法務委員会 第9号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1992/04/24
会議録
○浜田委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所上田総務局長、今井民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ――――◇―――――
○浜田委員長 内閣提出、民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。田原法務大臣。 ――――――――――――― 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する 法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○田原国務大臣 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 我が国の民事訴訟においては、近時の社会経済情勢を反映して、訴え提起の手数料の額を算出する基礎となる訴訟の目的の価額が高額な事件が増加し、これに伴って、一般国民がそのような高額事件にかかわる機会がふえてきておりますが、訴訟の目的の価額が高額になりますと、それに応じて訴え提起の手数料の額も高額となるところから、国民が裁判を受けようとする場合に過度の負担となることのないよう、早急に対策を講ずる必要があります。 この法律案は、このような事情等にかんがみ、現行の民事訴訟費用制度を基本的に維持しつつ、民事裁判を国民にとってより利用しやすいものとするために、訴え提起の手数料のうち、訴訟の目的の価額が高額にわたる部分に対応する部分の引き下げを図るべく、その算出基準を改めるものであり、あわせて、訴え提起の手数料と同様の方法により申立手数料の額を算出することとされている借地非訟事件及び民事調停事件についても、同様の観点から同趣旨の改定を行うものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○浜田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○浜田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)委員 まず、本法律案ですけれども、この訴訟費用法というもの自身は一体どういう目的でもともと制定されたものなのか、また、先ほど大臣のお話にもありました改正の目的は、非常に高額になった分を、その訴訟費用を安くして利用しやすくさせるという目的だけなのかどうか、この二つをまず伺いたいと思います。
○濱崎政府委員 お答え申し上げます。 民事訴訟費用法の目的ということでございますが、これは、民事訴訟その他の裁判所で行う民事関係の諸手続に関しまして当事者が負担すべき対象たる各種の費用の範囲及び額を定めているものでございますが、この法案に関係いたします訴え提起等の申し立ての手数料について申し上げますと、申し立ての種別に応じましてそれぞれ所定の手数料を納付しなければならないということを規定しております。 この趣旨でございますけれども、これは、裁判制度を利用する者にその制度の運営費用の一部を負担していただくということによりまして、その制度を利用しない者との対比においての負担の公平を図る、副次的にいわゆる乱訴の防止も図るという趣旨に出ているものと考えております。 委員御質問の後段の方でございますが、今回の改正の趣旨、これはただいま大臣が御説明申し上げましたように、また委員御指摘のとおり、手数料が求める利益の額に応じて高額とされておりますいわゆるスライド制をとっているものにつきまして、その求める額が高額な部分に対応する手数料の額がとりわけ割高感が高くなっているという観点から、その部分についての引き下げを行おうとするものでございまして、今回の改正の趣旨は、専らその趣旨に出るものでございます。
○鈴木(喜)委員 運営費用の一部を訴えを提起する者に負担させよう、そういった趣旨からでき上がった法律だとすると、運営費用は高額になればなるほどたくさんかかるのか、訴額が多くなればなるほど費用も手間もかかるのかということになると、あながちそうでもない。裁判所においてももちろん、その他の訴訟にかかわりのある弁護士等においても、別にその費用と訴額との関係というのは余りないように思います。その点についてどうお考えかということと、もう一つ、この趣旨、目的の中に乱訴の防止という意味合いはあるのかないのか、これもあわせて伺います。
○濱崎政府委員 ただいま裁判制度を利用する者としない者との間の公平ということだけを申し上げましたので片手落ちであったかと思いますが、いわゆるスライド制というのは、裁判制度を利用する者相互の間の負担の公平という観点も含めまして、求める利益が多い人にはそれだけ多くの費用を負担していただくのが公平にかなうのではないかという考慮があるわけでございます。あわせまして、求める額が大きいということは、その数に比例するというわけではもちろんございませんけれども、一般的に申し上げますれば、それだけより慎重な手続が必要であるという観点も部分的には含まれておろうかと考えております。 御質問の後半部分でございます乱訴の防止の関係でございますが、このスライド制の主たる趣旨はただいま申し上げましたようなところにあるわけでございますが、あわせて、いわゆる乱訴を可及的に防止するという目的も副次的な目的といたしまして含まれておるというふうに理解しております。
○鈴木(喜)委員 今のように、求めるものが多ければそれなりに慎重な審理その他の手間もかかる、それに、求めるものが大きいんだから少しくらい高額の訴訟費用を納めることも、これは全体から見て公平なのではないか。余りにもそれが多過ぎるから今回の改正なんだという御趣旨だと思うのです。国民の裁判を受ける権利というのは憲法上しっかりと保障されているものでございますから、乱訴の防止ということを、副次的とはおっしゃいましたけれども、余りそれを盾にとられると、国民が裁判を起こそうと思っても、費用がかかりそうなのでやめておこうか、そういった形をとって、裁判を受ける権利という意味からいうと非常に疎外されることが起こるのではないかと私は思います。 それで、国民が今までどういう訴額の裁判を起こしているかということについていただいた資料があるのですが、一般の裁判、地裁段階でどのくらいの価額の請求の事件が何%ぐらいあるか。それから民事の調停の事件。もう一つが非訟事件でございますけれども、特に借地非訟とか、そういう問題についてどのくらいの金額のものが一番多く起こされているのかを知りたいと思うので、一番新しい、平成二年あたりで結構でございますから教えていただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 まず訴訟でございますが、地方裁判所の第一審訴訟事件について申し上げたいと思います。 この法律案関係資料の七ページに表がございます。「地方裁判所第一審訴訟事件における訴額別新受件数の推移」というのがございまして、その一番下が平成二年でございます。 総数でございますが、十一万二千五百十八件ございまして、そのうち訴額一千万円までの事件が八万二千九百八十四件ということで、七三・八%ございます。それから、一千万円から一億円までの事件でございますが、一万九千四百五十八件、一七・三%。さらに、一億円を超える事件でございますが、千六百九十八件、一・五%ということでございます。そのほかに、いわゆる算定不能と申しまして、離婚事件等訴額が算定できないものでございますが、八千三百七十八件、七・四%、こういうふうになっておるわけでございます。 次に、調停の関係でございます。調停につきましても、簡裁と地裁がございますが、調停事件はほとんどが簡裁でございます。簡裁が平成二年で五万九千百二十件ございます。それから、地裁の方は千八百六十七ということでございますので、簡裁について申し上げますと、訴額と、いいましょうか、調停の場合は調停の目的たる価額でございますが、一千万円までの事件が五万一千六百八十八件ございまして、八七・四%、一千万円から一億円までの事件が二千百十七件、三・六%、一億円を超える事件が百二十五件、〇・二%、それから算定不能の事件が五千百九十件、八・八%というふうになっております。 それから、借地非訟の関係でございますが、実は統計上借地非訟の目的の価額というのはとっておらないので正確なことはわかりかねるわけでございますが、今回この費用法の改正問題がございまして、東京地裁で専門にやっております借地非訟部というところで東京地裁についてサンプル調査をやったわけでございます。これはサンプルで、ごく短い期間でやったものですから、正確かと言われるとどうかという問題はございますけれども、一応の傾向がうかがえるということでございます。 これは、平成三年の五月分と六月分の新受件数を調べたわけでございます。全体で四十九件ございまして、そのうち三百万円未満の事件が五件、それから三百万円から一千万円までの事件が八件でございますので、一千万円以下ということになりますと、これを合わせて十二件。それから、一千万円から一億円の事件が二十九件、一億円以上の事件が七件ということになっておりまして、一千万円から一億円までの事件が相当ある、こういうことでございます。
○鈴木(喜)委員 今伺いました借地非訟の場合は一千万から一億の間が多いということですけれども、そのほかの調停事件それから地裁における一般の事件を見ますと、七〇%、八〇%、簡裁の場合には八七%というような数が一千万円までの目的価額になっている。国民の裁判を受ける権利というのは、訴額がかなり高額になったなったと言われますけれども、国民の人たちが必要としている訴額はやはり一千万円までのところに集中しているのではないかと思われます。 そうすると、今回の改正というのは、一千万円までは全く手をつけずに、そこから上の価額だけ、余りにも高いのでこの分を安くいたしますという形で安くしているのですけれども、これは国民の側から見ますと、今度の改正なんというのは自分たちとは全くかかわりのない部分、一生に一度裁判などにかかわるかかかわらないかわからない国民が一番切実に思っている部分ではなくて、大きな企業の大きな目的物に関係のある訴訟であるとか外国からの要請であるとか、そういうことによって余り国民と関係のないところだけを安くしたというような感じがあるのですけれども、このあたりはいかがでしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、一千万円を超える額の訴訟事件というのは全体の二〇%程度ということでございます。しかし、その割合自体がここ数年でかなり大きくなってきておる。これからもその傾向は続くのではないかと思われるわけでございます。 御指摘のように、そういう大型といいますか高額の訴訟は、そういった企業等がかかわる事件が多いのかもしれません。しかしながら、いろいろな関係で、いわゆる一般の市民の方々もそういう高額訴訟にかかわる場面も、必ずしも一般的に多いわけではございませんけれども、だんだん大きくなってきているのではないか。特に、例えば一人一人の請求額は少なくても、多数の方々が集団的に訴訟を提起されるというような場面におきましては、総額としては数億円というような事件も新聞紙上等で見受けるわけでございまして、今回の改正のメリットはそういう場面にも及ぶわけでございます。 御指摘の訴額が低い部分の手数料のあり方いかんという問題については、委員御指摘のような御意見があるということは私どもも十分承知しております。しかしながら、その部分を一般的に引き下げるべきかどうかということになりますと、裁判の申立手数料の基本的な考え方にかかわってくる問題でございまして、さらにいろいろな角度からいろいろな方面の御意見を聞いて、慎重な検討が必要であろうというふうに考えているところでございます。 御案内のとおり、現在法制審議会の民事訴訟法部会におきまして、国民に利用しやすい民事裁判制度という観点から審議が行われております。その検討事項の一項目といたしまして、この中立手数料のあり方といった問題点も一つの事項として掲げられておるところでございますので、そういった審議の推移を見守りながら考えてまいるべき問題であるというふうに考えておるところでございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話を聞きますと、これから先考えることはあるという中に、少額といいますか、一千万円までの訴額の部分も考えていただくということですが、最初の方で、見通しとして、一般国民の訴訟物の価額もだんだん高額になっていくというような予想がされるではないか、だからその部分について初めから手当てをしてあげようなどということが、あるとは思いますけれども、主たる目的はどうもそこにあるわけではない。特にこれは土地などが絡みますと、確かに一般の国民でも大きな訴額になってくることがあるとは思い、ますけれども、しかし一般に訴訟物を計算するときには、時価ということではなくて一応固定資産税の評価額を中心とした価格でもって訴額を計算するわけですから、例えば相続で、大相続ではなくて普通一般の人が争うような訴訟物についてそれほどの高額になるということは、本当に希有の事例ではないかと思うのです。どうも法務省の今回の改正は目が一般の国民の方に向いていない。しかも、これはお金だけをちょちょっと、どこかからの要請で、大変なことがあるからといってここを下げるだけに終始してしまって、国民の便益の部分についての改正は後回しにされている。やはりこれでは困るわけで、先ほどの御答弁にもありましたように、早急に、国民の側から見た部分、この一千万円までの訴訟の費用に関しても御検討いただくとともに、そのほかのいろいろな、今までの訴訟からいうと必ずしも国民の便益になっていなかった部分についても、きめ細かく検討をされていっていただきたいというふうに思うのです。 その一つとして、先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、訴訟物の価額の算定をする場合の算定方法の中で、原告の数が多くなると訴訟物が大きな価額になってしまう。この問題については、九十億ドルの訴訟であるとか住民たちの集団的な工事の差しとめ請求とか、そういうことで起こる住民訴訟なんかにおいて非常に高額な訴訟費用を払わなければならない。前にもそういった事態が生じだということを私たちも承知しておりますし、この法務委員会で私も前に質問をさせていただいたことがあると思うのですけれども、このあたりは、高額になるからその費用の額、パーセンテージを下げようよということではなくて、そういった算定方法そのものが非常におかしいのではないかということをそのときも申し上げました。今もその算定方法のおかしさと、その上に、これが実に裁判所によってばらばらな算定方法をされている。国民は裁判所に行ってみないと費用がはっきりわからない、こういうことがある点も含めまして、法務省としてはこの点についてどのようなお考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
○濱崎政府委員 いわゆる訴額は訴えをもって主張する利益によって算出するというふうに定められておりまして、非財産上の請求は別といたしまして、財産上の請求に係る訴訟でありますれば、理論的には訴額の算定はいろいろな事情を総合判断して算定可能であるというふうに解されております。ただ、実際問題としましては、委員御指摘のように、その価額を必ずしも明確に一義的に明らかにすることが容易でないという類型の事件も相当あるということは私どもも承知しております。 しかし、現行法の規定は、訴訟の類型、訴訟物のいかんということは、極めて多種多様、千差万別、個々の事案ごとに異なるものでございますので、その訴訟物に対応した価額の判定というのは、受訴裁判所の裁判長において個々具体的に法の趣旨にのっとって判断するのが具体的な妥当性を追求する上で適当であるという考え方で現在の制度ができているわけでございまして、基本的にそういう個々の裁判所の裁判長の判断にゆだねるという制度は妥当な制度ではないだろうか、あとはその規定に従って各受訴裁判所で適正に運用していただくということに期待すべき問題であろうというふうに私ども考えているところであります。
○鈴木(喜)委員 先ほどの国民の裁判を受ける権利という観点からいいまして、特にこの間の九十億ドルの訴訟みたいに、全然そういうことではないと思って行ったところが、物すごい天文学的数字になるようなそうした訴訟物の価額を示されて、国民としては本当にこのことで審判を受けたいと思っている人がたくさんいるのに、それがそういった訴訟物の算定の方法によって受けられなくなる。しかも、その後いろいろと話し合った結果またその金額が安くなったというような、そういった非常に安定性を欠く算定方法というのは、まさに手数料という名目からいいますと、私たち国民にとってみれば非常に不安定な問題になると思うのです。 訴訟費用などはなるべく安ければ安いほどいいと思うのは国民感情です。それはもちろんそうなんで。すけれども、やはりこの訴訟を起こしたらば幾らぐらいの訴訟費用が取られるかということを明確にしていただかないことには、訴訟費用の先ほどの添付書類の中でも、例えば一千万円までだったら五万七千六百円の訴訟費用がかかる、二千万円の訴額だったら九万七千六百円、改正案ではそうなるのだというようなことがわかっていたとしても、もとになる一千万、二千万というところがふわふわ動いて膨らんだり縮んだりしているような、しかもそれがそれぞれの裁判所によって違うというようなことでは、いかにその後の表について明確なパーセンテージが決まったとしても、それで動いてしまうわけですから、この点は費用の明確化の要請ということと、それから先ほどおっしゃられましたような形での個々の千差万別なものを一律に決められないからそれは弾力的に個々の裁判所で決めるといったこととの調整、この点にかなり神経を使っていただきたいと思うのです。 先ほど例に挙げました集団的な訴訟の場合とかそれから賃料の増減額の請求、よくある形でございますから、そういった賃料の増減額の訴訟であるとか、もう一つが、例えば相手方からすごく法外な、身に覚えのない債務があるというふうに言われて、あなたに三億円貸しているから返せと言われて、私は三億円も一銭も借りた覚えがないから債務不存在確認の訴えを起こそう。そのときに三億円の訴額だということになったら、相手方の非常に理不尽な訴訟に対して、それを防御する側としては、何もないということを立証するためにそんな大きな訴額のものをもとにして計算するとなると、これは大変なことだと思うのです。こういった問題について、類型的にあり得る問題についてはある程度固定的な明確な訴額の算定ということを、訴訟物の価額の算定ということをしていただきたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘のような問題があるということを私ども認識しておりますが、先ほど申し上げたと同じお答えになってしまいますけれども、やはりそういった訴訟の類型をあまねく拾い出して法令の形で整備するということは極めて困難なことなのではないか、これは立法技術上も困難であるという問題もございますし、そういうことで一たん類型化いたしましても、民法等の考え方の変遷に伴いましてまた新たな訴訟類型が生じてくるというようなことも考えられるわけでございますし、また逆に、ある程度の類型でくくって、これを立法できちっと規定してしまったがためにかえって融通がきかなくなって、個別の妥当性に沿い得ないというような懸念も、これは懸念としてあり得るところではないか、そういう難しい問題があろうと思っておるわけでございます。 ただ、この問題につきましても、先ほど申しました法制審議会の「民事訴訟手続に関する検討事項」の中で、検討すべきかどうかを考える一項目として訴訟物の価額の算定といった問題も、一つの考え方というものを例示して掲げておられるところでありまして、この点についてもそういった審議の推移を見守って考えてまいりたいと思っておるところであります。
○鈴木(喜)委員 今も私、そんなに硬直化したことを言ったわけではなくて、あまねく全部の訴訟物の価額の算定についてきっちりからから決めると言うのではない。調和の問題として、非常に多くあるものを裁判所なり法務省なりで調査をされて、よくある訴訟、よく使われる訴訟、それから例外的、救済的な条項、そういったものを入れ込んだ形で調和を図っていただきたい。何もかも全部ということは言えるわけではないことはよくわかっておるわけですけれども、だからということを盾にとってこういった訴訟物の価額の算定などに改正のメスをなかなか入れていただけないということだと非常に困ると思うのです。ですから、これは法務省の、そしてまたその中での非常に大きな検討の中でいろいろな方々の知恵を集めて、一般の人が利用することの多いものについてだけでもせめてきちんとした形を決めていただきたい、そして救済的な規定をつくっていただきたい、これを強くお願いしておきたいと思います。 法務大臣に今のこの問題について伺いたいと思うのですが、一千万円までのところについて削減するというお考えが今回のこの法案にはないのですけれども、この点についてどう思われるかということ、そしてそのほかのさまざまな、これから裁判を受ける国民の便益に資するような形での価額の算定についてどのような考えをお持ちですか、お伺いしたいと思います。
○田原国務大臣 ただいままでの委員の御質問に対して政府委員からお答えしておるのをずっと聞いておりましたが、先生のおっしゃるのもなかなか合理的な御意見だと思います。一方、私、裁判の実務とかそういうものを存じ上げませんが、果たして一つ一つの算定方法を決めてしまうことが裁判の内容に立ち入ることにならないかどうかという心配が多少あるような気がするのです。しかし、一般にも、先生以外にも御指摘のような御意見があるのは時々耳にします。 そこで、先ほど政府委員が答えたこととやや似てまいりますが、民訴法全体の見直しということで法制審議会で今やっておりますが、その中の手数料制度ということで、検討事項の一つとして申立手数料について盛んに勉強しておるようでございます。したがって、今回の改正の後は、法制審議会における検討も踏まえて、民事訴訟費用制度についてさらに改正するかどうかという点を突っ込んでもらわなければいかぬと思っております。 ただ、私、御存じのように今まで全く門外漢だったわけでありますが、今のお話でより深い関心を持ちました。基準というものがきちっとできるかどうかわかりませんが、何かそれをサジェストするような、におわせるようなものなんかはあっていいんじゃないかなという気がいたしております。
○鈴木(喜)委員 今の問題で一つだけ、まだ少額の一千万円以下のこと、ちょっとそれを後でもう一度お答えいただきたいと思うのです。 それともう一つ、基準を決めるということが裁判に立ち入るかということになりますと、それはそうじゃないと私は思います。それよりも事前に、まだ事実の審理もしない間に、当該の担当する裁判所の部署がその事案を見て、そしてこの中でこうこうこうだからこういうふうに決めよう、これならこのぐらいに決めようとすることの方が当該裁判官が予断や偏見を持ってしまうおそれもあるぐらいで、裁判に立ち入るということについて言いますと、きちんとした形式的なことで処理するということの方が立ち入らないで済むことになるのではないかというふうに私は思うのです。ですから、さっきおっしゃっていたように、大臣のおっしゃっていたような形で、立ち入るか立ち入らないかということではなく、もう少しきちんとした基準を決めていただく、そのことについての審議会の意見を十分にお聞きいただきたいと思うのです。 先ほどの一千万円以下のことと、二点をお願いいたします。
○田原国務大臣 審議会がもしそのことについてお触れになっていろいろ結論をお出しになれば当然尊重させていただくわけでありますが、私申しましたのは、全くの門外漢だった私が感じることとして、司法の独立を侵すというところまではいかなくてもそれに近い感触を与えるのではないかなという感じがする部分があるのじゃないかという感じがしたので、ああいうふうにお答えしたわけです。 一千万円以下の部分の問題でございますが、これもやはり手数料制度について法制審議会で全般の見直しをやっておりますから、いずれはそこにゆだねることになると思うのですけれども、ただ、確かに一般の小さいものの方が数多いわけですから、これに対してほうっておいて捨ててしまったという印象を与えちゃいかぬということで、真剣に検討しなければいかぬ、そういうふうに考えております。
