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123回国会衆議院1992/04/10

法務委員会 第6号

発言数
339
登壇者
24
会派数
5
開催日
1992/04/10

会議録

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案及び高沢寅男君外三名提出、外国人登録法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原脩雄君。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 外国人登録法の一部改正案については、今委員長もお話がございましたが、社会党、我が党は対案を出しておりますので、対案等との対比で少し質問をいたしたいと思います。  まず我が党の対案の骨子は、指紋押捺制度、今回一部廃止になりますけれども、全廃をする、かわりに本邦に一年以上滞在することのできる外国人については、署名及び家族事項の登録を本人確認手段として導入をする。それから二つ目に、外登証の常時携帯義務を廃止をして、一定の方法で保管すればよく、提示を求められたときには遅滞なく提示すれば足りる。第三点は、いわゆる罰則については、刑事罰から過料へ変える。それから四つ目に、公布の日から施行日の前日までの間に十六歳となることによって指紋の押捺をしなければならなくなる者については一種の経過的な措置として押捺を要しない、これが大体骨子であります。  そこで最初の、指紋押捺制度を廃止する、しかし一部は残っている、この点についてお聞きをしたいと思うのです。  まず最初に大臣にちょっとお聞きしたいのですが、大臣はたしか三月三日の本会議で答弁をされておられる。永住者及び特別永住者以外の外国人で一年以上在留する者に指紋押捺を残さなくてはならない、残る方ですね、その理由について答弁をされておられますが、その答弁、ちょっと骨子でよろしいですから、ここでもう一回確認をしていただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  あのとき申したのは、整理してはおりませんが、おおむねたしか、同一人性の確認手段としては指紋が最も有効である、それは万人不同・終生不変というものであるからということが一点。本邦に定着性のある永住者、特別永住者については鮮明な写真、署名のほか、家族事項等の登録により指紋押捺の代替手段とすることが可能である、指紋が手段としては最も有効なんですが、附帯決議があることもあり、あるいは日韓覚書の趣旨もありますので、その趣旨を踏まえて代替手段を開発するとしたらこういうところかなということを一つ申し上げたと思うのです。それからもう一つは、一年未満の在留者については、いずれ短期間で本邦から出ていくべき人たちであるので、指紋押捺させてまで同一人性を確認するということがどうであろうかというふうな点を申し上げたと思います。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そこでもう一点。外国人の同一性確認の手段として指紋押捺は有効だとおっしゃっている。しかし、ほかに目的ありますかという意味でいけば、犯罪を抑止するために指紋押捺制度というのは必要ですかどうかということについては、犯罪を抑止するためではなく、同一性の確認のために指紋制度が必要なんだ、こういう本会議での答弁をなすっているのですが、その点はこの委員会でも確認はできますね。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 本会議でお答えしたとおりであります。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そこで、要するに外国人の同一性確認のために外国人登録制度はあるんだ、犯罪の抑止のためではない、この第一原則、重要な原則だと思うのですが、そこを前提にしておいた上でお聞きをしたいと思うのです。  まず、日本に入ってくる外国人ですけれども、それに対しては、九十日未満の滞在する外国人は旅券で足りる、九十日以上一年未満の在留期間の外国人は登録をするけれども指紋は免除をされている、こういうふうになっておるわけです。そこで、旅券だけで在留することのできる外国人は指紋押捺の義務は、というか指紋押捺はさせていませんね。それはよろしいでしょうか、入管局長。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 指紋押捺させておりません。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうすると、要するに、一年未満の在留の外国人、旅券もしくは外登法でやっておられるそれらの方々について、同一性確認の手段として指紋が免除されております。必要ないということになっている。今そういうシステムでずっと運用をされてきておるわけですね。それで同一性確認について何らかの支障が生じていると言えますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 お答えいたします。   年未満の滞在者の外国人は、我が国の行政といいますか社会に関係する程度が余り大きくないので、わざわざ指紋をとってまで同一人性を確認しておく必要はないのじゃないかという観点から、一年未満の方の外国人については指紋の押捺を求めていない、こういうことでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 ちょっと答えがずれたと思うのですが、やはりパスポートを持たせるあるいは外国人登録をさせる、今そういうシステムで運用しているわけですね。しかしそれはどういう目的かというと、犯罪の抑止のためではないはずですね。外国人が日本で行動をするときに、その人の同一性を確認をするためにそういった制度ができているわけでしょう。現行制度の中でそういう同一性確認のために今とっている手段ですね、それは同一性確認の目的を達成していますかと、こういうことなんです。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 見方によりますけれども、ほぼ達成しているのじゃないかと思います。と申しますのは、例えばある目的のために一〇〇%、これが確実にそれを把握できるかどうかというと、指紋というのが最終的に一番いいわけでございますけれども、それぞれの目的を考えてみますと、一年未満の滞在の人にとっては、特に指紋を求めるというそういうことまでしなくても同一人性の確認というのは、今の手段でまあ行政目的は達しているのじゃないか、こういう考えに基づいているものでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そこで、もう一度確認しておきますけれども、九十日以上一年未満の外国人登録をしなければならない方々、これらは現実に今運用されているわけですけれども、指紋もない、それから署名も求めていません。それから家族登録などということもさせていません。しかし、それで九十日以上一年未満の在留者については同一性確認ができているわけですから、本来これでもいい、同一性確認のためにはもうこれで十分用が足りておるのだ、こういうふうに言うことはできませんか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 一年未満の人については、社会とのかかわりから考えても、その程度でよろしいのじゃないかというのが現状ではないかと思います。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうしたら、では今度は、指紋が残る方、一年以上在留の外国人でしかも永住者や特別永住者でない方々、そういう方々、イメージからすれば、大ざっぱに言えば青い目の人たちとかそういう人たちがこれに当たってくると僕は思うのですよ。そういう人々の場合には、その同一性の確認をするために指紋を押させなければいけない、それを続けなければならない、こういう制度を残すわけですね。そういった方々にどうしても指紋を押させないことには同一性の確認においてそもそも支障が生じますか。これはどうでしょう。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 実際問題として、多くの場合、指紋をもう一回押させて、そこまでしなければ同一人性の確認ができないというケースが多々あるかというと、今は写真も鮮明になっていますのでそういうケースは余り多くはないと思いますけれども、やはり指紋というのが本人の確認手段としては一番正確であるということでございまして、それを今回の新しい手段でもって置きかえるについては、永住者でない方については適当でない、こういう考えでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 同一性確認、どこまでもどこまでも突っ込んでいけば、そういう十分なものを欲しい欲しいと思えば、それはどこまでも進みます。しかし実際、同一性確認のために外国人登録制度はあるのですから、そういうときに指紋押捺をさせないことには同一性確認のために支障が生じますかという質問をしているのです。支障が生じることはあるのですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 支障が生じない、今ので大丈夫だ、指紋押捺にかわる新しい手段が永住者でない方にでも大丈夫だという自信があれば、その適用をできるわけでございますけれども、やはり支障がないと言い切れないところに今の制度を浅さざるを得ない、こういうことでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 支障がないとは言い切れない。では、具体的にどんな支障があるのですか。一つぐらい例を挙げて説明してください。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 お答えいたします。  同一性の確認と申しますと、まず第一に、申請の際に当人をその人だということで市区町村の窓口で受けて、それで登録をするということが始まりまして、その次にまた確認行為というものがございます。これは、五年後にもう一度登録内容につきまして間違いがないということで登録の内容を改めるといいますか、そういう手続があることは先生も御承知のとおりだと思います。  その確認のときに、出頭した方が果たして前に登録した方と同一であるかどうかということにつきましては、多くの場合は写真の提出もございますのでそれで十分というふうになるわけでございますけれども、厳密にこれを詰めて考えてまいりますと、やはり容貌の変化等がありまして、果たして本人であるのか、その他身分事項をいろいろ照会してももうひとつはっきりしないという場合が当然それは想定はできるわけでございます。そういうときに、果たして本人であるかどうかということを厳格に確認していこうと思えば、絶対的な手段としてやはり指紋押捺というものが有効であるということには変わりないわけでございますので、そういう意味で指紋押捺は依然として有効性があるというふうに考えているところでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうしたら今度は、同じ一年以上の在留の方の中で、永住者、特別永住者には指紋を廃止した。しかもこれは、犯罪抑止のためではなくて同一性の確認の観点からのみ考えても、指紋は要りません。それで支障はないですという措置を今回の法案はやるわけですよ。  そうすると、一方で指紋を押す人がいる。それはなぜかというと、指紋を押しておかないと行政において支障が生じるという説明をなすっている。他方では、永住者、特別永住者の方には指紋を押させなくても同一性の確認には支障がないからこそそういう手段に今度踏み切ったと思うのですね。両方の間に取り扱いにおいて著しく不合理な差別、不合理な区別と言われるものが一見して存在すると僕は思うのですが、その点はどう説明されますか、ちょっと聞いてみたい。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 御指摘のとおり、永住者、特別永住者とそれ以外の方との間で同一人性の確認の手段として別な手段をとるというのがこのたびの改正案でございますから、外形的といいますか、手段そのものを対比してみれば明らかに違いがございますが、それが果たして不合理な、必要のない区別であるのか、差別であるのかということがまさに問題だと思います。  目的は、私どもはやはり同一人性の確認の手段として有効であるかどうかという一点に絞ってこの手段を考えているわけでございますので、指紋押捺を必要とする理由については、永住者以外の方のことについてちょっと申し上げました。  それから、永住者の方につきましては、ちょっと事情が違うのは、日本に長年住みついておられるということからして、その人がその人であるということを特定するのに、その人については多くの材料が存在するということは間違いないと思います。これは日本人の方でも、と言うと変ですけれども、日本人の場合ですと、長年、先祖代々おりますから、特に何か特別なことをしなくても、その人がその人であるということは近隣の方から聞いてもすぐわかるということでも明らかでございます。永住者の方はそこまでいかないにしても、とにかく家族関係あるいは近隣関係、その他社会関係が非常に深まっているということからしまして、その人の特定ということについては指紋押捺によらなくてもほぼ十分確認ができるのではないかというような考え方から、指紋押捺制度というものをその方々についてはこのたびはとらないことにしてもよろしいのじゃないかという結論に達したわけでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 余り合理的な説明とは私は思えません。だが、ちょっと前へ進めます。  今回の措置は、何も日本国内の法律の改正だという視点からだけでは見てはいけないのですね。いわゆる国際人権規約B規約というのがございます。これは市民的及び政治的権利に関する国際規約ということでございまして、国際人権規約B規約、我が国もこの規約をもちろん守って行動する、守って法律もそれに適合させる義務があるのは当然だと思うのですが、その点について法務省の意見をちょっと聞いておきます。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 我が国が締約国になっておる条約でございますので、もちろん守る義務もありますし、それに拘束されているものでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そういう国際的な約束との関連でこの法案も検討しなければならぬと思うのです。  その国際人権規約B規約については、本法に関係することとして二条あると私は思います。  一つは第二条、いわゆる内外人平等と言われるもの。これは日本人も外国人も基本的に平等に扱おうという考え方。そしてもう一つは、日本におる外国人についても、外国人相互の間に要するに差別や区別があってはならぬという意味で内外人平等の原則がここに書かれております。  それから第七条は、「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。」こうなっている。そういうふうな意味で、外国人登録のようなところで指紋押捺をさせるということは国際人権規約の目で見て「品位を傷つける取扱い」という第七条の規定に抵触しているのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、法務省の方はその点はどのようにお考えになっていますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 お答えいたします。  この法案の、改正案の提出に当たりましては、これから改正すべき内容が日本国憲法に合致するものであるのか、あるいは国際的な取り決め、国際条約、国際慣習法、特に今先生が御指摘になりました国際人権規約の規定に照らしてこれが抵触するものであるかどうかという観点からも検討いたしたところでございますが、今回この法案の中で提案しております永住者及び特別永住者について写真、署名及び家族事項の登録という新たな同一人性確認手段を採用することによって、新たな手段と指紋押捺の手段が、永住者と非永住者の間に二つの制度が併存するということになりまして、これは今先生から外国人の中で不合理な差別ではないかという御指摘ですが、これは外国人の定着性という違いに基づくものでございまして、いずれにしても外国人の同一人性の確認手段としては必要かつ合理的な制度であるということで、仮に同一人性確認手段が二つのグループの人たちで違っていても国際人権規約に反しないというふうに考えている次第でございます。  それから、指紋押捺をさせること自体が人権規約に反するおそれがあるのじゃないかという御指摘でございますけれども、もちろんみだりに指紋押捺をさせるということは問題ではございますけれども、「外国人の公正な管理に資する」という目的で同一人性確認のためにとっている手段でございまして、これは合理的な理由があるというふうに私たちは考えておりまして、これも国際人権規約に反することにはならないという結論を得て今回この法案を提出した次第でございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 私はそういう解釈はとりませんが、見解の相違だから、そういう解釈ではもうもちませんよ、将来必ずすぐにそういう解釈はもたなくなる、国際的に通用しなくなるよということを指摘しておきたいと思うのです。  そこで、諸外国の指紋押捺制度についてお聞きをしておきたいと思うのですが、これはこの間法務省からいただいた資料です。指紋押捺制度を採用している国が全部で十八カ国、指紋押捺制度のない国が二十七カ国等々の調査になっているようでありますが、これはもう一見してわかることです。指紋押捺制度のない国の中にはヨーロッパ、ヨーロッパは人権保障については先進国の一つだと私は思うのですが、ヨーロッパはほとんど指紋押捺制度はありません。それから近隣諸国でも、隣の中国はないですね。それからインドもない。一方、指紋押捺制度を採用している国、ここに指摘された十八カ国を見ていましたら、これは自国民にも指紋押捺をさせているから外国人にもさせましょうという国ばかりでありまして、例外になっているのはアメリカだけです。その他はミャンマーとエジプトがよくわからないのですよ。ミャンマーとエジプトが自国民にも押捺させて外国人にもさせているのか、これはよくわからないけれども、要するに指紋押捺をさせているほとんどの風は自分の国民にもさせているんだから外国人にもしてもらいましょうという論理の立つ国です。しかし、指紋押捺を外国人だけにやらせているのは、目立ったところではアメリカと日本というようなところで、あとほんの数カ国くらいあるのかないのかというような制度です。こういうのが世界の指紋押捺制度の趨勢でありまして、もう勝負ははっきりついていると私は思うのです。  そこで、大臣もその表を見ていただいて、指紋押捺の制度のない国を大体イメージアップできると思うのですが、今の日本の置かれた状況、非常な勢いで国際化しておる、国際社会の中の日本はどうあるべきかということは毎日のように問われておるわけです。今日本にとって一番苦痛なのは、いわゆる日本たたきと言われる現象、いろいろなところでこういう摩擦現象が起こっています。その中で一番出てくる例えば修正主義者、リビジョニストと言われるような痛烈な日本批判者は、要は日本というのは違った国なんだ、我々ヨーロッパやアメリカとも違う国なんだ、特別な国だから、こういう特別な国については国際社会の中から、要するに端の方に置いておけばいいじゃないかというふうな荒っぽい議論も出てくるような現状であるわけです。  日本が特別な国である、国際社会のルールが通用しないんだと言われるものの一つに、今度の指紋押捺制度を一部残してしまったというふうなこともまた絶対指摘の対象になってくると私は思います。したがって、法務大臣、あなたはそういう国際認識、感覚を持って、この指紋押捺制度を一部残したことについて、国際社会の中の日本のありようからいって一体どう思われるのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私も今先生と同じ資料を見ておりまして、確かにおっしゃるようなところもあるなと思って見ておりましたが、要するに外国人の出入国、在留あるいは外国人登録の方式は、それぞれの国の置かれた地理的、政治的な環境、諸事情によるものであって、必ずしも一定の法則はない、基準はないような気がするのですね。それで、ヨーロッパは確かにないのが多いと言われましたけれども、これも歴史的に見ると、ヨーロッパという同一圏内で、言葉も発生的にはラテン語とかなんとかさかのぼっていくと近い言葉であるし、交通、通信の発達していなかった時代はその辺が一つの圏域であったわけでありますから、そういう歴史的なあれがあるのかなと思ったりしております。  最後におっしゃられたように、国際化の中でどう思うかとおっしゃることについてですが、一年未満の人たちは、いわゆる一過性という表現がいいかどうかわかりませんが、通過していかれる人たちですからそこまではできないだろう。それから、同一人性確認の手段としては指紋が一番いいんだということで全体にしたいんだけれども、定住性のある人たちは他の材料等で同一人性の確認がほぼ十分であろうからあの手段でいいんだろう。そうすると、残る一年から三年未満の短期滞在者といいますか、この人たちに残すということは、日本としての歴史的、地理的な条件から見て、今までの歴史的な観点から見て、心を使いながら実施していけばこれは許されていい範囲ではないかなと感じます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 百歩譲った議論をしたいと思うのです。今回政府がこういう制度をおとりになった。参考人の御意見を聞いていても、できたら全廃してほしい、しかしもしそれがかなわぬならば今回の指紋一部しないという措置はぜひともやってほしいという御意見が出たと思うのですね。ですから、そこは政府・与党が多数をとっておる議会でございますから、仮に今回そういう措置で一部残しておくという制度をとったとしても、今後将来、しかも私が先ほど指摘した近い将来、やはりそういう指紋を残したものについては特別永住者等も含めて同じようにできるだけ近い将来これもなくしていくという方向で、法務省も要するにそういう問題意識を持ってこれから努力していく、そういうふうなお考えはお持ちでないですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  現時点ではこの改正案が最良と信じて選択したわけでありますけれども、将来、社会情勢が変わったり国際化が一層進展したりというようなときに制度の運用実績等を踏まえて検討を続けていくことは、所管官庁として当然ではないかというふうに考えております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 次の問題に移りたいと思うのですが、今度の法案が通った場合、政府案が通った場合のことを想定して、私どもの方の対案で、いわゆる法案が通った、そうすると法律を公布する、そしてそれから施行をする、その間に若干の時間があるわけですが、その間に十六歳になって現行法に基づいて指紋押捺をしなければならない対象者、こういう人の問題が私は実はあると思うのですね。本来、もし施行の日以降に十六歳になれば指紋押捺をしなくてもいいいわゆる特別永住者のことを指しているわけですが、そういう人が公布と施行の間の若干の時間の間にたまたま十六歳になったために一回指紋押捺をしなければいかぬというふうにやるのは、この法がせっかく通った、公布をされておるというふうなことを考え、それから十六歳という青少年、この青少年が犯罪者でもないのに犯罪者のような印象を持つ指紋押捺をさせるというふうなことは、私は余りにも、関西弁で言えばえげつない措置になりゃせぬのか。だから、法のつくられてきたそういった性格からして、通った場合の話ですよ、対象者については何とか指紋押捺を免除するということをできないものかな。我が党でもやっておりますが、その点については法務省当局、いかがでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 今回この法律が成立いたしますと、実施のために相当時間がかかるわけでございます。これは、機材の調達とか、それから全国各市区町村の職員に対する研修だとか指導だとか、そういうことでかなり時間がかかる。今のところ半年はかかるというふうに見ているわけでございます。そうしますと、どうしてもその間にギャップが生ずる。ある法律が成立して一つのシステムが新しくできますと、どうしても切りかわりのところでそれの前の人と後の人に差が出るというのはやむを得ないことでございまして、今回その期間に十六歳になる人についても、今委員御指摘になった思いといいますか、そういうのは理解しないわけではございませんけれども、法のシステムとしてそれはやむを得ないのではないかというふうに思っております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そんなかたいことを言わぬで対応していただきたいことを要請をしておきたいと思います。  そこで、ちょっと次は罰則と過料の問題についてお伺いしておきたいと思います。  これは、外登法に関しては罰則がびっちりと残っている。ところが、同じような登録システムは我々日本人も実は受けておる。戸籍と住民基本台帳、この二つの制度によって我々も登録をやっておるわけですね。そこで、それを並べあわせてみて、我々にはもちろん、例えば出生届を出さないときにはそれで罰則がくるわけじゃないのですよ。いわゆる過料というのは払わされるけれども、その程度のものである。こういう処置になっているけれども、外国人の場合にはそれをやらないと罰則がくる、懲役刑の罰則がくるということで、その取り扱いのいわゆる差別性というか区別性は歴然としておるわけです。  そこでまず、戸籍や住民基本台帳、これはいずれも出生届とか死亡届等を出させるものですが、これがこの制度をやっている場合の根幹部分だと思うのですね。そういう制度であっても、それに違反した場合三万円以下の過料ということになっているわけです。これは、日本国民それでやっておるわけですけれども、この制度、もし違反があった場合は過料を受ける、しかし罰則は受けない。そういう意味では、制裁は非常に軽いわけです。罰則なしでもこの戸籍法や住民基本台帳法に基づく制度、システムは極めて円滑に、うまく制度として運用されてきたし、現に運用されているというふうに評価していいのではないかと思うのですが、その点、法務省のお考えはいかがですか。これはどこか問題ありますか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 今、日本人に関して出生等の届け出が戸籍法、あるいはその他の居住関係が住民基本台帳法というものに定められ、それの義務に違反した場合の制裁が過料で済んでいるということで、今守ろうとする秩序がそれで十分いっているかどうかという御指摘だったかと思います。確かに、私はそちらの方の専門ではございませんので、どれほどいろいろな違反があるのかということはちょっと把握しておりませんけれども、聞いたところではそれで秩序が保たれているというふうに、感触でございますから、正確な件数がどうのこうのということはちょっと根拠として私も挙げられませんが、さしあたり私の感触だけ申し上げておきたいと思います。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 それは、戸籍や住民基本台帳が過料の制裁しかなくてもうまく制度として機能しておるのは、実はこの制度の目的がそうさせているのだと私は思うのです。例えば、住民基本台帳法の第一条の「目的」によりますと、この制度をつくる目的は「住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。」そういう目的なわけですね。主として住民の利便のためにあるということがあるからこそ、国民はそういう登録等の手続に応じてやっていると思うのです。実際そうでしょう。住民基本台帳から証明をもらって住民票をもらう、それはいろいろな契約に使われる、あるいは印鑑証明、印鑑登録の制度につながっていくという利便性があるからやっているわけですね。したがって、制度は支障なく動いておる。  そうしますと、今の外国人登録制度ですけれども、外国人登録法によれば目的は管理するとなっているわけであって、外国人のための利便のためにとは目的はなっておらぬわけですね。しかし実際上のところは、今の制度では外国人にとっても日常のいろいろな諸行動に利便になって使われている面は事実上、実はあるんじゃないんですか。私はあると聞いているんですけれども、それはどんなものがあるか、ちょっと指摘しておいてください。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 先生の御質問のどういう分野でというお話になりますと、各市区町村におきます教育行政あるいは福祉行政その他年金保険関係もそうでございますが、そういった関係で外国人登録というものが有効に活用されているということは承知しております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうですよね。契約一つするにしてもちょっと住民票を持ってこい、住民票は実はないから外国人登録済証というんですか、そういうものを市町村から発行してもらって出す。それから印鑑登録とか印鑑証明制度にもつながっていっているというふうに聞いておりますよ。そういう意味で、登録しておくということは日本人もやっておる、外国人も同じように経済活動をやっているんだからそれはおやりになる。そういう利便性があるなら、やらなければ結局自分の経済社会活動において損をするということになれば、それはやるでしょう。  そういう観点からすると、外国人だけを罰則つきで強制するという一辺倒で今きているわけなんですけれども、罰則つきで今度の外国人登録制度をまた維持するというやり方はへ実は実際上のところもう実態にも合わない、破綻している。日本人の戸籍法なり住民基本台帳法と同じように過料で扱うということによって足りるんじゃないかと私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 外国人登録の機能といいますか、そういうのは決して一元的なものじゃなくて、「外国人の公正な管理」というものの延長線上に、今言ったようないろいろな面での外国人本人にとって利益になる利用の仕方というものがされているというのは事実でございます。しかしながら外国人登録制度そのものの趣旨というものは、外国人登録法第一条に書いてありますとおり「外国人の公正な管理に資する」ということでございまして、その「管理」というものの中に今言ったような福祉関係、教育関係も含めまして、いろいろ多目的的に使われるかもしれません。しかしながら根っことするところは、やはり外国人の管理というのは、すなわちその身分関係、居住関係をはっきりと把握しておく、そのことによって日本の国益を保護するということにあると思います。  日本人の場合は当然に日本国に居住し、ここから追放されることはございませんけれども、外国人の場合は日本国家の許可のもとに初めて在留することができ、国益に反する場合には国外に追放するということがまさに国の基本的なものでございますから、そういう意味で外国人をしっかりと管理しておくということは重要な国益でございます。したがいまして、そのために登録の義務を課するということは、国益推進、国益維持という観点からしますと非常に重要なことでございますので、これに違反したということは、すなわちその可罰性といいますか違法性というものは、日本人が戸籍法上の義務を違反した場合に比してはるかに可罰性が強いというふうに考えなければいけない。そういう意味で、決して行政罰で済ませ得るものじゃなくて、刑罰をもってこれを強制するに値するものであるというふうに考えられるわけでございます。そこが外国人登録法で各種の義務について刑罰を科しているゆえんでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 それはもう古い。それは今までの古い管理的な発想のものであって、これからの国際社会ではそんなのではもう通用しませんよということを指摘しておきたいと思います。  そこで、次にもう少し別の問題に移しますが、今度、指紋押捺が廃止をされる。そうすると、これまでいわゆる指紋を押させていました、押させていたその指紋を一体どうしますか。私どもは、その指紋は、もう制度が必要でなくなった、これから廃止すると言っているんだから、じゃこれまであった残っておる指紋、そういったものの記録はいわゆる廃棄をする、それが当然の道筋だと実は思うのです。  これは調べてみたら物すごくややこしい何段もの手続になっておるようですから、ちょっと細かく聞きます。登録手続をやったときには、登録証明書調製用原紙とか指紋原紙それから外国人登録原票、大体この三つが、時期はずれても最終的には法務省へ来るはずですね。今指摘したものはすべて指紋がついておるわけですよ。これらの指紋のついた書類、これは今度この法律が通った後はどういうふうに処置されるおつもりですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 御説明いたします。  先生も御承知のとおり登録原票は市区町村において保管しておりまして、指紋原紙は法務省において保管しております。この外国人登録法改正後において永住者、特別永住者が新制度に移行するまでの間というのは当然、指紋の押捺されております登録原票、指紋原紙の保管は必要でございます。指紋原紙につきましては制度上、採取手続をとりましたら法務省へ直ちに送られできます。登録原票はそのまま現在は市区町村に保管されます。調製用原紙というものがございますが、それは現行の取り扱いではあくまでも外国人登録を調製するための原紙でございまして、それは用済み後は現地で廃棄をしております。それは法務省には回収はしておりません。ただ、今後少し、調製用原紙と指紋原紙というのを同一にするというようなことも事務の合理化の上から検討していかなければならないか、まだ決まったわけではないものですから、その辺は今後どうなるかということは検討中でございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 じゃ、これから制度が入ってくる、そしていわゆる指紋押捺の必要のない人は署名で足りるわけですからそういう手続に入っていきますね。そういうふうな手続が進行していった場合、その当該の人に係る指紋原紙、これは将来どうするのですか。これは残しておくのですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 ただいま登録課長から説明いたしましたとおり、永住者、特別永住者について仮に新制度の方に移行した場合におきましては、完全にもはや指紋というものが使用されないという状態になりましたときは、保管しております指紋原紙ですか、これについてはやはり廃棄する方向で検討しなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうですね。それはそれでいい。廃棄をしてもらわなきゃいかぬ。  それから、次は外国人登録原票です。外国人登録原票というのは、手続は全都市町村の窓口でやっていますから、大体そこで保管をしておる。今度書きかえが進んでいくということになると、その書きかえをする都度、登録原票というのは、これは機関委任事務のはずですから、法務省へ順次市町村から送られできますね。それで、外国人登録原票というのはあなた方が保管することになります。この将来出てくる外国人登録原票には、既にもう指紋を押捺した分があるはずですから、その原票にも指紋は入っておるわけですね。その登録原票はどういうふうに扱われますか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 ただいまの登録原票中の指紋というのは登録原票と一体となっておるという関係がございまして、これは登録原票の保管という中に含まれて指紋も保管されるということが一応考えられるわけでございますけれども、指紋制度が廃止されるということになりますと、その取り扱いということについてやはり何らかの措置が必要ではないかということは、我々も問題意識を持って今検討しているところでございます。最終的結論にはまだ達しておりませんけれども、保管の現在の状況等を考えますと、完全に指紋を消してしまうということが物理的にあるいはいろんな面から妥当なのかどうかということについては、もう少し慎重に検討してみたいなと考えております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 実は、指紋は、今現在市町村の窓口に備えられている指紋原票と言われるもののほかに、長い間日本に住んでおられる方の場合は、例えば記載事項が満杯になった場合には新しい指紋原票にまた引き続き書いていきますね。そうすると、古くなった指紋原票というものは、その都度市町村から法務省へ実は上がってきていたはずだ。そうですね。そういう意味で、その人の指紋、長くおればおるほど指紋が、ずっと続いた原票が何種類もできて、それはずっとたまってきたはずなんですが、そういうふうにたまってきて法務省に既にある原票、これはこれまでどういう扱いをされてきましたか。そのまま法務省に残っておるんですか、それとも廃棄をして何かほかの手続をとっておったんですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 ただいま先生から指紋原票とおっしゃられましたが、登録原票ということで、登録原票はただいま先生から御質問がございましたように、逐次累年式になっておりまして記載をするようになっております。記載が満杯になりますと新たな登録原票に書きかえるという作業をしておりまして、書きかえ済みの登録原票は順次法務省にですか回収するということにしておりまして、回収しました登録原票はマイクロフィルムに撮りまして、これは地方に置いておきますと散逸するとか場所の問題、保管の問題等がございますものですから、回収しましてマイクロフィルム化して保管をしております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうすると、今までの登録原票はマイクロフィルムに写しているわけですよね。では、マイクロフィルムに写した段階で登録原票はどうしたんですか。廃棄したんですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 マイクロフィルム化した段階で登録原票そのものは廃棄をしております。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 そうすると、今後制度の切りかえが行われる、そして署名で足りるようになって、今市区町村の窓口にある登録原票は、その都度法務省にやってきたら今までと同じ処置でそれはマイクロフィルムにおさめて、そして原票そのものは廃棄をする、こうなるんですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 同じようにマイクロフィルム化しまして廃棄するという処置をとるということになると思います。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 局長、ちょっとこれ、そういう方法になるかどうか確認してください。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 そのような今までどおりのシステムが続くということで、マイクロフィルム化された後のものは、それはこれまでどおりで、廃棄されるということになると思います。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 したがって、結局マイクロフィルムに登録原票が今までの分全部残っているということです。そして、先ほども御指摘のとおり、登録原票は氏名とか住所という記載事項が、普通右端かな、とにかく登録原票の一部に指紋を押させる欄があるのですね。ですから、登録原票で、日本人で言うと住民基本台帳や戸籍に書かれているような記載事項が書かれている欄の右端の一部に実は指紋が押されている。そういう意味では一体の紙になっているわけですね。私は今まで、原票というのはそういう紙なんだから、都合が悪いとするなら指紋の部分だけ切って外してしまえばいいじゃないかというふうに実は考えた。しかし、どうも制度からいうとそうではなくて、マイクロフィルムの中に写し込んでしまっている。しかも今後もそういう処置でマイクロフィルムに写し込んでいくということになるから、仮に今後指紋部分をなくそう、消してしまおうというふうに考えた場合は、私は技術的な問題が出てきたのじゃないかと思うのです。  その場合には、登録記載事項で残しておかなければならないもの、事実上利便に当たるようなものもあると私は思うが、そういうものは残しておかなければならない。しかし指紋部分だけはそのマイクロフィルムになっておるものからどう消すのか、そういう方法をとるのか、それともいっそのことマイクロフィルムのものを全部毅滅して、指紋も記載部分も全部段滅しなければいけないのか、こういう問題が今技術的に出てきているのじゃないかと思うのだが、こういう整理でよろしいでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 私が先ほど登録原票の今後の取り扱いについて慎重に検討していると申し上げた趣旨は、まさに先生が御指摘になったような、既にマイクロフィルム化した中に入っているものを果たして抹消できるのか、その措置にどういう手段が必要なのか、そしてまた、そもそも登録原票の一部になっているものを抹消することでこの制度の維持のために何らかの支障がないのだろうか、そういう点の慎重な検討が必要ではないかということで今直ちに結論を申し上げられなかったということで、今後検討してまいりたいということでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 では、その指紋部分のところだけれども、マイクロフィルムのところで消すというやり方は技術的にどうなんですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 マイクロフィルムと呼ばれているごとく、二十五センチ平方のものが一センチ少し欠けるくらいのものに縮小をされるわけですから、指紋部分のところを抹消するということになりますとまさしくマイクロ的な技術を要するわけでございます。少しの数ですとやってやれないことはないのですが、多数になりますと結学修正液を使いまして抹消する、また除光液をやりまして保存をする、水洗いをするというような作業をするわけでございまして、指紋部分のみならず、ほかの身分関係、居住関係等の部分も損傷されるおそれが非常に多いわけでございます。制度の面はともかく、技術的に見ましても極めて困難といいますか、ほとんど不可能ということでございます。

