛生士の業務が適切に評価されることは大事なことであると思いますので、これから厚生省の対応に期待いたしていきたいと思います。  ところで、歯科衛生士に対する社会の評価が高まることで歯科診療所における歯科衛生士の求人がふえるようにも思えますが、歯科衛生士の養成についてはどのようになされているのでしょうか。また、これから歯科衛生士の養成はどのようになされていくのでしょうか。この点についてお伺いしたいと思います。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) 我が国におきます歯科衛生士の養成につきましては、厚生大臣と文部大臣の指定しました現在百三十四校の歯科衛生士学校、養成所において行われておりまして、すべての都道府県にこれらの養成所、学校は設置されるに至っております。その数は平成四年度で総定員七千百八十五名になっております。これはかって昭和六十三年め百二十八校七千名からは漸増してきているわけでございますが、今後とも歯科衛生士の資質の向上を図りながら養成・確保を図っていきたいと思っております。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。  また、それに関連いたしまして、看護婦さんを初めとする保健医療福祉分野における人材確保の推進については、既に法律案が参議院を通過しているところであります。歯科保健医療の分野においては、歯科衛生士の確保が極めて重要であると考えております。看護婦さんについてはその養成に対して国庫補助がなされているところでありますが、歯科衛生士の養成に対しましても国として補助を行うことが必要であると考えられますが、こんなような点につきまして厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) 現在、医療関係の職種におきましては、殊に看護婦不足ということが非常にその充実が喫緊の課題でございまして、これは過去からこの養成につきましての公的な補助がなされているわけでございます。    〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕  歯科衛生士につきましても、人口の急速な高齢化に伴います歯周疾患の増加等に対応いたしまして、資質の高い歯科衛生士の養成・確保を図っていく必要があると考えております。このために、昭和五十四年から社会福祉施設等への巡回臨床実習教育事業というものを行います際に、実習用の歯科医療機器の整備に対しまして国庫補助を行ってきているところでございますが、今後ともにそういう趣旨で検討をさせていただきたいと思うわけでございます。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございます。  歯科の補綴物をめぐる問題について、診療報酬と同時に歯学教育における臨床の問題があると考えております。医学教育と比べた歯学教育の特質は、臨床実習を重視し、これが体系的に組み込まれているという点にあるのではないかと思います。しかしながら、文部省の歯学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終まとめの資料によれば、補綴の臨床実習において多くの大学は介助や見学に終わっております。このような状態から、このままでは国民の四人に一人が高齢者になる本格的高齢化社会の時代には、国民の皆様が満足できる入れ歯をつくれる歯科医がいなくなってしまうのではないかと言われるように懸念される状況にあります。  年前の臨床実習において実技をもっと重視し、学生がみずから実際に患者に手を触れ、技術を習得できるだけの経験を積める体制を整備すると同時に、卒業に当たって臨床実習の実技試験を実施するような工夫も必要ではないかと考えます。以前の教育体系の中にはそのようなものも包含されておったわけでございますが、文部省の御見解をお伺いしたいと思います。

前畑安宏文部省高等教育局長

○政府委員(前畑安宏君) ただいま先生御指摘いただきました私どもの歯学教育の改善に関する調査研究協力者会議というところで、六十二年の九月に最終まとめというものをちょうだいいたしました。  その中で、御指摘のような資料がございます。もとより御指摘のように、このまとめの中におきましても「歯科医師の養成に当たっては、技術の練磨が特に重要であり、歯学教育における臨床実習の占める割合は大きいが、直接に患者の診療を通しての臨床実習は減少の傾向を示している。学生の臨床実習をどのように充実させていくべきかは、最も重要な課題である。」という御指摘をちょうだいいたしております。  御案内のとおり、御専門でございますので多くは申し上げませんが、最近における歯科医学、歯科医療の急速な発展に伴って、教えるべき情報量が増大をして、いわゆる授業時間数を圧縮しなければならないという問題もございます。また、附属病院につきましても、ここで臨床実習をやるわけでございますが、歯科診療所が増加してきたということもありまして、病院に来る患者は疾患の程度が重度の者や難病の者が多くなり、学生の実習に適した基本的、日常的疾患の患者が減少しているというような問題もございます。また、これは大学における歯学の教育からすれば決して本質的な問題であってはならないと思いますが、これも先生御案内のように、歯科医師の国家試験のあり方というようなものも現実には大きな影響を与えております。  しかしながら、御指摘のように、この問題は大変重要でありますので、この最終まとめを各大学に届けまして、臨床実習、実習教育の充実に配慮を促しますとともに、また私どもの方で視学委員という制度がございまして、歯学の専門家が関係の大学を回っていろいろと相談をしたり助言をしたりしておりますが、その中でも特色があるものというものを各大学に連絡をしまして、こういうふうな特色ある教育をやっている、よって、当該大学においてもそれぞれお考えいただきたいということをやっております。  例えば、歯科臨床の研究所を設けている大学があったり、あるいは学生の相互実習の充実、あるいは臨床実習用のファントムシステムでの実習強化を図っている例もありますよとか、あるいは臨床実習におきまして、配当された患者を初診から終了まで通して診る総合診療制度をとっているものもありますよと、こういう例を紹介しながら、それぞれの大学における臨床実習の充実に配慮を促しておるところでございます。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 ありがとうございます。  引き続き関連しまして、今度は卒後研修の充実についてお伺いさせていただきたいと思います。  ただいま卒前の臨床実習の充実について御見解をお伺いいたしましたが、正直なところ、歯科医学と歯科医療技術の進歩に伴い、歯科教育におけるカリキュラムは相当過密化しております。こうした中で、卒前の臨床実習と相まって、これを補完し、多くの症例に接することができる卒後の臨床研修制度の役割が私は重要になってきているのではないかと思います。  医学教育におきましては、今日既に医師の臨床研修が医師法に明記され、医学部卒業生の八割がこれを行っている状況であります。  しかしながら、歯科医の場合はその臨床研修は制度化されておらず、助成制度についても昭和六十二年から始まったばかりで、今日なお対象者は卒業生の三分の一にすぎません。さらに、臨床研修期間も医師の二年に対し、歯科医のそれは一年にすぎません。  歯科医療の高度化、多様化に対し、かつ歯科保健福祉サービスの社会的ニーズに対応するためにも、私は二年間の卒後臨床研修期間を制度化するとともに、予算面で抜本的な拡充を図る必要があると考えますが、厚生省並びに文部省の御見解をひとつお伺いさせていただきたいと思います。

古市圭治厚生省健康政策局長

○政府委員(古市圭治君) 先生の御指摘のとおり、歯科医師の臨床能力というものを高めるということが、非常に国民歯科医療の上からも重要なことには論をまたないわけでございまして、ただいま文部省の方から御説明がありましたように、それは基本的には歯学部、歯科大学の教育の中で基礎をつくっていただき、また国家試験にはそのような能力もチェックできるような設問を設けるということで、いろいろ検討してもらっているわけでございます。  さらに、その歯科医師免許を取った後におきます臨床研修ということの重要性から、私どもは昭和六十二年度より一般歯科医療の養成研修事業と。いうものを始めさせていただいております。ところが、これは先生御承知のように、医学部を出ますと大半の人がそれぞれ研修をするわけでございますが、これも義務はっけられておりませんが、大半は研修をする。しかし、歯学部の場合は、従前からすぐ診療所の方に採用される、臨床の第一線に出られるという人が多かったということから、この研修を受ける率というのがそう高くないということでございます。  平成四年度におきまして、歯科大学、歯学部附属病院におきましては、新卒者の三五・四%というものが対象となって実施されております。しかし、この率も近年徐々には上がってきているということでございます。関係者のコンセンサス、それから研修の実施体制の面から、現段階ではこれを制度化するというのは無理でございますが、当面臨床研修事業の推進にさらに努めてまいりたいと思っているわけでございます。  また、お尋ねの二年町の卒後臨床研修の制度を制度化するとともに、予算でも拡充するということでございますが、これは私どもは、今申し上げましたように、多くの症例に接していく歯科医師としてその研修を広範に行って、知識、技術を習得するという重要性については十分承知しているわけでございます。  ちなみに、今申し上げましたこの予算上で申し上げますと、昭和六十二年度におきましては始めておりますが、平成四年度予算では七億三千八百万円という額を計上しておるわけでございます。  今後とも、この問題につきましては、検討をさせていただきたいと思っております。

