予算委員会第六分科会 第2号
- 発言数
- 223 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1992/03/12
会議録
○小澤主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。 この際、分科員各位にお願いを申し上げておきます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げます。 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
○貴志分科員 大正十一年三月三日に京都市岡崎公会堂におきまして全国水平社創立大会が行われまして、ここでいわゆる水平社宣言が採択されるわけでありますが、それから既に七十年が経過をいたしました。その宣言の内容は七十年たった今も、人権を尊重することを求めるその正しい精神に我々も常に粛然として、その呼びかける、人の世に熱あれ、光あれとの中身に感動をいたすのでありますが、その中で、きょうは質問に先立ちまして、ごく一部分だけを朗読をしてみたい部分がございます。 (前略)兄弟よ、我々の祖先は自由平等の渇仰者であり実行者であった。陋劣なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であったのだ。ケモノの皮剥ぐ報酬として生々しき人間の皮を剥ぎ取られ、ケモノの心臓を裂く代価として、温かい人間の心臓を引き裂かれそこへくだらない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪われた夜の悪夢のうちにも、なお誇り得る人間の血は涸れずにあった。(後略)人の世に熱あれ、人の世に光あれ。と結ばれております。 きょうは、部落産業の中で特に皮革工業につきまして質問をいたしたいと思います。 まず、従来の皮革工業に対する問題点として通産省にお尋ねをいたしたいのでありますけれども、御承知のとおりに皮革産業は大変零細な資本、零細な企業がほとんどでございます。地場産業といたしましても一般の地場産業に比べてなお劣位な状態にある。我が国の産業構造が二重構造になっておるし、その二重構造の最底辺部分を構成する産業、こういう産業であるという御認識はもちろんお持ちいただいておりますけれども、じゃ、一般のいわゆる中小零細企業対策とこの皮革産業、同和産業と呼ばれる皮革産業との間にどれだけ異なる対策を持ってきたか。いや、原点にどのような理念を持って、この皮革産業を育成するということを理念としてお持ちになって対策に取り組まれてきたか。まず、そのことについてお尋ねを申し上げたいと思います。
○堤政府委員 我が国の皮革産業は、基本的にはいろいろ問題があると思います。通常の、一般の産業に比較しまして、社会的、歴史的な困難な問題を抱えていること。それから、特に大部分、九〇%をはるかに上回る企業が中小零細企業であり、大変経営基盤が脆弱である。それから、欧米の産業に比較しまして、その技術力、経営力等の面で国際競争力が非常に乏しい。しかも最近、発展途上国からの追い上げが非常に、輸入というルートを通じましてひたひたと押し寄せてきているわけでございますし、慢性的な過当競争という問題もございます。それから、特に皮革産業の場合に常について回ります公害の問題の、環境との相克という問題も、この産業を特に難しくしていることではないかと思っている次第であります。
○貴志分科員 今御認識あった点については、私も同じように思っております。問題は、それに対して、だからこの皮革に対してはどのような理念でもって政策を行ってきたかということを実は聞きたかったわけです。まあ、後で具体的な問題を示しながらお尋ねをいたしますので、その中でお答えいただければ結構です。 御指摘がありましたように、資本が零細であるし基盤が脆弱であるということは、これはもうだれもが認める。 もう一つの特徴は、皮革産業、皮革工業は地域から出られない、そういう一つの側面を持っておるということを認識をいただいているかどうかということも、確認を含めてぜひわかってもらわなければいかぬと思うのです。なぜ皮革が同和地域の外で製造できないのだろうか。外に進出をして、一般の産業と同じように企業として成り立つような産業でないのか。これが私は、零細性に加えていわゆる地域閉鎖的——これは同和地域が閉鎖的ではなしに、同和地域の外が皮革産業というものを一つのところに追い込めようとしておる、閉鎖的なそういう地域性を持った産業であるということは、ひとつぜひわかってもらっておかなければならぬと思うのです。 もう一つは、先ほどの宣言の中でも申し上げましたけれども、封建時代に人々が好まない仕事としてこの皮革の仕事を押しつけている。その皮革の仕事をやっている人はそのために、その仕事をやっていることが同時に自分たちに対する差別を常に受けているという、そういう立場にある。 それで、三つの特徴というと零細性、地域閉鎖性、そして差別。この三重の苦しみを味わいながら、したがって、資本も外部からほとんど入らない。競争もまた、日本全体の産業としての扱いかないから、先ほど言われたように国際競争力も大変低いし、情報の集積もない。そういう実態にあるということを十分御認識であるという前提に立って、私は物をお伺いするわけなんです。 こういう地域性、差別性というのは、いわゆる零細性という他の地場産業と異なる条件がある。その異なる条件を、ハンディをどうやって救うかというところがお互い論議をしなければならないところであるし、今日まで一体どのような理念でもってこういう実態に対して立ち向かってきたのか、そういうことについてお伺いをしたいわけであります。
○堤政府委員 産業としていろいろ難しい問題を抱えている産業でございます。そういう中で、やはり基本的目標というのは、産業としての基盤、具体的に申しますと、一つは、他の産業と同様に、効率性あるいは技術レベル、高付加価値というようなものを兼ね備えていく産業である必要がありますし、さらに、国際的な観点から見まして、輸出と輸入というものを通じます国際競争力、そういうものに勝っていく力を持っていかないといかぬということだろうと思います。それから、第三点は、やはり消費者に対する需要に十分こたえていく産業でなければいけない、そういうことが重要なポイントであると思っております。
○貴志分科員 どうも私の申し上げている意味を十分わかっていただいていないんじゃないかと思うのですが、今おっしゃられたことはもちろん必要なことであります。やってもらわなければならぬことです。しかし、その前にあるいわゆる産業差別だとか、地域から出ていけない、そういう条件下にある同和産業としての皮革に対して、理念としてこういう部落産業に対してこれをどうしていくべきだというしっかりしたものを持っていないと、一般的な扱いで、他の、例えばメリヤス工業がどうだ、鉄鋼、機械産業が国際競争力をつけるんだというより以上に大変な問題を抱えているんだという認識がないことには、話の出発からなかなか先へ進まないと思うのです。 正直言いまして時間が余りありませんから、ここで論議をいろいろやっておるよりも、私が申し上げたいのは、そういう出発点でハンディを背負って、しかも一生懸命当事者が頑張っても資本がどんどん集まってこない、要するに高付加価値にはならないし、情報の集積もないから競争力も少ないし、そういう産業を一人前の産業に育てていく、そして部落から一般へどんどん伸びていけるだけの力を育てていくというのが政策、政治ではないだろうかということを私は申し上げたいのです。細かいことはまあ幾つか用意をしておりますが、そういうことについて基本的にどう考えているかということをお示しいただきたいわけです。
○堤政府委員 このたびの答申におきましても、産業振興という観点で、産業構造の高度化、消費者ニーズの変化に対応する必要性というようなことが書いてあるわけでございますが、基本的に、こういう問題を特別な状況に置かれた産業であるということを十分認識した上で、それでも結局、やはり産業としての基盤という点を考えますと、こういう問題に真っ正面から取り組まなければいけない。具体的には、その特別な難しさを抱えた問題であるという観点からいろいろな対策を講じておることは御承知のとおりでございまして、私の方の局における予算におきましても、全体の予算が十億円をわずか上回る程度でございますけれども、その中の三〇%を占めておるというような状況にあるというところも、特に政策が必要であるという先生御指摘のような点を踏まえてそういう対策を打ってきておるわけでございます。
○貴志分科員 それでは、具体的なことでちょっと申し上げてみます。 例えば、皮革工業については協業化を進め、高度化のための制度をおつくりになって、今日もがなりそのための事業を推進されているということは私もよく存じております。高度化の政策を取り入れられたのはたしか昭和四十五年ごろからではなかったかと思うのですが、全国的に協業化を進め、高度化をやり、生産を上げれば、需給のバランスは一体どうなるというふうな予測をお持ちになって、それで全国各地での高度化の推進に通産省はかなり積極的なお力をお入れになった。結果はいろいろありましたよ、もちろん。当時は合成皮革の進出がありましたね。それから石油ショックがありましたね。そういう悪条件が重なってきた、そういうのもありますけれども、高度化を行った直後にばったばったと倒れていきましたね、その協業組合が。実際には休業状態あるいはもう倒産で廃止の状態になっておるというのもかなりあるわけなんです。それが需給のバランスだとか、石油ショックのときに一体どうてこ入れを、支えをしようとしたのかということが私は問題になると思うのです。高度化がいいんだ、高度化がいいんだということでみんな一斉にやると今度は需給のバランスを崩してくる、そういったことをちゃんと見通した政策というものをやらないといかぬのじゃないか、それが一つですね。 それから、例えばNICSの特に韓国などは、国策的に皮革工場をでんとしたものをつくっていくわけなんです。今まで日本が皮革の先進地であったにかかわらず、そのころから韓国の下請のような形に組み込まれていくという産業構造へ変化していくわけです。こちらの高度化をした時期、もうとにかくその時期が物すごい変動の時期に当たって、具体的に通産省がいろいろ手をお打ちにはなりましたけれども、結果的にはその過当競争、あるいは合成皮革の進出、NICSなどの台頭と申しますか進出、そういったことの中で、皮革は一つの波どころか、三つ、四つ、五つの波を、もともと持っておる基本的なさっき申し上げたような三つのハンディを背負った上に、大きな波を食らって大変な状況になっておるわけなんです。 私は、本当にここで議論をしたいのですが、一々はやりませんけれども、要するにそういういろいろな経過を経て、長期的に見ればやはり皮革産業は長期低落の状況にある。これが上を向いて国際競争力をつけて、そうして立派な一人前の産業として日本の中で、国内で育つかどうかということについて私は非常に危機感を持つわけなんです。 それで、そういういことからいいまして、私はまず質問の第一ブロックとしては、今日までの皮革産業に対する取り組みについてどこか抜けているところがないか、いろいろな点でやはり反省すべき部分があったのではないかというふうなことを、まずこれは私が一方的に攻撃するというのではなしに、我々も含めて反省点がなかっただろうかということをもっと真摯に見るべきではないかということを申し上げまして、その点についてのお考えをひとつまずお願いをしておきたいと思います。
○堤政府委員 まず高度化事業の問題という具体例をお挙げになりました。 確かに一つ一つの高度化事業、理想論としてはいろいろあったわけでございますが、そのときの全体需給との問題につきましては、当然、個別案件をいろいろ審査する過程で、そのフィージビリティースタディーをやっていた段階でこれが見られるべきものであったのでしょうけれども、その後、おっしゃるような意味での三つのハンディと日本全体がかぶった大変大きなオイルショック、そういうような波をかぶる中で経営がうまくいかずに、高度化事業がうまくいかなかった例があったということは、我々としても反省をしなければいけない点はあろうかと思います。 それから、対策の基本的な問題点でございますが、確かにおっしゃるような意味で事業所あるいは従業員あるいは生産というのが昭和五十一年をピークに漸減の方向にあるということは、やはり大きな問題を抱えておる、それに対して対策が本当の意味で十分であったかどうかということを我々はまじめに反省をしなければいけないと思っております。ただ、先ほど先生のおっしゃるような理念ということからも考えまして、我々としてはかなり特別な対策を打っておるわけでございまして、一例を挙げますと、貿易面で他の工業製品には見られない関税割り当て制度というのを維持しており、関税も六〇%という非常に高い関税を維持しているというのも、そういう問題意識のあらわれであるというふうに我々は考えておる次第であります、
○貴志分科員 今のお話には我々も議論したいことがまだまだたくさんあります。特に、輸入自由化で、関税の特別な保護をやっておるという立場の御説明がありましたが、その前にやっておかなければならないこの産業の自立のための手段がたくさんあったということです。それができてないから、今この自由化のあらしの中でいろいろと苦労を背負い込んでおるというようなこともわかっていただかなければならぬと思います。しかし、次の問題に移りたいと思います。 次の問題は、今申し上げたような経過で皮革工業は大変な苦しい状況にありますが、それに対して総務庁でも中小企業庁でも独自に実態調査をされております。この実態調査の内容も私は承知しておりますから別にここで説明はいただかなくても結構でありますけれども、実態調査のあり方が、いわゆるサンプル調査で行いますから、皮革産業のように地域性の強いところで一カ所抜けると、データが、全体の傾向がずっと変わってくるというふうなことがあるわけですから、その調査などはなるべく細かい調査をやらないと実態の把握にはならないということになりますし、もう一つ、一般的な調査だけではなしに、いわゆる部落産業から抜け出ることのできないこの企業集団の持っておる最大の悩みは何かというふうなことなども、これは冒頭に申し上げた考え方から申しましてもぜひ調査項目の中に入れて、そういった中から生じてくる企業運営上の問題点などについても調査をしなければならない、いや、していただかなければこれからの対策が生まれてこないのではないか。「資料なきところに政策立たず」と昔から言われておりますが、そういう点で、今の実態調査についてもっと綿密にしてかつ実態に即した調査を行う御用意、お考えがあるか、お尋ねいたしたいと思います。
○堤政府委員 先生御指摘のとおり、通産省といたしまして、毎年度一定の予算額をいただきまして、革製造業の実態調査を行っておるわけでございます。この調査は対策のベースとしてそれなりに役立てたいと思っておるわけでございますが、先生御存じのとおり、調査には全体調査と特定調査という二つの大きな調査がございます。全体調査がオールピクチャーを描くためのものであると同時に、特定調査はその時代、その年に重要なものを選んで調査をしているということでございますので、これを活用しながら御趣旨のようなことを実施していきたいと思っておる次第でございます。
○貴志分科員 最後に、我々は地域対策協議会が審議会として、権威ある審議会として存続されることを強く求めるわけでありますが、いずれにしてもそういう形で存続されます。そこで、法の新しい制定ということも考えられておるわけでありますが、そういう中で、私はきょうは皮革を同和地域の産業の象徴的な課題として取り上げました。この皮革を振興させる、皮革を価値ある産業として大きく発展させることができれば、いわゆる同和地域内における産業すべて、皮革ができる状況にできる、そういうことによってすべての産業にも明るい光を当てていくことができる、こういうふうに私は思うわけでございます。そのためには、基本的に同和対策に対する理念というものをしっかり持ちながら、しっかりと展望を持った政策を具体的に取り上げてやっていかなければ、人権問題としての同和問題も解決いたしません。 そこで、先ほど来何遍も申し上げたように、皮革は部落産業として部落の中だけにしか存在しなかったわけです。製品等についてはだんだんと一般化されておりますけれども、そういう状態の産業にこれから先があるのかどうか。外国製品の国内への流入がどんどんふえているといった状態の中で、私は先行きを大変心配いたしております。一般的な企業対策の上に、同和対策としてぜひ強力な政策をさらに今日以上に継続してやって、目的を達成するように積極的にやっていただくことを心から熱望してやみません。この際、通産大臣の御意見を賜りまして、私の質問といたしたいと思います。
○渡部国務大臣 製革業を初めとする皮革産業は、中小零細企業が大部分を占め、経営基盤が極めて脆弱な企業が多く、また、厳しい国際競争にさらされるなど、先生御指摘のように大変厳しい状況にございます。私としては、この製革業がこうした事態を克服し、構造改善を進められるよう、所要の環境整備及び支援を行うことが極めて大事なことであると考えております 製革業対策の基本的方向は、技術力の向上などにより国際競争に耐え得る経営基盤を早期に実現することであり、このため従来より、技術指導、需要開拓などを初めとする各種振興事業の推進に努めてまいりました。今後とも、製革産業の振興を図るため、これらの施策を強力かっきめ細かく推進していくことといたしたいと存じます。
○貴志分科員 皮革産業だけを申し上げましたが、部落の関係するあらゆる零細企業に対しても同じような考えてお取り組みいただくことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小澤主査 これにて貴志八郎君の質疑は終了いたしました。 次に、中村正男君。
○中村(正男)分科員 おはようございます。社会党の中村正男です。 一つは、再生資源の利用促進について、より一層国の積極的な施策を要望したいという観点からの質問であります。それからいま一つは、それに関連をいたしまして、ただいまも同僚議員が質問されましたが、部落産業の問題についてお尋ねをしたいと思います。 まず最初の再生資源の利用促進の問題でありますが、昨年リサイクル法案が成立をいたしました。さらにそれを受けて十月二十五日には基本方針の公表、言ってみればガイドラインですか、これが出されたわけでございまして、リサイクル型社会の形成に向けて一歩踏み出した、こういう認識であります。今各事業者、自治体、消費者、それぞれの役割の中でさまざまな取り組みが進められておりますけれども、法律が制定されて一年たったわけですが、現状認識について、まず冒頭大臣にお考えをお聞きしたいと思います。
○渡部国務大臣 お尋ねがございましたが、かけがえのない地球を廃棄物の発生による環境の悪化から守り、快適な生活水準と経済活動を長期的に維持することは、省資源と資源の再利用を織り込んだ経済社会への転換が必要であります。このような経済社会を実現するために、今先生からお話がございましたように、昨年十月、再生資源の利用の促進に関する法律、いんゆるリサイクル法が施行されたわけでございます。リサイクル法の制定、施行を契機にリサイクルについての社会的な関心が大変高まり、再生資源の利用促進に向けた努力が、国、地方公共団体はもちろんのこと、消費者、産業界など各方面で一層盛んに行われるようになってまいりました。 通産省としても、この法律を適正に施行することはもちろんのこと、リサイクルのための技術開発や広く国民の理解と協力を求める普及啓発活動など各種の施策を講じてきておるところでございますが、今後もこれら施策の積極的な推進に努めてまいりたいと存じます。
○中村(正男)分科員 そこで、より具体的にこれを進めていくために政令で業種の指定あるいは製品の指定等々が行われておるわけです。具体的に言うならば、特定業種としては、原材料使用、リサイクル率を高める業種としてこういう指定がなされた、第一種指定としては製品を具体的に挙げて指定をした、さらに工場の副産物について指定をされております。こういう方向は、それぞれ消費者、流通事業者等々が対応していくためには必要な措置だというふうに思うわけですが、この四つの指定で業種、製品については行われておるわけですが、さらにこれを拡大していくべきではないかというふうに思うのです。そのあたりの考えをお聞きしたいと思います。
○鈴木(英)政府委員 ただいま先生御指摘のように、例えば特定業種につきましては、紙の製造業あるいはガラス容器製造業、建設業、第一種は自動車、テレビ等、第二種につきましては缶でございます。指定副産物としてはスラグ、石炭灰その他を指定しておるわけでございますけれども、昨年十月同法の施行の際、この指定に当たりましては大変な議論をいたしまして、再生資源の利用促進を図るために法的措置を講ずることが必要かつ妥当と判断されたものをとりあえず対象にさせていただいたということでございます。 やはり、この法の指定をすることによりまして法的効果が生まれるようなものというのが基本的な視点になろうかと思いますけれども、なお私どもといたしましては、政令指定時に指定を行いはした業種や製品以外につきましても絶えざる検討を進めさせていただきまして、この法律によって、再生資源の利用促進を図ることが必要かつ適切であるというふうに判断されますれば、随時追加的に指定をふやしてまいりたいというふうに考えておりまして、またこのことは他省庁に対しましてもそういう趣旨での検討をお願いしておるところでございます。
○中村(正男)分科員 このリサイクル法は法律の性格としては誘導的な法律ではないか、こういう認識をしておるわけでございまして、これだけがすべて万能というわけではない。この法律をもとにして多面的な推進を図っていかなければならぬと思うのですが、それにいたしましても、個々具体的なことはともかくとして、現状まだまだ自治体、事業者、消費者等々、戸惑いの中でこれを受けとめておるというのが率直なところじゃないかなと思います。 そういう意味合いで、地域における格差の問題とかいろいろあるのですが、自治体を超える取り組みといったことも一つの大きな問題、ある意味では隆路にもなっている。そこで国として、法律はつくった、基本方針も出した、これでおしまいというのじゃなしに、国としての一元的な情報把握といいますか、それをまた的確にそれぞれの自治体なり事業者に広報していく、こういう意味合いで情報センター的なものをこの際つくるべきではないかと思うのですが、これが一つ。 それから、今後の国としての支援のあり方として、支援のポイントをどういうふうに考えておられるのか。研究開発への支援もあるでしょう。それから、きょうは大蔵省は来てもらっておりませんが、税制上の優遇等幅広く支援をしていくときに来ているのじゃないか。そういったところについてお考えをお聞きをしておきたいと思います。
○鈴木(英)政府委員 委員御指摘のように、確かにリサイクルの問題といいますのは、単に法律的に手当てをすればいいということだけではなくて、やはり関係する事業者あるいは自治体あるいは消費者の自発的な取り組みを促す、これによって実現をしていくということが基本的に非常に大事であろうかと思っております。 もちろん情報の問題につきましても、私ども、クリーン・ジャパン・センターというところに予算措置を講じましていろいろな情報の収集あるいは普及啓蒙等を行わせていただいているところでございますし、かっ関係者の努力を促すという観点からは、先生おっしゃいました技術開発等も含めて国としてさらに積極的な支援をしていくべきではなかろうかというふうに考えております。 現在、私どもは、第一に再生資源の原材料としての利用の促進、第二に再資源化を考慮した製品の設計あるいは製造、分類を容易にする表示の問題、三番目に副産物の再資源化の促進等を図るという観点からいろいろ指導しておるわけでございますけれども、そういう点に関する事業者の努力を支援するため金融面、税制面あるいは予算面で必要な措置を講じますほか、再生資源の利用の促進に資する研究開発の推進、成果の普及に努めることとしておるところでございます。 さらに、国民的な意識の高揚という観点からは、リサイクル推進国民運動の展開ということで、これは毎年十月をリサイクル月間ということを決めまして、いろいろな行事を行う、それに対して支援をするというようなことも行っておる次第でございます。 冒頭、大臣からも申し上げましたように、私ども、リサイクル法の制定、施行を契機にいたしまして社会的な関心が高まってまいりまして、いろいろ地方自治体あるいは消費者、産業界の方々もそれぞれ多方面での努力を始めていただいたというふうに認識をしておりまして、なかなか難しい問題もございましてもちろん試行錯誤の面もありますけれども、こういう認識がさらに一層高まることを期待している次第でございます。
○中村(正男)分科員 目に見える形で町で一番問題なのは第二種指定製品ですね。これは子供も含めて取り組んでいかなきゃならぬと私は思うんですけれども、市民協力のもとに分別回収が主体ということでございまして、これがそううまく進んでいるというふうには私はなかなか思えないわけですね。やはりこれには具体的に、自治体への補助なりあるいは業者への補助、再生利用者への補助、そういったものが特段要求されるんではないか。さらに、社会はこういったことを要求しますけれども、現実問題として引き取り業者がだんだん引き取らないというふうなことになっていくおそれがあるんじゃないか。これは缶に代表される鉄くずの問題等々から、いわゆるガラス、瓶類、古紙、そういったところまで、引き取る業者の問題、これが一番大きなネックになってくると思うんですが、そのあたりはいかがですか。
○鈴木(英)政府委員 リサイクルのためのシステムづくりといいますか、そういうものが非常に大事ではないかと私ども基本的には認識しております。このためには、もちろん地域におきます住民の方々の協力も必要でありますし、かつ、再生資源の回収等を行います事業者の活動も非常に重要だと思っております。 さらに、私ども通産省といたしましても、平成三年度から、事業者が地方公共団体と協力をいたしました地域におけるリサイクルシステムといいますか、そういうもののモデル事業を支援していこうということで、こういったものも開始しておるわけでございます。 平成三年度におきましては、先ほど先生御指摘の飲料用の金属缶でありますとか、ガラス瓶でありますとかペットボトルにつきまして、特定の地域で具体的に回収システムを構築していこうということを業界団体に委託をいたしまして実施をしているところでございます。例えばスチール缶につきましては、高炉メーカーが、君津市あるいは川崎市、千葉市等におきまして空き缶処理対策協会と連携をとりながら、製鉄所の近隣の自治体との間でスチール缶のスクラップを使用するモデル共同実験を開始いたしますとか、あるいは札幌市におきましては鉄くずの専用収集車、業界団体から寄附をいたしましてそういうものを進めていく、あるいは藤沢市でもスチール缶のモデルリサイクル実験を実施するというようなことで、いろいろな面での努力をさせていただいておるわけでございます。 また、再生資源の回収再利用を促進しますために、金属缶回収設備その他の再資源化設備につきまして特別償却等の税制上の措置を講じますと・か、あるいは再資源化施設に関します開銀の低利融資といったようなものも適用していくということで、こういった施策を引き続き講ずることによりましてリサイクルのためのシステムの一層の充実を図って、再生資源の利用の促進を推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○中村(正男)分科員 この法律の趣旨からいたしますと、私はより国際的な視点というものが重要ではないかというふうに思います。今日、日本が行っておりますODAについてはさまざまな批判もあるわけでして、そういった中にこのリサイクルという問題を組み込むべきではないのかという感じがするわけです。例えば途上国の道路整備に使うだとかあるいは古紙再生技術の移転を行うだとか、さらに開発途上国のさまざまなそういった社会的な基盤づくりに貢献していく、こういう視点も今やはり問われているのじゃないかな、私はこう思うわけですが、それについてはどうですか。
○鈴木(英)政府委員 リサイクルは単に資源を有効活用するということだけではなくて、廃棄物の減量化という面からは環境保全にも資する、そういった意味で国際的にも積極的に推進すべきものであると基本的には私ども認識させていただいておるわけでございます。特に日本が有しますリサイクルについてのすぐれた技術的知見を活用いたしまして、これを発展途上国等に秘転することによって、リサイクルの技術がないために廃棄物として最終処分されているもの、こういうものを発展途上国でも再利用を可能にしていくということは、地球的規模での資源の有効利用あるいは廃棄物の減量化による環境保全、あるいは発展途上国の経済発展といったようなものにも資するものと考えておりまして、こういう観点から通産省といたしましても、途上国等への技術移転、こういう国際協力に積極的に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
○中村(正男)分科員 日本は先端技術産業を中心に非常に高度な技術立国なんですけれども、少なくとも産業廃棄物の処理を含めて、そういう技術は世界でナンバーワンだというふうにはまだなってないのじゃないか。むしろ最近は、新聞で読んだ限りですけれども、ドイツではすばらしいこういう廃棄物処理施設が誕生したというふうな報道がありました。そういう意味合いでは、通産省としてこの種の技術開発、研究開発にもっともっと、これからの大きな問題としてぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。 そこで、第二点目の部落産業の問題なんですが、特にきょう指摘をしたいのは、通産省の基本的な啓発施策といいますか、そのことについて一、二申し上げておきたいと思います。 一つは、先ほどもちょっと出たわけですが、いわゆる再生資源業ですね。これは平たく言えばくず屋さんに代表されるのではないか。しかし、過去から現在を含めて、まだまだくず屋さん、再生資源業というのは、花形産業にならなきゃならないのに、社会的な評価というのが一向に上がらない。汚い、あるいは危険だ、臭い、そういうことで代表されて、これが一つの部落産業のイメージを落としているというふうに思うわけでして、せっかくこういう法律が生まれ、社会全体がリサイクル型社会を目指して進んでいこうという中で、その中心をなすそういう再生資源業というものにもっと日を当てる、そういう施策がないものかというのが指摘の第一点であります。通産省自身がもっとそういう産業のイメージアップを図るということをぜひひとつお考えいただきたいと思います。 それから、一九六五年八月十一日の同対審の答申では、今後の同和地区の産業、職業についての基本方針として「社会開発と経済開発を並行的に行い、地区を近代的に整備する」、こういうふうにうたっておるわけでありますけれども、それ以降に実施された施策というのは実態的な差別の解消、こういう観点から地区の経済開発に重点が置かれて、いわゆる産業の社会的地位の向上、社会開発という見地ですね、そういうものがやや私はおくれておるのじゃないだろうか。おくれておるという表現よりも社会開発というものがしぼんでおるような感じを受けるわけです。この産業のイメージアップという問題についてお考えをお聞きをしたいと思います。
○鈴木(英)政府委員 御指摘のように、この廃棄物の問題の解決といわゆる静脈産業といいますか、そういったものの発展、こういうものは極めて密接な関係があると私ども認識しておりまして、静脈産業分野での事業の拡大が再資源化の一層の進展と軌を一にして実現されるべきものであるというふうに考えております。このため、リサイクル法の適切な運用によりまして再生資源の利用が進むことは、結果としてこの静脈産業が発展する上での良好な事業環境を与えるといいますか、そういったものをもたらすことにつながるというふうに考えているわけでございます。 また、静脈産業のうち古紙回収業等につきましては、既に例えば事業用施設の事業所税の減免等が講じられておるところでございまして、またこれらに加えまして、廃棄物再生処理設備の特別償却制度の対象として新たに認められるというような措置も講じられておりまして、円滑な再生資源の利用の促進が図られるよう努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○中村(正男)分科員 大臣、これは総務庁の統計局が出しだ、統計調査を安全に行うためのマニュアルなんですが、この中に調査に赴くときはハイヒール、サンダルなどは避けるべきだ、こういう指摘があるわけです。これは、安全という見地からするならば普通の指摘だと思うのですね。しかし、ハイヒールという問題は僕は、男性用のハイヒールもできていますけれども、まだ使ったことはありませんが、かなり高低があるわけですね。それを総じてハイヒールと言っているわけです。だから低いハイヒールもあるわけです、安全が確保されるような。どこかの女性が履くようなひゅっとしたハイヒールもあるでしょう。まあ、常識的には普通に歩ける、あるいは階段でも上がっていける、これはもう大前提ですよね、ハイヒールというのは。それすらだめだ、こういう指摘を総務庁がやっているわけですね。 御承知のようにハイヒール、サンダルというのは、これは部落産業の中心的な産業なんです。私は大阪出身なんですが、大阪にはとりわけ中小のそういう事業者の方々が集中して、一生懸命やっておられるわけですね。だから、通産省そのものがこういったことを見過ごしてはいけない、やはり部落産業をもっと振興しなければいかぬというのが、私は通産省の基本的な役割と姿勢だと思うのです。これはたまたま総務庁の問題なんですが、通産省が行っておる工業統計調査などにも同様の記述がある。時間がありませんからそのことだけを指摘をして、ぜひひとつ最後に大臣の方から、部落産業のイメージアップ、それから社会開発の問題により力を入れていく、そしてこの同和対策についての前向きな決意をお伺いして終わりたいと思います。
