法務委員会 第2号
- 発言数
- 226 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1992/03/10
会議録
○浜田委員長 これより会議を開きます。お諮りいたします。 本日、最高裁判所上田総務局長、泉人事局長、仁田経理局長、今井民事局長及び島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――◇―――――
○浜田委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田原法務大臣。 ――――――――――――― 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○田原国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方において、地方裁判所における民事訴訟事件及び民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判官以外の裁判所の職員を五十六人増員するとともに、地方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十三入減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十三人増加しようとするものであります。 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○浜田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○浜田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。星野行男君。
○星野委員 ただいまの大臣の提案理由の御説明によりますと、この法案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官の員数及び裁判官以外の裁判所職員の増員を行おうとするものであるということでございます。 そこで最初に、下級裁判所の民事訴訟の実情についてお伺いをいたします。 民事訴訟の事件数が減っているということを聞きますが、一方では社会や国民の価値観の変化に伴い、裁判所に持ち込まれる事件の内容も変化しているのではないかと想像いたします。最近の新受事件の状況及び民事訴訟事件の特色について御説明をお願いいたします。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最近の地方裁判所、簡易裁判所の民事訴訟事件の状況でございますが、この事件数につきましては、法律案関係資料の二十二ページに地方裁判所の事件、それから二十四ページに簡易裁判所の事件がございます。これでわかりますように、地方裁判所の民事事件の新受件数でございますが、昭和六十年、六十一年ころは約十三万件ということでございましたが、その後減少しております。平成二年には、ここにございますように十一万二千六百六十一件ということでございます。簡易裁判所の事件もほぼ同様の傾向でございまして、昭和六十年には二十三万件余りあったわけでございますが、平成二年には九万七千三百五十五件というふうになっておるわけであります。 この原因でございますが、主として、急激に増加しておりました貸金事件等のいわゆる消費者信用関係事件でございますが、これが貸金業法等の制定によりまして落ちつきを見せたということにあるのではないかと思われます。しかし、この表にはございませんけれども、平成三年度の事件でございます。これはごく最近仮集計ができましたけれども、これを見ますと、前年度よりは増加をしております用地方裁判所の新受事件は約十二万件でございまして、前年度に比べまして約六%ふえております。また簡易裁判所の方は約十一万一千件ということでございまして、前年度に比べまして一四・七%増加しておるわけでございます。 新受事件の動向はこのような状況になっております。 それから、その内容でございますが、特に地方裁判所の事件を見ますと、最近における社会情勢の変化、権利意識の高揚等を反映いたしまして、公害事件、医療過誤事件といったような特殊な類型の損害賠償事件、私どもの方ではこれを特殊損害賠償事件と言っておりますが、これは非常に複雑であり、また解決に困難を来す事件でございますが、このような事件はむしろ増加傾向にあるということでございます。
○星野委員 わかりました。 裁判にお金と時間がかかるというのは、残念ながら世間の常識でございます。日本におきましても、特に民事訴訟におきましては時間がかかるという批判をよく聞くわけであります。 御案内のように、憲法の三十二条では、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定してございますし、三十七条の一項は、刑事被告人の権利でありますが、「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を存する。」こう定めているわけであります。裁判に費用がかかり過ぎたりあるいは時間がかかり過ぎたりすると、結局、被害者が泣き寝入りをせざるを得なくなるなど、国民の裁判を受ける権利が形骸化するおそれもあるわけであります。 そこで、何点かお伺いをいたしますが、まず裁判と費用との関係について御質問を申し上げます。 刑事被告人が貧困その他の理由で自分で弁護士を依頼することができない場合のために国選弁護人制度がございますが、国選弁護人の一件当たりの平均的な報酬は今どのようになっておりますか、お伺いをいたします。
○島田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 現在は、通常の事件を想定いたしまして、地方裁判所の三開廷の国選弁護人の報酬の支給基準は、一件当たり六万五千円となっております。
○星野委員 刑事事件は、御承知のとおり、被告人との接見や記録の閲覧あるいは事件の調査、証拠の収集など、誠実に弁護士活動を行うには相当に時間と労力がかかるわけであります。六万五千円程度の報酬で果たして実際に刑事被告人の十分なる防御ができるかどうか、はなはだ心もとないと思うわけでありますが、今後の改善につきましてどのようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
○島田最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘がございましたように、国選弁護人の活動は刑事裁判を適正かつ円滑に運営するために非常に重要な意味を持つわけでございまして、私どもといたしましては、国選弁護人の報酬につきましては、その活動にふさわしい額を確保するように毎年その増額に努力をいたしてきておるところでございまして、今後ともその努力は続けてまいるつもりでございます。何分にもマイナスシーリングの続く昨今の厳しい財政事情でございますので、大幅な増額ということは望めないわけではございますが、国選弁護人の職務にふさわしい額を確保するためということで、苦しい財政事情のもとでありながら、財政当局の御理解も得て手厚い引き上げを実現してきておるところでございます。ちなみに、平成四年の予算といたしましては、三開廷の先ほど申し上げました六万五千円の支給基準を六万八千七百円ということで一人事院の勧告三・七%を二%上回る五・七%のアップということで現在お願い申し上げておるところでございます。
○星野委員 国選弁護料の引き上げを三・七%の人事院の勧告に対して五・七%引き上げている、こういうことで御努力の跡はうかがえるわけでありますけれども、きょうびの社会常識あるいは金銭感覚あるいは事件処理の内容等を考えてみますと、三開廷少なくとも一件当たり十万円くらいにしてやらないと、十分な弁護士活動が、弁護士さんでいろいろとやり方はあるとは思いますけれども、一般的な弁護士活動として期待ができないのではないかという気がいたしますので、三開廷で平均十万円、そのくらいの目標をできるだけ早く達成していただきますように今後の御努力をお願い申し上げます。 それから、民事事件でございますが、御案内のとおり勝訴の見込みがある場合、法律扶助制度があるわけでございますが、現在、この法律扶助制度はどのような運用になっておりますか、あるいは予算の関係はどのようになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○篠田政府委員 お答え申し上げます。 法律扶助事業を実施するために昭和二十七年に財団法人法律扶助協会が設立されたわけでございますが、昭和三十三年度から扶助協会に補助金を交付して法律扶助事業を国庫補助の形で援助してまいっております。それで、平成三年度の法律扶助補助金の金額は一億二千七百二十五万五千円でございまして、平成四年度の法律扶助補助金は一億五千二十五万四千円を計上いたしております。平成四年度は前年度に比べまして二千二百九十九万九千円の増加でございまして、増加率としては一八・〇七%でございます。 なお、そのほかに広報宣伝委託経費として三百六十万円、それから調査委託経費として八百万円を計上いたしております。これは、平成三年度と平成四年度、同じ金額でございます。
○星野委員 この法律扶助制度は、勝訴の見込みがあるけれども弁護士を頼むお金がないというような方のために弁護士費用も立てかえてくださる。わけでありまして、被害者の救済あるいは権利の擁護に非常に大きな成果を上げておると理解をいたしております。大変努力をしておられますが、今後ともこの制度の充実強化に御尽力をいただきたいと思います。 さて、次に、訴訟遅延の主たる原因は裁判官の人数が少な過ぎるからである、こう言われております。現在、地裁、簡裁等で一人の裁判官が平均何件くらいの事件を担当しておりましょうか。私も実はかつて弁護士実務を経験したことがございますが、裁判官がなかなか抱えている事件が多くて宅調で記録をふろしきに包んでお持ち帰りになる、その姿を見かけておりますし、司法修習生のころも裁判官というのはなかなか容易じゃないなというふうなことも聞かされました。そんなことで私は、ある程度そういう負担が過重にならないようにしてやらないと裁判官志望もなかなかふえないのではないか、そんな気もいたしますが、今大体一人平均どのくらいの事件数を担当しておられるか、お聞かせいただきたい。
○上田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御承知のとおり、裁判所の規模には種々のものがございまして、例えば東京ですとか大阪といった大規模庁から地方の支部といった小さな庁もございます。そうしまして、事件処理の状況もそれぞれ違っておりまして、例えば小さな支部でございますと、一人の裁判官がすべての事件を担当する、民事訴訟事件、刑事訴訟事件、それから民事のいろいろな雑事件と申しておりますが、仮差し押さえですとか、仮処分ですとか、民事執行、破産、そういったいろいろな雑事件も一人で担当しているわけでございます。また、裁判官にもいろいろ資格がございまして、判事、あるいは特例判事補といいまして一人で事件を処理できる裁判官、それから未特例判事補と申しまして一人では事件を処理できない裁判官がございます。したがいまして、裁判官一人当たりの手持ち件数ということでこれを統計的に表現することは大変技術的、に困難でございまして、私ども、実はそういう数字を持ち合わせてございません。しかし、取り急ぎまして東京地方裁判所における民事通常訴訟事件について平成二年の十二月末現在においてどのくらいの事件があるかというのを調べてまいりましたので、御説明させていただきます。 それによりますと、東京地裁本庁の通常民事訴訟事件を担当している裁判官でございますが、一人当たり平均二百十件前後を担当いたしております。 それから、ついでに新受件数でございますが、これもやはり東京地方裁判所の民事通常事件を担当している裁判官でございますが、一年に二百三十件前後、こういう数字が出ております。
○星野委員 結局、そういうふうに一人の裁判官が多数の事件を抱え込むと、どうしてももう物理的な限界がありまして、訴訟が一件当たり最終的な判決まであるいはまた和解、調停による終結まで時間がかかる、そういうことにならざるを得ないと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、裁判官の数がある程度確保されなければ適正迅速な裁判が望めないことは明らかであろうと思います。そのために裁判所としてはこれまでどのような努力をし、裁判官の増員を図ってきたのでございましょうか、お聞かせください。
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、適正な民事訴訟を運営しますためにはある程度の裁判官の数が確保されることが必要だろうと思っております。そこで、私どもも毎年裁判官の増員に力を注いできたところでございまして、例えば、昭和四十年以降平成二年度までをとってみますと、合計三百十人の裁判官の増員を図ってきております。 その内訳でございますが、判事が百五十人、判事補が八十一人、簡易裁判所判事が七十九人、合計で三百十人、こういう状況でございます。 なお、平成四年度におきましても、地方裁判所における民事訴訟事件の審理充実を図るために、判事補七人の増員をお願いしているところでございます。
○星野委員 最近の民事訴訟事件は、内容荊には複雑困難化していると伺っているわけでありますが、そのような状況のもとで、今年度裁判官七名の増員と、昨年より二人増加させただけでありますが、その程度の増員で適正迅速な事件処理が図れると考えておられましょうか、いかがでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 判事補七人の増員で十分かというお尋ねでございますが、民事訴訟事件の審理の充実を図りその運用を改善していくためには裁判官の負担件数を減らすことが必要でございまして、委員御指摘のとおりでございます。したがいまして、相当数の裁判官の増員が不可欠であろうと私どもも考えております。 しかし、裁判官の増員数を決定するに当たりましては、常に充員の可能性と申しますか、裁判官として果たして確保できるかどうかという観点からの検討が不可欠でございまして、委員御承知のとおり、判事補の給源は、そのほとんどが現在司法修習生でございます。したがいまして、司法修習生からの判事補希望者数とか、あるいは判事補から判事への任官者数等を考慮いたしまして、充員可能な最大の数として判事補七人の増員を図ることとしたものでございます。判事補の増員でございましても、合議事件の一員となりまして、合議事件を充実することにより、また難しい単独事件を合議事件に回すことによりまして、民事訴訟全体の適正迅速化に寄与することができると考えております。 なお、今後とも、事件の動向ですとか審理の運営改善の実施状況等を十分に見きわめまして、司法試験改革の効果等も考慮しながら裁判官の確保に努めていきたいと考えている次第でございます。
○星野委員 いろいろと工夫をしておられることは今のお話で理解をいたしました。 さて、昨年に引き続き今年度も裁判官の増員は判事補のみでありますが、判事を増員しない理由は何でございましょうか。 また、テンポの速くなった現代の社会生活に対応できる迅速な裁判の実現というのが国民一般の要望であろうと考えられます。判事補の増員のみでこのような要望にこたえることができるのでありましょうか。御説明ください。
○上田最高裁判所長官代理者 民事訴訟事件の審理の充実を図るという点からいたしますと、判事補よりも、一人で裁判をできる判事の増員ということが端的でございますし、はるかに効果があることは委員御指摘のとおりでございます。しかしながら、判事の給源と申しますのは、委員も御承知のとおり主として判事補からでございます。判事補を十年やりまして判事の資格を取得することができるわけでございまして、判事の給源には限度がございます。また、事柄の性質上と申しますか、その仕事の性質上と申しますか、判事の質をできる限り高いものとする必要もあるわけでございまして、定員の増加につきましても、こういった充員の可能性等を十分考慮しなければならないわけでございます。 そこで、まず私どもとしましては、若干迂遠な方法という御批判を受けようかと思いますが、まず判事補を増員し、判事補を養成しまして、しかる後に判事を増員していく、こういう段階を踏む必要を感じているわけでございます。したがいまして、このような点を考慮しまして、本年は判事ではなく判事補七人の増員をお願いしている次第でございます。 先ほども申し上げましたように、判事補は合議事件の一員としてしか裁判をできないわけでございますが、合議事件の主任裁判官となりまして合議事件の処理そのものを充実することができるわけでございます。さらにまた、現在よりもより多くの単独事件、難しい単独事件を合議事件の方へ回すことによりまして、民事訴訟全体の審理の充実を図っていく、こういうことを考えている次第でございます。
○星野委員 最近、弁護士からの判事の任用、裁判官登用という話も聞きますが、いっかラジオで大分希望があるようなことも耳にいたしましたけれども、弁護士からの裁判官の採用といいますか、任用といいますか、そういうことは、今どのようになっておりますか。おわかりでしたら、お聞かせいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 最高裁判所といたしましては、弁護士として市民にじかに接し、多様な経験をお持ちの方に裁判所に入っていただきたい、こういう願望を以前から持っております。そのために、昭和六十三年三月に判事採用選考要領というものをつくりまして、経験十五年以上、五十五歳未満の弁護士の方に裁判官においでいただきたい、こういうことをつくりまして、日弁連を通じましてPRいたしたわけでございます。それに応じまして、八人の方が今まで裁判官に任官しておられます。 昨年に至りまして、弁護士会の方から、この経験十五年以上というものをもっと下げてはどうか、あるいは、五年程度勤務して、また弁護士に戻る道をつくってはどうか、こういう御提案をいただきました。それを受けまして、最高裁判所といたしまして、五十五歳未満でございますけれども、経験五年以上の弁護士の方に積極的においでいただきたい、それから、五年程度勤務できる方においでいただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。 それから、弁護士会からおいでになる場合に、これまでは直接最高裁判所に裁判官任官願を出しておられましたけれども、日弁連を通じてそういう願をお出しいただく、こういう道もつくったわけでございます。 こういうふうにして、弁護士からの任官がしやすいようにという方策をつくりました。先月日弁連から、これに応じまして、九名の方の任官の希望者の名簿が提出されまして、現在その選考をいたしている最中でございます。私どもといたしましては、今後継続的に弁護士の方に裁判官に任官していただければ大変ありがたい、このように考えている次第でございます。
○星野委員 お話がございましたように、庶民感覚を持った弁護士から判事を任命するということは、法曹一元という理想にも非常にかなうわけでありまして、今後とも一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。 さて、次でございますが、現在法制審議会で民事訴訟法の改正作業が行われていると伺っておりますが、民事訴訟法改正について、裁判所は、事件の適正迅速な処理という観点からどのように考えておられますか、お答えいただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 今お話のございましたように、現在法制審議会におきまして民事訴訟法の改正作業というものが行われておるわけでございます。これは、平成二年七月に今度民事訴訟法の改正を検討するということが取り上げられまして、昨年の十二月法務省の方から改正検討事項というものが公表されました。 これを受けまして、裁判所の方でもこれについて意見を出せ、こういうことが来てございます。現在私どもの方では、これについて全国の各裁判所に対しまして、この改正検討事項についての意見はどうかということで照会をしておるところでございます。 この民事訴訟につきましては、今回の改正では、国民に利用しやすくわかりやすい民事裁判、こういうことが目標にされておるようでございまして、裁判所としましては、こういう国民にわかりやすく利用しやすい民事裁判ということはぜひ必要だということで、現行法のもとにおきましても、全国の裁判所におきましていろいろな形でそのための運用改善ということを図っておるわけでございます。この運用改善ということが行われますればわかりやすい裁判あるいは迅速な裁判ということに寄与できるのではないかと思っておりますけれども、今回のこの改正におきましてさらに運用改善とあわせまして立法面でも十分な改正がされるということを期待しておるわけでございます。私どもとしましては、全国の裁判所からの意見を集約いたしまして、できる限り全国の裁判所の意見がこの立法の中身に反映するようにいろいろな面で努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○星野委員 国民にわかりやすいあるいは利用しやすい裁判所にする、あるいは裁判にするというのは結構なことであります。 ただ、現在、民事裁判について、国民からわかりにくいあるいは利用しにくいという声がございます。この観点から裁判所では判決書きの改善を図っていると聞きますが、民事裁判を国民にわかりやすく利用しやすいものとするために裁判所はどのような施策を今まで行ってきたのか、御説明をいただきたいと思います。また、今後どのような方針で臨むおつもりでおりますか、御説明をいただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 民事裁判につきましては、今も申し上げましたように国民が利用しやすいようにということでございますが、民事裁判の使命といいますのは、国民の間の私的紛争を適正迅速に解決をしまして国民の権利を擁護する、それによって社会の要請にこたえていくということにあるのではないだろうかと考えております。そうしまして、そういう民事裁判制度が十分に機能するためには、裁判による解決が必要な紛争が裁判所に気やすく持ち込まれる、それが適正な手続によって妥当な解決が得られる、こういうことが必要ではないかと考えておるわけでございます。 こういう観点から今の民事裁判について見てみますと、裁判の適正公正という面につきましては大方の信頼を得ておるものというふうに考えておるわけでございますが、しかし、今御指摘がございましたように、国民にとってわかりやすいあるいは利用しやすいという点から見ると十分かどうかといいますと、問題がないわけではないと私どもも考えておるわけでございます。 一例を申し上げますと、現在、民事裁判におきましては口頭弁論ということが主でございますけれども、そこでは、例えば期日におきまして、準備書面を陳述ということで、一言でその日は終わってすぐ次回期日が指定をされる、このようないわば書面交換のための期日になっておるのではないか。そうしますと、傍聴に来ておられます国民の方にとりましても何をやっておるのかよくわからない、自分の事件でもよくわからないというようなことになりかねないわけでございます。このような批判がございます。また、判決書きにつきましても、これは法律を使った判決でございますのである程度専門的な用語があることは必要でございますけれども、それにしてもなかなかわかりにくい、こういう批判もあるわけでございます。 そこで、今御指摘のございました判決書きの改善でございますけれども、平成二年の一月に、東京高裁、地裁、それから大阪高裁、地裁の有志の裁判官が集まりまして、民事判決書改善委員会といういわば研究会のようなものを設けまして、いろいろ研究した結果を発表されたわけでございます。「民事判決書の新しい様式について」という共同提言でございますが、それによりますと、平明簡易な表現、文体を用いまして、また、形式的な記載あるいは重複記載を省いて、本当にわかりやすい、争点については丁寧に説示をする、このような判決書きをつくろうではないか、こういう共同提言をされたわけでございます。そうしまして、それを全国に公表したわけでございます。これを受けまして各裁判所では、それぞれ研究会等を開いていろいろ検討されたわけでございます。 その後の動きを見ますと、全国の裁判所ではこのような提言の趣旨に沿った、わかりやすい判決書きをつくろうという動きが全国に広まりまして、今ではかなり一のところでそのような新しい様式による民事の判決書きが作成されておるものというふうに承知をしておるわけでございます。このような判決につきましては、マスコミ等でもおおむね評判はいいというふうに聞いておるわけでございます。 それからもう一つの点でございますが、先ほど申しました口頭弁論期日が非常にわかりにくいということでございます。これにつきましても第一審の裁判官の間では、口頭弁論期日を単に準備書面の交換期日ということにするのではだめであるということの反省の上に立ちまして、まずこの口頭弁論期日の準備を十分にする、口頭弁論期日におきましてはその期日でしかできないようなことをやろう。具体的に申しますと、いろいろな準備は書面で交換をしておきまして、口頭弁論期日におきましてはそれらの準備の結果に基づいて裁判所の方からいろいろ釈明をする、あるいは原告あるいは被告の方からも口頭でもって釈明をして、それに答えられるものはできるだけその期日に答えるということをいたしまして、本当に必要な争点をその場で明らかにする。そういたしますと、おのずから争点というのは絞られてくるわけでございまして、非常に重要な争点が残ってくるわけでございます。 それについては、証人とか鑑定人とか、いろいろ証拠がございますから、そういう証拠を調べることになるわけでございますが、この証拠につきましても、従前といいましょうか今までは雨垂れ審理というふうに言われておりますけれども、証人調べの期日というものが一回、例えば原告側の証人について主尋問をやる、それで二カ月後に反対尋問をやる、それからまたその二カ月後に次の証人を調べる、こういうふうな審理が行われておったわけでございますけれども、これをできる限り集中をして、一回の期日、一回では無理でありましても、できるだけ近い期日のうちに調べよう、こういうような動きがあるわけでございます。こういうようなことで、国民にわかりやすい裁判ということを実現したいという試みがあるわけでございます。 また、こういう訴訟運営の改善につきましては、これは裁判所のみでできることではございません。特に民事訴訟につきましては、代理人となられます弁護士さんあるいはそれらの団体であります弁護士会というものの理解あるいは協力が必要でございます。そこで、全国の各地の裁判所におきましてはいろいろな形で、例えば私的な研究会とか、第一審強化方策地方協議会というのがございますが、そういうような協議会の場を通じてとか、いろいろな形で弁護士さんあるいは弁護士会の理解、協力を得るというような研究も現在進められておるわけでございます。 私ども事務当局といたしましては、これらの判決書きの改善の動きあるいは運営改善の動き等につきまして、適宜それを全国の各庁に紹介するというようなことで、第一線の裁判官の間で行われておりますこれらの改善努力をバックアップをして、民事裁判を国民に利用しやすくわかりやすいものとするためにいろいろな形で努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