○鈴木(喜)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。 それで、次に、先般ずっと審議をしてきました外登法の問題等につきましても、外国人の方が日本に戦後おられて、そこでのいろいろな外国人の問題、人権の問題をさまざまな形から外登法の改正について私たち議論をしてきたわけでございますけれども、今回、それのまたもとになるような外国人の人権にもかかわる問題として一つ問題が生じて、新聞等にも大きく取り上げられました問題を質問していきたいと思います。 昨年の八月の末に、東京都の新宿区の戸山町、現在そこは厚生省の予防衛生研究所というのが建設予定で、相当に建ち上がっているところの土地ですが、昔、旧陸軍の軍医学校のあった跡のところの工事現場から三年ほど前に、そのころは三十五体ぐらいの人骨が掘り出されたという事件がございました。そして、それをさっき申しました去年の八月の三十一日になりましてから新宿区がこの骨についての鑑定を依頼しました結果がことしの三月の末に出て、その公表が今月の二十二日になされたわけでございます。 前々からこの骨が一体どのような経過でここに埋められたのかということについてさまざまな憶測それから推理、推測がなされてきたわけでございますけれども、日本人がそこでもしかしたら戦災で焼けて倒れて、それが全部そこに埋められていたのかもしれない。その場所が軍医学校の研究所であり、しかもそこは七三一部隊という名称で知られる給水それから防疫の研究をするという名目の研究所のあったところ、石井さんという方のおられた場所であるというようなことがあって、さまざまな憶測が、新宿区ばかりではなく全国的になされていたわけです。これについて私は、二年前に衆議院に入って以来さまざまな形で委員会等において質問をしてきたわけでございますけれども、基本的には、この骨がどこの国においてきちんと眠ることができるか、その骨をその場所できちんと眠らせてさしあげることがまず第一に必要なことじゃないか。日本だったら日本、そのほかだったらそのほかの国で、しかもそのほかの国で眠らせるということ自身の調査の中で、一体どのような経緯でこういった人骨がここにこういうふうにたくさん埋められていたのかということについてやはり調査していかなければならないのじゃないか、こういった立場から質問をしてきたわけです。 新宿区は早くから区議会で全会一致で鑑定を決め、鑑定を依頼しようとしたのですけれども、なぜかどこに行っても、最初は受けても、断られるという形で、二年近くがそのままいたずらに過ぎてしまって、葬儀屋さんの倉庫の段ボールの中にむなしくその骨が眠っていたのですけれども、幸いにして昨年受けていただいた大学の先生のところで出た結果ということになりましたらば、この結果を鑑定書が出てきて見てみますと、人体は三十五どころではなくて、頭の骨だけでもそれぞれの方のが五十個ぐらい、全体の骨から見ますと、約百余りの遺体の骨であるということがわかった。しかも、非常に多くの頭蓋骨の部分がありまして、この骨の部分には、弾が撃ち込まれてできた穴があいているというのが一つ、それからドリル様の物で頭に穴をあけるというような、脳外科的な形での頭に穴をあけるというようなこととか、中耳炎の治療のように耳の下のところを穴をあけるというような、人為的な工作を加えられたものがまたたくさん出てきた。そのほかに、首の骨のところは鋭利な刃物で切り断たれている、そういった、どう考えても自然に亡くなられた方または焼け死んだ方の骨というような可能性のない、首だけ切って、そしてそれが頭蓋骨になってというような形のものが多いというような結果が非常にたくさん出てまいりました。 年齢も壮年の方が多く、しかも女性がその中に約四分の一含まれている、男性が四分の三、そして少年と思われる十五歳ぐらいの骨も一つ含まれている、こういった結果が出てきたわけでございます。そして、人種についてはモンゴリアン、モンゴル系のというところまでぐらいしか判明はしないのだけれども、しかしその中には、例えば日本人というような一つの民族ではない、その骨の中に、日本人もあるかもしれないけれども、しかし日本人だけでない、日本人を含むかもしれないけれども、そうでない人たちもある骨であるということが今回の鑑定の結果わかったわけでございます。厚生省の方にもその当日既に鑑定書は送付されていると思うのですが、非常に重要な事態になってきたと思うのです。 二十二日の当日に新宿区の方が発表したコメントの中に「人骨の身元調査に対して国(厚生省)からは拒否されているという従来からの経緯もございますが、この鑑定を国(厚生省)に送付し、今後さらに協議を行います。」というふうに書かれております。そして、区としては、これを引き取り手のない、引き取り手のわからないそうした方の遺骨というふうにして、そういうものについては墓地、埋葬等のそういう方々の法律ということで、区長として、焼いて葬りたい、こういうふうに一応言っているわけですが、ここまでいろいろなことが明らかになってきた現在、そこに研究所を建てておられ、しかもその前に軍医学校の用地であったその土地を今管理しておられる厚生省としてはどのように考えられますでしょうか。
○寺松政府委員 先生の御質問、厚生委員会でもお答えいたしましたけれども、発見されました人骨につきましては、土地の管理者といたしまして、法令等に定めます所要の手続に従いまして適正に処理したと思っているわけでございます。 先般、先生今おっしゃいました新宿区に鑑定の結果が出たということの事態になりまして、私どもは、とりあえず土地の管理者であります国立健康・栄養研究所を所管しております立場から保健医療局におきまして、新宿区から御協議があった場合には、鑑定結果の具体的な内容あるいは区の考え方等も十分お聞きいたしまして考えてまいりたい、このように思っております。
○鈴木(喜)委員 十分お聞きするところまでは結構ですけれども、考えてまいりたいの内容がまず知りたいわけです。今ここでこの骨を焼いてしまったり、そしてまたこれを埋葬してしまった場合には、もうこれ以上何もわからなくなってしまいます。今ここまで鑑定の結果が出たということについては、厚生省としてはこの調査について、もっと詳細なものについてあらゆる調査をすべきじゃないのですか。
○寺松政府委員 今の先生の御質問でございますが、私どもまだ正式に新宿区からお話を聞いておりません。新聞等では報道されておるわけでございますし、先ほど御説明いただきました鑑別の結果につきましてはいただいておるわけでございますが、非常に専門的なことでございますので、区の方で十分佐倉先生から、鑑定の先生からお聞きになっているように聞いております。したがいまして、その辺のお考え方もいろいろお聞きした上で、今後の人骨の取り扱いにつきましては、土地の管理者としての立場を踏まえつつ、新宿区の協議に慎重に応じてまいりたい、このように思っております。
○鈴木(喜)委員 何もお答えになっていないのと同じだと思うのです。慎重に応ずるということはどういうことなんですか。今までの厚生省の態度を踏まえということは新宿区も言っているのです。そうしますと、どうしてもそこで専門的なことをお聞きになって、どんな専門的なことをお聞きになるかわからないけれども、それによって、ああもうわかったのですね、ここまでわかったのだから、もうこれ以上はわからないのだから、これを焼いて埋めてしまいましょう、そして日本で手厚く葬りましょう、そういった結論を出される可能性があるかどうかということを聞いているのです。
○寺松政府委員 先ほども申し上げましたように、新宿区から正式にはお話がございません。したがいまして、新聞報道等につきましては、人骨を葬るとか焼骨するという場合については厚生省ともよく相談する、こういうふうに聞いておりますので、恐らく新宿区からお話があるかと存じます。それに応じまして私どもも考えてまいりたい、このように思います。
○鈴木(喜)委員 もうここの場面において新宿区は主体じゃないのですよ。新宿区は厚生省に御相談をしたいと言っているんですよ。だから、詳しく聞いてから返事をするのじゃなくて、現在出てきているものがこの鑑定書なんですよ。それについて、基本的な姿勢としてこれ以上調査をしようとしているのかしていないのか、その点を伺いたいと言っているのです。ただ単に新宿区から聞いてそれで答えを出すというだけの答えを今私はここでいただこうと思っているわけじゃないのです。ここで、もっと詳しく調査をする必要があるかないか、そう思っておられるかどうかを聞いているのです。
○寺松政府委員 厚生委員会でございましたか、先生が厚生大臣に御質問になりましたときに厚生大臣が申し上げたと思いますが、いろいろと聞き込み等もやってみたい、こういうことでございまして、私どももその指示を受けましていろいろとやっておりますが、何分昔のことでもございますので非常に難しいということは御承知おきいただきたいと存じます。
○鈴木(喜)委員 何分昔のことであっても、今ここまで鑑定の結果出てきたわけですよ。何もわからない骨でございます、昔のことはわかりませんというふうなことを前にもいろいろな、私の個人的なところでの質問についても、それからまた公の委員会での質問についても、そのことについてはもうわからないことばかりでございますと言っていたことが鑑定で、それも半年ですよ、半年の鑑定の中でこれだけのことがわかってきているわけですよ。このわかってきたことを、何分昔のことでございますからなどと言っている間にどんどん年がたってしまいますよ。今ならまだ生きておられる方もある、生き証人の方もある、そしていろいろな文書もどこかにあるかもしれない。そういったことにどのぐらい厚生省が熱意を持ってやっていただけるかどうか。 私はこの問厚生委員会で質問したときに、厚生大臣が、調査をしましょう、そういった確認をしていただいたことを非常に前向きな姿勢として評価をしておりますけれども、それについて、今こういったものが具体的に出てきたときに、まだ新宿区と相談しましてとか中身を聞きましてということではなくて、もっと具体的にそして主体的に厚生省がかかわってもらいたいと思うのです。厚生省としてはこの問題を区の問題だと思っておられるのですか。 既にこの問題は、軍が関与して異常な形で昔なら首を運んできたと思われるんだよ、切断して運んできたと思われるんだよというふうに言っている、こういう事情からいきますと、これはやはりこれまでの戦争の責任の一つの事態ではないか、私たちのもう少し先輩の人たちがずっと行ってきた戦争の中の一つの結果、こういうものが出てきたのじゃないかと思われるのです。これは国の問題としてかかわらなければならないので、新宿区の問題、区が主体となった問題ではないのですけれども、そのあたり厚生省は、厚生省が主体だというお考えがおありなんでしょうか。
○寺松政府委員 私の方からお答えするのが適当かどうかと前の御質問のときにもお答えしたのでございますが、私どもは土地管理者としての立場からはいろいろとこの問題についてかかわりがあるので、先ほども申し上げましたように厚生大臣からいろいろ、今先生が御指摘のように、まだ現存される方がいらっしゃるかもしれない、それからいろいろな資料があるかもしれない、そういう中からいろいろと聞き込み等もやって調べるように、こういう御指示をいただいておりますので、そのお話は私どもが今担当してやっておるところでございます。
○鈴木(喜)委員 今のその調べておられることと、今回ここに衝撃的なこうした鑑定書が出てきたこととのその結びつきで現在どのように考えておられるか、この鑑定書というもののほかにもこの骨をもっともっと細かく調べていく必要があるのではないかということを、私はさっきから再三お尋ねしているのですけれども、その必要がありともないとも今言えないということなんですか。
○寺松政府委員 鑑定結果でございますけれども、私ども、やはりこれは十分鑑定者の方の御意見を聞かれた新宿区の方から直接詳しくお聞きして、これに対して判断するということになると思います。私ども、新聞等で報道されていることがどうのこうのという問題じゃございませんで、やはり役所としまして、その辺のお話を十分聞いた上で考える、こういうことだと思います。 それから、鑑定結果のお話はそれといたしまして、いわゆる人骨の由来という問題はまた別途あるわけでございます。鑑別の方法につきましては、これは新聞報道のところでございますけれども、モンゴロイドというお話でございまして、まだどこという人種を特定できないというふうに伺っております。したがいまして、その辺を十分お聞きしたい、このように考えておるわけであります。
○鈴木(喜)委員 そのモンゴロイドというところから、今、一つの民族ではなさそうである、少なくとも複数の民族が入っているんだ、仮に日本人が入っていたとしても他の民族も入っているんだというところまでこの鑑定書の中でわかっているし、そのことは鑑定書の中の文言で書いてあって、専門的な用語でも何でもない。私が読んでもわかるような、そういった言葉で書いてあるわけですから、その点について、あと何を区からもう一度詳しくお聞きになるのか。詳しくお聞きになることは、それは十分に聞いていただきたいと思いますけれども、決定されるのは区ではなくて厚生省の方であるということについての自覚をお持ちいただきたい、このことを言っているわけです。 区に相談を受けたからただ相談に乗るということではなくて、ぜひとも厚生省として主体的に動いていただかないとこの問題は解決しないし、もっともっと調べる必要があるのではないか。少なくともここで今この人骨を焼いたり埋めたりしてしまうことのないようにぜひともお願いをしておきたい。骨が語っている、語りかけていただいていることについて、その日をふさいでしまうようなことを厚生省というお役所の手でしないでいただきたいということをぜひともここでもう一度お約束をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○寺松政府委員 今先生がおっしゃいました、口を封ずるとか封じないとかいう問題じゃございませんで、やはり事実について私ども十分調査もし、伺っていきたい、このように考えております。
○鈴木(喜)委員 市町村長の埋葬の権限、義務というものについては、埋葬とか火葬を行う者が判明しないとき、いないとき、このときに区なら区長さんができるわけでございますから、そうなりますと、今回の場合には、この土地の管理者が厚生省であり、しかもこれを埋めたのがその土地の所有者、そのころの管理者である者が埋めたわけで、その土地を今管理しておられるのが厚生省だとしますと、埋葬、火葬を行う者の権限は区にはもはやないというふうに考えなければならないのだろうと思います。この人骨を埋蔵物というふうに考えたとしましても、その所有権は、骨の所有権というふうな言い方はおかしいのですが、やはり現在の土地の管理者というところに一定の権限というものは来るのだろうと思われます。この点についても厚生省の方でよくお調べいただき、また、くれぐれも申し上げておきますが、ここでこの人骨について軽々に焼いたり埋めたりすることのないようにお願いをしておきたいと思います。 この問題は、私は厚生省が、この間の厚生大臣の調査についてのお約束ということも含めまして、これからもずっと骨の物理的、科学的な調査と並行して、周りの人たちのいろいろな意味での調査とか、または海外に置かれております軍事裁判の資料その他について、今回も七三一部隊の資料はアメリカの方から情報公開で回ってきたというふうに聞いておりますが、そういった資料も含めましてそれを調査するということを、おいおいとかだんだんとかいうことではなく、きちんと特別の調査委員会でもつくってやっていただきたいと思います。この点について、厚生省ばかりでない問題として、厚生省と内閣、お二方からお聞きをしたいと思います。
○寺松政府委員 先生のお話の件でございますけれども、この人骨自身の問題についていろいろ調査するということは先ほど何度も申し上げました。それから、この人骨にかかわりますことで、海外で保管されている資料につきまして土地管理者としてやるのが適当なのかどうかはよくわかりません。私もそう思います。しかしながら、機会あるごとにまた努力もしたいとは思いますが、その辺は御了解いただきたいと存じます。
○木村説明員 人骨の調査の問題につきましては、厚生省からも私ども報告は受けております。いずれにいたしましても、現在、厚生省の方で新宿区から説明を聴取するということを聞いておりますので、内閣といたしましてはその結果を見守りたいと思っております。
○鈴木(喜)委員 ぜひ、内閣としては結果を見守り、この問題を放置することのないようによろしくお願いするとともに、厚生省としましては、先ほどから何回もしつこく申し上げましたけれども、済みません、寺松さんもう一回、骨の保存ということについて、軽々に、私たちの目や耳に触れないというか、ただ一片の御報告だけを承って、もうこれは焼くことにしましたとか埋めることにしましたということのないように、国民の疑惑がまだまだある段階ではこれを解明するための努力をしていただきたいのですが、一言お約束いただけませんか。
○寺松政府委員 何度も申し上げておるので同じことの繰り返しになるのでございますけれども、今、葬るとか葬らぬとか、勝手にやみに葬るとかいうような話ではないと私ども思います。したがいまして、これは御承知のように、墓地、埋葬等に関する法律とかあるいは死体取扱規則というような法律もございます。この法律からいきますと区も関係してくるわけでございますので、区とも十分協議しながら対応していきたい、このように考えております。
○鈴木(喜)委員 この点については、ここで調査をやめるということのないように、ここまで出てきた大変な鑑定書でございますので、ここから突き進んだ形でやれるようにぜひともお願いしたいと思います。 最後に法務大臣、この問題についてお考えがありましたら、一言お聞かせください。
○田原国務大臣 所管を越える話でありますが、政治家の一人としてお答えします。 国民の重大な関心が集まっている事件ですから、うやむやにすることなく処理をしていただきたい、こう思います。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。 終わります。
○浜田委員長 小森龍邦君。
○小森委員 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、先ほど提案説明をお聞かせいただきました。その中の、この法案を改正していくきっかけ、動機のようなものの中に「近時の社会経済情勢を反映してこういう問題がございまして、私も非常に深い関心を抱いておるわけであります。 そこで、今日の我が国の経済の問題につきまして、もちろんこれは民事訴訟にかかわるための分析という観点からお尋ねを申し上げるわけでありますが、高額な訴額に基づく訴訟というものが近年ふえてきておる実情にかんがみまして、今日の我が国の経済の規模の拡大ということにつきまして経済企画庁はどういうふうな御理解をいただいておるか。そう言いましても非常に漠然といたしておりますので、世界から見れば異常なほど経済の成長を遂げてきたということでございますから、私が予定をしておるのは、むしろそこからくる国民生活に対するマイナス点のようなものこそ政治家とすれば問題とするわけなのでありまして、そんなことを頭に置いておりますが、しかし、ともかくも異常なまでの高度な成長を遂げてきた日本経済は、何が原動力、何が推進力になってそうなったのであろうか、こんなことをまずお答えいただければと思います。
○塩谷説明員 日本経済の規模がどのように拡大してきたかというお尋ねでありますが、経済規模をはかる尺度といたしましては、一年間に国民が生み出した財貨サービスの最終生産額でありますGNPを用いるのが適当かと存じますので、GNPで申し上げたいと思います。 今わかっております最新のデータによりますと、平成三年、昨年の日本のGNP総額は約四百五十六兆円でありました。一方、十年前、一九八一年のGNPを見てみますと約二百五十七兆円でありましたので、この十年間に経済規模は約一・八倍拡大したことになるわけであります。 この拡大が何によってもたらされたかというお尋ねでございますが、GNPの構成要素であります、民間設備投資、個人消費、住宅投資、政府支出といったところがそれぞれ成長をいたしたわけでありますが、特に個人消費の伸びというのはGNPの中に占めますウエートが高いわけでございます。個人消費が堅調に伸びたというのが第一。二番目が民間設備投資が活発に伸びて生産が伸びだということだろうかと理解をしております。
○小森委員 この十年間にGNPが約一・八倍に伸びたというお話でございまして、これは大変な事態でございます。 そこで、私がお尋ねをしたいと思いますことは、その推進力を抽象的に言ってしまえばそれまでのことでありますが、その経済成長に伴って国民が実際に受けるいわば富の配分といいますか、そういうものが一体どういう傾向になっておるのであろうか。つまり、経済成長に見合った形になっておるのであろうか、この点が懸念をされるのでありますが、その点、何かの指標をもって、わかるように御説明いただければと思います。
○塩谷説明員 国民総生産がどのように配分をされたかということでございますが、これは国民の所得となって配分をされたわけでございますが、まず第一に、雇用者の所得ということで配分をされておるわけでございます心先ほど申し上げましたGNP、昨年四百五十六兆円でございますが、実はまだ国民所得統計が昨年につきましては公表をされておりませんので、一昨年、一九九〇年の数字で申し上げますと、GNPが約四百二十九兆円でございますが、このうちで雇用者所得になって雇用者に配分された額が約二百三十四兆円でございます。二百三十四兆円、約七割方雇用者に配分をされているという指標を御紹介したいと思います。
○小森委員 それがこの十年間でどれくらいの伸び率を示したのかということがわかれば実は一番早く頭に整理できるわけですが、いかがでしょうか。
○塩谷説明員 十年間でございますので、一九八〇年の雇用者所得を見ますと百三十兆でございました。計算しますと約一・八倍でございまして、GNPの伸びとほぼ同じぐらいの雇用者所得の拡大がなされていたということであります。
○小森委員 余りこれで時間どれませんけれども、こういう考え方も一つにはあるということに対して、経済企画庁、本日御説明をいただいております方の考え方も聞いてみたいと思います。 製造業における現金給与額を、一九八〇年から一九九〇年までの約十年間、八〇年を一〇〇といたしますと、私の計算でいきますと一・四倍強。これは八〇年の数字が、製造業における現金給与額が月二十四万七千円ほどで、今日は三十五万四千数百円、こんなことになりますから、ちょっと私筆算をしてみましたら一・四倍強ということになりました。こういう点が実は我が国の経済のアンバランスといいますか、もっとこれは詳しく分析してみなきゃならぬけれども、つまり貿易摩擦に対するアンフェアな点があるとアメリカ側から言われる中身の一つではないのかと思います。したがって、先ほど、この雇用者所得が一・八倍で伸びておるのに現金給与額というものが製造業においてそれだけ伸びていないということは、どういうことを意味するでしょうか。
○塩谷説明員 まず一つお断り申し上げたい点は、先ほど申し上げましたのは、雇用者の総数が得た所得でございまして、今先生がおっしゃられたのは製造業の一人当たりの現金給与額ということで、この間に雇用者の数が相当伸びております。これが掛けられているということで、一方で一・八倍、一方で一人当たりの給与は一・四倍という差が一番大きな差ではないかというふうに思います。 ただ、先生が御指摘になりましたように、我が国の雇用者所得、労働分配率と申しますが、これが諸外国に比べて少しく低いのではないかという指摘が最近なされておりまして、御承知のとおり、いや、そうじゃないんだという説もありましたし、いろいろな指標のとり方、それから物価の上昇をどういうふうにとるかあるいは内外価格差といったような問題をどういうふうに理解するかということによりましてそれぞれ数字は違ってまいるわけでございますが、そういう問題があることは事実でございます。
