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123回国会衆議院1992/05/22

大蔵委員会 第16号

発言数
177
登壇者
13
会派数
5
開催日
1992/05/22

会議録

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行情報サービス局長高向厳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田誠一自由民主党

○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――

太田誠一自由民主党

○太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井奥貞雄君。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 それでは大蔵大臣にお尋ねをいたします。  我が国の金融制度は、戦後、専門制、分業制を特色とするものとして構築されてまいりました。その後四十年以上たっておりますけれども、この間、我が国の経済、金融関係は目まぐるしい変化の中で、かってそれぞれが担ってきた本来の政策金融としての役割は、大変難しいかもわかりませんけれども、都銀とかあるいは地銀、長期信用銀行等の業務の同質化が進み、銀行と証券の業務にも同質化が見られるようになっております。経済のさまざまな分野では自由化が行われ、金融自由化も進められてまいりました。また、情報通信技術の発達は、世界の金融・資本市場を一体化させております。そして世界の金融は証券化の流れの中に置かれており、このような中で長年にわたる議論を経て取りまとめられました今回の制度改革は、こういった金融の自由化、国際化、証券化といった時代の要請にこたえるものとなっているのか、まずこれを大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたとおり、金融の自由化あるいは国際化、証券化、こういうものが進展をいたします中におきまして、各種の金融機関の業務の同質化が進んでおり、専門制ですとかあるいは分業制、こういうものを特色といたします我が国の現行の金融制度の見直しをしなければならない、この必要性が生じておるというふうに考えております。このために、今お話がありましたように、長年御議論をいただきましたり、あるいは先日来のいろいろな問題等につきまして反省を加えながら、今回の制度改革をお願いしておるわけであります。  この中で、特に、業態別の子会社を主体としつつ、金融・資本市場における各種の業務分野への参入を図ることによりまして、各金融機関の業態の垣根を下げていくということ、それから、金融・資本市場における有効かつ適正な競争の促進によりまして我が国の金融の一層の効率化を図り、諸外国の金融制度と調和のとれたものにするということでございまして、まさに国際化にこたえることになっておると思っております。また、コマーシャルペーパーですとかあるいは住宅ローン債権信託の受益権等の証券化関連商品を証券取引法上の有価証券として証券会社及び銀行などが本体で取り扱うことを可能としております。また、公募概念の見直し、私募の法整備などによりまして、投資者の機関化への対応ですとかあるいは投資者の保護を図ることなどの方策を講じておりまして、自由化、国際化、証券化といった一つの時代の流れにこたえるものであるということを申し上げることができると思います。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 先ほども申し上げましたように、各金融機関の業務の同質化が進んでおり、今後各金融機関は、例えば地域金融機関なら地域に密着した業務展開を行う、そしてみずからの特徴を生かした経営を行う必要があると私は考えるものでありますけれども、今回の法案は果たしてそのような考え方を反映したものになっているかどうか、この点につきましても大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 お答えを申し上げます。  今回の制度改革法案は、今御指摘にありました金融の自由化、国際化が進展する中にありまして、各種の金融機関の業務の同質化が進んでおります。そういう中で、専門別あるいは分業別に基づく業態間の垣根を実質的に低くすること、そして子会社による銀行業務、信託業務、証券業務への参入ですとか、あるいは地域金融機関本体での信託業務への参入等の措置を講じておるところであります。今回の法案によりまして、各種金融機関というものは、経営上の創意工夫を発揮していただき、それぞれの特性というものを生かしつつ、みずからの責任でその経営路線というものを選択することによりまして、金融環境の変化に対応した業務の展開というものが可能になるということを申し上げることができると思います。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 諸外国からは、我が国金融・資本市場をもっとよりよいものにしてほしい、入り口をもう少し広げてほしいということを含めての要請が各国との金融協議の場を通じてなされております。我が国金融・資本市場は、欧州や米国金融・資本市場との調和のとれたものとなる必要がある、このように考えております。この点につきまして、今回の制度改革が実施されることにより、より調和のとれたものとなるのか、この件につきましても大蔵大臣にお伺いしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  まさに今日情報通信技術の発達によりまして世界各国の金融・資本市場の一体化が進む中で、諸外国では自国の市場を内外の利用者に対し一層使いやすいものとするための制度改革が行われておるというふうに承知しております。したがいまして、ただいま御指摘をいただきましたとおり、我が国の市場が世界の主要の金融センターとしての責務を果たしていくためには、国際的に調和のとれた金融制度及び証券取引制度、また調和のとれた金融・資本市場を構築していく必要があろうというふうに考えております。  今回の制度改革が実施されますと、我が国の金融・資本市場が競争促進的あるいは効率的な市場となりまして、諸外国とまさに調和のとれたものになっていくであろうというふうに考えております。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 ただいま制度改革の意義につきまして視野を広げてお尋ねをいたしましたけれども、この制度改革法案の大きな意義には、利用者のための改革ということがあります。このため、法案では業態別子会社方式による相互参入という柱を盛り込んでおりますけれども、どのような点で業種別、業態別子会社方式は利用者のためのものとなるのか、この点をお伺いを大蔵大臣に重ねてお願いを申し上げます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 業態別子会社方式についてのお尋ねでございますので、便宜私の方から御説明を申し上げます。  大蔵大臣から御説明申し上げましたように、今回の制度改革の目的は、利用者のために各金融業態間の垣根を低くすることによりまして金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進し、市場の効率化、活性化を図りますとともに、より多様で良質な金融商品・サービスの利用者への提供を可能にするということにあるわけでございます。そのためにどのような方法がいいかということをいろいろ金融制度調査会で多年にわたり御議論をいただきました。  多少立ち入って申しますと、そのための相互参入の形態といたしまして五つの方式を研究問題として取り上げて比較をしたというようなことを行っております。  その五つの方式というものを便宜御紹介いたしますと、一つは本体での相互乗り入れ方式でございます。これは確かに制度の連続性、それからその本体で行うわけでございますから新規参入のコストは低いというようなメリットは、ございますが、この方式だけでは、やはりこれまでの経験に照らしましても、整合的で幅広い相互参入を行うことは困難であるという印象でございました。  その次に、これはヨーロッパで行われておりますところのユニバーサルバンク方式はどうかということを研究をいたしました。ヨーロッパでは、御承知のとおり、銀行が銀行業務と証券業務を幅広く兼営できるシステムになっております。これにつきましては、確かにそういう制度も外国にはありますし、我が国でも研究課題であることを失わないのでございますが、やはり現段階では銀行経営の健全性の維持、それから利益相反による弊害の防止などの点で問題が多いという判定でございました。  次に、第三に、持ち株会社方式、これはアメリカで見られるような形態でございますが、このような親会社が銀行なり証券なりというような各子会社をその傘下に持つ、それで銀行子会社と証券子会社は兄弟会社になる、そのような仕組みでございます。このような持ち株会社方式も議論されたのでございますが、これは実は我が国の独占禁止法の規定から持ち株会社は禁止されておりまして、現時点において金融制度見直しという目的だけのためにその改正を求めることは適当とは言えないという判断でございました。  そこで、子会社を利用するにいたしましても、あと二つ、いわば四番目と五番目、それをなお議論したわけでございますが、その一つが業態別子会社方式であり、もう一つはいわゆる特例法方式というものでございました。  この特例法方式につきまして御説明を申し上げますと、これは業務の中の一部分、例えばホールセール分野に限るなどの一定の制約を課した上でその子会社の同一組織内でいろいろな業務を兼営する、そういうものはどうだという議論でございました。ごれについてもなお今後の研究課題であることを失わないのでございますが、これは同じ組織の中でいろいろな業務を兼営することに伴う利益相反行為をどのように防止するかなどのようにいろいろ検討すべき問題もございまして、金融制度調査会では「将来の検討課題とすることが適当である。」というふうに位置づけております。  そこで最後に、この私どもが採択いたしました業態別子会社方式でございますが、これは各業態の現在の業務分野を前提としながら、他の業態に進出するときに子会社を設けて、その子会社によって他の業態を営むという仕組みでございます。これにつきましては、そのメリットといたしまして、その子会社を通じて他の業態の業務に幅広く参入していくことが可能でございます。また、特例法方式と比較いたしまして、預金者保護とか利益相反による弊害の防止といった金融秩序の維持の観点からすぐれておるというような点もございます。したがいまして、相互参入の形態としては業態別子会社方式が適当であるというふうに考えられたものでございます。  ただ、最初に申しました本体での相互乗り入れ方式は、さきにも申しましたが参入コストの節減などの面ですぐれたこともございまして、これは他の方式と併用することも可能でございますので、今回いわば業態別子会社方式を基本としながら、一部業務につきましてはこの本体での新規業務の取り扱いを認めておる、そういうものを組み合わせた構成になっておりまして、全体として多様で良質な金融商品やサービスの利用者への提供を可能にする仕組みを考えたい、これが今回の考え方の基本でございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 業態別子会社方式による相互参入、こういった形での御説明をいただきまして、それなりに理解をいたしましたけれども、現在我が国経済は、いわゆるバブルが崩壊をして調整過程に入っているのであります。金融機関の経営もある面では曲がり角に差しかかっておりますし、金融機関経営の安定や金融システムの安定がますます求められている、このように考えているわけであります。こういった時期に制度改革という意義についてどのように考えていくべきなのか、こういったことでのお答えを、できれば大蔵大臣からいただければありがたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  日本経済の現状につきましては、確かに住宅建設等について一部回復の兆しが見られる一方、設備投資ですとかそういったものは鈍化しております。また生産も停滞しておるというようなことでございまして、調整過程にあるというふうに考えられます。また、そういう中におきまして、金融機関経営の安定ですとかあるいは金融システムの安定、これを確保すべきという御指摘につきましては、今回の法律案の中で、いわゆる自己資本比率規制、これの法令化ですとか、また協同組織金融機関のディスクロージャーにつきましての規定の整備等、金融機関の経営の健全性確保のための方策が講じられておるところでございます。  また、今回の制度改革は、業務の多様化によりまして、各金融機関が経営上の創意工夫を発揮しまして、みずからの特性を生かしつつ金融環境の変化に対応した業務展開を可能とするものでございまして、金融システムの安定性には十分な配慮がされておるものであるというふうに私どもは考えております。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 ただいまのお答えでございますけれども、金融機関の経営の選択肢が拡大をして、金融機関は自主的な経営判断に基づいてこの選択肢の中から自己に見合った経営を行うことにより、これが金融システムの安定性を図ることにつながっていく、こういったことであったと思います。どのような点で金融機関の経営の選択肢が拡大をすることになる、こういうふうに思われるのでしょうか。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 このたびの制度改革法案におきまして、各種の金融機関は業務についての規制が全体に緩和され、法令上認められた、多様化された業務の中から自分に適した業務を選択することが可能になるという効果を期待しております。  多少具体的に申しますと、まず、先ほど申し上げましたような子会社方式によりまして、銀行や協同組織金融機関の連合会が信託業務や証券業務に参入することが可能となるのでございます。  それから、殊に地域金融機関につきましては、これは先ほど申し上げましたことと関連いたしますが、経営コスト上の問題から、新しく子会社をつくるということは必ずしも容易ではございません。端的に申せば、例えば大都市圏のように金融資産の蓄積が進み新種業務に対するニーズも大きいというところでありませんと、当初の段階では子会社の経営はなかなか成り立ちにくいということが考えられます。そこで、そのような場合でありましても、地域金融機関につきましては本体で例えば土地信託、公益信託などの信託業務を行う道を開き、また、信託業務に係る代理を行うことも想定をした仕組みを考えておるわけでございます。  第三に、協同組織金融機関固有の問題といたしましては、この際その業務規制を大幅に緩和をいたしまして、細かくは申し上げませんが、例えば、これは業態によりますが、社債などの募集の受託業務とか外為業務とか公共債に係る証券業務などを今まで行うことができなかった種類の金融機関でありましても、法律上の枠取りとしてはその業務を行うことが可能となるという事態を想定しております。  またさらに、業態間の異動の問題でございますが、これは、金融機関の合併、転換に関する法律というのがございまして、合併や転換を容易ならしめる仕組みを設けておりますが、従来この法律は、銀行、信用金庫、信用協同組合というもの相互間の合併なり転換についてのみ規定をしておりましたが、今回さらに、その対象に長期信用銀行、外国為替銀行、労働金庫というような専門金融機関をも加えまして、多様な合併や他業態への転換が幅広く可能になるような措置を講じたわけでございます。  以上、全体を通じまして各金融機関の法律上認められる業務は従来に比して飛躍的に多様化するととになります。ただ、これは申すまでもないわけでございますが、それぞれの金融機関が現実にこれらの業務をすべて取り扱うということは実際問題としてできることではございません。それは、経営の規模、体力、それから、人的、資本的な装備、そのようなものが個別の金融機関ごとに大きな開きがございます。その中で、それぞれの金融機関は自主的な経営判断に基づきまして自分の金融機関で実際にできる業務を選択し、その中に自分の金融機関の経営の特色を生かす、そのような業務分野の選択は可能になるはずでございまして、この自主的であり、かつ的確な経営判断を期待しておるものでございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 これからの産業の再編成や新しい時代に向けての金融政策、これはよく理解ができます。そして、本案の中で、金融機関の経営の健全性の確保のために自己資本比率規制の根拠規定を設ける、こういうことにされておりますけれども、先ほど来金融システムの安定性の観点からいろいろと質問していることとの関連でお尋ねをいたしたいと存じますけれども、主要国で採用され我が国でも採用されている自己資本比率規制が金融機関経営の健全性確保に果たしている役割について、改めてお考えを聞かせていただきたいと思います。特に外国での決済銀行、BISにつきましてもお答えをいただければありがたいというふうに思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 委員御指摘のとおり、今回御提案申し上げております法律案では、例えば銀行法案におきましては第十四条の二という規定を設けまして、経営の健全性の確保のためのその基準を大蔵大臣が定めることができるというふうに規定してございます。その中心は、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかという、いわゆる自己資本比率規制の根拠規定を設けたいというものでございます。  そこで、この自己資本比率規制の考え方でございますが、これはもう御承知のように、貸出金などの運用資産に対する自己資本を一定比率以上に保つことを義務づけるという規制でございます。この規制でございますが、実は、経営の健全性を確保する上でのいろいろな基準、いろいろな規制が考えられます中で、近年、国際的に自己資本の充実というものが非常に重視される傾向がございます。我が国でももちろん昔から自己資本比率というものについては注意を払ってまいったわけですが、国際的に注目すべき動きといたしましては、結果的には現在のバーゼル合意に結びつきますような、アメリカ、イギリス両国における金融自由化の進展に伴いまして、片一方で規制を緩和するとともに、片一方で金融システムの安定性を確保するための手段として自己資本の充実が非常に重視されてまいったわけでございます。  例えばアメリカでは、一九七〇年以降預金金利の自由化が進展いたします中でいろいろな経営問題が生じ、一九八〇年代に至りまして銀行倒産が急増いたしました。そのため自己資本の充実問題が一段とクローズアップされたということがございます。また、イギリスでも、一九七一年、預金金利の自由化が完了いたしました後に、一九七三年から七五年ころ中小銀行が相次いで破綻を生じたということがございます。そこで、これにつきましてもイングランド銀行が自己資本充実のための規制を採用したということがきっかけでございます。その後、米英の作業が進み、米英が共同提案したのが軸となりまして、いわゆるバーゼル合意が成立を見たというようなこともございました。  自己資本比率の分子、分母の関係でございますが、自己資本比率の分子となる自己資本につきましては、これは営業に必要な固定資産などの取得のための資金とか運用資産として使用されますほかに、特に不測の損失が発生した場合の補てん資金として使用されますなど、預金などの支払いの最終的担保として銀行の支払い能力のよりどころとなるものでございます。他方、分母の方は運用資産をとっております。この運用資産につきまして、資産の種類ごとに危険度を評価するという、いわばリスクアセット方式というのがBIS規制の一つの特色になっておりますが、いずれにいたしましても、この運用資産面では、経営姿勢が、従来のような量的拡大重視の傾向から資産の審査、管理や収益をより重視した方向に転換をされていくということが促されるわけでありまして、節度ある資産運用がなされまして、その健全性の向上が期待されることになるという効果がございます。  このように、自己資本比率規制は昨今とみに注目を浴びており、アメリカなどでは、いわば自己資本比率の充実度に照らしましてその対象となる金融機関についての行政上の態度を改めるというような、そういう独特の仕組みも考えられておるわけでございますが、私どもは、必ずしも自己資本比率規制のみが健全性の唯一の尺度であるとは考えておりませんけれども、やはり経営の健全性確保の上でますます重要視されてくる、そういう傾向にかんがみまして、これを中心の一つとして今後考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 そこで、さらに金融システムの安定性との関連でお尋ねを申し上げたいと思います。  金利自由化の進展に伴い、中小金融機関の経営環境というのはさらに厳しくなってきておるわけであります。そして、今回の法案では、このような環境変化の中で、ただいま申されましたが、協同組織金融機関、いわゆる二つありまして、メンバーから集めてメンバーに貸すという役割と、地域全体にサービスをしていくという役割がこの中にあるわけでありますけれども、こういった中小金融機関の業務範囲の拡大が図られているわけであります。このような方策が中小金融機関の経営を不安定にすることは一体ないのでありましょうか。この点についてお伺いをしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 委員御指摘のように、協同組織金融機関などの中小金融機関につきまして法令上思い切った業務範囲の拡大を図ることとしております。そのこと自体は、先ほども申しましたが、国民の金融ニーズの多様化を踏まえ、中小企業、個人などに対して多様な金融商品を提供し、的確かつきめ細かなサービスの提供を確保するというねらいを持っておりまして、これによりまして地域金融の振興、地域の活性化という課題の達成に資するようにしたいというものでございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、法律上の枠取りは非常に広がりますけれども、実際問題として、個別の金融機関がその幅広い業務を全部実際に行うということは恐らく困難でございます。そごて、個別の金融機関の経営上の選択も尊重いたしますし、また私どもの方も、業務範囲の拡大を認めるに当たりましては、各金融機関の個別に、それぞれそういう新規業務を的確に行うための経営基盤なりノウハウなどが十分に備わっているかなどを総合的に勘案して交通整理に当たりたいと思っております。そのようなこともございますので、この業務範囲の拡大によりまして中小金融機関の経営が不安定になるとは私どもは考えておらないところでございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 ただいまのお答えで多少理解を深めたわけでありますけれども、局長がおっしゃるように、それぞれの協同組織金融機関が、それぞれの一番得意な分野で、競争しながらも健全な経営体質をつくっていくんだということであります。かつてのように、いわゆる政策金融をやっていく、長期信用銀行などが行っておりますけれども、そういった中で、産業界に対しての銀行であったものが、今現在、枠組みを越えていろんな面で同質化をしているというのは冒頭に申し上げたわけでありますけれども、これから中小金融機関の経営の安定にも今回の法案が配慮を行っているということは、よく理解をいたしました。  中小金融機関は、地域の経済の活性化という重要な使命を担っているわけであります。