環境特別委員会 第5号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1992/04/15
会議録
○委員長(渕上貞雄君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る六日、粟森喬君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(渕上貞雄君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○西岡瑠璃子君 西岡でございます。 せんだっての三月四日の中村環境庁長官の所信表明を受けまして質問をさせていただきたいと思います。本日は持ち時間が大変少のうございますので、一つの問題に絞って質問をさせていただきます。やはり今回も水俣病問題をお尋ねしたいと思っております。 さて、先日中村長官は、「地球サミットに向け、我が国がその国際的地位にふさわしい主体的かつ積極的な貢献を行い、会議が成功するよう全力を傾注してまいる」、こういう御決意を述べられたわけでございます。たくさんの重点施策の第四番目にようやく水俣病対策が出てまいります。そこで、一九七二年のストックホルムの国連人間環境会議において行われた当時の大石武一環境庁長官による我が国の代表演説でございますけれども、人間環境問題についての我が国の経験が紹介されております。水俣病に関して大石元長官は次のように発言しておられます。 「何よりも環境汚染は人の健康生命に大きな打撃を与えました。「水俣病」と呼ばれる有機水銀中毒事件はその典型例であります」。中略いたします。「原因の究明がおくれたこと、政府を含め関係者による対策が手ぬるかったこと等により多数の悲惨な犠牲者を出しました」。中略いたします。「早期に十分な救助の手をさしのべ得なかったことに政府は責任を痛感いたしておりますが、まことに遺憾のきわみであります」、このように述べられております。 今からちょうど二十年前にこのような時の大石長官のこのような御発言があったのにもかかわらず、水俣病の問題は今なお解決を見るに至っていないのでございます。また本日からは、この東京で地球環境賢人会議も行われておりまして、日本の果たす役割なども討論されるということで、始まっているわけでございますけれども、いよいよ六月に迫った地球サミットにおきましても、前のストックホルム会議のときのような機会が私は与えられるのではないかというふうに思っております。中村環境庁長官が御出席されることを前提といたしまして、この問題をどのようにUNCEDで御報告なされるおつもりであるか、どういうお考えをお持ちになっていらっしゃるか、まずそのことについてお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) UNCEDにおきましては、これからの地球環境問題が広く各国で議論が行われまして、将来に向けて地球環境の保全ということについて具体的ないろんな取り決めをしていこうという会議であります。 そういう会議に臨むに当たって、我が国としましては、戦後大変深刻な環境公害を経験しそれと闘ってきたという我が国の歴史があるわけでありまして、そういったものの中から将来に向かいまして世界の役に立つことがあればいろいろなことをお話をし、そしてとってきた対策等についての技術についても世界にいろいろ貢献することができるんじゃないか、そういう観点からいろいろ取り組んでいくことたと思います。 実はこのUNCEDにおきましてこうした各国のいろいろなことを出し合って討議するという国別報告書というのがございまして、そこにおいてこれまでの経緯、認定の状況、現在行われている委員御存じのとおりの訴訟の状況、またいろいろまだ問題が残されていること等を含めて報告書として既に提出しております。 そして、UNCEDの会議自体は、地球環境ということについて将来へ向けての資金の問題とか気候変動枠組み条約の問題などとか地球憲章とかいろんなことがありますので、どのような会議の運営になるかまだわかりません。わかりませんけれども、もう既にこういうことはその場に提出してあるわけでありますし、また、そういった我々の大変悲惨な経験をこれからの世界の環境のために役立てていくということはあらゆる場面で努力をしていかなければいけないことであるというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 私は当然環境庁長官の御報告の御予定はおありになるというふうに思っておりますけれども、環境問題というのはすぐれて倫理的な面、人道的な面を持っていると思います。とりわけ水俣病のその後について、世界は大きな関心を寄せていると思われます。二十年たっておりますね、この前の御報告から。環境問題で世界に貢献をされるというお考えならば、私はぜひ今日の水俣の現状をありのまま世界に御報告していただきたい、このように思うものでございます。 国連環境会議、UNCEDを前にいたしまして、私は世界の人々が水俣病の早期全面解決という点で大きく注目をしているというふうに思っております。ぜひ御決断をいただいて、そういう機会に恵まれないことはないと思いますけれども、もしなくても、短い時間であってもこのことについては世界の人々に対して御報告をする義務と責任がある、公害の原点と言われる水俣病を持った日本の環境問題の最高責任者としての長官におありになると私は思います。ぜひ御決断をいただきたいと存じます。
○国務大臣(中村正三郎君) 一番重要なことは、やっぱりこういった我々が経験してきたことを世界にいかに役立てていくかということだと思います。 そこで、世界の環境会議においては、国別報告書も提出してございますし、かなりの方がこういったことを、日本がこの水俣病に限らず非常にぐあいの悪い公害を経験してきたということを知っておりまして、それをまた日本がある程度克服してきたということも知っております。そして、まだ水俣病については大きな問題として残っていることも知っております。そういう中で、我が国としてこの経験をいかに、苦い経験ではございますがこれからの環境のために役立てていくかということが一番重要なことだと思います。 そういう観点を踏まえまして、委員の御指摘も参考にさせていただきながら考えてまいりますが、UNCEDの詳細な会議進行はまだ決まっていないわけでありまして、そこでどのようなことが的確に言えるか。発言の場があるかどうかもまだわからない。決まっていないわけでありますから、御参考にさせていただきたいと思います。
○西岡瑠璃子君 それでは単刀直入にお尋ねをしてまいりますけれども、水俣病問題の解決の行方を左右する裁判として注目されました水俣病東京訴訟で、ことしの二月七圧、東京地裁は国と熊本県側の過失責任を否定する判決を言い渡しました。国の行政責任、つまり国家賠償責任を全く認めないなど極めて残念な判決でございました。三十数年間苦しみながら年老いてこられた原告の方々の生きているうちに救済を、こういう悲痛な叫び、切実な願いをなぜ国がわかろうとしないのか。私は本当に残念でなりません。 しかし、このような判決ではございますけれども、被害の拡大を十分防止し得なかったことについて、被告国及び熊本県には政治的責任があると指摘をいたしております。唯一和解勧告を拒否している国に対して何としても和解協議への参加を改めて呼びかけているこの地裁の和解への勧告に対して、私はもう一度国のお考えをお聞かせいただきたい。国に責任があるということは、東京地裁の指摘をまつまでもなく、先ほども申し上げましたけれども、二十年前の大石環境庁長官の御発言で認めているところでございます。 私はこの判決の直後に原告の方々と御一緒に、そして弁護団の方々とも御一緒に環境庁や水産庁など関係各省庁をお訪ねいたしました。環境庁長官にはお目にかかれませんでしたけれども、企画調整局の柳沢環境保健部長さんが応対してくださいました。そのときの原告の方々の判決の不当性と被害の症状や生活の苦しみを訴える激しいやりとりを私は今もこの耳の底から呼び起こすことができる。耳の底にはっきりと焼きついているわけでございますけれども、柳沢環境保健部長さんも御記憶でないはずはないと私は思っております。 この東京地裁の判決に関しましては国会の場でも既に何回か審議に上りましたけれども、二月二十日の衆議院予算委員会におきましては、我が党の新盛委員が和解による解決を求めたのに対して、中村長官から、行政の立場ということもございますが、この判決の内容を真摯に受けとめ誠意を持って水俣病の対策に当たってまいりたい、こういう旨の御答弁がございましたし、また宮澤総理もこれを確認されていらっしゃるところでございます。 ところが、この御答弁について、その後の三月十二日の同じく衆議院の第五分科会で我が党の田中昭一委員が確認をさせていただきましたところが、中村長官は新盛委員が理解したと思われることとはちょっと異なった御答弁をなさっていらっしゃるわけでございます。そのときのやりとりを復元する時間もありませんですけれども、二月二十日の予算委員会。これは田邊委員長の代表質問を受けて新盛委員か水俣病の問題、この際も論理は和解による解決しかないんじゃないかという論理でいろいろ議論があり、厚生大臣の御答弁などもあって、途中中断しかかるようなそういう状況の中で、最終的に中村長官が、 行政の立場ということもございますが、新盛委員の御指摘もあることでございますので、この判決の内容を真摯に受けとめまして、新盛議員のお言葉もいろいろ聞かせていただきながら、誠意を持って水俣病の対策に当たってまいりたいと存じております。 こういう答弁であの予算委員会が中断しかかったものが収拾された。こういう経緯になっているということで田中昭一委員が発言をしているわけです。 そして、この答弁から考えて提起された内容について真摯に受けとめる、こういう立場で、従来のスタンスが変わってきているというふうに受けとめたいのですがいかがですかとお尋ねいたしますと、中村長官は、 あのときは、予算委員会のいろいろな運営上の経緯がございまして、打ち合わせた上御答弁をさせていただきましたけれども、私の真意は、あれはまさに、あの判決に盛られた、国家賠償法の責任はない、しかしながら政治的に責任はある、それを真摯に受けとめて、いろいろな御意見がありましたので、これから水俣病の対策に当たっていきたいということを申し上げたわけでありまして、あくまでも今私どもが推進しております総合対策、この対策について申し上げ、その最大限の対策を行って、この解決に全力を挙げていきたいという意味でお答えをした こういうふうにおっしゃっておられるわけでございます。 そうしますと、どうも新盛委員の指摘のときの御答弁とちょっと違うんじゃないか。総合対策だけでは解決がつかないという論理の追及をしている中で、最終的にやっぱり和解による解決を提起した新盛委員の意見を真摯に受けとめる、そういうふうに田中昭一委員は理解をされた。そういうふうに理解をして、そういうふうに受けとめてあの場を収拾された、こういうふうに思っているというふうなやりとりがあるわけでございます。 そこで、私は二月二十日の御答弁の真意について再度確認をさせていただきたいと思います。すなわち、国には政治的責任があるという東京地裁の指摘を踏まえて、和解協議のテーブルに着くことを御検討されるお考えがおありになるかどうか、このことを単刀直入にお聞きしたいというふうに思うわけでございます。
○国務大臣(中村正三郎君) 国民に何らかの損害が生じたときに、その原因者でなく国が、すなわち国民がそれを補償するかどうか、国民全体の負担によって。原因者の企業がある。しかしながら国民全体、すなわち国でそれをどこまで補償するかということは、あのときも御答弁したかと思うんですが、行政としてこれはゆるがせにできない行政の立場というものがあるわけであります。 そういう中で、私どもといたしましては少しそういったものを踏み出すという方向で総合対策というものを考えさせていただいて、ぎりぎりのところで財政当局とも昨年来交渉をしてまいりました。中公審の答申もいただきました。それによってぎりぎりのところでできないものかということで、ちょうどあのころ、四年度に行います総合対策について財政当局その他と折衝をしておりました。そういったものを推進していく、全面解決に向かって努力するというのが私どもに課せられた任務であろうというふうに考えております。 そして、水俣病の対策の推進に当たっては、もちろん新盛議員のお言葉ばかりでなくいろいろな方の御意見を伺っておりますし、伺いながら、誠意を持って今後の水俣病対策の推進に当たっていく。行政としてでき肩ぎりぎりのところ、多少踏み出すような格好でもって総合対策をやることでこの解決に向かって努力をしていきたい、そういう意味の答弁でございます。
○西岡瑠璃子君 本当にしつこいようですけれども、東京地裁の判決理由要旨の八番目のところに「その他」とありまして、そこにはこのように書かれております。 被告国には国家賠償法上の損害賠償責任はないが、被告国の被告チッソに対する行政指導などの面については十分なものとはいえないものもあった。水俣病は、人間の生命、健康を何よりも尊重するという精神を欠いたまま高度経済成長を志向した国家、社会が生み出したという側面があることは否定し難く、被害の拡大を十分防止し得なかったことについて被告国及び熊本県には政治的責任がある。本判決が一つの契機となり、その冷静な検討の中から、この紛争を和解によって解決しようとする機運が全当事者間に生まれてくることを期待したい。 このようにうたわれているわけでございます。 もう一度長官、このことをどのようにお受けとめになられますでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) これは、やはり何らかの損害が生じた場合に、その損害の原因者でなく、国民がみんなでどこまで負担したらいいかという基本的な問題にどうしてもかかわりますので、やっぱり国としてはそれだけの主張がありこの裁判の当事者になっているわけであります。 その裁判の当事者が判決の内容についていろいろ論評するのもいかがかと思いますけれども、やはり国は国の立場を守って、許された枠の中で行政としてでき得る最大の努力をしていくというのが国の役目であろうというふうに思っております。
○西岡瑠璃子君 私は、国は和解勧告の拒否の理由として訴訟の争点が行政のあり方の根幹にかかわるものであり交渉等により妥協を図る性質のものではないということ、これはもう今まで何回もお聞きしております。こういうことを繰り返されるばかりでございますけれども、行政ということを強調するのであれば、それは一体だれのためにあるべきかということですね。言うまでもなく、行政というのは国民、なかんずく社会的弱者、この場合は未認定患者なども含めてですけれども、こういった社会的弱者、国民のために行政というものはなくてはならないのではないか。決して霞が関行政のためであってはならない、私はそういうふうに思うわけでございます。 いずれにいたしましても、水俣病問題を全面解決するためには、昨年十一月の中公審の答申も認めておりますように行政的対応のみによっては困難な状況でございまして、問題解決のためには何としても政治的決断が必要でございます。そこで私は、中村長官には国の和解協議参加に向けて、行政の一員としての立場からではなくて国民から信を得て選出をされていらっしゃる一人の政治家としてのお立場から、リーダーシップを発揮していただき国民の期待にこたえられる良識ある御決断を求めたいと思うのでございますけれども、お考えをぜひお聞かせください。
○国務大臣(中村正三郎君) まさに委員のおっしゃるように、国民のためにある行政であるから悩むわけであります。一人の何か損害を与えた人がいる、企業がある。その損害を与えられた人を国民全体でどこまで救済する、そういうことができるのかどうかということが基本的な問題としてありますので繰り返しそういう御答弁になるわけであります。 でありますから、行政としては、繰り返してございますけれども、その行政のできるぎりぎりのところということで総合対策というものをつくりまして、認定患者でない範囲まで踏み出してできないかということで、必死でこれは財政当局と交渉いたしまして予算獲得に向けて最重点課題として予算をとりました。予算成立後、これを総合対策として実施させていただく、こういう努力をさせていただきたいと思っております。
○西岡瑠璃子君 私は昨年九月に当委員会におきまして初めて水俣病問題を質問させていただいたわけでございますけれども、その際に、訴訟の争点であります水俣病の病像論、つまり原告らが訴えている症状が水俣病によるものであるかどうかということ、そして国及び県に水俣病の発生、拡大防止に関する賠償責任があるかどうかということ、つまり国の責任論について、昨年八月七日の福岡高裁の所見をお示ししながら、当時の愛知環境庁長官に御見解を伺ったことがございます。 水俣病訴訟で国に責任がないと言われる理由の一つとして、水俣病発生当時には原因物質が明確に特定されていなかったことを挙げておられるわけでございます。しかし、こんなことは私は通らないのではないかと思うわけです。原因が解明されるまでは強制的な対応措置はとれなかったとするそういう国の主張は、私一つ例を挙げますけれども、地球温暖化防止条約交渉において科学的根拠が明確でないとしてCO2排出削減目標の設定に反対をしているアメリカの態度と余り変わらない、軌を一にするものではないか、こういうふうに思うわけでございます。 地球温暖化防止条約交渉では、政府はアメリカに対して友情ある説得を行うとおっしゃっておられますけれども、水俣病訴訟で見られるような態度をとり続けられる限りアメリカを説得する資格などないのではないか、こういうふうに言わざるを得ません。私は納得のいく御答弁をもう一度いただきたいと思うのでございます。
○国務大臣(中村正三郎君) 日本は法治国家でありまして、そこの中に行政があるわけであります。 当時、私はちょうどそのころ企業人でありましたけれども、環境というものに対する知見が非常にない時代でございました。私的なことで恐縮でありますが、私は鉄鋼会社に勤め、それから自分で企業をやっておったころでありますけれども、例えばメッキをやります会社に参りますと、メッキのガスで鼻孔に穴があいてしまう、しかしながらそういう職人さんたちが鼻孔に穴があかなければ一人前の職人でないというようなことを言われるような時代、非常に環境に対する知見の足りない時代であったと思います。 そういうときにああいう事件が起こって、そのときの原因物質もわからないし、初めてのことであり法制度も整備されていない。法制度の整備されていないときに法制度を乗り越えて行政が何かやるということは、これはできないことであります。その中でいろいろな対策がおくれた。その当時のいわゆる環境に対する物の考え方、知見、そうしたことのおくれが全体の原因であったということはそういうことであろうと思いますけれども、行政としてはそのとき対応できるような法律もなければそういう知見もなかった、こういうことだと思います。
○西岡瑠璃子君 いつもそういう御答弁をいただくわけでございます。 これも本当に極端な例でございますが、例えば東西の冷戦の終結、ソ連邦の崩壊とかといったような、本当にこれは人間の力の物すごさというものを認識させられるようなことがずっと起こっているわけです。これとは全然たぐいは違うかもわからないけれども、科学的知見とか現状認識というものが二十年前にはたとえおっしゃるような状況であっても、科学の日進月歩、そしていろんな社会情勢の認識の変化の中で、例えば白いものが黒あるいは黒いものが白と言いかえられるようなそういうことが起こっても、私はそれは本当に正しい認識であれば率直に認めなければならないのではないか。いつまでも当時の時点のことだけにこだわって、そのことしか聞く耳を持たないというのでは私は何にも進歩がないのではないかというふうに思うわけでございます。 これは私は前回たしか長官にも一度水俣に行ってごらんになりませんかとお問いかけしたこともございました。予算もお組みになったと今おっしゃいました。確かに水俣病に対しての予算もお組みになって、総合対策に対して今回改めて、この間柳沢環境保健部長さんもおっしゃっていましたけれども、今まで以上の決意でもって取り組まれるというお覚悟。決意のほどはよくわかりますけれども、私はやっぱり最初にも申しましたように、この問題について科学的な知見とかそういったことに基づく認識とあわせて、人道上といいますか人間の倫理の問題として何としても、もう地球サミットを本当に目前に控えて、今これを解決して全面和解にごぎつけなければ私は取り返しかつかないことになるのではないかというふうに思いますので、本当にくどいようにこのことについてあえて三度目の質問をさせていただいたわけでございます。 そして、去る三月三十一日に出されました新潟の水俣病訴訟の新潟地裁判決でございますけれども、これもさきの東京地裁判決と同様に国の行政責任は認めなかったわけでございますが、症状の組み合わせを必要とする国の認定基準については厳格に過ぎるとの考え方を示しまして、原告側の主張をほぼ全面的に採用したということは評価できると思います。この結果、これまでの一連の各裁判所の司法判断では患者の認定において現行の認定基準は巌し過ぎる、こういう判断が定着していることは今回否定できない事実となったわけでございます。 したがいまして、患者救済にとって現行の認定基準の妥当性の根拠はもはや破綻をしていると言わざるを得ないと思うわけですけれども、これら一連の司法判断を受けまして認定基準のあり方を見直すお考えはありませんか。
○政府委員(柳沢健一郎君) ただいま先生から先般の新潟地裁の判決についてのお話がございましたけれども、あの判決の中におきましても、国の判断基準、これが厳格に過ぎるとか誤っているとかそういうような言及は一切ございません。私ども環境庁といたしましては、公健法に基づきます水俣病患者の救済というのは医学を基礎として公正に行われることが必要である、そういうふうに考えておるわけでございます。 過去、昭和五十二年の通知によりまして判断条件が示されているわけでございますけれども、ここでは医学的に水俣病と認められるものは広く水俣病と認定するという、そういう基準であるわけでございます。その後、昭和六十年に福岡高裁の判決があった後も医学専門家会議を開きまして、この判断条件につきまして検討をしていただいたことがございます。この際にも、専門家会議におきまして現行の判断条件は妥当であるというそういう意見が出されているわけでございます。そしてさらに、昨年の十一月二十六日に中公審の答申をいただいているわけでございますけれども、この水俣病問題にかかわる中公審の答申の中でも判断条件を変更しなければならないという新しい知見はないという結論が示されているところでございます。 したがいまして、環境庁としては現在定められている水俣病の判断条件、現在においても医学界の定説となっている知見を基礎とした適切なものであるというふうに考えているところでございます。 なお、この判断条件をもとにしても、現在水俣病の患者さんとして認定される人の六割は水俣病の可能性が否定し切れないという、そういう範囲内でのトータルの患者数ということになっております。水俣病であるあるいは水俣病の可能性があるという人は合わせましても四割しかいないということでございますし、さらに昭和五十二年以降は、すべて水俣病の可能性が否定し切れないというその範囲内での患者の認定ということになっていることにつきましても御理解をいただきたいと思います。
