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123回国会衆議院1992/05/29

大蔵委員会 第18号

発言数
210
登壇者
17
会派数
2
開催日
1992/05/29

会議録

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君及び全国労働金庫協会専務理事片岡利男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田誠一自由民主党

○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――

太田誠一自由民主党

○太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 まず冒頭に、ノンバンクの問題で一言申し上げておきたいと思います。  私どもは、今回のこの金融制度改正とノンバンクの問題は極めて密接不可分な関係にある、こういう立場に立ちまして、既に五月二十二日には沢田委員、二十七日には渡辺委員がそれぞれ質問をいたしておりまして、問題点がほぼ解明をされております。したがいまして、私どもが主張いたしておりますノンバンクに対する新たな対策をぜひ早急に講じていかなければならない、こう思うわけでございます。巷間、大蔵省の権限をさらに強化するだけではないのかとかいろいろ言われております。しかし、私どもが主張いたしておりますのは、要は、事故が起こる、既にもう起こっておるところもありますが、さらに拡大する懸念が十分ある。したがって、未然にそうしたことを防ぐためには十分な実態把握が極めて重要である、こういう立場であります。  この点もこの委員会で両委員から質疑をしたわけですけれども、大蔵当局においては十分な答弁ができてない。こういった状況から、少なくとも資料請求をしてもそれを出さないといったところについては、やはり立入検査でもして、きちっと十分な状況把握をしておく必要があるのじゃないか、こういう立場でございます。しかし、今日現在、理事会、理事懇でそれぞれ協議も進められておりますし、各党間の協議も進んでおりますが、現実問題として、具体的な対応策が示されておりませんし、私どもの主張しております法改正にも十分な答えをいただいておりません。私どもとしては極めて不満足である、こういうことを申し上げておきたいと思います。  自民党のそれぞれの部会で鋭意検討されておることは一定の評価をいたしますけれども、制度改正の論議も本格化していくわけでございまして、このまま推移をするとすれば、私どもは制度改正の最終審議の段階で重大な決意をせざるを得ない、こういう立場であります。したがいまして、きょうはぜひひとつその点を太田委員長に強く要請をいたしたいと思っております。時間はそうないわけでありまして、今までの努力は歩といたしますけれども、実際問題、具体的な我々の主張に対する回答がない限り、極めて遺憾であるということであります。  そこで、今までも大蔵大臣の方からこのことについて本委員会で答弁がございました。ただ、その内容も、議員立法の問題だからとか、やや距離を置いて大蔵省としては見ているというのが我々の率直な感じでありますが、今申したような事態に差し迫っております。改めて大蔵大臣の方から毅然とした態度と決意をぜひひとつ披瀝をしていただいて、私どもが主張いたしておりますことを太田委員長としても十分受けとめるという御回答をいただいて、次の質問に入りたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 ノンバンク問題につきましては、この委員会におきましても各委員の皆様から、ノンバンクが今度のバブル崩壊あるいはバブルの過程においていろいろな役割といいますか、それを果たしてしまっておるということ、そして非常にあれが大きいということ、ただ問題が、ノンバンクの形態というのは非常に幅広くあるということ、そういった中で、なかなかその対応というのは難しかったということは言えるのじゃなかろうかというふうに思っております。しかし、これだけノンバンクの存在というものが非常に大きくなったということになりますと、この動きいかんによっては金融システムの安全ですとかあるいは健全な発展、これを図る上でも非常に重要な影響を及ぼすものであるということも、やはり私どもは認識しなければいけないのしゃなかろうかというふうに思っております。  そういったことから、今後ともノンバンクの実態の把握というものを図っていく考え方はありますけれども、今後、業界団体によります自主規制の活用ですとか、あるいは私どもといたしましても何らかの指導体制の整備、こういったものが必要であるということを今感じており、また、今お話がありましたように、これから各党の中にあってもこの問題について御議論があり、また、この委員会の中でも御議論があることを私どもよく承知しておりますので、そういった御議論を踏まえながら対応をしていかなければいけないというふうに思っております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 委員長としても一言お願いをしたいと思います。

太田誠一自由民主党

○大田委員長 このノンバンクの問題につきましては、昨年の通常国会におきまして大蔵委員会における委員長提案という形で法改正がなされました経緯もあり、大蔵委員会の理事会の場をもって与野党協議の場所といたしたいということでお諮りをいたしまして、理事会においてそのように決めさせていただいております。今後、各党におかれまして十分御意見の交換をされながら、早急にその成案を得たいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いします。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 ぜひひとつ全党一致してこの問題を早急に解決されるように、特段要望をしておきたいと思います。  それでは法案の中身に入っていきますが、まず、現在の景気の低迷、そのこととこの金融制度改正、それについて少し論議をしたいと思います。今回の不況、いわゆる景気の低迷でありますが、私は二つの見方があるのではないかと思うわけです。一つは、言うところの経済の古典的な調整過程、言われております一つの循環型の形がそれではないかというのが一つの見方であります。それからいま一つは、いわゆるバブルの形成、そして膨張期、それが崩壊をした、そういう一連の過程の中で国民総資産残高というものが、これは一つのバロメーターになるわけですけれども、これが急速な伸びをした後また極めて大きく落ち込んでいる、こういう一つの現象があります。  この二つは相互に関連はあるというものの、特に後段の問題は、特段今回が極めて特徴的ではないかというふうに私は思います。前段のいわゆる一連の古典的な調整過程の問題は、公定歩合の引き下げなり公共投資の前倒し、さらには今後この回復の立ち上がりが遅いということであれば、次の手だても財政的な面等々でそれなりにやらなければならないと思いますけれども、後段の国民総資産残高の推移、急速に落ち込んだ問題、これは長期的にかなり日本の経済、いや、それだけではなしに、世界経済全体にも極めて大きな影響を及ぼす、そういうふうにとらえるわけです。  きょうは経済企画庁にお越しをいただいております。私が今申し上げた点について一定の見解、お考えをお聞きをしたいわけですが、従来からここでも論議をされておりますし、経済企画庁としては平成四年、ことしの四-六が底で、七-九で立ち上がって、十-十二でいわゆる健全な体制に入っていく、こういうふうに言われておるわけですが、そういったことと、後段のいわゆる新たな金融自由化を基礎にした今回のこの長期的な視野で考えなければならない問題について、企画庁のお考えを聞きたいと思います。

小島祥一経済企画庁調査局内国調査第一課長

○小島説明員 今回の景気の原因につきまして、古典的な循環的な要因と、それからバブルの崩壊、資産価格の下落という問題があるという御指摘、まことに私どももそのように考えております。  けさ、月例経済報告閣僚会議がございまして、そのときの私どもの判断は、我が国経済は調整過程にあり、引き続き景気の減速感が見られるということで、引き続きこれまでの判断を続けております。  御指摘のように、このような減速が見られる背景には、第一には、今回の景気拡大におきまして企業設備投資とか住宅、自動車等の耐久消費財の支出が長期にわたって高い伸びをいたしまして、その結果、需要がそれぞれ一巡いたしまして、おっしゃるような古典的なストック調整が起こったということだと思います。それに加えまして、九〇年に株が大幅に下落いたしました後、九一年に入りまして地価の下落、それから本年の株の下落ということで、逆資産効果ということで、御指摘のように、国民総資産残高も伸びが鈍化いたしまして、逆資産効果というものが起こるということで、これも景気減速への影響を持っていると思います。  それから、金融業、証券業等の財務体質の改善というものには、ここで本日御議論されておりますように、制度改革の必要があろうかと思います。  以上でございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 とりわけ国民総資産残高の大きなバブルが発生をし、形成過程、膨張期、極めて大きく伸びたわけでありまして、一九八七年には一七・七%、八八年一二・二%、八九年一四・七%、そしてバブルが崩壊をした一九九〇年は三・四%に急落をしている。この年の実質国民総生産の成長率は五・二%でございまして、これをはるかに下回るという数字でございます。このことは、一九七五年の国民総資産残高統計が公表されたとき以来初めてのケースであります。いろいろな複合的な要因もございますが、その根はやはり金融の自由化、これの帰結としてのこういった金融資産ストックの調整過程が先行したのではないか、こういう認識に立つわけでありまして、したがって、こういう金融資産ストックの調整過程というのは対応が極めて難しいし、しかも長期に及ぶのではないか、こういった認識を持っております。大臣のお考えをちょっと聞いておきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 基本的には、我が国の経済というのは現在調整過程にございますけれども、過去数年間非常に高い伸びを示した後のストック調整的な動きが見られます。他方、労働需給は依然と引き締まり基調で推移しておりまして、住宅建設には回復の動きというものが見られております。また、在庫調整も順調に進展しておるというふうに思っております。個人消費の方は、物価の安定ですとかあるいは雇用者所得の着実な伸びを背景にいたしまして、これは底がたく推移しているのじゃなかろうかというふうに思います。また、金利低下の効果というものは、住宅投資あるいは設備投資の一部にあらわれてくるというふうに見込まれております。私どもは、こういった調整が企業家のマインドというものを冷え込ませないようということで緊急対策をとり、それとあわせて公定歩合も引き下げられたということでございます。  他方、今御指摘がありました資産価格の低迷、特に株価の低迷の我が国経済への影響につきまして懸念が一部に聞かれるわけでございますけれども、これが直ちに大きな悪影響を与える要因になるとは考えておらないわけであります。特に、企業の手元流動性というのはまだなお高い水準にありますし、生保の借り入れですとかあるいは普通社債等資金調達手段、これが多様化しております。こういったことから、資金調達面からの制約要因となる可能性というものは小さいというふうに考えられます。また、個人消費につきましては、株式が個人資産に占めるウエート、これは余りまた大きくないというような事情から、この影響というものは制限されたものにとどまるであろうというふうに思っております。  金融機関の不良債権に関する御指摘は、確かに一定の時間をかけた対応、これは必要とするケースもあるというふうに思っておりますけれども、各金融機関の有しますところのいわゆる収益力あるいは内部留保の状況などを考慮するときに、その経営や金融システムそのものに懸念が生ずることはないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、金融機関の経営状況につきましては、その健全性を確保すべく、引き続いて私どもも注視してまいりたいというふうに考えております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 私がこれから指摘をしようと思ったことを大臣がお答えになったのですが、けさの日本経済新聞、各紙も一斉に報道いたしておりますが、都市銀行十一行の九二年三月決算、極めて深刻な状況になっております。経常益は全体で一四%減っている。業務純益については、いわゆる純益として三一%ふえている。これは調達コストが安くなったということが起因していると思うのですが、問題は、いわゆる株価下落による多額の評価損の計上だとか不良債権への貸倒引当金の積み増し、この引当金だけでも下期で約二千五百億円も増加している、こういう実態が出てまいりました。  こういう状況を考えますと、日本経済全体に直ちに悪影響を及ぼさない、こういう大臣のお話でありますが、少なくとも金融機関、とりわけ銀行経営にとっては極めて深刻ではないか。特に、九二年三月がこうでありますから、来年の三月期はこれよりさらに一層悪くなる。よくなるめどはまずないのではないか、そういう状況、条件は見当たらない、こう思うわけです。そういう中で今、制度改正の法律が審議をされておりまして、仮にこれが成立をするとなると、極めてトラスチックな、金融全体の形態が変わっていく。その中心は何といっても大手の都市銀行がいろんな形でかかわってくるわけでして、果たしてこんな状況の中でこの制度改正が適切なものかどうか、大いに疑問を感じるわけでして、その点まずお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 今回の制度改革は、有効適正な競争の促進によりまして証券市場に対する信頼の回復を図るとともに、我が国の金融あるいは資本市場の効率化、活性化を通じての健全な発展に資するものであるということから、むしろ早急に実現する必要があろうというふうに考えております。  仮に金融制度改革、この成立がおくれ、金融機関やあるいは証券会社の経営の選択の幅が広がらないで、今後の金融環境の変化に弾力的に対応することができなくなりますと、その経営にとってやはり大きなマイナスになろうと思っておりますし、金融秩序あるいは証券市場に悪影響を与えるおそれがあると考えます。また、制度改革というものは、まさに中長期的な視点から国民経済の健全な発展に資するべく行うものであろうということでございまして、特に今、自由化ですとかあるいは国際化、特に日本の場合には金融センターというようなことが言われる中でありますし、また、証券化なんというものもどんどん進んでおるという現状でありますから、こういった中でこの制度の改革というものがおくれてしまいますと、私は、むしろ金融全般にわたってマイナスになっていくのではなかろうかなということを思わざるを得ないということであります。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 総論的にはそれなりに理解はできるのですけれども、現実の問題として、今指摘をしたように、銀行そのものの体力が今日でも相当問題を抱えている。来年三月、たまたま法が成立した場合、新たな制度が発足するときにもなるわけですが、一層体力の弱体化が心配される。一体そういった中で、こういう制度改正を現実の問題として金融機関が受け入れるだけの意欲と、そして具体的な力が果たしてあるのかという率直な疑問を私は持つわけです。  そういった前に、今の銀行が抱える問題、とりわけ不良債権、極めて多くなっている。この委員会でもしばしばその問題は論議されてまいりましたけれども、一体どの程度の不良債権をとりわけ大手の都市銀行が抱えているのか、全体像が明らかでない。そのことに極めて不安を覚えるわけでして、これは私一人ではない。そういうことで、具体的に当局は不良債権の実態をつかんでおられるのかどうか、ちょっとそれをお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 いわゆる不良債権というものをどのような観点から把握するかについてはいろいろ議論があり、なお研究すべき課題であるということをまず申し上げたいとは思いますが、私どもは平素、銀行の経営内容について目を配り、決算の内容を聞き取り調査をするとともに、個別の金融検査においてその実態を把握するということで努力をしておるわけでございます。  最近の数字といたしましては、ことしの三月期の決算が続々と今発表されておりますので、その分析を急いでおるわけでございますが、全般的に申しますと、これは委員からも御指摘がございましたように、銀行本来の実力を示す。務純益は大幅増益であって、収益力が強いことを示すものであります。あと、経常利益、当期利益は減益でございますが、これは御指摘のような株価下落、それから不良債権の償却というような要因が確かにございますが、その償却についても積極的かつ前広に行うという態度がうかがわれるわけでございまして、全般に我が国の金融システムは健全に動いていると考えて間違いないと思っております。  そこで、不良債権の中身なり大きさについてどの程度に把握しておるかということでございますが、これはまだ個別に最終的な決算の内容を把握するに至っておりません。ただ、私どもが速報値で都市銀行、長期信用銀行、信託銀行の三業態からヒアリングを行いました結果、例えば貸出金利息が六カ月以上未収となっている貸出金については、その額はおおむね七、八兆円であり、うち、担保、保証でカバーされているものを除いた額は、大体二、三兆円になる見込みであるという印象を持っております。一方、これに対しまして有価証券含み益、これはもちろん減少はいたしましたが、この三月期で都銀、長信銀、信託銀行三業態の合計でなお十七兆円はあったということでございますので、今後この不良債権の増加の動向については、もちろん厳重に注意を要する段階ではございますが、銀行経営の根幹を揺るがすには至らない、金融システムは健全に動いておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 それでは、これからの新しい金融の自由化時代におけるリスク管理のあり方、この問題について少し論議をしたいと思います。  金融の自由化というのは規制の撤廃、このことが強調されておりますけれども、むしろそういった側面だけではなしに、規制金利の経済システムからいわゆる自由金利の経済システムへフレームワークが大きく変化をする、当然のことながら金融機関にとってもリスク管理のあり方そのものが変わっていく、こういう認識であります。従来の、金融の自由化以前のリスク管理、例えて言うならば、しばしば用いられている言葉でございますが、護送船団方式の行政、これも以前のリスク管理の一つの形ではなかったのかと思います。これからの金融自由化のもとにおけるリスク管理というのは、金融機関自身の自己責任原則がより一層強調されてくると思うのですが、その点についての認識を伺いたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 この点は委員御指摘のとおりでございまして、金融自由化の大きな流れとしまして、一つは預金を初めとする金利の自由化があり、もう一つは業務の自由化ないしは弾力化、多様化というものがございます。そのいずれも金融機関経営のフレームを大きく変えるものであるということは、御指摘のとおりでございます。  それで、金融自由化が進むに従いまして、金融機関の自己責任原則が重視されます。それとともに、一層的確なリスク管理を求められるわけでございます。従来は、ややつづめて申しますと、預金金利は規制されておりますので、量的拡大に伴いまして、預金と貸し出しとの間におのずから一定のマージンが制度的に保証されておるというような感じがございました。しかし、その辺は、これからの自由金利の場合には必ずしもマージンが保証されているということはございませんし、さらに、金利動向の変化の読みを誤りますと、運用と調達の間で金利のミスマッチが起こりまして、それが裏目に出るとか、従来経験しなかったような多様なリスクがいろいろ出てまいる。  これを総合的に管理いたしまして金融機関の経営の健全性を維持するということで、その手法としましては、よく言われますのは、ALM手法と申しますか、資産・負債の総合的な管理によるリスク管理の手法などが言われておりますが、そのような手法が各種金融機関によって一斉に研究され、実行に移されております。私どもも今後とも、金融機関の自己努力を前提といたしまして、当局の活動においても、リスク管理の適正を促すような環境整備にいろいろと努めてまいりたいと考えております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 そこで自己責任論ということになるわけですが、それは同時に開かれた銀行経営、そういったことが伴っていくということが前提ではないか。日本の場合はその辺がまだ極めて不十分であって、なかなかその辺が脱皮できない。そこに銀行に対する大きな新たな不信感といいますか、そういうものが醸成されてくるのではないか、こういうふうに思うわけでして、これもしばしば論議されておることでございますから、指摘にとどめておき、たいと思います。  そこで、いわゆる自己責任論の中で最低限守らなければならないという国際的な統一基準が今回決まりまして、来年の三月には自己資本比率八%以上保つこと、このBIS規制が導入されてくるわけであります。これは言うまでもなく、金融自由化後のリスク管理方式の最大のものではないかと思います。ただ、日本が今回このことを導入する背景というのは、余り芳しいことではなしに、従来日本の金融機関がとってまいりました低利の資金を大量に調達する、そして海外における融資の拡大、一方では当然のことながら自己資本比率は大幅に低下するわけですが、そういったことも辞さない、海外からのいわゆる薄利多売の資金の拡大路線という批判が一つあったのではないか。こういう野方図な融資拡大行動を有効に抑え込むためのBIS規制の導入だ、こうも言われておるわけでありますけれども、その辺についてはどうでしょうか、お考えをお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 BIS規制の導入の背景をめぐる御質問でございますが、それにお答えいたします前に一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、低利資金を調達して、海外の国際金融市場において融資を拡大するというようなことがあるのかという問題でございますけれども、これは例えば国内で金利の低い資金を調達し、それを海外に回しまして、それで海外で薄利多売型の融資の拡大をねらうということであるという意味でありますと、そこは私どもはそれとは多少違う考え方を持っておりまして、現在、海外での日本の銀行の業務は、資金そのものは海外の市場で調達し、それにある程度のさやを乗せて海外で運用する、いわば外で調達し外で運用する、そういう仕組みが多いと思います。  問題はそのときのマージンの乗せ方が非常に薄いというような批判があるかということでございますが、これは私は詳細には承知いたしませんけれども、若干そういう声が聞こえておるということはあったようでございます。ただ、その辺は最近かなり営業態度に変化が見られるということも聞いております。  そこで、このBIS規制が導入された背景には、日本の銀行のいわば突出を抑えるということがあったのではないかというお尋ねでございますけれども、このBIS規制が導入された背景及び経緯、これは多年にわたる背景がございます。  それで、このねらいといたしましては、国際的な銀行システムの安定性の向上を図ると同時に、国際的に活動している銀行間の競争条件を平等なものとするというのがBIS規制の趣旨でございますが、ここに至る歴史といたしましては、米国及び英国においてそれぞれ自分の国内においていろいろな金融機関の破綻などの現象を見まして、この自己資本比率規制の導入を始めた。これはアメリカ、イギリス両国とも、一九七〇年代以降、比較的早くからこの方面での施策を展開してきたということがございました。それが一九八六、七年ごろになりまして、米英両国の銀行監督当局が研究を進め、一九八七年に自己資本比率規制に関する共同提案を発表したわけでございます。この中にはいわゆるリスクアセット方式などがうたわれており、その後のバーゼル合意案の基本となっております。  また、米英の民間銀行サイドでも競争条件の平等を求めまして、主要金融センターを有する各国間で銀行監督政策、特に自己資本比率規制の国際的統一化を図るべきだという声が強くなりました。このような流れを受けまして、一九八八年に中央銀行総裁会議で報告書が了承されまして、それがやがて、その六月に銀行規制監督委員会、いわゆるバーゼル委員会という委員会でございますが、そこでこの自己資本比率規制の国際的統一を図るための基本的枠組みが合意されまして、各国監督当局から公表されたわけでございます。  BIS規制の導入によりまして、銀行においては従来以上に自己資本の充実に努力が払われるようになりますとともに、量的拡大の重視から収益をより重視した経営への転換が図られつつあります。これは日本のみならず、各国とも同様でございます。  このBIS規制の導入が日本を抑えるためにあったかという報道も耳にしたことはございますが、もちろん公式発言としてそのような発言はございませんし、それから、これまでただいま申し上げたような実に多年の積み重ねがあったということから考えまして、そのような報道には私は疑問を持っております。ただ、あえてここでそれについて、そのような見方が正しいとか誤りであるとかいうようなコメントは差し控えたいと存じます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 そこで、こうした新たなリスク管理、自己資本比率の問題、こうなってまいりますと、銀行経営にとっては今局長も言われましたけれども、量的な拡大から質的な充実、そういう方向に転換をしていく、こういうことでありますが、この自己資本比率というものは結局株価変動、これが極めて大きな要素を一つ持ちます。同時に、円の対ドルレートの問題、この二つが結局銀行の最大関心事になるわけでして、例えば都市銀行の上位行の場合、株価の日経平均が千円下落をし、同時に一ドル当たり十円の円安ということになれば自己資本比率はそれぞれ〇・一%低下する、こういうふうに言われております。これは日本経済新聞の三月十七日に載っておったのですが、仮にそういうことになれば、それを穴埋めするために、いわゆる劣後ローンというもので対応しなきゃならない、一千億円くらいの新規の資金調達が必要と推定される、こういった内容のものでございました。  私は、そういう意味では、これからの銀行経営というのは非常に厳しくなると同時に、従来のような積極的な融資行動、融資拡大ということに一つの転換といいますか、それの見直しか行われてくるのではないか、こういう見方がされると思うのですが、それについてはどうでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 現在のいわゆるBIS規制によりますところの自己資本比率の計算に当たりまして、株価と外国為替相場との変動によって自己資本比率にかなり影響を及ぼすということは、まことに委員御指摘のとおりでございます。ただ、それは反面で申しますと、そのような変動のリスクがあるから、それに対応していかなる場合でも経営の健全性を守れるようなシステムを確保する必要があるという議論も出てくるゆえんでございまして、しょせんこのような有価証券なり外国為替業務なりを組み込んだ銀行経営であります以上、それに対応するような健全経営を維持するようなシステムをつくっていかなければいけないというようなことに必然的になるものだと思います。ただ、現在のところ、本年三月末時点では、すべての日本の銀行は、いわゆる経過基準でございます七・二五%を十分にクリアしておりますし、また、来年三月から適用される最終基準でありますところの八%につきましても、ほとんどすべての銀行は既にこれをクリアしております。  今後の問題でございますが、この自己資本比率というのは分子と分母と両方の組み合わせになるわけでございますが、自己資本そのものの増強という観点からは、現在はなかなか増資ということが思うようにできない証券市場の状況でございますけれども、やがて証券市場が立ち直れば、銀行の増資というものも再び行われる可能性があると思いますほか、御指摘のような劣後ローンというような方法もあり、その他いろいろな手法については、我々も積極的に銀行の研究を助けてまいりたいと思っております。また、リスクアセット、すなわち資産の方の問題につきましては、確かに委員御指摘のように、量から質への転換というようなものもあらわれてまいると思いますけれども、各銀行ともそれぞれ国内の貸出業務につきましてはこれを収益の柱として位置づけまして、健全かつ優良な貸出需要に対しては、引き続き積極的に応じていく方針であるというふうに聞いております。そのような状況からいたしますならば、当面、自己資本比率規制の最終基準であります八%の達成に向けて、大きな混乱なく都市銀行その他の経営が対応できるのではないかというふうに私どもは見ておるところでございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 要は、今日の状況というのは、銀行にとっては極めて激動期の真っ最中ではないか。一つには株価の低迷による収益の悪化、体力の低下、一方ではいわゆる八%のBIS規制をずっと維持していかなきゃならないという使命、さらには、内容的にはまだ不明確でありますけれども、多額の不良債権を抱えている。それはむしろ減るというのではなしに、まだこれからふえていく懸念もある等々考えますと、私はあえてこの時期に子会社方式でもって証券業務に参入していく、それにもまた大きなコストを伴うわけでありまして、同時にそれは単にコストだけの問題ではなしに、新たなハイリスクが予想される業務への進出であるわけです。  そういったことを総合的に考えますと、なぜ今急いでこういったことをやらなければならないのか、幾ら当局から説明を聞いてもすとんと落ちない。これをもっと時間をかけてじっくり内外の状況を見きわめながらやってもいいのではないか、余りにも拙速ではないかというのが率直な我々の受けとめ方であります。これに対するお答えばもう結構です。そこは我々の考え方、見方と大蔵省の見方とではなかなか短時間には一致し得ない、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。これは極めて拙速ではないか、より時間をかけて制度改正というものは一から検討し直す、その状況ではないのかということを繰り返して申し上げておきたいと思います。  そこで、次は証券局を中心に論議をしたいと思うのですが、今回のこの制度改正というのは、一体だれのための制度改正なのかということがいま一つはっきりわからない、これが率直な受けとめ方であります。  まず一つは、今日まで日本の金融制度というもの、システムというものは、御案内のように銀証分離、それぞれの業務を分担しでやってきた。その結果、金融機関だけの問題ではないわけですが、日本経済全体が大きく発展したということと相まって、金融大国に今なったのではないか。今までのシステムそのものが大きく音を立てて崩れてしまった、したがって新たな制度改正をやらなければならない、決してこんな状況ではないのじゃないか、私はそういう認識をしておるわけです。逆に、こういった今申し上げたようなさまざまな状況変化の中でこれを強行するということは、金融秩序というものを逆に混乱させはしないか、そんな思いがするわけですが、まず基本的にお尋ねをしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今回の金融・証券取引制度の制度改革でございますが、これは証券市場の側から申し上げますと二つの意味が込められております。  一つは、証券市場の機能をより拡充強化するという点でございます。これは主として証券化に対応して有価証券の定義を整備する、あるいは私募というものについての法整備をするということから成っております。それからもう一つの柱が、証券市場におきます競争を促進するという面でございます。この競争の促進につきましては、証券取引審議会におきましても三年以上にわたって議論が行われてきたわけでございます。それに加えまして、昨年一連の問題が起こって、その問題の原因の一つに、やはり証券市場における適正有効な競争が不足していたのではないかというようなことが改めて指摘をされたわけでございます。そういったような観点から、競争を促進することによって公正、透明で、かつ効率的な証券市場をつくり上げていくということが第二番目の柱になっております。  その競争促進の具体的な方法として、新たに証券会社の参入を認めるという考え方になっているわけでございまして、その新たに証券会社の参入を認める一つの種類として、銀行の証券子会社による参入というものを位置づけております。私どもは、必ずしも銀行の証券子会社のみの参入を目的としているわけではございません。法律にも書いてございますように、今度の法律改正案では、一般的に企業が子会社をつくって、証券会社として参入することを予定をしているわけでございます。その中で銀行の証券子会社の場合については、日本におきます銀行のいろいろな地位を考えた場合に、より大きないわゆるファイアウォール、高いファイアウォールが必要ではないかというような考え方を持っているわけでございます。  いずれにいたしましても、今申し上げましたように、証券市場という立場から申し上げますと、証券化あるいは機関投資家の成長というものが見られる中で、証券市場の機能を拡充強化する、さらに昨年起こりましたような問題への一つの対応として、有効で適正な競争を促進する必要があるというようなことでございます。これは私どもとしてはやはり今回の、昨年起こりましたいろいろな問題を踏んまえまして、証券市場を公正かつ透明な市場で、より活力のあるものにするためにはどうしても必要な措置ではないかというふうに考えているわけでございます。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 本来この論議の出発点というのは、銀行間の縦割り業務をどうするのか、こういう観点でスタートしたものではないのか、こういう認識を持っております。そういうふうに考えますと、同時に証券業務にまで波及させることはどうであったのか、本来銀行の縦割り業務の問題を先に整理をするのが先決ではなかったのかという点が一つ。  それから、都市銀行の大手のとりわけ強いこの証券業務への進出意向、これが論議の方向を大きく引っ張ったのではないか、こういう指摘がされております。  それから、証券業界を含めて、これはあくまでも相互乗り入れあるいはこの業務の相互参入、それを通じて金融業界全体の健全な発展、こういうことを仮に理解したといたしましても、証券業界から見るならば、やはり野村を初めとする大手四社の意向というものが強く反映されたのではないか。中小証券の立場だとか考え方というものが、この論議の課程では余り尊重されてきたというふうには思ってないわけであります。中小の立場にとりますと、失うものがあっても得るものはない、こういうふうに断言するような方々もおられるというふうに思うのですが、一連のこのことについてのお考えをお聞きしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 最初の金融制度調査会の議論の内容につきましては、必要がありましたら後ほど銀行局長から補足して答弁させていただきます。  私どもの考え方といたしましては、確かに当初の制度議論というようなものは、金融界の縦割りの制度の見直しというところの必要性から入ったというふうに認識をしております。ただ、その議論の過程、あるいは欧米、特にアメリカにおきますいろいろな議論の流れというようなもの、さらには金融の証券化の進展というようなことから、議論がやはり金融制度全般、金融市場及び資本市場全体についての議論に発展をしていって、それは今申し上げたようないろいろな諸外国における動きあるいは証券化の動き等々を踏まえますと、そういう金融・資本制度全体についての議論になるということが適当だったというふうに思うわけでございます。  その中で、証券業界の意見が十分取り入れられてないのではないかというような御指摘でございます。  証券業界、確かに大規模証券会社から中小規模の証券会社までさまざまございます。みんなが利害が必ずしも一致しているわけではございません。したがいまして、そういったような点を証券取引審議会におきましても、大証券会社のみならず中小証券会社からも十分意見を聞いたわけでございます。全体の流れとしては、やはり自由化といいますか、証券市場の自由化の大きな流れというものあるいは証券化の流れというものを踏まえれば、証券取引法を改正し、現在御論議いただいておりますような改正の方向については、大勢として、基本的な方向として、証券界も時代の流れであるという認識をしているわけでございます。  ただ、確かに中小証券会社の立場というようなものもあるわけでございまして、そういった点につきましては、例えば株式のブローカー業務については当面はこの新規参入を認めないというような形、特に銀行の証券子会社による参入についてはブローカー業務を認めないというような取り扱いをしているわけでございます。中小証券会社はいろいろな営業基盤を持ち、いろいろな地域で営業活動をしているわけでございますが、中小証券会社につきましても、例えば今回の証取法の改正の中に織り込まれておりますいろいろな新商品、証券化に伴って出てまいりますいろいろな新商品というものを扱えるという経営上の判断の幅が広がるわけでございます。また、私募にいたしましても、これは必ずしも中央の大企業だけを目的にして私募市場、私募というものを整備するということではございませんで、やはり公募市場を利用できないような中小企業の資金調達手段としても位置づけているわけでございます。  私どもとしては、その中小証券会社についても、今度の制度改正では経営の選択の幅がかなり広がり、営業基盤の強化には資していくのではないか。問題は、そういう中で個々の中小証券会社が自分の置かれております立場でどういう経営判断をするかという点はあるわけでございますが、少なくとも時代の流れの中で、経営の選択の幅を広げるということにはなるのではないかというふうに考えております。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 補足して一、二申し上げますと、この制度改革の論議の沿革、展開につきましては、基本的にはただいま証券局長から御説明をいたしましたとおりでございます。  ただ、金融制度調査会系統でこの議論を始めましたのが昭和六十年でございましたが、その六十年の前の情勢はどういうことであったかと申しますと、一つは昭和五十九年の五月でございましたが、日米円・ドル委員会報告書というものが作成されました。そのところで「金融機関相互の業際・制度問題については、時代の流れに沿うように漸次これを改めていく。」という指摘がありましたのとあわせて、「金融機関と証券会社の業際問題については、それぞれ固有の業務分野を尊重することはもちろんであるが、それ以外の分野においては競争条件の均衡を図りつつ、漸次相互乗り入れを図っていく。」という問題意識が既に出されております。  それから、昭和六十年の夏に「行政改革の推進方策に関する答申」というのがございまして、その中でも「銀行・証券の業際問題については、内外の諸情勢の推移に応じて、適宜その在り方を見直す。」というような指摘がなされております。それ以後、多年にわたる審議の結果、今回御提案申し上げております骨組みが金融制度調査会、証券取引審議会それぞれにおいてまとめられたわけでございますが、その改革の基本的な柱は、各業態の現行の業務分野を前提としつつ業態別に子会社を設立するという、いわゆる業態別子会社方式によっておるというところでございます。  それから第二に、都市銀行その他特定のものが議論を引っ張ったというようなことは、私どもはないと思っております。金融制度調査会の議論が特定の業界の意向によって動かされるというふうには、その委員の構成からも、また議論の進め方からも、そのようなことにはなっておらなかったというふうに私どもは見ておるところでございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 今、日米円・ドル委員会の問題が出ましたけれども、私も今回の制度改正の論議の発端はこの辺にあるのではないか、こう思うわけであります。これは一九八四年に行われたわけですけれども、当然のことながら金利の自由化が進む、そうなれば銀行の利ざやが縮小する。このままでは極めて深刻な状態になる。銀行の方から見たら。ところが、隣の証券市場を見ると異常なども思えるほどの活況だ。アメリカでは銀行が住宅ローン債権を小口化して販売している。こういった金融の証券化が急速に進んでいる。しかし、我が国では証取法六十五条というのがありまして、証券と名がつけば銀行はそれを扱えない。こんな背景を背負ってこの論議が進められたのではないか。幾らいろいろな形でおっしゃっても、やはり銀行主導型の今回の改正論議ではないのか、なかったのか、こういう疑問はぬぐえないわけでありまして、その点は私は申しておきたいと思います。  結論は、やはりそういう形で推移をしていき、大手の都市銀行が証券子会社をつくって参入してくるということになりますと、それを受けて立つのは、証券側からいうならば野村を初めとする総合大手四社、いずれを見てもやはり大手寡占のマーケットにこれからなっていくのではないか、こういう見方は私はそう間違ってない、こう思うのです。  その場合、今まで論議をしてまいりましたこれからの中長期的な証券市場の活性化、健全な発展、そのためには小口取引、個人投資家に証券市場に大きく参入してもらうということからすると、中小の証券会社の役割というのはそこにあったわけでありますから、それが全く機能しなくなる。私は、やはり大口取引が主になっていくのではないか。ずっと一連そういう銀行主導型で進められてきた今回の論議、大手寡占がさらに進むということと、これからの中長期的な市場のあり方、極めて逆行するのではないか、こういう見方をするわけですが、いかがなものですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 証券市場の御説明の前に、一言私の方から金融自由化の問題について御説明申し上げますが、この金融自由化の中における預金金利の自由化というのは、非常に大きな柱ではございますけれども、その預金金利の自由化を図り、それでほかの方のいろいろな業務でありますとかその他を自由化をしない、そこは前のままでとどめておくということは、しょせん円滑な自由化の展開としては成り立たないというようなことがありまして、やはり全般的ないろいろな方面で、その自由化のための見直しか行われなければならないというようなことであろうかと思います。  しかも、その中で一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、この近年、いろいろな事情を背景にいたしまして、世界の金融・資本市場の一体化が急速に進み、また内外の金融関係業者、銀行であれ証券会社であれ、それの相互進出が非常に活発に行われておるということがございます。そして、海外のいろいろな制度の見直しの動きが活発であり、そこではこの銀行と証券の相互乗り入れ的な傾向が一般的に認められるわけでございます。そのような国際的な動きもあわせて考えなければならないと思うわけでございます。  それからなお、仮に特定の、例えば一部の都市銀行などが非常に力を強める、それによっていろいろな弊害があるというようなことであれば、それはむしろその弊害を防止する措置をいろいろと仕組んでおけばよろしいのではないか、そのように考えまして、いわば証券市場においても、銀行の過度の影響力行使が市場に与える悪影響を排除するということで、いろいろと措置を工夫して考えておるというような状況であると私どもは見ておるわけであります。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 中小証券会社の役割についての御指摘がございました。確かに中小証券会社の営業の実態を見てみますと、特に個人の投資家を対象として株式のブローカー業務を中心に行っているわけでございます。そういった点からいいますと、しかも非常に地域に密着して、きめ細かいサービスを提供しているというのが営業の基盤になっているわけでございます。したがいまして、株式市場に個人投資家が入ってきて、健全にそこで資産形成、投資が行われるというためには、やはり中小証券の役割というのは非常に大きいものがあるというふうに私どもも認識をしております。  大口取引に偏るのではないかということでございますが、昨年のいろいろな問題を通じまして、大手の証券会社も、むしろ大口の法人取引に余りにも偏り過ぎたという反省を現在しているような状況にございます。もちろん機関投資家というのは、年金あるいは保険、信託等成長してまいりますので、どうしてもそういうものを無視するわけにはまいりません。しかし、個人投資家の健全な資産形成の場として証券市場が存在しないと、証券市場の基盤が安定しないということについての認識は、証券界全体に今非常に高まっていると考えるわけでございます。  そういった中で、特に中小証券会社につきましては、今回の参入問題で競争が激化するという問題はあるわけでございますけれども、地域に密着したきめ細かいサービスを行って、個人投資家を対象に堅実な営業を行っている限りは、やはりそれなりの機能を十分維持できるというふうに私どもとしては考えますし、またあわせて、先ほど申し上げましたように、今回の制度改正によって、いろいろ経営選択の幅をなるべく広くしていきたいということも考えているわけでございます。私どもも、証券市場において中小証券会社の果たす役割の重要性というものについては、新規参入による競争促進があっても、非常に重要であるという認識をしております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 大口取引中心主義から転換を図れる体制づくりをぜひお願いしたいと思います。  次に、業態別子会社方式に決まった経緯についてお尋ねをしたいと思います。  省略をいたしまして、大蔵省が金融制度調査会に業務についての五つの項目を提案されました。一つは相互乗り入れ方式、二つ目は業態別子会社方式、三つ目は特例法、いわゆる投資銀行方式、四つ目は持ち株会社方式、五つ目はヨーロッパ型のユニバーサルバンキング方式。その中で最終的には業態別子会社方式になったわけでありますが、当初、特例法方式、投資銀行方式が一番ふさわしいのではないかというのが大蔵省の考え方ではなかったのか。ただ、論議の過程で、これでは限りなくユニバーサルバンキング方式に近づく、とりわけ証券業界の反発があってこれが見送られたと思うわけですけれども、その辺はどうなのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 この業態別子会社方式を選んだ理由でございますが、これについては、金融制度調査会の答申によりますと「各金融機関が子会社を通じて他業態の業務にも幅広く参入していくことが可能であるとともにこ「預金者保護、利益相反による弊害の防止といった金融秩序の維持の観点から優れている。」そういう指摘がございます。別途、私の方からは省略をいたしますが、証券取引審議会の報告書においても、「本体で広く証券業務を営むことは適当ではない。」という考え方が打ち出されておりまして、これもやはり子会社方式をサポートする議論であろうかと私どもの方では見ておるわけでございます。  そこで、具体的に五つの方式を考えまして、それについて順次検討してきた歴史があることは御指摘のとおりでございますが、その中での方式として、どうして業態別子会社方式に落ちついたかということでございますけれども、まず、本体で行うということが問題なしとしないということは、今まで申し上げたとおりでございます。その限りで、いわゆるユニバーサルバンク方式は、現時点では問題が多いという位置づけになりました。また、持ち株会社方式は、独占禁止法との関係から見送られたわけでございます。  そこで、御質問にもございましたが、特例法方式という一つの考え方もございまして、これは子会社はつくる、子会社はつくるけれども、その子会社においては各種業務、銀行業務であれ証券業務であれ、そのような業務を、例えばホールセール的な分野に限って一つの組織で行うことを認めるというような案でございました。これについては、各種業務を一つの組織で行うことによる相乗効果とか利用者利便の向上の効果などが大きいという利点は確かにございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、金融制度調査会では「同一組織で各種業務を兼営することに伴う利益相反行為をどのようにして防止するか等、更に検討すべき問題もあり、将来の検討課題とすることが適当である。」ということで、当面の具体案としては採択しなかったというわけでございます。  要約して申しますが、業態別子会社というのは、各業態の現行の業務分野を前提としつつ、業態別に子会社を設立することによりまして、幅広く参入することを可能ならしめるとともに、預金者保護や利益相反による弊害の防止というような観点からもすぐれておる、これが業態別子会社方式を基本として制度改革を組み立てた背景でございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、都市銀行の側からいたしますと、乗り入れ方式については何でもいい、要は入り口にたどり着いたらそれでよしとする、何が何でもという強いのめり込みといいますか、そういうもので推移してきたということをどうしても私は否定できないわけでございます。  時間も迫ってまいりました。そこで、公正取引委員会に来ていただいておりますので、独占禁止法との関係を業態別子会社を中心にお尋ねをしたいと思います。  この法案が成立をいたしますと、いわゆる親銀行が、その優越的な地位を利用して顧客にみずからの証券子会社との取引を強要するということは、当然今から考えておかなければならぬと私どもは思うのです。具体的な例として、一つは、証券子会社での社債引き受けを条件に親銀行が融資に応ずる、この場合は、独占禁止法との関係ではいわゆる拘束的条件つき取引に該当し、独禁法違反だというふうになるわけでございます。いま一つ、親銀行が優遇条件で融資をし、証券子会社の顧客に誘い込むというふうな場合には、不当利益供与による顧客誘引に当たる、こういうような判断をマスコミを通じて見たわけでありますが、このことについて公取の見解はどうなんでしょうか、お聞きしたいと思います。

