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123回国会衆議院1992/03/12

予算委員会第一分科会 第2号

発言数
374
登壇者
62
会派数
5
開催日
1992/03/12

会議録

池田行彦自由民主党

○池田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中内閣及び総理府について審査を進めます。  総務庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本龍君。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 おはようございます。昨日、きょうと大臣あるいは池田主査、連日御苦労さまです。松本ですが、部落問題についてお尋ねをいたします。  ここ数年来、私は昨年の分科会でもお尋ねをいたしましたけれども、弁護士による戸籍謄本の不正横流し事件、あるいは行政書士、社会保険労務士等々のいわゆるそういう業種においても、いろいろな人権侵害の事件が起こってきております。  まずお尋ねですけれども、一九八三年から八七年、五年間にわたって福岡市を中心として約五万枚以上の差別ビラがまかれました。大蔵住宅の差別ビラ事件というふうに私ども申しておりますけれども、四十九回にわたって、回収された枚数だけでも七千八百枚近くの数にのぼっております。事件の概要につきましてはもうここでは申し述べませんけれども、この事件を通しまして、いわゆる被告を通して、当時の民事訴訟になりましたから被告を通して、なぜこういう事件が起こったのか、その社会的な背景、あるいはこういうことを駆り立てるような背景がどこにあったのか、そういうところをまずお聞きをしたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 御指摘の大蔵住宅事件につきましては、昭和五十八年に被差別地域内にあることを知らずに中古住宅を購入した者が、前もって被差別地域だということを教えずに購入させたのはけしからんと、そのあっせんした業者、大蔵住宅を非難する文書を配布したものと聞いております。私どもといたしましては、重大な部落差別に係る問題であるとこれを受けとめております。一政府は、同和問題は、もう先生御承知のように、憲法に保障された基本的人権に係る重要な問題であるという認識のもとに、昭和四十四年以来二十三年間にわたりまして、特別措置法に基づき関係の諸施策を推進してまいったところでございます。その結果、昨年十二月十一日の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、「同対審答申で指摘された同和地区の生活環境等の劣悪な実態は大きく改善をみ、同和地区と一般地域との格差は、全般的には相当程度是正され、また、心理的差別についてもその解消が進み、その成果は全体的には着実に進展をみている。」との評価をいただいております。  しかしながら、この意見具申におきましては、「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」「現状では、必ずしも国民的課題として普遍化しているとはいえない。」こうしております。こうしたことが差別事象を引き起こす背景にあるのではないかと思っております。  政府といたしましては、今後とも啓発活動を粘り強く推進し続けていきますとともに、地方公共団体、国民と一体となった取り組みに力を尽くし、同和問題が一日も早く解決できるよう努力してまいりたい、このように思っております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 今おっしゃったことは、いわゆる二十数年間同和事業が行われてきた、そういう中で啓発がまだまだ足りなかったということですね。  それでは、同じくことしの一月三十一日に発覚した事件でありますけれども、同じ福岡県で起こった事件であります。本年一月三十一日、北九州市小倉北区の公団住宅やこれに隣接する民間マンション入居者の郵便受けなどに、千五百枚を超える差別ビラが投げ込まれるという差別事件が、市民の通報によって発覚をいたしました。しかも同日の差別ビラは、佐賀市、鳥栖市、大分市、熊本市などの九州各県を初め神戸市でも大量にまかれているということが判明し、総数は四千枚にも上るというふうに言われています。こういう事件が同じく福岡で起こりました。  私は、この事件は、今述べられました大蔵住宅事件等々と連関があるというふうに思っています。あの事件で本人の何らの反省も見えてこない、言ってみればやり得だ、いわゆるやりたいほうだいのことがやれる、そういうあの事件の反省から、今回の事件が誘引となって起こったというふうにも私は考えられると思います。社会的な背景あるいは今回の事件等々で総務庁としてどういう見解をお持ちであるか、お尋ねをいたします。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先ほど申しましたように、昨年十二月の地対協の意見具申におきましては、「差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」というくだりがあったわけでございます。したがいまして、私どもはこのような差別にかかわる事件の報に接するたびに、やはり啓発の一層の必要性を感じるところでございます。そのようなやさきにこのような事件が、福祉にかかわる職員から起こったということはまことに残念である、こういうふうに存じます。  福岡県におきましては、今後速やかに事態発生の原因を究明し、再発防止を図るとともに、職員研修の強化、推進体制の見直しなど全職員が人権問題に関する正しい知識を深めるよう、全力を挙げて取り組んでいく姿勢であると聞いております。  政府としましては、今後とも創意工夫を凝らして、啓発活動を粘り強く推進するとともに、行政職員に対する研修をさらに充実するなど、地方公共団体、国民と一体となった取り組みに努力しまして、やはり一日も早い同和問題の解決に寄与したい、このように思っております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 落書きや差別ビラあるいは不特定多数の人に対する挑発的な事件等々、こういう事件がこのごろ非常にふえているというふうに私どもは見ております。そういった中で、今審議官は就職や結婚差別がまだまだ後を絶たないというふうにおっしゃいましたけれども、そういった差別事件というものは、言ってみれば法務省あるいはいろいろなところに情報として上がってくる以外に、厳しい内容があるということをまず御指摘をしたいと思います。  一つの事例をここで申し上げますけれども、例えばある部落の青年が部落外の人と恋愛をする、そして結婚するとします。そしてその結婚式の日に、相手方の御両親が青年が部落ということで出てこない。しかし、二人は愛し合っていますので結婚をするわけです。そしてその両親は胸に大きな傷を残したまま、またその若い二人も胸に大きな傷を残したまま一生涯終えていく。そういったときに、これは事件として上に上がってこないわけです。つまりその青年が相手方の両親を訴えたり、あるいはいろいろなことで危害を加えたりするわけがありません。そういったことは事例として上がってこない、しかもこのことが非常に大きな今の差別の根深さを物語っていると言っていいというふうに私は思います。  私は後で大臣にもお伺いをいたしますけれども、この県の職員でありました男は、「地方公務員法三三条の信用失墜行為に当たるとして減給三カ月の懲戒処分にするとともに、同労働福祉事務所の所長ら上司二人を、監督不行き届きで文書訓告にした。」とあります。この処分が妥当かということは、後で長官にお聞きをいたします。  このように、地方公務員法では、今三十三条で述べたように、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」とあります。さらに、国家公務員法でも同じような規定があるわけであります。こういうことでしか今対応ができてこない。信用失墜行為ということは、逆に考えますと、自分らの仲間、自分らの職の信用を失墜した、つまり差別をする側が信用を失墜したということで、相手方のことに関しては何にも信用失墜行為はないわけであります。そういった中で、現在の法制度の中ではこれらを規制する方策がなかなかない、これは十分言えると私は思っています。  これは国家公務員あるいは地方公務員ですから減俸処分あるいは訓告処分ができると思いますけれども、これが民間人であればそれらを規制する手続が全然ない。民事訴訟という手はありますけれども、これは大変時間がかかります。訴訟という大変難しい手続もあります。さらには事後の措置ということで大変面倒なことになっております、  先ほど審議官が言われました同対審答申の最後の部分でも、例えば「差別をうけた場合に、司法的もしくは行政的擁護をうけようとしても、その道は十分に保障されていない。」「私人については差別的行為があっても、労働基準法や、その他の労働関係法のように特別の規定のある場合を除いては、「差別」それ自体を直接規制することができない。「差別事象」に対する法的規制が不十分であるため、「差別」の実態およびそれが被差別者に与える影響についての一般の認識も稀薄となり、「差別」それ自体が重大な社会悪であることを看過する結果となっている。」と述べてあります。さらに「具体的方策」として、「差別事件の実態をまず把握し、差別がゆるしがたい社会悪であることを明らかにすること。」ここは重要ですけれども、「差別に対する法的規制、差別から保護するための必要な立法措置を講じ、司法的に救済する道を拡大すること。」と述べてあります。  これは法務省のマターになるかもわかりませんけれども、これらのことを今お聞きになって、審議官はどういう御感想をお持ちであるか。つまり、法的な規制がなかなかできてこない、同対審答申はその道を広げるべきだというふうに述べてありますけれども、この見解についてどういう御所見をお持ちか、お尋ねをいたします。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 差別行為につきましては、現在の法体系におきましても、その態様によりましては犯罪等として処罰の対象になると考えられますが、差別行為そのものに着目して法律で規制しようとする場合は、いかなる差別行為を対象として取り上げるかとか、またその場合、それをどのような構成要件とするかなど非常に難しい問題があり、罰則等によって規制することは困難な面があると思っております。また、そのような法的規制を加えることが、差別行為の抑止に役立つ面はあるとしましても、他方、単に法的規制を行うだけでは、逆に差別意識を潜在、固定化させるおそれもあると考えられます。検討を要する多くの問題があり、慎重な対応を要するものと考えております。  一般に差別行為を根絶させるためには、法的規制よりも、差別意識に焦点を当てた啓発こそ、遠回りのようでございますけれども、差別解消の観点からは効果がある方策ではないか、このように考えております。  なお、心理的差別の解消につきましては、先ほども申しました昨年十二月の地対協の意見具申におきまして、「差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」こう言っているわけでございます。その上「改めて創意工夫を凝らして、啓発活動をより積極的に推進していくよう努めるべきである。」この御指摘もあわせていただいているわけでございまして、私ども、この意見具申を貴重な御意見として従来どおり受けとめております。一層の啓発活動を推進していくことによりまして、行政の方としましては差別の解消に向けての努力をいたしたい、このように思っております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 今、審議官述べられましたけれども、いわゆる法的規制は好ましくないという話ですか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 はい、そういうことです。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 それは、足を踏む側、踏まれる側という論理がありますけれども、まさに踏まれる側にとっては、一つの小さな事件あるいは情報として上がってこない事件が生き死にの問題にかかわってくるわけです。私は昨年、弁護士あるいは行政書士の不正請求事件について質問いたしました。そのときにも、事象が少なくなってきているというふうに述べられました。しかし、これは千に一つ、万に一つもあってはいけないような事件。そして、その小さな事件がいろいろな人たちの生活や就職の機会あるいは生き死にの問題にかかわってきているということを、十分御認識をいただきたいというふうに思います。  長官にお尋ねをいたしますけれども、今審議官がお答えになりましたが、今、自衛隊の広報官の差別事件あるいは郵便局長の差別講演事件、さまざまな問題が起こっています。同対審答申以来二十数年間、今日まで事業の面ではある程度前進したと思いますけれども、まだまだ差別事件が後を絶たない。こういう状況にかんがみて長官はどういう御見解をお持ちか、お尋ねをいたします。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 もう先生御案内のとおり、同和対策は憲法に保障されました基本的人権にかかわる極めて重要な問題である、こうした認識に立ちまして、政府といたしましては、昭和四十四年以来二十三年間にわたって、特別措置法に基づき今日まで鋭意諸施策を推進してまいりました。そのおかげをもちまして、昨年十二月十一日の地対協の意見具申によりますると、生活環境あるいは生活実態、そしてまた心理的差別、こうした問題等については、全体としては大きく改善をしたのではないだろうか、そうした評価もいただいておるところでございますとは申せ、物的事業の残事業の問題、非物的事業につきましては、今後ともさらに推進を続けていく重要な施策である、このように端的に指摘をいたしております。  特に、心理的差別の問題については、今後さらに一層取り組んでいかなければならない案件である。それは、ただいま先生が幾つかの例を取り上げて、全体としてはいい方向に、減少の方向に向かってはいるけれども、依然として個々の具体的な心理的差別の問題が事件として発生をしておる、こうしたことを踏まえての問題であろうと受けとめております。私どもといたしましては、そうした問題に対して、啓発、特に教育、こういうものに力を入れてまいったわけでございますが、残念ながら過般の福岡における、少なくとも全体に奉仕をする国家公務員、しかも、かつて福祉にかかわっておった地方公務員、こういった方々によってあのようなビラがまかれるということは全く遺憾の限りである、こう申し上げざるを得ません。  ただ、心理的差別の問題につきましては、人間一人一人の観念あるいは意識の問題、それは言いかえれば心の深層部分にある問題でございまして、事が起こらないとなかなか表に出てまいりません。いわばはかる物差しがないということでございまして、この心理的差別の問題が、前進はした、改善はされたとはいいながらも、後を絶たない差別問題等を考えますると、容易なことではないな、そんな気持ちを抱きながら、とにかく関係省庁あるいは地方公共団体、そして国民挙げて、同和問題が一日も早く解決できまするよう、これからも精いっぱいの努力をいたしていきたい、こういう考え方でおるわけです。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 これからの啓発活動、あるいはさまざまな問題に誠心誠意これからも取り組んでいただきたいということを申し述べておきます。  今言われました意見具申の中でも、同和研修の実態、同和研修の問題が非常に重要だということを言われています。今、地方公務員あるいは国家公務員の研修の状況、さらに、大学でどういう同和教育がどの程度行われているか、具体的にお答えを願いたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 研修にかかわる御質問でございます。総務庁といたしまして、国家公務員と地方公務員の研修についてお話しさせていただきます。  地方公共団体の同和問題についての内部研修につきましては、平成三年、去年でございますけれども、二月六日付の関係省庁の局長連名通知におきまして、自治体の内部研修について積極的な実施及びその内容の充実を指導したところでございます。今後とも、関係省庁と連携をとりながら、機会あるごとにその徹底を図ってまいりたいというのが基本でございます。総務庁としましては、地域における啓発の推進に当たっての重要な役割を担う地方公共団体の職員に対する指導者養成研修会を毎年実施するなどいたしまして、研修の強化に努めてきたところでございます。  具体的には、平成三年度までに十回の指導者養成研修会、これを開催してきております。これまで約二千四百人が受講したところでございます。この研修会は三泊四日の合同合宿方式で実施しております。各界の有識者からの講義を受けるとともに、受講者相互の意見交換、これもセットしております。それから体験発表などもございます。そのほか、ポスターなどの啓発資料の制作について、そのアイデアから具体的な制作に至るまでの実地研修を行うなど、いろいろな工夫を凝らしているところでございます。  国家公務員に対する研修につきましては、従来から各省庁におきまして、同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、計画的に実施しているところでございます。総務庁としましても、中央省庁等に対する職員の研修は、毎年度各省庁の協力のもとに、幹部職員クラスそれから一般職員クラスと分けて実施しております。内容につきましても、講演会と啓発映画を組み合わせるなど、創意工夫をしているところであります。本年度につきましては、幹部職員研修を二百人規模、一般職員研修を千人規模で、それぞれ昨年十二月の人権週間の期間中に実施したところでございます。  今後とも、関係省庁と連携を図りながら、一層研修の充実と実施をしていきたい、このように思っております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 きょうは文部省の方もお見えだと思います。時間がちょっと足りませんので、公務員研修あるいは同和教育の問題に関しましては、後ほど同僚議員からまたお尋ねがあると思いますので、これからも、中身の問題として、あるいはこれからどういう啓発のあり方がふさわしいのか、本当にこの問題に関しては気合いを入れて頑張っていただきたいというふうに述べるだけにしておきます。  昨年十二月の地対協の意見具申の話に移りますけれども、政府も今後の法的措置については閣議決定をされております。その中で先般来、審議会あるいは協議会の話が出てきております。私に言わせますと、審議も協議も必要だというふうに思います。ここで重要なのは、なぜ地対協があえてこれらの必要性を求めたのかというところであると思います。長官も審議官も、名称の違いによる権限の軽重はないというふうに言われました。私自身は審議会にすべきだと思いますけれども、私は、中身をしっかりして、本当にこれから審議をする気があるのか、そしてなぜあえて地対協が求めたのかということをまずお尋ねをしたいし、また、これからのタイムスケジュール、いつごろどうやって、どういうふうな機関をもってやるのかということを、まず一点お尋ねをします。  さらに、具申でも実態調査あるいは意識調査ということを言われておりますけれども、このことに関しましてもいつごろをめどに開始をするのか、意識調査をどの範囲でやられるのか。一九八五年の調査は、恐らく西日本中心だったと思います。先ほど申し上げました大蔵住宅事件の被告となった人は、東京から引っ越してきました。東京での意識調査も私はこれから必要ではないかというふうに思っています。未指定地区、未実施地区、まだまださまざまな問題が残っている中で、部落の実態調査、これをいつやられるのかということを、二点お聞きをしたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 いわゆる実態調査の実施にかかわる問題とそれから協議会の開催にかかわる問題の二点と受けとめておりますが、実態調査につきましては、これは意見具申にございますように、慎重かつ早期に実施することということがございます。私どもそれを受けまして、やはり実態調査の客観的な結果が得られる条件をいろいろ検討しまして、そういう条件のもとに実施することになるということでございます。したがいまして、今後、新しく四月以降の年度にかわった後、できるだけ早い時期に実態調査の実施にかかわる検討を始めてまいりたい、このように思っております。  実施につきましては、やはり、どういう形でやるかということはもちろんございます、そしていつやるかということもございます。それに要する予算措置の裏づけが必要である、このように考えております。実態調査に関しましては、一言で締めれば、新しい年度に入りまして検討に入っていきたい、このように思っております。  それから、審議する機関としての地対協の開催につきましては、これも年度が明けまして今後の行政スケジュールを見た上で考えてまいりたい、このように思っております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 そもそも、一九六五年に同対審答申が出されました。そして四年たって特別措置法が施行されたわけです。つまり、六五年の答申のときにも、あるゆる国民的な運動の盛り上がりの中で答申が出されてきた。そしてそれから四年という長い時間がたって措置法ができた。そして、措置法はできたけれども、恐らく最初の五年くらいは運用の仕方がわからなかったでしょう。そういった中で、措置法を含めて十年、三年、五年、五年の立法がずっと重ねられてきました。しかしながら、そういった短いスパン、あるいは細切れの時限立法がずっと続いてきた中で、大きなマスタープラン、あるいは皆さんがどういうふうな町づくり、どういうふうな都市づくりをしていこうというマスタープランが全然なかったというふうに私は思っています。  例えば審議官、再開発事業が何年かかるかということを申し上げます。普通で大体、住宅・都市整備公団の再開発事業、六年八カ月かかるのです。そして最大で十一年以上もかかるのです。それだけ大きな期間が要る事業が、例えば最初の五年間は運用がわからなかったと言いました。ですから恐らく五年、三年、五年、五年ぐらいの切迫した時間の中で、しかも限られた時間の中で行われてきた、そういうところに大きな弊害があったというふうに私は思っています。  大臣に、最後にお尋ねをいたします。  二十一世紀に差別を残してはならないという言葉を先般申されました。私はこのことを大変評価しています。しかし一方で、これは大変な決意の要る重みのある発言であるということを私は指摘をしておきたいと思います。  世界を挙げて人権問題が強調されています。一九九三年には世界人権宣言四十五周年の記念として、世界人権会議が催されるというふうにも言われています。そういった中で、日本は人権赤字国だという外国からの指摘もあるように、これから日本がこれらの問題に大きくかかわっていく、そして人権をしっかりとらえる国だということを世界に向けて大きく主張していくことが、日本にとって大事なことではないかというふうに思います。  そういった中で、十年前人権デーの日に国連事務総長が「国連の人権保障体制の有効性は、説得力と道徳的権威の行使にかかっている……。われわれの目的は、すべての権力の座にあるものをして、基本的人権を無視したり、侵害したりすることによって得るものよりも、それによって失うものの方がはるかに大きいことを認識せしめるという思潮を作り上げ」なければならないというふうに述べておられます。私はまさに、先般から行われてまいりました相次ぐ閣僚のマイノリティーや黒人に対する差別発言、これらのことが今申し上げたことと同じだというふうに感じているところであります。  最後に、長官の今後の部落問題に対する決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 今人権問題を初め世界の風潮、また人権に対する貴重な御意見を承ったわけでございますが、委員も御案内のとおり、今回の地対協意見具申の結びの言葉に、二十一世紀に差別を残してはいけない、そうした決意を持って同和問題に取り組み、一日も早くその結論を得べきである、こうした御提言が結びに書かれておるわけでございます。私もあの意見具申を数次にわたって読ませでいただき、心に深く感銘を覚えることがございました。したがって、多年にわたる同和問題、いまだ解決をしておりませんし、またこれからもなかなか容易でない、山川の問題があるであろうし、物の問題も心の問題もあるだろうし、そういったことを考えれば、あの意見具申の提言していただいたとうとい心をみずからの心として受けとめて、二十一世紀には何としても差別を残してはいけない、そうした今日の開かれた国際社会の中における日本としてまさにそうあらなければならない、この決意を持って取り組んでいきたい、その私の心が先生御指摘のような二十一世紀に差別を残してはいけないという言葉で表現されたものである、このように受けとめていただければありがたいと考えております。

松本龍日本社会党・護憲共同

○松本(龍)分科員 ありがとうございました。

池田行彦自由民主党

○池田主査 これにて松本龍君の質疑は終了いたしました。  次に、小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 地対協の意見具申の具体化と同対審の精神というようなことにつきまして、一、二具体的な問題をはせながらお尋ねをしたいと思います。  言うはやすく行うほかたしという言葉がありますが、二十一世紀までには解決をしなければならない、これは意見具申の中にも書いてありますし、先ほどの総務長官の言葉の中にもありました。しかし、二十一世紀までに解決しなければならぬということになると、トータルプランがなければなりません。あれやこれやを除外して、その場逃れの糊塗的なことをやっておったのではできません。  昔から我が国には被差別部落が六千部落あると言われておったこと、その後の調査等によりましても、五千六、七百ぐらいの調査が出たことがあります。したがって、私どもはおよそ千部落が今法律で言うところの未指定地域として残っておると思うのでありますが、全体として部落をどの程度我が国、日本列島の中に数えることができるか回おおよその見当、いかがお考えでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 昭和四十年の同対審答申以降、その同対審答申の中で、今後その地域の実態の解消火向けましては同和対策推進協議会をつくり、さらに特別措置法によって、一つ一つ関係する諸機関が協力しながら、協議しながら差別の解消を図れ、こういう御指示はいただきました。それに基づきまして、いわゆる協議会のもとで、(小森分科員「数を尋ねているのですよ」と呼ぶ)はい、特別措置法を実施する、こういうことになりまして、いわゆる特別措置を実施する地区の自治体からの推薦を求めてきたところでございます。  その結果、昭和六十二年三月末、いわゆる昭和六十一年度の三月末日で四千六百三という地区が出てきたわけでございます。現時点におきましてその四千六百三という地区は、十八年間戸をあけていた中での結果でございまして、その昭和六十二年三月末日の一年前の昭和六十一年三月末日の時点で四千六百三になっておりまして、六十二年三月末日でもやはり四千六百三、こういう経過を経てきておりまして、私ども現在四千六百三という地区だと認識しております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 そういう無責任なことを言うようでは、部落問題を二十一世紀までに解決することになりません。あなた方が言っておるのは、客観的にどれだけの部落が存在しておるかという私の質問に対して、四千六百三の部落が指定地域になっておるということを答えておるのであって、指定地域以外には部落はないとあなたは言われるのですか。それを答えてください。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 歴史的、社会的背景におきましては、ないとは言えないと思います。しかし、私どもが事業を実施する、差別解消へ向けていくためにはどうぞ手を挙げていただきたい、こういう行政指導も行ってきたところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 総務長官、ちょっとこれはよく聞いてくださいよ。ああいうふうな根性玉だから日本の部落問題が何十年たっても、行政施策を始めて何十年たっても解決がつかないのです。徳川封建幕府以来差別され続けてきた者が、よほど社会的に、近代社会の市民として成熟しない限り、私は差別されておりますと言えますか。成熟してこないから運動というものを盛り上げて、その気持ちにみんな意識を統一して、当面不利に見えても部落問題を社会的に明らかにして、政府に要求すべきことは要求し、国民の協力を得なければならぬことは協力を得なければならぬということになるのが、人間の成熟度の問題でしょう。近代社会の成熟度の問題でしょう。総務長官、それはどう思われますか。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 御指摘のとおりであろうと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 私は広島県ですから、広島県の背中合わせになっている島根県、竹下元総理の選挙区ですね。ここは、島根県庁へ行っていろいろ聞いてみまして、また、私どもの被差別部落の本当にわずかばかりの面識のある人と相談していろいろ聞いてみて、私の見当では島根県内に百五十ほど部落があるのです。そして今、同和会と部落解放同盟の両団体を通じてますます運動というものが必要だということで行政側に名のり出ておる部落の数は、おおよそ五十部落なんであります。百部落かあるいは九十部落ぐらいは、同対審答申がこういうことでは困ったなと言っておる寝た子を起こすなという考え方にとらわれておるんです。今、審議官が言っておるのは、寝た子を起こすなという者がおることをよいことにして、いいですか、総務庁の考え方はそういうことですよ。寝た子を起こすなという考え方を持っておる者がおることをよいことにして、ああいう理屈を言っているんですよ。六千あるいは仮にこれを五千五百あるいは五千六百と仮定をして、おおよそ千部落が残されていてどうして日本列島にこの部落問題の解決がつきますか。兄弟が十人おって、おやじが八人までは大学へ行かしたけれどもあとの二人行かさなくて、私は子供のためによい教育をつけたと言えますか。論理はこうなっているんですよ。これをどうするかということが問題なんですよ。どうして日本政府全体の同和行政を統括するというか、総合的にまとめる役所が、普通なら、役所の役人の根性からいったら、自分の受け持ち分野はこうしなきゃいかん、ああしなきゃいかんと言うのに、なぜ責めるように責めるようにするんですか。  きのう私は建設省とやりましたよ。建設大臣も、残ったものはあらゆる知恵を絞ってやると言っておりますよ。残ったものはあらゆる知恵を絞ってやる言っておりますよ。私は法務委員だから法務大臣とこの議論したら、どうですか、全体の実態調査必要でしょうがと言ったら、それはもう全体の実態調査必要ですと言いましたよ。肝腎のやらなければならぬあなたのところが、首を絞めるように絞めるようにしているじゃないですか。私たちももちろん、その地域が劣悪な実態であるということについて、何とかしなきゃならぬ運動的責任はあるが、それよりもまず第一義的に国の責務でしょう。手を挙げぬところはほっとくというわけにはいきませんよ。授業しているのに子供がわかったかわからぬか、わかった人は手を挙げなさいと言ったら、手を挙げた者はよいんであって、手を挙げぬ者にこそ教えなきゃいかぬのじゃないんですか、どうですか、その点は。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 差別の解消につきましては、私どもいわゆる特別措置法によって解消を図ってきているわけでございまして、その特別措置法の適用を希望する地区につきましては、その地区の住民の合意、それから地方自治体の判断、こういうものがあったと思います。そして、私どもは最大限それを尊重したい、こういう形でまいったわけでございます。  一方、この差別問題につきましては、心理的側面、いわゆるソフト的側面とも申しましょうか、そういう面の差別の事象がいろいろあります。また、国民の認識ということもございます。そういう意味で、差別の解消へ向けての一方では啓発を中心とする国民的課題としての啓発、これは全国民に網を張ってこうやってきているところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 社会的、歴史的な状況を同じくする部落が、あと千部落法律で指定されてない地域として残っておるということをそのままに放置していて、部落問題が解決つくのか。口では二十一世紀までには云々と言っておるけれども、それで解決つくのかということを言っておるんだから、総務庁長官は、それはその問題が残っておったら大変だという意味のことを言われたわけです。そしたら、事務方のあなたがたもそれは大変だという気持ちで、どうやったらこれを列に加えることができるかと考えなければいかぬのじゃないですか。  言っておきますが、あなた方は一つも苦労していないと思うよ。絞めることばかりの苦労はしておるかわからぬよ。地方自治体は県を含めて一生懸命になって、寝た子を起こすなという、肩をすぼめてじっとしておるところへ行って権利意識を掘り起こして、今の世の中はみんな手をつないで頑張らなきゃいかぬのだ、だから、あなたのところの子供さんも部落ということを隠さずに、奨学資金を受けて高等学校や大学へ行かしたらどうですか、みんな一生懸命やったんですよ。政府は直接には何もしてないじゃないの。直接に何もしてないばかりか、人が努力をして、もう力尽きだというような段階のときから、もう仕方がないじゃないですか、何で問題が解決つきますか。あなた、本当にそれで解決つくと思っておるんですか。私は絶対解決つかぬと思うよ。  どうしても性根入れぬのなら私は言うけれども、ここに部落があって、ここに部落があって、ここの部落は経済的にある程度成功した、こっちは貧乏しておる、幾らでもそういう例はあるよ。金持ちになっていい服着たら、何だ、あれは今ああいう格好しとるけれどもこっちの部落と親戚ぞ、あそこのおばあさん、あそこから来とるぞ、こういう差別がさらに行われるのですよ。だから、例えば広島県が幾らよくなっても、島根県がよくならなかったらだめなんですよ。あなたたちは気のうちはまめなわ、差別がどっち向こうが関係ないのだから。私らは島根県の部落が差別の実態が残っておったら、広島県の三次とか庄原とか三良坂とか、ここらは通婚関係がいっぱいあるのだから、背に腹はかえられぬから、私は行って掘り起こそう思っているよ。あなた、気が済みますか、それで。少しは良心的になりなさいよ、良心的に。私が何とかして掘り起こさなければならぬという気持ちは、無理かな。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは昭和四十四年以降十八年間にわたり門戸を全員に広げてまいったわけでございます。さらに、その差別の解消に向けましては、先ほど来お話がありましたけれども、当初昭和四十四年から十年間の措置法であった、それを三年延長し、その後五年延長、五年延長と、こう来ているわけでございます。そのように、差別の実態が大きく見られる限りにおいては、私ども行政として対処できる限りのことをやってきておるわけでございますし、今回の意見具申で言われております二十一世紀へ向けての差別の解消ということにつきましては、その流れの中でさらに推進して措置法により解決いたしたいと思いますし、それから啓発は一層充実していきたい、このように思っております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 私が言うたことに答えなさいよ。被差別部落民が隣の部落が何にもしてないという状況を掘り起こさなければ、日本列島全体の問題としては解決つかない。差別を受けておる者は背に腹がかえられないのですよ。君のように私が言うたことをぱっとそらして、法律のことから話を始めるわけにはいかぬのですよ。それだから、気のうちはまめなんですよ。そういうようなことは、今の権力の構造がまだこういう状況だから、君はまだ生きていかれるのだけれども、存在価値があるのかもしらぬけれども、もっと世の中が民主化したら、そんなものだめなんですよ。差別を受けておる者が自分のところだけよくなってはいけん、ほかのところもよくならなんだら一緒によくなれないと思ってじだんだ踏みよるわけよ。そのじだんだ踏むことが無理がいって質問したのに、どうしてよう答えぬの。それを答えてください、もう一言。それもよう答えぬのなら、君には問わないよ。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先ほど来申し上げておりましたように、これは先生との議論のすれ違いになってしまうかもしれませんが、私どもは昭和四十四年以降十八年間門戸を広げてきたという事実がございますし、それは十分受け入れてまいったということでありまして、今後ともその中で一層の充実を図っていきたい、こういうことでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森分科員 総務庁長官、同対審答申には、寝た子を起こすなという考え方ではだめだと言っているのです。だから、それを受けて地方自治体に、民間運動団体ももちろんだけれども、部落解放同盟はもちろんだけれども、例えば学校の先生の組合とか自治体職員の組合とか、ずっと一緒になって掘り起こしたわけです。それから、県の教育委員会なんかも掘り起こして、本当によくやってもらったと思うのですよ。私らが幾ら部落の出身だといっても、もう五里か七里離れたら面識がないわけです。  ところが、行政機関だと、教育事務所単位だったら大体わかるわけです。小森さん、広島県でいうと神石郡のあの筋とどことどこを私は渡りをつけておるから、一度運動家として入ってみてくれないか、こういうような話があって入って、そして、我々は今まで差別を受けたためによい教育を受けられなかった。今の時期は、差別を受けていたのだからこそ、ここでひとつよい教育を受けるように歯をくいしばって我慢しようじゃないかといって、寝た子を起こすなの地域を説得して、別れるときには手を握って涙を流して別れたわけです。本当に字も書けないような状況であったのが、子供にはかっちりしようということで立ち上がったわけです。しかし、たまたまそういう活動家を得た場所はできるけれども、活動家を得ない場所、あるいは行政のそれだけの熱意のあるところはいいけれどもないところはできないのです。できないから残ってよいということではないのだから。  審議官の言うのを聞いたら、いや法律で決まってから私らはやったのですから。物事は法律から始まるのじゃないのですよ。同和対策審議会の答申には、同和問題は人間の自由と平等に関する市民的原理の問題であり、人類普遍の原理だと書いてあるでしょう。その人類普遍の原理の欠陥を今議論しておるのに、法から始まっちゃだめじゃないの。それが日本の部落問題をごまかし続行できておる最後の逃げ場のよりどころなのです。少しは反省しなさいよ。  何ですか、同対審答申ができてから法律をつくることだって四年間渋ったじゃないの。そして、十年の法律をつくって前期五カ年、後期五カ年としたけれども、前期後期の本当の総括できなかったじゃないか、政府はしてないじゃないか。そして、我々がさらに延長と言ったら三年に値切ったじゃないか、三年に値切ってできぬからまた五年の地特法をつくったじゃないか。これにて最後ですと言うたじゃないか。最後にならずに地対財特法になったじゃないか。その地対財特法もこれにて最後だと言ったじゃないか。最後にならなかったじゃないか。もし運動がぼうっとしておったら、とうの昔に君らにごまかされておるわ。恥を全世界にさらすのはいいかげんにやめなさいよ。  日米構造協議の問題でも、アメリカがもう少し日本の部落問題を知っといてみなさい、これが日本の経済の組み立てのアンフェアな発生源だということを言い出しますよ。この間もアメリカの何とか放送へ私がインタビューをしたのが出た、全米放送されたのです。そのとき私は経済構造協議のことを言わなかったのです。今、日本とアメリカの関係は悪くなっているから、余り刺激しちゃいけないと思って。少しは物を考えて言いなさいよ。とにかく、千部落が残っておったら解決せぬのだから、ありがとうとも何とも思わぬよ、君らが提案した法律は。ごまかしたと思うよ。いいかげんにせにゃいけませんよ。  総務庁長官、今与野党協議をいろいろしていますので、その形を見きわめなければならぬと私は思っておるのです。もうあの法律は出ておるのだから、出たということは、それはもうそのまま事実を認めなきゃならぬから。しかし、それをフォローしてやってどうやってよいものにするかということで、与野党の協議が今行われておるので、それを見きわめなきゃならぬと思うのです。  しかし、私は閣僚たる大臣に言っておきたいのですけれども、地域改善対策協議会が、これはどうしても法律が続いて必要だということはもう七月、八月段階で腹を決めておる。腹を決めておるから、来年度予算は組んでおいてくれ、こういう会長談話なるものを出したのです。政治的洞察力のある者は、あそこで何らかの形で法律を継続しなきゃいかぬと地対協は思っておるなと、これはだれにでもわかることなのです。そして、もう十月ごろの段階では、地対協は法律が必要だということを腹決めしておるわけです。  ところが、十一月の何日でしたか、社会党の田邊委員長の質問に対して宮澤総理にどういう答弁をさせたのですか。最後まで、総理大臣を使ってでも起死回生の策、というのは小山審議官などの言う起死回生の策ですよ、どうやってこの法律めいだろうか、めぐというのはわりますか、広島弁でよくわからないかもわからぬが、壊す、どうやって壊してやろうか、どうやってブレーキかけてやろうか。総理大臣はわからぬものだからピエロになって、今一般行政への円滑な移行ということで法律の延長は考えておりません、そういう答弁に終始一貫したでしょう。  事情を知っておる人は、同僚の代議士は私に言いますよ、あれはどうなったの小森君、大体の状況を君から聞いておったがどうなったのか、総理大臣はああ言っておるが。こう言うから、私は、総理大臣がわかっておらぬのだ、官僚が、総理大臣がわかっておらないのをいいチャンスにあんな文章を読ませている、こういうふうになっておるのですよ。きょう私は具体的な問題で一つ一つ詰めないのは、与野党協議に私は期待しておるのです。  だから、所管庁の大臣として経過というものを踏まえてもらいたいと思うのです。これでは総理大臣がピエロじゃないですか。広島県出身ですよ。広島県の財界も、中国電力とか広島銀行とかマツダとか、常務、専務クラスが来て、やってくださいといって総理大臣に頼んでいますよ。社会党の広島県選出の国会議員も、総理大臣にやってくださいと頼んでおるよ。総理大臣の価値がないじゃないの、総理大臣が読み上げたことと事実が全然違うといったら。今度私が個人的に会ったら言おうと思うのです、総理大臣、あなた官僚にだまされちゃだめぜと。実に一国の総理大臣をお粗末に扱うといってもほどがあるよ、審議官。考えてくださいよ、あなたは。根性玉をかえなさい、根性玉を。部落差別を解決して何を損をすることがあるのか。そんなに差別が残したいか。  この間、衆議院法務委員会である社会党の代議士が言いましたよ、法律がどうしてこんなに小刻みなんですかな、意地悪しているのじゃないのですかと。ほう、なかなかうまい言葉を使うたなと私は思った。総務庁長官、どうしてもこれは我々だけがよくなったのではいかぬのよ。組織されたところだけよくなったのではいかぬのよ。というのは、組織されないところもというよりは、むしろもうおくれているのだから、組織されないところこそよくして全体のレベルが合う。そして日本の社会の中で、まだいろいろほかにも問題もありますけれども、部落差別のごとき無権利、低賃金労働者の供給源がある限り、我が国社会の二重構造はなくなりません。我が国社会の二重構造がなくならなければアメリカとの経済摩擦はいつもぎくしゃくします。  それは、日本は技術がすぐれておって、一生懸命働いてアメリカよりも優位な状況になるということは、アメリカがそんなことをいちゃもんつけてはいけませんよ。それは逆にこっちが説得しなければならぬけれども、日本社会の中にアンフェアなことがあってアメリカが文句を言うときには、それは我々は直さなければいかぬでしょう。私はきのう通商産業大臣にそれを説いたのです。総務庁の役人どもの悪だくみということを、政治家サイドでもう少し見抜いてもらわなければいかぬのであります。  ひどいのは、大臣御承知かどうか知らぬけれども、これは啓発センター何とかせいと言っておるでしょう、地対協の意見具申で。民間運動団体と協力できるようにせいと言っておるでしょう。これはもう差別はなくなった、差別の法律は要らぬのだ、もう何もやらぬでもいいんだということを言うような、そういう宣伝機関をつくろうと思って啓発センターをつくったのです。我々の反対に遭って、大蔵省から出た金だけで運営しておる。ほかのところは余り金出さぬ。それでもう立ち枯れみたいになっておる。それを地対協が知っておるから、民間運動団体と協力しなければ地方自治体も経済界も協力しないよ、だから何とかしなさい、こう言っているのですね。ところが、その啓発センターの「翔べ熱気球」という子供らに配って読ます漫画の本の中に、日本には部落差別はもうないと書いてある。ないのにどうして同和対策をやらにゃいかぬのか。ないと言ってそう思わせて同和対策をぶち切ろう、こういう考え方なんですね。これは後ほどまた機会を改めて言いますけれども、事ほどさように、悪巧みが込み入っているんですよ。  それで、これは法務省の一部官僚と組んでおる。きのう、私は渡辺外務大臣に言うた。人種差別撤廃条約の問題を議論しようと言うたら、あそこに法務省がおるからあれに言えといって、外務大臣のあの人の人柄じゃろうが、あごでこうやってやるからね、それは、あんたがやりよるのはあれに言えということじゃろうと思うけれどもね、いけぬのじゃ。外務省国連局長は、人種差別撤廃条約を外務省としてはやりたいのです、この前の中山外務大臣も、やりたいのですと言うた。ことしはだれが邪魔しよるかということを追及せにゃいかぬ思って私が上手に追及したら、法務省が反対しよると。法務省が反対するのは、人種差別撤廃条約では差別を規制しなさいとなっておる、差別を規制したら部落解放運動が勢いを得てくる、それでは困る。それで相談しよるわけ、総務庁と。総務庁の方は部落問題を必死に抑える、こっちは人種差別撤廃条約を必死に抑える。そんなことに政権担当の自民党が、そしてその自民党がつくった内閣が、えどかされたらだめよ。はっきり申し上げておきますけれども。  私らは、確かに徳川封建幕府以来抑圧されてきた。だから問題を解決したい。しかし、問題を解決したいが、個々人、能力のある者は、うまく自分だけ一生涯何とか生きていく道ぐらいは探す力を持っておるんですよ。助けてくれというのじゃないんですよ。要するに、みんなと一緒によくなろう、しかし、そのみんなと一緒によくなろうという気持ちは、日本という国が、ひいてはアジア全域が、世界の人類が、全体円満に平等にやっていくような道を探そう、こういうことでやっているんですよ。それを偉そうに、部落の者のためにやっとるんだという気持ちがあるから、何とかして抑えよう、何とかして抑えようと。  はっきり言っておきますが、ほかの省庁、みんな困っていますよ。あなた方の対応で困っていますよ。怪文書みたいなものを途中で流して。去年の七月だった。もう法律の延長はないからそのつもりでというような意味の文書を流した。総務庁へ間いに行ったら、いや、これはうちからは出ておりませんと。どこから出るんですか。何遍も何遍も、一般行政への円滑な移行ということで法を打ち切るという作戦を、四月、五月、六月と立てて、どうしてもいけぬものじゃから怪文書を流した。啓発センターをつくるときも怪文書を流した。自治体から何ぼお金を取る、財界から何ぼお金を取るという怪文書を流した。これはだれが出したんだと聞いたら、いや、うちからは出ておりませんと。俗に言う、味をきいてみるわけ。前近代的な、まことにいびつな行政が行われておるのです。  そこで、私、ちょっと一方的にしゃべったことになりますが、太政官布告が一八七一年に出ている、今から百二十一年前に出ておるでしょう。その当時の奈良県葛上部柏原枝郷岩崎村の阪本清五郎に、隣村の庄屋が使いをよこし、お上の都合で五万日の日延べになったと言うたんです。五万日日延べは、御承知のとおり百三十七年と百何十日か、二百日かぐらいでしょう。今は太政官布告が出て百二十一年、もう十六年ある。庄屋がつくりごとを言うたことが、日本の行政施策がまずいために、あれとほぼ同じ形になっているんですよ。この調子でいったら、庄屋が五万日日延べと言うたが、今の総務庁の態度だったらもう一方日日延べになりますわ。問題解決つきませんよ。  いろいろ苦情宣言うたようですけれども、閣僚として総務庁長官、あなたの部下を信頼されることも、もちろんそうしなければ仕事ができないと思うけれども、粗筋はでたらめばかりやっていますよ。これはまたじっくり長官に会って私は話したいと思います。  きょうは、これで終わります。