○小森委員 もう一つ、観点を変えまして。 東証株価の指数というのがこの十年間ぐらいを切って、私の計算によりますと、目もしばしばするし、ちょっと数字の読み違いがあるかもしれませんが、この十年間で東京証券株式市場の株価の指数というのは四・一倍強となっておるように思います。そうすると、先ほど申しましたような現金給与額、製造業における一人頭の数字は一・四倍にしかふえていない。しかし、国民総生産は一・八倍にふえている。しかし、雇用者所得という言葉で言えば確かに働く人がふえておるのですから、一人頭は抑えられておっても働く人の数字はふえておる、働く人が得る総額はふえる、こういうことになるわけでありまして、これで日本経済の姿というのが大体納得がいくわけであります。しかしながら、納得がいくというのは、つまり社会の姿をあり姿のまま見るという意味で納得がいっておるわけでありまして、抑えられているものはやはり抑えられている、それが日米経済摩擦の、向こうさんが、アメリカ側が指摘する中身になっている、こういう問題だと思うのであります。 「近時の社会経済情勢を反映してこというこの提案説明を、提出をいただいております資料で見ますと、訴額一億円を超えるものがこの十年間ほどで一・六倍ほどにふえている、こういう関係になるわけでありまして、先ほど我が党の鈴木委員の方からも指摘をしていただいておりましたが、今回のこの改正というのは、もっと皮肉な言い方をすると、我が国政府は、経済的に余り恵まれていない、共働きをして雇用者の所得とすれば全体として上がるけれども、一人頭の労働賃金というものはなかなか上がらないという状況の中で、訴額一億円を超える訴訟というものがふえておるというのは、国民から見ればいわば空中戦みたいなものではないか。その空中戦に対して、政府はそこらのところに対して配慮をした改正案の形となっているのではないか、こんなことを実は危惧するのでありますが、そういう点については法務省側からお答えをいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 まず数字の問題でございますが、関係資料のうちの参考資料の八ページの表に「第一審訴訟事件数の訴額別構成比の推移」を示しておりますけれども、昭和五十八年におきましては訴額一億円を超えるものが〇・七%でございましたのが、平成二年では一・六%に上がっているということでございまして、その対比で言いますと約二倍になっているわけでございます。 今回の費用法、とりわけ訴訟提起の手数料の改正の趣旨につきましては、先ほど鈴木委員の御質問に対してお答えしたとおりでございますけれども、より具体的に申し上げますと、現行の提訴手数料の制度は、訴額が三百万円を超える部分については一律にその〇・五%をもって手数料の額としているわけでございまして、この〇・五%が、何千万円になりましても、何億、何十億になりましてもずっとついていく、比例的に手数料が高くなるという構造になっております。そういった高額訴訟の増加、とりわけ貨幣価値の変動に伴うものはこれは当然のことかと思いますが、それ以外の要素もありましてふえているということから、やはり手数料の額という観点から見ますと、比例的に増加するということになると高い部分については割高になるという感覚はどうしても否めない。 そういうことからこの部分については、いろいろ手数料のあり方についてはもっと抜本的な御意見があることは承知しておりますが、そういった問題については制度の基本構造を変えるという問題でございますので慎重な検討を要するわけでございますけれども、そういった、比例的にどんどん手数料の額が上がっていくという部分については、これは関係各方面の理解も極めて容易に得られるという観点から、抜本的な検討とあわせてということではなくて、改めるべきものはできるだけ早く改める必要があるという観点から、今回の改正案を提出させていただいた次第でございます。 この改正の動機といたしまして、提案理由説明の中に、最近の社会経済情勢を反映してというくだりがあるわけでございますけれども、これは、訴額が高額に上る事件がふえている原因として社会経済情勢の変化というものが大きいのであろうということでこういう記載をしているわけでございまして、委員が御指摘になりましたように、そういう経済情勢の変化、その背景にあるいろんな経済構造というものについては私どもつまびらかではございませんけれども、そういう中で、そういう経済構造の変化に対応するために、訴額の高い部分についてとりわけ手厚くその権利保護を確保するという趣までこの法案を考えているわけではないわけでございます。あくまでも申し立てについていただく手数料の額という観点から、やはりどこまでも比例的に高くするという構造は反省しなければならないのではないかということで提案させていただいている次第でございます。
○小森委員 手数料というものにだけ焦点を当てるということでは、全体、民事訴訟法の費用についてよく考えたということにはならないわけでありまして、要するにそれは、もっと低い額のところが訴訟の圧倒的部分でありますから、国民が一番使うところはどこか、国民が一番使っているところにまず焦点を当てて、それが合理的か合理的でないか、こんなことから出発してほしかったと私は思うのです。しかし、現実、法律案として出ておるのでありますから、それは私の物の考え方として申し上げておくわけであります。これはしかし、全体とすれば、先ほどもちょっとお答えになっておったようですけれども、法制審議会あたりで検討をなさっておると聞いていますが、それはどうでしょうか。
○濱崎政府委員 法制審議会の民事訴訟法部会におきましては、民事訴訟手続全般にわたりまして見直しすべき点があれば見直すということで、平成二年七月から審議を初めておられるわけでございまして、昨年末にこれまでの審議経過に基づいて「民事訴訟手続に関する検討事項」というものを事務当局の方で取りまとめて公表して、それに基づいて意見照会、アンケートをしているというふうに承知しております。 その「検討事項」というのは、こういう問題を検討すべきかどうかという観点から、多くの問題を取り上げて、具体的な検討事項を確定する、あるいはその方向を見定めるというために意見照会をするということであろうと承知しておりますが、そういった項目の一つとして「訴訟費用」の項目中に裁判の申立手数料の問題も掲げられておるということでございます。その中の具体的な一つの考え方として例示されているところといたしましては、提訴手数料全般についてもっと低額化するというような考え方も一つの考え方として掲げて、意見を照会しているという状況でございます。
○小森委員 一方でそういう作業が行われており、しかもそれは全面的によく考えてやられる作業が進んでおって、そしてこの際、この機会に高額のところを減していくという案が出るということは、確かに抽象的に言えば近時の社会経済情勢の変化、こういうことだろうと思いますけれども、もう一つ、日米の構造協議でこのことが話題になったというようなことは動機になっていませんか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、日米構造協議の排他的取引慣行の場面におきまして、アメリカ側から、独禁法に基づく損害賠償訴訟に限って提訴手数料を免除するあるいは大幅に減額するという改正をすべきであるという主張がされたわけでございます。これに対しまして検討いたしました結果、やはり我が国の制度といたしましては、独禁法の損害賠償訴訟に限って、他の損害賠償訴訟あるいはそのほかの訴訟を差しおいて、それについてだけ特別に軽減するということは相当でないという判断に達しまして、これをアメリカ側に答えた。ただ、その際、私どもの関心事といたしましては、今申しましたように、三百万円を超える部分については一律に〇・五%をもって手数料とするということによって、訴額が高くなると手数料が比例的に高くなるということがこのままでいいかどうかということについては関心を持っておりましたので、その関心事をアメリカに伝えて、我が方も研究を開始しているということをアメリカ側に伝えたという経緯があります。 今回の改正作業を行うに当たりまして、そのような問題提起というのが一つの契機になっているということは否定し得ないところでございます。ただ、今回の改正はあくまでもアメリカ側の要求とは別個の問題として、我が国の民事訴訟全般にかかわる問題として取り組み、かっこのような改正をするのが適当であろうという判断のもとに立案し、提案させていただいた次第であります。
○小森委員 法務大臣にお尋ねします。 アメリカが言うことで、当を得ておるものもたくさんあると思います。それから、アメリカだけの、自分の国だけの国益に基づいていろいろなことを言っておるものもあると思います。イラクの戦争の折に百十何億ドル出さざるを得なくなったことは、主としてアメリカの国益でありました。そう私は思っている。しかし、これはきょうの本題ではありませんから、意見、考え方をまず申し述べて次の質問に入りますが、要するに、日本は、幕末の開港、アメリカのペリー提督がやってまいりまして幕府に通商を迫ってきたとき以来、外圧にはすぐに反応するけれども、日本の国民の声というかそういうものにはどうも反応が鈍い、こういうことじゃないかと思います。幕末にやってきたときに、江戸の町々では、川柳というのか狂歌というのか、私はそこらの仕分けはよくできませんけれども、「蒸気船たった四杯で夜も眠れず」、蒸気船が四杯来て夜眠れなかった、眠れぬほど大騒動した。聞いてみると、玉露よりもよく眠けをさますお茶で上喜撰という高級なお茶があるのだそうです。それになぞらえて「蒸気船たった四杯で夜も眠れず」、こう言ったようであります。 そこで、法務大臣、あなたの考え方を聞いてみたいと私は思うのですけれども、本当はアメリカが少々言うたぐらいのことですぐさまばたばたせずに、やるときには公平感を持って、圧倒的多数の民事訴訟をやっておるところに焦点を当てて手数料が妥当かどうか、そして高いところも低くすることについては結構なことでしょうからそういうこともやる、こうならねばならぬと思うのでありますが、ちょっと何か言われたらすぐぱっと駆ける。しかし、私の質問はそこまでのことを問うておるのじゃない。ここから先が問題なんです。 先ほど経済企画庁とやりとりをして、大体のこと、数字的にもその趨勢をわかっていただいたと思いますが、我が国の経済界の代表的人物であるソニーの盛田会長が、先日、いろいろな論文を発表されております。その論文の中に、ごくごく簡単に言うと、労働分配率は日本が低いから、国際貿易に、商品の価格というようなことについて有利になることは当たり前のことなのであって、日本が物を安く売るということについてなぜアメリカやECはがたがた言うのかな、こういう反発心を持っておったが、いろいろ調べたり先方の意見を聞いてみたら無理からぬな、こういう点がある、ここを克服しなかったら日本が国際社会の一員としてやっていけない、こういう意味のことを発表されておって、それに呼応してまた二、三の財界の方がそれはそのとおりだというような論文を発表しているのを私は読みました。それで、日本社会は潜在的にそういうことの後ろめたさを持っておるから、根本的なことはやらずにちょっと言われたことをすぐやるということではないかと思うのですが、法務大臣、どうでしょうか。
○田原国務大臣 おっしゃったように、潜在的なそういうコンプレックスがあるからとは思いたくございませんが、確かに労働分配率が先ほどの数字を見てもちょっと少ないようでございますし、したがって物は安いのかもしれませんが、これは徐々に上昇しているし、もっと低い国もいっぱいあります。 ただ問題は、日本という地理的な、国土の非常に狭い、しかも七割が山という国で、資源はほとんどない、人口は一億二千万人いるところで国民が幸せに食っていくためには世界の各国と仲よくせざるを得ないわけでございまして、これは通常の平和論以上の経済平和論としてでもそうだと思うのですが、その手段はやはり貿易であろうと思うのです。その貿易の主要相手国は太平洋ベースンと言われる太平洋周辺の国々との交際がまず第一だろうと私は思うのですが、その相手国の一番大株主が、平たく言えば大株主がアメリカであるという関係であって、アメリカが言うからすぐとか、ペリーさんがお見えになってやったからその歴史的なことが頭にこびりついているとか、そういうことでは必ずしもないと思うのです。今回のことも、確かにSIIの一環としてお話があったかもしれないけれども、日本は主張すべきことは主張して全体のバランスを考えながらこの制度の改正に取り組んできたのですが、今おっし、やった一千万未満のような低額のものについてはただいま法制審議会で審議中でございますので、それが全部出てからじゃまた遅いし、これはそれを待ってもう一度見直すということで、バランスを著しく壊さなくてやれる分からやろうということが私の見た感じなんでございます。いかがなものでございましょうか。
○小森委員 日本社会のコンプレックスというか後ろめたさも多少感じてもらっておるようだし、またこれは感じてもらわなきゃいかぬと思うのであります。要するに、堂々たる態度で言っておれば、アメリカが言ってくることで正しいことはさっと合意できるだろうし、アメリカが言うことで少し無理だとなお思うことについては逆に説得できるだろう。だから、日本社会の持っておる社会的な一つの病理現象、労働分配率がアメリカやヨーロッパに比べて低いということも一つの病理現象だと思いますけれども、そんな二とを解決しつつ、つまりアメリカやECやその他アジア各国の意見に耳を傾けつつ日本が正しい道を歩む、こういうことにならなければならぬと思うのであります。 そういう意味で、ぜひこの日本の社会の病理ということに目を当てていただいて法務行政というものを考えていただきたい。訴額の高いところはとにかくやろうということにすぐ発想が出て、訴額の低いところは、圧倒的部分がこれに影響されるのだというところについてはまあええじゃないか、これは私から言うと一つの社会の病理なんです。そういう全体的雰囲気が行政府にも立法府にも反映してそんなことになると思うわけでありまして、ここは見解は多少違うかもしれませんけれども、幾らか共鳴をいただける点があるのではないかと思います。 そこで、これはもう既に鈴木委員の方からお話がございまして、厚生省の方にかなり具体的な詰めの答弁をいただきまして、法務大臣からも答えていただきましたが、要するに、先ほどの百体ほどの遺骨の扱いにいたしましても、人権尊重という観点から見たら、だれかに言われるからということでなくて、政府が率先してすべての疑惑を解明する、これであって初めて「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なもの」というあの精神だと私は思います。アメリカが大きな爆弾を落とすために費用を出すのが、自国のためにのみ専念して国際関係を無視しておるというような、そこへ私は理屈はつかぬと思いますよ。 この問題は重ねてお願い申し上げますが、政治家の一員として、閣僚の一員として、これはアジア各国が不信の目を持って見ておると思いますよ。七三一部隊、石井中将の給水部研究のあの問題と関連して、そして私が調べた範囲で、いろいろな記録を調べてみると現地の少年もやられていますから、だからこっちに少年の遺骨も出たということで相符合すると思っていますけれども、これはぜひひとつ法務大臣、話が余談にそれましたけれども、政治家の一員として、問題の全容が明らかになって我が国が責任をとらねばならぬことについては責任をとるというような、問題を明らかにすることに御努力願えませんか。この点、もう一度お答えいただきたいと思います。
○田原国務大臣 ただいまの遺骨の問題でございますが、厚生省の係官の答弁も相当鈴木先生から突き詰められてきた答弁でありましたが、私は先ほど鈴木先生に政治家の一員として明らかになることを欲しておるということを申し上げました。その深い心の中には、これは所管は所管でありまして実務的に厚生省の実務官を指揮監督することは不可能でありますが、私自身も政治家として、内閣の一員としてそういう目で見ておる、こう申し上げるわけであります。そして、私は人権につきましては小森先生に相当洗脳されまして、今や人権を相当重んずる大臣の一人だ、こう自負するに至っておりますので、御理解いただきたいと思います。
○小森委員 日本国内において、ここに至ったらだれがよかったとかだれが悪かったとかということよりも、もう一つ前の前提条件として、国民が非常に関心を持ち、私らも国民の一員として、また立法府にある者の一員としてこれがこのまま放置されていたらよその国に顔向けがならないと思う、そんな気持ちもあって、ぜひ法務大臣に可能な限り、政治家として手の届く限りにおいて問題の解明に努力していただきたい、こう申し上げておるわけであります。 つけ込んで申し上げるわけじゃないのですけれども、要するに人権ということにかかわってもう一つだけ申し上げます。 大臣の就任早々に、私は差別というのは二階建てとか三階建てとかいうことを申し上げました。差別の構造というものは二階建てになったり三階建てになっておるんだということを申し上げました。労働分配率の問題とか、それから今のああいう人骨が出て頭にドリルで穴をあけたりなんかしておるのがあったりして、これはもう七三一の人体実験で通常やられたことと同じなんです。ただ、それが日本のどこかの病院が医学的にだれかの脳の手術をしたとかということとの関係でどうなのかなということで恐らくまだ断定的なことが言われないだけのものでありまして、形態は七三一部隊がやったのとほぼ同じような型のものがたくさんここへ出てきておるわけです。しかも、それが陸軍の軍関係であったということで、因果関係が非常に深いというふうに思うのです。そういう問題も労働分配率が低いという問題も、二階建て、三階建てと言いましたが、私が強調しております部落差別の問題を我が国が今日の時点で解決するようでなければ、そこらの問題も解決する国民的エネルギーが出てこない、力量がつかない、認識が固まらない、こういう考え方なんで、大臣が私を挑発したから私もちょっとつけ込んで言ったのでありますけれども、それが二階建て、三階建でのこの前の私の議論であることも御理解を賜っておきたいと思います。 さて、話を訴訟法の問題に戻しますが、訴額の決定につきまして、ごく簡単に申しまして、これは我が国の司法権力の恣意の働き場所としてはまことに格好な場所に思えてなりません。つまり、「裁判を受ける権利を奪はれない。」と憲法で保障されている側が、訴額を幾らに裁判所が認定するんだろうかとぴりぴりしなきゃいかぬ。これは要するに、刑事裁判ならば、例えば現住建造物放火事件ならば懲役五年もしくは何年もしくは死刑とか、ああいうような文句が書いてありますね。いかに裁判官が恣意を働かそうともその枠内でやるということで、これは絶対に死刑にならぬ事件だとか、懲役五年以上はならぬとか、弁護士さんも大体の見当はついてやられるわけでありますが、訴額についてはどうもそういうことになっていないのではないか。もし私が認識不足で、しかし訴額ということについて物的にこれは固定資産評価額がこうだからこうなんだという、固定資産評価額などで評価できるものはそうなるんだろうけれども、その他、いや、そんなに恣意的ではないんだ、こういう一つの基準なんだというふうなことがあるならば、それもお答えをいただいた上でまた私の考え方を申し上げたい、かように思います。御答弁いただきたいと思います。
○濱崎政府委員 訴訟の目的の価額の算定につきましても、先ほど鈴木委員の御質問に対して御答弁したところでございます。 現在の制度といたしましては、当事者が訴えをもって求める利益の額というものを裁判所の、具体的には裁判長が訴状審査の中で判断をされるということになっているわけでございまして、その趣旨は、要するに先ほど申しましたように、その訴えをもって主張する利益の額というのは個々の訴訟ごとに個別的に算定するほかはないということで、裁判官の具体的な事案に応じた判断にゆだねられているということでございます。しかしながら、その趣旨は裁判官に恣意的な判断を許容しているものであるとは私ども決して思っておりません。あくまでも当事者のその訴えにおいて主張する利益の額を算定するという客観的な枠があるわけでございますし、具体的な事案の処理においても、それぞれ殊さらに当事者の訴訟提起の権利を侵害するというような観点からの判断が行われているとは到底思っていないわけでございまして、それぞれの裁判官において適切に判断されているものと考えております。
○小森委員 それぞれが適切に考えておるといっても、適切か適切でないかというような問題は、近代合理社会にあっては定量的でなければいかぬのですね。近代合理社会の定量性思想という部分ですね。ところが、その定量性そはみ出すと恣意が物すごくはびこるんです。何か認可、許可業務を持っていくでしょう、ああわかったと言ってとっておいて、いつしてくれるやら何やらさっぱりわからぬ。そんなことがあるから、政治家が、おい、いつするんだといって今度は口をきくようになる。そうすると礼が来るようになる。それで気がついてみたら物すごい大きな金になっておって、国会で追及されるようになる。つまり、定量性というものがはっきりしているほど権力行使というか、行政事務というものは恣意性がはびこっていく枠が少なくなるわけですね。 私は実はこういう経験をしたことがあるのです。山陽本線が走るでしょう。今ごろはどんなになっているか知らぬけれども、昔は便所の小便にしても大使にしても、スピード出して走るのに垂れ流しなんです。だから、風に吹かれたり、スピードがあるから噴霧状態になるんですよ。しかし、その付近はどう言っておったかといったら、黄害、公の害じゃない黄色い害、黄害言いおったんです。これをどうしてくれるかといって訴訟するときに、適正にやっておる思いますと言って、訴額をどうやって決めるのですか。例えばそういう問題。 それから、最近は、新幹線の沿線筋が振動と騒音に悩まされた。私は広島県の福山市の福山駅近辺を、当時の国鉄といろいろ話をいたしまして、二百数十世帯に二重窓をつくってもらいました。これはしかし、窓ということの発想がついたら訴額の決定もしやすいかもしれませんけれども、テレビもよく聞こえぬし、電話も聞こえぬし、病人がおって困るしというようなさまざまなことで訴訟へ持ち込むときにどうやって訴額を決めるのですか。まあまあええようにやっとる思います言って、どうやって決めるのですか。そういう点が、実は訴額決定ということについては私は非常に心配事の種になっているわけであります。そんな疑問を投げかけた上で、もう一度ひとつ答えてみていただけませんか。
○濱崎政府委員 個々の事案における訴額の算定というのは裁判所でやっておられるわけでございまして、私どもその一々を的確に御答弁しかねるわけでございますが、民事訴訟費用法の四条二項におきましては、財産上の請求でない請求に係る訴えについては、手数料の額の算定において訴訟の目的の価額を九十五万円とみなすという規定がございます。これは、財産上の請求である限りはその額を算定することができるという建前で、それ以外の、額を算定できない非財産的請求については九十五万円とみなすという規定でございますが、実際の事案におきましては、財産的請求ではあってもいろいろな徴懸を総合いたしましてもなおその算定が困難であるという事案におきまして、この四条二項の趣旨にかんがみて、これに準じて九十五万円という訴額算定をされた事例があるというふうに承知しておりまして、どうしても算定できないものはこの規定を一つの準拠にして運用しておられる例があるということを申し上げたいと存じます。
○小森委員 そういうことでいっておれば心配事の大半はなくなるのですよ。今も答弁がありましたように、そういう例があるというくらいの程度だったら心配事は残るわけです。例がある言って、それは数ある中には例があるでしょうけれども、そういうふうな考え方で一般的にいくように努力をしてもらわなきゃいかぬと思いますよ。これはしかし、努力してもらう言っても、法務省の方へ言うたって実際は裁判所ですからね。幸いに裁判所の方も来ておられるから、ちょっとだけ考えを聞かしてもらいましょうか。