松原脩雄日本社会党・護憲共同

○松原委員 話が大変科学技術的な、ミクロ的な話になってきたようでありますが、既に指紋制度が意味をなくしたというふうな制度がこれから入るというのですから、そういうときには、残された指紋がそのまま存続するというのは、残しておくのはやはり大変よくないと私は思うということだけ指摘して、あとは、そのマイクロフィルムを含めた部分についてどのように取り扱うかは今後また引き続き検討させていただきたいということをつけ加えまして、時間が参りましたので質問を終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 鈴木喜久子君用

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 引き続き私もこの問題について、まず大臣から伺っていきたいと思います。  もう既に同僚議員その他からもたくさん同じような質問を繰り返ししているところでございまして、ですから私も、どうしようかと思いました。しかし、やはりどうしても私の口からお聞きし、大臣の口からお答えいただきたいということがございまして、多少重複するところがあると思いますけれども、その点よろしくお願いを申し上げます。  今回の法の改正の趣旨の前に、この外国人登録法という法律の立法の趣旨から伺いたいのです。そもそもこの外国人登録法というものは一体どういう目的で設けられたものなのか、大臣どのように認識していられるか、そこからお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 大切な法律でありますので、法律の専門家からまずお答えして、その後払お答えさせてください。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人登録法の趣旨はいかがかということでございますが、本邦に在留する外国人の居住関係及び身分関係を明確にして、在留外国人の公正な管理のために必要とされる正確な資料及び情報を提供することを目的としておるものでございまして、外国人登録により在留外国人の実態が把握されるものでございます。  しかし、この法律の第一条に書いてございますとおり、「管理に資する」ということでございまして、管理自体を目的にするものではなくて、外国人の出入国、滞在はもとより、在留外国人の福祉、教育、徴税、その他各種の行政さらに司法分野における在留外国人の公正な管理に役立たせよう、そういうものでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 今おっしゃったような趣旨というのがそもそものものであったとは到底考えられないような現状があるわけで、今回の改正は、それじゃ何のために行われたのかということになると思います。厚生、福祉ということよりも、「管理に資する」。「管理に資する」ということと管理するということと違うのかどうか、その点も含めまして大臣からお答えをいただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 非常に難しいということを私も感じますが、「管理に資する」と「管理」とは、違う部分と重なる部分とあって、同心円なのか交わった円なのか、円と円が全く直径が同じで中心が同じで一緒になっているのか、その辺はちょっとわかりかねますが、大変重要なものであることは間違いありません。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人の管理ということに関して申し上げれば、外国人登録法と出入国管理及び難民認定法、この二つの法律が関係してくるわけでございますが、入管法が日本人、外国人を問わずその出入国の公正な管理を目的としておりますのに対して、外国人登録法は在留外国人を対象としておりまして、先ほども申し上げましたように、その居住関係及び身分関係を明らかにすることにより、入管法の対象としている外国人の出入国管理を含めまして、各種の行政分野における在留外国人の公正な管理に資する、そういう関係になっております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 何かよくわかりません。「管理に資する」か管理するか、そのあたりが同心円か同心円でないかはともかくとして、大臣のお答えそれから今の局長のお答えの中でも、管理が重要な部分を占めているということだけは事実として浮かび上がってきているように思います。  そして今回の改正でございます。この今回の改正について先ほどからの、前回のときからのお話をずっと考えますと、指紋が一番同一人性の確認のためにはいいのであるというその前提から出発されていて、なぜそれじゃ今回そうでないいわゆる三点セットと言われるような代替手段をとられるということをされるのですか、これほどのいろいろ重要な問題で。もし、同一人性確認のために指紋が一番よくて、しかもそれが福祉、厚生とか外国人のこれからの生活に資するということだけに関連があるとするならば、何ゆえにこれを改正されようとするのか。今回の改正の必要性またその理由というものについて、はっきりとやはりこれも大臣からお答えいただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  外国の方が日本に住まれた、その方がいわゆる自分が自分だというときに、それが本当であるかどうかいわゆる同一人性が確認されなければならないわけでございますけれども、先生もおっしゃっていただいたように、過去いろいろ医学的、物理的その他歴史的に見ましても指紋が最も有力な、有効な手段であったことは間違いないと思うのです。これは人によって全部違う、終生変わらないということが指紋の特徴であります。  しかし、本邦に定着性のある人、それは永住者、特別永住者でありますが、そういう人たちにはいろいろな材料がありますから指紋を押さなくても同一性が確認しやすいということで、鮮明な写真、署名、家族事項等の登録によって代替手段としようというふうに考えたわけであります。そういうふうに至った経緯としては、前の国会の附帯決議があったり日韓覚書の趣旨があったりして、それに従うためにこういう方法を最小限度考えついたわけであります。  ただ、除外例をつくったのは、観光その他で非常に短い期間滞留する人、これは全く本当の一過性で、かすって通るような感じの方々ですからそれは不可能にも近いだろうし、一年未満の在留者の方は一年という非常に短い期間でいずれ本邦から出ていく人たちでありますので、指紋を押させてまでやる必要はないんじゃないか。それから、定着性のある方々は、先ほど申したように、永住者、特別永住者の方には指紋にかわる手段のものをやってもらう。  一年から三年という期間の方は、定着性にはちょっと欠けるし、一過性でもない。この方たちには、一番確実な手段としての指紋を用いるのが過去の歴史から見て、指紋を押していたものを外していくわけですから、その部分は今回は残していきたい、こういうわけであります。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 今のお答えでもはっきりわからないところは、前の改正のときの附帯決議、それから日韓での覚書、そういうものによって今回この指紋制度をある程度外すということをされたというふうに伺って、これは一つの経緯だろうと思います。しかし、その経緯だけで機械的にこういうのがあるからしようとか、日韓の覚書でこういうふうになっちゃったからしょうがないからやろうというのでは、これは単なる機械的な問題でございまして、どうしてそういった附帯決議やら覚書やらが出てきたのか、そこに指紋押捺という制度についての、これはやはりマイナスである、これは人権問題にかかわるものなんだというそういった認識がない限り、前のときの附帯決議だって出てくるわけがないわけでございまして、この指紋押捺ということについて、これが人権、プライバシーにかかわる権利を損なうおそれのあるものであるという認識があったからこそ今回の改正にもなったんではないかと私は思うんですが、この点いかがでございましょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 経緯といたしましては、先生今御指摘のように、先回の六十二年の改正のときの法務委員会における附帯決議及び日韓外相間の覚書ということでございます。  しかし、その背景に、よく見ればもっと何か哲学といいますか、そういうものがあるんじゃないかという御質問でございますが、私たちといたしましても、同一人性の確認というこの行政目的を達するために何が一番いいのか、特にいろいろ御指摘がありましたように、指紋押捺というものについては心理的な反発といいますか、そういうものを感ずる人もいる、こういうこともございまして、こういう理由があるからこそこの附帯決議があり、かつ日韓覚書の中でもうたわれたわけでございまして、そういうことは我々もちろん承知の上で、この制度を運用するにはどういうのがいいのかという不断の検討の結果、写真と署名と一定の家族事項によって、心理的圧迫感といいますか、そういうものがより少ないものにかえられるんじゃないかというふうに、技術的手段としてそういうことは言えるかと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 心理的な圧迫感、心理的な反発、そういったもの、要するに自分の心の中というところにずかずかと土足で踏み込まれたくないというそうした権利がプライバシーの権利であることはもう政府の方に申し上げることもないんですけれども、そういったものを侵すおそれがある、何かしらそういう形でそこの部分を土足で踏み込むような、神経をざらつかせる、そういったものとしてこの指紋押捺制度があるという認識の上に立って、そしてこれまでの経緯ということから今回の改正ということになってきたわけだろうと思います。  前回の質問のときに同僚議員が、仙谷議員だと思いますが、質問したことに対し、大臣が人権問題とはとらえていないという御答弁をされたようですが、その点については明確に人権問題ととらえていないということではなく、ただいまの高橋局長の言われるような意味であるならば、やはり人の心というものを、押させる側は管理するという形でいうならば一番いい方法というのがあるにしても、それを強制される側の人たちの気持ちというものを考えた場合には、やはりそこに一定の何らかの代替措置をとらざるを得ない、そういった問題はやはり人権問題ととらえる姿勢ではないかというふうに思うのですが、この点、大臣いかがでしょうか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  確かに、指紋をとられるときに心理的な負担とかいろいろなことを感じられる人がおられるわけですから、人権問題と感ずることがあってもやむを得ないと思う点があるわけですけれども、この法律をつくるに当たっては建前としてはとにかくそのようなことで今回の改正をやったのではないのです。しかし、人権問題という観点を頭から外してしまってやったのではございません。念頭に置いてやったこともまた事実であります。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 その点をぜひこれからも強調し、近い将来この問題については全面的に人権問題の観点から、またこのもともとのでき上がった外国人登録法というものの趣旨が、先ほど言われたように「管理に資する」とか管理の部分というのを取っ払った部分で、厚生、福祉ということに役立つものとしての観点からの考え方をぜひ近い将来にしていただきたいと思います。  それも含めて、この問題について、先ほど来出ております定着性ということにかんがみる考え方から、永住者また特別永住者と言われている方々に対してのみ指紋押捺という義務を外すという今回の改正でございますけれども、この定着性という問題、定着性というのがあるからこそ代替ということが成り立つんだというような、そういった論旨を私は再三伺っているわけです。では、定着性というのは一体何なのかということになります。永住、特別永住という形で法的にいろいろな経緯から認められた人だけに定着性というものが果たしてあるのか。そうでなくてほかにも定着性といったらば、この日本に長年住んで日本の中で生活をし、先ほど大臣の言葉で一過性とか走り抜けるように打っちゃう人とかそういう人ではなくて、ここで生活をし経済活動をしながら生計を立てながら何年もここに住んでいる、こういう人についてこれを定着性があると言わないのであるかどうかという点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 定着性とは何ぞやということでございますが、今先生からかなり具体的におっしゃっていただいたところが多分当たるのじゃないかと思いますが、私たちが考えております定着性、この指紋押捺制度の廃止のクライテリアとしての定着性というものは、我が国に長年在留することなどによりまして生活基盤を築かれ、我が国社会と密接に結びついて堅実な社会生活を営んでいる状態というふうに言えるのじゃないかと思います。特別永住者の方は、歴史的にいいましてもずっと日本に長く住んでいた方及びその子孫でございます。それから永住者というのは、法務大臣によってそのようなものにある者として特別に認められて永住許可をもらっているということで、このような外国人は我が国社会との有機的開運が相当強くて、親族、知人、友人等多数の関係者が存在しているというのが通例ではないかと思われます。そうしますと、この前の六十二年の衆議院の法務委員会の附帯決議にございました指紋押捺にかわる新たな代替手段を開発せよということで私たちが検討してきましたこの新しい手段というものは、こういう方々については十分に有効に適用、働くものではないか、こういうふうに考えた次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 特別永住者と永住者についてはそのとおりだと思うのです。でも、そこから外れている人たちの中にも定着性という意味でいったらある人がいるのじゃないかということをお聞きしたのですが、例えば特別永住に当たらなくなってしまった人たち、要するに戦後一時帰国してこちらにまた入ってこられた人たち、それから在旧韓国人の政治犯、それから再入国の許可なしで、例えば指紋押捺拒否やいみいろなことがあって、一遍永住権を持ったけれども、その後再入国の許可なしに表に出てしまって、またこっちへ入った、再入国された、こういうような方々というのは、やはりその中でも日本に定着した一つ一つ、知人もあれば経済的な基盤もある、そういった具体的なことでいうならば、そういう人だって定着性という意味ではあるのじゃなかろうか。こういう人たちは今回の指紋押捺義務をなくすということからは外れてしまう人たちになるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 定着性の意味につきましては、先ほど局長から御説明を申し上げたとおりでございますが、先生御指摘のような、長年日本に住んでいた方で一時、再入国の許可をとらないで、あるいは再入国期間が切れたとか何か、そういうことで永住資格を失った方とか、そういう方は確かにおられるわけでございます。そういう方がかっては日本社会に定着性を持っていたじゃないかという事実をどう見るのだという御指摘だと思いますが、確かにそういう面がございますけれども、日本での居住、在留というものを断念して一時出ていかれたという方でございますから、その限りではその定着性というのは一たん切れるわけでございます。  また帰ってきた、その後、もとのいわゆる社会関係あるいは近隣関係その他が復活するじゃないかという問題があってまた定着性が出るんじゃないか、こういう御議論になりますと、そういう方は、過去のそういった事跡がきちんとしておれば、また改めて永住資格というものは比較的容易に取り得る地位におられる方だと思いますので、そういう意味で、定着性を回復するという意味じゃございませんが、法的な意味といいますか、外国人登録法で我々が使っておりますいわゆる定着性という言葉が出る要素というものは十分あるわけでございますから、いわゆる指紋押捺問題というものもそういう意味で解消する道が開けているというふうに考えられるのではないかと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 定着性という問題は、それは別に法律的な用語でも何でもない実際的な実質上の用語でございまして、永住者とか特別永住者とかいうそういった法律的な用語ではとらえ切れないものが定着性という問題でいうならあると思うのですね。そういったいろいろな事実を含めて、ここで言う定着性というものにかんがみて、今ここでの指紋押捺というものについてある種の、指紋押捺をしなくてもいいということで外したということになると、今のような御説明だけではとてもその事実上の定着性というものの説明にはなっていかないというふうに思います。この点もやはり指紋押捺義務のある人を残すということの矛盾の一つのあらわれではないかと思うのです。  この問題でさきに、三月三日の衆議院の本会議のときに大臣のおっしゃった言葉の中で、指紋押捺というのは犯罪の抑止のためではなく、外国人の同一性確認の手段として必要なものなんだという御答弁をいただいている。それはもう間違いのないことだろうと思うのですが、それも御確認していただきたいと思いますが、そういうふうになりますと、今言ったように定着性という問題についても、同一性確認の手段とするために定着性と合わせてそれが指紋でないものでもかわり得るというような説明をされているとするならば、先ほどの御答弁のような形で、この人は一遍出ていったから定着性が失われたとか、そんなふうな問題にはなり得ない非常におかしな議論になってくるのじゃないかと思うのです。  そこで大臣、ちょっと伺いたいのですが、この指紋押捺は犯罪を抑止するためではない、これははっきり言い切っておかれてよろしいのでしょうか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先般の本会議でお答えしたとおりであります。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 もう少し言いますと、犯罪を抑止するという言い方ですが、抑止ということではなく犯罪の捜査のためにも必要とするものではないですね。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 法律の立案の目的はこの前申し上げたとおりですが、要するに犯罪関係を念頭に置いてやったの一ではないということです。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ところが、巷間言われているのは、一年未満の人はともかくとして、その後もう少し長く、ずっと長期に滞在をしている人たちで永住権を持っていない人たち、そういう人たちについてなぜ指紋押捺の義務を残したかということについては、今現在いろいろな犯罪が行われている、その捜査の必要上、また防止の必要上これはどうしても残さなければならないのだという強い圧力があってこうなったんだというようなことが巷間たくさ今言われているわけです。今大臣から、そういうことは念頭になくこの立案をされたというふうに伺っているのですが、一応長期の滞在者と言われている、ちょうど真ん中ですね、短期の一年未満の人と永住権を持った人を別にした外国人の人たちの間の犯罪の発生件数というもの、一年未満の走り抜けていく人たちとの犯罪の発生件数、これについてもし調べておありになることがありましたらば教えていただきたいと思います。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 一年未満滞在期間を有している方の犯罪発生件数とおっしゃられましたが、今ちょっとその統計が手元にございませんので、あるかどうか後ほど調べてみたいと思っております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ぜひともこの一年未満と一年以上の長期の滞在者ということで、その間について、そういう犯罪その他の管理の必要性ということはどちらが本来ならば多いものなのかということ、指紋押捺というようなことをさせてまでの必要性があるのかどうか、この点はぜひ後で資料ができましたらばお知らせいただきたいと思います。また、質問の機会も後日ありましたらば、そのときにもお聞きしていきたいというふうに思います。 先ほど松原委員の質問の際にも大臣お答えいただいたと思いますが、近い将来、こうした指紋押捺制度というものについてはなくす方向にお考えをいただくというその点については、そういった姿勢をお持ちでいらっしゃるということについての確認を押捺の問題については一つさせていただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先ほどもお答えしましたように、現在といいますか現時点ではこの改正案が最もいいんだという考えのもとに選択されておるわけでありますが、将来国際化が一層進展するとかいうような社会情勢の進展が一層進んだり、制度の運用等を踏まえてみていろいろなことがわかったりするでしょうから、検討を続けていかなくてはならないというふうに所管官庁として考えるのは当然であるということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ぜひともその姿勢を今からずっと持ち続けていただきたいと思います。  次に、外国人登録証の常時携帯義務については以前どおりということで何ら改正がされていないのですけれども、これについては、非常に煩雑であるということばかりでなく、携帯義務違反の刑罰の重さと、そしてその刑罰があるということから、それを口実にして逮捕されたり強制捜査のきっかけにされたり、そういった事例が私が議員になりましてからでもやはりありました。実際に私もその場の体験をした人から話を聞いたことがあるわけですけれども、そうした利用をされるおそれがあったり、また、故意ではなくて、ついうっかり忘れだというような過失についてもこれを処罰の対象としているということ自身、罪刑法定主義に反するのではないか、そういった幾つかの批判があるわけでございますけれども、この外国人登録証の常時携帯という義務についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人登録証明書の常時携帯制度の緩和について検討してほしいという旨の要望があることは私たちも承知しているところでございます。また、日韓の間でこの常時携帯制度についていろいろ議論が行われておるところでもございます。  しかし、この常時携帯制度と申しますものは、在留外国人の居住関係及び身分関係をいわば即時的に把握し、かつ適法な在留者と不適法な在留者を見きわめる上で必要なものだというふうに考えております。ただ、この制度の運用に当たっては引き続き常識的かつ弾力的に行われるように私たちも努力していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 弾力的という言葉というのはすごくわかったようなわからないような内容がありますけれども、しかし、やはりうっかりしたり、人間いろいろなところで、ちょっと持ってこなかった、とりに行けばすぐとれるところにあるんだというような場合にまで、これを口実にして逮捕されたりまた糾問されたりする、そういうことのないような、弾力的という言葉でしょうか、そういった運用をぜひともしていっていただきたいのです。実際問題として、この常時携帯義務というものについては、法律そのものの中で、今のようなお答え、弾力的ということをもう少し明確な言葉であらわすような形ででもこれを外していってもらいたいというのが私たちの大きな希望と意見でございます。  入管法の二十三条というところでは、外国人登録証を持っていない外国人についてパスポートの携帯義務、または上陸許可書というのですか、そういうのを常時携帯するようにと定めているわけなんですが、これについて、旅行中にこれを提示しろとか、持っていなかったときにどうするかというようなことについて、運用はどのようになされているのでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 旅券にいたしましても外国人登録証明書にいたしましても、外国人の方々には携帯をしていただかなければいけないということでございます。  運用に差があるのか、どういう運用をされているのかという御質問だったかと思いますけれども、いずれの場合におきましても、やはりその運用の精神といいますか、これに変わりようがないと私どもは考えておりますので、実際の場面におきましても、運用上、外国人登録法の方はきつくとか、旅券の場合は優しくとかいうことではなくて、いずれも常識的な、弾力的な運用をなされているものというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 それでは、その次の問題にいきたいと思います。  先ほども出ましたが、この法律が仮に今国会中に成立するとしまして、それから実施されるまでの間に十六歳となって現行の法律の中では指紋押捺義務を課せられてしまう、そういう人たちが出てくることは事実だと思うのですが、法務省ではこの人がどのくらいいるかということを把握しておられますか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 ちょっと今正確に申し上げられませんけれども、これから約一年の間にどれだけの方が十六歳になられるか、今、永住者、特別永住者の範疇に入る人でということで申し上げると、大体一万人ぐらいではないかなと推測しております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 一万人の若者、定着性を持ち、ずっと我が国で暮らしてきた定住者の子孫、子供でございます。学校でも日本人といろいろとつき合いがあり、一緒に遊ぶということをし、そして今まで抵抗を感じつつでも指紋押捺義務があるからということで十六歳になればしてきた子供たちが、もう来年には実施されて指紋押捺義務がなくなるといった状況の中で、ここでまた押さなければならないのか、これは、その子たちのこれからの将来、または日本で生きていく中で、心に非常に大きな一つの暗い部分を残すことになりかねないと思うのです。この点は、先ほど局長の御答弁は、木で鼻をくくったと言ったら押しわけないのですが、非常にかたい御答弁をいただいたのですが、いかがでしょう、何かお考えはございませんか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 改正法施行直前に十六歳に達する人たちの心情を思う先生のお気持ち、私聞いておりましてそれは理解できるところでございますが、先ほども申しましたとおり、この法律が成立いたしまして実施するまでに、機械の発注、購入、据えつけ、それから各地方における講習だとか研修、指導がございまして、ただこの法律の施行のときから指紋押捺がなくなるということじゃございませんで、それにかわる手段があるからこそこれができるということでございますので、やはり時間がかかる。そうするとどうしても、その間といいますか新しい制度に切りかわる前後で二つのシステムの中でどっちかに入ってしまう人が出てくるというのは、法制度の建前としてやむを得ないということで、木で鼻をくくったと言って大変おしかりを受けましたけれども、そう申し上げざるを得ない。法的なシステムの運用といいますか、建前としてはそういうふうにならざるを得ない、こう考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 法律の建前としてはどうしてもそうお答えをしていただかざるを得ないのかなと思いますが、それであるならば、その点についてもこの法律の中に何かしらの経過措置を盛り込むべきではないかと思うのです。今のままの法律であれば、確かにおっしゃるようにそうなってしまうかもしれません。私たち社会党から提案している案によれば、その点について経過措置として——今ここで指紋押捺義務を課するという非常に酷なことをするということ、その間、代替措置としての写真であるとか登録事項、そういうものがない空間ができてしまうことは確かに事実ですけれども、今まで定着性を持ち、仲よくこの国で暮らしてきている人たちに対する、しかも少年、青少年というものに対する措置としては何かしらここに盛り込むべきではないか。心情だけで申し上げているわけではなく、これをこの法案の中にぜひとも盛り込んでいただきたいというふうに思います。この点、お考えをいただきたいと思います。大臣からも一言お願いいたします。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 法律の建前としては、あくまで局長がお答えしたとおりでありまして、私も、何度もお断りしますが、法律家、専門家でないものですから、法律とはそういうものかなと思って、少し変な気持ちを持ちながらこの法案を提出したわけでございますけれども、念頭に置いとかなきゃいかぬなということを申し上げておきます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  最後に、罰則規定の問題について幾つか伺っていきたいと思うのです。  先ほども、罰則の問題では、日本人に科せられる同様な問題、戸籍法や住民基本台帳法では過料で済むべきものについて、外国人登録法の場合にはそれに懲役とか二十万円以下の罰金とか、かなり重い罪が科せられているものが多い。この罰則の差異というものについて、大臣、本会議の席上で「日本人と外国人との間の基本的な地位の相違に基づく合理的なもの」であるというような御答弁をされていると思います。この点について、日本人と外国人の基本的な地位の相違ということと、それに基づく合理的なものというのは、もう少し具体的に言いますと、一体どういうことを示されているのか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私の方からお答えさせていただきます。  日本人は日本国の構成員でございますので、当然に日本に居住することができるわけでございますけれども、外国人は当然に本邦に在留できるわけではなくて、在留については我が国の許可を要するわけでございます。この基本的な法的地位の違いというところから、外国人については、その居住関係及び身分関係を把握して管理する行政上の必要性が日本人の場合よりも高いというふうに思われ、したがいまして、外国人による各種登録義務違反の罰則が戸籍法などの届け出義務違反に対する罰則と異なっていても、それは合理的な理由、現にかなったものであるというような差異であるというふうに考えているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 納得のいかない御説明だと思うのですね。  まず、我が国の構成員であるから。でも、我が国の構成員であったとしても、その人の一定の住所であるとか戸籍であるとかいうものについてはきちんとそれを把握して、その人の福利厚生のためにも、またいろいろなそういった便益のためにも供し得る、そして国家の運営をしていくという意味と、それと外国人が我が国に居住をする、入国をすることを許されて、入るか入らないかというところではそれはもちろんいろいろな問題があると思うのですが、そこで入って住むことを許されて、長年そこに住んでいる、そういうようなことがある場合に、そこでの届け出を怠ったり、または過失で忘れてしまったり、そういうことがあった場合に、これは一体どうしてその構成員か構成員でないかということの差と合理的に結びつくのかというところがわからないのですが、教えてください。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 罰則上の差異といってはなんですが、制度上の差異でございますけれども、これが出てくるそもそものゆえんというものを局長がお話しになったところでございます。それは日本国民と外国人というものの基本的な法的差がいろんな面で出てくるわけでありますが、その一つの場合として、今言った各種の届け出義務違反に対する制裁という形で出てまいりますということを端的に局長がお話しになったところでございます。  もうちょっと具体的に申し上げれば、外国人の入国、在留ということにつきましては、日本国家がその主権の裁量によってこれを決めていくわけでございますから、そこでは日本の国の利益というものを中心にして、その入国、滞在を許すかどうかという判断がそこにございます。したがいまして、その外国人がどういう方であるか、どういう資格で今おられるのかということについては、国は重大な関心を持ってこれを管理する、いわゆる把握しておくということが必要になります。その関係で、居住関係、身分関係というのは常に正確なものを国家としてこれをつかんでおくという必要があるわけでございます。これは日本の国家というものの利益というものを考えますとき、当然必要なことでありますし、他の国でもやはりそういう観点で外国人の管理というのをやっているというふうに聞いております。  そういうことで、そういう各種いろんな届け出をしていただくということにつきましてはやはりきちんとやっていただく。きちんとやっていただくということは、逆に言えばその義務を強制する手段といいますか、これが相当きつくなるということになるわけでございます。単に行政上の過料といった行政罰というものではなくて、それに違反すれば日本の国益にかかわる、秩序を乱すおそれがあるということで、それを抑止するためには刑罰という制裁をもって間接強制していくということが必要だというのがこの外国人登録法の考え方でございます。  日本人の場合は、先ほど局長もおっしゃいましたとおり、国家の構成員であり、国外追放ということもできないわけでございます。いずれ日本の国家の中でどこかにおられて、そのルーツを持って、そして日本にいる、こういうことでございますので、そんなに厳格に刑罰をもって各種の義務を強制していく必要もない。秩序を乱しても国益に悪影響を及ぼす程度というものは少ないということで、その義務を守らせることによる利益といいますか、その差があるのだろうと思います。そこに差の合理性というものがあるというふうに私どもは考えているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この差の合理性ですけれども、それは厳罰をもって臨んで、それについてしっかりと守らせなければならない、その差の合理性というところで、一年以下の懲役もしくは二十万円以下の罰金または併科というこれはかなり厳しい問題で、特に併科ですから両方あり得るということ、それほどの厳罰にしなければならないのか。仮にそこに差があるとしても、百歩譲って差があるとしても、そこでそれだけの厳罰に処さなければならないほどの合理性があるかどうか。結局は、これについてきちんと担保されるかどうか、いろいろな義務についてそれの履行が担保されるかどうかというところにかかってくるのがその罪の適当な重さということになるわけでございますから、その点で百歩譲ってある程度過料と刑罰というような差異があるとしても、それについての重さというものが非常にあり過ぎるのじゃないか。厳罰にするというのだったら、一番すごいのだったら死刑まであるわけでございますから。その中で今の二十万と禁錮一年ということがいいのかどうかという問題についても、こういう差異があるからこれだけになるのだということは抽象的にはわかりますけれども、なかなか難しい問題だと思う。これからも長いこと検討いただいて、その点についても、本当にこれが合理的なのかどうかということについて御検討をいただいていきたいというふうに思います。  最後に、指紋にかわる代替手段をとるということの中で、鮮明な写真ということについての、これは細かい問題になりますが、具体的なことについて教えていただきたいと思うのですが、鮮明な写真というからには鮮明でなければいけないわけですが、例えば町の写真屋さんで撮ってもいいのかとか、それからピントはどのくらいでどうなのか、絞りはどうなのか、ピンぼけではいけないのか、大きさは顔の部分がどのくらいの大きさがなければいけないのか、そういった規格とかそういうものについてはどのような形でされることになっておりますか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 外国人登録の写真は本人の同一人性の確認をするに足る鮮明なものであることが必要でございます。具体的には、焦点がい、十分な鮮明度を有し、かつ、人物の特定が容易に行えること等が備わっていなければならないわけでございます。写真の大きさ、撮影の有効期限等につきまして、今後具体的に規格を法務省令で定めるということを考えております。具体的には、外国人の負担も考慮しまして、旅券発給申請の際に提出する写真の大きさ等も考慮しまして、できる限り同じような大きさを定める方向で検討している段階でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 これも本当に、それをされる人の側から見ての経済的な負担、それから二度手間、三度千間というようなことのないような形で最初から明確なきちんとした指示、それからそれを口実に突き返したりなんかするというようなことのないような御配慮をお願いしたいと思います。  先ほども指紋原紙の問題云々というのが出てきましたけれども、私はちょっとよくわからないので伺いたいのですが、指紋の場合に、指紋をとっておきまして、今度その指紋から、その人がだれであるかということを指紋の方から探ることはできますね。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 指紋の分類方法にはいろいろございますが、今先生が指紋の方から分類することができるかということでございますが、換値分類ということで指紋を数字に置きかえまして分類しておる場合には、その数字によりまして人物の特定ができるわけでございますが、現在外国人登録でとられております指紋の保管方法は、登録番号順に保管しておるわけでございまして、氏名がわからない限り指紋の同一性が確認できない、すなわち指紋から本人をだれかということを特定するということはできないシステムになっております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 そうすると、今の指紋でも、指紋から本人は特定できない。では今度、写真になりましても、写真から本人を探り出す、例えば防犯カメラでぱかっと写った写真から見てこれがだれかということを探し出すこととか、どこかで身柄を拘束された人が黙秘している、その写真からこれがだれのだれべえであるということはわからないような分類と保管のシステムにされるということでしょうか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 これからの将来の問題ですから、どのようにするかというように決まったわけではございませんが、技術的に見ましても、写真だけから、例えば百七万の登録者のこれがだれであるかということを確認することは非常に難しいし、外国人登録自体、もともと同一人性の確認ということで写真等のシステムをとられたわけですから、そういう必要性もないということになろうかと思いますから、システムはこれからになりますのですが、そういうシステムを構築する必要性というのは考えられないのではないかというように思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 指紋の場合ももちろん近い将来の間にはおいおいと廃止、そこの部分を廃棄していくという方向で考えていただきたいわけですが、写真は残ります。年々、人の顔は変わっていきますから、指紋のようにずっと変わらないということではないと思いますけれども、しかしそれについて、丸顔とか、身長何センチとか、眼鏡をかけているの、頭の髪の毛がどういう形をしているのとか、そういうふうなことでわかっていくと、やはり一つそこから何か人物を特定されるというようなおそれがあると思われては困ります。これからの保管、分類の方法について、また随時決まった段階でこういった場所でもお話しいただいていくという形で、どのような形で保管するか、また後日の問題としていつも常時お聞きしていきたいというふうに思います。  時間が五分早いのですが、今回はここで終わらせていただきます。