○西岡瑠璃子君 私はもう何度も伺いました。この前、昨年の十一月二十日にもたしか柳沢部長はおっしゃいました。この水俣病の病像について現行の判断基準、これはもう患者であるかないかということについてこれ以上緩めたら他の疾患と区別ができなくなるというところまでぎりぎり緩めた判断基準だ、こういうふうに繰り返し巻き返しおっしゃっているわけでございますね。そして、臨床医学的方法と解剖による病理学的方法が完全に一致するというのは無理だ、こういうふうに柳沢部長はおっしゃってこられたわけでございますけれども、私はもう何回伺ってもこれは国の責任を回避する弁だとしか受け取れないわけでございます。 時間もございませんので、水俣病の総合対策について全力を傾注するというふうにこの前お会いしたときもおっしゃっておられましたけれども、この現在の準備状況などについて私はお伺いしたいと思います。 昨年の十一月二十六日に出された中央公害対策審議会の最終答申、これに基づいていわゆるグレーゾーンの住民を対象に健康管理事業と医療事業、つまり療養費及び継続的な療養手当の支給を柱とする総合対策が提起をされまして、これが本年度から実施されるようになったということは大変結構なことだと思います。しかし、これらの施策は国として当然のことでありまして、継続的療養手当は、被害者が病気によって仕事も十分できない、生活に困窮しているというそういう点、そして通院費その他の雑費に相当な額が必要である、これは前回私は具体例を挙げて申し上げましたけれども、これを十分に賄えるものでなければならないということは言うまでもないと思うわけでございます。 先日、環境庁へお伺いいたしまして柳沢環境保健部長にお会いいたしましたときに、当面総合対策に全力を挙げるとおっしゃいました。この対策実施のための準備状況が今どのようになっているか。特に医療事業についてはその対象者の範囲の検討が行われていると思うわけですけれども、今回新潟訴訟等の判決も出ました。特別医療事業の対象外に置かれていた新潟水俣病被害者については再検討されるのかどうか、こういった点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(柳沢健一郎君) 総合対策につきましての準備状況でございますけれども、現在関係県、すなわち熊本、鹿児島、新潟県といったところと鋭意協議を進めているところでございます。もう連日のようにこの協議をいたしているところでございまして、まだ本日現在その協議が続行中でございますので、その協議がまとまり次第この総合対策の実施に向けて動くようになろうかと存じております。 なお、その対象者につきましては、私どもといたしましては、中公審の答申にもございましたけれども水俣病ににも見られる四肢末梢の感覚障害を有する方々、こういうことになるわけでございまして、これは裁判の原告であったとかなかったとかそういうことには関係せずに、最終的に基準としてまとまったその基準に合致すればお話しの療養費あるいは療養手当の支給の対象者となるということになろうかと存じます。
○西岡瑠璃子君 国は最低限の責務として新潟水俣病被害者を初めすべての原告と患者を総合対策の対象者として特別医療事業制度を適用すべきである、私はそのように考えますが、その点についてもう一度確認をさせてください。
○政府委員(柳沢健一郎君) 昨年の答申に基づきまして、それから先ほど大臣がおっしゃられたように、本年度からの総合対策ということによりまして従来からの特別医療事業というのはいわば発展的にこの新しい総合対策の中に組み込まれる、そういうことになろうかと存じますので、現在新潟県とその新しい総合対策の進め方につきまして、先ほど申し上げましたように協議を進めているところでございます。
○西岡瑠璃子君 私は、対象者の範囲はこの総合対策の趣旨から申しましても可能な限り広くすべきであると考えます。また同時に、その決定に当たっては不当な差別が行われることのないように強く要望しておきたいと思います。 時間が追ってまいりましたけれども、私は最後に環境庁長官に特にお尋ねをしたいと思います。 今回六月に行われます地球サミット、それと二十年前にストックホルムで開かれた国連人間環境会議と銘打ったこのサミットとの違いについて、どのように認識していらっしゃいましょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 人間環境会議、それから二十年だった一つの節目としてこういう会議が考えられ国連主導で準備をされてきたということだと思います。 今度の会議が著しく違いますのは、地球環境という問題に対する脅威と申しますか、そういうことが大変差し迫った課題になってきた。でありますから具体的な対策を講じなきゃいけない。そのためにはどういうようなことをやらなければいけないんだという具体性が非常にあるということ。その具体性のあることを実行に移すためには一体どういう資金が要るんだろうか。その資金はどういうふうに調達してそれをまた必要なところに渡していったらいいんだろうか。また、そういうことをやるのに技術が要る。その技術はどういうふうに必要なところへ渡していったらいいんだろうかと、極めて具体性のあるところが違いだと思います。それだけ大変差し迫った状況になっている。 それだけに大変今、委員恐らく御存じで御質問だと思いますが、準備状況の中でも難しい問題が起こっておりますが、それだけ具体的な問題を抱えなければならないほどの局面になっておりますので、何としてもここでもってこの会議を成功させなければいけない。そういうところが前の会議と極めて違うところであろうと思っております。
○西岡瑠璃子君 仰せのとおりだと思いますけれども、特にモーリス・ストロング事務局長は、今回の会議は、ストックホルムの会議が環境問題というものを国際的な議題として大きくテーブルにのせた会議であるのに対して、これを経済政策と政治的意思決定の中心に据えようとするものであるということを言っておられます。きょうから始まる賢人会議でもそういう経済的な問題についての討議もなされるというふうに伺っておりますけれども、それだけ、大石長官が発言をされたときから申しますと二十年たって、もし中村長官が御発言の場を与えられるとしても各国たくさんの首脳、要人の参加がございまして御発言の場は少ないかもわかりませんが、私は、ぜひとも環境庁長官として国際的な舞台で日本の環境問題を語るお立場として本当に真剣に対応していただきたい、こういうふうに思っております。 最後に、一月二十八日の衆議院本会議におきまして、私どもの田邊誠社会党委員長の質問に答えて、宮澤総理が「平成四年度から新たに総合的な対策を実施するとともに、水俣病問題の早期解決に努力をいたします。」という御答弁でございました。私は、これを単なるリップサービスに終わらせることのないように、ぜひとも環境行政の最高責任者としての中村長官の御決意と今後の対応というものを伺って、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員の御示唆もよく頭に入れながら、行政としてでき得る、考え得るあらゆる手段、それは先ほどからお答えさせていただいている総合対策ということになるんですが、それを円滑に実施して解決へ向けて精いっぱいの努力をしてまいりたいと思っております。
○西岡瑠璃子君 ありがとうございました。 終わります。
○西野康雄君 西野でございます。よろしくお願いいたします。 環境庁の長官というのは今大変に苦しいなと。自然を保護せよと言うと、それはもうだれも反対する人はおらぬわけですね。総論は賛成するんだけれども、では二風谷の問題はどうなんだろうか、長良川はどうなんだろうか、白保はどうなんだろうか、あるいはNOxの排ガスの問題はどうなんだろうかと、各論にいきますというと大変に抵抗が多い。そういう中で長官を務めておられるというので大変苦しい立場というんですか、まさに環境庁というのは、先ほど長官自身もおっしゃっておられましたけれども、総論賛成各論反対のこういう立場に置かれているんだというふうなことでございます。私もその点は十分理解ができるわけです。 その中で、こんな法案があればなと私自身も思っておったわけですが、宮澤喜一首相が「地球的規模の環境保護政策の基礎となる「環境基本法」(仮称)を制定する方針を固め、環境庁に対し法案の作成を指示した」と報道されておったわけですが、具体的な作業にかかっておられるのか、またその法の目的、概要、そのあたりでわかっている部分があれば教えていただきたい、かように思うんです。
○国務大臣(中村正三郎君) その点は委員と全く同じ認識でありまして、今の御質問にありましたけれども、やはり従来ありました法整備というのが旧来非常に不備であった。わからないこともございました。ところが、私は議員に当選させていただきましてから十数年でありますけれども、その間にも、昔は対症療法的な、悪いものが出てぎたらそれをつかまえよう、悪いものを征伐しようという環境行政であったのが、今は地球環境を保全して我々の環境を、工業であり私生活でありをそれに合わせていかなきゃいけないという時代になってまいりまして、今までの法制度では不十分なことは先生おっしゃるとおりであります。 その中で、御指示を受けるまでもなく、私は就任しましてすぐ、環境基本法という名前になるのかどうかわかりませんが、私どもは環境基本法というのがいいと思っているんですが、そういったものについて検討しておくようにうちの事務当局にはもう重々指示をしております。そして、総理も今おっしゃられたようなそういう御意向でありますけれども、去る三月十六日の予算委員会において、これは参議院の予算委員会でありますが、地球サミットの動向をよく見ながらどういう基本法をつくったらよいかということを考えていく必要がある、またそれに従ったいろんな法整備も必要があるということがございまして、その当時からもうこれは御指示をいただいたものだというような考えで準備をしていることは事実でございます。
○西野康雄君 準備をなさっておられるということですが、どうでしょうか、その法の目的とか概要だとかそういうふうな具体的なところがありましたらお願いします。
○国務大臣(中村正三郎君) これはひとつ地球サミットの動向も見きわめながらということが必要な面等もあると思います。また、関係審議会に今地球環境時代の環境行政のあり方ということを諮問しております。 そういうことでありますから、具体的なことはまだ申し上げられるほどまとまっていないのでありますが、やはり持続可能な開発の地球規模での実現という立場に立って、またその中で我が国における環境問題はどうあるべきかというような発想に基づいてやっていくようになるのではないかというふうに考えております。
○西野康雄君 けさの日経あるいはいろんな新聞で環境税導入がささやかれておりますが、スウェーデン、ノルウェー等で導入されているような炭素税、そういうふうなものになるのか。炭素税というのは地球温暖化防止、そういうふうなもののねらいと定めておるわけですけれども、一般財源に充当するような税にするのかあるいは税導入そのものが少し時期尚早なのかとか、そういうふうなことに関して環境庁としてどういう見解をお持ちなのか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) もとよりこの環境行政というのは政府一体となってやらなければできません。でありますから、そういう意味においてはまだ具体的なことはないわけでありますけれども、環境庁として考えますときに、やはり環境政策の手段として排出規制を中心とするような施策に加えまして、経済活動全体に環境保全の観点を広げまして、広くこういったものを織り込んだ環境税等の経済的手段の活用が課題になるものと思っております。そして、OECDでは主として環境汚染行為を減らすという観点から環境税のあり方を検討しているようでございます。 それから、ノルウェーの首相のブルントラントさんが来られましたときに、ざっくばらんに雑談で話したんでまあ雑談で話した程度とお聞きいただきたいんですが、もう我が国ではやっていると。やはり考え方としては排出源にかけて、そして上がってきたものを目的税として環境対策に使うというのが一つの理想ではないですかねと申し上げたら、あちらもまさにそう思うと。そんなことで検討もしているんだというような、雑談程度の話ですけれどもございました。特にECの国々では、この炭素税をどうしようかという御検討を非常に深くやっているようでありまして、割と近い時期にこういった方向性を出してくる可能性もあると思います。OECDでは、たしか今年度末を目指して検討を進め結論を出そうということになっていくわけであります。 くどいようでございますが、政府一体となってやることでありますから軽々に言えません。税金ですから国民の御理解もなければいけない。ただ、私どもといたしましては、やはり排出源にかけて、そして排出を抑制していただくという効果と同時に、それによって得られた税収を対策に使っていくというのが一つの望ましい方向ではないかというふうに考えております。
○西野康雄君 私もその環境税が導入されたときに、それは目的税なんだと、こういうふうなことにするんだというのならば国民は納得すると思うんですが、ところが導入された後どこに使われるのかわからないというふうなことでは国民は納得しない。何や消費税のかわりに環境税をほうり込んだんかいなというふうな形になってしまうと困るんですね。そのあたりどうですか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今も申し上げましたように、委員もおわかりで御質問だと思いますけれども、これは税の問題でなかなか軽々に言えないことであります。 税というと、委員とか私どものレベルではこれはいいと御理解いただけると。こう思いましても、消費税のことを考えましても大変なあれであります。世論を聞いていますうちには、例えば環境というものは国民全体で支えるものだから消費税がいいんじゃないかという御議論があることも事実のようです。いろんなことがあると思いますけれども、やはり私は排出抑制ということとその目的というようなことを考えたくなるんですが、これはこれからの論議だと思います。
○西野康雄君 やはり国民にああだまされたと言われないようなそういうふうな税であってほしいと思うわけでございます。 続いて、私自身冒頭の文言の中にもございましたが、長良川河口ぜきにずっと携わっておるわけでございます。今、河川行政というのは非常に進んできた。自然環境に対しても随分と理解が出てきた。例えばこの報告書を見ましても、単一の魚礁というような魚のすめるブロックではなくて、玉石を敷いたり、これは恐らく蛇かごをイメージしているんじゃないか。その方が単一のブロックよりもはるかに多くの魚類がすめるわけですし、洪水のときに魚が好きなところの位置にすっと潜り込めたりする。そういうふうな意味において非常にこれは評価をするわけでございます。前向きに非常にいいようになってきている、さように思うわけでございます。 今の河川行政は非常に前向きだと言うと、また井上先生あたりから、では私のころはどうだったんだとおしかりがあるかもしれませんけれども、そうではなくて、そういう時代に入ってきた、そういうふうな時代のニーズにきっちりと対応し始めたと思うわけでございます。しかしながら、私自身はこの長良川を見ておりますと、周辺のところでは随分と進んではきておるけれども、根本的な疑問、そういうふうなものに対してはこたえていない、その感じが非常に強うございます。そしてまた、非常に疑われるというんですか、そういうふうな行為、行動というのが目立つ。 今回の長良川河口ぜきにかかわる環境再調査の急遽の調査一つとってみても、あの環境特のときに愛媛大学の水野さんがこういうことをおっしゃいました。急遽をつくったところでこれは魚も揖斐川の方に上っていくんだ、そういうふうなことをおっしゃっていた。そういうふうなことをやっぱり検討していかなきゃならぬのじゃないか。魚だって賢いわけでして、河口が同じところにあるとするならば、邪魔者がある、障害物があるところよりも障害物のないところへ上っていくというのはこれはもう当然のことで、多くの魚類学者が、それを指摘しているところでございます。 そういうふうなことをきっちりと調査しないと、魚をその急遽のモデルのあるところへ持ってきて上から水をだあっと流して、さあアユが何匹上りましたよと。これでは調査になってないんです、そういうふうな魚類学者の懸念となるものをまじめに取り上げていかないと。これで魚が上りましたよ。木曽川大ぜきで上ったって筑後川大ぜきで上ったって、これは関係ないんです。というのは、そこに長良川と揖斐川の特殊性というものがある。それを配慮したせきの急遽づくりなんかも進めていかなきゃならぬ。そうなりますというと、この調査書を見るというとそういうところが非常に欠けております。 また、小卵性のカジカというものはアユと同じょうなものであるといきなり断言して、健全なるカジカの仔魚がとれなかったのでアユで代替しても大丈夫だと。あるいはアシがあります。アシの原っぱを再現しておりますからそれでいいんだというふうなことを書いてあります。しかしながら、琵琶湖でもそうですけれども、アシを生やすだけじゃだめなんです。アシの根っこからは燐が出てくる。その燐をどう吸収していくか。それには藻が必要なんです。そこの中での言及が全くないわけですね。魚類相の調査でも、私どもが聞いております魚類相はもっと多かった。魚類だけでも百二十ぐらいは報告を受けているけれども、ここでは八十ぐらい。になっておるというふうなこともあります。 全体的に信頼に欠けるんじゃないかというのは、新聞記事ですけれども、「調査委託先は建設省関係機関 長良川河口堰の環境調査」ということで、 長良川河口堰問題で、環境影響の追加調査をまとめた建設省は八日、調査の委託先は同省OBが理事長を務める財団法人ダム水源地環境整備センターで、このほか六人が同省から出向していることを明らかにした。 同日の参議院予算委員会で、社会党の佐藤三吾氏が調査委託先をただしたのに対して、近藤徹河川局長が答弁した。同センターの理事長は広瀬利雄・元建設技監。センターによると、出向者の六人は現職の土木技術職が中心で、いずれ同省に戻る予定になっている。 そういうふうなことが書いてございます。 こうなりますと、国民の信頼というのは得られない。やっぱりそこで公正な第三者機関というんですか、そういうふうなものを持ってこなきゃならぬ。なるほど第三者機関が逃げ回っていたというふうな話も聞いております。結局はもう白保は影響ないというふうな、そういうふうなコンサルタント会社に注文しなきゃならないというふうなこともあったかもしれません。しかしながら、その中でもやっぱり愛媛大学の水野さんだとか、これはあなた方が招いたというんですか、そういうふうなことで環境特で参考人としてお越し願った方ですから、いろんな方々を入れていかなきゃならぬ。だれが入れたのか、だれが調査したのか全くわからない。調査した人はわかっておりますけれども、サメとエイの専門家でございまして、川魚じゃないわけですね。 そういうふうなことがずっと出てくると、これはもう一遍調査をし直さないと、肝心な部分が何一つ答えられてないと思うんですが、まず建設省から聞きましょう。
○説明員(荒井治君) 先生の御質問は、まずこの追加調査にかかわります調査機関についての御意見かと思います。 まず、我々土木技術者といたしまして最近つくづく感じていることがございます。それは要するにシビルエンジニアリングと英語では言うんだそうですけれども、市民工学、これは実はミリタリー工学というものと対応するものなんだそうです。軍事工学に対応するものだということなんだそうですが、我々土木工学というのは、構造力学であるとか河川工学であるとかコンクリート工学であるとか、いろいろそういうような工学の寄せ集めであったわけです。 ところが、やはり最近のように環境問題ということが非常に大きくなりまして、自然に優しい環境づくりをしていこうというような要素が入ってくるわけです。そういたしますと、どうしても今までの工学の範囲内から脱却したようなものが必要になってくるわけです。そういうこともございまして、このダム水源地環境整備センターというものが昭和六十二年に建設大臣によって認可されたわけでございます。 そういうことで、この機関におきましては、やはり河川工学の専門家、さらに今回のような非常に短期間において高度な調査をすることになった場合においてはこれらをいかに速やかに、かついろいろな方面の専門家を集めて御意見を賜り、実際の行動をするかということが重要になってくるわけです。そういうことでこのダム水源地環境整備センターに調査を急速お願いしたわけでございます。 この内容につきましては、専門家、特に環境に関する専門家、これは十五名の方をお願いしたわけでございますが、御存じのように大きく三つございました。一つは水質に関する項目、二つ目はカジカ類に関する調査、それから三つ目は河川敷地における貴重種の調査、この三つであったわけです。そういうことでこの十五人に及びます学識経験者、特に先端的な学識経験者をお願いいたしまして、調査の方針であるとかそれから調査結果の検討であるとかそれから分析であるとか、非常に細かい点にわたりまして具体的に御指導をいただいてこの追加調査はでき上がりまして、四月一日に公表というようなことになったわけでございます。そういうことで、我々といたしましては、この調査結果につきましては非常に客観的な評価がなされていると確信を持っているところでございます。 なお、先生の御指摘にありました揖斐川の方に魚が行ってしまうんではないかと水野先生がたしかおっしゃったということでございました。この点につきましては、既にこの調査の中にコメントがなされております。すなわち、魚が揖斐川に行くか長良川に上がってくるかということにつきましては、河口部が揖斐・長良川といいまして長良川と合流しているわけです、長良川、揖斐川というのは。そういうことですから、魚がどっちに行くかということかと思います。この点につきましては、年間の河川の流出量が河口ぜきがあった場合となかった場合でどう違うかというようなことで既に検討を加えまして、その河口ぜきによる取水量の影響はどの程度かというようなことも申し上げているわけでございます。 すなわち、揖斐、長良川の合計の総流出量に対して取水量は七%である。また長良川だけをとった場合を考えますと一二%であるというようなことを申し上げております。ですから、総流出量に対しての大体のウエートがわかるわけです。重みがわかるわけです。さらに、既に調査してありますKST調査にょりますと、魚というものはどうも選好性というんですか、水の中で長良川の水が甘いのか揖斐川の水が甘いのかということかと思いますが、そういうような選好性がある。それによりますと、長良川自体が非常に魚にとっては好ましいというようなことで、そういうような選好性を持っているというような実験結果も既に得られているわけでございます。 そういうことで、我々といたしましてはまず河口ぜき設置後も揖斐川に魚が行ってしまうようなことはないだろう。基本的には長良川に帰ってくるだろう。サツキマスなんかの場合は非常に母川回帰本能も強いわけですから、サケ科の魚でございますからこの辺は全く問題ないだろうということも考えられます。 それから、次に小卵型カジカについて御指摘いただきました。この小卵型カジカにつきましては、今回かなり綿密な調査をさせていただいたわけです。カジカというのは二つ種類がございまして、小卵型カジカと大卵型カジカというものがございます。大卵型カジカというのは淡水域にすむカジカでございますので、これは今回の河口ぜきのあるなしに関係なく影響がないわけでございます。ですから、基本的には小卵型カジカというのがこのカジカ類の中のまず一つであろう。もう一つは、アユカケというような魚がございまして、この二つが大きなカジカ類という回遊性魚類の中では影響をされる範囲だろうというようなことで選んだわけでございます。 そういたしますと、このカジカ類の中でなぜそれが選ばれたかということかと思いますけれども、アユとかサツキマスのようなある程度遊泳力の強い魚、それから水面を泳いでいくような魚、水中を泳いでいくような魚、こういうようなものについては非常に遊泳力もあるわけで、急遽等の設置によってもそれほど影響がないだろう。どころが小卵型カジカの場合は、特に回遊性魚類の中でも遊泳力が小さいというようなことでこの魚が選ばれたわけでございます。このカジカにつきましてどういうような調査を行ったかというと、基本的には長良川でとれたカジカを使った実験をやらせていただいております。ですから、基本的にはここでとれた魚を使った泳力実験なり日周活動の実験を行って、この魚の生態的な特徴をとらまえるというようなことをやったわけでございますので、その点については十分御安心いただいて結構かと思います。 それから、アシの岸辺の問題がございましたけれども、アシの岸辺につきましては、これは我々多自然型河川づくりということを最近申し上げて、先ほど先生からも存外のお褒めの言葉をいただいたわけでございますが、これにつきましては、我々やはりコンクリート護岸とかそういうようなものだけではいかぬということは常々考えておりまして、河川審議会においても答申がございました。そういうことも踏まえまして、単に岸辺を護岸で固めるということはやめようということで、捨て石なりを置きまして、それで浅瀬をつくったような岸辺にしよう。そこに単に岸辺をつくるだけじゃなくて、大きい魚が小さい魚を食べてしまうというようなことに対しては、浅瀬をつくることによって小さい魚がうまく避難できるような浅瀬、そういうようなものをつくるということと同時に、アシ、ヨシの岸辺を復元するということによって、やはり陰をつくるとか遮へい物をつくるといったような自然の護岸をつくっていこうということを考えているわけでございまして、その辺につきましては御心配ないかと思います。 さらに、百二十種類ぐらいの報告があるけれども……