○今井最高裁判所長官代理者 裁判所の実務について申し上げます。 今法務省から御答弁ございましたように、訴額につきましては民事訴訟法の二十二条の規定で、訴えをもって主張する利益によって算定するということになっておるわけでございまして、これは決して裁判所が恣意的にといいましょうか、というものではなくて、客観的に評価すべきものであるということでございます。したがいまして、これが金銭請求等でありますと、これは問題ない。例えば百万円の請求ですと、百万円が訴額だというのは非常に明確であるわけでございます。 しかし、中には、この訴えをもって主張する利益が何かというのは非常に難しい例があるわけでございます。今委員がおっしゃったような公害についての例えば差しとめ訴訟だとか、そういうような事件では非常に難しいわけでございます。しかしながら、裁判官としましては、それが客観的にどういうものかということを常にその事案に即して求めていかなければならない、これは法律の解釈の問題でございまして、裁判官の使命でございます。 それが統一できないだろうかというお尋ねでございますけれども、今申し上げましたように、これは具体的な事案で、非常に客観的な利益といっても違うわけでございまして、これが裁判官としても非常に苦労するところでございます。裁判官といたしましては、いろいろこれについての判例等もございますし、それから同僚との間の議論だとかいうようなことを通じまして、例えば研究会をやるあるいは本を読むとかいろいろなことをいたしまして、できるだけ客観的なものになるようにということで努力をしておるところでございます。 この点につきましても、例えば一審の裁判所でこの事件については訴額は幾らだというふうに判断をされまして、それに従わない場合には却下ということになるわけですけれども、それに対しましてはさらに上級審に対して、それについては不服があるというようなことで上級審の判断を仰ぐことができることになっておりますので、最終的には、そういうことで上訴審に行きますと上訴審の判断が示されるということで解決がされる、こういうことでございます。
○小森委員 現行のこの問題に対する扱いというものは先ほど御答弁をいただいたとおりだと思いますが、要はこの多様化した、大変な急速なテンポで発展してきておるあるいは変化をしてきておる我が国の経済、社会のニーズ、国民の持っておる諸課題に対して――なるほど六法は詳しいかもしれませんよね、裁判官は。しかし、ほかのことはよくわからないというような場合が私は間々あると思いますよ。そういうときに、先ほど勉強しながらということなのですから、いろいろ社会経済の状況に目配りをしながらやっていただかなきゃいかぬ。 これはこうやって私がそういうことを言うのもみやすいし、まあそうですなと言うのもみやすいが、先般私は裁判所の定員の問題についても申し上げましたが、大丈夫ですかなと言うたら、いや電車の中でも考えおるけ大丈夫じゃいう話があって、それならわしも電車の中で質問の要旨ぐらいは考えおるので、しかし電車の中で考えただけではいけんけ、もう一遍練り直して出てきよりますけれども、要するにそこらをひとつ、本当に国民のニーズは何かというようなことでやっていただかなければいかぬ。これは司法試験の制度の問題にも関係すると思いますけれども、そういう点は国民のニーズということと社会経済の発展の状況ということをにらんで、全般的な教養というようなものを身につけていただいてぜひひとつ国民の信頼にこたえていただきたい。こういうことを申し上げておきたいと思います。 さて、大分時間がたってしまいましたので、以前問題になりました例の印紙の偽造の問題が国会でも議論されました、新聞でも出ました。印紙偽造というような問題と、それから裁判所の民事関係の事務をとっておられる方との、あの辺のところでこのような不祥事が再び起きないということについて、その後どういうような措置をとっておられるか。この点もちょっと聞かしておいてください。
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘の事件が発覚しましたのは昨年の十月二日でございますが、十月三日に全国の地家裁の所長、高等裁判所の事務局長に対しまして、収入印紙の取り扱いに関する事務処理体制を点検し、未消印、まだ消していない収入印紙の保管を厳正にするように、また収入印紙の保管事務及び消印事務の相互チェック体制を確立するように、さらに収入印紙の真正の点検をすることなどの所要の措置をとるとともに、収入印紙をできるだけ早く消印するよう裁判官への理解を求め、また書記官等にも適正迅速な事務処理を指導するように、こういう書簡を総務局長、私の名前で出しております。 さらに、最高裁判所から、各下級裁判所が行う書記官事務等に関します査察に関しまして、平成三年度の重点事項に収入印紙の取り扱いに関する事項を追加しまして、収入印紙の管理体制等について重点的に査察を行うように指導しております。下級裁判所の方からは、未消印、まだ消していない印紙の処理簿を備えつけて、こういった未消印の印紙に関するチェック機能を働かせるとかあるいはなるべく早く消印ができるように各職員の理解を深めていくといったことが報告されております。
○小森委員 多方面にわたっていろいろな配慮をいただいて、その点については再び過ちのないようにされておるように思いますので、この上ともひとつ国民の不信を招かないように努力を重ねていただきたい、かように思います。 そこで、裁判所の方へもう一つだけ、ちょっとこれは私は通告してなかったけれども、簡単なことですからお答えいただきたいと思います。 実は、この間私はある事件に関係いたしまして裁判所に証人として出廷をいたしました。なぜ今ごろそういうことを言うのかということは、先般来指紋の問題がここで議論されましたのでお尋ねをするのでありますが、証人の宣誓に、判でもよいのだけれども、私はいつも判を持って歩いてないから指紋でやりました。これは外国人登録法のときに同一人性の確認、これは真に証人たる本当の人物かということを明かすためのものだと思うけれども、もう弁護士がおり、検察官がおり、裁判官がおって、しかもその経歴を十分に聞き、話の中身ですぐわかる問題なのですが、あれはやはり指紋をとらなければいけぬものですかな。ちょっと不愉快です。どうですか。
○今井最高裁判所長官代理者 民事訴訟法に、これは証人の宣誓の場合の方法でございますが、二百八十八条という規定がございまして、「宣誓ハ証人ヲシテ宣誓書ヲ朗読セシメ且之ニ署名捺印セシメテ之ヲ為ス」こういう規定があるわけでございます。したがいまして、この民事訴訟法の規定によりまして署名捺印、こういうことでございますが、場合によっては証人の方が判を持っておられないということもございますので、その場合には捺印にかえて指印といいましょうか、を押していただく、こういうことが現在の取り扱いということでございます。
○小森委員 現在の取り扱いは十分承知した上で尋ねておるのですが、恐らくこれも精神的緊張感をもたらすというならば、それは判よりも拇印の方、一律拇印ならそれはわかりますよ。しかし、自分の名前を自署するわけですから、そして宣誓と、こう読むわけです。もしうそを言うたら罰せられるということも裁判官が言われるわけですからね。そういう意味では、全体のものに手をつけられるときにそこらも考慮の中に、これは法務省の方に言わなければいかぬが、考慮の中に入れてもらわなければならぬのじゃないか。よその国ではどうですか。全体の考慮に入れてもらわなければならぬということと、よその国ではどうですかということをお答えいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 先ほど調査部長の方からも御答弁がございましたけれども、現在、民事訴訟法の全面的な見直し作業を続けているわけでございます。そういう過程の中で、例えば証人尋問について改正すべき点があるかどうか。例えば次のような考え方があるかどうかというようなことで、多数の項目を検討事項として整理いたしまして、現在各方面に意見を照会中でございます。ただ、具体的に宣誓書の署名捺印をどうするか、個別には触れておりませんけれども、証言の真実性をより確保する見地から、宣誓に関する規定、先ほどの宣誓書に署名押印させるという規定も含めまして、そういうような規定の整備を図るあるいは見直しをするということについてはどうかというような問題提起もあるわけでございます。 諸外国におきましてこれがどのようにされているかというようなことについては私つまびらかではございませんけれども、宣誓というものの重みが特にキリスト教系統の国におきましては非常に強いと申しますか高いというような実態がございますので、その辺、捺印という制度はございませんので、それはどうなっているかということはちょっと申し上げることができませんけれども、署名についての考え方あるいは宣誓についての考え方というようなことから、その真実性が確保されているのではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、先生御指摘の問題も重要な御意見といたしましてこれからの検討の材料とさせていただきたいというふうに考えております。
○小森委員 これで終わります。ありがとうございました。
○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十二分開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。沢田広君。
○沢田委員 今まで同僚議員も質問してまいりましたので、引き続いて我々庶民的な感覚で、大臣、これからお伺いをしていきたいと思っております。 法制審議会の方に要請することで、一つの考え方として、金がないから裁判にかけられない、民事にかけられないという人も、あるいは金がどのくらいかかってしまうかわからないから、どうも不安だからということもあります。法制審議会は、得べかりし利益に見合って積算をする、そういう計算の方法ですが、今は非常に民主主義ですから、国のやっていることであろうと、あるいはマンション建設などもありますが、河川の問題もあるし、いろいろ、そういう形に応じて訴訟が行われます。民事の形式でそれが行われるわけですから、結論を言えば、その人の所得に応じて手数料というものを見てやる、そういう必要性があるのじゃなかろうか。これは、得べかりし利益は得ないかもしれないし、全然なかった場合は丸損ということになってしまうのだし、それは、もうかると言っては悪いですが、訴訟によってお金が入るというような場合、そうでない場合もありますが、そういうときに、本人が、くやしい、とてもこれは納得できない、そう思ってもお金がかかるからということで、ここはその他の費用は一応別にして訴訟費用だけに、手数料だけに限定しますが寸その対象の手数料は所得、資産、そういうものに応じて裁判所においては判定することができるような道を開いてやらなければいかぬのではないかと思うのです。開いてあったならばおっしゃっていただきたいのですが、要するに低所得者の人は泣き寝入り、こういう傾向なしとしないわけです。 それは、物好きと言っては悪いですけれども、そういうことを趣味でやっている人も中にはいなくはないですが、しかし一般的に見るとそういう傾向なしとしません。いわゆる訴えた価額によって算出するということは、公平なようで、一般の国民がひとしく訴える権利というものを保障してやるということにはつながらない。ですから、私は、その人の所得によって手数料を決めていく、こういう道を開いてやるべきだと思うのですが、この点は法務省の方としてはいかがお考えになっておりますか。これは大臣に聞く前に、事務的なことですからお答えいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 我が国の提訴手数料の制度は、裁判所の運営経費は基本的には国費をもって賄う、国民全体が賄うということでございますけれども、やはり裁判を利用する者には求める利益の多寡に応じてその運営経費の一部分を負担していただくということが全体的な公平にかなうという観点から、また利用する者相互の間でも、多くの利益を求められる方と比較的少ない利益を求められる方との間の公平という観点から、求める利益の額、判決によって受けようとする経済的利益の額、これを金銭的に評価して得た額を基準として手数料を定めているわけでございます。そういうことでございますので、個別に、そういう要素を捨象して、提訴をする御当人の資力とか収入のみをもって手数料を計算するということは今申し上げた考え方からは大変なじみにくいと思っているわけでございます。 なお、これも御案内のことと思いますが、そういった提訴手数料を含めた訴訟費用を支払う能力のない人については、民事訴訟法上訴訟上の救助という制度があって、申立手数料等の支払いを猶予するという制度がございます。したがって、資力がないがゆえに訴訟を提起できないということはそれで防止されておるわけでございまして、委員御指摘のような考え方はそうした訴訟上の救助という制度の中に反映されているのではないか、このように思っております。
○沢田委員 それも承知している上ですが、慣行的に、受付の窓口に行ったならばそうはなっていない。だから、両方あるということを告知してその利用方法を十分国民に知らしめる。 じゃ、あなたのおっしゃるとおりでやっているのが全体のどのくらいあるのですか。あなたの言っているのは、それは利益を得たら払え、こういう意味なんでしょうから。 行政庁の裁量が宗教の自由を侵した、河川が自分の方に寄ってしまった、道路が自分の敷地に入ってしまったとかという場合にはまた別でしょう。これは行政訴訟と行政不服審査法もありますが、そうでなく、個人の場合に民事になった場合にはやはりそれが必要になってくる。そのときに、どうもうちは所得がないから、資産がないからということも起こり得ると思うのです。だから、そういうときに両方選択できるという道を開くようにひとつ検討してもらいたい、こう私は言っているわけですよ。その点はどうですか。 あなたのおっしゃっているのは、原則論を言っているんだ。原則論だったら聞かなくたっていいんだよ。原則論でなくて、そういう道を開く必要があるのじゃないかという私の問いかけに、その必要性はないのならないでそれはしょうがないです。ないのならないで、これからまた別のところでやっていく以外にないんだが、そういうことが必要じゃないか。単に得べかりし利益だけによって、その物差しではかるのではなくて、困窮者だから訴えができないということがわかればそれはそれなりに対応していく、同じように選択できるようにしてやる、平等に扱ってやれるという道を開いてほしいということを言っているわけです。もう一回。
○濱崎政府委員 提訴手数料の額は、先ほど申しましたような基準で求める利益の額に応じて定められているわけでございますけれども、要するに、そういうことで計算した提訴手数料を支払う資力がない、それを支払うことによって生活の基盤が揺るがされるというような状況にあるという方々には、その提訴手数料を納付しないまま訴訟を提起できる、訴訟手続を開始することができる、こういう制度がただいま申し上げました訴訟上の救助の制度でございます。御案内のとおりと思います。そういうことによって、今委員御指摘のようないろいろな場面において、手数料を支払うことができないために訴訟を提起することができないということがないようにということで、そういう制度が確保されているわけでございまして、現実にその制度がどのような数で運用されているか、今数字的な資料は持ち合わせておりませんが、一般的に申し上げればかなり利用されているというふうに承知しております。
○沢田委員 一般論ではなくて、じゃ後で資料はあれしていただくこととして、そういう人たちでも自由に裁判する権利、訴えをする権利というものは保有されるということを確認しておいていただきたいと思うのです。 それから、訴訟の経費は裁判所に独立採算を求めているものではないと思うのです。自動車の関係も同じです。罰金も同じく、交通違反とかそういうものの費用をもって交通対策費、交通安全の費用をそこから出そうとしているわけでもないし、災害の費用を丸々抱えようという、これは自動車損害賠償保障法の方は一応別としまして、それだって国費を出していますからね。そういうもので訴訟の経費の、法務省がこうやって取ってしていくという形のものは上げなくてもいいのじゃないかというのが私の率直な見解なんです。今の現状からいって、訴える権利というものを保障してやる、ブレーキをかけていくという仕組みはなるべく排除していくというのが一つの民主主義の原点だろうと思うのです。できればただがいいということになるのですが、ただじゃ殺到されて困る、だから幾らか取っていこうというのか、あるいは裁判所の費用に幾らか充当しようということで取っているのか、どっちなのか。例えば、この経費を取るという意味はどっちを目的としているのですか。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○濱崎政府委員 提訴の手数料等の民事訴訟法の手数料は、収入印紙という形で納付することになっておりまして、この収入は国の一般財源に入るわけでございます。裁判所の運営経費は、一般予算ということで国の予算からいただいているわけでございます。そういう意味で、直接裁判所の経費に充てられるということではないわけでございます。 それから、先ほど申しましたように、裁判所の運営経費は、基本的には大部分が国費をもって賄われておるわけでございまして、ただその裁判を利用する者としない者との間の負担の公平という観点から、その一部分についてはやはり利用する方に負担していただく、もちろんその資力のない方には先ほど申し上げたような制度があるわけでございますけれども、基本的には一部分は負担していただくということが全体的な公平の理念にかなうのではないかということで現在の制度ができておるわけでございます。 なお、今回の改正は、先ほど来御説明申し上げておりますように、特定の部分に、すなわち訴額等が高額な部分に限ってでございますけれども、提訴手数料が国民の裁判を受ける権利の実際上の妨げにならないようにという観点から、その部分について当面の措置として引き下げということを御提案させていただいているわけであります。
○沢田委員 だから、裁判所の費用にするわけでも何でもない、要するにやたらに出されては困るからある程度応分の負担ということであれば、別に得べかりし利益だけが主体ではない。九十億ドルもあったように、言うならば憲法との対比で訴える人もいるわけですから、必ずしもそれは得べかりし利益ではない。それは憲法を守ろうという自分の気持ちの発露であって、その利益があるのかといったら、それはないわけです。そういうものもなきにしもあらずですから、そういう立場から見れば私の言う所得に応じてという論理も存在するのじゃないのかと思うのです。あなたは決まったとおりのことしか答えてないけれども、要するに発想の転換が必要な時期に今来ているだろうということを私は言いたいわけです。だから、裁判所というものが国民に身近なものとして存在していくためには、国民の一人一人が、例えば弁護士さんがいるけれども、民事みたいなものは弁護士さんを頼まなくてもできるように、裁判所に持っていくこともできるし、ちょっと不満だと思うならそれを自由に出せる、そういう立場で我々はとらえていかなくちゃならぬ。そういう門戸を開放していこうということの一例として挙げているわけです。金が出せないという人は所得に応じて出したらいいじゃないか。私があえて言っていることはそういうことです。 手数料が裁判所の費用に充当されるものでなければ、税金で賄っているのならば、それは同じじゃないですか。後で私は申し上げますが、例えば市を相手とする民事あるいは県や国を相手とする民事、それには手数料なしていいのではないだろうか。受ける側は税金でやるのですからただなんだから、訴えられる側は税金で賄っていくわけですから、訴える側だけに負担を求めるということは国民の意思を抑圧していくということですよ。両方お互いに痛みを感じるのじゃないのです。訴える側だけが手数料を払うのです。国は税金でやるのです。一銭も損じやしない。痛くもない。それに個人が痛みを感ずるということは一方通行ではないのか。これもそれにかかわってくることなんです。その点はどうです。
○濱崎政府委員 大変難しい御質問でございますけれども、手数料収入は直接裁判所の経費に充てられるものではございませんが、手数料収入は一般財源として国庫に入り、そして裁判所の運営経費はまだその一般財源から支出されるわけでございますので、そういう関係で言えば抽象的には関連性を持っているということではなかろうかというふうに思っております。 それから、国や地方公共団体が当事者になる場合には税金で賄うということでございましたが、これはいろいろ考え方もございましょうけれども、国や地方公共団体の団体としての性格上、その財源は主として租税収入によって賄われるという団体としての性格に照らしてそれ以外のことはあり得ないということであろうと思っておりまして、そうだからといって、私人が訴訟を提起する場合に、それも同様に税金で、租税収入で賄うべきだということにはつながらないのではないかという感じを持ちます。
○沢田委員 だけれども、一方が税金で賄って裁判をやって、その税金を納めた人間が不正なり不公正なりを、不公正は行政不服の方でやるとしても、損害を請求する場合には同じ税金の出どころから出ているのだから、よその市町村から出てその市をやっている場合は別としても、自分の市をやる場合については、同じ税金で税金について争うのなら、手数料は裁判所も取らないでやっていくのが筋じゃないですか。でなければ逆に、裁判の結果がどうなるかは別として、あなたのおっしゃっているような方法でいけば、やる人だけがけしからぬという発想の原点なんです。私は、やる方が正しいのだという前提なんです。それで、受ける側の方は、税金で裁判を全部やるのですから痛くもかゆくもない。税金で結果的に議会の議決を必要とするのは訴訟するときだけ、応訴は議会の議決が全然必要ないのですから、だから自由に裁判費用も出せる。弁護士も何人だって抱えられる。片一方はそうじゃないのです。ですから、そういう意味において裁判所は印紙なんかを、手数料を取らぬでもいいじゃないか。あなたの意見を聞くのではなくて、そういう国民の権利というものは守られていいじゃないかという意見もあったと審議会に伝えてくれますか。私は、そういうものまで手数料を取るというのは一方的だと思う。それは結果はどっちが勝つか負けるかはわかりませんけれども、国民は、相手と同じように痛みを感じないで税金を納めている者が訴えていく、そういう権利というものは保有しているのだ、固有のものだと思う。それに手数料を取っていくということは、私は行き過ぎだと思うのです。あなたが、自分がその立場になってみたら、ああ、おれは税金を納めているんだけれども、またその上に手数料を納めなくちゃ自分の文句も言えないのかということになったときにどう思いますか。 審議会の方に大臣が出るんですか、あなたが出るんですか。大臣が出るんだったらばここでまとめてちょっと言いますが、そういうふうに私の言う論理はむちゃですか。あなたに聞いているんじゃない。私の言う論理が国民の権利としてむちゃなのか、無理なのか、その辺の感覚で結構ですよ。
○田原国務大臣 お答えします。 むちゃではないんですけれども、少し何か付加して考えなきゃいかぬ要素があるような気がいたします。というのは、訴訟すれば訴訟の実務が行われていくときに社会コストがかかっているはずだ、原価計算すれば。そのコストはだれかが負担しなければいかぬから税金で負担しているんだ。それは一般的に、ずっと普遍的に負担しているのですね。それは特定の人が特定のもので訴訟を受けるときに、訴訟を一生やらない人もいるわけですから、その人も同じように、税率がかかるときは訴訟を何回した人はたくさん払えということはないわけです。だから、やはり負担の公平という意味で多少の何らかの理屈づけが要る、多少の負担が要るんじゃないか。 というのは、公共事業が非常によく似ているのですね。国がやったり県がやったりして住民を守るのにもかかわらず、受益者負担ということで地元負担とかあるいは個人負担まで何%かかかるようになっている、そういうことの方が公平であるというようなことと非常に似ているような感じが私はするわけでございます。ですから一概に、公に対する訴訟であるから、国は税金だけで賄って損をしないんだから、個人は金がかかるんだからゼロでいいじゃないかという理論は、少し何か足さなきゃいかぬのではないかなという気がします。