前畑安宏文部省高等教育局長

○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のとおり、学部教育における臨床実習に多くの問題がある以上、卒後の研修というのが大変重要になるわけでございまして、ただいまも厚生省の方から御答弁ございましたが、私どももその重要性については十分認識をいたしまして、昭和六十二年度から国立大学につきましては歯科研修医に関する予算を計上をいたしております。現在、国立大学について申し上げますと、平成二年度の卒業者八百二十四人のうち研修医として残りました者が三〇%、さらに大学院あるいは研究生として残って研修及び教育を受けている者が二〇%ということで、約半数は卒後直接に勤務医、開業医となることなく研修等に努めているという状況にあります。  今後とも、厚生省側ともよく連絡をとりながら、卒後研修の充実に対処してまいりたいと、このように考えております。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 ひとつその点よろしくお願いしたいと思います。  最後に、成人歯科保健事業八〇二〇運動の推進についてお伺いしたいと思います。  この八〇二〇運動、八十歳までに二十本の歯を残そうという運動につきましては、私もこれまで当委員会で取り上げさせていただきました。また、これを推進しようという立場でかかわってまいりました。しかし、八〇二〇という目標に対して、現実を申しますと、八〇〇五でありまして、また八十歳で二十本以上の歯を持っている人は七%にすぎないのが現状であります。  一方、歯科保健対策については、一歳六カ月健診、三歳児健診、それから幼稚園、保育園、小学校から高等学校まで母子保健や学校保健の中で健診が行われておりますが、その後就職して仕事についてから、あるいは家庭に入ってからはほとんどその機会がないという状況であります。こうした状況のために学校卒業後十年から二十年は何とか持ちこたえても、一定の年齢を境に、まさに歯が抜けるようにという例えど、おり、急激に歯の喪失数がふえているという現実に置かれているわけであります。また、歯科医師のもとで定期的に歯のチェックを受ける人ほど、そうでない人に比べてどの年齢においても歯の残存数が多いというデータも示されております。  私は、八〇二〇の達成のためには、生涯にわたる歯科健診制度を確立することが不可欠であると考えます。本年からは第三次老人保険事業において歯周疾患予防のためのモデル事業が開始されるようになりましたが、できるだけ早くこの事業を拡充し制度化されて、母子保健から老人保健につながる生涯歯科健診システムを確立していただきたいと考える次第であります。  物をおいしく食べ、よく話し、笑うことができるというのは人生において最も基礎的で、かつ大事なことであります。寝たきりのお年寄りの歯を治してさしあげただけで、お年寄りがびっくりするほど元気になられるということはよく見聞するところでございます。  そういう意味で、歯科保健事業の推進は、現在の宮澤内閣の提唱しておられる生活大国の基本条件であると、私は政治信条の一つとしてこれまでも何度か申し上げましたところでありますが、八〇二〇運動の推進と生涯歯科健診システムの確立に向けまして、ひとつ厚生大臣の御見解をお伺いしてみたいと思います。よろしくお願いします。

山下徳夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(山下徳夫君) 今もお話がございましたように、人生において物をおいしく食べるということは、これは最も大切なことであります。そのためにはよくそしゃくし味わうということでありますが、総入れ歯で口の中が全部金属であったりその他のものでは本当に味わうわけにはまいりません。やっぱり自分の歯で、口の中は歯だと言わないかもしれませんが、自分の機能でもってとにかく味わうということが一番大切でありますから、歯は大切にしなくちゃならぬというのはおっしゃるとおりでございます。そのために八〇二〇運動はまことに適切なる運動だと私は思っております。  今お話がございましたようにこれからの健診システム、よくわかるのでございますが、これは大いに推進しなきゃならぬと同時に、また歯医者さんも大いに歯の面においてひとつ指導もしていただかなきゃならぬ。若いときにビール瓶のふたを歯で抜いたり余り余計なことをしないように、その指導もまた歯医者さんの役目だと思いますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。

木暮山人自由民主党

○木暮山人君 どうもありがとうございました。

諫山博日本共産党

○諫山博君 国税庁に質問します。  福岡市に脇山得行という人がおられます。脇山氏について福岡税務署員が無断で所得税の修正申告書を捏造する、これを税務署に提出する、こういう事件がありました。脇山氏は事前に税務調査を受けたことは全くありません。加算税、延滞金を含めて三百九十七万円の課税通知が来でびっくり仰天した。これが事の経過です。  私は、本人の依頼を受けて、四月十八日に福岡税務署長に会いました。福岡税務署長はこの事実を認めておられます。どうしてこういう問題が起きたのかという質問をしますと、当該の税務署員が今病気入院中でまだ調べることができません、こういうことです。  そこで、この問題について私は四点だけ質問します。事実の経過の説明は必要ありません。四点について簡潔に答えてください。  第一、なぜこんな事件が起きたのか、原因はどこにあったのか。第二、税務署、国税局内において本件の結末はどうつけられたのか。第三、再発防止のためにいかなる措置をとったか。第四、この場で公式に陳謝していただきたい。  以上、四点です。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) ただいま委員が御指摘のような事件が起こったということは紛れもない事実でございまして、私ども、このような納税者の信頼を損なうことが行われましたということは、極めて遺憾に思っております。また、関係納税者に御迷惑をおかけしたことにつきましておわびを申し上げます。  それで、次に先生の御質問の方の点についてお答えをさせていただきます。  このような事件が起こった原因ということでございます。こういうような事態は通常では到底考えられない税務職員としてはあってはならないことでございますが、事情を聞きますと、本人の仕事が思うように進まず、さらに体調不振が加わったことなどからこのようなことを行ってしまった、そういう事情にあると聞いております。また、たまたま時期が所得税の確定申告の時期の前後でございまして、税務署で最も事務がふくそうする時期に処理が行われ、税務署内のチェック体制も十分に機能しなかった、そういう事情もあると間いております。  次に、どのような結末をつけたかということでございます。  非行を行ったと認められた職員につきましては、既に厳正な処分を行ったところでございます。  また、再発防止につきましては、このようなことが起こらないように常日ごろから職員の指導に努めておるところでございますけれども、再発しないように組織全体として今後気をつけなければならないと思っております。そのため、今後開催される部長会議等、国税庁レベルの会議あるいは国税局レベルの会議、そのような会議を通じまして、第一線の統括官等が担当者から進捗状況を遺時に聴取するような進行管理体制について、今後徹底を図るように指示をしてまいりたいと考えております。

諫山博日本共産党

○諫山博君 厳正な処理の中身は何ですか。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) 処分につきましては、この職員がまだ若い職員であるということもございますから、ここで申し上げることをお許しいただくことにつきまして御理解を得られればと存じております。

諫山博日本共産党

○諫山博君 私はわざと税務署職員の名前は言わなかったんですが、それでも説明できませんか。  それからもう一つは、私は本人から一切の解決の権限を委任されています。この場で陳謝すべきだと思いますが、どうですか。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) 先ほど冒頭私は陳謝のつもりで申し上げたのでございますが、重ねて申し上げます。  このようなことが行われましたことはまことに遺憾でございます。また、納税者の方に御迷惑をおかけしたことにつきまして深くおわびを申し上げる次第でございます。  個人のプライバシーのことでございますので、御理解を得られれば、処分の内容につきましてはお許しをいただければと、重ねて先生の御理解をお願いする次第でございます。