池田行彦自由民主党

○池田主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 先ほど来より総務庁に対しまして、昨年の暮れに地対協が具申された内容、そしてそれを受けてこの国会に提出されました法案、いろいろ流れがございますが、基本的な問題についてそれぞれ質問者が述べておるわけでございますが、この十二月十一日に出された地対協の具申の中で、先ほど長官も数回にわたって熟読されたというように述べられておるのですが、一体、あの具申の中でどの部分が一番大事な点であるか、どの部分は一番大切に扱わなければいかぬ、どの部分は、これからの部落の完全解放に向けた行政を進めるについての基本的な行政の中心に据えていかなくてはならない、そういうふうに思っておられるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 先生御指摘のとおり、昨年十二月十一日、地域改善対策協議会より意見具申をちょうだいいたしました。その意見具申を尊重いたしまして、最も大切な問題は今後の地域改善対策に関する大綱、この問題を政府として取りまとめたところでございます。それがこれからの地域改善対策に取り組む総合的な基本的な内容になっておるということでございます。  そして、その大綱を踏まえて、今回、現行地対財特法の一部改正法案を国会に提出をいたしておるところでございますが、その意見具申の中でより具体的に大切なものは何かという御質問でございますけれども、一つは、地域改善対策の問題に取り組んでまいりました地対協を存続させて、その中で、今、小森先生や御卓見のある皆さん方から御高見をいただいたその中で、トータルプラン、これをきっちり立てていただいて、そして二十一世紀には差別がなくなるような、そうしたきちっとしたプランを立てていただきたい。そのための一つの方策は、実態調査という問題もございましょう。また、従来どおり特別措置法として法的な財源措置を持つ内容のものにするということ。そしてそのことによって、特に一般対策の移行については、これからも強力に推し進めていかなければならない、この一般対策の問題。  さらに今、この法律は同対審答申以来、同対法が制定されて以来、細切れではないか、こうした小森先生の御指摘もあったところでございますけれども、五年間延長するという問題、さらに、おしかりがあった、今日まで対象地域として指定をした地域に対して特別措置法の適用をする、こういった問題が意見具申をいただいた内容の主なポイントになるのではなかろうか。それを踏まえまして、鋭意御趣旨にこたえられるよう、法案成立の暁におきましては同和問題解決のために努力をいたしてまいりたい、このように考えております。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 限られた時間でございますのでそう深く議論はできないわけでございますが、今長官の述べられたお答え、恐らく去年の具申が出て、これを受けて閣議決定をされたのがあの大綱であろうと思うわけですが、私は、あの大綱を見ましたら、具申から大きく後退をしているというように見ておる。したがって、その大きく後退した大綱に基づいて今回の法律案が出てまいったわけでございますから、私は、あの法案は、ありがとうございましたというように受け取るわけにはまいらないわけなのです。  私は、この意見具申の中で一番大事なところは結びの言葉だと思うんですよ。いろいろ述べられておりますよ。いろいろ述べられておるけれども、一番末尾に書かれておる「同和問題は憲法に保障された基本的人権の問題であり、二十一世紀に差別を残してはならないという固い決意をもってこれも長官言われておるんですね、「同対審答申の同和問題を一日も早く解決すべきであるという精神を受け継ぎつつ、国、地方公共団体、国民が一体となった取組みに力を尽くすべきである。世界を挙げて人権問題が強調される中で、国民の人権意識が国際的にも注目を浴びている。国民の一人ひとりが人権問題について一層理解を深め、自らの意識を見つめ直すとともに、自らを啓発していくことが求められている。同和問題の早期解決に向けて、改めて」ここで「改めて国民的課題としての展開が重要である。」この具申の中でこれが一番大事じゃないですか。どうなんですか。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 大綱を踏まえまして、意見具申を尊重し大綱がつくられたわけでございますけれども、その意見具申を尊重して、法案の中身の具体的な問題については先ほど私が御答弁を申し上げた内容でございます。そして、その具体的内容を最後の結びの言葉で締めくくっておる。まさにその具体的な仕事を実現することによって、二十一世紀に差別を残さないことになる。また、国民一人一人がそれだけの意思を持って取り組み、国民的課題として取り組むことが必要であるということがこの結びの言葉にある、わけでございまして、これを私どもは、本法案提出をし、成案を見た暁におきましては心に強くたたき込むと申しましょうか、精神的なよりどころとして同和問題解決のために取り組んでまいりたい、こういうような趣旨で申し上げ、言葉の足らなかった点についてはお許しをいただきたい、かように存じ上げます。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 議論をすると時間がありませんので、これは法案が提出されて担当の内閣委員会で十分議論をされることであろうと思いますし、また機会がありましたらその場に私も参加させていただきまして議論していきたいと思いますが、申し上げましたように一番末尾が一番大事だということ、これをぜひともひとつ御理解をいただきまして、これからの部落解放行政の推進に当たって、責任者としての担当大臣、よろしく決意を新たにお願いしたいと思うわけであります。  そこで、この具申の中で、いろいろと書かれておるわけでございますが、きょうは一つ、「行政職員の研修を更に充実するとともにこという言葉もあるわけですね。行政職員、国家公務員、地方公務員あるいは政府関係のそれぞれの特殊法人、団体あるいは地方自治体関係の準公務員的な扱いをされる人事配置をしているそれぞれの団体、そういうものすべてが私は行政職員という言葉に当てはまると思うわけでございますが、ここからの研修が非常に大事であろうと私は思うのです。  先ほど小森議員は審議官に対しまして大分詰め寄っておったわけでございますが、審議官はこの担当の責任者としてよく熟知しておられるんですね、国家公務員全体として、地方公務員全体としてもう既に同対審答申がなされ、そしてそのちぎれちぎれの法律で今日まで部落解放行政を進めてまいったわけでございますが、今なお、先ほども松本議員が取り上げた、最近では九州における公務員自身の差別チラシばらまき事件、こういうのがありましたし、郵政関係の末端機関の中でもございましたし、また特定郵便局の局長を集めて郵政の管理職が差別的な講演をする、そういう事件も起こっておりまして、後を絶たないわけなんですね。そういうことがやはりこれからの同和行政について非常に大事なことであろうと思うわけでございます。  まず、行政職員になる以前はというと、これは小学校から始まりまして中学校、高等学校、大学、これらの教育機関の中でこの部落問題が正しくどのように啓発、教育活動がされておるかということが大事だと私は思うのです。文部省来ておられると思いますが、これは幼児教育や初等教育の中では無理であろうと思いますけれども、大学が高等学校に比べまして同和教育というのは非常になっておらぬわけですね。公立の大学の方がまだまし、国立の大学については全くなっておらぬ。しかもその長たる、あなた方の、大方の官僚の母校の東京大学では部落解放教育ゼロなんだ。そういうようなところから行政職が生まれてくるならば、これは同和行政を真剣にやれ、やれと言ってもやれないのは、まずこの原因がここにおるのではないかと私は思うのでございますが、この部落解放教育について。啓発活動について、文部省は今まで一体どういうようなことをやってきたのか。これから二十一世紀に向けて差別をなくするためには、どういうような方針で部落解放教育をやろうと思っておるのか。ひとつお答え願いたいと思います。

工藤智規文部省高等教育局大学課長

○工藤説明員 お答え申し上げます。  大学における同和教育の状況でございますが、私ども、同和問題につきましては、憲法、教育基本法に定められておりますような精神にのっとりまして極めて重大なものであると思いまして、これまでもたびたびいろいろな御指導等を申し上げてきているわけでございまして、基本的には昭和五十七年の地対法の制定に際しまして、各大学に御通知申し上げましたほか、単に通知だけではなくて、こういう事柄につきましては、いろいろな機会にたび重ねてお話し申し上げる必要があると思いまして、各国立大学長の会議とか事務局長の会議とか、いろいろな機会に趣旨の徹底を図ってまいったところでございます。  どういうことを申し上げてまいったかと申し上げますと、幾つかございますが、一つは同和問題を含めまして、人権意識の高揚のために各大学が適切な配慮をしてほしいということでございます。特に、教員養成大学・学部があるわけでございますが、これから教職につかれる学生諸君が、子供たちの教育に当たりまして適切な意識を持たれることが必要でございますので、各大学の中でも特に教員養成大学・学部におきましては、より一層の特段の配慮を求めているわけでございます。  そのほか、同和地区の卒業予定者の就職に関しまして適切な就職指導の徹底、あるいは各大学でいろいろな差別事件等が起こりましたときに善処方をお願いするとともに、早急に報告するような体制のお願いも申し上げてきているわけでございます。  しかしながら、残念なことに幾つかの大学で、いまだに差別的な落書き事件とか不適切な事案が見られますことは、まことに残念なことでございます。  そういう中でも、先生おっしゃいましたような同和教育を大学でどう行っておるかという状況について申し上げますと、平成二年度で国公私含めましての授業科目の開設状況としましては、五百七校ございます中で百六十五校、開設割合としましては三二・五%でございます。  ところが、先生御指摘ございましたように、設置者別に申し上げますと、国立大学の場合は九十六大学中四十四校、四五・八%でございます。公立大学は三十九校中二十二校でございますので五六・四%、私立大学は若干低うございまして、三百七十二校中九十九校でございますので二六・六%でございます。これは合計いたしまして先ほどの百六十五校なわけでございますが、近年、経年的に見ますと若干ずつ増加傾向にございまして、例えば平成元年を見ますと、その総数が百六十五校でございましたが、昭和六十二年には百五十五校、略和五十八年では百二十校、五十六年では七十四校という状態でございましたのが、年々開設状況がふえているという状況にはあるわけでございます。  ただ他方で、御案内のとおり、大学という高等教育機関で何をどういうふうに教えるかというのは努めて大学自治にかかわることでございまして、各大学の自主的判断に基づきながら行うというのが基本なわけでございますが、そうはいいましても、こういう基本的人権にかかわる問題の重要性にかんがみまして、私ども、これからも各大学に一層の御配慮を求めてまいりたいと存じている次第でございます。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 時間がありませんのでまた場を改めるとして、ぜひとも金輪際、大学の学内で、あるいは大学生が少なくとも差別事件を起こすというようなことのないように責任を持ってやってほしいということだけ一つ言っておきたいと思うのです。  国家公務員を対象にした部落問題研修のあり方、これは検討してもらって、その基本方針と計画というのは総務庁で作成して、各省庁に徹底して、支分局を含めて国家公務員の部落問題の研修をぜひとも行ってもらいたいと思いますし、また自治省と連絡をして、地方公務員に対しても、あるいは国家公務員、地方公務員を対象にした意識調査をこの機会にぜひとも行ってほしいというように思うわけなんですが、この二つの点についてお答えをいただきたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 研修の側面と公務員に対する意識調査の観点とお受けとめしまして、お答えいたします。  公務員は、国家公務員と地方公務員があるわけでございますが、先生先ほど申されましたいわゆる国家公務員のかかわりに関しましての研修につきましては、関係省庁といろいろ連絡をしながら、各省庁のそれぞれの実情というものもございますから、各省庁の実情に合った形で効率的な研修を計画して実施してほしいというふうに思っております。特に総務庁から指示するということは現在考えておりませんけれども、関係省庁とのこめ問題に関する会議というのは時機に応じて頻度多くやっておりますので、その辺で情報交換をしながらということでございます。  総務庁におきましては、先ほど申し上げましたけれども、中央省庁に勤務する幹部職員、一般職員、この二つのクラスに分けまして研修を行っております。昨年は十二月の人権週間のころに、管理・幹部職員二百名、一般職員千名の研修を行ったところでございます。  地方自治体の公務員に関しましては、私ども、指導者養成研修を実施しておりまして、これもちょっと先ほど触れましたけれども、三泊四日の合宿研修としまして、いろいろメニューを豊富に入れ込んで、体験、意見交換等も含めてやっているところでございます。自治体というところは、四十七都道府県、その下に三千を超える市町村があるわけでございますから、そこに層厚くその指導者を養成していくということを基本に考えているわけでございます。  それから、地方公務員、国家公務員を対象とした同和問題についての意識調査を行うべきではなかろうかということでございますが、地域改善対策の推進に当たりまして、行政運営に直接携わる職員の資質向上、これは研修でも申し上げましたように重要な問題でございます。これまでもその向上につきましては、国、地方公共団体が努めてきているところでございます。昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきましては、行政職員の研修をさらに充実していくことが必要であるとしております。今後とも行政職員に対する同和問題に関する研修をより積極的に推進してまいりたいと考えております。  なお、行政職員のみを対象とした意識調査をすること自身は考えておりませんけれども、国民の意識について把握することは重要であると思っておりますしかるべき時期に調査を実施したいと考えております。  なお、公務員につきましては、意識調査ということとは別に、同和問題についての基本をしっかり認識して指導できる、それからみずからがよく知っているという形を多くの職員にとっていきたいと思います。啓発に関する研修こそ大事なところではなかろうかと思っております。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 二つ目の意識調査が大事だというのは、知りもせぬと知ったような顔をしてやられるのが一番まずい結果を生んでいくわけですよ。知りもせぬのに知ったような顔をして、だから堂々と間違った差別講演を管理職がやるというようなことが出てくるわけですよ。だから、やはり行政に携わる職員に対して、これは国家公務員、地方公務員に共通するわけでございますが、やはり部落問題についての正しい認識を持たせるためにも、意識調査というのは、私はやはり考えるべきだと思うのです。  それから、この具申の中に、今小山審議官も言われましたように、今まで、今報告があったようなことをやってきた。職員に対する研修というのは各省にお任せしてきた。しかし、さらに充実をしなくちゃいかぬということを具申も述べておるわけでございますから、やはり各省庁にアンバラが起こらないように、こうすべきであるという基本的な指針をやはりつくって、具体な内容を示して、こういうような形で各省庁ひとつ職員を対象に研修をやりなさい、解放教育をしなさい、こういうように指導すべきだ、指示すべきだというように思うのですが、もう一度お答えいただきたい。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先生おっしゃいますことを私も十分理解ができます。ある意味におきましては、今後考えさしていただきたいということを申し上げておきます。しかし、研修自身につきましては、関係省庁の業務の特殊性がございますので、自主性は十分尊重していきたい。それから、おっしゃいますように、協議の場、情報交換の場、これこそまず大事なことではなかろうか、このように認識しております。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 新しい法律によってどの場がやるのかはこれからの問題であろうと思いますが、具申の中には、この際、実態調査をやらなければいかぬ、それから、国民の意識調査をやらなければいかぬというように述べておりますが、時間がありませんので議論はできませんが、五年前に一応意識調査をされる場合も、東京、東北、北海道、沖縄を対象外にこの前しておるんですね。対象外にした東北で、去年の通常国会で私も具体例を挙げて取り上げましたように、対象外にしておったところから大きな、県全体として、自治体全体として、部落という呼称を使ったら被差別部落と間違えられるんじゃないか、部落という呼称はやめて自治会にしましょうというような、県ぐるみ、自治体ぐるみでやっている県も出てきたわけですよ。だから、ひとつ全国を、全県を対象にしたそういう意識調査をやはりやるべきである、こういうように私は思いますし、それから部落の実態調査も、これは全国的なレベルで総合的な実態調査というものをやるべきである、こういうように私は思いますが、ぜひともそのようにひとつ努力をしてもらいたいと思いますが、長官の方から、最後にそのことをお答えをいただきたいと思うのです。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 実態調査は昭和五十年、六十年、過去二回にわたって行っております。その過去二回の調査の実績、効果、そういったものを分析しながら、ただいま先生から御提一言のあった、全国を対象とした問題について実態調査を行うべきではなかろうかという御提言でございますけれども、この件につきましては、先ほど申し上げた問題を前提にしながら検討さしていただきたい、かように考えております。

和田貞夫日本社会党・護憲共同

○和田(貞)分科員 終わります。

池田行彦自由民主党

○池田主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、春田重昭君。     〔主査退席、小岩井主査代理着席〕

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 私は、路上に放置された自転車、すなわち放置自転車ですが、この対策問題についてお伺いしたいと思います。  総務庁は、自転車基本問題研究会というのを設置しまして、これらの放置自転車に関する、建設省、自治省その他各省ございますけれども、その取りまとめの庁としていろいろ対策を講じておられるわけであります。自転車の需要が通勤通学、買い物で非常に高まっておりますけれども、それに対する駐輪場が非常に少ない。とりわけ駅周辺の放置官転車というのは、いわゆる景観とか交通障害で今大変大きな問題となっているわけであります。この放置自転車の実態につきまして総務庁は御調査なさっていると思いますけれども、まずその放置台数につきまして御報告をいただきたいと思います。

賀来敏総務庁長官官房交通安全対策室長

○賀来政府委員 自転車問題につきまして温かい御理解をいただいておること、まずもって敬意を表したいと思います。  いわゆる駅前等に放置されている自転車、おおむね二年ごとに私ども調査さしていただいているとこうでございます。それで、最も近い平成三年のは今集計中でございますが、確定した数字のございます平成元年の駅周辺における自転車の放置台数は約八十万台でございます。これは、ここ十年ぐらいの状況から見ると、ピークは昭和五十六年に約九十九万台ぐらいでございましたので、若干は徐々に減少してきたのでありますが、再び少しふえてきた、そういう傾向でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 昭和五十六年にピークの九十九万台になったけれども、その後、昭和五十五年に法が施行されまして若干減少してきた、ところが、今日において自動車のいわゆる交通渋滞等によって非常に自転車の需要が高まってきて、また放置自転車がふえてきているという状況であろうかと思います。  そうした背景のもとで、先月の十三日に全国の放置自転車対策会議というのが東京で行われまして、全国の地方自治体から百七十二団体が参加いたしまして、大変な盛り上がりがあったと伺っております。いろいろな各種対策といいますか要望が出されたみたいでございますが、その何点かについてお伺いしますが、まず第一点は、昭和五十五年に制定されました自転車法、これによりますと、大型店舗とか銀行等におきましては、一定の駐輪場の義務づけがされている。ところが、通勤通学に駅へ行く、しかし駅における駐輪場のいわゆる義務はされていない。法には、積極的に協力しなさいとなっておりますけれども、実態はそうではない。そういった点で、受益者たるいわゆる鉄道事業者がこれは当然一定の駐輪場をやはり設置すべきじゃないか、こういった声が出てきているわけでありまして、いわゆる現行法では対処できないので何とか法改正をして、鉄道事業者、JRや私鉄等においても大型店舗や銀行等と同じように義務づけるべきである、こういった強い声があるわけでございますが、総務庁としてはどうお考えになっておりますか。

賀来敏総務庁長官官房交通安全対策室長

○賀来政府委員 全国的に、駅前の放置自転車につきましては、大変深刻など申しますか難しい問題だということで、地方自治体からいろいろ私どものところにも、また諸先生方の方にもお話が来ていると思います。それが先般の全国大会であろうかと思います。  ここでいろいろ問題点がありますのは、何としてもこの狭い国土に六千九百万台の自転車があるということで、その多くがやはり国民の足として利用されているわけでございますので、どうしてもあらゆる活動の拠点である駅に集中する。したがいまして、こういう現象が起こっているかと思います。  この法律が諸先生方の御尽力によりまして昭和五十五年に制定され、その後機能しているわけでありますが、まさに県の条例等で、いわゆるデパートだとかそういうところはきちっと義務づけがされまして、それ相応に新築あるいは増築等の際にはその機能が発揮されつつあります。それで、いわゆる駅前の周辺につきましては、民間の管理者あるいは市町村の所有地等があるようなところは何とかやりくりできるかと思いますが、鉄道事業者のいわゆる管理に係る土地については、なかなか協力が得られにくくなっているというのが自治体の本音でございます。これはやはり、より利用される駅前というのは、もう既存の、ある程度レイアウトされた、猫の額でも相当な額のするようなあれでございますので、自治体の言い分も、また駅の言い分も、また関係者のあれも大変難しい問題が集約されておる。そこにこの問題が出ているかと思いますが、何とかもう少し協力してもらえないかというのが自治体あるいは多くの国民の要望であろうかと思います。  それで、現在の駅周辺の駐輪場は、そういう鉄道事業者がどのくらい協力しているかというと、約二割ほどなんです。まあ量からいうと四十三万平米、まあ広いような狭いような、ちょっと私ども判断つきかねるわけでありますが、それ相応には協力しているのですが、何しろ自転車のふえ方ほどは十分でないということで、どうしたものかということで自治体もいろいろ工夫されています。  一つは、やはり駅に駐輪場を何とか確保したいということなんですが、どうしても確保できないようなところはレンタルの方式をとってみたらどうかとか、あるいは、こんなことを申し上げたら恐縮なんですが、国民の足ではあるのですが、本当は歩いても行けるようなところにも利用されっ放しになっているというようなマナーの問題もあるように思います。  そういうことを考えますと、何とかいろいろな知恵を出し合って、お互いに痛みを分かち合って、一歩でも二歩でも前へ進めることができないかということで、専門の先生あるいは関係の省庁と勉強を始めたというところでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 鉄道事業者を所管する運輸省は、この問題については相当難色を示しているんですね。一つは、何も駅周辺は鉄道利用者だけじゃない、放置されている自転車は何も鉄道事業者のせいだけじゃないという言い方。また非常に限られた土地である、しかも、駅前でございますから非常に高価な土地になってくる。またこれが運賃の方に値上がりする要因にもなる等々、いろいろな。理由を言って、非常にこの問題につきましては後退しているわけです。  しかし、ある東京の区、練馬区でございますが、ここではいろいろな整備促進会議なんかを設けまして、鉄道事業者とそれから地元商店街や区、いろいろな方たちが入って協議会を開いて、何とか鉄道事業者にも協力いただきたい、こういった会議等も開いているわけですから、今御答弁があったとおり、全国的には約二割の鉄道事業者が協力しているわけですから、実績もあるわけです。そういった面では、この問題につきましては運輸省にも強く働きかけて、一定の駐輪場を提供するような、そういった形をとっていただきたい、このように要望しておきます。  さらに、現行法では、いわゆる放置された自転車は、一定期間放置されていれば撤去して保管します、そして、ある期間過ぎてしまえばそれをもう処分してしまうという体制になっているわけでありますが、法的根拠といいますか法的裏づけが非常にあいまいというか弱いのです。自転車という財産権を勝手に処分するわけですから、そういった面でいろいろな所有者とのトラブルもあるやに聞いているわけでございます。まだ自転車で裁判になっていないみたいなんですが、同じようなことで放置自動車でもいろいろな裁判が行われているわけですよ。そういった面で、現行ではそういう裏づけが非常に弱いものですから、撤去裏づけがきちっとできるような法改正が必要じゃないか、こう思っておりますけれども、どうお考えになっておりますか。

賀来敏総務庁長官官房交通安全対策室長

○賀来政府委員 ただいま御指摘のように、一方では駐輪場を整備する、一方では、有効に迅速に利用されるようにできるだけいつも空間を残しておくという、そういうシステム、両輪がありまして初めて成り立つものでございます。  そこで、現在、自治体はどういう工夫をしているかと申しますと、御案内かと思いますが、いろいろ知恵を出して条例で対応しているところでございます。しかしながら、やはりもう少し思い切った、短期間に、所有者のわからないような、あるいは所有の意思のあいまいなものはもう少し迅速に処理できたら、自治体はより助かるという声を聞いております。この問題も含めまして、現在、専門家の御意見を聞いたりしておりますが、これもなかなか法律上デリケートな、民法に絡みましたり既存の法律に絡みましたり、あるいは遺失物、廃棄物の関係等いろいろ問題がございます。  もう一つ、同時にリサイクルのような見地からも関心を持たれているということで、問題は、余りにも自転車が今の諸物価の中で模範生であるというような問題もあろうかと思いますが、駐輪場の整備の問題とあわせまして、できるだけ地方自治体の方々の処理しやすいように諸先生方の教えをいただきまして、将来検討し、整備しなければならぬのじゃないかと十分に理解しているところでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 ひとつ前向きで取り組んでいただきたいと思うりです。現に私も大阪の守口というところに住んでいるわけでありますが、こういった問題を取り上げるためにも実態調査も行いましたし、また、関係職員の現場の声も聞いてきたわけでございますが、そういった方たちも、この問題については非常にあいまいさがある、こうおっしゃっております。よろしくお願いしたいと思います。  次に、国の助成の強化の問題です。これは建設省の方が現実に駐輪場の整備にはかかわっておりますので、そちらにお伺いしたいと思うのですが、現在建設省は、駐輪場の整備に当たりましては、街路事業それから交通安全施設整備、この両事業でやっております。補助がされているわけでありますが、現行法では、街路事業では、いわゆる工事につきましては二分の一の補助、交通安全施設整備の方も、工事については二分の一であります。土地につきましては、街路事業につきましては三分の一の補助、交通安全の方は二分の一となっておりますが、いずれにしても非常に補助率が低いということで、三分の二の補助に強化していただきたい、ぜひともかさ上げをしていただきたいという声が強いわけでありますけれども、建設省としてはどうお考えになっていますか。

大川勝敏建設省都市局街路課長

○大川説明員 お答えいたします。  自転車の駐車場の整備事業につきましては、御案内のように、道路整備事業の一環といたしまして昭和五十三年度に補助制度として創設したものでございます。以来これまでに、街路事業でございますが二百七十五カ所、二十四万台の整備を行ってきたところでございます。この事業の補助率につきましては、今先生が言われましたように、用地三分の一、施設二分の一の補助ということになっておるわけでございますが、補助率につきましては、他の道路事業の補助率とのバランス、非常に大規模な道路は三分の二、小規模なものは二分の一というようなものもございまして、そういったものとのバランスを配慮しながら決めておるものでございまして、妥当なものではないかというふうに今のところ考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 現に地方自治体からは、この補助につきましては、かなり実態とは違う面、相当拠出の面もあるわけですから、そういった面では、私はかさ上げを強く主張しておきたい、こう思っております。  さらに、自治省の方にきょうおいでいただいておるわけでありますが、この放置自転車の対策はすべて市町村が行っておりまして、都道府県は全く関与していない。先ほど言いました二月十三日の全国のそういった決起大会にも、練馬の方からは、各県の方に要請した、ところが全く東京都もその他の県も参加していないということで、自転車のいわゆる駐輪場につきましては、全く都道府県は関与していないわけです。市町村がもう丸ごとこの対策に対応しているわけですね。そういった面で、都道府県もやはり応分の補助をすべきじゃないか、こういう声があるわけでございまして、自治省としてはどうお考えになっておりますか、お答えいただきたいと思います。

嶋津昭自治省財政局地方債課長

○嶋津説明員 今先生の御指摘のような感じを私どもも持っております。ただ、基本的には、住民に身近な立場にある市町村において緊急にやらなくちゃいけないということで、都道府県に相談する暇なく対策を迫られているという状況ではないかと思います。  先生の御質問がございましたので、数団体に聞いてみましたところ、関東でも東京都とかあるいは千葉、神奈川等は、少額でございますけれども補助要綱を持っているようでございます。それから、先生の地元でございます大阪府も、若干市町村に対して補助をしているという実態があるようでございます。  私ども考えておりますのは、最近、公共駐輪場をつくりますと、どうしても用地費が多額にかかる、恒久的な駐輪場には。そういうところにかんがみまして、自転車駐車場対策として地方債を認めているわけでございますけれども、平成四年度から都市整備特別対策事業という形で地方債を七五%許可しまして、その元利償還金に交付税措置をしていこうという仕組みをつくりまして、そういう緊急に対応すべきような駐輪場対策に措置を講じましたので、ある程度地方団体の事業が進んでくるのではないか、かように考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 さらにもう一点、自治省の方にお伺いしたいと思うのですが、民間のいわゆる駐輪場の整備でございますが、現在、自動車駐車場を整備した場合は税制面の優遇策があります。固定資産税が約二分の一、それから不動産の取得税、これも二分の一がそれぞれ減免の対象になっておりますね。ところが、自転車の駐輪場につきましては優遇策がない。同じ車ですから、自動車が適用になっておれば自転車にも適用していただきたい、こういうことでございますが、どうお考えになっておりますか。

林省吾自治省税務局府県税課長

○林説明員 地方税の問題についてお答えをさせていただきます。  お尋ねの不動産取得税と固定資産税は、御案内のように都道府県及び市町村の基幹的な税目となっておりまして、非課税等の特別措置を検討いたします際には、特に公共性の高いものに限って認める、こういうふうに考えております。  御指摘ございましたように、確かに駐車場につきましては、一般の公共用に供されます踏外駐車場のうちで、都市計画等において定められたもので、地下式、立体式のもの、こういうものにつきまして、家屋及び償却資産のみに限って、その公共性と土地の有効利用の観点から特例措置を講ずることといたしておるわけでございますが、駐輪場につきましては、現在、駐車場と比較をいたしますと、都市計画上の位置づけ等、なかなかあいまいなものがございまして、御指摘ございました民間の駐輪場等についてどう考えるか、大変難しい問題がございます。しかしながら、駐輪場につきましては、自転車駐車場に関する研究等を行う全国的な民法法人がございます。この民法法人が地方公共団体の補助を受けて設置する場合、こういう場合は事業の公益性が高いもの、こういうふうにも認められるものでございますので、現在は、この民法法人が地方団体の補助を受けて設置する場合に限りまして、家屋及び償却資産に係る不動産取得税及び固定資産税の軽減措置を講ずることといたしております。不動産取得税につきましては二分の一、固定資産税につきましては、これが課されることとなりました年度から三年度内に限りまして二分の一の軽減措置を講ずることといたしております。現状では、これ以上に特例措置を拡大することにつきましては、税負担の公平確保の見地から考えまして慎重にすべきであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 この問題につきましてもさらに拡大していただきたい、このように要望しておきます。  最後に長官の方から、放置自転車問題につきましては、運輸省や自治省や建設省、それぞれ各省があるわけでありますが、七つの省にわたっていると聞いておりますけれども、取りまとめは総務庁でございますから、今おっしゃったように全国的に八十万台、バスの停留所等も含めればもう百万台ぐらいになるのじゃないですか、そういった点で今非常に大きな社会的な問題になってきております放置自転車対策、これは非常に急務でございますので、私は、この問題は研究会で取りまとめをいただいて、そして問題点を明らかにして、早急に地方自治体のそういった要望にこたえるように、ひとつ総務庁として格段の御努力をいただきたい。  長官の決意をいただいて、終わりたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 いろいろとお話を承っておりまして、まさに駅周辺における自転車の大量放置、これは歩行者の通行障害になるばかりではなくて、都市環境そのものも悪化する大変大きな弊害を持った、そして深刻な社会的問題であろう、このように認識をいたしております。  そこで、放置自転車の解決のため、先生から各省にわたっていろいろと現行並びに今後の方法についてお尋ねがあったわけでございますけれども、駐輪場の整備の件、さらには自転車の放置とその処分の促進の問題あるいは利用者のマナー等、いろいろな観点から総合的に対策を講じていくことが重要であろう、このように考えております。ために総合調整の任に当たる総務庁といたしましては、関係する省庁と十分な連絡をとりましてこの問題解決に向かって努力をいたしてまいりたい、かように存ずるところでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 長官の御努力に期待するものであります。  時間があと四分となりましたので、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。  本日は、非行少年の問題につきましてお伺いする予定でございます。  総務庁に青少年対策本部がございます。もう時間がございませんので本日は一点だけ絞って伺いたいのですが、この青少年の問題、非行少年の問題につきまして、本日は有害図書の問題とボランティア活動の二点についてお伺いする予定でございましたけれども、有害図書問題につきましては、時間の関係上後日に回したいと思います。  御案内のとおり、連日少年によるいろいろな事件が起こっています。千葉における一家四人殺し、高知では高校一年の姉が中学一年の妹を刺すというちょっと考えられないような事件でございまして、痛ましい事件です。しかし、統計的にとってみれば、要するに犯罪全検挙数の約半分が少年犯罪と言われているように、非常に少年犯罪が高まっている。なぜ犯罪が起きるのか、一概には言えないと思うのですが、やはり家庭の問題、学校の問題、また職場の問題、地域社会の問題、いろいろあると思う。少年少女がこれから発達途上において、成長の段階においていろいろな悪影響を及ぼす問題がたくさんあるわけです。そういった面で、少年非行をなくす即効薬はないと思うのですが、私はこの問題を看過することはできない。  そこで、現在法務省が所管となっておりますボランティア活動の中にBBS運動というのですか、少年非行と同じような年齢、十八歳から三十歳前後ですか、そういったいわゆるビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズ、こういった本当に若い青年たちが非行少年と同じレベルに立って、あるときは姉のように、あるときは兄貴のような立場になって相談に乗ってあげるという大変全国的に大きく盛り上がっているボランティア活動があるわけであります。時間がありませんので一方的に言いますけれども、全国的に約六千五百名くらいいると言われております。この少年非行に対しては保護司とか婦人の更生員とかおいでになりますけれども、やはり年輩でございますから、このBBS運動というのは非常に今後盛り上げて、また広げていく必要があるのではないか。  ところが、一最近福祉ボランティアについては非常に見直されまして、企業等でもいろいろな顕彰をしております。そういった面で、このBBS運動についても何か法務省としては顕彰して、そして顕彰することによって場を広げていくといったことができないものかどうか、この点法務省としてどうお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。

泉信彌法務省保護局調査連絡課長

○泉説明員 それでは、お尋ねの件に関しまして簡単に答えさせていただきます。  BBS運動につきましては、ただいま先生御紹介いただいたとおりでございます。  BBS運動自体は昭和二十二年以来四十年余の歴史を持つわけでございますけれども、活動の内容が非常に地味な活動でもございますし、またこれが地域社会で必ずしも認識を多く受けていないというふうな問題もございます上、最近の青少年の意識の変化というか、そういうふうな面などもございまして、最近のBBS会員の活動の現状は、やや減少あるいは低調というふうな形をとるような状況を今迎えているところでございます。  このような状況に対処して、このBBS運動の重要性等にかんがみまして、法務省としてもまずもって会員数の増強、それからBBS会員による友達活動をより積極的に展開する必要がある、そのためには保護司会あるいは更正保護婦人会等の関係団体の支援、協力を求めるほかに、マスコミその他関係機関への働きかけも積極的に行っているところでございます。  加えてBBS会員の資質の向上あるいは士気の高揚を図るために、法務省としましても各種研修会等を実施しまして、そのBBS会員の意欲の助長あるいは活動の内容の充実というふうなものを図るほか、ただいま御指摘もございました功績顕著な会員の表彰といった点についても鋭意努力をしているところでございます。引き続き現下の非行の状況にかんがみまして、この点の積極的な育成、指導に当たってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、小林守君。