星野行男自由民主党

○星野委員長代理 午後零時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後零時三十一分開議

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これまでいろいろと議論をしてまいりまして、かなり問題の焦点が明らかになってきたと思います。そこで、先ほど来の議論でも出てまいりましたこの外国人登録法による指紋押捺の残る部分あるいは携帯義務の問題など、国益という一つの概念でまとめられて、国益のための合理的な差別、こういうふうなことが浮き彫りになってきたようであります。そこで、非常に大きな概念に対して質問するようでありますが、この外国人登録法が想定する国益とは何か、この点をまずお答えいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 非常に大きな質問でございますが、この外国人登録法の守るべき国益というのは何かということでございますが、やはり法に照らしまして、第一条にある「在留外国人の公正な管理」ということを確保することがこの国益ということになるのではないかと思われます。  具体的に申しますと、外国人は日本国民と異なりまして、本邦に在留するためには日本国政府の許可を必要といたしまして、かつ在留できる期間及び在留活動につきまして制限を受けることになっております。したがって、「在留外国人の公正な管理」を行うために、その居住関係及び身分関係、特に当該外国人が適法な在留者であるかどうか、そういう許容された活動を逸脱していないかどうかを現場において即時的に把握することが必要であり、先ほど常時携帯制度について先生お話しになりましたけれども、そういうことにつきましてもそのための登録証明書等の携帯義務を外国人に課している、そういうことでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 登録証明書については、登録証明書を発行するとか、その人が携帯、保管など含めて所持しておるということについてはそれはまさに合理的なことだと思いますけれども、それが常時携帯とかあるいは指紋押捺とかということにかかわってまいりますと、果たしてそこに外国人管理ということでどういう合理性があるのか、こういう問題になると思います。  そこでお尋ねをしたいのは、なるべく重複を避けまして、私の方からそういう観点から質問をさせてもらいたいと思っているのですが、同一性の確認ということが出てまいりました。同一性の確認ということについては、指紋押捺というところまで持っていかなければ同一性確認ができないのか。私が考えるところによると、指紋押捺で同一性を確認するということは犯罪捜査ということをまず第一に前提としておるのではないか、こう思いますが、その点はどうでしょうか、入国管理局長にもお尋ねをしたいし、警察庁の方にもお尋ねしたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人登録法における指紋押捺制度というのは同一人性の確認のためにあるわけでございまして、犯罪捜査とは関係ないということでございます。そういう観点から、Aと称する人がAでおるということをアイデンティファイするための技術的な手段としての指紋でございます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 けさから御質問に出ておりましたが、本会議で私が趣旨説明いたしましたときにお答えしたとおりでございます。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 お答えいたします。  警察の方で外国人登録法の指紋を利用いたしますのは、在留外国人の同一人性を確認する、そういう外国人登録法の目的に合致する場合でございまして、一般的に現場の遺留指紋と外国人登録法上の指紋とを照合してそれから被疑者を割り出すということは、原則として認められないわけでありまして、実際にも行っていないところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そうしますと、今回の外国人登録法を検討されて国会に提出をされ我々に審議を求められる過程にあって、相当信用のある総合雑誌などの分析しておるところによると、警察が相当程度外国人登録法の問題については意見を述べている。その総合雑誌の分析しておるところによると、法務省は指紋押捺を全廃したいという考え方だったようだが、警察庁が強く指紋押捺を残せ、こういうことであったのだ、こういう分析をしておる論文もございます。それはいずれが本当か、多分私は雑誌に書いておることが本当だと思うけれども、ここではそれが本当であるとか本当でないとか、どちらに前提を置くこともできないと思います。  そこで、私の疑念とするところは、指紋押捺と犯罪捜査と関係ないと言うならば、どういう点で警察庁と法務省とはそういう問題についてよく打ち合わせをなさって原案をつくられるのか。警察庁は余り関係ないのじゃないかと私は思いますが、それはいかがでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 今回のこの指紋押捺にかわる新しい制度がどこまで適用できるかというのは、新しい制度がどういうところに有効か、そういう技術的な観点から検討をいたしまして、それで永住者、特別永住者、特に戦前から日本におられてずっと日本の社会の中で住んでおられた方、またその子孫、いわゆる在日韓国人、それが特別永住者と言われる方々でございますが、そういう人とか永住の資格を持っている人、こういう人ですと、我々が開発しました鮮明な写真と署名と一定の家族事項を届けていただくことによって、指紋にかわる相当精度の高い期待を持って同一人性の確認ができるという結論に達したわけでございます。  法務省主管の法律でございますけれども、法律というのは政府が提出するものでございまして、実施に当たってはいろいろな省庁が関係してくるので、その段階においていろいろな関係省庁と意見を交換して、政府としての案というものを、ベストと考えられる案を作成いたしまして、御提出申し上げたところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そうなりますと、警察庁以外の省庁とすれば、警察庁との打ち合わせというか、コンセンサスを得るためのいろいろな接触と同程度の接触をされたほかの省庁、役所の名前はどういうところですか。何省なんですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 いろいろな、あらゆる省庁に意見は聞いておりますが、特に密接に協議いたしましたのは、警察庁のほかでいいますと、例えば外務省、それからこれは地方自治体に関係しておりますので自治省でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 こんなことで余り長く時間どれませんけれども、自治省は関係が深い、それは事務を市町村がとるのですから、これは当然のこと、うなずけますよね。それから外務省も、言うなれば我が国内にあるところの外国人の扱いに関する問題ですから、それは外務省と関係が深いということ、これは常識的にわかりますよね。警察庁とも関係が深いのかなと思うのは、犯罪捜査だなというのが浮かびますが、犯罪捜査と関係がないというのに、警察庁はどういう関係があってよくコンセンサスを得なければならぬのですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 一般に法律を内閣として提出する場合は政府全体としての意思を統一する必要がございますので、すべての官庁に相談するわけでございますので、警察もやはりこの法の執行という、出入国管理法その他いろいろ関係していますので、相談、協議をしたわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 時間が限られておるわけですから、迂回作戦をとらずに尋ねたことになるべくばしっと答えてもらわないと、警察庁とはどういう、つまり事務的な関連性があるから警察庁と話をされるのか。つまり自治省は、自治省がいろいろ面倒を見ておられる市町村の事務として、市町村が実際窓口でやるわけですからこれは関係があるし、それから外務省は外国人ですからこれは関係があるわけですよね。警察は、犯罪捜査に関係ないのですから、犯罪捜査以外に何の関係があって警察庁の意見を聞かれるのか、それをお尋ねしたいと思います。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 今回の外国人登録法の一部改正につきましては、主管の法務省を中心に、制度面、運用面の各般から鋭意検討されまして、成案を得たものと承知しているところでございます。  警察庁といたしましては、各種の警察活動を行います上で、外国人の身分関係が明確になっている、また外国人の同一人性が問題になる場合、それを確認する必要があるわけでございまして、そうした観点から必要な意見を申し上げてきたということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 外国人の同一人性ということになると、それは警察からいえば犯罪捜査の問題じゃないのですか。その点とうか、もう一度答えてください。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 先ほど申しました犯罪捜査一般に使うことがないというのは、先ほども申し上げましたとおり、現場の遺留指紋から指紋原紙と照合して犯人を捜す、そういうことはやっておらないということでございまして、外国人の同一人性が問題になることが警察活動上種々あるわけでございまして、その場合にやはり指紋が必要になってくる、こういうことでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私は意外なことを聞きました。啓発活動上同一人性の確認が必要だということは、これはまことに意外な話ですね。この法案審議の過程でもう一度私この発言席に立つことができると思いますので、これはきょうは承っておきましょう。  ただ、あちこちの市町村の状況を私がいろいろな形で憶測をしてみるのに、外国人登録の写しを請求なさるのは、我が国の役所の中では警察庁が圧倒的に多い。ということを考えると、啓発のためにやられるというようなものじゃないでしょう。したがって、これは大変大きなクエスチョンマークでありますので、また次の機会にそこはお尋ねをしたいと思っています。  そこで、ほかの一般事務からいうと、同一人性の確認というのはある程度必要でしょう。しかし、それが指紋のところまでいかなければならぬかどうか。今日の写真技術は非常に高い、しかもある一定の水準のところの写真を使うということになれば、それで私は同一人性の確認ということは、犯罪捜査に使わないのであれば、もう十分過ぎるほど十分だと思うのですが、少なくともこの問題に対して屈辱感を感ずるのは外国人当事者であります。こちら側がそれは屈辱感を感ずるとか感じないとか言ってみたところで、それは踏まれた者じゃなければ痛みは、本当のそのときの感じというのがないのですから、法務大臣のように気持ちがよかったという人もおるかもわからぬけれども、それはよほどの何かのほかの条件で、そのときの感じというものが私はそうではなかったのかと思うのですね。  そうすると、この屈辱感を感ずる、恐らくこれはアンケートをとってみなさい。指紋押捺の該当者にアンケートをとってみなさい。それはもうほとんどの人が大変な屈辱感を感じ、圧迫感を感ずる、こういうことになると思うのです。そうなると、なぜ国家行政機構というものがこれほど整っておる我が国が、ヨーロッパに肩を並べて決して引けをとらないかなり整った体制を持っておる我が国が、そのヨーロッパ先進国と肩を並べて、指紋押捺という形でなくてほかのことができないのか。つまり、今永住者及び特別永住者に対して、これまでの歴史的な経過があるからと言って指紋押捺のところは廃止して、それにかわる制度を開発したということになぜ面一合わされないのか。このことは私の直接の質問からしたら、ヨーロッパなんか先進国と言われておる国は同一人性の確認というのは必要ないから、日本ほど厳密に必要でないからやっていないのかという質問になりますよ。その点はどうですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 ヨーロッパの国がどの程度の精度を期待して外国人登録制度というものを維持しているか私もつまびらかにしないところでございますけれども、私たちの外国人登録法の考え方といたしましては、できるだけ正確に外国人の身分関係、居住関係を把握し、同一人性の確認をできるだけ正確にしたい。これは外国人にとっても利益でございます。これが考え方でございます。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕  かつては指紋が唯一の、今もそれは終身変わらず万人不同でございますのでそれが一番正確でございますけれども、今先生おっしゃったように、やはり指紋を押すということについて、先生は屈辱的とおっしゃいましたが、心理的な圧迫を感ずる方もいろいろおられますし、そういうこと、それから技術の発展、そういうことにもかんがみましてこの歴史を見ますと、外国人登録法における指紋押捺というものがだんだん変化してきたということは言えるかと思います。  それで、今回は、先回の六十二年の改正のときの経緯、それから日韓の話し合いの経緯を踏まえまして、この指紋押捺にかわる、心理的抑制がより少ないものは何かということもひとつ念頭に入れまして、それから正確なものがあるかということでやってきたところ、この写真、署名と一定の家族事項が今考えられるのでいいのじゃないかという結論に達したわけでございます。しかし、それがどの程度の正確性を持ってどのグループの人に適用できるかというと、やはり戦前から日本におられた方及びその子孫という特別永住者とか永住者という方々にはこのシステムは有効だけれども、そうではないのは、どうしてもまだ精密度といいますかそういうところからいって有効ではないということで、今回はそういう現在お出ししたような案になった次第でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私が尋ねておるのは、これは入国管理局長、ずばっと答えてください。つまり、ヨーロッパはほとんど指紋押捺をとっていないで、同一人性の確認というのはやはりどの国だってあるわけですからやっておるが、日本は、国家行政機構あるいは教育の水準とかさまざまな社会的環境というものは、ヨーロッパと並べてみて決して引けをとらないところまで今日お互いの努力で到達した。そういう社会的状況にある国がヨーロッパとは違う道を歩まなければ同一人性の確認ができないということになれば、裏を返せばヨーロッパはでたらめしておることになるでしょう。しかも、外国人は、入管局長も十分御承知だと思いますけれども、イギリスなんかは、インド、バングラデシュなどからイギリスに来ておる人はおおよそ人口の一割ですよ。ドイツだってトルコ人が、私は入ってきておる人の主たる国名を言えばそういうことになると思いますが、これもおおよそ一割ですよ。フランスは北アフリカからやはり一割来ておるのですよ。  私は、しばしばヨーロッパのこういう人種というものがどういう差別を受け、どういう国家的な特別な優遇の措置を受けておるかということを調べに行きますが、日本と比べたらお話になりませんよ。日本に一千二百万人外国人が入ってきておると同じような状況に、しかも共生じながら、共存しながらいっておるでしょう。それは個別の変な事件は起きていますよ、今フロンナショナルとかああいう右翼の台頭がありまして、たたき殺したりいろいろなことをやっておるけれども、少なくとも国は表向き人権を守ろうと努力していますよ。日本だけどうしてそうなるのかということをもうちょっとわかるように言ってみてもらえませんか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 日本だけどうしてそうなるのかとお聞きでございますけれども、その辺正確に答えられるかどうかわかりませんが、外国人の出入国とか在留、そういうものは、その国の置かれた条件とか歴史とかいろいろ違っておるそういうことによって規定されてきますので、一概にヨーロッパではこうだから日本はそれが違うのはどういうことかと聞かれても、やはりその国と国の違いによるのじゃないかと思うのでございます。ですから、それは置かれた状況だということで御勘弁願いたいと思いますけれども……。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 ヨーロッパと日本と比べてどこが違うのかと言うたら、それはそれぞれの国が置かれておる条件が違うからでしょうねというのは、違う点は何かと言うたら違う点だと答えられるのと同じことになるのです。これではちょっと国会の議論になりにくいですね。きょう限りではないから、これは非常に苦しい答弁をしておる、つまりそれだけ整合性がない、こういうふうに議員たる私は受けとめたいと思います。  そのことは、結局我が国憲法に書いてある「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持しこここが大事ですよ「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」、これは非常に名文句でうたい込んでおるのですよ。だから、先ほどの条件が違うというのは、これは時間があったらもっと分析したいけれども、大体もともと言うたらこれは在日韓国・朝鮮人をばかめるという政策から始まっておるのですよ。これを侮辱するというところから始まっておるのですよ。  私は非常に痛感するのは、大体我が国における部落差別の問題と朝鮮人差別の問題をいつも結びつけて、一番ひどいのは、豊臣秀吉が朝鮮に侵略をしたときに加藤清正が連れて帰ってきた朝鮮人の子孫であるというようなことを、歴史的なことを歪曲して部落差別と朝鮮人差別とをセットにしてやった、そういうことの引き続きなんです、これは。だから、どういうところが違うのかと言うたら、いや国の条件が違うからというのは、そこが違うのですよ。あらかじめ差別をぐっと前面に出すところと、表向きだけにせよ差別はいけないものだという人種差別撤廃条約などの思想に基づいて物事をやっておる国との違いなんです。  これはまた後ほど私は申し上げたいと思いますが、ここはちょっと場所が違うけれども、海部元総理が「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであってこと自衛隊を海外に派遣するときだけの論法で使っておるが、そんなものじゃないのですよ。あれはむしろ軍備を使って独善的なことをしてはいけないという憲法の精神なんですよ。それで、我々がやらなければならぬことは、要するにすべての内外人の平等という人類の普遍の原理を求めて一歩でもそれに近づかなければならぬ、これが憲法の精神なんですね。これは、先ほど啓発という問題も出たし、次の機会にまた譲らせていただきたいと思います。  そこで、問題は、そういうことで同じ外国人でも指紋を押す者と指紋を押さない者と扱いを異なることにした。これは、指紋押捺というものを廃止する方向に量的には進んでおるということで一方では肯定できる面があります。しかし、一方ではかなりまた暗い面が出てくる。この前も参考人でおいでになった方に、私は、これは一種の分裂支配政策と受けとめておられますかという意味の質問をしたのです。すると、ほぼそういう考え方だというお答えでしたね。結局、これまでの議論を聞いておりますと、そういう異なる扱いをするというのは同じ外国人であっても身分が違う、こういう説明であったと思います。そこで、これも大きな問題ですけれども、身分とは何ぞや。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 私、先生に身分とは何ぞやということを申し上げる学識もございませんけれども、この永住者と非永住者に分けたのは、身分ではなくてあくまでも我が国の社会の定着性というものに着目して、技術的な制度である同一人確認のこの手段をどこまで適用するかということで区別したわけでございまして、決して身分とか国籍とか、そういうことによって差別したものではないと考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私がやっておるこれまでの何十年来の社会に対する取り組みの自分の持ち分としてこういうことは私は非常に敏感ですから、恐らく私の記憶は間違っていないと思うのだけれども、つまりきょうあたりは定着性ということを非常に言われるけれども、この法務委員会で、同じ外国人であって扱いが異なるのはそれぞれの身分の差によるのである、こういう話がございました。身分というのは、いわゆる封建的身分差別の問題で身分と言う場合と、それぞれの立場というような意味で言われる場合とあるのですね。  しかし、我が国憲法は「人種、信条、性別、社会的身分又は門地によりこと、だから封建的な意味で言うと社会的身分というのは部落差別のようなことを言うのです。しかし、身分というのがもっと広義に解釈されたら、これは部落差別のようなことを言っているんじゃないのです。そうなると、憲法の第十四条の規定の「身分」の次に来る「門地」というのが、部落問題については非常に深い関係になると思うのですね。そうなると、広義な解釈をしても、我が国憲法は日本の国民に対して身分による差別はだめですよ、こう言っている。しかし、我が国憲法が定めておる根本精神というものは、すべての人に対して、簡単に言ったら人類に対して我が国国家権力というものはそういうむちゃなことはしませんよという意味だと思うのですが、その点どうですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 先生の高適なる説は十分理解するところでございますが、私たちもこの法案を提出するに当たって、日本国憲法、それから先ほど来いろいろ御指摘ございました国際人権規約等々いろいろな国際的な条約とか規約、慣習法等に照らして、今度の改正がそれに抵触するものがあるかないかということを厳しくチェックいたしました。  私たちとしては、その結果、日本国憲法の理想はございますけれども、外国人と日本人の基本的な差というものはやはりあるわけでございますので、そういうものに基づいて取り扱いを別にするということは、憲法に言うあるいは国際人権規約に言う法のもとの平等に反していない。また、同じように見える外国人であっても、例えば戦前から日本におられる方あるいはその子孫であっていわゆる特別永住者というカテゴリーの方々は、社会における定着性ということから見ますとほかの外国人の方々と違うということで、それによって区別をしても、憲法に言う法のもとの平等といいますか、人権規約に言う平等の扱いという規定に抵触することはないという結論に達しておるわけでございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 入国管理局長は、差別という言葉と区別という言葉を余り明確に意識をせずに、そのときの思いつきでこの言葉を使っておると思うのですね。差別と区別の違いは、赤色だとか白色だとか青色だとかいう、つまりそこに価値評価の加わらない、いわば自然的に識別できる、そういうものを区別と言うべきなんです。差別は、社会的評価が加わる場合差別なんです。それで、同じ外国人でも特別永住者、それとほぼ同じ、一週間か十日か、ちょっとそのときのどさくさで判断に迷って一時帰国した人、これはどうもこっちは住みにくい、やはり日本へ行こうと思って来た人、そういう人とを、あなたは区別だと思うけれども、それはそういう人に対する差別的扱いをしているということになるのです。だから、区別と差別ということも、まだ残されたこの問題の議論はおると思いますから、厳密に言ってもらわないと、概念自体がぐらぐらしていたら正確に物は判断できないと思いますよ。  そのことから関連して、あなたは合理的差別だ、こう言うわけですね。これは、あなたはさっき区別と言われたが、合理的に差をつけておるのだ、こういう意味です。では、合理的差別というものはどの程度普遍性というものを持つかということになるのですよ。これは極めて相対的なものであり、極めて一時的なものですよ。あなた方が合理的差別と言っておるのは極めて一時的なものなんですよ。私はきょう、それの一番わかりやすい例は何があるかというのをいろいろ考えて幾つか例を持っているけれども、例えば一九一〇年に幸徳秋水などが死刑にされたあの大逆事件というのがあったのですね。あれは天皇や皇太子に対してこれを殺そうと企画をしただけで死刑になるという旧刑法第七十三条、うちのお父さんが殺されそうになったとか殺すことをだれかが計画したといってその人は死刑にはならぬですよ、天皇の場合はそのときの法律では死刑になる。恐らくそのときには、これは同じ人間であっても、同じまんまを食べて生命を持っておる生命体であっても合理的差別だ、それは天皇といったら神聖にして侵すべからざる上御一人だから合理的差別だと思ったでしょう。しかし、それは何十年かたったら合理的差別ではないということがわかったわけでしょう。これは明らかに不合理な差別である、だから不敬罪というものが廃止されたでしょう。  そういうふうに現在の視野の狭い感覚で合理的差別と言われておったのでは、国際社会に日本が信用をとることができないのです。どうですか。合理的差別というような言葉などは極めてそのときの一時的な、歴史的な、相対的なものであるということはおわかりでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 先生の御指摘でございますけれども、私自身は区別と差別という言葉については極めて慎重に使ったつもりでございます。自分でどういうようなきちっとした区分けといいますかディフィニションで使っていたかと聞かれますと、先生の説明が非常になるほどというように思った次第で、必ずしも私は先生と違った意味で使っていたと思いませんし、それなりに意識して使っていたと思います。  それで、今先生、合理的差別と法務省が言っているという御指摘でございましたけれども、私たちとしては、合理的差別という表現とかそういう考え方は持っておりませんで、やはり何かの、今問題になっております指紋押捺制度と新しい制度の二つの制度を異なる取り扱いといいますか、こういうことをやっても説明ぶりとしては合理的な理由があるので、法のもとの平等に反しない、こういうことであって、合理的な差別であるというようなつもりは、表現も使っておりませんし、そういうふうには考えておりません。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 合理的な理由があるので平等の理念には反しないということが、この取り扱いにそれぞれ差をつけておる合理的差別ということなんですよ。だから、それはまあ使われたか使われぬか、恐らく私はあなたに限ったことではなくて、どなたかがこの審議中に使われな言葉だと思うので、そういう言葉はよく使うのですよ、世間でも、合理的差別というのは。  だけれども、私が今質問しておる根本は、合理的差別ということは極めて歴史的、相対的なものではないのかということを尋ねているのです。だから、もしこだわられるのなら、合理的差別という最後の差別だけとって、これが合理的であると考えておることは極めて歴史的には一時的なものではないのかということを尋ねているのです。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 先生の非常に高いレベルの議論にちょっとついていけないかもしれませんけれども、異なった取り扱いが一時的かどうかということについて言えば、これは多分一時的なものではないかという感じはいたします。ただ、今この法案を出している段階においてそういうことは確言はできませんけれども、今までの経験からいうと一時的なものではないかと思います。しかし、それの説明ぶりが合理的であるということは時がたつと合理的という説明にならないという先生の御説は、私は必ずしもそうではないのじゃないかという気はいたします。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 法務大臣はいかがでしょうか。私が何か誘導をかけているように思って、これは一時的だから速やかに次に改正しなさいというようなことの伏線で言っておるようにとられておるかもしらぬけれども、それは私はそれがいいと思うのですよ。早うこんなものはやめた方がいいと思っているのですよ。しかし、ここの駆け引きで、この言葉くらいのことで、駆け引きで引っ張り込もうという考え方ではない。要するに、理念荊に、そのときに合理的と思われることは、人間社会、お互いにそれぞれ絶対者でない限りにおいて、それが合理的と思われておるのはその時期の歴史的な、相対的なものではないのか、こういうことを尋ねておるわけですからね、法務大臣、ちょっと。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 いろいろ御見識の高い御意見を伺いましたが、区別と差別も厳密に教えていただいたし、合理的という言葉も相対的なものであったりあるいは時間的な要素が加わるということも私は納得できるわけであります。  今、現時点で合理的と考えて最高の選択をしたつもりでこの法案を出しておりますが、長い時点では社会情勢その他が変わるでしょう。これは国際化とかその他いろいろな点が変わりますから、そのときにはやはりそれに対応しなければいかぬのだろうと思いますが、制度はやってみて、今この最高の選択の制度をやってみてもまたその結果が出てくるであろうということで、検討を続けていくという姿勢は、これは所管官庁として当然の義務であろうと思って、私は考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 ちょっと時間を見たらもうこんな時間になっていますので、それはまたここの煮詰まらない問題については次の機会に譲りたいと思います。  この間、今度刑事訴訟法のあれなんかあるので、私も事前の勉強の一助にと思って江戸時代の刑事訴訟法をちょっと勉強してみたのです。しかし、なかなか江戸時代は、刑事訴訟法という訴訟上の手続の問題を記録に残しておるというよりは、刑罰を、こういうものはこういうふうに刑罰しなさいというようなのはいろいろな文章があるのです。そこで、江戸時代、身分が最も低いとされておったいわゆる士農工商えた非人の非人という立場の者が一般の人といさかいを起こして、そして一般の人にたたき殺された。そうしたら、当時の幕府はそれに対してどういうふうな態度をとったかといったら、身分が違うのに一般の者にいさかいを起こすようなやつはたたき殺しても一向お構いなし。少なくとも封建社会にあってはこれは合理的なのですよ。身分社会として成り立っておるのだから合理的なのですよ。しかし、それは一たび明治の時代になってきて、次第にこちらのこういう人権の強調される時代になってきたら極めて不合理なのですよ。今、最良の方法を考えたと言われるのも、言葉としては言わなければならぬ立場でしょうけれども、そんな最良だ何だと言って信念を持てるほどの中身ではないでしょう、これは。そういうこともひとつよく考えてやっていただきたい。  そこで、次に質問を移しますけれども、入国管理行政というもののまずさというか、そういうもののいら立ちが一層警察の方をして、うちの方ではこれを土瓶口と言いますがね、土瓶口。土瓶というのは横に口がついておるでしょう。横から口を挟む、これを土瓶口と言うのですけれども、警察の方から土瓶口をつくような形になったのではないか。  そして、この点だけちょっと事実を確かめておきますが、この間参議院でも問題になったようでありますが、サンデー毎日のこの間の、何日でしたかちょっと日にちは覚えてないけれども、「東京入管汚職事件——。九〇年二月、東京入管横田出張所の元幹部二人が、韓国人ホステスの在留許可などの手続きに便宜を図った見返りとして、在日韓国人ブローカーから現金を受け取っていたとして収賄容疑で逮捕(執行猶予付き有罪判決)された事件である。」というのが、これは全体の中の一こまとしてこういうのが報道されていますが、こんなことと関係があって、警察が余計に横口を入れたいという気持ちを起こすんじゃないですか。  私は、これは何も人間の腐敗という形だけでとらまえるのではなくて、入国管理行政に決定的に人的な整備が足りない、こういうことからきて、だんだん糸がほつれてついに変なことになるということじゃないかと思うんですよ。その点はどうですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 ますます増大する業務、日本の国際化に伴いまして出入国審査それから在留審査、そういう出入国関係の行政事務は非常にふえておりますが、それに対応してなかなか陣容、体制というのは追いつかないことで、職員としては一生懸命やっておるわけですが、こういうような記事が出たということについては我々まじめにやっている者にとっては非常に残念なことでございまして、我々も身を引き締めて期待に沿うようにやらなければいけないと感じておるところでございます。  こういう入管業務というものは今非常にふえておるところでございますが、こういうところも視野に入れまして、外国人の出入国の公正な管理を図るため、従来から業務運営の効率化及び体制の整備を図って、それから職員の適正な配置ということに努めてきたわけでございますけれども、今後とも今先生がおっしゃったようなこと、そういうことを言われないように努力をしていきたいと思っております。  また、職員の綱紀の護持についても平素から機会あるごとに注意を喚起しておるところでございますが、今後とも職員に対して厳正な規律の保持について十分指導していく所存でございます。  ただ、外登法の今回の改正の提案と、それからこの週刊誌に出たこのようなこととは直接関係があるというふうには考えておりません。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 江戸の日本橋の下の水とロンドンの波止場の水は水でつながっておる、どこかで遮断されてないでしょう。だから、物は厳密に考えたら、特に外国人登録法と入管行政とは関係がないというのは、そういうものじゃない。非常に身近な問題なんですね。だから、入管行政の方でほつれが出てきたということになると、外国人登録法の問題についても、それは一つの視野に入れて考えなきゃいかぬと思うんですね。そういう意味で、入管行政が少し乱れてくるということになると、これは外国人登録法の問題だって乱れますよ。なぜなら、不法に入国して不法に就労、不法というのもまた極めて歴史的、相対的なものですが、今日の法律ということの観点に立って見るとこれは不法という言葉が成り立つ。そういう不法入国とか不法滞在とか不法就労とかいうようなことも、これはその前段においては入管行政があるわけでしょう。しかし、この不法に在留しておるとかなんとかということも外風人登録法と非常に深い関係があるでしょう。  だから、私は、外国人登録法でそこまできついことを言われるんなら、我が国政府は入管行政の万全を期すために人的配置でももう少しはちっとして、余り物事のぼろが出ないようなきちっとしたことをすべきじゃないか、こういうふうに思って、それは極めて政策的なことですから、法務大臣、人が足りませんのですが、法務大臣はどう思われますか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 慢性的な人手不足であることは私も認識しておりますし、これからますますそういう傾向があるだろうと思うんです。そこで、ことしの、平成四年度予算の要求の時点におきましても、そのことを深く認識して入管行政に最も重点を置いた定員増を図ったわけでありますが、結果としては、まだ不満でありますが、ほぼ要求に近い数字が出ておりますし、昨年に比べて二倍ということが出ておりますから、一生懸命当局としては努力はやっておるつもりであります。今後ともそれは続けていかなくてはいかぬし、ますますふえる勢いに負けるようなことでもいかぬなということで、相当熱心に勉強していこう、こういうふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 どういいますか、何かムードのような格好で、政府の職員を減らしたり、それからふえるのはとにかく抑えなければいかぬのだ、それはもう行革上そうやらなければいかぬのだとだれかが言ったら、そうだそうだと言って、変な多数決みたいな格好で物事がいって、そして真に必要なものに対してはその状況に正じく対応できないほど我が国政府は硬直化しておると思うのです。  私、この前、あの東京の入管へ法務委員として視察に行かせていただきましたけれども、やはり人手が足りなければ外国人に対してだって、それはもう人間だから扱いが乱雑になりますよ、そうすると、非常に不愉快な思いで出たり入ったりする外国人が、日本に対する悪いイメージで返ってくる、こういうことになりますので、必要なものは必要なんですから、それは特に法務大臣が力を入れられなければならぬことだと思いますよ。  それで、ついこの間、私は東京拘置所もちょっと見せていただきましたけれども、東京拘置所のみならず、週休二日ということになったらもう有給休暇もとれないような状況ですよ。特に法務省というところは、人的な要求をするのが政府側からいえばまことにつつましやかで、まじめな優等生ということになるのかもわからぬけれども、国の政治の全体から見たら、これはまことに下手だと私は思いますよ。これはぜひひとつ、法務大臣、必要なところは必要なところできちっとした配置をしていただくように、私の方からその点は強く要請をしておきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 おっしゃるように上手でないということは私も認識して、去年秋の要求にも相当全力を挙げたわけでありますが、今後おっしゃる意味をよく理解して一層努力してまいりたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それで、極めて原理的なことをお尋ねするようで、話が振り出しに戻るような気持ちになられるかもしれませんけれども、大事なことだと思いますからお尋ねをします。  要するに、今回の取り組みというのは、少なくとも指紋押捺を廃止する方向への一つの動きだと私は思います一つまり、量的に見て指紋押捺を廃止することがふえていく方が合理的だ、こういうふうに考えられての今回の提案だと思うのです。なぞをかけたような言い方になってえらい済みませんけれども、つまり、指紋押捺廃止ということの方が一層合理的であるという考え方でおやりになっておるのかどうか。その点を尋ねてみたいわけです。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 合理的という判断が歴史的に見て一時的なものであるかどうかという先ほどの先生の御調がありまして、私、そのときはよく理解できませんでしたけれども、そのとおりだと思います。  それで、そういうことは別といたしまして、今の提案している指紋押捺にかわる新しい制度、これは大きな目で見て指紋押捺制度の全廃に向かった一歩であるかということでございます。私が今提案している立場からいうと、そこまではここで言う立場にはございませんが、外国人登録法の長い歴史を見ますと、この指紋押捺制度というものがだんだん合理化されていっている。今回も、この新しい制度によりまして、百七万の在日外国人のうち約六十数万人がこの指紋押捺の義務から外れてくるということでございますので、そういう意味では大きな一歩ではないか、こういうふうに感じているところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これはちょっと時間をごまかしていますよ。三十分になって、およそ五分、四分は私は待っているのですからね。だから、これはあと五分というのと違いますよ。  それで、時間が大分来ましたからお尋ねをするのですが、せっかく総務庁の地対室長に来てもらっておりますので、時間がないから問い方が短絡的だと思われるかもしれませんが、真意を理解してもらいたいと思います。  この間の参考人のお話を聞いておると、これはやはり大変屈辱的なことであり、外国人登録の指紋押捺を不合理だと思う者の力を分散させるというような気持ちを持って参考人が述べられておりました。考えてみると、今まで部落差別とセットのような形で在日韓国・朝鮮人を差別してきた。その差別をある程度法律的な裏づけをするために指紋押捺をとってきた。しかし今度は、時代が到来して、そこのところだけは歴史的な経緯が違うのだからと言って、定着性の問題だ何だと言って理屈をつけて、そこはその他のかわる制度をつくって指紋押捺をしなくなった。しかし、それ以外の人はこの指紋押捺をとられる。そしてまた、それよりちょっと違う立場の人は、同じ日本に今来ておっても指紋押捺をとられないで済む者もいる。  こういう関係は、ちょうど何段階にも物事を輪切りにして、そして差別を当たり前とするような考え方、これを我々は社会意識としての差別観念と言っています。士農工商えた非人みたいな構造に、同じ外国人でも指紋押捺をとられる者、それからとられない者、そしてまたとられる者というような輪切りみたいな状況になっていることは、日本の社会の構造の中の、たとえそれが一部であるにせよ、同和問題で強く我々が危惧しておる、同対審答申が我が国社会の身分階層構造の問題だと指摘していることと類似していないでしょうか。

