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123回国会衆議院1992/03/04

大蔵委員会 第6号

発言数
167
登壇者
19
会派数
5
開催日
1992/03/04

会議録

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  本日は、参考人として横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授金子安君、TKC全国会会長飯塚毅君、明治大学商学部教授西野萬里君及び追手門学院大学経済学部教授米原淳七郎君、以上四名の方に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、それぞれのお立場から忌揮のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序についてでありますが、まず、各参考人にそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、次に、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、金子参考人からお願いいたします。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 ただいま御紹介いただきました金子でございます。  ただいまこちらの委員会で審議中の三法案について意見を述べるようにというお申しつけでございますので、簡単に私の意見を申し上げたいと思います。  そこで、まず順序として、租税特別措置法改正法案から申し上げます。法案の内容は非常に多岐にわたっておりますので、主要な問題点についてのみ意見を申し上げることにいたしたいと存じます。  まず、相続税の課税の特例として、小規模宅地等の課税の特例の減額割合を大きくする改正でございます。これは、居住用については五〇%から六〇%に、事業用については六〇から七〇にという改正でございますけれども、これは、地価高騰の著しい地域に土地を持ち、事業の用あるいは居住の用に供している人々の、居住の継続を保護するあるいは事業の継続を保護するために必要な措置であると考えております。ただし、これらの人々は地価高騰によって価値の増加した資産を相続したということは事実でございますから、軽減割合をどこまでも大きくするというわけにはいかないと思いますけれども、しかし、地価の高騰した地域に住んでいる人々が、相続によって他に住居を移さなければならないというような状況もかなり見受けられますので、今度の措置は妥当なものであるというふうに考えております。  ただ、これは、異常な地価高騰といういわば病理現象の中のやむを得ざる緊急避難的な措置であるというふうに考えるわけでございまして、より基本的に必要なことは、地価の引き下げを図る、そしてこういう制度が必要のないようにするということが最も重要なことではないかというふうに思います。そういう意味では、地価税の定着その他、土地政策の総合的な推進というものを今後とも図っていく必要があるのではないかというふうに考えます。  それから二番目には、租税特別措置の整理合理化の問題でございますけれども、税負担の公平を図るためには、租税特別措置の整理合理化は不可欠でございまして、避けて通れない課題であります。今までも特別措置の整理合理化が極力進められてきたわけでございますけれども、ことしの法案を見ますと、みなし法人課税の廃止を初め、いろいろな思い切った整理合理化が図られているわけでありまして、妥当な内容であるというふうに考えております。  それから三番目に、普通乗用自動車に対する消費税の税率の問題がございますが、これは後ほど、法人特別税とあわせて申し上げることにいたしたいと存じます。  それから、今度の特別措置法の改正法案の中で非常に注目されることは、国際課税の整備でございます。例えば過少資本税制の導入が予定されておりますが、これは、我が国は先進国の中で唯一この制度を持っていなかった国でございますので、こういうものを導入するということは、ぜひとも必要であるというふうに思います。  それから、外国税額控除の関係について申し上げますと、我が国の外国税額控除の制度は、ほぼ一般に認められた国際課税の原則に沿っているというふうに考えてよろしいと存じますけれども、ただ一つ、外国孫会社の外国税額を外税控除の対象としていなかったという点が他の先進国と比べますと大変に違っていた点でございますので、これを外税控除の対象に加える内容、これは非常に注目すべき重要な改正であるというふうに考えまして、これも妥当な措置であるというふうに思います。  それから、タックスヘーブンの税制の改正、これも必要な措置であるというふうに考えます。  それから次は、法人特別税法案でございます。御案内のように、ことしの税収不足は二兆八千億に達すると見込まれておりますが、来年度も歳入不足が確実に予想されるところからして、臨時応急的な財源措置として、これはやむを得ないことではないかというふうに考えます。税収不足に対しましては、赤字公債の発行で対処するということも一つの方法としては考えられますけれども、それは、やはり絶対的に避ける必要があるのではないか。十年以上かかって赤字公債をようやくゼロにしたわけでございますが、しかし、その赤字公債のツケは依然として財政に重くのしかかっているわけでございまして、歳出の大きな割合を公債の利子支払いが、あるいは元本の償還が占めているという意味では、我が国の財政は依然として赤字体質であるということが言えるわけでありまして、その赤字体質からの脱却というのが我が国の財政の大きな課題であるわけでありまして、こういうときにその赤字公債に依存するということは、何としても避けなければならないのではないかと思われます。そういうわけで、臨時応急的な措置として、この特別税はやむを得ないのではないかというふうに考えております。  それから、それとあわせて、普通乗用自動車に対する税率を三%ではなくて四・五%にするという措置もやむを得ないことであるというふうに考えております。  あと三分ほどございましょうか。それでは最後に、相続税法の改正法案でございますが、今回の改正は土地の評価水準の引き上げに伴う負担調整措置でございまして、これも妥当な内容であると考えております。評価水準の引き上げは、従来地価上昇の中で特にそういう傾向が顕著になったわけでございますが、現実の取引価格、市場価格と言ってもいいかと思います、市場価格と評価額との間の開きが非常に大きかったために、土地の資産としての有利性に多くの人々が着目して土地投機を行った、あるいはその結果土地を持っている人の税負担が相対的に少なくて済んだという問題がございました。それから、この開きを利用した租税回避というのが頻発していたわけでございまして、それを防止するためには、あるいは土地に適正な相続税の負担を求めるためには、この開きをなるべく少なくする必要があるわけでございまして、必要な措置であるというふうに考えます。  それから、それに見合って負担調整のためにとられたのは課税最低限の引き上げと税率の適用幅の拡大、適用区分の幅の拡大の二つでございますが、これは大体においてよい線に落ちついているというふうに考えます。今度の税収見込みを見ますと、評価水準の引き上げに伴う増収予定額どこういう調整措置による減収予定額がほぼとんとんになっておりますので、大体妥当な線であるというふうに思います。  それから相続税の最高税率を七〇%からもっと下に下げるべきではないかという意見があったことも、あるいはあることも承知しておりますが、これは所得税と住民税を合わせた最高税率が六五%に達しておりますので、資産税としての相続税はそれよりは若干高くても、租税の理論からするとよいのではないかというふうに考えますので、最高税率を七〇%に維持したことはやむを得ない措置である。また、あるいは将来所得税の税率を再検討するというような際には、相続税の税率の問題も出てくるかとは存じますが、当面の所得税との相対関係ということからしますと、七〇%という税率は妥当である、こういうふうに考えております。  以上、私の意見を申し上げさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)

太田誠一自由民主党

○太田委員長 どうもありがとうございました。  次に、飯塚参考人にお願いいたします。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 ただいま御紹介をいただきましたTKC全国会の会長の飯塚毅でございます。せっかく開陳すべき意見を文書にして持ってまいりましたので、これを読ませていただきます。  一番。十分間という極端に短い時間内に租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案という三法律案、合計百九十七ページに及ぶ法律案について参考人として意見を開陳せよとの御要請でございますが、これはなかなか大変なことであります。  二番。私は、この要請におこたえするために、これらの三法律案を綿密に読んでみたのでありますが、総括的に申しますと、よくもまあここまで細密に問題の所在を把握して法律案をおつくりになったものだなと私は感嘆申し上げたいのであります。まさに大蔵官僚は日本を代表する官僚と言われるだけのことはあるなと感服いたした次第でございます。 三番。しかし、ちょっと気にかかることがあります。それは、天下の秀才たちが脳漿を絞って現行税法をいじくってみても、結局、歳入欠陥が二兆八千億円にも上ると言われている中で、初年度でわずか五千三百七十億円、平年度で四千七百二十億円程度の増収策しか思いつかないのかという点でございます。  そこで四番目。ここで私見によれば、憲法第四十一条の定めている「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」という条項を思い出していただいて、ここは国会議員の先生方の出番であると御理解いただきたいのであります。それはどの点かと申しますと、今回の法律案にも再々出てまいりますが、我が国の国税通則法の致命的欠陥を是正するだけでよいのであります。長年にわたってその欠陥を放置しておいたことは、大蔵官僚の重大な責任であります。これがバブル崩壊の真因であったと認められるからであります。  五番目。国税通則法にはどういう致命的な欠陥があるかと申しますと、国税通則法の第一条はその前段において「この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定めこと言っておりますけれども、最も基本的な事項である会計帳簿の記帳条件については一言も触れていない、これが第一の欠陥。次に、万国共通の事項である会計帳簿への虚偽記載、不実記帳についても一言も触れていない、これが第二の致命的欠陥であります。まだまだ欠陥はありますが、時間が限られていますから、きょうのところはこの二点に絞って意見を申し上げます。  六番。ドイツにあっては、第一次大戦後、エーベルトとシャイデマンの二人の協力でワイマール憲法がつくられたことは御高承のとおりでありますが、その一九一九年に、税法学者であり裁判官でもあったエンノー・ベッカー博士によって、その単独立案に係るものとして、ライヒ国税通則法、ライヒスアフガーベンオルドヌンクスと申しますが、このライヒ国税通則法が立案され法律化されました。その第百六十二条には、会計帳簿の基本的な記帳条件として四つのことが法定されています。その第一は完全網羅的であること、第二は真実であること、第三は適時性があること、第四は整然明瞭であることであります。我が国の商法は、そのうちの整然明瞭の原則だけを採用しております。これは三十三条にあります。ドイツのこの法定記帳条件は、その後の一九七七年の国税通則法の全文改正に当たっては、条文数は百四十六条に変わりましたけれども、条文の文言は同一であります。それが一九八六年の商法改正では第二百三十九条に取り入れられましたが、条文の文言は同一であります。同一の条文が二つの法律で重複して与えられているのであります。 これとは別に、ドイツにおいては、記帳条件はGOBと申しておりますが、このGOBというのは正規の簿記の諸原則、グルシドセッツェ オルドヌンクス メースィッヒャーブーフフュールングと言いますが、この正規の簿記の諸原則に関する裁判の判決だけで約五百件あります。  七番。アメリカは、一九二九年の株式大暴落が証券会社の不実記帳が発火点でしたから、アメリカの国会はこの経験に学んで一九三四年証券取引法を制定し、その第十一条及び第十七条と第二十三条とは証券取引委員会に会計帳簿に関する規則制定権を与えておる。違反者には懲役刑及び罰金刑を科す。これは三十二条にあります。こういう権限を与えております。証券会社による違反は重罰として五十万ドル以下の罰金刑としました。その後、米国証券取引委員会は会計に関する規則制定権をFASB、つまり財務会計基準審議会、このFASBに委譲しまして、内国歳入法の四百四十一条、同施行規則の一千四百四十一—一条によって定められた一般に承認された会計の原則、シェネラリーアクセプテッドアカウンティング プリンシプルスと申します、略してGAAPと言っておりますけれども、これと相まって、現在では千ページを超す膨大な規定群となって強制力を発揮しております。  八番。アメリカの内国歳入法七千二百六条は、虚偽記帳、不実記帳について、法人は五十万ドル以下、個人は十万ドル以下の罰金刑及び三年以下の懲役刑を定めています。英仏は大体同じです。日本は国内のお互い同士だけを見ていればいいという時代は過ぎてしまった、世界の人が見ていると思うのでありますが、いかがでしょうか。  九番。脱漏のある記帳、真実でない記帳あるいは適時でない記帳等が刑罰で防止されていることが国税通則法で明記されていた場合、日本人の大部分の人は違反行為を行わないでしょう。それらの禁止条項が全くない現状では、国民の大部分、特に事業所得に関係ある者は、他人に見つからない限り脱税を指向したい気分を持つことでしょう。それは性善説とか性悪説とかとは関係ない、人間心理の必然だと思うのであります。国会議員諸公が断固として国税通則法の欠陥是正に立ち上がられることを祈念して、この意見開陳を終わります。(拍手)

