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123回国会衆議院1992/05/22

法務委員会 第13号

発言数
248
登壇者
18
会派数
5
開催日
1992/05/22

会議録

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所今井民事局長、島田刑事局長、山田家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ――――◇―――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 内閣提出、刑事補償法の一部を改正する法律案及び少年の保護事件に係る補償に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 今回は刑事補償法と少年の保護事件に係る補償に関する法律案、この二つなのですが、この少年の方は少年補償法というふうに言わせていただきたいと思います。  まず、刑事補償法、まあ両方に係る問題ですが、ここで、刑事補償というものの法的な性質、これは国家賠償法との関係を踏まえて一体どういうものと理解をしたらよろしいのか、その点について伺いたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 刑事補償の性質、特に国家賠償法による賠償請求との関係についてお尋ねだと思うわけでございます。  刑事補償は、考え方としましては、定型化された国家賠償であるというふうに考えているわけでございます。刑事手続で適法に抑留または拘禁されたけれども結果的に無罪とされた者に対しましては、公平の原則上、抑留または拘禁によって生じた損害、これは必ずしも全損害ではないと考えているわけでございますが、そういう損害を国が補償するのが相当であるというふうに考えられるわけでございまして、これが刑事補償の認められる理由であります。したがいまして、刑事補償は損害のてん補である点においては国家賠償とその本質を同じくしているというふうに考えております、ただ、国家機関の故意過失を補償の要件としていないこと、及び補償金の額が定型化されていること、この二点におきまして一般の国家賠償とは異なっているというふうに考えているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 国家機関について故意過失を刑事補償では要件としていない、そして金額について定型的に、そこについて損害の立証を被告人であった者から求めることがないという意味では確かに違いがあるんだけれども、何と言うか、本質的には同じ基盤に立っているものだというふうに考えてよろしいわけですよね。  てはい国家賠償というものがどのぐうい請求をされているのか、刑事補償の過去五年間の請求人員、それに加えて国家賠償を請求した事件、これはどのくらいの件数があるのか聞かせていただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 まず、最近五年間におきます刑事補償を請求した人員でございますけれども、合計して百九十四人でございます。年間平均しますと、約三十九人ということでございます。  それから、刑事補償を受けた者から何件程度の国家賠償請求事件が提起されておるかという点につきましては、正確な統計はとっておりません。ただ、公刊物等で知り得たところで申し上げますと、これは昭和四十八年から現在までの間にそのような事件が十四件ございました。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この十四件というのは、全体百五十数件あるうちの十四件が国家賠償を請求したということで、それによって国家賠償が認められた、されたのはどのくらいなんでしょうか。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 十四件中認められたのは二件でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 非常に少ない件数だというふうに私は思います。今ここで刑事補償の金額がある程度引き上げられたとしても、それによって認容されているのが二件である。金額的に幾らということについても、多分この二件、請求どおりの金額が認められているのではなくて、ある程度というか大半減額されて認められているものだろうと思うんですけれども、これは刑事局長、どういうことなんでしょう。それほどに国家機関の故意過失を認めることが難しいのか、それとも金額がそれでは満ちてしまっているのか、一体どういうところにあるとお考えでしょうか。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 先ほどの統計的な数字で若干補足して御説明させていただきますと、今までに十四件の国家賠償請求事件がございましたが、このうち、現在まだ係属中のものが五件ございます。したがって、確定したものでいけば九件あります。その九件中二件が認容されておるわけでございます。  その認められなかった例につきましては、それは個々の事案でいろいろございましょうけれども、やはり刑事補償と違って国家賠償請求の場合には、国家側の故意過失の責任の立証という点、これが立証されなければ請求が棄却になるわけでございまして、その辺のところが棄却される件数が多くなっている理由の一つであろうというふうには思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 法の制度がそうなっていると言えばそれまでなんですけれども、刑事補償法の五条によりますと、金額が今の刑事補償で認められたよりももっと多く、上乗せして認められた分だけを国家賠償では支払えばよろしい。要するに、刑事補償法の分が先にありまして、そしてその後に上積みの分を幾ら請求できるかというような形の法律になっている。そこを見ますと、故意過失をどのくらい問うかという問題についても、上積みの分については非常に厳格なとり方をし、そして金額的にもなかなかその上に伸びないということになりますと、一体何のために国家賠償があるのかということも考えざるを得ないところでありますし、こういった形で国家賠償を請求するような事件というのは、冤罪事件として非常に世間でも注目を浴びたり社会的にも問題になったような事件が多くて、しかもその証拠の認定等については、故意とまでは言わなくてもかなりの部分について過失があるというふうには考えやすいのではないか。  例えば鑑定を出されたときに、その鑑定についてかなりの誤りがあったというような場合が多い。そうすると、その鑑定を信じてしまった国家機関は別にそのどこにもそれほどの故意も過失もなかったのだというような議論になるのでしょうけれども、しかしその点についても、同じ鑑定をするにしてももう少し複数の鑑定をとるなりなんなりしてそこで一つの犯罪を認定していく、大きな事件になればなるほどそういった注意が必要なんではないか。それを考えますと、国家賠償というものについてももう少し認めやすくなってくればいいなというふうに思いつつ、今回の刑事補償額の増額ということについては、それがなかなか認められない現時点においては非常にいいことだなというふうに私も考えるわけでございます。ぜひこれからもまた考えていっていただきたいと思います。  次に、少年補償法の方について考えていきたいと思うのです。  少年事件について、前にも同僚議員の方からも質問があったところだと思いますが、付添人制度がございます。この付添人制度の現在の運用の実態というものについて再び伺ってみたいと思いますが、どのくらいの保護事件の中で一体どのくらい付添人がつき、それは弁護士か保護者かその他がというようなことなんですが、これについて実態はどのようになされておりますでしょうか、教えていただきたいと思います。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 少年事件で付添人がつく事件の数でございますが、道路交通事件を除いたいわゆる一般保護事件というのを基準にして終局総人員で見てみますと、昭和六十一年度で千六百三十九件でございます。これが平成二年度になりまして千九百七十五件ということになっております。これは弁護士付添人には限りませんが、このうちの約九五%が弁護士である付添人ということになっておりまして、弁護士である付添人がつく事件は、一般保護事件に占める割合自体は比較的低うございますけれども、近時年々漸増の傾向にある、かように申し上げることができると思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 付添人のつかない一般の保護事件というのが非常に多い、その中のパーセンテージでいくと本当に少ないものですね。現在一〇%いかない、一割いかないものしかついていない。それでも弁護士がついてやる事件というのが、付添人なんかあるのですが、この点については非常に刑事手続についても少年は保護されている、保護の立場から少年法の適用にはなっているとは言いながら、しかし成人の刑事事件と同じような人権保護という立場からいいますと、そういったものが保護されていない点も多い。なるべくここで付添人制度というものをもっともっと広げていっていただきたいと私は思うのですけれども、このごろ裁判所の方からこの事件については付添人をぜひともつけてほしいというような申し出があり、それについて法律扶助協会を通して付添人を依頼するというような形がとられてきているというふうに聞いておりますが、これは一体どのくらいの割合がございますか、伺いたいと思います。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、少年事件におきましても、その事案の性質あるいは少年が非行事実の重要な部分を争っておるというような事案につきましては、弁護士である付添人の援助が必要な事案というものがございます。裁判所としても、そういう場合に弁護士の付添人についていただきたいという要請があるわけでございますので、そもそも今仰せの付添人扶助の制度というのは、裁判所の方から照会をしまして、こういう少年事件に付添人をつけていただけるかどうか、こういう照会から始まった制度でございます。  昭和四十八年以降、各地で家庭裁判所と弁護士会と法律扶助協会の三者の合意に基づいて運用してきておるというのが実情でございまして、まだ全国的に全庁で行われているという状況ではございませんけれども、年々ふえてまいりまして、私どもで現在把握しておりますところでは、本年の五月一日現在で、全国の家庭裁判所のうち三十八庁で付添人扶助制度が実施をされているわけでございます。細かな数字そのものは必ずしもわかりませんけれども、平成三年度中に弁護士である付添人がこの扶助制度によって選任された件数としては三百一件であるというふうに把握をしております。     〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 先ほどの付添人の選任で、平成二年度までなのでちょっと比較はできませんけれども、平成二年の付添人でこの法律扶助による付添人に依頼をされたのはやはり三百件近いものでございましょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 私どもで把握している数字で申し上げますと、先ほど年々ふえてきておるというふうに申し上げましたけれども、昭和六十二年度は九十八件、昭和六十三年度で百二十七件、平成元年度で百七十六件、平成二年度が二百七十六件、それで先ほどの三百一件、こういうふうに年々ふえてきている状況でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 これが年々ふえてきているのも一つの形としては望ましいことであると思いますけれども、それにしましても、弁護士としての付添人がついた件数が千八百件とか千九百件ぐらいあるとすると、そのうちの三百件足らずとか三百件ぐらいということになりますと、これもまだまだ非常に比率の低いものでありまして、この点でも、少年をもう少し司法手続と同様のものをとられる、または家庭裁判所内でのいろいろなことでどういった形でのこれからの処遇になるかということについて、付添人の制度の活用ということをもっともっと考えていっていただきたいと思います。  特に付添人の場合には、刑事手続そのものというよりも、そういったことよりも、これから先のその少年の改善可能性とか一体どういうふうにこれから先指導していったらいいのかという意味での、従来あり良した弁護士業務からいいますとちょっと違った意味での部分、分野といいますか、そういうものを要求されていることが多いと思うのですね。それで、弁護士に依頼するということも一つとしまして、家庭裁判所の中でそういった弁護士たちを対象としまして付添人制度、まあ付添人というのはどうあらねばならないかということについて、ある程度の示唆といいますか、こうあってほしいという形でのPRといいますか、そういったことなどは行っておられるのでしょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 付添人制度があるというような制度の趣旨の説明としましては、事件を受理して呼び出し手続をする過程で、「少年と保護者の皆さんへ」という書面の中でこういう制度がございますというような説明をしているのが一般的な各庁の扱いだと認識をしております。  また、法律扶助協会あるいは弁護士会との間では、各地裁判所に対して弁護士会あるいは扶助協会の方から話し合いをしたいというような申し出が間々ございまして、そういうような申し出がある場合には家庭裁判所も進んで御一緒にその協議会を開くというようなことを行っておりまして、これまでに行われてきている例としましては、そういう法律扶助協会との間の話し合いによりまして、付添人の役割でありますとか付添人制度の広報の問題でありますとか法律扶助制度の活用の仕方というようなことについての協議が随時各地で行われてきておると考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 大分古いことになりますけれども、今現在お聞きしたところでも年間で三百件くらいのものですから、私たち弁護士の中でそれを一件か二件付添人ということで任務を果たすことがあれば多いくらいのところだと思いますけれども、そのころに付添人のマニュアルというふうな小冊子が、マニュアルという名前で出ていたわけではないのですが、出ていました。その中に、体験談また観察官やら何かどの接触の仕方、それから一体本人とどういう話をどのような形で短い期間内にしていって心を開かせていくかというようなことについて書かれた小冊子がございました。そういった刊行物などは家庭裁判所としてはおつくりになるようなことはされていないのでしょうか。また、調査官そのものがそういったものをある程度公的な形で出版されるという計画その他はございませんですか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 今の付添人制度そのものについて、付添人との接触の仕方とかそういう細かな点についての解説書のようなものは特にございませんけれども、家庭裁判所では少年の保護ということを任務にしておりますので、裁判官に対しても調査官に対しても書記官に対しても、内部で少年保護事件を取り扱う場合の一般的な心構えてありますとか対応の仕方というものについては、研修その他でも当然やっておりまして、外部向けに裁判所がそういうものを特につくるということまではいたしておりません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 これはちょっと伺ったところで、付添人のことから外れますけれども、保護観察の処分にされた少年について、その少年金部についてではありませんけれども、老人施設においてある期間老人と接触をさせるといいますか、介護というような形でお年寄り等のボランティアも含めての話ですけれども、そういうことを保護観察の一環として計画をされ実行されている、そしてそれが子供たちにもまたお年寄りにも非常にいい結果を生んでいるというような話をちょっと聞いたんですけれども、そういった実態について今把握されていることがございますか。これは質問通告にはなかったことなので、もしおわかりであれば伺いたいと思います。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 法務省の執行機関、特に矯正局、保護局等の方でそういう問題について御関心がおありで、既に一部実行されているという話は伺ったことがございますが、執行関係での細かな実態につきましては私ども十分承知はしておりません。裁判所の方もそれに対する関心はございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この問題についてはまだ機会があったときに伺っていきたいと思います。  それでは、次に、警察に少年が留置される場合について伺いたいのです。二十歳未満の少年が逮捕されて警察から家庭裁判所へ送るまでの期間、また勾留されたら勾留されてからの期間、警察の中に少年が留置されるような場合があると思うのですが、その実態について伺いたいのです。  警察では建物の中で、部屋とか出入り口とかいうものを、少年とそうでない成人の逮捕された者との間にどのような区別をして収容をしておられるのでしょうか。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 警察の留置場におきます少年の被留置者の取り扱いでございますけれども、少年の被留置者につきましては、成人の被留置者が収容されております留置室とは隔壁などで分隔をされました少年用の留置室に留置をいたしておるところでございます。そのようにして成人とは分離をして留置いたしておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この少年用の部屋というのは、仮に捕まった少年がだれもいない場合でもずっとそこは少年用にとってある部屋なんですか。それとも代替的に、成人を入れたり少年がたまたま入ってくるとここを少年用の部屋にするという意味なんでしょうか。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 少年用の留置室と申しますのは構造上そのようにつくったものでございまして、原則としましては、少年が入ってきたときに使うという留置室でございます。ただ、いろいろな捜査のパターンで非常に緊急を要するような場合、成人用の留置室が定員いっぱいになっておってどうしても使えないというような場合には、臨時に少年用の留置室を使うことが全くないというわけでもございませんけれども、その場合におきましても、例えば少年が留置室に入っておる場合にはこれは使わない。したがって、少年と成人とが同一の留置室に入ることは全くないようになっております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 出入り口、それから接見に行ったり何かするときに留置室の前を通ったり、すれ違ったり、そういう意味での接触はどうですか。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 現在の留置場におきましては、留置室の中だけではございませんで、少年と成人の間では、例えば留置場内の通路においても相互にその姿が見えることがないように構造上いろいろ工夫をしているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 そうすると、出入り口だけが一緒という形になりますか。警察からの出入り口といいますか、フロアか何かになっていますよね、そういうところからの出入り口は一つだけということですか。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 警察署の施設、新しいもの古いものいろいろございまして一様ではございませんけれども、最近できました新しい留置場等では、留置場の出入り口も極力分離をしていこうという配慮をしているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 私は、留置された少年に会いに行くことは何回もありましたけれども、一度もその中を見たことがないので、ぜひ一度拝見させていただきたいと思います。一体どういうふうな形でそれぞれが出たり入ったりすることができるようになっているのか、それから少年用と成人用が載然と壁等で分かれていて通信等ができないような形になっているというお話ですけれども、一体どういうものなのか、一度見せていただきたいと思いますし、また少年用と成人用ではその区別以外は設備等は全く同様のものといいますか、内部的な仕様というものは同じようになっているということなんでしょうか。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 原則的には、留置室の中の構造は成人用、少年用にそう変わりはないものでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ぜひ一度拝見させていただいてから、各地の幾つかの警察等について見せていただいてからまた質問をしたいというふうに思います。  それから次に、また補償の問題に戻りますけれども、少年補償法の方で補償をしてほしいという申請をする具体的な手続は、どのような形でなされますでしょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 今回の補償法案によりますと、家庭裁判所が補償決定をする、こういうことになっておりますので、家庭裁判所が補償決定いたしますと、後は本人からの申し出ということで払い渡しの手続に入るわけでございます。その実際の手続そのものは、基本的には刑事補償金の支払い手続と同様になるものと考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この金額については、一日千円から今度値上がりして、一緒に、同じようになるとすると、一万二千五百円までありますね。少年の場合は比較的短い拘禁期間になるとは思いますけれども、しかしそれでもやはり五十万とかそのぐらいの金額は想定されると思うのですよ。こういう場合、三十万、五十万という金額は想定されると思うのです。一体こういう金額について、払い渡すときにその方法について、どのような形で払い渡したらいいのか、まただれに払うのか。少年本人に払い渡すということで本当にいいのだろうか。またしかし、それでは保護者に問題なしとしない場合もあるであろう。そういう個別にいろいろ考えなければならないとすると、その払い渡す相手を一体どのようにして決めていったらいいのだろうかと思うのですが。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 現在、私どもの方でも実際の払い渡し手続を、どうなっていくのかということにつきましては今検討をしている段階でございまして、はっきり考えが固まっておるというわけではございません。しかし、基本的な現在の認識を申し上げますと、補償決定そのものが少年を名あて人として行うということでございますので、少年本人から払い渡しの請求があった場合には当然少年本人に払わざるを得ないであろうというふうに考えております。また、少年は未成年でございますので、親権者が法定代理人として請求してくるという場合もあり得るかと思いますが、この場合も、もう既に、補償決定をいたしますと、少年自身に実体上の請求権、権利が発生しておりますので、それの財産管理という意味で法定代理人から申し出があった場合にはこの法定代理人に支払うということにならざるを得ないのではないか、一応そんな程度のことを考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 請求をした人あてに支払うのが原則だというふうにならざるを得ないのじゃないか、そういうことですよね。果たしてそれだけで本当にいいのかということが非常に問題がある場合もあると思うのです。長いこと拘禁されて成人になってしまったような場合には問題は余りないと思う、金額が多くなってもないと思うのですが、そうでもない場合に、例えばそれに対してある種の例外的な規定というものを内部的に設けるというようなことは考えられませんでしょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所が後見的立場から少年の保護を考えなければいけないわけでありますが、あくまでそれは事件処理あるいは審判手続の範囲内ということでございます。  今回の補償法では、補償につきましても家庭裁判所が後見的配慮をするということにはなっておりますけれども、それはあくまで補償決定までであろう。一たん決定がなされますと、既に先ほど申し上げましたように実体法上権利が発生して少年自身のものになる、効果が出てまいりますので、後はそれは会計事務処理上の問題ということにならざるを得ないというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 何だか急に冷たくなっちゃったような気がしますけれども、せっかくなんですからもうちょっとのところまで少年のことを後見的に考えていただければありがたいんだけれどもなと思います。  