予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 439 件
- 登壇者
- 49 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1992/03/11
会議録
○志賀主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりました志賀節でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、法務省、外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。田原法務大臣。
○田原国務大臣 平成四年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 法務省は、法秩序の確保並びに国民の権利保全等国の基盤的業務を遂行し、適正円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。 法務省所管の一般会計予算額は五千九十七億三千七百万円、登記特別会計予算額は一千四百二十五億七千二百万円、うち一般会計からの繰入額六百八十四億七千万円でありまして、その純計額は五千八百三十八億三千九百万円となっております。 この純計額を平成三年度補正後予算額と比較。いたしますと、三百三十八億二千六百万円の増額となり、増加率にいたしまして六・二%となっております。 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、時間の関係もありますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますようお願い申し上げます。
○志賀主査 この際、お諮りいたします。 ただいま田原法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○志賀主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 平成四年度法務省所管予定経費要求説明書 平成四年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、法務省所管の一般会計予算額は、五千九十七億三千七百万円であり、登記特別会計予算額は、一千四百二十五億七千二百万円でありまして、その純計額は、五千八百三十八億三千九百万円となっております。 この純計額を平成三年度補正後予算額五千五百億一千三百万円と比較しますと、三百三十八億二千六百万円の増額となっております。 次に、重点事項別に予算の内容について、御説明申し上げます。 まず、定員の関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純増百四十五人となっております。 平成四年度の増員は、新規四百八十人と部門間配置転換による振替増員五十人とを合わせ、合計五百三十人となっております。 その内容を申し上げますと、 一 検察庁における特殊事件、財政経済事件、公安労働事件等に対処するとともに、公 判審理の迅速化を図るため、九十七人 二 法務局における登記事件、訟務事件及び人権擁護関係の事件に対処するため、登記 特別会計の百六十八人を含め、百七十三人 三 刑務所における保安体制、分類体制及び医療体制の充実を図るため、百六人 四 少年院及び少年鑑別所における処遇体制の充実を図るため、三十八人 五 保護観察活動等の充実を図るため、十五人 六 出入国審査及び在留資格審査等の業務の充実を図るため、九十七人 七 公安調査活動の充実強化を図るため、四人となっております。 他方、減員は、平成三年七月の閣議決定に基づく「定員削減計画(第八次)の実施について」による平成四年度定員削減分として三百八十五人を削減することとなっております。 次に、主な事項の経費につきまして、概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計では、 一 刑事事件の処理等検察活動に要する経費として、四十二億七千三百万円 二 刑務所等矯正施設における被収容者の衣食、医療、教育及び作業等に要する経費と して、二百八十一億二千八百万円 三 保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として、五十 四億二千七百万円 四 外国人登録制度の改革に要する経費並びに出入国及び在留管理業務の充実等に要す る経費として、九十一億二千七百万円 五 破壊活動防止のための公安調査活動に要する経費として、二十五億四千百万円 六 施設費としましては、老朽・狭あい化が著しい基幹の大行刑施設、拘置支所の継続 整備及び入国管理局関係施設を含めた法務省の庁舎、施設の整備に要する経費として 、百五十七億六千七百万円をそれぞれ計上しております。 次に、登記特別会計について御説明申し上げます。 登記特別会計の歳入予算は、一千四百三十六億一千百万円、歳出予算は、一千四百二十五億七千二百万円でありまして、歳出の主な内容といたしましては、登記事務のコンピュータ化計画を推進するとともに登記事件を適正、迅速に処理するための事務取扱費として、一千三百二十七億三千二百万円を計上し、ほかに、登記所等の施設の整備に要する経費として、八十四億八千八百万円を計上しております。 以上、法務省関係の平成四年度予算経費要求の内容について、その概要を御説明申し上げました。
○志賀主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。
○志賀主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
○細川分科員 私からは、法務省におきます職員の増員についてお伺いをいたしたいというふうに思います。 法務省の中でもとりわけ法務局、それから入国管理局、そして保護局、これらの局で事務量が大変ふえているというふうに言われております。この事務量がどのように多くなってきているのか、まずこの点についてお伺いをいたしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 まず私ども民事局の所管でございます法務局関係の事務でございますけれども、法務局で取り扱っております登記事件、これは甲号と乙号、二つの種類の事件の分類があるわけでございます。いわゆる登記申請事件と言われております甲号事件につきましては、昭和五十五年度が二千百七十三万件余であるのに対しまして平成二年度が二千七百八十一万件余ということで、この間に約二八%の事件増がある、こういう結果になっているわけでございます。そのほか乙号事件につきましても、昭和五十五年から平成二年度までの間におきまして四五%の増というものがある、こういう実情でございます。
○高橋政府委員 入国管理関係についてお答え申し上げます。 近年、我が国の著しい国際化の進展に伴いまして、出入国管理行政にかかわる分野における業務量も著しく増加しております。ちなみに昭和五十五年から平成二年までの業務量の推移について見ますと、昭和五十五年における出入国者約一千四十六万人が平成二年においてはその約二・八倍に当たる約二千八百九十四万人に、在留資格審査件数は約三十九万件が約二・一倍の約八十三万件に、また違反調査件数は約二千五百件が約十四・三倍の約三万六千件に、それぞれ大幅に増加している状況にございます。
○古畑政府委員 更生保護官署におきます保護観察事件の取り扱い件数でございますが、その十年間の傾向を見ますと、その間に若干の変動はございますけれども、昭和五十五年では十六万七千三百五十六件でありましたものが平成二年では十八万七千五百十三件となっておりまして、十年前と比較いたしまして約二万件ほど増加しております。
○細川分科員 今お答えをいただきましたように、特に法務局あるいは入国管理局の方の事務量というのが大変ふえているわけなんですけれども、この事務量に伴って人員が、職員がきちんと配置をされたのかどうか、その職員の増員についてどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 登記事件関係につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、近年の経済の発展等に対応いたしまして登記事件が非常にふえているわけでございます。そこで、このような登記事務の適正、迅速な処理という観点から、私どもも関係方面に対しまして職員の増員についてお願いをしてきたところでございます。 その結果といたしまして、国家公務員といたしましては全体として削減をする、減らすという傾向の中で、登記従事職員につきましては毎年純粋に職員をふやすということが認められてまいりました。昭和五十七年度から平成四年度まで、現在審議をお願いしております平成四年度予算が認められるという前提でお答えいたしますと、この間に三百五十八人の増員が認められておる、こういう結果になっておるわけでございます。非常に厳しい折から必ずしも満足であるという状況ではございませんけれども、相当の御理解を得てこのような増員の結果が得られているというふうに私ども考えている次第でございます。
○高橋政府委員 入管官署における人員の推移についてお答え申し上げます。 地方入国管理官署関係職員の定員は、昭和五十七年が千五百七十一名でございまして、十年後の平成三年度には千六百八十二名となっております。平成四年度予算案におきましては、さらに九十七名の増員、これに削減十四名を加味いたしまして、八十三名の純増を図り千七百六十五名、対五十七年比百九十四名増となりますが、とさせていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○古畑政府委員 更生保護官署の定員について御説明申し上げます。 更生保護官署の定員は昭和五十七年におきましては千二百七十人でありましたのに対しまして、平成四年度におきましては、その予算をお認めいただけますと千三百十八人となりまして、十年間で四十八人の増となるわけでございます。 以上でございます。
○細川分科員 事務量が大変ふえている中で、この人員の増加というのは事務量に応じた増加がなされていないというふうに思います。国家公務員は全体的にはふやさないというようなことで大変厳しい状況ではあろうと思いますけれども、しかし事務量が大変ふえておりまして、それに応じた職員が配置をされないとなると、結局国民に対するサービスが大変低下をしていくだろうということは十分考えられるわけでございます。 そういう意味で私はまだまだ職員は足りないというふうに思いますけれども、一昨年の第百十八国会におきましても、法務大臣の方からこのような答えがなされております。ちょっと読み上げますと、 コンピューター化はどうしてもやらなければな らぬと思います。今の現況では、それからとり あえず間に合うには、やはり何といっても頭数 をふやさなければならぬ。このままいったら本 当にまた過労で亡くなる人が出るかわかりませ んよ。そのくらい限界に来ておりますので、こ れはもう待ったなしで人員増とコンピューター 化その他を含めて強く私どもも要望するつもり ております。 このように一昨年の委員会で当時の長谷川法務大臣の方からお答えになっておりますけれども、これに沿った御努力がなされたのかどうか、御回答いただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、登記事件、戦後急激に増加いたしておるわけでございます。これを適正、迅速に処理するということが国民の皆様にとって大変重要な事柄であるということを私どもも前から認識しておるところでございます。そのために増員をお願いする、これも一つの重要な方法でございますが、それと同時に、事務の合理化を徹底的に図るということが必要であるという認識に立っているわけでございます。 そういうような観点から、実は昭和四十六年から、予算をいただきまして登記のコンピューター化の研究開発、実験を重ねてまいりました。これがいよいよ成果あるものとなりまして、平成二年度から全国的にこのコンピューター化の作業に着手する、こういうことになったわけでございます。昭和四十六年度から数えますと、大変な長期の期間を要したわけでございますが、いろんな研究、実験、開発を重ねまして、平成二年度からの本格的な展開ということになったわけでございます。 以来、全国の法務局でこのコンピューター化作業が進んでいるわけでございますが、平成四年三月十一日現在、八法務局、五地方法務局の合計三十八の登記所がコンピューターによって登記事務を処理するという、いわゆるブックレスシステムという形で登記事務を処理するという状況になっているわけでございます。そのほか、この登記事務をコンピューター化するためには、現在紙の登記簿に書いてございます登記事項をコンピューターに移しかえるという移行作業が実は大変な作業になるわけでございますけれども、こういう移行作業を現在実施中の登記所が二十二庁あるということになっているわけでございます。 いずれにいたしましても、登記所の数が全国で千百余でございますので、これと比較いたしますとまだ微々たるものでございますけれども、平成二年度からの本格的展開ということを考えますと、いろいろ難しい問題がありますけれどもほぼ順調にこの数をふやしつつあると言ってよいのではないかというふうに私ども考えている次第でございます。
○細川分科員 ちょっと私の質問の仕方がまずかったのかもわかりません。先にお答えをいただきましたけれども、法務省としては人員の増員ということで大変御努力はいただいているというふうに思いますが、さらにこの御努力のほどをお願いをしたいというふうに思います。 今、特に法務局におきましてのコンピューター化について御説明がございました。本格的には平成二年度からということでございますけれども、この法務局における登記事務の関係をコンピューター化することについて、いろいろなコンピューター化に伴う人員がやはり必要だろうというふうに思います。これはどの程度必要なのか、そしてコンピューター化していくとそのコンピューターについてのまた人員が必要だろうとも思いますけれども、これはどういうふうにお考えになりますか。
○清水(湛)政府委員 全国の千百余の登記所をコンピューター化するということになりますと、先ほど私申し上げましたように、まず第一に、現在紙の登記簿に書いてあります登記事項、最近の言葉で言いますと登記情報ということになりますけれども、それをコンピューターに移しかえる作業がございます。これを移行作業と呼んでおりますけれども、全国、土地、建物合わせまして約三億の数に達する登記簿というものがあるわけでございまして、これをコンピューターに移行するというのは大変な作業量になるわけでございます。この作業をどういう形でやっていくかという面での人員が一つございます。 この点につきましては、これはもう到底正規の職員でこのような移行作業をすべてやることは不可能でございますので、外部に委託をいたしまして、まず基礎的なデータ入力作業をしていただく、移行作業をしていただくということがございます。そういうことでございますけれども、それを全部外部任せにするというわけにはまいりませんので、正規の職員がある程度それを管理監督するということがどうしても必要になる、そういう面での人員が新たに必要になるという要素がございます。それからまた、今度はコンピューター化した後にコンピューターをいわば動かしていくわけでございまして、そういう意味でもコンピューターのランニングをするために必要な管理要員も当然必要になってくる、こういうことになるわけでございます。 そういうようなことを全国的に、例えば一斉にすべての登記所を一定の時期にコンピューター化することになりますと、膨大な人員が一時的に必要になるということに当然のことながらなるわけでございますけれども、目下のところ全国で、先ほど申しましたように平成二年度から毎年十数片あるいは二十数片程度の登記所をコンピューター化して、それを順次全国展開を次々にしていくというようなことをいたしておりますために、例えば具体的にこの時点においてこれだけの人員が必要である、あるいはこれだけの正規の職員の増が必要であるということを算定しようと思いましても、かなつフロー的な要素がございまして、確実に現時点で何人というふうに言いがたい面が実はあるわけでございます。二万では同時に、省力と申しますか、人員をできるだけ節約するという意味でのコンピューターの導入でございますので、コンピューターの導入と同時に、コンピューター化作業のための新しい要員というものの両要素が絡み合うわけでございますので、コンピューター化の進展を見ながらそれに必要な要員を毎年毎年確保してまいりたい、私どもこういうふうに考えている次第でございます。
○細川分科員 どうも答えの方が、具体的にコンピューター化に伴ってどの程度職員が必要かということについてはお答えいただかなかったのですけれども、前に消費税が導入されたときには税務署の職員を一気に六百人かなんかふやしたというようなことがあったかと思いますけれども、やはりこういうコンピューター化については大変大きなプロジェクトとして進められていると思いますので、人員もどうしても必要だということになりますと、これはきちんとその点についての人員を確保するようにぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。 それから、これもまた法務局の方の職員が足りないというようなことで、登記の事務量を消化するために仕事の下請とか、あるいはまた部外者から応援をもらう、あるいはまたパートを雇って何とかしのぐというようなことが前々から言われておりますけれども、これについての実態はどういうふうになっておるのか、そしてそれに対して今後どういうふうにしていくつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 先生御指摘の点、二つの面があるわけでございますけれども、一つはいわゆる業務委託、予算で認められておりますところの業務委託等をする、こういうことがあるわけでございます。例えば、登記簿の閲覧監視というようなことが非常に重要な仕事になるわけでございますけれども、そういう意味で、窓口整理員というような形でパートあるいは賃金職員を雇う、こういうようなことがございます。数といたしますと、千百五十五人程度の窓口整理員が今全国の登記所に配置されております。 それからまた登記につきましては、非常に登記所が繁忙でございますけれども、同時に登記についての相談が非常に多い、相談のために非常に時間がかかるというような問題がございますので、これもある意味においてはパートあるいは賃金職員ということにもなるわけでございますけれども、登記相談員というような形で、これは主として法務局をやめたOBの方に来ていただいて窓口で相談に乗っていただくというような方、これは百六十二人でございます。 それから謄抄本、これは登記簿の謄本あるいは抄本でございますけれども、そういうもののコピーをつくるという作業が大変な作業になっております。そういうものについてはこれは業務委託をしている。そういう本来の予算で認められた賃金等の職員のほかに、実は地方公共団体、土地区画整理組合とか公社公団とかあるいは司法書士、土地家屋調査士という方々から不定期の部外応援を受けている、こういう実態もございます。その不定期の応援というものを正確に定量化しようといたしますと、大変いろいろな問題があるわけでございますけれども、相当数の部外の応援を受けているという実情にあるわけでございます。このような部外応援というのは私ども決して好ましいとは思っておりませんので、できるだけそういうものは排除してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○細川分科員 まさに御答弁がありましたように好ましくない状態ということでありますので、それの解消に向けて御努力をいただきたいと思います。それから次に、これも法務局の職員の不足からくるものだろうというふうに私の方は想像しておりますけれども、今法務局の方の、特に登記などの受け付けについては、法務局あるいは出張所によっては違うかと思いますけれども、例えば八時半から十一時まで受け付け、そして午後は一時から三時までの受け付け、大体こういうようになっているようでありますけれども、登記というものは、その人にとって権利関係が大変重要でありまして、いつ登記を申請したか、その受け付けの時間によっては大変な財産上の損害が出たり不利益をこうむったりするわけでございます。したがって、その受け付け時間について、特に裁判所などは夜中でも受け付けをするような体制などになっているのですけれども、法務局がこういう形の受け付けをしている理由と、それからこれを今後訂正というか変えていくお考えがあるのかどうか、どういうふうに思っているのか。これはもう余りありませんから、簡単に。
○清水(湛)政府委員 受け付け時間については、これは法務局の勤務時間中、つまり午前中は八時半から十二時まで、午後は一時から五時まで全部受け付けることになっておるわけでございます。ただしかし、事務処理の便宜上、例えば司法書士さんとか土地家屋調査士さんにつきましては、午前中はなるべく早い時間に出していただく、午後も役所をしまう間際になって出されますといろいろ混乱いたしますので、午後もできるだけ早い時間に出していただくという意味での協力をお願いをしておるという実情にあるわけでございます。 したがいまして、例えば四時半に書類を持ってきたときに、これを受け取らないということはいたしませんで、ただ、協力という意味でできるだけ早く、できるだけこの時間に出していただきたい、そうしますと後の事務処理がスムーズに流れます、こういう意味での御協力をお願いしているという趣旨でございます。
○細川分科員 時間がありませんからそろそろ終わりにさせていただきますけれども、その受け付け時間についても、受け付けの箱が例えば午後三時になればもう引っ込められるとか、実際に受け付けをされていないような実態になっているのではないかというふうに思います。これは私は、法務局における職員が少なくて、それで事実上そういう形になっているのではないかと思います。これは法律家的な考え方でいきますと、大変大事な個人の権利関係に関する、そういうことが受け付けの時間によって決まるということですから、この点についてはできるだけ早く解消をしていただけるような御努力をお願いをしたいというふうに思っております。これは、ただ受け付けをすれば、受け付けをした後その処理をその日にしなければいけないとかという問題ではなくて、受け付け時間によって権利関係が決まってくるという場合がありますから、その後の処理は翌日にしてもいいんじゃないかと思いますので、ぜひその点は配慮をしていただいて、受け付け時間を長くすることが逆に仕事を多くして職員にまた労働強化を強いるというようなことがあってはいけないと思いますので、工夫をしながら職員の増員についてもひとつ努力をしてもらいたいというふうに思っております。 そこで、法務局に対しては国民の皆さんからいろいろ御不満なども聞かれるところもあるのですけれども、かつて総務庁の方でいろいろ調査をした結果が、非常にサービスが悪いということで法務局の方が挙がっていたこともあるのですが、これは職員の努力などによってだんだんよくはなっておると思います。しかし、職員の数が少ないとやはりサービスもぞんざいになるということが予想されます。そういう点で、どういうふうにこのサービスについて改善をされているのか。それから、これは最後になりますけれども、人員不足に伴ういろいろな弊害、これについて今後どういうような対応をされていくのか、ひとつこの点について、最後には大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 登記は、国民にとりまして大変重要な事務であることは全く先生の御指摘のとおりでございまして、私どもは行政監察の面からいろいろな点を窓口の問題で指摘されているわけでございます。 窓口サービスの向上という観点から各般の施策を今まで講じてまいりました。先ほどちょっと触れました登記相談官の設置だとか窓口整理要員の配置あるいは窓口備品を新しくするというような、多方面にわたる努力を重ねてきたところでございます。また、職員の接遇についての研修の実施をするというようなこともいたしているわけでございます。世間一般国民からの批判を招かないようにいろいろきめ細かい配慮をいたしてきておるつもりでございますけれども、なお足りない点があるという御指摘でございますので、この点についても大いに努力をしてまいりたいと考えております。
○田原国務大臣 先ほど来法務省の定員等について御質問くださいまして、本当に認識を新たにしていただいてありがとうございました。 私は、法務大臣を拝命してから一番先に考えたのは定員増でございました。予算要求のときにそれに取り組んでまいりました。というのは、先生がおっしゃったようなことを直観しました。現地も、すぐ新宿その他の法務局等を視察し、それから入国管理局も視察しまして、余りにも最近ニーズがふえて多様化しておると感じました。 そこで、最重点を置いた定員についても、一般的に公務員の定数削減という基本方針がありますから、減すべきものは滅してふやすべきものはふやす、その差が定員増ということでありますが、平成三年度の要求のときに比べて倍近い増員を見ることができまして、百四十五名というかつてない増員を見ることができました。これもひとえに皆先生方の御努力のおかげと思いますが、今後ともコンピューター化、合理化を含め、そして定員増を図り、国民の御要望にこたえるように努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○細川分科員 終わります。
○志賀主査 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。 次に、小松定男君。
○小松分科員 社会党の小松定男です。 まず最初に法務大臣に伺いたいと思いますが、借地借家法案に関連する問題でございます。 この借地借家法案については大変大きな関心がありまして、特にこの法律が制定をされるということになりますと、借りている立場、こういう人たちがこの法律の施行によって不利益な扱いは受けてならないということで、法務委員会等でも相当議論もありまして、それぞれの、附帯決議とかそういうものが行われたことは御承知のとおりであります。そういう経過を経まして、昨年の九月の国会においてこれが可決をされまして、そして十月四日に公布をされた。ことしになりましてから、八月一日これが施行される、こういうことになったようでございます。 そこで、この間、私どものところに相談や苦情をいろいろと受けるわけですけれども、そういう中で特に私が法務省の立場としてお聞きしたいのは、この点について全国的にどういうPRといいますか、借り主にも不利にならないよというようなことなどを含めた徹底がされているのか、この点の法務省のとってきた実態について伺いたいと思うのです。 それからもう一つは、この法律が、案として出されたときからもそうですけれども、これが非常にいろいろな拡大解釈をされまして、何かこの法律ができると借り主に対しまして貸し主側からも追い立てもしやすくなる、一口に話をするとそういうことになるのですけれども、そういうことでいろいろなトラブルが発生していることを聞いております。法務省として、この間そうしたことが全国的にどの程度起きているのか実態的には把握をしているのか、あるいはまたこれからその点については十分施策を講じようとしているのか、この点についてもあわせて、二点について伺っておきたいと思います。
○田原国務大臣 ただいまの御質問ありました借地借家法につきましては、非常に誤解がある面もあったようでありますから、私も来てすぐ、去年大臣を拝命してからの最初の仕事がこの問題でございました。「あまから問答」とかその他いろいろテレビ等にも何回か出て討論し、雑誌でも討論し、従来の人はちっとも変わりませんよとか、そういう要点を十分御説明させていただきました。その他法務省としても全体を通じてテレビ、新聞等に相当、かつてないほど今広報しておる最中でございますが、詳細につきましては政府委員からお答えさせます。
○清水(湛)政府委員 ただいま大臣がお答えになったとおりでございますけれども、今回の借地借家法、これは既存の借地・借家人、つまり法律施行の際既に借り主である方の立場というものは影響を受けない、こういうことになっているわけでございます。ところが、それを影響を受けるかのごとくいろいろ宣伝をして、いろいろ困難が起きるというようなことが指摘されますので、私どもはこの点については特に重点的に広報、周知徹底措置を講じなければならないということになったわけでございまして、これは国会の附帯決議にも御指摘のように示されているところでございます。 そこで、総理府にもお願いをし、いろいろなマスメディアを使いましてこれまで広報に努めてまいりました。パンフレットとかポスター、あるいは政府公報としてのテレビとか新聞、雑誌、新聞につきましては、中央五紙、朝日、読売、毎日、日経、産経に大きくこの新法の内容についての広告をいたしております。雑誌につきましても、いろいろな雑誌に多数の解説記事を載づけております。それから、法務省主催の説明会ということで、東京、大阪、広島、仙台でこれを行っております。今後もこれを続けてまいりたいというふうに思っております。また、そのほかいろいろな機会、弁護士会とかあるいは宅建業者とかいろいろな企業法務担当者等につきましても、新しい法律の内容についての周知徹底を図ってまいったところでございます。 そういうような周知、広報の結果として、当初に比べまして最近はややと申しますかかなりこの点が周知徹底されまして、既存の借地人、借家人は影響がないというようなことについての理解が行き渡っているというふうに私どもは感じております。と申しますのは、これは法務省の中に借地・借家についての相談の直通電話を設けているわけでありますが、その相談内容等を見ますと、かなり周知されてきたなということが率直に言って感じられるわけでございます。 そこで、先生御指摘の新しい借地借家法についての誤解に基づくいろいろなトラブルというようなもの、その実態をどの程度把握しているかということでございますけれども、法務省としては直接そういう紛争を扱う機関ではございませんので全国的な数字はわかりませんけれども、そういう電話相談などを通じてやはり確かにそういうことはあるな、そういう誤解に基づくトラブルはあるなということを実感いたしておるわけでございますけれども、先ほど申しましたとおり、かなりそういう点についての周知徹底は効果を上げてきたのではないか、誤解はかなり少なくなっておるのではないかというのが私ども現在の認識でございます。
○小松分科員 法務省の方でも、新しい法案ですから、その点に対してのトラブルを避けるために周知徹底を図っているということはいろいろとわかるわけです。 先日、私も法務省の民事局から出ました、この「新しい借地借家法のあらまし」というのをいただいたわけですが、非常に内容もいろいろよくできていると思うのです。ただ、これだけのものが果たしてどの程度まで行き渡っているのか、私ちょっとわからないのですけれども、これらの、例えば今回こういうものが出されているのですが、これについてはどんなところに置いてあるか、大体わかりますか。
○清水(湛)政府委員 これは法務省関係の役所の窓口にございますし、各市町村の窓口にも配布されておる、それから司法書士会とか弁護士会とか宅建業者の団体、そういうところにも多数配布いたしておるわけでございます。自治体の中には、これをさらにコピーして地域住民に配布したいというようなことを申し出られまして、私どもの方でも咲くどうぞ御自由にということをいたしたケースもございます。
○小松分科員 それでは次に、今度は多少具体的になるわけなんですけれども、実は今、こういう問題で私もいろいろと取り組みをしているわけなんです。 これは、建物が三十五年近くたつわけです。もちろんこれは個人のことではなくて、大きい公団住宅の建てかえに関することになるわけですけれども、現在、鉄筋コンクリートの二階づくりでできているわけです。当時は三十五年ぐらい前ですから敷地も余裕があるし、二階建てで、今日までずっと住んできたわけですが、たまたま貸し主より、これを今度建てかえをしたい、こういうような申し出がありました。ところが、現在は当然借りている側は賃貸借契約を結んでおるわけです。しかし、これを建てかえるに当たってはそこを壊してほかへ一時移転しなければならないということで、そのために一時賃貸借契約を締結をしたいということでございます。ですから、これまでの賃貸借契約というのを一時解除いたしまして、そして一時使用の賃貸借契約を結ばれる、こういうことになるわけです。そして建てかえが終わったら、家賃を現在の三倍ないし三倍半くらいの大幅な値上げを考えて提示をしている、そういうケースでございます。 したがって、こういうことになりますと、貸し主の都合によって借家権が一時的に失われやしないかという心配があるわけなんですけれども、この点について、今度の新しいこの解釈に関連してどういうふうに法務省としては見解を持たれるか、今具体的な問題でちょっと突き当たっているものですから、お聞きをしておきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 具体的な公団住宅の建てかえという問題のようでございますから、ちょっとそのこと自体についてお答えをするというのは適当ではないと思いますが、一般論としてお答え申し上げますと、要するにこれは借家の問題である、つまり借家法の問題であるということになるわけでございます。 借家法につきましては、今度新しい法律で期限つき借家制度というような制度が導入されましたけれども、あとは正当事由という言葉をやや具体的に書き直したということで、私どもも、実質的には借家につきましては新法も旧法も変わるところはないというような実は認識を持っているわけでございます。ただ、この点につきましては、正当事由を書きかえたことによって変わったんだというようなことをおっしゃる方もおりますために、既存の借家につきましては旧法を適用するということで整理をさせていただいたということになるわけでございます。 そういうようなことを前提としてお答えをするわけでございますけれども、結局、現在公団住宅に住んでおられる方が、建てかえということのために一時そこを退去して一時的な建物を借り、さらに再築後に新しい建物に入るという約束をするわけでございますけれども、これが関係者の任意の話し合いによって契約されるものである限り、これは新旧借家法の適用でどうなるかというような問題にはならないのではないか。先ほど貸し主の一方的な都合という言葉がございましたけれども、そうではなくて、話し合いで建てかえの合意をして、そのための方法として一時的に立ち退き、一時的にいわゆる仮住まいを借り、さらに再築後の新しい建物に入るという任意の契約でございますと、それは当然契約に基づく関係者の権利は保護される、契約は守られるべきものでございますので、それによって当然そういう権利は保護されるということになろうかと思います。
○小松分科員 ちょっと確認をしておきますが、これは公団住宅であれ、一般の民間であれ、同一見解として理解してよろしいですか。その点だけちょっと。
○清水(湛)政府委員 公団住宅につきましては、一般と同じように借家法が適用されるということでございます。
○小松分科員 そこで、関連して伺いたいのですが、この事例で、旧借家法に基づいて賃貸借契約をしております。今度一時使用賃貸契約に切りかえられて、それから建てかえ後に新たに賃貸借契約を締結したい、こういう三段論法になっているようなケースなんですね。しかしながら、この場合、建てかえ後の賃貸借契約ということで新借地借家法の適用を受けるというような場合は、附則第十二条に違反しやしないかなという危惧を私はちょっとしたのですけれども、この附則第十二条というのは「この法律の施行前にされた建物の賃貸借契約の更新の拒絶の通知及び解約の申入れに関しては、なお従前の例による。」という、先ほどちょっとお答えいただいたようなことになるわけですけれども、こういうことでいきますと、この一時使用賃貸契約というのがどうも中に入りまして、これが借りている側から見ますと何か不利なような扱いを受けるのではないか。後でこれはまた質問をしたいと思うのですが、それは次に出るときに、どうしてもここのことを経てくる段階の状況を見できますと、不利になるような気がするのです。 今までちゃんと契約を結んでおるわけですから、確かにつくるためにそこを一時移るというのはわかるのですね、壊すのですから。しかし、中に入ってきたもの、そこを経ないと次の段階に移れない、こういうことで公団の方からはその点を強く求めてきているんですね。ですから、その場合になりますと附則第十二条に関係してちょっと不利になるのかなという気がしたものですから、このあたりの見解はどういうものなのか、ちょっと。
○清水(湛)政府委員 例えば、現在公団に住んでおられる方は話し合いで契約を解除して一たんそこを立ち退く、立ち退きをいたしましても行くところがないということになると困りますから、一時の建物の賃貸借契約をすることになるんだろうと思います。そういう過程の中で建物が今度新しくでき上がりまして、でき上がって新たにそこに入る時点がもう新法施行後であるということになりますと、新しい建物の賃貸借契約については新しい借家法が適用される、こういうことになるわけでございます。 ただしかし、先ほど申し上げましたとおり、これは当事者の合意でそういう任意の解約をし、新法施行後に新しくでき上がった建物について改めて新しい契約をするということでございますから、それ自体別に問題はないわけでございます。さらにその上に、この借家法における改正点というのは、正当事由条項が従前は非常に簡明な、簡単な条文でありましたものが、判例等を整理した形で詳しく、正当事由とはこういうものであるということが条文に書き込まれたというだけの改正にとどまりますので、新しい建物についての借家契約上の地位が従前に比較いたして弱まるとか、そういうことには一切ならないということになるわけでございます。 そういう新しい建物と古い建物のいわばつなぎとして一時的な建物の賃貸借契約、一時の仮住まいというような意味での契約をなさるわけでございますが、これはそういう目的が限定された契約でございますので、その契約の趣旨に従って建物を使用するということになろうかと思いますけれども、そのことから借家人は非常に不利になるというようなことにはならないのではないか、十二条の問題ではないのではないか、お聞きしたところではそういうふうにお考えになって差し支えないと私どもは思うわけでございます。
○小松分科員 これを拒否したら一体どういうふうになるんでしょうか。
○清水(湛)政府委員 だから問題は、現在住んでおられる方が公団側の要請を拒否するということになりますと、今度は裁判所で争う可能性というのが出てまいるわけでございます。公団が話し合いではなくて、建てかえということを理由にして借家契約を解除して、現在住んでいる人たちに対して立ち退きを請求するという訴訟が考えられるわけでございます。 この場合に、公団に建てかえだけで当然に正当事由があるかどうかということになりますと、非常にいろいろな問題があるのではないかというふうに思います。正当事由につきましては、要するに住んでいる人たちの建物を必要とする事情も考慮しなければいけない。旧法の借地法ですと貸し主の方の自己使用の必要性だけを見ればいいような書き方になっておりましたけれども、御承知のように判例で、借りている側の事情、それから貸している側の事情、そういうものを総合勘案してこの正当事由を判断すべきだということにされているわけでございまして、その際、公団側のこの建物は古くなってしまって建てかえが迫られてくるというような事情が正当事由の一つの要素としてしんしゃくされることはあり得る、裁判所がそういうことを一つの重要な点として取り上げて公団側の正当事由を認めるということはあり得ると思うわけでございます。 現に、大阪地裁の判決でございますけれども、都市整備公団が賃貸し、建物の建てかえの必要があるとして賃貸借契約の更新拒絶をして、それについて正当事由があるかどうかというようなことについて、いろいろな事情はたくさんあるわけでございますけれども、建てかえということも一つの正当事由を判断する要素になり得るということを示した裁判所の判決もあるわけでございます。 しかし、具体的に本件について公団側の言い分が認められるかどうかということは、これはもう私どもちょっとお答えできる限りではございませんで、その点はお許し願いたいと思います。
○小松分科員 確かに裁判所の、これは最終的に行くところまで行けばそういう判例が一つの基準になるのかなということはわかるわけなんですが、ただ、先ほど言いましたように、確かに建て主側の言い分もある、しかし住んでいる人たちの言い分も正当事由がある。というのは、例えば当時三十歳で入った人が三十五年住んでいると今もう六十五歳、年金生活者に入っている、あるいは今一番給与の多い人が四万から四万五千円くらいの家賃を払っているのですが、これが今度は十四万六千円の家賃になる。そうなりますと、これから先十年たつと五十歳の人が六十歳、年金生活者に入っていくということですから、とてもそこは住めない、したがって、早く言えば、そこはもう自分では借りるだけの資格というものを持たなくなって出ていかなければならない。こういうことですから、今のままの方が三十五年たったって十分住めるわけですから、むしろ建てかえなどしてもらって迷惑だということもあるのです。 ですから、これらも裁判になれば当然正当事由の大きな要因になるだろうと思って、そこは争いになる可能性はあるのですが、ただ私がここで指摘をしたいのは、この法律を決める場合にはいろいろな角度から検討されたと思うのです。したがって、借り主の立場として、これが印鑑を押さないと、その人がいずれもし裁判で負けた場合には追い立てを食ってしまう心配もあるし、だからといって判こ、印鑑を押せば、一時賃貸借契約に押さなければならないということで、この法の精神からいうと、本人は同意したくないです。同意したくないのだが、しかし、これは合意という言葉が出ますが、合意じゃなくて無理やりに合意させられるという心配もあるのです。なぜかというと、この二年間なら二年間の間に印鑑を押さなければ、その人たちは新しいところへも移してもらえないし、それからどういうことになるのか心配なのですね。もちろん、これは居座って訴訟でやればいいのですけれども、そういう心配もあるということで、この法律を制定したときの精神からすると、そういうあたりについてはどういうような見解を持っているのか、この法律の精神上からの解釈はどうなのかというところをちょっと聞いておきたいなと思うのです。
○清水(湛)政府委員 具体的な事案になりますと、確かに借家人の方にも何年もたちますと収入にもいろいろ違いが出てまいりましょうし、実にさまざまな生活実態がそこにあらわれてくるのだろうと思います。したがいまして、そのような実態を踏まえた上で公正妥当な判断をすべきだということに当然なろうかと思います。 御指摘のように、もともと借家法というのは借家人が安定した形で居住することができるということ、そういう意味で借家人の権利を保護するという一つの基本的な立場でこの法律が制定されたというふうに私ども理解しているわけでございますけれども、しかし、だからといって貸し主の方の立場が無視されていいということにはならないわけでございます。そういうような一つの接点として正当事由というようなものが法律の中に書き込まれる、そういうことでございまして、具体的な問題については実にいろいろなケースがあって直ちに判断しがたいわけでございますけれども、結局、それぞれの事情をすべて勘案して、公正妥当な立場から最終的には裁判所が判断するということにならざるを得ないのではないかというふうに思う次第でございます。
○小松分科員 時間も来たようでございますので、一つだけ要望しておきたいと思うのですが、やはりこの法律の精神からしてぜひとも借りている立場の者の権利というものが失われないように、薄くならないように特に希望しておきたいと思うのと、それから国会の決議がこの制定についてありました。この国会の決議は、御承知のとおりそういったことを避けるために、その権利も守られるようなことも含めた決議がされております。ぜひ国会の決議を、きょうは答弁は要りません、時間もありませんからいいのですが、ぜひ国会決議を十分守っていくように特に強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○志賀主査 これにて小松定男君の質疑は終了しました。 次に、新村勝雄君。
○新村分科員 私は幾つかの点についてお伺いをいたしますが、まず最初に死刑の問題について伺いたいと思うのです。死刑の問題、死刑廃止の問題については、多くの議員諸公また一般の識者あるいはまた国民の間にも、死刑は廃止をすべきであるという議論あるいは運動が起こっております。しかし、残念ながら、死刑を廃止するという問題が、議論、運動はありますけれども、まだ現実に実際の政治の日程あるいは政治の差し迫った議論にはなっていないということで、ぜひこれは早期に死刑を廃止すべきであるという立場から何点かについてお伺いをいたします。 まず最初に、現在の死刑制度というものは憲法三十六条に違反をしている疑いが濃いということがまず一つ考えられるわけであります。この点について、まず御見解を伺いたいと思います。
○濱政府委員 今委員御指摘の憲法三十六条の正確な条文をもう一度拝見させていただきまして、確認させていただいた上でお答えをさせていただきたいと存じます。 三十六条は、委員御指摘のとおり「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」という規定でございますけれども、従来からの最高裁判例等も明確に判示してきておりますけれども、日本国における死刑という刑罰は、憲法の条項に言う残虐な刑罰に当たらないというふうに判示していると承知いたしております。
○新村分科員 最高裁の判断が現在の日本の死刑は残虐な刑罰ではないという判断を示していることは承知をいたしておるわけでありますけれども、残虐という概念といいますか、定義は極めてあいまいといいますか、なかなか正確には定義のできない言葉あるいは概念だと思います。現在の憲法は、明文をもって具体的な規定はいたしておりません。おりませんが、残虐な刑罰を禁止するということでありますから、現在の死刑の方法が果たして残虐であるのかないのかということに議論は絞られてくると思いますけれども、最高裁の判断あるいは多くの論者の論点は、現在のやり古いわゆる絞首による刑の執行は残虐ではないんだというようなことも言われております。というのは絞首というものが死の瞬間、執行するその瞬間における苦痛がないとか、あるいは瞬間に行われるその過程が残虐性がない、苦しみがない、こういう極めて安易な、皮相な、上辺だけの判断で行われているような気がするわけでありますけれども、これはとんでもない誤解というか事実の誤認というか、であると思うのです。 その点については申し上げますが、まず順序として、死刑というのは国家権力によって人の生命を奪うわけでありますから、俗に言ってみれば国家権力による殺人であるということもできるわけですね。その犯人がどういう重い犯罪を、重大な犯罪を犯したかということは、これは別の問題でありますけれども、いかなる犯罪を犯したにしても、国家の権力によって国民の、人の生命を奪うということが果たして妥当であるのかどうかということについては、今までも長い間の歴史の上で各国において論議をされてきたと思います。我が国においても、まあ我が国においては比較的この論議は少なかったと思いますけれども、やはりかなり長期にわたって死刑の廃止という問題が識者の間に論ぜられていたということは事実であります。そして、人類の文化が発展をし、歴史の発展と同時にそれに伴って死刑を廃止するというそういう方向に世界の流れが向かっているということもこれは事実だと思います。現に、世界各国で死刑を廃止している国が相当あります。死刑を全面的にいかなる犯罪に対しても廃止をしているという国が四十二カ国あります。また、通常犯罪についてのみ死刑を廃止をした、特殊な犯罪、例えば戦時における売国的な行為というようなことは除外をして、普通の犯罪については死刑を廃止している国が十七カ国、前の数に比べてですね。それから、法制的には完全に廃止はしていないけれども、事実上死刑を執行していないという国が二十五カ国あるというふうにこれはなっておりますけれども、この中に残念ながら日本はいずれのジャンルでもないということであります。 こういう中で、世界の趨勢から考えて日本も死刑廃止について真剣に検討をする時期に来ているのではないかというふうに考えるわけであります。何よりもこの国家による殺人ということ、これが人道上根本的な問われるべき問題である。そしてまた、犯罪に対する刑罰、まあ行刑といいますか、その方針が応報、仕返しかあるいは教化かという問題もありまして、そういう点からすると死刑は全く論外な刑罰になるわけであります。 それから残虐性についても、先ほども話が出ましたが、現在の方法は残虐ではないと言っておりますが、実はこの残虐かどうかということの判断は生命を奪うその瞬間における苦しみというようなものではなくて、死刑囚の執行されるまでの間の苦しみ、心理的な苦しみ、まあ葛藤というか苦しみは言語に絶するものがある、これはまあ当然だと言われております。この死に直面をしての苦しみ、これは、人間はいつかは死ぬわけでありますから、老人になって死ぬあるいはがんにかかって死ぬ、いずれもこの死を迎えるわけでありますけれども、老衰で死ぬあるいはがんになって死ぬという場合の死の迎え方、これはやはりその死を迎えるまでの、死を迎えるということについて、死に対してある程度の観念をするあるいは死を受容する、死を受け入れるということが一定の時間の間に徐々に行われていくわけですね。老衰で、老人で死ぬ場合でも、もうこれは万人が免れることのできない運命だということ、それからまた自分が高齢であるということのために死を受容する心の準備が次第にできていくということでありますけれども、死刑囚の場合にはそれはないと言われている。これはそうでしょう。他動的に裁判によって、法的な手続によって死は迎えるにはしても、ほかの原因による死の受容とはこれは全く質的に違う。 普通、死刑囚というのは拘禁されている間に、拘束されている間に、死を迎えるまでの間に正常な心理状態ではなくなってくる。いわゆる拘禁ノイローゼというものにかかる場合がほとんどであると思います。七割、八割の人たちは拘禁ノイローゼ、ですから一種の精神病にかかる。大多数の死刑囚はこの精神病にかかって死を迎えるということが言われております。これはその道についての専門家の説であります。ということは、正常な神経ではそういう状況で死を迎えることはできない、そういう状況のもとに置かれた人間は正常な心理を持つことができないほどに死の恐怖に直面し、さらされているということだと思うんですね。ですから、ある意味ではこれは一種の人間の状況適応の能力によって、正常な神経では耐えられない状況に置かれた場合には自分の頭が自然に狂ってというか、みずから頭を狂わせて状況に対応するんだ、こういうことも言われておるわけです。そのくらいに死を迎えるまでの死刑囚の心理的な苦しみは深刻であり、他の何物にも比べられない厳しい状況の中に置かれるということなんですね。ですから、命を奪うその瞬間に苦しみがないということではなくて、その前段階における死刑囚の受けなければならない苦しみというものはまさに残虐そのものあるいは残虐以上のものであるというふうに識者は言っておるわけでありますが、そういう点からしてもこれは明らかに憲法に違反するではないかということが言えます。 それからまた犯した犯罪に対する量刑の均衡という点からしても、無期になるのか死刑になるのかというその差は、場合によりますけれども紙一重の場合がありますよね。紙一重の場合で一方は死刑になる、一方は無期になる。それで、死刑になった者は死刑を執行されてしまえば万事終わり、万事休します。無期になった人は、その後の服役状態が優秀であれば、場合によっては出所することができますね。無期囚で出所をした例はかなりあるのではないかと思います。そうなりますと、一方はそこで命を奪われて一切終わり、紙一重の無期の人は出所するという大変な量刑上の不公平がある、起こってくるということであります。 それから、この問題については多くの論者あるいは、委員長も大変御熱心でありますけれども、議員の皆さんもその運動を進めておられますが、今や死刑に対する国の態度、これも自信を失ったのではないかというような面があります。というのは、死刑の確定囚でも執行を受けずに刑務所の中で拘禁中に自然死を迎えたという人も何人がおります。というのは、調査、裁判の過程でこれをやるのは神様じゃありませんから、誤判の可能性も絶対ないとは言えない、裁判所の判断が絶対に間違っていないとはこれは言えないわけであります。そういう中で、死刑の執行ができないというケースが生まれるということは、やはり死刑制度に対して国が本当に自信を持って臨むことができない状況が既に生まれているのではないか。また、調査、捜査、起訴、裁判の過程において、国が一〇〇%の絶対の自信を持って最終的な判断を下すということについての、特に死刑の場合には万全の自信がないのではないかと言わざるを得ないわけです。死刑の確定囚が死刑執行を受けないで自然死を迎えるという事例が例外的にあるわけでありますから、これはやはり国の自信喪失あるい担死刑そのものに対する考え方の変化が国家権力の中にも生まれているんではないかということも言えないわけではございません。 さらにまた、これは大臣にお伺いしますが、前左藤法務大臣が、これは最近の報道でありますけれども、死刑廃止を訴える集会に前法務大臣がエールを送られた。その中で「私は浄土真宗の寺の住職でもあり、宗教人として人の命の大切なことを人一倍感じている立場からも(執行を許可する)サインを拒否した」、こういうふうに述べておられるわけであります。これは法曹の、法務の最高責任者、しかも死刑執行の場合には最終的なその決断を下す方でありますから、その最終的な決断を下す方がこういうことをおっしゃっておるわけであります。 そうしますと、依然として表向きは死刑制度を堅持すると皆さんはおっしゃっておりますけれども、今や死刑廃止は政治上の議論の日程に上せる段階ではないか、こう思うわけであります。左藤前法務大臣は、人道的な立場から、あるいは宗教人としての立場から決裁をおやりにならなかった。そうしますと、後の大臣もやはりこれは人道的なことをお考えになった場合には決裁はできないんじゃないでしょうか。そういう状況が既に生まれているわけであります。この点について現大臣のお考えをお伺いいたします。