○沢田委員 確かに、特定の個人に特別の利益を与えてはならないという条項もございます。だから、それはその論からいけば国でやっている行政の中にもたくさんあるわけですね。特定の個人に特別の利益を与えてはならないというこの財政法の趣旨というものはたくさんあるわけです。しかし、それでもなおかつ今日厳然として存在しているのです。例がいいか悪いかはわかりませんが、大学なんかの補助はそういうことです。だれしもが行けるわけではない。だれしもが行くわけではないものに何百万なりの一人当たりの特定の補助が行われているということは、今の財政法からいったならば、ただせば理屈はあるのですよ。 ですから、そういうふうに言った場合に訴訟も同じで、例えば国会なんかも、国の財産でつくったって、国会見学に一生来ないで済んじゃう人は何十万、何百万、何千万もいるのだろうと思うのです。東京の都庁の庁舎だって、つくりたって、要る者はそうでしょうけれども、一生使わないで死んでいっちゃう人もたくさんいるわけです。全然利用しないで、上にも行ったこともなければ玄関までも入らないで死んでいっちゃう人がたくさんいる。応益の負担の論理というものからいけば、そういう矛盾もあるのです。だから、民事で裁判をするという、自分の損害なり、例えば公を相手にする場合は、公がむだであったとかあるいは不法であったとか、自分が特定の損失を特に受けたとか、民事でいくという場合はそういうことですね。ですから、そういうことについては同じプールの中で見ていくということの方が筋であって、それに応分の負担を求めるということは、個人対個人の問題は別ですが、それは応益負担というごとはあるんですけれども、原則はそこへ置くべきじゃないかと私は思うのですね。原点としては道路を歩くにも通行税を取られるのと同じようなもので、だけれども一生歩かない人もいるかもしれない。そういう論理からいけば、それは応益負担でいく原則も今までなくはなかった。だけれども、裁判についてはこれからまだ開拓しなければならぬ分野があるから、私はあえて言っているんだ。言うならば相当閉鎖的ですから、今までの伝わってきた継承が。 これは大臣はどうだか知らぬけれども、私も裁判所へ行ったのは何回というように数える程度ですよ、もう何十年がやっていますけれども。そういう形からいって、特別に自分が痛みを感じたときにはそのくらいの面倒を――それは商売でやっている人間はまた別なんですが、そうでない人から見たら裁判所というのは全く敷居の高いところですよ。そういう意味において、私は、行政を相手にしたり国なり県を相手にするような場合はその手数料は免除してやっていいのじゃないのかな、それが本当の民主主義なんじゃないかな、チェック機能を生かしていくということでいくならば、そういう負担をかけないで平等の立場で相撲をとらせるというのが筋じゃないかな、こういうふうに思うのです。ちょっと足らないかなとは思うけれども、またいろいろそういうものがあるのですね、財政法から見て。いろいろなものがあるけれども、そういうことで、公を相手にする場合は特に手数料を取らなくてもできるということくらいの道は開いてやった方がいいんじゃないのかなという気がするわけです。それもさっきの条項で、これは自分が金があるなしの問題じゃないですから、原則の問題ですから、そういう意味においてはそういう道が開かれることが裁判の民主化のために必要じゃないかな、こういうふうに思っている一人なんですが、いかがでしょうか、大臣ひとつ。
○田原国務大臣 私はたびたびお答えするように法律を専攻した法律家でございませんから多少ラフな意見となると思いますけれども、ゼロかゼロでないかという理論と、高いから少し下げるという理論は多少違うと思うのですね。 それから、私自身も、訴訟魔という人がおりまして、民事と刑事で若いとき現場の所長をしていたときに告訴されまして、月に数回足を運んだことがあります。所長が告訴されたとき、あの当時たしか民事的な場合は法務局の訟務部長等の系統の人が弁護したりしてくれましたが、同じ問題を刑事的な理屈づけをしてやられたことがございまして、これは全部自分でやらなきゃいかぬ。とても受けて立つ弁護費用なんかありませんので、自分で勉強してやらなきゃしょうがないという経験もございましたが、私は、やはり何がしかのものがなければいかぬ、その何がしかがどのくらいかということは社会的な価値判断で変わってくると思うのですけれども、ゼロというのはこの際いかがなものかな、裁判に関しては。 それから、学校の例を出されましたけれども、学校も国立学校で確かにコストはかかっているけれども、そのかわり授業料を払っているじゃないかという一方的な言い分もあるし、その授業料が高いのか安いのか、ただし国民の全員が一応憲法で保障された普通教育を受けるものについてはただであるというような、何かわかりやすい理論があるような気がするのですが、この訴訟問題、裁判に関しては何がしかの負担、その何がしかがどのくらいかというのはちょっとわかりかねますが、要るというふうに私は考えます。
○沢田委員 とにかくきょうの段階はそういう議論があったということに意味があると私は思っているのですよ。今までのずっと伝承されてきたものでない立場から、そういう市民層というものが現実に存在をしているということがたくさんあるということを理解してもらいたい。 例えばマンションなんかの場合もそういう一つの例なのですね。日影であるとか風害であるとか井戸水がなくなるとか、そういうようなものは個々によってみんな違う、しかし反対ではみんな一致してやるというようなことで今いろいろ問題が横行している現実ですね。それも、これは建築基準法で認めた、だからもうこれは絶対的だというのが今の体系で来ているわけですが、やはりそういうことで紛争が余計長くかかったりしてきているのが現実の問題なのですね。だから、そういうふうに市が建築許可をしてしまったからというのが殺し文句で出てきたときに、市民がそれは自分が困るということをやっていく場合には今言ったような道が開かれていいのじゃないかというのが私の提言です。これは大臣だけじゃなくて皆さんも、今のそういう枠の中だけで物を見ていると何でもないかもしれませんけれども、不都合かもしれませんけれどもそういう見方もたくさんある、そういう場合が出てくる。 例えば環状何号線の騒音でこの間判決が出たのと同じですよね。何号線の騒音で判決が出てきても、これもそういうことの意味なのです。そういうものを全然出せないでいる人たちがどれだけ多いか。あれはまとまったからできただけの話で、泣き寝入りしている人がどれだけ多くいるかということを認識してもらいたいのです。そういう人たちにもそういう発言の場を与えてやるということがやはり三権分立の一つのあり方だと思うのです。それが何かブレーキがかかるという仕組みについてはやはり反省、反省というよりも一考してもらいたいというふうに感ずるわけです。これは大臣、そういうことで提言だけしておきます。現実的にはそういう判決ができてくるわけですよね。生まれてきているわけです。ですから、そういうときにそういうブレーキがなるべくかからぬように対応してほしい、こういう願いで、審議会の方で何か考えてもらえれば幸いだと思います。 続いて、時間の関係もありますが、警察官と民事との関係なのです。 刑事警察と一般の自治体警察、そう分けられるかどうか、ただ警察の民事不介入というのが一つの原則としてありますね。私は逆に、この警察官というものの役割というか位置づけからすると、かえって軽易の、軽犯罪であるとかちょっとした民事的な、自動車の事故もあるでしょうが、そういう紛争であるとか、そういうようなものについては興言を与えるというのが公務員としての一つの本来的な役割じゃないかという気がするわけです。いわゆる刑事警察の担当でいけばこれは不介入ということになるのでしょうけれども、刑事警察で、窃盗であるとか傷害であるとかというときはまたこれは全然別でありますが、それに至らない紛争について助言を与えるということはサービスの中の一部ではないのかという気がするわけですが、その点はどうお考えでしょうか。
○漆間説明員 お答えをいたします。 委員御指摘の民事不介入の原則についてでございますが、これは昔からある学問上の警察の概念に引きずられたものでございまして、現行の実定法上の警察からいきますと、警察の責務の範囲内で民事に介入していくことを禁じている法制度はないと我々は理解しております。 実際のところ、いろいろな民事紛争を解決するような法律の仕組みというのはございません。しかし、一方、警察におきましても、地域住民からさまざまな困り事相談を受け付けておるわけでございまして、その際には警察法上決められている個人の生命、身体、財産の保護、それから公共の安全と秩序の維持に当たる、この責務の範囲内で最大限の適切なアドバイスを与えているのが現状でございます。こういうような仕組みにつきましては、今後とも積極的に、あるいはその具体的な活動を一層活発化するように努めていきたいというふうに今考えておるところでございます。
○沢田委員 念のためでありますが、確かに警察法では第二条に生命と財産を守ることが警察の責務である、こう明記されているわけですから、いわゆる一般の警察官は地方公務員で従事しているわけですから、その立場から見れば今おっしゃられたように、ただその面の積極性といいますか、エリアがはっきりしないということで、いわゆる不介入は昔の話だったのだ。昔の警察の法律の問題であって、今はそうではなくてかえって積極的に入っていく、積極的とまでは言わないけれども、常識的に紛争の解決に助言を与える、そういうことには当然進むのだ。これはどういう通達あるいはどういう仕組みで下の方へ伝わっているのですか。下の方と言っては悪いですが、自治体なり実際の警察官なり、警察学校なりでどういう講義をしているわけですか。
○漆間説明員 お答えいたします。 一般的な方針を出しているというわけではございませんが、現実に警察官になりますと警察学校で警察の責務というのを勉強するわけでございます。その中で、その責務の範囲内で、特に具体的に国民に権利義務を強いるようなそういうものではなくて任意的な事実行為、これについてはどういうことができるのだということについていろいろ教育をしているところでございまして、その過程でその教育を受けた警察官が実務についた場で、今度は、いろいろな困り事相談等があれば、その教育に基づいて適切なアドバイス等を行うという形になっているというふうに理解しております。
○沢田委員 判例集といいますかQアンドAですか、こういうような場合はこうなのだというのをぜひひとつおつくりいただいて、我々もそういうことを知ることも必要でしょうし、あるいは地方の議員も知ることも必要でありましょうしあるいは住民も知ることが必要であろう、そういうふうに思いますので、それは警察がどこまで、一般的に昔は不介入という何かがずっと伝わってきておりましたけれども、そうでないとすればそういうケースを十分に知らして、住民も利用できるようにし、あるいは警察官もその指導に従って世の中のいろいろな問題をなくしていくために、紛争をなくしていくために協力をしてもらう、こういうことが大変必要な要件だと思いますので、そういうものをつくりながら周知徹底を図ってもらいたい、こういうふうに思いますがよろしゅうございますか。――ここまで出てこなくても、首を縦に振っているようですからそれをもって、します、こういう返事として受けとめていきたいと思います。 続いて、境界問題ということで、今民事の中でこの係争がどの程度あるのか、おわかりになったらひとつお答えいただけますか。
○清水(湛)政府委員 一般的な訴訟手続法でございますと法務省民事局の所管でございますが、そういう手続によった境界をめぐる紛争訴訟がどの程度係属しているかという統計につきましては、ちょっと今手元にございませんので正確にはお答え申し上げることはできません。後日また、必要がございましたら資料等で御説明に上がりたいと思います。
○沢田委員 昔は土一升金一升というような言葉があったくらいでありますが、今とにかく何千万なんですね。ですから、結果的には――その前に、前の、訴訟の費用の算出に固定資産税の評価額を利用する、こういうことでしたな。訴訟費用の得べかりし利益の算定は、地方税の固定資産税額の二分の一なり三分の一だかわかりませんが、を算出基準にして考える、こういうことだったと思いますが、その点ちょっと確かめたい。ちょっと戻りましたが。
○濱崎政府委員 具体的な事件ごとの訴額の算定は、これは裁判所で行われるものでございますので、実際にどうやっておられるかということは正確には裁判所の方から御答弁いただくのが適当かと思うわけでございますが、私ども、一般的な事柄として承知しておりますところでは、土地の価額を基準にして訴額を算定する場合に、土地の価額の算定方法として固定資産税の評価額というものを使うという運用が一般的に行われているというふうに承知しております。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○沢田委員 それも実は大臣、相続税もそうですが、今、いわゆる公示価格がすべての基準にかわってきているわけですね。公示価格によって、土地の売回氏も、監視区域もそういうものでありますし、それから相続の問題もそうなってきていますし、いわゆる価額の一元化ということが今日まで来ているわけです。それで、土地の訴訟経費がいまだに地方の固定資産税価格を算出基準にしているということで判例があるのです。判例がそうなっているということを――今もそうなっているかはわかりません。では、それ以外は、裁判所ごとに考えるという要素は何と何と何なのですか。もし固定資産税でなければ、あとは何を参考とするのですか。裁判所ごとに、こうお答えになったから、あえてその先を聞くわけですが、それ以外の参考にするものは何と何なのですか。
○濱崎政府委員 裁判所ごとにと申し上げましたのは、個々の事件ごとにその事件の内容に応じて訴えによって求める利益の額を算定しておられるということを申し上げたわけでございます。その訴訟の目的が例えば土地そのものの所有権の争いでございますと、一般的には土地の価額というのが訴額になるわけでございますけれども、その場合の土地の価額の認定方法としてそういうものを使っておられるのが一般であるというふうに承知しているということでございまして、土地の価額の算定方法の一つのあり方ということであろうと思います。
○沢田委員 結局、固定資産税の評価額が対象となってきているということなのですね、結論的に言うと。その価額の決定はいろいろありますよ、裁判所ごとに。しかし、枠はその中だ、それが古いと私は言っているわけですね。今は時代が変わってきて、これだけの土地の暴騰の後の段階でそういうものをやっているなんていう裁判所は全く古いねという感覚しかない。全く近代知識がない。要すれば、公示価格であるとか、今の売買は国自身がそういう形を使っているわけだ。そのかわりこれによってえらく手数料が違ってきてしまいますよ、評価額が変わりますから。えらい変わり方をする。そうすると、手数料の基本が崩れてくる、こういうことになりはしないですか。もしそれが公示価格に変わったとすれば、どういうふうに変わってくると思いますか。
○濱崎政府委員 訴額の認定の問題は個々の受訴裁判所の権限の問題でございますので、今私が申し上げたのは、一般にそういう取り扱いが多いのではないかという私の漠然とした認識を申し上げただけでございまして、すべてがそうであるということかどうか、それは私責任を持って今答弁はできないわけでございますが、いずれにいたしましても、個々の裁判所の判断の問題でございますので、私の方でその当否について云々申し上げる立場にはございません。もちろん、その評価が高ければ手数料額も高くなるという関係にあるのは当然のことでございます。
○沢田委員 いや、そういうことではないのですよ。だから、裁判所が決める範囲内は何と何だと言ったら、結果的には固定資産税の評価額をもとにして試算をするのでしょう、こう言ったわけですね。あなたの答えはそういうことでしょう。そういう中で判断されるのだと言われた、しかし今は国も地方も公示価格がすべて土地の場合には価額の算定の基礎になって、相続もそういう形になってきている。固定資産評価額が参考という形にはなってこない。だから裁判所は古い、こういうふうに言ったわけですね。もしそれが裁判所が勝手に決めるのだということになれば、これは不動産の価額によってやるということになっていて、これは昔の最高裁判所の決定が何かそういうふうになっていたのですね。そういうことであったように記憶します。 最高裁の昭和三十一年十二月の民事甲第四百十二号「訴訟物の価額の算定基準について」というものが一つは基礎になって、有体物を目的とする請求というのは固定資産税の標準価格、地方税を基準としている、こうなっておるのですね。これは「訴額通知別紙ことなっていますが、不動産の明け渡し訴訟の場合はどうか。これはそれぞれ判例が出ているのでありますが、そういうことで来ているから、今すべて土地の価額は公示価格にずっとなってきておる。 そうなると、裁判所だけが固定資産税に依存しているという形は、より一層の不公正を生じてくる。しかも三年据え置きですね、一年ずつ変わっていますが。三年据え置きでいって、次に固定資産税が変わっていくわけですね。そうなると、その公示価格とはえらい違いが生じてくる。もしこれが公示価格になると仮定したらどういう対応を図るのか、こう聞いているわけです。それは裁判所が決めるのだから私の方は関係ありませんが、公示価格になったときはまあしょうがないですね、こういうことですか。
○濱崎政府委員 御指摘の最高裁判所の通知というのは、恐らく訴訟物の価額を各裁判所で、具体的には第一次的に受付窓口で考えるわけでございますが、その際の一応の目安という形で御指摘の昭和三十一年当時に発出されたものを指しておられるのではないかと思います。したがって、それは決して判例とかあるいは裁判所を拘束するものではないということであろうと思います。 民事訴訟費用法上は、あくまでも先ほど来申し上げておりますように、当事者が訴えによって求める利益の額を基準にして、その額に応じて手数料の額を定めているわけでございまして、そのそれぞれの訴訟、例えば土地を画的とする明け渡し訴訟、所有権をめぐる争い、そういったそれぞれの訴訟ごとに具体的に訴額をどう判定されるか、これは受訴裁判所の御判断の問題であるということを申し上げているところでございます。その御判断に従って算定された訴額、訴えをもって求める利益の額に応じて法律上、手数料額が定められる、こういう次第でございます。
○沢田委員 これは、例えば訴えの提起のこの表の前提となっているものは、固定資産の課税標準価格でこの表ができているわけでしょう。何百万から何千万までというこの表のもとの数字というのは、土地の場合はこれが基準で一応念頭に置いて考えておられるのでしょう。
○濱崎政府委員 この関係資料の参考資料二ページ、三ページに示しております一覧表をごらんかと思いますけれども、ここで手数料算出の基礎となっておりますのは、いわゆる訴額、訴訟の目的の価額でございまして、例えば金銭の請求でございますと、一千万円を支払えということであれば、その求める金銭の額そのものが訴額になるわけでございます。土地をめぐる争いでございましても、土地をめぐる争いにもいろいろ種類がございまして、所有権をめぐる争いでございますとか、明け渡してございますとか、借地関係上の争いでございますとか、いろいろございます。その場合に、訴額を算定する際の基準になるのが土地の価額であるわけでございますが、土地の価額がそのままこの基準になるわけではございませんで、それぞれ訴えの種類に応じまして土地の価額を基準にして、いろいろな形で当該訴訟の訴額を決定するわけであります。
○沢田委員 いろいろな形でというのは、そこはあとはわかりませんよということで、よくこういう基準ができますね。例えば不動産の場合にいろいろな形で価額が決まるけれども、それに対してパーセンテージは決まっていってしまうのですから、その課税客体というかそれの客体の基準だけは、固定資産税評価額でいくのかあるいは公示価格でいくのかあるいは相続価格でいくのか、何かそれがきちんとしなければ、この表を出してくるもとというものはそれによって極めて変わってしまうんじゃないですか。それは裁判所任せだと言うのは、これはちょっと――固定資産評価額なんて古過ぎると我々これから裁判所に文句を言いっけるかもしれませんよ。しかも、三年据え置きだし、しょうがないから、このバブルの中で、三年据え置きのものを今一年ずつに改定はしていますけれども、それにしてもえらい影響が出てくるわけですね。そういうものにこだわっているということに問題があるのですから、そうなると国の政策なり方向とは全然違った結果が出てくるということになるのですね。これではどういうふうに――だからきょう聞かなくてもいいです、後でいいです、勘弁します。 とにかく、裁判所に関係することだと言うんだから裁判所に聞いて、これからは不動産の価額については何を基準にして出していくのか、もしも今答えられないとすればこれをひとつ報告してください。それでなければこの手数料は、結果はえらい違いが出てくるでしょう。だから、僕が古いと言っているように、裁判所の考え方だって変わるんだろうと思うのですね。こんな固定資産評価額を使っていたらかえって不明朗なものになっていってしまいますよ。実勢とは全然かけ離れたものになっていってしまう。得べかりし利益だなんというものは、もうえらい違いが出てきてしまいますね。そのこと自身に訴えが出てくるおそれがある。 時間がなくなりますから、今は答えられないようですから裁判所と相談して、この固定資産評価額の標準価格を使うのか公示価格を使うのかあるいは相続価格を使うのか、そういう何を使うのかというぐらいは国民として知っていなかったら、これは訴えもできないということになるのですね。答えられるの。答えられるんだったら答えてください。
○濱崎政府委員 繰り返しになるかと思いますけれども、土地の価額は幾らであるかというのは、いわば一つの事実認定の問題でございます。その事実を認定する際に一々鑑定をするのかあるいはそのほかどういう指標を用いるのか、これは事実認定の問題でございます。法律でどうこう、何をもって価額と認定すべきであるというようなことを決めるべき問題ではないということだけ申し上げさせていただきます。
○沢田委員 これもまたあいまいな――大臣、今の答弁でわかりますか。 そうすると、例えばこの辺の土地、ちょっと検討つかない数字ですが、恐らく平米当たりでも六百万から七百万ぐらい。しかし、税金ではそんなには、評価額でいけばせいぜい百万ぐらいのものでしょう。そういうものと公示価格でいくのと、えらい違いが出てくるでしょう。それが三百平米になろうとあるいは二百平米になろうと、べらぼうな違いなんですよ。何十倍、何百倍なんですよ。そういう違いが出てくるのに、こういう比率でいってどういう結果が出てくるかということになると、それは回答にならないじゃないですか。それは中には「前記訴額通知は、賃借権に基づく場合は、不動産の価額の二分の一としている。」こういうことも、借地権の場合はただし書きがついていますね。そういうことも考えて言ってみたとしても、えらい違いが出てくることは間違いないのです、相手の本体が変わることによって。 だから、今の答弁は、それは裁判所が決めるのだということじゃ困るから、時間を与えるから、これから裁判所は何を基準にして価額を決めていくのですかということを僕の方では聞いているわけですから、後で答えてもらえばいいのです。無理に答えるから余計また迷路に入ってしまうことになるわけですから、後でいいですから答えてもらいたい。しかし、きょうからでもあしたからでも、これが可決されて、参議院で可決されればこれに移行するわけですから、その翌日から起きてくる問題は適合するわけですから、裁判所が古いと言って恐るくらいの方がいいから私は言っている。そんなことにこだわっているようではよほど時代おくれだなと感じているから、あえてそう申し上げた。できればかえって喜ばしい。それが実勢を伴わないから、余りにも架空の議論をしているということなんです。 続いて、次に行きます。 境界の問題で、大臣は建設関係をやっておられたからこれもわかると思うのですが、境界というものは果たして、民地であろうと公のものであろうと、客観的に見てどこから自分の土地かを探すのに、自分でくいを打ってここだよ、月面に行ってくいを立てているようなものかもしれませんが、今はそれだけの話なんですね。それを保証するものは何もない。東京の方の関係からいってみて、大臣はどう思いますか。
○田原国務大臣 東京の関係からというと私もちょっとお答えしにくいのですが……(沢田委員「常識でいいですよ」と呼ぶ) 常識でいきますと、通常両方の境目の人が立ち会ってくいを打って、なるべく近い間にくいを打つのですけれども、何メーター置きかにくいを打って、直線で結んで見通したところでやるのですが、それを一方的にこっそりくいを打ち変えるとこれまた困るわけですから、立ち会って写真を撮ったり、地図に落としたりというのが今行われている方法だろうと私は常識的に考えますが、それは信頼していいのじゃないか、こう思います。
○沢田委員 時間の関係で、飛ばしの問題の飛ばしじゃないですが、若干飛ばします。 大臣は建設関係にいたからあえて申し上げますが、言うなら道路の路肩がありますね。道路が高くできて路肩がありますが、路肩のところへ家をつくられた場合、道路管理者としてこれは管理できていますか。 それから、堤防の場合の路肩というか堤防のすそが境界ですが、その境界のところが埋め立てされて家が。建っていった場合、その管理はされていますか。