○委員長(渕上貞雄君) 簡潔に、ひとつよろしく。
○説明員(荒井治君) わかりました。手短に申し上げます。 百二十種類ぐらいの御報告があったと聞いておりますが、前回六十種類の報告から今回八十九種類ということに報告を改めさせていただいております。これは主として沿岸性の魚、海と川の沿岸にいるような魚が非常に多く観測されるわけでございまして、それらがこれだけの種類になってきているわけでございますので、基本的な点においては全く問題はないんじゃないかということでございます。 なお、専門家自身につきましては、いろいろ御指導をいただいた十五人の先生は既に公表させていただいたところでございますけれども、そのほか水野先生などにもこの調査結果等についてはいろいろな面での御指導をいただいているということを申し上げたいと思います。 以上でございます。
○西野康雄君 御講義ありがとうございました。 何一つお答えにはなっておりません。実際実験をしなければならないものを実験しなくて、取水量がどうだとかパーセントがこうですからというのは、まさに机上の空論にすぎないわけでございます。そういうふうなことで国民が納得をするのか。まさにお手盛りの調査の中でしか行われていないわけです。正しいものというのはどこでどういうふうにこういうデータが得られましたということをやるべきものであって、長良川の取水量がこうですから。そんなことを言うのならば渇水期にはどうなのか。そういうふうな問題にまでなってくるわけです。そういうふうな点については何一つ触れておらない。 この急遽自身も成功するかどうか。まさに利根川だとかそういうところで一遍実験すべきものなんです。そういうふうなことを怠っておいて、学者の先生が何%ですから。こんなことを言ったってだれも納得しないですよ。ましてやこれが第三者機関といいながら、あなた方の内部の人たちが入っておったらその報告というものはまさに何もない。我々は納得できない。長良川の水がいい。それはそうなんです、日本海からの塩分を含んだ雪が直接源流に当たりますから。ところが、河口ぜきによってそれがどういうふうに変化するのか。海水が遡上をしてくる。そこで遮断をされたときにどうなのか。塩分濃度が非常に濃いまま来ております。汽水域が今までより減ります。そういったところの調査はどうなのか。何一つなされていないわけです。今までの水の形態の中でやっておられる。そういうところに非常に疑問点が多いと思うわけです。 環境庁、簡潔に、この所見に対してもうこれでよろしいか、もう一遍調査をしますというのか、その辺だけ答えてください。
○政府委員(眞鍋武紀君) 今般公表されました長良川の河口ぜき建設にかかわります追加調査検討でございますが、これは環境庁長官が示しました見解に沿いまして調査の方法でございますとかあるいは調査内容、取りまとめ等につきまして、環境庁とも十分調整を図りながら建設省と水資源開発公団におきまして学識経験者の指導も得ながら実施をしてきたものでございます。したがいまして、環境庁としては調査は適切に実施されたものというふうに考えておるわけでございます。 建設省と水資源開発公団におきましては、この調査検討結果を関係自治体でございますとか地元住民に説明をして、その意見を十分に反映させた環境保全上の措置を講ずるというふうになっておるわけでございます。環境庁といたしましては現時点で考えられる必要な調査は実施されたものというふうに考えているわけでございますが、先ほど申し上げましたような手順で住民等に説明をし、追加的な調査検討結果に示されました環境保全対策等が適切に実施されることが重要だと認識しておるわけでございます。 今後とも、必要に応じまして建設省と連絡をとりながら長良川の良好な環境が保全されますように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
○西野康雄君 再調査、KSTの木曽三川調査でもそうでした。大きな影響はありませんというのが立派な学者の先生方の調査。ところがいざ発表の段階になりますというと、随分といろんなところで摩擦が生じておるようでございます。そういうふうなことが今後問題として起きてこないようにしっかりとやっていただきたいと思いますし、改ざんだとかそういうふうなことが出てくる、そういうふうなことのないようにお願いをしたいと思います。 短期間でとおっしゃいましたけれども、私建設委員会で、最初に来たときにアユカケはどうだとかそういうふうなことをやっていたんです。あのときに素直に言うことを聞いておいてくれればこんなに長引くことはなかったし、大急ぎで建設省の関係者のおるところで調査をすることもなかっただろうと思うわけでございます。 この間、ちょっと質問し残しておる部分がございますしゅんせつによってどれだけ河床が低下するか、そういうふうなしゅんせつによる細かい距離別の数字ですね、ちょっとお示し願いたいと思います。
○説明員(松田芳夫君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問はしゅんせつによってどれだけ水位が低下するか、こういう御質問でございました。 数字を申し上げる前にちょっと考え方を御説明させていただきたいと思っておりますが、しゅんせつによる水位低下効果を求めるには、一般に一級河川等の流れが大きいような川では不等流計算という計算手法を用いて洪水時の水位を計算いたします。長良川においても当然この方法を使用してございます。しかしながら、実際の洪水現象は時間的に変化するとか、洪水が流れている間に河道自体が変化するとか、あるいはまた洪水の水に土砂が含まれているとかいろんな複雑な事情がございまして、洪水時の水位計算というものは、いろいろな仮定と申しますか前提条件を置いたものにならざるを得ません。 例えば粗度係数というような不等流計算という方程式の中に出てくる一種の定数がございますが、この定数等につきましても、先ほど申し上げました洪水現象に含まれるいろいろ多面的な要素によりまして洪水ごとに数値が違うとか、あるいは洪水中においても一つの洪水の中でいろいろ値が微妙に変化するとか、そういうような特性を持ってございます。したがいまして、過去の洪水から推算されました粗度係数には一般的にはある程度のばらつきがあるのが普通でございます。したがいまして、しゅんせつによる水位低下効果の計算の結果というものもある程度の幅を持った数値とならざるを得ないというのが現在の河川工学上の実態でございます。 それで、具体の水位低下量というのはどういうふうになるかと申しますと、しゅんせつの効果というものは現在河口からしゅんせつ区間三十キロメートルと想定してございますが、その効果は実際には三十キロメートルよりもっと上流までございます。具体的には河口から約四十五キロメートルぐらいまで効果が及ぶと考えでございます。それで、長良川の河口では、海に合流しているわけですから海水面と河道の水位が一致するということで、具体の水位低下量というのはゼロでございますが、河口から上流に行くに従いましてだんだん大きくなり、上流に行くに従いまして今度は川に勾配がついてまいりますからそのしゅんせつによる効果というのがなくなってきまして、四十五キロ付近で大体ゼロになる、そんな傾向を持った数値でございます。 それで、今お話し申し上げましたように、ゼロキロメートル地点の河口ではゼロメートル、こういうことになります。それから十キロメートル地点。これは長島輪中、長島町の付近でございますが、約〇・八メートルないし〇・九メートル、こんな数値が得られでございます。それからさらに十キロ上流へ上りまして二十キロメートル地点。これは海津町になりますが、約一メートルから一・一メートルの数字になります。それから、一番しゅんせつ効果が出るのが河口から二十七、八キロでございましょうか、南濃大橋という橋がかかってございますが、この付近におきましてしゅんせつの効果の一番大きく出るところでございますが、一・五メートル前後の数字が出てございます。それから三十キロメートル地点。これは高須輪中の最上流点の平田町になりますが、約一・二メートルから一・四メートル。それから犀川合流点の直上流四十キロ地点で〇・四メートル。それで四十五キロメートル地点でほぼ〇・一メートル、こんなような数字になります。
○西野康雄君 私が質問通告しているのはそんなラフな十キロ十キロというふうな感じじゃないんです。もっと細かくやってくれというふうなことでやっているわけです。そしてラフでも何でもない、もっと細かい数字を言えと言っているんです。それに対して十キロ、二十キロというのは、もっと細かい数字を出してください。私はそれで質問通告をしているんです、二百メートル間隔でもいいからと。大体じゅんせつなんというのはそういうふうなことでやっているでしょう。 第一この質問はどういうふうなことで質問したかというと、前回、愛知県議会で荒井さん、あなたは利水の問題だけですよ、こういうふうなことを言ってきた。ところが違うでしょう。利水だけではないでしょうが。石井土木部長はしゅんせつによる細かい距離別の数字も示されていない、こういうふうなことを言っておるわけです。この間何であの後追及しなかったか。この問題がある。それはある種の武士の情けです。利水の問題だけです、ああそうですかと。実はその後にこれがあったでしょう。愛知県議会ではしゅんせつによる細かい距離別の数字も示されていないというふうなことを言っているからです。利水だけじゃないんです、あなた方が情報として、資料として出してくれていないというのは。それを利水だけですと。あの利水のときの愛知県へ出した資料というものも出してくださいと言ったって、出してもこないじゃないですか。そんな誠意のないことをやっていたらあかんよ。だから距離別にきっちり細かい数値があるんなら出してください、こう言っているんです。
○説明員(松田芳夫君) 愛知県議会のことにつきましては、県会で土木部長さんの方から水位低下効果につきまして御報告ございまして、JR関西本線付近七キロメートルで一メートルの効果、それから船頭平間門付近約十二キロメートルで〇・七メートル、それから先ほど私申し上げました南濃大橋付近で一・五メートル、そういう答弁が県議会でなされたと聞いておるところでございます。
○西野康雄君 そういうふうなことは、しゅんせつによる細かい距離別の数字が示されていない、その後のことです。だから、私が質問しているのはそんなラフなことではない、今どういうふうになっているんですかと。二百メートル間隔ででも出してくださいよと言っているんです。そんなもの船頭平何ほどか、それは愛知県議会の報告でしょう。今私が質問しているのはどういうふうに距離別に治水安全度が増すか、河床低下しますか、二百メートル間隔でと言っているんです。だからその資料出せますか。
○説明員(荒井治君) ただいま先生の御質問につきましては、愛知県議会において御質問があったわけでございますが、この点につきましては、国が長年かかって詳細に調査した結果であるということに対して県も独自の調査をすべきじゃないかというような御質問があったことに対して、土木部長としては国が長年かかって詳細に調査した結果であるので県が独自に調査することも困難であろうということで、今後国から詳細な資料を得るように努力したいというお答えをしているわけです。ですから、三点ぐらいにわたっての概略の効果について、特に福原輪中というところが愛知県域に属するわけですが、これは長島町よりもちょっと上流のところでございますけれども距離としてはこの愛知、岐阜、三重の中で一番短いところでございます。そういうことで県議会の方で土木部長は答弁しているわけです。 なお、この辺の治水計画等につきましていろいろ御質問、御意見が地元説明会等でも随分出ているわけでございます。その点につきまして、我々といたしましても今後十分その辺を踏まえた対応を現在検討しているところでございます。
○委員長(渕上貞雄君) 今の資料が出せるかどうかというような点については。
○説明員(荒井治君) 近々そのような御要望にこたえられるというふうに思っております。
○西野康雄君 近々と申されましても、いつなのか具体的にお願いいたします。
○説明員(荒井治君) ゴールデンウイークの前というぐあいに考えております。
○西野康雄君 ありがとうございます。本当にこの間も約束をしてもらったんです、すぐにしゅんせつの距離別のものを出しますと。その後だれもお越しにならない。そういうふうな態度がやっぱり私自身もそうだろうし、いろんな人が不信感を持ってくる。今回もちゃんと二百メートル間隔で答えられよといって質問通告しているわけですから、それに対して十キロ、二十キロ、三十キロ。それじゃ答えになってない。 そういうふうなことをやって、追及したらこの間の愛知県議会のはこうこうこうでした。そういうふうなことではやっぱり誠意ある対応だと思えない。私がこうして追及すれば追及するだけ皆さん方がその誠意にこたえて、急遽一つにしても護岸工事一つにしてもいろんなところで工夫をしてくれる。そういうふうな誠意は誠意なりにきっちり感じておるわけですから、その辺をやっぱりゴールデンウイーク、これを目途にひとつ出していただきたいと思います。 長いいろいろな講義を聞きましたので時間の方がやってまいりました。なかなか答弁もうまくおなりになったと思いますけれども、簡潔にお願いをしたいと思います。どうもありがとうございました。
○井上章平君 ただいま西野委員から質疑のございました長良川河口ぜきについて、私もきょうはこの問題に絞って環境庁、建設省に二、三質問をいたしたいと思います。ただ、ただいま西野委員からいろいろ質問がございまして、それに両省お答えになりましたことで重複するところがございますので、これはもう割愛させていただきたいと思います。 この河口ぜきにつきましては、昭和三十五年に予備調査を開始いたしましてから、延々と各般の調査を建設省それからこの工事を担当する水資源開発公団によって実施されてきたわけであります。その成果をもとに工事の着工に至った。私どもはそう承知しておるところでありますが、この工事の途上において、ただいま御説明のありましたような経緯から大変異例な措置と思いますが追加調査が加えられた、こういうことになるわけであります。 そこで、これは環境庁と建設省と協議の結果、環境庁の方で調整をとりながら追加調査の内容等について決められたというふうなお話であったわけでございますが、この種の河口ぜきにおきまして必要な環境影響調査としては今日考えられる水準をこれらの追加調査を含めますと十分クリアした、こういうふうにお考えなのかどうか。追加調査を行うに当たってそれまで積み重ねてきた調査内容等を十分吟味された上のことでございましょうから、これらを含めまして環境庁の考える一つのスタンダードが示された、こういうふうに理解してよろしいのかどうかお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(眞鍋武紀君) 長良川の河口ぜきの建設は、御指摘のように昭和四十三年に閣議決定をされまして既に工事が進められている事業でございます。しかしながら、環境上の問題への懸念が高まってきたという特別の事情がございまして、平成二年の十二月に環境に関します追加的な調査検討の実施等を提案する環境庁長官の見解が示されたわけでございます。その見解に沿いまして環境庁と建設省が協議をいたしました結果、平成三年の三月に、建設省と水資源開発公団において学識経験者の指導も得ながら、河口ぜき設置後の水質予測でございますとか、あるいはせきの設置、水質、流況の変化がカジカ類の遡上とか降海それから生息に及ぼす影響、三点目は今後工事が予定されている高水敷における貴重な動植物の生息に及ぼす影響、この三点につきまして補足的な調査検討を実施した上で、既に実施されておりました水質や回遊性魚類等に関する調査検討結果を含めて取りまとめ、公表する。こういうふうな経緯で去る四月一日にこの調査検討結果が公表されたところでございます。 この調査検討結果につきましては、河口ぜきによる水質や魚類の生息等への影響を予測いたしまして、その結果を踏まえた環境保全のための対策を明らかにする内容となっているわけでございます。環境庁といたしましては、これらの対策の適切な実施によりまして環境保全上の著しい影響は避けられるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。さらに、建設省及び水資源公団におきまして、関係自治体でございますとか地元住民に説明をしてその意見を十分反映させた環境保全上の措置を講ずるというふうになっておるわけでございますので、環境庁といたしましては、今後とも必要に応じまして建設省と連絡をとりながら長良川の良好な環境が保全されるように引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○井上章平君 よくわかったわけでありますが、ただ先ほど来西野委員からのお話等を伺って私感じましたのは、これは新聞等でもこの問題についていろんな団体からこの追加調査の結果の中身について異論が出ているというふうに伺っておるわけでありますが、一口に言って、すべて実証されることでなければ信用しないと。私どもは、現在の知見をもとに合理的な推定が可能ならその範囲内での調査で結論が得られればよろしいというふうにしないと、これはもう際限のない調査を行わなければということになってしまうような気もするわけであります。 これは、現在環境庁は、今お話を伺いますとこれで一応長良川河口ぜきについていろいろ懸念されたことについてはクリアした、こういうふうな御認識であったようでありますし、また引き続き、何といいましても地元の河口ぜきに最も利害関係のある人たちにこれらの調査の結果を報告した上で、どのように判断されるかということを見守りたいというようなことがあったわけでありますが、これは環境庁としてどうでございますか。際限なく、例えば先ほどちょっと出てきましたように、揖斐川と長良川、これは河口を一つにしておるわけでありますが、片一方にハードな施設ができると当然条件が変わる。これらはどのように推定を重ねても満足いかないわけでありまして、実際は実施された後でそれらの答えが出てくるというような性格というものも多分にあるわけであります。 しかし、総じて環境について大きな河口ぜきにまつわる変化が起きないというような確認さえとれれば私は実施すべきだ。そうしないと、これはあらゆる事業がこういうような論法ですべてストップするというようなことになりかねないという感じがするのでありますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(眞鍋武紀君) 環境庁といたしましては、長良川の環境保全上、今般公表されました調査結果に示された環境保全対策が適切に実施されるとともに、今御指摘の関係自治体及び地元住民への説明、その意見を十分反映させた環境保全上の措置を講ずることが重要だというふうに認識をしておるわけでございます。我々といたしましては、現時点で考えられる必要な調査は実施されたもの、こういうふうに考えておるわけでございます。 建設省等におかれましても、保全のための対策として公表した対策を適切に実施されるということは当然の前提でございますけれども、急遽の効果等につきましてはモニタリングということもございますので、事業者によってそういうモニタリングが実施されるというふうにも伺っておるわけでございます。環境庁といたしましても、このモニタリングの結果について注視をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○井上章平君 河口ぜきは建造されるにいたしましても、その河川にかかわる良好に保持されておる自然環境が将来とも保持されていかなければならないというのはもうこれは共通の認識でございまして、そういう立場からさまざまな調査が行われるということでありましょうから、したがって、例えばそういうものは一切っくってはならないというようなことを前提にいろんな調査範囲を際限なく拡大していくというようなことにはならないように、環境庁の格段の御指導をお願いいたしたいわけであります。 さて次に、今度は河口ぜきの中身に入ります。 建設省にお伺いいたしますが、この河口ぜきの進捗状況は今どういうふうなことになっておりますか。昭和三十八年に実地調査に着手しまして、建設にかかわる閣議決定が昭和四十二年というふうにあります。自来二十年これは経過しておるんですね。これほどの長年月を要した最大の理由は何ですか、ちょっと御説明ください。
○説明員(荒井治君) 長良川河口ぜきにつきましては、この下流部が我が国最大のゼロメートル地帯であるというような背景がございます。古くから水害に苦しめられていた地域である。また、昭和三十四年、三十五年、三十六年と連年災害によって大きな被害をこうむった地域であるという非常に水害に苦しめられた地域でございます。そういうことで、引き堤したりかさ上げしたりすることができないために大規模なしゅんせつによって洪水の疎通能力をふやすと同時に、中部の将来の発展のための水資源を確保するというのが事業目的でございます。 先ほど先生から御指摘がありましたように、昭和三十八年に、事業に入る五年前でございますが、KST調査ということで綿密なる環境影響調査を行ったわけでございます。その結果を踏まえて、昭和四十三年の閣議決定を経てこの事業に入ったわけでございまして、環境影響評価制度が昭和五十九年にできる十六年前にこのようなことをやっているわけです。 現在この事業につきましては、平成三年度末で六一%の進捗、さらに平成四年度では二百五十億円の予算をもって七七%の進捗を目指しているわけでございますが、御指摘の二十年もの期間を要したという点につきましては、せきの設置そのものに問題があるというわけではないわけで、それは基本論ではない。むしろ長良川は、アユであるとかシジミであるとかこういったような水産資源が非常に豊かである河川である。このため、約二万四千七百人ぐらいの漁業組合員の方がいらっしゃいますけれども、これらの漁業関係者の理解を得るために時間を要したわけでございます。特にアユ、サツキマス等に関しましては人工種苗生産技術の開発、要するにアユとかサツキマスを産卵させて人工的に生産する技術を開発するとか、それから急遽の開発及び改良であるとか、それから漁場対策調査、こういったようなものに数々の努力を重ねてきて、説得に説得を努めた二十年でございました。 そういうことで、昭和六十三年の二月になってこの三県にまたがる二十二漁業協同組合全漁協が着工に同意をいただきまして、次の三月に工事に入るというようなことに至ったわけでございます。そういうことでこの漁業関係者の理解を得るということが最大の時間を要した原因でございました。現在、既に十九漁協と補償基準の妥結を行って工事を進めているところでございます。
