労働委員会 第4号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/04/15
会議録
○川崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五島正規君。
○五島委員 私は、今のこの議題につきましては、大きく二つに分かれていると思います。建設労働に関する労働安全衛生法の改定問題と、そして、いわゆる快適職場と言われているこの二つの部分でこの法案は構成されていると思うわけでございますが、建設現場における労働安全衛生の改定問題につきましては同僚の岩田議員に譲ることにいたしまして、快適職場と言われているこの部分についての質問を中心に質疑をさしていただきたいと思います。 御案内のように、高齢社会を迎えまして、六十歳代の労働力の活用ということが今後の労働行政の中でも非常に重要になってくると思われます。また、障害者に対しても、労働の場から排除するのではなくて、就労を保障していくノーマライゼーション社会の形成ということが一層進められなければいけない、そうした社会に今日到達しているというふうに考えます。 さらに、就労者の平均年齢が上昇していくに伴いまして、いわゆる成人病を持ちながらもその疾病のコントロールを行いつつ、社会生活においては正常に行動できる人々がふえてきておりますし、また、医療もそうした疾病の治療あるいはコントロールを行いながら、そうした労働者に対して労働生活を含め社会生活の継続を可能とさせるように進めていかなければならないし、その方向に進んできているというふうに考えるわけでございます。 こうした高齢者の就労の継続あるいは障害者の雇用の一層の推進あるいは成人病罹患者の労働生活の継続といったような課題、これは労働者側からの一方的な要望ではなくて、企業を含む社会全体がそうしたことが必要であるという時代に到達してきているというふうに考えるわけでございますが、まずその点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、現在、我が国は世界有数の高い経済水準に達してございますし、また、国際的にも大きな地位を占めておりますが、これはまさに働いてこられた労働者の皆さんの御努力の結果でございます。そして、この御努力に報いるように、高い経済力にふさわしいような生活の実現、ゆとりのある社会を実現することこそが宮澤内閣が掲げている生活大国づくりの基礎であり、その根幹に労働行政があると私は考えておるわけでございます。 そこで、先生がいろいろ御指摘の高齢者の就業問題、また就業継続の問題や障害者雇用の推進、成人病患者の方々の労働生活の継続、こういった問題は、実は率直に言ってお金のかかることでもございます。しかし、そういったお金のかかることであっても、高齢者の方々やまた障害者の方々、多少病気を持っていらっしゃる方々が安定した仕事につかれて、そして快適な仕事を続けて豊かな生活をされることに対していろいろの配慮をしてまいりますことが、まさに生活大国としての政治の責任でもあり、また、ある意味では余裕だと私は思うんですね。それだけのことができるんだからということで、私たち労働行政としてもこれから全力を挙げてこういった問題に取り組んでまいりたい、こういう所存でございます。
○五島委員 大臣のおっしゃること、私も全く同感でございまして、その観点での労働衛生の一層の推進をお願いしたいわけでございます。 そうなりますと、当然、高齢者や障害者あるいは成人病を持って働いている人たちが安全に就労できる職場環境の整備、あるいは就労によってそうした病気が悪化したり事故が起こったりしないような配慮がなされなければいけない、そういうことは当然であるだろうというふうに思うわけでございます。 ところが、現行の労働安全衛生法は、基本的に、就労している人は健康集団であるという立場に立って安全衛生の基準というものを定めているというふうに考えるわけでございます。高齢者や障害者あるいは成人病を持っている労働者、そうした方々が安全に就労できる、そういうふうな形で現在の安全衛生法というものはつくられていないと考えるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、高齢者、障害者またいわゆる成人病を持っておられる労働者にも十分配慮をいたしまして、職場におきます安全と健康を確保するということは、労働衛生行政上、大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。 このために、労働省としましては、いわゆる成人病にかかわります一般健康診断、それから就業上の適正配置等の適切な事後措置の徹底につきまして、事業場等に対します指導の実施、あるいは中小企業共同安全衛生改善助成制度といったものによりまして健康診断の事後措置にかかわる指導経費の一部補助等を行うというふうなこと、さらに、いわゆるトータル・ヘルス・プロモーション・プランの推進によりまして、特に高年齢労働者の加齢に伴い低下する心身機能を維持し健やかな職業生活を送れるような、そういう配慮を行政上いたしているわけでございます。 労働安全衛生法では健康な者を対象にその基準を考えているのではないかというような御指摘もございました。例えば伝染病、精神病等の病気を持っておられる方の就業禁止についての規定があるわけでございますけれども、こういった規定は、これらの方々を就労させますと、本人自身の健康状態を悪化させるだけではなくて、他の労働者の健康をも害するあるいは悪影響を及ぼすおそれがあるということでそのような禁止規定を設けておるわけでございまして、決して安衛法そのものが健康者のみの就労を前提としてそのための基準を決めているというわけではございません。 しかし、今申しましたように、高齢者、障害者あるいは成人病を持つ労働者が多くなっている現状にかんがみまして、こういった方々の健康と安全の確保を図りながら、快適な就労ができるような措置につきまして今後とも一層努力をしてまいりたいと思っております。
○五島委員 佐藤局長のお話は私の考えと若干違いまして、例えば伝染病を持っている労働者に対して就労を中止するということはこれはやむを得ないことだと思うのですが、私は、精神障害者を職場から排除しなければいけない段階であるのか就労できる段階であるのか、そういうふうなものはやはり医師との相談の中において、例えば精神障害を持っているが現在就労可能な状態まで緩解された人についても、就労できるような、就労させることが安全であるようなそういう基準を持っているかという意味で言っているわけでございます。 例えば高齢者になってきますと、安全の問題一つをとりましても、当然運動神経は低下してまいります。あるいは平衡感覚も低下してまいります。そうしますと、安全基準一つをとりましても、これまでの安全基準で果たして安全に就労できるかどうか。建設労働の中において、労働者の高齢化に伴って事故がふえているあるいは減少しないということについても御承知のはずでございます。そういう意味からいっても、現在の安全基準が高齢社会あるいは成人病やそういうふうなものを持っている人たちが働く場合に適切であるかどうか、見直しが必要であるかどうかということをお伺いしているのですが、そのあたりをもう一度お伺いしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま先生申されましたように、労働安全衛生法によります基準というものは一般的にはおっしゃったような見地で定めておると思いますが、これまた御指摘のように、例えば高齢者がふえてくるというようなことになりますと、高齢者の労働災害防止のための措置を考えていかなければいけないということも本当であろうと思います。 そういうことで、ただいまのところ、高齢者の作業のための機械設備とか作業方法の改善につきましてはガイドラインを作成してその周知に努めておるというようなこともやっておるわけでございますし、また、高齢者、障害者が就労できるための機器の開発ということも近年労働省においても行っているわけでございますので、おっしゃいますように、一般の健常者といいますか通常の方以外のいろいろな障害をお持ちの方、高齢者あるいは成人病を持っている方についての健康を確保しながら就労でさるような面についての問題につきましては、今後とも十分に考えてまいりたいというふうに思っております。
○五島委員 労働省が、労安衛法以外の法律を含めて現実的に、それぞれさまざまな形で高齢社会なりそうした現在の社会の労働条件に対応する努力を一応しようとしておられるということを私は全面的に否定するつもりはございません。ただ、問題は、安全衛生という立場からつくられています労働安全衛生法の中において、高齢社会、あるいは成人病を持っている労働者が治療を行いながらも就労していくということを考えた場合に、果たしてこの労安衛法の基準でいいのだろうかということを申しているわけでございます。 今日、例えば過労死であるとかそれの主たる原因であるところの脳血管障害や心臓障害、そうしたものが非常に大きな問題となってきております。また、いわゆるメンタルヘルス上の障害を来してきている労働者もふえてきております。こうした障害に対しまして、例えば労災保険の適用の問題についての争いも絶えていない。 この点につきましては後ほど少し具体的に質問させていただきたいと思うわけですが、こうした事故あるいは障害の防止ということについて、現行の労安衛法は十分に対応できていないのではないかというふうに考えるわけでございますが、そのあたりについてどのようにお考えでしょう。
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの御指摘は、いわゆる過労死と言われている脳血管疾患や心臓疾患等に係る問題、あるいはメンタルな面におきます問題の御指摘でございます。 現在私どもがやっております対策としましては、脳血管疾患あるいは心臓疾患等につきましては、御承知のように、高血圧性疾患であるとか虚血性疾患、あるいは肝疾患、糖尿病といったいわゆる成人病でございますけれども、そういった成人病を対象にしました検査項目を安衛法に基づきます健康診断の項目に入れましてその実施の徹底を図るとか、あるいは労働者の健康管理につきまして事業者を監督指導するというようなこともやっておるわけでございます。また、労働者が既に持っております疾患が増悪するということを予防することも含めまして、企業におきまして心身両面にわたる健康保持増進対策、トータル・ヘルス・プロモーション・プランと言っておりますけれども、そういったものも安全衛生法に基づきまして推進をしているところでございます。また、平成二年度からは、作業関連疾患と言われております問題につきまして総合的な研究を行っておりまして、今後の対策、あるいは労働者の健康管理方法の検討に資するということをやっておるわけでございます。 現在、こういった観点からいろいろな施策を行っておるところでございますが、この種の施策は今後ますます重要になっていくというふうに考えられますので、ただいま先生御指摘の面を含めまして一層努力をする、検討してまいりたいというふうに思っております。
○五島委員 局長もおっしゃいますように、そうした問題が今産業保健の現場において重要な課題であることはだれもが認めることでございます。 そうした中において今何が大事かといった場合、この労働安全衛生法の中においてまずは就労している労働者に対する健康診断をきちっとしていく。健康診断につきましても、いわゆる成人病検診、全体についての健康診断というものをきちっとしていく。あるいは、対ガン協会からも要望が出ておりますが、今日死亡原因の第一位になっておりますがん検診といったものまで含めた、そうした職場における健康管理を行っていく。 従来、日本におきまして健康管理が一番徹底している場所はどこかといえば、結核の時代から始まりまして、学校と産業現場であります。ところが、今日産業現場の中における健康管理というのは、必ずしも社会全体におけるそういうものに比べて進んでいないという実態が出てきております。それは、一つは、労安衛法の六十六条の健康診断の項目が今日の疾病構造とマッチングしないという問題がありまして、むしろ例えば政管健保における成人病検診といったものに全面的に譲っているということがございます。労安衛法は非常にダイレクトに、労働と直接結びつく疾病の検診というところに力を依然として置いているという批判があるわけでございます。 しかし、今日の時代を見てみますと、がん検診を含めた労働者の成人病検診というものを、企業あるいは職域、そういう非常に把握しやすい状況の中において完全に実施していく。そしてその健康診断の結果に基づきまして、事業主が医師との相談のもとにおいて、それぞれの労働者の就労の可否あるいは労働強度の可否というものについて制約を受けていく、これが使用者の安全配慮義務ということになるかと思うわけですが、そうしたことを労安衛法の中においてももう明確に打ち出していかなければならない時期ではないか。仕事に直接原因していわゆる定量的に関連のある疾病に対してのみ使用者が責任を持つということではなくて、そうした労働者の広い意味での健康状態全体を使用者としても把握し、それに基づいた安全配慮の義務を事業主は負うという形に労安衛法を改定していくべきではないか、そういう方向を打ち出していくべきではないかと考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えがお伺いしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 現在の労働安全衛生法におきましても、事業者は職場におきます労働者の安全と健康を確保するようにいろいろな形で義務づけておるわけでございます。とりわけ労働者が一日のうちで職場で過ごす時間というのは大変長いわけでございまして、そういう意味からも、事業場におきます健康の確保というのは大変重要なことであろうかと思います。 そういったことから、私どもとしましても、安全衛生法によります健康診断の実施の徹底ということを心がけておりますし、また、先ほども触れましたけれども、健康診断項目に成人病に係る項目を追加するというようなこともしてきたわけでございます。 また、御承知のように、健康診断結果に基づく事後措置につきましても、事業者は、健康診断の結果労働者の健康を保持するために必要であると認めるときには、その労働者の実情を考慮して、就業場所を変更するとか作業転換をさせるとかあるいは労働時間を短縮するといった措置を講ずることになっているわけでございます。こういった健康診断の実施あるいは事後措置の徹底に努めてまいりたいと考えておるところでございます。 ただ、一般的に、労働と直接関連をしない健康の問題についても広く安衛法によってカバーをされるべきであるというのが御意見かと存じますけれども、現在の安衛法の性格からして、やはり労働の場におきます労働者の健康の確保ということを中心に規定をしているわけでございます。おっしゃいますように、例えば成人病の問題にしましても、なかなか一般生活と労働生活との区分のつかない場面での問題が出てきておるという問題がございますので、そういった問題につきましては、今後、健康診断の実施に当たっての問題、あるいは産業医の活動がどうあるべきかということの検討を通じまして、なお一層研究をしてまいりたいと思っております。 なお、ただいまがん検診のことについてお触れになりましたけれども、御承知のように、安衛法では、がんなどの健康障害が生じる特定の有害な業務に従事する労働者につきましては、安衛法に基づきまして、そういった疾病の発見を目的とした一定の検査項目によります特殊健康診断を行うように事業者に義務づけているところでございます。それから、一般健康診断項目におきましても、肺がんであるとか胃がん等の代表的ながん疾患の一定の異常所見を把握することは可能でございます。 ただ、こういった一般的ながんのみを対象にしたものをやるかどうかということにつきましては、健康診断の費用負担が事業者負担になっておるというようなことから考えますと、現時点で、職業と直接的に関係のないがんにつきまして一般的にその実施を義務づけるということにつきましては、なかなか難しい問題があろうかというふうに考えております。
○五島委員 今の局長の考え方というのは、これはもう世界の流れからいいますと明らかにおくれておるわけでございますね。 皆さん御承知のように、例えばILOとWHOが共同でやりました研究の中におきましても、これまでのワークインデュースト・ディジーズという形でもって職場の健康問題というものを取り上げていったのでは今日の職場の健康問題は解決できない、したがって、それを拡大してワークリレイテッド・ディジーズという概念を提唱しているわけです。このインデュースト・ディジーズとリレイテッド・ディジーズというのは、これはもちろん対立する概念でもございませんし、無関係でもない。これは、これまでのいわゆる量・影響、あるいは量・質反応といいますか、そうした定量化が可能な形の健康問題を職場で問題として取り上げていくということではだめなんだ、もっと疫学的な手法あるいは統計的な証明によって、定性的な形で問題になってくる課題を職域の保健の問題、健康の問題として広く取り上げていかないといけないということでもって、概念を大幅に拡大する、職業起因性という概念を非常に拡大しようということが研究レポートとしても発表されています。この点につきましては、労働省も、正確にそのような流れの中で理解されてやっておられるかどうか若干疑問もあるわけですが、いわゆる作業関連疾患の研究班に、平成二年から五年間にわたって委託研究をされているはずでございます。 そうした流れの中から見ていった場合に、今佐藤局長のおっしゃった問題のとらえ方というのは、まさに非常に古い、前史的な形でもって、粉じんと肺がんであるとか、あるいはある種の金属と中毒であるとか、それに伴うところの、定量的に証明された化学薬品あるいは重金属と肺がんであるとか、がんであるとかというようなものに限って職域の中において労安衛法に基づいて管理していけばいいという考えであって、これはもう世界の流れからいいますと、非常に大きく取り残されているといいますか、おくれた考え方であるというように考えるわけです。 その点について、まず、どういうふうに考えておられるのか、ちょっとお伺いします。
○佐藤(勝)政府委員 現在の安全衛生法が、先生の今のお言葉をかりれば、定量的な因果関係が把握されている職業性疾病といったようなものを中心に考えているという点はあると思いますが、ただ、現在の安衛法自体でも一般的な労働者の健康の保持増進という観点が入っておりまして、それに基づきましてトータル・ヘルス・プロモーション・プランというようなものも私どもで推進をしておるわけでございます。それと同時に、今先生御指摘のワークリレイテッド・ディジーズ、WHOとかILOで提唱されております呼び方であろうかと思いますが、こういったものが今後労働者の健康の保持増進に大変重要な問題になるということは我々も十分認識をしておりますので、先生も引用されましたけれども、労働省としましても現在その医学的な研究をしておるところでございます。 したがいまして、先ほどから私の方で現在の労働安全衛生法の基本的な考え方に基づきます御説明をいろいろ申し上げておりますけれども、先生が御指摘になりました現在の国際的な動向といいますか、今言われましたWHOあるいはILOの提唱しているような問題につきましての研究も私どもは怠りなくやっておるつもりでございまして、こういった研究の成果を踏まえまして、今後の対策に生かしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○五島委員 労働省は、職域保健、職場の健康維持という概念と、それからいわゆる保険制度であるところの労災保険という問題と、余りにも直結的にとらえ過ぎているために、今の状況の中で見動きがとれないのじゃないか。そうした点についての問題点は、議論はあるとしても、基本的に職域における健康というものをどのように維持しあるいは確立していくかという問題を考えた場合に、ワークインデュースト・ディジーズという形では労働者の健康というのは確立しないんだということは、もうこれは常識です。しかも、日本も高齢社会に向かい、そして成人病の罹患者の労働継続というふうな状況がもう一般的になってきている今日、しかも、その中で過労死の問題や脳血管障害や心疾患といったような問題が続発している日本において、これからは考えましょうではなくて、もう既に国際的にもそういう流れの中に入っている中で、せめて職域における健康管理あるいは健康維持という立場からは、この方向に進んでいくべきだと思うのですね。前の産医研のたしか所長をやっておられた坂部さんが、この点につきましても書いておられるわけですが、ワークリレイテッド・ディジーズという問題につきまして、例えば高血圧、脳血管系の疾患、あるいは虚血性の心疾患、慢性気管支炎、あるいは消化性の潰瘍、あるいは筋・骨格系の障害といったようなものについて、ワークリレイテッド・ディジーズとしてやはりきちっとやっていかないといけないんだという指摘をもうしておられるわけですね。 そうしますと、そういうふうなものについての健康の管理をきちっとやっていく。そして当然、例えば腰痛一つとりましても先天性の分離性があるという人もおられます。そういうふうな人たちが重筋作業をやるというのは不適切だろうし、あるいは血圧が非常に高い方もおられると思う。その方々に非常にストレスが加わるような作業をやらすということも問題があるでしょう。あるいは、心臓の非常に悪い人に高温現場で仕事をさせるということについても、それは当然問題があるだろう。これはもう当然の医学的常識あるいは職場の保健としての常識という意味において、そうしたことについて事業主に対してそういう負荷がかからないように安全配慮を義務づけていくということはもうやっていかないといけないのじゃないかというふうに考えるわけですが、その点について改めてちょっとお伺いします。
○下田説明員 ただいま先生の御指摘になりましたように、一九八二年にWHOとILOのジョイントコミッティーにおきまして、ワークリレイテッド・ディジーズの概念が整理をされまして、提言されてきたところでございます。こういった分野に従来の業務起因性に基づく職業病以外にも業務と関連して悪化することがある、こういう疾病が明らかにされまして、何らかの対応をすべきであるということは十分私ども承知をいたしております。したがいまして、私どもとしましても平成二年度から新たな研究班を設けまして、五年計画で研究を実施しておるところでございます。 その研究につきましては、先生御指摘になりましたような疾病につきまして作業強度、作業時間、作業姿勢、勤務形態、職場環境等のさまざまな作業態様とどういう関係があるのか、また、加齢現象あるいは個人の感受性も違っておりますし、生活習慣あるいは行動様式、職務の属性、つまり管理職にあるかどうか、そういったことを含んでおりますが、そういった宿主要因に属する部分がどのように関与しておるのか、そういった点を研究を重ねておりまして、私どもとしては、この成果を待ちまして、適正な対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○五島委員 下田課長からその話が出ましたので、若干その点について要望させていただきますが、今労働省の委託研究の中で出てきている問題というのは、それぞれの、いわゆる高血圧であるとかあるいは虚血性の心疾患、慢性気管支炎といったようなものに対して作業、労働の寄与度がどうなのかという形で研究が進められているというふうに私は聞いているわけです。これは研究班は現在研究中ですから公表、お答えはないかもわかりませんが……。 私の言っているのはそういうことではないのです。学問的にはそういうことも必要だということは否定しません。しかし、私が要望しているのは、血圧の高い人に対してその人が血圧が高いままでも仕事ができる、仕事が継続できるようなそういう職場の体制をつくってほしい、その点については、それぞれ産業医がおられる、産業医の意見を十分に尊重しながらそういうような体制をとっていくべきだということを言っているわけでございます。ちなみに、そのあたりがきちっとできていないことが今日過労死問題なんかについて非常に大きな混乱を起こしているのです。 先ほど申しましたけれども、例えば、今、年間に脳血管疾患や心疾患によって労災の申請件数というのは約八百例ぐらいあります。その中で労災として認定されるのが約三十件くらいしかない。これは私は申請が八百件あるのを労災保険が値切って三十件にしている、そういうふうに短絡的には申しません。問題はそうした人々が、なぜ労災が三十件まで削られてきているかという審査の中身を見てみますと、多くの場合は基礎疾患を持っているということが重要な問題で、いわゆる別表第一の二の一号、九号に該当しない、いわゆる業務起因性が認められないということで棄却になっているわけです。じゃ、業務起因性がその疾患に認められなければ職場の中で労働者が死んでいってもしょうがないのかという問題です。そこには、そういうふうな方々に対してもっと生命を大事にする、あるいは健康を大事にする配慮というものがあってしかるべきじゃないか。 さらに、資料について言いますと、「国民衛生の動向」等に公表されております脳血管疾患あるいは心疾患の件数というのは、例えば一九八九年で十三例、八八年で十六例、九〇年で八例というふうな数字です。ところが、実際の認定数というのは、合計してみますと、九〇年八例のところが三十三例、八九年公表されているデータでは十三と書いてあるが、実際に認定された事例は三十。あるいは八八年の場合は十六例に対して二十九例。大きなずれがあります。 このずれはどこから出てきているかといいますと、事業主が当初から認めたという数字だけがこの八例、十三例、十六例という数字として「国民衛生の動向」の中に載せられている。ところが、労災の審査等々を通じて認定された数というのはそれの数倍に及んでいる。これは資料を隠しているとかなんとか、そういう問題は別としまして、事業主の方にとっても、過労死と言われているそうした疾病の業務との因果関係ということについての認識は、実際労災が認定している件数からいっても数分の一である。一方、労働者の側からいいますと、労災で認定された数の数十倍に達する人々が仕事によって病気になったというふうに考えている。非常に大きな乖離がございます。 この乖離というものの一つは、職場の中においてそうした疾病に対する健康管理がきちっとされていない、あるいはそうした疾病を持っている人に対しても仕事が継続できるような業務上の配慮がされていないというところから出ていると思うわけですが、その点についてどのようにお考えか、お伺いします。