太田誠一自由民主党

○太田委員長 どうもありがとうございました。  次に、西野参考人にお願いいたします。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 明治大学の西野でございます。  このたびの税制改革につきまして意見を述べろということで、私の見解を述べさせていただきたいと思います。  今回の改正を読ませていただきましたが、非常に多岐にわたっておりまして、全部について十分間で述べることは非常に難しいものですから、非常に重要だと考えます改正を取り上げまして見解を述べさせていただきたいと思います。  順序は不同でございますがお許しいただきまして、まず最初にみなし法人課税の廃止の問題から述べさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、これは一九七三年、昭和四十八年に導入されまして、以後二十年間ばかり青色申告制度の普及というようなことをねらいとしてずっと存続してきたわけでございますけれども、最近の状況を見ますと、例えば平成二年、一九九〇年で青色申告法人数が四百二十万ございますが、その中のほんの四%ほどまでみなし法人選択者数というのが減っております。もっとも、この減少の一因といいますのは、事業主報酬の費用化の上限が、一九八八年、昭和六十三年に上限が設けられまして、過去三年間の平均所得の八〇%というようなことになりまして、一層その減少に拍車をかけてきたとは存じますけれども、しかしこういうところから見ましてかなり議論の多い税であります点も考え合わせますと、今回の廃止は妥当なものであると考えます。これと同等の青色申告控除制度というのがみなし法人課税を選択しない青色申告の人々に対して行われておりましたが、これも同時に廃止するということで、これは結構なことだと思います。  ところで、税収でいいますと、今のは増収の規模が百六十億円と四百三十億円で五百九十億円ほどでございますけれども、これにかわりまして、ちょうどその負担を相殺するような形と思いますが、青色申告特別控除制度というのが導入されるということでございます。こちらの方の減収規模は六百六十億円でございますから、先ほどの廃止によります増収を上回るということでございます。  その問題に関連するわけですけれども、みなし法人課税の場合、どんな議論があったかと申しますと、個人事業主、これは所得税課税に従うわけでございますが、これと同程度の規模の小法人、法人税に従う者との間の税負担のアンバランスを是正するというような形で導入されたわけでございますが、実は同程度の所得を稼得する給与所得者というのがございまして、これとのバランスということもまた重要でございます。今申し上げた後者のことにつきましてはこのたびは全く触れられなかったわけでございます。  もう一つ、いろいろなこの関連のものが整備されたのは結構なのですが、専従者制度というのが別にございますが、これも実はみなし法人関係の所得分割と関連したものでございます。ここに手をつけられなかったということは若干残念でございまして、これからぜひ改正の課題にしていただきまして、給与所得者とそして個人事業主、同程度の所得の者に同程度の負担をというようなこともまた考える必要があろうかと思います。  しかし、何といいましても、イレギュラーな形で導入されておりましたみなし法人課税制度というようなものがすっきりした形になりましたのは評価されるべきであると考えます。  さらに、赤字法人の欠損金の繰り戻しの還付制度というのが停止になるということでございますけれども、現在のところ、この赤字法人の数が全法人の大体五〇%水準にございます。これはよその国でも見られることでございますが、しかし、やはり余り正常な、自然な姿であるとは考えられないわけでございまして、欠損法人の比率がこういうふうに高いということは、時には、歳入欠陥が出ているような場合にはやはりかなり問題として浮上してくるわけでもございます。しかも、もし同一の法人が長い間にわたりまして欠損状況を続けたまま営業を持続でき得るをいうような事態があるとすれば、これはやはり税務執行上の問題か、あるいは税法上の問題か一何かあるはずでございまして、この問題につきましては引き続きこれからも今後の課題として課税の適正化というようなことを考える必要があるいはあるのではないかというふうに考えております。  それから次に、相続税の問題でございます。これは、土地評価の基準額の適正化ということで、評価割合を地価公示価格水準の今までの七割から八割程度に上昇させるということでございます。そして、これは増税効果があるわけですが、しかし、これに対しまして負担調整が図られておりまして、課税最低限を二割ほど上昇させる、あるいは税率の適用区分の幅の拡大を行うというような形、あるいはまた小規模宅地の相続税負担の減額割合を拡大するというような措置がとられております。  公示価格水準にできるだけ近づけるということは大変結構なことであると思いますので、最近の土地の異常な騰貴、これを抑制したり、あるいは、若干今低下傾向を示してきておりますが、さらに一層引き下げる、あるいは急騰の再燃を防止するという意味で、相続税その他の土地に関する税の一層の整備が必要かと存じます。その意味で、このたびのは大変結構だったと考えます。  それから、さらに歳入不足に対応する時限措置というのが幾つかとられております。平成三年度で、当初予算額に対しまして二・八兆円の減収があったということでこのような措置がとられたかと思いますが、一つは法人特別税が創設されます。これは二・五%ということでございますが、これはタックスペースが法人税額ということでございますので、現行の三七・五%という表面税率に対しまして実効税率が四九・九八%でございますが、二・五の法人税額に対する上乗せがございましても実効税率は大体一、二%上昇する程度で、恐らく五〇%少々といったところになるわけです。これはよその国々の、例えばアメリカ、イギリス、フランスなどの三〇%から四〇%水準にある実効税率よりは高いわけでございますが、しかし、ドイツの五二・八九というような実効税率よりは若干低いわけでございまして、我が国の今の状況から考えまして、国際競争カベの影響はそう大きなものであるとは思えませんので、一応やむを得ない措置と考えます。  それから、普通乗用車の消費税率の方でございますけれども、上乗せ分が六%の方は失効しまして三%から一・五%という形になったわけでございますが、これにつきましてもやむを得ない措置と考えます。  それから、全体として増税というふうな形で示されているわけでございますけれども、これにつきましては私はデフレ効果はそう大きくないと考えます。つまり、九二年と九一年とのネットの税の増減という形で比較してみますと、法的には確かに五千億円程度の増税のように見えますけれども、しかし、ネットで申しますと若干の減収、五百億未満程度の減収ということで、デフレ効果についてはそう心配がないと考えます。  そんなふうに、いろいろ考えております。これで終わります。(拍手)

太田誠一自由民主党

○太田委員長 どうもありがとうございました。  次に、米原参考人にお願いいたします。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 追手門学院大学の米原でございます。  きょうは、こういう国会の先生方の前で意見を述べさせていただきます機会をお与えいただきまして、非常に光栄に存じております。ただ、浅学非才の身でございますので、先生方にお役に立つことが申し上げられるかどうか心配しておりまして、その点何とぞお許しをいただきたいと思います。  この三つの租税改正法案でございますけれども、まとめて申しまして、私は全体について賛成でございます。特に反対すべきものはない、このように考えております。  少し注釈を加えさせていただきますと、順序がばらばらになりますけれども、まず法人特別税、二・五%通常の法人税に上乗せして課税するということでございますが、現在の景気情勢から見ますと、本当はこういう増税はしない方が景気対策としては望ましいのではなかろうか、そう思います。しかしながら、中期的に見まして、我が国の財政が赤字体質からまだ十分に抜け切っていない、また赤字国債の発行が必要になるかもしれないというような危険性が出てくるということは、やはり望ましいことでもないだろう。だから、景気政策から見たら決していいことではないけれども、そういう中期的な財政の健全性の確保という点から見れば認めてもよろしいことではなかろうか。ただ、景気の面に対しましては決していい効果をもたらすものではございませんから、これは何らか別の方策で補正と申しますか補てんをしていただければありがたい。景気対策としましては財政と金融が主としてございますから、法人税が増税になる分金融を少し上乗せして緩めていただいて、この法人特別税による悪影響を消すという方向で進んでいただけたらありがたいのではなかろうかと思います。  この点につきましては、最近公定歩合の改定についていろいろ御議論がおりまして、これは日銀の専決事項であって外部からとやかく言うべきことではないという論調が新聞等にも出ておりまして、それはそのとおりであろうと思いますが、景気対策というのは金融も財政も両方が協力し合って行うべきものでございますから、日銀が独立性を持つということはそれなりに正しいことであると思いますけれども、両者相まって協力し合って国民が困らないような景気政策を実行していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、相続税につきましては、結局は土地の評価の増大につれまして総額がふえないように減税をしようというのが趣旨であると承っておりますので、それはそれで当たり前のことといいますか、結構なことではなかろうかと思います。  相続税につきまして、一つだけこうしていただければありがたいなということを申し上げさせていただきますと、納税の方法でございますか、延納と物納というほかの税には余りないような納税方法がございますが、これをもっと拡充していただきまして、納税者が苦労なしに納税できるようにしていただけたら非常にありがたいな。今回の改正でも若干その点が入っておるようでございますが、特に物納の場合は、課税いたしますときに、この資産は例えば一億なら一億の価値があるとして課税なさるわけでございますから、できるだけそれは一億の価値があるものとして物納も受け取っていただきたい。課税するときは一億の価値があると見ていただきましても、さあいざ納めるとなると、いや、それは取らないよと言われる例が非常に多くなるとやはり納税者は困るわけでございますので、その点を御配慮いただけたらと思います。  それから、今後相続税をお考えになるに当たりましては、我が国は世界で有名な相続税の高い国でございますので、一体相続税は何のために徴収するのか、相続税で日本の国をどういう方向に持っていこうとされるのかというその相続税の政策目的を十分先生方で御議論いただきまして、これは所得再分配であるとか、あるいはまた士気と申しますか、極端なことを申しますと、相続税一〇〇%取るということになれば、だれも節約して財産を持とうなんという人はなくなりまして、宵越しの金は持たない、入った金はぱっぱぱっぱ使えというようにもなりかねないのですけれども、世の中一体どうあるべきかということからお考えいただきたいな、こう思うわけでございます。  それから、租税特別措置につきましてはこれまでいろいろな先生がいろいろなことをおっしゃりましたので、私も大体賛成である。自動車税が今まで六%であったのを本則の三%に返すべきではないかというようなお話もあるにはあるんですが、もともと自動車税の物品税は高かったわけでございますから、それが六に下がり四・五に下がるということはまあそれなりに評価してもいいことではないだろうか。  それから、ちょっとほかの参考人の先生方がお触れにならなかった点で申し上げさせていただきますと、今度の租税特別措置法の一部を改正する案の中で、いろいろと地域的な問題に関連した点がございます。  例えば、新築貸し家住宅の割り増し償却につきまして、三大都市圏における優良貸し家共同住宅について割り増し償却をふやす、これはこれで住宅政策として結構なことでございますが、今申しましたように、これは三大都市圏、都市に対する優遇措置でございます。これに対しまして農業等の地方につきましては、農村地域工業等導入地区における工業用機械の特別償却は、これは引き下げる、少し増税の方向に持っていく。それから農業協同組合の留保所得の特別控除につきましてもこれは引き下げる、要するに税金を少しふやしましょうと。だからこれを見させていただきますと、ちょっとひがみかもしれませんけれども、田舎は少し重くして、都市は軽くしましょうというような考え方が入っているのかなという気がいたしますが、やはり、東京への一極集中とか日本の過疎地域の問題とかを考えますと、今後税制をお考えいただきます場合にも、できれば田舎、過疎地域の発展というようなこともお考えいただいて、今後の税制のあり方を御審議いただければありがたいなと思います。  それから、私は追手門学院という関西にある大学から参ったわけでございますけれども、これはもう関西のひがみかもしれませんけれども、例えば東京で羽田空港とか新東京国際空港、成田でございますか、ああいうところで事業が行われます場合は大体国のお金で行われるけれども、関西新空港のように関西でやります場合は地元が金を出せという話になるということが、大阪の人間のひがみとしてかもしれませんが、出てくるわけでございます。そういうことが税制等でも余り出てまいりませんように、何とぞ先生方のお力を得たいと思っておる次第でございます。  以上でございます。(拍手)