○井上章平君 このせきに限らず、ダムでも着手以来三十年あるいはそれを超えるような経過を経でなおかつ全く前進しないというようなものがあるわけですね。だから、地元関係者のひとしく了解を得て着手着工するというような手順を踏めば、当然今日の時代では長期の期間を要するということはよくわかるわけでありますが、しかし何といいましても二十年間、この河口ぜきを取り巻く社会の状況は大きく変わったわけです。だから、そのときにいろいろ計画を立てましても、その時代の変遷にやはり計画そのものを対応させていかざるを得ないということは当然起こるわけであります。この間、長良川も安八の破堤のような大きな災害を受けるというようなこともあって、これらの周囲の状況から河口ぜきに対しての評価といいますか、そういうものが社会的にもいろいろ変遷を経てきたというようなこと。 あなたがおっしゃるように、今、二十年かかって地元の関係者、特に漁業関係者の理解を得るのに必死になった二十年であったと。やっと了解を得られた。すると今度は周辺から、もう時代は変わったんだからこの河口ぜきは要らないではないかというような声が上がってくるというごと。現にそういう状態にあるわけです。この河口ぜき建設には、そのようなことから既に賛否両論があるということはもうこれは否定し得ない事実であります。そして、この反対理由、先ほども西野委員からお話のあったことではありますが、この河口ぜきの自然環境に及ぼす影響ということもさることながら、このせきそのものの目的、効用について、何といいますか根深い異論が生じているということが今日この河口ぜき問題を非常に難しくしているのではないかと思うわけです。 環境の問題につきましてはまた後で時間があれば触れたいと思いますが、そこで、この河口ぜきの目的、効用が長い年月を経るに従って変わったのか変わらないのかというようなことについてちょっと確認しておきたいと思うわけであります。 まず治水目的。これはもう争いようのないことだと私は思いますが、しかし現実には、しゅんせつは必要でないとか、あるいはしゅんせつをやったって塩害防止にさしたる手だては必要ない、塩害などはほとんど発生しないというようなことから、この治水目的について異論があるということがあるわけです。私の経験に照らして言えば、河川の下流部というのは当然海水と河川水との接点でありますが、しかし河川としては最下流端でありますから、水をとるにはなるべく下流でとった方が安定してたくさんとれるというようなことから、取水口というのはできるだけ下流に置きたい。しかし一方では、感潮区間だと殊さら塩分が混入することになるという危険がある。 そういうことで、下流で例えば治水対策上しゅんせつをする、掘削をするというような形で河床の条件を少しでも変えますと、これら利水関係者は一斉に大騒ぎになるわけです。そしてさらに、河床が下がることによって上流に塩水が侵入してくる。周辺が低地で地下水がゼロメーター以下というような状態でありますと当然海水が地下水に入ってくるというような、この地域もまさにそうなのでありますが、そういうようなことで治水対策上しゅんせつするというのは、洪水時の水位を下げるわけでありますからこれはもう一番効果が大きいわけです。 しかし、そういうことがあるということで、大体どの河川も河口部での河床しゅんせつということは必ず厳しい塩害防止対策を必要とされておる。これは全く例外はないと思うんですけれども、もし例外があるとすれば、今ここで問題にされておるこの長良川河口ぜきの議論です。これは一体どういうことでしょうか、ちょっと御説明願いたいわけであります。
○説明員(市原四郎君) しゅんせつを行いましたときに塩害が起こるのか、起こらないような例外があるのか、また起こるとしても大したことはないんじゃないかというようなこともあるけれどもその点はどうかという御質問だと思いますので、御説明させていただきます。 大規模なしゅんせつをやったために大きな塩害を起こしてしまったという例が実はございます。それは利根川でございまして、利根川はカスリン台風という非常に大きい台風が参りまして、その後も立て続けに二十年代に大きな出水に見舞われたわけでございます。そのために、それに対処するためには下流部でかなり大規模なしゅんせつをする必要があるということになりましてしゅんせつをやったわけでございます。 確かに治水の安全度はそれで向上いたしましたけれども、昭和三十三年の渇水のときに、大規模なしゅんせつをやったために海水が遡上してきて、海水を取水したために約三万ヘクタールに及びます地域で深刻な塩害を経験したことがございます。それは単に農業だけにとどまらず、水道にも塩水がまじってしまいまして、お茶が飲めなくなっただとか、それから歯医者さんの医療機器がさびてしまっただとか、豆腐屋の豆腐が固まらないとかそういった生活に密着したような被害も起こったわけでございます。そういうことから、利根川では利根川河口ぜきというものをつくって潮をとめるということにした例があるわけでございます。 全国で一級水系は百九あるわけでございますけれども、これらの水系につきましては主に治水の安全度を上げるためにしゅんせつというような治水工法をしばしば使っておりますけれども、この百九水系の中で既に五十三カ所につきまして潮の遡上をとめるためのせきを設置しておるという状況でございまして、しゅんせつをするときには潮が上がらないようにせきでとめるというのは、治水上常識と言ってもいいんじゃないかというふうに認識しておるわけでございます。 さて、この長良川でございますけれども、長良川も非常に治水の安全度がまだ低いということで、しゅんせつといいますか掘削をして治水の安全度を上げる必要があるというふうに考えておりまして、そういった掘削をしたときに一体どうなるがという問題であります。現在のところ、長良川につきましては、河口から十五キロ付近のところに小高いマウンドというようなものがございまして、そこで潮がとまっておるという状況でございますが、大規模なしゅんせつをして治水の安全度を上げたときには塩水は三十キロまで及ぶということになりまして、現在ほとんど真水で流れている河川が塩水になってしまう、こういうことになるわけでございます。 そのためにどういう障害が起こるかといいますと、現在とっております北伊勢工業用水というのがございますが、この取水が塩水になってしまう。これによって北伊勢工業用水で操業しております六十社七十工場に影響が出て、数万人の従業員の方々に大きな影響を与えるのを初めとして大きな影響が出るということでございます。また、高須輪中のところで長良川用水という農業用水をとっております。毎秒約十トンの水をとっておるわけでありますが、これも塩水になりまして、そのために三千ヘクタールの農地に影響が出るということでございます。その他、先生御指摘のように地下水の塩水化が見込まれるわけでございます。 こういった大きな被害が出ると考えておりまして、非常にゆゆしい問題だと考えております。
○井上章平君 河口ぜきを何とかとめたいということになると、河口ぜきの目的としていることをすべて否定ずみということにならざるを得ない。これは論理の帰結だと思うんですが、しかしそういう形で殊さら塩害を過小評価して本当にいいんだろうかという気がするわけです。 それで、ここはこれから起きるというようなことでなくて、これは過日、本委員会で委員の先生方が視察されたわけでありますが、長島輪中というところがございます。ここはもうゼロメーター以下の、これは地盤沈下によってそうなったところでありますが、海水よりは地下水の方が低い。そのためにすべて地下水は塩水に置きかわったところです。これはもう既に塩害が発生して、これをもとへ戻す手だてはもう全くないというような状況であります。しかし、井戸を掘って塩水が出るというのは、これはまさに大変な公害といいますか環境の破壊の実証だと私は思うわけであります。 しかし、ここでも農業が行われておりますので、何とか農業を続けようということで、あれは除塩用水というんですかを取り入れて何がしかの、かなり耕作の面積は減ったというふうなことは伺っておりますが、またそういうどうにもならぬところはどんどん休耕にするとかいうようなことで、実際塩害田というのはだんだん少なくなっているというふうには聞いております。しかし、これは塩害がなくなったわけではなくて、もうだれもがつくらなくなった、あるいは除塩用水をやたらと振りかけて何とか稲作はできるという状態にすぎないわけです。 これだけの何といいますか塩害に対して反面教師があるのに、どうしてこの地域の人が塩害は大したことないと。この前この委員会で視察したときも盛んに地元のある人が塩害はない塩害はないと言って、これは休耕田です、これは塩害田ではないんですというようなことを言う、丸裸になったような休耕田でも。そんなことで休耕田になるようじゃそれ自身が塩害じゃないかという気がしたわけでありますが、ここの長島の塩害についてはどうでございましょう。私はそういう認識ですが、よろしいですか。
○説明員(市原四郎君) 御説明いたします。 長島輪中は長良川の最下流端、河口のところに面しているところにある輪中でございますけれども、非常に地盤が低いところで、非常に古くから塩害に悩まされているところでございます。伊勢湾台風というのが昭和三十四年に参りまして、そのときには潮をかぶって大変な塩害を出したわけでありまして、そのときには作付面積の約三〇%の水田が塩害によって被害を受けたという状況でございます。その後、この伊勢湾台風の復興事業として農業基盤整備事業が進むことによりまして、塩害はそのときよりもだんだん減ってきたということでございます。 しかし、潮をかぶったという塩害は減ってきましたけれども、昭和四十年ごろから逆に塩害田がだんだんまたふえ出したという状況が続いたわけでありまして、昭和四十五年には作付面積の二一・四%の水田で塩害が発生したということでございます。余りにも塩害がひどいので、水田を宅地や団地に転用いたしましたり、またちょうどそのころの減反政策もありまして特に塩害の激しいところは休耕田にしたり金魚の養殖池とかそういうことをして、どんどん水田を減らしていった経過もございます。そういったこともあって、見かけ上塩害田の面積は減少したようにとられておるわけでございます。 非常にこの地域の方々は苦労しておられまして、地下水で水をとってみたり、また川の上流に取水口を求めていって、とうとう昭和四十七年には長島輪中の最北端にあります長島揚水機場というところから水をくんで、これも塩水は少々は入っておりますけれども、その水でもって何とか賄ってきた、こういう状況でございますが、そういう窮状を受けて木曽川総合用水という事業が起こされたわけであります。 これは塩水に関係のない非常に上流のところから水をパイプで引っ張ってきて、その水を長島輪中の水田に使う。そして、長島輪中からの地下水だとか直接川からの取水というのはやめて、専らその上流から引っ張ってきた木曽川総合用水に依存したパイプラインによって真水を使う。そしてまた、排水の施設を整備いたしまして、なるべく水はけをよくする。そして上流からの真水を使うというようなぎりぎりのことを行っておられたわけです。 当然、今でも長島輪中の地下水は完全な塩水でございますので、そういった上流から引っ張ってきた真水をかけて、また排水をどんどんよくして、辛うじて現在は塩害を〇・三%ぐらいに抑えておるというぎりぎりの状態にある。少し手を抜けばまた地下水の塩水が上へ上がってくるというぎりぎりの状態で、何とかしのいで現在は〇・三%の被害率だというような際どい状況だということでございます。
○委員長(渕上貞雄君) お答えはひとつ簡潔に。
○井上章平君 次に、このせきのもう一つの大きな目的に当然利水があるわけであります。 この問題は、かつて経済の高度成長と都市への人口の急激な集中の中で、これはもう全国各地の問題でありますが、水需要が急増をしていた。水資源開発が地域発展のかぎを握るとされたときもあったわけであります。人口の急増、経済の高度成長に追いつかなかったために水がなくなって実は大変なことになったというそういった苦しんだ地域も続出したと思うんです。委員長いらっしゃいますが、御出身の福岡もかつて何カ月もおふろに入れない、おふろに入りに東京へ来だというような話もあったわけであります。 これはその後、一つにはそういった人口の集中度合いが緩和されたということもあるでしょう。それと工業用水等でいろんな工夫がされて、循環利用が進んだとかさまざまな節水対策、それからもちろん水資源開発を進めたということの両面から、次第に渇水そのものほかなり小康を保っているという状況ではないかと思います。 しかし、この地域はどうなんでしょうか。これは西野委員の御指摘でありますが、先般の当委員会で、今日までさしたる渇水被害なんかないじゃないか、昭和六十一年だってあんなのは防げた、人為的なものだというようなお話もあったわけであります。これは、水資源開発といいますか、このせきの持つ大きな目的の一つである利水問題をまず消さないと、せきの建設中止という形にならないというようなことからそういうような話になったのかなという気もするわけでありますが、ただいまおいでになりませんのでちょっとその辺はわかりませんが。 そういうことにいたしましても、この地域の水の需給関係というのはどうなんですか。先般西野先生からお話しのあったような形なんですか、ちょっとお答えいただきたい。
○説明員(市原四郎君) 簡潔に御説明申し上げます。 この地域につきましては、昭和四十八年、五十二年、五十三年、五十四年、五十七年、五十八年、五十九年、六十一年、六十二年、平成二年、このように毎年のように渇水に見舞われている地域でございます。そのために、市民生活とか経済活動に実は大変影響を受けておるところでございます。 それで、この木曽川水系に依存しております地域の都市用水の現在の最大需要量は七十五トンでございまして、供給能力としては九十七トンあると。いかにも余っているというように見えますけれども、先ほど申し上げましたように、木曽川水系に渇水が頻発しているということも事実でございます。これはその水資源の中心となっております岩屋ダムの貯水容量が十八日分しか補給分がないというようなことがございまして、非常に渇水に対して脆弱な構造になっておるということがこの原因でございます。 また、将来水の需要がないんじゃないかというようなことでございますけれども、生活用水にいたしましても現在増加傾向にございますし、工業用水はいろいろ回収率の技術的な向上だとか産業構造の変化によりましてここ数年横ばいの状態でございますけれども、これも近年微増傾向に推移しておりますので、今後ともこの地域に都市用水は必要だというように考えております。また、四全総の中でもうたわれておりますように、この中部圏では中部新国際空港だとか、東濃西部、名古屋東部丘陵、鈴鹿山ろく等で研究学園都市構想というようなプロジェクトが相次いで具体化しつつあるわけでございます。こういう点からも水が必要なことは論をまたないんじゃないかということでございます。 また、水資源開発施設といいますのは非常に建設に長時間を要するものでございますので、これは計画的に水資源開発は着実に進めていく必要があるわけでございます。そういう意味で、長良川河口ぜきの持っております二十二・五トンの利水の開発ということは非常に不可欠だということが言えるんじゃないかと思いますし、また地元の愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市等は再三要望、陳情を建設省等にしておるところでございまして、我々はどうしても中部圏には今後水資源の開発が必要であるという認識でございます。
○井上章平君 これも先般の当委員会での同僚委員のお話を受けておるわけでありますが、さっき話のあった昭和六十一年の渇水被害については、私後で新聞等を取り寄せて見ますとかなり深刻な状況であったということはわかるわけでありますが、これについてちょっと説明いただきたいんです。 例えば水道の水圧を意図的に下げたから水の出が悪くなっただけではないかとか、あるいは維持流量の五十トンを四十トンに削っただけだと。これは察するに木曽川大ぜきからの放流量のことだと思いますが、常時五十トン木曽川大ぜきから下流に維持用水として流しておるものを、これだけの渇水だと大騒ぎしておる事態でも四十トンに削っただけではないか。これを例えばもう全部使ったら渇水騒ぎはなくなるんじゃないか、こういうような趣旨であったように思うわけでありますが、この点はどうですか。
○説明員(市原四郎君) 六十一年の渇水の状況はどうであったかという御質問だと思いますので、御説明申し上げます。 昭和六十一年の渇水というのは大変な渇水であったわけでございまして、約五カ月間にわたりまして取水制限を余儀なくされて、水道用水で二〇%、工業用水では三〇から四〇%、農業用水でも三〇から四〇%の厳しい取水制限が一カ月以上にもわたった非常に厳しい渇水でありました。そういった厳しい取水制限をしたにもかかわらず、その水資源の中心であります牧尾ダムだとか岩屋ダムがもうほとんど空っぼになってしまった、こういう状況でございます。 さすれば、そういった六十一年の渇水というのは本当にまれであったかということを統計的に調べてみますと、明治二十八年から昭和六十三年までの資料を調べてみましても、ただいま申しました期間九十四年間の中で昭和六十一年というのは十二番目であった。ということは、そうまれに起こるものではないという実態だということでございます。特にこの木曽川水系につきましては、先ほども申しましたように、ダムのポケットが補給日数にいたしまして十八日分しかない。現在木曽川水系で建設中のほかのダムでは大体六十日分とか七十日分の貯水容量があるわけでございますが、非常に小さいということで、このように渇水が起こるんだと思います。 六十一年の渇水のときに、水圧を下げたから水が出なかっただけじゃないかというようなことかと思いますけれども、しかし水圧を下げて少しでも長もちをさせようということで水圧を下げたわけではありません。水圧を下げなければもっと早くにダムは空っぽになっておるということでございまして、水道事業者の必死の努力だというふうに私どもは思っております。 しかし、そういったことで長もちにはなりますけれども、水道の水が六万八千戸で出が悪くなったり、とうとう一時断水をせざるを得ないのが千三百戸起こったり、水道から赤水が出てしまったというのが一万九千戸あるというように、約九万世帯の人たちが被害を受けたわけでございます。そのために、その当時の新聞報道等を見ますと、児童が水筒とお絞りを持って登校したとか、それから学校の掃除は一日置きだとか、それから学校の芋洗い場の蛇口を使うのはやめてひしゃくでもって手を洗うとか、ふろを休む日を決めましょうとか、そういったことがある。これは我々は大きな社会問題だと考えております。 また、そのときに木曽川の維持流量五十トンを四十トンに下げて、その十トンを都市用水として回したわけでございますけれども、本来河川の維持流量というのは、漁業だとか水質の保持だとか、それから河口部の閉塞を防ぐだとか、それから地下水を維持するだとか、それから魚類を初めとする動植物の保護だとか、こういった環境保全のための様々な機能を維持するために、どんなときでもこれ以上の水は流さなければならないというようなぎりぎりの流量が維持流量でございますので、これはどうしても流しておきたいというものでございます。 もしも簡単にこの水を都市用水に渇水のときに回したりいたしますと、塩分濃度が上がって地下水の汚染が高まるだとか、生態系に大きな影響を与えるだとか、こういうことがございますけれども、基本的にはこの維持流量を借用するということは避けなければならないものでございます。この六十一年の渇水のときには、非常に社会的にパニック寸前にあったというような状況でございますので、そのために人道的な立場から、一部分でございますけれども緊急的に十トンを回したという、非常手段だというような形でございまして、軽々しくするものではないというふうに認識しております。