○星野委員 ただいまの御説明は、方向としては妥当な方向ではないかと考えます。国民にわかりやすい裁判あるいは紛争の適正迅速な処理を進めるために、民事訴訟法の改正、大いに御期待を申し上げる次第であります。 さて、今回の裁判所職員定員法の改正案は裁判官の増員を大きな柱としているわけでありますが、これから将来とも裁判官に適材を得るためには、その登竜門である司法試験が適正に機能しなければならないと思います。そこで、司法試験制度の改革の問題と裁判官を含む法曹人口のあり方といった問題について幾つか御質問を申し上げたいと思います。 まず、平成三年四月に司法試験法の一部を改正する法律案が可決、成立をいたしました。これに伴い、合格者の増加を含め、今次の司法試験制度の改革が一応終了したと伺っております。 そこで、この改正後初めての試験でありました平成三年の司法試験の結果について、改正以前の前年の試験と比較しながら、受験者数、合格者数、合格者の平均年齢、合格者の最高と最低の年齢についてまずお教えをいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 御質問の、まず受験者数について申し上げます。 平成三年の試験における出願者数は二万二千五百九十六人でございまして、前年の平成二年の二万二千九百名に比べまして三百四入減少しております。これは、昭和五十三年に受験者数が二万九千三百九十人という数を数えて以来、十数年、毎年減少を続けている、その傾向を引きずっているものでございまして、先般の司法試験法の改正をお願いしました理由の一つといたしまして、余りに合格までに受験勉強の期間が長くかかり過ぎるということから、大学卒業者の受験離れということが大変重大な問題であるというふうに御説明したところでございますが、私ども、そういった問題の一つのあらわれではないかと考えておったところでございます。 御指摘のように、今次改革によって合格者数を増加させるということに伴って新しい受験者が幅広い形で増加するということを期待しているわけでございますが、ただ、昨年の出願の締め切りは先般の司法試験法の改正が成立した後でございまして、その後、私ども改革の内容を大学関係等に鋭意PRに努めたわけでございます。したがいまして、その効果があらわれるのはことしの試験からであるというふうに考えておりまして、これから期待しておるところでございます。 なお、ことしはつい先般出願を締め切ったところでございまして、まだ数字を確定的に集計しておりませんが、担当から聞いておりますところによりますと、昨年よりは相当数増加している傾向があらわれているというふうに聞いておるところでございます。 次に、合格者数でございますが、平成三年の合格者は六百五人でございます。平成二年は四百九十九人でございましたので、差し引き百六人増加したということでございまして、これは、今般の司法試験法の改正と同時に、法曹三者の合意に基づきまして、合格者数を三年、四年は百人程度、五年以降は二百人程度、これまでの実績よりも増加させるという合意を見たわけでございますが、それを司法試験管理委員会あるいは司法試験考査委員会議等において尊重していただいて、その実現を見た次第でございます。 次に、合格者の平均年齢でございますが、平成二年は二十八・六五歳でございましたが、平成三年は二十八・六四歳ということでございまして、これはほとんど変化がないということでございます。 なお、最低年齢の合格者は、二十歳の人であります。平成二年は二十一歳の人でございました。これは毎年余り変化のないところであります。 最高年齢の合格者は、平成三年は四十九歳の方でございました。平成二年は六十五歳の方が合格されましたが、これは高等試験行政科試験合格者で、試験のうちの一部の受験を免除された方でございます。それを除いた、最初から短答式から受験された方で最高年齢合格者は四十七歳の方でございましたので、この点もとりたてて変化があるということではないわけでございます。
○星野委員 平成三年の試験の結果についてお聞かせをいただきましたが、百六名の前年対比合格者の増、こういうことでありますけれども、まあ大きな変化がないということであります。 関連いたしまして、法曹三者ではその合意に基づきまして、平成八年の司法試験に、先般の法改正により用意されたいわゆる合格枠制を導入するか否かを決定するための検証を平成七年までに行うと聞いております。この検証の内容につきまして、改めてその概略を御説明願いたいと思います。その上で、この検証という見地から見た場合に、法務省は今回の試験結果をどのように評価しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 御指摘の検証の概要につきましては、昨年の司法試験法改正の御審議の際に御説明したところでございますが、改めて概要を申し上げますと、法改正によって用意していただきましたいわゆる合格枠制を平成八年の試験から実施するかどうか、これは法律上、司法試験管理委員会が司法試験の実情を考慮して決定することになるわけでございますが、御指摘の法曹三者の合意によりまして、その判断は、平成三年から平成七年までの五年間における合格者数の増加、それとあわせていろいろ試験の運用についての改善を行うということによって、最終の平成七年の試験においてこの合格枠制を実施するまでもないような改善の効果があらわれているかどうかということを検証して、その検証の結果に従って判断しょうというものでございます。 その判断のための基準を合意で定めておりまして、平成七年の試験結果におきまして、合格者のうち初めて受験してから三年以内の者が三〇%以上になっているか、または五年以内の者が六〇%以上になっているか、そのいずれかの基準を満たしているということ、及びその数値が安定的で、かつ上昇するという、そういう受験回数の短い合格者の増加の傾向が上昇するという傾向が見定められて、かつ、さらにその数年後には三年以内の合格者が四〇%程度または五年以内の合格者が七五%程度になることが見込まれること、こういう具体的な数字をもって平成八年からのいわゆる合格枠制の実施をするかどうかということを決めようという合意をしているわけでございます。 そういう基準に照らして考えますと、合格者の中で初めて受けてから三年以内の音あるいは五年以内の者の割合が問題になるわけでございますが、まず三年以内の者の割合について見ますと、平成二年の試験におきましてはそれが一七・四%でございましたが、平成三年度の試験では二〇・八%と若干増加しております。また、五年以内の者の割合は、平成二年が四〇・三%でございましたが、これが四三・三%に、これも増加しております。 そういうことで、比較的短い受験期間で合格する者の割合がこの両年を比較しますと増加しているわけでございますが、ただ、過去においてそういった割合は、毎年それぞれ数%程度の増減が、これは偶発事情もございますでしょう、そういうことでございましたので、これを直ちに今回百人程度増加した効果というふうに考えることは難しいのではないか、今後さらにその動向を見守っていく、検証の中で見ていくということが必要ではないかというふうに考えております。
○星野委員 若年者の合格者をふやすことはなかなか難しいようであります。 さて、平成三年から平成七年までで司法試験の合格者を約九百人程度増加させることになるわけでありますが、そこで法務省としては、この間の合格者の増加によりまして司法試験の現状が抱えている問題が解決されると考えておられますかどうか、現時点の御判断をお伺いいたします。
○濱崎政府委員 先般の司法試験改革の一つの柱として合格者数を御指摘の数程度増加させるということにしたわけでございますが、二百人程度の増、七百人程度にとどめるということは、これが最終的な合格者の数として必ずしも適正であるということではございませんで、この合格者を増加させるということについては、修習体制の問題、でございますとか、さらに広くは法曹人口のあり方といった問題からいろいろな問題がございますので、現時点で関係者のコンセンサスが得られる数字ということで、七百人程度の増加を基準にしていろいろ制度についても考えるということで立案させていただいたわけでございます。 その当時の私ども法務省としての検討の中におきましては、七百人程度の増加で、受験勉強に長期間かかるという現状を解消することができるかどうかということはかなり悲観的でございまして、私どもとしては、その程度の増加だけでは改善の効果は必ずしも期待できないのではないか、そういう考え方のもとに、いわゆる合格枠制という制度をあわせて実施する必要があるということで法改正をお願いした次第でございます。 さりながら、これに対しましては日弁連の方から、それは予測は予測にすぎない、やってみなければわからないではないか、あわせていろいろ運用改善も加えて行うならばこの程度の増加で改善の効果が期待できるかもしれないではないか、こういうことで、御指摘の検証をして平成八年からの実施を決めるということで了解したわけでございます。 そういうことでございますので、現時点におきましても法務省といたしましては、必ずしもこの増加ということだけをもって改善の効果が期待できるということの予測はしておらないわけでございまして、もしその改善の効果が期待できないという結果が出れば、平成八年からの試験においていわゆる合格枠制の実施が必要であるというふうに考えているところでございます。
○星野委員 ところで、日本の法曹人口でありますが、諸外国に比べて非常に少ない、こう聞いております。 そこでお伺いをしたいのでありますが、法務省は諸外国の法曹人口について把握しておられると思いますが、それを御説明いただきまして、それとの対比において我が国の法曹人口はどうなっているか、また、どのくらいが適当であると考えておられるか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 主要諸外国の法曹人口の数でございますが、それぞれの国ごとに、必ずしも同じ時期の統計ではございませんけれども、最も新しい統計として私ども把握しているところを、余り細かい数字を申し上げてもいかがかと存じますので、概数で申し上げます。 裁判官、検察官、弁護士を合わせた総数で申し上げますと、アメリカが七十五万人余り、イギリスが九万人余り、ドイツが七万五千人程度、フランスが二万五千人程度というふうに承知しております。これに対しまして、我が国の法曹三者の合計数は一万九千金、二万人弱ということでございます。これを法曹一人当たりの国民の数で対比いたしますと、アメリカが三百三十人に一人、イギリスが五百三十九人に一人、ドイツが八百十九人に一人、フランスが二千三百五十一人に一人。それに対しまして我が国は六千三百九十人に一人ということでございまして、この国際比較だけから見ますと、そういった諸国と比べて我が国の法曹人口は極端に少ないということを言えようかと思います。 ただ、我が国の法曹人口がどうあるべきかという問題につきましては、これはやはり制度の違い、それから国民の意識の違いといったようなことを考えなければなりません。それからまた、いわゆる法曹がそれぞれの国においてどういう活動をしているかということとの対比においても考えなければならない問題であると思います。一概に、今申しましたような諸外国と同数であるべきだということは言えないだろうと思っております。 そういった観点から、昨年の司法試験改革後にこれも法曹三者の合意に基づいて設置されました法曹養成制度等改革協議会の場におきまして、司法試験制度あるいは法曹養成制度のあり方を探る前提といたしまして、法曹の活動のあり方、その前提となる法曹人口のあり方、こういった問題について諸外国の実情を、実態において把握するということに一層努めることをまず足がかりとして検討をしていくということになっている次第でございます。
○星野委員 わかりました。 その国には歴史や伝統や文化の違い、民族性、いろいうとあると思いますし、今のお話しのように、法曹人口が多ければ多いほどいいということではないと思いますが、やはりある程度国民の権利意識も進んでまいりますと、その権利の擁護というようなことを考えると現状ではまだ少ないことは事実と思います。 そこで、先般の司法試験改革は、裁判官や検察官の任官者として質、量とも適切な人材を確保することをその目的の一つとするものであったわけであります。先ほど伺った改革後の試験の結果等を踏まえまして、その観点からどのような効果があると現時点で期待をしているのか。また、任官者に質、量とも十分な人材を得るため、司法試験改革のほかにどのような工夫をしておられるのか。裁判所及び法務省からそれぞれお伺いをいたしたいと思います。 先ほどもちらっと申し上げましたけれども、裁判官あるいは検察官という仕事が、本当に若い人に魅力のある、あるいはまた自分の一生をかけるだけの仕事である、そういうものでなければならないと思うわけでございますが、そのあたり、どんな工夫がされているのか、あるいは改善の努力がされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 先ほど来法務省から御説明がございますように、司法試験の現状は、合格までの平均受験回数が六回を超えまして、合格者の平均年齢も二十八・六四歳ということになっております。こういったことからもうかがえますように、多くの者にとって、大学卒業後長期間受験勉強に専念しないと合格できないという状況にあるわけでございます。その結果、年齢的、家庭的な事情から、裁判官への任官を敬遠する者が多くなっていることも否めないところでございます。このたびの司法試験制度の改革によりまして、司法試験の現状が改善され、合格すべき者が早期に合格するということになりますと、任官者確保の面で一定の効果が出るものと多いに期待しているところでございます。 このように司法試験制度の改革に期待するところは大でございますが、そのほか、裁判所といたしましても、任官者確保のために種々の方策を講じてまいりたいと思っております。 裁判官任官の最大のネックと申しますのは、やはり転勤問題でございます。全国二百カ所の裁判所に裁判官を配置せざるを得ないために、裁判官にはいわゆる地方都市にも行っていただかなければならないわけでございます。その転勤の負担をできるだけ軽減するということで、子女の教育など家庭の事情等を十分に勘案し、地方の都市にはできるだけ若い方に行っていただくとか、あるいは転勤の回数をできるだけ少なくするといったこともきめ細かくやってまいりたいと思います。 そのほか、初任給調整手当を支給するなど、弁護士との収入格差を是正するよう待遇の面でも改善してまいりたいと思います。さらに官舎の整備でありますとかOA機器の導入など、執務環境の整備にも力を入れてまいりたいと思います。 それに加えまして、何よりも裁判官の仕事の魅力を増すということが大事でございます。旧態依然の裁判ではなく、生き生きとした審理を行って、裁判所の紛争解決手段としての機能を向上させて、裁判所の仕事を魅力あるものにしたい、このように考えております。そういう意味から、先ほどから民事局長から御説明がございますように、訴訟手続の改善等にも力を入れてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○濱崎政府委員 先般の司法試験改革、これは法曹三者共通の後継者として適材を幅広くバランスよく得るということを目的とするものでございますが、その効果は間接的に、ただいま裁判所の方から御説明がありましたような理由によって、検察官についても任官者を確保するための環境づくりに資するものであるというふうに期待しております。 二百人程度の合格者増だけで合格難を緩和する効果があるかどうか、これは先ほども申し上げましたようになかなかはかり知れないわけでございますが、法務省といたしましては、合格者の増加自体によって多様な人材がふえるという意味から、任官者確保についてもある程度の効果があるものと期待しております。今後合格者数を増加することによって先ほど申し上げましたような十分な改善効果が上がれば大変結構なことでございますが、もしそうでなければ、平成八年から合格枠制を導入するということになります。これによりまして短期の受験で合格する者の数がより増加することになれば、任官者確保の面においてもさらに効果があるのではないかというふうに期待しているところでございます。 他方、法務省といたしましてもこれだけで任官者確保が容易になるというふうには考えておりませんで、検察が国民から期待される責務を一層果たすとともに、転勤や給与面等の待遇、執務環境の改善にも努めて、それらが相まって任官者の確保が期待できるものだと考えております。これらにつきましては、さきに特別勤務手当の導入等によって給与面での改善を図っていただいたところでございますし、執務環境の改善にも真剣に取り組んでおります。 最高検察庁の検察問題調査会では、例えば事件処理における個々の検察官の自主性の尊重でございますとか、転勤についてのいろいろな家庭事情についての配慮でございますとか、宿舎の整備、補修、執務上のOA機器の積極的な導入、在外研究や海外出張等の機会の拡大、年次休暇の積極的消化の推進、こういった事項について鋭意検討を行っておりまして、逐次それを実現しているということでございます。
○星野委員 いろいろとお答えをいただきましてありがとうございました。今回の裁判所職員定員法の一部改正を契機に、さらに一層国民から期待され信頼される裁判所、司法制度を確立していただきますように一層の御努力をお願いいたしまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三分休憩 ――――◇――――― 午前十一時三十分開議
○鈴木(俊)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)委員 私は、今回の法案に関連して幾つかまずお聞きしたいと思います。 まず、定員でございますけれども、裁判官の増員七名ということでございますけれども、裁判官の中にも最近女性も大分ふえておられます。もちろん、育児休業という問題については今回裁判所にも採用されていることでございますし、男性の裁判官も休暇をおとりになる可能性もあるわけでございます。主として女性の裁判官について考えられるのですが、この七名の増員ということで、裁判官自体この一年間に必要な人数の補給ということは大丈夫なのでしょうか。裁判所にお聞きいたします。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判官の増員と申しますのは、やはり任官者が確保されまして充員されるということを見込んでの数の増員をお願いしております。このたび七名の判事補の増員をお願いいたしましたが、修習生からの採用の数等を勘案いたしまして七名という数をお願いしたわけでございます。 それから、育児休業の関係で七名で大丈夫かというお話がございました。 御承知のように、女性の裁判官は首五十五人おります。ここ数年の女性の裁判官の出産される方でございますが、年平均八人でございます。それで、そういたしますと育児休業をとられる方が年間どれぐらいかということでございますが、私どもの方では五人ないし六人程度を予測いたしております。現に、この四月から制度発足早々に育児休業をとりたいというお申し出の方が五人おられます。今回の増員は必ずしも育児休業のための増員じゃございません、民事訴訟法でございますけれども、裁判官がふえるということについては変わりないわけでございますので、七名の増員をお願いいたしまして、それで修習生から、あるいは弁護士からの任官でもって充員して裁判官の数をふやして対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○鈴木(喜)委員 こう一度ちょっとそれに関連して裁判所に伺いますけれども、今判事補で平成三年の十二月一日現在では欠員が十名というふうに伺っております。それから判事が二十七名というふうな数字が出ているようですけれども、それで七名の増員ということは、次の四月に任官される方、大体予定としては何名ぐらいを予定されているということなんでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 ことしの四月に修習終了いたします判事補の中で、現在裁判官を志望しておる者が六十六名でございます。そのほかに、既にもう弁護士になっておられまして、四月から判事補として任官したいというお申し出の方が三名おられます。そういうことで、六十九名の方が今志願しておられる、こういう状況でございます。
○鈴木(喜)委員 育児休業法の精神を生かしてこれからもずっとその発展をさせていきたいと私たち願っているわけですので、ぜひその補給の問題も遺漏のないようによろしくお願いを申し上げます。 同じ問題が裁判所の職員の方にもあると思うのですが、書記官それから事務官その他の職員の方々について、近ごろは書記官も随分女性がふえてきたと思うのですが、裁判所の方では、同様の育児休暇をとる職員さんについての補充ということについても、今回の二十三。名ですか、その増加ということで間に合うのでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 委員ただいま御指摘のとおり、裁判所の職員の中でも女性の占める割合が非常に高くなっております。一般の裁判所の女性の職員の中で出産された方が平成元年で押しますと百八十九人でございますので、二百人弱の方が出産を迎えられるということでございます。 そこで、その方たちの手当てがどうかということでございますが、一般の職員の場合につきましては、育児休業をとりました場合にはそれが定員から外れるという形になりますので、その分を余分に職員を採用することができるということでございますので、育児休業をとられた方につきましては、その分裁判所外から新たに臨時的に職員を採用して穴埋めするということで十分に対処できるものと考えておる次第でございます。
○鈴木(喜)委員 臨時的にその対応をするということでございますけれども、これまた裁判所の職員の方の内訳を見せていただきましたけれども、その中でも平成三年の十二月一日現在で欠員が百九十四名あるような形にだし、かなっていたと思います。 それで、そうなりますと、ここのところ欠員がどういう形でずっと出てくるのか。近年の採用状況を含めてことしもどれだけの人数を、定員は二十三名の増加ということになっているとしても、事実上どのくらいずつの採用ということになるのか。過去の直近のところでも結構ですから、そのあたりの採用状況をお知らせいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判所職員、委員御承知のように各種の官職に分かれているわけでございます。特にその中でも書記官でありますとか家庭裁判所調査官につきましては、これは研修所で養成するということを原則といたしております。研修所から卒業いたします者で埋めるという形になっております。 ただいま委員御指摘の、年度途中で見ますと欠員が出てまいりますが、これは年度途中で書記官とか調査官が退職等でその後が空白になっているという形でございます。それにつきましては、四月に研修所を卒業する者で埋めていくわけでございます。それから事務官につきましては、これは大学卒それから高校卒の方々から新規に採用するわけでございますが、裁判所におきましても裁判所I種試験、Ⅱ種試験、Ⅲ種試験といったものを行っておりまして、その中から事務官の欠員については四月をめどに採用する、こういうことで埋めていくというつもりでございまして、四月には欠員分はほぼ埋まる、こういうことで進めておるわけでございます。
○鈴木(喜)委員 今ちょっと私が不正確な数字を言ってしまったようなので、もう一度資料に基づいて訂正をいたしますと、書記官の十二月現在の欠員というのは四十九名で、事務官の欠員が百九十一名というようになっているようですけれども、そうすると年間にそれぐらい、二百名ぐらいの方の欠員が出てくるということで、事務についてはその途中はどのような形で、残った人たちでそれをカバーしながらいくのか、またはほかの臨時的な採用等々によって賄っていかれるのか、四月までの間ですね、それはどのようにされているのでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 書記官の場合に欠員が出ました場合には、この穴埋めというものは、どうしても資格が必要なもののために四月に研修所を卒業する者で埋めるということにならざるを得な。いわけでございますので、そういう資格が要る官職につきましては、年度途中での補充というのが困難なわけでございます。裁判所事務官につきましては、これは年度途中でも採用することが可能でございます。 私どもの方の裁判所事務官の採用の原側的な姿を申しますと、前の年に高校生あるいは大学生を対象といたしまして試験を行います。その試験の合格者名簿というものをつく、っておきまして、その方々を原則として四月に採用するということでございます。そして、ただいま委員御疑問の点でございますが、年度途中に欠員ができた場合にも、その名簿の中の残っている方から声をかけて採用をしていく、これが原則でございます。その名簿もなくなった場合にどうするかということでございますが、これにつきましては、試験以外に選考採用というのがございますので、その選考採用でもって埋めていく、こういうことをいたしているわけでございます。それが原則でございますが、どうしてもやはり試験採用というものが中心にならざるを得ませんし、資質の高い者を採用するためには厳正な試験ということが必要でございますので、どうしても四月までの途中の間において一定の欠員が出ることはやむを得ないという状況でございます。 それから、書記官とか資格のあるものにつきましては欠員がございますが、事務官につきましては現在の段階ではむしろ過員の状況でございます。これはどういうことかと申しますと、書記官等になるために書記官研修所に研修生として入っているわけでございますが、その研修生は実は事務官でございますので、そういった関係で、書記官の欠員を食うという形になるわけですが、その公事務官の形で研修生として入っているということでございます。
○鈴木(喜)委員 結局、事務官が書記官研修所に入っていても仕事をするということを今おっしゃったのでしょうか。ちょっとよくわからなかったのですけれども、そういう意味ですか。だから欠員は足りているのだということを言われたのでしょうか。 ちょっとその点も、今もう一つの質問と重ねてお答えいただきたいと思いますけれども、聞くところによりますと、定年退職に関しては、定年退職日じゃなくてその年の年度末に退職をするという形で員数を合わせていって、四月の採用ということでその分を今度採用するという形できちんと、今のように年度内での退職をなるべく少なくして欠員を少なくするというような方法をとられるようになると伺っているのですが、その点はいかがでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、数年前に定年制というものが導入されまして、六十になりました後の最初の三月三十一日に定年になるということでございます。そういう関係で、退職は原則として三月三十一日になるということになりましたために、年度途中での欠員は少なくなるという建前になったわけでございます。それでございますけれども、やはり年度途中に自己都合でおやめになる方がおられます。そういった関係で、どうしても年度途中に若干の欠員が出てくる、こういうことでございます。 それから、先ほどちょっと説明が舌足らずでございましたけれども、裁判所の全体としては欠員がございますが、官職別に見てまいりますと、事務官の方はむしろ百九十一名の過員になっているという状況でございます。このことをちょっと御説明させていただいたわけでございますが、どうしても書記官、調査官、書記官にするためには研修生として二年間あるいは一年間勉強させなければなりません。その間の身分が事務官である、そういった関係で過員になっている、こういうことをちょっと申し上げたかったわけでございます。
○鈴木(喜)委員 誤解していたところがあって済みませんでした。百九十一名の事務官は過員なんですね。欠員ではない。わかりました。どうも申しわけありませんでした。そういうことであれば、裁判所の事務というものについて、今現在の定員の増員ということについても、そしてこれからの事務の支障ということについても心配なく円滑に行われるというふうに私たちは考えて、これからも裁判所の事務になるべく支障がないようにしていっていただきたいと思うし、それができるということで安心をいたしました。 このときに、先ほどちょっとお話がありましたけれども、定年退職日、要するに三月三十一日にその方々は固めて退職されるということであるという、その制度がとられるということで、今度は。年度当初の大量の欠員補充ということの困難性ということはないんでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 職員の定年退職というものは、これは予測が可能でございます。一年前にも、数年前からでございますが予測が可能でございますので、それに合わせまして前年度におきます採用試験で合格者を決めておきます。そういった関係ですから、四月の時点におきましては試験採用でもって欠員を埋めることが可能、こういう状況でございます。
○鈴木(喜)委員 それでは、もう一つ、育児休業についてまた伺いたいと思いますけれども、この制度については、四月一日から実施されるということで、私たち非常に期待をしているわけでございますし、男性も女性もその権利が保障されているということで、大変意義のあるものであり、先ほどの裁判所の裁判官または職員の方々にもそれが適用されていくというのは非常に意義のあることだと思うのですけれども、実効性の問題の中で、一番大きな問題というのは休業中に所得保障がないという、そのことが一番大きいというふうに思われます。 昨年の一月に労働省で調査をされたそうですが、無給であるということがこの休業制度を活用しようとするときに一番大きなネックになっているというような結果が出ているようでございまして、こういった問題で速やかに何らかの所得の保障ということも検討していかなければいけないのではないかというふうに思っているのですが、この点どのようにお考えでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 育児休業につきましては、委員御指摘のとおり、ことしの四月から発足する制度につきましては無給ということになっております。そのために育児休業がとりにくいのではないかという、これは指摘があることは事実でございます。 ただ、公務員の給与制度につきましては、委員つとに御承知のとおり民間準拠という建前をとっているわけでございます。民間におきまして、これは会社によってまちまちでございますが、大勢といたしましてはまだ育児休業中の給与保障というものができていないのが大部分でございます。私どもといたしましては、人事院におきましてこの民間の動静を正確に把握していただきまして、民間におきまして育児休業給というものができた場合には、これを公務員にも正確に反映していただくということを期待しているわけでございます。これはひとり裁判所だけの問題ではございませんので、国家公務員全体の問題といたしまして人事院の方で正確な把握をしていただくということを期待をしている、こういう状況でございます。