経営の健全性を確保しながら、地域社会の金融ニーズにこたえていくということが求められているわけでございます。これは、組合員や会員に金融サービスを提供するという協同組織金融機関にもひとしく求められていることでありまして、今回の法案は協同組織金融機関が地域の金融ニーズによりこたえるものとなっているのか、この点について再度お尋ねをいたしたいと思います。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 委員御指摘のとおりでございまして、協同組織金融機関、中でも信用金庫それから信用組合、そのほとんどは地域信用組合でございますが、それから農林系統金融機関、それはそれぞれ地域を基盤とする金融機関の性格が強いわけでございます。これらの金融機関は、地域から資金を吸収してそれを地域に還元する、いわばコミュニティーバンクという役割を担っておりまして、その健全な経営と業務の発展は、地域経済の活性化、それから個性ある発展への貢献が期待されるわけでございます。  そこで、私ども今回の法案を御提案申し上げるにつきましても、そのような地域を基盤とした的確かつきめ細かな金融サービスの提供を行うことを可能にする枠組みを考えたいと思ったわけでございます。それは結局は業務の多様化ということになるわけでございますが、事実、経済社会の発展によりまして、比較的小粒の地域金融機関でありましてもユーザーからのニーズは多様化しておりまして、長い間かかってではございますが、協同組織金融機関は逐次それにこたえ、業務を多様化しつつあるという一般的な傾向はございます。  例えば、信用金庫の場合に、かつて昭和五十六年の制度改正のときに法律上の枠取りとして外国為替業務を認めたわけでございますが、その後、実務上個別の信用金庫に対するいわば為銀の認可はだんだん進みまして、現在、最近時点では信用金庫のうちの八十六信用金庫が外為業務の認可を得ております。それから公共債のディーリング業務でございますが、これは銀行等に比べますと後年度にだんだんとその道が開かれていったわけでございますが、これも現時点では四十四の信用金庫が公共債ディーリング業務を行うことが認められております。そのように、やはり信用金庫、信用組合、農協というようなものでありましても、時世の進展に伴いまして比較的多様な業務を行うことを考えていい時代になったというふうに思いますので、再三申し上げますが、信託業務とか、社債等の募集の受託業務とか、国債の窓販、ディーリング業務とか、外国為替業務などを従来法律上認められなかった業界に対しても今度は法律上の枠取りをして、その後多年にわたって順次個別にそういう取り扱いができるようにしていきたいというふうに考えておるわけでございまして、これによりまして地域の金融ニーズに従来以上にこたえることができるものと私どもは期待を申し上げております。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 信用金庫につきましては、るるお話をいただきました。げた履きで行ける信用金庫ということで、コミュニティーバンクとしての大変親しみやすい銀行としてそれぞれ認知をされて利用されている、こういうことでありますけれども、信用金庫の将来の規模あるいはそれぞれの企業の資金需要ということもあわせまして、今後合併やあるいはさらに大きな問題がそこに行き渡っていくと思いますけれども、そういったところもよく勘案をくださいまして、健全な信用金庫の運営につきまして今後とも御指導をちょうだいしたいと思っております。  それから、投資者保護の問題も含めまして、これまで今回の制度改革の意義や金融システムの安定性についてお伺いをしてまいりましたけれども、このたびは証券関係につきまして少しお聞きをしてみたいと思います。  今回の法案では、証券取引法を改正し、有価証券の定義の整備を図ることとされておりますけれども、このような有価証券の定義の整備がなぜ必要なのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。また、どのような考え方で有価証券の定義の整備を行っているのか、あわせてこれもお答えいただければありがたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今回の証券取引法、証券取引制度の基本的な見直しの一つの柱が、今御指摘のございました有価証券の定義の整備でございます。  これは、いわゆる金融の証券化というのが非常に進んでおります。それに伴いまして、いろいろな金融商品、有価証券、いわゆる証券化に伴って出てまいります商品というのがふえてまいっております。国内もそうですが、海外、特にアメリカでは非常にいろいろな商品が出現をしているわけでございます。そういう商品につきまして、従来は証券取引法を適用するということはなかなかできなかったわけでございまして、証券取引法が適用されないということになりますと、そういう商品が投資家の間を転々流通するという場合には、証券取引法は御存じのように投資家に十分適切な情報を提供するということ、いわゆるディスクロージャー制度というものを用意しておりますし、あるいは不正な取引が行われるのを規制する不公正取引規制という柱があるわけでございます。この二つの柱で投資家保護を図るというのが証券取引法の大きな柱になっているわけでございまして、こういうものが適用されないということになりますと、一般投資家が自由に参加できるような市場を整備するというわけにはなかなかいかないわけでございます。  したがいまして、今回の法律改正によりまして、いろいろ証券化に伴って出てまいります有価証券に対し証券取引法を適用するということによって、今申し上げたような投資家保護の枠組みを適用し、そういうことを通じて投資家保護を図るということが、ひいては証券化商品、多数の投資家が参加できるような市場が整備されていく、それによって証券化商品というものもさらにいろいろなものが出てまいりますし、一般の投資家もそういうものを売買できるというようなことになるわけでございます。  そういうようなことで今回の法律を整備したわけでございますが、証券化商品の中には有価証券の形をとっているものもございますし、必ずしも有価証券の形をとっていないものもございます。そういうものをすべて含めまして、一般投資家の間を転々流通するような流通性のあるものについては広く証券取引法の対象にしようというふうに考えているわけでございます。  具体的には、日本には既に御存じのようにコマーシャルペーパーという企業の資金調達のための約束手形がございますし、あるいは海外の銀行が貸付債権を証券化したような商品が海外にございまして、海外からそれを持ち込むというようなニーズがございます。あるいは住宅ローン債権というものが信託されてその受益権というものが売買されるというようなこともあるわけでございまして、いずれにいたしましても今後出てまいりますいろいろな証券化商品に対して機動的に政令指定でき、それによって今申し上げたような証取法の枠組みが適用でき、多数の投資家が参加できるような市場が整備されていくということが必要であるという考え方に従いまして、今回の有価証券の定義の整備をお願いをしているわけでございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 重ねてお伺いを申し上げます。  昨年来証券市場における取引の公正性の確保が求められておつ、このたび公正性確保法案が昨日衆議院を通過いたしました。制度改革法案におきましては、証券業務について新規参入が図られる、こういったことになっておりますが、証券業務以外の業務を営む者の子会社が証券業務に参入することとなっております。このような新規参入に伴う弊害を防止する、いわゆるファイアウォールでありますが、取引の公正性を確保するためにどのような手当てが法案でなされているのか、この点につきましてお聞きをいたしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今回、証券市場におきます競争を促進するという観点から、銀行の子会社あるいはそれ以外の企業の子会社の形による新規参入を認めるというようなことを考えているわけでございます。競争を促進するという観点からいいますと、そういう点での新規参入というのがやはり必要だろうと私ども判断するわけでございますが、御指摘のように、その参入者が証券市場に弊害を持ち込むということになりますと、これは証券市場の健全な発展ということから申し上げまして非常に問題があるわけでございます。そういうことで、いわゆる弊害防止措置についていろいろと考えなければならないわけでございます。  それで、御提案申し上げております法律にも、特に企業が銀行を含めまして子会社をつくって証券会社として証券業務に参入する場合に、その親子間における問題というものに着目をしていろいろと弊害防止措置を考えているわけでございます。  具体的には、法律には、親子間におきます役員の兼職を規制するとか、あるいは親子間で例えば子供の証券会社に非常に有利な取引を行うようなことを規制する、これはその子供の証券会社が競争上非常に優位に立つというようなことにもなるわけでございます。あるいは銀行の場合に、銀行が融資を行う条件としてその子供である証券会社との取引を求めるとかいうような抱き合わせ的な行為、こういったものを法律で規制をしておりまして、あと具体的に省令でいろいろ機動的に見直しができるような規定を置こうとしております。  昨年の六月の証券取引審議会の報告書で、いろいろな弊害防止措置が指摘をされております。その中で主なものを申し上げますと、例えば、証券会社というのは証券市場における仲介者でございますので中立性、独立性というのが要求されるわけでございますから、親会社に余りにも依存する、例えば取引を過度に依存するというようなことになりますと、どうしても経営の独立性が保てないというような問題がございます。あるいは利益相反を防止するという観点で、例えば銀行が経営不振に陥った企業に対する貸付金を回収するために債券なり証券を発行させてそれを子会社に引き受けさせるというような行為、あるいは親会社が発行する証券を子会社が引き受けるとかいうような行為、さらに、公正な競争を確保するという観点から、例えば親会社、子会社間で公開されていない非公開の情報を伝達し合うとかいうようなこと、それから店舗の共用ということも好ましくないと言われております。さらに、日本の場合には銀行の一般企業に対する影響力というものはやはり強いわけでございまして、そういう影響力を子会社の営業に利用するというようなことも好ましくないというような、いろいろな指摘がございます。  私ども、この証券取引審議会の報告書に指摘されております今申し上げたような弊害防止措置については、できるだけ省令等で規定をして、証券市場における公正な取引が確保できるようにしていきたいというふうに考えて括ります。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 ただいま大半をお答えいただきましたけれども、銀行の証券子会社については、法案の附則において株式のブローカー業務を当分の間認めないということになっております。ところが銀行によって、ただいまもお話がありましたように、既存の証券会社の買収の場合には例外的に株式のブローカー業務ができる。例えば四大証券であってもそうでありますが、利益を出しているのが野村一社である、こういったことを含めて、中堅証券につきましては金融支援をしていくためにそういった形で銀行が乗り込んでいく、そういった場合にはブローカー業務ができる、こういったことになろうか。これは顧客につながっているわけでありますから、こういうことであろうと考えます。しかし、これは銀行による中小証券会社の救済買収の促進を目的としたものと考えているわけでありますけれども、そういった面につきまして簡単にお答えをいただければありがたいというふうに思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 今回の銀行の子会社による証券業務への参入につきましては、銀行が新規に子会社を設立いたしまして証券会社となる場合には、法律におきまして当分の間株式ブローカー業務を認めないという規定を置いております。これは、一つには銀行が非常に大量の株を保有しておる、その親銀行が大量の株を保有しているということと、子会社が株式のブローカー業務を行う、ブローカー業務といいますのは、当然株式について投資やアドバイス、情報サービスが行われるわけでございまして、その関係が非常に難しい問題があみということ。さらに実際問題として、中小証券会社の経営の主軸が株式ブローカー業務でございます。そういったようなことを考えて、新設する子会社についてはブローカー業務を禁止しております。  御指摘の、既存の証券会社を銀行が買収する場合でございます。これにつきましては、附則におきましてブローカー業務の禁止ができるという規定になっております。私どもの考え方は、今度の場合は先ほど申し上げましたように基本的に証券市場における競争を促進するという意味で参入を認めていきたいということでございますので、新規設立による参入ということが我々の今回の法律改正の趣旨にのっとるわけでございまして、基本的には新規設立の形で銀行の子会社が証券会社として参入をするということが適当であると考えるわけでございます。しかし、そうはいいましても、観念的ではありますけれども、そういう既存の証券会社を買収するという場合があり得るわけでございまして、その場合に備えて株のブローカー業務の禁止のしり抜けを防止するための規定の整備を行ったわけでございます。したがいまして、中小証券会社の救済合併の促進を目的としたという意味では決してないわけでございます。  ただ実際問題として、もし中小証券会社が経営危機に陥り、それに対して銀行が支援するというような場合を全く考えられないかといいますと、そういう場合もやはり考える必要があろうかと思うわけでございます。そういう場合に、そういう破綻した証券会社を救済するために株式のブローカー業務を引き続き行わせることがどうも必要だというふうに判断される場合もあろうかと思います。それは、もレブローカー業務を禁止すると非常に多数の投資家に大きな影響を与え、結果的に投資家保護に欠けることになるというような場合も想定されるわけでございまして、そういったようなことを考えますと、あくまでも新規設立による競争促進という政策目的に沿った参入をしていただきたいわけでございますけれども、今のようなケースの場合にブローカー業務を自動的に失効させるというようなことはなかなか難しいし、また適当でないという判断でこういう規定を置いたわけでございます。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 今局長がお話しになられましたように、銀行と証券の垣根を取り払うことによって新規参入による競争をさせること、これが一つの大きな前提でありますけれども、垣根を取り払う、しかし中小証券の実態というのは大変悲惨なものであるように私は感じておりますけれども、そういったものを救済するためにその証券会社が抱えている顧客を無視するというようなこととのギャップ、ジレンマみたいなものが起こってくると思いますけれども、どうぞこういった状況を踏まえて、適切なる御指導をいただきますように心からお願いを申し上げる次第であります。  それから、法案との関連で実はお尋ねしたいことが二つばかりあったのでありますが、時間が大分迫ってきておりまして、これはまた後ほど個別に私はお教えをいただければと思っておりますが、今回の制度改革は主として業務面での自由化を図るということがその目的でありますけれども、金利面での自由化はこれまで余り進んでいないというふうに私は考えていますので、こういった問題につきましては後日またお伺いをしたいと思っております。  そして、第二点目でありますけれども、諸規制とか諸慣行、これは銀行、証券の業態間のあつれきということを言えば、なかなか言葉の上ではいろいろ問題かと思いますけれども、現実の問題で進まない問題が実はあったわけであります。これまでこういった問題についても、証券の方はこれで一つのものが整ったわけでありますし、銀行等の問題につきましても御議論をいただいて新しい方向を見出していくということになっておりますから、ぜひともひとつ、垣根の問題があってもそういった問題を超えて、やはり証券・金融というものは一体でありますから、この件につきましてはよろしく御高察をいただきたいということをお願いを申し上げておきます。  それから、大蔵大臣にお伺いをしたいわけでありますが、現在の我が国経済というのは、景気指標と世間の景況感というのは大変なずれがあります。私も小さな企業の経営を見ておりますけれども、実態は本当に悪化をしているわけであります。しかしながら、経企庁あたりの報告を見ますと、在庫調整が一巡をしてこれから云々ということであります。そのときにいつも言われることが、失業率はまだ二・一%で、アメリカやヨーロッパに比べて、一〇%を超えている国があるのに、日本は失業率の問題をとってもまだまだ不況あるいはまたこういった形で困難だということはなかなか難しいのだ、そして有効求人倍率も一・二倍だということをよく引き合いに出されますけれども、中小企業というのは人材確保ということが何としても第一義であります。優秀な人材を確保していくということでありまして、現在中小企業では残業というものを廃止をし、そして操業日数を減らしてでも、なおかつその従業員を抱えているというのが実態であります。来るべきときに備えて、優秀な人材を企業が、それだけの収益を落としても確保していくのだ。こういったことで中小企業というのは頑張っていっているわけでありますけれども、私は、こういったことを含めて、政府として実体景気としての景気の現状をどのように見ておられるのか、この点についてお伺いをしたいと思っております。  そして、もう一点でありますけれども、景気に配慮して公定歩合を四回下げだというのは格好いい回答でありますけれども、一回を除いて三回というのは、これはもう本当に言われて、何となく引き下げなければならないという形で下げられた、私たちはこういうふうにとっているわけであります。現在、三・七五%という公定歩合になっておりますけれども、中小企業向けの貸出金利というものの実態は全く下がっていないというふうに申し上げておいた方が私は正しいというふうに思っております。こういった問題。  そしてまた、中小企業に対しての今後の省力化あるいは近代化を図っていくためには、開発銀行を通しても低利融資を行う、こういったいろいろな諸策がありますけれども、そういったものが敏感に中小企業にはまだはね返ってこないという実態でありますので、これもあわせてひとつお伺いを申し上げたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  確かに景気指標というのは、一定の期間というものをとらまえながら、これをその都度報告をさせていただくということでありまして、そのときそのときの景況感というものには当然一つのずれといいますか、そういったものはあろうと思っております。私どもいろいろと政策を進めますのは、もちろん、それぞれの役所が出します景気指標を当然勘案しながら政策を進めるわけでありますけれども、しかし、それと同時に、それぞれの役所におきまして聞き取り調査等を常にやりながら、毎日毎日の状況を把握しながら対応しておるということをまず申し上げておきたいと思います。  今御指摘がありましたように、確かにいろいろな見方がありますけれども、現在まさに一つの調整の過程の中にあるということ、そして今度の調整が従来と違っておりますのは、大変高い伸びで設備投資等がなされたということでありまして、そういった高いところから平常なものに今戻ったということは言っても差し支えないと思うのですけれども、しかしそれにいたしましても、ある程度の高さに設備投資されておるということでありますから、当然そこに一つのストック調整といいますか、そういったものが行われるということがあろうと思っておりまして、私はこれからの日本の堅実な産業の発展というものを考えましたときに、どうしてもこれは避けて通ることのできないものであろうという認識をそれぞれが持たなければいけないと思っております。  ただ、そういう中にありまして、いわゆる在庫の方の調整につきましては、鉄なんかについては昨年夏あたりからこれを進めておったというようなことがございまして、ある鉄の中の一部分につきましては既に底をついてきておるということであります。今までの場合には、生産調整をして生産しておってもなおかつ在庫がたまっていってしまうという状況、これを脱したのが今私たちがいろいろなところからの聞き取りの中で感じられるわけでございまして、そういうものを認識しなければいけないということだろうと思っております。また、もう一方では、住宅建設の回復の兆しが見られてきておるということでございまして、こういったものが、この間行われた緊急経済対策というものと相まってさらにかたいものになっていくことが重要であろうと思っております。いずれにいたしましても、そういう全体を追ってみたときに、私どもといたしましては、一つの回復の兆しが見られるのじゃないのかなと思っております。  そして、個人消費につきましても、今度の春闘等によりまして雇用者の所得も今までのような高いものではなくても四%を超えるものであるということで、物価等に比較いたしましても割合と堅調に伸びておるということが言えると思います。そういう中で、個人消費も確かに落ちているということはありますけれども、しかし底がたいものがあるだろう。きのうもあるところでお話ししたのですけれども、自動販売機を見ましても、例えば百円のものを百十円に上げたらやはり落ちたんだそうですね。ところが、隣にある機械はそのままの価格でやっておりましたが、これは一二〇%に伸びたんだそうでございます。ですから、量そのものは減っておらないのですが、額そのものが不況感という中でみんなが財布のひもを締めるという実態が出ているんじゃないかと思っておりますけれども、私は、そういうものはありますけれども、底がたいものであろうと思っております。  あるいは金利の低下、これは住宅等につきましてはそれぞれ今まで手当てをしておるということもございまして、そういった中で住宅の建設が回復しつつあるということが言えるのじゃなかろうかと思っております。  それから、設備投資につきましては、確かに積極的な設備投資よりはむしろ時間短縮をしなければならない、それで将来にはなかなか人手の確保が大変だなという認識があるのでしょう、そういう中で省力化のための設備投資をやっていきたいという動きがあることも事実であろうと思っております。  いずれにいたしましても、我々といたしましても、そういった実情をよく把握しながら政策を逐次進めていかなければいけないと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今日の状況は避けて通れない、そしてその間に構造改革をしていくというような調整局面であって、今までの失業者が町にあふれるというときのものではない、しかし非常に難しさがあるよということは言えるのじゃなかろうかと思っております。  それからもう一つは、確かに中小企業で人手不足があるというのは実態であろうと思っておりますけれども、そういう中にありまして、人手を割合と多く抱えてしまったところがある。特にサービス業なんかにあってはそういうことがあったようであります。久しぶりでそういったものを調整したところが、むしろ売り上げの方は伸びたという現状もあります。しかも、その人たちが一体どうしていってしまうだろうか、経営者の方は大変心配した。しかし、今人手不足という状況の中で、解雇された皆さん方が完全に吸収されていったというような実態であろうと思っておりまして、私どもはそういったものもよく注意深く見守りながら適切な対策、対応をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。