○濱政府委員 今、委員からるるお話のございました御意見、拝聴いたしましたが、従来から委員今お述べになられましたような御意見があることは私どもも承知しているわけでございます。ただ、今おっしゃいました中で、若干細かいことでございますけれども、数字等につきまして、私どもの把握しておりますのと少し違うところがあるかなと思う点を含めまして、訂正させていただくということでもございませんが、少しちょっと確認だけさせていただきたいと思うわけでございます。 一つは、一番最初に委員お述べになりました、世界各国における死刑制度の中で、すべての犯罪について死刑を廃止している国または地域の数につきまして、これは私どもの方で、一九九〇年の死刑に関する国際連合事務総長の報告書、これが国際連合事務総長の報告書としては一番新しいものでございますけれども、この中の数字によりますと、私どもは三十八というふうに理解いたしております。たしか委員、四十二とおっしゃったかと思いますが、まあそれは数字だけの問題でございます。 それから、幾つかお述べになられました中で、死刑執行は国家による殺人ではないか、憲法との関係はどうなのかという御趣旨のお話ございました。 申すまでもないことでございますが、我が国の現行法秩序は憲法を頂点とした体系となっているわけでございますが、憲法三十一条には、もうこれは委員御案内のとおり「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」というふうに定められておりまして、死刑制度を禁止していないというふうに考えられるわけでございまして、これを受けて、刑法は刑罰の一種として死刑を定めているというふうに理解されるのではないかというふうに思うわけでございます。 それから、先ほどのお尋ねの中で無期刑との関係についてのお話もございましたけれども、これはもちろん無期刑につきましては、法律の定める要件のもとに減刑がなされたり、あるいは仮出獄が認められて出所することがございますのに対しまして、死刑につきましては、事柄の性質上、一たん執行がなされればそのような余地がないことはもう御指摘のとおりでございます。 ただ、もともと我が国におきましては裁判所の量刑におきまして、これも委員御案内のとおりでございますが、死刑は、犯行の罪質、動機、態様、殊に殺害の手段、方法の執拗性、残虐性、結果の重大性、殊に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、各般の情状をあわせ考察したとき、その罪責がまことに重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に限って選択されているというわけでございまして、要するに、いかなる意味でもその行為者が改善不可能と考えられる場合に言い渡されるものであるというふうに考えられるわけでございますから、死刑と無期懲役との間に委員御指摘のような差異がありましても、これは不合理とは考えられないのではないかというふうに思うわけでございます。 それから、国が死刑の執行までに相当長期間を要しているということについてのお尋ねもあったかと思うわけでございますが、もうこれも委員御案内のとおり、判決確定の日から執行までの平均期間が若干長期化しているわけでございますが、この点につきましては、例えば再審請求や恩赦の出願等を再々行っているものもあるなどの事情によりまして、そのような再審請求、恩赦の出願等がございました場合には、もちろんその執行に慎重を期しているという事情にもよるということだけ申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。
○新村分科員 じゃ、最後ですから、時間がありませんので一問だけ大臣にお伺いしますが、左藤前法相のお考えですね、これに対しての御感想と、大臣はこれから執行を決断されるかどうかということについて伺います。
○田原国務大臣 前大臣が個人的に述べられたことについて、私はコメントする立場にはないと思います。一国の刑政の責任を負う私としては、国民世論をそんたくしていかなければならないが、現行法で定めのあるものをやめるとすれば法律を改正しなければならない、法律を改正するとすれば世論の動向をそんたくしなければならないというようなこと等を考えますと、世論は六七%ぐらいが支持で、反対は一〇%ぐらい。しかし、反対の声は大きく聞こえるというふうな事情等があるんではないかというふうに考えておりますが、ただ、もとより私も、大事なことでございますから、決断を下すに当たっては、一人一人、自分の目で裁判の記録等を確かめながら、あるいは再審の機会等があるのかないのか等を確かめながら最後の決断を下すという建前でございますが、これが現在定められた法を守る立場にある私の答弁であろうと思います。刑事局長がるるお答えしましたが、まさにそのとおりでもありますし、最高裁の判決という判例もございますし、私は慎重この上なく検討して、国民世論の従うところに従っていか在ければならない、そういうふうに考えております。
○新村分科員 あと一問だけ。大臣のお考えはわかるのですけれども、司法制度あるいは刑罰、そういった制度はもちろん時代によって変わっていくわけであります。最高裁の判断もこれは万古不変というようなものではもちろんございません。時代とともに変わるはずであります。時代の趨勢はどういう方向に向かっているかということをぜひ大臣にも御検討いただきたいということであります。 それから世論等についても、もちろんこれは世論を尊重しなければならないわけでありますけれども、長い間の一つの制度のもとにあった国民が、特に刑罰、司法等の問題について、国民世論が時の権力に先行して変わっていくということはちょっと考えにくいと思います。特に素朴な国民感情からすれば、罪に対しては罰を科するのは当然だ、そういう素朴な感情もあります。そういったことを考えた場合には、常に世論に従っていくということではなく、やはり次の時代を指し示す見識というものが時の政府あるいは権力になければならない、こういうことも言えるわけであります。場合によっては、世論調査では死刑廃止の反対が多くとも、真に宗教的な、あるいは哲学的な見地から、あるいはまた世界の歴史の流れの動向からして、廃止をすることが妥当であるという高度の判断を行うことができる場合には、政治が率先してこれを行って決断をして国民に了解を求める、こういうこともなければならないし、こういうことがなければ政府あるいは国家権力の存在理由もある面では問われるということもありますから、そういう点でぜひ御検討をいただきたいということと、現在はまだ政府とすれば死刑廃止は論外だというような印象を受けるわけでありますけれども、死刑廃止についてこれは一朝にして廃止をすることは難しいと思いますけれども、この問題について真剣に検討するそういう場なり機関なり、あるいは、もちろんその根本にはそういう発想ですね、そういう発想が実は必要なわけでありますし、望まれるわけでありますから、そういう点からひとつ、死刑廃止なんていうのば今の段階では論外だよということではなくて、死刑廃止についても真剣に検討するという姿勢を、またそういう発想を持っていただきたいということでありますが、そういった発想なりをお持ちをいただけるかどうか、その点を最後に伺います。これは大臣。
○田原国務大臣 私は、法の番人というのは法を守ることで、法が先行して一つの世論をリードし、一つのポリシーを立てていくには刑法はなじまないのじゃないかと素人ながら考えております。しかし、先生がお使いになった論外とかそういう言葉は私は決して使っておりません。今の定めがあり、今の世論が支持しておるこのもとで法を改正することはなかなか困難ではないか、そして現在その法がある以上、その法は尊重しなければならない、こう申し上げておるわけであります。
○新村分科員 終わります。
○志賀主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了しました。 次に、宇都宮真由美君。
○宇都宮分科員 社会党の宇都宮真由美でございます。よろしくお願いいたします。 きょうは法務省の人権擁護機関についてお聞きしたいと思います。 人権を尊重するということは当然のことであり、これを否定する人はいないと思うのですけれども、現実問題としては至るところで人権侵害が起きている。そして、最近特に、今までは国あるいは行政、企業等、その組織の整備充実強化等に私たちの目が行っていたと思うのですけれども、これからは私たちの個人の生活といいますか、一人一人の個性に目を向けていかなければならない時代だと思いますので、人権尊重の必要性というのはますます高まっているとぎではないかと思います。 そういう意味で、人権擁護機関についてお聞きしたいのですけれども、まず初めに、法務省の予算のうち人権擁護関係といいますか、どこまでがそういう関係になるのかというのは私もちょっと定かではないのですけれども、それに占める予算の金額、そしてまた割合はどの程度かということ、そしてその人権擁護機関の人的な、人員といいますか、それはどのくらいの人員が充てられているかということ、そしてその予算の面あるいは人員の面を、例えば五年前と比べてどういうふうに充実強化されてきたかということをお聞きしたいと思います。 なぜそういうふうなことをお聞きするかと申しますと、地対協が昨年の十二月十一日に「今後の地域改善対策について」という意見具申を出したのですけれども、その中で人権擁護委員も含む人権擁護機関の充実強化に努めるということがうたわれております。そして、このことは五年前の一九八六年にも同じようなことが述べられておりますので、五年に絞ったという特に理由はないのですけれども、大体五年くらいの間にどの程度充実強化されてきたかということをちょっと簡単にお聞きしたいと思います。
○篠田政府委員 お答え申し上げます。 まさに人権の尊重ということが各方面で言われているわけでございますけれども、私どももその重責を担っておりますので、人権機関の強化充実に努めてまいっているところでございます。 それで、過去六年間の人員の増加の状況でございますけれども、まず法務省の人権擁護を担当している職員の数でございますが、昭和六十二年には二百五名、それから昭和六十三年には二百六名、それから平成元年に二百七名となっておりまして、現在のところ二百七名でございます。そのほかに、法務局それから地方法務局に支局というのがございまして、支局の職員で人権擁護を、兼務でございますけれども、平成三年度の場合一千八十名が人権擁護の仕事に従事しております。それから、人権擁護委員の方でございますけれども、昭和六十二年には一万一千五百名であったところを、昭和六十三年から五百二十四人ずつ三年間増加して、平成二年の人数は一万三千七十二人、その状態が現在まで続いております。 それから、予算の関係でございますけれども、まず昭和六十一年の法務省全体の予算は四千二百七十八億三千五百三十八万四千円で、その中で人権擁護局関係の予算は五億五千十万七千円です。それから、平成三年の場合ですと、法務省全体の予算が五千五百十二億十九万四千円、それで人権擁護局の予算が九億二千八百二十五万二千円ということでございます。平成四年度の予算要求といたしましては、法務省全体が五千八百三十八億三千九百五万七千円、人権擁護局の予算は十億二千八百四十三万五千円を要求しております。それで、人権擁護局の予算は、金額的には少ないのでございますけれども、伸び率からまいりますと、例えば平成三年と四年を比べました場合に、法務省の予算は五・九二%の増加ですけれども、人権擁護局の増加率は一〇・七九という増加率でございます。
○宇都宮分科員 支局の予算の伸び、割合が伸びているということは一応評価したいと思いますけれども、支局の千八十名の兼務というのは、登記とか供託とかそういうものも含めて、特に人権専門ではないということなんでしょうか。
○篠田政府委員 人権専門ではございません。専門の方も一部に大きいところではおりますけれども、ほとんどが兼務でございます。大体どのくらいの割合かということですけれども、平均しますと大体二、三割程度人権の仕事をしているということでございます。
○宇都宮分科員 あとの七、八割はほかの仕事ということでございますね。 ところで、大臣にお伺いしたいのですけれども、予算と人員ということ、現在の状況がどうなっているかということ、そして五、六年の間の増加等お聞きしたのですけれども、これについて大臣としては、法務省として人権を擁護するという立場から、いかがでしょうか、十分ある、それともまだまだ不足だ、どういうふうにお考えでしょう。
○田原国務大臣 着実に伸びてきているというのはおわかりいただけると思っております。事務当局中心にこの問題に真剣に取り組んでいる証拠であろうと思うのであります。ただし、これで十分とは必ずしも思っておりませんので、今後も人権問題に取り組む姿勢を強くし、したがって必要な経費、必要な予算の増、必要な人員の増を図ってまいる姿勢でまいりたい、そういうふうに考えております。
○宇都宮分科員 ますます予算、人員の面から強化、整備していただくという御方針だとお聞きしてよろしいわけですね。 それから、人権擁護機関として法務省の職員の方、そして人権擁護委員ですか、民間から選ばれる方といらっしゃるのですけれども、その権限というか任務、それについては特に差異はないのでしょうか。
○篠田政府委員 特段の差異はございません。
○宇都宮分科員 それで、先ほどの人員なんですけれども、職員の方は二名くらいしかふえていない、それに比べて人権擁護委員の方はかなりの教ふえていらっしゃいます。それは、この人権擁護委員の方というのは一応無報酬ということでお聞きしているのですけれども、考えまして、無報酬ですから余り予算の手当ても要らないから簡単にふやせる、そういうふうな気がして、もちろんふやすということはいいのですけれども、何か本来ならば職員の方を増加させた方がいいのではないかという気もするのですけれども、そのあたりはいかがでしょう。
○篠田政府委員 職員の増員の問題でございますけれども、先ほど二名増加と申しましたのは純増でございまして、一応十名増員で公務員全体の定員減八名がございまして、そういう関係で二名の増ということでございます。それと、もとになる数字が少ないので全体としてふえる数も少ないのでございますが、人権擁護委員の場合にはもとになる数がかなり多いものですから、したがって増員というのも多くなっているということでございます。
○宇都宮分科員 それはそうなんですけれども、何か安直に、人権擁護機関に対する人権の相談件数も、ちょっと私驚いたのですけれども、かなりの件数ありますね、四十万以上。そして、それはだんだんとふえる傾向になっております。そういう意味で、どんどん充実させていかなければいけないというのがあると思うのですけれども、何か安直に人権擁護委員を増加させてきた、そういう気がするのですけれども、そのあたりは。
○篠田政府委員 決してそういうつもりではございませんで、人権擁護の仕事と申しますのは、法務省でやっておりますのは、人の心に訴えて人権侵害を起こさないように、そしてまた人権侵害があった場合にはそれを取り除いていく、そういう仕事をやっておりますので、やはり民間のボランティアの方に協力していただくのも非常に有効な方法ではないかというふうに考えております。 ちなみに、人権相談のお話が出ましたけれども、人権相談の数は、今委員おっしゃいましたように年間大体四十万を超えておりますけれども、その三分の一を人権擁護委員の方が担当しております。
○宇都宮分科員 逆に言えば三分の二は職員の方ということで、できるだけ職員の方の増加も図っていただきたいと思います。 それで、人権擁護機関の職務といたしまして、主に啓発活動というのがあると思うのですけれども、まず人権侵害が起きないように監視して、そして啓発を行う。啓発の中には一般的に、例えばシンポジウムを開いたりとかポスターをつぐったりとかパンフレットをつくったりとか、そういう一般的な啓発活動というのと個別的な啓発活動がある。その個別的な啓発活動というのは、個別的な事件の、個々の事件の救済を通じて行う、これが人権相談とかあるいは調査処理になるのではないかと思うのですけれども、ざっとですけれどもそういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
○篠田政府委員 今おっしゃるとおりでございます。
○宇都宮分科員 そうしますと、では人権侵害が起きないように監視するというのは、具体的にはどういう活動になるのでしょうか。
○篠田政府委員 これは、全国津々浦々に一万三千人の人権擁護委員がおりますので、例えばですけれども、たまたま体罰を行われているのを見た、そういったような場合に、委員が通報してまいりまして、それがきっかけで情報収集、それから調査をして体罰事件について説諭をしたとか、そういったようなケースもございます。
○宇都宮分科員 それはたまたまということになるわけですか。例えばいろいろ、学校とか職場とかを人権擁護委員の方が回って相談に乗ったりとか人権侵害の事実はないかとか、そういう巡回みたいな制度はないわけですか。たまたまになるのですか。
○篠田政府委員 積極的に定期的に回るという、そこまではやっておりませんけれども、たまたまというよりはやや積極的ではないかと思います。
○宇都宮分科員 いろいろ問題はあろうかと思いますけれども、まあそれはないにこしたことはないわけでございますけれども、現実にあるわけですから、積極的に人権侵害の事実を見つけ出すという方向でも動いていただきたいと思います。 それから次に、個人的な啓発なんですけれども、これは一応個別事件の救済を通じてということになっているのですけれども、個別事件の調査が開始されるのは、当事者の申し出、こういう人権侵害があったという訴えというのですか、あるいは第三者からの通報とかいうこともあると思うのですけれども、そのほかに、最初職員の方が実際に見つけて職権で調査を始める、そういうこともあるのですか。
○篠田政府委員 職権ですることもございます。それから、その端緒としては、例えばマスコミの報道なんかを端緒として職権でやることもございます。
○宇都宮分科員 それから、その調査なんですけれども、調査方法として強制力がないということですね。侵害された人は申し出ると思うのですけれども、それでその人の言うことを聞いて調査をする。そのほかに調査のあり方としては、第三者の方の話を聞いたりとか、あるいは侵害した人の話も聞く必要があると思うのですけれども、そういう調査について強制力がないということ、問題はあろうかと思うのですけれども、強制力の必要性はお感じになっていないかどうかということ。 それともう一つ、いろいろ例えば人権侵害を受けたという方のお話等を聞きますと、やはり個人の申し立てた人の救済を通じてということは、何らかの、被侵害者に対してこういうふうに救済しましたよと、自分は申し立てることによって救済された、そういう気持ちというのを与えるというか、必要ではないかと思うのですけれども、そのあたりは自分が救済されたという満足感といいますか、そういうのを申し立てた方に与える制度としてどういう回答をするのか、そういう何かありますか。
○篠田政府委員 人権侵害があった場合あるいは人権相談に基づいていろいろ調査した場合に、守秘義務というのがございますので、どの程度回答するかという問題はございますが、侵害された人から結果がどうかということを聞かれた場合には、守秘義務に反しない程度ではお答えすることにしております。
○宇都宮分科員 それは聞かれた場合にですか。制度として、例えば申し立てに対して人権擁護機関としてはこういう処理をしましたとか、そういうことを通知する、そういうことは原則としてはなさらないのですか。
○篠田政府委員 制度としてはそういうことはしておりません。
○宇都宮分科員 やはり申し立てただけで段調査はなさると思うのですけれども、それに対して何の回答もなくて、要するに申し立てて後の処理は何も報告しないということでは、申し立てた人は救済されたという気持ちが生じないと思うのですよ。そのあたりのこれからやはりいろいろお話を聞いて、人権擁護局に申し立てても何もしてくれない、そういう感情というのは結構あるのではないかと思うのですけれども、そのあたり改善なさるお気持ちはございませんか。
○篠田政府委員 理屈の上でいろいろ問題はございますけれども、運用としてできるだけ依頼者に対して答えるということは考えてまいりたいと思います。
○宇都宮分科員 せっかくこういう制度があっても、やはりこういう制度を利用することによって自分が救済されたというその気持ちというのは大切だと思いますので、ぜひそのあたりを、せっかく人員と予算を配備してなさるわけですから、充実させていっていただきたいと思います。 それから、次に、人権侵害事件といいますか相談、そういう事件のうちで、部落問題についてお聞きしたいと思うのですけれども、まず大臣は、人権侵害というのは性差別の問題とか身障者の方の問題とかいろいろあると思うのですけれども、部落問題についてはどういうふうに、特殊性というのですか、ちょっと言葉は悪いかもしれないのですけれども、お考えになっていらっしゃるか、そしてそれに対してほかの人権侵害事件とは特別の取り組み方をなさっているかどうか、そのあたりちょっと大臣のお考えをお聞きしたいのですけれども。
○篠田政府委員 これは私の方に答えさせていただきたいと思いますが、まず人権相談の点でございますけれども、私どもとしては、部落差別にかかわる人権侵犯がある事案について、そういう事態があった場合には、人権侵犯事件あるいは情報収集事案というふうに対処しておる関係で、人権相談そのものについては、特にその中で部落差別にかかわるかどうかについての統計はとってはおりません。 ただ、人権侵犯事件ということになりますと重要なことですので、それから情報収集についても、同和問題に関する事件については特に統計をとって対処しております。部落問題につきましては、非常に根の深い問題でございますので、差別意識の解消の点につきましても粘り強くやっていかなければいけないということで、特段の注意を払っております。
○田原国務大臣 今局長が申したとおりですが、目標としては、二十一世紀には差別が残らないようにということを一つの大きな目標として考えております。
○宇都宮分科員 確かに部落問題に関する人権侵害の場合、ほかの侵害事件に比べて表面にあらわれない部分が多いのではないかと私は思うのです。先ほど相談の件数はおわかりにならないと言われたと思うのですけれども、例えば相談件数があらわれたとしても、数字にあらわれない、氷山の下に隠れている部分が多い、特に他の人権侵害以上に多いという気がするのです。それが一つ。 そしてその内容が、就職とか結婚とかいうところでの差別というのが多いと思うのです。そういう意味で、特に表面にあらわれないということ。そしてその内容がいかにもプライバシーといいますか、結婚とか就職について多いのじゃないかということ。そのあたりの特別の対処の仕方等、お聞きしたいと思うのです。確かに意識改革、意識の問題というのはあると思うのですけれども、これはそう一朝一夕にはできない問題でございますので、意識の改革といいますか、啓発以外に何か対応の仕方等がございましたら教えていただきたいと思うのです。
○篠田政府委員 まず、部落差別にかかわる人権侵犯事件あるいは情報収集事案における就職差別、結婚差別の占める割合でございますけれども、過去五年間において法務省の人権擁護機関が取り扱った同和問題に関する人権侵犯事件の内訳では、二百六十六件のうち、差別言辞二日動に関するものが最も多くて百四十七件、それから差別落書きが四十二件、結婚に関するものが四十一件、その他のものが三十六件という数字でございます。 それから情報収集の関係ですけれども、これも全体で六百件から七百件くらいあるわけですけれども、その中で多いのは差別言辞・差別言動、それから差別落書きといったものが非常に数が多くて、結婚に関するものほかなり少ない。例えば平成二年の例で申しますと、六百四十二件のうち、結婚に関するものは二十件、就職に関するものは五件でございます。それに対して、差別言辞・差別言動は百二十三件、差別落書きが三百六十七件、差別文書が九十件。そういったような関係で、最も深刻な問題である結婚とか就職に関する差別は数が少なくて、数が多いのは差別言辞・差別言動、差別落書きといったようなところにあるというのが実情でございます。 ただ、これは法務省のつかんでいる事件がすべてではございませんので、背景にはまだいろいろあろうかとは思います。
○宇都宮分科員 ですから、特に結婚とか就職に関しては数字にあらわれない部分が多いと思うのです。二十一世紀に差別を残さないということですので、そのあたりをぜひ重点的にしていただきたいと思います。 そして、例えば落書きとか言動云々で差別されたという場合、行為者を特定するのはなかなか難しいと思うのですけれども、そのあたりは、さっき強制力のこととかもお聞きしたのですけれども、今の擁護機関の職員の方に与えられている権限といいますか、それで十分できておりますか。
○篠田政府委員 差別落書きの性質上、行為者を見つけることがなかなか難しいわけですけれども、これは、例えば強制力を与えられたとして果たして見つかるかとなると、そこもかなり問題ではないかと考えます。
○宇都宮分科員 もちろんなのですけれども、今で十分というか、特にそれを調査するのに、今の体制で、権限でできるとお考えですか。
○篠田政府委員 先ほど来申しておりますように、人権擁護機関の活動と申しますのは、人の心に訴えて心を変えていくという仕事をしておりますので、処置についての法的効果もございませんし、それから調査の点でも強制権限を持ってないわけでございますけれども、そこに今の人権擁護活動の特色があるのだと考えております。
○志賀主査 もう時間は終了いたしました。
○宇都宮分科員 はい。いろいろその制約の中で頑張っていらしゃるというのもよくわかりますので、二十一世紀に差別を残さないためにも、ぜひ知恵を出し合って頑張っていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○志賀主査 これにて宇都宮真由美君の質疑は終了いたしました。 次に、網岡雄君。 〔主査退席、村上主査代理着席〕
○網岡分科員 私は、法務局の定員の実態とその充足にまつわる諸問題について若干質問を申し上げたいと思います。 まず最初でありますが、法務局の定員の実態というのは、大変不足をしているという実態が非常に浮き彫りになっている現状にございます。若干、質問の前提となる問題として指摘を申し上げたいと思うのでございますが、まず、法務局というものの行政の任務は、戸籍、国籍、供託、訟務、人権擁護といったようなまさに国民の権利と財産を守る、国民生活には非常に基本的であり、しかも密接な行政事務を行う官庁でございまして、法務省及び法務局が持っておみえになります任務は極めて重大だと思っているところでございます。 一方、法務局が持っておみえになります。務が、例えば登記の業務でいきますならば、民間活力の導入によりまして都市開発が進んでいる、あるいは都市周辺の住宅建設が進んでいる。一方、リゾート開発法の制定によりましてゴルフ場及びリゾートマンションなどの建設がございまして、これをめぐるいわゆる法務局の業務量というものが年々おびただしい数で増加をしているという状況にございます。 例えば甲号の事務処理がございますけれども、これは従来、局の一つの方針としては、甲号登記の処理というのは提出をした後一日から二日、長くても二日で処理をするというのが原則のようでございます。ところが、実際には一週間から十日かかっているというのが今日の現状でございます。それから、乙号の事務処理に当たりましては、これは原則というのは大体五分から三十分の間に処理をするというのが局の方針のようでございますが、実際には一時間から三時間かかっていて、年末、年度末の繁忙時期には半日以上もかかるというような状態が今現出をしているわけでございます。 そこで、こういうような状況を最も端的にあらわしている事件件数の処理を年次的に考察をいたしますと、例えば甲号事件の場合には、昭和五十五年には二千百七十三万件、ところが平成二年におきましては二千七百八十一万件でございます。したがって、昭和五十五年を一〇〇といたしますと、甲号の場合は平成二年は実に一二八というふうに増加している現状でございます。一方、乙号事件では、昭和五十五年は三億七千二百十三万件、そして平成二年は五億三千八百五十三万件、こういうことでございまして、昭和五十五年を一〇〇といたしますと平成二年は一四五ということでございまして、大体十年間で事件件数は一・五倍を数える、こういう状況にございます。 ところが、要員の確保の問題でいきますと、昭和五十五年から平成二年までは三百六十三名でございますから、事件数の増加から見ればごくわずかしか要員が増員されていない、こういう状況にございます。昭和五十五年を一〇〇といたしますと平成二年は一〇三という、これは事務量と比較をいたしますと全く問題にならない定員の増でございます。 一方、この登記の事務量の将来展望をしていきますと、御案内のような日米構造協議に基づきまして公共事業の投資が四百三十兆円やられる、こういうことになっているわけでございます。特に法務局の関係でいきますならば、住宅建設が五年間で七百四十万ということが言われているわけでございますが、このことによって、分筆、地目変更、保存、所有権移転、抵当権設定といったような登記の手続をとっていきますと、先ほどの平成二年におきます二千七百万件プラス、大体一戸当たり五件ぐらいの事務が必要だと言われているわけでございますから、そうなると七百万がさらにオンをされることになるわけでございますから合計三千四百万件、こういうふうに事務量が膨大に膨らんでいくことになるわけでございます。 こういう実態から見まして、それから最初に申し上げた繁忙に基づく事務の原則というものが大きく崩れているわけでございますが、これはもう事務処理としては限界に来ているというふうに思うのでございます。さらにそういうものが今のままでいけばこれは基準をもっと悪い方向に行かせることになるわけでございますが、こういう実態を踏まえながら、法務省と、人員の配置を仕切っていく総務庁にお尋ねをいたします。 このような法務局の職場実態に見合う要員確保がなされていない現状の中で、引き続き国民の財産と権利を守る国家行政機関として、事務の正確、迅速化を求める国民の声に対して、法務省、総務庁におかれては、定員に対する確保の問題についてどういう認識をお持ちになっているのか、まず第一にお尋ねいたします。
○清水(湛)政府委員 まず私の方からお答えさせていただきます。 御指摘のように、登記事務というのは国民の権利、特に命の次に大事と言われる土地建物に関する事務でございますので非常に重要だということから、私どもはその事務処理についてはかねてよりあらゆる施策を講じてきたところでございます。また、そういう大事な仕事でございますので、登記の申請がございますとできるだけ早く、先ほど先生がおっしゃいましたように甲号事件でございますと一ないし二日、乙号ですと待ってもらっている間というようなことで事務処理をいたしませんと、本当の意味での国民に対するサービス行政としての機能を果たすことができない、こういうようなことから、いろいろな面で努力をしてまいったわけでございます。ところが御指摘のように、各種の公共事業とかいろいろなものがございまして、登記事件は大変伸びております。先生が御指摘のように、甲号事件におきましては過去十年間で二八%、乙号事件に至っては四五%の増、こういう状況にあるわけでございます。 そこで私どもといたしましては、このような事件増に対応する第一の施策として、増員ということを総務庁、大蔵省にもお願いをしてまいりました。また、第二の対策といたしましては、事務の合理化、機械化、コンピューター化、こういうような大きな施策に取り組んできたところでございます。 そのうち増員につきましては、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、過去十年間で三%の増ということでございます。事件数の伸びに比較いたしますと増員の伸びが低いというのは、客観的な事実として数字に出てくるわけでございますけれども、翻って国家公務員の定員状況というものを考えますと、この間に公務員につきましては現実に、全体的に申しますと減員が行われておる、大幅な公務員の減が行われておる、そういう状況の中で、法務局につきましては、少ないと言えば少ないのかもしれませんけれども、現実に純増という結果が得られてきたということについては、私どもは総務庁なり大蔵省の登記行政に対する大変な理解があったというふうに考えているわけでございます。 しかしながら、いずれにいたしましても今後この種の事件増というものは、御指摘のように日米構造協議等を含めましてどういう形で展開するか予測ができない面もございますけれども、やはり大量の事件を迅速、適正に処理して国民の期待にこたえるというためには、大変厳しい状況の中ではございますけれども、さらに引き続き増員について努力をするということとあわせて、先ほど申し上げましたコンピューター化等の措置を的確に推進してまいりたい、その他各般にわたるきめ細かい施策を講じてまいる必要があるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○米山説明員 お答えをいたします。 ただいま先生からも御指摘がございましたように、近年登記の事務量につきまして大変増大しているというような事情につきましては、私どもも法務省当局からいろいろ聞かせていただいて承知しているところでございます。 しかしながら一方、現在、政府としましては、全体として行政改革推進のために総定員の縮減、こういう大変重い課題を持っているわけでございまして、こういった中で、先ほど言いましたような登記の業務量の増加についてもどう対応するかというふうなことも鋭意検討いた。しておりまして、私どもといたしましては、現在の厳しい状況の中で、登記関係の職員につきましてできる限りの増員について努力をしているところでございまして、その点について御理解をお願いしたいと思います。 また、今後とも業務量の動向を踏まえまして、法務省当局からのお話も聞きながら適切に対処していきたい、こういうふうなことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
○網岡分科員 一応の、引き続いて増員について努力をしていくという答えですので、ある程度理解はいたしますが、しかし次の点で、もう少し私、指摘を申し上げたいと思うのです。 先ほども御答弁がございましたが、定員削減計画に基づいて国家公務員が四万四千人、臨調十年間でいきますと三万五千人というものの減員がなされていることは御答弁のありましたとおりでございます。しかし、そこが実は問題の点でございまして、忙しいところも、仕事がないことはないのでしょうけれども、全体のバランスから考えますとそんなに増員の必要性はないというところも含めて、ならして、状況いかんを問わず何ぼ減らす、その中で、現場の実態を見ながら減らす面のかげんをしていく、こういう手法というものはやはり限界に来ているのではないか。 こういう削減の仕方では、やはりひとり法務省だけではなくて他の省においても、仕事量の消化の面において問題が出てきているような気が私はいたします。特に、法務省の関係でいうならば、先ほどちょっと申し上げましたような、現場の繁忙の状況の中で実は年休もとれなければ超過勤務も慢性化している、こういう過酷な勤務条件の中で、法務局の、法務省の中では過労死が多発しているような現状もあるやに聞いております。 そういうようなことでいきますと、やはり今言ったような、事情を余り考慮せずに絶対的に何ぼ減らすというような形での定員削減というものはもはや限界に来ているのではないか。特に、この法務局の定員問題というのは、実際の仕事量がもう膨大にふえているわけでございますから、これからは、計画に基づく減員と、仕事の実態から眺めた増員と差し引き勘定してプラス何ぼというような手法でやっていくやり方は、はっきり申し上げて限界が来ている。 やはりどうしても繁忙であって絶対にふやさなければならぬ省庁についてはふやしていく。そして、ある意味でいけば、プラス・マイナス計算方式によるものは、事務の積み残しになっていくような、膨大なものを消化していくためには、その仕事を消化するためには、やはり総務庁の方も前倒しでいくというくらいの思い切った判断を持ちながらやることを考えないと、繁忙官庁はいつまでたっても繁忙官庁だということでは、国民の期待にこたえることができないと思うのでございますが、そういう方法をとってやるという考え方はないか。これは簡単に答えてください、時間がずっとたっていますから。
○米山説明員 定員削減の問題でございますけれども、御案内のように、定員削減は国家公務員の定員管理をきちんとやっていくということでございまして、その目的は、全体としての総数の膨張を抑制をいたしまして、行政需要の変化に対応して、既定定員を見直しましてその適正配置を図る、そしてそれによって効率的な業務処理を確立しようというふうなことでございます。 したがいまして、あらゆる行政部門や職種につきまして、いろいろ事情はあると思いますけれども、一応それぞれ合理化の努力をまずお願いをする、そういったことで定員削減計画を策定しておるということでございまして、登記部門につきましてもそういったことで対応させていただいているということでございます。御理解いただきたいと思います。
○網岡分科員 この後で言いますが、今言ったような考え方でやっているから重大な過失といいますか、出てきておるんですよ。これは不正事件がもう毎年出ておるわけでございます。 過去の例をちょっと申し上げますと、登記に関する不正事件は、昭和六十年で四十四件、六十一年で三十五件、平成元年はちょっと下がりましたが、十七件、平成二年は三十四件、これは平成三年になってどれだけになるか、またこれは数字が出てこないのですが、私はかなりの数字がやはり出てきていると思うのでございます。 この実態は、不正事件の中身を申し上げている時間がもうありませんから、これは法務省も総務庁も御存じですから、私は申し上げませんけれども、例えば登記謄本を所有者に無断で改ざんをいたしまして、そしてある不動産業者が三億五千万円もだまし取られだというような事例、その他平成二年においては京都で登記簿を抜き取って、そして登記官の印まで偽造いたしまして、念が入っているんですよ、こういうような不正が公然とやられている。私ども素人が見まして、登記官の印鑑まで偽造するというようなことは、幾ら定員が極端に減っているというような状況、職場の状況を判断いたしましても、ちょっとこれはその判断ができないぐらい相当な犯罪行為、不正行為が平然と行われている実態でございます。あとたくさんございますが、やめます。 そういう状況は、いずれも先ほど言ったような超繁忙の実態でございます。例えば、私はここへ質問に来る前に実際の現場を一遍見なけりゃいかぬと思いまして、地元の名古屋法務局を見てまいりました。あの法務局は、日本ではトップのモデルケースの法務局でございます。そういうところであっても登記のために訪れる人たちは大変な数でございまして、例えば登記官の面前で閲覧をするという閲覧の業務のところを私見せてもらいましたが、面積はかなり広くて非常にきれいになっています。 職員がやってみえるのをずっと見ますと、閲覧をするわけですから、本当ならば職員が閲覧している方をつぶさに一挙手一投足を観察するというのが原則なんであります。ところが、その監視をする職員は、このくらいの書類を積んで、もうどんどん事務処理をしているのですよ。だから、それをずっと見ておったらたまってしまいまして、人はどんどんたまるという方向でございますから、中で事実上、これはやむを得ず、閲覧場所で行われている閲覧行為の監視というものは、好むと好まざるとにかかわらずやられているという状況でございます。 昔聖徳太子という人がございまして、八人の訴状を一瞬のうちに聞いて裁いちゃうという人がおるそうでございますが、しかし今の法務局の職員のやり方というのは、自分の任務も果たしながら監視もしていくということですから、まさに状況は神わざに近い状況でございます。だから、一瞬の疲れや一瞬の緩みがあったときには、相手のごまかしをする方もプロでございますから、これはやられてしまうという状況でございますから、不正がこういうような状態で起きておっても不思議ではないという状況にございます。これは職員の罪ではないわけでございます。現に国は五十九年の大阪の事件で裁判を受けまして、御案内のように法務局、先刻御承知だと思いますが、敗訴をしておる状況でございます。 私はこういう状況はこれからもどんどんふえてくるというふうに思うわけでございますが、この実態を踏まえて、先ほどの答弁のようななまぬるい形で定員の処理をやっておったら不正事件は続発をすることになりますよ。明らかに裁判の判決は国の責任だということを明確にしているのでございます。その責任だということを明確に司法が裁判を下しているならば、その判断に基づいて即刻この措置を改めるということをしなければいかぬじゃないですか。改めて御答弁ください。
○清水(湛)政府委員 閲覧監視のすきを盗んで登記簿を不正に改ざんするといったたぐいの不正事件、その他いろいろなものがあるわけでございますけれども、とにかく登記所の場でそのような不正事件が行われるということは、私ども本当にこれは残念なことでありますし、国民の皆様方に対しましてまことに申しわけないことだというふうに考えております。 あらゆる施策を講じてこの種の事犯を根絶すべきであるということで、いろいろ工夫改善を重ねているところでございます。人さえふやせばでは根絶できるかということもそう簡単には言えない問題だろうかと思います。とにかく、犯罪者グループというのはあらゆる手段を講じてやってまいりますので、なかなかこれは見抜けないという難しい町題がございますけれども、人手の問題も含めまして、あるいは庁舎の構造、管理の問題も含めましてあらゆる努力を尽くしまして、このような不正を根絶するように努力をしてまいりたいと思っております。
○網岡分科員 この点はひとつ重ねて申し上げたいのでございますが、しかし、やはりやる方も、幾らプロでも万全の体制を敷かれたらやれるものじゃないですよ。すきがあるからやるんですよ。だから、職場における配置体制を、定員を、やれるだけのものをきちっと配置をしたら、やる方はびびって、これはやらないことにだんだんなるわけです。不正件数は目に見えて減ることは明らかでございます。だから、これは焦眉の魚として定員確保するためにやってもらいたい。したがって、さっき総務庁が説明をされたような、そういう定員増の手法ではなくて、やはりこれだけ不正犯罪がずっと累積をしている状況は異常な状態だと思う。その異常な状態を解消するためには、単年で処理をしていく増員計画ではなしに三年なり五年なりという前倒しをやることによって目に見えるように増員をする、それぐらいのめり張りをつけた増員計画というものをやらなければ、これは処理をしたことにならぬですよ。 改めてまずそういうことを、法務局としてはどういう考えを持っているのか、総務庁はどういう考えを持っているのか。簡単に、決意だけでいいです。もう理屈はいい。決意だけでいい。
○清水(湛)政府委員 登記事務が適正かつ迅速に処理されこのような不正が起こらないように、増員措置も含めあらゆる施策を講じて国民の期待にこたえてまいりたいというふうに私どもは考えております。
○米山説明員 私どもも、登記の現場におきまして今先生の御指摘のあったような問題が発生していることは十分承知しております。したがいまして、今後とも法務省と十分登記の現場の実情等について御相談を受けながら、できる限りの増員措置につきまして努力をしていきたいと思っております。
○網岡分科員 まだあるのですが、時間も来ておりますので、肝心なところがやれぬようになりますといけませんから、次に移ります。 次はコンピューター化です。事務を機械的に、敏速に処理をするというためにはコンピューター化がどうしても必要だ、こう思います。 これについて若干御質問申し上げたいと思うのでございますが、まず第一に、資料をいただきますと既にこれは七年、ずっと計画をされて進んできているようでございます。この計画について若干私御質問申し上げたいと思うのでございますが、全体で十五年間、今の物価でいって一兆五千億円ぐらいかかると言われておるのでございますが、この財源につきましてはどういうぐあいにやられているかとお尋ねしましたら、現行の登記特別会計制度というものがございまして、これは乙号の手数料というものが特別会計制度の中に入れられてやられている、あと、一般会計から補てんをされている、こういう形のようでございますが、もう少し仕事をやっていくために必要な金というものが法務省のサイドで計画、コントロールできるような、そういうふうにするためには、ある意味で言うと自主財源のようなものがないといけないんじゃないか。 このコンピューター化というのは、聞くところによりますと、二億八千万華個に及ぶ膨大な資料が入れられるということでございますが、まさにこれは世界に誇る事業だ。量からいっても大変なものでございまして、まさにこれが完成すれば世界に冠たるものになると思うのでございますが、その一大国家的な大事業を遂行していくためには、その遂行していくための財源というのは、あるときには財政の事情によってこのぐらいやられた、しかし財政の事情によってこれだけしかできないということであっては、国家の大事業というのは進まぬと思うのですよ。だとすれば、一定の財源がコンスタントに確保されながら、計画どおり遂行されていくということをやっていくことが大事だと思うのでございますが、この観点から見て、一つはこの財源確保というものについて、今の制度で十分と法務局は考えているかどうか。 それから二つ目は、現行の証明手数料だけでは限界があるではないか。したがって公平な受益者負担という立場からすると、出力部分の乙号、それから入力部分の甲号の利用者からも手数料という形での一定の負担というものをもらうというようなことをしながら、一定の自主財源を確保しながら」国家的大事業を遂行していくというようなことが考えられないのかどうか、この点について法務省の見解、大蔵省の見解を述べていただきたいと思います。 それから、第三の問題点といたしましては、現行の手数料令の中で、地方公共団体は無料扱いになっているんですよね。これは手数料もそんなに多い金額でもないわけでございますし、例えば郵便の場合は、官庁であろうと県庁であろうと市役所であろうと村役場であろうと、これは一定の金を出しているわけですから、その考え方でいけば、この手数料というものは当然諸官庁においても払うべきものじゃないかというふうに考えますが、これらの点について取り扱いを、財源の問題も含めて、法務省としてはどういうお考えになっているのか、お聞かせいただきたい。
○清水(湛)政府委員 まず、私の方からお答えさせていただきますが、まず第一に、財源の問題でございますけれども、御承知のように登記のコンピューター化につきましては、私ども昭和四十六年から大蔵省から予算をいただいて研究開発を進めてまいりまして、いよいよその実現の可能性が出てまいりました。 その段階で、どういうふうな財源措置を講ずるかということが大きな問題になったわけでございますけれども、その際大蔵省の大変な御理解を得まして、昭和六十年度にいわばコンピューター化をねらいといたしました登記特別会計制度というものを創設させていただいたわけでございます。これは登記手数料をいわゆる特定財源として、いわば登記手数料は法務局の現場で使ってよろしいという意味での特別会計の導入でございまして、これは法務局の予算制度にとりましては、まさに画期的な制度であったというように考えるわけでございます。 実は、その昭和六十年度から登記のコンピューター化というものも本格的に進めるべきであったのでございますが、いろいろ問題がございまして、結局全国的な本格展開に着手いたしましたのは平成二年度からということになるわけでございまして、そういう状況でございます。そういう状況でこのコンピューター化が、まだ現在緒についたばかりの段階でございますが、私どもといたしましては、この特別会計制度とコンピューター化経費というものをうまく調和できるような形で今後も運用をしてまいりたい。また運用の実績を、まだ平成二年度からの実質的なコンピューター化でございますので見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、第二番目の地方公共団体の関係の有料化の問題でございますが、これは非常にまたそれぞれ各市町村、各都道府県問題があるわけでございまして、自治省ともよく相談いたしまして、適切な対応をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○松谷説明員 現在、登記事務の処理体制の抜本的な改革のためにコンピューター化を推進することとしておるわけでございますが、この登記事務のコンピューター化に要する経費につきましては、登記制度の利用者が負担する登記関係の手数料で賄うという考え方にのっとりまして、登記特別会計が創設されたわけでございまして、現在のところ、こうしたコンピューター化の計画的な整備に必要とされる支出、これに見合う収入は得られているものと考えております。 それから一点、先生が御指摘になりました、手数料だけでなくて登録免許税も登記特会に繰り入れるべきではないか、こういう御質問でございましたけれども、先ほど申しましたように、このコンピューター化に要する経費は、利用者が負担する手数料によって賄うという考え方に現在のっとっているわけでございます。この手数料というのは、御承知のように、そういう行政サービスによって利益を受ける者から必要な実費を賄うというために徴収するものでございます。 一方、登録免許税、これにつきましては、登記あるいは登録等の行為の背景にございます担税力に着目して課税されるものでありまして、本来手数料とは性格を異にするものでございます。したがいまして、登録免許税を登記特会の財源とすることは考えておりません。
○村上主査代理 これにて網岡雄君の質疑は終了しました。 次に、川島實君。