○渡部国務大臣 最初のサンダルの話、これは総務庁で何か資料を用意されて、また通産省も本当はそこで注意しなければならなかったのでしょうけれども、一緒に配付されたというようなことを聞いて、これは大変残念なことで、それは全部回収したそうですから御了承を賜りたいと思います。 同和地区における産業は、昨年十二月の地対協意見具申において述べられておるとおり、小規模零細企業が極めて多く、人手不足や貿易の自由化の進展など大変厳しい状況に先生御指摘のごとくございます。通産省としては、これまで同和地区の中小企業の実態等に即してその経営の合理化、設備の近代化、技術の向上等を促進するための施策を講じてまいりました。今後とも、展示会の開催などイメージアップを図る施策を活用しながら、同和地区の産業の振興を図り、差別の一日も早い解消に取り組んでまいる決意でございます。
○中村(正男)分科員 終わります。ありがとうございました。
○小澤主査 これにて中村正男君の質疑は終了いたしました。 次に、菅直人君。
○菅分科員 きょうは分科会ということで、通産大臣に幾つかの問題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。 今、日米間では大変難しい問題が山積をしておりますけれども、いわゆる貿易摩擦と言われるものの中で、逆に言えば、アメリカから日本に対してかなり強く出てきている問題に工業所有権の問題があると思うわけです。最近新聞などにもよく出ておりますが、たしか自動焦点カメラの焦点でしょうか、あれに関して和解が成立をした。日本のメーカーが数百億円の特許料を支払う。あるいは、ついせんだってNHKがたしか日米特許戦争というようなニュースをやっておりましたけれども、いろいろなゲーム機器メーカーに対しても相当額の特許料支払いを請求する、そういう事例がたくさん出てきているように思います。 どうも最近のアメリカの全体の考え方を見ていると、製造業における競争で日本に勝つことがなかなか難しいという状況の中で、いろいろつくっているものの一番最初は、例えばテレビにしても半導体にしてもあるいは自動車にしても、一番最初は大体アメリカがつくったものが多いわけです。そうすると、自分たちが考え出したものを使って日本が経済的に発展し利益を上げているのだから、その一番最初にさかのぼって、つまりは考えた発明なり知的所有権ということに基づいてどんどん日本からロイヤルティーというか特許料というか、請求していこうじゃないかという戦略とさえ受けとめられる状況に来ていると思うわけです。こういう状況の中で、通産省としてはそういった問題をどんなふうに見て、基本的には個々のメーカーの問題あるいは個々の企業の問題かもしれませんが、日本の広い意味の産業政策としてどんなふうに対応されようとしているのか、まず基本的な所見を伺いたいと思います。
○渡部国務大臣 詳細は特許庁長官が参っておりますので答弁をさせますけれども、率直に言って、産業革命はイギリスから出発をして、アメリカから日本に工業化が進んできたわけで、学術的な研究基盤というものはこれはアメリカが非常にすぐれ、そういうものを産業に有効に活用する知恵、これが今日の日本の工業化を大きく前進させ、今日の日本のすばらしい世界に冠たる工業は、かつて明治維新にヨーロッパに学び、戦後アメリカに学んで今日に来たことは事実でございますから、そういうところにいわゆるただ乗り論とかいろいろな議論が行われるわけで、日本もこれから国際社会への貢献という意味で、学術的な研究、これに力を入れて世界に貢献する務めを果たしていかなければならないことは当然でございますけれども、これは時代の進歩の中で常に人類の歴史がそういう経過をたどっておるわけでありますから、一方的にそのことで非難されるとか非難するとかということでない。 今や世界は一つでありますから、先人に学んで新しきものをさらにつくり上げ、技術革新の努力をしてきた日本の歩みは決して間違ったごとではないと私は思いますけれども、そういう中でいろいろの紛争が起こっておるとすれば、これは相手側の誤解を解くような努力をしていかなければなりませんし、これは制度的な面で、技術というものは一国で独占するものでなく、世界は一つという中で学問や技術が世界人類の発展に役立っていかなければならない時代でありますから、そういう中で、必要とあれば、これは国際化の中での法制度の改正とか国降条約の問題とかいろいろやらなければならない問題が山積しておると思いますが、当面の具体的な問題について特許庁長官から答弁させたいと存じます。
○菅分科員 長官にもお願いをしたいと思いますが、まさに今大臣が言われたように、一つには、日本自身も基礎的な技術の開発をやって世界に貢献するという問題、あるいは制度上のいろいろな問題について、世界は一つと大臣は何度もおっしゃいましたが、まさに技術の上ではその色彩が強いわけですので、そういう中での制度上の整合性、調和を図るという問題があろうかと思います。 そこで、その問題について、今、ガット・ウルグアイ・ラウンドというと日本では米問題ばかりといいましょうか、そこが焦点になってはおりますが、実際には他のいろいろな問題もその中で議論されている。工業所有権の問題も非常に大きな問題だというふうに聞いております。そういったことで、特許制度の国際的な調和を図っていくという今大臣が言われたような問題についてどのような議論が現在国際的に行われているのか、その現状について説明をいただきたいと思います。
○深沢政府委員 今先生から御指摘ございましたように、国際的な調和を目指して各国がいろいろ運営してございます制度、場合によっては運用を含めましてハーモナイゼーションの議論が進んでおるわけでございます。そのよって来ります背景は、先ほど大臣も御説明申し上げましたけれども、ちょっと敷衍させていただきますと、技術開発やら企業の経済活動のグローバライゼーション、その辺のところが急速に展開してまいりますと、工業所有権に支えられた商品なり、技術の国際市場での流通が非常に大きな勢いで拡大してまいります。そうなってまいりますと、それを支えでございます工業所有権と知的所有権の重要性というものはますます増してくるわけでございまして、そしてそれが今度は、どこの国であろうとそういった保護のレベルとか、いろいろな意味での権利の取得手続といったものが同じようになっていってほしいという要請、要するに、国際的な共通化の要請が非常に強く出てまいります。そういうような格好でもって現在国際的な調整が努力されておるわけですが、場が二つございます。ガット・TRIPにおきます議論が一つWIPO、世界知的所有権機関におきます議論が二つ目でございます。 まずガット・TRIPにおきましては、昨年十二月二十日に、貿易交渉委員会においてダンケル議長が包括的な合意案を提示いたしましたけれども、その中の一部としてガット・TRIPが構成されているわけでございます。そこの中におきます議論というのは、たくさんございますけれどもあえて幾つか論点を引き出してみますと、例えば発明地におきます差別を禁止していこうとか、物質特許保護については総じて義務づけていこうとか、二十年以上の特許保護期間を明記すべきであるとか、それから、もうちょっと広がりますが、ワイン等についての地理的表示に対する保護をきちっと位置づけていこうとか、そういったいろいろな知的所有権全般にわたります一般的な規定にかかわります保護水準を定めたような内容がTRIPの主要な内容になっているわけでございます。これにつきましては先生もう御案内のとおり、農業等ほかの分野とあわせましてウルグアイ・ラウンド全体、今後の政治的合意を目指して議論が行われてございます。そういった中にガット・TRIPも一つ取り込まれておるという状況にございます。 それから、もう一つ御説明申し上げなければならないのはWIPOの議論でございます。これまた長くなりますけれども、一九八五年から何回も議論を重ねてまいりました。十回程度に及びます専門家会合等の議論を踏まえまして、昨年六月にWIPOの特許調和条約採択のための第一回目の外交会議を行いました。これは最終的な会議ではございませんで、もう一回、第二回目の外交会議を、これは条約を成立させることを予定した会合でございますけれども、この辺のところにつきましては、その開催日につきまして、ガット等の状況をその後にらみながらことしの九月までの段階でもう一回総会を開きまして具体的な日程を決めよう、こういうふうにしているわけでございます。 この中での主要な議論は、特許期間とか特許対象とか、その辺のところは先ほどガットのところでちょっと申し上げましたけれども、こういった問題に加えまして、非常に大きな問題でいえば先願主義への統一の問題とか、それから日本との関係で非常に厳しい要請がございます例えば厳しい審査期間の設定とかいった非常に多岐にわたります内容になってございますけれども、いずれにしましても、特許制度の国際的ルールづくりということを目指した格好でそういった努力が行われているわけでございます。先ほど、紛争との関係もございましたけれども、要するに、制度の違いとか運用の違いからそういった紛争なり争いになっていってはいかぬという角度からこういった国際的な調和ということが非常に重要になってまいりますものですから、政府といたしましてもこういった取り組みに積極的に貢献してまいりたいと思っております。
○菅分科員 かなり詳しく説明をいただきましたが、その中で、アメリカの場合には先発明主義というものがとられていて、それが先願主義にそろえられるかという問題。それから一方で、日本の場合はいわゆる特許権付与にかかる時間が長過ぎる、これもかなり長い議論をしてきたように思います。そういった中で、一年少し前にいわゆるペーパーレスという計画の中での電子出願業務というものが始まりまして、そのときの法案等についてもいろいろ議論をさせてもらいましたが、スター下から一年余りたっておりますが、そのペーパーレスの中における電子出願の進展状況あるいはそういったものが審査期間短縮という展望の中でどういう効果を発揮しているのか、そういった点について説明をいただきたいと思います。
○深沢政府委員 今御指摘ございましたように、現在事務の効率化ということを大目標に、審査期間の短縮ということも含めましてペーパーレス計画を進めているところでございます。御指摘のございました電子出願の受け付け開始は、一昨年の十二月にスタートいたしました。これにつきましてはこれまでの間おおむね順調に稼働してきておる、こういうふうに思っでございます。 それで、中身にちょっと触れさせていただきますと、この電子出願の比率でございますけれども、思ったより進んでございます。オンラインで出願します割合が五九%に相なってございます。それからフロッピーディスクでの出願が三七%に相なってございます。それ以外は従来どおりの書面による出願でございますけれども、そういった意味でいきますと電子出願の割合は九六%になってございます。これが一年たった昨年の十二月の平均でございます。そしてまた、このオンライン出願にかかりますオンラインの端末の数なのでございますけれども、これが全体で五百四十九台にも相なっているわけでございます。この辺のところ、電子出願につきましては、まさにこういった世界に先駆けた格好で進んでございますけれども、外国からの注目度合いも非常に高くなっているところでございます。 ペーパーレス全体ということになりますと、釈迦に説法になりますが、五十九年度からスタートしてございます。これまで総合データベースを構築してこれらを提供しているということ、それからFタームの検索システムの開発を行いまして、それからまた、先ほど来申し上げました電子出願をスタートさせているというのがこれまでの経緯でございますが、これから来年の一月ぐらいをめどに公報の電子出願をスタートさせるべく今努力中でございます。それからまた、平成五年度の稼働ということを目途にしながら書類等の発送それから閲覧、審査周辺事務につきましてのシステムを第二期計画みたいな格好で、五年度稼働を目標としまして現在その開発等に鋭意努力をしている最中でございます。
○菅分科員 進展状況については予想以上に電子出願が進んでいる。今のを逆算しますと書面が四%という数字になるわけですが、日本人というのは制度ができるとそれに適応するというか対応するということが大変うまいというのでしょうか、聞いていてそういう感じがいたしております。 もう一つ、これも昨年の国会でしたか、導入を決めましたサービスマークの問題があります。これも国際的な横並びの中で日本は導入が非常におくれていた制度だということで、導入をされるということは基本的には大変喜ばしいことだと思っております。いよいよこの四月からの出願と聞いておりますが、このサービスマーク導入の現在の準備状況について報告をいただきたいと思います。
○深沢政府委員 今御指摘のサービスマークの登録制度導入に向けての準備の状況でございますが、一つは法制面での準備がございますけれども、これは昨年四月の商標法の一部を改正する法律の成立を受けまして、十月までの間に所要の政省令の整備をいたしてございます。 それから、実際に出願ということになりましたときに、それを処理するための体制を整えていかなければならなぬわけでございますが、まず一つは人員の確保等、この審査・事務処理体制の整備というものがございます。それから審査基準等を整備して、そして外に公表していかなければならないということが必要になってまいります。それから、実際に審査するためにこの審査の資料を、非常に膨大なものになりますけれども、内外のデータになりますが、その辺のところの収集の整備ということが必要になってまいります。こういった意味での出願を受け入れて処理するためのいろいろな準備、これはほぼ完了に近づいてございます。 それからもう一つお話し申し上げなければならないのは、サービスマークの登録制度の導入ということになりますと、言うなれば今まで商標制度にいわばなじみの薄かった方々、サービス事業者を対象とするものでございますものですから、これは中小企業の方々を初めとします関係者に対しまして制度を周知徹底させるということが非常に重要である、こういう考え方に立ちまして、昨年秋以降四十七都道府県におきまして大々的に説明会を行ってございます。それからまた、もちろん関係の業界団体の方々に対しまして別途いろいろな説明も行ってございます。それからまた、発明協会等を通じましてこれまで相談会などを千六百回程度行ってきている、こういうようないわば制度の周知徹底というサイドのいろいろなことも行ってきて、その万全を期しておるつもりでございます。今後とも引き続き円滑な制度導入に鋭意努めてまいりたいと思っております。
○菅分科員 ちょっと前後しますが、先ほどペーパーレスあるいはハーモナイゼーションの問題をいろいろ説明いただいたのですが、そういった問題が進展していったときに、国内の制度の問題にはね返ってくることも幾つか予想されると思うわけです。そういった問題の見通しについて、現在のところどんな見通しを特許庁として持っておられるのか、お話しいただきたいと思います。
○深沢政府委員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、ハーモナイゼーションの議論がどう進展していくであろうか。一つは、まずガット・TRIPがどう展開していくであろうか。ガット・TRIPにつきましては、農業問題等含めまして現在政治的な合意を得るべくそのための準備が進んでございますから、それ以下になっていくわけでございますけれども、そういった動きを見ながらハーモナイゼーションの議論も、これは最終の条約成立に向けた議論というものが行われるわけでございます。その辺のところ、一日も早くその議論が進むことを期待するわけでございますけれども、それに応じながら、例えばアメリカなんかにおきましても国内でそういうような問題についてどうしていこうか、例えば、先ほど御指摘もございました先願主義への切りかえなんかについてどうやっていこうかという議論も、現在アメリカの国内でコンセンサスを得るべく広い議論が行われてございます。これも夏ごろを目途にその辺のところの考え方をまとめようというような格好でもって現在進めているというふうに聞いてございますけれども、こういうものにあわせながら、そしてガット・TRIPがもしスムーズに進んだ場合にどういう点が日本として制度改正をしなきゃならないかということにつきまして、いろいろ論点を整理しながら勉強している最中でございますが、基本的に大きく制度を改正する項目というのがどのぐらい出てくるかということにもよりますけれども、一番大きいのはやはり審査期間の短縮に絡んだような状況でございます。この辺のところはWIPOのハーモナイゼーションの議論がきちっと終わりませんとだめなんですけれども、それからでは遅いものですから、現在、工業所有権審議会を開いていただきまして、その下に小委員会などをつくっていただきまして、それらに対応するためにどうしたらいいか、国際的な調和を目指した制度運用のあり方についていかんということで非常に幅広い議論を進めていただいておるところでございます。
○菅分科員 制度変更ということになりますといろいろな影響が大きく出るわけですので、議論の進展そのものも、ある意味ではかなりオープンにいろいろ議論していただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。 もう一点、先ほどの一番最初の話に若干戻るんですが、日本において、日本は技術立国だと大臣は言われているわけですが、私は、最近ややこの技術立国の基礎的なバックグラウンドというんでしょうか、そういう面で幾つかほころびが出てきているように思うわけです。実は通産省の問題とは若干違う面もありますが、例えば国立大学の理工学部で今大学院生、特にドクターコースに進む日本人の数が激減していて、定員の五割に満たないところがたくさん出てきているとか、あるいは研究施設費がゼロシーリングの影響で、いわゆる人件費プラス研究施設費でゼロシーリングをかけたものですから、今から十年ぐらい前は大体五分五分ぐらい、五〇%、五〇%ぐらいだったのが、人件費は順次人事院勧告で上がっている、七五%が人件費で二五%が大ざっぱに言えば施設研究費になってしまって非常に研究施設の更新がおくれている。ですから研究をしたい人は、大学に残るよりはメーカーに行ってそこの研究室や、あるいは場合によったらアメリカの大学でもメーカーから出してもらって行った方が一番いい研究ができるという実態も一方では出ているわけです。 もう一方で、これをお尋ねというか議論をしてみたいのですが、技術系の学校を出た人がメーカーに行く比率がかなり下がっているのですね。ことしは幸いにしてなんと言うとどこかの人に怒られるかもしれませんが、バブルがはじけたおかげで、技術系の卒業生が銀行とか証券あるいは保険業務に行くのがやや減って、本来の製造メーカーなどに行く人がふえたというふうにもことしについては聞いておりますが、それまでの約十年間というのは相当の人がそういう分野に行っている。実態を聞いてみますと、やはり給与格差が非常に大きいのですね。大げさに言うと、三十代半ばで実感で言うと倍、半分ぐらいの差があるのですね。これはなぜかと私なりに考えてみますと、銀行とかというのは比較的ホワイトカラーだけで、ある意味では現場的なところの人は女性が中心に比較的どんどんかわっていく。しかし、自動車メーカーあるいは電機メーカー、そういうところはかなり大きな製造工程を持っていますから、そういう技術研究職だけ待遇をよくして突出させるということがなかなかできないから横並びになる。横並びになるとなれば、全体の水準はそんなに上げられないからある程度低くというか抑えるしかない。銀行なんかはそういう人の数が少ないから、若干突出させても銀行としては成り立つというような構造があると思うわけです。そういった意味で、この日本のまさに技術立国を支えるそういった分野についてこういった給与格差がかなり大きく存在するということについて、あるいはそういうことを背景としてこの分野に人がやや来なくなってきている問題についてどういうふうに考えておられるか、見解を伺いたいと思います。
○渡部国務大臣 今先生から御指摘の問題、これは常日ごろ私も全く同じことを心配してきておりました。私が学生時代のことを考えると、理工学部と文科系の大学では、圧倒的に理工学部の方が入学試験も難しかったし、また就職も、文句なく理工学部系ならば高い給与でいい待遇で就職がある、文科系は就職がなかなかない、こういうような時代だったのですけれども、ところが、今先生御指摘のように、社会の風潮の中、また経済の変革の中でこの立場が変わってきておることは大変ゆゆしいことだと思ってまいりました。また、私は文部大臣でございませんけれども、政治家として見るに、文部省の予算、ゼロシーリングというのはあそこは本来無理なんで、学校の教職員の人件費が七五%程度占めておるところでゼロシーリングということになれば、結局学術研究部門の予算が削られて抑えられてくるという結果、今国立大学の技術研究部門の設備が民間企業に比べて、あるいは私学に比べて気の毒なような状態になって権威を失いつつある。これはまさに技術立国で生きていかなければならない日本にとって大変大きな問題であるし、企業全体も、最後に先生お触れになられましたが、この数年間、何かバブルの中で、技術革新をして立派な製品をつくって世の中のために役に立つということよりは株を買ったり土地を買ったりした方が企業の営業成績がよくなるという中で、私は名前は申し上げませんが、財テク全盛時代、ある企業の私の親しい社長さんが、おれの会社は絶対に財テクはやらない、やはり企業というものは技術革新を常に努力してすぐれた製品を世の中に出すことによって利益を得ることであって、土地を買ったり株を買ったりして利益を得るということは、必ずこれは災いを将来に残すということで一切そういうことに手をつけなかった会社が今立派に評価されておりますけれども、ちょうど今あのバブルの崩壊によってそういう問題に大きな反省期が来ております。やはり日本が今日あるのは、何といっても戦後技術革新によって皆が努力してすぐれた、世の中に役に立つ、そしてコスト低減、そういう中での今日の繁栄のやはり一番中核になっている方はそういう理工関係の技術者ですから、こういう方が社会的にもまた企業の中でも、また学術文化の中でも高く尊敬され、評価され、そして経済的な処遇も受けるというようでなければ日本の将来はない。したがって、こういう考えの中にこれからの予算編成なり政治の方向を進めていかなければならない。全く先生と同感であります。
○菅分科員 それでは時間ですので終わります。
○小澤主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。 次に、東祥三君。
○東(祥)分科員 公明党の東祥三でございます。 本日はフロン問題、そしてまた地球温暖化の問題、電気自動車の問題、三点にかかわる問題について御質問させていただきます。大臣のスケジュールの関係で、ちょっと順序を逆転して質問させていただきます。初めに、電気自動車の問題について質問させていただきます。 御案内のとおり、自動車は現在、国民生活の足としてなくてはならない存在となっております。しかしながら、自動車の保有台数の急激な増加に伴って車社会のひずみともいうべきさまざまな問題を惹起しているのも事実でございます。一昨年、党の環境調査団でヨーロッパ、環境問題先進諸国と言われる西ドイツ、オランダ、スウェーデン等に行ってまいりましたが、スウェーデンのボルボ社を訪問させていただきましたときに驚いたのですが、ボルボ社の常務が、自分たちがつくり出している自動車というのはまさに環境破壊物である、このように認識している、またそれをボルボ社の宣伝に、宣伝文句としてうたいとげている。自動車の存在それ自体を問いかけている。 そういう環境問題との兼ね合いで考えれば、日本においても大都市部における大気汚染の問題、そしてまた自動車から排出されるCO2あるいはNOxの問題、我が国の二酸化炭素の排出量のうち運輸部門が占めている割合というのは着実にふえ続けております。現段階において二三・五%にもなっていると報告されております。また、その中でも自動車が約八五%と大部分を占めているわけであります。また、対外的に見ましても貿易摩擦、あるいは国内でも量産による薄利多売と言っていいのでしょうか、シェア率重視など、時代の方向性と自動車普及の哲学といったものがかみ合っていないような状態になってきているんじゃないのか。さらにまた社会問題として、自動車の保有台数がふえるに従って大都市を中心にして駐車場不足の問題、ありとあらゆる問題が自動車にかかわってきていると言っても過言でないのかもわかりません。車社会のひずみが大変な状況になってきている。そういう意味から考えますと、日本経済を支えているある意味でリーディングインダストリーという形で肩ひじをずっと張って進んできたそのこと自体に疑問を提示せざるを得ないような状況になってきているんじゃないのか。 そういう意味で、まず通産省は今後の車社会と環境との調和ということに関連してどのようにお考えになっているのか、大臣から御見解を伺いたいと思います。
○渡部国務大臣 今、この国にある自動車は大体六千万台前後と言われておるわけですから、これはまさに地球の百分の一の地域に六千万台の自動車がある。本来であれば、駐車場やガレージができてそこに自動車が入ってくる、道路ができて自動車が入ってくる。ところが、自動車ができてそれから駐車場の問題を心配しなければならない、あるいは道路をつくらなければならないというような現状です。しかしこれは、そのゆえにそれが一概に悪いかといえば、普通の国が百年で進むところを十年で、あるいは何百年かかるのを何十年かで日本は急速に進んで、三十年前を振り返ると、今日の生活は夢のように進んできたわけでありますから、そのこと自体が誤った道であったとは私は決して思いませんけれども、そういうふうに貧しい、廃墟の中から皆がひた走りに走ってきて今日の繁栄を築いた。築いたとこみに、ふと立ちどまって過去を振り返りこれから展望すると、今の先生のようなもろもろのひずみの問題が出てきて、これを直して、今度こそ本当に一人一人が皆幸せな生活を日常の中で感じられるようなゆとりある社会を求められるような時期になってきたんじゃないかということが、我々が今生活大国日本というものを掲げ、また通産省も今環境問題というものに真剣に取り組んでいるゆえんであります。 そういう中で御理解をいただきたいのは、二十年前までは日本はただ輸出振興、国産愛用、とにかく物を生産して豊かな経済をつくるということでひた走りに走って環境問題を考えるゆとりがなかったわけですけれども、二十年前、環境問題が大きな政治の問題になって、自動車にしても世界で最もすぐれた排気ガス規制をする、環境を考える車をつくる技術的な努力をしておりますし、また固定発生源である火力発電所なども、世界の中で一番環境を汚さないすぐれた技術革新を進めてそういう設備をつくっております。まあ東京の空も二十年前富士山が見えなかったのが、東京ガスが思い切って天然ガスを使うことによって今青空が見え、そして富士山も見えるという努力をしてきたわけでありますけれども、しかし、今また大きな転換期に立って、もう環境問題というものは一国主義では環境政策はならない。オゾンに代表されるように、地球規模で環境問題を考えなければならないという時期に入ってきたわけで、幾ら日本の国内でCO2を出さない努力をしてみても、中国がこれからどんどん経済が進んでそこから来るということになれば、こういう時代でありますから、我が国がこの二十年間努力してきた環境対策の技術というものを国際貢献の中で世界の環境保全に役立たせなければならない、こういう時期に今来ていると考えております。
○東(祥)分科員 基本的な御見解を賜りまして、まさに車社会のひずみから派生じている種々の問題、そのことに関して通産大臣が極めて御精通なされておって、その問題に対して大きな関心を持たれているということがよくわかります。ただ、こうした自動車による環境問題に対しての具体的な、今までは内燃機関を中心にした自動車であり、その存在それ自体がある意味で環境に対して極めて厳しい、特にディーゼル車を中心に、ディーゼル車が走っている近隣に住んでいる人々は、一方において空気はよくなっておりますけれども、環八周辺の人々にとってみれば大変な器官の障害、こういったものも多発しているという現実もある。なかなか資料、データがそろっていないのでセンセーショナルにはなっておりませんけれども、目に見えない形で健康それ自体にじわじわ害を及ぼしているという現実も指摘されているわけです。 内燃機関の自動車にかわるものとして今脚光を浴びつつあるのが低公害車と言われる電気自動車である。先ほど通産大臣御指摘のとおり、内燃機関自動車保有台数六千万台、それに対して現在のところ電気自動車というのは一千台ぐらいしかまだないそうでございますけれども、この内燃機関を使った自動車にかわり得るものとして電気自動車が出てきているのか、それとも、内燃機関の自動車はそのままおいておいてもっと環境に優しい低公害車としての電気自動車をこれからどのように促進されようとされているのか、この点についてもお伺いしたいと思うのです。
○熊野政府委員 車社会と環境との調和を図ることにつきましては、先ほど大臣から基本的な考えを申し上げたとおりでございますけれども、さしあたり単体としての自動車は排出ガス低減の車をいろいろ開発をしていって、かつその技術開発したものを体化した車を普及促進していくことが重要ではないかというふうに考えております。 それから中長期的に考えますと、ただいま御指摘のありましたような電気自動車あるいはその他のメタノール車でありますとか天然ガスを使ったような車とか、いろいろな形での低公害車の開発普及を図っていくことが大変重要ではないかというふうに考えているわけでございます。その中でも、CO2対策あるいはNOx対策といったような観点から、電気自動車の開発、普及促進が極めて重要な課題ではないかというふうに私ども考えておりまして、こういう観点から通産省としては、既に古くから日本電動車両協会を通じました電気自動車リース制度の創設でありますとかあるいは税制上の優遇制度の創設等、いろいろ技術開発ないし促進を図ってきたところでありますけれども、ただいま先生から御指摘のありましたように、残念ながらいまだ普及度は大変低い状況になっております。 そこで昨年十月に、二〇〇〇年を目途にいたしまして抜本的に普及拡大を図っていくような電気自動車普及計画というものを、学識経験者に集まっていただきましていろいろ御議論いただいた結果として策定したところでございます。 この計画におきましては、二〇〇〇年においてさしあたり二十万台の普及を図ることを目標といたしまして、二〇〇〇年までの期間を四つの普及ステップに分けまして、まず最初は公共的な機関から、それから公益事業的なもの、それから一般的な商業、さらに最終的には一般ユーザーのリース的な拡大を図っていくというふうなステップを定めまして、それぞれの段階に応じて重点的にただいま申しましたような普及分野に対応する施策をやってまいりたいということで、各種の技術開発政策と相まって普及施策を積極的に展開していきたいと考えている次第ております。