○井上章平君 今度は長良川の自然環境について若干申し上げたいと思うわけでありますが、これは長官もちょっとお聞き願いたいわけであります。 長良川は大変自然豊かな魅力ある大河川ということで広く市民に親しまれております。今日、長良川河口ぜき問題がこれほど人々の耳目を集めるということの中には、これは長良川につくられるせきであるというような長良川という河川に対する特別の思い入れというものがあるというふうに私どもは思うわけであります。確かに、これは昨年本委員会でも視察したわけでありますけれども、委員の先生方にも長良川のたたずまいといいますかには非常に好評であったというふうに私は思っておるわけであります。しかし、この河川は一面そういう姿かたちを持っておりますが、一方では洪水被害の絶えないこの地域の人たちにとっては大変恐ろしい河川といいますか、厄介な河川としても知られておるわけであります。 これは長官にもごらんいただきたいのですが、ここに明治の半ばごろのこの地域の地図があるんです。これを見ますと、現在は木曽川、長良川、揖斐川という三本の河川が伊勢湾にそれぞれ独立して河道を持っております。そのちょうど真ん中が長良川、こういうことになるわけでありますが、この明治二十年ごろの地図を見ますと長良川がないんですね。本曽川と揖斐川しかないんです。それじゃ長良川はどこへ行ったかというと、この河川は両川に挟まれて自分の河道を持てなかったわけであります。 したがって、上流である時期は木曽川に流れ込んだり、ある時期は揖斐川に流れ込んだりという歴史をたどっておるわけであります。そういうことで出口を持たない川ですから、一たん事があるとこれは全部あふれるわけです。そういうことでこの長良川流域の人たちは非常に水害に苦しめられた。地形的な本質にかかわるところからきておるということがわかるわけであります。 これを何とかしようということで、デ・レーケというオランダの方が見えてこの木曽三川の改修工事を計画したわけであります。これが軌道に乗りまして、明治の二十七年から三十八年という時期であります。ちょうど日清・日露戦争ということで大変出費多端なときでしばしば中断されたりしたようでありますが、この時期にこの長良川を人工の水路として掘るということで始めたわけであります。用地買収に大変難航して大変だったようでありますが、とにかくそのために一千ヘクタールという広大な農地を実は買いまして全く人工の水路を一本掘ったんです。これが今日の長良川と言われておるものであるわけであります。開削延長は二十四キロメーターといいますから、今日長良川の非常に自然豊かな景観のすばらしいところというのはすべてここにカバーされるわけです。 これによりまして長良川の治水上の安全度は飛躍的に高まることになります。したがって、この地域は大いに発展することになるわけでありますが、しかし時代の進展とともに大洪水が相次いで襲うんですね。そのたびごとに治水工事をかって掘った川の上に上乗せして今日に至っているという状況でありまして、今日もなおこの治水工事は進められておる。もちろん明治の半ばごろに計画された河道からしますと、これはもう二倍を超えるような大きな容量を持つ河道にはなっておるわけでありますが、何分にも周辺が都市開発されて水の出が非常に早くなるとか、ほとんど河川に集まるというようなそういった社会的な影響もこれあり、そういう形で洪水が絶えないということになって今日に至っております。 先ほど来、この河口ぜきで水位を下げて下流部の容量を増加してというような話があるわけでありますが、もちろんこの下流域の洪水対策としてはなるべく水位は低い方がいい。これは当然であります。洪水のときには、自分の二階よりもさらに高いところに水位があるということはとても不安で寝ておれないということでありましょうから、例えば一センチでも下げてくれというのが周辺の希望であります。 ただもう一つは、上流の岐阜市内を大臣ごらんになったことがあるかと思いますが、ウ飼いをやるところがございますね、金華山の。あの周辺の堤防というのは三階より高いです。とにかくやたらと堤防を高くして何とか防ごうというようなことでありますから、この地域にとっても水位を下げるということは大変なメリットになるわけです。したがって、そういった長良川の河川改修事業というのは、河口ぜきの周辺とか岐阜市の周辺というように局所的にとらえては議論できないんです。全体として一本の治水計画を立てて行うというようなものであるわけであります。 そういうことで長良川の河口ぜきが建設されようとしておりますから、もちろんこれがなかったらどうにもならないということにはならぬとは思いますが、しかし今日治水対策として進めておるのは、この河口ぜきを前提にしていろいろな堤防の高さを決め、川幅を決めるということであります。例えば新幹線の橋梁のけた下高は幾らというのもみんなそこから決まっておるわけです。だから、こんなものはそう簡単にできないというようなことを御理解いただかないと、この河口ぜきについてどうも本当の理解が得られないのではないかという気がするわけであります。 そういう形で、もうこれは百年の歴史になるわけですが、内務省、建設省とずっと永年この河川は大変重要な河川ということで直轄管理をしてまいりました。このことが今日大変良好な景観、豊かな自然環境、あるいは大変魚も多いんですね。豊富な生物相と言われておりますが、これも水深が上下流を通じて非常に良好に維持されておる。まさに河川管理の一つの努力の結果だというふうにとっていただかないと、これは自然にできていることだから、人為的に河口ぜきなどをつくって魚をどうこうするというのはけしからぬという御意見がしばしばあるわけでありますけれども、そういう川も確かにないとは申しません。 ないとは申しませんが、事長良川に関する限りはどうもそういうふうな意見は地元の本生に水害に悩まされてきた人たちには到底理解が得られないのではないかと思うわけであります。もちろん河川管理の過程で今日のああいったたずまいをつくってきた。松を植えたりいろんな努力をしてきたのはまさにそういうことでありますが、今後もずっと、例えば公園化を図って親しみやすい景観をさらに一層発展させようというような努力は続けておるわけであります。 そういうことで、長々と長良川の歴史まで申し上げて恐縮でございましたが、今日この長良川河口ぜきの建設問題につきましては大変厳しい状況にあると言わざるを得ないわけであります。あとまだ時間があればちょっとお伺いしようと思っでいたんですが、地元に対して精力的な説得といいますか了解工作といいますか、御理解を得るための努力を建設省、水資源公団はおやりになっておるようでございます。 ただ、昨年の十二月にNHKが「問われる巨大開発 検証長良川河口ぜき」という四十五分物の、これはプライム10というんですか特集番組を組みまして放映されたわけでありますが、これはもう時間もありませんので長々と御説明はいたしませんが、一口に言いまして建設反対キャンペーンをやったわけです。これも一方的な取材活動の結果こうなったというのではなくて、賛否双方からいろんな方に大変な取材をしておるんですね。にもかかわらず、反対という結論に沿わないものはすべてカットするというような手法で、もっとひどいのは一人の発言の中身まで切り刻んで発言の趣旨を変えられたといって怒っている人もいるぐらいでありますから、かなり強引な、なぜこんなことをNHKがやったのか大変理解に苦しむわけであります。 それはともかく上して、この放映後この地域の人々の長良川河口ぜきに対する認識ががらっと変わったんですね。これは本当に劇的に変わったようでありまして、実はこの地域を選挙地盤にしております国会議員の方から私に御報告があったわけでありますが、あの放映以降、後援会の多くの人々から長良川河口ぜきにもうかかわり合うのはやめてくれ、これは決して先生のためにならないと。それまではこの方はずっと賛成派で、地元に対していろいろとそういった形で運動を進めてこられた方であります。名前を申し上げてもいいわけでありますがやめておきます。 そういう報告を受けておりますように、改めでこのようなマスメディアの威力の物すごさということを感じたわけであります。何か学校区ごとに、大変な努力をして夜集まってもらって、長良川河口ぜきはこうですというような説明をずっとまさにじゅうたん爆撃型でやっておるということでありますが、しかし一回のこの放映でがらっと変わるほどマスメディアの威力は極めて大きいということがわかったわけでありまして、これに対抗する手段は今日のところ極めて限定されたものであります。そんなことで、大変厳しい状況にあるということを申し上げたいわけであります。 この長良川の自然環境の保全、河口ぜきをつくるか自然環境の保全かという二者択一は決してとっていないわけですよ。これはかって治水事業として全くの人工水路を、どんな水路をつくったってその時代は許されたでありましょうが、しかし極めて模範的なたたずまいを持った今日、日本で一番すぐれた景観を有すると言われる長良川をつくり上げたのも、河川管理というのはつまるところ河川が持つ自然環境を創造し、長く後世に伝えていく義務があるというような感覚があるからだというふうに私どもは感じておるわけでありますので、環境庁としてもこういった御理解をいただきたいというように私自身は思うわけであります。 長官の長良川あるいは長良川河口ぜきについてでよろしゅうございますが、御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 長良川河口ぜきは地元の住民、自治体の御要望が非常に強い。大変な水害、治水の歴史を今いろいろ委員お話しくださいましたけれども、そうした大変な苦労、被害の中から出てきた治水ということについて要望の強い事業ということを伺っております。そしてまた、いろいろ地下水の関係やなんかも将来ございますというようなことで、利水の面でも非常に重要な事業であるということも伺っております。しかしながら、ここは非常に良好な環境の地域でございますので、それをなるだけ保全をしながらやっていただきたいというのが私どもの立場でございます。 そして、私たまたま長官になりましてすぐのころであったんですが、長年反対運動をやっておられる方の話をちょっと聞いたことがございます。その方の話が、やっぱり洪水で大変な被害が出るので下を掘るということは賛成なんです。そういうことによって塩水がさかのぼるからそこにせきをつくる、これも賛成なんですと。しかしながら、そういうものをつくることによって非常に高い堤防があり、また河岸の中にいろんな工作物ができる。そういったものの安全性について大丈夫ですかということを言っているんだという話を聞いたことがあるんです。 それが今ちょうど委員が御指摘になったことと非常に符合すると思うんですが、そういうところは御専門の建設省の方で十分な御検討をしてやってくださると思いますから、そういうことは建設省にひとつ申し上げたらいかがですかということをその人に申し上げたことがあるわけであります。そういう中で、今般建設省、水資源開発公団でやっていただきました追加的な調査、これを踏まえて自治体、地域住民に御説明をされて、その意見を十分反映された上でもって環境保全上の措置を講ずるようなことをやっていただいて進めていただきたいと思うわけであります。 環境庁といたしましては、今後とも、良好な環境保全という観点から、建設省と連絡をとりながら長良川の環境保全に引き続き努力をしてまいりたい、このように思っております。
○井上章平君 ありがとうございました。終わります。
○広中和歌子君 ニューヨークで行われてまいりましたUNCEDの準備会が先週で終わりまして、多くの重要な点で各国の合意が見られず、あるいは中身が骨抜きにされるといったことで失望感が広がっている、そのように報道されております。来る六月のブラジルでの地球環境サミットの成功が危ぶまれているところでございます。 GLOBEインターナショナル、訳して地球環境国際議員連盟、私もそのメンバーでございますけれども、その会長のアルバート・ゴア上院議員は、みずからの国アメリカのブッシュ政権が特にCO2削減問題について後ろ向きかつ非協力的なことを問題視して、声明を発表しております。日本は地球温暖化防止行動計画で西暦二〇〇〇年までにはCO2の削減を一九九〇年のレベルにすることを既に表明し、UNCEDのCO2削減の提案に賛成の態度というふうに伺っております。 日本と非常に仲のいい、今までさまざまな外交面で協調をしてまいりましたアメリカのブッシュ政権の態度いかんにかかわらず、この削減に賛成の態度を貫かれるかどうか。そして、CO2を二〇〇〇年に向けて一九九〇年レベルに抑える、そういったUNCEDの決定という方向に向けて日本が積極的なリーダーシップを発揮していただけるのかどうか伺います。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、いろいろな準備会合が開かれ、気候変動枠組み条約の会合も開かれましたけれども、まだまとまっておりません。UNCEDの決定とかUNCEDのあれとかいうお話がございましたけれども、そうではないのであって、この気候変動枠組み条約の議長は我が国で務めております。そこで、いろいろな各国から出てくる意見をここでまとめて一つのものをつくっていかなければいけないわけでありますけれども、その中で意見が分かれているのは事実であります。 それで、日本は関係閣僚会議決定に基づきまして二〇〇〇年までにおおむね一九九〇年の排出レベルで安定させる。それから先は、削減させなければいけないけれども、その削減についてまではまだ決めていない。そして、今しょっちゅう外国の環境大臣の方たちが来ます。この間もEC代表部の大使が来られて、その前はドイツの大臣のテプファーさんが来られて、その前はポルトガルの環境大臣。これは今ECの環境に関する議長国をやっております。いろんな方が来られて御相談しております。それから、アメリカからも大使が私のところへ来られて、早くアメリカヘ来てアメリカの長官と会ってくれというような話もありました。 意見の違いは明確であります。アメリカはコンプリヘンシブアプローチということを言っておりますけれども、条約文書の中でいろいろやってまいります間に、アズ・スーン・アズ・フィージブルとかメイク・ベスト・エフォートとかいろいろありましたが、そういうのはあれですけれども、アズ・スーン・アズ・フィージブルというようなことで今来ているのじゃないかと思います。 しかしながら、仰せのとおりアメリカが最大の排出国であるということで、アメリカを抜いて条約をつくっても、これは仮定の話でありますけれども余り実効性はないであろう。そうかといって、アメリカに入ってもらうために非常に緩いことにして目標も何も掲げなければこれまた実効性がないだろうということで、今ECの方たちと話し合っていますことは、日本、ECは一致しているわけでありますけれども、今やはりアメリカに入ってもらわなければ意味がないので現段階はアメリカを説得することに全力を挙げよう、将来の地球ということを考えてやっていただくようにと。 それで、きのう実はストロングさんにお会いしました。その前には国連の環境計画のトルバさんも来ました。いろんな方にお会いしますけれども、きのう具体的なことについてちょっとストロングさんともいろいろ相談したんですが、全力を挙げてアメリカが我々と同じような立場に立ってCO2の削減に同調してくださるようにお願いを続けていこうと。今はそういう段階でございます。
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。ぜひその説得が成功することを祈っているわけでございます。 今おっしゃいましたように、日本は経済的には先進国ですが、CO2排出に関しては、一人頭というんでしょうかパーキャピタはアメリカの約五分の二でありまして、イタリア、フランスに次いで低いレベルにあります。その理由は、日本では石油税が非常に高い、また公共の交通機関への依存度が高いということ、あるいは工場などで排ガス規制が高く、またそれを守る技術もあるということで、世界に誇っていいことだろうと思います。 日本はもっとそうした環境面での実績を世界にPRするとともに、環境面で強力なリーダーシップをとっていただきたい、そういうふうに要望したいわけでございますけれども、もう一言環境庁長官、お願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 大体、今世界の国々の方は、先ほどもいろいろ話題になりましたけれども、日本が水俣病のような大変悲惨な経験をし、それに対していろんな苦労もしてきたということも御存じでありますし、日本がそうした空気の汚染だとか水の汚染だとかひどい状態を、いろんな問題は残りますけれどもかなり克服してきた、技術も蓄積しているということはよく知っております。そういう中で日本に対する期待もございますし、私どもはそういう面でいろいろ世界に貢献できるところがあろうというふうに考えております。 その中で、リーダーシップということですが、やはり今お話ししましたように、積極的にいろいろな会議に参加をしそ具体的提案を持って発言しております。CO2についてしかり。うちの方で議長国もやっております。それからいろんな方が御相談に来られる。それに対して、私は日本はこういう立場できちっとやっていくから皆さんもそういうふうに頼むよということで、いろいろなお話し合いをしてやっていける。また、例えば森林憲章につきましても日本は具体的な提案を行っておりますし、それから地球憲章、これはリオデジャネイロ宣言ということに名前は多分ブラジルの希望でそうなると思いますけれども、それに対しても具体的な案を持って臨んでおりますし、あらゆる会議で発言をし、そういうような具体的なあれをやっております。 それから大きなことは、こういった地球環境を保全するためには資金が必要、技術が必要である。そういうことで、これは国連の事務局、ストロングさんのところで主催するものでありますけれども、きょうから、折しもちょうど今始まっておりますが賢人会議、これは英語ではエミネントパーソンと言っているようですが、その会議が開かれる。これのホストを竹下元総理、海部前総理、経団連の平岩会長が引き受けて一役買っている。そういう面でもリーダーシップを大いに発揮していると思います。 それと、資金をどういうふうにしてレイズしようかといったときに、私は外国の人と話すときに、ある国際的な枠組みができれば日本は応分の負担をする用意があるということを申します。ストロングさんもうまいことを言っていましたけれども、日本だけではできないし日本抜きではできない話だ、こういうことでありまして、日本が積極的な発言をすることによって、それが一つの指標になってリーダーになればというふうに考えているような次第でございます。
○広中和歌子君 大変すばらしい前向きなお話を伺いまして、大変心強い限りでございます。 地球環境マーシャル・プランと言ったら大げさですけれども、これは先ほど引用いたしましたゴア上院議員が、その彼の書かれた本「アース・イン・ザ・バランス」、これは日本語では「危ない地球」といったタイトルで出版されるようでございますけれども、その中で主張していることでございますが、アメリカでは目下ブッシュ政権のもとでは実現し得ない、そういうところだそうでございます。ぜひ、日本だけではなく、アメリカそしてECとも協力しながら資金面での環境マーシャル・プラン、そういうことをやっていただきたいと思っているところでございます。 ただいまお話の出ました賢人会議、開かれております賢人会議でございますけれども、この環境会議を大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、そして日本はアジェンダ21に向けてどのくらいの基金を提供する御準備がおありなのか伺います。
○国務大臣(中村正三郎君) この賢人会議というのはもとよりプライベートな会議でございます。しかし、実は私どもも議長国をやっていますからしょっちゅう連絡とって今どんな意見がというようなことをやるんですが、例えば気候変動枠組み条約でも実を申しますといろんな国から発言がありまして、これをとろうかあれをとろうかという括弧書きが何百とできるような文章をつくりまして、それからどう省いてどうまとめようかということになります。国と国との話し合いになると、そういうところをぎりぎり詰めた話になってまいります。 そういう中で、一国の総理の経験者だとかいろいろな世界的な機関の長を経験された方とか、そういう方たちが集まって大所高所からやはりこうあるべきじゃないかという意見を出して方向性を出してくださること、これはやはりUNCEDを成功に導く一つの手だてとして非常に有効なものじゃないか。そういうことで今度のこの賢人会議、エミネントパーソンの会議を期待もし、非常にありがたいことだというふうに思っているわけであります。私自身、あした昼食会を主催いたしまして出させていただくということになっております。そして、最後に一つの方向性を持った何か御示唆をいただけるんじゃないかというふうに思っているわけであります。 もう一問、何でしたか。
○広中和歌子君 環境マーシャル・プランのことです。
○国務大臣(中村正三郎君) マーシャル・プランについて、ちょっと私不勉強なもので、こちらから答えさせていただきたいと思うんです。 〔委員長退席、理事西岡瑠璃子君着席〕
○説明員(田村修二君) ゴア上院議員が提案したということで、かなり大きなお金のフローを先進国から途上国に移していこうと。そういうような形で世界経済全体がしっかり環境問題に対応できるようにしていこうという構想だと存じ上げておりますが、それに関しましては、それ以外のいろいろな提案も現在UNCEDの国際会議の場でされております。そういうことですので、これからリオまでの間に、いろいろな提案のうち、どれが一番ふさわしく、しかも実効性が上がるかというようなことを各国と協議の上、決めていくという道筋になるかと思います。
○広中和歌子君 マーシャル・プランというのは、戦後ヨーロッパを復興させるということで非常に役に立った、非常にイメージのいいネーミングのプランでございますけれども、ぜひそうしたものも視野の中に入れて積極的に資金援助、リーダーシップを発揮していただきたい、そんなふうに思っております。 この国際的な資金についてでございますけれども、地球環境保全のための国際資金提供としてGEF、地球環境ファシリティーが設立されております。これは主として世銀、UNEPそしてUNDPによって運営されていると伺っておりますけれども、GEFについての拠出は任意ということでございますが、日本はどのような形で協力していらっしゃいますか。 〔理事西岡瑠璃子君退席、委員長着席〕
○説明員(溝口善兵衛君) お答えいたします。 GEFは三年間のパイロットプログラムということで昨年の五月から発足しているわけでございますが、全体の規模が十億SDRでございます。このうち日本が拠出を予定しておりますのは約一億三千万SDRでございます。
○広中和歌子君 済みません、SDRというのは何ですか。
○説明員(溝口善兵衛君) 通貨の一つの単位でございまして、主要な五カ国通貨を平均いたしたものでございます。相場によって変動いたしますけれども、一SDRが大体一・三ドルぐらいでございます。したがいまして、今の数字を一・三倍ぐらいしていただければドルになります。
○広中和歌子君 このGEFは一つの形だろうと思いますけれども、その運営についていろいろな意見が出ております。特に世銀とのかかわり、その運営の透明度などに問題があるというふうに言われておりますけれども、環境庁の御意見はどうなのか。地球環境を守る立場からGEFの果たしている役割をどのように評価していらっしゃるのか。それとも、もしこれが不十分であるとしたら新たな枠組みを考えていらっしゃるのか。その二点についてお伺いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 地球環境に関してUNCEDとのかかわり合いでいくということになりますと、今現状のGEFそのものに対して論じても余り意味がないんじゃないかと思うわけであります。 と申しますのは、GEFは確かに世銀の下の組織でありまして、今大蔵省の方から答えがありましたように三年間の試行的なことということで、やることも地球環境ということに限られた四つのことというので試行的にやっております。ですから、出資の仕方もばらばらでございます。最初コアファンドというところにアメリカはお金を出してなかったんですが、五千万ドル出そうということをついこの間おっしゃいまして、出すんではないかというようなことになってきた。 そこで、これからサミットで論じられまして、発展途上国にどういう対策をしていったらどういうお金が必要なんだ、どういう技術が必要なんだということになってまいりますと、私どもとしては一つのチャンネルでは無理であろう。やはり開発に関してはIDAであり、それからバイラテラル、マルチラテラルのいろいろなODA、いろんな技術援助、そういったもの、それからこうしたGEFのようなものを取りまぜてやったらどうだと。 それに対して、やり方の透明度がないというんじゃなくて、発展途上国の方からはこれでやると先進国だけでいろいろ話をしちゃうんじゃないかという御懸念が表明されまして、GEFとは別に、例えばグリーンファンドというようなものをつくって別建てでやってくれたらいいじゃないかというようなことをおっしゃるわけであります。 それに対して私どもは、やっぱり世銀というこれだけの経験もあり組織もある中で、GEFをモディファイしていったらいいんじゃないか。変えて、やはりそこにはいろいろな国連なりの、発展途上国なりの考え方も反映できるようになりますかどうか。どういう形をつくるかということはこれからの相談でありますけれども、多くの意見を入れてできるようなふうにモディファイしていってこれを使うこと。またそれと同時に、ODAだとかIDAだとか環境スワップとかいろいろなことがあります。また、排出権の売買とかいろんな ことを言われていますけれども、いろんなことで対応していかなければいけないんじゃないかと考えております。 それから、GEFの規模でありますけれども、確かに十億SDR、十三億ドルぐらいでありますけれども、これはIMFの特別引き出し権。これでは三年間の試行ということでありますから、想像でありますけれども、近々やっぱりこういったことがサミットで具体化していくと、これを拡大していこうということは当然相談に上ってくるんじゃないかと思っております。
○広中和歌子君 今、環境庁長官から、これは試験的なプログラムであり、恐らくGEFをモディファイするという形で考えられるんじゃないかということでございました。 大蔵省の方においでいただいておりますので、これからどのような寄与をなさっていくおつもりなのか。もちろんこのGEFの方向によると思いますけれども、大蔵省のお立場からお答えいただきたいと思います。