○川島分科員 私は、既に通告をいたしております我が国の出入国管理のあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。 毎年我が国を訪れる外国人が増加の傾向にありまして、我が国も国際化が進みつつあります。新規に入国をいたしておりますのは、アジア地域、北米、ヨーロッパの順となっておりまして、一九九〇年は新規入国者が二百九十二万七千五百七十八人となっておるところでございます。 ところが、これらの入国者と出国をする人たちの数が毎年互い違いになりまして、不法残留者がふえ続けておるわけでございますが、既に十五万とも十六万と査言われておるわけでございます。過去五カ年におけるこれらの我が国における実態はどのようになっておるのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○高橋政府委員 お答え申し上げます。 まず、入国者数につきましては、平成二年は三百五十万四千四百七十人でございまして、五年前の昭和六十一年の二百二万千四百五十人に比べまして一・七倍増となっております。なお、平成三年につきましては、一月から六月までは百八十二万二千五百五十四人でございまして、前年同期の百六十六万二千四百五十一人に比べまして九・六%増、こういう状況でございます。 不法残留者の推移でございますが、昨年の五月一日現在で当局の電算機により推計したところによりますと、十五万九千八百二十八人不法残留者がおるということでございます。
○川島分科員 さらに、昨年で結構でございますが、外国の船が日本へ来て、そして船員が上陸することを拒否した、こういう例もあろうと思います。それがどのくらいあるのか。さらにまた、成田へ参リまして、我が国への入国拒否をして、送り帰したのが八十一カ国で二万人余とも言われておるわけでございますが、これらの実態はどのようになっているのか、お伺いをしておきたいと思います。
○高橋政府委員 船と飛行機と分けておりませんけれども、昨年の上陸拒否者の数を申し上げますと、平成三年一月から六月の間で一万三千四百七十二人の上陸を拒否しております。前年同期の五千七百八十八人に比べまして二三二・八%の増になっております。 それから、平成二年につきましては、一年間で一万三千九百三十四人上陸拒否を行っておりまして、これは五年前の昭和六十一年の二千七百五十一人に比べまして五・一倍増ということになっております。
○川島分科員 そこで、まず一つは、こういう上陸を拒否した、外国船の場合ですと、すぐそばにおって、船員手帳で船長が届け出をすれば上陸ができるのに、上陸させてもらえぬという人権問題が言われておるわけでございます。 それから、成田へ来て入国を拒否した。これは現在ですと、おのおの本人の負担という形になっておるようでございますが、なかなか本人も払ってくれぬ。最終的には飛行機会社がまた連れて帰る、こういうことになっておるようでございますけれども、これは国際的にそういう取り決めがあって、議定書なりそういうものが取り交わされておるのか。日本の信用問題として、そういう飛行機会社等が責任を持つ根拠というのは一体どこにあるのか、その辺のところをお伺いしておきたいと思います。
○高橋政府委員 上陸拒否となった外国人の取り扱いにつきましては、特に外国と特別に議定書とか取り決めがあるわけでございません。ただし、一般的な慣行みたいなものがございまして、まず本人、それから運んできた飛行機会社なり船会社の負担で帰すというのが慣行となっておるようでございます。 我が国の取り扱いといたしましては、出入国管理法の五十九条に「送還の義務」の規定がございまして、「外国人が乗っできた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者」が「その責任と費用で、速やかに本邦外の地域に送還しなければならない。」という規定がございまして、我が国におきましてはこの規定に従ってお願いしているところでございます。
○川島分科員 外国人が日本へ来て、入るときに入国を拒否するわけですから、どういう根拠でそういうのは拒否されるのですか。話を聞きますと、観光ビザで来て、予定をしているホテルにどうも予約がとってないから、これは不法者だ、こういう簡単な結論を得ているように聞いているわけでございますけれども、それでいいのでしょうか。
○高橋政府委員 日本にただいま、近隣諸国等との経済格差の理由もございまして、不法入国あるいは不法な就労活動をする目的を隠して入国するという者が非常にふえております。それと同時に、正規な目的を持って入国するという人もふえております。 それでまた、事務をスムーズに行わなければならないという義務がございまして、入国の審査に当たる審査官といたしましては、スピーディーに見分けて判断していかなければならないということがあることをまず御理解いただきたいと思いますが、一般的に資格外活動といいますか、短期滞在の、あるいは観光を目的として入国しようとして、かつ就労するのではないかということの一つの判断としては、例えばホテルの予約があるのか、そういうものをチェックするということが通常のパターンとなっております。それで、そういうような証拠がない場合には観光ではなくて就労ではないかと判断する一つの材料になるかと思いますが、それだけではございません。いろいろなことを勘案いたしまして上陸拒否をすることになるわけでございます。
○川島分科員 毎年ふえておりますし、これ半年で一万三千何がしというと、一年になると二万六千人にもなるわけでしょう。逆の立場で、じゃ私が外国へ行ってホテルとれなくて、それだけの理由で退去させられたなんということになると非常に怒れてくるわけでございまして、少なくともそういう形のものが生まれないように、事前におのおのの過去のデータを国ごとに分けまして、その国と十分打ち合わせしてそういうことがないように行うべきだと思うわけですが、どのような努力をなされているわけですか。
○高橋政府委員 確かに先生おっしゃったように、正規の目的でもって入国しようとしたときに疑いをかけられて上陸を拒否されるということは非常に不愉快なことでございます。不愉快のみならず、非常に国際的にも問題がございますので、そのようなことがないように細心の注意を払っていかなければならないということは御指摘のとおりでございます。 今私たちがやっておる一つの方法としては、例えば不法就労等で過去に送還歴のある外国人につきましてはすべて電算機に入力いたしまして、成田空港と主要五つの空港をオンライン化いたしまして、それで即時にチェックする、そういうことで間違いがないように気を配ってやっていることも一つの方法としてございます。 それから、観光等を装う不法就労者につきましては、ホテル、滞在先のチェックのみならず、旅券、査証の有効性あるいは帰りの航空券を持っておるのか、それから所持金があるのかどうか、そういうようなことで不法就労の目的の外国人かどうかということを上陸の審査の段階で発見するということに努めておるわけでございます。 入管といたしまして、不法就労を減らすあるいは阻止するためには入国の際の審査というのが一番の決め手になりますので、そこで注意、努力をしておるということでございますが、先生おっしゃったように事人間を扱うわけでございますので、相手の人に不愉快な、特にまじめな人が、正直者がばかを見ないような、こういう損をしないように、人権にも気をつけて、相手に好感を持たれるようにやる、そういうふうに心がけているつもりでございます。
○川島分科員 今のお話を聞きますと、日本の国でそういうデータを持っておるのであれば、各国ごとに分けて、各国を出国するときにそのデータでちゃんとチェックをしてもらう、そういう協定なりお願いをするということをやれば、わざわざ来なくてもそれは全部防げるわけでございますね。それをやられておるのですか。 〔村上主査代理退席、冬柴主査代理着席〕
○高橋政府委員 現在のところそういう組織的にはやっておりません。事前にやるチェックの方法としては、査証発給の段階でチェックするということがございますけれども、今先生がおっしゃったような国際的な取り決めといいますかアレンジメントというものはやっておりません。
○川島分科員 査証の発行をするところはそういう基準で、もう水際で相手の国を出る前にチェックして阻止をする。査証のないところは相手国へ通知をして、日本の国へ来てからそういうふうな形になりますと、これからアジアの国が非常に旅行者多いわけですから、また対象がほとんどその人たちでございます。日本はアジアの中で皆さんの信頼を受けながら今までの過去の多くの負債を挽回していかなければならぬ立場にあるわけです。だからぜひ、そういう感情的な形のものをできるだけなくせるような御努力をひとつお願いしておきたいと思うわけでございます。 次に、平成二年度における我が国からのそういう不法残留者の国外退去の実績とそれに要した費用等についてお伺いしておきたいと思います。
○高橋政府委員 平成二年におきまして我が国から退去強制を行った総数は、三万六千二百六十四件でございます。その費用は出ておりません。ほとんどが自費出国になっております。
○川島分科員 自費出国ということは、本人が日本で働いてお金をお持ちなんですか。
○高橋政府委員 ほとんどの場合、本人が払う。大抵の場合、帰りの飛行機の切符を持っていますのでそれで帰る、あるいはそれがない場合には本人が払う、あるいは親族が払う、あるいは本国から送金する、そういう形で自分のお金で帰っていただく、こういうことでございます。
○川島分科員 それでは、とどめ置くホテル等の費用はどのようになっていますか。全部本人が日本で払えない場合、本国から送金してもらう、それができなかった場合はずっと残留させておくわけですか。
○高橋政府委員 上陸拒否の場合、空港で到着してすぐ帰す場合がございますが、この場合は本人が負担できない場合は運送会社の負担でホテルに泊まることになります。それから、退去強制手続でもって帰る場合には、原則として収容所に収容してそれから退去強制ということになります。
○川島分科員 今私は不法残留者のことを言っているわけです。水際のことはさっきの話で済みましたので、水際ではなくて日本の国の、先ほど言いました十五万九千六百二十八人の不法残留者が何らかの問題を起こして国外へ退去した例をさっき聞きました。その人たちの費用は本人が持つといって、足らない分は本国から送金してもらう。では本国から送金されなかった人たちはとどめ置かなければいかぬ。そういう費用はどういうふうになるのかと、こういうふうに聞いているわけです。
○高橋政府委員 そういう方は入管局の収容所に収容されることになります。したがって、国費で滞在費用を払うという形になります。
○川島分科員 だから国費で払っておればその費用は幾らかと聞いているのですよ。
○高橋政府委員 そのデータ、手持ちがございませんので、申しわけございません。
○川島分科員 それで、法務省が法を守る立場にあるわけです。このように十五万九千六百二十八人も不法残留がある。ところが取り締まりの状況だとか国内のどこにそういう人たちが残留しているかというデータもちょっともお持ちでない。問題を起こすと、検察庁なり労働省なりといろいろ協議をしながら退去命令を出す、これでは法治国家と言えないですよ。日本は、法が守られた、いろいろな暴力行為も強盗も、そういうものが非常に少ない国だ、こう言われてきておるわけです。最近見てごらんなさい。上野だとか代々木だとか、そういう公園にたむろする人たちがおる。一般の日系外国人とも見分けがつかないような形で今日本の国内にはたくさんおるわけでございます。それらの残留者をどうやってきちっと掌握をしておくかということは、これは法務省の役目ですよ。何か対策を協議されたことはございますか。
○高橋政府委員 不法残留者が十六万人も存在するということは確かに大きな社会的な問題でもございますので、法務省入国管理局といたしましてもこれを何とかして抑えようとしているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、法務省入管局としてまずできるのは入国の際で審査するということでございます。申に一たん入りますと潜ってしまいますから、これを把握するのは先生御指摘のとおりなかなか難しい点がございます。そのために私たちとしても、ふだんからいろいろ情報を収集したり警察とか労働省という関係省庁とお互いに連絡、情報交換、そういうことをいたしまして対策を講じているところでございます。 先般警察庁、労働省それから法務省との間で局長クラスの不法就労外国人対策等関係局長会議というものを設けまして、また本省の課長クラスではこの三省の間で不法就労外国人対策等連絡協議会というものを発足させまして、定期的に不法就労者等に関する情報や意見の交換を実施しておるところでございます。また地方レベルにおきましても、関係機関の定期的な協議会を設置するなど種々努力を重ねているところでございます。
○川島分科員 今の法務省がやられていることは、ちっとも徹底していませんし、十分じゃないと思います。 今、日系の南米の外国人は一体どのくらい日本に滞在してみえますか。
○高橋政府委員 日系だけという統計はございませんけれども、例えばブラジル人で日本に在留している人についていいますと、平成二年の末に五万六千四百二十九人でございます。これは昭和六十一年の末には二千百三十五人でございましたので、約二十六倍になっておるということでございます。それからペルー国籍の人についていいますと、平成二年末で一万二百七十九人、昭和六十一年末に五百五十三人でございましたので、約十八・六倍ということでございます。ちなみに、その次はアルゼンチンでございますけれども、アルゼンチンの国籍で在留している人は、平成二年末で二千六百五十六人でございますが、昭和六十一年には三百五十九人でございまして、約七・四倍でございます。この方たちは必ずしも日系人とは限りませんけれども、大体の目安になるのではないかと思います。
○川島分科員 それでは、この日系の外国人以外の外国人というのは、研修だとかいろいろ就労している人たちはどのくらい見えるのですか。
○高橋政府委員 就労が合法的に認められている一般在留資格を有する外国人でございますが、平成二年につきましては九万八百二十六名でございます。それから平成三年一月から六月につきましては、これは半年の統計でございますけれども、四万九千五百七十六名でございます。
○川島分科員 そうすると、その四万と九万八百二十六人がプラスされる、こういう理解でいいわけですね。
○高橋政府委員 プラスという意味がちょっと私どういう意味か理解できなかったのですけれども、この人たちが合法的に日本で働くことが認められているということでございます。
○川島分科員 平成二年度に九万八百二十六人、平成三年度に四万何がしか入国して働いている、こういうことでしょう。こうした不法残留者が野放しになっているということは我が国の法が守られていない、こういうことになるわけでございますから、情報交換でなくして、もっと真剣に検察庁なり労働省なりで、実際働く建設省なり通産省を含めて抜本的な対策を講じていかなければ、法が外国人によって犯されているわけですから、それを法を守るべき法務省は見逃しているわけでしょう、十六万近くも。やはりこれは早急に何らかの措置を講じなければいかぬと思うのですよ。そして、目で見えるところの公園だとかいろいろな指摘を受けるようなところは、そういう情報が入ったらすぐさま取り締まってきちっと整理をしていく。そうでないと、国民から見ますと法務省は一体何をやっているか、こんな状況では日本の法というのが法務省へ預けておいていいのかどうかと非常に心配されております、一般的には。だからこの問題は、何をおいても、審議会等いろいろな学者、文化人を呼びまして十分対策を協議しておいていただきたいと思います。 最後に、法務大臣、今までのやりとりを聞いておりましてどういう決意であられますか、御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○田原国務大臣 やりとりを聞いておりますと、大変重要な問題であるということを改めて認識しました。日本の国際化に伴いこの傾向はますますふえていくだろうと思います。特に不法就労というものについて、分析すればいろいろありますが、これの対処を急がなければならない、そして徹底しなければならないということを痛感いたしました。 自民党の中にも最近、私どもの提唱で、私もあいさつさせていただきましたが、外国人問題研究会をつくって、これは足かな名前ではございませんけれども、十省庁に関係する部会、そういうもので今大々的に始めようとしておるところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○川島分科員 ありがとうございました。終わります。
○冬柴主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。 次に、小澤克介君。
○小澤(克)分科員 法務大臣あるいは法務省当局にお尋ねしたいと思います。 人権擁護行政についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、その前に、私の思うところでは、法務行政というのはつまるところは人権擁護、これが究極的な目的ではないだろうかというふうに思います。大臣の所信表明演説等も拝聴させていただきましたけれども、これは毎回の例のようでございますが、法務行政の中身で、法秩序の維持というようなところから始まって刑事局、民事局の仕事等についてのいろいろな所信が述べられ、人権擁護行政については大分後回しの方に、順序としてもなっているように思います。しかし、法秩序の維持ということも、それ自体が自己目的ではなくて、そのことによって国民あるいはもっと一般に人々のいろいろな法益を守る、刑事行政であれ民事行政であれ、それが究極的な目的ではないだろうかというふうに思うわけでございます。そういたしますと、最も基本的なあるいは究極の目的というのは人権擁護ではないだろうかというふうに思うわけでございます。この次はぜひ人権擁護を一番最初の項目に持ってきていただくようなこともお願いしたいなと常々思っているわけでございますけれども、この人権擁護行政についての大臣のお考え、位置づけ、決意等、最初にお願いしたいと思います。
○田原国務大臣 私が所信表明でさせていただきましたけれども、確かに柱を立てればいろいろあって、最初に法の秩序の維持から、その他のサービス行政を含め人権問題に入っていったように記憶しておりますけれども、甲乙つけてどれが大事でどれが大事でないという意味でそういう書き方をしたのではございませんが、おっしゃるように、法の秩序の維持もつまるところ人権を守るということになるだろうと思いますし、人権については私も最近篤と勉強させていただいて、これから熱心な人権擁護論者になろうかと思っているやさきでございますので、御指導賜りたいと思います。
○小澤(克)分科員 大変立派な御決意、ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。 そこで、人権擁護問題についてお尋ねしたいと思うわけですけれども、依然として悪質な人権侵害、特に部落差別問題が後を絶たないようでございます。部落解放同盟からいただいた資料も今ここに私持っているわけでございますけれども、本当にこれが、現代国家あるいは先進国の仲間入りをしているというふうにそれぞれが自負している国における、本当に日本における最近の出来事なのかと信じられないような差別が依然としてあります。しかも、意識面の差別が非常に残っているといいますか、絶えないわけでございます。結婚差別、それから、これは名前を出してもいいと思います、「週刊女性」という女性週刊誌の昨年、九一年の九月三日号、事件を小説風に書いたような記事だと思いますけれども、この中に「奈良市内でも「柄のわるい所」」というような表現で、いわゆる部落を示唆していることがだれの目にも明らかな記事が出ておりまして、非常にそういう差別意識を拡大助長しかねないような記事が堂々とこの週刊誌に出ている。あるいは、これまた信じがたいことなのですけれども、福岡県の職員、福岡県労働部北九州労働福祉事務所の男性職員、五十二歳が、何かちょっと意味もよくわからないのですが、確信犯的な差別意識の非常に露骨なチラシを、何が目的かよくわからないのですが、数千枚戸別に配布をするというような本当に信じがたい事件が、これはことしの二月に露見したようでございますけれども、こんなことが依然として絶えないわけでございます。 これは本当に憂慮すべき事態だろうと思うわけでございますけれども、問題なのは、このような差別に、国の制度がそのために利用、悪用されている側面があります。 その一つに、戸籍謄本の問題があるのですけれども、九〇年の九月に東京の行政書士それから社会保険労務士が、大阪の興信所の求めに応じて、職務上の請求という名目で、これに籍口して戸籍謄本をとってファクスで大量に送っていたという事件が発覚しております。また、佐賀県でも行政書士が同様の事件を起こしているわけでございますけれども、この件について現状どのように把握しておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 戸籍の謄本等につきましては、不当な目的でこれを請求することはできない、こういうことになっております。そのためにいろいろな仕組みがあるわけでございますけれども、御指摘の弁護士、司法書士、行政書士などいわゆる八資格の団体、八資格者につきましては、特例的な取り扱いを認めているところでございます。 そういう特例的な取り扱いを悪用いたしまして今まで何件かの事件が起こっているわけでございますが、最初に起こった事件というのは、これは私ども俗に福岡事件と申しておりますけれども、興信所の顧問をしている弁護士二名が、職務上請求書に自己の資格、氏名を記載し、職印を押捺した上で、これを興信所職員に交付した、興信所職員がこれを利用して戸籍謄抄本を不正に入手したという事案でございますけれども、これにつきましては、福岡法務局におきまして調査をして裁判所あるいは弁護士会に通知しましたところ、裁判所では処罰ということになりましたけれども、弁護士会では業務停止五カ月、三カ月という処分をし、また興信所職員につきましては福岡簡裁で合計八万八千円の過料に処したという結果になっているわけでございます。 それから、先生御指摘のいわゆる八王子の事件でございますけれども、これは八王子の行政書士二名が、これはうち一名は社会保険労務士を兼ねておりますが、大阪の興信所からの依頼を受けまして、職務上請求書を不正に使用して謄抄本を入手し、これを興信所に送付していたという事案でございます。このことにつきましても、東京法務局で調査の上、簡易裁判所及び関係行政庁に通知いたしましたところ、八王子簡裁におきまして一人については三十万円の過料でございます。もう一人につきましては相模原簡裁におきまして六万円の過料が科せられ、また社会保険労務士の資格を有する者につきましては業務停止七カ月、行政書士の資格を有する者につきましては業務停止九カ月という処分がされているところでございます。 それから佐賀の事件でございますが、これも行政書士が興信所の依頼を受けまして、職務上請求書に自己の資格、氏名を記載し、職印を押捺した上でこれを興信所長に交付した、興信所長がこれを利用して謄抄本を不正に入手したという事案でございます。これにつきましては、佐賀簡裁及び佐賀県知事に福岡法務局の方から調査の結果を通知いたしましたところ、興信所長及び所員につきましては合計七万二千円の過料が科せられ、また行政書士の資格につきましては業務停止六カ月の処分がされたということになっているわけでございます。 経過だけでよろしゅうございますか。これに対する対応も……。
○小澤(克)分科員 その程度で一たん切ってください。 現状及び一応の処分等について今御説明があったわけでございますけれども、これはやはり戸籍の公開制限という措置がこれまで少しずっとられてきておりますけれども、まだまだこれが不十分であるということを露呈した事件ではないかと思います。 これについて、これまでどんな対策をしてこられたのか、もう少し述べていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 とにかくその戸籍の謄抄本が不当な目的で使用されてはならないということが私ども絶対的な命題でございまして、このことについては大変神経質にいろいろな施策を講じているわけでございますが、この種の事件が引き続いて起きだということは大変残念なことと思っているわけでございます。 そこで、法務省といたしましては、この事件を契機といたしまして関係八団体に対しまして、同種事件の再発を防止するために、そのために設けられた統一請求用紙制度、弁護士さんとか司法書士さん、それぞれ色が違いますけれども、そういう統一請求用紙制度の趣旨を徹底してほしいということを申し入れたわけでございます。 さらに、引き続きこの種の事件が起こりますので、その統一請求用紙に連続番号を付するように求めまして、同用紙の管理を厳格にする。その連続番号によりまして、その使用者がどういう状況でこの職務上請求用紙を使っているかがわかるようにするというような措置を講じまして、これは実は昨年三月一日から関係八団体においてこのような連続番号を付する制度を実施いたしております。さらに、各団体からそれぞれの会員に対しまして非常に厳しい指導がなされておるというふうに承知いたしております。 この問題につきましては、当委員会のみならず法務委員会その他の委員会におきまして厳しく指摘された経緯があるわけでございます。そういうようなことを各関係団体に私ども伝えまして、本当に真剣に会員を指導していただきたいということで、それぞれの会におきましてはまさに真剣にこの問題に取り組んでいただいておるというふうに理解いたしております。 それからさらに、市区町村の戸籍窓口におきまして、不審案件と申しますか、どうも同じ請求書が多数の戸籍謄抄本を請求しておるということがあらわれるようなことになりました場合には、速やかにそれを監督法務局に通知していただいて法務局の方で調査をするようなことをしようということで、これも現に厳しく実施をいたしておるところでございます。 いずれにいたしましても、このような事件が再度起きないように、私どもあらゆる面で注意を払ってまいりたいというふうに考えているところでございます。I
○小澤(克)分科員 そもそも何でこんな戸籍などという制度が必要なのか、私はここまでさかのぼった検討が必要であろうかと思います。我々は戸籍制度があるのが当然のように何か思っている、あるいは思い込まされているわけでございますけれども、世界的に見てもこのような制度があるのは日本、韓国、台湾くらいでございまして、そもそもなぜ国家が国民の一人一人について、親がどうであるとかさらにその祖先ほどうであるとか、その出自を記録し管理する必要があるのかどうか、基本的な疑問があるわけでございます。アメリカ等欧米諸国でもそんな制度はございません。もちろん住民サービスのための住民登録制度のようなものはむしろ完備しているわけでございますけれども、例えば相続などでも、それぞれが婚姻証明書あるいは出生証明書をみずから提出して証明することによってそれらの制度が運用されているというのが、これが世界の趨勢でございまして、なぜこんなことを維持しなければならないのか、私は非常に疑問に思っているわけでございます。各自の出自を記録し管理する、こういうことに国家が関心を示しているからこそ、国民の側でもそのようなことに対する関心をどうしても持ってしまうという側面があるのではないかということも思うわけでございまして、きょうはそういう根本的な議論をする場でもないと思いますのでそのことは指摘するだけにさせていただきますけれども、問題なのはプライバシーの保護の問題でございます。 プライバシーというのは自分に対する情報をみずから管理する権利だというふうに定義づけられると思うのですけれども、そうすると、自分に関する情報をだれかがとった、戸籍謄本をとることによってその情報を入手した、そのことが本人に知らされない、これが最大の問題ではないかと思うわけですね。ですから、だれかが戸籍謄本を請求した場合にはその人の費用で当然に本人のところに通知が行くというシステムにすれば、この悪用というのは相当程度防げるのではないか。このようなシステムを確立することは、今の戸籍制度を前提としても極めて簡単なのではないかと思うのですけれども、そういうことを御検討いただいてはいないでしょうか。いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 戸籍制度についての根本論は問題点を指摘されるにとどめたということでございますが、やはり戸籍は日本国民の身分関係を登録、公証する唯一の制度でございまして、これがすべての法律関係における基礎となっておるわけでございます。 確かに、日本みたいな形での戸籍というのはこれは韓国とか台湾というところでございますけれども、それぞれの国、形は違うにせよ何らかの形での身分公証制度というものがあるわけでございまして、その中身においてそれほど日本と諸外国の間に大差があるわけではございません。また現実に、例えばアメリカなどでは、いろいろな制度があるようでございますけれども、人が死亡した場合に相続人が直ちにわからない、それを証明するものがないというようなことから、実は遺言制度というものが非常に利用されているというような指摘があるわけでございまして、そういう意味で、日本の戸籍制度が相続その他の法律関係を処理する上において非常に有効な制度になっておるということもまた、先生もちろん御理解いただいておるところと私どもは考えておるわけでございます。 そこで、不当な目的での戸籍謄本の入手の防止、これは厳に私どもは履行しなければならないし、そのためのチェックシステムをっくらなければならないというのは先ほどもお答えしたとおりでございますけれども、今度は逆に、だれが自分の戸籍をとったかということについて御本人に知らせるということになりますと、請求者の方にもそれなりのまた戸籍謄抄本を請求する理由があるわけでございまして、あるいは裁判のためにとかいろいろな問題があるわけでございますから、今直ちにそういうことを御本人に通知するというような制度を設けるということはいささか問題ではないかというふうに実は考えているわけでございまして、さしあたってそういう制度を採用しようというような形での検討は私どもはしていない状況にあるわけでございます。 〔冬柴主査代理退席、主査着席〕
○小澤(克)分科員 甚だ納得ができないわけでございます。個人の情報を国家が記録し管理するということがいいかどうかはともかくといたしまして、基本的に、これは個人に属するプライバシーでございますから、その管理については本人が一番の利害関係に立つわけでございますから、だからそのことについての調査があれば、自分が調べられたということを知るのは当然のことだろうと思います。今の、調べる側にも何かそれなりの権利があるようなお話でございましたけれども、それが調べられる側の権利に優先するなどということは、私には到底理解できないわけでございます。時間がございませんので、これはシステムとして非常に簡単なことだろうと思いますのでぜひ御検討願いたいと思います。これは後でまとめて大臣に御決意を願いたいと思います。 時間がございませんので、次にパケット通信についてお尋ねしたいと思います。 パケット通信を利用した悪質な差別言動あるいは差別意識を助長するようなケースがいろいろあるというふうに聞いておりますけれども、余り時間がないのですけれども、そもそもパケット通信というのは一体どういうものなのか、それから差別事象についてごく簡単に御紹介願えればありがたいのですが。
○篠田政府委員 お答え申し上げます。 パケット通信事案と申しますのは、平成元年五月ごろから七月ごろまでの間に、関西、中国、九州地方を中心としてパケット通信、これはパソコンをアマチュア無線でつないだ通信方式でございます、そういうパケット通信を利用して、いろいろな差別を助長するような内容の文言あるいは大阪府内の同和地区名、主な職業、そういったようなものを情報として流したという事案でございます。これが平成二年六月には広島県、十一月には東京、そういったかなり広範なところで起こっております。 それにつきまして法務省といたしましては、現在関係法務局において中継したとされる人あるいは受信したとされる人から調査を行っているところでございますが、発信人がいかんせんコールサインを架空のものを使ったりあるいは他人のものを使っているために、現在のところ行為者の特定までは至っていないというのが現状でございます。 事の重要性にかんがみまして、法務局の人権擁護機関といたしましては、関係者から事情を聞く過程におきまして、同和問題に対する正しい理解と認識を深めるためにパンフレットをお渡しして読んでいただくなどの啓発を行っているところでございます。今後とも郵政省及び社団法人アマチュア無線連盟とも連絡をとりながら事案の調査を行うとともに、調査の過程で関係者の啓発を行ってまいりたいと考えております。
○小澤(克)分科員 きょうは郵政省の方には来ていただいておりませんので、余り詳しくお尋ねするわけにいかないのですけれども、電波法では、わいせつな情報を流した場合とかあるいは暴力で国家の転覆を呼びかけた場合などについては規制があるそうですが、この人権侵害事案については全く規制がないそうでございます。しかし、これは瞬時にして不特定多数の人に一定の観念を伝えるという意味では放送と何ら変わりないような効果があるわけでございますし、それから最近パソコンネットワークなどでも、何といいますかいわば掲示板を多数の会員が共同で利用するようなシステムで、ここにいろいろなことを書き込めば、瞬時にしてこのネットワークに参加している人、不特定ではないでしょうけれども、多数の加入者がそれらの情報を知り得るというようなシステムがどんどん発達してきているわけでございまして、これは電話回線を通じてやられるわけですから放送法とは恐らく関連しないのだろうと思いますけれども、このような新たな技術によって生じたまさに出版や放送と同じ効果を上げ得るシステムで差別意識を広げたり助長したりすることについては、何らかの規制が必要ではないだろうかというふうに思うわけでございますけれども、これについて御検討願っている現状、あるいはこんなことを検討しているというようなことをお願いしたいと思います。
○篠田政府委員 電波法そのものは私どもの所管ではございませんけれども、通信の内容いかんによっては、名誉棄損、侮辱、脅迫といった刑法の規定によって処罰することは可能であろうかと考えます。 それから、一般的に差別行為の法規制の問題でございますけれども、これはそういうことになりますと、思想及び良心の自由あるいは表現の自由といった憲法上の権利との関係で問題がございますし、また、いかなる差別行為を対象として取り上げるかあるいはそれをどのような構成要件とするかということについても、罰則の構成要件は明確でなければならないという原則がございますけれども、同和地区とか差別という言葉を構成要件に入れるということになりますとこれは明確性に欠けるところがあるのではないか、そういったような理論上の問題もございます。それからまた他方において、そういう法規制を加えるということになりますと、一面において差別行為の抑止に役立つ面があるかもしれませんけれども、差別意識の面におきましてはこれを潜在化させ固定化させるおそれがあるということなど、検討を要する多くの問題がございまして、人権擁護局の立場としては、むしろ差別意識に焦点を当てた粘り強い啓発こそ、迂遠なようで隔靴掻痒の感があるかもしれませんけれども、やはり人の心を動かすということにおきまして部落差別解消のために最良の方式ではないかと考えております。
○小澤(克)分科員 それに関連いたしまして、我が国も当然批准している国際人権規約のB規約で、「差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。」と定められているわけでございます。表現の自由との関係は、そういう問題がないとはもちろん私言いませんけれども、このような差別意識を積極的に助長し広げるようなこういう言動が表現の自由の保護に含まれるとは私は思いませんし、この国際人権規約からしても当然だろうと思います。そのようなのは言いわけにしか聞こえないわけでございまして、今後いろいろな技術の発達によって、出版や報道あるいは放送とは違いながらもほとんど同じ効果を上げるようなものがどんどん出てくるわけでございますので、これについてどのように規制をしていくのか、国内法の整備をぜひ強力に進めていただきたいと思うわけでございます。 さて、時間がもうなくなりましたので、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。 過日、これは昨年九一年の七月二十七日でしょうか、東京・中野武蔵野ホールで、“超”放送禁止落語会なるものが開かれたそうでございます。出演者は、立川平成、括弧して、これはちょっと口をはばかるような妙なもう一つの名前がついているわけでございますけれども、もう一人は立川談之助、もう一人は立川志らく、それからゲストとして春風亭勢朝と悪口集団、こういうので、まさに白昼堂々と超過激大喜利大会、私、落語のことはよくわからないのですが、大喜利大会と称してちょっとここで言うのを口はばかるような言動があったようです。朝鮮人差別、部落差別、アイヌ差別、黒人差別、そんなところでしょうか、それから障害者差別。本当はここで紹介したいのですけれども、ちょっとこれを議事録に載せること自体はばかられようなひどい言動が行われているようでございます。全くユーモアを感じさせない、本当にどこがこんなことがおもしろいのか理解できないわけですけれども、こんなことがこの世の中で、東京で公然と行われた。 このことについて、事前にこれを大臣に差し上げて目を通していただいているわけでございますので、大臣の御感想をお尋ねし、このようなものについてどう対応されるのか、それから、先ほどから私が指摘しました点についても大臣の御見解をお願いしたいと思います。
○田原国務大臣 ただいまお話のあった〃超〃放送禁止落語会事件というのは、実は先生の御指摘があって、質問の予告があって初めて知ったわけですが、先生も今おっしゃったように、我々これは言うもはばかるような言葉ばかりでございまして、まことにもう遺憾きわまりないということで、悪質を通り越しているという感じがいたします。こんなことが事実だとすると、障害者とか外国人とか同和地区の方々とかアイヌの人々とか、あるいは女性差別とかいうようなさまざまな差別を助長しかねないような用語でございまして、これはもう本当に遺憾なことだと受けとめております。実は、直ちに人権擁護局に調査を命じまして、資料収集に当たり、すぐ次の手を打たなければいがぬなということで打ち合わせたところであります。 この問題は以上であります。
○小澤(克)分科員 時間が来ましたので終わりますが、これなど本当にしゃれにも何にもならない、まことにひどいものだろうと思います。落語協会というような団体等もあるようでございますので、やはりこのようなひどいものについては適切な措置が必要ではないだろうかということを指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○志賀主査 これにて小澤克介君の質疑は終了しました。 次に佐々木秀典君。
○佐々木分科員 私は、本日はいわゆる外国人弁護士、正確には外国法律事務弁護士というのが制度上認められているわけですけれども、この問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 この外国人弁護士の問題というのは、外国で弁護士の資格を持っている人が日本においても弁護士としての仕事ができるように日本の社会に参入させるという問題として、これは中曽根内閣の時代に、特に日本とアメリカ間の貿易摩擦の解消、これに絡んだ問題として浮上したというように認識をしております。そしてその後、日米間の通商協議、例えば日米貿易委員会ですとか、あるいは構造協議の中でも論議をされてまいりました。私も会員でありますけれども、日本弁護士連合会などもこの問題に対処するのに大変苦労をいたしまして、議論をし、その中で一定の解決策として、昭和六十一年五月に外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法という法律が制定をされまして、現に運用されております。したがいまして、それまでのさまざまな問題というのは、紆余曲折を経て、いろ。いろな議論を積み重ねながら、この法律の制定によって一応落着したということになっているはずであります。 その後、この法律に基づきまして、アメリカや、現在はイギリスからの弁護士もいるようですけれども、いわゆる外国法律事務弁護士が年々ふえてまいりまして、私の今聞いているところによりますと、現在八十三名ぐらいが日本弁護士連合会に、これは法務大臣の認証を得てですけれども、登録をされて仕事をしているというように聞いております。 ところが、一九八九年に至りまして米国政府の側から、日米間の通商の問題として、改めてこの外国人弁護士に対して、現在の我が国の外弁法と略称いたしますけれども、この法律の規制が厳し過ぎるからこれを緩和してもらいたいという問題が提起をされ、これまで交渉が続けられてきていると聞いております。そしてまた、ことしの一月、アメリカのブッシュ大統領が訪日されたわけですけれども、その際、米国政府が日本の政府に対しましていわゆるアクションプランを提起した。五十項目ばかりあるそうですが、その項目の中の一つとして、外弁に対する規制緩和措置の問題が入れ込まれていると言われているわけですね。またさらにこの問題は、日米の二国間交渉の問題だけにとどまらないで、昨今ECからも同様の要請がなされている。さらには今問題になっておりますガット・ウルグアイ・ラウンド、このサービス分野の中での一つの項目として、交渉事項とされているということになっているわけであります。 このガットの問題との絡みについてまた後ほどお伺いをいたしますけれども、外国人弁護士問題の経過、それと現状、そしてこのアメリカ側からの要求に対して日本政府はどういうような対応をしてきているのか。特に、日米間の交渉の窓口は法務省ということになっているはずでありますけれども、外務省も含めてどういう対応をしているのか。そしてまた、これについては当事者的立場にあります日本弁護士連合会、この反応などはどうなのか。この辺について法務省、外務省にお尋ねをしたいと思います。
○濱崎政府委員 お答え申し上げます。 委員ただいま御指摘がございましたように、いわゆる外弁制度は昭和六十二年の法律の施行によって導入されたわけでありますが、この法律が成立するに至るまでには大変厳しい外交折衝がございまして、その結果、いわば双方の歩み寄りによってこういう形で法律が成立し、施行されたわけであります。その後間もない平成元年秋にアメリカ側から、また同じころにEC側からも、これは御案内と思いますが、五項目にわたる規制緩和要求がされたわけでございます。 私ども法務省といたしましては、これらの要求のほとんどの事項は今御指摘ございましたように法制定時の交渉によって解決を見たものであるという基本的な立場をとっておりましたが、しかしその後の国際社会の変化等にかんがみてなお検討すべき点があれば検討するという考え方で、その後平成二年から三年にかけて政府交渉を行ってきたわけであります。ただしかし、大変難しい問題でございますだけに、今日まで解決の道を見出す そういう中で、アメリカ側のこの問題に対する関心というのが次第にあるいは急激に高まってまいりまして、またECの側の関心もそれにあわせて高まってまいりまして、そういう状況の中で、ただいま御指摘ありましたように、ことし初めのアメリカ大統領の訪日の際に、グローバルパートナーシップ行動計画の中で日本政府としてこの問題の解決のために一層の努力を行うという記載がされるに至ったという経緯でございます。 私ども法務省といたしましては、この問題は我が国の司法制度の根幹に関する重大な問題を含む問題だと考えておりまして、とりわけ最大の問題であります共同経営の問題及び雇用の問題、これは外弁制度の基本構造にかかわる問題であるという認識を持っております。また、この問題はとりわけ日弁連の自主性を尊重しながら考えて対応していかなければならない事柄であるというふうに考えております。こういった基本的な立場に立ってこれまでも処理に当たってまいりましたが、他方、国際化の進む社会にあって我が国の置かれている立場というものにも配慮する必要がある、そういった観点から、諸外国の考え方にも十分に耳を傾けなければならないという観点も見逃せない。そういう考え方で対応してきているわけでございますが、先ほども申しましたように、非常に重大な問題にかかわる問題でございますので、現段階においてはまだ解決の道を見出すには至っておらないという状況にございます。とりあえず、現在の状況まで御報告申し上げました。 なお、日弁連のお考え方ということの御質問がございましたが、この問題については、私どもこれまで、日弁運のお立場を尊重するという観点から、緊密に連絡をしながらこの問題の解決策について検討のための会合を持ってまいりました。そういう中で、日弁連の現段階における考え方は知っているわけでありますが、日弁運の考え方は、今申しました、一番最大の問題であります共同経営及び雇用の問題については受け入れることができないという考え方でございます。そのほかの点については基本的には解決済みという考え方でございますけれども、可能な範囲内で、あるいは相当な範囲内で相手方の要求に対応する可能性もないではないということで、会内で検討しておられるというふうに承知しております。
○佐々木分科員 外務省にはこの次の質問と関連してお尋ねをします。 今お話しのような実情のようですね。法制定のときまでには本当に大変な議論が行われ、折衝が行われたわけですね。今の規制緩和に関する五項目というものも、当然のことながら、その過程では議論になっていたはず。そしてその間にお互いに歩み寄り、理解をし合って、この法律の中にこの規制緩和措置なども持ち込まれた。このことは単なる通商問題でなくて、それこそ三権分立の一翼を担っている大事な司法制度、この根幹に絡む問題だということ、これについても十分にアメリカ側の理解も得られるような対応をしてこられたその結果として得られたものだと思うのですね。アメリカ側としてもそのことは十分承知しているはずだと思うにもかかわらず、通商的な観点というものを前面に出して改めてまたこの問題を蒸し返すというのは、どうも私は納得がいかない。グローバルパートナーシップもいいけれども、ジェントルマンシップにも反するのではないかと思われてならないわけですね。 こういうことについて、そしてまた規制とはいうけれども、この法律の中では、例えば外人弁護士が日本人の弁護士を雇用すること、これは制限されているけれども、共同で仕事をしようということですね、共同受任、こういうことは認められているはずですね。それからまた、事務所などについても共同で持ち合う、これはしかし全くフィフティー・フィフティーというような感覚だと思いますけれどもね。そういうことで足りるのではないかと思うのに、それを外せ、そして雇用の関係も認めろというような事情というか理屈というのは、一体どういうように理解したらいいのですか。これは外務省にもお尋ねしたいと思いますが、外務省、どういうように理解していますか。
○佐々江説明員 お答えいたします。先生おっしゃられましたとおり、この問題というのは、既に八七年の時点で一応アメリカ側と交渉いたしまして今あるような制度になっておるわけでございますが、その当時、これは一応日米の交渉では決着がついたということであったのでございますが依然として、そのときにやはり雇用、共同経営の問題につきましてアメリカ側は内心では納得はしておらなかったという事情があったと思います。したがいまして、その後さらにアメリカ側としては、この問題について引き続き何とか打開を図りたいということで要請をしてきたということであります。 アメリカ側から見ますれば、この問題というのは当然のことながら日本にとっては司法制度にかかわる問題であるということは十分承知しつつも、他方で弁護士というものが今の国際間のいろんなビジネスを中心とする業務において非常に大きな役割を果たしている、そういう中で日本がさらに国際化をして、さらに弁護士業務というものがより国際的な比重というものも高まっていく中においてやはりその外国人の弁護士が働ける余地、さらに言えば日米間の通商、投資の関係をより円滑に促進する上で弁護士の役割が重要である、そういう観点から、この共同経営、雇用の問題につきましてもう少し今の現行法から緩和ができないだろうか、簡単に申せば、そういうのが主としてアメリカの考え方だろうと思います。 それで、これに対しましては、先ほど法務省の方から御説明がありましたとおり、引き続き我が方としては、なかなか難しい問題がある、特にこの問題については巳弁連の考え方というものが非常に大きな考え方を占めておって、今まさにこの問題についていろいろ議論もされておる、ですからそういう状況の中でやはり考えていかなければいけない問題であるということで、アメリカ側に対応をしている現状でございます。
○佐々木分科員 アメリカ側の言い分というか気持ちというのは大体今お聞きしたようなことなんだろうとは思うのですけれども、私も弁護士の一人なものですから、全く解せないのは、そういう通商的な感覚で日本の司法制度の中における弁護士の位置づけというものをとらえられるということに対して、私どもとしては非常に不満があるわけですね。特に、もちろん私どもとしてもリーガルサービスということを心がけてはおりますけれども、大体我が国の弁護士法における弁護士の位置づけが、そういうふうなビジネスとしてのとらえ方をしていないわけでありまして、これは申し上げるまでもないのですが、現在の弁護士法は議員立法でできたものですけれども、第一条で「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」ということになっている。そしてその資格についても、アメリカとは違って司法試験という国家試験一本で、法曹資格を得るための試験はこれ一本。裁判官も検察官も弁護士も、どれもこの試験に通らなければならないということになっている厳しい試験であることがあるわけです。それに比べますと、アメリカの場合には極めて、この資格要件にしても国内統一されておらない、州によって違うというようなわけで、アメリカには聞くところによると六十万を超える大勢の弁護士と称する人々がいるというふうになっているわけですけれども、どうもこの過剰な弁護士を外で使わせようというか、働く場を求めるというか、そんな感じがしてならない。 ガットの問題もこれからお聞きしますけれども、この問題がついにはガットの方の俎上にものった。これはついこの間の新聞報道、三月七日付の朝日新聞ですけれども、新ラウンド、ガット・ウルグアイ・ラウンドではこのサービスの部門で外国弁護士についても問題になっている。これで一番危ないと思うのは最恵国待遇の問題ですね。昨年十二月二十日にドンケル事務局長がいわゆる包持合意案というものを出して、すべての品目、すべての分野、全部例外なき関税化を図る、こうやったわけですね。 私は今農林水産委員なものですから、農業の、農産品の問題でまさにこのガットの問題に取り組んでいるわけですね。米の問題がばかに大きく扱われます。このこと自体が私どもは大変おかしい、けしからぬ、こう思って、政府に対しても宮澤さんに対しても、農林大臣はもちろんですけれども、市場開放してもらっては困るということを強く主張してきておるわけですね。この米の問題についても、自動車と同じような扱いを例えばマスコミがするなんというのは私は全くおかしなことだと思っている。大体、詰めていけば、この農産物などガットの交渉の場で決めるということが本当はふさわしいのだろうかという、そこのところまでさかのぼって考えなければならないんじゃないかとさえ思っている。まして、この弁護士の問題をこのガットの問題で決められるなんというのはまことにたまらない気がするのですね。貿易あるいは通商などについてのルールを決めようというわけですけれども、そういう中の一環で決められるというのはまことに困ると思うのです。 この新聞報道によりますと、この最恵国待遇の問題については、ドンケル事務局長のこの提案でも、サービスに関する枠組み協定、これの最恵国待遇の二条ですね、これに二項が加わった。附属文書に記載された事項については最恵国条項を当面猶予するということで、この外弁問題についてもいわゆる相互主義が何とか維持されるのではないかという見通しだというようなことのようですね。これは交渉事ですからまだこれからもということはあるのでしょうけれども、もう既に外務省、このラウンドについてのいわゆる国別表をお出しになっていると思うのだけれども、この弁護士問題についてはどういう対応音されたのか、お差し支えのない範囲でお聞かせいただければと思います。