○鈴木(喜)委員 この点について、さらにもう一つ伺いたいのですが、まあ民間対象である育児休業法というその法律の中では、一年間という赤ちゃんの場合だけでなく、就学前の子供を持つようなそういう人たち、そしてまたはそういう人たちに対してもある程度短期間でもいいからそういった育児休業的なものをとるように、または勤務時間を短縮するようにというような、一応努力義務ですが、そういうものが課されているという状況になっていますけれども、育児というのは一年たてば終わっちゃうという形ではなくて非常に長い間の問題になりますので、こういうことで裁判所の職員においてもやはりこうした同様の措置というものを、努力目標であっても、努力義務としてそういう措置が望まれると思うのですが、その点についてもいかがでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、一般の民間の育児休業につきましては御指摘のような措置がとられているわけでございますが、公務員についてはまだそこまでいっておりません。この問題もひとり裁判所で解決できる問題ではございませんが、裁判所におきましても就学前の子供さん方の育児にできるだけ支障のないように、これは超過勤務とかそういったことのないようにして心がけてまいるという現状でございます。
○鈴木(喜)委員 こうして育児休業制度というものがせっかくある。これをとりやすくし、働きやすくするためには、何といってもその中で、その職場の環境をこういったものをとりやすいというふうに整備をするということが大事だと思うのです。制度としてはあっても、そこでかわりの要員がなかなか見つからないとか、忙しいからどうしても出てきてしまうとか、時間に帰りにくいとか、そういうような状況があったのではこれは宝の持ちぐされというような形にもなってしまうと思うのです。 先ほど伺いましたところでは、代替要員の確保、裁判官についてはその点でも一応、今の増員というのはそればかりではないけれどもということで確保されている状況がうかがえたのですけれども、こういった代替要員についても、裁判所の職員の人たちにも同じようにきちんとした確保をしていただきたいというふうに思います。 それからもう一つは、職場に帰ってきてからの、例えば一年間休業しまして、その後帰ってきてから職場で一体どういうふうな形で仕事ができるかといった、受け入れの問題でございます。こういったことについては裁判所の中で、特にまたそこで管理者の方々、またはずっと働き続けて休業をとらないほかの職員の方々という人たちにもそういった制度の趣旨とか内容というものをよく理解してもらわなければ、帰ったときに肩身が狭い思いをするようなことがあってはやはりこれはいけないことだというふうに思うので、そういった意味での周知徹底といいますか、そういったことをしていただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 子供さんを持った職員が育児休業をとりやすいような職場環境を整えるべきであるという委員の御指摘、まことにごもっともでございます。私どもといたしましては、四月一日の制度発足を前にいたしまして既に部内でのPRをいたしております。特に、職場の皆さん方に、該当者はぜひとっていただきたい、遠慮なくとっていただきたいということを申し上げております。 その際に、一番ネックになりますのが、その後埋めをどうするかという御指摘、これはまことにごもっともでございます。 ただいま御指摘になられました代替要員の確保でございます。裁判所におきまして、代替要員の確保という点につきましての一番の問題点は、書記官でありますとか調査官あるいは速記官、こういった方々は資格が必要でございまして、だれでもすぐ外から任用するというわけにはまいりません。そこで私どもといたしましては、既に裁判所を退職した書記官、調査官、速記官等の経験者のリストアップをいたしまして、その方たちに臨時的に裁判所に職員として復帰していただくということをお願いする、これを第一に考えております。それから、どうしてもそういう資格者を見づけられない場合におきましては、事務官として臨時的に採用いたしまして、せめて補助者としてこれを穴埋めをする、こういうことも考えておるわけでございます。 それから、職場復帰について肩身の狭い思いのないようにという御指摘ございました。この点につきましても、原職復帰を原則といたしまして、もとの場所に戻っていただくということを原則として進めるつもりでございまして、この点につきましても部内でのPRといいますか、職員の意識をさらに高めていくように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○鈴木(喜)委員 ありがとうございました。ぜひともそのような形でよろしくお願いをしたいと思います。 次にもう一つだけ、看護休暇という制度についても伺っていきたいと思うのですが、高齢化が進んできます。また家族構成が非常に少ない人数の家族構成になってまいります。そうすると、親が年とってからの介護、または家族が病気になったときに看護をする人、そういう人たちがなかなか補充できないから、家族の中で、男性もこの場合には含めますけれども、男女を問わずそうした形での看護休暇という制度がどうしてもないと、家族のそういった面倒を見ることができなくなる。そういった現実が非常に切実な要望として出てくるわけでございますけれども、最後、裁判所は看護休暇というものの制度の導入についてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 看護休暇に関する現状でございますけれども、人事院におきまして勤務時間問題研究会というものをつくりまして、これが平成元年の十二月十一日に報告書が提出をされているわけでございますけれども、その中に「社会の高齢化、核家族化等に伴い、老親の介護や家族の病気看護の問題が重要性を増していることに鑑み、家族の病気看護を要件とする休暇制度の導入を検討すべきである。特に、家族の急病や老親の入院など臨時緊急の場合の措置について早急な検討が必要である。」という報告がございます。そういった動きを受けまして、昨年の人事院勧告の中で、「社会の高齢化、核家族化の進展や女性の職場への進出などに対応するため、新たな休暇制度の導入についても検討していくこととする。」こういう項目がございます。人事院におきましても、この問題を非常に意識しているわけでございます。 私どもの方といたしまして、裁判所制度の職員制度、これはすべて人事院の傘下の一般国家公務員と同じ体制をとっておりますので、この問題もひとり裁判所だけで解決できる問題ではございませんが、私どもといたしましてはこういった人事院の動きを注目しているというのが現状でございます。
○鈴木(喜)委員 積極的になるべく取り組んでいただくように、今のお話で大変そういった意味での真摯な注目をしておられるという裁判所の態度、このままぜひ続けていっていただきたいと思います。 それでは、次の問題に移りたいと思いますけれども、法制審議会の身分法小委員会というのがございます。それがこれまでにも非常に身分法について、小委員会というのは昭和二十九年以降すっと、昭和六十二年の改正で特別養子制度ができるまで随分と活動をされてきたというふうに伺っています。その後、今回の問題ということで身分法の小委員会の審議がまた平成三年ころから始まってきたというふうに伺っていますけれども、そのテーマまた経過について、法務省の方で伺わせていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 法務大臣の諮問機関でございます法制審議会の民法部会の身分法小委員会は、昨年一月以来、民法中の婚姻及び離婚に関する規定の見直し作業を進めております。先生御指摘のように、昭和六十二年に特別養子制度の創設についての審議を終えまして以来、若干休むという状況が続きましたけれども、身分法の改正につきまして各方面からいろいろな御意見が出てまいりましたので、そういうものを取り上げて、まずとりあえず民法の婚姻に関する規定の問題点の洗い出しをするという作業に着手したわけでございます。婚姻の章というのは七百三十一条から七百七十一条までございますけれども、さしあたってこれらの規定についての問題点の洗い直し、例えば婚姻の要件とかあるいは効力の問題、この中には婚姻年齢の問題だとかあるいは婚姻の効果としての夫婦の姓の問題等もあるわけでございますが、そういった問題、あるいは離婚の要件とか手続とか効果などの問題、もろもろの問題につきまして、現在各規定ごとに問題点を洗い出して整理をしておるというところでございます。一応、この問題点の洗い出し作業は、でき得るならばことしじゅうには終えたい。その問題点自体の方向を示すということはできないと思いますけれども、問題点を公表いたしまして各方面の意見を伺いたいというふうに今のところ心づもりをしているところでございます。
○鈴木(喜)委員 ことしじゆうにはそうした形でのお話があると思うのですが、ここでは婚姻、離婚ということにまず限られるとしますと、親子の問題。でいいますと、非嫡出子の問題等について民法の中には相続に関して非常に不平等な規定があるわけですが、そういったことについては今回の見直し作業の中では取り上げておられないということでしょうか。
○清水(湛)政府委員 法制審議会の身分法小委員会としては、とりあえず婚姻の章から入ろうということでございます。もちろん、先ほど申し上げましたように、離婚も婚姻の章に入りますので、離婚後の子の扶養の問題だとかあるいは面接交渉の問題というような親子の問題も当然含まれようかと思います。 ただ、先生御指摘の、嫡出子と非嫡出子の相続分の違いの問題、これは先年の、昭和五十何年でございましたか、民法の改正作業の際に、私ども法務省のいわば試案といたしまして、差別をなくす、区別をなくすという形での試案を示しまして各方面の意見を伺ったわけでございますけれども、このような区別の解消をするということは時期尚早であるという意見が圧倒的に多数でございまして、これを断念したという経緯がございます。 身分法小委員会におきましてもそのような経緯は十分に踏まえているわけでございまして、今後これをどうするかということにつきましては、国民世論の動向等を踏まえながら対応するということになるわけでございます。さしあたっては婚姻の章についての問題点の一洗い出しをするということで、この作業に集中をしておるという状況でございます。
○鈴木(喜)委員 国民世論の動向というのもまだこれからなお一層きちんと見きわめていっていただきたいと思いますし、私もそういった努力をしていきたいと思いますけれども、非嫡出子の相続分ということについてはさまざまな議論がわき起こる問題でございますから、そう一朝一夕にいかないのです。 しかし、非嫡出子の身分の表示ということに関しては、戸籍や住民票への記載の問題ですとか、生まれてきた子自身について初めからそういった差別を設けるという、相続の問題とはちょっと離れますけれども、そうした問題については、なるべく早い時期に不平等な扱いは取りやめて、記載についても全く嫡出、非嫡出ということでの差別のない形にしていただきたい。これは余りそういろいろなところから、国民世論の動向からいってもそんなに不一致のある問題でもないと思いますし、時期尚早ということもあり得ないと思いますので、ぜひそうした面についても御配慮をいただきたいと思うのです。今の見直し作業の問題からちょっと外れますけれども、その点についてはいかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 民法における嫡出子と非嫡出子の取り扱いの違いというのは、これは相続分が非嫡の子でございますと嫡出の子に比べまして半分しかない、こういうことになっているわけでございます。生まれた子供には罪はないわけでございまして、このような区別は合理性を欠くのではないかというような指摘は昔からある問題でございます。他方、正当な婚姻秩序、一夫一婦制の婚姻秩序を維持するということも、これは民法の。非常に大きな柱でございまして、この正当な婚姻秩序を維持するという要請と、嫡出子、非嫡出子の平等化というのはある意味においては永遠の二律背反の問題であるというふうに私ども民法の先生には習った問題でございまして、この点は先生も十分御承知のことだと思います。 そういうふうに法律的に嫡出、非嫡出の区別と申しますか法律的な違いというものがあるわけでございますので、その違いというものを戸籍なりそういうものにそのまま事実として反映するということで、現在戸籍に嫡出子であるか非嫡出子であるかというようなことがわかるような形で記載されることになっている、こういう状況でございます。果たして民法の根幹の方を改めずして戸籍なり住民票の記載からは嫡出、非嫡出の区別がわからないようにするということが可能であるかどうか。これは一般の人たちから見まして、相続分がどうなるかということが非常に重要な問題になる場合にそのことが戸籍の記載からわからないということでは、戸籍のいわば公示機能と申しますかそういうものに問題が生ずるというようなこともございますので、いろいろと難しい問題があろうと思います。ただ、先生御指摘のような御意見があるということは私ども重々承知いたしておるところでございます。
○鈴木(喜)委員 ここで深く議論するつもりはありませんし、婚姻制度というものを民法が認めて、それに従って私たちの生活がある以上、なかなか戸籍の記載ということについてもそれが抜きがたいものであることもよくわかります。 ただ、一番この問題で言えるのは住民票だと思うのです。住民票の中に果たしてそこまでの記載が必要かどうかということになりますと、戸籍とはまた違った意味の住民票の中ではこれから先なるべくそういった記載というものをなくする方向で考えていっていただきたいと思うのですけれども、そういったことでまた後日問題にしていきたいと思います。 先ほどの身分法の見直し作業の問題にもう一度入りますけれども、今、婚姻要件ということが一つの例として挙げられました。幾つか今作業されていることはあるのでしょう。婚姻という問題の中であるのですけれども、私が今回ちょっと伺いたいのは、再婚禁止期間についてでございます。この再婚禁止期間といいますのは、女性だけに限って離婚をしてから百八十日は再婚が禁止されている期間が残っている。これは民法上の問題なんですけれども、これについてはどのような議論がされているのでしょうか。まだ結論は出ていないと思うのですが、よろしくお願いします。
○清水(湛)政府委員 仰せのとおり、まだいろいろな議論を整理している段階でございまして、結論には到達いたしておりません。現行法六カ月の再婚禁止期間というのが設けられているわけでございますが、先生も既に御承知のとおり、婚姻が解消した場合に、この時期を前後して生まれた子供が離婚した前の夫の子供な、のかあるいは新たに婚姻した夫の子供であるかということで、父性の推定と申しますか、どちらが親であるかということについての複雑な問題が生ずるということから、女性の場合は前婚が解消した後六カ月間は再婚することができない、こういうふうに法律でなっているわけでございます。こういうことが一種の男女差別につながるのではないかというような意見もあるわけでございまして、またそういうような意見のもとに訴訟を起こしたというような方もあるやに聞いているわけでございます。 私ども法制審議会の身分法小委員会といたしましても当然このことについては関心を持っているわけでございまして、何か、出生じた子供の父がだれであるかについて合理的な推定をし得るということを担保するという前提をとりながら、このような再婚禁止期間の制約を排除することができないだろうかというような観点から検討がされているわけでございます。例えば一挙にこれを廃止するという意見もございますし、あるいは、現在の六カ月というのは少し長過ぎるから現状のいろいろな科学知識等に照らせば百日あれば足りるのではないかというようなこと、あるいは例外として、例えば離婚の際に妊娠してないということが証明されるということであれば何もこのような禁止期間を置くことはないのではないかというようなことが言われているわけでございます。諸外国でも、例えばドイツは百日、フランスは三百日、イタリーは三百日、韓国は六カ月、こういうようにややばらばらな再婚禁止期間が設けられているというような実情もございますので、およそ前夫の子供であるなんという可能性がないというようなものについてまで形式的にこのような期間を強制するということはいかがなものかというような観点からこれは検討が続けられておるという状況にあるわけでございます。
○鈴木(喜)委員 この問題では、やはり六カ月という期間というものは非常に根拠として薄いということ、仮に嫡出の推定ということで重なってしまう、離婚の際に前婚の夫の子か後婚の夫の子か両方の嫡出の推定がダブってしまうというようなことが合理的な理由とされる場合にでも、この六カ月というのはやはり長過ぎるということで、ぜひとも期間の短縮かまたは廃止で何かできないかということでお願いをしていきたいというふうに思いますけれども、こういったことについて、今どういう話が有力がというようなことは当然現在の段階ではお話がしにくいことになっているのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 まことに申しわけございませんが、その前に、私先ほどドイツでは百日と申しましたけれども、これはドイツでは十カ月でございます。訂正させていただきます。 この問題、簡単に言えばどちらかに決めてしまえばいいじゃないかというような、単純に考えればそういう考え方もあり得ないわけではないと思いますけれども、しかし現段階では、私どもとしてはいろいろな意見を並べて整理して、先ほど申し上げましたようにことしじゅうに公表して、予断を交えないで各方面の意見をお聞きしたいということでございます。したがいまして、今の段階で小委員会の審議の方向がどちらを向いているというようなことは事実としても申し上げることができも段階ではまだないわけでございます。
○鈴木(喜)委員 弾力的な運用ということでは、現在であっても、例えば絶対妊娠の可能性のないと十歳の離婚とか、そういうことに関してはすぐ後婚を認めておられるようですし、そうした運用というものは今でもされていると思いますけれども、もう少しそれを法律上きっちりとした形にしていただいて、なるべく男女の平等というものを図っていく方向でやっていただきたいというふうに思います。 もう一つ、離婚の手続、訴訟の手続の問題についてもその作業の中に入っている問題であろうと思うのですが、裁判離婚をする場合、離婚の訴訟とそれから養育費の請求という問題、この二つの問題については同一の裁判所の同一裁判の手続の中でするという形の方法、現在判例はそういう形で解決していると聞いているのですが、この法案の作業の中で、それを両方とも同一の裁判の手続の中でできるような形での解決を、条文上も、多分人訴十五条あたりの問題だろうと思うのですが、そのあたりについての手当てはされているのかどうか、議論がされているのかどうか、伺いたいと思います。 〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○清水(湛)政府委員 例えば離婚に伴う財産分与という問題がございまして、これは先生御承知のように、家事審判法で乙類審判事項でございます。したがいまして、本来なら家庭裁判所の管轄に属するというものでございます。しかし、こういう財産分与の問題につきましても、人事訴訟手続法の御指摘の十五条でございますけれども、裁判所は離婚の判決一と同時にする場合には当事者の申し立てによって財産分与に関する処分をすることができる、こういうことになっております。これは、本来なら家庭裁判所ですべき乙類審判事項を訴訟手続で一体的にやるという意味で大変長所がある、こういうふうに言われております。 しかしながら、他方、訴訟というのはどうしても法律的判断により画一的に事件を処理するという面が強い。これに対して家庭裁判所の制度は、法令の枠内ではございますけれども、具体的妥当な解決を図るということを目的とするものでございます。したがいまして、訴訟手続の中でこういった財産分与の裁判もするということになりますと、家庭裁判所の手続のよさというものが生かされないのではないかというような問題もあるというふうに指摘されているわけでございます。同じように、例えば離婚に伴う養育料の問題その他もろもろの問題があるわけでございます。養育料につきましては、手続の問題とあわせて、今のような離婚に伴う規定だけでいいのかどうかという民法プロパーの問題もあるわけでございますけれども、そういうような問題がございます。 しかし、とにかくできるだけ簡便に、しかも具体的な妥当性を保証し得るような形での解決を図るということが非常に大事だというふうに思うわけでございまして、法制審議会の身分法小委員会におきましてもそういうような手続面をも含めまして検討を進めておるというところでございます。いずれいろいろな問題を整理いたしまして、先ほど申し上げましたように一般の国民の御意見を伺うという機会があろうかと思います。
○鈴木(喜)委員 この問題については、財産分与と同様に、人訴の十五条のところに養育費の請求という言葉を一つ入れれば済むような問題でございます。確かに法理論的に家裁になじむもの、そうでないものというような形ではいろいろな議論があるということは私もある程度存じてはおりますけれども、これから離婚訴訟も非常に多くなりますし、また女性からの離婚請求というのが非常に多い、そして子供を監護、養育するのも女性の方が圧倒的に多い状況でございます。そのときに、離婚の請求は訴訟でやり、養育費の方はまた別に家裁でという手続になるようでは、これは離婚を申し立てる側にとって非常に煩瑣であり、大変な労力もかかることになってしまいます。理論上の問題というのは当然あるとは思いますけれども、政策的な配慮として財産分与については離婚訴訟と同時にということで人訴の十五条があるとすれば、養育費も政策的な配慮をぜひとも加えていただいて、そうした形で一体的な解決ができるようにしていただきたいというふうに思います。 そのほかにも非常にたくさんの見直し作業の中の問題があると思いますけれども、こうした一個一個の婚姻または離婚、それに伴う親子の問題等々について、中間的なですか、ことしじゅうの発表があってから後も、広く利用する側といいますか一般の国民の側の声も聞いていただきまして、ぜひともその中に実のあるといいますか、私たちが本当に改正してもらってよかったなと思えるような形での案をこれから先も盛り込んでいっていただきたいと思います。 それでは、次の問題にいきますけれども、身分法の見直し作業ということについて、最後に、大臣いかがお考えがお伺いいたします。
○田原国務大臣 ただいまいろいろ伺っておりましたけれども、身分法というのは、要するに夫婦、親子の関係の問題であろうかと思いますが、したがいまして、単に理論的には済まされない、感情が多く入る問題があると思いますので、その感情を配慮しながらいかなければいけない面が相当ある。そうすれば、一律的にはなかなか論じられないということにまたなってくる。 基本的には、私は、男女の平等とか個人の尊重という日本国憲法の理念に従って、やはりその理念を尊重しながら適切にやるしかない、非常に抽象的な言葉でございますが、そのように考えております。
○鈴木(喜)委員 具体的に一つだけ、もう一度大臣に伺いたいと思います。 この見直し作業の中に今回はなかなか入らないかもしれないというので、先ほど申しました非嫡出子の問題でございますけれども、それについても、やはり生まれてきた子供そのものの人権という立場と、またはそうでない、やはり正当な婚姻ということの維持という二つの、もう本当に二律背反する大変難しい問題ではあろうかと思いますけれども、大臣御自身こういう問題についてどのようにお考えか、一言お願いいたします。
○田原国務大臣 先ほど民事局長が答えているのをよく聞いておりましてなるほどなと思いましたが、非嫡出子の人権というのは極めて重要な問題であるわけであります、これは憲法上もですね。しかし一方で、社会秩序として正常な婚姻を維持するというために起こってくる、ペナルティーという言葉は適切でないかもしれませんが、ペナルティー的なものが要るというふうに考えたら、右と左がなかなかてんびんが合わないというのが実情だろうと思うのですね。 そこで、しかしほっておいていいかというとそうはいかないということで、悩み悩みながら民事局としても法制審議会としても検討されておると思いますが、時代が変遷するに従ってまた重みの置き方が変わってくるかもしれませんが、現在はそういう悩みの中で一生懸命勉強しておるというのが実情だろうと思います。私もよくその辺は理解してまいりたいと思います。
○鈴木(喜)委員 ありがとうございました。ぜひこの点についても格殺のいろいろな御検討をいただきたいと思いますし、特に住民票の問題についても、ぜひできるところからということでの平等を図っていって、非嫡出子の人権ということも考えていっていただきたいと思います。 それでは、最後の質問に入りたいと思うのです。 この間の国会、前の国会のときの質問の中でも、弁護士法五条二号についての改正の動きがある、またはそう思っておられる方々がいるということで、私、裁判肝、法務省、そして弁護士会、日弁連の方にも意見をお聞きしたわけでございます。 そのときにもお話が出たわけでございますけれども、裁判所と法務省とそれから弁護士の代表としての日弁連という法曹三者で話し合ってこういう問題は討議していったらどうかということで、これまでも、そういう話し合いがなくてそのすべてにかかわりのあるような法案というものがぼんと提出されるようなことはない、法曹三者の話し合いのまたその上で出てくる問題であるというふうなお話があって、後三者での話し合いが行われたというふうに聞いておりますけれども、そうした経過について法務省の方からお知らせいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 御指摘の問題につきましては昨年の十二月の際にも御質問いただきましたが、昨年の十月初めに、国会議員の有志の方々で構成される研究会から日本弁護士連合会に対しまして、検討をしておられる改正案の説明がされまして、これに対しまして日弁連は、そういった改正には問題があるというお考えを伝えられるとともに、この問題は法曹三者で協議すべき事柄であるということを伝えられたわけであります。 そういった経過から、日弁連の方から最高裁及び法務省に対しまして、この問題について協議に入りたいという申し入れがございました。それを受けまして昨年十月から、ことしの一月二十日が最後でございますが、合計七回にわたって協議の場を設けまして、法曹三者で協議をいたしました。その協議の中では、弁護士法五条二号の趣旨、それから国会議員の職務の内容といったことについていろいろ勉強いたしまして、それを踏まえて検討しておられる改正の当否について議論を交わしたわけでございますが、結局その協議におきましては、お考えになっておられる改正が相当であるという結論には至らなかったということでございます。 協議における最終的な法曹三者の考え方をごく概括的に申し上げますと、日弁連は、その協議を踏まえましてさらに会内で議論されましたけれども、やはりその改正には反対であるというお考えでございました。一方、法務省の方といたしましては、結論的に申しますと、改正の当否については断定しがたいと。最高裁の方は、最終的にはお立場上意見は差し控えるということでございまして、そういった形で、結局改正を相当とするという一致した意見には至らなかったということでございます。 なお、その結果は、直ちにその議員有志の方々に法曹三者から御説明をいたしました。その際、法務省からは、当該改正の当否についてはそれぞれの考え方があり得るところであろう、日弁連が反対の理由として主張されているところにつきましても、これを全面的に不相当であると言うわけにもまいらない、そういうことでございますので、ただいま申しましたように、法務省としては、その改正について賛成とも反対とも断言しかねるわけであるけれども、弁護士資格に関する制度の改正といった事柄については日弁連の考え方に十分配慮した上でこの問題をお考えいただくことが望ましいと考えている、そういう考え方をお伝えしたということでございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話を伺いますと、法務省としてはどちらでもないけれども、日弁連の考えを十分に留意してというふうなことでございますね。 ちょっとその中で、法務省ないし裁判所の方から、改正された場合の問題点の指摘みたいなことはされたのでしょうか。