確かに、どこまで口を差し狭めるかということになりますと難しいとは思うのですけれども、何らかの形でそのときに、例えばこれに払ってもらっては困るんだというような申し立てがあったような場合に何かしらの形がとれるのかどうかなというようなことを、仮に付添人がいた場合などについては考えるわけです。どこまでを所管するかという難しい問題はおありでしょうけれども、ぜひとも、払い渡しという点についても、やはり少年本人に対する保護とかこれからの少年の生き方に直接関係のあるものとしていろいろと手続もと。っていただきたいということをお願いしておきます。  もう一つ、これも前に何回か聞かれているところなんですけれども、この少年補償法の方の「補償をしないことができる場合」というので本人の辞退とかその他の特別の事情がいろいろあるわけです。これは刑事補償法、成人の方にはないにもかかわらず特にこれを設けた理由について、済みませんが、もう一度お願いしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 刑事補償法につきましては、委員御案内のとおり、これは憲法四十条の規定から請求権という構成の仕方をもちろんしているわけでございます。これに対しまして少年補償法につきましては、家庭裁判所の職権によって補償するか否かを決めるということになっているわけでございまして、そういうこともございまして、補償について少年の意思を反映させるということも一つにはそのねらいとして考えているんだろうと思います。  それからまた、今委員御指摘になっておられますこの法案の三条三号に「補償の全部又は一部をしないことができる。」として事由を掲げておりますけれども、ここに規定してございます例えば少年が補償を辞退している場合、あるいはそのほかの事由としては、例えば客観的な犯罪事実は認められるが責任能力が認められないとして非行なし不処分決定等がなされたような場合とか、それから専ら例えば虐待を受けている少年を緊急に保護する目的で観護措置がとられたような場合とか、その補償の全部または一部をしないことが少年の保護育成上相当であろうというふうに家庭裁判所の健全な裁量によって考えられる場合に、その全部または二部をしないことができる場合を設けるのが少年補償制度の建前からいって相当であろうということで設けたものであるというふうに基本的に考えているわけでございます。     〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 客観的にわかる場合はいいですけれども、意思の尊重ということで、辞退の場合が一番問題になると思うのです。辞退をすることで意思の尊重と言いますけれども、成人と少年とを比べたら、それなら成人の意思も尊重したらいいと思うのですよ。成人の意思を尊重するのは当然のことでしょう。わざわざここで少年の意思というものだけを特に尊重するということを言う、しかも辞退という方向に向かってだけするということで補償しないことができる場合をくっつけるというのは、いかにも成人と少年の場合にその分だけマイナスの差別をしているとしか思えないのです。それを少年の意思の尊重だという理由であれば全くこれはナンセンスな話になると思うのですが、この点もう一度。  ほかのはいいですよ。ほかのことについては家庭裁判所がある程度、どういう場合にこれはここでもって処分しないということになったんだろうと、そういうことによってそれは裁量されるんですから、それは裁判所の一つの後見的な立場からされると思うのですが、意思によっての辞退ということについては、少年の意思がまだ固まっていないのは成人よりも当然でありまして、あちこちで圧力がかかることがあり得る。まだまだ固まった意思を形成できない、そういった少年のときに、そこだけ意思尊重して辞退というのをばっと明文で一つ持ってくるというのは一体どういう意図なのかと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどの私の説明にちょっと舌足らずな説明があったかと思いますのでもう少し御説明申し上げますと、この補償の辞退は、家庭裁判所が補償の全部または一部をしないことができる一つの事由として掲げているわけでございます。これは、この補償の辞退があったからといって、直ちに補償の全部または一部をしないということになるわけではもちろんないわけでございまして、家庭裁判所の健全な裁量によって補償の全部または一部をしないことができるにすぎないという建前になっているわけでございます。  これは、少年法もそうでございますけれども、この少年補償法、略して申し上げますが、この法律案におきましても、家庭裁判所は少年に対して十分な後見的機能を発揮すべきものであるということが予定されておるわけでございまして、一たんその少年が補償を辞退する意思を表示したからといいまして、直ちに補償しないという旨の決定をするということではないわけでございます。もちろん家庭裁判所は、先ほど申しました少年の健全育成というかそういう立場から、後見的判断と申しますか少年の判断能力や辞退の理由を十分考察した上で、必要に応じて保護者からも意見を求めるなどすることもあると思うわけでございまして、そうした上で、補償をするのがいいかどうか、あるいはその内容を定めるという運用が予定されているというふうに思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この補償というのは、申請をするわけですね。申請をして補償請求というのはするわけでしょう。要するに、要らなければ申請をしなければいいわけでしょう。そうじゃないんですか、この補償というのは。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは先ほど最高裁御当局から御説明ありましたように、家庭裁判所が職権で補償をするかどうかということも含めまして判断するわけでございまして、少年の請求に係らしめているものではございません。  もう少し申し上げますと、刑事補償法の方は、請求権という形で構成しておりまして請求に係らしめているわけでございますが、この少年補償法の方は、請求あるなしにかかわらず家庭裁判所が職権で必要だと考えればするということになるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 では、私が誤解していたのかもしれませんからもう一度確認だけさせてください。  さっき、申請の具体的な手続というところで、家庭裁判所の方で一応その金額を決めて、後は払い渡しの方法ということになるけれども、そこで、決めたら必ず支払われ、欲しくない場合は申請をしなければ、例えば申し立てる人が法定代理人であろうが本人であろうが請求をする人にあてて支払うということだったのですけれども、だれも請求しないという場合だってあるわけではないんですか。だれでも、家庭裁判所が渡すよということを先に後見的に決めてしまえば、それによってもう支払われてしまうということなんですか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 今回の法案を前提にして私どもが認識しておりますところでは、今回の法案は、家庭裁判所が非行なしという決定をした場合には職権で、少年からの申し出のあるなしにかかわらず補償の要否を考える、こういうことでございまして、その判断の結果補償決定を行うということになります。補償決定が出ますと、少年に補償金についての実体法上の権利、効果が生ずる、後は現実に会計上請求の手続が出てくる、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 その請求権云々の問題で先ほど濱刑事局長が言われたような形とは、成人とは違うにしても、現実にそれは要らなければ取りにいかなければ済むわけでしょう。そういう場合でも、どうぞどうぞと言って持ってくるわけでもなければ銀行振り込みで払われてしまうわけでもないでしょう。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 まだ詳しく検討が全部済んでいるわけではございませんけれども、先ほどのように、基本的には刑事補償金の支払いと同じことになるであろうと考えておりますので、それを前提にして考えますと、実体法上発生した権利について具体的にお金の払い渡しを求める場合には、御本人の方から払い渡しの申し出をしていただくということになろうかと思います。この場合に、本人が全然払い渡し請求をされないという場合には、理屈の上では何年かたったところで会計法上は時効というような問題で処理されることになろうかと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 だから、ここで、私は欲しくありません、こういうものをもらうということは潔しとしないから自分で欲しくありませんという人が成人にもいるかもしれないし、少年にもいるかもしれない。あえて少年だけについて辞退ということを言っておく必要というのは、本来いったら余りないのじゃないかと思うのです。それをわざわざそこで辞退ということをくっつけて明文に載っけているというところは、もし明文になくても、裁判所がどのくらいの補償をしようかという決定をされる際には、本人はこういうものを欲しくないのですともしその場で言ったりすれば、いろいろなことを考慮されるのは当然のことなんですよ。わざわざここで辞退という言葉を出して何かそのことについてだけ非常に強調しているようなそういった形をとられる法文というのは、一体どうしてこういうふうなことをされるのか、もう一度だけお願いします。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員の御理解ちょっと誤解があると言うと失礼でございますけれども、まず三条で一号、二号、三号と書いてございまして、「補償の全部又は一部をしないことができる。」という場合を規定しておりますのは、これは「補償をしないことができる場合」でございます。要するに、補償をするかどうかを判断する場合の例外事由を書いているわけです。それで、家庭裁判所が職権で、その本人からの、少年からあるいは保護者からの申し出を待たずに、補償の要件あるいは補償をするのがいいかどうかということを判断するわけでございます。ですから、その段階では少年の申し出を待つわけではないものですから、しないことができる場合の一つとして「本人が補償を辞退しているときその他補償の必要性を失わせ」云々という除外事由が規定されているわけですね。  委員お尋ねになっていらっしゃるのは、多分、補償決定があって、この補償金の払い渡しの段階のことをおっしゃっておられるのじゃなかろうかなというふうに思うのですが。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 私も失礼ですけれどもちょっと誤解しておられるのじゃないかと思うのですけれども、私はそう言っているのじゃないのですよ。  おっしゃっている意味では、ここの「補償をしないことができる場合」というのは、請求権がどうこうだといって、こういう補償をするということを決める、その中の一つの要因として幾つか、一、二、三と挙がっているのだ、これはいいのですよ。けれども、こんなことをわざわざ決めなくてもいいでしょうと言っているのです。わざわざ明文で「補償を辞退しているとき」とか、そういうことを言う必要はないでしょうと言っているんですよ。もしも辞退をしたい人だったら、事実上取りに行かなければそれまでのことだし、後の手続をとらなければそれまでのことだし、また辞退をしているということでそれを裁判所が判断されるのならば、明文にあろうとなかろうとそういうことを含めて判断されるであろう、わざわざここで辞退ということを一言この要素として入れる必要はないでしょうと言っているんです。その入れる必要のないことの一つの理由として、手続的に言えば、本人の意思ということで言うならば、本当に要らなければ取りに行かなければいいというだけのこともあるわけだからわざわざ書く必要もないだろうし、またどうしても必要であるということであれば、何も明文でわざわざ書かなくたって裁判所はそういうことも考慮の中に入れて決めるであろう、わざわざ書いだというのは何か辞退しろ辞退しろということを前提として言っているような、そういった気分が多くなるでしょうということを言ったんです。もうわかりましたから、そういうところの問題だということを認識していただいて、あとは裁判所が御判断いただくときに、これが強制に出たものでないこと、それから原則として受ける権利があるのだということを確実にやっていただくということを申し上げておく以外ないのじゃないかと思います。  それから、次の問題に移ります。  おとといの二十日の質問でちょっと時間がなくて余り聞けなかった部分があるものですから、告発の問題についてまた少し違う問題から聞いていきたいと思います。  二十日の質問のときにやったのでは、告発がなされた場合に検察当局はそれをどのように処理されるのか、受けてそれで捜査をされるということなんでしょうけれども、この場合に告発を受けてもいつまでもずっとそのままほっておくということはあるのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 検察官を含めて捜査機関が告発を受理した場合には、当該受理した告発に関係する事実について直ちに捜査を進めていくことはもとより当然のことだと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 告発が受理されてから、これでもう起訴はしないとか略式にしようとか、またはちゃんと起訴をするとかいろいろあると思うのですけれども、大体それまでにどのくらいの期間がかかるものでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員のお尋ねは、告発を受理してから処理をするまでの期間についてお尋ねだと思いますが、これはその事案によりまして一概に申せないというふうに申し上げざるを得ない。と申しますのは、非常に簡単な事件を告発された場合にはそれほど時間がかからずに処理ができると思いますけれども、非常に難しい事件、証拠関係の多い事件につきましては処理までにかなり長期間を要するということで、これは一概には申せないと思うのでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 今の、一概には言えないというのはわかります。そのときに、証拠関係等について収集するのに非常に時間がかかる、取り調べるのに時間がかかる、そういうことはいっぱいあると思うのですけれども、もうある程度証拠が整っているような場合、これこれの証拠というものもつけたような形で出されてきた場合、それの正しいかどうかという後づけを要する、または法的判断に非常に難しい問題があるような場合もあると思うのですけれども、告発をした側からいいますと、一体いつごろその結論が出るのかということは非常に結果が待たれるところであると思うのです。ある程度きちんと証拠がそろっていると想定されるような場合でも、千差万別だとは思いますけれども、まさか公訴期間が過ぎてしまうまでということはないですよね。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員仰せになった公訴期間というのは公訴時効のことをおっしゃっているわけですか。――検察官の場合について、私、申し上げますと、告訴、告発を受理して捜査いたします場合に、その告訴、告発の内容となっております事実の時効期間がいつごろまであるかということは常に念頭にあるわけでございまして、捜査中のままで時効期間を経過するというようなことは絶対させてはならないという心構えで検察官は捜査を進めるのが普通であろうと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 その結論が起訴ということになった場合には、公訴時効期間が過ぎていない場合であればそれでいいと思うのですけれども、起訴はしないことになったよといった場合には、次の手続としては検察審査会もやってみなければならない、またそこでの再度の審査もしてもらわなければならない、その上でまた起訴もしてもらわなければならないとすると、公訴時効期間から見ると結論が出るまでにかなり幅がないとその後の手が打てないということも考えられますよ。そういうことを考えると、そこら辺までの余裕で今までもこれからも告発、告訴を受けたような事件については処理されていくのであるというふうに私たちは信じてよろしいのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど申し上げせしたように公訴時効期間というものは常に念頭に置いておりますし、今委員がお尋ねありましたように、検察官の処理だけではなしに、その後それを踏まえて、例えば検察審査会への申し立てとかあるいは検察審査会で御審査になられる期間とか、そういうものも一切考えながら検察官の方では早期に処理するという考え方でやっていることは、従来もそうでございますし、今後も当然そのとおりだというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 具体例として一つお聞きしておきたいと思うのですけれども、三月ころでしたか、私、法務委員会で質問しましたけれども、例の阿部文男代議士の告発の件でございます。  私が質問をしたのは、証拠等は供述調書もいろいろとすべて整われて、検察としては阿部代議士の件についてはもうすべて調べ尽くした、事実上これで大体終わったんだ、起訴するべきであると思料するものは起訴をしてこれで終わったんだというふうなお話を伺った。その後、そのときの私の質問の中で、国会での各種の証人、参考人の事情聴取等を踏まえると、そしてまた他の被告人であるところの森口という人の供述等についての信懸性を考えると、阿部文男代議士については、一億円の横領が、法的な構成はよくわからないけれども、その消えてしまった分について阿部文男代議士がとってしまったんではないかという疑惑がどうしても出てくる、その点について告発ということもあり得るのだけれどもどうかなということをお聞きしましたならば、それに対しては、告発があれば対応いたしますというお答えをたしかいただいております。  そして、その後に参議院の予算委員会で我が党の久保亘議員がそこで言われたのは、またそのことについて聞かれたときに、その件について告発が確かにあったということを御報告いただいていると思うのです。その件につきまして、一応終結宣言を出すほどに今まで取り調べが十分に済んでおる、取り調べの書類がたくさんきちんと出ておる、そういう中で告発があった。今までの起訴されていた事実とは違う事実で告発があった。これについての取り調べということまたはこういう事実について起訴するかしないか、その御判断は、今のお話を聞きますと、もちろん公訴時効から検察審査会から、そういう期間のタイムリミットということではなくて、もっと早い時期に結論が出せるのではないかと思うのですけれども、今その方はどのような形になっておりますでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になっておられる告発事件と申しますのは、本年三月十九日に東京地検が告発を受理した事件のことをおっしゃっておられるのだろうと思うわけでございます。現在も東京地検において捜査中であるというふうに聞いております。  では、どういうことを捜査しているのかということも恐らくお尋ねの中に入っているのだろうと思いますけれども、その点は現在まさに東京地検が捜査している事件の具体的内容にわたることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、東京地検におきましては、必要な捜査を的確に遂げて厳正な事件の処理をするであろうということは申し上げられると思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 その時期を私はお聞きしたいと思うのですね。結論、厳正なお答え、いずれのお答えでも、それはその内容にわたっては私たちが一々ここでとやかく言う問題ではもちろんないと思うのですが、一体どういう時期になりますとそのお答えが出てくるんだろうかということでございます。  先ほどの話では、そういった告訴、告発のような事件については、検察審査会といったところでの慎重な審議も含めての、もちろん公訴時効がかかるような時期でないときに出るということはもうここで刑事局長の方からお約束をいただいているんだろうと思いますけれども、今のように証拠がある程度きちんと整理されているであろう事件についてですから、いつごろそういった結論が出るかということは、まあおわかりでないのかもしれませんけれども、ぜひ伺っておきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 具体的事件について、いつごろ捜査の見通しがつくかと申しますかいつごろ捜査が終わるかということにつきましては、ちょっとお答えはいたしかねるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 もうそんなに調べることがないとおっしゃった検察なんですから、調べることがもうない事件についていつまでもいつまでも、ただただ判断をするために時間を費やすことはないと私は思うのですよ。ですから、結論は結論ですから、その後のこともありますので、ぜひそれを早く出していただきたいと思います。  その後に検察審査会というものがあるのはいろいろ聞いたのですけれども、その検察審査会の効力というものが、この間は潜水艦の衝突にかかわった問題についての文書偽造その他についての告発を伺ったわけですけれども、一般的にこの検察審査会についての国民の認識が非常に低いということを、この間裁判所の方から統計を見せていただきまして、三割の人しか、存在すら、名前すら知らない。三割しか知らないということで、私も大変ショックではあったのです。それから、私も何人かの人に検察審査会というのを知っているかと無作為に聞いていきますと、本当にそうだと思うのです。十人のうち三人ぐらいしか知っているという人がいない。何それという人が結構いたりするということで改めてびっくりしたのですけれども、この検察審査会というものが知られていないというのは、もちろんPR不足ということもあるでしょうけれども、それによって検察審査会が目覚ましい活躍をし、世間の耳目を集めるということがなかなかできないからではないかというような気もしてならないわけです。裁判所が一応管轄をされているように聞いておりますけれども、この審査会制度、効果も含めてどのように評価されていますか、教えていただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 検察審査会制度の広報ということは大変大切なことであると私どもも認識いたしておるわけでございます。そこで、いろいろな方法で広報活動に努めておるわけでございます。  先ほど委員から、三〇%ぐらいの人しか知らないではないかという御指摘がございました。私どももこれで十分とは思っておりませんで、なお広げてまいりたいと思っておりますが、前回、昭和五十八年、約十年前に調査したときには二一・六%という周知度であったのが、先回の調査では三一・二%と約一〇%上昇してきております。そのような数字を励みに、私どもとしてはなおかつ充実した広報活動をやってまいろうと思っておるわけでございます。  例えば、裁判所の見学者に対しまして検察審査会の制度を説明し、パンフレットやリーフレットを交付したりしております。これは平成二年度に限って申しましても、裁判所来庁者に九万五千部ぐらい、それからまた自治体とか選管には平成二年度でいいまして五十八万四千部ほど配っております。また、学校その他の各種団体には八万八千部ほどを交付いたしております。そのほか、市町村広報紙にPR記事を掲載してもらいますとか、あるいはラジオ、テレビ等の放送、また講演会、広報用映画の上映会等いろいろなことで努めておりまして、先回鈴木先生からお話がございましたように、このほど新しく広報用の映画もつくり直して、なお広報活動を続けてまいろうと思っておるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 広報活動をしていただくについて、やはり検察審査会の効果、運用についてもぜひともお考えいただきたい。実効性のないものであれば、幾らそこでいい結論を出しても、検察がそれを取り上げなくても平気な顔をしているということではやはりどうしようもないわけで、前回のときにも、検察も、検察審査会から起訴相当とか不起訴不当というようなお答えの場合には、またより経験豊かな人に捜査をもう一度正確にやり直すというようなことを言われましたので、その点ももう少し、検察審査会という数少ない国民の司法に参加する場ですので、ぜひとも尊重して、仮にそれで無罪になっても、無罪率ががんがん上がったとしても、その点について何も検察のメンツなどを考える必要もなくて、それは国民の人たちの考えだということですから、ぜひその点もお考えいただいて、だからやらなくてもいいんだというようなこと墜言われずに、無罪率を少なくするなどということばかりを考えずにぜひやっていただきたいと思います。  時間が少なくなりましたので、あと二項目ぐらいあったのですけれども、最後に、昨日の新聞の中で、第三次の行革審、世界の中の日本部会の報告がなされたというのが出ておりました。この中に、外国人弁護士の日本における活動の規制緩和の要求がECやアメリカ等から出されていた部分についてのお答えがなされておりました。これについての記載があったのですが、一応法務省からこの点についての御説明といいますか、どういった結論というかどういった答申の内容になっているのかを簡単にお知らせいただきたいと思います。