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 社会党の小林守でございます。  貴重な時間をいただきましたものですから、本日は、二十一世紀に向かって何とかして基本的人権にかかわる部落差別の問題を解決したい、そういう観点から今私たちは何をなすべきなのか、そういう観点に立って長官初め関係者の御意見、そして論議を深めていきたい、そのように考えているところでございます。  まず最初に、長官におかれましては、同じ栃木県出身ということでもございますし、大変親密感を抱かしていただいているわけでございますが、長官の議員になる前の職につきましては真岡市長というようなことで、自治体の代表者という関係、出身でございますから、ちょうど昭和五十二年ごろまでおやりになっておられたということでございます。  そういうことで振り返ってみますると、四十年に同和対策審議会答申が出されまして、四十四年に同対法が施行されたわけであります。本県におきましては昭和四十八年ごろから各自治体において同対行政が開かれていくというような状況にあったのではないかというふうに私振り返って思うわけであります。ということになりますと、真岡市長であられました岩崎長官の時代におきましても、まさに県を初め、地方自治体において、この問題についてどう取り組んでいこうかとか、運動団体の皆さん方、地域の皆さん方から、いろいろな困難を乗り越えて、立ち上がって、行政に何とかしてほしいというような機運が非常に高まってきたときだったのではないか、そういうふうに考えているわけなんです。  そのような地方自治体の長の出身者という立場を踏まえまして、今日地対財特法の法期限を迎え、そして五年延長しようというような法案が用意されているというようなことでありますけれども、その最高の責任の立場にある長官の同和問題についての基本的な認識、そしてこれからの差別を抜本的に解決していくんだというような観点に立っての御所見をお伺いしたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 小林議員から御発言がございましたとおり、ともに栃木県から、参議院で仕事をさせていただき、未解決の問題である同和問題、お互いの相互信頼の中で論議を深め、問題の解決に向かってともに進まさせていただきたい、冒頭にこのようにお願いを申し上げる次第でございます。  同和問題は、御案内のとおり、憲法によって保障されました基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識を持っております。したがって、政府といたしましては、昭和四十四年以来二十三年間にわたりまして特別措置法に基づきまして今日までもろもろの施策を推進してまいったところでございます。  その結果、昨年十二月十一日地対協の意見具申におきまして、その成果は全体としては着実に進展を見ておる、このような評価をいただいておるところでございますが、一方では、同意見具申におきまして、平成四年度以降の物的事業がいまだ相当に見込まれておる、また非物的な事業の面におきましても今後とも努力を続けなければならないと提言をいたしておるところでございます。現行法制定の趣旨を踏まえまして、政府といたしましては、法的措置を含めまして適切な措置を検討する必要があるであろう、このように考えております。  その際に意見具申では、できるだけ早い機会に目的の達成が図られ、そして一般対策へ移行することが肝要である、このように申しております。そのために、一つは時限的なものとすべきである、かような提言もいただいているところでございます。したがいまして、政府におきましては、現行の地対財特法の制定の趣旨を踏まえまして、真に必要な事業に限りまして財政上の特別措置を五年間延長することといたし、現行の地対財特法の一部改正の法案を今国会に提出をいたしておるところでございます。  総務庁といたしましては、先生御指摘のとおり二十一世紀に差別を残してはいけない、そうした決意を持ちまして、同和問題の一日も早い解決を目指しまして、関係省庁あるいは地方公共団体等と緊密な連絡をとりまして、今後さらに一層の努力をいたしてまいる所存でございます。

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 長官につきましては、元真岡市長ということで地方自治体の長という関係もございますし、そういう観点から今日の部落問題を考えていく上で極めて重大なポイントになる観点というのは、法施行後二十三年を経過しても、なお社会的には、歴史的には被差別部落というようなものが認められる、厳然として存在している、そういう実態にもかかわらず地区の指定が受けられていない、そういう未指定地区の問題が、一説によると全国で一千部落あるのだというふうにも言われているところであります。これらの問題についてどう対応していくのかというのが私は最大のポイントだろう、そのように思っているところであります。  これは個人的なことになろうかと思いますが、真岡市におきましては、昭和五十二年段階、また今日に至っても、社会的には被差別部落の存在は確認されておりながら対象事業を行っていないというような状況だろうと思いますけれども、この問題につきまして長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 三十七年から五十二年まで、十五年間にわたりまして地方自治体の長として真岡の市政をお預かりしてまいりました。  その中で、先生御指摘のように、昭和四十年代の後半から本県におきましても同和問題がクローズアップされてまい、例の「橋のない川」、これが各地区で上映されました。私もその折市長といたしまして、真岡市内の同和関係者の方々にお集まりをいただきまして、こうした同和問題に対する啓蒙、啓発をするための映画がある、これをひとつ上映色して、そして差別に対する意識の変革、差別の撤廃、こういったことを行って皆さん方の生活がまさに一般社会に溶け込むことのできるような、そうした足がかりをつくっていきたい、このように問題を投げかけたところでございます。  しかし私どもの地元では数も少のうございますし、端的に申し上げますると、完全に同和地域の方々と一般地域の方々がいわば混住をしておる、そういう中であるので、市長、あえてそうした啓発あるいは広報の運動をする必要はない、我々は、今毎日の生活の中で差別を受けているような印象を持っておらないし、このままの状態で十分なんだ、こういうお話があったわけでございます。  それでは、皆さん方の御意思に反することはかえって市の行政の公平を欠く、市民の意思を尊重してこの問題についてはまだ皆さん方が後で問題があればいつでもお申し出をいただきたい、話し合いに臨ませていただきたいということで一応問題の話し合いというか掘り下げの問題については決着を見ておる、こういう状況にあるところでございます。  そんな経験を踏まえながら、今全国的な大きな問題に取り組まさせていただいておるところでございます。     〔小岩井主査代理退席、加藤(万)主査代     理着席〕

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 それぞれの地域、実態に応じてそれぞれの考え方があるのも現実だろうと思いますが、少なくとも基本的人権にかかわるこの問題について、いわゆる寝た子を起こすな、起こしてくれるなというような意向、考えがあるのも現実だろうと思います。実際にそういう形で、寝た子を起こすなという問題が差別の解消につながっていない、これもまた現実でありますし、そういう観点から考えるならば、やはりこの問題についてさわらないのではなくて、しっかりと認識をして解消をしていく、そういう姿勢が同対審答申以来確認されてきている方向だろうとは思うのですが、住民に対する啓発活動を欠かすことはできない、そのように私自身考えております。  そういうことで、個別的な問題については以上にしたいと思いますけれども、昨年の十一月の二十六日に同和対策野党連絡協議会が加藤官房長官や岩崎総務庁長官に申し入れをされました。その際に、総務庁長官の方では、地対協の意見具申を最大限に尊重して、野党の申し入れについて取り組んでいきたい、そして、残事業量を精査したところ、三千八百八十八億円出てきた、大変な数字だ、各省庁、各自治体と協議してそういう数字が積み上がったというようなコメントがなされておるわけであります。地対協の意見具申を最大限尊重して同和問題に対応していきたいというふうなそのときのコメントの中身であります。  その観点から、今出されております地対財特法の五年延長、さらには、さかのぼりまして実際に十二月の十一日に出された意見具申、そして十二月二十日に閣議決定された政府の今後の地域改善対策に関する大綱、これらを見てみますると、本当に地対協の意見具申を最大限尊重したものなのかどうか。今度の法改正につきましては、まさに単純延長というにすぎない事業法、しかも窓口を狭めていく、なおかつ、本来一般対策では解決できなかった問題が部落問題だろうというふうに私は思うんですが、それを一般対策へ円滑に移行していくんだというような方向が示されている大綱であり、また法案の内容だろう、そのようにも考えますし、その意見具申の中で大きな今後の課題として取り上げられました抜本的な同和問題解決のための協議機関というか審議機関の設置、さらには全国的な実態調査というような問題についても明確に示されていないということを考えますと、これは後退ではないのかな、最大限の尊重というのはどこへ行ってしまったのかなというふうに強く感じざるを得ないわけであります。  そういう観点に立って、第一点は、政府のこの大綱の中に「しかるべき時期に全国的規模の調査を行うこととし、調査結果の客観性を保証できる実施体制、方法等について慎重かつ早期に検討する。」このように示されているわけでありますが、この全国的規模の実態調査につきまして、私が冒頭申し上げましたように、これからの、今日の部落問題を根本的に解決するという観点に立って極めて大事なことは、未指定、未実施地区の問題を抜きに部落問題を隠していくような方向での解決、解消策は決して許されないと思うわけでありまして、この大綱等に示されました、意見具申にもありました実態調査につきましては、必ずや未実施地区の問題、さらには未指定地区の問題が含まれなければならないと思いますけれども、長官の御見解をお聞きしたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 いわゆる調査につきましては、先生おっしゃいますように、意見具申においてしかるべき時期に慎重かつ早期に実施をするようにという御指摘がございました。  最近の調査をちょっと振り返りますと、昭和五十年と昭和六十年、こういう時期にあの調査が行われているわけでございます。これはもちろん実態把握ということでございます。昨年十二月の地対協の意見具申に言われていますところは、これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握するための全国的規模の調査、これをしかるべき時期に、こういうことでございます。そこで、私どもはこれを十分お受けいたしまして、実施へ向けて考えてまいるわけでございます。これにつきましては、結果が数量的、計量化されてくるものでございますから、その結果の客観性が保証できるような体制というものをまずセットしなきゃいけないということで考えております。  それで、いわゆるその対象地域に関してでございますけれども、これは昭和四十年の同対審答申におきまして、いわゆる劣悪な状況の解消ということを同和対策推進協議会を設けて特別措置法により推進するように、こういう御指摘があったわけでございます。それを受けまして、政府では昭和四十四年以降協議会を設けまして、関係省庁バランスのとれた差別の解消へ向けてのスタートを切る、こういうことになりまして、そこで特別措置法がしかれる、その特別措置法によって差別解消を推進していくために、いわゆるこの対象地区については地方自治体を通して立候補してほしいということをやってきたわけでございます。  これは十八年間という期間門戸をあけておりまして、昭和六十一年度末、すなわち昭和六十二年の三月末日まで門戸をあけていたわけでございます。その結果、四千六百三地区が出てまいりまして、この四千六百三という地区数は、一年前の昭和六十一年三月末日で四千六百三地区になりまして、その一年後の最終のところで同じ数、こういうことでございました。したがいまして、住民の選択、判断ということから地方自治体の判断、こういうことで広げた門戸であったわけでございます。したがいまして、私どもはそういう四千六百三という地区があるということは十分認識しております。  しかし、この実態につきましては、いわゆる効果を測定するということが第一義的に行われるわけでございまして、そういう観点から、調査の対象地域はいわゆる調査対象四千六百三地区、このように認識しております用地対協意見具申を見ましても、効果測定、同和地区の実態や国民の意識等について把握する、こうありますので、いわゆる未指定地区について調査をするという必要はないものと考えております。  そのような判断をしていますのは、前回の調査のときもそうでございますが、その対象地域が地域住民の合意、選択並びに地方自治体の意向を尊重してまいった、こういう事実が裏づけとなっているところでございます。

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 極めて納得しがたい答弁なんでありますけれども、要は地域住民の同意とか自治体の選択とかいうようなことによって、指定されていなかった、昭和六十二年の三月までで名のり出てこなかったところについては対象外ですよというようなお話なんだろうというふうに思いますけれども、しかし、例えば群馬県の桐生市なんかの例を見てみますると、かつて昭和三十八年また昭和四十二年の国の調査時点では、桐生市内に九地区の被差別部落があるというような報告がされておった。さかのぼって大正十五年のころには、全国の被差別部落の中で二十を選んで地方改善事業、その当時の事業でありますが、融和事業とも言われているわけでありますけれども、その地方改善事業の対象としても、桐生市内の被差別部落が挙がって対象事業を受けているというような歴史的な経過があるわけであります。  しかしその当時の、四十四年同対法の施行時点における首長、市長さんとか住民の動向、そういうものによって地区指定の申請がなされなかったということがありまして、また今日までもそれがなされていないというような実態があるわけであります。そして、もちろんその地区住民全体の意思というわけにはいきませんけれども、運動団体をつくって同対行政の地域改善対策事業の門戸を開いてほしいというのを今日もなお続けているわけでありますが、もう既に六十二年三且で締め切ってあるということで門戸を閉ざされている地域の実態もあるわけであります。  そういうことを考えますると、被差別部落の問題を形式的にそのような形で、十八年間門戸を開いておいた、名のり出なかったのが悪いのだ、地域住民の自覚が足りないのではないか、そういう被差別部落への責任転嫁というような形でこの問題への幕引きが今進められていると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。  そういう観点に立ってひとつお聞きしたいのは、少なくとも憲法十四条で保障された法のもとの平等ということを考えますならば、その人が被差剔出身者だという観点でいろいろな差別の集積を受けてきた。それを乗り越えていく、回復していくために、個人的な属人的な事業の申請を行った場合に、確かに地域的な事業の申請というのは、地域住民の総意というか同意というかこれが要求されますから難しいとは思うのですが、属人的な問題において私はそういう差別の歴史を背負ってきた、これを何とか克服していきたいのだ、そのための手助けにも制度的な援助の措置をいただきたいというような要請があった場合に、これも門戸を閉ざしてしまうのか、私は納得がいかない。少なくとも属人的な問題については何らかの窓口を開くべきだ、そのよう把考えておりますけれども、いかがでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先ほど申し上げましたように、十八年間この門戸を開いてきたということでございまして、その結果、私どもはその期間というものはこの法律のもとでの地区がすべて確認されたという期間と見ていいのではないか、こういうふうに認識しております。したがいまして、現行の地対財特法におきましては、いわゆる旧地対法時の地区について事業の完結へ向けていく、こういうことでございます。  仮に、今後いわゆる事業の要請がある地区等からあった場合につきましては、これは一般対策の中でその要望趣旨に沿って努力をしてまいりたい、このように考えております。

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 一般対策の中でそういう要望があった場合には対応していくというようなことでありますけれども、地方自治体の立場からするならば、今の制度で言うならば、地域改善対策事業ということになると三分の二の補助、そしてあと三分の一については起債、その起債の償還については八割は地方交付税で見ていくということになりますと、自治体の持ち出しというか、自己負担というかその額は、完全にこれが行われていきますと、自分たちの対象事業以外の持ち出しを見ないということになるならば、十五分の一でできる計算になるわけです。  そういうことを考えますと、一般対策事業で行うということになりますと、自治体の負担というのは相当なものになってくるわけでありますけれども、本当にこの問題について自治体がその財政的な範囲で行うわけでありますから、積極的にこの問題を解決していこうという取り組みは、どう見たって積極的に進むというようなことは予想できないわけでありますし、また逆に一般対策だからこそ、何であそこだけ重点的にやるんだというような逆差別的な意識も市民の中に起こるのではないか。むしろ地域改善対策事業として行われているから、住民に対する啓発も行われているから納得をしていただける、そういうことだったのではないかと思うのです。  一般対策で行うということになりますと、その地域を重点的に行うことについては理由づけが必要になってくる。しかし、理由づけはないということになりますから、極めて難しい逆差別的な問題を醸してくるのではないか、そんなふうに強く懸念をするわけであります。  それでもう一つ関連して聞きますが、四千六百三の地区指定、それ以外は対象地域ではないということになるわけでありますが、昭和十年のときの調査では五千三百六十五地区あったのですね。一説によると六千地域あるんだというふうにも言、われておりますけれども、昭和十年段階で国が調査した数字が五千三百六十五だ、そして現在は四千六百三だ、この間被差別部落はなくなってしまったのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 いわゆる昭和四十年の同対審答申を受けまして、差別の解消を関係機関協議の上図っていく、しかもそれを特別措置法でやっていく、こういうようなことに基づいて現在の行政が行われているわけでございます。  そこで、結局事業を行うべき地区につきましては自治体を通して、本当に私どもも本心から手を挙げてほしいということを言ってまいった十八年間でございますので、この時点における行政としましては四千六百三という地区がある、このように私どもは認識しておりまして、それ以外のところにつきましては一般地区、こういう認識でいるところでございます。

小林守日本社会党・護憲共同

○小林(守)分科員 まだまだ言い尽くせませんけれども、時間が参りましたので後の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。

加藤万吉日本社会党・護憲共同

○加藤(万)主査代理 これにて小林守君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 私は、被差別部落の中でも最も中心的な、最も根源的な問題であります結婚差別にまつわるさまざまな質問をさせていただきたいと思います。例えば地対協の意見具申では、心理的差別と啓発というふうな中でいつも言われているわけでありますが、もう少し突っ込んだ内容をお聞きしたいと思いますので、積極的な御答弁をお願いいたしたいと思います。  今日、なお根強く問題になりますのは結婚差別でございまして、私も幾つかの事象をここに持っておりますけれども、それぞれを見ましても、本当に今をもってしてもこんなに根強く結婚差別が続いているということを感ぜざるを得ないのであります。  一例を挙げますと、大阪の事象でございますが、公務員のAさん、男性ですが、三十一歳、そして女性は無職ですがBさん、二十三歳との間で結婚をする意思が確認され、いよいよ結婚するという段階になりまして、さまざまな事件が起きてまいります。しかも御本人、Aさんは自分が部落の出身であることを知りませんでした。  ところが、相手側というか、興信所を通じてというふうになっているのですが、四代にわたって調査をいたしまして、おばあさんのその先の里まで暴き出しましてさまざまな嫌がらせや反対を展開いたします。三十四通のひどい手紙をもらったと彼は言っております。その中にはカッターナイフが入ったものもあった。無言の深夜電話が十回以上もあった。私だけでなく姉や姉の夫の職場にまで手紙がやってきた。私は、自分が部落出身であることを知ったのは相手の身元調査からのことで、祖母の母が何々県の部落出身であることがわかったんですというふうになっております。  さてこれは、日本人の人権意識あるいは日本人の人間としての理解の根源に触れる問題だというふうに思っておりまして、何とかして、あるいは断固として差別心理というものを除去しなければならない。そうしないと、日本は世界に向かって人権国家などととても言えるものではないというふうに考えるわけであります。  そこで御質問いたしますけれども、地対協の意見具申、去年の十二月十一日に出ましたものを中心にしてお尋ねしたいと思うのであります。もちろん地対協自体と総理府とは直接の関係はないとは思いますが、この地対協の意見具申を受けて総理府がこれから仕事をしていかれるわけですから、そういう立場でお答えをいただきたいと思うわけであります。  この意見具申によりますと、「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」こういうふうに述べております。こういう意見具申の根拠になるデータがあると思います。私の知っておるところでは総理府が実態調査をしたのは昭和五十年と六十年と二度にわたっておりますが、この五十年、六十年にどういう実態調査をなさったのか簡潔にお答えいただきたいと思います。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 先生おっしゃいますように、実態調査を昭和五十年度と六十年度に実施しております。  昭和五十年金国同和地区調査、これは昭和四十六年に実施された全国同和地区調査の後における社会経済情勢の変化等を考慮し、同和対策事業を効率的に進めるために、新たな時点において全国の同和地区の実態及び当該地区が所在する地方公共団体の昭和五十年度以降実施を見込んでいる同和対策事業に関する計画を把握することを目的として実施されたものでございます。  その主な内容につきましては、同和地区の分析、同和地区における混住の状況、同和地区における人口構造、生活保護状況、所得階層分布、同和地区における生活環境の現状及び計画などが調査事項としてなされました。  昭和六十年の調査につきましては、昭和六十年度地域啓発等実態調査、これは地域改善対策対象地域内外の住民の同和問題に関する意識の実態及び対象地区内住民の生活実態を把握し、同和問題に関する基礎資料を得ることを目的として行われたものでございます。  その内容につきましては、調査事項としまして、生活実態は、対象地域住民の性別、年齢構成、家族と婚姻、健康の状況、経済状況、教育の状況、就労状況、環境と住居状況、事業経営状況等でございます用意識面につきましては、一般的な意識、同和地区の認知状況、同和地区等に対する認識の現状、地域改善行政に関する意見等という内容になっております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 この五十年には、混住というふうな御説明がございましたが、むしろ、言ってみれば環境整備といいましょうか、ハードの部分だというふうに理解しておりますが、昭和六十年の調査によりますと、今御説明がありましたように、意識の実態とか家族と婚姻というような関係についても調査をなさったようであります。恐らくこの六十年の調査に基づいて地対協は意見具申の文章をこのようにつくったのだと私は理解しております。  私は総理府から「昭和六十年度地域啓発等実態把握 生活実態把握報告書」というものの「婚姻の状況」の部分について抜粋をもらっております。今、意識の実態をなさったとおっしゃいましたけれども、これは主に婚姻のありようといいましょうか、婚姻の形態について調べられたのでしょうか、それとも、結婚なさっている夫婦の意識の実態まで踏み込んだ調査をなさったんでしょうか、お聞かせください。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 六十年の調査におきましては、婚姻の状況としまして、世帯主及び配偶者の出身地を当該地区、他の地区、地区外という範疇で行ったものでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 そうすると、意識というようなものではないというふうに理解していいのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 そういうことでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 どういう人がこの調査に当たったのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 調査は、都道府県知事の任命を受けましたいわゆる調査員という方々が当たったわけでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 都道府県知事がどういう方を任命したのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 これは、都道府県によっても違うと思いますけれども、私もそこのところ定かではございませんけれども、一般的には、行政機関がこういう調査物を行う場合には地方自治体を通して行うのが多いわけでございます。そういうときには大体都道府県知事に任命をしていただく。ただ、調査の規模によりまして、調査員の推薦が市町村という自治体から上がってきたりということはございます。また、調査の種類によりましては、直に都道府県が調査員という方をあれしたりということもございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 未指定地区も入っているのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 いわゆる未指定地区は入っておりません。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 資料によりますと、九千百六十四組調査なさったことになっております。出生地別も、関東以西九州までの地域ブロック、それから指定都市、それから地区の世帯規模別の統計も出ております。言ってみれば、婚姻の形態そして出生地別を調べたにすぎない。では、ここから結婚差別などというふうな非常に心理的なあるいは本質的な問題まで踏み込めるかということになりますが、しかしこの中からでも幾つかのことを確認しておきたい、このように思います。したがって、意識の実態等というふうな六十年の調査の政府側の御説明は少し当たっていないのではないか。どういうふうにしたら意識的な部分も調査の内容に盛り込んでいけるかということが今後の課題ではないかということ沌申し上げておきたいと思うのであります。  さて、この「出生地別による夫婦組敷」というのを見ますと、若い夫婦ほど夫婦とも地区の生まれの方が少ない、あるいは、若い夫婦ほど夫は地区の方ですけれども妻は地区外である、若い夫婦ほど夫は地区外だけれども妻は地区の生まれであるというふうに、言ってみれば若い夫婦は六十歳以上などに比べて際立って、地区で生まれた夫婦、地区外の人と結婚した夫婦、それぞれ、何といいましょうか、地区と他の地区との交流が見られる、しかも地区内では若い人では結婚の数は少ない、こういうふうに一定の統計が出ているわけでありますが、この、夫婦とも地区生まれの人、あるいは夫が地区、妻が地区外、非常に少ないというふうに言っているんですが、これを取り上げて意見具申は、「同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にある」、こういうふうに言っているんだと思いますが、そう考えていいのでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 一つには、実態調査の結果によりまして改善の方向が見られるということはあろうかと思いますが、もう一面、具体的に申しますと、いわゆる差別の事象につきましては、結婚や就職等に関連した部分でございますが、法務省、労働省などにおいて適宜把握してきているところでございます。  申しますと、法務省の人権擁護機関では部落差別事象を人権侵犯事件として調査し処理しており、差別意識を解消するために啓発に努めてきていますが、結婚や就職などの差別があるという分析はいたしているようでございます。  それから労働省におきましては、就職の機会均等を確保すること、これが同和問題解決の中心課題という認識のもとに、同和関係住民の雇用の促進と職業の安定を図るため、事業主が同和問題について正しい理解、認識を深め、応募者の適性、能力のみによって採否を決める公正な採用、選考、これを行うよう啓発指導を展開してきております。そのようなところがもう一面、各省庁においても実態を経常的に把握しているということもございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 私が総務庁に聞きたいのは、同和関係者と一般住民との婚姻の増加が見られることがすなわち改善であるという、改善になっているんだという根拠をお示しいただきたいのです。なぜそれがそう言えるのかです。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 六十年の調査の結果を見ますと、若年層を中心に同和関係者の一般住民との婚姻の増加が見られる、それから、「夫婦とも地区の生まれ」というタイプは減少している、こういうことがございます用意見具申で申し上げておりますのは、内外における人権尊重の風潮の高まり、各種の啓発施策及び同和教育の実施、実態面の劣悪さの改善等により解消が進んできている、こういう認識で提言をいただいているというふうに意識しております。  したがいまして、一般的には改善というふうに読める部分もかなりあるのではないか、こういうふうに見るわけでございます。特に若年層ほど同和関係者と一般住民の婚姻の増加が見られたということ自身は、心理的差別の解消が進んでいる一つの事例と私どもは考えております。そういう意味で、若年層ほどこの問題に関する偏見やこだわりがなくなりつつあるのではないかというふうに理解しております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 私も若い人に期待をするわけです。これから結婚する人に特に期待をするわけでありますが、そういう差別というようなものを乗り越えて結婚していただきたい、このように思いますけれども、しかし、ただ夫婦とも地区生まれであるかないかというようなことだけの形態上の調査で、意識的な部分まで突っ込んでいかないと、ただこれが、こういう実態がありますよ、それは改善なんだと。しかしやはりこれは、いろいろ社会学的な、あるいは今のコミュニティーの問題、地域というような問題、あるいは都市化現象というような問題も含めて、それから意識的な問題も突っ込みませんと、ただこうして地区外の方との結婚がふえているというようなことだけは、到底、結婚差別が解消したとは思えない。  特に私は、そういう方々とお話ししていますと、どの方も結婚するときに自分が部落出身であることを念頭に置き、そしてそれをいかに乗り越えていくかというところに、どなたもそういう問題にぶつかっているというお話をお聞きします。そういう意味では、総理府あるいは行政機関といえども、もう少し綿密な、意識の中に踏み込んで、そして、本当のところ差別というのはどこに生まれるのか、特に婚姻というような問題、結婚という問題で起きるところの典型的な問題等を総合的に検討しないといけないのではないかということを申し上げておきたいと思います。  そこで、法務省にお聞きいたします。  法務省は、人権擁護局でございますけれども、「私人・公務員別人権侵犯事件受理件数」というのがございまして、それによりますと、「私人・公務員」、こうなっておりますので非常にまたこれもあいまいな言い方でありますけれども、この人権侵犯受理件数が平成二年で一万五千件以上あった。その中で、差別待遇と呼ばれるものが百二十一件あったというふうに述べておりますが、この私人・公務員別人権侵犯受理件数の中に、結婚差別というのは具体的に何例あったのでしょうか、お知らせください。

佐竹靖幸法務省人権擁護局総務課長

○佐竹説明員 お答えいたします。  ただいま委員から御指摘のありました平成二年におきます私人による差別待遇、数字として百二十一件と指摘がありましたが、まず、この百二十一件につきましては、これはいわゆる部落差別に関するものや外国人差別などにかかわる各種の差別的な待遇についてであります。したがいまして、今言われました百二十一件のすべてが部落差別に係る結婚差別の数字ではないということを御理解いただきたい、そのようにまずお願いいたします。  次に、では結婚差別が何件あったのかという御質問ですが、平成二年におきましては七件という数字になっております。  以上でございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 この受理件数は、「人権相談年別件数」というのが出ておりまして、平成二年で四十三万二千百六十四件あった、こう出ております。その中で七件しかなかったということにも、またもやこれは、いわゆる結婚差別というものが非常に微妙な、しかも根強く心の中にありながら表に出てこないという最も陰湿な差別の根源になるということをあらわしているかと思うのであります。  七件取り上げられたわけですが、処理規程というのがございますね。この処理規程によりますと、十七条の十号で「同和問題に関する人権侵犯」というふうになっておりまして、処理手続や処理報告を厳密に規定されているわけですが、この七件について、処理規程に従ってどんな処理をなさったか、簡潔にお知らせください。

佐竹靖幸法務省人権擁護局総務課長

○佐竹説明員 ただいま申し上げました七件は、平成二年に受理したものでありまして、これはまだ現在調査しているものもありますので、その七件がどういう処理区分になったのかということは、現段階ではまだ申し上げられる状況ではございません。  以上でございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 平成二年でもう今は平成四年でございますから、その結果が出次第、私に資料を提供していただきたいと思います。  「特別事件」というふうにこの処理規程十七条ではなっておりまして、その中に第十項目に同和問題があるわけでありまして、特別事件であるということですね。この通達は昭和五十九年に法務省が出しているわけであります。  意見具申によりますと、こうなっております。「差別事件について、司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理を更に推進するとともに、人権擁護委員を含む人権擁護機関の充実、強化に今後とも努めるべきである。」こう言っておりますが、この意見具申は法務省の法務局あるいは人権擁護委員の何か努力の足りないところがあるというふうに言っているんでしょうか。意見具申のことについての御感想をお聞かせいただきたいと思います。

佐竹靖幸法務省人権擁護局総務課長

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  昨年の地対協の意見具申の中に、委員御指摘のとおりの提一言があったことはそのとおりであります。  法務局及び人権擁護委員が、人権擁護のための法律に基づく唯一の専単機関として、差別事件の積極的処理を初め人権相談あるいは自由人権思想の普及高揚のための普及啓発の充実に努めてきたことは御案内のとおりでありますが、遺憾ながらいまだに結婚差別事案が発生するなど、心理的差別の面で問題が残っていることも、これも事実であります。人権擁護機関としては、今後ともこれらの問題に精力的に取り組みを行っていく必要がある、そのように考えているわけであります。また、そのために、地対協の意見具申を踏まえ、法務局担当職員及び人権擁護委員の要員の確保とその資質の向上を今後とも図っていく必要がある、そのように考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 ついでにお聞きすればよかったのですが、やはり意見具申で「改めて創意工夫を凝らして、啓発活動をより積極的に推進していくよう努めるべきである。」これは総理府の問題がと思います。何か改めて創意工夫を凝らすという意見具申に対して、総務庁はどういうお考えですか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 結局、同和問題の差別解消へ向けての解決の一つの大きな国民的な認識というのは、正しくこの問題を認識して、そして正しい意識に持っていくということが大事であろうと思います。そういう観点で啓発ということが欠かせないわけですし、今までより一層啓発をやっていかなきゃいけない、こういうふうに思っているわけです。  その啓発につきまして、先生おっしゃいますように確かに意見具申では「改めて創意工夫を凝らしてこういうこと宣言っております。結局それは、一つにはいわゆるマンネリに堕していくなよ、落ちていくなよという警鐘であるということも一つ大きく受けとめているところでございます。そういうことで、この時点において決意を新たにして、より効果的な啓発手法等について検討すること、これを求められた、こういう意識ております。したがいまして、その方法等については関係省庁等が地方自治体を含めて知恵を絞り出さなきゃいけない、こういうふうに受けとめております。  そのようなことで、私どもは地域の対象者の実態に応じた効果的な啓発の方法、それから啓発活動の効果を測定するための方法、こういう啓発にかかわるものというのは、効果を計量的に測定するというのは非常に難しい要素があります。そういうところ、しかし何かやはり議論をする、効果を見るためには計量化ということが必要じゃないかということもあるわけでございます。それから、地域改善啓発センターという団体がございまして、そこの活性化などを検討していくということを考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 余り創意工夫というふうには、「改めて創意工夫」というふうにはお聞きできないわけでありますが、長官に最後にお聞きいたします。  意見具申によりますと、「同和問題は憲法に保障された基本的人権の問題であり、二十一世紀に差別を残してはならないという固い決意を叱ってこというふうに言い、そして「同和問題の早期解決に向けて、改めて国民的課題としての展開が重要である。」というふうに言っております。二十一世紀に差別を残さないということですが、二十一世紀にはもう差別はなくなるんでしょうか、お聞きしたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 極めて端的な御質問でございますが、ただいま土肥先生の人権問題を初め心理的差別の問題を踏まえまして突っ込んだ議論を拝聴させていただいております。  そうした中で、ハード面のいわば物的事業については、私は今回の五年間の法律の延長の中で解消することができるのではないだろうか、また非物的な事業である就労対策あるいは産業の振興、さらには教育、啓発、こういった問題も、意見具申としては重要な施策としてというふうな御指摘をいただいておりますので、懸命に努力をいたしてまいりたいと考えております。  そうした中で心理的差別、これは人の心の中の問題である、言いかえれば人間個人個人の観念、意識にかかわる問題でございまして、その差別の意識がなくなったのか、差別の認識がなくなったの交これをはかる物差しというものはなかなか難しいものであろう、私も同和問題に取り組ましていただいてそのような実感を持って今日まで参りました。しかしながら、地対協が意見具申の最後の結びとして申し上げておるように、二十一世紀に差別を残してはいけない、これは人権問題も心理的差別もすべて含めて残してはいけないものである、こう受けとめ、精いっぱいの努力をいたしていきたい、この決意に燃えておるところでございます。  以上であります。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 あと一分ありますから、一言だけ。  したがいまして、差別は残るわけです。これは言ってみれば日本人の課題ですね。したがって、私はその課題を部落解放基本法という形できちっと明文化して憲法にのせて、そして全国民がいつもこの憲法を見ながら生きていくような、そういう基本法の制定こそが最大の私どもの国民の意思表明ではないかと思いますが、部落解放基本法についての長官の意見をお聞かせいただいて、質問を終わります。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 現行法失効後の措置につきましては、意見具申におきましても、地域改善対策は永続的に講じられるべき性格のものではない、できる限り早期に目的の達成が図られ、一般対策に移行することが肝要であり、その措置は時限的なものとすべきであるとの御指摘をいただいておるところでございます。  政府といたしましては、この意見具申を尊重いたしまして、今国会に現行地対財特法の一部改正法案を提出いたしておるところでございます。したがって、恒久法として差別を固定化するような、そうした基本法をつくることはいかがなものであるか、このように考えておるところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥分科員 終わります。

加藤万吉日本社会党・護憲共同

○加藤(万)主査代理 これにて土肥隆一君の質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から説明を聴取いたします。疋田事務総長。

疋田周朗会計検査院事務総長

○疋田会計検査院説明員 平成四年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。  会計検査院の平成四年度予定経費要求額は、百四十一億七千九百八万八千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として百二十三億九千六百五十六万円を計上いたしましたが、これは総額の八七%に当たっております。このうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十一人を増置する経費も含まれております。  二、旅費として七億六千八百五十六万一千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が七億一千九十三万七千円、外国旅費が二千七百六十八万八千円であります。  三、施設整備費として一億九千九百八十五万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎別館昇降機更新工事費一億七百五万二千円、庁舎本館外壁タイル防護工事費七千九百六万円であります。  四、その他の経費として八億一千四百十一万一千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費八千五百二十二万円、会計検査の充実強化のための経費四千七百十九万六千円、検査業務の効率化を図るための経費二億百六十二万五千円及び検査要員の充実強化のための研修体制の整備経費一億四千六百七十五万六千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました平成四年度予定経費要求額百四十一億七千九百八万八千円を前年度予算額百二十七億八千三百九十万四千円に比較いたしますと、十三億九千五百十八万四千円の増加となっておりますが、これは、人件費において十二億四千九百四十五万円増加したことなどによるものであります。  以上、簡単でありますが、本院の平成四年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 以上で説明は終わりました。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 きょうはそれぞれ忙しい中、私だけでどうもお呼びをしたようでございますが、またそれだけにひとつ、いいところ悪いところあると思いますが受けとめて、国民のためにお骨折りをいただくことを願ってやみません。限られた時間でありますので、早速に入らせていただきます。  まず、事務総長に申し上げておきますが、会計検査院はなかなか嫌がられると言っては悪いですが、煙たがられるというような表現が当たるのかもわかりませんが、行った先行った先で煙たがられるということで、そういう意味においては、昔は割合、懇親会なども開かれたときもあったわけですけれども、今は極めて隔絶したところで、全然個人的な折衝とかもてなしは受けないとかいうような形で厳しい仕事になってきている、それが厳しいと言うのか、当たり前と言うのか、これまた価値判断は別ですが、非常に窮屈な仕事になってきているということは言えると思うのです。  ですから、そういう意味において総長としては、従来と比較しての対応というものについてその立場、裁判官だとか検事だとかそういう職業の人は、いろいろなそういう点に対して厳しく条件がつけられている。その点をこの間は、給料を上げて、やはり都市的な裁判官の生活というのはより一層厳しくなるということで、都市手当みたいなものが必要なのじゃないのかというふうには、裁判官の方では私は申し上げてまいりました。会計検査院も同じでありまして、この後人事院があるそうですから、私がいればまた人事院総裁に言っておきますが、そうはいかないでしょうけれども、総長の方から人事院には、こういう発言があったということを伝えでやってもらいたい、こういうふうに思いますが、これは総長はやってくれますか。

疋田周朗会計検査院事務総長

○疋田会計検査院説明員 ただいま先生から、私ども会計検査院の、特に第一線で検査に従事しております調査官たちに対しまして非常に温かいお言葉を賜りまして、まことにありがとうございました。私どもといたしましても、やはり職員が安んじて職務に専念できるようにやってもらいますためには、いろいろ職務環境を整えましたり、あるいは関係当局にも絶えずお願いしながら、職員の待遇改善にも努めてきているところでございますが、今後ともまた引き続き私どもの検査院としての職務を十分に全うするように、職員の待遇改善にも努めてまいりたいと存じております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 それはお願いいたしまして、第一番目は、私もこれでちょうど二、三回会計検査院の皆さんにお会いをすることになりますが、こういう毎年出ている会計の決算の中に指摘されました事項がどのように集約されて、処置済み事項というような名前も書いてあるのもありますが、集約されて措置されないもの、あるいは解決をしたものというようなものは、まとめて出しているものはこれ以外にはあるのですか。未解決事項なんというものをまとめたものは、例えば三年目に一回全部整理して未解決事項というようなものを挙げる、そういう事務はやっていますか。

疋田周朗会計検査院事務総長

○疋田会計検査院説明員 私ども会計検査院といたしましては、会計経理を監督し、その適正を期し、是正を図るということを目指しまして検査活動を行っているところでございます。このため、検査結果の所見に基づきまして、速やかに是正措置や再発防止の措置がとられることを確保するため、指摘事項につきましてはすべてフォローアップを行っているところでございます。具体的には、事後に定期的に是正処理状況等についての報告を検査対象先から求めたり、実地検査の際に、その後の状況を調査したりすることによりましてフォローアップをいたしております。  なお、その是正状況の結果につきましては、ただいま先生から御質問ございましたけれども、例えば不当事項として検査報告に掲記したものにつきましては、相手省庁の対応について説明書が検査報告につけられておりまして、これで相手省庁等の今後の対応がここに述べられております。それからまた、改善の処置要求をしたものにつきましては、その是正状況につきまして、必ず翌年以降の検査報告にその是正状況を書くというような形で運用しております。  いずれにいたしましても、私ども指摘した事項につきましては、ずっと後々まで、完全に是正される段階まで、ずっと見守っているというのが実態でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 では、JRの東北新幹線ができます場合に、前の分科会でも指摘はしたのでありますが、そのときには残っていたところがどこだとは言いませんけれども、新潟の方から栃木の方ですか、来るまでの間に大分残っていまして、その後改善されたようでありますが、では埼玉県とか東京、まあ東京はありませんけれども、一部あるかもしれませんが、その分の処理についてはどうなっておりますか、解決したわけですか。