○濱崎政府委員 検討しておられる改正の内容は委員既に御案内と存じますけれども、弁護士資格の基本的な原則は、司法試験合格後司法修習生の修習を終えるということでございますけれども、その例外として、司法試験に合格した後一定期間いわば一定の法律専門家としての職にあった者も、それに資格を与えるということでございますが、そのいわば五条二号の法律専門職として掲げられている職の中に国会議員というものを加えるという改正でございます。 したがって、その効果としてどういう影響があるかということは、これは余り複雑な問題があるということではございません。結局、司法試験合格後五年間国会議員の職務にあられた方が、弁護士資格を与えるという観点からふさわしいかどうかという議論に尽きる、そういった観点からの協議の過程においては、いろいろな考え方について話し合いをしたということでございます。
○鈴木(喜)委員 ありがとうございました。今のことでわかりました。改正が相当であるという結論には至らなかったということで、しかも裁判所は意見を差し控えるということであったし、法務省も要するに当否については同様だし、弁護士会の言うことを尊重してというお話があったということを例えただけで私は十分でございます。 最後に、この点について一言大臣からお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○田原国務大臣 お答えします。 今回のこの改正の問題に関して、ただいま部長から御答弁申し上げましたけれども、非常に複雑な問題をはらんでおるようでございまして、特に原則の一つであります修習を前提にしたという以外のもう一つの問題ですわ、常に法律実務に携わっておるかという問題が問題だろうと思うのですが、ただしかし事柄が弁護士資格の問題でございますので、日弁連の御意見がやはり非常に大きな影響を持つものであろうと思いますので、私もその弁護士連合会の考え方に十分配慮した上で考えていただかなければいかぬ。考えていただかなければいかぬというのは、この法律は政府提案でなくて議員立法でありますから、そういうふうにお答え申し上げるわけでありますが、そのように考えております。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時十七分開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。沢田広君。
○沢田委員 わずかな時間でありますが、余り経緯とかその他は解説しませんでそのものでずばりになりますが、その点はお許しをいただきたいと思います。 一つは大臣に、これは今までの給与その他を決めていく場合に都市手当というのが音ありまして、地域給とも言ったわけでありますが、裁判官のなり手が少ないという意味の一つは、都市的な生活をしていく者は一般の給与水準ではやはり生活が困難である、公務員も同じでありますが、お中元、お歳暮といえどももらうわけにはいかないし返送しなければならぬ、こういう状況もあります。今後人事院に私も折があれば、これは大蔵では述べたことはあるのでありますが、やはり裁判官という社会的な立場、我々もそうですが格子なき牢獄にいるようなものでありますから、そういう意味における待遇というものは配慮してやらなければ、やらなければと言ってはいけないかもしれませんが、配慮してやらなければいかぬのではないか。だからもっと自由業の弁護士になりたがる、こういう傾向もなしとしないと思います。大臣、この点は今後御努力をいただけるかどうか、その御見解を承れれば幸いであります。
○田原国務大臣 公務員の一般的な給与については、昔確かにおっしゃるように都市手当というのがございまして、今の状況はよく存じておりませんが、ございました。広い目で見ますと裁判官も公務員でございますから同じようなことだろうと思うのでありますが、裁判官の給与がどういうシステムで決まっていくか、私もちょっと予告いただいておらなかったものですから調べておりません。人事院に申せばいいのかどうかよくわかりませんが、ただ、おっしゃるような気持ちはよく理解できる感じがしますので、なお勉強させていただいて努力の方向を定めさせていただきたいと思います。
○沢田委員 田原法務大臣のときに一歩前進したんだという、つめ跡を残すという言葉がありますが、そういう足跡を残していくのもやはり大臣の任期中の大きな仕事かと思います。わずかなことのように見えてそうではありませんので、その点は留意していただきたいと思います。 それから、大蔵省に来ていただきましたが、証券の取引の損失補てんで飛ばしという、まあ、かご抜け詐欺あるいはやらせ、いろいろな表現がありますが、証券取引法の中でこれは禁止になったと思いますが、その禁止になった時期とそれから内容、それについて若干お答えをいただきたいと思います。
○堀田説明員 お答え申し上げます。 証取法、去年の夏以来の一連の証券不祥事がございまして、損失補てんと損失保証を証取法上禁止する、違反に対しては刑事罰則をつけるという法改正をしたわけでございますが、その法律はことし一月一日から施行されております。
○沢田委員 そこで、この前にもこれは若干大蔵でも問題があったわけでありますが、そういうものを、東急でも二百六十億ですか、またきょうにも、揺れる証券界として、丸万証券を提訴、飛ばし処理、これも東急の関連会社が利回り保証を求めていく訴訟、こういうことになっています。 これは感覚的なものですが、社会正義に反するのではないかという気がしますが、その点は担当からひとつ、感覚的な段階でありますけれどもお答えいただきたいと思います。
○堀田説明員 ただいま先生御指摘になられました大和証券と東急不動産の問題あるいはきょうの新聞に出ておりました丸万証券と東急不動産ローン保証との間の問題、訴訟が起きているあるいは裁判上の和解が成立したということでございますが、こうした一連のトラブルは、先ほど来飛ばしというようなお話が出ておりますが、飛ばしというものに該当するのかどうか、ちょっと私どもその飛ばしという概念が必ずしもはっきりいたしませんけれども、会社から聞いておりますと、いずれにしても証券会社の役職員が会社に無断で、会社の知らないところで顧客間の取引を仲介したことに起因したトラブルであるという報告を受けております。私、訴訟で争われている問題でもございますので司法当局の判断を見守りたいと思いますけれども、いずれにしましても、私どもの立場からいいますと、免許企業がこうしたトラブルを起こしたということは甚だ遺憾に考えておりまして、司法当局の判断を見守りつつ、証券行政の観点からもいろいろ検討を行いまして、問題があれば厳正に対処する必要があると考えているところでございます。
○沢田委員 きょう、これは法務委員会ですから、これはまた国土庁にも来ていただいておりますが、監視区域を設定をしまして、知事にその最高額を決定する権限を与えたわけですね。その最高価格を与えたものが、やはりこれも飛ばしというような事実があったと、我々リクルートのときであったと思いますがたくさんあったと思いますが、その辺の見解は国土庁としてはどういうふうに考えておりますか、その事実関係だけ。
○伊藤説明員 お答えいたします。 先生御指摘のように、国土利用計画法におきましては、司法と行政との調整を図るというような観点から、民事調停法による民事調停等の場合には届け出義務の適用除外といたしております。先生御指摘のような調停手続等の悪用ということになりますと、私どもも問題だというふうに認識しておりまして、六十二年に即決和解とか民事調停等の事案の処理に必要となる情報を裁判所に提供するというような体制を整えまして、これを最高裁判所に説明いたしまして、その趣旨を裁判所の方から下級裁判所に対して周知したというふうに聞いております。
○沢田委員 それもこの前私が、これは分科会であったと思いましたが、この問題で、そういうふうな非常に社会正義に反する行為は少なくとも政治の社会に望ましいとは思わない、こういうことで言った。まあ細かい点は省略しますが、それで通達を出していただいたわけです。 今度の問題は、これは法務省で言うのですが、こういうのを扱う弁護士さんは治外法権に置かれているわけですね。法務委員会には弁護士さんが多いし、文教委員会に行くと教員さんが多い、こういう社会の中で弁護士さんのことを言う人はほとんどいないのだろうと思うのですけれども、それを扱っていく行為そのものが社会正義に反するのではないのか、私はそういう疑念を持つのですね。それは無性格な弁護士さんで依頼者だけのことでやればいいのでしょうが、結果がやはり社会正義に反すれば、弁護士法の社会秩序の維持あるいは社会主義、そういうものに対して背馳するものではないのか、そういうふうに判断するわけです。確かにこれは治外法権で、弁護士会の所管事項という形になるのでしょうが、弁諸士法でも、指導、連絡、監督となっているわけですね。しかし、最高裁の方でも、四十九条で調査の依頼をすることができるとなっていますね。 私は簡単に結論から言っていきますが、こういうものを正確に、法務委員会なり私でも結構ですが、報告していただきたいと思うのですが、少なくとも名前くらいは公表して社会に問われる、国会議員が金をもらえばそれだけで新聞に出されて問われていくわけですから、弁護士といえども社会正義に反する行為をしてお金をもらったら、無料であれば話はまた別かもしれませんが、もらったらそれはやはり社会正義に少なくとも道徳的に反することだけは間違いないわけです。法律はもう出ているのですから、法律は出ているものを、かご抜け詐欺ではないが、法廷を通じてその法律に反する結論を出していくということですから、少なくとも私は共同謀議に類すると思うのですよ。出しました、そうしたらすぐ十五日以内にもう結論を出しました。これはもう事前に打ち合わせしてやっているとしか思えないのです。しかも訴訟の案件は、こっちだったものを山口でやる、あるいは埼玉だったものは大阪でやる、こういうふうにわざわざ裁判所の位置も変えてそういうよなことをやっているということは、少なくとも社会正義に反するというふうに私は思いますが、これは大臣以下皆さんからお答えいただきたいと思うのです。
○濱崎政府委員 御指摘の関係の事件に弁護士がどのように関与しているか、私ども承知しておらないところでございますが、弁護士法の規定によりますと、弁護士が弁護士法あるいは弁護士会、日弁連の会則に違反する、あるいは弁護士会の秩序、信用を害する、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは、弁護士会の手続によって懲戒を受けるという制度になっているわけでございます。したがいまして、その規定に該当する被疑行為があるという場合には、弁護士会の懲戒手続によって懲戒の対象となる、その懲戒によって除名という処分も用意されているわけでございます。 治外法権という御指摘がございましたけれども、戦後昭和二十四年に新しい弁護士法がこれは議員立法の形で制定されまして、そこで今御指摘の弁護士の指導、監督、懲戒といったことについては弁護士会、日本弁護士連合会に強度の自治権が与えられておるわけでございますが、私ども弁護士会あるいは日弁連において、その制度のもとで適切な懲戒権の発動がされているのではないかというふうに考えておるところでございます。また、日弁連内部におきましても、最近のいろいろな情勢にかんがみまして、その会内の倫理規定をより詳細に定めるなどして、その懲戒権の適正な運用に努めておられるというふうに承知しております。
○沢田委員 そういうことを聞いているわけじゃないのですね。一つは、これは昔、戦争の中における一般の民主的な勢力を抑えるために、法務大臣の権限を大いに利用したような時代がありましたね。戦時中の時代がありましたから、その反対現象としてやはりこういう一種の弁護士会にすべてをゆだねるという格好になったわけです。だからといって、何も今そういう行為が正当なものとして許されていいということにはならないと思うのです。そこを聞いているわけですよ。道徳的なものであるか。しかし、あくまでも損失補てんは違反になったわけです。違反になったものを結果的には合理的に損失補てんを受ける仕組みに協力する、あるいは自分がそれで働いてやるということは社会正義に反するのじゃないか。 そういうことで、この法律では何人も弁護士会の方に懲戒処分を求めることができるということにはなっております。しかし、少なくともそういう弁護士さんがどういうふうなあれでやったかの経過を調査することくらいは依頼することはできるのじゃないですか、この四十九条によっても。少なくともそういうことで、その内容をいわゆるやらせと言われるか、うまいことやったなということの社会の言葉をなくしていく努力をする必要がやはりあると思うのですね、司法関係に属する人は。そういう意味において、飛ばしの実態というものをあからさまにするということは公務員としての当然の義務じゃないのかというふうにも思います。 ですからこの点は、今までの法律に違反をして、しかも損失補てんに便宜を計らってやる。裁判所も裁判所だと思いますよ。だから、裁判官が少し偏っているんじゃないのかなんという意見も出てくるわけでありまして、少なくとも法律になったものを、かご抜け詐欺のようなお手伝いをするということはけしからぬ話ですよ。これは司法当局から正当な弁解といいますか、釈明をひとつお願いします。
○濱崎政府委員 弁護士の行為が刑罰法令に触れるというような場合には、当然それが司直によって裁かれるということになるわけでございまして、それは別論として、それ以外の非違行為があったということになりますと、ただいまのような懲戒の対象になるということでございます。委員御指摘の行為が弁護士法五十六条に規定する「品位を失うべき非行」に当たるかどうかということについては、仏その判断の限りでないわけでございますが、一般論としてはそういうことでございます。 それから、御指摘の弁護士法四十九条の規定、これは裁判所から日弁連に対して報告を求める、あるいは「弁護士及び弁護士会に関する調査を依頼することができる。」という規定がございますが、これは最高裁判所が弁護士の服務関係を規律するあるいは懲戒権を発動する、こういうことを前提とした規定ではないと理解しておりまして、そういった関係は現行制度上専ら弁護士会あるいは日弁連にゆだねられているということであろうと考えております。
○沢田委員 そうすると、何も感想もなければ見解もなければ、何もないということですか。あなた方としては、そういう法律違反がかご抜け詐欺のように行われて、これでは飛ばしと表現されておりますが、そういうことをやられていることは正義だ、こういうふうに言うのですか。
○濱崎政府委員 そのようなことを申し上げているつもりでは毛頭ございません。もちろん、そういうことが裁判の場を通じて行われるということのないように、裁判所の方でも適切に対応されると存じますし、弁護士も弁護士法に規定されておりますように、弁護士は社会正義の実現と基本的人権の擁護を目的とするという高い思想がうたわれているわけでございます。そういった考え方で弁護士会、日弁連におかれても個々の弁護士の活動について十分監視の目を光らせていただけるものだ、またこれから一層そうしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
○沢田委員 きょうは短い時間なんで、ただこれはこのまま放置しておいていいものなのかどうかということは、損失補てんを受けたい企業その他は物すごく多いと思うのですね、途中で打ち切られたわけですから。だから当然、この種のことがこれだけ出てくれば、同じように、あれを許すならこれも許せという要望は出てくると思うのですね。そうじゃないですか。そう思いませんか。どうですか。
○濱崎政府委員 御指摘のいわゆる飛ばし等の関係について、私ども所管の立場でございませんので、したがいまして、その中身のことについて私ども申し上げかねますので、今のような抽象的なことを申し上げているわけでございます。もちろん、日弁連あるいは弁護士会としてもそういう問題については十分認識しておられるものと思っておりまして、そういった立場からの会内のいろいろな検討、監督といったようなことも行われるということは期待されるということを申し上げているわけでございます。
○沢田委員 きょう、こういうことを言って、その程度しか、言うならばそういう社会正義に反し法律を全然無視した行為が堂々と行われていて、そのことについては考慮もできなければ踏み込みもできない、それが法を守る人の立場ですかと私は言いたいですね。一般の社会で通用しますか。スピード違反やその他日の色変えてとっつかまえていても、そういう堂々と法を破っているものについて手も足も出ない。こんなことで法務省とも言えるか、法務大臣とも言えるかと言いたくなる。日本の法秩序はどこにあるのか、法を守るという秩序の基本はどこにあるのかと私は問いたいのです。きょうは時間ないですから、問題だけ投げかけておくということにしますが、これだけ私も申し上げたのですから、それぞれ心に刻むものはあっただろうと思いますから、今後の善処を特に要望して、次の問題に参ります。 公安調査庁には四課というのがあったわけですね。何をしてたかということは別としまして、今日の冷戦の状況になってきて、言うならば仮想敵国という言葉であらわすことが妥当かどうか、これは問題が若干あったと思いますが、そういう国々の在留の人々を調査したりなんかする人的配置があったわけですが、そういうのはやめて、不足しておる裁判の方なりあるいは入管なり麻薬取り締まりなり、かえってその方に重点的に充てることの方が、減らせと言っているのじゃないですよ。全部減らせと言っているのじゃなくて、そういう方に活用するということの方がベターなのではないか、こういう人的配置の中で、そういう部内の調整というものは図り得られるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
○関場政府委員 お答え申し上げます。 昨年来、旧ソビエトあるいは東ヨーロッパ等で情勢が大変変化しているということは委員御指摘のとおりでございます。 私ども公安調査庁でございますが、公安調査庁は、破壊活動防止法によりまして、暴力主義的破壊活動を行うおそれがある団体に対しまして、規制処分の請求、そのための調査を行うことを任務といたしております。そこで、現在我が国でそのような団体として当庁におきまして調査の対象といたしております団体は、現在のところ、こういった外国の情勢の変化にもかかわらず、従来の路線が誤りがなかった、正しかったということで、引き続き従前どおりの活動を続けているような状況でございます。 そんな次第で、内外情勢が極めて流動的でございますが、当庁の調査内容は、質量とも少しも変化がないというふうに考えております。そんなことで、現在所要の人員を擁して業務を推進いたしておりますが、現在のところは他部門に割愛申し上げるという余裕がないというふうに考えております。
○沢田委員 それは通常の答弁としてはそういうことだと思うのですね。ただ、時代とともに、時とともに、バブルのときにはバブルのように、それからはじければはじけたように、それぞれ対応していく柔軟性を持たなければならぬのじゃないか、そういうふうに思うのですね。ですから、これから後、法案審議にも関係しできますが、外国人の登録制度というものも変わってくるとすれば、やはりそれに対応した柔軟性を持ってそれぞれ、公務員として一番国民に奉仕をしなければならないいわゆる緊急性のあるところに重点を置いていくというようなことが今、これ、もう余り中身は私は言いませんけれども、そういうふうなことをする時代ではないのか。もう少し、今やった麻薬であるとか、そういうものの上陸を食いとめる方に重点を置くことの方がより重大なことになったのではないかと思います。五分前とは言われてますから、その程度で終わりますがね。 それから、前に一回言ったことですが、五分前ですから言っておきますが、公安調査室もそうですが、公安調査庁の備品は悪いですね。前に言っておいたが、どの程度直りましたか。まだ昔のタイプを使っているんですね。テーブルも全く、まあ皆さんごらんになったかどうかわからぬが、公安調査庁、全く一番おくれているところでしてね、話にならない。この前言ったから、少しは直しましたか。どの程度直しましたか。私は浦和で見ましたが、浦和でまだタイプ打ってましたよ。どうですか。
○関場政府委員 徐々に改善させていただいておりますが、なお今後とも引き続き財政当局の御理解をいただきまして、そういった状況の改善に努めてまいりたいと思います。
○沢田委員 今のワープロ時代に、あれは絶対にタイプ打たなくちゃならないのですか。足らないからタイプで打っているのですか。
○関場政府委員 現在はほとんどタイプはなくて、ワープロでやっているはずでございます。一、二残っているのもあるかとは思いますが、大半はワープロでやっております。
○沢田委員 これ、もう何年おくれたかということを、これだけでも大臣、わかるでしょう。今どき、女の子が肩張らして一生懸命タイプ打っていましたね、私は見てきたんだから。それではっきり言うのですが、そういうことじゃ、仕事をやらせる指導者というかな、上役の役割を果たしてないよ。あなたの給料を削ってもそれは間に合わせなければならぬ立場にあると思う。 その点も含めて、きょうはすぐ結論は求めませんが、公安調査庁は絶対なものだというふうに思わないで、機動的に運営していくという考えを持ってもらいたいと思うのですが、そういう発想を幾らかこれから取り入れる余地があるかどうか、その点だけ。これは、しますとは言わなくていいですよ。やはりそういう柔軟性を持って皆さんの仕事をやっていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○関場政府委員 委員御指摘の趣旨を踏まえまして、今後とも業務内容を十分検討しながら推進してまいりたいと存じます。
○沢田委員 もう時間ですから、大臣、さっきの飛ばしの問題については何らかの方法でやはり実態を調べていただく、こういうことをお願いしておきます。またどこかで、また分科会でお会いするかもしれませんが、ぜひひとつその点を調査しておいていただくようお願いして、ちょっと二分ぐらい前かもわかりませんが、おくれの部分、これは皆さんが来るのがおくれたからおくれたわけですから、縮めまして終わります。
○浜田委員長 小森龍邦君。
○小森委員 裁判所職員定員法の一部改正の法案を審議するに当たりまして、裁判所をめぐる何点かの憲法上の原則についてお尋ねをしたいと思います。 まず、この定員法に関しまして、何回か毎年のようにこの種の法案を審議させてもらっておりますが、その都度、本当に定員を増していくということについては微々たる増員にとまっている。こういうことからいたしましてこ憲法に書いてありはす、憲法第三十七条でありますが、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」と、いう、「公平な裁判所」ということは後ほど議論をさせていただきたいと思いますけれども、一体最高裁は、憲法に言う迅速な裁判というのは、一つの事件が始まって、まあそれぞれケースがあろうと思いますけれども、どういう程度のことを考えておられるか。 例えば、国会の議員の定数でありますと、三倍を超えたら憲法違反だというようなことを裁判所は言われますが、みずからが行う裁判について、憲法に明確に「迅速な公開裁判」、こうなっておりますが、どの程度のことを想定をされておるのでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 大変難しい御質問でございますが、現在の実情をまず御説明させていただきたいと思っております。 民事訴訟事件の第一審の平均審理期間でございますが、ここ数年、地方裁判所では十一カ月から十二カ月の間で動いております。また、簡易裁判所におきましては三カ月程度で推移しているところでございまして、徐々にではございますが短縮化される傾向にあるわけでございます。 次に、刑事訴訟事件の第一審の平均審理期間でございますが、ここ数年、地方裁判所におきまして三カ月台、簡易裁判所におきましては二カ月台と、 一応私どもとしましては順調に推移しているのではないかと考えております。 適正な審理期間がどのくらいであるか、迅速な裁判と言えるかどうかというお尋ねでございますが、大変難しい問題でありまして、一概には申し上げにくいわけでございますけれども、特に民事事件につきましては、先ほど申しましたように審理期間をさらに短縮することが望ましいと考えておりまして、裁判官の増員等を含めまして、努めさせていただいているところでございます。
○小森委員 民事にいたしましても、刑事にいたしましても、複雑な事件に関しては相当の時間がかかるということは当然のことだと思います。しかしながら、憲法が迅速な裁判ということを、しかもそれを国民の権利、こういうふうに規定をしておるということになりますと、それに対してはしっかりした見識というものを裁判所は持っていなければならないと思います。 そこで、例えば簡易裁判所へ回る事件というのは、量刑としてこの程度までのものは簡易裁判所というような一つの決まりのようなものがあると思いますが、そういうことから考えて、例えば長期何年以下の懲役に該当する事件についてはおおよそこれぐらいがめどだ、これは私の思いつきで言っておるわけですが、そういうふうな一つの目安の入れ方というようなものを持って、そして、日本の裁判というものに従事する裁判所の裁判官とか職員とかというものがおおよそどれぐらいの陣容でやらねばならない、こういうはっきりした目標みたいなものがないと、毎年毎年少しずつやっておって、そして物によれば十年も十二年も刑事事件の裁判でひこじられる。あるいは民事事件におきましても、複雑な問題になると判決が出るころはその法益を受けることが既にもう失効してしまっておる、何の効果もない、残ったのは弁護士に対する費用の支弁だけであったというようなことになりますと、権利というような感覚ではもう考えられないと思うのですね。だから、おおよそどの程度に考えておられるかということを、例えばこれぐらいの裁判官を確保すればおおむねこうなるのではないかというぐらいのものは持っていなければならぬと思いますが、それはどうでしょうか。
○島田最高裁判所長官代理者 委員がただいま仰せのように、事件によって非常に複雑困難、重大な事件となりますと証拠調べにも多数の開廷を要するという事件が多々ございます。そういった事件が起訴されてまいりますと、一方で言えば委員が御指摘の憲法上の迅速な裁判、これを貫徹しなければいけないという面がございますので、とりあえず当面の目標としましては、どんなに大きな事件であっても一応は二年というような目安を、これはもう本当の一応の目安でございますが二年というようなものを頭に置いて、その中で詰めて審議をし何とか判決までいけないかということから審議の枠組みを立てるように私どもの裁判官としてはやっておるつもりでございます。
○小森委員 そうすると、それは一応の目安だと思いますけれども、その一応の目安に対して、裁判官は現在の定員に対してどれぐらい増員をしたらそのことが大体可能だと判断されるのか、この点をお知らせいただきたいと思います。
○島田最高裁判所長官代理者 刑事の関係だけで申し上げますと、今のところ刑事事件を担当しておる裁判官の員数的には格別に不足はございませんで、今申し上げましたような二年間にやろうという目安を立てた場合一番大きなネックになりますのは、むしろその事件に関与する弁護士さんが詰めた開廷期日はお受けできないというようなところから、例えば一カ月に三回も四回も公判が開かれては困るのだというようなところを何とか三回なり四回入れていただいて二年内にというようなことでやっておりますが、裁判官の員数的には、先ほど総務局長から御報告も、ございましたように、刑事事件の方でいえばおおむね順調に事は進んでおりまして、格別の人員不足等は感じておりません。
○小森委員 そうなりますと、先ほど星野委員の方から質問をされておりましたが、全体の法曹人口、わけても弁護士の問題ということになってくる。そういうふうなことが片や最高裁の方では一つの判断ができておるということになりますと、法務省は、弁護士の養成といいますか弁護士の人的確保ということについて、つい先般司法試験法の改正が行われましたけれども、あれで今後の見通しはどうなるか、この点をお答えいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 これは法務省から余分なことになるかもしれませんが、ただいま最高裁の刑事局長がお答えになりましたのは、刑事裁判の裁判官という観点からお答えになったようにお聞きしました。今回、裁判所職員定員法の改正によりまして裁判官についても判事補七名の増員をお願いしているわけでございますが、これは民事訴訟事件の審理充実ということでお願いしているということでございまして、その背景としてはやはり民事訴訟事件について裁判官の増員が必要だということでお願いしているということでございます。その点補足させていただきたいと存じます。 それから、法曹人口の問題について、午前中星野委員の御質問に対してお答え申し上げましたけれども、先般の改革では一応司法試験の合格者を二百人程度増加させるということにいたしましたけれども、これを実現いたしましても、法曹全体として例えば十年間で二千人の増加ということでございます。これまで五百人程度でございましても、いわば自然増で過去十年程度を見ますとその間に法曹全体で千五百人程度増加しておりますが、これを合わせましても十年間で三千数百人程度の増加ということになるわけでございます。より抜本的なあり方ということにつきましては、午前中も申し上げましたけれども、現在法曹養成制度等改革協議会の場でいろいろな各国の実情を調査し、各方面の御意見を伺って考えていきたい、そういった中で法曹養成のあり方ということを考えていきたいというふうに考えておりまして、一般的に申しますれば、これまで伺いました皆様、有識者の方々の御意見では、弁護士のみならず、裁判官も検察官もまだ数が少ないという声が非常に多く聞かれております。そういう御意見を踏まえまして、改革協議会の場でその問題についても考えていきたいというふうに思っているところでございます。