濱崎恭生法務省大臣官房司法法制調査部長

○濱崎政府委員 委員御指摘のとおり、行革審の世界の中の日本部会におきまして、いろいろな制度、基準の国際化といった観点からいろいろな問題を取り上げて検討をされまして、その一つとしていわゆる外国弁護士の活動の規制緩和問題というものが取り上げられ審議をされたわけでございます。その結果といたしまして、昨日部会としての報告を取りまとめられて、これを行革審のいわば親会の方に報告として提出されたというふうに承知しております。  その概要は、政府はこの問題の解決のために広く国民各層、関係各界の意見を反映し得る開かれた公式の場を早急に設けて結論を得るように努めるというものでございます。これは現在はまだ部会の報告の段階でございまして、行革審としての答申の取りまとめということは若干後日のことになろうと思いますが、行革審としての答申がされた場合には、法務省としてはその内容を十分に尊重して、その趣旨に沿った問題の解決のための努力を傾けていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 日本の弁護士というものの業務の公共性とか、また日弁連の自主性というものが行革審の中でもある程度考えられて、公開の場、話し合いの場というものをつくれというような形での報告が今なされているという点で私などの希望にある程度合致した形での解決がされてきているのかなというふうにも思います。法務省がなされる場合にもぜひその点、日本の弁護士業務の特殊性、公共性というものについての御配慮をお願いしまして、私の質問を終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 少年補償法のことについて、まず基本的な考え方をお尋ねしたいと思います。  我が国憲法第四十条を引き合いに出すまでもなく、拘禁の後無罪と決まった者については補償を行うという規定がございますが、憲法が施行されて今日四十数年もたつというのに、なぜ少年に限ってこれまでそういうものの法の完備が行われなかったか、その辺の事情をまずお尋ねしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたとおり、憲法四十条は、刑事手続において抑留、拘禁の後に無罪の判決を受けた者の刑事補償請求権を保障したものでございます。少年の保護事件手続におきまして、非行が認められないことを理由に不処分等の決定を受けた者を対象とするものではございません。  現行の刑事補償法が立法されました昭和二十五年当時も、刑事補償と同じように少年補償を行うべきであるという議論は見られなかったように私どもは理解しているわけでございます。これは現行少年法が刑事司法的アプローチをとらずに、いわゆる国親思想のもとに専ら後見的、福祉的なアプローチをとったことによるものと考えられるわけでございます。言葉をかえて申しますと、国親思想のもとで家庭裁判所はその保護を要する少年の親であって庇護者である。保護事件手続における身柄拘束もそのような家庭裁判所が少年保護の目的で行う利益処分の一環であるから、結果的に身柄拘束が誤っていた場合にも、国家賠償は、無過失補償の問題は格別生じないというような一般的理解であったのであろうと思うわけでございます。  しかしながら、このような後見的、福祉的なアプローチに対しましては、少年の権利保障と事実認定あるいは処分の適正の両面から問題が提起されたわ打でございまして、法務省におきましても昭和四十五年、少年の権利保障の強化と検察官の関与等を内容とする少年法改正要綱を発表いたしました。その中で、いわゆる非行なし決定を受けた者に対しましても刑事補償を行うべきではないかということを提言したわけでございますが、種々の理由から現在まで実現を見るに至らなかったということでございます。  この間、現行少年法のもとにおきましても、少年の権利保障ないし適正手続の保障を重視した解釈、運用がなされるようになってまいりましたし、また身柄拘束の目的、性質だけではなくて、身柄拘束の実質的不利益性そのものを重視する考え方が一般的になりつつあるわけでございまして、このような状況のもとにおきましては、刑事手続により無罪となった場合あるいは罪を犯さなかったものとして不起訴処分に付された場合等であれば刑事補償あるいは被疑者補償が受けられるのに対しまして、少年の保護事件手続において犯罪事実が認められないということで不処分等の決定を受けましても同様の補償を受けることができないのは不公平であるということが強く意識されるようになったものというふうに考えるわけでございます。  加えて昨年三月二十九日の最高裁決定におきましても、立法論としてこのような場合にも補償の措置を講ずることが望ましいという意見が付されたところでございます。こういう状況から、現行の少年法のもとにおきましても、できる範囲で早急に少年補償制度を創設して少年等の保護に十分を期することとしたというのが基本的な考え方でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 長い答弁をいただいて、どうも何を言われたのか、しまいごろにはよくわからぬようになってしまったのですが、憲法第四十条には「何人もことあるのですね。少年は「何人もこのうちに入らなかったのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この憲法四十条は「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」という規定でございますので、少年保護事件手続において不処分等の決定があった場合はこれには当たらないというふうに理解されていると思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 憲法というものは、総合的に基本的人権の立場に立って考えねばならぬのであります。それは「第三章 国民の権利及び義務」のところに随所ににじみ出ておるのであります。そして、その一番最後のところで、公権力の行使によって人様に迷惑をかけた場合にはこうしなければならぬという趣旨なのであります。それを刑事事件において無罪の裁判を受けたときというふうに局限して、確かにこの文章はそうでしょうけれども、それと同じ考え方は随所に、法律的に整備されなければならぬわけでありまして、率直に、今まで法律的な手続というか立法化がおくれていた、こういう答えにはならないのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 憲法四十条で申しております「無罪の裁判」と申しますのは、これは累次の最高裁の判例でも明らかにされておりますように、刑事裁判手続において無罪の裁判を受けたときというふうに解されているわけでございまして、今問題になっております少年の保護事件手続において不処分等の決定があった場合はこの憲法四十条で言う「無罪の裁判を受けたとき」には当たらないというふうに一般的に理解されていると思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 憲法四十条はそうであるから、これと同じ考え方は何人にも及ばねばならない、権力と国民個々人との間においてこの考え方は及ばなければならぬ、そういう考え方はなかったのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、昨年三月二十九日の最高裁決定の中では、その意見の中で、立法論として少年保護事件手続において不処分等の決定を受けた者に対しても補償を与えることが望ましいという判断が示されたわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 だから、それまではでたらめであったということでしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、憲法四十条の規定しているところは、刑事裁判手続において無罪の裁判を受けたときの補償を受ける権利というものを規定しているわけでございます。ただ、憲法の四十条の規定そのものからではなくて、先ほど申し上げましたように、少年保護事件手続において不処分等を受けた場合についても抑留または拘禁に対する補償をするのが望ましいという立法論としての御意見が昨年の三月二十九日の最高裁決定で明らかにされたということを申し上げたわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 最高裁が法律をつくるわけじゃないのでありまして、法律は、国権の最高機関は国会ということになって、唯一の立法機関ということになっておるが、立法府に関する立法能力については、実際の事務局その他の配置等において、あるいは議員個人の公的なその能力を発揮するいろいろな手だてが足りないために、残念ながら我が国は国会が出す議案よりも政府が出す議案が多い。また、国会の審議のあり方も、野党が出したものは余り十分に審議されない、こういうふうな格好になっておるのでありますから、現状とすればあなた方の責任でしょう。最高裁判所に望ましいと言われるまで、言われたからするというのじゃだめでしょう。早くから、基本的人権の考え方に反することはだめだということを憲法の前文に書いておるわけでしょう。だから、そこのところをぐじぐじ言わずに、そうです、今までは運の悪い少年に対しては迷惑をかけておりましたぐらいは、どうなんですか、言われないのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど私冒頭で申し上げましたように、法務省におきまして昭和四十五年に、少年の権利保障の強化と検察官の関与とを内容とする少年法改正要綱というのを発表したわけでございます。その中で、いわゆる非行なし決定を受けた者に対しても刑事補償を行うべきであるということを提言したわけでございます。  ただ、少年法の改正については、委員も御案内のとおり、いろいろな理由から現在まで実現するに至っていないというのが実情でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 行政府と立法府が議論をするときには、かなり価値観を伴った議論をするのですね。経過の説明だけを聞くのだったら本を読んでもわかるのですよ。私が苦労し辛抱して、何遍も滑り滑り国会に出る必要はなかったのですよ。こういう場で、それはそうだな、悪かったな、いけなかったなと言うくらいのことをやらなければ国会の議論ということにはならないのですよ。だから、悪かったことは悪かったこととして素直に答えたらどうなんですかな。  時間がだんだんなくなるから、かなり苦しい答弁という中に、悪かったという後ろ髪を引かれるような気持ちが含まれていた、こう認定しましょう。  次に行きます。  裁判所の決定でこの子供たちの補償はする、こういうことでありますが、それではちょっと一方的じゃありませんか。国親、国親と言うけれども、私は国親だと思っておりません。また、国を本当に親だと思っておるのはそんなにたくさんおりませんよ。自分が勝手に国親だと言うのは、これは要らぬ世話でしょう。だから、そういう意味ではこれは本当の親が、保護者というか法律的な親権者というかそういう立場の、親身に立って物を考える者が請求するという道をなぜ開かなかったのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 憲法の上でその請求権が補償されております刑事補償とは異なりまして、少年補償においてどのような構成をとるのがいいかということはもちろん立法政策の問題でございます。基本的には、少年補償の目的及びそのよって立つ少年審判手続の目的、性格というものを考慮して決定すべき事柄であるというふうに思うわけでございます。現行の少年法の枠組みを前提として考えますると、家庭裁判所の職権による制度とするのが相当であるというふうに考えたわけでございます。  その一つの理由は、現行少年審判手続は、先ほどお話がございましたようにもともと専ら少年の保護を目的として、国あるいは家庭裁判所を保護を要する少年の親というふうにとらえる国親思想のもとに、家庭裁判所の専権的職権主義構造を現在採用しておるわけでございます。その手続において非行なしという判断をされた者に対する補償につきましても職権によることとするのが制度として一貫するということでございます。  これを逆の面から申しますと、請求権というふうに構成するためには、その発生要件でありますところの非行なしの判断がより客観化される必要がある。例えて申しますと、非行認定の手続を整備した上で非行なしの場合になすべき決定というのを創設して、非行ありの認定自体に対しても不服申し立てができるように道を設ける必要がある、またはその非行の存在を前提とする保護処分決定に対しましても処分終了後の再審を設けることなどの検討が言うなれば欠くべからざる問題であると考えられるわけでございまして、このような点はいずれも少年法改正の中で議論されるべき事柄であるというふうに思っておりまして、今回の立法はあくまで現行の少年法、現行の少年審判手続を前提としたものとして考えているということで御理解をいただきたいわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 憲法第十三条は「すべて国民は、個人として尊重される。」となっておるのであります。あなたは今ほかの法律の、いや、構成要件がどうだこうだと言って今やっていない低い水準のことを合理化するためにいろいろ説明されましたけれども、すべて国民は、個人として尊重されるのであります。その個人として尊重されるべきものを、少年だから国が観じゃと言って――憲法にはどこにも少年にとって国は親じゃと書いてないですよ。そういう理屈は、やはり従来からの法務省独特の、我が国の最も古い省庁の一つとして、封建時代の感覚が抜けないんじゃないんですか。  いみじくも、私は揚げ足を取るんじゃないが、あなたは先ほど、封建的、福祉的考え方でこうなっておるんだろうと。封建と福祉がどこで結びつくんか私にはわからぬけれども、議事録調べてみなさい。封建的、福祉的考え方でこうなったんだろうと。封建的感覚が抜けないんじゃないんですか、法務省は。そのことは、法務大臣にも聞いていてもらいたいと思うけれども、人権擁護局に最も典型的に出ている。  やはりその発達段階の、少年には少年の発達段階があるし児童には児童の発達段階がありますよ。だから、今度の子どもの権利条約というのは、その発達段階に応じて最大限個人として尊重しようと、憲法の精神と合致するんですよ。ところが、少年は、一人前に手錠がかけてあるけれども後の補償はおまえらはぐずぐず言うな、殿の思うとおりにしてやる、こうなったんじゃ、これはだめでしょう。その根本的な考え方を私言っているんですよ。つまりこれは、だから法の整備をずっとすれば、あれですか、法の整備ができておらぬからこの水準にとどまっておるんであって、ほかの法の整備ができたらこれはきちっとして、例えば子供が請求するということについては、一人前の権利義務の能力をまだ法律的に持ち合わせていないんだから、例えば法定代理人とか親権者とかそういう者がするように道を開くべき可能性はあると言うんですか。  これはちょっと大臣の方から見解を聞きましょう。極めて政策論だから、聞きましょう、大臣。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先ほどからの先生の御議論を伺っておりますと、何と言いますか、法律家以上に法律を勉強されておられて、法律家とやりとりされておりまして正確を求めた議論が進んでおると私理解しておるわけであります。私、残念ながら、そういう正確さはやはり政府委員とやっていただかなければ、私はどちらかというと政治家ですから情緒的な解釈に陥りがちになりますので、正確を期するためにもぜひ政府委員とやりとりをお願いしたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 もう大分やりとりしましたから、もう仕方がないです、そうなれば。  そこで、個人の尊厳ということに関係をいたしまして、先ほど私が申し上げましたが、子供たちを処罰するとか、それを大人の世界で言う起訴とかあるいは裁判とかに付する場合には、これは堂々と一人前もしくは一人前以上のことをしておる事実がある。その事実をちょっと申し上げましょう。  ことしの三月三十一日に、手錠をかけられて腰ひもをつけられて、JRの芸備線、広島から三次を通るJR芸備線に手錠をかけ腰ひもをつけられた女子高校生が三次まで運送されておる。もちろん、みんなが見ほうだいに見られるという状況であります。こういう事実は、これはどうしますか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 ただいまお尋ねのように、本年三月三十一日に広島少年鑑別所におきまして、四名の女子少年を広島家庭裁判所三次支部まで審判に出廷させるため、広島駅から三次駅までは列車で、三次駅から家庭裁判所の支部までは同支部の官用車一台のほかタクシー二台でそれぞれ往復しましたこと、及び、その出廷の際に、各少年について附属ひもつきの手錠を使用したことは事実であります。  広島少年鑑別所におきましては、従来から、三次の家庭裁判所へ少年を出廷させるときは、三次までの距離が片道七十五キロメートル余りありまして、車での所要時間が二時間三十分程度要することから列車を利用してきたのでありますが、その際、少年鑑別所の出廷護送におきましては、どうしても少年の逃走事故の危険性が少なくないということから、附属ひもつきの手錠を使用せざるを得なかったということであります。  もちろん、鑑別所としましては、駅頭や列車内などにおいて手錠の施用部位及び腰に回した附属ひもができるだけ一般人の目に触れないように、上着、ハンカチ、手荷物などで隠すなどの措置を講じて、少年の名誉心を害することのないように配慮してきた上言うのでありますが、御指摘のように、たとえそのような配慮を行ったとしても、少年をその出身地へ護送する場合においては少年の知り合いの目に触れる可能性が高く、少年保護の観点からも決して適切とは思われないのでありますので、全部が全部必ずということはいろいろな事情がありますのでできないことかもしれませんが、状況に応じ、できるだけその少年の保護の観点に十分留意して、今後は護送用マイクロバスを使用するとか、いろいろな手段で遺憾のないような措置を講ずるように指導していきたい、こういうふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 広島市から三次市までは約七十五キロ、私もしばしばそこを自動車で運転をすることがありますからよく承知しております。しかし、最近は中国自動車道ができまして、列車より自動車の方がはるかに速いんであります。そうなれば、マイクロバスを使ってやるべきじゃないですか。これからはマイクロバスを使う。これまで使わなかったことがおかしいんじゃないですか。だから、子供の観じゃとか何じゃとか言って、ええかげんなことを言ってもらっちゃ困るんですよ。  そこで、どういう問題が起きるかというと、三次の駅で同級生に会ったんだ、同級生は「ええかっこじゃのう」と言って冷やかした。どうなるんですか、こんなことは。これでどうして子供を指導したり保護したりしておるということになりますか。そんなことを知っているんですか。答えてみてください。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 確かに仰せのとおりでございます。  少年鑑別所といたしましては、昭和二十四年ごろの設立以来ずっと同じような方法をとってきたので、現在まで同じような方法をとってきていたのでありますけれども、今回そういう御指摘があるということなので、私からも、従来のことをそのまま踏襲するようなことじゃなくて、当時から比べれば道路も舗装されたであろうし、それからマイクロバスは、当時は、最初のうちは配車されておりませんでしたが、その後、現在は配車されておりますので、そういう状況の変化に対応してちゃんとするようにということで指導をすることにしております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そして、その子の親が当日連れてきた人にその後会いましたら、まあ三次に帰ってから子供たちの世間との闘いが試練になるんですよ。その試練になるんですよというのは「ええかっこじゃのう」と言うたとか、言わなくても白い目で見ておる者とのつまり闘いが始まるんです。それは、試練の闘いが始まると言っておりますが、こんな主張はどうですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 鑑別所の職員がそのような発言をしたということは私知りませんでした。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 問題は、私が憂うるのは、この子たちが将来、国家とまでいかなくても、押しつけの国親を信じなくても、社会というものに対する信頼感とかあるいは社会対個人の人間のあり方とかということについて、これは少年院六カ月ということになったんですけれども、本当にこれはその気持ちが生まれるでしょうか。大臣、どう思いますか、それ。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私は、こういう事実があったということはまことに残念でなりません。将来ある少年を保護するという観点から、今後はこういうことが絶対あってはならぬと。思っております。そういうふうに指導してまいりたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 つまり、一面ではこんなことがあって、一面では先ほどのような議論があるというところに私は非常に胸の詰まるような思いがしておるわけです。  じゃ、大臣、もう一度確認しますが、これはマイクロバスが要るんじゃったらマイクロバスを配置するとか、再びかかる事態が起きないように措置をすると大臣として明言していただけますか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 マイクロバスがなければ他のマイクロバスを持っておるところから持ってくるなどして、今後こういうことがないように努力いたしますと申し上げたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 じゃ、矯正局長の方にお尋ねをしますが、矯正局長は、私は名前は知りませんけれども、出先の責任者に、今後の措置はこうだ、今までのことは遺憾だったというぐらいのことは親の方へ言いますか。そうしないと、今度は親から子供への対話というのは、社会に反抗するとか権力に反抗するとかということ以外に親子の合意は生まれてきませんよ。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 責任者からその親の人に事情を説明して御了解いただくような措置をとろうと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これがとにかく権力の最も悪い姿なんですね。御了解とは何ぞや。つまり、自分たちの行き過ぎたことについての御了解といったら、通常国語辞典を開いたら反省とか謝罪とかいう言葉じゃと私は思いますが、どうでしょうか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 今御了解と申し上げたのは、今後そのようなことがないように新たな措置をとることについて御説明をいたしまして、こういう措置をとりますからということで御了解を得るという趣旨で申し上げたわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 日本の権力の、私がいつも使っておる言葉では権力の恣意性というのがここにあるんですね。なかなか素直に言えないんですね。それは悪かったことでございますから、今後の措置も確約をして反省の意を表しますとか、こうならなきゃならぬのじゃけれども、半歩ぐらい前進ですよね。今後やらないと言うんですから、半歩ぐらいは前進でしょう。しかし、恐らく言っていく人はどうも済みませんでしたといって言っていくと思うよ。そうしたらあなた、反省し、謝罪の意を込めて了解を求めますとなぜ言われないのですか。そうしたら、親がまず気持ちを和らげて子供に、おまえのやったことも悪かったからこんな事態が生まれてきたんで、だからおまえ人ばかり恨むな、国の方もこういって言ってくれおるじゃないか、こうなるんじゃないですか。もうちょっとお互いの心のひだに触れ合うようなことを言いましょうや。矯正局長、もう一遍どうぞ。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 私の立場も御理解いただきたいと思うのですが、部下に対して謝ってこいとなかなかそれは言えないものでございまして、そういう措置をとってくれよということによってなるほどと理解していただいて、親御さんのところに行く者としてはおっしゃるような措置をとると思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 時間の関係でそのことはこの程度にさせていただきます。最高裁の方とちょっとこの前からのやりとりがありますので、きょうは裁判を行っていく上でそれぞれの立場から鑑定書が出されるという、これは通常殺人事件とかいろいろな問題でそういうことになりますが、どういう方法で殺害をしたという鑑定書について、ある鑑定書は甲と言い、ある鑑定書は乙と言い、つまり甲論乙駁のような問題が出たときに、私が尋ねたいのは、それは裁判官がいろいろ考えて心証を形成してどっちを採用するということになるんだと思うのですね。なると思うが、しかし裁判官になる人、つまり司法試験を受けて法曹資格を取る人は法医学というのをどの程度までやるのですか、これをちょっと聞かせてください。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 裁判官も、鑑定書が出された場合に、その内容を理解しなければいけませんものですから法医学の勉強もやっておりますが、しかしそれは専門的にやるわけじゃございませんので不十分な点も多いことでございます。  そこで、そういう相反するような鑑定書が出たような場合、まずその作成した鑑定人に来ていただきまして証人としていろいろと御説明いただき、またこちらの疑問の点は質問をいたして十分な説明をしていただき、またその場合に、検察官や弁護人からも鑑定人の方にいろいろと疑問の点をぶつけ、そしてそういった尋問の結果を踏まえて、裁判官としては両方の鑑定書をつぶさに検討し、また尋問の結果も踏まえてどちらの方が正確なんだろうということを判断していくわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 この間の私の質問に対する答弁として再審開始をめぐる公判もあり得るという答弁があったように記憶しておるのでありますが、非常に重要な問題についてはその鑑定が新規かつ明白なる証拠であるかということの争いによって再審が開始されたりされなかったりするのですからね。そうなると、もし裁判官が法医学の学問、知識において鑑定人よりもさらに高い知識を持っておれば、つまり自分のかわりにちょっとやってみてもろうたら、そういう結果が出たか、うんこれはこうだといって識別できるけれども、そうでなくてやはり鑑定人というのは裁判官よりも知識を持っておるということが前提ですね、個々の事実については。それがしかも片方は甲と言い、片方は乙と言うというときには、やはり相互の反論というものが行われた上で裁判官は法律知識に基づいてどっちがどうだという判断をしなければならぬと私は思うのでありますが、それは現実には行われているのですか。例えば石川一雄の再審請求なんかは一度も公判が開かれずに再審却下されていますけれども、そんなこと行われているのですか。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 具体的な事件の関係では申し上げることはできませんが、一般的なこととして申し上げますが、公判を開くかどうかは別といたしまして、重要な証拠、それが鑑定である場合には鑑定につきまして、弁護人からもあるいは検察官からも十分な意見を聴取して判断していることは間違いないと存じます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 十分な意見を聴取しておるといっても、十分な意見を聴取しておるかしておらぬかということは何によって証明するか、もっと言うならば何によって担保するか、こういう問題でしょう。つまり、我が国憲法の司法、裁判というものは原則公開でしょう。つまり、この司法権のもう一つ上に主権者たる国民がおるわけでしょう。その国民が全部が全部見るわけじゃないけれども、関心を持っておる国民が、なるほどあれはこちらの鑑定人がこう言うが、こちらの鑑定人はこう言っておって、裁判官がああいう判断をするのは無理からぬなというぐらいの一つの見せ場というものがないと、文章でだけ見て、時々弁護士にちょっと来いと言って呼んだり証人を呼ぶというようなことは、私はめったにないのじゃないかと思いますが、それは記録を私も調べてみますけれども、狭山事件についてどれだけその鑑定をした証人を呼んでおるのかということを調べてみますけれども、そして最後の判決文を読んだら、あれも疑問これも疑問、これもおかしいあれもおかしいとは言うが総じてもってこれは正しい、そんなことを言われたんじゃやりようがないですよ。  そういう私は懸念を持って、例えば今度の山本老の事件の問題、我が国の法医学会の元会長の経歴を持ち岡山大学医学部の名誉教授でもあられる何川涼博士が、今度、それは他殺だというのはおかしい、こう言って六十何年ぶりに出しておるのですね。そうすると、いや他殺だという者と、一度裁判官は書面でも見るが、書面でもよく比べてみるけれども、本当に裁判官なり検察官なり弁護人が、その証人からこういうわけでこれは他殺ではないんだ、特に私らみたいな素人にわかることは、つまり二、三日前から頭が痛いと言って庄原の医者まで行ったそのお母さんが、その冒頭が痛かったから、他殺ではなくて、頭を冷やそうと思って頭を突っ込んだんじゃないかという推察が成り立っておる。  その推察は法医学的には何かと言ったら、殺されたら失禁があるはずだ。がっと絞殺されたら失禁があるはずだが失禁がない。そんなことも、素人的に発言をすれば一番わかりやすい例を私一つ言っておるのですけれども、そういうことを言っておるのですからね。だから、これはぜひわかるような裁判と、それからもう年齢が九十四歳、そしてこの人は、言っておきますけれども、兵隊から戻ってきてみんなに信用されておったということ、刑務所から戻ってきてまた信用されて農協の理事になったり何になったり、直ちに世間一般は、この人がそんなことをやっておるものかと思い込んでおるからみんながそう起用するのですよ。それは一つの状況の問題ですけれども、ひとつこれはぜひ厳密の上にも厳密を期してやっていただきたい。  どうなんですか。そんなときには、かなり有力な人同士が違う意見を出したら、厳密に調べるんでしょう。調べたのは調べたけれどもおおむねこうじゃというような判決文書かれたら、どうにもなりませんよ。助かりようがないですよ。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 具体的な事件につきましては申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、重要な証人が相食い違うような証言をしているあるいは鑑定書を出すということになれば、当然のことながら裁判官は十分慎重に、どちらの方に信をおいていいかという点は、どの裁判官であったって十分慎重に判断しておることと私どもは信じております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 最後に、問題をひとつ変えます。先ほど来、少年補償法名めぐりまして、現実子供の処遇の問題についてはずっと私申しました。今、政府は国連が提唱いたしました子どもの権利条約、政府の言い方ですれば児童の権利条約ということになっておりますが、私はチャイルドという英語は「子供」と覚えておりますので、もしそれが違うんだったらこれは文部省へ言っていってもらわないかぬのであります。中学生の折から、高校生の折から、私はチャイルドは「子供」で習うたんであります。  したがって、私は子どもの権利条約という言葉を使わせていただきますが、既に政府は国会に批准を提案しております。ところが、会期まであともう幾ばくもありません。事実上国会の運営のあり方によって、この子どもの権利条約というのは審議の期間があと残り少なくなってしまった。まだ本会議で提案説明も行われておりません。これは国連が提唱するんでありますから、兵隊を連れていくときだけ国連、国建言わずに、人の権利を守るときに国連、国連と言ってもらいたいのでありますが、なぜきょう法務大臣、それを尋ねるかというと、内閣と国会とは三権分立てその性格を異にしますけれども、我が国はその三権分立ということに、さらにもう一つ妙を加えて議院内閣制なんであります。宮澤喜一自民党総裁率いる自由民主党、そこが内閣をつくっておるんであります。  これは、国際的にも注視の的でありますので、何とか早く審議できるように閣僚として御尽力願えないでしょうか。聞くところによると、これを早く出せと言うんじゃったら拘禁二法もやるか、こういうことを口ずさむ人もおるそうであります。それはちょっと私は法務委員として、再三法務委員会の関係の理事の皆さん方から今回はそれはやらないんだ、こういうように聞いておりますので、何か子供を人質にとったような議会運営になっておるのではないか、こう思いますので、閣僚の一員としてひとつ努力をしていただきたい。総理大臣を筆頭に、これは早くやってもらうようにしようやというような、そこのところを努力してもらいたい。法務大臣のひとつ答弁をお伺いしたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 児童の権利に関する条約は、児童の基本的人権を尊重するとの見地から、児童の最善の利益を考慮してその権利を保護、促進することを目的とするということは私もよく存じておりまして、委員御指摘のとおり早期に批准することが望ましいと考えておりますので、努力をいたしたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十七分開議

