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123回国会衆議院1992/04/17

法務委員会 第8号

発言数
100
登壇者
13
会派数
5
開催日
1992/04/17

会議録

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案及び高沢寅男君外三名提出、外国人登録法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野行男君。

星野行男自由民主党

○星野委員 今日の世界は、二十一世紀を目指し、地球的な視野に立って、国際間の友好関係を構築すべき時代に入ったと考えます。このような国際間の友好関係は政府間の関係だけではなく、国民レベルでの相互理解と信頼関係の上に築かれるものであります。  今後国際間の相互依存関係が一層緊密化するものと考えますが、これに伴いまして、よいことばかりではなく、種々の摩擦や問題も生じてくることが予想されます。特に我が国はアジアに位置しており、近隣諸国との経済格差が大きいという状況にありますので、現に不法就労外国人の急増や、あるいは外国人労働者の受け入れという問題が生じており、国際化に伴う外国人の問題が、入管行政に限らず、労働、福祉、厚生、治安その他、日本社会のいろいろな分野で重要かつ難解な問題となっているところであります。  しかし、この問題は、国内問題にとどまらず、国家間の関係にも影響を及ぼしますので、我が国が国際国家として、二十一世紀に向けて未来志向的な国際的協力関係を樹立する上でも、その対応を誤ってはならない極めて重要な問題であります。  ところで、今外国人登録法の改正案が当委員会で審議されているわけでありますが、この経緯の一つといたしまして、日韓両国政府間の多年にわたる協議の結果があると承知いたしております。この協議において今回の法案の中心的部分であります在日韓国人に対する指紋押捺の廃止等が合意されたわけであります。私は、その背景にある両国間の相互理解を促進しようとする未来志向的な認識に注目をいたしたいのであります。  一昨年十一月の日韓定期閣僚会議におきまして、当時の梶山法務大臣は、日韓両国が今後善隣友好関係のますますの発展を図り、真に近くて近い間柄と言える関係を確立することが両国国民にとって、また国際社会にとって強く望まれるところであり、このためにも在日韓国人三世問題を円満に解決しなければならないという考えを強調されました。  その後、昨年一月の海部前総理大臣の訪韓に際し、総理は、国際社会が東西対決から和解へと大きく動いている今日、日韓両国がこのような世界の流れを視野に置いた建設的で幅広い政策対話を推進していくことが重要であり、新たな時代に即応した協力関係を構築する基礎として国民レベルの相互理解への一層の努力が不可欠であると述べられ、また帰国後のメッセージで、在日韓国人の方々が日本国の社会秩序のもとでできる限り安定した生活が営めるようにすることが重要であり、これからはこれらの方々と同じ社会に生活する人間として、ともに考え、ともに生きることができるようにしなければならないと申されたところであります。  このような未来志向的な認識に基づきまして、両国政府間の協議の結果、昨年一月の海部前総理大臣訪韓の際、日韓両国外相の覚書が交わされ、これに基づきまして、さきに入管法の改正が行われ、今回の外国人登録法の改正案の国会提出と相なったわけでありまして、私は、今回の外国人登録法改正の持つ歴史的、国際的意義は極めて大きいものがあると考えます。この点につきまして、法務省御当局を初め関係者の御努力に敬意を表しておきたいと存じます。ところで、今回の改正で指紋押捺の必要がなくなる永住者及び特別永住者の人数はどのくらいになるのでありましょうか。また、今回の改正で、日韓両国外相覚書中の外国人登録法関係については日本側としてその約束を果たした、こう考えてよろしいのかどうか、この点もあわせてお尋ねをいたします。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 お答え申し上げます。  このたびの改正によりまして、指紋押捺の義務から解放される人はどのくらいいるかというお尋ねでござますが、平成二年十二月末日現在の外国人登録者は百七万五千人強ございます。そのうち一年未満の在留者、これは指紋押捺の必要がございませんが、一〇%の約十万九千人強でございます。それから、一年以上の在留者で永住でない方が三十二万、約二九・八%ございます。  それで、今回対象となります永住者等の方々は六十四万五千四百三十八人、約六〇%余でございます。うち、いわゆる特別永住者というカテゴリーの方々、これは簡単に言いますと戦前から日本に居住されている方で、サンフランシスコ平和条約によりまして国籍を離脱した方々及びその子孫の方々でございますけれども、その方々が六十万二千五百二十五人、約五六%、それから永住者、法務大臣の永住許可を得て滞在している永住者の方が四万二千九百十三人、四・〇%ということでございまして、この新しいシステムによりまして指紋押捺から解放される方々は、永住者と特別永住者を合わせて六十四万五千四百三十八名、約六〇%ということでございます。これが平成二年十二月末日現在の統計に基づいた人数でございます。  それから、今回の法改正の内容と日韓外務大臣同士の覚書との関係で、外国人登録法に関する首脳の政治的な約束といいますかコミットメントは果たされたかどうかということでございますが、まず指紋押捺につきましては、日韓覚書に言う在日韓国人を含めた特別永住者のほか、入管法上の永住者についても指紋押捺を廃止いたしまして、写真、署名及び家族事項の登録をもってこれにかえることとしておりまして、覚書の内容を実現しているところでございます。この覚書で言う在日韓国人よりも広い適用範囲を規定しているところでございまして、覚書の内容を十分に実現しているところでございます。  また、外国人登録法関係につきましては、携帯制度についても言及がございますが、その制度自体は維持することといたしておりますが、運用面においても一層の常識的、弾力的な運用を徹底するということを考えておりまして、また携帯の便宜を考慮いたしまして外国人登録証を小型化するとか、そういうことを工夫しておりまして、日韓首脳間の政治的な約束といいますかコミットメントはこの法案によって十分果たされている、日韓間の一層の友好親善関係に貢献するものと考えているところでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 わかりました。  さらに、我が国には、このような特別な歴史的経緯を有し、私たちと社会生活をともにしてこられた在日韓国人の方々や同様の歴史的経緯を有する外国人の方々のほかに、今後の国際交流の進展に伴いまして、我が国に入国し、在留する外国人は多様化し、またその数もますますふえることが予想されます。外国人行政、特に出入国管理行政は、こうした多種多様な外国人を前にして、平等の取り扱いの原則も踏まえながら、国際社会からも理解を得られる形で進めていかなければならないという非常に難しい課題を背負っているわけであります。  これまでに述べてまいりました背景等を踏まえながら、出入国管理行政を預かる法務省といたしまして、今後どのような御認識のもとに出入国管理行政を運営していくおつもりでございますか。また、そのあり方はどうあるべきかにつきまして御所見を承りたいと存じます。

秋山肇自由民主党法務政務次官

○秋山(肇)政府委員 大臣が参議院本会議に御出席ですので、私からお答えさしていただきます。  今日の我が国を取り巻く国際環境の変化や我が国の国際社会における地位の向上等に伴い、我が国が国際社会において果たすべき役割はますます大きくなると認識しております。したがいまして、外国人の入国・在留管理を所掌する出入国管理行政は、国際協調と国際交流の増進に寄与するとともに、我が国社会の健全な発展を確保することを理念に運営されるべきものと考えております。また、このような基本理念にあわせまして、多年にわたり在留する外国人につきましては、その歴史的経緯や我が国社会への定着性にも配慮する必要があると考えております。     〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

星野行男自由民主党

○星野委員 次に、今回法改正が行われますと、指紋押捺と写真、署名、家族事項登録等の複合的手段が併存するという従来にない制度となるわけであります。実際に登録を行う外国人や市町村職員にとりまして負担が大きくなったりあるいは混乱が生じないよう、十分な配慮が必要になると思われます。こうした点を踏まえた今後の運用におきまして、具体的な措置といたしまして、外国人に対して混乱を生じさせないための指導といった面が非常に重要であろうかと存じます。また、来年一月までに改正法を施行することになりますれば、それほど時間的な余裕はございません。混乱が生じないように円滑な施行をするためには十分な準備が必要と思われます。このような観点からいろいろな面に配慮しつつ作業を進めておられることと存じますけれども、これらの見通しにつきましてどのような状況でありますか、あるいはどういうお考えを持っておられるか、お聞かせを願いたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、改正法の施行に当たりましては、登録申請を行う外国人にも改正の趣旨を十分に理解していただき、はた実際の業務に当たります市町村における事務も混乱なく円滑に行われることが非常に重要であるというふうに考えておりまして、このため、改正法の施行前に広報活動を積極的に行うとともに、その事務の執行に当たる市区町村の職員に研修の機会を設けるなどして万全を期する所存でございます。もしこの法案を成立させていただきますと、施行まで半年以上あるので十分時間があるようには思えますけれども、全国数千カ所の市区。町村の関係の人たちに十分な機会を与えて指導する、それから外国人の方もまごつくことがないように、二度の手間にならないように、そういうことを十分配慮しなければいけないのじゃないかと思います。  具体的に申しますと、適正に事務の処理が図られるように事務取扱要領というもの、マニュアルでございますけれども、これを作成いたしまして、市区町村の職員に対しまして、例えば法務省主催の研修会を行うとか、あるいは都道府県及び全国にございます外国人登録事務協議会主催の研修会という場がございますが、そういう研修会などを設けまして、十分時間的余裕を持って説明、指導していく所存でございます。また、一般の外国人の方々にも知っていただくために広報活動が必要でございますけれども、新聞で広告するとか、政府広報というものもございますので、そういうものを利用しまして広く在留外国人に対して新制度について周知徹底を図るということを考えております。  いずれにしても、非常に大きな制度改革でございますので、十分慎重に、かつ誤解の生じないように、混乱が生じないようにやっていきたいと考えております。