和泉沢衛公正取引委員会経済部企業課長

○和泉沢説明員 お答えいたします。  具体的にどのような行為が独禁法の問題となるかという点につきましては、個別のケースごとに 判断することになるわけでございます。お尋ねの点につきまして一般論ということで申し上げれば、例えば銀行が顧客に融資をするに当たりまして、証券子会社が社債を引き受けることを条件にしいこれを強要するなどの公正な競争を阻害する行為につきましては、独占禁止法の不公正な取引方法の問題となるものと考えております。  また、合理的な理由がないにもかかわらず、銀行が証券子会社と取引を行うことを条件にしまして、顧客に対しまして不当に有利な差別的な取り扱いをして公正な競争を阻害するといった行為につきましても、不公正な取引方法の問題になり得るというふうに考えておるところでございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 極めて懸念がされると思います。  次に、金融の証券化の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  いろいろ指摘をしたいわけですが、要は、限定列挙方式は限界があるということで包括規定を設けたいというのが大蔵省の考え方であったのですが、各省庁との折り合いがつかず、結果的には有価証券の定義の範囲は、今回の改正では極めて狭められたのではないか。今後は各省ごとに法案を出して規制をしていく、ばらばらの法律のもとでの市場の育成や規制になっていく。こういったことで、果たして望んでおるような、円滑にしかも拡大する形での金融の証券化が進むのかどうか、こういった懸念があるのですが、どうでしょうか。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今回の有価証券の定義の整備に当たりましては、証券取引審議会の報告書に沿って、私どもも定義の法律技術的な検討を行ったわけでございます。  証券取引審議会の報告書の基本的考え方は、いわゆる投資契約に基づいて出てまいりますいろいろな証券化関連商品というものを、幅広く証取法の規制対象にすべきであるという考え方でございます。それに加えまして、証券取引法はもともと流通の円滑ということが法の目的になっております。したがいまして、投資契約に基づくものであり、かつ流通性のある証券化商品ということになるわけでございますが、包括条項を置くというような考え方も検討したわけでございますけれども、証券取引法が適用になります有価証券ということになりますと、まず一つは、そういう証券が一般の投資家に発行される、つまり、募集と言っておりますが、募集が行われる場合には、一定の情報を投資家に開示する情報開示制度というものを用意しております。これによって投資判断を適正にするということで、投資家保護が図られることになるわけでございますが、そういう場合に情報の開示をしないで募集をいたしますと、これは証取法違反ということで罰則がかかります。  それからもう一つは、証取法上の有価証券になりますと、それを取り扱いますと証券業務になるわけでございまして、免許を得ないでそういう行為を行うと、これは無免許営業といってとで罰則の対象になります。  そういったような関係で、証券取引法の適用がある有価証券が、あるいはそれがない有価証券かというところを明確にしておかないと、罰則の適用という問題が絡んでまいりますので、一般の人にもわかるようにしておく必要があるというような考え方から、包括的な条項を置くことには非常に困難があるという結論に達したわけでございます。  しかし、今回の法律案では、政令指定の基準を明確にしております。私どもの考え方としては、先ほど申し上げましたように、投資契約であって、かつ投資家間を流通するものについては、政令指定をして投資家保護を図っていく。それによって逆にそういう証券の市場が整備される。つまり、一般の投資家が安心して入ってこれるような市場がつくれるということになるわけでございまして、証券化商品の市場を整備するという意味でも、流通性があり、投資性のある証券については政令指定を機動的にすることが必要であるし、また、それによって投資家保護が図られていくというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、政令指定の基準が明らかになったということは、一定の法的な安定性といいますか、指定されるということははっきりするわけでございますので、指定がしやすくなったというふうに考えているわけでございます。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 時間が少なくなってまいりましたので、まだまだ個々の問題で論議をしたいのですが、最後に、労働金庫の問題で二、三お聞きをしておきたいと思います。特に合併転換法に関しての問題であります。  一つは、労働金庫をこの法律の対象にした理由は何かというのが端的な質問であります。もう前口上は省略をいたします。  それから二つ目は、第六条に認可に当たっての審査基準が設けられているが、同条第三項において「合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。」と規定しているわけですが、このことは同種の合併を優先させる考え方として理解をしてよいのか。これが二つ目。  三点目は、実際の合併または転換に際しては、それぞれの金融機関の経営意思が最優先されなければならないと考えるが、信用秩序の維持などを口実として行政の意思なり指導が優先して働くことはないのか。  この三点、お願いいたします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 今回、いわゆる合併転換法を改正することを御提案申し上げておりますが、その目的は、今後の金融機関の生き方として、みずからの責任でその経営路線を選択し、それぞれの特性を生かしながら金融環境の変化に適応した業務展開を図るというようなことを可能にし、その選択の幅を広げるためにこのような規定を整備いたしまして、従来、合併転換法の規定の対象外でありました金融機関、具体的には長期信用銀行、外国為替銀行、それから労働金庫と異種の金融機関との合併、またはそれらの金融機関が異種の業態に転換する手続を明確にする趣旨でございます。  もちろんのことながら、あくまでも合併や転換は、それぞれの金融機関の経営意思に基づいて決定されるべき事柄でございます。その際に、御指摘のように第六条第三項の規定がございまして、これは大蔵大臣が合併や転換の審査を行う場合において、そこのところを読み上げますと、「合併又は転換が」、ここで「合併又は転換」という場合の「合併」というのは、他の業態との合併という意味の合併でございますが、「合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。」という明文がございます。この明文は、まさに同種合併を妨げないように配慮する必要があるという規定でございます。  それで、ただいまも申し上げましたことと重複をいたしますけれども、まことに御指摘のとおり、各金融機関の経営意思がここで申しますところの他業態との合併または他業態への転換についての最優先の前提となることは当然のことでありまして、行政が介入、指導すべきものではないと考えております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 労金は確かに全国四十七金庫ございまして、経営状態は全体として極めて厳しいという認識は持っております。ただ、できました経緯、今日までの活動、また勤労者の期待等々を考えますと、あくまでも労働金庫、名称は今後変える、考えることはあったといたしましても、基本理念である金庫の性格はそのままやはり継承、発展させていきたいというふうに当事者は皆考えております。そういう面での一層の行政の対応をよろしくお願いしておきたいと思います。  時間が参りましたので終わりますが、最後に、この業態別子会社方式による相互参入、とりわけ大手の都市銀行主導型のそういう形になれば、一つは銀行の体力の問題、また、それぞれの証券業務なり信託業務に果たして魅力があるのか。現在の法改正の範囲ですよ。それがまた変われば別な んですが、極めて規制の幅が厳しいというような中で本当に採算的に見て魅力があるのか。私はそうはならないのじゃないか、こう思っております。となれば、資本金が百億円以上等々考えますと、相当な投資が必要になるわけです。そう簡単に子会社方式がどんどん進展していくということにはならないと私は思っております。子会社が設立されるまでには少なくとも二ないし三年はかかるだろう。やってみてやはり採算がとれない、これがわかるのが三ないし四年たってわかる。したがって、五年たてばもう一度これは抜本的に見直しをやらなければならない、そんな内容を含んだ今回の法改正の提案ではないか、私はこう思うわけでございます。その辺を含めまして、最後に大臣のお考えをお聞きをして、終わりたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 今度この法案を御提案申し上げましたのは、当初申し上げましたように、やはり新しい時代のニーズというものにこたえていくことがそれぞれの業態に対していい影響を与えていくであろうということでありますけれども、それは今御指摘にありましたように、一つずつの問題にしてみますと、本当に大丈夫なのかなといういろいろな疑念があることは、私ども同様に考えるところがあると思います。ですから、こういったものを動かしながら、その間に出てくる問題等につきましてもまたいろいろな御意見を伺いながら、私どもやはりフレキシブルに対応する必要があろうと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、この法案が通りましてそれぞれが新しい視点で発展でき得る、そんなものの手助けになればいいなということを改めて思っております。