中島孝夫会計検査院第五局長

○中島会計検査院説明員 先生お尋ねの件は、上越新幹線につきまして、五十六年度に私どもの方で特に掲記を要すると認めた事項ということで掲記した案件についてのその後の処理の問題かと思いますが、本件につきましては、上越新幹線の建設に伴って取得いたしました併設道路用地につきまして、これが関係市町村になかなか譲渡されないという事態についての指摘をしたわけでございますけれども、その後、これは関係する市町村は、二十八市町でございますけれども、いずれにつきましても譲渡の協定ができ上がっております。そして、そのうち二十三市町につきましては、既に譲渡が完了しておりまして、現在、五市町につきまして譲渡されないで残っているものがございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 これも引き続きといいますか、対処していただくということが必要だろうと思っておりますが、問題は、こういうバブルの状況が続いたときと、バブルがはじけた後の処理というものは、今までは地方財政も割合ほんわかであったと思いますがこれからはそうはいかなくなるというようなことで、かえって厳しい道筋になる可能性もあるわけでございますから、速やかに措置していただきたいのであります。  それと一緒にしまして、急な問題ですからあれですが、ガード下の利用なんであります。現在、ガード下は路線価格の八%をもって賃貸契約をするように指導しているようですね。法人は皆そういうような適用条項になっています、これは大蔵省通達でございますが。八%といいますと、あの辺は恐らく三百万から四百万という金額が出てくるのだろうと思うのです。そして実際に、一平米四十万というような金額であのガード下を利用できるということはほとんど不可能なんですね。あえて言えば、ばくちやる場所かパチンコ屋か、何か特別の国鉄の内部の団体か以外は、一般の企業でそんな金を払ってあそこを利用できる能力というものはないですね。  ですから会計検査院に、これを改正することは難しいのかもしれませんけれども、そういう意味における利用が停滞しておる、収入を上げなければならぬのに、無理なことで収入が上がらない、あるいはかえって痴漢が出たりひったくりが出たりということになってしまうという可能性もなくはないわけでありまして、その点はひとつ皆さんで解決しろとは言いませんけれども、そういうことの改善をさせていただくように要請をしておきたいと思うのです。どの局であるかわかりませんけれども、ひとつお願いしておきたいと思います。

中島孝夫会計検査院第五局長

○中島会計検査院説明員 ガード下の利用につきましての賃貸料ということかと思いますが、私どもの方といたしましては、JRが貸し付けるについて適正な対価を取るべきであるということは、当然言わなければならないことであろうかと思います。ただ、それぞれに事情があって、特に、制度的に許されるというようなものであれば、そういうものについては、私どもの方としては当然認めていくわけでございまして、先生お尋ねの件につきましても、私どもの方ではそういう観点から十分検査してまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 会計検査院の立場で申し上げるものと、そうでないものとがあるわけでありますが、一つは、バブルの崩壊によって、これからやる場合に、今までのバブルのやり方というものは、どうしてもむだが多かったという結果が出てくるだろうと思うのです。しかし、それが正常なのかもわかりませんから、厳しい情勢てぜい肉をなくすという立場で物を見ていただく。公定歩合もこのまま置いておけというのが私の主張なんでありますが、かえって第三次産業的なものだけがはびこって、汗を流して働く第二次産業や第一次産業が廃れるということは、国の興亡に当たって厳しい。もっと汗を流すというそういうシステムが確立されることが必要であると主張をするものでありますが、今後の会計検査に当たって、そういう意味においてのバブルの崩壊に伴う姿勢の是正というものが必要だと思いますが、この点、簡潔にお答えいただきたいと思います。

疋田周朗会計検査院事務総長

○疋田会計検査院説明員 私ども、かねてより社会経済情勢に即応した検査ということに留意しておりまして、毎年、国会における御論議、マスメディアの報道などを踏まえた上で、効率的かつ重点的な検査を実施してきているところでございます。近年も、このような観点から、土地問題、社会保障、ODAなどの問題に重点的に取り組んでいるところでございます。今先生がおっしゃいましたバブルの崩壊といったような社会経済情勢も十分念頭に置きながら、今後の検査に当たってまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 一つ後で質問しますが、平成二年度の会計検査院報告の百六十六ページを開いておいてください。  それで、市街化区域内の国有農地及び市街化区域内における農地の例えば土地改良に入っている場合、今度は生産緑地が指定をされて変わっていくわけでありますが、この場合の、これも検査の報告の中に一部指摘といいますか主張として出ておりますけれども、全部生産緑地にならない部分、これは住宅転換を政府としては目指した、こう言えるわけでありますが、そうでないものについて、これは市街化区域内の国有農地の扱いと同じような発想でもってここで言っているのであるのか。私は、生産緑地は生産緑地で、市民農園であるとかレジャー農園であるとか、あるいはまた普通の生産緑地として使うとか、それでいいんだろうと思っておるわけでありますが、その点は何か見解がございますか。ここで特に国有農地については指摘されておりますが。これも、もしなんでしたら、時間の関係で後でお願いします。ちょっと考えておいてください。  それからもう一つ、これからの検査に当たって……。  道路とか橋梁のかけかえで、両側に人をつけまして、二十四時間。これは警察の要請なんですね。例えば三千万の工事をやって橋を改修するとすれば、片側通行でやるとすれば両側に人をつけさせます。両側につけて三カ月かかったと仮定しますとそれで大体千五百万円金がかかってしまうのですね、二十四時間なんですから。夜中に通る車なんていうのは二台とか四台とかということなんですね。そういう状態になってもわざわざ両側に人をつけてやる。警察は金を出さないから、言うことだけ言っておるというふうに私は解釈して、警察にも文句言ったことがあるのです。そうしますと、橋の修理費が例えば千五百万と仮定しますと、逆に千五百万人件費で払ってしまうことになるのですね。  言っている意味がわかりますか。橋の改修費の千五百万に、二万冊としても、とにかく六人ですから十二万円一日にかかっていくわけですね。二万円、二万円で二十四時間勤務ですから。それで二十四万円で百日働けば二千四百万になっちゃうわけですが、それはもっと、諸経費を加えますから、そんな金額ではいかないで、四万、六万、こういう金額で見るわけですね。そうなると今申し上げた金額ぐらいになってしまう。  果たしてこれが妥当なのかなということなんですね。検査された結果の中にもややそれに似たものもなくはありませんけれども、これは、今後の検査に当たっての対応として、私は警察に文句を言って直すようにしたわけですけれども、その後、しかし依然として直らないですね、ほかの署は。そうなると、膨大な、工事よりもそういう目に見えないばかばかしい費用に金が、それは安全のためという名目で。じゃ、踏み切りなんて年じゅうチンチン鳴っているだけで人なんかいやしないですね。そういうところだけなぜ人を置くことを義務づけるのかという問題があるわけです。  それから、橋も仮橋をつくらないで――大体七割かかりますね。これは会計検査院が行くときにはなくなっちゃってるんです。これもそうなんです、今のもそうなんです。夜中にいたかいないかなんてものは、いたという計算でやるけれども、私の方はつけましたがね、人を夜中にまでつけてみたら、三台か四台の車に、両側はいなかったですが、そういうような傾向もあるわけですね。それは行ったときには検査できないんですよね。それは出勤簿でもあそこへ置いて、それだってわからないと思いますがね。  ですからそういうものについて、いわゆる主張する側だけの利便を考えれば経費のことを考えないで主張する。仮橋も同じなんですね。仮橋も七割ぐらいかかりますね。一億の橋をつくれば七千万ぐらいの金がかかるわけですね。これも通っちゃうわけですよ。検査院が行くときにはなくなっちゃうんですよね。だから、そのときに七千万かかったかどうか、これはわからない。  それで私は、従来の主張ですが、それは通行どめでやれ。四号国道は、四号の高速道路は通行どめでやったんですから、大抵の橋ができないはずはないのですね。だから、そういう指導をこれからはぜい肉落としの一環として、庶民も若干困るでしょう、困るかもしれぬが、それをやるなら二つ橋をつくるという考え方に立って将来のより利便を図る、こういうことの方が望ましいと思うのですが、これも簡単にひとつお答えいただけますか。さっきのが出てきましたら、三つお願いします。

白川健会計検査院第四局長

○白川会計検査院説明員 初めの御質問の国有農地の関係でございますけれども、昨年指摘したこの事項につきましては、直接今度の生産緑地の関係とは関連はないわけなんですけれども、ただ一部に、今度の制度改正に当たりまして、この国有農地も関連するものも出てくる可能性があるということでございます。

中北邦夫会計検査院第三局長

○中北会計検査院説明員 今の先生の御指摘にもありました交通整理の話とか仮橋の話でございますが、交通整理は、警察の要請によって、二十四時間でなくとも八時間とかというふうについています。それから、機械というのですか、信号機なんかも設置して、それは当然工事の積算の中に全部入っております。そういうわけで、確かに不経済的に見えますが、やはり一応交通法規を守るというのでしょうか、そういう意味でやむを得ない面もあるかとは考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 そうではないのですね。これは設計の中には、入札のときにも入ってないし、そうでないのが今度は警察の方で、工事を施行するに当たって業者が行けば、それはつけなさいという要請があって、つける。しかし、業者だから、夜中はいいだろうとはなかなか言えないということが、後で結果的には、何のことはない、入札価格とは全然違った、人件費だけは後で第二次の修正をやってその分を払わなくちゃならなくなってくる。しかし、皆さんの立場から見たら、それは設計が甘かった、こういうことになるんだろうと思うのですね。しかし、だから警察も三分の一ぐらい出させるようにしたらいい。そうすれば金を出すからむだなことはなくなるだろうということを言ってきましたが、これはこれでいいです。ただ、物の見方というものはそういうふうにあるということですね。  それから、こういう検査の中で、確かにやっていても、これで技術者がやったのかなというのもなくはありません。一つだけちょっと、百二十二ページの「もたれ式コンクリート擁壁」ですが、これも、いわゆる民法上の設置義務者とその保護を受けるべき者との法律関係というのは、これだけで果たして、大阪府になっておりますが、どこまでが大阪府の責任なのか、あるいは本人の責任があるのか、その辺の負担区分というようなものが若干明確ではないというふうな感じを持ちました。  それからもう一つ、ほかにもありますが、最後に、百六十六ページにありますJRの各売店なんで。すが、三百六十七億の売上収入に対して、費用が四百三十一億。こんなばかな話はないですね。それで、費用の超過が六十三億である、こういうふうな指摘もされておりますが、こういうものは改善されたのですか、収支償うようになったと言えるのですか。どうなんですか。

中島孝夫会計検査院第五局長

○中島会計検査院説明員 ただいまの御指摘の点は直営店舗の問題かと思いますが、これは昨年の暮れに意見表示をしたものでございまして、現在、JR三社の方で鋭意検討をしているということであろうかと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 直営であろうとも、例えば路線価格の八%ですね、八%をもし利用するとすればこうなるであろうという金額で、直営であっても試算、原価計算といいますかはやっているのではないかと思うので、これはそういう売上収入になって費用がそうなったという、その中身については、じゃ別にこれは後で教えてもらうことにしまして、ただ、直営店であってもこういう費用の方が何でこんなに、ここに損益計算書も出ていませんからちょっとわからないのですが、それだったら損益計算書でもつけてもらう方が……。六十三億も費用超過だ、売り上げよりも穴があいている、そんなばかな経営やっているのだったら、やめさせた方がいいということになるわけです。  あと、JRの用地の処理のもの、それからJRの、これは各団体、国家公務員共済や厚生年金等から年金も援助を受けて今やっているわけでありますから、明示するに非常に大切な条件があるわけですね。やはりそういう人たちの気分を害さないようにしなければならぬという立場があるわけです。今、二十八兆円にとにかくなります、そういう損益の赤字も返済をしていく、こういうことがこれからの大きな課題になっているわけでありますから、その点を見きわめて国民の批判を受けないような監査が必要になってくる、こういうふうに解釈いたしますが、その点いかがでしょうか。

疋田周朗会計検査院事務総長

○疋田会計検査院説明員 ただいま先生がおっしゃいましたとおり、やはり私どもといたしましては、実態に即した的確な検査をやっていくということが何よりも大切なことでございまして、ただいま賜りましたいろいろな御示唆につきましても十分念頭に置きながら、今後の検査に当たってまいりたいと存じます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田分科員 まだ二分ぐらいありそうですから、一つだけよろしいてすか、  公立学校が建設されます場合に、地元負担というものが物すごく出てくるわけです。学校ができても、例えば渡り廊下がないとか、あるいは備品がないとか、プールがないとか、図書館がないとか、そういうことで寄附が行われるわけですね。このことが会計検査院の場合は指摘事項に上がってこない。いわゆる基準の建物についてだけ検査対象となって、そういう寄附されたものについて、それがいいとか、望ましいとか、望ましくないとか、なるべく避けるべきだとか、表現はあると思うのです。全然これは触れないで通り過ぎるということも、どうせ寄附したものなんですから、国のものなんです。あるいは県のものであるかということになるわけです。ですから、そういうものについてはやはり一定の社会常識上の見解を述べて、国の支出が悪ければ直してもらえるように是正をしていくというのが、会計検査院の一つの役割ではないのかというふうにも感じます。  これから学校を建てるというのは少なくなります、生徒が少なくなりますからね。少なくなりますが、是正の措置としてはそういう道もひとつ考慮に入れて、そういうところに触れないで通り過ぎるんじゃなくて、逆にそういうことを避けるように、国庫の補助なり県の補助なりというものを是正をさせるという方向で善処をしていただくことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。これは要望だけですから、終わります。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 次に、人事院について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 国家公務員の採用等の大事について伺いたいと思います。  人事は、国あるいは地方団体、すべての組織の中における最も重要な要素をなすものであると思います。特に、国家公務員の場合は、一たん採用されますと、定年まで事故がなければその任務につくということでありますが、同時に、政治的には申立て、国の根幹をなす政策の内容を実際には検討し、組み立てていくという極めて重要な任務を持っておるわけであります。したがって、国家公務員の採用については、恐らく国民も最もすぐれた優秀な方々にその任についてもらって、生涯国民のために奉仕をしていただくということを願っていると思います。  ところが、最近総理は、国家公務員の採用について一つの方針を出した。方針というのですか、東大偏重を打破するということを省庁に指示をしたということでありますが、国家公務員の性格からして、そしてまた、国民に対して責任を持つという立場からして、これは東大を偏重するとかしないとかという問題ではなくて、やはり国民の中で公務員を志望されている方々のうちで一番すぐれた人たちを採用して、その能力を発揮してもらうというのが本来の姿であると思います。そういう点から、国家公務員についての資質なり能力なりということは別にして、その採用の基本的な方針はどういうものであるのか、この基本的な採用の方針について、まず総裁に伺いたいと思います。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  採用といいますと、これは現実に採用する省庁の方で公平適切に能力主義にのっとった採用をされることと思いますが、人事院といたしましては、まずその採用のもとになります試験につきまして、どういうふうな試験をやっておるかということとしてお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  公務員採用試験は、御承知のとおりに、近年の行政の高度化と申しますか、複雑化と申しますか、国際化等に十分に対処できる、公務に必要な有為な人材、これを適切に確保するために実施するものでございまして、このためには、単に知識や学力だけではなく、可能な限り多面的な能力を検証することが適当であろう、かように考えておる次第でございます。したがいまして、人事院といたしましては、今後とも公平適切な試験方法等の改善に努めて、今先生が言われましたように公務の有為な人材を確保する、そういう目的に処したいと考えておる次第でございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 そうしますと、これは知識をどの程度尊重して、それ以外の要素をどのくらいとるかという問題がありますけれども、要するに、知識を中心として人格、識見等を考慮しながら、総合的な判定において最も優秀な人を採用するということについては問題ないわけですね。その点については問題ないと思います。  ところで、総理が指示したと言われているこの東大偏重を打破するということでありますけれども、このことだけでは国民に重大な誤解を与える心配があるわけであります。というのは、こういう方針を出したということは、試験はするけれども、採用の側でその試験の成績とは別に、別の観点からの判断によって、まあ早く言えば採用側の恣意によって採用しているのではないかという誤解をこれでは与えるわけであります。出身校のいかんによって採用の際に手心を加えるのではないかということが、この報道を見る限り、そういう疑問がわいてくるわけであります。  国家公務員の場合、もちろん地方公務員でも同じでありますけれども、試験によって採用するわけてありますから、厳正な試験の基準のとり方は別としても、最終的に総合的に出てくる採点というのがあるでしょう。評点というのがあるでしょう。その評点の上の順位から順次採用していくというのが、公平という点からいって当然必要なわけですね。そういう点で、国家公務員の採用というのは、昔から我が国においても最も重要な試験であり、最も重要な基本的な人事行政であると言われております。中国においても科挙というのがありまして、実力によって公務員を採用してきたということがあるわけでありますが、この報道からすると、国家公務員の採用方針について誤解を与える心配がありますけれども、その点はいかがですか。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 ただいま私が申し上げましたように、知識、学力方面ではなく、可能な限り多面的な能力を検証するということの考えからいたしまして、御承知ではございましょうが、具体的にはⅠ種の第一次試験、第二次試験を通じまして、教養試験や専門試験、それから総合的な判断力や思考力を要求する論文試験、これは第二次試験で総合試験の中に入っておりますが、あるいは人柄やその人の意欲や行動力等の多面的な評価を行うための面接試験、これは人物試験でございますが、これを実施しているところでありまして、公平に適切な試験方法であろう。また、これにつきましては今先生のお話になりましたように閣議でございますか、そこでいろいろなお話があったようでございます。  人事院といたしましては、従来から多様な人材を公務に確保するという趣旨を貫いてきておりまして、それは採用の際に各省庁の方にも申し上げておるところでございます。各省庁におかれましても、やはり公務員の採用は国家公務員法その他の法令によるわけでございまして、適切に公平な試験を行い、あるいは成績主義を十分に加味され、総合的な能力を判断されて適切に採用を行っておる、また、そういうお話がありましたので、今後とも適切な方法をとられることと私は考えておる次第でございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 今のお答えですと、若干あいまいな点があるというと失礼ですけれども、客観性に欠ける方法ではないかと思うのです。まず、上級職の職員を採用する場合に試験をやりますね。試験をやって、筆記試験あるいは口頭の試験があるかもしれませんが、それに対する点が出るわけでしょう。その点が出て、それで上からずっと必要数必要数ではないのですね、上級職の場合には採用試験ではなくて資格試験ですか、その年度の必要な数だけを上から採るのではなくて、一定の水準の成績をとった人は合格になるということですか。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 採用数は、最終的な合格者の数でございますが、これは各省庁の採用予定数を勘案いたしまして、あと、試験が受かりましてから民間へ行く、あるいは大学院へ行くというような形で抜ける人もござい省すから、そういうものも加味しまして最終的な合格者数は決定するということでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 そうすると、試験においては当然点が出ますね、その成績のほかに、各省庁では面接によってその合格者のうちから採否を決める、こういうことですか。(吉川政府委員「そうでございます」と呼ぶ)そうしますと、試験に対する点のほかに面接による評点というものが出るわけですか。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 私どもがやっております試験では、一次、二次とございまして、一次試験が教養試験、それから専門の多枝でございます。それで二次試験の方で専門試験の記述、それから総合試験というのも記述でございます。もう一つ、面接、人物試験というのがございます。この全部を合わせて順番を決めていくということでございます。各省庁は各省庁でまた別途それぞれの立場から、最終合格者の中から希望者をとりまして面接をして、最終的な決定をするという形でございます。二段のプロセスを経るわけでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 そうすると、まず全員に対して一次試験、二次試験ですか。その場合には点をつけて、総合点によって順位が決まる、そこで合格者が決まるわけですね。その合格者の中から各省庁に希望する人を採るわけですか。それともその合格者のうちから各省庁がこの人、この人というふうに指名をするわけですか。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 最終合格者につきましては、各試験区分ごとに採用候補者名簿というものを作成いたします。そこに合格者の名前を全部成績順に並べます。各省庁は、その名簿の中から、採用をしたいときには人事院に対して、採用候補者の名簿の提示をしてくれということの要請がございます。それで、私どもは、その合格者の希望に基づきまして、それを成績順に並べまして各省に対して、採用予定の何倍かの数を提示をするという形でございます。各省庁は、その提示された人数の中から面接をいたしまして最終的な採用を決定する、そういうプロセスでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 これは報道でありますけれども、国家公務員の採用試験の合格者と採用者との各出身大学別の分析をしてみると、これは平成四年ですけれども、合格者については東大卒が約半分ですね。合格者が五百八人のうちで東大が二百五十七人、ほぼ半分、その他の大学が半分という合格者でありますが、採用者ということになりますと三百十人、そのうちで東大が百八十二名ですから、比率が大分上がるわけです。六割ぐらいになるのですか。これを比較してみますと、合格者のうちから各省庁が採用する場合には必ずしも成績順ではない、成績順ではなくて、各省庁がこれは面接をして面接の結果でしょうが、合格者のうちから成績にかかわらず人物を個々に選ぶ、その結果こういうことになるのではないかというふうに思われるのですけれども、その点はいかがでしょうか。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 ただいまの合格者の段階、それから採用の段階で東大のウエートが、合格率が高まってきているという点でございますけれども、これは全般的に申しますと、東京大学の出身者は上位に成績優秀者が多うございます、比較的、相対的な話でございますが。その辺をマクロ的には反映したものであろうかというふうに考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 内容について分析するわけにはいきませんが、総理が各省庁に指示をしたその内容、東大偏重を打破、要するに、東大卒の人の採用比率を下げろということなんですけれども、そうしますと、採用の場合に特定の大学の採用比率を変えるということは、成績、客観的な一つの基準に基づくのではなくて、各省庁が志望者を別の観点から判断をして選別をするということになりませんか。  成績順に採用するということになれば、総理がどう指示しようが、結果的に東大が多くなってもこれはやむを得ないし、極端な場合には全員東大であっても、成績順で採るのであれば、これはそれでいいことである。最も優秀な人から採っていく、これは本来の公務員採用の方針に合っているわけですから、出身学校の比率が高いか低いかという問題は、その問題を論ずること自体がおかしいのですよ。おかしいし、また、総理がその比率を下げようとか上げようとか、総理の恣意によってこれを動かすということは、採用の厳正さ、公平さを疑わせるというのはそこなんですね。ですから、採用に当たって特定の方針を与えるということ自体が国民に疑惑を与えるもとになると思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 公務員法では、試験の結果、成績順に揺れ、機械的に揺れというふうには言っておりません。各省庁が採用する場合には、それぞれ各省庁のカラーというか、望まれる、欲しい人材の形というのはいろいろ違うと思いますし、そういうものをいろいろ勘案した上で、それぞれの省庁が採用しているということでございまして、人事院の採用試験の結果、成績順をベースに、それを基本に機械的に採っていくということではないと考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 そうなると、ますます御説明がおかしいと思うのです。成績順ではないということですか。そうなりますと、国家公務員の採用の基本的な考え方がどこにあるのか。希望者のうちで最も優秀な者を採用していくというのが国民のためでもあるし、公平性からいっても当然そうならなければならないと思うのですね。ところが、そうじゃなくて、一定の数を合格させるけれども、その中で、成績にはこだわらずにとおっしゃいましたね、こだわらずに各省のカラーとか好みとかということは、各省の恣意によって、人事担当者の恣意によって成績とは別に選ばれる、こういうことをおっしゃっておるわけですよ。それでいいのかどうかということですよ。  そういうことが国民に疑惑を与えるし、一、二、実際に国家公務員の採用試験を受けて合格したけれども、東大の人が下であったにもかかわらず自分は落とされた、こういうことを言っている人がいるわけですよ。その場合に、各省のカラーによって、好みによって採るのであれば、これは制度を変えなければいかぬですよね。各省庁ごとにその好みなりあるいは伝統なりを、試験の中に加味して判定していくということでなければ、公平性は保たれないと思いますよ。そういう点で、先ほどの御答弁は大変疑惑を与えるのじゃないかと思います。

吉川共治人事院任用局長

○吉川政府委員 ちょっと私の答弁が舌足らずで誤解を与えたかもしれませんが、成績を無視して各省庁のカラーをベースに採っていくということではございません。あくまで成績というものが一つございますけれども、それにさらに各省の仕事に合っているかどうかとか、各省としての人物についての判断が加味されて総合的に優秀な人を採っていく、そういうふうに考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 そうしますと、ますますわからなくなるのですが、総理が東大の比率を下げろと指示したということは、ますますもって成績順に採るのではなくて、一定の水準以上の人を合格者とするけれども、成績順ではなくて、各省庁の恣意によって一人一人を判断して採るという疑いが持たれますけれども、その点はいかがでしょう。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 私も詳細に総理がどのように仰せられたか、ちょっとわからないわけでございますけれども、ただいま局長の方から申し上げましたのは、もちろん成績主義の原則というのは、国家公務員法に厳然としてあるわけでございまして、各省で現実に採用されるときに、もちろん成績主義の原則、あるいは先ほどから申し上げておりますように、公平の原則等にのっとりながら総合的な能力を判定する。それがいわゆる本当の成績だろうと思います。それで、その判定した成績で、下の方にあった人を東大だからといって上の方にするというふうなことは、我々としては考えられないところでございますけれども、従来から特定の大学に偏っているのではないかという批判のあったことも事実でございまして、それを念頭に置かれてああいうふうな御発言になったものだと一つは考えております。  また、先ほどから申し上げているように、行政の複雑性あるいは高度化あるいは国際化に対応していくためには、成績というか、筆記試験の学力だけではなく、多面的な能力を審査していくこともぜひ必要であろう。そういういろいろな角度からああいうふうな御発言になったものと思っております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 多面的な能力を考慮に入れるということであっても、全体の判定の範囲の中で仮に七〇%は学力、あとの三〇%は他の要素ということにしたとしても、最終的な評点はそれらを含めた評点がつくわけでしょう。それらを含めた順位ができるわけでしょう。順位ができれば、当然その順位に従って採らなければいけないわけですね。そうでなければ公平性は保たれない。そうだとすれば、総理といえども、総理の指示によって特定大学の比率を下げたり上げたりするということはできないわけですよ。仮にだれかの指示によって特定大学の比率を上げたり下げたりするということは、採用が恣意にわたるということなんですからね。そうでしょう。客観的に点が決まって、その順位が決まっているということであれば、上から順に揺れば特定大学の比率は人為的に上げ下げはできないわけです。  そういうことを総理が言ったために、受験生が大変動揺しているというような話も聞いております。それからまた、過去において受験した人が、成績がよかったんだけれども、東大の人が下だったけれども、上へ上げられてしまったんだ、こういうことを言っている人もおります。こういう疑惑を国家公務員の採用に当たって国民に与えるということは大変残念であるし、問題だと思います。  もちろん、知識の学力試験の要素だけではなにしても、ほかの要素を加味するにしても、とにかくその人の総合的な順位が決まるわけでしう。決まれば、その総合的な順位に従って上から採っていくという原則が破られれば、採用の全性は保たれないということですよ。あくまで、それはほかの要素を加味しながらも、最終的なその人の評価の点数を出して、その点数に従って採用をするということをぜひやってもらいたいと思ます。  それから採用の内容も、試験の後ですから、採用の内容も場合によっては一定の条件のもとに公表するというぐらいにしないと、公平性が国民ら信頼されないということになります。それから、特定大学の比率を時の権力者の意向によっ上げたり下げたりなんということはおかしな話すから、そんなことができるはずがないし、これができるとすれば、採用は恣意にわたっている、成績順ではないということになりますから、そ辺のことをはっきりさせていただかないと、会員試験の信頼性、国民から信頼される信頼性が失われることになります。そういう点で総裁からもう一回お願いしたいと思います。

弥富啓之助人事院総裁

○弥富政府委員 あくまでも公務に有為な人材確保するための公務員試験、国家公務員試験は、申し上げるまでもなく、公平性、成績主義の原則にのっとることは間違いございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、今までもいいろな批判がございました。それは単に学力たで採っているのではないか、あるいは筆記試験点数だけで採っているのではないかというよう誤解を与えた場合もなきにしもあらずでございして、決してそうではないんだ。今も申し上げしたように、人物試験等におきましてその方の物を十分に見る、これも評点の中の一つでござますので、したがって、恣意的に採っているとうことでは決してございません。そこのところ御理解をいただきたいと思います。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村分科員 試験というのは、試験問題に対する解答を客観的に正確に判断できるわけですから、試験の成績をあくまで基本にしなければ試験の意味が薄れできますよね。人格、識見という、その部分に恣意性が入ってくることは当然ですからね。そうではなくて、もちろんそういうことも全く無視はできないにしても、そういう部分についても評点に示すべきですよ。そして同時に、試験の府容については、国民は最も優秀な人たちを公務員に選んで、生涯、公平の原則に立って国民のために奉仕してもらいたいということを願っているわけですから、何といっても役人は知識ですよ。人格、識見といったって、これは極めてあいまいな概念ですからね。そうじゃなくて、できる限り優秀な人を公務員に選任してもらう、そして国民のために奉仕をしてもらう、そのためには客観的な試験をやって上から採っていただく。その結果が東大が優位であれば、これは結構ですよ。極端な場合、全員が東大であってもいいと思いますよ。要するに、国民のためには知識を中心とした優秀な人を公務員に採用してもらいたいということをお願いしたいと思います。  時間が参りましたので以上で終わりますけれども、このような誤解を与えるような方針はお出しをいただかない方がいいのではないかということを申し上げて、終わりたいと思います。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 私は、三点にわたって質問しますが、最初に警察庁から質問します。  まず、初歩的なことで大変恐縮ですけれども、現在の全国の警察署の総数、それから派出所の数、駐在の数、これを……。

伊藤哲朗警察庁刑事局保安部外勤課長

○伊藤説明員 お答えいたします。  平成三年四月一日現在、全国の警察署の数は千二百五十署、派出所は約六千四百カ所、駐在所は約八千八百カ所となっております。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 その設置の基準について明らかにしてもらいたい。

伊藤哲朗警察庁刑事局保安部外勤課長

○伊藤説明員 お答えいたします。  警察署、派出所及び駐在所の設置につきましては、住民の利便を考慮しつつ、全国の治安水準を一定以上に保つために、所管区内の人口あるいは世帯数、面積等の地理的状況、行政区画、事件、事故の発生状況等を勘案して設置しておるところでございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 これは非常に主観的な話ですが、やはり客観的に見て、だれが見てももっともだというような形でいかないと、事件が起こってからそこへ駐在をつくったりするのはぐあいが悪いじゃないですかね。  特に三全総に定住圏構想というものがあった。現在は四全総、一極集中から多極分散へという方向に行こうとしている。ところが、その傾向というのは依然として一極集中ですよ。それで、まず全国的に見れば東京、首都圏に三分の一ぐらいの人口が流れ込んできている。それから、道府県を見た場合には、中心都市、第二、第三のところに移ってきている。しかしながら、各地域が過疎になったからといって、そこに犯罪が起こらないということはない。そうすると、やはりそこにも治安上あるいはその他の必要上、警察が必要だと思うんですね。そうなると、これはなかなか難しいことになるかもしれない。けれども、この段階では一つ基準というものがあって、その基準に沿ってどうこうという形にならないと客観性がありませんね。いかがですか。

伊藤哲朗警察庁刑事局保安部外勤課長

○伊藤説明員 今現在、警察署、派出所及び駐在所の設置につきましては、人口、面積等に関し、その基準を具体的な数値であらわしたものはございませんけれども、具体的に設置するに当たりましては、警察署の数を含め設置そのものは、地方の実情に応じて都道府県の条例で定められることになっております。  また、派出所、駐在所につきましても、原則としましては、派出所は都市部の地域に、また駐在所は都市部以外の地域に設けるものとしておりますけれども、具体的な設置に当たりましては、やはり所管区内の人口であるとか世帯数、面積あるいは行政区画、事件、事故の発生状況等、その他諸般の状況を勘案して設置しておるという状況でございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 それはどうしても主観性を持って、声の大きいところに行く可能性が強い。だれが見ても、ここには必要だということでやらなければいけない。  私は、うちの長男が土浦の市会議員をやっている。それで、土浦市というのは、具体的に言うと一千八百ぐらいの団地が今三つできようとしています。そうすると、五、六千の人口の町ができる。今、委員長をやっている千葉県あたりはもっと大きな町ができてくるだろうと思うのです。そういうときに派出所――駐在所というのは、田舎、旧町村の中心地に駐在があって夫婦で番人をしている。ところが、派出所というのはそうじゃないですね。それがなければ不安てしょうがない。何か事件が起こったらそこにつくるということでは遅い。やはり客観的に基準を決めて、それに沿って検討をして地元と話し合いをしていかなければいけないということで、市議会で今これを取り上げているのです。  それで、私はこの間、警察の署長に会った。一体どういうことになっているのかと言ったら、それは何か抑えられているのだと。何がそういうものを抑えているのか。これは、定員をそういうふうにしなければならぬというものはあるのですか。

杉田和博警察庁警務局人事課長

○杉田説明員 お答えいたします。  現在、国・地方を通じて厳しい行財政改革のもとで、都道府県警の警察官の増員につきましては、行革審による原則凍結の答申がございまして、この答申に従いまして警察庁としても努力しておるところでございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 きょうは行革審関係の人も呼んでいるから、一緒にこれは話をしなければならない。  行革審、行革審と言っても、世界がこれだけ平和な方向に来て、米ソの対立から今度は軍縮になり、しかも戦争経済をあおってきたアメリカとソ連が両方とも国がおかしくなって、戦争に負けたと言われる日本とドイツが世界で経済大国になっている、こういう世の中で、いつまでも中曽根内閣のときのあの行革審、あれを踏襲するなんということはおかしいんだ、情勢が変わっているときにそれはおかしいんだ。行革の代表、ひとつその行革の基礎を言ってください、基礎を。今何をやっているかという、何の目的で今何をやっているんだと。

堀江正弘総務庁行政管理局管理官

○堀江説明員 先生のただいまの御質問は、行政改革の進め方あるいはあり方ということに関してと理解するわけでございますが、御指摘のように、この約十年間の行政改革につきましては、臨調あるいは行革審の答申等を尊重しつつ進められてきたということでございます。  そこで、その臨調の考え方はどういうものが基本であったかということでございますが、臨調の第一次答申あるいは第三次の基本答申と言われているもの、そこには、今後の我が国が目指すべき目標、それは我々行政部内の者にしてみれば、行政課題ということと理解してもよろしいかと思うわけでございますが、二つ挙がっております。目標の第一番目は、活力ある福祉社会の建設、それから二つ目は、国際社会に対する積極的貢献ということが目標として掲げられております。  そこで、こういうような目標のために行政はどうあるべきかということで、行政の制度、施策を見直すということでございますが、その視点として四つ挙げておりまして、第一番目は変化への対応、ただいま委員御指摘ございましたように、世界情勢、国内の情勢がいろいろ変わっておみというようなこともございます。それが第一点でございます。第二番目が総合性の確保、行政の総合性を確保するということでございます。それから三番目が行政の簡素化、効率化を図る。それから四つ目が、行政に対する国民の信頼性を確保する。こういう四つの視点を掲げて具体的な課題に取り組んだということでございます。  委員御承知のとおり、臨調及びそれに続きます行革審からいろいろな答申が出されまして、政府は、これを最大限尊重するというような閣議決定を行いました。政府全体としてその実施に努めてきたわけでございます。よく御承知のとおり、三公社の民営化を初めといたしまして広範にわたる行政改革をやってきたわけでございます。  そこで、では現在どういうぐあいになっているのかということでございますが、現在は第三次行革審というものが活動しておるわけでございます。この第三次行革審は、二つ大きな課題に取り組んでおります。一つは、委員も御指摘になりましたように、国際化への対応ということから行政はどうあるべきかということ。それから二つ目は、国民生活重視の行政転換ということから、今行政のあるべき姿といいますか内容といいますか、そういうものについて調査審議が行われておるということであるわけでございます。そういたしまして昨年の暮れ、十二月には第二次答申というものが出されまして、それを受けて政府としての対応方針というようなものも決めて取り組んでおるというのが現状でございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 筋は大体そういうことだろうと思うのですが、問題は、やはり国民に愛される政治、それは安心、安定、安全、これが国民は求めておることだと思うんですね。それに沿って警察が夜中でも非常に苦労して、中には警察の中にも悪い人がいて、あちこちちょっといたずらするのがいるけれども、これは甚だ困ったもので、それでない限り多くは非常によく、雨の中も風の中も頑張ってやっている。しかも、ひとりで留守番をして殺されたというような不幸なこともある。  ああいうことを考えたときに、やはり警察というのは国民にとって大事なんですよ、これは。そういうようなものに、過疎になったからそこは減ってもいいんだ、過密になってもそれはほっておけ、こういうようなことは、これだけ情勢が変わっているのにおかしいよ、これは。やはりこれについては適切に配慮してもらわなければまじめな行政とは言えない。この点について、これは行革の方から聞きたいですね。

堀江正弘総務庁行政管理局管理官

○堀江説明員 警察官の関係につきましては、先ほど警察庁の方からもお話がございましたが、過去の行革審の答申で指摘がございます。これにつきましては、先ほど政府の対応の仕方ということで申し上げましたように、これを尊重してということで対応してきておるわけでございますが、これは、国・地方を通じて行政改革を進めていくということと理解しております。  そして、この地方警察官の問題は、具体的には警察庁からお答えをいただいた方がよろしいかと存じますけれども、過去の答申におきましても、例えばこれは五十九年の答申でございますが、地方警察職員につきましては人事管理の適正化、あるいは資機材の近代化、そういうことで対処するということで、原則として増員を当分の間凍結措置というような指摘がなされております。それから、六十一年六月の行革審答申でも、警察官の問題につきましては取り扱いにつきまして指摘があるわけでございますけれども、テロ対策等には十分配慮するようにといったような指摘がございます。それを受けまして、私どもは、警察庁とも十分相談いたしまして、その答申に対する政府の対応ぶりを決めておるわけでございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 一つ要望しますけれども、過疎過密、そして密集地帯が多い、そういう中でくまなくやはり手が届くようにひとつ基準をつくって、その基準に照らしてどうかという、だれが見てもなるほどと、こういうふうなものが出てこないと、これは主観的ですね。事件が起こってからそこに警察をなどというのはおかしい。泥棒が来て縄をなうというのと一緒だ、それは。そういうことじゃぐあいが悪いからひとつこれから検討をしてもらいたい。きょうは時間がないから、そればかりやっておるといけないから次に移ります。  次は人事院。今度は、人事院にひとつ相談をしなければならない問題が起きていますね。  筑波研究学園都市というのは国がつくった学園都市ですね。できてから、移転してもう既に二十年たっている。そして多くの人々が入っています。現在、全部で一万八百八十三人職員が移っていますね。その一万八百八十三人の中で手当をもらっていないのが八百四十四人いる。これは地元雇用ということで手当をもらっていないわけですね。同じ職場にいて同じ仕事をして給与が違う、これぐらい困ったことはない。これはもう何遍も何遍もやってきたけれども、依然としてそうだ。当初は一〇%、現在は八%になったけれども、やがて七%、六%、最後にはゼロになってしまう。今でもこのことについて、考え方に変わりはないですか。

