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123回国会衆議院1992/03/26

法務委員会 第3号

発言数
153
登壇者
12
会派数
4
開催日
1992/03/26

会議録

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、その指名により、委員長が来られるまで私が委員長の職務を行います。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所上田総務局長、島田刑事局長及び萩尾人事局給与課長から出席説明の要求がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 内閣提出、裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。田原法務大臣。     —————————————  裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  政府においては、平成三年八月七日付の人事院勧告の趣旨にかんがみ、行政機関において、完全週休二日制を実施するため、すべての土曜日を行政機関の休日として勤務を要しない日とする必要があると考え、一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機関の休日に関する法律の一部を改正する法律案を提出しているところでありますが、裁判所においても、これと同様の趣旨で完全週休二日制を実施する必要があります。  そこで、この法律案は、裁判所において完全週休二日制を実施するためにすべての土曜日を裁判所の休日としようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。  第一に、現在、土曜日については、毎月の第二土曜日及び第四土曜日を裁判所の休日と定めておりますが、これを改め、すべての土曜日を裁判所の休日とし、その日には裁判所の執務が原則として行われないことを明確にすることといたしております。  第二に、民事訴訟法及び刑事訴訟法における期間の計算について、所要の改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 先ほど提案をされました裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法律案、中身は裁判所の週休二日制を実現するという内容でございます。  まずお尋ねをしたいことは、裁判所の休日が今日の状況よりは月に二日ないし三日ぐらいふえることになりますが、国民の裁判を受ける権利ということから関係いたしまして、その他いろいろ刑事上の手続について、権限を有する司法官憲の発する格別の令状ということが憲法に書いてありますが、そういったこととの関係におきまして仕事の流れは支障がないであろうか。まず、大まかでありますけれども、この点をお尋ねいたしたいと思います。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。  現在、御承知のとおり第二土曜日と第四土曜日を閉庁にしておるわけでございますが、現在のところ、委員御指摘のような国民の裁判を受ける権利に対する弊害は生じていない、このように考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 今までは日曜日が休みであって、それからごく最近になって、一カ月二回休んで二回は出務をしておったわけでありますが、今度は本当の週休二日になる。そういうことで、今までは支障がなかったということと、今回はまたそれだけ余計加わるわけでありますから、その点をお尋ねしておりますので、そこのところも含めてお答えいただきたいと思います。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 現在第二土曜日と第四土曜日を閉庁にしておりますが、その場合におきまして、例えば受付事務でございますとか令状事務でございますとか、その他真に緊急な処理を必要とする事務につきましては、あるいは宿日直体制あるいは職員の自宅待機等の方法によりましてこれを処理しておりまして、また処理が真に緊急を要し、土曜日において処理しなければならないものにつきましてはなるべく金曜日中に処理を行う、こういう配慮も行っているところでございます。  したがいまして、今後完全週休二日制になりました場合におきましても、今までと同様あるいは今まで以上にそれぞれの事務処理に遺漏のないように十分配慮をしてまいりたい、このように考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 いつも私が使うせりふですが、言葉でそう言うことは簡単なんですけれども、一番この極限状態のことを考えてみると、例えば完全に週休二日になりますと、裁判官はその休みの土曜日にちょっと判を押すとかというぐらいのことは、判を押す仕事は簡単ですが、それを慎重に判断するとかあるいはまた判決文をつくるとか公判記録を読むとかということについては、今日の一月に二回の土曜日が休日の場合と四回あるいは五回休日の場合とでは、平均いたしますと恐らく八時間も九時間も月に休みの時間がふえるわけであります。裁判官は神様ではありませんから、それだけの時間が狭められて一体じっくりと物が考えられるのであろうか。また、いや、私は勝手にアルバイト、アルバイトというか家に持って帰ってするんだとか、それは休みという建前だけれども私はやるんだというような裁判官の態度なのか。いかに考えてみても、私らも忙しいことに随分追いまくられておりますけれども、例えば私の土曜の日程、半日といえども月に二日ぼんとないものとしたら大分私らの行動というものは不便を来す。忙しい仕事にかかわる者はそういうことを思うのですが、その点は裁判所の方はどうでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 私の乏しい経験で大変恐縮でございますが、私が地方裁判所に勤務していたときのことを申し上げさせていただきますと、必要に応じまして土曜日でも日曜日でも記録を読んだりあるいは判決を書く、こういうことをやっておりまして、恐らく私以外の裁判官も同様なことがあるのではなかろうかと思っております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そうすると、裁判官の体は楽にならないということになると思いますが、やはり重大な判断をするわけですから、裁判官の体が楽にならないということが非常に大きなウエートを占めるわけであります。  先般、裁判所の職員の定数を改正する法律案のときにも私申しましたが、大丈夫か、つまりふやさなければいかぬのじゃないかと言いましたら、いや、弁護士の日程との詰めでおくれておるだけで、うちの方は余裕があるんだというような意味のことを言われましたが、私はその辺のところを大変心配いたしております。しかし、今のようなお答えでは公式的な議論としては対応できないのではないかと思いますね。必要があれば土曜でも日曜でもやる、事実はそうかもしれないけれども、それでは休日にするという意味がないと私は思いますが、それはどうでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 休日にするという意味は、要するに裁判所に出てこなくてもいい、こういう理解をいたしております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 では、裁判官の場合の休日は裁判所に出てこなくてもよいという程度のものなのですか。やはり休暇をとれという意味じゃないのですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたのは、必要に応じて休日、土曜日とか日曜日等にも判決文を書いたり記録を読むということでございまして、常に土曜日、日曜日、祝日等に記録を読んだり判決を書くという趣旨ではございませんので、その辺御理解をいただきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私がこういうことにこだわるのは、例えば最近出されております判決、つい最近は再審開始の判決が出ておりました。後ほどこれはまたいろいろやるのですけれども、きょう残された時間でそれをお尋ねしようと思っていますけれども、証言の信憑性とかあるいは自白の信憑性とかということで、死刑から無罪に返ってくるというような例が最近ありますね。それは命が守られたことであって、その結果は私は非常によいことだと思っているのです。白鳥決定以来のあの方向というのは非常によいことだと思うのですけれども、人間一人の命が権力の判断によって奪われるか奪われないかという状況のときに、必要に応じて休みでもやるのですというようなことでは、私は本当の意味で裁判を受ける権利が守られているということにはならないのじゃないか、そこを思うのです。今時間の関係で裁判官のことだけに絞って言っていますけれども、何もこれに反対ということで言っているのではないが、しかしそこは国民の権利を守る立場からいえば、心配事項としてよく議論をしておかなければならぬ、こう思うのですけれども、どうでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 大変難しい御質問でございますが、裁判官の仕事のあり方としまして、私の乏しい経験を申し上げさせていただきますと、自分の抱えている事件につきましてある非常に難しい問題点を抱えました場合には、いろいろな場所で考えたりするわけでございます。例えば電車の中でふと考えをまとめたり、いろいろな場合がございまして、必ずしも裁判所へ来ているときだけ物を考えるというわけではございませんので、その辺も御理解いただければありがたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それは私らも、今度とういう質問をしようかなと電車の中でも、ちょっとした寝覚めのときにも考えるのです。しかし、やはり人の大変な権利にかかわる問題ですから、命にかかわる問題ですから、一定程度は体を少し楽にして、そして関係書類なども思いついたときにはぱらぱらとめくって見るという状況の中で考えることが必要なのではないか、そういう意味で申し上げているわけです。しかしながら、当局側がいや、それで大丈夫なんだと言われるのだからこれ以上のことは申しませんけれども、しかし私はそういう心配を持っている、こういうことを申し上げておきたいと思います。  したがって、こんなことを念を押す必要はないが、国会でもそこを心配されておるから、慎重には慎重を期して証言の信憑性とか自白の信憑性とかということはやってもらわにゃ困る、こんな雰囲気がこの議論で広がればよいと私は思うのです。あなた方はそういうことを裁判官に対して特別に言うかどうか知らぬけれども、国会の法務委員会ではそういうことを心配する向きもあった、事実の問題としては恐らく法務委員会の記録も読まれるのだろうと思いますから、ひとつその点を指摘させておいていただきたい、こう思います。  それから次に、余り難しく理屈を組み立ててもいかぬのですけれども、先般このこともちょっと質問を申し上げたかと思いますが、裁判所の旅費の問題で不祥事があった。それはしかるべく整理をした、こういう報告でございまして、恐らく全国的に緊張しておられることと思いますが、やはりこういう不祥事が起きたときには行政機関でありましたらある程度責任が明確になるような措置をとりますわな。