中村正男日本社会党・護憲共同

○中村(正男)委員 終わります。

持永和見自由民主党

○持永委員長代理 仙谷由人君。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 相当な時間、審議を私も聞いてまいったわけでございます。大ざっぱな感想を申し上げますと、何か隔靴掻痒の感があるのですね。つまり、この法案で具体的に何をしようとしているのかがもう一つ見えてこないという部分がございます。  そこで、大蔵大臣に改めて、この法案は何のために、だれのために、特にだれのためにこのような制度改革が持ち出されておるのか、この点についてまずお伺いをしたいと存じます。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 だれのためにというのは、まず金融機関を活用される皆さん方あるいは市場を活用される皆様方、こういった皆様方の利益にこたえるということが一つでありますし、また、時代というものが大きく転換をしていく、そういう時代のニーズに合って、そこにお互いに競争し合う緊張と、あるいはそこに広がりというものを見られるのじゃなかろうかということでございまして、国民経済全般に寄与するものであろうというふうに私は思っております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 国民経済全般への寄与というのはよくわかるわけでございますが、金融機関あるいは金融市場を利用される皆様方というふうにおっしゃったときに、やはり個人投資家といいますか、あるいはもうちょっと投資家とまでいえない市場の利用者の観点が甚だ弱い、抜けておるのではないかなという気がするわけでございます。  それは、この金融制度調査会のメンバーというのを拝見いたしますと、簡単に申し上げると、個人として株取引をされている株屋といいますか相場師、そういう方もここに含まれておりませんですね。それから一般の人も、主婦連の方が一人、この方が投資信託をしたり株の取引をしたりするのかどうか存じませんけれども、要するに全国民の九五%かなんか、大多数を占める個人としての国民、個人としての庶民の立場を代表する方がこの金融制度調査会の委員の中に含まれてないのですね。学者の先生方あるいは大企業の重役さんというのも個人の立場をお持ちなわけですから、個人としての立場の発言をこの調査会でされたかもしれない。そういう推測も全く無理ではないわけでありますけれども、にもかかわらず、今大蔵大臣がおっしゃった中で、マクロ経済あるいは資源配分あるいは資金の配分というふうな観点からの議論がどうしても多くなる。そのこと自体は間違ってないわけでありますけれども、個人とか庶民とか、そういう視点とか切り口というのがどうも今度の法改正についてもやや欠けておるのではないだろうかということを強く感じるわけでございます。  ちまたでは、今度の金融制度改革のキーワードは何か。一つは興銀証券であり、もう一つは野村信託銀行、この二つがキーワードだ、こういう声が現に金融業界に携わっている人からも聞こえるのですね。結果として、多分三年とか五年ぐらいのタイムスパンで見てみれば、その予測、つまりキーワードがこの二つだという予測が当たっている、その蓋然性が高いのではないだろうかというふうに私も感じます。だからといって、私はそれ自体が悪いとかなんとか言うつもりはございません。つまり、個人投資家が市場に安心して参加できる、積極的に参加できる、そうして不公正な取引にかけられたりあるいは無用の損害をこうむるということがない限り、それはそれである意味での必然ではないだろうかな、こう考えておるわけでございます。その必然の結果もたらされる集中と寡占の問題というのが当然出てくると思いますので、それに対するチェックとか歯どめというのは、これはまた別途の問題といいますか、手当てをしておかなければいけない問題だと思いますけれども、今度の制度改革で、基本的な姿勢として、やはり庶民にとってこの制度改革がどういう意味を持つのかということがもう少しはっきりとした方がいい。どうもその辺が具体的にはっきりしないということが、私は今までの議論を拝聴しておりまして少々不満な点でございます。  それで、今までの議論はほとんど、やはり銀行というものは、特に日本の銀行というものは、預金シェアの問題からいいましても、あるいは事業会社に対する影響力からいいましても大変な力を持っておる。この銀行の支配力を懸念する声が多うございます。そして、その支配力で既存の証券会社がばたばたと吸収合併を受けるのではないか、あるいは銀行の強烈な支配力のもとに証券取引もいわば銀行に支配されてしまうのではないか、そんな懸念のもとでの議論が多かったように考えておるわけでございます。  もう一つの観点は、消費者あるいは利用者という立場から考えますと、今回の制度改革によって、じゃ一体我々は今までと逢ってどんな新たな商品なりサービスにアクセスできるのか、まさにここが問題だと思います。大蔵省の用意された書面でも、すべて、多様化する利用者のニーズに対応した商品、サービスの提供、利用者による自己のニーズに合った金融機関の選択が可能になる、こうおいしいというかいい話が書いてあるわけでありますけれども、さて今度の法案でそのことが具体的に確定されているのか甚だ疑問だなという感じがするわけでございます。  それは多分、業際問題、既得権問題というものについての整理を棚上げにする、つまり業者側の方から見て、具体的にこの商品を銀行の証券子会社が扱えるのかどうなのか、信託子会社が扱えるのかどうなのか、地域金融機関が扱えるのかどうなのかということについての整理を棚上げにしているからこういうことが起こってきておるのではないだろうかと考えるわけでございます。せんだってから証券局の方あるいは銀行局の方へ、商品別に、この制度改革によって例えば銀行とか信託子会社とか証券子会社とかが扱える商品がどういうふうにふえて、どういうふうに重複しながら扱えるのか、その一覧表を出してくれと申し上げました。そうすると、ちょっと難しいのですというお答えしか返ってこないですね。銀行局長、証券局長、これはいかがでございますか。具体的に、新たに参入すると言われておる証券子会社、信託子会社そして地域金融機関、広く言えばすべて金融機関でありましょうが、こういう機関がどういう商品を扱えるようになるのか、証券取引法二条八項の各号に基づいてお答えいただければと考えます。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 まず証券子会社の業務の内容について申し上げますと、法律上は、ここに書いてございますように、法律案では株式のブローカー業務以外の業務はすべて法律的には扱えるという枠組みを用意しております。  問題は、その中で証券子会社がどこまで選択するかという問題が一つございますし、それから、やはり行政の立場としては特に中小証券会社というものを、まあ株式のブローカー業務を当面銀行の証券子会社に禁止したのはそれだけの、もちろん弊害防止という問題もありますけれども、激変緩和といいますか、中小証券にそれだけの時間を与えるという意味もあるわけでございます。そういったような観点から株式のブローカー業務は法律で禁止しているわけでございますけれども、それ以外の商品というのは法律的にはすべて認められるという仕組みになっております。もちろん、証券子会社が参入する地域とかあるいはその置かれている状況あるいはそこにどういう中小証券会社が存在するかというようなことによって具体的な運用の問題はいろいろとあるわけではございます。  しかしもう一つ言えますのは、証券子会社の参入という場合に、私どもはそういうリテールといいますか個人投資家の本当に窓口の部分と、それからもう一つは証券市場の構造の問題として、やはり発行市場における寡占の打破という非常に大きなねらいがあるわけでございます。発行市場における競争が促進されるということは、引き受ける証券会社がいわば四社ではなくてそれ以外の証券会社にも機会が出てくるわけです。そうなってまいりますと、特に銀行の証券子会社がもしそういう引受業務をやる場合には、これはなかなか自分で消化をするというだけの支店網を直ちに持つわけにはいかないだろうという感じがするわけです。そうなってくると、やはり中小証券会社で販売のためにいわゆる引受シ団のようなものを組むというようなことが考えられる。そうなりますと、既存の中小証券会社が扱う商品もやはりかなりふえてくる。ふえるといいますと語弊がございますが、例えば株式、債券あるいは転換社債、ワラント債にしましても、現在のところは発行市場の構造からしてかなり四社が販売をしているという状況になっております。ここら辺はやはり中小証券にそういうものがある程度行き渡るといいますか、それを販売するチャンスというのもふえてくるというような発行市場の競争促進による効果というものも考えられるわけでございまして、具体的にどこでどういうものが売られるかということになりますと、これは今申し上げたように参入の時期あるいは参入する地域等々を考えなければいけないわけでございますけれども、一般的に申し上げて、今申し上げたような発行市場における競争促進効果というのは、一般の投資家がいろいろな商品にアクセスする機会がふえるという意味では、かなり大きな意味を持つのではないかというふうに考えているわけです。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 附則十九条一項に「株券等」というのが書いてございます。この「等」というのは、つまり株券の外国で発行されたものという理解でいいようでございますけれども、それに限るということなんでしょうか、それとも株券のようなものというのも含むのでしょうか。つまりワラントとかCBとか、そういうものもこの「株券等」の「等」の中に含むのでしょうか。つまり純粋の株券以外については、法律上この制度改革によって銀行の証券子会社も引き受けのみならず売り買いの仲介もできる、あるいはディーリングもできるということになるのでございましょうか。その点をお答えいただきたいと存じます。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 この附則十九条一項に書いてあります「株券等」は、その後に括弧書きで「株券及び新証券取引法第二条第一項第九号に掲げる有価証券のうち株券の性質を有するもの」、こうなっております。したがいまして、これは外国株券、つまり外国で発行されたもので株券の性質を有するものということに限定されておりまして、ワラントとかそういったものは入りません。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 今のお答えで、純粋の株式以外の株券類似のものというのは法律上いわば自由になったといいますか解禁をされたというふうに伺っていいと思うのですね、銀行による証券子会社、信託銀行による証券子会社にとって。  今度は、地域の実情あるいは証券市場の状況、それから中小証券会社に対する激変緩和措置、こういう趣旨、そこで具体的に認めるか認めないかを決めていくんだという御答弁だったわけでございますが、これはいつごろ、どなたが、どのような仕組みの中で決めていくということになるのでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、例えば銀行が証券子会社をつくるとしましても、その銀行もいろいろな銀行があるわけでございます。そういう銀行が証券子会社の具体的な免許申請を行うという場合に、その銀行というのは例えば都市銀行もあれば地方銀行もあるわけでございまして、そういう親銀行の業態あるいは営業基盤、さらにその証券子会社が一体具体的にどこにできるのかとかというようなことを判断する必要がありますので、どうしても個々の免許申請の際に考えていくということにはなろうと思います。  ただ、法律的な枠組みとしては、今申し上げたように、純粋な株券のブローカー業務以外は法律的にはすべて認められることになっておりますので、そこはそういう事情を考えながらできるだけ広い範囲で認めていく、中小証券会社に与える影響等について支障がない限りは。あるいは利用者の利便というようなことも勘案して、できるだけ法律の枠の中で、もちろん申請者の選択にはよりますけれども、認めていくということになろうかと思います。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 私はまた、政令あるいは省令、政令だろうと思いますが、そういうもので一律に基準をつくって、例えばCB、ワラントについてはさあ今からいいんですよ、解禁しますよ、また投資信託あるいは貸付信託の受益証券についてもこの時点からいいんですよというやり方をなさるのではないか。つまり、株券についてもこれは「当分の間」というのがあるわけですね。当分の間が一年、二年、三年ぐらいの時間なのか十年ぐらいなのか、あるいはもうちょっと三十年ぐらいかかるのか、「当分の間」というのは、日本語の中でも、あるいは法律用語としても極めていいかげんな用語でございますので、ある時期をだれかが判断なさって政令か何かで決めるのかと思っておったのですが、そういう個別の免許申請、その免許申請に係る証券子会社が扱いたい品目を申請してきたその都度免許を与えるといいますか認可をする、こういう方法でなさるということなんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、やはり個々の事情というものを勘案しなければいけないという状況があろうかと思います。もちろん御指摘のように、例えばある一定の時点から先は認めるとかいうようなことがはっきり言えればそれにこしたことはないわけでございますけれども、そういうふうに画一的にできるかどうか。これは、個々の免許の際に判断をする、そういうものを積み重ねていって、そういう状況になればそれはそれで一つの考え方でございますけれども、初めから地域、営業基盤等々、あるいはどういう銀行が証券子会社をつくるかということを勘案しないで画一的に判断をするということは非常に難しい。ですから、実際には個々の事情を見ながら、できるだけ投資家のニーズに合うような形で免許申請について審査をしていくという中で具体的な運用が決まっていくということにならざるを得ないのではないかというふうに思います。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 今度は、業者の方からいいますと業務範囲の問題でございます。消費者の方からいいますと、どこで、つまり私は徳島でございますので、徳島の池田という野球で有名な町の町民でいいますと、池田町の町民はどこまで歩いていけば多様な金融商品にアクセスすることができるのか、つまり選択権を具体的に行使することができるのか、こういう話になるわけでございます。  今のお話ですと、まさに今銀行業界等々でも、業務範囲、もっと言えば個別的に扱える商品の範囲がよくわからないので、うまみがあるのか、メリットがあるのかデメリットが大きいのかわからないという業界的言葉も聞こえてくるのですね。その反面として、今おっしゃられたような個別的な免許申請時に認可を与えるということになりますと、個別の商品についても認可を与えるということになると、これはまたまた大蔵省の権限強化である、大蔵省のオプションを広げるだけだ、こういう議論も、例えば「金融財政事情」という、大蔵省の機関誌とこの間正森先生がおっしゃって、違うとおっしゃっていましたけれども、大蔵省の大先輩の方々が理事に連なる雑誌の中で、ある銀行マンの、銀行の多分重役さんか部長さんかでしょう、そういう方々の発言として書かれておるわけですね。私は、このやり方は三つぐらい問題があると思うのですよ。三つの問題点は後から申し上げますけれども、むしろこの法律をつくる今の審議過程で明らかにされた方がいいんではないだろうか、できる限り具体的に明らかにされた方がいいんではないかという気持ちを持っております。  といいますのは、自由化、競争促進といいながら、どの範囲で自由化がなされ、具体的に競争が促進されるのかというのが、おっしゃられた発行市場の方はわかりますよ。だけれども、庶民にとっては、発行市場というのは遠い世界の話ですからよくわからない。つまり、商品販売の市場というか、そこで何が我々の目の前にあらわれてくるのか、そういう観点からいいますと、やはり自由化、競争促進といいながら、それが具体的になってないというそしりは免れないんではないかというのが第一点です。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕  それから第二点は、やはりこのやり方はどうも国会審議を形骸化し空洞化するんではないかという感覚を持っております。つまり政省令で定める、あるいは政省令ではなくして個別の具体的な認可の段階で、営業免許を与える段階で決めるということになりますと、せっかく我々こういう制度改革がいいのか悪いのかという話を議論しておるわけですが、それとはいわば、全く関係ないとは言いませんけれども、余り関係ないところで実質的なことが決められていく。せんだっての、私証券局長にも申し上げました。細谷委員からも申し上げた。つまり、飛ばし禁止規定を換骨奪胎するかのような除外規定を、省令第五十五号でございましたか、そういうのでつくってしまった。これは全く国会は関係ないわけですよ。それから、せんだって主税局の方でも、ある租税特別措置の法案について、衆議院で可決した後、省令でひっくり返す。まあ経過措置をつくれという意見があったけれども、それとは関係なしに衆議院は法案が通っていって、参議院段階あるいは参議院で成立した後で政令で経過措置をつくる、いわば原則と例外がその局面では逆転するというようなことが起こりました。私も二年間しか経験ございませんので、まだ二例しか経験しませんでしたけれども、たびたびとは言いませんが、そういう原則と例外が逆転するというふうなことが起こるとすれば、国会の審議というものは何なのだろうか、法案審議は何なのだろうかという問題が起こります。  そして三つ目の大問題としては、これは業界問闘争が法案成立後に激化するだろうと私は予測をいたします。そして各業者のちょうちんを持つ――ちょうちんを持つというのは余り上品な言葉ではないですけれども、各業者の既得権益を守ろうとする政治家の方々が暗躍しないという保証はどこにもないわけでございます。つまり、族議員という方がいらしゃるのかどうかわかりませんけれども、証券業界の利害を代表する人、それも四大証券と中小証券というふうに分かれるかもわかりません。銀行の利害を代表する人、信託銀行の利害を代表する人、組んずほぐれつの闘いが法案成立後に、この商品については免許をおろせとかおろすなとか、それだけはだめだとか、そういうことになるのしゃないのでしょうか。  現に、私がこの法案についていろいろな業界の方々からレターといいますか、党の部会等々に来ていただいて意見を聞いて紙をもらっておりますが、詳細に読んだり、いろいろその後に入ってくる情報を拝見したり聞いたりしますと、どうも各業界とも、総論は賛成だけれども各論になるとなかなか難しいぞという気がするわけでございます。その調整を大蔵省がおやりになることによって権限強化につながるということになるのか、あるいはもう泥にまみれてどうしようもなくなるのか、私はこの両方とも懸念をするわけであります。したがいまして、現時点でこれとこれは大体このぐらいをめどに認可していくんだ、していかないんだ、そういう方針をお示しいただいた方が業界の方もさっぱりして、さあこれから参入しようか、するのはやめようかという計算も成り立つ。そして庶民の立場からいうと、あっ、そういうものが池田町でも買えるんだな、そういう話になるわけでございます。大蔵大臣、この点はいかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 私どもの平素の行政に対する御批判、非常にいろいろあると思いますので、ちょっと事務的にまず私の方から御説明を申し上げます。  このたびの、これは証券子会社に限らず全般的な、銀行子会社、信託銀行子会社、証券子会社の業務範囲については、最終的な姿は法律の段階で明示されておるところでございます。それは、あるものについては当分の間という断り書きがついておりますから、この当分の間というのは、やはりその条件を取り除くためにはまた法律改正の措置が必要でございますが、それ以外のものは、例えば信託銀行子会社につきましては、究極的にはこの業法によって認められるすべての業務であるということははっきりお示ししておるわけでございます。  そのようにして私どもは土俵はつくりたいと思っておるわけですが、その際に、この導入の段階、初期の段階においてどうするかというのは、これはやはり、現にそれぞれの地盤を持ち、それぞれの業務、得意わざを持って営業しております個別具体的な業者がおりますので、その競争条件の公平性の確保ということは考えなくてはいけない。そこで、当初の業務範囲は、一定のものを除くとか、ないしはさしあたりこのようなものに限るとか、いわばそのような尾ひれをつけた御説明を申し上げておるわけでございます。  ただ、そこで一つ二つ申し上げたいのは、第一には、このような土俵をつくったといたしまして、それに乗るか乗らないかは個別の業者の判断でございます。例えば、ただいま御指摘の御出身の場所の近くにどのような店をつくり、どのような営業をしたらもうかるかというのは、これはそれぞれの業者の判断によるとしか言いようがない。ただし、そこにもうかりそうなニーズがあればそれに対応するはずである、そこが一つの競争というものである、そういうふうに私どもは考えております。  それから、さらに今後いろいろと肉づけを考えていくわけでございますが、そのときには、一つの業態を取り扱っているわけではなく極めて多数の業態、それぞれのすり合わせの上にこの全体的な自由化、競争の促進というものを円満に進めていきたいと思いますので、全般的なすり合わせなり広がり方については、そのスピードとか何かを考えるに当たっては相互関係を考えることが一つ必要でございます。つまり、Aの業態の方でどのくらいいわば前に出ればBの業態はそれに対応してどのくらい前に出ようとするか、やはりそういう相互関係というものをにらみながら交通整理をしていく必要がございますので、AならAという業態一つだけを論じても始まらないところがございます。そこのところは実は御理解いただきたいのでございます。  しかしながら、それならば役所は黙っていて何もしないかというと、そういうことはございません。例えば、従来法律上の枠取りをしていただきましたものとしましては、一つには信用金庫が外 国為替業務を営めるようにする、そういう法律上の枠取りをつくっていただきました後に、それは多年、時間はかかりますけれども、具体的な信用金庫で外国為替業務を扱うことができる者がだんだんとふえてまいります。そこのところは、行政の方で批判を招かないような運用に努めておるはずでございます。また、もちろんのことながら、今度これだけの御審議をいただいておりますときの国会でお出しいただきました議論というものを踏まえて、その運用に努めてまいりたいと思うわけでございます。  さらに、最後に申しますと、いろいろと業界間闘争が激化するかもしれません。しないかもしれませんが、それは法改正に始まったことではなくて、平素私どもはいろいろな業界のお相手をしているわけでございますけれども、やはり常に対外的に国民にも業界にも説明できるような内容の行政でなければならない、そういうことは平素から考えております。ただ、重ねて申しますが、今回のこの制度改革の全体のねらいは競争の促進であり自由化でありまして、その基本方向は権限強化を意図するものではないということは申し上げることができると思っております。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今銀行局長から申し上げたとおりでございまして、事証券市場に関しましては、我々の方は、ともかく参入による競争促進が必要だという点は非常に痛感をしているわけです。それは特に発行市場において必要であると認識をしております。その発行市場における自由化、競争の促進が、具体的な個人投資家レベルでの商品のアクセスがふえるということにもつながっていくわけでございます。もちろんいろいろな規模の証券会社がございますから、今銀行局長から申し上げましたように、各証券会社も、地域においては地域の金融機関等々ともやはり営業上の競争をするということになるわけでございまして、そういった点を考慮に入れて、しかし、大枠ではともかく法律上は株式のブローカー業務以外はすべてできるという方針がはっきりとしているわけでございますから、そこは今までのように方針がはっきりしないで業際問題としてお互いに争い合っているのとは全く違う話ではないか。基本的には、我々としてはできるだけ早く法律上認められた業務はすべてできるようにするという方向というものは踏まえてやっていくということは必要だというふうに思っております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 私が指摘したいのは、ルールは当分の間の純粋の株券以外は自由になったということですね。子会社をつくれば自由にやれる、そういうことになった。ところが、実態はそうじゃないんですよ。当分の間がついているのは株券だけだったはずなのに、当分の間は例えばこの種のものについては申請してきても、公正な競争条件が確保されないまだまだその地域の証券会社は弱い、そんな話になりますと、その判断をだれがするのか。大蔵省がする。ここに次心意性が全くないということをどうやって担保するのかという問題にもなります。そしてまたまたルールと実態の乖離という問題が出てくるんではなかろうかな、こんな感じがいたします。  例えば、地方のことじゃなくても、この東京のことを考えましても、法律上は証券会社が信託子会社をつくる、銀行が信託子会社をつくった場合に、ファントラを含めた金銭信託というのは許されるんですか、許されないんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 法律の規定の問題としましては、すべての信託業務を扱うことができるということを想定いたしまして規定をつくっております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 金制調でございましたか、そこでは、これも当分の間でございますか、認めないこととするという文言が入っておるようでございますが、この金銭信託については認めないことになるんじゃないですか。もし認めないことになるとすれば、この金制調の答申というものが何らかの法的な拘束力があるということになるんでしょうか、それともそれは関係ないということなんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 答申で書いてございますのは「貸付信託、年金信託等の金銭の信託等の一部を除く」ということでございまして、この限りでは、例えば貸付信託とほぼ同等の機能を有するような合同運用指定金銭信託などはやっぱり除くべきであろうと考えておりますが、金銭の信託、これはちょっと金銭信託とは違った概念でございますが、その金銭の信託の中のどこを認め、どこを認めないというふうにするかというのは、率直に申して今後の研究課題でございます。  ただ、そのように個別の業者に対してどのような業務を認めるかというようなことは、手続論といたしましては、それぞれの業者の業務方法書というものがございまして、その業務方法書の認可に当たってその位置づけを明らかにしていくというようなことになると考えております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 結局、また先ほどの証券子会社の問題と同じ問題がここも出てくるのですね。それで、先ほど土田局長がおっしゃいました、この業界とこの業界も、言葉ではごうはおっしゃらなかったけれども、私に聞こえてきたのは、両業界間の取引条件といいますか、おまえのところにはこれを認めるからこっちの方には金銭信託を認めよと、こういういわば談合というかネゴシエーションみたいなことがそこで、業者間で行われるのか大蔵省を間に挟んで行われるのかわかりませんけれども、そういうことが行われる余地があるといいますか、そのことをむしろ正当化しておるんではないかということすら私は感じるわけでございます。  といいますのは、四大証券の興味あふれる対象は、多分ファントラを含む指定外金銭信託だと思うのですね。これがないと全く興味の対象にならないということになろうかと思います。銀行、信託銀行の興味は、これからお伺いしますけれども、投資信託じゃないかと思うのです。あるいは貸付信託じゃないかと思うのですね。そのことについて方針が出ない、あるいは個別に営業免許を申請して、延々と免許がおりるかどうか政治家の力をかりながら大蔵省と交渉する、あるいは他業界のトップ会談まで行われなければならないというふうな事態が予想されるんではないかという気がして私はしょうがないのですね。だから、国会でせっかく今やろうとしておることは、有価証券の列挙する範囲を広げて、六十五条の銀証分離、その対象から外すものについても規定を新たに定めて、新たに有価証券とされるものの仲介業務についても認めるとか、私募債についても認める。ここはルールで認めながら、一番肝心なところについては、ルールはあるけれども実態は今後の検討課題というのでは、これは甚だ不明朗、不健全ということになってしまうんではないか、そう考えるから申し上げておるわけでございます。  その辺、土田局長の信託子会社の業務の範囲といいますか、扱える商品の範囲については、これはお伺いしますと、やはり個別の免許申請に際して判断をするということですか。それとも、検討課題というお言葉もありましたので、これはある時点に国会に諮って、国会の審議のもとに決めていくということなんですか。どうなんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 法律上その枠取りが広くとってありながら、当初の段階ではその全部を認めるに至らないという理由は、これは金融制度調査会の答申にも書いてございますように、金融機関の競争条件の公平性の確保などに配慮する必要があるからでございます。やはり具体的に、さまざまな業態のさまざまな業者が現存いたしますので、その中からおのずから秩序ある競争を期待したい、それが全体としての自由化をより早く進める理由であるというふうに私どもは考えております。  一つ二つこの例を申しますと、そのような結果、その個別業者に対する一種の許認可を通ずるコントロールというものによって入り口を最初は狭くし、だんだんと広げていくということは、これは日常そうならざるを得ないというものは幾つもございます。先ほども信用金庫の外国為替業務のことを申し上げましたが、そのほかにもやはり同じ時期に発生した問題といたしましては公共債のディーリング業務でございまして、これもやはりその個別認可を通じてだんだんと広げてまいったというようなことでございます。さらに、これは制度としては古いのでございますが、近ごろ積極的にその取扱業者の拡大を図っておりますものとしましては、担保附社債信託法によるところの担保の受託の免許でございます。このようなものも近年できる限り取扱業者の枠を広げまして自由化を図っておるところでございます。そのようなものにつきましては、もちろん不明朗な印象を招いてはならないということで、そこは十分気をつけてまいりたいと存じます。  さらに具体的な信託子会社の業務につきましては、これは私どもも一般論としましては、業務運営の状況とか、今申しましたような競争条件の公平性の確保とか、それからさらには金融を取り巻く全般的な環境の変化も見定めて対応してまいりたいと思うのでございますが、その中でこれは研究をいたしまして、なるべく早目にいわゆる審査基準のようなものを示すようにできればいいなというふうに私どもも考えております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 この点は重ねて銀行局、証券局の方で、認可の基準なのか審査の基準なのかよくわかりませんけれども、そういうものをおつくりになるということでございます。その基準が国会での、大蔵委員会での論議の対象になるようにぜひ大蔵省の方としても御留意をいただきたいというふうに私は考えております。  それでは、次のテーマに移ります。  投資信託の現況をお教えをいただきたいわけですが、まず投資信託の純資産総額が昭和六十三年からどういう推移になっているか、これについて答弁をお願いをいたします。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 投資信託は株式投資信託と公社債投資信託と両方ございますが、合わせたところで純資産総額を申し上げますと、昭和六十二年末が四十二兆九千億、それから六十三年末が五十二兆八千九百億、ほぼ九千億でございます。それから平成元年末が五十八兆六千五百億、平成二年末がほぼ四十六兆円でございます。それから平成三年末が四十一兆四千七百億、ことしの三月末で三十八兆八千億弱というくらいの数字でございます。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 一緒にお伺いすればよかったのですが、証券局の方では、こういう漸減傾向といいますか、あるいは急激な減少についてどう分析をされていらっしゃるのでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、平成元年末が五十八兆六千億ございましたのが、ことしの三月末で三十八兆七千億ということでございますので、ほぼ二十兆円ほど減少をしているわけでございます。これの大きな原因は、やはり何といいましても株式の運用減、つまり評価減でございます。  参考までに申し上げますと、株式投資信託の残高が、六十三年末が三十九兆二千五百億だったのが、ことしの三月末が二十五兆二千億弱でございまして、十四兆ぐらい減少しております。公社債投資信託の方はほぼ横ばいと見ていいと思います。一時下がりましたけれども少しふえまして、六十三年末と本年三月末とは三十五兆六千億ぐらいのところでほぼ同じ数字でございます。  株式投資信託の減少というのは、やはり今申し上げましたように株価が下がったということによる運用の減と、それからたまたまこの株式投資信託が本年かなり償還を迎えております。元本割れのような状態で償還を迎えておるわけでございますが、そういうようなことでかなり減少し、かつ新たな設定というものも、今のような市況の状況で、なかなか設定をして販売ができないというような状況もございますが、しかし何といっても一番大宗を占めておりますのはやはり運用減だということでございます。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 ウナギ登りに増加をしてきたこの投資信託が、いわば残高ベースでも、おっしゃられたように株式の評価といいますか株価自体に左右されているとはいいながら二十兆円も下がってきた。つまり新たな設定をしても、証券会社の販売担当者が一生懸命セールスをしても、どうも個人投資家がもう投信は嫌だということで参加してこないというところにも大きい原因があるのではないだろうかと私は考えております。  ちなみに、この投信の販売との関係でございますが、ことしの三月末で大手の四つの投資信託委託会社が設定をしております投資信託がどういう証券会社、つまりどういう系列の証券会社の手を通じて売られているかという点でございますが、この点についてお答えをいただきたいと存じます。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 大手四投資信託会社、これは野村、日興、大和、山一でございますが、残高ベースで把握をしておりますけれども、これが本年三月末の残高に占めますいわゆるグループといいますか友好関係があるといいますか、そういう証券会社を通じて売られたものが九割、あるいは場合によっては九四%ぐらいに上っている証券会社もございます。したがいまして、逆にそういう関係にない一般の証券会社を通じてこの四社の投資信託が販売されている割合は、一割から低いところでは六%ぐらいというような数字になっております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 さまざまな問題がこのいわゆる系列で売られているということの中から指摘をされておると思うのです。先ほどおっしゃられた答弁に加えて、この大手の四つの投資信託会社のシェアが、総資産のベースで、あるいは元本のベースでも六八%、大体七〇%ぐらいいっているという資料もいただいておるわけでございます。ここですね。投資信託委託会社と四大証券、そして四大証券のそれぞれのグループとおっしゃいましたが、友好的なグループといいますか系列、この中でしか投資信託が売られないということは、投信の業界といいますか、あるいは投資信託市場について好ましいことなんでしょうか。それとも、もう少しその辺に何といいますか、クロスといいますか、自由な競争といいますか、自由な選択というものが販売会社の方にもある、あるいは投資信託委託会社と販売に係る証券会社の間にももう少し自由な、卸というのですか小売というのですか、そういうものがあった方がいいというふうにお考えでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 この証券投資信託につきましては、もともとこれが証券会社本体で行われていたという歴史的な経緯のようなものがございます。そういったようなことで、特に大手四大証券の子会社であります、子会社といいますか関係会社であります投資信託会社の販売が、主としてその大手証券会社で行われているというのは既に数字で申し上げたわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、証券投資信託というのは、いわば個人が証券市場に参入する場合の入り口に位置する商品ではないか。債券もございますけれども、株式に比べるとやはり専門家が運用をして、それなりにリスクを小さくしている商品だというふうに考えるべき商品であろうと思うわけです。  そういったことからいいますと、今のような販売の実態というものについては、我々も非常に問題意識を持っているわけでございまして、その経緯がございますから急にこれを一変する、変えるというわけにはいかないわけでございますけれども、従来から中小証券会社に対して新たな投資信託商品をつくるということをその四大証券の関係の投資信託会社にも指導しておりますし、実際にそういう商品もできております。  またあわせまして、ごく最近、この投資信託会社の参入という問題について基準を緩和をいたしまして、投資顧問会社からの参入を認めたわけでございます。投資顧問会社からの参入といいますと、今度は投資顧問会社は銀行あるいは保険会社、いろいろな業態から参入しておりますので、そういうところを通じて間接的ではありますけれども、証券会社系統でない投資信託会社というものが新たに出てくるということを期待をしているわけです。それ以前に、外国の委託会社も既に進出をしておりますけれども、やはり国内についても、そういう投資信託会社の証券会社系統でないものというものもかなり参入してくることを期待し、そういったことを通じて販売網も特定の証券会社に偏らないで、いろいろな商品ができれば、その商品を取り扱いたい証券会社は、その投資信託会社に自由にアクセスできるというようなことを図っていくことによって、投資信託を通ずる証券市場への個人の資金の導入といいますか、あるいは個人の資産運用というものを拡大していく必要があるのではないかというふうに考えているわけです。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 今、投資顧問会社に投信委託会社を設立させるといいますか、子会社で投信委託の方に参入させることを認めたのだ、こういう趣旨の答弁があったかと思いますが、これについては、別に子会社までつくらせるむだをする必要はなかったのじゃないだろうか。投信委託会社がやっていることと、投資顧問一任契約で運用アドバイスをやっていることは、顧客が集合体であるのか、信託する財産が合同のものなのか、それとも個別の顧客なのかという違いだけがあるだけで、運用アドバイスという意味ではそれほどの差がないじゃないか。現に、だからこそ投信委託会社は投資顧問を兼営できることになっているではないか。だから、投資顧問についても、直接投資顧問の会社が投信委託業務ができるというふうにすべきではなかったかという批判もあるようでございます。  この間、庶民の投資信託に対する怨嗟の声というのは、昨年の証券・金融スキャンダルを通して非常に大きくなっておるわけでございますが、投資顧問業者に投信委託に参入させるということのほかに、大蔵省の方で指導しない方がいいことなのかもわかりませんけれども、つまり、ある種の業界との協議等々によって、業界が自主的に改善方を決めたというふうなことはございますでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 この投資信託委託会社の問題、特に証券会社との関係が非常に問題になるわけでございまして、やはり投資信託委託会社というのは、不特定多数の投資家から集まったお金を運用するわけでございますから、全く独立の立場で適正な運用判断をしなければいけないということになるわけでございます。  そういった観点からいいますと、例えば資本関係というものも、余り特定の会社に依存しているのはどうかとか、あるいは運用についてファンドマネジャーというものをちゃんと養成して、きちっと独立した立場で運用方針を決めなきゃいけないとか、販売につきましても余り特定の会社にだけ依存するのも問題があるとか、いろいろな問題があるわけでございます。こういった点についても、従来から私どもも行政上、いろいろと指導をしているわけでございますけれども、投資信託協会の方でもいろいろと検討いたしまして、いわば自主ルールを策定したわけでございます。  この自主ルールは、投資信託制度全体の見直しという観点でいろいろと、今申し上げた独立性ということに重点を置いてつくられております。この独立性につきましては、これはことしの二月に改正して、より強化されたわけでございますけれども、例えば人事の問題につきましても、関係の証券会社との人事交流とか、あるいは関係の証券会社から余り多くの人間を受け入れるというのはいかがかというような人事面に関するルール、これは具体的には、役員について例えば五分の一以上の者が関係証券会社から来るというのはどうだとかいうようなことになっておりますし、それから運用につきましても、これはできるだけ先ほど申し上げた中小証券を利用した、いわゆる我々は公開販売と言っておりますが、公開販売の割合をできるだけふやしていく。さらに、この運用に際しての注文、発注でございますが、これもできるだけ分散をするというようなこと、あるいは関係証券会社が引き受けたものを余り運用資産に組み込まないというようなこと、いろいろな問題で、運用については、本来はファンドマネジャーというものがきちっと日本で育ってくればおのずから解決するわけでございますけれども、現在のところ残念ながら、まだファンドマネジャーというものが十分な数が確保できてないという事情もございます。  そういったことで、運用に関してかなり細かい自主ルールをつくったわけでございまして、いずれにしましても、こういうようなことで投資信託というものが従来のように、まあ経緯もありますけれども、関係証券会社のいわば手足のような位置づけになっているということはやはり非常にぐあいが悪いわけでございまして、やはり投資信託という商品をつくる会社とそれを販売する会社というものは別のものであるということで、できるだけそういうものが別々になるように、いい商品はだれでも売れるという方向に持っていくことが必要でありまして、投資信託協会の自主ルールも基本的にはそういう方向に持っていくということに沿ったものだというふうに考えております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 私は、個人的見解といたしまして、この投資信託というのは、先ほど局長もちょっとおつしゃいましたけれども、素人が鉄火場である証券取引といいますか株の取引に直接出動するといいますか参加する、それも信用取引でやるなどということはできるだけ避けた方がいい、この投資信託こそが個人の資金の資金還流あるいは資本市場への参加の一つの大きなポイントだろうと思うのです。今のスキャンダルがあったことも原因にあるのでしょうけれども、郵便貯金に個人の資金が集中するというのは、資本市場という観点から考えたら不健全だと思うのです。それから、個人のポートフォリオと言うと大げさですけれども、資金運用から考えましても、そろそろ一人一人が自己責任に基づいて判断していろいろな投資の仕方をするといいますか、お金の預け方をするということが重要なのではないか。例えば、今のように公定歩合が引き下がって預金の金利が下がってきます。そうすると、年金で生活されている方は、けしからぬ話だとお怒りになっています。私はごもっともだと思います。ごもっともだと思うけれども、そのためにこそ金融商品の多様性というものがまさに保障されなければならない。つまり、銀行金利が下がったときには、そこで投資信託の方に、あるいは公社債投信であれば何%の利回りがあるということであればそちらにシフトさせる、あるいは証券投信で多少のリスクはあるけれどももう少しリターンがいい方にかえる、そういうことになるのが本当の健全な資本市場と個人のあり方だと思うのです。  そういうふうに考えていきますと、投資信託は健全なものになっていただいて、それが一人一人の市民といいますか庶民に見えるような格好にしていただいて、従前のようなあおり唆すような販売方法ではなくて、自己責任の原則に基づいてちゃんと投資が行われる市場にしなければいけないと思うのです。そういう観点から考えますと、投資信託の受益証券を売るというのが、今度の金融制度改革の中で、法律上は銀行による証券子会社にも信託銀行による証券子会社にもできるようになっておるわけでございますので、投資信託市場のことを考えても、それから投信委託会社と販売会社の独立性という点から考えても、どうも投信の販売については解禁なさった方がいいのじゃないかという持説を持っておるわけでございます。その点、証券局長いかがでございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 証券投資信託の販売につきましては、確かに個人の証券市場への参入に当たっての入り口で、一番それに適した商品であろう。いろいろなものができるわけではございますけれども、そういったことからいいますと、確かにできるだけ広い窓口で売るということが必要であろう。ただ、一つあえて申し上げますと、中小証券会社も、今や株式に余りにも偏っているのは不安定だという感じも持って、反省をして、投資信託あるいは債券というようなものの販売をふやすということで営業基盤の強化を図っていくというようなことに努力をしておりますし、また、そういう方向にいかないと中小証券がこれから健全な営業基盤を持って営業を行っていくということもなかなか難しいのではないかというような問題もあるわけでございます。そういった点について、全くそれを無視するわけにはまいりません。しかし一方では、先ほど申し上げましたように、既に投資信託の委託会社について、銀行系、これは孫会社の形ではございますけれども、銀行系の参入を認めるということに踏み切ったわけでございますし、また、具体的に銀行が設立いたします証券子会社というのがどの程度の販売網を持つのか、つまりそれが直ちに、中小証券会社が今申し上げた投資信託等を中心にして営業基盤を強化していくのに非常に支障になるのかどうかという点についても考える必要があろうかと思うわけですけれども、基本的には今御指摘のように、投資信託の販売については前向きに考えていく必要があるのではないかというふうに私も思っております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 銀行局長、同様のことが、貸付信託受益証券でございますか、これについても言えるのじゃないかと思うのです。これについてはいかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 貸付信託につきましては、実は貸付信託法の中に、受益証券は有価証券とするという規定はございます。ただし、実際に行われておりますものはまずほとんどが記名式でございまして、実はこの点は恐らくこの法律を制定したときの期待とはやや違っておったのではないかと思います。記名式の場合には、普通の預金証書と同じような、かなり譲渡性が制限されたようなものになりますので、その限りにおいては有価証券性がほとんどないということになるわけでございます。そういうこともございますので、貸付信託の記名式の受益証券を信託業者の店頭以外の、いわば他の会社の店頭で売るというようなことは実際上行われておりませんので、ただいまの御意見でございますが、実際には余り行うことができないのではないかと考えております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 これも法律上は解禁をされておるということになるのだと思うのですね。だから、信託子会社をつくった場合、あるいは地方銀行が本体でこの受益証券をリテールするということがあってもいいのじゃないかと思うのですが、それは記名式であるという理由だけで無理なんでございましょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 なお研究いたしますが、最前から申し上げておりますけれども、貸付信託そのものはいわば信託子会社の当初の業務範囲からは除かれるわけでございます。したがいまして、その貸付信託の受益証券の発行は現在それを行っておりますものだけということに当分の間はなると思います。  それから、現時点では、この貸付信託の受益証券は預金証書と同じような扱いをされておるものがほとんどであるということでございますので、預金証書を他の業者の店頭で扱うことがいいかどうかという問題を含めまして、なお若干検討させていただきたいと思います。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 投資信託市場につきましては、特に庶民の多様な商品へのアクセスという面から考えても重要な問題だと思いますので、そしてまた資金の還流という点からも極めて重要な問題じゃないかと私は思っておりますので、早期に鋭意検討をして確定をしていただきたいなというふうに考えております。  時間がなくなりましたが、フャイアウォールについて一、二点伺っておきます。  顧客リストの漏えいという問題が従前ございました。銀行の顧客リストですね。私が持っております資料によりますと、東洋信託銀行、旧三井銀行、三菱銀行、長期信用銀行、朝日生命、東邦生命、第一生命、そしてつい最近の協和埼玉銀行による埼玉県知事選挙の畑さんの後援会長と言われる人の預金の通帳が新聞に出たという事件でございます。  この金融制度改革との関係でも伺いたいわけでございますが、金融機関から顧客リストが一般にも流れているということがあったわけでございます。これについて今各金融機関がどういう内部的な管理体制といいますか処置をとっておるのかという点と、それと今回のファイアウォールに絡んで、証券子会社、信託子会社あるいは銀行子会社とのファイアウォールに絡んで、顧客の名簿とか財産状態を記した書面というのが各金融機関にあるはずでございますが、これを各子会社が利用するということはファイアウォールとの関係でどういう位置づけになるのでございましょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 問題を二つに分けて御説明申し上げますと、一つは、過去に、最近もございましたが、銀行の持っております顧客に関するデータが外部に流出する、漏えいする、そういう事態が時々発生をしたということでございますが、これはもちろん、外部に流出させることが銀行の内部規定上認められてもおらないのにかかわらず、いろいろな過失的なものもあったかと思いますが、管理不十分な事態もありまして、それが外部に流出するということでございました。これは極めて遺憾な事態であったと考えております。  これにつきましては、既に、最近では一昨年の六月でございますが、全銀協などの各金融団体に対しまして、顧客情報の取り扱いについてより一層厳正な対応を行うように指導をいたしたところでございます。  それから、この背景といたしましては、一つにはコンピューターを利用いたしました情報処理、それから通信技術等の飛躍的な進歩によりまして情報の大量かつ迅速な処理が可能になったということがございます。そのような処理の一環として打ち出されたデータが何らかの理由によって外部に流出したというようなことであったかと思います。  したがいまして、このような問題に取り組むためには技術的な研究、システム的な研究が必要であるという観点に立ちまして、これは金融情報システムセンターという団体がございますが、そこで個人データ保護専門委員会というものを組織いたしまして、金融機関における個人情報の収集や適正管理などにつきまして取り扱いの指針を策定したところでございます。今後とも、この指針に基づく各金融機関などの具体的な対応を見守りながら、適切に大蔵省としても対処していきたいと考えております。これがいわば本来流出すべきでないものが流出したということについての私どもの姿勢でございます。  それからその次に、今後の問題として、このような銀行の持っております顧客に関する情報の利用をどうするかという問題でございますが、端的に具体的な今のお尋ねにもありましたような、親銀行の顧客台帳を証券子会社に流用するということにつきましては、これはむしろ、証券取引審議会の報告書におきまして、「発行会社、投資者等に関する非公開情報を親会社から証券子会社に伝達すること」については「所要の規制を行い、新規参入に伴う弊害を防止することが必要である。」というような指摘もございましたと思います。  なお、さらに一般的にもう少し広げて問題を整理いたしますと、例えば外国などでは、アメリカあたりの例では、顧客の同意を得れば、この情報を顧客が同意した範囲内において第三者に提供することも可能であるというような考え方がとられておりますし、私どもの方も今後の一つの大きな研究を要する分野であるというふうに考えまして、なおいろいろとシステム的な問題、それから弊害防止の問題などを今後研究してまいりたいと思っているところでございます。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 今FRBの指令の情報の交換に関する規則というのでしょうか、その部分で顧客の同意の点をおっしゃったのだろうと思いますけれども、顧客が同意すればそれは問題ないと思うのですね。とこちが、私の経験でも、さるカード会社に私は加入をしてカードを使っておるわけでございますけれども、どんな関係があるのかわかりませんけれども、いろいろな商品やら何かの宣伝が集中豪雨的に来るのですね。そんなものは僕は必要ないわけでございますが、来る。名簿を売っているか何らかの業務提携をして、いわばそのカード会社の顧客にダイレクトメールで、要するに販売慫慂といいますか、何か仕掛けているとしか思えないのであります。年会費がそれに使われていると思うと、ますます怒りが込み上げるわけでありますけれども、この種のことがもう少し激しく行われな十という保証はどこにもないわけでございます。つまり、銀行業務と違って、先ほど申し上げた投資信託の世界とか、その他証券販売あるいは証券の仲介の世界になりますと、もう少し激しい攻勢が行われておったというのは、つい半年ぐらい前まではそういうことでございましたわけですから、こういう点について、私は厳しくすればいいというふうに言っておるわけではありませんけれども、つまり、余り厳しくすると、せっかく証券子会社が業務をしようと思っても全く何にもできないということになりますので、そうは申しませんけれども、顧客の同意というのも一つの道だと思いますが、適正なファイアウォールをおつくりをいただきたいと存じます。  ファイアウォールについては、今おっしゃったので、多分アメリカのFRBの例とかその他諸外国の例があるようでございますが、こういうのを参考にされておつくりになる、政令でお決めになるというふうに伺っておいてよろしいのでございましょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 アメリカのFRBでは非常に詳細な規定を設けており、中には一部緩和をしておるものもございますが、基本的には私どももそれを参考にしながら具体的な内容を考えていきたいというふうに思っております。

仙谷由人日本社会党・護憲共同

○仙谷委員 時間が参りましたので終わりますが、一番最初の方に申し上げたように、少々、最も重要な問題で、具体的に定まってない、検討中であるという問題が多いようでございます。できるだけその種の問題も、国会の審議にさらされて決められる、議論をされて決められるという過程をぜひおとりいただくように強く要望いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議