○佐藤(勝)政府委員 いわゆる過労死の問題にかかわりますいろいろな問題の御指摘がございました。 先生御指摘のように、そのほとんどが、例えば成人病といったような基礎疾患をお持ちの方が業務上の非常に過重な負荷のために急激に悪化をして倒れられるということなんですけれども、そういう問題につきましては、労災の認定の問題がございますのが一つと、それからもう一つは、先生おっしゃいましたように、そういった基礎疾患を持っておられる労働者の健康管理の問題と、二通りあるのではないかと思っております。 一つは、労災の問題につきましては、これがもともと基礎疾患を持っておられる方の問題であるというようなことから、労働基準法から出てきております事業者の無過失責任、つまり、業務上の災害であれば事業主に故意、過失がなくても補償の責任を負わせているという基準法上の補償責任を個々の事業者にかわって実施をしているという労災保険の制度の考え方からいいますと、一般疾病ではなくて、要するに業務上そういうような事態になったということが明らかでないとなかなか対象にならないという面があるわけですけれども、その問題とは別に、何らかの基礎疾患を持っている労働者が適切な健康管理を受けながら通常の健康状態で働けるということも大変大事なことでございます。 先生からいろいろな御指摘を受けましたが、私どもが労働安全衛生法の実施を通じましてやろうとしていることは同じような考え方なのではないかというふうに実はこちらの方では勝手に思っているわけですけれども、要するに、そういった基礎疾患を持っている労働者につきましても、健康診断あるいはその結果によりまして適切なアフターケアをやるということによりまして、通常の労働生活が営めるようにするのが安衛法に基づく健康診断あるいはその事後措置の役割であり、また、そういうことを推進していくのが産業医の役割であるというふうに思っているわけでございます。 したがいまして、先生がいろいろ申されておることと私どもが考えておることとそう違いはないのかと思いますけれども、ただ、現状でそれが十分行われているかどうかということにつきましては、我々としても常に反省を加えながら、例えば産業医のあり方につきましては制度的な面も含めまして検討を進めていくとか、あるいは健康診断の徹底あるいはその事後措置、アフターケアの徹底につきましてはもっと一生懸命やっていく余地があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○五島委員 佐勝局長がそうおっしゃるのであれば、先ほどのように、例えばがん一つとりましても、いわゆる職業がんとして定量的に証明されている職場の労働者に対してがん検診をやっていく、それで労安衛法上は事が足れりということではなくて、成人病検診、がん検診というふうなものを広く労安衛法の六十六条の健診項目として広げていくということがなぜできないのか、私は不思議に思うわけですが、それをやっていただかない限り、同じ方向で考えていると言われても私はどうも納得できないと思います。
○佐藤(勝)政府委員 一般的な対がん検診につきましての考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、今後医学の進歩によりましてがんに対します簡便な早期発見方法等が開発をされるというようなことになる時期があるかと思いますが、そういったことを前提にしながら、今後、先生がおっしゃいますようながん検診につきましても、その導入については考えていきたいというふうに思っております。
○五島委員 そこで、また過労死の問題に戻りますけれども、脳血管疾患や虚血性の心疾患については、昭和三十九年の通達がありまして、六十二年に認定基準が改定されました。この改定された中で、先ほど申したように非常に大きな争いがあるわけですが、こうした脳血管疾患やあるいは心疾患というものを、いわゆるWHO、ILOの共同レポートに従うならばワークインデューストなものに限定しようとした。その結果が、時間的、場所的に明確にし得る業務に関連した異常な出来事に遭遇して発生した場合、あるいは日常業務に比較して特に過重な業務に就労した場合、それを労災として認定するのだ、こうなってしまった。しかし、果たしてこういう脳血管障害や虚血性の心疾患というものをこういうワークインデューストなものに限定して対応していくことが適切かどうか非常に疑問がある。 例えば、学問的なレポートといたしましても、WHOの調査の中で、よく心筋梗塞の中にはコレステロールが高いとか食事生活の問題とかいろいろなことが指摘されております。しかし、世界的な規模での調査で、文化様式の異なる民族の心筋梗塞の比較研究というものによりまして、食事の相違よりも文化様式、特に社会的または情緒的なストレスが心筋梗塞の有力な原因であるというふうにも指摘されております。 また、これはもう既に皆さんも御承知と思いますが、一九八八年、アメリカで二千四百人の労働者に対して作業特性と心筋梗塞の発病率というふうなものについて調査しておりますが、これによりますと、意思決定の自由度は低いけれども心理的作業員荷の高い仕事についている者に心筋梗塞の発生率が高いというふうにも指摘されております。さらに、イギリスのシーリングなんかの報告を見てみますと、これは私自身何となく国会議員になって身につまされておりますが、冠状動脈疾患の発生率は監督者の要求の仕方に依存して、少ない要求で非常に明瞭な指示というふうな状態で発生している心筋梗塞二・四%に対して、要求は高いけれども明瞭度の低い指示というもので仕事されている労働者は三一・三%である、十五倍ぐらいの倍率で発生率が高い。それは、過大あるいは逆に非常に過小な要求、あいまい、不明瞭な命令あるいは矛盾する要求、そういうふうなものに暴露する労働者に心筋梗塞の発生率が高いと出ています。 そうしますと、心筋梗塞の発生というふうな問題を、今の労働省が認定基準にしておられるような問題——これは労災保険上の問題ですから、きょうはその認定の仕方がいいか悪いか私は言いません。しかし、その労災保険上の目安としてワークインデューストなものとしてたまたまそういうふうに設定された、そういう内容で果たして職場への保健という立場に立った場合に有効であるのかどうか、いやそうじゃない、こうなってきますと、作業の中身というよりももっとソフトな問題まで影響してくるということになるわけで、そういう意味においても、いかにそれぞれの労働者の健康状態というものを事前にきちっと管理し、監視し、そしてそのもとでの労働の可能な、あるいは負荷の少ない状況に配慮していくかということを確立しないと、到底こうした心筋梗塞の発生というのは防げない。あるいはアメリカのクロエンケなんかのように疲労ということ自身について——これはかなり多くの衛生学者の中に同意する人がいるわけですし、社会全般では疲労あるいは疲労症状と非常に一般的に使われますが、私も医者の端くれとして疲労とは何か、非常に難しい問題ですね。疲労を訴えるほとんどの患者が身体的には異常がないうつ状態またはストレスの状態というふうにしか認められないというふうな指摘もあるわけです。そうなりますと、今日そのストレス全体を問題にしないといけないということになってまいります。 そうしますと、今ワークインデューストな形で職場の労働安全というものを考えようとした場合、これは非常にむだなことをしておられる。やはり職場の保健というものは、労働者全体の健康に基づいた、もっと個人個人に対してそれなりの配慮のある、そういうものがないと職場の保健というのは進んでいかないのじゃないかということを示唆していると思うわけですが、その点についてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 初めに私の方から概括的にお答えをいたしまして、あとは下田衛生課長にお願いをしますけれども、確かに先生おっしゃいますように、例えば心筋梗塞症というふうなものを例に挙げられましたけれども、その原因、それに影響を与える因子というのは一体何であるかということにつきましては、大変いろいろな考え方がある。まだわかってない面もたくさんあると同時に、最近医学的な知見が非常にたくさん出てきておるということは承知をいたしております。そういうことになりますと、先ほどから先生何回も御指摘のように、直接職業に起因するというふうな考え方で対策を進めることでは不十分であるということはよく理解をいたす次第でございます。そのことと、労災の認定の問題とはまた若干性質が違うわけですが、そのワークインデューストに限定をすることによっては労働者の健康の維持については不十分であるという御指摘はそのとおりであろうかと思います。 そういうことからいいまして、私の方でも、先ほどから御説明をさせていただいておりますように、いわゆる作業関連疾患、労働関連疾患といいますか、そういったものに着目をいたしまして、現在、研究を進めておるわけでございます。そういった研究あるいはそれ以外の場で行われますいろいろな研究に基づきます医学的知見に基づきまして、今後そういった面につきましての労働者の健康確保対策の前進が将来なければならないし、またあり得るというふうに私は考えておるところでございます。
○下田説明員 ただいま先生の挙げられました各種のデータにつきましては大変興味深いデータがたくさんございまして、実は、作業関連疾患研究班の中におきましても、文献研究という形でいろいろな資料を集め勉強をさせていただいておるところでございます。 ただ、いわゆる過労死につきましては、先生も御指摘になりましたけれども、もともと動脈硬化あるいは高血圧といったような基礎疾患を持った人がそれに過重な業務負荷が加わって発症したと考えられるわけでありますが、現実的には、余り基礎疾患の方は問題とされずに、どちらかといいますと、過重な業務と死亡との関連のみが社会的にクローズアップされているような傾向にある状況だと考えております。 現在、労働省で行っております作業関連疾患の総合研究班におきましては、先ほど申し上げましたように、これらの基礎疾病がいかなる作業態様あるいはいかなる宿主要因によって悪化するか、そういったものを研究をしていただいておりまして、その結果に基づきまして予防に対する指針なりマニュアルを作成したいということを考えておるわけであります。 こういったマニュアルをつくることによりまして、いろいろな障害を持った、成人病を有する労働者とかそういった方々を職場から排除するということでは決してなく、そういう障害を持った労働者の方が安心して継続的に職場で働いていただけるようなマニュアルづくりを目指しておるということでございます。
○五島委員 そうしたマニュアルをつくっていただくことは非常に大事なわけですね。 ただ、一言下田さんに対して申し上げておきますが、もともと高血圧あるいは動脈硬化等々あるいは心疾患を持っていた人たちが亡くなった場合、それと業務との直接的因果関係の問題だけが問題になってくるとおっしゃるわけですが、実はそこで問題になってくるのは、亡くなってからどちらが大きな原因なんだという争いがされる前に、そういうふうな人たちが、今下田さん自身もおっしゃったように、病状悪化することなしに働けるような職場の環境、そこのところがきちっと整備されていないじゃないか、されていないから亡くなった時点においてそういう争いだけが過労死の問題として出てきてしまう。だから、そこのところが大事だ。それは亡くなられた方に対してお気の毒ですし、補償の問題等々についてはやらないといけません。 その問題はその問題としてあるにしても、労働安全衛生の立場から言うならば、亡くなられた人に対する問題ではなくて、まさに今マニュアルなりガイドラインとおっしゃっているわけですが、そういう中において障害を持っている人たちが、あるいは成人病を持っている人たちがそれを悪化させることのないような作業環境をどうつくっていくか、その方向に労安衛法も見直していくべきだ。今の労安衛法はワークインデュースト・ヘルスディスオーダーと言われているようなインデューストなものに余りにも限定された安全基準ではないかと申し上げているわけでございます。 また、それとの関係において言えば、産業医の問題も問題でございます。 今産業医については、特殊検診に基づいてはかなり配置転換その他について義務を負わされております。また、それに基づいて安全衛生委員会等に参加して産業医に発言の機会を与えているわけでございますが、そうした労働者の一般的な健康状態に基づくところの就労上の配慮については、産業医に対しては何らかの発言の権限あるいは発言の義務、診断の義務を課していないわけでございます。そういうふうなものを含めてやらせていかないと、今日のそういう職場保健、職場の健康の問題に対応できないのではないかと考えるわけでございますが、その点についていかがでございましょうか。
○北山政府委員 最近の高齢化社会の進展等によりまして、高血圧、虚血性心疾患あるいは肝疾患、糖尿病等のいわゆる成人病を有する労働者の疾病の早期発見、あるいは、予防だけでなくて、当該労働者の就業時及びその後の適正配置の判断に資するために平成元年十月より労働安全衛生規則に定める健康診断の項目の改正を図り、その実施について指導を行ってきたところでございますけれども、先生御指摘のような企業における労働衛生の向上につきまして、産業医の果たすべき役割がどういうものであるか、これは非常に重要なものであると考えているわけでございまして、現在労働省では産業医のあり方に関しまして検討会を設けておりまして、産業医の機能、役割の明確化を含む産業医のあり方について検討をお願いしているところでございますので、その結果を待って適切に対応をしていきたいと考えているところでございます。
○五島委員 時間がございませんので次に議論を進めさせていただくわけですが、本案の中に「快適な職場環境の形成のための措置」と言われているわけですが、この職場環境と作業環境はどう異なっているのか、同じなのかどうか。例えば建設作業や林業労働などのような野外における作業現場も含まれるのかどうか、それについてお伺いいたします。
○北山政府委員 今の作業環境と職場環境の違いでございますけれども、作業環境とは、作業を行う場所の空気、湿度、照度等をいうというふうに考えております。快適な作業環境とは、これが快適な状態に維持管理されているということではないかなと思います。一方、職場環境とは、いわゆる作業環境のほかに作業方法とか労働者が利用する施設設備の状況等も含む概念でございまして、快適な職場環境とは、作業環境を快適に維持管理することだけではなくて、労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置及び労働者の疲労を回復するための施設または設備の設置、整備、さらには、労働者が職場生活をする上で必要な施設等を清潔で使いやすい状態に整備するということなことを言っているものでございまして、職場環境というのは作業環境を包含した広い意味で使っているところでございます。
○五島委員 職場環境というのは作業環境も包含するということでございます。 そうしますと、労安衛法も守られず、あるいは林業労働なんかのように毎年八十、九十という死亡事故が続いており、しかもその多くは事故の状況が後にならないとわからない。検視の段階において、事故を起こしてからかなり時間が経過して、救助がないために死亡したということが明らかであるような事例が毎年のように続いている。すなわち、救急体制もない状況で放置されている実態が一方にあるわけでございまして、そうした労安衛法の厳守や事故の際の救急体制も存在しないという状態で快適な職場の環境の形成というようなことが果たして望めるのかどうか。 そのあたりについて、オフィスだけに限定するとか製造業だけに限定するということでなくて、野外におけるそうした労働の安全、そして、その人たちがその作業において快適と考えられるような状況をつくる最低限の条件として、こうした救急体制、あるいはせめて現行の安衛法の最低限の厳守といったようなものについてどのようにお考えか、お伺いします。
○北山政府委員 今回の安全二法の改正による快適な職場環境の形成につきましては、労働安全衛生法が適用されるすべての業種の事業場が対象となっているところでございまして、工場やオフィスだけでなくて、建設業や林業等の屋外の作業現場も含まれているところでございます。ただ、建設業、林業につきましては、オフィスあるいは工場といったところとは異なった制約があることは十分承知はしているところでございまして、これらの職場の快適化につきましても、その制約の中で働きやすい職場のあり方を考えていくべきではないかなというふうに理解をしているところでございます。 それから、御指摘の緊急時といいますか救急体制といいますか、そういった点につきましては、労働災害を防止する上でも非常に重要なことであるというふうに私どもも考えているところでございます。 現在、林業・木材製造業労働災害防止協会という協会がございますけれども、ここの協会が行っている現場安全パトロールにおきましては、こういった救急連絡体制が確立されているかどうか、末端まで徹底されているかどうかというようなことまで詳細にチェックをすることになっているところでございますけれども、さらにそういった協会を通じまして実態の把握に努め、必要な指導を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○五島委員 救急体制の問題で一番問題になってくる職場というのは、私はやはり林業だろうと思います。山間部、僻地の中で一人作業、しかも極めて危険である。転落あるいはその他の事故が多い。しかし、それに対する救急体制の問題というのは労安衛法の中においても触れられていないわけですね。せめて例えば林業労働、これはどういうふうな状況においてもそうですが、林業をやっていく場合必ずそこに盤台のようなものが、ベースがあるわけですが、そういうふうなところと集材機のワイヤーとをつなぐ形でもって、例えば今日非常に進んでまいっておりますポケットベルではないのですが、合図用のそういうふうなものをつけさせるとか、そういう形で緊急に事故がどこか仲間に伝わるような手段というのは、具体的に指導は可能だと思うのです。そうでない限り、転落事故を起こして数時間たって亡くなった、しかし同僚は夜になって帰ってこないのを知って初めて事故があったというのがわかった、こういう悲惨な事故というのはこれ以上繰り返してはいけないと思うのです。 今日、日本の中においてそれほど金をかけずにそういうふうな体制もできるということから考えても、この点についてひとつ具体的に、労安衛法の中に救急問題ということがないだけに、何らかの形でそういうふうなことを救急体制について示していくお考えはないでしょうか。
○北山政府委員 救急連絡体制につきましては、発見者から責任者への連絡網の確立であるとか、あるいは医療機関への連絡網の確立等々、いろいろ重要な問題を含んでいるわけでございます。ただ、こういった問題は労働災害を防止する上で非常に重要なことであるというふうに考えておりますので、今後関係機関とも連携をとりまして、引き続き必要な検討を行っていきたいというふうに思っているところでございます。
○五島委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。万一の場合に助かる今も助からないという状況では、到底快適な職場環境ということについて納得が得られないと思います。 次に、快適職場のあり方に関する懇談会報告によりますと、「「快適職場」を形成するに当たって重視すべきことは、そこで働く労働者の意見ができるだけ尊重され、働く側に立った視点での検討がなされることである。労働省が参加し、その意見が反映された「快適職場」は、労働者の満足度を一層高めることになるであろう。」というように指摘しているわけでございます。この指摘はまことにもっともだというふうに思うわけでございます。 しかるに、この懇談会報告の指摘が本法の中では完全に無視されているわけでございますが、その点についてどういう理由なのか、お伺いしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 事業者が快適な職場環境の形成のための措置を講じていくに当たりましては、御指摘のように、そこで働いております労働者の意見ができるだけ反映されることが大変重要であるというふうに考えております。こういうことが行われることによりまして、職場環境に対します労働者の満足度は一層高めることになるというふうに考えているわけでございます。各企業が快適な職場環境の形成に取り組むに当たりましては、そこの労働者の意見の反映にも十分配慮することが必要であるというのは御指摘のとおりでございます。 それで、この今回の法案の中で、快適職場とはどういうものであるか、あるいはそのためにどういうふうな措置が必要かということにつきまして労働大臣が指針を定めることになっておるわけでございますけれども、この指針を定めます際に、労働者の意見の反映にも十分配慮することが必要であるというような趣旨は、その中に十分に盛り込みたいというふうに考えておるところでございます。
○五島委員 指針を定めればいいというものではないのであって、例えばこの懇談会報告の中には、快適職場のあり方については「個人差への配慮」ということも記載されている。また「社会経済状況や人々の意識変化、技術の進歩等によって異なったものとなっていくものであり、絶えず見直しも必要」と記載されているわけです。 このことは、快適職場というものについてどのように目標を設定していくのか、その内容と優先順位をどうしていくのか、これはどうしても労働者の参加がないとできないといいますか、十分なものにできない。そのことが、この懇談会報告の中にも労働者参加についてわざわざ一項を設けて強調している大きな理由だろうというふうに思うわけです。 そういう意味では、例えば衛生委員会あるいは安全衛生委員会というのが労安衛法に基づきまして各職場の中にあるわけでございますが、こういうふうな基準がある、あるいは指針があるからそれでいいということではなくて、快適職場という問題を取り上げるのであれば、当然そういう安全衛生委員会あるいは衛生委員会といったようなところの中において、必ずこの問題を議題としてそこの了承を得ていく、そこの協議をやっていくというふうに処理すべきだと思うわけですが、その点いかがでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 事業者が快適な職場環境の形成に取り組むに当たって必要な事項といいますのは、今申し上げました労働大臣の指針の中で示されるわけでございますけれども、この指針は、快適な職場環境の形成のために事業者が講ずべき措置を画一的に定めるというのではなくて、事業者が事業場の実情や労働者の意見等も踏まえまして、事業場で実施する措置を弾力的に決定できるようなものにしたいというふうに考えております。したがいまして、事業者が実施する措置につきましても、一定の幅のあるものになるような形で示すことにしておりますけれども、この指針を作成するに当たりましては、公労使の代表から成っております中央労働基準審議会の意見を聞いて策定することといたしておりますし、また、各職場といいますか企業の中におきましては、御指摘のように安全衛生委員会で労使の意見を十分すり合わせた上で進めることが望ましいと思っておりますので、運用上もそのようなことに配慮してまいりたいと思っております。
○五島委員 また、本法によりますと、快適職場形成のために国が必要な援助に努めるというふうになっているわけでございますが、この援助の具体的な内容というのはどういうふうなものなのか、現在の当局の御意向というものをお知らせいただきたいと思います。
○青木説明員 この規定に基づきます国の指導援助と申しますのは、中央及び地方に委託をして行います快適職場推進センターといったところによります快適職場に係る調査研究、それから具体的に取り組もうとする事業主に対する指導啓発あるいはさまざまな助成制度等の利用の仕方を伝授することがその一つでございます。また、中小企業の集団に対しまして、共同で労働衛生を向上させる場合にそれを指導援助する補助金の仕組みがございますが、その中で、快適職場に取り組む企業に対する一定の職場環境の整備のための機器等に対する補助制度、それから快適職場を形成しようとする場合に必要な経費を融資をする仕組みといったものが盛り込まれる予定となっております。
○五島委員 あわせまして、先ほども出ましたが、国が快適職場形成のための指針を策定して公表するということになっているわけでございますが、この指針の内容についても、現在のところの当局の意向はどういうふうなものか、お伺いしたいと思います。
○北山政府委員 現在、快適な職場環境の形成のための措置に関する指針を検討しているところでございますけれども、その中身を若干御説明いたしますと、一つには、快適な職場環境の形成のための措置に関する基本的な考え方をまず第一点に示す。その中身につきましては、作業環境を快適な状態に維持管理するための措置、温度とか湿度とか照度とか、そういったものを作業に適した状態に維持管理するというようなことでございます。それから二つ目が、労働者の従事する作業についてその方法を改善するための措置。それから三つ目が、作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設または設備の設置または整備。労働者の方々が疲労を蓄積することなくできる限り早く解消するためにそういった施設が必要なわけでございますけれども、そういった施設または設備を設置すること。それから、その他必要な措置ということにいたしまして、洗面所、トイレ等職場生活をしていく上で必要となる施設、設備を清潔で使いやすいものにするというようなことをまず基本的な考え方として考えているところでございます。 大きな二番目といたしまして、快適な職場環境を形成するための措置としてどのようなことをしたらいいかということでございます。作業環境を快適な状態に維持管理するためにどういう措置を講じたらいいか、あるいは、労働者の従事する作業についてその方法を改善するためにはどういう措置をとったらいいかとか、作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設または設備の設置または整備について指針を設けるとか、その他の必要な措置について掲げる予定にしているところでございます。最後に、快適な職場環境の形成・維持管理につきましては、先ほど御指摘がございましたような個人差への配慮であるとか、あるいは労働者の方々の意見の反映といいますかそういうこともございますので、そういうことも十分配慮する必要があるというようなことでございますので、その点につきましても指針の中に盛り込んでいきたいというふうに現在のところ考えているところでございます。
○五島委員 大体時間が参りましたので、最後に大臣に、三つばかりきょうの論議の中で出されてまいりました問題について御回答あるいは御確認願いたいと思うわけです。 今日の労働状況の変化に応じて、がん検診を含む成人病検診の強化拡大、いつの時期になるかということはいろいろこれからあるといたしましても、それを拡大していく、そしてそれに伴って、それぞれの検診の結果に基づいてきめ細かい就労上の配慮がなされるように努めていくべきであるということについて、大臣の御意見をまずお伺いしたいと思います。
○近藤国務大臣 先生から今御指摘がございましたが、要は、働いている勤労者の方々の健康の維持、保持ということでございます。その健康障害というのが直接的ないわゆる労働災害という形で出てくるのか、それとも職場生活を含めて人間生活全般の中から出てくるのかという問題があって、必ずしも直接的な職場のフィジカルな災害という形で限定できない場合もあると思います。 ただ、一方で医療保険制度というのがございまして、労働災害保険と一般的な医療保険というのがありますので、対象となるのは一人の人間ですから、その障害なり病気はどこが原因だということについての確定が実は困難な場合もあるわけでしょうから、そのあたりはいろいろ政府委員、事務局の方で説明してございますけれども、そのいわばボーダーラインケースみたいなものをどっちの保険制度で見るかというようなことで——繰り返しますが、要は、働いている勤労者の方々が、直接的な労働災害であれまたその他いろいろな理由からの病気であれ、病気になり障害を受けた場合に適切な医療措置が講ぜられるということであります。その間の現行のいろいろな保険制度の中の調整の問題が残りますけれども、そのあたりについてはこれからいろいろ検討すべき問題が多いと思いますけれども、要は、総合的な勤労者生活の向上、特に健康そして安全の維持ということが労働行政の最大の眼目の一つでございますので、私ども十分に研究させていただきたいと思います。