それから、民間運動団体だってそうですね。規律委員会とか統制委員会とか風紀委員会とか、さまざまなのがありましてやりますね。今回、実際最高裁はこの問題について、大事に絡んではどういう措置をとられたのでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、会計検査院の検査報告におきまして、旅費の経理に関し適正を欠くという指摘を受けて、裁判所に対する国民の信頼を著しく傷つけたことは大変申しわけないことだと思っております。  そこで、東京地方裁判所ほか六裁判所の所長それから事務局長並びに最高裁判所の事務総長それから最高裁判所の経理局長に対しまして、最高裁判所及び関係の高等裁判所におきまして懲戒処分としての戒告を含む処分を行っております。各地家裁の所長や最高裁判所事務総長に対しましては成規の懲戒処分としての戒告処分でございまして、厳正な処分であると考えております。  また、昨年の十二月四日に開かれました最高裁判所の裁判官会議におきまして、「このような事態が発生したことを反省し、裁判所職員の職員の重大さを自覚し、二度とこのような事態が生じないよう厳正に予算の執行を行うなど、職務の遂行に万全を期し、国民の信頼を回復するように努める。」旨の最高裁判所事務総長の依命通達を出すことをお決めいただいております。  以上でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それは、そういう依命通達を出すということを決めておるのであって、まだ出してはいないのですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。出しております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それで、先ほど答弁を聞いておりますと最高裁の事務総長も処分をした、こういうことでございますが、この最高裁の当時の事務総長はどこかの高等裁判所の所長か何かで転任されていますね。それはどうですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 最高裁判所の当時の事務総長は、その後大阪高等裁判所の長官に転任しております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 裁判所の中の常識といいますか序列に関する常識というようなものと一般国民の見る目とは違う点があるかもわかりませんが、国民がこれを受けとめておるのは、何だ、あんな事件を起こして、その事務の一番最高の立場の人が高等裁判所の所長に栄転したじゃないか、こういう考え方があるのです。これはどうですか。処分をしたと言いながら国民の目にそう映るということになったら、それは処分の価値はないし、裁判所がぴりっとしておるということにはならないと私は思いますが、その点はどうですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 当時の最高裁判所事務総長の戒告処分は、監督責任を問われたわけでございます。先ほど言葉が足りませんでしたので、つけ加えさせていただきます。なお、大阪高等裁判所長官への任命は内閣の人事でございまして、そのことを御理解いただきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それは究極に手続からいえば内閣の人事でしょう。だけれども、中身は、あれは内閣がやったことだからということにはならないでしょう。そういう逃げ口上はいけないので、私が言っておることは、要するにそれを国民は、そんなことを言うけれども栄転ではないかと思っている、そのことについての問題なんですからね。高等裁判所のあれは最高裁が名簿をつくるのじゃないのですか。内閣は確かにやるのですけれども、最高裁は高裁の大事については全然かかわりませんか。その点どうですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 私は直接の所管でございませんので詳しいことはわかりませんが、判事あるいは判事補につきましては最高裁判所が名簿をつくりまして内閣へお出しする、こういうふうに聞いております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それはまた調べてみますし、私なりの知識を整理しますけれども、きょう私が尋ねておることは、そういう手続によって答弁を変えるというようなことを私は想定していない。やはり、法の番人だと言うならば、番人に番人をつけにゃいけぬようなことは国民に思わしてはいけない。番人に番人をつけるというのは、法の番人は、裁判所の関係というのは、みずからが自律的にそれを自主コントロールするというところに究極の——究極はそうですよ。自主的に自主コントロールするというところに、裁判官の身分の保全というか、そういうものが憲法事項として存在しておるというのはそこなんですよ。それを国民からそういう目で見られたのでは、私はこれはさまにならぬと思いますがね。しつこいようですけれども、精神的態度を尋ねているんですよ。いかがですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 会計検査院において、経理の関係で不適正な事例があったという御指摘を受けたことは大変遺憾なことであると考えておりますし、二度とこのようなことがあってはならないと考えている次第でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 答えにはなっていないのです、それは。  つまり、裁判所がそういう不祥事を起こした、そしてその処分をしたと言うけれども、人の目には、国民の目には、ああ栄転されたな、こう映ったのでは、裁判所はいいかげんなことをするところじゃなという国民のその思いと、それに対する裁判所の精神的態度というものを尋ねているんですよ。わかりませんかな、私の言うところが。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 お答えになるかどうかわかりませんが、人事異動、特に具体的な個々の人事異動につきましては、諸般の事情を考慮して決められるものでございまして、懲戒処分を受けたということは、諸般の事情の一つとしては考慮されますが、それだけでは決められないのではないかと考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それじゃ、はっきり言っておきますけれども、国民は裁判を余り信用しません。そういう言葉で、法務委員会における議論のやりとりが、この問題に関して、私に関してはここでとぼを引くとしたら、まことにそれは残念な話ですよ。そういう意味で言っておるわけですからね。だんだん時間がたつから、きょうはそのことはこの程度にしておきます。  それでは、次に移りまして、先ほど番人の番人ということを私申しました。結局、今のようなことも目に見えたことなんでありますが、裁判が、自白の信用性とか証言の信用性とかということをめぐって百八十度違う結論が出てくるということがあれば、当事者はそれで助かった、こういうことになるわけですけれども、いや、裁判というものはいいかげんなものじゃな、裁判官の単純な思いでそうなるのか。こうなると、それは番人にだれを番人をつけるか、これは広範な国民の裁判批判、裁判所からいえば非常に嫌なことだと思いますけれども、国民の広範な裁判批判というものをその基盤に置かなければならぬというふうに私は思いますが、これは松川事件なんかもそうですね。あれだけ広津和郎さんがやられて、やっと行きっ戻りつでああいうことになった。これがもしあの人を中心とする裁判批判というものがなかったら、もうとうに首は飛んでしもうておるわな、あの世へ行っておりますわな、関係者は。そういうことがありますので、裁判に対する信用というものは、神経をとがらかし過ぎてとがらし過ぎということはないよ。  それで、そういうことから尋ねるのでありますが、証言ですね。刑事訴訟法の正確に言って第何百何十何条か知りませんけれども、証言というものが証拠としてそれは真正に正しい証言、こういうことになるためには裁判官の自由心証主義に基づく判断もあろうが、最低限の法律的順序、最低限の刑事訴訟法に定められておる証拠、つまり証拠能力が認定されるための刑事訴訟法の条件といいますか、そういうものはどうでしょうかね。それはちょっと法務省の刑事局長に尋ねましょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 証言に限ったごとではないと思いますけれども、刑事訴訟法の証拠に関する規定が、今委員お尋ねの証拠を裁判で採用する場合のいろいろな制約を規定しているわけでございます。例えば、自白を証拠として採用する場合の要件あるいは伝聞証拠を証拠として採用する場合の要件というようなものを刑事訴訟法の証拠法則として定めているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 自白を証拠にして使い得る最低の条件というのは何ですか。憲法には、すべて刑事被告人は本人にとって不利益な唯一の証拠が自白である場合には、これを証拠とすることができない、こうなっていますわな。その刑事被告人が、いや、おれはやっちゃいない、それは一般的に言うことかもしらぬけれども、長年月にわたっておれはやっちゃいないということをずっと裁判中にも言い続けてきておる者が、いや、その自白は、もとやったことが正しいんだ、こういうことになるためには、裁判官のその判断もあろうけれども、刑事訴訟法上の手続とすればそれはどうなるのですか。ほかの物的証拠で補強せにゃいかぬわけでしょう。そういう場合のことをちょっと答弁してみてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員の御質問を的確に私理解しているかどうか心もとないところでございますけれども、私なりに理解したところでお答え申し上げたいと思います。  今、自白に関する憲法の規定を委員御引用になりました。これを受けまして、刑事訴訟法の三百十九条には、これはもう委員御案内のとおりだと思いますが、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」それから「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」という規定がございます。自白については、今委員御引用の憲法の規定を受けでこのような規定がさらになされているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それで、その強制、拷問、不当に長期に勾留するとかということでなした自白は証拠とすることができないということはわかりますが、実際に第一次的に捜査をするのは警察でしょう。その警察がそういうことをやって、仮に拷問をして、きついことをやって、その日の体の、どういいますか、きつい制裁を排除しようと思って心ならずも自白をした。それが例えば検事の段階とか、今は刑事局長に尋ねているから検察側だけの段階にとどめますが、検事の段階でそのことをどういうふうに確かめつつそれは捜査するのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 私、先ほど三百十九条についてお答え申し上げたわけでございますが、先ほどは主として自白の任意性の問題としてお答え申したことになるわけでございます。  今委員が後でお尋ねの点は、要するに、自白の信用性についてどういうふうに検察官としては検証するのかというお尋ねの御趣旨ではなかろうかと思うわけでございます。