○田原国務大臣 これは、建設省が答えるべきことだと思いますから、私、個人としてお答させてください。 管理されていると思います。用地買収をして、場所を画定するときに立ち会って、そしてさっき言ったように用地ぐいを打ってそれを結んだ、変化の少ないところはなるべく飛ばしますけれども、普通道路やその他だったら何メーター置きとかに決まっているのじゃないか、記憶をたどりますとそう思いますが、打って、その範囲内については管理しておる。その外については民地である。ただし、民間の方が道路ののり面を使用したい、路肩を使用したいというときには、占用許可願が出て、それで許可をする場合がある。そのときはお金、料金を取ってというような手続が行われると思うのです。これは私が昔経験したことを思い出しながら話しているので、責任は持てない話でありますけれども。
○沢田委員 それじゃ、建設省から答えてください。
○徳山説明員 堤防関係でございますが、現在堤防を整備した後、堤内地側、いわゆる町側でございますが、そちら側につきましては、堤防と民地との境に標柱というようなものを打って境を明らかにするようにやっております。
○沢田委員 それじゃ、全国の中で堤防敷ののりをどの程度占用されていますか、わかりますか。大臣は料金を取ると言いましたが、料金を取ると借地権が設定されるのですよ。そこへ家を建てた場合に、立ち退きするときには補償料を払わなければ立ち退きができないのですよ。だから、今建設省は無料で貸しているのですね、いつでも立ち退きができるように。取れば借地権が設定されますから、それは無料で貸していて立ち退きを請求する。建設省、答えてください。あなたはどの程度の知識――現場を歩いていないんだな。
○徳山説明員 河川区域内で国有地の部分につきまして占用を与えるということにつきましては、昭和四十年以降、民間の、一般の使用という占用は認めていないということで、河川敷地というのは公共、公有、全体のものとして使われるようにやっておりますので、原則的には地方公共団体等の公園とかそういうものに使うようにしております。 それから、今御質問ございました占用の比率、ちょっと数字を持ち合わせませんので、後ほど御説明いたします。
○沢田委員 後ほどと言うが、本当に後ほど出るのですか。そう答えておいて出てきたためしかない。そのまますっぽかされる率が多いから確認するわけです。 それで、とにかく河川は動くでしょう。今まで自分の土地であったものが川になり、川であったものが今度はそこに州ができて自分の土地になっていく。川はうねっていきながら全部境界を変えていくわけですね。山も雨が降ればそれによって境界が変わっていくわけです。海岸もそうなんですね。日本海の方はどんどん浸食されていくから土地が減っていっているわけでしょう。太平洋の方は、いい悪いは別として、海岸が大きくなっていっていますから、土地が伸びるでしょう。こういう土地の保有なり所有権が完全に捕捉されて、例えば河川台帳はできているかという質問をして、恐らく何%という程度だと思うのですね。そういうものの管理が法務省としてどの程度できているのか。それができていないと、民地の境界についても同じような紛争がどんどんつながっていくのです。これは法務省の登記面もありますけれども、建設と法務と自治にお答えをいただきたいと思います。
○徳山説明員 河川法の対象としております河川の河川区域あるいは河川保全区域等におきましては、河川を適正に管理するという観点からいろいろな公益性、あるいは河川の使用が行われているところでございまして、このため河川法によりまして、河川管理者は河川の管理の基礎となる……(沢田委員「いや、台帳があるかどうかを聞いているんだよ」と呼ぶ) 現在までの河川現況台帳は、直轄管理区間に関しましては約九八%つくられているわけでございますが、そのうち官民境界にかかわります事項についての整備の状況は、約半分程度という状況にございます。
○沢田委員 一級河川については河川台帳は全部、九十何%できていますか。
○徳山説明員 一級河川全体につきましては約七四%の整備状況でございます。ただ、先ほどちょっと申し上げましたが、その中での官民境界にかかわる部分につきましては、いろいろな難しい問題等もございまして、直轄管理区間におきましては約半分程度という状況でございます。
○沢田委員 事によれば、そのことが確かかどうかは会計検査院の方に要求して調べてもらうかもしれません。 それで三角点がありますが、あれはどういうものですか。
○青山説明員 建設省の国土地理院におきましては、すべての測量の基礎となる基準点の一種としまして、全国に約三万九千点の一等、二等及び三等三角点を配置いたしております。また、地籍調査を実施するために必要な、四等三角点と呼んでおりますが、この三角点につきましては、今御説明申し上げました三万九千点の一等から三等までの三角点に基づいて整備されるという状況でございます。
○沢田委員 結局、今私が言おうとしていることは、境界の争いが大変多くて、国民のその不安なり怒りなりふんまんなりを行政の分野で整理していく仕組みをどうやってつくっていくかという一つの提案なんですよ。 簡単に言うと、登記法の登記は三角なら三角の形を何平米あなたは持っていますということを表示するにすぎないのですよ。どこにあるということを固定するものではないのです。これは大臣も登記を見たらわかると思うのです。だから、三角点からはかって何メートルのところにあるということを保証するものかというと、これも違ってきているのですね。違ってくる、数字は合わないですよ。ですから、私が今言っている境界は、非常に言葉は悪いですが、力の関係になってしまっているのですね。強い方が出っ張ればそのまま終わり、民法の規定で、十年間たったらおれのものだ、二十年たてば所有権は移動する、こういうふうになっていますから。いわゆる官有地でも何でも管理が行き届かない、だからそのままほっておく場合の方が多い。そうすると、そこに自然に権利が発生することになるので、境界の争いは官と民の間、民と民の間、あらゆる場合にそれを裁断していく仕組みといいますか筋といいますか、そういう基準をつくってもらわないと紛争が絶えないのが現状なんです。 それで、民事の問題の中心としてぜひその基準点を明確にしてもらって、あなたのところはこれから何メートル、北極星に見て例えばどういう角度でどういう位置にあるとか、あるいはこれは二点最低なければ困るでしょうが、三点なければ困るでしょうが、とにかくそういう形で、自分の土地を自分のものだということをしっかり認識できる仕組みをこれからつくってもらいたい。国土庁の方ではこれはどの程度進んでいるのですか。
○段本説明員 今先生の御指摘がございました関係を実施するものが地籍調査でございまして、この地籍調査は、国土調査法に基づきまして昭和二十六年度からそれぞれの所有界の確認を行って、その結果につきまして登記所に送ってそれぞれの土地を確認するということをやっておりますが、平成三年度末現在で、全国平均で見まして三六%の進捗になってございます。
○沢田委員 私は埼玉ですが、委員長も埼玉ですが、埼玉あたりを見て、三六なんという数字を見たら、三%もいっていない、〇・三にもいっていないのじゃないかという気がするのですが、地籍の紛争の起きる可能性の多い埼玉、千葉、神奈川、東京という地域については、より田舎の方へ行って、おっさんに聞いて、ああ、あの松の木が境だよ、ああ、そうかと言ってやっているので三十何%というのじゃこれは話にならないので、いや、あの川が境だよ、いや、その辺だろうというので事が済む場所と、そうでないところ、歯ぎしりをする場所があるのですから、それで評価をしないでもらいたいと思うのです。そういうところが、まるで鉢巻きをして物すごい紛争が起きるような場所が多いということを認識してもらってこれはぜひ進めてもらいたい、こういうことを特に要望しておきます。 次に、なるべく早くと思ったのでありますが、カードの破産の実態、これは民事としていろいろ紛争があって破産宣告を受けるという人も多いようでありますが、通産と法務からカード破産の状況、一時は二万五千件ぐらいから一万件ぐらいに減って、また二万件を突破する、こういう状況と聞き及んでおりますが、それをお答えいただきたいと思います。
○寺坂説明員 御説明いたします。 最高裁判所の方で集めております司法統計年報によりますと、いわゆる自然人の自己破産の受付件数は平成二年からふえてございます。具体的な数字で申しますと、平成元年が九千百九十人、平成二年が一万一千二百七十三人、それで平成三年は二万三千二百八十七人と増加しているというふうに認識をしているところでございます。 私どもといたしまして、クレジットカードの使用によります自己破産の問題は、消費者利益の保護あるいは経済社会の健全な発展の観点から大変重要な問題というふうに認識してございまして、このような認識のもとにクレジット業界に対しまして、業界の健全な発展のために多重債務者の防止対策について種々指導してきているとこうでございます。 既に各社におきまして、与信体制の整備あるいは社員教育の徹底、こういったことを始めております。また、社団法人の日本クレジット産業協会におきましては、与信制度の向上のための情報内容の充実、さらには利用限度額の引き下げ、それから消費者の方に正しい理解、消費者啓発を図るという観点から、クレジットの計画的な利用を進める趣旨の標語を作成物とか広告といったものにつけることを決定いたしまして、現在具体的な方策を検討しているところでございます。
○沢田委員 尾上縫さん、あれは倒産したのでしたね。これは法務省ですか、東洋信用金庫の事件を起こしてあれは倒産しましたね。倒産をして保釈をされましたね。六億円も保釈金を倒産した人が払い込めたということは、我々、常識ではとてもじゃないが考えられない。破産というのは何なのだろうかと思うのです。ついでに、OLなどの個人破産がたくさん出てきていますが、破産後はどういうデメリットとどういう状況が出ているかわかりますか。尾上縫さんの場合も、六億円のうち二億円は借りたのだけれども、四億円は自分で出した。尾上縫さんの場合はどうなってい名のか。そういうことを二つ答えてもらって、五十六分ですから、一分半ぐらいで答えてください。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 尾上縫さんの事件については、これは裁判所の所管でございますので、私どもは直接……。 一般的に、そういうクレジットカード関係の破産もそうでございますけれども、破産の申し立てをいたしまして破産宣告をするということになりますと、破産申立人の財産がいわば清算されまして債権者に弁済されるということになるわけでございますけれども、クレジットカード破産なんかの場合には破産申立人に財産がございませんので、破産宣告と同時に、破産手続の費用すら賄うことができないということで同時破産廃止、破産手続を廃止するという決定をいたすのがほとんどでございます。その上で、今度は免責の申し立てをして免責を得るということになりますと、今までの債務は全部消滅するということになります。 それで、このような免責を目的とした破産申し立てというのがかなりあるのではないかというような指摘もあるわけでございまして、そういったことについての破産帯助の問題点というようなものも、これは検討しなければならない一つの問題だというふうには考えているわけでございます。
○沢田委員 時間がないですから、それじゃ、尾上縫さんの六億円の出所がどこになっているのかというのは、後で調べて御報告いただけますか。破産した人がどうやって金を都合したのかなと、私もそういううまい手があるのかと実は教えてもらいたいと思っているわけです。
○清水(湛)政府委員 まことに申しわけございませんが、私どもちょっとそういうものを調査する手段、方法は法務省にはないのではないかというふうに思いますので、お許しいただきたいと思います。
○沢田委員 裁判所へ行って聞いてもいいですから、とにかく後で、そういう破産した者からどうやって金が出てくるのか、ひとつその経路だけ教えてもらいたい。これは大臣に言っても無理かもしらぬが、とにかく大臣の方から要請してください。
○田原国務大臣 実務的には今民事局長の言ったとおりだと思いますが、私もよく勉強してみます。
○沢田委員 終わります。
○浜田委員長 冬柴鐵三君。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三です。 きょうは、民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を御質問いたしたいと思うわけでありますが、法務大臣から今回のこの改正のねらいと申しますか、端的な目的と申しますか、そういうものをまずお伺いをしたい、このように思います。
○田原国務大臣 お答えします。 民事裁判におきましては、最近の社会経済情勢等を反映しまして、訴訟の目的の価額、これは訴額と申しますが、これが高額に上る民事訴訟事件が大変増加しております。現行の提訴の手数料の額は訴額に応じて増加するいわゆるスライド制を採用しており、特に訴額が三百万を超える部分については一定率により比例的に提訴手数料の額が増加するために、訴訟費用の割高感を生む原因となっているように思われます。したがいまして、今回の改正は、この訴額が高額にわたる部分に対応する手数料の率を引き下げ、国民が裁判を利用しやすくしようという目的で出たものであります。これとあわせて、民事訴訟の提訴手数料と同様のスライド制をとる民事調停事件等の提訴手数料につきましても、同様の改正を行おうとするのが今回の改正案の目的であります。
○冬柴委員 国民が利用しやすい民事訴訟という意味では私は大賛成でありまして、我が国の民事訴訟というのは、残念ながら二割司法とか、そろいうありがたくない話を聞きます。紛争事件の中で、裁判所という紛争解決の場に持ち出して解決をする事案が非常に少ない。いわゆる裁判所外で、正義にかなわないあるいは法律の仕組みにかなわない解決が行われている。ひどいのになりますと、それに暴力団が絡んで強い者勝ちの解決がされる、こういうようなことが言われているときでありますから、国民がひとしく民事の紛争事件について裁判所へ持ち込みやすい仕組みというものを不断に努力をしてつくり上げていくということはぜひ必要でありますし、その観点から今回の法案というのは適切なものであるというふうに思うわけであります。 ただ、民事裁判の費用というのは、単に訴訟提起のために手数料を納めることになりますが、その手数料だけではありませんで、いろいろな名目でいろいろなお金がかかります。もちろん、弁護士報酬もそのうちの大きな部分を占めるわけでありますが、民事裁判費用の中に占める手数料というのは一体どれぐらいだと考えていらっしゃるのか、非常に難しい問いですけれども、お考えを聞かしていただきたい、このように思います。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判にかかる費用でございますが、今御指摘のようにいろいろな費用がございまして、大きく分けますと、いわゆる訴訟費用、これは今回改正が議題になっておる法律で定めておる訴訟費用、それから訴訟外の費用、例えば弁護士費用であるとかあるいは事件のためにいろいろ調査をする、そういう費用がございます。 訴訟費用も二つに大きく分けますと、裁判所に納める費用と、当事者費用と申しまして、当事者がとりあえずお出しになりまして訴訟が終わった後に敗訴当事者から取れる費用、このような費用に分かれるわけでございます。裁判所で把握しておりますのは、そのうち裁判所に納められる費用で、裁判所に納められる費用の中で手数料がございますが、それが裁判所で把握しておるという金額でございます。 そのほかの、例えば当事者費用と申しますのは当事者が訴状を書く場合の書記料だとかあるいは訴状を提出するための提出日当、そのようなものについては裁判所を経由しないわけでございますので、それについてはよくわからない。 それからもう一つは、裁判所に納める費用の中でも例えば証人の旅費、日当というようなものあるいは鑑定費用というものがございます。これも裁判所の会計には一たん入るわけでございますが、これは会計技術的に申しますと保管金というような形になりまして、ほかのいろいろな費用の中で込みで計算されるものですから、どうも申しわけないですけれども、それも実はよくわからないということでございまして、全体の中でどれくらいの割合を占めるんだろうかということも実は私ども裁判所としてはなかなかっかみかねるというのが実情でございます。
○冬柴委員 民事訴訟が二割司法と言われることの理由として、長くかかる、費用が高くつく、それから最後、やった結果解決が自分に有利になるのかどうかの見通しがなかなか立たない、そういうようなことが言われるわけですね。それで、費用が高くつくという悪役に弁護士の費用がわからない、高い、こういうことがおおむね言われているようなんですが、その点細かく見う少し見てみる必要があろうと思うわけであります。 今、最高裁の民事局長からお話がありましたように、裁判費用の中に占める手数料、我々一応印紙代、こう言うわけですが、それは微々たる部分でありまして、むしろちょっと挙げられましたような証人の旅費、日当あるいは鑑定費用、不動産鑑定あるいは筆跡鑑定とか、あるいはこれは返ってくるものですけれども、保全手続に要する保証金あるいは裁判が終わってからの競売の予納金あるいは執行する場合の執行費用、それから類型は変わりますけれども、倒産した場合の手続の予納金、これは破産和議、会社整理あるいは会社更生というようなものがありますけれども、そのほかに提出書面の費用とかあるいは法廷出頭費用とか、こういうものがいろいろとあると思うんですね。 それが非常にばかにならない金額でして、後に細かく見ていきたいと思いますけれども、そういうものについて、例えば保全の費用が高過ぎて納められないから保全はあきらめざるを得ない、だから保全ができなければ裁判で勝ってもその目的は到達できないので訴訟もやめざるを得ない、こういうこともあるわけです、実際問題。したがいまして、そういうものについて、そういうものを国民に利用しやすいように、負担が余りかからないように工夫されるということは何か着手していらっしゃるのか、将来そういうふうな方向に向かって研究をされるのかどうか、予測で結構ですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 大変幅広い御質問でございますが、御指摘のような申立手数料等訴訟費用以外の費用につきましても、国民が裁判を受ける権利という見地から、一般論としてそういった額が高過ぎるということについての問題はあろうかと考えております。ただ、個々の費用につきましては、果たして国民の裁判を受ける権利という観点から適切であるかどうかということにつきましては、それぞれの制度ごとに個別に見なければならない問題でございまして一概に申し上げにくい問題であろうと思います。 いずれにいたしましても、そういう費用がかかる、その負担能力のない方々がそういう権利を確保する方策というのはいろいろな方面で考えなければならない問題であろうというふうに思っておりますが、現在のところ法律扶助制度というものがそれなりに着実に行われていると承知しております。そういった問題、そのほかいろいろな問題に関して法務省あるいは私ども所管の衝にある者としても関心を持って見ていくべき問題であるというふうに考えております。
○冬柴委員 先ほど我が国の訴え提起の手数料が、求める財産の価額、そういうものによって金額が変わる、請求額が高額になれば手数料もふえるという構造を今回も維持しながらとっておられるわけですけれども、アメリカではどんなに大きな訴訟でもみんな一定額になっていると私は承知しているのです、しかも非常に安い金額で。それがいいか悪いかは、私は余りいいことない、日本の方がいいように思うわけですけれども、そういう比較から見ても余り高いものを払わす必要はないのじゃないか。 ただ、余り低い金額で設定することは、利用しやすい反面、乱訴といいますか、そういう機会もふえてくる、そういう面もあると思いますので、ただ金額によって余り大きい差をつけるというのもどうかなという感じがするわけです。先ほど来同僚議員の質問でもありました、利用される方と生涯裁判をしなかったという人もあるのだから、する人に応分の負担をしてもらってもいい、こういう考えだとおっしゃいますけれども、利用機会というのは国民がひとしく抽象的には持っているわけであって、自分も紛争に巻き込まれたら最後は裁判所で救済を求められるんだ、そういう安心料というのを訴訟を起こす人も起こさない人も持っているわけですから、たまたま紛争に巻き込まれたからその人が使用料を負担しなければならない、そこは私はそうは思わないんです。したがいまして、ここから先は議論にわたりますから申しませんけれども、利用機会というのは具体的な利用機会なのか、あるいは抽象的に生涯、いつ何とき自分も訴訟に巻き込まれるかわからないのだから、そのときには裁判所で安心して、低額で、平素税金を払っているんだから解決してもらえるんだという安心料として国民はそれをひとしく受けているわけだから、その点は余り強調する必要はないんじゃないか、こういうふうに私は思うんですが、いかがですか。
○濱崎政府委員 現在の提訴手数料の考え方、これは委員既に御案内のとおりと思いますが、結局は、先ほど大臣の答弁の中にございましたように、どれほどの部分を利用者に負担していただくのが公平の理念にかなうかという問題であろうと思うわけでございます。そういった観点から、今の当事者負担の比率が高過ぎるのか、あるいは安過ぎるのか、これはいろんな御意見があろうかと思います。今回の改正は、基本的には現在のレベルを維持するという枠内において、高額部分についてはちょっと手数料としては割高であるという感覚からそのための緊急の手当てをするということでございますが、より基本的な手数料のあり方という問題については、現在法制審議会で国民の利用しやすい民事訴訟という観点から、さまざまな観点からの検討をしておられるところでございまして、その検討課題の候補の一つとして、提訴手数料の問題についても低額化すべきかという考え方を例示として掲げて、意見照会をしているわけでございます。そういった問題については、そういう議論を踏まえて、私どももこれからの問題として考えてまいりたいと思っております。
○冬柴委員 そこで、私思うんですけれども、手数料が高いという、それはそういう感じを持っている国民の意識を反映しての改正だと思うんですけれども、要するに日本の手数料を含む訴訟費用というのは、敗訴者負担の原則というものが民事訴訟法にも規定をされていて、裁判により終局した事件には必ず訴訟費用の負担の裁判がちゃんと書かれているわけですね。原告が勝ては訴訟費用は被告の負担とする、こういうことを書き落とせばこれは脱漏になるわけであって、必ず書いてある。 そこで、判決が終局した事件数、そして現実に訴訟費用を勝訴者が回収した件数、回収するためにはまたまた訴訟費用確定決定手続という手続をしなければいけないわけですけれども、その件数と比率は一体どのぐらいになっているのか、若干でいいですから挙げていただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 訴訟費用額確定決定の件数でございますが、過去三年間について申し上げたいと思います。 まず地裁でありますが、昭和六十三年は二百四十件でございます。判決で終わった事件数が五万三千四十二件ということですので、割合にしますと〇・五%になります。それから、平成元年度は二百二十九件でありまして、判決で終わった事件が五万一千七百二十件でありますので〇・四%、平成二年度は二百七十四件でありまして、判決で終わった事件が四万八千九百八十六件でありますので〇・六%ということであります。 それから簡裁の方ですけれども……(冬柴委員「もういいです、それで結構です」と呼ぶ)はい。
○冬柴委員 不思議なことですね。国民は手数料を高いと思っているんですよ。ですから、大臣も、きょうこれを下げようじゃないかという法案を出していただいているんですね。高いと思っている人が、相手から取ってよろしいという判決、裁判所のお墨つきをいただいているのに、回収する人が実に平均すれば〇・五%ですか、干件のうち五件の方しか自分が平素高いと思っているものを回収していないというのは、驚くべきことだと思うんですね。よその、例えばイギリスでは、敗訴者は非常に大きな訴訟費用を負ければ負担を余儀なくされる、強制執行を受けちゃうということから、完全に負ける前に、負けそうになれば和解で解決したい、そういうことも聞きますし、要するに紛争をある程度抑止する効果もあるんですね。ところが、日本の場合は、訴訟費用は全然その意味では役に立ってないということが今の数字でおわかりだと思うんですが、なぜ回収しないんでしょう。どう考えていますか。