井奥貞雄自由民主党

○井奥委員 時間が参りましてまことに残念でありますが、ただいま大蔵大臣から適宜見直しをしながらしっかりやっていくというお言葉をちょうだいいたしました。そして、土田銀行局長にもお願いを申し上げておきたいと思いますが、こういった背景をよく御高察をいただいて、ぜひとも市中金利、中小企業に向けてのぬくもりのある金融政策、そして実態を把握をしていただいて、そういう面につきましては御高配をいただきますように重ねてお願いを申し上げます。  それから、これは証券局長に要望だけてありますが、もう時間がありませんので、株式の市場というのは飛ばしやいろいろな問題がありましたけれども、こういった形で一つの形を見てきました。欧米の配当率なんかを見ましても三%から五%くらいに対して、我が国の平成三年度の配当は〇・六二%と大変低いわけであります。この配当性向だけを上げていくことによって証券市場がこれから活性化していくとは思いませんけれども、これも一つの方法ではないのかなと私は考えるわけであります。  そして貿易収支あるいはまた経常収支が日本の国が千百三十四億ドルとか九百億ドルを超えているわけでありますから、こういった問題につきましてもどういうふうに還流をしていくのか、あるいはまたそういった問題を我が国はどういうふうに世界のために役立てていくのか、こういったことも御高察をいただきまして、最後に、今後のかじ取りはひとえに大蔵省にかかっていると私は思っておりますので、ぜひとも大蔵大臣を中心に今後とも時局に対応した、変化を先取りしたとまでは申しませんが、そういった大蔵行政をお願いを申し上げたい、一人としてお願いを申し上げたい、このようなことを申し上げまして質問を終わります。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 きょうは通産大臣もおいでをいただいて、今までネックになっておりました問題に決着をつけていこうということでお願いをしたわけでありますが、残念ながら都合がつかぬということでありますので、委員長、私の質問は十分くらい残して、あと都合がついたときに来てもらって、同僚議員に御迷惑はかけますが、その際に質問をさせていただきたいと思います。  最初に国税庁と大蔵省の方でありますが、貸金業の規則によれば、「資力又は信用、借入れの状況、返済計画等について調査し、その者の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならない。」いわゆる過剰貸し付けの禁止という項目が十三条にあります。現在の貸金業、ノンバンク、特にノンバンクでありますが、これに違反をしている企業、会社、個人もあるかもしれませんが、それをお示しいただきたい。――委員長、待っている時間は時間に入れないでください、我々の損失時間じゃないのですから。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 貸金業についての保護、苦情処理その他を含めました行政の実績につきまして、早急に調べまして御答弁申し上げます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 早急にと言っても、今聞いているのですよ。ノンバンクももう山場に来ているのですから。どういう貸し付け、この十三条に違反している貸し付けが行われているかどうか、それを示しなさいと言っているわけですから、それを当然出してもらえるのが理屈でしょう。委員長、怠慢ということですね、よろしくしかりつけてちゃんと出してください。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 委員長から申し上げますが、大蔵省は資料の提出が間に合わない――土田銀行局長。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 いわゆる過剰貸し付けの防止その他につきましての保護行政につきましては、私どもの方も業務運営に関する通達を出しまして、それで貸し金業者の業務運営の適正を期しているところでございますが、実際の件数その他につきまして現在手元に資料を持っておりませんので、早急に調べさせていただきます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 それでは、十分私の方で時間の猶予を与えますから、今十二分ですから二十二分まで待ちます。武士の情けです。  国税庁においでをいただいております。国税庁の方で今までこのノンバンク、貸金業全体の中でどの程度のいわゆる国税庁において対応したものがあるのか、またその国税庁で調査をした結果についてとりあえずお答えをいただきたい。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 委員御指摘の貸金業につきましては、課税上も種々の問題がある業種ということでありまして、私ども重点的に調査をしております。  個人につきましては、二百四十件調査をいたしまして、一件当たりの申告漏れ所得金額は一千九百六十七万円で、それから一件当たりの追徴税額は加算税を含めまして九百六十六万円ということでございまして、個人につきましてはワーストツーに入っているという実態にございます。  それから法人でございますが、署所管及び局所管、署所管でございますと、貸金業につきましては九十九件調査をいたしまして、うち更正をした法人八十三件、また不正を働いた法人が二十九件ということで、増差所得は四十五億円となってございます。また、そのうち不正所得は四十億円。一方、局所管の法人でございますが、これも三十四件を調査しておりますが、三十四件とも更正をしておりまして、うち不正法人は五件へ増差所得は四十七億円、一件当たりの増産は一億三千九百万円というかなり大口の不正所得が出ておる状況でございます。  したがって、今後とも貸金業につきましては、国税の適正な執行という立場から注視して対処してまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 今の報告を銀行局長はどういうふうに見てますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 課税事務につきましては、国税当局の処理は適正であると考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 いや、その起きた中身というものをどういうふうに判断をしているかということなんですね。国税庁が、いろいろ調べてみたら、これだけ行われている。個人でも二千万に近い。片っ方は物すごく、何億、何十億という金額があって、そういう背景を銀行は調べなければならぬでしょう。どうですか、その結果についてどう考えているかということを聞いているわけです。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 失礼いたしました。先ほど署の所管法人分で貸金業だけ言いましたが、サラ金も含めた全体の金融業ということでございますと、全体の調査法人は四百四十七件調査をしておりまして、うち三百八十六件が更正法人、不正法人が百三十二件、増差所得が百三十億ということになってございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 国税庁に、今の言い直した結果、個人の二千万、追徴が一〇%ぐらいかかっておりますが、これは除いて、今百三十六億、こういう意味ですか。――首をそういうふうに振っているようですから、そういうことのようであります。そうすると、法人の方では百三十六億の脱税あるいは所得を隠している、こういうことの結果が出てきました。これは合計四百四十七件、おおむね五百件、五百件の中で百二十六億、銀行局としてはこれは大変な状態だという認識でいるのではないかと思うのですが、それはどうですか、いつごろ知りましたか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 貸金業につきましての私どもの従来からの行政の着眼点は、委員御承知のとおり、貸金業の運営によりまして損なわれることあるべき資金需要者等の利益の保護を図る、これを行政の主眼としてまいりました。ただし、これも御案内のように、貸金業規制法の中では、一つの業界団体といたしまして貸金業協会及び全国貸金業協会連合会の存在が認められており、その協会は現に活発に活動しております。ただし、協会の業務というのは、これもこの法律の目的に即しまして、契約関係、債務者等からの苦情の解決、その他過剰貸し付けの防止云々というような資金需要者等の利益の保護を図るための業務が中心でございます。そこで私どもは、貸し金業者の個別の経営の内容、経理内容につきましては必ずしも詳細に承知しているというような状態ではございません。それで、ただいまの脱税なり所得申告に漏れが多いというような話につきましても、これは直接には実は、従来私どもさほど保護行政の重点として注意してまいったものではないのでございますが、御指摘もございますならば、今後それぞれの業者の経理面での適正の確保という点につきましても注意を払ってまいりたいと考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 金の出どころはやはり国民なんでありますから、銀行局長の方はそれは私の方の直接の担当でないみたいな言い方をしておりましたけれども、これだけのものが同じ大蔵省の内部において――これは大蔵大臣もそうですよ、相互の交流は全くないのですか。こういうノンバンクの状況だとか脱税の状況だとか、そういうことについては、個々の問題は秘密があるでしょうけれども、やはり金融状況の中における起伏というものがどうなのかとか、あるいは生保、損保の関係についてはどうだとか、信託についてはどうだとか、そういう情報の交換は全くないのですか。銀行局長、答えてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 貸金業……(沢田委員「交換の問題だけでいいですよ」と呼ぶ)情報交換というものは、個別の金融機関についての税務処理をめぐる問題、これは国税当局の所管ということで、私どもは意見を述べるようなことはいたしておりません。私どもの方で、国税の実務と銀行の実務と関係があるものといたしましては、例えば金融機関における不良資産の償却証明というようなことにつきまして、税の実務の一端について我々の銀行局の検査官の方の知識、経験を利用いたしまして、いわばその一部の事務を手伝っておるということがございます。そのほかにつきましては、挙げて税制当局及び課税当局の事務によって適正に処理されておるというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 国税庁にお伺いしますが、こういう脱税をしている中で、どういう部分に脱税の方法というものは、パーセンテージはアバウトで結構でありますが、個々の問題は要らない、総体的にどういう形態で、どういう仕組みで脱税を行っているか、その点について。それからまた、これをやっていた企業の例えば採算なり、あるいは倒産のおそれがある企業というようなものについては、国税庁としてはどういうふうに把握されておりますか、お伺いしたいと思います。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 貸金業の場合について一般的に申し上げますと、特に不正割合が高いというのは、特定の貸付先を除外しているという例が多いということでございまして、そのほか人件費等経費の水増しというような事例が見受けられます。  一方、赤字といいますか不良の貸金業についてどうしているかと申しますと、一般的には、赤字法人で調査をすればその結果黒字になるというようなものについてはかなりやっておりますけれども、調査をしてももともと赤字を負ってしまうというような相手先につきましては、調査率が低いというのは事実でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 国税庁にもう一つ聞きますが、こういう場合の人件費というのは、大体異常な金額を支払っているのが通常なんですよね。例えば社長なら大体どの程度の給与を払っているか。これも全体的なバランスで答えてもらえば結構なんですが、どの程度の給与を払っているか、そういう点は今はわかりませんか。わかったらちょっと教えてください。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 ただいま社長の給与が平均的にどのぐらいになるかというのは持ち合わせておりませんが、一般的に、不正の事例は、架空の従業員を水増しして入れているというような例が多いようでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 じゃ続いて、これは銀行局の方ですが、きょうのにも出ておりますけれども、二兆八千億ものノンバンクの赤字を自分の子会社である親会社でも対応できなくて、よその銀行から低金利、農林金利に近い金利で借りて補てんをしていく。そのお金はだれのものだと思っていますか。これは国民のいわゆる預金ですね。地銀だとか生保、そういうところから金を集めてノンバンクを救済しております。それで、全体的に見て、ノンバンクを救済している。金利をまけているとかあるいは債権を繰り延べしているとか、そういうものは全般的にどういう状況にあるか、その資料というものをお示しいただきたいと思うのです。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 昨年以来いろいろ目にするところでございますが、いわゆるバブル経済の崩壊に伴います不動産市況の低迷その他によりまして、不動産関連業種の業績が悪化し、あるいはそれにかなり集中的に融資をしておりましたノンバンク等の業績が悪化しているという例が見られるところでございます。それにつきましては、ノンバンクの問題と申しますか、それよりも私どもが注目をしておりますのは、そのようなノンバンクに資金を供給をしております金融機関、この金融機関もいろいろ幅が広い金融機関でございますが、その金融機関におきまして、いわゆる不良債権が増加し、さらに将来の問題も含めて申せば、貸し倒れの負担や未収利息が増加していくというような傾向を懸念いたしております。  このような不良資産の増大が銀行経営に与える影響につきましては、これは私ども無視し得ないものがあると思いまして、その動向についても注意を払っておるわけでございますが、さしあたりこの前期、つまり本年三月期の決算動向によりますと、いわゆる六カ月以上利息が入ってこないような債権の元本は、都長銀、信託を足しましても大体七兆円から八兆円程度にとどまるものというふうに考えておりますので、今のところ、これが金融システムに与える影響は、なお金融システムの存在を揺るがすほどのものにはなり得ないというふうに考えておりますが、ただし、この問題について注意を要しますのは、この三月末ですべての影響が出尽くしたということでは恐らくないであろうと思われる点でございます。現に、委員御指摘のような、その後の四月以降の新聞報道によりましても、幾多の新しい事例の発生が報道されております。したがいまして、この問題は今後数年間にわたって顕在化してくる性格のものであると考えております。これについての各銀行の処理は、これはまさにケース・バイ・ケースでございますが、全体としての金融システムに大きな問題が生ずることのないよう、引き続き銀行の経営状況につきまして、その健全性の確保の観点から私どもは注意をしていきたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 質問にちっとも答えてくれてないですね。いわゆる系列ノンバンクが自分の銀行だけの支援では足らなくなって、他の銀行にまで借りている分は、いわゆる国民の融資に支障を与えていることなんですよね。そこだけ助かればいいやというようなものでないのですよ。町の金融というかいわゆる現在の市中金融は、借りたくてもなかなか貸し渋っているという現状はお聞き及びだと思うのです。そういう抽象的なことじゃなくて、こういうノンバンクについてどれだけ金利を軽減したりあるいは利息を繰り延べさせたりしているか、実態をここへ出してください、抽象的なあなたの答えじゃなくて。それじゃノンバンクの実態について何も知らないということじゃないですか。ちゃん七それを出してくださいよ。  さっきの二十二分も過ぎましたから、さっきの質問について答えてください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 一つはノンバンクの個別問題について私どもがどのように把握しているのかということでございますが、これは私ども、銀行の経営にどのような影響を与えるかという観点から観察をしておるわけでございまして、その結果、特に大きな問題があり、銀行から個別に情報をとったりしているものについては、それなりに個別のケースごとに状況を把握し、その動向についていろいろ注目しながら、これが本体や関連の金融機関に重大な影響を及ぼさないように気をつけて見守っているところでございます。  ただ、一つここで申し上げますが、行政当局が実態を把握するということとそれを公表するということは別問題でございまして、やはり企業内容につきましては、私どもは守秘義務というものもございますので、企業みずからの判断による積極的な開示にまつべきところが多いというふうに考えております。  それからその次に、先ほどの御質問についてでございますが、必ずしも十分なお答えにはなりかねるかと思いますが、一つのデータとして、先ほど御紹介申しました貸金業協会におきまして、いわば相談の処理状況を集計したものを所持しております。これによりますと、その一例でございますが、平成二年度、これは全体の各都道府県ごとの状況を集計いたしましたものが約二万七千八百件の受け付けがございました。その中で二万五千四百件は、返済が困難である、ないしは過剰貸し出しその他貸し出しの禁止されているというような事柄に関するもの、それから身分証明等の紛失等の届けに関するものというようなものが主な内容でございます。そのほかに、もう少し状況が進んだものといたしまして、債務整理の受け付けもございまして、これは平成二年度の場合二千三百件程度でございます。その一般相談及び債務整理相談、それぞれに処理結果もいろいろその集計が出でございますが、必ずしも全部ではございませんけれども、一般相談二万五千四百件のうちほとんどは一応協会によって処理されておる、ないしは他の機関への相談を勧めだというような事績の報告をとっております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これは抽象的な報告で、何もAならAというものの中味を発表しろと言っているんじゃない。今はノンバンクの状態というものは極めて一般の庶民に与える影響も大きいし、その実態を総体的に把握する必要がある。これは平成三年の九月に発表されたもので、今消費者金融だけについてあなたはおっしゃったけれども、事業者向け貸し金業者では三十三兆円あったのですよ。この当時では五十八兆円に上るのです。今九十八兆円になっているけれども、五十八兆円のときの三十三兆円が事業者向け貸付金なのです。  これは大蔵大臣、これまでの状況を見たって中身にちっとも入ってない。銀行に与える影響だけを、確かに銀行局長だから、名前はそうなっているかもしれぬが、だからといって片っ方の影響を無視して幾らでも垂れ流しに金を流していていいということにもならないのですよ。その企業の状態を見て、とめる場合もある。でしょうし、そういう判断ができない状態に置いておくことは、これは九十八兆がどんどんふえていくという可能性さえ十分にあるのですね、これから起きてくると言うのですから。それをどんどんそこへ垂れ流しに流していくということがあったら、だれが国民の利益を守るのですか。だれが国民の利益を守っていくという役割を果たすのですか。だから、ノンバンクなりに、そういうものがどういう状態になっているかということを知って、これ以上の負債ではどうにもならないじゃないか、あるいはこれ以上の負債はとめてやむを得ない場合もある、東洋信金のようなことばかりやっているわけにいかなくなるでしょう。これだって国内の資金事情を圧迫するわけですね。ですから、これは大臣、こういう銀行局長の、銀行に与える影響だけを考えて、ノンバンクがどんどん垂れ流すのは見逃しですと――しかもこの低金利は不平等ですよ。一般の企業が借りる金利のときには六%なり六・五なり、今の公定歩合の関係からいけば七%ぐらいの程度にいっているでしょうけれども、それが四なり二なり五・五ぐらいでどんどん地銀からそういうところへ金が流れていくことは公平でないですよ。だから、その中身というものをきちっと示してくださいということなんですよ。国税庁の報告を聞いても、そこまではなかなか言えそうもなさそうですから、そうなると、銀行局としても、だからそれは通産大臣も呼んで、通産大臣が邪魔しているのなら、その意見を受けてやれるようにしようじゃないか、そういう提言をしているわけです。  こういう煙幕を張ったようなところでどろどろと流れていって、こういうマスコミ等による発表によって国民が知る、こんな情けない話ないでしょう。我々もそういうものを頼りにして物を言うけれども、当局はそういうことについてわかりませんと言っているのでは、これは国会としての機能を果たしてないということですよ。少なくともそれは努力して、これまで問題になってきているこのバブルの後始末は、それを覆い隠すことによって成り立つものじゃないのですね。やはりその内容も、個々は別としても、全体の態勢はこうなっているということを示して、さあノンバンクをどうするか。さっき言われたけれども、貸金業の方は、とにかく六千億なんですよ、事業者向けの貸付金額は。それで消費者向けが三兆円あるんですよ。これは貸金業法によってやっているんですから、これはいわゆる零細中小ということになる。今一番問題になっているのは、事業者向け貸付金が三十三兆もあって、この事業者向け貸付金は、百六十六社ありますが、消費者金融としては八千億しかないんですよ。だから、一番問題になっているノンバンクというものが、要すれば言われている貸金業にあらざる、そして事業者向け融資というものがどういう実態になっていっているのか、不良債権はどの程度になっているのか、そういうものがきっちりとここに示されてこそ我々は審議にも入れるし、また同時に、次の金融の一元化の法案の前提にもなっていくわけですよ。そういう実態を知らないで、その分は煙幕で覆ったままで審議をすすめていくことは私はできないと思うのです。だから、そこで私がさっき示したような資料をきちっと出してもらって、ノンバンクにどういう対応をしたらいいのか、国民の信頼を取り戻すためにどうするか、そのためには、こういう状況ですから、こうしたい――こういうふうにこそこそ国民の金が流されていくことを見逃していくわけにはいかないですね。  だから大臣は、私は演説の方が多かったかもしれぬが、とにかく今までの資料を全部出してもらって、そしてノンバンクの実態を国民の前に明らかにして、このままでいいのかどうか、これはどうするのか、そういう議論も踏まえて対応していかなければならぬと思うのですね。その決意のほどと、出てこなければ、これで私の質問を終わります、出てこない間は質問しようといったってできないですから。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 今日までも、私どもといたしまして、国会の方でおつくりいただきました貸金業法に基づいて実態の把握をいたしておるわけでありますけれども、今お話がありましたようなノンバンクの実態からいたしますと、ノンバンクが担う資金仲介機能のあり方ですとかノンバンクの経営問題は、単にノンバンク業界の問題にとどまるということがなく、今御指摘がありましたように、金融システムの安定あるいはその健全な発展を図る上で看過し得ない問題であろうというふうに思っております。そういった意味で、私どもとして、今日現在の許される範囲におきましても、さらに実態の把握にこれからも努めていくと同時に、こういった状態に対して一体どう対応するのか、また国会の御議論等も私どもいただきながら対応していきたいというふうに考えております。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 資料が不十分ですし、後刻資料を提出していただいた後、私の方はあとの質問もしていきたいと思います。  なお、国税庁も、この程度に、三万七千という数があるのですから、忙しいだろうと思うのでありますが、それに全部対応して特別に調査をして、その実態をいわゆる個人の問題に関係しない限りにおいて当委員会に発表していただきたいということをお願いして、私はあとは留保しておきます。あとは、報告書が出たらちゃんとやりますし、通産大臣が来たら、残った時間は通産大臣にやりたいと思います。委員長も、こういう法案の審議に当たって、通産大臣に来いと言ったら来られるように、政府は努力していかなくちゃいかぬですよ。これも日本の政治の一部ですからね。  あと何か言いたいことがあったら、これで終わりますから、後で言ってください。終わります。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