○北島説明員 ガットのウルグアイ・ラウンドの関係についてお答え申し上げます。 ガットのウルグアイ・ラウンドにおきましては、佐々木委員御指摘の農業問題を含めて広範な分野での交渉が行われているわけですが、その中でサービス分野、これは国際貿易に占めますサービス貿易の比重が近年非常に高まっているということを背景に議論されているわけですけれども、サービス分野と一言で申し上げましても、ガット事務局の計算によりますと百五十以上の業種があるということで、その中で、国内の関係省庁も十以上ございますけれども、いわゆる専門職業サービス、弁護士それから公認会計士、建築士、そういった専門職業サービスの扱いに非常に関心が持たれているわけです。特に弁護士の問題につきましては、先ほど来御説明のございましたように、近年企業の外国進出が高まっている、その結果、先進国の企業を中心に外国法についての需要が高まっているがゆえに、弁護士が国境を越えて活動するということが必要になってきているという背景があるわけです。 そうした背景のもとで、諸外国から我が国の専門職業サービスについて非常な関心が示されているということで、今交渉に入っているわけでございますけれども、具体的には、サービス分野につきましては、二月の十日に我が国はサービス分野での改定オファーというのを提示しました。それからさらに、先生が御指摘になった三月七日の報道につきましては、二月十日の改定オファーにつけ加えて最恵国待遇の扱いについてどう考えるかということでの日本の考え方を提示したということで、そもそも外弁制度につきましては、我が国における外国法サービスの機会を提供するということを示しているわけですけれども、その具体的なやり方については現在の外弁制度、これを前提として交渉しているということで、したがって、現在の外弁制度は相互主義に基づいているわけですから、ガットの交渉というのはそもそも最恵国待遇が一つの基本的な原則になっておりますけれどもその点については特別な扱いを求めているということでございます。
○佐々木分科員 重ねて外務省にお尋ねというか確認をしておきたいのですが、つまり、この外弁問題というのは現在日米間の交渉事項でもあり、それからまたガットの舞台でも議論されておる、こう二つの場があるわけですね。ただ、いずれにしても日米間の交渉というのは、さっき指摘したように、法務省が窓口に我が日本政府としてはなっているわけですね。ということになると、そのガットの対応にしても、やはり法務省の御意向なり実情というものを十分把握された上でやってもらわないと私ども困ると思うんだけれども、日本弁護士連合会とも直接にやっていただくかあるいは法務省を通じてやっていただくかはともかくとして、これはぜひ日本弁護士連合会の意向というものも把握していただいて、その上で対応していただきたいと思うのですけれども、その辺のところ、外務省どうなっております。
○北島説明員 私ども、サービス交渉につきましては一応十三程度の省庁と緊密な連絡をとらせていただいて、いわゆる調整官庁としての仕事をさせていただいているわけです。弁護士の問題につきましては、法務省のみならず日弁運の幹部の方とも意見交換をするような機会を確保しまして、日弁連の考え方等を十分踏まえて交渉しているということでございます。 一言申し添えますと、ガットのサービス交渉というのは今回初めてやる経験なものですから、きょう専門職業サービスが問題になっていますけれども、金融とか建設それから教育サービス、ありとあらゆるサービス分野が話題になっていますし、諸外国とも初めてやる経験ということもあって、一気がせいに物事をどんどん進めようということではなくて、とりあえず現状を踏まえて過去がどうなっているかというところの議論から始めているものですから、その意味では従来の日米、日・ECといった二国間交渉と比べると交渉の実質的な進捗というのは、別にこの問題に限らず金融も含めて、若干遅いかなという印象は持っております。
○佐々木分科員 それでは、今度は国内問題をお聞きしますけれども、二月九日の日本経済新聞によりますと、この外国人弁護士問題が今度は臨時行政改革推進審議会、いわゆる第三次行革審、この世界の中の日本部会というんですか、そういう部会で取り上げられることになった、検討事項にするということになったということが報道されておられるんですね。法務省の方にお伺いしましたら、これは事前にしても事後にしてもその行革審の方からこういう事項を取り上げるよという御相談はなかったようにも聞いておるのですけれども、どういういきさつでこれを取り上げることになったんですか。 私どもの察するところ、先ほどお話がありましたけれども、ことしの一月、ブッシュさんが来て、さきのアクションプログラムですね、これを出した。それに対して今後も検討するというような答えというか返事というか、これを日本政府が出したというようなお答えがさっきありましたけれども、どうもこれと絡んでいるのではないかとも思われるんだけれども、行革審の方ではどういういきさつでこれを急に取り上げることになったんですか。またどういう関心で取り上げることになったんですか。端的に答えてください、時間がなくなりましたから。
○関根説明員 お答え申し上げます。 外国人弁護士問題につきましては、先ほど委員から御指摘のとおり、アメリカあるいはECの方から規制緩和の一環といたしまして継続的に問題とされているところと認識しております。第三次行革審におきましては、我が国におきます各種の規制とか基準あるいは手続等に関しまして、市場アクセスの改善とか、それから制度、基準の国際的な調和を図るというところから、世界部会で取り上げるべきだということになっております。したがいまして、本問題につきましてもその一環として検討事項になったものと理解しております。
○佐々木分科員 なったものと言うんだけれども、それはどこの示唆ですか。あるいは委員の中のだれかから提案があったんですか。それを端的に答えてくださいよ、重大なことなんだから。
○関根説明員 お答え申し上げます。 これは行革審の本審議会で、委員の中で御意見があったということでございます。
○佐々木分科員 政府からじゃないんですか、指示。政府からじゃないの。
○関根説明員 委員御存じだと思いますが、内閣総理大臣から諮問を受けまして、行革審は世界に対しまして日本の行政はどうあるべきかということについて種々検討いたしております。その一環として、行革審の委員の先生方の内部でいろいろな問題を、取り上げるべき問題を検討してきたところでございます。そこの中でこういう問題を取り上げるべきだという意見が出たということでございます。
○佐々木分科員 その取り上げることになったということについて、その直後にそれでは法務省なり日弁連には連絡をとって意向を聞きましたか。
○関根説明員 お答え申し上げます。 法務省ないしは外務省とは事前に連絡をとってございます。
○佐々木分科員 事前にとっているんですか、事前に。法務省どうですか、事前にありましたか。
○濱崎政府委員 私ども、制度といたしまして、行革審の方でどういう問題を取り上げられるかということについて必ずしも関係省庁の意見を聞いていただかなければならないものであるというふうには思っておりません。
○佐々木分科員 いや、そうじゃないのですよ。連絡を事後に受けたかと聞いているんですよ。いつ受けたかと聞いているんです。
○濱崎政府委員 それから、その前、大分前の段階でございますけれども、今御説明がありましたいろんな国際間における基準の比較という観点からいろいろな場面について行革審の事務局の方でヒアリングをされまして、その中の一つの項目として、外国人弁護士制度問題というものについて、現在こういう状況になっていてこういう問題があるということを説明する機会があったというふうに承知しております。 この問題を今回、世界の中の日本部会で取り上げるということになったことについては、恐らくその直後間もない時期であろうと思いますけれども、私ども連絡を受けております。
○佐々木分科員 時間がないのですが、書面でですか、口頭でですか。
○志賀主査 佐々木君、時間です。私もまだ聞きたいのでございますが、時間でございますからひとつルールを守っていただきたいと思います。
○佐々木分科員 まことに残念ですけれども、それではいろいろな議論をこれからまた深めていきたいと思いますけれども、行革審で取り上げること自体に私は大変問題があると思っておりますので、また場を改め、これは議論していきたいと思います。 以上で終わります。
○志賀主査 これにて佐々木秀典君の質疑は終了しました。 以上をもちまして、法務省所管についての質疑は終了いたしました。法務大臣初め政府委員各位、御苦労さまでございました。 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時開議
○志賀主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。渡辺外務大臣。
○渡辺(美)国務大臣 平成四年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。 外務省予算の総額は、六千二百十五億二千四百六十二万四千円であり、これを平成三年度予算と比較いたしますと、四百五十一億七千四百二万七千円の増加であり七・八%の伸びとなっております。 国際社会は、冷戦構造の崩壊という大きな変革を経験しつつあります。欧州においてはソ連邦が崩壊する一方で西欧諸国は統合に向けて協力を深めつつあります。アジア・太平洋地域では冷戦構造を乗り越えた新たな国家関係の構築が模索されております。その他の地域でも地域紛争の終結に向けた動きが見られます。このように新たな国際秩序の形成に向けた動きが見られる中で、我が国は世界の平和と繁栄をより確固なものとしていくために幅広い分野で積極的に貢献していかなければなりません。我が国が昨年末の国連総会において、安全保障理事会の非常任理事国に選ばれたのも、国連加盟国の我が国に寄せる期待の大きさを示すものであります。またブッシュ大統領訪日の際グローバル・パートナーシップに関する東京宣言を発出したのも我が国のこの重要な責務を認識したがゆえであります。同時に、我が国がこの責務を果たすことは世界の平和と繁栄を目指す努力の中で、より豊かな国民社会を形成していくために必要不可欠な道でもあります。かかる観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重要であり、従前以上に強力な体制のもとで積極的な外交を展開していく必要があります。このため平成四年度においては、外交実施体制の強化と国際貢献策の充実強化の二点を最重要事項として、予算の強化拡充を図る所存であります。 まず外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。定員の増強につきましては、平成四年度においては百三十名の増員を得て、外務省定員を合計四千五百二十五人とする所存であります。また、機構面では、政策企画・調整担当官房審議官を設置するほか、在ホーチミン総領事館及び在デトロイト総領事館を開設することなどを予定しております。 さらに在外公館の機能強化のために、在外公館施設等の強化及び危機管理体制の強化のための経費二百二十七億円を計上しております。加えて情報機能の強化に要する経費として十八億円を計上しております。 次に国際貢献策の充実強化に関する予算について申し上げます。 国際貢献策の充実強化の四つの柱は、政府開発援助の拡充、平和のための協力の強化、国際文化交流の強化そして地球的規模の問題の解決への貢献であります。 まず、平成四年度政府開発援助(ODA)につきましては一般会計予算において、政府全体で対前年度比七・八%の増額を図り、ODA第四次中期目標に盛られた諸施策の着実な実施を図るため、特段の配慮を払いました。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比七・二%増の二千二百七十八億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が一千八百五十五億円、食糧増産等援助費が四百二十三億円であります。さらに、人的協力の拡充のため、技術協力予算の拡充に努め、なかんずく、国際協力事業団事業費は対前年度比七・四%増の一千四百四十一億円を計上しているほか、援助実施体制の強化に努めております。 次に平和のための協力の強化でありますが、新しい世界平和の秩序の構築のための国際協力を進めることが必要との認識に立ち、国連の平和維持活動を初めとする平和及び人道分野での国際機関などによる活動の支援並びにロシア連邦、東欧諸国等の改革を支援するため対前年度比二十億円増の百九十九億円を計上しております。 次いで国際文化交流の強化でありますが、異なる文化間の相互交流を促進し、対日関心の高まりへの積極的な対応を図るため百七億円を計上し、国際交流基金事業の拡充強化及び文化協力の推進を図ることとしております。 さらに、地球環境問題、あるいは麻薬問題といった国境を越えて国際社会に影響を及ぼす地球的規模の問題に取り組むため、国際機関を通じて積極的貢献を行うべく、四十九億円を計上しております。 以上が重点事項を中心とした外務省関係予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する予算説明」なる印刷物を配付させていただきましたので、主査におかれまして、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。 以上であります。
○志賀主査 この際、お諮りいたします。 ただいま渡辺外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○志賀主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 外務省所管平成四年度予算案の説明 外務省所管の平成四年度予算案について大要を御説明いたします。 予算総額は六千二百十五億二千四百六十二万四千円で、これを主要経費別に区分いたしますと、経済協力費四千六百八十四億八千七百七十七万六千円、エネルギー対策費三十五億一千九百八十一万二千円、その他の事項経費一千四百九十五億一千七百三万六千円であります。また「組織別」に大別いたしますと、外務本省五千三百四十九億三千三百十三万一千円、在外公館八百六十五億九千百四十九万三千円であります。 ロハ今その内容について御説明いたします。 (組織)外務本省 第一 外務本省一般行政に必要な経費二百七十七億一千五百四十七万六千円は、「外務省設置法」に基づく所掌事務のうち本省内部部局及び外務省研修所において所掌する一般事務を処理するために必要な職員一、八〇八名の人件費及び事務費等、並びに審議会の運営経費であります。 第二 外交運営の充実に必要な経費四十二億四千三百三十三万五千円は、諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また、各種の条約協定を締結する必要がありますが、これらの交渉を我が国に有利に展開させるため本省において必要な情報収集費等であります。 第三 情報啓発事業及び国際文化事業実施等に必要な経費百二十八億三千二百十七万四千円は、国際情勢に関する国内啓発、海外に対する本邦事情の紹介及び文化交流事業等を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な経費並びに国際交流基金補助金九十八億五千六百五十一万二千円及び啓発宣伝事業等委託費六億九千三百十三万一千円等であります。 第四 海外渡航関係事務処理に必要な経費六十八億七千五百四十七万円は、旅券法に基づく旅券の発給等海外渡航事務を処理するため必要な経費であります。 第五 諸外国に関する外交政策の樹立等に必要な経費四十一億三千四百八十八万一千円は、アジア、北米、中南米、欧州、大洋州、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整を行うため必要な経費と財団法人交流協会補助金十四億七千五百四十一万一千円、財団法人日本国際問題研究所補助金四億八百七十三万一千円、社団法人北方領土復帰期成同盟補助金五千四百十三万七千円及び社団法人国際協力会等補助金一億五千二百二十九万円並びにインドシナ難民救援業務委託費九億四千九百二十五万五千円であります。 第六 国際経済情勢の調査及び通商交渉の準備等に必要な経費一億八千百八万八千円は、国際経済に関する基礎的資料を広範かつ組織的に収集し、これに基づいて国際経済を的確に把握するための調査及び通商交渉を行う際の準備等に必要な経費であります。 第七 条約締結及び条約集の編集等に必要な経費五千四百二十一万一千円は、国際条約の締結及び加入に関する事務処理並びに条約集の編集及び先例法規等の調査研究に必要な事務費であります。 第八 国際協力に必要な経費十八億五千九百六十九万三千円は、国際連合等各国際機。関との連絡、その活動の調査研究等に必要な経費及び各種の国際会議に我が国の代表を派遣し、また、本邦で国際会議を開催するため必要な経費と財団法人日本国際連合協会等補助金四千七百四十万二千円であります。 第九 経済技術協力に必要な経費四十億八千一万七千円は、海外との経済技術協力に関する企画立案及びその実施の総合調整並びに技術協力事業に要する経費の地方公共団体等に対する補助金十八億八千百九十五万五千円等であります。 第十 経済開発等の援助に必要な経費二千二百七十八億四千八百五十六万七千円は、発展途上国の経済開発等のために行う援助及び海外における災害等に対処して行う緊急援助等に必要な経費であります。 第十一 経済協力に係る国際分担金等の支払に必要な経費九百二十四億七千五百十一万七千円は、我が国が加盟している経済協力に係る各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。 第十二 国際原子力機関分担金等の支払に必要な経費三十五億一千九百八十一万二千円は、我が国が加盟している国際原子力機関に支払うため必要な分担金及び拠出金であります。 第十三 国際分担金等の支払に必要な経費五十億二千九百二十一万五千円は、我が国が加盟している各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。 第十四 国際協力事業団交付金に必要な経費一千四百一億五千二百七万五千円は、国際協力事業団の行う技術協力事業、青年海外協力活動事業及び海外移住事業等に要する経費の同事業団に対する交付に必要な経費であります。 第十五 国際協力事業団出資に必要な経費三十九億三千二百万円は、国際協力事業団の行う開発投融資事業に要する資金等に充てるための同事業団に対する出資に必要な経費であります。 (組織)在外公館 第一 在外公館事務運営等に必要な経費六百九十三億千三百六十六万二千円は、既設公館百七十館六代表部と平成四年度中に新設予定の在ホーチミン総領事館及び在デトロイト総領事館設置のため新たに必要となった職員並びに既設公館の職員の増加、合計二、七一七名の人件費及び事務費等であります。 第二 外交運営の充実に必要な経費九十億八千八百十七万八千円は、諸外国との外交交渉の我が国に有利な展開を期するため在外公館において必要な情報収集費等であります。 第三 対外宣伝及び国際文化事業実施等に必要な経費三十二億七千二百二十七万三千円は、我が国と諸外国との親善等に寄与するため、我が国の政治、経済及び文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するとともに、国際文化交流の推進及び海外子女教育を行うため必要な経費であります。 第四 自由貿易体制の維持強化に必要な経費三億四千二百三十五万二千円は、自由貿易体制の維持強化のための諸外国における啓発宣伝運動を実施する等のため必要な経費であります。 第五 在外公館施設整備に必要な経費四十五億六千五百二万八千円は、在バングラデシュ大使館事務所公邸新営工事(第一期工事)、在ハンガリー大使館事務所新営工事(第一期工事)、在セネガル大使館事務所新営用基本設計等の建設費、その他関連経費であります。 以上が只今上程されております外務省所管平成四年度予算の大要であります。 慎重御審議のほどをお願い申し上げます。 ―――――――――――――
○志賀主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。 ―――――――――――――
○志賀主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が振られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。
○浅野分科員 去年の六月、自民党代表団の一員としてウランバートルを訪れ、海部前総理のモンゴル訪問の露払いをいたしました。ビャムバスレン首相はベーカー国務長官の招きでワシントンに行って留守でしたが、オチルバト大統領、ゴンチグドルジ副大統領ら政府と各政党の幹部と三日間にわたってじっくり意見を交わすことができました。 旧ソビエトの崩壊に先立って社会主義と決別し、多党制を導入して、市場経済に移行しようとする民主化への息吹に限りない親近感を抱いたものでした。中国とロシアの二つの大国に挟まれた小さな国モンゴルという名前をお聞きになって、副総理はどんな印象を、感想をお持ちになりますか。 〔主査退席、村上主査代理着席〕
○渡辺(美)国務大臣 我々子供のころは外蒙古というようなふうに呼んでおりましたが、昔のジンギスカンとかジンギスハンとか、大草原とか遊牧民とかそんな感じを昔は持っておりました。 最近、今委員がおっしゃったように新しい、大変親目的な、しかも民主国家としてスタートした。アメリカのベーカーさんなどは、モンゴルへ行ったことがあるか、渡辺大臣、どうだと二回ばかり言われたことがあるのですが、実は私は一回も行ったことがないというのが印象でございます。
○浅野分科員 先月の二十四日に日本とモンゴルが国交を樹立して二十周年を迎えました。つまり、日本がモンゴルと国交を樹立したのは一九七二年、昭和四十七年の二月ということになります。この国交樹立は日本にとって極めて重要だったという歴史観を私は持っています。それは日中正常化のための予行演習、予備運動だったといふうに思っているからです。 したがいまして、私の気持ちの中では、モンゴルという国の存在は小さくありません。彼らは民主化のために知識と資金が欲しいと訴えていますけれども、モンゴルヘの経済協力の実態はどうなっておりますか。
○川上政府委員 我が国といたしましては、モンゴルの推進いたしております民主化、市場経済への移行というものを中核とする経済改革を高く評価いたしておりまして、こういった自助努力を積極的に支援していくという方針で経済協力を実施している次第でございます。 先生御案内のとおり、具体的に申しますと、昨年はモンゴルが緊急に必要とする物質の輸入代金というものに充当するという目的でまず四十八億円程度の緊急商品借款を実施いたしましたほかに、さらに加えまして二十億円のノンプロジェクト、これも商品の輸入でございますけれども、無償資金協力を供与いたしております。さらに、研修員の受け入れ、専門家の派遣、開発調査の実施等による技術協力も拡充いたしておりまして、できる限りの支援を行っているということでございます。また他方、モンゴルに対します国際的な経済協力の支援体制というものをぜひ構築する必要があるという考え方に基づきまして、昨年九月東京で世銀と共同議長ということでモンゴル支援国会合を開催いたしまして、十四カ国、五国際機関からの参加も得ましたけれども、モンゴルがこの冬を乗り切るための必要な外貨資金であります一億五千五百万ドルというものの支援を我が国として取りまとめることができたという状況にございます。
○浅野分科員 モンゴル支援国会議に触れる前にちょっと援助の内容を聞いておきたいと思いますけれども、二十億円の一般無償、これは石炭を掘って輸送する、その機材の購入ですね。そのほかに十億近いインテルサットの地上局の設置という問題があるはずでありますけれども、まず、ああいう閉ざされた国ではありますけれども、両国間の通信連絡が十分行われるということが基本的に大事なことだと思います。このインテルサットの地上局の建設というのは極めてそういう意味で重要だと思いますが、既にもう着工していますか。
○川上政府委員 先生御指摘の、まず今の二十億円の中身の方でございますが、御指摘のとおり石炭の採掘、運搬用のダンプ車といったようなものが中心になります。 それからもう一つ御指摘のインテルサット地上局の方でございますけれども、これは別の無償資金協力でございまして、第一期九億四千八百万円、総額で十四・四五億円程度を予定しておりまして、去年の八月の総理の御訪問のときにE/Nを署名したということでございまして、第一期といたしましては、地上局を建設するという予定になっております。第二期は、国際市外共用の電子交換機等を供与するということで、全体としてモンゴルの国際通信網の改善を図るというあれになっております。
○浅野分科員 地上局の建設はなるべく早くしてやっていただきたいと思いますし、仮に地上局ができたからといって地上局とウランバートルの中央局とをつなぐライン、さらに国内回線を架設してそれぞれの端末とつなぐところまで面倒を見ないと、これは宝の持ちぐされになる心配があります。そういうきめ細かいところまで、地上局をつくって、それでもういいんだというんじゃなくて、端末までの配慮というのはその予算の中に組み込まれていきますか。細かいようですが大事なことだと思います。ちょっとお答えをお願いいたします。
○川上政府委員 今御質問の端末まで云々という話についてちょっと今資料がないのでございますが、とりあえずは先ほど申しましたように地上局の建設ということで大きな建屋をつくって、それで第二期として国際市外共用の電子交換機ということでございますので、少なくとも国際的な通信網という点からすれば、今よりも格段の進歩が上げられるというふうに私は理解いたしております。端末等につきましては、御指摘を踏まえましてよく検討させていただきたいと思います。
○浅野分科員 先ほど御答弁ありましたとおり、去年の九月にモンゴル支援国会議を東京でいち早く開いた素早い対応は大変結構だったと思っております。ただ、次の注射を急がないと、民主化政策が行き詰まってしまうおそれがあります。そこで、第二回モンゴル支援国会議はいつ東京で開かれる予定か、それは既に固まっておりますか。
○川上政府委員 お尋ねの件でございますが、第二回の会合につきましては、昨年の九月の東京会合の際に、来年の春にやるということについては参加国の合意を得ているわけでございますびしたがって、この合意を踏まえまして、今関係のドーナー国それから国際機関といったところと日程を調整している段階でございます。いずれにいたしましても春ということになっておりますので、我々のめどといたしましては五月ごろかなということで調整いたしておりますが、まだ最終的な日程の確定はされておりません。
○浅野分科員 五月ごろ第二回モンゴル支援国会議を東京で予定しているということで、これは注意して新聞報道を見ていますけれども、五月ごろという情報はまだ霞クラブでも発表されていない特だねだと今の時点では聞きましたが、やはり日本がイニシアチブをとらないとなかなかこれは進まないということであろうかと思いますので、共同議長の世銀を巻き込んで推進をしていっていただきたいと思います。 そこで、ゴムボスレン外相が今月の下旬に来日をすると承知しておりますけれども、これはやはり支援国会議の催促をしに来るんだなと私は推測していたのですが、今の御答弁ですと、この分だとその時期には大体日程が固められますか。
○谷野政府委員 これは日本の心づもりとしては五月ということでございますけれども、関係国もございますので、今相手国の意向の打診をこれから始めなければいけないかと思っておりますが、いずれにいたしましても外相の来日はほぼ決まっております。もちろん五月になりますか、この支援国会議の催促ということもございましょうけれども、それにとどまらず渡辺外務大臣と、先ほど来お話しのような民主化、市場経済、大変懸命な努力を行っておるモンゴルでございますから、そういうことを踏まえまして幅広い日本とモンゴルの関係、我が国からの協力のあり方ということを幅広く渡辺大臣とお話し合いをしていただきたいと思っております。その上で、これは希望でございますけれども、先方はいずれできればことしじゅうに首相の訪日を実現したいと言っておりまして、これは日本側の各般の都合もありますけれども、私ど沌はやはり大事な関係でございますから、できれば何らかの形で首相をお迎えできることになれば、これは非常に結構だと思っております。
○浅野分科員 問題は、支援国会議の中身だということになります。モンゴルの国づくりをにらんだ経済協力とは、どの分野にどんな援助をするのが自助努力とあわせて本当にモンゴルのためになるかを見きわめることだろう、そんな気がいたします。 緊急のものと中長期のものになるでしょうが、現状は、電気はとまる、石油がない、ことしになってロシアからガソリンが一滴も入ってこなくなったというようなことさえ伝えられております。エネルギー対策をどうするか。石油の探査をした結果、南部地方のソムで鉱脈が見つかったけれども開発する技術も金もないというような情報もありまして、このエネルギー対策が一つ。 それからもう一つ、食糧の問題、つまり農業です。思い出すのですが、亡くなった大平正芳先生が総理大臣になって最初に東南アジアを歴訪した折に、先端工業の育成ではなくて農業技術の援助を打ち出して、当時時代錯誤のように言われたんですけれども、私はそうは思わなかった、さすがだなと思ったことがございます。牧畜の遊牧民族から農耕の定住民族へ生まれ変わっていってもらう。その手助けを真剣にやるべきだという考え、思いがいたしますけれども、この彼らのエネルギー対策と農業技術を含めた農業対策への支援というのは日本政府はどういう取り組みになっておりますか、ないしは、どう取り組んでいってやろ一つと思っておいででございますか。
○川上政府委員 モンゴルに対します支援の内容としまして、先生御指摘のとおり、当面は非常に緊急支援的な要素が強くなるということでございまして、先ほど申しました第一回の支援国会議が主としてそれに焦点を当てて、冬を越すための援助という視点から緊急援助をやったわけでございますが、先ほどの第二回会合、今後の問題といたしましては、特に世銀、IMFといったものが今調査を重ねております。こういう調査に基づきまして、各国が集まりましで、意見の交換を十分行って、中長期的なモンゴルの経済の立て直しには一体どういう方向から取り組んだらいいのだろうかということをじっくり議論する予定にいたしております。 今度の会合のテーマというものはまだ決まっておりませんけれども、緊急支援のフォローアップというものとともに中長期的な支援の方向性といったようなものを議論すべきであると少なくとも我々は思っておりまして、そういう主張も行っておりますので、各国の賛同を得て、今のような方向で議論したい。その際に農業分野では、モンゴルに経済においてやるべきことはどういうことであろうか。それから鉱業、特にマイニングの方でございますが、これの開発といった問題。モンゴルは資源が非常に豊かな国と言われておりますので、今後の国づくりの基本として重要なんじゃないか。我々は一応の視点は持っておりますが、まさにそれらの点を含めて議論をいたしたいというのが我々の考えでございます。
○浅野分科員 日本古来の国技である大相撲でハワイとモンゴル出身の力士が優勝争いをするというようなことになりますといささか複雑な気持ちになりますけれども、考えようによっては国際化の一つのあらわれだとも言えるわけで、それもまた楽しからずやという気がします。モンゴルのような国に対する経済協力というのは、通信、輸送、教育、文化、医療と際限がありませんけれども、当面緊急を要するエネルギーと農業、つまり食糧ですね。特に農業については基本的な農耕機械、肥料というものがなくて悲鳴を上げているようでありますので、エネルギーと食糧、農業について精いっぱいの協力をするよう渡辺副総理に心のこもった取り組みをお願いをしたいと存じます。
○渡辺(美)国務大臣 そういういろいろな事情を総合的に勘案をいたしまして、せっかく民主国家として、また市場経済をやろうということで努力をしておるわけですから、できるだけ心のこもった対応をしてまいりたいと存じます。
○浅野分科員 ありがとうございました、 国際ローカルのような話で、モンゴルに絞ってお考えを承りましたけれども、ちょっと時間がありますので一つだけ。私の認識が間違っていたら間違っているということをお教えいただきたいのですけれども、尖閣諸島の帰属のことです。 これは四十八年一月の日中航空協定をめぐる大平・周恩来会談、たしか四回だったと思いますけれども、あそこでは一切出てない。つまり、中国側が日本国有の領土だと認めていたからだろうと思うのです。五十四年の日中平和友好条約交渉をめぐる覇権条項との関連の中で、突如尖閣諸島の帰属の問題が提起されてきて、中国側が領有権を、領有を主張し始めた、そんなふうに記憶しておりまして、四十八年一月の大平・周恩来のときも私は同行をしまして、それから日中条約の園田外相にも私は同行をしたので記憶があるのですが、あれは当時の鄧小平副首席と、園田・鄧小平会談の中で棚上げをするということで合意をした記憶があるわけです。ただ、このときに十年たったらお互いに検討し直そうという期限がついていたという説があるのですが、そんなやりとりがあって記録が残っているのかどうなのか、間違いであろうと思いますけれども、もしわかったら教えていただきたいと思います。
○谷野政府委員 ただいまの十年の期限をもって後に見直そうというお話し合いがあったということは私どもは承知いたしておりません。若干お時間をいただきますと、中国側がこの尖閣の領有権を主張し始めましたのは、先生御案内かもしれませんが、一九七〇年ごろにあの周辺に大きな石油資源が埋蔵されているというエカフェの報告書が出まして、自後、当時の中華民国・台湾と中華人民共和国の双方からこれについての領有権が急に主張され始めたという経緯がございます。日本と中国との正常化は七二年でございましたけれども、ここでもこの問題については田中総理と周恩来総理との間でさしたるやりとりはなされておりません。その後、ただいまお話がございましたように、平和友好条約の際に、御記憶だと思いますが、当時たしか鄧小平副総理だったと思いますが、(浅野分科員「副首席」と呼ぶ)来日されて、プレスセンターで記者会見されました。そのときに鄧小平さんがおっしゃったのは、自分たちの世代には十分な知恵がないから、ただいまお話しのようにこれを棚上げしようということをおっしゃったわけでございます。 他方、私どもの日本政府の立場は、明確に歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土でございますから棚上げにすべき何らの対象もないわけでございまして、そういう鄧小平氏の発言はそのまま聞き終えたといいますか、少なくとも巷間言われるように、棚上げについて日中間で合意したというようなことは一切ございません。向こうがそういうことを一方的に、あえてこちらの立場を説明すれば棚上げにすべき何物もない、これは日本の固有の領土であるというのが日本の立場でございます。
○浅野分科員 終わります。
○村上主査代理 これにて浅野勝人君の質疑は終了しました。 次に、上原康助君。
○上原分科員 どうも外務大臣、連日御苦労さまです。外務委員会でもお尋ねする機会はあるわけですが、機会がまたできましたので、改めて冷戦構造が終結というか終えんを見て、新しい国際秩序が今できっっある。旧ソ連邦が全く変革をして、新しい価値観に立った国内政治あるいは経済、軍事というものをこれから構築していこうとしている。一万のアメリカも軍事大国に懲りたというか、軍縮、軍事力のレベルダウンというものをどんどん進めている。世界各国が平和の配当というものを今つくりつつあるし、また求めて、それなりの軍縮、軍備削減というものをやっておるわけですが、そういう面からすると、確かに政治は先行するけれども、軍事あるいは軍備というものはそう簡単に、変わりつつあるから削減というわけにはいかないという説もあるやに受けとめているわけですが、外務大臣、副総理もなさっておられるし、また宮澤内閣あるいは自民党と言っていいでしょうが、内でそれだけの大きなお力を持っている、実力者である、そういう面からすると、日本も新しい国際情勢というか、冷戦構造下における日米安保であるとか軍備であるとか外交であるとかから脱却して、これからの日本外交、軍縮、軍備のレベルダウンというものを進めていかなければいけない重大な曲がり角だと思うんですね。 しかし、残念ながらそういう気配は見えない。そういう意味で、とりわけ在日米軍基地の総点検をやり、その在日米軍基地の中でも専用基地が、もう何回も言うように沖縄に七五%も集中している、復帰二十周年になってもそれがなかなか進まない、これについてはもう少し政府も誠意を持って、責任を持って、今申し上げている点は何も沖縄だけに限りませんが、やらなければいけない段階だと私は思うんですが、改めて外務大臣の決意というかこれからの見通し、あるいはこれだけは何とか早目にやってみたい、そういうものがありましたら、まずお聞かせ願いたいと存じます。
○渡辺(美)国務大臣 今お話があったように世界の大きな流れというのは、共産主義の勢力拡張というかそういうようなものから世界各地で地域紛争が起きておった、これは事実であります。しかし、ソ連がそういうようなものを放棄して新しい国家を目指してやろうということでございますが、これもソ連の軍縮といってもそう思うように軍部が賛成していくかどうかということは今後の問題であって、とりあえずは大陸間弾道弾とか中距離ミサイルとか、そういうのにある程度合意を見たのはございますが、核兵器が全部なくなったわけじゃないし、大型軍縮が現実のテーブルにみんなのったわけではありません。 そういうことでございますが、しかしその流れは非常に大切な流れだと我々は思いますから、それを助長をしていくというためにはできるだけの協力はしていきたい。したがって直ちに安保条約の中で取り決められた米軍施設やなんかをどんどん減らしてしまうということにはつながらないわけであります。大きな流れは流れとして見きわめながら、現実にあわせてやはり、不急不要と言っては言い過ぎなのかもしれませんが、なくても済むようなものは漸次整理をしてもらいたいということはかねがね米国の指導者には我が国も申し上げておるところであって、皆さん方からすればはかばかしくないという御批判はあるかもしれませんが、そういう努力は継続していきたい、そう思っております。
○上原分科員 残念ながらいつも抽象論で、努力はしているとおっしゃるわけですが、全然努力をしていない。外務省にしてもあるいは政府全体としてもそれなりにやっておられるとは思うんですね。何も基地を今すぐ全部なくしなさいとか、我々は反対ですが安保条約をやめなさい、こういう極論を言っているんじゃないんです、外務大臣。実績が非常に薄い、足跡が見えない、こういうことを指摘しているわけです。 軍縮なんというのは、今軍部がみんな賛成しているが、旧ソ連の場合のことでしょう。どこでも、日本だってアメリカだって世界各国問わず、軍事費を削減するとか軍縮をやるという場合に、制服が、はい賛成です、やってよろしいと言わないですよ。そこにシビリアンコントロール、これは後、わずかな時間だが防衛庁長官ともやりますけれども、そこにシビリアンコントロールがあり政治があり外交があるんですよ。だから軍部に任せるのではなくして、やはり外交とか政治の力で日本は平和の配当、在日米軍基地の総点検をどうするかを私たちは渡辺副総理に、外務大臣に期待をするし、また今そういう時期だということなんです。そういう意味ではもう少し決断と実行をやっていくという姿勢があっていいんじゃないですか、全く今までと変わらないんですか、お見通しはないんですか。
○渡辺(美)国務大臣 御承知のとおり日本は国力にふさわしい軍事力を持っておるわけではありません。日米安保条約で不足分は補ってきておるわけですから。したがって、世界の現実というものを見ながら我々はそれに一歩一歩対応していくということで、米軍基地の返還問題等も少しずつやっておりますから目に見えないということを言われますが、今後とも世界の情勢をにらみながら適切に必ず対応していきたい。大きな流れを見ながら、また世界的に見れば局部的な地域の問題等も考えながら、私は減らす方向で進めていくということです。
○上原分科員 思い切りのいい方にしては余りにも慎重というか消極論でちょっと物足りないんですが、努力はなさるということですが……。 わずかな時間ですから余り言うことはないんですが、米国の新国防政策を見ても、これからももっと積極的な軍縮、防衛費、軍事費の削減が進められていくようですが、それを見てももう方向というものははっきりしているわけですね。だが日本は遅々として、平和の配当というのかそういう国際情勢に敏感に対応していこうとしない。そこにもどかしさがあり、どうも冷戦構造下における日米関係あるいは社会観念というのか外交、防衛というものをまだ見ておられる。そこは政府にもぜひ脱却してもらいたいと思うんです。そうしないと、やはり与野党の防衛論争とか外交とか、そういうものの共通舞台というものがなかなかできかねますよ。私はそれを政府に期待したいんです。 そこで具体的にお尋ねしますが、いろいろ努力をしているとおっしゃるわけですが、例えば沖縄の場合ですと、日米安保協で、何回も私は言うのですが、これは政府の約束不履行だから言わざるを得ない、復帰直後の十四回、十五回、十六回の安保協で合意したものさえまだ四五%にも足りない。半分以下ですよ。さらにそれは通り越して、一昨年六月に二十三件、約一千ヘクタールを合意をしたからということで、これだってまだパイプラインを少々返したこと、あるいはカルバートのボックスを撤去したとか全くみみっちい状態なのです。我々が今期待しているのは、那覇軍港をどうするのか、県道一〇四号線を挟んだあの野蛮な実弾砲撃やめなさい、読谷でのパラシュート訓練はやめなさい、恩納村を水田地まで汚染をさせるような都市型ゲリラをやめる、こういうことに政府がどう具体的にこたえるかということを期待をし、それをやりなさいと言っているのですよ。こんなことには一向にこたえずして、そんな暫時不急なところは返す、遊休化している基地は返すというような、そういう消極的な姿勢ではこれは納得いかない。したがってへ復帰二十年という目玉を、目玉というか節目という段階に、少しは日本政府としても沖縄の長い間の苦労と苦衷に報いたい、償いをしたいということであるならば、私はやはり政治や行政の立場でそのぐらいのことはやっていいと思うのですよ。改めて大臣の決意を聞いておきます。
○佐藤(行)政府委員 先ほど来先生御指摘のとおり、沖縄の施設の返還につきましては日米間で合意したものについてもそれが実行されていないことは事実でございます。その意味で、例えば平成二年に合意いたしました二十三の案件の返還につきましても、面積程度でまだ三分の一という状況であります。そういうこともございますし、これは先般来大臣も言っておられますように、ことしは沖縄返還二十周年という年でもありますので、我々一層の努力をしたいと思っております。そういう意味で那覇軍港の問題もその他の施設の問題もございますし、また先生が前から御指摘になっております県道一〇四号線についての演習の問題、その他鋭意努力をいたしております。 ただ、我々が努力をしているというだけで結果が生まれない限り御安心をいただけないということはよくわかっておりますので、さらに一層の努力をしたいと思っております。抽象的にならざるを得ませんが、結果が出るまでは姿勢を申し上げるしかございませんので、繰り返しになりますけれども努力をするということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
○上原分科員 もちろん事務当局というか役人の立場では、それは局長さんですからそれだけの権限があるということは私は理解をした上で申し上げるわけですが、この間も総理に私がお尋ねをしたときに、あれもわずかな時間でしたが、これまでの間、復帰前からそうですが、二言目には日米安保の円滑な運用、そして地域住民の意向を体して整合性の調和のとれたとか云々と言っている。大体、安保を先にして民生を後にするそのことで調和がとれるはずがないのですよ。だから私は総理にも言った。きょうも改めて外務大臣にお願いもし、要望しますが、こういうのは役人任せではだめなのです。やはり政治がリーダーシップを発揮しなければいけないのですよ。どこの国に、どこの県に今ごろ県道を封鎖をして百五十五ミリあるいは二百三ミリというそういう実弾射撃をやるような環境が、地域がありますか。もうそういう時代じゃないはずなのですよ。年がら年じゅうパラシュートをおろして地域住民の農耕や民生を不安にするような環境がありますか、日本のどこを探しても。昼夜を問わず爆音被害が七十ホンも八十ホンも、たまには百ホンもまき散らして生活が安定できますか、安眠できますか。 私は、安保を容認する立場に立っても、そういう環境というものは日米の地位協定とか基地提供の中にないと思うのですよ。今まではそういう是正さえもできないのじゃないですか。それをリードするのは政治であり、やはりアメリカに対して、すべてノーと言えとは言わない、こういう基地によって犠牲になっている国民の立場というものも改善して、直して初めて政治があり、外交があるのじゃないですか。外務大臣、それを我々は期待をしているのですよ。いかがですか。
○佐藤(行)政府委員 先生重々御承知のことでございますので簡単に申し上げますが、日米安保条約を我々優先してお考えになると言われておりますけれども、これはあくまで日米安保条約が必要であるという認識の上に立った上での運用上の意識でございます。そして先ほど大臣が言われましたように、我が国の防衛力の足らざるところを補うために日米安保条約によるということでありまして、米軍の存在を認めている以上は米軍のいろいろな機能、訓練も含めまして、練度の向上も含めての機能を認めるということが安保条約の建前でございますので、その点についてはきちっとしていかなければならないと思っております。 ただ、それに当たって、公共の安全に配慮するのは当然でありますし、また住民の方々、特に基地周辺の方々に対する影響を、不安感の問題というものを最小限にする、これもまた政府の当然の義務でございまして、その意味でその間の調整を図るということに努力しているという、そういう次第でございます。
○上原分科員 調整を図るのは、それは場合によっては必要でしょう。だが皆さんの感覚は、感覚というか発想というかやり方は本末転倒なんです、逆立ちしているのですよ、佐藤さん。それはあなたを幾ら責めたって、やはりそれは政治の問題なんだよ。安保条約を至上命令、安保をいつも憲法の上に君臨をさせて、安保、安保、年がら年じゅう安保を優先し、軍事を優先するとそういう犠牲になっている、何カ年たっても基地の整理縮小はできないのです。僕はゼロにしなさいと言ってないので、せめてもう少しやりなさいと言っているんだよ。これだけ力のある外務大臣になって、副総理になって、もうやがて総理大臣にもなろうという方ができないの、そのくらい。もう少し決意を聞かしてくださいよ。
○渡辺(美)国務大臣 これはタイミングの問題もありますからね。今は、御承知のとおりアメリカは選挙の真っ最中でもございますし、言い出すからには効果のある方法で効果のある時期をつかまえて言わなければいかぬと私は思っているのです。考え方としてはそんなに、早いか遅いかだけであって、あなたと私はそんなに違っているわけじゃないのだろう。しかし、それは全く同じだったら、もう自民党イコール社会党になっちゃいますから、そこに違うところがあってあなたは存在意義があるわけですから、それはそれなりに評価をいたします。そういう声が大きいということもあって我々もむしろやりやすいわけでございますので、決してそういう御主張を私は煙たがるわけでも何でもないわけです。しかし、我々の立場からすれば、望むべくしてそう一挙にはなかなかできませんよ、であるけれども、そういう方向で今後も進めてまいりますということを言っているのですから、今しばらくお待ちを願います。 〔村上主査代理退席、冬柴主査代理着席〕
○上原分科員 もう二十年余り待たされているんだな。戦後は四十七年、いつまでそういうのが続くのですか。確かに、私はそれは政治論としてはわかる。最近はなかなかソフトになって、人の話をそらすのも渡辺大臣はうまくなったのだが、もう少し言いたいこともおっしゃって、脱線しようが何しようがやったらどうですか。 そうしますと、いま一つ確かめておきたいのは、時期の問題もある、確かに選挙も控えている。だが、選挙を控えているから我々は待つわけにいかぬよ。いじめられている、年から犠牲を受けているわけです。このアメリカの新国防政策を見ても、太平洋戦力の中でのいわゆる在日米軍基地の海兵隊については規模は未定と書いてある。これについてはどう評価しているのですか。少なくとも将来は、近い将来において在日海兵隊の、これは主に岩国、沖縄ですね、この規模縮小があるから、国防政策で規模未定というふうに出ていると思うのですが、そういうことについてどういうふうな米側とのあれがあるのかというのが一つ。これはぜひ大臣、時間がありませんから、少なくとも私が言う那覇軍港であるとか県道一〇四号であるとか嘉手納マリーナであるとか恩納村の都市ゲリラ訓練であるとか読谷のパラシュート、機能移転を含めて、そういう、沖縄県民が復帰二十年の間最も切実に要求しておったことについては、タイミングもあるということでしたが、重要な事項としてこれからの日米交渉の中で早期に県民の期待にこたえるような結果を出すように外交努力なさいますね。この二点についてお答えください。
○佐藤(行)政府委員 前段の、アメリカの国防予算、国防報告等に出ておりますアジア・太平洋地域における体制の変化、特に海兵隊の問題についてだけ私の方からお答えさせていただきます。 結論から申しますと、その点は我々も注目しておりますが、アメリカ自身もこれからどうするのかまだ決まってないのだろうと思います。増強する予定がない、見通しがないという意味であればもう少し合理化されていくという方向に動く可能性はあるとは思いますが、それ以上の点は今のところはわかりません。いずれにせよ、アメリカ側は、既に発表された計画に従いまして、向こう十年間にわたって三段階でアジア・太平洋地域の兵力を削減していくということでございます。そして、その予定に途中から入りましたのは、この間のピナツボ火山の爆発も含めてフィリピンとの米比協定が決裂しましてフィリピンからの軍を引くということが先に入りましたものですから、さらに再調整が行われるのではないかと私は思っております。 いずれにせよ、まだあれは行政府の意見でございますし、議会の意見もこれからあると思いますし、今後のアメリカの議論の中で太平洋における米軍の存在のあり方についてもいろいろな議論が出てくるのだろうと思います。私は、アメリカ自身がまだ決めてない段階でございますので、それ以上のことの予想を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 私は、前から、実はアメリカの当局者と会ったときは、沖縄県民のいろいろな御迷惑もよく知っておりますし、なるべく県民の希望が果たせるようにその都度言っているんです。言っておりますが、今言ったように、これは継続してもちろんやりますから、その点はひとつ御了承いただきたいと存じます。
○上原分科員 パウエル統合参謀議長が来るときに頼むよとかチェイニーが来たときに言うのも、これは結構でしょう。しかし、それだけで事が済むのではない。日米安保協という正式な日米間の機関で決めたものを十七、八年もないがしろにされて、こんな外交がありますか。そんなできない約束はやらぬでくれよ、それを言っているのですよ。努力はなさるというから、努力してみてください、しかし私はもう少しいい結果が出てしかるべきだと。 それと、佐藤さんそうおっしゃるけれども、この国防報告の流れを見て、あるいはさっき冒頭に言った国際情勢を見れば、在日米軍海兵隊の規模未定というものは、これはあなた、縮小の方向にいくであろうということは当然じゃないですか。これが何かふえるような格好で、そういう冷戦発想が僕はどうかと思うんだよ。これ、あなたに質問するためにゆうべ遅くまで全部読んでみた。 それで最後に、これはまた隣の第一委員室でPCBの問題を聞きますが、これはこの間から聞いているわけですが、大変問題ですね。だから、今の軍事基地というのは本当に諸悪の根源だよ。 確かめておきたい一つは、日本の思いやり予算で変圧器とかいろいろな電気関係の器具を提供したものがPCBに汚染されている、こういう情報もあるのですが、これはどうなんですか、事実なんですか。それが一つと、基地内の立入調査、環境庁来ているかね。――じゃあ隣で聞きますわ。基地内の立入調査の問題はどうするのか。環境分科会、サブコミッティーでやろうというの。この二点お答えください。