○今井最高裁判所長官代理者 今の点は非常に難しい問題でございまして、裁判所として特にその原因は何かという調査はしたことはないのでございます。 一般的な、こういうことではなかろうかという点を申し上げさせていただきたいと思いますけれども、訴訟で勝訴するといった場合に、訴訟で勝訴したことで満足して、あえて訴訟費用までは追いかけて取らなくてもいいのではないかという国民性があるいはあるのかもしれませんし、また法律家の間にそういう考えがあるいはあるのかなという感じもいたします。 それからもう一つは、先ほどお話ございましたように、訴訟費用は裁判所に納めた費用あるいは当事者の費用ということでございますが、その中にはいわゆる弁護士報酬等が入っておらないということもございまして、訴訟費用が訴訟に要した費用の中で占める割合というのがそれほど多くないということも一つの理由になっておるのではなかろうか、これも私の個人的な感想でございますけれども、そのように考えております。
○冬柴委員 今の、国民性と言われるんですけれども、非常におかしいなという感じがするんです。裁判所が訴訟費用は被告の負担とするという言葉を書くぐらいであれば、少なくともその算定の根拠が法令によって明確にされていて、争いがない、だれが見たって現に印紙を張ってあるわけですから、その額については判断の入りようがないわけですね。そういうものについては私は判決の中で、少なくとも算定の基礎が法律上明確にされている部分については主文でその部分は支払いなさいという給付を命ずるべきじゃないか、それ以外の分は確定決定に譲っていいと思うんですね。 私は、いろいろ言われたけれども、面倒くさいんですよ。本案訴訟で、勝訴確定までで疲れ果ててしまって、そこからもう一回そう多額でもない訴訟費用について訴訟費用額確定決定手続というものをとって、それをもらってからじゃないと――それを執行に行くというのはまた全部費用がかかるんですね。ですから、私はその程度のことは考えてもらってもいいんじゃないかと思うんですが、これは法改正を伴うんでしょうけれども、法務省、これはどうですか。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 訴訟費用の確定手続については、まことに御指摘のような問題が実はあるわけでございまして、先ほど来問題となっております法制審議会民事訴訟法部会におきます民事訴訟手続法の全面改正作業の「検討事項」におきましても、その第九条におきまして「訴訟費用」という項を独立に立てまして、例えば訴訟費用の裁判のあり方、先ほど先生は判決の主文の中ではっきりしたものは書いたらいいじゃないかという御意見でございましたけれども、そういうようなものも含めまして、例えば判決の中では何も触れないで後で負担の裁判と費用の確定の裁判を一緒にするというような手綱を考えたらどうだろうかとか、さらにはそれとは別に、訴訟費用の確定の処分というのは現在裁判所がやることになっておりますけれども、裁判所書記官にやらせてもっとスピーディーにやったらどうかとか、あるいはそもそも訴訟費用額自体を訴額とか開廷回数等に応じて低額化してしまう、その費用も非常に計算しやすくするというようなこと、さらには訴えの提起の手数料とか鑑定費用等、はっきりしているものについては一部でもいいから確定手続を早くやってしまう、こういうような意見がいろいろ出されているわけでございまして、そういうような意見を一つの例示として「検討事項」の中にも掲げているという状況にあるわけでございます。 この確定の手続が実際上余り利用されていない原因といたしましては、面倒くさいということも確かに一つの原因ではなかろうかという観点から、できるだけ合理的なものにするという見解のもとにこのような問題提起がされているというふうに私どもは理解しているわけでございます。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○冬柴委員 私の提案もひとつ含めて早急に御検討いただきたい、このように思います。 それから、一審の手数料が今この改正案に盛られているわけですけれども、手数料というのは二審も三審も払わなければならない、印紙を納めなければならない、そういう構造になっていますね。その二審、三審の計算の根拠は、一審で貼付した印紙が基礎になりますから、一審の手数料の額を引き下げることにより、二審も三審も相対的に下がるわけですけれども、控訴審の場合は一審の手数料の一・五倍、それから上告審については一審の二倍ということになっていますね。その根拠は一体何ですか。
○濱崎政府委員 御指摘のような制度になっておりますのは、これはいずれも我が国が参考といたしましたドイツ法の制度に倣ったものでございまして、現在まで続いているわけでございます。その趣旨は、これは上級の裁判所で審理されるわけでございますが、そこでより慎重な、より重大な手続による審査を受ける、そういうことに基づいて一審よりも相対的に高い額にされているというふうに考えております。
○冬柴委員 はっきり言えばこれは、乱訴というかみだりに解決を引き延ばす目的か何かわからぬけれども、控訴、上告を重ねることをやめさせようという立法趣旨があると私は思うし、それはその意味では合理的だと思うのですが、ただ一審で一を張れば、負ければ二審でまた一・五張るわけですね。だから二・五になりますね。そして上告で二張るわけですから四・五張るわけですよ。だから、百万の印紙を一審で張らなければいけない事件は、最終的には四百五十万も印紙を張らなければならないということになるわけであって、そこまでしなければならないのかなということを私は痛切に感じます。 したがいまして、私は、少額事件、一審が簡易裁判所というような事件については、別にそういうものはそういうもので、簡裁事件の二審は幾ら、三審は幾らという定額で張らせてもいいのじゃないか。それから、一審が地方裁判所の場合は、ある程度訴額にスライドしなければいかぬ部分もあるかもわからないけれども、これも、控訴費用として幾ら張ってというような、手数料を一律一・五倍とか二倍というのは、僕は余りにも高過ぎると思うのです。確かに、ドイツの法を承継していまして、ドイツの制度ではそづなっているけれども、ドイツはもう別の制度を考えていますね。訴訟保険、こういうものが相当普及して、当事者は余り負担になっていないと思うのですよ。 我が国はその部分だけは承継したけれども、あとの発展過程はおくれてしまっている面もあると思いますので、今申し上げましたように、控訴の手数料は二本立てにしたらいいのじゃないか。控訴手数料というものも一本化するのかあるいは控訴手数料と一審で張った印紙と同じ額をもう一度張らすのか、そういうことぐらいにとどめて、一・五倍とか二倍とかする理論的な根拠はないと思うのです。ただ漫然と来ているわけでして、国民の負担は非常に大きいということを申し上げておきたいと思うわけであります。これについては答弁は求めませんけれども、ぜひそういう点を考えていただきたい。先ほど尾上縫さんの話が出ましたけれども、一千億円というような訴訟を仮に考えてみますと、現行法では一審が五億の手数料ですね。二審が七億五千万、そして三審は実に十億の印紙を張らなければならない、こういうことです。改正法は、それでも二億張らなければいけませんね。こんなに張らす必要があるのかなという感じが私はします。したがいまして、今後考えられる場合、ぜひ二審、三審の部分についても十分考えていただきたいというふうに思います。 さて、各論にちょっと入っていきたいのですが、証人に来ていただきますと当然日当を払うわけですが、旅費は実費でしょうけれども、日当はどうなっているのですか。
○今井最高裁判所長官代理者 日当につきましては、現在、最高裁判所の規則というのがございまして、そこで決まっております。今のところ一日当たり六千九百五十円以内ということで裁判所が定める。といいますのは、上限が今の金額でございますが、その中で尋問に要した時間その他の事情を考慮しまして決める、こういうことでございます。
○冬柴委員 法務大臣、これは下げる部分と上げる部分とあると思うのですよ、訴訟費用。今、大学生のアルバイトの時給というのも相当高いのですよ。それで、議事録に載りますからもう言いませんけれども、相当な方が裁判所へ出頭することもあるわけでして、日当が六千九百円余りで打ちどめでは失礼だと思うのですね。ですから、どうもこれも高いものと安いものをもっと仕分けをして検討される必要があると思いますよ。 次に、鑑定ですけれども、この鑑定費用は高いですね、鑑定士さんから怒られるかもわかりませんけれども。ただ、不動産鑑定だけではなしに筆跡鑑定その他でも、筆跡鑑定なんかだったら大体百万円余ぐらい命ぜられるのではないでしょうか。不動産鑑定でも、これはいろいろな面で不動産鑑定するわけですけれども、ほとんど三十万円ぐらい以上だろうと僕は思っているのですが、こういう考え方は間違いかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 鑑定費用でございますが、これも具体的な事件、鑑定の内容に応じて裁判所の方で定めるということでございます。実情が幾らが基準というふうなことを必ずしも把握しておるわけでもございませんが、委員仰せになりましたような不動産で三十万というのはよくあるケースだろうと考えております。
○冬柴委員 裁判を起こすときの手数料を今やっているわけですけれども、起こした後に裁判を勝ち抜くためにはやはり鑑定もしなければいかぬ場合もあるわけでして、証人に出てきてもらったら証人の日当も払わなければいけないし、大変お金がかかる。これは、弁護士が裁判所から言われて、弁護士事務所へ一度持ってきてもらって裁判所へ納めるものですから、どうも弁護士の費用は高くつくと言われるわけです。例えば賃料増額の訴訟を起こした場合に、弁護士が一生懸命二年ぐらいかかって訴訟を解決する。それの着手金や報酬額よりも、不動産鑑定士が現場を見られて鑑定書をつくって出されるわけですけれども、手数ははるかに弁護士の方がかかっていると思うんですけれども、実際はそちらの方が高いという場合は往々にしてあるわけです。ですから、この鑑定費用というのも、今やられているのはすべて不動産鑑定士という人に委嘱をしてやっていられると思うんですが、それは間違いないですか。不動産鑑定士に鑑定意見を求めるという形で、鑑定の宣誓をして、そしてやっていただくという手続をとっていると思うんですが、それでいいですか。
○今井最高裁判所長官代理者 必ずしも全国全部そうかと言われるとはっきりはしませんけれども、大部分の場合はそういうことであろうかと思われます。
○冬柴委員 この後でもまた執行関係でも論及しますけれども、裁判費用の中に占める鑑定費用というのは非常にばかにならない金額です。大きな金額です。したがいまして、私、一つ提案したいのですけれども、裁判所の中に技官として不動産鑑定士を採用したらどうだろう。そして、鑑定の機会というのはたくさんあるわけですから、当事者に持たさずに、裁判所の職員たる不動産鑑定士が裁判所の費用でやればいいじゃないか、このように思うのです。 それで、一遍にそういうことができない場合は、弁護士は随分調停委員とか命ぜられてやっていますよ。これの報酬は弁護士報酬としては非常に廉価ですね。何回出れば幾らという形でやっているわけであって、不動産鑑定士さんにも御協力いただいて、リストに載せて司法に協力していただくという意味で、鑑定士協会が決めた報酬基準に従って三十万とか五十万とか、ある場合百万とかいう高額の報酬じゃなしに、一件幾らとかそういうことでやってもらうように協力を求められないのかなという感じもします。 そういうことも全然できないのであれば、訴訟救助というのが訴訟法上あります。これで不動産鑑定についてもそういうものがどんどん使えるように予算措置を講じて、とりあえず訴訟をやる当事者にそういう高額の三十万とか五十万すぐ持ってきなさいというようなことが訴訟中起こらないようなことは考えなければいけないんじゃないかと思うのですが、感覚で結構ですが、大臣、いかがですか。
○田原国務大臣 お答えします。 非常にわかりやすい御意見だと思います。ただ、私もある経験である鑑定をいたしまして、ほほう、こんなにもらったのかと思った経験がありましたが、これは公務員でございましたから、どんな手続をしたかはちょっと覚えていませんが、正式にいただいたことはございます。それから、つい最近、大学の某教授等友人に聞いたら、証人に行ったときは安くてはからしいんだよ、鑑定のときはえらいもらえるんだとか言っている話を聞きました。 それで、実感として感ずるのでありますが、先生がおっしゃったような意味の、例えば不動産鑑定士の方が弁護士の方と同じような行動をとれるようにするということは一つのアイデアだと思うんですけれども、果たして応じてくれるかどうか。というのは、現にそういう実績を積んできておりますから、その辺の制度をつくる上の強制すべからざる問題がありますので、検討の課題ではないかと思います。
○冬柴委員 私は努力していただけたらいいと思うんです。協力を求めれば応じられると私は思いますよ。そういう協力を今までしていられないと思うんですね。当事者の身になって、その痛みを感じて、そしてそういうことを努力していただく。これは、弁護士は委嘱を受ければ応じざるを得ない法律上の義務がありますけれども、非常に安い値段で調停委員とかいろんなことをやっています。ですから、やっぱり不動産鑑定士の方も、そういう国家の司法というものに協力を求めれば、これは頭から断られるとは私は思わないので、御努力をされたらいかがか。 もしそれが難しいということになれば、裁判所で不動産鑑定士を職員として採用して、その職務の内容として鑑定業務に従事をしてもらう。例えば行政庁がやっている紛争処理機関というのがありますね。そういうところでは、不動産鑑定その他のいろいろな鑑定業務を行政庁の費用でやっていますよ。当事者に負担させてないのですよ。そういうことも考え合わせて、司法の予算をたくさん取らなければいけませんけれども、ぜひ考えていただきたい、このように思います。 それから、先ほどもちょっと言いましたけれども、保全手続。民事保全法に基づいて仮差し押さえとか仮処分というものを求めた場合には、疎明の度合いとかいろいろありますけれども、それにかえて保証を立てさせるという制度があります。仮差し押さえの場合は、債権額の大体五%から、疎明がはっきりしてない難しい申し立てたということになれば四〇%ぐらい。百万円の債権を保全するためには五万円から四十万円の供託を命ぜられる。それから、仮処分の場合は、これは処分禁止の仮処分とか現状維持とか断行の仮処分とか、いろいろ内容はありますけれども、これも疎明のぐあいによりますけれども、大体一〇%から四〇%ぐらいの範囲で裁判所が決められると私は承知しているのですが、そういう認識でいいのかどうか、確認だけしていただきたい。
○今井最高裁判所長官代理者 保全の保証金でございますが、これは違法、不当な仮処分によりまして相手方に生じ得べき損害担保ということでございますから、具体的な事件によっていろいろございますけれども、仮差し押さえの場合あるいは仮処分の場合、今委員が御指摘になったような実例が非常に多いということは言えようかと思います。
○冬柴委員 これも大変なことでして、百万円のお金を貸してひっかかっちゃった、そのために裁判をやれば判決をいただくまでに時間がかかるから、その間に財産を隠されたり逃げられたりしたら困るということで、その財産をあらかじめ差し押さえをしておく。差し押さえをして、判決で勝てはしっかり回収できるという地位を確保してから訴訟をやらないと、勝った者が花だけいただいて実がなかったということではつまりませんから、そうしないためには、今民事局長がおっしゃったように、五万円から四十万円ちょっと供託をしておきなさい。現実には法務省の民事局の方に保証供託手続というものでお金を預けておくわけですが、実際問題これは大変な負担です。これをやらなければ、負けるということになれば財産を隠されてしまうとかすると、勝っても何にもならないわけです。したがいまして、これは大変な負担です。 さて、この担保は実行されていますか。すなわち、差し押さえした方が終局的に裁判が負けちゃった、すなわち押さえられた人はゆえなくこういう仮処分と仮差し押さえを受けた、損害を受けるわけですね。名誉も害されます。不動産を仮差し押さえされると登記簿にちゃんと差し押さえとついてしまうわけですから、その間処分することもできないし、担保に入れることもできない。そういう不利益があったわけですから、当然差し押さえした方が裁判に負けた場合に、受けた損害をこの担保から賠償してもらわなければいけないですね。この件数はいかがですか。そういう担保権を実行した件数。
○今井最高裁判所長官代理者 この保全処分の担保につきましては、もしこれを実行するということになりますと、その供託所に預けましたお金について、債権でございますが、それについて差し押さえなり転付命令という形になるわけでございます。 ただ、その件数自体は、裁判所の方の統計では、いわゆる債権に対する担保権実行というような形で統計をとっておるものでございますから、その件数はどれぐらいかというのは、申しわけないのですけれども、把握はしておらないというのが実情でございます。ただ、実務的な感じといいましょうか実務家としての感じから申しますと、その件数はそれほど多くないのではなかろうかというふうに思われます。
○冬柴委員 民事局長に来ていただいていますが、民事局長も把握しておられませんか。この保証供託をした部分を確定判決あるいは調停調書等で損害額を確定させて還付請求するのですか、何かそういう形で民事訴訟法による保証供託金を相手方が取り戻したという、還付したというか、そういう手続については統計か何かありますか。
○清水(湛)政府委員 保証金の還付請求権に対して差し押さえ命令あるいは転付命令という形でその権利が実行されるわけでございますけれども、供託所といたしましては、その前提となった債務名義が違法、不当な差し押さえによる損害賠償請求権に基づくものであるということは、これは当然にはわからないということになろうかと思います。したがいまして、そういう観点からの統計というのも、突然のお尋ねでございますけれども、そういう統計はないというふうに今のところ私考えております。
○冬柴委員 これは質権設定の効力があるのですね。だから、質権の実行として行われると思うのですが、余り専門的になるからやめますけれども、ほとんどないのですよ。差し押さえを受けて名誉も害された、実際現実に損害も受けた債務者とされた人が、判決で勝って、これが不当だったということがはっきりしているのに、その積んだ、例えば五万円とか四十万円と先ほど言いましたが、その四十万円は、本来は受けた人の損害をあらかじめ裁判所が預かっているわけなんですけれども、これを取るという手続をとる人がほとんどないのです。私の経験ではこの確定決定よりも少ないのじゃないかなと思いますね。おかしいですね、日本の国民性というのですかね。 私は国民性だけじゃないと思います。これを取ろうと思ったら、もう一遍裁判を起こさなければいかぬのです。この仮差し押さえ、仮処分が不当だったのか、そしてその受けたことによる損害の額が幾らだったのかということを、もう一度一審、二審、三審やらなければいけない。当然訴え提起の手数料も私わにゃいかぬわけでして、もうへとへとになって、やらないのです。何か改善しなければいけないと思いませんか。私は、改善する前に、保証金が高過ぎると思いますよ。実行もせぬ保証金をなぜ積ますのですか。私は、そういう観点からこれはもう一度見直すべきだろう。こんなに積ます必要ないですよ。 それから、これも裁判所に申し上げておきたいのは、同一の裁判所の中でも保証金の額が、これは裁判官は良心に従って独立して職務を行うわけですから、だれからもその保証金の額を高過ぎるとか安過ぎると言えないと思いますけれども、これは同じ裁判所の中で保全部で何人かの裁判官がいられても一人一人違います、それから裁判所が違えばまた違います。当事者としては、この保証金が例えば二十万円以内だったら何とか金策できるのだけれども、それを超えるとこれはできないという場合があるのですよ。そういう意味で、私はこの保証金の決め方、基準、あるいは積ます金額が高額過ぎる、そういう点についてもう一度思い直してほしいと思うのですが、いかがですか。
○今井最高裁判所長官代理者 保証金の金額は、先ほども申しましたように、違法、不当な保全処分を受けた債務者のこうむるべき損害をてん補すべき金額、こういうことになるわけでございまして、それは高過ぎるとか安過ぎるとかいうあれもございますけれども、具体的な事案に応じてこの事案では幾らぐらいならという、これも一応の目安ということになるだろうと思いますが、そういうことでやっておるわけでございます。もちろん、これが不必要に高くなるというようなことがあってはいけないのは御指摘のとおりだろうと思います。例えばこういう保全事件の専門部を持っております東京地方裁判所のようなところでは何人か、相当多数の裁判官がこのような事務に従事をしておりますけれども、そういうところでは折に触れて研究会というような形を持ちまして、自分のところの保証金というのは果たしてどのくらいがいいのだろうかというようなことも常に議論をしておるわけでございます。 そういうような議論を通じてほぼ妥当な線におさまっていくのではないかと思っておりますけれども、今委員がおっしゃいましたように、本当に必要な金額というものにする必要はあろうか。ただ、これは本当に予測でございますし、それからもう一つは、被保全権利なり保全の必要性の疎明の程度というのにもかかるわけでございまして、被保全権利がある程度の疎明はあるけれども少し危ないというのもございますし、逆にもう判決をしてもほとんど間違いないほど疎明されているというのもございますから、そのような事案に応じてやはりある程度の幅というのはあることはやむを得ないだろうということでございます。
○冬柴委員 これについても提案したいのですけれども、仮差し押さえ、仮処分をして本案負けた人は、まず無条件に立てられた保証は取れる、それが損害額とみなすのだ。要するに、今の民事局長の答弁は現在の民事訴訟の枠組みでの議論としては正しいわけですけれども、そうしますと保証の額というのをもっと下げなければいけないという判断も出てくるでしょうし、そしてそれを争う場合は、そんなに損害はないはずだとか、私は、不当な、故意であるいは重大な過失をもってこういうことをやったのじゃないのだという立証ができなければそれはそのまま取ってよろしい、ただしそれを通すためにはその人から訴訟を起こして、取られないように、その保証金を持っていかれないように争わないといけないのだというぐらいしないと、これはやはり被害を受けた人にもう一度一審、二審、三審をやらすというのはいかぬのじゃないかというふうに私は思います。 時間も迫ってきましたので、これはまだいろいろとやりたいのですが、この保証金については訴訟救助の対象にならないのです。ですから、これは貧乏人はできないということになります。憲法の十四条とか裁判所において裁判を受ける権利を奪われてしまう人が出てくるということを、この保証金決定のときに裁判官は考えてもらわなければいけないと私は思います。なるほど、法律扶助で一定の部分は見るようにしています。五十万円以下ぐらいだと思います。しかし、五十万円以下の保証金というのは少ないのでありまして、それ以上を命ぜられた場合には、その人はどこへも持っていくことはできない、裁判を受ける権利は永久に奪われるという実態があることだけは申し上げておきたいと思うわけでございます。したがいまして、法律扶助はぜひ充実してもらわなければならない、私はそのように言い続けているわけでございまして、ぜひそういうふうにしてもらわなければいけない。 それから、問題提起ですけれども、不動産競売予納金、これも裁判所によって区々ですね。実はこれ、質問するために調べていただきましたので、もう答弁をいただかずに私の方から申し上げます。 近いところで調べていただきたいというtとで、東京地裁と横浜地裁と浦和地裁を調査していただきましたけれども、私の推定どおり非常にばらばらでして、東京地裁の場合、強制競売の場合は不動産三筆までは四十万、以後一筆ごとに五万円ずつを予納させる。横浜地裁は、評価証明書の金額により算出して、評価額一千万円の場合は七十万円を基準にして決める。浦和地裁の場合は、強制競売は一筆三十万、以後一筆五万円だけれども、担保権実行の場合は三筆まで五十万というような、その他、大阪地裁はまた違いますし、ばらばらです。 それで、判決で勝つまでに相当なお金がかかって、終局判決として確定判決で勝訴をして、今度はそれを取りに行くために、差し押さえるためにまたこれだけのお金が要る。私は、大変だと思うのです。ですから、これの予納金というものの内容は、鑑定人の鑑定費用がまた出てくるのじゃないか、それから執行官の、賃貸借取り調べの費用、そういうものが主なものだと思うのです。これは後払いにしたらどうか。要するに、不動産を競売すれば売得金があるわけですから、そこから共益費用として払えるわけですから、当事者にあらかじめ納めさせるということをせずに、納めさせるとするならば鑑定人とかあるいは執行官が当面必要な実費、その程度にとどめて、報酬の引当金まであらかじめ納めさせる必要はないのじゃないかなという感じがするのですが、いかがですか。