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村巖君。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 まず、少年の非行あるいは犯罪ということについてお尋ねを申し上げていきたいと思います。  最初に警察庁にお伺いをするわけでありますけれども、少年の非行というものは、これは犯罪だけではなくて虞犯とかいろいろなものも含むわけですけれども、こういうものが最近どういうような動向にあるのか、こういうことを概括的にまずお伺いしてまいりたいと思います。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 少年非行の最近の状況について申し上げます。  警察が補導しました刑法犯少年の数、これは昭和五十八年に戦後最高を記録したわけでございますが、その後はおおむね減少する傾向にございます。過去五年間の刑法犯少年の補導状況を見ますと、昭和六十二年から六十三年にかけて増加した後は年々減少しているところでございまして、平成三年に補導した刑法犯少年は十四万九千六百六十三人、前年に比べまして四千五百五人、二・九%減少いたしております。しかしながら、成人を含めた刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は五〇・五%となっておりまして、三年連続して半数を超えておるということで、少年非行は依然として憂慮すべき状況にあるというふうに考えております。  平成三年の少年非行の特徴といたしましては、単純な動機から安易に行われることが多いと考えられる万引き、自転車盗などのいわゆる初発型非行で補導した少年の数が刑法犯少年総数の七〇%以上を占めているということ、それからまた十四歳から十六歳までの低年齢層の少年が刑法犯少年全体の六七・九%を占めておりまして、非行の中心となっているということ、そういったことが特徴として挙げられます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 子供さん全体が減っているという現実はあるわけで、そういう現実に照応して少年犯罪も減っているという部分もあるのかもしれませんけれども、そうでなくて、少年の犯罪というものが余り行われなくなったのだということであれば大変結構なことだと思います。しかし、とにかく全刑法犯のうち、成人を含めた刑法犯のうちの半数を超えるものが少年非行であるということになりますとこれは大変なことで、やはり少年犯罪の問題というのが非常に重要な問題になってくる、こういうことになろうかと思うわけでございます。  今特徴として言われました中で、非行の低年齢化というようなことがあるようでありますけれども、そういう低年齢の少年の非行というのは大体どういうようなものが主になっているわけですか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 先ほどちょっと特徴の中で申し上げましたような、単純な動機で安易に行われることが多いというふうに考えられます万引きですとか自転車盗あるいはオートバイ盗、そういったような非行が低年齢層の少年の非行の大部分を占めております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 いろいろな犯罪があるわけで、刑法犯という中にも恐らく業過というようなものがあるのだと思いますけれども、先ほど言われた全刑法犯のうちの少年の人数、検挙人員という中で、それは業過を含んでいるのですか。業過を含まないとどのくらいなんですか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 先ほど申し上げました数字の中には業過は含んでございません。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そうすると業過、簡単に業過と言ってしまいますけれども、業務上過失傷害、こういうことで検挙あるいは補導をされる少年というものほかなりの救いるわけですか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 今ちょっと手元に数字がございませんけれども、業務上過失致死傷罪で補導する少年というのも多数ございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そういう問題もありますし、また、最近覚せい割とかシンナーとかそういう関係の犯罪というものもかなり増加をしているのではないかと思いますけれども、その実態についてはいかがでしょう。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 シンナーの乱用で補導された少年、多数に上っておるわけでございますが、平成三年で申しますと二万百二十五人というふうになっておりまして、平成二年と比べますと二千二百四十一人、一〇%の減少となっております。  それから、覚せい剤について申し上げますと、平成三年中、覚せい剤の乱用等で補導しました少年は九百四十三人となっておりまして、平成二年と比べますと百七十四人、二二・六%の増加というふうになっております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 さらに、そういう少年の中で、暴力団の構成員とか準構成員とかそういった形で暴力団に関与している者というのもかなりいるわけでしょうか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 補導しました少年の約一割が何らかの形で暴力団と関係を持っておったということでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 さらに、暴力団、覚せい剤、そういうのとは関係ありませんが、少年の非行というか犯罪と関係があるというか、その中の一つになるのではないかと思われますけれどもいじめの問題、これは現状はどうなっているのでしょうか。一時期いじめの問題というものが非常に騒がれまして、それからいじめが陰湿化してきたんだということが言われておりますし、あるいはまた最近では、新聞紙上などでいじめの結果として相手を殺してしまったというようなこと等も報じられておりますけれども、現状はどうでございましょうか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 警察の方で把握して処理をいたしましたいわゆるいじめ事件でございますけれども、これは年々減少する傾向にございまして、昭和六十一年をとりますと、事件数で二百八十一件、補導人員で八百四十五名を補導しておるわけでございますが、これが平成三年になりますと、事件数で九十五件、補導人員では三百五名というふうに、このところずっと減少しておるという状況でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 それでは、引き続き法務省にお尋ねを申し上げますけれども、少年の事件で、少年法によれば罰金以下の刑は直接に警察から家庭裁判所に送致されるということで、法務省が関与するのは禁錮以上の刑ということになるのだと思いますけれども、法務省が送致を受けた少年事件数、最近の傾向はいかがでございましょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 検察庁が受理した少年事件の動向について今的確な資料を把握しておりませんけれども、先ほど検挙人員について警察庁の方からお答えになられたのとほぼ同様の傾向というふうに把握しているつもりでございまして、ここ数年の傾向を見ましても、若干の減少ないし横ばいの状況というふうに考えているわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そういった数は把握をしておられないようですけれども、送致を受けた場合に、それは今度は家裁へ送致する、こういうことになるわけですが、その家裁に送致した件数、そういうものもおわかりになりませんか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 家裁に送致をされた件数と申しますのは、裏返しまして家裁が新受事件として受けた件数、こういう趣旨として理解させていただきますが、少年保護事件全体としますと、戦後第三のピークを迎えた昭和五十八年が最近の最高でございまして六十八万四千八百件ほどございました。それがほぼ一貫して年々減少傾向にある。例えば、昭和六十一年には六十六万件台に入っておりますし、六十二年には五十七万件台、平成元年が五十万件台という形で減ってまいりまして、平成二年度は四十八万件余りになっております。  この主な理由でございますが、一つには昭和六十二年にかなり大幅に減少しております。これは道路交通法の一部改正によって道路交通事件が減ったということが大きな原因でございますが、そのほかの理由としては、特に粗暴犯あるいは凶悪犯と言われるような類型の事件も、数は少のうございますけれども年々減少していっておる、こんな状況でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そういった事件の中で、今度は家庭裁判所から逆送を受けて、そしてそれを起訴する事件、こういうのはどのくらいあるのでしょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所から刑事処分相当を理由にして検察官送致をした数でございますが、これもやはり最近のところ全体としては減る傾向にございます。例えば五年前の、五年前といいますか平成二年から見て五年前ですが、昭和六十一年の数字が六千四百二十八人でございます。これが四千七百四十四人、四千百十三人という形で減ってまいりまして、平成二年の逆送人員数は三千四百二十人でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そういった中で、どういう種類の犯罪が多いかということはおわかりになりますか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 司法統計上は逆送の数だけでございますので、事件類型別には恐らくとれていないと思います。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 家庭裁判所にお伺いをするわけでありますけれども、家庭裁判所の審判の中で非行がないということでもって不処分か審判不開始かということになる事件は、それぞれ年間どれくらいございましょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 「少年の保護事件に係る補償に関する法律案関係資料」というのがございまして、その末尾のところに数字が多少出ておりますけれども、この第一表と書いております上の欄の数字、これが一般保護事件の中で非行なしを理由にして不処分あるいは審判不開始決定になった数でございます。年間大体、過去五年平均で見ますと非行なしを理由にして不処分になった数が二百五十五、六件ということになりますし、審判不開始決定になったものが百四十三件程度、こういうことで、全体としては五年間を平均しますと大体四百件前後が不処分、不開始になっておる、こういう状況でございます。  念のために、第二表はその中で特に身柄の拘束を受けた、少年鑑別所収容になった事件の中での不処分、審判不開始の数でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 この数字を拝見しますと非常に数が少ないというか、大体〇・一四%とか〇・一五%ということであります。こういう数というのは一般の刑事裁判における無罪率と比べてどうなのでしょうか。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 刑事裁判の無罪率がどれほどであるか現在のところちょっと掌握しておりませんけれども、少年事件の場合に審判不開始あるいは不処分になります場合に、要保護性と非行事実の両方を審判の対象にするという関係がございまして、明らかに要保護性がない、非常に微弱であるというような場合にはそれ自体を理由にして処理をするという場合もあろうかと思いますので、明確に非行なしというような認定判断になるのが少なくなる理由の一つではないかというふうに考えております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 少年は家庭裁判所に送られて少年審判を受けるわけでありますけれども、その場合に、当然その前段として少年事件については捜査がある。それで、捜査がある場合に少なくとも警察はこれに関与をするわけで、場合によっては、それが禁錮以上の刑ということになれば検察官も関与をする、こういうことになるわけでございます。  警察にお尋ねをするわけですけれども、この少年事件捜査についてはどういう注意をしているというか特別な考慮を払って捜査をしているのか、お伺いいたしたいと思います。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 警察が行う捜査につきましては、個人の基本的人権を尊重しつつ適正に推進されるべきものであって、関係法令の遵守はもとより基礎的捜査を徹底しあらゆる証拠の収集に努めるなど、科学的、合理的捜査を推進しているところでございます。特に少年事件につきましては、これに加えて少年の健全育成ということを基本といたしまして、少年の特性について深い理解を持って非行原因の究明等にも努めるなどの配慮を行っているところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 しかしながら、やはり先ほどありましたように年々何人かの非行なしによる不処分あるいは不開始ということがありますし、そういう中でいわゆる冤罪と言われているものも幾つか発生しているわけであります。そういう事例というものは決して少なくないわけで、その典型的なのは平成元年の九月に東京家裁が決定をした綾瀬の母子殺し事件、こういうものだろうと思うわけでありますけれども、これらのいわゆる冤罪事件と言われるものについては捜査段階において問題があるのではないかということを言われるわけであります。こういう冤罪事件が起こるということについて警察庁としてはどういうふうにお考えになっておられるわけですか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 家庭裁判所におきます少年審判におきまして非行事実が認められず不処分となったという事案につきましては、一般的に申しまして捜査の基本が十分尽くされていなかった、あるいは非行事実の立証が不十分であったというような問題があろうかと思います。そうした事案につきましては謙虚に受けとめまして、自後適正な捜査の推進を一層図るべく指示、指導を徹底しておるところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 少年事件においてやはり捜査の段階で人権侵害があるということが非常に強く言われておりまして、前に圧弁連の調査でも四十七件の人権侵害の事例というものが報告されている。あるいはまた、近畿弁護士連合会の調査でも二十三人の人権侵害事例が報告されているというような実情にあるわけです。殊に警察は少年の人権というものを余り考えてないんじゃないか。いわば少年は成人に比べれば弱い立場にあるわけですから、そういう者に対して、あってはならないことであるけれども、暴行を加えたり、脅迫をしたり、あるいは何というか、利益誘導をしたり、偽計を用いたり、こういう捜査をやっているんではないか、こういう疑いが持たれているわけですけれども、その点についていかがでしょうか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 取り調べにつきましては、成人、少年の別なく常に任意性の確保ということに努めつつ事案の真相の解明に努めているところでございます。特に少年につきましては、少年の年齢、性格、経歴、教育程度、環境、家庭の状況などを勘案し、また少年の特性、心情を理解いたしまして任意性の確保に十分配意した取り調べを行っているところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 綾瀬の事件の事例なんかの報告をされているのを見ますると、認めなければ少年院送りだとか、あるいはしゃべらないと少年院だ、認めないとこのまま警察へずっと置いておく、こんなようなことを言って警察が脅迫というかをしている、こういうふうに言われているわけでありますけれども、特に警察庁として、その種の行為を警察官がやらないようにという、そういう何らかの指示というものはしておるのでしょうか。