太田誠一自由民主党

○太田委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳本卓治君。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 自由民主党の柳本卓治です。  参考人の先生方には、お忙しい中当委員会に御出席を賜りまして、感謝申し上げます。それでは質問をさせていただきます。  まず初めに、今日の税体系についての御認識についてお尋ねをいたします。  私はかねがね、国民から信頼を得られる税体系というものは、まず第一に税負担の公平感があるということ、第二に税制がわかりやすく簡素であること、そして第三に国民生活の安定的な発展に柔軟に資することであること、以上三つの要素が必要であると考えております。  さて、我が国では、ここ四、五年の間財政改革と税制改革が進んできておりますが、それもこの数年間のいわゆるバブル経済のもとでの大幅な税収があったからだと言われています。バブル崩壊後は今度は逆に、平成三年度におきましては一般会計で二兆七千八百二十億円の補正減額を行うこととなりました。その内訳は、法人税が一兆八千九十億円、有価証券取引税が五千二百八十億円、そして印紙収入が四千四百五十億円のそれぞれ補正額となっております。これこそバブル崩壊の影響を端的に受けた結果であります。かように、バブルがあったから税収が大幅に伸びた、そしてバブルが崩壊したから今後こうした高い税収の伸びは期待できない、これが現下での大方の認識であると考えています。まず初めにバブルありきの論議、私はこれではならぬと思うのであります。  人間に人格も品格もあるように、国政にも品格も品性もなければならない。我が国が目指すべきは、国民生活の安定的な発展です。停滞ではなく常なる発展、前進であります。その発展の中で国際的な責任をも積極的に担っていけると考えます。  そこで、今こそ真に国民の信頼を得られ、国民生活を発展させ、日本が国際的責任をも積極的に果たしていけるような発展的な税体系が求められていると思うのでありますが、この点、今日の税体系につきましてどのような御認識を持っておられるのか、まず金子参考人からお伺いをいたしたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 今の御質問に先立つ御意見として、先生の政治哲学と申しますか、あるいは税制哲学の点についての御認識あるいは御意見、これは私もそのとおりであるというふうに思っております。  それで、バブル経済というのは、考えてみると、非常に不健全なことだったのではないかというふうに私も思います。これからは安定成長を遂げていくことに日本経済がなるように、全面的にいろんな政策面で努力をする必要があるのではないかというふうに思います。やはりバブル経済の中心的な、何といいますか、要因になったのは、地価の異常な高騰だったのではないかというふうに私は思いまして、そういう地価高騰に対する総合的な政策の一環として地価税が導入された、あるいは土地税制の点でいろいろな試みがなされているということは高く評価できることでありまして、私は、税制面でも今後バブル経済が起こらないように、地価の抑制ということに一層努力をしなければならないというふうに考えております。  それから、今後の税制のあり方でございますけれども、現在の税制は、所得と消費と資産に対してバランスのとれた課税を行うという制度を目指して動いてきたわけでございまして、抜本的税制改革によってそれがかなり達成されたというふうに考えております。今後引き続き、その三者間のバランスがどうあるべきかということ、これを十分に検討していかなければならないと存じます。  それから、だんだんに国民所得に対する税負担の割合が増大してきておりますけれども、これは社会保障費、特に高齢化社会における社会保障費の伸びからしてやむを得ないところでございますけれども、国民負担率、租税負担率以外に社会保険料なども含めた国民負担率というものが、大体どの線にとどまることが妥当であるか。余りそれが大きくなりますと、民間の活力がそがれてしまうということになると思いますので、その辺の国民負担率のあり方というようなことについて十分に検討していかなければならないのではないか。それが上昇することはやむを得ない現象でございましょうけれども、なるべくその上昇を抑えるという努力もまた必要であろうというふうに考えております。  御質問の趣旨に合っていたかどうかわかりませんが、ごく簡単に申し上げるとそういうことでございます。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 現在、我が国の経済は、過熱状態態だったバブル経済の崩壊後、景気の減速感が広まっており、インフレなき持続可能な成長経路に移行するいわば調整の過程にあると考えます。経済を長期的に見て安定的な成長軌道に乗せることは、豊かで安定的な国民生活の実現にとって欠くべからざる条件となっております。  そうした中でとられた今回の法人特別税の創設及び普通乗用自動車にかかわる消費税率の特別措置、それぞれ四千億円、八百億円の増収措置は、当面の厳しい税収動向、財政事情に対応するための必要最小限の臨時的な措置としてやむを得ないものであったと考えられますけれども、昨年来の赤字公債発行論との関係も含めまして、金子、西野両参考人の御意見を伺いたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 バブル経済の崩壊に伴って減速感が起こっている、それから現在は調整局面であるという点の認識は私も全く同感でございます。  それで、今度の法人特別税とそれから自動車税四・五%の問題でございますけれども、これは確かにある意味では増税でございますけれども、先ほど西野参考人がおっしゃいましたように、今まであった湾岸税と申しますか、そういうものが廃止されたということを考えますと、実質的な税負担という点では若干減少しているという点もございますので、私は安定的な成長の上で恐らくマイナスにはならないであろうというふうに考えておりまして、この点は西野参考人が先ほどおっしゃった点に賛成でございます。  以上でございます。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 先ほどと重複することになるわけでございますが、期限が到来して失効したものなどを考えますと、このたびはかなり減収になるわけでございます。一つは、石油臨時特別税というのが二千二百億円ほどがなくなりまして、それから自動車の方では六%がやはり期限切れでございまして、千六百億ほどこれがマイナスになります。それから、例の法人臨時特別税の方も四千億ほど減収でございます。そういうことからいたしまして、今回自動車の方で半分取り戻しまして八百億円、それから法人特別税というなくなったものに対しまして同規模のものを二・五%で導入するということで、試算をいたしますと、石油臨時特別税が二千二百億、自動車消費税の方で八百億、これが減収になりまして、大体大ざっぱに言って三千億ほど減収になる。それをさらに地価税などの方から二千億ほど入ってくるのを考えまして、やはり一千億ほど、細かいのを合わせまして、やはり四百億ちょっとぐらいが減収ということでございます。  そうしますと、法律の上から見て確かに増税というふうに五千三百七十億ほどございますが、しかし前年度比ということでございますとこういうことですので、確かに今景気状況は非常に不安な状況になっておりますけれども、デフレ効果というのはその意味ではそれほど心配ないのではないか。そして今、今回増税措置がとられましたようなのがないならばさらに減収が非常に大きくなってしまうわけですから、まあやむを得ない。しかし、これはそう大きなデフレ効果はない、そのように判断いたします。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 次に、個別の税目の中で特に相続税についてお尋ねをいたします。  土地の相続税の評価額を引き上げる、公示価格に対する評価割合を七〇%めどから八〇%程度に引き上げることに対応して、四年度改正案においては相続税の負担調整が提案をされております。相続に当たり、他の財産を持っているよりも土地を持っている方が評価額が実勢価格より低いので得だというような事態が生じるのはおかしいということから評価額の見直しを行ったわけでありますが、その見直しにより土地以外も合わせた相続税全体の負担が増加してしまう分については、土地ばかり買いあさるような行為を抑制するという発端となった考え方からしても、税負担を減らすというのが今回の改正の要旨だと考えています。  一方、近年の異常な地価高騰によりまして、大都市圏を中心として小規模な居住用または事業用の宅地について相続税負担が過重となっているおそれがあり、健全な個人資産の形成、国民生活の安定、事業の継続に資する観点から、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整の一環として、小規模な居住用または事業用の宅地等に対する相続税負担の減額割合を事業用宅地について六〇%から七〇%に、居住用宅地については五〇%から六〇%に拡充するとされております。  今回の相続税改正につきまして金子参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 お答え申し上げます。  まず、今度の負担調整措置でございますけれども、これは評価額が公示価格のおおむね七〇%から八〇%に引き上げになるということに伴う調整措置でございますけれども、これは従来は大体公示価格の七割目標だったわけでございますけれども、そうしますと、実際には公示価格というのは適正な市場価値の七割ぐらいなのではないかというふうに一般に言われておりました。六割ぐらいだというふうに言う人もおりました。けれども、仮に七割だとしますと、七、七、四十九で大体取引価格の半分ぐらいに評価されていたということになるのではないかと思います。八割に引き上げたとしますと、そうですね、五十何%ということになりますでしょうか、六〇%に達しないということになると思いますが、ただ、最近地価の上げ幅が下がっておりますのでもう少し高くなるかもしれませんが、それでもまだ取引価格に比べますとかなりの開きがあるというのは事実ではないかと思います。  いずれにしても、土地の評価が時価に比べて低いということになりますと、土地への節税目当ての投機ということもどうしても起こりやすくなって、そこで地価対策上の問題がある、あるいはいろいろなそういう評価が低いことを利用した節税策あるいは租税回避が頻発していたということも御案内のとおりでございますので、評価額を引き上げるということは適切な措置あるいは必要な措置であったのではないかというふうに考えます。  しかし、そういたしますと負担がおのずから増大いたしますので、その分を負担調整措置で減税するということになるわけでありまして、これは要するに相続税のあり方を適正にする一方でそれに伴った増税を調整するということでありまして、制度としては適切なのではないかというふうに考えております。  それから、小規模宅地、事業用地の軽減割合の増加でございますけれども、これはおっしゃるとおり非常に地価が高騰したところでは事業の承継が困難になるとか、あるいは相続人が居住を継続することが困難になるという事情がございますので、そういうことにかんがみますと必要な措置である。私も何とかそういう点は納税者の立場から見た場合に考えなければならない問題ではないかというふうに考えたり言ったりしたこともございます。ただ、もう一方では、そういうふうに価値の増大した土地を相続した方はそれだけ大きな財産を相続したわけでございますので、むやみに軽減割合を増大していくということはできないのではないかというふうに申し上げたのは、そういうことでございます。  それで、やはりこれは地価高騰という異常現象の中で必要になった措置である。一種の病理現象の中の緊急避難的な措置だというふうに先ほど申し上げましたけれども、地価の高騰を抑え、さらにもっと引き下げていくということをすることによって、こういう措置が必要なくなるようなことを根本的には考えなければならないのではないかというふうに私は思っております。  以上でございます。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 次に、土地問題について御意見をお伺いいたします。  地価上昇は大都市圏を中心に、例えば国土庁の緊急地価調査によりましたら、大阪市で年率にして二割以上の下落、東京二十三区内で年率にして二けたの下落というように鎮静化の兆しか見られておりますけれども、地価水準は大都市圏では地価高騰前の二倍以上となっており、依然として高水準にとどまっております。社会資本の整備を進め、持続な内需拡大と豊かな国づくりを行っていくためには、地価のさらなる抑制、土地神話の打破が必要と考えられます。そのためには、平成四年一月一日から実施されました地価税、四年度税収で四千二百億円でございますけれども、これらを含む税制面の措置を円滑に実施して着実に定着させる必要があると感じますが、遺憾ながら一部には地価の値下がりももうこれで十分だという声も聞かれております。有限な資産である土地に対する適正な課税をねらった地価税の考え方に照らしまして、地価問題等、地価税について改めて西野参考人の御意見を伺いたいと思います。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 土地の我が国における騰貴というのがよその国に例を見ないほどの異常な状況であるということは、特に最近を見でだれも否定する者はないわけでございますが、この地価税等の導入によりまして最近かなり下落の傾向が見えてきたということも事実でございます。御指摘がございましたように、三大都市圏でいいますと、一九八三年、五十八年を一〇〇といたしまして九一年で二六二というような異常な、二・五倍を超えるような高騰というのが見られるわけでございますが、これが若干最近鎮静化してきたのはいろいろな形の政策が効いてきたと思うわけでございます。地価税もその一つであったと思います。ただ、地価税だけの力であったとは思わないわけでございます。そのほかキャピタルゲイン税あるいは相続税の政策的なアナウンスメント効果というのも非常にあったと考えるわけでございます。  さらにこれが再燃したり、あるいはこれからまたこのままでストップしないでもう少し十分に下げる必要があるかと考えるわけでございますが、そのときに、土地税制の場合にやはり非常に重要なことは、全体として非常にコンシステントでそして長期的な見通しのもとに政策を打ち出していくというのが重要であるかと思うのですが、我が国の場合には非常にコンシステントでない形で短期的に変更を繰り返してまいりましたことが土地の高騰の一因にかなり大きな要素になっていたかと思うわけでございます。経済学では最近はエクスペクテiションということを盛んに導入して、政策の有効性に対して対処するわけでございますが、土地政策あるいは土地関係の税につきましても、人々がどういうふうに行動するかということを十分に考慮して税制を考えていく必要があろうかと思います。  その意味から、地価税の現行、今取り入れたスタイルにつきましていろいろ、法人に事実上限られたということなどで若干問題があるかと思いますけれども、しかし若干下がったところで直ちにこれをまた変えるということなく、当面見守っていく必要があろうかと考えております。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 税制というものは国民にわかりやすいことが重要であると考えられます。複雑で国民に理解しにくい税制では、国民に正しく納税しようという意識も生まれにくいと言わざるを得ません。簡素でわかりやすい税制という点につきまして、理論、実務両面に造詣の特に深い飯塚参考人に御意見をお伺いいたしたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 私は、御回答申し上げる前にちょっとお断りしておきたいのですが、今難聴なんです。つまり、聞きにくい、聞きづらいのです。だから、私に呼びかけるときは少し声を大きくお願いしたいと思います。  さて、今の御質問でございますが、まことにごもっとも、私は全面的に賛成でございますのでありますけれども、実は現実の税法の条文は先生が御指摘になっているようにはなっていない。これはちょっと問題だと思う。私は、やはりそれは国会の先生方が主導権を発揮すべきだと思うのです。つまり、もっと具体的に申しますと、税法を立案して国会に出す場合にはこういう基準とこういう基準とこういう基準を必ずクリアしてこいという一つの原則を私は先生方が立てる必要があると思っている。私のような日ごろ税務会計で御飯をいただいている者でも、今の日本の租税関係の法律は必ずしも簡素ではないので、簡単には理解できないという面が多いです。だから、先生のおっしゃっているのは全く同感なんです。だけれども、それは私どもに言わせると、国会議員の先生方が主導権を発揮すべきじゃないか、そうして要するに、そんなに多くない三つか五つぐらいの条件をちゃんとつくる、それをパスしない限りは国会に出させないぐらいのところが必要じゃないかと思う。  例えば、先ごろ私は朝日新聞社の重役と対談したことがあるのですけれども、そのときに重役さん言っていましたよ。大体新聞というものは義務教育を終わって三十歳ぐらいになった人、その人にストレートにわかるように書くんだ、だからそれ以上のものじゃないんだ、そこに文章を書く一つの目安を置いているんだという話を承ったのですが、まことにそのとおりだと思う。先生がおっしゃるように、国民に正しい納税をさせようとするならば、国民がわかりやすい税法、条文にしなければならぬ。ところが、租税特別措置法だとかいろいろございますけれども、実に面倒くさいです。ストレートじゃないです。だから、なかなかわかりにくいという面がございます。それは我々のような専門家でさえもそうなんですから。私は先生の御指摘に便乗して申し上げますけれども、それは国会の先生方が一定の、三つか五つぐらいの基準点をつくってしまうべきだということを申し上げたいということでございます。  終わります。