○五島委員 続いて大臣にお伺いしたいのですが、総論としては大臣のおっしゃることはよく理解できます。ただ、緊急の問題として私の言っているのは、それはインシュアランスの保険の問題はいろいろある、しかし、ヘルスの問題としては職域保健、地域保健、学校保健とあるわけでございます。そういう意味では、いわゆる業務に直接的因果関係が証明された疾病の問題を職域が抱えるんだということではだめだ。だから、広く健康そのものを職域がとらえていくべきである、そういう視点からもがん検診等の実施をぜひ検討していただきたい。 それから、いま一つは、先ほど御回答ございましたが、林業労働等における救急体制については、快適職場の指針の中に入れていただいても別の方法でも結構です、しかし、これはやはりぜひ入れていただくということ。 そして三番目といたしまして、今お話しございましたけれども、快適職場について各企業の中において合意を進めていく過程の中で、安全衛生委員会あるいは衛生委員会の中においてすり合わせをきちっとしていくという点について、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○近藤国務大臣 私も実はドックに入りたいと思っているわけでありますが、なかなか時間がとれない。私だけでなしに勤労者の方々も、ドックに入ってがん検診するというのが望ましくても、仕事の事情でとれないという問題もこれまであったと思うわけでございます。ですから、まさに、そういう人間ドックに入れるような時間を職場の中で積極的にとられるようにすることが、よく言われております過労死なんかについての事前のチェックになるわけでございます。 したがって、そうしたいろんな勤労者の健康の増進、保全についてのシステムといいますか、そういったものについては、いろいろ御答弁をさせていただいておりますけれども、我々積極的にこれから努力をしてまいりたい。 救急体制ですか、林業の話が出ましたけれども、こういった問題について、仮にそういった事故が起こった場合に、すぐに連絡して緊急救助体制ができるか、これは林業なんかいろいろな面で不便なところもございますから大変だと思いますけれども、できるだけの措置はとれるようにしてまいりたい。 先生が最後に御指摘ございましたいわゆる各職場ごとの安全衛生委員会制度でございます。けれども、この中で職場の安全や衛生等の問題について積極的に労働者の方々の御意見を聞いてそれを反映する、私はこれまでやっていると思いますけれども、さらに積極的にこれを進めてまいりたい。
○五島委員 快適職場の問題についてお願いします。
○近藤国務大臣 快適職場の問題について、さらに、新たというわけじゃないと思いますけれども、より積極的にその場でも取り上げるように指導させていただきたい、こう思っております。
○五島委員 その点につきまして、特に安全衛生委員会の機能というのは今後ますます重要になってきますし、その任務も非常に広がってまいると思うのです。 そういう中で、労働省の方も快適職場という概念で労働現場の問題を見ようというふうになられたわけでございますから、安全衛生委員会もそういうものに対してきちっと労使が合意した形でのそれぞれの職域における指針の作成という方向になるように、ぜひ御指導いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○川崎委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時二十四分休憩 ————◇————— 午後零時三十分開議
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岩田順介君。
○岩田委員 最近の労働事情は目まぐるしく変化をいたしておりますが、その中にあっても労働災害の問題というのは殊に重大であろうというふうに思います。 本法案、つまり、労働安全衛生につきましては、これは全面的に労働省の管轄ということになっておりますけれども、しかし、最近の建設業の労災の状況、死亡事故等の状況を見ますと、これは建設省におきましても責任は極めて大だろう、こういう観点から今後の労災撲滅のために、労働省が主体になりましょうけれども、建設省も大いに協力をしてこれに邁進してほしいという観点も含めまして、きょうはおいでをいただいているわけであります。 このたびの法律改正に当たりましては、その提案理由の説明で、大臣は 建設業においては、人材の確保、とりわけ若年労働力の確保が大きな問題となっております。この観点から建設業の雇用機会としての魅力を高めていくことが重要でありますが、その中で労働災害の防止は重要な課題の一つであります。すなわち、建設業における死亡災害は依然として多く、平成二年においても千人を超える方々が亡くなっており、これは企業種の労働災害による死亡者の四割以上を占めております。このため、死亡災害の大幅減少を目指した建設業における総合的な災害防止対策の確立を図る必要があります。こういうふうに言っておられます。 それは全く同感であり、そのとおりと思うわけでありますが、もともと、建設業における雇用構造というのは、複雑なものが歴史的に横たわっているわけであります。したがって、また前近代的だという指摘もあるところでありますが、しかし、企業種の労働災害における死亡者の四割を建設業が占めるということについては、事態は極めて憂慮すべき深刻な状況ではないかというふうに思っているわけであります。大切な人の命にかかわる問題である点を何よりも重視して、死亡災害の大幅減少は当然でありますが、むしろこの撲滅に向けてどうするか、御努力をいただきたいというふうに感じるわけであります。そういう観点で質問をさせていただきたいと思います。 まず、建設業における労働災害の発生状況についてお知らせいただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 建設業におきます労働災害の発生状況でございますが、長期的には減少の傾向にございまして、平成二年におきます休業四日以上の死傷者数をとりますと六万九百名、前年に比べて四・六%の減少でございます。また平成三年におきましても、これは平成四年二月末の速報値でございますが、前年同期と比較して約五%の減少となっております。しかしながら、死亡災害につきましてはここ数年横ばい、または増加傾向にあるわけでございまして、平成三年の死亡者数は一千四十七人でございます。この数字は平成二年に比べますと二・六%減でございますが、その前、元年に比べますと二・九%の増加というふうになっております。 建設業におきましてはほかの産業に比べまして労働災害の発生が多いわけでございますが、休業四日以上の災害では全産業の約三割、それから死亡災害だけをとりますと全産業の四割以上を占めておるわけでございます。 それから、一時に三人以上の労働者が死傷する災害を重大災害というふうに私ども呼んでおりますが、建設業におきましてはこの重大災害が多く発生しておるわけでございまして、最近一年余りをとりましても、昨年三月の広島市の橋梁落下事故において一般市民を含めまして十五名が死亡し、八名が負傷いたしておりますし、また九月の松戸市の隧道水没事故におきましては七名が死亡、さらに、ことしに入りまして二月の海上自衛隊厚木基地内の体育館の新築工事での崩壊災害におきましては七名が死亡、十三名が負傷するというような社会的にも大変注目を浴びる重大災害が発生をしているところでございます。 こういうぐあいでございまして、建設業におきます労働災害の現状は大変に憂慮すべき状況にあるというふうに考えておるところでございます。
○岩田委員 今御報告をされましただけでも相当な死亡者が出ているわけでありますが、建設業における労働災害は特に多発の状況ということが今の説明でも感じられるわけでありますが、大臣はこれらの状況について一体どのように御認識、考えておられるのか、御見解を賜りたいと思います。
○近藤国務大臣 労働災害は本来あってはならないものでございまして、私は、労働災害防止を労働行政の最も重要な課題の一つとして、機会あるごとに災害防止の重要性を訴えてまいったところでございますが、建設業におきましては、最近、ただいま労働基準局長が述べましたように重大な災害が多く発生しておりますことはまことに残念に思っておる次第でございます。 建設業においてこのように労働災害が数多く発生していることから、昨年専門家の方々に建設業における総合的な労働災害防止対策の検討をお願いし、この検討結果を踏まえて、現在御審議いただいております労働安全衛生法の改正法案を策定したところでございまして、この法律改正を含めて建設業について総合的な労働災害防止対策を推進する必要があると考えております。
○岩田委員 先ほどから建設業における労働災害の発生状況をるるお聞きいたしましたけれども、平成二年で全産業、企業種二千五百五十人の死亡事故中一千七十五人、こういうとうとい命が失われたわけであります。また、四日以上休業が、これは労災保険給付データで見ましてもかなりの数字になっている。 このように建設業において労働災害の発生が多い原因について、労働省はどういうふうにお考えになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 建設業において労働災害の発生が多い原因ということでございますけれども、建設業はその他の多くの産業に比べまして特徴があるわけでございます。 それはどういうことかと申しますと、自然条件の影響を受けやすい環境での作業が多いということ、高所作業あるいは掘削作業等の危険な作業が多い、それから、注文生産が原則でございますので、工事ごとに作業場所、作業内容が違ってくる、また短時間作業、臨時作業が多いというようなこともございます。それから、重層下請構造等で異なる企業に属する労働者が同じ現場で混在をして作業するというようなこともございます。それから、労働者の移動性が高いこと、それから工期の設定、工事費の積算等請負契約におきまして発注者側の意向が強く反映されがちであるというような特別な要因が幾つかございます。このことがほかの産業に比べまして労働災害が多い原因であるというふうに理解しております。 最近の死亡災害の減少しない背景としましては、以上申しましたことに加えまして、建設工事量の増大等に対応した安全管理の徹底が必ずしも十分でないということ、それから熟練労働者が不足してきているというようなことが背景にあるものというふうにも考えておるところでございます。
○岩田委員 いろいろ申されましたけれども、安全措置が仮設であるというような問題もこれはまたあるんじゃないかというふうに思います。 一九八七年の三月に立正大学経済研究所から「建設労働経済論」というのが筆宝康之さんという専門家から出されておりますが、彼の指摘によりますと「当然、直用せず常用化しない労働者に対しては、安全と技能の訓練意欲は消極的になる。安全の低下は労災を、技能の低下は欠陥工事と低能率を生む。」こういうふうに指摘をされています。五年前でありますが、これは指摘されて久しい問題でありますけれども、やはり的を射ているんじゃないかと思いますけれども、今労働省にお尋ねしましたこの質問について、建設省、ひとつお答えいただけませんか。
○尾見説明員 建設関係の労働災害の状況の御質問でございますけれども、先生御指摘のように、建設業の労働災害の死傷者は他産業に比べて非常に多いわけでございます。こうした事故が発生しますと、それにより人命が失われるということで、その重さは非常にはかり知れないものがあるわけでございます。また、企業にとりましても産業にとりましても、事故のイメージの低下ということは非常に大きな問題になっているというふうに認識しております。また、若い方に建設業に入っていただくために魅力ある産業づくりということを行っているわけでございますが、そういう努力を一瞬にしてなくしてしまう、そういう意味合いもあるわけでございまして、建設省としては、安全性の問題は極めて重要な課題であるというふうに認識しております。 理由につきましては、高所作業が多いということでございますとか、屋外作業であるとか機械を多用するというような生産特性に由来する点が非常に多いのではないかというふうに考えております。さらに、組み立て産業であります。それに伴いまして下請構造というのが不可避的に発生するというようなこともございます。それから、経営基盤の脆弱な中小企業が非常に多くて、資金面、人的な面での制約というようなものがございますので、私どもといたしましては、発注段階とか施工段階における固有の安全対策にあわせまして、建設産業の構造的な問題点を解消していくということの施策が非常に重要ではないかというふうに考えております。このために、平成四年度から第二次構造改善推進プログラムという構造改善全般を推進するための施策体系に盛って、構造改善に官民挙げて取り組んでいるというところでございます。 以上でございます。
○岩田委員 いや、私が聞いているのは、労働災害の発生がなぜ多いか、その原因について聞いているわけですよ。ひとつ短く答えていただきたいと思います。 これは、建設省の建設業労働災害防止協会資料ということでいただいておりますが、建設工事における平成二年度事故原因別死亡者率というのが出されておりますね。これは建設省で作成をされたものだと思いますけれども、これによりますと、この事故原因の第一は、作業員の不注意による事故、こうなってございますね。これが四八%。あと二番目に、安全管理上の不備による事故三五%、三番目に、施工方法の不備による事故一三%、四番目に、第三者による事故四%、こういうふうに資料をいただいているわけであります。「作業員の不注意」というふうに言われておりますけれども、これはちょっと私は納得いかない点があるわけであります。 最近の厚木の事故については、新聞報道を見てみましても、到底作業員の不注意とは思われない、こういうふうに私は認識をするわけですよ。作業員の不注意が原因の一つであったとしても、例えば落下事故などが多いという御報告もありましたけれども、安全ベルトをするとかネットを張るとかヘルメットがどうであったかとか、いろいろ事前に重大災害を防止する手だてというものがあるはずであるし、また、これは監督官庁もそうでありますけれども、事業者が最も責任があるのではないかというふうに思いますね。 これについて、労働省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 労働災害は、作業員の不注意が原因の一つになっている場合もございますけれども、そういう場合でも、機械設備の問題であるとか作業方法の問題であるとか安全管理体制の問題等、幾つかの要因が影響し合って発生をするものであるというふうに考えております。 労働災害を防止する上で作業員の不注意をなくすことはもちろん必要でございますけれども、問題は、それだけでは労働災害がなくなると言えないことでございます。つまり、機械設備の安全化、作業方法の適正化、安全管理体制の整備、安全衛生教育の実施などの措置を総合的に講じまして、作業員の不注意があったとしても安全が確保されるようにするということが大事なことではないかというふうに考えております。 御指摘のとおりに、落下事故、墜落災害といいますか、そういうものにつきましても、足場や安全ネットが設置されているとか安全ベルトが使用されていれば事故に直結することが防止されるというようなものでございます。
○岩田委員 ことしの一月二十九日に「建設省の工事安全対策」というものが発表されております。それによりますと「作業員の不注意による事故、第三者による工事現場への侵入事故等様々な原因による建設労働災害が依然として多い」という記述がございますが、全般的に見まして、どうも事業者の責任は一体どうなっているのかという感じを率直に持ったわけであります。 あの報告というか方針というか対策を見ますと、事業者の安全確保にほおかむりするような実態があるのじゃないか。また、それを裏打ちするような資料が出ておりますけれども、それが先ほどの作業員の不注意四八%、半分ですよ。これは、不注意だというふうになっている点がどうも私は納得いかない、こういうふうに申し上げているわけです。 この分類がされておりますけれども、これは、建設業労働災害防止協会が毎年「安全衛生年鑑」というのを出されておりますが、これから整理をされたものではないかというふうに思います。これは間違いないですね。昨日もその点いろいろ事前のお話をさせていただいたわけでありますけれども、これらの事例を見て、果たして私が申し上げましたような作業員の不注意四八%、あと2、3、4とありますが、果たしてああいうふうに分類されるものかどうかというふうに私は思うのですね。そもそもどのような目的意識でもってああいう分類をされたのか、大変疑問です。 これを皆さん方建設省は全部洗われて1、2、3、4の分類にされたんだろうというふうに思いますが、きのう私はこの死亡事故の中で十一例を抽出をいたしまして、建設省にどの分類に入るのかお尋ねをいたしました。 時間がありませんから詳しく申し上げることはできませんけれども、例えば百四十五ページのトンネルの3、これは公共工事でありますけれども、これについては「安全管理上の不備による事故」というふうに分類をされております。以下いろいろ分類をされておりますけれども、時間の関係で割愛をします。 そこで、質問をさせていただきたいと思うんですけれども、この中で、例えば百八十八ページ、これは鉄筋コンクリートの4ですね。これは広島で一月の十一日に起こった事故でありまして、「公共工事 墜落」というふうになっております。高さ七メートルのところから墜落をして落ちておりますけれども、これは本人の不注意になっておりますが、これなどを見てみますと、安全ネットやその他のいわゆる事故防止装置が完全にあったならば、これは未然に防げておったんではないかというふうに思いますね。これについても1に分類をされているわけであります。さらに、百九十ページの26でありますが、これも公共工事でありますけれども、「七・四メートルの三階床にクレーンで荷揚げされた筋かいの東を外し、デッキプレート上を歩行中に墜落した。」こういうふうになっております。それから、百九十ページの32でありますが、これは民間でありまして、バランスを崩して二十四メーター下に落下して死亡する、こういう事故でありますが、果たして本人の不注意というふうに分類できるものかどうか。果たして安全装置があったかどうか。 これは膨大な事故例でありまして、どういうふうにチェックをされて、どういうふうに判断をされて、だれが判定をされたのか、これまた興味のあるところでありますが、きょうはこの問題はさておき、今三つ申し上げましたような事故についてどういうお考えなのか。私はこの三つだけしか挙げませんでしたけれども、それぞれ安全装置、安全教育、安全対策が本当にやられておったならばこういう事故にはならなかったんではないかという前提でお聞きをいたしておりますが、一体いかがでしょう。
○青山説明員 今御質問ございました建設業労働災害防止協会発行の「建設業 安全衛生年鑑」をもとに、私どもがどういう考え方で分類したかというお尋ねでございますが、この資料をもとにしまして、安全対策を検討するための本当の基礎データといいますか原始的なデータといたしまして、労働災害の原因につきまして、内部で議論しながら大まかな分類を試みた次第でございます。 この区分は、少ないデータしか蓄積されていない現時点での区分でございまして、先生おっしゃるように、本人の不注意でというふうな原因で済ましてしまったのでは具体の対策に結びつかないというのもそのとおりでございまして、私ども今後、事故原因の調査をさらに一つ一つ丁寧に建設業にかかわるものについてはやっていきたいと思っておりまして、その一つ一つの原因調査を深めながら具体的な設計施工に生かすレベルまで原因究明を高める努力をしていきたいと思っております。
○岩田委員 今の問題について、労働省は一体どういうふうにお考えでしょう。
○北山政府委員 労働災害は、作業員の不注意が原因の一つになっている場合でありましても、機械設備の問題であるとかあるいは作業方法の問題、安全管理体制の問題と、幾つもの要因が重なって発生しているということは先ほど局長からお話があったとおりでございます。 先生御指摘の事例につきましては、私ども死亡災害につきましては詳細に調査をしているわけでございまして、例えば百八十八ページの4の広島での事故例なんかにつきますと、「余分の鉄骨組立の出来具合を元請に確認してもらおうと急いでいたため、枠組足場の中さんを外し、躯体側(開口部五十八センチメートル)に移動しようとして高さ七メートルの所より墜落した。」という事故でございまして、この事故について調査をいたしますと、例えば足場と躯体との間隔が広かったんではないかというようなこと、あるいは足場と躯体側とをつなぐ通路が数として不十分だったんではないかというような問題点があるわけでございまして、やはりそういう設備上の問題あるいは人的な問題、そういったものがいろいろふくそうしてこういった災害が発生したというふうに考えているところでございます。
○岩田委員 いずれにしましても、建設省の分類をされた目的については、事故における責任を明確にするというようなことだけでやられたわけじゃないでしょう。今後の安全対策上きちっとしたデータをそろえるということ、それに基づいて防災対策を行うということでありますから、労働省と建設省は、立場は違いますけれども目的は一つなんですよね、大いに協力してやっていかないと、別々な感覚で——今答弁いただきましたように、データが少ないとおっしゃいましたけれども、僕はやはり精度に欠けるんじゃないかと思います。そんなものを前提に議論をするということも困りますので、また命がかかっているわけですから、我々も人命の問題でこれを取り上げているわけですから、ぜひともよろしく御検討をお願いしたいと思います。したがって、仮に作業員にミスがあったとしても、それが直ちに事故につながらないようにどうするかというのがこの問題に当たる際の重要な姿勢であることは言うまでもないのですね。 この点に関連をして若干議論をしたいと考えておりますけれども、去る二月十四日の厚木の航空自衛隊の事故、これにつきましては、直後の二月十八日に社会党も調査団を派遣いたしまして、午前中質問いたしました五島議員も加わって、二月二十六日の当委員会で質問をいたしておるわけでありますが、五島議員の質問に若干宿題が残っておるというふうに思われますので、この際、私の方からかわって質問をしたいと思うのです。 そこで、まず第一に、ビルトスラブ工法の場合には、特定の部分で集中的に荷重を支えるために、一般工法に比べて支保工の強度、構造等を特別のものにしなければならなかったはずだと思いますが、今回、支保工が倒壊したのは、ビルトスラブ工法を採用したにもかかわらず一般工法と同じ支保工にした、その強度や構造等に問題があった疑いがある、こういう質問をしておりますけれども、これについては明確な答弁がなかったと思います。 まず、この点について確認をされたかどうかお伺いをしたいと思います。
○北山政府委員 ビルトスラブ工法では、大ばりの下の支保工で集中的に荷重を受けるということになるわけでございますので、支保工の強度、構造等もそれに応じた安全なものとする必要があるというのは、御指摘のとおりだというふうに思います。 この災害の原因を究明するためには、実際に倒壊した箇所の支保工がどのような構造でどの程度の強度を有しているかといったことを確認する必要があるのではないかというふうに思っております。 実は、災害の発生現場では、最近復旧工事が始められたところでございます。今後、崩壊した箇所の支保工がどのような部材によって、どのような構造で組まれていたかというようなことを確認するとともに、今回原因究明のために設置をいたしました特別技術調査チームにおきまして必要な実験を行うというようなことも含めまして、原因究明を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○岩田委員 さらに、五島議員は次のように質問をいたしているわけです。「突然そういう考えられないような、そういう型枠が下に落下して抜けてしまうという事故があったにもかかわらず、そこで作業を中止して安全を確認する、あるいは原因を究明するという作業をやらずに、そのまま一列飛ばしてコンクリートの流入というものをやっている。」間違いがないかお伺いします、こういうふうに五島議員は言っております。 北山部長は、当委員会の二十六日の答弁で調査中であるということをおっしゃっていますし、NHKの報道等もそういうことを言っているのじゃないかということにつきましても、そこまでは聞いていないというようなお答えだったと思いますが、この点についてはいかがでしょう。
○北山政府委員 この災害の発生当日は、コンクリートポンプ車二台で、二階スラブ部分の中心線から東側部分上西側部分のそれぞれでコンクリートの打設の作業を行っていたわけでございます。午後一時二十分ごろ、東部分の南から三列目の東端から十番目あたりのビルトトラス、それから型枠が落下したためにコンクリート打設を一時中止をいたしました。その後、一階床部分で状況の確認であるとかあるいは対応の検討、コンクリートの処理を行っていたところ、一時四十五分ごろ二階スラブが崩落をいたしまして、一階部分及び二階部分にいた労働者が被災をしたというものでございます。 最初のビルトトラス、それから型枠の落下後一たん中止されていたコンクリートの打設が再開されたかどうかという点につきましては、御指摘のように、一列飛ばして再開をしているということを証言をしている者もいるわけでございますけれども、ただ一方では、そのようなことはなかったというふうな多くの者の証言もあるわけでございます。 しかし、もしコンクリートの打設作業が再開されていたということになりますと非常に重要な問題でもございますので、さらに事実の解明をしていきたいというふうに考えております。
○岩田委員 これ以上はこの問題で申しませんが、同一現場で一緒に働いておった作業員等の証言がそんなに狂うはずはないんですよ。ごく少数はそう言ったけれども多数はそう言っていないというふうにあなたはおっしゃるけれども、二十六日の次元ではそういう話ではなかったわけです。これは重要な問題だと思いますよ。 今お伺いしておりますと、事故発生から二月も経過しておるわけでありますが、いまだ調査中である。これは、今回の厚木の事故の重大性から考えてもまことに遺憾だと思うのです。調査結果がすぐにわかって、改善する点はどうするかという議論が本委員会でも本当は積極的に行われてほしいと思ったのであります。迅速な調査を要請しておきたいと思いますけれども、五島議員の質問から確認できる範囲でも、本来、作業内容を熟知して的確に作業を指揮するべき型枠支保工作業の責任者が、資格が一応あったとしても、このビルトスラブ工法というのは初めてであったということですね。それから、実際に働いておった作業員の方々も初めての経験で不安を表明していることは調査でもはっきりしていると思います。しかも、現場所長や責任者も死亡された、こういうことになりますと、管理的な立場にある者もこの危険性について一体認識があったのかどうか、認識が甘かったのではないかというふうに思わざるを得ないし、疑問を持たざるを得ないわけです。 新しい工法、しかもビルトスラブ工法のように一般工法に比べて危険性が高い工法を採用する場合には、作業指揮者には十分な技術的な認識を与えることは当然でありますが、その研修はもとより、一般の作業員に対しても十分な教育を行うことが極めて重要だろうと思うわけです。 今回の事故からもそういうことを痛切に感じるわけでありますが、労働省としてはその点一体どういうふうにお考えであるのかお伺いをしたいと思います。