益原義和警察庁刑事局保安部少年課長

○益原説明員 綾瀬の事件につきまして警視庁の方から受けております報告によりますと、少年の取り調べに当たって脅迫等は行っていないということでございます。しかしながら、決定において指摘されましたことは、先ほど申し上げましたように謙虚に受けとめまして、今後とも少年の取り調べに当たっては、今御指摘のありましたような疑念をわずかなりとも受けることがないように、少年の特性を十分に配慮の上、任意性の確保に努めていくようあらゆる機会をとらえて指導、教養を徹底しておるところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 法務省にも伺うわけですけれども、法務省の方は直接関与をしなかった事件というもの、検察庁が関与をしなかった事件というものもあるわけですけれども、綾瀬の事件なんかにすれば検察庁もこの捜査に従事をしているわけです。結果的には何というか警察の捜査の上塗りをしているだけだ、その結果としてああいう冤罪の決定を見た、こういうことになっているわけですけれども、法務省としてはこの種冤罪事件が起こるということについて何か考えておられるのか、それをなからしむるために何か考えなければいけない、そういうお考えがあるのかどうか伺いたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 改めて申し上げるまでもなく、捜査手続の適正ということは少年事件に限らず、成人の事件に限らず、常に最大の考慮を払わなければならない事項であることはもちろん当然でございます。少年事件の場合には、さらにそれに加えてと申しますか、少年法の精神にのっとった適正な運用が行われなければならないことは、これも委員の御指摘をまつまでもなく当然のことだと思うわけでございます。検察庁におきましては、少年係検事という係検事を指名いたしまして特に日ごろから少年事件に関する研究も怠らないようにしておりますし、先ほどから御指摘ありますように、少年が一般成人とは違って判断能力が一般的に言って未熟であるということを常に念頭に置いて捜査手続自体の適正というごとにも考慮を払っているものというふうに考えております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 綾瀬の事件を個別に問題にするわけじゃないのですけれども、やはりあの事件におきましては、とにかく警察段階の捜査というものが、少年の自白が非常に変転していて全く筋が通っていないというにもかかわらず、検察官がそれをそのまま是認して捜査を終わらしているという問題があるんだというふうに思いますけれども、その辺のことをただ抽象的に適正に行いたい、行いたいということではなくてもうちょっと、それを一つの教訓として何か考えることはないのかということをお伺いしたいわけです。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどから委員御指摘になっておられます綾瀬母子殺人事件につきましては、当時も社会の耳目を聳動した事件でございますし、家庭裁判所の不処分決定に至るまでの経過というのはつぶさに、検察官の立場としても十分心して扱ったと思うわけでございます。ただ、今御指摘の綾瀬母子殺人事件がそういう結末になったということにつきまして、例えばこの事件に日もちろん限らないと思いますけれども、そういう事件を教材にしてといいますか、反省に立って同じようなことがないように、例えば各検察庁の検察官、少年係検事をも交えて研究会をするとか、そういう具体的な事例を取り上げて反省材料にして今後の捜査手続、特に少年事件についての捜査手続を考えていくとかいうことで検討したというふうに理解しております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 なかなか難しい問題で、少年犯罪については家庭裁判所における審判という制度になっております関係上、捜査の結果を家裁の審判官がそのまま引き継ぐというような形になっているために非常に捜査の重要性というものがあるのだろうと思う。普通の刑事裁判では対審構造ですから、法廷の場におきまして検察官と被告、弁護人側が相争う、こういう構造になるわけですけれども、少年の場合はそうなっていないというところに問題があるわけで、そういった意味で少年法制そのものも若干の問題はないではないというふうに思うわけです。  殊に、事実認定という部分においてかなり、かなりと言ったら語弊があるかもしれませんが、いいかげんなことが行われる可能性があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。事実認定が間違って処分がなされるということになると、これは大変なことであります。例えば、少年院に送られてしまうということになると、これは大変なことであるわけでありますけれども、この間違った事実認定のもとに処分が行われたという場合に救済の制度としてはどういうものがあるのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは委員よく御案内のとおり、保護処分の取り消しを規定しております現行少年法の二十七条の二、これは保護処分の取り消しを保護処分継続中に限っておるわけでございます。したがいまして、保護処分終了後はその取り消しかできないこととなっているわけでございます。保護処分終了後もその取り消しを認めるべきであるという御意見は、これは当然あるわけでございまして、これも委員御案内のとおり、昭和五十二年六月の法制審議会の少年法改正についてのいわゆる中間答申の中に、刑事訴訟法の再審に相当する非常救済手続を設けるべきであるということが盛り込まれておるわけでございます。少年法の全体構造の中で考えていくべき問題であろうと思うわけでございまして、この制度の採否等、問題点につきましては今後とも少年法改正作業の中で検討していきたいと思っているわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 先のことを先回りして私が聞く前におっしゃっているわけですけれども、ただ少年法の二十七条の二の「保護処分の取消」というところでは、事実認定が誤ったからその取り消しを求めることができるというふうにはなってないわけですね。その辺のところは法務省としてはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたように、そもそもこの少年法二十七条の二が規定されました当初の趣旨は、先ほど私申し上げましたように本来の、本来と申しますか刑事訴訟法の再審に相当するようなものということでつくられたものではもちろんないわけでございます。ただ、その後、これも委員も十分御承知の上でお尋ねになっておるとは思うわけでございますが、昭和五十八年九月五日の最高裁の決定で、非行なしということが後でわかった場合に、保護処分継続中の場合にはこの二十七条の二の規定によって取り消すことができるという解釈になったわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 いや、そこで、一点は、そのことを最高裁の決定があってそれができるようになったということはいいのですけれども、そうなるとやはり二十七条の二そのものを改正しないとおかしいのではないか、その辺のことを明確にしなければいけないのじゃないかということが一点。  もう一点は、先ほど局長が言われたように、保護処分がもう継続していない、処分が終了してしまった、少年院に一年なら一年もう行ってきてしまったという段階でやはり事実認定が誤っている、誤っていたことがわかったということはあり得るわけで、これは刑事事件に再審があるのと同じことですから、刑事事件の場合においてはそれは刑の執行を受け終わっても再審はできるわけですから、その辺のこともこの少年法の中に保護処分が終わってもできるのだというふうにしなくてはおかしいじゃないかと思うわけです。そういう点でも二十七条なりなんなりの法律の改正は必要なんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘の点は、要するに刑事訴訟法の再審に相当する非常救済手続を少年の場合にも設けるべきではないかという御趣旨だと思うわけでございます。  その点につきましては、先ほども申し上げましたように、これは少年法全体の構造の中で考えていくべき問題だと思うわけでございまして、例えば非行事実ありやなしやの認定手続の問題とがそれぞれの非行あり、非行なしの認定決定なりに対する不服申し立てを認めるべきかどうかとか、いろいろ少年法全体の構造の問題として検討していかなければならない関連する事柄が幾多あるわけでございます。それは先ほど申し上げましたように、昭和五十二年六月の法制審議会の少年法改正についての中間答申の中でも幾つか挙げられているわけでございまして、そういうものを踏まえて今後少年法改正作業の中で検討していきたい、こういうことを考えているわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 最高裁がこの少年の司法の関係について幾つかいろいろな重要な決定をしているわけですね。最高裁の考え方からすれば、やはり少年事件というものもデュープロセスによらなければならないんだということで、そういった方向性の決定をかなり出してきているのが現在の状況だというふうに思うわけです。先ほど指摘をした、要するにこの二十七条の二関係の再審の問題でも、いわば二十七条の二の明文の中にはないけれども、そこへ読み込んでいくしかないという考え方で決定が出されているわけです。  だから、そういうような決定が出されたら、法務省としては少年法全体の改正を考えるときにとおっしゃらずに、これはまずいなということで、そういうところをいわば応急的にでも改正する、そういう態度というものが必要なんじゃないかというふうに私は考えるわけですけれども、そうお思いになりませんか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今回の少年保護事件に係る補償の法律案と申しますのは、とにかく現行の少年法の枠組みを前提にして早急に少年補償をまず創設したいという考え方で立案したわけでございますが、今委員御指摘の少年の権利保障のいろいろな措置の問題あるいは手続を適正ならしめるためのいろいろな事柄、これは先ほども申し上げておりますように、五十二年六月の少年法改正に関する中間答申の中でも十分指摘されておりまして、それぞれ関連するものとして考えていかなければならない事柄であるわけでございます。  したがいまして、少年補償法はとりあえず現行の少年法の枠組みを前提にして早急にお願いしておりますけれども、少年法の改正作業自体は、今委員御指摘の点をも含めましてできるだけ速やかに前進するように努めていきたいというふうに考えておることだけ申し上げたいと思います。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 少年補償の問題はそれはそれで、今回の法案でありますけれども、大変結構なことだ。それがないということの不合理性というのはもっと早く気づくべきであったというふうに思うわけです、それはそれなりによろしいのですけれども。  少年法というのは、立案されたときには、国親の考え方に基づいて非常にいい法律であるというふうに評価をされていたのでありますけれども、だんだん運用していく中において、やはりデュープロセスとの間にそごができるということで、後で子どもの権利条約の問題もお尋ねをしますけれども、そういうように、世界的な潮流としては国親的な発想というものを十分に残しつつ、かつデュープロセスというものを入れ込んでいかなければいけない、こういうことになるのだろうというふうに思います。  そういう意味で、根本的に少年法を考え直すということも決して悪いわけじゃない。しかしながら、先ほど中間答申の話がございましたけれども、あの中間答申が出されたときに、やはり各界から、各界からと言うとおかしいですけれども、やはり弁護士会は真っ先に反対したし、裁判所だってこれはだめなんだ、こういう考えで臨んでおったというふうに思うわけでございます。  今後、少年法の全面的な改正について法務省はどうしていくおつもりなのか、それをまず伺いたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは、委員十分御承知のとおり、当初法務省が少年法改正の構想というもので法制審議会に諮問いたしたのは昭和四十五年でございます。その後、先ほど来お答え申し上げておりますように、昭和五十二年六月に、さしあたり速やかに改善すべき事項ということで、法制審議会の答申があったことを受けまして、この答申に即した改正を行うべく関係機関等との意見の調整を続けてきたわけでございます。しかしながら、先ほど来委員もお尋ねになっておられるとおり、少年非行の情勢にも相当の変化が見られておるような事情もございますし、また依然といたしまして、先ほどの五十二年の中間答申に基づく少年法改正に対します反対意見もこれは認められるところでございます。  やはり基本的には、少年法の改正というものは、次の時代を担う少年の健全育成上極めて重要なことであることは申すまでもないことでございまして、そういうことにかんがみますと、この改正に当たりましてはできる限り大方の合意を得てこれを実現していくことが望ましいという立場から、反対の御意見につきましても十分な考慮を払いながら作業を進めているというのが実情でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 その当時、今から十何年前ですけれども、いろいろ反対があった。その当時の法務省の考え方というものは納得を得られなかったわけですけれども、その基本的なところは、一つはやはり少年の年齢を下げよう、こういう点にあったわけでありますし、もう一つは検察官関与なんだ、こういうことにあったわけでございます。この二つがいわば中心的な点であろうかと思いますけれども、今現在、この二点については法務省はどういうふうにお考えになっておられますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたように、五十二年六月の中間答申の中に盛られております事項は、年長少年の特別取り扱いの問題、それから検察官関与の問題、こう今委員御指摘になられましたけれども、そのほかにも、少年の権利保障の強化の問題、これは付添人の問題等も含めてでございますけれども、それから保護処分の多様化の問題等々、かなりの事項が盛り込まれておるわけでございます。  したがいまして、中間答申で盛り込まれております事項は、それぞれいずれも重要な事項と申しますか、相互に関連したものとして御答申があったものというふうに考えているわけでございまして、そのうちのどれだけを取り上げるかどうかというようなことではなしに、中間答申全体について御意見の合致を見ていきたいというのが私どもの願っておるところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 検察官関与の問題にしましても、何でもかんでも検察官が裁量で少年事件を取り扱えるのだ、こういうような考え方があったように思われるわけで、それに対しては非常におかしいではないか、こういうことであります。しかし、先ほどお尋ね申し上げました点で、例えば対審構造を少年手続の中に持ち込むというようなことは必ずしも考えられないわけではないというふうに思うわけで、例えば事実の認定の部分については検察官を関与させて対審構造でやっていく、そのほかの部分については家庭裁判所の裁判官のある種の裁量でやっていく、そういうような構造だって考えられるところだろうというふうに思いますけれども、その限りにおいては一応全件送致主義というかそういうものを保ちながらそういうことをやっていく、こういう改正も可能、それが大方の支持が得られみかどうかはまた別としまして、考えられるというふうに思いますけれども、その辺のことについてはどう考えられますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 少年審判手続を対審構造にするかどうかということにつきましても必ずしも意見の一致を見ていないわけでございますし、先ほど申し上げた中間答申で挙げられております幾つかの項目につきましても、やはり大方の合意を得られた段階で少年法改正というものが実現していくのが望ましいという基本的な考え方でございますので、そういう意味で、今委員御指摘になられましたように、例えば検察官関与にしても、ある部分で検察関与させるのがいいかどうかということにつきましてもいろいろな立場からいろいろな御意見があるわけでございまして、そういう意味で、先ほどお答え申し上げましたように、中間答申で盛り込まれておりますこれらの項目それぞれにつきましてできるだけ大方の合意が得られるようにしていきたいというのが基本的な考え方であるわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 そうしますと、結論的には、法務省としては当面急いで少年法を改正する御意思はない、当分の間現行法のままでいく、その間に何らかのコンセンサスを得られたならば、こういうことでこの改正はかなり先になるというふうなことになりましょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先になるというふうに考えているのかと言われますと、これは必ずしもそうは願ってないわけでございますけれども、昭和五十二年の六月に中間答申を出していただきましたにつきましては、それはそれなりに十分理由があって出していただいた答申でございまして、できる限り速やかに大方の合意を得て少年法の改正を実現したいという気持ちはやまやまでございますけれども、言うなれば一つの基本法であるというふうに考えておりますので、それがなかなかできない状態でいるというのが偽らざる実情でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 次に、我々が子どもの権利保護条約と言っております問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず、外務省、来ていただいておりましょうか。  一つは、外務省が先ごろ、我々がいわゆる子どもの権利保護条約と言っている条約について名称を決定されたということが報道されておりますけれども、どういう日本における名称を決定されたのか、なぜそういう名称にされたのか、それを伺いたいと思います。

吉澤裕外務省国際連合局人権難民課長

○吉澤説明員 児童の権利に関する条約につきまして、国会の承認をいただくために国会に提出させていただきました日本語の訳につきましては、児童の権利に関する条約というふうに名称を記させていただいているところでございます。  この条約の日本語訳につきましては、名称を含めまして、我が国が既に締結しているほかの条約でございますとか国内法令における用語等を勘案しつつ決めることといたしておりまして、そういった観点からこの条約の名称にございますチャイルドというものを見ますと、我が国がこれまでに締結いたしました条約におきましては、チャイルドないしチルドレンという言葉は親子関係における子という意味に限定されるように使われる場合には通常「子」という訳が用いられておりまして、必ずしもこういうような使い方でなくて、低年齢層の者を一般に指すような場合には「児童」という訳語が使われているわけでございます。  ちなみに、これまでの条約の訳例では「子供」というふうに訳した例はないわけでございます。それで国内法の方で見ますと、国内の法令におきまして児童の定義ということが必ずしも統一されているわけではございませんけれども、児童福祉法とか児童手当法におきまして、いずれも児童を「十八歳に満たない者」というふうに定義しておりまして、これらの諸点を勘案いたしまして、この条約におきましてチャイルドないしチルドレンというものを「児童」と訳して名称を児童の権利に関する条約というふうにさせていただいているところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 児童といいますと、私どもがイメージするものは何か小学校の生徒が児童だ、あるいはまたそれ以下の子供も児童かもしれないけれども、中学生、高校生というものを児童だというのは何か我々の話感にそぐわない、こういう感じがするわけで、そこでお尋ねをしているわけです。何で子どもの権利に関する条約というのでは悪いのか。児童ということにすることによって、何か条約全体の意味合いを矮小化しようとしているのではないか、そのような感じさえしてしょうがないので、その辺をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