○東(祥)分科員 大臣もう行かれる時間が迫ってきておりますので、余り大臣にお目にかかる機会がありませんから、電気自動車の部分をちょっとはしょって、先ほど大臣の御見解の中にもありましたフロンの問題に話題を転じさせていただきたいと思います。このフロンについては昨年二月の商工委員会、そしてまた五月の決算委員会においてしつこいほど取り上げさせていただいておるのですが、ぜひ大臣にも御所見を伺っておきたい、その意味でまた今回も取り上げさせていただきました。 昨年の五月に、私の調べたところでの諸外国におけるフロンなどの規制スケジュールを申し上げましたが、それからまだ十カ月ほどしかたっておりませんけれども、世界の状況、世界の主要諸国というのは生産の全廃をさらに一層早める、動きに加速化が見られます。例えばドイツなどは当初九五年までの全廃というふうに言っていたのですが、最近では九三年末までに全廃する方針を明らかにしております。またイギリスにおいては九五年末までに全廃、デンマークは九四年末までに全廃する、このように聞いております。またECも九七年七月というふうに言っていたのですが、それを一層早めて前倒しの検討に入っている最中だというふうに伺っております。また昨秋、御案内のとおり業界最大手のデュポン社が、ハロンを九四年末、そしてまたフロンを九六年末までに全廃することを決定しております。また先月にはブッシュ大統領がセンセーショナルに、アメリカでもフロンなどを九五年末までに全廃することを宣言いたしております。 フロンについての科学的な知見についてはもう既に過去二回にわたって十分に述べたつもりでございますけれども、国連環境計画、UNEPの昨年十一月のレポートでは新たなる科学的知見、それが本当に科学的知見に支えられているのかどうかわかりませんが、オゾン層破壊によって有害紫外光線によるエイズウイルスの活性化、さらにオゾン層が破壊されるとエイズキャリアが発病し出す、そういう衝撃的なレポートも発表されております。こういった状況を踏まえた上で、フロンの世界の需要の約一割強を占めているこの日本が一日も早く前倒し規制、早期全廃を正式に宣言するべきときが来ているのじゃないのか、このように考えている次第です。担当部署の名前も、もし間違いかなければ昨年の夏まではフロン等規制対策室と言われていたらしいですけれども、今ではオゾン層保護対策室と若干明るい将来を展望させる名前に変わったと私は伺っております。こういったことも踏まえた上で通産大臣の御決意、できるならばもう前倒し宣言をこの機会に一挙にやってしまう。どうぞ御見解を賜りたいと思います。
○渡部国務大臣 今先生から世界各国の取り組みについてお話がございましたけれども、まさにオゾン層保護の問題は地球的規模の環境問題でありますから、国際的にまず協力し合って行うことが大事なことであります。我が国としても、もとより今先生御指摘のように工業先進国として非常に大きな責任を持っておるわけで、またそのすぐれた技術力をもって世界のこの問題に協力し、貢献していかなければならないことは先生御指摘のとおりであります。したがって、今いろいろお話がありましたように、この問題について先生等の御意見の中で通産省も率先してきょうまで取り組んでまいりました。 すなわち、我が国においてはモントリオール議定書で定められた削減スケジュールよりもさらに前倒しでフロンの削減を進めてきておりますし、さらに引き続き一層の削減及び代替を進めてまいるつもりでございます。なお、フロンの全廃時期の前倒しについては、これが議論される本年十一月のモントリオール議定書条約国会合に向けて、経済的、技術的な問題も踏まえながら積極的に先生の御意向を体して検討をし、前進をしてまいるということを申し上げさせていただきます。
○東(祥)分科員 日本の物の見方なり考え方、また一つの行政の枠組みの中で一つの目標を掲げて、その目標に向かっていく手続なりそういったものに関しては、まだまだ私は経験が浅くて何とも言えないのですが、世界各国に比べますと、確かに日本というのはヨーロッパその他欧米諸国に比べて、目標年次を設定してここまでにやるのだと言わないにもかかわらず一生懸命やられているのだろう、そういう実績というのは私は確かに評価するのですが、言葉先にありきではありませんけれども、日本というのはそのすそ野から一生懸命やられている、しかし最終的に、例えば九五年なら九五年という全廃を宣言してしまう、しかし、もしもそれができなかったことをすごく考えるのだろうというふうに思うのです。そういう意味では前倒し宣言の年に関してなかなか言わない、しかし現実においては一生懸命やっている。それは日本の国内の中では確かにそれでいいのかもわかりませんけれども、外国から見た場合、一生懸命やっているのだけれども目標年次が出てこないからよくわからない、損するのじゃないかといつも私には思われてならないわけです。今通産大臣から極めて慎重な示唆に富んだお話があって、十一月まで待たなくちゃいけないのかなというふうに思えるわけですけれども、その点についてもう一度通産大臣の御所見を伺って、私の考え方は正しいのか、それとも、東、そういう考え方じゃだめなんだよということなのか、その辺について大臣のお考えを伺いたいと思います。
○渡部国務大臣 日本がこの問題をいずれの国よりも真剣に考え、またすぐれた技術をもってこれから世界に貢献しようと着実な努力をしておることは先生御理解のとおりであります。ただ、これをいずれの国にも先駆けて華やかにぱっといつ幾日までというようなことを言うと、これは非常にショッキングな反響を呼ぶのでありますけれども、ここにいるのは私以外はみんなお役人さんですが、日本のお役人さんは非常に慎重なものですから、私が一人でここでぱっと何年までにというようなことを言って大きな新聞記事にでもなりたいのでありますが、なかなかそれを言う立場にないということを御理解賜りたいと存じます。
○東(祥)分科員 どうもありがとうございます。 昨年の二月に伺ったことでございますが、商工委員会で、ごみを取るためだけのスプレーあるいはエアガンなど不必要なフロンガスの使用をやめさせるためにどのようにしたらいいのか、そういう例も提示させていただいたわけですけれども、現在、不必要なフロンガスの使用をやめさせるためにどのような御努力をされてきたのか、またその成果はどうだったのか、この辺について御答弁願いたいと思うのです。
○坂本(吉)政府委員 フロンの使用をできるだけ削減するための努力につきましては各般の努力をいたす必要があるわけでございますが、ただいま東委員が御指摘の不必要な分野におけるフロンの使用という点につきましては、我々としてもその分野における使用の削減に努力をしてまいりました。例えば、オゾン層保護対策推進月間が設けられているわけでございますけれども、そういった場を通じて大臣から産業界に要請するという啓発普及の努力をまず行っているわけであります。 例えばエアゾールの分野におきましては、医療品、高温下での作業用用途などの特殊な用途を除いてこれをLPガスに転換する。また冷媒の分野におきましては、フロン回収の体制整備を進めております。これは大変進んでいると認識いたしております。また発泡の分野におきましては、断熱性能の要求される硬質ウレタンフォームを除きまして、これを水とか炭化水素発泡などに転換する。さらに洗浄の分野におきましても、水あるいは回収再利用装置を導入するというようなことに努めているところでございます。 当面、フロンでないと設備あるいは技術の側面でその目的がなかなか達成されないといった分野を除きまして、転換及び使用の合理化は相当進んでいると考えておりますが、我々としては使用削減の努力、さらに供給の削減、両方の努力を一層積み重ねることによりまして、委員御指摘の不必要な分野における使用というようなものは速やかになくしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○東(祥)分科員 時間が来ましたので最後の質問になりますけれども、フロン問題というのは全人類にとって一刻も早く全廃しなければならないという客観的な事実がある。他方において、そういったフロンを今日まで生産されてきた人々にとってみれば、一朝一夕に全廃という方向に持っていってしまえば中小零細企業の方々の生活の糧を奪うことにもなってしまう、そういう意味で極めて難しい問題だろうということも私はよく承知いたしております。そういう意味でフロン使用にかかわる中小零細企業の援助措置といいますか、代替フロンにフェードアウトさせていく、そういう方向でどのような援助措置をおとりになっているのか、この点について御質問させていただいて私の質問を終わりたいと思います。
○坂本(吉)政府委員 ただいま御指摘の点は、まさに我々が現場で最も苦労というか努力をしなければならないところでございます。中小企業の設備の問題というのがフロンの転換に当たっていわば最大の重要な問題でございまして、これにつきましては所要の金融、税制上の措置を導入いたしますとともに、やはり情報の提供ということが中小企業の皆さんにとって大変大切なことなものでございますから、例えばオゾン層保護対策産業協議会といったところを通じまして中小企業に対するマニュアルの作成と配付というようなことを行い、それによりまして削減技術が中小企業に円滑に導入されるということを情報の面からも努力したいと思っております。 なお、金融、税制上の措置といたしましては、御承知とは存じますが、例えば特別償却制度あるいはオゾン層保護対策設備導入促進のための中小公庫、国民公庫による低利融資、また設備近代化資金貸付制度などによりまして脱フロンのための機械設備の導入の促進を図りたい、こういったことを通じまして中小企業の方々のいわば物質使用の転換に伴う困難というものを少しでも緩和しながら、全体としてフロンの使用削減ないし将来にわたっての全廃ということに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○東(祥)分科員 どうもありがとうございました。 きょう運輸省の方も来ていただいていたのですが、質問できなくて申しわけありません。
○小澤主査 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。 午後一時から再開し、総理府所管中経済企画庁について審査を行うこととし、この際、休憩いたします。 午前十一時四分休憩 ————◇————— 午後一時十二分開議
○水田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中総理府所管経済企画庁について審査を進めます。 政府から説明を聴取いたします。野田経済企画庁長官。
○野田国務大臣 平成四年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、四百十七億八千万円余であります。 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、七千四百九十億円を予定しております。 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。 第一に、内外の環境変化を踏まえた適切かつ機動的な経済運営の推進に必要な経費として、十六億六千万円余を計上しております。 この内訳の主なものは、機動的な経済運営の推進及び物価安定の持続、さらには国際的な政策協調を推進するために必要な経費であります。 第二に、ゆとり、安心、多様性のある国民生活の樹立に必要な経費として、二十八億一千万円余を計上しております。 この内訳の主なものは、国民生活を重視した基本政策の推進、消費者の保護・支援のための施策の推進を図るため、国民生活センターの機能の充実・強化に必要な経費、内外価格差、地価問題への取り組みの強化に必要な経費であります。 第三に、国際経済協力及び国際研究交流の推進に必要な経費として、三百四億三千万円余を計上しております。 この内訳の主なものは、まず海外経済協力基金に対すお交付金三百一億九千万円余であります。 本基金の平成四年度の事業規模は、政府開発援助の第四次中期目標の着実な実現を図るため、九千三百億円を予定しております。 このための資金としては、一般会計において、前述の交付金のほか出資金二千九百六十二億円が計上されておりますとともに、財政投融資計画において、資金運用部資金等からの借入金が七千四百九十億円となっております。なお、出資金は大蔵省に計上されております。 また、途上国との対話の促進、アジア・太平洋協力及び旧社会主義圏支援の推進、国際研究交流の推進に必要な経費であります。 第四に、調査・研究体制の充実・強化、情報システムの高度化に必要な経費として、十三億二千八百万円余を計上しております。 第五に、地球的視点に立った中長期政策の展開に必要な経費として、一億五千三百万円を計上しております。 以上、平成四年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
○水田主査代理 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。 —————————————
○水田主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げます。 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
○井上(普)分科員 ここへ来る途中の廊下で国会職員と会いまして、企画庁のところはどうなんだ、どこだと言って聞いたのですよ。そうしますと、企画庁は第六分科会でやっています、しかし、先生、実は企画庁に質問する人が非常に少ないんだというのを聞きまして、えらい時代が変わったものだなと私つくづく感じたのです。国土庁をつくったときに私もその審議に加わった一員だったのですけれども、むしろ国土庁をそのまま企画庁に置いておいた方がよかったなという感をしながらここへ入った次第であります。役所というのはむやみにつくるものじゃないと思いながらここに立っておるのであります。 そこで、通告いたしてございました購買力平価についてお伺いいたしたいと思うのです。一購買力平価については、私らが申し上げるまでもなく、労働者にとりましては大体どれくらいの生活水準が保てるかということで非常に重大な指標になると私は思います。ゆうべだったか、遠藤周作さんの心の何とかという随筆集を読んでみますと、なかなかおもしろいことが書いてある。戒名料はなぜ高い一のかとかいうことが書いてあった。漫談になりますけれども、その中の一節に、日本はこういうように経済大国というような国になったが、一体それを感じておるかといいますと、全然感じてない、あるいは経済力が豊かになって貿易黒字になっているけれども、どうも感じない、こういうことをその中に書いてあるのです。おもしろく読んだんだけれども、そのことを思い出しながらお伺いしたい。 購買力平価は、日本ではどうして統計をとらないのですか。この点、一つお伺いしたいのです。
○野田国務大臣 これは先生御案内のとおり、一応生活のパターン、消費のパターンもそれぞれの国によって異なっておるわけでありまして、そういう意味で、同じ日本人が日本で住む場合、アメリカで住む場合、ヨーロッパで住む場合と、日本人が日本に住み、あるいはアメリカ人がアメリカ人のライフスタイルでアメリカで住む、いわゆる標準的な生活者というか、その国における生活者という視点でとらえると、どうしてもそれぞれの国の生活パターンに合わせた一つの統計のとり方という方が妥当ではないか。ということになれば、そういうパターンをどういうふうにやっていくかということになると、やはりある程度国際的にまあまあというような指標のすり合わせみたいなものも必要になるだろう。そういった中で、現在OECDがそういうことを念頭に置いて計算をしてやっておりますので、むしろ我が国があえて独自にそれとは別にやるということは、勉強としてはいいかもしれませんけれども、一応対外的にあるいは国民に対しても御説明申し上げるときに、OECDの数字というものを引用して御説明した方がいいのではないか、こういうことで挙がっておると思います。ただ、例えば特定の商品の分野であったり、そういう特定の分野については日米共同で一緒に調査をしてみたり、そういったことはやっておるということであります。
○井上(普)分科員 それが違うんですよ。昭和五十四年と六十年には労働省でやっています、これは。それから西ドイツにおきましては、統計の国と言われるだけあってずっとやっているんです、毎月。OECDが出したのはいつからです、専門家おるか。最近ですよ。 そこで私が申し上げるのは、実は私、これは労働省、おい何でやめたんだ、五十四年にやって六十年にやって、そして後はOECDの数字を使っている、昭和ですよ、昭和六十年、おかしいじゃないかと言ったら、いや、実は手間が足りないんだ、これをつくるのに二人職員が一年かかる、こう言うんだな。それはまあ労働省も大変忙しいんでしょう。しかし、それじゃゆとりのある生活水準がどんなのか、これは私はわからぬと思う。今も野田長官が言われたように、各国各国によって生活様式も違う、しかし違うからやらなきゃいかぬのじゃないかと私は思うんですよ、国際比較をする上においては。現に全日本金属産業労働組合というのは毎年ずっとやっているんですね。労働省御存じでしょう、これやっているんです。民間の労働組合がやれるものが役所がやれぬということはない。この数字を私は読みますが、私はこういうものを、これこそ企画庁なり労働省が、むしろ企画庁は学者集団みたいになっているから、ここいらでおやりになる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがです。
○小林(惇)政府委員 ただいま委員御指摘の点でございますけれども、OECDは一九八〇年から五年ごとにやっておりまして、そこで当初のねらいといたしましては、OECDの各国の分担金を算定するための基礎データにしようということで、それが各国の購買力平価を評価する材料に転用されて使われておるというのが実態でございまして、国際比較の方式としては中立、公正かつ広範なデータが収集されておるものでございまして、今現在我が国独自にその購買力平価を計算をしてまいるという考えはないわけでございます。ただし、委員も御指摘がございましたけれども、例えば生活に直結をした物資がそれぞれ国によって違いがありまして、例えば日本とアメリカの間でやっております二国間の生計費調査等では四百品目ほどやっておりますけれども、そういうやり方で二国間生計費調査で補完をして利用させていただいておる、こういう実態になってございます。
○井上(普)分科員 OECD,OECDと言いますが、OECDに日本が加盟したのはいつからです。OECDはマーシャル・プランを経済的に実行するために西欧諸国がつくったのが最初じゃないですか。日本がOECDに入ったのは一九六四年だ。それからOECDに入ったんだよ。あなた方は今だに何でもOECD、OECDと言うけれども、またこれは二十四カ国でしょう、OECDというのは。ここでつくられる資料よりもしっかりしているのは、西ドイツはずっとやっているんだ。だから、統計といえば一番正確だと言われるのは、私らは素人だけれども、一般的に言われているのは西ドイツと日本の統計だと私は先輩の皆さん方から承っておる。それは、皆さん方の先輩あるいは農林省の皆さん方の先輩、こういう日本の官僚の皆さん方がつくった統計というのは世界的に高く評価されて今まで来たと思うのです。いいかげんな統計資料というのはたくさんあるけれども、私はやはり日本とドイツのが一番しっかりしているのだなと言いながら、その統計資料を読んでいる。しかしOECDになると、これはあなた、公平、公正なものだなんといって勝手に決めているけれども、これはそんなものじゃないですよ。OECDの職員に日本人は何人入っていますか、知っていますか。言ってごらんなさい。
○小林(惇)政府委員 人数は知っておりません。ただ、全体の分担金の率に比べまして、率としては低い比率の日本人職員しか入っていないという事実は知っております。
○井上(普)分科員 これは非常に少ないのですよ、OECDの機関に入っているのは。そこでつくられた統計が皆さん方がお送りになる統計でしょう。日本の消費者物価指数とかそんなのをお送りになって向こうで勝手にやっているのでしょう。それでつくられておるから、私はどうもあの数字というのは信用いたしかねているんだ。とすると、あるのは労働組合がやっているこれしかないのです。ところが、これは私らにも読みにくい。これはこういうことになっているのですね。労働組合ですから、賃上げに使いますから、時間当たりのをやっているのですが、家庭電器の組合員一人当たりの時間の賃金と外国との比較、あるいは鉄鋼産業の組合員がどうだ、自動車の組合はどうだというように分かれているのですね。だから、小さい組合といいますか、そういうところの人たちのがこれは出てきてないのです。 ですから、本当に日本人の生活水準に合わせたものの購買力平価というものが実は今ない。かつて、昭和五十四年と六十年に労働省においてつくられた二年の資料があるだけなんです。これじゃ、ゆとりのある生活、他国よりもゆとりがあるぞとか、あるいは生活大国だとかいって看板を掲げる宮澤内閣とすれば、ちょっとお恥ずかしいんじゃございませんか、どうです。だから、おやりになったらどうです。経済企画庁というのはもう学者集団みたいに私は思っているんだが。
○野田国務大臣 先生のおっしゃる御趣旨はよくわかるんですけれども、OECDの資料が当てになるか当てにならぬか、これは一応国際比較する場合に非常に大事な統計資料としての重みがあると私どもは受けとめておりますが、先生十分御承知の上でのお話ですからあえて申し上げる必要もないとは思うんですけれども、基本的に購買力平価というのは人間の消費パターンといいますか生活パターンの問題ですから、仮に日本が調べるとしても、じゃアメリカの国民の平均的な消費パターンはどういうことなのかというようなことが、やはりそれだけの説得力のある、そういうものを前提にして計算していかないと間違うわけでありますね。 日本でも確かに物価指数そのものについても、御案内のとおり、五年に一遍ですか、消費構造が変わってきておるわけですから、それに合わせて変えてきておる。同じようなことが各国においても実はあるわけでして、そういう各国ごとの標準的な消費パターンというものを各国政府の責任においてやっておるわけですから、そういったものを今度はOECDの方が取り寄せて比較をするということですから、それぞれ諸外国におけるそういう購買力が生活とのかかわりの中でどういう姿にあるのかという、その姿をとらえるというのは、結果的には、日本政府が独自に調査するよりも、むしろバイアスのかからないように、それぞれの国の政府が自国民の生活のパターンを調査をしてやるという方が望ましいんじゃないかな、ざっくばらんに言ってそんな感じがするんです。ただ、勉強としていろいろ統計のとり方を工夫してみるということは、それなりに勉強する意味はあろうかとは思いますけれどもね。
○井上(普)分科員 今、私、ここに資料を持っておるんだ。これは労働省の労働統計調査月報だ。これの八七年の一月号に出ておる文章だ。ここの最後の「日本・アメリカ、日本・西ドイツの消費購買力平価」というので、遠藤雅仁という人が書いておるんだ。いただいたんだ。私は本を後ろから読む癖がありまして、後ろから読んでいくんだ。そうすると、まず一番後ろには、「OECDは一九八〇年時点でGDPについての購買力平価をOECD加盟十八カ国について推計している。」あくまでも推計ですよ。「OECDの購買力平価推計の目的はGDPを各国の物価でデフレートするためのGDPデフレーターを求めることにある。従って、本推計で試みたような消費者物価水準の比較とは目的を異にしており、推計方法も異なる。」とあります。 だから、そういうような点からすると、やはりこういうのは日本独自でやった方がいいという結論になるんだ。こういうようなところをひとつお考えになって、これは労働省が人が足らぬからとかいうようなことでやることじゃなくて、本当に豊かなというか生活大国を目指すのであれば、国民を納得さすような、遠藤周作さんにそんな嘆きを言わさぬような国にするためには、しっかりした統計を——思い出した、遠藤さんの「心の砂時計」という本だ、それに書いてあった。だから皆さん方もそれはいろいろお忙しいだろうとは思うけれども、あるいは労働省も金がないだろうと思う、けれども、こういう目的、宮澤内閣が掲げておるのが生活大国なんだし、国民全体がゆとりある生活を求めておるときだから日本独自の、独自じゃなくていいから、正確に日本の労働者と各国と比較できるような統計をとっていただきたい、どうでございます。
○野田国務大臣 いろいろ勉強させてもらいたいと思います。我々、できるだけ客観的な基準に基づいて正確に現状がどうあるのかということを認識するということが大事なスタートでありますから、そういった意味で、いろいろ先生の御示唆の点を踏まえてさらに勉強させてもらいたいと思います。
○井上(普)分科員 さらにもう一つ、私このごろ気にかかってしょうがないのはODAなんですよ。ところが、ODAを先ほどもちょっと、きのうは外務大臣に、さっきは大蔵省と話ししたんですが、ODAというのを出すことは、これだけ富んだ国だから出すのは当然としましても、これだけ大きい、一般会計で八千億円、財投を入れますと大体一兆九千億になると思いますが、これだけの金を投ずるのでありましたならば、やはりこういう効果があったぞ、むだ遣いでなかったぞということが示されるようにしなきゃいかぬと思うのです。戦後、御存じのようにマーシャル・プランによりまして、日本、敗戦国というのは同時に後進国ですね、ともかく厳しいアメリカの会計検査院の指摘を受けながら実は過ごしてきたと思うのです。あれほど厳しくなくてもいい、しかしながら効果の上がらないものがあったら大変ですよ。 私はこういう経験がある。池田行彦君と一緒に、イラ・イラ戦争の最中ですがイラクに行きました。行って、道路のことはこの間言ったからやめる、医療の援助をやっておる病院へ行きました。私どもを案内するのは商社の方です。そして見ますというと、私も医者の端くれですから、この国のレベルでこれだけ最高の機械が利用できるかな、また薬剤所へ入りますと、ありゃ、これほどの施設あるいは分析器が使えるかいなというものも入っていました。今までのODAのやり方というのは、日本政府は金を出すぞ、商社の諸君が向こうの政府に対して、こんなことを言ったら余計出るからということで、あなた方ひとつプランを立てなさい、私らが受け合いましょうということでやってきた。そのためにこんな使えないようなもの、能力以上のものを買うということになっている。これは日本の自衛隊だって同じだ。一番いい飛行機が欲しいのですよ、自分の能力はこんなものだ。中国だってそうです。上海にある鉄工所を見たって、ともかく日本の最高水準の鉄工所が欲しいと言うけれども、向こうの技術者の水準からしたらもっと下げた方がいいのじゃないのかと忠告した、ところが聞いてくれなんだという話も私は承っておる。大体そうしたものです。 しかし、これは何といったって我々国民の税金ですからね、民生の安定と向上のために効果のあるものでなかったらいかぬ。エフェクトのあるものでなかったら、国民の立場からしたらたまったものじゃないです。そういう点でもう少しフォローアップする必要がある、こう思うのですが、経済企画庁としてはどう考えます。 実は私は外務省に対しては、外務省の諸君に対しては余り信頼感持ってないんだ。例えて言ってみたら、さっきも言ったんだけれども、オペラが好きな大使がエジプトへ行ったらオペラをつくってみたり、あるいはまたバンコクで歴史博物館をつくってみたり、ODAと、経済協力と何の関係がある。その大使の意向に従ってともかくやられるようなことでは困る。 チェック機能といってきのうも外務大臣に聞きましたら、いや私が大蔵大臣やっているときに一事業一事業についてチェックするような機関にしましたから大丈夫だ、こう言う。それじゃというんで、もう時間がなかったものだからきょう大蔵省に、バンコクにある歴史博物館というのはいつつくったんだ言ってみいと言ったら、いや全然存じません、チェックはしてないんですね。これじゃ困るということを実は申し上げたくて、もう少しフォローアップする、アメリカほどの、マーシャル・プランの当時にアメリカの会計検査院が入るようなフォローアップまでは私は要求しませんが、ともかく今までの外務省というのは、フィリピンのマルコス当時のことがあるからでしょう、相手に主権があります、相手国の主権を侵害したらいけませんから、ただこれ一言だけですよ。我々の国会あるいはまた政府がフォローアップすることについては拒否し続けてきたのが現状じゃありますまいか。これを直さないかぬ。一兆八千億になったんだから、もうここいらで国民の皆さん方に納得していただけるような、効果の上がるようなODAにしなければいかぬと思うのでございますが、お考え方とその方法についてお伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 この前の予算委員会でもそのことについて大分時間を割いて御議論が行われたこと、私もずっと拝聴いたしておりまして、大変勉強になったと思っておるんですけれども、率直に言って、大体基本的には先生がおっしゃるのと似たような感じを持っているんですよ。どんな政策もやはり後フォローアップをして、その効果があったのかなかったのかということをある程度、これはODAのみならず、いろいろな政策もそういう部分は必要だと思います。ただ、その評価の仕方が、できるだけ多面的な評価が行われるようなこともまた考えていかなければならないという感じはいたします。 そういった意味で、この政府開発援助の予算の使い方といいますか、大体どういう基本理念といいますか、どういうスタンスでやっていくかということがまず大事だということで、既に行革審からもいろいろ御指摘をちょうだいしておりますし、政府としても、まず開発援助大綱を策定しようということで今一生懸命やっておるわけですね。こういうことで、今まずその努力をしよう、実施に当たってのそういうスタンスをまずきちっとしよう、その後フォローアップ体制も、いずれこれはどういうスタンスで評価をしていくかということもあると思います。 その際大事なのは、従来人道的な見地であるとか、特にそれぞれの途上国が自立を目指していくということ、それに役立っていくということが大事なことだ。そのほか民生優先であるとか、いろいろな配慮があると思います。しかし、そのほかに、最近外務大臣からいろいろ御答弁があったと思いますが、日本国としてのこれから国際社会の中で果たしていく役割、そして日本国としての政策というものをどう実現していくかということについて、せっかく支援をするわけですから、日本の政策についても理解のある国になってもらいたいというのは当然のことだと思いますから、そういった配慮も外務省という立場からすれば一方では当然必要なことであるし、これは政府としてもまた必要なことでしょう。そういった意味でのさまざまな角度からの評価体制ということは勉強していかなければならぬことだと思います。
○井上(普)分科員 実は野田さん、新しくODAの大綱をつくるというのを私これは初めて聞いたんだ。今まで海部内閣がつくった四原則というのがありましたね。今までこれが基本だということであったんですけれども、これは人権条項が入っている、アメリカにおべっか使うために入れたんだろうと思うけれども。そういうことは改めまして、私の言うことは大体御理解になっていただいたと思う。言ってみれば、日本が援助してつくった港が一年間で砂で埋まっておるようなところも見てきました。しかし、ともかく効果があるように使われる、それと同時に、やはりあなたがおっしゃったように自立ができる、そしてまた民生が、生活力が向上できる、こういう面を中心にしてODAをやられることを心から望んで、私の質問を終わります。
○水田主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。 次に、鈴木久君。
○鈴木(久)分科員 私は、公共交通といいましょうか、国民の足を守っておりますタクシー、ハイタク問題の特に料金改定にかかわって、公共料金をつかさどっている経企庁の皆さん方に幾つかの質問をさせていただきたい、こういうふうに思っております。 まず、運輸省お見えですね。今回タクシーの運賃の改定の申請がなされていると思いますけれども、その改定の主なポイント、特に特徴をお示しいただきたいと思います。
○宮崎説明員 今回の東京のタクシー運賃の改定申請につきましては、昨年末から本年初めにかけまして各事業者から平均一九・五%の増収を図るための運賃改定を求める申請が出されております。申請事業者の申請理由説明によりますと、今回の改定申請は、タクシー運転者の労働条件の改善及び経営収支の改善を図ることが主な目的となっております。すなわち、タクシー事業につきましては依然として厳しい労働力不足が続いておりまして、これを解消して安定的なタクシー輸送力を確保するため、労働時間の短縮及び賃金水準の向上を図ること、前回の運賃改定後の人件費の上昇などによりまして経営収支が悪化している、そういった事態の改善を図って経営を安定させること、この二点が今回の申請の主な特徴、目的ということであると認識しております。
○鈴木(久)分科員 そこで、同時に改定の申請とあわせて、東京乗用旅客自動車協会とハイタク労働団体の七団体の合意書といいましょうか、この改定に当たっての覚書を結んで、それを改定申請と同時に提出をされている、こういうふうにお伺いしておりますけれども、その覚書の持つ意味というのはどういうものなのか。これは前回からこういう覚書を提出をされてきているというふうにお伺いをしております。どういう意味を持つのかということと同時に、この料金改定にどういう配慮をするのか、この点について運輸省からちょっとお伺いしたい。