申すまでもなく、刑事事件におきましては、実体的真実の解明という目的から見ますると、自白の証拠としての意義というものは否定できないところでございます。ただ、その自白が信用性のあるものでなければならないということは、委員御指摘のとおり当然のことでございます。  捜査当局が被疑者を取り調べて自白を得るに際しましては、自白自体に一貫性や整合性があるかどうか、あるいは自白内容に変遷がある場合においてその変遷の理由が合理的なものであるかどうか、あるいは客観証拠を初めとするほかの証拠と合致しているかどうか、それから真犯人であれば当然知っているはずの事項について自白に欠けるところがないかどうか、あるいはまたいわゆる秘密の暴露が含まれているかどうか、自白の裏づけ証拠は存在するかどうか、今申し上げましたようないろいろな角度から検討を加えて、その自白が信用できるものかどうかということを解明すると申しますか、個々の検察官において捜査に当たる場合には、そういうことに特に心がけて事件の捜査に当たっているというふうに考えておるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 理論上、そういうことを本当にやっておれば、誤判はないわけです。それから、再審でああいうように逆転無罪になるというようなことはないわけです。どうしてそれができないのでしょうか。それは数あるうちできないと言うなら、先ほどの裁判所が、いや帰ってから考えるんじゃ、電車の中で考えるんじゃというふうなことを言ってもらわれたんじゃ困るので、その数何万件とある中にそういうことがたまにあったんじゃいうぐらいでも、当事者にとっては済まされないことなんです。だから、どうしてそうなるのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これも一般的なお答えでお許しいただきたいと思いますが、例えば証拠物を初めとする客観的な証拠がその事件においてどの程度あるかということにもよると思うわけでございますが、被疑者の自白を検証する際に、仮に証拠物というものがないとした場合に、そのほかの情況証拠から被疑者の自白がどの程度裏づけられたと見るかということについてはいろいろ評価が分かれると申しますか、判断が分かれることも事案によってはあり得るのであろうというふうに思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 今までの再審なんかで死刑から逆転無罪をしたような事件というのは、今あなたが答弁されたような形の、これは裁判所に関係しますけれども、検察側もそういう態度で臨む、裁判所側もそういう態度で臨んだためにトータルとして全く間違った結論が出ておるのじゃないですか。例えば先般来私が言っております殺人現場、頭蓋骨陥没というか頭蓋骨が割れておった、これはだれが見ても血は流れておる、二合瓶の牛乳瓶一本ぐらいの血は流れておる、こういう状況のときにルミノール検査をして殺人現場を特定するというのはイロハのイの字だと思うけれども、それをやっていない。しかし、今あなたが言われたような形で、いや、それはやっていないけれども、ほかのところでというようなことを、何かほかのところで、ほかのところでと言って結局既定結論へ持っていかれると、当人にとっては大変なことになるのです。このたびの、何とかという再審が開始された事件があるでしょう。これはまだ抗告しておるそうですけれどもいあれは首を絞めたとかなんとかしたロープが違っておったわけでしょう。しかし、抜き差しならぬように一つずつ確かめなければいかぬでしょう。そういうことのトータルが検察側をパスし、しかも裁判所をパスして、人間一生取り返しのつかないような惨めなことに遣わされる、こういうことになるのじゃないかと私は思いますけれども、どうなんですか、ポイント、ポイント一つずつ抜き差しならない判断をしなければならないのじゃないですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 被疑者の自白がある事件につきましては、特にその自白の吟味ということは、先ほど申しましたように、証拠物を初めとする客観的な証拠と合致するかどうかという観点を慎重に吟味して捜査しなければならないということは、委員が仰せのとおりでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 ここで殺しました、あるいは殺した凶器はここへ埋めてますと言って、埋めておるところを掘ってみて、なかったら、それは見つからなかったけれども、まあそのぐらいはええじゃないか、こういうわけにいかないのじゃないですか。その点はどうですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 それは委員が仰せのとおりで、一つの例として委員が今お挙げになりました被疑者の自白の中に凶器を埋めた場所についての自白がある場合に、その自白に従ってその場所を捜索したが凶器が出てこなかった場合、それは自白が信用できるかどうかという意味で、捜査官としては疑念を持ってさらに捜査を別の観点から進めていくということは当然のことだと思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 同じことを裁判所に尋ねましょう。  どっちがが軽いということはそれこそ軽々しく言えないことなんですけれども、究極の強制力を持つのはやはり裁判所ですから、なおさらのこと、裁判所は特にその点については責任が非常に重いと私は思いますが、今と同じような私の質問を想定してお答えいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 委員がただいまおっしゃったように、確かに裁判所として非常に重大な責務を負っておるわけでございますので、自白の信用性の判断につきましては、慎重な上にも慎重を期して検討いたしております。その検討の方法等につきましては、ただいま法務省の濱局長の方から御説明があったのと同じでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それはなかなか大変な問題ですから、慎重には慎重を期すという一つの言葉を本当に具体的に実践してもらう以外にはないと思いますので、私にはいろいろな事件が脳裏にあって言っておることですけれども、今後そういう誤った裁判が根絶されるような努力も一段と緊張してやっていただきたいと申し上げておきたいと思います。  それから、刑事訴訟法上の問題として、こういう場合を検察側も裁判官側もどういうふうに認識をし、どういう法律上の判断をされるのか、これは一般論ですからお答えいただぎたいと思います。  本人は、やっちゃいないと言う。ところが、ある人は、いや、あれがやっておるのを見たと言う。そして、今度は公判へ出たら、いや、あれはうそでしたという重言が行われた。そのときに刑事訴訟法上は、それでその人の証言はもう全くその裁判とは関係なくなるのですか。それとも何か手品みたいなものがあって、ぱっとうまくいくのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員お尋ねの趣旨、私正確に理解しているかどうかわかりませんが、その証人が最初の証言では犯行を目撃したという重言をし、後ほどその証言を翻したという場合に、そのいずれの証言が信用できるかということいかんにかかってくるのであろうと思うわけであります。  その証言の信用性を判断する上で、証言と申しますか、供述と言った方がいいのでしょうか、その目撃したという者の供述がどういう状況のもとでなされたか、あるいはその供述を裏づけるような証拠がどの程度あるかというようなことを判断して、その相矛盾する供述をしたいずれの供述が信用できるのかという観点から判断していくのだろうというふうに思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 古い話ですから具体的な事件を出しますが、松川事件というのは本人が否定をし、共犯と言われた者が警察、検察の段階でやりましたと証言をし、それが裁判所ではいや、やりませんでした、こうなった。そのときに、刑事訴訟法の三百二十一条のあの手続でにわかに証拠能力を持ってくるという、あそこにからくりがあってああいうことになったのじゃないですか。だから松川事件でなくてもいいですよ。これは一般論として、しばしば検察側はそれをうまく、つまり公判維持のために使われるのじゃないですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 具体的な事件についてのお話ということでなしに、一般的にお答えさせていただきたいと思います。  今委員のお尋ねの御趣旨は、共犯者の供述の信用性という問題をお取り上げになっておられるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、被疑者の供述の信用性を判断する上で、被疑者が自白しているにしろ否認しているにしろ、被疑者のその供述の信用性を判断する上で、共犯者がどういう供述をしているかということは非常に重要な問題でございます。ただ、共犯者の供述というものは、やはり利害の関係のない第三者の供述とは違って、共犯者という立場にある者の供述であるというだけに、そういう観点からさらに慎重な吟味が必要だということは一般的に言えると思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 その場合にえてして誘導されるとか、以前私が問題にしました高槻の百二十何名の無罪の問題ですね。その誘導なんかは警察段階で、年をとった人に、あしたはジープを持っていっておまえを迎えに行くぞ、そうしたら学校に行きよる子供はどう思うか、おまえの孫はどう思うか、だから一回か二回で済ましたらいいじゃないか。済ませということは、要するに選挙違反をやりましたと言えという意味ですね。そういうような、まことに真実とは遠いようなことが行われていて、そしてそれが一たん供述をして公判廷でそれを否定して、否定しても刑事訴訟法の三百二十一条では証拠能力を持つのでしょう。そうじゃないですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員お尋ねの点は、捜査段階での検察官調書の証拠能力についてのお尋ねだと思うわけでございますが、この点につきましては、刑事訴訟法の三百二十一条一項二号で証拠能力が厳格に制約されているその要件を満たす場合に初めて証拠能力が認められるということになっているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そこがまたかなりの主観が入るところで、裁判を受ける権利を有する側からすればそこが非常に心配なのですね。蛇ににらまれたカエルみたいになるのですね。そこのところを公判維持のために悪巧みをして使おうとなったら、それはもうむごいものですわ。裁判批判の相当広範な大衆運動が目を光らせていないとそれはなかなか難しいですね。  それで、裁判官の方にも問うのですが、そういう場合に、厳格な規制があると言われるけれども、例えばアメリカとかイギリスとかという国においては、そこに言う日本の刑事訴訟法的な制度があるでしょうか。よその国と比較してどうでしょうか。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 なかなか難しい問題でして一概に言えませんが、英米にも伝聞証拠排除の法則、そしてその法則に対する例外というものはございまして、もともと、先ほど委員が問題にされております我が国の三百二十一条一項二号の横面調書等の証拠能力の規定は、そういった英米法における証拠法則の考え方を我が国の実情に合わせて導入したものというふうには理解しております。