星野行男自由民主党

○星野委員 わかりました。  十分な準備をいたしまして混乱の生じないようにする、こういうことでございます。この入管事務の関係で市町村にマニュアルをつくって研修制度もやるんだ、こういうことでございますが、これは財政的な面などは市町村の負担がふえるということはないのでございましょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 財政的な面におきましては、市町村の負担がふえないように手当てをしているところでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 さて、今日の世界は、先ほど申し上げたように二十一世紀を目指し、グローバルな視野に立った友好関係を構築すべき時代に入っており、今後さらに世界的な相互依存関係が一層緊密化することは間違いない、こう思う次第であります。したがいまして、外国人登録制度につきましても、今後の我が国内外の諸情勢の変化を踏まえながら今回の改正法の運用を行っていただきたいと考えております。  また、今回の改正におきましては、我が国に定着性を有する永住者及び特別永住者に対する指紋押捺の廃止が中心となったわけでありますが、今後は我が国の国際化に伴いまして、商用あるいは駐在、留学、研究、就職等の活動を目的として来日する外国人の方々も急増してくるのではないかと考えられます。  こうした中での外国人の登録制度でありますが、外国人登録法第一条によりますと「この法律は、本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」とされているところであります。したがいまして、外国人登録法の第一義的あるいは直接的な目的は在留外国人の公正な管理に資する、こういうことに尽きるわけでありますけれども間接的には外国人のそういう居住関係や身分関係を明確にすることにより、在留外国人の社会活動、経済活動、在留外国人に対する各種の行政あるいは行政サービスの資料として重要な役割を果たすことになるのではないか、そんなふうに考えるわけでありますが、この点について何かお話をいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 確かに先生御指摘のとおり、この外国人登録法のそもそもの目的というのは在留外国人の公正な管理に資する、そういう役割を持っているわけでございます。  それで、日本の社会が最近とみに非常に開かれたものとなり、また外国人と私たちとの関係が今までよりも非常に密接になってきている。それから外国人との関係が、いわばお客さんということではなくて、コミュニティーのメンバーとして同じ一つのコミュニティーに、共生するという言葉が最近よく使われますけれども、この社会のメンバーとして一緒に生き、生活し、仕事をし、そういう状況になってきております。また、日本の法制度自体も、それからいろいろなシステムが外国人に対して開かれたものになっていくということになってきておりまして、例えば保険制度にしても教育制度にしても外国人の方にも開かれるというのが最近の状況でございます。まだまだ不十分なところがございますけれども、そういう方向に向かっております。その現実を反映いたしまして、この外国人登録法というものも、その機能は非常に重要なものになっているものではないかと思います。  将来ともこの日本の社会が国際化していく、多くの外国人が来られて一緒に住んで共生じていく、こういう傾向はますます強まる一方でございますので、ますますこの外国人登録法というものの役割も重要になるのじゃないかというふうに考えております。そういう観点からもこの外国人登録法を入管当局としては運営していきたいというふうに考えているところでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 局長から大変前向きな、適切な答弁をいただいたわけでありますが、お話がありましたようにこれから国際化の進展あるいは国際交流の進展の中で、この外国人登録制度のあり方につきましても常に内外情勢の変化を踏まえた検討が行われなければならないと考える次第であります。このような将来の展望につきまして、大臣御到着てありますが、大臣の御答弁いただけますでしょうか。お願いいたします。     〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えいたします。  今回の外国人登録法改正案につきましては、国際環境、国内の諸事情を踏まえて検討の上提出した次第であります。本法案成立の暁は、登録法の目的であります在留外国人の公正な管理に資するよう運用してまいる所存でございます。  また、御指摘のとおり、外国人登録制度は内外の諸事情の変化に応じ、それに対応したものであることは当然と認識しておるところでありますが、今後とも、これまでの御審議をよく振り返り、注意しながら制度のあり方について検討を行う必要があると考えております。  最後に、余分でありますが、今回の御審議の結果が将来の方向をお示しくださったものと受けとめて、将来十分検討してまいります。

星野行男自由民主党

○星野委員 大臣、ありがとうございました。  ただいま大臣から御答弁をいただきましたそういう御認識を今後とも持ち続けていただきまして、望ましい外国人登録制度のあり方について絶えず御研究をされる、あるいはまた御努力をされることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 外国人登録法の改正をめぐってこれまでいろいろと議論が出てまいりまして、政府側の答弁も大分煮詰まってまいりました。そこで、きょうは採決前の最後の質疑ということでございますので、ごくかいつまんだ、私どもの最終的に心に残る問題を質問させていただきたいと思います。  まず、警察庁の方にお願いをいたしますが、先般私の質問内容、つまり指紋の原簿というものを犯罪捜査にあらかじめ予定して使おうと意図しておるのではないか、さもなくば、なぜ法務省との、外国人登録、つま旦言うなれば外国人の管理をめぐるこの法律に、議論として、各省庁のコンセンサスという意味でしょうが、特別に参加をするのか、関係省庁という意味では、少し私の頭の中では理解できない、こんな意味の質問をしたと私は思うのでありますが、いや犯罪捜査で指紋照合ではない、こういう答弁はいただきました。しかし、その際に、警察活動のためにこれを必要とする、こういう意味のことがございましたので、警察活動というのをどういうふうにお考えになっておられるのか、できるだけ簡単にお答えいただきたいと思います。

吉野準警察庁警備局長

○吉野政府委員 お答え申し上げます。  先般のやりとりにつきまして、私、私どもの記録を読ませていただきました。確かに小森委員の方から犯罪捜査の問題じゃないのですかというお問いかけがございまして、説明員の方から、犯罪捜査一般に使うことはないが警察活動上趣旨はあるわけでございましてというふうなことで必要であるというふうにお答え申し上げたわけでございます。  そこで、警察活動というのは非常に幅の広い概念でございまして、これは道案内から迷い子から災害対策から交通から全部ございまして、犯罪捜査もその中の一環でございます。ただ、このときに犯罪捜査一般に使うことはないというふうに申し上げましたのはこういうことでございます。つまり、例えば犯罪現場、殺人なり泥棒なりございますが、そのときに指紋を採取いたしまして、これを私どもで所管しておる指紋、約七百万ほどございますが、これとコンピューターで照合いたします。該当するものがあればそれについて捜査をするということをやっておりますが、この外国人登録に係る指紋につきまして、法務省が所管しておりますが、これについてそういうことはやらない、またやれるものでもございませんしやりません、こういうふうに申し上げたわけでございます。  ただ、それでは今お尋ねのようにどういう点で警察は必要か、こういう御趣旨と思いますけれども、これは、犯罪捜査をやる上で同一性を確認するという必要が出てまいります。例えばどういうことかと申しますと、私ども成りかわりと言っておりますけれども、自分は何国人の何のたれべえである、こう申しておりますが、周囲の状況からしましてどうも違うのではないか、こういう場合が間々ございます。そういうときに、やはり同一性を確認するという趣旨で指紋を使わせていただいて、本当にその人であるのかないのか、白黒をつけるという場合がございます。  それからもう一つわかりやすい例で申しますと、これはしばしばあることですが、死体となって発見された人がおりまして、この人の身元を確認する必要があります。日本人ですと、これは親族とか友人とかいろいろございますので、顔を確認していただくとか体の特徴を確認いただくとかあるのですけれども、外国人の場合、一般的に申し上げましてそういうことはないわけでございますので、やはり最後の決め手は指紋ということでございまして、そういう意味でも必要ということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 市町村に、よく警察が外国人の登録についての照会というか、照会といっても原簿の写しを請求される場合があるのですが、今のようなことならば常識的に私もそれは当然のことだと思う。ただし、件数が多いとこれは何のために使っておるのかなという気持ちになりますね。もちろん、これは各地方自治体に私が問い合わせても正確な小さい数字まで、何年の間とうだというものは出てこないですけれども、しかし私の感じはかなりの数に上っておると思います。小さな村とか印とかへ百人ぐらいおられるところはそんなことないのですけれども、例えば何千人も外国人がおられるような人口三十万とか五十万とかぐらいの市になりますと相当数に上っておるように私は感じておるのです。それが相当数に及んだ場合にそういうことになるかなと私は思いますけれども、なかなかそれは警備局長、今のような答弁において、私がどこの市に何年に幾らと突きつけなければ議論がかみ合わないと思うけれども、本当に警察庁は今の答弁どおりのことをやられるのですね。それをもう一度だけ聞いておきましょう。