○佐藤(行)政府委員 今、まだ第一回の環境分科会を開いた段階でございますので、すべてのことがわかったという状況ではございませんが、その点を前提にしてお答えいたしますと、まず変圧器の中のPCBについてはいろいろな種類のものがあるようでございます。アメリカ製の変圧器の中に入っていたPCBもあるようでございますし、日本側から提供したものの中にもあるようでございます。また、このPCBそのものが問題になる前から提供していたものもあるようでございます。ただ、あったと申し上げた方が正確なのかもしれません。この間も申し上げましたように、嘉手納につきましては相当部分が既にアメリカに撤去されておりまして、アメリカ側によりますと、日本製のものも含めてアメリカ側に撤去するので、国防省から特別の許可をとってそういうこともしたということも聞いております。まだ二つ残っているという状況はこの間のとおりでございますが、これも近く撤去される予定と聞いております。したがって、第一の点につきましては、さまざまな形で使っている変圧器の中にPCBがあるということでございます。 第二の立ち入りの問題でございますが、この間外務委員会で大臣の方からお答えしましたように、順を追って、まず環境分科会で事態をよく究明して、そして必要であれば必要な措置をすべてとるということでございますので、最後の段階になって、あるいはある途中の段階になって、国の、環境庁等によります立入調査が必要であるという判断に至ればそれはぜひ実行したいと思っております。ただ、いずれにせよ、今環境分科委員会でこの問題の検討を始めたところでございます。そういう状況でございますので、この先々についてはこれから事態の推移を見ながら的確に対応していきたいと思っております。
○上原分科員 時間が来ましたのでもう終わりますが、立入調査はぜひ必要ですね、外務大臣。それは治外法権にしちゃいけませんよ。そのことには大臣の特段の御決断を促したい。 それと、沖縄の基地問題、大臣、もう少し解決してくださいよ。そうすればあなたは間違いなく総理大臣になれる。外務大臣の間にこれができなければこれはちょっと、赤信号はまだつかないですが、その前の黄色いものぐらいになるかもしれませんよ。もう一度、この基地問題についてどうするのか、立入調査を含めて大臣の御決意を聞いて、早く総理大臣になることを期待して、お答えを聞きたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 たびたび申し上げているように、環境分科会の意見を聞いた上で、必要があれば立入調査もしたいと思っております。(上原委員「基地問題はどうする」と呼ぶ)必要があれば、聞いた上。
○上原分科員 終わります。
○冬柴主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了しました。 次に、秋葉忠利君。
○秋葉分科員 社会党の秋葉でございます。 実は時間が三十分という限られた時間ですので、十分な質問それからお答えも残念ながらすることができないと思いますが、とりあえず何点かについて伺いたいと思います。 一つは東チモールの問題なんですけれども、御存じのように昨年の十一月十二日、サンタクルーズ墓地での虐殺という事件がありました。これが実は世界的に注目された事件ですけれども、その背景としては、東チモール、インドネシアはそこは自分の国の一部であるということを主張して、その原則によって政治を行ってきたわけですけれども、まずその点について問題がある。さらに東チモールにおいてさまざまな人権抑圧事件等が起こってきたということでこれは国際的に非常に注目されてきた一地域でありますけれども、そこで虐殺が起きたということで、再び世界的にこの東チモールをどうしたらいいかということが考えられている状況です。 その虐殺についてまず伺いたいのですけれども、日本政府としては、特に外務省としては昨年十一月十二日のこの虐殺についてどういうふうに認識をされていたのか、現在の認識はどうなのかということです。そしてその結果、日本政府としてはどのような、外務省としてはどのような行動をとったのか。 大体のことは昨年私たち社会党のシャドーキャビネットの外交委員会、ここにいらっしゃる上原康助委員長、シャドーキャビネットの外交防衛委員長と申し合わせをしたときに伺いましたので、簡単で結構ですから、まず事実認識、そしてその後の対応ということを簡単にとりあえずまとめていただきたいと思います。
○谷野政府委員 何が現地で起こったか、そしてそれに対して日本政府としてどういう対応をとったかということを御説明したいと思います。 東チモールでは、七六年のいわゆるインドネシア併合以来、独立を主張する側との抗争が絶えないわけでございますけれども、先生が今お話しになりましたように、去年の十一月の十二日の朝、東チモールのディリー市におきまして十月の二十八日に死亡いたしました青年の墓地に集まっておりました群衆が治安部隊と衝突するという事態に至りました。 その際の事件の直後のインドネシア軍の発表によりますれば、死亡者十九名及び負傷者九十一名ということでございましたけれども、その後調査が進むにつれまして、その後インドネシア政府の国家調査委員会というのが設立されましたけれども、そこでの発表では死者五十名程度、負傷者は九十名以上という大変な痛ましい状況が発生いたしました。 外務省、政府といたしましては、事件発生後いろいろな機会にインドネシア政府に対しまして、このような事件の発生は大変遺憾なことであるということ、そして第二点として事実究明と情報の提供を求めるということ、そして第三点としてあのような事件の再発防止とこれ以上の流血を回避するためにいろいろの措置をとってほしいという日本政府の希望を伝えました。 現地では国広大使みずから各方面にそのような働きかけをいたしましたし、東京におきましては渡辺大臣みずからいろいろなルートで日本政府の気持ちを伝えられました。先般はアラタス大臣が見えまして、アラタス大臣ともこの件について十分なお話し合いが行われました。
○秋葉分科員 今の発言の中でおっしゃったことについて後でもう少し伺いたいと思いますけれども、実は政府の、これは海部総理大臣のときですけれども、ODAの四原則というものがございます。 改めてこのODAの四原則について申し上げる必要はないと思いますけれども、このODAの四原則について、ちょっと順番は正確ではないかもしれませんが、私の記憶では一番目が軍事費、軍事支出が多い場合にはだめだということ、それから四番目が基本的人権と民主化の状況に十分注意を払ってということになっているわけですけれども、この東チモールにおける状況というのはまさにこの二点において日本のODA政策、対インドネシアODA政策に関して根本的な再検討をすべきにたる十分な状況があるというふうに私は思います。 今のお答えの中からそういった現状認識があるのかどうか全くわかりませんけれども、それをもとにして、このODA四原則、これに関連して現状認識をもう一度お聞かせください。
○谷野政府委員 私の方から事件を受けてインドネシア側政府のとった措置を御説明いたしまして、後段、それを踏まえて経済協力局長からただいまのODAについての考え方を申し述べたいと思います。 先般の事件に関しまして、スハルト大統領みずからこのような事件を発生させてはならないという指示を下しまして、直ちに現地の司令官二名を更迭いたしました。また大統領は、軍の対応等について調査するための軍名誉審議会というのを設置いたしまして、騒乱者に対する厳正な法的な措置、行方不明者の捜索、現地住民の福祉の向上等を指示しております。さらに、去る二月には国連事務総長の特使を受け入れまして、さらに二月二十七日にはインドネシア国軍、軍が本件に関与した軍人を罷免するあるいは軍事裁判に付するという処分を発表いたしております。 そのようなインドネシア側の受けとめ方、一連の措置というのは、国際社会におきましても、今回の事態にインドネシア政府としても人権の問題も含めて大変真剣に対応しようとしておる姿勢のあらわれだということで、国際社会は押しなべてこれを肯定的に評価しておるというのが現状でございます。
○川上政府委員 今アジア局長から御説明がございましたように、基本的には我が国政府はインドネシアがとってまいりましたこれまでの措置を肯定的に評価しているということでございまして、政府といたしましては、インドネシア政府が引き続き建設的な対応を行っていくということに期待をしながら、諸措置の行方を見守っていくという姿勢でございます。 こういうような状況におきまして、四指針に照らしまして、我が国の対インドネシア経済協力方針について変更する必要があるとは考えていない次第でございます。
○秋葉分科員 最初のお答えの中で、インドネシア軍と、それから墓地にその以前に殺された二人の青年の墓参りに行った一般大衆とが衝突をしたと言われましたけれども、武器を持った軍隊とまるっきり武器を持たない民衆がどういうふうに衝突するのですか。しかも、そこに現場にいた第三者、アメリカその他の国々のジャーナリストがはっきりとあれは軍隊の挑発だ、そして一方的な虐殺だということを言っているわけじゃありませんか。それを民衆と軍隊との衝突である。 衝突というのは、大体同じ力を持った同士がぶっかることです。例えば自動車の正面衝突というのは、両方が走っているときに真っ正面から衝突する。一方が一方に襲いかかって、民衆の方は一方的に被害を受けた、その状態が何で衝突なんですか。そういった事実誤認をしているじゃありませんか。そういったところにもう既に外務省の暗黙裏の大前提が入っている。 それから、その後でインドネシア調査団が厳正な調査を行ったと言いました。厳正な調査を行ったのであれば、それではそのインドネシアのスハルト大統領が任命した調査団のうち軍関係者は何人いたか、総員が何人で軍関係者が何人いたかということを当然御存じだと思います。軍の関係者が軍の関係者を調べるのが厳正だとお思いになっているのか。そういうことであれば、例えば現在の阿部文男代議士の共和関係の調査に関して自民党の、しかも宮澤派のお歴々たちが調査をすれば、それは厳正な調査だということになっちゃうじゃありませんか。そんな理屈が外務省だけでは通じるのですか。
○谷野政府委員 確かに衝突というのはあるいは言葉が適当ではなかったかと思いますけれども、他方、この事態が起こったことにつきましていろいろな目撃者がおるわけでございまして、もちろん先生のようなお話もるる聞いておるわけでございますけれども、学生側といいますか、集団側が治安当局から武器を奪おうとして、それから争いが展開したんだというような証言もるるまたあるわけでございます。 いずれにいたしましても、今回の事態を、押しなべて軍の側の過剰な反応であったということはインドネシア当局も認めたがゆえに、直ちに軍当局、現地の司令官二人を罷免し、さらに今軍事裁判等の手続に取り組んだところだと思います。
○秋葉分科員 厳正なということはどうですか。軍の関係者は何人かということ。
○谷野政府委員 ただいま私ども、手元の資料ではちょっとそこまで確認いたしておりませんが、後ほど調査いたしまして御返答いたしたいと思います。
○秋葉分科員 私の持っている資料では、七人のメンバーのうち四人が軍の退役あるいは現役の軍人です。五人目は軍の学校の関係者です。もう一人はスハルト大統領が直接任命した、要するにこれはポリティカルアポイントメントの人です。一番最後の人だけが違う。圧倒的な多数が軍の関係者である。その調査団が行った調査を厳正だというふうに言う根拠は一体どこにあるわけですか。 外務省はどのような基準を持って、さらにどのようなデータを持って、このインドネシア政府が行った調査を厳正なものだという判断をしたのか、判断基準並びにその判断基準を適用するに当たって使った基礎的なデータを示してください。
○谷野政府委員 外務省だけではございませんで、先ほど申し上げましたように、国際社会において、今回の調査報告書並びにその後のインドネシア政府がとった措置は、おおむねということは私申し上げましたけれども、もちろん十分なものではないということはあり得ましょうけれども、おおむね、これはこれで評価を得ておるのだと思います。 私どもが、少なくとも私どもの立場で評価しておりますのは、スハルト大統領がみずからとられた幾つかの措置、この点に注目いたしまして今回の対応ぶりをそれなりに評価しておるということでございます。
○秋葉分科員 それなりにというようないいかげんな基準で評価をされては、これは大虐殺ですから大変困ると思います。 それなりというのは非常に都合のいい言葉で、これがテレビのコマーシャルで使われたころにはそれなり美人ということで使われましたが、それなり美人ということになると、世の中に美人でない人は一人もいなくなってしまう。そういういいかげんな判断基準でそもそも一国の虐殺あるいはそれに関してのODA政策というのを決めてもいいというふうに、外務省は今のお答えだとそういうことになるのですが、それが本当に基準なんでしょうか。 それで、はっきりと今私は、例えば調査会のメンバーのうちの大多数が軍の関係者である、したがって、そのようなメンバー構成で行われた調査団の調査結果が客観性を持たなくても当然だと多くの人が考える、そういう判断基準を提出いたしました。 さらに、前にも申し上げましたように、インドネシアあるいは東チモールとは何らの利害関係のないジャーナリストが現場に証人として行っていた、こういった人たちの撮った写真があり、さらに証言がある。 さらにつけ加えますけれども、外務省としては、例えばオーストラリアからこの間、ボブ・マンツさんという、現場にいて具体的にこの虐殺のありさまを見、自分もその、虐殺ではありませんけれども、暴力行為の被害者になった人の証言が先日ありましたけれども、そこにも外務省からの係員が来て、情報は十分収集しているにもかかわらず、なぜか、例えばそういったジャーナリストの側の情報あるいはそれ以外の、私が今申し上げましたような、例えば東チモールについて関心を持っている市民運動の側で調べた結果、あるいはアムネスティー・インターナショナルといったようなところの調査、そういったことはすべて無視して、インドネシア政府の情報だけ、そしてさらに、今おっしゃいませんでしたけれども、日本の大使館の館員が現地で調査を行った結果のみを取捨選択して、最終的にはインドネシア政府に都合のいい方向での状況判断を行っている、事実認識を行っている。その事実認識の仕方が非常に大きな間違いではないかという問題提起をしているわけですから、さまざまな情報が存在して、そのうちのごく一部を取り上げてほかのものは捨てて、その結果、外務省としてのこういう事実認識だという、それを形成したその基準並びにデータを伺っているのですけれども、それなりにというぐらいのそんないいかげんなことでは固まりますよ。 それで、時間がありませんから、この点についてはさらに後で、別の機会に申し上げたいと思います。 もう一つ、これに関連して申し上げておきたいことがあるのです。 ODAの関連の外務省の政策ですけれども、実はODAに関しては、インドネシアの対応が適切であったから政策に関して変更がないということをおっしゃいました。さらにインドネシア政府の事後の措置が非常に適切であったから、こういうことをおっしゃいました。そこで一言もお触れにならなかったのは、この事件に関して、例えばオランダとカナダ、それからデンマーク、こういった国々が、オランダは十一月二十一日、デンマークは十二月十二日、カナダも十二月九日、インドネシアヘの経済援助の凍結、それから見直しを決めております。こういった各国のこの事件に対する具体的な行動があったから、インドネシア政府はしぶしぶ国際的な世論の圧力にどうしてもこたえなくてはならなかったという解釈がございます。外務省はそのことを当然お知りだと思いますけれども、そのことについては今のお答えでは一切お触れにならなかった、その理由。 さらには、こういった国々が国際的に日本と比較して非常に高く評価をされている。そして、そういった国々の勇気ある決断があったからこそ、今まではこういった問題について口を閉ざしてきたインドネシア政府が、しぶしぶながらも調査団をつくり、そしてしぶしぶながらかもしれないけれどもともかくある程度の措置をとったというふうに解釈されている、その解釈について外務省はどう考えているのか、その考えを伺わせていただきたいと思います。
○谷野政府委員 経済協力局長から補足説明があるかと思いますが、私どもは何も、この東チモールの事件が発生して以来唯々諾々として何もしないでおったわけではございません。いろいろなやり方で、水面下といいますか、そういうことも含めて大臣のレベルでいろいろなことをインドネシア政府との間に実はやってまいりました。細かいことを申し上げられないのは残念でございますけれども、その点は大臣御自身が非常に関心を持っていろいろな水面下の努力をなさったということだけを申し上げておきたいと思います。 確かにカナダ、デンマーク等は援助を停止いたしました。それは承知いたしております。他方、先ほどの話の続きになりますが、その後の報告書の提出、大統領のとった一連の措置を受けまして、ただいまお話しのオランダあるいはカナダ等もこれを肯定的に受けとめて援助の再開の方向にいっておるということでございます。
○秋葉分科員 それは自分たちが、オランダやデンマーク等は凍結をすると同時にインドネシア政府に対してきちんとした要求を突きつけているわけです。その要求をインドネシア政府が実行したから、それは約束に従って凍結を解いたわけじゃないですか。ですから、その最終的な結果だけを取り上げて、だからインドネシア政府の措置は正しかったのだと言うことは客観性を非常に欠くと思います。 そういう意味で日本の対応が、水面下でいろいろなことをやったと言われていますけれども、非常に残念ですけれども、水面下で行ったことは国際的には評価されません。それは渡辺外務大臣が、これから百年先に渡辺外務大臣の伝記が出て非常に大政治家だったというふうに評価されるかもしれないけれども、それでは総理大臣になるのに間に合わないかもしれない。さっきの上原康助さんの弁をかりますとそういうことにもなるわけですし、日本が現在求められているのはビジブルな国際貢献でしょう。だからこそPKOの法案なんというのは出てきているわけじゃないですか。そういうことを、PKO法案のときには見えなくちゃだめだと言い、そして今の答えの中では見えなくても裏でやっているのだからいいと言うのは、論旨が全然一貫していないじゃないですか。 少なくともPKO法案を出してきて、国際的に見えるような貢献をすることが大事であると言う外務省がそれを主張するのであれば、今の答えなんというのは絶対に言ってはならない答弁ですよ。それをやっていいのであれば、PKOなどというのは本当に引っ込めるべきじゃないですか。それで水面下で日本はすべて重要な国際的な役割を果せばいいじゃないですか。そういう論理的な矛盾を平気で言う神経がちょっとわかりませんが、もう一つ二つ触れたいと思います。 実は、私はこういった問題について、確かに外務省の東チモールについての政策、インドネシアのODAについては非常に大きな問題があると思っています。この点について、ちょっと時間がありませんので継続していろいろな場所で問題提起をしていきたいと思いますが、事によると、私は外務省のこういった判断の誤りあるいは政策的な誤りというのが外務省の人員不足。に関係があるんじゃないかという気も少しはいたします。スタッフが足りなければ幾ら一生懸命やろうと思ってもそれは十分なことができないという面は当然あるわけですから、特に私は、アメリカに約二十年ぐらい住んでおりまして、外務省の方には大変お世話になりました。それから、アメリカに住んでいる日本人の感謝と同時に不平不満というものも大変たくさん聞いてきました。 そういったことについて一言二言伺いたいんですが、外務省のスタッフの数が、例えばアメリカやイギリスに比べて人口一人当たりにしても非常に少ないということは新聞等で報道されていますのでわかっているんですけれども、このところ日本から外国に出かける人の数が非常にふえている。そういう在外邦人のサービス機関として在外公館を考えた場合に、その在外公館のスタッフの数が、やはりこれは、一人当たり例えば何人の邦人の世話をすると簡単に割り算をしてほかの国と比較をした場合に、これまた事によると非常に重労働になっているんではないかという気がいたします。 その辺のところの数字的なデータがあったら、ぜひ伺わせていただきたいと思います。
○荒政府委員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、ある国にいる在留自国民とそれに対する在外公館のスタッフの割合でございますけれども、これにつきましては先生も御指摘のように、国情、それからある国の在留民がどういう地理的分布をしているかとか、在外公館の展開状況等いろいろございますので、数的に単純には比較が難しいんでございますけれども、例えばアメリカと比べてみますと、場所にもよるということですが、おおむね我が方の領事担当官の担当しております邦人の数は、アメリカの領事担当官と比べて少なくとも一倍半ぐらい多いという事実はございます。
○秋葉分科員 できたらそういった点についても具体的なデータをそろえていただければと思います。 実は、これも事実認識の問題なんです。東チモールの問題についても私は事実認識の問題として問題提起をしていますけれども、例えば在外公館におけるサービスの問題もやはりまず事実をどういうふうに認識するか、把握するか、それはどういうふうに集めたデータによるのかというところから話を始めないとまるっきり空理空論になってしまうというところがあると思います。 そういう意味でぜひこういった基礎的なデータの把握というところをお伺いしたいんですけれども、データの把握はただ単に数量的なものだけではありません。在外邦人が例えば日本の在外公館に対して持っている、それは感謝の念ももちろんあります。しかし、それ以上に不平不満が非常にたくさんある。しかも、構造的にその不平不満を外務省がキャッチするのは非常に難しくなっている。 なぜか。例えばアメリカに住んでいる場合、私の場合を考えてみれば非常によくそのことがわかったんですが、つまり、アメリカに住んでいる日本人にとって最終的に頼りになるところは日本の大使館あるいは領事館しかない。その場合に、仮にその領事館に対して文句があっても、文句を領事館に対して言っていけば、それは領事館にもいろいろな人がいますから、仮に逆恨みをされて意地悪をされたらもう頼るところがなくなってしまうわけです。それこそ最終的な生命線ですから、だから、しようがなくてお上の言うことだからというんで無理難題でも聞いているというケースが非常に多かった。ですから、正式には外務省にはきちんとした形での声が届いていないというのが私の印象ですけれども、当然外務省の皆さんは非常に聡明な方が多いわけですから、こういった問題についても理解をした上で、そういう構造的な問題があるということを十分理解した上で、にもかかわらずきちんとした不平不満、その現実がきちんと外務省に伝わるようなメカニズム、システムを当然お考えになっていると思います。 どういう方法で在外邦人の不平不満を外務省としては今まで収集してきたのか、それをどういうふうにシステムの中にフィードバックしてきたのか、それを伺いたいと思います。
○荒政府委員 確かに先生御指摘のとおり、近年いろいろ海外の渡航者も多い、在留邦人も多い、仕事もふえている、しかし要員も少ないという、それがすべてではございませんけれども、我々の行政サービスが十分懇切丁寧にいっているかといえば、残念ながら御指摘のようなケースがいろいろあるということは事実でございまして、その点、私どもとして大変深刻に、かつ何とか改善を図るべく努力したいと思っているわけでございます。 それでお尋ねの、そういう在留邦人の皆様のいろいろな御希望であるとか不平不満をどうやって吸い上げるかということでございますけれども、一つは、各地の在外公館におきましては在留邦人がつくっておられる日本人会あるいは企業の集まりというところとの定期の連絡を非常に密にしておりまして、そういうことで吸い上げるというのが一つでございます。それから、プレスの方を通じていろいろ情報や不満を伺うこともございます。不平不満というのはなかなか直接おっしゃらないものですから全部把握しているとは言いませんけれども、我々としてはアンテナを最大限広げましてそういうことをくみ上げているというところでございます。 それから、私どもは在外における領事サービスの改善のために毎年指導チームというのを各地に派遣しております。それでいろいろ対応の指導をしたり、そのときに現地ではなかなか言いにくい不平や御注文を本省が在外公館を通さないで直接日本人会等の方々から承る、そういう機会を定期的にやっております。
○秋葉分科員 今おっしゃったようなやり方では本当の声は恐らく届かないのではないかということをまず申し上げます。 例えば指導チーム、さっき申し上げましたように、これは外務省の中の人ですね。しかも、外務省の中で人事がしょっちゅう変わるということは外国にいる日本人はよくわかっています。それで、だれとだれがツーカーであるかなんということもよくわかっています。そういうところでうっかり物を言おうものなら、それが回り回ってまた意地悪されるということはよくわかっています。だから、そういうところでは決して本音のことなんか言わない。 それから日本人会というのも、私はボストンの日本人会の副会長をやっていましたけれども、そういったところでもボス連中からそんな話は絶対に出ません。本当に不満に思っている人たちの声は出ないようになっているわけです。そこを御存じの上で恐らく別のシステムをつくっておられるというふうに私は思いましたけれども、全然そうじゃない。 ということは、海外における外務省のサービスに対して根本的な事実認識のところでやはり抜本的な再検討をしていただく必要があるのではないか。例えば外務省とは全く違った形でのオンブズマン、不平不満を聞く人なりシステムなりをつくる。もしそういうことで御協力できれば、例えば社会党のシャドーキャビネットでそういったような役割を果たすなんということも考えられると思いますけれども、それ以外の方法もいろいろとあると思います。ぜひそういったところをお考えいただきたいと思います。 それから最後に、在外邦人に対する日本の在外公館の仕事というのは、基本的には私はサービス業だと思うのですけれども、残念ながら必ずしもそういう心構えですべての外務省の在外公館の方が仕事をしていらっしゃるわけではない。すばらしい方がたくさんいらっしゃいます。そのことを知っている上で、あえてそうではない方がいるということも指摘したいのですが、外務大臣、在外公館における外務省のスタッフの心構えといいますか、そういったものをどういうふうにお考えになっているか、さらに事実認識のところでどういうふうにこれから外務省全体を引っ張っていってくださるのか、一言で結構ですからお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 私が大臣になってからはそういう話は聞こえなくなってしまったのですが、大臣になる前は随分旅行をしていますから、いろんな在留邦人の方がいると、話をすると、あの大使は魚釣りばかりやっているとか、やれコーヒーの話ばかりやっているだとか、いろいろ話言いますよ。それで、行って聞いてみると、なるほど大使に会うと真っ黒な顔していてつやつやして、魚釣りばかりやっているような人も実際はいた。だから、意外と現地の人は知っているんですよ。知っているけれども、今言ったように、じかにそれを言うとはね返ってくる可能性があるというのでだまっているというのが多い。 やはりそれは本省の空気を吸わないと、七、八年も現地大使ばかりやっているとややもするとそうなりがちなので、年に二回ぐらいは集めて、そしてちゃんと日本の空気も吸わせてやらないと、そういうピンぼけなことがよくあるんです。 したがって、そういうことのないように、いろいろ今秋葉先生から話があったようなことを踏まえまして、工夫をしていつも新鮮にさせておく必要がありますから、いろいろ教えてください、できることはやりますから。
○秋葉分科員 前向きの答弁ありがとうございました。 これで質問を終わります。
○冬柴主査代理 これにて秋葉忠利君の質疑は終了しました。 次に、志賀一夫君。 〔冬柴主査代理退席、伊東(秀)主査代理 着席〕
○志賀(一)分科員 私は、去る昨年の十二月二十日、フィリピンのダンサーが私の地元選挙区内であります東白川郡塙町で亡くなられて、その結果として我が国とフィリピンとの間にいろいろな問題を醸しましたので、その点についてやはり明確な政府の方針を要求したいし、また日本とフィリピンの関係もやはりこの問題を契機にして悪化するようでは困る、そういう立場に立って質問をし、答弁書をいただいたわけであります。 その結果の答弁書の中で、若干申し上げますと、前段は省略いたしまして後段の方でちょっと触れさせていただきますと、「直接的死因を病死(劇症肝炎)とする報告書を去る十一月十五日、上院に提出していることなどから、我が方の調査結果に対する理解が深まってきているものと考えられる。」若干抜かしまして、本件に対する理解を深めるべく説明に今後とも努力していくというようなことが第一の答弁の末文であります。 第二番目には、福島県をフィリピンでは特別地域としての指定をした云々ということでの質問に対する答弁でありますが、そのこともまた「その死因が劇症肝炎によるもので事件性はないとの我が方の結論についてフィリピン側における理解が一層進むよう引き続き努力してまいりたい。」こういうふうな答弁書であったわけであります。 このような答弁書の内容をお聞きいたしますと、さらに一体その後どのような経過になっているんだろうか、またフィリピン当局としては、政府としてはその後どのような見解を示されているんだろうかということについて、まずその経過をお聞きしたい、私はそういうふうに思います。
○谷野政府委員 今日までの経過を簡単に御説明いたしたいと思いますが、先生には本件について、地元のことでございますのでいろいろ御心配かけましたことは、私どもも十分承知いたしております。 私どもは、この当該フィリピン人女性のダンサーの死亡につきましては、当初から、ただいま先生もお話がございましたように、劇症肝炎によるもので、いわゆる事件性は全くないというのが日本側の当局の関係者の一致した認識でございましたし、また一致した結論でございました。 その後、昨年の十月でございましたか、この問題の調査のためにフィリピンから労働雇用長官一行が見えまして、これに対して十分な協力もいたしましたし、現地にもたしかお越しになって、日本側の調査の状況を改めて御本人たちに詳細に説明いたしました。 また、一行帰国後も同じような努力は、東京では日本の大使館、フィリピンの大使館、現地におきましてはマニラの私どもの大使館から先方政府に、いろいろ誤解が多かったように思いましたので、私どもの把握しておる事実関係、私どもの得ておる結論をフィリピン当局だけではございませんで、議会関係者、マスコミ等幅広く日本側の立場、考え方、調査結果を説明いたしました。 そこで、その後そんなこともあった気もいたしますけれども、フィリピンの上院の依頼によりまして、フィリピン司法省国家捜査局の作成の解剖結果の報告書の再検討というのが行われまして、フィリピン総合病院が本件につきましては直接的死因はやはり日本側の主張するように劇症肝炎によるものであるということを盛った報告書を上院に提出いたしました。 そのようなこともありまして、事態は急速に現地におきまして鎮静化に向かいまして、プレスの報道も本件については全くなくなった、そのような状況で今日に来ております。
○志賀(一)分科員 では、我が国とフィリピンとの間でなぜ最初見解の相違があったのかという一つの原因として、やはり医療水準とか医療の現実的な対応の差とか、そういうものが当初の見解の相違にあったのではなかろうかなどと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○谷野政府委員 恐らくそのようなこともあったのだと思います。 それから、フィリピンから来ておられるこの種の方々のいろいろな日本での生活面での御苦労もあるわけでございますから、そういった背景もありまして、現地において一たびこれが誤った形で報道されて、これが一定期間がないフィリピンと日本との関係で大きな問題になったという経緯が確かに一時ございました。私どもは、そういう状況を是正するために懸命な努力を東京とマニラにおいて行ったつもりでございます。
○志賀(一)分科員 その後、この問題はそれで一件落着、こういうふうに外務省では受けとめているんですか。
○谷野政府委員 大変御心配かけましたけれども、先ほど申し上げましたように、調査結果に対する理解がフィリピン側におきましても深まってきておりまして、この件に関しての報道は全く見られなくなりました。 ただ、要すれば、私どもの調査結果につきましては、今後とも必要に応じて説明は現地ないし東京でしていかなければならないと思っております。しかし当面、一件落着というお言葉でございましたけれども、事態は完全に鎮静化したというのが私どもの理解でございます。
○志賀(一)分科員 私としては、この問題についてフィリピンで起きた事態、大変なデモが起こったりあるいは国会でこの問題が提起されたり、アキノ大統領も労働相や外務大臣といろいろと協議して具体的な対応を考えたりというようなこの問題に対する一連のフィリピンの対応、重大な取り扱い方、そういうものを考えた場合に、また同時に雇用大臣を日本に派遣された、こういうことを考えますと、これだけ重大な課題がフィリピンで起こった際に、単に日本大使館に、現地に任せることではなくて、やはり日本からも特使といいますか代表を送ってやって、日本とフィリピンの受けとめている差というものをどう縮めていくのかということについても鋭意努力をする。 そして、日本とのかつての戦争の傷跡も深く残っているわけでありますから、そういうこともまたこの問題を通じて爆発した。あるいはまた、日本に多くのフィリピン人の方々がおいでになって働いている中での賃金の問題とか人権の問題とかいろいろな問題がフィリピン側に報告されておって、そういうことでの日本に対する不信感、いろいろなものが交錯をしてはっと爆発的な問題発生ということになった。 そういう一連の経過を考えれば、やはり日本から代表をやってその間の説明を詳しく申し上げる、そして今後とも日本とフィリピンの本当の友好関係を深めるような努力を外務省当局がやるべきでなかったのかな、そういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○谷野政府委員 確かにおっしゃるようなこともあったと思いますが、他方東京で何もしなかったわけではございませんで、ここの、在京のフィリピン大使も、あるいは公使も、本件が、まさに先生おっしゃいますように、大切なフィリピンと日本との間の友好関係にひびが入るような事態にいくということを大変心配されて、私のところへもたびたび来られて日本側の説明を聞いて、それを小まめに本国に報告されており、あるいはみずから本国へ帰って本国の関係者に説明して回ったという経緯がございます。 いずれにいたしましても、確かに、ただいまも仰せのように、いろいろ不幸な過去も背負った日比関係でございますから、今後ともそういったことも踏まえながら、いろいろな、人の交流、青年の交流その他そういった努力をしていかなければならないと思っております。 それから、事件が起きました後、福島県に対しまして、大変御心配をかけたわけでございますけれども、フィリピン人のこの種の芸能人の方々の送り出しを一時的に中止するという、これは大変変な措置だったと私思いますけれども、そのような措置をフィリピン政府がとったことがございました。しかし、これは撤回されるべきものでございまして、その方向に向けての努力もいたしました。その後、フィリピン政府は、日本だけ、ましてや福島県だけということではございませんで、フィリピン人の芸能人一般の海外派遣につきまして、全世界的にこれに対する若干の規制を強化いたしました。そのような措置もあって、前段述べました福島県に対する措置も今日では解除されております。そのように理解しております。いろいろ御心配かけました。
○志賀(一)分科員 いろいろ御努力いただきましたことは御礼申し上げたいと思いますが、さらに、今国内には北海道から沖縄に至るまでいろいろな国々からたくさんの労働者がやってまいっている、こういうことで、今後ともそういった類似の問題も、あるいはそれ以上の問題も起きるかもしれない。そういうことを考えますと、特にアジア諸国に対してということを私は言いたいと思うのでありますが、アジア諸国との友好関係を深めるためには、問題によっては速やかな取り組みをして、それらの国々と友好関係が深まるような方向での対応を今後ともぜひ考えていただきたいということをまずお願いしておきたいと思います。 同時にまた、今申し上げたように、国内のいろいろな各地にたくさんの外国の方がおられる。例えば東京でも上野に行けばいっぱいイランの方々がいるとか、各地におられる方が非常に多いわけでありますが、そういう中から社会的な問題がいろいろと発生するおそれが多分にあるというふうに考えますと、今の時点で、当面してやるべきものでやっていかなければならぬのじゃないのか。そういう中で、短期的、長期的な見地からの法的な整備、そういうものも当然出てくるのではないかと思うのでありますが、そういう面でのお考えはどうなのか、若干お聞きをしたい。
○谷野政府委員 担当の者が参っておりませんので、具体的な法的な整備の面は自信を持ってお答えできませんけれども、前段の点は私も全くそのように思います。ひところ中国からの就学生の問題というのが大変大きな問題になって、これが日中関係に非常に好ましくない影響を持ったことがございました。ただいま、上野の公園の状況はお話がありましたけれども、イラン等の国々からの不法滞在者の滞留ということもございます。そういうことで、私の承知する限り、これはこれで、まさに仰せのように、的確に厳しく対応していってこそイランなり中国との友好関係もさらに前進し得るわけでございまして、国内の当局におきましてその面での具体的な措置あるいは必要に応じた仕組み、外国人技術者の受け入れの仕組みというものも考案されましたし、着々いろいろな措置がとられているというふうに承知いたしております。
○志賀(一)分科員 次に、小さな問題でありますけれども、これらの外国の労働者の皆さんが各地に、特に地方の場合おいでになる。そうするとやはり電話を留守家族にかけたいなということで電話ボックスに来る。ところが、そこに国際電話をかけられる電話ボックスが非常に少ない。白河でも一ガ所二カ所、わずかなものですから、はるばる十キロも二十キロも来て、もう夜中までかかって、待ってかけている。 そういう姿を見て、気の毒だな、こういうふうに思っている方からいろいろそんなお話もお聞きしたものですから、もし全国至るところにそういう労働者がおられるとすれば、そういう対応も温かい施策の一つとして考えていかなければならないのではないかと思いますが、どうでしょう。
○團説明員 お答えいたします。公衆電話で国際電話がかけられるようにということでございますが、これは五十九年の三月からこういう施策を始めまして、当初十四台ぐらいから始めまして、現在のところ全国で約三万台の公衆電話によって国際通話が可能というふうな状況になってきております。 これにつきましては、委員御指摘のとおり、在留する外国人の増加等もございますので、今後とも、NTTそれからKDDの協議によって決めていくわけでございますが、こういう数については利便の向上のためにふやしていきたいということでございます。
○志賀(一)分科員 次に、公職選挙法関係についてお伺いをいたしたいと思います。 選挙があれば違反はつきものといった風潮があることは極めて遺憾であり、しかも、その大半は買収が圧倒的に多いという資料をいただいて驚いているわけでありますが、見方によっては氷山の一角とも言われて極めて残念なことだと思うのであります。 御承知のように、英国では一八八三年、政治腐敗防止法案が通って以来百年、買収、供応という違反は全く皆無となった、法定費用の範囲内で政策論争を中心に選挙が争われるということはまことにうらやましい限りだ、そんなふうに思うわけです。また同時に、アメリカでも、政治家のスキャンダルは国民によって厳しい指弾を受けるという民主主義のルールが国民の間にしっかりと定着をしているというふうに聞いておるわけであります。 しかるに我が国においては、国民が寛容なのか、法がありながらその執行において寛大なのか、疑問なしとしないのでありますが、刑事被告人であっても選挙の洗礼を受ければみそぎが終わったということを言う方もありますし、公職にあるから執行猶予つきではかわいそうだから不起訴処分にするとかというような寛大な処置がとられている例が多いというふうに聞くのでありますが、法のもとに断固たる処分が行われなければ、法の存在価値が問われるのではないでしょうか。 このことについて、基本的な問題でありますので、その方針についてぜひ承りたい、こういうふうに思います。
○石附説明員 お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、警察は、選挙違反取り締まりを通じて選挙の公正確保に寄与するという責務を持っておるわけでございまして、その取り締まりの基本は、不偏不党かつ厳正公平な立場を堅持してその取り締まりに当たっているということでございます。 ところで、選挙違反の態様でございますけれども、まさに軽微な形式的な違反から買収など悪質な違反まで実にさまざまなものがございますので、警察といたしましては、その違反内容等を勘案いたしまして、比較的軽微なものにつきましては警告措置等により違法状態の早期除去また違反の続発防止ということで努める一方、悪質なものにつきましては積極的な検挙を図るなどの措置を講じまして取り締まりを行っているところでございます。 今後も、そのような方針に基づきまして適切な選挙違反取り締まりをやってまいりたい、こう考えております。
○志賀(一)分科員 ついせんだって、私どもの勉強会に警察庁の局長さんが来られて、いろいろ具体的事例についてのお話がございました。その中で、某市長が市会議員選挙に際して立候補予定者三十数名に対して陣中見舞いとして一人当たり数万円を供与したもの、そのほかいろいろございましたが、これに対してどういう結論がということをお聞きしたら、執行猶予では市長の資格がなくなるので起訴猶予ということにした、こういうお話を聞いているわけであります。 それで、最近の地方の実態というものを眺めましたときに、公職選挙法の関係で、どうも法を守るという立場からの対応が極めてなまぬるい、寛人過ぎるのではないかというふうな感じが私はいたしておるところであります。今も私の福島県内で、現職の町長が町会議員の選挙で十万から二十力程度を現金で町会議員全部に陣中見舞いとして贈っだということが送検されております。また、ある町長は、町会議員選挙前ですけれども、十万、多い人は三十万というお金を町会議員の何人かに忘年会の際にやって、これは私のもち代だ、孫に小遣いをやるようなもので何も選挙違反には関係ないよ、こういう意識で、この件もまた今捜査中のはずであります。また、これと関連して、喜多方市の夏祭りに、市会議員が広告にちゃんと寄附をして、そして全戸に配布して、花火を上げた、こういうふうなことなども、告訴されてもなかなか対応が鈍かった。 こういった一連のことを考え、また地方選挙の実態というのは最近もう全く困った状態になっている。地方選挙で自宅を選挙事務所にしてやっている場合など、たくさんの人が夕方になれば集まってきて酒飲みをやる、来なければ来ないで問題がある、そういうことがたくさん慣例的になっている。ところが、そういうことに対して、それは公選法上まずいよというふうに警察当局が警告を発したということは聞いたことがない。みんなで通れば怖くない式のことをやっているのかなと思うのでありますけれども、それでは法を守る立場にある方々の対応が極めてまずいのではないか。 それこそ先ほどおっしゃられたようにもっと厳正公平に、謙虚に、悪い点は悪いなりに改善していただくように指導し、助言を与える。罰則することばかりが能ではありませんから、そういうことを、常時勇気を持って警告を発するというようなことを積極的にやっていかないと、中央の方だけ政治改革を幾ら唱えても地方の方はさっぱりそうじゃない、もう悪の温床、選挙違反の温床は地方からだんだん大きなものになっていっているということでは困ると私は思うのでありまして、そういった指導、助言をひとついろいろとやってほしい、それが日本の政治をよくしていく根源だろう、こういうふうに思いますので、ぜひそういうことをやってほしい。見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○石附説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の点は、公選法の寄附の禁止で、二年前に法改正になったその問題の実際の運用ということに絡んでのお話だと思いますけれども、本法は改正から既に二年を経過しているということで、この法改正の趣旨とか内容等はよく周知されたと認められるに至っておる一方で、最近、陣中見舞い等の名目で比較的多額な現金を寄附する事例も散見されるなど、事案の悪質化というようなことが進んでいるのではないか、私どもそのような傾向があるというふうに見ておるわけでございます。したがって、この法改正の趣旨を徹底するためにも、この寄附行為の禁止に対する取り締まりを、事案の実態によりますけれども、より厳しい姿勢で臨む必要がある、こういうふうに考えているところでございます。 それから実績の方でございますけれども、この三月十日現在で、平成三年中に当庁に寄附の禁止ということで事件報告のあったものは二十七件、五十一名でございます。これは、平成二年中が四事件、五名でございますので、そういう意味で私どもも努力をしているということでございます。 それから警告件数でございますが、平成三年四月に行われました統一地方選の際における寄附の禁止の関係の警告件数でございますが、百六十二件、百六十一名ということになっております。 なお、全体の警告件数でございますが、これも私ども大変努力しておるわけでございますが、例えば平成二年の衆議院選挙の際には全国で約二万二千件、平成三年の統一地方選では全体で約三万二千件警告をいたしまして、選挙の取り締まりのまさに厳正公平という立場を全うしたい、またそのような取り締まりを行っているということを御報告申し上げたいと思います。
○志賀(一)分科員 どうもありがとうございました。
○伊東(秀)主査代理 これにて志賀一夫君の質疑は終了しました。 次に、辻一彦君。
○辻(一)分科員 私は、きょうは米の問題、そして中国の三江平原の農業開発にかかわる二点について、若干お尋ねしたいと思います。 まず大臣にお尋ねしますが、我が国の食糧自給率は、三十年代の八三%から今三〇%に、非常に低くなっております。もうこれは言うまでもないわけでありますが、サミット参加の国の中で最低は、日本を除けばイタリアの八九、あとは全部一〇〇を超えておる。日本は三〇%。世界に一億以上人口のある国が十ありますが、その中で旧ソ連の八三%が最低で、あとは全部九〇から一〇〇を超えている。こういう中で、依然として我が国は三〇%を切ろうとしておる。世界に例のない食糧自給率の低い国になっておると思いますが、これについてどういう認識をしていらっしゃるか、まずお尋ねしたい。
○渡辺(美)国務大臣 私は、穀物自給率の問題というのは非常な矛盾があると思うのです。つまり、穀物自給率はなぜ低くなったかという最大の原因は、これは肉食がふえた、つまりもっと具体的に言えば、牛肉一キログラムを家族で食べるということは、穀類で計算すると、トウモロコシだと、種類にもよるが十五キロないし十八キロを食べたと同じである。バケツいっぱいのトウモロコシを家族で食べてもこれは二週間もかかる話。ところが牛肉の場合は一晩で食べてしまう、これが最大なんです。豚肉だと、大体精肉一キロをつくるのには七キロないし八キロと言われます。卵だと大体四キロ前後と言われるわけですから、食生活の改善で動物たんぱくを国内でつくるということになれば、これは大変な量の穀類を必要とするし、その場所がない。したがって何百万トンというようなえさを外国から仕入れる。これが統計上からいうと穀物自給率をえらく少なくしてしまったということなんですね。ですから、肉類を輸入するのならばいいのですよ。国内で生産するということになると、自給率は非常に下がってしまう。その矛盾をどういうふうに解決するかということであろう、私はそう思っております。
○辻(一)分科員 自給率はいろいろなあらわし方がありますが、これに余り時間をとるのはどうかと思いますが、私は穀物自給率であらわすのは正しいと思うのです。それは、米から御飯を食べる、麦を粉にしてパンにして食べる、家畜のえさをもとにして乳、卵、肉を食べるわけですから、結局もとは全部穀物である、こういう意味で、自給率はOECD等も穀物自給率をもってその自給度をあらわしている。そういう点で、私は穀物自給率であらわすのが大事だと思う。カロリーベースも併用してもいいと思う。問題は、大事なのは、カロリーでいえば四十七、八%、穀物でいえば三〇%、そうすると、やはり我が国はできるだけ自給をしなくてはならない、こういうことを世界に理解をしてもらおうとしているときには、三〇%を切りかかっているという穀物自給率をもって各国を説得することが大事であると思いますが、この論争をしても三十分では余り短いですから、これはちょっと置いておいて、また別の機会にいたしましょう。 そこで、わずかに三〇%の、米を自給しているのです。これを外国から輸入をしたら、もう二〇%台に下がるのは目に見えている。いろいろな試算のシミュレーションがありますが、東大の森島教授は、この六年間、ダンケル案で関税化を図れば、受け入れれば三百六万トンの輸入が外国の米に置きかわる可能性がある、そうすると農林省は大体パーセントとして七%減る、だから二二、三%に我が国の自給率が下がる可能性もあると言っている。そういう点で私は、基本的な認識として、これ以上この食糧自給率を下げてはならないと思うのですね。これは大臣、いかがでしょう。
○渡辺(美)国務大臣 今申し上げましたように、私は、主食である米は今まで一〇〇%に近いものを国内でつくっている、これは事実です。問題は、動物たんぱくをとるかとらぬかということなんですよ。だから、仮に国内で豚の生産を何割減らすとか牛肉を減らす、それを外国から肉で買うんだということにすれば、輸入穀物が減りますから穀物自給率はずっと高くなってしまうのです。しかしそのこと自体は、高くなったからといってそれでは自慢できることかどうかとなると、これまた別な論争が出るわけでございますから、穀物の輸入を減らせば自給率というのは上がるのですよ。ところが、えさやなんかを減らすと、それでは畜産農家はどうなんだという話にすぐ結びついてくるので、穀物自給率論争というものは、それを高くするか安くするかは計画的にやればできるのです。できますが、そのことがいいことかどうかということはよく研究をする必要があるのじゃないかということを私は申し上げているのであって、その米の自給率を減らせということを言っているわけじゃありません。
○辻(一)分科員 自給率論はこの程度にしますが、一言申し上げておきたいのは、カロリーであらわした場合には卵や乳や肉は国内産になるのですね。だけど、そのもとはえさとして外国から入れておるのですからね。だから、カロリーでもって自給率をあらわすのも非常に矛盾があるのですよ。現状は全部外国から入れて、生産したのは国内産という勘定をするわけですからね。そういう点で、穀物ベースのあらわし方を考えなくてはならない。これはこの程度で切り上げます。 大臣は、ことしの一月の上旬、中旬、下旬と三回、米の関税化を容認するように受けとめられる御発言があって、明くる日は早速打ち消されておるのでありますが、関税化を考えていらっしゃるのかどうか、そこをちょっとお尋ねしたい。