諫山博日本共産党

○諫山博君 処分の内容については委員会以外で私に教えてください。  そこで、大蔵大臣、事実の経過はお聞きのとおりです。税務署の職員が勝手に名前を書いて勝手に判こを押す、絶対に許すべからざる行為ですけれども、この問題を受けて、今大蔵省としてはどの点を改めるべきだとお考えですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今回のことにつきましては、事実は今お話があったとおりでございまして、私どもこういうことが起こったことに対して大変遺憾に思いますと同時に、関係の方に対しましては深くおわびを申し上げたいと思っております。私どもといたしまして、今後こういったことが起こらないように、今次長の方からもお話がありましたように我々は努めていかなければならないと思っておりますけれども、やはり納税される皆様方の立場というもの、そういったものをよく理解しながら対応していかなければいけないだろうというふうに思っておりまして、今後ともそういった点についてよく気をつけていきたいというふうに思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 諫山議員が取り上げた修正申告書を税務署の署員が勝手に偽造するというのは異常な例だと思うんですけれども、私は氷山の一角じゃないかと思うんですね。とにかく、徴税の強化、これが八〇年代から非常に厳しくなりまして、公的文書偽造までいかなくても、修正申告を強制的に押しつける。それができない場合は推計課税で勝手に更正処分を三年分がけてくる等々、私は前に取り上げましたけれども、かなり深刻な状況になっているんですね。  それで、国税庁にお伺いします。  各国税局で税務署の調査員の勤務評定に修正申告あるいは更正処分の件数だとか金額、これを基準にしている。つまり、目標を割り当てたり、示唆したりして、その達成いかんで勤務評定するということが行われて、こういうノルマの押しつけがこのような事件を生み出しているんじゃないかと思うんですが、実態はどうでしょう。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) 当庁におきます勤務評定でございますが、これにつきましては国家公務員法等の規定に基づきまして適正に行っておるところでありまして、評定に当たっては、職員の人物、能力、適性あるいは職務遂行の状況等につきまして、評定者の平素の観察に基づいて公平かつ誠実に行っておるところでございます。  したがいまして、修正申告の件数や金額によって勤務評定を行っているということはございません。また、ノルマというようなものを設定する、そういうようなこともいたしておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 やっぱり実態と違うと思うんですね。  私はこの間東京の税理士の方々と懇談したんですが、これは東京の中の例で、ある洋品店、年商が大体五億の店なんです。それで、税務調査に来るというので税理士の方が行ったそうです。全部伝票を調べて、たった一枚、百二十万円のつけ落としかわかったというんです。その百二十万円、税額は二十万ぐらいだったかな、これは幾らでも処理できるとその税理士の人は言うんですね、例えば繰り延べでやるとか。ところが、その一枚の伝票を粘って粘って修正申告をやらせて、私の立場もわかってほしいと。とうとうその店主は受けたそうですよ。  それから、また別の例では、調べたら、いわゆる非違と言うんだそうですね、何の非違もなかった。ところが、日当分ぐらい出してくれと粘ったというんです。明らかにノルマがあるんですよ。  私は一つ証拠を出します。ちょっと古いですけれども、昭和六十二年九月二十一日から二十二日、税務大学校東京研修所四〇二教室で行われた東京局の上席調査官の研修講話の記録がここにあるんです。  東京局所得税課長の講話で、とにかく調査を頑張れというのをやって、最後のところで「件数稼ぎのチョコチョコとした調査は一件の価値がない。」「実績を繕う報告はしないように。」、だから調査して件数稼ぎをやるわけですよ。つまり件数、金額、これがやっぱり押しつけられているんですよ。だから、こういうことになるんじゃないかと思うんですけれども、実態をひとつ調べてほしいと思うんですが、いかがですか。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) 先ほど申し上げましたように、私どもの評定というのはあくまでも人物、能力、適性、職務遂行の状況等に基づいて行っておるものでございまして、そのような押しつけとかノルマというような税務行政は全くいたしておらないところでございます。  先生が引用されましたいろいろな事柄につきましては、ただいまここで伺いましたのでございますので、ちょっと事実関係についてどうこうというふうなことは申し上げられないわけでございますけれども、私どもは日ごろからその点につきましては厳しく申しておるところでございますので、そのような実態はないと確信をいたしております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 昭和五十一年の税務運営方針、これは有名なものですけれども、この中にも運営の仕方でそういうノルマを課してはいかぬみたいなことは書いてないんですよ。  日本共産党は二月十四日に納税者憲章の案を発表したんです。これはこの間予算委員会でも取り上げましたけれども、七〇年代、八〇年代にフランス、イギリス、カナダ、アメリカなどで納税者憲章、納税者の権利章典、やっぱりタックスペイヤーの権利をしっかり守らなければというので、なかなか立派なものがつくられているんですね。日本も自主申告制度のもとで納税者の権利を守る憲章が私どもは必要だと思っているんですが、八八年にアメリカで議員立法でつくられた権利章典、ここに全訳を持っているんですけれども、六千二百三十一条になかなかいいことが書いてある。内国歳入庁、これは税務署のことですが、「内国歳入庁職員の勤務評定基準」「(a)通則 内国歳入庁は、税務執行の実績についての記録を次の目的に用いてはならない。(1)徴収事務に直接携わる職員及びその直属の上司の勤務評定、又は、(1)に規定する個人に対して割当額又は目標額を課し、又は示唆すること」、こういうことを議員立法でアメリカは納税者の権利章典で決めているんですよ。  勤務評定に徴収実績をやってはいかぬ、目標額を決めたり示唆したらだめだ、その職員並びにその上司の勤務評定に使ってはならぬということをやっぱり決めているので、これは各国にあると思うんですね。税務職員が自分の仕事の基準をいつ、どれだけ金額を集めたか、どれだけ修正申告を出させたか、どれだけ更正処分をやったかと。それでノルマをやられると、僕ら納税者にとっては大変ですよ、それを追及されたら。この勤務評定の問題というのは実は私どもの案にはまだなかったんですが、ずっといろいろ懇談していたら、やっぱりこういう問題が出てきて、アメリカの方にもあるので考えなきゃならぬと私は思っているんですけれども、だからこれは納税者の権利を守ると同時に、税務署の税務労働者の労働条件、権利、生活を守る上でも非常に大事だと思うんです。  最後に、大蔵大臣、この問題で、勤務評定にこういうものは一切使わない、たとえそういうことがこれまであったとしても今後はやらないということをお約束いただけないでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今お話をお聞きしまして、ノルマというものなんかが与えられておって、どれだけのことをやらなければいけないというようなことは、これは勤務評定の中で考えるべきではなかろうと思っております。今次長の方からお話ししましたように、平素の勤務態度ですとか姿勢ですとか、そういったものがやっぱり重要であろうというふうに思っております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 次に、この問題とかかわりのある問題で、国税庁が例えば民商、全商連などを納税非協力者団体として規定して、一般事務と区別して特定事務あるいは特定事案と名づけて特別の担当者を決め、その研修までやっているんじゃないかという、そういう疑惑というか事実があるんですね。これまでも国会でも取り上げられましたし、ちょっと資料をお配りいたしました。  この資料にあるのは、昭和六十一事務年度、さっきのは六十二年度、その前の年ですが、右の下を見てください。「特定事務担当研修資料」と書いてあります。特定事務というのは、納税非協力者団体を扱っている事務のことなんです。一般事務と区別して国税庁用語でこういうものを使っているんですね。  それで、今まで聞くと、そういう事実はないと言うんです。すべての団体を公正公平に扱っている、税務署は申立てございますと言うんだけれども、どうです、これは偽造したものじゃないんですよ。国税庁あるいはどこかの国税局が、そういう文書で、これは「特定事務担当研修資料」だから国税庁のものだろうと思うんですが、これを読んでみると、「納税非協力団体の会員数は、若干ながら増加傾向を示しておりこ「悪質な非協力行為は跡を絶たない。」、「立合いの排除」、「反面調査の早期着手」、こういう方針を研修会一で決めて方針としてやっているわけです。  こういうことで、全国的に八〇年代の特に半ばから民商その他に対して一切立ち合いを認めないとか、立合人がいると調査をしないでいきなり反面調査をやって推計課税でぶっかけてくる。そういうことでさまざまな問題がずっと起きていたことは先日も私は取り上げたんですが、どうです、この特定事務、特定事案、納税非協力者団体、こういう扱いを今までしてきた、また今でもしているという事態は、国税庁としては御存じでしょう。