ただ、それがそっくりそのまま同じかどうかということについては、いろいろまた法制の相違等がございますので、一概には言えないと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私は意外な答弁をいただいたのでありますが、もう二、三分しかありませんからまたの機会にそこは議論をさせていただきたいと思いますけれども、ドイツにはあるということを私は聞いているのです。しかし、アメリカとかイギリスはその点については物すごい厳密な、そういうことのできないような法律的な枠があって日本とは異なる、私が勉強した範囲ではそういうふうに受けとめておるのです。これはまた後ほどやりますが、あったら言ってください。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 先ほど私思想的にそこら辺から導入したと申し上げましたが、確かにその範囲等につきましてはいろいろ相違がございます。そこは先ほど申し上げましたように両国、例えば英米と我が国の法制の相違がございまして、あちらの法制では、例えば法廷で証言するかわりに、もう起訴をしないという約束をしてそのもとに宣誓して証言させるというような法制もございますので、調書という形で真実の供述を得る必要というのが我が国に比べていろいろ相違もございます。そのような両国の法制の相違があって、それぞれの証拠法につきましてはぴったり一致しない。もちろん委員が御指摘のように、あちらの方がどちらかといえば証人の公判廷における証言を比較的重視するという制度であることは、委員仰せのとおりでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 事前の供述調書と公判廷の証言とが食い違った場合に、素人的な言い方をすると、刑事訴訟法三百二十一条を厳密にやると言われるけれども、厳密にやっていれば再審なんかする必要はないのでありますが、厳密にやってないからそこで変なことが起きるのであって、日本の場合は、素人的に言いますとまるで手品のごとく証拠能力のないものが証拠能力として生き返ってくる、こう私は思うのです。しかし、アメリカは、イギリスもそうかもしれないが、恐らくここのところは英米ほとんど同じじゃないかと思いますが、そこを厳密に、食い違ったときには宣誓をして裁判所で証言をしたことが非常に重きをなす。ここらの違いで次から次へ再審を煩わせなければならぬようなことが起き、しかも本人にとっては生涯取り返しのつかないことが起きているのではないか、こう私は思うのですが、刑事局長、もう一言だけコメントしてください、もう時間が来ましたからやめますから。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど最高裁の島田刑事局長もお答えになられましたように、私間違っているかどうかわかりませんが、私の理解では、英米法におきましては我が国よりもさらに直接主義と申しますか、法廷での供述を重視する考え方が刑事訴訟法の建前として行き渡っているのではないかというふうに理解いたしております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これで終わります。

津島雄二自由民主党

○津島委員長代理 次に、小澤克介君。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法律案について、裁判所にお尋ねいたします。法務大臣、後でお尋ねいたしますので、しばらく聞いていていただきたいと思います。  今般、裁判所の休日をこれまでの隔週土曜休から完全週休二日にするということがこの法案の内容でございますが、それ自体は大変結構なことだろうと思います。私ども心配するのは、それによって国民の裁判を受ける権利が多少でも影響を受けないだろうかということなのですけれども、法文上も原則として土、日は休日という記載になっておりまして、実際には保全であるとか令状あるいは受付などが、受付は二十四時間じゅうだろうと思いますけれども、これらの業務はずっと休まないということであろうかと思います。したがって、土曜が休みになったために直接国民の裁判を受ける権利に影響があるということはないのかなというふうに考えるわけでございますが、一応念のためにこの点を確認させていただきたいと思います。     〔津島委員長代理退席、星野委員長代理     着席〕

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、土曜の休日におきましても受付事務あるいは令状事務等真に緊急な処理を要する事務については、これを処理しているところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それから、裁判の遅延がいろいろ問題になるわけでございますけれども、その関係でお尋ねします。  どうなのですか、これまで土曜日に実際に開廷をして証拠調べ等期日を開くということはあったのでしょうか。もしなければ余り影響がないかなとも思うのですけれども、いかがでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 私の承知しております範囲内では、ないというふうに承知しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 先ほどの小森委員の質問とも若干重複するかもしれませんが、土曜日はいずれにしても公判期日が開かれるということはこれまでもなかったわけでございますので、土曜日が休みになったからといって裁判官にとって、書記官の方はともかくといたしまして、多少楽になるということがあるのかなということを考えるのですが、この点はいかがでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、土曜日が休日になりますと少なくとも裁判所へ出勤しなくてもいい、こういう点はあるわけでございまして、自宅から裁判所への往復の労苦が省略される、こういう点はあろうかと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 その程度のことだろうかなと思います。裁判官にとって勤務時間というのは必ずしも絶対的な意味は余り持たないのではなかろうか。先ほど電車の中でというお話がありましたけれども、それはともかくといたしまして、勤務時間という観念が入りにくい仕事かなと思います。裁判官は神にかわって人を裁くという大変重要な仕事をしておられるわけでございますので、今後とも過重な負担にならないようにぜひお願いしたいと思います。  裁判官は、今申し上げたように神にかわって人を裁くわけでございます。大変重要な仕事であろうと思います。そうなりますと、裁判官にとって一番重要なのは裁判官の独立ということではなかろうかと思うわけです。独立といいましても決して唯我独尊であってはならないわけでございますが、しかし他から何らかの圧迫を受けることが絶対あってはならない、こういうことだろうと思います。  裁判官の独立に関して若干お尋ねしたいと思うのですけれども、ある事象、ある事件と言ってもいいでしょうけれども、それについて、あるいはある人についてと言ってもいいかもしれませんが、複数の手続が同時に並列的に進行する、これは比較的あることであって、珍しいことではないのではなかろうかと思うわけです。例えば交通事故を起こした場合に、一方で刑事手続でその罪と罰についての審理を受ける、他方で損害を与えたということで損害賠償の民事裁判の被告の席に立たされるというようなことは全く普通のことですし、さらに言えば、今のは刑事手続と民事訴訟手続が並行する場合でございますけれども、その他行政手続と訴訟手続が並行する場合もいろいろあろうかと思います。  思いつくところでは、例えば労働委員会、労働基本権を侵害したということで労働委員会に救済を申し立てられると同時に、そのことによって民事の裁判が進められるということもあり得ましょう。それから、公正取引委員会の審判手続と民事裁判というようなことだってあり得なくはないだろうと思います。それから、海難審判の手続と民事の損害賠償手続が同時に行われるというようなこともあり得ましょうし、人事院の公平委員会と地位保全であるとか解雇無効等の民事裁判が同時に行われるということもあろうかと思います。  こういうことは決して珍しいことではないわけでございますが、そういう場合に、私の理解では、これらはそれぞれ独立に、目的も機能も違いますし、全く別個の手続として行われるわけでございますから、一方が他方によって影響を受けたり制約を受けたりということはあり得ないことだろうと思うわけですけれども、実際にどうなんでしょうか。他の手続が先行することによって裁判所、裁判官が何らかの影響を受ける、独立性が脅かされる、その心証形成であるとか法律判断であるとかについて影響を受けるというようなことがあり得るのでしょうか、いかがでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 裁判官は、法律に定める手続に従いまして、その手続において提出された当事者の主張、立証に基づき、良心に従って独立して職務を行っているわけでございます。自分の担当する事件についての判断は、それぞれの裁判官が自分の良心に従って判断しているわけでございまして、他の事件を担当する裁判官の判断とかほかの行政機関の判断等に左右されることはない、このように考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 まさにそのとおりだろうと思います。訴訟手続において適法に収集された、収集といいますか採用された証拠のみに基づいて判断するのであって、それ以外の要素がその判断に加わる余地というのはない。陪審員裁判のような場合はそれは問題あろうかとも思いますけれども、職業裁判官においてそのような訓練は当然できているだろうと思うわけです。  もう一つお尋ねしたいのは、マスコミの報道、事件報道などがよくなされるわけですが、これらによって今言った何らかの影響を受ける、つまり裁判手続によって採用された証拠外の事象によって影響を受けるなどということはあり得るのでしょうか。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 マスコミ等の報道について影響されることもない、このように考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それではもう一つ伺いますが、国政調査手続によって、衆議院もしくは参議院で何らかの調査の手続が行われることによって裁判所が何らか影響を受ける、あるいは独立性を侵害されるというようなことがあり得るでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、裁判官は法廷において適法に取り調べられた証拠のみに基づいて裁判を行うわけでございまして、法廷外で行われたいろいろな事柄によって影響されることはないと考えております。したがいまして、委員御指摘の国政調査の関係につきましても影響はないと考えておりますが、国民の目から見た司法の公正らしさということもございますので、国会におきましてはそのような点を踏まえてこれまでも種々御配慮をいただいてきたと理解をしているところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 質問に答えていただければ十分なのです。  