○渡辺(美)国務大臣 それは私の地元のことでございますから。要するに地元で関税化というのはどういうのだという話がありまして、その説明をしたわけですよ。それから、部分輸入というのはどういうのだと。 日本でこの交渉をやっておるが、米は一粒たりとも入れないという議論が一つある、それからもう一つは、全面開放という議論もある、しかし、これは両方とも無理じゃないかと言ったことは事実なんです。そうすると、部分輸入という話と関税化による制限的な輸入というものがあって、こうこうしかじかだという説明をしたところが、今あなたが、正確に言えば、容認と受けとられかねない発言であったというように、新聞にも書いてありますからそういう誤解を大いに与えたことは事実でありまして、それは真意は違いますということを申し上げたわけであります。
○辻(一)分科員 じゃ、端的に言って、米の関税化も選択肢としてあり得るというお考えをお持ちなんですか。
○渡辺(美)国務大臣 これは、政府の方針としては例外なき関税化というのは困る、米については例外にしてもらわなければ困るんだ、そういうことでやっております。したがって、この間書類を提出する際も、米あるいは酪農関係のもの等については数字を書き込まずに出してあるということでございますから、これは高度の政治的な問題でございまして、これは私外務大臣といえども私の考え方だけで進めることはできません。
○辻(一)分科員 政府は、関税一覧表を空白で出しているからわかります。外務大臣、渡辺議員個人は、そこはどうお考えなんですか。
○渡辺(美)国務大臣 これは国会の討論でございますから、個人の意見を述べる場所じゃないのです。外務大臣の意見を述べる場所でございますから、個人の意見は差し控えさせていただきます。
○辻(一)分科員 いや、もちろん政府というよりも外務大臣としてです。それで結構です。 私は今まで論議されているのを直接聞いたわけではないのですが、新聞紙上とかいろいろなものを通して聞いた感じでは、高い関税をかければ米は入ってこないという認識をお持ちのように思いますが、それはどういう認識を持っていらっしゃいますか。
○渡辺(美)国務大臣 これも交渉事でございますから、すべて相手のあることなんですね。それは禁止的な関税をかければ入ってこない。それはいたずらする人があって、一トンとか二トンとか、大損してもいいんだ。要するにやってみようといつ人があれば全く入ってこないということはない。何倍も関税を取られてもそれは入ってこないということはない。しかし、それはほかの国も考えているように、高い関税をかければ入ってきません。それは事実です。
○辻(一)分科員 例えば、初めに七〇〇%、アメリカのヒルズあたりはそれが何年かは六〇〇%もということを言っていますね。そういう関税をかければ、初め直接はそのままには入らないでしょうね。しかし、我が国は米に七〇〇、六〇〇%という高い関税をかけているということは、世界じゅうで一年じゅう、年がら年じゅう非難、批判の対象になりますね。そういうときに、そういう高い関税を維持していることが実際としてはできなくなる。それはだんだん下げざるを得ない。下げればその分だけ入ってくる。だから、関税化は自由化につながる道だと私は思うのですが、ここらのつながりをどうお考えですか。
○渡辺(美)国務大臣 それもやり方の問題だろうと思いますが、一般的に考えると、先生のおっしゃるようなことが説得力が一番あるでしょう。
○辻(一)分科員 そうなると、関税化は高い関税をかけておれば輸入はとめられるというのはかなり甘い考えであって、実態は、こんな高い関税を世界じゅうから一年じゅうあらゆる機会に非難をされれば、我が国としてはなかなかそういう高い関税を守り切れない。結局下げていく、自由化につながる。こういう意味で私は、高い関税をかければ米の輸入は抑えられるというのは実際を見ると非常に困難ではないか、間違っているのではないかと思いますが、もう一言、大臣、いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 政府としては、したがいまして米の関税化には踏み切っていないということです。
○辻(一)分科員 昨晩の、三月十日の毎日新聞の夕刊を見ると、外務省は省内に米の関税化について私的懇談会を設けて検討しているというふうに報じられている。政府の方は、今大臣の発言のように、ガットに米の関税率を空白にして出している、例外ない関税化は認めないという姿勢を示しているにかかわらず、肝心の外務省の内部ではこういう相反するような論議というか検討がなされているということはどうかと思うのですが、これについていかがですか。
○小倉政府委員 今先生が言及されましたのは、外務省の私的懇談会でいろいろ議論しているという一種の報道が昨日ありましたことだと思いますけれども、これは実は数年前から、日本のウルグアイ・ラウンドにおける立場を考えますときに外務省の者といえども農業のことを勉強しておく必要がある、こういう観点から学者の方、若干の農業団体とか関係者の方に、専門家と申しますか、お集まりいただきまして、経済局の私的な懇談会、決して外務省の正式の審議会とかというものではございませんが、一種の勉強会というところでいろいろ勉強をしてきた。その中で、ダンケル・ペーパーが昨年出ましたので、そういうものについてもいろいろ勉強をしてきたということでございますので、決してお米の関税化をひそかに勉強していたとか、そういう趣旨の勉強会ではございません。
○辻(一)分科員 新聞記事ですから私は、懇談会の座長の加藤一郎さんが意見書を出されている、その意見書を見たいと言って要求したのですが、私的なものだということで外務省も内閣法制局も御遠慮したいというので、今のところまだ手に入れておりません。したがって、新聞の記事によらさるを得ない。ですが、その座長の加藤さんは米の関税化を受け入れた場合に食糧管理法を改正する必要がないとの意見書を提出していると伝えられているのですが、出された意見書の中にそうい一つことが書かれているのかどうか、いかがですか。
○小倉政府委員 実は、加藤先生はこの懇談会の座長と申しますか議長であられまして、法律の専門家でいらっしゃいますものですから、当然、ある段階でいろんな意見がありましたときに、食管法の沿革とかあるいはその中身につきまして加藤先生がいろいろ勉強会の中で御発言になったことは事実でございます。その際に加藤先生が、自分の考え、食管法の歴史とか見方についての若干のメモを、個人的なメモを御提示になったことも事実でございますけれども、いわゆる外務省に対する意見書とかその種の形のものをお出しになったということはございません。また、外務省がその内容につきまして、いかなる意味におきましても、何と申しますか、承認したとか賛成したとか、そういう趣旨のことではございません。
○辻(一)分科員 まあ加藤一郎先生といえば法律の方では権威のある方ですから、その方がこの意見書を私的懇談会に、あるいは内閣法制局の参与会に出されているやにありますね。これは、衆議院の予算委員会で工藤法制局長官が過日、関税化と食管法はなじみにくい、こういう見解を明らかにしておるんですが、農林省もそういう見解をとっておりますが、これと相反するような見解である、こう思いますが、こういうのも省内で論議をして、そして意見書が外務省の内部に、そして内閣法制局に出されている、こういうことについてどういうように大臣お考えですか。
○渡辺(美)国務大臣 実は私はきょうまで知らなかったのが事実でありまして、聞いてみたところが今言ったようなことだということなので、純然たる私的な勉強ですから、私的な勉強を、学問の自由を抑えるわけにもいきませんので、まあそうかというだけで、余りそれ以上の考えはありません。
○辻(一)分科員 夕刊でこういうふうに出ているんですね。あなた実際見ていらっしゃるんじゃないかと思いますが、少なくとも学者の単なる意見というよりも、私は与える影響というか、また、これはどうも外務大臣はこういう根拠で大分考えていらっしゃるんじゃないんですか。米の関税化云々等も、これは非常にあなたの考え方とここに書いてあるのはよく似ているんだけれども、そういうことはありませんか、いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 実はそれも読んでなかったんですよ。質問通告が出たということをけさ聞いただけなんです。だから、よく中身を知っておりませんから、私と似ているかどうかわかりません。
○辻(一)分科員 これは資料要求として提出を要求したいんですが、いかがですか。
○小倉政府委員 私ども別に、特に資料を隠すとかそういう意図はございません、加藤先生のメモみたいなものが懇談会にあったということは事実でございますから。しかしながら、これはいかがでございましょうか、今も大臣から学問の自由というようなことをお話しになりましたけれども、学者の個人の見解でございますので、それを外務省が何か委員会に資料として御提出するというのもちょっといかがなものかと思います。どういうことが議論されたかとかそういうことであれば、また機会を見まして加藤先生の御了承を得ればお話しできると思いますけれども、そのものを提出するというのは、ちょっと私の立場としましてはいかがかと思います。
○辻(一)分科員 それは、御本人の了解を得て、表現はどうでもいいですよ、実際に我々が中身を勉強できるようにしていただきたいと思います。 それで、三月二十六日、七日にOECDはパリで農相会議を開くというんですが、地球環境と共存する農業政策への転換という共同声明を出すということが言われております。これは私は大変いい方向であると思うのです。というのは、昭和六十二年ですが、私はパリのOECDの本部でビアット農業総局長に会って、当時PSE等によって保護削減の計量手段が開発された、こういうものをもって保護削減をやろうというので、土地改良や基盤整備あるいは災害または農業共済等は対象にすべきでないという論議を一時間ほどやったことがあるんですね。当時は、OECDはガットのいわゆる自由貿易の方向、まあ工業も農業も一緒くたにしてとにかくやっていこう、こういう方向を推進するためにこういう開発をして努力しておったんですが、そのOECDが今地球環境と共存する農業政策への転換という方針を出してきたということは、かなり大きな変化じゃないかと思うのですが、これをどういうように受けとめていらっしゃるか、お伺いしたい。
○小倉政府委員 先生おっしゃいますとおり、三月の末にOECDで第十一回の農業大臣会議の会合が叩かれるという予定になっております。そこで農業改革の現状、農業政策の将来及びソ連、東欧諸国における農業といったようなことが議論になることになっておりまして、その一環としまして、今おっしゃいましたように、農業と環境ということが農業政策の将来の方向という非常に重要なテーマの中で議論されるということになっておりまして、確かに先生おっしゃいますように農業と環境との結びつきということが非常に大きなテーマとしてOECDでも取り上げられるようになってきておりますし、大臣会合におきましても取り上げられる予定である、それから、そのことが大臣会合のコミュニケの素案に載っておるということも事実でございます。
○辻(一)分科員 今世界は地球環境の問題で熱帯性雨林の消失、これを抑えて再生をしよう、あるいは開発を抑制して緑を残そう、こういうことに非常に力を入れている時代ですね。ガットの論理でいくと、強い者が農業をやって、弱いところはせっかく自給ができる、農業生産できる、緑が維持できるのにつぶしてしまうということになりかねないのですね。ところが、地球環境という観点から見れば、世界の各地に農業生産できるところはできるだけそれを自給し生産して、緑を維持して発展さしていく、こういうことが地球環境を維持する上から見て大変大事だと思うのですね。だから、こういう流れがOECDの中で大きくなるということは大変望ましい方向である。しかもそれは、我が国がガットの中で食糧安全保障論を食糧の自給という観点から展開してきたけれども、もう一つは国土保全、環境保全、水資源の保全という農業のもう一面の大事さをずっと主張してきた、そういう面が正しいということが今証明されつつあるのじゃないかという感じがしますが、これについてどういう見解ですか。
○小倉政府委員 確かにウルグアイ・ラウンドの交渉の中におきまして、おっしゃるような食糧安全保障ということ、及び環境も含めまして非貿易的な要因が農業においては非常に重要なんだというポイントを、日本、スイス、北欧の一部の国もそうでございますが、そういった国々が主張してまいりまして、中間レビューにおいてもそういうことが認められた、そういった一環として、農業と環境との問題というのが今おっしゃいますようにOECDでも非常に取り上げられているということだと思います。 ただ、別の面もございまして、農業が環境に及ぼしている影響という面、例えば養豚業とか、いろいろな意味で農業をする際に環境問題をどのように考えていくかという、そちらの面もございますので、両方あわせてOECDは議論しようということになっております。
○辻(一)分科員 地球環境の問題は世界に通ずる論理でありますから、やはり日本の農業を、緑を守っていくという観点から、外務省もひとつ地球環境と農業、この調和の観点からさらに理論構築をしてもらって、しっかり頑張ってほしいと思います。 時間があればいろいろ伺いたいんですが、あと、せっかくですからこれは大臣に一問お尋ねしたい。 それは、私も予算委員会で何回か取り上げてきましたが、中国の黒竜江省、一番北でありますが、旧満州に三江平原、一千万ヘクタールの平原があります。松花江それから黒竜江に挟まれたこの平原、六百万町歩の農耕可能地。半分が開発されて、半分は、日本の全水田に当たります三百万町歩近くは、干ばつ、洪水、それから一メーターという低湿地のために水が流れない、そういうことであえいでおるのですが、ここを日中両方で、一九八一年にJICAで調査団を出してかつてない調査をやったのです。農林省は技術陣を延べ百八十七名、三年間に送って、この龍頭橋典型区開発計画という、五万ヘクタールほどのモデル地区にダムをつくり、それからかんがいをやり、低湿地から排水をするという青写真をつくったんですね。これはもう外務省も皆力を合わせてやったわけです。ところが、中国の国内の融資の優先順位から、どうしてもエネルギー、輸送、通信等にお金が優先する、こういう点で、日本の円借款は三次に及んでおりますが、なかなかこっちの方に今度は回ってこないんですね。 そこで、最近私も、去年の五月と十月に四人の調査団を編成して現地を見てきましたが、現地黒竜江省は今相当力を入れてやりたい、中央政府も幾らかお金を出す、日本の円借款が可能ならば、この三百万ヘクタール、全体は六百万ヘクタールの中の五万ヘクタールという百分の一程度でありますが、それでも相当大きなモデル地区を発展させることができると。 だから、中国からそういう要請があったら、私はこれにこたえて円借款の対象にして推進するということが、中国十三億の将来の民族の食料のためにも、あるいは将来シベリア開発を環日本海でやるときに、ウクライナから食料を運ぶんじゃなしに中ソ国境から食料を供給すればシベリアの開発も進めやすい、いろいろな点から考えて大事な問題じゃないかと思うのですが、これについてひとつ大臣の見解をお伺いしたい。
○渡辺(美)国務大臣 当然この円借問題は、相手国政府の意見に反したことはできません。当然プライオリティー、優先順位がありますから、第四次計画等で要請があれば十分検討に値するものだと思っております。
○辻(一)分科員 大臣もひとつ、一遍時間があったら現地を見ていただきたいと思います。 終わります。ありがとうございました。
○伊東(秀)主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了しました。 次に、井上普方君。 〔伊東(秀)主査代理退席、村上主査代理 着席〕
○井上(普)分科員 予算委員会を通じまして、渡辺外務大臣の歴史観といいますか政治観というのを実は拝聴しまして、ああいうお考え方を持っているんだな、実は私は初めて承っておるのです。この間のだれの質問でございましたか、あなたは、今言うたら日本は五十歳ぐらいになったんじゃないか、こういうことをおっしゃいました。今までの盛者、栄える者は必ず滅びる、滅びるというか衰えていくんだというようなお話もございまして、「大国の興亡」という分厚い本が出たり、このごろはまた、歴史の終わりなんという話も出ております。 しかし、我々とすれば、日本国とすれば、あるいは日本民族とすればその栄えた国をいかに長くするかという努力をしなきゃいかぬと思うんですよ。その努力をする一番大事な役所は、日本はこういう国でございますから、ともかく軍部は持たないという憲法を持ちながらも軽武装の自衛隊を持っている、こういうような国でございますから、一番大事な役所はどこだといいましたら、私はいつも言うのですが、外務省と文部省だと言っているんです。これはまた後ほど触れますけれども、そういう観点からひとつ御質問申し上げたいと思います。 その一つは、御承知のようにODA予算が一般会計では八千億ですか、それから財投も含めますと、大体一兆七千億にもなってきた、この間も申しましたけれども。しかし、今まで外務省は、それがどういうように使われているかというのは国民は余り知らない、その成果は知らないという実態があったことも事実です。しかしその言いわけとして、これを使うのは外国だから外国の主権を重んじなければならぬ、こういうようなへ理屈を言いまして、ともかくそれがどういうように使われておるか、内容を調べるのを拒否し続けた時期もございます。 これは、当時マルコス政権があったから恐らくそういうことを中曽根内閣も言ったのだろうと私は思うのでございますが、もはや一兆七千億の予算を使うような時代になったのですから、ひとつアメリカがマーシャルプランのときのように、あるいはまたその後の戦後援助のときのように、ともかく、厳しい会計検査までやれとは私は申しませんけれども、国民の皆さん方にわかるようにするような努力を、外務大臣はやられておるというようにこの問答弁されておりましたが、さらに一層の御努力を願いたいと思うのでございますが、いかがでございます。
○渡辺(美)国務大臣 事業団でいろいろ報告書等はきちっと出しておるのですが、非常に分厚いもので、専門的に書いてあってわかりづらいというようなことはあるでしょう。したがって、大ざっぱなことが一般の人にわかりやすいような、専門家は別ですよ、専門家はそんな分厚いものを読んでもらえばいいのですから。国民がわかるようなPRをもつとする必要があるだろう、そう思っています。
○井上(普)分科員 いや、そういうことじゃなくて、私は会計検査が、今の実態がどういうように成果があらわれておるか、ともかく日本の役所が向こうへ出向いて調べるようなことをやれるようなシステムにしなさい、こう言っているのですよ。 私は池田行彦さんと一緒にイラクに行ったことがあります、イラ・イラ戦争のときに。そうしますと、もう外務大臣も御存じのとおり、バグダッドの空港からバグダッドの市内への直線道路が片道四車線ですか、だあっと進んでいますね。ところどころ歩道橋がある。歩道橋を見てみますと、あれ何だ、歩道橋だな、立派なものができているなといって行ったのですが、あれには全部エスカレーターがついているというのです。エスカレーターが歩道橋にですよ。砂漠の中でエスカレーターができたらどうなる。あの網の中へジャリジャリと砂が入ったら動かぬじゃないか、そのとおりです、全部動きませんと。それを聞いて、一体これは日本の業者が日本の経済協力でやったのかと私は思わず聞きました。そしたら、日本の業者ではない。武器をイラクに売っておる国だったですよ。 こういうようなことで、ともかく何に使っても――私はまた病院に行きました。日本が経済協力しておる病院へ行きました。私も医者の端くれですから大体わかります。ところが、説明するのが貿易業者でございます。フランスです。貿易業者が全部ともかく、日本の経済協力で病院をつくって医療施設なんか入れておる。説明するのは全部業者ですね。商社です。 だから、結局今のODAと経済協力というのは、商社なりそういうプロが相手国に対して、こんなことをやれば日本の経済協力がもらえますよ、こうやったらどうですか、ああやったらどうですかと、アドバイスと言いながら商売をして、そして日本に持ってくるという傾向が私はかなり強いのじゃないかと思うのです。こういうのは改めなければいかぬと思います。こういうようなところを改めていく。そしてまたそれが本当にその国の国民の民生の向上のために使われるようにならなきゃならない。 四つの原則を海部内閣当時つくりましたが、この間も外務大臣ちょっと、そのうちの人権問題については御意見があった。独特の御意見を持っておった。しかし、あとの三点については、私賛成です。そしてまた、そうあらなきゃならぬと私は思う。この間シュミットさんの話をしましたわな。だから私はもうこのことは申しませんが、いずれにしても、ともかく民生の安定といいますか、人類愛といいますか、そういうために経済協力というのはOECDが最初始めたものですよ、これは。だから私は、そういう原点を忘れずに、あるいは戦略的なというお言葉もあなたはお使いになった、それは軍人の戦略じゃない、それもわかっています。しかし、今の日本の外務省の役人に言わせたら、戦略的に使ったらいい言うたら何に使うだろうか、はっきり申して。あるいは日本が国連の常任理事国になるために、あるいはこういうようなことをやるからというので買収するかもわからぬですよ、今の外務省の役人は。私はそう思っているのだ。私、外務省の役人に対して不信感を今までも持っていますし、また渡辺さんもかつてパリで、今から二十年ぐらい前、武勇伝を発揮したことも私知っていますが、それはそれとして、しかしきちっとしたものにしなきゃいかぬと思いますので、このことをあえてお伺いしているのです。 会計検査院がそこまで入れとは私は申しませんが、それに近いものがあってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○渡辺(美)国務大臣 二つありますね。一つは、せっかく政府開発援助をやるのですから、相手国の希望をまず第一義的に聞くといっても、余りデモンストレーションのようなことをやられて経済効果がないようなプロジェクトをつくられたんではかなわない。したがって、これについてはやはり国際的に認められたフィージビリティースタディーをきちっとやっていただく。そういうことについて、国内では関係省庁等の意見も聞くし、大蔵省は個別査定、プロジェクトをまとめて、金幾らというのでなくてどういうプロジェクトですか、どういうことをやるんですか、経済効果はありますかというようなことの個別査定をフィージビリティースタディーの中から酌み取って、それでちゃんとチェックはするんですよ、一つは。相手国にももちろん問題点は言います。これをきちっとやることが私は必要だな。――会計検査院等もできるだけ見て、差し支えない範囲で見て、意見をもらうということも私はいいと思いますね。これも結構なことでしょう。 それから、業者があらかじめ、いずれも発展途上国ですから、そんなことを外務大臣が言うのはどうかと思いますが、どういうふうにデザインしてどういうふうなことをやったらいいかということは自分では決め切れないというのはあるのです。確かに。そういうところに専門家が行って、こうしてやったらいいよ、ああしてやったらいいよといって教えて、その気にさせるということがあったことも事実。あるんですよ、今までは。ところが、その場合は往々にしてひもつき、こうなるわけですから、ひもつきをなくせば業者絡みの話というのはなくなってくるのですよ。完全な国際入札ですから、そうなれば幾らおぜん立てしてやっても、そのおかげで日本から円借受けても第三国にとられちゃう。そういうのがどんどんふえてきていますから、アンタイドにするということでそういうような疑念はだんだん少なくなってきている、これも事実。ですから、いろいろ工夫を凝らしながら私は成果の上がるようにしたらいい。 それからもう一つは、失敗したものは失敗したでやむを得ないのです、終わっちゃったやつですから。全く自分の国でなくて、民族、習慣の違うところで失敗することはあるのですよ。あったときには赤裸々に、これは失敗だったと。そのときに余りしかりつけるからみんな隠すわけだから、それはしかりつけないで、国会でも、それはやむを得ないな、それは確かにそういう事情だったんだろうと。これはもう、普通の善管注意を怠ったわけじゃないが、そういうふうなことまではわからなかったという場合もありますよ。そうすると、それを明らかにしておけば、二回、三回は失敗しない。だから私は、失敗のケースというのはどんどんはっきり出しなさい、それでいいじゃないか、下手に隠すから後になってはれてとっちめられるんだから。まあ、とっちめられるなんという言葉はちょっと取り消しておきますが。だから、そういうふうにやれということで目下指導を始めているのですよ。失敗したケースを出していいのですよ。そんな、百点満点はみんないかないんだ、国内だって問題があるんだから。まして発展途上国などの場合で、全く習慣が違うようなときには、あり得るのですよ。だから、それを二回繰り返さないようにするということが大事だと思っています。
○井上(普)分科員 大臣のお考え方は私はよくわかりました。そしてまた、大蔵大臣を御経験の外務大臣でございますので、大蔵省がチェックするんだ、だからある程度大丈夫だ、これもある程度私は認めます。しかし、大蔵省のチェックだけでいいんだろうかという気は私もいたします。しかし、外務大臣の経済援助に対する考え方、私はそれをさらに一歩も二歩も前進してやっていただきたい、そう思うのですよ。 いろいろ申し上げたいことがあるのですが、実は私この間も申し上げて、ちょっと時間が足りませんで言ったのですが、ベトナムという国へ行きましたところが、外務大臣も、在野と言ったらいかぬですか、内閣に入っておられぬときに、中国あるいはベトナム、カンボジア、あちらあたりをぐるぐるとお回りになって視察されておるので現状はよくわかっておられると思う。 御承知のように、ベトナムという国はフランスと戦争してフランスをやっつけた。続いてアメリカが攻め込んできたけれども、アメリカもやっっけた。中国とも戦争して、こいつもやっつけた。意気上がったものですな。そこでカンボジアへ攻め込んだ。私に言わせたら、何のために行ったんかいな、無名の師というのはこのことだなと当時から思っておりました。そのために国力が疲弊して現状に至っておるのじゃないかと私は思います。 今現在においては、日本は紛争当事国に対しましては経済援助をやらないという方針をやっているのです。ところが、アメリカが経済封鎖をやって、それに縛られておるのが現状じゃないかと思う。しかしアメリカだって、ベトナムに負けだということを国民に言えばいいんだけれども、大国だから言えないんだな、これが。アメリカだっていいかげんなことをようけやっている。この間も中野寛成君がパナマのノリエガ将軍のことも言いよったが、グレナダでもあんなむちゃくちゃな侵攻をやっているのですよ。しかも、ベトナム戦争で五万人も死者が出たんでしょう、あれらは。そして経済封鎖は、最初は、これは私が申し上げるまでもなく、ともかくカンボジアの和平といいますか平和交渉ができたら経済封鎖はやめますよ、こう言っていたんです。ところが、それが見通しがつき出した。そうするとこのごろは、行方不明になった兵隊を、百七十人ですか、何やらの死骸が一体どうなっているのか、これがわからなんだら解除せぬなんてむちゃくちゃ言いよる、五万人も死んだのだからと。そんなことをいったら日本だって、シベリアへ行って一体何万人行方不明になっているのです、これは。 そこらあたりが、ちょっと外務大臣だから、あなたも今選挙の最中だから余り言うたらぴぴんと響くからこれは申しませんけれども、私はベトナムに対して、あの国は非常に民度が高い。しかも、あそこにホンゲイという石炭がある、無煙炭がある。これは世界最良の質です。そして、日露戦争のときにバルチック艦隊が、ウラジオストクへ行くときにカムラン湾に集結したんですね。あそこから出るときにホンゲイ炭が使われるか使われないか、これが非常に国民的な関心事になったくらい有名なホンゲイ炭です、無煙炭です。これが海岸から、港からわずか十キロのところにある。だから、ここの港をインフラをやってやれば、ベルトコンベヤーで運んでくる。今までともかく日本は、ベトナム戦争までは七十万トンぐらい輸入しておったのです。ところが、これが今はストップしておるのです。経済的な、いいと思ったら高う売りつけるということも、これはあったでしょう。しかし、港をつくってやればそれくらい安く入るのです。 あるいはまた、カムラン湾の周辺の海岸の珪砂は、世界最良の珪砂だそうです。シリコンだそうです。私がどうして知っているかといいますと、ちょうどバンコクからサイゴンに入る飛行機で隣に地質学者が私と一緒になった。それでいろいろ話を聞いたので実はこんなことを知っているのですよ。あるいは石油も、この間うち入札があったが、どうもアメリカ資本が後ろにおって、何やら影武者みたいな感じもせぬでもない。 しかし私は、この間も申しましたけれども、アジア重視といいますか、こういうように考え方を変えていかなければ日本は相手にせられる国にならない。外務大臣が言われるように、日本の栄えたときをなるべく長くするということを我々は真剣に考えなければならぬときですよ。そういうときに、一体どこに目を向けたらいいのか。私は、東南アジア、アジアを依然として植民地のごとく置いておこうとするやの国がなしとしないその中において、私は大東亜共栄圏の考え方じゃないですよ、その中において、ひとつ、ともに栄えようじゃないか、共生じようじゃないか、これが日本のあるべき姿であって、そういう方向に進んでいただきたいと私は思う。現にEAEGがEAECになって、コーカスをつくらぬかというような話にまたなってきている。ただ、この中にはやはりベトナムが入っていますよ。ASEANを中心として韓国、朝鮮、中国、日本、こういうように非常に情勢が変わってきている。今こそ、そのアジアの皆さん方にこたえるためには、これはいろいろあるだろうけれども、開発効果が上がるようなところへ投資をしてやらなければいかぬのじゃないだろうか、そして民生をさらに高めてやる必要があるのじゃないだろうか、こう思いますのであえて申し上げるのですが、ベトナムに対する経済援助についてお考え方がありましたらひとつお伺いいたしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 我が国はアジアの一角ですし、アジアにはいろいろ戦争等で御迷惑かけた国も多々ある。したがって、やはり近さから遠きに及ぼすことも大事なことであって、我が国の経済援助の大体七割ぐらい、六割か七割ぐらいはアジア中心に年々行われている、これも事実なのです。フランスはフランスあたりで、アフリカとか晋の自分の宗主国関係のところに余計お金が出ている、これも事実。私は、それはそれでいいのだろうと思っております。したがって、アジアに重点的に今後も考えていきたいということが一つ。 ところが、日本とアメリカは安保条約で結ばれておりますが、アメリカと中国との関係、アメリカとベトナムとの関係、全く同じ態度を我々がとるということはできないのです、実際のところ。中国とアメリカとの関係で、不仲なところがこの間もありました。そういうことについては、中国の方もアメリカにちょっと協力してくださいよ、アメリカの方もそんな百点満点言われたってそれも無理ですよというようなことで、具体的なことは申し上げませんが、私は、大げさに言えば橋渡しみたいなことですが、そういうことで両方誤解が解けるような方途をやってきたのも事実です。 ですから、ベトナムの問題も、アメリカはまだ平和条約が結ばれていない、それで国交もない、これも事実。日本は国交があって大使館も置いてやっているわけですから、だからベトナムさん、カンボジア和平に協力してくださいよ、協力してくれれば日本も応援しますよと言って協力させてきたことも事実なんですよ。ですから今度は、我々はうそをつくわけにいかないわけですから、しかしアメリカの立場も考えながら、そこは日本とアメリカの間を余りぎすぎすさせるようなことも困るし、そこらのところはよく話し合いをしながらちゃんとやっていったらいい、私はそう思っているのです。
○井上(普)分科員 それほどアジアの諸国民は、特に東南アジアの諸国民は日本に期待しているところが大きいのです。しかし、いろいろこの間も申しましたけれども、申し上げません。ただ、この間私は行きまして、あの有名なホンゲイ炭どうなっているのだと聞きましたら、あの無煙炭を全部粉末にしまして、練炭をつくって北朝鮮に送るというのですよ。何とまあ優秀な、私ら歴史書を読むとホンゲイ炭がそんなものかいなと思いました。それよりも、日本ではこれだけ公害が起こっているのだからあれを輸入すればなと思うのです。それは外務大臣の今後の働きに私は大いに期待いたしたいと存じます。 そこでもう一つ申し上げたい。最初に申し上げたことだ。 実は、外務省に対しまして行革審が「国際化対応・国民生活重視の行政改革に関する第一次答申」が去年の七月に出ています。それで外交官の、外務省のあり方について実は書かれている。行革審でやられたのは初めてのことだと私は思う。いろいろ読んでみると、なかなか私らにも賛成とするところもあるけれども、いささかどうかというようなところもある。ただ、私は外務省のお役人は今までぼろくそに言ってきた。私は外務委員会などでは、それはひどい言葉を使ったこともあります。しかしそれは、日本で一番大事な役所はどこだ、外務省だと思えばこそなのですよ。 それで、日本の外務省の定員も少ない。これは戦前から比べますと、戦前の外交官の数に達していないでしょう。吉田さんが占領後大量に首を切ったことにもある。しかし、そのほかに、本を読んでみると陸軍省の研究員であるとか、勉強する者をどんどん陸軍省、海軍省、たくさん留学に出していた。留学というより外に出していた、駐在武官とは別に。そんなのからすると外務省をもう少し強化しなければいかぬということはわかるけれども、余りにもだらしない。これは何だ。これが私はここに欠けているのだと思うのです。 一つは、今キャリア組でいいますと、キャリア組が入省するのが大体一年に二十四、五人でしょう。あるいは三十人に達していない。しかしながら、戦前でございましたら特命全権大使というのは十五、六人だ。そんなものでしょう。ところが今じゃ百何十人になってしまった。だから、ところてんにずっと特命全権大使になれるということで安住しておるのじゃないかということが私には感じられてならない。だからここに改めて、大使、公使は「人格、識見、能力、経験等の面でふさわしい者が任命されるべきであり、広く外務省、他省庁、民間から人材を積極的に起用」すべしという答申になっているゆえんも、そこに私はあると思う。そして新しい血を、ほかからの血を導入することによって外務省がさらに活性化していただきたい、そのことを強く私はこいねがうものでございます。大臣の御所見を承りたい。
○渡辺(美)国務大臣 それは一つの卓見でありますから、十分考えていきたいと思います。
○井上(普)分科員 以上、終わります。
○村上主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了しました。 次に、草川昭三君。
○草川分科員 草川でございます。 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害を逃れてポーランドからリトアニアに脱出をしてきましたユダヤ人に、日本通過の査証を日本国政府の命令に反して発給を続け、そして六千人のユダヤ人の命を救った旧リトアニア領事館領事代理杉原千畝氏の名誉回復について、この際外務大臣の見解を求めたいと思います。 一九四〇年、ナチス・ドイツのポーランド侵攻で多くのユダヤ人がリトアニアなどバルト三国に殺到をし、日本を経由して米国などへ脱出するためビザの発給を求めていたときの話であります。当時リトアニア駐在の杉原副領事は、再三にわたってビザ発給の許可を日本政府に請訓をするわけですけれども、拒否をされたようであります。日本は日独防共協定を結び、ドイツとは同盟関係にあったからだと言われております。苦しんだ末、杉原副領事は独断でビザ発給に踏み切り、転勤命令が繰り返し伝えられる中、リトアニアを出国する出発ぎりぎりまで、列車にまで押しかけるユダヤ人の方々にその列車の中でビザを書き続け、六千人の命を救ったと言われています。 〔村上主査代理退席、主査着席〕 私たちは、つい最近までこの人道的な行為を知らずにきたことを大変恥ずかしく思っております。終戦後ソ連での抑留から帰国をされました杉原氏は、外務省に復職を願いますけれども、昭和二十二年の人員整理ということで退官を強いられました。独断によるビザ発給は本国政府の訓令違反とされたと言えます。杉原氏本人も家族も、本省の意向に反してピザを発給した責任を問われたとの思いを抱き続け、四十四年間外務省関係者との交流を一切絶っていらっしゃいました。昨年の十月、鈴木宗男外務政務次官がリトアニアとの外交関係樹立を機会にこの問題を取り上げられ、飯倉公館で御家族に謝罪をされたと聞いております。しかし、その席に外務大臣も外務省の局長も同席をされていないという対応をした、大変こういう対応に私は不満であります。この際、外務省は正式に謝罪をし、この方を顕彰すべきだと思うんですが、大臣の見解を問いたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 これは昔の古い話なので記録以外には調べようがないんですが、杉原さんが訓令違反で処分されたという記録はどこにもない。それから、そういうような査証を発行したのは十五年ですが、その後でプラハの総領事館あるいはケーニヒスベルクの領事館、ルーマニア公館等を七年間勤務してきた。だから、七年間外務省にずっとおるわけですから、処分をされたわけではないし、二十二年には約三分の一、外務省の人員の三分の一が解雇されたそうです。終戦直後の話ですから、その三分の一の中に入っだということは事実でございますが、特に不名誉な話ということは私は全く聞いておりません。 それから、鈴木次官がそういうことであられたということは、私は今初めてここで聞きました。
○草川分科員 外務省、それは大変おかしいので、きょうはこのことを予告してあるわけでありますし、随分多くの新聞で杉原元リトアニア副領事四十四年ぶり名誉回復、不本意な退官、外務省、遺族に謝罪、随分いろいろな新聞に出ているのですよ。それを大臣が知らないというのは外務省の対応が非常にまずいと思うのですが、その点はどうですか。
○兵藤政府委員 仰せのお話でございますけれども、若干補足させていただきますれば、例えば杉原氏は後刻叙勲も受けておられるわけでございます。たしか勲五等瑞宝章という勲章を受けておられる。このことからいたしましても、先生御指摘の訓令違反があったのでやめさせられたということではなかったのだろうというふうに私ども拝察をいたしております。 それからなお、御指摘の鈴木政務次官が外務省を代表されておわびしたということでございますけれども、中山外務大臣御在職中のことでございましたけれども、鈴木政務次官がバルト三国にまさに歴史的な外交関係を樹立する任務を帯びて立たれるという直前にこの杉原副領事のお話を聞かれて、政務次官御自身も大変に感激をされ、ビリニュスに、あるいはその当時はカウナスでございましたけれども、スギハラ通りというものができたという話も聞かれて、ぜひ未亡人にお会いして自分の気持ちを伝えたいというお話もございました結果そういうことが実現をいたしました。 なおその前にも、例えば五月でございましたか、中山外務大臣がイスラエルに外務大臣として正式に訪問をされましたときにも、中山外務大臣から公式の場で、これはイスラエルにおける発言でございましたけれども、日本国民の一人として人道に基づく杉原副領事の判断と行動を深く誇りにするという発言を外務大臣としてしておられることも、先生御承知のとおりでございます。
○草川分科員 じゃ、渡辺外務大臣は今の答弁を聞かれまして、杉原氏の名誉回復というのですか、本人を初め遺族の方々は私が先ほどるる説明をしたようなお気持ちを持ってみえたわけでありますから、また政務次官もそういう意向を体して去年お会いになられた、こういうことでありますので、改めて渡辺外務大臣としてどのような御見解が、意見を賜りたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 私は、その事態をよく見て人道的な見地からそれだけの御苦労をして出国をさせたということは、やはりすばらしかったなと、過去を振り返ってそのようなたたえたい気持ちであります。
○草川分科員 そういうようにたたえられるというも言葉でございますので、じゃ次の質問に移りたいと思います。 当時ビザを発給するなという訓令を日本の外務省は現地の領事館に出したと思うのでございますけれども、当時はナチス・ドイツとの友好関係からそれはそれなりの歴史的な経過があったと思うのです。しかし、戦争が終わって第二次世界大戦の反省を我々もしておるわけでありますが、改めて新しい日本政府というものが昭和二十年以後生まれたわけであります。改めて考えてみますと、その当時の訓令というものの正否はどうだったのか、本当に正しかったのかどうか、改めてその歴史的なごとにさかのぼってお伺いしたいと思います。
○兵藤政府委員 当時出されておりました訓令でございますけれども、私ども今改めて調べまして確認をいたしましたところでは、これはユダヤ人だけを対象にこうしろという訓令ではなくて、当時御承知のごとき戦争という状況下で難民がかなり多数発生をしていた、その難民をどう取り扱ったらいいかという、査証発給の一般的な指針という形で出ていたというふうに理解をいたしております。 その際に、指針として三つのことが特に強調されていた。一つは、この難民が最終的に行く行き先国の入国許可が明確に得られていること。それから、そこに参ります旅費を本人が持っていること。それから、日本を通過していくわけでございますから、日本に滞在いたしますときの少なくとも滞在費は持っている。つまり、当時の日本の政府に迷惑をかけないということを確認するという三つが指針になっていたというふうに理解いたしております。
○草川分科員 いろいろとその間の経緯については奥さんが本にされております。その本を我々も拝読しておるわけでありますが、今局長の答弁のような形で大変親切に訓令がされたようではないようであります。何回かもうやめろやめろというような繰り返し繰り返しの何か指示のようであったようでございまして、確かに日本通過の際の旅費だとか受け入れ国の許可があればというような今の答弁ばかりではない、こういうように理解をしておるわけであります。 そこで、戦後杉原さんが帰られたとき、昭和二十二年でございますが、この段階ではその訓令の是非を判断できなかったとしても、過去の戦争を反省し、その責任の所在を明確にするならば、訓令違反は免責されるのではないかという意見を私は持っておる。ただし、外務省は別に処分をしたわけではないという御答弁ですから、食い違いがあるのですけれども、私は、もし外務省に訓令違反というような考え方がなければ、叙勲が勲五等ということはないと思うのですよ。少なくとも、かかる国家公務員の経歴からいうならば勲五等ではなくて勲四等とか、もう少し、副領事の経験があるならば、勲三になるかどうかそれは私はわかりませんが、少なくとも勲五等ということはないと思うのですよ。そういう点では、外務省は非常に冷たい仕打ちをしておったのではないか、私はこんなように思います。 そこで、これは私の意見になりますので、次の質問に答えてもらいたいのですが、ナチス・ドイツに協力をする立場から、政府のこの訓令は当時やむを得なかったものとしても、改めて日本の今日の新しい憲法の精神に照らして考えると、ナチスと協力したことは間違いだったという表明、これを私は一回きちっとすべきではないだろうかと思うのです。このことについて、戦後今日に至るまで日本の外務大臣なりあるいはまた総理大臣はこの種のことについて表明をいたす機会がなかったと思うので、改めて外務大臣の見解の表明を求めたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 当時は、共産主義というものに対しては我が国が極めて厳しい拒否反応を持っておったときですね。日独防共協定というようなものも結ばれたり、当時の情勢としては、ソ連の共産主義の日本への伝播というか、来ることを極端に嫌ったという社会背景があることは間違いありません。そういう中で結ばれたものだろうと存じますが、その後でそれがよかったのか悪かったのか、これは私はなかなか判断のしかねるところでありますが、その当時として政策の間違いだったということをここで断定するほどの勇気は私は実はありません。ありませんが、あれで非常にすばらしい選択の道だったということもちょっと言えない、疑問を持っているという感じです、それほど勉強していませんから。
○草川分科員 勉強するとかしないじゃなくて、日本外交を現実にしょってみえるわけですから、渡辺さんの達見した哲学というのは随分いろいろな場所で表明されておるわけですよ。その渡辺外務大臣の基本的な理念というものから考えれば、今のような御答弁では非常に不十分だと思うのです。これは、私は、従軍慰安婦の問題とかということに波及することは別にしまして、そういうことではなくて、ナチスという基本的な専制主義というのですか、ファシズムというのですか、そういうものに対するきちっとした反省は述べられてもおかしくないと私は思うのですが、再度御答弁を願いたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 共産主義に対すると同じように、ファシズムに対して同盟関係を結び米英を相手に戦争するようなことになったわけですから、私はこの選択はやはり正しくなかったと思います。
○草川分科員 正しくなかったという御答弁でございますので、次に移っていきたいと思うのです。 同じように日本が真珠湾攻撃をしたわけでありますけれども、その真珠湾攻撃五十年の今、同じようにという前段を避けまして、最も問われているのは日米開戦の通告のおくれだということが昨年の暮れに随分言われました。外務省首脳は、先日、これは昨年のことでございますが、このことについてワシントンの日本大使館の連絡ミスであったというような発言をされております。いわば戦争の責任を明確にしたわけですけれども、これを敷衍して申し上げるならば、人道的、民主的立場から明らかに間違っていたと見られるこの種の訓令、先ほどの杉原さんに対する訓令もこの際誤りだったと訂正をされる勇気はないのか、お答えを願いたいと思います。
○兵藤政府委員 この訓令自体は当時の状況下で、つまり、当時の日本政府が把握できた状況下で、と申しますのは、当時ポーランドあるいはドイツでユダヤ人に対して何が行われたかということを正確に知る全体像が全くわからないという状況下で、難民に対して一般的な形で出された指針、訓令ということで、これ自体、手続等に瑕疵があったというふうには私ども認識しておりませんけれども、そのことは決して、その訓令自体が今の時点に立って当時の状況を考えたときに正当化されるかと言えば、私は、それは必ずしもそうではないだろう。 先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、確かに訓令違反、そのときの時点の服務命令の次元で考えればそうであったけれども、しかしもっと大きな次元で考えれば、先生おっしゃったように、数千人の人命を救うかどうかというより大きな問題がそこにかかわっていたということで、結果的に見れば我々もこの話は美談だったというふうに今見るわけでございますのであるからこそ世界の、例えばユダヤ人社会では表彰され、あるいはリトアニア、ビリニュスではスギハラ通りという名前が命名されているのだろうと思うのでございます。ですから、この二つのことは峻別して考える必要があるかなと思っております。
○草川分科員 要するに当時は当時、しかし大きな次元で考えれば杉原さんの功績というのは評価されるべきだ、それは、その証拠に諸外国からの評価があるじゃないかという御答弁。問題は、外務省自身としてその評価を、いま一度高い次元で杉原さんの行為は評価するということをおっしゃることができないのか、おっしゃれるのか、いま一度お答え願いたいと思います。これは大臣から。
○兵藤政府委員 その点につきましては、先ほど先生御指摘のございましたように、外務省として外務大臣に次いで重責にあります当時の鈴木宗男政務次官から正式におわびの言葉を申し上げ、遺憾の言葉を申し上げ、外務省としても杉原副領事の行動というものが大変勇気のある立派な行動だったということを申し上げて、夫人もこれでわだかまりが取れたということを申されたということで、私どもはそういう一つの過程を今申し上げたような形でとらしていただいたという認識をいたしておるところであります。
○草川分科員 くどいようですけれども、そういう評価があるならば、昨年の鈴木政務次官が奥さんを初め御長男の方と会われた十月の三日ですか、そのときにどうして局長なり事務次官なり、大臣は当日もしお忙しいとするならばそういう方々が同席をされなかったのかどうか。これはもう政務次官のお仕事だ、私はこの態度はいただけぬと思うのですが、その点の反省はどうでしょう。これは大臣からぜひお願いしたいと思います。今から考えればということで。
○兵藤政府委員 当時私も欧亜局長をいたしておりました。ちょっと私、そのときの日程を今つぶさに持っておりませんけれども、たしか何らかの理由で欠席をせざるを得なかったということは大変申しわけなく思っておるわけでございますけれども、私どもは外務大臣に次ぐ最高責任者から直接奥様に申し上げたということが最大の、しかも飯倉公館というところで、正式な場所で正式に申し上げたということで最大限の礼は尽くせたのじゃないかというふうに考えた次第でございます。
○草川分科員 じゃ、次に移りますが、外交強化懇というのがございますけれども、いろいろな提言なりをしておみえになると思うのです。海外での邦人保護のために大使館の中、特に領事部の職員を大幅に増員をする、あるいはまたノンキャリアの職員を大使に積極的に登用をする、こういうことを援言をしておると思うのでございますが、北京の天安門事件のときだとか、湾岸戦争のときなどでも現地に在住をしました邦人の安全対策、救出、脱国策など現地の日本大使館の対応は、それなりに一生懸命やっていただいておるわけでありますけれども、アメリカだとか西欧諸国に比べて非常に人員の面でも立ちおくれがあったのではないだろうか、あるいはまた情報機器の使用等についても商社の機材を借りるというようなこともあったやに聞いておりますけれども、ひとつこの際思い切っでこのようなノンキャリアの職員を大幅に大使に登用するとか増具をするとかというようなことについてどのような見解を持っておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤(嘉)政府委員 草川先生御指摘のとおり、私ども外務省としてあらゆる事態に機敏に対応しなければならないということは私どもふだんから心がけているところでございます。 有能な人物であれば専門職であっても大使に任命すべきではないかという御意見でございます。全く同感でございます。私どもはそういう気持ちを持って職員の採用を行い、また訓練も行い、そして優秀な人物については適切なポストにつけていくということを現に心がけているわけでございます。それで、若干事実関係で御理解をいただきたいと思うのでございますが、既に在外の大使で専門職であって大使のポストについている方も二十名以上おられるわけでございます。具体的な例として一つ申し上げますと、昨今のカンボジアにおきます今川大使はまさにカンボジアの専門家として長年外務省に奉職をし、今やカンボジア側の要人から最大の信頼を受けているわけです。こういう形で私どもは有能な人材を適切なポストにつけ、外交活動の強化ということを心がけてまいりたいと思っております。これも引き続きやってまいりたいと思っております。これは単に事務当局の方針であるというだけではなく渡辺大臣の御方針でもありますので、私どもとしてはそのような観点から外交強化を心がけてまいりたいと思いますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