○宮崎説明員 正確に申しますと、改定と同時にではございませんで、つい最近、三月九日の時点で覚書が締結されたというふうに聞いております。 それで、今回のタクシー運賃改定に際しまして、先生御指摘のタクシー事業者と労働七団体との間で、運賃改定実施後における労働条件の改善の確実な実施を内容とする覚書の締結がなされたわけでございますが、運輸省といたしましては、今回の運賃改定申請の主目的の一つが労働条件の改善ということでございますので、その労働条件の改善が確実に実施されるのかどうかといったような点につきまして、それなりの心証を得る必要がございます。この覚書もそのための参考といたしまして、今後運賃改定の審査の参考にしてまいりたいというふうに考えております。 また、覚書の実施という問題につきましては、基本的にはこれは労使間の問題でございますけれども、前回の運賃改定の場合には、申請の趣旨が確実に実施されるよう事業者に指導してきておりまして、今回も同様の方針で臨みたいと考えております。
○鈴木(久)分科員 経済企画庁は、この労使の合意と覚書という問題、これの改定を審査するに当たってどういうふうに受けとめておられますか。
○小林(惇)政府委員 経済企画庁といたしましては、ただいま委員御指摘の覚書の存在というものは運輸省を通じて非公式に教えていただきました。先ほど運輸省からも御答弁申し上げましたように、今回の値上げ申請の目的といいますか理由といいますか、タクシー運転手の処遇改善というところに力点があることは十分承知しておりますけれども、公共料金の改定に当たりましては、そのほかに、経営が徹底的に合理化を図られているかどうか、それから物価全般あるいは国民生活に及ぼす影響がどういうふうなことになるかというようなことも総合的に評価をいたした上で御意見を申し上げたいと考えております。
○鈴木(久)分科員 そこで、前回の労使の合意した覚書などの内容を見ますと、サービス面でもいろいろと事細かに、空気清浄器を入れるとか、あるいは自動車の領収証の発行をする器械を導入するとか、身体障害者のいわゆる割引制度の問題、そういうサービス面の問題とあわせて、改定運賃の八割は待遇改善、賃金向上にするのだ、こういうふうな意味合いの合意した覚書というものを出されておりますね。 そこで、これは運輸省にお尋ねしたいのですけれども、こういう労使間の合意を料金改定に、一応今お話があったように参考にするということであれば、改定された後これが本当によく守られているのかどうかということ、これはまさに監督官庁の責任で十分チェックされているだろうとは思うんですけれども、これが今回の改定申請までの間の期間にどのように皆さん方は指導をされ、調査をされ、そして結果がどういうふうになっているかということについては十分把握していらっしゃるだろうと思いますが、その概要といいましょうか、それをちょっとお示しいただきたいと思います。
○宮崎説明員 正確に申しますと、先生最初に御指摘ございました領収証発行器でありますとか空気清浄器、あれそのものは運賃改定と同時に運輸省が事業者団体に指導した通達でございまして、労使間の覚書ではございません。もちろんその中に先生御指摘のような、労働条件改善を確実にするようにという指導も入っております。 それで、お答えでございますが、平成二年五月、前回に実施いたしました東京地区の運賃改定に際しましては、運輸省でその申請の趣旨に照らしまして、業界に対し労働条件の改善を強く指導いたしました。それが先生御指摘の先ほどの通達であったわけでございますが、その確実な実施を確保いたしますために、運賃改定後の具体的な労働条件改善状況につきまして、一定期間経てから事業者から報告を求めております。その結果につきましては、昨年七月に東京地区の状況の集計結果を公表しております。それによりますと、運賃改定による増収分の約八〇%がタクシー運転者の賃金として還元されておりまして、年収ベースで見ますと約三十六万円の賃金アップとなっております。したがいまして、この東京地域の実情に照らしまして、おおむね運賃改定の増収効果に対応する労働条件の改善が進んでいるというふうに認識しております。
○鈴木(久)分科員 おおむね守られている、そういう御報告です。 それで、今回の改定の問題についてちょっと議論をさせていただきたいのですけれども、今経済企画庁からは、労働者の労働条件の改善の問題、同時に国民生活レベルの問題、あるいは合理化がどの程度進んでいるかというようなことなどを総合的に判断をしてこの改定に臨みたいというお話がございました。もちろん、公共料金をできるだけ抑えるという経済企画庁の任務、立場というのがあることは十分承知をいたしております。同時に国民生活を安定的に守るという立場もおありであろうと思います。その意味で、公共交通であるタクシーなどをどういうふうに安定的に守っていくか、あるいは公共の足を確保するかという意味合いで今一番強く求められているのが、労働集約型の産業である、何といいましょうか、乗務員の賃金がほとんどを占めているというのがこの業界の状態でございます。しかし、実際働いている労働者の状態というのはまことに厳しい条件のままでございまして、どうも、その労働者の確保もなかなか難しくなってきているというふうに言われております。 認可された自動車が全部稼働していない、稼働率が八七、八%というふうに言われておりますから、人がいなくて車が動かせないという状態も一部で起きているようでございます。同時に、賃金の比較をされた数字を見ますと、都内レベルで、タクシーの運転手が年間五百三十万ぐらい、一般の産業労働者が六百八万というふうに言われています。ここにおよそ八十万近い賃金の格差がある。全国レベルで見ますと、タクシーの労働者が四百万くらい、一般の産業労働者が五百万を超えていますから、百万円以上の差がある。こういう賃金ベースの問題。労働時間も、これも月に二十五時間ぐらいは一般の労働者よりも長時間である。長時間の上に低賃金ということになると、時間当たりコストというのは大変厳しいものですね。 ですから、今三K職場というふうな言葉もありますけれども、それに当てはまるかどうかは別にして、まさに国民の足を守る一つの公共交通機関である労働者の確保さえ難しいという条件を考えますと、今回の料金改定に当たって、いわゆる労使が合意してまで料金改定の段階に覚書を出して、そしてその改定申請をするというのは前回からのようですけれども、まさにそういう厳しい環境を持っているからだと私はいろいろお伺いをして認識いたしております。この点について総合的に判断をするという経済企画庁の御答弁でございますけれども、この一番大事な労働力の確保、ここのところを考えてみて、今私が申し上げました内容についてどういうふうに理解をし、そして、改定の段階でこれをどういうふうに考慮していくのかということについてもう少しく詳しく御答弁いただきたい、こんなふうに思います。
○小林(惇)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回の運賃改定申請の理由と申しますか、それがタクシー関係労働者、運転手の処遇といいますか、労働条件改善ということに力点を置いたものであることは十分承知しておるところでございます。 今後の検討に当たりましては、その運賃改定がタクシー運転手の労働条件の改善に貢献するかどうかという点と、それから先ほども申し上げましたけれども、物価及び国民生活に及ぼす全般的な影響といった点を総合的に検討しながら慎重に取り扱いたいというのが基本的態度でございます。
○鈴木(久)分科員 長官今も、前の議論で豊かさの議論をいろいろ国際レベルの話からやってございましたけれども、今度の春闘の大きなポイントが時間短縮だと言われております。そして、もちろん賃金改定などもありますけれども、そういうことを考えていきますと、最も劣悪な状態というのは、どうも運輸関係の労働者の労働時間の長さというのが、ほかと比較にならないくらいの状態になっていると思いますね。ですから、これが今後いわゆる千八百時間に向かっていくというようなことを考えると、今やタクシーは長いところは二千五百時間ぐらいあるそうです。二千三百、四百ぐらいが平均でしょう、到底これは物すごい格差がある。こういうことを考えますと、それだけでも大変な職場である。 同時に、賃金ベースでも先ほど言ったような差がある。ぜひ、総合的に判断されるのはもちろん、そういう立場であることは十分承知しておりますけれども、労働力の確保、国民の足、そして今のような状態ということを考えますと、ここは特段の、そういうほかの公共料金とはまた違った立場から十分検討するようにお願いしたい。長官の立場からの御答弁をいただきたいと思います。
○野田国務大臣 特に労働のウエートの大きい事業においては人件費の経営に対する圧迫感というものは相当な状態だろう。特に人手不足という環境の中でそれは十分に我々認識をしております。ただ、そういった環境の中で経営者はそれなりに歯を食いしばっていろいろ努力をしておられることと思いますし、しかし同時に、さらなる努力もまた一方でお願いもしなければなるまい。基本的に労働者の時間、賃金等の改善と同時に、また経営のなお一層の合理化をし、そして極力そのことが物価の安定ということをも考えながら、生産性の向上がさらに向上していくような方策を研究していかなければなるまい。 労使ともその辺を念頭に置いていろいろ御努力をいただいていることと思いますが、さらに現在、運輸省からも、また物価局長からも申し上げましたとおり、そういう事情は十分承知した上でいろいろな角度から今検討を加えておる。こういうことでございますので、なおしばらく、そういうスタンスはよくわかりますものの、事務的にどのように話が行われておるか見守っていきたいと思っております。
○鈴木(久)分科員 どうか十分に、労使が覚書までやっているということを考えていただいて、配慮をいただきたいと思います。 次に、これもタクシーの運賃制度にかかわって御見解だけ端的にお伺いしたいのですけれども、今タクシー事業の特殊性というのは十分考慮されて、同一地域同一運賃をずっと維持してきておりますけれども、企画庁のいろいろな研究会、勉強会あるいは報告などを見ますと、いわゆる運賃制度の見直しといいましょうか、これを少し見直そうというふうな報告などもいろいろな形で今までも議論されてきている。小型、中型の選択的な運賃制度の問題等々、いろいろとそういう検討をされておりますけれども、この同一運賃制を守ってほしいというのは事業者と、あるいはまたそこに働く労働者も含めてそうなんですけれども、かなり強い要求ですね。 この辺の、いわゆる当該事業者の考え方と皆さんが検討している間の中にはかなり差がある、随分隔たりがあるかなという感じがしておるのですけれども、今後この問題についてどんなふうに進められるか、一言だけ見解をおただししておきたいと思います。
○小林(惇)政府委員 ただいま委員御指摘の同一地域同一運賃制というものにつきましては、いわゆる運輸政策とそれから公共料金政策の調和を図る観点から、従来よりとられてきた方針であるというふうに理解しております。この問題についてはそういった経緯を踏まえつつ、慎重な対応を図っていく必要があると考えております。 委員御指摘の調査報告書、経済企画庁の方でそういう勉強を公共料金についてやっておりますけれども、それは大都市におけるタクシー運賃のあり方について一つの提案、今先生言われましたけれども、小型、中型、大型という運賃を外にわかりやすく表示するようなやり方で競争的な政策を導入できないか、こういう勉強の結果ということにとどまっておる次第でございます。
○鈴木(久)分科員 いずれにしても、慎重にこの点については対処していただきたい、こんなふうに思います。 時間がありませんから、最後に一つだけ、もう一つ通告をしておりましたので、駆け足でちょっと質問いたしますのでよろしくお願いしたいと思います。それはクレジットの問題、クレジット破産の問題なんです。 御承知のように、平成二年度レベルでクレジットの発行枚数というのは一億六千六百万枚だとかいうふうに言われておりまして、膨大な発行。同時に、今問題になっておりますのは、自己破産と言われる破産申し立てが平成二年度で二万三千件を超えたと言われております。そのほか支払い命令、督促などをやっているのが五十二万件くらいありまして、あるいはまた強制執行など、いろいろと借金の関係でやられている件数が二十一万件もあるそうでございます。特にクレジットの問題では、自己破産をしている人たちは二十代、三十代の方々がほとんどだそうでございます。 これは経済企画庁にこの解決策をと申し上げるよりは、むしろ別な角度で解決しなければならない点がたくさんあるのです。でも、なぜ申し上げるかというと、消費者、国民のクレジットに対する認識の甘さ、教育の問題、ここなんですね。原因は、恐らくカード発行が極めて安易にできるという体制、それからチェックも大変甘いのです。今の体制では甘い。多重債務がどんどんできる。それを見逃してしまっているというか、中には悪質なものもありますから、貸す方も多重債務をわかっていて貸すというのもありますね。そしてもう一つは、若者がこれに飛びつくのは、現金がなくても物が買える、海外旅行に行きたい、自動車を買いたいという衝動のままストレートにこれを使ってしまう。これで年々増加していく。 私が心配するのは、サラ金地獄で一時国民は大変ひどい目に遭いました。あれと同様に若い世代がクレジットのこういう中で地獄に落ちていくのじゃないかということを大変憂慮いたします。対策は確かに通産省や運輸省のレベルで信用情報機関の一元化など、あるいは加盟店にしっかり端末機を入れて、多重債務をさせない、こういう体制をつくることが一番大事なことだと思っております。これはこれなりに私ども別な立場からそういう実施を迫るための働きかけとか、そういうものをしてまいりたいと思いますけれども、やはり今緊急にやってほしいのは、この実態を正確につかむこと、国民生活センターあるいは各県民のそういうレベルで、第一線で経済企画庁の窓口、国民の生活を、要望を受けておりますので、そこでやはり実態を正確につかんでいただきたい。 そして、こういう実態について把握した上に立って、国民にこの実態の、こういう状態になっていますよということをどんどん公表するというのか啓蒙するというのか、そういうことをしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございまして、特に消費者教育という立場から、この問題について今後どのように経済企画庁としてお取り組みになる所存か、この点を承りたいと同時に、現状で不十分なところはどうかしっかりと取り組むという決意を含めてお答えいただきたいと思います。
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。 まず、現状でございますが、国民生活センターと各地方消費者生活センターが受け付けた多重債務にかかわる相談につきましては、平成元年度六百十三件、二年度千二百六十三件ということでございまして、倍増しておりまして、さらに平成三年度については、四年二月末現在で二千五百九十件、さらにまた倍増という状況でございます。当事者の男女別で見ますと、男五〇%、女四八%というのが平成二年度でございまして、三年度は女性が五〇%と、女性の方がやや多くなっているということでございます。年齢別には、先生御指摘のとおり、二十歳代のシェアが二九%、次に三十歳代二三%、特に平成三年度においては二十歳代のシェアが、先ほどは二年度でございますが、四〇%まで伸びてきたということで、二十歳代のシェアが非常に上がっているというのが特徴でございます。 それで、私ども経済企画庁におきましては、従来から、広域的、全国的な観点から、都道府県、政令指定都市を通じて情報を提供するという考え方を持ちまして、クレジットに関しまして、例えば青森県でございますと、「たしかな目、たしかなくらし」、これはパンフレットでございますが、そういう内容で、「カードの上手な利用法」「特徴を知る」「使いすぎない」「支払い額のチェック」「カードを紛失したら」どうするかというふうな内容でパンフレットをつくって配っておる。同様なことを各県でお願いしております。また、テレビでございますが、「借り過ぎに御注意 消費者ローン」という情報、あるいは「クレジットトラブルに気をつけて」という情報を昨年の二月と八月に消費者ミニ情報という形でテレビで放映いたしました。また、ブックレットでございますが、「広がるローン・クレジットトラブル」「「カードでキャッシング」が危ない!」というふうな内容のブックレット七千部を全国に配布いたしました。また、リーフレットで、「いま若者にひろがるローン・クレジットトラブル」、これを一九九一年十二月に百万部全国に配布しておる等々、いろいろな形でこの問題について広報に努めておるところでございます。
○鈴木(久)分科員 時間がありませんからやめますけれども、どうぞ、被害といいましょうか破産状態がどんどん広がらないように、できるだけ経済企画庁のサイドからも一層の努力をされますように、重ねて要望して終わります。 ありがとうございました。
○水田主査代理 これにて鈴木久君の質疑は終了いたしました。 次に、秋葉忠利君。
○秋葉分科員 社会党の秋葉でございます。 経済一般について実は幾つか伺いたいことがありますが、経済については余りよくわかりませんので、御丁寧にお答えいただければ大変ありがたいと思います。 まず最初に伺いたいのは、このところ大分景気後退がはっきりしてきた、実はもう昨年の暮れあたりから、私の地元であります広島あたりでも、タクシーの運転手さんあるいは飲み屋街の状況といったようなところから、景気後退ということはちまたではかなりはっきりわかっていたという事実がございます。さらにさまざまな新聞、マスコミ等を通しての民間の診断でももう景気後退ははっきりしているわけですけれども、政府側の現状認識、事実認識というのが少々おくれたのではないかという感じがございます。二月の月例経済報告で初めて政府として景気後退を認めたということになっているわけですけれども、なぜ民間あるいは庶民の景気感覚とはこれほど大きなずれができたのか、十二カ月のうちの仮に二月として六分の一ですから、これはかなりのずれではないかというふうに感じますけれども、なぜこんなずれが出てきたのか。そもそも経済企画庁のやっていることは統計をもとにした判断であるので、これはもう構造的にこれ以上のことはできないんだというのか、あるいはそれ以外の要素があったのか、その辺のところをまず伺いたいと思います。
○野田国務大臣 新聞報道の見出しで多少どうかということもあると思うのですけれども、率直に申し上げて、政府としての経済認識については、そのときどきにおける最新のいろいろな指標をもとにして、そして直接産業界やらそれぞれ経営者やら、いろいろな方々の御意見などをも加味しながら総合的に判断をしておるわけなんです。 それで、そういう意味で私どもはそのときどきにおける情勢判断というものを極力的確に行うようにしていかなければならぬし、また、そのようにしてきておるつもりなのですが、今回の一連の経済の動きの中で、たしか九月ごろでしたか、もう既に減速という言葉を表現の中に実は入れておるわけでございまして、ただ、それをどういうふうな見出しで報道するかというようなこともございます。それで、下世話な言い方ではいろいろな表現を率直に言って私はしてきたつもりなんですが、就任したときからもう既に富士山のピークは過ぎましたよということは話をしてきておるわけでありますし、ですから、それをどのように受けとめられるのか、あるいは中には後退という言葉が好きな方もあれば停滞という言葉が好きな方もあれば、不景気という言葉が好きな方もあれば、いろいろな方があるものですから、表現はそれぞれ異なっておるかと思います。ただ、私どもは少なくとも生産の動向あるいは在庫の動向、消費の動向、あるいは住宅投資の動向、さまざまな角度から判断をしてこの現状認識をやっておるつもりでございます。 それから、若干ついでに言えば、よく景気の山と谷の話が出ます。これがまだはっきりしないのはそれだけ判断がおくれておるのじゃないかという言い方もあるのですが、率直に、経済運営をやっていく上で大事なことは、山と谷がいつであったかということよりも経済が現在どういう状態にあるのか、そして先行きどういう方向に向かっておるのかということの判断がより大事なことであるというふうに認識しておりまして、その山と谷がいつであったかということは、多少これは正確に、いろいろな統計指標、いろいろな角度から見て、専門家の中で検討委員会を開いて決めていくわけでありますから、そういうのはある程度おくれるのはやむを得ないし、これはどこの国でもやはり専門的、技術的な検討を加える必要がありますので、それはそれでやむを得ないことだ。ただ、私どもは当面の足元の問題について、少なくとも昨年の秋ごろから減速感があり、減速というものが出てき、そして、月を追ってその減速感が広まってきており、最近は、特に在庫調整もいよいよ本格化し、その一方で生産の方も非常に弱含みになって推移しておる、そんな状況にあり、減速感が広がっておる、そして調整局面にある、こういう表現をしておるわけであります。
○秋葉分科員 大変御丁寧にいろいろお答えいただきまして、ありがとうございました。 大体そういうところだと思うのですが、経済企画庁がいわば古典力学のように事象を客観的な第三者として認識するだけで、その観察の結果が現実世界に全く影響を及ぼさないということであれば私は余り心配はしないのですけれども、経済企画庁あるいは政府が例えば景気に対して一つの態度を示すことが経済的な動きの非常に大きな要素になっているというのが現実でございます。 例えば今回の場合でも、我々野党から見ますと、野党は必ずしも意見が一致しているところではないかもしれませんが、こういうことが考えられる。つまり、二月の月例経済報告ですか、そこで景気後退ということが出てくると、政府側にいろいろメリットがある。それ以前に出てくれば、例えば昨年の暮れあたりから政府が景気後退ということをはっきりと宣言することによって、じゃ一体政府はどういってこ入れ策をやるのだ、これは今までもやってきたことですから、日本だけではなくて世界的に政府のてこ入れ策がどのようなものであるか、いつやるのか、その目玉は何かということが当然注目されるわけですけれども、二月であれば、予算はもう決まっちゃっています、済みませんけれども、来年はあれだから、とりあえず微調整で済ませましょう、いやそれ以上に、野党の方には、現在の予算案にはいろいろと問題点を指摘されていますが、とりあえず予算は通していただいて、しかも、できるだけ早く問題なくすんなり通していただいた上で公共事業費その他きちんとやっていただかないと景気に非常に大きなダメージになります、そういうことをやると、今度は通さないことで野党が景気対策の妨害をしたということになって、これは大変困ります。 その結果予算がすんなり通ると、これは、宮澤内閣はいろいろ問題はありますけれども、とりあえずまたもう一つのハードルを越えたということで、最初は長命大型内閣と言われていたのが、さまざまな問題を抱えてどうかなと言われているようになったにもかかわらず、そして奈良の補選、宮城の補選というところで負けているにもかかわらず命を長らえるというような、非常に大きな政治的な効果もあらわれてしまうかもしれない。 そのこと自体が、つまり一つの事象としてはそれほど大したことではないかもしれはせんけれども、こういった形で社会的に大きな影響力を及ぼすということであれば、その結果は国民全体にとって、少なくとも我々の目から見ると好ましからざる結果をもたらす可能性が非常に大きい問題だというところもあわせで、となると、一体そういうことは、まさか隠密裏に黒い覆面をして経済企画庁の一室で皆さんが謀議を凝らすというようなことはないと思います。恐らく企画庁の中の機構からいってもそういった意図的に悪いことをやるなんということは絶対に考えていらっしゃらないと思いますけれども、政治的な決断として大蔵省との間のさまざまな調整の中で、例えばそういったあうんの呼吸のうちに日本の経済全体を一つの方向に持っていこう、もちろんそれがいい方向であるということは信じておやりになっていると思いますけれども、そういった社会的な影響までも考慮に入れて発表の時期を考え、その内容あるいは表現方法についても当然お考えになっていると思いますが、今回の場合にはそれがどの程度あったのか、正直なところを率直に例えたらと思います。
○野田国務大臣 いろいろうがった見方があるようでして、私も大変勉強させていただいております。残念ながら、私どもにそういう知恵があればよかったと思うのですが、そういう知恵はございませんで、そういうことを全く念頭に置いておりません。 ただ少なくとも、その前にお触れになりましたが、景気後退宣言いつやったかという話がよく出るのですけれども、私ども今日に至るまで、そういったぐいのことをやったことはないのです。それをどう受けとめられるか、それがどう報道されるかということだけでありまして、少なくとも昨年暮れの予算編成のとき、その前提になります私どもの経済情勢の認識というものは、既にその時点で、これまでの拡大テンポがこのところ減速しておる、たしかそういう表現にしてあったと思っておるのです。したがって、逆に言えば、それをもって景気後退宣言だと報道されても仕方がない部分であったかもしれません。ですから、私どもはそこのところを一々どうのこうの言うつもりはありません。 少なくとも、いま一つ念頭に置いていただきたいのは、率直に言って昨年の秋には、基本的には、地域的に見ても業種的に見てもかなり、まだら模様でありました。特に大都市といいますか三大都市圏から先に景気の減速が強まってきておる。地方の方は堅調であった。しかし、最近はそれがずっと広がりも出てきておる。業種的に見ても、特定の産業分野から広がりが秋からずっと広がってきておる。そういうことを我々は客観的に、冷静に報告しておるつもりでございます。 そういう基本認識がありましたために、その前提で平成四年度の予算編成において率直に言って景気に対してかなり配慮した、ということは既にそれだけの景気に対する認識があっておるという、このことはひとつ念頭に置いていただきたいことだ、それを私どもがどう解説しようとかどうとか、あるいは政治的にどう利用しようとか、そんなことを毛頭考えてもおりませんし、そこまでの知恵は浮かんでおりませんのが現状であります。
○秋葉分科員 確かにおっしゃるとおりで、私が申し上げたのは、一つの話としては風が吹けばおけ屋がもうかる式にそういった見方も可能であるという可能性を申し上げただけで、恐らくそこまで長期的に細かいところまでうまくいくというような、何か甘い考えを持って経済政策を立てていらっしゃる方はそれほどいらっしゃらないと思いますので、とりあえずの可能性として伺いました。 今のお答えで大体氷解いたしましたが、その景気、経済一般なんですけれども、その景気後退ということがある意味でことし一つの大きなトピックになっているわけですが、世界的にはことしは非常に大きな節目の年になっています。それは、六月にブラジルで国連環境会議が開かれるということになっているわけです。環境が大事であるということ、これはもう世界的に、だれに言っても反論の余地のない一つの言葉なんですけれども、表現なんですけれども、それが経済と絡むと途端に甲論乙駁になって意見の一致を見なくなってしまうという非常に難しい側面がございます。ですから、環境のことを考える上で、どうしてもまず経済的な側面を押さえた上でないと議論できないということがございます。 そこで、経済企画庁の設置法を見ますと、幾つかの任務が書いてあるわけですが、例えば幾つかの省庁にかかわる問題についての経済的な側面を経済企画庁は担当するということがございます。そうすると、環境の問題というのは恐らくほとんどすべての省庁が関連する問題でありますし、その中で非常に長期的な見通しといいますか計画というのは大事な問題ですから、一応主管官庁、全体の調整というようなところは環境庁がやるにしても、その経済的な側面のリーダーシップは経済企画庁がとってもいいのではないかと私は思います。その観点から企画庁長官として、その環境の問題について、特に経済的な側面についてのリーダーシップを、もちろん今までもお考えになってきたと思いますけれども、これからもより積極的にどういう形でおとりになるつもりなのか、もしこれまでそういった面で企画庁として具体的に実施してきた政策なり予測なり、その他のものがありましたら、幾つか御教示いただければ大変ありがたいと思います。
○野田国務大臣 まさに御指摘のとおり、経済の成長と環境破壊をどう食いとめていくかという問題、これは非常に密接な関連がございます。 今日、日本は比較的他の諸国に比べて、いわゆる公害問題にも早くから直面をし、いわば公害防止技術であったりあるいは省資源、省エネルギーの技術であったり、そういった面についてはかなり進んだ技術を開発してきておるわけであります。したがって、途上国からすれば、まさにこれから経済的に飛躍を図りたいという方々であるし、途上国の立場からすれば世界の環境破壊は先進国グループがやっておるのであって、このままで、現状で全部凍結ということになれば自分たちは一体どうしてくれるのだという立場はわからぬわけでもないわけですね。 だから、これから環境サミットなどでいろいろ御議論をいただくわけですけれども、そういった中で先進国グループとしても、自分たちの立場だけを求めていくということでなくて、少なくとも地球的規模で考えた場合、日本を含め先進国グループがいかにこの地球社会とともに持続的成長を達成できるのか。しかも、それは環境保全ということを前提にして達成していかなければならぬわけですから、なお一層の省エネルギーあるいは環境への配慮というものが経済政策の中にビルトインされていかなければならぬことだと思っております。 同時に途上国に対しても、そういう日本で開発されましたいろいろな技術、環境破壊防止のための技術であったり省エネルギー、省資源の技術であったりあるいはリサイクルの問題であったり、いろいろなことを技術移転もしていかなければならない、そして同じ地球社会に住む人間として途上国の人たちの経済発展を我々も支援をしていかなければならぬ、これがまずマクロとして大事なことである、そういうものがあって初めて我々先進国グループもこれから持続的な経済の発展が期し得るのだ、まずそういう大前提があると思っております。 それを具体的にどういうふうに進めていくかなどにつきまして、現在御案内のとおり経済審議会で、生活大国という問題、それからそういう地球的な視点に立った問題点、それから二十一世紀に向けて本格的に高齢化社会に我々入っていくわけですが、そこへ向けた社会基盤を、発展基盤を今からどう整備しておくか、この三つの立場の中から新しい経済計画を今熱心に御議論をいただいておるわけでありまして、その辺でそういうシナリオというものをしっかりとつくっていかなければならぬと思っております。
○秋葉分科員 大変前向きな、しかも格調高いお答えをいただきまして、ありがとうございました。 実はそこで、例えばその審議会でも結構ですけれども、次のようなことができないのか。 それは、私は経済企画庁というのはいわば行政の中の、少なくとも経済の分野についてはブレーンが集まっているお役所だと思っております。その経済企画庁が中心になって、例えば今の環境の問題ですけれども、南と北との間の調整を行うために、例えば現在一番大きな問題の一つである温暖化ということを考えますと、大体三つぐらいの基本的な選択肢があります。 一つは、大体現状維持、それで少し調整を行って、先進国と言われている北側の国々のエネルギーの使用量を例えば一九九〇年程度に抑える、あるいはそれよりもうちょっと少な目にして、現状維持に近い形で調整を行うというような、それが一つの方向だと思います。それからもう一つの方向は、これは全く逆に、人間一人当たりのエネルギー使用量を決めて、その上で、幾らかの調整はあるにしても全体的に地球でのエネルギーの使用量を決めていくというのがございます。それからもう一つの考え方というのは、これは排出される例えば炭酸ガス、CO2一トンについて幾らといった、例えば百五十ドルというような数字が挙がっていますけれども、そういった排出量に従って税金のようなものを取って、それに従って調整を行っていく。大体大きく分けてこの三つぐらいの案が有力なものとして出てきているわけですけれども、そのいずにも問題があるということは御存じだと思います。 ところが、非常に残念なことに、こういった問題について何らかの妥協を図らなくてはいけない、妥協案もこういった幾つかの提案に関連して出されていますけれども、現在日本の国内で、これは私たち自身の問題であると同時に地球全体の問題であり、二十一世紀の人類全体にかかわる非常に大きな問題なのですが、経済大国となり、世界的な貢献をしたいというふうに考えている日本国民の間で、これほど大事な問題についての議論がほとんど行われていない、これは私は非常に大きな問題だと思います。 その理由の一つが、具体的に、例えばこういう選択を行ったときに、じゃ世界の経済はどうなるんだ、あるいは日本の経済はどういうふうになるんだ、確かに生活程度は落ちますよ、でもそれはこのくらいで抑えられるのですとか、生活程度は落ちるけれども、でも農村の方はもっともっと元気になってきますよとか、そういったある意味での経済的な現実性のある、ある程度具体性のある経済的なモデルといいますか予測というものが全然提出されていない。 環境問題については民間のグループ、草の根グループ、市民グループが非常に大きな役割を果たしていることは事実なんですけれども、そういったところではとてもこういった大規模な経済予測を行うだけの力はない。それだけのデータを持っていない、ということを考えますと、経済企画庁が経済的な面というところから、この大きな人類的な問題について、その政策を提示する必要はないと思いますけれども、現在提出されている幾つかの有力な案について、これをとると経済的にはどういうことが起こるんですよ、そういった予測を行って日本国民の間に大議論を巻き起こす、そのためのデータを提供する、それは、私はPKOどころかそれ以上の世界的な貢献になるのではないか。 その結果、私たちが、それこそ医学の分野ではインフォームド・コンセントということが言われますが、私たちがきちんとした知識を持った上で議論を行って、じゃその中で日本としてはどういう選択肢をとり、私たちはどういうふうにそういうところに協力していこうかという政策面での議論が与党と野党の間でできるというような形で貢献できればすばらしいことじゃないかと思うのです。経済企画庁としては、例えば六月までには間に合わないかもしれませんけれども、大まかなものであれば、企画庁の英知をもってすればこんなことはもう一週間でできてしまうかもしれない。その辺はよくわかりませんが、何らかの形でそういった面で予測モデルをつくるなり、あるいは既存のモデルを応用するような形で何らかのデータというものを示していただくわけにはいかないのでしょうか。あるいはもう既にやっていらっしゃるかもしれません。やっていらっしゃるのでしたら、ぜひそれを御教示いただきたいと思います。