吉野準警察庁警備局長

○吉野政府委員 お答えいたします。  市町村の照会というのは必ずしも指紋だけではなくて、今外国人の方々も非常にふえていろいろトラブルも起こっておるので、そういう関係で、あるいは指紋とは別に照会がふえているのではないかと私も推測いたしております。  それから、今のお尋ねでございますが、これは外国人登録法に目的がきちっと書いてありまして、その目的からはみ出すような行為はいやしくもやらないように厳に戒めてまいりたいというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これは警察庁にかかわるだけの問題ではありませんが、先般も、差別とは何ぞやというような議論が入管局長との間にございました。相手が何者であるか、つまり相手の社会的立場とか身分とか、立場と身分というのは私よく似た概念だと思いますけれども、その社会的身分に基づいて法律をきつく適用したりあるいは実に緩やかに適用したりという、余りそれが露骨になりますと、結局それは私は差別扱いだと思うのですね。だから、そういう意味で警察活動というものは極めて公正に、人間だから幾らかそういう主観が働き、恣意が働くのはやむを得ないけれども、露骨に、明らかに合理的な範囲を逸脱しておる、恣意が働くという場合に、そこに差別的現象が生まれできますので、今私が二度目に念押しをいたしましたのは、外国人だから、特に長い間の歴史的経過においてアジア人をべっ視するという明治以後の日本の教育やみんなの考え方というものがあったわけですから、特に警察においてはそれを厳正に、断じてそういう社会的なそしりを受けることのないようなことをやっていただきたい。このことをもう一度強く私の方から主張というか意見を申し上げておきますので、再度その決意を聞かせてください。