○今井最高裁判所長官代理者 競売の場合の予納金でございますが、これは、各裁判所がそれぞれの今までの経験に応じまして、この事件で手続が一定段階まで進むのに大体必要である金額ということでやっておるわけでございます。中身を申しますと、差し押さえのための登録免許税、それから今お話のございました執行官が現況調査をする費用、それから評価人に評価を命じますが、その評価人の日当であるとか報酬ということで、売却のためにいろいろな準備をする、そこまでの手続に必要な費用ということで納めておるわけでございます。それから、その後不動産が実際に売却されましてそのときにもいろいろな費用がかかるわけですけれども、その売却したときにかかる費用というのは、通常の場合は売却の代金の中から納めておる、支出しておるということでございます。 それでは、そういうのは全部売却代金の中から払えばいいじゃないか、こういう議論もあろうかと思うのです。ただ、御承知のように、競売事件と申しますものは、競売申し立てがあったから全部が全部売却まで行くかといいますとそうではございませんで、債務者の方から債権者に、取引といいましょうか、いろいろ話をしまして競売手続は途中で取りやめという件数がかなりございます。売却まで行くのはどうも半分くらいということがございますので、その場合に、それじゃ売却金の中から納めるというふうにした場合取りはぐれるという問題もございます。そういうことでございますので、今のところはやはり最低限必要な金額は予納していただかざるを得ないのではないか。最終的には、その費用は執行費用ということになりますので、売得金の中から優先弁済という形になります。そういうことでございますので、最小限度必要な金額は納めていただくということでやむを得ないのではないかと考えております。 ただ、その金額が果たして最小限度のものとしてふさわしいかどうか、こういう点については、今御指摘のような点もございますので、いろいろ考えていかなければならないだろうというふうに思うわけでございます。
○冬柴委員 裁判所は国費を使うのはできるだけ遠慮をして、そういう傾向がどうもあるのじゃないかな。ですから、先ほどの鑑定人を職員として裁判所の中に入れ込む、そういう発想はなかなか出てこないと思うのです。ですから、当事者に当然負担すべきものはさせていいわけですけれども、それが余りにも高額にならないようにという配慮を常にこういう問題についてはしてほしいと思うわけであります。 その典型的な事例にこういう条文があります。破産法百四十条に、破産の申立人が債務者で費用を納めることができない場合に国庫から費用の仮支弁をするという制度があるのです。それで、もう時間がありませんから、これも私調べていただいたのです。一体この条文に基づいて予算をどれだけ組んでどれだけ執行したのか、過去三年間を調べていただいたのです。そうしますと、平成元年、二年、三年、それぞれ五千百三十万円ずつ予算が組まれています。ところが、予算の執行額は、平成元年が二件で三十九万九千円、平成二年はゼロ、予算は組んだけれども結局執行は一件もしなかった。平成三年は二件したけれども金額は一万三千円ということで、非常に始末をしていらっしゃるのです。 不要なものを出す必要はないけれども、五千百三十万円を予算要求されるからにはそれなりの根拠があっただろう。こういうものを各裁判所で使うことをどうも遠慮するような雰囲気があるからこんなことになるのじゃないかなというふうにも私は思います。したがいまして、必要なものは使っていただいて、国民のためになる司法、そのために国民に過大な負担をかけない工夫を常にしていただきたい、こういうふうに私は考えるわけであります。 破産も二万四千件も申し立てがあるのですよ。裁判所の職員もへとへとになって処理しておられると思うのです。だけれども、申立人、破産するくらいの人に、三十万円納めてください、五十万円納めなさいと言ったって、お金がないから破産する人にそれだけのお金を裁判所に持ってきなさいと言うこと自体が本末転倒なんですけれども、非常に大きな金額なんです。これはみんなで工夫しなければいけないだろうと思います。乱訴はいけません。乱訴はいけませんけれども、全部で工夫して利用しやすい裁判所にしなければならない、このように思っています。 いろいろと予定はしたのですが、時間がありませんのではしょりますけれども、要するに、現在の制度を是認して維持しながらも改革していくためにはまだ時間が将来要るでしょうから、私は、法律扶助はぜひ拡充しなきゃいけない。私、ずっと当選以来ここで取り上げさせていただいている、予算委員会でも取り上げさせていただいている法律扶助は、ぜひはっきりとした哲学を持って基本法を決めてほしい。それから、訴訟救助も拡充する必要があろう、予算措置をきちっとしてほしい。それから、裁判保険制度も導入についてやはり考えてほしい。それから、訴訟費用の敗訴者負担の原則、こういうものも容易に実行できるようにしなきゃならない、そういう制度を考えなきゃいけない。それから、クラスアクションについても、そういう制度をやはり創設すべきであろう。それから一番大事なのは、少額事件処理に関する紛争解決機構というものはぜひ早急にしなければ、私は正義にかなっ尤司法というのはなかなか実現できなくなってしまうというふうに思います。それから最後には、訴訟類型ごとの専門部を、各裁判所につくれといったってこれは大変ですから、少なくとも高裁管内に一つぐらい、例えば交通、労働、建築紛争、日照公害、消費者、株式・商品取引、無体財産、そういうものについて、ぜひ高裁管内に一つぐらいつくって、当事者がそれを望むならばそこへ移送して、そこで集中的に専門的にやっていただくという工夫もしていただきたいと思います。 いろいろ提案いたしましたが、最後に法務大臣に一言答弁をいただいて、終わりたいと思います。
○田原国務大臣 ただいま非常に貴重な意見を幾つか賜りましたが、裁判所の司法権を侵さない範囲で、私ども、法務省でやることについては十分検討してまいりたいと思います。 予算につきましては、私どもが予算を要求するという下請をやっておりますので、御相談する機会も一般論的にはあろうかと思います。
○冬柴委員 終わります。
○浜田委員長 木島日出夫君。
○木島委員 今回の民事訴訟費用法の改正は、高額事件の費用を減額するということでありますから賛成でありますが、実は、一九八〇年、昭和五十五年の改正で低額事件についての訴訟費用を上げているのですね。そういうこととのバランスを見て、ぜひとも、国民が裁判を受けやすくする、そういう観点で、抜本的に訴訟費用制度の見直しを図っていただきたいなと思っているわけであります。そういう観点から、幾つかの質問をしたいと思います。 我が国の民事訴訟費用制度が、明治二十三年にドイツ法を見習ったということから、我が国においては有料であり、かつ訴訟の目的の価額、訴額にスライドするという原則に立っております。先ほど来、法務省の御答弁によりますと、どうもその基本的考え方の根底には、一つには受益者負担の原則という考え方があるようで、もう一つには乱訴の防止という考え方があるようでありますが、ぜひとも私は、考え方の基本に、受益者負担とか乱訴の防止という観点ではなくて、やはり憲法三十二条の裁判を受ける権利、国民の裁判を受ける権利が保障されている、こういう考えを基本に民事訴訟費用についても考えていくべきではないかと思っているわけであります。 最初に、ちょっと視野を広げまして、諸外国の民事訴訟費用の制度についてお聞かせ願いたいのですが、まず、フランスはどういう制度をとっておるか、教えていただきたいと思います。
○濱崎政府委員 フランスは大変珍しい例でございますが、提訴については手数料を取っていないというふうに承知しています。
○木島委員 まことにうらやましい制度をとっているわけでありますが、なぜフランスは民事訴訟提訴に関して訴訟費用というものを国民から取っていないのでしょうか。わかりますか。
○濱崎政府委員 必ずしも詳しいことを調査しておりませんが、何か、公共サービスについてはできるだけ無料にというような一般的な考え方があるというようなことも聞いております。
○木島委員 今、法制審において民事訴訟費用に関する抜本的な改正の審議も始まったやに聞いておりますので、フランスの無料という制度、私のお聞きするところによりますとスペインも無料だということを聞いておりますので、そういう制度についてもじっくり調べた上で、いいところは見習ってほしいと思います。 アメリカ合衆国、連邦はどうでしょうか。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○濱崎政府委員 アメリカにおきましては、連邦裁判所におきましては百二十ドル、円換算にいたしまして大体一万六千円余りということでございます。そのほか、各州で違いますけれども、各州とも百ドル前後の、訴訟の種類を問わない定額の制度をとっておると承知しております。
○木島委員 これもまた非常にうらやましい限りでありまして、訴額がどんなに高くても定額で百二十ドルといいますから一万六千円ぐらいですか、そういう制度を現にアメリカはとっているわけです。 どうも、今回の民訴費用法の一部改正法案が提出された直接のきっかけが日米摩擦であろうと思うわけです。いわゆるアメリカ軍横須賀基地談合事件において、アメリカ側が、独占禁止法違反を理由として約四十億円の損害賠償請求の訴訟の提起を検討しました。そうしましたところ、日本の現行民訴費用法によりますと印紙代が二千万円を超える。これは高過ぎるということで、日米構造協議におきまして、アメリカは日本側に対して、少なくとも独禁法についての訴額を下げるべきだという要求をしてきたのが出発であるやに聞いております。そんな特例はつくれないということで法務省頑張りまして、それだけではないと思うのですが、我が国の民訴費用に関するかねてからのいろんな問題を勘案して今回の法案が出されてきたやに思うわけです。今や、訴訟費用の問題が国際的な経済摩擦にまでなっているということもしっかり見ておかなければいかぬのかなと思っているわけであります。 先ほど来の質疑の中で、昨年十一月二十九日に法務省から、法制審議会の審議を踏まえて「民事訴訟手続に関する検討事項」なるものが各界に配付された。それにあわせて「補足説明」というものも配付されたと聞いておりますが、この「検討事項」と「補足説明」を作成した当事者はだれなんでしょうか。法務省なんでしょうか、法制審議会なんでしょうか。
○清水(湛)政府委員 民事訴訟法のいわば全面的な見直し作業というのは、法制審議会の民事訴訟法部会で現在その作業を進めているところでございます。この民事訴訟法部会におきましては、特に検討事項をあらかじめ整理する必要があるということで、裁判所、弁護士会、それから学者という、三者のグループからそれぞれの委員、幹事を出していただき、それに法務省が加わるという形で、平成二年の七月ごろからでしたか、準備会を精力的に進めまして「検討事項」を最終的に取りまとめた。この準備会で取りまとめた内容を法制審議会の民事訴訟法部会に報告いたしまして、そういう内容でよろしかろうという承認はいただいたのでございますけれども、一応事務的なところは取り扱うということになっております法務省民事局参事官室の名前で対外的に公表し、その意見を求めるという形にいたしたものでございます。しかしながら、この内容につきましては、裁判所、弁護士会、学者の方々、全くフリーな立場から自由に議論していただいて取りまとめたものでございまして、従来、ややもいたしますとまず法務省で問題点を整理して検討してそれを公表して意見を聞くという形が多かったわけでございますが、民事訴訟法に関する限りは、最初から、問題点の整理からそういう形でやっているものであるということでございます。
○木島委員 わかりました。 そういう経過を踏まえて作成され配付された「民事訴訟手続に関する検討事項」の中の「訴訟費用」の欄を読ませていただきますと 訴訟費用 一 訴訟費用について、改正すべき点があるか。 二 例えば、次のような考え方があるが、どう か。 とやって、そのうちの「4 申立ての手数料等」の(一)ですが、こう書かれています。「申立ての手数料について、①事件の類型別又は審級別の定額制の導入、②訴額に応じて増加する割合の見直し等により、低額化を図るものとするとの考え方」こうあります。 補足説明の方を見ますと、 四 申立ての手数料等について 1 民訴費用法第三条第一項は、受益者によ る訴訟手続の運営に必要な経費の一部負担とい う観点と、濫訴の防止という観点から、訴額に 応じて所定の率を乗ずる方法によって訴訟の申 立ての手数料を算定することとしているが、現 在の定め方が訴えの提起を必要以上に妨げる結 果を招いてはいないかとの疑問も提起されてい る。そこで、(一)では、申立ての手数料の低額化 を図ってはどうかという考え方を掲げて、その 当否を問うとともに、定額制の導入 先ほどアメリカは定額制だという答弁がありましたが、 定額制の導入と、訴額に応じて増加する割合の 見直しという二つの異なった方向を例に掲げ て、低額化を検討する場合における見直しの方 向についての意見をも問うこととしている。 こういう文章になっております。 どうもこの見直しの基本には、現在の費用が高過ぎる、何かそういう基本的観点に立っていかに低額化するか、その方途を模索しているやに読めるわけでありまして、私もこういう認識は持っているわけです。現在の日本の民事訴訟の費用は高過ぎるのではないかと思っているわけでありまして、この点についてはこの方向と一致するわけであります。法制審の今後の審議の進め方、この意見をいつごろまでに求めるのか、求めた後どういうふうに審議を進めていくのか。この意見を求めているのは民事訴訟費用だけじゃなくて民事訴訟手続全般に関する膨大な意見を求めていると思いますので、分離して、民事訴訟費用だけについてでも切り離して審議を進めていくような方向もあるのかどうなのか、今後の見通しについてお聞かせ願いたい。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○清水(湛)政府委員 この「検討事項」は、先ほど申し上げましたように、弁護士会、裁判所、学者の方々の意見を本当に客観的、公平に採録すると申しますか整理をするという形でまとめたものでございます。私どもといたしましては、この六月十五日までにこの「検討事項」に対する意見書を出していただきたいということでお願いをしているところでございます。そしてまた「検討事項」の補足説明の説明文でも申していることでございますけれども、意見照会後の審議の予定ということで、六月ごろ各意見の集約が終わりましたならば直ちにこの審議にかかるということにいたしております。 なお、意見をお寄せいただく場合に、膨大な今回の検討事項のうちで特にこれは早くやってほしいというような意見があれば、そういう意見もまた述べていただいて結構である、つまり事柄の重要性や緊急性等を考慮しながら審議の対象を選択するということもそれはないわけではないというような、いろいろな幅を持たせているわけでございます。しかしながら、私どもの希望といたしましては、民事訴訟手続全般につきましてはできるだけまとめてやりたい、つまりその際に実は民訴法全体の口語化を考えているわけでございますけれども、そういう観点から見ますと判決手続の部分について一部改正というのは余り好ましいことではないのではないかなという感じは持っています。しかし、これも今後の法制審議会民事訴訟法部会の審議の動向いかんによることであるというふうに考えております。
○木島委員 わかりました。 ちょっと話題を変えますが、実は現在民事訴訟費用の問題で、国民の裁判を受ける権利とのかかわりで大きな問題になっているのは、先ほど来別の委員からも指摘されました、昨年の九十億ドル戦費支出差しとめ請求事件において東京地裁の裁判官から出された一つの見解に見られる問題だと思うわけです。要するに、国民の裁判を受ける権利が非常に制約される状況が民事訴訟費用の問題で提起されている、それが主によりよき環境を求めて国や公共団体を相手として提起されている裁判において顕著に出てきているのではないかと思うわけです。 最高裁をお呼びしているので御答弁願いたいのですが、昨年三月四日東京地裁に提出された九十億ドル戦費支出の差しとめを求める裁判におきましては、五百七十一名が原告であります。原告らは、これは訴訟物の価額は算定不能だということで、そうしますと九十五万円ですか、という計算をした。しかし、これは五百七十一名が原告だけれども全体一体として一つの利益なんだからということで五百七十一を掛け算はしなくて印紙を張ったわけですが、裁判官の方から、これは断定的な言い方ではありませんでしたが、考え方として訴訟物の価額は九十億ドルということも考えられるのではないかというのが一つと、五百七十一名一人一人が訴訟費用をきちっと払うべきではないかという考え方で計算をして何兆円という天文学的な額になってしまったというのでマスコミをにぎわした事件だったわけであります。最後にこの事件の訴訟費用についての決着がどうなったか、結論だけ教えてください。
○今井最高裁判所長官代理者 今の事件につきましては、裁判所の方でいろいろこういう問題点もあるのではないかというような見解も示したわけでございますが、最終的には、平成三年五月二十七日でございますが、追徴命令というのが出たわけでございます。これを簡単に申しますと、訴えの提起の手数料として二百六十七万九千円を納付せよという考え方でございます。これは、この差しとめ請求によって得る原告らの利益というのは算定が非常に難しいということで一人九十五万、それに人数を掛ける、こういうことであったわけでございます。これに対しまして原告の方では、その後六月八日でありますけれども、二名だけ原告が残りまして、そのほかの原告は差しとめ訴訟については訴えを取り下げる、こういうことになったわけでございます。そういたしまして、残った二名分につきまして手数料が、四千円でございますが追徴されたということでございます。その後、訴訟は現在口頭弁論が続けられておるという状況でございます。
○木島委員 ばかげた訴額を引っ込めまして、訴額が算定不能ということでいわゆる擬制訴額が九十五万円とみなして計算の基礎にしたというのは結構なことだったと思うのですが、五百七十一名を掛け算して出したというのは、私はやはり問題だったのではないかと思うわけです。案の定二人だけが原告として残りまして、五百六十九名が無念にも原告の地位からおりざるを得なかったというわけです。この事件は訴額の問題が基本になって、国民の裁判を受ける権利が窓口で閉じられたということを示しているわけでありまして、甚だ遺憾であると思わざるを得ないわけであります。 同じような訴訟でどんな扱いをされているのか。例えば厚木基地の騒音差しとめ訴訟、成田空港の建設工事差しとめ訴訟、道路なんかでは国道四十三号線・阪神高速道騒音差しとめ訴訟、それから原発事件については「もんじゅ」の反対訴訟、伊方原発の訴訟、概略で結構ですが、訴額についてどういう扱いをそれぞれされているのか。最高裁にお答えいただきたい。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 これらの事件はいずれも現在係属しておるというようなこともございまして、まだ果たして最終的にどうかというのはわかりませんけれども、現在どういう取り扱いになっておるか、幾ら印紙が張られておるかということを申し上げたいと思います。 第二次厚木基地騒音訴訟でございますが、これは現在横浜地裁で係属しておりますが、九十五万円掛ける原告の人数分ということで印紙が張られまして、訴訟が続いておるということであります。 それから次に、千葉地裁に係属しております成田空港建設第二期工事差しとめ訴訟でございますが、これにつきましては工事を差しとめるということでありますので、土地明け渡しの請求と同じように考えたようでありますが、土地の所有権者はその土地評価額の二分の一、それから賃借り権者も原告であるようでありますが、この賃借り権者につきましては評価額の三分の一、こういうことで合算をして印紙が張られておるということのようであります。 それから、国道四十三号線・阪神高速道路騒音差しとめ事件であります。これは現在上告中でございますけれども、一、二審の段階では九十五万円に原告の人数を掛けた、こういうことでございます。 それから、今言われました「もんじゅ」の事件でございましょうか、これにつきましても最高裁に現在係属中でありますが、一、二審の段階では九十五万円と原告の人数分というのが訴額になっておるということでございます。
○木島委員 今答弁を求めたそれぞれの訴訟あるいは先ほど質問いたしました九十億ドル戦費支出の差しとめを求める訴訟、これらいずれも原告個人の自分の利益を求めるというよりは、もっと社会的な利益を求めて裁判を起こしているわけであります。環境権訴訟などと言われるのもそのせいだと思うわけですが、こういう事件で大勢の原告が一緒に訴訟を提起する。民事訴訟法上は併合請求になるのですね。そうすると、併合請求の場合の訴額をどうするかという考え方があるわけですが、これを一つとして九十五万円の訴額として印紙を張らせるか、掛ける原告団の数を、掛け算して出てきた金額を訴額として多額の印紙を張らせるか、そこがまさに今問われていると思うのですが、どうも先ほど来の扱いを見ますと、裁判所は原告人の数を掛け算して、その積算されて出てきた結果を訴額としているというようでありますね。 どうしてそういう発想になるのかいろいろ調べてみたのですが、ここに裁判所書記官研修所がつくった「民事訴訟における訴訟費用等の研究」という大変膨大な研究が本になっております。これが恐らく今日本の裁判所で民事訴訟における訴訟費用のとらの巻になっているのじゃないかと思うのです。 これの二百十ページのところを見ますと、「併合請求と訴訟の目的の価額の算定」というところですが、経済的利益が別個、独立の場合は足し算していいんだ、しかし経済的利益が共通している場合には吸収の法則というのが適用されて掛け真しないのだ、一つの事件として訴額は一人分でいいのだという考え方があるのですね。そうしますと、例えば九十億ドルの戦費支出を差しとめる請求なんかは、五百七十一名が原告団でありますけれども、実際は一個なんですよ。これは経済的利益がまさに共通しているのですから、吸収の原則が作用して九十五万円の訴額で印紙を張らせてもいいのではないか。しかし、どうもそういう扱いをとっていないわけですね。 なぜかというのでもうちょっと詳しくこの本を読んでみましたら、二百八十六ページの公害訴訟のところですが、こんなことを書いてあるのです。公害関係の「訴訟は地域的集団性をもつのが特色で、原告が多数の共同訴訟となる。この場合でも原告等各人は独自の権利侵害の排除・予防を求めているものであるから、利益共通ということはできず、利益は別個独立のものと解すべきで、合算法則の適用があり吸収法則は適用されないと解する。」どうもこの考え方が基本になって、公害関係の今言ったような裁判については掛け算をして出てきた大きな数字を基本にして訴額が算定されているということにあるようなのですね。 最初に戻りまして、私はこの辺が、国民の裁判を受ける権利という観点を基本に据えますと、やはりこういう考え方では、環境を守る国民の願いにこたえるような考え方ではない。国民の裁判を求める権利を窓口で、訴訟費用という非常に技術的なところでチェックしてしまう役割を現実に果たしているということで、やはりこの辺は見直していただいて、こういう裁判を窓口でチェックするようなことはしないという観点に立って、もっともっと訴訟費用についても検討していただきたいなと思っているわけであります。 細かい点でありますから大臣の答弁は求めないで、要望だけにして、これで質問を終わらせていただきます。
○浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○浜田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十九分散会 ――――◇―――――