吉澤裕外務省国際連合局人権難民課長

○吉澤説明員 お答えが若干繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、決してこの条約の持つ意味を矮小化するとかそういうような意図ではございませんで、この条約の日本語訳をつくります場合に、これまで日本が締結いたしました条約の訳例でございますとか国内法の用例を勘案しつつ訳すということをこれまでやってきておりまして、そういうことにかんがみて「児童」という言葉を選んだわけでございます。先ほど先生の方から児童というと小学生というようなことを通常思い浮かべるのではないかという御指摘がございましたけれども、我が国の法令におきましても、先ほど申しました児童福祉法の第四条あるいは児童手当法の第三条第一項等におきまして児童を「十八歳に満たない者」というふうに定義している例もございまして、そういうことも考慮したという次第でございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 次に、外務省はこの条約の批准がどういうふうに、いつごろなされるのかという見通しを持って今臨んでおられますか。

吉澤裕外務省国際連合局人権難民課長

○吉澤説明員 政府といたしましては、この条約の国会の御承認をいただくべく、三月の十三日だったかと思いますけれども、国会に提出させていただいたところでございます。私ども、この条約は基本的人権の尊重の理念に基づきます憲法とも軌を一にするものでございまして、この条約を締結することは、児童に対する人権保障に関する我が国の姿勢を内外に示すものとして非常に望ましいものと考えております。五月十二日現在で既に百十六カ国が入っている条約でもございますし、できるだけ早く締結したいと思っておるところでございまして、国会の御審議、御承認をいただいた上で、できるだけ早期に批准したいと思っております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 既に伝えられているところによりますと、この条約批准に当たって国会法の整備は必要ないんだ、こういうように政府は考えておられるということらしいのですが、外務省としてもそういうふうにお考えでしょうか。

吉澤裕外務省国際連合局人権難民課長

○吉澤説明員 この条約の国会の承認を求めるべく、政府部内で関係省庁、内閣法制局を含めまして鋭意検討いたしました結果、条約の三十七条の(c)にございます自由を奪われた児童の分離に関する規定を除きまして、すべて現在の国内法制度で対応は可能であるというふうな結論に達しまして、国会の承認を求めさせていただいているところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 私どもはそう考えていないので、やはりこの条約を批准するためには、いろいろな部分でこの国内法は変えていかなければならないのではないかというふうに思っているわけでございます。しかし、きょうのところは少年司法手続とこの条約との関係ということでお伺いをしていきたいと思いますけれども、大体条約の三十七条あるいは四十条に関するものであります。  例えば三十七条は「いかなる子供もその自由を不法にまたは恣意的に奪われない、子供の逮捕、抑留または拘禁は、法律に従うものとし、最後の手段として、かつ最も短い適当な期間に限り用いられる。」こういうふうなことになっているわけでございます。少年法におきましては、この身柄については、家庭裁判所が観護措置を決定してその少年を鑑別所に入れる、あるいは場合によっては例外的には勾留をする、こういうことになっているわけであります。この観護措置なりあるいはまた勾留なりというものが最後の手段であり、最も適当な期間であるという、こういうことになるのかということになると、私は大変疑問がある。観護措置そのものもある程度、まあ短いといえば短いですけれども、かなり長期にわたり得るものである、こういうふうに思いますけれども、その辺は条約というものを少年法制とは抵触をしないというふうにお考えでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 現行の少年法を初めといたしまして、刑法、刑事訴訟法、これらの法律に基づく実際の運用も含めまして、委員が御指摘になっておられます児童の権利条約の三十七条、まあ四十条も同じような問題があるかと思いますけれども、いずれも担保されている。したがって、国内法を改正する必要はないというふうに考えているわけでございます。ただ、先ほど外務御当局からもお答えございましたように、三十七条の(c)との関係では問題があるということでございます。     〔鈴木一俊)委員長代理退席、委員長着席〕

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 さらには、条約四十条二項(b)の(ii)というのは「刑法に違反して申し立てられ、または罪を問われた子供は、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接に、さらに適当な場合には親または法定保護者を通じて告知される。」こういうふうになっているわけでありますけれども、この点について、現在本人に対しては何らかの形で被疑事実が告げられるということはありましょうけれども、親または法定の保護者に対して被疑事実を告げる、そういう制度というものが欠如しているのではないか、この点についてはいかがでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この条約の四十条二項の(b)に定める罪の告知の点について仰せだと思うわけでございますが、この点につきましては、現行の少年法のもとでの運用として、審判開始前の家庭裁判所調査官による調査の段階におきましても罪の告知を行っておると理解しておりますし、制度的には、少年審判開始決定後におきましても第一回の審判期日に家庭裁判所の裁判官から告知が行われているというふうに理解しているわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 さらに、条約の四十条の二項の(b)の(iv)というのは「自己に不利益な証人を尋問し、あるいは尋問してもらう権利を保障する。」こういうふうにあるわけでございまして、こういういわゆる反対尋問権がある。少年法だって審判の中で尋問ができないわけではありませんけれども、反対尋問権があるということは、要するにこれは伝聞証拠を認めないということを意味するのではないか、こう言う人がいるわけでありまして、今の少年審判手続におきましては伝聞証拠を用いているわけでありますから、その点でこの条約の四十条二項の(b)の(iv)にそごするのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今の委員の御指摘は、証人喚問権あるいは反対尋問権という問題になってくると思うわけですが、この条約の規定自体は伝聞証拠の排除までを要請しているものではないというふうに基本的には理解しているわけでございます。したがいまして、現行の少年法あるいは刑事訴訟法におきましても本条約に抵触するものではないと基本的に考えているわけでございます。  たださらに、この条約と離れて、少年の証拠調べ請求権あるいは証人尋問権というようなものについての保障をより一層厚くすべきではないかという御意見までおっしゃっておられるといたしますと、それは先ほど申し上げました少年法改正の中間答申の中にも盛り込まれている事柄でございますので、その点は、先ほどお答え申し上げましたように、少年法改正の中でも検討していかなければならないことであるというふうに考えております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 もう一点指摘します。  条約は、「刑法に違反したとみなされる場合に、その決定並びに決定に基づいて科された措置について上訴ができる。」こういうことを定めているわけであります。それは四十条の二項の(b)の(v)でありますけれども、ただ我が国の少年法では、非行事実を認定しながら不処分にした、こういうような場合についてはこの決定に対して争いができない、こういうことになっているわけですね。だから、非行事実はあるんだ、だけれども不処分なんだ、こういうことは少年にとっては大変に不名誉なことでありますから、そういう問題についても、これは上訴ができて争えなければおかしいではないか、またそうでなければこの条約違反ではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員仰せになられましたのは、結局非行事実ありと認定して不処分決定の場合ということだろうと思いますが、結局結果としての不処分決定等も含めまして、要するに家庭裁判所の処分、不利益処分というふうには考えていないというのが基本的な考え方だろうと思うのですね。したがいまして、この条約にはそういう意味では抵触しないというふうに考えるべきではないかというふうに理解しております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 それは余り論理的には納得できないけれども、不利益であるという意味ではその少年にとって不利益ですよ、それは。ただ、不処分ですから処分が何もなされないというのはそれはそうなんですけれども、非行事実があったんだということを裁判所によって認定されるということは極めて不利益である。したがって、それを上訴によって争えないということはこの条約の精神に反するんじゃないかと私は思いますけれども、あえて局長がそうおっしゃるならば、日本政府の考え方はそういう考え方だなというふうに理解をするしかないわけであります。  そのほかに指摘をしたいところがあるわけでございますが、それはともかくとして、子どもの権利条約、児童の権利に関する条約、今こういう表題のようでありますけれども、これが批准をされたということになれば、何とか抵触しない、抵触しない、こうおっしゃることで当面の少年法改正を免れようとするのかもしれませんけれども、やはりそこには少年法改正を必要とする状況というものが生み出されているんではないか、こういうふうに思うわけでございます。その点でやはりこの児童の権利に関する条約というものも、あるいはどちらかといえば少年の刑事手続に関してはデュープロセスを尊重しろというような条約でありますから、先ほど私が申し上げたと同じような意味合いで、あるいはもう一度少年法を考えてもらわなければしょうがないんじゃないかな、こういう気がするわけでございます。  その点はそのくらいでやめまして、あとこれは矯正関係の話でありますけれども、少年院に入る人たち、そういう人たちが本来ならば少年法本来の理念に沿って国のいろいろな世話を受けるというか、受けて犯罪者から立ち直る、こういうことが必要であるわけでありますけれども、実際問題としては少年院というところは犯罪学校になっているのではないか、こういうことがよく言われるわけですね。少年院へ入ってきたやつはますます悪くなっちゃう、こういうことが言われているわけですけれども、そう言われているという事実に対して矯正関係としてはどういうふうにお考えになられますか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 ただいまおっしゃられたような認識が世間にあるとすれば、それは私どもにとっては非常に困った誤解であると思っております。少年院に入って立ち直った者というのは非常にたくさんいるわけでございまして、それは立ち直ら。ずにまた再度入ってきた者もおりますけれども、その数と立ち直った者の数とで比べてみますと、立ち直った者の方が相当多いというふうに理解しております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 統計的にはどうなんですか。少年院に一回入ってまた入るあるいはまた少年院を出てから今度成人として犯罪を犯す、こういう人がどのくらいのパーセンテージあるだろうかということを調査せられておりますでしょうか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 私どもの方で数字があるものといたしますと、少年院から出て再犯した者すべては把握できません。それはなぜかと申しますと、再犯しても警察段階でおしまいになった者もあればあるいは成人になった場合には検察庁で不起訴になった者もある、家庭裁判所へ送られて、再犯ではあるけれども不処分、不開始でそのままになってしまう者もございますので、矯正といたしましては、再犯してもう一回少年院に入ってきた、そういう者しか把握しておりません。  その数字で申しますと、平成二年に新たに少年院に収容された少年は全部で四千二百二十四人おりますけれども、そのうちで過去に少年院に収容されたことのあるいわゆる再入者と言っておりますが、これは七百九十四人でありまして、全体の一八・八%であります。ちなみに昭和六十一年から平成二年までの五年間で見ましても、年次により若干の増減はございますけれども、少年院に新たに入院した者の中で再入者の占める割合というのは二〇%前後で推移してきております。ですから、再度少年院に入るというのは大体二〇%くらいかと思っております。  ただ、もう一つ問題なのは、少年はだんだん大人になっていきますから、大人になって悪いことをすれば少年院に入らずに今度は刑務所に入ることになるので、そこの数字まではちょっと追跡できない状況にあります。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 追跡できない、それはしょうがないのですけれども、結局、大人になって犯罪を犯した者の中に少年院経験者が相当数いるということから、先ほど私が指摘を申し上げたようなことが世間で言われるようになってしまうのだと思うのですね。少年の矯正関係の方久はそれなりに努力はされていると思いますけれども、そういう現実がある。現実があるというのか、少なくとも二割にしても再入所者があるという状況というものは何とか改善ができないのかと考えるわけですけれども、矯正当局としてはどういうふうにお考えになっておられますか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 御指摘のように、少年院に入った者がすぐ、すべて少年院でよくなってくれれば非常にありがたいわけなんですけれども、なかなか難しい隆路がございます。  隆路と申しますのは、少年院の立場に立って申し上げますと、少年院に入ってくる少年というのは、過去に少年院に送致されたことがある者が約二割ございますが、そのほかの者でも、過去に少年院までは入ってはいないけれども家庭裁判所で何らかの処分歴がある。保護観察とか、まあ不開始、不処分になっても途中で鑑別所に入っているとかいうふうな何らかの処分歴がある者が八割ぐらいおりますので、言うなれば、少年の、非行を犯してまだうぶな感じのあれじゃなくて、かなり経験を積んだような少年が多く入ってまいります。そういう少年を善導させるということですからなかなか難しい面がございまして、犯罪学校というよりは、新たに来て悪くなるというよりは、むしろ相当悪い少年が入っておりますから、そういう意味でよくなる方が多いというふうに私どもは理解しております。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 少年関係は終わりまして、刑事補償について若干お尋ねをいたしたいと思います。  刑事補償、今回法案が出されまして、金額がかなり大幅にアップになるということでございます。そのこと自体私はいいことであると思っているわけですけれども、端的に、簡単に申し上げてしまうと、要するに、例えば死刑の執行による補償というものが今回三千万円に引き上げられるということでありまして、人の命が三千万円なのかな、そんな感じがしてしまうわけです。  そういった意味合いにおいて、刑事補償の理念というものは人の命をそういうふうに評価するという形のものなのか、本質的には一体どういうものなんだろうかということを考えるわけであります。これが本当の人の今、国家が人の命を誤って奪ってしまったから三千万円お支払いしてそれで終わりですよ、これは余りにも人の命を国が軽視していることになるのではないか。その辺、刑事補償の理念というものについてお聞かせをいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 刑事補償のうち、いわゆる抑留、拘禁に対する補償はいましばらくおきまして、今委員お尋ねになっておられます死刑執行の場合の補償についてお答え申し上げます。  そもそも死刑の執行に対する補償と申しますのは、本質的には慰謝料というふうに考えるべきだろうと思うわけでございます。それは、今委員が御指摘になられましたように命の値段とかいうことではなしに、死刑を執行したことによる死者に対する慰謝料という考え方、基本的にはそういう考え方ではないかと思うわけでございます。その本来的な性質から申しますと、もともと金額を的確に算定するということはなかなか難しい事柄だと思うわけでございます。  ただ、従来から交通事故等による死亡の慰謝料額の動向とか、自動車損害賠償保障法十三条一項あるいは自賠法施行令の二条一項に定めてあります死亡の場合の保険金額などを一つの参考として、今回三千万円という金額を定めさせていただいたということでございます。自賠法の死亡者に対する保険金額は平成三年に三千万円に改定されているわけでございまして、今申し上げたような経緯で、今回の法案の死刑の執行に対する補償金の額を三千万円とさせていただいたということになるわけでございます。  それでは、なぜ今回引き上げるのかということになりますと、これは抑留、拘禁の方の補償金額を経済事情に応じて引き上げることに合わせて死刑の執行に対する補償金額も引き上げるべきであるというふうに基本的に考えたということになるわけでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 その辺がなかなか納得がいかないわけで、どういう御説明があるかなと思って聞いていたのですけれども、国家が誤って人を殺してしまったというのが死刑の補償ですね。そうなると、国家たるものがそういうことをしてしまったというこの行為、それに対しても国家は、自賠責なんかと違ってそれ相応の金額をもって報いなければしょうがないのじゃないかなという気がするのです。それは、いろいろ行政的に考えれば大蔵省もあることだし、いろいろなほかの、自賠責も一つの参考になるのかもしれないけれども、やはり本質的には違うのじゃないかなという感じがしているわけで、自賠貴が上がったからとかそういうことで物を考えるべきじゃないのではないかということを申し上げたいと思います。  さらにお伺いしたいことは、刑事補償というものは、いわばその原因となった行為について、それに関する国家賠償というものを排除はしてないわけですね。そこで、本当ならば、三千万円もらってもいたし方ない、となれば国家賠償を請求する、こういうことになるわけでありますけれども、言えば、その国家賠償が、今日私どもが感じている限りでは、不勉強でありますから余りよく勉強はしてないのですけれども、認容の可能性というものが非常に薄くなってきたのではないか。検察官の行為が悪かった、あるいはまた起訴したという行為が悪かった、あるいはまた裁判官の判断が悪かった、こういうことで訴訟してみましても、なかなか認容されないという状況になってきている。それが最近の多くの判例の傾向じゃないかと思うのですけれども、現時点で判例を整理してみたら、ゼういう場合だったら認容されるのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。

今井功最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長

○今井最高裁判所長官代理者 国家賠償でございますが、これは委員御承知のとおりに、国家賠償法一条というところでございまして、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた」と認められる、こういう要件が要るわけでございます。  そういたしますと、刑事補償の場合ですと、刑事補償法の規定によりまして、無罪の裁判を受けた音あるいは再審に。より無罪になった者が拘禁された場合には、その期間に応じて、故意過失というような要件あるいは違法性というような要件なしに当然認められるわけでございますが、国家賠償の場合には、今申し上げましたような公務員の故意過失あるいはその行為の違法性あるいはそれによって損害が生じた、こういうような要件が必要でございます。したがいまして、そういう要件、特に問題になりますのは故意過失あるいは違法性、こういうようなあたりが問題になろうかと思います。  そこで、最近の最高裁判所の判例を御紹介して、大体今最高裁判所でこのようなことを言われておるというところを申し上げたいと思います。  こういう刑事事件に関して問題になりますのは、逮捕、勾留、それから検察官の公訴の提起、公訴の追行、それから裁判官のそれに対する裁判、このような段階で問題になるということでございます。  それで、逮捕、勾留、公訴の提起という点でございますが、これにつきましていわばリーディングケースと言われておりますのが昭和五十三年十月二十日の最高裁判所の判例でございます。これによりますと、この判例集に要旨として掲げられておるところでございますが、「無罪の刑事判決が確定したというだけで直ちに当該刑事事件についてされた逮捕、勾留及び公訴の提起・追行が違法となるものではない。」ということがございます。それですから、そういうことだけではだめなんで、そのほかの要件、当該事案に即したほかのいろいろな要件が必要であるということを言っておるわけであります。  それから、裁判官の裁判についてでございますが、このリーディングケース、これは実はもともとは刑事事件ではございませんけれども、もとは民事事件についてそれが誤っておるから国家賠償という事件でございますが、昭和五十七年三月十二日の最高裁判所の判例がございまして、これによりますと、「裁判官がした争訟の裁判につき国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、右裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする。」こういう要旨になっておるわけであります。現在の最高裁判所のこれについてのリーディングケースについては、大体以上のようなところでございます。

中村巖公明党・国民会議

○中村(巖)委員 今リーディングケースを紹介していただきましたけれども、裁判所の判決による違法行為というようなものは、裁判官が不当あるいは不法の特別の目的を持ってそういう裁判をして人を罪に陥れようなんという、そういうケースはあり得ないことなんですね。だから、そうでなければ賠償が得られないということになれば、賠償が得られないということにならざるを得ないわけです。そうだとすれば、国賠というものが十分に機能するならば、それは刑事補償における金額がある程度少なくてもやむを得ない、こういうことになるかもしれませんけれども、国賠がそういうふうに機能をしてこないということになると、これは刑事補償というものについても十分なものをされなくてはならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。それだけ申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私は前回、今回の少年保護補償法二条の要件の「身体の自由の拘束」にかかわって、少年法二十四条一項二号による教護院送致の場合が含まれてないということを指摘して時間切れとなってしまいましたので、ちょっとその問題について幾つか最初に質問をしたいと思います。  教護院送致が行われますと、当該少年は、もちろん親兄弟から引き離されていくことは当然でありますが、それまで通っていた中学校などからも引き離されて教護院の中で教育が行われる。二十四時間教護院の中で生活をすることになるわけであります。一般に教護院施設は開放施設だと言われておりまして、拘置所や刑務所と違うわけでありますが、事実上その少年にとっては、外出はできない、自由が拘束されているという状況になっていることは間違いないわけですね。  そこで、前回もちょっと質問したのですが、無断外出の実態についてお聞きしたいと思うのです。  最高裁判所事務総局が発行しております「家庭裁判月報」平成二年五月第四十二巻第五号の廣渡修さんの論文によりますと、「教護院から無断で外出することを教護院職員は無断外出と呼び、逃亡や逃走という言葉を使わない。なぜなら、教護院は開放施設であり、児童福祉施設だからである。」という文章があるのですが、事実上は、要するに逃亡のことを無断外出という言葉を使っているのにすぎないと思うのです。  そこで、現在日本の教護院における無断外出の実態、全体の数、それから連れ戻しをしているようなんですが、その連れ戻しの実態、連れ戻しの法的権限について厚生省からお聞きしたいと思います。