吉野準警察庁警備局長

○吉野政府委員 御指摘の趣旨は大変ごもっともなことでございますので、よく私ども肝に銘じまして、公正な職務執行をやるように心がけてまいりたいというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 では警備局長、お忙しいようですから、どうぞお引き取りください。  続きましてお尋ねをいたしますが、先般来の議論で、当初私の記憶は、入管局長は、これは入管行政の問題であって人権ということの問題ではないのだというような答弁があり、それからまた、いや、それはそういうことも一応の考え方の中にはあるとか、あるいは法務大臣も、そういうことは頭から外してやったのではございませんというような答弁がございまして、私はまことに奇異に感じますことは、どんなことを考える場合だって、これは人間の社会なんですから、人間の権利ということを度外視しては考えられないと思うのですね。ところが、それが軽くそういう形で、主目的はいわゆる人権擁護法ではないのだという意味で言われたのかもわかりませんけれども、どうもその辺があいまいだ。あいまいだということは、法律の隅々にまでそのあいまいなことがあり、また運用の場合もあいまいな運用をされるのではないかということを非常に懸念するわけです。したがって、再度これは入管局長にもそれから法務大臣にも、この外国人登録法をめぐって、人権というものをどう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 まず、私の方からお答えさせていただきます。  私の表現が非常に舌足らずで誤解を与えたとすれば、私の本心ではございませんので、ここで申し上げたいと思います。  外国人登録法はこの法律の第一条に規定するように、外国人の公正な管理に資するというものでございますが、その関連で同一人性の確認ということで採用しております指紋押捺制度というものについては、非常に心理的な圧迫感を感ずる、心理的な抵抗感を感ずるという方が多くおられるし、かつまたこれは人権上の問題ではないかというふうに感じておられる方がたくさんおられるということは、私たち重々認識して、まさにそういうことがこの六十二年の法改正のときの附帯決議の精神であったというふうに理解しております。  したがって、私たちのこの法改正を考えるに当たりまして、そういう人権的な観点というものは、もちろん一刻ひとときも忘れたことはございません。そういうことを念頭に置いてやったということは確かでございます。これからも、やはり先生おっしゃったように、社会が変わっていくと物の考え方もいろいろ変わってくるかもしれませんけれども、この制度の運用、あり方についても、やはり人間社会の問題でございますから、人権という観点は決して見失わないようにやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  今回の改正は、形成的に申すならば、六十二年のときの附帯決議とかあるいは日韓法的地位協定に基づく韓国政府との協議の結果を踏まえてやったことになりますけれども、指紋を廃止して代替方法を提供する範囲を定めたわけでありますが、この改正作業に当たっては、前回の附帯決議の精神、私は、これも深く読めば人権の問題であろうと思いますが、本邦に在住する外国人の立場に深く配慮して、憲法や国際人権規約の人権関係規定との関係についても十分真剣に検討してまいったわけでありまして、人権問題という観念を念頭に置いて改正作業を行ったということが結論であります。したがいまして、今後もこの運用に関しては人権問題を念頭に置いて血の通った運用をしてまいるというふうにたびたび御答弁申し上げたところであります。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 人権ということは、もちろん憲法の前文などの精神あるいは国民の権利及び義務の条文を引くまでもなく、これは要するに世界共通の、言うなれば人類普遍の原理なのであります。人がこの世に生まれながらにして自由であり、平等でなければならないということは、人類普遍の原理なのであります。そうすると、少なくとも国際人権規約が言うところの内外人平等の方向に向かわねばならない、これは私否定しがたいと思うのですね。  ただ、審議の時間的制約とかいろいろありまして、相当時間をとりましたけれども、この時期、今回直ちにそのことについて結論を見出すほど個々の具体的な問題をめぐって、例えば国益との関係が議論になりましたけれども、その関係において決着がつくものではない。したがって、我々は段階を踏むこともやむを得ないと思っております。つまり、人権というものは国境も何もないのです。だから、一七八九年のフランス革命からいみじくもちょうど二百年たったときに、東ヨーロッパ諸国のいわゆる東欧・ソ連圏と言われたあの国々の枠を外して、見事に西ヨーロッパの民主主義が積み上げてきた民主主義の感覚の方向に向かった、国境がないということを実感させられるのですね。そういう意味で、少なくとも内外人平等の方向に向かうべきである、知恵を絞ってそういうことに向かうべきである。この点については、法務大臣、いかがですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 大変よくわかる御質問でございますが、また現状ではお答えの大変難しい問題ではあるわけであります。というのは、日本人は日本国を構成する一員でありますから、条約その他の地位協定のもとで日本人でない方に対しての公正な管理に資するための方法が要る。例えば同一人性を確保するということなどはその一環でありますが、そういうことは日本人そのものでない以上、これは他意なく実務的、事務的に必要なことでありますから、これはぬぐい去ることはできません。ただ、その方法論として同一人性確保の方法はいろいろあるが、完璧なものから、補助手段があるために、完璧なものに非常に近いが完璧なものでないものとかいう方法等でそれを代行するというようなことで済ましておるわけであります。いずれにしても、完璧なものか、それに非常に近いもので代行するかということだけ供これは運用には全く血の通った本当に柔軟性のある優しい気持ちで人権に配慮しながらやらなければいかぬと思いますが、いわゆる事務的なけじめは必要であると考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 法務大臣の答弁がよくわからないのですが、私は今までこの審議の期間を通じて各委員の皆さん方が個々の具体的なものを持ち込んでいろいろと議論をされたが、それは時間の関係もあり、また今日の時代の状況もあってすぐには内外人平等ということがパーフェクトには実現できていないが、少なくとも内外人平等ということについてはその方向に向かうべきであるかどうか、ここを大臣に聞いているのですから、そこを答えていただければいいのです。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私の方からお答えいたします。  今先生御指摘がございましたように、世界の大勢はいろいろなシステム、いろいろな考え方、いろいろな制度が普遍化し、特に人権の問題に関しましては国境を越えて普遍的なものになりつつある。それから、外国人と内国人との関係についても、特に人権については内外人平等、そのほかの問題についても実務上においてもできる限り内外人平等が望ましいのではないかという考え方が広まりつつあることは確かでございます。  そういう世界的な情勢にかんがみますと、私たちの日本国におきますいろいろな制度、社会的な習慣も含めまして、我々の考え方も含めましてより国際化し、もし世界の主流の考え方に合っていないものがあれば合わせていかなければならないということはあるかと思います。そういう観点で外国人登録法も見ていかなければならないということは、私も同感でございます。  ただ、具体的ないろいろな手段とかそういうものに当たっては、最小限どうしても外国人の人には違うシステムをやらなければならないということはあるとは思います。しかし、それについても、先生御指摘のとおり、大きな流れの中でできるだけ抵抗感のないような、できるだけ心理的な圧迫がないような、日本人に近いような、できれば内国民と同じような取り扱い、こういうような考え方はあるべき方向としては言えるのじゃないかと考えておるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 国際人権規約などが言う内外人平等という言葉に抵抗を感じておられるのですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私は抵抗を感じておるわけではございませんけれども、基本的にはそういう方向にあると考えておりますけれども、具体的ないろいろな制度の中でそれがなかなか実現し得ないものもあり得るのじゃないかという意味で申し上げただけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私はそのことを前段で言って、そして審議の都合上、それは一区切りつけていかなければいかぬから、一区切りつける段階が来た。しかしながら、内外人平等の方向に向かわなければいかぬと私が言っているのに、私が言うことを六、四くらいで否定をしておられますね。そうじゃないのですか。概念としては、理想としてそっちの方向に徐々に条件を整備しつつ近づいていかなければならぬという意味なんですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私は否定しているわけじゃなくて、概念としては我々はそういうふうに向かっていかなければならないし、向かっているのではないかと感じております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私らも機会をとらえては一歩でも前進したいと思っておりますので、多少心にかかるところがありますけれども、人間は言葉遣いによって、アクセントをどこにつけているかによって大体わかります。しかし、まだおたくらものどを通りにくい点があるのだろうと思いますけれども、おおむねその方向は一致したと理解しましょう、私が思うとおりの言葉ではなかなか答弁してくれないから。結局、以前から申し上げておりますように、今回、外国人登録法の改正を行いまして、かなり圧迫感が少なくなってくることも事実だろうが、依然として圧迫感を持つ人もいる、それから改正後の制度を受ける立場の人でもなお圧迫感を持つ者もいるだろう。  それで、人権についてはいろいろな角度からの定義というか考え方があると思うのです。私は最近どういうことを主張しておるかといいますと、人権が尊重されているとか尊重されていないとかの分かれ目は、その人が人間として自己の持つ能力を十分に開発をし、十分にその自己実現の道を歩むことができるかどうかだ。私は最近そこへ物差しを置いておるんです。そうすると、ふろ屋へ行く場合でもあれを忘れちゃいけないとか、私なんかけさも二つ三つ物を忘れてきています。だから、ここの質問用紙だって自分の部屋に置いておるのを今秘書に持ってきてもらった。それは国対委員会があったりなんかして忙しかったので忘れることはありますよ。そうかといっていつも完全武装で全部ポケットに入れておくわけにはいかぬですからね。というようなことでいらいらするあるいは心配事がいつもついて回るということは、自己実現の大きな障害物なんです。それが、ある特定のものに対して自己実現ができないような障害物をつくり出すということが差別なんです。  そういうことを念頭に置いていただきますと、従来のそういうことについてあれこれ我が国政府の取り決めておることと外国人との間に起きたトラブルというか、必ずしも我が国政府が決めておる制度のとおりいってない人に対して今まではかなりきついことを言ってきましたね。逮捕したりあれこれやってますが、そういう問題については、おたくらは警察じゃないんだから警察的な意味の発言はできないけれども、行政とすれば寛容な態度でいかねばならぬと思っておられるか、いや今まで起きたことは今までと同じようにしなければいかぬのだ、こういうふうに思っておられるか、いかがですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 これまでの審議のときにも機会がございましたので私申し上げたところでございますが、この外国人登録法に言う「公正な管理に資する」というのは、行動を束縛しよう、そういう考えに基づくものではなくて、基本的には日本に在留している外国人の方々のお役に立つ、そういうことではないかと思います。そういうことですから、運用に当たっても、日本に在留している方々が不愉快な感じにならないような、そういう観点から置用していくべきであるというふうに考えております。したがって、もちろん、まじめにきちっと生活している方々の不利益にもなりますので、不正な事態が生じたときはこれは排除するのは当然でございます。しかしながら、基本的には、今後のこの運用というものはそういう外国人の立場に立って、心情とかそういうところも配慮しながらやっていくべきであるというふうに考えておりますし、今までもそういう面はそういうことであったというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 外国人の立場の方の心情に立つということは非常によいことで、一面からも非常に大事な著すね。  もう一面、そうやって法律は法律で取り締まるとか罪をかけるとかということがあって、権力運用がまことにその立場の人に対して心情をよく理解してというのは、大きな意味では権力の恣意ですよね。だから、きつくしようと思ったらきつくできるわけですね。そこで、大変心配事は私らもあるんですよ。それは、逆戻りをしてがっときつくやられた折には、法律があるんですから、あの戦後間もない食糧不足のときに主要食糧統制法違反でやるということは、私らもよく取り締まられたが、あえてやろうと思ったら、その法律が生きておったら、今でもあの法律は生きておるのですか、十年ぐらい後でも、もう食糧事情は緩和しておるのに、警察官がこいつをやってやろうと思ったら、あれで、おまえそれは何を持っておるんかいというようなことから、やってやれぬことはないわけですね。だから、そういう危惧を持っている。持っているが、しかしそのことも頭にクリアをしながら先ほどのような答弁をしたんだ、こういうふうに理解してよろしいですか、法務大臣。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私は、そのお考えが血の通った考えという私どもの考えと同じだと思っております。また、御審議の結果で、何度もいろいろその問題も出てまいりましたが、私ども頭にしみついておりまして、運用を誤らないようにやっていきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 時間が参りましたから最後にいたしますが、恐らく昨日政府にも届けられておると思いますけれども、我が国政令都市、札幌、仙台、千葉、川崎とずっとございまして、私の県にも政令都市が一つございまして、広島市から届けられたものでありますが、人権尊重ということを十分に考えてもらいたいということがこの外国人登録法の改正をめぐって強く要請されておるということと、もう一つは、この指紋の問題と常時携帯というものは実際に事務をやる者の立場からしてなるべく廃止してもらいたい、こういう強い希望が出ておりますので、実際にやる者の立場から出ておる意見を十分に尊重していただきたい。最後に、一言それに対する所感を法務大臣から聞きたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 たびたび申し上げておりますが、この法律全般の運用を通じて、その一環として同じ考えであると考えておりますので、十分温かい気持ちで柔軟に対応してまいる所存でありますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 じゃ、これで終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 本日で当委員会における外国人登録法の一部改正法案の審議が終結するわけでありますが、今回の政府提出の外登法一部改正法案は、在日朝鮮・韓国人を初め永住者それから特別永住者から指紋押捺を廃止する、これは、昭和三十年に現実にこの指紋押捺制度が実行されて以来三十七年目にしてようやくこれらの人たちの指紋押捺制度を廃止せよという要求が実現するものでありまして、私は、それ自体は当然のことであり、我が党から見ると遅きに失したと考えているわけですが、結構なことであると思っておるわけであります。  しかし、在留外国人の要求また国際的な人権擁護の主張の発展それから当委員会での参考人の御意見からも明らかでありますが、今すべての在留外国人に対する指紋押捺制度は廃止すべき時期に来ている、これを先送りするのではなくて、もう今日の時点でも指紋押捺制度を全廃することが求められているのではないかと私は考えておるわけであります。まさに制度の根本が改革されなければならない、そういう時期だと思っているわけであります。  そこで、きょう、わずかな時間でありますけれども、そういう時期に達していると考えておりますので、改めてこの外国人登録制度またその中の根幹をなす指紋押捺制度の発足当初からの制度の変遷等にさかのぼって、その趣旨や理念についてお伺いしてみたいと思うわけであります。  外国人登録制度ができたのは昭和二十二年五月二日の勅令二百七号外国人登録令であります。これは御存じのように指紋押捺制度はありませんでした。外国人登録令第一条を見ますと「この勅令は、外国人の入国に関する措置を適切に実施し、且つ、外国人に対する諸般の取扱の適正を期することを目的とする。」とあります。この三条で「外国人は、当分の間、本邦に入ることができない。」とあります。四条で「外国人は、本邦に入ったときは六十日以内にこ「所要の事項の登録を申請しなければならない。」現在は九十日以上の在留者に登録を義務づけていますが、一番最初は、六十日を超えた在留者に登録を義務づけたようであります。十条には「外国人は、常に登録証明書を携帯し、内務大臣の定める官公吏の請求があるときは、これを呈示しなければならない。」とあります。  一応この外国人登録令の流れを見ますと、当時はまだ日本国には完全な意味の出入国管理権はなかった、連合国軍が持っていたということであります。「外国人は、当分の間、本邦に入ることができない。」ただし、連合国最高司令官の承認を受けた場合は別だということがあるわけです。しかし、  問題は、この登録令の十一条に「台湾人のうち内務大臣の定めるもの及び朝鮮人は、この勅令の適用については、当分の間、これを外国人とみなす。」こうあるわけです。  そこで、お聞きしたいのですが、一体この制度がつくられた昭和二十二年五月二日、勅令二〇七、外国人登録令の本当の意味の立法目的は何であったのか、それをまず御答弁いただきたい。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御質問の中でお述べになりましたとおり、外国人登録令第一条にその目的が規定されておりまして、「外国人の入国に関する措置を適切に実施し、且つ、外国人に対する諸般の取扱の適正を期する」ということでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 先ほど私、登録令の三条、四条を読みました。