太田誠一自由民主党

○太田委員長 速記を起こして。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後三十一分開議

太田誠一自由民主党

○太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 先日の質疑の中で調査を約束していただいておりました協和埼玉銀行の顧客情報流出のその後の調査結果と、それからどのような対応をされるのか、この際お聞きしておきます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 お尋ねの問題につきまして銀行との連絡を続けておりますが、その銀行からは、事実関係は調査中でありますけれども、現在までのところマスコミ報道された特定取引先のコピーがその銀行で打ち出された資料であるとは確定できないという報告を受けておるところでございます。したがいまして、なお事実関係の究明を要する段階であると考えます。  ただ、いずれにいたしましても、これはこの前も申し上げましたが、金融機関は、預金者、貸出先等の顧客情報について、顧客のプライバシー保護の観点から慎重な配慮が当然必要でございます。仮に本件のようなことが事実であるとするならば、極めて遺憾でございます。今後なお事実関係の究明を要する問題でございますが、仮に具体的な問題の存在が明らかになれば、その是正措置を講じ、再発防止に万全を期するよう厳正に指導してまいりたいと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 できればこの金融制度改革法案の審議の過程の中で最終的な結果をお知らせ願いたいと思います。と申しますのも、一部の声ではございましょうが、この金融制度改革法案が通れば、いわゆる適正な競争というよりは、競争がさらに激化をするのではないか。社内管理であるとか、また行員の研修システムとか、こういうものこそがいわゆる信用秩序の維持をするための大きな観点になってくるわけです。そういう中にあって、あれほど金融・証券不祥事のときにも指摘をされ、その後もいろいろ、生命保険会社もありましたけれども、プライバシー保護という一番大切な観点が抜け落ちておる、このことは幾ら厳しく指摘されても、私は異存はないと思います。そういう中にあって、銀行の、また金融機関の社内管理や社員研修がまだまだそこまで行き届いていない中で、この金融制度改革法案を通すのはいかがなものかという声もあるわけなんです。そういう意味で、この点は局長いかがですか、近々に、早急に調査の終結を見て報告いただくということで、もう一度前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 再度銀行から報告を聴取し、事実関係の速やかな解明を促したいと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それから、これも予算委員会、大蔵委員会等々で指摘もしてまいりましたし、その後の進展状況もありますところのいわゆるパート問題でございます。  野党は予算の共同修正要求をいたしまして、それに対して平成四年三月十二日の自民党の回答が出ました。その中に、このパート問題については、今後「政府の関係省庁において然るべき検討の場の設置等を行うこととします」、こうあるわけでございます。そしてさらに「我が党」、この場合自民党ですが、「我が党においても政調を中心に各党協議の場を設置したいと考えています。」この後段の、与野党のパート問題の協議の場設置については、私どもは、今月中にも与野党の政調・政審会長レベルで協議をしよう、こういうふうに報告を受けておりますが、肝心の政府ですね、私、一大蔵大臣にも、配偶者の所得制限により家族手当、扶養手当、こういうものが制限をされておる問題もある、そしてまた、例えば配偶者の主婦が百二十万円以上の所得を得ると、いわゆる社会保険料、国民年金であるとか国民健康保険の、掛けなければいけない対象になる、これは厚生省マターの話であろう、こういうことでも指摘をしてまいったわけでございます。与野党協議の場を設置するという合意ができておるわけですが、政府においての、関係省庁の検討の場の設置はいかがでございますか、大臣。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 この問題につきましては、今御指摘がありましたように、いわゆるパート問題というのが配偶者特別控除の創設等を進めてきたということでございまして、このほかに、この間の御議論の過程を通じまして、今お話がありました配偶者手当の給与体系あるいは慣行、社会保障負担の求め方、企業における経理処理等のいろいろな分野にわたっておるということであろうというふうにも思っております。  そういったことで、それぞれの省の中におきましてこういったものが研究は進められておるということでありますし、また、こういった実情というのは、まだ末端にまで知られておらないというようなことがあったという現実もあります。そういったものもそれぞれの業界を通じながら御説明を申し上げるなどという手当てはしているはずでございます。そういったものをあわせまして、現在、一体どういうことができるのかあるいはどういうところに問題があるのか、各省が寄っての場所というのは準備が進められておるというふうに承知いたしております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 協議の場をつくるという回答があるわけですから、政府におかれましても、特に大蔵委員会等々でこの問題を指摘したこともあり、大臣にも、各省庁に呼びかけていただきたいという要請もしておるわけですから、閣議の席でも結構ですし懇談会でも結構ですから、そろそろ与野党が協議の場をつくるんだから政府も何らかの対応をしていこうじゃないか、協議の場をつくろうじゃないか、こういう発議を特に大臣にお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 承りたいと存じます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それでは、法案に関係した何点かにつきましてお尋ねをしたいと思います。これからやります質疑につきましては、私は先日、証取法とこの金融制度改革法の一括審議で相当やりましたので、きょうは若干木を見て森を見ないたぐいになるかもしれませんけれども、何点かお伺いをしていきたいと思います。  まず、金融制度調査会の平成三年六月二十五日の答申でございます。この答申の中は八十二ページにわたっておりますが、そのうち「制度見直しのもたらす利用者利便」ということで十一ページにわたる「付論」というものが記載をされておるわけでございます。「付論」の前の答申の内容は、いわゆる国際性であるとか自由化であるとか、また信用秩序の維持であるとか、どっちかというと各金融機関の利害調整のような感じもしないでもないのですが、そういう答申の内容になっております。この「付論」というところから一挙に「利用者利便」ということで記載をされておるわけですが、唐突な感もするわけですが、その背景は那辺にありや、お伺いしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 これまでいろいろ申し上げておりますように、今回の金融制度の見直しの着眼点といたしまして、利用者の立場、国際性、金融秩序の維持、そのような三つを踏まえ、さらには地域の活性化というような視点も織り込むということにしておりますが、その中で最も大事なものは、利用者利便の向上であるというふうに考えられるわけでございます。  そこで、この金融制度調査会の答申の編集の仕方について、私どもの方で見ておりますところを御説明いたしますと、この制度見直しにつきましては、全般的にこの利用者利便の向上に配意したところでございますが、その中で、いろいろな各部分に分かれておりますような内容を極力わかりやすい形で改めて整理するということによりまして、幅広い国民が本答申を理解するための一助となる、そういうことをねらったものであるということが、この答申の「付論」のはしがきのところに書かれております。まさにそのような意図で、やや通常例を見ないところでございますが、この制度見直しのもたらす利用者利便について「付論」という形でやや説明的に要約し、再掲、再び掲げるようにしたものであるというふうに私どもは認識をしております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それでは、宮澤総理も施政方針演説で「生活大国」ということも言われ、経済審議会でもこの件について今審議をされておるわけですが、私たち公明党も数年前から生活大国ということを柱にし、また生活者の側に立つ政治というものを政策の柱にして今日まで数々提言もしてきたわけでございますので、今回の金融制度改革が一般国民、庶民にどのようなメリットがあるのか。そういう視点からさらに何点かお伺いをしたいと思いますが、局長、時間短縮の法案も通りましたので、時間短縮で、国民、庶民の側から見て、今度の金融制度改革は端的に言ってどういうメリットがありますか。箇条書きでも結構ですから、簡単に言ってください。時間短縮でお願いします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 必ずしも言い尽くさない嫌いがございますが、なるべく短縮して申し上げますならば、利用者利便の向上の姿としては、利用者のニーズに対応した多様な商品サービスが提供されるということ、それから競争の促進により各種の手数料の引き下げ、貸出金利の引き下げ、サービスの向上などが進むということ、それから利用者が自己のニーズに合った金融機関を選択することが可能になるということでございます。そのほか、全体としての金融システムが効率化し、それが国民経済全体の効率化を促すという、目に見えない、しかし、大きなメリットもあるのではないかと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 大臣、今の局長の答弁、目に見えない形で間接的にもたらされるものもあるという、非常にすばらしい、本当にこれができるのかという文章ですね。聞くところによると官僚的文章というんだそうですが、もう芥川賞候補作品ぐらいの、夢と希望、バラ色一色の「付論」の内容ですね。  では、本当にそうなんだろうかということですが、後でその実効性なんかもお聞きしますが、金融商品の多様化のメリット、こう言われましたが、今現在どういうものが具体的に検討されておるか、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 これはいろいろなものがございますので、さしあたり、金融商品の多様化の例として、信託商品の多様化、金融債の多様化などについて申し上げます。  これはいわゆる諸規制、諸慣行の見直しという一連の作業にも密接に関連するものであり、私どもそれに鋭意取り組んでいるところでございますが、これまで実現しましたところとしましては、信託商品の多様化については、ヒットという金銭信託の商品がございますが、それの据置期間の短縮が進められておるとか、それから今度、運用実績に応じた配当を行う実績配当型合同運用金銭信託の販売が予定されておりますこととか、さらについでにその証券投資信託について申しますと、中国ファンドの商品性改善や新型の短期公社債投資信託、MMFでございますが、日本版のMMFと申します方が正しいかと思いますが、それの導入というようなものがございます。  それから次に、金融債の多様化につきましては、従来は一般の長期信用銀行などが利付五年債と割引一年債、それから東京銀行が利付三年債及び割引一年債を発行するのみでございましたが、これは現在既に実現しておりますが、長期信用銀行などによる利付二年債の発行、東京銀行による利付五年債の発行が行われるようになっておるわけでございます。  そのほか、今後なお金融機関がみずからの創意工夫によって魅力ある商品、サービスを利用者に提供していくということが私どもの期待しておるところでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 大臣、MMFとかヒットとかいう金融商品があるそうですが、御存じですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 最近は金融商品が大変多く出ておりまして、私も今のお話、聞いただけで全然わかりません。申しわけありません。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 これはある本の九二年版ですが、最新の金融商品という説明がずっとありますが、除夜の鐘じゃありませんが全部で百八つもあるのですね。それで、なおかつ新たな金融商品の多様化ということで、次から次に出てきて、一体、一般庶民はどうすればいいんでしょうかね、これは。  そこで、日銀の方からも資料をいただきましたので、では、国民の貯蓄は一体幾らぐらいあるのかということですが、貯蓄広報中央委員会発行、平成三年版の「貯蓄に関する世論調査」という統計がございます。これを見ますと、確かに貯蓄の保有額というのは、平均でございますが、一世帯当たり千百六十五万円ということになっております。もっと詳細に見ますと、やはり収入の低い人ほど当然低いのですね。普通大体子供二人、中堅サラリーマン、いわゆる標準家庭というような方は収入が大体七、八百万円ですね。そういう方の貯蓄高というのはそれ以下だと思いますし、五百万から七百万円ぐらいという統計も出ておりますね。七百万から一千万ぐらいの勤労サラリーマンの貯蓄保有高というのは、大体五百万から七百万だろう。五百万、七百万でこんなに百八つもあって、また次から次へ出てきて、一体全体どうすればいいのでしょうかね、これは。  そこで、私が申し上げたいのは、こういう多様な金融商品というものが、一般庶民にとってどうやって情報をキャッチするのか。これは「付論」の中にもございますね。そういう金融商品の情報をどうやって提供するか、これは各金融機関に努力せよと言うのですがね。それは、銀行だったらうちの方がいいと言うに決まっていますし、証券会社はうちの方がいいと言うに決まっていますし、信託会社はうちの方がいいですよと言うに決まっていますから、各金融機関別に任せていたのでは、これは比較できません。そこで、多様な金融商品が続々と開発されるということが、消費者の、特に一般国民の、今度の金融制度改革のメリットの一つであるというならば、少なからず情報を途絶されている一般庶民にそういう情報を提供するシステムといいましょうか、こういうものがなければ、これはもうひとりよがりになっちゃうわけですね。先ほど申し上げました生活者の側に立つ政治じゃなくて、一部の大手機関投資家であり、企業の側の制度改革になっちゃうわけです。  そういうことで、大蔵省とすれば、こういう新商品を含めた金融商品の情報提供、これにどのようなお考えを持っておられるか、まず大蔵省にお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金融の自由化の進展に伴いまして、金融商品・サービスが多様化をする、これはもう基本的には望ましいことでございます。そのときに、利用者がそれぞれの金融商品等の内容や特性を正確に把握することが安易ではなくなるという問題も生じておるということは御指摘のとおりでございます。実は、その全貌を一覧表にするということは必ずしも容易なことではございません。と申しますのは、特殊な商品につきましては、テーラーメードと申しますか、顧客と相対によって商品を設計していくというようなものもだんだん出てくるというふうに考えられるからでございます  ただ、一般的に広く利用されておりますような商品、例えば預金金利のようなものでございますが、これは随分、そういう貯蓄型の商品一つをとりましても、多様化いたしました。最近見ておりますと、全国紙で週一回ぐらい各種商品の利回り一覧表を掲げておる、そういう新聞も目につくようでございます。これはしょせん利用者のニーズに対応していかに情報を提供するかという問題ではなかろうかと思いますが、各金融機関が利用者にわかりやすい形で情報提供を実施していくために一層努力すべきであると思いますし、そのほか、これはまだ流通部数は限られておヶますけれども……(日笠委員「それは日銀に聞くからいいですよ」と呼ぶ)日銀もお出しになっていますし、大蔵省銀行局でささやかなパンフレットをつくっておるものもございます。  さらに、このような問題について今後何か取り組むいい考え方があるかどうか、これについては、私どもも作業部会のようなものである程度意見交換をしていただこうかと考えておるところでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 今銀行局長は、一週間に一遍、主な金利ということで新聞なんかにも載っておるとおっしゃいましたが、これは二十項目しか載っていませんよ。百八つのうち二十項目ですよ。二割ほどですから、そんな、あとの八割も情報がないということですから、余りそう、これがあるからというわけにいきませんですね。  そこで、またこれは貯蓄広報中央委員会の平成三年度版の世論調査によりますと、例えば、自由金利定期預金へ預入しない理由はどうしてですか、こういう問いに対して、最低預入金額が三百万に引き下げられたとしても、なお金額が大き過ぎるから、だからできませんというのが四九・一%、半分ですね、もちろん重複回答ですが。自由金利定期預金の商品内容がわからないからしないというのが三四%ございます。このように、やはり情報不足ということが、お金もないということもあるが、情報不足ということもあるのではないかと思います。  そこで、きょうは日銀の方からお忙しいところお越しいただきまして、先ほど各委員のもとに貯蓄広報中央委員会の「貯蓄ガイド 一九九二年版」と。「ライフデザインガイド」という小冊子をお持ちいただきました。これを見まして、なかなかよく書けているなと、まず敬意を表します。が、しかし、もう少しわかりやすく、もう少し広範囲な情報提供ということもぜひお願いしたいな、きょうは来ていただいて要望するのも大変失礼かと思いますが、かようにも思っているわけですね。いかがでございましょうか。今後さらに金融商品が多様化になって、いろいろなものが出てくるであろう。もちろん自然淘汰で消えていくものも当然出てきますよね。それらを踏まえて、適切に迅速に、さらに充実して、広範囲な情報を提供するということについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

高向巌日本銀行情報サービス局長

○高向参考人 ただいま貯蓄広報中央委員会の資料につきまして先生から御評価をいただきまして、まことにありがとうございます。貯蓄広報中央委員会は、昭和二十七年に貯蓄増強中央委員会という名前で発足しまして、その後、昭和六十三年に現在の貯蓄広報中央委員会という名前に変わったわけでございます。これは一応、日本銀行とは別組織の民間の組織でございますけれども、事務局を日本銀行が受け持っているということでございます。  この委員会の行っております仕事は、広く国民に貯蓄の重要性について理解を深めてもらうということでございますが、具体的な事業といたしましては、金融経済情報のサービス、それから生活設計の勧め、金銭教育の普及といったところにございます。ただいまお話のございました「貯蓄ガイド」と「ライフデザインガイド」は、いずれも貯蓄広報中央委員会のつくった資料でございます。特に「ライフデザインガイド」は、ことしの三月につくったばかりでございますけれども、多重債務問題、あるいは個人破産の問題に対応しまして、青年層を対象に、生活設計とか金銭教育といったものを訴えているわけでございます。先生からお話のございました、もっとわかりやすく広範囲にこういう活動をすべきではないかという点につきましては、まことにごもっともでございまして、私どもこれからもっともっとこういう活動を充実拡大していきたいと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そこでさらに要望があるのですが、これはちょっと通告といいますか、事前にお話ししてないのですが、金融商品でも、安全性とか流動性とか収益性もありますけれども、しかし最近は、自然環境であるとか、国民の皆さんの認識が非常に深まっておりますね。そこで、例えば滋賀銀行が地元の琵琶湖の浄化運動を支援する愛のみずうみ口座というものを創設して、預金者は税引き後の受取利息の三%を財団法人国際湖沼環境委員会の基金に振り込む、こういう制度をつくっておるというふうなことで、ほかの銀行も多々あるようでございますけれども、できればそういうものも踏まえたガイドブックといいましょうか、小冊子といいましょうか、ぜひお願いしたいな、こう思いますが、この点いかがですか。