太田誠一自由民主党

○太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。富塚三夫君。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 きょうは日本銀行から福井理事に参考人として出席をしていただきまして、ありがとうございました。実は私、二月二十七日の大蔵委員会で、日本銀行に対する金融政策の問題についていろいろ御質問したのでありますけれども、ちょっと手違いで日本銀行からはおいでにならなかったもので、大蔵省にかわって答弁いただいたような感じになったのですが、やはりこのバブル発生の根源が日本銀行の金融政策の失敗にあったというふうに、衆目がそういうふうに見ていると私は思っているのですが、また今回の不況も、景気のソフトランディングに失敗したという点で日本銀行の金融政策の失敗、バブルの発生そして崩壊、それに対する政府や日本銀行の対策、何が問題で責任の所在はどうだったのかという点で、相変わらず、景気問題についての日本銀行総裁などに代表される発言を見ると、非常に楽観をしているという点もあるわけでして、私は、国民の実感とかなりかけ離れているという点で、きょうはいろいろ福井参考人に御質問をさせていただきたいというふうに思うのです。こういった金融政策、例えば先日の公定歩合の再引き下げなども後手後手を踏んでいる、依然として今日は景気が低迷しているということの基本的な認識について日本銀行としてはどのようにお考えになっておられるのか、筆頭理事であられる福井さんにぜひひとつお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行理事

○福井参考人 お答え申し上げます。  日本銀行では、御承知のとおり昨年の七月以降、公定歩合の一連の引き下げを中心として、現在金融の緩和政策を推進中でございます。そのねらいは、八〇年代後半の経済の、いわば行き過ぎと目されるような現象を早く、スムーズに調整して、改めて物価の安定を機軸とした持続可能な成長の経路に日本経済を乗せていくということをねらいとして実行しているところでございます。一連の措置は、昨年七月初めの公定歩合の引き下げを出発点といたしまして、その後逐次実施してきておりまして、いついつの公定歩合の引き下げ云々ということでなく、一連の措置としてそれが累積的にどういう効果を経済全体に及ぼしていくかという観点からこれを判断していくべきだというふうに私どもは基本的に思っているわけでございます。そして、現在ただいまの政策の目標というのは、やはり現在進めております景気の調整は過去の行き過ぎを是正してより望ましい経済のコースを確立していくために必要な経路である、必要な調整であるけれども、その必要な調整の課程を極力円滑に運ぶ、そこに主眼を置いて運んでいるというところでございます。  現在ただいまの時点におきましては、富塚委員御指摘のとおり、調整局面の中で、今恐らくは最も厳しい時期を経過しつつある状況ではないかというふうに判断いたしております。そういう意味では、私ども決して現状を楽観的に見ているということではなくて、多くの方々の直接の御意見も拝聴しながら、現在はやはり調整局面の中で最も厳しい時期を経過しつつある、この先行きに向かって明るい展望を着実に築いていきたい、そういうねらいのもとに今政策を遂行中であるというふうに御理解いただきたいと思います。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 前回の公定歩合再引き下げのタイミングの問題ですけれども、金丸副総裁などといろんな綱引きがあったことがいろいろ新聞にも出ていましたけれども、前回の公定歩合の再引き下げのタイミングを失った、タイミングが間違った、もっと早くすべきでなかったかというお感じは持っておられますか。

福井俊彦日本銀行理事

○福井参考人 四月冒頭の第四回目の公定歩合引き下げのことを指しておられるのかと思いますけれども、あの公定歩合の引き下げのタイミングが経済政策全般の観点から見て本当に正しかったかどうかということは、もう少し後世になって振り返って、恐らく歴史的な判断が下されるところであろうというふうに思いますが、私どもの判断といたしましては、昨年の年末の公定歩合の引き下げを受けまして、ことしに入りまして年初から三月に至りますまで、各種の金利がかなり急速に低下し続けていた状況でございました。そうした金利低下の進行する姿、そしてそれが経済全体に及ぼす効果というものを見きわめていくということも、政策遂行上の重要な一環としての行為でございます。  したがいまして、よく効果を見きわめながら次の手を打っていくという点で、私ども四月冒頭での利下げというのは正しいタイミングを選んだのではないかというふうに思っております。かつまた、金融緩和の度合いというものがここまで進行し、経済全般の調整の姿というものが進んでまいりました段階におきましては、政府においてとられます財政面を中心とする措置、これとの関連で、政策全体のバランスということもよく考えながら金融政策を実行していく必要がある、そういう段階にもあったわけでございまして、政府の一連の政策もよく拝見した上、第四回目の公定歩合の引き下げの決断をしたというところでございます。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 依然として株価は不安定な状況を続けている、あるいはまた全般的に景気が落ち込んでいるという状況では、なかなか回復の兆しか見えないということからすると、やはりあの公定歩合の再引き下げというタイミングについて問題があったのではないかという見方が一方ではあります。  私は、三重野総裁という方は余り存じ上げておりませんけれども、例えば三重野さんの発言、非常に自信を持って楽観論を今回も述べられているのですけれども、日本銀行の政策委員会全体としては、ああいう三重野さんの発言というものについては全面的に支持されているのでしょうか。どんなお感じなのでしょうか。

福井俊彦日本銀行理事

○福井参考人 日本銀行の政策委員会は、御承知のとおり、週二回、火曜日と金曜日、定例的に会合を開いておりまして、いろいろな議題がそこでのせられるわけでございますけれども、やはり現状におきましては、景気の現状それから先行き見通し、そうしたことについての情勢の点検とそれから意見の闘わせ合いということが非常に大きなウエートを占めているわけでございます。  そうした議論、私ども承知しております限り、もちろん経済の見方でございますから政策委員一人一人違った見方をされるケースもございますけれども、現状に関して申し上げます限り、意見は一致しているということでございます。  三重野総裁がいつも国会その他でお答え申し上げております景気のこの先の見通しに絡む部分を、恐縮でございますが、ちょっとここでもう一度申し上げさせていただきますと、今申し上げましたとおり、景気の局面は今が最も厳しい調整の時期に当たっているのではないかということでございますが、そこを出発点としてこの先どうかということになりますと、現在は、最終需要の中でも重要な項目であります製造業の設備投資が引き続き減少傾向にあるという点とか、それから個人消費の面でも耐久消費財の需要が、過去数年非常に大きく伸びた後だけに、今ちょっと一服状態にある。したがいまして、それらとも絡んで、全体に企業の段階で在庫の過剰感がまだかなり強い、こういう状況でございますので、景気の調整局面はなおしばらく続かざるを得ないということでございます。  しかし、それではお先真っ時かとか、あるいは全く先行きについて悲観的にばかり見なければならないかというと、必ずしもそうではない面も少しずつ出てきているということでございまして、いわゆる景気の底がたさを示す動きとか、幾ばくか明るい兆しということをあえて指摘させていただけますならば、まず個人消費につきましては、御承知のとおり、雇用環境が過去の調整局面と比べますと今回はなおかなりしっかりしている、そういう中でサービス関連の支出を中心に底がたい伸びが見込まれているということでございます。それから、金利がかなり低いところまで下がってまいりましたものですから、住宅投資が金利に反応して持ち直してきているということがございます。そのほかに、同じく設備投資でございましても、非製造業の設備投資につきましては、経験的に見て金利に対する感応度が比較的強うございまして、今回も金利が下がっているという状況のもとで、非製造業の設備投資にも好影響が及ぶと期待し得る段階にだんだんなってきているということでございます。  それに加えまして公共事業の面でも、特に地方公共団体の単独事業がこのところ非常に活況を呈しているということでございますし、先般政府において決定されました公共投資前倒し執行の効果がこれから加わってくる、こういうことでございますので、最終需要について悲観的な見方ばかりすることは必ずしも当たらない、こういう状況だろうと思います。そういう意味では、現在のような企業の生産抑制基調が続くとすれば、今後在庫調整は次第に進捗していく筋合いにあるわけでありますので、いずれバランスのとれた安定的な成長経路へつながっていく筋道に今ある、そういう見方をしているわけでございます。  少々長くなりましたけれども、三重野総裁が繰り返し御説明申し上げておりますことの骨子は以上のとおりでございます。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 なるほど三重野総裁は、景気の局面はしばらく続く。おっしゃるように、個人消費は底がかたくて、住宅投資も回復傾向にあって、在庫水準も低下するなど、景気が落ち込んでいくというリスクは小さく、在庫調整に向けてバランスのとれた安定成長の軌道に移っていくだろう。しかし、十月から十二月、第四・四半期、秋以降の回復という問題に一つの照準を当てられていると見ます。  現実に鉱工業生産指数は、三月時点では前年同月比でマイナス五・三%、これは一九八二年十月のマイナス四・一%を上回って、戦後二番目の落ち込みだ、こういう数字が出ています。また、四月の企業の倒産、負債総額も七千六百六十億とか最悪の事態になって、倒産件数も三カ月連続で千件を超したとも見られている。景気の実態を適切にあらわすと言われるGDP、前期比の動きを見ますと、九一年一月から三月までは一・六増をピークに、その後次第に鈍化して、九一年十月から十二月にはゼロ成長になりました。  その減遠の背景は、住宅投資が最初に減少し始めて、新設の着工戸数が九〇年後半から減少し続け、次は設備投資が減速、先行指標である機械や設備投資も鈍化をする。九二年に入ってからは個人消費の減速が目立っている。御案内のように、車の売れ行きも減って、百貨店の売り上げも減り、都内や横浜のタクシーはもう空車がいっぱいです。企業も一般の庶民の人も不景気の実感を極度に味わっている。また、公定歩合再引き下げをしても一向に回復の兆しか見えない。株価も低迷、企業倒産もふえ、また銀行は店閉め同様と言われるくらいに全く金を貸さない、わきを固めているという点で、国民はやはり、日本銀行、いわゆる景気の番人や物価の番人が、総裁がそのようなことを言っているというけれども、本当に大丈夫なのかどうかという点では全く疑問を実は持っているわけです。  ある経営者に言わせれば、三重野総裁は平成の鬼平などと言って、いい気持ちになっていてもらっちゃ困る。何かおれはすべてなんだみたいなことでは困る。やはり金融政策の失敗に原因があったのだから、三重野総裁は責任をとるべきだ、交代すべきだという国民の声が強いように私は思うのですけれども、この見方というのは、ただいまのような見解がありましたけれども、十月以降、秋以降の回復というところに照準を当ててお考えになっているのかどうか、もう一回お尋ねします。

福井俊彦日本銀行理事

○福井参考人 ただいま委員御指摘のとおり、現在ただいまの経済の状況、それをあらわしますいろいろな経済指標が大変厳しい姿になっている。御指摘のとおり、鉱工業生産のレベルが去年のレベルに比べて五%以上マイナスの状況にあるとか、それに伴いまして企業収益の落ち込み方は鉱工業生産の落ち込み方以上に落ちている。関連する倒産め件数もふえている。現在はそういう厳しい状況にあるということは、私どももそのとおり認識しておりまして、しかるがゆえに、現在がただいまの調整局面の中で最も厳しい時期を経過中ではないかというふうに申し上げたわけでございます。  企業がかくも厳しい生産の抑制、つまり減産を強めているということ自身は、企業自身が経済のこの先の望ましい姿に向かって調整を進めているということでもございまして、企業の厳しい減産姿勢というのは、景気の現状を非常に暗くする要因ではございますけれども、一面は将来に向かっての経路を築きつつあるという盾の両面の面があるわけでございます。  そういう点では、最終需要の落ち込みが余りにも極端に厳しい状況になるということでない限り、企業の減産はいずれ在庫減らしということを通じて次の道を築いていくことに通ずるわけでございまして、私どもの立場から見ておりましても、もちろん日本銀行の目で将来が全部見通せるわけでもありませんし、在庫調整がいつごろ終了するかを正確に見通せるかというと、それほどの力は我々にはございません。そういう意味では、現段階では確固たることはなお言いがたい、そういう難しい状況ではございます。  ただ、今の企業の減産のレベル、それから一方でこの先予想されます最終需要の姿、その両方を見比べてみますと、恐らく、この一‐三月中に在庫はかなり減ってきた、こういった在庫の減り方がいましばらく続いて在庫があるところまで減ってまいりますと、企業としては自然にある程度生産のレベルを上げていけるようになるわけでございまして、そういう自然な経済の変化というものがだんだん期待できる状況になるのではないかということは、最低限言えるわけでございます。そこのところをある程度期待を込めて、あえて見通しを立てれば、ことしの秋ごろまでにはある程度そういうめどがついてくるのではないかということを総裁が述べているわけでございます。  念のため繰り返させていただきますけれども、事柄の性格上、在庫調整の終了時期を非常に明確に予測することはなお困難でございます。いろいろな可能性を念頭に置いて、今後とも非常に慎重に物事を見ていく必要があると思いますけれども、現在の企業の減産ぶり、そして一方で最終需要の予測というものを並べて考えます場合に、秋ごろまでに在庫調整にかなりめどがついてくる、そういう期待は持てるということは申し上げられるというふうに思います。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 大蔵大臣にお尋ねしますけれども、過日の大蔵委員会で、我が党の堀先輩が宮澤総理に質問をいたしました。議事録を読ませていただきましたが、官庁エコノミストの判断が的確性を欠いているんじゃないか、あるいは景気変化の激しいときにはデータをもっと早く確実にとって分析、対応をすべきではないか、そういうことなどで景気の問題について質問をいたしましたところ、宮澤総理は、有効求人倍率も高い、雇用の心配は少ない、あるいは在庫調整が終わると投資意欲が出てくるであろう、政府が公定歩合をこれ以上引き下げることは限度にきている、政府としては緊急経済対策などで予算の前倒しの使途を検討するなど一生懸命やっています、しかし四月ないし六月という時期、もう底を過ぎて上がりかける時期になっていると思う、宮澤総理はこう言っておるわけです。  あさってからですか、もう六月ですよね。政府の見方は基本的に日本銀行の見方と一致するのか、あるいは一体どういう考え方に立つのかについて、総理は堀先生の質問に答えてこうおっしゃったのですけれども、大蔵大臣としてはいかがでしょう。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 先ほど来福井理事の方から御答弁申し上げておりますことは、基本的に私たちとほとんど一致しておるというふうに申し上げてもよろしいと思います。  なお、この間の堀先生からの御質問に総理からお答えを申し上げたのは、要するに時が過ぎてみるとまさに四‐六というのが一番底にあったんじゃないのかなということを言われまして、秋口ぐらいには一つの景気の回復というものを実感できるようになると思うというような言われ方をされたのではなかろうかと今私は記憶いたしておりますけれども、私どもも実はそのような認識をいたしております。  いろいろとお話があったわけですけれども、今度の不況と言われる状態というのは、先ほど来御論議がありますように、やはりバブルというもの、これはちょっと異常というぐらいなものだったですね。土地がともかくどんどん高騰する。中には、皇居一つでカリフォルニア州が買えるだとかあるいは東京都でアメリカが買えるなんということが言われたぐらいでしたね。それと同時に、住宅なんかも百三十万とか百三十数万というものが百七十万ぐらいまでいってしまったというようなことでありますし、自動車の販売台数にしても四百万台前後が五百数十万台というようなことでいきました。また大変な高級車が売れましたり、あるいは絵画が大変高いものが普通に取引されるなんという状態で、飾れば売れていくという状態がありましたね。これはもう今になってみると、バブルというまさに異常な状態であっただろうと思います。  それが総量規制がかけられるとか、あるいはそういったものもある程度のところまでいきますと必ず天井が来るということではありますから、そういうものが全体的に剥落していくと、何か不況感というものが漂ってきたということであろうと思います。そういう中で、土地あるいは株式等いわゆる大変な含み益になっておったものが逆に損になってきたということで、これが減少してきたというようなこと、こういったことがまず第一であろうと思う。そういう状況を踏まえながら、今度は実物の方も全体的にだんだん細まってきたというのが今日の状況であろうと思っておりまして、今福井理事の方からお話がありましたように、やはり今度の調整というのは避けて通れないものであろうということでございまして、そこが今非常に苦しいところじゃなかろうかと思っております。  また、産業の方も相当高い勢いで設備投資等を行ったものでありますから、これはやはり調整しなければいけないというところでございますから、こういった設備投資が直ちにまた復活してくるというものではない。しかも、これからの設備投資というのはこれからの産業構造というものを、人手が不足する中でどうしていくのかということを考えていかなければいけないというようなことで、時間短縮そして省力化という中での設備投資ですから、これは比較的コストが高くなる方で、余り利益が上がっていくというものではない。そういう中でもうちょっと景況というものが上向いていきますと、こういった設備投資というものは盛んに起こってくるであろうけれども、今足踏みしておるというのが状況ではないか。  しかし、ただ悪いことだけではなくて、先ほどお話がありましたように、住宅なんかは明らかに回復しつつあるということがございますし、また労賃等につきましても、ある程度の高さのものを確保することができた、物価は今なお安定しておるということを見ましたときに、個人の最終需要というものは、今までのように高価なものを買うという状況ではありませんけれども、しかし、きちんとした需要というものは底がたいものがあろうということを考えますと、私どもは、この間通りました緊急経済対策、そして公定歩合の引き下げ、また前倒し、こういった一連の効果というものがこれから間違いなく出てくるであろうというふうに思っておりまして、私どもは基本的にはそういったものをよく見きわめていく、この効果の発現というものがどんなふうになっていくのか見きわめていく、今非常にデリケートでもあるし、一番大事なときであろうというふうに考えておるところであります。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 私も、日本銀行や政府と、いわゆる一般の国民や民間エコノミストたちの認識が非常に違うという問題について、やはりもっと日本銀行も謙虚にそういうところに耳を傾ける、政府も耳を傾けてみる必要があるのじゃないかと思っているのです。  今回の景気減速のメカニズムといいましょうか、まず金融の引き締めによる金利の上昇、あるいは株価、地価の値下げによるバブルの崩壊、これによって金利に敏感な需要である住宅投資、設備投資が鈍化し始めて、そこから景気減遠のメカニズムが作用した、こう言われています。こうした中で、九一年後半以降も個人の家計や企業の先行きに不安が生じて、間違いなく個人の消費が落ち込んでいることは事実なのです。しかし、個人消費の底はかたいと一方では見られている。また、個人消費の先行きも不透明で、一方では力尽きた感じがあるとまで言う人もいるわけですね。  住宅問題一つとってみても、今私たちの選挙区でもマンションなどの大小を問わず、ほとんど空き家で売れていません。そして、持ち家を求めたいとするサラリーマンも現状のところでは手が出ない。住宅着工の戸数は前年同期よりもプラスだ、しかし、分譲マンションは三〇%強マイナスだ、いろいろ言われていますけれども、年間所得一千万前後の一般のサラリーマンの住宅のニーズを生かすには一体どういうふうにすればいいのかということを考えた場合に、そう簡単に心理的な作用が戻るみたいなことにはならないし、今のような状況のもとで住宅需要に熱が入っていくなどということにはなかなかならないということの問題を考えると、住宅のことも問題があるのではないか。あるいは在庫調整の問題だって、そんなにうまくいっている状況にはならない、こう我々は見ていますけれども、急激な落ち込みという面で、経済のスピード的な面で見る見方と、依然として経済はある程度の水準にあるから、レベルがしっかりしているから落ち込んでも大した心配ない、こう見られている両面の見方が交錯している点も、いろいろな面で言われております。  しかし、私は、日銀や政府がもっと庶民の実感をきちっと知った上で景気対策というものの展望を切り開いていかないと、とんでもないことになってしまうのじゃないか。大蔵大臣言うように、なるほど物価も安定しているあるいは雇用の問題もいい。しかし、現実にバブルの崩壊の影響というものと、それが国民の消費を停滞させて、まさに心理的に追い込まれて、これを回復させるという問題はそんなに数字のペーパープランでいく問題でないし、経済が底がかたいなどということでいく問題じゃないと思っているのですが、これは福井さんと大蔵大臣、ちょっとお聞かせいただきたい。その点についてどうお考えですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 実は、バブルが発生するそのもとになったのは、プラザ合意そして一連の金利引き下げにあるという御指摘であったわけでありますけれども、まさにあのときには、企業もあるいは大衆も、これで日本経済というのはつぶれてしまうのだぞという実は大変な合唱があったわけですね。そういう中で、実際にそういう心配というのは、相当急激に円高が進んだから、これはだれもが当然そう考えるという中で一連の措置をとってきた、それがバブルを引き起こしたということですね。ですから、私たちとしては、ああいうバブルをまた再燃させるようなことについては本気で考えなければいかぬということと、再びインフレというものを起こすようなことがあったら国民大衆にとって本当に大変なことであろうと思っております。  ですから、私たちもそれぞれのデータというものだけをもとにしているわけではないわけで、私たちの場合には、財務局ですとかあるいは国税の関係のあれが全国にありますね、そういった機関の皆様方にも、日常、企業の皆さん方と話し合うときにそういったものを実感としてとらえてもらいたいということを、そしてそれを報告してもらいたい、それを我々は政策判断のもとにまたしていきたいということを申しておるわけでありまして、また私たちも常に示されます指標というものを見ながら、地方をずっと歩いたときにいろいろな人たちとの対話をできるだけ多く持つようにいたしまして、話をしています。  ただ、今お話しのように、確かに東京あるいは東京周辺、大阪、大阪周辺は物すごく深刻であるわけですね。ところが、それより一歩離れますと、いや余り不況、不況と言われるけれども、自分たちのところはこうなのだという実は説明がありまして、余り不況という合唱が起こってしまうとむしろ逆に財布のひもを締めてしまう現象が起こる、そういうこともよく配慮してもらいたいなどということを、実は私たちも言われておるわけなのです。しかし、そうかといいまして、先ほど理事の方からもお話がありましたように、このまま最終需要というものがずっと落ち込んでいってしまうということになったら大変であるということで、それには配慮しなければいけないだろうという話、私ども全く同感であります。  ただ、私たちがここで考えなければいけないのは、先ほど来理事の方からも私からも申し上げましたように、今度のいわゆる不況と言われる現状というものは、どうしても避けて通ってはいけないことなのであって、バブルの調整というものはここでどうしてもしなければならないわけであって、これを避けて通るとまたとんでもない方向に行ってしまうということになるわけでありますし、また、企業そのものの構造改革といいますか、そういった一つの方向を、今それぞれの企業の考え方、多少違いますでしょうけれども、今までのように、ただシェアですとかあるいは数だけを売るというだけではいけないのだということに気がつきながら、その調整ということで、非常にデリケートであり、また、企業にとってはつらいことであるけれども、そのことを認識してやっていただかないと、本当に強い日本の経済とかあるいは持続可能な成長というものに持っていくことができないだろうということを考えましたときに、だれもが今は避けて通れないものなのだということだけは認識しなければならないのかな。その意味で私どもは割合と強く申し上げますし、また、日銀も相当強くその点で申し上げておるのじゃなかろうかというふうに思っております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 福井さん、次の予定があるようですから、一つだけつけ加えてお答え願いたいのですが、日銀の政策委員会において論議した議事録を一定期間過ぎてから公開する、情報公開じゃありませんけれども、国民に知らせてもらうという意味で、一定期間経過した後の政策委員会の議事録の公開というのはできないのでしょうか。やることにしていただけないでしょうかということを含めて、私は再度申し上げますけれども、一般の庶民の感覚と民間エコノミストたちの分析と、日銀や政府の景気の見方の違う点について十分考えていただきたいという点を申し上げているのですが、それらの感想を含めて、お時間の関係もあるようですから、最後にお答えいただければ幸いと存じます。