それで、この国政調査との関係で、刑事被告人に対する国政調査手続としての証人喚問について、裁判所が一定のお考えを検察あるいは法務省に対してお示しになったというようなことがありますでしょうか、明示、黙示を問わず、あるいは何らかの要請等をしたというようなことがございますでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 ございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 せんだって、二月の十三日ですか、法務省の行政官の方がこの事柄に関していろいろ陳情と称して働きかけを衆議院、立法府の方にされたという事件があったわけでございますけれども、この際に、このことに特定いたしまして何らか事前に裁判所として法務省の方にお願いをしたり打ち合わせをしたりといったことはあったのでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 ございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 わかりました。  それから、また別のことをお尋ねいたしますが、裁判官の独立というのは、その判断内容に限らず訴訟手続の遂行といいますか、訴訟指揮についても完全に保障されなければならないだろうと思うわけです。司法行政以外については完全な独立が保障されなければならないかと思います。  その点でお尋ねするのですけれども、例えば我々議会関係者が訴訟当事者、裁判所、民事であれば原告、被告、刑事であれば訴追者と被告側、これら訴訟関係者に対して、我々が寄り寄り相談の上で院の意思であるとして、ある人に対して今国政調査手続を予定しているので、その前に訴訟手続でいろいろ尋問されたのでは不都合であるというような判断に立って、これら訴訟関係者をそれぞれ回って、この人に対する証拠調べ、証人調べを見合わせてほしいというような趣旨のことを陳情して回るというようなことがあっていいのでしょうか。相当であるかどうか。そういうことがこれまであったかどうかというのがまず一つなのですけれども、そのようなことをしたとしてそれは相当なのでしょうか。もし相当であるということであれば我々は大いにやりたいと思いますが、いかがでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 委員のお尋ねの趣旨を必ずしも正解しているかどうかわかりませんが、裁判所の方で陳情して回るということのお尋ねでございましょうか。——そういうことはあり得ないことではないかと思っております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 あり得ないことであるし、もしそういうことを我々がやったとすれば、それは裁判所としては大変迷惑なことだというふうにお聞きしてよろしいですね。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 先ほどの答弁で御理解いただきたいと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 大体裁判所のお考えは伺いました。  次に、法務省にお尋ねしたいと思います。  先ほどちょっと言いました二月十三日の件でございますけれども、これは既に二月二十六日の当委員会でいろいろな方がいろいろな角度から質問されておられます。法務省のお考え等もある程度明らかになっているわけでございますけれども、なおよくわからないのであります。いろいろな言い方をされているのですね、この各党に働きかけた件に関して。  事務次官以下刑事局長、それから官房長でしたか、それから刑事課長もおられたとかいうふうに聞いておりますけれども、刑事被告人の国会証人喚問に関して一定の御意見を持ちいろいろ働きかけられたというケースでございます、中身はおわかりだろうと思いますけれども。これについていろいろ問題点があるということを御説明に伺った、こういったことを参考にしていただきたいということで御説明に伺ったというふうにおっしゃっておられる部分と、陳情を行ったのだというふうに言っておられる部分とがあるのですね。どうもよくわからないのです。参考にしていただきたいということで御説明に伺ったということであれば、何か事実の報告であるとかあるいは意見を陳述したというととに尽きるわけてございます。それから、陳情であるとすれば、陳情というのは何らかの願い事というふうに普通理解されておりますので、あるだれか、人もしくは機関の裁量に属する事柄についてその裁量の範囲内でみずからの要望に適合するように判断してそれを執行してくれということを働きかけることだろうと思うのですね。したがって、説明に伺ったというのと陳情したというのじゃ全く意味、内容が違ってくるわけなんですけれども、一体どちらだったのでしょうか。陳情だとすれば、その陳情の中身は一体何だったのか、何を要請したのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 私どもの考え方を正確に御理解いただきたいと思いますので、若干くどくなるかもしれませんが、お答えを申し上げたいと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 いや、もう時間がありませんから、中身はもう聞いていますから……。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ただ、私どもが御説明に回ったのは、今、委員仰せになられましたとおり、要するに刑事被告人を国会に証人として喚問されるにつきましては……(小澤(克)委員「中身はいいですから、説明なのか陳情なのか、どっちか端的に答えてください」と呼ぶ)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 小澤君、委員長の承諾を得て発言してください。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 以後気をつけます。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ですから、今お答え申し上げましたように、刑事被告人を証人として喚問されるにつきましては、裁判の公正あるいはその公正らしさの問題あるいは刑事被告人の人権の問題等がございますのでそれとの関係、要するに、現在裁判係属中の公判審理との関係を十分御考慮いただいた上で御判断いただきたいということを御説明に回ったわけでございます。今、委員陳情がどうかというお尋ねでございましたけれども、陳情という言葉が適切かどうかわかりませんが、私どもの気持ちとしては、要するに刑事被告人を証人として喚問することについての問題点を御説明申し上げると同時に、そういう問題点を十分御考慮いただいた上で御判断いただきたいというお願いをもあわせて御説明に回ったということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ということは、何らかの陳情といいますか要請をしたということに最終的にはなるわけですね。ただ単に事実を報告したり、意見を陳述したということではないというふうにお聞きいたしました。  そこで、一体何を根拠に、どういう法務省としてのお立場から、言葉として陳情がどうか知りませんけれども、前には陳情と言っておられますから陳情でいいでしょうが、そういうことをしたのか、そこのところを説明していただきたいと思います。一体どういう立場からかということです。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 法務当局から例えば法案の内容あるいは事件の内容等についてお尋ねがあったり、あるいは御説明に上がったりお願いに上がったりすることはしばしばあるわけでございまして、そういう意味で、私どもは、一般的に刑事被告人を国会で証人喚問されるにつきまして、最終的にはもちろん国会において御判断をされることでありますけれども、そういう御判断をされる際にひとつこういう問題点について御考慮いただきたい、刑事裁判係属中の公判の審理との関係について十分御考慮をいただいた上で御判断いただきたいということを御説明に回ったわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そういうへたな弁解はしない方がいいと思うんですよ。あなた方、メモをつくってこれを特定の政党に示していますね。このメモの内容は新聞に報道されておるので間違いないだろうと思うんですけれども、そんなこと言ってないでしょう。法務省ですから検察庁の仕事、職務が所管する事項であるということはよくわかります。したがって、その所管事項について陳情するということもそれはあることでしょう、度を過ぎない限りはですね。  ところが、このメモに示されていることは、訴追機関としての検察庁の立場からの陳情とは違うんですよ。大きくはみ出しています。もちろん訴追機関も、司法の公正であるとか独立てあるとかあるいは人権の擁護、黙秘権の擁護等について十分意を用い、その実現を図る役目があることは当然です。しかし、それはあくまでも訴追機関としてのその職掌の範囲内で行うべきことですよね。ところが、このメモは機関と機関との間のことを問題にしているわけですよ。国会の国政調査権、その手続としての証人喚問と全く別の独立の機関である裁判所における裁判手続、その関係についてこれこれの問題がありというようなことを言っているわけでしょう。全然違うんですよ。明らかに法務省の所管事項の分を越えている、のりを越えている、こうとしか言えないわけですね。何でこんなことをしたのでしょうか。答えてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、要するに私ども法務当局といたしましては、司法に密接に関係する立場にある検察を所管しているわけでございます。検察としては、裁判係属中の刑事被告事件の公訴の維持には重大な関心を持っているわけでございますし、またその裁判の公正というものについても重大な関心を持っているわけでございます。また、法務当局としては、刑事事件関係者の人権の保護にも留意しなければならない立場にあるわけでございます。したがいまして、今申し上げました司法の公正や関係者の人権に影響を及ぼすような事態を招くことはできるだけ避けねばならない、そういうことで常に努力をしているつもりでございますけれども、そういう観点から法務当局として御説明どお願いに上がったということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 全く答弁になっていないですね。いいですか。検察庁あるいは検察官は訴訟遂行、公訴を維持する、訴追をする、あるいはもちろん捜査もする、そういう役割です。その限度において、公正な裁判を実現する、そのことに十分協力する、配慮する義務がありましょうし、さらに公正な裁判に対する国民の信頼を確保するという職掌もありましょう。それから、人権の擁護、特に黙秘権の擁護ということにも意を払う必要があろう。よくわかりますよ。  違うじゃないですか、あなた方がやったことは、このメモは。立法機関そして国政調査権を持つ国会の国政調査手続の中での証人喚問と、その裁判所による判断、司法権の公正と、この機関と機関のことを問題にしているでしょう。全然事柄が違いますよ。要するに議会と裁判所との関係、あるいは議会と国民の人権との関係、これについて言及しているわけですよ。全然次元が違うじゃないですか。いつからこんな権限を法務省は持つようになったんですか。一般的に裁判の公正あるいは国民の黙秘権の保護について法務省がそういうことを職掌とし、その実現を図るのであれば、大臣の所信表明演説のまず最初にそのことがなければいかぬでしょう。