高向巌日本銀行情報サービス局長

○高向参考人 貯蓄広報中央委員会は、金銭教育の中で物やお金を大切にするという運動も展開しております。当然その中には資源、環境問題も入ってまいりますので、この問題につきましては、いつも私どもの念頭にあるわけでございます。  先生御指摘の点につきましては、どの小冊子の中でどのように取り扱うかという問題はちょっとございますけれども、検討させていただきたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 じゃ、御退席していただいて結構でございます。  そこで、三つの大きなメリットの中の金融商品の多様化について今議論しているわけですが、金融制度調査会の答申の「付論」の八十一ページのところにも、このように書いております。「この結果、利用者に対しても、各種手数料の引下げ、預金金利の引上げ、貸出金利の引下げあるいはサービス内容の向上等という形で、利益の還元が進むこととなると考えられる。」先ほど言いましたように、バラ色一色で、こんなにいいものをなぜ今までほっておいたのか、即この金融改革法案は通すべきである、これが本当ならこのようにも言えるのです。ただ、実効性がどう担保されるのか、この辺が難しいところです。  ただし、最後になってきたらそうでもないのです。要は、そういうふうに幅広い選択肢が与えられるけれども、自己責任原則のもとでやれと、何かわっと二階へ上げておいて、さっとはしごを取るような書き方ですね。だから、この辺がさすが芥川賞受賞候補というのですけれども、そういうことで、それはそれとして、自己責任は当然でございますが、手数料は引き下げられて、預入金利は上がって、貸出金利は下がって、こういうようなことが本当にできるのかどうか、実効性はどう担保していくおつもりなのか、概略的なお答えしかできないかと思いますが、お聞かせ願いたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 やや間遠なお答えになるかと思うのでございますが、一般的な金融自由化、なかんずく預金金利の自由化その他でねらっておりますメリットというものは、一つには預金者間の公平、もう一つには金融サービスの向上、もう一つには国際化の観点、大体三つで説明をしております。  この金融サービスの向上というのは競争によってもたらされていく、それが全体に金融機関の経営を効率化する、そしてその具体的な成果がサービスの向上というふうになってまいるわけでございます。  ただし、これは御案内のように、金融機関は預金者に対するサービスといたしましては、預金金利を支払う必要がございます。それから貸出先に対するサービスとしては、貸出金利をなるべく低目に抑える、そういうところで競争するということでございますが、その両者の間におのずから一定のマージン産生み出しまして、そのマージンによって経営を支え、また、民間機関でございますから、しかるべき利益を生み、株主にも配当しなければいけない、こういうことでございます。したがいまして、確かに、預金金利を引き上げ、貸出金利を引き下げ、手数料を引き下げるといっても、それは無限定なものではあり得ないわけでありまして、その金融機関の経営が可能である範囲内においてマージンを圧縮する、そういうところで努力するということになろうかと思います。  ところで、そのようなマージンを圧縮いたしまして、したがって、それは利益を圧縮する要因になるわけでございますが、これは片一方で、その金融機関の経営に一つの負担となり、中小金融機関その他の経営環境を一層厳しくする、そういう要因もございますので、そこは私どもは、信用秩序の維持、それから金融機関経営の健全性に十分配意してまいらなければいけない、そういうことになりますし、そのためのいろいろな制度の仕組みの工夫を含めて環境整備を図ってまいる必要があるわけでございます。  したがいまして、預金者の立場からのサービスの向上の要求と借り手の立場からするところのサービスの向上の要求を二つながら満たすにはどのようにしたらいいか。これは恐らく、我々指導監督する立場から、このようにせよということを指示することができるものではございませんので、やはり個別の金融機関が創意工夫を凝らしながら、よそとの競争に負けず、かつ、みずからの健全経営を確保できる範囲内で工夫してやってもらうしかない、そのように考えております。ただし、それは決して効果が少ないということではございませんで、預金金利の自由化が進みましてから、その金利は規制金利時代に比べて全般的に上がる傾向にある、高とまりする傾向にあるということはよく御承知のとおりでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 何か、風が吹けばおけ屋がもうかるような話になってきまして、本当に実効性が担保されるのかどうかということはいま一不明なんですが、ぜひひとつこの金融制度の改革は、あくまでも、先ほどから私が何遍も申し上げておりますように、生活者、一般国民、額に汗を流して働く人たちにとってメリットがあるようなものに仕上げていくように、政省令もございますし、諸規制、諸慣行の緩和ということもありますので、そういう方向で大いに努力をお願いしたい。あくまでも利用者の利便向上、利用者とは国民である、額に汗を流す人である、生活者である、消費者である、こういう点での制度改革であることを強く望み、また、その実効性が担保されるように強く強く要請する次第でございます。  それでは、続きまして、法案の内容に若干入っていきたいと思います。  午前中の審議でも附則十九条の件で御質問がありましたけれども、私はもうちょっと詰めて具体的にお聞きしたいと思います。  ある銀行が証券子会社を設立しました。そして、その証券子会社がある証券会社を救済の目的でも何でも結構ですが合併しました。この場合のブローカー業務というのはできるのでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 お尋ねのケースの場合には、まず、既に証券子会社が存在するわけでございますから、証券会社が証券会社を合併するというケースになるわけでございます。したがいまして、これは証券取引法上、大蔵大臣の認可が必要な行為でございます。そういう合併は、仮に銀行が証券子会社を新設する場合には、これはブローカー業務は原則として認められませんので、そういうものの脱法的な行為として行われるということであれば、これはやはり認可をするわけにはいかないというふうに思います。我々としては、政策として、新設の銀行の証券子会社に対しては、当分の間ブローカー免許を認めないということをはっきりして、それを附則に書いてあるわけでございますから、明らかにそれを脱法するような格好の合併を認めるということは非常に困難である、難しいというふうに言えると思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 その脱法行為であるかないかは、だれが見きわめられるのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 それは、その合併の申請が出てまいったときに我々がケース・バイ・ケースで判断するわけでございますが、先ほどお尋ねがありました、例えば相手方が破綻を来している、それで倒産に瀕しているというような場合は、午前中も申し上げましたけれども、そういう場合についてどう考えるかというのは、ケース・バイ・ケースで見て、そのときの投資家保護というものはどういうふうに図られるかというようなことも考慮に入れなければならないという感じはいたします。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そういう認可を免許制ですからおろすわけですから、そういう附則十九条のこの場合の認可基準というものをつくらないと恣意的になってしまうのではないか。今度の金融制度改革について、一部の人かもしれませんけれども、結局これは大蔵省の行政裁量の拡大ではないのか、不透明感がさらに増すのではないかと言う学者さんもいるわけです。そういうふうな非難に答え切れないのじゃないか。例えば、危機に瀕している証券会社が、合併される方ですね、自己資本比率が何%ならこれは厳しいだろうから、合併した場合は認めるとか認めないとか、何かそういう基準というものを明確にこれから考えるということなんでしょうか、それとも個別の出てきたたびごとの審査というのでしょうか、どちらでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 証券会社の財務面で問題が起こって経営が危機。になるというような場合には、通常の場合には当然証取法五十四条に基づきます是正命令というのが発せられている場合が基本であろうと思うわけです。つまり、証券会社が今御指摘にありました自己資本規制比率を守れないというような形で財務体質が非常に悪化してきたという場合には、まず五十四条の是正命令の対象になるわけでございまして、その五十四条の是正命令というのが一つの大きな前提になるのじゃないかというふうに考えます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そうすると、だんだんわかってくるわけです。五十四条の是正命令の証券会社がもし吸収合併されるようなときには、ブローカー業務も、もちろんイエスかノーかというのは、またほかの要素もたくさんあるでしょうけれども、そういうメルクマールを何カ所というか何個か示していくということが公正、透明な、外国からも非難されないような、まさに国際的な一つの許可基準、運用基準というのかもしれませんが、私はなると思うのです。ですから、この附則十九条を読めば、何かやってもいいような悪いような、当分認めるような認めないような感じを受けないこともないわけなんで、そういう明確な基準、最後にその他というのをつくっておけばいいわけですから、逃げられるわけですから、まあ何カ所か、まずこの法案が通るときには明確にしてもらいたいな、かように思うわけでございます。  それからもう一点、ブローカー業務もそうでございますが、将来認めるか認めないかというような問題、証券子会社の場合ですね。それから信託業務の範囲ですね。信託子会社の場合は、貸付信託とか年金信託等の金銭の信託等の一部を除く、こうあるわけですが、こういうふうに業務範囲を狭めてまずスタート、こういうふうになるわけです、証券子会社も信託子会社も。これもある学者がおっしゃるのは、そうなってきますと、何年後なら何年後というふうに明確に指摘をしないと将来ビジョンがお互いに描かれないじゃないか、つくる方も出てこられる方も。それがないと政策的には不十分なんだ、経済政策としては不十分なんだ、こういうふうに指摘をされておる学者さんもいるし、私も一面これはうなずけるわけです。いわゆる実施時期、信託業務はいつになったら段階的にここまで拡大しますよ、ブローカー業務もいつごろまでには認めますよ、こういうものがあればお互いに将来ビジョンが描かれるんだ、それがない経済政策は不十分だ、こういうふうな批判がございますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。これは証券局長と銀行局長、両方お答え願わなきゃいけないでしょう。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 私の方からは、信託銀行子会社の業務範囲についての将来展望、殊に時期的にそういう将来展望を示せるかというお尋ねについて申し上げます。  実は、業態別子会社方式を採用したのはなぜかということにも関係するわけでございますが、これは金融機関の間の競争条件の公平性の確保に配慮する必要があるということも一つの大きな理由になっております。それで、ただいま話題になりました信託銀行子会社につきまして、その業務範囲は法制上はすべての業務とすべきであるというふうに答申でされておりまして、これを受けて今回の法律案で幅広く規定の整備をしておるわけでございますが、当初は、ただいま申しましたような競争条件の公平性の確保などに配慮する必要があるということから、具体的に答申では、貸付信託、年金信託等の金銭の信託等の一部及び不動産売買、貸借の媒介に係る業務を除くこととするとされております。この方向性を踏まえた上で、当初の業務範囲の細部について今後確定をしてまいりたいと考えております。  これを時期的に申しますと、当初は割合制限的なところから始まりまして、その後「段階的に拡大していき、できるだけ早期に各業法により認められる全ての業務とすべきである。」という考え方は、この答申にも示されているところでございます。それを踏まえて、信託銀行子会社の業務範囲をいろいろと研究するに当たりましては、一般論としては業務運営の状況とか競争条件の公平性の確保とか金融を取り巻く環境の変化を見定めて対応してまいりたいと思うのでございますが、その中でさらにかみ砕いて申しますと、一つはいわゆる審査基準のようなもの、これは研究をして早目に考え方を示すようにできればいいなと思っております。  その際の着眼点としましては、一つは、母体となる金融機関の体力の問題がございます。元来、信託というのは昔から収益性に乏しいということが言われております。これはやや理念的省言い方でございますが、そもそも信託なるものが、委託を受けた者、受託者がその財産の権利者となるものではありますけれども、その管理、処分によって自分が利益することはできない、その利益は挙げてこれを他人、つまり受益者に帰せしめることを必要とする、これが信託の関係であると言われておりますので、一般的に信託業務は収益性に乏しいと考えられます。  それから第二に、実際にやろうとするものの能力の問題がございまして、これは比較的専門的な業務でございますので、いろいろな資格を備えた者が何人おるかとか、経験者は何人おるかとか、そのようなことはどうしても一つ重要な着眼点になります。  さらに三番目に、土地柄、地盤、ニーズ、そういうようなものから考えて、やろうとするもののニーズにこたえる状況がどのくらいできておるか、この地盤の問題というのもあるかと思うのでございます。このようなことも着眼点としまして審査基準的な物の考え方を組み立てていきたいと思っております。  それからもう一つは、競争条件の公平性の確保から出てくる考え方でございますが、他の業態でもそれぞれ業務は変化していき、多様化していくわけでございますが、それの全般的なすり合わせ、広がり方のスピード、相互関係、そういうようなものも、相互参入でございますから、一つの重要な着眼点になると思うのでございます。  そのような考え方からしまして、まず時期ありきと申しますか、まず何年目にこうするというようなことを特定してそれから議論を進めるのではなくて、今申し上げましたような実態的な研究の手がかりを早目に生み出していって、そしてそれぞれの意欲あるものに対して参入への一つの判断材料を与えるようにしたい、その方が適切なやり方ではないかと考えております。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 株式のブローカー業務を銀行の証券子会社に禁止しておりますのは、一つは親銀行が大量に株を持っているというものとブローカー業務との関係、それからもう一つは中小証券会社の経営に与える影響、こういうことでございます。したがいまして、最初の親子関係、これはファイアウォール、弊害防止措置をいろいろ講ずるわけでございますけれども、そういったものが有効に働くかどうか、実際の銀行の証券子会社の業務の実態がどうかというのを見たいという問題、それから中小証券会社の経営状況がどうなるかというようなことを勘案して、ブローカー業務をいつ認めるかということを判断せざるを得ないというふうに思うわけでございまして、どうも今の時点でそれについて明確な期間を決めるということはなかなか難しいというふうに考えるわけでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 次に、ファイアウォールの非常に細かいところなのですが、前回もやりましたけれども、ちょっと、勉強すればするほど気になるところでございますから、一、二お伺いをしたいと思います。  まず、名は体をあらわすというのですね。名前はやはりその実体をあらわすというわけでございますので、証券子会社の、特に銀行の証券子会社の場合の名前、これは私も非常に興味があるのですね、名は体をあらわすということから見ても。例えば、もし住友銀行が証券子会社をつくるなら、住友証券というのはどうなのか、もしそれがだめというなら住銀証券というのはどうなのとか、例えば、私は中国地方ですから、広島銀行は広銀証券、中国銀行は中銀証券、鳥取銀行は為銀証券、山陰合同銀行は合銀証券、山口銀行は山銀証券とか、銀という字がつくのですね。銀証垣根をこの際低くするのですから非常にいいのかなというような気もしますが、もしそういうふうな名前で申請してさた場合は、これは一体どうなるのでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 まだそういう非常に細かい問題まで詳細に検討しているわけではございません。  ただ、外国の銀行の証券子会社が日本に支店を持っております。これにつきましては、例えばドイツ銀行の証券支店はドイツ銀証券東京支店、こういう名前を使って、銀という字をつけております。しかし、これは外国の銀行の場合ですとそれほど問題はないと思うわけです。日本の場合に、今例示されました例えば住友証券というのであれば、これは銀という言葉は使っておりません。それは銀行がどうかというのは明らかになるわけでございますけれども、例えばドイツ銀証券と同じような使い方で住友銀証券という名称を認めるかどうかという点につきましては、これはなかなかそこまでどうかなという感じは率直にはしております。それでは住銀証券ならどうか、この辺になりますと、何ともまだお答えを申し上げる準備がないわけでございます。  いずれにいたしましても、これは第一義的には各社が判断することでございますが、要はやはり証券子会社と銀行が一体であるという誤解をなるべく与えないということが必要だろうと思うわけでして、いろいろこれから検討してまいりたいというふうに思っております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そこで、これは昨年七月のエコノミストの臨時増刊号なのですけれども、こういう例が出ているのですね。これは今後認められるのかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。  これは名前室言ってしまってもいいかな、これはもう出ているから言いますけれども、「山形銀行の支店内にA証券のデスクがあって、A証券のセキュリティー・レディースがいる。そこにA証券の山形支店から一週間に一日主任さんが回ってきて相談にのってくれる。」銀行の中に全然別会社の証券会社のセキュリティーレディーがいて、また一週間に一遍は主任さんが山形支店から来て相談にのってくれる。これはどうなるのですか。いいのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 私ども、その弊害防止措置の中の一つに、店舗の共用というのをやはり規制するという考え方をとっております。具体的に、今御指摘のありましたのがどういう実態なのかというのは必ずしもよくわかりません。その支店内で、注文を受けているということはないだろうとは思うわけでございますけれども、営業をやっているのかどうかという問題はあるわけでございまして、銀行の店舗の中で証券会社が営業を行うということは店舗の共用になるわけですから、そういうことは好ましくないというふうに考えます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そうすると、営業じゃなくて、相談を受ける相談業務ならどうなるのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 相談業務も中身によるわけでございまして、証券投資のための直接の相談行為であれば、これはブローカー業務の付随業務みたいなものになるわけでございます。  証券会社の業務は、証券に直接関係する業務以外にも、それに関連する業務というのは兼業承認でいろいろ認めております。したがいまして、何をやるかということが、やはりその相談業務の中身いかんによるわけでございますけれども、基本的には好ましくないというふうに考えたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 実は、これは当時の自民党金融問題調査会会長、近藤労働大臣のインタビュー記事なのですよ。どうですか、一遍また、審議日数はあるのですから確認してみてくれませんか。山形銀行の山形支店でA証券のデスクがあってセキュリティーレディーがいて、一週間に一遍主任さんが回ってきて相談に乗っているという実態、どういう実態にあるかということ。それから、これが今後のファイアウォールか何かで許されるのかどうかということ。これは銀行局長でしょうね、だって山形銀行の中にあるのですから。実態調査してくれますか、後ほど、後日でいいですから、銀行局。――証券局が銀行局のことを言ってしまうのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 銀行の中で証券業務をやっているという問題でございますので、銀行局とも協力して、ではちょっと事実を調べてみたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 また、木を見て森を見ないになってしまうので、この辺でファイアウォールの件はやめておきますが、しかしそういう瑣末な議論が恐らくこれから噴き出てくると思うのですね。その点についてはきちっとした明確な基準を出して、これはいいけれどもこれはだめよという恣意的なものではいかぬという意味で申し上げているわけでございますので、事前にきちっとしたそういう運用の基準というものをはっきりとさしてもらいたい、そういう意味で、瑣末な問題でも取り上げているということを御理解いただきたいと思います。  それから、突然また今度は観点が変わってくるのですが、今度の金融改革法案の中に、健全性ということがうたわれておりますね。銀行の健全・性、局長あと二、三分しかないからひとつ簡単にお答えいただぎたいのですが、健全性はいわゆる努力目標ですね。これが達成されないからといって罰則はないのですね。まずその点だけ簡単にお答えください。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行法第一条で、「銀行の業務の公共性にかんがみこということで、いろいろと銀行、金融サービスに対する法律上の要請を述べておりますときに、その手段として「銀行の業務の健全かつ適切な運営を期しこと書かれてございます。結局金融行政ではございますが、その中の非常に大きな部分は金融機関行政であり、金融機関を良質なものとし、それを通じて金融サービスを良質なものとする、そういう考え方が非常に重要な行政の部分をなしておるものと私どもは考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 だから、努力目標で罰則はないのですねということです。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 それぞれの銀行の経営の結果に出てくる問題であると考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そこで、この健全性の努力目標を達成することは大変いいことなのでしょう、そのために法律に盛り込まれるわけですので。  私が一つ提案しておきたいのは、実は預金保険機構のまず詳しい概略説明をお願いしようと思ったのですが、時間もありません。もう皆さんの方が預金保険機構とは何ぞやということをよく知っておられるわけですので、申し上げたいことは、この銀行の健全性の推進のために、例えば経営の健全度に応じて預金保険機構の保険料率に格差をつける、これも一つのこの法律に盛り込まれた健全性の達成に大きく貢献するのではないか。今日本の場合に、預金保険機構の保険料は一律ですね。それをアメリカは今後そういう方向でいこうということで、FDIC、連邦預金保険公社が理事会で検討しておる、こう言われますが、日本においても預金保険機構の保険料率に、銀行の健全度に応じて、どういう内容にするかはこれは別でございますが、要はこの法律に盛り込まれた健全性の努力目標を達成すれば、またそれ以上に努力すれば預金保険機構の保険料率が少しでも下がるのだ、こういうことでの促進に私はなると思うのです。ただ法律に盛り込まれて、頑張れ頑張れではなくて、それ相応の達成をすればメリットがある、こういうものにしていくべきではないかな。結論的にきょうお答えは出ないかもしれませんが、検討課題にはなるのではなかろうか、かように思いますので、最後にこのことをお聞きしたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 はしょりまして恐縮でございますが、ごく一般論的に申せば、検討課題に値する問題ではございますし、現にアメリカの連邦預金保険公社はリスク度に応じた預金保険料率の組み立て方を研究しているようでございますのでございますが、我が国の現実に照らしますと、一つは技術的な問題、もう一つはいわば世間に与える問題、いろいろ考えなければいけません。  ただ、もう一つだけつけ加えさせていただきますと、現在のところ、日本の保険料率は〇・〇一二%でございます。それに対しましてアメリカの預金保険料率は百ドル当たり一律二十三セント、〇・二三%、これがさらに引き上げられるという議決もされたような話も仄聞しておりますが、日本よりもはるかに高い保険料率である。それまで高い負担を求めるときにはいろいろと芸の細かい工夫が必要になってくるということもあるだろう、日本はその域にはまだ達してないのではないかというふうに率直に考えております。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 では、ひとつ検討するということで、私の質問を終わります。ありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 それでは、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に大蔵当局に伺いたいと思いますが、私の理解しているところでは、今度のこの改革の基本的な考えは、まず第一に、本体において相互にできる仕事の範囲を拡大する、第二番目には、基本的には子会社をつくって相互の業務に参入する、それから第三番目には、銀行なら証券の、証券なら銀行の合併といいますかそういう条件を緩和し整備する、こういう三つの操作を複雑かつ精密に行使して、そして、他国のユニバーサルバンキングみたいにはなりませんが、それに近い効果を漸進的に上げていこうというような構成になっているのではないかと、読ませていただいて理解したのですが、大体そういうことですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 本体方式、子会社方式を組み合わせる、大体において御指摘のとおりでございます。合併というよりも、むしろ転換の場合などがいい例かもしれませんが、自分の経営の路線についての選択の範囲を広げる、これも御指摘のとおりの考え方であると思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 そこで、公正取引委員会に来ていただいておりますが、来ておられますか。――今度は、例えば銀行本体が証券子会社をつくるという場合に、当初案の一〇〇%ではございませんが、五〇%以上ということでつくることができるようになっているわけであります。それについて、今まで独占禁止法では、銀行は五%以上の株式は持てないというようになっていたはずであります。そして、例外的に公取の認可を得れば、たしか一〇〇%子会社を持つことができるようになっておりますが、その場合でも、公取委員会が認可するのは一〇〇%子会社で、本体でできる業務を分離するような場合に限られるというように原則としてなっていたのではないですか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 御指摘の問題は、独占禁止法第十一条で、金融機関は五%を超えた株式を持ってはならない、ただし、公正取引委員会があらかじめ認可をする場合はこの限りではないということでございます。  それで、過去の認可の事例を見てみますと、委員御指摘のように、例えば銀行が自分の業務に従属するような業務をするために一〇〇%子会社をつくるといった場合にこれを認可するという事例が非常に多くございます。そういう意味で、結果的にこれまで認可したものが一〇〇%の場合がほとんどであるという点ではおっしゃるとおりでございます。  ただしこれは、一〇〇%でなければ認可ができないとか五〇%超は認可をしてはならないとかそういったものではございませんで、要すれば、独占禁止法の本来の趣旨から考えまして、特段問題はない、あるいはむしろ競争促進になるといったように評価できるものについては、個別事案ごとに公正取引委員会が厳正に審査をした上で、認められるべきものは認可をするということになろうかと思っております。

正森成二日本共産党

○正森委員 今の答弁は、私の質問に実際上は半分だけ答えたわけで、私は、一〇〇%子会社か五〇%以上かというところに重点を置いたのではないのです。そうではなしに、つまり、これまで五%条項を超えて認可を受けて許可される場合には、自分の本来の業務をその子会社がする場合が大体中心で、限られていたのじゃないか。例えば銀行の場合だったら、資金を回収するための会社とかそういうものを一〇〇%出資でやるというようなことであって、きょう初めに銀行局長が答えましたが、この法案は本来証券や銀行というものは別業種であるという基本は維持して、それで子会社で参入するということになっているのでしょう。だから、法の建前は明白に、自分の業務の範囲でないということになっているのです。そこに対して五〇%以上株式を持って参入するということになれば、これは独禁法の十一条に明白に違反することになるし、これまでの公取の扱いから見ても、極めて異例のことになるのじゃないですか。  あなたは今の答弁の中で、競争的な行為を促進するというように言われましたが、それは確かにそうであります。そうなる場合もあればならぬ場合もありますが、少なくとも銀行が証券子会社をつくる、一説によると、とことこが四大証券に匹敵する第五番目のをつくる可能性があるなんて出ていますが、それは別にしましても、少なくとも幾つかの証券会社ができて競争が活発化するという面もあるでしょう。しかし同時に、独占禁止法の精神は競争を促進するといいますか、第八条「禁止行為」、それだけでなしに第九条以下、第九条では「持株会社の禁止」が決められております。第九条の二では「大規模事業会社の株式保有の総額規制」というのが書いてあります。第十条は、その他の「会社の株式保有の制限」ですね。そして第十一条に「金融会社の株式保有の制限」があります。これは、なぜこういう規定が設けられているかといえば、第九条で総括的に書いてあるのですけれども、「国内の会社の事業活動を支配する」そういうことを避けるために第九条から十一条などが設けられているのですね。ですから、競争的な条件を創出することと支配するという二つの面を独禁法は禁止、制限しているのですね。  そういう点からいえば、今度の金融・証券の改正案というのは、俗に言えば平重盛の心境で、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、あちらを立てればこちらは立たずということになるのじゃないですか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 公正取引委員会がこれまで認可をしてきました十一条のケースについて御紹介申し上げますと、確かにおっしゃるとおり、銀行の固有業務に従属する業務を行うために、例えば不動産の管理会社をつくるとかコンピューター会社をつくるといったときに、その会社の株式を一〇〇%持つ場合、これを認可してきたというケースが非常に多うございます。もちろんそれだけではございませんで、例えば、外国の金融機関が日本のマーケットに進出する際に日本法人をつくるといったケースについて認可した事例もございます。それからまた、業績不振会社を金融機関が救済するという観点から、株式を五%を超えて持つ場合もございました。それはいろいろございます。その都度独占禁止法の趣旨、目的に照らして、適当かどうかという観点で厳正に審査をした上で、認可をすべきものは認可してきたということでございます。  今委員の方でおっしゃいました独占禁止法の趣旨ということで、一方で競争促進をするという点、他方で他の事業者を支配するという点、これが二律背反的とおっしゃっておられるわけでございますけれども、私どもも、当然のことながら、そういったことを十分意識した上でこの法律の運用をしていかなければいけないと考えております。  ただいま御審議いただいているようなケースについて、まだ公正取引委員会としていろいろなケースを想定しているわけではございませんから、あくまでも一般論でしか申し上げようがございませんが、例えば銀行なら銀行が新規に証券業を営むような子会社をつくる、その場合に、株式を五〇%を超えて持つといった場合であるなら、これは一方で競争促進的な効果というものも多分に認められると思いますし、それからまた、他の会社を支配する、不当に事業活動を拘束するあるいは排除するというような関係等は考えがたいという面もあろうかと思いますので、こういったケースについて公正取引委員会が一つ一つチェックをした上で認可をするということはあり得ることだと思っております。