福井俊彦日本銀行理事

○福井参考人 日銀政策委員会の議事の模様を公表してはどうかといっただいまの御要請あるいはお尋ねに対しまして、今直ちに私はお答えを用意していないという状況でございます。  ただ、日本銀行の情報公開でございますけれども、諸外国の中央銀行と比較いたしますと、例えば総裁記者会見の回数というふうなものはほとんど比較にならないくらい日本は回数が多いということでございます。それから、国会におきまして、総裁がいろいろなお尋ねに対してお答えを申し上げるというふうな機会も、恐らく諸外国との対比では日本が一番多いかあるいはそれに準ずるくらいのところにはいる状況ではないかと思います。それから、いろいろな情勢判断に絡みます資料の公表につきましても、諸外国の中央銀行に比べますと、恐らく公表している内容、量ともに現状は多いのではないか。それから、政策委員会そのものにつきましては、法律の規定に従いまして、比較的シンプルな報告書でございますけれども、年報という形で御報告を申し上げております。それから、公定歩合の変更等重要な決定がありました場合には、即座に記者会見をいたしまして、総裁がこれを全部御説明しているし、そのときに政策委員会の議決の過程で異論があったり反対意見があったりいたしました場合には、そのこともあわせて総裁が発表しているというのが過去の例でございます。  現状はそういう状況にございまして、諸外国に比べましても、必ずしも日銀の情報公開が劣っているということではないと思いますけれども、ただいま先生からも御要請がございました。そういう御要請があったということをしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思います。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつ、私の要望も三重野総裁に伝えていただきたいと思います。  次に、金融制度改革のための法律案について質問をいたします。  この法案を拙速に成立させると、近い将来に大きな禍根を残すのではないかという見方があります。つまり、この法律が実施されて三年、五年後に、これは失敗したなという感じのものになりはしないか。余りにも競争イコール効率化にウエートがかかり過ぎて、自由化万能論の傾向が前面に非常に出ていることに一つは懸念を持ちます。  改革の視点は、利用者の利便あるいは国際性、金融秩序の維持などというふうになっておりますけれども、御案内のように、証券取引法は昨年夏以降の一連の諸問題に対する総決算であって、証券取引等監視委員会の設置や、あるいは業界の自主規制などはそれなりに意味があると思いますが、しかし金融の自由化を前提とした今回の法案は、やはり客観的にかつ冷静に分析して、混乱の起きないような先の展望をしっかり描いて対処しなければいけないのじゃないかというふうに思います。  そこで、バブルの後始末をしっかりつけてから、つまり金融企業の体制整備が行われてから自由化の問題に対処すべきではないか、私はそう思う一人です。つまり、このままいきますと、金融機関の混乱は避けられないのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣、基本的にその点についてのお考えはいかがでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 金融機関や証券市場に対します国民の信頼を回復して、証券市場の活性化を図るために、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進するための制度改革、これを実施することが私どもは喫緊の課題であろうと思っております。  我が国が世界の主要な金融センターとしての責務を果たしていくためには、諸外国との調和のとれた金融制度及び証券取引制度を早急に構築する必要があろうというふうに思っております。  より具体的に申し上げますと、金融ですとか資本市場における有効かつ適正な競争促進、これを図るとともに、市場における取引の公正性を確保する、そしてこれが信頼を回復するということにつながっていくであろうと思っております。  また、国際的な自己資本基準、こういうものを達成しながら、健全な業務運営を図る、そして、企業の資金調達ニーズにこたえるということ、これをすることも重要であろうと思っておりますし、また、いろいろな新しい時代の中で、それにこたえていくための経営の選択肢というものの拡大ということも必要であろうと思います。  また、そのほかの協同組合組織の金融機関の経営上の創意工夫、こういったものも求められておりますし、また地域の金融ニーズ、こういうものも非常に大きくなってきておるということでございまして、私どもはこういったものを考えたときに、確かに拙速は避けるということが必要でありましょうけれども、やはりきちんとした軌道に乗せていくためには、できるだけ早くこれを進めていくことが重要じゃなかろうかと思っております。  しかも、このものの背景には、いわゆる六年間の検討の期間があったということ、そしてこの間に、この前のいわゆる金融市場に対する不信というものを招くような事件というものも相次いで起こったということ、こんなものを私ども踏まえながら今度の制度をつくり上げているということ、これをぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 基本的なこの法案に対する視点を考えてみますと、現在進められている自由化行政のもとで、金融の自由化あるいは規制の緩和を通じて競争を一段と推進することを求めているわけですけれども、結果的に大手金融機関による系列化、集中化のみを促進させて、中小金融企業や消費者の利益という点についてなおざりにされていく懸念があるのではないかという点です。  つまり、六大企業集団、第一勧業、三菱、住友、安田、三井あるいは三和など、かつての大手金融機関、我々は財閥と言ってきましたけれども、この系列化、集中化を許して、中小や零細の金融機関がますますはじかれて犠牲になっていくのではないか。新たな金融独占資本の形成となって、大手金融機関が強権的な行動に発展する可能性が出てくるのではないか。本質的な問題の考察として、私はこういう点を懸念する一人なのですけれども、こういう点について大蔵省は考えられたことがあるか、こういう点についてはいささかもそのことの心配をしていないのかどうか、その点についてお尋ねします。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 私どもは、そういう今御指摘のありましたような観点から、あらゆる議論を重ねながらこの法案にたどり着いたということでありますけれども、各金融機関ですとかあるいは証券会社のいずれもが競争の機会というものを拡大することが可能となるということでありまして、協同組織の金融機関の連合会を含めた金融機関、あるいは証券会社による業態別の子会社の保有、こういったものが可能になることですとか、あるいは協同組織金融機関を含めた金融機関あるいは証券会社のいずれもが本体で有価証券の私募の取り扱い、こういうものができることですとか、あるいは外為業務ですとか公共性に係る証券業務、また委託業務を認めるなど、法律上かなり銀行の業務範囲に近い業務範囲を確保することなどの措置が講じられておるところであります。  このように、今回の法律案は、大小の各種の金融機関ですとか証券会社が、経営上の創意工夫、これは先ほども申し上げたわけですけれども、これを発揮することができ、みずからの特性を生かしつつ、金融環境の新しい時代の変化に対応できるさらに幅広い業務展開ができるようにすることをねらったものでございまして、大手の金融機関の系列化あるいは集中化を生み、中小零細の金融機関が犠牲となるというものじゃないのじゃないのか、また私たちはそういうものであってはならないというふうに考えながら、この法案を御協議をいただいておるということであります。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 大銀行を中核として多数の企業集団が併存するという構造ができ上がっている現在、銀行部門が支配的な地位を保持しようとするために、取引先の企業の決済資金を自分の銀行内に還元するというようなやり方が生まれてくるのではないか。つまり、大銀行の融資戦略が、一方では他の企業を封じ込めてしまう、こういうことなどが生まれて、そして、そのことに対するコントロールや歯どめがきかなくなっていくのではないか、行政指導にも限界が出てくるのではないかという点で、私は、この点はどういう歯どめを、どういう指導を考えていくことにするのかという点について局長にお尋ねします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 ただいま大蔵大臣から御説明申し上げましたように、今回の法案は、各金融機関や証券会社のいずれもが競争機会を拡大することが可能となるように配慮しておるつもりでございます。  そのときに、例えば六大企業集団というような問題の御指摘もございましたが、それは私どもの方では、いわばマクロ的に、確かにそのような御指摘があることは理解できますけれども、このような我が国の金融構造のみにとどまらず、産業構造全体にまたがる問題につきましては、これは公正取引委員会が経常的にこの企業集団の動向をフォローし、その状況を把握しておられるものというふうに理解しておりまして、例えばその中における銀行の位置づけにつきましても、都市銀行が同一の企業集団の他のメンバー企業の株式をどの程度保有しているかというような点につきまして、最近のレポートを見ますと、昭和五十六年度は五・一%であったものが昭和六十二年度には四・三%と下がってきているというような問題とか、それから、企業集団メンバー企業の借入金の合計に占めるその企業集団の中の金融機関からの借入金の割合、これは昭和五十六年度に一七・五二%であったものが昭和六十二年度には一七・三二%と若干低下しておる。さらに、その銀行の貸出金総額に占めるその企業集団内のメンバー企業への貸出金の割合、これは昭和五十六年度には六・九四%でありましたものが、昭和六十二年度には三・四一%と著しく低下しているというような記述も参考にしているわけでございます。  さて、その次に問題をこの金融関係に限定いたしまして、このたび、業態別子会社方式を基軸として他の業態に幅広く参入していくことができるようにするというような場合におきましての、例えば銀行が証券子会社などを有する場合、それから信託銀行子会社などを有する場合にどうするかということにつきましては、この委員会でも大変いろいろと集中的に御議論いただいているところでございますが、一連のその弊害防止措置というものを組み合わせることによりまして、御指摘のような懸念がないようにしたいと私どもは考えております。  具体的に、私の方の銀行法では、銀行の業務の健全かつ適切な遂行が阻害されることのないように、いわゆるアームズ・レングス・ルールというものを考え方の基礎に置きまして、弊害防止規定を設けておるところでございます。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 私は、今回のこの改正によって実態的にどういうふうに変わっていくのかということを見るときに、やはり信用金庫とかあるいは労働金庫とか信用協同組合あるいは農林中央金庫など、中小企業や農協関係者あるいは労働組合など、業種別、団体刑、もちろん法人格をとっている団体、それぞれ縦につながっている、同時に地域経済の発展や地域住民に貢献をしたつながりを持っている、そういう中で、これらの組織が子会社による、一部は連合会による銀行の業務、信託業務あるいは証券業務への参入、また本体での信託業務など、自由に、無差別に行うということになると、一体どういうふうな形が出てくるのかなということを想定してみますと、結局、大企業系列の波に押しまくられて、そして中小は、弱い者は、こういうものははじかれていくという感じになるんじゃないかという、そういう中で政治の介入とか自治体の介入という問題が出てくる懸念があるのではないか。つまり、政治勢力との系列化とか新たな癒着構造とか不明朗な綱引きなどが起きてくるのではないか。今統計的な問題では大蔵省はいろんな観点からもう持っておられると思いますけれども、実態的にこの問題が、この法律が生きて移行していくという過程の中でどういうことがイメージとして出てくるのか、実態として出てくるのかということを考えてみると、これは大変なことになりはしないかと心配をする一人ですが、その点についてどうでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 我が国のいわゆる協同組織金融機関ないしは地域金融機関は、それぞれの地域的な営業地盤の上に個々の信用金庫、信用組合、農協、農業協同組合、労働金庫など、その構成員の協同活動の理念を踏まえて、いわば銀行のような株式会社形態にはないような地域及び構成員に根づいた経営をするということが制度の本旨でございます。  そこで、この問題につきましては、一つには、その大型の金融機関との間に、やはり限られた側面ではございますが、競争関係が存在するということを考えなければならないと思いますので、その大型の金融機関は、国際化、証券化、機械化が進みます中でいろいろと幅広い業務を身につけるようになる。それに対して、全面的に同じような業務を展開するということはできませんし、また適当でもないと思いますが、やはり地域の経済動向の進展に応じて、ある程度会員や組合員等に対して金融商品やサービスを多様化していかなければいけないであろう。その手段を法律的に枠取りとして与えておこうということでございまして、このような多様な金融商品を提供できるようにするということで、中小金融機関に十分配慮したものになっておるというふうに考えておるわけでございます。  それから、そのようにして大きな金融機関との間の競争においてもなお独立性を保つという点が一つと、その次に御指摘のありましたのは、政治なり自治体との関係について新たな問題を生じないかということでございますけれども、そこはやはりこの日本の国全体に、ないしはその中の特定の地域に営業地盤を置いております以上、あえてそのような政治とか自治体と申すことは適切でないと思いますが、国民経済全体とかないしは地域経済とかの間に適正な関係を保つということは、これは営業の姿勢として適当なことであろうと考えております。ただ、それが健全経営に対して害を及ぼすというようなことになってはならないわけでございまして、そこのところは、まあそれぞれの経営判断を尊重はいたしますけれども、私どもの方でいろいろと健全経営のための指標を整備して、それの遵守、励行を促すというようなことで、金融機関側の積極的、自発的な対応と相まって健全経営を維持していきたい、そのように考えておるわけでございます。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 消費者に奉仕するとかあるいは国民大衆に奉仕するという視点が、やはりこういう大企業系列化によって、あるいは新たな金融資本集団等ができると私は見るのですけれども、権力支配構造みたいなものがつくり上げられて大衆消費者を無視されていくような、もちろんこれは地域の事情なんかにもよると思いますけれども、そういう傾向が出てくることに、じゃ、どういうふうに行政の分野は歯どめがかけられるのかといったら、なかなかちょっとイメージが浮かんできませんけれども、やはりそういう視点も十分に考えて対処しなければならないんじゃないかと思うのですが、大蔵大臣どうですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 これはいろいろな行き過ぎがないように規制を設けるということはしなきゃいかぬと思いますけれども、先ほどからお話し申し上げておりますように、今度のこの措置をやることによりまして各業態間の垣根というのは相当低くなってしまうということでありますから、消費者に対してこたえることができない、利用者に対してこたえることができないとすると、その機関というのはやはり敗退していくんだろうというふうに思っております。ですから、まさに自由競争というのは、そこにむしろ本当の利用者のためになる機関という努力をしないと結局敗れてしまうということで、この制度が発足しますと、それは途中のいろいろな問題があろうと思いますけれども、しかし私どもは最終的なものとしては間違いなく利用者の利便に供する、そういう機関にそれぞれが発展していくものであろうというふうに思っております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 そこで私は、その法改正によって金融機関の社会的責任とか公共性をどう自覚するかということの問題について、やはり真剣に取り上げて対処しなければならない、こう思います。  御案内のように、さきの一連の金融不祥事の背景は、金融機関の社会的使命や公共性を無視した収益至上主義の経営姿勢にあったといってやり玉に上がったわけでありますけれども、そういう公共的な役割あるいは社会的な責任ということの問題について、どのように企業の営利の追求と調和をさせていくのかということの問題になると、ある意味では証券の問題でも監視委員会の問題とか自主規制問題とかいろいろ議論されましたけれども、そこに対する指導の仕方の問題について、やはり大蔵省がきちっとした指導体制をとらなければいけない、私はこう思うのですが、どうでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金融機関の公共的、社会的な役割というものにつきましては、今さら改めて申し上げるまでもないことでございますが、金融機関は極めて多数の利用者に預金その他の面におきまして良質な金融商品やサービスを提供するという面と、さらにはその決済システムまたは信用システムというような国民経済の根幹となるシステムを担う、そしてそれが産業の発展や国民経済の安定化などの基礎となるというような点におきまして、他の産業にもまさって公共的、社会的役割は高いというふうに位置づけることができると考えております。  そこで、この制度改革の問題につきましては、既に御議論が出ておりますように、昨年の一連の不祥事の反省を踏まえまして、金融機関のこれは実行上の内部管理体制の立て直しなどの努力と相まちまして、システム的にも金融機関が自主的な業務運営を通じてこのような公共的、社会的役割を一層よりよく果たしていくことができるようにしたいというふうに考えまして、そこで一つには、この業務面でのさらなる自由化を図り、適正な競争を促すというような面での仕組みを設けます一方、同時に、あわせて金融システムの安定性、信頼性を確保するということで、金融機関の自己資本比率規制などの規定を整備する、そして経営の健全性を確保する、そういうふうな仕組みも盛り込んでおるわけでございます。  ただ、このようなものは、いわば例えて申せば入れ物でございますが、このような入れ物の問題と相まって個別の金融機関の業務体制ないしは経営姿勢のあり方として、やはり金融システムの安定性、信頼性の回復という方向でいろいろこれまでの経営のあり方を反省し、それから内部管理体制その他についてもその引き締めを図るというような現在行われております努力も、今後引き続いて維持されていかなければならないというふうに考えております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 政府は、金融機関に対する社会的責任を自覚させるという意味で、指導する問題、政令や法律の問題あるいは金融機関が自主的に一つのルールをつくり上げていくとかという問題はぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こう思います。  次に、中小金融機関をどう保護していくか、守っていくかという視点でお尋ねをいたしたいと思うのですが、恐らく大企業系列などは新しい法律によってお金をたくさんかけて新しい商品をつくる、サービス品を考えるということになってくるんじゃないか。そうすると、地場の金融機関や中小の金融機関は全部押しまくられてしまって、新しい商品などはとても手がつかないんじゃないか、こう考えられるのですけれども、大蔵省は新しい商品あるいはサービス品などについてどんなことを想定されているのですか。この大蔵省のいろいろお配りになった資料を見ると、各論では書いておりませんけれども、どんなことが想定されておるのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 中小金融機関は、確かに御指摘のように経営の規模ないし体力そのものにおきましては大型の金融機関に比べて優位にあるとは申しがたいわけでございます。  しかしながら、単に数字にあらわれるような経営効率の点のみならず、具体的に各種の金融機関が努力しておりますのは、地元に密着をし、そして固有の地盤、固有の取引先を維持するということでございます。その点は、いろいろこれまで多年にわたるその地盤、伝統というものもございますし、またこれは多少立ち入って申しますと、大銀行が提供できるところの情報と、地域に根づいた信用金庫その他の金融機関が提供できる情報とはやはり質的に異なるものがありまして、このいわば地域のコミュニティーが本当に必要とする情報というのを、規模の大きな銀行であるからといって果たして潤沢に提供できるかどうか、そこのところについて、やはり依然として地域金融機関に一つの強みがあるというふうに考えるものでございます。  ところで、そのような機能を助けますために、今回いわば各種金融機関についてそれぞれ法律上取り扱える業務範囲を拡大しておるわけでございますが、中小金融機関の業務につきましても、信託それから社債等の募集の受託、国債の窓販、ディーリング、外国為替業務などにつきまして、従来それが法律上認められていなかった業態についても今度それを認めることにいたしましたほか、さらに、個別の金融機関、個別の信用金庫なり労働金庫なりでは、それは到底子会社を維持するというほどの体力はございませんが、その連合会に対しては銀行とほぼ同様の機能を認めたものでございます。  実は、多数の小型の協同組織金融機関の上部にございますような連合会というものの重要性は、これからますます高まってまいるであろうと思います。海外でも、例えばアメリカにはそのような上部団体としての連合会の機能を持つものはございませんが、例えばフランスでありますとかドイツでありますとか、それはかなり大型の、金融機関として成熟した連合会がございまして、よく言われますのはドイツのDGバンクとかフランスのクレディアグリコールとか、そういうものがございます。我が国でもそういう協同組織金融機関の上部団体としての連合会の機能はこれからより重要になっていくであろう。その連合会が、法律上は子会社も持ち、他の業態に参入することも可能になるという意味で、私どもは、今回の法案は中小金融機関にも必ずいろいろの面でプラスをもたらすものであろうと考えておるところであります。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 金融自由化の進展によって金融機関の効率化経営が一層進められるということになると、当然信用秩序の問題が出てくる。それを維持していかなければならないという一面があるわけですけれども、効率性の追求と信用秩序を両立させるために一体どう対処していくのかという問題が出てくるのですが、特に非効率的な金融機関ができたとき、つまり比較的順調な金融機関と、そうでない、落ち込んでいく金融機関とができたときに、そういうことの中で信用秩序の問題がいろいろまた問われることになると思います。そういうものの把握と指導という問題についてどういうふうにお考えになっているのでしょうか。大蔵省がじかに地方の金融機関も全部把握して指導していくという形のものになるのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 御指摘のように、金融の自由化が進みますに従いましていろいろリスクも多様化いたしますし、それからまた金融機関の自己責任原則が重視されることの反面、それぞれの金融機関における一層的確なリスク管理が求められてまいります。  そこで、これを全体として大きな混乱なしに支えていくというのが信用秩序維持のために必要でございますが、何しろ競争の促進というようなことで全体が動いておりますときには、競争におくれをとる金融機関というものが出てこないとも限らないわけであります。そのような問題の発生を早期に把握し早期に手当てをするということが望ましいわけでございますが、それは必ずしも当局が全部その責任を負うというようなことは実際上できないわけであります。この点につきましては、まず何よりも自己責任原則に基づく金融機関そのものの自己努力、これがあらゆるものの前提でございます。さらに、金融機関の個別の動向につきまして、殊に協同組織金融機関のような場合にありましては業界団体の積極的な活動が一つ重要になってまいると思いますし、ないしはその地域における近隣の金融機関の相互扶助というようなものも必要になってまいるかと思います。そのような業界の努力とあわせて、当局もモニタリングと申しますか、個別の金融機関の動向を従来よりも詳細に、いわば即時性を持った把握ができるような体制を整えたいというふうに考えておるわけでございます。やはり基本的にはその金融機関及びそれと関連のある他の金融機関ないしは業界団体の努力にまつということが前提であり、それによって、早目に大きな混乱なしに問題の深刻化を食いとめるということに関係者が協力して努めてまいらなければいかぬ、そういう時代になりつつあるというふうに考えております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 もう一つ、預金者保護すなわち消費者を保護するという、消費者信用の保護という問題があるわけですけれども、今クレジット問題が大分いろいろ話題を呼んでいるのです。年末になると何か百万人が自己破産するとか大変な話題になっているのですが、このクレジット問題を大蔵省はどんなふうに見ていらっしゃるのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 御指摘のように、昨年ごろから個人の多重債務ないしは過剰債務の問題というものが世間の注目を浴びるようになりまして、また事実裁判所に申し出られた個人破産の申請件数などが増加しておるというようなことも承知をしております。  このような多重債務、過剰債務の問題につきましては、原則としてはやはりそれぞれの金を借りる方がまず気をつけていただかなければいけない、それが基本であろうと思うわけでございますが、そういうような金融を提供します側につきましても、一つには個人の償還能力、これは結局個人の収入その他からおのずから計算されることになると思いますが、個人の償還能力を無視したような多額の信用を供与することを差し控えるとか、できれば多数のそういう貸し金業者相互間での競合状態が明らかになるようなシステムが望ましいというようなことでございます。  それで、この方面につきましては、現在、銀行系それから貸し金業者系さらにはクレジット会社系、大体三グループの信用情報機関がございまして、まず事故情報につきましては相互交流が可能なところまで来ております。さらに、どの程度の信用を全体として他の業者が供与しておるかという状況の把握については、まだ部分的にしか進んでおりません。一つの業者が過剰な貸し付けをすることを差し控えるのと同時に、多数の業者が総体としてやはり問題のある貸し付けを行うことを防止できるようなシステムをつくる、これが金融を提供する側から見ての当面の対策のポイントであろうと考えております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 消費者信用の保護に関する立法化の問題が私は重要になってくると思います。クレジット問題もありますけれども、今回の法改正で、多様化する利用者のニーズに対応した商品、いろいろな商品が出てくる可能性がある、先ほどもいろいろ申されましたが。  そうすると、預金者とか消費者信用の保護に対してどういうふうに考えていくかということになると、消費者の利益を擁護するという立場に立って立法の問題を考えていくべきだと思いますが、どうでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 まず一つの側面といたしましては、非常に商品、サービスが多様化いたしますので、そのような多様化した商品の内容や特性をいかに消費者にわかりやすく情報を提供するかという問題がございます。これは従来は個別の金融機関なり、それからごく限られた範囲でございますが、業界団体なりでそういう情報提供に努めておるようでございますけれども、今後どのようにして、わかりやすく、かつ手近にそういう情報を消費者なり利用者が手に入れることができるようになるか、これは一つの研究課題でございます。  それから、もう一つの側面の課題は、いわゆる消費者信用情報の取り扱いという問題でございまして、これはプライバシー保護という観点からもちろん慎重な取り扱いが必要であるということは御指摘のとおりでございます。その点につきましては、例えば信用情報機関がこの情報を目的外に使用してはならないというようなこと、これは実は貸金業規制法第三十条というような立法例もございます。それとか、その他プライバシー保護に配慮するような各信用情報機関の業務運営が守られるように、私どもだけではございませんが、関係の当局がそれぞれ気をつけて指導に努めておるわけでございます。  ただ、一つの側面といたしまして、このプライバシー保護という観点からそういうものを封じ込めると申しますか、もちろん目的外の使用は決して好ましくないわけでございますが、その信用情報を他の方面に利用することについて、本人の同意を前提としながら、どのようなシステム、どのような注意事項を盛り込むべきか、この辺につきましては、海外の方がむしろ研究は進んでおりますので、海外の例をも参考にしながら、今後日本においてどのようにこの体制を組み立てていくかということも一つの研究課題であろうと思います。  以上申しましたような的確な商品、サービスに関する情報の提供、それからもう一つは、その消費者である個人の信用情報の取り扱い、その両方において大きな研究課題があるというふうに考えております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 今度の法改正によって自由化が大きく促進をされていくと、やはり大手金融の系列に全部とられてしまって、中小企業やあるいは地場金融機関などはこれは大変な痛手をこうむっていくんじゃないかという点の視点と、消費者、預金者、こういう人たちを保護していくという視点で、やはり大蔵省は真剣にひとつ取り上げていただきたい、考えていただきたい、私は一貫してきょうはそういう点で申し上げました。  ここで、ちょっと労働金庫問題で、後でうちの沢田議員が御質問されると思いますけれども、簡単にお尋ねしておきたいと思います。  労働金庫の全国一本化を求めて、我々、そういう協会からの要請が強くあったと思うのですが、今回の改正を通じて、地域単位の個別の労働金庫についてこれを一本化していくということについて、労働省もかなり理解をしていると思うのですが、大分大蔵省が何か冷たい態度をとっているように思うのですけれども、どうでしょう、この点ではもっと前向きに考えることはできないのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 労働金庫のいわゆる全国一本化の問題は、年来議論をされてまいりましたところであるということは承知しております。しかしながら、この全国一本化につきましては、全国にございます四十その労働金庫の経営状況の格差の存在、さらには各金庫に業務運営上改善すべき問題点が多く見られるという問題、それらにかんがみますと、どうも現段階では一気に、かつ一斉に一本化することには大きなリスクが存在いたしまして、その一本化が労働金庫の問題を解決するための最良の方策であるという確信を持つまでには至らなかったのでございます。なお、これは大蔵省のみならず、労働省とも共通の認識でございます。  しかし、この労働金庫の現状を考えますと、当面の厳しい状況に対処するために、何らかの対応策を講ずる必要があると私どもも考えております。そのために、今後とも労働金庫協会と引き続き協議を進めていく考えでございますが、具体的には、例えば一定の地域を基礎とした労働金庫相互間の適切な合併に向けての自発的努力、それからあるいは系統利用率の向上策の検討、あるいは今回の改革法案にも盛り込まれておりますが、全国労働金庫協会の位置づけの見直しによる指導力の強化とか、業務量通者の理事への登用とかがその対応策となるのではないかと考えております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 局長に前向きの答弁をいただいたものと理解をして、労金協会と個別の労働金庫の中で話ができて、トータルとして一つの一本化をしていくという話がまとまって、相互に経営格差、そういうものについてのかばい合うということの問題になったり、そういうことになれば、また別の視点で考えられてもいいわけですね。  今いろいろ話し合いをしていくというふうに言われましたけれども、この法律によると、他の業態との合併は認めるが、労働金庫の中の一本化は認めないみたいな感じではちょっといただけないという感じがするので、後でまた沢田議員からもお話あるでしょうが、どうしても個別の労働金庫と協会との関係で一本化はだめだというふうな話は、私はこの際きちっとそういうことをしていくのが筋だ。太田委員長も首を縦に振っておりますから、ぜひひとつ前向きに検討していただきたい。  それから、今株式市場の低迷で国民に不信を買っている点は、やはりNTTの株の問題についての対処の仕方の問題が私はあると思うのです。国民の不信を取り除くために、いわゆる株式市場の信頼を回復するために、早急にこのNTTの株について結論を出して、一口で言うなら、政府もいろいろ考えられているようにも思いますけれども、例えば放出価格で買い戻すとか、あるいはどういう保証を考えるかとかということを国民にやはりわかりやすく打ち出していくことが、結局株式市場について国民の不信感というのはそういう庶民の生活の原点の中にあるということは十分認識していく必要がある、こう思うのですよね。大口顧客だけの問題ではない。また、JRや日本たばこ産業株の放出にも基本的に影響が出てくる問題ですから、その点についてちょっとお尋ねをいたします。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 このNTT株というのは、やはり相当下落したということのために、株式市場全体に信用を失っているという実は御指摘もあるところでございます。  そういうことで、この問題について何か対応できることがあるのか、実は私どもも相当長い時間をかけてやってきているのですけれども、なかなかこれという有効な手段というのがないということであります。しかし、全体にも及ぼす影響も大きいということでございますので、私どもといたしましても、さらに、本当に有効なことができるのか。ただ、これは政府もあれしておりますから保有しておるということで、本当におかしな対応をしますとこれは損失補てんだなんという指摘なども出てきますし、そのあたりが非常に難しいということ。  それから、株で、大型株あるいは金利に敏感株といいますか、こういった株式は東京電力初め幾つものものがやはりNTTと同じようなトレンドで大きく下がっているわけなんですね。だから、これがNTTのだけがどうしてそういう対応ができるのかと。いうような問題もあります。  またこれは、魅力を持たせるためにはNTT本体、自体がみずから考えなければならぬ問題があろうと思っております。しかし、これにはかかわる人も大変大きいということもありますし、また一つの象徴的なものでもあるというようなこともありますので、私どももこれからもまたせっかく勉強していきたいと思っております。

富塚三夫日本社会党・護憲共同

○富塚委員 ちまたの声で、証券や金融制度の改革を我々は一生懸命やっていると言うと、NTTの株をしっかりしなければだめだよ、大体の人は皆、そこのところが原点にあるから株式市場が信用されないんだ。今度はJRとか日本たばことか次々出てくるわけですから、そこはひとつ大臣、前向きに、積極的に取り組んでいただきたい。  時間が来ましたので、最後にもう一度申し上げますけれども、この法律の改正が余りにも拙速にやり過ぎて、三年後、五年後に失敗したなというふうな感じにならないように、やはり十分な審議をして対応をしていくべきだというふうに思います。  我が党も金融・証券自由化は避けて通れないと考えておりまして、その改革の理念や実施方法が十分に多面的に検討されて、準備期間を置くべきだ、今議論をそういうふうにしている途中でありますけれども、どうかひとつ、この自由化万能主義がこの法改正で弱肉強食の傾向を生むようなことのないように十分考えて対処していただきたいということを私は申し上げて、終わることにいたします。ありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 きょうはこの法案に関係いたしまして、労働金庫の関係あるいは信金の関係、そしてまた農協さんにもお願いしたわけですが、何か御都合が悪くておいでになられないという御連絡でございます。どうとも勝手にしろという意味なのか、お任せしますということなのか、もう言うことはないということなのか、その辺じゃないかというふうに私の方は理解して、毎日でも国会に来て言いたいことを言ってその実情を述べるのが、こういう時を迎えて大会どころではないだろうと私は思っておるのですが、しかしそういう余裕のある方々が多いようでありまして、私どもはある一面においで安心をいたしたわけでございます。政府の提案も相当強引な提案なんだが、よくこれに任せて、わかりましたと言っているなということを受けとめているわけであります。  労働金庫は、大会を放棄してわざわざ来ていただきました。最初に、またお戻りになるのだろうと思いますので、若干関係団体としてお聞かせをいただきたいと思っております。  間違ってはいけないし、また違った意味にとられてもいけませんのでちょっと書いてみましたが、今回のこの金融制度の改正については総体として了解されると確認をしていいのかどうか、簡単にお答えをいただきたいと思います。六項目ぐらいありますから。

片岡利男全国労働金庫協会専務理事

○片岡参考人 本来なら理事長の船後が参るところでございますが、今先生から御指摘あったように年一回の通常総会をやっておりまして、私専務の片岡でございますが、かわって出席させていただきました。  今回の金融制度改革法について、労働金庫業界としてどういうふうに考えておるかという御質問でございます。つまり、了解しているかということについての御質問でございますが、少しく言わせていただきたいのですけれども、私も金融制度調査会の第一委員会、制度専門委員会、先般のフォローアップ会合にも、委員として業界の代表で出席をさせていただきました。  特に、御承知のとおり金利の自由化がどんどん、私ども予測した以上に先行して進展をしておりますが、一方これは同じような大手の金融機関とも競争条件にさらされるわけですけれども、集めた資金をどういうふうに活用していくかという業務面になってまいりますと大変制約を受けておる、とりわけ制度とのかかわりで制約を受けておる。したがって、本来の金融自由化といいますと、金利と業務の側面両方とも自由化をしていただかなければならないけれども、その業務の側面が非常におくれておるという点で、業務の拡大について金融制度調査会の作業部会で主張していただきました。  それからもう一点は、自由化時代はやはりそれぞれの金融機関の、私ども労働金庫の持っておる、もちろん体力なりノウハウを考えながらも、特質をできるだけ発揮していきたいと考えております。その場合に、やはり限られた業務範囲の中から選択では制約を受けますので、できるだけ幅広くしていただいた中から労金の特質に合ったような業務を選択して、いわば私どもの利用者でございます会員労働者にそういう形の持ち味の発揮できるような業務運営をしたい。  こんなことから、常々要望してまいりましたものが通っておりますので、私どもとしては今度の制度改革については了解をし、早く実施ができるようにしていただきたいという気持ちを持っておりますことをお答え申し上げます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 若干苦になるところもあるが楽になるところもありそうだ、どちらかを選べば幾らかマイナスはマイナスとしてプラスの方を選ぼう、こういうことのようですね。  続いて、末端の労働金庫に勤めておられる方々あるいはそれぞれの府県の役員の皆さんも、今片岡さんが述べられたように理解をされていると承知してよろしゅうございますか。

片岡利男全国労働金庫協会専務理事

○片岡参考人 御質問の点でございますが、長い間の審議の過程で、私ども理事会のほかに専門委員会をつくりまして、それぞれの委員会対応の場面で御論議をしてまいりまして、節々で各四十七金庫の代表理事の皆さんにも御相談申し上げてまいりました。  それで、率直に申し上げて、すべてにわたって全く一〇〇%よろしいということにはなかなかなりませんが、他の関係といいますか横並びもございますから、総体としてはこの制度改革でよろしいということについて、四十七金庫の内部あるいは代表理事も含めて確認をしておりますし、昨日の定期総会の一年間の事業報告の中でも、この点をとりたてて御報告申し上げまして、御質問や御意見を受ける形で対応してまいりましたところ、質問もなく原案どおり御確認をいただいたという点から、実質面は別として取り扱い的には御了解いただいた、こういうふうに理解をいたしております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 もう一つは、系列化は、今もちょっと質問がありましたが、例えば労働金庫だけを考えてみると縦割りで一つの集団化をするというのが一つあります。また地域的に、これも二つあるのですが、府県的に一般の銀行と一緒になってやっていくという方法もありましょうけれども、四国なら四国の全部の労働金庫が一つになってやっていくという地域型もあると思うのですね。それからもう一つは、あくまでおれはおれなんだから独自にそれぞれやっていく、こういう方法があると思うんであります。これはまだ決まってはいないと思うんでありますが、系列化というか、どうしてもそうならざるを得ないと私たち判断しているから、どこかにこれはつかないと、為替だあるいは株だというわけにはいかないだろうというふうに思いますから、そういう意味でお伺いをしているわけです。どういう方向に、竹のように真っすぐ上へ全国的になるか、ヤツデのように四方八方に手を伸ばすか、その辺どういう方向を描いておられるのか、希望しておられるのか。まだ決まってなければ決まってないで、お答えいただきたいと思います。

片岡利男全国労働金庫協会専務理事

○片岡参考人 先生の御質問の点ですが、率直に申し上げて、私ども長いこと、四十七金庫並びに連合会を一つにして、言葉はいろいろ使い方がごさいましたが、全国合併とか全国一本化という形で内部でも論議をして、その方向が金融自由化の中で会員の求める多様化するニーズにもこたえられていく方向だということを確認をして、大蔵省、労働省ともお話を進めてまいりました。  しかし、一本化して果たしてそれだけのメリットが出るのかどうかということになりますと、四十七金庫置かれておるそれぞれの経営事情もございますし、地域のいろんな産業の過疎化であるとかというような影響も受けまして、大変経営の格差を持っておる。格差があるからこそ一つになっていくという対応方法もあるんでしょうけれども、果たしてそれでメリットが出るのかどうかという問題もございまして、最終的に、昨年の暮れに行政とのお話し合いの結果、やはり今の経営現状では無理があるということ、さりとて四十七が単一の形態で今日の状況に対応できるかというのは、大変私ども検討の中でも苦心をしている点でありますが、今先生がおっしゃった縦割り、つまり労働金庫という制度の中でやっていく大前提に立ちまして、できれば適切な合併という言葉、これは金融制度第一委員会の答申の中にもございますので、やはり、規模の経済性の発揮もありますし、個別の経営権や自決権というものをある程度制約をしながら経営体質を強化していくとか体力を強化するということになりますと、そういう一つの選択の方法を考えなければならないんではないか。こういうことで、これから実は検討に入っていこうとしております。  ただ、先生おっしゃった地域の普通銀行なりあるいは信用金庫、信用組合等がございますが、異種の金融機関との合併の問題は、きのうの総会の論議でも、労働金庫制度の中で生きていくということを最大限経営努力をしながら考えていこうではないか、こういうことが大前提の確認でございますから、その枠組みの中で多様な方法を今後検討し考えていきたい、こう思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 金融機関というのは、いずれにしても貸し出していく国民、労働者の皆さんにサービスを与えていくということが基本でありますし、それぞれがまた競争をしていくわけでありますから、それなりの努力が必要になってくると思うんでありますが、今この法律がどの時期にということになりますが、例えばきょうやっておりますから、あるいは六月に採決に入って施行が十月ごろされると仮定をしましょう。あるいは来年の一月になるか四月になるか、あるいは再来年の一月になるかといろいろあるわけですね。これは政府が考えていく施行の期日でありますが、そういう意味で我々もまた考えるのでありますが、どの程度の、例えば為賛、証券ですね、そういうものを職員が会得をしながらその業務に携わっていける、その研修期間、そういうものを考えたときには、どの程度の期間が望ましいと考えておられるのか。そしてまた、これによってどういうデメリットが生まれて、例えば政府なりにこういうデメリットについては補完をしてもらわなければ困る、こういう点はあるのかどうか。  特に、最後に申し上げますが、預賃率が悪い。いわゆる総高に対して半分ぐらいしか貸し付けがない。健全経営であることは認めますが、これでは採算がなかなか成り立っていかないだろうと思うのですね。少なくとも八割以上の預賃率にならないと有効性が出ないだろうと思うのでありますが、そういう点について何を求められるか。御意見を賜れば幸いであります。

片岡利男全国労働金庫協会専務理事

○片岡参考人 御質問の点の後の方でおっしゃられた点から申し上げますが、これは現状でございますが、労働金庫の預賃率、確かに他の業界から見て非常に悪うございまして、いっときは五〇%を割るという状態になりました。ここ三年間、これではいけないということで、やはり体質上の弱さもございまして、努力をしてまいりまして、この九一年度は二二%を超えるということで、ようやく預賃率も五二%になってまいりました。  問題は、やはり運用で考えるよりも、貴重な会員勤労者のお金を集めているのですから、それを会員勤労者の生活なりあるいは福祉の面に有効に役立てていくというのが使命でございますから、やはり預貸を上げる、融資を伸ばすというところに全力を挙げていくということで、これからも、低下をしております預賃率の引き上げに全力を挙げることが、ここ二、三年来全国的に確認をして取り組んでおる点であります。とはいいながらも、実際問題預貸がそういう状況でありますから、余裕金というそういう資金の運用ということは当然考えなければなりません。  今度の金融制度改革の中で、例えば、証券とか信託の相互参入の問題がございますが、率直に申し上げて、先生の御指摘にもありますように、制度ができたからといってすぐ実施をしても、これはリスクの伴うものでございますから、それだけの体制なりノウハウなりがしっかりやはりつくられておかなきゃならない。  御質問ございました今度の法案の中に入っております外国為替、これにつきましては、制度調査会に要望した時点、もう既に三年前のときから外国為替準備室をつくりまして、人員の育成に当たってまいりました。特に、他の大手の銀行にも人を派遣をして勉強させる、こういう形をとりながら順次進めてまいりましたけれども、証券なり信託ということになりますと、これはなかなか大変だと思っています。私ども、この制度調査会の答申にもございますし、法案の中にもございますみずから子会社をつくってということはなかなか大変でございますが、代理業務とかそういう業務提携の方法が与えられておりますから、むしろそういうところで出てくるニーズを生かしていく、こういう形で当面は考えざるを得ないけれども、将来的には、やはり先生のおっしゃったそういう体制をつくりながら、やはり評価ができるような、ニーズにこたえられるような内部の体制をとっていきたいと思っています。  期間的にどうかとおっしゃいますが、今度の問題でも、私ども、すぐにわかにというより、この種の制度改善というのはそう毎年あるわけではありませんから、門戸を開いておいていただきたい。その中で個別的に、先ほど冒頭に申し上げたように、労働金庫の持ち味の発揮できる業務をやはり選択をしながらその体制をとる、そして、その都度官庁の認可をいただきながら実施をしていく、こういうふうに考えておりまして、一部分必要性の強いところはそういう体制、教育の準備を実は進めておりますし、今何人か大手のところヘトレーニーという形で人を派遣して研修させております。  以上でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 もう一つだけ。  例えばこれが、百メートル競走ではありませんが、マラソンでしょうが、ピストルが鳴って用意ドンでみんながスタートをするわけですね。国民のエリアはほとんど決まっているわけでありますから、今度はどこでもいわゆる取引は可能になっていく、お互いがそれは競り合っていくということになるんではなかろうかと思うんですね。だから、一斉にドンといく方がいいのか、どこかが先に駆けていってどんどん開拓をされて、その後を追いかけるという形で自分の商業上のエリアを確保することは可能になっていくのかどうか、あるいは採算が成り立つ営業ができるのかどうか、そういう不安はないのでしょうか。私としては、一つ何か商売をやる場合には、そういうものができると周りにもてきるということになって、お互いに開店を競い合う状況が生まれるわけでありますが、その間の空間がどういうふうに自分に作用するかということは非常に大きな要素だろうと思うのであります。今のあなたの答弁では、間口だけあけておいてもらえれば、後からでも追っかけていけば十分それは間に合うでしょう、間に合わせます、そういう意味に聞こえたのでありますが、その辺はもう一回。それとも一年なら一年の猶予を置いてみんなが一斉で用意ドンでいくのがいいのか、それとも若干のでこぼこはあってもいいからスタートしてもらう方がかえって刺激になっていいのか、この辺は非常に判断の難しいところだと思いますが、もちろん役職でお答えになると後で引っ込みがつかなくなるといけませんから、個人的な見解で、今のところはこんなふうですというようにお答えいただきたいと思うのです、答えられれば。困ればやめて結構です。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕

片岡利男全国労働金庫協会専務理事

○片岡参考人 率直に申し上げて、組織として、労金業界として整理し、確認していることではございません。ただ、私も制度調査会の論議に参画する中で、率直に申し上げて、縦割りにつくられておる制度を改めて競争を促進するということが一つの大きなねらいでございます。同時に、利用者利便という立場はございますが、今、やはり金融業界がこれほど格差を持っている中で、一緒にスタートしたって力のないところはおのずと限界がございます。一斉にスタートをした場合の不安の方がむしろ大きいだろう。そうしますと、たくさんの業務範囲の拡大の中で、どれもこれも後追いの形をしても始まりませんから、やはり労働金庫の特性に合う、ないしはニーズに即したような形で絞り込んで努力をしながら、そこで経営的にもあるいはニーズにもこたえられるようなことをしなければならないだろう。制度が開かれたから全部やるという発想には立たない。要するに、協同組織的な特質の発揮をこの面でしていくしかないのではないか、こういう考え方を実は持っております。  願わくは、年金のときも遅く、後発部隊のためになかなかとりづらいわけですけれども、一緒のスタートというのが望ましくても、時代はそういうところへもうどんどん進んでおりますから、ひとり労働金庫業界だけが強調をしてどうのこうのということはできませんから、やはり今の状況を見ながら、我々の特質に合う形で対応していこう、こういうように私は思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 貴重な御意見承りまして、忙しい中おいでをいただきまして、心から厚くお礼を申し上げます。私もそういう御意見を聞きながら、自分でまた判断をし、決断をしていきたい、こういうふうに思います。皆さんによろしくお伝えください。どうも御苦労さまでございました。  それから、農協さん関係は来ているのでしょうかな、参考人はいないのでしょうけれども――では、これは次にいきます。  続いて、これはまたノンバンクに戻りますが、――これは大臣と委員長に配ってください。あとある分だけですから、委員長と大臣と。  今これを差し上げたのは、ノンバンクも、委員長を初めそれぞれ関係者の皆さんが御努力をいただいていることに対しては、心から敬意を払う次第であります。ただ、今までは、長年の経過がありますので極めて強く求めているものもあるわけでありますが、また後刻それぞれの分野で御相談をいただくと思いますが、これは上場ノンバンクの会社へ各銀行から出されている金と、どういう銀行がどの程度のウエートを占めているか、銀行、信託その他あるのですが一余分があったら理事のところへも上げてください。  一番は、長期信用銀行が十五のノンバンクに八千百五十七億出ているわけですね。それから、日本興業が十一のノンバンクに七千百七十八億、それから債券信用が十の会社に三千七百億、端数は省略します。太神三井が五千七百四十億、第一勧銀も五千三百六十五億、これぐらいにとどめておいて、ずっと読み上げるのはやめますが、その裏に、三菱信託が十一で、三井信託が七つ、住友が五つ、東洋が四つ、安田が四つの会社に、それぞれ七千二百七十八億、それから三井が四千四百六十八億、住友が三千二百七十三億出ているという格好です。それで、生命保険の関係では、日本生命が九つ、明治生命が五つ、第一が四、朝日が二、こういうことで三千六百七十一億、それから千五百八十九億、これで合計、合わせますと、何と六十五兆二千八百九十二億という金額になるのであります。これは個人の金も若干入っているだろうと思うのですが、全部がこの金だとは言い切れないものも、個人が株主で出してあるものもありますから、そういう意味でいって固定ので見ましても六兆円ぐらい。  それから、これは配りませんでしたけれども、大臣、これで百八十六社あるのですよ。これのノンバンクが、これが六十五兆なんです。失礼しました。こっちは二十六兆です。こっちの三千万以上ずっと二百億までの資本金の上場してない方のノンバンク、ごらんになって――ちょっと見せてやってください、さらさらっと見るだけですが。これがここに書いてあるんです。それが六十五兆ありまして、こっちの上場が二十六兆なんです。これで大体九十兆以上、超えるのですね。  それで、我々がいわゆるディスクロージャーといって知り得る範囲内がどこにあるのか、何を我々は知っていく必要があるのか。  これを出した一つの理由というのは、上場しているノンバンクの主要な大勢は、一般国民の預金がその主体となっているのだということを具体的な数字であらわしたわけですね。ですから、天から降ってきたものでもなく、コマーシャルペーパーで得たものでもない、要すれば、自分の努力はあるかもしれませんけれども、ほとんど国民の預金が主体となって出ているという、その実態をあらわしたわけであります。  それで、今お手元に配りましたのが三万五千ある、こういう中で、今言ったように百八十幾つですから、それで三百社に足らないのですね。  それで、同時に平成三年までの貸し金業者数でいきますと、今、平成三年の三月末で二万一千八百十一であります。消費者向けの大手以外が七千九百六十五で一番多いのであります。これは会社数というか。その次が事業者向け貸し金が五千四百十四なんです、これは三年。五千五百十七から五千五百三十二、五千四百十四社と横ばいの状態です。その次に多いのが手形割引業者で二千百二十八、それから質屋さんが千六百十四。いろいろと今まで言われている消費者向け担保貸し金業者は千四百六十五なんですね。それから、消費者向け住宅向け貸し金業者は百十二なんです。こういうふうに見ていきますと、業界の大勢としてみても、ノンバンクの関係と一般の消費者ローン、あとはリースとかその他ありますが、こういうふうに大別できる。  また、これを今度は金額的に見ますと、これも平成三年三月末でいきますと、いわゆる九十八兆の中身ですが、事業者向け貸し金業者が四十三兆三千五百五十四億になっているんですね。そして、その次に信販が六兆、あと端数は切り捨てます、不動産関係の公益法人で大体七兆、それからリースが十七兆、住宅金融専門が十三兆、いわゆる消費者向けは三兆、担保ある消費者向けは一兆、それから住宅向け貸し金業者が一兆、こういうふうな支出割合になっております。  ですから、今我々がこの百兆の――その前の年は七十九兆です。念のためですが、平成元年のときには五十四兆です。五十四兆から実に四十兆もふえてきているということなんです。なおもう一つ念のため申し上げますと、ノンバンク、いわゆる事業者向け貸し金業者は平成元年のときには二十三兆でありました。それが四十三兆で二十兆円ふえているんですね。これは、社団法人全国貸金業協会連合会企画調査委員会の方から出されている資料です。  ですから、私たちがノンバンクについて必要以上にいろいろと申し上げているのは、大方が国民の資産の運用にある、ですから万一の場合に備えて、ノンバンクといえどもどうも状況は極めて厳しい状況に来ている、万一の場合に国民に不当な損害を与えたり混乱を与えたりしないためには、ある程度の行政権で叱咜勉励を与えることもあり得るであろうということで、いわゆる立入調査権というものができる。公務員でもそうですが、会計検査院が来る、ことし三年目だから来るかななんて言っていると、そのときだけではありませんけれども、やはり案外締まって、万一の場合に備えてということでやり方、運営もやるわけです。それはまた違って、五月までだからというんで四月中に何とかしようというのもありますけれども、大体そういうものが主体であります。  そういうことで、これは大臣にもう一回重ねて、いろいろお骨折りいただいているわけでありますが、そういう意図というものだけは、商工だとか大蔵とかという問題で我々は言っているわけじゃないんでして、そのことを国民の立場から見れば、預金が百兆も動いてその預金の行く先がどうなっているのかわからぬ、そういうことで済まされる問題ではないだろう。それをひとつ常識の線として私たちは物を申しているわけでありますから、何か起きたら大臣が腹切りますよという担保でも出してくれれば別でありますが、それは大臣、幾ら腹があっても足らなくなっちゃうだろうと思うんです。そういう意味でひとつとらえていただきたいんですね。単なる商工族だとか大蔵族だとかそういう物の割り切り方で我々一言も言ってないわけですから、ただ一般の貸し金業者の受けている事情と同じような状態において、すれすれの人もいるわけですから、そういう状態で対応してほしい、こういうことが願いでありますから、これからまだ委員長を初め理事の皆さんやあるいは大臣等もお骨折りいただくわけでありますが、何といいますか、仮にもそういうことの勘違いをして扱ってもらいたくないというふうに申し上げておきたいと思って、もっと政治家の純真な立場でひとつそれぞれ対応してもらうことを期待します。大臣から一言お答えいただきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 先日来、このノンバンクの問題につきまして沢田委員の方から御指摘のありましたもの、私ども真っ正面から受けとめさせていただいております。  確かにノンバンク、今御指摘がありましたように事業者向けの貸し付けを中心にいたしまして大変量的な拡大を遂げたということもございまして、それだけに金融システムの安定及び健全な発展を図る上でも看過できないものであろうということは、私ども全くそういう感じを持っておるところでございます。  そして、私どもといたしましては、今までの御指摘等も踏まえながらも、今後業界団体による自主規制というものの活用を初めといたしますけれども、何らかの指導体制の整備が必要であるのではないかというふうに考えておりますし、またノンバンクに対する金融機関の融資業務、こういったものの適正化というものについても考えていかなければならぬものであろうというふうに思っておりまして、いろいろな御指摘の点につきましては、私ども真っ正面から受けとめていきたいというふうに考えております。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 委員長の方もお骨折りをいただきたいということを、さきにおられないときでありますが言っておったのですから、中川さんから後で引き継いでおいてください。  郵政省と厚生省においでをいただいておりますが、今回のこの法律の改正に伴いまして郵政省として今後どういう方向に資金の利用、いつまでも財投ではないという声もなきにしもあらずでありますが、銀行も株をやります、あるいはその他のものを出すんだから、郵政省も国民の貴重な財産を預かっておってそのまま放置しておくわけにはいかぬ、それなりの有効な処置も講じなければならない、しかし、国が預かった金でありますからそれだけの責任もまた重いということを受けて、今回の法律改正と郵政省はどういう関係にあると考え、またどうあってほしいと願っておりますか、郵政省側からお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕

平井正夫郵政省貯金局経営企画課長

○平井説明員 先生御指摘の今回の金融制度改革によりまして、銀行、証券の相互参入ですとか諸規制、諸慣行の見直しによりまして民間金融機関において取扱業務が相互に拡大される、あるいは中長期預金、変動金利預金等の多様な商品の開発などが行われるというふうに承っております。これは金融自由化の流れに沿うものであって、預金者利便の観点から歓迎すべきものと思っております。  なお、郵便貯金事業は、全国津々浦々の郵便局を通じまして個人金融サービスを提供をいたしております。国民利用者の方々に広く利用していただくとともに、また財政投融資を通じまして社会資本整備等のための公的分野への資金供給などを行っておりまして、国民の福祉増進に貢献しているところでございます。郵政省といたしましては、事業のこうした特色を生かしながら、金融自由化の進展の中で、国民利用者の利便の増進の観点から経営基盤の安定をも図りつつ、預金者ニーズに対応した制度改善の実現、サービスの向上に今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 別に具体的なことはないわけですね。去年言ったこととことし言ったことと余り変わりないことを言っているようですが、余り個別なものはない、こういうことですか。

平井正夫郵政省貯金局経営企画課長

○平井説明員 先生の御質問自身から、具体的というよりも金融制度改革に対して郵政省がどういうふうに考えているのかという御質問と受けとめましたものですからこういうお答えをさせていただきましたわけでございまして、例えば個別の商品の多様化あるいは資金運用面の改善等につきましては、予算要求を通じまして大蔵省にもお願いしておるところでございます。来年度に対しましてもその方向で努力をさせていただきたいと思っております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 加えて、年金事業団はいろいろ問題を起こしましたが、この年金資金の活用という面から見て今回の改正との関連性、いや関係なく独自の道を歩むというならそれでも結構でありますが、どのように受けとめておられるのか、お答えいただきたいと思います。