○草川分科員 もう時間がちょっとありませんので、在外邦人の救出について一問、これは外務大臣にちょっと見解だけ聞いておきたいのですが、きのう、我々にとってみれば突如として、在外邦人救出に自衛隊機の活用を政府決定というニュースが飛び込んできまして、これは本来は防衛庁長官で、私は次に質問をいたしますけれども、外務大臣の要請があった場合に自衛隊機の在外邦人救出ということになる、こういうふうに言われておりますね。その中で、私は非常に見逃せないのは、PKO協力法案が廃案になることもあり得るということを念頭に置いてこの種のものが出てきたというような一部報道もあるのですよ。解説もあるのです。 私は、この在外邦人救出の問題についてはきちっとして落ちついて、それで国民的な合意をとって対応していただかないと、突如としてこういう法案が出てくる、防衛庁の方々に聞くと、少なくとも外務大臣の要請があるからいいじゃないかというような言い方をしておりますけれども、私はこれは甚だ不本意でございますが、外務大臣のこの点についての見解を求めまして、ちょうど時間になりますので終わりたい、こう思います。
○渡辺(美)国務大臣 私は外務大臣になる前からこの話は聞いておりますが、だから突如ということではないと思います。かなり前から、政府機を購入するという話が出た当時から、総理大臣だけが使うのかというようなことがありましたし、それでまして湾岸戦争の後の自衛隊の飛行機飛ばせる、飛ばせない、実はあの当時からの話でございます。それから、PKO法案が廃案になるからというようなことは、全くそれはどういうふうな憶測で書かれているか理解に苦しむところでございます。 ただ、人は運べるのにそういうときに物を持っていってやれない、せっかく難民や何かも、邦人救出するというのなら、行くんだからついでにそこへ品物をちゃんと載せて、医薬品とか食糧だとか積んで飛ばしたっていいのじゃないかという議論は、私もそう思うのです。ところが、これは別な自衛隊法を直さなければできないというのが法制局の見解であったので、ちょっとこれはおかしいじゃないかという感じは受けました。
○草川分科員 以上で終わります。
○志賀主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。 次に北側一雄君。
○北側分科員 公明党の北側一雄でございます。きょうはNGOに対する支援の問題で質問をさせていただきたいと思います。 ODAによって大規模な政府間援助がなされているわけなんですけれども、それとは全く違った意味で、NGOによる途上国支援というのは非常に重要な役割を持っていると思っております。農村の開発とか教育とか保健衛生とか医療分野とか、また地域産業の発展とか環境保全とか、こうした経済協力にNGOが非常に活躍をしていると思うのですけれども、開発途上国の支援という目的のためにNGOの持っておる役割をどのように外務省の方は認識をされておられるのか、答弁をお願いしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 民間援助団体、いわゆるNGOは、草の根に直結した援助、災害等緊急時に必要な、しかも迅速な援助が行えるというのが特徴だ、そのように思っております。したがいまして、NGOの活動を一層支援をするため、平成元年度にはNGO事業補助金、それから小規模無償資金協力などを導入してその活動を大いに拡大し、奨励しているというのが政府の立場であります。
○北側分科員 今大臣おっしゃったように、NGOによる途上国支援というのは非常にプラスの点がある。今おっしゃった、草の根の援助ができる、また災害などの緊急時における迅速な対応が可能であるとか、そのほかにも非常にきめ細やかな対応が可能であるとか、またNGOによる支援であると直接内政干渉というような問題が起こってこないとかさまざまなプラスの点がございます。大臣も、こういう開発途上国によく行っておられて実態をよく御承知のことと思うのですけれども、私の経験によりましても、NGOというのが非常に重要な役割を持っておるなというふうに実感をしております。 例えば、昨年私、バングラデシュのサイクロンの直後にバングラデシュの国に行っておるのですけれども、日本からも国際緊急援助隊、消防庁の方々が五十名、二機のヘリコプターで参加されました。日本の国際緊急援助隊についても、現地では非常に高い評価をされておりました。ところが、日本とか、隣のインド、パキスタン、中国、イギリス、アメリカ、そういう国々が物資の輸送作業をしたわけなんですが、実際被災したチッタゴン周辺の被災地に物を運ぶまではそういう国がやっているのですけれども、運ばれた物を被災民たちに適切に配付をしていく、この作業をだれがやっておったかというと、バングラで頑張っているNGOが非常に中心的な役割を果たしてやっておった。だから、確かに食料とか水とかそういうものをどんどんダッカまで運んでいくのはできたのですけれども、問題はチッタゴンまで運んでいって、チッタゴンから被災民に渡す作業というのが非常に現地の状況をよくわかっている人でないとできなかった。それで現地のNGOが非常に重要な役割を果たしたんだということを私、その直後に聞きまして、NGOというのは非常に大切だなというふうに実感した次第なんです。 それ以外にも、同じく去年の夏にカンボジアに行っておるのですけれども、私が行ったときにも、カンボジアでは日本のNGOなんかも幾つか活躍をしておりました。カンボジア和平が成りまして、今いよいよPKO活動なんかも始まろうとしておるのですけれども、日本のNGOも幾つかカンボジアの復興作業に頑張っておられますが、先般カンボジアに行った人の話を聞きますと、日本のNGOはまだ少ないのですけれども海外のNGOは和平後もどんどんやってきまして、今や何と三百を超えるようなNGOが集まってきている、それが今ずっとふえている、こういうことを聞きました。 今、国際貢献というテーマが一昨年来議論されているわけなんですけれども、政府による国際貢献、ODAとかPKO、国際緊急援助隊が重要であると私は考えます。とともに、NGOによる草の根の支援というのが本当に大事だなということを痛感しております。私は、ODAやPKOや国際緊急援助隊と同様に、NGOによる草の根支援というのが国際貢献の車の両輪であると考えますが、大臣,いかがでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 本当に自発的に確信を持ってやっておる人たちが多いのですよ。だから私は、多くの団体の中で、オイスカというものの議員連盟の会長をやっておったことがあるのですが、あれなどは、宗教団体だから補助金やらないとかなんとかと最初言っておったが、泊まり込みでかなり長い間、もう二十年近くやっておるでしょう。一つの信念を持ってあれはやっておりますから、そんな大規模なものではないが、非常に各地で尊敬され喜ばれている一つの例だと思うのです。したがって、こういう自発的な民間団体が清らかな精神のもとでたくましい力を発揮していただくことは、日本人の真価を大変高め非常にいいことだ、そういう点において今後とも期待もし、いいものには奨励もしていきたい、さように私は考えております。
○北側分科員 そういう意味で、日本のNGOは欧米に比べますとやはり歴史も浅いということもありますし、財政基盤も非常に不安定な団体が多いということもございますし、NGOの重要性からいいまして、NGOを育てていくような助成策というものが今後非常に重要じゃないか。一方、日本のNGOも最近非常にふえてきておるのです。NGOの活動をより積極的にこれから支援する必要があるというふうに私は考えますけれども、先ほど二制度をおっしゃいましたけれども、具体的にどのような支援策を考えておられるのか答弁をお願いいたします。
○川上政府委員 外務省といたしましても、今外務大臣から述べられたように、基本的に、まさに先生が御指摘になられましたような考え方で、ODAを通じてNGOを助成していく、育ってもらうということが非常に重要だという認識でございますが、そのための具体的な点につきましては、今御指摘のように日本の場合NGOの歴史が比較的浅うございますので財政基盤が弱いということがございます。したがって、先ほど大臣からもお話がありましたNGOに対する事業ベースの補助金制度、それから別途、小規模無償という制度を我々同じように平成元年から導入したわけでございますが、この小規模無償というのは大体百万円から一千万円程度の、いわゆるODAでやる無償と比べれば比較的少額のものでございます。これの担い手というのは大部分NGOといいますか、日本のNGOのみならず外国のNGOも入っているわけでございますけれども、こういう人たちを通じての援助というものをこれからやってまいる。それから、NGO自体の、団体としての補助金ということも、しかるべき資格を備えた団体にはこういう補助金制度も行っております。そのような種々の制度を通じまして、先ほど大臣からもお話がありましたように、今後さらに予算面でも財政当局の御理解を得ながらこれを伸ばしてまいりたい、予算的な措置も強化してまいりたいということで、今国会で御審議いただいている次第でございます。
○北側分科員 NGO事業補助金制度それから小規模無償資金協力制度、これはともに平成元年度から始まっているのですね。徐々に予算がふえてきてはおるのですけれども、これ、ともに三億前後の予算じゃないかと思うのです。もっとこの金額を多くしていただかないといけないのじゃないのかと訴えたいと思います。 ちょっと細かな点でお聞きをいたしますけれども、NGOの事業補助金制度なんですが、この要件は、過去三年間以上にわたってみずから人員を派遣し、補助対象事業に準じた事業の活動実績を有する、そういう要件がないと事業補助金が出せないというふうに現行はなっておるわけなのですね。ところが、やはりNGOをより積極的に育成していこうというふうな観点から考えましたら、この要件は少し厳し過ぎるのじ神ないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
○川上政府委員 御指摘の点でございますが、事業補助金制度につきましては、公正かつ効率的に税金が使用されることを確保する必要があるという観点に加えて平成元年に創設された新しい制度であったわけで、補助事業者の事業執行能力といったものを十分調査するという必要もございましたので、今御指摘のように交付条件として三年間の事業実績を求めてきたわけでございますが、御指摘のようにNGOの事業というものをさらに促進する、政府としても援助を申し上げるという観点から、今申しました制度も三カ年運用されてきたという実績もございますし、こういうものをにらみながらNGOにとって一層使いやすい補助金にするという観点から、平成四年度から三年の実績を二年にするということを目下内部で検討中でございます。
○北側分科員 ぜひNGOが支援を受けやすいような環境整備をしていただきたいというふうに思います。 次に、このNGOの事業補助金というのは事業に対する補助なのですけれども、NGOをしっかり育成をしていこう、そういう環境整備をしていこうとするならばそういう事業の補助だけではなくて、一番困っているのは日常的な経費なのですね、恒常経費、こういうものに対する財政的な支援というのが何か考えられないのかなというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
○川上政府委員 御指摘の点につきましては、今までの実績といたしましては確かに基本的に事業について補助金を交付する、もちろん団体補助金をつけている団体もございますけれどもそれは別といたしまして、基本的には御指摘のとおりでございます。ただ、NGOが海外で行う事業に直接関係する管理費といったもの、例えば海外からの通信費、それから海外での若干の人件費、交通費といったような管理費については、一定の範囲、二〇%程度でございますが、その範囲で補助金を交付している例もございます。 他方、NGOの団体の維持に関する恒常的経費、その点についてのお尋ねかと存じますけれども、これにつきましてはやはりNGOのボランティア性と申しますか自主性という問題もございますので、そういう意味から団体独自の努力にまつべきものではないかというふうに我々は考えている次第でございます。
○北側分科員 小規模無償資金協力についてお聞きいたします。 これは提案なのですが、災害などの緊急時の支援のあり方として、こういう緊急時の支援というのは迅速な支援策というのがないと、後でやっても余り意味はないのですね。そういう場合に、一定の資金枠、限度を設けまして、本省の方の事前了承を経ずに在外公館の独自の判断である一定の枠については機動的に効果的な協力ができるような仕組みをつくっていくべきじゃないかというふうに思うのです。 なぜそんなことを申すかといいますと、去年のバングラデシュのサイクロン被災の後に私が行ったときに、こんな話を聞きました。 一つは、NGOの方がおっしゃっておったのですけれども、救援活動をするに当たって立ち上がりの十日間くらいの資金が非常に不足をしているのだ、後になったらどんどん来るわけなのですね、最初の十日間くらいの資金が非常に不足をしている。私たちも資金面での不安から思い切った救援活動の計画というのは立てにくいのだ、被災直後の救援資金の援助についてぜひNGOを積極的に活用してもらいたい、こういう意見をおっしゃっておりました。 もう一つは、これはバングラデシュのイギリス大使館で聞いた話なのですけれども、イギリス大使館は、これは五月にサイクロンが発生したのですが、月曜日にサイクロンが発生しまして翌日の火曜日にイギリス大使館の独自の判断で使途を決めてNGOに資金援助をしているのです。よくそんなことができるなというふうに聞いてみましたら、三カ月で四百五十万ポンドの範囲であればNGOに対し援助する枠が在外公館の方に独自に与えられているのだという、そういう制度をおっしゃっていました。こういう災害のような緊急時の支援のことを考えましたら、ある程度在外公館の判断で出せるような、そういう仕組みを検討すべきじゃないかというふうに私は思います。後では幾らでも、幾らでもと言ったら変ですけれども、たくさん多くの国から支援がやってまいりますので、やはり最初の一週間、十日間のそういうときに効果的に、少ない金額でもそういう支援をすることというのが私は非常に意味があるのではないのかなというふうに思いますけれども、いかがですか。
○川上政府委員 貴重な御意見と存じます。 確かにNGOに対する事業補助金それから小規模無償資金協力、いずれの制度もまだ始まって三年足らずでございますので制度として完全に固まってもいませんし、そういう意味では逆に柔軟性もあり得るのかもしれませんけれども、その点、御指摘の点も踏まえて、今後ぜひ検討してまいりたいと我々思います。 ただ、今の事業補助金制度のもとでは若干の運用上の柔軟性も既にあるやと承知いたしておりまして、例えばピナツボ火山の噴火の際の援助に際しまして補助金を出したという例もございます。これはNGO、たしか二十四時間テレビチャリティー委員会だったと思いますけれども、それが行う援助に対する補助というような例もございます。ただ、在外公館の一定の枠を設けて云々ということになりますと、もうちょっと機動性が出てくるわけでございますが、他方、その援助資金の適正使用という観点からの検討課題もあろうかと存じますので、その辺を含めまして検討させていただきたいと存じます。
○北側分科員 大臣、このNGOの事業補助金制度や小規模無償資金協力制度はNGOを支援していくために私は非常にいい制度だというふうに思うのです。ところが実際問題、予算額としては、始まったばかりですけれども、補助金制度の方は九二年度三億四千万円、それから小規模無償資金協力九〇年度二億九千六百万円、まだまだこれは金額が少な過ぎるのじゃないか。しっかりこれの増額在ぜひ大臣検討していただきたい。後でちょっと質問させてもらいますけれども、あの郵政省のつくった国際ボランティア貯金でさえ何とことしは二十四億円集まって、それをNGOに配付しようかというふうになっているわけですね。それが政府の方がやっているのが三億前後というのはどうなんだというふうに私は思いますが、いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 政府の方は予算ですから、国民の税金でやるのでおのずから制限がある。しかし、片方は一般の民間の人の御寄附でやっておるので、それだけに絞ってありますから金額が多いということだと存じます。平成四年度は約十億円を超える要求が出ておりますが、これが通過いたしますと、成立すると、去年よりは三割ぐら、いふえるわけですから、ほかの予算の伸び率から比べれば比較的ふえている、こう見ていただいて結構だと思います。
○北側分科員 そうなんですけれども、もとの金額自体が非常に少ないですからね。大臣、NGOの自己資金の対ODA比というのがあるのですね。これが日本の場合は八九年で一・四%なんですよ。海外に比べて物すごく低いわけなんですね。また、ODAに占めるNGOの補助金の割合も八九年で〇・八%、これは欧米に比べますと本当に低い金額でございますので、私はODAからの積極的な活用をぜひお願いをする次第でございます。 ここで、国際ボランティア貯金について大蔵省の方にお聞きをしたいと思うのです。 これは本当に郵政省の時宜に即したヒット商品だというふうに私は思うのですけれども、昨年が十一億、ことしか見込みで二十四億の寄附金になるのじゃないかというふうに言われております。ところが、今この制度の仕組みが利子の税引き後、その二〇%を寄附金に充当するという取り扱いになっておるのですけれども、この制度の趣旨からいいまして、寄附金充当部分の利子については非課税にする、税引き前の二〇%を寄附金に充当できるようにすべきじゃないかというふうに考えるのです。二十四億円でしたら、私ちょっと計算してみましたら、もし非課税にしましたら六億ふえまして三十億円、ボランティアのNGOの方に回せるわけなんです。六億の差があるわけですよ、ことしては。これは預金をなされておられる善意の国民の方々の意思を考えましても、ぜひこの二〇%の寄附金の部分については非課税扱いにすべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
○尾原説明員 御説明申し上げます。 国際ボランティア貯金の利子のうち寄附金に充てられる分を非課税にせよという御指摘でございました。税制上、いろいろ考えてみますと、根幹に触れる問題が種々ございます。そういうことから、御趣旨は理解できるわけでございますけれども、税制からは適当でないというふうに考えているわけでございます。 一つは、預貯金等の利子に対して適正にどのような課税をするかという関連での問題がございます。御承知のように、今の預貯金等の利子につきましては二〇%、つまり国が一五%、地方が五%の税率によりまして源泉分離課税が行われるということになっております。これは利子についての課税関係を支払い段階で完結させてしまおうという制度でございますので、利子が何に使われるかということで例外を設けていくということは、この源泉分離課税の本来の目的にそぐわない面が出てくるのではないかというのが第一点でございます。 それから第二番目に、寄附金税制との関係がございます。小額の寄附金につきましては、これはいわばポケットマネーからお出しいただくというのが税制の考え方になっております。これは御承知のように、赤い羽根あるいは緑の羽根、さらには年賀はがきも寄附でございますけれども、同じような取り扱いになっておりまして、国際ボランティアの貯金だけを例外にするというのは今までの税制の考え方にはなじまないということでございます。 それから、最近、NGOといいました場合に、どのような範晴のものを指すのか、私は明確にわかりませんけれども、例えば指定寄附金なり特定公益増進法人制度というのが寄附金にございまして、今般のロシアの難民の問題あるいは難民基金の問題等々につきましても税制面では対応させてもらっているというところでございます。
○北側分科員 しかし、それは恐らく預金をされている方の意思には合っていないと思います。だから、ことし二十四億というかなり大きな寄附金になってまいったわけで、これをさらに定着し、この制度をさらに広めていくためには、そういう特別の措置がなされることによってさらにこれが定着をしていくのではないかと私は思うのです。これは私は今すぐとは申しませんけれども、これはずっと続きますので、ぜひ検討をしていただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。 時間もございませんので、最後に一点お聞きいたしますが、大臣もよく御存じのように、青年海外協力隊とか今申しているようなNGOの方々、またJICAの方々、そういう海外で国際協力をして帰国してくる方々がおられるのですけれども、そういう方々が教員志望の方が結構多いのですよ。実際、現地でも教育に携わっておられる、人材育成の仕事をされておられる。それで帰ってきて、教員志望の人が多い。一方では現職の方々をできるだけ国際協力に使っていくということで検討していただいてはおるのですけれども、一方では教員志望の人が多い。ところが、教員採用選考試験の際にこうした国際協力経験について今考慮されておりませんので、なかなか試験が難しくて教員になれないという方が結構おられるわけなんですよ。私は、そういう貴重な国際協力をしてきた方々の経験はぜひ日本の社会の中で活用すべきであるし、こういう教員採用試験の際の選考方法の何らかの一要素として検討するようなことが考えられないのかと思っております。これはむしろ文部省の方に聞くべき筋合いの話であるとは思うのですけれども、外務大臣は副総理でもいらっしゃいますし、ぜひこれについて前向きに御検討いただけないものか、ぜひ御答弁のほどお願いいたします。
○川上政府委員 事務的な側面が多うございますので、ちょっと恐縮でございますが、御答弁をお許しいただきたいと思います。 先生御指摘のいろいろな側面、まず国際参加者、隊員の参加者の経験を生かすべきだというような側面につきましては、例えばJICAに登用する、あるいは外務省にも入っていただくといったようなことで着々と進んでおります。それから、御指摘のございました現職参加の制度につきましても着々と関係企業の協力を求めている状況にあるわけでございまして、隊員の帰国後の行き先につきまして制度がだんだんとうまく整ってまいっておるという状況にあるわけでございます。最後の教員採用の際の要素にするという点につきましては、御指摘もございましたように、これは私どもだけではお答えできないわけでございますけれども、協力隊員の就職問題対策の一環ということで検討してきておるわけでございますが、資格試験の関係がございますので、ちょっと難しい面があると承知いたしております。
○北側分科員 終わります。
○志賀主査 これにて北側一雄君の質疑は終了しました。 次に、山原健二郎君。
○山原分科員 米軍の低空飛行の問題ですが、これは四国山脈一帯の例を挙げまして質問をいたしたいと思います。 前々から随分問題になっているんですけれども、特に一昨年来ジェット戦闘機の低空、超低空飛行が急増しております。これは吉野川流域の、私のふるさとですけれども、本山町の町役場が一昨年五月から記録しておりますジェット戦闘機飛来記録一覧表というのがつくられておりまして、それによりますと、昨年一年間に確認されただけで四十九日間、九十一回、百十三機に上りまして、低空、超低空飛行あるいはアクロバット飛行あるいは空中給油などが町民の頭上で行われております。 この問題につきまして、これは嶺北地方と呼んでおりますが、四カ町村の町村長が連名で昨年の十二月二日、年末、宮澤総理及び渡辺外務大臣に対しまして要望書を提出をしております。これをちょっと読み上げてみます。 低空飛行訓練に関する要望書 昨年来物部川、吉野川流域で米軍用機と思われるジェット機が超低空飛行訓練を行い、関係住民の不安が募っている。当地方では、数年前より飛来、特に本年になって一日数回と回数も急増し飛行高度も超低空となり、地域住民から住民無視の行動だと苦情も相次いでいる。当地域には、早明浦ダムをはじめ、発電所、送電線等の公共施設と集材用架線が数多く存在し極めて危険な状態である。 また、超低空飛行の爆音で家の軒、ガラスが揺らぎ、小・中学校、高等学校の授業や会議等が中断する、赤ん坊、入院患者が驚いて目を覚ましおびえてしかみつく、食事中には食物がのどにつまる、乳牛の乳の出が悪くなる、など住民生活に与える影響は多く、重大な問題となっているため関係町村では、住民の生命・財産を守り平和で安心して暮らせる自治体づくりを進めている立場から、誠に憂慮に耐えないところでおる。よって、早急に所属機の確認をしていだたき、関係機関に対して超低空飛行訓練をただちに中止するよう勧告することを要望する。という中身でございまして、総理大臣宮澤喜一殿、外務大臣渡辺美智雄殿、こういうふうになっております。 これについて外務省としてどのように受けとめられてどう対応されたのか、それを最初に伺っておきたいのです。
○佐藤(行)政府委員 ただいまお読みいただきました要望書につきましては我々も内容を読ませていただきまして、この低空飛行の問題が各地で最近いろいろな問題を起こしているということは我々も承知しておりますし、アメリカ側に対しても、なるべく住民の方々に対する影響を少なくしながらこうした訓練を行うようにしてもらうということが趣旨だと思いますので、我々としては繰り返しアメリカ側にもその点、注意を喚起しております。
○山原分科員 喚起されておると思いますが、次第に数がふえているのですね。だから、これは地上から写した飛行機でありますけれども、これは明らかに米軍戦闘機FA18ではないかと言われております。これはごらんになっておられると思いますが、機種の確認はされたことはございますか。
○佐藤(行)政府委員 私は専門家ではございませんので、わかると思いますが、今この場でお答えはできません。
○山原分科員 ほぼ戦闘機FA18だろうというふうに我々は踏んでいるわけですけれども、実際ははっきりさせてもらいたいというのも要望書の中にございます。 このFA18は米海軍、海兵隊の主力機で空母艦載の戦闘攻撃機です。攻撃機として使う場合には通常爆弾二十四発、六トンを運ぶとされておりまして、これがもし墜落したりすればこれは大変な事故になるわけです、もし搭載されておるとするならば。 要望書にあるように、ここの嶺北地方には四国の水がめと言われる巨大な早明浦ダムがあります。これは全国第四位の巨大貯水量を持っているダムでありますが、その周辺をはうようにして飛行訓練が繰り返される。実際は吉野川に沿って、ずっと流れに沿って行くのですね。それから、逆な形で行くとか、あるいは二機一緒になって空中給油をやるとか、あるいは早明浦ダムのところで二つに分かれて飛び散っていくとか、一種のアクロバットなども行われておるということでございますし、送電線あるいは木材集材用のワイヤなども随所にございます。 こういうところで、日本政府、今外務省がおっしゃったように、しばしば要請しておるにもかかわらずなぜこんなことが行われ、しかもその頻度がどんどんふえていく、幾ら要請しても地方村民などの言うことなど聞く必要はないのだというような態度さえ見られる状態、これは何としてもとめていただかなければなりませんが、この低空飛行訓練は訓練空域の外なんですね。高知沖には、御承知のように米軍の訓練空域がございます。L空域あるいはリマ区域と呼んでおりますけれども、その外でこうした訓練を行うなどということはもってのほかだと思うのです。 外務大臣、米軍機によるこの傍若無人の訓練は直ちにやめさせていただきたいと思いますが、その点で大臣の御決意を伺っておきたいのです。
○佐藤(行)政府委員 大臣のお答えの前に一言申し上げておきたいと思いますが、我が国は日米安保体制のもとでアメリカによる増援、我が国も必要であるという可能性もあって米軍の駐留を認めているわけであります。また、極東の安全のためもありまして米軍の駐留を認めているわけでありますが、米軍の駐留を認めているということの前提は、やはり米軍の活動が、例えばここにありますような航空機の航行に伴う技能の向上ということも含めての訓練を認めているわけでございます。 したがいまして、地域住民の方々に御迷惑がかかっているということは我々も承知しているわけでありますけれども、その点につきましては、アメリカ側に対してそういう影響を極力少なくするようにということ、さらに、当然のことでありますが、公共の安全を十分尊重しでそのような訓練を行うということを申し入れることはございますけれども、訓練そのものをやめてくれということは申し入れる考えはございません。
○山原分科員 大臣に後で伺いますけれども、本当にこれは何とかしてもらわないと、こんなことは完全に一発でとまるという情勢ではないかもしれませんけれども、外務省として、日本政府としても要請しておるにもかかわらずますますふえていくという状態ですね。しかも、日米安保条約の問題にしましても、これは最後にお尋ねするかもしれませんが、米軍は訓練区域があって、その外でも――自衛隊の場合はできなくなっているのですからね。訓練区域の外では自衛隊はできないのですが、米軍の場合は地位協定のときにそういう予想がないといいますか、そのために演習ができるのだけれども、しかし、今まで外務省が答弁されている中身を見ましても、「米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいというわけではございませんで、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきもの」、「政府といたしましても、米軍に対し累次の機会に飛行の安全及び地域住民に与える影響に配慮するよう申し入れを行ってきているところ」だ、こういうふうに五年前にお答えになっているのです。飛行の安全及び地域住民に与える影響に配慮するよう米軍にも申し入れている、こういうふうに、これはちょうど十津川のワイヤが切れたときですね、あのときに当時の宇野外務大臣も御答弁になっているわけですね。 ところが、それがますますふえておるということになってまいりますと、米軍への実効ある申し入れというものはどんなのがあるのか。このままでますます頻度がふえていくのか、ますます不安な状態に置かれるのかということになりますと、これはやはり外務省としても相当腹を決めて交渉していただかなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。 今の、飛行機が飛んでおる下にいらっしゃる方についての御迷惑のことはよぐわかります。ただ、先ほど申し上げましたように、米軍機についても、低空飛行ということも一つの技能向上の一環でございますし、今は確かに我が国に対する脅威ということは直接は感じられませんけれども、いざとなった場合には、必要な場合には我が国の防衛のためにも役立つという目的のために米軍もいるわけでございまして、そのためには我が国の上空を飛んでおくということも大事なわけであります。 また、御承知のように、軍の一つの特徴でございますが、在日米軍に配属されております航空機も、またほかの地域に転属していくこともあるわけでありまして、一般的にパイロットの技能の向上ということは、軍の機能の一環として必要不可欠な問題であります。したがって、公共の安全、これは当然でありますし、住民の方々に対する御迷惑も極力最小限にするということは考えていかなければならないものと我々も思い、またアメリカ側とも話し合っているわけでありますが、これをやめてほしいということだけは、安保条約によってアメリカの協力に依存している我が国としても言い得ないところだと私は考えております。
○山原分科員 外務省のそういう申し入れに対して、米側はどういう回答をしておられるのですか。
○佐藤(行)政府委員 向こう側とのやりとりについて内容的に一々申し上げることはできませんが、基本的には、我々からの申し入れを待つまでもなく、我が国の公共の安全に配慮を払うのはアメリカの義務でございますので、その点については繰り返し向こう側からも確認をいたしております。また、大きな不安が起きたような事故のときには、改めて内部で通達をするとかいろいろな措置をとっていると承知しております。
○山原分科員 もう一回繰り返しますけれども、これは十津川のときだったと思いますが、外務省は、この日本政府の要請に対して米軍側はこう答えたというふうに答弁しています。「我が国航空法を尊重し、最低安全高度百五十メートル、ただし人口密集地上空では三百メートルを実体的に守るとともに、飛行の安全及び地域住民に与える影響に一層の配慮を払うということを明らかにいたしております。」と答弁をしましたのが、先ほど言いました、昭和六十三年二月二十三日衆議院予算委員会におきまして、我が党の東中議員の質問に対する宇野外務大臣、有馬政府委員の答弁となっております。 だから、アメリカ側もそれに対して答えているわけですね。しかもその中身は、今言いましたように「飛行の安全及び地域住民に与える影響に一層の配慮を払うということを明らかにいたしております。」こういうふうに国会では答弁なさっているわけですから、そうであるならば、米軍側にその言明を実行してもらうのが当然のことでございまして、この点でも超低空飛行をやめさせることはできないはずはないと思うわけでございます。 同時に、米軍側が航空法を守ると言っている以上、私は、米軍に対しては適用を除外しているいわゆる航空法特例法は廃止されても構わないほどのものである、こういうふうに思うわけですね。ところが、今お答えになりましたけれども、実際は数がふえるし、しかもさらに超低空飛行、まさに、日本政府が申し込んだことに対して比較的いい答えはしておるんだけれども、やっておることは全くこれを無視して一層激化しておる。そんなことを許していいのかという声が起こるのは当然じゃないですかね。 この日本国民の、住民の声に外務省はどうこたえるかという問題なんです。
○佐藤(行)政府委員 私は、アメリカ側は我が国の航空法を遵守していると認識しております。十津川のときの問題につきましては、目視できないロープが張られたのがちょうど事故の起きる数日前であったそうでございまして、目視できない状況、地図で確認できない状況にあったと聞いておりますが、いずれにせよ、アメリカ側としては航空法を、適用除外の部分はございますけれども、基本的には日本の航空の法律を遵守するという建前で飛んでいると思います。 ただ、先ほど来のポイントでございます超低空飛行をやめさせるという点になりますと、この点については、軍の機能の一部でございますので、しかもその航空法違反という問題ではございませんから、我々としてはこれをやめさせちということはいたしたくないというふうに考えているわけでございます。
○山原分科員 十津川は五年前の八月に発生をしたわけで、このときは国会で随分大きな問題になったわけですが、昨年の十月二十九日もやはり十津川で同じような林業ワイヤ切断事故が起きておりますし、それから最近の米軍によるところのいろいろな事故、昨年三月、三沢基地周辺では米軍機F16の墜落、昨年十一月、六ケ所村では燃料タンクや模擬弾、実弾まで落下させるという事故など相次いでいるわけですね。 私が今ここで短時間で直ちに全部中止させると言ったって、それは今お答えの程度以上には出ないと思います。けれども、これだけ国会で取り上げられた以上、少なくともこの何日か後にはやはり数を減らすとか、そういう実効が国民に見えなければ、国民としては一体外務省はどっちの立場に立っておるんだという疑問すら起こりかねない情勢ですから、そこのところは相当腹を決めてやっていただきたいと思うのです。 この数を減らすということを厳重に申し入れをして、できればその文章を見せていただき、相手側の回答も文章にして国会に示してもらいたい、それくらいの決意でやっていただきたいと思いますが、この点はいかがですか。
○佐藤(行)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、米軍の活動に当たっては、我が国の公共の安全を十分重視するように、そしてまた一般の地域住民の方々に対する御迷惑をかけることを最小限にするように、この点については何度でも繰り返して申し入れたいと私は思っております。また、最近事故がふえていますことについても、我々決してそれでよしとしているわけではございませんし、一層いろいろの形でアメリカ側に申し入れを行い、アメリカ側も内部での通達をふやすとかいろいろな関係の対策をとっているようでございます。 ただ、先ほど来御説明した点でございますけれども、飛行回数を減らせとか、そういう点についてこの場で確約することは私としてはいたしかねる、この点は残念ながら申し上げざるを得ないと思います。
○山原分科員 これだけ具体的にお話しをしても、年間九十一日も来るのですからね。日に六回来るとか、しかも役場の上をやるわけですから、それはだれが聞いたって、もし事故が起きたら大変な事故が起こるというその心配する気持ちはわかるでしょう。この国民の気持ちはわかると私は思うのです。この町村長たち、みんな反米でやっているわけではなくて、住民の要求に基づいて連名で出しているわけですから、それを背景にしっかり受けとめて外務省が相手方と交渉する。そして、返事も出させて少なくとも国民の期待にこたえる姿勢をぜひ示していただきたいと思うのです。 今やりとりしております時間が余りありませんので、外務大臣、本当に事故が起こったらもうこれは大変ですね。政府の責任まで問われるという事態ですから、米側に対しましてもやはりこういう演習は直ちに中止せよ、私どもはこういう要求ですけれども、そうはいかなければ少なくとも実効があるような態度で向こうに当たっていただきたいと思いますが、そのことについての渡辺外務大臣の御決意をここで聞いておきたいのです。
○渡辺(美)国務大臣 これは、米側の必要によって日米安保の一環としてやっておることでありますから、我々の要望はちゃんと伝えてあります。ありますが、それをうんと減らせとかあるいはやめろとかいうことは私の方からは申し上げることはできません。
○山原分科員 四国山脈の物部川、吉野川、仁淀川というのがありますが、ここで行われている、これはちょっと異常なんですよ。これはやはりとめていただきたい。一切中止せよなどということを私がここで申しても、このわずかな時間の間で外務省は直ちにやめますなんてことは言えないということは私はわからぬわけではありませんから、少なくともこの数を減らすぐらいの効果の上がる交渉をやっていただけないかということをお願いしておるわけです。どうでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 いろいろ作戦上というか米側の必要によって時期的にふえたり減ったりすることはあるようであります。しかしながら事故が起きては困りますから、十分に注意してやっていただくことはきちっと伝えます。
○山原分科員 ぜひお願いいたしたいと思います。冷戦構造もこういう事態になっている中ですから、それが昨年からもっとふえるということはどう考えても納得できないというのはもう当然のことでございます。 もう一つは、最近起こりましたニアミスのこと、これはもう時間がなくなりましたので詳しいことは申し上げませんが、日本の上空の広大な空域が米軍の基地として利用されておりまして、三沢エリア、横田エリア、岩国エリア、沖縄の嘉手納エリア、それに自衛隊使用の千歳、百里、こういうものがありますね。そして、日本の民間航空の航路とこれが接触するといいますか、そういう状態があり、民間航空がそのすき間を縫って飛行しておる、こういう情勢があるわけです。 だから、土佐沖で起こったこの前のニアミスというのは、たった六十メートルまで近づいているわけですが、それは報告がなかったためにニアミスと判定しなかったそうですけれども、後で機長の報告書が出て初めてわかったわけです。六十メートルまでジェット機がばあっとすれ違うわけですから、あれはL空域でありますが、これなど考えましても、それからまた雫石の事故が起こりましたときは、考えてみますと、私は国会へ出て間もないときだったのですけれども、あのころは飛行機は大体YS11ですよね、しかもそれは低空を飛んでいる、米軍のジェット機は高いところを飛んでいる、そういう差がありました。また、便数だってもう当時とは随分違って、今はふえております。 そういう点から考えますと、このエリアのあり方あるいは訓練空域というものも今見直して、そして最近はもうほとんどジェット化されているわけですから、それに見合うような交渉をすべきではないか。私どもとしてはL空域あるいはリマ区域はもう撤去してもらいたいというのが前々からの要求でございますけれども、今の航空状況を見ましたときに、改めて米軍の航空訓練空域というのは見直す必要があるのではないか。この間も横田の基地を一部返還し、今岩国エリアの一部返還も話に出ておると聞くわけでございますけれども、安全性の面から、そういう新たな航空状況の中でこういう点を見直す必要があるのではないかと思いますが、そういう必要性に迫られているのではないかと思いますが、その点の認識はいかがでしょうか。 これは、運輸省おいでになりましたらお答えいただきたいのです。
○小田原説明員 答弁いたします。 先ほどの先生の御質問は、最近の空の混雑に対しまして適切な空域等の仕分けをする必要があるのではないかということかと思うのですけれども、岩国の進入管制区のこと等もかかわっておると思いますので答弁いたしますが、航空交通が多い昨今、空域は限りある資源であると考えておりまして、その有効利用のためにも軍民を問わないで使い勝手の良い空域の整備をするように努めているところでございます。このような観点から運輸省におきましては、米軍の理解を求めながら岩国の関連区域の変更につきましてもさらに推し進めてまいりたいと考えております。
○山原分科員 こういう状況ですから、米軍エリアあるいは訓練空域の撤去とか変更とかという再検討の必要があると私は思っております。例えば松山空港は岩国エリアにすっぽりと覆われておりまして、空港から半径五キロ、高度千メートルの範囲は松山の管制官が目視で管制しますけれども、その範囲を出ますと普通レーダー管制に移るところでありますが、これが岩国エリアの中に覆われているわけです。それで結局自前のレーダー管制ができないという状態に松山空港はなっているわけでございます。 離発着の数も多くなっておりますために、管制業務に携わる人の間から岩国エリアの返還要求も出ておるというふうに聞いておりますが、これは運輸省、どういうふうに把握されておりますか。
○小田原説明員 岩国の進入管制区の返還につきましては、先ほど申しましたとおり、米側の理解を求めながら鋭意今後推し進めていきたいと考えております。ただ、松山空港におきましては、予算的措置をお願いしましてモニター用のレーダーをつけまして、米側との連絡を密にいたしまして安全を確保していきたいというふうに考えております。
○山原分科員 最後に大臣に、ソ連などの脅威から我が国の安全を守るという立場で日米安保条約ができてきているわけですけれども、次第にその根拠は変わりつつあるあるいは失いつつあるということは間違いないと思います。そういう意味で、広大な米軍基地あるいは訓練空域を存続させる理由は次第になくなりつつあるのではないかと思います。日本の航空の安全、国民の安全のために、そういう立場で米側に対する交渉を一層強化していただきたいと思いますが、この点についてのお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 ソ連がえらい混乱をしておりますが、しかし極東における軍事力がうんと減ったわけじゃありません。ですからもう少し様子を見ないと実際は何とも言えない。大きな流れとしては先生のおっしゃるようなことでしょうけれども、極東の方は西の方から東の方へ逆に引き揚げてきて強化されているというのが現実の姿でありますから、これは今後のソ連支援との引きかえその他でよく様子を見た上で、現実のものとしてうんとそれが減っちゃうということになれば、アメリカだってむだな金を使ってやる必要はないことですから、おのずからそれに相応した体制になってくる、そのように考えております。
○山原分科員 終わります。
○志賀主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了しました。 次に、小川信君。
○小川(信)分科員 午後からの連続しての質疑で大変だと思いますけれども、まず最初に外務大臣にお尋ねしたいことは、現在ウルグアイ・ラウンドが最終局面を迎えております。ドンケル事務局長、三月一日までに農業問題の国別の保護削減リストなりまた鉱工業製品の関税の引き下げリスト、これを出すようにということで取りまとめておられるわけですけれども、そして四月にはこの問題についての合意を得たいという形で進められてきています。外務大臣はかねがね、ウルグアイ・ラウンドは成功させなければならない、こういうことを言っておられます。四月という時期、そして現実に今ガットに加盟をしておる百八カ国の中でリストを出しているのは九カ国しかないという現実、そして四月には合意をしなければならない、そして大臣はこれを成功させるということをかねがね言っておられるわけですけれども、この現実と、今まで大臣がおっしゃっております、成功させるためにどのような具体的な日本政府としてのお取り組みをやっていかれるか、まずお尋ねしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 ウルグアイ・ラウンドを成功させようというのは、私だけが言っているわけじゃなくて世界のガット加盟の指導者はみんな言っているのです。日本だって、国会議員の中でウルグアイ・ラウンドを失敗させましょうなんていう話は私は聞いていませんがね、みんなが成功させましょうと。ということは、そのことは世界の経済にとって必ずいい結果をもたらすであろうと思うからそう言っているわけであります。だから私も成功させたいということになりますが、総論賛成でも各論になるといろいろ出てまいりまして、農業問題はどこの国でも厄介な問題であります。 しかし、そういうことでそれぞれ国の事情だけでみんなが突っ張っておったのでは、じゃ農業抜きのウルグアイ・ラウンドというのはあり得ない、これは発展途上国がそれでは賛成しません。したがって、何とかお互いさま、百点満点はとれないまでにも、七十点でも八十点でも、妥協できるところがあればそこでいいんじゃないかというのが私の考え方なんです。だからそういうことはアメリカ側にも言っております。各国との交渉の問題ですから、ほかの国もそれぞれ思い思いに出すものは出し合って、そこでまた協議をする。 それが四月までにまとまるかまとまらないかは一生懸命やってみなければわからぬことであって、恐らくまとまらなければこれは翌年回しということになるのでしょう。
○小川(信)分科員 自然の流れからいえばそういうことだろうと思います。実は鉱工業製品の関税引き下げについても、大多数の国はアメリカとECがどのくらいに下げるかというのを様子を見ておる。それから農業問題でも、アメリカはECの内部調整がどうなるかというのを見ておる。それから、アメリカの農業関係団体は、大統領選挙との見合いで、ウエーバー品目関係の生産者団体がいろいろと動きをするというような状況下に現実置かれておる。そして、ドンケルさんが言っているように、四月合意というのは現実難しい、こういうふうな状況下にあるのではないかと思います。ですから、交渉事ですからやってみなければわからぬということですけれども、日本が今一番大きな課題として持っているのはお米の問題でございます。 外務大臣はよくお米の問題で率直な御意見を言われて、いろいろ批判を受けることもあるわけですけれども、外務大臣は今から二十数年前に、私も記憶がございますけれども、自民党のベトコンの大幹部で三ちゃん艦隊の一員として、非常に農民の立場なり米の問題について取り組んでこられたわけです。そういうようなことで非常に造詣が深い方だと私は思っておりますけれども、先般来、宮城の補欠選挙がありました。これはいろいろな分析をする人たちがありますけれども、やはり米の市場開放というか一括関税化の問題についての農民の、自民党というか今の政府のガット・ウルグアイ・ラウンドに対応する姿勢に不安を持っておる感じ、それが票に出たのではないかという指摘をする評論家もおるわけなんです。例えば大崎地域とか古川周辺の、従来自民党票であったものが相当目減りしておる。 そういうふうな、非常に農民が、特に米どころの農民、敏感になっておるというところで、巷間伝えるのは、宮城補選が終わるまでは口をこうして余りしゃべらない、こういうふうなことでしたが、この補欠選挙が終わった現時点、ウルグアイ・ラウンドを成功させるためには七十点でも八十点でも六十点でも、合格点なら成功させなければならないという中で、大臣は外交の最高責任者として、そして内閣の副総理として、米の問題について、選挙が終わった現在どのように御認識されておるのか、聞かせていただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 私はベトコンはやったことはないんですが、農業問題については非常に熱心であったし、今でも同じなんです。我々は、農業だけが栄えてということはあり得ないのでありまして、日本の経済が栄えて初めて日本の農業は成っていけるんです。それは、大不景気になっちゃったら、今の農家の方はもっと所得水準が下がって大変なことになるんですよ、実際は。それから、特に米作でもいい米をつくる地域、そういう地域の米は高く売れるわけですから、一俵二万何千円というような。これは、不景気になればおいしい米よりも安い米が売れて、おいしい米は売れなくなる、したがって大幅値下がりする、こんなことは目に見えているわけですから。だから、そういうことがわかっているから、ウルグアイ・ラウンドを成功させて、日本が孤立して不景気になるような道は避けようじゃないかと言っているわけです。 だから別に、選挙があるから、終わったからということじゃありません。私が、部分輸入化とはどういうのだ、それから関税化とはどういうのだということについて、一般の人はよくわかっていないので、これはこういうことですよと解説をしただけのことでありまして、どっちが損か得かはみんなで考えましょうと言っただけのことでありますから、結論を言ったわけじゃありません。したがいまして、選挙には関係ございませんから、相手の国の様子を見ながらみんなでやっておるということであります。
○小川(信)分科員 新聞に、「責任回避三つどもえ 決着先送りムードの新ラウンド」、こういうのが出ておりますね。大きく言えばECとアメリカと日本という経済的な三つの大きいる面、責任回避で先送りのような形になっておる。その中で米というものが日本では一番大きいウエートを現実に持っておるというような中で、単に外務大臣として解説で、今からみんなでよく考えましょうでは、やはり責任回避の三つどもえの中の一つにあって、成功させようということにもなりかねないのではないか。 その辺で、大臣の本音、決着させるためには米も含めた関税化を考えなければならぬと本音で思っているのか、これは例外として外しても決着できるんだと本音で思っているのか、どちらかお聞かせいただくと極めて幸せです。
○渡辺(美)国務大臣 これは我々としては、今交渉をやっているのは、米は例外を認めてくれという交渉をやっておるわけでしょう。だから、外してあるわけですよ。これは交渉事ですから、ほかの国も似たようなものをみんな持っておるわけですから。そこで、ではうちの国はこれを外す、うちの国はこれを外すというようなことで話がまとまればそれでもよし、何とかまとまる方向を探って今努力をしているということです。
○小川(信)分科員 今出したリストは白紙で出ておりますから、白紙ということは空白になっている、空欄になっているということですから、書き込むことはできるわけです。あれは横棒が中に引いてあればもう何も書き込めませんということになりますけれども、空欄になっているということ、書き込めるということは、農民にとっては極めて心配をしているのではなかろうかということで、せっかく外務大臣であり副総理からはっきりした気持ちを聞かせていただき、米をつくっている農民が、ああこれで安心だと思うようなお返事をいただければ極めて幸せだ、このように思って御質問したわけでございますけれども、一言。
○渡辺(美)国務大臣 私は、日本の経済の繁栄を持続させる、これは最大限目なんですよ。この問題については農家も同じでございまして、経済が悪くなって農家がよくなることは、これは絶対ないのです。それは労働組合も同じなんです。だから最終の段階になれば、いろいろ生産者も消費者の代表も労働組合も、みんな真剣にこういう問題について参加して意見を言ってもらうことが私は大事だと考えております。