○北山政府委員 先生御指摘のように、新しい工法その他その現場でふなれな工法を採用する場合には、安全施工上の問題点について十分事前に検討をいたしまして、その検討結果を踏まえまして、作業主任者に適切な作業指揮を行わせるということが非常に大切でございます。さらに、その作業に従事する作業者に対しましても、その工法の特徴であるとかあるいは危険性等を十分周知をさせる必要があるのではないかなというふうに考えているわけでございます。 今後、このような場合、研修、教育の実施等により、ふなれなままで作業指揮及び作業が行われることがないよう、今回の事故を反省いたしまして、事業者に対して十分指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○岩田委員 北山部長の御説明では、厚木の事故で、なぜ二階から下に、どういう目的でどういう指導、どういう指図があって二階から一階に行って被災をしたかというのはまだ定かではないということです。 建設省にお伺いをいたしますけれども、こういう場合、二階から一階におりてきて被災をした、死亡者の方々は一体どこにカウントされるのでしょう。先ほどの分類でどういうふうにカウントされるのでしょう。
○青山説明員 今のお尋ねでございますが、先ほどの分類、四区分は、約千の事例があるものを大まかにグループ分けする観点から分類したものでございまして、対策に結びつく真の原因であるという認識はいたしておりません。 厚木の事故の場合につきましては、現在、事故原因については調査中と聞いておりまして、その事故発生のメカニズムが解明された時点で、設計、積算等具体的な対策に生かしていけるような観点から、これを教訓としてまいりたいというふうに思っております。
○岩田委員 社会党の調査団の調査結果や一部の新聞報道とも重ねて考えてみますと、今回の厚木の事故というのは労働安全確保の措置に極めて欠けていたのではないかということをうかがわせるわけであります。時間の関係で、具体的にどうだということは、きょうは指摘をいたしませんけれども、第一次事故の処理が極めて不適切と言わざるを得ないというふうに私は思います。これは何とも今お答えできないでしょうけれども、そういうふうに指摘せざるを得ないと思います。明らかに避けられた死亡災害ではなかったかというふうに思うわけであります。 それから、一月二十九日発表の建設省の工事安全対策には、「従来工法においては熟練作業員とみなされる者に対しても、昨今の機械化をはじめとする新工法等の適用にあたっては、施工方法の高度化に対応した効率よい教育を実施する。」こういうことが出されておるわけです。厚木の事故というのは、建設省が出されたこの安全対策の方向というかそれを全く真っ正面から裏切る事故になったケースではないかというふうに思いますけれども、建設省はこの点についていかがお考えか、お伺いをしたいと思います。
○青山説明員 今先生からお話しございましたように、建設省の工事安全対策におきましては、施工体制の複雑化または施工技術、施工環境の変化等への速やかな対応を図るために現場作業員の技術力の向上を支援していくということにいたしております。このため、平成四年度、この四月からでございますが、公共工事の発注における工事費積算基準の改正をいたしたわけでございますけれども、この改正におきまして、現場における作業員に対し月一回、半日以上の安全訓練ないし研修を実施するとともに、そのための費用を新たに計上しまして、現場作業員に対する技術力の向上を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。 先生御指摘のように、研修なり作業員の方に工法等を十分承知していただくということは、安全のためにも非常に重要なことではなかろうかと思っておりまして、その観点からの措置でございます。
○岩田委員 そのほか、五島議員は去る委員会で、工期の設定の問題、それから契約金額問題についてもいろいろ質問をしておりますけれども、そういう中で、設計変更や安全管理、安全教育面での問題があって犠牲者を出してしまったという前提で指摘をしていますし、私もそういうふうに思っております。 今お聞きしますと、まだ調査中ということで労働省からもはっきりした御答弁はもらえないわけでありますけれども、しかし、今私が幾つか指摘をしましたような問題は、特定の問題としてだけではなくて、建設業における労働災害一般についても言えることではないかというふうに思います。この点については一体どういうふうにお考えなのか、御見解を賜っておきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 一般論として申し上げますと、工期が十分でない場合には施工に追われる、また、積算上安全衛生を確保するための経費が見込まれていない場合には経費が切り詰められるというようなことで、十分な安全管理、安全教育を行うことができないということになるわけで、こういった発注者の安全衛生配慮の不足は、工事施工時の安全確保に大変大きな影響を与えていると考えております。 そこで、労働省は、建設業におきます安全衛生管理体制等に関する実態調査を行ったわけでございますけれども、その調査におきましても、発注者に対します施工者の要望事項として、全国規模の建設業者の九四・八%、地場の建設業者の七九・〇%が適正な工期の設定を要望するということを言っておるわけでございます。また、全国規模の建設業者の八六・四%、地場の建設業者の六六・五%が適正な安全経費の設定が必要だということを言っておるわけでございます。建設業者におきましても、工期の適正化あるいは安全経費の確保が労働災害の防止のために必要であると考えていることがこの実態調査からもうかがわれるわけでございます。 また、設計変更が行われた場合におきましても、工期の設定、安全経費の確保に十分な配慮が必要であることは当然であると考えておるところでございます。
○岩田委員 建設省にお伺いいたしますけれども、建設工事死亡災害のうち約半分が公共工事で発生しているわけです。これは異常に高い数値ではないかと私も驚いているわけでありますが、建設省は、国が発注する工事について安全施工の観点から果たして十分な配慮をしているのかというような感じを持たざるを得ないわけでありますが、一体どういうお考えなのか。 そして、引き続き建設省にお尋ねいたしますけれども、今申し上げましたように、建設省の責任は重いだろう、果たす役割は極めて大きいだろうと思います。そこで、建設省としては今後の公共工事における労働災害の防止についてどのようにしていかれるおつもりか、ここはひとつ決意を述べていただきたいと思います。
○青山説明員 建設投資のうち政府投資分は約三分の一、これはほとんど土木工事でございます。それに対しまして、労働災害が建設業の中で四十数%を占めているということで、労働災害の比率が公共事業に高いのは先生御指摘のとおりでございます。 この原因といたしましては、工事の種別や現場の施工条件、例えば土や水を扱う工事が多いとか、ダムのように非常に急傾斜面を工事現場とするケースが多いとか、トンネルやシールド工事のように地中面を工事現場とする場合が多いとか、大型機械を使うとか、いろいろな現場の施工条件も含めたさまざまな要因が関係していると考えられますが、これだから公共工事の方が多いのだという明快な理由は、私どもはまだ判明といいますか認知いたしておりません。 今後、建設工事の事故発生の背景にある誘因、いろいろな背景も含めまして、私どもは安全対策に取り組んでまいりたいと思っております。 具体的に申し上げますと、人々の幸せを実現するための公共事業の実施の過程におきまして、貴重な人命が失われているというふうな事態が発生していることには非常につらい思いをしておりまして、また、甚だ遺憾な状況だと思っております。かかる事故の再発防止のためには、事故の背景にある施工環境の変化を的確に把握した安全対策が必要であるという認識から、省内に建設事務次官を長といたします建設工事安全対策委員会を設置いたしまして、全省挙げて建設工事の安全対策に取り組んでいるところでございます。 具体的には、発注者、設計者、施工業者、作業員がおのおのの立場で自律的に安全を目指した対策をとることを基本方針といたしまして、総合的な安全対策を推進していきたいと思っておりまして、このような基本方針によりまして、公共工事の発注に際しましては発注の平準化、これは工事国債等の活用によるものが多いと思いますが、発注の平準化、適切な設計及び積算の実施、施工条件の明示による設計変更及び弾力的な工期の設定など、工事の安全対策に真剣に取り組んでいくことにいたしております。
○岩田委員 今お答えをいただきましたけれども、一生懸命やっていただきたいと思います。 ただ、先ほどこの分類の問題で指摘をしたところでも申し上げましたが、いわゆる事故を未然に防止するためにどうするか、人命を尊重するために安全装置、安全確保をどうするかということで、我々はあの分類を見たときに異様な感じがするのですよ。 今お答えになりましたけれども、例えば建設省の工事安全対策、一月二十九日に出されているものを見ますと、「今後は規制強化の発想ではなく、発注者・設計者・施工業者・作業員等、関係者が各々の立場で自律的に」こうなっていますけれども、これはそうでしょう。しかし、現実には企業種の四〇%を超えている現場なんですよ、建設業というのは。さらに公共工事も極めて高い比率を持っているわけです。そこで、こういういわゆるきれいなことでは私は済まされないのではないかというふうに思うのです。ですから、分類のところでもここでもそうですけれども、きっちり安全確保をするための、人命を守るための責任はどうあって、だれが有するべきかということは明確にしておかなければ、撲滅なんということは、これは非常に難しい問題ですが、大幅な減少ということは望めないというふうに思っているからお尋ねをしてきたのです。そういう立場でひとつよろしくお願いしたいと思います。 次に、大臣にお伺いします。 発注条件の問題や何かるるお聞きをしてまいりましたけれども、労働行政と建設行政が一体となって取り組むということを冒頭申し上げましたが、極めて重要だろうというふうに思われてなりません。したがって、ここで大臣としてはそのためにどう最大限の努力をしていただけるのか、御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
○近藤国務大臣 いろいろ御指摘がございましたが、建設工事では工期、設計条件等の発注条件が施工方法等に大きな影響を及ぼしまして、発注条件が不適切であると施工時の安全確保が困難となると考えております。 このため、労働安全衛生法においても「建設工事の発注者等は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」とされているところでございまして、今後ともこの趣旨の徹底を図るとともに、発注官庁である建設省等とも十分連絡を図ってまいりたいと考えております。
○岩田委員 次の質問に移ります。 建設業の抱えている特徴的な問題というのは、先ほど佐藤局長の方からもるる述べられましたが、まさにそのとおりでありまして、その中で最たるものは、下請、重層下請の構造ではないかというふうに思います。しかも、建設業の災害というのはすべからく下請に多いことはもう私が指摘をするまでもないのですが、一体下請の被災状況というのはどうなっているか、お知らせをいただきたいと思います。
○北山政府委員 平成二年における建設業の死亡災害が千七十五人ということでございますけれども、そのうち、下請の労働者が被災した例が全体の六七%を占めているわけでございます。特にビル建築であるとかあるいはトンネル工事、橋梁工事といった工事では死亡者の八割以上が下請の労働者になっているということでございます。
○岩田委員 大変問題な数字だと思います。 建設省にお聞きをいたしますけれども、今言われたように死亡者では八〇%が下請である、こういうふうに災害の構造がなっているということは、下請の事業者は安全確保措置を講ずるための資金だとか技術面で一体どうなっているのか、気迫というのかそれがないために起こっているのではないかというふうに思うわけであります。建設工事における労働災害をなくすためには、それらの構造そのものを変えていく必要があるが、建設省としてはどのように認識をされておるのか、また、どのように改善をされていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
○風岡説明員 お答えをいたします。 御指摘のように、建設業はいわゆる元請と下請、こういう両者の関係でお互いに適切な役割分担を持ちながら仕事を進めていくということでありますので、その間の適切な役割を明確にするということが非常に重要なことであるというふうに私ども考えております。このような考え方に基づきまして、従来からいわゆる元請、下請関係をできるだけ適正化を図っていきたいということでいろいろ指導しております。 具体的には「建設産業における生産システム合理化指針」というのを昨年定めまして、これに基づきまして、例えば下請契約における工期とか請負価格、そういった問題につきましては、当事者で十分話し合って適切な工期とかあるいは工程を設定させるように指導をする。さらにまた、それぞれ分担をするわけでございますけれども、いろいろ責任施工の範囲とか工事の難易度とかそういったものを考慮して、請負価格の面でも適切な契約となるような指導もしております。 安全の面につきましては、元請、下請それぞれの責任があるわけでございますけれども、各事業者に対しましては、労働安全衛生法の遵守だとか、あるいは新たに雇用した建設労働者等に対する安全教育というものをお願いをしておりますし、また、元請に対しましては、そういったことがうまく進むような指導助言あるいは援助というものを行うように努めてきているところでございます。 また一方、そういう元請、下請関係の合理化ということともに、建設省としましては、事故の防止を図っていくためには、より基本的なこととして、建設業自体の構造改善というものを進めていくことが必要であると思っておりまして、先ほどもちょっとお答えをさせていただきましたけれども、本年度から三カ年にわたりまして第二次の建設産業の構造改善推進プログラムというものをスタートしております。これでより一般的に、建設業の雇用、労働条件の改善とか生産性の向上とかいうことのほかに、安全というものを一つの大きな柱として取り上げております。そういった面でも最大限の努力をしているところでございます。
○岩田委員 いろいろ御説明をいただきましたが、私が心配をしているというか要請をしたい問題は、教育や何かが最もそうなのですよ。そのとおりなのですね。しかも、今お話にありました生産システム合理化指針ですか、これも読ませていただきましたけれども、これからは元請、下請が対等な経済主体としてのパートナーでなければならないとか、元請とか下請というような上下関係を想起させるのはやめようとかいろいろ言われていますけれども、それをどういうふうにするのかというのは、やはり当面は下請を保護するという政策でなければならないし、具体的な施策が必要であろうというふうに思います。 新たな展開をされておりますけれども、この労働安全の面ではずっと言われたことがいろいろな形で再度言われていることを覚えていますよ。私は、パートナーシップだと言われても、早晩そうなるはずはないし、そういう実態じゃないことははっきりしていますが、下請保護をどうするか、これは大変な、しかも相変わらず重大な問題だろうというふうに思いますが、再度お答えいただきたいと思います。
○風岡説明員 御指摘のように、建設業における下請の役割というのは非常に重要なものがあります。そこで、適切な施工、安全な施工が確保できませんと、建設生産物としては良質なものができません。私どもとしましては、ただいま申し上げましたような契約関係とか、あるいは現実にそこに配置する技術者の問題とか労働者の安全の教育とか、そういったものにつきましても、建設省としても十分な指導をしていきたいというふうに思っております。
○岩田委員 そういうことでもっと具体的に幾つかお聞きをしたいと思います。 例えば、下請業者において十分な安全確保措置がとれない、これは安全経費が下にどうなっているのか、渡っているのかどうなのか。これは元請が重大な責任を負うわけでありますが、意外にこの辺が希薄になっていて事故が起こったという例は少なくはないのですね。この点についてどう措置をするのか。 さらに、いわゆる重層下請構造の改善が、言われておりますように進められるわけでありますが、これは下請事業者だけで安全確保措置をとるというのは到底できることではないわけですね。これについても元請事業者が一定の役割を果たしていく、これが大切だと思います。この点については今回の法律改正ではどういうふうに触れられておるのか、これらについて労働省の方からお答えいただきましょう。
○佐藤(勝)政府委員 労働者の安全を確保する責務は、原則として、その労働者を雇用する事業者にあるわけでございます。ただ、建設現場のように、重層の請負関係のもとで複数の事業者の労働者が一つの場所で混在して作業を行うというような場合には、それぞれの事業者だけでは安全を確保することが難しい場合がございます。こういうことに由来する災害を防止するためには、現場全体を管理する元方事業者あるいは一定の作業を統括しております上位の請負事業者において安全確保措置を講ずることが必要でございます。 こうした観点から今回の改正におきましては、元方事業者に対しまして、一つは、土砂崩壊のおそれがある場所等におきます労働災害を防止するために、作業場所の安全を確保するための措置が適正に講ぜられるよう指導等を行うこと、二番目に、建設機械等を使用する作業に関しまして関係請負人が作成する作業計画等についての指導を行うこと、これを元方事業者に対して義務づけたわけでございます。それから、一定の作業を統括しております上位の請負人、つまり注文者に対しましては、まず、二以上の事業者の労働者が同一の場所において建設機械等に係る作業に従事する場合に、労働災害を防止するため必要な措置を講ずること、二番目に、その請負人に対し労働安全衛生法令に違反することとなる指示をしないこと、これを義務づけることといたしたわけでございます。 これらの規定に基づきまして、元方事業者等が一定の安全確保のための措置を講ずることによりまして、関係請負人の労働者の労働災害の防止に大きな効果があるものというふうに考えておるところでございます。
○岩田委員 ところで、今回の法改正によって新たに店社安全衛生管理体制を設けるということになっていますが、これの制度の内容について簡略に御説明をいただきたい。
○佐藤(勝)政府委員 中小規模の現場におきます統括安全衛生管理を充実させるために、当該中小規模現場を管理しております元方事業者の支店、営業所等に、一定の資格を持つ店社安全衛生管理者の選任を義務づけるというのが内容でございます。 その制度の具体的な中身は、店社安全衛生管理者は、一月ごとに一回以上当該現場を巡視をして、当該現場におきまして統括安全衛生管理が確実に行われるように指導するというものでございます。
○岩田委員 その対象となる現場の規模についてはいかがでしょう。
○北山政府委員 店社安全衛生管理者制度の対象となります現場の規模につきましては、労働者の数が二十人以上で一定の災害発生の可能性の高い工事に係る現場、そういった現場を指定するというふうに予定をしているところでございます。
○岩田委員 新たに店社安全衛生管理者を置くということになる、それは二十人から四十大規模で災害発生の危険度の高い現場への統括安全衛生管理者についての指導を行う、こういうふうになるのですね。 ところが、これ自体は評価をいたしますけれども、中基審の中では十人というふうに指摘がございます。なぜ二十人というふうになったのか。それから、これらの店社安全衛生管理者が選任されることによってどの程度の労働災害が防止できるか、これをあわせてお答えいただきたい。
○佐藤(勝)政府委員 まず、店社安全衛生管理者の対象となります現場は、中基審の建議では規模十人以上ということでございますけれども、この店社安全衛生管理者制度は、中小規模の建設現場におきまして統括安全衛生管理が適切に行われるようにするために新たに設けるものでございまして、私どもとしては、この新しい制度を実効あるものとして定着させていくことがまずもって重要であるというふうに考えております。 その場合、規模十人以上の現場を対象とするということになりますと、主として規模十人未満の現場を施工していて規模十人以上の現場は一つ二つしかないというような場合、そういった小さな建設会社についてまで店社安全衛生管理者の選任を要するということになるわけで、そういたしますと、新しい制度が円滑に実施をされるという観点から見ますとちょっと困難ではないかというふうに考えました。 それから、店社安全衛生管理者制度の対象は、今回の法案では規模二十人以上で災害発生の危険性の高い現場とすることといたしておるわけでございますので、そういった現場が店社で一つでもあればその店社には店社安全衛生管理者が置かれることになるわけですが、その店社安全衛生管理者は、法令上は、規模二十人以上の現場を指導するということではありますけれども、同時に、その店社の持ちますそれ未満の規模の現場の安全管理を担当するということが期待をできますので、私どもとしまして、そういった効果も期待をしながら実際の運用をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、この制度で店社安全衛生管理者が選任されるということによりまして、どのくらい労働災害防止の効果が期待できるのかということでございますけれども、中小規模の現場におきましては、実態を見ますと、元請の作業間の連絡調整が不足をしておる、あるいは現場の巡視が不十分であるということ等、安全衛生法の第三十条「項に基づきます統括管理が十分に行われていないことによる災害が発生しておるわけでございます。そういうことからしますと、店社安全衛生管理者の指導のもとに十分な統括管理が行われるようになれば、このような災害の防止に大変有効であると考えております。 労働省が昨年実施した調査におきましても、支店、営業所等におきまして統括安全衛生管理に関する指導援助を行っているところと行っていないところの災害発生率を比べてみますと、指導援助を行っているところの発生率は、そうでないところの発生率の三分の二程度ということになっております。 そういうことからも、今回この新しい制度が設置をされますと大変な効果があるものというふうに私どもは考えておるところでございます。
○岩田委員 今の局長の御答弁は、一応前進面であろうというふうには思いますけれども、しかし、この建議の中身を見ますと、やはり十大規模できっちりやっていく方が小まめにやっていけることは確かなんですね。局長は細かくはおっしゃいませんでしたけれども、新しい制度を円滑にやっていくために、当面あれでやるというふうに言われたやに私は聞くわけであります。 これを置いているところと置いていないところの効果ははっきりしているということをおっしゃいましたけれども、しかし、るる申し上げておりますように、事故発生率がやはり依然として中小に多いことは歴然としているわけであります。したがって、今すぐ二十人未満についても店社安全衛生管理者を必置義務ということはしないまでも、一定の猶予期間を設けた上で選任をさせるとか、あるいは、少なくとも選任を努力義務として強力に指導を行うような積極的な指導というのはなさるべきではないかと思いますよ。建議が出されたあの精神というか思想というものに照らして考えれば、私は、これぐらいは努力すべきじゃないかと思いますが、一体いかがでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 先ほど申し上げましたように、新たに設けられますこの店社安全衛生管理者制度の対象を規模十人以上の現場とするということにつきましては困難があるということでございますが、ただ、御指摘のように、中央労働基準審議会の建議におきましても、規模十人以上の現場においては、元方事業者による統括安全衛生管理が適正に行われるようにするための体制づくりが重要であるというふうな指摘がされているところでございます。 そういうことでございますので、私どもといたしましては、店社安全衛生管理者が置かれる店社においては、その店社安全衛生管理者が規模二十人未満の現場も含めまして統括安全衛生管理について指導することとなるような必要な指導をしたいと思っております。また、店社安全衛生管理者を法律上置くことが義務づけられていない店社につきましても、現場における統括安全衛生管理が適切に行われるようにするための体制がつくられるよう、啓発指導に努めてまいりたいと考えております。 それから、この法案が成立をいたしますと、この十月から店社安全衛生管理者に対しますレベルアップ研修を実施する予定にしておりますけれども、その場合には、規模二十人未満の現場しかない店社において選任されました安全衛生の担当者につきましてもその対象にするというようなことなどを含めまして、規模二十人未満の現場も含めて統括安全衛生管理が適切に行われるよういろいろな努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○岩田委員 先ほどの答弁よりもやや積極的な答弁であろうと思いますけれども、私の規模はもっと先にあったのです。 大臣、この辺についてぜひ積極的に進めていただきたい、こう思いますが、御確認の意味で大臣の所見を賜りたいと思います。
○近藤国務大臣 私どもといたしましては、中小規模の建設現場における労働災害の防止のためには、規模二十人未満の現場を含めて、元方事業者が統括安全衛生管理を適切に実施することが重要であると考えており、労働基準局長が答弁をいたしましたように、そのための体制づくりについて積極的に指導してまいりたいと思います。
○岩田委員 中央労働基準審議会、中基審の建議では、今大臣からも御答弁いただきました店社安全衛生管理体制の導入とあわせて、現在の統括安全衛生責任者の選任を要する現場の規模を「規模三十人以上の現場」というふうにされておりますが、これはそのとおりに行われるわけですね。
○佐藤(勝)政府委員 今御指摘のように、この審議会の建議では、統括安全衛生責任者の選任基準につきましては、工事の種類にかかわらず三十人以上とされているわけでございますけれども、現実の問題としましては、工事の種類によりまして災害の発生状況等に相当の違いがあるということで、必ずしも一律に三十人規模まで引き下げることは適当でないということで、今回、労働災害防止のため必要な範囲で規模の引き下げを行うこととしたいと考えておるところでございます。 具体的には、隧道工事、圧気工事につきましては従来から三十人以上のところについて選任が必要とされているわけでございますが、これに加えまして、一定の災害発生の危険性の高い工事に係る現場につきましては新たに三十人以上とするということを予定しておるわけでございます。