○長瀬政府委員 ただいま先生からは地球環境問題と経済とのかかわりに関しまして大変示唆に富む御指摘を賜りましてありがとうございました。 実は、私ども経済企画庁におきましては昨年六月に、経済審議会の二〇一〇年委員会というのがございまして、ここで「二〇一〇年への選択」というレポートを出しております。その中で、一定の前提のもとにおきましてCO2の排出量の抑制などを行いました場合の日本の経済成長率に対する影響につきまして、長期的な一つの試算を行っております。 その結果によりますと、国民一人当たりのCO2の排出量を二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化を図るために、産業部門の一律生産削減のみで対応する、言葉をかえて申しますと生産単位当たりのCO2の排出量を減らさないという仮定を置いた試算をいたしますと、経済成長率は標準的なケースに比べまして二十年間、年平均いたしますと一・五ポイント程度低下するというような結果が出ているわけでありますが、他方におきまして、民間部門あるいは家計も含めまして省エネルギーの努力というものを続けてまいりますと、経済成長率の落ち込み幅というものは相当小さくなるということが示されているところでございまして、ただいま先生御指摘のございましたような見地からも、私どもも、経済成長と環境とのかかわり合い、そのことのもたらす意味というものにつきましてさらに勉強していく必要があるというふうに考えております。 このような観点から、平成四年度の予算におきましても、いわば持続的成長モデルの基礎開発に関する経費というものを計上させていただいておりまして、地球環境、資源エネルギー制約というものを考慮いたしました先生御指摘のような新しいモデルの基礎的な開発、これは短時日でできるかどうかはあれでございますけれども、そういうことにつきましても着手しようとしているところでございます。計画経済の中におきましても重要な側面として、先ほど大臣から御答弁申しましたような観点を含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○秋葉分科員 そういうことをやっていらっしゃることを伺っておりました。その努力は大変高く評価したいと思います。 ただ、あえてお願いをさせていただきますと、その程度のことは実は市民団体でもできる。例えばグリーンピースあたりでも、そちらで出された結果を一つ一つ自分たちのつくったモデルと対照しながら、もうちょっと成長率がよくなるのじゃないかというような修正予測というものを出しております。ですから、それはある程度市民運動レベルでもできるのですけれども、それをさらに高度にして、例えば炭素税を導入したらどういうことになるのか。炭素税を導入した場合に、それはただ単に一つの導入の仕方だけではありません、各国の国民所得に従って、ある程度炭素税の比重を国民所得に比例するような形であんばいした上で全世界にかけるというやり方があるわけですけれども、そうすると、かなりグローバルな経済の動きをつかまえた上で、とらえた上で、今度は日本の経済の動きということをやらなくてはいけない。しかも、全く新しいことをやるわけですから、どのような効果が起こるかということについてはかなり複雑なモデルをつくらないと無理だと思います。そういった力は市民団体には恐らくないと私は思うのですけれども、経済企画庁であれば、これまでのノウハウ、知識の集約、それから非常に有能な方がたくさんいらっしゃるわけですから、そういったことをぜひやっていただきたい。 そして、その上で炭素税を導入するとこういうことになるのだ、これは例えば、幅があってもいいと思います。あるいは予測としてはそれほど確実ではないけれども、一つの指針ですよといった形でもいいかもしれません。政府が出すのですからそれなりの責任は当然あると思いますけれども、しかしながら何にもなくて議論はできない。六月のサミットに行くのも、ただ単に一握りの政府のお役人が考えた環境政策ということで行くのが日本の現状ですけれども、それに比べて、経済企画庁が経済的なモデルを出して、それも炭素税とかあるいは一人頭の炭酸ガスの排出量あるいは吸収量といってもいいですけれども、それを決めた上でのモデルをつくるとか、幾つかのそういったモデルについての具体的な経済予測を打った上で議論が行われ、政府がそれをもとにして国民の世論をまとめて国連の会議に出ていくというのでは、はるかに世界における日本の立場というのが違ってくると私は思います。 ですから、そういった意味で、今までの経済モデルではなくて、新しい、しかもこれまでの政策の選択の場にあらわれてこなかったようなファクターを考えに入れて、できたらパラダイム変換までやって新しいパラダイムで経済モデルをつくって、その上でこういったことをぜひお願いしたいと思います。 ちょっと時間が来てしまいましたので、そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○水田主査代理 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。 次に、松浦利尚君。
○松浦(利)分科員 御苦労さまです。私は、国民生活センターと消費者の苦情処理に関して若干の質問をさせていただきたいと思います。 既に国民生活センターにおける商品の相談受け付け件数等の資料をいただいたわけでございますが、平成二年度の苦情の案件について、主なもののトータルだけお聞かせいただきたいと思います。
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。 先生の方へお届けいたしました資料のとおりでございまして、商品につきましては平成二年度三千三百五十四件、うち数字といたしまして大きなものといたしましては、自動車が三百八十八件、被服品が二百五十六件、保健衛生品が千三十四件というような内容になっております。 〔水田主査代理退席、戸田主査代理着席〕
○松浦(利)分科員 それから、国民生活センターが受け付けた相談件数のうち、自動車、テレビ、ルームエアコン、電気冷蔵庫、電気掃除機等の主な相談例についてお聞かせをいただきたいと思います。
○加藤(雅)政府委員 自動車につきましては、平成二年度に三百八十八件という苦情及び問い合わせがあったわけでございます。なお、平成二年度よりは平成元年度の方が多うございまして、元年度は四百五十六件でございました。この四百五十六件について申し上げますと、苦情が三百四十一件、問い合わせ等が百十五件という内容になってございます。相談事例としてどのようなものがあるかと申しますと、例えば八六年度に登録した自動車で走行マイレージが一万九千キロというような中古車を買って走っておったところ、突然エンジンがとまってしまった、その場合どこに責任があるのかというような内容がございます。 〔戸田主査代理退席、奥田(幹)主査代理 着席〕 それから、家電製品でございますが、テレビに関しましては、平成元年度十八件、二年度二十二件の苦情、問い合わせがございました。元年度につきましては、十件が苦情でございます。内容といたしましては、例えばテレビ観賞中突然プシュという音とともに画面が消え、両サイドから黒煙が噴き出したというような内容がございます。 ルームエアコンに関しましては、平成元年度十四件、二年度十六件の問い合わせ、苦情がございまして、うち平成元年度は苦情十件、問い合わせ四件というようなことでございます。主な相談事例といたしましては、一昨日の新聞でルームエアコンなどのインバーターの高周波が他の電気製品に影響を与えるということを知って不安だ、どうしたらいいのかというような、これは問い合わせでございます。 それから、電気冷蔵庫に関しましては、平成元年度十七件、苦情が六件、問い合わせ等十一件、二年度は十四件で苦情が八件というような内容でございます。これに関しましては、例えば冷蔵庫の冷気吹き出し口付近に水気のあるものを入れておくと凍る、メーカーに文句を言っても置く位置を配慮してくれというだけだというような、これは苦情でございます。 電気掃除機でございますが、元年度五十八件、うち苦情は十四件で、問い合わせ等が四十四件、それから二年度が二十四件ございまして、苦情八件。内容といたしましては、例えば電気掃除機の吸い取り口のぐあいが悪い、購入して九カ月目に一度修理をしているが、すぐに悪くなった、欠陥商品ではないかというような内容のものがございました。
○松浦(利)分科員 きのうも通産大臣といろいろ議論をいたしましたが、国民のニーズに即した新たな商品開拓というのが極めて多様な形で出回ってきておるのです。ところが、その取り扱いによっては大変大きな事故が起こる。 例えば、一、二の極端な例ですが、テレビが出火をするとか洗濯機で手の指を切るとか、そういったものが出てきておるし、あるいは新製品が、安全というものには配慮されてつくり出されておるんだと思うんでありますが、きのうも申し上げましたが、最近フラット、垂直になったテレビが非常に大型化して出てきているんです。御承知のように、通常のテレビのブラウン管というのは円周の一部分を抜き出しておりますから、放射銃から出された光というのは等間隔に全部当たるんですね、円周ですから中心から出るから。ところがこれをフラットにしますと、こちらから出す銃の光というのは、周辺に当たる部分と真っすぐ当たる部分では違ってくるわけですね。ですから、周辺がぼやけてくるんで電圧を上げるわけですね。ですから、電圧が上がってくるからブラウン管の表面を少しガラスを厚くしておるというような予防策はとっておるんですけれども、いずれにしても取り扱いいかんによっては極めて問題が起こってきておる。これは、商品開発過程では決して欠陥商品ではないんだけれども、率直に言って、そういったもともと欠陥ではないが結果論として欠陥のような製品というものがどんどん出回ってくるんですね。 ですから、そういった意味でこれから商品苦情というのは電気製品のみならずいろいろな形で出てくると思うんです。この国民生活センターで平成二年で年間三千三百五十四件、毎年苦情がふえてきておるんですが、各県にあります苦情処理センター等の累計を考えると恐らく相当大きな数になっておると思うんですが、その点の把握はできておりますか。
○加藤(雅)政府委員 商品に関する事故全部の件数が幾らになるかという点については、残念ながら把握ができないわけでございます。その理由は、御案内のとおり、商品に関するトラブルはほとんどの場合消費者から直接あるいは小売店を通じてメーカーに行っておるというのが現状でございまして、国民生活センター等に持ち込まれます苦情は、それがうまく処理されなくて、あるいはその処理に対する不満があって消費生活センター等に申し出があったというものだけであるというふうに考えられますので、恐らく、実際のトラブルというのはこの件数より相当程度多いというふうに考えております。
○松浦(利)分科員 自動車の場合は御承知のようにリコールがありますから、そういったもので処理されていくわけですが、しかし家電製品等については全くそういう措置がないのです。そこで、我が党の水田議員がいつも指摘をしているのですが、PL法案という法律を我が国としても消費者サイドの立場でつくらなければならぬのではないか。ところが、これがいろいろ議論をされておるところですけれども、消費者の側と製品を製造する側とでは利害が相対立しますから、当然審議会等の一致した答申というのが得にくいということは事実あると思うのですね。 しかし、大臣も御承知のように、今のような状況では、要するに仮に欠陥商品だったとしても、それは売ったメーカーと消費者との間のやりとりで、場合によってはメーカーが負担をしたりあるいは通常消費者が負担をする。そしてまた、現在の民法上では、欠陥製品ということを指摘しようとすれば消費者側から欠陥商品であるという立証をしなければならぬ、そういうことで消費者側は常に弱い立場に立たされておるのです。ところが、これだけ新しい製品がどんどんと市場に出回ってまいりますと、商品知識というのは消費者は極めて乏しい。ですから、何らかの方法でこうした消費者の苦情というものをあるいは欠陥商品というものを処理する手段として、PL法というものの制定というのは絶対に必要ではないか、私はそう思うのですが、大臣、どのようにお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。
○野田国務大臣 この問題は、もう松浦先生十分御案内のとおり、消費者の被害をどう防止するか、そして被害があった場合にどう救済するかということは非常に大事な問題でありまして、国民生活審議会でいろいろ御勉強いただいておりまして、昨年秋に中間報告がなされたわけでありますが、その中でもなおさらに詰めなければならぬところもあるし、関係者の理解を深めながら引き続き精力的な検討をする、こういうことでございます。ことしの秋ごろを目途に最終報告をいただきたいと思っておるわけですが、基本的に中小企業の問題だとか、今御指摘のありました製品開発の問題だとかということもありますが、アメリカのように訴訟が頻発するようなことになってしまうといかがなものかという話もあります。しかしまた、それだけにとらわれておっても物事は前にも進まない。そういったことも念頭に置きながら、さらに関係者の理解を得るべく精力的な御議論を今ちょうだいをいたしておるということでございます。
○松浦(利)分科員 長官も日米経済摩擦の問題に絡んで輸入製品を盛んに奨励しておられると思うのですね。ところがそのために、輸入を促進するという意味合いから、これから従来の規制を緩和していく、どんどん緩和していくという政策がとられていくと思うのですね。ですから、そうなってくればくるほど、逆に言うと、電話機の例で一つ申し上げますと、アメリカの電話機を一時NTTが買ってやったことがありますが、売れない。売れない理由というのはなぜかというと、アメリカの電話機というのは漏話が多いんですね。他人の話したものが入ってくるわけですね。自分の話しているものが他人に漏れていく。ところが、日本の電話規格というのは極めて厳しいですから、そういう電話機は使えないのです。だから、アメリカから輸入されておるのは、今はもうそういうのはないですけれども、そういう電話機というのは日本で言えば欠陥商品です。ところが、それが規制緩和されてきますと、それでもオーケーだ、こうなるわけでしょう。そうなってきたときに、今まで完璧なそういうことにならされてきている私たちが欠陥商品であるということを訴え出ようにも、そういう法的な保護がない。ですから、買った者が泣かなければいかぬということになってしまうのですよ。 ですから、外国の製品をこれからどんどん輸入すればするほど、このPL法というのは消費者を保護するという観点からは極めて重要なものだ。我が国においてもアメリカ等の輸入を緩めるために規制を緩和しなければならぬという分野がたくさん出てきますから、そうなったときに我が国の製品についてもやはり製造元責任という意味でPL法というのが必要だ。ですから、こういうことを考えますと、製造する側も日本の場合はある程度こういうPL法というのは大切だ、早急にやらなければならぬ問題だというふうに私は思うのです。ですから、非常に難しいことでありますが、お願いをしたい。 そうしてもう一つの問題は、アメリカでもどんどん訴訟が起こりますね。そうすると、アメリカは訴訟がどんどん起こってくると同時に、今度は製造元の方が保険をかけます。ところが、余り訴訟が多くなってくるものだから保険がもたなくなる、結局製品に保険料をかけなければならぬという意味で、今度は物価が上がってくるという側面も確かにこのPL法案というものが持っておる内容ですけれども、当面そういった問題を克服することによって来年度あたりにはこの法案を、それは完璧なものは難しいと私は思うんですけれども、何らかの方法で御提出いただくように作業を速めていただく必要があるんではないかというふうに思うんですが、検討していただいておることはよくわかりますが、来年度の通常国会には提出できるような作業の段取りでいきますでしょうか。
○野田国務大臣 今からどういう手順でやっていけるかということを今ここですぐにお答えできればいいんですが、まだそういう状況にありませんが、先ほど申し上げましたとおりともかくこれは影響する範囲が非常に広い、また大きいわけでありますから、審議会において十分精力的に最終報告の取りまとめをしていただくということがまず第一だと思っております。そして同時に、私どもも、これはいつまでもずるずる十年も二十年も先延ばししていい話じゃないと思いますし、そういう意味で、できるだけ早くその最終報告を踏まえた上で何らかの前進があるようなことを考えなければなるまいということは思っておりますが、いずれにしても立法化の是非、立法化する場合には一体どういうような形の内容にするかなどをも含めた精力的な御議論を審議会でぜひおまとめいただきたい、こう思っております。それを見た上で、我々としても、消費者の被害の防止あるいは被害の救済ということについて前進をしていかなければならぬと思っております。
○松浦(利)分科員 大臣、少しくどいようですけれども、この前の中間報告は非常に難しいという中間報告だと思うんですよ。両方の立場が並立て出されていますからね。しかし、行政という立場からいえば、経済企画庁の立場でいえば、国民生活重視という中心官庁ですから、少なくとも答申の時期を早めていただいて、審議会にいつまでというふうに期限を限定することは非常に失礼になるかとは思うんですけれども、いずれにしてもこれは急がなければ大変に事故が多くなってくると私は思うんですよね。 そこで一つの例でお尋ねをするんですが、財団法人の日本産業協会というのがありますね、御存じでしょう。そこが製品事故実態調査というのを出していますね。それが一九八七年から八九年に起きた事故件数のうち製品の欠陥だと原因を指摘しておるのが何%の数字に上っていますかおわかりですか。
○加藤(雅)政府委員 ちょっと手元に資料を持っておりませんので、申しわけございません。
○松浦(利)分科員 私の方から申し上げますが、三百九十一件なんですね。事故の受け付けが一千二百四十件、そのうち三一・五%の三百九十一件は製品の欠陥が原因だ、こう指摘しておるんですよ。事故のうちの三一・五%ですからね、これは決して少ない数字じゃないんです。私の言っておるのは、これはもう間違いなく、数字も正確だと思いますから、間違っておれば後刻ぜひ御訂正方お願いをして結構だと思うんですが、この数字は減ることはなくて、逆にふえていく可能性が強いと思うんですね。 それで、そういう事故は万々ないとは思いますけれども、先ほど言いましたように例えばある程度電圧を高めなければならぬような、フラットの画面が大きくなったカラーテレビ等が出現をしてくるということになれば、当然事故そのものも大きくなってくるわけですから、遅きに失して事故が拡大しては大変ですから、非常に難しいということは重々わかるんですが、経済企画庁として、生活大国、国民生活優先という立場からいえば、長官、ぜひ答申を急がせてPL法の早期実現方お願いいたしたい、重ねてお願いしたいと思うんですが。
○加藤(雅)政府委員 委員会の事務方を引き受けております国民生活局長として一言、弁解がましいようでございますが申し上げたいと思います。 現在委員会は毎月二回、一回三時間ずつのペースで検討を行っております。検討を行っております内容は、まず第一に製造物責任制度の主要論点についての検討、つまり製造物の範囲それから欠陥というものを法律的にどのように定義するかということでございます。それから開発危険の抗弁の問題。責任主体の問題、これは事故が起こった場合に責任を負って弁償する主体はどこかという問題。それから証明責任の問題。損害論の問題。期間制限の問題、これはどういうことかと申しますと、例えば十年前の製品で事故が起こった、それを無制限に、十年前でも二十年前でも製品で事故が起こった場合には製造者が責任を負うかどうか、そういうような問題でございます。それから責任限度額というものを導入するかどうかというふうなことがまずございます。 それから製造物責任制度の導入の影響についてでございますが、先ほどから申しておりますように、まず紛争の処理に与える影響、現在民法で紛争の処理が行われておるわけでございますが、この新しい制度を導入することによってそれがどのように変わるのか。それから生産・流通構造に与える影響、特に新製品の開発・生産コスト、中小企業、販売業者あるいは発展途上国に与える影響。先ほど先生御指摘のように、欠陥製品であるということがもし輸入上問題になりますと、一番大きな問題になりますのは発展途上国の製品でございます。これはどうしても生産の精度といいますか、その点が低うございますので、もしPL法を導入いたしますと発展途上国からの輸入がかなり阻害される可能性があるわけでございまして、その点をどう考えるかということでございます。 それから第三に、現在もいろいろと被害者救済制度というのがございます。例えば通産省のSGマークという制度がございますし、厚生省の担当しております医薬品副作用被害救済制度というようなものもございます。これらの制度は現在一層活用される必要があるわけでございます。 それからPL法と申しますのは、裁判における手続の問題でございますが、裁判というのは、裁判に付されましても検討が非常に長くかかる、あるいは判決までの時期が非常に長いということでございまして、通常の消費者被害の場合にはそれほど被害が高額ではございません場合が多いものでございますから、裁判にかけていたのでは時間とか費用の点でとてもらちが明かないというような問題がございまして、裁判外における調停とか仲裁機関を活用する必要があるのではないかというふうな問題。特に少額の被害、少額の損害の場合では民事調停制度というものを活用することが必要なのではないかと思っておりまして、そういうことも考えなければならない。そのほかに、例えば今御指摘の損害賠償の履行確保をどういうふうにするか、裁判で損害賠償を払えと言われても中小企業の人は払えないというような場合もあるわけでございまして、それをどうするか。 それからもう一つ非常に大きな問題といたしまして、行政による安全規制とか救済制度がいろいろございます。これとこの新しい制度を導入した場合の相互の関係はどうなるかというようなことも検討する必要がある。 そういうふうなことでございまして、現在、製造物責任制度の主要論点について、つまり製造物の範囲とか欠陥概念というような問題の議論を大体終わっておりまして、現在は導入のいろいろな影響というものを非常にインテンシブに議論をしているところでございます。
○野田国務大臣 今審議をいただいておる状況について局長から御報告申し上げたとおりでありまして、今お聞き取りいただいた中でも、大変大事な問題をたくさんまだこれから濃密な論議をしてもらわなければなりません。ただ、本年十二月までが現審議会の任期でございますから、そういう点を念頭に置きまして、私は先ほど秋ごろを、こう申し上げたわけでありまして、何とか早くそういう最終報告を取りまとめていただけるようにお願いをこれからもしていきたいと思っております。
○松浦(利)分科員 時間がなくなりましたから内外価格差の問題については省略をいたしますが、答申を受けて来年度の通常国会には法案が提出できるようにぜひ御努力をいただくようお願いして、終わります。ありがとうございました。
○奥田(幹)主査代理 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。 次に、和田貞夫君。
○和田(貞)分科員 消費者行政を所管する経企庁の長官、本当に御苦労さまでございます。あなたは極めて数字には強い、経済には強い。ひとつここでお願いしたいのは、ネズミにも強くなってほしい、こういうふうにこの機会を通じて私はお願いをしたいと思うわけでございます。時間も制約されておりますので、きょうはネズミとマルチ、この二つについて、ぜひともこの機会に、警告を発すると同時に速やかにネズミ退治をしてもらいたいというふうに思うわけでございます。 金融の不祥事や証券の不祥事というようなものがございまして以来、そのために消費者に非常に被害をかけておるこれらの悪徳商法というのは、最近は新聞記事にもなっておらないわけでございますけれども、これは依然として立ち消えておらないわけでございます。私の地元の大阪におきましても、ラッキーチャンスというネズミ講、三万円の出資で二人の新会員を勧誘すると五百二十三万円になる、こういう話です。大阪で約二百人が被害に遭っておるのです。しかも、それが高校生、そういうところにまで波及していっているわけです。栃木の方でもハッピーバンクというのが、これも同じように三万円の出資で二人の新会員を勧誘すると五百二十三万円になるという話、ここでも約六十人の高校生が補導されているわけであります。 これらが大体共通しておるのは、極めて若い人たち、若い少年少女を対象に悪を働いているわけですね。ところが、若い高校生、少年少女は被害を受けておるという意識が余りないわけなんです。これは共通しておる点であるわけです。非常にこれは悪質な問題でございまして、速やかに対処していかなくてはならないわけでございますが、今申し上げました大阪、栃木だけでなく、東京、群馬、埼玉、福島、長野というところでも同じような事件が繰り返されておる現状でございます。 そういうような現状であるのに、今また新たに新しい手口で悪事を働かそうという手口が出てきておるわけであります。これは先ほど申し上げました二つの方法と違いまして、アメリカにトムという大金持ちになった者がおる、これはこうしてこうしたんだというそういうありもしないことを並べ立てて、そして悪事を働いているわけであります。アメリカンドリームというネズミです。三千円の出資、ここが先ほどと違って、三千円というと極めて容易にしやすい金額、これをつかまえて三千円の出資者を二百人以上勧誘すれば一億五千万円になりますよ、そういう話を持ちかけているわけであります。しかもこれは、ここにその文書があるわけでございますが、極めて念入りで、「住所リストを入手して郵送で送るか友達に話して協力してもらうのも良い方法です。住所リストは次のような所で入手できます。」といってアポロ広告社、名簿図書館、そこの電話は何番というところまで御丁寧に紹介をしている。そして、それらしき被害者がそれとも知らないで電話をかけてくる。どうもおかしいなというところで断っておるところもあるわけなんですが、これは最近の非常に新しい手口でのネズミ講であります。 そういうようなネズミ講が今蔓延しておるわけでございますが、長官の方の経済企画庁というのは、国民に啓発をしていく、そういう所掌を持っている役所なんですね。そういう責任を果たすためにどういうようなことをしてこられたのか。今私が具体例を挙げましたように、特にこの新しい手口のアメリカンドリームを退治するためにどういうような啓発活動をやろうとしておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○加藤(雅)政府委員 悪質商法に関します情報提供の例を申し上げますと、平成三年についてでございますが、国としてやりましたのは、「時の動き」という半月刊誌がございます。これの中に、十二月十五日号でございますが、「Q&A悪質商法の被害にあわないために」というような記事を出しております。それから、「ニッポンみたまま」というケーブルテレビの番組で五月中に流したものでございますが、「悪質商法あなたはねらわれている」というような番組を流しております。それから、週刊新聞「今週の日本」五月十三日号で「悪質商法を撃退しよう」という記事を出しております。なお、国民生活センターのテレビ番組では「ご存じですか消費者ミニ情報」という番組をやっております。それからラジオの「くらしの話題」、「国民生活」という出版物あるいは「くらしの豆知識」という出版物を国民生活センターからそれぞれ発行しておりますが、それらの情報メディアを通じまして、悪質商法に関するいろいろな情報を提供しているところでございます。
○和田(貞)分科員 長官、ちょうど三月、今新学期の時期です。また卒業生の就職、入社の時期である。先ほどもお話を申し上げましたように、特に若い人たちには被害意識というのがない。そして、悪いこととは知らなかった、あるいはゲームみたいなものだと思っておった、友達の勧誘を断って仲が悪くなったらいかぬし、また、話半分でも入ればいいと思ったというやはり歌もあるわけですね。そういう意識であるわけでございますから、文部省と十分に連絡をしながら、それこそ具体に高等学校や大学にそういう啓発活動をやるというような方法、あるいは労働省と十分な連絡をとりながらこれといった企業に対しまして新入社員を対象とした啓発活動をやっていく、そういうお考えはございませんか。
○加藤(雅)政府委員 先生御案内のとおり、平成四年度から消費者教育を一層充実させた学習指導要領が実施されることになってございます。それで、これに対応いたしまして、学校における消費者教育の充実のために財団法人消費者教育支援センターというものが現在置かれておりますが、これを活用いたしまして、望ましい消費者教育の総合的な体系の確立、教材、指導者のマニュアル等の作成、配付、データベースの整備等を現在推進中でございます。これらを利用いたしまして、悪質商法に関する情報収集あるいは情報の提供ということを一層行っていきたい。 また、悪質商法に関する情報収集でございますが、現在、国民生活センターに全国消費生活情報ネットワークシステム、バイオネットというネットワークがございまして、これで国民生活センターと地方の消費者センターがコンピューター、オンラインで結ばれております。これらの情報を、ネットワークをさらに一層充実いたしますために、現在御提出しております予算でこのコンピューターを非常に大きくしていただくということを既にお願い申し上げております。 このような手段を通じまして、今後とも、御指摘のように一層積極的に消費者の啓発、消費者教育を行ってまいりたいというふうに考えております。
○和田(貞)分科員 ひとつ、学校や企業に対しましても積極的にやってください。 警察の方、来ておられるでしょう。警察は一体どうなんですか。こういう新しい手口のアメリカンドリーム、これが流行しているということの事実は把握しておりますか。
○松原説明員 御指摘のアメリカンドリームにつきまして新聞報道がなされたことは承知をいたしておりますけれども、具体的な事実関係につきましては把握するに至っておりません。警察といたしましては、今後、事実関係の把握に努めまして、無限連鎖講の防止に関する法律に違反する事実が判明いたしました場合には、適切に捜査を進めてまいりたいと考えております。
○和田(貞)分科員 事実は把握されておらない。私が先ほどお示しいたしましたような資料の入手もしておりませんか。
○松原説明員 現時点では、ただいま申し上げましたように新聞報道でその概要を承知しているという範囲でございますが、今後、より具体的な事実関係の把握に努めてまいりたい、このように考えております。