川邊新厚生省年金局資金運用課長

○川邊説明員 年金福祉事業団の資金運用でございますが、御承知のとおり投資顧問会社の助言によります自家運用と信託銀行及び生命保険会社への委託運用を行っているわけでございます。今般の金融制度改革によりまして、私どもその運用の委託先や取引先でございます金融機関等の活性化が図られるということでございますので、年金福祉事業団の資金運用につきましても、その多様化とか効率化に資するということで望ましい方向だというふうに考えたところでございます。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 厚生省はお帰りいただいて結構であります。  次に、銀行局長ですか、今回の新聞が発表しました各行の赤字に対しましてちょっと気になる言葉もあったのでありますが、いわゆる社会不安を起こさせないためというような言い方でしたか、不良債権の発表は差し控えるように指示をしたんですか、それとも電話をかけた程度なんですか。何か皆、不良債権については触れない。  もう一つ申し上げれば、不良債権とは何か六カ月以上利息の滞納、こういうふうに言われておりますが、果たしてそれが正しいというふうに考えて言われているのかどうか、その点も含めてお答えいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 不良債権の議論というのが昨今非常に広く行われておるわけでございますが、ただいま御指摘にもございましたが、そもそもこの不良債権とは何かということについて明確な定義もなく、また世間での取り扱い方も一様ではございません。不良債権というのは要するに健全な債権ではない債権ということであろうかと思いますが、それの数量的な把握の仕方としては、何通りもいろいろな方法が考えられます。ただ、その中で私どもが過日都市銀行、長期信用銀行、信託銀行の三業態につきまして決算見込み、すなわち速報値についてその概要を発表しましたときに用いました説明ぶりは、いろいろ考えられますものの中の一つの切り口として、ただいま御指摘にもありましたが、貸出金利息が六カ月以上未収となっている貸出金というものを取り上げ、その額がこの三月末時点でおおむね七から八兆円程度であるということを説明したわけでございます。いわばこれは説明の一つの手法でございます。  それから、ディスクロージャーに関連した話題でございますが、これは何度もこの委員会でも御 議論いただいたところでございますけれども、私どもは基本的にはこのディスクロージャーの促進に前向きでございますが、先般話題になりましたのは、殊に全国銀行協会連合会の中の議論として、各行統一的に開示すべきいわば必要的項目を、これは全体としてはふえているのでございますが、それをふやすにつきまして不良債権関係のものをどのように取り扱うかについて関係者の間でいろいろと理論的、実務的に議論があり、研究がまとまらなかったというようなことでございますので、私どもむしろこのような情勢をも考えながら、近々に金融制度調査会で作業部会を設け、そこで専門的な立場から検討を進めていただきたい、そういう整々としたアプローチによりまして、できれば本年度すなわち平成四年度決算あたりから、十分に検討を経た後の結論に従って各行が不良債権関係についてもディスクロージャーをしていただくというようなことを期待したいという意図で行動しておるわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 私がなぜここでそれを聞いたかというのは、正常な競争をしていく前提というものが何かということを言いたかったからであります。これは、これからの金融制度の改正が行われるとすれば、その期待するものは正常な競争である。その正常な競争というものは、自分の欠点を覆い隠しながらそれで国民にイメージをよくして一種のごまかしあるいは詐欺、そういうようなことで成り立つものではない。やはり裸になって、こういうところはありますが、こういう点もありますということを率直に言いながらしていくのが正常な競争原理が働く根本だと思うのですね。これも限界があるとは思いますよ。全然裸になっていいというものではないだろうと思うのですね。思いますが、しかしこの不良債権程度のものは、例えば手形でもあれば、一日だって過ぎればそれで不良債権になってしまうのですから、六カ月も納めないでそれまでは猶予できるという解釈は、極めて優雅な解釈だと思うのですよ。  これは大臣に聞いておきますが、一カ月だって延びたらぎゃんぎゃん言われますよ、利息払わないでいれば。それは元金もそうでしょうけれども。それを六カ月もためておいて言わないといったら、親子だって言うだろうと思うのですね。そういう状況のものを六カ月も置いておいてそれからようやく腰を上げるというのは、不良債権の解釈としては極めて緩やか過ぎるというふうに私は思います。これはそのとおり、言いっ放しですからいいです。  それからもう一つ、正常な競争の中で、例えば相撲でもそうなんですが、同じ部屋に入っている者同士はやらせないですね。これは今度は親会社、子会社の中のディスクロージャーも同じようなことが起きてくるわけですね。あるいは同系統の会社の場合も同じくかばい合うという心理が働きます。パチンコ屋さんだって、一店新しくできれば、残ったパチンコ屋さんで総攻撃で全部出し合いをしてつぶしていくということもあるわけですね。ですから、この正常な競争というものの背後には、純粋な意味での正常というものは世の中になかなかないんですね。必ずどこかにそういうつながりがあるということです。労働金庫なんか全く孤塁を保っているようなものでありまして、系列化されている社会の中に飛び込んでいったら渦巻きに巻き込まれてしまう。そういう心理は、大臣、心理的なものですから、どういうふうに正常な競争がその中で確保できるかということは極めて難しいんだと思うのですね。ですから、うちは金利を三・二五にしましたよ、あるいは定期だったらもっと四・七五、五・一、いやMMCですか、今度は五・二五、こういうふうに各銀行は競争し合っていくわけですね。そのときに系列されているものは恐らく同じように内々相談していくだろうと思うのです。  ですから、完全な競争原理というものをどこまで働かせていくのか、そしてどこまでブレーキをかけるのか、その辺のめどはどういうふうに考えているのかを、細かい点は言えないだろうと思いますが、大枠として言っていただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 非常に大きな御議論でございますので、果たして的確に御説明できるかということについて若干危惧を持っておりますが、この競争の背景にやはり一つの事実のディスクロージャーというものがなければならないであろうというのがこれからの姿であるということは理解できるわけでございますが、そのディスクロージャーなるものは、意図は別にやましいところはないというか、純粋であるというか、意図は適当な、適切な意図に基づくものであっても、やはり経理の問題でございますから、それをどのように表現するか、その表現の手法の問題というのが別にあるわけでございます。それが実は非常に難しい問題でございます。  その例として、例えば六カ月の利息が入ってこないのにそれが健全であるかないか、健全であるというふうに見るのはおかしいという御議論もございますが、これは実は六カ月というメルクマールをとっております一つの、一つのでございますが、理由は、これは税法によりまして期間対応で利息計算をし、それをいわば収入に立てるべきである、ただし六カ月以上も続いて利息が入ってまいりませんときには、それは益金に計上しないことができるという現在の税の取り扱いがございますのでございますから、現実に利息が三カ月、四カ月続いて入ってきませんでも、期間対応でその期に含まれているものであれば、その三カ月分、四カ月分の利息は益金に計上するという税の取り扱いもございますので、それに対応して六カ月という数字のとり方をしておるわけでございます。もちろん個別の銀行によりましては一カ月、三カ月というようなもっと細かな刻み方をして実態を把握しているものはあると思いますが、現在私どもの方で統一的に各銀行から報告をとったベースとしては、六カ月という期間を用いたわけでございます。  それからもう一つの例として、これもこの御議論にございましたが、親子というような関係をどう見るかということでございます。これは別途、むしろ証券局の方でやっております有価証券報告書、届出書系統で連結財務諸表という手法がございますので、その手法を用いることが普通であろうと思われます。その場合に、その連結基準というのは何であるかというのが、これはまた一つの表現の手法でございます。  そのようなこともございますので、意図は適切でありましても、経理についてすべての方々が納得していただけるような、そういう適切な切り口を見出すということはなかなか難しい、そういうこともございますので、専門的な見地から作業部会で一議論していただこうと思っておるわけでございます。  そのような手法を用いて、できる限り実態を外へ公開するというのがこれからの方向でございますが、ただし、それにつきましてさらにもう一つつけ加えて申しますと、やはり金融業務というものの特殊性からいたしまして、これは銀行法の説明書類の縦覧につきましてもただし書きがあるわけですが、具体的に法律が規定しておりますのは「信用秩序を損なうおそれのある事項、預金者その他の取引者の秘密を害するおそれのある事項及び銀行の業務の遂行上不当な不利益を与えるおそれのある事項並びにその記載のため過大な費用の負担を要する事項については、この限りでない。」ということで、これはもともと訓示規定ではありますけれども、このような事項については開示の責務を解除しておるというようなこともあり、これは一つの銀行業務の特殊性である、そういう事情もあるということも申し上げておきたいと存じます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 余りわかった答弁ではなさそうですが、しかし、結果的には不良債権の解釈は六カ月では長過ぎる、そのときどきの時点において変わってもいいのだと私は思うのであります。一般の社会では、手形でいったら二日か三日、まあ翌日、三日もたてばすぐ不渡りになりますから、電話がかかる。三時になれば電話がかかりますか ら、そういう状況の中で六カ月も置いておくというのは特別親密な関係のもの以外にはあり得ない、こういう言い方で私は申し上げているわけですから、これからではなくて、この法案を出す前提としてこういうものの解釈はきちんとしておいてもらわないと困る、こういう意味ですから、その答弁では私は了解したわけではありません。後刻でいいですから、やはりどうかはっきりしていってもらいたい。アバウトな時代とは違う、こういうことをひとつ申し上げておきます。  それから続いて、同じく親子というのは、私は若干ユニークに申し上げたわけなのでありますが、まともに受けとめられたようでありますからそのとおりまたお伺いしますが、連結決算の基準をどこへ置くかということも改めて御検討をいただきたいわけです。これからは五〇%出した子会社も生まれてくるわけですが、これは連結決算の対象になる、こういうふうに解釈していいですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今定められておりますこの連結財務諸表の基準によりますと、五〇%を超えるものは連結対象の子会社になっております。したがいまして、今後銀行の証券子会社ができた場合は、それは連結対象になります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 続いて、銀行であります。  東洋信金に係る援助は、この形態は今後も違ったところで生じれば、同じようにこの程度の救済は行うという大蔵省の、大蔵省の意図と言っては恐縮でありますが、大蔵省もその相談の一助を担ったわけでありますから、そういう意味で、東洋信金を救った根拠は、基準は河ですか。それは預金者がいるから、かわいそうだからということは常識的にわかります。これはどこまでいってもその原理は続くわけでありますが、今後起こった場合の援助の限界というものがあると思うのですね。これも不良債権をうんとつくって、多大に多くの人に迷惑をかけた、救うべき人と損失をこうむる社会的な公正、どちらを選択するかということは、これは次の問題だと思うのですね。ですから、東洋信金のような状況において、救ったような格好になり、それでまた金利の繰り延べ、金利の低減、店舗の引き受け等々をそれぞれ行っているわけでありますが、同じような状態になった場合に、やはりこれは救っていくわけですか。これは大蔵省としての方針をひとつお伺いしておきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 具体的に東洋信金の例を引いてのお尋ねでございましたが、一般に金融機関の経営の悪化が問題となりました場合の対応につきましては、要約して申しますけれども、当該金融機関の一層の自助努力、それから同じ業態の中における相互援助、さらには合併、さらには預金保険などさまざまな方法の中からそれぞれのケースに応じた適切な方策がとられていくべきものと考えております。したがいまして、今度の東洋信金のような方式が方法論として今後の金融機関の救済の例えばモデルケースになるということではなく、方法論としてはあくまでもケース・バイ・ケースでございます。  その次に、恐らく委員の御指摘は、さらに立ち入って、その方法論は別として、例えばどのくらいの重症であればそれを救うのか、救わないのか、そこまで突っ込んだ御指摘であろうかと思われます。それもその金融機関の置かれておる状況、それからその金融機関を取り巻く周辺の状況、さらにはその金融機関が、もしいわば倒産した場合の社会に及ぼす影響その他を慎重に考えた上で、いろいろと内部で検討し、また関係の金融機関その他と意見を交換するというようなことになると思われますので、いわばその境目というものを定量的に申し上げることはできないと思っております。  ただし、一般的に金融機関というのは、やはり一般の企業とは異なる特別な業務の企業であり、それの経営破綻については極めて慎重な取り扱いが必要であるというふうに私どもは考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 正常な競争というものは、そういうことはあり得るということじゃないでしょうか、正常な競争でいって勝利者があり敗北者があるわけでありますから。それを調整するのは我々の言う社会主義的な方法なのでありまして、言うならば自由競争の原理の究極は勝利者があり敗北者があるということになるわけであります。  ただ問題は、社会的に影響を与え、国民に、公共の秩序を害するといった分野においてのみそれを救済し得る条件が生まれるのであって、その他はこの法律でいって自由競争の原理になれば、勝利者と敗北者は出てくるに決まっているのですね。だから、ディスクロージャーが必要であるし、その内容を公にして、国民も責任を負うわけですから、銀行に預けていた金がだめになったらそれはだめになるのですから自分で銀行を確かめていく、そういう努力が今度は国民の側には生まれるわけですね。ですから当然明らかにしていきながら、明らかにしていって銀行を選びあるいは信金を選び、農協を選んで、そしてみずからがそれに向けていくわけですから、当然正常な競争をやっていくという場合は、あらゆるディスクロージャーを求めるというのが国民側としては当然の権利である。そういう前提に立って、つぶれることばかりを願っているわけじゃないのですよ、そういう危なくなる場合もある、経営者はそういうことにしないようにその責任を果たしていくのが本当であって、経営者は簡単にやめて、何とかまたどこかへ行って横滑りしていればいいというものではない。そういうことが不信感を増大させると思うので、今この法律の大前提になっております根底にあるものはそういうことだ。だから国民も、銀行を選ぶのはそういう意味で選んでください、やはりそういうふうに言っていかなければいかぬと思うのです。どうなっても東洋信金みたいに助かるのですという論拠で自由競争の原理は私は育たないと思いますし、努力もしなくなってしまう、こういうふうに思いますから、その点もう一回お答えいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金融機関の法律、例えば銀行法などを見ますと、銀行が清算をするとかそういうような場合に備えた規定もございます。それからまた、銀行が預金の払い戻しかできなくなったような場合に備えて、御承知のように預金保険に関する法律も制定されておるわけでございます。したがいまして、考え方としては、いろいろな競争を進めていきます場合に、その競争でおくれをとりましたものが倒産をするということは、理論的、ないしは殊に制度論としてはそれは想定されているものの範囲内のことではございます。  ただし、なるべくならばそういうことを避けたいという話になるわけでございますが、そこで御指摘のディスクロージャーの位置づけをどういうふうに考えるかという問題も一つの論点でありまして、ディスクロージャーは、確かに情報を提供することによりまして国民に金融機関を選ぶその機会を与える、逆に言えばその選択が間違った場合の責任を国民に負わせる、そういう仕組みはございます。しかし、明らかにこのディスクロージャーだけをやっていればよろしいというものではございませんで、ディスクロージャーで経営内容が悪いから、それを国民は知り得たはずだから、したがって国民の判断の誤りとしてそういう預金の払い戻しを受けることができなかったというふうに決めつけることは、やはり実際問題として通用しないのではないかと思いますのと、もう一つは、このディスクロージャーによりまして仮に不利益な情報、その銀行なりなんなりの経営内容が非常に問題があるというような情報が出ていく場合に、それを見る方の、受け入れる方の国民が冷静にかつ客観的にその情報を評価し、そしてそしゃくする、そういう素地ができておるかどうかというような問題もやはり考えなければならない。これについては、殊に今までやっていなかったことを新しく始めるとすれば、それについてはその反響なり国民の受け入れる状況が熟しているかどうかについても考えなければいけないと思うわけでございまして、先ほど御披露いたしました銀行法上の説明書類の縦覧の規定にあります。ただし書きというのは、恐らくそのような点まで考慮して規定されているものであろうと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 今まで銀行局は支店の店舗に至るまで許可をし、一年に一店許可をするかしないかぐらいで、厳重に銀行局は銀行の出店に対して規制をしてきたわけです。これからの法律になれば、これは解除されると解釈していいですか。まず、その点から。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行の営業についての規制の一つの例として店舗行政を引用されたものと思いますが、店舗行政そのものは泊由化、弾力化が急速に進んでおりますけれども、今後においてもその方向がさらに進むであろうというふうには考えております。もう少し一般的に申しますが、競争が促され、自由化が進んだ場合に、一般的な規制の組み立て方をどのように考えたらいいかというのは、一つの大きな問題でございます。  それで、ただいまの店舗行政のように個別具体的な規制をはめるというようなことでやってまいりましたのは、どちらかといえば古い従来型の手法の規制でございますが、今後はむしろ金融機関の業務運営の自主性を尊重しながら、同時に経営の健全性の確保を図るような方策、そういう方策に比重を移していくということが望ましいであろうと思います。  それは具体的には、例えば自己資本比率規制などのバランスシート規制と言われる一部の規制がございますが、行動の内容そのものについては経営の判断を尊重するけれども、それのトータルとしての財務内容については一定の基準以上を満たすことを要求する、そういう種類のものでございます。そのようなバランスシート規制に比重を移し、かたがた議論になっておりますディスクロージャーの一層の推進を図っていくというのが、これからのいわば規制行政のあり方ではないかというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 今まで言ってきたような問題で、このディスクロージャーの基準といいますか範囲といいますか、そういうものは何で決めていくつもりでありますか。細則ですか、それとも通達ですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 このディスクロージャーと申しますときに二種類がございまして、一つは証券取引法の方のがございます。これは別の話といたしまして、金融業法にございますような、いわゆる説明書類の縦覧という規定の系列でございますが、これは各業態ごとにいろいろ内容は違うと思います。端的に銀行の場合を申せば、全国銀行協会連合会のいわば自主ルールと申しますか申し合わせと申しますか、そういうものによって逐次開示項目の拡大が図られてきております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 証券も一緒なんですが……。でも、例えばそれを間違ってしたら罰則規定がなければ、これも公正ということはないのですね。やり得になってしまうのですね。ですから、こういうふうな法律体系になっていけばプラスもあればマイナスもあるわけですから、虚偽の報告をしたり、虚偽のいわゆる説明をしたりすれば当然罰則が伴っていかなければ本来の競争ということにはならないわけです。ですから、そういう意味においての罰則規定はどうなるのですか。この点も、ただこれから出てくる書類を聞いているような気がして、これはちっとも法律に参考になるものが出てきていないのですね。  ですから、今外枠をやっているわけですが、そういうものをきちんと出してこの法律の施行、こういうことにならないと、用意ドンと言ってもどっちが決勝点なのか、回れ右に走ってもいいんだということで、右回りも左回りも同じでいいんだというのと同じになってしまうのですね。やはりそれにはルールがなければいかぬと思うのですね、競争には競争のルールがなければ。ですから、競争するときにはこういうルールでやるのですというものがきちんと国民の前に出されて、あるいは銀行なり証券もみんなそのルールに基づいて、この線を越えてはいけませんよ、内へ入ってはいけませんよというふうにそのルールが前提となっていないと、こういう法律を、頭の中に描くものは描けますが、では具体的に当たっていった場合にどうなるのかというと、全く真っ暗やみになってしまう、こういうことになるので、それでは今ディスクロージャー、開示制度が問題になったけれども、その開示制度の中で違反をしたらどういう処罰があるのですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 証券取引法の方は別途の説明といたしまして、銀行法その他の金融業法にありますディスクロージャーの規定について御説明を申し上げます。  これは義務規定ではございませんで、訓示規定でございます。それから、必要的記載事項というものを定めるということはしておりません。したがって、もちろん罰則はございません。この点は、昭和五十六年の銀行法の全面改正の立案過程において非常に議論になったところでございます。  それは、金融制度調査会の法制小委員会でございましたか、そういう専門家の会合で想定されておりました案は、訓示規定ということではなく、具体的に銀行がそういう書類をつくり、それで縦覧に供することを義務づけるということであり、かつ、大蔵省令によって必要的開示項目を定めるという案になっておりました。しかしこれは、立案過程で非常に議論になりまして、原案が修正されたといういきさつがございました。その議論の考え方は、そこのところは一方的に強制し押しつけるのではなくて、各銀行の創意工夫にゆだねる、それがかえって私企業としての金融機関に重大な責任を負わしめて、創意工夫を凝らし合うというプラス面が働くのではないか、こういう御議論であったと思います。そのように、自発的に進んで営業内容を開示する、もちろん適切な範囲内でございますが、そういう開示をするということでの前向きな努力を各銀行の間で競争的にむしろやってもらいたい、そういう期待を込めてこの制度が動いたわけでございます。  ただ、その後十年間の運用を見てまいりますと、この法律の公布をいたしましたときに想定しておりましたものとはなかなか違いまして、各銀行ごとに基準がないのはどうも不便であるということで、その後数年のうちに、いわば最低水準の必要的な記載事項というようなものを申し合わせるというふうに現実にはなっておりますが、ただ、その範囲内で抑え込まれるということではございませんで、個別の銀行が個別の経営上の判断としてそれよりも多い情報の開示をすることはもちろん自由であり、現に、実行例としても、多少そういう例は出ております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 また細かいことですが、オリンピックに行っても薬を飲んでメダルを取られるという例もあるくらいでありますし、ボクシングにしても、はかりにかけてきちんとその基準の中で戦うわけですから、正常な競争をやろうというのにはやはりそれなりの基準というものができていなければならぬのでありまして、それは、スタートラインにつく前に早急に我々に示してもらうことが一との銀行の皆さん方あるいは証券の皆さん方が聞いても、これはどうやっていいものかということでわからないでいたのではまずいのであります。  続いてもう一つ、外務員の資格要件は、銀行の外務員と証券の外務員とはおのずから異なってきているのが今の法律ですね。今後、それぞれ参入したり、時にはお互いに業務を行っていくわけでありますが、その外務員の任務それから権利義務というものは一貫性を持ったもので出してもらわなげればならぬと思うのでありますが、その点は、今どういう解釈でおられますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行、信用金庫その他の金融機関に外務員と通称される渉外の担当者がおります。これは、いわゆる一般職員と同じような位置づけでございまして、特別の資格要件は、金融関係法規の体系の上では定められておりません。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 それでは、証券の方と一緒にやっている場合に、それは何で区別していくのですか。同じ銀行の中に証券もあり、銀行もあるわけですが、それはどういう区別でやるのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 現在銀行が行っております証券業務は、国債のディーリングとか公共債に限定されております。そういう関係もありまして、銀行め国債業務に従事する外務員、営業マン、営業員の資格については、銀行の方で特別に試験をしております。証券界の方は、証券業協会が外務員資格試験というのをやっておりまして、それに基づいて、その試験に合格した者が証券会社の営業マンとして登録を受け、営業を行うことになっておりますが、現在の段階では、銀行の証券業務というのは今申し上げたように極めて限定、つまり国債という元本が保証されたものでございますので、そういった関係で外務員資格をあえて証券業協会の資格試験を通った者という要求をしておりません。しかし、今度の法改正におきましては、銀行の証券業務、これは本体で行う証券業務でございますが、これも広がってまいりますので、その点につきましても、外務員についての資格を合わせるということも考えております。  それは、実は証券業協会の加入資格との問題もございまして、前回御審議いただきました自主規制機関の強化のところで、銀行自身も、証券業務を行っている部分については証券業協会に入れる資格を与えたわけでございまして、もちろん既存の証券業協会に入るかどうかというのは強制はしておりませんけれども、そういう観点で、少なくとも銀行が行う証券業務については自主規制機関としての証券業協会のいろいろなルールに従うということの法手当てをしたわけでございます。したがいまして、銀行が現在の証券業務以外のいろいろな証券業務、証券化商品などを本体で新たに行うことになるわけでございます。あるいは私募も行います。そういった関係では、外務員資格については所要の手当てをしたいところでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 さっぱりわからないのですが、そうすると、東京ではかえってごっちゃになるでしょう。銀行の業務を担当している人は証券に一切手を出さないというわけでもないでしょう。用があれば、ではついでに羽田大蔵大臣のところへ行ってくれ、こういうふうに頼むかもわかりませんね。そのときには、それは銀行のセールスなのか、証券の外務員なのか、身分証明書でも持っていくか、あるいは黄色いシャツと赤いシャツと区分けしてやるか、どうにかしなければわからぬですね。来られる方も、両方の名刺を出されたら、どっちの立場で来たのか、それはこういう法律をつくる以上は何かきちんとしたルールがなければ、お互いに仕事をやっていくわけですから、時にはついでにやるという場合もあるのでしょうから、そういうことが片っ方なら片っ方だけでちゃんと区分けのつくような身分証明書なり何かをきちんとしていく、そういうルールをつくらなければ、片っ方は何で来たのかわからなくなってしまいますね。株で来たかと思ったら金の話だったなどということになりかねないのですから、その辺は法律を出す以上、そういう区分けは明確にしてもらうということが前提でなければならぬと思うのですね。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今の説明、ちょっと舌足らずだったかもしれませんが、今申し上げたのはあくまでも銀行の本体の行う証券業務についてのお話でございました。今御指摘なのは、銀行の証券子会社が証券業務を行う場合であろうと思います。  これにつきましては、そもそも銀行マンが銀行の証券子会社のために証券業務を行うことは認められない。これは弊害防止等の関係もございましてそういうことはできない。つまり、二枚看板をぶら下げて行くというようなことは、銀行業務と証券業務をあわせて行うことになりますので、そういうことは認めるわけにはいかないということでございます。したがいまして、銀行の証券子会社にいる営業マンが証券業務として行く場合には、当然それは証券業の外務員としての資格を持って参るわけでございますし、その場合にはもちろん銀行業務はできないということになります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 しかし、場所を挙げては恐縮ですが、今こういう大勢いるところはいいですが、一人しかいないようなところもあり得るわけですね。山の中で、郵便局もそうなんですが、お巡りさんも一人ぐらいしかいないというところもあるわけですね。ただ、そういうところに駐在している人は、いや応なしに二重行使になっていくようなことが起こり得るんじゃないですか、田舎の方になったらば。  要するに、ここできれいごとを言っても、実際には運用でそうなっていってしまうということになるならば、そういう場合を想定して法律なり通達なりはつくっていかないと、いわゆる受ける側の国民は迷うわけですね。そういう意味においては、東京なら大勢人がいるでしょう。田舎の方へ行ったら必ずしもそうはいかないし、せっかく行くんだから一遍で二度用が間に合うならそれで間に合わしてこいということになるのは自然の成り行きじゃないかと思うのですね。それをかたくなに、これは別なんですなんて言って、きれいごとで通るならそれでいいですがね。  また、どういう見分け方をさせるのかというのは、今考えていることがあったら言ってください。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 確かに、これをどういうふうにチェックするかというのは非常に難しい問題がございます。ただ、現在考えておりますのは、現在御審議いただいております法律の中にいろいろなファイアウォールが書いてございますが、それ以外に省令で必要なファイアウォールを規定するわけでございますけれども、その中で証券会社の職員が例えば銀行業務を行うというようなことは当然禁止をするわけでございます。したがいまして、もしそれに触れれば、これは法律違反になります。法律違反になりますと、そういう弊害防止措置についての法律違反については、一つは是正命令が出せる、場合によっては行政処分ができるということで担保をしているわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 今までの問題をちょっと取りまとめてみますと、外務員だとかそういうもので、訓示で出ているようなものは、今まで若干応答したような具体的な問題について、いつごろになったら、この法律ができる前ぐらいには一つの物差しが、訓示であるか通達であるかは別として、こういうものはこう解釈をしますという一つのモデルは出してもらいたいと思っております。その点は間に合わしてもらいたいのですね、審議のためにも。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金融業法の方、例えば銀行法その他の法に関する限りでは、その職員にいわば店舗外でどのような営業行為を認めるかというのはすぐれて金融機関の内部規律の問題でございます。それについての内部規定その他は各銀行などで定められているところでございます。具体的にそのようなものについて手抜きをいたしますと、これは経験上、後日客との間で大変トラブルの種となりやすいものでございますから、各銀行ともしかるべき相応の注意をもっていわゆる渉外関係者の行動についてはチェックをしておると考えております。これは私どもの金融業法に関する限りでは、銀行の内部規律の問題であるというふうに考えております。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 いろいろな銀行の証券子会社の営業についての必要な弊害防止措置につきましては、法律に規定している部分もございますし、これから省令に書く部分もございます。あるいは自主規制機関のルール、証券業協会のルールにする部分もございます。その辺のところはまだ完全には、すべて検討は終わっておりませんけれども、比較的といいますか、今申し上げたような点、あるいは現在ある程度明らかになって考えております骨子につきましてはお示しできると思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 それじゃ早急に。我々もどういうふうになっていくんだろうかということでさっぱりわからない面もありますから。  それから、店舗についても今のうちならやり得 ということですね。さっきの銀行局長の答弁は。今のうちならば、店舗なんかどこかにつくるという規制の枠が、法律が通った後は内々交渉しておいてぱっぱっとつくっても文句は言えない、こういうことになりますね、支店なんかは。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 御質問の御趣旨をとり違えておるかもしれませんが、店舗につきましては、もちろん省令その他で認可を要しない場合もあり、それを広げてはおりますけれども、原則としては銀行法その他による認可の対象でございまして、自由に設置できる、やり得であるということはないと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 だから、自由になったけれども、自由でない面は何と何なのか、自由の面は何だというのを、これは銀行の方へはそれぞれ流すのでしょうけれども、我々の方には流さないけれども銀行の方には流すということじゃ困るわけでありまして、アバウトであってもそれはある程度出してもらって、我々が例えば街頭へでも行って説明をするのに、こういう点は禁止項目ですよ、こういう点はこれからは便利になりますよということが、自由、競争ということは便利になって国民のためになるということが前提ですからね。どうしてもこの村には必要なんだけれども、町には必要なんだけれども、遠くまで行かなければ困るんだというところへできるかできないかということは重大な関心を持つわけです。これは郵便局なんかはそういうことでやってきているわけですから。  そういう意味において、この質問に対する答えは、今私は素材を投げかけたということで、これはまんべんなくいろいろな問題があるのですね、ケース・バイ・ケースとしては。ですから、そういうことにつれて、一つの基準というものは、それは大蔵省がつくるのか、自主的につくらせるのか、それから規制をするのかしないのか、罰則はどうなのか、ペナルティーはこうなるんだということをしなければ、この法律ができて一年でスタートするか半年でスタートするかわかりませんけれども、例えばスタートしたときに準備しなければならぬものがたくさんあるということをきょうは若干の材料の中から申し上げておいたわけであります。  時間が来ましたから、本文の方の解釈問題にはいかなかったのでありますが、最後に、生命保険、損害保険の関連です。  生命保険はどこまで、それから損害保険は法律等で決まっておりますものを除いてどのように、いわゆるこの法律との関連性はどうなるのか、その点、お答えいただきたいと思います。  それから、コマーシャルペーパーは、上場企業ということになりますけれども、この後どのような手続で対応していこうという考え方なのか、あわせてお答えください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 委員御高承のとおり、現在の法制では、今度の改正後もそうでございますが、保険業というのは銀行なら銀行業にとって他業でございます。したがいまして、銀行は保険業を営むことはできません。  それで、恐らく、保険の問題をお出しになりましたのは、別途保険事業のあり方について現在保険審議会で数年がかりの検討が続けられております、それを指しておられるかと存じますが、それにつきましては近々に保険審議会での最終報告をちょうだいできるかと思っておりますが、さらに最終報告が出されました後で、保険業法その他の法律について必要な改定作業に着手することになります。その改定作業の進みぐあいに応じまして、さらに改正内容を具体的にどのようにするかということを研究してまいりたい、現在はそのような段階でございます。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 CPについてのお尋ねでございます。  コマーシャルペーパー、これは今度の証取法の改正によりまして証取法上の有価証券にすることができるというふうにしております。実際のCPの発行につきましては、現在はすべて発行基準は格付基準になっておりまして、一定の格付をとった企業であれば発行ができる。ほかの法律との関係は、例えば出資法とかいうのがございますけれども、そういうことがない限りは一定の格付をとった発行会社は発行できるということになっておりまして、その辺は我々も随時見直しをしてその格付基準というものをもう一回見直していく。それによって発行基準をできるだけ緩和し、たくさんの企業がコマーシャルペーパーの発行ができるような方向に徐々に、今までも持ってきましたし、これからもそういう見直しを進めていく必要があるというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 大臣、ノンバンクについてもコマーシャルペーパーに転換していくという道もこれからの一つの課題だと思うのですよね。これは御検討いただきたい。きょう結論というよりも、今後一つの大きな課題になってくるというふうに思いますので、その点、御検討をいただきたいと思うのです。  それからもう一つ、さっき銀行局長の方の答えた社債とか信託とか、そういう面についての生保、損保の方は関係ありませんね。大臣からお答えください。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 前段の問題につきましては、私どもといたしましても、先ほど御答弁したこととあわせまして勉強させていただきたいと存じます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 保険業者がどのような業務ができるか、また、その保険関係の業務を銀行なり証券会社なりがどのような形で今後、直接または間接いろいろなことがございましょうが、営むことができるか、これらは現段階ではすべてまだ保険審議会において検討中の事柄でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 時間ですから、終わります。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 細谷治通君。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 休憩も挟まず御苦労さまでございますが、私が本日のしんがりでございますので、もうしばらく御奮闘をいただきたいというふうに思います。  まず、今般の金融制度改革に対しまして、私の基本的な認識といいましょうかスタンスというものを申し上げて、そして質疑に順次入ってまいりたいというふうに思います。  我が国経済、金融を取り巻く状況は近年激しく変化をいたしております。国内的には内需中心の経済システムへの転換が迫られておる、まさに調整過程の中にあるわけであります。ところが、こういう中にあって、いわゆるバブルがはじけ、一連の証券・金融不祥事の発生とか株式の極端な低迷といった難問が前途に山積しているということだと思います。また、海外からは、我が国経済システムに対しまして内外無差別の自由市場の育成というものが求められているわけでありまして、特に今問題であります金融・資本市場の自由化、国際化に対する要請というのが強いわけでありまして、そういう要請に沿った改革というものが強く求められているということは当然であります。  それで、今回の金融制度改革に関しまして、政府の考え方というものは同僚議員の幾つかの質問の中で明らかにされておるわけであります。例えば、利用者の利便の向上とか国際化とか、それから金融システムの維持、信用秩序の維持といいましょうか、それから地域のニーズにこたえていく、こういうような大きな柱があるようでございますけれども、私どもの立場でいえば、やはり一番眼目になるのは、まず第一には、金融。資本市場の改革に当たっては、競争を促進して金融の効率化を図ることももちろんこれは大切でございますけれども、利用者が一体どうなるのか、利用者の利便というのが一体どうなるのかということが私は大変重要だというふうに思うのです。  利用者サイドにとって今回の制度改正というのが、特に利用者といいましても多くありますけれども、個人や中小企業、そういう利用者に与える影響、利便の提供、サービスの提供というものがどうなるのかということが最も重要な視点ではないかというように私は考えております。もちろん同時に、今回の金融制度改革というのが、世界の中の日本という立場で考えてみて本当に世界の批判にたえ得るものであるのかどうか、世界の要望 にこたえるものであるかどうかというものも検証しなければならないというふうに思います。そういう意味においては、内外の利用者ニーズに真にこたえることができている改革であるのかどうかということをしっかりと検証していく任務があるのではないかというふうに考えています。  制度改正の基本の部分については公式のやりとりがいろいろございましたので、少しポイントを変えまして、突然の、質問通告がないので申しわけございませんけれども、難しいことをお聞きいたしません。感想なりコメントをいただければ結構でございますので、少し変わった視点からこの問題を取り上げてみたいと思います。  ここに一冊の本がありまして、「金融改革はこうなる」、財部誠一という人の著書がございます。この人は金融の専門家と伺っておりますけれども、この著書から私は今から引用を申し上げたいと思います。ぜひしっかりした反論をお願いいたしたいと思います。私自身、何も全面的にこれから申し上げることに対して賛成しているわけではございません。ただ、中には非常に示唆的な記述も多いわけでありますから、どうかこの反論を通しまして一層制度改正の趣旨なりねらいなりというものが国民の前に明らかになるようにお答えをいただきたいと思います。  まず、ちょっと長くなりますけれども、少し読みながらまいりたいと思います。「金融制度改革は、ごくあたりまえのようにして、一連の金融自由化の問題としてとらえられているが、自由化という言葉に惑わされると、制度改革の本質を見失ってしまう。  アメリカでもヨーロッパでも金融の世界では何もかもが自由化、規制緩和の方向に動いているかのように伝えられることが多いが、それは違う。むしろその逆だ。行政当局の権限は従来よりもより強化され、金融機関に対する規制はさらに強まりつつあるというのが世界の潮流なのである。  九二年のEC統合を目前にひかえたヨーロッパでは、行政主導のもとに金融大再編が起こっている。ことにスペインやイタリアのように、規模の小さな銀行が数多く存立している国はすさまじい勢いだ。」これに対するコメントがございましたら……。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 海外につきまして率直に意見を申し上げるということは非常に難しいのであります。ただ、さしあたりのコメントを申し上げます。  欧米では非常に激しい勢いで制度が改変され、また金融機関の再編成も進んでおります。このような金融の再編というのは、行政当局の介入というような次元の発想で進んでいるものではございませんで、金融機関の自発的な意思に基づく選択による再編であり、また、制度そのものにつきましては金融界全体と政府、この政府と申しますのも、ヨーロッパの場合はECという共通の議論の場がございまして、そのEC加盟諸国の総意に基づいて制度改革が進んでいるものでございます。行政当局の介入というような次元で議論するのは誤りであろうと思います。  それから、自由化でございますが、これは金融機関相互間の競争の促進を通じまして自国の金融・資本市場をより効率的な市場とし、経済の一層の効率化を図るというねらいでございます。それは、言いかえれば、金融の国際化に対応して一層開かれた市場とするというものでございますが、殊にヨーロッパの場合にはECという一つの巨大な統合市場ができるわけでございますけれども、その中でロンドン、フランクフルト、パリというような有力な拠点が、客引きと言っては言葉が悪いのでございますが、いかにそういう金融センターの繁栄を図るかというようなことでいろいろと工夫をし、市場の活性化、効率化を図っておるというようなのが実態であろうと思います。この点はやはり、世界の三大金融市場の一つである東京というものを持っております日本にとりましても、一層開かれた市場とするということを真剣に考えなければいけないというふうに思っておるわけでございます。単なる従来の延長線上によって行政が権限を強化して市場に介入するということは、やはりそれは自分の国の市場をかえって非効率なものといたしますし、それから自分の国の金融機関の国際競争力をそぐものであるということで、よってもって自分の国の経済の効率化にとってもマイナスになる、この点は各国ともよく理解しているところであろうと思います。  ただ、ここで自由化、規制緩和ということがだだ簡単に、行く行くは規制がなくなる、全くのノールールになるということを意味しているということではないと思うのでありまして、やはり事柄の性質上、預金者の保護、金融秩序の維持などのために一定の措置はとっておるわけでございますし、それから殊に昨今感じますのはインターナショナルな観点での規制のすり合わせ、そういうものの努力がいろいろ続けられておるということでございます。それで、現にそういう規制で実現を見ましたものとしましては、よく話題になりますが、BIS規制、国際的な自己資本比率規制の問題がございます。さらにはいわゆるマネーロンダリングの規制、これも国際的な、統一的なスタンスででき上がったものでございます。  ただ、これにとどまるものではございませんで、今後これは非常に難しい問題を含む研究課題でございますが、例えば昨年BCCI事件というものが起きましたが、そのような事件を予防するためのないしは事件が発生した場合に迅速に対応するための各国の連携体制をどのように組むかというような問題、さらには国際的な通信技術の発達に伴いまして取引が電信一本で世界を飛び回るわけでございますが、その際にもし事故が発生した場合の責任の分担はどこが負うかというような問題、その他国際的な意味での今後の規制のすり合わせというものが非常に大きな課題になると思います。また、国内でも、従来のような個別具体的な業務規制にかえまして、先ほども他の委員に御説明申し上げたところでございますが、バランスシート規制というように経営上の判断は尊重しながらそれの仕上がりとしての財務内容は一定の比率を達成するように求める、そういうふうに規制を組みかえていくというようなことも一つの課題でございます。  そういうことから申せば、人によりましては、デレギュレーションではなくてリレギュレーションである、そういうふうに批評する人もございますが、全体としてはこれは大きな自由化の流れに対応する規制の体系の手直しといいますか仕組みの変更である、そういうことでありまして、規制緩和、自由化は確かに進んでおりますが、それが完全になくなるということではございません。大体そのように考えておるわけでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 大変詳しい御説明をいただきまして、何か質問通告しているのよりも長い、質問者としては大変楽でありますけれども、ノルマがございますので簡単にお願いしたいと思います。  今のお答えの中で、要するに政府、行政の介入によるものではないのだ、金融機関、市場の自主的な判断によるものなのだ、要約すればそういう結論だったかと思いますけれども、そういうお答えであったということをしっかり踏まえてまいりたいと思います。  続いて、「あえていうなら、いま世界で起こっていることは金融の自由化ではなくて、金融秩序の再構築であり、リストラクチャリングなのである。大蔵省が推し進めている制度改革を考えるうえで、このような視点が欠かせない。  また、制度改革をめぐる各金融機関の対応にも注目する必要がある。本来、制度改革には痛みが伴う。参加者全員が同じように痛み分けといけば問題解決も容易だが、現実はそうはいかない。今回の制度改革では、証券会社と信託銀行が大手都市銀行と日本興業銀行などの長期信用銀行に一方的に攻め込まれるという構図になっている。垣根を取り払うことが都市銀行、長期信用銀行にとってはまさに千載一遇のチャンスであり、証券会社、信託銀行にとってはなんとしても回避したい既得権の侵害なのである。」これに対してコメントをいただきたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 この御意見、つまり証券会社は一方的に押し込まれてしまうというふうに書いてあります。そういう面が全くないと申し上げるつもりはありません。ただ、これはやはり私どもが今回、証券市場の改革と申し上げた方がいいと思いますが、この証券市場改革というものを考えた基本的な視点というのは、もちろん昨年の証券問題が起こる前から既に議論していたわけでございます。その議論していた基本的なポイントは、これはもう先ほど別の議員の方に申し上げましたが、大きぐ二つありまして、一つは、証券市場というもののこれからの機能を充実強化していくということが必要だ。これはやはり金融の証券化への対応あるいは機関投資家の成長に対応するということになるわけでございまして、そういった観点から、証券取引法が適用できる有価証券というものを証券化に対応するような形で有価証券の定義を整備する、あるいは機関投資家を利用した機動的な資金調達でありますいわゆる私募というものを証券取引法の上で整備をして、そういう私募なりあるいは証券化というものが健全な形で発展していく、そういうことによって証券市場の機能が拡大され、公募市場と並んで証券市場というものが金融仲介といいますか、資金仲介の市場として健全に発展していくということが必要であるというのが第一の観点というか柱でございます。  あわせまして、既に昨年の問題が起こる前からやはり免許制のもとでの競争というものについての問題意識があったわけでございまして、特に発行市場の問題は前から指摘をされていたわけでございます。そういった点から、どういうふうに発行市場に競争を促進していくかということが非常に大きな課題になっていたわけです。もちろんそのために例えば外国の有力な証券会社の国内参入というのも見たわけでございますけれども、それがそういうふうな形、我々が期待していたように発行市場における四社の支配的な地位を脅かすまでにはなかなかいかないという問題、あるいは四社に次ぐ証券会社を育成しようとしてもなかなかうまくいかないというようなことで、やはり発行市場を中心にして参入を認めていく必要があるというような議論をしたわけでございます。  参入の中身につきましては、その段階では、現在もそうでございますけれども、この法律案ではあえて銀行に限定しているわけではございません。いろいろなものが参入をしてくるということを前提に考えております。ただ、いろいろなものといいましても、ある企業が子会社をつくって証券業務として参入するということになるとやはり親子関係というものが問題になる。これは事業会社が子会社をつくる場合にもやはり問題があるわけでございまして、いわばその事業会社の基幹証券会社みたいなものになりかねないというような問題とか、あるいは非常に取引をゆがめるというようなことがあるわけでございまして、そういったいろいろなことを考えながら議論をしておりました段階で一連の問題が生じて、さらに競争促進の必要性ということが強調をされたわけでございます。  そういったことから申し上げますと、確かに現象的にはここに書いてありますような、一方的な攻め込みではないかというような議論があり得るとは思いますけれども、事証券市場ということから考えますと、むしろ証券市場のこれからの健全な発展というものを確保するためには、今回御提案申し上げておりますような証取法の改正というものが必要であるというふうな基本的な考え方に立っているわけでございます。もちろんその中で、当然、証券界が持っております既得権がある程度侵害されるというようなことは全くないというわけにはまいりません。これは、既得権を全部守っておりましたら制度改革にはならないわけでございますので、ある程度の競争ということによって既得権といいますか、競争にさらされるということにはなるわけでございます。ただ、その中で、一方では証券市場の安定性というものもどうしても必要なわけでございますので、やはり何らかのいろいろな工夫をして、証券市場の安定性を確保する、激変を緩和するというような措置を考えているわけでございます。  したがいまして、私どもの意識としては、ここに書いてありますような、どっちが勝ってどっちが負けたというようなことではなくて、証券市場が拡大をしていけば、その中におきます仲介業者というものが経営が安定し、発展していくということは当然のことではないかというような前提で考えているわけでございまして、あくまでも証券市場の再構築といいますか、あるいは機能拡充、効率化というような視点を中心に今回の案をつくり上げたということでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 志やよしであります。この改革が走り出して二十一世紀を迎えたら、実はここに書いてあるような姿にならないことをぜひ念願する次第であります。  それから続いて、時間がだんだんなくなりますけれども、もうちょっと参りたいと思います。  次には「大蔵省の遠大な野望」ということでありまして、「大蔵省の金融制度改革への執念」、人事のことでありますから余り言いたくありませんけれども、ちょっとさわりのところだけ申し上げますと、「八九年六月、大方の予想通り、昭和三〇年入省の平澤貞昭が大蔵事務次官に昇格した。銀行局長から次官への昇格は戦後三人目、日銀総裁をつとめた澄田智以来で、じつに二〇年ぶりである。」こう書いてある。この辺になると堀先生に御登場願って解説していただいた方がいいのでしょうけれども、役目柄私が申し上げますけれども、いずれにいたしましても、この大事には大蔵省としての明確な意思があるんだということであります。「じつは澄田が銀行局長、次官をつとめた六〇年代末から七〇年代のはじめにかけて、日本の金融界は歴史的な大再編を経験した。  金融再編のアドバルーンをあげたのは、当時大蔵大臣であった田中角栄である。六四年一月七日、銀行倶楽部で開かれた全国銀行協会連合会の新年午餐会で、田中角栄ははじめて銀行にも合併がありえることを明らかにした。  「開放経済体制に備え、銀行も合理化のための再編成の例外ではない。銀行の合併を歓迎する」そして、一月一三日には大蔵省事務当局に銀行の合併、統合についての基準作りに入るように田中が指示をしたといわれている。」そして、これから合転法ができて、そして金融界の金融再編成というのが大々的に進められてきたという歴史が述べられております。  そして、決定的なのは、「七〇年六月一九日には、今度は金融制度調査会が「一般金融機関のあり方」という報告書のなかで、金融機関の合併について次のような結論を公表した。  金融機関が規模の利益を追及する方法のひとつとしての合併についてはこ以下、そのメリットを書いてありますけれども、「このように国民経済的観点からみて規模の利益をいかすような合併は推進されることが望ましいと考える。」ということでございます。そして、「いずれにしても今回の布陣には、金融制度改革の実現に執念を燃やす、平澤次官の意向が強く働いたことは間違いない。」何が何でも金融再編成を進めていくんだ、そのための制度改正なんだということをここで言わんとしているわけでありますけれども、これについてはいかがでございますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 ただいまお示しの文献がいつごろ刊行されたものであるかということもございますが、やや現時点で議論するのは適当でないようなところもございます。ただ、競争原理とか効率化ということを唱え始めた時期は確かに昭和四十年代の半ば、もう少し前でございましたか、昭和四十年代に入って間もなくのころでございまして、それは一つその後の絶えざる流れとして今日に引き継がれております。  やや立ち入って申しますが、護送船団というようなことはおよそその昔も、はるか前からおよそ銀行行政の関係者によって、自分たちが護送船団行政をやっているというようなことを言ったということはないはずでありますが、世間からはとかくそういうふうに見られがちでございました。しかし、そこのところは効率化が進むに従って随分行政の姿はさま変わりになっており、例えば商品、サービスの多様化は著しいものがございます。昔は定期預金というのは一年までしかなかったのであります。三カ月、六カ月、一年という三種類で何十年もやっておりました。それを広げようというときに大騒ぎをして、まずできたのが一年半というおもしろい定期でございました。それがだんだん二年になり、今度三年に手が届く、例えばそういうことでありますし、それから銀行が非常に海外拠点を拡充いたしまして、インパクトローンを取り入れるという形で別途の資金供給の方法を編み出すというようなことも最近ではごく普通でございます。  そのような競争原理なり効率化の前進というのはございましたが、それと同時に、折に触れまして意識されますもう一つの原理がございまして、それが実は公共性とか社会性とか言われるものであります。これは、時に応じて非常に公共性なり社会性なりというものが強調されることもございまして、昭和四十年代の終わりごろなどにはまさに、当時は銀行の社会的責任というものを非常に強く指摘するという声もございました。ある方が、効率化と公共性というのは楕円の中の二つの中心のようなものであるとおっしゃった方がございますが、この両方の原理を行ったり来たりしておるというのがこの何十年間の金融行政でございます。  その観点からもまたいろいろ変化がございまして、これは一つは競争のためもありますが、手形のおどりというようなものの慣行は廃止されましたし、それから歩積み両建てというのも、これは規制金利時代から自由金利時代になりますと自然に廃れるような慣行でございますが、歩積み両建てというものの整理も非常に進んだと思うわけでございます。今後とも、この効率化の要素と公共性、社会性の要素、この二つの要素をそのときどきの諸環境を見ながら適切に組み合わせていくというのが一つの基本的な原理であろうと思います。  それから、再編成のお話もございまして、それもその当時の、効率化行政の始まったころの再編成と昨今の再編成ではかなり色合いが違うような感じもございますが、ただ、一つ申し上げておこうと思いますのは、いかなる合併であっても、最終的にはそれは当事者の自発的な意思によって行われてきたということでございます。自発的な意思がなければ、株主総会を合併の決議案が通るはずはありませんので、やはりそこは、押しつける、強制するというふうに見るのは間違いである、私どもはそのように考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、金融は経済活動の潤滑油でありますので、混乱なり破綻なりを避けながら、国民のニーズに合った市場をつくりたい、それが一貫した行政の目標であったろうと思っております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 その言やよしでありますけれども、少なくとも見方によってはそういうふうに映るということですね。それは今後の行政運営に当たってぜひ心していただきたいというふうに思います。  これは最後でございますけれども、このねらいと動機ということについて。これはちょっと古い、しかし本は九〇年の刊行でございます。そんな古いわけじゃありません。「金融制度第二委員会が公表した中間報告書は「投資銀行方式」と「業態別子会社方式」の二案を併記しているが、いずれにしても、大蔵省のヘゲモニーが強化されることは間違いない。というのは、どちらの方式に従うにせよ、すべての金融機関にそのような子会社の設立が認められるはずがなく、どことどこに認めるかは、結局大蔵省の胸ひとつということになってしまうからだ。  相互銀行の普通銀行くの転換問題のときもそうだった。相互銀行協会は、全行そろって転換をしたいと主張したのだが、最終的な結論は「大蔵省が個別に決定する」というものであった。おそらく今度の制度改革においても、スタート当初は都銀上位行と四大証券、それに長信銀と信託銀行に子会社の設立が認められるということになるのだろうが、許認可権を手にすることで、大蔵の権力がさらに強化されることは確実だ。しかも、大蔵官僚の非常に優秀なところは、強者の金融機関にだけ目をむけるのではなく、その一方で、中小金融機関対策を十二分に行なっている点である。弱者の金融機関があってこそ、はじめて権力行政ができる。」。  それから、もう一つてあります。「そうなると、大金融機関に対しても、地域金融機関に対しても、大蔵省は資格要件を盾に非常に強いグリップを握ることになり、大蔵の指導力は大いに強化されることになる。しかし、大蔵省が制度改革実現にむけて執念を燃やす理由は銀行や証券会社に対して甘くなったグリップを再度強化し直すためだけではない。都銀のベテラン企画部員は「行政として、国際的な舞台でどれだけ発言力を強化できるかという点も見逃せない」と話している。  金融大国日本の大蔵省としては、九二年のEC統合なども念頭に置きながら、早い時期に日本の金融制度を自由化の進んでいる国際的なレベルにもっていきたいわけです。諸外国との金融摩擦も避けたいが、それ以上に世界を相手に大蔵省の発言力を強化したいという思いがあるんでしょう。そのためには、金融制度を開放体系にして、その上でドイツ銀行型の大金融機関を作る必要がある。日本の都銀は世界のトップバンクだといわれますが、国際金融の舞台ではドイツ銀行の足下にも及ばないのです。」こう書いてあります用意図とは違うかもわかりませんが、こういう指摘も一部にあるということでございまして、ぜひ今後の行政の運営に当たっては心していただきたい。  大臣、いかがでございますか。コメントをいただきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 ただいまずっと述べられた文章、お話をお聞きしておりまして、ちょっと特別な視点があるところは気にかかるわけでありますけれども、しかし、私どもといたしましても、この法案を提出したその一番の本旨を忘れずに、これからの新しい時代というもの、そして本当に利用者のためになるもの、あるいは国際的なボーダーレスと言われる時代、こういったものに対応できるもの、これを私どもはやはり真摯に追い求めていかなければいけないであろうというふうに考えております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 問題を次に移します。  五月二十八日、きのうのある新聞で拝見いたしましたが、「市場ゆがめた大蔵省の介入」ということで、長プラ、最優遇貸出金利の金利水準の決定についての報道がありました。景気が低迷し金利を下げるという大合唱の中でありますけれども、設備投資資金の基本になります長プラがなぜかしら〇・三%引き上げられて六月一日から六。三%になる、こういう報道であります。この報道が事実だとすれば、私は、ここには金融の自由化、規制緩和に逆行する行政介入の色彩を感ずるのでありますけれども、当然否定されると思いますが、これについてどういうふうに思いますか。こういうことがあったのでしょうか。事実を確認したいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 長期プライムレートですとか利金債発行条件等の民間長期金利につきましては、長信銀等が債券市況あるいは長期資金の需要動向等、金融情勢全般を総合的に勘案しながらみずからの経営判断として法あるものであろうと思っております。今回の利金債発行条件等の改定に当たっても、こうした観点に立ちまして利金債の流通利回りといった調達サイドの市場実勢や貸出面の資金需給の動向等をにらみながら、経済、金融全体の状況を踏まえ金利決定が行われているというふうに私ども考えておりまして、行政的に介入してとかそういうことではないということを申し上げておきたいと思います。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 本来ですと、市場連動ということであれば六・四に、〇・四上げるのが至当だということのようでございますけれども、この新聞報道によりますと、「だが、関係者によると、金利決定の二十六日、大蔵省銀行局幹部が、長信銀各行の幹部に「据え置きと市場水準の双方の折り合い をつけられないか」と電話で求めた。これを「〇・二%幅の引き上げを示唆した」と受けとった三行は、「〇・四%幅の引き上げを求める声もある」として交渉に入ったが、結局午後七時過ぎ、「〇・三%幅引き上げ」に落ち着いたという。五月分を決めた四月下旬にも、銀行局幹部が長プラ決定に介入、長信銀側を「説得」、引き上げを断念させた。」こういう記事でありますが、いかがでございますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行局幹部がということなので私の方から御説明をいたしますが、市場の見方、マーケットの動向の評価については、日常から長信銀行とそれぞれ意見交換を行っていることはございます。しかし、当方からいわゆる指導というような言葉で見られるような介入をしていることはございません。  なお、今回の上げ幅がどのくらいがいいかということについての判断の問題は、最終的にはそれぞれの発行体の判断でございます。市場実勢というものもございますけれども、他方で、発行条件を改定する、すなわちクーポンを引き上げることに対するマーケットの評価というものを織り込めば、いわゆる実勢水準との乖離幅は〇・三%程度ではないかという見方もあったというふうに聞いております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 片方で金利の自由化というのが規制を外すという意味の自由化であると同時に、政府、行政当局から自由になる、束縛を解く、そういう一面もあるんじゃないかと私は思うのですね。  さらに大蔵大臣、「大蔵省関係者によると、長プラの引き上げ抑制に積極的に動いたのは、蔵相周辺。幹部のひとりは「銀行局に金利上昇は回避したい、という意向は伝えた。政策上、景気後退期に金利上昇は当然避けたい」と説明する。」私も気持ちはわかりますけれども、大臣、これは事実でございますか、もう一度。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 基本町には、今局長また私が先ほど申し上げましたように、これはみずからの経営判断として決めるものであろうと思っております。そして、いずれにしましても、利金債の流通利回りといった調達サイドの市場実勢ですとか、あるいは貸出面の需給、資金需給の動向をにらみながら、経済全体の状況を踏まえた金利決定が行われるというふうに考えております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 これは誤報だというふうにおっしゃっていないようですけれども、誤報だとすれば、マスコミに対する信頼をこれからなくすわけであります。  いずれにいたしましても、片方では金利の自由化、金融の自由化を叫びながら、片方では着々と行政介入をしていくという現象というのはあるんじゃないかと私は思うんですね。これに対しては、やはり市場実勢に任せるということであるならば、自主的な金融機関の判断を最大限尊重するということでやっていただきたいというふうに思います。  さらに話を進めまして、この長プラが利金債の表面利率に〇・九%を乗せる、上乗せして決められる、自動的に決まるそうでありますけれども、この長信銀の利金債、各行横並びで〇・九%上乗せというのはどうやって決められたのか、なぜ〇・九なのか、根拠があるんならぜひ示してもらいたいと思います。そして、その〇・九上乗せするというのは、これは各行ごとの経営成績が当然反映されなきゃいかぬと思うんですね。収支状況というものが反映されたものであるべきだと思う。ところが、聞くところによりますと、この〇・九というのは三十数年変わらないということらしいですね。銀行局長が入られたころも〇・九の上乗せだったんじゃないでしょうか。何かひとつも変わらない。一体これはどういうことなんでしょうかね。銀行の経営状況がいいときは〇・七であり〇・八であるべきであって、経営状況が悪くなってきたら一%であり一・一なのかわかりませんけれども、そういうふうに変動するというのが僕は当然じゃないかと思うんですけれども、どうして三十数年変わらないんですか。これをちょっと説明していただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 実はこのような問題に詳しく立ち入るということは、それなりに当局が大きな関心を持っているということを示すことになりますので、ややどうかと思うところもございますが、現在の利金債、利付金融債の発行条件、それから長期信用銀行の長期プライムレートとの関係につきましては、確かに御指摘のとおり、長期プライムレートなるものは利付金融債の発行条件のそのクーポンレートに〇・九%上乗せをして、その水準として決定するという方法がいわば続けられておるわけでございます。これは突き詰めていえば、長信銀行と顧客との間における長年の金利交渉の結果積み上がった市場慣行であろうというふうに説明できるであろうと思います。ただ、この〇・九%は、昭和四十年代前半以降〇・九%ということでありまして、昔、それよりも前は一%を上回る水準にあったということも聞いたことがございます。  そこで、この利付金融債の発行条件でございますが、これにつきましては、もちろん発行体の判断の要素はございますけれども、その判断の基礎になるものは既発債の市場実勢であります。それで、既発債の利回りはそのときどきに変動いたしますので、それをにらみながら発行条件を決定をしておるようであります。それに対して今は、多年続いておりますが、〇・九%を乗せたものが長期プライムレートになっておるわけですが、しからば、この〇・九%でも何でもよろしいんですが、どうして貸し出しの金利の方が横並びでそろうのか。この利付金融債の発行条件そのものは、これは市場のレートに合わせるという意味でございますから、比較的横並び、横一線でそろうということについてはある程度理解ができると思いますが、このプライムレートそのものもなぜ横にそろうのかというのは、これもまた一つの長期信用銀行三行間の競争の問題がやはり背景にあるであろうと思います。もちろん、これは委員の御指摘のように、コストなり営業の中身なりがそれぞれで違いますので、その違いが表面的な数字に、つまり表面的な貸出レートの差の問題として反映してこないのはおかしいという見方もございますが、しかし、そこはこの三つの銀行の間で、例えば共通の取引先に対しまして融資をしておるというような関係から、どうしてもよそと違った、端的に言えばよそよりも高い貸出金利をつけにくいというようなこともございますから、我慢できる間はとにかく、たとえ苦しい金融機関が幾つかの長信銀行の中にありましても、その長信銀行も頑張っておるというようなことはあるかもしれません。それからまた、実際に長期プライムレートを適用して貸し出しを行っておるのは、その先数なり、それから貸出総額なりの中に占めるウエートというものは、これはやや個別行の数字になりますので申し上げにくいのでございますが、さほど高い比率ではございません。すなわち、この長期プライムレートの適用によって貸し出されているものは、長期貸し出しの中の比較的少ない部分であります。  で、実際の貸出金利回りを決定いたしますのは、長期プライムレート適用もありますし、それにさらに何がしかを上乗せした金利を適用するものもありますし、それから短期貸し出しを適用するものもありますし、それを組み合わせるというような貸し出しもございます。そのようなものが総体として貸出金利回りを動かしていくわけでございますので、若干この長期プライムレートというのは、ある意味では看板的、指標的な位置づけを持つにとどまるというような性格もございますから、長期プライムレートをそろえておきましても、そのほかの工夫によって貸出金利回りなり経営のやりくりはできるという要素もあるわけでございます。このようなもろもろの要素があるので、一つにはこの〇・九%にそろい、もう一つはこれが極めて多年にわたって続けられておるということが可能であるんだろうと思っておりますが、これは一言申しますが、最終的にはそれぞれの金融機関の経営判断で決めるところでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 私は〇・九%が高いとか安いとか言っているんじゃないですよ。経営実態というものを反映したものにすべきじゃないかと……。利付金融債の表面利率につく率が昭和四十年代から変わらないということは、それに単純に〇・九乗せれば三行とも全部横並びということじゃないですか。これは相互の連絡とか相談はないにしても、外から見れば、長年にわたって同じ利率をやっているということは、これは完全にある意味では一種のカルテル行為だと見られてもしょうがないわけですね。当然公取は相互の連絡がないからとか、そう言ってつべのこべので結局は対象にならないんでしょうけれども、それはやはりおかしいですよ。免許権者なんでしょう。免許を与えているんでしょう。業者がそうしていわば談合的に変えないということならば、免許権者として、もっと自由競争を促進する意味で行政が介入してやるということだって金利自由化の精神に決して反してない、むしろ促進するものだと私は思うのです。笑っておられるところを見ると、内心私の指摘も多少当たっているなという感じがあるんでしょうけれども。実は私も素人でわからなかったんだけれども、何でこうなっているんだろうなということで、実はびっくりしたくらいでありまして、ちょっと気にとめておいていただきたいというふうに申し上げておきます。  次は、実は先ほどの書物の記述にもあったのですけれども、私は今度の金融制度改革というのは、二九八〇年代から始まってきた金利の自由化、怒濤のように押し寄せてきた金融自由化、こういうものがその金融機関に対して経営上の大きな圧迫要因になって、金融再編成といいましょうか、当然競争が激化していけば勝つところはある、倒れるところはある、負けるところはある、こういう金融機関が出てくると思うのです。それを、ある意味では、この延命策としての業務の多様化を当面示し、そして、その先には金融再編成、要するに救済合併を進めることによって金融再編成を推し進めていこうという意図というものが、これは必然的に、構造的にそういう要因というのが内在しているのじゃないか。まさに金融再編成の受け皿づくりというものがこの制度改革の本当のねらいじゃないか。それはいつになって出るかわかりませんよ。そういう受け皿を今のうちに用意しておこうというのが今度の制度改正じゃないかという、私はそういう立脚点に立ってお尋ねをしたいというふうに思っております。  まず、金融の自由化についてでありますけれども、昭和五十四年の譲渡性預金、CDの導入、そして五十九年五月の日米・円ドル委員会報告を受けて本格的に我が国の金融の自由化が進んでまいりました。なかんずく、金利の自由化が進められてきたということであります。  そこでまず、金利の自由化の今後の見通し、金利の自由化の一つの到達点があるとするならば、現状は一体どのくらいのところに来ているのか。預金量総体で言うのか、何かのメルクマールで数字で言ってどのくらいのところに来ているのか、どんなレベルなのか。そして今後の日程、巷間言われて大体国民の皆さんわかっておられると思いますけれども、確たる今後の日程と、さらに金融商品の自由化について、その後のスケジュールで残された問題点、残された課題があるとすればお述べいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金利の自由化と申しますときに、それの意味するところは預金金利の自由化ということであろうかと思います。貸出金利はほとんどもう既に実質的にも自由化が行き届いておると言ってよろしいかと思います。そこで、この預金金利の自由化は、これはいわゆる金融自由化の中での最もその中心となるような位置づけのものでございまして、ただいま御披露がございましたように、これまで大口から小口へ進み、それからさらに定期性から流動性へ進んでいくというような流れでございます。  現在のところ、いわゆる自由金利預金というものと、それから小口MMCその他のように、完全な意味で自由ではないが市場実勢を敏感に反映するような預金、その二つがよく預金の自由化のメルクマールとして言われておりますが、その中で自由金利預金、これはもう自由金利定期預金及びMMCなどの比率を申しますと、本年二月末で全国銀行の預金全体に占める比率は約六一%でございます。  今後のスケジュールについては、これはいろいろこの進め方を詳しく申し上げますと長くなりますので省略をいたしますが、本年六月には小口MMCの最低預入金額制限を撤廃いたしますとともに、流動性預金金利自由化の第一歩として、市場金利連動型の新型貯蓄預金を導入するという予定でございます。そして行く行くのめどといたしましては、定期預金については遅くも平成五年中に、またその他の預金、簡単に言えば流動性預金につきましては、当座預金を除きまして遅くも平成六年中に自由化を完了するように努めていく予定でございます。最終的には、当座預金のシェアは五%程度といたしますと、それを除きまして預金全体の約九五%が自由金利預金になるものと考えられます。  そこで、数量的なメルクマールは今六一%まで来ましたということを申し上げたわけでございますが、残された課題はまた幾つかございまして、一つには、この完全自由化までにどういうようなスケジュールで刻みを入れていくかという問題も多少ございますが、そのほかに、端的に申しますと、より大きな問題としては郵便貯金との関係の問題があるかと思います。  すなわち、郵便貯金につきましても、これまでのところは自由金利定期郵便貯金、それから小口MMC、それからさらに今度流動性預金が始まりますが、そういう市場金利連動型の流動性預金の取り扱いなどにつきまして、大蔵省と郵政省との間の意思疎通が進み、官民共通商品的なものがこれまでは生み出されてきたわけでございますが、郵便貯金の大宗を占めるのは御承知のとおり定額郵貯でございます。この定額郵貯をどのように自由化に対応させるかということが、率直に申しまして残された最大の課題であろうかと思われます。  それからさらに、そのほかにも、これは預金金利の議論を離れますけれども、やはりこのような預金金利の自由化を進めるに当たりましては、これが一方で資金調達コストの上昇とか金利変動リスクなどの増大を招くおそれがあり、それから殊に小口預金金利の自由化によりまして、中小金融機関の経営環境が一層厳しくなっていくという面はございますので、その方面の手当て、すなわちこの経営体制の強化を促し、自己資本の充実を図り、ないしは我々の方もいろいろな経営問題への対応策などの環境整備を図っていく、これもまた今後の預金金利自由化を進めるに当たりましての大きな課題であろうかと思っております。  大体この二つがその残された課題の中の大きなものであるというふうに受けとめております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 預金や貸出金利の自由化が、これはそれなりにメリットというものは言われております。競争促進によりまして、資金の効率的な配分ができるとか、金融仲介コストの低減が図れるとか、新商品の開発促進ができるとか、もろもろの金融サービス水準の向上のメリットがあると言われているわけでありますけれども、今の御説明にありましたように、平成六年か七年になると九五%ぐらいの金融商品が自由金利商品になるということであります。金利の自由化というのはある意味では競争促進的になるわけでありますから、当然各行によってばらばらになる、競争が発生するということになれば調達コストに差が出てくるのは当然であります。その調達コストが一般的には非常にかさんでくるということは言えると思います。そして一方では、貸出金利というのは、これも競争金利になっていれば一方的に上げることはできない、どっちかというと抑制傾向に働いていくということになるとすれば、完全自由化になったときには、金利の自由化が行われたときには金融機関に対しては経営に大変重大な影響を与えると思います。それが結果として、行政がもしその間に介入しない、そしてましてカルテル行為がないということになるとするならば、まさにこの自由化の帰結ではないか、競争促進の帰結だというふうに私は思うわけです。  そうすると、特に中小の金融機関に与える経営上の圧迫というのは非常に大きいわけでありまして、この辺を一体どうやって切り抜けていくのか。現実、これまでとられてきた方策はいろいろあるのでしょうけれども、金融機関としてどんな対応をしてきたのか、そしてこれからどう対応しようとしているのか、ちょっと行政の立場としては答えにくいかもわかりませんけれども、行政サイドとしてどう見ているか、その辺をお答えいただきたい。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 これもまた重要ではありますが、非常に幅の広い問題でございますので、余り長くならないように説明をさせていただきますが、この預金金利の自由化が中小金融機関の経営にとって非常に厳しい材料になるというのは、一般的にはそうであろうと思います。それにつきまして、それぞれの金融機関が、まずその自由化とはどういうものであるか、どういう影響を自分の金融機関に及ぼすであろうかということを見きわめ、その影響をどのように解決するかという作戦を立てるという、それぞれの金融機関における取り組み方の研究というものが出発点になると思います。この点につきましては、三年前でございますが、小口預金金利の自由化を開始するに当たりまして、大蔵省といたしましては、全財務局を動員いたしまして、地域金融機関、なかんずく地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に集中的に意見交換を行い、ないしはその対策の報告を求めるというようないわば努力をいたしました。これはかなり金融機関の経営者の意識を高めるのに効果があったのではないかと私どもは考えております。それからその後、それぞれの工夫によりまして、金利のつけ方、それから長期固定よりもスプレッド賞しと申しますか、金利そのものを金利水準の全般的な高低に合わせて変動させるいそういう変動金利型の貸し出しを導入するとか、それぞれの金融機関でできる限りの対応を図っておられるようでございます。  ここで海外の例を見ますと、一つは、よく引かれるものに米国の貯蓄貸付組合の問題がございます。この貸付組合は一九八七年ごろから何回目かの深刻な経営危機に見舞われたわけでございますが、その背景には、性急な金利自由化の進行の中でハイリスク・ハイリターンに走るなど、経営態度が不適切であったということ。それからまた、率直に言って当局の監督体制も不備であったことが挙げられておるようであります。これは日本の場合にも非常にいいといいますか、重要な教訓になると思うのでございます。  しかし他方、米国のような話を除いて、他の国でずっと昔に預金金利の自由化をやっておるわけですが、さほど大きな混乱があったとも聞かないのでございまして、私どもとしては、自由化の時期のめどを明示した上で手順を踏んで自由化を実施していけば、それぞれの金融機関のコストの削減とか資金運用面での努力によって、全体としては自由化の影響を吸収できるはずであると思っております。また、それぞれの金融機関はそれぞれ歴史や地盤を異にいたしますし、固定的な取引先層を持っておるわけでございますから、中小金融機関でありましても、固有の営業戦略を展開してみずからの適所、生きるのに都合のいい場所を見出して生き残ることはできるはずであると思っております。その間に摩擦的に一、二、部分的に経営に問題を生ずる金融機懐が出てくるということは、それはある程度考えておかなければいけませんが、それにつきましても、近隣の金融機関、同業態ないしは当局によって早期発見、早期対策に努めるというようなことで、全体として大きな混乱なしに預金の金利の自由化を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 真に市場が自由であれば、金利の決定が自由であれば、真に競争的であれば、やはり金融機関の間の経営力、体力の差というのはおのずから出てくるわけで、今局長が言われたように、ある特定の分野を特化していく、専門分野化していくことで生き残りを図るということも言われましたけれども、なるほどそうだと思いますけれども、基本的に言えば、やはり何といいますか、市場に淘汰というものは避けて通れないということだと思うのですね。そのために制度改革を行って、他業態との相互参入、そして業務の多様化を図っていくということがまず考えられることであるし、当然考えられることである。そして、その先に行き着くものは、金融再編成というものが待ち構えているのではないかという気がして仕方ないわけでありまして、構造的にそういう問題を内在しているのじゃないかということを指摘をしておきたいというふうに思います。  次に、余りこの委員会で取り上げられておりませんので、ちょっと触れてみたいと思いますけれども、日米の金融摩擦という問題であります。これも五月八日付のある新聞で報道されておりますけれども、何か日米蔵相の間で、書簡で激論されたという記事が出ておりますけれども、大臣、事実はいかがでございますか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 この問題は、現在米国議会で審議されております金融サービス公正取引法案というのがございます。リーグル・ガーン法案というのですか。これは米銀等に実質的な内国民待遇を与えていないと財務長官が判断した国の銀行などから、いろいろな許可申請ですとかあるいは届け出を米当局が拒否できるといった一方的な制裁条項、これが組まれておるということでございまして、大蔵省としては、以前から財務省に対しまして、日米協議、金融協議を含めたいろいろな場所で同法案への懸念というものを表明して、協議を行っておるというところであります。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 書簡のやりとりがあったかどうかということについては御返事をいただきませんでしたけれども、いずれにしても、私はそれを非難しているわけじゃないのです。やはり日本の立場というものを堂々と米側に伝えるということは必要だと思います。真に開かれた市場というのは相互主義でなければならぬわけでありますから、それは当然だというふうに私は思うのです。ですから、非難しているわけじゃない。  そこで、それはそれとしまして、このガット・ウルグアイ・ラウンドまたは二国間の金融協議で、いろいろと日米の間にやりとりがあったと思うのですけれども、主要な論争点、対立点というものについて明らかにしてもらいたいと思います。