森園幸男人事院給与局長

○森園政府委員 先生よく御案内のように、この筑波研究学園都市移転手当は、当初、首都の過密、人口集中等を緩和する等の趣旨からできた研究学園都市への移転ということを円滑にするための手当でございますので、あくまで基本は、当時、東京には調整手当、当時は八%ございましたが、それがついていたという事実と、新しく移る先であります筑波研究学園地区は調整手当の支給されない地域であったということ、両方から考えまして、移転に伴う異動を促進、円滑にするという趣旨でできた手当でございまして、基本はあくまで、機関の移転に伴って異動した職員に、従前支給されていた調整手当相当的な手当を支給することによって減収を防止するということがねらいでございますので、それ以外の職員の中には、今おっしゃったように手当の支給されない職員がいるわけでございます。ただし、従来から、今おっしゃいましたような趣旨の要望も強うございまして、六十一年の見直しのときには、それまで支給されないこととされていた職員のうち相当程度の者について、率は低うございますけれども、新たに支給対象に組み入れだというような手を打っております。現状におきましては、現在の措置で足りておるのではないか、こういうふうに考えております。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 このように、同じに働いて同じ場所にいて、雇用の場所が違ったということだけでいまだにそこには差別があるということは、管理者にとってみても本人にとってみても、これぐらいやりにくいことはない。この点はもうそろそろ改めて、地域手当に切りかえてもらわなければいけないと思うのです。今その理由を言います。  それは、学園都市ができて今一番悩んでいるのは、この間、約二千人の移転公務員と民間の研究者が集まって世論調査をした。四九%それが集まった。一番悩ましいことは何かというと、交通問題です。東京と筑波との間の交通がまず第一にありますね。室長とか所長とかというのが東京に行く場合に、常磐高速ができていますが、込んで二時間以上かかりますね。これは、とにかくまともな時間には間に合わない。そこで、どうしても土浦とか荒川沖とか牛久を使うと、今度は自宅からタクシーで行くと二千円はかかる。こういうふうに金がかかりますね。それから今度は、その内部は職場と住宅が違うんですね。約八千戸近い住宅ができているけれども、その住宅と職場は違うから、循環バスがあるけれども、それが終わってしまうと、今度は病気になった場合、用ができた場合、いろいろなことができた場合には、全部タクシーか自家用車でなければならない、こういうことになる。これもまた相当な金がかかる。学園都市が東京ほど経済的に豊かであるということには決してならない。これは、現地から強く要請されていることだ。  人事院総裁、この点についてはどう考えますか。せっかく国がつくった学園都市にそういった悩ましいことを置いて研究しろと言ったって、それは無理じゃないですか。

森園幸男人事院給与局長

○森園政府委員 本格的な地域手当に変えるべきだという御主張でございますが、地域手当といたしまして、現在調整手当という制度がございます、調整手当につきましては、平成元年の勧告において、支給地域とするかどうかということについては全国的に洗い直しをいたしまして処置をしたわけでございますが、民間賃金、物価、生計費が特に高い地域について支給する、こういうことになっております。その際に当然筑波学園地区につきましても俎上にはのせたはずでございますが、私どもの基準に該当しなかった結果、引き続き非支給地とされて今日に至っている、こういう事情でございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 この問題は今ここで細かいことを言うと時間がないから、これ以上のことは言えない。  そこで今度は、また行政改革に注目するのですが、先ほど、行革の中で国際的協力というようなことを言った。これは結構なことですね。ところが、科学技術会議、これは総理大臣が議長ですね。それで十一人の中で五人までが現閣僚が入っている。大蔵大臣から科学技術庁長官から文部大臣、そういうのが入っていて、平成四年一月二十四日、十八号答申というものを出しましたね。あれについて、財界も意見を言いながら、もろ手を挙げて賛成であるということを言っているけれども、学者はもちろんそれをやってもらいたい、ところが行革はあれに対して注文をつけている。大蔵省と行革が注文をつけている。なぜか。あの中の十九ページ、国の予算を倍増しなければならない、それについて、それはシーリングがあってまずい、こう言う。  一九七五年に国から出ている科学技術費というものは二七・五%だった。それが今、国から出るのがますます減ってきて、平成二年になったら一六・五になった。そして民間に依拠する量というのが八五・五。これは民間依存型の科学技術の振興じゃないか。アメリカでもイギリスでもフランスでもドイツでも、国が基礎科学には金を出して、科学技術を振興して国際貢献をしているときに、日本だけが民間に依存をして、そしてもうかったのは財界が取ってしまう。おちおち基礎科学も勉強できない。こういう状態の中で行革がそれについていちゃもんをつける。これはその趣旨に逆行するじゃないですか。どうですか。

堀江正弘総務庁行政管理局管理官

○堀江説明員 ただいま、行革の方から科学技術会議の答申についていちゃもんをつけるという委員の御指摘がございましたが、いちゃもんをつける、そういうことがあったかどうかは、私自身は承知しておりません。ただ、事実関係ということになりましょうか、説明をさせていただきたいと思いますひ  御指摘のとおり科学技術会議の答申がことしの一月二十四日に出ておりますが、行革の方の観点から出されております答申は、先ほども触れさせていただきました昨年十二月の第三次行革審の第二次答申というものがございます。その中で、国際化対応の行政改革をやるということで、その一環として基礎研究等の基盤整備あるいは研究機関等の活性化というようなことが褒言されております。これは委員の御指摘の御趣旨にも沿っている提言ではないかと理解するわけでありますけれども、この答申を受けまして、政府全体としての方針として昨年暮れの閣議決定、我々、平成四年度行革大綱と称しておりますが、その中でも、「基礎的・先端的研究の積極的推進等を図るため、次の方策を講ずる。」ということで、かなりのスペースを割いて、行革の中でもそういうものに取り組むんだということを掲げておるわけでございます。  今御指摘ございました科学技術会議の十八号答申でございますか、これについてどう対応していくか、あるいはそれを取りまとめられる過程でどういうやりとりがあったかということについては、必ずしも私がお答えするのは適当でないと思いますので、それは御容赦いただきたいと思うわけでございます。

竹内猛日本社会党・護憲共同

○竹内(猛)分科員 もう時間が来てしまったから余り言えないけれども、この短い時間に私は三つ重要なことを提起いたしました。その一つは、警察署それから派出所そして駐在所、これは旧市町村に、中心地にあるわけですから、派出所の振り分け、配置等については、これはやはり状況に応じて、人口に応じて遺憾なく配置をしていくように、国も県もそれから行革も余り白い目で見ないでちゃんと温かく、愛される警察、親しまれる警察、そして住民からは安心、安定、安全という気持ちが持たれるようにしてもらいたいということをまず第一に要望します。  それから人事院には、しばらく僕は黙っていたんだけれども、この間からの学者の方の要求は、交通問題を出し、それからもう一つは、さっき時間がなくて言わなかったが、研究費が足りないと言っているんです。せっかくあれだけの建物を建てて立派な学者が集まっても、研究費が足りない、自分の生活費の中から本を買ったりあるいは海外の会議に行ったり国内の会議にも行ったりする、こういうような状態では、給料の一部が研究に使われているわけですから、だから先ほどから手当の問題等含めて、それは邪道だと言うかもしれませんが、当然もっと基礎研究費を出すべきだと思うのだが、そういう点も含めて問題があるということをここで明らかにしておきたい。  それから、行革については、時代に合った形でやってもらわないと、せっかくの平和の時代に鉄砲玉のような話ばかりしてもしょうがないから、ぜひそういうことがないようにやってもらうことを要望して、終わります。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 どれにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして人事院についての質疑は終了いたしました。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 次に、公正取引委員会について質疑の申し出がありますので、これを許します。川端達夫君。

川端達夫民社党

○川端分科員 皆さん御苦労さまでございます。  きょうは、公正取引委員会の仕事についてお伺いしたいのですが、その前に前段として、政府の基本的な考え方ということで労働省にお伺いしたいのです。  先般の総理の所信表明の演説の中にも、「生活大国」という言葉が出てまいりました。私たち民社党はかねてより、中身は同じだと思いますが、生活先進国ということを実現しようと主張してきておるわけですが、その中のいわゆる一番大きな柱として大事なことは労働時間の短縮ではないか。労働時間が欧米諸国に比べてかなり長いというのは、ゆとり、豊かさを求めるということにおいて一番先に解決をしなければいけないことだ。そして同時に、これは国際的にもそのことを果たさなければいけない、いわゆる国際公約になってきている。そういう中で国を挙げ、政府を挙げて労働時間短縮、いわゆる時短にいろいろな角度で取り組んでいただいているというふうに認識もいたしておりますが、簡単に労働省としての取り組みについてお伺いしたいと思います、

鈴木直和労働省労働基準局賃金時間部労働時間課長

○鈴木説明員 ただいま御指摘がありましたように、労働時間の短縮というものが、豊かな国民生活を実現して生活大国に向けての前進を図るという観点から、非常に重要な課題であるというふうに考えております。  こういう観点から、政府としては、従来から完全週休二日制の普及促進、それから年次有給休暇の完全取得、さらには所定外労働時間の削減ということを柱に各種の施策を講じてまいりました。しかしながら、経済計画の目標に示されました千八百時間程度に向けてできる限り短縮するという目標の実現につきましては、その現状を見ますとなかなか厳しい状況にございます。そういったことから、私どもとしては決意を新たにして一層努力を積み重ねていく、そういったことが大事であろうというふうに考えております。  また、そういう中で我が国の企業の実態を見ますと、競争が激しく、横並び意識が強いということが労働時間短縮の阻害要因となっておりまして、この点に配慮した労働時間短縮のための環境整備を図る必要があるというふうに考えております。そういう観点から、業種ごとに事業主等が共同して労働時間の短縮に向けての自主的努力を進めていく、そういうことを援助するための法的整備について現在準備を進めているところでございます。今後ともこういった施策を総合的に活用しながら、時間短縮のスピードをさらに一層上げていきたい、そのように考えております。

川端達夫民社党

○川端分科員 ありがとうございます。  そういう中で、今労働省を中心にというか、政府として非常に大きな取り組みとしてやっていただいているのですが、現実には大企業と中小企業という部分で、中小企業の方が非常におくれているというのが実態だというふうに数字もいろいろ出てくるわけですけれども、中小企業庁としては、それをどういうふうに、いろいろな背景としまして競争力の問題、企業の体力の問題ということがあるわけですが、その部分を含めてどのような特段の配慮というか、政策努力をしておられるか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。

佐藤哲哉中小企業庁計画部振興課長

○佐藤説明員 ただいま御指摘をいただきましたように、中小企業におきましても労働時間の短縮化努力が行われているところでございますが、大企業と比べまして格差が存在する状況でございます。  中小企業におきまして労働時間の短縮は、従業員の方々のゆとりと豊かさのある生活を実現するとともに、中小企業におきます労働力確保を図る上で極めて重要であると認識をしております。このため通商産業省といたしましては、昨年制定をしていただきました中小企業労働力確保法を柱といたしまして、労働時間の短縮のための省力化投資などにつきまして、金融、税制、予算上の優遇措置を講ずるほか、中小企業に対します総合的な支援措置を講じているところでございます。また、親企業の発注方式の改善を通じまして下請中小企業の労働時間短縮を促進するため、去る二月二十七日、三百六十の親事業団体に対しましても、昨年改正をいたしました下請中小企業振興法の振興基準などの趣旨の徹底を要請したところでございます。さらに、労働時間短縮のための省力化、自動化のための技術開発を行うなど、種々の対策に取り組んでいるところでございまして、今後ともこれらの施策を柱といたしまして、中小企業におきます労働時間短縮が円滑に行われますよう積極的に取り組んでまいる所存でございます。

川端達夫民社党

○川端分科員 ありがとうございました。  今、おのおののお立場で御説明いただきましたように、いわゆる時間短縮ということに対して、政府としては非常にきめ細かな配慮も含めながら、大きな時代の流れとして、何とか国際的な労働条件の水準に、日本もそういう向きに合わせていくということも含めて御努力をいただいているわけですけれども、そういういわゆる時代の流れとしての時短促進に対して、公正取引委員会というところはどういう御認識をお持ちであるかということと、どういうかかわり方をされてきておるのかということについてお伺いをしたいと思います。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 労働時間の短縮の問題は、ただいま労働省あるいは中小企業庁の方からもお話がございましたように、私どもといたしましても、言ってみれば豊かでゆとりのある国民生活を実現する上においても非常に必要なものであるということで、これがまた重要な政策課題になっている、このように認識しているところでございます。  ところで、私どもの仕事とこういった労働時間の短縮という問題のかかわりでございますけれども、これまでにもしばしば業界団体からも御相談を受けたことがあるのですが、労働時間を短縮するために、特に中小企業の団体に多いのでございますが、言ってみれば、一つの目安のようなものをつくって、それを皆さんが参考にしながら事業活動を進めていくということが必要である。そういった場合に、こういう目安をつくることが独占禁止法上どうなのか、こういった御相談を受けることがしばしばございました。私ども、そういったことに対しましては、よくお話を聞いた上で、そういったことであるならば特に独占禁止法上問題ございませんねとか、あるいはこういった点によくお気をつけくださいというようにお答え申し上げ、それに基づいてそういった業界団体では労働時間の短縮を進めておられるというように考えておるところでございます。

川端達夫民社党

○川端分科員 いろいろ業界がやろうとしたときに、それがいわゆる独占禁止法に抵触しないようにいろいろ御相談、御指導をいただいているというふうに聞こえたわけですけれども、今政府挙げて、これは日本の勤労者のためだけではなくて、国際公約という流れの中で、前段お尋ねしましたように、非常に時短を前向きにというか真正面に取り組んでいただいている。いみじくも一番初めに労働省の方の御答弁の中にありましたように、競争が激しく横並び意識が非常に強いということもある。そういうことで、競争しているという中では、自分のところの企業として時間短縮をしたいけれども、よそがそこまで踏み込んでいないのにということになる、あるいはみんなが一緒にやれればやってもいいけれども、うちだけやるわけにいかない、しかし一方で言えば、それが労働力確保というものでは、余り悪い労働条件では人が来てくれない。いろいろなジレンマがあるというように思います。  そういう中で、私は、きょうはお願いというか、こういう政府を挙げてというときに、公正取引委員会が、いろいろ御相談があったときに、今までの、別に時短というものに対してということではなくて、いわゆるニュートラルな立場でいろいろと今の枠を御指導いただくというよりは、少し踏み込まれた方がいいのではないか、むしろそうされるべきではないかなというふうに感じているわけです。  独占禁止法というのは「公正且つ自由な競争を促進」。することによって「事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ということが基本理念として書いてあります。これは非常に大事なことだと思います。一方で、社会公共への配慮という部分もいろいろ、これは指針ですか、いろいろな形で指針をお出しになっている部分でも書かれておる。  そういう意味では、いろいろな時期に合わせて適宜指針とかガイドラインというものでそういう円滑な運用というものを図ってこられたということは承知をしておりますが、そういう部分で今お話を伺いますと、そういう時期に合わせて指針を出す、あるいはガイドラインを出すというふうな動きを今までしてこられた一例えば非常に特殊な例として、適用除外で不況カルテルを認めようとか、あるいは消費税を導入するに際してはそういう中間的な零細の部分が転嫁できないという部分をある程度見てあげましょうということで、そういう適用除外も含めてそういうことをやってこられた。  今のお話では、時短という大きな国の政策の流れの中には、今公正取引委員会としては何らかの対応、姿勢というものを出しておられるようには聞こえなかったんですよね。その部分はそういうことなのでしょうか。もっと踏み込んでおられるのか。御相談があれば、こういうやり方だったら今までの通達の範囲内ですね、社会公共への配慮ということでいいですよ、しかしこういうやり方だったらまずいですよというのは、私は通常の運営だと思うんですね。今時短というのが本当にできるのだろうかと言われるくらい時期も迫ってきて、やらなければいけないときに、公取としてそのためのメニューというものはまだ考えておられないのかどうかということをお尋ねしたい。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 先ほども申し上げたわけでございますけれども、時短を進めるために、特に中小企業のような団体の場合には一つの目安のようなものをつくって、それをみんなが尊重して事業を進めていかなければいかぬという状態にあるということは私ども承知しております。そういった場合に独占禁止法でどのように考えるかということでございますけれども、今委員も御指摘になりましたとおり、私どもとしても、社会公共への配慮とか、あるいは労働問題に対処するためにこういった目安をつくるといった場合に、例えばそれが消費者と申しますか需要者の利益を不当に害するものじゃないとか、あるいはむちゃくちゃに組合員を強制するものではないというようなものであるならば、これは独占禁止法上、特段問題になるものじゃございませんということをかねてからガイドラインという形でお示ししておりましたし、また、いろいろなケースにおける御相談にもそういったことで対応してきていたところでございます。  ただいま労働省で、こういう時短を進めるための施策をいろいろと御検討されていらっしゃいますし、私どもは、その過程でいろいろとお話を労働省からも伺っておりますけれども、こういった問題については、今申し上げたような私どもの基本的な考え方のもとで十分対応できるものと思っておりますし、私どももそういった労働時間の短縮という観点も十分踏まえながら、引き続き業界からの御相談に懇切丁寧な対応をしていきたい、かように考えているところでございます。

川端達夫民社党

○川端分科員 先ほど、例として不況カルテル、消費税カルテルというふうなものの適用除外をおやりになったということを申し上げましたけれども、そういうふうなものは、例えば不況から脱出するために、あるいは消費税の円滑な実施、定着のためにという政府のおやりになる大きな政策目的ですね。その部分に関しては、カルテルなんというのは、基本的には独占禁止法で完全に禁止している行為ですから、そのものでさえも、国の基本的な大きな政策遂行のためには適用除外ということがあったわけですね。そういう意味でいえば、私は、適用除外にしろと言っていることではなくて、時短というものに対しての取り組みの中でいろいろな仕組みを考えていくというときに、やはりその観点に立った独禁法の運営というものは、一つの指針というものをその観点で見直していただく、そして示していただくということが大事なのではないか。  おもしろくなかったと思いますし、私も、これはちょっと書き過ぎだなというふうな印象を個人的には受けたのですが、最近の某日の、ちょっと日付は忘れましたけれども、新聞の夕刊に「道遠い一斉休日」そして「連休欲しい――1車販売業界の“壁”」何と書いてあるかといえば「怖い「独禁法違反」」と書いてあるんですよ。これをぱっと見れば、一斉休日が欲しいな、みんなで休もう、連休も欲しいんだと言うと、こんな大きい字で「怖い「独禁法違反」」と書いてあると、普通に読んだ人は何か、よく読めば中身はちょっと違うんですよ、独禁法でそういうことがやはり非常に壁になっているという印象を受ける。公取の方に問い合わせをいたしました。そうしたら各業界から、これは本当にいいのかというお問い合わせがあるんですね。  過去、私は手元に実は四件あるのですけれども、自動車タイヤ卸売業者の団体、冷蔵倉庫業者の団体、石油製品小売業者の団体、木材販売業者の団体、大体同じく、みんな週休二日を導入したい。しかし、そのみんな、同業者で、例えば月に二日休むというときに第四土曜日は休んでいない。そうすると、一社だけ休むと、お得意さんとの関係で、おまえのところは休みか、そうしたらもうこっちから注文とるぞということになるから、相談して第二、第四はみんなで休もうということをしてもいいのですかというお尋ねに対して、いろいろ丁寧に書いていますけれども、休むというのを基準として、みんなでそういうことを基準に決めましたというのはいい。ただ、必ず守りなさい、決めましたから守りなさい、場合によっては、守らなければ罰金を取りますよというふうなことは違反だということでお答えになっておるようですね。いわゆる紳士協定みたいなもので、まさに目安をつくることはいいというふうに御指導されている。私は、今の時点では適切な御指導をいただいていると思うのです。各業界はこの部分でも、業界にいろいろ聞いたら、やりたいけれども独禁法が怖くてと言うんですね。そういうことでは、やはりもう一工夫されないと、世間の印象としてはいわれなきぬれぎぬかもしれませんが、誤解も含めて、独禁法で休みをとるのは阻害をされる。現実に、先ほど労働省の方がおっしゃいましたように、競争は非常に激しいですね。それと同時に、業界としては横並びであるという意識が強い。  そういう意味では、もう少し踏み込んだガイドラインというか、むしろこういうことはやってよろしいということも含めて指針を一歩踏み込んでお出しになるべきではないか。欲を言えば、紳士協定で本当にうまくいくのかどうかというと、これは本当はなかなかいかないと思うんですね。協定破りということが出てくる。働いている人からいうと、それが消費者の保護といいますけれども、消費者は勤労者なんですね。勤労者も消費者の一人なんですね。そういう部分でいったときに、独禁法の考え方を含めて、今の社会情勢、トータル的な国の施策で言えば、ただこういう御相談があればこういうことでというのをもう少し明確に、御相談がなくても周知するというのが一歩進んだことだと思いますね。時間短縮をするために各業界はこのことぐらいはおやりになったら、これは独禁法には違反しませんから、どんどんそういうことでも努力をして時短を進めなさいということを労働省とタイアップされて、要するに公取のお墨つきも含めてどんどんやりなさいよ、こんな心配は全くする必要がないんですよと言われることが、私は、今よりははるかに一歩進んだことだと思う。もっと言えば、かくかくしかじか、そういうことを積極的にやりなさいと指導するお考えはないでしょうか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 委員御指摘の御趣旨は、私も非常によく理解しているところでございます。今お示しのあったような新聞記事、こういったようなことが少なくも見出しに出るようなことについては、本当に残念に思っております。  先ほど来申し上げておりますとおり、時短の促進という点については独占禁止法のもとでも十分できるんだというように考えてもおりますし、また個別にそういった対応をしてきているところでもありますので、こういった考え方を、全く委員おっしゃるように、私どももいろいろな機会をつかまえてもっと積極的にPRをしていかなければいけないというようにも考えておりますし、それからまた、今労働省の方で御検討になっていらっしゃる時短を促進するための施策の関連でも、もし必要があれば、私ども、例えばほかの役所の方から、こういったことをやって独占禁止法上問題がないといういわばお墨つきを欲しいということであれば、それにも積極的に対応できるようなことを考えていかなければいけない、そういうふうに思っております。  いずれにしても、時短が正しく進められることについて、独占禁止法が少なくとも障害になるようなことのないように、私ども、仕事を進める上において十分気をつけてまいりたいと思っております。

川端達夫民社党

○川端分科員 今出ましたので、労働省で、先ほども少しお触れいただきましたけれども、いわゆる時短促進法案を御検討いただいているということで、これは可及的速やかに実行されるように我々もこいねがっているのですけれども、もう時間がほとんどありませんので、この大まかな中身と、今公取の方からお話がありましたけれども、法案をつくられる側としては、公正取引委員会あるいは独禁法との関連をどう考えておられるかだけ聞かせてください。

鈴木直和労働省労働基準局賃金時間部労働時間課長

○鈴木説明員 先ほども法的整備というお話を申し上げましたが、そういった環境整備のための法的整備について検討しているところでございます。これにつきましては、昨日、中央労働基準審議会から、法律案要綱について諮問した点につきまして、おおむね妥当であるという答申をいただいております。  この内容につきましてごく簡単に申し上げますと、一つは、労働時間短縮を推進するための国の基本施策等を盛り込んだ労働時間短縮推進計画をつくる。それから二点目は、事業場内における労働時間短縮を推進するための体制整備を事業主の努力義務とする。それから第三点は、今までお触れになられました問題とも関連するのですが、同一の業種の事業主が共同で作成した労働時間短縮実施計画を労働省と事業所管官庁が共同で承認して援助を行うこととする。それから、その場合に独禁法に抵触しないよう事前に行政として公正取引委員会と必要な調整を行う。そういう内容を今考えているところでございます。  こういった法案につきまして、関係のところとも相談をしながら、できるだけ早く国会に提出したいと考えているところでございます。

川端達夫民社党

○川端分科員 委員長、御苦労さまでございます。今のいわゆる時短促進法案に対して、独禁法との関係を含めて、同業で時短促進のいろいろな計画を立てていく中に、独禁法に違反しないかというふうなことを調整していくということでかかわりをお持ちになるわけですけれども、そのときにそのジャッジというのは、例えば一斉休業の問題とか、本当はこれは価格の問題もかかわってくるんですね。先ほど中小企業庁の方は、親会社に対して発注の仕方であるとかいうふうなことをお話しになりました。しかし、中小企業の部分で、親会社というか競争の激しい部分で言えば、最終的にコストなんですね。コストが、時短を行うことによる転嫁ができるかどうかということで、できなかったら現実に時短はできないんですね。政府として、時短を促進していくという大きな流れの中で、独禁法が今までどおりの物差しで、業者が値段も時間も休日も含めて協議をしてやること自体が、一部公共の部分においてはという指針はありますけれども、消費者に対して不利益なんだという大きな価値観、これを根底から変えろということではないですが、その部分に関して、時短というまた大きな価値観を並べておいてどうなるのかという踏み込んだ議論をしていかないといけない時期に来ているのではないか。  ある意味で私は勉強不足で、どういう経緯で出てきたか詳しくは承知をしておりませんが、昭和五十四年八月二十七日の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」という中で、社会、公共への配慮等のための基準の設定もおつくりいただいています。先ほど来の御答弁では、そういう範囲の中で業界が、例えば一斉に休日を基準として決めていくということに関しては、それで強制するとか罰金を取るとかいうことでない部分に関してはよろしいということですが、そういう今の流れであれば、新たに政府の時間短縮に関して、これはみんなが時間短縮で働く時間を減らしていこうというのは、当然ながら大きく言えばコストが上がる、あるいは消費者に対してサービスが低下する。土曜日あいていたお店が閉まるというのはそういうことだと思う。しかし、それはおのおのが分かち合ってでも時間短縮をしようというのが大きな考え方なわけでしょう。そういう部分で言えば、新たに労働省のいろいろな指針もできてくる中で、時短に対しての独禁法の指針というんですか、私はぜひともに御研究いただきたいというふうに思いますし、そういうことに取り組んでいただきたいというお願いでございますが、委員長せっかくお見えでございますので、全般に関して御所見を賜れればありがたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○梅澤政府委員 時短問題につきまして今回政府提案されております法案の作成の段階で、独占禁止政策と労働政策なり産業政策との調整というのは十分行いました結果、ただいま御提案申し上げている内容になっていると思うわけでございます。  ただ、ただいま委員御指摘になりましたように、基本的には労働条件の問題というのは労使問題と申しますか、独占禁止法の適用の外の問題でございますけれども、労働時間短縮という国の大きな政策目標をこの特別の法案でもって推進しようとするわけでございますが、それを実効あらしめる手段として当然事業活動の部分の問題が出てくるわけでございますが、その間の調整を行うというのは失礼いたしました、まだ法案は未提出だそうでございますが、その法案の中に盛り込んでおるわけでございます。  おっしゃいますようにこの種の労働時間短縮というのは、やはり事業者が共同して行わないとなかなか実効性を持たないというところにこの問題の発端があるように思うわけでございます。我々の観点は、あくまで労働条件の問題というのは独占禁止法の外の問題でございますけれども、その手段としてとらえる問題について、やはりそれが競争の実質的制限になるような部分については調整をしなければならない、これは基本でございますが、ただいまおっしゃいましたように労働時間短縮という国の大きな政策目標、ただいま価値観というふうに仰せになりましたが、それと独占禁止政策の価値観というものは衝突する分野では必ずしもないんではないかというふうにも私は考えております。  いずれ法案提出の段階でいろいろな御審議を賜ることと思いますけれども、ただいま委員が御指摘になりました点についても、これからの運用の問題として真剣に検討してまいりたいと思います。

川端達夫民社党

○川端分科員 時間が参りましたので終わりますが、いわゆる時短、そういうものに関して、営業日あるいは労働時間、営業時間等々を同業者で相談をして、私は個人的には、その分がある分で強制力を持って規定をしていくこと自体は、独禁法に、一般消費者の利益に反するということではないんではないかなというふうに思っております。そういう意味で、これから政府としての一体的な取り組みの中で、公正取引委員会も大きな役割をぜひとも果たしていただきたいとお願い申し上げて終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして公正取引委員会についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 次に、科学技術庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。辻一彦君。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 原子力関係等々につきまして若干質問したいと思います。  まず第一に一美浜原発二号炉の事故について通産の報告があり、それのダブルチェックという意味で原子力安全委員会から報告書がおととい出されました。それについて二、三伺いたいと思います。  まだ私も詳しくは読んではいないんですが、抽象的ではあるがかなり率直な提言もなされている、そういう感じも受けております。まずあの中で、審査基準等の見直し、それから過去の事故の例から学ぶべき点等々が出されているんですが、具体的にどういうことを指していらっしゃるのか、伺いたいと思います。

内田秀雄総理府原子力安全委員会委員長

○内田説明員 御説明申し上げます。  今回の報告書の中に盛られています安全審査指針の見直しの必要の有無について検討するようにということがワーキンググループから言われておることについてですが、原子力安全委員会におきます安全審査の指針につきまして、あるいは設計指針とか安全評価指針でありますが、これまでも最新の科学技術的知見を加えて逐次見直してきているところでございます。内外におきます事故、故障、トラブル等についても、我が国の安全確保に反映すべき教訓事項を最大限抽出いたしまして、必要なものはその適用を図っております。  美浜二号炉事故に関しましては、原子力安全委員会の調査審議の結果、これまでの蒸気発生器伝熱管破損に明します知見、事故に対する対策とかあるいは評価、そういうような知見は妥当であることが確認できたと思いますから、安全審査に関しまして直ちに変更を加えるという必要はないと思っております。  しかしながら、同種の事故の再発防止のみならず、今後の原子力の安全確保の一層の充実を図るとの観点で、技術の進歩と経験の蓄積に合わせて時宜に適した安全審査指針等の引き続いた見直しをしていくことが必要としたものだと思います。  現段階で具体的に考えちれることとしましては、安全専門審査会からの褒言にもあるように、これからその必要の有無についての検討をしなければならないということで、今直ちにこれこれのことを変更しろというようなことではございません。例えば主蒸気隔離弁の不完全閉止の問題とか、加圧器逃し弁の不作動の問題等が安全評価における解析条件等に見直しの要否ではないかと思っております。今後、原子力安全委員会におきまして専門家のグループを新たに設けまして、これらも含め調査審議を行い、必要があれば所要の見直しを行う所存でございます。  私見を加えますと、現在の安全設計審査指針とか評価指針といいますのは、非常に大きな原子炉冷却材喪失事故を基本的に対象といたしまして、それに対する事故の防護並びに影響の低減ということを頭に置きまして設計審査指針、評価指針を考えておるところでございます。したがいまして、今回の蒸気発生器伝熱管の破断のようなものを、設置許可の段階におきまして安全委員会が審議する対象にする場合に、どの程度詳細に考えなければならないかというのが問題の起点ではないかと思っております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 一般的な御見解は伺いましたが、せっかくですから二、三点具体的にお尋ねしたいのです。二つは、今までの事故についての新しい経験や研究が生かされるべきだ、こういう提言がされておるのですが、一九七九年のスリーマイルの事故のときの非常に大事な点は、炉心の水位計の水位が読めなかったということですね。それで、美浜二号の場合にも、飽和温度等で次に推測する道はあったにしても、水位がすぐにわかればいろいろつかめたのですが、これがつかめてない。  そういう点で、かつて日本でも一部水位計を取りつけるというような実験というかをやったということも聞いておるのですが、それがそのままにされておった。こういう点で、具体的に水位計等を今までの炉に何か改善をする考えがあるのかどうか、いかがですか、端的に。

坂内富士男科学技術庁原子力安全局長

○坂内政府委員 お答えいたします。  今、辻先生御指摘のように、確かに例のTMIの事故の教訓という形で、炉心の水位計につきましてはいろいろ御議論がございました。その御議論、途中を省略いたしますが、ただしこの水位計は、どうも信頼性においてやや問題があるのではないかといったような議論もあったというふうに聞いておりまして、いろいろほかの手段等も考慮して、こういったものについてもなお検討すべきであるというような提言がなされて、結局その水位計を設置する原子力発電所は三基にすぎない、こういう結果になってございます。  今後、内外の水位計の使用状況等を踏まえまして、電気事業者等におきまして炉心水位計の測定方式、それから施工方法等について検討がなされているということを承知しておりまして、安全委員会としましてもその実施状況について確認しつつ、こういったものについて今後検討していきたいというふうに思っております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 要するに、水位計をつけるという方向で検討するということですか。

坂内富士男科学技術庁原子力安全局長

○坂内政府委員 信頼性の高い水位計を開発し、そういったものをつけていく、こういう方向であるというふうに御承知願いたいと思います。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 まあ三十分という時間ですから詳しいことは聞けませんから、大事な点だけ数点伺うことにします。  原子力発電所は、美浜の一号なんかは万博に電気を送ったので、あれからいうと二十何年かたって、法的な耐用年数、十五年、これは税金の対象ですが、かなりの年数がたっておる。今寿命を伸ばすようなこともいろいろありますが、だんだん古くなった原子力発電所に、いわゆる新しい事故によるところの経験や知見等々を加えて改善をしていくというような方向にあるのかどうか、この点はいかがですか。

内田秀雄総理府原子力安全委員会委員長

○内田説明員 国の内外に事故、故障、トラブル等が起こりました場合には、それについて十分検討いたしまして、安全上重要なものであるというような問題点は各原子力発電所にも適用してございます。また、新しい知見ができました場合も同様に扱っております。  例えば、スリーマイルアイランドの事故の検討につきまして五十二項目の奨言がございましたが、この中ですぐにでも適用できるようなものは適用しましたし、それから、長期間にわたって研究しなければならない問題は、まだ研究を続けている問題もございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 我が国の安全審査の制度では、運転免許証と同じように、初めに、若いときにパスすれば高齢者になっても運転免許は有効なんですが、原発も同じように、当初パスしておればずっと定検はやっても特別な審査なしに進んでおる。ドイツ等は十年とか十五年にかなり徹底した安全審査の洗い直しをやっておるというふうに聞いておりますが、今回の例から考えて、二十年とか三十年という相当な高年齢、ある意味では劣化現象を起こしつつある原子炉ですね。この報告書にもありますが、美浜細管の事故も振れどめ金具の件もあるが、しかしまた二十数年という劣化現象も相作用しておるというような見解が出ておったと思うのです。  そういう点から考えて、高齢というか長い間だった原子炉、劣化現象の考えられるような原子炉については、二十年とか何十年かに一回は、定検とは違った安全審査の洗い直しといいますか、やり直しをもう一遍する、こういうことがこれから必要になってくるのじゃないかと思いますが、これについての見解はどうですか。

坂内富士男科学技術庁原子力安全局長

○坂内政府委員 先生ただいま御指摘のいわゆる経年変化といいますか、高経年化といいますか、そういったことにつきましては、今回の美浜の事故に関するワーキンググループのレポートの中にもございまして、一口に申しまして定期検査等につきましても、経年変化といったことを考えまして、定期検査の項目のいわば洗い直しといったことも考えた形での見直しについて今後検討していくことが必要であろう、こういうふうな指摘をいただいております。原子力安全委員会としましても、そういったことについて今後検討していくというところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 ちょっと内田委員長に伺いますが、今の問題ですが、二十年とか三十年近くたてば一遍、毎年一回やる定期検査に新しい項目を追加をしてやっていらっしゃると思いますが、本格的な審査をやり直すというか洗い直す、こういうことがどうしても大事になってくるのじゃないがと思います。ちょっと委員長の見解を伺いたい。

内田秀雄総理府原子力安全委員会委員長

○内田説明員 原子力発電所の経年変化が劣化に結びつく事情につきまして、いかに防止するかということは国際的な問題でございまして、御存じのようにアメリカでは、当初に四十年の運転の許可を与えてライセンスを与えるわけでありますので、四十年たちましたときに、さらに延長するかしないかの審査は当然必要でございます。ヨーロッパ各国も同様な点が多いわけでありまして、今国際的には、先生御存じと思いますけれども、大体十年に一度見直そうではないか、十年間のその炉の運転経験、記録を参照にしまして、そして見直そうではないかということが提案されております。  しかし、日本では御存じのように、一年ごとに定検を加えることによりまして、そのときの新しい知見でもって検査をしているということでありましたので、これから、これは特に規制行政上の問題でありますのであるいは通産省が答えるべきかと思いますが、そのような問題につきまして、安全委員会としても積極的に検討を加えたいと思っております。     〔小岩井主査代理退席、草川主査代理者      席〕

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 それから、細管の事故は、今までの安全審査等の報告書あるいはいろいろなレポートでは、相当長期にわたらなければ起こり得ない、確率は非常に低いというように言われておったのです。しかし、細管の破断に類する事故が国際的に既に九件起きて、かなり確率が高いと見なくてはいけない。そういう点で、蒸気発生器の細管等についての審査基準の見直しが必要であろうと思いますが、そういう点もちょっと出ておるように思うのですが、これについての御見解はいかがですか。

内田秀雄総理府原子力安全委員会委員長

○内田説明員 今先生のおっしゃられたことは、一つの問題として十分意識しているところでございます。蒸気発生器の細管の破断の事故は九件ということになっておりますが、円周方向破断は日本の今回の例とノースアンナの一号でありまして、あとの七件は縦方向の割れでございます。いずれにしましても、冷却で一本破断した後に相当数冷却材が二次系に移ったことであります。  したがいまして、今までの日本の考え方でありますと、蒸気発生器細管の破断というものは、まず寿命期間中に一度ぐらいはあるかもしれないということで、それに対する十分な対応をしてきておりますので現在のところはまだ十分だとは思いますけれども、実際にそういう事故に遭遇いたしますと、破断を防ぐことに対して、設計のときにもう少し審査を綿密に行うべきではないかというようなことが一つの議論の対象になっておりまして、場合によりますと、安全上の重要度としまして今までの想定事故よりも格上げといいますか、格下げといいますか、そのような慎重さを加えたい、こう思っているところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 これらについては、もう少し時間をかけてまたの機会に論議をしたいと思います。  ちょっとこれは安全審査というようなものではないと思うのですが、私も二号機には大分頭を突っ込んでいろいろ勉強してみたのですが、原子炉がとまった後十分間データが空白になったという。コンピューターの容量が足りぬからというか、優先順位が違ったというんですが、あの十分間のデータは非常に大事なものであって、それがコンピューターに記録もされず、記録としても残っていないという。一番大事なところが十分空白ということは非常に問題があったと思うのですね。コンピューターは、今度これは通産の仕事かもわかりませんが、少なくもああいう重要なデータは直ちにコンピューターに入るようにすべきであると思います。その点の改善はどうなっておりますか。