○説明員(溝口善兵衛君) 先ほど環境庁長官から御答弁ございましたように、GEFの運営方式につきましては、三月のUNCEDの準備会合でありますとかでいろいろ議論をされております。それで、一つは先生が御指摘になったように透明性を高めるべきではないかとか、あるいは途上国の意見をどのように反映していくのか、そういう仕組みをどう考えるのかというような議論がされております。 規模につきましては、具体的にどの程度の規模にするかというのはまだ煮詰まっておりません。したがいまして、私どもといたしましては、GEFがより改善されてより大きな規模でやるということで、国際的な合意がまとまっていく過程で我が国も積極的にそういう議論に参加していきたいと思いますし、規模がまとまった段階では我が国として適切な貢献をしたいと考えております。
○広中和歌子君 それにかかわってですけれども、環境税について話題を移したいと思います。 地球環境の保護の視点から環境税の導入を検討する必要があると私は思っておりますが、これは二酸化炭素とかフロンなどの汚染物質の大気への排出を抑制するためのさまざまな税、例えば排出課徴金とか製品課徴金とか環境利用料とかデポジット制度等々、環境に悪影響を及ぼす物質の発生源に対して、何というんでしょうか罰則というんでしょうか、それをコントロールする意味で直接間接に税負担を求める、そういうものですけれども、環境税導入に北欧を中心に欧州諸国では非常に積極的だというふうに伺っております。 一九九〇年にはオランダ、フィンランドが、九一年にはノルウェー、スウェーデンがCO2を導入しておりますけれども、最近ECの委員会が提案したエネルギー税、炭素税構想があるわけで、もうもちろん環境庁としては十分御存じのことと思います。九三年に石油換算でバレル当たり三ドルの税金をまず導入しよう。それから毎年一ドルずつアップし、二〇〇〇年には十ドルを税金として課税する。ただしエネルギーごとに、つまり環境汚染寄与度の高さによって税率を変えていくといった趣旨でございます。非化石燃料の原子力は五ドルと安いんですね。石炭は十四ドル、石油は十ドル、天然ガスは七ドル、こんなふうになっております。 こうした炭酸ガス排出量に関する環境税の導入について、日本はどのような評価をし検討を進めるおつもりか、お伺いしたい。と同時に、日本ではどういう形で導入を考えていらっしゃるか、環境庁と大蔵省両方にお伺いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) まず最初にお断りさせていただきたいのは、まだ我々白紙だということです。やはりいろいろな観点から国民に負担をお願いすることですから、慎重に考えていかなければいけないことであると思います。 そして、世界に先駆けて北欧の方々とかECの方々が今言われましたように、炭素税で炭素の含有量、炭素の排出量に対してかけるということでいろいろ始めておられます。そして、私ブルントラントさんが来られたときノルウェーは早くこういう税を入れられましたのでいろいろ話し合ってみたんですが、ECや何かああいう非常に域内経済がまとまったところですと、ばらばらにやったらこれは困ると言うんですね。やはりエネルギーなりこういうものに対する負担というものも同じようなレベルにしておかないと経済力の格差が出てしまう。だから自分たちとしては一律に入れるということがいいと思う、こういうお話でありました。私は、世界全体を見渡してもやはり理想的にはそうあるべきだと思うんです。そういうお話をいたしました。 そういう中でECは今そういった税金について検討を進めておられまして、かなり煮詰まってきております。それからOECDにつきましては、今年末までに一つの結論を出そうかというようなことでいろいろな検討をしているわけでございます。 そして、環境庁といたしましても当然前からこういったことは勉強しております。すべてこれからであり白紙であるということ。よく新聞にいろいろ報道されまして、私ども言ったこともないようなことまで出るものでちょっといろいろあれするんで、全く白紙だということを前提にお話しさせていただきますれば、私どもとして考えますのは、やはり公害を発生する源にかけて、そして排出抑制をし、それから得た果実は公害なりなんなり環境保全の対策に使っていくというのが一つの考え得る理想の姿ではないかと思っております。 やはりこういうことは国民の御理解も得なければいけませんし、いろいろな国との関係、また経済の関係、いろいろ考えなきゃいかぬことだと思いますので、これからも勉強を続けていくことになると思います。
○説明員(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 いわゆる環境対策に関連する税制につきましては、まさにただいま環境庁長官からお話しされましたように、どのような税制もある意味で言いますと国民負担につながるということでございまして、その点はやはり慎重な検討が要るだろう。ただ、まさに先生が御指摘になられましたように、世界の国々でもこれの検討がされつつある状況もあるというようなことがございまして、今までも適宜調査を行ってきたところでございますけれども、今後とも、地球問題の重要性にかんがみまして、国際的な動向を十分注視しながら必要な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○広中和歌子君 これはこれからどういうふうに発展するかという問題だろうと思います。 今、日本が地球環境においてリーダーシップを発揮してもらいたい、これは技術移転の問題もございますし、資金面でもと。そういうことで期待は非常に高まっているわけですけれども、しかしそのお金をどうやって捻出する。かといったときに、一石二鳥と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、一方では環境税をかけることによって環境をよりよくしていく、しかもそこでできた資金を世界のために貢献するといったような目的税的な考え方でやるというのはいかがかなと思っているのでございますけれども、何かコメントございませんか。
○国務大臣(中村正三郎君) 先ほどの私の答弁は、まさにその方向で行くのが一つの理想ではないかということでお答えさせていただいたわけであります。 ただ、これはいろんな国の環境のリーダーをなすような方々と話していますと、私どもは割と簡単に目的税がいいだろうと考えるんですが、財政当局というのは入った税金は一般会計に入れるのがいいというのが財政の常道で、そういうような御主張もあるようでございます。しかし、私はやっぱり国民の御理解を得るには、これから検討することで全く白紙でございますが、排出源にかけてその成果を環境保全に使っていくというのが一つのいい方向じゃないかというふうに考えているわけであります。
○広中和歌子君 期待しております。 環境庁は四月十三日に、環境税や家庭ごみの処理費有料化など環境保全の費用負担に関するアンケート調査の結果を発表されたようでございます。それによりますと、環境税導入には五五%の人が理解を示し、ごみ処理の有料化にも七五%が賛成している。これらの調査結果をどのような形で政策提言する方針でいらっしゃるかお伺いをいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) あのアンケートは今ここでひとつ御理解と、私からですとおわびになりますからしますけれども、設問の仕方がなかなかわかりにくい設問になっておりますが、私はやっぱり税金というのは最終的に全部国民の負担になっていくものだと思うんです。法人にかけてもそうだし、消費税もそうだし、所得税もそうだと。そのかかり方、やり方が違うとどういうところに御負担いただくかということが違うだけで結局は国民の負担になってくることだと思うんです。 そういう中でああいう結果が出ているということは、国民の中に環境保全に対してはやはりコストがかかるんだ、それはやっぱり新しい財源を考えなきゃいけないんだということの御理解が深まりつつある過程ではないかと思うわけでありまして、私どもとしてはそれはありがたいことだというふうに受けとめております。将来のいろいろな税を研究する場合の基礎にこの考えを置いていかなければいけないと思っております。
○広中和歌子君 環境庁は環境税について研究会を発足された。昨年十一月の十八日でございます。いろいろ御討議をなされているんだと思いますけれども、早くも産業界に波紋が広がっている。そういうようなことで、今度は通産省の方においでいただいておりますので、考え方を伺いたいと思うんです。
○説明員(日下一正君) 済みません、質問が……
○委員長(渕上貞雄君) どうでしょうか。質問がわからなければもう一度広中先生から。
○説明員(日下一正君) ちょっと趣旨が。済みません。
○広中和歌子君 ともかく環境税というのは今から検討され、そして将来的にはどうしても必要となる税金ではなかろうかというふうに私は思っておりますし、また環境庁でもそれを積極的に検討する勉強会などを始められているわけでございますけれども、早くも産業界ではそれに対してさざ波が立っているというごとでございます。それで環境保全型社会、環境大臣の所信にも出ておりましたけれども、そういう形の社会をつくっていく上に、やはり経済のいわゆる秩序ある成長というようなことで、今までのやり方とは随分違った経済運営などもなさらなければならないんじゃないかと思います。 いずれにいたしましても、世界人口の二割にすぎない先進工業国、その中に日本も入っているわけですけれども、全体のエネルギーの八割以上の消費をしている。そういう不均衡があるわけでございます。こういうことで、資源の有効利用という点からもまた特に先進国としては環境税の導入などによっていわゆる経済調整というか、そうしたものも必要だ。環境税はそのための大変必要な税金というんでしょうか、必要なイシスツルメントというんでしょうか手段であろう、そんなふうに思いますけれども、御意見はいかがでございましょうか。
○説明員(日下一正君) お答え申し上げます。 私どもも環境保全の重要性については大変認識しているところでございますし、またエネルギーの消費というのが環境に対して大変な影響を与えるということも認識しているところでございます。しかしながら、基本的な考え方としましては、経済成長と環境保全、これは両立するものである。逆に言うと、環境保全のためには経済成長をしていかないと環境保全に必要な技術、その技術の開発、技術を実現するための投資もなかなかできないというのが私どもの経験でもあろうかと考えております。 それで、環境税そのものについての御質問でございますが、私のところは国際経済課でございまして、貿易と環境の関係とかそういうところは専門にやっているわけでございます。御指摘の点につきましては直接の担当ではございませんが、私の担当に近い方でお答えさせていただきますと、OECDの場におきましても環境と税の関係につきまして租税の専門家あるいは環境政策の専門家、私どもの方も参加させていただいておりますが、そういうところでどういうのが一番経済成長と環境保全とを両立させるのにいいかという議論がなされているところでございます。 もうしばらく検討に時間がかかると承知していますが、長官からも御指摘ありましたように、一国が導入しましてもなかなか各国の経済活動あるいは貿易に影響もあるものでございますので、できるだけ国際的に調整、調和を図っていくのがいいのではないかというのが議論の流れのようでございます。そういうことでそういう場が設けられているということだと承知していますので、その議論を私ども注視しているところでございます。 国内的には産業界、新聞報道によりますといろんな声が出ているようでございますが、具体的に国内的にも環境税という構想が打ち出されてそれが検討されているわけではございませんで、まだ基本的ないろんな考え方の意見交換という段階でございますので、私ども通産省として特定の環境税についての意見というのはまだ固まっていないというのが状況ではないかと理解しております。 失礼しました。
○広中和歌子君 やはりすべての合意のもとにと横並びというお考えもわかるわけでございますけれども、リーダーシップというのはそこから一歩抜け出ることではなかろうかと存じます。 そして、特に通産省に申し上げたいのは、いろいろな痛い経験の後にすばらしい環境技術をお持ちになって、それを利用できる立場にある。そういう中で、ぜひ一歩抜け出て、いわゆる模範国としてさまざまな面でリーダーシップを発揮していただきたい。そのためには、環境庁の力だけではだめで、通産省の方々の御協力がなければできないことじゃないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。環境と貿易のことでたしかおいでいただいたんだと思います。ちょっと外れたところで御質問して失礼いたしました。 次に、いよいよ環境と自由貿易について質問させていただきます。 環境保護運動は、地球サミットに象徴されるように世界的な規模で多くの人の関心事でございます。特に環境保護とガットの自由貿易体制は今後どのように進んでいくのか、サミットの重要なテーマの一つになるのではないかと言われております。つまり、環境保護団体はガットが自由貿易という名目のもとに環境破壊を許していると主張していますし、他方ガット側としては環境を守るという美名のもとに貿易をゆがめるとして、両者に対立する気配があります。特に農業問題に関してはそうした議論がこのごろ非常に強くなっているわけでございます。そして、既に英国を初め欧州におきましては深刻な貿易障害となり始めて、環境規制が貿易障害とみなされるケースが出始めております。 この環境保護と自由貿易について、環境庁はどのような認識を持っていられるか、そしてまた通産省はどのような御認識をお持ちかお伺いいたします。
○説明員(日下一正君) 先生御指摘の環境保護と貿易についての論点、あるいはどういう形でそれが問題になっているかというのは、まさに先生御指摘になられたとおりでございます。 先ほどもちょっと申し上げましたが、私どもとしては基本的には貿易の拡大と環境保全というのは十分両立し得るものだと考えているわけでございます。しかしながら、環境保全の目的のためにとられる貿易制限措置をめぐりまして、例えば有名なケースでは米国とメキシコのキハダマグロ。キハダマグロをとるのに際して、イルカがともにとられてしまうということで米国が輸入制限をして、これはガットで負けたケースでございますが、このように国際的な紛争が起きてきております。このような自由貿易の確保による貿易の拡大と環境保全の要請とをどうやって健全な形で調和させていこうかという問題意識を持ちまして、昨年の秋以来、ガットの場あるいはOECDの場で作業部会を設けまして、貿易関係者あるいは環境関係者両方入りまして、ルールづくりをしようと努めているところでございます。 地球環境サミットにおきましても、この点一つのテーマになっていると理解しておりますが、準備の段階では関係国の間にそれほど意見の相違がないようでございまして、こういうガットの場あるいはOECDの場におけるガイドラインづくり、ルールづくりを加速していけというようなことで共通の理解が出つつあるところであろうかと承知しております。
○政府委員(森仁美君) ただいま通産省の方からお答えがございましたように、環境保全という問題とそれから自由貿易という観点、これはいろいろ国際的にも議論があることは私どもも承知をいたしております。まさにそれが対置的な関係ということではなくて相互に融和していくような方向というのがあり得るわけでございます。 現在、国際的な場でいろんな議論がございます。私どもも関係省庁の御意見なども十分に考慮しながら適切に対応してい。きたいと考えております。
○広中和歌子君 このガットの問題はその行く末につきまして、経済の安定的な成長という視点からも、また環境問題の視点からも非常に関心のあるところでございましたので問題提起をさせていただきました。 最後に、時間がございませんので簡単に伺いますけれども、環境庁が主唱し、関係各機関と協力して展開していらっしゃるアースイヤー92、これは全国各地でさまざまな活動を展開していらっしゃいます。昨年に比べて、本年は地球サミットが開催される年でもあり、アースイヤー92への参加行事も非常にたくさんある中で、一つ伺いたいのは、アースデーという世界的な動きというんでしょうか、民間団体のお祭りというんでしょうか、環境デーがあるわけです。 これに関しまして、日本のアースデー本部が環境庁に対しましてどうぞ御一緒に、あるいは応援してくださいと後援申請を申し上げているんですが、何かいつも認めていただいていないということで、その理由を伺わせていただきたいと思います。環境庁主催の行事、それに随分民間団体が御一緒にやっているというケースがふえているわけでございますけれども、アースデーのどこが問題なのかお伺いいたします。
○説明員(田村修二君) お答えいたします。 アースイヤー92ということで、ことしは特にリオで地球サミットが開かれるというのも兼ね合わせまして、環境庁としてはことしをアースイヤーとしてできるだけ多くの市民の方々、それからNGOの団体の方々、さらに今までいろいろな協力をしていただいている方々にも御参加いただいて、地球環境を考えるというような形での環境月間を考えていくということでことしはやっております。現在までのところ、約百六十の行事が環境庁に寄せられておりまして、それぞれに後援名義をお願いに行ったり、それからいろいろな面でのアドバイスを受けているというようなことでございます。 基本的には環境問題、特に地球環境問題という形で間口が広くなりますと、本当に市民運動まで広げた各個人の参加というものが極めて重要になってくるものですから、従来割にしっかりした主催者という形で環境庁としては政府の立場で主催者を選定していたものを、現在は極めて広く一般に普及できるような形でアースイヤーの行事を支援していこうという方針で対処しております。 その中で、現在先生の方から御指摘のありました行事が具体的に申請をされているかどうかというのは、私どもちょっと不勉強で百六十の中から探してはおりませんですが、私どもとしましては、政府としてふさわしい行事である、さらにそれが国民一般の啓発それから啓蒙、環境の保全に役立つということである限りできるだけ広く後援名義をしていこうというようなことで対処しておりますので、具体的にまたお話しいただければ、今の後援名義の一つの基準がございますので、その範囲で大いに応援できたらという気持ちで対処しております。
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
○沓脱タケ子君 それでは、非常に限られた時間でございますので、端的な問題でお伺いをしていきたいと思っております。 環境庁は自動車排ガスのNOx抑制法案ですか、それをお出しになっておりますので、そのことにもかんがみまして、特に大型トラックのディーゼル自動車の排ガスに含まれる粉じんなどの人体への健康被害、これをどのように把握しているのかということを簡潔にお伺いしていきたいと思っております。 環境庁の大気保全局が昨年の十二月でございましたか、大気汚染健康影響継続観察調査というのを御発表になっておられます。この調査は、大阪、京都、埼玉の八つの小学校児童五千人を対象にして、八六年から九〇年の五年間の継続調査のようでございます。その特徴を見ますと、NO2や浮遊粉じんの汚染のひどい地域ほど入学後新たにぜんそくにかかる児童の比率が高くなっているということ。それから二番目には、過去の調査では高学年ほどぜんそくの有症率が低い結果だったのですが、今回の調査では学年が高くなってからの新規発症がふえてきている。高学年になっても治らないものですから、罹患をしている期間が長期化しているというふうに御指摘になっておりますが、おおむねそういうふうに理解をいたしましてよろしいですか。
○政府委員(入山文郎君) 御指摘の調査につきましては、先生今おっしゃいましたようなことで私どもも理解をしております。 繰り返すようでございますけれども、低学年では有症率が高いけれども学年が進むにつれて低くなるというのが従来の結果でございましたが、それがそうでないというようなことが見られます。この理由につきましては報告書でも述べておりますけれども、学年が進んでからのぜんそく様症状の新規発症率が増加したことによるものなのか、あるいはまたぜんそく様症状が高学年になっても、従来は治っていた、軽快していたものがそうでなくなったのか。罹患している期間が長期化しているのか。そのいずれか、あるいはまた両方とも考えられるのかといったようなそういう可能性について述べているものでございます。
○沓脱タケ子君 私どもも二十年来そういった大気汚染の及ぼす影響等をずっと見て知っておりますが、大体高学年になったら軽快するあるいは中学生になったらほぼよくなるというふうな方々が多かったんですね。それが新たな変化が出てきているというので、これは大変注目をいたしました。 そこで私は、この調査の小学校の一つ、これは一番厳しいところではなくて、大阪市内ではむしろ中くらいのところと思いまして城東区の聖賢小学校という住宅街の中にあります小学校のNO2の一般常時監視測定局、そこへちょっと大阪市の職員の方の御案内で実は拝見に行ったんです。ちょっと驚いたんですけれども、これは二月二十八日の午後四時ごろですから放課後です。校庭では子供さんたちが百人ぐらいまだ遊んでおられました。 その見に行ったときの、そのときのデータを見て驚いたんですね。これはNO2は〇・一二ppmです。緩和された環境基準のちょうど二倍。上限値の二倍ですね。それからSPMが〇・一八ミリグラム立米ですから、これも環境基準の約二倍です。それからSO2はほぼ環境基準の範囲内ということになっておりまして、それこそ十年、十五年前の大気汚染の中身、物質とは非常に違うということを痛切に感じたわけでございます。その地域というのは大きい道路に面しているところじゃなくて、いわば住宅地域内の中にあります小学校ですから、これは自動車の頻繁に通る道路からいえば数十メートル離れているという地域がこういう状況だというので、私にとりましても驚きでありました。 そこで、ぜんそくに悩んでおられる方々、お子さんを持つ親御さんたちの御意見をちょっと聞いてみたんです。そうしたら、四歳で発病してもう八年越したと。三級の患者、このように認定されているんです。三級の患者で、もう発作時には吸入器は離せない。小児ぜんそくで大きくなったら治ると思っていたけれども、いまだに引きずっていると。それからお年寄りでは、ことし七十五歳の方ですが、発作が起きたら物も言えなくなる、それが五年前から出てきたと。 あるいは小児ぜんそくをずっと引きずっているうちにだんだん学校を休む日数がふえてきた。そうすると登校拒否だといって、体の調子がよくなって学校へ行ったらいじめに遭うというので困る。だから診断書を提出して登校拒否と違うんだというようなことまでやらなきゃならぬという事態が起こっているということの事情を、多くの事例の中のごくわずかでございますが聞かせられました。 それで、私大臣にお願いをしたいと思いますのは、地球サミットも間近でございますけれども、そこへ行く前に一遍、何も大阪まで行ってもらわぬでいいんですが、沿道の激甚地の御視察をされて、住民がどのくらい苦しみを持っているかお声を聞く必要がありはしないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 実は私は世田谷区の大原交差点というふうなところの近所に住んでいまして、激甚地であります。それで、立体交差にしてからちょっとよくなったんですが、私もことし一月に風邪を引きましたら、いまだに気管支が治りません。それで気をつけてくれというので、今度はCTスキャンをかけるのでもう一遍来いということで病院に行くことになっております。 ですからというわけでもありませんが、この窒素酸化物の排出、これについては私は環境庁長官になりましてから最も熱心に取り組んでこさせていただいていると思っております。業界を呼びましたり、あらゆる手だてを講じましてやっております。原因は比較的はっきりしている。ディーゼルガスを減らせばいいということでありますが、それの御理解がまだ国民各層にまでなかなかわかっていただけない。今度政府の広報も利用しましてやっていこうと。 前にも衆議院でお答えさせていただいたんですが、私は昔からいろんなことをやっていましたので経験がございますけれども、終戦直後、三十年ごろは大型トラックもバスもガソリンエンジンで走っていたんです。ところが、政策的にどうだったか当時の政策はわからないんですが、軽油にかける税金をうんと安くした。軽油は安いからこれを使いなさいということでディーゼルがどんどんふえてしまった。その間に大きなガソリンエンジンの開発はとまってしまった。そして、今燃料が安いものだから乗用車までディーゼル。 私がこんなにのどをがらがらさせているのにうちの兄貴はディーゼル乗用車に乗っておるんです。何でだといったら、それは燃料が安いから。大阪まで行ったら半値で済む、こういうことでありますので、そこいらの御理解をいただいて、まず対策を立てることが重要だと思いまして、激甚地に住んでいる者の一人といたしまして一生懸命やってまいりたいと思っております。