○岩田委員 先ほどの店社安全衛生管理体制の問題と同様に、これも建議よりも一歩後退をしているということを指摘せざるを得ないと思いますが、一体どういうわけでこういうふうになるのか、私は非常に問題を持つわけであります。 現行よりも前進していることは当然でありますけれども、仮に今回の場合には答弁のように実施をされるにしても、今後の発生状況等々を見ながらなお一層これは検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○佐藤(勝)政府委員 今回の改正では、現在の労働災害の発生状況等を踏まえまして、労働災害の防止を図るために、必要な範囲で統括安全衛生責任者の選任基準を規模五十人以上から規模三十人以上に引き上げることとするものでございます。それは先ほど御答弁申し上げたとおりです。 しかしながら、先生の御指摘もございますので、その御指摘を踏まえまして、この問題につきましては、今後とも労働災害の発生状況等を見ながら引き続き検討させていただきたいと思います。
○岩田委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。 大臣にお伺いをいたします。 今お聞きをしてきましたように、中小の建設会社においては必ずしも十分な安全確保の体制が設けられていない、これが現状だろうと思います。しかも、それが災害発生を予防できない要因となっている、このこともまた言えるのではないかと思います。安全確保体制の確立については、今回の対応を含め法令の周知徹底確認を図ることはもちろんでありますけれども、それに加えて格段の指導が必要と考えるわけでありますが、この点今後どのように対応されるか、お伺いをしたいと思います。
○近藤国務大臣 労働省といたしましては、従来から建設業における労働災害の防止を図るために、建設業に対しまして重点的に指導監督を実施するとともに、事業者の自主的労働災害防止活動の活性化を図るための指導援助に努めてまいったところでございます。 今回、中小規模の建設現場における労働災害の発生率が高いことから、その安全衛生管理のための体制を確立するため、店社安全衛生管理者制度を設けることとしたところでございまして、今後、この制度を含めた関係法令の周知徹底、監督指導の実施、自主的労働災害防止活動の一層の推進などにより、中小規模の建設現場の安全衛生管理体制の充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○岩田委員 時間がなくなりましたので、途中はしょって幾つかお伺いをしたいと思います。 八十九条の二のただし書きで、一部の工事計画について都道府県基準局長の審査の対象としないという除外されている部分が設けてございますけれども、これについては、具体的にはどのようなものがこれに該当するのか、そして除外する理由は一体なぜか、お伺いしたいと思います。 〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
○北山政府委員 審査対象から外すものといたしましては公共工事、これは国であるとかあるいは地方公共団体等が発注する建設工事、これを考えているところでございます。 こういった公共工事を審査の対象から外すことといたしましたのは、審査の対象となるような比較的大規模な公共工事につきましては、発注者において施工時の安全も含めて技術的検討を十分に行っているというふうに考えられるわけでございまして、今後とも、発注者において施工時の安全を含めまして技術的検討を十分行っていただくということが期待をできるのではないかということから、こういうことにしたいというふうに考えているところでございます。
○岩田委員 建設省にお伺いをいたしますけれども、公共工事については都道府県の労働基準局長は審査をしない、大臣もしない、局長もしない、こうなっておりますね。これらの工事については、発注者が責任を持って対応するということが必要になってきますね。建設省では、この施工時の安全についても責任を当然持たれるということになると思いますが、先ほども指摘をいたしてきましたように、建設業の労災の中で公共工事の占める比率も高いわけです。そういうことを考えますと、今後公共工事での事故発生にはやはり建設省としては、何度もお聞きをしてきましたけれども、一層責任というか重大な指導義務も発生するであろうと思いますが、一体どのように責任をとられるのか、お伺いをしたいと思います。
○青山説明員 公共工事、特に建設省所管の公共工事につきましては、大規模なものにつきましては、従来より、計画段階から専門技術者及び学識経験者を含め委員会等で長期間にわたって検討を経た後、工事の実施に移行するというふうな体制をとっております。 また、今年度よりさらにきめ細かくダム工事、トンネル工事、橋梁架設工事などの工事のうち大規模なもの、トンネルはすべてのトンネル工事でございますが、設計段階におきまして適正な設計、積算に資するための設計審査会というものを設けまして、ここで十分設計審査をするというふうな制度を創設いたしました。 また、設計段階から今度は設計変更という、現場条件の変化によって設計変更を求められる場合があるわけでございますが、その場合には施工検討会というものを設けまして、そこで設計変更をより円滑にしていくというふうな体制を整えた次第でございます。 また、事故調査委員会というものを常設いたしまして、公共工事には非常に経験的な要素が多いわけでございますが、事故があった場合にはその原因を真摯に究明いたしまして、それを教訓として設計、積算に生かし、また施工管理に生かすというふうな体制で事故の減少、安全確保の充実に精いっぱいの努力をしていくという体制でございます。
○岩田委員 ぜひお答えのような決意でお取り組みをお願いを申し上げておきたいと思います。 次に、今回新たに、労働災害が起こった事業場については安全担当者に対する講習制度を設けるということになっておりますが、これはどのような講習を考えておられるかというのが一つです。 また、こういう制度のもとできちんとした講習を行うことは当然重要でありますが、一方、事前における講習体制こそ重要ではないかとも思うのです。この点について義務として制度化することは、これは法的になじむかなじまないか、困難であろうという気もいたしますけれども、極めて重要だろうというふうに思います。この点について努力をいただきたいと思いますが、労働省として御答弁をいただきたいと思います。
○北山政府委員 今回、安全担当者等に対する講習制度につきましては、建設業を中心に死亡災害や重大災害の発生した事業場、それから災害が多発している事業場に対して受講を指示できるようにするというふうに考えているところでございます。 また、講習の内容といたしましては、安全衛生管理上の問題点とその対策であるとか、あるいは安全衛生管理の手法に関する知識の問題、労働安全衛生関係の法令であるとか、それから労働災害に関する事例研究、そういったことを考えてございまして、二日間くらいの講習を考えているところでございます。 それから、労働者あるいは管理者等に対する安全衛生教育につきましては、先生御指摘のとおり非常に重要な問題でございまして、事前にいろいろ教育をすべきではないかということでございました。現行の労働安全衛生法におきましても、雇い入れ時の教育であるとか、あるいは作業指示者あるいは職長に対する教育だとかそういう制度が設けられているわけでございまして、私どもの安全行政の中でも安全衛生教育の充実ということを非常に重点にしてございますので、今後ともそういった形で安全衛生教育の充実強化に努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○岩田委員 前後しますけれども、大臣の審査制度というのが設けられておりますけれども、これについて、どういう状況になっているかということをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○北山政府委員 現行の労働安全衛生法におきまして、労働大臣は、例えば本四架橋の明石海峡大橋であるとかあるいは来島大橋、こういった特に大規模な工事につきましては、その計画を労働大臣の方に直接届け出をしてもらいまして、これについて安全性の面で労働大臣が直接、高度の技術的な検討を実施をしているところでございまして、こういった件数は年間でおおむね二十件ほど審査をしているところでございます。
○岩田委員 年間二十件ですね。 そうしますと、先ほども若干御説明があったかと思いますが、都道府県の労働基準局長の審査する範囲がございまして、建設省は、前後しましたけれども、公共工事は別だということになっていくわけでありますが、この点も、どういう審査を局長段階ではするのか、それから、新たにそのために体制の整備がとられるのかどうか。
○北山政府委員 都道府県労働基準局長の審査につきましては、労働大臣の審査を要するほど大きな対象ではないものを予定をしておりますが、ただ、やはり比較的大規模な工事であって、労働大臣の審査対象となるものに準じた技術的検討が必要なものについて行いたいというふうにしているところでございます。 具体的には、高さが百メーター以上の建築物の建設の仕事であって、他の地下埋設物がふくそうしたところに接近をしておる、そういったもの、あるいは埋設物の破壊によるガス噴出の危険のあるもの、あるいは円筒形のビル等で非常に複雑な足場が要求されるというようなそういう建築工事、あるいは倒壊、墜落等の危険の非常に大きいもの、そういった工事について大臣に準じた高度な技術的な検討を行いたいというふうに考えているところでございます。 審査につきましては、各都道府県の労働基準局に配置をされております地方産業安全専門官が担当をすることにしておりまして、さらに、安全または衛生について高度の専門的な知識を有する学識経験者にもいろいろ意見を伺いながら審査を進めていくというふうなことで考えているところでございます。
○岩田委員 ありがとうございました。 次に、建設業の労働安全衛生関係のILO条約ですが、これは一九八一年の百五十五号条約、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約というのがありますね。それから、一九八八年の百六十七号条約、建設業における安全及び健康に関する条約、この二つの条約がありますけれども、政府としてはこの条約には賛成をされているというふうに聞いておるわけであります。 今回の法改正と非常に密接な関連のある条約だというふうに判断をいたしますけれども、この辺はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたい。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま先生お挙げになりましたILO条約の内容につきましては、我が国の労働安全衛生法等でその内容はおおむね担保されているというふうに考えておるわけでございますが、ただ、詳しく内容を検討いたしますと、例えばILOの百六十七号条約におきましては、あるいは御承知かと思いますけれども、労働者を使用しない自営業者も含めて義務主体とするというような規定もございますので、そういった点につきましては、なお国内の法律制度との整合性の観点から十分に検討を加えなければいけない問題が残っているというふうに見ております。
○岩田委員 ILO百六十七号条約の十二条一項には、「国内法令は、労働者が、自らの安全及び健康に対する急迫した重大な危険があると信ずるに足りる十分な理由がある場合には、危険から退避する権利を有すること及び直ちに監督者にその旨を報告する義務を有することを定める。」こういう条文があるわけであります。佐藤局長は、国内法はこれを担保しているということをおっしゃいましたけれども、しかし、私は、今、日本の労働情勢、労働事情が単に日本の国内だけの問題だけではなくて、国際的、対外的な問題になっているということ等も考え合わせれば、このILOの二つの条約というのは真剣にやはり検討していくべき問題ではないかというふうに思いますね。 蒸し返しはいたしませんけれども、厚木の事故についても、それから、建設省にお伺いをいたしました建災防協会の、私はたった十三の事例をお伺いをしたのですけれども、その中に四つですか、本人の不注意という御返答をいただきましたが、労働省からもこの内容、主な原因をもらっておりますけれども、到底私どもとは一致しないです。建設省との見解は一致しない、こういうことも申し上げてまいりました。 今のILO条約の問題でいきますと、日本人の慣習というか労働慣習もありましょうけれども、危険だと思っても、上からの命令がきちんとなければ、指示がなければ危険場所からなかなか避難をしない、こういう体質というか状況、しかも慣行になっているのですよ。しかも、下請が元請に、これをお願いします、あれを改正してくれということを言うだけでも大変です。次は来てくれるな、外すというふうに言われるのが実態じゃないですか。そういう状況のときに、百六十七号条約の十二条一項を今申し上げましたが、労働者が危険だと思ったときにはその現場から避難をする、就労を拒否する権利というのは、当面これからは大問題になってくる問題ではないかというふうに思いますよ。そういう意味で御検討をお願いしたい。真剣というか、前向きにひとつ研究、検討をされたいというふうに要望をしておきたいと思います。 最後になりますけれども、今回の改正は建設業における死亡災害の大幅な減少を目指そうということでありますけれども、その内容は何回も申し上げましたように一歩前進だというように評価はいたします。しかし、るる述べてきましたようにこの改正だけでは到底十分とは言えないことだろうというふうに思います。これは午前中の五島議員の議論でもありましたけれども、到底十分ではなかろうというふうに思うわけであります。 建設業における労働災害防止のためには、労働者の安全衛生の確保に一番責任を有している労働省の役割は大きいですね。これは言うまでもないと思います。また、何度も申し上げてまいりましたけれども、公共工事については建設省初め発注官庁——お聞きをいたしますと公共工事は建設省の担当になるというか各施設庁の関係になっていくと思いますが、各施設庁と建設省との協議や協力というのがもっと綿密にやっていかれなければならぬというふうに思っています。いずれにしても、労働省を先頭に建設省の御努力をいただいて、一千名を超えるというような死亡災害が近々のうちに半減をする、撲滅とは言わぬけれども半減をする、こういう目標をきちっと立てていくべき努力をお願いしたいというふうに思いますけれども、最後に大臣の御決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○近藤国務大臣 労働省といたしましては、従来から、建設業における労働災害を防止するには元請事業者、関係請負人、関係業界団体、発注機関が相互に連携しつつ、それぞれの立場で労働災害の防止のための活動を行うことが必要であると考えております。 このため、今回の労働安全衛生法の改正施行を機に、的確な監督指導の実施、事業者及び関係団体の自主的労働災害防止活動の促進、事業者等に対する支援措置の充実、関係行政機関との連携を通じ総合的な労働災害防止対策を一層強力に推進してまいりたいと考えております。 言うまでもないことでございますけれども、建設業は生活大国を目指す我が国の基幹産業でございますが、その基幹産業を支えている労働者の方々が災害に遣われる場合が多いということは大変残念なことでございまして、労働者の安全確保に関し責任を有する労働省の大臣といたしましては、労働災害の絶滅に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
○岩田委員 終わります。
○永井委員長代理 河上覃雄君。
○河上委員 早速質問に移ります。 勤労者一人の年間総実働時間は平成二年で二千四十四時間でございます。そうしますと、勤労者が職場で生活する時間は、一年間の生活時間のうち約四分の一を占める。大変長い時間就労をしている。豊かな生活、実りある職場生活を実現するためには職場の安全性というものは極めて重要である、こう考えております。 近年労働災害による死傷者数は、昭和三十六年から全体的には減少の傾向にありますけれども、しかしながら、残念なことにここ数年は死亡災害が多発しておりました。労働災害による死亡者数は、平成元年より増加している傾向にございます。また、もう一つの点として、発生する災害も大型化している、これが特徴的ではないかと思われますが、このような最近の労働災害の状況に対しまして大臣はどのようにお考えか、まず、この点からお尋ねしたいと思います。
○近藤国務大臣 労働災害は本来あってはならないものでございまして、私は、大臣就任以来、労働災害防止を労働行政の最も重要な課題の一つとして、機会あるごとに災害防止の重要性を訴えてまいったところでございますが、建設業において災害が多発し、最近、多くの死傷者を伴う重大な災害が発生しておりますことは、まことに残念なことであると考えております。 とりわけ建設業においてこのような労働災害が数多く発生をしておりますことから、昨年度、専門家の方々に建設業における総合的な労働災害防止対策の検討をお願いいたしまして、この検討結果を踏まえまして、現在御審議いただいております労働安全衛生法の改正法案を策定したところでございます。この法律改正を含めて、建設業について総合的な労働災害防止を推進する必要があると考えております。
○河上委員 建設業に従事する労働者は、全産業の一割にすぎないわけであります。しかし、建設業の重大災害は四割を超えている。死亡災害も四割水準がここ二十年来続いているわけでございまして、他産業と比較してなぜ建設業に集中しているのか。現在に至るまで労働省もあるいは建設省も、両省とも改善に向けての努力はなされてきたと思いますけれども、従来の手法ではこうした死亡災害は減少しない、減少できないのだ、こう考えられるのではないか、私はこのように思っています。 そこで、これまで改善のためにどんな施策、どんな努力を講じられてきたのか、この点につきまして、労働省そして建設省、両省にお伺いをしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 労働省といたしましては、従来から建設業を労働災害防止対策の最重点業種として、関係法令、労働安全衛生法等の整備充実に努めるとともに、特に、自主的労働災害防止活動の活性化を図るための監督指導の実施、それから関係業界団体・発注機関との連携の強化を基本といたしまして、「建設業における総合的労働災害防止対策」、現在のものは昭和五十九年策定のものでございますが、この計画に基づきまして推進を図ってきたところでございます。 ただ、現状を見ますとこれまでの対策ではなおかつ不十分な部分がございますので、現在この法改正をお願いしているわけでございますが、この法改正を契機としまして、さらに建設業におきます労働災害防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○青山説明員 建設省におきましても、建設工事におきます労働災害は非常に多いというのは御指摘のとおりでございまして、従来から、工事の安全性を確保するために、安全施工技術指針等技術的な基準の作成とか安全に関する技術開発、さらに、技術者の技術力の確保を目的とします施工管理技術者の技術検定制度の創設、それから、適正な施工条件の明示とそれの積算への反映、建設生産システムの合理化指針の策定、さらに、各事務所レベルでも安全協議会等を設置しまして、種々の方策をとりながら安全衛生を確保するための努力を続けてきている次第でございます。 また、このような状況のもとでも建設災害が依然として減少しないという状況にかんがみまして、また最近では重大な事故も発生しているということから、平成三年十二月に建設工事安全対策委員会という、これは事務次官を委員長といたします省を挙げての委員会を設置いたしまして、安全対策に省を挙げて取り組むことにいたしておるわけでございます。 建設省としましては、建設工事の安全につきまして、工事関係者がおのおのの立場で自律的に安全を目指した対策をとることを基本方針としました総合的な安全対策を取りまとめまして、これに基づきまして具体的施策を講じることといたしております。
○河上委員 そこで、最近多発しております重大災害の中で特に顕著な事例に基づいて何点かお伺いしたいと思います。 まず、労働省であります。 平成三年三月十四日に発生しました広島の橋げた落下事故、作業員五名と道路上の車に乗車していた十名が死亡、さらに作業員三名と道路上の車に乗車していました五名が負傷するという極めて重大な災害となったわけでありますが、水災害の調査結果が発表されまして、主に六つの原因が報告されております。 この原因を見てみますと、橋げたの架設作業について経験のなかった三次下請が、元請からも一次下請からも二次下請からも具体的な指揮がないままに作業をしていたために発生した、総括的に申し上げますとそういうことが指摘されているわけであります。また、直接的には作業方法について不適切な点があったことなど六つの原因を指摘しているわけでありますけれども、私は、このような重層的下請構造のもとで工事が進められること自体が、安全対策を複雑にして事故を多発させている要因になっているのではないか、こうした背景が諸問題のもとにあるのではないかと考えるわけですが、労働省の見解をお伺いしたい。
○北山政府委員 建設業におきましては、先生御指摘のように、重層下請構造のもとで作業が行われることが非常に多いわけでございますが、この場合に、複数の事業者の労働者が混在して作業を行うために、現場全体を統括した安全管理が非常に困難になる場合が多いというようなこともございますし、また、元請事業者と関係請負人間、それから関係請負人相互間における安全についての責任関係が不明確になりやすいというようなこと、あるいは、請負関係が末端に行くほど十分な安全確保措置を講ずるための費用が確保されないこと等、安全管理上非常に困難な問題が多いのではないかなというふうに思います。そういったことが災害が多発する要因の一つになっているのではないかというふうに考えているところでございます。
○河上委員 それでは、建設省にお伺いします。 広島の橋げた落下事故に関して労働省が重層的下請構造のもとでの指導のあり方を今要因の一つとして挙げられております。 そこで、平成四年一月二十九日付で建設工事における安全対策を建設省が発表しておりますが、今申し上げましたこういう内容、重層的下請構造等の側面にこの安全対策が反映されているのですか。
○青山説明員 今お尋ねのございました安全対策におきまして、役割と責任に応じた施工管理体制の充実という観点からもう少し詳しく申し上げますと、総合工事業者と専門工事業者の役割と責任に応じた施工管理体制の充実を図るために、施工体制台帳の整備などによりまして、主任技術者等の配置の徹底を図るとともに、総合工事業者と専門工事業者の業務区分を明確にし、適切な施工管理体制に資するためのマニュアルの作成及び建設業者における社内安全管理体制の強化を指導する、また、分業化、重層構造化が進行する中で、総合工事業者と専門工事業者間における情報の交換を推進するためのミーティングの強化等も指導する、こういうふうに施工管理体制を充実してまいりたいという対策をとっております。
○河上委員 基本的に反映しているというお答えだと思うのです。 元請、一次下請の対策として私はある程度理解はできるのですが、二次、三次の下請、そしてさらに下部の下請、もっと下の下請との関係における安全対策はどうなっていますか。
○風岡説明員 先生御指摘のように、建設業の中で下請の役割は現実に非常に大きな役割を果たしております。特に、最近いろいろ工事の高度化、専門化という過程の中で下請の割合が非常に広がりを持ってきているという傾向があります。私どもといたしましては、いずれにしましても、工事の施工にかんがみますと、下請ということは避けることができない。ただ、いたずらに重層的な下請になることにつきましては、それ自体いろいろな問題がありますので、そういったことにつきましてはできるだけ避けるようにという指導をしております。 現在、私ども元請・下請関係の適正化という観点では「建設産業における生産システム合理化指針」というものを定めておりまして、まず元請・下請関係で、これは重層的な下請のところも含めてでございますけれども、適正な契約が結ばれることが必要であると考えておりまして、それぞれの事業者の責任範囲とか工事の分担に見合って、例えば適正な契約が結ばれる、また適正な工期が設定されることも必要であるということで、そういった指導もしております。また、施工体制の確立ということも重要でありまして、先ほど申し上げましたような不必要な重層下請を排除するとか一括下請をやめるとか、下請業者にも適切な技術者を置くとか下請業者の労働者の教育とか、そういうことにつきましても元請一下請間で適切に行えるような指導に努めているところでございます。
○河上委員 重層的な下請構造のもとで安全確保に必要な経費、施工業者が積算いたしましても、下位の下請になればなるほどいろいろな点で経費的なしわ寄せが来ておりまして、結局、安全性確保のために経費を使うことが困難なようでございます。これがはっきりとした現状ではないか、実情ではないかと思うわけであります。 今御答弁の中にも、下請構造を変えることは極めて難しい、重層的にならないように指導しているという説明がございましたが、その点からすれば、安全性確保に必要な経費は別枠で計上し、最下位の下請まで徹底できる仕組みをつくるべきではないかと私は思うのですが、建設省、この点はいかがでしょうか。
○青山説明員 公共土木工事の発注におきましては、会計法令によりまして、予定価格を定め請負契約を締結することになっております。ここでの予定価格は、工事施工に必要な材料費、労務費、機械経費を初め各種の諸経費を合計しました積算額を定めた総額でございます。また、発注者の方は、総合工事業者といいますか元請を相手方といたしまして、工期内に所要の品質を備えた工事目的物を建設することを内容とした契約を締結するという仕組みになっております。 まず、今先生がおっしゃった趣旨は、下請までにきっちりと安全費が届くべきではないかという御趣旨だろうと思いますが、まずは総額が適切に計上されて元請に渡るという、それが非常に重要だと思っておりまして、施工に必要な額を適正に積算して計上することが重要だという観点から、私ども積算をたゆまなく努力しながら改善してきているところでございます。 平成四年度におきましては、土木工事の積算基準につきまして、約六千件の実態調査に基づきまして大幅な改正を行いました。また、専門業者の積算の位置づけにつきましては、従前はかなり不明確な位置づけだったわけでございますが、今回、専門工事業者による施工の割合が増加しているという状況にかんがみまして、積算基準上、現場管理費の中に外注経費として専門工事業の諸経費を明確に位置づけるというふうな措置をとりました。また、総額としまして必要額を計上するという積算基準の改正を行っております。今後とも、施工の安全を確保するために、施工の実態に即した適正な積算に努めてまいりたいと思っております。