そんなこと一言も触れでいないでしょう。当たり前ですよ。裁判の公正を法務省が図るなんて、そんなばかなことないでしょう。あくまで訴追機関としてのその職掌の範囲において、裁判の公正あるいはそれに対する国民の信頼、人権の擁護、このことを図るべきでしょう。もっと正直に言ったらどうですか。訴追機関として、第一回公判期日の前、罪状認否の前に事実関係についてしゃべられて固められたのでは困る、そういうことなんでしょう。もっと国民にわかるようにちゃんと説明してください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員仰せの、司法の公正との立場でそういう説明をするのはおかしいのではないかという御趣旨のお尋ねかと思うのでございますが、そうじゃなしに、私どもの方で申し上げているのは、例えば刑事被告人を国会に証人として喚問して被告事件の内容について御質問されるということになりますと、その結果として公訴事実の存否について論じたのと同じような結果を生ぜしめることになるわけでございます。したがいまして、そうなりますと国会が本来これを使命とする司法に先立って公訴事実についての判断をしたとの印象を当該被告人あるいは国民一般に印象づけることになるのではないか、そういう意味で司法の公正あるいは司法の公正に対する国民の信頼との関係で問題があるのではないかということを申し上げているわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そのようなことによって裁判所の独立が侵されることはないと先ほど裁判所からお話があったばかりでしょう。そのことによって国民の信頼が失われるなどとあなた方が言うこと自体が国民の信頼を失わせることになるのですよ。国会で、全然別の機関で、別の機能を持つところで議論されたからといって裁判には何の影響も受付ない、それが裁判所の独立てある、司法の信頼は揺るがないということを国民に説明するのがあなた方の役割じゃないですか。あなた、濱さんですね、あなたは裁判所のお考えを受けて、踏まえてやったと言いましたね。先ほど裁判所はそんなこと言ったことないと言いましたよ。国会でうそをついたんですか、あなたは。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 私は前にお尋ねを受けましたときに、検察当局の意向を踏まえて御説明に参りました。また、裁判所御当局のお考えも同じであろうというふうに、私お答えしたかどうか定かにしておりませんが、そういう考えでおりましたし、現在もそう思っております。  それは一つには、これは例を挙げてお答え申し上げますけれども、この刑事被告人の証人喚問の問題につきましては従来しばしば国会でも御議論があったところでございますし、衆議院の法務委員会あるいは参議院の法務委員会でも御議論があったところでございます。これは、例えば第百二回国会の参議院法務委員会におきまして社会党の寺田熊雄議員の方から……

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 委員長、発言を許してください。  もう時間がないのでそんなわかったことを言わないでいいのです。あなたは「裁判所の当局からも御意見が出ているわけでございまして、そういうのも私どもは踏まえたつもりでございます。」そう言っているのですよ。もういいです。答弁要りません。そういう議事録があること、これは客観的な事実ですから指摘するだけにします。  時間がありませんので次に行きます。  いろいろ弁解しているけれども、弁解にならないのですよ。情況証拠です。名前を出して恐縮ですけれども、その前日に公明党さんが森口、阿部証人喚問という態度決定をされたわけです。その翌日のことです。しかも、このメモは特定政党にのみ交付しております。全員で手分けをして陳情して回った、これは明らかに国会に対する土足で踏み込むような介入ですよ、そのことを指摘しておきたいと思います。  最後にもう一つ、これは大臣に御答弁いただきたいのですけれども、事務次官は全く一般社会人としての常識もわきまえていないと断ぜざるを得ない。何のアポイントもなしに私どもの党の国対委員長の部屋をふらっと訪れて面会を求めた。我々がそんなことをやったことがありますか、法務省を訪ねていきなり大臣に会わせろなんて。私は事務の方で調べさせていただきましたけれども、国会の通行証というのは各官庁に対して三十五個ずつ公務員記章というのが渡してあるのだそうです。これは名前の特定性がないので、各省庁の方がそれをつけて院内に立ち入られる。これは国会と各省庁との連絡のためにこういうものを渡すのが明治以来の慣習になっているそうです。アポイントもなしにいきなりふらっと会わせろ、そして陳情だか何だか知らないけれどもやる。あなた方は、国会を自分らの庭だと思っているのじゃないですか。自分の庭と人の座敷との区別もつかないのですか、あなた方は。しかも、聞いてみたら、事務次官はこの公務員記章とは別の秘書官記章なるものを交付されているそうですよ。大臣、あなたの秘書官だそうですよ。交付したのは院の側にも責任があるのでしょうけれども、こういうルーズなことをやっているから、そういう社会人としての常識もわきまえないようなことをやるのですよ。この秘書官記章なんというのを事務次官に渡すなどというばかなことは早速やめてください。大臣、最後に御答弁願います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 秘書官記章等の手続の問題については私は細かく存じておりませんが、事務次官は、私の秘書官ではありませんが、補佐役として十分その任を果たしてくれている立派な人だと思っております。  ただ、国会にアポイントなしで行ったと申されますが、私も役人の経験がございますが、時にそういうことがありましたことを、今深く反省しても間に合いませんけれども、ありました。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 立法府と行政府は全然別の機関です。そのことをよく頭に置いて、行動には慎重を期してください。介入と思われるようなことは絶対避けること、そのことをよく言って、終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三です。  裁判所の土曜完全閉庁ということは、いわゆる時短推進という意味からも我が党は賛成であります。しかし、この閉庁日がふえるということによりまして、身柄を現に拘束されつつある被拘禁者の人権についていささかといえども制限するものがある場合には、これは許されない、このように思うわけでございます。  そこで、平成四年のカレンダーを見てみますと、五月二日が土曜日に当たりますからこれが閉庁日、引き続きまして三日、四日、五日、こういうふうに休日が並んでおります。四連休です。また十一月二十一日も土曜日です。これが二十二日、二十三日のお休みとあわせて三連休、こういうことになりますし、もう毎週土曜と日曜日がお休み、こういうことになります。  そこで、法務省矯正局に来ていただいているわけでございますが、拘置所における土曜日を含む休日、被拘禁者との接見はどのようになっているのか、またどのようにされるつもりなのか、その点についてまず御答弁をいただきたいと思います。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 行政機関の休日に関する法律の一部改正がなされますと、土曜日が行政機関の休日となりまして日曜日と同一の法的性格になると解されますところから、監獄法施行規則百二十二条に規定します「執務時間内」とは解することができないことになります。そのために原則としては接見は実施しないこととなるのでありますけれども、弁護人と被疑者、被告人との接見につきましては特に重要性があるところから、事柄の性格にかんがみまして、被疑者が行刑施設に入所した後にまだ弁護人が接見していないというときに連続した休日があるというときには、まだ弁護人が接見してなくて矯正施設に入ってきた人と弁護人との接見はその連続する、例えば三連休のときにはその連続する休日のいずれの日でも、事前の申し出があります場合は、弁護人接見をすることができるようにということで準備を進めております。  それから、被告人につきましても、弁護人から事前の申し出があるような場合でありまして、休日明け早々に公判期日が指定されているとか、上訴期限また控訴趣意書等の書類の提出期限が翌週に迫っているとか、そういうふうな事情がありますときには原則として土曜日の、これは土曜日だけにお願いしているのですが、土曜日の午前中に限り弁護人の接見ができるように準備を進めておるところでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 片や時短を進めなければいけない、片や被拘禁者の人権を絶対に守らなければいけないという、いわば二律背反といいますか、私は悩むわけですけれども、ただ被拘禁者にとって、後でいろいろと事例も挙げたいと思いますが、きょう会わなければいけない、今会わなければならない、こういう場合が多々あるわけでして、この管理等そういう面で、またお休みになりますと人的な配置とか大変御苦労があるとは思いますけれども、弁護人からの申し出あるいは被拘禁者からの申し出が正当な理由がある場合には万難を排してそれに応じてやってほしい、こういうことをかたがた要望しておきたいと思うのです。その点について一言で結構ですが、御答弁をいただきたいと思います。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 私どもも、ただいま御理解ある御発言がございましたとおり、非常に少ない職員で一生懸命やっておるわけでございます。それで、今までの土曜日が今度休日となりますと、月火水木金日日というふうな感じに将来日本じゅうの意識がなってくると思います。そういうときに矯正の職員に昔の土曜日と同じにやれというのもなかなかできないわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思うわけでございますが、何しろ憲法に規定されている重要な権利でございますから、私どもとしては最大限の努力をしたい、こういうふうなことで準備を進めているところでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 次に、同じような話ですが、警察庁にも伺っておきたいと思います。  代用監獄である留置場における土曜を含む休日における接見がどのような扱いになるのか、その点について今矯正局長からも御答弁ありましたけれども、警察庁としての準備といいますか、その点について御答弁をいただきたいと思います。

小西哲警察庁長官官房総務課留置管理官