荒賀泰太総務庁長官官房地域改善対策室長

○荒賀説明員 私は、この外国人登録法の改正については所管もいたしておりませんので、これまでどういう議論がなされておるのか承知もしておりませんし、また、それについて的確にお答えをする立場ではないわけでございます。  今小森先生からお話のありました同対審答申におきまして、このようなことを言っておるわけであります。我が国の産業経済は二重構造と言われる構造的な特質を持っておりまして、その特質がそのまま社会構造に反映をしておる。また、我が国の社会は、一面では近代的な市民社会の性格を持っておりますが、他面では前近代的な身分社会の性格を持っている。さらには、精神、文化の分野においても昔ながらの迷信あるいは非合理的な偏見、前近代的な意識などが根強く生き残っているとしておるのであります。このような我が国の社会、経済、文化体制こそが同和問題を存続させ、部落差別を支えている歴史的社会的根拠であるという認識を示しておるところでございます。  政府といたしましては、この同対審答申を受けまして、同和問題が憲法に保障された基本的人権にかかわる課題であるという認識のもとに、昭和四十四年以来二十三年間にわたって三たびにわたる特別措置法に基づきまして、今日まで関係諸施策の推進により同和問題の解決に努めてきたところでございます。  その結果、平成三年、昨年の十二月の地対協の意見具申におきましては、「同対審答申で指摘された同和地区の生活環境等の劣悪な実態は大きく改善をみ、同和地区と一般地域との格差は、全般的には相当程度是正され、また、心理的差別についてもその解消が進み、その成果は全体的には着実に進展をみている。」という評価をいただいておるところでございます。しかしながら、その意見具申におきましては「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」としておるわけでございまして、この心理的差別の解消に向けて今後とも粘り強く努力を続けていかなければならない状況にあるというふうに認識をいたしております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 ひとつなるべく委員の出席率を高めるように。  委員長、これはこういうことになりますよ。外国人の権利を制約しよう、あるいは制約する中身を盛った法律の審議に、我が国国権の最高機関の国会の審議が、自国民のことだって定足数は大事なのに、そうでない人のことを議論する場合はなおさら、全出席でやっても世間に対して私は特に努力しておるというようなことにはならぬと思いますので、委員長、特別の配慮をしてください。  荒賀室長は、私は同和問題のことを聞いたのじゃないのに同和問題のことをずらずら言われたのだが、こういうことなんです。つまり、士農工商えた非人というこの大きな身分階層構造は、例えば大名なら大名、武士なら武士の世界をとってみても、将軍がおり、いわゆる御三家というのがおり、譜代大名がおり、外様大名がおり、旗本がおり、そういうふうないろいろな階層構造が侍にできておるでしょう。それと同じように、農村では村方三役みたいなものがおって、自作農民がおって、小作農民がおって、そしてまた季節労働者みたいなものがおるという階層構造がある。それと同じような階層構造が外国人登録の問題についてもできはしないか、できているんじゃないかということを尋ねておるのですが、時間がなくなるから、またこれは次のときにやりましょう。  最後にもう一つ、せっかく人権擁護局長に来てもらっておりますので人権擁護局長の考え方を聞きたいと思います。  実は先般、公述人の話を聞いておりましたら、大体の趣旨として、我が国の著名な政治家が外国人に対する差別発言をするのは、これは差別発言ですから要するに人権上いかがわしき問題ですよね。その人権上いかがわしき差別発言をするということは、日本の国の社会経済構造と照応関係にあると思うという意味のことを言われた。あなたは人権擁護の啓発の非常に大事なポストにおられるので、そこのところどう思われますか。

篠田省二法務省人権擁護局長

○篠田政府委員 お答え申し上げます。  突然の御質問なので正確には答えられませんが、一般論として申し上げますと、物質面と精神面、これはやはり因果関係がございますので、そういった相関関係というのはあろうかと思います。ただ、その相関関係のあり方というのはいろいろな場合で異なっているとは思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 きょうはここまでにさせていただきます。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 最初に、今小森委員から質問がありましたが、これは常識的であって、言葉についてですが、法務省、警察庁、外務省それから法制局、身分とは何ぞやという質問がありましたが、現在身分とはどういう解釈をしているのか。統一見解でなくてもいいですが、それぞれの立場で身分とはどう解釈をしているのか、お答えいただきたいと思います。法制局からひとつお願いします。外務省それから法務省、警察庁、それからこれは法務大臣も入っているのです。

秋山收内閣法制局第二部長

○秋山(收)政府委員 突然の御質問で、あるいは正確なお答えにならないかもしれませんけれども……

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 いや、ちょっと待ってください。突然の質問も何も、法律の第一条の項目の中にある言葉を聞いているのですよ。冗談じゃないですよ。今の言葉は失言ですから取り消しなさい。

秋山收内閣法制局第二部長

○秋山(收)政府委員 憲法十四条との関係でお答えさせていただきます。  憲法十四条では、すべて国民は法のもとに平等であって、人種、信条、性別その他社会的身分、門地によりまして、政治的、経済的または社会的関係において差別されないという規定がございます。この「身分」と申しますのは、人間のそれぞれの社会、法律的な属性と申しますかそういうもの、社会、経済あるいは法律的な属性、非常に抽象的に申し上げればそういうことではないかと考えます。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 警察といたしましては、責務の執行に当たりまして常に公平中正ということを念頭に置いてやっておりまして、身分その他によっていささかもこれを区別することがあってはならないというふうに考えておるわけであります。