○小川(信)分科員 ほかの問題もございますので、時間もございませんのでこれくらいにしますけれども、先ほどおっしゃったように、農業の問題については非常に造詣も深いし、農林大臣や通産大臣や大蔵大臣を経験され、外務大臣であり副総理である大臣の御発言というのは非常に重要な重い御発言でございますので、その辺をよろしくお願いをしたいということで、次にいきます。 次は、実は私、昨年の秋中国の黒竜江省の農業開発関係の三江平原の総合開発の現場に行ってまいったわけです。そこで、実はJICAの職員の皆さん方が三江平原の農業総合試験場計画というものに参加して、いわゆる低温冷害に関する試験研究、それから水利開発の試験研究をやっておられるわけなのです。非常に成果が上がっているように見ております。これは一九八五年から九〇年までの五カ年間、そしてフォローアップという形で九〇年から九三年まで二年半を今実施中なわけです。そして、日本側から専門家が短期で四十八人、長期派遣で十九人、たくさんの日本の専門技術者が行っておりますし、それから中国の方からの研修員の受け入れも日本でやっておる。機材やなんかも持ち込んでやっておって、約六億五千万円突っ込んで黒竜江省の農業開発に取り組んでおるわけです。 昨年私行きまして、黒竜江省の現地の方々、そして開発計画、この試験研究に参加しておられる方々の意見を聞いてみますと、一九九三年の三月で一応終わるけれども、非常にたくさんの重要な課題、残された試験研究課題があるように皆さん方は認識しておられるわけなんです。 これはどういうふうな中身のものがあるかといいますと、低温冷害についての試験研究、それから水利開発の試験研究、二つに分かれますけれども、いわゆる試験圃場とか試験場の中での試験研究はほぼ進んできたわけですけれども、これをいわゆる実証圃といいますけれども、現地におろして現実的な試験研究、検証をやっていく必要があるということが強く言われておるわけなんです。現実、そうだと思います。 試験場レベルとか研究室レベルのものを現場におろして、そしてこれでどうかという形のものが必要だということですけれども、そのためにはこれを延長していくことが本当の意味で定着、せっかく七年半やったものを現地に定着させるためには、さらに試験研究機能を充実強化することが必要ではなかろうか、このように思うわけですけれども、この辺についていかがお考えか。
○川上政府委員 御指摘の三江平原の農業試験場、総合試験場プロジェクトでございますけれども、御指摘のとおり五年間にわたりまして協力を続けまして、さらに二年間のフォローアップ期間というものに我々、今あるわけでございます。 九三年の三月にこれは切れるということでございますが、その結果、我々といたしましては、低温冷害及び水利開発にかかわる本プロジェクトの目的はおおむね達成されるのじゃないかというふうに見込んでおりますけれども、プロジェクトの終了後、その成果をいかに生かしていくかということにつきましては、中国側が基本的に検討するという予定になっておりますので、先方政府から本プロジェクトの成果の普及に関しましてさらなる協力要請が出てまいりますれば、その時点で我が方の対応ぶりを検討いたしたいと存じます。その際、先生から今御指摘のあった点も考慮させていただきたいというふうに思います。
○小川(信)分科員 ひとつ十分御検討いただきたいと思います。黒竜江省はこの試験研究を発展させていって、いわゆる御存じの龍頭橋典型区の農業開発計画、それからダムをつくって、水利をつくってという大型のプロジェクトを持っておりますし、これがまたある意味では穀物生産の大基地になって、これが今度は敦僅開発計画ですか、あの辺にも結びついてくるというようなことを考えると、非常にやりがいのある、協力しがいのあるプロジェクトではなかろうかと思います。そして九年、現実七年半の取り組みというものが本当に生きてくるのではなかろうかと思いますので、ひとつよろしく取り組みを積極的にやっていただくようお願いを申し上げたいと思います。私も現地に行きまして、現地の住民、試験研究に参加しておられる方々の意気込みというものが非常に強いわけです。ぜひこの問題も引き続き前回きに御検討いただきたいと思います。 それでは、最後の問題になっていきますけれども、これは実は私の地元の関係の問題です。私、宇部市におるわけですけれども、御存じかと思いますけれども、宇部市は、現在はもうありませんが、戦前から戦後しばらくまで炭鉱があったところです。宇部の炭鉱というのは非常に低質な石炭であり、かつ海底を掘っていくという炭鉱で、どちらかというと中小炭鉱が多いという、条件は余りよくない炭鉱地帯であったわけですけれども、この宇部市の西岐波というところに長生炭鉱という炭鉱がございました。しかし、ここは昭和十七年、一九四二年、ちょうどあの戦争が始まって翌年、言うなれば食管制度ができた年ですけれども、昭和十七年の二月に斜坑の坑口から千メートルぐらい海の方へ出たところの坑内が水没いたしまして、海底で働いておった百八十三人の従業員というか坑夫が一挙に死んだという事故があったわけです。 実は、その百八十三人のうちの百三十三人が朝鮮の人たちだったわけです。実は、千メートル沖の海底で水没したということなので、いまだに遺体も引き揚げられずにそのまま放置されておる。その百三十三人のうちで、いわゆる募集で来られた朝鮮の方々が五十人おりますけれども、八十三名というのはいわゆる強制連行といいますか強制労働という形で連れてこられた人たちだということです。 実は、宇部市で市民グループがこの「長生炭鉱の水非常」という、これは水没事故のことを炭鉱ではそういうふうに言っているのですけれども、「歴史に刻む会」というものをつくって、こういう歴史的な事実を後世に残すと同時に、戦争中日本が起こしたこういう強制連行というようなことに対しての謝罪をすると同時に、犠牲者の人たちの冥福を祈るための取り組みをしようということでいろいろやっておるわけです。 そこで、外務省として御認識、御理解をいただいておられることについてのお尋ねですけれども、このように朝鮮人の強制連行というのは日本各地でいろいろな工事なり炭鉱現場で現実に行われてきております。強制連行して強制労働する。慰安婦の問題というのはその最たるものでしょうけれども、これについての日本の国の、政府としての責任は私はいまだに免れることはできないと思いますが、このことについて基本的な外務省の御判断をお尋ねしたい、このように思うわけです。
○谷野政府委員 ただいまお話しの、宇部市の海底炭鉱でそのような非常に痛ましい浸水事故がかつてあったということは、私も最近勉強させていただきました。いずれにいたしましても、このような事故で百八十名のうち百三十一名の方が朝鮮半島からの方々だったということも承知いたしておりますけれども、大変お気の毒なことであったと思っております。 いずれにいたしましても、日本政府は、これは総理のレベルあるいは外務大臣等がいろいろな機会に申し上げておりますように、朝鮮半島のすべての方々に対して、過去の一時期に日本の行為によって起きましたことにつきましては、そのような行為について深い反省と遺憾の意を表明してきておるところでございます。 また、責任というお話もございましたけれども、これも総理等からるるいろいろな機会に述べられておりますように、やはり一番大切なことは、そのような過去に対する厳しい反省の上に立って平和国家としての立場を堅持しながら韓国との関係、朝鮮半島との新しい関係に向けて努力する、そういった決意、そのようなことも総理、外務大臣等がいろいろな機会に申し上げておるところでございます。
○小川(信)分科員 基本的にはそのようなことだというふうに理解をしたいと思います。 実は、今ここに強制連行の関係の皆さん方があるのですけれども、これを見ますと、強制的に連れてこられた方々の朝鮮半島におられたときの職業はほとんどが農業なんです。農民です。ですから、田畑で農業をやっておられた方々が日本に連れてこられた。私も同じ農業の世界におった者だけに、本当に戦争中も戦後もいつでも農民がつらい思いをしていたのは日本だけじゃなくて世界じゅう皆同じなのかというような思いもしているわけですけれども、こういうふうな現状の中で、先ほど言いましたように、宇部の市民団体が何とかこの歴史を後世に伝えていきたい、日本人として朝鮮半島の皆さん方に謝罪をしたい、そして慰霊もしたい、これが国際協力・貢献の第一歩ではないかということでいろいろな取り組みをしております。 これらの取り組みについて、地方の行政の協力というのはなかなか得にくい。例えば水没事故に遭った強制連行された方の名前の照会等は県を通じて慶尚南道等の知事さんにお願いしてやったというようなことはありますけれども、この歴史の事実を後世に残そうという取り組みについてはなかなか難しい現実があるわけです。こういうようなことはどこの省庁ということで、非常に幅が広くて難しいというふうに、私も現実この問題を質問をしようとして取り上げたときにそういう経験があったわけです。外務省の関係の御答弁をいただかなければならぬものもあるし、ここもあるし、あそこもと、四つくらいの省庁にかかわるようなことです。 そして、自治体として取り上げていくということになりますと、市民団体の皆さん方の御努力は非常に大変だろうと思いますけれども、せっかくことし交付税の中でも国際協力関係の交付税がついたわけですし、こういうふうな事実があることについて、外務省の方からでも当該宇部市等に対して積極的に働きかけをしていくことが朝鮮半島の皆さん方との本当の意味での友好の出発になるのではなかろうか、私はこのように思うわけです。 最後になりましたけれども、時間もありませんが、先ほどから私が一連で言っていることは、日本の国が今から新しい国際的に貢献をしていく中で、過去あったことについてきちんと清算をし、謝罪すべきものは謝罪する、補償すべきものは補償する。そして、新しい国際協力なり貢献なり親善交流をしていくということが必要ではないかという気が非常にすゐわけですけれども、その点、大臣も同感だろうと思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○谷野政府委員 あるいは大臣から後ほど御答弁があろうかと思いますが、ただいま先生からお話のございました現地の防波堤に慰霊のための銅板を埋め込むという御計画があるやに私どもも聞いております。これは今行政の仕分けの問題をお話しになりましたけれども、東京におきましては水産庁が御担当のようでございます。私どもも十分勉強させていただきたいと思いますが、水産庁のお考えも改めて伺ってみたいと思います。勉強させていただきます。
○渡辺(美)国務大臣 私もお聞きしたばかりでありますが、関係方面ともよく相談をしてまいりた。いと存じます。
○小川(信)分科員 それでは終わります。
○志賀主査 これにて小川信君の質疑は終了しました。 次に、小森龍邦君。
○小森分科員 私は、人種差別撤廃条約並びに国際人権規約の問題になっております選択議定書の早期批准をめぐっての質問を行いたいと思います。 まず、この人種差別撤廃条約に言うところの「人種」というものはどんなものでしょうか。何でこんな質問をするかというと、人種というと、例えば白色人種とか黄色人種とかというような感じで私ども子供のときから人種という言葉を理解をしてきておりますが、国連が言うところの、あるいはこの人種差別撤廃条約が言うところの「人種」とは一体どういう規定になっておるでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○丹波政府委員 先生御承知のとおり、日本政府といたしましてはこの条約につきましては依然として検討中なものであることは御承知のとおりでございます。 この人種差別撤廃条約の第一条におきまして人種差別ということにつきまして定義をしておるわけですが、まさに人種、皮膚の色、ディセントまたは国民的云々ということで、要するに人のグループが他の人のグループと違うということによる差別ということを議論しておるんではないかというふうに考えております。
○小森分科員 私もしばしばスイスにおける人権問題のNGOの会合に出向いていくわけでありますが、ここで言う「人種」というのはあらゆる形態の人間の差別、こういう意味だ、こんな解釈をいろんな人から聞かしていただきます。そうなりますと、我が国憲法が言うところの第十四条、いつも本会議で海部総理のときもそうでしたが、地対財特法のことについて答弁をされるときに、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的」にという、あの憲法第十四条に言うところの差別をしてはならない、こういう意味で全般的に人間の差別というものに対してあそこで禁止をしておると思いますが、ほぼそれと同じような感覚で受けとめてよろしいでしょうか。
○丹波政府委員 今の問題につきましては、先生御指摘の憲法の十四条がございますし、それからこれもまた先生よく御存じのB規約でございますね、いわゆる自由権規約と申しますけれども、この第二十六条でもやはり法のもとの平等ということを規定しておりますが、基本的には同じ考え方で規定されたものであるというふうに理解いたしております。
○小森分科員 昨年も私は当時の中山外務大臣に対しまして、この人種差別撤廃条約のことについてお尋ねをしました。そのときの大体私の記憶にあるところを言いますと、いろいろ検討しておる、外務省としてはやりたいと思っているんだ、こういう意味の答弁でございましたが、やりたいといっても、口の先でやりたいやりたいと言って、どうも余りにも長く時間がかかり過ぎておる。これは昨年私が初めて聞いたというよりは、もう七、八年にもなるでしょうか、昨年もこの分科会で申し上げましたが、当時の日本政府代表の国連大使がスイスヘ来られまして、仏そのときに会いました。あすの人権委員会で日本政府を代表してどういう答弁をしようとなさっているんですかと尋ねたら、原稿まで見せてくれましたが、早く批准の方向に向けて準備をしたいと思っている、こういう原稿でした。私も詳細余り細かい英語はわかりませんけれども、その原稿どおり言っておるかなと思って、その会議で演説されるのを聞いておりまして、まあ大体私に話してくれたと同じようなことをしゃべっておると思ったのであります。もうそれから相当の日時がたちます。一体どのくらいの程度の協議というか、検討というか、準備をされるつもりなのでしょうか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
○丹波政府委員 まず先生のお許しを得て、手短でございますけれども、基本的にこの人権関係の条約に関しますところの政府の考え方を、本当に手短に御説明させていただきたいと思います。 日本といたしましては、この国際社会におきますところの基本的人権の尊重というのは非常に普遍的な考え方でございまして、人権関係の条約、二十幾つかございますけれども、非常に重要な役割を国際社会の中でそれなりに果たしていると思います。したがいまして、日本といたしましても先生御承知のとおりA規約、B規約は昭和五十四年に入りましたし、それから昭和五十六年には難民条約にも入りました。それから昭和六十年には女子差別撤廃条約に入っております。それから、今私たち、児童の権利条約というものをぜひこの国会におかけしたいということで、それを目標に努力いたしているところでございます。 今議論になっておりますこの人種差別撤廃条約の問題につきましては、人種差別というものはいけないという点につきましてはこの部屋におる私たちに意見の不一致があろうはずがないと思うのです。ただ問題は、実は私先生に御説明申し上げたのは昨年の三月十一日でございまして、ちょうど一年前になりますけれども、この条約に規定しておりますところの処罰義務というものと表現の自由という憲法で保障している基本的人権との関係をどう調整するかという非常に難しい法的な解釈の問題、あるいは刑事立法政策上の非常に難しい問題がありますので、それは非常に重要な問題だと思います、そういう問題を本当に検討しておるところで非常に時間がかかっておって、その点は私も率直に認めますということを昨年も申し上げた次第でございます。 この問題につきましては、法務省と共同して、例えば特に問題になります第四条につきましての研究会を昨年二回ほど開催いたしておりますし、それから、この問題についての委託調査を学者の先生にお願いするとかいうことで、研究あるいは検討をずっと続けてきておる、しかし今日まで結論が出ておいという状況であることをぜひ御理解いただきたいというふうに考えます。
○小森分科員 それは昨年も聞かしてもらったのでありまして、あれから一年たっておってまだそれについてあれこれやっておるというんじゃ、やっておるということを説明しながら客観的な事実とすればやっていないに等しい、こういうことになるんじゃないですか。 つまり、私が言いたいのは、これは外務大臣にも後答えてもらいたいですけれども、国連に協力をする国連に協力をするといって、兵隊を出すときには国連に協力ということを一番に言われるけれども、こういう問題については国連に協力というのは言葉の上だけであって、実際は表現の自由という、これは一つの憲法事項ですよね。しかし、片方では「人種、信条、性別、社会的身分」云々といって、これは差別してはいかぬ、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とくくってますね、個人の尊厳というようなことを、人権の問題は。そうするとやっていないのではないですかということを聞きたいし、もう一つは、この前私は、去年尋ねたときには、あなたでしたかどうか知りませんけれどもあなただったら、そんなことは心外だというような意味のことを言われたんだが、要するに本当は世の中の差別を解決したくないんじゃないですか、こういう私の方からの理屈は成り立つのであります。 では、表現の自由という問題で研究会をやっておるというが、どういう論理的なつまり問題点があるのですか。
○丹波政府委員 先生に対して心外だなんという、決してそんな失礼な言葉は使っておりませんので、御了承いただきたいと思いますけれども、要するに問題は、先生よく御承知のとおり、核心をなすところのこの条約の条文は第四条でございますけれども、人種的な優越または憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種または皮膚の色もしくは民族的出身を異にする人々の集団に対するすべての暴力行為またはその行為の扇動、及び人種主義的活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律により処罰する犯罪行為としなければならないという趣旨のこと、そのほかのことが書かれてございますが、この規定と日本国憲法のその思想の自由あるいは集会、結社の自由、表現の自由との関係をいかに考えるべきかという点が基本的な問題だと私たちは考えております。もちろん、この問題につきまして外務省の人間でございます私は専門でございませんので、法務省の当局の方から必要に応じて御聴取いたしていただきたいと思いますけれども、この辺のところの関係がやはり核心をなす問題であるというふうに理解いたしております。
○小森分科員 思想とか表現の自由とかというのは、一応封建的な制度、封建社会をクリアをして近代社会となったからには、封建社会でのイデオロギー、封建社会での価値観、それは克服したということが前提なんであります。その封建社会でのイギオロギーというものをなお宣伝をする自由を、人畜無害ぐらいな宣伝ならほっといてもいいですけれども、物すごい被害を与えることについて積極的にそれを守らねばならぬということは、私は近代社会ではそんなことは想定してないと思いますが、どうですか。
○丹波政府委員 申しわけありません、先生の御質問、必ずしも的確に理解できたかどうか自信ございませんけれども、繰り返しになって申しわけありませんけれども、いずれにしても、確かに人種差別というものは撤廃される必要がございますけれども、その条約の規定の仕方の中身とその憲法の保障している思想の自由あるいは表現の自由、集会の自由との関係というのがどういうぐあいに整理されるべきかという点が、整理され尽くされている段階に今日まだ至っていないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○小森分科員 例えば、集会でそういう一つの同一な考えを持ったような者ばかりが集まって、例えばそこでいろんな部落差別の思想交換をやるというようなことまで立ち入って、警察に臨検をさせて昔のように弁士注意とか弁士中止とか検束とかいうようなことは、これは考えられていないのですね。それが広く不特定多数の者に対して影響を持つと、それはナチスのヒトラーのあのユダヤ人に対するそういう思想がついには虐殺にまで及ぶ。日本でもそうでしょう。あの長崎の市長に対して、初めはわあわあ言っておったんでしょう。ついにすきを見てはっとやったでしょう。一般の世間へマイクでもって、私もやられたが、私は、十カ月間、四つだとかえただとかマイクで宣伝をするのですよ。そういうことが民主主義の社会に理念的に許されてよいわけはない。そうすると、理念的に許されてよいわけはないことについてどの程度規制するかということは、国内法でその国の事情に基づいてやったらいいんじゃないですか。それを、言論の自由というのをぼんと出して、いかにも民主主義を守るかのごときポーズをとりながら、実際は、今日の社会ではとても考えられない、江戸時代だってそんなことぼんぼん言うたことないよ、それが現実に行われておるということについて、そこをほおかぶりをして毎年毎年言論の自由と言うたんじゃやはり筋が通らぬのじゃないですか。
○丹波政府委員 先ほどもその思いを込めて御答弁申し上げたつもりですけれども、この条約の趣旨に反対する者はいないのだろうと思うのです。ただ問題は、この条約の規定の仕方とそれから憲法を初めとする国内法との調整の問題をどう考えるかという問題がある。この点につきましては、外務省の人間としては、解釈の権限は外務省としては持ってないわけです。ですから、外務省としては法制局なりあるいは法務省なり関係省庁の御意見をお聞きしながらこれをまとめていかなければいかぬということで、外務省だけが独断して、私が大臣にお願いして加入書を寄託するわけにはいかないわけですから、そこは先生ぜひ御理解いただきたいと思います。
○小森分科員 外務大臣は幸いにして副総理である。だからひとつ、副総理というのが内閣にあってどういう法律的な意味を持っておるのかよくは知りませんけれども、法務大臣と副総理たる外務大臣と話し合って、なるべく早く結論を出すというのが本当じゃないかと私は思います。 私は、今篠田人権擁護局長が来たのは知っておるのですよ。私は法務委員だからよく知っておる。けれども、腹の中を全部打ち明けて副総理に私は聞いてもらいたい。法務省人権擁護局というのは、今袋小路に入っている。後で篠田局長が何かコメントがあるかもわからない。それはどういうことで袋小路に入っておるかというと、大体我が国の人権擁護行政というものは法務省の人権擁護局が一番先頭でやるべきものなんです。ところが、まず陣容が足らぬです。二十人ぐらいしかいない。そして、出先の法務局は登記事務をやるのです。これが複雑なこの差別問題に対してそれを解決する実は力がないのです。力がないところへもっていって、人権思想が高まるし、副総理は御承知かどうか知りませんけれども、民間運動団体がだんだん力を持ってくる。そうすると、具体的な事実を突きづけられると――初めのうちはそうはいってもやる気だったのですよ、人権擁護委員をふやしたり。一時期、いろいろな地方の法務局長なんかが私のところに訪ねてきて、こうやろうと思うがどう思うか、これはどうかというようなこともあったのです。ところが、いよいよ真実差別の問題を解決しなきゃいかぬようになって、自分らの手に合わない、荷が重たくて仕方がないというときから向きを変え出して、へ理屈をつけ出した。きょうは時間がないから余り言われませんけれども、そのへ理屈をつけ出したなれの果てが、人種差別撤廃条約の言論の自由、思想の自由というところへへ理屈をつけた。 じゃ、なんですか、日本の政府だけが厳密な民主主義国なんですか。要するにヨーロッパの先進国と言われる、日本よりもはるかに近代市民革命の早かった国々がどういう態度をとっているのですか。皆そこはクリアしておるじゃないですか。それができないというのは、副総理がちょっとあっちの方に顔を向けて、私にあっちにおるじゃないかというようなそぶりをされたけれども、私は、本当は法務省に聞きたくない。私はもうずっと法務委員として対応しておるのです。だから、これは内閣全体を総理に次いで統括される副総理としてはぜひ考えてください。そうしないと、いつまでたったってこの問題は解決せぬと思う。私は、法務委員会では言っておる。もう法務省が意地悪しているということは私は大体推察しておるぞと、こう言っておる。 結局それは、外務大臣 あなたもあちこち出られるから、ヨーロッパの先進資本主義国なんかずっと図られても、それはフランス革命は一七八九年ですよ。イギリスの議会制度はもっと早いのですよ。しかし、その議会制度のもとになったうんと昔のあのマグナカルタ憲章というのは、日本で言うたら鎌倉時代ですよ。そこらの国がそれなりの、強弱の差はありますよ、この人種差別撤廃条約に対して国内法整備に強弱の差はありますけれども、一応国連局長が言われたように、この法律には反対がないんだ、ただ各論のところでそこが問題になるんだということを言われておるが、やはりその各論のところはどの国もそれなりにクリアをしていっておるのですから、外務大臣、しっかり考えてもらいたいと私は思いますよ。これくらいのやりとりのところで、ちょっと外務大臣の言葉を聞かせてください。
○渡辺(美)国務大臣 常識的に考えると、世界で百何十カ国、三十カ国か、批准をしているというのだから、日本が批准をしてもおかしくないんじゃないかという常識論はあると思うのですね。だけれども、それにはまた何か別の理屈が一つあるらしい。私はよく勉強しておりませんので今ここでどうこうということは言えませんが、一遍法務省の意見もよく聞いてみたい。ここでも差し支えなかったら、いらっしゃるからちょっと一遍答弁を聞いて、それでまたお答えいたします。
○小森分科員 じゃ、これはわずか三十分の議論ですから、人権擁護局長、せっかく大臣がああ言われるのだから、一分といったらできぬかもわからぬ、あと十分しかないから二分くらいでちょっとやっておいてもらえませんか、そうしないとかみ合わないから。
○篠田政府委員 先ほど外務省の国連局長から御答弁ございましたように、条約の趣旨そのものには反対することはもちろんございませんけれども、その規定の仕方という点でいろいろクリアしなければいけない点があって、まだクリアできていないということでございます。 それから、先ほど法務省のことをいろいろおっしゃいましたけれども、それは外務委員会ですからコメントするのは差し控えさせていただきます。
○小森分科員 それで大臣、よく勉強してもらって、なるべく内閣をまとめるようなことでひとつやっていただきたいと思うのですが、いろいろ矛盾する点は、考えようによれば、あるいは理屈をつければ出てくるのですね。 例えば、女子差別撤廃条約、私はこれはこの前も申しました。性の別をもっていかなる差別も許さないと言うが、皇室典範、女子は天皇になれない、これはもう明確な差別です。しかし、結局それだけはちょっとおいておこうや、日本の特別のことだからこれだけはちょっとおいておこうやと、人数にして一人か二人だと。しかし、それは思想的に与える影響は大きいのですよ。だから私はそれは賛成じゃないのですよ。けれども、それは人数にして一人や二人だからちょっとおいておこう、それをおいておいて、そして女子差別撤廃条約は批准しよう、こう踏み切った。だから、どうしても法務省がそこのところをぐじゅぐじゅ言われるのなら、そこだけおいておいて、そこだけ留保して、世界百三十カ国に体を連ねていくというような考え方はどうですか。そういうことも考えるための材料にはなりませんか。
○丹波政府委員 条約全体の中でこの第四条と申しますのは、先ほど私ちょっと御説明した内容ですが、この条約の根幹をなす部分でございます。一国がある条約に入るときに、その根幹をなす部分について留保する、先生の御意見でございますから勉強させていただきますけれども、その根幹のところを留保するというのはなかなか難しいなという感じはいたします。しかし、先生のせっかくの御意見でございますから勉強はさせていただきますけれども、とっさの御答弁としてはそういうことでございます。
○小森分科員 だから、それが根幹だと思うのならば、今日までぐずぐずされておる意味を私は理解しかねますよ。それから他の法律を見ても、簡単に言うとこれは規制ができないという意味のことを法務省が頑張っておるのですけれども、法務省は差別者を野放しにするために規制ができないということを言っているのですよ。それを野放しにせずに規制する、それをきちっと扱うということになると、法務省の能力では今ようやり切らぬからね。そこのところを、自分らの能力をぼかすためにそんなことを言っているのですよ。 だから、例を挙げましょうか。これはこの前の議論であなたが出られたのだったらあなたの言葉だと思うけれども、例えば国家公務員のストライキのことについて、要するに扇動の段階はまだ思想、表現の問題でしょう、けれども処罰しておる。処罰するようになっておるじゃないか。電波法だってそうではないか。差別問題をあの電波に乗せてむちゃなことをやるから、というのはマスコミがいろいろなことをやっておるという意味ではないのですよ、パケット通信、これを何とか電波法でせめてそういうことはだめですよということくらい書いてくださいと言っても言を左右にして書かないで、しかしながらエロチックなことをやってはいけないということはあれだと。 もう一つ言いましょうか。これは私が青年時代に大変に関心を持ったことだけれども、破壊活動防止法の中でも、教唆はいけない、扇動もいけないのですよ。教唆とか扇動は思想、表現の自由でしょう。結局、我が国の法体系の中で例外なく今のようなことがきちっと守られておるのなら、守られておるなりの法秩序に基づいて国民の感覚もそういうことでいけるでしょう。しかし、政府権力にとって都合の悪いことは、思想、表現の自由もへったくれもない。人権を守るということについては思想、表現の自由を理由に出してくる。これじゃ局長、ちょっと筋が通らぬのじゃないですか。
○丹波政府委員 申しわけありません。先ほどから繰り返し申し上げておりますとおり、この条約の趣旨に反対する者はないと思います。外務省もこの条約の趣旨に賛成でございます。もし関係する関係国内省が全部賛成されるのであれば、外務省としては当然政府としてこの条約に入るための手続をとるということでございますが、関係各省庁との調整が終わる前にそういうことを外務省としてはできないわけでございます。したがって、すぐれてそういう国内官庁との関係の問題でございますので、ここで国連局長から国内法の解釈を求められるというのは、これは先生、本当に御勘弁いただきたいと思います。本当に関係各省庁と取りまとめをするために私たち頑張りますから、そこは本当にもう少し時間をいただきたいというふうにぜひお願いを申し上げます。
○小森分科員 こうなるとやはり、私は期待をして来たのは、外務大臣が副総理だから、そして本会議でもこの予算委員会でも答弁されておるのを聞いておるとずばっずばっと言われるし、これはやはりずばっと物を言う人の前でこんなことは話しておかなければいかぬ、こう思って私来たのです。 それで、結局打ち明け話は、いや、それはおまえは運動の関係者だからそういうのだろうということになればそれはそれでまたいつかじっくり話したいですけれども、大臣、こういうことなんですよ。結局我々が部落解放基本法ということを言うたでしょう。部落解放基本法の制定運動をしておるでしょう。あの中に規制の問題があるのですよ。差別を規制してもらいたいというのがあるのです。ところが、法務省が先頭切ってそれに反対しておるのです。それで結局それとの関連で、国内のその問題との関係でちょっと意地を張っておる。しかし我々は、御承知のように、地対財特法が間もなく延長がかかる、そして基本法制定運動でも、我々は差別を規制してもらいたいけれども、みんながまだよく理解しない間はそのことを突出して社会運動で主張しようとは思わないという態度をとっているのです、今は。しかしながら、人種差別撤廃条約でそこのところをぐっと締めておかぬと、単なる国内法である我々の法制定要求に対して今まで法務省がもう十年近くかれこれ言ってきたことがそこで崩れるものだから、簡単に言うと、人種差別撤廃条約、恥も外聞もなく国際的に大変立ちおくれておることをも犠牲にしつつ法務省はそういうことを主張しておる、こういう状況なんですよ。違いますか、篠田局長。
○篠田政府委員 一言弁明させていただきますけれども、法務省人権擁護局が差別をほうりっ放しにしておく、そういったようなことは毛頭ございませんで、我々も差別解消のために懸命に取り組んでいるということをぜひ御理解していただきたいと思います。 それから、今の規制の点につきましては、先ほど来申しましたように、やはり憲法上の自由との兼ね合い、これがあるわけでございます。
○小森分科員 人権擁護局長はそう言われるが、もう時間がないから簡単に言いますけれども、私が四つじゃとかえたじゃとか言われたときに、あなたのところはきちっとやったかな。マイクで広島第三区を、奥は県奥の三次市から福山市の間、ずっとやって歩いたが、何をしましたか。知らぬ顔しておったじゃないの。あれでよいのかと言うたら、暴力団のときは頼みに行ったじゃないの。そんなこと、あなたの在任中のことやろ、違うかな。在任中じゃないかな。もう一つ前がな。それはあなたでないにしたところで、人権擁護局というのはその程度のことなんですよ。そしてまた、愛媛の法務局の職員が結婚差別事件を起こしておるのでも、あれでも何にもしないじゃないの。 時間がないから、内閣の実力者渡辺副総理の前でこれだけのことを言ってやめておきます。
○篠田政府委員 今の法務局の職員の問題でございますが、これは今鋭意調査中でございます。とにかくまだ、果たして差別であったかどうか、そこを今調べているところでございます。
○小森分科員 調査中、調査中と言って何にもしないのであります。 終わります。
○志賀主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了しました。 次に、森本晃司君。
○森本分科員 大臣、朝から大変御苦労さまでございます。 激動する国際情勢の中にありまして大臣の果たされる役割、極めて重要でありますし、同時に、世界の中の日本という立場、極めて高い位置になってまいりまして、この日本がいかに世界に貢献していくかということも問われているところであります。近くは、カンボジアにおける平和機構が今月中旬から本格的になってくるわけでございます。国連のカンボジア暫定統治機構の代表に、きょうお見えになっておりましたが、明石さんがその任に当たられるということでございまして、大変御苦労なことであると思いますと同時に、カンボジアの人々の気持ちを思うと、日本は一日も早くカンボジアに支援の体制をつくっていくことの必要性がある、私はそう思っているところでございます。 ところで、最近新聞記事で「カンボジアヘ農業支援」、これはちょっと記事の書き方がどうかと思うのですが、「PKO代わり…貢献策」という記事とか、それから「青年協力隊二十二年ぶり派遣 カンボジア復興へ人的貢献」という記事が目に見えております。カンボジアヘ青年協力隊を派遣するに近く調査団を派遣されるというふうにも伺っておりますが、青年協力倣の派遣についてお伺いしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 今年の一月に経済協力調査団がカンボジアを訪問した際に、カンボジアの方から青年海外協力隊の再派遣の要請がありました。 そこで、派遣をするかどうかを調べるために、検討をするために、カンボジア側が受け入れ態勢があるか、治安がどうか、派遣要請分野はどの分野か、隊員の生活環境がどうなるか、それを調べなければなりません。このために、早ければ今月中にもひとつ調査団を出したいと思って今準備をしているところでございます。
○森本分科員 青年協力隊の人たちがカンボジアへ行かれるということについては、私は大臣、これはよほど慎重に安全対策を講じて派遣していただかなければならないというふうに思うところであります。 青年海外協力隊は昭和四十年に政府事業として発足しまして、隊員が赴任された国はこれまで四十数カ国、参加隊員約一万人に及んでいる。国際的にも非常に高い評価を得ておりますし、隊員一人一人の国際貢献に対する使命感や技能も非常にすぐれている。国際社会における人的な貢献に青年海外協力隊員が注目されていることは、私もこれは大変すばらしいことだと思っております。一般的には青年海外協力隊というのは余り知られていないようではございますけれども、その人たちの聞いたるや、大変崇高な闘いであるわけです。最近国会の議論の中で国際貢献にかかわる問題として協力隊の方々のことも取り上げられるようになりましたが、私、青年協力隊の人々が国際貢献、人的な貢献をされているということ、とうといと思うことでありまして、決してそういった人たちが厳しい地域へ行くことも私は否定するものではありません。しかし、安易な方向で協力隊の方々が行かれることは非常に私は疑問があるように思いますし、危惧する点が多々あります。 協力隊の人とのおつき合い、私も随分長いおつき合いになります。事の起こりは、私の友人の弟さんが協力隊の任半ばにして亡くなったという状況から、私も壮行会等々にも出席をさせていただいて、そこでいつも思うことは、出発される方々がどうぞ健康でそして事故なく日本の地へ戻っていただきたい、それが協力隊の人たちの最大の使命ではないかというふうにあいさつをさせていただくところでございます。先日も私のところへ手紙が参りまして、パナマに行かれた方からでございますけれども、「出発にあたりまして本当にありがとうございました。一月二十五日無事パナマに到着しました。こちらはとても暑いのですが生水が飲めます。もう二週間ほど仕事をしています。」「自分は元気でやっておりますので、何かあればよろしくお願いします。」という便りをいただきました。こういう便りに接するたびに、私は本当にこういった任につかれる人たちが無事に日本へまた帰ってきてもらいたいものだなといつも思っているところでございます。ただでさえ非常に厳しい条件の中で苦闘しておられる隊員のことを思いますと、健康、生活、帰国後の就職等々多くの問題が頭に浮かんでくるわけでございます。今度のJICAの人々や青年協力隊の人々がカンボジアヘ行かれるということについて、万が一にも悲しい事態が繰り返されたならばと思うと胸が詰まる思いでございますし、どうぞ万全の対策を強く要望するところでございます。 新聞報道記事、私本当に残念に思ったのは「PKO代わり…貢献策」という見出しかついている。青年協力隊というのはそんなものではない。今カンボジアの人たちに私たち日本が一生懸命応援をしなければならないけれども、そんな形で派遣されるのであれば私は残念でならないという気持ちでいっぱいであります。どうか、こういった今度のカンボジア派遣に対する隊員の命を守るということについて、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 カンボジアにつきましては、政情もまだ安定しておりませんし、各派の上の方で停戦を約束をいたしましても、末端まで徹底しているかどうかよくわからない、実際は。戦闘は一応終わっておるが、何万という人が恐らく武器をみんな持っておるわけですから、この状態をまず解消しなければ私は民間人を政府の命令で出すということはできません。したがって、一日も早くPKO法案を成立させて、そして諸外国、特に東南アジアあたりでも、タイも八百五十人とかあるいはインドネシアとか、みんなそれぞれ数百人単位で韓国も中国も出すことに大体なったというようなときですから、我が国からも近隣諸国並みのことはぜひやらしていただく、そして治安の確立をまずしてもらう。その上ですらやはりマラリアとかいろんな風土病もございますし、十分気をつけてもらわなきゃなりませんが、今の段階では到底具体的に協力隊を出すような状態にはない。ただ、調査団で、どういう部分があるかは念には念を入れてよく調査は、万全の調査をした上であります。 以上でございます。
○森本分科員 万全の調査体制を整えて、よろしくお願いしたいと思います。 先ほど申し上げました、私の友人の弟の両親につい先日会いました。その両親がやはりこのカンボジアヘ派遣という記事を見て、私に大丈夫ですかね、大丈夫ですかねと老いた両親が一生懸命心配をしておりました。亡くなった自分の息子のことは、これはもうそのとき関係者の人たちに、協力隊の関係者の皆さんに一生懸命やっていただきまして両親も感謝しておりますが、亡くなった息子のことについてはやむを得ないけれども、どうぞこれについては本当に隊員の命の問題を国会でも訴えてくださいというふうに言われてまいりましたので、どうぞ大臣、ひとつこの点については、協力隊の人、十分に調査をされての上だと思いますけれども、大事な大事な民間の人たちでございます。民間以外は大事じゃないのかということではなしに、厚い志で行ってくださる人でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。大臣、何か。
○渡辺(美)国務大臣 先ほど私が言った中で、韓国からのPKO、これはちょっと私が言い違いでございました。北朝鮮との関係もございまして、これは決まっておりません。ですから取り消します。 それから後段部分は、今先生おっしゃったように、十二分に調査に慎重を期したいと存じます。
○森本分科員 じゃ大臣、どうぞ。 日本経済の拡大に伴いまして、海外で働く日本人の方々が大変ふえております。犯罪に巻き込まれるケースが相次いていますが、こうした日本人を狙うテロ事件の増加に対応するために、外務省としてもこの一月に誘拐防止ビデオを作成したり対策を講じていただいて御努力をいただいておるわけでございますが、そこでお伺いしたいのですが、日本人の中長期の海外滞在者は現在とのぐらいいらっしゃるのか、お伺いします。
○荒政府委員 お尋ねの点でございますけれども、平成二年十月一日現在の数字でございますが、全世界で六十二万人でございます。なお、昨年の十月一日で調査を行っておりまして、その結果につきましては今鋭意集計中でございますけれども、恐らく六十二万に加えてさらに数万人ふえるという予測をしております。
○森本分科員 多くの人々が世界に出ていくようになりましたが、コロンビアの日本大使館が出している「誘拐防止マニュアル」、また外務省監修の「大使館・領事館の安心アドバイス」では、一つは、目立つような行動を避けること、二つ目、常に用心を怠らない、三番、行動を予知されない、が三原則になっています。企業を中心とした日本人の中長期海外滞在者とともに、短期間であるものの、既に海外旅行一千万人時代となった日本人の旅行者の事件もまた増加傾向にあります。相手がいるわけでしてこれは防ぎようのないものもありますけれども、外務省にはいろいろと御努力いただいているわけでございますが、中長期の海外滞在者と日本人旅行者の事件事故を防止するために、さらに今後外務省としてはどのような対策を講じられていくのか、お伺いします。
○荒政府委員 先生御指摘のように、ことしに入ってから既に八件の痛ましい事故が起きまして九名の方が命を落とされているということで、我々もそういう事態を大変深刻に受けとめておりまして、外務省としても現在安全対策としてできる限りの措置をとっておりますし、今後拡充してまいりたいということでございます。 それで、内容を若干申し上げますけれども、まず第一は、安全に関する情報提供、それから啓発活動でございます。ただいま先生御指摘のように、私どもはいろいろ各種安全に関する情報をっくりまして、それで都道府県あるいは旅行業界、在外企業、進出企業の方に提供しておりますけれども、これにつきましてはまだまだ改善すべき点があるということで、現在その安全に関する情報をさらにきめ細かく国別、地域別に分析し、それに応じた対策を考えていきたい。情報をさらにきめ細かくということが第一点でございます。 それから第二点は、在外における対策でございますけれども、これは私ども、平素よりそれぞれ現地にあります日本人会あるいは企業の組織を通じまして在留邦人の皆様と安全問題について意見交換を行っているわけでございますけれども、これにつきましても、現在既に危険地域におきましてはその意見交換の頻度と内容を非常に密接にする等いろいろ努力しておりますし、また治安、防犯の手引というものを作成し、あるいは作成中でございますが、これを今後ともさらに充実して関係の方に配付するようやっていきたいと思っております。 また、在外の体制につきましては、現在既にそれぞれの国におられる邦人の方との連絡及び通信網の整備ということを進めておりますが、これは正直に申し上げましてまだいろいろ不備の点もございまして、今度の平成四年の予算政府案におきましても例えば通信機の増強ということもお願いしておるわけでございまして、この面も今後中長期的により整備したものに鋭意努力したい。それから邦人の所在確認でございますけれども、これにつきましても、在外公館において従来以上にいろいろなルートを通じまして確認のルートをもっと確立するよう今手を打っておりますし、さらに改善すべき点についても鋭意研究しております。それから外交的な側面としまして、例えば中南米等におきまして非常に危険な地帯におきましては、我々外交ルートで在留邦人の保護に遺漏なきを期すよう申し入れるというようなこともやっております。 最後に一点だけ手短に。いずれにしましても、先生御指摘のように、そういった我々の施策とともに、やはり旅行者、駐在のそれぞれの方の安全の認識を深めていただいて予防策をとっていただくということでございますので、その面、テレビ、ラジオの活用も含めこれからもっともっと充実していきたい、とう思っている次第でございます。
○森本分科員 そこで、企業の海外滞在者や旅行者だけではなく、JICAの専門家や青年協力隊の隊員にかかわる事件も増加しているというふうに思います。JICAの専門家の関係では、昨年七月、ペルーで三人のとうとい命が奪われました。私も非常に残念でならないし、心から御冥福をお祈りするものでございますが、つい先日、またドミニカ共和国で一人の方が亡くなって、奥さんも重傷という事件がございました。 JICAの専門家や青年海外協力隊員に関してでございますが、死亡の原因並びにその人数をお伺いしたいと思います。
○川上政府委員 JICA専門家、青年協力隊派遣事業、それぞれJICA設立以来ほぼ十七年間、それから青年協力隊については二十七年間ほどやってきておりまして、前者につきましては、若干丸い数字で恐縮でございますが、三万人程度の人が出ておりますし、青年協力隊については一万人以上の派遣実績になっております。その中で御指摘の不幸にして亡くなられた方々の人数は、専門家につきましては、病気、交通事故、犯罪等でございますが、三十九名ということでございます。それから、協力隊員につきましては四十二名という数字となっております。
○森本分科員 先ほど大臣のいらっしゃるところでも申し上げましたけれども、当選以来私も極力協力隊の壮行会に出席しておるわけでございまして、私が行けないときには私の秘書が代理して出発前の隊員の皆さんを励ますように心がけておるところでございます。隊員の皆さんの死亡記事を見るたびに本当に悲しい思いをするわけでございますが、その中には、事件に巻き込まれたり、現地で病気にかかったり、無念にも志を遂げずに無言の帰国をされた方々もあります。今お伺いしますと、協力隊で四十二名の方々でございます。改めて御冥福をお祈り申し上げたいと思います。 この間のペルーでの事件後の手記が私のところに届いておりまして、「ペルーに心残しながら、「パナマに行く石川です」と、パナマの栄養士さんである石川みどりさんの手記が寄せられております。ペルーでそういうJICAの方の悲しいことがありまして、そしてここでは協力隊の事務局の方が、一人一人日本の状況を伝えて、帰ったいかどうか非常に親切にやってくださったという喜びが書いてあります。同時に、土木施工の岩本さんという人は、JICAの責任は要りません、すべての責任は自分でとるから、そういう一札を入れたら残してくれるかと課長さんに迫られた。あと十数メートルで完成というところであったのでこの悔しさがあった。この石川さんも、殺されていい、残してくださいと懇願した一人であった。もう私は、本当にすばらしい人たちだなというふうにこの手記を読みながら感動もし、同時に、この人もまた元気で帰ってきてもらいたいなと思っているところでございますが、現在どれほどの方々が海外で、中南米とか東南アジアという地域で結構でございますが、JICA、協力隊の人が活躍されているか、お伺いいたします。
○川上政府委員 JICAの専門家の方々、青年協力隊の隊員の方々の地域別の派遣人数ということについてのお尋ねでございますが、JICAの専門家は二月の末の時点で合計千四百六十名海外に出ておられまして、およそ五〇%ぐらいがアジアでございます、七百四十六名。以下多い順に申し上げますと中南米三百四十名、アフリカ百六十五名、中近東百十四名、オセアニア四十五名、国際機関に四十五名、東欧五名という数字でございます。 それから青年協力隊につきましては、全部で千九百四十三名の方が活躍されておられますが、アジアが約三〇%程度でございまして五百七十六名、これが最も多い。それからアフリカが五百九名、中南米もほとんど同じで四百七十八名、オセアニアが二百二十八名、中近東が百五十二名という数字になっております。
○森本分科員 そこでお伺いしたいんですが、青年協力隊の隊員として子供を送り出す家族の方々がいらっしゃいます。協力隊員として合格した後に辞退するとか、派遣国が決まってから辞退するケースが多いと聞いておるわけでございます。壮行会の折に、何人かの隊員の皆さんに会いますと、どうですか、両親は納得されましたですかというふうに伺うわけでございますが、行ってこいとは最後まで言ってくれませんでしたとか、あきらめた様子でありましたとか、何も言わなかった、あるいは最後まで反対していたという言葉を時々聞くわけでございます。これは派遣国の治安のこと、健康のことを田仲って家族の方々が非常に御心配されているんではないだろうか。隊員の志は非常に高い、燃えるものを持っているわけですけれども、家族にとってはその点が不安でならない。したがいまして、家族の方々に対して情報を絶えず与えていくことが必要ではないか、また、JICAの方も協力隊の方も、今後の安全対策を十分講じていくということが必要ではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
○川上政府委員 御指摘の点でございますけれども、政府といたしましても、JICA専門家、協力隊員を初めとしまして、援助関係者全体の安全対策というものは重要課題として最大限の配慮を払ってまいったつもりでございますし、今後ともそのために、拡充策改善のための努力をしてまいりたいと思っております。 具体的には、いろいろな安全対策上の措置があるわけでございますけれども、例えば平成四年度、今御審議いただいている予算原案におきましても、安全対策、これは特に先ほど御指摘の昨年の痛ましいペルー事件の教訓をも踏まえまして、安全対策重点項目の一つといたしまして従来からの措置に加えましてプロジェクトの安全対策、これはプロジェクトサイトでの安全対策をもっと充実させるということでございますが、そういうこと。それから、安全対策の専門の現地職員、クラークを雇うというような費用を新たにつくるといったようなこともやっておりまして、安全対策には今後とも万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○森本分科員 時間が参りました。企業やJICAあるいは青年海外協力隊の派遣国で政変や犯罪がふえるような場合、日本人を引き揚げさせる判断基準をお持ちだと思いますが、いざというときの体制、十分に整えていただきたいと思います。 繰り返し申し上げることでございますが、カンボジアへの我が国の貢献は極めて大事だと思っている一人であります。調査団が近く行かれるということでございます。調査団が帰ってこられましたら、どうぞ安全という面については十分に御確認いただいた上で青年協力隊の人たちにお願いをしていかなければならないと思うところでございます。協力隊員の皆さん方の御健康、そして安全であることを私は本当に心からお祈り申し上げまして、最後にもう一度、緊急時のときの体制等々を含めて答弁を願いたいと思います。
○志賀主査 これにて森本晃司君の質疑は終了しました。 次回は、明十二日木曜日午前九時より開会し、外務省所管及び大蔵省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時散会