柳本卓治自由民主党

○柳本委員 最後に、将来のあるべき税体系について御質問をいたします。  国家を人間の肉体に例えれば、国家にとって税体系というものは食物を摂取、消化する消化器系統に当たるわけです。したがって、どのような食物をどのようにとって頑健で病気のない身体をつくり上げていくかということになります。その食物配分に当たって、国民の負担能力をはかる基本的尺度として、所得、消費、資産の三要素があるわけです。この三要素の組み合わせをいかに適切にしていくかということになります。  戦後の税制の出発点となったシャウプ勧告による税制改革が行われてから四十四年を経過して、この間の日本の経済、社会は大きく変化しました。経済規模の拡大、産業構造、就業構造の変化、所得水準の上昇、平準化、消費の多様化等、巨をみはるものがあります。また、今後の経済、社会の変化について考えてみれば、より一層の国際化と高齢化社会の到来が重要な課題になるものと思われます。特に高齢化につきましては、六十五歳以上の人口の割合が二〇〇〇年に一六・九%、二〇二〇年に二五・二%と西欧各国に比べても例を見ない急スピードで日本社会に迫ってきております。我々は豊かで安定的な高齢化社会を実現する必要があります。  そこで、将来あるべき税体系論も、そのあるべき国家ビジョンを裏づけるようなものでなければなりません。今後予想される高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に対応して将来どのような税体系論を選択すればよいのか、金子、西野両参考人のお考えを最後にお伺いいたしたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 今の御質問はある意味では大変に難しい御質問でございまして、おまえは将来の税制のあり方についてどう考えるのかということを問われているのと同じことであると思います。  それで私は、シャウプ税制は当時の経済状況のもとでは正しいものだったというふうに思っております。それから、今度の抜本改革でも、直接税についてはシャウプ勧告の考え方がおおむね採用されたというふうに考えております。異なっている点は消費税、一般消費税としての消費税を導入したことでございますが、これは現在の日本の経済のもとでは必要で妥当な措置であったと考えております。と申しますのは、やはり担税力の表現、今おっしゃったことと同じでありますが、担税力に即して税負担を配分するという場合には担税力の表現としては所得と消費と資産の三つがあるという点は全くそのとおりだと思いますが、それをどうやって組み合わせていくか。そうするとそこでは、今までは消費に対する税負担の比率がかなり低かったわけですけれども、それを高めるということが今度の税制改革の一つの中身だったかと思いますけれども、それは妥当な措置だったと思いますし、またそれによって直接税の租税政策が非常に柔軟にそのときどきの必要に対応できるようになったということも言えるのではないかと思います。  今後その三つの組み合わせをどう考えていくかということでございますけれども、私は、資産に対する税負担についてもう少し考えてもいいのではないか。というのは、もう少し比率が上がってもいいのではないかというふうに考えております。これは、資産に対する税の範囲についてはいろいろな考え方がございまして、例えばOECDのリポートを読んでみますと、譲渡所得などに対する課税もこれは資産課税の中に入っておりますけれども、そういうふうに資産課税の範囲をとった場合にはもう少し資産課税の比率が高くてもいいのではないか。しかし、極端に上げますとまたいろいろな好ましくない経済的な影響が出てくるということは言えるのではないかと思いますから、極端に上げることはできませんけれども、もう少し引き上げてもいいのではないか。  他方では、所得税の税率をもう少し下げるということを検討してもいいのではないかというふうに考えております。ただ、アメリカのようなフラット所得税にまで持っていくのは疑問だと思っておりまして、私は、日本の社会が、日本の社会経済がこれだけ発展してきたのは、やはり第二次大戦後、日本が非常に経済的に見て平等な社会になった、そして階級的な対立と申しますか、そういうものが少なくなったというところに一つの要因があると思いますので、また富の格差が著しく拡大するということになると、それは社会的な不安定の要素になっていくであろうというふうに思いますので、税制が相当の再配分機能と申しますか、そういうものを持ち続けるということはやはり必要なことではないかというふうに思います。ただ、現在の所得税、住民税を合わせた税率が妥当な線かどうかということは、また将来の検討課題として検討するに値することではないかというふうに考えております。  大変に簡単でございますけれども、以上でございます。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 参考人各位にお願いをいたしますが、質疑の進行が十分ほど全体としておくれておりますので、簡潔なお答えをいただきますように御協力をお願いいたします。  西野萬里君。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 今後のあるべき租税の体系というのについて述べよということでございますが、大変難しい問題をお尋ねになられたと思っておりますが、簡単に、どんなふうに考えているかということを述べさせていただきたいと思います。  我が国の場合には、御存じのとおり、欧米の二倍を超えるようなスピードで高齢化社会に向かって進んでいるわけでございますけれども、現在の六十五歳以上の人口は、今のところ一〇%強でございますが、二〇〇〇年にはやがて一六%に達するし、そしてまた二〇一〇年には二〇%を超えるということで、五人に一人は六十五歳以上というような時代がやがて来るわけでございます。  そういったことを考えまして、税がどのような体系であるべきかということを考えますと、先生が先ほど御指摘なさいましたように、税負担の公平といいますのは、所得税なら所得税に偏った場合に、所得税だけで負担の大部分を占めるということになりますと、所得税に何らかの問題やゆがみが若干でもありますと税負担上のゆがみが生じますし、消費税、資産税も同じことだろうと考えます。  どのような税が最も公平かということにつきましては、なかなか正確な解答は得られないわけでございますが、しかし、税負担にできるだけ公平性を求めるならば、担税力という点に着目をいたしますと、やはり所得か消費か資産かということになろうかと思います。そのときに、現在所得税の比率は大体七割でございますが、そして消費税が大体二割強、そして資産税は七%ほどでございますけれども、この状況のままで、先ほど申し上げましたような高齢化社会にそのまま理想的な税体系としてこれが言えるのかというと、私は大変問題があるだろうと考えます。  つまり、生産年齢人口が非常に比率が低くなってくるような状況の中で所得税に七割というような負担を求めるということは、大変生産年齢人口の人々にとって大きな負担になってくるだろうと考えます。そのような状況のもとでは、やはり消費税が今の状況の比率のままでは済まないのではないか。やはり高齢者の方々も含めて負担をしていただくというようなことがどうしてもやむを得なくなってくるのではないかと考えます。  一九八〇年代ころから所得税の比率が次第に高まってまいりまして、今は七割ちょっとというような状況でございますけれども、一方、消費税の方は八〇年代の初めごろから見ますと若干低下してきているわけでございます。今消費税が入りましてもやはりなおかつこういう状況でございますが、今すぐには、ようやく定着したところでございますので、賛成できかねますが、しかし、高齢化社会に向かっていく中で生産年齢人口の比率を考えますと、消費税を非常に大きな重要な税収源とするということについてやはり国民の合意を問題点として提起するならば、国民の合意が得られるような局面が次第に出てくるだろうと考えます。  それともう一つ、資産税につきましても、金子先生が御指摘になりましたように、今の水準といいますのは、低過ぎるとは思いませんけれども、若干そういう、今申し上げたような所得税に負担の偏重があるということは、問題になるとすれば、やはりこれもやむを得ないかと考えます。つまり、所得税の比率を若干下げて、そしてほかの税に関しての負担を求めていく方向が望ましいのではないかと考えます。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 貴重なそれぞれ御意見を賜りまして、心から厚く御礼を申し上げます。  質問に当たっては若干失礼な点があるかもわかりませんが、その際は、お許しをいただきたいと思います。  最初に、それぞれ御指名を申し上げてから私の方が申し上げた方が、お答えになられる先生方は、学校へ行ったみたいに、どこへ指されるのかわからぬという質問の今のやり方を見ていると、全部注意をしてなくちゃならないと思うので、私の方で参考人のお名前を申し上げまして御質問を申し上げます。時にそうでない場合もあるかもしれませんが、そのときはお許しをいただきたいと思います。  最初に飯塚参考人から、極めて時間が短いという御不満の御意見もございました。その点をカバーするために、先生の述べ足らなかった点について、私の方で若干考えました問題についてお伺いいたします。  税収は心配するな、十分に取ることができるんだ、一言で言えばこういうお話でございました。その根本的な増収策、現在百七十四兆円の累積赤字も持っているわけでありますから、総理といえどものどから手が出るくらい欲しいんじゃないかと思うのでありますが、その根本的な増収策というものはいかなるものなのであるか、その点、お伺いをいたしたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 お答え申し上げます。  私は毎年のようにドイツに出張いたしまして、ドイツの税法学会の幹部それからドイツ税理士会の幹部たちとはしょっちゅう意見交換しているのです。そして、私はよく彼らに聞くのですが、一体君らの国では脱税の比率というのはどの程度なんだと聞きますと、彼らが言うのには、国家予算に対して大体一%未満だろうという答えがだれからも返ってくる。ところが、日本はどうなんだ。日本は連日のごとく大脱税の報道が新聞をにぎわしていますよ。それは基本的には立法当局はちょっとしっかりしてもらわなければいけないと私は思っているのです。つまり、納税者の背番号制はもちろん、アメリカなどはとっくにやっていますから、そういうことはがっちりやって、どこから見ても逃げられないような措置をとる必要があると思うのですよ。それがちょっと日本では緩ふんに過ぎる。具体的に幾らでも申し上げますけれども、緩ふんに過ぎるという点を御反省いただきたいと思っておるわけであります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 では、具体的に例えばアングラマネー、ノンバンクも入るのかもわかりませんけれども、ノンバンクでも百兆円ぐらい、こう言われているくらいですし、その他の不動産の焦げつきなどを考えてみましても二百兆円に近いものがあるわけですが、それ以外に暴力団、麻薬とかそういうもののいわゆるアングラマネーでありますが、そういうものについては、先生はどのように理解し、どのように把握していったらいいとお考えになっておられるわけですか。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 お答え申し上げます。  私は今の立法の方向、つまり暴力団の息の根をとめる、不当な収入を持たせないようにするという方向において綿密な立法が必要だ、勇気ある立法が必要だと思いますね。ちょっとこんなことを国会の先生方に申し上げたのじゃ失礼なのでしょうけれども、野人でございますので勘弁していただきたいのですが、少し投票人の顔色を見過ぎている感じがするのですね。そうじゃなしに、先生方の信念として、国家はこうあるべきだという線で私は突っ走っていっていただきたいなと思っております。ですから、今の暴力団の問題などにつきましては、徹底して彼らの不当な収入源を断つという点について万全の施策を講ずる、甚だ抽象的でございますけれども、そういうことを申し上げなければならぬと思います。終わります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 では、続いてそのままで恐縮でありますが、さっき納税者番号を言われましたが、納税者番号をやることによって税の把握が強まる階層あるいは職業、それから納税者番号によって捕捉し得ない階層、職業、そういうものが不公正を生じないかという心配もありますが、その点はどのようにお考えになっておられますか。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 申し上げます。  納税者番号でございますけれども、アメリカの実例を見ますと、社会保険の番号そのものを納税者番号に使っているという形をとっていますね。社会保険に入っていない者、これはどうするのかというと、ちょっと難しい問題があると思いますね。  それからもう一つ注意しなければならぬことは、政府に対する情報の提供義務、これがすごいのです。私ちょっと数えてみましたら、アメリカの税法では、納税者が政府に情報を提供する種類が二十八種類、資料提出義務が二十八種類ありますよ。しかも驚いたことに、その資料提出をおくれたという場合は罰金を取るわけですよ。その罰金が天井のない罰金制度をとっている部門もあるのです。個人の場合は五ドルとか五十ドルぐらいですけれども、それでも最高限度、五十ドルから五万ドルまでいっている。ところが、今申し上げたように、実は制限を置かない、青天井の罰金を取るという体制までつくられておって、現にそれが実行されておるということでございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 もう一つ、大変恐縮ですが、法人税法の今度の改正、今度の改正ばかりではないのでありますが、法人税法にかかわる問題点、幾つかありましたら御意見を承りたいと思います。この質問は米原参考人にもお答えいただきたい。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 交付税ですね。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 法人税です。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 法人税法上の問題点が何かということですか。これは大変なことです。まず大蔵関係者、ここにいるでしょうね。先生方大蔵委員なのだから、全部そうだと思いますけれども、我が国の法人税法の二十二条四項を見ると、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準によって計算すると書いてある。ところが、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準は何だというと、具体性がないのですよ、これが。ないのですよ。これはとんでもない。例えばこの一般に公正妥当と認められる会計処理の基準という言葉は、アメリカの内国歳入法の四百四十一条の施行規則一千四百四十三条という条文があるのです。それに基づいてつくっているのですからね。つまり、簡単に言えば、先ほど申し上げたようにGAAP、シェネラリーアクセプテッドアカウンティングフリンシプルス、これなのですよ。それが現在は一千ページ以上あるのです。どうですか、日本の場合は話になりませんよ。ですから、国際社会に我々は立ち向かっていくわけなのだけれども、一体どうするのですか。先生方に少し御考慮いただきたいということを我々は叫びたいわけなのです。もう少し世界の大勢と合わせてやっていただけないかということを我々は先生方にお訴え申し上げたいところなのです。それがポイントです。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 法人税の改正、どう思うか、全く予想しておりません問題を与えられまして、ちょっとどぎまぎしているわけでございますが、法人税で問題になりますのは、これまでもいろいろ御議論がありました簡素化ではなかろうかと思います。法人税で一体どういうものが経費で落ちるのかとか、また経費で落とす場合はどういう割合になるのかとか、減価償却はどうするのかとか、引当金、準備金等はどういうふうに処理するのか、とても通常の人間ではわかりません。ですからこそ税理士の先生という特別の職業の方がいらっしゃるくらい難しいわけです。  そこで、先ほど来脱税等のお話もございますけれども、新聞等で見ますと、これは見解の相違であるとかあるいはこれは税法の解釈のやり方の違いであるとか、何かそういうような言葉が出てくる。それはそれだけ複雑で難しいということだろうと思う。ですから、本当は脱税というのは実にけしからぬことでありまして、許されるべきことではないはずのものでございますが、いやこれは脱税ではありません、法律の解釈上こうなっただけの話ですという弁解といいますか、そういうことが出てくる余地があるような法律というものはいかがなものなのかなということを思います。  それから、法人税の負担、全体どうあるべきかというのは非常に難しい問題でございまして、先生御存じのように、最近は国際間の経済取引が非常に容易にできるようになっておりますので、一つの国だけで法人税をどれくらいにしてどうかけるかということは決めるのが難しくなっておる。多国籍企業などになりますと、ある国で税金が重いならよその国に行こうというような話も出てまいりますので、法人に対する税負担は重くすべきではないかという気がしますけれども、そう一概には言い切れないと思います。