○小森委員 先ほど最高裁の方からの答弁によりますと、弁護士の方が月に三開廷、四開廷入れてくれるようであればそれは大体のところできるのだ、こういう話でございました。そうなりますと、裁判所の方は待ちの姿勢で、言葉はちょっと。適当でないかもわからぬが、割合手持ちぶさたで、それだけ手持ちぶさたな時間は十分に事件の解明、検討をしてもらえるのではないか、こう思いますが、しかしこれまでもかなり、誤判というか誤った裁判の結果を受けた者は冤罪だということで再審請求を闘って、今も再審を請求しておる者、再審の準備をしておる者、人数とすればかなりおると思いますが、弁護士が開廷を入れてくれないからということになると、裁判官はその間十分に検討してもらって間違った裁判のないようにしてもらえばよいと思うけれども、その点はどうなんでしょうか。 そのことについて、私はさらに法務省の方にも尋ねますけれども、弁護士の防御能力といいますか、つまり被告を守っていく能力、知能指数のことを言っているのじゃないのですよ、そういう具体的な取り組みが、余り忙しくて十分なことができない、こういうことが原因で、公正なる裁判ということをこの憲法では言っておりますけれども必ずしも本人にとっては公正ではなくて、人生を破滅に導くような、時には今も奪い去られるような結果になっておると思うのでありますが、その点はひとつ裁判所と法務省と双方からお答えをいただきたいと思います。
○島田最高裁判所長官代理者 今委員がおっしゃった裁判の中身の問題といたしましては、私どもも時間の有無にかかわらず、もちろん徹底的に、十分慎重に証拠を検討し、あくまで正しい事実認定をしようということで努めております。これは裁判官のみならず、当事者である検察官、弁護士、三者皆それぞれ同じ気持ちで実体的な真実発見のために鋭意努力をしてやっておるものというふうに承知しております。
○濱崎政府委員 法務省からもということでございましたので、申し上げます。 個々の事件につきましては裁判についていろいろな御批判があることも、私どもも承知しておりますけれども、一般的な問題といたしましては、いろいろ人的な制約がある中で裁判はやはり公正、適切に運用されているというふうに私どもは承知しているところでございます。 また、弁護士の皆様方の活動も、個々についてはいろいろ批判を受けるような事案も散見されますが、一般的には弁護士法の趣旨にのっとって適正な弁護活動をしておられるものというふうに承知しておるところでございます。
○小森委員 弁護する能力といいますか、それは先ほど申しましたように、その人がいわゆる知能指数の上において能力があるとかないとかということを私は言うのではなくて、非常に忙しくて、つまり、あそこを調べてあの点を反論すればというようなことが頭に浮かんだとしても、先ほどのような裁判官と弁護人との一つの裁判をしていく上での人数のアンバランスですね、事件をめぐって人数のアンバランスがあればどうしたってそれは弁護士の方はそこが手抜かりになってくる、こういう関係を私は一つは心配をしておるのであります。ほかにもこれから私の思うことをいろいろお尋ねしますけれども、一つはそこのところを私は心配しているのですが、どうですか、その点は、法務省は。
○濱崎政府委員 弁護士さんの活動の実態、私ども必ずしもつまびらかにしておりません。ただ、やはり弁護士さんもそれぞれ多数の事件を持っておられるというのは多くの場合実態だろうと思っておりますが、その中で、一般的に申し上げれば、決して御指摘のような懸念が一般的にはあるということではないと思っておりますし、これからも一層そういうことで努めていただけるものというふうに思っております。
○小森委員 それはもう弁護士に例をとるまでもなく、例えば国会議員としての私らの活動にしましても、きょうここで法務委員会がある。先ほど私の場合でいうと決算委員会があった。これは党務に関係することでありますが、三時からは法案審査会がある。というようなことになると、やはりこれは社会党のみならず、どの議員も十分に準備をして質問をするという観点からすると時間が足りない。これは私の経験からしてそうなんです、わずかばかりの経験ですけれども。 そうすると、おおよそ二年ぐらいで裁判をやりたい、刑事事件についてはそういう目安です。現在の裁判官でそれぐらいはやれるだろう。ただしそれは、月に一回ぐらいの開廷を入れておったのじゃとても前へ進まないので、月に三回とか四回ぐらい入れるようであればそれはできるだろう。しかし、私も時折、ちょっと時間があるときには最寄りの裁判所で裁判の行われておるのを傍聴に行くことがありますけれども、そんなとき、裁判官と弁護士が後、手帳を出して打ち合わせをしておって、次の週の何曜日はどうですかと言ったら、それはちょっとだめです、その次はどうですか、いや、それもだめです。必ずしも何か事件を引き延ばすために言っておるのではなくて、実際日程的に消化できないから、苦しみながらその日程を打ち合わせておるというのをしばしば見ます。そうすると、それくらい忙しかったら、今あなたが答弁をされたようなことにはならないのじゃないか。コンピューターのボタンを押したらぱしっと数字が出るように人間の頭というものはいかぬと私は思いますね。そうすると、なるほどお世辞とすれば、いや、弁護士の先生方はそういうことは絶対にない、よくやってもらっておると思いますとは言えるけれども、現実問題としてはやはり弁護士の人数が足りない、こういうことになるのじゃないですか。
○濱崎政府委員 先ほども申しましたように、我が国の弁護士の数は少な過ぎるという声は、私どもこれまでも、また先ほど申しました法曹養成制度等改革協議会の場でも聞いているところでございます。今委員御指摘のような観点も含めまして、改革協議会の場で鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
○小森委員 全体を視野に入れてその改革の議論が行われておるのであるならば、ぜひ全体を視野に入れて我が国の裁判というものが、裁判所とかかわったら本当に権利を守ってもらえるんだ、こういう感覚に国民が立てるようにお願いをしたいと思うのです。 私は、この憲法ができたころばまだ中学生でした。そのときに、裁判所へ引っ張られるといったら怒られるために裁判所へ引っ張られるのに、何で裁判を受ける権利という考え方が成り立つのかなと子供心に思っておりました。それはやはり、今から考えてみると、戦後間もないころの当時の少年たる私の感覚には、権力は怖いもの、こういう感覚が頭にありました。つまり、権力に対する国民の市民的権利感覚というか、私はそのころ少年でそういうものがなかったから、裁判が権利というこの概念はどうも私の頭にはなじまなかったのであります。しかし、今でもそれは、恐らく世論調査をしてみなさい。裁判を受ける権利、そんな怖いもの、何で裁判所へ行かなければいかぬか、こんなことになるわけですから、本当に裁判が権利なんだ、これがわかるところまでやはり日本の裁判制度なり法曹の全体の構図というものを私は追求していってもらいたい。 いつも私が主張いたしております部落差別の問題というのは、これは我が国の国民の市民的権利感覚の問題なんですね。その感覚を抑えておる実際の生活の実感というようなものがありましてそういうことになっておるのであります。要するに部落問題というのは、部落問題だけ単独で解決できるのではなくて、全体の市民的権利の感覚というものが近代社会にふさわしい国民的な全般的な水準の高まりがないと、こういう不合理な感覚というものを一つだけ取り除くことはできないわけでありますから、そういう観点からも私はそのことを指摘をさせておいていただきたいと思います。 それから次にお尋ねをしたいと思いますのは、憲法第三十七条に「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。こういうことになっております。それは、法律というものの理論なり構図というものが非常に複雑になっておりますから、専門家がつかなければ権利が守れない、こういう考え方で憲法がそれを保障しておるんだと思います。 きょうの読売新聞でありますが、「拘置外国人被告への接見「通訳同席」求め準抗告」、通訳の同席を求めて準抗告したということは、一度けられたということですね。弁護人が起訴をされたり既に被告人になっておるような人と接見しようということをするときに、言葉が通じなくちゃ意味ないわけでありまして、言葉が通じなければ、それは憲法で言うところの直ちに弁護人を依頼することができるということをへ理屈をつけて阻害しておる、こういうことになると思うのでありますが、この辺のところは法務省の方はどういうふうにお考えでしょうか。
○濱政府委員 刑事事件のことでございますので私からお答えさせていただきますが、私も事案の内容をしかとまだ把握はしておりませんけれども、今お尋ねの事件は、弁護人が接見するに際して通訳人を同時に同行しようとしたことについて、弁護人だけの接見、これはもう委員御案内のとおり接見交通権に基づく接見、弁護人だけの接見ということで、検察官が通訳人との接見については恐らく弁護人だけ会ってもらいたいということであったのではないか。具体的にはちょっと不確かでございますが、警察での代用監獄に勾留されている者との接見ではなかったか。 いずれにいたしましても、現在その検察官の処分に対して弁護人の方から準抗告の申し立てが行われて現在係属中であるというふうに聞いておりますので、その準抗告の裁判の中で適切な判断が出されるのではないかというふうに考えております。
○小森委員 私はこの事件にこだわらないですけれども、この新聞を見る限りは「検事の処分を取り消し、接見を認めるよう求める準抗告を行った。」となっているから、警察庁ではなくてやはり検事の側、法務省の側、こういうふうに私は読み取ります。 答弁とすれば、今のような答弁睦言葉が続くという意味ではできるのです。それは、今準抗告しておるのだから、それはしかるべき結論が出るでしょう。しかるべき結論が出るでしょうでは、実際は弁護人に依頼をするということが空白の期間が続くわけですね。それだけは苦痛が続くわけです。だから、外国人の場。合は特に、英語なんかだったらある程度弁護士で英語のわかる方もおられると思いますけれども、一般論というと、今日本は非常に国際化しておりまして、いろいろな国の人が来られると思います。そういう場合に、必ずしも弁護士が大学時代に習った英語で通ずることができるかといったら通じないことの方がこれから多くなると私は思うのですね。それをこういう形でやられたら本当に、憲法が認めておる、これは外国人だけれども国際的な物の考え方は内外人平等でありますから、こういうことに対しては内外人平等でなければならぬわけでありますから権利が守れないのではないか、こういうふうに思うのです。 どうなんですか、こんなことはもう外国人の前で私らが演説するいったら通訳が出るのは当たり前なんで、君に演説を頼んだので通訳は頼んでおらぬ、通訳を連れてくるのはけしからぬとは言いませんよ、どこでも。私も時折外国で演説することがあるけれども、意思を通ずるということになると通訳はつきものでしょう。何でそういうかたくなな態度をとられるのか、この点ひとつ答えてみてください。
○濱政府委員 お答えいたします。 個々の事件につきまして、委員仰せのとおり日本語を十分解せない被疑者につきまして弁護人が接見しようとする場合に、これは接見交通の実が上がるように、言葉がよく通ずるようにということで検察官の方でも十分配慮すべきことは当然のことだと思うわけでございます。弁護人以外の音あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見につきまして接見禁止の裁判が行われているような被疑者との接見につきましては、例えばその弁護人以外の者について接見禁止の裁判についての一部解除を求めるというような方法も一つの方法ではないかというふうに考えております。
○小森委員 どうもわかりませんな。言われることがわかりません。私は、憲法上の原則に基づいて弁護人に直ちに依頼をできる、こういうことにならないと、法律的に余りよく事情、法理論を知らない者はつい自分の権利を失うようなことになってしまう。そのときに、弁護人が行って、そして通訳はいけぬのじゃといったのじゃ、これは世間の常識通らぬでしょう。だから、世間というか国民が常識的に考えて納得のいく措置ができないのか、これを私は尋ねているんですよ。
○濱政府委員 私先ほどお答え申し上げましたように、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見が禁じられている場合、そういう裁判がある被疑者につきましては、例えば弁護人が通訳人を同行するというような場合に、その通訳人について接見禁止の一部解除をあらかじめ裁判を求めて、裁判を得て接見するということは例として行われているのではないかと思うわけでございます。
○小森委員 そうすると、普通の被告人に対しては、別段手続をとらぬでも通訳を連れていったらさっと会わせるんですな。
○濱政府委員 通常、捜査段階で接見禁止の裁判がありました被疑者につきましても、例えば公訴提起後は被告人となりまして、被告人についてその接見禁止の裁判が解除されるというか、公訴提起に至るまで効力を有するという形で接見禁止の裁判が行われる場合が多いのではないかというふうに、私刑に統計的に数字を出したわけではございませんけれども、そういう場合にはもちろん接見は禁止されていないわけでございますから自由でございます。
○小森委員 そういう接見禁止を解除してもらいたいという裁判を起こすと、それから通常はその裁判所の許可というか、どれくらいの日時を要するものですか。
○濱政府委員 ちょっと定かに数字はなにしておりませんけれども、通例即日ということも十分あるわけでございます。例えば、すぐ会いたいからということで接見禁止の一部解除を求めると、すぐその決定が出るということは十分あり得るわけでございます。
○小森委員 そういう即日にやってもらうということになればそれはかなり合理性がありますが、そういうふうなことについては、法曹関係者、ここで首脳部が集まっておられるわけですから、関係者に余り苦痛を味わわせないように、孤独感というか孤立感を持たせないように、被告人が孤独感、孤立感を持つことが実は取り調べの段階でとんでもない迷った方向に供述が向かうということはしばしばあるわけでございますから、その辺はひとつ十分に配慮していただきたい、こう思います。 それから同じ第三十七条の条文でありますが、「被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」これが先ほど来問題になっております国選弁護人のことですね。先ほどは三開廷ぐらいの裁判の場合は六万五千円程度の報酬だ、こういうお話でございましたが、官民の格差といいますか、民選の弁護士とそれから公定相場のようになっておる国選弁護の金額とがどれくらいの格差があるものだろうか、この点ひとつお知らせいただきたいと思います。
○島田最高裁判所長官代理者 国選弁護の場合六万五千円ということを申し上げました。これが報酬でございまして、三開廷。あと日当ももらうことになります。その日当分も含めますと大方十万円ぐらいというようなことになります。私選弁護の場合、弁護士会の報酬の支給基準というものもございますようで、ただその実態がどのあたりで現実に動いておるか、その辺詳細な把握はしておりませんけれども、一件当たり着手金として十五万円なり二十万円なり、そしてまた後々その判決の結果によっては成功報酬というものもあるやに伺っております。
○小森委員 一般的には国選弁護の。方がそういう手当が少なくて、民選の方が事件を扱って収入はよい、これは一般的には言えることでしょう。
○島田最高裁判所長官代理者 今ちょっと数字を間違えて申し上げた点がございますが、訂正させていただきます。現在は、どうも弁護士会の支給基準は単独事件が二十万円、合議事件が三十万円というようでござへます。今委員御指摘のように一般的に申し上げますと、それはやはり私選弁護人の方が多く報酬を得ておる、国選弁護はそれに及ばないという実情でございます。
○小森委員 このことは余り私も繰り返して申し上げませんけれども、やはり裁判も地獄のさたも金詮議に近いような状況がついて回るのではないか。貧乏人はやはり十分に権利を守れない、こういうふうなことになるのではないかということを思いますので、先ほど来も議論がありましたが、なるべくこの官民格差を是正するように、このことも全体的な議論の展開の中でなるべく合理的に解決してもらいたいということを申し上げます。私も多少経験がありまして、若いときに国選弁護をつけてもらったことがあるのです。どうもやはりそれは温かみがなくて、簡単に簡単にあしらわれるのですね。私はそういう経験があるのです。だから今のことを実感として受けとめることができますので、ぜひとも、ある事件をめぐってその人間が金を持っておるとか持っておらぬかというようなことで裁判が十分に自分の権利を防御できないというような雰囲気のもとで進むというようなことにならないように、ひとつお願いをしておきたいと思います。 さて次の問題は、これは憲法第七十六条の、以前も議論をさせていただいたことがありますが、裁判官の良心の問題ですね。これは「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」こういう条文がございまして、その裁判官の良心というところを少しばかり今回も掘り下げさせていただきたいと思います。 この良心は、憲法第十九条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という、この第十九条に言う良心と同じものですか、それともまた多少意味合いの違ったものでしょうか。
○島田最高裁判所長官代理者 そのあたり非常に難しい御質問でございますが、今御質問のありました点につきましても両説あるようでございまして、憲法十九条の良心も七十六条の三項も同じものであって、良心に二つはないんだというような学説もございます。ただ、私ども理解しておりますところでは、一般的にはこの二つの良心は若干の相違がございます。憲法七十六条三項に言う方の良心といいますのは裁判官としての客観的な良心であって、個人が持つ内心の良心とは違うのである、いわば裁判官の職業倫理であるというように言われておる。その説の方が有力であるというふうに理解しております。
○小森委員 第十九条に言う良心というのは、その人のよって立つ世界観、人生観、いわゆる思想、通常その人の持っておる思想と言われるものに忠実でおる、その自分の持ち合わせておる思想を裏切らないで、少々物理的には不利な立場に立ってもそれを貫く、こういう意味の良心だと私は思っています。そういう意味で、最高裁の方から今御答弁になりましたことで私も大体納得がいくわけでありますが、そうなると、現実的に展開をされておる裁判というものが果たしてその学説で言う多数説のとおりにいっておるんだろうか、こういうことを思うわけであります。 それで、ごく最近の事例で、ついこの間高裁の判決が出ました、何もこれにこだわるわけではございませんが、典型的であると思いますので、ちょっと私の疑問とするところを尋ねてみたいと思います。 撚糸工連の事件であります。同じ一つの事実を、一審の裁判官がその事実を認定するのと二審の裁判官がその事実を認定するのと、それも問題全体でなくて、何か金をもらったとかもらわなかったとか、渡したとか渡さぬとかというような、それも単純なことですね。その単純なことについてどうしてこれほど百八十度認識が異なってくるんだろうか。客観的に法律に忠実であるというか裁判官としての倫理観、こういうことになればまず第一に考えなければならぬことは、徹底して事実認定を過たないようにするということが最大の裁判官としての良心だと私は思いますけれども、どうしてこうなるんでしょうかね。それは、いや一審で間違ったら二審で直せるし、二審でいけなかったら三審まで保障しているじゃないか、一方ではこういう制度上の理屈は成り立つと思いますが、裁判官の良心というときには、どっちかがずさんなことをやっておるからそれは食い違ったことになるんじゃないか、私はこういう判断をするのですが、その点はどうでしょうか。
○島田最高裁判所長官代理者 撚糸工連という具体的な事件の名前が出てまいりますと、具体的な事件にかかわることでここで私余り突っ込んだ意見は差し控えさせていただきたいと存じますけれども、ごく一般論として申し上げさせていただきますが、確かに先ほど来問題になっております裁判官の良心ということで、例えば公正、中立な立場であくまでも何者にも屈せずに、圧力等を一切排除して徹底して間違いのない事実認定に努めるという点においては、私、この事件に限らずどの事件でも裁判官すべてそのように相努めておるというふうに信じておるわけでございます。 ただ、それならばなぜその二つの全く相反する結論が出てくるかと申しますと、これはひとえに事実認定の難しさということに尽きるだろうと思います。証人が二人出てきて、A証人の方は何かを渡した、B証人の方は渡さないというような全く相反する供述をA証人、B証人がする場合に、果たしてA証人とB証人のどちらの方を信用して、どちらが正しいことを言っておるのか。その辺の判断になりますと、やはり裁判官によって結論が異なってくる場合がある。もちろん理想を言えば、どの裁判官が裁判に当たりましてもその結論が一致するべく、それが理想でございます。そして我々裁判官といたしましては、その辺につきまして長年の経験による修練を重ねて、なるべく証拠によって客観的な真実に少しでも近づくような事実認定の能力を涵養していこうということで努めてはおりますけれども、やはりそこは個々の裁判官の能力の差、経験の多寡の差等がございますから判断が必ずしも全部が全部一致するというわけにはまいらないために、こういうような一審と控訴審とで結論が相異なるというようなこともまれには出てくるということになります。
○小森委員 話は一般的で結構なんですが、撚糸工連の事件に限らず一般的にもこういうことがあると思いますから、一番ホットな事件を考えていくことによって一般的なこともよく理解できると思いますので申し上げるので、何もこの事件にこだわって言っておるのではないし、この事件にこだわって答えてもらう必要はございません。堅 ただ、この高裁の、これは竪山裁判長と言われる方ですね、この人がこういうことを言っているのですね。「井上元専務理事への取り調べは、汚職事件とは別の詐欺、業務上横領事件で逮捕されていた時から始まっていた。自分の事件について執行猶予の判決を受けたいと考え、検察官に迎合して証言した可能性は否定できない」、こういう、高裁の裁判長がこれは多分判決理由の中で言っておるんだろうと思いますけれども、そうなると、それぐらい簡単なことが一審の裁判官が洞察できないのか。そうなるとこれはもう良心というものが果たして本当にあるのかというような疑問を私は持つのであります。 したがって、こういうことを前置きとしてお尋ねをしたいことは、疑わしきは罰せずというこの昔からの格言ですね、これは裁判官の良心だと私は思いますが、どうでしょうか。疑わしきは罰せよというのが裁判官の良心ではなくて、その逆の、疑わしきは罰せずというのが私は裁判官の良心だと思いますが、その点はどうですか。
○島田最高裁判所長官代理者 その点は委員御指摘のとおりだと思います。
○小森委員 そうすると、人によったら、死刑になればこれはもう取り返しかつかぬことなんで、生命は復元できないですからね、これはもう全然いかぬので、だから神ならぬ人間のすることであるから決定的に命を奪うようなことはいかなる場合でも避けねばならぬ、こういう私は私なりの考え方を持っているわけですが、しかし死刑に至らない問題でも、社会的に復元不可能、社会的に復権というか復元、もとの立場が復元不可能というようなことになりますと、当人は致命的な打撃なんですね。私は横手さんがどの程度政治的な力を持っておられるかよく知りませんけれども、これだけのダメージを受けたらそれは代議士に返り咲いてくるということはなかなか難しいんじゃないか。まあこの第二審判決が正しいとしてですよ。第二審判決が正しかったとすれば、この人はぬれぎぬを着せられて大変な迷惑を受けた、こういうことになるわけであります。この一審も二審もその辺のところ、裁判官の事実認定が一致すればこの上はないが人間だから一致できないこともあるというような意味のお話でございましたが、受ける方はそういう理屈では納得いきませんよ。自分はこれはやり返しかつかぬ、やり返ることができないというようなことで一定の時期にダメージを与えられたら、受ける方はどうにもなりませんよ。 これは、非常に深い思想だと私は思いますけれども、憲法第十三条に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利についてはこ「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」これは私はびしっと言っておると思いますな。言葉をかえて言えば、個人の権利とか命というものは地球の目方より重いという言葉がありますよ。それだけこれはもうかけがえがないんですね。そうすると、かけがえのないことを、しかし裁判では一審と二審との間で、多少の思い違いがあったがアバウトとしては合致しておるというぐらいなら人間だから私はそれはそれで、よいとは言わないけれどもまあやむを得ないと思いますけれども、ごろっと違うというようなことが、金を渡したとか渡さぬとかいうようなことについてごろっと違うようなことはちょっと私は許せぬと思います。どっちがが事実認定について手を抜いておるのじゃないですか。手を抜かなかったらそういうふうに全く違った結論になるわけがないでしょう。
○島田最高裁判所長官代理者 手を抜いたと言われますと甚だ心外でございまして、私ども、先ほど来申し上げておりますように、裁判官といたしましては自分の出す判決の影響というものを、その影響がいかに深刻であるかということは十分身にしみて感じ取りつつ日夜努力して真実追求に向かって一生懸命にやっておるというふうに理解しておるわけでございます。 ただ、その判断といたしまして、先ほど申しましたように食い違う証拠が二つある場合にそのどちらを信用するか、それはいろいろ微妙な問題もございまして、確かに現行犯逮捕でしかも写真まで撮っであるというような事案ならいざ知らず、密室で行われて人の供述に頼らざるを得ないというような場合に、いろいろな角度から検討し、そして経験則上の推測などを重ねて、どこまで確実に認定できるかという点で積み上げて心証を形成していくわけでありますが、その過程においてどの要素をどれだけ重く見るかというような点につきましてはやはり個々の裁判官で若干の差異があり、それが最終的には結論が二つに分かれることになることもあるということを御理解いただきたいと思います。
○小森委員 それは専門の法律家からすればもうやむを得ぬんだというようなことになるかもしらぬが、我々のような立場からすると、そういう間違った、これはまあどっちかの裁判が間違っておるということになるんだが、間違った裁判を受けて、最終審の場合は特に被害が大きいけれども、一審だって、その一審の裁判によって社会的な信用を落として、今まで自分が一生涯かかって営々として築いた立場というものを一挙に崩壊をさせて、そして後になってからにあれは迷いだったと言われたんじゃ、その人の一生というのは一度しかないので繰り返しできぬのですからね。そうなると、それは島田刑事局長が言葉の上で言うような簡単なものじゃありませんよ、人間の生涯というものは。そうなると私は、徹底して裁判官というものはその事実認定のためにやらなければいかぬし、そうなると、先ほどの話じゃないが、人数が足らぬというようなことにもなるんじゃないかと思うのですよ、本当にやろうと思うたら。 それで、事実認定という問題について、やはりその前段、捜査当局が出してくる調書にも相当私は影響されるんじゃないかと思いますね。同時にまた、捜査当局が出してきた調書の中身にも影響されるが、人間関係にも影響されるんじゃないかと思いますね。いわゆる検事の顔を立てる、こういうのがあるんじゃないかと思いますね。これは素人の側から簡単に言うと、いやそんなことはありませんよという答弁が返ってくるかもわからぬけれども、私はそういうふうに思いますね。割合弁護人が主張することについては軽くあしらって、検事の主張することに重きを置いて、例えば証拠の採用等でも、時々裁判所に行って聞いておりますけれども、かなりこれはやはり検事の肩を持っておるなというような感じのする場合があります。 そこで、捜査段階で誤った捜査をして、そしてその捜査の結果を裁判所へ、その調書その他を裁判官に見てもらうという訴訟法上の手続の段階に入ると思うのですが、誤った捜査をしてはならないということについて検察官の方はどういう心構えで臨んでおるんですか。