○沓脱タケ子君 御自分も大気汚染の被害を受けておられるということでございますが、国民がどのような被害を受けているかということを、これはお声を聞いていただくということが私は大事だと思ってお願いをしたわけでございます。 時間がありませんから次に行きますけれども、東京都が大気汚染保健対策に係る健康影響調査というのを昨年の八月に公表いたしております。ここも随分精力的で、八七年から八九年の三年間の調査は一万二千五百人を対象として科学的に解町されております。そこで言われているのは、学童六百人を対象とした肺機能調査では、NOxの濃度の高い区部の児童の方が市部の児童に比べて肺活量が劣っている。また、呼吸器疾患で学校の欠席の年平均が市部の五日に対して二十三区内は九日と倍近くになっている。それから幹線道路沿いにおきましては、成人女子では大気汚染レベルが高いほど呼吸器症状が高率に発生している。幹線道路沿いほど息切れを訴える傾向が強い。ディーゼルエンジンの排出ガス動物暴露実験によると、肺胞の発育遅延など生体に強い作用を及ぼすことが判明しているということが報告されています。こういうことは環境庁はもうよく御承知のとおりだと思います。 時間が随分短いものですから私続けて言いますが、そういう住民に対する克明な調査によって出てきている考察です。調査結果から、NO2や浮遊粉じんなどの距離減衰の分析だとか、あるいは浮遊粒子状物質の中の金属成分の地域差や発生源の検討だとかそういったもの、ディーゼルエンジンの排ガス中の原因物質の究明と発がん関連因子の研究というふうに住民の調査でも出てきているわけです。 それで、動物実験によるディーゼル排気粒子の生体影響研究というのが学会等で発表されておって大変ショッキングな内容になっておるので、これをちょっと紹介しながら環境庁としてのお考えなり対応なりを伺いたいと思うんです。 その一つは、環境庁の環境研究所と東日本学園大学の共同研究で昨年の十一月大気汚染学会で発表されたものでありますが、ディーゼル車の排気粒子の毒性がマウスの動物実験によって小児ぜんそくなど呼吸器障害の原因となることが解明されたというふうに報告されています。さらに、ディーゼル車からの粒子状物質は油の燃えかすの炭素の周囲に鉄や銅などの金属粒子がついて空気中に排出されるもので、ディーゼル車はガソリン車に比べて三十倍から百倍だと説明をされています。 しかも、その粒子状物質が口から吸い込まれて化学反応でつくられる活性酸素、これが気管支の粘膜を傷つけてアレルギー性のぜんそく症状を起こすというメカニズムが判明したというふうに書かれているんです。こういう結果であったというんじゃなくて、メカニズムが判明したというのはこれは極めて重要だと思うんです。この中で、軽油の中に含まれている硫黄分の問題。硫黄分というのは二重の害悪を及ぼしていますが、これが重要な問題になってくるというふうなこと。これは御承知でしょう。 それからもう一つ。これもショッキングだったんですが、これは結核予防会、結核研究所グループがやっぱり昨年の大気汚染学会で発表しております。これはラットを使ってのディーゼル粉じんの発がん作用物質実験結果という形になって出ているんです。これによりますと、ラット四匹のうち一匹以上が肺がんを発生している。二六・三%というふうに発表しています。良性の腫瘍の発生を含めると四二%だ。これに対して、ディーゼル車の排ガスから微粒子を除去したガスを吸わせたラットのグループは腫瘍が認められず、正常な空気だけを吸わせたグルーブは良性腫瘍が一匹出た。非常にはっきりしているんですね。こういうディーゼル車の排ガスの微粒子をラットの肺に直接注入する実験もやっているんです。これはなかなか大したもので、微粒子の量がふえるに従って腫瘍の発生する割合が急速にふえて、腫瘍の悪性化をする傾向がつかめた。 これは今までは因果関係がわからぬといって盛んにどれもこれも言われてきたんです、NO2なんていうのは長い間。しかし、こういうふうに研究者がきちんとつかんだ、あるいは関係が判明したというふうな発表が学会でやられるということは大変な問題だと思うんですが、これについて環境庁はどのように把握し、お考えになっておられますか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、委員御指摘のいろいろな研究論文については詳細に見ておりませんので、そのまま御批評申し上げる立場にはありませんけれども、ディーゼル排気ガスがいろいろな危険物質を含んでいるということは周知されていることだと思います。NOxもそうですけれども、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ベンツピレン、ニトロピレン、それからいろいろな芳香族。そして、高圧で圧縮した空気の中に直接軽油をぶち込んでそれを燃焼させるということをやっておりますから、構造的にNOxは出るし、不完全燃焼でいろいろなものが出てくるし、大変なものが出てきているということはわかっているんですね。 ですから、細かいことは局長の方から答弁させますけれども、それを何とかしなきゃいけないということで、こういったエンジンをつくっている業界を呼び、そしてその対策を可能ならしめるように石油業界を呼び、対策をいろいろ働きかけているところであります。ところが、石油業界はその対策に必要なサルファそのものの含有量を減らすということを約束してくれまして、それに沿って今通産省にやってくれと言っているんですが、自動車メーカーさんの方はいま一ついい対策が出ない、こう言っているんですね。そこが問題でありますから、まさに今総量規制という法律を出させていただいて御審議をいただいているということでありまして、全く問題意識は同じ方向で持っておりますので、真剣に取り組んで、こういったものの防止に努めてまいりたいと思います。 細かいことは局長の方から。
○沓脱タケ子君 局長、時間がないんですよ、御説明を伺いたいんですが。 それで、結論に入っていきたいと思いますが、こういう学者、研究者の研究の成果、結果というのは、私は環境庁が最も敏感でなければならないと思っております。 これは東京都の調査の結果なんです。 〔資料配付〕
○沓脱タケ子君 これを見てちょっと驚いたんだけれども、東京都の大気汚染保健対策に係る健康影響調査の八七年から八九年の調査でも、五十歳から六十九歳の女性の肺がん死亡率の大気汚染との関係というのが指摘をされているんです。七八年から八四年の前回調査の女性の気管支系のがん、肺がん等による死亡率の地域別分布とNOx濃度の過去十年の累積値の図表を重ね合わせたら、ほとんどきっちり合うということが判明したんですね。これは大臣のところへも差し上げていただいたらいいんですが、上の図は死亡率です。それから下の図は十年間のNOxの累積値ですが、地図を重ねてみますとちょうど黒丸がぴちっと合うという状況なんですね。こういうことがはっきりしてくるということは大変な問題だと思うんです。 私は、もう時間がいよいよ来ましたので最後に申し上げたいんですが、学者、研究者あるいは地方自治体などがこういうふうにして研究調査をやっていろいろと客観的に証明されてきているということになってまいりますと、これは本当に被害者をほっておけないと思うんですよ。発生源者は当たり前です、文句を言って。しかし、被害者はいつまでもほっておけないのではないかというふうに思うんです。現在でも健康被害補償法の地域指定の解除以後、自治体で一定の援助をされている患者さんたちが四万四、五千人あるんですね。 だから、長官、環境庁の本来の任務からいったら、まあアレルギーや、やれアレルギー性の素因があるんや、ごみや、ダニやというような話をしておって、因果関係がはっきりしませんのでしませんと言っている間に被害者がどんどん広がってきているという事態を重く見て、学者、研究者や自治体等の研究や調査を踏まえて、環境庁としてこれは考えてみる必要があるというふうに思うんです。そういう段階へ来ていると思うんです。その点で大臣の責任ある御決断が要るんじゃなかろうかと思っているんですが、その点をお伺いして、終わりたいと思います。
○政府委員(入山文郎君) いろいろ御指摘があったわけでございますが、窒素酸化物それから粒子状物質がディーゼルから出てくることにつきましては、だれももう問題はないと申しますかそのとおり認めているわけでございます。 私どもは窒素酸化物それから浮遊粒子状物質の健康に与える作用につきまして少し分けて考えております。窒素酸化物につきましては、これは発がん性についてはないというのが一般の結論でございます。粒子状物質につきましては、これは国際的にも恐らく発がん性があるというように言われているわけでございます。 したがいまして、私どもは窒素酸化物につきましては、そういうがんとの結びつきはない。しかし呼吸器症状その他に及ぼす影響があるだろうという見地から、特別の大都市対策というものを考えてこれからやりたいと思っているわけでございますが、浮遊粒子状物質につきましてはそういう発がん姓との関係もありますので、これにつきましてはまたさらに単体規制と申しますか、排出ガスの規制を強化していくというようなことで対策を講じてまいりたいと思っているわけでございます。
○沓脱タケ子君 大臣、一言。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、局長が答弁したとおりでありますけれども、うちの方の環境研究所でもいろんな研究をしております。マウスに直接排気ガスを吸わせたり、NOxを吸わせたりいろいろなことを今やっております。 公害健康被害補償法の第一種指定地区解除をされた、解除というのは二酸化窒素や浮遊粒子状物質も含めた大気汚染の状況と気管支ぜんそく等の関係について、近年の大気汚染状況は気管支ぜんそく等の主たる原因とは言えないという中央公害対策審議会の答申を踏まえたものでありますのでありますから、最近の大気汚染の状況もこの中央公害対策審議会の答申に述べられた状況と変わっていないということでありますので、こういったことの変更をすることは考えていないわけであります。 さりとて問題意識がないということでは全然ありませんで、もう私自体が被害者であり、本当の問題意識を持って今真剣に取り組んでおります。ですから、やはり単体規制、総量規制、こういったものを一生懸命やることによって本当にこういった有害な物質を減らしていくというのが我々の目的でありますので、その方向に向かって最大の努力をさせていただきたいと思っております。
○沓脱タケ子君 被害者をどうするかと言っておるんです。もうよろしいわ。
○中村鋭一君 法律というものはそれが制定されまして確実にその法律が守られるというか、運用の妙を発揮するといいますか、そういうことが必要であります。まして、環境庁のっくります法律は広い意味での皆さんの健康を守る、それから自然環境を保全するというそういうための法律でありますから、それが運用の妙を発揮しなければこれは何のために国会で審議してつくったかわからぬ、こういうことになります。 この間、私は選挙の応援に宮城県に参りました。ちょうどその前日に大分雪が降りまして、翌日は高速道路の雪は当然もうなくなっているわけですが、路肩には残っていました。案内をしてくれた運転手さんがたまたま私が環境委員であることを知っておられたのかどうかは知りませんが、今度のスパイクの法律は本当にありがたい。まあ道の両側を見てくださいと。両側に木がたくさんありまして、この木の緑が生き生きしています。今度の法律ができるまでは、粉じんのためにこういう高速道路の両側の木が真っ白になって見るにたえないものであったんですが、本当にすばらしい。いい法律ができて、仙台あたりのああいう大都会に住んでいる皆さんは本当に喜んでいるんですと。こういうことで、私もこういういい法律をつくるのにその一員として参加をさせていただいてよかった、ありがたかったな、こういう印象を持ちました。 そこで、スパイク法が実施されて、この四月一日からたしか罰則が適用されるようになっている、こう思うんです。いわゆるスパイクタイヤ禁止元年の冬をこれで越したわけですが、ここまでの実施状況その他につきましてまず検証をお願いいたしたい、こう思います。
○政府委員(入山文郎君) スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律でございますが、これは必要な地域を指定いたしまして、そこでスパイクタイヤの使用を原則として禁止するというものでございます。 この地域の指定につきまして、現在までのところ私どもの知っている指定状況について申し上げますと、十その道県内の六百七十二の市町村につきまして既に指定が行われておるということでございます。実は北海道の一部でまだ必要であるにもかかわらず指定が行われていないというところもあるわけでございますけれども、そういう例外を除きますと、ほとんど必要なところは指定が行われているという状況でございます。 それから、今先生御指摘になりましたように、非常にきれいになったということで一般の方々から喜ばれているということも私どもも聞いております。
○中村鋭一君 摘発はありましたですか、この四月一日以降。
○政府委員(入山文郎君) この罰則が適用されるようになりまして、そのことに関連しての摘発があったというふうには私ども伺っておりません。
○中村鋭一君 罰則はありましても、こういうのはそういう罰則が適用されないぐらい皆さんが喜んでそれを守っているというふうに前向きに理解をしておきたい。大変喜ばしいことだと思います。 それから、かすみ網法の実施状況はどうですか。効果は上がっておりますか。反則の摘発等はございましたですか。
○政府委員(伊藤卓雄君) かすみ網に関する法律改正、昨年鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部改正をしていただきまして、従来かすみ網の具体的な使用段階でしか検挙できなかったものが、捕獲を目的とした所持あるいは販売、頒布というものまで禁止することができることによりまして、取り締まり、野鳥の保護に大きな効果があらわれておると考えております。特に、昨年の九月十五日に施行しておりますけれども、その後の約半年余の主要な県における摘発状況といたしましては、三十二件中具体的に所持とか頒布をしたということで捕まっておりますのが十四件ということで、従来にない件数がここに上がってきております。 なお、これは摘発件数だけではわかりませんので、具体的に取り締まりに当たった県の職員等の意見を聞いてみますと、新たに所持規制ができることによりまして、運搬などの準備段階で検挙が可能になって非常に取り締まりがやりやすくなったということ。それから具体的にもう一つは、販売店からかすみ網がなくなったということで、いわば出来心でかすみ網を買うことによって密猟につながることがなくなった、今後もなくなると思うということ。それからもう一つは、ここでも御議論ありましたが、製造を禁止しておらないわけでございますが、これは販売規制の効果といたしまして転業等が行われ、結果的には製造も少なくなり、供給源を断つ上で非常に効果があったというようなことを述べております。 また、この法改正のときにこの委員会でも御指摘いただきましたけれども、一般へのPRが大事だということで力を入れましたところ、それに基づく鳥獣保護員や一般の方からの通報もあって、先ほど申し上げたような検挙にもつながったということで、こういった点も非常にありがたかったというふうに聞いておるところでございます。
○中村鋭一君 これも随分いい法律ができたというふうに評価ができると思うんです。 現実にかすみ網で例えばツグミなんかをとつまして、それで焼き鳥屋さんでこれを食に供するということなんでしょうが、どうなんですか、まだやはり都内の例えば焼き鳥屋さんなんかは外国から輸入するツグミやなんかを随分売っているんですかそれは確認しておられませんか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 輸入の食肉等の区分については確認をいたしておりません。
○中村鋭一君 やはりそういったつかまえちゃいけない鳥を食べるということは感心しないことだと思うので、そういう点もこういういい法律ができたのですから、あわせて今後もひとつPRをよろしくお願いしておきたいと思います。 外務省に来ていただいていると思いますが、地球サミットの準備会議が四日に幕を閉じた。この間も新聞報道に出ていたんですが、準備会議で日本はけしからぬじゃないかと。何か責任者の方がどうも日本は金を出さぬ、ぐあいが悪いというようなことをおっしゃって、それにほかの国の皆さんも、これはNGOも含めてどうも日本に対して此判が集中したということなんです。私、地球サミットの準備会議でなぜ責任者の方やよその国の方がそのことについて日本を批判されるのかよく意味がわからないんですが、その間のいきさつを御承知でしたらちょっとお教え願えますか。
○国務大臣(中村正三郎君) 外務省が答える前にひとつお答えさせていただきたいんですが、私はきのうも、さっきお話ししたようにストロングさんと会っておりますし、国連環境計画のトルバさんもこの問いらっしゃいましたし、各国の環境庁の長官、大臣がいらっしゃいます。ECの方もいらっしゃいます。その中で日本が批判されていることはございません。 むしろ今、国際的枠組みができたならば、そのときは資金の拠出をする準備がありますということでお話ししているのは多分日本がトップだと思います。そして、アメリカはこの間のちょっと前の会議でGEFというファシリティーにコアファンドを拠出するということをおっしゃいましたけれども、それまでアメリカは拠出をしていなかったんです。初めて拠出。日本はその前に拠出をしておりますのでありますから、私はやはり実際のやられていることにちょっと誤解があったんではないかというふうに考えております。
○説明員(伊佐敷真一君) 今、中村大臣から御説明のあったとおりでございますけれども、ニューヨークにおきます第四回の最後の準備会合について敷衍して御報告させていただきたいと存じます。 資金協力の問題は、いろいろな分野の合意を実施するための裏づけといたしまして非常に重要な問題として各国から認識されておりました。日本のこの分野での貢献というのは、期待の度合いが大きかったわけでございます。先生も御指摘のとおり、今回は準備会合でございますので、具体的な資金協力の意図表明を行うという段階ではございません。その点につきましては、先進国と途上国に立場の違いはございますけれども、そういう準備委員会の討議の性格については共通の理解がございました。したがいまして、ほかの国々も同様でございますが、日本が今回具体的な資金協力の意図表明を行わなかったということについて批判ということはございません。 ただ、この準備会合と並行してNGOが会議の様子をずっと見て、NGOの新聞も毎日のように出ておりましてその中で批判的な報道がされたことはございます。その際の報道ぶりといたしましては、日本を含め先進国が具体的な資金協力の意図表明を行わないと会議は進まないといったような批判をしておりました。この点につきましては各国代表団の間では誤解がなかったわけでございますけれども、NGOから見ますとやはり物足りなかったということではないかと思います。 日本代表団といたしましては、NGOとの会合を一度まとまった格好で持ったことがございます。筑波大学の岩崎先生が中心になった92年NGOフォーラム・ジャパンという集まりがございますけれども、そこが中心になって各国のNGO、プレス関係者を含めました会合を持ちまして、日本の立場を説明する機会がございました。同様の会合を再度持とうという話がございましたが、双方の日程の調整がつかず一度で終わってしまいましたけれども、このあたりのNGOとの接触というのが必ずしも十分ではなかったという反省がございまして、リオデジャネイロではこの点改善に努めたい、このように考えております。
○中村鋭一君 NGOがそういうふうに言うと。それとは別に、公式的な立場の方も含めて報道されるところでは、どうも日本は消極的だとか資金協力をしないとか、それからアメリカが金を出すと言ったら途端に日本も金を出すと言った、相変わらず日本はアメリカ追随なのかとか、そういう批判が集中したというふうな報道があるわけです。 ですから、これは率直に言えば全く誤報といいますか解釈の違いといいますか、そういうものであって、長官、そのようなことは批判としても現実に存在しないし、それから日本としては準備会議に出た皆さんも含めて非常に積極的に対応している、こう理解をしておいていいわけですか。
○国務大臣(中村正三郎君) あらゆる面で積極的に日本は対応しておりますし、今回国連のストロングさんの要請を受けて、日本では竹下元総理、海部前総理、そして平岩経団連会長がホスト役を引き受けて、エミネントパーソンという会議がきょう始まったわけでありますけれども、あらゆる面で積極的に対応しております。そして、くどいようでありますが、発展途上国の方も何人も大臣が日本に参ります。その中で日本に対するそういった御批判はございませんし、国連とのいろいろな接触でもそういうことはございません。 ただ、国際会議でありますから、会議でもっていろいろ発言することの表面だけを見て、それを誤解されて御判断されたのかなという気もしますけれども、日本が会議に行ってそこでもって幾ら出すよ何のと、こういうわけじゃないわけです。いろいろな交渉を重ねていく中で、枠組みのきちっとした取り決めがあれば資金の拠出の用意はありますと。真っ先にそういうことを言っているのは日本であろうと思います。そういうことをいろいろな交渉でも言わない国もあるわけであります。そういう面において日本は批判されることはないと存じております。
○中村鋭一君 そこで外務省さん、今の準備状況ですが、もう六月が目の前に来ているわけです。 これも聞くところによりますと、開催国のブラジルの方が割に、我々日本人は例えばオリンピックなんかをやりましても実にきっちりと正確にタイムテーブルをつくりましてやっていくんですが、向こうの言葉でアスクマニアーナと言うんですか、何とかなるというような、はっきり言ってややのんきといいますか、そういうことのために日本から参ります代表団の受け入れ等々も含めて全般の準備状況がおくれぎみなのか、それとも今の段階では非常にいいところにいっているのか、その準備状況をお話し願えませんか。