簡単でございますが……。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 赤字法人というのが先ほども論議されました。この点は飯塚参考人とそれから西野参考人にお願いをしたいと思います。  我々の中にも、赤字法人、二百万のうち九十八万しか納税してない、均等割をもう少し上げて社会に還元をしてもらう、大きな工場を持っていて固定資産税だけは納めるけれども、いわゆる税金は納めないで済んでいる、どう考えても不公正ではないか、それならば、現在地方税になっておりますが、均等割をもっと高くして、あるいは大きさ等によって若干の段階はできるかもわかりませんが、そのことによって、それぞれ社会にお世話になっておる応益の分に対応したものを国においても均等割として納めることは妥当なのではないか、こういう意見もありますが、その点どのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 地方税の額をふやせと……(沢田委員「そういうことです」と呼ぶ)異存はありません。  それから、赤字法人の場合、それを二カ年間だけ停止するということですが、厳格に言うと、それは実は国際的な趨勢には違反している。特に、例えばヨーロッパのEC第四号指令には違反している。やはり赤字は繰り延べなければいけないというのは、これは重要な原則でございますから。しかし、日本の場合は財政が危機的段階にありますから、したがってやむを得ないのだろうと思いますけれども。  そこで申し上げなければならぬことは、日本の場合は会計帳簿にうそを書いても処罰しないんだ、これが問題なんだ。つまり、不実記帳、あるいは虚偽記帳というものに対する罰則規定がない。いや、ないわけじゃない。この中には弁護士の先生もいらっしゃるから、その先生方はおっしゃるでしょう。破産法第三百七十四条、それから三百七十五条、そこには不実記載を処罰する、しかも十年あるいは五年という懲役を科すということが書いてあります。しかし、それは実行したことがない。私は大学のクラス会で、たまたま最高検の検事をやっていた人と同級なものだから聞いたのです。どうしてこれを適用しないんだと言ったらば、適用したら世の中が大混乱になってしまう、だからやらないんだと言うわけなんです。それはそうでしょう、急にやっちゃ。しかし、何も不実記帳を一遍に十年あるいは五年の懲役刑にしろとは言いませんけれども、アメリカの内国歳入法の七千二百六条を見ると、三年以下の懲役ですよ、不実記帳は。そこらはやるべきですよ、そこらは。と私は思っておる。  それから、今先生は含み資産の問題を触れたのですか。(沢田委員「まだ触れてないです。これからです」と呼ぶ)触れない。あ、そう。いや、そこは非常に重要ですからね。  それから、不実記帳ばかりではなくて、例えば脱税をしようとする場合、私は、我が国の大蔵委員の先生方を変な気持ちで眺めているのですよ。というのは、今回消費税の六十四条に初めて消費税の脱税未遂を罰するという規定が生まれましたよ。消費税だけですよ。あとはどこにもない。つまり、脱税しようとする、未遂、未遂を処罰するというのは文明国全般の傾向なんですけれども、日本だけはやっていない。ただ消費税だけだ。例えばドイツの国税通則法三百七十条によると、書いてありますよ。フェルズッフ・イストシュトラフバールと書いてある。ちゃんと未遂は処罰すると書いてある。脱税の未遂は処罰すると書いてある。なぜそれをやらないのですか、日本は、先生方は。消費税だけだ、それが始まったのは。甚だけしからぬと私は思っているのです。あしからず。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 赤字法人の欠損金の繰り戻し還付制度が停止ということになったわけで、飯塚先生おっしゃいましたように、多分世界的な傾向からするとこれは逆の流れということになるのかもしれませんが、長い間欠損法人というのが全法人の五〇%前後というような高い水準にございましたので、いろいろ議論になっていたことは事実でございます。日本の場合には法人所得課税でございますので、所得がゼロの場合、欠損法人の場合には課税のしょうがないというのが、理論的にはそうでございます。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、同じ法人が長い間にわたって欠損を続けながら事業を継続していけるというところに何か不思議なものを見る感じがいたしますし、これは恐らく税務執行上の問題が一つはございますでしょうし、あとは税法上の問題もあると思うのですが、一つそれを打開する道は、よく今議論に上っていますように、地方税の住民税で均等割というのがございまして、先生が御指摘のものでございますが、そういう形で国税でも取るというのが日本では浮上しているわけで、これはいいアイデアだと考えます。  よその国でも赤字法人というのはかなり問題になっているわけでして、アメリカの場合ではちょっと参考になるかと思うのですが、ミニマムタックスという制度がございまして、最近の税制改革では、特別租税措置、優遇税制をすっかり排除いたしまして、そのかわりミニマムタックスもなくそうというような動きがあったわけでございます。これは優遇措置で優遇した税額の一部を取り返すというようなシステムでございます。最低、経済学的な意味での所得に対しまして、一定割合を負担させるという形でこういう税が、優遇措置があるけれども、一方ではこういう形で若干取りますというわけでございます。こんなのも日本では余り具体的に議論に上ってないようでございますが、一つ参考になる方法がと思いますが、均等割のようなのもアイデアとしては私は賛成でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 金子参考人と米原参考人にお伺いしますが、今回地価税を徴収いたしましたが、大体側賛成の御発言のようでございました。じゃ、何に使う。これは土地政策に使う、実はこういう約束で課税をしたわけですね。参考人としては何に使うのが妥当だとお考えになられますか。両参考人からお聞かせいただきたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 地価税は、導入したときは相当部分は所得税、法人税の減税に充てて、あとは地価対策その他に用いる、そういう案が有力でございましたけれども、将来の傾向としてはそういうふうにするのが妥当だと思いますが、当面は、こういう財政状況でございますので、私は一般財源に入れてもよろしいのではないかというふうに考えております。  ただ、将来は所得税、法人税の減税に充てる、あるいは優先的に地価対策に使うようにしていくというような、都市対策に使っていくというふうにするのがよろしいというふうに思っております。  以上でございます。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 地価税の使途についての御質問と理解しておりますが、人間の生活には御存じのように衣、食、住がございますが、我が国の現状は、衣、食に比べて住が一番劣っているのではなかろうかと思います。これはいろいろな理由がございますので今すぐ簡単には申せませんが、せめて地価税として徴収していただいた分は、この住の面が改善するようにお使いいただければ大変ありがたいな、個人的にそう思っております。  以上でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 飯塚参考人にお伺いいたしますが、企業の中に、土地の、資産の評価は、いわゆる購入時の価格で貸借対照表なりを計算しているわけでありますが、今日のようにバブルがあって、非常に含み資産がたくさんあったとき、それからまたバブルがはじけて含み損といいますか、せっかく上がっていた株も大変損をする、あるいはその他の、抵当になっていた土地やその他の評価も大変下がる、こういう含み損というものも出てくるわけですが、これらについて、もし原簿価格でなく時価に直して法人の資産勘定をして、あるいは利益を見ていくということになれば、一回でこれを取ろうというのではありませんけれども、十年なり十五年かけてその一千倍以上に上がったようなものをならしていく、そういうことはまず御理解いただけるのかどうかということが一つと、会計方面の専門でおられる立場から、果たして現在の会計の中にそれを取り入れることは可能かどうか、そしてまた、それに税をかけるということについてはどのように考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 お答え申し上げます。  今の先生の御質問のポイントは含み資産の問題なんでしょう。どうもその点、大蔵省の証券局の企業財務課じゃないかと思うんだけれども、ECの第四号指令のつかみ方が間違っておる。私はその点、きのうは一日そのECの指令をがっちりと調べたんですが、第四号指令の第七節に第三十一条から四十二条まで実に膨大な条文が、今先生がおっしゃった問題点の条文なんです。そして、私が実はぎょっとして驚いていますのは、大蔵省の現職の方々は、取得原価主義をそのまま実はEC指令もそれを遵守しているんだというふうに錯覚しているんです。純然たる錯覚です、これは。  というのは、まず第一に注意しなければならぬことは、このEC指令第四号の第七節というのは、財産評価のルール、バリュエーションルールズと書いてあるんです。財産評価のルールのことを決めているのです。それが十二、三カ条あるのです。その第一の、三十一というのは最初の条文ですけれども、最初の条文のところに、企業の財産というものはゴーイングコンサーンの原則の上に立って掌握しなくちゃいけないという規定があるのです。このゴーイングコンサーンというのは、国会の先生はなじまないかもしれないけれども、会計学では固まってきた概念なんです。どういうことかというと、要するに企業というのは年じゅう動いている、生きている企業、企業活動をやっている、そういう状態で財産をつかめ、財産価値を評価せよということを言っているのです。それが要するにEC指令の第三十一条の条文の趣旨なんです。  つまり、非常にこれは重要なんですが、こんなに国家機関がEC指令第四号を間違って読まれちゃったんじゃ、これはどうにもならぬ。これは場合によっては街頭演説でもやって大蔵省をたたかにゃいかぬ、こういうふうに思うくらいですね。実はその三十二条とか三十三条の次に、インフレを考慮した評価処置をとらねばいかぬという規定があるんです。だから、間違いなくこれは、ゴーイングコンサーンというのは時価主義ですから、しかもそれはインフレを考慮した上の会計処理をしなさいということを言っているので、それをあたかも今の日本の商法の三十四条のあのかたくなな取得原価主義、これをEC第四号指令は認めているんだというふうに把握しちゃっている。全然誤解です、これは。大蔵省によるこういう誤解で私は何回も被害を受けております。今までも受けております。ドイツ大蔵省のムースという課長が来たときに同じようなことが起こりました。飯塚が言っていることは違うんだということを大蔵省内で回覧したんだ、文書を。このとおり違うんだと。ところが違うんじゃなくて、それは大蔵省の把握の仕方が間違っていた、そういうことがしょっちゅうあるんです。  そこで今の問題でございますが、非常に重要なことでございまして、含み資産をどう帳簿に載せていくかという問題、その場合に、通常はそういうインフレ会計の場合はそれは益金と見ないという条文が現在もあるんですよ、法人税法に。あるんだからその点はさほど問題にならぬと私は思っています。そういうことです。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これは前に答弁者を言わなかったのでありますが、金子参考人、お聞き及びをいただいていたでしょうか。もしなにでしたらこの含み資産、含み損、そういうもののあり方についてどのようにお考えになるかお聞かせをいただきたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 法人の持っている資産、特に土地、土地資産の含み益に対して課税すべきではないかという意見は、今度の地価税の導入に先立っていろいろと政策のあり方を検討していた際に出てきた問題点の一つでございました。つまり、資産保有といいますか土地の保有に対して何らかの税負担を求める、それによって有効利用を促進しようという方策として地価税もその選択肢の一つだったわけですが、それ以外に毎年の価値の増加益に課税する。これはつまり含み資産。そうですね、一種の毎年の価値の増加益ですから、ちょっと含み資産と呼べないかもしれません。それからもう一つは、法人の持っている土地の含み益に課税したらどうかというようないろいろな意見がございました。ただ、含み益を計算するということは大変な作業でございますね。これは大変な作業だということもございますし、法人にとっては大変な負担になってしまうということもございます。それからもう一つは、未利用地に課税するという考え方でございます。  ですから、ちょっと時間が長くなって恐縮ですが、一つの考え方は地価税の考え方、もう一つは毎年の価値増加益あるいは何年かに一度含み益に課税するという選択肢、それから未利用地税あるいは低・未利用地ですか、それに対して課税するという考え方でございますけれども、やはりその中では地価税、つまり個人、法人、先生の場合は法人を念頭に置いておっしゃっていますので法人に限定して申しますと、法人の持っている土地の価値に対して毎年繰り返して課税するというやり方が一番いいのではないかというところに落ちついたわけでございます。  ですから、もちろんおっしゃっていたような考え方も一つの選択肢ではあったと思いますけれども、ただ、毎年の価値の増加益ですと、それまでの増加部分は毎年毎年課税対象から抜けていくということがございますけれども、地価税ですと地価の全体が課税ベースに入ってくるということで、より有効利用の促進とか、あるいは土地を持っている法人と持っていない法人との間の負担の公平という点から見ると、価値の増加部分だけではなくて根元のところから課税対象に取り込んでいくという方がむしろ租税政策としては妥当ではないかということで地価税に落ちついたわけでございまして、私もその地価税の考え方に実は賛成でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 非常に乱暴な意見になりますが、金子参考人と西野参考人、飯塚参考人にお伺いいたします。  例えば、今百七十四兆の累積赤字を持っておる。だから、今ここで含み資産というものに一たん課税をして百七十四兆を全部返済する、そして日本の新しいスタートをつくり出していく。そうすることによって、現在予算の三分の一を占めようという、まあ三分の一まではいきませんが、ややそれに近いものを占めようという元利償還の費用が大幅に減れば、そのことが日本の再建によりプラスになる。あるいは企業の含み資産に対する課税は瞬間的な痛みでありましょうけれども、日本全体の再出発に当たってはそれが大きな成果につながるのではないか。これから五年、十年、十五年と赤字国債に苦しんでいるよりも、その方が早い脱出が可能なのではないか、こういうふうにも思いますが、これは三参考人でありますが、四人というと長くなりそうでしたので三人に控えさせていただいた次第です。お願いいたします。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 いや、全く申しわけありません、非常に難聴なものですからよく聞こえないので。要するに先生おっしゃっているのは、土地のいわゆる含み資産に課税する、そうすると累積赤字をそこで一掃できるのではないか、そうすれば国債の利払いもなくなってぐあいがいいのじゃないかという御意見ですね。  いや、これはすごい。私は賛成申し上げます。これは全くそのとおり。そうすればいいんだ。いや、すごいですね。たしか先生は野党でしたね。いや、構わず与党を教育してくださった方がいいですれもうこうなったら与党も野党もないですよ。いや、これはすごいですよ、この考え方。  しかし、それで累積赤字の一掃ができるかどうかですね。できるほどのということになるとべらぼうな金額になりますから。そこのところはどうですかね、ちょっと大変だと思いますよ。具体的にこれは事務方に計算してもらうんですな。  我々は異存ないですよ、全く。大した見識ですよ。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 一つの考え方としておっしゃったと思いますけれども、現在の累積赤字はたしかおっしゃったように百七十四兆円でございますね。そうすると法人税の年額の何層倍かを一挙に払わなければならないということになって、日本の法人の負担にはとても耐え切れないようなことになるのではないかというふうに思います。法人の持っている土地を現在価値に評価して、そのうちの含み益が幾らになるのかという計算は和しておりませんけれども、そこから百七十四兆円の税収を得るというのは大変なことではないかというふうに私自身は思っております。  法人に対する特別税ということになるわけでしょうが、法人税の何倍かの特別税を払う、そうすると何年間かにわたって延納するとかそういう措置をとらざるを得ないということになっていくと思いますが、日本の法人の国際競争力が著しくそれで減少するとかそういうことにもなりかねないような感じもいたしますので、その辺はよく考えてみなければならない問題ではないかと思いますので、私ももう少しよく考えてみたいと思っております。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 先生にちょっとたださせていただきたいのですが、増税は何で増税という……