○濱政府委員 お答えいたします。 非常に大きな問題でございますけれども、例えば被疑者その他の関係者の供述を信用できるかどうかというような点について、十分吟味をしなければならない。その吟味をするについては、例えば客観的な証拠物あるいは現場の状況等を十分調べた上で、その被疑者、関係者の供述と合致するかどうかというような観点から、被疑者、関係者の供述の信用性を慎重に判断して真相を見きわめるという努力を検察官としてもしているものと思いますし、常にそういう心がけを怠ってはならないというふうに思っております。
○小森委員 実は、当法務委員会で、昨年であったと思いますが、私が質問の材料とさせてもらいました大阪高槻の選挙違反の事件、これは、何も私の政党でないので、私が肩を持ってやっておるということにはならぬ、これはもうだれにもわかっていただけると思いますね。 自民党候補者の問題で、百何十人かの人が引っ張られて次々に供述をとられた。そして、判決が出たときにはもう何人か死んでおった、年をとっておるから。それで時の法務大臣は、まことにこれは迷惑をかけて申しわけなかった、こういう意味のことを答弁されました。そのときに私は調書を取り寄せてずっと読んだのです。かなり強引なことを警察がやっておる。それから関係者の話を、私は高槻のその地域へ入って十人ばかりの人に会って話を聞きました。そうしたら、おまえ白状せぬのならあしたはパトカーでお前の家の前に迎えに来るぞ、そうするとおまえの孫が学校へ行くのに、うちのおじいさんが連れていかれそうなんでといったら風が悪くて行くまい、それだから、一回か二回でこらえてやるんだからとにかく自白せい、こういうような形で捜査しておるわけですね。 それから、警察官もそういうことをやっておるんですけれども、今度検察の段階で非常におもしろいのは、検察官の調書を読んでみると、間違いがなかろうな、はい間違いありません、この点は間違いなかろうな、はい間違いありません、こういう調書になっておる。私はちょっとその端くれを読んだのです、この間の法務委員会の質問で。そうしたら、これから気をつけてそれは捜査の正確を期さねばならぬという意味の答弁であったわけですけれども、ちょっと裏話めいたことをしますが、そのときの刑事局長が、法務委員会が済んでから帰りしなに私の横を通った。小森先生、念のために尋ねるんだが、今、間違いありませんな、間違いありませんなといってあれは書いておったのは警察の調書でしょう、こう言ってきた。冗談じゃない、検察官の調書ですよ。そうしたら、声が出なかった。首をかっとひねって、こうやって首をひねっておった。 それは、検察官の方が法律的な知識が豊富で水準も高い、一般的にはそうですよね。中にすぐれている警察官も、司法試験に通るぐらいの勉強をした人もおられると思うけれども、一般的にはやはり検察官の方が高い。よくも検察官ほどの知識を持った者がこんな調書を書いたものだ。そういうところが間違いであの高槻の事件になっておるわけでしょう。それで、汚名を着せられたまま死んでおるわけでしょう。私は仏さんにも参りましたよ。ある老婆がひとり暮らしをしておって、それで状況を聞きに行って、しかし少しでもそのおばあさんの気持ちを慰めなければいかぬと思って仏さんに手を合わせたですよ。 だから、言うこととすることのギャップが現実は相当ある。これは、行政の最高の指揮監督する立場にある人は、そこに相当のギャップがあるということを考えてきちっとしたことをやってもらわないと、ずっといろいろなことが続きますよ。そういうことは、これは私はもう答弁もらったって、どうせそれは今の検事はわからぬのが多いんだというような答弁にはならぬわけだから、それは私は仕方がないと思うけれども、きちっとそこらはやるように厳正を期していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 さて、次の問題で、一つの具体的な事実、これも事実にはこだわらないということを申し上げておきましょう。その私が今から言う事実にはこだわらないが、一般論としても十分な意味があるわけで、ある殺人現場を特定する際に、事件全体の構造とすれば、ここで頭に大きな傷ができて血が流れている、こういうときに本人の、本人のというのは被告人の供述を裏づけるために、その死んだ人が傷ついてそこでかなりの血が流れておるというときには、これはもうルミノール反応をするというのが本当でしょう。ルミノール反応をとって殺人現場を特定するというのが本当でしょう。その点はどうですかな、刑事局長。 〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
○濱政府委員 私、捜査の鑑識の専門家ではございませんから、私の知識の範囲内でお答え申し上げますと、実際に犯行が行われた現場がどこであるか、いずこであるかということについては、いろいろな角度からその取り調べをすると申しますか、鑑識の知識を活用して特定するように捜査を進めるものというふうに考えております。
○小森委員 何か私がこういって言うと、ぽこっと最後に一つの事件が出てきて、抜きも差しもならぬようになりはせぬかというような気持ちがあるのかもしれぬけれども、このここで殺したというところでその死体をみれば頭蓋骨骨折で、それはもう明確に頭蓋骨骨折なんですよ。だから、法医学関係のお医者さんから言わせれば、牛乳瓶の二合瓶一本ぐらいは血が流れておるだろう。そうしたら、本当にそこで殺したのか殺さぬのか。本人は否認しておるわけですから、最初これは誘導されて自白して後には否認しておるわけですから、それでどこで殺したのかといって、誘導尋問のときにはあそこで殺したと言っておるのだから、否認されたらいかぬから、そこで本当に殺したか殺さぬかということをまずは場所を特定するというのが、私は捜査のこれはイロハのイの字だと思いますがね。あなたがいろいろな方法がある言うたって、頭蓋骨骨折で血が流れておるということになったら、本当に事件を先ほど来の議論のように一つ一つ事実をきちっと決めていかないと、とんでもない誤判になったり当人にとっては冤罪をかぶせられることになるわけですから、やるのが本当じゃないですか、ルミノール検査を。どうでしょうかね。
○濱政府委員 先ほどお答えいたしましたように、一般的には、その時点における科学の最高水準の方法をもって犯行場所を特定するということをいろいろな方法でやるんではなかろうかというふうに思っておりますが。
○小森委員 どうも奥歯に物が挟まったような言い方ですが、例えば血液なんかが流れておったか流れておらぬか、そのことが殺人現場を特定できる唯一の方法というようなときに、ほかに何かあるんですか、血液がそこに流れておるかどうかを調べる科学的な検査は。地面だから、我々のように目がしょぼしょぼしておったら、ある程度時間がたったら全然わからぬですからな。だから、ほかに何かあるんですか、ルミノールみたいなものがあるんですか、検査が。
○濱政府委員 いや、私先ほど犯行場所を特定するためのいろいろな方法を考えるであろうと申し上げましたのは、その今の委員おっしゃるようにルミノール検査だけではなくて、私は捜査鑑識の専門家ではございませんので、それ以外にいろいろな方法があるのではないかと私は考えておりますけれども、いずれにしましても、御指摘のように血液反応があるかどうかというようなことは、通常の強力犯というか、そういう殺人とか傷害事件の捜査においては、犯行場所を特定するための方法として使う方法ではあろうというふうに思います。
○小森委員 それで、実はある事件に関して、以前当法務委員会におきまして社会党の横山委員が、○○事件の殺人現場を特定するためにルミノール反応の検査をやったかと、こういう質問をしたことがあるんです。そうしたら、やりましたいう答弁があったんです。やると言うのが本当ですよ、それは。やったんだろう思いよったんです。ところが、今度は前言を翻して、しばらくして、次の委員会がどれくらいたってからか、私はここに議事録持っておりますから議事録をよく調べればそれはすぐわかることなんですが、実はあれはやっておりませんでしたと、こうなった。こうなると、幾ら事実を認定するために努力するんだと言って先ほど来のような答弁が最高裁からあったとしても、ちょっと信用できぬね、これは。それはやっておりませんでしたとこう言う。それでどこをやったと言うたら、それから二百メートルほど死体をこう抱えて、犯人と思われる者が、これは今つながれておる人のことを言うんじゃないんですよ、真犯人がですよ。雨がしょぼしょぼ降る関東ローム層でずるずるする中を、六十キロほどの女の子の死体を抱えて二百メートルほど向こうへ行って、芋穴へ逆さにつった言うんですね。ルミノール反応はそこでやった言うんですね。もう血が凝結してしもうたんですよ。血が凝結しておる死体を持っていったところはルミノール反応をしたが、殺人現場は、判決文ではそこが殺人現場になっておるでしょう。そこはルミノール反応をやった言っていて、次の議会でやってないとこう言う。あれは間違いでしたと。二百メートルほど向こうをやったんです。そういうようなことが考えられますか。これはますます私は不信感を抱くんであります。 どうですか、島田刑事局長、そんなことになっていたら、これでも裁判官が事実認定をしっかりやったということになるでしょうか。捜査段階でこれは事実認定を誠心誠意やったということになるでしょうかね。
○島田最高裁判所長官代理者 裁判所といたしますれば、裁判所、法廷で提出された証拠で、しかも証拠能力のあると認めた証拠、そのすべての証拠について慎重に検討して判断する。もとより、その証拠に例えば今お話しのありましたように当然あるべきであるにかかわらず出てこないような証拠があるというようなことになれば、それはまたそれで何らかの、心証形成に当たりそれは何であろうかというようなことで、影響はあると思います。またそういう点については、疑問に思えば立ち会いの検察官にも十分に釈明をして、その辺についてあるものは提出させる。また、なければないでなぜないのかというような事情を釈明する。そういうようなことで、裁判官としては、実際のどのような事件に当たってもそのような態度で臨んでやっていくんだろうと思います。
○小森委員 まあ、法務省の刑事局長から答えてもらってもよいけれども、恐らくは同じようなことを言うんじゃないかと思います。しかしこれは、国民が疑惑を持ち、特に関係者、近い者が疑念を抱くということはぬぐい切れないよ、今のような刑事局長の答弁では。当然初歩的にだれでもいや応なしにここが殺人現場だということが特定できるような方法が厳然としてあるのに、それを一遍は、どういうわけでやったと言うたか知らぬけれどもやりましたと言い、次はやりませんと言い、それは私はやったんだと思うんですよ、やったけれども、つまり反応が出なかったんじゃないかと。そこで、反応の出なかったルミノール反応の報告書というものが表面へ出ると、何だ、殺人現場の特定もできていない殺人事件で最初は死刑判決を出す、次にやっと、どういうことでやったんか知らぬけれども、無期にちょっと下げておりましたけれども、そういうふうなことでどうして国民が納得がいくでしょうかね。 それから、弁護団が一生懸命になって、やったと言うからやったのか思いよったら、いややっておりませんでしたと言ってまことに理不尽なことを言うので、つまり刑事局がそういう理不尽なことを言うので、弁護団は、そのときのその事件を担当した○○県の県警本部の刑事部鑑識課の担当者と面会をしていろいろと尋ねた。尋ねたら、これはその尋ねたのを、録音テープを起こした文章なんですよ。時間の関係で要約して言いますと、それは私はやりましたよと、鑑識課。やりましたよ、それは出してますよ、反応なしだったので反応なしと言って出しておりますよと言うんですね。ところが裁判所では、それはそういうものは出ないままに裁判をし、ここで聞いたら――以前横山議員が聞いたんですよ。名古屋から出られておった横山議員でしょう、聞かれたんですよ。そしたらありますと言っていて、その後また、それじゃひとつそれを見せてもらいたい、どうだったか結果を知らしてもらいたいと言うたら、いやあれはありませんでしたと。鑑識課のあの関係者は、いややっておりますと。これだったら最高裁刑事局長、その事実を認定したということにならないんじゃないですか。いかにやっても、それはそれで拘束されておるのですよ。
○島田最高裁判所長官代理者 当初お断りいたしましたように、具体的な事件について余り立ち入ったことを私はここで申し述べられないわけでございますが、やはり一般論として申し上げました場合に、例えばルミノール反応の点で申しますと、裁判官としてはルミノール反応の検査はやったのではなかろうかという疑問を持つことは大いにありましょうし、また検察官の方もルミノール反応が出てないということ、実際にルミノール反応の検査をやって出なかったという場合に、それはいわゆる積極証拠、つまり有罪に持っていくための証拠としては意味がないということから法廷に出さなかった。しかし後々その点が問題になって、弁護人との間でもその辺についての論争が持ち上がれば、いかなる段階かにおいて後でその検査結果を出して、その検査結果によればルミノール反応は出てない、そういう検査結果を後から証拠として出すということもあろうかと思います。 あくまで一般論として言えば、そういう場合に、今度裁判官といたしましては、果たして、殺人現場でルミノール反応が出ていない、出ていないからそこはやはり現場でなかったのか、それとも現場でありながらなおかつルミノール反応が出ない場合もあり得るのか、その辺については例えば血液が多量に流れ出ても雨等が降ってそれがどの程度まで残るものか、そしてどの程度後ならばそのルミノール反応が出るものか出ないものか、そのあたりについて場合によっては専門的な鑑定人を呼び出して、お願いして専門的な鑑定、専門家に鑑定をさせるというようなこともやるでしょう。そういうようなことで、要するに裁判官といたしましては疑問がある点についてはあらゆる手だてを用いてその疑問を解明しつつ、真実発見に向かって努力しているというふうに理解していただきたい。
○小森委員 いや、それは島田刑事局長が言うようなことをしておれば納得がいくのですよ。仮に検察側がこれを出したら、血が流れていなければいかぬところに血が流れておるという反応が出てないのだからこれはもう隠そう、あることだと思いますが、しかしそれでは本当に裁判の公正を期す前段の捜査ということにはならぬと思うけれども、しかし人間のやることで、それくらいの差し繰りはするんだと私は思う。だからこそ今まで頑張って頑張って頑張り切らなければ死刑判決を受けておる者が再審請求で何十年もたって、およそ一生、元気で動ける間はほとんどむだに過ごしてやっと獄中から解放されるというような悲惨な事実というものはその辺から生まれてくるのだと思うのだが、しかし検察側がそういうことをしたからといって裁判所がそこのところを、今言うようにルミノール反応がないのならないで、そこから先をどういうふうに事実認定をされるかということでされておれば問題はないのです。ところが、それは無視でしょう。だからますますもっておかしいのです。権力ぐらい怖いものはないですよ、暴力団も怖いけれども。私はこの衆議院に出る前に暴力団に十カ月、長崎の市長がやられたようにやられたよ。けれども、私の場合は自分で自分を守るいろいろな力を持っておった。それはもう私は最後には、ペンは剣より強しということを言うたけれども、それは相当の労力やなあ、彼らの悪事を暴く文書を広く私の選挙区全体へ配るということは。三日に上げず配らなければいかぬのだから、毎日車動くんだから、五十台も六十台も。それは怖いよ。怖いけれども、これが悪いことしたらまだ、どれだけ本気でやってくれるかは別として、警察もあれば裁判所もある。しかし、裁判所が変なことをしたら言っていく先がない。だから私は権力は怖いと言うのですよ。そのために徹底した事実の認定というものを裁判所はやってもらわなければいかぬのであります。島田刑事局長は、あの大きな石を積み重ねた、どこからでも来い、てこでも動かぬというような裁判所の奥深くにおるから今のような理屈が純理論として言えるんですね。しかし、実際はそうなってないんだから。だから我々は疑念を抱くことになる。 もう一つ言いましょう。ある犯人の地下足袋、犯人が犯行時に使ったと言われる地下足袋を押収しておるわけです。私はこれは高等裁判所の裁判に傍聴で入っておったんだから。その地下足袋を履いて悪いことをした。当然捜査官はその地下足袋の跡を土の上に石こうを流して型をとるわな。そのとった石こうの型と地下足袋と大きさが違っておった。これはここに判決文があるけれども、へ理屈つけておるのですよ。それは、ぐっと踏ん張ったら地下足袋は大きくなるとか、あるいは少し湿っておったら動くときには少しずつずれる。後先石こうを流したら大きくなる、地下足袋が。そういうことを言って、だからこの地下足袋だろう、こう言っていた。これはその大きさが余り違わないと疑いは持てるわな。しかし、疑わしきは罰せずよな。私は、これは裁判官は事実認定で大きな過ちをしておると思うのは、裁判官自体が地下足袋を履いた経験があるのかということを言いたいのです。地下足袋を履いた経験ない者が、わしらみたいに十年も十五年も地下足袋を履いて働いた者から言えば、地下足袋というのはどういうものかということはわかっておる。大きい足を突っ込んだら地下足袋が少し大きくなるようなことはあり得ぬわな。人間の骨や肉であれだけのがんじがらめの地下足袋へ足を突っ込んでそれで地下足袋が大きくなる、履いたことのない者が勝手なことを言っている。ゴムだけでふわっとした風船みたいな靴ならそれは大きくなるかもわからぬよ。それで、もし少し後先へ三ミリとか五ミリとか動いて、そして土の上に石こうを流したら大きくなるというなら、その地下足袋についておる紋様も大きくならなければいかぬわな。山形の紋様なんかついておるでしょう、滑りどめに。高いところで仕事をするとび職なんかはそれがかかりになって事故を起こさずに足場の上を歩くのだから。そんなことだってやってない。事実審理というか事実認定のための努力をしてない。もうさまざまな疑念が出てくるのですね。 だから島田刑事局長、口で言うのはみやすいけれども、実際問題はよく事実を調べて、いいかげんなことを言ってからに判決文書いてはいけませんよ。撚糸工連の場合もどっちかがいいかげんなことでしょう。だけれども、竪山裁判長の今までの状況というものほかなり入念に事実を調べられておるから、ほかの事件でも事実をしっかり見るということの定評のある裁判官だからかなり私は調べられたんだと思うけれども。そうなると裁判官の持っている自由心証主義というのは一体何物かということになるのですよ。それで死刑を受ける者はもうどうにもならぬじゃないですか。どうですか。裁判の公正ということで、憲法に書いてある公正にして迅速な公開裁判の迅速の前の公正ということについて、私はもう少し裁判官全体として緊張して取り組むような、あるいは事件が多過ぎて集中できないのなら人間をふやすとか、さまざまな総合的な計画がないと、こういう冤罪に泣く者ができてくるのじゃないですか。ちょっとそれもまた答えてください。 〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
○島田最高裁判所長官代理者 委員がおっしゃるように、いやしくも無辜の者を処罰してはいけないというのは本当に刑事裁判の大鉄則でございまして、したがって、そういう意味での誤判が決してあってはならないし、そういう誤判を犯さないようにということであらゆる角度から私ども今まで努力してまいっておるつもりでございますが、ただいま御指摘もございましたので、それを受けて今後とも十分にその方向で努力してまいりたいというふうに存じます。
○小森委員 先ほどと同じような質問は、刑事局長、こっちの法務省の方の刑事局長からもいろいろ聞きましたが、この辺でひとつ法務大臣、いろいろ聞いてもらってわかっていただいた点もあろうと思うが、やはり法務省刑事局、その。もとで多くの検事の方が、それは検察庁があって仕事をされておるわけだけれども、行政的には元締めですから、法務大臣のひとつ心境なり決意というものを聞かせてもらいたいと思うのです。
○田原国務大臣 お答えします。 結果として捜査段階の自白の信用性が否定されるなどして無罪の判決が確定した事件について、こういうものについては、検察も反省すべき点はきちんと反省すべきであろうと考えます。検察もこうした点を厳に反省して、こうした事件がなくなるように努力を重ねていかなければならないと考えております。私も、法務大臣としていろいろこれから勉強してまいりたいと思っております。
○小森委員 それは検察官は検察官の立場で、あるいは裁判官は裁判官の立場で、完全に一〇〇%事実にのみ立脚して物を判断するということは人間だからできないと思います。幾らかはやはり先入観というものが入ると思いますよね。しかし、その先入観というものは経験則に基づいて合理的でなければいかぬと思うのです。ところが、自分が経験せぬことまで経験したかのごとく言うたりしもや私はだめだと思うね。 以前も話しましたけれども、被告が誘導尋問にひっかかって、死体を提げて歩いた、六十キロを二百メートル。これは六十キロの人形をつくって、私の息子は一メーター七十七、人あって体重八十キロ。ごつい。それに提げさせた。どれぐらい提げてこうやって歩けるか。十五メートルぐらいしたらばんと落とした。できないんだ、そういうことは。六十キロの生きた人間なら、それは体をびたっと密着してくれるから提げていけるけれども、もう死んで硬直化したようなものを提げていくというようなことは、死んだ体は自由にならないから、意思が疎通しないから、だから落とす。ところが裁判官がどうしてそれを信用しておるかといったら、前段の調書の中に検察官がどういう調書をとっておるかといったら、おまえ確かにそれを二百メートル運搬したのか、運搬しました、いや私は以前土方をしておるときにセメント袋を二俵ここへ提げて動きよったのですからと、大でたらめ言っておる。そうしたらそういう経験のない者は本当かと思う。今はセメント袋は四十キロだけれども、当時は五十キロだった。徳山セメントであろうがアサノセメントであろうが麻生セメントであろうが全部五十キロ。百キロこうやって提げて歩けるという者はおりませんよ。肩へ助けてもらったら、私も百キロを肩へ助けてもらって、一つは自分で提げるけれども次の袋は他人にぼんと助けてもらったら三十メートルや四十メートル、向こうのトラックのところまで行くことはできますよ。だけれども、百キロをこうやって行くということはできません。昔、青年団が六十キロの米俵を肩へ上げるのが、五十人おって二人か三人ぐらいしかおらなんだでしょう。私らの同級生はそうだった。そういう経験則から照らしても、経験している者はすぐわかるんだけれども、経験していない者はまことそうかいのうと思って認定するんだから危なくていかぬ、刑事局長。本当にこれは危ないですよ。 そういう事実認定の問題についても、私は非常に危険なことだとここで申し上げるし、それからついでのこと、この機会にもう一つだけ、以前から言うとることですから念を押しておきたいと思いますが、以前私がこの法務委員会で部落差別について、裁判官少し勉強してもらいたいということを申し上げましたところ、早速手を打たれた、これは聞いております。その後、継続してやっておられるでしょうか。なぜ心配するかといったら、これも裁判官からいったら、裁判官の経験則ということにはなかなかそういうことを経験できない。子供の折から被差別部落に生まれて、刻苦勉励して裁判官になったという人は、それはわかるよ。だけれども、本当の正味のところは差別の苦しみというのはわからない。だから間接的にでも勉強してもらって、その差別の苦しみなり差別というものがどういう社会的な状況の中で存在しておって、そしてそれが人間形成にどういうふうな影響を与えるかというようなことを知ってもらわなきゃ、事実認定で半端な捜査の資料が出てきたらそれへぱっと食いついて判断してしまうということになるから、私はこういうことを言いよるわけで、その後はどうでしょうか。多少やっていただいておるのでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 直接の所管ではございませんし、資料も持ち合わせておりませんので、詳しいことは差し控えさせていただきますが、委員御指摘のとき以降、司法研修所におきまして、研修の機会にその問題を取り上げさせていただいておるというふうに聞いております。
○小森委員 せっかく研修をしてもらっておるというのに、私がそれに対してまたあれこれ言うのも、一挙にそういうことを言う、非常にせっからな言い分だなあというふうに受けとめられるかもわかりませんが、この部落問題というのは、そこにも私持ってきていますけれども、同和対策審議会の答申の中でも分析していますね。一見見たところ何事もなきがごとくに見えるが、一皮むいたら大変な社会的な問題性がそこにあるという記述があるんですよ、この同対審答申の中に。なかなか私は、これは長らくかかって、佐藤内閣時代だけれども、専門家がよく議論した結果だと私は思っているんです。そうなると、せっかく研修してもらっているのにこういうこと言うのはよくないけれども、申しわけないけれども、一体その研修の先生、その研修の先生が偏見を持って物を言ってもらうような講師だったら、これは困ります。これはかえって逆になりますわな。一見何事もなきがごとくに見えるというその辺のところの知識しかない人だったら、これは困りますよ。その点をまあおいおい私は法務委員会でまた折に触れて話そうと思いますけれども、実は人権擁護局長という者がおって、私が一年ほど人権擁護局長にはかなり厳しい質問しよった。せぬようになったんよ、私は。もう法務省の人権擁護局には質問したってだめだ。今ごろになって従軍慰安婦の問題をどうするも言って、渡辺外務大臣はそれは何かあれせにゃいかぬと言い出して、まとまりないですよ。盧泰愚大統領が来たころに私がそういう質問をしたら、いや、人権擁護局の答えるところではありません、ちょっとここでけんかみたいになったことがある。我々が、この我々の先輩たちがあの忌まわしい戦争のときに、あるいは植民地支配のときにどういう人権上の問題を朝鮮半島に残したかということを、項目だけでも言いなさいと言つたら、言わなんだ。ちょっとけんかになった。 それで実は、これは法務大臣もよく聞いておいてもらいたいと思うのですけれども、今回出ました地域改善対策協議会の意見具申と、五年前の意見具申と、それから数年前の意見具申と、何回も出ておるのです。五年前のときが一番むちゃくちゃなことを書いておる。だから、この差別なんかいうものは相当の深い洞察力で見ないと、表面的に見ると、例えばえせ同和行為が横行すると、あいつらあんなことをするけんいかぬということになるでしょう。よく調べてみれば、商法改正に基づいて暴力団が、行き場のないやつが同和団体を名のって全国に六百ほど同和団体を名のるものができてきて、そいつらが悪いことをしているのに、本当の部落解放運動の方へ因縁をつけて法務省の人権擁護局は我々の方になすくりつけた、これはおいおいに話しますけれども。 そんなことがあったら、もっとそれは公正な人が講師になっておられると思いますけれども、どういう見方で裁判官にそういう研修をなさっておるかということもこれはまた大きな疑問なんです。司法研修所で、ある一つの法律理論の、学説としては多数派を形成しておる学説と少数派と学問的には両方教えて、しかもこっちが多数というぐらいのことは私は司法研修所で教えられると思うが、少数の意見だけがこれが本物だと教えたら、実際の法曹関係の実務のときには、そういう教え方だけをされておったら困るわな。それと同じような事態が生まれできますので、私はここで申し上げるわけであります。 要するに、裁判は予断と偏見を持ってやってはいかぬのでありますから、研修が始まった、ある程度定着した、その段階で私はこういうことを言うのですよ。研修をやりますよと言われたときにはありがとうございますと言うたのよ。しかし、二年もたったら今度はこういう問題がありますよということを申し上げるわけであります。まあ法務大臣、全体的な感想でもひとつ聞かせてください。
○田原国務大臣 同和問題に関しては、私も子供のときから近所に友達がおりまして仲よくしておった関係で、わりかしよく肌で感じて知っている問題と思いますが、こういう地位につきました以上、なおさら深く掘り下げて勉強してまいりたいと思います。そして、二十一世紀には差別のない時代になるという合い言葉がありますが、それに向けて一生懸命努力しようと思います。