○小西説明員 お答え申し上げます。  週休二日制が実施になりますと、土曜日、日曜日、これもいわば警察は当直体制で活動するということになるわけでございまして、いわば管理体制が平常時に比べましてやや弱くなるという点はございます。しかしながら、被疑者と弁護人等の接見交通権ということは極めて重要であるということは私どもも認識をいたしているところでございまして、できる限り事前の連絡をいただいた上で接見をしていただくということで対処したいというふうに考えております。いずれにいたしましても、週休二日制の実施によりましていわゆる被疑者の接見の取り扱いにつきまして遺憾のないように適切に対処してまいりたいというふうに存じております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 次に、法務省の方に伺っておきますが、刑事訴訟法八十一条による接見禁止、そういう処分がされているときに被疑者に対する弁護人との接見指定の手続ですね。これが担当の検事がお休みということで指定がない。我々この点については大いに論争のあるところですけれども、実務上こういう指定がないと会えない。今矯正局の方あるいは警察庁は会わせる用意はある、こういうふうに言っていただくのですけれども、接見禁止されている部分については検事の指定がなければスムーズに食えません。どうなっていますか。その点について御答弁をいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員のお尋ね、刑事訴訟法の八十一条を仰せになられたのですけれども、お尋ねの御趣旨は刑事訴訟法三十九条の弁護人あるいは弁護人となろうとする者との接見についてのお話ではなかろうかと思うわけでございまして、そういうふうに理解させていただいてお答えさせていただきたいと思います。  これは当然のことでございますが、刑事訴訟法三十九条に定められております弁護人の接見交通権につきましては、検察官としても捜査を進める上で尊重しなければならないということはもとより言うまでもないわけでございます。  問題は、三十九条三項による接見指定との関係でございますが、法務省におきましては、接見指定の適切な運用を図るために事件事務規程、これは内部規定でございますけれども、その一部を改正いたしまして、俗に言われております一般的指定書というものを廃止するなどいたしますとともに、各種の会同あるいは研修等の機会をとらえまして、接見指定が必要かどうかという判断あるいは指定の内容、その方法の選択等が適切になされるように指導してきたところでございまして、今後ともより一層適正な運用がなされるように、引き続き努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 閉庁日であるからしてそういうものが渋滞するということに絶対にならないように重ねて要望しておきたいと思います。  これは一見当たり前のことかもわかりませんけれども、余り疑いのないところかもわかりませんが、今回の改正によって刑事訴訟法第五十五条第三項が改正されます。「期間の末日が日曜日こ「土曜日」という日が入りまして、「国民の祝日に関する法律に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、これを期間に算入しない。ただし、時効期間については、この限りでない。」こういうふうに規定されることになります。期間の末日が土曜日に当たる場合には算入されないということがはっきりするわけですけれども、起訴前の勾留の期間、これは十日以内という期間があります。やむを得ない事由があるときは、さらに十日を超えない期間延長することができる。ここで言う「期間」は、この文言の上からちょっとはっきりしないのです。その末日が土曜日に当たって四連休になってしまったら大変なことになるわけでありまして、もちろん学説あるいは実務の扱いも「時効期間については、この限りでない。」という、その時効期間に準じて考えるんだという解釈が行われて疑いがないようですけれども、非常に重要なことですから一言聞いておきたい。一言ずつで結構ですから、裁判所と法務省から御答弁をいただきたい。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 ただいま冬柴委員の仰せのとおりの解釈だと存じます。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 法務当局も同じ考えで理解いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 その次に、刑事訴訟法六十条は起訴後の勾留期間を定めています。これは、起訴後二カ月、継続の必要がある場合は一カ月ごと更新。この末日が土曜日に当たった場合、これはどうなんですか。裁判所と法務省にそれぞれお尋ねしたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 これも全く同様でございます。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 同様に理解いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 その点には若干違う意見もあるようなので、今裁判所と法務省から有権的な解釈を示されたものとして理解をしておきたい。そうあるべきだと思うわけです。文言がここのところはちょっと、改正されたにしては五十五条三項がどうもはっきりしないなという感じがいたします。しかし、扱いが変わらないということであれば、それで結構です。  そこで、勾留中の被疑者や被告人につきましては、接見はしてもらう、それからまたそれに対する弁護人との接見交通権についても十分にこれにこたえていく、そういう答弁を合いただいたのですが、ただそれだけじゃなしに、非常にいろいろな、拘束されている被拘禁者の人権を守るための手続をとらなければならない緊急事態が生ずる場合があります。  通告をしておきましたから、主文だけで結構ですが、これは裁判所の方から答えていただけますか。  大阪地方裁判所刑事第二十部が平成三年(む)第三五〇号事件について平成三年八月五日にした決定、この主文だけで結構ですが、お示しいただきたい。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 ただいまの決定は検察官の接見指定に対する準抗告でございますが、これを認容いたしまして、主文としては二十分間の指定を三十分間に変更いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 同じ部でその翌日、平成三年(む)第三五一号事件として同じ被疑者に対して行われた決定があるようですが、それについても主文をお示しいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 全く同様の準抗告に対しまして、これを認容し、指定時間を、二十分間を三十分間と変更いたしております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 これは、おもしろいと言ったら非常に不謹慎かもわかりませんけれども、接見指定を、時間をゆえなく短縮したということで、裁判所が準抗告を入れて検察官の処分をばあっと取り消して会わせているわけです。その翌日、また同じ検事が同じことをやったという事件でございまして、こういう実務上は非常に鉄火場といいますか、時間を争う必要があるわけでして、そのときに検察官がいないとか裁判所の構成がそろわないとかいうことでは大変なことになるので、事件を挙げてみたわけです。  次に、堺簡易裁判所の平成二年九月二十二日にした同庁平成二年(る)第六号の決定主文をお示しいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問の趣旨は、平成二年の(る)第六号でございますか。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 はい。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 これは被告人に対する勾留を取り消すという勾留取り消し決定でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 時間がありませんから余り詳しく事案には入りませんけれども、もう勾留は不必要だ、すぐ釈放せい、こういう決定なんですね。これに対して直ちに検察官は準抗告及びその執行停止の申し立てをしているわけでありますが、準抗告審は直ちに準抗告を棄却しておりまして、被告人を釈放しているわけです。こういうのも、そういう必要がある場合に、裁判所あるいは検察官、そういう場合には検察官の意見を聞いて決定しますので、検察官がいないとか、実は私も準抗告をして裁判所の廊下で六時間以上座って待って決定をいただいたことがありますけれども、そういう場合があります。これが、きょうは休日だから検事がいないとか裁判官がどこかへ行ってわからないとか言われると、大変なことになると思うのです。  通告しましたので、もうちょっと挙げてみましょう。  これも大阪地方裁判所の刑事第二十部が平成元年九月十二日にした決定で、同庁の平成元年(わ)第三〇〇七号、この事件に対する決定主文をお示しいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 これは移監命令の職権発動を求める申し立てでございますが、勾留場所を曽根崎警察署の留置場から大阪の拘置所に変更した決定でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 これはまさに代用監獄が問題になった事案でありまして、なぜ移監決定がされたか。これは移監申し立て書、職権の発動を申し立てたのですか、その申し立て書の中身を見ると、曽根崎警察で相当ひどい暴行がされていたわけであります。警察庁はもう帰られたからちょっとアンフェアかもわかりませんが、その中に書かれているのは、気をつけをせよとどなりつけたり、取り調べの警察官が被告人の両ほおを平手で二回打った、さらに、わき腹を手刀で両側からたたいた。今度はさらに、後ろ向きにされて頭を壁に何度がぶつけられる暴行を受けた、そして自白を強制された。このような暴行、脅迫という肉体的、精神的な圧迫によって被告人は頭がもうろうとして、房に戻るや三十分から一時間にわたって嘔吐を繰り返し、行岡病院というところで診察を受け、点滴を受けて、ようやく曽根崎署に夜の九時ごろに帰してもらって一応の落ちつきを取り戻した。ここに置いておけばさらに暴行、脅迫が加えられ、自白が強要されるおそれが現実に切迫している、こういう申し立てを入れて、先ほどお示しかありましたように、裁判所が曽根崎警察署留置場から大阪拘置所に留置場所を変更する決定をしておられるわけであります。こういう事案も、休みだということでそれができないというふうになれば大変なことになると思います。  さらにもう二つだけ、時間がある範囲でお伺いしたいと思います。  大阪地方裁判所の刑事第八部で平成二年十二月四日にされた決定ですが、同庁二年(む)第六三六号事件についての決定主文をお示しいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 それは勾留場所の指定に対する準抗告でございますが、生野警察署留置場に指定したのを取り消しまして、勾留場所を大阪拘置所としたものでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 もう一件、大阪地方裁判所刑事第十一部が平成三年五月三十一日にした決定である同庁三年(む)第二四〇号事件についての決定主文もお示しいただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 同様に勾留場所の指定に対する準抗告でありまして、勾留場所の指定を取り消して大阪拘置所に変えたものでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 このように、被告人の身柄をめぐる弁護人と捜査官との非常なせめぎ合いといいますか、そういうものが繰り広げられるわけでありますが、休日になりますとどうしても平日のようにはスムーズにいかないと思うのです。  そこで、裁判所は休日中、大きな庁であればそういう備えはあると思うのですが、例えば地方の支部とか、そういうところでこういうことが起こった場合に対応できるのかどうか、この点について御答弁いただきたいと思います。