内田秀雄総理府原子力安全委員会委員長

○内田説明員 通産省の報告を見ましても、電気事業者が直ちにそういうコンピューターの容量をふやすということを意思表示しておりまして、その方向で経営されるものと思っておりますが、要するに、どういう事故が起こるかということはわかりませんので、ある種特定の事故を考えれば、コンピューターがこれだけ要るということがわかると思いますが、いろいろな事故が考えられますので、そのコンピューターを、事故の事象の間に記録しておくということは、それが直ちにアクシデントマネジメントを考えるときの参考資料となるところでございますので、そういう点から見まして、直ちにどこまでふやしたらよいかと一概にはなかなも言いにくいところでございますが、いずれにしましても、ふやす方向に行っております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 データをいろいろあのときも出してもらって調べたんですが、あの十分の数字がわかれば、またいろいろな論議のしようがあると思うので、そういう点で、早急に改善の手が打たれておるなら結構でありますが、なおこれからというならば急いでほしいと思います。  また別の機会に内田委員長には少しお伺いしますから、きょうはわずかな時間でありますから、結構ですから、どうぞ。  次に、大至急でちょっと伺いますが、旧ソ連、ロシアの核兵器解体に伴っての問題であります。  ある意味では、核兵器の弾頭の中に閉じ込めておれば、これは厳重保管という点では保管はかなりきちっとされたと思うんですが、いよいよこれを解体してプルトニウム等を取り出すとなると、これからこの取り出したプルトニウムをどういうふうに管理するかということは、管理の面からいって、弾頭の中にあるよりは大変難しくなってくると思うのですね。したがって、この旧ソ連のいわゆる核兵器の解体により生ずるプルトニウム、また、アメリカもそうでありますが、それが一体どう管理されるかということは大変国際的な関心事であろうと思うのですね。我が国は、いろいろな制約はありますが、そういう解体の中で、どういう面で国際的な貢献というか協力をしようとしているのか、それについてちょっとお伺いしたい。

石田寛人科学技術庁原子力局長

○石田政府委員 お答え申し上げます。  旧ソ連の核兵器解体に伴いまして発生します核物質及び核兵器の関連技術に関しましては、ロシア連邦等が厳格な管理を行うことがまず基本でございまして、核拡散の懸念が生ずることのないように、適切な対応がとられることを期待しておるところでございます。  我が国といたしましては、核兵器削減の進展を見ながら、国際的な連携のもとに、我が国として貢献できる協力を検討すべきものと認識しているところでございます。このため、我が国といたしましては、平和利用の堅持を大前提といたしまして、これまで我が国におきまして培ってまいりました原子力平和利用技術の応用によりまして、いかなる協力があり得るかということにつきまして、核不拡散の観点から技術的な検討を進めておるところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 検討していらっしゃるんですが、どこをどう協力するかということは、まだ方向は出ていないんですか。

石田寛人科学技術庁原子力局長

○石田政府委員 内々いろいろ勉強はしておりますけれども、まだ具体的な方向性を打ち出すまでには至っていないということを御認識賜りたいと存じます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 この二月二十二日の新聞等によると、これは通産省、エネ庁としてありますが、CIS、ロシア連邦から、核兵器解体に伴ってプルトニウムを場合によっては引き受けて受け入れる、こういうことを検討しているということが報じられておるのですが、これは外国の方にプルトニウムを簡単に買えるよと言うことはかなり政策的な変更にもなるのですが、そういう検討が具体的に政府部内で行われておるのかどうか、これについてまたどう考えておるのか、この点をお伺いしたい。

石田寛人科学技術庁原子力局長

○石田政府委員 お答え申し上げます。  現在のところ、ロシアからプルトニウムを売却したいとの要請があるわけではございません。我が国といたしましては、今後約二十年間におきますリサイクルに必要なプルトニウムの供給は基本的に確保しておるところでございまして、新たに購入しなければならないような状況にはございません。  それで、旧ソ連の核兵器の解体によって生じます核物質の問題につきましては、一義的には旧ソ連が判断すべきものと考えておるところでございまして、また、我が国といたしましては、国内のリサイクル計画とは明確に切り離した形で、世界の平和と安定の一層の促進に貢献するという立場で、国際的に連携しつつ、この問題に対応すべきものと考えておるところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 いずれも報道されておる中身でありますが、専用高速炉あるいは専焼高速炉といいますか、要するに増殖をしないところの増殖炉をこの核兵器解体に伴うプルトニウムの消費のために、活用するために、我が国はロシア連邦、そしてアメリカに提案するということ、そしてまた、具体的にそのような設計を科学技術庁は指示をして具体的に進んでいるというように聞いておりますが、その実態はどうなのか、お伺いしたい。

石田寛人科学技術庁原子力局長

○石田政府委員 お答え申し上げます。  核兵器の解体に伴って発生いたしますプルトニウムにつきましては、当面の措置といたしましては、安全かつ確実に保管管理するということが必要でございますけれども、先ほど先生も触れられましたが、これは真の解決策ではございませんで、何らかの格好で再び核兵器に利用できないように処理するということが重要であると考えておるところでございます。他方、プルトニウムはウランと同様に貴重なエネルギー資源でございまして、原子炉の燃料として利用し、発電していくということが、核不拡散の点からも最も建設的かつ効果的な方法であろうと認識しておるところでございます。  このような観点から、科学技術庁といたしましては、核兵器の解体に伴い発生するプルトニウムを燃焼させる専用の原子炉及びこのための燃料加工の精密性の検討を行っておるところでございますけれども、この構想につきましては、私ども内々勉強しておるという段階のものでございまして、組織として決めたというようなものでは決してないことをぜひ御認識賜りたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても、核兵器の解体に伴い発生いたしますプルトニウムにつきましては、核兵器保有国によります核兵器の拡散を防止するよう厳格な管理が行われることが基本と思っておりまして、その上で我が国は原子力平和利用の厳格な推進者として欧米諸国とも連携を図りまして対応してまいる、かように考えておるところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 一部の新聞の報ずるところを見ると、既に科学技術庁はこういう技術を蓄積している動燃に対して設計を指示して、動燃はそれに取り組んでいるというように報じられているのです、今のお話とこの記事はかなり食い違いがありますが、いずれなのですか。

石田寛人科学技術庁原子力局長

○石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど申しましたように、私ども内々いろいろ技術的な勉強をしていることは事実でございますし、勉強する上におきまして動燃事業団はこれまで高速増殖炉の設計、建設等々で培ってまいりましたもろもろの技術を持っておるわけでございますし、あるいは原子炉設計等でも経験を持っておりますので、動燃にも頼みましていろいろ勉強してもらっておることは事実でございます。  ただ、これにつきましては、今ほど申しましたように、あくまで私ども内々の検討でございまして、これがしかるべき格好で政策化していくためにはいろいろ関係方面との協議を重ねた上、しかるべき格好で政策形成される、かように認識しておるところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 限られた時間ですから深く入りませんが、内丸の勉強ということですが、一部の新聞は、もう動燃に対して設計を指示したとも出されている。そこらはもうきょうはこれ以上お尋ねしませんが、また私も勉強したいと思います。  最後に一つ、ちょっと長官にお尋ねしたいのです。  米ソの核兵器の削減と解体によって、大体八十トン程度のプルトニウムが将来取り出されていくだろう、こう言われておる。これは大変な量ですね。ところが、我が国が今核燃サイクル等の、再処理工場等の現在あるものと将来つくろうとするもの、それからイギリスやフランスに預けてある処理済みのプルトニウムをいよいよ日本に送り返してくる、こういうものを集計すると八十五トンですね、まあこれはちょっと先ですが。この八十五トンというのも、米ソが核兵器を解体する量に匹敵する量ですから大変な量だと私は思うのですね。  そこで、プルトニウムを余分に蓄積すれば、世界じゅうからどうするのか、こういう心配をされる、だからとにかくつじつまを合わせて早く消費をしなければならぬ、こういうことで、本来はFBR、高速増殖炉で燃やすべきプルトニウムを、それでは燃やし切れないので、数字を合わすためにMOX、ウランとプルトニウムをまぜて混合燃料をつくって軽水炉でこのプルトニウムを燃焼しよう、そういう方向に今動こうとしている。  八十五トンのうち、計画によると五十トンはFBR、高速増殖炉で燃やすのではなしに、今まではほんの実験段階だった軽水炉において五十トンのプルトニウムを燃やそうという計画があるわけですね。核、プルトニウムの拡散という点からいうと、私は、軽水炉にまでそんなにたくさん経費も余り合わないのを無理してやることないじゃないか、そこらの再検討をする必要があるのじゃないか、こういう感じがしますが、きょうはもう既に時間が来ておりますから、二言大臣から伺って、あとまた科学の委員会にでも論議を移したいと思います。

谷川寛三自由民主党科学技術庁長官

○谷川国務大臣 先ほどからいろいろ担当の局長からもお答えしておりますが、核兵器の解体から生じますプルトニウムの処理は、一義的にはやはり当該核兵器保有国の判断によっていろいろなされるものであると思っておりまして、今御質問がありましたが、我が国のプルトニウムリサイクルの計画とは明確に切り離された問題ではないかと考えております。したがいまして、核兵器の解体に伴ってプルトニウムが得られることがエネルギー資源に乏しい我が国の現状を変えるわけではありません。  我が国といたしましては今後とも、今お話がありましたが、発電しながら消費した以上の核燃料を生成する画期的な原子炉であります高速増殖炉を将来の原子力発電の主流にすべきものとして開発を進めて、それまでの間、今お話がありましたが、軽水炉を使うということもやはり考えていかなければならぬじゃないか、このように考えております。今のプルトニウムが米ソの解体によって蓄積されるという問題と我が国のこのリサイクルとは全く別の問題であると考えまして、従来の方針を推進していきたいと考えているところでございます。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 その論議はちょっとまだ踏み込んでおりませんから、また別の機会に譲りたいと思います。  終わります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして科学技術庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

草川昭三公明党・国民会議

○草川主査代理 次に、警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。鉢呂吉雄君。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 昨年一年間の交通事故死者数は一万一千百五名ということで、連続四年間一万人を超えておる、まさに第二次交通戦争というふうに言われておるのですが、この非常事態が日常化しておるのではないだろうか。私どもの身近でも、交通事故はもちろんのこと、交通事故死なんという事件も起きておるのが現況であります。総務庁の方でも、この交通安全の総合対策、これが欠如しておるのではないかというような指摘もございますし、もちろんその一つの大きな原因に交通安全教育、これが非常に大事なのですけれども、十分とは言えない現況にあるのではないかというふうに思うところであります。  特に現行の交通安全対策における技術の未習熟あるいはまた遵法精神の欠如、それらと第二次交通戦争というふうに言われておる関係について、基本的に警察庁としてどのようにお考えになるのか。まず、その点からお伺いをいたしたいと思います。     〔草川主査代理退席、鈴木(宗)主査代理     着席〕

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 先生御指摘のように、現下の交通事故についての情勢はまことに厳しいものがございます。その中で私ども、総合的に交通事故防止を図らなければいけないという観点から、交通事故の原因についての調査、分析のあり方でありますとか交通安全教育のあり方、それから交通事故の取り締まりの方法等につきましていろいろと検討しているところでございます。  中でも、交通安全教育の問題は非常に大事な問題であると認識しておりまして、特にその中で中核的役割を果たすべき自動車教習所のあり方の問題でありますとか、昨年五月に茨城県で開設をいたしました自動車安全運転センターの中央研修所の運営の仕方等について、現在いろいろと検討しているところでございます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 今局長からお話ありましたけれども、交通安全教育の体系的な見直しが必要ではないだろうかということで、特に今もおっしゃいました指定自動車教習所の役割は大変大きい。現行は免許取得に必要な初心運転者教育に偏っている面があるのですけれども、この教習所の活用、物的、人的な要件を備えておるわけでありますから、この活用が必要であろうというふうに思われますけれども、警察庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 先生の御指摘のとおりかと存じます。  現在、指定自動車教習所の存在は、それぞれの地域における交通安全教育にとりまして非常に大事な存在であると考えております。まず何よりも指定自動車教習所では、その人的要素といいますか優秀な職員がおります。それから、物的な要素といたしまして立派な施設、自動車等を持っております。さらに、交通安全教育についてのすぐれたノウハウも持っております。これらの人的、物的施設並びにノウハウを地域における交通安全教育に生かすということが、これからの交通安全教育の体系づくりに非常に大切であると認識しております。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 平成二年の総務庁の勧告によれば、交通安全教育、従来のものが講演形式によるものが中心となっておるということで、関係者の中からは、効果的な教育を行うことができる指導者や教材の不足が指摘されているというふうに勧告をされております。  今局長も言われましたけれども、指定自動車教習所の指導者や教材を活用して、例えば今も認められてやっておるというふうに言われておりますけれども、免許を既に取得した人に対する、例えばぺーパードライバーの再考育あるいは高齢者の再教育に活用できないかどうか、あるいはまた、企業にとっても組織的に、計画的に教習所を活用する方法についてもっとPRをして積極的に活用するような警察庁の指導があるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 先ほども申し上げましたように、指定自動車教習所は、人的、物的施設等すぐれたノウハウを持っております。そこで、これらのノウハウを、新たに免許を取得しようとする方々の教育だけに役立てるのみならず、先生御指摘のぺーパードライバーの方々でありますとか高齢運転者の方々の再教育という点で役立てることができれば大変望ましいことでございます。さらに企業と契約を結んでいただきまして、新入社員の方々の安全運転教育等に指定自動車教習所のノウハウが役立ては、これもまたすばらしいことだと考えております。  そういったことで、私どももそのような方向でこの指定自動車教習所の施設を活用するような仕組みというものを各都道府県警察で考えてくださいということで、今いろいろと指導をしております。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 活用の道があるということは承知しております。しかし、実際にこの活用度が低い。きょうは時間がありませんからその中身については聞きませんけれども、もっと積極的に、聞きますと、都道府県の公安委員会にお任せをするというような考えが非常に強いのですけれども、もっと強力な指導を発揮していただきたいというふうに考える次第でございます。  あわせて、総務庁の勧告でも、免許更新時の講習における例えば高齢者の特別学級あるいは特別講習という道があるのだそうですけれども、それが実際に参加者が少ないということで、その充実についても勧告をしております。また、免許更新時講習についても、ただ講演形式だ、居眠りをしていてもいいですよという指導者の発言も見られるぐらい、大変形式的になっておるわけであります。総務庁でも実技型に変えろということも言っておりますから、こういう点についてももっと全般的に指定自動車教習所を活用するという方向がとれるかどうか、局長の御答弁をお願いします。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 更新時講習という仕組み、制度は、運転者教育にとって非常に大事な制度であると認識しております。しかしながら最近、無事故、無違反等の優良運転者に対するメリット制度を導入したらどうかという意見もございまして、そういう方々に対する更新時講習といいますのは二十分程度の簡素化講習というものを行うことにしております。  したがいまして、本来の二時間程度の通常講習といいますのは、何らかの違反をしたような方々等が対象でございます。そういった方々を対象とした講習におきましては、単なる講演形式のみならず、少人数の学級を編成しましたり、年齢別でありますとか、それぞれの共通の能力、技能の開発を要する人たちを学級に編成いたしまして、そこでのディスカッションでありますとか適性検査、あるいは模擬運転装置を使用しての講習等も行っております。しかしながら、ここに実技を取り入れるということになりますと、講習料金の問題もございますし、時間の負担等の問題もございます。そういったところもございますので、実技を組み入れた講習のあり方につきましては、今後の課題ということで検討させていただきたいと存じます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 大臣といいますか国家公安委員長にも御所見をお伺いしたいのです。  先ほど来話しておりますように、もう一方人を超えているということ、局長も若干減っておることを喜んでおるということは、その御努力は十分わかるのですけれども、大変な交通事故死が四年も続いておるということで、これは一概に交通安全教育だけではないことは承知しておりますけれども、安全教育の重要性は決して軽くはならない。しかも、先ほど言いましたように、さまざまなことがもう形式的になっておる。免許を取得した後においても、実技も含めてもっとさまざまな教育が今必要なときではないだろうか。  そういう面で、せっかくあります指定自動車教習所を活用して、生涯交通安全教育といいますか、そういう道を警察庁としても今切り開くときではないか、大変な時期でありますから。そのことについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

塩川正十郎自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○塩川国務大臣 自動車教習所の地域交通安全対策上の活用というのは私も賛成でございます。それでは、これをどういうふうに提携して地元の方々が利用するようにするかということ、それぞれ地域性があるだろうと思いますが、活用されるいろいろなモデルをこちらの方で探索もしてみて、それぞれの県警の本部を通じまして勉強するようにも申しつけておきたいと思います。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 ぜひ検討していただきたい。私どもも、昨年末ですけれども、社会党の衆参の国会議員八十二名で、これは大変な多数の参加があったのですけれども、交通安全全般も含めて自動車教習議員政策協議会というものを発足させまして、これらについて政策的に検討していくということにもしておりますので、私どもの政策もこれから出したいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、一昨年から実施されております初心運転者講習制度、これについて、講習を受ける指定教習所の指定の状況あるいはその基準についてお伺いをいたしたい。さらに、一年半経過したわけでありますけれども、平成三年度のこの制度における講習受講者数、あるいはまた再試験等の数並びに割合について局長の方から御報告を願いたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 初心運転者期間制度と申しますのは、平成元年の十二月の道路交通法の一部改正法案を通していただきました段階で設けさせていただきました制度でございます。この制度は、一昨年の平成二年九月に施行されることとなりました。平成二年九月から新たに免許を得た初心運転者につきまして、その免許を得た日から一年の間で一定の基準に……(鉢呂分科員「制度の中身はいいです、時間がないので」と呼ぶ)わかりました。平成二年九月から施行されまして、一年後、昨年の九月に満一年になったものでございます。  かなめになりますのは再試験というところでございますが、その再試験は、したがいまして昨年の九月から行われたというものでございますので、制度の一年間を通しての成績はいかがかとのお尋ねでございますが、これは必ずしも正確なお答えをすることはちょっと難しゅうございます。しかしながら、平成三年中の初心運転者講習の受講者数は十一万七千人余りでございます。このうち再試験を受けた者、これは昨年の九月からでございますが、これが三千百十九人でございます。  ただ、こういうとり方ではなくて、一昨年の九月中に免許を得た人につきましては、昨年の九月で満一年になります。この数字の方が正確でございまして、こちらの方は、新規に免許を取得した人は全部で三十八万人でございます。一昨年の九月中に免許を得た人でございます。このうち一定の行政処分の基準点数に達した人が二万六千八百人余りでございまして、全体の七%でございます。このうち初心運転者講習を受講した人が全体の約九割でございまして、二万三千人余りでございます。ということで、再試験等を含めまして不合格になりました者がこの三十八万人中の二千八百人ほど、〇・七%ほどでございます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 時間がありませんのでちょっとはしょりますけれども、要するに免許を取って一年以内にいわゆる反則金三点以上になってという方が七%いらっしゃるということでありますから、言ってみれば非常に多いわけであります。これは非常にいろいろな原因があろうと思いますから、まだそのデータまでいっておらないと思いますけれども、一般的に言われておりますことは、十八歳の人口が今を頂点として急減していくということで、免許取得者が減っておる。しかも、過疎地なんかを中心として非常に過当競争の状態になりまして、いわゆる教習料金のダンピング等でやっておられるという実態が非常に多いわけであります。  これは聞こうと思ったのですが、私の方でも調べておりますけれども、警察庁のデータでも一時間の学科料金は北海道で、これは警察庁の調査でありますから正確だと思いますけれども、最高で一時間千八百六十円から千六十六円、こんなに大きな差があるのです。これは国がきちんと教習を設定しておるわけですから、必ずやらなければならない時間数をとらなければならないのですけれども、これほどの料金の格差があるということはそれだけダンピングの教習であるというふうにも言えるわけでありまして、そういった意味で、これらについて警察庁としてはどういうふうにとらえて、どのように行政を指導しているのか、その点について、簡単でいいですから説明を願いたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 警察庁といたしましては、教習が法令の定めるとおり適正に行われるということの確保に重点を置いてそれぞれの教習所を指導しているところでございます。そういう教習の水準が適正であるか否かということで、公安委員会が行います試験の受験者の中から抽出検査を行いまして、それてそれぞれの教習所の教習生の技術水準がどの程度であるかというのをチェックしているわけでございますが、こういった方法等を通じまして、なお教習水準の維持、向上を図るように努力してまいりたいと存じます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 局長が今言われましたように、道交法の九十八条七項によって公安委員会が検査をすることになっておりまして、これは都道府県に任されておるということで、その検査数のパーセントは都道府県によって違うわけでありますけれども、私は今言いましたように、例えば二十日間で取れるとか、十八万円ぽっきりで取れるとか、あるいは合宿教習ですとか、さまざまなコマーシャルをしているところ、あるいはまた、教習料金との見合いでこういう検査をするとか、検査の方法にもきちんとした重点的なものがなければ、ただ漫然としてやっていたのでは困るわけでありまして、ぜひ公安委員会の検査について重点的に、しかも強力にやっていただきたい、御答弁をお願いしたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 ただいま先生御指摘になりました一定の期間内に合格させるとか、非常に安い料金で教習を行うというようなやり方は不当な方法による勧誘ということで、私どももそういうことのないように指導してまいりたいと存じます。  それに加えまして、今回、道路交通法の一部改正法案をこの国会にお願いしているわけでございますが、そこで自動車教習所についての指導助言の仕組みを設けさせていただければ、今先生御指摘になりましたような点についての指導が、法的根拠を持って一層明確に行うことができるのではないかということで、そちらの方を私どもとしては期待しているところでございます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 次に、高速路上の教習でございますけれども、将来、義務化の考えがあるのかどうか。高速教習については仮免許状での教習ということで、言ってみれば仮免許取得者も、それから指導員も死と直面するというような状況、きのう労働省でもその災害もあったというふうに聞いておりますので、義務化する考えがあるのかどうか。例えば暫定免許制度の活用、既にもう本免許を取ってから初心運転者期間中、例えば一年以内に路上教習を義務づけるとか、そういう方法をとられる方が安全性の面からいっても大切ではないかと思いますけれども、説明をしていただきたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 高速教習の必要性につきましてはどなたも異論のないところでございます。私どもといたしましては、これを義務化と申しますか、将来、運転免許を得る人たちについては、高速道路における走行方法について必要な技術を身につけていただくことがぜひとも必要であるという考えでございます。  今問題となっておりますのは、その実施の時期や実施のやり方についてでございます。ただいま先生は、免許を得た後の講習でもいいのではないかとのお考えをお示しいただいたわけでございますが、そのような方法ももちろんあり得ると存じます。  現在、多くの教習所で任意に行っておりますのは卒業試験が終わった後、つまり技能検定が終わった後、技術上は確かにしっかりしている、しかしながら、まだ学科の試験に受かっておりませんから正式免許は持っていない、仮免許の段階ではあるが技能試験免許並みの力を持っているという人につきまして高速教習を行っておりますのでは、これを義務化するという点でございますが、高速道路のない県というのもございますので、いろいろ工夫をする必要があろうかと存じます。そういった点でコンセンサスが得られるということであれば、義務化の方向に進みたいと考えております。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 高校生の免許取得についてでありますけれども、ずっと長い間、高校教育の中においては三ない主義ということで、免許を取らせないということで高校教育がなされてきた。したがいまして、当該三年生になりますと冬休み、春休み、またそれ以降というようなことで、もっと積極的に生涯教育ということで幼児からというような教育の方向もありますけれども、高校生についてももっと文部省と警察庁が協議をして積極的な方向をとれないか。冬休み、春休みでありますから大変な込みようで、欠陥免許取得者になる可能性も強いというふうに思われますので、警察庁の考えを聞かせていただきたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 高校生に対する交通安全教育が必要であるという点につきましては、平成元年七月の交通対策本部決定で指摘をされておりまして、政府としてその努力をしているところでございます。  高校生の場合には、年齢が十六歳から十八歳という二輪免許の世代が多いものですから、原付免許と自動二輪免許の取得についての技術的な指導でございますとか、交通事故の実態、交通事故防止対策、交通法規、ルール、マナー等を指導するということで、政府として努力しているわけでございますが、特に、御指摘の文部省と警察庁との関係で、その適正な教育の仕方ということで現在継続して検討しているところでございます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 時間がありませんので、三つ続けてお尋ねします。  一つは、夜間教習の義務化について警察庁はどんなお考えをしておるのか。それから、道交法の改正案が今回上程されるというふうにお聞きをしておりますけれども、その中で、届け出をした教習所においては仮免許が取れるよう明文化する、それから、原付二輪については技能講習を義務化するというふうに言われておりますけれども、この原付二輪については技能検定制度まで導入できないのかどうか。この三つについてお尋ねをしたいと思います。

関根謙一警察庁交通局長

○関根政府委員 夜間教習についてでございますが、これも極めて大事な教習であると考えまして、義務化の方向で検討を進めております。いろいろな夜間特有の、蒸発現象でありますとか遠近感の問題等、実地に体験してもらいたいという理由からでございます。  それから二点目は、今回御提案申し上げております道路交通法の一部改正法案の中に含まれております、仮免許の取得についての住所地主義の変更についてでございます。  これは、仮免許と申しますのは路上教習を受けるためだけの暫定的な免許で、六十日間の効力を持つものでございます。現在、この仮免許を発給できる公安委員会は、一般の本免許と同じように、その免許を申請する人の住所地を管轄する公安委員会でございます。しかしながら、仮免許と申しますのは、先ほど申し上げましたように路上教習のための免許でございますから、教習所の所在地を管轄する公安委員会が発給できるようになれば、その受験者にとっても便宜であろうということで、そのようなことをお願いしたいと考えているところでございます。  三点目、原付の技能講習に法律上の根拠を与えたいという点でございますのでは、講習と検定あるいは試験との違いはどこにあるかということでございますが、今、原付免許の取得については技能試験を課しておりません。試験は、一定の基準を設けましてその基準に達しているかどうかを認定し、認定した結果、達しているという人について免許を与えるという仕組みでございまして、極めて厳格でございます。その基準と認定の仕組みを法律上検定と称しておりますが、技能検定を要するものでございます。  私どもが今考えておりますのは、技能講習の方でございまして、これは一定時間原動機付自転車の運転になれていただくということでございまして、一定の基準に達することを確認するという厳しいものではございません。現在、任意でほとんど一〇〇%の人がその講習を受けているものでございますので、それに法律上の根拠を与えたい、こういう考えでございます。

鉢呂吉雄日本社会党・護憲共同

○鉢呂分科員 終わります。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)主査代理 これにて鉢呂吉雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)主査代理 次に、防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。

小平忠正民社党

○小平分科員 私は、防衛庁の問題で、大臣に諸点について質問いたします。  まず、防衛費の問題が最近火きへ取り上げられておりますが、国際情勢の変化に応じて防衛力を見直していくことは、当然のことであると私は思うのであります。特にこの一、二年の宙に冷戦構造が崩壊し、ソ連邦が崩壊するというような、世界は百年に一度あるかないかという大変動を起こしたのであります。この劇的とも言える変化の中で、世界の大きな流れは、軍縮と国連を中心とした世界秩序の構築という方向に動き出しております。  こうした中で、我が国の防衛力のあり方について、例えば国際貢献というような新しい要素も加味しながら、装備や人員についても再検討していくことが必要であると考えます。防衛庁も防衛力のあり方を見直していくという見解を明らかにしているようでありますが、この防衛費につきましても、不必要なものを削ることは私は必要だと思います。しかし、自衛隊が要らないということにはなりません。非武装中立がいいとか、敵が攻めてきても戦わなければ戦争にならないなどという意見も一部ありますが、それは日本という独立国家を否定する議論であります。  私が承知しているところ、英国の哲学者にラッセルという方がかつておりましたが、その方の言葉の中に、もし平和が名誉をもって維持され得ないならば、そのような平和はいかなる平和でもない、こう話っておられました。必要な自衛力を維持していくことなしに、名誉をもって平和を維持することはでき得ません。今、世界の軍縮ムードの中で、我が国においても防衛力を削減しようという強い意見があります。もちろんそれは必要なことですけれども、一度削減したものをもとに戻すということは容易にできることではない、こう思います。単にムードで削れ削れということではなくて、中長期的視点に立って慎重に、真剣に見直しを検討していくことが肝要であると思いますが、今回、これらの動きの中で、どのような見地に立ってこの防衛力を見直そうとしているのか、防衛庁の見解をまずお伺いいたしたいと思います。     〔鈴木(宗)主査代理退席、鉢呂主査代理     着席〕

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○宮下国務大臣 委員御指摘のように、今、世界は大きな激動期にあります。特に、米ソ両超大国の対立という冷戦構造が終結し、しかも、旧ソ連邦というのが崩壊をしたというようなことで、大変大きな変化であります。しかしながら、一方、御案内のようにCISの中にもいろいろ問題がございますし、また東欧関係でも、ユーゴ等の状況を見ても大変不安定な要素もある。また、アジアを見ましても、なかなかそうヨーロッパのように、NATOとワルシャワが対立していて、ワルシャワが消えてCSCEでまとまるという状況にないことも御案内のとおりです。アメリカの国防白書によりましても、グローバルな、世界的な脅威あるいは紛争というものの生起の可能性はないでしょうけれども、逆に、地域的な紛争の生起の可能性というものはクローズアップしてきているという指摘もあります。  世界のそういう大きな変化の中で、我が国の防衛力がどうあるべきかということでありますが、委員も御承知のように、基本的には防衛計画の大綱というのが五十一年に決められましたが、当時のデタントを背景にしたもので、基盤的な防衛力構想というものに立っています。つまり、仮想敵国なり脅威対抗論ということでなしに、我が国が必要最小限度の自衛力を保持して国の独立と安全を守っていく、こういう体制で整備がされてきております。  現在の中期防も、御案内のとおり平成三年から七年までの計画のもとでつくられておりますけれども、その前の昭和六十一年から平成二年までの中期防に比べますと、かなりこうした変化を織り込み、抑制的なものになっています。正面装備その他の伸び率にしてもしかり、また全体の伸び率にしてもしかり。そういう状況でありますから、そういう今委員のおっしゃられたようなことを背景にしつつ、自衛力の着実な、バランスのとれた近代化を進めておる、こういうことでございます。  委員の御指摘の点で大変重要な点は、中長期的な視点に立ってやれというのは、私も全く同感です。国際情勢が変化したからといって、直ちにこれがどうなるかという予測がなかなかできない面もございます。平和への流れというものは、大きく変わらないだろうとは思いますけれども、今言ったように局地的な問題等々もございますから、この情勢の変化を正しく見きわめ、中期的な視点でそれをきちっと見きわめて、我が国の基盤的防衛力の整備もやっていかなければいかぬ、これは当然なことでございまして、私もさように考えております。  一方、今年度予算もそういった視点に立って、正面その他については、今までの予算に比べて抑制的なものになっています。しかし、隊員の処遇その他後方的なものは充実しつつ、全体としても今年度予算は伸び率もかなり圧縮されたもの、つまり昭和三十五年から三十二年ぶりに低い三・八%の伸び率にしていることも、その事実によっても明らかなように、抑制的なものにはなっております。  今後、やはり委員のおっしゃられたような安定ということが非常に重要です。そして、中期的な視点に立つということも非常に重要なことです。そういう意味で、今の防衛計画の中にも三年後の修正、見直しの条項も、必要に応じてやるということが書かれておりまして、私もたびたび本委員会でもそのことを申し上げております。同時に、自衛官の充足の問題その他、人的な資源の制約等もいろいろございますので、それらを踏まえて、防衛力のあり方について、今中期防期間中に十分検討しようということも申し上げておるわけでありまして、まさに委員おっしゃられるとおり、着実に、しかし、いろいろの面に及びますから時間もかかりますが、情勢を見きわめつつ、しっかりとした検討をしていかなければならぬ、このように思っておるところでございます。

小平忠正民社党

○小平分科員 大臣、今御答弁ありましたように、私もいろいろと、昨今の世論の中で、または現下の国内外の情勢の中で、確かにこの防衛力問題は大きな関心事であります。  そこで私も、ただいたずらに防衛力の増加ということは反対でありますけれども、しかし、今お話がございましたように、我が国の平和と安全、そして世界の中での位置づけをしかとするために、大事なものはきちんと持っていくという基本的な認識は同じ考えてありますので、ぜひそういうことでよろしくしていただきたいと思います。  そこで、今もお話ししましたことにつながるのですけれども、自衛力を整備するという場合、装備を整えることはもちろん重要であります、それもある程度の幅を持って。しかし、それ以上に大事なことは、やはり人の問題ではないかと私は思うのです。すなわち、軍備力といいますか、そういう装備よりも、まずきちんとした自衛隊員の士気があり、そして形があること、これが先決である、私はそんなふうに考えます。  そういうことで、実は、昨年、海上自衛隊の皆さんが、掃海艇でペルシャ湾の機雷の掃海作業という立派な、本当に危険を伴う任務を無事に果たして、成果大に帰国されました。国民の一人として私もこの機会に、自衛隊の皆さんにお礼と感謝の気持ちを申し上げたいと思います。私が今冒頭に申し上げたところの、これがまさしく人あっての組織である。そんな意味では本当によい働きをされてこられた、こう思うのです。  そこで、民社党といたしましても、昨年九月ですか、ペルシャ湾、現地に調査団を派遣いたしまして、激励も兼ねて行ってまいりました。その報告を私も聞いたのですが、その中で非常にうれしく感じましたことは、ともすればそういう若い隊員の方というのは、各国の共通的なこととして、上陸しますとうっぷん晴らしといいますか、もちろん、狭い船内に閉じ込められて、そういう中で休暇をもらって上陸すれば、何かがあるのが常であります。しかし、我が自衛隊の皆さんは、仲間同士でけんかをするとかあるいは現地の警察に厄介になる、そういうことがなく、現地での評価は、日本の自衛隊はトラブルが全くなかった、さらに掃海作業ぶりやマナーのよさが本当に多大に評価された。その報告を聞いて私も本当にうれしく思った次第であります。  そこで、ペルシャ湾で苦労して掃海作業をし、帰国された隊員の皆さんの労に報いるためには、政府としてはどのような対応をされたか。もちろん、これは任務の一端ですから、当然といえば当然でしょうけれども、この機会にどのようなことがあったのか、お聞かせいただきたいと思います。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○宮下国務大臣 委員が自衛隊の本質に触れられまして、人間集団でありますから、きちっとした気構えを持ち、愛国といいますか、国を愛する気持ち、国の独立を守る気持ち、そういう人間的なものが基礎になければならぬということは全くおっしゃるとおりで、私も全く同感です。  そしてまた、ペルシャ湾における自衛隊の行動も整然として、あの困難な諸条件のもとで、しかも、いろいろ近代的な機材も必ずしもそろっていない条件のもとで無事役割を果たし、そして湾岸への上陸においても、各国に比べて極めて整然と秩序のある、しかも品位のある生活が行われたという報告を受けて、私は本当に冒頭が熱くなるというか、そういう感じを持ったわけでありますが、委員もその点非常に評価されて、私は感謝を申し上げます。  なお、私どもは、自衛隊員についてあとう限りの感謝の気持ちをあらわし、そして隊員に一層の奮起を促していくということは重要なことでございますが、いろいろのことが行われましたが、それらはひとつ担当の局長の方から答弁させていただきます。

坪井龍文防衛庁人事局長

○坪井政府委員 国会の先生方を初め関係省庁、また地元の先生方、それぞれ横須賀、呉あるいは佐世保等々で、出発、また帰ってきたときも大変激励をいただいたり、また御支援いただいたということで、大変感謝しておりますが、先生お話しのように、無事に任務を遂行して帰ってきたところでございます。  帰国しまして、呉港におきまして、内閣総理大臣、防衛庁長官の御出席をいただきまして、歓迎式典を実施したところでございますが、その際、同部隊に対しまして、その功績をたたえるため、特に、内閣総理大臣から、自衛隊創設以来初めての特別賞状の授与ということが行われました。それからまた、同部隊の落合指揮官に対しましては、その職務を推賞するために、防衛庁長官から第一級賞詞を授与する、その他の隊員に対しましても、それぞれ幕僚長等から賞詞を授与したというところでございます。さらに、国際貢献に関する業務に従事したということで、そういったことを記念する新たな防衛記念章、ここの胸につける記章でございますが、それを制定いたしまして、今回ペルシャ湾に行った隊員に対しましては、それを授与したということでございます。  なお、同部隊の派遣に際しましては、その業務の大変困難性と申しますか、危険な海域における業務ということでございまして、特別掃海業務手当というのを創設いたしまして、隊員にその手当を支給した。それからまた、無事で戻られてよかったのでございますが、要するに、万一の場合の賞じゅつ金とか特別褒賞金というのも、それに限りまして制定したというようなことでございます。

小平忠正民社党

○小平分科員 今後またいろいろな局面の展開もありますので、私は非常によかったと思っております。  次に、実は私は北海道なんですが、御承知のように、地元には今までの冷戦構造の中で、あれだけ多くの自衛隊の基地がございます。その中で、隊舎や施設などは、最近は大分改善されてはきているものの、まだまだ不十分ではないかと思います。質の高い自衛官を確保し、その士気を高めていくためには、隊員のための施策をさらに充実する必要があると思います。防衛庁も後方施策の充実を目指していると伺っておりますが、冒頭述べましたように、今防衛力を見直そうという動きがある中で、来年度はどういう施策を講じるのか。例えば、私の地元に滝川市という人口五万足らずの市がございますが、そこにも基地がございます。そんなこともあるのですが、来年度はどういう施策を講ずるのか、お聞かせいただければと思います。

三井康有防衛庁参事官

○三井政府委員 隊員の処遇改善策といたしまして、隊舎、宿舎等の生活関連施設の充実を図り、生活、勤務環境を改善いたしますことは、委員御指摘のとおり、大変重要であると私どもも認識いたしております。このような見地から、隊舎につきましては、平成三年度に新しい隊舎基準を設けまして、個人のプライバシーを重視した純個室化を進めるとか、一人当たりの占有面積の拡大を進めるといったことを行っておりますが、この新基準に基づきまして、老朽隊舎の建てかえ、既設隊舎の改修を進めておるところでございます。  お尋ねの滝川駐屯地につきましても、このような考え方のもとに、隊舎の新設、増設、それから浴場の改修、公務員宿舎の新設、体育館の改修、整備工場の暖房化などを実施しておりまして、過去三カ年の整備総額は約二十四億円となっております。また、現在御審議をいただいております平成四年度予算案におきましては、さらに老朽隊舎の改修費用などといたしまして約十億円を計上いたしておるところでございます。