正森成二日本共産党

○正森委員 公取委員会は、今度の法律の運用基準を作成するということで、その一部は新聞紙上に出ております。その点についても、後ほど時間があれば伺いたいと思います。  しかし、銀行局長や証券局長、もちろん大蔵大臣にも聞いていただきたいのですが、事はそれほど簡単でないのじゃないですか。例えばアメリカでは、商業銀行は原則として株を持たないのですね。持っている場合でも、委託運用ということで頼まれて持っているということで、自分が支配する支配証券としては原則として持っていないのです。ところが、資料によりましても、例えば所有者別の持ち株比率の推移を見ますと、全日本の上場株式のうち金融機関が持っている株式は、平成元年で四二・三%に上っているのですね。つまり、個々の企業に対しては全体の五%以下ということになっているけれども、あっちも持ち、こっちも持ち、いろいろなものを持っているから、とうとう上場している株式の四二%まで金融機関が持っているのです。証券会社はどうかといえば、同じく平成元年で二%しか持っておりません。ですから、株式を所有して支配するという意味では、これは非常に低いわけですね。ところが、銀行の場合は四二・三%持っている。その中で、保険会社がありますから、純粋に銀行というのは恐らく三〇%前後だろうと思いますけれども、それにしても非常な額であります。ですから、圧倒的な支配力を持っているのですね。  あなた方は、独禁法で一つの企業に対しては五%以内だから支配力はないみたいに思っているかもしれませんけれども、しかし、実際の企業というのは、グループをつくり、いろいろな点で支配力を持っておりますから、あなたが考えられるようなそんなものでは実際上はないのですね。  時間の関係もありますが、ここに資料を持ってまいりましたから、若干御説明したいと思います。  例えば、銀行が非常に多数の株を持っていることは株価に対しても大きな影響力を与えているのですよ。大分昔の話になりますが、当時三菱銀行の取締役調査部長をしておられた井上薫氏が、ある雑誌、週刊東洋経済のようですが、そこで発表された座談会ではこう言っているのですね。「日本の株価形成が正常とは考えられない。欧米のように銀行が企業に対してクールに対応するような状態だと、相当悪い会社の場合、それが株価に明確に反映されるが、日本では銀行が株を持ち、事業会社同士も持ち合いをするなど特有な要因で株価が形成されている。そして業績がいいときは業績相場を買い、景気が悪くなると金融相場になる、というのはどうかなという感じだ。要するに日本の株価は銀行団が支えていると思う。」三菱銀行の取締役調査部長が「日本の株価は銀行団が支えていると思う。」こう言っているのです。いいですか。そういうのが今度証券業務をやって、アンダーライター業務をやり、ディーラー業務もやる。後で説明しますが、今はできないけれども、場合によったらブローカー業務に入るかもしらぬというようなことになれば、公正な価格形成というのは果たしてできるのかどうかという点は非常に問題だと言わざるを得ないと私は思うわけであります。  それで、こういう例があります。これもある本に載っていることですけれども、日野自動車というのは戦前からの有名な自動車メーカーですね。「日野自動車は戦前からの歴史の古い自動車メーカーであったが、メイン・バンクであった三井銀行の主導によってトヨタ自動車と提携することになった。一九六六年両社の提携交渉が成立し、翌年まずトヨタ自動車が日野自動車の株式を五〇〇万株取得し、その後買い増ししていって現在では三六〇六万株(発行株式の一〇・三%)を所有する筆頭株主になっており、会長をはじめ役員を派遣している。」あるいは「ダイハツ工業は大阪に本社をおく三輪車メーカーであったが、その後四輪車に進出し、一九六七年、メイン・バンクの三和銀行の働きかけによってトヨタ自動車と提携することになった。一九六八年、トヨタ自動車はダイハツ工業の株式を一〇〇〇万株取得したが、その後買い増しし、現在では五九七五万株(発行株式の一四・一%)を所有する筆頭株主で、会長をはじめ役員を派遣している。」こういうぐあいに言っているのです。いずれも買収したのはトヨタかもしれないけれども、それはどうだと言って話を持ちかけたのはメーンバンクの三井であり、あるいは三和銀行だ、こうなっているのです。そうしたら、そんなもの支配するも支配しないも、そういうトップクラスの情報を持っているのですから、ファイアウォールがどうしたこうしたといったって、今度はそういう会社が子会社を持ち、親密会社も持っておるということになれば、支配力というのはぐんと高まるんじゃないですか。だから、独禁法の八条の要件はある程度満たされるかもしれないけれども、九条以下の支配という点では事実上空洞化するんじゃないですか。公取が答えにくかったら銀行局長なり証券局長が答えてください。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○糸田政府委員 いろいろお話のあった点を独占禁止法の観点から申し上げますと、独占禁止法の目的というのは公正かつ自由な競争を促進するということにあるわけでございます。こういった公正かつ自由な競争を促進するためにいろいろな禁止規定を設けているわけでございまして、金融機関に対する持ち株制限もその一つでございます。これは委員御承知のように、五%を原則持ってはいかぬが、公正取引委員会が独占禁止法の本来の趣旨である公正かつ自由な競争の促進という観点から特に問題がない、あるいはむしろそれを助長するといったものについて認可することがあり得るということでもございますので、私どもそういった趣旨のもとに、今後ともこの規定を厳正に運用してまいりたいと考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 厳正に運用するといっても、現にここに抜本的な改革の法案が出されて、いろいろの政党のお考えがあるから、今国会で採決までいくかどうか、それはわからないけれども、ともかく審議が着々と進んでおるわけです。そんなもの、あなたが言うたって間に合わぬようになるかもしれませんよ。  それで銀行局長、きょうは十分あなたと話し合いたい――話し合いたいと言ったらおかしいけれども、議論したいと思って楽しみにしてきたのです、大蔵大臣はもちろんですが。そういうような状況で、今日本で株価が暴落したらだれが最も困りますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 多分お尋ねの趣旨は銀行だ、こういうことだろうと思います。もちろん株が下落すれば投資家全体が困るわけではございますけれども、確かに機関投資家、株式の保有シェアからいいますと、日本の場合には法人、金融機関がシェアが高いということは事実でございます。したがいまして、暴落した場合の影響も大きいということは言えると思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 いたし方なしにというと失礼ですけれども、事実の前には勝てないで認めたと思うのです。それはそうですよ、シェアが四二・三%あるんだから。個人株主だって随分損害を受けるけれども、全体として銀行が一番損害を受けるのは明らかですね。  それは別の観点からいろいろ機能的に考えてもそうなんです。例えば、ここに新聞その他の資料を持ってまいりましたが、「日経平均が一万七千円まで下落したことで、都銀、長期信用銀行十四行の有価証券含み益は十兆円程度に落ち込んだとみられる。八九年九月中間期末には五十兆六千五百億円にのぼっていたのが、五分の一になったことは、不良債権の処理を進めるうえでも、足カゼになる。」云々という記事があるのですね。つまり、八九年九月の中間期末には五十兆からの膨大な含み益があって、BIS規制なんというのは、何がというような強気ですよ。それが株価が順次下落していって、例えば平均株価が二万三千九百十六円だった昨年九月末には、都銀だけですが、上場有価証券含み益は十八兆八千二百九十九億円に下がり、東証株価平均が一万九千三百四十五円と二万円を割ったことから、今度は十一兆五千億円程度と大幅に縮小になった。今は一万八千円余りですから、これより低くなっていることは明らかで、名前は申しませんが、このごろ花の名前に銀行名が変わったところなんかは、BIS規制がクリアできないということで劣後株を一千億円発行するとかしないとかということになっているのでしょう。だから、株価が下がるということは、自分の経営にとっても重大な関係があるのです。  それだけではないのです。自分のところが貸し込んでいる企業が非常に業績が悪くなった場合には、その企業が持っている保有株式を売却させることによって利益を生み出して、それで債権を回収するということを今までやってきたのです。だから、それでも株価が下がれば銀行としては経営上非常にぐあいが悪いことになる。そして、日本の法人が株式の持ち合いをやっているというのは私もこの間申しましたが、株式の持ち合いをやっている中で浮動株が非常に少なくなって、少し買いが入ると株価が上昇する、それで高株価経営でエクイティーファイナンスをやるというような中で、これはある意味ではそんなことをやれば銀行から金を借りる人がいなくなるので、銀行と対立するのではないかというような話もありましたが、実際上はそういうこともなくて、いろいろなところが証券市場に財テクその他で投機的に参入して、お互いに我が世の春を謳歌して、その結果バブルがはじけていろいろな不祥事が起こったのは御承知のとおりであります。  そうすると、株価が下がれば得することはまずない。日本で最も株価上昇によって利益を受ける、企業に対する支配力も問題にならないくらい大きいというところが証券業務に全面的に参入して、アンダーライターからディーラーから将来はブローカー業務にも進出し得るということになれば、これは銀行が全体として経済を完全に支配してしまうということになるのじゃないですか。金融の自由化といいますけれども、その引きかえに、まさに一部金融機関による経済の支配という代価を払う。だから、公取、独禁法の八条はどうか知りませんが、九条以下は事実上骨抜きになるという代価を払うことになるのじゃないですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 私どもの方からお答え申し上げるのが適当かどうかという問題はございますが、最前からの御高説を拝聴いたしまして、多少御説明を申し上げたいと思っております。  一つは、銀行が株式を保有しておりますが、この現実をどう理解するかというところから問題が始まると思うのでございます。最初にアメリカの銀行の例を引かれました。ここのところはアメリカ、日本、それから例えばドイツなどのヨーロッパ、それぞれ国情を異にするということであろうと思います。日本は明治以後銀行制度を採用いたしましたが、その中ではかなり殖産興業的な意味での役割も期待されておりましたので、株式の保有ということは当然視されておりました。いわば日本では純粋な意味の商業銀行はなかなかなかったわけでございます。その結果が今日に至っております。  そこで、これは一つには、企業との関係では、例えば企業を支配するメーンバンク的な機能を生むことになります。これについてプラス・マイナス両面があるということは恐らく世間で言われておるところだろうと思います。このプラス面はまた他日御説明申し上げる点もあると思いますが、マイナス面につきまして、そのような弊害がないかどうか、これにつきましては公正取引委員会でも毎年、例えば我が国の六大企業集団の動向というようなものを定期的にトレースをされまして、その六大企業集団のいわば経済全体の中におけるプレゼンスが大きくなっておるか小さくなっておるか、そういうことを監視しておられると思っております。  それから、企業集団の中におけるないしは企業界全般の中における銀行の地位ということでございますが、これにつきましては御議論のあるところでございましょうけれども、一時代前に比べますと「銀行をはじめとする金融機関と企業との間の関係に変化が生じてきている。」という金融制度調査会の中間報告の指摘もありまして、「大企業等においては、資本市場の拡大、財務活動の多様化、国際化等により、資金の調達・運用両面において自由度が増してきている。更に、各業態の垣根を越え、金融機関相互間の競争が活発に行われており、現在では、銀行が、企業に対し、支配的地位を有しているとの見方は必ずしも妥当でないと考えられる。」という記述もございます。これが現状であろうと思います。  そこでその次に、今度の改革がこれに対してどのような影響を及ぼすかということでございますけれども、実は親と子が連合して行動を起こし、銀行業務、証券業務両方を統合していろいろな影響力を行使することによる弊害を避けるという意味で、これはきょうの午前中にも申し上げたわけでございますが、いろいろな仕組みを考えましたときに、例えばユニバーサルバンクとかないしは特例方式とか、そういうものを採用しなかったわけでございます。それからさらに、例えば大口信用供与規制につきましても、親と子を合算したところでその規制を適用するという仕組みをつくりますとか、そのほか弊害防止措置を考えておるわけでございます。  証券市場の問題につきましては私が御答弁を申し上げる限りではございませんが、金融制度の関係では、少なくとも現状以上にその巨大銀行の支配力を強めるということにはなっておらないということを私の立場から申し上げたいと存じます。

正森成二日本共産党

○正森委員 銀行局長としてはそう言わなしょうがないよな。この法律で今までより以上に支配力が強くなると信じておりますなんと言うたら、銀行局長やめんならぬからな。しかし、我々が公平に見れば、そう銀行局長のような楽観主義はとれないということは指摘しなきゃならないと思うのですね、大蔵大臣。  そして、三月十三日のある新聞ですが、「親子会社間の関係を制限するファイアウォールについては、大蔵省が①親子会社間の人事交流②店舗設備、顧客情報システムの共用――などについて政省令の形で規定するため、公取委としては同省の調整作業を注視していくとの立場でいる。ただ、親企業のもつ個人・信用情報を子会社が自由に利用できれば、独禁法上の不公正取引を誘発しかねないとの指摘もあり、大蔵省の調整過程で独禁法上の問題点を指摘することも予想される。」こういう記事が載っているのです、日経新聞ですけれどもね。  しかし、先日からの同僚委員の質問によると、例えばきょうもありましたけれども、同じ店舗の中で机を並べてやるというようなことはいかぬけれども、一階と二階なら構わぬということを日笠委員の質問に対して言われましたね。コンピューターを共用することも、ファイアウォールが行われればようしいというようなことを言われましたが、信用情報などをコンピューターにぶち込んで、そんなもの、元のコンピューターなんというのは幾つもあるのじゃないわけですから、そんなところへぶち込んでいるものを、情報を取り出す出口だけが別だといって、こっちに入れたものはこっちには絶対出てこないというようなものをつくれるかといえば、そんなものつくれるなんて思う人は必ずしもないのじゃないですか。  だから、人事交流でも役員の兼任は認めないというようなことのようですね。しかし、兼任でなくて、やめてからあっちへ行き、こっちをやめてから向こうへ行きというようなことは兼任にならないのでしょう。現に、銀行は五%しか株式を持っていなくてもメーンバンクになったときは、銀行の課長だとか部長クラスをやめさせて役員に派遣する、やめればまた銀行に帰ってくるということは幾らでもやっているじゃないですか。それは今度あなた方が考えている兼任に当たらないのでしょう。そうしたら、銀行は今でも事業会社を支配するためにやっているいろいろなことができることになるじゃないですか。そんなもの、兼任だけ禁止したからファイアウォールで十分だなんていったら、それじゃ、今銀行が自分がメーンバンクであり、一番たくさん貸し込んでおり、株もぎょうさん持っておる、この事業法人が倒れかけたという場合に、役員を派遣しておってもそれはちっとも支配していることにもならなければ、ファイアウォールはそれでできている、こうなるのですか。だから、このシステムでいけば、もう限りなくインサイダー取引の禁止規定に近づいて、これを免れぬのはよほど商才能のない私みたいな者か、あるいは朴念仁みたいな男か、どっちか以外にないということに本当はなるのではないですか。大蔵大臣、どう思われます。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 確かに、いろいろと御心配を一つずつ詰めていきますと、さあそれが事実一体どんなふうになっていくのか。やはりこれは企業としての信頼というものがございますから、そんなむちゃなことはやっていくべきじゃないだろうと思っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても資本市場が健全に発展すること、あるいは銀行業務等が健全な発展というものを阻害岩れない、十分な実効性を確保できるようにやはり検討していかなければならぬと思っておりますし、また法律施行後におきましても、今いろいろと御心配のございましたような弊害が出てくるとすれば、私どもとしましても一つずつチェックしながらその実効性というものを検討し、そして必要があれば適宜見直していくということが重要であろうというふうに思っております。

正森成二日本共産党

○正森委員 ここに、平成三年六月十九日付の証券取引審議会「証券取引に係る基本的制度の在り方について」という文書があります。その中で、二十三ページですが、「新規参入に伴う問題への対応」の中で「弊害防止措置」という部分があり、それから、さらに進みまして、二十六ページ(4)に「銀行による証券業務への参入について」ということでいろいろ書いてあります。これは、読んでみましても、それは証券業界寄りの意見かもしれませんが、いろいろ危惧を抱いているのも無理からぬ点があるという点があります。これは実は、一つ一つこの点はどうかといって伺いたいのですが、そうすると、きょうの一時間の質問がこれだけで終わりますので、委員長、また来週なり再来週なり十二分に時間をいただけるというように思いますので、この問題は一応おいて、次の問題に移らせていただきます。  今度銀行が、これは五月二十一日の新聞ですけれども、「全国銀行協会連合会が九二年三月期決算から適用する決算情報の開示(ディスクロージャー)資料の統一基準が二十日、明らかになった。」といって新聞に報道されております。  そこで銀行局長に伺いたいのですが、そのうち不良債権についてのディスクロージャーはどうなりますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 今、話題となっておりますのは、いわゆる銀行法上のディスクロージャーの問題でございます。これにつきましては、過日も多少申し上げたかと思いますが、銀行法上のディスクロージャーの趣旨は、義務規定ではなくていわば訓示規定でございまして、必要的記載事項というものがない。そこは各銀行の創意工夫にゆだねるというのが本来の立法のときの建前でございます。ただし、長年の運用のうちに、銀行界でいわば最低水準の必要記載事項というようなものを申し合わせるというようなことを現実には行っております。その運用についてのお尋ねということに結局はなるわけでございますが、不良債権そのものを正面から取り上げたような項目を義務的ないしは最低水準の記載事項として追加するには、関係の銀行界の中に実務的または理論的にもいろいろな問題があり、議論がそろわなかったのでいわば見送られたという状況であると考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 今銀行局長は銀行法上の、こう言われましたが、証券局長、ちゃんと聞いてますか。証取法上証取の報告書ということでやはりディスクローズしなきゃならないのじゃないですか。だから、ディスクロージャーというのは銀行は銀行法上、それはいろいろあるかもしれませんが、銀行といえども証券市場に上場しているわけですから、証取法上やらなければならないディスクローズがあるのじゃないですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 証取法上のディスクロージャーのルールといいますか、これは銀行だけに限らずすべての企業に適用されるわけでございまして、不良債権の場合には、一般の企業もそうですけれども、貸倒引当金を積むなりあるいは貸し倒れ償却をするなりという企業会計原則に沿った、これは公認会計士が認定するわけでございますけれども、そういう処理をしなきゃならないものは当然そういうことで財務諸表に反映され、有価証券報告書に記載されるということになります。

正森成二日本共産党

○正森委員 そこで、証券局長、銀行局長双方に関係してくると思うのですけれども、経済誌などによりますと、「昨年十二月の上旬、末松謙一・全銀協会長が貸倒引当金の引当率に関連して、不良債権のディスクロージャーの必要性を認め、「二~三カ月のうちに結論を出したい」と発言」「末松発言自体は税制改正によって貸倒引当金の引当率を現行の一〇〇〇分の王より少なくする構想に対し、「いや本当に一〇〇〇分の三は必要なのだ」と反論するためだった」こういうように書いてあるのですが、いずれにせよ「ディスクロ推進は金融界の信頼回復のために避けられない道」だというように指摘して、「全銀協の事務局が用意した案は限りなく米SEC基準に近い。」  当初考えられた案は、「①いわゆる経営破綻先への債権、②金利減免などリストラクチャー債権、③六カ月以上返済延滞の債権の三種類について、(a)元本総額、(b)担保控除後のカバーされていない部分、(c)さらに債権償却特別勘定を差し引いたネットのアンカバー債権額などを公表するというものである。各元本総額を見れば利息収入への影響が分かり、翌朝の収益予測の手がかりとなる。総資産、収益とアンカバー不良債権との比率からは資産の健全性を通して、長期的な経営リスクが分かる。」。  ところが、これに対して、東京銀行を初めとして賛成のところもあったけれども、こういうことになると三種類のいわば不良債権の元本総額が大きいためにみっともないという反対が出て、全銀協「事務局は元本総額を引っこめ、逸失利益を提案した。金利減免などで、得られるべき利益かどれほど失われたかこれでも「翌朝の収益に対する影響も、不十分ながら予測しうる。」ところが、これに対して地銀や第二地銀が、ここら辺にはややこしい銀行がありますから、猛烈に反発した。そこで二月末になって、「「全銀協でムリに合意することはまかりならぬ」と大蔵省は態度を固めた。」というようになっているのですね。これは、念のために言っておきますが、週刊東洋経済の四月四日に載っていることであります。  それが結局、この間、五月二十日の朝日新聞の「大蔵省の圧力で後退 全銀協の不良債権情報開示」という記事になり、同僚委員が、公明党の委員でありますが、ここで問題にされたことは、委員並びに政府委員御承知のとおりであります。これに対して、銀行局の福田誠銀行課長、来てますか――来てない。「大蔵省が直接口をはさんだのは、」誤解を招いたかも知れないが、情報開示を遅らせる意図はなかった」、こう新聞に言っております。つまり、誤解を招いたかもしれないが、直接口を挟んだことを認めているわけであります。これは一体とういうわけですか。  あなた方は金融の自由化だとか、限りなくユニバーサルバンキングに近づくとかいって、元本保証のない証券にまで子会社やいろいろなルートで参入しようというわけでしょう。それに対して一方では、預金者を保護しなきゃならない。一方で、銀行も上場しているんだから、投資者を保護しなきゃならない、それにはディスクローズを徹底させるということが何より大事じゃないですか。そして、会長行が努力して都銀の大部分が賛成しようというのに対してストップをかけるというのはどういうわけですか。おいしいところだけは食べて、投資者やらあるいは預金者保護の点は、これはまあまあいいかげんにしておくというのが大蔵省銀行局の方針ですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 具体的な新聞なり雑誌なりの記事について御言及もございましたので、多少立ち入りまして私どもが理解しておりますところの事実の経緯について御説明いたします。  この不良債権のディスクロージャーについては、ただいま委員も御披露になりましたが、二つの立場がございます。一つは、むしろいろいろな揣摩憶測を呼ぶよりは不良債権をしかるべき基準のもとにディスクローズして、簡単に言えば不良債権は我が銀行にはこれだけしかない、これが銀行の経営の本体に大きな影響を与えることはないということを数字をもって説明し得る、だからこれはむしろ金融システムの安全性を証明する上からもプラスではあるまいか、こういうような考え方がございます。他方、これはどこがどうとは申しませんが、やはり銀行の立地条件それから殊に顧客のイメージに与える影響から、非常にそういうような問題については慎重を期するべきであるという意見もあるわけでございます。  かたがた、具体的な数字を選びそれを組み立てるといたしますと、一つには技術的な問題点、それはすなわちどのような切り口で金額を把握するか、その場合に担保なり保証なりいろいろそういう措置がございますが、それを加算するのかそれとも無視するのか、そういうようないろいろな技術的な側面がございます。それから第二に、これはやや理論的な問題になりますが、信用秩序に悪影響があるのかないのか、その辺をだれがどういうふうにして判断するかというような問題がございます。  そこで、そのような問題がございますので、それについて銀行界の意見が合わないというようなことがあり、そのような場合に、これは他の場合でもよくあることでございますが、いわば銀行界の意見調整の仲介役的な機能を果たすというようなことは、行政当局が時折やっておるところでございます。  ところで第二に、やや総論的に申しますが、私どもはこのディスクローズについて基本的に前向きであるということは毎回申し上げております。そこで、銀行法上のディスクロージャーでございますが、最前申し上げましたが、これは訓示規定として、各銀行の自発的な創意工夫を促すという趣旨の規定でございます。それで、みずからの創意工夫によっていろいろと開示項目をふやしていくということは、各銀行の経営上の判断でできることであります。  ただし、その際に、各銀行を大小横並びにいたしまして、義務的な記載事項としていわば業界統一の横並びをとるということになりますと、これはこの自発的な創意工夫という問題を超えましたいわば各銀行間の意見の対立が必然的に起こってくるわけでございますので、これについては、その状況を見まして意見調整の活動をするということが必ずしも不適当とは思われません。  ただし、全体には、今申しましたような技術的ないし理論的な問題もあり、それからまた、基本的には私どもはディスクロージャーの前進を促す立場でございますので、これは金融制度調査会の中で近々にも関係の方々による作業部会を開きまして、そこでいろいろな問題を分析、検討していただく、その結果、理論的にも実務的にも十分実用にたえるような仕組みが見出されるということを私どもは期待しておりますし、何とかそれを平成四年度の営業成績についての外部への開示の際に、この不良債権の問題についても具体的な内容について合意が得られることを期待しておるというのが私どもの、いきさつ論的な御説明になりましたが、現在の立場でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 金融制度調査会に作業部会をつくったというのが、会長行などのいろいろの努力を抑えるための口実になったと言われているのですね。  同じように議論に書いてあるのでは、その後会長行案というのが発表されたのですが、「当初案にあった金利減免などリストラクチャー債権が抜け落ちている。」、それもだめになったということなんですが、こういう評論があるんです。「こちらなら外に出ないとなれば延滞債権にすべきところを、リストラクチャー債権の格好にしたほうがいい。極端な話では六カ月ごとに追い貸しをすれば、不良資産の計上からは逃げられる。経営破綻に追い込むよりは利払い猶予にしたほうが決算はきれいになる。いずれも自分の体力を弱めるだけだが、背に腹は換えられない時もあろう。」こういう評論だってあるのですよ。そして、「きわめて冷たく言えば、当初案のディスクロに耐えられないような銀行は、これからは存続が難しいのだ。銀行に倒産の可能性が生じるのが自由化の世界であり、それだからこそ、投資家、預金者に判断材料を提供するディスクロが不可欠になってくるのだ。」こう言っているのです。  これは正論じゃないですか。やりたいことはどんどん広げて金利の自由化もやる、そして不良債権が大きくなれば、事実上の粉飾決算ができるようなことにつながりかねない行政指導をやる。とんでもないことじゃないですか。  しかも、私はここに「新しい金融制度について」という平成三年六月二十五日付の金融制度調査会の答申を持ってきました。その最後の部分で、銀行局長などはもちろん御存じだろうと思いますが、こう言っているんですよ。「金融機関の多様化によるメリット」というところが一番最後にあります。そこで「この結果、他業態の業務を行う子会社を保有する金融機関から、子会社を保有せず自己の得意分野に特化した金融機関まで個性化が進むことが予想される。こうした中で、利用者は、自らの利用目的に合致した金融機関を自由に選択し、使い分けることが可能となると考えられる。」こう言って、その場合には、例えば手数料の引き下げだとか預金金利の引き上げたとかいろいろなことで利益の還元があり得るというようなことを挙げた上で、とどのつまりどう言っておるかというと、「これに関連して、今後、制度見直しを含め、一層の金融自由化が進む中で、利用者の側においても、自らが必要とする金融商品・サービスがどの金融機関によって提供されているかも含め、そのコストや質、更にはリスク等をも勘案して、利用する金融機関、金融商品・サービス等を自己の責任と判断で選択していくことが求められることに留意する必要があろう。選択の自由が広がるということは、その結果に対して責任が伴うということでもあることを、金融機関はもとより、利用者も忘れてはならないと思われる。」こう言って、利用者に説教しているんですよ。いろいろ商品が拡大すればあんたらの利益になるかもしらぬが、損をすることだってあるんだぞ、しかしそれはあんたらが自己の責任と判断で選択していくことが求められることに留意しろと、説教しているじゃないですか。  そして、一般の投資家や預金者にとっての判断の材料は、銀行等が行うディスクロージャーを見る以外にないじゃないですか。ところが、一方ではこういうことを言いながら、ディスクロージャーだけは抑えていく、そんなふざけたことがありますか。しかもそれを、銀行当局の銀行課長が、恐らく銀行局長の意を受けてやっておるなんというのはもってのほかじゃないか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 お言葉ではございますが、ただいま御指摘がありましたような、例えば延滞債権にするかそれともリストラクチャーの債権にするか、こうすれば表に出なくて済むかもしれない云々というような議論というのは、まさに不良債権をディスクローズする場合の技術的な切り口として何がいいかということについて、研究すべき論点の一つを示したものでございます。  先ほど申しましたように、やはり技術的、理論的に今後作業部会にお願いして研究すべき課題は幾つかあると思います。それで我々は、繰り返すようでございますが、情報開示に基本的に前向きであり、毎年記載事項はかなりの数をもって増加を続けておる、そういう現実を申し上げたいと思うのでございます。ただ、その際に、個別の一、二の問題項目について議論が混乱するようなときには、なるべくそういう混乱を避けて整然と進めるということもございますが、結果的に総体として判断材料をふやそうとしている、それが我々の努力の方向であるということは申し上げられると思います。  ところで、そのような判断材料は、これも委員から御披露がございましたような、今後の金融機関の経営の個性化が進み、それから利用者の選択の度合いが広がるという際のいわば利用者の判断を助ける材料として有益であり、また必要なものでございます。その点は、御披露がございましたこれは私どもの方の文章かもしれませんが、そのとおりであるというふうに考えておるわけでございます。ただし、ここでいわば信用秩序に影響するような問題であるというような議論の提起がございますならば、それは我々としてやはり軽視するわけにはいかないと思います。  そこで、もちろん私企業でございますから、倒産の危険がございます。しかしながら、金融機関の倒産というのは一般私企業の倒産とは違う、やはりそこは特に慎重に気をつけて取り扱わなければいけない話題であるというふうに私どもは従来から考えており、なるべくならば金融システムの局部的な破綻をも防止したいということで日ごろ行政活動を進めておるわけでございますが、そのことに立ち入ることはやめますけれども、この金融システムの混乱というものは何とかして回避をしたい、したがって、全体としてディスクローズを前向きに進めますときに、その進め方なり段取りについて工夫の必要があるのであればその工夫はすべきである、そういうふうに私どもは考えております。