○和田(貞)分科員 これはネズミ講の禁止法という法律があるんだから、開議しても末端の勧誘活動をやってもこれは法律違反なんですから、これはとらまえていいと思うのですね。取り締まりやすいことですよ。確かにあなた方の方は今暴対法だとか佐川急便だとか、忙しいことはよくわかっていますが、しかし、だからといって弱い、そして少年少女も巻き込んで知識の豊富でない市民、国民が被害を繰り返しておるわけですから、積極的にその方にもひとつ力を注いでほしいな、こういう気持ちでございます。強く要請しておきたいと思うわけであります。 そして、警察の方には、そういうネズミ講の取り締まりだけじゃなくて、マルチの方もこれはやはり積極的にやってもらわないといけない。これは同じことですからね。ネズミ講の販売業というのは、このマルチなんですからね。そのマルチの方をあなたの方は去年の十二月現在で、訪問販売法による取り締まりを、この訪問販売法は六十三年に法改正されておりますが、それ以降このマルチ商法の違反の取り締まりをされておりますが、九件です。これは二百二十件ぐらいあるのです。やってないよりましたといっても、そのうちの九件しか摘発してないのです。しかも、その九件のうち福岡県警が摘発二件、神奈川県警が摘発一件、あとはやらないよりもましたと言えばそれまででございますが、地方なのです。経済企画庁の方でネズミやマルチの被害が起こらないように、先ほど言っておられたように啓発活動をされるということでございますが、警察もまた厳重に取り締まって摘発していく。しかも、それが東京や大阪、名古屋、そういう大都会で大々的に取り締まって摘発をするということになれば、これほど大きな啓発になることはないわけなんですね。そういう意味で、細々とやるのじゃなくて、これも非常にお忙しいことだと思いますけれども、ネズミ、マルチの退治を、大都会で啓発のだめだということでこの際ひとつ警察は積極的に摘発をし、取り締まりをするということをやってもらいたい、こういうように思うわけでございますが、どうですか。
○松原説明員 お答えいたします。 警察といたしましては、従来から、いわゆるマルチ商法に伴う違法行為につきましては取り締まりの重点対象として取り組んできているところでございまして、平成三年中には四事件を検挙いたしましたほか、現在四事件についての捜査を継続実施中でございます。 先生御承知のように、いわゆる悪質商法というものは非常に形態がさまざまでございまして、御指摘のマルチ商法に伴う違法行為のほか、例えば海外先物詐欺事件ですとか原野商法ですとか、あるいは証券取引詐欺事件ですとか、いろいろな形態がございます。大都市の警察におきましてもこういった悪質商法につきましては鋭意取り締まりを進めてきているところでございまして、例えば警視庁におきましては、現在茨城カントリークラブに係るゴルフ会員権の乱売事件の捜査中でございますし、大阪府警におきましても、被害額が百億以上に及ぶ海外先物詐欺事件の捜査を進めているところでございます。 もちろん、先生御指摘のように東京や大阪に本社を有するマルチ業者が多いということは事実でございますので、今後、大都市所在の警察を含め、全国の警察に対しまして、マルチ商法に伴う違法行為についてはあらゆる法令を適用しまして厳正な取り締まりを推進するよう指導してまいりたいと考えております。
○和田(貞)分科員 ちょっとこの機会に警察の方に尋ねておきますが、訪問販売法が改正されて、なお取り締まりにくい、摘発しにくいというようなことがございますか、今の改正された訪問販売法で十分だ、どっちですか。
○松原説明員 立場上弱音を言いにくいあれにございますが、確かに、改正後いろいろな形態のマルチ商法について取り締まりがしやすくなったという面はございます。ただし、これは捜査一般に通ずることでございますけれども、組織的な形態で行われる犯罪につきましては、内偵なりあるいは立証というものに苦労が伴うこともまた事実でございますけれども、捜査手法等に工夫を凝らしながら鋭意取り締まりを進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○和田(貞)分科員 訪問販売法の改正過程におきましても、所管庁の通産庁がきちっと言っているわけですからね、これは実質的な取り締まり法であると。にもかかわらず警察の方が不十分だということであれば、これは主務官庁の通産省に言って、法の改正作業というのをまたやってもらわなければいかぬわけですよ。また我々自身がやっていかなければいかぬでしょう。そのために私は聞いているわけでございまして、どうもということであればこの際言ってもらったら、立法府でございますからあなた方の仕事のしやすいようにせにゃいかぬ。どうなんですか。
○松原説明員 お答えいたします。 六十三年の改正によりまして、それまでは法律の網のかかっておらなかった、当時マルチまがいと言われていた形態の商法についても規制の網がかぶったということでございまして、そういう意味では取り締まりに相当、やりやすいというと語弊がありますけれども、捜査上役立っておるということが言えるかと思います。また今後、捜査の過程を通じましてお願いをする点が出てまいりましたならば、その時点で御相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○和田(貞)分科員 ひとつ積極的に頑張っていただきたいと思います。 悪徳商法の取り締まりは警察、啓発はあなたの方ということでございますが、やはり訪販法を所管しておる通産省も啓発をやってもらわなければいかぬ。かつて十四、五年前に通産省がみずから、これがマルチ業者ですよということで、極めて勇断をもって、消費者に対して警告を発するために危険な二十二社を公表したことがありますね。私は非常に勇断だったと思うわけですよ。通産省や経企庁は先ほどいろいろと、啓発活動についてはこうもやります、ああもやりました、こうもやっていきますということだけれども、こういう危険なネズミがおりますよ、こういうようなマルチあるいはマルチまがいの商法であちらこちらで被害を出しておる企業がこれだけありますよというような公表をするというお考え方、通産省や経企庁にございませんか。
○小川説明員 お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のとおり、昭和五十二年にマルチ業者二十二社を公表したことがございます。その後、先ほど警察庁からも御答弁がございましたように、いわゆるマルチまがい商法というもので非常に消費者問題が起こったわけでございます。今まで五十一年の訪販法で対象になっておりました物品の再販形態ではない新たな取引形態、すなわち、受託販売でありますとか販売のあっせんといった形のもの、それから取り扱う対象が物ではなくて役務や権利といったものまで対象にするものが出てきたということで、これにつきましても法の網の目をかけてきたという経緯がございます。それに基づきまして私どもは法の厳正な運用に努めてきたところでございます。 おっしゃいますように、この法律の規制と並びまして消費者啓発は極めて重要な課題であると私ども思っております。これまで私どもは、まず一般の消費者につきましては、先ほど企画庁もおっしゃっておりましたが、テレビ番組で具体的な例を挙げながら、悪徳商法に近づかないようにするということ、それから「かしこい消費者のしおり」とか「くらしの契約の知識」といったパンフレット、それから「消費者相談苦情処理マニュアル」といった本を作成いたしまして関係機関に広く普及を図っているところでございます。 それから、これからは、先ほど委員御指摘のありましたように教育の現場におきます啓発が極めて重要だということで、私どもは今、日本消費者協会という関係団体がございますが、ここの行っております教師等現場での指導者の研修活動、それから日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会が行っております高校生を対象といたしました教材の作成、これはいろいろな具体的な例を挙げて説明をしている形のパンフレットになっておりますが、そういった教材の作成、さらには専門的な講師の派遣といったことについても活動をやっておりまして、その支援を行っているところでございます。 今後とも、悪徳商法から消費者を守っていくために、できるだけ実態の把握に努めながら、必要に応じまして関係省庁、関係機関の協力を得ながら、法の厳正な運用それから消費者啓発に努めていきたいと思っております。
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。 私ども、悪徳商法に関します情報といたしましては、基本的には先ほど申し上げましたバイオネット、これに地方の消費者センターから入力されてくるということで、一番早く知るということでございます。バイオネットは先ほども申しましたようにネットワークでございまして、現在どのような事件がどこで起こっているかということは、地方の消費者センターの方で端末をお調べになればすぐわかるようになっております。ですから、今現在例えば熊本でどのような事件があったというようなことを、申しわけありませんが、例えば東北の宮城なら宮城の消費者センターの方がすぐにわかる、そういう仕組みになってございます。したがって、私どもは、まずそういうパイオネットを活用していただくように、これはどうしても地方地方で起こってくるという性格がございまして、私どもが起こったということを把握するまでの時間をなるべく短くしなければいけないわけでございますが、それを短くするためにこのパイオネットが非常に有益である、これをうまく使っていくことが必要であるということで、これを活用していただくようにということをまず地方自治体にお願いをしておるということでございます。 それから、もう一つは公表でございますが、公表につきましては、先ほどからいろいろ御議論ございますように、最近手口と申しますか、非常に巧妙になっておりまして、違法なのかそうでないのかということが非常にわかりにくい。もし違法でないものを公表してしまいますと、公表というのは一種の社会的な罰でございますから、それがために、例えば名誉棄損でありますとか営業妨害であるということで逆に訴えられるというふうなことも考えられるわけでございまして、その辺を非常に考慮しながら、しかも悪いものは公表していかなければならぬということで、国民生活センターの中に公表するべきかどうかということについて検討する委員会を設けておりまして、この委員会で検討をいたしまして公表しても差し支えないだろうという判断をしたものにつきましては、いろいろな手段で、新聞記者を呼びまして発表する場合もございますし、そのほかパンフレットでございますとか先ほどの放送でございますとか、いろいろな手段で従来から公表は行ってきているところでございます。 ただ、一つだけ泣き言を言わせていただきますと、実はそういう業者というのはかなりずるいと申しますか、会社の名前を申しましても既に名前を変えておられるということがしばしばございまして、したがって、その会社の名前だけを言ってもだめでございまして、むしろこういう手口でこういうやり方のというのを、手口というのはかなり類似している場合がございますので、そういう知識を消費者の皆さんが持っていただくということが非常に大事なのではないか。 もう一つ言わせていただきますと、そういうものにひっかかるというか、そういう方々というのは、実は私どもがいろいろ情報を提供いたしましても、ふだんなかなかそういうものにアクセスしよう、知ろうと努めていらっしゃらないという問題がございまして、余りそういう努力をなさらない方にどうやってこれを知っていただくかというのは非常に難しい。これから工夫をしていかなければいけないことで、その意味では、小学校、中学校、高等学校の教育の場でやるということは非常に有効なのではないかというふうに考えているところでございます。
○和田(貞)分科員 時間が来ましたのでもう終わりますが、大臣、ひとつ弱い者を守るために強い大臣になってほしいと思うのです。弱い者をいじめたり高齢者を対象にしたり、知識の非常にまだ無知な子供さんまでも巻き込んでやるというようなものはまことに不届き千万でございます。先ほども申し上げたように、経済企画庁は何か難しい官庁のように国民の多くは見ておりますから、やはりネズミ退治もやってくれるんだ、弱い者の味方の官庁なんだ、それを所管する野田大臣なんだというような企画庁のイメージをアップするためにもぜひとも強く要望しておきたいと思いますが、大臣の決意のほどをひとつお聞かせいただいて終わらせてもらいたいと思います。
○野田国務大臣 先ほど来いろいろやりとりを承っておりまして、なお一層、御指摘の点を踏まえて一生懸命努力をしていきたいと思います。
○和田(貞)分科員 終わります。
○奥田(幹)主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。 次に、日野市朗君。
○日野分科員 実は、経済企画庁に対する質問者が少ないのでおまえもやれと言われまして出てきたようなわけでありますのでありますから、カードにはちゃんと質問事項を書いてございませんが、きのう一応質問どりにもちゃんと応じておきました。ただ、大臣の顔を見たらもっと別のことも聞きたくなったりいたしまして、多少脱線するかもしれませんが、そこらはよろしくお願いをしたいと思います。 まず、平成四年二月二十五日の月例経済報告を読ませていただきました。急におまえさんやってくれと言われてから経済白書とこれに斜めに目を通したので、余りよく読み込んでいるわけではありませんが、ちょっと気になる記載がありますので、その意味をもっとわかりやすく示していただければというふうに思います。 月例経済報告の二ページにアンダーラインをした部分がございまして、いろいろ個人消費がどうの、住宅がどうのとずっとこう書いてございまして、「景気の減速感が広まっておりこそれはそうでございましょう、「インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程」、こう書いてあります。これはずっと政府の統一見解のようなものでございますから何度も伺っておりますが、この「持続可能な成長経路」と書いてあるここのところをちょっとよく説明をしていただけませんか。
○野田国務大臣 基本的に私どもが「インフレなき持続可能な成長経路」こういう表現をしておりますのは、一つは、まず、文字どおり物価が安定をしていくということは非常に大事なことでありますね。そして同時に雇用の均衡が図られているということであります。それで、そういう経済のファンダメンタルズといいますか、それぞれの諸要素などを見ながら持続可能な余り上下変動のない、山と谷の激しくない安定的な成長経路ということを実は念頭に置いておるわけであります。 これは一つは基調判断に属するのですが、せっかくの機会ですから若干申し上げたいと思うのですけれども、一時過熱ぎみのスピードで走ってきまして、それをよくバブル経済、こう言われておるわけであります。バブル経済と言われたときには、やはり私どもはこれは異常な事態である、それはそれで、急速な円高をどうやって乗り越えるか、まさに各企業、特に輸出関連企業にとってはその生存をかけた大事な時期であったでしょうし、特に中小企業、そして輸出産業を抱える地域、そういったところの中小企業、本当に国を挙げて大変な気持ちでみんなが対応したわけです。そういう点で、金融の側面が緩んだということはもちろんありますし、そのことによってそういう危機を乗り越えてきて、それで内需主導型の経済構造に転換ができてきておるということも事実である。しかし一方で、そのことによって土地の価格が異常な高騰を示したとか、あるいはまた金融のあり方自体にも今日なおいろいろ指摘されているようなこともあり、あるいは証券の世界においてもやはり経済の健全性という側面から見た場合にいろいろ問題があったのではないか。そういった意味で経済の活動としても、よりバランスのとれた経済活動ということを我々念頭に置いておる。そういう意味で今、過去の行き過ぎた状態からそういうようなバランスのとれた姿に移行していく調整過程にある、基調としてはそういう中にある、こう判断をしておるわけであります。
○日野分科員 わかりました。ただ、私ちょっとここで議論をしておきたいと思うのは、バブルというのはまさに異常なことであったのですが、そのバブルの部分とバブル以外の部分というのを分けて見る考えが必要だと私ずっと思っておりまして、そのバブルのところを取り去ってみた日本の経済成長というものを見ますと、実は八八年ごろから下降期に入ったのではないかというような感じを私は前から持っておりました。 経済白書の後ろの方の参考資料の二十七ページにグラフが載っておりますね。これは非常に興味あるグラフだなと思ったのですが、「第4−2図」であります。これは「企業規模別利益率の推移」で、その「売上高経常利益率の推移」を全産業について見ますと、大企業であろうと中小企業であろうと全産業的に、全規模的に実はここで上げどまりになっておりまして、それから下降面に入っているのですよ。しかもそれがかなり急な下降ラインなんです。これが一つの象徴的なグラフではないかと私は思っているのですが、ここいらからもう既に下降局面に入ってきてバブルの部分が非常に旺盛に動いたものですから、日本の経済というのは非常にいいんだ、いいんだという感想をみんなが持ったのではないかというような感じがするわけです。これについてはいかがお考えになりますか。
○吉冨政府委員 先生御指摘のとおり、経常利益率というのを売上高で割りますと、その売上高経常利益率のピークというのは実は元年度でございます。元年度は株価もちょうどピークであったときでございますので、その後株価の下落とともに二年度以降は、二年度も含めまして経常利益率が純減してまいります。ただ、ピークのときの売上高利益率というのは、過去の景気のピーク、通常四・六、七%ですけれども、今回これが五・八%までいったというふうに非常に高いところまでいきました。したがって、その観点から見る限り確かにピークというのは恐らく元年度ぐらいではなかっただろうかというふうに考えられますけれども、実際の生産活動はその後も続けて一年半ほど伸びております。それが恐らく昨年の初めぐらいから減速がはっきりしてきているということではないかと思います。
○日野分科員 私の感想としては、確かにそういう生産活動が非常に高まって、そしてそれがかなり在庫として蓄積されたのではなかろうかとい、つふうにも考えておりますが、ここはいかがでしょうか。
○野田国務大臣 実は売上高利益率、これはたしか経常の数字だろうと思うのですね。生産活動の方は売上高というよりも、利益率というよりも、ちょっと違うのではないかな。むしろ生産の方はその後も、元年を過ぎてもずっと堅調に伸びて美ておる。在庫も決してそういう積み上がっておる状況にはないわけです。ただ、元年がピークだったというのはまさに株価がピークであった。言うなら、財テクによる経常利益への反映というふうな見方の方があるいはいいのかもしれませんね。そういう点が、株価が下がってくれば当然その財テクの利益は減るわけですから、それが多少減ってきておるというような側面はあるかもしれません。しかし実態の産業活動という側面から見切は、その後もずっと堅調に伸びてきておる。 ただ、私が感じますのは、では、株の世界だけがバブルであったのかというと必ずしもそうではない。バブル現象はやはり金融の側面にもありましたし、そういったことが一方で消費の世界にもあった。高級絵画が飛ぶように売れるとか、いろいろな要因がある。世の中に自分はバブルの恩恵は受けてないんだという気持ちの人がたくさんいる。しかし、結果的に考えてみると、財政もそうですけれども、いろいろな消費の世界においても、結局は何だかんだと言いながら意外とバブルによるプラスの部分というものは結構あった。それがだんだんはげていくということによって、自分たちは関係がないと思っていたような業種にまで及んできておるということは否定できないことだと私は思っております。
○日野分科員 私もその点は全く同感いたします。ただ、バブル、バブルというと日本全体が何となく浮かれていたということだろうと私は思いますね。浮かれていたというのは表現が悪いかもしれませんけれども、いかにも自分が金持ちになったような感じてお金をかなり使った。白書を見ますと、バブル部分は余りそういうような、まあ、ここで余り細かいところをせんさくしてもあれですが、バブルがはじけたことによって消費動向や何かに対する影響というものは余りないというような記述もあるようで、ちょっと気になるのですが、それは今はいいでしょう。 ところで、今こうやってバブル経済が一応はじけたということになると、国民はいろいろなことを考えていると思うのです。 まず一つは、今、情報化時代ですからいろいろなことがわかるわけだ。日本の円の購買力平価というのはどのくらいなんだ、日本の一万円を持ってアメリカに行ったら何が買えて、ヨーロッパに行ったら何が買えるかというようなこともすぐわかるような時代ですね。外国の住宅費用はどのくらいで、外国で一カ月アパートでも借りたらどのくらいというようなことは皆わかるわけだ。そうすると、果たして自分たちは本当に豊かだったのかどうかということについての疑問、これはかなり強く出ていると思うのです。 私、この「主要経済指標」の最近の動き、これも企画庁でお出しになったものですね。これも大急ぎでずっと目を通させていただきました。個人消費の点を見ますと、最近デパートからブランド品が消えて安い商品にかわったなんという話も聞きますので、全国百貨店販売額を見てみますと、確かにこれはずっと緩やかではあるが下の方に来ていますね。そして一月には東京では黒三角がついてしまったというような状況のようです。それからチェーンストアの売り上げもどうもぱっとしない。車なんかはずっと黒三角だらけになっている。これには出ていませんけれども、高い美術品の売買なんというのも恐らく姿を消したのでしょう。こうやってまいりますと、何といっても個人消費というのは非常に重要な指標ですから、さて、企画庁の方で言われるこのような安定成長への経路を今たどっているのだと言えるほど甘く見ていいものかどうかということについては非常な疑問を持ちます。思わしくないのなら思わしくないのだということはちゃんと言わなければいけないと私は思う。 〔奥田(幹)主査代理退席、主査着席〕 企業マインドということ、企業者のマインドの問題ですね、それをエンカレッジする必要があるのだということが今非常に言われて、私もそういう側面があることを否定するわけではないのですが、余りそれを重視して正確な情報が伝わらないということはいかがなものかと思います。先ほど申した指標の中で住宅建設を見てみますと、これはかなり低調な推移だと言わざるを得ない。今まで企画庁の方で言い続けてこられた「インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程」という表現を今ここで改めてくれとは言いません。しかし、現状としてはこの経路に乗せていくということはかなり難しいのではないか。これをやるためには本当に厳しい努力が必要ではなかろうか、こんなふうに私は思っておりますが、そこいらについてはいかがでしょうか。
○野田国務大臣 御指摘のとおり、今回の景気の減速がいわゆるバブルということだけで説明できるものでは決してないと思います。特に、さっきいろいろバブルの現象について申し上げましたが、やはり土地の価格そのものが相当異常な値上がりの後ずっと下落傾向にある。土地の値段が下がっていくということは、結果として見れば、当然のことながら分譲住宅を買いたいという人はやはり先送りするというようなことにもつながるわけですし、そういった意味でまさにバブル関連というものが直接的に影響しておる。そして住宅投資が伸び悩むということは、結果として、それに関連する耐久消費財初めいろいろな消費の分野にも影響するということは当然言えることだと思います。 しかし、今日の状況はそれのみならず、やや別の側面もあるのではないか。それは例えば自動車の売り上げの状況であり、あるいはその他のいろいろなことを見ておりますと、やや幅広い方面で最終需要が十分でない。特に、設備投資の世界においては非常にマインドの下振れということもありまして、水準そのものは確かに高いわけでありますけれども、ピークに比べてそれをさらに引き続き二けたで伸ばしていこうというような環境にない。いわんや、最終需要についてのいわゆるストック調整みたいなものが、個人の部門においてもそれぞれの部門においても感じられる局面にある。それが結果的に、多少生産の方を抑制しても在庫がなお積み上がるというような環境にある。そういった意味で、まさに一線で頑張っておられる経営者のいわゆる企業マインドというものが非常に悪いということはそのとおりだと思いますね。そして特に過去が二けた増益という環境の中であっただけに、二けた減益というような話になりますと非常に冷えてしまう。そしてそのことが結果的に、また先行きに対しても非常に重苦しいことにつながっていくというのが今の状況じゃないか。 しかし、基本的に今後先を見通した場合には、ほぼ土地の値段も、まだ多少の下落傾向があるいは続くかもしれませんが、一時に比べればかなり下がってきておる。そのことの反映が一方では住宅着工戸数がこのところ下げどまって、この一月では、年率ベースでいくと昨年の秋から暮れにかけてよりもややプラスの指標が出てきておる。そしてさらに住宅関連の金利が下がっておりますから、この二月、三月に入ってもかなり申し込みの件数は多いというような報告もあるわけであります。だから、そういう先行きを見ていく場合には、在庫がどういう形でいつごろさばけていくかということが業況感をよくしていく上で非常に大事なことだし、また、そのことが出てくれば設備投資についても今現在考えているよりも、これは毎年のことですけれども、年度が進行していくにつれて多少上方修正の傾向が出てくる。そういう先行きについて公共投資の問題だとかあるいは在庫調整、住宅投資、特に個人消費の世界においても、基本的には所得環境そのものは堅調なわけですから、そういうことを考えますと、いわゆる底割れ感みたいなものはこれは私は考えられない。基本的にそういうような基礎体力があるわけですから、そういう意味で今の時期を上手に官民挙げて一緒になって汗をかいていけば、さっきから御指摘のありますインフレのない、いわばバランスのとれた安定成長経路に移行していけるというふうに思っております。
○日野分科員 私は若干ちょっと甘いなという感じがするんです。特に不動産業界の現状を見ますと、これは金融政策も大揺れに揺れたですから、トータルに絞り込んでみたりそれを解除してみたり、それから金利が下がってまたさらに一層下がるんじゃないかとか、いや下がらないだろうとかいう憶測が乱れ飛んで、特に不動産業界が今大変なんですが、そこいらがもっともっと厳しくなっていくともっと落ち込む心配があるぞというふうに見ております。私の意見としてひとつそこいらをお聞きおきください。先ほどから問題にしております持続可能な安定的な成長経路ということを考えますと、日本経済そのもののバランスのとれた成長ということがどうしても前提として必要になってくるわけでございます。ところで、日本の経済の現状は果たしてそのようなバランスがとれているかどうかということを見ますと、これはそのように安定的に状況が推移するかどうかということについても非常な疑問が私にはないわけではありません。 これは経済審議会ですか、そこにおいてはさらにこれからいろいろ論議をされるのだろうと思いますが、私が気になる点を、もう時間がありませんから一、二だけしか申し上げかねると思いますけれども、今まで日本の経済を支えてきたのは何といっても猛烈な競争ですよ。私に言わせていただければ理念なき競争、利潤を上げるということを自己目的にした競争、これがずっと行われてきまして、そしてそのことによって経済的に成長し、いわゆる経済大国というものにもなってきたわけであります。私、考えてみまして、労働者の労働時間が世界最高だ、それからいろいろなことを言われましたね。じゃ、何でこれほどまでして日本はお金もうけに狂奔したのかということもいろいろ考えてみざるを得ない。そしてそういう競争が物すごく行われて、もう企業社会と言われるくらい富というものは企業にあって、一般の国民はそんなに豊かさを感じているわけでもない、ゆとりがあるわけでもない、こういう指摘がされている。こういう企業の企業活動が許されるのは、結局は見えざる手によってそれがやがては国民全体に還元をされていって、そして国民全体が豊かになるからだという信仰が実はございます。しかし、その信仰を打ち破るような企業活動に現在なってしまったのではないかというような感じが私はしてなりません。 アメリカからは、まさにこれは系列の問題であるとかいろいろな問題として指摘をされて、日米構造協議、SIIにおいては、外国に対しては門戸を開きましょう、こういう形を一応とった、一応約束はしたわけですね。私はそれは正しいと思う。そういう約束は正しかったと思う。要は、このような非常に入り組んだ日本のその企業競争の中で形成されてきた慣行とかなんかが実際に打ち破れるのかということが問題であろうと思うのですね。しかし、これは日本の経済そのものの発展のためにやらなくちゃいかぬと私は思います。アメリカに対して約束したこと、これはきちんと守るべきだと思う。それと同時に内なる自由化といいますか、これがちゃんとなされていなければならないと思うのですよ。系列の問題については、私も腹立たしい思いがしている部分が随分あります。こういうところをちゃんと打破していかなければ日本の経済というものはきちんと安定的な健全な成長を続けていくことはできないんだろうと思う。労働者のゆとりとか豊かさなどというものもやってこないんだろうと思う。ここいらについてどうお考えになっていますか。
○野田国務大臣 二点あろうかと思うのですけれども、今までの日本の経済というか日本の企業の行動パターンについて言及がありましたが、私自身は、そういう御指摘の面もあるいはあろうかとは思うのですが、大分変わってきておるんじゃないか。いわゆる集中豪雨的に輸出をしていくというような時代からこれはもうかなり今、今だけじゃなくてもうちょっと早い段階でそれは改められてきた。むしろよりよいものをより安くつくろう、そして消費者に喜んでもらおう、そして、よりよいものをより安く売って何が悪いんだろうかというぐらいの感覚があったんじゃないか。特に、大変な円高がありましたね。そのころ行動パターンもかなり変わってきた。外国との貿易摩擦がいろいろな分野でどんどん顕在化をしてくる、そういう中で随分と企業も勉強してきて、そのほかにスポーツの分野、文化の分野あるいはメセナだとか、いろいろな形で社会的な責任なりというものを感じ出してきておる。しかし、そこへ加えて、それだけではだめだなというのがこの前からいろいろ論議が起きております労働分配率の問題であったり配当性向の問題であったり、もうちょっと違うスタンスから見る必要があるのじゃないかというある種の見直しの機運があるということは、これはこれで大変結構なことだと実は私は思っております。 それと同時に、これからの先行きについてお述べになりました部分は実は私も感じておる部分であります。これは決して企業活動という側面だけじゃなくて、我々の通常の生活というかライフスタイルといいますか、そのこと自体の中に、仲間うちでやっていくという習慣があらゆる分野に実は随分あるのじゃないかな。趣味にしても、今、思考方式が全部横並びといいますかワンパターン方式なんですね。だから本当にこれから生活大国を目指していこうというようなことを考える場合に、もう少し個々人がそれぞれの多様な価値観の存在を認め合う、自分の価値観を無理に人に押しつけたりはしない、そういう中に本来のゆとりというものも出てくるはずだし、そういうふうにそれぞれがもうちょっと行動様式を変えていかなければならない。系列の問題も単なる資本系列だけじゃなくて、今まではそれがある意味では日本経済としての、業界としての効率性を発揮したかもしれないけれども、これは我々日本人自身が考えてみてもやはりおかしいね。言うなら下請会みたいなものをどんとつくってしまって、同じ日本でも別のサイドからはなかなか新規参入できない。これはやはりよその国の人から見たらもっと排他的な印象で見られてしまうのじゃないか。そういう意味でもっと公正とか透明度を高めるとか、そういうことの方がこれからはより大事なことじゃないか。それが結果的に我々の生活大国という国内的な視点の上でも大事だし、国際社会との調和ということを考えた上でも大事なことだ。そういうことを通じて結果的により安定的な調和のある、バランスのとれた経済成長を持続させていくためにも、変革を求めていくことは大事なことであると私も認識をいたしております。