○河上委員 よくわからないんです、私の質問と合っているのか合ってないのか。私は、総額、結構でございます、それが安全確保に反映されればよろしいんですが、そうでない実態がおありなんじゃないですか。したがって、元請から四次の下請までと仮定しましょう、四次まで安全性確保に資するための経費は別枠でずっと適正におりるようなお考えはあるんですかと尋ねたわけでありまして、もう一遍お答えください。
○青山説明員 会計法令では、総額で契約するようにということになっております。
○河上委員 では、別枠ではできないわけですね。 こうした側面の中で、私は、さらに安全教育やらさまざまな諸問題があると思います。機械あるいは設備等、具体的なこうした側面でも、私は安全性確保のために別枠で計上することを強く求めておきたい、このように思っております。 次に、本災害の六つの原因の中で、橋梁架設工事を行う際、作業方法が適切でないために発生したものとして何点か指摘されておりまして、「橋桁を降下させるためのジャッキの位置、ジャッキ受台の形が適切でなかったこと。」二つ目に「橋桁の降下作業について作業方法が定められていなかったこと。」三つ目に「橋桁の降下作業と橋桁に取付ける足場の組立作業が平行して行われていたこと。」さらに「橋桁が落下しないための、控えワイヤロープ等を設置していなかったこと。」とあります。 安全性確保のために当然なされるべきことが行われなかったこと、これは大変大きな問題であると思いますが、こうした点、労働省としてはどういう認識でございますか。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、この広島の橋げたの落下事故は、調査団の報告の要点は先生が今挙げられましたけれども、そういうような点、あるいは作業の指揮が知識経験のある者によって行われていなかったというような点も含めまして、安全を確保する上での基本的な事項が行われていなかったことが災害発生につながったわけでございまして、そういう意味でまことに残念なことだというふうに考えております。 労働省といたしましては、このような災害を防止するために、この特別調査団の調査結果に基づきまして、関係団体に対して、計画段階におきます安全性の検討、橋げた降下作業におきます安全の確保、安全教育の実施等の再発防止対策の徹底を指導したところでございますけれども、今回明らかになりました原因等も十分踏まえながら、今後の安全対策に当たりたいというふうに考えております。
○河上委員 広島の事故の例でも明らかなように、橋梁架設工事は危険性の高い作業でありまして、災害防止のための十分な安全措置を講ずる必要があるものであると考えます。しかし、広島で事故を起こした元請業者は橋梁工事の専門業者でありまして、本来橋梁工事の危険性を十分熟知し、適切に安全確保措置を講ずるべき立場にあったにもかかわらず十分な措置をしていなかった、こう言えると思います。 労働災害を防止するためには、事業者が最低行うべき事項、これについては安全基準を定めて事業者に義務づけることが必要でないかと思うのです。現在、こうした橋梁架設工事に安全衛生基準は定められているのか、ないのであれば早急に策定すべきであると思うのですが、いかがですかの
○北山政府委員 現在、鋼製橋梁の上部構造でその高さが五メーター以上のものの組み立て等の作業につきましては、作業主任者の選任であるとか作業計画の作成、作業区域内に関係労働者以外の者を立入禁止する措置、あるいは悪天候時の作業中止等の規定が設けられているところでございます。 しかしながら、今御指摘の広島の事故のような工事につきましては、安全基準が現在定められていないわけでございますので、今後は、同種の工事について計画の届け出の対象に含めるとともに、橋梁架設作業時に作業の直接指揮を行う作業主任者の選任であるとかあるいは作業計画の作成といったことにつきまして、安全基準を定めるように検討してまいりたいというふうに考えております。
○河上委員 次に、若干確認をしておきたいと思いますが、本年二月十四日に発生いたしました厚木の海上自衛隊体育館建設現場の事故の件でございます。 労働省では災害の原因の調査を進めておりますけれども、どのような点について調査をしているのか、現時点で報告できるものがありましたら、ここで御報告をしていただきたい。
○北山政府委員 今年二月に発生をいたしました海上自衛隊厚木基地内の体育館新築工事における重大災害につきましては、御指摘のとおり、労働省で現在、特別技術調査チームを設けまして鋭意災害原因の究明に当たっているところでございます。 今回の現場ではビルトスラブ工法が採用されていたわけでございますけれども、この工法では大ばりの部分に非常に集中して大きな荷重がかかりました。これを支保工で支えるというものでございまして、型枠あるいは型枠支保工の強度、構造といったものもそういった荷重に応じた安全なものとする必要があるわけでございます。したがいまして、倒壊した箇所の型枠及び型枠支保工がどのような部材によってどのような構造で組まれていたかを確認するということが非常に重要になってくるのではないかというふうに思っているところでございまして、災害現場では、最近ようやく復旧工事が始められたところでございます。今後、崩壊した箇所の支保工がどのような部材によってどのような構造で組まれていたかということを確認するとともに、特別調査チームにおきまして必要があれば実験等を行いまして、原因究明を行ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。 また、現場の管理者あるいは作業員がビルトスラブ工法に非常にふなれであったというような点も指摘をされているところでございまして、この点が災害発生にどういうふうに関連したかどいうような点等につきましても十分調査を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○河上委員 もう一点だけお願いをしたいと思います。 今御説明がありましたビルトスラブ工法、建設大臣の認定を受けているこの工法でございますが、残念ながら、この工法に基づいて事故が発生した。在来の工法と比べて簡便である、こう承知しておりますが、在来の工法に比べどのような点に安全上留意をしていかなければならないとお考えなのか、この点ちょっと聞かしていただけますか。
○梅野説明員 ただいま御指摘のビルトスラブ工法につきましては、建設大臣の認定をとったという工法でございますが、この点につきましては、鉄筋の端部の定着に関する部分でございまして、施工上の合理化その他を図るために鉄筋の端部をなるべく簡易な定着にしたいという点で、あくまで構造安全上の立場から建設大臣の認定をしたものでございます。この工法は五十四年以来三百件ほどの実績があるわけでございますが、その間特段の問題はなかったというふうに聞いておるのですけれども、今回このような重大な事故が発生したということでございます。 本件につきましては、先ほど申し上げました認定に直接係るそのもののやり方ではないわけでございますが、工法全体としては同様のものでございます。何らかの原因が当然考えられるわけでございまして、現在、警察あるいは労働省で事故原因の究明が鋭意行われておりますので、その結果によりましては、私どもとしてもさらに安全対策上の必要な措置を講じたいというふうに考えておるところでございます。
○河上委員 今、広島の事故と厚木の事故と二つ取り上げました。さらに松戸市の隧道建設工事における重大災害等も踏まえまして、すべてこれは公共工事であります。 そこで、建設業における死亡災害の発注者を見ますと、残念ながら公共工事が全体の四〇%から五〇%を占めている。公共工事こそ安全施工に配慮した発注を行って安全衛生面で民間工事をリードしていく役割がある、こう私は思うのですが、建設省どうでしょう。
○青山説明員 公共工事の実施の過程におきまして、貴重な人命が失われる、また重大事故が発生している、さらに人命の失われる割合が非常に高いということは、私ども非常につらいことでございまして、甚だ遺憾だと思っております。 このような事故の再発防止のためには、事故の背景にある施工環境の変化を的確に把握した安全対策が必要であるということから、省を挙げて建設工事安全対策委員会を設置して、安全対策に取り組んでいるところでございますが、具体的には発注者、設計者、施工業者、作業員等がおのおのの立場で安全を目指した対策をとっていく、また、事故が起こった場合にその原因を真摯に究明いたしまして、それを教訓といたしまして、設計、施工、さらには設計変更、また積算といったところに反映させていきたいというふうに考えております。 特に、平成四年度からは、事前に現場施工条件を十分調整するとともに、施工の安全に十分配慮した設計を行うよう、大規模な工事につきましては設計審査会というものを設けまして、適正な設計をやっていくということにいたしておりますし、また、施工条件の変化が生じた場合には設計変更を適切に行うように施工検討委員会をつくっていくというふうな制度を創設したところでございます。 また、事故の教訓を生かすためには、それの原因究明と同時に、データベース化をして、きちっとデータを分析できるシステムが必要だと思っておりまして、これは事故調査委員会というものも常設をいたしまして、事故が起こった場合には、その原因を私どもなりに土木の専門家としましていろいろ見させていただきまして、それをデータベース化し、さらに設計、積算、施工へ反映させていくという体制をとるべく努めているところでございます。
○河上委員 ことしは公共工事の前倒し発注が重点的に行われるわけです。今いろいろと御説明がありましたが、これでこうした労働災害が減少していけばいいわけでありますけれども、基本的にはゼロになることが一番よろしいわけでございまして、死亡災害、事故等を減少させていくためには、やはりかなりきちっと適正な工期の設定、あるいは安全施工を配慮した設計の実施、そして安全に配慮した積算の実施等、これらが基本的に一番重要な要件になるのではないかと思います。 今いろいろ御説明いただきましたが、そのような私の指摘に基づいてもこれがきちっと進んでいくのか、この点もう一遍改めて御確認したいと思います。
○青山説明員 先ほど設計、積算もしくは事故調査、施工問題、設計変更を中心に御説明させていただいたわけでございますが、工期の問題も非常に重要な問題でございます。先生御指摘のとおり、やはり弾力的な工期設定を行っていくということが極めて重要なことと思っております。 工期については、私ども工事の平準化を行って、弾力的な工期設定に国庫債務負担行為の活用等により努めているというところでございますが、また一方では、前倒しもございます。また、週休二日といったような時間短縮の問題もございます。いろいろな問題が工期に絡んでくるわけでございますが、まず、積算面におきましては、建設労働者の休日日数とか降雨日、また出水期などにおける作業不能日数を見込んで工期設定をいたしております。また、建設省直轄工事におきましては、さらにこれに加えまして、日曜日、祝日及び夏季、年末年始の各休暇とともに、平成四年からは、毎週土曜日を四週八休体制で休むということを前提とした工期を見込んでおります。前倒しを進めることによりまして、逆にそういった弾力的な工期設定がまた可能になってくるのではなかろうかというふうに考えております。
○河上委員 具体的な事例を通じてお伺いしてきましたが、次に、本改正案に関する質問でございます。 現在、規模五十人以上の建設現場に統括安全衛生責任者の設置が義務づけられております。今回の改正で、義務づけられる範囲は拡大されるのかどうか、まずこの点について伺います。
○北山政府委員 現在、統括安全衛生責任者につきましては、現場の規模が五十人以上の現場及び隧道工事、圧気工事といった一定の危険性の高い工事を行う現場につきまして、現場規模三十人以上の現場に選任が義務づけられているところでございます。 今回の法改正に引き続きまして、労働安全衛生法施行令を改正いたしまして、隧道、圧気工事以外の災害発生の危険性の高い工事につきましても、三十人ないし四十九大規模の現場に統括安全衛生責任者の選任を義務づけたいというふうに考えているところでございます。
○河上委員 従来、中小規模現場につきましては、安全衛生管理体制は義務づけられていなかったわけでありまして、今回の改正で、店社安全衛生管理者が支店、営業所、ここに設置されることになっていますが、二十人から四十九大規模の現場すべてに置かれるんでしょうか、設置されるんでしょうか、この点から質問します。
○北山政府委員 店社安全衛生管理者の選任の対象となる現場につきましては、規模が二十ないし四十九人で、ビル建築工事など一定の災害発生の可能性の高い現場にかかわるもの、そういったものを予定しているところでございます。
○河上委員 二十人から四十九大規模の現場で、災害発生可能性の高い現場、これはどういう現場になりますか。ちょっとイメージさせてください。
○北山政府委員 現在考えているところは、ビルの建築工事、それから隧道、トンネルの建設工事、それから人口の集積が著しい地域での交通のふくそうしている箇所での橋梁建設工事あるいは圧気工事、そういったものについて予定をしているところでございます。
○河上委員 今回の改正の主たる目的の大きなものとして、中小規模現場の労働災害防止、これがあるのではないか、答申を見ましてもあるいは改正案等の趣旨を見ましてもこれは明確であろう、こう私は思っております。 現行の安全衛生法で、五十大規模以上の各現場に統括安全衛生責任者あるいは元方安全衛生管理者を設置することが義務づけられているわけでありますが、しかし、今回の改正で店社安全衛生管理者、これは設置することは町としても、店社、営業所に置かれて巡回監視、これは適切な言葉であるかどうかわかりませんが、このような形になっておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、法改正の趣旨が中小現場、ここをターゲットにしながら進めていくというのであれば、店社、支店や営業所に置いて巡回するという行き方は不十分であろう。大現場より中小現場の方が多いわけでありまして、統括安全衛生責任者がいるところといないところでは事故発生率も違うという御報告があるようで、中小現場での災害が高いわけでありますから、何ゆえに現場に配置せず店社なのか、理由を御説明願えますか。
○北山政府委員 先生御指摘のように、店社安全衛生管理者につきましては、建設会社の支店であるとか営業所等に設置をしまして、中小規模現場の指導を行わせることにしているわけでございます。 こういった中小規模現場におきましては、大規模現場に比べまして請負関係も単純でありますし、また、混在作業の度合いが少ない、そういった点がございまして、安全確保のために措置すべき内容はそんなに多くないのではないかというふうに思います。現場所長等の現場に常駐するスタッフが店社安全衛生管理者の安全面からの技術的な指導を受けて安全確保のために十分な措置をとることによって、現場単位に管理者を置かせることと同様の効果が期待できる、そういう管理ができるのではないかというふうに考えているところでございます。
○河上委員 じゃ、もう少し具体的に伺いましょう。 店社安全衛生管理者は複数の現場を担当できるのですか。
○北山政府委員 店社安全衛生管理者は複数の現場の指導を行うことを予定しているところでございます。
○河上委員 店社安全衛生管理者の任務は、元方安全衛生管理者等々の資格要件に準拠すると考えられますので、これらは任務が大変多岐にわたっております。一人に対して担当できる現場数、この目安はどの程度とお考えですか。
○北山政府委員 中央労働基準審議会の建議におきまして、「十現場程度ごとに一人選任することが適当である」ということが示されているわけでございますので、この建議も踏まえつつ、職務を確実に行うために必要な数の店社安全衛生管理者を選任するように指導をしてまいりたいというふうに思います。
○河上委員 その目安となる数字は省令で示すのでしょうか。
○大関説明員 実際は、その業務について運用上の通達等で示すことを予定しております。
○河上委員 年間の建設現場数は幾つでしょうか。
○北山政府委員 建築統計年報等から推計をいたしますと、年間の全建設現場数は約二百十万というふうに推計をしているところでございます。このうち、五十大規模以上の現場数は約六千、それから三十人から四十九大規模の現場数は約一万七千、十ないし二十九大規模の現場数は約九万、そういう推計でございます。
○河上委員 内訳も御説明いただきましたが、二十人から二十九大規模の現場は幾つありますか。——まあ、いいでしょう。結構です。 それでは、今回の改正に基づきまして統括安全衛生責任者等の選任が義務づけられる現場数は幾つになりますか。
○大関説明員 今回の改正で店社安全衛生管理者の義務づけの対象となる現場は約一万と推計しております。
○河上委員 店社は後ほど聞こうと思ったのですが、今伺ったのは、統括安全衛生責任者の方です。 じゃ、店社の方はわかりましたので、統括の方は幾つになりますか。今回の改正に基づくと、統括安全衛生責任者が置かれる現場は幾つになりますか。
○北山政府委員 統括安全衛生責任者の選任対象となる工事につきましては、およそ数百件ではないかなというふうに考えてございます。
○河上委員 建議では、統括安全衛生責任者の選任義務は「三十人以上規模の現場」こうなっているわけでありまして、したがって、建議に基づいて試算いたしますと、年間で約二万三千現場程度見ることになる、こう推計されます。そして、店社安全衛生管理者の選任義務は十人から二十九大規模の現場となっておりますので、約十一万の現場を見ることになるわけであります。合わせますと十三万三千の現場に何らかの安全管理体制が建議ではしかれる、このように計算されるわけでございます。 しかし、改正案では、今お伺いしてまいりましたがこの現場数は大変に後退しておりまして、店社安全衛生管理者を置くところが一万、統括が数百と今申されましたが、こうなりますと建議の十分の一、大幅な後退でございます。合わせても一万数百、これしかくくれない。建議では十三万三千、今回の改正に基づくと一万数千、大幅に違うわけでございまして、このような大幅な後退になってしまった理由を御説明いただきたい。
○佐藤(勝)政府委員 まず、統括安全衛生責任者の選任でございますけれども、御指摘のように、建議におきましては工事の種類に関係なく三十人以上とされております。ただ、実際問題として、工事の種類によって災害の発生状況等に相当違いがございます。それで、必ずしも一律に三十人まで引き下げることは適当ではないということで、労働災害防止のため必要な範囲で規模の引き下げを行うこととしたわけでございます。 それから、店社安全衛生管理者の方でございますけれども、これは中小規模の建設現場におきます統括安全衛生管理が適切に行われるようにするために新たに設けるものでございますので、この新しい制度を実効あるものとして定着させていくことがまずもって重要であるというふうに考えております。 その場合に、規模十人以上の現場を対象とするということになりますと、主として規模十人未満の現場を施工していて規模十人以上の現場を一つ二つしか持っていないような小さな建設会社についてまで店社安全衛生管理者の選任を必要とするということになるわけで、こうなりますと新しい制度として円滑に実施することが困難であろうというふうに考えておるところでございます。そのために、店社安全衛生管理者制度の対象は、規模二十人以上で災害発生の危険性の高い現場というふうにしているわけでございますけれども、そのような現場が一つでもあればその店社には店社安全衛生管理者が置かれるわけでございます。その店社安全衛生管理者は、法令上は、規模二十人以上の現場の統括安全衛生管理を指導するということになるわけですが、実際には、そこに置かれた店社安全衛生管理者はその店社の持ちます規模二十人未満の現場の災害防止活動にも効果があるものと考えておりますし、また、そのような運用がなされますように指導していきたいというふうに考えております。
○河上委員 大臣、今御説明しましたように、建議の求めるところは十三万三千現場、改正案では一万数千、十分の一と指摘させていただきました。十一万七千の中小現場はなおかつ放置されるわけでございまして、私はこのような内容で中小規模現場の労働災害、死亡災害等が果たして解消でき得るだろうか、これは甚だ疑問なわけでありますが、この建議の内容に沿って選任義務の範囲を拡大する、こういうお考えがあるかどうか、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。 〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
○近藤国務大臣 中小規模の建設現場における労働災害発生率が高いわけでございますので、そういった職場の安全衛生管理体制を確立するために、今般法律改正をお願いいたしまして、店社安全衛生管理者制度を設けるとともに、統括安全衛生責任者の選任基準を引き下げたところでございまして、これにより建設現場の安全の確保が従来よりも一層可能になると私どもは考えております。 ただし、これらの管理者の選任の義務づけのない規模の現場につきましても安全衛生管理を充実させるように適切に指導してまいりまして、中小規模の現場の災害防止にもこれから積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○河上委員 次に、計画段階での安全性の確保の問題でございますが、計画段階で安全性を確保することは大変重要であると思います。 建議の中にございます「労働大臣は、建設工事の発注者が安全衛生上配慮すべき事項についての指針を公表すること」、また、工事の計画が適切に作成されるよう事業者が計画の危険性及び有害性を事前に評価し対策を講ずるための指針の公表と必要な指導、こういう極めて重要な部分が今回の改正案の中に反映されておりませんが、この理由は何でしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 建設工事の施工時の安全が確保されるためには、発注者が安全性に配慮した発注を行うことが必要でございますし、また、施工業者が施工計画の計画段階におきまして安全衛生面についての検討を十分行いまして所要の対策を講ずるということが必要でございます。 こういうことから、先生御指摘のように、中央労働基準審議会の建議におきましては、「発注者が安全衛生上配慮すべき事項に関する指針」、それから「工事計画の危険性及び有害性を事前評価するための指針」を労働大臣が策定すべきことが提言をされていたわけでございます。 しかしながら、このうち、「発注者が安全衛牛上配慮すべき事項に関する指針」につきましては、建設工事の発注条件は、その建設場所、建設する対象物等によりまして大変差がございます。千差万別といいますか、大変な違いがあるわけでございまして、これを一つの指針として示すことはなかなか容易ではございません。むしろそれぞれの発注者がその状況に応じた配慮を行うことが適切であることから、法律上は指針に関する規定を設けないことといたしたものでございます。 それから、「工事計画の危険性及び有害性を事前評価するための指針」につきましては、まず、事前評価の手法は必ずしも一つに限られるものではないということが一点、それから二番目に、建設技術の進展に伴いまして絶えず見直していく必要があるということで、一つの手法に限定して法律に基づいて指針を示すということは必ずしも適当ではないというふうに判断をしたものでございます。
○河上委員 平成三年十月、労働省は労働安全衛生基本調査を発表いたしました。この調査は安全衛生に関しまして発注者に対する受注者の要望をまとめたものと理解しておりますけれども、この中に、何らかの問題点、要望のある工事現場、これは八九%、「必要な経費はすべて盛り込むので特に問題はない」、これが一〇%ありまして、この八九%に及ぶ何らかの問題点そして要望の中身を見てみますと、「工期、工法等の発注条件の適正な算定の調整が困難」こうおっしゃっている方が七三%、「設計積算額を低くおさえるため、安全衛生対策費にしわよせがいきやすい」こうおっしゃっている方が六五・八%、「危険な作業に対する経費の増が認められにくい」こういうのが五〇・八%。以上のように、工事発注者に対する要望として、適正な工期の設定、適正な安全経費の設定を挙げる者が多いわけでありまして、発注者が安全衛生上配意すべき点について労働大臣の指針を策定すべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。また、発注条件の適正化を指導すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
○近藤国務大臣 先生御指摘のように、施工業者から発注者に対して、適正な工期の設定、適正な安全経費の設定などについての要望がございますし、また、中央労働基準審議会においても、発注条件適正化を図ることが必要である旨の建議がなされているところでございます。 ただ、ただいま労働基準局長が申し上げましたように、対象物がいろいろ違いがございまして、なかなか一つの指針で取り仕切るということは難しい面もございますが、発注者が発注に際して施工段階の安全確保に十分な配慮をする必要があることはもちろんでございますし、これらの事項が発注者において十分に配慮され、安全な施工が確保されるよう発注者の理解を求めてまいりたいと考えております。
○河上委員 時間がだんだんなくなってまいりましたので、快適職場の環境形成に関しまして何点かお伺いしたいと思います。 まず、快適職場の形成を行う事業者に対する国の援助の内容はどのようなものなのか、お示しいただきたい。
○北山政府委員 快適な職場環境の形成を促進するために、国といたしましては、一つには、快適な職場環境の形成のための指針の作成、公表、二つ目に、中央労働災害防止協会及び都道府県労働基準協会を中央あるいは地方の推進センターとして位置づけをいたしまして、快適な職場環境づくりに関する普及啓発活動、事業者に対する快適な職場環境の形成のための相談、助言等の実施をすること。三つ目に、中小企業における快適職場形成のための取り組みを促進するために、快適な職場環境形成に取り組む中小企業に対しまして、作業環境の改善に必要な機器の取得に要する経費について助成をするということ、四つ目に、日本開発銀行による低利融資制度といたしまして、工場において快適な職場環境の形成に取り組む事業者に対しまして、職場環境改善のために必要な施設設備の取得等に要する経費について長期かつ低利の融資を実施するというようなことを考えているところでございます。
○河上委員 職場改善機器整備に対する助成について、具体的にちょっと説明していただけますか。
○北山政府委員 職場改善機器整備に対する助成につきましては、中小企業共同安全衛生改善事業助成集団に属する中小企業者で快適な職場環境の形成に取り組む事業者に対しまして、空気調和設備であるとか空気清浄機等、職場改善機器の取得に要した経費の一部について助成を行うということを考えております。