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 資産です。法人の資産です。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 国債の累積赤字が百七十兆を超えているわけですけれども、これは長年で累積してきたものでございますし、ただいまGNP四百五十兆程度ということになりますと、その三〇%ぐらいのものを増税で賄うということは不可能ではないかと私は思うのです。恐らく経済が減速したり法人が競争力をすっかり失ったりする前に納税者の反乱が起こるのではないかと心配するわけでございます。一つの方法がとも思うのですが、私自身は余り考えたことがございませんでしたので、失礼いたしました。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 これは、上場している株価が大体一千兆円ですね。それで、今下がりまして三百五十八兆円ぐらいになっている。これは株で三分の一になったという数字ですけれども、今私が申し上げたのが、大体価格が一千倍ぐらいに上がってきている、もとの原簿価格から見れば現状の価格は上がってきているだろうと思う。そうなると、通常でもそれだけ——それをどう分割して納めるかということは別なんであります。しかし、一応それで見合うだろう。これは無理な発想でありますから。ただ、そういう思い切った方法をとらなければ日本が財政的に再建できないのではないかという気がしたから申し上げたのでありまして、一つの乱暴な考え方としてお受け取りいただきたいと思います。  先ほど延びた時間を今度は私の方で詰めようと思いまして、これからちょっと努力いたしますので、ひとつ回答は御協力をいただきたいと思います。  相続税についてお伺いをさせていただきます。飯塚参考人にお願いをいたします。  先ほども、相続税とはそもそも何か、今日においてもまだ議論があります。言うならば職場の退職金みたいなものでありまして、老後の安定だ、いや功労だ、あるいは報償だ、あるいは契約だ、いろいろあるように、相続税そのものにつきましてもいろいろな解釈があるわけであります。今回の相続税の改正もその一つでありますが、相続税の改正の前進だ、こういうふうな御解釈もされましたが、どういうふうに御理解をなさっておられるのか、その点お答えをいただきたいと思います。相続税に対する提言としてお聞かせいただきたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 これは難しい問題ですけれども、相続税とは何か、こういうふうに正面から聞かれた場合、やはりそれは二つぐらいの機能を持っている。一つは、国家の財政需要をある程度負担していくという面はもちろんある。もう一つは、つまり財産の移転、財産をうまく国民の中に極端な形ではなく分配してやろうということです。しかし、ソビエト・ロシアから来たお客さんに言わせると、日本はソビエト・ロシアよりも共産主義的である、こういうことを言っていましたね。というのは、やはりそれほど日本の場合は相続税というのがきちっと取られているからじゃないかと私は思うのです。  そこで、結局は相続税の問題でございますが、これは二つの理由があるので全廃というわけにはいかない。ただ、非常に注意しなければならぬと思っていますことは、例えば生命保険金が遺族におりたという場合に、まだ日本の相続税法では中途半端。世界の潮流としては、生命保険金は全額非課税という方向に行っていますからね。日本だけはまだそうじゃないので、ちょっとこれは考えていただきたいと思っております。そういうことです。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 なお、先生は公認会計士でおられるようでありますから、お仕事の関係で、今度公認会計士の試験制度が若干変更されるわけでありますが、その点についてはどのようにお考えになっておられますか。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 いや、その点につきましては、我が国会の大蔵委員の先生方に直訴嘆願申し上げなければならぬ。しかし同時に、偉い人ばかりいるんだからちょっとまずいんだけれども、本当のことを言うと、何をやっているのかという気持ちがあるのですよ。  と申しますのは、例えばイギリスは人口六千万、しかるに公認会計士の数は十万を超えている。それじゃアメリカはどうだ。アメリカは人口は二億七、八千万、そこで公認会計士の数は三十万人を超えておる。日本だけは一万人弱ですよ。でたらめもいいところだ。  そこで、さらに言わなければならぬことは、例えばドイツの場合、ドイツの公認会計士の数は日本とほとんど同じじゃないか。そのとおり、同じでございます。しかし、ほとんど同じでございますが、ドイツの場合は株式会社の数が三千しかない。どうですか。有限会社の数を合わせても三十万くらいしかない。日本は違う。日本は株式会社だけで百万以上ある。有限会社も百万以上ある。こういう国において、本当に会計の透明性を実現して世界と調子を合わせていこうとするならば、公認会計士を思い切ってふやしてもらわなければならぬ。  それには、ちょうど一九八六年のドイツのビランツリヒトリーニエンゲセッツの第六条にドイツ公認会計士法の改正条項がある。あの法律によってドイツは公認会計士法を二十二カ条一挙に直した。どうやったかというと、要するに、税理士の試験を通って実務について五年以上たった者、それは二科目の簡易試験で通す、十年以上たった者、それは一科目の簡易試験で通す、さらに十五年以上たった者、それは口頭試問だけで通す、こういうことなんです。実は、ドイツの公認会計士協会の会長が私のところへ訪ねてきまして、どうしたらいいだろうと言うから、いや君の国は株式会社の数が少ないんだから日本の公認会計士と同じぐらいの数だっていいよ、ところが日本は君の国と違ってべらぼうな会社数なんだ、何百万というんだ、その需要を満たすのには余りにも少ない。  だから、ここは先生方には思い切って特例措置をとってもらいたい、こう願ってやまないわけでございます。  終わります。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 米原参考人にお伺いしますが、先生の本を読ませていただきました。先生の言っているのは、これは発行の日付だけは、ちょっとコピーしてしまいましたから抜けておるかもわかりませんが、地方財政の役割の前に財政活動の役割として、公共財と呼ばれている共同消費財を最適量供給すること、それから民間財の供給量を調整して最適量にすること、それから所得や富を公平に再分配すること、それから景気変動を調節し、経済の安定を保つこと、経済の成長を促進すること、こういうことの中で、次に調整、インフレとデフレというものに対する対応をお書きになっておられるわけであります。  先ほどお伺いしておりまして、今の日本のバブルの崩壊によって出ております、日銀券の発行によってマネーサプライはそれほど伸びてはいませんけれども、不動産の焦げつきあるいは先ほど述べたノンバンクの百兆円に及ぶそういう資金、この上金利を下げることが、在庫も相当ふえているのでありますけれども、果たしてまたバブルの再燃を起こす危険性はないのかどうか。先ほど金利は下げたらどうかという御意見がありましたが、それよりももっと日本の産業構造そのものを変えていくという方向が、私の意見としては必要なのではないかという気がするわけです。このまま第三次産業だけを大きく伸ばすことよりも、あえて言えば第二次産業を着実に伸ばすことの方が必要なのではないかという立場から申し上げているわけでありますが、若干意見が違いましたので、その点どのようにお考えになっておられるか、お伺いします。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 金融政策のあり方でございますが、確かにここ四、五年前に起こりましたいわゆるバブルという現象は、金融政策が失敗したと思います。その最大の原因が私はワラント債であるとか転換社債であるとか、こういう資金調達、エクイティーファイナンスとか申しますが、これが資金コスト二%以下、一%前後でできた。コスト一%前後のお金が集まれば相当むちゃをしても元が取れる、そんなに効率性を考えなくても元が取れるということで投機等に走り過ぎたということが最大の原因であったかと思います。ですから、確かに金利も低かったのですが、それ以上に物すごく安いコストで資金調達が幾らでもできたというのが最大の原因であったと思っております。  先生御案内のように、今はそういう株価も下がりまして、エクイティーファイナンス、時価発行するとか転換社債で低い金利でお金を集めるということは今はできなくなっております。ここで公定歩合を少し下げていただきましても、それでこの前みたいな株価の急騰、それに伴う時価発行、転換社債といったようなことが起こらなければ、もう一度バブルが発生するということはなかろうと私は思います。  それから、先生がおっしゃいました第三次産業よりも第二次産業を大事にした方がよいのではないのか、私も大体そういう気持ちを持っております。やはり産業の基本は物をつくるということだろう、ちょっと古いかもしれませんけれども、乱そういう気持ちを持っております。その第二次産業を助けるといいますか、それの振興をするということは、言うまでもなく機械設備の購入といいますか、新規投資がそれほど高くないコストでできるようにしてあげるということ。もともと企業のそういう資金調達は銀行借り入れで行うというのが昔からの我が国の伝統でありました。エクイティーファイテンスもありましたけれども、そこに帰るのがやはり本道ではないだろうか。銀行から企業がお借りにならなくなった。全部エクイティーファイナンスに走られた。だから、日本を代表するような興業銀行というところが、料亭のおかみさんにお金を融資しなければもう運用のしょうがない、そういう立場に追い込まれた。これは私は非常な失敗だったと思いますね。銀行が銀行としての産業資本の供給ができるような状態にやはり金融というものは置いておくべきではないでしょうか。それが、土地投機とか株とかに貸さないと、もう銀行の経営ができないという状態に追い込んでしまったという金融政策は、歴史に残る大失敗だっただろうと私は思います、大変失礼なことを申したかもしれませんが。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 参考人の皆さん、この法案についてはやや賛成の方の方が多かったのでありますが、今度、あと証券取引法の法案が出るわけでありますが、皆さんが重ねて参考人として出られるかどうかちょっとわかりません。証券取引法の改正についてお考えがあれば、各参考人から一言ずつ、不十分であるのか十分であるのか、こういう点が足らないのか、あるいはこういう点は直した方がいいとか、そういう点が、お気づきの点がありましたらこの際承っていきたいと思いますが、御協力のほどをお願いいたしたい。突然でありますから御用意がないかもわかりませんが、平素の御見識に従ってひとつお述べいただきたいと思います。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 ちょっと準備をしておりません。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 そこで申し上げなければならぬことは、アメリカの証券取引委員会は公認会計士を千五、六百名抱えていますね。日本はそれをやっていない。余りにも公認会計士が少ないということが原因なんだ。だからそこで、やはり能力を持たせ、権限を持たせ、同時に内容を充実していくということがどうしても必要だ。そうでないと日本の証券行政というのは健全化しないと私は思うのです。そういうことです。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 皆さんにお願いします、四参考人に。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 参考人によってはただいまの御質問に対して答える用意がないということで……。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 金子参考人は御意見をお持ちになりませんか。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 ここで意見を申し上げるようには意見は固まっておりませんので、申しわけございません。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 西野参考人は。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 同様でございます。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 米原参考人はいかがですか。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 先生の御質問には直接関係していないかもしれませんけれども、やはり証券、株式等で資金を集めます場合には、いわゆる個人株主といいますか、一人一人の零細な貯蓄から株式資本が出てまいりまして、その個人の考えが企業経営にも幾ばくなりとも反映できるような、そういう証券業界にしていただけたらありがたいな。いわゆる企業間だけの取引がほとんどで、ディーリングであるとかなんとかいうようなことで利益が上がるというのが主流になるのではありませんで、個々の家庭でわずかな貯蓄でもされまして、それが積もり積もりまして株式の購入に行って、そういう方々が配当とか株式分割等で大事にされる、個人株主が非常に大事にされるという世界をつくっていただきたいと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 大体最初の予定時間になっておるわけですが、まだ実際はあるんですよ。  金子参考人、この法律の中には、国鉄清算事業団は転換社債として発行することがあり得る、あり得るということでしょうか、そういう規定があるのですね。株じゃなく転換社債として発行し得るという条文があるわけですが、ではその点についてはどう御理解なさっておられるのでしょうか。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 私、今度の資料を詳しく見まして、たしか国鉄清算事業団の関係の規定もございましたし、今先生がおっしゃられて、確かにそのあれがあったということを思い出しました。これはこちらで用意しておられる「租税特別措置法の一部を改正する法律案について」というところの二十九ページの六というところでございますか。私、全くこういう質問が出るということは予想もしておりませんで、実はずっと通し読みしまして、そういうあれがあるということは覚えておりました。  これは「日本国有鉄道清算事業団の発行する特別債券の譲渡及び権利行使については、所得税及び法人税の課税上、転換社債の場合と同様の扱いとなるよう所要の措置を講ずる。」ということのようでございますけれども、これは私もちょっと研究不足でございまして、ずっと通し読みしただけでございますので、要するにこれはあれでございますね、特別債券を発行しやすくしようということでございますかね。そうすると、やはり日本国有鉄道清算事業団の活動を税制上から支援しようという、あるいは資金の調達を税制上から支援しょうというねらいではないかというふうに思います。  今ここで突然の御質問ですので、私も準備不足といいますか、調べておりませんからわかりませんが、といたしますと、国有鉄道清算事業団というのが非常に重要な役割を果たしていて、その活動が円滑、順調にいかなければいろいろ支障が出てくるという事情が恐らくあるのではないかと存じます。そういたしますと、そういう理由でこういう措置が入るのではないかと思いますけれども、申しわけございませんが、私、そこまで準備が及んでおりませんので、それだけでお許しいただきたいと思います。