○日野分科員 三十分じゃどうにももう時間がなくなってしまって、こっちも演説のしっ放しみたいになってしまうかもしれませんが、そういった猛烈な企業活動、これは今大臣は、大分直ってきた、修正されてきた、こうおっしゃっているのです。私もそういう側面はあるかなと思っている。しかし、今までそうやって企業活動を猛烈にやってきた、経済活動を猛烈にやってきたというところから、コミュニティーの崩壊という重大な傷跡を実は日本の社会の中に残してきてしまったのですよ。今ゆとりを持った、余暇を持った労働者がさあ何をやりますと、言われれば、ごろ寝みたいな話になってしまうわけです。コミュニティーに対して自分が積極的に働きかけていこうということを忘れてしまったという日本人像というものがありまして、これをきちんと改めていくことが必要だということ。どうも私は大臣といろいろお話をしていますと余り認識の違いというものはないのですが、私、もう一つ、もう時間が来ましたという札が来ると思いますから、これは注文だけしておきます。 白書を読んでみて私、非常に不満を残します。といいますのは、いろいろ分析や何かは非常に緻密にやっておられる。大変な労作だ。しかし経済企画庁であるからには、これからの日本の経済運営をどのようにやっていくかという政策的な指針、それを白書に盛り込まれた方がよろしいと思う。今大臣が言われたようなことであれば、そういう指針がちゃんと打ち出してあるのであればこれはもっと説得力のあるいいものになったろう。これも立派なものだと思いますよ。労作だとお褒め申し上げた上でさらなる注文をつけるわけですが、そうなさった方がいいと私は思います。 きょうはそんなことで三十分の時間ですから、またいろいろお話しできる機会を楽しみに私の質問を終わります。
○小澤主査 これにて日野市朗君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田和子君。
○吉田(和)分科員 私は、消費者を取り巻く諸問題一般についてお伺いをさせていただきたいと思います。子細な、細かい質問もさせていただくことになろうかと思いますけれども、どうぞ御了承いただきまして、誠意ある御回答をいただければというふうに思います。 まず、経済企画庁におかれましては、日本の経済運営ということと同時に、日ごろ消費者生活の安定及び向上を確保するということについて、その中でも特に消費者問題、各省庁を統合され、調整する立場で大変御努力をいただいておることに対しまして感謝を申し上げる次第でございます。長官も、衆議院の商工委員会におきまして、活力と潤いに満ちた生活大国の形成を目指して最大限の努力を行うということで、決意をお聞かせをいただいたところでございます。大変力強く、これが十分な成果を上げられることを祈っているというか、一緒に頑張ろうというふうな気持ちでいっぱいであるわけでございます。 ただしかし、企業中心の社会から国民生活を重視した政策や社会システムに転換をしていくということは、一言で言いましても、実現には大変困難なものがあるというふうに考えております。実際、地方自治体、身近な自治体でも今大変努力をしている。それを目の当たりにしておるわけでございますけれども、世界の経済大国にまで成長するとともに、消費者もまた、その認識とか意識も変化をしてきている現状でございます。そういった意味で、消費者を取り巻く現状、そして消費者をどういうふうにとらえておられるのか、そして行政全般としてこれからどういうふうに取り組んでいかれるおつもりであろうか、まず長官に伺わせていただきます。
○野田国務大臣 率直に申し上げて、私ども、戦後今日まで特にまれに見る経済発展を遂げてまいりまして、所得の水準で見たりあるいは失業の状態、さまざまな指標で見まして、今や世界の中でも胸の張れる水準にあることは確かであると思うのですが、一方で、胸に手を当てて振り返ってみて、本当に我が人生豊かなりやということになると首をかしげるところも多々ある。そういった中で、もちろん社会資本の分野もありましょう。しかし、そういうような目に見えるものだけではなくて、自分の生きざまの問題として、あるいはこれは労働時間という問題もかなりの影響をしておると思います。自由時間が少ない。また同時に、少ないから、その自由時間をどのように有意義に過ごしていくかというような発想、こういったことへの問題もあるだろう。 そういうさまざまな、今日までの評価すべき点は評価すべき点として、一人一人の人生がより充実したものになるようにするにはさらなる努力が必要である。そういったことからいえば、今御指摘の、ややもすれば、サラリーマン、あるいはサラリーマンの家族を含めて、その人生、生きざまを見るとほとんど企業社会を中心にしたライフスタイルに実はなってしまっている。それをもう少し視点を変えて、生活という時間というものを非常に大事にしていくような仕組みを考えていかなければなるまい。 こういった事柄などをも含めて、実は現在、御案内のとおり経済審議会で、新たな経済計画を策定していく上で、どのようにそういったものを満たしていくかということを勉強をしていただいておる最中であります。もちろん、これは単に国が経済計画をつくってそれで終わりではなく、国がやるべき部分だけでなくて企業自身にも努力をしてもらわなければなりませんし、また、国民一人一人がみずからの問題として、特に価値観に関連するような分野は、特に意識改革をお互いにやっていかなければならぬ分野も実はあるわけでありまして、そういったものが両々相まって、我々、より充実した人生設計が描けるような社会を築いていきたいと思っておるわけであります。
○吉田(和)分科員 例えば、もはや高齢化社会に突入をしている、労働時間の短縮がうたわれている。これまで消費者を取り巻くさまざまな施策を講じてこられたところだというふうに思いますが、この今の時期に、そして平成四年度に向けた予算組みの中で、事四年度に向けた施策の中では特にこういうものというふうなお考えはございましょうか。
○加藤(雅)政府委員 先生御案内と思いますが、消費者保護、これは消費者保護基本法に基づいて実施をしておるわけでございます。消費者保護基本法によりまして政府は毎年消費者保護会議というものを開催いたしておりまして、これは大体閣議と同じような組織でございまして、あと公取委員長がお加わりになっておるわけでございますが、そこで毎年翌年度の消費者保護に関する基本的な施策というのを決定をいたしておるわけでございます。昨年は十二月三日に第二十四回の消費者保護会議を開催いたしました。 主な決定内容と申しますと、一つは消費者安全の徹底ということでございまして、具体的な内容といたしましては、例えば現在、輸入食品の安全というようなことが非常に問題になっております。これは、食品の輸入が非常に急増いたしておりまして、急増しております食品というのは、例えば従来日本では使っておらなかった農薬を使っておる。あるいはポストハーベスト農薬と申しまして、日本では収穫をいたした後は農薬は使わないわけでございますが、例えばアメリカ等から食品を輸入します場合には農薬を使って来るというようなことがございまして、これの基準というものが従来ないわけでございます。使っておらないからないわけでございますが、そういうものをつくるというふうなことが現在問題になっておりまして、こういうことを非常に一生懸命やるというようなことがございます。 それから、適切な消費者選択の確保推進と呼んでおりますが、これは、消費者が賢明な消費者になっていただいて適切な選択をしていただくということが非常に大事なわけでございますが、そのためにいろいろな施策をする必要があるわけでございます。一つの例を申しますと、これは現在はほとんど問題ございませんが、昔は例えばはかりの量目不足といいますか、百グラムありますよと書いてあっても実は九十五グラムしかなかったというふうなことがございました。そういうようなことは現在はないように、これも消費者政策としてきちっとやっておるわけでございます。 それから、消費者取引の適正化ということがございます。これは先ほどもちょっと御議論いただきましたが、例えば、悪徳商法というような、そこらの取り締まりというふうなことが非常に必要なわけでございます。 最後に、消費者支援の強化でございまして、これは、消費者がいろいろ活動されるわけでございますが、この活動に対しまして行政そのほかでいろいろ支援をしていく。例えば、私どもの所管しております国民生活センターという法人がございますが、こういうところで消費者に対していろいろ情報を提供して、適切な選択をしていただく。あるいは、消費者団体がいろいろございますが、こういう消費者団体に対して、いろいろ私どもとしても、行政の方ではこういう考え方をしております、適切な活動をしてくださいということでお願いをしていくというようなことを現在やっております。 それから、もう一つつけ加えさせていただきますと、消費者支援の強化の中で、平成四年度から小学校、五年度から中学校、六年度から高校で消費者教育というものを強化することが決定されております。現在、我々、それに対応いたしまして消費者教育支援センターという財団法人をつくっておりまして、この法人で、先生の教育といいますか、従来やっていなかった教育をするわけでございますから当然まず学校の先生に、どういうことを教えてくだい、こういうふうに教えてくださいというふうなことを教えるというか、そういうことを知っていただくことが第一で、そういうことをまずやっておりますし、それから、教材等も従来なかったわけでございますから、教材をつくるというふうな仕事をやっております。 現在、大体そういう内容で消費者保護行政、消費者行政をやっております。
○吉田(和)分科員 高齢化社会の到来の中で、大変消費者としては心配をしておるという点が幾つかあるわけでございます。その中の一つに、私も消費活動を行っている購買生協がございまして、組合員がみんな家計簿をつけてデータをとっております。その中で話し合われておりますのは、一家庭の家計の実態の中で大変負担になっているのが、都市部でございますので住宅費が大変大きい、そして食費も、年齢に分けては住宅費、食費が一番であったり二番であったりしているわけでございますが、その中で特に心配なのは、どうも社会保障負担の増大が懸念をされている。中高年層の家庭だけではなくて、若い人たちがその心配を募らせているというふうな懸念を出されているわけでございます。高齢化社会に対応した社会保障のあり方について、企画庁としては基本的にどういうふうなお考えを持っておられるのか、お伺いをいたします。
○長瀬政府委員 先生御案内のとおりでございますが、日本の社会がこれから急速に高齢化をしていく、そういう中で年金制度が成熟化をしていく過程にあるわけでありますけれども、今後、年金等の社会保障給付が増大をするということがあるわけでありまして、その裏腹でと申しますか、一方におきまして、社会保障の負担も増大をしていくということがあるわけでございます。 数字で申し上げさせていただきますと、一九九〇年度で社会保障の移転、これは国民所得に対しまして二二・八%、年金についていいますと六・八%でありますけれども、一方、社会保障の負担は一一・五%というような姿になっているわけでございます。こういう中にありまして、国民の信頼を損なうことがないように、老後の安心ということが大変重要な点でありますので、社会保障制度の長期的かつ安定的な維持を図るとともに、ただいま申しましたような人口の高齢化、あるいは家族形態や扶養意識の急速な変化ということに対応いたしまして、高齢者福祉対策などの施策を推進していくことが大変重要なことだと考えております。 こういう観点から、現行の経済計画におきましても、社会保障制度の効率化、総合化でありますとか、また、世代間や制度間、あるいは受益者と負担者の間の公平、公正の確保、さらには民間活力の活用と自助努力の促進というようなことを基本としながら、高齢化社会に対応した社会保障をつくっていく必要があるということを述べているわけでございますが、ただいま経済審議会におきまして新たな経済計画の策定作業に着手をいたしておりまして、その中におきましても、これからの社会保障のあり方ということについて御審議をいただきますとともに、その間にあって、給付と負担の関係というような点につきましても幅広く、また将来の展望に立って御検討をいただくということを予定しているところでございます。
○吉田(和)分科員 高齢化社会に伴ってもう一点懸念をされる問題がございます。それは、若年層の方とともに高齢者の消費者トラブルが大変急増をしている現状にあります。これからますます高齢化が進んでいく中で、高齢者に対する、高齢化社会に応じた消費者行政というか施策というのをここら辺でしっかり見直していかなければならないときではないか、そのことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○加藤(雅)政府委員 高齢者を中心とした消費者トラブルの未然防止ということは非常に重要な課題であるというふうに考えております。先ほど申しました平成三年十二月の消費者保護会議におきましても、「高齢者の消費者トラブルの未然防止及び迅速な解決を図るため、関係事業者等の取引実態等を調査し、高齢化に対応した消費者行政の在り方を検討する」ということが決定されております。このために、特に私どもこの問題を委託調査いたしたいというふうに考えておりまして、本年は千六百万円ほどの調査費を予算の中に計上させていただいておりまして、こういう調査等も行いながら一層高齢化に伴います消費者取引の適正化に努めてまいりたい。 また、最近特に問題になっておりますのは、例えば有料老人ホームのサービスがよく問題にされておりますが、関係省庁等とも連絡をとりまして、有料老人ホームは厚生省御所管でございますが、一層総合的に政策を推進してまいりたいというふうに考えております。
○吉田(和)分科員 高齢化ばかりではなくて国際化、情報化、サービス化など消費者を取り巻く環境が大きく変わっているわけでございます。消費者のニーズに合った消費者保護政策を行っていく、その消費者のニーズに合ったというところ、そのニーズを吸い上げるためにはどういうふうなことを考えておられるのか、そして、これからどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
○加藤(雅)政府委員 先ほど御説明いたしました消費者保護会議の決定でございますが、この決定をいたしますのに際しまして、これは政府ベースということでございますけれども、まずヒアリングをいたします。例えば消費者団体には既に来年度の決定、来年度と申しますか、ことしの暮れいたします決定でございますけれども、この決定に対してどういう事項を盛り込んでほしいのか、あるいは地方自治体に対してどういう項目を盛り込んでほしいかということを文書で出してほしいという要請をもう既に行っております。それで、各方面にこういう要請を申し上げまして回答が出てまいりますので、これはなるべく四月か五月ぐらいに関係省庁に御検討をいただいて、その中で来年度の予算等で予算化できるもの、あるいは施策として取り上げられるものについては、早速ことし末に行います消費者保護会議で決定の中に取り入れていきたい。 なお、そのほかに私ども、いわゆる消費者団体、主要八団体ございますが、例えば主婦連、地婦連等々八団体ございます。この八団体とは毎月連絡会を行っておりまして、これらの消費者団体の方々から御希望をいろいろ伺う、あるいはこれは消費者団体ではございませんけれども、企業の消費者窓口というのがございます。こういう窓口の方々とも、これは毎月三、四回くらい定期的に会合を持っておりまして、その中で現在どういう問題が起こっているか、それに対してどういうふうに対応していくか、あるいは先ほど申しました国民生活センターのバイオネットというネットワークの中にどういう問題が入ってきて、それに対してどういうふうに対応していくか、いろいろな窓口あるいはネットワークを使いまして御希望。を吸い上げ、それをできるだけ政策に生かしていきたいということで努力をしているところでございます。
○吉田(和)分科員 次に、国民生活センターの役割が、今のお話でも大変ますます重要になってくるのではないかというふうに認識をさせていただいておるわけでございますけれども、それについてお伺いをさせていただきたいのです。 都道府県にも消費者センターがあり、そして各自治体、消費者が一番身近にしているというふうな自治体でも、今盛んに消費者センターができつつありまして、人を設置をして消費者からのニーズを吸い上げる努力をしている、そして情報を伝える努力を懸命にしているというのが私の実感であるわけでございます。 私も地域の中で消費者センターを建設するというときに計画に加わりまして、人の問題、そして実施できるさまざまな行事、そういうものの計画などに携わってきたわけでございますが、ここの中で一つ非常に大きな問題がなというふうに思いますのが、その自治体でやっている生活センターの集めている情報がどれぐらい都道府県に伝わって、そして国の政策にしっかりと伝わっているか、国民生活センターの中にどれぐらい伝わって、センターから末端の自治体の消費者に伝わるような情報ネットがされているかということに対しまして、まだまだこれからそこら辺に大きくお金をかけていかなければならないのではないかな、整備をされていかなければならないのではないかなというふうな実態を感じるわけでございます。 そして、その情報の提供に関しましても、例えば冊子にして送る、そして新聞にして読むものとして消費者に配るというふうなことだけで、果たしてこれらの高齢者に対するトラブルの未然防止に役立つような情報提供になっているだろうか、そして物を読まなくなってきている若者の世代にこういうものが果たして十分な消費者教育となって、媒体となって役立っているだろうか。例えばコンサルタントという人たちがおります。コンサルタントの人たちが直接行ってお話をする機会を地域の中に設けてもらう、学校の中でお話をする、そしてまた、会社の中でそういうお話をしてくるということが大変成果を上げているというふうなことも伺っているわけでございます。 そこで、もう時間が限られている中で恐縮でございますけれども、まず最初に、国民生活センター出資金というふうなのがございました。交付金と合わせまして約二十五億円ほどでしょうか、計上されております。この具体的な使われ方というのはどういうことでございましょうか。
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。 国民生活センターは国民生活センター法に基づいて、「国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行う」ということで昭和四十五年に設立された特殊法人でございます。交付金、出資金の使途でございますが、交付金はテレビ、ラジオ、「たしかな目」という商品テスト誌を出しておりますが、それらによります国民生活に関する知識を普及啓発するということにまず使われております。 それから第二に、国民生活に関する苦情とか問い合わせがございます。電話で受け付けておりまして、これに対して情報提供あるいはそれの処理等を行っております。 それから第三に、先ほどお話がございました地方の消費生活センターでございますが、これらの地方の消費生活センターに対して国民生活センターはその中核となっているわけでございまして、この地方の消費生活センターと国民生活センターとの間がコンピューターのネットワークシステムでつながれております。オンラインでつながれておるわけでございます。したがいまして、地方の消費生活センターに入りました苦情等の処理でございますが、これらのコンピューターネットワークを通じまして直ちに国民生活センターで現在どのような苦情が地方に出ているかということが把握できるわけでございますし、また先ほどもお答え申し上げましたが、ほかの地方でどのような苦情が出ているかということもこのネットワークを通じて直ちに把握できるような形になっているわけでございます。コンピューターにこのための非常に大きな負担がかかるということでございまして、現在このためにコンピューターの容量を大きくする必要が起こっております。したがいまして、平成四年度の予算の中でこのコンピューターネットワークの充実のために、電算機に関しまして、三年度まで一億四千万円でございましたのを、四年度では二億七千万円と約五割程度増額させていただくという予算措置を講じておるところでございます。 なおこのほかに、先ほどの松浦委員の御質問にもございましたが、PL関係、PLと申しますと製造物責任法関係でございますが、現在、コンピューターを用いまして病院に商品の欠陥等が原因でけがをされたりして入ってこられる方々の情報を収集しております。これを危害情報と申しておりますが、この情報の収集、従来八病院でございましたのを四年度から十四病院にふやす、さらに、その情報の内容につきましても飛躍的に多様な情報をとるというようなことを今考えておりまして、そのための危害情報システム、これは病院の方に端末を置いて病院からオンラインで情報を入れていただくわけでございますが、そのための予算も、三年度の二千五百万円から四年度は七千六百万ということで約三倍にふやすというふうな予算措置をとっているところでございます。 なお、出資金でございますが、出資金につきましては、従来の出資金はセンターの用地、土地及び、これは現在淵野辺に商品テスト施設がございますが、この商品テストの機器の購入ということに充てられていたわけでございます。平成三年度及び四年度に出資金が二億一千二百万円、三年度二億一千二百万円、四年度一億円の出資が行われております。これらにつきましては、現在淵野辺にございます商品テスト用の機器が相当老朽化いたしておりまして、これを新しいより精密な測定等のできるものにかえる必要が生じましたので、三年度、四年度の出資金はこれらの機器を購入するために充てるということになっておりまして、四年度は、名前を申し上げてもちょっとややこしゅうございますが、ICPプラズマ発光分析装置というようなものでございますとか、試験用のロボットでございますとか、合わせて十点のテスト機器を取得する予定になっております。
○吉田(和)分科員 情報を収集する手だて、そして先ほども申し上げさせていただきました情報、消費者は個々一人一人でございますので、個々に何とか効果的にわたる情報の提供というものもぜひ革新的に考えて行っていただきたいということを要望をさせていただきたいと思います。 最後に、従来ですと消費者の保護のための施策の推進というふうなことでございましたけれども、今はもう自立した消費者を育てていくための整備、そういう点でも力点を置いていくべきであるというふうに考えますけれども、どのような取り組みをお考えになっておられますか、最後にお伺いをさせていただきます。
○加藤(雅)政府委員 自立した消費者を育てていくためには消費者教育の推進、これはいろいろの段階で考えられると思うわけでございますが、現在私どもとして一番力を入れておりますのは、平成元年三月に改訂されまして、先ほども申しましたように平成四年度から小学校、五年度中学校、六年度高等学校で実施されます新しい学習指導要領、これに基づきまして消費者教育を一層画期的に強化するということを考えておりまして、これを一番力を入れてやっておるところでございます。 それから、情報の収集、提供の体制のために、先ほど申しましたようにバイオネット、先ほどのオンラインネットワークでございますが、これをさらに充実するということも非常に重要なことであろうというふうに考えているところでございます。いずれにいたしましても、関係省庁と連携をとりながら消費者教育、情報提供の一層積極的、総合的な推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
○吉田(和)分科員 総合的調整機関ということで、消費者にとりましては各省庁十八またがるところで問題点を提起する前に、窓口はやはり企画庁というふうな思いが大変強いわけでございますので、どうぞ今後とも、ゆとり、豊かさの国民生活の充実を目指して企画庁で存分にお力を発揮していただきますようにお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○小澤主査 これにて吉田和子君の質疑は終了いたしました。 次に、筒井信隆君。
○筒井分科員 きょうは一極集中是正の問題についてお聞きをしたいと思います。 最初に経済企画庁にお尋ねをいたします。 経済企画庁が「平成四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、閣議決定されたものを作成いたしました。その中で「東京への集中の弊害の除去と地方の活性化を図る。」こういう部分がございます。その中身としては「地域の特性と創意を生かした地域づくり」とか、あるいは「地域経済の自立的発展」あるいは「東京からの諸機能の分散」、その他、やや抽象的宣言葉が並んでいるわけでございますが、これをもう一段具体化をして、この一極集中是正のためにどういうことを考えておられるのか、その点答弁をいただきたいと思います。
○長瀬政府委員 東京圏への一極集中の動きというものは、昭和五十年代に入りましてからかなり鎮静化しておりましたけれども、五十年代の後半から再び高まってまいりました。最近時点では、ひところに比べてややテンポは落ちてきておりますけれども、依然としてこのような傾向が続いているということ、御指摘のとおりでございます。 そういう中にありまして、東京一極集中に対していかに対応するかということでございますけれども、何と申しましても東京圏に諸機能が集中しているわけでありますから、これを抑制をするということがあるわけでございまして、このための政策手段として、新たに東京圏に行政機関等が立地するというようなことにつきましてこれを抑制するというような措置が講ぜられておりますほかに、工場等制限法によりまして東京圏への工場等の立地の制限というようなことがなされているわけであります。同時にまた、東京圏から地方圏への分散を促進するという観点から、ここ数年の間に一定の要件を備えた事務所等が地方に移転する場合に優遇措置を講ずるというようなことがなされてまいりまして、そのような形で集中の抑制と分散の促進という施策が講ぜられていること、先生御案内のとおりでございます。 同時にまた、他方におきまして地方の活性化を図るということが大変重要な視点でございます。その際に、最近の大変大きな傾向といたしまして、地域の中でもどちらかといえば比較的規模の大きな中枢、中核都市への集中傾向というものが進みます一方で、周辺農山漁村の過疎化と高齢化が進行しているという状況があるわけでありますので、そういう中にありまして、地方都市の機能というものの集積を高めながら周辺の中小都市や農山漁村とのネットワークを円滑に形成をいたしまして、地域全体として活性化と浮揚を図っていくということが重要ではないかというように考えているわけであります。そして、そのような地域の活性化を支えるものとして、日常生活にかかわる基盤整備が重要でありますとともに、同時にまた交通情報通信ネットワークといった基盤整備が必要でありまして、そのような形で東京圏への集中の抑制、分散の促進とあわせて地方の活性化を図るということを通じまして国土の均衡ある発展を図っていくということが重要な施策の方向だと考えております。
○筒井分科員 集中の抑制と分散の促進、そして地方の活性化、この三つを目的にして一極集中是正を行う、この一つの形として地方拠点都市地域の整備、それと産業業務施設の再配置の促進、この構想が出されているわけでございまして、これも今の一極集中是正のための具体的な重要な施策の一つであるというふうに考えられるかと思います。この構想、確かに地方の自主性を今までよりもずっと配慮をしている。例えば拠点都市地域の指定に関して県知事が行う、これも今までなかったことでございますし、その点も評価できるだろうと思います。それと、六省が共同して行う、これも意義のある点だろうと思いますし、さらには職、住、遊、学という全部をそろえた形、以前テクノポリス等で幾つかをそろえようとした構想はあったかと思いますけれども、遊も含めてまさに総合的な地方の活性化を図る、こういう点でもこれは意義のある構想であろうというふうに考えます。 もちろん、いろいろな問題点はあるわけでございまして、例えば環境の点に関しても一部出されているだけのようですが、リゾート法寺含めて開発と環境との両立、調整、これをどう図るかはもう少し配慮しなければ問題が起こってくる可能性もある。それから、やはり地方の活性化の大きな手段として補助金が相変わらず大きな比重を占めている。それもひもつきの補助金が大きな比重を占める可能性がある、こういう点の問題もあるわけでございまして、さらには地方の自主性を尊重した点、先ほど申し上げましたように非常に意義があるわけでございますが、しかし数においても内容においても、また全国同じような画一的な結果になる危険性がある。その点に対する配慮が必ずしもとられているとはいえないような感じを受けるわけでございまして、これらの意義と問題点があるわけでございますが、その構想の中身について幾つかお聞きをしたいと思います。 最初に通産省の方にお聞きをしたいわけですが、この地方拠点都市地域の指定はもちろん知事が行うということになっている。地方拠点都市地域に適合するかどうかの要件といいますか条件の問題でございます。 出されているところによりますと、一般的には三つの抽象的な要件ですが、今出されている。一つは「地域社会の中心となる地方都市及びその周辺の地域の市町村からなる地域であること。」、二つ目は「自然的経済的社会条件からみて一体として前条に規定する整備を図ることが相当と認められる地域であること。」、三つ目に「その地域に係る前条に規定する整備を図ることが、公共施設等の整備の状況、人口及び産業の将来の見通し等からみて、地方の発展の拠点を形成する意義を有すると認められる地域であること。」これが地方拠点都市地域の要件として出されているわけです。当然これも指定のための一つのメルクマールになるかと思うんですが、この三つの要件のそれぞれの違いと特色、それとさらに指定の際のもっと具体化したメルクマール、これについての答弁をいただきたいと思います。
○安達説明員 御指摘の点についてそれぞれ御説明を申し上げたいと思います。 この法案の中で先生御指摘のような基本的な方向を書いているわけでございますけれども、最後に御指摘のございました「その地域に係る前条に規定する整備を図ることが、公共施設等の整備の状況、人口及び産業の将来の見通し等からみて、地方の発展の拠点を形成する意義を有すると認められる地域であること。」というところがございまして、実はこれにつきまして、法律でございましてやや舌足らずのところでわかりにくいところがあるわけでございますが、そもそも私ども、この地方拠点都市地域の整備の法案を出させていただきました基本的な考え方でございますけれども、やはりその拠点となる地域があるかないかということによって、それを取り巻きますかなり広範な当該地方の発展というものは相当違っておるというのが全国を比較いたしましても厳然たる事実でございまして、別途これが地域一極集中の問題ということもまたあわせて考えなければいけない点ではあるわけでございますけれども、そういった、その地域を含む広い当該地方の発展の非常に力強い牽引力となるような、よりどころをつくっていくことが極めて重要なポイントであるということでございまして、そういう視点でそういったものの振興を大いに図っていくということが今回の法律の大きなねらい目でございます。 しからば、そういう育てていく地域というものをどういうふうに選ぶかということにつきましては、一つは全体としてポテンシャルがどの程度あるかということ、それから、例えば典型的な例として、既に相当成長してきている政令指定都市のようなところもございます。そういったところについて見ますと、整備を今回新たにこの法律で応援をしていく必要があるのかどうかという、整備を支援する必要性、この二つが基本的には一番重要な点ではないのかというふうに思うわけでございます。一体としての整備というようなことにつきましては、そのときにどういう広がりでとらえていくかということでございまして、それにつきましては、余り歴史的、社会的な条件で全く一体性がないところを無理やり一つくくってしまうということもなかなか効果を上げることにはならないわけでございまして、そういう一つの一体性がそこに醸し出されているというようなことも重要ではないのかということでございます。 それから、その中心となる地方都市があることというのが今回一つイメージとしてございますのは、やはり中心都市があって周辺市町村があって、そういったところが一体として整備される、さらには、その地域以外の振興にも、発展にも大いなる牽引力になっていくということでございます。そういう構造をちゃんと持っておるというようなところをポイントにしているわけでございます。