○河上委員 施設設備を設置しまして整備する費用の一定額を助成するという手法、これは中小企業労働力確保法での支援措置、あるいは今国会に提出されております介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案における支援措置としても採用されているわけですが、これらに比較しますと、職場改善機器整備に対する助成は見劣りしていると思うのですが、いかがでしょう。
○北山政府委員 御指摘のように、国の助成制度といたしまして、中小企業労働力確保法に基づく中小企業雇用環境整備特別奨励金による助成制度や、今国会に提案をしております介護労働者確保法案の中で業務体制等改善助成金の制度があるわけでございます。 これらの制度につきましては、それぞれの目的を持って運用されているところでございまして、職場改善機器に対する助成制度におきましては、事業者が職場環境の改善を進めるに当たって非常に有効な制度ではないかなというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○河上委員 では、助成対象となる事業数は幾つでしょうか。
○北山政府委員 職場改善を行う事業場の規模や改善の内容、こういったものが異なるために、助成対象事業場数を特定することは非常に困難ではございますけれども、平成四年度の予算額が一億二千万余を予定しておりまして、一事業場平均助成額がおおむね四百万円といたしますと、対象事業場数は三十を予定しているところでございます。 この推定数では、事業場数といたしましては非常に少ないわけでございますけれども、ただ、集団における波及効果を考えますと、中小企業に対する快適な職場環境づくりを促進する上で大きな効果があるのではないかと考えております。
○河上委員 三十ということでございまして極めて少ないわけであります。 集団に属する中小企業に対する助成だけではなくて、集団には属さないけれども職場改善に対して意欲を持っている個別的中小企業事業主に対しても助成が必要なのではないか、こう私は考えるのですが、これはいかがでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 私どもとしましては、中小企業に対しまして、快適な職場環境の形成のための取り組みを促進するためには、同一地域や同一業種の集団の中で快適な職場環境の形成に率先して取り組む企業への助成を通じまして他の企業の取り組みを促していくことが有効であると考えております。このために、中小企業共同安全衛生改善事業におきましては、地域別、業種別等に組織された中小企業集団の構成員である中小企業者に対しまして職場改善機器整備についての助成を行うこととしておりまして、これによりまして快適な職場環境の形成についての取り組みを促して、これを通じまして快適な職場環境の形成の効果を集団の中に波及することを期待しようとしておるものでございます。 職場環境の改善に資する支援措置は、今回の改正法案に基づく支援措置以外にもいろいろなものがあるわけでございまして、都道府県労働基準協会に委託して行います相談、助言業務の中で、いろいろなものがございますけれども、これらの支援制度につきまして、的確に関係事業者にアドバイスができるようにしたいと考えておるところでございます。
○河上委員 以上で終わります。
○川崎委員長 金子満広君。
○金子(満)委員 労安法の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中でも既に指摘されておりますが、建設業における死亡災害は全体の四割を超えている、こういう重大な事態を指摘してこの改正を言っているわけです。 そこで、去年の千葉の松戸の事故、それからことしの神奈川の厚木の自衛隊の体育館の事故、こういうものも当然念頭に置いてのことだと思いますが、こういう法改正が少なくとも去年の早い時期に行われていればこういうような事故も未然に防げたというように考えるかどうか、そういう点についてまず最初に伺っておきたいと思います。
○北山政府委員 建設業における労働災害の防止につきましては、私ども、安全衛生行政の最重点として従来から、法令の整備その他安全衛生教育の充実、機械設備の安全化等々につきましていろいろ施策を推進しているところでございまして、広島の事故あるいは松戸の事故、厚木の事故、それぞれにつきまして、ああいう形で発生したことはまことに残念でございますけれども、ああいう事故を教訓にいたしまして、今後、同種災害を防止するために全力を尽くしていきたいというふうに考えているところでございます。
○金子(満)委員 今回のこういう法改正だけではああいう事故は防げない、これはもうはっきりしていると思うのですよ。 そういう点で言えば松戸も厚木も中小規模の建設現場ではないわけですね。やはり大事なところは、問題は、松戸、厚木は大規模であると同時に公共事業の建設現場なんです、そこで起きた事故だということです。それだけにまた非常に重大な意味を持っていると思うのです。問題は、大であろうが中であろうが小であろうが、死亡事故なんか起こしてはならないというのは、これはもう大臣の先ほどの答弁でわかるわけで、あってはならないことなんです。 そうしますと、労働災害、その中でも絶対に死亡事故を起こさないためには未然にこれを防ぐ、これが一番いいことなんですが、工事計画の段階で安全確保のための措置をどうするかという点で、事前審査制度を積極的に活用する、私はこれがまず一つだと思うのです。先ほどの答弁を聞いておりますと、厚木の場合にもコンクリートを注入するベルトコンベヤーの担当者が未熟であった。こんなのは初めからわかるわけですから、こういう点のチェックが足らなかった。これは当然やるべきだと思うのです。 それからもう一つは、危険を現場で察知したとき緊急に避難をする、そのことを徹底させるという問題があるのです。松戸の場合でも厚木の場合でも、後で申し上げますが、これがある。 それから第三番目は、不幸にして一たん事故が起きそして死亡したというときには、時間をかけないで徹底的にその事故の原因と経過を究明して、これを公にして二度とこういう事故が起きないような教訓をそこから酌み取ってやる、これが非常に大事なことだと思うのです。 これは三点セットと言うとあれですけれども、この点が非常に大事だと思います。一つ欠けても欠陥が起きますからね。この点について、これは基本的な考えで結構ですから、近藤大臣にお答えいただきたいと思います。
○近藤国務大臣 先生おっしゃるように、労働災害、特に死亡事故というのはあってはならないことでございまして、これの防止に関係者は全力を注ぐ必要がある。 事前のチェックももちろん大事でございますし、今度のように店社安全衛生管理者を規模の小さい事業所にまでおろして監督するということも大事でございますし、まさに先生御指摘の不幸が起こった場合の速やかな対応ですが、労働安全衛生法その他関係法令の違反になるような場合には、これまた速やかにそして厳罰をもって臨むということが、全体の関係者の方々に対する一つの責任感といいますか緊張感を持っていただくためにも必要ではないかというふうに私は考えています。
○金子(満)委員 そこで、まず一つお聞きしておきたいのは、これは松戸の問題それから厚木の場合でも指摘されてきた点でありますが、労働者の避難権の確立の問題です。 具体的には労働災害が起こる危険性を現場で労働者が察知した場合、そのとき労働者には避難する権利があるんだ、これが労働安全衛生法に明文化されているかどうか、念のためにお聞きしたいと思うのです。
○北山政府委員 労働災害発生の急迫な危険があるときには、事業者は、労働者を退避させる等必要な措置を講じなければならないという規定が労働安全衛生法で定められているわけでございまして、これで労働者の急迫な危険の場合の避難については担保されているのではないかというふうに考えているところでございます。
○金子(満)委員 それは当たり前なんですね。別に不思議なことじゃないんですが、問題は、労働者に避難権というものがあるかどうかなんです。 使用者、事業主の方が避難させる、これは当然のことで、当たり前で、それが十分でないから起こっているんだから、そのときに労働者に避難権というのは、今までもいろいろの経過があり、労安法の七二年制定のときから議論されていますから、それは明文化されていないけれども、はっきりあるんでしょう。
○佐藤(勝)政府委員 労働者の生命、身体に急迫した危険があるときは、退避する権利といいますか、言ってみれば緊急避難として労働義務を放棄するということは当然許されることだというふうに思っております。
○金子(満)委員 やはりそうなんですね。そこのところを率直に持っていないと間違いが起こると私は思うんですね。確かに一日あるいは一時間どのくらいという賃金で契約をして労働力を使用者側に売るわけですけれども、命預けますというわけにはなってないんだから、そこのところは今の答弁ではっきりします。 私は、この点を明文化しておるのがILO条約だと思うのです。ILO条約の百五十五号の十九条の(f)項というのがそれです。基準局長は当時この会議にも、責任者ではなかったけれども出席していますね。 いろいろな経過はありますが、ILO条約の「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約」、その十九条の(f)項というのは次のようになっておるのですね。「労働者が、自己の生命又は健康に対し急迫した重大な危険をもたらすと信ずる合理的な理由のある状態を直ちに直接の監督者に報告すること。この場合において、使用者は、必要がある場合に是正措置をとるまでは、生命又は健康に対し急迫した重大な危険が引き続き存在している作業状態に戻ることを労働者に要求することができない。」つまり、使用者は、その危険を取り除かないでおいて労働者に作業に戻るという要求をすることはできないんだ。これが八一年の総会です。これは八〇年、八一年と二回総会をやって、この(f)項は、ヨーロッパの具体的に言えばサミットに参加している国の政府が提案しているわけですが、大議論の末、日本政府代表もこれに賛成をし、そして全体の百五十五号条約にも賛成をした。経過はそういうことで、非常にいいと思うのですね。 問題は、これはまだ批准されてないわけですよ。批准されていないけれども、十九条の(f)項が理由で批准されないのではない、それがあるから批准しないんだというのではないと思いますが、それはそうですね。
○佐藤(勝)政府委員 作業の場所において労働者の生命、身体に急迫した危険がある場合の退避の権利といいますか、あるいは事業者、使用者が退避をさせなければいかぬという点は、そういった当然の法理で、それから現在の安全衛生法の二十五条の規定は、今先生が挙げられましたILO百五十五号条約の第十九条(f)項をカバーしているというふうに考えております。
○金子(満)委員 そうだと思うんですね。 そこで、私は、非常に大事な問題で今後の課題ですけれども、特に労働行政の上で大事な問題だと思うのは、今言われたように、労働者に緊急避難権は、これは当然基本的人権ですからある、ILO条約についても、十九条(f)項についてはいろいろ議論の過程で賛成している。これはもう国際的にも承認されている内容ですからね。問題は、これをどう具体的に実施しておるかです。 例えば松戸の問題。当日は暴風雨であったわけです。水がもう既に出てきているわけです。これは労働者も使用者側もみんな見ているから、この現実はわかるわけです。しかし、作業はさせたのです。水かさがふえてくるのです。にもかかわらず、使用者側の方は、コンクリートの吹きつけが終わったらその段階で引き揚げでもよろしい、こういうことになったわけですね。それはいろいろの解釈があるのです。一たん事故が起きて死んじゃって、極端な言い方をすればつじつま合わせをしようと試みる人もあると思うのです。そうでなくて、赤裸々に真実を明らかにしようという人もある。いろいろあるから、そこのところは議論のあるところですけれども。 私は、労働行政の中で、あの松戸の事故の後の九月二十四日に千葉の労働基準局長から知事に出されたものは非常に大事だと思うのです。出されたその通達の第一項では、暴風雨の場合の屋外及び地下作業の中止等を求めている。客観的に見れば作業を中止すべきだが、と書いてある。しかし、使用者側は中止しなかったのですね。それは事故が起きてもやるという意味じゃないですよ。起きないであろうという前提でやっちゃったわけだ。しかし答えは出ちゃったんですね、ああいう事故になったと。ここで労働者側と使用者側の事実の認識についての意見の違いがあるのです。労働者全体が危険を指摘したのじゃないです、部分的に指摘をしたのです。私は現地調査に行きまして個々の労働者に聞きました。危ないと何回も言ったけれども、大丈夫だという意見もあってこうなっちゃったということを聞きました。 そういうときに、労働者に避難権があるなんということは知らないのですよ。つまり、今御答弁されるように、生きる権利があるのだから危険なら逃げてよろしい、それは権利です、ILO条約もあるのです、それも賛成しているのですというのを生かされていないから、労働者は、自分で判断して、その判断に基づいて避難できるとは思ってないのです。そして、使用者側から何か指示が出なければ、焦りながらもどうしようもないというジレンマの中にいるわけです。 ここのところが非常に大事な問題なんですね。私は今言われた答弁で結構ですから、避難権はあるのですという点を使用者側にも労働者側にも、リーフレットでやるとか、あるいは各基準監督署や職安にも大量に印刷して置いておくとか、多くの事業があるのですから、そのところで徹底するようにぜひしてもらいたいと思うのですね。 これは今本当に大事な問題だし、現地調査をすれば必ずそれは出るのです。ですから、避難する権利があると同時に避難はすべきだというようにしてほしい、この点をひとつ大臣に、それから労働省の当事者もぜひ考えてほしいのですが、一言答弁を願いたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 先ほど来お答えしておりますけれども、一定の状況がある場合に労働者が自主的に退避できるという趣旨につきましては、既に通達においても明確にいたしているところでございます。 もっと大量に印刷をしてというお話でございますが、私どもとしては、必要に応じ適切な方法でそういうことの徹底を図りたいと思っております。
○金子(満)委員 通達が出ているのは知っていますよ。その通達が徹底してないでしょう。現場で働いている労働者は、そういうのがあるということは全然わからない。大臣、大臣として行ってはだめですよ、お忍びで行って聞いてごらんなさい、知りはしないから。相当の現場で知らないです。私も随分聞いてみましたが、知らないです。 そこで、これはカナダなんですけれども、ILO百五十五号条約の十九条の(f)項でもそうですけれども、カナダの安全衛生法ではちゃんと四段階につくってあるのです。まず、労働者が危険と信ずる合理的な理由があれば、所定の手続を踏んで就業を拒否でき、その手続を踏んでいれば不利益は受けないことになっている、これが第一です。第二番目は、就業を拒否する労働者は、そのことを使用者と職場の安全委員会に報告する。第三が、使用者と安全委員会は、その職場を調査し、危険と認めれば改善するし、危険でないと思えば労働者に戻るよう説得する。四番目が、労働者が引き続き危険だと信じて就業を拒否するなら、その状況を監督官にまで報告し、今度は行政の責任で調査を行い、必要なら是正措置をとる。これまで明文化しているのですね。 そうでないと、今お答えになったような状態だけでいくと、労働者は、やるのはいいけれども、後難を恐れるというか、その後不利益な仕打ちを受けるのじゃないか、このことを恐れて言えないのだと私は思うのです。その心配はない、やりなさいというのを、よく言われる通達一本じゃなくて、この前のこの委員会でも言いましたけれども、時間外をやるときは、内容は別としてあれだけ丁寧に末端のところにまで出して積んでおくのだから、こういう点についてもはっきりさせる。そして、危険性が常に付随している建設現場においては、詰所の中でもいいから張って、こういうことはできるんですと、それも奨励するという意味じゃなくて、できるんだという意味を使用者側にも労働者側にも知らせるべきだ、こういうように思います。 それから、教育する場合あるいは事故が発生したときなどは余計にその問題は重視して徹底をしなければ、せっかく方向はありますと言っても、しかし、実行はなかなかできないのですよ。人々は知らないのです。知らない方が悪いというのでは行政は機能しないわけですから、その点もう一度具体的に答えていただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま先生がお挙げになりましたカナダの法令は、具体的には承知しておりませんけれども、ただ、今私がお聞きをしまして感じましたことは、そういった規定は、現に急迫した危険がある場合というよりは、むしろ安全上の措置がとられていない場合についての措置ではないかというふうに感ずるわけでございます。我が国の場合でも、法令上義務づけられております安全措置がとられていないというようなことがありますれば、それは監督署が発見をした場合にはそれに似た措置を当然とるわけでございますし、また、労働者の方から申告がありました場合には、その申告に対応して適切な措置をとるということでありますので、考え方は余力違わないような感じもいたします。
○金子(満)委員 問題を分けて考えてほしいと思うのです。 安全措置について、これじゃ危ないなとかこういう危険があるなどかいう場合は、おっしゃるとおり、労働者であれ事業主であれ、第三者であれだれであれ、基準局や基準監督署に申告することはできるわけです。それにこたえられるだけの体制があるかどうかは——労働省がこれだけでかい仕事をやるのには今監督官の人数、要員がうんと少ないと私は思うのです。しかし、それはそれとして、少ないからできないのではなくて、少ない中でも対応はできるわけですから、これは一つのものとしてあるわけです。 問題は、緊急時に避難することは労働者もできますよ、使用者もそれを妨げてはいけないのですよというのを、表現は別として、緊急避難権というのがあるのだ、そのことを徹底させておかないとまごまごしてしまうのがあの松戸なんです。現場へ行ってみてありありとわかるわけです。 それから、厚木の場合もそうでしょう。コンクリートを流し込んで落っこっちゃったわけですよ。あのとき、労働者が危ないと言うわけですよ。それを、先ほどの委員の質問の中にいろいろありましたけれども、全員が言ったかといえばそんなことはないのですよ。ありようはずがない。それでもう死人に口なしで、死んだ人は言わないのですから、生きている人は、もう答えは出ちゃったんだ、今さら言ってもどうかという、それはありますよ。あるけれども、あの時期に指摘した人はいたわけですよ。そういうときに、もうこれはやめておけ、これをやったらまた落ちるのではないかと言ったときに、それでもやれ……。私はもう今までの経験で怖いからやらないですと言ったら、おまえ何だ、こういうことになっては困るわけです。 だから、そのときに緊急避難ができるということは、安全措置がとられているかどうかということに対する申告の問題と緊急時の避難の問題は一般的に違うんだということを区別して、徹底しておいてほしい、こういうことなのです。
○近藤国務大臣 先生のお気持ちはよくわかります。ただ、承って私思うのでありますが、そういう危険な状況にばらばらの対応をするのか、それとも、安全の確保のためには現場の監督の人も実際働いていらっしゃる方も一緒になって対応する、こういう体制があって——危ないからとばっとばらばらになっていくことがかえって危険な状況を招くこともあり得るかもしれません。 ですから、私は、緊急避難権という言葉もよくわかりますが、その現場でそういった危険な状態にいかに適切に対応するか、それは現場の職員の方、労働者の方かの御意見も十分に反映しながら、現場全体で事に処するということについての認識といいますか姿勢といいますか、そういったことの徹底がまず最初になければならないのでしょう。
○金子(満)委員 そうなんですよ。だから、ばらばらにというのは、労働者もそういう権利がありますよ、それから、使用者の側もそこのところは認めていかないと後で取り返しかつかない場合もあります。実際には事故が起こらないかもしれないのですが、そのときはまた別な問題ですけれども、緊急避難した人が不利益を受けるようなことは、諸外国ではないわけだし、故意にやったのじゃない、ストライキをやったわけじゃないのだから、その辺は十分考えてやっていく。 ですから、大臣が言うように、ばらばらでない、労働者も現場の監督の人も一致するというのは、避難権があるのですよと言うとその発言を重視するわけです。君たちは別としておれだけが判断すればいい、おれが判断するからちょっと待て、上司に電話連絡してみる、この連絡のおくれが事故を誘発するのです。だから労働者が、そうだ、権利がある、こうだ、じゃ、やろう、これが統一した仕事になるのですね。ストライキという問題は労働者の闘いとしての別の範疇です。逃げるというのはストじゃないのですから、この点はぜひ考えてもらいたい。せっかく大臣がそこまで言っているわけで、現場がわかるわけですね。うんと悪い解釈をして、そんなことをしたら、労働者が余り危険でもないのにもうやめたと言って集団的にサボったのではかなわぬ、作業がおくれるばかりや、事業主がそういう解釈をもしこの問題でするとすれば、これは邪推だし、人命軽視も最たるものという点で、そこのところはぜひ是正していただきたい。そうですと局長もなかなか答えないようですけれども、これは大事な問題として今後追及していかなければならない。同時に、その点は私の意見として労働省に、特に大臣、これはぜひ検討してやってほしいと求めておきます。 と同時に、事前の問題でいきますと、さっき触れましたけれども、厚木のコンクリートの問題、ベルトコンベヤーの取扱者の未熟問題がありましたけれども、そういう点で、事業をどういうようなやり方でやるか、そしてこの工事はこんな形のものです、安全はこういうようになっていますというようにチェックはみんなできるわけですから、これを事前にやらないと後の祭りになる。松戸の場合でも、水害に備えて、特に突発的な大洪水に備えてどうか。事実、前に経験はあったのですね。そこのところを軽く見たと思うのです。九月だから暴風雨の時期なんです。それで、その対応をしておくと、なかった場合には請け負った側は相当そこで損をすると言うと変だけれども、余分の支出をしたことになってしまうわけです。だからそういう点は、安全性はすべてに優先という立場から、事前にそれを徹底してチェックする。私は、その機能が労働基準監督署に今体制上ないと思うのです。一々やっていたらとんでもない。今度は法改正で対象がぐっと広がるわけですよ。なお洗えないですよ。ここのところは、せっかくこういうものを出すのだから、その時期に考えてほしい。これは後でひとつ答えてください。 時間がありませんから、最後に。 こういう問題をぜひ徹底していかなければならぬと思うのですが、労働省は、昨年の十二月五日ですか、労災隠しをさせないという通達を出しました。私も地方に行きましたが、監督署でもみんな知っていますよ、これは。なぜこれを出さなければいけないかというと、労災隠しかあるから出しているのです。 それは解釈のしようその他いろいろあると思います。私も労働省の方に労災隠しの実態というのを聞いてみました。具体的にはこうだというのはありませんけれども、労働安全衛生法第百条に基づき定められた労働安全衛生規則第九十七条においては、労働者が労働災害によって死亡しまたは休業したときは、事業者は、遅滞なく労働者死傷病報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないとなっているわけです。だけれども、隠しかあるのですね。 そして、これは労働省が持っている内規なんですが、無災害記録証授与内規というのと、建設関係でいいますと、建設事業無災害表彰内規というのがあるのです。この中で、とことこという企業名とか場所は申し上げません、必要があれば後でやりますけれども、相当けがをした、歩けない、松葉づえだ、もとの仕事はできません、しかし、休業となりますと災害ということになってしまう。幾時間とか幾日無休業でいったということにならないわけで、松葉づえでも、車を出して職場の中に入れておいて仕事をさせないというのもあるのですよ。これはインチキなんですよ。そんなことをやる。 労働基準法にも労働省の公式文書にも微小災害という言葉は絶対ないと思うのです。ところが現場では、使用者側の中にも労働者側の中にも微小災害という言葉があるのです。これは重大問題だと私は思うのです。何が微小だ。ある職場では指二本取っちゃった、これも微小だと言うのです。大やけどをした、企業の側は、松葉づえで出動してくれと言う。これは微小じゃないんです。指二本取って微小だなんて言ったら、これは常識でも通らないですよ。それがまかり通っているから労働省のこの労災隠しの通達があると思うのです。これをはっきりさせないうちは、労災隠しかあって、そういう点ではいろいろの弊害がそこから生まれる、隠すほどひどいのですから。 この点、労災隠しにさせないという点と通達の履行という点ですね、その二つについて答弁を聞き、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 いわゆる労災隠しと言われているものの内容は、先生が言われたようなことでございます。 安衛法の百条に基づく報告にかかわる問題でございますが、当然そういうことが許されていいわけはないわけで、労災隠しというようなものが非常に広範囲に行われるようになれば、労働災害防止対策の樹立にも非常に悪い影響があるということでございますので、昨年十二月に通達を出して特に注意喚起をしたわけですけれども、この通達を出そうと出すまいと、これは発見した場合には当然厳しく対処すべき問題であるというふうに考えておりますし、今後ともそういう態度で臨みたいというふうに思っております。
○近藤国務大臣 労働災害の防止は、たびたび申し上げておりますように、労働行政最大の課題でございますけれども、そのために今度の法律改正もお願いしているわけでございます。 ただ、先生のお話があったように、労働基準監督署が全部を見るというわけにはなかなかいかない、できないわけでございますので、これは基本的にはその仕事をされるその現場の方々の責任、自覚、そして慎重な配慮ということが大事でございますから、それを今回法改正する際に徹底しようということでございます。 また、そういったいろいろな避難の問題については、避難権という話がございましたが、私は安全確保権、前向きに考えれば避難というよりは安全を確保する、しかも、関係者が上も下も一緒になってやるという体制が基本であると思うのです。しかし、結局は責任は監督者、管理者だと私は思うのです。そして、そういうことで、事故が起こった場合には、前にも申しましたように、労働関係法規に照らして違反にわたる場合には厳正に対処する、こういうことでなければならぬというふうに思います。
○金子(満)委員 一言だけ。安全確保権も、それは表現はどうあろうとも、関係者というのは使用者側も労働者側も両方あるのです。それで、避難権というのは、実際に仕事をしている労働者に国際的にも通用している言葉ですから、これがないというのではなくて、それは大事だけれどもこういうような意味もという大臣の解釈は解釈として承っておきます。 以上です。