○小森委員 地対協の意見具申も二十一世紀には全差別を解決したい、こういうことを言っておりますので、ひとつ本質を十分に見きわめていただきまして、法務省も、最高裁は裁判のあれですけれども、それぞれの持ち分において、この人間の市民的権利、人間の自由と平等に関する問題、これがまさに合理的な近代社会にふさわしい形で解決されるように、それぞれ努力をしていただくことを心から希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○浜田委員長 冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。 きょうは、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査でございますけれども、法務委員会でありますので、若干この法案審査から外れた一般的な問題もあわせて尋ねていきたいと思います。 まず、裁判官の定員法の問題でありますが、先ほど伺っておりますと、平成四年度は六十九名の判事補の方が任官されるように伺いました。これらの方々、新任地で官舎を求められるわけでありましょうけれども、特に三大都市圏における判事補任官者の数、それとその居住状況についてお伺いをしておきたいと思います。 官舎にはもう十分に入れるのか、あるいはその方の御都合で自宅から通いたいという方もありましょう。そういう方は除きましても、もしどうしても借家を求めなければならないということになりますと、こういう時節柄でございまして、特に三大都市圏、その自己負担部分というのは大変なことになると思うわけでありまして、判事補をたくさん求めていかなければならない、後でまた議論したいわけですけれども、そういう意味から、こういう方々の住まいの確保は大変重要だと思いますので、その点からまずお伺いをしておき、たいと思います。
○仁田最高裁判所長官代理者 委員お尋ねの、東京、大阪、名古屋で任官いたしました判事補は合」計五十七人でございます。この任官者のうち、宿舎を希望する者につきましては全員にこれを貸与するということにいたしております。 ところで、この五十七人でございますけれども、実際に宿舎に入居いたしました者は三十八人、それから自宅が六人、それから修習地がもともと東京、大阪、名古屋等で、修習生の時代から住んでいて、そのまま借家をする、宿舎を希望しないということで、借家に入っております者が十三人でございます。いずれも、希望いたしました場合には入居を認める、こういうことにいたしております。
○冬柴委員 私、この質問は、当選以来再々させていただいたのですけれども、非常に改善されている。喜ばしい限りだというふうに思いますので、十三人の方は自分が求めなかったわけですから、その方まで入れ、そういうことまでは申しませんけれども、その面でなお一層、量とともに質も向上に努めていただきたい、このように思います。 それから、そういう意味で、官舎が相当充足率が高いということは喜ばしいことではありますが、私六十一年に当選させていただいてから、すぐから以降、裁判官の職務の特殊性と申しますか、今は裁判所の庁舎の改善等も随分進んでいるようでありまして、宿舎で仕事をしなければならない、すなわち宅調というようなものは随分減っているように伺っておりますけれども、しかしながら裁判官、祝日であろうが休日であろうがあるいは深夜であろうが、その人のそういう傾向も反映してでありましょうけれども、私どもも夜にならないと勉強ができないというような性癖があるわけですけれども、やはり家族と隔絶をした一つの静ひつな自分のゾーンといいますか書斎といいますか、これは裁判官にとって決してぜいたくではない、このように私は思うわけであります。 そういうことで、私は六十二年十二月八日にも法務委員会でお尋ねをしたのですけれども、少なくとも家族の生活ゾーンと区画された空間、すなわち書斎のようなものを確保してはいかがか。それから二つ目は、そこへ作りつけの書架、書棚の設置を考えられたらどうか。三つ目は、たくさん配本される最高裁判所及び下級審の判例集あるいは報告書や研究書等のたぐいのいわゆる白表紙本、こういうものを備えつけたらどうだろう。転勤のたびに持って歩くというのは、三回転勤をすれば一回火事に遭ったようなものだというような話を聞きますけれども、裁判官の転勤、十年間には三回はやられると思うのです。そういうことを考えますと、作りつけのそういうもの、そういう必須の備品類、こういうものは用意をしてはいかがかということを私は六十一年以降聞いているのですけれども、もしそういうようなものについて現在までに配慮されているのであれば、その状況等お知らせをいただきたい、このように思います。
○仁田最高裁判所長官代理者 裁判官の宿舎につきましては、委員御指摘のとおり、生活の場でありますと同時に仕事の場でもございます。その意味で書斎等を含めました宿舎の充実には従前から努めてまいりました。昭和六十三年にもこの委員会において委員から御指摘をいただいたところでございますけれども、昭和六十三年度以降平成三年度までに整備をいたしました新しい裁判官宿舎は百七十五戸ございます。これにつきましては、自宅起案などの執務が可能なように、すべて書棚つきの書斎を整備をいたしました。既設の宿舎につきましても改修の都度可能な限りその整備を図っていきたい、そのように考えております。
○冬柴委員 私の質問だけじゃありませんでしょうけれども、その質問を契機にそのように改善されている、非常に喜びを感じるわけでありますが、ぜひそういうものも、指摘しただけのことじゃなしにきめの細かいそのような環境整備といいますか配慮、こういうものによって修習生の中から任官者が少ない、そういうことが少しでも改善できるのではないか、このように思いますので、そのような方向でぜひひとつ今後も努力をしていっていただきたい、我々も十分応援をさせてほしい、このように思っておりますので、引き続き御努力を期待をいたしておきます。 次に、きょういただきましたこの資料の中に、民事第一審の対席判決を終了原因とする事件の審理期間別件数というのを二十五ページに初めて、従来なかった統計でございますが、載せていただいたこと、これも私がねて指摘をしてきたことだけに喜びを感じるわけであります。 しかしながら、これを見てみますと、上の表は従来ずっと配っていただいた表でございますけれども、上の表の平成二年度の一審の終了までの平均審理期間が地裁で十二・九カ月、簡易裁判所は三・一カ月、このように書かれております。もう実務を離れて数年になってしまいましたけれども、私の感覚からいくと、自分らの感覚ではもっともっと長いはずだけれどもな、もしこれぐらいで判決をいただくのであれば、なお民事裁判の訴訟遅延も言うのは若干酷だし、ぜいたくじゃないか、こんな感じも受けるのですが、やはりその中から取り下げとか和解あるいは請求放棄、認諾、そういう対席して本当に当事者が争った結果判決をいただいて終了した事件、そういうものの民事裁判がどれぐらい判決をいただくまでに期間がかかるかということが我々の意識に上るものでありまして、当事者が訴えを起こしたけれどもすぐ取り下げてしまったとか、訴えを起こしたけれども誤りだったからもう私は請求を放棄しますとか、訴えを起こされた人がそれはもう言われるとおりでございますということで頭から認諾するとかあるいは和解、随分多いと思うのですが、そういう真剣に争って判決をいただいて一審が終了した、それについてまさに我々はその期間がどれぐらいかかっているのかということを知りたいわけでございます。 今回初めて資料としてちょうだいをいたしまして、これはありがたいわけでございますけれども、この11表、すなわち下の表を見てみますと、平成二年度で平均して約一年で終わっているという上の表と対比して見たときに、一年以内に判決をもらっている事件というのは、六カ月以内が二六・四%、それから一年以内が一七・七%ですから、足し算をいたしますと約四十数%が、半分以下が平均以下で終わっているということでありまして、一年以上あるいはもうずっと五年を超えるというのも五・一%ある。まさに訴訟が長くかかる、裁判所に持っていけば費用と時間がかかる。これは一審ですから、ここまできたのが、判決をいただいてもまた二審、三審といけば軽く十年近い期間がかかってしまって、もうそれをいただいたときにはその争い事自体が陳腐化して経済状態も変わってしまう、こういうことが言われて久しいわけであります。 民事事件における訴訟遅延、こういうものが言われて久しいのだけれども、その原因が何だろうということについていろいろな場で専門家を交えて検討されている中で、ひとしく挙げられるのが裁判所の人的、物的体制の不足ということであります。また司法予算、これは国家予算が本年度七十七兆を超えるわけですけれども、その割合は、三権分立とはいいますけれども司法の予算は占める割合が非常に小さい、これは客観的事実であります。そういう裁判所側の問題とともに、当事者の側にもあります。先ほども同僚の委員に対する政府の答弁の中にもありましたけれども、当事者の記述が中に入らない、あるいは当事者の準備不足、これは言語道断といえばそうですけれども、そういうことももちろん挙げられているわけであります。しかしながら、裁判所側の人的、物的体制不足ということはひとしく挙げられているわけであります。いろいろと申しましたけれども、その観点から裁判所側のお考えを伺っておきたい、このように思います。
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、対席判決の審理期間が二年を超えるものが結構たくさんあるということで、しかも特に大型の訴訟になりますと、委員御指摘のとおり場合によっては十年を超える、こういう事件があることは私どもも承知いたしております。そして、こういった訴訟事件の、特に民事訴訟事件のおくれと申しますか、迅速性に問題があるのは主としてあるいは専ら裁判官の不足である、こういう御意見があることも承知しておりますが、私どもは必ずしもその意見は当たっていないのではないかと思っております。やはり裁判所を含めた訴訟関係人全体の訴訟手続の進め方と申しますか、訴訟審理の運営の仕方というものに一番大きな原因があるのではなかろうかと思っております。 しかしながら、委員御指摘のとおり、裁判官の数もふやしていく必要があるということも私ども認識しているところでございます。ただ、御承知のとおり、裁判官の数をふやす場合には、充員の可能性と申しますか、裁判官のなり手を確保するという面がございますために、しかも裁判官となるためにはある程度質の高いものを要求されるわけでございまして、その点からも制約がございまして、なかなか抜本的な裁判官の増が図れない、こういう実情でございます。
○冬柴委員 これは私も十分その実情を承知した上で申し上げているわけでありますが、やはり過去定員法の審査の際、私なりに提案したことがあります。それは、簡易裁判所判事の数をふやしまして、そして今特例を受けて判事補あるいは判事が簡易裁判所判事を兼任しておられる方があると思うのですね、四百数十名に上るそういう方々があると思われます。そういう人たちを一審に、地裁の方に引き上げる、そして簡易裁判所はやはり簡易裁判所判事を充足する。この簡易裁判所判事は御存じのとおり司法試験を通る人じゃないわけでありまして、別のルートで求められるわけであります。それからまた、現在日本弁護士連合会等の推薦という形で、組織からの推薦で弁護士からの任官の道、これは裁判所だけじゃなしに検察官についてもそうでありますけれども、こういうことが今行われようとして始まったばかりでありますが、私は大いに期待しているのです。こういう、弁護士から簡易裁判所判事を求めることはできるように思うわけです、私の感覚ですけれども。 そういうことを提案申し上げたことがあるのですが、そういう点について何らか御検討なされたことがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 裁判官の判事、判事補の中で簡裁判事を兼務している者があることは、委員ただいま御指摘のとおりでございます。それを専任の簡裁判事でもって賄って、それによって生じた余力を地裁、家裁に投入してはいかがか、こういう御指摘かと存じます。 ただ、兼務をいたしております者は必ずしも簡裁の事件をやっているというわけではございませんで、支部でありますとかそういったところで令状なんかの処理のためにやっているわけでございまして、兼務をやっているからといって必ずしも勢力の方は簡裁に行っておりません。ほとんどが地裁、家裁に行っておるわけでございます。 それはそれといたしまして、簡裁にもう少し弁護士から採用してはいかがか、こういう御指摘がございます。弁護士から簡裁判事になられる方、若干ございます。若干ございますが、これは数年に一人というような状況でございます。この点も引き続き私どもの方で努力してまいりたいと思いますが、当面は、ただいま御指摘のように弁護士会との間で進めておりますのは判事、判事補の方でございまして、そちらの方もなかなか当初の思惑どおりには希望者が参っておりませんが、私ども始まったばかりでございますので、今後引き続いて弁護士からたくさん裁判官に任官していただけるよう条件整備等を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
○冬柴委員 四百数十名に及ぶ判事の司法試験を通った方が簡易裁判所の仕事をしていらっしゃる、そういう方々全部を一挙に上に引き上げる、上というのじゃなしに、移す、そういう極端なことを申し上げているわけじゃなしに、できるだけそういう方向で司法修習生からのみしか求められないという発想を一部転換されてはいかがか、こういうことでございますから、引き続き、特に民事の第一審強化、対席判決についての審理期間を短縮する、そういう方向に向かって頑張ってもらいたいというふうに思うわけであります。 昨年度でも一昨年度でもいいのですが、統計のある近いところで、判事あるいは簡易裁判所判事の退官者ですね、これは退官は定年とか死亡もあるわけですけれども、途中退官の方、この方がどれぐらいいられたのか、新任の判事補の方とのバランスを見たいものですから、資料があればお示しをいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最近の一年間、これは平成三年四月一日からことしの三月三十一日までの数字を申し上げたいと思います。これはまだ現在進行中でございますので、若干見込みも入っております。 判事の減耗数でございますが、定年が十五、願免、任期終了が四十五、死亡が一で、六十一名でございます。この六十一名につきましては、それではどういう充員計画があるかということでございますけれども、四月以降につきましてこの六十一名を埋めたいというふうに考えております。方法といたしましては、判事補から四月に判事の任命資格を取得する者が五十名おります。そのほか検事に出向いたしておりまして帰ってくる者、それから先ほどお話がございました弁護士からの任官者、こういった者でこの六十一名は四月一日以降に埋めるという計画でございます。 それから判事補でございますが、判事補の減耗数は、過去一年間におきまして願免、任期終了が十二、死亡が一の十三でございます。この十三のほかに四月に判事として抜けていく者がございます。これが五十名でございます。それからただいまお願いしております増員分が七でございまして、七十名近くの者を埋めなければいけないわけでございますけれども、先ほど委員からもお話がございましたように、六十九名の者が判事補を志望しております。それから、日弁連から提出いただきました裁判官希望の弁護士の方の中には、判事補でという方がお一人おられまして、そういった方で四月一日以後充員が可能、このように考えております。 それから簡易裁判所判事でございますが、これも過去一年間の減耗でございますけれども、定年が八、願免、任期終了が二十、死亡が二で合計三十でございます。このほか、これから徐々に退官していく者がございまして、夏までの間に四十四名埋めなければいけないわけでございますけれども、簡易裁判所判事の場合には、主力が八月一日の選考による採用がございます。それと、これまでの判事で定年退官した者が簡裁判事に任官するという者がございます。そういったことでこの四十四を埋めてまいりたい、こういうことでございますので、過去一年間の減耗は四月一日以降においてほぼ充足される、こういう状態でございます。
○冬柴委員 この問題について法務大臣に御意見といいますか、お尋ねをしておきたいのですけれども、従来この裁判所職員の定員法はずっとこういうふうに年に一回提出をいただきまして国会で審議をするわけでありますが、いつも日切れ法案という形で出てまいります。今回もそうでありますが、三月じゅうに成立しないと司法修習生の行く場がないということで大変困るわけでございまして、我々も三月じゅうにということで毎年やっておるわけでございます。 この定員法を毎年出してくるというのはどういうことだ。これは過去にも何回もやっておりますので余りしつこくは言いませんけれども、先ほど人事局長からも答弁がありましたように、退官者が幾らで新任の方が幾らでという足し算をしまして、今回は七人退官者よりも新任の人が多いということで定員を七名ふやしてほしいという法律改正を提出される。何かその日暮らしという感じを僕は受けるわけでございます。むしろ定員というのはもっと長期的に、少なくとも数年を見通して、裁判所はどうあるべきだろう、先ほど来同僚の委員も質問されましたけれども、公正迅速というその命題を埋めるためには何名の裁判官がいるべきであろうか、いわゆるゾルレン、それを追うのが定員ではないか、サインではないのではないか、こういうふうにかねて僕は思うわけであります。 いろいろ技術的な問題があるようでありますけれども、そういう中で、例えば民事一審、地裁であればどれくらいの審理期間が望ましいか、憲法に言う迅速な裁判という要請を満たすためにはどれくらいの期間だろうか。そのためには一人当たりの持ち事件数が、先ほど言われたのも見方によれば大変多い。東京地裁民事通常一審二百十件を一人の裁判官が持っておられて、毎年新受件数が二百三十件あるということは、それを開廷日で割ればどれくらい、一開廷、十時から始まる時間に何件入れなければならないかということを計算すれば、裁判が非常に形骸化するというか、自分の裁判を傍聴に来た依頼者が、あれ、一体いつの間に私の事件は終わってしまったのですか、後ろにたくさんいる人は何のために来ているのですか、自分一人のためにきょうは開廷してもらっているように思いますけれども実は二十件くらい入っている、そういうようなことがあるわけですね。だから私は、定員というのはあるべき姿というものを設定をして、それに向かってあらゆる努力を集中をして、そしてできるだけゾルレンにサインを近づけていくというものが定員法ではないかなというふうに思うわけです。 そういうことで、毎年こういう法律を出していただくということは、年に一回裁判所とこういうふうにしてここの場で会って、平素聞きたいことをお聞きするすばらしい機会ではあると思うのですけれども、そういう機会は幾らでもとれるわけでありまして、行政の簡素化といいますか、そういうことを考えれば、それくらい考えてもいいのではないかなという感じを、私ずっと持っているわけであります。 法務大臣から、これは難しいことではなしに御感想で結構でございますから、定員法のあるべき形ということについての御所見を伺いたいと思います。
○濱崎政府委員 申しわけございませんが、事務当局からまずお答えさせていただきます。 これは毎年のように御指摘をいただいているところでございまして、私が答えますとまた同じような御答弁になって恐縮でございますけれども、裁判所の定員制度のあるべき姿がどうかということにつきましては、これは第一義的には最高裁当局の方で鋭意お考えいただいているところでありますし、また御指摘のような問題についても、私ども法務省の方でも裁判所と協力していろいろ研究をさせていただいているところでございます。 ただ、裁判官の員数、適正迅速な処理のあり方から、何人であれば適切かという数字をはじき出すこと自体が大変難しいことでございまして、これは裁判所からもいろいろ御説明がございますように、やはりいろいろな実務上の工夫あるいは制度の改正、そういったことと関連する問題でございますし、また先般来お話のあります充員の可能性ということも考えなければならぬということで、あるべき姿自体の策定、大変難しいというふうに裁判所の方から伺っております。 定員法につきましても、いわゆる行政機関の職員の定員法と同じような総定員法的な形というものができればということで、いろいろ裁判所でも研究され、私どもも相談を受けているわけでございますが、この問題についても引き続き検討していきたい。 ただ、なかなかそういった定員のあるべき姿を算定することは難しいという問題もございます。法務省といたしましても、そういった問題意識を持ちながら最高裁と協議を重ねてまいりましたが、司法試験制度の改革の影響でございますとか、法曹養成制度等改革協議会における議論等の進展も考慮しながら、今後も検討していきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○田原国務大臣 裁判所の定員の問題ですから、裁判の内容等がやはり絡みますので本来は裁判所自体の問題であると思いますけれども、一般的に申しますと、定員を策定する場合に、いろいろ一人当たりの仕事量ということ等から出てくるかと思うんですね。ところが、こういう裁判の問題というのは、普通の事業官庁の事業、道路一キロつくるのに何名ぐらい要る、そういうものとはかなり違った、非常にソフトな分野を扱うものでございますから、簡単には私は定員は出せないと思うんです。しかし一般論として、国家公務員の定員削減の問題と、一方で行政需要その他の需要の増大による増員の問題とあって、その差し引きの額がプラスになったときに定員増というわけですね。 それは人的予算ですから、職員の予算ですから、毎年予算の時期にやられるわけですから毎年当然やられていくんですが、一見場当たり的に見えますけれども、長い間に積み重ねられて、やはり経験的にどのくらい要るかということを想定しながら最高裁でお考えになっておると思うんですね。それを法務省として事務的に御相談しながら法律化して提案さしていただくというのが現状だろうと思いますので、私は先生のおっしゃる意味をよく踏まえながらやっていかなきゃいかぬと思いますけれども、非常に困難な問題という感想を申し上げたいと思います。
○冬柴委員 それ以上の論争はしませんけれども、ただ民事の裁判が件数が浮動する、近年ちょっと減りつつあるというのは喜ばしいのかそうでないのか、私は非常に疑問に思っているわけであります。これは国民の司法離れ、裁判所離れということをもし意味するのであれば、これはゆゆしい問題でありまして、我が国の新受件数、地裁、簡裁、二十万件ちょっとですけれども、これは法文化も歴史も沿革も違うアメリカと比較することはできませんけれども、アメリカのクエール副大統領はたしか、一審の新受件数一千八百万件という我が国の状態は国際競争力を著しく弱めているものであるというようなことをつい最近言われたことを読みましたし、アイアコッカも同じようなことを言われたことを聞いております。そこまで訴訟社会が望ましいなんて思いませんけれども、しかしそれと比べたときの日本の新受件数、非常に小さいのは喜ばしいのか、それとももうあきらめてしまって、二割司法という言葉がありますけれども、多くのもめごとというのは裁判所に持ち込まずに私的に裁判所外で解決をされている。そういうものが正義にかなったものでなければこれは法治国家とは言えない、こんなような感じもするものですから、私はこの際裁判所の人的、物的体制の強化、こういうものには、そのときばかりではなしにやはり中長期を見通した人員の確保、難しいでありましょうけれども、そういうことに努力されるべきであろう、このように思いますので、ひとつ御努力のほどをよろしくお願いいたします。 次の問題に移らしていただきます。 これはある市議会での興味ある論争、こういうものを取り上げてみたい。これは公立の養護老人ホームの共用広場に、仏像等の、特定の宗教の本尊といいますかそういうものが安置されているというのをめぐる問題であります。信教の自由という憲法上の基本的人権をめぐる問題でありますので、この際当法務委員会で取り上げることにいたしましたけれども、きょうは厚生省にもお運びいただいていると思いますので、お尋ねをしたいと思います。 議事録、これは要約でございますが、このA市議会での議員の質問があります。 A市の寿園集会室を見てまいりました。三十六畳の和室に舞台がつくられていて、舞台の背面奥は黒い暗幕状のカーテンが張られていて、ここで民謡、踊り、カラオケなど入園者の趣味、娯楽活動や慰問に来られた方々のイベントを行うように利用されている共用広間であります。 暗幕を開きますと、左右は押し入れになっています。これは引き戸になっているのですが、中央は観音扉になっていて、それを開きますと中に立派な仏像があり、前には経机や鈴とか線香が置かれてあり、仏像の左右には仏画の掛け軸がありました。これは紛れもなく特定宗教の祭壇ということが確認をされたわけであります。 観音扉は後からつけられたものではないと思われましたが、念のため、市の建設部から設計図を取り寄せてみますと、当初から五十センチ掛ける九十センチの場所前面に観音扉をつける形で設計されていたことが確認をされました。 これは明らかに、特定宗教に対する公金の支出ではありませんか。当局はどう考えられますか。 こういう質問をしておるのであります。 これに対して答弁は、時間もありませんので先に進みますが、本市養護老人ホームの寿園の娯楽室兼和室に舞台があり、その奥の押し入れ状スペースに仏像が安置されております。 この仏像は、地元の篤志家から寄附を受けたもので、もとより老人ホームとして安置しているものではございませんで、市の備品としての取り扱いもしていません。あえて申し上げれば、安置を御希望なさる方々の御意向を酌んでスペースを園が提供しているというような実態でございます。 近隣市の状況につきましても、公立を含めまして、多くの老人ホームでの仏像の安置はいわば通例のことでございまして、社会的にもお年寄りが神仏に手を合わせる場の存在につきましてはお許しをいただけるものではないかと思う次第でございます。 こういうやりとりがあります。 私も、県下十五の市町を調べてみますと、実に十四の市町の公立の養護老人ホームにこのような仏像があるということを知りまして、そしてただ一市、B市というところにある満寿荘というところは、昭和六十年に改築をしました。それまで安置してあった仏像を、内部討議とか専門家の意見を聞いた上、公立の老人ホームに特定の仏像を安置するのは難しいことではないかということがわかったので、御老人にも説得をして納得をいただき、仏像を近所のお寺さんに引き取ってもらったという事例があります。そして、その代替物と申しますか、園内には無宗教の石塔を建てまして、そこに「偲」という字を彫って、老人ホームで亡くなった方々の過去帳を供えた。それぞれ御老人がいろいろなお参りをするという方法をとって、現在では納得して喜んでやっておられる、こういう事例が一件あることを私は知りました。 非常に微妙な問題、難しい問題であることはわかっているのですが、厚生省、私が調べた十五でも十四まであるということですから、そういう実態は御認識あるのかどうか、まずそこからお聞きしたいと思います。
○中村説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生の御質問にございました養護老人ホームでございますが、老人福祉法に基づきまして、身体上、精神上の理由あるいは環境という理由のほか、特に経済的要件がございまして、いわば低所得の方で自分で自立てきない状況にあるような方を入所決定してお世話している施設でございます。このような養護老人ホームに今全国で六万五千人くらいの方がおられます。 お尋ねの、例えば仏壇とかの宗教上のそういったものが設置されているようなことについて調査があるか、どういうふうに把握しているかということでございますが、残念ながら、厚生省の方でそのような特定の設備について調査をいたしたことはございません。 ただ、このようなお話がありまして、該当の県で調査いたしましたところ、養護老人ホームにつきまして、四十三施設あったうち二十三施設でこのような仏壇なり仏像が設置されているというような報告は受けておりますし、私ども国及び都道府県、毎年一度施設の監査に参りますが、そういった折に集会施設とかそういったところにこのような仏壇的なものが設置されていることはよく見かけることであるという報告は受けておりますので、全国的に見ましても先生言われたような状況になっているのではないかと認識いたしております。