○説明員(伊佐敷真一君) リオデジャネイロにおきます受け入れ体制につきましては、政府代表団のみならず多くの人の参加が見込まれまして、宿泊施設の確保というものが非常に大きな問題になっております。ブラジル側が各国に対する割り当てを行っておりまして、特定の国がひとり占めしないようにということで調整を行っておりますけれども、絶対数が足りないものですから、受け入れ準備が日本の目から見ますと非常に心配な状況にございます。 それに加えまして、日程自体が当初は六月一日から十二日と。最後の二日の十一日、十二日が首脳会談ということで予定されておりましたが、イスラム諸国の宗教上の行事がちょうど首脳会談の時期にある。これも日にちはまだ確定しておらないそうで直前にならないとわからないということでございますけれども、このような宗教行事との関係で日程が二日後ろの方に延期されております。つまり、六月の一日開始が六月三日とおくれまして、終わる日にちも十四日が十六日になると。首脳会談はそれに伴いまして十五日、十六日の二日になるということで、三月の準備会合の場におきまして突然そういう日程変更がございました。 イスラム諸国の数が多いものですから各国慎重に対応しましたけれども、結果的にはそういう日程の変更がございましてさらに行事の組みかえ等が必要になってまいりまして、準備状況はかなり滞っている面がございます。各国ともその点は同様の関心を持っておりますので、ブラジル政府を支援しながら、何とか受け入れ体制を整えたいということで準備を進めておるところでございます。
○中村鋭一君 この参議院の環境特別委員会もできれば各党各会派せめて一人ぐらいは今度の環境サミットに参りまして、日本として主張する点、また皆さんのお話も聞きたいというようなことがあるわけであります。その希望は強く我々の側にあるわけですが、外務省におかれては、そのような点も含めて、なるたけいい形で我々がかの地に行くことができるようにこれはお願いをしておきたいと思います。 間もなくこの参議院でも画期的など環境庁さんのおっしゃるいわゆる絶滅法が審議されることになる。この絶滅法という略称はよくないですね。何か絶滅法といいますと絶滅を望んでいるような印象がなくもないので、もし略称を言うならばもうちょっといい略称をひとつ考えていただきたい。私もこの審議が楽しみで手ぐすねを引いて待っている状況なんです。 その前段というわけでもございませんが、カワウソ、これは環境庁としてはまだ現存している種であると理解しておられますか。もしいるとすればその生息個体数は何頭ぐらいと思っていらっしゃいますか。
○政府委員(伊藤卓雄君) お尋ねのニホンカワウソにつきましては、私ども調べましたレッドデーターブックにより絶滅危惧種と、絶滅の危機に瀕している種という選定区分に入っております。現在、生息環境等の悪化によりまして非常にその生息地、個体数が減りまして、恐らく高知県の西南部が唯一の生息地であろうというふうに考えられておるところでございます。 私ども五十年代より県等と協力しながら調査をしてきておりますけれども、六十一年に土佐清水市で死体が発見されて以来、確実な生息情報がございません。それで、実は昨年からことしにかけまして緊急保護対策調査という形で取り組んでおるわけでございますけれども、残念ながら昨年の段階でも現存数あるいは何頭いるかといったような確実な情報が得られておりませんので、今年度もさらに調査に努めてまいりたいというふうに考えております。
○中村鋭一君 最後に、ニホンオオカミですが、これはたしか明治三十八年にイギリス人の学者が鷲家口で猟師に捕獲してもらったものが今大英博物館にあるんですかな。ですから、明治三十八年以降はニホンオオカミの生存は確認をされていないわけですが、これは環境庁としては絶滅をしたと思っていらっしゃるんですか。絶滅とか絶滅しないというのは基準があるわけですか。例えば何年間生存が確認されなければこれは絶滅だというふうに見ていらっしゃるのか。ニホンカワウソは絶滅だと思っていらっしゃらないわけで、その辺も含めて最後にお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 先ほど触れました私どもの調査に基づきますレッドデータブックを整理いたします際に、種を選定する場合のカテゴリーといたしまして、絶滅種、これから絶滅危惧種、危急種、希少種という四段階に分けておるわけでございます。お尋ねの絶滅の種につきましては、確実な調査あるいは信頼できる調査あるいは記録によりまして絶滅が確認されておるとかいう場合、あるいは情報が非常に少なくて、過去さかのぼって五十年間ほど全くないというものについては絶滅種の区分で整理をしております。 それで、ニホンオオカミにつきましては、今おっしゃいましたように、一九〇五年でございますか明治三十八年に奈良県で若い雄の個体が捕獲されたのを最後に五十年以上にわたって生存の確認記録がないということで、このレッドデータブックでも絶滅種に掲上しているところでございます。
○中村鋭一君 終わります。
○山田勇君 ニホンオオカミ、カワウソときたら、次はタヌキを聞かないかぬのかななんて思ったりしておるのでございますが、またこれは法案が出ましたらゆっくりとタヌキについても質疑をしたいと思います。 ことし六月にブラジルにおいて開催をされます環境と開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットに向けて、環境問題に関する関心は世界的に盛り上がりつつあると考えます。我が国といたしましても、新しい世界秩序の構築が模索されている今日こそ地球環境保全に全力を傾け、国際貢献の中にも大きなウエートを占めるものとなさなければならないと思います。環境問題を論じるときによく持続可能な開発という言葉が使われますが、過去においてはやや経済優先が先行し現在の環境破壊につながっているわけでございます。人類の石器時代からの歩みを振り返ってみますと、邪魔者は殺してしまえ、自分たちだけがよい生活をすればよいといった人類優先の生き方が続いてきたと思います。 現在の驚異的な科学の進歩は、この人類優先の思想に拍車をかけ、地球破壊にまで到達しているわけでございます。そこで環境保全と経済成長の調和ということでこの破壊に歯どめをかけようとしているわけですが、今調和ということでは遅過ぎる、経済成長を犠牲にするぐらいの考えが国内的にも国際的にも認識されなければ地球は救われないといった考えもあるわけですが、環境庁長官の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、委員は石器時代からのことをおっしゃられましたけれども、今の環境問題を考えますときに、まさに地球の四十六億年の歴史から考えなきゃいかぬことだと思います。そのころの地球は我々のような生物がすめる状態でなく、大気中の炭酸ガスを長い間かかっていろいろな生物がそれを固定し、そして木なり海中に固定し、それが土に埋まって石油になり石炭になりという長い歴史を経てきたもの。その化石燃料を数百年の間に一挙に燃しておるわけです。固定してきた炭酸ガスを今放出しているわけです。こんなことを続けたら我々が生まれてきたそもそもの地球環境というものをもとに戻しちゃう方向に行くわけですから、これはまさに大変なことをやっていると思うわけであります。 それからもう一つは、一六〇〇年、ちょうど関ヶ原の戦いのときだと思いますけれども、そのころの地球の人口というのは五億人だったと推定されているそうです。今は五十四億人。そして数十年たつと百億人を突破するだろうと言われております。そしてCO2の発生量でありますけれども、イギリス産業革命前の十七世紀当時のときと比べて今から数十年たつと、二〇二〇年か三〇年ぐらいだと思いますけれども、この我々が吸っている空気の中の炭酸ガスの含有量は倍になると言われております。 今、年間に〇・五%ずつふえている。これだけの人口がふえてエネルギーを使って、このままやっていけないということはもう十分わかっていることだと思います。ですから、経済成長ということも非常に重要なことでありますけれども、その前にこの人口問題をどうしたらいいかというのが非常に大きな環境問題の前提としてあると思います。 そして、今委員御指摘の経済成長との関係でありますけれども、まさに我々が地球上に生存し、そして子孫に我々以上によい環境というものを送っていかなきゃならないとすれば、それはやっぱり持続可能な成長という中から成長も考えなければいけないということになると思います。ですから、持続可能な成長ということは理念として言いやすいんですけれども、実際にやっていくときにはやっぱり痛みを伴うものであろうというふうに考えております。 そこは、地球環境を守るということはやっぱり理性と良心を持って取り組んでいかないとなかなか容易なことではない。しかし、やっていかなければいけないことであるというふうに考えております。
○山田勇君 持続可能な開発ということは要するに経済成長と環境保全をいかにうまく調和させていくかということでありますが、開発途上国におきましては、経済発展を求める余り自然の生態系や土壌が破壊されている例も多く、そればかりか、公害防止に使う資金と技術があるならばその分経済成長に回したいといった状況もあります。我が国としましては、先進国からの押しつけといったことにならないよう無償の比率をふやすなどの配慮が必要ではないかと思います。 また最近、中国大陸、朝鮮半島地域において砂漠化と大気汚染が深刻化しており、その結果、日本にも御承知のとおり酸性雨が降るなど大きな影響があらわれております。この地域の大気汚染と酸性雨防止のために、日本として積極的にCO2等の排出の削減のための技術移転を推進すべきであると考えます。また、中国における砂漠化防止のための調査研究を進め、積極的な援助を行うべきだと考えますが、政府としてはその点いかがでしょうか。
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生御質問のうちのまず第一点でございます。 開発途上国におきましては、資金があるならばまず経済開発を優先するというような考え方がなきにしもあらずということは、御指摘のとおりだと思います。ただ最近問題になっております問題として、先ほど大臣からお答えいたしましたように、人口と貧困からくる環境破壊ということもございまして、ある程度のやはり経済発展ということはこれは環境を守るために必要だろうかと思います。 しかし、その際におきましても、先生御指摘なさいました持続可能性ということで、今だけがいいんじゃなしに、将来も同じことが続けられるというようなことを念頭に置いた開発が必要であり、そういうようなことが大事であるということを先進国も途上国もやはりともに認識する必要がある。そういったことから、我が国における資金協力につきましても、やはり政策対話を重ねることによりまして、そういったようなことの重要性を十分相手にも認識してもらいつつ進めていく必要があろうかというぐあいに考えるわけでございます。そういう方向につきまして私ども努力していきたいというぐあいに考えるわけでございます。 それから、第二点にお触れになりました中国それから朝鮮半島等における砂漠化や大気汚染の問題でございます。 我が国におきましても、中国、韓国など近隣諸国との環境協力は非常に重要であるというようなことを認識しておりまして、そういう考え方のもとに日中との間、また日韓との間に科学技術協力協定というものを結びまして環境に関する調査研究協力を進めてまいったところでございます。さらに、中国の環境問題対処能力を向上させるために、私ども協力いたしまして日中友好環境保全センターの建設計画を今進めている最中でございます。こういったことで、北東アジアの国々が環境問題に効果的に対処するためにやはり緊密な情報交換をやる必要もございますし、政策対話をやる必要もございます。 私ども平成四年度の予算におきましては、韓国、中国などの参加を得まして環日本海環境協力会議というものを発足させる予定にしているわけでございます。こういう場を通じまして、御指摘ございました森林減少それから大気汚染といったような防止対策はもちろんのこと、この地域における環境協力推進のための定期的な政策対話をやってまいりたいというぐあいに孝之ております。先生御指摘になりました面に関しましては、私ども大いにこれから強化してまいりたいというぐあいに考えております。
○山田勇君 次に、リサイクル問題についてお伺いをいたします。 大量生産大量消費の経済社会が生み出した経済のひずみは大量の廃棄物を生みました。この厄介物を何とかしようと政府は昨年いわゆるリサイクル法を成立させ、リサイクルの推進を図っているわけであります。例えば最近までは住民が空き缶の回収をした場合、回収業者はお金を払ってその空き缶を引き取っていったのですが、今では逆に住民の方がお金を払って引き取ってもらうといったケースが出てきております。また、回収業者は回収したものを置くスペースもない、引き取っても採算が合わないなどの理由で廃業したり、経営を圧縮したりしております。そういう業者がたくさんふえてきております。実際のところ古紙、新聞なんかもそうですが、鉄くずの価格は回収業者によって採算のとれる価格なのかどうか、その点がまた今問題でございます。 また、この問題はいわゆる静脈産業だけの問題でないと考えます。せっかく住民や学校などで廃品を回収してもこれを引き取ってもらえない、お金を払わなければならないといったことでは、資源のリサイクル運動の火も消えかねません。一時的な問題としてではなく、恒久的な対策が必要であると考えますが、その点いかがでしょうか。
○説明員(中島一郎君) お答えをさせていただきます。 今、先生御指摘のスチール缶の問題でございますが、御指摘のように景気がこのところ減速をしてまいりまして、鋼材の需要が急速に減少いたしました。その結果、鉄スクラップ、これは鋼材の原料でございますが、その需給の中で価格が低落いたしまして、御指摘のように、従来有価で回収業者に引き取られておりましたスチール缶スクラップにつきましても引き取り費用が必要となるという事例が出ております。例えば今ボランティア活動のことをおっしゃいましたが、ボランティア活動に加えまして、自治体が主としてスチール缶は回収してくれているわけでございますけれども、自治体の負担が増大しているということで、これは大変な問題であるということは私どもも認識しているわけでございます。 そこで、これは主として需給のバランスが崩れたという中から出てくる問題でございますので、できる限りその需給の問題を解決していかなきゃいけない。と同時に、鉄スクラップ全体の中で占めるスチール缶の割合というのは非常に少ないのでございますけれども、社会的な問題としてこれをとらえて、スチール缶のリサイクルシステムの確立というものを引き続きやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。 具体的なことを一つ御報告申し上げますと、今回の状況にかんがみまして、私どもから高炉メーカーあるいはスチール缶メーカー等の関係業界に対しまして、リサイクルシステムの確立について緊急に何かできないかということを要請してきたわけでございます。こうした要請を検討してもらいまして、高炉メーカー、製缶メーカー等で構成されておりますあき缶処理対策協会というのがございますが、そこでは自治体における分離、選別に対するモデル支援事業等を実施してきております。 加えまして、これまでは電炉というところで回収されました空き缶は鉄鋼にリサイクルしておりましたが、それだけでは需給バランスの崩れたものをもとに復旧することはできないだろうということで、高炉を有する製鉄所でも、それは大型の製鉄所ということになりますが、また技術的な問題はいろいろあるのでございますけれども、今回の問題にかんがみて、近隣の自治体との間で直接に取引をしてスチール缶スクラップを使用していこうではないかという実験を開始したところでございます。昨年度末に始めたばかりではございますが、今年度にもある程度の量がまとまるところまでいくのではないかと私たちも期待しておりますし、こうした対策をさらに検討していくと同時に、今やっております実験の結果がうまくいけばさらに拡充していきたいというふうに考えております。
○山田勇君 せっかくですが、これは質疑通告しておりませんのでこの論議はまたゆっくりやりたいんですが、今話題になってきておりますPL法というのがございますね、いわゆる生産者責任。そういうものとも関連して、これから自分のところで出したものは自分のところで回収する。ちょっとPL法の趣旨とは違うんですが、何かそういう方向にも行きつつある。これはアメリカから相当なプレッシャーが入っているのも聞いております。通産省のこれは関係でしょうが、一度これに近いようなことをやろうと思ってつぶれたことがあるんですね。しかし、これはまだまだこれから論議をしていかないかぬ問題だし、まだ正式に出ておりませんが、何かその方向へ行けばいいなとも思ったりはしておるんですね。通産省さんどうもありがとうございました。違う機会にまたいろいろと御指導ください。 最後の問題になります。一部署愛をさせていただきます。 環境問題の一つの焦点は、地球環境保全のための資金提供問題であると思います。環境分野での初の本格的な長期的な国際貢献策として、自然保護プロジェクトなどに協力する目的で経団連が自然保護基金を設立する構想を固めたと報じられております。政府といたしましてはいわゆる環境税などの創設を考慮しなければならないと思いますが、環境庁としてはどのようなお考えか。 環境税、これは私ももっと話をしたいんですが、大臣がいみじくも本音を先ほどの答弁の中で言われたわけです。徴税というのは国民に御無理をお願いするんだから、一たん集めた金は一般会計へ一遍入れて、そこから配分をすると。ガソリンを道路目的税で創設して三年間一般会計へ入れっ放しで、もう私ら建設委員会で何ぼ返してくれ返してくれと大蔵省に言っても返してもらえぬ。これ、去年おととしから返ってきています。でも、目的税がファジーな時代はもう終わりましたからね。洗濯機もファジーなんて売っても売れませんから。きちっとボタンを押して、これは渦が何回転というふうに目的的なものをきちっと打ち出した洗濯機であるとか、テレビでもファジー的なものはだめです。だから、この際大臣の立場止してはこれ以上言えませんでしょうからあれですが、目的税的な方が負担をしても環境はよくなる、町のごみもようけとりにきてくれるというふうに身近に感じるんです。また身近に感じてもらわな困る。 そういう意味で目的税だったら、今の環境元年という一つの大きな地球サミットヘ向かっていく日本の姿勢からいくと、わりかた払いますよ。だから、これは各省の縄張りの問題だとか、どうしても大蔵省ががまぐちの中へお金入れて配るという。私は四十三年の議員ですが、四十四年のときにあの税金が国民固有の財源であると大蔵大臣の福田赴夫さんも言うのに一年かかったです、私はそればっかり地方行政委員会でやって。だから、なかなか大蔵省というのはガードがかたいです。ですが、そういう点で大臣も先ほど来努力するというので、そういう点を踏まえて最後にひとつ大臣の御見解をいただいて、質問を終わります。
○国務大臣(中村正三郎君) 今の御議論を伺っていて、先ほど申し上げたことですが、環境保全にはコストがかかるということを国民が御理解いただきつつあるということは大変ありがたいことだと思います。しかしながら、この地球環境に関しましては、世界でどういう枠組みをつくるのか、どういう資金が必要なのかということを決めて、その中でしからば日本はどういう応分の負担をしていくんだという枠組みのつくり方が、今も論議をされておりますけれどもまず大切である。 その上で、先ほど申し上げましたように、私どもは全く白紙であります。その中で債務救済だとか国際公共財の使用だとかいろんなやり方があると思いますけれども、その中の大きな柱として排出するところからやはりいただいて、それを環境対策に使っていくという税が一つの物の考え方であろうということは私は持っているわけでありまして、どうか御支援を賜りたいと思っております。
○山田勇君 ありがとうございました。
○委員長(渕上貞雄君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。 ―――――――――――――
○委員長(渕上貞雄君) 次に、公害防止事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村環境庁長官。
○国務大臣(中村正三郎君) ただいま議題となりました公害防止事業団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 公害防止事業団は、昭和四十年の発足以来、産業集中地域における産業公害を防止するため、工場、事業場の移転及び公害防止施設の設置等を促進するための建設譲渡業務と融資業務等を実施し、公害防止対策の推進に寄与してきたところであり、昭和六十二年には、法律改正により、産業公害のみならず都市の大気汚染等の都市・生活型公害にも対応するため、都市における大気汚染対策緑地の建設譲渡業務、合併処理浄化槽の設置に必要な資金の融資業務の追加等を行ったところであります。 しかしながら、近年の経済社会の変化に伴い増大する産業廃棄物の適正な処理の促進が喫緊の課題となってきており、また有害化学物質による地下水汚染等の新たな課題に加え、地球環境問題への取り組みが求められております。さらに、自然との触れ合いを求める国民のニーズの高まりにこたえることが必要となっております。 この法律案は、これら環境行政の主要課題の変化に対応するため、公害防止事業団を環境事業団に改組するとともに、その業務の追加等を行い、時代の要請に応じた新たな業務の展開を図るものであります。 次に、法律案の主要事項についてその概略を御説明申し上げます。 第一は、公害防止事業団の目的の改正及び名称の変更であります。 現行の法律では公害防止事業団は公害の防止に必要な業務の実施を目的としておりますが、今回新たに自然環境の保護及び整備に必要な業務並びに開発途上にある海外の地域における環境の保全に資する情報等を提供する業務を行うこととし、このため目的について所要の改正を行い、あわせてこれらの業務にふさわしい環境事業団へと名称を変更するものであります。 第二は、公害防止事業団の業務の改正であります。 公害防止事業団の現行の業務を見直し、新たに産業廃棄物の広域的処理等のため産業廃棄物の最終処分場等を建設しまたはこれとあわせてその周辺または跡地に緑地を整備し譲渡する業務及び国立・国定公園の利用の拠点となる地区に自然公園の保護と健全な利用に資する公園施設を一体的に整備し譲渡する業務を加えることとしております。また、地下水汚染防止等の事業に必要な資金の貸し付けを融資業務の対象に加えるほか、事業団が業務に関して蓄積してきた情報等で開発途上地域の環境の保全に資するものを提供する業務を新たに行うこととしております。 以上のほか、新規業務の追加に伴いその一部の業務について厚生大臣を主務大臣として追加する等の主務大臣の規定の整備その他名称変更に伴う所要の改正等を行うこととしております。 この法律案の施行期日は、平成四年十月一日としております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(渕上貞雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十七分散会 ―――――・―――――