江沢雄一大蔵省国際金融局長

○江沢政府委員 日米の金融市場ワーキンググループあるいはウルグアイ・ラウンド等におきまして、日米間の金融協議が行われております。アメリカ側は、金利の自由化ですとか我が国市場における透明性の確保の問題、あるいは外国金融機関の参入の問題といった点について関心を示してきておりまして、私どもは日本の立場をいろいろ説明をしてきておるところでございます。これらの要望はたくさんございますが、今後ともいろいろな協議の場を通じまして、率直に意見交換を行って理解を深めていきたいというふうに思っております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 抽象的でございまして、漠としてわからないわけでございますけれども、それでは一体、日本の今回審議しております。一連の制度改正について、欧米、なかんずく米国はどういう受けとめ方をしておるのか、米国の主張から見て一体どういう評価になるのか、その辺についてお答えをいただければと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 日本の制度改革の動きにつきましては、欧米主要国から非常に強い関心が寄せられておるというふうに考えて大過ないのではないかと思います。と申しますのは、そもそも全体的に各国とも、今それぞれの進め方で大がかりな改革をしておるところでございます。そして、その目標は、先ほども申しましたが、金融・資本市場の一体化が進むわけでございまして、その中で自分の国の市場を内外の利用者に対して一層使いやすいものとする、そして、できればその市場を繁栄させたい、そういうねらいがあるものと思います。  その中で、やはり日本の市場は世界屈指の大きな市場でございますから、その市場が競争促進的、効率的なものとなり、それから外国金融機関にとって参入が容易なものとなるということは、それなりに大きな関心を持たれて当然であろうと思います。この制度改革法案ないしはその前の金融制度調査会なり証券取引審議会での議論の模様、さらにはそれの答申なり報告なりの内容については、これまで二国間金融協議の場などを通して各国にも説明をしておりますが、欧州諸国を中心に積極的に評価されておるところでございます。また、米国につきましても関心は多いわけでありまして、これまで何回かの協議におきまして、日本の金融市場がいわば分断されておる、そして競争的ではないのではないかという問題意識が示されておるところでございますが、今回の制度改革法案は、こうした関心や問題意識に十分こたえまして、例えば我が国市場へのアクセス方法の拡大であるとか、それから外国金融機関の我が国市場における取扱商品の拡大、また自国で開発したいろいろな商品を持ち込むことも可能になるというようなことで、前向きの期待を持っておるというふうに私どもは観察しております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 欧州は高い評価をしている、アメリカは関心を持っている、前向きに受けとめているということでありますけれども、要するに、不満があるからこそ、まだ真に日本の金融市場が開放的でないからこそああいうアメリカの報復措置めいたものが行われ、それに対する大蔵大臣の反論、激論という形が出てくるのじゃないかというふうに思うわけであります。したがって、今後米国の理解をどうやって得ていくのか、その辺について、外交ルートを通じての理解を深め合うという努力というものは非常に大切ではないかというふうに私は思うわけであります。  最後に、預金保険機構のことについて多少お尋ねいたしたいと思います。  私は、銀行というのは、東洋信金は事実上解体でしょうけれども、それを除けばつぶれることはこれまではなかったのじゃないか、しかし、銀行というのは倒産しないという神話というものは、これから崩れてくるのじゃないかというふうに思うのです。そういう場合に保険機構というものがそれをカバーしていく。保険機構さえしっかりしていれば信用秩序システムというのはしっかり維持できるのじゃないかというふうに私は思うのです。ですから、後刻また金融保険機構の充実についてお尋ねしたいと思っておりますけれども、当面、本日お尋ねいたしたいのは、実は東洋信金の分割整理案の中に、預金保険機構から救済の主体になる三和銀行に二百億円の贈与というのが新聞報道されておる。この贈与というのは、なるほど預金保険法五十九条を見ますと、合併等を行う金融機関で破綻金融機関でない者、救済金融機関は、機構に対して、合併等を援助するため、金銭の贈与、資金の貸与、預け入れ云々を申し込むことができるというふうに書いてあるのです。事実、見てみますと、預金保険機構は、本年四月に伊予銀行、東邦相互銀行の合併で初めて適用されまして、このときは低利融資を活用したということでございます。今回の東洋信金のケースでは贈与だというのですけれども、二百億の贈与ということになると一体どうなるのか。例えば利差補給だとすると、二百億の利差というのは大変な金額になるわけです。聞くところによりますと、預金保険機構の基金総額というのはまだ五千億しかないということでありますので、贈与というのはどういう性格のものだろう、それについてお答えいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 実は、それは一般に報道されているところでありまして、必ずしも不正確でもないとは思いますが、手続的にはまだ預金保険機構がそのような金額で支援を行うということは決定されておりません。ただ、三和銀行がいわば救済金融機関でありますけれども、三和銀行から預金保険機構に対しては、金銭の贈与の方法による資金援助の申し込みがあった、こういう段階でございます。  一般的には、ただいま御指摘のありましたようなさまざまな資金援助方法が預金保険法によって予定されておりますが、その中のどれを選ぶかということはケース・バイ・ケースで、救済金融機関の資金の使途とか預金保険機構の財務状況などを勘案して資金援助の方法が決定されるということになると思います。  今回の東洋信用金庫の場合についてあえて立ち入って申しますと、三和銀行は、東洋信用金庫との合併の日、すなわちことしの十月一日を予定しておりますが、この合併の日に和解金を一括してノンバンク等に支払うということが予定されておりますので、そこでその金銭の贈与という形を希望したものと思われるわけでございます。  なお、お言葉の中に基金が五千億円というお話がございましたが、これはもう少しその金額が大きくなっておりまして、いわゆる責任準備金の残高は平成四年三月末で六千九百六十三億円でございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 預金者保護の仕方はいろいろあると思うのですね。倒産した場合に預金者に直接一千万円なら一千万円を限度にして保険金を払うという制度もあるし、それから、これは保険という趣旨に合うのかどうかは別にして、つぶれそうになった銀行を救済することによって結果として預金者の預金を保護する、そういう方法もあると思うのです。  いずれにしても、私は金融機関に対して預金保険機構が贈与をするというのがどうも理解できないのですよ。あるところは低利融資をし、あるところは贈与というのがどういう判断基準で選択されるのか私は理解ができません。別の機会で結構でございますけれども、贈与と低利の融資の場合、特に、低利の融資というけれども、では、その利子率といいましょうか、それはどうやって決められるのか、国民サイドから見て納得できる御説明を次の機会にはぜひ伺わせていただきたいというふうに思います。  ところで、最後に証券の方についてお伺いをしたいと思うのでありますけれども、証券会社の倒産と銀行の倒産というのは本来違うのですね。証券会社というのは市場と投資者の間の仲介をするわけですから、証券会社がつぶれても、本来損害というものはないのが建前なのかもわかりませんけれども、しかし、証券会社というのは非常に多くの事業を営んでおりますから必ずしもそうはいかない。片一方で、銀行の方は相対取引で、信用を創造しているわけですし、銀行がつぶれればもうがたっといっちゃうわけです。そういう意味では預金者保護という観点からも全然違うのじゃないかと思います。ちなみに、証券会社が倒産した場合に顧客や投資家保護のための保険機構というのは現在あるのかどうかお尋ねをしたいと思います。それと、将来どういうふうにこの問題を考えていったらいいのかということについてお尋ねいたします。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 確かに金融機関と違いまして、証券会社の場合には基本的に仲介業でございますから、倒産をするということは、金融機関の場合とは影響がそれほど、例えば決済システムに直接影響があるというようなことはないわけでございます。ただ、倒産するような証券会社が出てまいりますと、投資家に動揺を与えて、証券市場全体の安定性を失わせるおそれもないことはないという感じはするわけでございます。  証券会社の場合、預金保険機構のような法律上の枠組みはないわけでございますけれども、昭和四十四年に、証券会社が資金を拠出いたしまして、寄託証券補償基金というものが設立されております。これは、名前のとおり、寄託証券、つまり証券会社が投資家から預かった有価証券、保護預かり有価証券でございますが、この保護預かり有価証券というものは、本来これは当然別に保管しておりますから、それが返還できなくなるとい うことはないわけでございますけれども、もし万が一破綻を来した証券会社が出て、お客から保護預かりをしていた有価証券を返せないというようなことになりますと、これは投資家保護上非常に問題でございまして、そういうものに備えるために今のような基金が証券会社間の資金拠出によりつくられております。この基金の規模そのものは現在二百五十億円ぐらいですので、そういう意味では非常に小さいわけでございますが、証券会社の問題は、今申し上げたように、やはり保護預かりしている有価証券をちゃんと投資家に返せるということにあろうかと思うわけでして、この基金を徐々に拡充はしておりますけれども、現下の状況では飛躍的に拡大するということが非常に難しい。  もう一つの制度として、証券業協会の中に、これは昭和五十二年でございますけれども、その協会のメンバーでございます証券会社に対する融資制度というものも設けております。これは証券会社に対する融資制度でございますけれども、いずれにしましても、決して十分なものであるという感じは私どももしていないわけでございまして、やはりこういったものをある程度拡充していく必要がある。アメリカの場合には投資者保護法という法律が一九七〇年につくられまして、証券投資者保護会社というような会社が非営利法人としてつくられております。これも基本的には証券会社の拠出によるものでございますけれども、残高は邦価換算で九百億円ぐらいでございますので、それほど大きなものではございません。いずれにしましても、これは、これから自由化あるいは参入が進むということで競争が激化するわけでございまして、一方ではもちろんそういう破綻が起こらないようにリスク管理を十分にする、あるいはそういうようなことにならないような予防措置を法律の中にも是正命令などの仕組みを用意しておりますけれども、一方ではやはり万が一のときにはこういう基金を充実しておく必要があるというふうに考えております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 あと、私は金融機関における顧客預金データの流出事件についてというのでお尋ねしようと思っておりましたが、同僚議員が詳しく尋ねましたので、私は割愛をさせていただきます。  予定いたしました質問は終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 次回は、来る六月一日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会

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