○川崎委員長 伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 労働安全衛生法の一部改正についてお伺いをいたします。 まず最初に、労働災害に関しては、年間二十万人を超える労働者が休業四日以上の災害をこうむって、約二千五百人が死亡をしております。中でも、建設業における労働災害は依然として多く、休業四日以上の死傷災害で全体の約三割、死亡災害で全体の約四割を占めているわけでありますけれども、この一年間の建設現場の労働災害の状況とその特徴について伺います。
○佐藤(勝)政府委員 現在確定しておる数字といたしまして平成二年のものがございますが、平成二年の建設業におきます休業四日以上の死傷災害が六万九百件、死亡災害が一千七十五件発生しておりまして、全産業の死傷災害及び死亡災害に対して、それぞれ二八・九%及び四二・二%というぐあいになっております。 それで、平成二年の休業四日以上の死傷災害について事故の型別に見てみますと、建設業においては、墜落・転落というのが最も多くて全体の三二%を占めております。それに続きまして、上方から飛来落下した物に当たったものが一四%、機械等に挟まれたり巻き込まれたりするものが一二%という順になっております。 これに対比する意味で申し上げますと、製造業においては、挟まれ、巻き込まれ災害が最も多く三三%を占めており、続いて、飛来落下災害が一二%、切れこすれが一一%というふうになっております。 こうして見ますと、建設業においては墜落災害が多いということになるわけでございますけれども、これは、建築物、構築物等の上での作業等高いところでやる作業が多いという特性が災害発生のタイプに影響を与えていると考えております。
○伊藤(英)委員 今、現象面といいましょうか、そういう形で分類されたのですけれども、その災害の原因はどういうところにあると思われますか。これはいわば安全管理上の問題かもしれませんし、あるいは作業者の不注意ということかもしれませんが、どういうふうに思われますか。
○佐藤(勝)政府委員 現実に起こる労働災害というものは、一般に単一の原因で発生するという場合はまれでございます。使用される機械設備の不備あるいは不適切な方法による作業の実施、安全管理体制の不備、作業員の不安全行動等、幾つかの要因が影響し合って発生するのが普通であると考えておりますけれども、ある労働災害の原因を、安全管理体制の問題であるとか作業員の不注意であるというふうに非常に単純化して分析することはできないのではないかと考えております。
○伊藤(英)委員 なかなか難しい話かもしれませんけれども、先ほど言われたように、墜落・転落が非常に多いのですが、例えば墜落・転落というのは、一体なぜそういうことが起こっているのでしょうか。
○北山政府委員 墜落・転落災害の原因につきましては、手すりや囲い等の墜落災害を防止するための設備が不備であったこと、安全帯が備えつけてなかったこと、安全ネットの設置がなかったこと、あるいは安全帯を使用しなかったこと、そういういろいろな要因があると思います。一般には、これらの原因の幾つかが重なって墜落災害になっているのではないかと考えております。
○伊藤(英)委員 重大災害の中で、去年の春でしたか、広島で新交通システムの高架橋建設工事に関する事故がありましたけれども、その原因究明とその後の対策はどういうふうになっているのか、伺います。
○北山政府委員 広島市の新交通システム橋梁工事の事故につきましては、事故発生後直ちに労働省に特別調査団を設置いたしまして、現地調査を初めとして、事故発生原因の究明と再発防止対策について検討を行ってきたところでございまして、その結果については、平成三年、昨年の十二月二日にまとめられているところでございます。 この結果をもとにいたしまして、関係業界団体に対しまして、同種災害の再発防止対策の徹底について指導を行ったということでございます。
○伊藤(英)委員 この工事は、労働安全衛生法第八十八条の届け出の対象になっておりませんね。もしなっていないなら、なぜなっていないのか、そしてその対象の見直しは必要ないのかどうか、いかがですか。
○北山政府委員 この工事につきましては、橋梁工事にかかわる計画の届け出の対象とはなってございません。これは、現在の規定で支間が五十メーター以上のものについて届け出の義務があるわけでございまして、その対象になっていないということでございます。 この事故にかんがみまして、今回の安全衛生法の改正の作業に引き続きまして労働安全衛生法の施行令の改正を行いまして、こういった工事につきましても届け出の対象となるように現在検討をしているところでございます。
○伊藤(英)委員 では、こういうのは今のお話で届け出の対象とするように考えているようでありますから、これはぜひそういうふうにお願いいたします。 重大災害が発生した工事について、事前に十分審査を行って事業主に勧告または要請を行っているケースというのは一体どのくらいあるのか、また、届け出がされていない工事で重大災害が発生したケースというのはどのくらいありますか。
○北山政府委員 平成三年以降建設業で発生した死傷者五人以上の重大災害は、これは交通事故とか中毒は除きますけれども、先ほどの広島市の橋げた落下災害、それから松戸市での隧道建設工事における水没災害、厚木基地内の体育館プール等の新築工事における崩壊災害など八件ほどございます。 このうち計画の届け出の対象となっているものにつきましては三件でございまして、計画段階で法令に違反する事案はなかったということでございます。 また、これらの災害のうち計画届け出の必要があったのに届け出がなされていなかったものはなかったということでございます。
○伊藤(英)委員 今回の改正で、労働基準局長の審査制度を設けることになっているのですが、この制度によってどのような労働災害が防止できることになると考えられますか。
○北山政府委員 都道府県の労働基準局長の審査につきましては、労働基準監督署長に届け出のありました計画のうち、大臣審査の対象とならないものの中で比較的大規模な工事でありまして、例えば地質が軟弱なところや、あるいは有害ガスが発生するところ等、非常に危険性の高い場所における建設工事であるとか、あるいは危険性の高い工法または特殊な工法による建設工事等につきまして、学識経験者の意見を聞きながら、専門的な観点から審査を行うこととしているところでございます。 この審査では、法令の違反のみならず、専門的な見地から安全衛生上の問題点について勧告または要請を行うこととしておりまして、これらの勧告等を通じまして危険性の高い工事の安全化が図られるということを期待しているところでございます。
○伊藤(英)委員 今回の改正で、元請業者への統括安全衛生責任者の選任義務範囲をこれまでの五十人以上のものから、三十人から四十九大規模の一定の工場現場も対象として、また、現場を管理している店社の店社安全衛生管理者の選任義務範囲を二十人から四十九人、こういう規模で災害発生の危険度の高い現場も対象として労働災害防止対策を強化しているわけですが、こういうことによってどのくらいの災害が減ると期待しているのか、まずそれを伺います。
○北山政府委員 中小規模の現場におきましては、元請の作業間の連絡調整の不足であるとかあるいは現場の巡視が不十分であること等、労働安全衛生法の第三十条第一項に基づく統括安全衛生責任者の職務が十分に行われていないことによる災害が発生をしているわけでございます。これらの現場について統括安全衛生責任者等が選任されるか、または支店等に設置される店社安全衛生管理者による指導が行われまして、十分な統括安全衛生管理が行われれば、このような災害の防止に非常に有効であるというふうに考えているところでございまして、労働省が昨年実施をいたしました調査におきましても、統括安全衛生責任者を選任している現場とそうでない現場の災害の発生率を比較をしてみますと、選任している現場の発生率は選任していない現場の二分の一以下となっているということもございます。また、支店、営業所等におきまして統括安全衛生管理に関する指導援助を行っているところと行っていないところの災害の発生率を比較をいたしますと、指導援助を行っているところの発生率は、行っていないところの三分の二程度になっているということでございます。店社安全衛生管理者等の選任の義務づけによって、こういったところの災害防止に対して非常に大きな効果があるのではないかなというふうに考えているところでございます。
○伊藤(英)委員 今非常に効果があるという話なんですが、中央労働基準審議会の建議によりますと、この店社安全衛生管理者の選任義務範囲を十人から二十九人の小規模現場へ拡大をしておりますね。実際にそのデータを見てみましても、建設業における請負金額別労働災害率を見てもそうですが、これで見ますと、例えば二億円未満のところが労働災害率は圧倒的に高いのですね。そういうふうに、この辺が非常に重要だと思うのですが、この改正では、十人から二十人へと対象を縮小させてしまっている、後退させている、その理由はどういうことですか。これは非常にわかりにくいことをやっていると思うのですが、いかがですか。
○佐藤(勝)政府委員 この新しく設けます店社安全衛生管理者制度は、中小規模の建設現場におきます統括安全衛生管理が適切に行われるようにするため設けるものでございますけれども、この新しい制度を実効あるものとして定着させていくことが非常に重要なことであるというふうに考えております。 その場合に、規模十人以上の現場を対象とするということになりますと、実際の適用がどういうことになるかといいますと、主として規模十人未満の現場を施工していて規模十人以上の現場は一つ二つしかないというような小さな建設会社についてまで店社安全衛生管理者の選任を義務づけるということになるわけで、そうなりますと、この新しい制度を円滑に実施することについてはなかなか困難が生ずるというふうに考えておるところでございます。 それで、そのために、店社安全衛生管理者制度の対象は、規模二十人以上で災害発生の可能性の高い現場とするというふうにしているわけでございますけれども、ただ、これに該当する現場を持っている店社につきましては、そのような現場が一つでもあれば店社安全衛生管理者が置かれることになるわけでございます。その結果置かれました店社安全衛生管理者は、法令上は、規模二十人以上の現場の統括安全衛生管理を指導するということでございますが、実際問題としては、その店社が持っております現場、他の現場も担当するということが期待をできます。その結果、当然規模二十人未満の現場も含めて労働災害防止活動の効果があるものと考えておりますし、実際に運用する場合にもそのような指導をしていきたいというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 この中央労働基準審議会の建議の中で言ういわゆる小規模現場ほど災害が多いわけでありますから、この建議の内容は私は非常に重要なものだと思うのですね。ぜひこの件に真剣に取り組んでいただきたいと思います。 労働大臣にお伺いしますけれども、いずれにしても、労働災害は非常に重大な問題であります。大臣としてこの問題についてこういうふうに取り組んでいくのだよという決意の一端でもお伺いしたいと思います。
○近藤国務大臣 たびたび申しておりますように、労働災害の防止、職場安全の確保というのが労働行政の最大の課題でございます。 労働省といたしましても、特に建設業における労働災害の防止を図るために、建設業に対し重点的に監督指導を実施してまいりましたし、また、事業者の自主的労働災害防止活動の活性化を図るための指導援助にも努めてまいったところでございます。 そこで、今回、中小規模の建設現場における労働災害の発生率が高いことから、安全衛生管理のための体制を確立するため店社安全衛生管理者制度を設けることにしたところでございまして、今後、この制度を含めた関係法令の周知徹底、監督指導の実施、自主的労働災害防止活動の一層の促進などにより、中小規模の建設現場の安全衛生管理体制の充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○伊藤(英)委員 快適職場関係の問題についてちょっと伺いたいのです。 快適職場の具体的なイメージや基準を明確にしないといかぬと思うのです。そうしないとなかなか具体的な対策は得られないと思うのです。 そこで、職場の快適度をはかることになると思うのですけれども、現在の日本の職場の快適度、特にオフィスの快適度について、欧米先進国と比較をして労働省としてはどういうふうに、どの程度だとこれは認識をされているのですか。
○北山政府委員 日本と西欧先進諸国との職場環境の比較につきまして昭和六十一年に通産省が行った調査によりますと、アメリカ、ドイツでは、我が国に比べましてまぶしさの防止に配慮した照明の設置や植物の配置、リフレッシュエリア等を設置する企業が多く、人間性や快適性を重視したオフィス環境づくりが進められているというふうにされているところでございます。また、この調査では、日本においてはオープンスペース、いわゆる大部屋形式でございますが、オーブンスペースが中心であるのに対し、アメリカ、ドイツでは個室形式が中心であるという指摘もなされているところでございます。 こういった諸外国の職場環境を把握をいたしまして、そのすぐれた点を紹介することは、我が国の快適な職場環境の形成につきましても非常に重要であるというふうに考えているところでございまして、今後、諸外国の工場やオフィスの環境につきましてのデータを収集をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○伊藤(英)委員 職場の快適度云々というのは、本当は人によって物すごく違うと思うのですね。例えば、今お話に出た大部屋方式がいいのか各個人ごとの部屋の方がいいのかということだって、必ずしも欧米風がいいとは限らないのですね、実際に私はアメリカで仕事をしてたのだから言うのですが。したがって、そういう意味では、それぞれの意識がどういうところにあるかというところから考えなければいかぬ話だと思います。 そういう意味でちょっと二点伺いたいのです。 一つは、こういうことのためにそこに働く労働者の意見を十分に取り入れる制度、そういうものを重視しないといけないのではないかということですね。それからもう一つは、この快適職場形成のためには指針を策定して公表するというふうになっておりますが、指針の内容について具体的に考えていることがあれば伺いたい、こういうふうに思います。
○佐藤(勝)政府委員 職場環境の改善に当たりましては、そこで働いている労働者の意見ができるだけ反映されるということが労働者の満足度を一層高める上で大変必要なことであろうというふうに考えております。 このため、事業者が職場環境を改善するための計画を策定する場合には、労働者の意見等を考慮した計画が策定されるように安全衛生委員会等で検討することが望ましいと考えております。そのような指導をしたいと考えております。 それから、二番目の指針の内容については、部長の方からお答えを申し上げます。
○北山政府委員 快適な職場環境の形成のための指針につきましては、快適な職場環境の形成を推進することとした背景や快適な職場環境を形成するための措置、すなわち、一つには、作業場所の温度、湿度、照明、騒音等の作業環境を快適な状態に維持管理するための措置、それから二つ目には、不自然な作業姿勢での作業の改善等作業方法を改善するための措置、三つ目に、温度、湿度等の管理された休憩室の設置等労働者の疲労を回復するための施設等の設置、四つ目に、洗面所、更衣室等労働者が職場生活をする上で必要な施設等が清潔で使いやすいものとする措置、こういったことについて定めたいというふうに考えているところでございまして、具体的な内容につきましては、今後、中央労働基準審議会の意見を聞きながら定めていくということにしております。
○伊藤(英)委員 この法律の中では、快適職場形成のために国が必要な援助に努めるというふうになっていますね。具体的にどういう援助を考えておられるのか、伺います。
○北山政府委員 快適職場の形成を促進するため、国といたしましては、一つには、快適な職場環境の形成のための指針を作成、公表するということがございますが、援助措置といたしましては、中央労働災害防止協会、それから都道府県労働基準協会を中央及び地方の推進センターとして位置づけまして、快適な職場環境づくりに関する普及啓発活動、事業者に対する快適な職場環境の形成のための相談、助言等を実施することが一つでございます。 それから、中小企業における快適職場形成のための取り組みを促進するための助成制度といたしまして、快適な職場環境形成に取り組む中小企業に対しまして、作業環境の改善に必要な機器の取得に要する経費について助成をするということがございます。 また、日本開発銀行による低利融資制度といたしまして、工場において快適な職場環境の形成に取り組む事業所に対しまして、職場環境改善のために必要な施設であるとか設備の取得等に要する経費について長期かつ低利の融資を行う、こういったことを考えているところでございます。
○伊藤(英)委員 過労死の問題についてお伺いをいたしますと通告してありました。時間が非常に中途半端になってしまったものですから、ほんの少しだけ、イントロといいましょうか、また後刻いろいろと詳しくと思っています。 この過労死の問題というのは今極めて重大な社会問題化している問題だと思うのですね。これはなかなか複雑なものだと思っておりますけれども、突然脳卒中や心臓病で亡くなった本人とか家族にとっては大変なことですね。なぜこういうような状況が起こっているのか、そしてどういうところに一体問題があるというふうに労働省としては思っておられるのか、お伺いしたい。 それからついでに、プロセスはちょっと省きますが、この問題について、労働省としては一体これからどういうふうに取り組んでいくおつもりか、お伺いいたします。
○佐藤(勝)政府委員 いわゆる過労死と言われている事態は、おっしゃるように、大変いろいろな問題を含む難しい問題でございますが、ただ、いずれにしても、こういった事態を防止するということは、労働者の健康と安全を確保するという観点で、労働行政の大変大切な課題であるというふうに思っております。 それで、なぜこういうことが起こるのかというよりは、どういうふうにしたら防止ができるのかというふうにお答えした方がいいのかと思いますけれども、一つは、労働者の中に成人病の基礎疾患を持っているという人も多いわけでございますから、そういう方の健康状態が、非常に無理な業務上の負荷によって急激に症状が悪くなるというようなことがないようにしなければいけないということで、労働時間の短縮というのは基本的に大事な問題であろうかと思います。 それから、安全衛生法に基づきます健康診断、健康指導、これは成人病の問題も含めての話でございますけれども、それの実施の徹底を図るということ、また、事業所内におきます心身の健康づくり、トータル・ヘルス・プロモーション・プランと言っておりますが、そういうことの推進ということも大事な問題であろうかと思っております。 いずれにしましても、事業所におきます健康診断の実施と、その結果に基づきますフォローアップということは、この問題については大変大事な問題でございますので、今後は産業医の活動のあり方につきましても、制度的な面も含めまして検討を進めたいというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 今局長からもお話がありましたけれども、大臣のこの問題についての所見を最後にお伺いして、質問を終わります。
○近藤国務大臣 いわゆる過労死と言われる現象が我が国に起こっておりまして、それが国際的な問題になっていることも残念なことでございます。今局長も申しましたように、もともといろいろな疾患のある方が過労、まさに過重な勤務状況の中でそれが悪化して、そして発病されるという問題もあるわけでございますので、基本的には、まさに労働時間の短縮推進、今御審議いただいておりますような快適職場の形成に努力をする。その他いろいろな社会問題もございますし、通勤時間とかいった問題についての十分な配慮が大事でございます。 しかし、私はやはり事前のチェックが大事だと思いますので、職場における事前の健康チェックについて、まさに、管理者側もそうでございますが、働いていらっしゃる労働者の方々も、また御家族の方々も同様に、すべてに優先してこのことをお考えになる、そういう環境といいますか状況というものを社会的につくっていく必要があるのではないか、こういうことでございます。そういう意味では、今回時短法や快適職場だとかいろいろな形での法案の整備をお願いしていることも大変積極的な意味がある、かように考えております。
○伊藤(英)委員 終わります。
○川崎委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○川崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○川崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○川崎委員長 この際、本案に対し、愛野興一郎君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。岩田順介君。
○岩田委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。 労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 中小規模建設現場における労働災害が依然として多いことにかんがみ、統括安全衛生責任者及び店社安全衛生管理者の選任を含め、その安全衛生管理体制の整備充実を図ること。 二 建設工事の施工計画の策定の段階において十分な安全確保措置が講じられるよう、建設工事の事前審査制度を効果的に運用するとともに、事前安全評価のための指針の策定等による事業者の安全確保対策の促進を図ること。 三 施工技術の機械化、高度化の進展及び建設災害の発生状況を踏まえ、安全基準を見直すとともに、関係者に対する安全教育の徹底を図ること。 四 公共工事における労働災害の発生状況にかんがみ、関係省庁は、工期の設定、施工計画の策定等が労働災害の防止に十分配慮されたものとなるよう、格段の努力を払うこと。 五 快適な職場環境の形成の促進が実効あるものとなるよう、改正法の施行に関し労使関係者の意向が十分反映されるよう配慮すること。 六 産業医確保のための積極的対策を講ずるとともに、産業医制度の充実を促進する具体的方策を拡充強化すること。 七 業務に起因する脳・心疾患による突然死を予防する観点から、業務との関連について医学的な調査・研究を進めるとともに、職場における健康管理施策及び労働時間の短縮を積極的に推進すること。また、脳・心疾患に係る突然死等の業務上外の認定については、医学的知見の動向に十分注意を払いつつ適切な運用に努めるとともに、認定及び不服審査の迅速な処理に努めること。 八 本改正法の円滑な施行と被災者に対する迅速な労働災害補償を確保するため、労働基準監督官、安全・衛生専門官、労働災害補償保険審査官等の増員と、労働安全衛生等を担当する行政体制の整備拡充を図り、労働災害の防止等に即応できる態勢を確立すること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 愛野興一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○川崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
○近藤国務大臣 ただいま決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。 —————————————
○川崎委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○川崎委員長 この際、内閣提出、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。近藤労働大臣。 ————————————— 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○近藤国務大臣 ただいま議題となりました介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 二十一世紀に向けて我が国における人口の高齢化が急速に進展すること等に伴い、寝たきり老人、在宅痴呆性老人等の要介護者の数は著しく増加し、これに伴いこれらの方々に対する介護の需要が増大することが見込まれております。 こうした状況の中で、介護労働力の供給を見ますと、最近における労働力需給が引き締まり基調で推移する中で、依然として人手不足感は根強く、介護分野における労働力の確保は難しくなってきております。 また、近年の出生数の減少等に伴い、我が国の生産年齢人口は一九九五年をピークとして減少に転ずるなど我が国が戦後初めて経験する状況となることが予想されており、介護労働力の確保は、中長期的かつ構造的な課題として対応していかなければならない問題であります。 このような状況に対処し、介護労働力を確保するためには、事業主がその雇用する介護労働者について行う労働環境の改善、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に係る措置を促進するとともに、介護労働者の能力の開発及び向上等を進めることにより、介護労働者の福祉の増進を図る必要があり、そのための支援策を総合的、体系的に進めていくことが重要な課題となっております。 政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、中央職業安定審議会の建議を踏まえ、介護労働力の確保に資するとともに、介護労働者の福祉の増進を図るための施策を推進するための法律案を作成し、同審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明いたします。 第一に、労働大臣が、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関し重要な事項を定めた計画を策定し、これに基づき、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対して必要な要請を行うこととしております。 第二に、その雇用する介護労働者の福祉の増進を図るために実施する雇用管理の改善に関する措置についての計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた事業主に対して、雇用保険法の雇用福祉事業としての助成及び援助を行うこととしております。 第三に、労働大臣が、公益法人を介護労働安定センターとして指定し、介護労働者に対する研修等介護労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行わせることとしております。 第四に、雇用促進事業団に、介護労働者の福祉の増進を図るための施設や設備を設置する事業主、職業紹介事業者等に対する必要な資金の借り入れに係る債務の保証等の業務を行わせることとしております。 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十四分散会 ————◇—————