弓掛正倫厚生省児童家庭局育成課長

○弓掛説明員 全国の教護院における児童の無断外出の件数でございますが、これは昭和六十三年に調査したものでございますが、六十二年の数字で千六百八十九件、延べ人数にいたしまして二千九十五人というようになっております。連れ戻しの状況につきましては、ほとんど大多数がみずから帰ってくるとかあるいは連れ戻されて帰ってきているといったような状況でございます。  それから、その法的根拠ということにつきましては、児童福祉施設というところは家庭にかわる施設ということでございますので、親の立場に立ちまして、親権そのものではございませんけれども、親権にかわるような考え方で連れ戻しをするということになっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 昭和六十二年度において救護院に入所している現人員は、前回お聞きしたのですが、二千六百十一人でありますから、それに対して千六百八十九件無断外出、いわゆる逃亡、逃走が行われているというのは大変な数字だと思うのですね。半分以上がそういうことを起こして、そしてそのほとんどが連れ戻されているという実態は、いわゆる開放施設というのは法の観念であって、現実にはやはり身体の自由が拘束されていると見られるのではないか。  そうしますと、今回少年保護補償法がつくられる前提でありますが、本来審判事由が存在しないにもかかわらず審判が開始されたり保護処分に付されたり、あるいは審判事由の存在が認められないことによって一たん行われた少年院への保護処分が取り消された場合に補償してやろうという趣旨なわけですから、法観念ではなくて現実に身体が拘束されているという実態を真正面から見据えて、誤った処分によって教護院送致となった少年に対して、それが取り消された場合にはやはりこの法によって補償がなされるべきではないかなと改めて今の数字をお聞きして私は感じているわけでありまして、法務省にはお願いをしたいなと思っているわけであります。  厚生省、お帰りいただいて結構です。  続いて、刑事補償法に絡んで、被疑者補償規程の問題についてお伺いをしたいと思います。  法律で、被疑者が「罪とならず」あるいは「嫌疑なし」の裁定を受けたときには補償をするということにはなっておりません。法律はないわけでありますが、昭和三十二年四月十二日法務省訓令第一号被疑者補償規程で、そういう場合にも検察官の裁定によって被疑者に対して補償をすることができるという状況になっているようであります。  そこで、その運用の実態をまずお聞きしたいのですが、どのくらいの数がこの被疑者補償規程によって補償されているのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 過去十年間の立件人員を見ますと、合計三千六百六十件でございまして、そのうち補償した人員が四十九件、補償しなかった人員が三千六百十一人ということになるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 被疑者補償規程の第四条によりますと、「補償に関する事件の立件手続は、次の場合に行う。」としてその第一号に「被疑者として抑留又は拘禁を受けた者につきこ「「罪とならず」又は「嫌疑なし」の不起訴裁定主文により、公訴を提起しない処分があったとき。」とあります。  この解釈、運用ですが、「罪とならず」または「嫌疑なし」という不起訴裁定主文があって公訴が提起されないときには必ずこの被疑者補償規程に基づくいわゆる補償の立件手続を行うのでしょうか。そういう数字なのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この被疑者補償規程の第四条の一号には検察官が「罪とならず」または「嫌疑なし」の不起訴裁定主文によって不起訴処分にしたときが一つの場合として書いてあり、それからそのほか四条の二号、三号、いずれの場合も立件手続をするということになっているわけでございます。したがって、先ほど申し上げました立件人員というのはこの四条の一号だけには限らないわけでございます。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕

木島日出夫日本共産党

○木島委員 わかりましたが、三千六百六十件立件されて補償がわずか四十九件というのは余りにも補償が少な過ぎると思うわけなんです。  同じく規程の第四条の三で補償しないことができる場合という条項があるのですが、なぜこんな三千六百六十件も補償手続が立件されてわずか四十九件しか補償されないのか、その理由はわかりますでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 補償をしなかった場合について先ほど三千六百十一という数字を申し上げましたが、その内訳を申し上げますとある程度御理解いただけるかと思うのですけれども、そのうち心神喪失という理由で不起訴にしましたものが三千三百八十九名あるわけでございます。そのほか虚偽自白という理由のものが九十七、それから別の事件が成立しているために補償しなかったというのが五十一、それから補償辞退というのが三十五、その他が三十九という内訳になっております。したがいまして、補償しなかった場合の大半は心神喪失で、その行為者ではあったけれども責任能力がなかったという場合であるというふうに理解していただけるかと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 実はそこのところが刑事補償法の補償要件と被疑者補償規程の補償要件との決定的な違いなんですね。刑事補償法に基づく補償というのは無罪の裁判が行われたときということですから、心神喪失、いわゆる責任能力がないということで無罪の裁判が行われた場合でも刑事補償が受けられるのです。要するに、罪となるべき事実、殺人なら殺人という行為があった、違法性もあった、正当防衛などではなかった、しかし心神喪失という責任能力がなかった場合でも、無罪の裁判が行われると刑事補償法では補償請求ができるし補償されているのです。しかし、被疑者補償規程ですと、第四条の三の第一号「本人の行為が刑法第三十九条から第四十一条までに規定する事由によって罪とならない場合」は補償しないことができる。三十九条というのは心神喪失と心神耗弱ですね。  刑事補償法では責任能力がなしとして無罪になった場合にも、これは憲法上の要請でありますが、補償しているにもかかわらず、なぜ被疑者補償規程ではそこを排除してしまっているのでしょうか。その理由は何でしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 刑事補償の場合は、今委員御指摘になられましたように憲法上の要請として刑法三十九条から四十一条までに規定する事由によって無罪にされた場合にも補償すべきであると定められていると解しているわけでございますが、不起訴処分の場合にはその要請がない、かつ心神喪失等による行為であっても客観的には法益侵害があったということを考えますると、これらのものすべてについて補償するのはやはり公平の観念に反し、あるいは国民感情に合致しないところもあるであろうという理由によりまして「補償の一部又は全部をしないことができる。」としたものでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 心神喪失等責任能力がない場合でも実質には被害法益に対する侵害があるのだから、そのようなものにまで被疑者補償する必要はない、だからそれは除外できるようになっているのだという御答弁ですが、それじゃなぜ、憲法第四十条は、そういう場合も含めて無罪の裁判を受けたときには国に補償を求めることができると。除外規定をつくらなかったのでしょうか。憲法四十条のその点での趣旨はどうお考えですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 憲法四十条は、無罪の裁判を受けたときは国にその補償を求めることができるということで、無罪の理由を区別しないで刑事補償の権利を認めているわけでございます。  もちろん、この憲法四十条の解釈につきましても、心神喪失の場合はこれに含まれないのだという御見解もあるようでございますけれども、憲法四十条の規定自体からは、無罪の裁判について、その無罪の理由によって区別をするということはしていないというふうにやはり考えざるを得ないと思うわけでございます。  他方、先ほど申しましたように、当該行為を行った行為者であることは間違いないけれども、たまたまそのときにその行為者が責任能力がなかったという場合になおこれを補償するというのは公平の理念に反するのではないか、あるいは常識的にいかがなものであろうかというお考えもあるわけでございます。そういう意味で被疑者補償規程の場合は、刑法三十九条から四十一条までに規定する事由によって不起訴処分にしたというような場合には補償しないことができる場合の一つとして規定したということでございます。  ただ、これは、もう少し申しますと、憲法四十条が規定しております一般の刑事裁判手続で無罪の裁判があった場合の方に比べますと、被疑者として逮捕、勾留されて、その結果不起訴処分になったという場合の拘束期間の長短という点でも若干違いがあるという点も考慮されたのではなかろうかというふうに理解しているわけでございます。  もう少し整理して申し上げますと、憲法上の刑事補償では無罪の理由について区別をしていないけれども、責任能力がないという理由で不起訴処分にした場合にまで補償するというのはやはり常識的にいかがであるか、公平の観念に反する場合もあるのではないか。それと、被疑者段階の拘束期間というのは刑事手続の抑留、拘禁に比べると短い場合が通例ではないか、こういう理由ではなかろうかと思っております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 憲法の四十条に比べて被疑者補償規程の方が公平の観念に合う、常識的であるという御回答ですと、どうも日本国憲法の四十条は常識的でないことが規定されているということになるので、ちょっとおかしな御答弁だなと思わざるを得ないわけでありますが、そのぐらいにいたしたいと思います。  被疑者補償規程によりますと、第六条で補償の裁定を検察官が行うことになると思うのですが、その補償しないという裁定が検察官によってつくられたときに、これに対する不服申し立てはできないのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この被疑者補償規程の上では規定はございませんけれども、検察官に対する上級庁に対する不服申し立てという一般的な形で上級庁に不服申し立てをすることは可能でございます。監督官庁に対する不服申し立て。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 それは、法の根拠は何でしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは検察庁法による上級官庁に対する監督権の発動を求めるということになると思います。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

木島日出夫日本共産党

○木島委員 十年間で「「罪とならず」又は「嫌疑なし」」ということで補償規程による立件手続が行われた数が、少なくとも三千六百六十件よりも少ないわけですね、先ほどの答弁によりますと。ちょっと余りにも少ないなという印象を受けているわけなんですが、これを厳密にやるには、やはり嫌疑なしという不起訴裁定と嫌疑不十分という不起訴裁定の区別が非常に大事だと思うのですね。嫌疑不十分ということで不起訴裁定してしまいますと、補償がこの要件からなくなってしまうわけですから、その辺の実務も問題ではないかと私は思っているわけなんです。  それから、この被疑者補償規程の第四条の三の第四号には「本人があらかじめ補償を受けることを辞退する旨の意向を示している場合その他特別の事情が認められる場合」ということがあるわけです。それがまさに本件の少年保護事件補償法の第三条の「補償をしないことができる場合」として、本人が補償を辞退しているとき、その他特別事情があるとき、このことにつながってきているのではないかと思うわけです。  そこでお聞きしたいのですが、法務省は、この被疑者補償規程に基づく被疑者の補償請求というのは、法律ではないのですが、請求権と見ているのでしょうか。それとも単なる恩恵を与えたにすぎないのだというふうに考えているのでしょうか。この請求権の法的性質をどうとらえているのかをお答えいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず、今の御質問に対するその前に、委員先ほど御指摘になられた「「罪とならず」又は「嫌疑なし」」だけ、そういう裁定をした場合だけが刑事補償するかどうかの立件の対象になるということではなしに、例えば嫌疑不十分の裁定をした場合でも、例えば二号に当たる場合には立件の手続をとるということになりますので、その点を一言だけちょっとつけ加えさせていただきます。  それから、被疑者補償について、補償請求権という形での構成はできないのかというお尋ねだと思うわけでございます。この点につきましては、一つは被疑者補償規程を立法化するということになりますると、例えば起訴猶予の場合は補償請求権を認めるべきでないということはもう恐らく御異論はないと思うのですけれども、そういう理由で不起訴処分が行われた場合におきましても、本人からは、真実は無実であるということを主張して出訴、訴え出ることは、これは容認せざるを得なくなるというふうに思うわけでございます。  そうなりますと、すべての不起訴処分について、被疑者補償請求という審査のもとに裁判所がその嫌疑の有無を判断することとならざるを得ないであろうというふうに思うわけでございます。しかしながら、委員御案内のとおり、刑事訴訟法は公務員職権濫用罪についての準起訴手続の場合を例外といたしまして検察官が公訴権を独占する建前をとっているわけでございまして、不起訴処分の当否を裁判所が審査の対象にするということは、今申しました刑事訴訟法の基本的性格から見て問題があるであろうというふうに思うわけでございます。  それから、二つ目の理由といたしましては、検察官の不起訴処分には無罪の裁判のように確定力がないわけでございますが、もし検察官のこの「罪とならず」あるいは「嫌疑なし」の不起訴処分に対して補償請求を認めることといたしますると、無罪の裁判と同じように何らかの確定力を与えることになってくるのではないか、そういたしますと法制的にそこのところが疑義が出てくるのではないか、こういうような理由から、今日まで被疑者補償規程自体を立法化するということは行われておりませんし、適当ではないというふうに考えておるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 刑事法学者の中には、被疑者補償規程が単なる規程として法務省の訓令という形で行われているということに対して、その補償要件、また補償の金額、内容、裁定に対する不服申し立ての問題等々の問題もあって、できたらこれもきちっとした法律にすべきではないかという意見がありますので、今いろいろな問題があるから直ちに法律にするのは適当でないという御答弁ですが、ひとつ検討の対象にのせていただきたいと思うわけであります。  一点だけ最後に補償規程に関してお聞きしますが、第三条「補償の内容」の金額ですが、これは「抑留又は拘禁の日数に応じ、一日千円以上九千四百円以下の割合」、刑事補償法に準じて同じ金額が補償規程でも行われているわけですが、今回刑事補償法の一部が改正されまして補償の上限が引き上げもれた場合には、当然速やかに被疑者補償規程の第三条の金額も引き上げるということであるとお伺いしてよろしいでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そのとおりでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 続いて、少年保護事件補償法の第三条の三号、補償の一部または全部をしないことができる場合についてお伺いをしたいと思います。  再三問題になっておりますように、第三条の三号に「本人が補償を辞退しているとき」ということがあります。「その他補償の必要性を失わせ又は減殺する特別の事情があるとき。」という条文になっていますが、まず「本人が補償を辞退しているとき」というのは「特別の事情があるとき」の一つの例示だ、そう解釈してよろしいですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そのとおりでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 それでは、その「補償をしないことができる場合」のうち、「特別の事情があるとき」という「特別の事情」というのはどんな場合を想定しているのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 例えば、身柄拘束を受けるに至った帰責事由というのでしょうか、責めに帰するべき事由が専ら少年にあるとき、例えて申しますと、シンナーの乱用癖を有する少年が密売人からシンナーを購入して吸入中に検挙されたけれども、たまたま当該シンナーにはトルエンが含まれていなかったというような場合とか、それから客観的な犯罪事実は認められるけれども責任能力が認められないとして非行なし、不処分決定等がなされたときとか、あるいは専ら虐待を受けている少年を緊急に保護する目的で観護措置がとられたような場合とかというような場合が挙げられる。  また、没取の場合で例を申しますと、その没取物を返すことが少年の将来に悪影響を与える高度のおそれがあるとき、例えばその没取物が偽造物だとか覚せい割とかシンナー、わいせつ物等であるときのような場合が一応想定されるかと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 刑事補償法にはない「補償をしないことができる」という要件として、特別の場合というような場合をなぜ少年保護事件補償法についてのみ入れるのか、その点についてどうなんでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず刑事補償の場合は、先ほどから御議論ございますように、補償請求権という形で請求を待って補償が行われるという形になっておるわけでございますから、請求をする者の本人の意思というのは非常に明確になるわけでございます。ところが、少年補償の場合には、家庭裁判所が職権によって行うわけでございますので、先ほど来たびたび申し上げておりますように、家庭裁判所がその後見的立場から、少年の健全育成という観点から見て補償をするかどうかを職権で判断していくわけでございますので、少年の意思をある程度確認する場合を一つの事例として挙げているわけでございます。  それで、今委員のお尋ねは、法案の三条三号後段のような、こういう抽象的と申しますか包括的な消極要件を定めることがいいかどうかということについてのお尋ねだと思うわけでございますが、確かに、一般的に申しますと、具体的、個別的な要件を一つ一つ書いていくのが望ましいことは事実でございます。  ただ、法案の三条三号が想定している場合をそのような方法で網羅して規定するということは、立法技術上不可能であるということもございますし、そうかと申しまして、そのような場合にまで、先ほど私が例を挙げたような場合まで必ず補償をしなければならないとすることは、かえって少年の健全育成を害し、あるいは過剰補償という言葉が適当かどうか、過剰補償ということになって、少年補償の目的を没却する結果となることも考えられるわけでございまして、そういう意味でこの種の包括的な除外事由を設ける必要があるということでございます。  ただ、法案三条三号について、家庭裁判所の自由裁量を認める趣旨ではございませんで、先ほど来お答え申し上げておりますように、少年の後見的機関であるという家庭裁判所が少年保護の観点に立って健全な裁量によって運用されることが期待されているということを御理解いただきたいと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 少年保護事件補償法の第三条が三号によって非常に抽象的な文言を規定して、補償しないことができる場合を規定した。  今私その解釈をお聞きしましたら、その「特別の事情」という場合の一つには責任能力がない場合が入るんだとおっしゃいましたね。そうすると、何のことはない、被疑者補償規程の第四条の三の第一号、要するに責任能力がない場合、それから第四号、本人が補償を受けることを辞退している場合、要するに被疑者補償規程の考え方をこの少年保護事件補償法に持ち込んできたんじゃないかという感じがして仕方がないのです。刑事補償法の観念を持ち込んで、刑事補償法並みの規定にするべきではないかと思わざるを得ないわけであります。  そういう懸念から、私は被疑者補償規程の運用状況を聞いたわけですが、さつきのように三千六百六十件立件されておりながら、実際に補償がされたのはわずか四十九件だけ。もし、こんな形で少年保護事件の補償法が運用されて、この三条が家庭裁判所の裁判官によって乱用されていった場合、実がなくなってしまうのではないかと懸念せざるを得ないわけなんですね。  そういう立場から、ぜひともこの第三条の三号の「辞退しているとき」またはその他「特別の事情があるとき」という解釈運用は、家庭裁判所は非常に限定的にやっていただきたいなと思うわけであります。特に、この第三条の三号が利用されて補償しないという決定が行われた場合でも、本法案によりますと、第五条の第三項ですか、抗告できない、同じ裁判官が再度の考案をするにすぎないというわけでありまして、抗告権がこの法案にはない、こういう法の構造になっているのですね。  ですから、私は、こういう立法をすることは一歩前進だとは思いますけれども、非常に不十分さが残っているのではないかという点を指摘いたしまして、運用の面でそういう不十分さが解消されますことを希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 刑事補償でありますが、私は単純素朴にお尋ねしたいと思います。  刑事補償が行われるようなケースというのは、私は、関係者にとって随分アンハッピーなケースなんだろう、こう思うのであります。すなわち、検察、警察においても不名誉なことであろうと思いますし、そしてまた被疑者にとっても、無実であるにもかかわらずそのような状況に置かれたということ自体、大変不幸なことであろう。もちろん、十分立証できなかった、本当は本来有罪であるべき人が立証できなかったがために手続上無罪になるというケースもあるかもしれませんが、それはそれでまた追及した方にとっては不名誉なことであり、アンハッピーであるというように、この刑事補償法を今改正されようとしているわけでありますが、本来これは、言うならば最悪の事態のせめてもの償い、こういうことになるのであろう、こう思うのであります。  そういう意味で、少なくとも冤罪がかけられるようなことがないように、制度も運用もあらゆる面においてやはり努力を傾注していかなければならぬ、こう思うわけでありまして、そのことについての法務当局また警察の心構えを改めて御決意としてお伺いしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたとおり、刑事補償と申しますのは、憲法四十条に発するわけでございますが、刑事手続で適法に抑留または拘禁されたのではあるけれども、結果的に無罪とされた者に対して、公平の原則上、その抑留または拘禁によって生じた損害を国が補償するのが相当であるという考え方からできているわけでございます。  しかしながら、今委員御指摘になられましたように、刑事補償の認められる理由はそうではありますけれども、そういう刑事補償が行われる事例というものが少なければ少ないほど刑事政策が適正に運用されているという言い方もできるのではないかというふうに思うわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 そこで、幾つかのことをお尋ねいたしますが、まず第一点として、私きょう、先ほど来質疑を聞きながらふと思ったのでありますが、この補償額の根拠について一つだけ伺いたいと思います。  これは、物価の上昇率だったり、または労働者の給与の上昇率等がいろいろ今日までその計算の根拠とされてまいりました。昭和二十五年でしたか、この制度ができましたときの金額にその後の経済状況や社会状況の変化に応じて率を掛けて修正をしてきたというのが今日までの経緯ではなかったかと思います。その率の掛け方が、給与が上がったり、または消費者物価が上がったり、そのどっちを採用するかというテクニカルな部分があったと思いますが、私は素朴な疑問として、昭和二十五年スタートした段階で、戦後の混乱期に、物価も不安定ならば国民生活の内容も大変ばらばらな状況であったのではないか。そのときに決められた根拠というのは一体何だったのだろうか。もちろん随分慎重に検討をして決められたであろうとは思います。しかし、社会情勢が、また経済情勢が落ちついてきた今日、昭和二十五年のを基準にして率を掛けるのではなくて、本来刑事補償のあるべき姿を一から検討し直してその額を決めるという時期を迎えているのではないか、こういうふうに思うのですが、この私の疑問についてはどうお答えになりますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 確かに委員仰せのとおり、従来、この刑事補償法が昭和二十五年にできましてから今回で九回の改正でそれぞれ日額の引き上げを行ってきているわけでございますが、その都度昭和二十五年の刑事補償法制定時にさかのぼって、先ほど委員御指摘になられましたように、賃金水準の上昇率あるいは物価水準の上昇率を勘案しながら引き上げ額を算定してきたということでございまして、それはそれなりに、その都度できるだけ適正な額に引き上げたいということで、一つの基準として評価できる引き上げ方であろうと思うわけでございます。  ただ、委員御指摘になっておられますのは、二十五年制定当時は二百円ないし四百円だったと記憶いたしますが、ということでスタートしたわけですが、そのスタートしたときの金額がそもそも適正なのかという御指摘であろうと思うわけでございます。  私どもも、当時にさかのぼりまして、現行の刑事補償法が制定された当時の資料等を勉強したわけでございますけれども、当時も必ずしもはっきりしたお答えとしては出てないのでございますが、旧刑事補償法時の金額をもにらみ合わせて、昭和二十五年当時の労働者の賃金額あるいは証人の日当額等を勘案しまして、当時も、例えば四百円という上限日額を決めるにつきましては、その中に、得べかりし利益の喪失分と慰謝料、精神的な損害を償う分と両方が含まれているという前提で四百円という金額を丸めて算定したというふうに理解したわけでございます。したがいまして、二十五年に制定された当時の労働者の賃金日額プラス精神的な損害額というか慰謝料の額を加えて四百円というふうに算定したように理解いたしておりますので、当時としては一応の基準としては標準的な金額として妥当したのではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、それをその後引き上げを図るということを考えてまいりますと一応それを基準にせざるを得ないし、それが一番穏当な方法ではないかというふうに思っているわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 法案審議に入ります前に刑事局長からいろいろと内容の御説明をいただきましたときに実はそのことについて若干のお話を申し上げましたものですから、思い起こしましてお尋ねをさせていただきました。今回の改正で一から見直せとは申し上げませんけれども、ひとつこういう機会に、次にやるときには一度原点に立ち返って検討してみようか、憲法四十条の精神に照らし合わせ、不利益をこうむったそのことに対する償いと慰謝料。  ところが、その償いの仕方または慰謝料に対する人道的な意味での考え方というのも昭和二十五年当時と現在とではこれまた変わってきている、といいますか進歩してきているということが言えるのではないだろうかと思うのですね。ですから、賃金水準だとか物価水準によって率を算出した、それはそれで結構でございますが、それはそれでまたある意味では正当な計算の仕方であろうとも思います。しかし、その原点に返っての検討は、もうあれから随分とたっております状況下にあって、国民の意識、人権感覚等々も考え合わせますと再検討をする時期を迎えているのではないか、私はこういう気がいたしますが、次の機会までにいかがでございましょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この上限日額の引き上げを考える場合に、どのくらいに引き上げるのが相当かということを算定する際に、従来の引き上げの際の算定方式を全く無視するということはもちろんできないと思いますし、それはある程度継続性ということも考えなければならないと思いますけれども、今委員御指摘になられましたようにそのときどきの社会情勢というか物の考え方の変化というものもあるわけでございましょうから、単純に前と同じ引き上げ基準を適用していいということではないと思いますし、要は刑事補償の額をできるだけ補償の趣旨に合うように充実していくというところが大切なわけでございましょうから、今の委員おっしゃられました御意見も今後引き上げを検討する際にも十分参考にさせていただきたいというふうに思っております。