当分の間、外国人は本邦に入れない、ただし連合国最高司令官の承認を受けた場合は別だとして、四条で、外国人は本邦に入ったときは六十日以内に登録しろという建前がありますね。これは、いわゆる旅券、パスポートを持って本国に入国してくる人たちを対象にする考え方です。しかし、第十一条のところで、もう既に本邦内にいるいわゆる歴史的経緯を背負った在日朝鮮人、在日台湾人・中国人といいますか、こういう人たちについては「当分の間、これを外国人とみなす。」としてこの令を適用しているんですね。原則として外国人は日本に入れない仕組みだったわけでしょう。当時数十万人の在日朝鮮・韓国・台湾人がおった。しかし、法の建前はどうもそれを「当分の間こという形で何か例外のようであるかのごとき体裁だけは取り繕っている。一応建前は、入国する外国人に、入国後六十日以内に登録させるのだという建前をつくっている。一体この登録令はどういう人たちを想定して登録させることを考えたのか、それをはっきりお述べいただきたいと思います。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 適用対象者につきましては、当然、日本国籍を有しない者、それから今先生がおっしゃいましたとおり、当時はまだ平和条約の発効されていない、前の段階でございましたから、まだ日本国籍を形の上で持っておられました台湾人の方、朝鮮出身の方々、こういう方々を法の上で外国人とみなすということで、それらの方を対象にしたということでございます。  それから、外国人の入国につきましては、原則として認めないとおっしゃいましたけれども、連合国最高司令官による許可を得れば入国ができるという規定になっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 そのころ、いわゆるパスポートを持って入国する外国人で、この外国人登録令に基づいて登録が必要な人たちが一体何人ぐらいであり、いわゆるパスポートを持たない、戦争中、戦前から日本に在留している朝鮮人、韓国人、台湾人はどのくらいだったのか、おおよその数字は把握しておりますか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 当時の出入国管理というのは、占領下の時代でございまして、どのくらいの外国人が正規に入国をしてきたかということは軍の管理でございまして、現在資料はございませんが、在留外国人につきましては、いわゆる戦前から引き続き居住しております朝鮮・韓国の方、台湾の方が当時六十万人ぐらい在留していたということになっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 外国人登録令の対象外国人は、ほとんどが戦争中、戦前から日本に在留している朝鮮人、中国人の皆さん方ではなかったかと思うわけであります。この人たちに登録をさせた。しかし、当初は指紋押捺制度というのはありませんでした。指紋押捺制度が制度としてつくられたのは、昭和二十七年四月二十八日の外国人登録法、法律第百二十五号が最初であります。しかし、これが現実に実行されるのが三年後の昭和三十年四月二十七日になってからであります。法がつくられてから三年間は実行されなかったわけでありますね。当初の令に指紋押捺制度など全くなかった。昭和二十七年の外国人登録法で初めて指紋押捺制度が導入された。導入された理由目的、趣旨、これはどんなものだったのでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 お答えいたします。  昭和二十二年にこの外国人登録令が施行されて以後の実施状況というものは、当時の戦後の混乱ということもあり、まだ制度の完全な整備というところまではいっていなかったこともございまして、同じ人が二重三重に登録して登録証を受け取ったり、あるいは他人の名前をかたって外国人登録をし登録証を受け取るという幽霊登録というような不正事案が多発したわけでございます。  なぜそういうことをしたかということでございますけれども、当時は配給制度があって、配給制度の中でできるだけ多くの配給を受けたいということでそういう不正をとったという方もおられたと承知しております。そのほかに、当時、不法入国といいますか密入国をされてきた方々、主として朝鮮半島の出身者ということでございますけれども、そういう方々が合法的な滞在を装うためにそれらの二重三重に得たもの、あるいは幽霊登録という形で得た登録証を譲り受けまして、それを変造、偽造いたしまして本人に成りかわるというような形が起こりました。いわゆる登録証の不正使用事案というのが多発したわけであります。  当時外国人の同一人性確認というのは専ら写真に頼っていたわけでありますけれども、写真の張りかえというようなことで簡単に偽造ができたということのようでございました。そういうことから、そういった不正を防止しようということで、昭和二十七年四月に登録法の制定に際して指紋押捺制度を導入したということでございまして、指紋押捺制度を導入し、そして外国人登録証に指紋を押してもらうということによってその後このような不正行為というのが格段に少なくなり、効果があったというふうに承知しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 そうすると、今御説明のような社会的背景があってそれで指紋押捺制度を導入したということのようですが、そうしますとその指紋押捺制度というのは導入の当初から、いわゆる正規のパスポートを持って日本に入国する人たち、その人たちが目当てではなかったというふうに聞いてよろしいでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 当時の不正行為の実態というものが先ほど御説明したようなことでございまして、それに対処するためにということが一番大きな理由であったというふうに私どもは承知しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 まともには答弁いたしませんけれども、密入国とか、同じ人が二重、三重の登録とか、あるいは他人の名前をかたらって登録とか、そう言うことは、正規にパスポートを持って日本に入国する、そういう不正なことをする必要のない人たちについては全然対象外であった、これはもう歴史的事実として言わざるを得ないと思うのです。しかし、正規のパスポートを持って日本に入国し、一定の時期が来たら本国に帰る、そういう在留外国人の皆さんと、歴史的経緯があって、日本の侵略戦争というその結果日本に在留せざるを得なかった在日朝鮮人の皆さんと、法の建前から分けることができなかったために一応同一扱いにしたのではないかと思わざるを得ないわけです。そのとおりですね。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 当時の制度として、やはり同一人性確認手段を外国人の資格といいますか、そういったことで区別するという考え方は余りなかったようでございまして、要するに同一人性確認としては共通の手段をとるということで法の整備をしていったというふうに聞いております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 一九五〇年代、国会で政府の方はこの指紋押捺制度の本当の立法の目的、これが那辺にありや、どういう答弁をしていたか、わかりますでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 過去の指紋押捺制度に関する国会の答弁を要約して申し上げますと、昭和二十七年の外国人登録法制定の際におきましては、外国人登録証明書が偽造され、それが密入国者に売買される事案が多く、その人の同一人性を見るには写真のみではなくて指紋が必要であるという趣旨の答弁をしております。  それから、昭和三十年のことでありますが指紋押捺制度の施行後の国会答弁として、例えば昭和三十一年二月二十四日の衆議院法務委員会におきましては、写真を貼付してあるということでは、改ざんが容易にでき、登録してある名前に自分の名前を変えるというような不正が行われ、結果において真実に反した登録証明書が横行することとなっている、一番多い例は、密入国をして、登録証明書がないために、金に困っているような人から登録証明書を買い取るという形で行われる例が多いということで、それを防止するための指紋押捺制度は有効であろう、そういう趣旨の答弁がございます。  それから、昭和三十三年に、在留期間一年未満の者について指紋を免除するという外国人登録法の一部改正を行ったことがございますが、このときの大臣答弁の中には、指紋押捺制度は治安の関係の方から見て必要なければ、できるだけ緩和した方がいいのではないかという表現で答弁をしておられますが、また政府委員からは、指紋押捺制度は登録証明書の偽変造防止に効果が上がっていると考える、また不法入国者の発見とか防止とかいった点にも効果があるという趣旨の答弁をいたしております。  さらに、昭和五十五年に変更登録……(木島委員「その後のことはいいです、三十年代の話でいいです」と呼ぶ)よろしいですか。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 実は私もずっと昔のものを読んでみたのですが、一九五〇年代には大臣の方からなぜ指紋押捺が必要なんだという本音の部分が語られた議事録もあります。しかし、一九六〇年代からは余り本音の部分を大臣も語らなくなってしまって、技術的な意味で必要なんだという技術論に変わってしまったいきさつがあるように思われます、ずっと歴史を振り返ってみますと。  本音の部分を語った点が今の御答弁の中にはないので、時間の関係もありますからちょっと指摘しておきますと、昭和二十八年、一九五三年五月二十八日の参議院法務委員会で、当時の犬養健大臣でありますが、こういうことがあるんです。「今の治安状況から申しますとこれは指紋を取らしてもらうことが一番安全なのであります。」「一番大きい問題は治安でありまして、治安状況が今よりも更に悪化いたしますとこ云々と、それで「指紋を取るという制度を採用しなければならない。」そういう答弁があるのですね。  それからもうちょっと下って昭和三十三年、一九五八年の二月十四日、参議院法務・外務の連合審査会で唐澤俊樹大臣からいろいろ答弁された中で、「密入国者の取締り、ことに一衣帯水の朝鮮その他からする密入国者の取締りということが数字の上では一番効果を上げておる」「その他の点につきましても、やはり一年以上日本に滞留する外国人に対しては指紋をとっておくだけの必要がある、日本の治安の関係から必要がある、かように考えておるわけでございましてこと、率直に治安が目的なんだと言っておるわけですね、当時は。  ところが、六〇年代以降余りそういう言葉が国会答弁としては出てこなくなりました。専ら同一性の確認とか技術的な理由で必要なんだというふうに変わってきているわけですね。これはやはり本音は、本当の目的は治安なんだ、しかしそれは人権問題上公式の場では言えないということで言わなくなってきたんだと思わざるを得ないわけであります。  ちょっと下りまして、その後の大きな指紋押捺制度の改正は、昭和三十三年二月二十六日の一部改正法、法律第三号で、在留期間一年未満の者についての指紋押捺を免除するというものであります。  お尋ねいたしますが、この時期に一年未満の者について指紋押捺を免除したきっかけ、どんなことがきっかけになったのか、御答弁願えますでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 この問題の背景として当時大きく問題になりましたのが、いわゆる現在の中国との関係でございました。昭和三十年九月に中共見本市の関係者が我が国においでになった。そのときに、指紋押捺についてはこれを拒否するというような問題が一つございました。その後、昭和三十二年の六月でございますが、やはり中共見本市準備のために三名の入国の許可の申請がございましたけれども、入国し六十日以上在留する場合は法の定めるところによって指紋押捺に応ずることを条件としたといいますか、そういうことが問題になりまして、結局入国を向こうが取りやめるというような問題があって、非常に日中間で問題になったということでございまして、これが一つのきっかけでございまして、当時といたしましては、貿易、文化の交流というのはやはり促進すべきではないかという考え方がありまして、とりわけ一年未満、比較的そういう方々は短期で滞在する者であるから、仮に指紋押捺を義務づけなくても押捺制度を採用した趣旨を害するといいますか、これに重大な影響を及ぼすことはない、そういう判断から一年未満の在留期間が決定された者については指紋押捺を免除しようというふうな法改正がなされたというふうに承知しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 今御答弁になったとおりだと思うのです。当時中国が日本で見本市をやろうとした。そうしますと、日本に入国する中国人の在留日数がどうしても六十日を超えてしまう。しかし、中国の皆さんは指紋押捺を拒否した。そうすると入国させられない。見本市もやりたい。それがきっかけになって、一年未満の指紋押捺制度をやめてしまうことになったわけです。これは何を意味するか。指紋押捺させる意味は、要するにその程度のものだったわけだ。指紋押捺なんかしなくてもどうってことないということの裏返しだったと思うわけであります。  その後、指紋押捺制度についての大きな変化は昭和五十七年八月十日の改正法、第七十五号ですが、これがいわゆる十四歳から十六歳に義務年限を引き上げた。これは既に本委員会の答弁にもあるように、中学生にまで指紋を押させるわけにいかぬということで、意味はわかります。そして、その次の大きな改正が、前回の六十二年九月二十六日の原則一回限りにしたということだと思うのです。  もう既に本委員会の質疑でも出ておりますように、前回の法改正まで、法務省当局の指紋押捺を残す最大の論拠は、同一性の確認で最高のものである、それは当初三年ごと、その後五年ごとに申請をしていた、その同一性を確認するには指紋が一番なんだという理屈で一貫しておったのですが、これを一回限りにしてしまったということで、論拠が完全に破綻してしまったわけであります。前回、昭和六十二年九月二十六日の法改正によって、法務省が主張する指紋押捺制度を残す理由はもう完全になくなったと私は思わざるを得ないわけでありまして、そのときに全廃すべきでなかったかと思っているわけであります。  今度は、残ったうち永住者、特別永住者については指紋押捺をなくすということになっていったわけでありますが、今までの当委員会での論議それから指紋押捺制度の三十数年に及ぶ歴史から見て、残しておく合理的な意味はもう本当になくなってしまったと言わざるを得ないと思うわけです。私は、今日の時点では何が問題かというと、今直ちにこれはやはり全廃すべきなのか、しばらく時間を置いて様子を見るべきなのかということに来ているのではないかと思うわけです。  最後に法務大臣にお伺いしたいのですが、答弁をお聞きいたしますと、今すぐには全廃できないけれども、しばらくたってから再検討したいという気持ちは伝わってまいりました。しかし、私は本当は英断をもって今改正法案で全廃を打ち出していただきたかったなと思っているわけでありますが、最後にその辺についての法務大臣の本当の気持ちというものをお聞かせ願いまして、私からの質問を終わらせていただきます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  外国の方の同一人性を確認する手段が要るということはおわかりいただけると思うのですが、それが今までは指紋が最高のものであった。ところが、定着性の強い永住の方については、他のいろいろな補完的な代替物がありますから、三点セットでいい。それから、三カ月未満の方々については、表現は非常に悪うございますが、一過性的なもので、数も非常に多いし実務上これはできない。一年未満の方も非常に難しいということで、一部の補完できない、情報量の非常に少ない、定着性の少ない方々について、三年という制度を一年から三年の方々に残した。  しかし、いろいろな意見がありましたが、煮詰めるところ、これが現時点では最高ではないかということでやっているわけですけれども、これはこの前からも申し上げますように、社会情勢はどんどん変わっていく、国際化も進んでいくというようなこと、あるいはこの制度を運用してみてその実績、技術の進歩、こういうものを眺めながら次のステップあるいは将来の検討、こういうものをするというのが提案者として当然の責務であると考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 私の質問で質疑は終わりでございますので、締めくくり質問みたいな気持ちでちょっと基本論をお尋ねさせていただきたいと思います。二点に絞ってお尋ねいたします。  第一点は、いわゆる永住者については指紋押捺が原則廃止されるわけでありますが、一般外国人についての指紋押捺制度の問題が残るわけであります。この指紋押捺制度の基本的な考え方についてお尋ねをいたします。二点目につきましては、いわゆる定住外国人の在留上の地位のあり方について若干諸外国の例と比較しながらお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず第一点、指紋押捺制度をなお採用している国は、人権先進国ですか、人権後進国ですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 諸外国における指紋押捺制度でございますけれども、外国人の出入国、在留、あるいは外国人の登録の方式というのは、それぞれの国の置かれた地理的あるいは政治的、国際的環境、国内のいろいろな情勢に応じて定められておりますので、外国人登録におきます同一人性確認の手段についてはいろいろございまして、普遍的な基準とか国際的な標準というのはないのじゃないかと思います。  ただ、どういう国が指紋押捺制度をとっているかと申しますと、法務省において調べたところによりますと、平成二年にアジアの周辺諸国、ヨーロッパ、南北アメリカの国々の四十六カ国について調査したところによりますと、外国人登録における同一人性確認の手段として、指紋押捺によらず、写真、署名、家族事項等の登録による国は二十七カ国で、指紋押捺制度を採用している国は十九カ国ございまして、そのうち指紋押捺に加え署名制度も採用している国は十六カ国ございます。  さて、ヨーロッパのほとんどの国は、スペイン、ポルトガルを除きまして指紋押捺は採用しておりません。先進国と言われる国で指紋押捺制度を外国人について採用しているのは、永住者について採用している米国でございます。アジアの周辺諸国ではかなりの国が指紋押捺制度をとっております。  ただ、人権上これが先進国がそうではないかというお尋ねでございますけれども、それにつきましては、この国は人権先進国であるとか人権後進国であるというようなことを私の方から言うことは差し控えさせていただきたいと思います。