沢田広日本社会党・護憲共同

○沢田委員 いや、別に揚げ足をとったりいじめようという気持ちじゃございませんで、ただ、清算事業団の場合は転換社債並みの扱いをして、発行しやすい条件をつくっているということについての御見解を承ったわけであります。  若干の時間は残っておりますが、先ほどの委員長の要請もありますから、あとは委員長にうまくやってもらうことをお願いして、参考人の皆さん、ありがとうございました。終わります。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 東祥三君。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 公明党の東祥三でございます。  本日は、大変貴重な御意見を御開陳くださいまして、まことにありがとうございました。  先ほども米原先生の方から相続税に関連して、政治家が政策目標を明確にすべきだ、つまり政治家自身が、どういう日本をつくるのかといった根本的なことに関してもっと発言していったらいいのじゃないのか、こういう御趣旨の発言がございました。極めて傾聴すべき御意見だと思いまして拝聴しておりました。ひょっとして、概して日本の政治家というのは森を見ないで木ばかりを見ている、そういう御叱正と承った次第です。  そこで、全参考人の方にお伺いしたいと思うのですが、さきの宮澤総理の施政方針演説で、生産大国、経済大国から生活大国への転換という旗を高らかに掲げられました。残念ながら、生活大国の中身に関しては、六項目の指針で、具体的には何ら明示されていないわけです。さらにそれに加えて、生活大国への移行に当たって税体系との関連についても全く触れられておりませんでした。  日本においては、生活者、一方においては生産者であり他方においては消費者である、その中でも特にサラリーマン、勤労所得者と言われるいわゆるサラリーマンの人にとってみれば極めて課税が厳しいのではないのか、法人とのかかわり合いの中でよく言われるわけです。また最近では、ソニーの盛田相談役の方からも強烈な、示唆に富む論文が来ております。相互依存関係が極めて緊密になってきている今日的な状況を踏まえますと、日本が果たして安くていいものを売り続けていいのか。安くていいものを売るということは確かにすばらしい、しかしながら、不当に安く売り続けていいのか、その背景には、安く売ってそして企業収益が増す、しかしそこで一生懸命勤労に従事されている個々人においてはそれだけの見返りが少ない、その結果として法人に対して余りにも優遇されている税制体系になっているのではないか、こういう意見がいろいろなところで出ているわけでございます。  そこで、全参考人に御質問したいわけですけれども、この日本の企業の税制上における優遇というものは、実際世界各国と比べてどうなんだろうか、この点についての御認識と、さらにまた、勤労者の税制上における改善策、こういったものについてもしいいお考えがありましたらぜひ意見をお聞かせ願いたいと思うのですが、よろしくお願いします。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 二つの点だけについてごく簡単にお答え申し上げたいと思います。  一つは、我が国の企業、特に法人でございますけれども、法人の税負担がどうなんだろうかということですが、これは西野先生が先ほどおっしゃいましたように、我が国の法人税率は他の先進諸外国の税率に比べるとどうも高いのではないかというふうに私は思います。ドイツはちょっと別ですけれども、高いように思います。ただ、日本の法人の場合は大変に効率的でありますし、また役員、従業員を含めて大変に勤勉である、よく働くということがありますので、高い法人税率でも何とかやっていけるということではないかというふうに私は個人的には観測しております。将来もっと労働者が休暇をとりあるいは賃金が上がるということになっていけば、またそれとの相関関係で税率のあり方についても当然問題が出てくるであろうというふうに思います。  それからもう一つはサラリーマンの税負担の問題ですけれども、これは税負担が絶対的に重いかどうかということの問題のほかに、やはり公平の問題というのが非常に重要ではないかというふうに思います。  給与所得者とそれから事業所得者とその他の資産所得の人々の税負担をどういうふうにして公平にするか。制度上は勤労所得控除がありますから、勤労所得軽課、資産所得重課というふうに所得税法上はなっておりますが、特別措置でいろいろ違ってきておりまして勤労所得重課という結果になっていることもときどきありますので、そういう点、制度面でいろいろな工夫がこれから必要であろうというふうに思いますし、それから執行面で、把握の水準がいろいろ違うということもあり得るのではないかというふうによく言われております。その辺は実情はよくわかりませんけれども、なお一層把握水準の向上を図るようにしていく必要がある。私、日本の把握水準というのは諸外国に比べてそんなに悪いということはないように思うのです。よく、アングロサクソンは非常に高くて日本とドイツが中間で他の国々はそれ以下だというふうな言い方をしますけれども、どうもそれほど日本が悪いというふうには思いませんが、しかしなお一層の努力が必要であると思っております。  以上でございます。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 先生の御質問は、日本は法人に対して優遇税制になっているかということが第一点で、それから第二点は勤労者への成果配分がこのままで妥当なのかということでございますか。そういうことですね。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 妥当であるかどうかということと、もし妥当でない場合、改善策はどうすればいいのかということです。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 それは、例えば私はドイツヘ行って、毎年のように行くのですが、君の国は勤労時、間が日本と比べて随分短いのにどうしてこういうふうに立派なんだ。特に職業会計人を当たってみると、御自宅にプールを持っている人が多いんだ。これは参りましたよ。我々はそんなことできない。そこで、どういうわけなんだと突っ込んで質問、討論をやってみたのです。そうするとこういうことがわかってきた。  それは、ドイツにはベトリープスフェァファッスングスゲセッツという法律がある。つまり経営組織法という法律がある。それは、従業員五人以上抱えている事業所は毎月一遍貸借対照表と損益計算書をつくって従業員の代表にこれを説明しなさい、その説明をやらなかった場合には処罰だという規定があるのですよ。これはすごい法律ですよ。ベトリープスフェアファッスングスゲセッツというのを経営組織法と訳すべきじゃないかと思うのですが、私はその点でドイツの経営というのは、日本のように大企業は割と立派だけれども下の方へ行くというと惨たんたる法人がありますから、それはとんでもないわけなんです。どうしてそうなってしまうのかというと、要するにドイツはベトリープスフェアファッスングスゲセッツのような法律によって、うんと小さい企業の財務内容も全く透明になっているのです。そのことによって従業員諸君は安心して勤務するということなんですね。これが第一。  それから第二の、先生がおっしゃった勤労者に対する成果配分の現状はいいのか、さらに改善策はないのかというわけでございますが、この点では国会の先生方は本気になってお考え願いたいと思うことがあるのです。それは、タリフフェアトラークスゲセッツという法律です。これはドイツにあるのです。タリフフェアトラークスゲセッツ、何と訳しますか、賃金協約法とでも訳しますかね。私はこれを調べてみて、すごいな、ああ、ここにドイツの経済の健全性の根拠があったかと思うのですね。それはどういうことかといいますと、タリフフェアドラークスゲゼヅツという法律の第一条の施行規則に書いてあるのですが、要するに、労働大臣は毎年のように、労働協約ができたときには全部それを届けさせる、労働省に届けさせる。そして、その中で一番優秀だと思われる労働協約を全国に適用する、例外なしに、ということをやっているんですよ。それは、ドイツの法律の言葉をそのまま使いますと、アルゲマイネフェアピンドリッペ エルクレールンクと言うのです。つまり、一般的に拘束する。もう国内の経営者全体を拘束するのです。そうして、この労働協約をおまえの企業でも実行しろというふうにやるのです。それで私は、税法学会の幹部としょっちゅう会食したりして懇談するのですが、驚くことは、ドイツにあっては、どの企業に行っても大体サラリーは同じだというのです。つまり、仕事の質がいわゆるタリフフェアトラークスゲゼッツで決められていて、この仕事に従事する者はこれだけ、この仕事に従事する者はこれだけというふうに給与が決められているので、勤め先が大であろうと小であろうと中であろうと関係ないというのですね。すばらしいでしょう、これは。それを先生方は、先生方独特の立法活動の中で織り込んでやっていただきたい。  これはちょっと私の錯覚かもしれませんけれども、憲法第四十一条の後段にある国会は「国の唯一の立法機関である。」ということ、どうもそこのところがすんなりとのみ込めないのですよ。何か先生方は、政府が出してくる案に対して賛成か反対の、材木といいますかね、木くずといいますか、それをただ自席から議長席へ持っていくというだけの働きしかやってないのじゃないか。だからそこで、政治改革も結構だけれども、本当は国会議員の先生方は、国のため、国民のためにみずから法律をつくるんだというところがないといけないんじゃないかと思うのですがね。その点お願いいたします。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 ただいまの御質問は、生活大国たり得ない理由は何だろうか、何か方策はないかということで、そのように理解してよろしいですか。——法人優遇措置が非常に多いのではないかというように私ども直観的に思うわけでございますが、日本はかなり整理統合が進んでまいりまして、今のところそうほかの国と比べて多過ぎるような状態ではないと基本的には考えます。  法人に関しまして、資本金一億円超と以下というので分けさせていただきまして、主要な特別措置である特別償却、各種準備金、税額控除による減収額を見ますと、どのくらいの程度あるかといいますと、金額でいいまして、これは平成一年でございますが、中小法人に適用する分の特別措置による減収額が大体二千億程度、そして一億円超の大きな法人に対しますのが大体三千億程度ということでございまして、合わせて五千七十億円ぐらいでございます。  今申し上げましたのは大きなものでございますが、実は特別措置はかなり整理されてきたとはいえ、数はかなりございますが、大部分は中小企業向けの特別措置で、項目は非常に多いわけでございます。今申し上げましたように、どちらかといいますと、その利用割合は、四対六で中小法人の方が四〇%ということで大法人の方が若干大きいということはございますが、金額的にかなり、ごらんになりましたように少ないわけでございます。その面はなお整理統合が必要でございますが、さほど優遇されているとは思われないというふうに私は判断しております。  それから、先ほども申しましたように、実効税率で申しますと、フランス、イギリス、アメリカの三〇%から四〇%台の実効税率に比べまして、我が国は、大体今回の法人特別税を入れましても五〇%ちょっと、一、二%上昇といった水準でございます。西ドイツより若干低いということで、そう低過ぎない。というふうに、優遇されているとは思わないわけでございます。  では、なぜサラリーマンは貧しいかということでございますが、私たちが生活大国を実感できない理由は、むしろ法人税の優遇ということではなくて、もっと根本の所得分配の問題であろうと考えます。つまり、労働時間が長いということは実質賃金が安いということでございますので、そういった問題が一つあろうかと思います。それともう一つは、やはりストックの貧しさ、社会資本とか住宅の不備といったことが非常に生活大国としての実感が薄いということの根本と考えます。ですから、先生方にお願いしたいことは、徴収しました税をぜひ、今後日米構造協議の四百三十兆の問題もございますから、そういうのをてこにいたしまして、ぜひ社会資本のおくれているものの整備と、そして特にまた住宅の整備、そういったことをぜひ力を入れてお願いしたいと考えます。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 生活大国になるためにはどうすればいいんだろうか、税制で何かいい方策はないのかという御質問であったかと思いますが、これは非常に難しい御質問でございまして、私自身的確な答えを持っておりません。多分生活大国になるということは、単なる税制の問題ではなかろう。税制というのは、これについてはそれほど大きな影響力はないのではなかろうか。結局私自身は、生活大国になるということは、会社よりも家庭を大切にしなさい。日本人はこれまで、人生のすべては会社であるというような生き方をしてきたのではなかろうか。それをもっと家庭を大事にしろ、日常の生活を大事にしろ、こういうお話ではなかろうか、私はそう思っております。  そういう観点から考えますと、これは税制というよりも一人一人の人間の意識の持ち方でありまして、これまでは給料を上げるために、係長が課長になるために、また重役になるために、夜の二時でも三時でも残業をする、それが生きがいだというような考え方を一人一人が少しずつ改めて、残業するよりも自分は昇進しなくてもいい、家族とともに楽しい晩御飯を楽しもうじゃないかというふうに変わっていくということではなかろうかな、こういうふうに思っております。  ただ、税制が全く関係ないというわけでもないと思います。これを相続税の面から考えてみましたときに、相続というのはいわゆる親から子供へ財産を移すということです。親が子供を大切にするということでございます。これは戦後日本がいわゆる民主国家と申しますか、アメリカの占領下に置かれまして家族制度ががらりと変わった。それまでは日本という国は、家を大切にしろ、その家の家長は、家族の中に困った者が出てくれば家長がそれを面倒を見て、よそ様に御迷惑をかけないようにする、家族の者はその家長の言うとおりになるといったような風潮の家族社会を持っておったと思います。それはけしからぬ、これは軍国主義につながるから改めろ、子供も全員ひとしく相続しろ、こういうことで、民主化の一環といたしまして相続税は非常に大きく変えられたと思います。  それで、私自身の意見を申し上げることはちょっと適当かどうかはわかりませんのですけれども、私自身は、少し行き過ぎたのではなかろうかなという気がしないでもないのです。やはり親は子供を大切にし、子供は親の言うことを聞くといいますか、親の考えに従って育てられていく、いい健全な家庭を形成していくということはやはり非常に大切なことではないだろうかと思います。ですから、相続税、いろいろ問題がございますけれども、そういう健全な家庭というものを崩壊させないような相続税ということはぜひお考えいただきたいと思います。  それから、例えばある会社の社長さんですと、会社におられるときは高級車、ベンツであるとか、会社の費用負担で非常に優雅な生活をなさると思います。ところが、その家族の方がそんなにいい生活をしておるか。中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、もとの臨調の会長などされておられました土光先生の場合は、家では目刺しを食べておられる、こういう段差。これは、企業の場合は経費で落とせるから、実質百万円のぜいたくな生活をしても税引きコストは五十万で済む、五〇%税率とすると。もしかしたらそういうことも関係しているのかなと思わないでもありません。これは非常に難しい問題でございますが、やはり今後の日本の社会、企業社会、家族社会、どうあるべきか、先生方に決めていただきたいと思います。  以上です。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 一問で終わってしまいました。本日は大変ありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 本日は御苦労さまでございます。  四人の参考人の御意見を伺いましたら、三法案についてはおおむね御賛成の立場からの意見のようであります。間違っていたらお許し願います。私どもの党は、相続税については地価上昇の折でもあり妥当であると思っておりますが、その他の二つの法案については重大な批判を持っております。しかし、参考人としておいでいただいた先生と法案の賛否の問題で論戦を交わすというのはいささか礼を失すると思いますので、その点は省略させていただきます。ただ、お述べになりました個々の御見解について、過去の御発言も含めて幾つか伺いたいと思います。  まず第一に、飯塚参考人に伺いたいと思います。  きょうの飯塚参考人の意見を聞かせていただきましたし、このメモも読ませていただきましたが、それを見ますと、まず最初に「憲法第四十一条の定めている「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」という条項を思い出して頂いて、ここは国会議員の先生方の出番である、とご理解頂きたいのであります。」というように言われて、締めくくりの点で「国会議員諸公が断固として国税通則法の欠陥是正に立ち上がられることを祈念して、この意見開陳を終わります。」というように、比較的国会議員に対して高い評価をしておられます。  ところが、昭和六十三年の四月に週刊東洋経済に本日とほぼ同じ意見を論ぜられているのです、サラリーマンに関して。そこの結論の部分ではどう言っておられるかというと、「国会議員は偉ぶるばかりで、中身は問題ですね。これは与野党を問いません。だからそういう政治家を吃り、官庁を叱るには、言論機関がしっかりしていないといかんのです。日本は民主主義をいくらかまちがえてしまい、右や左の旦那さまの機嫌をとることに終始していますから、言論機関に背筋を伸ばしていただく以外にないでしょう。」こう言っておられます。本日の発言は、国会での発言ですから多少儀礼的部分はあると考えても、この二つの間には大分落差があるのですね。この整合性をどのように理解したらいいのか、まず御発言願いたいと思います。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 大変失礼いたしました。難聴なものですから。  先生は私の意見を、国会議員を高く評価している、こうおっしゃったのだけれども、そうじゃないのです。私は国会議員の先生方にお願いしているわけなんです。つまり、国権の最高機関なんであって、国の唯一の立法機関なんでございますから、先生方命がけでひとつ法律をつくってくださいということを言っているわけなんです。別に国会議員の先生を高く評価したりおちゃちゃらやったりというのじゃないのです。そうじゃなくて、要するに先生方は一票をもらうときには本気になって国民諸君に訴えておられたはずなんです、私は身命を賭してなんと言ってね。そのはずなんですが、そこのところでそれをちゃんとやってくれということだけなんであって、言いかえれば、私の場合は直訴ですよ、直訴。そういうことですよ。はい、そういうことです。