冨沢宏国税庁次長

○政府委員(冨沢宏君) 委員のお出しいただいた資料につきましては、予算委員会でも拝見いたしましたので調べましたけれども、国税当局のものであるかどうか確認ができませんでしたので、それを前提とした答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、税務行政は、重ねて申し上げますが、本来公平に執行されるべきものでございまして、特定の団体に対し先入観念を持って行うべきでないというのが国税庁の基本的考え方でございます。  したがいまして、どのような団体に対しましても私どもは中立の立場で税務行政を行っておるところでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 そういう全く事実を隠ぺいした答弁でこれまでも国税庁は国会での追及をすり抜けてきたけれども、許されないことですよ、そういうことは。民主商工会を誹謗したデータを集めた文書、これまでも何種類も出ていますし、実際にこういう特定事務というのを皆さん方はやってるんだから。  お配りした資料の三枚目。これは非常に最近のものです。「各種団体に対する調査の対応(従前)」というんだから、今までどおりというやつです。これは、そうですね、二年前ぐらいのものでしょうな。これは「納税非協力者団体」「協力団体」「その他の団体(A)」「その他の団体(B)」、四つに分けて表にしてあるわけだ、こういうふうに区別して扱えと。税務調査については「事前通知等の状況」、納税非協力者団体には「事前通知は一切行っていない」、通知しないでやるわけですよ。協力団体には、調査対象者を事務局長に連絡する。ちゃんと連絡してやるわけです。それから非協力者団体には、「調査における立合の状況」では「完全立合排除の方針でき然たる態度で臨んでいる」。つまり、帳簿をつくることを補助した例えば民商の事務局員あるいは東京土建の書記局、書記などの立ち合いも完全排除、これは方針なんです。協力団体には、団体事務局長及び顧問税理士の二名の立ち合い、これが必ずあるんだと。それから「課税処理の状況」では、非協力者団体には「原則として、本人と団体とのつながりを絶つべく来署させて担当統括官が応接し課税処理をしている」。「団体とのつながりを絶つべく」というのは、民商などから脱会しろ、そのためには税務署に呼んでいろいろやれと。協力団体には「ケース・バイ・ケース」なんて書いてあるんですね。全く許すことのできない差別行政ですよ。  これは今私は民商のことを取り上げましたけれども、逆の差別行政、例えば関西などでは、ある団体には一切もう調査もしない、同和関係で今度はもう本当に優遇の差別をやっているということも私は実態をいろいろ聞きましたけれども、それはまた別の機会にするとして、明らかにあなた方はこういう差別行政を今までやってきているわけだ。しかし、やったら憲法上大変だから認めない。今後こういうことを一切しない、いかなる団体についてもこういう区別をし、事前通知、調査の立ち合い、課税処理の状況等々で差別しないでやるということを私は確約していただきたいと思うんです。  大蔵大臣、昭和五十一年度税務運営方針、これは一応ちゃんとしたことが書いてあるんですよ。具体的なところでも十七ページに、税務調査は納税者の理解と協力を得て行うものだ、だから一般の調査においては事前通知の励行に努めると書いてある。また、現況調査は必要最小限度にとどめ、反面調査は客観的に見てやむを得ないと認められる場合に限って行うこととすると、こういう書き方で書いてあるので、国税庁はしっかりした答弁をされないんだが、大蔵大臣として、こういう差別行政は一切やらない、あらゆる団体を公平公正に扱う、事前通知についても、立ち合いについても、課税処理についても、憲法どおりやるということを御確認、またお約束いただきたいと私は思うん、ですが、いかがでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 基本的には、これはもう憲法で保障されておりますように、やっぱり特に税務行政というものにつきましては中立公正の立場でなければならないということ、これにつきましてはもう全くそのとおりでありまして、私どもも差別をするような対応というのはすべきじゃないということを申し上げたいと思います。  ただ、納税に非協力な活動が行われること、こういったことがありますときには、これに対して十分な注意と関心を払い、また国税当局といたしましても、皆様方に理解いただけるように、御協力いただけるように、整々とお話をしていくということがやっぱり重要であろうというふうに考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 しっかり答弁どおり憲法を守ってやっていただきたいと思うんですね。  次に、昨年の六月二十六日に本委員会で取り上げさせていただいて、ことしの予算委員会でも取り上げましたサービス残業問題について聞きます。  労働省も労働基準法違反として立入調査、指導を強化し、また銀行側の対応も始まりまして事態が改善されつつあると思うんですが、同時にさまざまな新しい問題も起きていると思うんですね。なお、まだまだの状況もあります。  日本金融通信社の「ニッキン」、これの四月十日に第一線記者の座談会が載った。これに出ていますけれども、大体規模はどうやらこういう状況だというのですね。「激戦地で聞いた話だが、各人の申告ベースに対して都銀で四倍、地銀三倍、第二地銀二倍が残業の実態」と。だから、都銀の場合で申告の大体四倍、これが実態だということが「ニッキン」に載っているほどです。  宮澤首相も私の質問に、やはり直さなきゃいけません、対価は正しく評価されるべきだという答弁をいただきましたが、労働省の昨年どことし銀行のサービス残業をなくすための調査、指導、これについて簡潔に述べていただきたいと思います。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) サービス残業と言われておりますものは、労働基準法の観点から見ますと、多くは労働基準法の規定によります割り増し賃金の全部または一部が支払われていないものであるというふうに考えておりますけれども、東京労働基準局におきまして平成三年に都内の金融機関十二行、八十店に対しまして監督指導を実施をいたしました。この結果、二十八の事業所におきまして法定の割り増し賃金に関する違反が認められたところでございます。それから、東京の基準局以外におきましても、それぞれの管内事情等を考慮いたしまして、金融機関に対し適宜監督指導等を実施しているわけでございますが、例えば平成三年に愛知局におきましては二十その事業所に対し同様な監督指導を行いました。とのうち法定の割り増し賃金に関する違反が認められた事業所は七でございました。また、福岡局におきましても十七事業所に関しまして同様の違反が十事業所で認められた、こういう状況にございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 まだまだ問題が多いんですけれども一時間の関係もありますし一きょうは残念ながら労働大臣がいらっしゃらないので、大蔵大臣にお伺いしたんですが。  こういうふうにサービス残業が多くの銀行、信用金庫で行われていることが労働省の調査でも非常にはっきりしてきたわけですね。大蔵省はその監督官庁なんです。ところが、正森さんの大蔵委員会で行った質問の議事録なんかを見ましても、そういう問題は労働基準法の問題で労働省の担当なんだ、もちろん監督はするがということで、ちょっと大蔵省はこのサービス残業問題などについて人ごとの、人ごとと言いませんけれども、担当は労働省だというそういう感じがほの見えるんです。しかし、銀行の場合は実態が非常に大きいわけです一労働省の方は、銀行でサービス残業を根絶できなかったらほかの産業ではなかなか無理ですよと、そう私に言われていましたけれども、そういう点で銀行の責任は非常に大きいと思うんです。銀行法第一条には「銀行の業務の公共性」と書いてある。「立入検査」、これは「銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保」のためにと書いてある。銀行法第二十七条には、大蔵大臣は、銀行が法令その他に違反したとき、または公益を害する行為をしたときは、処分できると書いてある。残業代の不払いというのは労働基準法違反なんです。しかも、額が非常に多額だという状況です」驚くべき数字ですよ。  「ニッキン」の五月八日付は、東海銀行が予算枠を大幅に増枠した記事を載せている。「労働時間の適正管理を徹底するため、時間外手当の″予算枠々を大幅に増枠した。九二年上期分として五十億-六十億円を上積みすることで、行貝に実態通りの時間外労働時間を申告してもらう一方でこ云々と書いてある。東海銀行で半期で五十億から六十億ちゃんと払うためには上積みしなきゃならぬというと、一年で百億超えるんです。私この委員会での質問で、少なく見積もって銀行で一千億になるんじゃないかと言ったけれども、東海銀行のこの例を見ると二千億超えるかもしれない。そういう状況だとしますと、これは大蔵省としてこの問題の実態を一体今までつかんでいたのかいなかったのか、これをまずお聞きしたいと思うんです。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 委員御指摘のいわゆるサービス残業問題につきまして、私どもも十分関心を持ってこれまで状況の把握に努めてまいったところでございます。ただ、これは一言で申しますと、労働行政にかかわる問題として、これは労働省の方でも労働条件を初めとした法定労働の確保のために監督指導に取り組んでおられるところであり、それがいわば官庁としての対応の代表的な活動であるというふうに考えておるわけでございます。  これに対しまして、私どもの職員は、主として、銀行法その他の金融法令に基づきまして、金融機関の業務運営についてその対顧客サービス、そのような業務運営についてそれが適切な状況にあるかどうか、これを監督してまいる。そしてまた、銀行法その他の金融関係法令の定めるところによりまして、この業務が健全かつ適切に運営されておるかということを第一次的にチェックするというのが、私どもの仕事であると考えております。  ただ、これも銀行法第一条の「目的」のところに言及されましたが、まさに金融機関は公共性の高い免許法人でありましで、その営業活動などに当たって社会的批判を受けることのないように各種法令――ここで申しますのは金融関係の法令に限らず各種法例の遵守に特段の努力を払うようにすべきことは当然でありまして、従来からこの方面で及ぶ限り指導をしてまいってきているところでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 お配りした資料の四枚目は、今度労働省が私に対して提出してくださった資料なんですが、それで監督指導の状況が平成三年以降出ています。東京が一番多いです。監督実施事業場数八十、労基法三十七条違反二十八でしょう。大阪局は、四つしか調べてないんだが、違反はゼロだというんですね。銀行局長、あなたはやっぱりまだちょっと……関心はあるけれども労働省の仕事だとおっしゃっているようだけれども、これは銀行の業務の実態、その公共性に極めて大きな影響があるんですよ。  これは労働基準局長も見てほしいんだが、大阪ゼロと書いてある。ここに「大銀行のわれら闇を照らす」、これは大阪の銀行労働者の月刊「銀行マン」というのを出している方々がつくった「実態告発第二弾」というのですけれども、大変な実例が書いてありますよ。例えば残業時間の問題で、これはある大阪の都市銀行ですが、「残業時間をきちんとつけさせてもらえば、ボーナスはいらないぐらいの金額になり」「半年でみても、百万から二百万円ぐらいになり」「残業時間をオーバーして書くと、「始末書を書け」とやられているんですよ川大変な職場実態になっているんです。これは大阪の例ですけれども、東京などでも、改善が始まっても職場の労働組合が弱いと、この間取り上げたように、朝出が始まったり、持ち帰り、ふろしき残業、これが強化されたりするわけです。  それから、今度私聞いて驚いたのは、リクルーターという仕事ですよ。これは大変なものですね、リクルーターというのは。自分の大学の後輩を自分の銀行に入れるために、大体入社一年生、二年生、この人たちが集められてやるわけです、もう組織的にね。  ここに私は、これは横浜銀行の「プロフェッショナル・リクルーティング戦略(別冊)」というのをいただいたんだけれども、人事部でつくった文書ですよ。恐るべき規模らしいですね。それで、もう本当に後輩を連れてきてホテルに缶詰で、もう一日詰める。それでいて辛うじて少し採れるというようなことで、これに書いてあるけれども、お金をもらえるのは飲食費、交通費、直接にかかった費用だけと書いてある。そうすると、これはリクルート残業は残業としても認められてない。これは会社の業務ですよ、こういう文書があるんだから。それから、休日出勤も扱われていない。こういう大変なことがあるんですよ。  ですから私は、これは労働省もしっかりやっていただかなければならぬけれども、やっぱり大蔵省としても、社会的信用、公共的業務と銀行法で書いてあるんだから、こういう実態を単なる労働条件としないで、これは国際的にも日本の企業のあり方にいろいろ批判がありますけれども、銀行が賃金を払わない分が二千億にももしなっているなんていうことが国際的に問題になってごらんなさい。これはもう大変なことだと思うので、これはぜひしっかり監督していただきたいと思いますが、大蔵大臣、ひとつ御認識をぜひ。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) ただいま局長の方からもお答え申し上げたとおりでありますし、また御指摘がございましたように、大変公共性の高い免許事業であるということ、この事業がやっぱり社会的な批判を受けるということは、これはもうゆゆしきことであろうというふうに思っております。  今日までも労働省等を通じながらいろいろ監督をしてきておりますし、また私どもといたしましてもサジェスチョン等をしてまいったところでございまして、また国会の論議、こういったものも踏まえながら、それぞれの銀行なんかも今銀行協会等を通じながら新たな姿勢をとるようになってきておるというふうに思っておりますけれども、私ども、よくこの問題等につきまして、念頭に置きながら対応していきたいというふうに考えます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。事柄はかなり大仕事だと思うんです。  労働省に一つお伺いしたいのは、神奈川の横浜銀行、横浜信用金庫の労働組合の方々からちょっと聞いたんですけれども、神奈川の労働基準局もやっぱり消極的なんですね。細かいことは省きますけれども、こういうことを聞いた。サービス残業の不払い分のバックペイの場合、これは法定でいうと時効二年なんですよね。二年分払わなきゃならぬ。ところが、神奈川では労働基準局が三カ月払えと、三カ月払えばいいという指導をしている実例があるというんですよ。  どうですか、労働省としてバックペイの場合、三カ月でいいとか六カ月でいいとか、そういうガイドラインみたいなことを示していることはないでしょうね。やっぱりこれは法定の二年、きっちりバックペイを払えという指導をぜひしていただきたいと思うんですが、この問題をお答えいただきたい。