正森成二日本共産党

○正森委員 工夫が過ぎて、技巧を弄して投資者に損害を与えるというようなことにならないように希望しておきたいと思うのです。  時間が迫ってまいりましたが、途中まででももう一項目だけ伺いたいと思います。  今度の法律の附則第十九条の二項を見ますと、午前中も質問があったようですが、大蔵大臣は、当分の間、銀行や銀行の証券子会社が既存の証券会社を買収する場合、株式取引業務、ブローカー業務をしてはならない旨の条件を付することができるというようになっているはずであります。実際の条文はこういうふうになっていませんよ。「「の銀行等」何とかかんとかといって難しい文句になっておりますが、わかりやすく言うとこういう条文であります。一般的に、子会社はブローカー業務をしてはならない、こうなっています。ところが、この附則十九条の二項の場合には、買収する場合に限ってブローカー業務をしてはならない旨の条件を付することができる。これは逆を言えば、してもよろしいということにすることもあり得るということを示しているんですね。  議論をわかりやすくするために言いますが、三月十日のことだそうであります。東京証券会館の会議室で日本証券業協会の政策委員会が開かれており、そこへ大蔵省から二人の証券局担当審議官が行った。附則第十九条二項を見て、皆が色めき立ったというんですね。なぜこんなものを入れたのか。大体、してはならないということになったのに、ある場合にはしてもいいとはどういうことだ、こう言うたら――金子審議官おりますか。これもいないか。質問通告すると、危ない人間は皆逃げる。まあ証券局長がおるから、全責任は私が負うというならばそれでもいいけれども、これは万一のときの救済のためなんです、こう言ったというんですね。それで色めき立ったというのです。そうしたら金子審議官は、今の救済云々という説明は不適切でしたから撤回します、こう言うたら、救済のためではないのにブローカー業務を認める場合があり得るのか、それならどういう場合だということで、余計けんけんがくがくとなった、こういうのですね。それはなるのが当たり前の話であって、この問題について真意を伺って、それからさらに議論を発展させるのですが、その後続編は来週させていただくということにしたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 附則十九条二項でございますが、今御指摘がございましたような場に私が直接おりませんのであれでございますけれども、ややその説明が不足していたのかもしれないと思います。  私どもの真意は、十九条一項で、新設の場合にはブローカー業務を認めない、こうなっております。十九条二項でわざわざ買収の場合について春きましたのは、今回の趣旨からいいますと、本来、新規設立を当然我々は期待をするわけでして、買収という形で入ってくることは競争促進になるわけでも決してございませんので、そういうものを認めるつもりはないわけでございますけれども、理論的にはあり得る。その場合に、せっかく一項で認めないと言っていたものを、脱法的になるのは非常に困るという意味で二項を置いたわけでございます。  ただ、二項を置いた場合に、それでは、買収した場合に自動的にブローカー免許が失効するような置き方ができるかといいますと、それはやはりなかなか難しい問題があるということでございまして、二項の意味は、あくまでも一項のしり抜けにならないために置いた規定というのが本来の目的でございます。ただ、ケースとして、それは例えば破綻の場合、どうしても競争者として存在しなくなるというような場合も、つまり証券会社がつぶれてしまうというような場合もあり得るわけでございまして、そういうものも議論としてはあり得ると思いますけれども、本来の趣旨は、あくまでも一項のしり抜けを防止するために二項を置いたというふうに私どもは考えているわけでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 時間が参りましたので、あとは次にやらせていただきます。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 中井洽君。

中井洽民社党

○中井委員 金融制度、証券取引制度の改革法案について質問をいたします。時間がなくて通告をしてありませんので、あちこち飛ぶ可能性もあるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  ここ一年ばかり、俗な言葉で言えば、カラスの鳴かない日はあっても金融の不祥事がマスコミをにぎわさない日はなかったというぐらい、目を覆うばかりの金融の不祥事件が続いてまいりました。証券に関しましては、法律改正、そして過般の監視委員会の創設、一つのけじめをつけてきたと私どもは考えています。しかし、そういう不祥事を背景にこの金融制度の改革法案を出して、同じことだから同時に審議をしろとたびたびの御督促がありましたけれども、今回のこの法案は、もともとそういう信用回復ということでつくられたものではないわけであります。  過般から露呈しました金融の各種不祥事、これらに対して金融機関でどういう反省がなされ、大蔵省も含めてそれらに対してどういう対策をおとりになったのか、またこれからおとりになるのか、明確な形でお示しをいただきたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 大変遺憾なことでございますが、一連の大型偽造預金事件その他金融不祥事が昨年発生いたしました。私どもはこれを重大かつ深刻に受けとめまして、その当時、昨年の八月三十一日であったかと思いますが、金融システムの信頼回復のための措置を取りまとめまして、それの実施に全力を挙げて取り組んできたところでございます。またその後、臨時行政改革推進審議会の答申を受け、これの肉づけとしていろいろな制度改革なども行われておることは御承知のとおりでございます。  そこで、私どもの方といたしましては、一つには行政当局の問題、もう一つは業界の問題、こういうふうに分けて考えますと、行政の方では、さしあたり行政の透明化というようなことを一つのスローガンにいたしまして、通達の見直し、整理やいろいろな規制の見直しということをやってまいりました。それから、さらに大きな柱として検査体制の充実。それから、これはいろいろ御議論があるところでございますが、ノンバンクヘの対応をどのようにするか、この問題もやはりあわせて考慮すべき問題であるというような位置づけで種々改善を進めております。  それから、もう一つの問題は業界自身の対応でございますが、これは、各個別の金融機関及び業界団体それぞれにおきまして、内部管理体制の総点検とか業務運営、経営姿勢の見直しとか金融取引のルールや諸慣行などの見直しが進められ、また業界団体において各種の専門委員会の設置などの措置が講じられているところでございます。  そのような行政当局及び業界の対応というものもございますが、もう一つさらに歩を進めて申し上げますならば、やはりこのような金融機関経営のあり方が問題となりますとともに、このような不祥事の原因、背景の分析に関連して今後の経営のあり方についていろいろと議論が重ねられ、さらにこれらの問題の根本的な原因として適正な競争が欠如していたということがあるという認識が打ち出されました。これにつきまして、例えば金融制度調査会の方では、本年一月に「金融システムの安定性・信頼性の確保について」という報告書が提出せられまして、このような報告書と、それから昨年六月の金融制度調査会の答申等総合いたしまして、関係の二本の法律を組み立て、そのうちの一本として現在この金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について御審議をお願いしております。  そこでは、一つには競争の促進のためのいろいろな手法を御提案申し上げ、もう一つは経営の健全性の確保を図るために、例えば金融機関の自己資本比率規制などの規定の整備を行いたいというふうに私どもはお願いしているわけでございます。

中井洽民社党

○中井委員 局長はいろいろとお述べになります。また臨時行革審の方も信頼回復ということで答申をお出しになっております。しかし、そこには具体的にこういうことをするということがはっきり書かれているわけではありませんで、理念とか将来の形とかいろいろなことで提言が出されているだけだと私は考えています。  この制度改革ももともとは、私が言うまでもなく競争促進あるいは新規参入、こういったことが国際的な自由化、これらと相まって数年前から論議され、なかなか日本の業界でまとまりにくいのが、去年証券・金融不祥事が相次いで、ようやくいろいろな規制をつくる中でこういう法案ができた、不祥事そのものとあんまり関係ないなという思いであります。  そういう中で、一般国民の金融機関に対する信頼回復あるいは不安感、こういったものはなかなか直ってこない感じを抱いています。どこを歩きましていろいろな人に会いまして聞きましても、異口同音に言われることは、あれだけ大きなことをやったのに、金融機関というのは責任をとらない、つぶれても大蔵省がつぶさない。国会の審議の中でもいろんな不祥事について各委員から質問がありましたが、すべて一行員の犯罪だ、こういう形でお答えになる。こういうことでは、金融機関という膨大な責任を持って、しかもめったとつぶれない、つぶされない、こういう安定した地位にあるものの責任というものがなかなか全うされないんじゃないかと私は思います。この一連の不祥事の中で、本当に金融機関のトップというのが、退職金もなければ何もないという形で責任をおとりになったことが一度でも、あるいはどこかの銀行ででもあるんでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 この不祥事件の問題についてのいろいろの反省でございますが、これは過日御議論がありましたところであったかと思いますが、これは事件そのものは、代表的な例を申しますと、本来経営の責任の一端を担うべき支店長とか課長などが意図的に行った不祥事件でありまして、その限りではいわば個人的な刑事犯罪であったわけでございますが、ただ、銀行の二重三重のチェック機能が働くべきはずであったけれども、それが働かなかった、いやそのチェック機能が生かされなかったということにおいて、今後の重要な検討課題を残したわけでございます。  本来金融機関は、国民の預金をお預かりしておるわけでございます。それで、間接金融に共通する話でございますけれども、資金の出し手である一般預金者からすれば、どのようなものに資金を運用すれば安全でありかつ有益であるかということについては必ずしも十分な情報を持ちませんので、そこで金融の仲介者として銀行があらわれ、その銀行が適切な資金運用先に対して資金を向けるということによって、資金の出し手から取り手への資金調達の仲介の手間を軽減する、これがいわば間接金融のレーゾンデートルであったわけでございますが、そのリスクを軽減するどころか、結局事件を起こしまして、多大の損失を生じ、リスクをむしろ増幅させたというのはやはり金融システム上の大きな問題であったと思います。それについてどのような責任をとったかということは、甚だこのような席では申し上げにくいのでございますが、一件でもあったかというお尋ねに対しては、なかったとは申せませんというのが私の答えでございます。  ただし、もう一つその議論を進めて申しますと、そういう金融機関は結局は救われるので、これは非常に甘いではないかという考え方も確かにあることは私どもも耳にしておりますが、他方、金融機関の特殊性といたしまして、極めて多数の預金者やその取引先との金融取引の仲介のセンターとして機能しておりますので、これら預金者や取引先に生ずる混乱を考えますと、ただ放置して倒産するに任せるのが社会的に賢明なやり方であると言えるのかどうか、そこは私どもは非常に慎重な考え方をとるべきだと思っておるわけでございます。  ただ、経営者にその責任をとっていただく、それも自発的にとっていただくというようなことについては、私どもいろいろな機会を通じて、やや隠れた努力ではございますが、個別のケースごとに成り行きを見守りながら適正な処理を期待しておるという状況でございます。

中井洽民社党

○中井委員 金融機関は倒産をさせないということもわからないわけではありませんが、そのために大変な御努力をする、しかしその中で出ていくお金は他の預金者の利益であります。その点ももっと厳重にお考えをいただいて、経営責任ということを明確にしていただきたいと私は思います。  同時に、日本の銀行というのは、私が言うまでもなく、いろいろな分野分野に分けて今日まで業務を行ってまいりました。しかし、これだけの不祥事が起こってみて、結果はどうだろうといえば、全部土地で失敗をしている。業務を分けておったのは何だったのだろう、このように思います。  今回、銀行間の垣根の取り外しが、きれいさっぱりというわけにはいきませんけれども、行われます。そうしたらまた大蔵省の行政指導の中で同じ営業方針、同じ結果、こういったものが余計出てくるんではないかと考えています。これだけの数の銀行がそれぞれの地域あるいはそれぞれの経営、発想でユニークな経営ができる、それぞれ得意な分野を持つ、そういった形でいくのが当然のことだと考えております。今回垣根を取り払ったことによって、余計均一化をしないかと私どもは心配をいたしますが、いかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 いろいろと多面的なことがやれるようになる場合に、その効果がプラスに出るかマイナスに出るかということでございますが、私どもは、金融機関間の競争が促進されることによりまして、金融機関が節度なくもうけ主義に走るというようなことはむしろできにくくなると考えておるわけでございます。全体的な金融の自由化が進展し、また銀行のみが必ずしも唯一のと申しますか、支配的な金融の供給者ではなくなりつつあるというような状況が進みます中で、銀行についてはその業務面における自由化がおくれておりましたために、一定の制約のもとで限られた分野での競争が激しくなり、それで従来とかく節度がないというふうに受けとめられた面もあると考えられるわけでございます。  そこで、むしろそれよりは自由化が進展すれば、それぞれの金融機関がその特性に応じて業務を行うことが可能となり、そこで自分たちの持ち味を生かした適切な競争が行われることが期待されるものでございます。もちろん、私どもは手放しで、いわゆる世間に言われますところの横並び主義的な発想なり経営がなくなるというふうにもなかなか考えにくいのでございますが、そこは、先ほどもおられましたが、最近公正取引委員会の活動などもいろいろございますようですから、単純なる横並び型、追随型の経営というものはますますその面からもできにくくなるのではないかというふうに私どもは考えております。

中井洽民社党

○中井委員 私は、大蔵省のはしの上げおろしまで関与するような行政指導の中で横並びになっておるのじゃないか、今回のこういう不祥事の反省で大蔵省もお考えになるのなら、個性あるそれぞれの分野の得意を持つような銀行、金融機関、そういったものを育てるということをお考えになるべきだ、こういうことを申し上げているわけであります。  それから、今回のこの不祥事の反省の一つで、土地があれば何でもお金を出したということがあったと思います。この土地の担保というものを現在各金融機関は一斉に控え、あるいはまた厳しく担保設定をしておりますが、それじゃ土地以外、一体銀行というのはどんなものでお金を出していくのだろう。それじゃ証券というものがあるじゃないかといったって、証券は値下がりしていますからなかなか担保にならない。それでは事業計画だけで、人の信用だけで銀行というのはお金を出す、こういった方向へ転換をしていってくれるのだろうか、このことを心配をいたします。そういう面ではいかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行の貸出金につきまして、当然のことながら債権の保全を考えるということは必要であろうと思います。そのときに担保をとること自体、ないしは保証をとること自体が別に悪いということではございませんが、これまでの反省として、委員の御指摘にございましたように、担保、殊に不動産があれば何でも貸す、その中身の審査をしない、回収の確実性それからそのプロジェクトの収益性というようなものについての立ち入った審査をおろそかにするというようなことにつきまして、非常に問題が多かったということは事実のように思います。  そこで、昨年以来でございますが、全銀協でも不動産融資のあり方について専門家を集めて研究をいたしまして、一つの報告書をつくり、マニュアルを公表した。それでこれからは不動産融資についても一層の適正化を期するというような作業はいたしておりました。  実際に担保の種類としては、不動産のほかに有価証券担保とか債券その他の担保というものもございますが、それぞれ、例えば有価証券については価格が急速に変動するという意味で、常に警戒を怠れないというような問題があることも事実でございます。それから保証というものもございますが、保証に依存する割合というのは比較的少ないのでございます。  ただ、全国銀行の場合に比較的多いのは、このいわば形式的には無担保というものでございまして、無担保の割合が貸し出しの全体の中の四分の一程度はあったかと思います。その無担保の場合は、特に貸し出しの相手先につきましてのプロジェクトの内容、収益性、それからさらに申せばその貸出先がいわば信用できる相手であるかどうかというようなことまで立ち入った、いわば本来の審査が必要である。昨年の不祥事の経験というのはやはりそういう本来の審査の努力をおろそかにしてはならないという、当然のことでありますが、そういう問題が改めて教訓として痛感されたということであったと思います。

中井洽民社党

○中井委員 法案の方に入ってまいります。  まず最初に、ごくごく素人的に聞きますが、今回のこの法案の相互参入でありますが、金融機関あるいは証券会社に競争促進をする、私どもは賛成であります。しかしそのときに、どうして相互参入だけになったのか、他の産業から、もっと信頼のできる会社あるいは機関は幾らでもあろうかと思います。そういう産業から、あるいは分野から金融機関、証券機関への参入、こういったことはお考えにはならなかったのか、また同時にこれからも考えないのか、お尋ねをします。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 証券業務への新規参入について申し上げますと、私どもは今御指摘のありましたような銀行以外のものからの参入というものを十分予定をして法律をつくっております。  これは昨年六月の証券取引審議会の報告書でも、一般的な参入ということを前提に考えておりまして、その中の一つの例として銀行による参入というふうな位置づけをしております。したがいまして、本当は現行法のもとでも一般企業が例えば証券会社を買収するということは、これは独禁法に触れるわけではございませんので可能でございます。銀行が買収するといいますと六十五条の問題が出てまいるわけでございますけれども、ただ一般の企業が例えば子会社をつくって証券業務に参入するといたしましても、やはり親子関係の問題というのは、銀行ほどではないにしてもある程度弊害防止ということは必要だろうということで、今回の法律案の中には基本的には親会社の業種を問わず適用できるような弊害防止措置、特にそのうちで銀行が親会社の場合の弊害防止措置というものをあわせて規定をしております。したがいまして、私どもは他産業からの子会社による参入というものは十分予定をしているということでございます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行の新規参入についてでございますが、戦後一貫して見ますと、外国銀行の支店形態による参入ないしは現地法人形態による参入もございますし、それからいわば相互銀行が普通銀行に転換をして、それでその銀行サークルに参入してきたというようなものもございますが、そういうものではない、いわば全くの他業態からの純粋新規の参入というものが余り見られないということはその御指摘のとおりであります。これは一つには、戦後のこれまでの運用の方針として、金融機関の業務の合理化を推進すべき時期である、だから原則としては銀行業の免許は積極的には考慮し得ない状況であるというような運用の考え方を示してまいったことにも反映されておるわけでございます。  ただし今度は、これは一つには証券会社の銀行子会社というものが登場しようとしておりますし、そのほか総論といたしましても、これは昨年の答申の一部でございますが、新しい金融制度においては信用秩序の維持に配慮しつつ、競争促進的観点からその運用を行い、新規に参入しようとする者に対し一層開かれた制度とすることが適当であるという考え方を打ち出しましたのは、考え方としては従来に比べますと大幅な転換であると考えております。  もっとも、これはありていに申しますと、巨額の資本投下の割に収益性が低いとかいろいろな問題もございますので、収益事業として銀行に新規参入することがどのくらい魅力的であるかという問題はあるいはあるかと思いますけれども、私どもの考え方といたしましては、この銀行制度の運用上、今後は新規参入者に対して一層開かれた制度としてまいりたいというふうに考えております。