島田仁郎最高裁判所事務総局刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 従前からも祝祭日あるいは土、日の休日には十分な体制をとって緊急な事態に備えてまいったところでございますが、今後ともそのように努めてまいろうと思っております。現に、先ほど委員から御紹介ありました事件のうち第三件目の事案は、日曜日に準抗告決定を出しておる事例でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 検察官がいないということで意見がなかなか戻ってこないでおくれる場合が多いわけでありまして、法務省からもその点についての御答弁をいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員がお尋ねの、一つは勾留等の裁判についての検察官の意見を求められた場合の検察官の意見を回答することについて、それから、最初からお尋ねになっておられます捜査との関係での接見の指定、いずれにつきましても、今委員が仰せのように時間を急ぐ事態というのはよくあるわけでありますから、日ごろから検察官への連絡体制を整備するということで努力しておりまして、今後もそういうふうに努力してまいりたいと思っております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 時間が参りましたけれども、法務大臣から一言。休日がふえることによって被拘禁者の人権がいささかも軽んぜられないという担保措置を法務省挙げてとっていただきたいと思うわけでありますが、その決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 おっしゃるように、人権について十分配慮するようにやりたいと思いますが、具体的なことは私自身余り知りませんが、昔の経験で、職階制というのがありまして、職務給与職というのについて仕事の分析をしたことがありますので、そういうことなどサジェストして新体制をつくっていくように努力したいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 どうもありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 本法は裁判所の休日に関する法律の一部を改正して土曜を完全に閉庁しようというものでありますが、この法律が審議された一九八八年、昭和六十三年の八月二日付で、日弁連から最高裁の総務局長に対して次のような意見が出されております。  裁判所が国の行政機関ではなく、国民の裁判を受ける権利を保証する機関であることに鑑み、緊急性を有し、国民の裁判を受ける権利に重大な関係のあるつぎの事項については、人的・物的体制を確保し、単に申立の受理のみならず、それに対する裁判所側の処理(審理・決定・許可等)についても平常通りの対応がなされるよう、特段の配慮をされたい。  一、保釈手続、令状手続、勾留の執行停止・準抗告手続、勾留理由開示手続  二、人身保護法による救済手続  三、保全手続(破産・和議・会社更生法等の特別法による保全手続を含む)  四、証拠保全手続  五、執行停止手続(行政事件を含む)  この日弁連の要望を受け、また国会での審議も受ける中、最高裁判所から一九八八年十月六日付で、「閉庁日に取り扱う事務の内容」として「閉庁土曜日に取り扱う事務は、基本的には、現在、日曜、休日に取り扱っている事務の内容とほぼ同様である。」として「即ち、1 事件の受付関係事務」これは「訴状、起訴状等の受理」「2 令状請求に関する事務 逮捕状の発行等」「3 特に緊急を要する事件の処理」として「保釈、保全、執行停止等に関する事務で、裁判官の判断により、特に緊急を要するものについては、閉庁日においても処理する。」日弁連の要望からすると、ちょっと後退したような最高裁の文章でございますが、本改正法によって土曜日が完全に閉庁になりますと、一層日弁連が言っておりますように人的、物的体制を確保して国民の人権に遺憾のないことを期されると思うわけであります。  最高裁にお伺いをいたします。一九八八年十月六日に出された「閉庁日に取り扱う事務の内容」、この趣旨は一層徹底するという決意であると伺ってよろしいですか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、日弁連からの要望を一層徹底していきたい、このように考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ついでに、前回の基本法が策定されたときに附帯決議がなされておりまして、「最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の努力をすべきである。」「一 土曜閉庁の実施に当たっては、裁判手続における国民の権利の行使に遺憾なきを期することはもとより、国民に対する司法サービスの低下を来すことのないようにすること。」今回は、特段の附帯決議をなすことにはならぬと思いますが、当然この附帯決議の趣旨は、この完全土曜閉庁においてなされなければいかぬと思うわけでありますが、この附帯決議について今回の法改正に当たってさらに努力をされる意向がありや否や、最高裁の決意のほどを伺いたいと思います。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 御指摘の附帯決議の趣旨に沿っていきたいと考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 今回の法改正によって完全週休二日制を実現することは、裁判官を初めとする職員の負担の軽減という立場から、日本共産党は賛成であります。しかし、それは国民の権利がいささかも後退するようなことがあってはならないということは言うまでもありません。  そこで、国民の権利と負担の軽減とを調和させるということが一層重要になると思うわけであります。特に私は、こうした先ほど来他の委員からも指摘がありましたようないろいろな分野にあらわれている国民の権利を全うするためには、裁判官の数が一層ふえなければならぬことはもちろんのこと、これにつなぐ裁判所職員の数も非常に重要になってきておると思うわけであります。そこで、小規模の旧甲号支部のように職員が非常に少ない裁判所におきましては、宿日直体制を維持するというのは一層重要であり、大変なことになってくるのではないかと思うわけであります。  時間がありませんから私が裁判所当局からお聞きした数字をちょっと御紹介いたしますと、例えば沖縄県の平良支部などは、裁判官一人に対して職員数十九、うち女性が三人であります。私の長野地方裁判所の飯田支部では、裁判官三人に対して職員数が二十人、そのうち女性が六人であります。この体制で土、日の宿日直を全うするというのは、職員にとってもこれは大変なことであろうかと思うわけであります。お聞きしますと、日直は二人体制、宿直は一人体制などのことであり、裁判所職員の中に占める女性の数が全体で大体二七、八%までいっておるということだと思われるのですが、現実にこういう小さな裁判所で、現行で職員の宿日直はどのくらい負担があるのか、私、緊急な質問なので恐縮なんですが、わかっている限りでお答えいただきたいと思います。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 職員数二十名ぐらいのところで調べましたところ、現行では月平均二・四回の宿直となっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 もうちょっと大きな裁判所になるとどのくらいかは御答弁できるでしょうか。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 職員数が八十人のところを調べましたところ、月一・五回となっております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 御答弁にありますように、小さな裁判所の職員ほどほかの職員が休んでいるときにもかかわらず宿日直で頑張っているということが言えると思うのですね。今回土曜日が完全に休みになりますと、これがさらに、ほかの職員が休んでいるときに宿日直で守らなければいかぬことが新たにふえるわけですね。そうしますと、やはり裁判所の職員の数も本法改正に見合って配置すべきは配置する、ふやしていくということがなお重要になると思うわけです。  裁判所にお聞きしますが、こうした完全週休二日制に伴う職員の数をこれに見合うようにふやしていくという意向についての決意のほどを伺いたいと思います。

上田豊三最高裁判所事務総局総務局長

○上田最高裁判所長官代理者 このたびの完全週休二日制のために増員するということはやっておりません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 しかし、土、日で職員がおらなかったことをもって国民の人権に遺漏があっては絶対にならぬわけですね。遺漏のなきように万全を期していただきたいと思うわけであります。  今の政府がとっております臨調・行革路線の根本精神は、人はふやさない、予算もつけない、しかし能率は落とさせない、こういう基本路線のもとで今回のように閉庁日がふえるということになりますと、土曜閉庁によって宿日直のローテーションが職員にとってはかえって一層厳しくなるということも、全司法労働組合などからは指摘されているわけであります。週休二日制実施に伴う職員の負担軽減という利益を全うさせるためには、やはりしかるべき人員そしてそれに伴うしかるべき予算、これが何といっても確保されることが肝心かなめであろうかと思うわけであります。そういう立場から最後に一言法務大臣の所信を伺いますが、この法律改正の趣旨を全うするためにしかるべき人員、予算を確保する、昨年来法務大臣におかれましては、裁判所職員の増員また法務省職員の増員のために努力されていることを重々私は承知しておるわけでありますが、一層の努力を期待し、要望したいと思うわけであります。  法務大臣の決意のほどを伺いまして、質問を終わらせていただきます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 この問題に関しては、裁判所で適正迅速な審理を実現するために人的、物的な整備を図るべく種々の施策がとられていることはよく承知しております。ただ、裁判所のことに余り口を出しますととかく誤解を招きますので、そういう予算とか、法務省が言うならば委託的に受けて要求するとか、そういうときには一生懸命頑張りますから、全体の裁判の内容にかかわるようなことまでにはとても及べないということを御理解の上、一生懸命頑張ります。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 内容じゃなくて充実するために人をふやせ、金をふやせという要求でありますから、ぜひ遠慮なく頑張っていただきたいということを申し述べまして、終わらせていただきます。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  裁判所の休日に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 次回は、明二十七日金曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会      ————◇—————

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