佐藤勝美労働省労働基準局長

○政府委員(佐藤勝美君) 賃金に関します時効は、仰せのとおり労働基準法では二年でございますが、労働基準監督署が監督を行いまして法違反事実を見つけましたときに、これは割り増し賃金の不払いということでありますといわゆるバックペイを命ずる場合があるわけですが、それはあくまでも法違反として確実に把握をしたものに限るわけでございます。したがいまして、二年にさかのぼらない場合もあるわけでございますけれども、恐らくそういう観点からさかのぼらないということでございまして、何か月に限るというようなことはありません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 各都道府県の労働基準局任せにしないで、労働省自身がこの問題は厳しくやっていただきたいと思うんですね。  最後に、官房長官にお伺いしたいんですが、今政府は新経済五カ年計画策定中です。五月二十日に経済審議会の労働小委員会の報告が発表されました。この中に「いわゆるサービス残業や持帰り残業などが発生しないよう、企業に対する指導を一層強化するなど労働時間管理の適正化に努める。」、こう書かれるとともに、「所定外労働の削減を図るため、時間外・休日労働の法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。」と、こういうことが書かれているんですね。私これを非常に歓迎したいと思います。  予算委員会で取り上げたときにも申し上げたんですが、時間外労働二五%というのは、占領中にこの労働基準法がつくられるときにGHQ内部では五〇%という声がかなり多かったと。いろいろ議論があった結果、二五%で当時の経済情勢もあって決まってしまったという有名な歴史的経過があるんですけれども、欧米諸国、アメリカ、フランスなどは、やっぱり五〇%なんですね。私は、この労働小委員会もこういう報告を出した時期なので、政府が決めるこの新経済五カ年計画に、サービス残業根絶のための方針、これは銀行だけじゃなくて各産業にもありますからね、そういう問題と同時に、時間外労働の割り増し賃金率の引き上げ、これを盛り込むようぜひ御努力いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤紘一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(加藤紘一君) 先生御指摘のように、経済審議会生活大国部会報告において、今御指摘あったような報告内容が現在ございまして、またいわゆるサービス残業、所定外労働双方についてそういう表現がございますが、私たちとしては、この報告を踏まえ、経済審議会において新しい経済計画が策定されてほしいと、こう願っております。  いわゆるサービス残業につきましては、総理大臣も予算委員会で申したとおり、これは本来望ましくないものというふうな認識でおりますので、その方向で新経済計画が策定されることを期待いたしております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ドイツの労働時間は千五百時間というのが最近報道されましたけれども、過労死等々大問題になっているときに時間短縮はやっぱり日本の国民的課題になっておると思うんですね。サービス残業をなくすということと、割り増し賃金率を欧米諸国並みに引き上げることは、これは本当に余りめちゃめちゃに残業させていると時間短縮にならないんだなという負担がはっきりするので、時間短縮に非常にやっぱり役立つ非常に大事な事柄だと思うんです。  労働省、大蔵省、また政府も、経済大国ということを口の上のことだけにしないためにも、サービス残業の根絶、これはもう銀行だけでなく全産業にあるわけですから。それと労働賃金の残業代の割り増し率を欧米並みに五〇%に引き上げる。日本共産党はこのことを主張しておりますけれども、ぜひその方向を実現できるよう御努力することを期待させていただいて、質問を終わりたいと思います。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 きょうは私は、まず木曽岬干拓事業について、お尋ねをいたします。  きょうの委員会では既に会田委員と猪熊委員がこの木曽岬干拓事業について質問をしておりますので、重ねて質問するというのはいかがかということを考えましたけれども、実は私は地元でして、この四月三日にはこの木曽岬干拓事業地へ行ってまいったわけであります。ふだんもよくその近くを通っておりますので、一度現場を見なければということで見に行ったわけであります。そういうふうなことがありますので、重ねて質問をさせていただこうと思っております。  これまできょうのこの委員会での大臣の御答弁あるいは各省の御見解を聞いてまいりまして、率直に申し上げますと、この木曽岬干拓事業地の県境問題というのはだれも損をする人がいないというか、国だけが大変な損になっている、大蔵大臣もきょうおっしゃいましたが、国だけがまさに大変な損になっている。これは納税をしている日本国民が大変な損をしているわけですが、現実に県境の争いがある地元の関係者の中では、さほど今損害意識はないんじゃないか。地元の新聞では、興味半分かどうか知りませんが、きょうは三治委員も横にお座りでありますが、愛知県と三重県の主張を殊さら針小棒大に取り上げて、はっけよい残った残ったと、こういうふうな取り上げ方が非常に目立つわけであります。したがって私は、きょうの質問に対する答弁をお聞きしまして、このままだとまた来年の決算委員会、再来年の決算委員会でこの問題が引き続き材料になるのではないか、こういう心配をしております。  そこで、細かいことは抜きにしまして単刀直入に質問を申し上げますと、先ほど自治省の局長さんは地方自治法のことから云々と、しかしそれは、地方自治法の九条に書いてあることをそのままおしゃべりになっただけの、言ってみればそういうことでございます。自治省が介入しようと思えばやはり地元の関係町村の意向によるわけですし、あるいは自治大臣が介入していただく、本来地方自治体に大臣が介入されるというのは恐らく差し控えるべきことだということでそういうことはないでしょうけれども、それにしても介入しようと思えば争訟が前提になっているか、あるいは地元がそのことについて異議をなさない、県だけじゃなくて当該町村がですね、そういう状況がない限りできないだろう。  そういうふうなことを考えますと、やはり当面、今はやりの言葉で解決に汗をかくということになると、農林水産省の方にならざるを得ないんじゃないか。これは私が三重県だからそう言うとか、あるいはお隣の三治先生が愛知県だからそう言うというんじゃなくて、やはりこの問題の一番もとは、県境の争いが起こるかもしれないことがわかっていながら、干拓事業に着手したときに県境問題についての定めをしていなかった、協議をしていなかったことが今日にまで至りておる。干拓事業を進める際に、県の境界に干拓事業をしたわけですから、今から言えばそれまでですが、本来わかっていたことであります。  そういう意味で、五十五年に東海農政局が両県の真ん中に入って調停といいますか、調整の努力をなされた。それが功を奏さず今日に至っているわけです。知事レベルの話し合いがこれから再度行われるということでありますが、やはり今までの経過を見ますと、両県の知事が二人だけで密室で話をしたら解決するというような状況では決してないと、私には思われます。  その点で、農水省あるいは構造改善局の方で今どのような御見解を持ってみえるか、この問題についてお尋ねをしたいと思います。