小平忠正民社党

○小平分科員 私は、冬は酷寒の地である北海道にありまして、従来、ともすれば自衛隊の隊舎ですとか隊員の待遇面でのことが非常におくれをとっていると感じてきました。今御答弁ありましたようなことで、若い隊員の皆さんのためにも、さらにこれについての充実強化をしていただけるようにお願いする次第でございます。  そこで、これは正式に決まったことではないようなんですが、今お話し申し上げました滝川駐屯地を統廃合するというようなことが報道というか聞かれます。例えば滝川市の場合は、陸上自衛隊の第十一師団の第十普通科連隊なんですが、隊員数は約千百名、家族を含めて約その倍で、そして滝川市は五万足らずの人口なんですけれども、そこに及ぼす経済的な影響というのは非常に大きいものがあるように思います。そこで、その統廃合をどうされるのか、この点の事実関係についてお聞かせいただければと思うのです。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○畠山政府委員 現在の中期防におきまして、大綱別表の枠組みの中で各種装備の更新・近代化を契機といたしまして、陸上自衛隊の師団編成の多様化等を推進しているわけでございます。それで、陸上自衛隊の全般の定員管理の観点から、幾つかの部隊について編成の見直しが検討されていることは事実でございます。しかしながら、現時点で、どの部隊をどうするということはまだ具体化しておりませんで、今後どのような形で効率化、合理化を図っていくかということが具体的に決まっているわけではございません。今後の検討にまつということでございます。

小平忠正民社党

○小平分科員 防衛政策を見直していく中では、今お話がありました部隊の再編という問題も検討対象に当然なるでありましょうが、先ほど申し上げました装備の問題と同じように、駐屯地を一つ移すという場合に、単に防衛のあり方という見地からだけではなく、あらゆる点に配慮して進めていく必要があると私は思います。今、滝川市の事情を少しく申し上げましたけれども、その部隊を動かすことによって起こるさまざまな影響、地方財政あるいは地域経済に与える影響、そして周辺住民の生活実態などにも十分な配慮がなされるべきであります。好むと好まざるとにかかわらず、現にある施設に対しては、それに依存するいろいろなものがあるのは御承知のとおりでありますので、そこで、私の地元であります滝川市では、決まってはないにしても、移転するということへのリアクションというか、反対運動が既に非常に起こっております。  そこで、申しましたように、そうなるとさまざまな問題が起こってまいりますので、今後、十分慎重に対応していただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○宮下国務大臣 おっしゃられるように、北海道に駐屯地はかなりあるわけでありますが、最近、特にこういう防衛力の整備のあり方の検討ということが報道され、今防衛局長が答弁いたしましたように、具体的にははっきりした図式はまだございませんけれども、とにかく駐屯地が地域と非常に密着して、そして地域経済の中にも飛び込んでおるのみならず、地域のリーダー格としていろいろな面でも自衛隊が地域住民と一体となってやっておる、こういう事実を踏まえまして各種の陳情がございます。私は、これは考えてみればごもっともな点だな、それだけ自衛隊が地域の人たちに評価されているのだな、また、よく溶け込んでやってもらっているのだなという証左だと思います。  そういう意味で、今後いろいろ防衛力のあり方を検討いたしますと、駐屯地の問題、師団あるいは部隊の再編とか、いろいろそういう問題は検討の対象として必ず出てくるでございましょう。そういう場合に、やはり今おっしゃられたようないろいろの視点を踏まえつつ、本当に地域に協力していただいて地域の中で感謝されているような点は、私ども十分配慮しつつ検討を進めていかなければならぬものだなということをつくづく感じておるようなところでございます。そういった方向で今後も考えていかなければいかぬのかなという思いであります、

小平忠正民社党

○小平分科員 ぜひそのふうにお願いしたいと思います。  そこで、私は、今申し上げました地元の滝川市以外にも幾多の自衛隊施設がございますが、その皆さんを見ていましても、今の自衛隊員の皆さんの士気や能力は非常にすぐれたものがある、そして世界に冠たるものがある、こう言ってもよろしいと思います。これを維持向上させていくためにも、隊員の処遇改善にさらに努めていただきたいと思います。  例えば、一つの例をとって言いますと、自衛隊の任務は性格上二十四時間勤務です。それをいわゆる三交代なりでされています。これが民間企業ですと、夜間勤務ならばいわゆる深夜手当がつきます。しかし、自衛隊員諸君は昼夜の別なくということで、その差がないように今まできたわけです。これも一昨年ですか、我が党の主張もありまして、少しそこに道が開かれて、何らか今後深夜勤務に対することも考慮しよう、そういう方向にあるやに私も伺っております。一つの例なのですが、そんなこと等々含めて隊員の待遇改善に努めていただきたいと思うのですが、今中期防の見直しを検討中との答弁がございましたが、私は、前段申しましたように、ぜひとも後方を充実したものとしていただきたいと思います。  ここのところは特に重ねて申し上げまして、最後に、その決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

宮下創平自由民主党防衛庁長官

○宮下国務大臣 委員の御指摘のように、先ほど御答弁申し上げましたように、いかに装備が優秀であっても、その装備を動かすのは人である、あるいはいかに立派な精緻な組織をつくっても、それを本当に効率的に動かすのは人である、これはもう間違いのないことでございます。そういった意味で、私どもは自衛隊の隊員が、先ほど申しましたように国を守るという使命感に燃えて、そして生きがいを求めていかれるような、そういう自衛隊員であってほしいわけであります。  しかし、そのためには、かつては逆境の状況の中で訓練しさえすれば強い兵隊になるというようなことで非常に昔は言われたこともございますけれども、今はこういう御時世で、全体として経済的にもゆとりのある状況になりました。若者も一私はきちっとした環境条件を整えてやることが何よりも必要だと思っております。特に自衛隊の場合は、普通の民間の企業その他の施設に比べて環境条件はまだ非常に悪うございます。こういう点で隊舎、宿舎の問題、さっき三井参事官の方からも言いましたけれども、隊舎、宿舎の改善あるいは厚生施設の改善、こういう点はこれからさらにさらに重点化して予算を獲得して整備していかなければならぬと思っております。  なお、今、夜間勤務の話もありましたけれども、特殊な勤務の状況にある自衛官の状況に対して、特殊な手当その他の問題あるいは短期で退職する自衛官の給付金問題とか改善を図っておりますが、なおかつこれからもきちっとやっていきたい。それからまた、賞じゅつ金の問題にいたしましても、地方の警官その他検察官等に劣後しているという点もありましたが、これも今年度予算で大体同レベルの給付ができるようになりました。一層こうした施策を通じて私どもは厳正な訓練を求めると同時に、求める以上はきちっとした環境整備をしていくということが何よりも必要だと思いまして、それはもう委員御指摘のとおりでありますから、そのような決意で臨んでまいりたい、このように思っております。

小平忠正民社党

○小平分科員 ありがとうございました。終わります。     〔鉢呂主査代理退席、小岩井主査代理者     席〕

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて小平忠正君の質疑は終了いたしました。  次に、河上覃雄君。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 私は厚木基地のNLPの問題から入りたいと思います。  ミッドウェーが退役いたしまして、後継艦にインディペンデンスが配備されました。インディペンデンスはミッドウェーに比べまして一回り大きい、空母の優劣を示す搭載機数も、はるかに上回っているわけでありまして、F14トムキャットを初め攻撃力、戦闘力は、ミッドウェーよりもはるかにすぐれておる。このインディペンデンスの配備に伴いまして、厚木基地周辺の住民は、従来にも増して不安感を持っているところであります。  実は、私もこの厚木基地の周辺に住まいを構えておりまして、我が家の上空はNLPがありますと、飛ぶ音のすさまじさのすべてを認識をしている一人でありますけれども、そうした観点から、このインディペンデンス配備に伴いまして現在まで、配備後の厚木基地におけるNLPの訓練日数と回数、そしてまた硫黄島における訓練日数と回数、まずこれを報告していただきたい。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 インディペンデンス配備後の厚木におきますNLPの訓練実績でございますけれども、訓練日数は二十六日、訓練回数、これはタッチ・アンド・ゴーの回数でございますが、千六百四十回でございます。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 次に、硫黄島におけるNLP訓練施設整備計画の件でありますけれども、平成元年から始めまして一応四年度、平成五年の三月、一年後に当たるわけでありますが、この時点までにすべて完成をする予定になっております。計画は順調に進捗しているようでございますけれども、来年三月までに完成する見通しにつきまして確認しておきたいと思います。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 硫黄島におきますNLPの施設でございますが、先生おっしゃいましたように平成元年度から始まっておりまして、順調に進んでおります。平成四年度に隊舎、厚生施設、運動施設等をつくれば、所期の計画はすべて完成をするという段階になっております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 次に、二点ばかり確認をさせていただきたいわけでありますが、つい先日の二月二十五日から三月三日まで予定したNLP、これが米軍の厚木基地では、日本政府に当初、二月三日から三月三日までと、ほぼ一月に当たるわけですが、こう通告をしてある、がしかし、施設庁といたしましては、二月三日から二月二十二日、これを一月三十一日に通告してまいりましたし、もう一つは二月二十五日から三月三日、これは二月二十一日に周辺各市に報告をしたわけでありますが、なぜ一連のものをあえて二度に分けて、県そして周辺七市に通告をしたのか、この理由は一体何だったのか、お伺いします。

大原重信防衛施設庁施設部長

○大原政府委員 お答え申し上げます。  米軍からいただきました通報には、同期間内における硫黄島の使用計画が含まれてございませんでしたので、地元に与える影響等を考慮いたしまして、また、片一方におきまして、硫黄島での訓練計画を米側との関係で早く固めたいということで折衝することにいたしまして、委員御指摘のとおり一月三十一日、とりあえず前半の部分を地元に通報させていただいたところでございます。  硫黄島の訓練につきましては、引き続き米軍と折衝いたしました結果、硫黄島での実施が決定され、その一方で、なお厚木の後半の部分につきまして、期間短縮について、また二月二十五日がちょうど高等学校の入学試験ということでございましたので、二十四日夜の中止につきましても米側と折衝いたしまして、米側は当初通報いたしました計画を一部変更いたしまして当庁に通報してまいりましたので、二月二十一日、後半の二月二十五日以降の分につきまして、改めて通報することとさせていただいたところでございます。  当庁といたしましては、全容を隠し立ていたしたりあるいは小出しにするというような意図は全くなかった次第でございまして、その部分につきまして、結果的に地元の住民の方々には大変御迷惑をおかけすることになったことは、まことに残念でございまして、各方面からもいろいろ御指導いただいたところでございます。今後は、この点にも留意いたしまして措置することといたしたいと存じます。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 これも確認でございますが、追加通告については、一昨年の六月に神奈川県と関係七市に対しまして厚木基地のループ司令官が口頭ではしないと約束している、こういうことでございます。こうした約束事を施設庁としては御存じあったのか、なかったのか、この点を確認しておきます。

大原重信防衛施設庁施設部長

○大原政府委員 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、現地米軍と関係市の方でそういったお話があるということは、承知いたしておりました。当庁は、米軍、市とそういうことはございませんけれども、地元と米軍の間で非常に友好的に運ばれている関係の中でそういうお約束があるということは、当然我々は聞いておるわけでございますから、それはそれなりに重みということは十分承知していたところでございます。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 知っていらっしゃったということでございます。知っていたならば、やはり信義でありますので、約束は守らないといけないと思うんですね。私が冒頭申し上げましたように、周辺住民は、ミッドウェーからインディペンデンスに変更されて、ますます不安感を募らせているんだ。こうした精神的な客観状況があるわけであります。一つ一つ守るべきことは守り、約束したことはきちっと遵守しないと、不安というものほかえって募ってくもと思うんです。こうした側面によく配慮を加えて臨まなければならないと私は思うし、ある意味では、知っていらっしゃればルール違反に当たるわけでありますけれども、その意味ではやはりきちっと対処すべきであろう。こうしたことを踏まえながら、今後はこれらの約束事もきちっと担保しながら、こうした事態が起きないように措置すべきだ、私はこのように強く思うわけですが、この点について重ねて見解を求めたい。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 今回の件につきましては、ただいま施設部長からお話しいたしましたように、我々といたしましては、何とか硫黄島で多くのNLPをやってもらいたいというような善意から出たつもりでございますけれども、いろいろな御批判を招いたことはそのとおりでございますので、このことを教訓といたしまして、今後十分適切な措置をとってまいりたいと考えております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 御決意を承りましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それからもう一点確認でございますが、ここに読売新聞の相模版が、地元版でございますが、あります。この中に「NLPの硫黄島代替施設の運用管理」、これについては日米が費用負担で合意したとあり、具体的にその中身について三点触れられております。一点目は「NLP期間中は米軍の負担で運用管理し、その他は海上自衛隊が管理する」、二つ目に「NLPの米軍要員や資材などの輸送は、海上自衛隊が行う」、三点目に「要員輸送には、C130ハーキュリーで行う」、これらで合意いたした、こう書いてあるわけでございますが、これは事実でしょうか、事実じゃありませんでしょうか、それだけお答えください。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 新聞に出ておりますはうな、硫黄島におきますNLPにつきまして、我が方と米軍との間で新たな合意をしたという事実はございません。  それでは、そこに書いてあることはどうなっておるのかということでございますけれども、まず、訓練施設の運用管理の費用でございますけれども、これは、我が方は提供しておりまして、地位協定上は二4(a)の施設となっておるわけでございますので、その場合は海上自衛隊が管理をするというようなことにはなっておりません。米軍が管理をいたします。  それから資材の輸送等でございますけれども、これも一義的には米軍が行うものでございます。ただ、米軍の能力では不足をする場合には、米軍が日本に頼んでまいる場合がございます。その場合には、外務省を経由いたしまして私どもの方に文書をいただきまして、自衛隊法百条に基づきまして、輸送事業の受託ということで輸送しております。この輸送に関する経費につきましては、これは米側が負担するということになっております。  それから要員の輸送についてでございますけれども、これについてはC130で行うのかということでございますが、これについても使用機種は、防衛庁に委託があった場合には、今と同様に輸送する場合があるわけでございますけれども、C130に限っているというものではございません。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 内容を伺いますとかなり違うわけでありまして、そうしますと、これは誤報ですね。わかりました。  それでは、次の問題に移りたいと思いますが……

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 ただいま私、二(a)と申し上げたらしいのですが、二1(a)の間違いでございますので、ちょっとお許しをいただきたいと思います。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 硫黄島の件に入りますが、米軍では硫黄島はNLPの訓練に適している、こう評価をしていると聞いております。先ほど確認いたしましたが、順調に工事が進みまして来年三月すべての施設が完成する、こういうことでありますが、現段階まではすべて完成をしてない、したがって、訓練といってもなかなかうまくいかない側面もおありになったろうと思う。しかし、あと一年ですべての諸施設が完成するわけでありますので、その後は基本的に考え方は変わってくるのではないか、私はこう思っております。  そこで、諸施設が完成をいたしました段階から硫黄島におけるNLP、この訓練についてはどの程度だとお考えになりますか。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 平成四年度末までの四年計画で今整備を進めておるところでございまして、それが完成した場合に、どの程度のNLPが硫黄島で行われるかということについてでございますが、訓練の態様につきましては、米軍の運用上のことでありますので、明確に申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、最終的には、従来、厚木で行っておりましたNLPの相当程度が硫黄島で実施される見込みになると思っております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 二月の五日から十五日にかけまして、一番騒音の被害等をこうむっております大和市の市長ら一行がワシントンあるいはサンディエゴ、ハワイを訪ねまして、米軍の主要幹部と会談をいたしました。いろいろなお話を私もまとめて聞いておるわけでありますけれども、厚木でのNLPのかなりの部分を削減すべく努力をしている、あるいは硫黄島訓練をした結果出てきた問題点については、既に日本政府と話し合いが始まっており解決できるであろう、NLP訓練に硫黄島は適している、こういう評価もあるわけでありまして、さらに、厚木基地におけるNLPの問題解決には幾つかの問題があるようであるけれども、硫黄島でできるだけ多くの訓練ができるように努力をしたい、米軍関係者の方はこのように話していらっしゃるそうでございます。  実は、二年前も私、どの程度かとこの場で御質問をさせていただきましたら、相当程度と、相当程度から一歩も出ないんですね。相当程度とはどの程度だ、こう言いましても、相当程度なんです。相当程度というのはもう幅広い解釈でございまして、もう少し状況が変わってきているんですから、諸施設が完成するわけですから、そして向こうも適している、こう言っているんですから、私は、施設庁、そして防衛庁の考え方として、やはりこれに対して積極的に取り組みながら硫黄島に、まさに周辺住民が悩んできたことが解消できるような、そういう数量をやはりある程度示すべきではないのか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 再三申し上げて申しわけないわけでございますが、訓練の態様につきましては、米軍の運用上のことでありますので、明確に申し上げられないわけでございますが、我々としては、なるべく多くのNLPを硫黄島でやってもらいたいと申しておりますし、また、米軍自身もあの真っ暗やみの硫黄島でやることは、訓練効果という面から見れば大変評価できるということを申しております。そこで、細かいことはわかりませんが、現在、厚木で実施しておりますNLPの半分程度は硫黄島でできるのではないだろうか、かように考えております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 半分程度、その「程度」の方が余り気に入らないわけですが、半分程度といいますと、三〇%程度でも半分程度までいったなんということになりかねない場合がありますし、もちろん、訓繰回数によって相対的に半分程度も変化するわけでありますので、これはいろいろとらえ方があるわけであります。したがいまして、施設庁、日米合同委員会等でもさまざま出ると思いますが、私は、御決意のほどを、我々は決意としてこういう形で臨むというそういう御答弁、もう一度お願いできますか。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 もともと硫黄島で暫定的にNLPをやるということは、厚木の騒音を少しでも減らすということから始まった話でございますので、私どもはあらゆる機会を通じまして、一機でも多く硫黄島でやってもらうように米側に要請をしてまいりたい、かように考えております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 それでは角度を変えますが、NLPの訓練については、硫黄島で全面的に行うということはありますか、ありませんか。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 現在硫黄島につくっております施設あるいは滑走路等の関係から見まして、厚木で行われておりますNLPの全部を硫黄島で行うということは、難しいんではないかと思っております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 どうか積極果敢に取り組みをいただきたいと思います。  私は、騒音の問題だけではなくして、事故につながるようなことになったら大変なことだといつも心配して見ております。平成二年にもヘリコプターが市内、たまたまこれは畑でありましたので、それほどの被害は発生しなかったわけでありますけれども、現実に起きているわけでありまして、もしこれが戦闘機だったらどうなるんだろうか。過去に神奈川の緑区には一機墜落して、残念ながらお母さんと子供さん二人が亡くなっている事故もあるわけでありまして、こうした側面からも私は訓練辞退、そして厚木から硫黄島へと、これを強く主張させていただきたいと思います。  次に一点、厚木基地周辺の住宅防音工事の件についてお尋ねしたいと思います。  今まで飛行場周辺の住宅に対しまして、四度にわたる告示が行われてまいりました。五十四年、五十六年、五十九年、六十一年でございまして、四回にわたりまして区域指定がなされました。この範囲内が防音工事の対象住宅、こうなるわけでありますが、その対象世帯数が約十万五千世帯、これは七市に及んでおるわけでございますが、一室またぼ二室の防音工事を完成したのは、約九万六千世帯と承っております。一室、二室は大分進んできたのかな、全室の方はそこまでいってないわけでありますが、私はなぜ告示した日を示したかと申しますと、五十四年というのはかなり前になるわけですね。たまたまその五十四年告示後にお引っ越しをなさってこられた方、この人は告示後でありますので、この対象にはならないわけであります。そうすると、大分日時がたつ、ずっとお住まいになっている方は十数年ということに計算上なるわけでありますが、この人たちが対象にならない。私は、これはこれでどこかで線は引かなければならないのであろうとは思いますけれども、この四回にわたる区域内に一定程度お住まいになっている方は、この対象にしたらいかがだろう、また対象にできないものだろうか。現実に騒音の被害をこうむっているわけでありまして、後段申し上げましたように、いつまた事故発生の状況に遭うかもしれないわけでありますので、こうしたこと等も考えながら、こうした告示後に移転をなさってきたあるいはおうちを建てられたという方々に対して、この防音工事の対象としていただけないか、これについてお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 先生ただいまお話しいただきましたように、現在は、区域を指定いたしました際に所在した住宅に対しまして防音工事をしております。それで、実はその住宅の数が非常に膨大でございまして、まだ未実施のものがたくさん残っております。私どもといたしましては、まずその告示をいたしましたときに、既に所在した住宅の改善を先にやるべきであろうということを考えておるところでございます。すなわち、当面、未実施の住宅防音工事の早期完了に向けて努力することを優先していきたいと考えておるわけでございます。  ただ、ただいま先生がおっしゃいましたように、指定が四回も変わっております。当初建てたときには区域外であったものが、その後の区域の指定がえによって区域の中に入ってしまった、いわゆるドーナツ現象という事態が起こっております。これにつきましては、大変地元からも要望が強うございますので、今後何らかの形の検討をしていくべき課題であろうか、このように考えておる次第でございます。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 これはぜひとも御検討いただきたい、このように申し上げたいと思います。  もう一点、区域指定はこの四回に限りますか。将来さらに区域指定を拡大するようなお考えはありますか、どうでしょうか。これだけ確認します。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 この区域指定の問題は、一般的に申し上げますると、騒音が変化すれば当然変わるべき性格のものであろうかと思います。  それで、最近の状況といたしましては、昨年九月、インディペンデンス入港以来、我々は常時十四カ所の測定装置を持ちまして騒音を把握しておりますけれども、今のところ区域を大幅に変更するというほどの変化はないということでございますが、一般的に飛行の態様だとかあるいは騒音の状況等が大きく変化をすれば、当然に区域の変更は考えなければいけない問題であろうかと考えております。

河上覃雄公明党・国民会議

○河上分科員 相模原補給廠の汚染の問題について質問をいたそうと思いましたが、ちょっとこれも時間がかかりますので、時間前ですが、時短で、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて河上覃雄君の質疑は終了いたしました。  次に、沖田正人君。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 私は、日本社会党・護憲共同の沖田正人であります。  バレンタインデー、楽しかるべきバレンタインデー、二月十四日午後一時四十五分ごろ、海上自衛隊の体育館の工事現場で二階の床部分の崩落事故が起こったわけでございます。  防衛施設庁当局の見解をひとつお伺いいたしたいと思いますが、本件は、死亡者七名、重軽傷者十三名という大惨事であり、犠牲者の霊を弔うためにも事故原因の究明と、そしてまた調査が待たれるわけでありますが、まずお伺いしたい点は、本件はどういう状況で発生したのか、そしてまた、どういうところまで調査が到達しているのか、いつごろ結論がまとまるのか、その辺の見通しを含めてお答えをいただきたいと思います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 お答え申し上げます。  海上自衛隊厚木航空基地において体育館を建設中のところ、先ほど先生御指摘のように平成四年二月十四日午後一時四十五分ごろ、約六十人の作業員が二階の床のコンクリートの打設中に突然床が崩れて、一階及び二階で作業していた人たちがコンクリート等に巻き込まれてその下敷きになり、このため七名が死亡し、十三名が重軽傷を負ったところでございます。  事故の原因につきましては、現在、所轄の警察並びに労働基準局で調査中であります。今のところ、その事件について申し上げる状況にございません。事故原因の究明に当たっては、当庁もできる限り協力をしてまいるつもりでございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 この事故は天災なのか人災なのか、人為的なミスによるものなのか、考え方を聞かしていただきたいと思います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 先ほどお答えしたのと同じようなことになってまことに恐縮なんでございますが、ただいま事故原因につきましては、警察または労働基準局が原因究明も含めて調査中の段階でございますので、事故の原因に関係することなので、お答えはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 問題なのは、今の段階で答えられないということでありますけれども、少なくとも亡くなった人たちにすべての責任と、そして死者をむちうつようなことだけは避けなければならない、こういう立場から、このような事故というものが再び起こらないように、起こさないようにどうしたらいいかという反省と総括的立場から私はこの質問を行いたいと考えているわけでありますから、どうぞひとつ質問をすれ違いに終わることなく真摯にお答えいただきたいと思うところであります。  そこで、事故発生後、防衛施設庁としてはどういう原因究明のための努力をされてきたか、もう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 庁内におきまして、現在いろいろな施工状況、そういうものを調べているところでございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 事故が発生をした工事というものは、防衛施設庁が設計をして、途中でゼネコンのサイドから工法の変更の願い出が行われて、施設庁が設計の変更を行ったと言われているわけでありますが、間違いありませんか。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 平成三年九月に請負者から、工場製品を多く使うことによって現場における作業の省力化を図りたいという理由から、床の構造変更をしたい旨の願い書が提出されております。私どもはこれを、床構造の変更に係ります図面等を審査し、これが関係法令を満足し、かつ、当初の設計と同程度以上の荷重に耐えられることを確認し合って、十月末に設計変更を行っております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 工事契約の段階では、一般工法で計画をされていたと思うわけでありますけれども、工法と設計の変更が行われたのはどういう理由で行われたのか、認められたのか、お答えいただきたいと思います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 先ほどお答えしたのと同じようなことになりますが、会社の方から、現場における作業を省力化したい、そしてかつ、その費用も契約額の範囲内において床構造の変更をしたい旨の変更の願い書が提出された。それを採用したものでございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 省力化を目的として認められたということであるならば一工期を急がせたのじゃないですか。工法の変更というものは、工期を急がせたために省力化をせざるを得なかった、こういう理由に基づくものではないかと私は思いますが、発注時の完成はいつとなっていたのか、その期日をひとつ説明をいただきたい。工期の延長をもともと考えていたのかどうか、このことをあわせてお答えをいただきたいと思います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 お答え申し上げます。  この工事は、基礎工事、プール、それから躯体と申します、いわゆる骨組みをつくる一期工事と、それからその仕上げを行う二期工事に分かれてございます。したがいまして、それぞれの工期は、躯体等の工事の完成が平成四年三月二十五日、それから二期工事につきましては平成四年十月末になってございます。当初の契約から、延べ十九カ月の工程をとってございます。  それと、先生の御質問の中で、工期短縮を行うように請負者に指示したんじゃないかというようなお言葉がございましたが、工期の短縮を行うよう請負者には指示をやってございません。ただ、この工事の当初の着工時期に、施工の場所で文化財等の確認調査を行ったために、当初の工事の着手が約三カ月ほどおくれた事実がございます。これにつきましては、必要な工期の延長について請負者とも合意しておりますし、必要な手続を経て、後日工期の延長を行うということで予定しておりました。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 それでは、工法について招伺いをいたしたいと思いますが、ビルトスラブ工法というのはどういうものか、一般の在来工法とどう違うのか。きょうは建設省にもおいでいただいていると思いますので、簡明にひとつ御説明をいただきたいと思います。

梅野捷一郎建設省住宅局建築指導課長

○梅野説明員 お答え申し上げます。  ビルトスラブ工法が採用されておるわけでございますが、これは、工場であらかじめ組み立てられた鉄筋トラスを鉄筋コンクリート造のはりにかけ渡して、その鉄筋トラスの間にプラスチック製の既製型枠を並べることによりまして、床スラブ用のコンクリート打設面を構成するものでございます。この工法は、あらかじめ工場で組み立てられた製品を使用すること、あるいは工事中のはりの型枠によりスラブ自体の荷重を支持するという関係から、スラブの下に支保工を設ける必要がないというような工法でございまして、工期の短縮あるいは現場の人員の節約等に効果があるものと理解をいたしておる次第でございます。  この工法につきましては、建築基準法上との関係でいいますと、鉄筋の定着方法につきまして、一般の丸い鉄筋を使用する場合には、実験等に基づきまして、安全性を確かめ、特別な認定を受ける必要がございまして、五十四年に認定を受けた工法ではございます。なお、本工事におきましては、今申し上げました丸棒という普通の鉄筋ではない異形棒鋼という付着力の強い鉄筋を用いておりますので、ストレートに大臣認定が必要なものということではございませんが、方式自体、全体としてはそういう意味の工法になっておるということでございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 きのうきょう開発された工法ではないわけだと思いますが、ビルトスラブ工法で今までに発生した事故があるかどうか、そういう事例があるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

梅野捷一郎建設省住宅局建築指導課長

○梅野説明員 先ほど申し上げましたように、五十四年に私どもの関係で建設大臣認定を受けておるわけでございますが、その後、既に十年を超えた年限がたっておりますが、その間の施工実績から、これまでのところ、本件以外に問題が発生した事例はないというふうに聞いております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 どの程度の工事実績があると考えておられますか。

梅野捷一郎建設省住宅局建築指導課長

○梅野説明員 平成二年六月現在におきまして、件数では三百三十九件、施工床面積で申し上げますと約百八十万平米にわたります施工実績を有しているというふうに聞いております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 施設庁にお伺いをいたしますけれども、この工法での工事は初めてだというふうに聞いておりますが、防衛施設庁としては初体験の工事だということで間違いありませんか。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 私どもの工事でこれを用いましたのは初めてでございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 初めての工事でありますから、工法については施工サイドと十分検討と説明を行われたのだろうと思いますけれども、いかがですか。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 この工法の説明につきましては、現地におきます監督官が非常に詳しく説明を聞いております。また、その説明を受ける一つの段階ですが、まだ採用以前の話でございますが、当時、施工中の民間工事の現場なども視察をやってございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 NHKの報道とか新聞の報道などでは、設計にミスがあったというふうに言われているわけであります。せき板を支えるサポートの二番目に入っていなければならない筋交いが欠落していたのじゃないか、証拠の設計図も入手した、これは設計の欠陥だ、こういうふうに言われるわけでありますが、推測をすると、はりとスラブを同時進行で工事を行っていたと思われますが、この事情についてお聞かせをいただきたい。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 先日、NHKの報道で、先ほど先生の御指摘のようなあれが報道されたことは承知しております。ただし、支保工というのは、これは施工の一つの手段として請負者が関係法令に基づいて計画するものでございますし、また、事故の原因にもかかわる内容でございますので、私どもの方としては、まことに恐縮なんですが、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  なお、監督官のやっている任務でございますが、監督官は工事の履行過程での、例えば構造物の寸法だとか品質等については立ち合いその他をやっていますが、施工最中の部分については、これは請負者の自主的な判断、またその責任下において実施するものと考えております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 どうもその辺が合点がいかないわけでありますけれども、時間がありませんから多くを質問するこ止はできませんけれども、監督官は事務所にいて設計図を見たり鉄筋の太さをはかったりという程度で、施工の段階では見回りもしないというような、そういうことでいい工事ができるかどうか、私は極めて不可解に思うわけであります。  今までの内容からお伺いいたしますと、設計変更が行われた段階で、工事の工程とかさらにはコンクリートの打設の計画とか、施設庁として事前に了解されているはずでありますから、省してビルトスラブ工法というものは初体験でありますから、途中で変更しているわけでありますから、当然このビルトスラブ工法の専門家をアドバイザーとして招いて慎重に工事を行うというようなことだってやはり当然必要だったのじゃないか、こういうふうに考えますが、所見を伺います。

新井弘文防衛施設庁建設部長

○新井政府委員 お答え申し上げます。  監督官の任務は、やはり請負の目的、これは工事目的物と申しますか、これが契約どおりに完成することを確保するために、工事現場で工事の履行過程で、先ほど申しました出来形といいますか、寸法だとか、それからその物の品質等について立ち合い確認を行っていくものでございます。  このため、監督官は工程や、コンクリートの打設位置、コンクリートの品質、当日打つ数量だとか、生コンがどこの工場でつくられるとかということは把握をやってございますが、施工方法につきましては、請負者がその責任のもとで決定することなので、コンクリートの打設最中には細部等については立ち会いを行っておりませんでした。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 大ばりの構造とか強度とかいうものがこの工法では一番大事な命だろうと思いますけれども、この工法が、はりとスラブとの工事を同時に進行している、一緒に生コンの打設を行ったというふうに思います。こういうことを施設庁としては当然わかっているのではなかろうかと考えるわけであります。したがって、本当ならば、大ばりを先に打って固めておいて、それからスラブを打つというようにしなければならぬだろうと思うのですが、同時進行ではりとスラブを両方打設するということであるなちば、それ相当の強度を持たせるような手だてが必要であるということも御存じであったはずでありますし、また御存じなければならぬと思います。そういうことから考えましても、設計施工上の管理監督についても不十分さがあったのではないかというふうに私は指摘せざるを得ないわけであります。したがって、防衛施設庁としての設計及び監督責任は免れないと思いますが、防衛施設庁長官の御所見をお伺いいたしたいと思います。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 本件の事故原因等につきましては、ただいま警察あるいは労働基準局においてお調べ中でございますので、その結果を待たないと正確なことは申し上げられないわけでございます。  私どもの判断といたしましては、設計につきましては、建築基準法等の諸法規に従いまして行っておりますので、十分適正なものが確保されておるというふうに考えております。  それから、本件事故につきましては、恐らくこれは工事の施工に関する安全対策の問題になろうかと思いますので、これにつきましては、請負者の責任においてなされることでございますので、請負者の方に責任があるのではないか、かように考えておる次第でございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 調査が終わらなければ十分な事情というものがわからないことは言うまでもありませんけれども、設計上のミスまたは構造計算上の不十分さというものも考えられるわけでありますから、この点は早いうちに調査が完了するようにひとつ努力をしていただきたいと思うわけであります。  工事現場で作業中に労働者が異常や危険を感じたときに、監督者や上司の許可を得ないで避難をする、こういうことがあった場合、一体賃金カットの対象になるのかどうか、この点について伺っておかなければならぬだろうと思います。  といいますのは、今度の事故というものは、生コンを打設した、そして第一次の崩落が起こった、そのときに、ギシギシ音がするとか、さらには支保工が五センチぐらいたわんでいたとか、危ないのじゃないかなと労働者が言えば、いや、それは大丈夫だ、大丈夫だから片づけを一緒にやろうと言って、崩落した生コンの後片づけをやっていた、同時に第二次の崩落でみんなそこで大事故に遭ってしまった、こういう不幸な事態であるわけでございますのでございますから、労働安全衛生法の二十四条、二十五条ですか、監督者は、もしも危ないと感じたら避難をさせなければならないのは当然でありますけれども、今度の場合は、残念ながら、大丈夫だと言って作業を続けさせたわけでありますから、それでそのときに事故が起こった。だから、これは労働者の方が経験豊かであり、危ないから避難する、こう言って職場から離脱した場合に、そういうふうなことに対するとがめというものがあるのかどうか、この点をひとつ聞いておかなければならぬと思いますが、所見を伺います。

山中秀樹労働省労働基準局監督課長

○山中説明員 一般的に申しますと、労働者が事業主の業務命令に従うかどうかということにつきましては、労働契約上、締結をすべき労務の内容となっている場合でありますが、先生が今御指摘の場合のように、通常と比較して著しく危険であるという業務の場合について、そのような就労の業務命令を出すこと自体、合理性を欠くものではないかというふうに私ども思っております。したがいまして、業務命令に従って労働をするという義務は労働者にないというふうに判断されます。したがって、賃金カットの対象とかそういうものに一般的にならないのではないかというふうに理解いたしております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 とすれば、労働者の労働拒否権といいましょうか、就業拒否権というものは存在する、こういうふうに理解していいですね。

山中秀樹労働省労働基準局監督課長

○山中説明員 一般的に、労働契約の内容によりますが、その内容に反すれば当然その義務はない、労働する義務はないというふうに私どもは理解いたしております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 労働安全衛生法の改正案も提出されているわけでありますから、その審議の際に、労働拒否権といいましょうか、就業拒否権についての見解を明らかにしておいていただきたいと思います。  そこで、この一年半の間に、広島とか松戸、今回の横浜と、三回も公共工事で大きな事故が発生しているわけであります。そして、多くの人命が失われているわけであります。平成三年中に二千四百二十一件の死亡事故が発生した、そのうち四二・三%の千二十四件の死亡事故がすべて建設労働者ということになっているわけでありまして、いかに建設産業が劣悪な労働条件のもとでといいましょうか、危険な職場であるかということを物語っているものだと私は思います。このような不幸な事故というものを、三K職場と言われるようなこういう建設工事現場のありようについては安全管理をもっと徹底して、それでなくても人手不足とか後継者不足というものがいろいろあるわけでありますから、十分な対策を強化していただきたいと思いますが、この点について所見を伺いたいと思います。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 時間が迫っておりますので、早くお願いします。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 今回のような事故が再発するということは大変遺憾なことでございます。それで、そのためにはどうすべきかということでございますけれども、これは一防衛施設庁だけの問題ではございません。いろいろな省庁にも絡むことであろうかと思います。それよりまだ何よりも、現在、警察あるいは労働基準局において事故原因を究明しておられるところでございますので、その結果を見て適切な措置をとってまいりたいと思っております。  とりあえず、施設庁といたしましては、現在のところ、今回の事故は請負者が安全管理を的確に行わなかったことに起因するのではなかろうかと思いまして、全国の各局に指示をして請負業者に安全管理を徹底するようにというような指示をいたしました。それから施設庁といたしましては、ただいま現場は警察と労働基準局によって立ち入りが禁止されておりまして我々が入れないような状況になっておりますが、もし入れるような状況になりましたら、第三者の先生方にでもお願いをして、本件事故がどうして起こったのかということを技術的に解明していただきまして、我々の建設行政の将来の資としていきたい、かように考えておる次第でございます。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 今申し上げたようないろいろな観点から考えましても、不幸にして死亡された方々、重軽傷を負われた方々、被災者に対しましても、遺族への補償や社会通念上も十分なお見舞いというものを検討してもらうように強く要請をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。  あわせて、今お答えいただきましたけれども、二度と再びこのような不幸な事故が起こらないように、施工業者だけが悪いのだというような姿勢ではなくて、防衛施設庁では、やはり監督並びに設計のあり方についても再点検をし直していただいて、全部施工業者が悪いというようなことじゃなくて、私は、防衛施設庁もともどもに反省、総括をしていただきたいと思いますが、長官の見解を伺います。

藤井一夫防衛施設庁長官

○藤井(一)政府委員 遺族の方への補償等につきましては、これはまさに事故原因が判明してからのことでございますけれども、既に今回の請負業者は、下請を使っておるわけでございますけれども、下請の亡くなられた方々を含めまして、補償については十分考えるというようなことを申しております。国といたしましても、補償が十分行われるように見守ってまいりたいと思っております。  それから再発防止につきましては、発注者の立場といたしましては限度がありますけれども、二度とこういう事故を起こしてはいけないことは当然でございますので、発注者としてできる範囲におきまして、極力先生の御趣旨を体しまして措置していきたい、かように考えております。

沖田正人日本社会党・護憲共同

○沖田分科員 以上で終わります。

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 これにて沖田正人君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小岩井清日本社会党・護憲共同