中野寛成民社党

○中野委員 その御答弁で納得をいたします。  このことを考えますときにたまたま思い出しましたのが、カナダ政府が第二次世界大戦中に在カナダ日系人に対して行いました行為に対する償いとして最近補償したのですね。そして、その中で、いわゆるわび状といいますかおわびの趣旨を書いたペーパーというのがその金銭につけて渡されたわけでありますが、その中に、当時はそれが正しいと思って行われたことであるけれども、現在の人道的な人権擁護の立場から考えればそれは非常に遺憾な行為であったというふうに、現在の価値観に照らし合わせて補償するという文章があるのですね。私は人間の感覚、また人道、人権についての考え方というのはやはり年々進歩していくと思うのです。そういうことをも考慮に入れるということは継続性の原則に必ずしも反するものではないというふうに思いますので、このことは御提言を申し上げておきたいと思う次第でございます。  それからもう一つ、刑事補償法というのは、人間がやることでございますから、神様ではございませんので間違いを起こすこともある、その人間の能力の限界というものを認めてこの刑事補償法というのはあると思うのですが、同時に常にみずから人間であること、過ちを犯すことがあり得ることを謙虚に反省しながらあらゆる事態に対応していく必要があるだろうと思うのです。疑わしきは罰せずという原則も、またそのことを考えたからこそある原則であろうと思います。  最近は、裁判の結果無罪となるケースがかなり多く、また大きく報道されるような感じがしてならないのでございます。冤罪という言葉が、むしろ一般国民が普通に使う用語の仲間入りをしてしまったという感じもするのでございまして、そういう意味ではお互いに謙虚でなければならないであろう、こう思うのでございます。訴訟の途中であろうとも、これらのことにつきましてはいわゆるメンツにこだわって公判維持をがむしゃらにやっていくというふうなことが、多分ないであろうとは思いますが、人間様のやることでございます、感情の動物でございますから、時にそういうことが一〇〇%ないとも言い切れません。やはり常に検察も裁判も謙虚でなければならないと思うのでありますが、これらのことについて法務当局としてはどのような注意を払っておられますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 事実認定及び法令の適用に当たりまして、今委員からも仰せになられました疑わしきは罰せずという原則、事実認定あるいは法令の適用についての最終的な判断を行うのは裁判所であるわけでございまして、疑わしきは罰せずという原則につきましても、一義的には裁判所の判断を規制する原則であろうと思いますけれども、検察当局におきましても、この疑わしきは罰せずという原則の根底にある人権尊重の理念と申しましょうかそういうものを尊重して、今後とも被疑者及び被告人の人権保障に十分配慮した捜査活動あるいは公判活動を行っていかなければならないものというふうに承知しているわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 次にお尋ねをいたしますが、この法律は捜査段階で不起訴となった者に対する取り扱いはどうなっているのでありましょうか。実務上は法務大臣の訓令で処理されていると聞いているわけであります。このグレーゾーンの取っ扱いをされた者と全くの無実であった者との区別がつかないときの理由というものがあるそうでありますが、やはりその中でも何らかの基準が明定されてしかるべきではないか、こういうふうにも思うのでございますが、御見解はいかがでございますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 被疑者段階の補償と申しますか、被疑者として抑留または拘禁を受けた者に対する刑事補償につきましては、被疑者補償規程という名の大臣訓令がございます。その中で、補償をする場合の要件として「被疑者として抑留又は拘禁を受けた者につき、公訴を提起しない処分があった場合において、その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるときは、抑留又は拘禁による補償をするものとする。」ということで、検察官に対して補償の権利と義務と申しましょうか、それを課しているわけでございます。さらに、被疑者補償規程の第四条におきまして、補償に関する事件の立件手続につきましても、こういう場合には必ず立件をしなさいという旨の規定も置いているわけでございまして、被疑者段階の補償についても刑事補償に準じた形の補償がなされるように規定は整備されているということでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 これにつきましては、大変グレーゾーンというのは判断がしにくい、また被疑者の方もなかなか要求がしにくかったりするわけであります。また、そういう要求をすることによって、自後、検察または警察から一つの感情的な気持ちで扱われないかという圧迫感みたいなものをやはり人間である限りは感じるだろうと思うのですね。こういうことは十分に運用において前向きに配慮されてしかるべきであろう。ルーズであるということとは違いますけれども、そのことについては十分お考えをいただきたいと思うわけであります。  次に参りますが、現行刑訴法の立法趣旨の一つに旧刑訴法が自白偏重主義に陥り、人権尊重の見地からすると十分でなかったということも挙げられております。その意味で、旧刑訴から現行刑訴に移行した際には実務においても多少の混乱もやむを得なかった面もあるかと思いますけれども、日本国憲法自体刑事手続については異例とも言えるほど詳細な規定を置いております。また、その理念を具現化したと言われる新刑訴法が施行されて既に半世紀を迎えようとする今日、自白偏重と思われる証拠調べが続いているとすれば、これは大変なことであります。  しかしながら、自白偏重であったという、実は冤罪事件の後の新聞報道等ではそういうことも時として報道され、法務当局にとってはそれは不本意なことであろうと思いますけれども、しかしなお善意に解釈すれば熱心さの余りということが言えるかもしれません。被疑者にとっては大変な迷惑でありますけれども、こういうことについて刑事裁判の中で被告人の自白のみで有罪にされたと、いう事案はありませんでしょうか。また、そのことについての背景についても御見解があればお伺いしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 任意性及び信用性に富む真実の自白と申しましょうか、真実の自白を得ることは、それぞれの事案の真相を解明する上で必要不可欠であることは改めて申し上げるまでもないところでございます。また、刑事政策的な配慮を加えた適正な事件処理を実現する観点からも極めて重要であるというふうに考えるわけでございます。  ただ、今委員御指摘になられましたように、自白を偏重してはならないことは申すまでもございませんし、検察当局におきましては、捜査の第一次責務を有しております警察当局と協力しまして、いやしくも自白偏重のそしりを受けないようにできるだけ数多くの客観的な物的証拠の確保を図るとともに、自白がある場合にもその自白についての慎重な吟味を行いまして真実の究明に努めているものと承知しておりますし、今後もその努力を続けていかなければならないものというふうに考えているわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 取り調べの段階で被疑者にとって不当に厳しい環境というものがあってはならないと思うのですが、よく代用監獄の問題が指摘をされるのですね。もちろん、刑事施設法案と留置施設法案いわゆる拘禁二法、国会に提出をされておってまだ審議には入っておりません。これらにつきましても、我々なりの考え方がありますが、まだ審議に入っていないわけでありますからここで申し上げようとは思いませんが、しかし実際上はこれは切り離せない仕組みとしてつくられていますが、一言だけ申し上げれば、何とか切り離すわけにいかぬかいな、こういう気持ちも正直いたしております。とはいえ、この二つの法案、厳密に言えば二つではありませんけれども、拘禁二法の決着がつくまでは何も手がつかないではこれまた困るわけでございまして、いわゆる自白偏重の取り調べの原因としてしばしば代用監獄のことも言われるわけでありますが、警察庁としても、これを機に代用監獄と言われる実態といいますか、これは運用上の問題があるのですが、こういうものをできるだけ改善していくという努力は日常的になされるべきではないだろうか、こう思うわけであります。  それからもう一つ、総務庁にもお伺いをしたいと思うのでありますが、行政監察局では、主として国の機関の行政のあり方について国民一般の福祉に即した公正な立場で改善を目的として行政監察を実施する、これは行政監察の仕事でありますが、行政上の立場の違いはありますけれども、例えば留置施設等についても実態がどうであり、そしていかにあるべきかについて行政監察の対象として調査をされるということもあってしかるべきではないだろうか。地方自治体との関係はありますけれども、あえて私は物事の考え方によってそれらのことは運用できると思うのでございまして、警察庁の努力、総務庁の考え方、お尋ねをしておきたいと思います。

原芳正警察庁長官官房総務課留置管理官

○原説明員 警察におきまして留置場の管理というものをやっておるわけでございますけれども、警察におきましては、昭和五十五年から留置管理業務を担当いたします部門を捜査を担当する部門から管理部門に移しまして、留置と捜査の厳格な分離に努めてきたところでございます。また、接見あるいは差し入れ等の業務につきましても留置管理部門がこれを担当するということにするなど、被疑者の適正な処遇に努めてきたところでございます。  また、留置場の施設につきましても、逐次改善を図りまして、被疑者の人権あるいは防御権にも配意したものといたしまして、被疑者の処遇上不利にならないものとしてやっているところでございます。また、被疑者の適正な処遇という観点からは、これを今後とも一層徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤井昭夫総務庁行政監察局監察官

○藤井説明員 留置施設の整備運営に関して行政監察時に実地に調査を行うということにつきましては、先生も若干御指摘ありましたが、この事務というものは都道府県に委任されているような問題とかあるいは留置施設の設置運営というものは司法事件の処理と密接不可分に運営されているというようなことも踏まえますと、なかなか私ども内閣に置かれる機関としての総務庁行政監察局という立場からは、いろいろ困難な面があるのではないかというふうに考えております。

中野寛成民社党

○中野委員 私は、解釈の仕方によってこれらのことは総務庁行政監察局の対象にし得るというふうに考えておりまして、御検討いただき、また御努力もお願いをしたいと思います。  それから、まことに恐縮でありますが、最高裁から島田刑事局長にお越しいただいたのですが、ちょっと実際の数字を、先ほどお聞きするのをそのまま飛ばしてしまいました。ここで、最近の無罪の取り扱いをされます事例の傾向、これは少年犯罪については山田家庭局長からでしょうか、最近の傾向だけお聞かせいただきたいと思います。

山田博最高裁判所事務総局家庭局長

○山田最高裁判所長官代理者 少年の場合、非行なしで不処分決定あるいは審判不開始決定になった最近の数の面でございますが、その点につきましては、この補償に関する法律案関係資料の末尾の参考資料にございますとおり、大体最近五年間を平均いたしまして、総数としては四百件前後、こういう数字になっております。その中で身柄の措置をとられた観護措置で少年鑑別所に収容された事件だけをとらえますと、五年平均で大体年間二十七件程度、こういうのが非行なしを理由とする不処分決定あるいは不開始決定でございます。  どういう場合に非行なしというようなものが出てくるのかという点を一言申し上げますと、これは実際の裁判例等から見ました限りでの印象でございますけれども、少年の場合には比較的共犯関係がありまして、その共犯関係が認められないということで非行なしとなるものがかなりあろうかと思います。もう一つ特徴的なのは、身がわり事件になっている、こういうようなものではないかというふうに考えております。

中野寛成民社党

○中野委員 今回、少年保護事件の補償法につきましては、言うならば改めて新設されたということになるわけであります。保護事件として非行の事実なしとして不処分の決定を受けた、当然のことではないかと思いますが、同時にしかし、こうして新しい制度が生まれるということは、今まで欠けていたということをあらわすことでもあるわけであります。そういう意味では、最近の事例の場合などに、一定の期間を設けてさかのぼって適用をするというふうなこともむしろ配慮されてしかるべきではないかという感じがするのでございますが、少年保護ということから考えまして特別の措置があってしかるべきではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この少年補償制度を創設するについて遡及適用をある範囲で認めてもいいではないかというお尋ねかと思うわけでございます。今回遡及適用を認めなかった理由といたしましては、次のようなことを考えたからでございます。  一つは、実質的には旧刑事補償法を全面改正いたしました現行の刑事補償法が制定された昭和二十五年の際の事例を除きまして、例えば証人等の被害についての給付に関する法律による給付とかあるいは犯罪被害者等給付金支給法による支給など、補償に近似する、比較的近い似たような制度がいずれも遡及適用を認めていないということが一つの理由でございます。  また、この遡及適用を認めることといたしました場合に、少年法が施行をされました昭和二十四年までさかのぼらせるということは、これは審判記録が不存在だとかあるいは家庭裁判所の手続的負担の面等を考えますとおよそ不可能でございます。かといって、どこかの時点で切るということになりますと、これがなかなか合理的な説明が難しいわけでございまして、その時点でさらに新たな不均衡を生み出すということにもなりかねないというふうに思われるわけでございます。  そういう理由をいろいろ勘案いたしまして、今回この法案につきましては、施行後に非行なし、不処分決定等を受けた者についてのみ適用するというふうにしたというのが基本的な考え方でございます。

中野寛成民社党

○中野委員 最後に、冒頭申し上げました御要望を繰り返しておきたいと思いますが、この刑事補償、少年も含めまして、そのようなことが適用される事件というのは、訴える方にとっても訴えられた方にとって沌大変アンバッピーなことであります。こういうことが必要ないように、その適用、運用、あらゆる面においてなお一層御努力をいただきますことを御要望申し上げておきたいと思います。  なお、御答弁のお願いをしておりました部分において時間の都合上できなかった部分がございますが、あしからずお許しをいただきたいと思います。  これで終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより両案を討論に付すのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、刑事補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、少年の保護事件に係る補償に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会

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