田名部匡省自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田名部匡省君) 再度私も勉強をいたしてみました。国有地にできぬかという話もしたのでありますが、それにしてもやっぱり両県の知事の同意ということになりますと、これもなかなかうまくいかない。図面等で説明をいろいろ聞いてみますと、漁業権は三重県のものであって、そしておっしゃるとおり、境界をきちっとしていなかったことにやっぱり問題があったろうと思うのでありますが、その当時としては農地としてやる問題であって、私が想像するには、そんなに問題は起きるとは考えてなくて、両県とも同意をしておったわけですから十分円満にやれるという考え方であったろうと思うんです。しかし、時が移って地価がどんどんどんどん高くなってくると、欲が出たとは言いませんが、やっぱりどうも自分のものにしたいという気持ちが働いておるのだろうと思うんです。いずれにしても、個人のものでないことでいつまでもこういう主張をしておるということは、私は問題があると思うんです。  しからば、どういうふうに解決するかというと、これもまた、命令してこうだというわけにもいかない。一番いいのは、両県の知事が関係者と相談をして、どういうふうに決められても従いますとこう言ってくれれば、あるいはしかるべき案を出して裁定ということで従ってもらえる方法でもあれば一挙に解決をするかもしれませんが、しかしそこまでの機運が高まっておりませんと、これもまた国の権限でがちっというわけにもまいりません。いずれにしてもこれは何かしなきゃならぬと私は思っておりますが、何とか私の方からももっと強力に両県に対して、そういうことなんかも含めて自治大臣の権限でありますから、そういうことでお任せできないものかどうか。そういうことでもしなかったらこれはなかなか解決しない、法的にどうこうというのは別として、そう私は感じております。  とにかく、今おっしゃるように、何にもないところで、だれも損をする人がいないんですよ。いないんですから、そこは任せてもらえればあるいは解決できる道が開けるのではないかという感じは持っておるんです。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 私は弁護士もやっておりますので、裁判にかけたらどうやというような声がありまして、やめとけと、日本の裁判所はいつまでたっても解決してくれぬだろうというような話を実はしたこともあるんです。  今大臣もおっしゃいましたように、これは県の境界に絡む問題であるために、なかなか火中のクリを拾うというのは困難である。しかし、今現実に困難になっているのは、埋め立てをした間に川の流れが変わって、川の流れが変わったら川の中央で境界は決まるのではないかという考えが出てきた。それは前に愛知県の西部臨海用地の埋め立てのときに、やはり愛知県の村と町の間でそういう、ごたごたと言うと言葉は悪いんですが、争いが起きたわけですね。そのことから今回、愛知県の方もこの木曽岬の問題について大きな関心を持たれるようになった。ところが、もともとこの干拓をしているときに、愛知県側の町の地籍が干拓用地内にあるということがわかりまして、それで五十五年の東海農政局の調整問題が起こったわけでございます。  そういうことを考えますと、私はもうこの問題は、図らずもきょうは決算委員会で三重県や愛知県に関係のない委員の方がお二人も質問されて、これに答えられた大臣も農林、自治、大蔵大臣まで答弁をされたという事態になったので、やはり農林大臣が御中心にならざるを得ないと思うんですが、火の粉を浴びても国民の税金をむだにできないと、それを一番重大なことだと考えて、ぜひそのための一つの思い切った御努力をお願いしたい。自治大臣は指導監督官庁でもありますが、どうかその点もお含みをいただきたいと思いまして、いかがでしょうか、自治大臣にも御見解を賜りたいと思います。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(塩川正十郎君) この問題はもうとっくに御存じだと思いますが、先ほども行政局長が言っておりますように、要するに市町村間の境界の問題でございますから、どうしてもまだ知事のところにボールが握られておるわけなんです。知事が早いことボールを渡してくれたらいいんですけれども、自分らでボールを処理しようとしておりますので、これは、努力は一生懸命やっておられますので、だからそのボールがこちらへ回ってまいりましたら、こちらの方で処断をいたしたい。こう思っておりますけれども、まだ知事のところにボールがある間でございますから、もうしばらく農林大臣等を中心にいたしまして、知事との話し合いを続けていただき、そのうちにまあこちらの方に全面委任をしていただければ結構かと思っております。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 きょうは実は長良川河口ぜきのことを御質問しようと思って、木曽岬干拓事業の方に随分時間をかけてしまいましたが、やはりこれも三重県の木曽岬干拓事業の隣の場所にあります長良川で今建設がなされております河口ぜきの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  実は、三月二十四日付の毎日新聞の「オピニオンワイド」という欄に、長良川の河口ぜきの事業評価という観点から見て、一刻も早く建設工事について凍結をしなさいというような意見が新聞に載りました。これは岐阜大学の助教授の宮野雄一先生が書かれたものなんですが、建設省にお尋ねをいたしたいと思います。時間が余りありませんので、環境庁まではお尋ねができないかもしれません。  この宮野先生の意見をかいつまんで申し上げますと、せきをもともとつくってもそれは治水対策そのものではない、しゅんせつをして洪水対策をする、そのしゅんせつをすると塩害というか塩が上る、その塩が上るのでせきをつくるんだと。ところが、この宮野先生の意見の中に、こういう塩害対策にどうして千五百億円もお金を出すことができるんだ、塩害対策で一億、二億出すならわかるけれども、しゅんせつをする、塩が上る、塩どめをしなきゃいかぬでせきをつくる、それで千五百億円とは、本来言えば国のお金の使い方として余りに問題である。これはどうしてこうなったかは、当初は上工水、いわゆる上水あるいは工業用水といいますか、飲用水と工業用水の、農業用水も含めるかもしれませんが、そういう利水の目的で計画がつくられて、その後社会的な状況変化のために、利水の目的あるいは利水の状況がもうなくなっている。にもかかわらずせきをつくるということを強行するために、こういうアンバランスなことが出てくるんだ。  しかも、それは千五百億円の直接投入するお金だけじゃなくて、今後の維持管理や金利、さらに二〇二〇年になってようやく利水がなされるという想定になるならば、その間の諸費用、専用施設をつくる費用等も加えると、これは実は一兆円の事業費なんだと、それだけのメリットは到底考えられないというようなことを書かれておるわけであります。  そこで、その観点で今建設を急ピッチで進めてみえる建設省の御見解をお聞きいたしたいと思います。