○小岩井主査代理 次に、総務庁について質疑の申し出がありますので一順次これを許します。東順治君。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 どうも長官、お疲れさまでございます。  私は、いろいろな方々がいろいろな角度から今回お尋ねになっておることとは思いますが、同和問題につきましてお伺いさせていただきます。  最初に、長官も御存じたとは思いますが、ことしの一月末から二月にかけて、被差別部落に対する偏見を極めて助長する、そういうビラが、北九州市に始まって九州全域五県六市町村それから神戸市の団地、あるいは同一人物が同一のビラを昨年の十月末から年末にかけて、山口、岡山、広島、島根と数百枚、合わせて四千枚近くがまかれておったわけでございます。私もこのビラを見まして、大変どうしようもない憤りといいますか、そういうものを感じました。  例えばその中に「日本は単一民族国家ではない(秀吉が朝鮮半島より当時数万人連れて来た人達が増えている。)警官の中に同和が居る。同和が目明しをしていた。秀吉が朝鮮半島より連れて来た人達が同和に居る。」等々、それからまた女性差別もいろいろなことがこの中に書かれております。しかも、あろうことか、これをまいた人物が県の職員であるということ、しかも昭和三十八年に入庁して以来、長年にわたって福祉事務所のケースワーカー、主に福祉畑というものを歩いてきた人物、これを見まして、実は信じられない思いがしたわけでございます。何なんだろうこの人は、どうしてこんなことをしてかしてしまうのか、いわゆる人権ということに対して極めて敏感でなければいけない、そういう立場、そういう仕事を長年やってきた人物がこんなことをしてしまう。  まず最初に、これに対しまして長官としてどのように思われていらっしゃるか、その御見解と、また、今回出されました地対協の意見具申に「人権擁護機関の充実、強化に今後とも努めるべきである。」このように指摘をされておるのでございますけれども、あわせてどのように思われるか、その点をお伺いしたいと思います。     〔小岩井主査代理退席、鈴木(宗)主査代理     着席〕

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 同和問題は、憲法に保障されました基本的人権であるという認識を持っております。政府は、昭和四十四年以来二十三年間、懸命に同和問題の解決に向けて今日まで努力をいたしてまいったところでございます。  その結果、昨年十二月十一日の地対協意見具申におきましても、生活の環境あるいは生活実態そしてまた心理的差別、こういった問題等につきまして、全体的に着実に進展を見ておる、そのような評価をいただいておるところでございます。  ただ、結婚であるとかあるいは就職であるとか、こうした分野におきましては差別的な事象が依然として見られ、いまだ十分な状況にあるとは言い得ない、この指摘もいただいておるわけでございまして、その解消のために今後努力をしていかなければならない、そう念じながら仕事に取りかかっておったそのやさきに、今先生御指摘のような事件が起きたわけでございます。しかも、県民全体に奉仕をしなければならない県の職員であると同時に、まさに県民の福祉の問題に大きなかかわりを持って仕事をしてきたその職員によってあのような差別のビラがまかれたということは全く遺憾なことである、このように受けとめております。  私も、あの新聞の記事、さらには知事さんのコメント、また県庁内部における通達、そして県庁内部における処分等々、全部見させていただきましたし、御連絡もいただきました。今後再びこういうことを起こしてはいけない、そういったことで、啓発、研修と申し良しょうか、人権擁護の面から教育の分野にわたっても懸命に推進をいたし、同和問題が一日も早く解決されるよう、関係省庁はもちろんでございますが、地方公共団体や国民と一体となってその推進に努力をしていかなければならぬ、事件を省みてその意をさらに強めたところでございます。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 今長官、こういう事件がまだまだ後を絶たない、このようにございましたけれども、この事件が起こった福岡県で年間八十件前後の差別発言あるいは落書き事件等がやはり発生をしておるわけですね。  また、これは九〇年の十月十一日ですか、文部省の初等中等教育局の教科調査員という方が、品川区教委が主催した区内の小中学校の教務主任を集めた講習会で差別発言みたいなものをやっていらっしゃるわけですね。長くなりますから読みませんが、その中で一部ちょっと言ってみますと、「地方というのは生活指導面では同和がからんでいるのでむずかしいですね。悪いことをしたからといって、そのままつかまえて警察に出すというわけにもいかないわけです。そうすると同和の団体が「差別」だといってたいへんな問題になることがかなりよくあることです。」これは遠藤友麗という教科調査員の方の講演ということで載っておりますけれども、何げなく、同和が絡んでいるのでという言葉をさらっと使ってしまう。しかも、文部省の初等中等教育局教科調査員という、これまた非常に大事な、人権意識をしっかり持っておかなければいけない、そういう感覚に立たなければいけない人物がこういうことを平然ど発言してしまう。同和が絡んでいるのでという、こういったことが後を絶たない。  したがって、私は、先ほどのピラまき事件にしても今のこの問題発言にしても、個人の問題というようなことでは決してないというふうに思います。これは長官もそのようにお思いだと思いますが。当然、こういったものが出てくる背景といいますか土壌というものがある。ここに鋭く問題意識を持って、何らかの形で抜本的な解決策というものを図っていかなければいけないのじゃなかろうか、このように思うわけでございます。  こうした重大な人権問題が起こる背景としてお尋ねをしたいのですけれども、県が職員を対象とした同和啓発の職場研修というものを行っておりますね。例えば福岡県でこの事件が起こる前年度で一千三百五十七回職場研修を行っておる。延べ一万八千九百二人がこれに参加をしておる。当然この人物も毎年のようにこれに参加しておった。つまり、毎年のようにですから、長い間、相当の数に上ると思います。前年度だけで千三百五十七回、延べ一万八千九百二人、こういったことをやりながら、かつ年間七億円以上の人権啓発費を福岡県が投じておる。ビデオだとかいろいろなものをやる。こういったことをやりながら、こんな信じられないような事件が急に起こってくる。なぜだろうかと私は思います。結局、何となく回数だけこなせばよい、こういう形骸化したこの形と申しますか、いわゆる座学主義と申しますか、形式主義と申しますか、そういったものに流れてしまっているのじゃないか。これだけの巨費を投じて、これだけの回数開いて、これだけの人たちが参加して、しかも最も敏感でなければいけない福祉畑の人間がこんなことを起こしてくる。精神異常者じゃないわけでしょう、きちっと働いているわけですから。なぜこうだろう。結局、形式主義、回数主義みたいなものから起こってくるところのことではなかろうか。もしそうだとすれば、これは大問題だと思うわけでございます。したがって、人が人を差別することの痛みをわかろうとする努力、人権の大切さ、そういったことがお互いに肌身にしみ込んでいくような研修をやっていかなければいけない、そういうあり方が今シビアに問われているのじゃなかろうかと私は思うわけでございます。  総務庁として、年一回ですか、指導者育成のためにいろいろなことをやっていらっしゃると伺いました。そんなことも踏まえまして、県の職員研修に対してそれをどう見られ、そしてまたどう取り組み、その効果をどのように把握されておられるのか、その点についはいかがでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 地方公共団体の同和問題についての内部研修につきましては、平成三年、昨年でございますが、二月六日付の関係省庁の局長連名通知において、自治体の内部研修について積極的な実施及びその内容の充実を指示したところでございます。今後とも関係省庁と連携をとりつつ、機会あるごとにその徹底を図ってまいりたいと存じます。  今回の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、啓発の重要性が一層言われているところでありまして、創意工夫を凝らした啓発の必要性が述べられております。私どもは、新たな気持ちでさらに一層の啓発に精進しなければいけない、このように思っているところでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、また総務庁におきましては、地域における啓発の推進に当たっての重要な役割を担う地方公共団体の職員に対する指導者養成研修会を毎年実施しており、その研修の強化に努めてきたところでございます。平成三年度までに十回の指導者養成研修会を開催してきております。これまでに約二千四百人の受講者が出たところであり、この研修会は三泊四日の合宿方式で実施しており、各界の有識者から講義を受けること、それから受講者相互の意見交換、体験発表、そのほかポスターなど啓発資料の製作につきまして、そのアイデアから製作の具体的な面に関しましての実地研修などを行っており、創意工夫を凝らしているところでございますが、一層その啓発に関しまして、その手段、方法等については考えてまいらなければいけないと思っております。この研修会を受講した地方公共団体の職員は、それぞれの地方自治体におきまして、率先して有効、適切な啓発活動を推進する貴重な人材となっていることは事実だと思います。総務庁としても、今後とも啓発に取り組んでまいりたいと思いますし、先生おっしゃいますように、回数だけがその効果を測定するものでは必ずしもないと思います。むしろこの機会におきまして、新しい角度からの研修、啓発ということを考えてまいりたいと思っております。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 今、研修会を三泊四日の合宿方式でいろいろなことをやっていらっしゃると伺いましたけれども、私が伺いたかったのは、いろいろな努力をやっていらっしゃるけれども、果たしてそれがどのくらいの効果を上げておるのか、そのフォローと申しますか、その効果をしっかり掌握をされる具体的な工夫はなさっておられるのかということを伺いたかったわけでございます。その点はどうでしょう。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 具体的な効果は、一つには、差別の事例が年とともに減少していくというようなことが望ましいということをねらっているわけでございます。それからもう一つ、心理的な差別ということにつきましては、これは心の問題ということがございまして、計量的に把握するということは非常に難しい側面がございます。  いずれにしましても、その啓発につきましては、世の中が静かになってくるというような実態をつくるために啓発についての勉強を私どもも続けるということ。そして、それが地方公共団体の方々にとっても信頼されて研修を受ける、それから地方自治体に応じたその問題への対処もございましょうから、自治体のカラーに応じた研修をセットするというようなことがなされていくことが、また一面、計画段階における効果への道でなかろうかと思っております。一層努力してまいる、こういうことでございます。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 せっかく三泊四日で集まられていろいろな意見交換をしたり、学識者の方のいるいろいろな話を聞かれたりというようなことで、いろいろなやり方が出てくるのだろうと思います。例えば、企業なんかがやっていらっしゃいます人権標語を募集したり、あるいは論文の募集をしたり、ともかく現状に合わせてさまざまな工夫をする。問題はそれがどのくらい実ったか。また、具体的にこの件はどういう工夫をしてマンネリを打破しているか、形式主義を打破しているかというようなところは厳しくあるいは厳格にチェックをしていくというような抜本的な努力、見直しの努力みたいなものが私は必要だと思います。  福岡県で被差別部落の淵源のアンケートをとったところが、徳川幕府が支配強化を目的につくった身分制度である、このように答えたのがわずか二〇・三%という現状なんですね。これはやはり非常に厳しいと思います。  そういう状況があって、先ほど言いましたように、七億円という巨費を投じてあれだけのすごい回数でいろいろなことをやりながらも、それがどう実っているのかということは、心の中の問題だから、これでいってしまえばそれでおしまいなわけで、要するにどう実っているのかということを今度は徹底してフォローをし、追求をし、そしてそうやってひとつ一段、二段と人権意識の高揚というものを図っていかなければならないんじゃなかろうか、このように思います。どうかこの辺に対して特段の御努力をお願いしたい、こう思う次第でございます。  時間も余りございませんので先に進みますが、続きまして地対協の意見具申の中に「二十一世紀に差別を残してはならない」こうございます。また「心理的差別の解消はこ「十分な状況とはいい難い。」こうございます。そのためには「今後の地域改善対策の在り方について審議する機関が引き続き必要である」こう述べているわけでございますけれども、二十一世紀まで差別を残してはならない、一口に言いましても、あとわずか八年なわけですね。現実には大変に大きな問題が山積をしておるわけでありまして、そういう中で、本当に二十一世紀まで差別を残してはならないというこの意見具申を受けまして、今後この同和問題というものに取り組んでいくためには、この意見具申にもございます審議する機関が引き続き必要だ、この機関のあり方がこれからの最大の焦点になるのではなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。  岩崎長官、今国会の予算委員会でお答えになっておられましたけれども、この機関ということに対して、これまでの経過を踏まえられて引き続き協議会とするけれども、名称の違いはあっても権限の重い軽いということはない、審議会と協議会に実質的中身の差はない、こういう趣旨の答弁をなさっていますね。そこで、この長官の御答弁を踏まえた上で、この協議の中身、今後何を協議していこうとするのか、二十一世紀までに差別をなくすために何を協議していけばいいのか、何を協議する機関としていくべきなのか、どういう方向性であるべきなのか、望ましいのか、こういった点を踏まえて、長官の御所感なりあるいは御決意なりを伺いたいと思います。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 今、国会に提出をいたしております現行法の地対財特法一部改正法案、この法案が成立をいたしますると、当然地対協の設置が行われるわけでございます。その地対協にどのような問題をどう審議してもらうのか、これこそまさに二十一世紀に差別を残してはいけない、その原動力になるのじゃなかろうかなという先生の御指摘でございます。私もそのように受けとめております。したがって、地対協で恐らく御審議をしていただける問題の一つは、物的な残事業の解消に向けての問題、その件についてのいわば事業の進行管理に関する体制の問題、それから非物的事業、就労問題あるいは産業の振興、教育、啓発等、これらについては重要な施策として引き続き努めるべきである、こうした意見具申があるわけでございます。心理的差別の問題と非常に微妙な関係にある非物的な問題、この点について私どもは関係省庁に、また関係地方公共団体とよく連携をとりながら対応していきたいと思っておるわけでございますが、地対協におきましても十分実りのある、先ほどの研修会啓発の問題ではございませんが、ただ単にやった、回数を何回やったということではなくて中身の問題でございますから、いわば国民的課題としてこの問題が取り上げられるような、そうした意識の問題として取り組んでいただければありがたい、このように考えております。  最後のもう一点は、心理的差別の問題でございます。この心理的な問題は、人の意識あるいは感覚にかかわる問題でございまして、まさに今先生から御指摘のあったように、心の問題はなかなか見えない。それだけに、どれだけ心理的差別が進んだのか、これだけやってもなおかついろいろな差別的な事件が起きる。ということになると、この件については大変難しい問題だな。地対協の方々がこの問題にどう取り組んでいただけるのか期待もし、お願いを申し上げたい、こう考えておるわけでございます。そして、物的問題を恐らくこれから五年間で解決することができるだろう、非物的問題も相当進むであろう、この心の中身、深層部にある心理的差別の問題、この件については十分審議会の委員の先生方にも勉強もしていただき、我々としてもこの問題の一日も早い解決に向けて精いっぱい努力をし、勉強もし、提携しながら本問題解決に向かって推進をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 今長官は、心理的差別がどれだけ進むか、こうおっしゃいましたけれども、心理的差別の解消がという意味ですね。  今、機関の意味につきまして、物的事業とともに心理的差別を解消していくということを重視しての、二十一世紀に差別を残さないためのさまざまな施策、こういう場となっていく、このような御答弁でございましたけれども、私もそのとおりだろうと思います。そのためには、そういう場にふさわしい委員の方々の人選、これがやはり大事だろうと思います。例えば、私ども野党、あるいは長く広く、長く部落解放運動というものに取り組んでこられた運動体の皆さん、あるいはまた人権問題等にずっと取り組んでおられる方々、これは同じ意味もありますけれども、そういういろいろな人たちの御意見というものを幅広く取り入れ、尊重して、そして人数も含めてこの委員会の人選あるいは構成等について検討していくべきである、このように私は思いますが、いかがでしょうか。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 地域改善対策協議会の委員につきましては、学識経験を有する者及び関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命するということに相なっておるわけでございます。学識経験委員につきましては、従来から地域改善対策を推進する上で幅広い見識を持った方々を選任してまいっておるところでございます。今後ともそのような考え方でまいりたいと思っております。もちろん、先生から御指摘のございましたように、委員の人選に当たりましては関係方面の方々からいろいろと要望等を聞くことについてはやぶさかでもございませんし、またそのことは当然のことであろう、かように考えております。しかし、最終的な判断は任命権者である総理にお任せいただきたい、かように存じます。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 総理に最終的に、それこそ意見具申じゃございませんけれども、持っていかれるときに最も大きな影響力を持たれる、その方が長官でございますので、どうかしっかりといろいろな人たちの意見を聞かれまして、踏まえられて、この重大な機関を構成する人たちの人選に当たられたい、このように思うわけでございます。本当にここが非常に重要なポイントになると私は思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  最後に、この意見具申の中に、しかるべき時期に全国的規模の調査が行われるものと考えるけれども、この調査結果の客観性を保証できる実施体制、方法等を慎重かつ早期に検討すべき、このようにございますしかるべき時期に全国的規模の調査が行われなきゃいけない、こうありますが、この実態調査、これはいつごろできると想定なさっておられるのか。それからまた、「調査結果の客観性を保証できる実施体制」、こうございますけれども、この客観性を確保するためにどのような条件が考えられるか、この二点についてお伺いしたいと思います。  時間がございませんので、簡単にお願いします。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 事務的な側面がかなりありますので、私からお答えさせていただきます。  実態調査の実施につきましては、昨年十二月の意見具申において、先生おっしゃいましたような条件で実施するということが期待されているわけでございます。端的に申しますと、まず大事なのは、調査結果の客観性を保証する体制をどう認識するかということであります。いずれにしましても、調査の結果が数量的あるいは計数的に出るわけでございますから、その数値が得られる調査の段階においての調査対象の協力が得られるということがまず大事なわけでございます。さらに、この調査そのものは地方公共団体の協力を得ながらやっていかなきゃいけない、さらには関係ある方々の協力も得なきゃいけない、こういうことがございますので、そのような協力を公平に得るということについてまず検討しなきゃいけないということでございます。  その検討に当たりましては、いわゆる意見具申で言われておりますように「慎重かつ早期」ということを私どもも目指します。年度が明けましたらできるだけ早い時期に検討する場をつくりまして検討を続けていきたい。その実施に当たっての要素としましては、一つには、費用もかかるわけでございますから、実施についての方法及び内容というものを吟味すると同時に、費用の面についても配慮しなきゃいけないということがございます。予算の措置ができたところで実施する、こういうことになろうかと思います。そういう観点で、実施の時期については、現段階ではっきりとは申し上げられませんけれども、検討につきましてはできるだけ早期に慎重に行う、こういうことをお答えしておきます。

東順治公明党・国民会議

○東(順)分科員 時間が来てしまいましたのでこれで終わらせてもらいたいと思いますけれども、いずれにしても客観的に、考えられるデータすべてを網羅した上で、それがすべて反映されるような、そういう調査方法で臨まれますように心から期待するものでございます。  ありがとうございました。

鈴木宗男自由民主党

○鈴木(宗)主査代理 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 私は同和行政の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十四年、同和対策事業特別措置法が制定されてから今日まで二十三年間、四度にわたる立法措置で物的事業は大きく前進いたしました。また、各種の啓発活動などにより非物的な事業も進み、全体としていわゆる部落差別は基本的に解消に向かいつつあると思います。そういう意味では同和行政の目標は達成されようとしているというふうに私は認識いたしますが、政府は今の同和行政の到達点をどう評価しておられるか、まずお尋ねをいたします。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 現在までの経過からくる側面がございますので少しお話しさせていただきます。  昭和四十四年以来三たびにわたる特別法に基づきまして関係諸施策を推進してまいりました。その結果、昨年の十二月十一日の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、「同対審答申で指摘された同和地区の生活環境等の劣悪な実態は大きく改善をみ、同和地区と一般地域との格差は、全般的には相当程度是正され、また、心理的差別についてもその解消が進み、その成果は全体的には着実に進展をみている。」との評価をまずいただいているところでございます。  したがいまして、行政の規模というものが法律に基づくものとしてはだんだん小さくなっていくわけでございますが、しかしながら、同意見具申では、「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」ということも言われているわけでございます。そういうような側面等を配慮しまして、やはり今後とも残っている物的事業及び啓発を中心とする心理的差別の解消等に力を注いでまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 政府も、昨年までは私と大体同じような認識だったので、地域改善対策協議会に対し、一般対策への移行について諮問をしたのだと思います。ところが、同協議会からは、平成四年度以降も物的事業量が相当程度見込まれるとして、法的措置を含め所要の財政措置を講ずべきなどの意見が具申されたわけであります。その根拠になったのが一昨日ようやく本予算委員会に提出されたこの「物的事業の平成四年度以降事業量」という資料だと思います。  私は、この資料には到底納得することができないわけであります。地対財特法制定時に予定した事業量六千四百四十二億円に対し、本年度末までの執行見込み額が六千三百九億円とあります。もともと地対財特法は、これが一般対策に移る最後の特別措置法と言われていたのでありますから、それをやり遂げれば一般対策に移る前提条件は整うはずだったと思うのです。それが、ほとんど満額に近い六千三百九億円も実施したのに残事業量が三千八百八十八億円もあるというのはどういうこととでしょうか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 現行の地対財特法のもとに国及び地方公共団体は一体となって努力を十分やってきたところでございます。しかし、この時期におきまして、いわゆる残事業というものを把握して判断しなきゃいけない、こういう考えに至りまして、昨年の秋に、地方自治体を通しまして事業官庁各省庁がその残事業の実態を把握した、こういうことでございます。その結果、かなりの残事業が金額的に存在しているということに相なったわけでございます。  それをどう処理するかということの話になるわけでございますが、先生おっしゃいますように残事業の総額は三千八百八十八億円、こういう数字で出てきました。これは、当初予定した事業の中には、用地買収が難航していることなど地元調整に相当の年月を要しているものがある。それで、平成三年度中完了することができないと見込まれる事業があるということがあります。各事業実施省庁におきまして調査した結果、平成四年度以降も実施する必要がある事業という判断をしたわけでございます。  これは、各事業実施省庁が地方団体を通じ、事業の実施見通しのもとでその内容につきまして、残事業の性格は地域改善対策として実施することが真に必要であるかどうか、それから実施の見込みが明確であるかどうか、事業の実施によって周辺地域との均衡を失することがないかどうかなどの観点から精査を行ったわけでございます。その結果、平成四年度以降必要な物的事業の事業量が三千八百八十八億円、こうなったわけです。ただし、平成三年度中という現在の事情におきまして、さらに地方公共団体と細部についての調整の必要があるという事情におきまして、この三千八百八十八億円という量は多少動くことがあると考えております。  なお、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきましては、「物的事業の実施に当たっては、関係各省庁においてその進捗状況を的確に把握する必要があり、そのための進行管理の方法について検討すべきである。」ということも提一言されております。これを踏まえまして政府としましては、今後の地域改善対策に関する大綱というものを昨年の十二月二十日に決定いたしまして、残された物的事業を迅速かつ円滑に実施するため、適切な進行管理を行っていきたいというふうに考えております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 だから私がお尋ねしたいのは、この残事業量というのは、当初計画したがいろいろな事情で、今用地買収が難航しているというようなことを例に挙げられましたが、そういう事情などによって今なお実施できないでいるもの、これが残事業量ではないかと思うんですね。ところが、それにしては三千八百八十八億円というのは、もう満額に近い執行量に対して余りにも大きな残ではないですか。だからちょっと納得がいかないがどうかと、そこのところをお尋ねしているんですよ。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 地元調整の難航ということは確かにありますし、それから単価のアップというようなことも部分的にはあります。それから物価のスライドとかいうことも、諸原因が重なり合いまして、どうしても実施しなければならない事業の量がこういう数字で固まってきた、こういうことでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 だから私、もう一遍お尋ねしますけれども、そういう地価が上がったとか、あるいは単価がアップしたというようなことは言われるけれども、そうすると、この三千八百八十八億円というのは新たな事業は全く含まない、今までやってきたその残り、文字どおりそういう意味ですか。それにしてはどうしても額が大き過ぎると思うんですがね。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 その現在の地区における事業につきまして、六十二年度の初めですか、その時点においては予定になかったものでございますが、どうしても必要だというものが実施されてきているということで、その分についての膨らみも一部あることは事実でございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 私は、地元の福岡県で残事業量の実態を調べてみました。飯塚市の例を申し上げると、市当局は市議会で残事業量は二億九千万円と答えていたのであります。ところが、県に提出した平成四年度以降の物的事業の見込み総額、ここにその資料を持ってまいっておりますけれども、これは二十二億六千万円と一挙に八倍に膨れ上がっていたんです。大部分は新しい事業であります。そのうち、公共下水道五億一千六百万円、住宅新築資金四億三千八百万円、合わせると約十億円。だから、二十二億の半分近くは平成九年度以降でなければ実施見込みがないことになっているのです。平成九年度以降といったら、今、国会にかかろうとしているこの時限立法が期限が切れてから先でないと具体化できないものが半分近くも残事業量として出てきているんです。  市当局は、このうち下水道工事は二、三十年のうちにはやりたいと言っている。全く冗談のような話だと思うのですね。何とか膨大な残事業量があることを印象づけようとしてこんなものまで県が報告させたとすれば驚くほかはありません。福岡県は、市町村からは二千億円近い数字が出たが、これを八百六十億に絞って国に提出したというのですが、こういうような調査がやられたのは福岡県だけだったのでしょうか。こんな調査が全国でやられて、法延長を何とか実現したいという作為的な数字が結局三千八百八十八億円という形で出てきているのではないかと、私は福岡のこういう実態をもとにしてそう考えざるを得ないのですが、いかがですか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 そのようなことではないと私ども信じております。その残事業の実態につきまして地方公共団体から調査の結果をお聞きいたしておりますが、それは関係各省庁におきまして、実際の進捗状況とあわせて、この五年間に実施できる見通しのあるというところも一つの条件になっておりますから、そのような誤ったような形での数字として出てくるような根拠ではなかった、こういうふうに思っております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 建設省、お見えになっておりますか。――じゃ建設省にお尋ねしたいのですが、この資料で特に納得がいかないのは住宅新築資金であります。  当初の計画事業量二百三十億円に対し、本年度末までの執行見通しは三百二億円、執行率は一三一%と計画を大きく超えております。これでどうして来年度以降も継続しなければならないのか。しかも残事業量は二百三億円と、当初の計画に近い大きな額であります。住宅新築資金という事業の性格を考えたら、これはほとんど全部が新たな事業であることは明らかだと思うのです。こんなことを認めたら、永久に一般対策に移ることはできないのじゃないかと思いますが、いかがですか。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課住環境整備室長

○浅野説明員 ただいま先生の方からお話ありましたように、住宅新築資金等貸付事業の特性といいましょうか、それが基本にはあろうかと思います。  この貸付事業は、地域の住宅事情の改善等のだめに、いわゆる公的賃貸住宅とは別に持ち家対策として低利の融資制度としてやっておるものでございますので、性格としては、いわば個人的な給付事業という位置づけになろうかと思います。その関係もありまして、長期的な事業量の把握をするという面では、例えば一般の公共事業のように計画的に推進する事業と比べましてつかみづらいという側面がもともとあるものでございます。  具体的にはどういう事業の発生があるかと考えてみますと、例えば住民の方が、何年かたつ間に住宅が老朽化しそれを改修したい、あるいは建てかえをしたい、あるいは世帯分離をする必要が発生してきて、そのために新たに宅地を買い、あるいは新築をする、こういうことの積み重ねによりましていわば事業量が発生をしてくるというふうに考えられるものでございますので、そういう意味では先生御指摘のとおり、ある程度継続的に発生してくる性格がそこにはあるものだというふうに私どもも考えておる次第でございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 ほかの事業は、同和地区のおくれた生活環境を改善するのになおこれだけ必要だと言えば、そういう考え方は成り立つと思うのです。しかし、住宅資金は私は違うと思うのです。こういうことを考えるのは生活にそれだけのゆとりと見通しができた人であります。こういう人に国が四分の一補助、残りを起債で年利二・八%、償還期限二十五年という破格な条件で今後も貸し付けなければ一般地区との格差がなくならないとは理解できません。当然一般対策に移し、住宅金融公庫などを利用してもらうべきではないでしょうか、重ねてお尋ねします。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課住環境整備室長

○浅野説明員 住宅新築資金につきましては、地域の住宅事情の改善という面で見まして、私どもといたしましては公的な賃貸住宅、これは公営住宅が主でございますが、それと小集落地区改良事業というようなもので面的整備事業をやりながら、住宅に困窮する方にお入りいただくための賃貸住宅も用意してございますが、例えば大都市圏以外の、特に地方圏の同和地区を改善していく中では、やはり持ち家を希望される方が非常に多いというかこ強いわけでございます。  仮に持ち家の方へ移行できない場合には、公営住宅とか改良住宅の需要といいましょうか、希望として発生してくるわけでございますが、私どもといたしましてはできるだけ、将来のことを考えますと、持ち家という形で対応していただく方がやはり望ましいのではないかというふうなこともございまして、同対法以前の昭和四十一年から住宅改修資金という形で取り組んでまいりまして、その後新築あるいは宅地取得という側面も拡充強化いたしてこれまで実施をしてきたものでございます。そういう意味では、この制度によりまして、劣悪な住環境でございました同和地区が相当程度格差が是正されて改善されてきたという意味で、相当貢献をした制度であるというふうに位置づけをしているところでございます。     〔鈴木(宗)主査代理退席、主査着席〕

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 私は、改善されてきたということは認めているわけですよ。だから、なおかつ今後こういう制度を続ける必要性があるのかといってお尋ねしているのです。新たに住宅新築資金を活用しようという人は、当然返済できる見通しを御自分なりに持つ、それだけの余裕が家計にあるからそういうことを考えるわけでしょう。そういうような人たちは何もこういう制度をわざわざつくらなくても、今言いました住宅金融公庫などを活用してそれで十分にやっていけるような人たちじゃないのですか。まだこういう制度をどうしても残さなければならないという根拠は説明されておらない。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課住環境整備室長

○浅野説明員 先生御指摘のように一般対策といたしましては、住宅金融公庫の融資制度が持ち家対策としてはあるわけでございます。同和対策といたしまして、先ほど御説明申し上げましたように四十年来からずっとやってきた制度でございます。その中で特に金融公庫等の融資がなかなか受けづらいというような点が、当初こういう別の制度をつくりました背景としてあるわけでございます。(小沢(和)分科員「その当時あったのはわかっているのです」と呼ぶ)  その点は、最近につきましてもまだその必要性はあるというふうに判断しているところでございますが、先生御指摘のように地対協の意見具申の中におきましても、特に個人的給付事業につきましては、段階的に一般対策へ移行できるように検討すべきだというような御指摘もいただいておるのは、私どもも十分承知しているところでございます。  そういう意味で、その意見具申に従いまして、五年前にも二%の貸付金利を二・八%に引き上げをしたところでございます。また、今般の意見具申にも従いまして、これまでの実績あるいは最近の貸し付け状況等も勘案いたしまして、平成四年度からは貸付金利二・八%を三・五%に引き上げる、こういうことでまずは一般対策の方へ段階的にスムーズに移行できるような措置を考えているところでございますので、御了解いただきたいと思います。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 今回の法延長で施策全体を見直して、五十五事業のうち十は一般に移し、十五は一般対策に近づけるためスリム化を図ったというふうに伺っております。今のお話で、この住宅新築資金の事業についてもそういう一定の見直しをしたということは、これは私はそれなりに理解をします。しかし、全体として継続することになる四十五事業、これを全部一般に移したとしてどういう問題が起こるのか。私の見た感じでは、一般対策でやれるものがほとんどではないかというふうに考えますが、いかがですか。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 一つには、一般対策では対処できないものもございます。それから、いわゆる地域改善対策事業といたしまして残の量が相当多いということから、早期に解決するにはやはり国、地方公共団体が一体となって、地対財特法のような法律の規定のもとに実施をしていくということが望ましいという判断に至ったわけでございます。  そういう観点で、五十五事業につきましても絞り込むものは絞り込むということで、十事業廃止しまして四十五、そのうちの二十六事業ですか、それはそのまま継続だったと思いますが、十五事業については事業内容を整理してスリム化して実施する、こういうような一般対策への移行ということを前提にした配慮をしながら、今回の法律改正案を提出させていただいているわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 いや、私は、四十五事業継続するというのだが、それを一般事業に移してやってもやれるのじゃないか。それがやれない、どうしてもこの事業を続けなければならないというのは、どういうところに理由があるのですかとお尋ねしているのですよ。

小山弘彦総務庁長官官房審議官

○小山政府委員 繰り返しになりますけれども、それはこの事業の量が相当大きい。さらに、自治体によりましては非常に財政基盤が脆弱な自治体もあるわけでございます。それで、その量の大きさとか諸事情を考えましたときに、やはり担保しなければいけないのは一日も早くという、早期に解決するということがまず大事なことになってくる。そういう観点で、現在の法の継続に近い改正でいくのが最も適切ではないか、こういうふうに判断したところによるわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 ここで大臣に改めてお尋ねしたいのですが、これまで二十三年間、同和問題に全国民的な規模で取り組んできた結果、同和地区の生活環境が大きく改善されましたし、就職、結婚などの差別も着実に解消に向かいつつあると思います。私は、今や一般地区と同和地区の人々について別個の対策をとらねばならない時期は終わりつつある、今こそ同和行政を一般行政に移行する条件が熟してきたと確信をいたします。  総務庁も初めは我々と同じ判断だったはずだと思いますが、政府は、地対協が動揺しても当初の方針を毅然として貫いていくべきではないか、この点お尋ねをいたします。

岩崎純三自由民主党総務庁長官

○岩崎国務大臣 確かに先生御指摘のとおり、地域改善対策事業というものは永続的に講じられるべき性格のものではない、私どももそのように認識をいたしております。したがってできるだけ事業を迅速に行い、早期に目的を達成して、そして一般対策に移行する、このことがいわば地域改善対策の最終的な目標であろう、このように考え、今日まで努力をいたしてまいったわけでございます。」  そして、お話にございましたとおり、現行法はあの当時は最終の特別法として制定をいたしたはずでございますけれども、今いろいろとやりとりがあったように、残事業もある、非物的な事業もまだ残っておる、心理的な差別の問題もある等々という問題から、特別措置を五年延長する、そのための法案を今国会に提出をいたしておるようなところでございます。  なお、今後の地域改善対策を適正に推進するためには、何といたしましても、行政施策の公平な適用をすることが最も大切でございまして、そうした公平な行政運営を行うとともに、行政運営の適正化対策を一層積極的に推進をしてまいりたいと思っております。そのことによって、二十一世紀には差別を残してはいけない、そうした決意を持って、総務庁といたしましては、関係省庁あるいは関係する地方公共団体、さらには国民的課題としてこの問題を取り上げ、積極的に推進をし、一日も早い問題解決に努めてまいりたいと考えております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 建設省にもう一遍お尋ねしたいのです。  今回、私の地元福岡県を調査してみて、依然として同和行政の中に乱脈、不公正が残されていることを大変乱残念に思いました。  例えば、さっきから話が出ております住宅新築資金でありますが、中間市というところでは、一部運動団体の幹部が他人名義で借りまくってそれを踏み倒したり、返済能力の全くない生活保護者にも借りさせるなどして膨大な返済不能が発生し、これがすべて市民の税金で穴埋めしなければならなくなっております。そのため、昭和六十二年で新規貸し付けも停止いたしましたけれども、平成二年には、この特別会計での累積赤字が四億八百十六万円という深刻な事態になっております。市議会では、同和行政を正せということが超党派的な要求になっております。  地対協意見では、今後改善すべきこととして、特に住宅新築資金等の返還金の償還率の向上を挙げており、全国的にこういう問題が存在することがうかがわれるわけでありますが、どういう状況か、緊急に償還率を改善させるためにどういう指導と援助を行っているか、お尋ねをいたします。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課住環境整備室長

○浅野説明員 住宅新築資金等貸付事業の償還状況の御指摘だと思いますが、全国的な状況といたしましては、おおむね九割弱の償還状況であろうというふうに見込んでいるところでございます。  ただ、今先生御指摘のように、平均的なものでないと申しましょうか、市町村によってかなりのばらつきがあるというふうなのがどうも実態のようでございます。そういう意味では、一〇〇%の償還率のところから、今先生御指摘ありましたような、中間市がどれくらいの償還率がちょっと私承知しておりませんけれども、かなり悪いところまで含めてあるということで、公共団体の集まりでございます住宅新築資金等貸付制度改善対策全国協議会、通称住対協と呼んでおりますけれども、そういう公共団体の集まりのところからも、償還率向上のためにいろいろ事務費等もかかるじゃないか。  これにつきまして、政府として、国として、実は今のところ何も助成制度設けていないわけでございますが、そういう手間暇かかるものについても何とかしてくれというようなこともございまして、平成四年度の予算案の中には、いわば償還推進を図るための事務的な経費につきまして新たに助成をしようというようなことで盛り込もうとしているところでございます。  また、過去にさかのぼるわけでございますが、五十八年ごろには先生御指摘のような問題がかなり顕在化してきたこともございまして、「住宅新築資金等貸付事業の適正な執行について」ということで、これは局長通達ということでございますが、特に新規に貸し付ける場合に適正な審査をする等ということで指導を強めているところでございますし、仮に償還が悪い場合につきましては、かなり強行な手段、例えば法的手段に訴えてでも償還の向上を図るようにというようなことで指導をしているところでございます。

池田行彦自由民主党

○池田主査 小沢君、時間が来ておりますので、簡潔に。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 文部省にもせっかくお越しいただいたので、あと一点だけお尋ねをさせていただきたいんです。  福岡県内では、各地の小学、中学、高校で差別事件が起こったとしてしばしば確認会、糾弾会などが行われております。それで調べてみると、子供たちがふざけて、えた、非人などという言葉を使ったというケースが大部分であります。  昨年末の山田市の場合、学習会と称して、運動団体に市長以下課長クラスまでの市幹部職員、市教委、全学校教職員、PTA役員など数百名が招集され、出席しない者は団体あてに一々届けを出させられております。学習会といっても今までどんな教育をしていたかという類の追及ばかりだった、実質的には糾弾会だったわけであります。それで、未熟な子供たちのその種の発言は学校の責任で教育的措置をとるべき問題であり、このような運動団体の介入は許されないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  これで終わります。

池田行彦自由民主党

○池田主査 文部省近藤小学校課長。時間が参っておりますので、簡にして要を得た答弁をお願いします。

近藤信司文部省初等中等教育局小学校課長

○近藤説明員 お答えをいたします。  同和教育を進めるに当たりましては教育の中立性を確保するということが基本でございます。学校内で起きた差別事象などの問題につきましては、学校は教育課題として主体的に処理し解決をするということが必要でございます。ただ、その学校が問題を解決するに当たりまして、保護者や地域の協力、連携が必要な場合もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、安易に運動団体へ報告をしたり、あるいは事実確認を第三者にゆだねるなど、みずから主体的に解決する努力を怠り、問題の解決を第三者にゆだねるかのようなことは不適切である、このように考えております。  文部省におきましては、いろいろな機会をとらえまして、教育の中立性の確保に関する指導を行ってきておるところでございますが、今後とも引き続きまして指導の徹底に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)分科員 終わります。

池田行彦自由民主党

○池田主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総務庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時三十九分散会

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