中野寛成民社党

○中野委員 最後のお言葉は当然の御答弁だろうと思います。ちょっと意地悪な質問になって申しわけありませんでした。  ただ、開かんとするところは、指紋押捺制度というものの必要性といいますか、必要か不必要かというのは、その国の歴史、地理的条件、経済力、そしてそのときの国際的な治安の問題もあるかもしれません。国によって、その国の沿革や置かれている状況等々によって、指紋押捺制度がぜひとも必要だと感じる国と、うちの国はその必要性はないわと思う国とが当然分類されてくるのだろう、こう思うのですね。ですから、先進国、後進国という分類をすることは必ずしも適切ではないと思いますが、なぜその国は採用しているのか、なぜ別な国は採用していないのか、採用している国としていない国の理由の分類というのはある意味ではできるのではないだろうか。そして、そのことと、日本が今なお残そうとしている理由とどのくらいマッチするのか。そしてその必要性というか正当性というか、理由づけといいますか、そういうものがそういう中でもし明確になるならば一つの方法だろう、こう思うのでございますが、そういうことについての分類や性格づけというのはおやりになったことがありますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 そういう観点から調査したり研究してはおりません。

中野寛成民社党

○中野委員 それじゃ、一つお尋ねいたしますが、指紋押捺制度というのはよいことでしょうか、それとも必要悪とお考えなのか、いや、必要悪ではない、必要善とまでは言いませんけれども、それは当然のことなんだというお考えなんでしょうか。先ほど来いろいろと大臣の御答弁もありましたけれども、ないにこしたことはないというものなのか、その基本的認識を法務省としてはどうお考えなんですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 必要な制度であることは間違いございませんが、愚かという表現で言われますと、これは悪でないと言わざるを得ないわけでございまして、悪である制度を法律の中で持っているというのは本来の姿ではないと思います。

中野寛成民社党

○中野委員 それでは、ないにこしたことはないがやむを得ず採用しているのですか、積極的に採用しているのですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 採用の経緯からいいますと、これは積極的に採用したものでございます。その後の改正の経緯、先生もよく御存じと思いますが、特に昭和六十二年の改正に際しては衆参両法務委員会において、指紋押捺にかわる同一人性確認の手段について検討しなさいという趣旨のことがございました。これは、国会の声として、国民の声として、できれば指紋押捺にかわる制度の方が望ましいのではないか、外国人登録制度を維持する上で、効果の面で十分な制度であれば、指紋押捺にかわるそのような制度があればそういう制度にかえたらどうかという声だと受けとめているわけでございます。そういう意味におきまして、方向としては、もしほかの手段がとれるのだったら指紋押捺をやめた方がいいということは間違いない、それが方向だと思っております。