近藤徹建設省河川局長

○政府委員(近藤徹君) 長良川河口ぜきは、長良川下流部の治川住民の生命、財産を洪水被害から守るため、長良川の河道の高水疎通能力を増大するために実施します大規模なしゅんせつにより不可避的に生じる塩害を防止するとともに、中部圏の将来の発展に必要な水資源を確保するための不可欠な施設でございます。この件につきましては、この委員会でも先生の御質問に一度お答えしたことがございます。そしてまた、この内容につきましては、昭和四十三年に水資源開発公団の事業として決定するときに閣議決定しており、それ以来一切変わっておりませんので、建設省がその社会情勢の変化に応じて事業計画の説明を変えた、趣旨を変えだということは一切ございません。  そこで、岐阜大学宮野助教授の大変ユニークな御意見でございますが、これも私ども読ませていただきましたが、経済学的研究の形をとって論点を展開しているわけでございます。その費用便益分析の使用されたデータ、試算等については記事にも明示されておりませんので、その観点からの評価は差し控えさせていただきたいと存じますが、その費用便益分析に当たって前提となる長良川河口ぜき事業の基本的事項について幾つかの誤解が見受けられるわけでござます。  まず、長良川河口ぜきの治水面については、先生がおっしゃいましたとおり、この文書の中に治水容量、すなわち洪水調節能力はゼロであるとこういう説明がございまして、本来河口ぜきが機能的に持たない洪水被害軽減の便益まで含めたその結果、せきが洪水対策的な点を持つという幻想で過大な架空の評価をしておるということでございますが、これは大規模しゅんせつとせきの建設は一体不可分であるということは常時申し上げているとおりでございます。例えがいいか悪いかわかりませんが、自動車にブレーキは走るために必要ないではないかというふうに切り取って、走るためのエンジンだけ評価すればいいでないかという論点かと見受けられますが、しゅんせつとせきの建設は一体となって評価すべきでございまして、その点においてはこの問題は治水対策としてはっきりと位置づけられ、またそれによって必要な事業でございます。  この治水対策の費用効果につきましてはいろんな評価はあると思いますが、この先生が河口ぜき下流の三町で仮に治水上危険だという論点で、地価が一万円下落すれば一兆円のマイナスの評価があるといいますが、そういう観点から言いますれば、長良川沿川六十七万人、三兆八千億円の資産がここに蓄積されているわけで、その方たちの生命、財産を守り資産を守るという観点から見れば、これだけで一兆円と言っているとすれば数十兆円にも上るものかと存じます。  また、昭和五十一年に長良川で出水がございましたが、このときの被害額を、いろんな形で評価できると思いますが、私ども約千百億から千二百億円と推定しております。これは昭和三十年から昭和六十三年、三十四年間に四回程度発生している被害でもこの程度の被害があるということで治水上は極めて重要であり、かつまた人命、財産、また環境上も金にはかえがたいと、この先生がこう言っていることも判断するならば、この地域が仮にしゅんせつだけによって塩害が発生して、放置した場合には貴重な国土が環境上も大変劣悪な条件下に置かれるわけでございますので、それらを評価すれば極めて重要であり、経済効果もはかり知れないものがあると存じております。  また、利水問題についてもいろいろ述べておりますが、この地域は三重県、愛知県ともども将来の発展が約束されるべき地域でございまして、そのためにも基本的に水利権を確保する意味で重要な施設でございますので、この事業は極めて地域発展の不可欠な事業として今後とも環境面にも十二分配慮しながら、粛々と進めてまいりたいと存じます。

井上哲夫連合参議院

○井上哲夫君 もう時間がありませんので、きょうは環境庁長官にもお忙しいところ本当に恐縮でございますが、延々とやっている委員会なので時間だけは守りたいということで、また改めて次の機会に必ず御質問をさせていただきますのでお許しをいただきたいと思います。  終わります。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 まず、地価対策について御質問します。  地価の大変な高騰、バブル経済の最大の害悪が地価対策であったと思うんですが、これで実際上機能したというか、政府が特別強権的にやったのが監視区域制度だと思うんです。しかし、こういうふうに急にバブルが萎縮して土地の価格が下がりつつあるときには、早いところ監視区域制度というようなのはむしろやめた方が地価の下がりに拍車をかけると思うんですが、これに、ついての国土庁の御見解をお願いします。

鎭西迪雄国土庁土地局長

○政府委員(鎭西迪雄君) 監視区域制度については、委員御承知のとおり、国土利用計画法ができ一ました当初の姿は全国的な大規模な取引に対します。般的な届け出と、それから特定の区域を限定いたしまして全取引を許可制にするといういわゆる規制区域と、その二本立てたったわけでございますが、今回の地価高騰が始まりましたことに対応いたしまして、なかなかその制度が小まめにといいますか機動的に発動しにくいという問題がございまして、六十二年に国土利用計画法の改正という形で知事が区域を定めまして、それから知事が定めます一定の取引面積について届け出をしていただく、そして利用計画なり価格をチェックさせていただくひこういう制度として六十二年から始まったものでございまして、今回の地価高騰の過程、それから幸いにいたしまして昨今相当鎮静化、下落してまいっているわけでございますが、そういう傾向になったことについては他の税制、金融制度等々の充実強化とも相まちまして、この監視区域制度が相当効果があったんだろうというように評価をしております。  ただ、制度の仕組み自身は、ただいま申しましたように、地価公示価格の水準を基準にいたしまして著しく不相当な高値取引をチェックするということでございまして、それ以下の取引でございますれば全く自由でございますので、制度の仕組みからいたしましても、一般の取引について価格の下支えをするとか、あるいはこういう鎮静化、下落の局面においてこの実勢の流れというものについて何がしかの意味で悪影響があるというようなものではないというように考えているところでございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 それならば、今の監視区域の中でほとんど無審査で価格が認可されておるんですか。

鎭西迪雄国土庁土地局長

○政府委員(鎭西迪雄君) 地価高騰が激しい都市におきましては、特に大都市部を中心にいたしまして私ども指導率と呼んでいるのでございますが、窓口で売り手と買い手が双方でこういう価格で取引したいという価格の届け出があるわけでございますが、それは高過ぎますということで窓口で指導を受けた率が大都市でございますと四割ぐらいにいっていた都市がございます。昨今、鎮静化、下落をしてまいっておりますが、それでもまだ全国的にも三割程度、特にまだ地方圏等では三割強という指導率でございますので、この意味では、現状におきましてもこの監視区域におきます価額のチェックというものは、相当機能しているんだろうというように認識しでいるところでございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 三割程度と言うんですが、これはいつまでやっていてもそう効果がないと思うから、まあ少し下がったら、これはやめた方が私は地価下がりに効果がいいと思うんですが、ひとつまたぜひ検討願いたいと思います。  その次に、公示価格の動向なんですが、公示価格について年二回調査をして、そして実際の公示価格は毎年一月に一回やる、こういうようなことのようですが、そのほかに地価調査を都道府県でも四半期に一遍ずつやるというふうに調査が非常に重複しているようなんですが、これを整理する気はありませんか。