宮下正明外務省大臣官房領事移住部外国人課長

○宮下説明員 我々が所掌しています旅券というふうなことを考えますと、その人の社会的属性、性別とか年齢それから国籍、そういうものを総称して社会的地位、身分というようなことで考えております。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 民事法関係で申しますと、身分というのは夫婦の関係だとか親子とかあるいはいとことか兄弟姉妹、そういうような血縁あるいは姻族的なつながり、そういうものを身分というふうにいうものと理解いたしております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 大臣、三つ答えが出てきているようですが、集約して、今外国人登録法で言っている身分、この中の解釈はどう規定づけますか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私は法務大臣ですから、本当は民事局長の言うのが一番近いと思うのですが、ただし所管の省によっていろいろ立場が違うとらえ方をしておるようです。  ただ、民事局としてとらえたとらえ方と入管の問題としてこの法律でとらえているとらえ方はまた多少違うと思います。私は、日本人と外国人の基本的な、地位協定とかありますように、地位といいますか、そういうものをこの身分というのはこの法律では指しているのではないかなと思うのです。というのは、外国人は日本国政府の許可を得て初めて日本に在留できるというのが基本でありますが、それは自国民すなわち日本人の場合とおのずから異なる、外国人にきちんと届け出義務を履行してもらうことは在留管理の必要上重要である、そういう日本人と外国人の基本的な差、これが地位の差というふうに私は解釈しております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 私は地位とは言っていないのです、身分ということ。  次に、今度は、同じことの質問ですが、身分と指紋とどう関係するのか。今までの回答では、民事局と外務省の答えたのが違いますが、性別とか男女、年齢、こういうことで身分を象徴しました。一方では、夫婦であるとか親子であるとかそういうことで身分を解釈しました。この身分と指紋とはどう関係するのですか。それぞれお答えください。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 お答えいたします。  身分の一般的な意義を正確に申し上げるほどの今ちょっとあれが……(沢田委員「今はもう要らないですよ、身分の解釈は。もう聞いているのだから、終わったのだから」と呼ぶ)はい。外国人登録法では、身分関係を明らかにしていることで「身分」という言葉を使っておりまして、具体的には法四条に、登録事項の中に氏名とか生年月日、男女、国籍とかそういうものが出ておりますが、こういうことで具体的に明らかになっているところでございます。  それから、指紋との関係、こうおっしゃいましたけれども、身分関係というのはやはり人を識別する一つの事項でございます。その限りにおきまして、身分関係を明らかにしている登録というものは人を識別する有力な資料としてあるわけでございますし、また指紋というのは万人不同・終生不変でございますから、これは絶対的な識別手段であるということでございます。外国人登録法におきましては、この身分関係、それから居住関係もありますが、そういうものとあわせてこの指紋というものが同一人性確認の手段ということで採用されているということで、外国人登録法上どちらも重要な事項であるという関係かなというふうに思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 結論的にはどこの省からも、あなたは殊さらにくっつけて何とか、じゃ性別とか、最初のときの年齢とか、その中に、身分の中に指紋が含まれるという解釈が出てこなきゃならない、身分の中に。身分の中には全然出てこない。身分をあらわすものの中には全然指紋というものは出てこない。今度はそれをどう裏づけるかという問題の方の課題になっている、あなたの答弁は。  今、身分関係と住居関係ですよ、この法律の骨格は。だから、問題は住居を示すということとそれから身分関係を示すということが登録法の第一条でしょう。その第一条が果たされて公正な管理をしなさい、こうなっているわけですね。あなたはその管理の中身について言っているわけですよ、中身について。その中身がいいか悪いかの問題は別なんですよ。しかし、それは住居に関する管理でも何でもない。それからまた、親子関係を争う場合はあり得るから、指紋じゃないだろうけれども、血液を調べる場合はあるかもしれぬが、そうなったらみんな血液をとらなくちゃならなくなってきちゃう。そうすると入国する人はみんな血液をとることになっちゃう。これは大変だ。そういうことで、それも関係が出てこない。あなたの解釈では出てこない。  だから、要するに、今までも大勢の同僚議員が質問してきましたが、指紋とこの登録法とは、どうくっつけようと思っても、時代の変遷もあるけれども、くっつかない。要するに別の法律をつくらなければだめなものになってきているのが現状なんですよね、本来。それを何とかごまかしごまかし一つの法律の中で事を済ませようとするから、どうしてもこういうふうに無理が出てきてほころびてくるということになるので、僕は、この辺は大臣も割り切って、もしどうしてもと言うならば、この登録法の中にこういうものを隠しみたいに入れていくのではなくて、身分関係と住居関係によって外国人登録法は成立するものである、そのことに要するものは、これにあるように住所と親子関係、家族ですか、家族も私は余り必要ないと思いますが、とにかく家族を含めて署名をしなさい、写真をくっつけるということを言ってありますが、そういうことであるとすると、それだけでパーフェクトであるはずなんですね。私はそう割り切るべきだと思うのですよ。  その辺、大臣、どうですか。これはもうそういうふうに割り切らなかったら、対外的に余計な紛争を起こすだけであるし、余計な解釈紛争をつくるだけですよ。もっと率直にこの点は考えて、外国人登録法で身分関係と住居関係だけです、それで登録をすればいいんですと決めていたら、指紋なんて出てきっこないですよ、よほどのへそ曲がりでもなかったら。そんなものは出てくるはずはない。どこから指紋という言葉が出てくるか、法律の中身で。その点は、あなたはそういうようにくっつける、無理にくっつけちゃだめです。素直に答えてください。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 この外国人登録法の一条に、この法律の目的といたしまして、外国人の居住関係及び身分関係を明確にならしめるということがございます。それで、指紋押捺というのはこれの基礎となる、人間がAであるかBであるかということをはっきりさせるための手段でありまして、そういう意味では必ずしも必然性はないんではないかというのが先生の御質問の趣旨がと思いますけれども、指紋押捺にかわる同一人性確認の手段ができれば、必ずしもこの指紋押捺というものはインテグラル・パートといいますか、どうしてもなければならないものではない、そういうことは言えるかと思います。ただし、今の段階において指紋押捺というのが同一人性確認のためのやはり一番正確といいますか信頼のできるものということで、この法律の中にそういうものがございまして、今回それを一部新しい制度を導入してかえていく、こういうことではないかと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 先ほどのあれじゃないですが、これは私の質問の余分につけた項目なんですが、だけれども、各省庁が言っていることも、一言だって出てこないんだ。いかにこれが普遍化されているか。あなたの言っているような解釈はしてないんだ。自治省は呼んでないけれども、皆さんが身分証明書をもらうのに、身分証明書をもらったときにそんなもの書いてありますか、指紋を確認するとか。あなた、突然だけれども、これも常識の一つだ。身分証明書を市役所に行ってもらってくるのに、どういう手続でどういうものをもらっできますか。中身、何と書いてありますか。言ってみなさい。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 役所から身分証明書をもらっていますけれども、これは自分の写真と名前を書いて、それでいただいております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 私は市役所でもらってくるものをちゃんと言ってみなさいと、こう言ったんですよね。だけれども、そんな指紋というのは出てこないんですよ。沢田広のものをもらいに行ってきたけれども、それには指紋がちゃんと一致していますなんということは書いてないんですよ。それと同じように、指紋というものを結びつけること自身に無理がある。それはやはり一つの被疑者とかあるいは容疑者とか、そういうようなイメージを頭の中に描きながらくるから、指紋という言葉が、これはあるいはまた私の見解が間違っているかもわかりませんが、しかし指紋とつくと大体そういうことを連想するんですよね。これは常識だと思うのです。  ですから、今の答えでも、これは指紋とは関連性がない、結びつかない。これは無理がある。今までの回答ではそういう言葉が出てきてないので、これは先ほどもありましたけれども、やはり次回までに身分とはという統一見解をまとめて、出してください。そうなると、今度は一般、全国、いろいろな身分という言葉を使うときには全部指紋がくっつかなければ身分の証明にならない、こういうことにもなりかねませんが、あなた方の腕を、どの程度の腕があるのかわからぬけれども、ひとつ統一見解をつくっていただきたいと思います。これは委員長から特に、今のように違った答えが出てきたのでは我々も惑っちゃいますからね。どっちで、どうなんだろうかと、国権の最高機関でこんなうろうろしていたのじゃとても審議は進められませんので、本当は統一見解が出るまではやめるのが筋かもしれませんけれども、一応それは信頼をしながら、お願いします、この点。どうですか。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 沢田委員に申し上げます。  質疑の中で明らかにしていっていただきたいと思います。政府委員の方も、答弁を十分研究をして行ってください。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 では、ひとつ統一をした見解を、身分で、今質疑の中でと言うから、答えてください、答えられるんだったら。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 沢田先生が言われたように、一応みんなで話して、後日見解を出させていただく方が本当ではないかと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 私は情を持ってそういうふうに言ったのですが、委員長がばかに気負ってそういうふうに言われましたが、結果的には次の時間までということですから、そういうことにして進めさせてもらいます。  続いて登録課長さん、先ほどの質問まで、皆写真に入れて一応全部書類を保管してある、書類のコピーですがとにかく保管をしてある、こういう答弁でした。これは一般論でまず申し上げますが、これに対してその関係者から開示を求めた場合には、これに応ずることはできるのですか。これはイエスかノーかでお答えいただきます。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 登録の内容の開示請求ということはできません。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 どうして。これは国家の機密に関するのですか、それとも特別経済的変動を起こすおそれがあるのですか。どういう理由ですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 外国人登録は、外国人登録法の第一条に書いてあります目的から明らかなように、「在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」ものであり、登録原票は非公開としておりますが、その内容につきましては、外国人登録証明書などにより本人が知ることができ、登録の内容に誤りがあることを知った場合は、登録事項訂正の申し立てができることになっております。これは、外国人登録法十条の二の第一項、また施行規則第九条の二の第二項に書いてございます。  したがいまして、外国人としましては、本人が交付されております証明書で内容を知ることができますし、また市区町村が請求に基づきまして発給する登録済証明書ということによりましてその内容を知ることができるわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 問題は、前の法律も変わったわけですが、今度法律が変わって必要のないものもあらわれるわけですね、出てくるわけですね。それも大変手間がかかるからそのまま置いておくんだ、こういうさっきの答弁でしたね。しかし、法律によってその必要性がなくなったものをなおかつ保管をしていくということは個人の権利の侵害になるのではないですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 もともと外国人登録法に基づく登録というのは、先ほど説明しましたように第一条に「在留外国人の公正な管理に資する」ということで行っておるものでございまして、それを保管しておるということが外国人の権利を侵害するということにはならないというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 いわゆる登録法によって住居関係及び身分関係においていわゆる「公正な管理」をする、こういうことの中に必要なものと必要でないものが各条文の中にあらわれますね。例えば一年未満なら一年未満はない、指紋押捺の義務もない、そういうふうにないものが今度は法律でできますね。それによって今までとっていたものは法律上無効にしていく、要すれば法律上管理されない条件が生まれてくるということになるのじゃないですか。これとこの人だけが今度は管理の対象になるのですよ。それ以外の人まで管理が及ぶということは、逆に言えば法律の越権行為じゃないですか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 外国人登録に記録されております身分関係、居住関係を外国人登録法は登録事項として記載しているわけでございますが、それは本人の現時点の居住関係のみならず、これまでの外国人の居住関係というのを明らかにしておるわけでございまして、それによりまして、一面から見れば外国人も利便がありますし、また国も行政目的を達するということもあるわけですから、その限りにおいてはそれを保管するということは許されるということだと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 いわゆる登録済みであり、その登録の必要性がなくなってきて、あるいは指紋押捺の義務もなくなってきたものを管理していくということまで法律的にもゆだねられたものでもないし、個人の了解を得たものでもないし、国の権力をもって管理をするということは適法ではないのじゃないか、要するに越権ではないのか、私はこういうふうに言っているわけですね。だから、戸籍の最後の最後まで、もう三代目くらいになっているのでしょうけれども、三代前までも追求していく権利というものを保有していることは違法ではないのか、その点を伺っているわけです。そうなると、外国人登録法で今度改正する趣旨というものは失われてしまう。こういうものはもう要らないのですよ、こういうことを言っていながら、またあるいは外国ともそういうことを取り決めていながら、日本は依然として従前の系統をきちんと確保していくということは違法行為じゃありませんか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 外国人登録というのは本人の依頼によりましてやっているわけではもちろんございません。法律の第一条に書いてあるとおり、国の必要上行っているものでございます。  また、それ自体用済みになったとか国の行政目的を達するために不必要になったというわけではございませんですから、それを保有するということは何ら違法とかということにはならないと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 大臣、これは今重要なことで、不必要になったというわけでないなんという解釈を、法律をつくってきてこれは必要がなくなりましたと言っていながら、課長は、必要がなくなったとは言わないなんという解釈を言うなんてことはもってのほかじゃないですか。また、他の国と外交交渉の結果、こういうことで次の国会には提案しますなんという約束をしてきた手前からいって、そういうことを依然として続けると言ったも、外国との信義というものはなくなってしまうじゃないですか。そんな不当なことが許されていいわけではないでしょう。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 御説明させていただきたいと思いますけれども、今回廃止するといいますか、やめるのは指紋の押捺をやめるわけでございまして、今先生が問題にしているのは、過去集めた例えば指紋とかそういうものの取り扱いではないかと思うわけでございます。それは先ほどから別の委員のときにお答えしましたように、その目的は同一人性確認のために指紋をとったわけですから、今後はとらないということになりますし、今後五年間で全部その役割を果たしますと、その永住者等についてはとっておく必要がなくなるわけでございます。  それをさらにキープしておくのは越権じゃないかというのが先生の御質問なんですけれども、その辺につきましては、過去の歴史の一部として一体となっているもの、それを破棄するということがいいのかどうかということも含めましてこれから検討していきたい、こういうことでございます。やめたのは指紋を押捺させる、そういうことをやめたわけでございまして、とっているものを、とった昔のものを破棄するということ等を決めたというわけではございません。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 そうすると、今まで何百万人かのずっと歴史がありますけれども、そういう人たちの部分は、依然としてもとの原簿が残されていって、ここで法律で決めてみたところで、これは新たに起きるというだけのことであって、それ以前のものは厳然として残っていく、それで、二世、三世に至るも今度は法律で適用される、こういうことにもなっていくということにもなるわけで、ちっとも改善されたことにもならないし、約束を果たしたことにもならない。  きょう、ここは行き違いがありますが、大臣、それでは、結果的には外国の人に対する誠意というものを日本として欠くことになりますよ。もっと信頼していかなかったら、経済大国だとか何だとかとうぬぼれていることでは許されませんよ。もっと信頼をしていくという姿勢を持っていかなければならない。この法律ができたころの時代とは違っている。これは次の質問事項の中に入っていることなんですけれども、これは特に今のような答えで、厳然と、何か隠し玉みたいなものを持って、いつ何でも、それは我々の方は握っているんだよ、そうして、おまえたち、変なことをすればやっつけるよというような姿勢で外交というものはやるものではないということを、そのことがかえって日本の国のマイナスにつながるというふうに思いますから、特に大臣においてはその点を今後留意してほしいと思うのです。  そのことを含めまして、これも提言なんですが、多くの人はそれに疑問を持ち、不安を持ち、そしてそういうことが我々の、自分の身辺を常に探られているような懸念もなしとしない、そういうことだから、ディスクロージャーと異議の申し立てというものを現行の法律に合わせて適用していけるような仕組みというものを考える必要がある。指紋を消してほしいという申請があればその指紋を消してやる、あるいは住所の間違いなどそういうものがあれば、それは見せることは見せて、ここは違ってきたんだからこれは改正してほしいという要請があれば変えてやる、そういう幅というものを持たなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思います。これはもう時間の関係がありますから簡単に、そういう余裕、弾力性というか、ああいう登録課長みたいなかたくなななんというのは、これは官僚ではないですよ、ファッショみたいなものだ。とにかく話にならないと思うけれども、とにかくそういうふうなことで、もっとこれは身近なものとして外国人を考えていかなければいけないということを考えてもらいたいですね、大臣。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 ディスクロージャーの件は、これは原則非公開ですが、本人が望むときはこれはできるはずです。訂正の要求があれば訂正しなければいかぬと思いますがね。  それから、登録原票というのは市町村において保管し、指紋原紙は法務省において保管しておることは御存じのとおりですね。そうすると、改正後においても、永住者及び特別永住者が新制度に移行するまでの間は保存が要りますね。それから、永住者及び特別永住者全員が新制度に移行した後における登録原票及び指紋原紙の取り扱いについては検討中である。  ただ、そこで問題は、さっき登録課長申したように、マイクロ化された、マイクロフィルムにおさめられたものは技術的になかなか修正しにくいという点はあるようですが、これはどうしたらいいのかという検討を今やっているわけでございますが、指紋原紙は同一性確認のために使用しないことになるので、改正後に確認登録をしたものから順次廃棄する方向で検討する、そういうことで、やはり合理的に経過措置を講じながら、それを念頭に置きながらやっていきたい、こういうふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 もう一つ、十六歳という年齢に、前の国会なんだと思うのですが、前の改正に十六歳ということを決めましたが、今日本の成人は二十になるわけでありますが、なぜ外国人の登録についてだけ十六という年齢が出てきているのか、その理由は何なんですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 これは、かつて十四歳であったものを十六歳というふうに改正したわけでございますが、十六歳になった理由としては、小学校及び中学校の義務教育の期間等にある十六歳未満の者とそれ以外の者に分け、独立して社会的に行動を始め得る時期である十六歳以上の者には指紋押捺、常時携帯等の義務を課す制度を採用したということと承知しております。  大体この十六歳というのは、ほかの社会的にいろんなことが許されるというか、どういうことが起きるかといいますと、自動二輪車、原付自転車の運転免許が取得できるというのが十六歳です。それから、国際民間航空条約第九附属書で勧告しております親の旅券に併記できる子供の年齢は十六歳までとか、中学を卒業して就職して親元を離れて生活する者も出てきますし、女子は親の承諾があれば結婚できる、そういうようなことから十六歳に改めたというように承知しております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これは日本は現在、成人との差、二十にしていますから、これも大臣、これは日本と違うという取り扱いをするということは相手に与える印象はどういうふうになるでしょうね。日本の高校生ぐらいになっていて、その者を成人扱いというんですか、極端に言えば、犯罪的に見れば一人前の犯罪を犯すおそれがある、こういう年齢層にとらえるという意味なのか、あるいは日本だって自動二輪だとかなんか、高校だって、それは高校によって取らせないところもあるし取らせるところもあるけれども、それによって指紋まで強要したりなんかするということはあり得ないですね。だから二十からが成人になって、外国人だけはそれを、年齢を低くして適用範囲を広げている、これは差別にもなるんじゃないですか。  私は、なるんじゃないのかと、こうクエスチョンマークをつけながら物を言っているのはあなた方の立場も考えて、だったら直さなければならぬかな、こう思うだろうからそうわざわざ決めつけないで言っているわけなんだけれども、日本は二十ですよ。あなた方は十六で、言葉はまた悪いけれども容疑者ですよ。いわゆる警戒人物になるんですよ。被警戒、こう言った方がいいですかな、そういう注意人物に、ブラックリストに載るんですよ。そういうイメージを与えるということは外交的に見てプラスにならないでしょう。それは少なくとも日本で二十でやっているとするならば、あとは青少年の法律で守られているんですから、いや外国人だけはあなただめよと言うのはやっぱり外交、日本がこれから世界の中で動いていく場合にそういう徳川的な発想をやっていたんじゃ少し時代おくれじゃないのですか。もう少し信頼していくということが日本としてのやっぱり懐のというか、あるいは同じ扱いをしていくということが日本の今日の課題じゃないでしょうか。  これはやっぱり大臣に答えてもらわなくちゃならないですね。事務当局じゃとてもじゃない、歯が立たないです、これ。だけれども、そういうものでしょう、考え方としては。うちは二十だよ、おまえは十六だよって、それじゃやっぱり説得力ないでしょう。これはもし外国へ行って、これから国交回復なんかもされるでしょうが、やっぱりそのときになると言われるでしょう、なぜそういう差別するのですか、日本はと。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 私がお答えすると怒られるかもしれませんけれども、年齢の点でございますけれども、十六歳とした理由は先ほど私どもの局長からお答え申し上げたとおりでございまして、おわかりになっていると思いますが、要するに何歳にするかということは、その制度の目的が何かということによっておのずと決まっていくわけでございますから、先ほどの刑事年齢の問題も同じでございますが、それぞれの目的によって決まっておりますので、そこのところはひとつ御理解いただきたいと思います。  諸外国の例を見ましても、アメリカの場合は十四歳以上だそうでございますので、それぞれその国の実情に応じて決めているようでございます。日本が格段に低い年齢から指紋押捺を求めているというふうには、比較法的にはちょっと申せないなと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これもやはり内外同じ、共通にということですよ。だったら日本も同じように青少年も、特に青少年犯罪も多くなっているときだから、じゃみんな、恐らく日本で十六なら十六で指紋をとるよと言ったら大騒ぎになるだろうと思うのですね。これはもう内閣をひっくり返すぐらいの力、うねりというものが生まれてくると僕は思います。もし日本でそういうことを法務大臣でも言ったら、大変な騒ぎになって暴動になりますよ。やってみたらいいですよ。もしそうなったら、必ずそういう現象が起きる。やはりそういう迫力を持っているものですよ、こういうものは。その人間を決めつけることですから、しかも法律でやっていくことですから。これは任意的なら話は別ですよ。任意的にひとつ皆さん協力してくださいといって出してもらう場合は別ですよ。しかし、法律によって決めつけて、それによって支配をしていこうという体制をとったら、反抗が生まれてくることは当然です。  これも今すぐ答えられないのでしょうけれども、十六という年齢は余りにも相手を信頼しなさ過ぎる。それだったら入れない方がいい、帰ってもらった方がいい、その方がかえって親切だというふうに思うくらいであって、そんなことは国際情勢の中で許されないのですから、その点は一応考えていくべき時期に来ているということを特に念を押しておきたいと思うのです。  時間の関係で四番目は省略しますが、この外登法の政治的な意味、それから政策的な役割、今の質問で大体そういうことがわかってきたのでありますが、今の国際情勢との整合性というものをどうとらえていくかということが必要だ。私は素直に、外国人登録法というものは、今はもう昔のように韓国と朝鮮というような方々が主体であったという時代から、より多くの諸外国の人々が参加をされるようになってきた。そういうことで、これはいいことなのでありますから、そして日本が純粋主義だけをとっているのではなくて、世界の中の日本としてより多くの人々と交わりながら、それぞれより多く効果的なものを上げていくということが今後の日本の課題であります。  ですから、そういう立場において、私は、政治的な役割と政策的な役割という立場で見たら、もっと緩やかにしてより多く、また警察は警察としての役割、もし必要なら法律をつくればいいのですよ。そして、その法律で取り締まるものは、日本人であろうとどこの人であろうと同じ条件で取り締まればいいのであって、何でもない人までみんな疑わしきという立場で対応していくということはやはり時勢にかなっていない、また国際情勢とも整合しない。だから、ここでやはり私は実は法案を撤回してもらって出してもらうことが望ましいのですが、これはそういう方向で検討して、直すべきものは直していくという謙虚さが必要ではないのかというふうに思います。  これはひとつ法務大臣が、現在の政治的な役割は何なのか、政策的な役割は何なのか、その役割の上からいって今の国際情勢で許されるものは何か。これは肝っ玉を小さくして物を見るべきじゃないですよ。日本人が外国であれだけ拉致されて殺されたりしているという現象もやはり日本の体質の中から生まれているものだというふうにも考えなければなりませんから、経済的なことはもちろんあるでしょうけれども、それ以上に人間の排他的な発想というものがその原点にあると言ってもいいと思うのです。ですから、そういう立場でこの法律を見ていく必要性があると思いますが、これは大臣の見解を承りたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 今回の改正はいろいろな経緯がありましたけれども、社会的な要望が非常に強い。というのは、不法就労の問題等もありまして、外国人の在留管理を一層厳正にしなければならないという要請もあったりして、石橋をたたくような気持ちでやってきたわけでありますけれども、外国人登録制度が国際環境や国内の諸情勢を踏まえているかどうか、正確に反映しているかどうかということは十分検討しながら今回の改正案を提出したわけであります。ただ、将来このままでいいかというと、内外の諸情勢が変化したらそれに対応して本法律の内容に検討を加える必要が生ずることもあるかもしれないということは、提出官庁として当然念頭に置いております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 犯罪の方からちょっと見てみますが、特に外国人の登録法というものは七割ぐらいが執行猶予なんですね。ですから、登録法で罪をこんなに重くしていく意味というものは那辺にあるのだろうか。どういうふうに見ましても、この外国人登録の、いわゆる起訴されたりなんかしている中で総数で言っても七割近くは執行猶予あるいは起訴猶予、こういうふうになっていて、その残りしかされてないのですね。  皆さんはどういうふうに把握をしていますか。これは政府の犯罪白書あるいはその前の年に出ている犯罪の数字から言っているわけですが、それをどういうふうに把握していますか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 今、執行猶予率のお話がございましたけれども、手元に執行猶予率の正確なところをちょっと把握しておりません。(沢田委員「だから答えられないと言うの」と呼ぶ)いや、そういうわけではございませんで、事実かどうかということをまだ確認しておりませんが、もしそうであれば、事案に応じた裁判でございますから、それはそういうものだろうなと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 登録法の法律を出してきておいて、しかも警察や法務省が担当者を集めておいて、それによってどの程度の登録法の違反が出ていて、どういう傾向のものが多くて少なくてと、そのぐらいは調べて出てくるのが公務員として当たり前じゃおいの。それが答えられないようなことでは話にならない。  だから、登録法の罪でこれは重過ぎる。登録法は七割も執行猶予になっているので、登録法だけでこんなに罪を重くするという理由にはならない。これは大臣、どう考えたってこんな罪を——日本にだってないですよ、日本の国内法だってこういう登録法程度の、程度と言っては悪いかもしれませんが、程度のもので、しかも法律が変わって、身分と住居と、それをつけ足して、指紋をつけてやっているのですけれども、それに違反したら禁錮だ何だという罪になっているのはないですよ。だから、登録法違反の実態がどの程度かということで、こんなに多くて、こんなに余計にいろいろ社会に不安を与えているのだというなら話はわかります。それがないのに、ほとんど執行猶予やあるいは何かに処理されてしまっているものをいかにも大げさな扱いで、そしてこんなに大変なんだと言って、ああ大変だ、ああ大変だと言って法律を出しているようなものじゃないですか、これでは。これはちゃんと答えてくださいよ。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 裁判の結果の統計がちょっと手元にございませんで恐縮でございますけれども、検察統計年報という検察庁の事件のがございます。ちょっと御紹介申し上げます。  一番最近の統計で見ますと、平成二年でございますが、外国人登録法違反事件で、全国の検察庁が受理いたしました事件は六百四十六件となっております。そして、前年までに受けた事件と合わせますと六百五十九件でございまして、そのうち六百三十七件について処理がなされました。そのうち、起訴されたのが二百二件、それから不起訴になったのが二百七十件、その他は移送とか、そういうふうになっておるというのが実情でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 問題は、数をここで読み拾ってどうこうということでないから、私はもうここであえて言わないのですけれども、ほとんどが略式命令とか起訴猶予という形で処理されているということなんですよ。要すれば、この外国人登録法、それから出入国管理及び難民認定法の方も同じなんですが、そんな大げさな罰則をつけなければ取り締まりがきかない中身の法律にはなっていないということですよ。やはり、人を見て法を説けという言葉がありますとおり、ただ罪を重くすることが管理ではないんですよ。結果的に守られなければ何にもならないんですから、やはりその法律なら法律の体質に合った刑量というものが必要なんであって、なるほどとだれしもが納得するものが必要なんですよね。大臣、そうでしょう。私は、法というものはそういうものだと思うのですよ。  むちゃな法律をつくったから皆が皆従うのかといったら、そうじゃないですよ。みんな死刑にするぞと言ったから従うかといったら、そんなことは従わないですよ。結果的には、その罪なりあるいはやったことに相当したものでなければならぬのですよ。そういう意味において、今までの——今は特に多くなっておりますよ。平成三年度の統計で言っても、平成二年度になってくると数は非常に多くなってきていますが、それでも起訴猶予とか略式命令とか、ほとんどそれで終わってしまっているんですよ。だから、なぜこんな罰則が必要なのか。それは、もう完全に懲戒的な発想なんですよ。悪いことをしたら退学させるぞという発想なんです。そういう発想で法というものは運営するものではないでしょう。これは大臣も、人柄がそうだから恐らくそういう罰則主義になっているわけじゃないでしょう。さっきファッショだと言ったけれども、まさに法律的に見るとそうなってしまうんです。  だから、もう少し人間らしい、温かみのある対応ということがこれからは求められていく時期なんですよ。だから、このときにそういう対応が私は必要になっているのではないか、こう思うのであります。これは重ねて、細かい数字は後で御必要なら見せますが、そういうふうになってないのですよ、そういう罰則を強める必要性は。その点、ひとつよく考えてお答えいただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先生が今御指摘になった御趣旨は非常によく理解できますけれども、刑罰規定をつくるときには、いろいろバランス、全体のバランスという観点があるものですから、専門的な検討をやった上で、法制局その他と調整してできたものと思いますけれども、先生の御趣旨をよく味わいながら審議をいただきたいということで、これからもそれを頭に入れてまいりたいと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 私の言い回しかあるいは若干悪かったかどうかわかりませんが、大臣、これはもう一歩進めてもらわないといけないと思います。謙虚になって、そして、外国人の人々と日本とがどういう関係でこれから日本の国を支えあるいは繁栄を求めていくか。よほど相手を信頼し、相手の人たちの立場を考え、そして日本の国民と同じように対応していくということがやはり絶対必要な要件なんですから。特に、こういう指紋、何かこだわっている課長もいますから、そのうち異動するだろうと思いますけれども、その流儀でほかの仕事にはとてもつけっこないということだけ予言しておきますよ。  それで、被疑者の数がどのぐらいあるのかということで、指紋の数をちょっと調べてもらいました。七百万人、今被疑者の数はある。これは何も外国人の関係じゃありませんよ、日本の国内問題が主体ですよ。それで保管期限は、死亡したときと七十五歳を超えたときはなくなるんだ。これは警察庁に報告してもらった数ですが、間違いありませんね、念のためですが。