中野寛成民社党

○中野委員 ほかの手段がとれるならばやめた方がいいという御判断があるということをお聞きいたしまして、幾らかほっといたしました。これは、人の尊厳を傷つけるものもしくはその危険性が大きいものという前提に立って考えるべきであろう。その視点に立つならば必要悪。その必要悪の必要の部分は、もしあるとするならば、それは例えば国の治安を守るとか、社会状況の中において同一人性を確認することによってその当事者の権利または利益を守る必要性があるとかという幾つかの必要性はあるのでしょうけれども、しかし指紋をとるという、指紋押捺制度によってそれをやるという方法はできることならば人権上やめた方がいいという基本認識は一応お持ちだということの確認だけをしておきたかったわけです。どうですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 指紋にかわる手段があれば、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先ほども申しましたが、同一人性の確認は必要でありますから、その手段で指紋が今まで最高であった。ところが、他の三点セットで相当ニアリーイコールまできた。定着性のある人は情報量が非常に多いから、それをプラスするとほとんど代替性があるということですね、これはちょっと数学的になりますけれども。したがって、一対一、全く一イコール一の方法が開発されればそれと置きかえることができるということだと思います。

中野寛成民社党

○中野委員 今の御答弁の内容からいたしますと、将来それにかわるものを開発しながら、できるだけ指紋押捺は早期に廃止をしていく、かえていくという意識、意思は少なくとも法務省はお持ちであるということは確認できたと思います。あとはその熱意と、時間との闘いだと思います。定着性のある人ということで永住者に三点セットをもって今回代替措置とされましたが、先ほど来同僚議員からも言われておりますけれども、正規のパスポート等を持って日本へいらっしゃる人たちについて、私はそう差異があるものではないというふうにも思いますから、これは押捺制度の廃止に向かってなお一層の努力が必要であろう、こう申し上げておきたいと思います。  第二点目、それでは、その定着性に絡んでお尋ねをいたしますが、特別永住者の指紋押捺を廃止する理由の一つとして定着性が挙げられました。それでは、日本国民と定着性を持つ永住者と一般外国人とあるのですが、その定着性について、日本国民と永住者との間に差はありますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私どもといたしましては、定着性といいますのは、我が国に長年在留すること等によりまして、生活基盤を日本の社会に築きまして、我が国社会と密接に結びついて社会生活を営んでいるという状態を定着性というふうに考えております。このような外国人は、類型的に言いまして、我が国社会との有機的関連が相当強いということで、親族、知人、友人等多数の関係者が存在しているわけでございます。そういうことで、日本の国民とそういう点では非常に近うございます。  その社会との結びつきということ、社会生活に基盤を置いているということ、そういう意味では非常に限りなく近いわけでございますけれども、しかし日本国民は日本国籍を有する日本国の構成員でありまして、国籍という国家との基本的な紐帯によって結ばれているというもので、そういう点からいいますと、定着性という観点から、日本国民と特別永住者、今問題にしています。そういう特別永住者と区別するのはなかなか困難ではないかというふうに思っております。

中野寛成民社党

○中野委員 いわゆる人間の生活様式、それからいろいろな国で在留をしたり生活をしたりするその様式は、大変国際的に入り組んできていると思います。同時にまた、それぞれの国の歴史や地理的条件もあります。そこで、結局、その国民と一般外国人との中間的な存在、または場合によっては比較的長期に滞在する一般外国人の在留上の資格とかまたは処遇とかというものはいろいろな新しい工夫がなされてしかるべきなのではないか、国際性、国際化というのはまさにそのことも含まれているのではないだろうか、こういう気がするのです。  そこで、ちょっと比較はしにくいかもしれませんが、しかしよく例えに出されますのでお尋ねをいたしますが、アメリカ合衆国には国籍と市民権というものとが存在をする。国籍はないけれども市民権は持っている人、国籍はあるけれども市民権がない人、歴史的にはそういう時期もありました。今はもう国籍と市民権はほとんど同じ扱いをされておりますが、しかしその経緯を必ずしもきちっと踏まえるのではなくて、国籍と一般外国人との中間的な存在、限りなく国籍に近い存在ではあるけれども、市民権というものに着目をして、日本もその市民権制度などをつくったらどうかという提言をする人もいらっしゃいます。  しかし、アメリカの場合には、例えば南北戦争以前奴隷が存在をしておった。奴隷は国籍はあるけれども市民権が認められないというふうな歴史的経緯もあって、その市民権は外国人に対して与えるとかなんとかというよりも、そういう奴隷のような存在から解放するために市民権という物の考え方が生まれたというアメリカ独特の歴史もあります。ですから、必ずしも一概にこの永住資格と市民権とを比較することはできないかもしれませんけれども、しかしいろいろな存在、いろいろな仕組みというものがそれぞれの国によって構築されていいのではないか、こういう気がするのですね。  例えば日本人もそうでありますし、それから韓国・朝鮮人の皆さんもそうでありますが、自分たちの民族性とか国民性というのは、非常にプライドを持って大事にしようという考え方があります。そういうときに、例えば日本で生活をするなら、永住するならば、そして権利義務をそんなにうるさく言うならば帰化したらいいじゃないかと言う人もいます。しかし、これは実に失礼な言い方。結局その民族性や国民性のプライドを傷つける言い方でもあるわけです。しかし、例えば国籍は韓国、朝鮮ではあるけれども、日本の住民権とか市民権とかというものがあるよというような工夫というものがなされるならば、いろいろなものが包括的にかなり解決をされていくという面もあるかもしれません。  これをことしや来年やれと言ったってそれは無理ですけれども、そこでお尋ねしたいのは、アメリカの市民権とはどういうものなのか、そしてそれとは必ずしも比較はできませんけれども、中間的存在として国籍に次ぐ存在というものを日本で考えることはできないか、このことについてお尋ねをいたします。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 アメリカ合衆国における市民権というのは、今先生おっしゃいましたように、現在はほぼ我々が考えている国籍と同じような概念ではないかと思われます。他方、アメリカに永住権というのがございまして、いわゆるグリーンカードを保持している人たちは合衆国に永住することができるということで、そういう法的地位でございますが、市民権は合衆国における完全な政治的権利を含んだそういう法的地位でございますけれども、永住権といいますかグリーンカードホールダーというのは永住できる、そういうだけの権利の違い、そういう権利で若干違いがあるのじゃないかと思います。  さて、そういう市民権的な制度をここに導入すべきかどうかということについては、余りにも問題が大き過ぎまして入管局としてはちょっとお答えができかねるところでございますが、外国人の取り扱い、待遇につきましては、制度を、こういう新しいポジションをつくるのか、それとも限りなく、先ほど内外人平等の原則ということをおっしゃった先生がございましたけれども、内外人平等の原則をできるだけ適用していく、その場合にいろいろな経緯とかそういうことを考えてやっていくというのも一つの手段かなという感じはいたしております。

中野寛成民社党

○中野委員 今申し上げた提言というのは即座にということの考えで申し上げているのではないのですが、しかしながら、旧植民地出身の方々について、とりわけ多い人数の方々が日本にいらっしゃる。しかも、その方々は日本に永住をする、定住をしている、言うならば日本に骨を埋めるということで生活をしておられる。こういう方々の存在に対してこれからどう対応していくか。それも歴史的経緯を踏まえれば日本側に責任があることなどを考えると、それはそれとして重大な決意を持ってやはり我々が前向きの検討をしなければいけないテーマなのではないか、こういうふうに私は思うのです。  同時にまた、今までとは違う理由ではあるけれども、そして、徐々にではあろうけれども、今後とも永住資格を取る方が出てくるでしょう。日本の場合にはあくまでも永住資格であって、まだ永住権とさえ呼びません。永住権の資格要件というのが決まって、そしてそれが整えば永住権が取れるというふうな仕組みがあれば、これまた行政上より明確になりますし、そしてまた透明になりますし、そして外国人の皆さんにもわかりやすくなるでしょう。ところが、日本の場合には、外国人の皆さんから見るととてもとても不明朗な、永住資格の付与という仕組みにしかまだなっていないわけであります。  そういうことを含めて、総合的に私は検討をしていく時期を迎えているのではないか。また、そのことを考えるときには、例えば地方選挙の参政権だとか、それから公務員への採用だとか教職員への採用だとか、保険制度、年金制度、その他いろいろな権利関係につきましてももっと整理もできるであろう、こう思うのです。  それぞれの各論についてお聞きしようと思いますと、これはまた文部省や自治省やといろいろ各省庁お願いしなければいけませんのでその質問はきょうはいたしませんけれども、包括的に検討というものがなされてしかるべきではないか、こう思いますが、これは民事局長さんの御担当ですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 アメリカの国籍と市民権というようなお話からいろんな問題点の指摘がございましたけれども、アメリカでは市民権と国籍というのがほぼオーバーラップするわけですけれども、やや食い違う面がございまして、市民権のない国籍といつ概念も存在していると言われております。これは、本国以外の領土に住んでいる人たちについて、一部でございますけれども、そういう概念が当てはまるということが言われているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう日本に永住する方々の法的地位をどうするかという、民事局の面から申しますと帰化ということが問題になるわけでございますけれども、国籍法の規定に基づいて帰化行政を推進するということは当然のことでございますけれども、そういう方々が、日本人になりたい、帰化をしたいということで帰化の申請がございました場合には、日本の社会に長く定住して日本の社会で教育を受け、日本人と変わらない生活実態を持っておるというような事実を最大限に重視いたしまして、できるだけこういう方々の希望がかなえられるように、かつ申請があった場合にはできるだけ速やかに許可という結論が出るように行政を推進していくことが必要ではないかというふうに考えているわけでございます。現実に、朝鮮半島の出身者の方々から、多数の方々が帰化の申請をされているわけでございまして、そのほとんどの方々が帰化が認められているというような結果になっているわけでございます。今後ともそういう方針で対処してまいりたいというふうに考えております。