○冬柴委員 それに対する結論とかそんなことじゃなしに、実態がそういうことだということはわかりました。 私も選挙区内の老人ホームヘはよくあいさつに行ったり、お年寄りの方と話をしたり、あるいは映画を持っていって、選挙と関係のないときですよ、気持ちよく映させていただいて喜んでいただいたり、皆さんとお話をしたりするんですが、四人部屋が多いんです。それで、これはプライバシーはもう全然ないですね。ですから、この四人部屋の中で自分の信ずる宗教というものをお祭りをして、そして朝晩お経を上げるなりなんなり宗教行為をしようと思いましても、入所者の方に大変、同室者に気を使う、また同室者の方もそういうことを人にやられるとやはり気味が悪いとか、そういう感じは受けるでしょう。ですから私は、やはりこの高齢化社会に向かっているわけですけれども、我々も入らなきゃならない時期が来ましょう、そういうときのことを考えますと、プライバシーというものをもっと大事にする国でありたいな、そのように身内の人もいない、そしてそこへ、入らなければならないというのもおかしいですけれども、そういうときにほかに選択が許されないわけでありまして、自分の残された人生そこで送るわけですけれども、その中に安らぎとかくつろぎとかそういうものがないということは非常に寂しいことだと思うわけですね。私は、おじいちゃん、おばあちゃん、どうなったらいいですかと言ったら、二人部屋が欲しいですねと言う。何で二人ですか、一人にしてもらったらいいじゃないですか、一人はちょっと不安だ、二人部屋で、真ん中をパーティションかなんか家具で見えないようにしていただいたら、これがもう最高ですねと言う。そういうのが私の聞いた範囲の、御老人の気持ちなんですね。そういうことができれば、共用の宗教、これは日本人だからできるんだろうと思うのですね。やおよろずの神ですから。やはり自分の信ずる宗教というものは一つ絶対なものだろうと思うので、それを共用するところで祭るということには僕はそういう構造にもあるんじゃないか、その点について、ひとつ厚生省のお考えを伺いたい。
○中村説明員 お答え申し上げます。 ただいまの御指摘のありました養護老人ホームでございますが、老人ホーム、老人福祉法に基づきましてもいろいろな施設がございます。ただいま問題になっております養護老人ホーム、それから、昭和三十八年に老人福祉法ができたわけでございますが、三十八年以降つくられました特別養護老人ホーム、これは寝たきりのお年寄りなどをお世話する施設、いろいろなタイプがございます。 養護老人ホームにつきましては、これは戦前からあるいわゆる養老院、戦後は生活保護法に基づいて養老施設とされていたものを、昭和三十八年に制定されました老人福祉法に基づきまして、養護老人ホームとして引き継いで今日に至っているわけでございます。したがいまして、古い養護老人ホームは七十年あるいは七、八十年の歴史を持つというようなものもございまして、昔建てられたものが多いため、先生御指摘のように四人部屋というものもかつてはかなり多くございました。私どもは、やはり生活水準も向上いたしておりますし、国民のニーズも高まっているということで、できるだけ昭和五十八年から新築するものについては養護老人ホームについても個室化あるいは二人部屋にするようにという指導をしておりまして、最近では大体二人部屋が入所者の方の六〇%、それから個室が一五%というふうにふえてきております。なお四分の一くらい四人部屋など残っておりますので、これにつきましては建てかえの時期が来ているものからできるだけ早く整備をしてまいりたいと思っております。 御指摘のように、このような構造上の理由もあるのかも知りませんが、先生の御指摘にお答えする格好になりますが、養護老人ホームにつきましては、申し上げましたとおり生活の場としての性格を有しておりますことから、問題になっておりました事例の施設などにおきましても入所者の希望に応じて集会室にそういった信仰上のものを置いている、これは施設のものということではなくて、入所者の希望によって昭和十年から引き継いでいるものであったので建てかえの時期にもそのまま継続してしまったというような指摘を受けております。構造上の問題もございますので、できるだけプライバシーを配慮するように施設をかえていきたいというのが私ども一つの方針でございますし、もう一つ、宗教の問題につきましては、当然入所者の自由はできる限り尊重すべきであり、いやしくも特定の信仰を強制するようなことがあってはならないという点については強く指導をいたしておるところでございます。
○冬柴委員 最後の、便宜を図るというか入所者の御希望に応じてというところが私ちょっと気に入らないのですよ。これは、信教の自由の保障というものを完全にするためには、国家と宗教、地方公共団体と宗教、そういうものを隔絶させる必要がある。やはりそれはニュートラルでなければならない、申立てなければならない。なぜそうしなければいけないかということにつきましてよく考えれば、国家とか地方公共団体とかがある特定の宗教に対して優遇措置をするということは、それ以外の宗教に対して自由を抑えることになる。要するに、老人ホームの多くの人、例えば七割の人がそれを置くことを希望しても、残りの三割の人の意思を抑えることになる、その点を見過ごしてはならないと思うわけであります。それであれば、言われるものは全部応じますと言うたらどうなのだということですけれども、その場合は、信教の自由というのは宗教を信じない自由もあるわけですから、無宗教の自由もあるわけですから、宗教を信じる人たちのすべての要望にこたえて集会室にいろいろなものを飾るということは、これはそういうものを信じないのだという人の信教の自由というものを抑えることになると思うわけであります。そういうことを考えますと、私はやはりニュートラルであるべきだろう、申立てあるべきだろう、このように思うわけであります。 したがいまして、先ほど私が読み上げた厨子といいますか、そういう仏像を入れるものをつくったということは論外としましても、そういうものにはもっと厳しい認識といいますか、そういうものを持っていただきたい。それがすべての生活の場であるだけにやはり注意深くやってほしいと思うわけであります。 そういう意味で、法務大臣に申し上げるのも非常に管轄外の問題ですけれども、信教の自由というのは、私が今言ったように国家はやはりニュートラルであるべきだろう、そういうふうに思うわけですけれども、一言御所感をいただきたい。
○田原国務大臣 法務省の所管としてお答えするとちょっとおかしいわけですが、私政治家個人としてお答えするならば、まさに憲法で言われておるように、信教の自由というか、そういう面から見ますと、先生がおっしゃるように一方で少数の人を圧迫しているかもしれませんし、自由を抑えているかもしれませんので一ニュートラルであることが望ましいと思います。
○冬柴委員 次は、全くまた別のことをお伺いします。 外国人が随分ふえました。これは法務委員会の所管ですね。適法に入国し在留される方、これはどんどんふえていただいて結構なのですけれども、違法に、入国する人はどうなのか知りませんが、在留している人がふえておる。そうしますと、その人たちが必須に日本の国が生活の場ですから犯罪を犯すことになります。外国人をめぐる問題の一つの断面といいますか、暗い面の断面でございますけれども、外国人犯罪、先ほども同僚委員が取り上げられたきょうの新聞の問題、私もそれを取り上げたいなと思っていたのですけれども、この問題についてちょっと聞いておきたいと思うのですが、外国人の被疑事件で身柄を拘束して公判請求した事件、そしてそれの平均拘束日数、時間もありませんので、アウトラインで結構ですが、お答えいただきたいと思います。
○濱政府委員 今委員お尋ねの点につきましては、統計的な数字をとっておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
○飛田政府委員 外国人の勾留期間につきましては、特段統計をとっておりませんので正確な数字は持ち合わせていないのでございますけれども、一つの目安となるものといたしまして、本年の一月末現在で東京拘置所において調査した結果がございます。その結果によりますと、東京拘置所に在監中の外国人の未決拘禁者の本年一月末現在における平均勾留期間は百六十一日となっておりますので、これが一つの目安となるかと思います。
○冬柴委員 矯正局、どうもありがとうございました。 相当長いのですよね。この方たちは、あるいはその中には外国人といえども日本語を自由に操る、しゃべることができる人たちも多いと思いますけれども、そうでない人もあるわけでありまして、それからそれは言語だけでなく食習慣、日本人は米で、官給の食事を食べるわけですけれども、食べられない人たちが外国人にはあると思います。それからまた、中には宗教上の問題で牛肉はだめ、豚肉はだめという人もありますね。牛の殺し方によって食べられる肉と食べられない肉があるとも聞きますし、こういう人たちにとっては、例えがいいかどうか知りませんけれども、我々日本人が犬の肉を食べると言われるのと同じことだと思うのですね。こういうことは配慮してあげなければいけないだろうし、また宗教、イスラム教などは日に何回もこうやりますね、ああいうこともどうなのだろう。それからみだりに立ったりしたらいかぬということはあると思うのですね。そういう場合、座らなければいかぬわけです。座るということが苦痛な人もあると思うのですね。正座だけじゃなしに、あぐらだけでもそれ自身が苦役のような感じの人に座っておれと言うことが言えるのかどうか。また読書についても、中は暇ですから、本を読みたいと思っても自分の母国語のものがなければ読めないということ。そういう点でこういう人たち、長い拘禁生活、それでまた数も私調べたら随分たくさんおられるのですよ。ですから、矯正局としてどう応じていられるのか、そういう点についてちょっと御説明いただきたい。
○飛田政府委員 いろいろ矯正に関する幅広い御質問でありますので的確にお答えできるかどうかわかりませんけれども、現在、東京の付近に未決拘禁されている外国人、これの数等につきまして、東京拘置所それから千葉刑務所、横浜拘置所の三つの拘置所に収容されている外国人の未決拘禁者の数は、本年の三月一日現在で合計二百二十二名に上っております。国籍を見ますと、多い順に、大韓民国が多いのですが、その次タイ、中華人民共和国、イラン、フィリピンなどの順になっておりまして、三十カ国ぐらいに及んでおります。 その中には日本人と生活習慣を著しく異にする外国人がございます。こういう外国人に対してどういうふうな取り扱いをするかというのは、例えばヨーロッパの先進諸国でどうやっているかということも参考になるのでございますけれども、これはなかなか教えていただけないようなところもございましてわからないわけでございます。しかし、我が国の矯正といたしましてはこういう人たちに対して日本人と同じ取り扱いをするのが原則でございますけれども、どうしても生活習慣が著しく異なっていて同じ取り扱いをできないような方々につきましては、これは未決拘禁でございますから、独居室に拘禁することは原則でございますから、外国人も原則として独居室に収容しております。食事の面では、御飯類が食べられない人にはパン食を給与する、それから先ほど御質問のございました宗教の面では、未決拘禁者というのは、裁判を受けるために勾留されてその裁判中の者でございますから割合暇がございます。作業をやるわけじゃございません。そういうふうなことでございますので、各自の信仰する宗派の方式による礼拝等宗教上の行為のほか、教典とか数珠とか宗教上の用具の使用を認めておりますし、また、宗教上の理由によって豚肉や牛肉を食べられない者に対しては鳥肉などを用いた食事を行っております。 一番問題は言葉の問題でございます。そのために拘置所の職員に語学の研修なんかもやらせておるわけでございますが、ちょっと研修をやっただけで意思が通じることもなかなか困難でございます。そこで、外国人が多く収容されている施設におきましては、所内生活に関する心得事項を外国語に翻訳いたしまして、それを居室に備えつけておりますし、また大使館や関係機関等の協力を得まして、信書の発受、面会、図書などの閲読等についてはできる限りその母国語で行えるように努めておるところでございます。 それから、居室内の行動の制限についても御質問がございましたが、拘置所の独居室におきましては一般に、点検するときには特定のところに座ってもらうことにしておりまして、みだりに立ち上がって居室内を供回したり窓のそばに立ったり、それから、音、振動などを発するような運動は行わないように指導しております。これは外国人に対しても同様なんでございますが、なぜそんなことをするかと申しますと、多数の未決拘禁者がおりまして、これらの本人以外の人たちが安心して生活できる環境をつくること、それから保安、事故を防止すること、それから施設の規律、秩序を維持するとともに、未決拘禁者間の不正な連絡による罪証隠滅の防止を図る、そういうことも必要でありまして、こういうことが少数の職員で大勢の被収容者の異状の有無を確認して、的確な動静視察を短時間で効果的に行うために必要不可欠でやむを得ない措置かな、こういうふうに考えております。
○冬柴委員 非常に困難ですけれども、ひとつその外国人の、まあ拘束されておるとはいえ判決で有罪を受けるまでは無罪が推定されている人たちですから、そういう人たちが酷な扱いを受けているという印象を受けないようにひとつ配慮をしていただきたい。 実は、このイギリスのザ・デーリー・テレグラフという紙面で先月十九日付に、国際面トップで、東京拘置所は生き地獄だ、こういう記事が載っているのですね。これはこの六日、ついこの間ですけれども、これに対して判決がありまして、実に数百日間の拘束を受けているわけですが、無罪でした。これはファルキン・シグラン・カイという人の強盗被告事件で、その中でいろいろ言い分はあるんでしょう。これはもう矯正局からは伺わないことにします。本人の申し出では相当ひどい非人間的な扱いを受けているということで、実はこれ新聞報道ですが、一千万円の損害賠償を日本国政府に申し立てをしているようですから、その民事訴訟の中で矯正局の方の扱いが間違っていたかどうかということが判断されると思うのですけれども、国際的には相当な影響だろうと思うのです。 それからまた、ピーター・ローター・グラノウスキーという、これはドイツ人ですけれども、最高裁まで拘束期間も非常に長いのですが、これは有罪ですが、最高裁の判決があった途端に房内で自殺をしたという事件もございまして、この人たちは、我が国の国民であればまあそうひどい扱い、地獄のように思わないかもわからないんだけれども、国情の違いあるいは習慣の違い、言葉が通じない、そういうことからそういうことになったのではないかというふうに思うわけであります。 いろいろ聞くことを予定していたのですが、時間がありませんので、その点について法務大臣の御意見を伺いながら私の質問を終わりたいと思います。
○田原国務大臣 御質問が予告されましたので私もちょっと勉強してみたんですが、我が国の未決拘置所は確かに諸外国よりも規律が正しい面がある、そのかわり非常に安全であるということで、総合的にはそういう非常に悪い評価は受けてないように私はとっております。食事の面などでも大変考慮しておりますし、ただ、今言ったレアケースがあって、それが報道されて人権侵害的な話になっているという面もあるんじゃないかと思っておりますが、なお一層気をつけて努力してまいり一たいと思います。
○冬柴委員 終わります。
○浜田委員長 木島日出夫君。
○木島委員 今回の定員法の改正法案は裁判官が七名、裁判官以外の裁判所職員が二十三名、三十名の増員でありますから大変結構なことだろうと思います。しかし私は、迅速適正な裁判を行うという裁判所に課せられた使命からしますとまだまだ大変不十分と思います。裁判官も不足していると思いますし、裁判官以外の裁判所職員も、書記官、速記官、調査官、事務官といろいろ職種はありますので、それぞれまだまだ増員が必要だと思っておりますが、時間がありませんので、きょうはその中で速記官の増員の問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。 定員法によりますと裁判官の定員と裁判官以外の裁判所の職員の定員というそういうつくり方でありますが、給与の関係では、速記官についても指定の職員ということで定員の枠があると思われますが、九百三十五人だと思います。これが二十年来にわたって全く変化がない、ふえてないということだと思うんですが、それでよろしいんですか。
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございます。
○木島委員 現場の速記官からは毎年毎年非常に大勢の増員要求が出ていると思うわけです。これは後から聞きますが、速記官の定員の枠がふやされていないということ自体も私は問題だと思うのですが、それ以上に、実は現在の裁判所の速記官の現数、これが定員まで届いていないというところがもう大問題だと思うのですね。 裁判所の速記官の皆さんが取りまとめた数字を私が集約いたしますと、現速記官の数が八百二十四名で、何と定員との比較では百十一名が不足している。せっかく法律で認め、満たされれば予算もつくにもかかわらず、こんなにたくさんの定員割れがある、大問題だと思うわけです。 ところが、私が本日質問をするに当たりまして裁判所から取り寄せた資料によりますと、現定員の数が八百七十四と、現場の速記官の皆さんの調査に比べてちょうど五十名多くて、それでも定員割れが六十一名という数字のようでありますが、この違いは何なのでしょうか。五十名というのは、裁判所の私に対するレクチャーがどうも速記官研修所に研修中の職員の数まで入れてサバを読んでいるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 速記官の予算定員は委員御指摘のとおり九百三十五名でございまして、平成三年十二月一日現在の現在員は、速記所修生五十一名を含めまして八百七十四人でございます。
○木島委員 たしか速記官研修所、二年でしたね。二年間の研修中の者が五十一名ということですね。そうすると、実際に速記の仕事に携わっている人数の定員割れというのは私の調べのとおり大きなものがあると思うわけでありまして、これでは全く足りないと思うわけです。 一昨年の三月二十七日にも実は私はこの法務委員会でその問題を指摘しまして、大変な激務になっている、ぜひとも増員を要求したいということをお願いをしたわけであります。私の調べによりますと、日本の地裁の中で事件数に比較して一番速記官の配置が少ないのが、私が所属している長野県であるということのようであります。そこでは一人の速記官が一連続速記九十分、一時間半連続して速記をやるとお聞きをいたしました。聞くところによりますと、これはひどいということで四十五分に短縮するということのようであります。私の目の前で国会の職員の皆さんが速記しておりますが、たしか連続十分というのが現状じゃないかと思うのですね。大変な現状だと思うのですが、そんな状況ですか、連続九十分の速記をやらせているという状況があるのでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 長野の状況はちょっと把握しておりませんが、裁判所の速記は御承知のとおり機械速記でございまして、多くは一時間連続で交代する、こういうのが常態ではなかろうかと思います。
○木島委員 機械速記であることは私も承知しているのですが、それでも一時間連続して機械速記をやるということは大変な負担だと思うわけであります。私は以前の指摘のときにも言いましたが、本庁から支部にまで出張して速記をやっている、長野がまさにそうです。長野市本庁にしか速記官が配置されていなくて、電車で一時間以上かかる松本まで出ていってそこで連続速記をやっているわけですね。後の翻訳という作業もあるわけでありまして、本当に速記官の増員というのは緊急な課題だと思わざるを得ないわけであります。最高裁の方は、現場の速記官の皆さんから大体何人ぐらい増員してほしいという要望を今受けているのでしょうか。
○上田最高裁判所長官代理者 大変申しわけございませんが、定員を充足しろという要求は聞いておりますが、何人ほど増員しろということは聞いておりません。
○木島委員 充足しろという要求は、逆算すると大体百名ぐらいは緊急に欲しいという意味になろうかと思うわけでありますが、私がお聞きしている範囲では、九十四名は緊急にことしじゅうに速記官を充足してもらわないと大変だということだろうと思うのです。 実際にこの速記官増員の要求は、現場の速記官だけではなくて、弁護士会の方からもどんどん出てきていると思うわけなんですが、静岡の弁護士会なんかからは最高裁長官あてに直接文書が行っていると思うのですが、把握していますか。
○上田最高裁判所長官代理者 静岡その他四カ庁ぐらいの弁護士会からそういう要望があることは承知しております。
○木島委員 私はここに静岡弁護士会から最高裁長官あての速記官増員の要望書を持ってきているのですが、一九九二年、ことし一月二十八日付ですが、静団地方裁判所管内には十三名の速記官がいたが、一人減りまして十二名だ、どうしても十六名以上にしてもらわなきゃいかぬ。現場で訴訟を直接に担当している弁護士の皆さんでつくっている弁護士会からの要求ですね。 今の御答弁によりますと、四カ庁弁護士会あたりから要望が来ているということのようですが、本当に適正な、そして迅速な裁判をきちんとやっていくという上から欠かせない課題だと思うわけであります。こういう要望に対してなかなか充足できないというのが現状だと思うのですが、どうも努力が足りないのではないかと思うのですね。速記官の採用、養成、どこら辺が問題なんでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判所におきますソクタイプを使っての速記官の養成でございますが、書記官研修所におきまして速記研修生として採用した者を二年間教育いたします。この教育につきましては速記教官十名を投入いたしておりまして、ほぼマンツーマン的な教育をいたしておるわけでございます。 この速記官研修生と申しますのは、高校生を対象といたしました速記官研修生試験をいたしまして、そこで合格した者を採用するわけでございますが、御承知のように大学進学率が非常に高くなってきておりまして、適性を持った方を採用することがまず困難になってきております。それから、せっかく速記官研修生として採用された方でも、二年間の研修の過程におきまして、適性に問題がございまして脱落していく、言葉はちょっと悪うございますけれども、そういうことで毎年六名から十名の方が出ていくわけでございます。そういう方は、これは解雇するというわけにはもちろんまいらないわけでございまして、裁判所事務官として受け入れていかなければならない、こういうことでございます。 私どもの方ではできるだけ充員する努力を続けてまいる所存でございますけれども、従来の質的な水準を維持していく限り、この採用の問題、それから教育課程の問題で、一挙に大幅に充員するということがなかなか困難であるということを御理解賜りたいというふうに考えます。
○木島委員 もうちょっと現場の速記官の皆さんからのどうしても増員をやってほしいという声を披露したいと思うんです。 御承知のように、育児休業法がこれから始まるわけですね。速記官の皆さんの中に若い女性も非常に多い、そうすると、これからもっともっと増員の要求は一育児休業をしっかり確保するためにもさらに強まっていくと思うわけですね。現に、各地の裁判所の速記官からはそれに関係する要望が出ているわけです。若い人が多いので結婚や出産も考えられ、安心して休めるようにしてほしいために私の庁では二人の速記官を緊急に欲しいとか、そういう声もありますし、産休や病休者が続く現状では一時に刑事事件の三名のうち一名が休みをとると、休みがとりづらくなって、二人では過密労働になって腕や腰の痛みを訴え通院しておる、維持するのが耐えがたいところまで来ている、こんな状況の声も私聞かされているわけです。 本当に今のままのような体制では悪循環になってしまって、現実の速記官がこんな状況の中で体を壊してでも頑張って働いているということになりますと、こういう姿を知った若い人は、希望を持っても現状を見るともう恐ろしくて近づかなくなる。要するに、採用試験は受けでもみずから身を引いてしまうということにもつながってしまうわけでありまして、そのためにもこの悪循環を何としても断ち切るということが必要だと思うわけです。 今御答弁によりますと、何か大学進学率が高くなって高卒者が少なくなったから採用が難しくなったかのように聞こえますが、しかし大学進学率は四割ぐらいでありまして、ここずっとそう著しく変化しているわけじゃないわけでありますから、もっともっと真剣に募集、採用をPRすることが大事ではなかろうかと思うわけです。 たしか一年間の入所人数は四十名ですか。それと、ここ数年何人ぐらい現に採用しているのでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 四十名をめどとしているわけでございますけれども、なかなか集まりませんで、三十数名というところが現状でございます。 もっともっと採用について熱意を持ってPRすべきではないかといっただいまの御指摘を受けました。私どもの方では、受験案内というものを全国の高等学校に送っております。これが年間三万五千部ぐらい刷って送っております。そのほかポスターを六千五百部つくって、これも関係の機関に送っております。それから、昨年からカラーでもって裁判所案内というものをつくりまして、その中にはもちろん速記官の活躍ぶりも載せているわけでございますが、こういったものを高等学校に送っております。これは、高校生に直接お話しするということは許されておりませんので、私どもの方では、高等学校からお許しを得た場合には就職担当の教諭の方に直接地家裁の局長が出向いて御説明申し上げているわけでございまして、ことしも六月二十日以降、高校を訪問いたしまして、多くの方に、適性を持った方に受験していただく努力をしているところでございます。
○木島委員 わかりました。もっともっと努力していただきたいと思うわけであります。 昨年の三月に卒業した第四十期の速記官研修所卒業生だと思うのですが、入所が三十三人で卒業が二十四人というのですね。その前年は三十人入所で二十四人卒業、その前年も三十人入所で二十八人卒業、その前年も三十人入所で二十五人卒業、その前年も三十三人入所で二十三人しか卒業していない。こんな状況が続いたら本当にますます大変になってくると思うわけです。 私聞くところによりますと、今局長が答弁したように募集をして試験をやるわけですが、何か最近募集してみたら千人ぐらいの応募があった、試験を受けたのが五百人ぐらいだった、しかし入所の通知は五十人ぐらいに出したということもちょっと聞いているのですが、大体そんな数字なんでしょうか。千人が応募したとなるとこれは充足できるんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
○泉最高裁判所長官代理者 これは、平成三年で申しますと申込者は六百五十人程度でございまして、そのうち受験いたした者が五百人程度でございます。これはもちろん速記研修生オンリーとして受験した者ではございませんで、速記研修生または裁判所事務官という二つのかけ持ちでの受験でございますけれども、いずれにいたしましても、速記研修生としても採用を希望するという者が五百人ぐらいいたわけでございます。 ただ、速記研修生としての試験をいたす場合には、やはり機械なものですから、それに対する適性を持った方ということ、それから、かなり高度な技術でございますので、それに適応できる方を見つけるというのがなかなか難しい、こういった状況でございます。
○木島委員 試験の中身やどういう方々が応募しているのか、そこまで深入りするつもりはありませんが、しかし、五百名が速記官研修所の入所の試験に受験をした、これは立派なことだと思うのですね。五百人も受験して、しかも今言ったような数字、入所が先ほどですと五十一者ということですが、ここ数年ずうっと三十人そこそこ、そして退所が二十四人というと、もうちょっと努力すれば充足できるんじゃないかと思うわけなんで、もう一段の努力をぜひお願いしたいと思うわけです。 もう一つ私は、深刻な問題を指摘しておきたいと思うのです。 それは、現実の速記官の生年月日から来る定年退職の問題なんですが、資料によりますと、平成九年がら六年ほど定年退職の該当者数が急速にふえる時期が来る。四十三名とか四十名とか、そういう時代がもうあと四、五年で到来するということがこれはもう予想されるわけですね。そうしますと、こういうことも見越した、先を見越した養成、採用を考えなければ破綻をしてしまうと思うわけなんですね。その辺どうでしょうか。そういう長期の、定年退職者を見越した人員採用の計画をどうしても早急に樹立する必要があると思うわけなんですが、いかがでしょう。
○泉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、平成八年から定年退官者がふえていくという状況でございます。 私どもの方といたしましてもこの問題を意識しておりまして、裁判所の公判あるいは口頭弁論手続におきまして証拠調べに支障のないように、いろいろな方策を含めてこの問題に対処していかなければならぬと考えております。
○木島委員 時間が来ましたから終わりますが、大変大事な職務を担っている人たちであります。現状でも少なくて大変だという状況であります一また、将来を見通しても大変であります。一層採用、人員確保に最高裁が力を尽くされますことを希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○浜田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○浜田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十分散会 ――――◇―――――