岡田薫警察庁刑事局鑑識課長

○岡田説明員 そのとおりでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 時間の関係で先へ行ってしまいます。  警察の反則は五年間保存なんだそうですよ。五年間保存で、五年間で四千五百七十一万件数あるんですね、累計でいきますと。六千万の運転免許証を持っているうちの三分の二の数になるわけでありますが、これもこの間は、指紋という立場から見ると、とっているものと必ずしもとっていないものとがあるんですね。私は、前の法務委員会でも言いましたが、印鑑をサインにしなさい、これからは一切サインにした方がいいということを言っているのはそこなんでありまして、印鑑なんというのはだれだって押せるので、署名の方がどれだけより誠実がわからない。指紋なんというのは本当に最悪の最悪の場合なんですよ。そういうことから見て、これも一つ、大臣にこれから理解をしてもらうために申し上げる。  それから、調書などはどの程度の保管をされているのかなというふうに——関係するからそっちで聞いておいて、あなたら頑迷だから。保管件数はどんどんなくしていってしまうと言うのです、検察庁でも。刑事訴訟法二百二十三条の第二項に基づいて求めることができるけれども、調書の捺印とかその他、六十一条に基づいてするものは保存期間というものはほとんど決まってなくて、未検挙のものが残っているぐらいなもので、あとのものは全部処理していってしまいますと。外国人登録だけ一生、生涯つきまとって、まるでサラ金の追い立てみたいに追っかけ回して歩いていく、こういうやり方は刑事訴訟法でもないのですよ。いかにこういう外国人登録の扱いをやっている人が頑迷かということ。  それから、非常に情けない。私は、これはやはり日本の恥だと思うのですね。もっと信頼していきましょうよ。日本の法律との整合性と大臣が言ったから私あえてこういう数字を出したのですけれども、整合性からいったって、そんなものをずっと保存しておくという根拠にはなり得ない。そういうことをぜひひとつ御理解いただいて、前に小森理事が二、三分追加したものもありましたから、その分は私の方で次の機会にもらいまして、この次はまたそのもらった分でやりますが、今回はその分をお返ししておいて、後の方に迷惑をかけないようにしてこれで終わります。  大臣、最後に今言ったことをひとつ——ああいう課長はだめね。これは、とにかくもう少し物の考え方を変えてもらうように、最後に、変えられなかったら、全部変えてしまうのが一番いいんですがね。お願いします。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 本日の法務委員会で、沢田先生から非常に貴重な、人道愛、人間愛にあふれる御意見を伺いました。念頭に置きながらやっていこうと思いますが、頑迷固陋の部下も、頑迷固陋でないと困る場合もありますので、これはひとつお見逃しをくださいませ。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 私は、前々回のこの法務委員会におきまして、戦争の終わるとき、長崎県の三菱重工の造船所で働いていた金順吉さんという徴用工の人の賃金の未払い問題、今その方がまた日本へやってきて支払いを求めている、この問題についてお尋ねいたしました。それで、なお若干そのことでお尋ねしたいことがありますので、きょうこれからその質問を申し上げたいと思います。なお、きょうは主として外務省関係でお尋ねするようになると思いますが、もちろん法務省関係、また大臣の御見解を求めることもありますから、よろしくお願いいたします。  まず初めに日韓請求権・経済協力協定、一九六五年の協定でありますが、この協定によって日韓両国はお互いに持っている請求権を相互に放棄するということを約束し合ったわけでありますが、そのときに、そのお互いに放棄する請求権、日本から韓国に対してはこういう、こういう、こういう請求権がある、ところが韓国から日本に対してはこういう、こういう、こういう請求権がある、それぞれ具体的に挙げて、そしてそれを放棄するというふうな形にこの協定ができ上がったのかどうか。そういう具体的な放棄する請求権をお互いに確認し合ったということがどういうふうに実態としてなっているのか。初めに、まずそれをお尋ねしたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  六五年の日韓請求権・経済協力協定でございますけれども、これによりましてどういうものを放棄したかという御質問でございました。  韓国側から、交渉の過程におきまして対日請求要綱、いわゆる八項目というものが出てまいりまして、そして交渉を行ったわけでございますけれども、日韓交渉におきましてはこの日韓間の財産・請求権問題は完全かつ最終的に解決済みということでございまして、いわゆるこの八項目を含めましてすべて解決済みということでございます。  ちなみに八項目、これをお読みいたしますと、  第一項朝鮮銀行を通じて搬出された地金と地  銀の返還を請求する。  第二項 一九四五年八月九日現在の日本政府の  対朝鮮総督府債務の弁済を請求する。  第三項 一九四五年八月九日以後韓国から振替  又は送金された全員の返還を請求する。  第四項 一九四五年八月九日現在韓国に本社、  本店又は主たる事務所があった法人の在日財産  の返還を請求する。  第五項韓国法人又は韓国自然人の日本国又は  日本国民に対する日本国債、公債、日本銀行  券、被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の  請求権の弁済を請求する。  第六項 韓国人(自然人及び法人)の日本政府  又は日本人(自然人及び法人)に対する権利の  行使に関する原則。  第七項 前記諸財産又は請求権から生じた諸果  実の返還を請求する。  第八項 前記の返還及び決裁は協定成立後即時  開始し、遅くとも六カ月以内に終了すること。ということになっております。  繰り返し申し上げますけれども、六五年の日韓請求権・経済協力協定によりまして解決されましたものは、こういったものも含めましてすべて完全かっ最終的に決着済みということでございます。解決済みということでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 今韓国側からのそういう八項目の御説明がありましたが、この際参考のために、日本側から対韓国でそれに類するような、これはこういう請求権があるよというようなことの提示はあったのかどうか。これはどうでしょうか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  交渉の過程において一時請求したことがございましたけれども、ただ、日本側の財産につきましては連合軍によって接収されておりましたので、具体的にこうこうこうということは現時点、現在資料として持っておりません。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 今完全かつ最終的に清算されたということが説明があったわけですが、どうも最近の韓国と日本との関係を見ますと決して完全かつ最終的ではない、こう思わざるを得ない動きが次々に出ているわけであります。その一例として、一昨年韓国の盧泰愚大統領が来日されましたが、その際に、日本で、広島、長崎で原爆を受けた被爆の韓国の人たちに対する、これは補償というべきなのか何かあれですが、被爆者援護基金として四十億円を支出するということが日本の政府の決定として決められたわけであります。こういうふうな被爆に対するお金を四十億出すということになった、この場合、さっきの協定の完全かつ最終的に決着した、もう何もないんだということとこのことの関係は一体どうなるのか、お聞きしたいと思います。     〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  在韓被爆者に対しましては八一年から八六年まで渡日治療を実施してまいりました。その後、九〇年五月に盧泰愚韓国大統領訪日の際に、当時の海部総理より今後総額四十億円程度の支援を行うとの意図表明を行ったわけでございます。これに基づきまして、治療費の支援ですとか健康診断費支援それから健康福祉センター建設費支援を行うことにしたものでございます。これまでも繰り返し御説明申し上げましたが、日韓間の財産・請求権というのは六五年の日韓請求権・経済協力協定によりまして法的には解決済みでございます。  在韓被爆者の支援につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、これは歴史的な経緯を踏まえまして、原爆という特殊な原因で後にその後遺症等で悩んでいらっしゃる方々がいらっしゃるわけでございまして、こうした在韓被爆者の方々に対しまして医療面での支援を人道的な観点から行うことにしたものでございます。したがいまして、こうした支援は補償といった性格のものではございませんで、請求権協定の枠組みに影響を与えるものではないということでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 もう一つ具体例を挙げたいと思います。  本年の一月二十一日、韓国の政府は各省庁の実務責任者会議を開いて、日本政府に対して従軍慰安婦問題での徹底した真相解明とそれに伴う適切な補償などの措置をとることを求めるということを決定したわけですね。この韓国政府の決定によって、外交ルートで今まで日本の政府、外務省に何かこのことについての申し入れがあったかどうか、まずそれをお聞きします。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 韓国政府が一月二十一日に、日本に対しましていわゆる従軍慰安婦問題の真相究明、補償、歴史教科書への反映等を求めること及び韓国政府内に本件問題についての合同対策班を設置すること等を内容といたします挺身隊問題に関する政府方針というものを発表したことは承知しております。私どもも報道資料等を入手してこれは承知しているわけでございますけれども、これまでのところ、韓国側からこの方針に基づいた申し入れは来ておりません。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 今までのところは来ていないということでございますが、しかし私は、これからそういうものは来る可能性がある、こう見るべきではないかと思います。  そういう要求が来たときに、日本の政府の対応としては、それは日韓請求権協定でもはや完全かつ最終的に決着は済んでいるんだ、だからそういう問題はもはやお聞きする余地はありませんというふうな対応をとられるのかどうか、これはいかがですか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 韓国側からこうした申し入れが来た場合どういうふうに対応するかといった仮定の質問にお答えするというのは、必ずしもこの場では適当ではないと思いますけれども、いずれにいたしましても先生おっしゃいましたとおり、日韓間の財産・請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により完全かっ最終的に決着済みでございまして、この点については韓国政府の方でも御理解くださっているものと考えております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 私は、そういうふうな理解を韓国政府がもししていればこの種の要求は出てこないはずだと思います。しかし、この種の要求が出てくるということは、あの協定の決着済みということではこれは決着できない問題というふうに先方は考えているからこの要求が出たのだろう、こう思うのであります。先ほど原爆被爆者については、この請求権の協定の問題とは別に人道上の措置として、非常に特殊な歴史的経過があったから人道上の措置としてやった、こう言われるのでありますが、私はこの従軍慰安婦などというケースの場合はなおさら特別な歴史的経過を持っている、なおさら人道的な措置をしなければならぬ、こういう性格のものではないかと思うのであります。しかし、そういうことに対して既に決着済みということで対応される考えか。あなたは外務大臣でないからそこまで聞くのはあるいは酷かもしれませんが、しかし条約上の考えとしてはもはや決着済みということでそれは通すのだ、こういうお立場がどうか、それを聞きます。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  昨年の八月十七日に、韓国の李相玉外務部長官が定例記者会見におきまして、政府レベルにおいては一九六五年の韓日国交正常化当時に締結された請求権及び経済協力協定を通じてこの問題が一段落しているため、政府がこの問題を再び提起することは困難であるというようなことを言っておられます。先ほどから申し上げておりますとおり、この問題につきましては、六五年の協定によりまして決着済みというのが法的な立場でございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 そういたしますと、私、前回のときもお尋ねしたのでありますが、この問題について渡辺外務大臣は、これは何らかの措置は必要である、こういうふうな発言をされているわけでありますが、この決着済みという立場と何らかの措置が必要であるということとの相互の関連は一体どうなるのか、あなたの立場でひとつ理解を示してもらいたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 渡辺外務大臣が国会等の場におきまして、いわゆる従軍慰安婦の方々に対し申しわけないというお気持ちを目に見える形で何かするのが政治ではないかといった趣旨の御発言をなさっていらっしゃるということは、私どもとしてもよく承知しております。これは大臣の政治家としてのお考えを述べられたものだと思います。  いずれにいたしましても、いわゆる従軍慰安婦の方々の補償の問題につきましては、現在訴訟が行われておりますし、この訴訟の行方を見守っていきたいと考えております。さらに、まず、先般宮澤総理が韓国を訪問されましたときも、事実関係について誠心誠意調査をしていきたいというふうに言っておられますので、私どもとしてもこの調査に誠心誠意専念したいと考えているところでございます。     〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 これから大臣に対するお尋ねになりますが、日本と韓国との関係で言うと、それこそ植民地支配をした経過であるとか、それが第二次世界大戦につながっていった経過であるとか、非常に特殊な歴史的な経過があります。そして、今次々にこの種の問題が出てくるということは、そういう歴史の経過の中から生まれてきているということであって、協定ではもう済みましたというふうに幾ら言っても、しかしやはり韓国の側からすれば、あるいは韓国の国民の側からすれば、これはどうしてもこのまま済ますわけにはいかないというふうなことが、原爆被爆者の問題もそうやって出てきた、従軍慰安婦の問題もこうやって出てきた。あるいは当時無理やりに日本人にさせられて日本の軍隊に入れられて戦死した人たち、そういう人たちに対する、これもまた何ら行われていないわけですね。日本の軍人は、あの戦争で戦死した人あるいは傷ついた人は、後で軍人恩給というものを受けておりますが、しかし韓国で同じ立場の人は何らそういうものは受けていない。この人たちは、おまえたちは日本人だぞ、植民地時代はそう言われた。そして、今度、いよいよ戦争が終わってそういう補償を受けなければならぬというときになったら、おまえたちはもう正本人じゃないよ、日本の国民じゃないからそういうものはやれないというふうな形で今日まで来ているわけですね。  そういうことを数え上げれば切りがないほどあるのですが、そういうことが、今度は韓国の国民の側からすれば、これは何とかすべきだ、してほしいということがまた次々に出てくることは、私は歴史の経過からいってやむを得ざることである、そしてその一つ一つをとってみると、いずれも、さっき原爆の被爆者は人道上の措置である、こういう説明があったのですが、どれをとっても人道上の措置としてこたえるべきそういう性格のものじゃないか、私は実はこう思うのです。したがって、そういうふうな立場で見たときに、この種の問題に日本の政府が、もう日韓の請求権の協定で済んだ、こういうふうな対応だけで私はいけるものじゃないし、またいくべきものでもない、こう思うわけです。  協定を結んだ立場でそこをどうやるかはなかなか難しい問題はあろうかと思いますが、しかしそれはそれとして、もう人道上という一つの前例が原爆の被爆者の問題であるのですから、そういう人道上のというような前例を大いに前向きに、積極的に活用する、そして対応するというふうなことがこれから日韓の関係あるいは日本と朝鮮の関係等々で非常に必要になるのではないのか、私はこう思います。渡辺外務大臣の何らかの措置というのも、恐らくそういう一つの政治的な判断があって出立言葉じゃないかと思いますが、法務大臣、やはり国務大臣でおられるわけですから、今私の申し上げたようなことについてどういう御見解をお持ちか、ひとつお尋ねをしたいと思うのです。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 法務大臣は国務大臣で内閣の一員でありますが、ただ明確に所管が分かれておりますので、所管を越える問題について本来はなかなかコメントできないと思いますけれども、ただ先生の人道的なお気持ちは理解できるわけですが、渡辺先生が副総理として言われたか外務大臣として言われたかわかりません。渡辺先生の方に直接お聞きしておりませんので、それはそんたくして申し上げなければいけないし、私は、大変悪うございますが、意見を差し挟むことを、コメントを控えさせていただきたいと思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 この辺は政治家として当然一言あってしかるべきだと思いますが、どうしても言われないのを無理やり言わせるというのも大変困難でありますから、もう時間があれですから次へ進んでまいります。ただ、進む前に、やはり内閣の一員としてこの種の問題は人道的に、前向きに対応すべきであるということは、ひとつ十分腹の中に入れておいていただきたい、こんなふうに思います。  それで、また外務省になりますが、こういうことが次々に出てくる。仮に、韓国の政府の政府ベースの問題でそういうことを要求してくる、日本はもう済んでおるということになったときに、意見の違いが出ると、そこにいわゆる紛争の解決というふうなことになってくる可能性があるのですが、日韓請求権協定の三条では、紛争の解決という項があって、そういう紛争がもし生じたならば外交経路で解決するとか、どうしてもっかなければ仲裁委員会にかけるというふうな規定があるわけでありますが、この規定はどういう意味と目的を持って置かれたものであるのか、そういうことを聞きたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  日韓請求権・経済協力協定第三条は、この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争の解決のための手続を定めたものでございます。ただ、御指摘の補償の問題も含めまして日韓間の財産・請求権問題が完全かつ最終的に解決したことを確認したこの協定第二条の解釈及び実施につきましては、先ほど御紹介いたしました李相玉外務部長官の発言にもございますとおり、日韓間に紛争が生じているわけではございませんで、協定三条の規定に基づいて解決すべき問題ではないというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 そうすると、紛争の解決ということで該当するのは一体どういうことなのですか。  この協定の第一条では三億ドル、二億ドルの経済協力が規定されている。これは皆上げてしまったからもう済みですよ、今さらこれで何か紛争が起きる可能性はない、それから第二条で完全かつ最終的に決着済み、これももう紛争が起きる余地はない、こう言われるとすれば、もはや紛争が起きる可能性は全然ない。この三条というのは一体何の意味があるのかということになるのですが、どうですか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  第三条の規定に基づきまして具体的にこうこうこういった事例といったことで想定しているわけではないというふうに承知しております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 これは私の意見ですが、これから日韓の間で紛争が生ずるとすれば、今言った請求権の問題、済んだと協定ではなっているが、これは、済んだでは我々は納得できないという問題が出てくることが、これからの紛争の可能性の大きなものを非常にはらんでいるということを私は申し上げて、外務省もそのことはしっかり考えておいていただきたい、こう思います。  それから、戦争中に徴用等で雇用されていた朝鮮の人に対する未払い賃金等については供託の措置をとるようにということが昭和二十一年に政府から通達がなされて、そして関係の企業は、多くは皆供託の措置をとったということでありますが、その供託は十年で時効になるということが一方にあるわけですね。前にも清水局長からもお答えありました。そして、十年で時効になるけれども、昭和三十三年の段階でもう時効になったからこれは済んだと言って国庫へ戻し入れということは、普通ならやるのだそうですが、それはやるべきでない、そのまま置いておけということが、また昭和三十三年に通達が出された。それは日本と韓国、日本と朝鮮、その間におけるこの種の問題の協定ができるまでということであったわけですが、日韓の協定は既にできたわけでありますが、その後、そうやってずっと保留されていた供託のお金の国庫への戻し入れがなされたのか、今でもなされないで置かれているのか、この辺はどうでしょう。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 前回答弁申し上げましたように、本来ならこれは十年で時効消滅しているわけでございます。しかしながら、平和条約で、朝鮮半島の地域に施政を行っている当局あるいはその住民の請求権につきましては特別取り決めの対象とするということが定められました。そういうようなことを背景といたしまして、本来なら当然行っていいはずの時効による歳入納付という手続を見合わせようということで、昭和三十三年の通達によりまして見合わせたわけでございます。その後、日韓の問題につきましては、先ほど来御答弁がございますように請求権協定がされまして完全に解決されたということになるわけでございます。  ただしかし、日韓間の請求権協定というのは、北朝鮮との関係においてはその効力が及ばないのではないかというようなこと、これは外務省の方でお答えになる問題でございますけれども、そういうような疑問もございましたので、韓国関係におきましては完全に消滅しているわけでございますけれども、供託されている方々が韓国の方々なのかあるいは北朝鮮の方々なのかわからないというようなこともございまして、現在、歳入納付の手続はとらないまま推移していると承知しているところでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 もう五分前の通告が来ましたからあれですが、今現に北朝鮮との国交交渉をやっておりますから、いずれまとまるまでにはこういう経済協力というか請求権というか、そういうものが、今度は日本と北朝鮮の間で当然結ばれなければならぬ、こうなると思いますが、そのときに、今まで日韓で結んだものと全く同じものが果たしてできるのか、北朝鮮側は、あれではだめだ、こういうものでなければだめだという主張が当然に出てくると私は思います。そういうことにおいて、これからの日本の外務省の対応も相当難しい、場合によれば思い切った決断をしなければならぬという局面も来ると思いますが、それは一応指摘だけしておいて、時間がありませんから次へ行きます。  それで、問題の三菱重工の長崎造船所で働いていた金順吉さんのことですが、要するに三菱重工は、それは供託したからもう済んだんだ、こういう態度をとっているわけですね。金さんは、それに対して支払いを求めるということで、これから裁判にも訴えようというようなことになっていますが、その供託をしたということが、三菱重工が供託書の正本をちゃんと持っていて供託したことが証明されるということになるかというと、それが文書がないのですね。つまり、供託したことが証明されない。されないとすれば、逆に考えれば、今度は供託をしなかったと結局認識せざるを得ない。そうすると、金順吉さんの支払い請求に対しては当然支払いをする責任がある、義務があるということになろうかと思うのですが、この点はいかがですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 これは私どもの方で答えるべき筋合いの問題であるかどうか、つまり金順吉さんという韓国の方が日本の法人である三菱重工に対して請求権を持っているということになるのだろうと思います。しかし、その請求権につきましては、先ほど請求権協定で日本国民に対する請求権についても放棄がされることになっておりますので、そのことについて三菱重工がどういう御主張をなさるのかという問題であろうかと思います。三菱重工と金順吉さんの間の関係でございますので、私ども、それについてとやかく申し上げる立場にはないということだけを申し上げさせていただきたいと思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 三菱重工がどう答えるかということは確かに会社の立場ですね。ただ、それに対して、支払いを求めるという金順吉さんの、言うならばまた権利はあるということを私としてはここで確認したいと思うのです。それは具体的に訴訟ということになっていくかもしれませんが、そういうことを私としては確認をしたいと思います。  それで、前回のときに、これとの関連で、三菱重工が本当に供託したのかどうかを側面的に立証する一つとして、当時同じく長崎でそういう朝鮮人徴用夫を使っていた高島炭鉱あるいは川南造船、これの供託をしたかどうかの資料はどうかと実はお尋ねしたのですが、それを後で聞いたら、川南造船という会社は登記上ない、それから高島炭鉱という会社もない、したがってそういうことの探しょうがないという説明が法務省から実はあったのです。  そこで、私ももう一度よく調べてみたら、高島炭鉱というのは三菱石炭鉱業株式会社の高島横業所、それから川南造船も川南工業株式会社の造船所ということがより正確にわかったので、この名前で、昭和二十一年、二十二年、あのころの段階で未払い賃金の供託がなされたかどうかを、その資料をお尋ねしたいと思いますが、今ここですぐにわからなければ、別途また私の方へその連絡をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 これは供託制度についての一般論でございますけれども、いわば供託をする人からその相手方のために金を預かるということでございまして、供託をした方は供託金の取り戻し請求権がある、供託をされた方は供託金の還付請求権があるということで、それぞれ金銭債権を有する関係にあるわけでございます。したがいまして、この供託につきましては、どういう方がどういう方に対して供託をしたかということは一般的に公開しない。その供託をされた方あるいは供託をした方御自身あるいはその相続人の方が、そういう者であるということを証明して供託所に参りますと、その関係でその事実関係を明らかにすることがありますけれども、一般論としてこういう方がこれだけの供託をしていますということは申し上げることはでさない、私どもはそういう扱いをしているわけでございます。  もちろんその前提といたしまして、そういう会社が、いや、供託をしたからその供託の事実を確認したいとみずからそういうことを明らかにして供託所へ来るということでございますと、それはいわばみずから公開したわけでございますから問題はないと思うわけでございますけれども、一般論ということになりますが、そういう扱いをしているということについて御理解をいただきたいと思うわけでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 もう終わっていて済みません。もう一問だけお許し願います。  前回の質問のときに、三菱重工の長崎造船所はそういう供託をした資料が何もない。ところが、広島の造船所は広島の法務局に対して供託をしていて、確かにその資料が確認できた、千七百何名の供託があったということは前回の委員会でもお答えがあったわけです。それは法務省から調べていただいてそのことの確認があったわけですが、今度の三菱石炭鉱業、それから川南工業、これも同じような意味において調べていただいて、つまりこれは求めている人が金順吉さんですから、したがって三菱が供託したかどうかを、最も利害関係人であるこの人にそういうこともまた資料として伝えてあげるということがあっていいのじゃないかと私は思いますので、今の点を調べていただいて、私に教えてもらえば今度金さんの方へそのこともお伝えすることもできるわけで、まるっきり利害関係人でないということでもないので、その御配慮を願います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 広島で三菱重工が供託書を閲覧したという事実はございますけれども、それはその前提として、三菱重工の広島造船所は自分たちはこういう形で供託をしているということを対外的に公表いたしまして、その供託の詳細を確認するということで三菱重工みずからが供託所にそういう調査に来られたということでございます。そういう意味におきましては、三菱重工としては供託の秘密をも公開しておるということでございますので、私どももこの間ここでそういう事実があるということはお答えいたしたわけでございます。  三菱重工の長崎造船所につきましては、長崎造船所の方でも供託をしたというふうにおっしゃいまして、金順吉さんもそのことを長崎造船所で確認をいたしまして、そして私どもの方へやってまいりましたので、長崎造船所としても供託の事実をいわば公開しているということになりますので、調べてみたわけでございますけれども、この間お答えいたしましたように、そういう関係書類が法務局には見当たらなかったということで、そういう経過になっているわけでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 それじゃ、これで終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。  順次お尋ねをいたしますが、まず指紋押捺制度全般についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  我々日本人が罪を犯して指紋押捺を求められる、こういうことは制度上あるわけでありまして、その根拠法令としては刑事訴訟法第二百十八条一項、二項があります。念のためにこれを朗読いたしますと、刑事訴訟法第二百十八条第一項によりますと、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。この場合において身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」これが原則であります。二項は、若干これの例外がありまして「身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。」このように書かれていて、まず身体の拘束を受けていない被疑者にその意に反して指紋を採取しようという場合には裁判官の発する令状が必要だ、このような仕組みになっていると理解しているのですが。それでよろしいですか。これは刑事局長がな、まずお答えいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そのとおりと承知いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 そうすると、現行法体系におきまして指紋を採取する場合には、二百十八条の挙げるような犯罪の捜査の必要、これは一つの例でございますけれども、これと等価値といいますか、同じ価値を有するような国家目的、行政目的がまず必要だというふうな法の精神になっていると思うのです。加えて、その目的だけではだめだ、強制できない、その意に反してそれを採取するためには適正手続、すなわち裁判官の発する身体検査令状という令状によって採取する、こういう実体要件と適正な手続要件の二つのものがそろった場合に個人の意に反してでも指紋の採取ができる、現行法はそういう態度をとっているのではないか、私はこのように思うわけでありますが、なぜそんなに厳重に指紋が保護されるんだろうか、これを憲法秩序の方から考えてみました。  いろいろ調べますと、最高裁判所の大法廷判決が示されておりますが、昭和四十四年十二月二十四日刊集二十三巻千六百二十五ページによりますと、これは指紋ではありませんけれども、「何人もこれは「何人もこですから日本国民だけではなくどのような人であってもということを意味すると思いますが、「その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない権利」がある、自由権がある、これは憲法十三条によって保障された基本的人権の一内容である、こういうふうなことを判示していることに照らし、ここで指紋には論及していませんけれども、この判決のいわば射程距離の中に、みだりに、すなわち理由なく指紋をとられない権利というものを含んでいるというふうに私はこの判決を理解をするのですけれども、法律論ですからどなたからでも結構ですが、この点についての私の見方というものについて御答弁をちょうだいしたい、このように思います。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 ただいま先生のお挙げになりました四十四年の最高裁の大法廷の判決の趣旨は、指紋押捺についても同様な考え方でいかなければいけないのではないだろうかという御指摘でございます。  私、その点、その判例の射程距離の問題深く勉強しておりませんけれども、確かに一つの人格に密着した利益という点では共通点がございますので、その趣旨は十分同様に尊重すべきであろうという点は、先生と同じような感じを持っております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 なぜなのだろうということをいろいろ私なりに考えてみました。指紋というのは全く不思議としか言いようがないのですけれども、現在地球上には約五十三億人の人類、人間が住んでいるわけですけれども、その一人一人が違うのだ、万人不同だ、非常に不思議なものです。そして、しかもこれは終生変わらない。もしここがけがで皮がめくれても、またできてきたときには同じ指紋ができる、これほど不思議なものはない。したがいまして、こういう指紋を採取するということは、同一人性を確認する上におきましては科学的に非常にすぐれていて、これにかわる手段はないと言っても差し支えないものだと思います。  ところが、一般市民生活の場では指紋というものが個人を識別する手段として有効には働いていませんね。銀行で何億の定期預金をする場合でも、預金した人とおろす人の同一性を確認しなければいけないわけですけれども、このような有効な手段があるにかかわらず、指紋を押してくれとは言わない。むしろ、署名あるいは写真あるいはその人の住所、生年月日、時には親族関係というような係累、こういうものを明らかにすることによって同一性を識別するという手段を選ばれているわけであって、その意味では日常生活、このようなすばらしい手段があるにかかわらず、これが有効に使われないという事実がここにあるということが考えられるわけです。  そうすると、指紋というのが利用できるのは何だろうということを考えてみますと、指紋をきれいに採取をして、そしてそれを集積して分類して、それから対比鑑識等の能力を備える、こういうような組織体を備えたものしか使えない識別方法だなというふうに思うわけであります。じゃ、それはだれだ。これは国家権力しかありません。無差別に多くの人から指紋を採取し、それを集積し分類し、そしてそれを鑑識によって分けるという作業ができるのは国家しかないと思います。また、許されないと思います。したがって、国家権力による特定個人の識別あるいは管理あるいは把握というためにのみ威力といいますか価値を有するものでありまして、それを離れではほとんど有意性を持っていない手段だということがわかるわけであります。そのように考えるわけであります。  そうしますと、指紋を採取するというのは常に個人と国家権力というものの対峙というような場で行われるということがそこに考えられるわけでありまして、常に緊張感が伴います。また、これが強制されるという場合には国家というものに対する抵抗感、拒絶感、拒否感というものが起こってきますし、拒否してもなお強制されるという場合にはそれに対する無力感というもの、そういうような心的葛藤というものがそこに生じてくる。その点で写真を撮られるというのは、ゆえなく撮られることについては拒否反応がありますけれども、案外我々、写真を撮りたいのだけれどもと言われるとそれに抵抗なく応じる、そこに違いがあるのかな。また、署名を求められる。これもゆえなく署名を求められたら拒否しますけれども、何らかの理由があれば、余り大きな国家目的とかなくても署名をすることにはそんなに抵抗はない、そういう本質的な違いがある。だから、自分固有のものを国家に保管されるということに対する何とも言えない屈辱感と言う人もありましたし、無力感ということを言った人もありますし、そういうところからその気持ちというのは出てくるのかなというふうに私なりに考えてみたわけであります。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕  ところが、私はもっと重要なことがあると思うのですね。我々は無意識のうちに、きょうこの場でも指紋をここに残しています。ここへこう押しただけで、私がここにいたということを完璧に証拠立てられるという性格があります。したがって、一たん国家に指紋を採取されたという、それが保管分類されてしまったという後には、我々は日常無意識に振る舞っている所在、行いというものが、国家がその気になれば後から完全にその存在証明というものをとられてしまうという、我々ちょっと考えられないような重大な結果が起こる可能性を秘めている。そういうものに対する不安を我々はいつも指紋採取というものについて持つがゆえに憶する、そういうものを表白したくないという気持ちが本能的にあるのではないかというふうに思うわけであります。  物の本によれば、投票の秘密ということは憲法上保障されているわけですけれども、一たん指紋をとられてしまいますと、労をいとわなければ、投票箱に投入されたあれを全部指紋採取すれば、冬柴鐵三がだれに投票したのかということを確定することができます、投票用紙から指紋を採取すればできるわけですから。そういう恐ろしいことすら考えられるということになりますと、まさにみだりに指紋を採取されない権利というものは、この最高裁判決の射程距離に入らなければなりませんし、プライバシーの権利そのもの、その内容になっている、そういうふうに私は思うわけです。したがって、国家はこういうものに対しては慎重でなければならないし、あやふやな目的での採取は絶対許されないということがわかっているはずです。  それで、私は、こういう考えの結論として、指紋押捺を意思に反しても強制できる場合というのは、指紋というものを通じて国家が把握しようとする当該個人に関する情報事項というものが指紋の照合によってしか把握し得ない、いわば代替性がない、そういうものでなければならないんじゃないかなということが一つ、それからもう一つは、今挙げた国家目的以外に少なくともその指紋は流用されないという保障措置がとられる、そういうようなこと、この二つの大きな要件をクリアした場合に初めて意に反して指紋が採取できるんではないか、こういうふうに思い至ったわけです。これは私の指紋押捺強制に関する基本的なスタンスといいますか自分の思想といいますか、そういうものであるわけですけれども、法務省は、この外国人登録を超えた指紋採取、余りそういう場面はないわけですけれども、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点についてお伺いをしたい、このように思います。できれば法務大臣、いかがでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 まず私からお答えさせていただきます。  指紋をとる目的、指紋をとる場合の考え方、指紋をとることについての国家と個人の関係等につきまして今冬柴先生からお話を伺いまして、私としても非常に参考になり勉強になったわけでございますが、今最高裁の判例なんかの例をおっしゃいましたけれども、写真ですらそういう問題があるということであるならば、指紋押捺というものはその射程圏に入ってくるんじゃないかというのは、確かにそんな感じもするわけでございます。  それで、法務省の所管しております外国人登録法におきまして指紋押捺制度を採用しているというのは、外国人登録法の目的でございます外国人の在留管理に資するというために、本人確認手段として万人不同・終生不変、こういう特色にかんがみましてこれは採用しているわけでございまして、法の規定に従ってこれを採取するということになっておるわけでございます。  しかし、そういうものをとった場合においてもその目的をはっきりさせて、それから使用の場合もこういうことをはっきりさせるべきであるという先生の御指摘ございましたけれども、これも法務省は、この外国人登録法上は同一人性の確認の手段として採用しているものでございまして、今回これを一部の外国人すなわち特別永住者、永住者につきまして新しい制度を持ってきたということは、同一人性確認の手段としてそれにかわるものがほかに見つかったということでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 今の答弁からも明らかなように、指紋押捺でなければかえることのできない行政目的があるというふうに今まで一貫して答弁をしてこられた。六十二年の外国人登録法の一部改正法の審査の際も、当時の小林入管局長は一貫して、これにかえ得る手段はないんだ、こうおっしゃってきたわけであります。しかしながら今回、我々そのときの附帯決議等でこれにかわるものをということでいたしましたけれども、法務省の努力によってそのかえ得る手段を見つけられたわけでありまして、そうなると、るる述べたように、指紋採取というものが大変な、内外人を問わず何人も保護される我が国の憲法上の基本的人権の一内容そのものだというふうにかんがみるならば、一部を残したということは、私は理論の破綻ではないかと思うわけでございます。私は、この際、指紋押捺制度は全廃すべきであったし全廃すべきものであろう、このように考えているわけでございます。  そこで、どういう行政目的で採取するのか、手続はどうかということについて入管局長から今答弁をいただきましたから、それじゃその目的のために過去においてこれは使われたのかどうか。同一人性を確認するためにこの指紋というものが、昭和三十年のたしか四月から指紋採取というのは始まって今日まで三十数年の歳月を重ねて、膨大な量の指紋を大変な多くの人々の心の葛藤を見ながら集めてきた、これの行政上の手数と申しますか経費も大変なものだと思うのですが、これに対して、じゃその目的すなわち同一人性確定のためにこれがどう用いられたのか、それについて御答弁をいただきたいと思います。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 採取した指紋がどう利用されたかという御質問になりますと、これは採取した以上は、あの法律制度の上でありますとおり登録証に転写する等の利用は当然なされているわけでございます。それが大きな一つの利用であると私どもは考えているわけでございますし、また登録原票に残されました指紋によって、次の確認の機会にその指紋を一つの手がかりとしてその人が本人であるということの確認をとった事例というのも恐らくあると思うのですが、それは個々的な、いっこういうことでやりましたという報告を私も承知しておりませんので、何件あったのかというようなことはちょっと申し上げにくいのですが、そういうような利用方法というものは既にあったと私は考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 従来そのように答えてこられて、指紋というものを何か膨大な国家経費と多くの労力を使って採取し、いろいろな抵抗があるにかかわらず今日までやってきているわけですけれども、現実の現場では使われていないという証言がたくさんあります。  例えば大阪市の生野区というところは、区民の約四分の一の方が在日韓国人あるいは朝鮮人の方であります。その生野区長の山崎仙松さんという方が、この衆議院法務委員会で参考人として出頭されて述べられたことがありますね。この中でこういうふうに言っていますね。「実務上、本人かどうかをどう確認しているかというお尋ねでございますが、写真の提出がございまして、すでに発行済みの写真と照合いたしまして本人であるかどうか確認して実務を行っております。」「私どもの事務処理の上で指紋を照合することはできませんし、やっておりません。」それから、法務省の方から指紋の照合等はというふうに聞いたのに対して「そういった御指導は受けておりません。」それから「私どもも本人であるかどうか特定する場合に従来の経験からしまして写真でできると判断しておるわけでございましてこ「区の行政にこの指紋を鑑定する職員は必要ございませんので、これは配置しておりません。」こういうふうに言っているんです。明快ですね。これは、一番外国人登録事務が多い役所の長がこの場で述べられ立言葉です。法務省としても「外国人事務取扱要領」というのを出していらっしゃいますね。その中で「出頭した者が本人である場合は、写真などによりこれを確認しなければならない。」すらっと書かれているんです。だから、あえて言えば「写真などにより」の「など」の中に指紋があります、こうおっしゃるんだろうと思いますけれども、現実は写真でやっておられます。  また、指紋押捺拒否裁判があちらこちらでありましたね。その中の検察側証人として出廷した、例えば川崎市川崎区役所、東京都新宿区役所、神奈川県大和市役所、京都市左京区役所、札幌市北区役所の係官の法廷における宣誓の上での証言は、いずれも窓口における本人確認作業は申請書の記載及び写真によって行っており、指紋による照合は行っていないし、そのための訓練を受けたわけでもありません、こういう証言をしているわけですね。もうこれ以上局長に答弁を求める必要はないと思うんですね。現場はそうなんですね。こういう使われもしないものを嫌がる人、拒否する人から無理やりにとるということはやめてほしい。法務大臣、この法律はどうあれ、近い将来こういう制度はやめるようにぜひ御指導いただきたいと思うんですけれども、一言どうですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 おっしゃる意味はよく理解できますが、そういう意味で社会情勢がどんどん変化していくと思いますし、またその変化の一番大きいのは、外国人の方がふえていくということが事務の煩雑さとかいろんなことからいってもそういう状況は変わってくるだろうし、また今回の制度をやってみていろんなことがさらにわかってくると思います。そういうことを見ながら検討を続けていくということを提案者として申し上げておきたいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ぜひ、期待します。  それで、しつこいけれども、では指紋押捺を始めてから三十数年の間に指紋照合によって発見できたという不正件数といいますかそういうものが、何か統計があればちょっと示してください。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 手元に指紋照合を始めてからの統計がございませんが、昭和三十六年から現在までの間、法務省入国管理局で指紋の照合により発見しました不法入国者等不正登録はございません。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 非常に明快な答弁をいただきました。  それから、法務年鑑というのがありますね。昭和三十三年、三十四年、三十五年の三年に限って指紋によって不正を発見できた件数の報告がされています。これは全然なかったということを今、年度は後ですが言われましたけれども、このときには、三十三年、三十四年に各二十一件ずつ、三十五年に十三件、計五十五件が統計にあらわれた指紋による不正発見の事例の件数です。内容はわかりません。しかし、それ以降は一切こういうものの報告がありませんので、これはない。そうすると、この五十五件のためにいかにこれは——最初は二年に一回ずつ押していただいて、最近は五年に一回になり、一生に一回というふうに変わりましたけれども、これは押さされる方も非常な悩みがあることはみんな言っていられるわけですし、これを押す担当官も大変です。  役に立たぬと言ったら悪いけれども、役に立たなかったわけですね。現に立ってない。それを法務省で保管したり分類したりマイクロフィルムに撮ったり、これは御苦労な話だと思うのですね。物すごく役に立っていたら僕はいいと思うのですね。国家の目的のためにやるわけですから、我々の税金を使われるのはいいのですけれども、役に立ってない。あえて言えば、こういうことで管理しているぞという威嚇的効果があるかもわかりませんね。そういうことであれば僕は許されないと思うのですね。  これも聞いておきましょうか。法務省で、指紋原紙とか単票式原票とか、その後の累年式原票とか、物すごい数に上っていますね。これを保管したり分類したりしているのは法務省の中の指紋係というところでやっていられると思うのですね。法務省本省にこの指紋係は今何人いられるのですか。それから、指紋をいろいろ鑑識したり鑑別したりするのは、鑑識技官といいますかそういう人が一番多いときは十四名いられたということが報告されていますけれども、現在は法務省の指紋係にはそういう方が何名いらっしゃるのか、御報告ください。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 御説明いたします。  現在入国管理局登録課の指紋係は二人でございます。また、指紋係に指紋を鑑識する専門の技官がいるかということでございますが、現在は配置はされておりません。しかし、押された二つの指紋は、いわば二つの図形とか模様であって、対比照合によってそれが同じか別個のものであるかを判別するものでございまして、このためには鑑識の訓練や特別の知識、技能を必要とするものではなく、鑑識の技術を持っていない者でも照合は可能でございます。  また、特に鑑識が必要になったような場合には、横浜入国者収容所とか大村の入国者収容所に指紋鑑識の専門技術を持った入国警備官を配置しておりますから、そこの力をかりて鑑識するというようなことを行うことになっております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 法務大臣、人手不足のときですから、指紋係二人、結構なことだと思うのですけれども、これ、何も仕事できないでしょうね、指紋の量から見ますと。そして鑑識官は今いないとおっしゃいましたね、配置していない。まあそれは素人でもできるという話のようでしたけれども、しかし過去にその指紋鑑識のために技官を指紋係に十四人も置いていたときがあるわけです。素人でもできて、そんな人は要らぬのだと今おっしゃいましたけれども、それだったら、そのとき十四人はむだな人員配置をしたことになるわけであります。そんなことはもう過去のことだから言いませんけれども、まあそれほどに、余り使われていないんじゃないかということですね。  それで、何か大村から呼ぶんですか。呼んだことありますか。嫌な質問だからもうやめますけれども、呼んだことないと思いますよ。ないと思います。それほどのものなんです。いわゆる基本的人権なんですよ、指紋採取。行政目的を立派に言われるけれども、それとのバランスが全然とれていないというのが実態じゃないでしょうか。先ほど法務大臣、今後も前向きに、時代の趨勢とともにたゆみない検討をしていくとおっしゃいましたからそれを期待して、その結論はもう求めませんけれども、そういう実態だと思います。  ただし、これが非常に利用されている面があるんですね。あるんですよ、目的外使用、流用。これは入管局長、そういうことないんですか。要するに、あなたが先ほど外国人登録法第一条の趣旨を言われまして、その目的のためにのみ採取しているんだとおっしゃいました。しかし、それ以外の国家目的には使われていませんか。どうですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 外国人登録制度の目的を逸脱した使用は一切やっておりません。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 犯罪捜査のために使われたことありませんか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 一般的な犯罪捜査ということで指紋照会に応じるとか、そういう形でこの登録制度を使うということはございませんが、この登録制度は外国人の公正な管理に資するということが大きな目的でございます。ですから、その外国人の公正な管理という観点でこれを害するような犯罪、外国人登録法違反とか入管法違反というような犯罪について、この外国人登録の事実の有無、同一人性の照会、そういった警察からの照会が刑事訴訟法の規定に基づいて行われた場合には、そういう場合に限って照会に応じているということでございますが、これは制度それ自体の目的を逸脱したとは考えておりません。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 私は逸脱していると思いますよ、それは許されないことだと思いますよ、今の答弁は。私、そういう答弁が出てくることを前もって待つために、実は。一番最初に刑訴法を読んだのです。犯罪捜査のために指紋採取する場合はどういう要件が要るのですか。犯罪捜査のために必要だという要件だけじゃないでしょう。裁判官の令状が要りますよ。裁判官の令状なしに、犯罪捜査の必要のために、違う目的で採取された指紋が自分の知らぬ間に利用されているといったら、これ刑事訴訟法二百十八条との整合性どうなりますか、今の答弁。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 御指摘のように今の犯罪捜査のためという面が確かにございますけれども、制度を維持していくという上で協力している活動というものがありますので、警察からこの登録秩序を乱すような事実があるかどうかの確認ということで照会があれば、これに協力するということ自体は何ら問題がないと私どもは考えております。  また、指紋採取の目的は、最初からそういう犯罪捜査に使うということで採取していることでないことは事実でございますけれども、たまたまその保存の過程において犯罪捜査との接点というものが出てまいりました場合でも、その程度が、今の程度の外登法の登録制度の趣旨といいますか、これをはみ出していない程度であれば何ら問題がないのではないかという考え方でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 今の議事録を学者が読まれたらびっくりすると思うのですね。これは議論にわたりますからもうこれ以上やりません。  しかも、これは警察からの照会で随分、指紋をとった登録原票とか写真撮影、コピーを現場でとらせたりしているのですよ。その研究もありますよね。これは大変なことだと思うのですね。今の御答弁の中で入国管理に関する犯罪と言われたけれども、何かそういうきちっとした歯どめというか、それはしてあるのですか。例えば外国人が刑法犯を犯した、そういう捜査の途上でそれを利用するというようなこともあるんじゃないですか、それはどうですか。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、本省に直接照会してくる場合と市町村の方に言ってくる場合というのが考えられるわけでございますけれども、いずれにしましても訴訟法上の手続に乗ってやってくるということでございますから、その使用目的いかんということについては厳密に調査をいたしまして、今言ったような一般刑法犯の捜査であるとかいうことであればこれは拒否をいたします。本省は直接登録課長、私どもでも管理してやっておるわけでございますけれども、地方へそういう照会があった場合には必ず本省に照会し、その指示を受けて回答するということで通達を発しておりまして、その趣旨は徹底しているつもりでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 それは現在の話心今から十年前ですか、法務省が各市区町村に出されている八二年版の「外国人登頭事務取扱要領」というものの二十四、五ページにこんなことが書いてあるでしょう。「市区町村長は、司法警察職員等の公務員から法令の規定に基づき原票の閲覧請求、原票の写しの交付請求、その他登録事項について照会があった場合は、これに応じるものとする。」これ何の歯どめもないですよ。歯どめといえば「法令の規定に基づき」、これは大きな歯どめです。この「法令の規定」というのは恐らく刑事訴訟法百九十七条の二項を指していると思いますね。「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」捜査官憲というのはこういう武器があるわけでして、犯罪捜査の必要があれば、公私の団体ですから、市区町村にあなたのところの持っている外国人登録原票を早させてくれ、こう照会されたらこの規定によって応じざるを得ないですよ。ですから、そういうものが利用されている。  それで、あなたの方の出された取扱要領の中に「司法警察職員」と書いてありますよ。「司法警察職員」というのは刑事訴訟法上の捜査官の資格を指しているわけでしょう。ですから、これは単に警察官とか巡査部長とかそういうものじゃなしに、刑事訴訟法上の、すなわち犯罪捜査に当たる職員からこういうものを出してくれと照会があれば、何も本省に照会してなんて書いてないです。「これに応じるものとする。」と書いてある。  それから二項には「その他、公務員からその職務の執行に当たり、登録事項について照会があった場合は、その必要性と当該外国人のプライバシーの保護が確保されることを確認した上でこれに応じるものとする。」ここには判断が入るのですよ。プライバシーと、それからその公務員が言ってきた、照会してきた事項の必要性、それを見たいという必要性、そのバランスを判断して、そして応じる場合と応じない場合がある。先ほどの司法警察職員の場合は、応じない場合はないじゃないですか。「応じるものとする。」と書いてある。  それから念のため、「一般の者には原票閲覧、写しの交付その他いかんを問わず、原票の内容を知らせてはならない。」こう三本立てとなっております。これは本人まで含んでいるのです。本人も見られない。先ほど同僚議員の質問で、本人には見せないということをおっしゃいました。  こういうことになると、指紋押捺の目的というのは、外国人登録法の第一条に書かれている「外国人の公正な管理」という言葉が何か犯罪捜査まで及んでいるようなことになってしまって、全く許すべからざる扱いだと思いますね。これはとてもじゃないけれども、了解できないですね。どうなんでしょう。私は刑事訴訟法百九十七条というものがある以上、すなわち照会をしてきたら応ずる義務が公務所にはある、一時的に。そうであれば、もしも廃止した、今回指紋押捺を求めなくなった人たちの今までに採取した指紋というものは、請求があれば一切本人にお返しするか、これは大変なことですけれども、あるいは法務省令で廃棄の時期とか順序を決めて、計画的に速やかに廃棄していかなければ、これは残しておく意味よりも残しておくことの害の方が大きい。どうですか、その点。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 今先生の御引用になったのは少し古い要領でないかなと思います。六十三年の三月にその要領を変えておりまして、指紋照会につきましては、先ほど私がお答え申し上げたとおりでございまして、すべて本省の指示を受けないと指紋は一切見せない、こういう取り扱いになっております。  それから、先ほど登録事項についての照会についての御紹介がありましたけれども、これは刑事訴訟法等の規定に基づく照会ということであれば、登録事項の内容について答えることは結構であるということでございますが、それもプライバシーとの関係では十分考慮してしなさいよということも注意しているところでございます。  それから、指紋の取り扱いという観点から申し上げれば非常に厳格にやっておりますし、警察官にも原票を見せるときには指紋は見せない、写しも渡さないということでは徹底しているはずでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 古いと言われましたけれども、私は最初から引用するときにこれは八二年版、今から十年前のことですがと申し上げました。  いずれにいたしましても、こういう緊張感のある指紋押捺制度を軽々に扱ってもらっては困る。ぜひこれは先ほどの法務大臣の答弁のように全部廃止するという方向で、そしてまた採取した、そして今後指紋押捺は求めないという人たちの採取した指紋は、いろいろと技術的に困難な面もありましょうけれども、私が今指摘したような問題、非常に大きな問題をはらむだけに、人権の問題ですからこれを早急に廃棄していただくような政策をとってほしい、このように要望をしておきたいと思います。大臣、一言で結構ですが、この問題を終わるに当たり、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 法務省にございます登録原紙に載っている指紋につきましては、これは同一人性確認のために持っているものでございますので、今度新しく写真と署名と家族事項ということで代替されるものでございますので、必要がなくなるものでございます。そういうことで、あと五年たちますとこの必要性は全くなくなるわけでございますので、今大切に持っているわけですけれども、同一人性確認のためからいいますと、これは持っていても余り意味がないということで、廃棄するという方向で検討させていただきたいと思います。  それから、マイクロフィルムに入っているものにつきましては、これは先ほど申し上げましたけれども、いろいろ問題もございますが、今ここでいろいろ意見もございましたので、そういうことも踏まえまして検討していきたいと思っております。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 今局長が答えたとおりでありますけれども、新制度に移行するまでの間は御理解いただき、移行してからいろいろ検討していき、特に指紋原紙は同一人性確認のために使用しないこととなりますので、改正後に確認登録をしたものから順次廃棄する方向で検討するということを申し上げておきます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ぜひ守っていただきたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  居住地変更登録不申請罪というものが、御案内のようにあります。居住地あるいはそれ以外の事項もあるわけですけれども、そういうものを変更があって十四日以内に変更登録申請をしなければ、そういう不作為に対して「一年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金」という法定刑が定められていますが、非常にこれは過酷な法定刑だと私は思います。  六十二年九月一日、この法務委員会で、さきの一部改正法の審査の節に私質疑をさせていただきまして、住民基本台帳法による住所地変更届の解怠に対しては、日本人に対しては五千円以下の過料、そういうものに比較して余りにもこれは重過ぎる、こういうことを指摘いたしました。それに対して、当時の遠藤法務大臣はこういう答弁をされました。「先生の今の御発言は発言として私どもとして心に秘めておいて、もろもろ検討させていただきたいこ「今日それはまことにそのとおりである、こう申し上げたいのはやまやまでございますけれども、その心情をひとつ御了解願いたいと思います。」  綸言汗のごとしという古い言葉がありますが、こういう法務大臣の答弁を虚妄にすることは許せないと私は思うのです。この私の指摘、そして大臣が心に秘めてもろもろ検討させていただくと約束されたのですが、今回の改正法案を見て一つも変わっていない。この手続の中で法務大臣のこの言葉というものはどう尊重されたのか、ちょっと述べてほしいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人の居住関係及び身分関係を明確にならしめ、外国人の在留管理に資するという外国人登録法上の目的を達する上で外国人の居住地は重要な事項であるということから、登録事項としているわけでございます。したがって、居住地の変更については速やかに把握することが外国人登録制度上必要かつ重要であるということで、変更登録申請の遅滞についても現行どおりの体刑を含む罰則をもってこれを抑止するのが相当というふうに考えた次第でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 綸言汗のごとしか、汗が体の中へ戻ってしまったような答弁でしたけれども、こういうことは許されないと私は思うのです。大臣が答弁された言葉はそのときばかりじゃないので、これは、その時期は別だけれども、必ず実行されるというところに、やはり我々は勉強してここで質疑をさせてもらっているわけですし、ぜひこういうものは尊重していかなければいけないと思うのです。  きょうは刑事局長に来ていただきまして、いろいろとお手数をかけました。では、平成二年中に全国の検察庁で受理された、いわゆる警察から送致された、居住地変更登録不申請に係る罪名で送られてきたのは何件あったのか、そしてそのうち起訴されたのは何件で不起訴になったのは何件なのか、それをまずお知らせいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 検察統計の上では外国人登録法違反の罰条ごとの受理処理状況というのは実は把握していないわけでございます。ただ、今回この法案の御審議をいただくに当たりまして特に調査した限りでわかった範囲のことをお答え申し上げたいと思うわけでございます。  平成二年中に全国検察庁で受理し、かつ起訴し、または起訴猶予処分に付した韓国人・朝鮮人に係る外国人登録法違反事件で居住地変更登録不申請事案というものは、受理人員が全体で十八名でございます。うち十名が起訴猶予、残りが起訴事案ということになるわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 時間が押してきましたので、私はその起訴された方々の判決も全国から取り寄せていただいて手にしているわけですけれども、裁判所の量刑は、八名のうち、懲役十月、執行猶予二年、こういうものが一つありました。公判請求は一名だけ。あとは略式請求が七名で、罰金十五万円が一人、罰金十万円が二人、罰金五万円が一人、罰金三万円が三名、こういうふうになっていて、懲役十月というのは大変だなと思いまして、罪となるべき事実を調べました。  そうすると、これは、単に居住地の変更登録不申請罪だけではなしに、もっと重要な事案との併合罪であるということがわかりました。その併合罪のもう一つの方は何かというと、この方は韓国籍を有する外国人ですけれども、韓国政府発行の旅券を所持して昭和五十三年三月一日に本邦に上陸した人であるようです。その在留期間は八月二十八日までであったわけなのですけれども、この日までに出国せず、平成元年十一月十日まで日本に在留したという不法残留、しかも非常に長期にわたった不法残留であるがゆえに、居住地変更登録の案件と併今されているけれども、懲役刑、体刑が選択されたのはむしろ不法残留の方に重きを置いてされたものであろう、このように私は解釈するわけです。刑事局長にそう考えていいかと言うのも、これはもう裁判所が言い渡した判決ですから、酷な話だと思うのです。ですけれども、私の考え方も理解できるかどうか、それだけで結構ですからお示しください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員、今最後に仰せになりましたように、既に判決が下されて確定している具体的事件でございますので、その量刑につきまして法務当局からコメントすることはいかがかと思いますけれども、一般論として申し上げますと、検察官が求刑し、あるいは裁判所が刑を決定するに際しましては、公訴提起されているすべての罪についてその犯行の態様等もろもろの事情を総合勘案しているものというふうに承知いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 そうしますと、平成二年に限っての話ですけれども、居住地変更登録不申請罪というのは、送致されてもほとんどが起訴猶予になる、そして起訴する態様は略式請求でやられる、そしてそれも、もちろん略式ですからそれはできないのですけれども、懲役刑とか禁錮刑を求刑するということはなくて、罰金刑が求刑され、そして略式命令もそのように罰金刑で対応している、こういうふうに私は理解できたわけでして、これは一年間の事案ですから、全部ここに持っていますけれども、それじゃ罰金がどれぐらいが適当なのかというと、十五万円というのは重いなと思って、これも「罪となるべき事実」を取り寄せて見てみますと、九年二カ月の懈怠とともに、どうもこれはその前に公営住宅に入っていられた方がその権利を自分の身内に残して、そして自分はまた違う公営住宅へ入られた、そういう関係が住居変更を届け出れば全部一目瞭然になってしまうので、そういう故意犯ですね。ちょっと情状はやっぱり重いから十五万円相当かなという感じを私は受けたわけですね。あと十万円の人が二人ありますが、これは今言った十五万円と一族でして、共犯の人でした。  そう考えてみると、十万円とか十五万円は高過ぎるんだな。そうすると、あとは五万円とか三万円というところが正直なところ居住地登録不申請罪の現社会状態における適当な量刑だというふうに私自身思うわけですね。これも難しい質問ですけれども、そう私が思うことに理解ができるかどうか。刑事局長。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 略式命令が確定した事件について、その量刑についてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、今それぞれの事案について委員が御指摘になられた事実関係はまことにそのとおりであるというふうに思うわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 さてそこで、法務大臣、先ほど刑事局長が、なお居住地が変わったときに登録申請をしないという人に対しては「一年以下の懲役若し    こくは禁錮又は二十万円以下の罰金」という法定刑で対処するのが適当である、いろいろ考えたけれども、やはりそうだというふうに思うに至って、遠藤法務大臣の答弁もあったけれども、我々はいろいろ考えた末そこへ落ちついたんだ、こうおっしゃった。聞いていられましたね。  ところが、実務は、九年二カ月、約十年も届け出を解怠して、しかもそれが過失じゃなしに、住所を言った途端に公営住宅を出ていかなきゃならないという事案があるので、これは届け出を黙っておこうという我々の言う言葉で故意犯の不申請罪に対しても利金が十五万円。これも全体のレベルから見ると向いなと僕は感じるわけですが、この際、この法定刑、これで今まで取り調べられた朝鮮、韓国の人が物すごい数に上るのですよ。時間がもったいないですから仏その数は挙げませんけれども、いかに多くの人がこの規定によって苦しめられたかという歴史があるわけです。それを考えれば少なくとも懲役、禁錮はもう外していいのじゃないですか。その時期じゃないのですか、この改正手続で。どうですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先生のお話、理解できる点が大変多いので、よく胸に入れて御審議に臨みたいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 これはもう将来に向かってじゃなしに、この採決までに考えて結論を出してください。本当に私はそれを強く要望したい、このように思います。  次に、これも外国人の方にとって非常に苦しみ抜かされたということを言っていられる外国人登録証明書の不携帯罪、いわゆる常時携帯義務の裏合わせですね。持っていなかった、そういうことによって取り締まられたということについてこういうことを言っていますね。治安当局による在日韓国・朝鮮人の弾圧、人権侵害の武器として最大限に利用されてきたものであり、これは老若男女を問わず、また時間を問わず、無差別、日常的にこれを口実に警察が生活の場に介入をしてきた、こういうふうに述べていられるこの不携帯罪、常時橋帯義務というこの問題についてちょっと質問をしたい、こういうふうに思います。  韓国、朝鮮の方に限ってで結構ですが、この登録証の不携帯による検察に対する送致件数、これをちょっと数字を挙げてほしいのですが、一九七〇年代で一番多い年は何件であったのか、一番少ない年は何件だったのか、その件数をお述べください。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 検察庁の犯罪統計によりますと、韓国・朝鮮人に係る登録証明書不携帯罪による検挙件数は一九七〇年代の最高件数は一九七七年の三千五百七十件、七〇年代の最少件数は一九七二年の二千七百十五件でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 それじゃついでに、一九八〇年代では一番多かったのは何件か。八〇年代ではずっと減少していっているわけですが、じゃ八九年は何件だったのか、その二つ。一番多い年と少ない年の件数を教えてください。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 一九八〇年代の最高件数は一九八一年の四千三十三件でございます。最少件数は一九八九年の百八十八件で、一九八一年をピークに、以降毎年減少し、一九八八年には千件を割っております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ついでに、一番近い統計数字で一年間の送致件数は何件になっていますか。