鎭西迪雄国土庁土地局長

○政府委員(鎭西迪雄君) 地価に対する一般的な地価の公示なり公表の制度は、ただいま委員からお話がございました国土庁がみずからやっております一月一日時点の価格のいわゆる地価公示、それから、七月一日時点の都道府県が調査をしておりますいわゆる基準地価という半年ごとのものが定点観測ということで大体フォローできる体制になっているのでございますが、土地基本法の審議の際におきますいろいろ国会におきます御議論等々を踏まえまして、もう少し地価対策一土地対策を機動的に発動できるようにきめ細かい地価の動向の把握、できれば地価動向の予測といったことが必要ではないかと、こういうようないろんな方面の御指摘も受けまして、私ども平成四年度から四半期ごとに短期の地価動向を把握する。しかも、これは商業地と住宅地だけでございますけれども、比較的地価に鋭敏に反応しやすいポイントをとりまして、例えば三大圏、ブロック中心都市等々、動向を監視する必要がある地域を重点的にやっているわけでございますが、そういうところにおきます地価動向というものをリアルタイム的に把握いたしまして、土地対策が後手に回らないように機敏な対応をいたしたいということで始めたものでございます。これからこういう体制を通じまして、なるべく地域におきます地価の状況、特徴というものをリアルタイム的に把握いたしまして、関係省庁あるいは自治体にいろんな御要請あるいは情報の提供というものをしていきたい、かように考えているところでございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 この公示価格制度が一番地価の対策に貢献したと私は思っているんです。このために、私が常に主張してきた、いわゆる課税上の評価額の引き上げに非常にこれは力があったと思っているんです。地価の公示があったために、大蔵省の方も相続税の課税標準を引き上げた。非常に抵抗していた自治省の方も公示価格の七割まで引き上げるというように、目標がきちんとして実際の流通価格がはっきりしたから、それで課税の対応ができてきたということなんですが、そういう意味において非常に貢献したと私は思っているんです。しかし、これはまた余り細かくやり過ぎてもどうかと思って私はお聞きしたんですが、公示価格は信頼される公示価格の方に力を入れて、だんだん安定してくるとそう一年に何回もやるよりか、むしろ実際の信頼されるような公示価格というふうな制度の御研究を特にお願いをしておきます。  もちろん、国土庁のやる地価対策は非常に形式的な一般的なことなんですが、これは具体的にはむしろ大蔵省の方の、銀行の融資の態度、担保率の問題だと私は思っているんですが、これはまた別のときにお話をします。国土庁の関係はそれで結構です。どうもありがとうございました。

鎭西迪雄国土庁土地局長

○政府委員(鎭西迪雄君) 一言だけ補足して御説明させていただきますと、委員ただいま御指摘のように、地価公示は評価の信頼性、それからポイントの充実ということを通じまして、課税評価の基準あるいは一般の取引の指標あるいは公共用地の取得の基準ということでぜひ私ども信頼されるものにしていきたい。そのほかに、ポイント数は非常に限定いたしますし、地域も三大圏、ブロック中心都市等、動向に注視する必要がある地域ということで比較的限定いたしまして、地価の動向に鋭敏に反応する地点を四半期ごとという比較的リアルタイム。に近いタームで把握いたしまして、土地対策が後手にならないようなそういうシグナルとして使いたい、こういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 次に、消費税の問題についてお尋ねします。  これはきょうも、一部話があったようなんですが、消費税の納税の成績というのが当初の予定と比較して目標どおりいっているかどうか、概略的なもので結構ですが、ひとつ簡単にお願いします。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 消費税は元年度、二年度、三年度と経過しているわけでございますが、元年度の実績は四兆八百七十四億円、二年度の実績が五兆七千七百八十四億円でございます。元年度は予算額に対しまして九・六%不足の数字でございます。四千三百五十一億円ショートいたしました。二年度は若干改善いたしまして三千九十一億円、五・一%ショートしたということでございます。ただ、ショートいたしましたのは大変申しわけないことでございますが、全く課税実績がなかったので見通しにかなり難しい点があったというのは、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。  三年度につきましては、予算は六兆一千八百億円でございます。ただいま三月末税収まで判明しておりますが、これは前年比の伸びは六・八%の実績になっております。予算の伸び率は七%でございます。また、予算に対する進捗割合は六一・八%でございまして、前年同月で六一・九%でございますから、ほぼ同程度の水準で現在のところ三年度はきております。ただ、三月期決算法人が非常にウエートが大きいものでございますから、これがどうなるかということを見守っているというのが現状でございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 実際、納税者が納めた三%の税額ですが、納税の簡略化のために、中小企業者の納める率が下がっているというふうなことが議論になったんですが、その改正をされてどれぐらいの増収になったんですか。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 御指摘は、一いわば益税解消ということで、簡易課税とか限界控除の見直しを行ったことに伴う増収効果ということだと存じますけれども、平年度ベースで約二千四百億円でございます。ただ一方、非課税範囲の拡大がございますので、これが一千六百億円の減収になります。差し引きネット八百億ということでございます。平年度ベースの数字でございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 そこで、大蔵大臣、税制の直間比率の問題をちょっと問題にしますが、消費税であれだけ騒いで、これは政府としても三%をなかなか上げないということになっておるわけなんですが、これを見ていると若干ずつはオーバーになって、今の御説明だと三年度が大体限度で、これはだんだん横ばいになるのではないかと思うんです。ところが一方、所得税は毎年の賃上げで非常な増収になってくる。法人税は、景気によって増減があって、殊にバブル経済の収縮で横ばいあるいは低下かもしれませんけれども、いわゆる勤労所得税を中心とする直接税がどんどん伸びて消費。税が非常に横ばいになって、直間比率を直すために消費税をやったやつが急激に直間比率がまた逆転をしてくるということについて、税制政策上私は見通しを持って税の直間比率を維持するような政策を考えにゃいかぬと思うんですが、直間比率についてどういうふうに税制上考えておられるのか。

石坂匡身大蔵省大臣官房審議官

○政府委員(石坂匡身君) 若干、数字にわたりますことを簡単にお話をさせていただきたいと存じます。  おっしゃいましたような分類は、直接税、間接税という分け方と同時に、所得、消費、資産という分け方もあるかと思います。間接税の中では消費課税が非常に大きなウエートを占めるわけでございますけれども、このウエートは当然のことながら消費税の導入に伴いまして、全体としてはアップしてございます。  直接税のウエートが若干税制改革時に比べますとふえてきているということは、委員御指摘のとおりでございますけれども、実はことしの数字に即して申し上げますと、若干特殊要因がございまして、これは税制改革以来ずっと利子課税の見直しや有価証券の譲渡益課税の強化をいたしましたので、それによりまして所得税の中で資産絡みの所得税というもののウエートがかなつ急激に伸びております。それが反映して直接税のウエートを上げているという問題。それから、地価税が平成四年度から入ります。これが直接税のウエートを上げております。それから、法人特別税が四年度の一般会計の税収としてつくられました。一方、この石油特別税が廃止され、それから乗用車の消費税が軽減になっております。  そういうふうなことから、やや字面の数字といたしましては直接税のウエートが高くなっているというふうな事情にはございますけれども、いずれにいたしましてもこの直接税、間接税の比率といいますものは、アプリオリに何か特別にこの率でなければならないというのはなかなか難しい問題でございまして、これは委員も御案内のとおりだと存じますけれども、そのときどきの条件の中でどういう税の組み合わせがいいのかというふうな角度から検討していくべき問題であろうかと考えております。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今審議官の方からお話し申し上げましたとおり、この直間比率につきましては税の中で特に資産所得税収、これが高い伸びであったということですとか、今まで間接税としてあれしておりました石油臨時特別税がなくなったとか、そういった事情があって、少し直間比率というのがむしろ逆に広がったという点はあろうと思っておりますけれども、だれもがみんなが負担するというこの制度については、私どもやっぱり評価すべきであろうというふうに考えておりまして、私どもはこれからも安定した税として国民の中に定着していくんじゃないのかなということを考えております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 今の御説明だと、直間比率よりか所得、消費、資産の三つの関係の方で見た方がいいんだというようなことに感じられるんですけれども、いずれにしても我々の方の立場から見ると、所得税だけどんどん増収されるということで、所得税の減税について常に考えてもらわぬと、増収する方はどんどん増収して、増収にならぬところはそのままにしているとどうしてもバランスが崩れる。これを特に考えてほしい、こういう要望をしておきます。  さらにきょうはODAの問題を外務大臣にお尋ねしようと思ったんですが、御都合でちょっと……。ちょうど時間が来たものですから、外務省の方にお待ちいただいたんですが、どうも質問がなくて失礼しました。どうもありがとうございました。

久保田真苗日本社会党・護憲共同

○委員長(久保田真苗君) 他に御発言もないようですから、総括的質疑第一回の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