○筒井分科員 詳しい説明をいただきました。中心となるものがあってその周辺、それから一体性、整備のポテンシャル、整備の必要性と言われましたが、整備の必要性は先ほどの三つ目の条件の中に入っているというお答えですか、その問題についてさらにお聞きしたいわけです。 先ほど例を挙げられました政令指定都市等、もう既にその県において、その地域においてぬきんでた発展をしている場合、これはこの拠点都市として指定する必要性がないんだろうというふうに判断されるだろうと思うんで、だから、必ずしも県庁所在地が排除しなければいけないということはないんでしょうけれども、通常、県庁所在地というのはその県においてぬきんでて発展をしている地域である。原則としてはそれではなくて、第二、第三の都市、そちらの方によりこの拠点都市地域として指定整備する必要性があるというふうに考えられると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○安達説明員 地域の選定に関する事項につきましては、法案成立を受けて策定することにしております基本方針の中で定めていくことになっておりまして、今後の検討を経て内容的に確定していくものでございまして、現時点で確たることをお示しすることはできないわけでございます。基本的に私ども関係省庁で共通のイメージを持っておりますけれども、どういったところを選ぶかということについての基本的なイメージとしては、御指摘のようにやはり第二、第三あたりの都市というものを中心的なイメージで考えていくんではないだろうかということでございます。 ただ、霞が関で物を考えておりますと、ややもすれば非常に地域による違いというものを捨象してしまうおそれがございまして、端的にいいまして、例えば県庁は決して第一でなくて三番目ぐらいのところだという県もあるわけでございますし、こういったところはすぐわかるわけでございますけれども、あるいは地域における一極集中の問題につきましても弊害の出方とかそういったところも随分違っておると思います。したがって、今回の法律全体を通じて私ども運用の基本方針でございますけれども、余り画一性を押しつけることのないように、地域の実情を十分勘案してやっていくということが基本方針でございますので、場所の選び方についても私ども協議は受けるわけでございますけれども、まずもって知事が指定されるという中で、やはり地域の実情の中で選んでいく。そういったところで県庁所在地が全くアプリオリに排除されるということを画一的に言う必要もまたないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○筒井分科員 そういう体制で臨んでいただきたいと思うのです。知事が指定するわけですから、具体的な中身まで中央の方で決定して押しつけるという形になれば、また以前に戻ってしまうわけでございます。だから、私が今お聞きしているのはその点を、知事に細かい基準まで言えということではなくて、この法律の趣旨からいうとどうなんだ、この構想の趣旨はどうなんだという点に限っての質問でございまして、先ほど一体性とかポテンシャルとか必要性とか、それから中心があってその周辺と一体での整備が可能である、こういういろいろな条件が出されましたけれども、そういう条件に合うならばより小さな、例えば第一の都市よりも第二の方がいいし、そういう条件に合うならばかえって第二よりも第三の方がいい、こういう方向性はこの趣旨からは出てくるのではないでしょうか。
○安達説明員 この法律の中で、法案の名称も地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律ということになっていることで御理解いただけますように、私どもこの法案を関係省庁と連携して提案しました一つの認識といたしまして、例えば通産省がこの産業立地の政策を進めるときに、インフラを無視して一人で相撲をとってもなかなか効果が上がらないということはございますし、また裏を返して言いますと、インフラだけ整備して、それじゃ若者は地方で定着するのか、道路だけよくなって地方で定着するのか、これまた片手落ちでございます。したがって、都市インフラの整備と、そして産業の誘導ということを、両面の相互補完的な関係の中で進めていくというのが一つ重要なポイントではないかというふうに思うわけでございます。 そのときに非常に悩ましいわけでございますが、やはり整備する、特にインフラ整備ということで考えた場合に、より弱小な都市の方がその必要性が高いのじゃないかという御指摘ではないかと思うわけでございますけれども、あわせて最近の地域からの若者の流出というものは著しい。高齢化比率も、高齢化の流れも地方において先行してどんどん、全国ベースで大都市地域に比べると数ポイント高く進んでおるというような状況を考えますと、何とか若い人たちに戻ってきてもらうとか、あるいは東京に行くのじゃなくて定着してもらうということを考えないといけない。 いろいろな調査をしておりますと、やはり魅力のある就業機会ということが極めて重要なポイントでございまして、そのときに、私どもこれまでも二十年来、工業再配置促進法に基づきまして生産部門の地方分散を大いに進めてきたわけでございますけれども、今日、大学卒業者のウエートが非常に高まるとか、そういった中で、やはり生産部門だけではなくてオフィスワークを含めて、魅力のある就業機会を地方に大いに厚みを持たせていかないといけないということも課題でございまして、そういうオフィスワークが集積するような地点を選んで整備していくというときに、一体どういうところが適当なんだろうかということもあわせて考えないといけない。やや矛盾する面も出てくるかもわかりませんけれども、両面をにらんでひとつ考えていく必要があるのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
○筒井分科員 製造業といいますか、生産施設だけではなくて例えば今のオフィス、こういう点に重点を移したといいますか、そっちの方にも重点を置くという、これも新しい方向で非常にいい方向だろうと思うのですが、そういうことがそもそも、先ほどの条件の中で出されたポテンシャルとか必要性とか一体性とか、そういうものがない地域だったら、そんなことやるのはなかなか難しい。私が今質問しているのは、先ほど答弁されたようなそういう条件に合っている限りは、その中で弱小の方に、下の方に指定した方がよりこの法律の趣旨に、構想の趣旨に合致するのではないかという質問なんですけれども。
○安達説明員 ここで一つの考えをまた述べますと、これまた一つ統一的な物差しを自治体に与えてしまうということがございまして、地域地域で県ごとにやはりいろいろ御判断も変わってくるのではないかなということで、御勘弁願いたいと思います。
○筒井分科員 じゃ、それはそれで結構です。 各都道府県で今一つか二つをこの十年間に予定しているというふうなことを聞いておりますけれども、必ずしも一つか二つに限るということではないですね。これもまさに画一的ではなくて、各地域の実情に応じてその数はそれぞれで決める、こういう対応でよろしいですね。
○安達説明員 この点につきましても先ほどお話し申し上げたとおりで、基本方針の中で少し拠点都市地域の選定についての基本事項を定めるということで、現時点で明確なことが言えないわけで御容赦願いたいのですが、基本的なイメージとして、各県に一、二カ所というようなものを関係省庁で共有していることは事実でございます。 ただ、先生御指摘のように、この点についても地域の実情の中でいろいろ考えていくべきではないかという基本的な考え方につきましては、私どもも御指摘のとおりではないかというふうに思うわけでございまして、一口に都道府県と言いましても、面積、人口その他非常に大きなところから小さいところまでございます。ある県についてはやはり一カ所で御勘弁をというようなこともあるかもわかりませんし、また、そういう全国統一基準を少しばみ出したところがあっていいじゃないかという議論もあるかもわかりません。 ただ、一方におきましてこの拠点都市、今回の法案でございますけれども、公共事業も含めましてひとつ重点配分をしていこうというときに、ちょっと極端な言い方かもわかりませんけれども、数が非常にふえてしまいますと、実はこの重点配分と言っていたものが現状とほとんど変わらないというようなことにもなってくる。ある程度絞っていかないと重点的なことができない。一方において、やはりニーズも高いというところをどう調和していくかというようなことでございますけれども、いずれにしても、現時点で余り機械的に、いや、二以上は全くありませんという機械的な判断を今お示しすることは適当ではないのではないかないうふうに思っております。
○筒井分科員 それと、これは各知事が指定して、それを各市町村が共同して例えば基本計画をつくる。市町村が共同して基本計画をつくるというのは非常にこれもいいわけですけれども、それを前提にしますと、県と県にまたがる拠点都市地域というのが全然排除されているような、この構想からはそういう感じを受けるわけでございますが、それは排除しているのでしょうか、これからの運用の問題なんでしょうか。
○安達説明員 テクノポリスの例をとりましても、基本的なイメージとして県内であってというようなことでございますが、例えば久留米、鳥栖というようなところ、二県にまたがってやったような例もございます。それは例としては、今回の法案においてもそんなに多くはないと思いますけれども、万一そういうものが強い希望としてあった場合に、例えば関係する都道府県知事が連名で申請を受け付けて承認するといった工夫をしていくこともあり得るのではないかな、ちょっとその点議論はこなれておりませんけれども、そんな感じもいたしております。
○筒井分科員 排除してないということでお聞きをしておきたいと思いますが、先ほど、この構想の意義と問題点の中で環境の問題を挙げました。必ず開発と環境の問題というのは起こってくるわけでございまして、極めて重要な問題だと思うのです。 この法案を見てみますと、環境の保全と地価の安定に関して具体的な中身は何もないわけですが、三条の一項目にこの一言、基本方針の中にそのことを記載するというふうな趣旨のものがあるだけでございまして、これは特に今環境問題がこれほど重大視されている中で、もっと重視してもいいのではないかという気を強く持つわけでございます。地価の問題に関してもそうですが、これはどういうふうに考えておられるか。あるいは法案自体にこの問題をもう少し重点として載せた方がいいと思いますが、そうじゃないとしても、基本方針の中でそのことを極めて重視した形で最低限載せなければいけないと思いますが、その点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○安達説明員 環境の保全、それから地価の安定というところにつきましては、基本方針の策定の中で定めなければいけない項目として書かせていただいておるほか、十八条におきまして、これは地価の安定の方でございますけれども、「都道府県知事又は地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の長は、指定地域及びその周辺の地域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法第二十七条の二第一項の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。」という規定を置かせていただいておりまして、これは、特に環境よりも地価を重視しているというわけではないのですけれども、特に地価の関係についてはできるだけこの監視区域の指定が行われるようにということを一つの方向として、特に十八条で規定をさせていただいたということでございます。 ただ、環境の保全についてこの種の規定はないではないかという御指摘もあろうかと思います。いずれにいたしましても、この基本方針の策定に当たりまして、御指摘の点も十分踏まえて、しっかりとこの点が、各地域で計画づくりが行われる場合に重要な留意事項として考慮されるように、基本方針の中にしっかり書き込むようにしてまいりたいと思っております。
○筒井分科員 通産省管轄で、この点の拠点税制の創設やオフィス移転税制の創設等を聞く予定でおりましたが、何か時間が延びているらしくて、協力せいという話もありますので、わずかですが協力をさせていただきまして、これで終わらせていただきます。
○小澤主査 これにて筒井信隆君の質疑は終了いたしました。 次に、伊東秀子君。
○伊東(秀)分科員 ブッシュ大統領が一月に来日された折にいろいろ自動車の問題が出ましたが、その後、私たち社会党の予算委員会のメンバーでアメリカ大使館の方々と懇談したときにやはりこの問題が話題に出まして、自動車の完成品の基準・認証の問題等と絡めて、日本は製造物責任法をつくるべきだというような、一つの構造障壁かのごとくに話題に出たのですね。ブッシュ大統領がいらしたときに、自動車の基準・認証問題と絡めてこのPL法の問題も話題に出ましたでしょうか、いかがでしょう。
○加藤(雅)政府委員 私どもの方ではそういうことは伺っておりません。私ども日本の方から、SIIの過程におきまして、アメリカの現在の製造物責任法に関して政府の方から改正案が出されておりますが、これを早く通過させてほしいというようなことは、SIIの過程で申し上げております。
○伊東(秀)分科員 それから、今後アメリカの自動車つまり外車がかなりたくさん輸入されることになろうかと思うのですけれども、日弁連で欠陥商品一一〇番という相談をしたときに最も多かったのが自動車だということなんですね。毎年自動車は第一位なんですけれども、ことしもこの欠陥商品一一〇番、全部で千四十三件の相談があったみたいですけれども、その中で、自動車に関する相談が二百二十六件だった。しかも、その自動車の相談の中で、危険、危害の発生したものが百二十三件、五四・四%あったということなんですけれども、この中に、外車を購入したけれども外車に関する欠陥についてどうしていいかわからない、困っているという相談もあったということなんですね。今後、外車に関する、製造物の欠陥ではなかろうかと思われるようなものに関する苦情の処理を、経済企画庁としてはいかがお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○加藤(雅)政府委員 私ども把握しております外国製自動車にかかわる苦情相談は、国民生活センター等を通じて入ったものでございます。平成元年度は三百六十四件、二年度五百二十九件、三年度は現在まで、三月十日まででございますが、四百五十六件ということでございます。二年度に比べて、三年度は必ずしもふえてはいないというふうに考えております。 どのように処理をしているかと申しますと、例えば平成三年度の例を申しますと、ほかの機関を御紹介したというのが七十一件、自主交渉をしてください、これは言うまでもないことでございますが、自動車をお売りになった輸入業者でございますが、その輸入業者と交渉していただくということが基本になるわけでございます。そういうことで、ただし、いろいろと御助言を申し上げたというのが二百十三件で一番多うございます。そのほか、こういうことをやってみてはどうかというような情報を提供したのが五十七件、実際に消費者の方と輸入業者の間に立ってあっせんまでやったというのが十八件というようなことでございます。 運輸省におきましても輸入自動車にはいろいろ苦情が来ておるということで、これについては運輸省の方でも、苦情が適切に処理されるよう業者等を指導しているというふうに聞いているところでございます。今後とも各省庁と十分連携をとりつつ、センターも活用して、解決をしていきたいというふうに考えております。
○伊東(秀)分科員 今の御答弁で、平成三年度三月十日までで四百五十六件のうち、輸入業者との自主交渉を指導したというのが二百十三件で最も多いということだったのですが、これが大変問題だと思うのですね。というのは、ユーザーは自動車に対する情報を全く持っていない。それで、これは自動車の欠陥ではないかと言っても、あなたの使い方が悪いのじゃないかとかそういったことを言われたときに、ユーザーとしてどう反論していいかわからないという、私も製造物責任に関する事件もやってきましたけれども、情報がないために、あなたの使い方が悪いとか、これは買った後にあなた自身の生じさせた欠陥でしょうとか、あるいは摩耗ですとか言われた場合に、それに反論できるような証拠がないということが、いつもいつもPL訴訟に消費者がほとんど負けていく、あるいは訴訟を断念するということの大きな原因になっているわけでございますけれども、自主交渉を指導して、その後どういうようなことになったかの追跡調査はおやりになっているのでしょうか。
○加藤(雅)政府委員 外国製自動車についてということで必ずしもこれをやっているわけではございません。苦情処理の結果といたしまして助言で済んでいるというふうに理解をしております。もし助言で済まない場合には、当然、あっせん解決に持ち込むというような場合もあるわけでございますので、基本的にはこれは助言で解決したというふうに理解しておりますが、御指摘のような問題がないわけではないということは認識しております。
○伊東(秀)分科員 助言で済んだというのは、お役所仕事ということをまさしく見事に表現しているのじゃないか。助言してもその後の交渉がどうなっているかが問題解決には一番重要なわけで、お役所としては助言してしまったらそれで終わりかもしれないのですけれども、消費者にとってはそれからが始まりだというのがこの問題の性格なわけですね。とすれば、損害について自主交渉しなさいということを助言した後に、やはりその結果を報告を受けて、あるいは業者側にでもいいですし、相談を受けた消費者でもいいですけれども、追跡をある程度義務づける必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤(雅)政府委員 国民生活センターのそもそもの法的な資格から御説明する必要があるわけでございますが、調査情報の提供ということを任務としているわけでございまして、業者に対して何かを強制するということはできないわけでございます。
○伊東(秀)分科員 だから義務づけるというほどのことじゃないにしても、助言した後に、この相談の中身、性格からしてやはり結果についての報告を受けるということが本当に使用者、消費者の立場に立った行政活動ではなかろうかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○加藤(雅)政府委員 本件につきましては、助言をして、その後解決したかしないかについての回答というのは特別もらっていないということでございます。 これは別の例でちょっと申し上げさせていただきたいわけでございますが、私どもは、国民生活センターの外部団体のような形で消費生活相談員という団体をつくっております。そこで、実はこの消費生活相談員の方がいろいろ在トラブル、特にいわゆる二次被害の起こったトラブルに関しまして、どのようなこと、どんな状況であったかということを調査した例がございます。これについては、消費生活相談員の方が一応解決をされた、それで例えば金銭賠償を受けたときにその金額について反応はどうだったかというようなことまで調査をしている例がございます。 一般的にはなかなかここまでの調査というのはないわけでございまして、私どもとしても、これは非常に貴重な調査であるというふうに考えておるわけでございますが、これはまさに相談員の方が自主的にお答えいただいたということでございまして、一般的にすべてのケースについてこのような調査をするというのは非常に困難であるというふうに考えております。
○伊東(秀)分科員 それから、長官にお伺いしたいのです。 メーカーには、例えば自動車にしても家電製品にしてもさまざまなそういった製品あるいは商品に関する欠陥のクレームがかなり行っている、ところが、それが公表されないためにその後も、公表していればその後の被害は発生しないで済んだであろうに、どんどん被害がそのまま発生していくというような実態が報告されているわけでございますけれども、生命や身体の安全にかかわるような、例えば先ほど自動車に関するクレームでは半数以上がそういう危険、危害の発生する状況にあったという日弁連の相談の報告ですが、メーカーに苦情の中身を定期的に公表させるような、そういう行政指導というのが必要じゃなかろうかと思うのですけれども、いかがお考えでいらっしゃるでしょうか。長官にお伺いいたしたいと思います。
○加藤(雅)政府委員 自動車に関しましては、御案内のとおり運輸省の省令で、リコール制度というのは省令に定めてございませんが、報告義務はございまして、どのような措置をとったかということについて報告を行うということになっております。 家電製品につきましては、御案内と思いますが業界の自主規定でございますけれども、その欠陥商品については新聞広告を出して回収あるいは無料修理を行うというふうな措置をとっております。
○伊東(秀)分科員 リコール制度はあるのですが、それが消費者の方にはっきりわかるような形での開示と言えばいいのでしょうか、そういったものはなされていないと思うわけでございますし、家電についてもだれもが目にとまるような形の公表がなされていない。これはもっともっと、最近大阪の方でも三件ほどテレビの発火による事件、裁判が起きておりますけれども、大変危険が大きいわけでございますので、もう少し強力にこの開示制度というものを、制度というか法規制までいかないにしても、PL法がまだない現時点においてこういったことを強く行政指導する必要があるかと思うのですが、いかがでございましょうか。
○加藤(雅)政府委員 危害情報、事故情報等につきましては、国民生活センターでは、現在八病院でございますが、病院にそういう製品等の事故でおいでになった方から、どのような事故でどういうような被害を受けられたかという情報を現在収集しておるところでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、四年度からこの収集件数を十四病院にふやし、かつ、その情報の内容もうんと充実しようというようなことで現在やっておるところでございます。 いずれにいたしましても、人身事故に関しましては病院でその情報を収集するというのが一番確かであろうというふうに考えておりまして、今後とも、ほかの行政機関で情報を持っているところもございますので、さらにそれらを収集、活用するというようなことも含めまして、一層情報の収集の強化を行うというふうに考えております。
○伊東(秀)分科員 私が伺いましたのは、メーカー側がこういうクレームが出てきた、これについてはこのような欠陥があったとは、これは欠陥ではなかった場合はそれはそれで結構ですけれども、そういったメーカー側に公表を強く促していくべきじゃないかという質問でございます。
○加藤(雅)政府委員 現在、法律的にそのようなことを強制する法律がございませんので、私どもとしてはメーカーに対して、余り製品の欠陥に基づく事故を隠しておられるということは社会的に損失ではないかということで説得は常々やっておりますが、これを法律的に強制するということが果たして現在の法律でできるのかどうかという点については、私どもは現在はできないというふうに理解しております。
○伊東(秀)分科員 今の御答弁は大変重大じゃなかろうかと思うのですね。ほかの欧米諸国では、特にアメリカなどでは全米自動車安全局ですか、そういった行政機関がどんどん事故情報を収集しては開示している。そして、再び同じような事故の発生を未然に防ぐというのを積極的にやっているわけですね。どこに事故情報を公表することが問題があるのか。それはいかがお考えでいらっしゃいますか。消費者の生命や身体の安全以上に何がそのできない理由なのか。お答えください。
○加藤(雅)政府委員 消費者被害の件数全体についての統計というのはアメリカについても存在していないというふうに私どもは理解しております。
○伊東(秀)分科員 私が伺っているのは、そういうことじゃなくて、消費者の生命、身体にかかわるような危害に関する情報はメーカー側にクレームが出たら公表させるように、今は法がなければ行政指導でもすべきじゃないかとお聞きしたのに対して、それはできないというようなことを強く否定なさいましたので、消費者の生命、身体の安全を守る、事故を未然に防止する以上に何が守らなければいけない利益なのかをお答えください。
○加藤(雅)政府委員 御指摘の点は非常に重要な点であると考えております。
○伊東(秀)分科員 答弁になってないのですよ、今の点は。私が伺ったのは、先ほど政府の方ができない、公表はで、きないんだということを言明されたので、何ゆえにできないのですかということを言っているのです。
○加藤(雅)政府委員 公表を強制する手段がないということを申し上げておるわけであります。
○伊東(秀)分科員 だから、強制ではなくて行政指導で促すことはなぜできないのかということを先ほどから伺っているわけでございまして、法律がない以上執行することはできないとか、いろいろあるかと思いますけれども、法ができる前の行政指導の問題を言っているわけです。
○加藤(雅)政府委員 行政指導に関しましては私ども所管官庁ではございませんので、もし行政指導ができるかできないかというお尋ねでございましたら所管省庁にお尋ねいただきたいと思います。
○伊東(秀)分科員 苦情を受けるのは経済企画庁の方なわけですけれども、運輸省との連携はどうなっているわけでございましょうか。
○加藤(雅)政府委員 苦情につきましては、運輸省、通産省その他所管省庁にその都度御連絡申し上げております。
○伊東(秀)分科員 連絡しているのであれば、消費者にじかに接するのは経済企画庁あるいは通産省、そういった機関であると思いますので、そこを別に自分の役所は関係ないというのではなしに、消費者の安全を守るという観点に立って積極的に、前向きに取り組んでもらわないと、大変重要な問題に発展すると思うのですね。そういった経済企画庁の態度がPL法をなかなか率先してつくらない姿勢にもつながっているのじゃないかと思うわけでございますが、PL法をつくるということを前提にした場合に、今一番経済企画庁として懸念している点ほどういう点なのか、箇条書き的に、結論的にお願いします。
○加藤(雅)政府委員 最初にお断り申し上げておきますが、私ども現在国民生活審議会の事務局としてこの問題に取り組んでいるわけでございます。したがって、一生懸命取り組んでいるわけでございますが、当然事務局としての立場は、立法促進またはその反対のいずれの立場にも立たない中立的な立場でやらせていただいているということを最初に申し上げたいと思います。 PL法がなぜできないのかというような点でございますが、中間報告に書いておりますのは、製品の特性等、これは総括的な法律にいたしますと……(伊東(秀)分科員「中間報告じゃなくて、そちらの態度を聞いているのです」と呼ぶ)私どもあくまでも中立的にやらしていただいております。
○伊東(秀)分科員 そうしたら、国民生活審議会が決めるのかということになるわけですよね。この前の予算委員会の一般質問の中で水田議員が、関係省庁、運輸省とかあるいは農水省とか建設省とかに聞いたときに、経済企画庁を中心に経済企画庁のもとで自分たちも検討を進めたいということをおっしゃいましたし、各大臣がそういうふうに答弁されておりますし、私は経済企画庁長官も前向きな発言をなさったというふうに大変評価していたわけでございますが、あくまでも申立て、やるかやらないかは国民生活審議会が決めるかのような、私としては全く、消費者保護ということをどう考えているんだろうか、決めるのは政府じゃないかと思うわけでございますが、長官、いかがでございましょうか。
○野田国務大臣 先ほど来の自動車などのやりとりを伺っておりまして、若干話がすれ違っておるのじゃないか、率直にそんな気がするのです。事務当局の企画庁としては、所管を越えたことはなかなかできないということを理解してもらいたいという気持ちで申し上げたと思っておるのですね。 委員の御質問は、まず自動車会社に直接クレームが来たものを公表させるようにさせろという感じがあったものだから、むしろ国民生活センターに来たものはちゃんと、そういうものをこういうふうにした方がかえって会社のためにもなるのじゃないですかというふうな、いろいろなアドバイスはしておりますけれども、自動車会社に直接消費者が苦情を持ち込んだものについては、どういう苦情が来ているか、それはこういうふうにしなさいというような直接権限はないのです。それならば、むしろそれは自動車を所管する省庁の方が行政指導でやらなければしょうがないのじゃないでしょうかというやりとりであったのじゃないかというふうに僕は受けとめておるわけです。 そこで、今のPL法の問題につきましては、もう既に何回か私も申し上げておりますけれども、特に消費者の被害をどうやって防止し、また救済をしていくか、特にそれが生命にかかわるとかいろいろなことになると大変なことですから、非常に大事な問題だと我々も認識もいたしております。ただ、これについては御案内のとおり、長年いろいろな角度から、これは何も日本のみならずアメリカ。でも、また逆のいろいろな問題があって頭を痛めながら改善をいろいろ今論議をされている最中であります。 そういう点で、日本もこのまま放置できない、どんどん新製品も開発されてくる、そういう中で事柄として消費者をどうやって支援していくか、保護していくかという基本スタンスを持ちながらも、そのことが実際にどの程度までの新製品開発の問題であったり、特に中小企業への影響がどういう姿になっていくのか、あるいは流通の姿、コストの姿、そういったことを今審議会で本当に充実した論議をやってもらっている最中であるわけです。それで一応ことしの十二月までが任期ですから、それまでには中間報告でなくて最終報告をきちっとまとめていただきたい、我々もそう念願をしておりますし、そういうものが出ましたときに、我々もその報告が出ていつまでもずるずる放置するわけにいかないから、そういったことをしっかりと踏まえて、関係者の理解も得ながら消費者保護の基本的なスタンスが前進できるように我々も努力をしていかなければならぬと思っておるわけです。
○伊東(秀)分科員 長官の御答弁の中には乱訴の危険とかPL保険の保険料が上がるのじゃなかろうかとか、物価の高騰というか価格の上昇ということを懸念されてのことではなかろうかと思うのですけれども、昨年の六月に私は日弁連の調査団の一員として、EC諸国のPL法ができたところの、フランスはその当時は議会で審議中だったわけでございますが、ドイツ、ベルギー、イギリス、フランス、四カ国の調査に行きまして実態を調べてきたのですけれども、確かにドイツとイギリスとベルギーは成立して施行されている。どの国においても乱訴の危険あるいは保険料の上昇に伴う価格の上昇ということが強く懸念されて産業界から猛反対があった。しかし、現実にできてみたら、ドイツにおいても、イギリスにおいても、ベルギーにおいても、PL訴訟がまだ一件も出てないような状況だ。物価の上昇もない。むしろイギリスなどは、イギリスは消費者保護法という形で包括立法になっているのですけれども、第一部がPL訴訟で、第二部が安全性にかかわる基準を逸脱した場合は刑事罰があるような法の定め方をしている。そのためにかえって製品の安全性が高まって、消費者保護法をつくって、これは一九八六年につくったのですけれども、大変よかったというふうに、産業界も、もちろん消費者団体も消費者も喜んでいるというような状況だったのです。 ただ、乱訴の危険といいましても、アメリカの場合には弁護士が人口比率にして二十五倍も日本よりいるとか、あるいは陪審員制度があるとか、成功報酬制度で、日本のように着手金を取ってあとは報酬という形で法で一応の基準が定まっているんじゃなしに、最初お金を取らないでかなり高額の成功報酬を取るというようなやり方とか、訴訟好きの国民性とか、いろいろなことがかかわっておりまして、そのまますぐに日本に来るわけではないという状況もありますので、ぜひそういったことをきちんと緻密に調査した上で、やはり早期導入ということに心がけていただきたい。 それから、いきなりこういったものは訴訟というものに持ち込まないで、ワンステップを置く調停制度とか仲裁制度、仲裁といいますと、建設工事に伴う紛争には建設工事紛争審査会というのがあるわけでございますけれども、それを通して仲裁に行ったりしているわけですが、こういった仲裁制度などを取り入れるということが大変必要なんじゃないかなと私は思うんです。そういった工夫についてはいかがお考えでございましょうか。
○加藤(雅)政府委員 御指摘のような裁判外の制度をどうするべきかということにつきましても、現在国民生活審議会で御検討いただいております。
○伊東(秀)分科員 この経済の国際化時代に、日本だけがPL法なしに日本の消費者の犠牲の上に立って経済の摩擦が生じているというようなことのないように、ぜひ一刻も早いPL法制定をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
○小澤主査 これにて伊東秀子君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総理府所管中経済企画庁についての質疑は終了いたしました。 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。 この際、一言ご」あいさつ申し上げます。 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 これにて散会いたします。 午後五時四十二分散会