中井洽民社党

○中井委員 新規参入、他産業から歓迎をする、これだけの理解で次に進めさせていただきます。  先ほど反省の中で、行政の簡素化、透明化ということが言われました。幾つかお尋ねをいたします。  今回、例えば証券会社が子会社で銀行をつくる、銀行が子会社で証券会社をつくる。信用金庫も農協もいろいろなことができるわけであります。そのときに、例えば証券会社が銀行の子会社をつくるときに、証券局が認可するのですか、銀行局が認可するのですか、両方へ行くのですか。私はこれはひとつぜひ、他のことも全部すべて一緒であります。例えば銀行が証券子会社をつくろうと思ったら、銀行局へ行ってまずお許しをいただく。その次に証券局でお許しをいただく。こんなことはちっとも簡素化じゃない。大蔵省の一カ所へ行けば全部手続を終わって了解をされる、認可される、こうあるべきだと思いますが、いかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 まず制度の立て方から申しますと、これはやむを得ないことであろうかと思いますが、例えば証券会社が銀行子会社を持つという場合には、証券会社に対しましては、証取法の規定によりまして子会社を持つことの認可が必要であり、それから銀行法上は、これは銀行の新設でございますから設立の免許が必要でございます。このところは銀行法、証券取引法、それぞれ別個の法律として体をなしておりますのでやむを得ないところと存じます。ただ、それの具体的な審査に当たりましては、関係局、銀行局、証券局を中心といたしまして関係者が協議し、極力屋上屋を架することのないようにいたしたいと思います。  これと似たような話は、実は昭和五十六年の改正で公共債のディーリングが銀行に認められましたときに、やはり証券取引法上の手続と銀行法上の手続との両方が重なるというような仕組みにはなりましたけれども、その運用上、果たして十分な意思疎通、十分これ以上できないということで円滑であったかはやや反省すべきでございますけれども、極力両局で相談をいたしまして、無用な事務の重複を避けだというような経験を持っております。今後なおいろいろ工夫すべき分野はあると思いますので、よく考えてまいりたいと存じます。

中井洽民社党

○中井委員 大臣、今の点ぜひ大臣として御指導をいただきたい。とかく局あって省なしと言われる大蔵省でございます。大変な権限をお持ちで、これはせっかくの新規参入を促進しようというのに、手続だけで両方の局からきゃんつく言われて課ごとにうろうろするということでは何をしているかわかりません。大蔵省のどこかへ一カ所行けば、後は大蔵省の中での調整であろうかと思います。そういう形で窓口の一本化、何カ所も何カ所も回らなくてもいい、そういう形で法の運用ができるように御指導いただきたいと思いますが、いかがですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 ただいまも土田局長の方からお答え申し上げましたときにも、五十六年のディーリングの問題なんかを例に挙げながら申し上げたところで、まさにその問題意識というのは持っております。御指摘の点をよく私たちも念頭に置きながら運用を図っていきたいというふうに思います。

中井洽民社党

○中井委員 もう一つは、先ほどからいろいろと御議論のあったファイアウォールのことであります。私もいっぱい聞きたいことがありますが、まだ次の質問の機会もありますから、こういう形で聞かしていただきます。  政令と省令が出ております。膨大な量であります。しかし、先ほど同僚のそれぞれめ議員から出てまいりましたコンピューターはどうだとか人事の交流はどうだとか、そんなことはどこにも書いてないのであります。こういう細かいこと、例えば銀行の名前をどうするんだとか、そういうことはどこにも書いてない。これは要するに、行政指導でおやりになる。この行政指導でおやりになる部分が非常に難しく、複雑で、時間がかかるのじゃないかと私どもは考えております。法令、政令で書かれた以外はもう任せてしまう、こういうことが本当は行政の透明化であり、簡素化であると思いますが、いかがですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 特に証券市場に弊害を与えないという観点から、私どもも弊害防止措置というのは非常に重視をしているわけでございまして、証券取引審議会の昨年六月の報告書に、種々弊害防止措置の必要性が書いてございますし、その中にこういうふうな措置が必要だということがずっと列記されております。私どもは、それはすべて原則として省令で規定をしたいというふうに思っております。  ただ、それ以外に、今御指摘がありましたようにその証取審報告書にも書いてないものもございます。そういうものについては、先ほども御指摘がありましたようにできるだけ明確にしたい。これは実際の免許していく場合の問題になるわけでございますけれども、もちろん政省令で基本的なところは弊害防止措置を規定するわけでございますが、それ以外にどうしても政省令に書けないようなものにつきましても、ある程度基準といいますか考え方といいますか、そういったものを明らかにすることによって免許申請がしやすいように持っていくということが必要じゃないかというふうに思っております。

中井洽民社党

○中井委員 たとえ政省令に書けないものがあったとして、今お話しのように明らかにされると言われました。いつ明らかにされて、どういう形で明らかにされるのか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 これは省令の中身を固めつつ、結局その法律が施行され、政省令が全部できて施行される際に、やはりそれとほぼ時期は同じくして明らかにしないと免許申請手続に入れないという問題がございますので、そういう時点で細かい点についても可能な限り明らかにしていきたい。もちろんケース・バイ・ケースで判断しなければいけない部分がどうしても残るとは思いますけれども、統一的な考え方で処理できるものはできるだけその時点で明らかにしていきたいというふうに思っております。

中井洽民社党

○中井委員 それでは、有価証券の定義というものについてお尋ねをいたします。  今回、法律で有価証券の定義をおつくりになったことは、もう当然結構なことだと思います。しかし、中身を見ますと、一方では具体的に列記をする、一方では定義を掲げる、こういう形になっています。どうして定義だけで済んでしまうというような法改正にならなかったのでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 有価証券の定義の整備の問題でございますが、現在の証取法も具体的な有価証券はできるだけ列記をしているわけでございます。今回の場合も、できるだけ具体的なものは列記をし、あとは政令、場合によっては省令で指定をするということにしております。  証取法上の有価証券ということになりますと、まず一つは、そういう有価証券を不特定多数の投資家に発行するという場合には、ディスクロージャーが要求されるということになります。もしディスクロージャーなしに発行いたしますと、これは罰則がかかることになります。それから、そういうものを取り扱いますと、これは証券業務になってしまうわけでございまして、免許が要る。そういうようなことで、証取法上の有価証券にするかどうかということは、いわば免許の問題、あるいは罰則の適用の問題に絡んでくるわけでございまして、そういったことからいいますと、できるだけ法律に明確な定義を書く必要があるという要請が一方でございます。  そういう要請で具体的に列挙をいたしておりますし、また、そういう列挙をしながら、政省令で、その一定の構成要件を法律に書いておいて、それに該当するものを指定するということにしておりまして、いずれにいたしましても、証取法が適用される有価証券がどうかということがはっきりしないと、今申し上げたような罰則適用等の関係からそういうことをすることが必要であるという考え方でこういう定義をしているわけでございます。

中井洽民社党

○中井委員 もう一つは、公募債、私募債の問題があると思います。  特に、参考人等の御意見を聞いても、東京証券取引所の長岡さんなんかのお話にも、公募債が中心だ、時々こういう御意見が出てまいります。しかし、日本は本当に公募債中心の市場でこれからもいくのだろうか、私募債の分野がもっともっと大きくなってくるのじゃないか、こんな感じていろいろな答申や法律を見させていただいております。大蔵省の意見をお尋ねします。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 確かに私募債にもいろいろとございます。中小規模の企業が一般の投資家にはとてもまだ知名度がないということで公募ができないというような場合に、資金調達を私募で行うということもありますし、あるいは、既に公募債が出せるような大企業が機関投資家だけを相手にして機動的に資金調達するという形で私募を利用するということがございます。機関投資家、特に年金とか保険のこれからの成長を考えますと、私募がかなり拡大していくということは十分考えられるわけでございます。  ただ、今申し上げた私募の二つの種類のうちの後の方、つまり、公募債が出せるような大企業が機動的に資金調達をするというようなために私募を利用する場合には、その私募の条件というものを決めるときには、どうしても公募債市場における条件というものを勘案しながら決めていくということになろうかと思うわけでして、そういうことからいいますと、やはり公募市場というものが前提になることが必要ではないか。それと、何といいましても公募市場は不特定多数のいかなる種類の投資家も入ってきて自由に参加できる市場でございますから、そういう市場で資金調達ができるような企業の場合には、そこで資金調達を行うのが基本的には望ましい。市場の価格機能によって資金配分が行われるわけですので望ましいわけですし、それがないと、私募債を発行する場合の条件というのは非常に決めにくいという問題もあるわけでございます。したがいまして、公募債市場で資金調達ができないような中小規模の企業の場合にはそういう問題がございませんけれども、公募債市場に参加できるような企業の場合には、公募市場というものをある程度大きくして、それとのバランスにおいて機動的な資金調達手段である私募を利用するという形が望ましいのじゃないかというふうに考えているわけでございます。

中井洽民社党

○中井委員 子会社の株保有の問題についてお尋ねいたします。  これから公取とのお話し合いもあると聞かせていただいておりますが、五〇%以上の株保有ということで折衝をされます。これは、五〇%以上何%まででもということで公取との話をなさるのか、あるいは、五〇%ということでお話をなさるのか。同時に、もし五〇%ということになったときに、例えば二つの証券会社が五〇%、五〇%ずつ出して銀行子会社をつくれるのか、銀行が二つ、五〇%、五〇%ずつ出して証券子会社を一つつくる、こういうあり方も考えられるのか、いかがですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 銀行が証券子会社の株式を所有する場合について御説明いたしますが、五〇%以上ではございませんで、今度規定を設けておりますのは、五〇%超の株式を取得し、または所有することができるという規定を置こうと考えております。したがいまして、五〇%ずつ二組、足して一〇〇%というような例は想定しておりません。また、五〇%超と申しておりますので、その後一〇〇%までの中間数字、七〇、八〇というようなパーセントも考え得ることでございます。

中井洽民社党

○中井委員 銀行の中にはもう既に証券部門をお持ちの銀行が幾つかあります。これらの銀行が証券子会社をつくろうとしたときには、その部門を丸ごと移して、新しい分野も加えて子会社として発足をさせていくのか、銀行にある証券部門はそのまま残させて、子会社という形で他の分野を認めていこうとなさるのか、どちらですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 ただいまの御質問でございますが、例えば銀行が現在内部に抱えております証券部の組織を切り離してそれを子会社に移すことができるかという問題でございます。私どもは公正取引委員会の方の扱いについて責任ある御説明ができない立場ではございますが、私どもの方の業法上からはそれは可能であると考えております。

中井洽民社党

○中井委員 ほかにも聞きたいことがたくさんあるのですが、他の分野の質問に移らせていただきます。  労金、農協、信用金庫等も大幅な改正になるわけでございます。この労金や農協の現状を考えたとき、その一本化あるいは金融機関としてのさらにレベルアップ、こういったことが図られなければならないと考えています。そういう中で、労金は各都道府県にあるのが一つになってという念願を持っておりますが、今回、労金協会というものの法定化、そして労金協会の体制強化ということと、労金の普通銀行との合併、こういったことが法律に書かれているわけであります。これは、労金協会の中で一本化するにはまだ少し早い、労金協会の指導の中でもっともっとレベルアップをして、そして金融機関としていいとなったら一本化をさせるのか、それとも、不良の、もうどうしようもない労働金庫が出てきたらそれはどこかの銀行に吸収合併をさせて、いいところだけで一つになったらどうだということなのか、どちらなんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 労働金庫は、御高承のとおり、中央組織として現在、協会と連合会があり、それで、原則として各都道府県単位に労働金庫がございます。それで、私どもが承知しておりますのは、私が申し上げるのは単位労働金庫の方でございますが、労働金庫は、業界の大同団結ということで、端的には統合問題の研究に多年取り組んでまいっておるわけでございます。しかしながら、労働金庫の個別の経営基盤なり経営状態なりが必ずしもそろっておりませんために、現時点において一気かつ一斉に統合に向けての具体的な取り進めを結ぶということはなかなか困難である。むしろ今後の問題としては、これはかかって単位金庫の自主的な取り組みにまつところでございますが、例えば隣近所の都道府県の金庫との合併とか、そのような問題も研究することはあり得るというふうに私どもは聞いております。  そこで、今度の転換規定でございますが、これは、そういう意味では、これまでの合併及び転換の規定が銀行、信用金庫、信用組合というようないわば一般民間金融機関的なものに限られておりましたのを、この際、専門金融機関を含めあらゆる種類の金融機関についてそういう規定を整備するということがねらいでございまして、当面、例えば個別の労働金庫について、他業態との合併ないしは他業態への転換が具体的に検討されるであろうというふうには私どもは承知しておりません。特にそういう具体的な事実の動きを踏まえたものではなく、これは全くの規定の整備でございます。  ただいま申し上げましたようないろいろな個別労働金庫の今後の経営方針の策定なり、厳しい金融情勢下において今後労働金庫の全体としての活動を支えるという観点から、労働金庫の指導及び連絡に関する事務を行う主力団体として全国労働金庫協会の役割はますます大きくなりますので、今度これを法律上の存在に高めたいという御提案を申し上げているところでございます。

中井洽民社党

○中井委員 労金も農協も、大変莫大な資金量を持ち、貸し付けを行っております。しかし、これを監督するのは各都道府県庁であります。どうも、金融機関としてのチェックのあり方、そういうことでいいのだろうか。特に都道府県等の検査体制を見ますと、職員さんが二年や三年でかわっていく。なかなか検査の専門家が育っていない。そういう中で、わりかし甘い検査が行われているんじゃないか、こんなことを実は心配をいたしております。金融機関の一翼を担うところに対する検査体制、こういったものを、大蔵省は金融機関全体を検査する省としてどういうふうにレベルアップをしようとなさっておるのか、お考えをお聞かせいただきます。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 具体的に農業協同組合系統、労働金庫系統につきまして、その監督体制は、これは御案内のように、まず、単位農協の監督は都道府県の所管でございます。また、労働金庫の監督は、労働金庫法により、主務大臣、これは大蔵大臣・労働大臣共管でございますが、主務大臣が所管し、その権限の一部を都道府県に委任するという構成をとっております。このように都道府県に主な役割を期待いたしますゆえんは……(中井委員「ゆえんは結構です」と呼ぶ)失礼いたしました。  そこで、検査でございますが、農協に対する検査は都道府県により二年程度の周期で実施されております。労働金庫に対する検査は、大蔵大臣と労働大臣に立入検査権限がありまして、大蔵大臣の場合は財務局、労働大臣の場合は都道府県知事ということになりますが、それが委任を受けまして、これまで約二年半程度の周期で交互に検査を実施してきておるところでございます。  ただいまのお尋ねの一つのポイントは、都道府県の検査要員の資質向上を図るということでございますが、これは私ども、毎年、例えば財務局や農政局などで研修や講習会を行うというようなこともやっております。さらに今後とも都道府県との一層の連携強化を図るということによりまして、なかなか仕組みそのものを改めるということは望みがたいわけではございますが、労働金庫や単位農業協同組合の監督に万全を期してまいりたいと考えております。

中井洽民社党

○中井委員 農林省にお尋ねをいたします。  今回のこの法律で、農協としてもかなり幅広い活動ができるようになります。そういう中で、農協の持つ性質柄なかなか、仲間内のチェックあるいは金融機関としての信頼維持というのは、私どももおつき合いいろいろありますから、難しい面があるかなということを考えます。しかし、きちっとおやりいただかなければ金融機関としての責任を果たせない、このように思います。農協の内部監査体制の強化、何かお考えがありますか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○今藤政府委員 農協につきましても、近年、合併等で大変組織が大型化し、さらに事業内容も複雑、高度化しておるところでございまして、組合の事業運営を適切に実施していくためには、今御指摘ございましたような内部監査の体制強化を大変私どもも痛感しておるわけでございます。  このたびこの国会で成立をいたしました農協法の改正におきましても、現行の監事の権限を見直しまして、監事監査による内部牽制機能が十分に発揮されるよう、組合の業務及び財産の状況の監査、調査権の付与等、監事につきましても所要の改正を行ったところでございます。  また、従来から、大規模農協につきましては監事の選任に当たりまして学識経験者の登用に努めるようにという指導もしてきたところでございますが、今回の改正を契機といたしまして、新たな監事監査制度の趣旨、内容を周知徹底させますとともに、学識経験者の監事への登用とか常勤監事の設置が一層促進されるように十分指導してまいりたいと思っております。

中井洽民社党

○中井委員 もう一つ農林省にお尋ねをいたします。  農協が莫大な貸し付けを行っておる、その中の基本は農家の農地が担保であろうか、このように思います。今回こういう形で、金融機関として他の金融機関と同じようなことができるいろいろな法改正ができてまいりました。しかし、農協にとってつらいのは、担保にとった農地が流れた、お金が返ってこない、このときに、農協自体がその担保の農地を持てないというところにあるのじゃないかと考えています。各地方へ行きますと、もう農地を手放したいという人がいっぱいおりますが、買いたいという人はめったにおりません。農業の高度化、あるいは国際競争力をつけていく、こういう意味でも、農協が土地を持てる、こういうような法律改正をすることが、農協の体質の強化、同時に農業の構造の改善、こういったものに役立つと私は考えておりますが、農林省ではそのような発想あるいは議論というものが行われておりますか。

今藤洋海農林水産省大臣官房審議官

○今藤政府委員 最近のいわゆる農業の担い手不足といったようなことの中で、農協が農地をみずから所有して農業経営を行うといったような必要性があるのではないか、農協の場合には御案内のとおり人的、物的、資金的にも十分そういった農業経営のできる能力を持っているわけでございますので、そういう能力を与えるべきではないかという御意見も確かにございます。しかしながら一方では、御案内のとおり農協は、組合員であります農家の事業、農業を補完するといったものでこざいまして、組合員である農家の農業と競合するような農業経営を農協がやるということはどうかという消極的な意見もあるわけでございます。今後の検討課題といたしまして、確かにそういった担い手不足というような状況に対応して引き続きこの問題は検討させていただきたいと思っております。

中井洽民社党

○中井委員 ここは農業問題を論ずる場所じゃありませんから余り言いませんが、農地を農家しか持てない、ここに私は問題があると考えています。サラリーマンでも企業でも農地を持てるというなら、農協が担保でもって抱え込んでおる、しかも所有権のない農地を譲渡していくことはできる。今農協が担保で押さえてどうしようもない農地をたれか持ってくれと言ったって、農家は持ってくれない。そういう中で負債が募っていったときにどうするんだ、また農業全体もどうするんだ。今回の法律改正で信託業務ができるわけですから、農協がその中心として役割を果たすためにも、私はそういった思い切った方法も必要だと考えておりますので、ぜひまた御議論をいただきたい、このことを要望いたしておきます。  次に、銀行局にお尋ねをいたしますが、今回の法律で一番銀行が証券子会社をつくって参入するであろう、このように言われております。それに対して、まあまあ証券業界も大変だからということでブローカリング等をやらない、こういう形に法律が整備されてまいりました。そうすると、ブローカリングをやらずに子会社をつくって本当に黒字でやっていけるんだろうか、私どもは逆に心配をいたしております。これからも永久にブローカリングを認めないのか、あるいはどういう状況になったら認めていくのか、この点をお答えいただきます。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 銀行の証券子会社に株式ブローカー業務を認めない理由につきましては、申し上げたとおりでございます。ブローカー業務を行わないで収支、収益、採算がとれるかということでございますが、ブローカー業務といいましても、株のブローカー業務だけに限定をしております。株式の場合には、御存じのように取引所に市場集中をして取引を行うものですから、ブローカー業務ということでお客の注文を取引所に出すわけでございますが、そういう市場集中がなされていない、例えば債券の場合にはブローカー業務というのは必ずしも要らないわけでございまして、いわゆるディーリング業務が行われております。引受業務は、これは私どもは別に制限をするつもりはございません。債券の引き受け、株の引き受けということでございます。債券の場合には、引き受けを行ってそれを消化し、ディーリング業務で十分対応できるわけでございますから、債券についてはすべての証券業務が可能でございます。  株式のブローカー業務だけが当面制約を受けるわけでございますが、しかし、株のアンダーライティングあるいはそれの募集の取り扱いを行うことは可能でございまして、そういったことを考えまして、かつ、一時はエクイティーファイナンスで株に資金調達が偏っておりましたけれども、これも配当性向を上げろとかいうようないろいろな問題がございまして、必ずしも今後コストの安い資金調達になるとは限りません。やはり債券市場、株式市場バランスのとれた形で発行市場が拡大していくということが考えられるわけでございまして、そういうことを考えますと、株のブローカー業務だけを制限されているからといって、収益上非常にマイナスだということは言えないのではないか。債券のアンダーライティング、ディーリング、株のアンダーライティングという業務が行われるわけでございますので、最終的にはこれは個々の銀行の経営判断の問題になりますけれども、必ずしも株のブローカー業務というものだけが非常に大きな支障になるというふうには考えていないわけでございます。

中井洽民社党

○中井委員 将来的には認めることもあるんですか、認めないのですか、このことをお答えください。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 これは、申し上げましたように、一つは親の銀行と子供の証券会社との関係がきちんと弊害防止措置の実効性が上がるかどうか。銀行は大量に株を持っておりますので、その子会社がブローカー業務を行うということになりますと、やはり何らかの銘柄を勧めるという行為が行われるわけでございまして、そういうものをどう考えるのか。それからもう一つは、中小証券会社というものの経営をどう考えるかということでございます。  株のブローカー業務を銀行の証券子会社にいつ認めるかということにつきましては、今申し上げたような、一つは銀行の子会社である証券会社が本当に独立して中立な立場で、親銀行に引きずられないで営業を行うかどうかという問題、もう一つは中小証券会社というものの経営の状態が安定するかというような問題、そういうようなことを考えて判断をしていくことになるわけでございまして、今具体的にいつということはなかなか言いにくいわけでございます。やはり市場の状況あるいは子会社の経営状況、中小証券会社の経営状況というようなものを総合的に勘案しながら、株のブローカー業務を認めていく時期を探っていくということになろうかと思います。

中井洽民社党

○中井委員 時間ですので、次回にいたします。     ―――――――――――――

太田誠一自由民主党

○太田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田誠一自由民主党

○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会

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