中野寛成民社党

○中野委員 帰化につきましても、随分日数もかかりますね。そして、大変難しい条件があって、その書類を整えるだけでも本当に多くの負担がかかっているという実態もあります。いろいろな苦労をしておられる方々の声もよく聞くわけでございますが、私は、単に帰化ということで旧植民地出身の方々についての扱いをするべきではない。もちろん、苦労をして帰化をされている方々もいらっしゃいますが、私は、それで事足れりとするのではやはり我が日本国としては情けないというふうに思うわけであります。  時間が参りましたので大臣にお尋ねしたいと思いますが、今申し上げましたように、在留外国人の地位、処遇のあり方につきまして、これはもちろん法務省だけではありません、それぞれの国との関係でいえば外務省もあれでしょうし、公務員の採用ということになりますと法務省のみならず人事院、また自治省、文部省、労働省、いろいろな関係も出てくるでありましょう。しかし、私は、これは、その中心となる役所としてやはり法務省が所管をされる以外にないだろうと思うわけであります。法務省の方でむしろ中心的になって、各省庁間の横の連携もとりながら、そういう総合的な審議研究を進めていく機関等を設けられるべきではないか、こういうふうに思うのでございますが、この提案についてどうお考えでしょうか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 ただいま先生から大変示唆に富んだお話を承りましたが、既に各省の連絡協議会も事務的なものもございますし、その中の話題の一つとして取り上げていかなければいけない問題がなと今お聞きしながら思っておりましたが、いずれにいたしましても、今後幅広く勉強してまいらなげればいかぬ問題だなというふうに深く考えました。

中野寛成民社党

○中野委員 今日のように事務的な連絡ということではなくて、私は、これはかなり大きな問題、本当は内閣総理大臣のもとに審議会を設けるとかというくらいの問題ではないかとさえも思うのですね。日本の真の国際化の一つの重要な要件としてこの問題がクローズアップされてきている、こう思うのでありまして、ぜひそういう視点に立っての御検討、また御検討の機関をつくられますことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ―――――――――――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 この際、お諮りいたします。  高沢寅男君外三名提出、外国人登録法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これにて内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 この際、本案に対し、星野行男君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案による修正案が、また、木島日出夫君から日本共産党提案による修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案の提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。冬柴鐵三君。     ―――――――――――――  外国人登録法の一部を改正する法律案に対する   修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 私は、ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。  修正案はお手元に配付したとおりでありますので、案文の朗読は省略いたします。  政府原案は、永住者及び特別永住者について指紋押捺制度を廃止しようとするもので、一歩前進と評価することができるのでありますが、本修正案は、外国人登録制度のより一層の改善を図るため、さらに居住地等の変更登録義務違反に係る罰則について、自由刑を廃止し罰金刑のみとすること及びこの法律の公布の日から施行日の前日までの間に十六歳に達した永住者及び特別永住者について指紋の押捺を要しないものとすること等の措置を講じようとするものであります。  以上が本修正案の趣旨であります。  何とぞ本修正案に御賛同賜りますようお願いいたします。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。     ―――――――――――――  外国人登録法の一部を改正する法律案に対する   修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております外国人登録法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を御説明いたします。  現行外国人登録法は、管理主義が貫かれており、その結果としてさまざまな人権侵害となる規定があり、また運用上、警察官等による具体的な人権侵犯事案が多発してきたのであります。  本修正案は、この基本的考え方を抜本的に改め、外国人登録制度を、在留外国人の居住関係、身分関係を明らかにして、在留外国人に関する記録の適正な管理を図り、もって在留外国人の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資するために、日本人に対する戸籍法や住民基本台帳法に準じた法制度にするものであります。  在留外国人に対する処遇について、国際的にも内国人待遇をすることが世界の趨勢となっており、今回の政府原案に見られる永住者及び特別永住者について指紋押捺を廃止することは、一定の前進であると認めることができますが、国際国家日本を標榜するのであれば、今こそ指紋押捺制度の全廃を含む外国人登録法の抜本的改正が求められていると考えます。  本修正案の内容と理由は、以下のとおりであります。  第一は、外国人登録証明書の制度を廃止し、登録票(現行「登録原票」)に一定事項を登録しておけば足りるものとする点であります。  外国人登録証明書の制度は、本来常時携帯を前提とした制度であり、常時携帯義務、提示義務を廃止することとするならば、もはや登録証の発行自体意味をなくすのであります。  したがって、本修正案では外国人登録証明書の制度そのものを廃止し、その結果として当然に登録証の常時携帯義務、提示義務、受領義務などすべてなくなるのであります。  就職や教育、年金、健保、各種免許・資格の取得、公営住宅への入居などの手続で、本人が必要とする場合は、住民票の謄抄本と同様の登録事項証明書を発行してもらうことになり、現行制度下でも地方自治法に基づいて発行されています。  第二は、指紋押捺制度の廃止であります。  登録申請の際は、成人の場合原則として本人の出頭を要することとしますが、申請に当たっては、写真の添付されているパスポートが提示されるので、本人確認はそれで行うこととし、屋上屋を架する写真の提出、指紋の押捺及び署名は要しないものとします。  第三は、確認申請(切替交付)制度を廃止します。  法律では、登録事項の変更があった場合に変更登録の義務を課しているのでありますから、五年ごとの確認申請は在留外国人に余分な負担を課すものと言わざるを得ません。登録事項の変更登録については、十四日以内にすることとしております。  第四は、登録事項から「職業」「勤務所又は事務所の名称及び所在地」を削除し、政府提出の改正案にある世帯構成「本邦にある父母及び配偶者の氏名等」は採用することとします。  登録事項の追加は、在留外国人に負担を新たに課することになりますが、指紋押捺の廃止に伴う代替措置としての政府案とは趣旨を異にするもので、将来的に住民基本台帳と同様の体裁と機能を持たせる展望のもとに、あくまでも在留外国人の利益のためにとの趣旨で行うものであります。  第五は、登録、変更等各種申請の際の本人出頭義務年齢について、現行法で十六歳となっているのを改め、二十歳に引き上げます。  第六は、罰則の軽減であります。  戸籍法や住民基本台帳法に準じて、懲役、罰金等の刑事罰をなくし、行政秩序罰たる過料のみとします。  第七は、入管法第二十三条(旅券又は許可書の携帯及び呈示)から、外国人登録証明書を携帯している場合の例外規定を削除し、新たに永住者(特別永住者を含む)について除外するとの規定に改めます。  現行法では、在留外国人は原則として旅券(パスポート)の携帯を義務づけられており、外国人登録をしてあるものは、外国人登録証明書の携帯を義務づけるかわりに、旅券の携帯は免除されています。  本修正案では、外国人登録証明書の制度を廃止することとしておりますので、それに伴って入管法第二十三条の規定を改正するもので、永住者については旅券の携帯義務を免除することとしております。  以上が、本修正案の提案の趣旨であります。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いいたします。  以上であります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより原案及び両修正案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、木島日出夫君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、星野行男君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、星野行男君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文を朗読いたします。     外国人登録法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の努力をなすべきである。  一 本邦在留の外国人に対する行政の在り方にかかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登録制度の目的を明確にするとともに、外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討し、その結果に基づいて、この法律の施行後五年を経た後の速やかな時期までに適切な措置を講ずること。  二 外国人登録法に定める罰則について、他の法律との均衡並びにこの法律における罰則間の均衡などを検討し、その結果に基づいて、適切な措置を講ずること。  三 指紋押なつ拒否者その他の外国人登録法違反者に対しては、その実情を踏まえ、人道的立場に立った対応を行うこと。  四 外国人登録証明書の常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たっては、外国人の日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮し、いやしくも濫用にわたることのないように努めること。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、田原法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田原法務大臣。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 外国人登録法の一部を改正する法律案につきましては、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、ただいま修正議決されましたことを心から御礼申し上げます。  なお、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     〔報告書は附録に掲載〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会

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