山崎哲夫法務省入国管理局登録課長

○山崎説明員 平成二年の一九九〇年には七十四件となっております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 法務大臣、これほど特徴のある罰条というかそういうものはほかにないと思うのですね。  今言われたように、一九八一年の四千三十三件と今の七十四件と比べたら、これは実に数十分の一ですね。私は、在日韓国・朝鮮人の方の、この罪名を武器にして我々の生活の場に土足で入り込んできているんだという訴えは、この数字で如実にあらわれていると思うのですよ。私はこういう規定は絶対置くべきじゃないと思うのですね。  私は、六十二年九月一日の法務委員会でこの問題も取り上げました。それで、外国人に登録証明書というものを交付しなければならないとしても、いわゆる常時、例えばふろ屋さんに行くにも携帯しなければならないような制度は、立法上、特に定住外国人、今回もう指紋押捺をやめにしたような方々、こういう人に対してこういうことをするということは余りにも酷だ、だから特別措置を講じなければならないということを要望したわけですね。時の遠藤法務大臣は、このときこう言われましたよ。  先生の言われるいろいろの点について私もよく理解をしておるわけでございますけれども、常時携帯の面において、法務省自体として罰則を適用させたいから厳しくやっているということではないことは先生もおわかりのとおりだろうと思います。今その特例云々は残念ながら申し上げるわけにはまいりませんが、運用の面において、先生の意を十分私どもも承知をいたしておりますので、その面で国家公安委員長と協議をしてみたい、何となく取り締まるための常時携帯のような印象を与えないような運用ができたならばなということを感じておりますので、十分意にとめて努力いたしたいと思います。こう言われたのです。  この言葉は、法務大臣と国家公安委員長との間で、常時携帯義務というような過酷な取り締まりはやめようじゃないか、こういうような話し合いを持たれたり合意をされたりしたことがあるのですか。もしあれば、ちょっと示してほしいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 お答えいたします。  法務大臣と国家公安委員長との間では、昭和六十年五月十四日の閣議でいわゆる指紋に関する政令改正案の内容を説明した際に、法務大臣が登録証明書の提示要求や不携帯罪の規定の運用についての配慮方についての発言を行いまして、これに対し国家公安委員長から、常識的かつ柔軟な姿勢で適正妥当に運用する旨の発言がなされております。  それから、今冬柴先生が言及された件でございますが、改正外国人登録法が公布されるに際し、昭和六十二年十月二日の閣議で法務大臣が今申し上げましたと同じ趣旨の発言を行いまして、これに対し国家公安委員長から、事案の性格に応じて引き続き常識的かつ柔軟な姿勢で運用してまいりたい旨の発言が行われております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 まさに法務大臣答弁がきちっと守られたという、本当に私もうれしいわけですけれども、さて、そういういろんな経過から送致件数ががあっと落ちたことは先ほどの数字を示されたとおりですけれども、落ちたといえども、一年間に七十四件の送致がされた。これに対してどういうふうな処分がされたのかを、またこれ、全国の検察庁に照会をしていただきましたね。その結果を御報告いただきたいのですが、一体何人の方が不携帯で送致されたうち起訴猶予になったのか、そして公判請求されたのは何人か、略式請求されたのは何人か。その人数をお知らせいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員お尋ねの、登録証明書不携帯事案について今回特に調査した限りのことについて御報告いたしますが、受理人員として全体で六十八名について調査しております。うち五十九名は起訴猶予、残る九名のうち、一名は公判請求で、残り八名は略式請求ということでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ちょっと私、先ほどの登録課長の答弁と件数が違うのは、とった時間が暦年なのか会計年度が違うのだろうと思うのですが、おおむねそういうことでいいと思います。  今の答弁でわかるように、送致件数のうち八七%が起訴猶予ということになっていますね。私はこれは、まだ取り締まりが常識的に行われているのかなと思う。本来、取り調べをしたり調書をとって、そしてそれを検察庁へ送ったりしなくてもいい事案を警察の末端ではやはり検挙しているんじゃないかということが非常に心配なんですよね。  それで、公判請求されたのと略式命令の内容も各裁判所から取り寄せていただきましてここに持っているわけですけれども、公判請求一名は、懲役二年六月、罰金五万円、これは鹿児島地方裁判所で平成二年十月一日に判決されていますけれども、懲役二年六月というのは、これも併合罪でして、常習累犯窃盗についての量刑ですね。これはもう懲役刑しかないわけです。そして、不携帯罪については罰金五万円が選択されているということがこの判決から明瞭に読み取れるわけですが、そう読んで間違いないですね、刑事局長。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そのとおりと理解しております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 あとは罰金十万円というのが一人ありますが、これも傷害罪との併合罪です。したがって、これは例にならないわけであって、それ以外は罰金五万円が三名、それから罰金三万円が三名、そして罰金一万円が一名、これが不携帯罪の現時点における量刑だと思うわけですね。これを維持するために過去何万名という在日韓国・朝鮮人の方が苦しんできたという経過を見ますと、このような罰則をなお維持していいのかという感じすら私は思います。  そこで、ちょっと気がついたもの三件だけを挙げますが、罰金五万円に処せられた人が携帯しなかった場所が「北陸自動車道上越インター料金所付近道路」、こういうのがあります。判決の中に書かれた「罪となるべき事実」の中に書いてあります。それからもう一つは「日の丸湯」、おふろ屋さん、「日の丸湯前路上において」という事案があるのですよ。堺簡易裁判所、平成二年四月十日略式命令。まさにおふろ屋さんに行って捕まったのかなという感じがしまして、まだやっているのかなという感じがしました。それから、愛知中村簡易裁判所、平成二年五月二十二日略式命令では「東名高速道路駒門パーキングエリア下り線路上において」ということで、どうも交通検問の際に免許証を見せなさい、それで見たら名前が外国人、じゃ登録証は、持ってません、それじゃだめじゃないか。免許証を持っていないよりも登録証が重いのです。大変なんです。  内外人平等ということから照らしてこういう取り締まり方法こそ常識的じゃないのじゃないかなという感じもしたものですから、それについての弁明をしておいてもらわなければならぬと思うのと、そのほかもほとんどが路上ですね。ですから、法務大臣、この法律を、今これをやっているわけですから、国家公安委員長ともう一度確認して、犯罪人をつくるためにやっているのではないのですから、免許証を見せ、そして外国人だったら登録証も見せというのはもう本当にやめてもらいたい。時間が少なくなったので、もうこれに対する弁明は聞かないでおきますが、お許しいただきたいと思うのです。要するに、路上でやるとかふろ屋の前で捕まえるとか、いろいろ事情があったと思います、ありましたけれども、もうそういうことはやめていただきたいと思います。  それからもう一つは、改正法ができて施行されるまでに十六歳になる方も指紋押捺をしなければならないですね。これは何とか考えてもらわなければいかぬ、そのように私は思うのですが、それに対する大臣のお答えをちょうだいして、私の質疑は終わらせていただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 御指摘の十六歳の問題は、午前中にも他の委員から御質問がありまして、私も政治家として心情的に共感を覚え、厳守すべきではないかと思ったものですから心の中に刻んでおきますと申し上げたのですが、法の制度というものはそういうものかなと思っていたのですけれども、再び御指導を得ましたので、もう少し午前中の質問とともに考えてみて、制度の変更の過渡期のみに起こる問題でもありますので、何らかのことはできないかなという感じでおりたいと思います。いろいろ国会の方で御相談になって、うまい知恵があったら教えていただければ幸いであります。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 私の質疑は終わります。どうか、大臣が今言われたこと、綸言汗のごとしですから、役所の方も本当に守っていただきたいと思います。終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私からも、外国人登録証の携帯義務の問題から質問をしたいと思います。  最初に、法務省からお尋ねをいたしますが、まず、そもそも外国人登録証常時携帯義務を課している立法理由はずばり言って何なのでしょう。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 外国人につきましては、日本国民と異なりまして、本邦に在留するということは日本国家の許可によって行うということになるわけでございます。  そこで、国としては、その外国人の在留できる期間、在留活動につきまして、これを正確に把握しておく必要がございます。外国人登録制度も外国人の居住関係、身分関係を把握して公正な管理に資することを目的としているわけでございますが、常時携帯制度というのは、その大きな登録制度の中におきまして、在留外国人の居住関係、身分関係を現場で即時に把握して適法在留者と不適法在留者との見きわめを可能にする上で非常に必要な制度であるということでございまして、諸外国におきましても同様の制度を置いているというのもやはり同じような趣旨だろうと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ことし三月三日の衆議院本会議におきまして、田原法務大臣からも二度にわたって、「外国人登録証明書の常時携帯制度は、外国人の居住関係及び身分関係を現場において即時的に確認するために必要であると考えております。」こういう答弁をされております。今、法務省から答弁があったことと同一であります。  そこで、「現場において」というのはどういう意味ですか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 権限ある機関が当該外国人に対して外国人登録証の提示を求めるということによって初めてその者がその所持する外国人登録証上の人間であるかどうかということの確認のできる場面ができるわけでありますが、その場面を一応「現場」というふうに申し上げているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 外国人登録法第十三条第二項によると、「外国人は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員がその職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めた場合には、これを提示しなければならない。」そうすると、今の答弁は、これらの職員が「登録証明書の提示を求めた場合」はそこが「現場」なんだ、そういうふうに伺っていいわけですね。そういうことですね。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 外国人登録証の提示を求めたその場面を「現場」というふうに申し上げている次第でございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 「即時的」というのは、大体私は日本語がよくわかるのですが、今の外国人登録法第十三条第二項では、「職員がその職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めた場合にはこすぐに、そういう意味で「即時的」ということなんでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 さようでございます。登録証を見て一見明らかになるということを申しているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ついでに、この外国人登録法第十三条第二項の解釈のうち「入国審査官、入国警備官」についてはいいですが、「警察官」が「その職務の執行に当たり」という要件になっているのですけれども、この「警察官」の場合に「その職務の執行に当たり」というのはどういう場面を想定されるのでしょうか、法の解釈として解釈権を持っている法務省からお伺いいたします。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 警察官の権限でございますからいろいろな場面が想定されますが、典型的な例は、思い当たるのが警察官職務執行法に基づく職務質問の必要性があった場合等だろうと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 警職法第二条の要件があった場合という御答弁でした。じゃ、その警職法第二条の罪を犯したと疑うに足りる要件の中のその罪に、当該登録証常時携帯義務に違反した場合、提示義務に違反した場合、これは含むのでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 恐らく含まないだろうと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 思うなんというのじゃだめなんですよ。これは重大なことですよ。常時携帯義務違反、提示義務違反を含むとすると、もう全然限定がなくなるわけですね。警察官は日本じゅうどこでも、外国人と見たらすぐ警職法二条を発動されるのですね。ですから、含まないと思うなんというあいまいな答弁じゃ困るのですよ。「恐らく」なんというのはなおさら困る。明確に答弁してください、含むのか含まないのか。これは重大なことです。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 それでは申し上げます。  外国人登録証を持っているかいないかだけのために職務質問するということは、それだけの必要性がなければやはり権限の行使としては誤っているのではないかと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 もしおっしゃるとおりですと、外国人登録証を持っているかどうか、提示義務があるかどうかだけでは、警察官としてその職務の執行に当たり提示を求めることはできないということになろうかと思うので、非常に縛りがかかった答弁だと思うわけであります。  そのとおり運用されればいいわけですが、きょう警察庁を呼んでおりますので、先ほど冬柴委員から法務当局からの登録証明書不携帯罪の送致件数あるいは起訴件数等の数字が示されましたが、この五年間の警察としての登録証明書不携帯罪に関する検挙、送致件数を示してください。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 この五年間の登録証明書の不携帯の事案でございますけれども、検挙件数、人員と送致件数、人員とほぼ同じでございますので、送致件数、人員について申し上げますと、昭和六十二年が千四百二十八件、千三百八十八人、六十三年が七百四十四件、七百八人、平成元年が二百三十一件、二百七人、平成二年が九十七件、八十六人、平成三年が四十二件、三十四人となっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 先ほどの法務当局の送致件数とかなり数字が違うのですが、その理由がよくわかりません。年度のとり方が違うのかもしれません。しかし、少なくとも今お聞きした数字によりますと、昭和六十二年送致件数千四百二十八と言いましたか、それが急速に減ってきて平成三年はわずかに四十二件ということのようでありますね。先ほど冬柴委員が一九七〇年代、八〇年代のピークの数字を質問しておりましたが、三千件を超えていたという答弁のようであります。少なくともこの六十二年からわずか五年間で四けたから四十二件というように急速に少なくなってきた理由、まず、警察としてはどのように見ておるのでしょうか。在日外国人の登録証携帯義務に関する遵法精神が旺盛になってほとんど持つようになったのか、そうでないのか、どのようにこの数字の急速な減少を見ておりますか。

奥村萬壽雄警察庁警備局外事第一課長

○奥村説明員 検挙件数減少の原因につきましてはいろいろなことが考えられるわけでありまして、一概に申し上げるのは困難でございます。ただ、外国人登録証明書の不携帯の取り締まりにつきましては、時間的、場所的な条件や被疑者の年齢、違反態様等を総合的に判断いたしましてより常識的かつ柔軟に対処するように、都道府県に対して指導しているところでございまして、最近の検挙件数が少ないのは、こうした趣旨が実務上徹底されてきたこともその一因ではなかろうかと考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 警察から出た数字を根拠に法務当局の印象を聞くのはちょっと失礼かと思いますが、しかし、昭和六十二年、前回の外登法の改正からなんですね。急速に見る見る減ってしまって限りなくゼロに近づきつつあるというこの数字の極端な減少を法務当局はどのように見ておられるのでしょうか。率直な印象をお聞かせください。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 警察庁の方がお答えになりましたとおり、やはり現場の警察官の方々の活動が非常に常識的といいますか、そういう方向になってきたということではないかと思いますが、正確なところは私どももはっきり申し上げる立場にはございません。はっきりわかりません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私もそうだと思うのです。この五年間で、外国人登録をしている日本に在留する外国人の数はそれほど変わっていないのですね、むしろふえていますね。しかし、見る見るうちに減少したというのは、やはり警察官の態度一つでこんなにも検挙件数が変わるものかという、もう本当に目をみはるような数字だと思うのです。  警察も検察も法務省も言いませんでしたが、私はその根本的な理由は、実は昭和六十二年九月四日の当衆議院法務委員会における附帯決議、それから昭和六十二年九月十八日の参議院法務委員会における附帯決議が出発点だったのじゃないかと思うのです。昭和六十二年九月四日、当委員会における附帯決議の第四項は「外国人登録証明書の常時携帯・提示義務違反等に関する規定の運用に当たっては、濫用にわたることのないよう、常識的弾力的に行うこと。」参議院の方の附帯決議第二項は「外国人登録証明書の携帯義務及び提示義務に関する規定の適用については、指導に重点を置くとともに、個人の生活態様、青少年の教育にも配慮し常識的かつ弾力的に行うこと。」  前回の外国人登録法の一部改正法案で、主に野党の方からだと思うのですが、この外国人登録証常時携帯義務はもう全廃すべきではないかという声も聞かれたかと思うのですね。こういう意見を基礎に衆参両院で附帯決議があって、警察の乱用を戒めた。それがちょうど昭和六十二年で、それから見る見るうちに送検数、検挙数が減っているということは、これがきいているんだと思うのです。逆に言うと、法律の仕組みは残っている。そうすると、この仕組みを残す限り、今度は警察がまたやる気になれば幾らでも警察の気持ち一つで乱用ができるような状況になるという、その武器といいますか、それがいまだに残されていると思うわけですね。もうここまで来れば、登録証明書不携帯罪による検挙、送検数が四十二件というふうに少なくなったことを見ますと、別にこの罰条がなくなっても日本の治安に全く影響ないということを逆に証明していると思うのです。もう思い切って今回の改正法案の中で常時携帯義務は全廃すべきではないかと私は思うわけであります。  そこで、ちょっと社会党さんの改正法案についてお尋ねしたいのですが、社会党の携帯義務に関する提案を見ますと、携帯義務はなくす、そのかわりに十六歳以上の外国人については登録証明書を保管しなければならないという提案になっているのですけれども、保管義務を残された趣旨というのを答弁いただきたいと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)議員 お答えいたします。  我が党の案に関心を示していただいて御礼を申し上げます。  まず、私どもも最終的にはこの常時携帯義務は完全に廃止すべきものだというふうに考えております。したがって、この保管義務という、レベルを落としてなお一定の義務を設けたのは、あくまで過渡的な、経過的な考え方、措置である、このように御理解をいただきたいと思うわけであります。  廃止すべきであるという理由につきましてはもう既に明らかであろうと思いますけれども、これまでの政府、法務省の御説明によれば、日本国民は生まれながらに当然日本、本邦に在留する資格があるのだけれども、外国人には当然には在留資格はないのであって、法によって特に認められたものである、したがって随時その身分を明らかにする必要があるのだ、こういう御説明だろうと思います。  このような考え方は、基本的に外国人とは国家や社会にとって何らか危険な存在と言っては言い過ぎかもしれませんが、不安定要因であるという前提に立って、道を歩いている方についても、果たして在留資格はあるのかないのか常に監視をし、摘発をするという考え方。この間参考人のある方が、日本人は、外国人というのは国を害する人と理解しているのではないだろうかという大変皮肉な発言がございましたけれども、そういう考え方が基礎にあること、しかも現実に常時監視する体制があって初めでそのような考え方が実現されるわけでございますので、そういう前提ももう既に崩れております。  それからもう一つ。さきの参考人の意見の中で、田中参考人から明確な指摘がありましたけれども、外国人にのみこのような身分証明書を持たすということはほとんど意味がない。なぜかといいますと、まず日本人か外国人かを識別する手段が先にあって、それで初めて外国人に身分証明をさせる意味があるわけでございます。つまり、おまえはだれかと誰何された場合に、日本人であるというように装えば、もはやその方に証明書を持たすということは意味がなくなるわけでございます。日本人に対しても全部に身分証明書を持たすのであれば、それはそれなりに機能するかもしれませんが、そうでない。しかも、外国人であるか日本人であるかを一義的に判別することができない。そのような手段がないところにおいては、外国人にのみ身分証明書を常に携帯させる意味というのは全くない、かように考えるわけでございます。  それで、先ほど申し上げたとおり、本来ならば全廃し、さらにこの法律それ自体を外国人管理の法律ではなくて外国人に対する行政サービスのための法律、外国人から見れば義務の体系ではなく権利の体系というふうにすべきだと考えますが、そうなりますともう改正というカテゴリーを離れてしまいますので、残念ながらそのような準備が不可能であったために、過渡的、中途半端ということを覚悟の上でこのような改正案を出したということでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 わかりました。  実は、出入国管理及び難民認定法の第二十三条にこういう条文があるのですね。本邦に在留する外国人は、常に旅券を携帯していなければならない。ただし、外国人登録法による外国人登録証明書を携帯する場合は、この限りでない。法務省にお尋ねしたいのですが、こういう条文になった理由は何でしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 いわゆる外国人登録証も旅券も、いずれにいたしましてもこれは身分を証明する文書だと思いますが、在留する外国人につきましてはその身分を証明する何らかの文書を持っていていただきたい、こういう思想があるわけでございます。ただ、外国人登録制度というのは非常にしっかりした制度でございますので、そう短期の方々にすべてこの登録をするという負担をおかけするというのは行政目的からいいましても必ずしも必要がないので、一定、九十日間ですかを超えて在留するという場合に登録をして、それ以外の方は旅券という形で、旅券を携帯していただくということにしたものだと考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 入管法と外登法との関係、なかなか法律的、政治的には問題のあるところだと思うのですが、私、手元に有斐閣の六法全書を持っているのですね。国会で六法全書を借りようとすると、有斐閣の六法全書を使っているのですが、この有斐閣の六法全書によれば、出入国管理法はどこに分類されているかというと警察法の分野に分類されているのですね。ところが、外国人登録法は民法の方へ入っているのですよ。民事法の、日本人でいえば、住民基本台帳法の次に外国人登録法が位置づけられているのですね。これは日本の学界では、入管法は警察法の本質を持っている、外登法は民事法である、まあそういう大きな分類の中からこのような法律が位置づけられているのではないのかな、それがいいかどうかは別ですよ、そう推測されるわけなのですね。  法務省にお尋ねしたいのですが、そういうふうに法律の本質を見るのは、学者はそうだと思うのですが、どうなのでしょう。法務省はどうなのでしょう。入管法は警察法の本質を持っている。外登法はもう民事法なのだ、本質は。どうなのでしょうか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 六法全書の編集方針というのは、その編さんをされる方のいろいろな考え方でやっておられますので私ども正確にはわかりませんが、まず一つの推測として考えられるのは、例えば町の役場の方が見るときに、同じような制度のものがあればそこでまとまって載っているということで使うのに便利である。やはりこれは一つの商品でございますから、使いやすいようにということをこの編集上一番考えたのじゃないだろうかなと思います。したがいまして、これは入管局の所管だから入管局のところに一緒にしておこうというようなことよりも、やはり使う方が横並びで見ていくにはどことどこを一緒にしたらいいのだろうという観点で編集したのではないかという推測は立ちますけれども、それ以上詳しいことはよくわかりません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 いやいや、法案審議で勉強しようと思って、入管法と外登法がくっついて載っているかと普通は思うのですよね。ところが、もう全然違うのですよ。だから二冊持ってこなければいかぬのですよ。  まあそれはともかくとして、入管法の旅券の常時携帯義務、さっき言ったように、ただし、外登証を携帯している場合はこの限りでないといっただし書きがあるのですが、それの違反、罰条はどうなっているかといいますと、入管法七十六条、旅券の常時携帯義務違反は十万円以下の罰金のみなのですよ。呈示もそうです。呈示義務違反も入管法七十六条では十万円以下の罰金のみであります。ところが、外登法でいきますと、提示義務違反は一年以下の懲役または禁錮あるいは二十万円以下の罰金と非常に重い。辛うじて、外登法十八条の二第四号の携帯義務違反は、これも入管法の二倍の罰金である二十万円以下の罰金、こういう感じなのですね。  私は、入管法の旅券の常時携帯義務と罰則というのもいいことだとは思っておりません。しかし、少なくとも日本のこれは最高の学識経験者たちが編さんをした、編さんの仕方で、警察法に位置づけられている入管法の罰則よりも民事法に位置づけられている外登法の罰則がはるかに重くて、懲役、禁錮までくっついているなんということ、これは説明できるでしょうか。説明してください。何でこんな状況になっているのか。整合性ありますか。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 いわゆる旅券というのは旅行文書として本来発行されたものでございますから、身分事項その他記載事項にはおのずとそれに見合った記載ということになっておりますから、限定されてまいります。それに引きかえて登録証というのは、法律の規定にございますとおり、非常に詳細な登録事項ということが記載されておりまして、もちろん登録証明書にそれが転記されるという形でございます。  どうしてそういう不携帯について罰則上の差が出てきたのかということでございますけれども、やはりより長期の者につきましていわゆる在留管理の必要性というものが強いということだと思います。それは、記載事項の中身の濃さということから考えましてもわかるわけでございます。そういうことで、罰則をもってこの携帯を強制するという場合に、どちらにより強い強制をかけるかといいますと、より管理の必要な長期者の方に重い刑を科するという思想になったのではないかというふうに考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 いや、全然理解できませんね。旅券の方が短くて外登法が長いなんという、そんなの全然ないでしょう。連動、同じでしょう。在留資格が更新されて長くなりますね。それは旅券も変わるわけでしょう。そうすると、旅券に連動して外登法の登録も長くなってくる、同じじゃないですか。全然説明になってないですよ、それは。

本間達三法務省大臣官房審議官

○本間政府委員 私が申し上げましたのは、九十日を超えて在留する外国人の方は、外国人登録の義務があるわけでございます。登録証を交付されればこれを携帯する義務があるわけでございます。片や旅券の方は、旅券の携帯義務というのが入管法に規定されておりますけれども、外国人登録証を携帯する場合はこの限りでないということで除いてございます。したがいまして、外国人登録証を持たせるということがむしろ優先されているわけでありまして、外国人登録証を持ってない方は旅券を持っていただくというのが全体的な考え方でございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 全然わかりません。私は、まさにここに日本の外登法が在日朝鮮人・韓国人に対する治安立法としての性格が如実にあらわれている、これはもう既に破綻していると思わざるを得ないわけでありまして、外登証の常時携帯義務、提示義務、これはやはり全廃すべき時期に来ているのではないかと思わざるを得ません。  一つだけ社会党にお伺いしたいのですが、登録証の携帯義務を廃止して保管ということにされようとしているわけですが、この入管法の二十三条のただし書きはどうされるつもりですか。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)議員 社会党案もその点についての手当てをしておりまして、保管義務を持つ者はパスポートの常時携帯義務を免除するという構造になっております。趣旨についてはもう説明する必要もなかろうかと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 最後に法務大臣に、今私は、外国人登録証の常時携帯義務、提示義務、それの罰則の問題をお聞きいたしましたが、やはりもう破綻していると思うのです。これは治安立法の性格を如実に示していますし、先ほどの警察の検挙総件数の急速な減少等もありまして、もう立法理由はないと思うわけなので、思い切って本国会でこれを全廃すると決断をされたいとお願いしたいわけですが、御所見を伺って終わります。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 この法律そのものは、破綻とおっしゃいましたけれども、現在の国際環境や国内の諸事情を勘案して考えに考えた上で出した改正案でございますが、時がたって内外の諸情勢が大きく変化しますと対応していくというために検討するということと、それから携帯義務については、これは先ほどお話がありましたように衆議院の決議、参議院の決議、国会の決議が附帯されましたね。その重みがあるというように先生おっしゃいましたけれども、私もそれを感ずるわけでございまして、その重みは相当、院の決議でございますから、それを私も思い起こし、尊重しながら運用してまいりたいと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わりますが、単なる委員会の決議の重みだけではなくて、もう制度そのものをなくすというのが本当に人権を守る保障じゃないか、そういう意見を述べまして、終わらせていただきます。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 韓国のある国会議員があるシンポジウムの席上でこう言ったことを思い出しています。というのは、在日韓国人、チェイルハングサラミまたは在日朝鮮人、チェイルチョソンサラミ、いつまでエトランゼでなければならないのでしょうかという問いかけをされたことがありました。  私は、とりわけ協定永住者と言われます戦前から日本に居住され、そして歴史的経緯を持って、我々が反省の中で贖罪もしていかなければならない、そういう立場にある方についての特別な配慮というのをできる限り早くやるようにという要望を提起しながら、十数年たったわけであります。常時携帯義務の問題など、ここ十年ほど私の質問に対しては常に運用で運用でとお答えになってこられました。  実は、昨年一月海部総理が訪韓をされた際に、こういう申し合わせがされたことも思い起こしているのであります。その際、外務大臣同士で日韓の覚書が交わされました。このときもやはり「適切な解決策について引き続き検討する。」運用については「常識的かつ弾力的な運用をより徹底するよう努力する。」となっているわけであります。しかしながら、この運用についての常識的かつ弾力的ということは今回もまた引き継がれておりますが、「適切な解決策について引き続き検討する。」その検討した結果というのは何らまだこの常時携帯に関する限りは出ていないのであります。在日外国人の皆さんにとっての心理的圧迫は、幾ら運用面で配慮すると言っても全く変化はないわけであります。私は、原則的な内外人平等の原則もありますが、あわせまして、そういう歴史的経緯を持っている方々についての特別の配慮というのは、なお一層強くなければならないだろう、こう思うのであります。  そこで今回、この今回の法改正に基づいて、相変わらず運用において配慮するとだけの御答弁があるのみであって、法改正に具体的に取り入れられなかったということは、大変残念でなりません。運用と言われますが、どういう運用上の配慮がなされるのでしょうか。もしくは告発しないというようなことも含めて、考えておられるのでしょうか。まずお伺いいたします。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人登録証の常時携帯制度を維持する理由はるる述べさせていただきましたのでここでは繰り返すことはいたしませんけれども、運用面において一層の常識的、弾力的ということで、一体どういうことがほかに考えられるかという御質問だと思いますが、今考えておりますのは、運用面の常識的、弾力的な運用をさらに図るというほかに、持ち運びに便利なように小型化するとか、そういうようなことも考えているところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 それは前もって私どももどういうものに変わるかは大体承知いたしておりますが、それは携帯に幾らか便利になるかもしれませんが、少なくとも、常時携帯の心理的な作用については決して何らの効果を及ぼすものでもないわけであります。  例えばこういうことを考えられませんか。一つの過渡的な措置として、運転免許証のように、外国人登録証を提示しなければ交付されないものという別の証明書、ありますね。先般来同僚議員の質問の中にも、運転免許証を提示した、その中に、例えば韓国人の皆さんですと大体三文字のお名前ですね、国籍韓国と書いてある。こういうときに、あわせて外国人登録証を、こう言われる。運転免許証というのは外国人登録証を提示しないで手に入るものでしょうか。というふうに、運転免許証に限るのではなくて、外国人登録証を提示しなければ交付されないようなものを持っている場合はいいというふうなことから踏み込んでいくということは、アイデアとしてできませんか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 今先生運転免許証の例を挙げられましたけれども、すべての人が運転免許証を持っているとは限りませんし、またそれぞれの目的が違いますので運転免許証をもってかえるというわけにはいきませんけれども、今先生おっしゃったように、それがなければ発給されないものがもしあればそれも一つの考えかな、ここのとっさの考えですけれども、そういうことも考えられるかという感じはいたします。ただ、そういうものがあるのかどうか、私今よく存じませんが。

中野寛成民社党

○中野委員 外国人登録証なしに国や地方公共団体が発行する証明書的なものは別にないだろう。言うならば、ほとんどみんな外国人登録証の提示を求められた上でのことであろうと思います。  私も、この部分についてはとっさの質問でございましたのでこれ以上申し上げませんが、ぜひともそういう前向きの工夫をしていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  それから、昨年一月の海部前総理の訪韓の際に取り交わされたその覚書、それ以来、十六歳になられた方々の中でかなりの数の方、いわゆる指紋押捺拒否をされる方が幾人か出てこられた。実は今、指紋押捺拒否者は約二百人いらっしゃると言われますが、そういう中にも、十六歳になったけれども嫌だから押捺を拒否したという方がいらっしゃるわけです。先ほど法務大臣も、この改正法が公布されて、そしてその後、施行されるまでの間に指紋押捺年齢である十六歳に達した人たちに対する配慮については、配慮の余地があるような御答弁がありました。これにつきまして私は、政府案の中の附則を修正することによって可能だと思いますので、これは我々もこの委員会の中で協議を申し上げたい、こう思っておりますので、法務省としても、その附則修正についての協議に応じていただきたいとここで御要望を申し上げておきたいと思います。  それから、それについてのお答えもいただきたいと思いますし、もう一つは、今申し上げましたように、やがて廃止されるであろうこと等の期待も込めながら拒否をされた方々に対しての救済策、そういうものもこの際やはり必要ではないか、こう私は思うのでございます。拒否者の場合には、現在、二年間に限った登録証であります。この法律が施行されました際には、二年間の登録証をお持ちの方が役所へ赴いて、指紋押捺ではなくて署名ということであれば応じましょうということで署名をするということになった場合には、改めて五年間のものに切りかえていただけるかどうか、そのことをあわせてお尋ねいたします。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 忘れないように後ろの質問からお答えさせていただきたいと思います。  今、指紋押捺を拒否されて確認期間二年に短縮された外国人登録証をお持ちの永住者または特別永住者の方が、今度改正後指紋押捺する必要がなくなって、署名をして家族事項を登録したときにどうなるのかということでございますが、そのときは、五年後に確認すればいいという登録証明書が交付されることになります。  それから、十六歳になる方でございますけれども、これは、今先生、附則を変えることによって、あるいは附則をつけ加えることによってできるのではないか、こういうお話でございます。  私たち、法律を作成いたしましたときは、先ほど御説明いたしましたように準備期間が必要であるということで、いきなり指紋押捺を廃止しても、それにかわる手段がないものですから、どうしてもその制度の恩恵をこうむらないといいますか、制度の適用を受けない人が出てくるということはございますが、先ほど来、また先生の十六歳の人の立場に基づいた御発言、そういうものがございまして、委員会の方で何かそういう提案があればというお話でしたので、そういう御提案があれば、それは法律をお決めになるところでございますので、私たちとしてはもちろん応じないとかそういうことはございません。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 ただいまの十六歳の問題ですけれども、私がお答えしたとおりでございますが、立法府で御相談なさって知恵をつけていただければ、多数の方がそういう御意思であれば、それに応じなければならぬと思っております。

中野寛成民社党

○中野委員 それからもう一つ、拒否者の場合に改めて出かけられて署名をするということになれば五年間の登録証を得られるようにしますということでありますが、拒否者の場合には処罰規定があるわけですね。しかし、こうして法改正がなされるということになりますと、その処罰の理由は将来にわたってはなくなるわけでありますが、これをやはりもとに戻って救済措置を講ずることもまたあわせて必要なのではないだろうか、こう私は思うのでありますが、これらにつきましてどういうお考えをお持ちですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 血も涙もないようなお答えになるかもしれませんが、法律に違反した者に対しましては、刑罰の適用については「なお従前の例による。」という規定がございまして、これはこのとおり規定を適用していただかなければならないかと思います。しかしながら、今先生がおっしゃったとおり、この法改正の趣旨というものがございますから、人道的な見地から個々の事情に応じた柔軟な対応をしていくべきではないかというふうに感じているところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 アムネスティーの運動で死刑廃止運動が行われている。左藤恵前法務大臣が、私は人道的な見地に立って死刑執行命令書に判を押さなかったということをメッセージで述べられて、それが先般来大きく報道をされております。この処罰に関する対応につきましては、法務省として、また法務大臣としての人道的配慮が加えられることによって救済をされる道はあろうと思います。そういう意味で、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先生のお言葉を胸に刻んでまいりたいと思います。

中野寛成民社党

○中野委員 大臣の胸に刻むというお言葉の解釈は、先ほど同僚議員の質問に対するお答えの中でいかに前向きの意味を込めているかを大臣みずからがおっしゃられましたので、そういう意味に受けとめておきたいと思う次第でございます。  さて、先ほどもお尋ねしたところでございますが、でき得る限り歴史的な経過をも踏まえましていろいろな配慮がなされるべきであろうと思います。  今般、指紋押捺にかわる複合的手段の一つである家族事項の登録についてでありますが、父母のほか配偶者、さらには世帯を構成する者のそれぞれについて氏名、生年月日、国籍等相当数の事項にわたって登録するわけであります。該当する外国人の皆さんにとってはかなりの負担になるというふうに考えられますが、そこでそれ以外の登録事項、すなわち旅券番号、旅券発行年月日、勤務所または事務所の名称及び所在地と、いろいろと並べられているわけでありますが、これらについてはもう少し合理化をして省略するとかというふうな配慮がなされてしかるべきではないか、何となくくどくどしいなというふうに思うのでありますが、いかがでございますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 先生の御指摘の点は、我々もそういう御意見は十分承知しているわけでございますが、このたび指紋押捺の廃止にかわる手段というものを我々いろいろ研究いたしまして、指紋ですと一〇〇%わかるものを指紋でない手段によってどうやって同一人性を確認できるかということで考えついたのが写真と署名と一定の家族事項を加えるということでございまして、外国人の居住関係及び身分関係を明確にして外国人の在留管理に資するという外国人登録法の目的を達成する上で、外国人の職業及び氏名、国籍とか居住地等と同様に、今先生が御指摘になりました旅券番号とか、旅券を持っている方ですけれども、その発行年月日とか勤務所または事務所の名称及び所在地なども重要な事項であるので、こういうことを登録しているものでございまして、指紋にかわる人物の同一人性の確認の一助をなすという意味からも登録事項から外すというのは困難である、こういうふうに判断したところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 それではせめてものこととしてお尋ねをいたしますが、変更登録、特に居住地、職業、勤務所または事務所の名称及び所在地に関する変更登録、これは十四日以内、こうなっているわけですね。十四日もあれば十分あるじゃないかと思う人もいるかもしれませんけれども、しかし多くの人々にとっては登録に行く距離、そしてまた日常いろいろな職業上の事由やいろいろな状況がある、また日本人の感覚ということもあり、そうゆったりとした職業に外国人の皆さんが必ずしもついておられるとは限らないまだまだ就職差別さえも今厳しく残っているというのが残念ながら日本社会の実態だと思います。  そういうことを考えますと、これらのことについてはかなり厳しい要件というふうにも思われるわけであります。我々日本人にも十四日以内の変更届という規定はありますけれども、しかし外国人の皆さんにとっては、このことに違反をいたしますと懲役刑を含む罰則が科せられているわけであります。こう考えますと、せめて変更登録の申請期間の時期を延ばすとか罰則をもっと軽くするとか、この辺のことは当然配慮されてしかるべきだと思いますが、いかがでありますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋政府委員 外国人登録法に規定してございます目的を達成する上で、外国人の居住地や氏名、国籍等は重要な事項でございまして、これらの変更については速やかに届けていただきたい。それを把握するために速やかに届けていただきたいということは外国人登録法の制度の維持上非常に重要でございますので、申請の期間を現行のものよりも延長するとか、これらの事項にかかわる変更登録申請の遅滞についても現行の刑罰を変えるのは困難であるという結論に達したところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 先ほど血も涙もない答弁になるかもわかりませんがとおっしゃったときには最後の結びの言葉はかなり血と涙があったのですが、今回の方はもう一つ血と涙がないような感じがいたしますが、これはまた運用上の御配慮があるのかなと思ったりもいたしますが、ぜひともこのことにつきましては前向きの工夫をしていただきたい、私はこのことを御要望申し上げておきたいと思います。  さて、私の持ち時間は大変短うございましてもう終わろうとしているのですが、大臣に、最初の言葉に戻って基本的なスタンスとしてお尋ねいたします。  韓国の国会議員の方がおっしゃった、在日韓国人は永遠のエトランゼでなければならないかと言われたときに、私はこういうふうなことを考えたのです。  今在日韓国人または在日朝鮮人と表現をいたします。アメリカのような市民権制度等が生まれますと、自分の国籍や民族性に大変誇りを持ち、大切にする韓国・朝鮮人の皆さんでありますが、アメリカには日本のような在日韓国人とかというよりも、むしろ市民権をとって、または国籍をとって堂々と生活をする傾向といいますか、そういう状況になっているわけであります。新たに市民権制度を日本に設けるのはなかなか簡単にできることではありませんけれども、将来は在日韓国人か韓国系日本人か、そのときに韓国系日本人になっていただくためには、その出身民族の民族性もしくは少数民族の文化に対する敬意またはそれに対する配慮が日本社会の中で当然確立されなければ、そのことをごちらから提起することは大変難しいことです。そしてまた、一世の皆さんの国民的、民族的感情も大事に考えなければいけません。そういたしますと、これはある意味では時間もかかることかもしれませんが、日本人のまたは日本国のこの少数民族に対する考え方を意識転換していくことによって、もっと在日韓国人の皆さんに対する考え方がそれこそオープンに国際化され、また居心地のいい国として日本が評価されることにもなっていくのではないだろうかと思うのであります。  指紋押捺問題などは、ある意味では外国人云々という問題ではなくて、これはもっと普遍的な人権の問題として論じられなければなりませんし、また先ほど来同僚議員もそのような工夫をしておられました。ですから、私はやがて廃止される方向に行くであろうと思いますし、そうしなければならないと思っておりますが、日本人の在日外国人に対する感覚、とりわけ歴史的経緯を持つ在日韓国・朝鮮人の皆さんに対する配慮、そういうものを基本的にどう考えるべきであるか、大臣の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 非常に貴重な、温かい御意見と拝察いたします。そして心の切りかえ、心の問題ですから、やはり人権の問題であり、啓発ということになりますとこれは無理に強制してできるものではございませんから、やはり心をそういうふうに思い込ませて、思い込んでもらうための啓発活動というのは根強くやらなければいかぬ、しかも真剣にやらなければいかぬと思っております。

中野寛成民社党

○中野委員 ちょっと一言だけ。  今日まで日本人が外国人に持っている意識の中に二つの差別感がある。一つは行政差別、もう一つは意識差別。例えば、国籍条項などを入れることによって行政上の差別もしくは区別をしている。また、国民意識の中に、気持ちの中にやはり外国人に対する差別感もしくは違和感、異質感みたいなものがかなり強くあります。残念ながら、島国根性というのはなかなか抜けないというところもあります。しかし、今大臣が啓発、そういうものについては大変努力をしなければならないとおっしゃられたのですが、その啓発の第一歩は何かというと、行政上の差別をまずなくすことであります。行政上の差別をなくすことによって国民の胸の中にある意識差別をなくすことの一助になり、スタートになるという意識を持つべきであって、そういう意味では、国民の意識が変わることを待って行政差別をなくすのではなくて、国民の意識を改善するためにこそまず率先して行政差別をなくすという意識が大切だと思うのです。大臣、もう一言お願いいたします。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 先生のおっしゃることは非常によくわかりますが、私もどちらが先かというとなかなか結論は出しかねる。法務省は本来、法の秩序ということで、いわゆる六法の民法、刑法その他とっちかというとコンサーバティブなものをきちっと維持管理することが先ですから、法の規定をいじくるという表現はちょっと下品ですけれども、いじくることによって余りにもインセンティブを与えていくという行き方については私は賛成しかねるな、しかしおっしゃる意味はよくわかるなということで、よく念頭に置きながら運用してまいりたい、こう思います。

中野寛成民社党

○中野委員 法務省は、法を守り、そして国の体制を守ることが大事な仕事であります。しかし同時に、人権を守る最先端を行くべき役所でもあるということを最後に申し上げて、質問を終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 次回は、来る十四日火曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十三分散会

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