正森成二日本共産党

○正森委員 真意はわかりましたから、今後もその気骨で頑張っていただきたいと思います。  次に、西野萬里参考人に伺います。  週刊東洋経済などの「視点」という欄に何回か論評をお書きになっているようであります。その中で、きょうもみなし法人課税などの問題について御発言になりましたが、そこで商法の専門家としてこう言っておられるのですね。これは一九九〇年四月十四日の週刊東洋経済ですが、「わが国の場合、規模の等しい小法人と個人企業との間に税負担上のアンバランスがあり、これを調整するために個人企業も法人と同様に取り扱うことを余儀なくされ、議論の多い「みなし法人税制」や「専従者制度」が導入された。その結果、同額の所得の個人企業主と給与所得者との間に、新たな税負担の不均衡が作り出された。」こう言っておられます。しかし同時に、法人と個人企業の間にも不均衡があるという点を指摘されて、「他の国々も小法人の課税問題には苦慮している。米国は「S法人制度」(法人所得を各株主に帰属させて課税する方式)で対処している。」云々ということを言っておられます。S法人というのは、縮めて言えばみなし個人制度みたいなものですね。みなし法人課税と逆ですね。  そこで、今度の租税特別措置法の改正とも絡んで、こういう法的形態が違うことによって結局課税の内容が違うという今の日本の税制についての先生の基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 東洋経済のをお読みいただきましてありがとうございました。私、商法の専門家ではございませんで、申しわけないのですが、その辺のことをちょっと申し上げておきます。  まず、みなし法人課税がこのたび廃止されましたのはまことに結構なことだと考えておりますが、その理由は、みなしというような形で、つまり、かなりイレギュラーなスタイルでずっと入ってきているということが問題があったと思って、もっと早い時期に何とかすべきだった、つまり税制の姿からいうとすっきりしてなかったということでございます。  ただ、なぜこれが入ってきたかと申しますと、先ほども御指摘いただきましたように、個人事業主とその同規模の所得を得ている中小、特に小法人との間に問題があるわけですが、みなし法人課税がどういう形でメリットを持っていたかと申しますと、事実上の所得分割、つまり事業主の所得を課税所得から控除できるというこの一点が特に重要だったわけでございます。それを認めるというのがこのみなし法人課税の趣旨だったと思います。  ところが、もともと個人所得税に従う個人事業主をそういう形にしてそこで均衡がとれたとしても、今度は同程度の所得を得ている同じ所得課税に従う給与所得者は、所得については個人課税の単位になっておりますから、一家の主が得てきた給与所得は分割をしないで課税される。つまり、法人税と所得税が税率が同じで——しかも、分割があってもなくても構わない場合は税率が同じ場合でございますが、所得税の方は累進税率構造になっているわけです。私は、よそのアメリカやイギリスのようにフラットな形の所得税よりは今の日本のような姿の方が今日本には適していると考えておりますが、そうなりますと、どちらかに合わせるとどちらかの方が調整ができなくなってアンバランスが残るわけでございます。  そういうことでございますが、事業主と個人は違うのだという考え方も一方にはあるかと思いますが、その辺の調整は非常に難しいわけでございまして、特にみなしに対しまして、青色法人の方に専従者制度というのも入ってきておりまして、これは現在のところ上限がない形で入っております。ですから、今度の青色申告の控除制度が入ってきてすっきりしたと申しましても、こちらは三十五万でしたか、それで専従者の方の控除は天井がない、上限がないということでございますから、依然として個人事業主には所得分割が可能なわけでございます。  これは、もし調整をするとすれば法人に合わせた調整で来ておりますから、個人所得税の方も課税単位が、進んでいるといいますか、実際にほかの要件が何もなければ個人を課税単位とするのが好ましいと思いますが、合わせるとすればフランスのようなN分N乗というような形もあろうかと思います。やはり何らかのアンバランスを解消するような方法が必要ではないかと考えております。  それから、個人事業主につきましては、アメリカのようにS法人というのがございますが、これはどちらの姿、どちらの企業形態を選ぶのかというのが一方的に流れていくのじゃなくて、両方から、法人化するのもあるし非法人化するのもあるというような税制が実は好ましいのではないかと考えるわけです。そのような税制というのは具体的にはまだ私も結論を出しておりませんが、そのようなものがあるならそういう形が望ましいものと考えます。

正森成二日本共産党

○正森委員 米原参考人にも金子参考人にも伺いたいと思って過去の論文などを持ってまいりましたが、残念ながら我々は党が小さいのでもう質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 中井洽君。

中井洽民社党

○中井委員 民社党の中井浩でございます。お忙しいところ、ありがとうございました。  正森委員お話ありましたように、私どもも小さい政党で十分しか時間がございませんので、簡単にそれぞれの先生にお尋ねをいたします。  金子先生にお尋ねをいたしますが、実は私どもの党はこの法案の賛否をまだ決めておりません。きょうは参考人の皆さんの御意見を聞かせていただこうと思ったら、四人とも賛成という実に珍しいことでございまして、それぞれに楽しく聞かせていただきました。  私どもの党で議論になっておりますのは、法人税と自動車の税、この二つでございます。お話ありましたように、財政あるいは国庫収入ということに関してはつじつまが合っている。しかし、取られる方から見れば、例えば自動車というのはもう完全に必需品、これだけ普及している。それが自動車の消費税だけを四・五という形でやる。三年間六%ということもあった。こういう消費税の体系というのがいいのか、あるいはまたどうして自動車だけ取るんだ、こういう議論があるわけでございます。そういった観点からこの後の税制というものをお考えになったとき、どのようにお考えになるか、お聞かせをいただきます。

金子宏横浜国立大学大学院国際経済法学研究科教授

○金子参考人 お答えいたします。  これは、確かに取られる立場からの気持ちというのはよく私もわかります。ただ、これはやはり財政の状況との絡みで出てきた法案でございまして、赤字財政からの脱却をなるべく早く図らなければならない、赤字体質の克服と申しますか、そういう観点からやむを得ないことなのではないかというふうに先ほど申したわけですが、しかし取られる方から見れば、なぜだろうという疑問が出てくることはあり得るかと思います。  まず法人特別税の点については、従来と税負担の増減がないという形になっているわけでございまして、特にマイナスの影響が起こるとは思わない。ただ、一年限りでなくなると思っていたんだけれども、また新たに同じような負担が出てきたという感じはするかと思いますが、それは財政状況の動向に伴う新たな負担というふうにお考えいただくほかはないのではないかというふうに思います。  それから、自動車の方でございますけれども、これはやはり自動車がかなり大きな消費金額に達している、大きな買い物であるという状況もございますので、もちろん最近では準必需品になっているということはおっしゃるとおりでございますけれども、一つ一つの買い物の金額としては非常に大きいので、その中で占める一・五%という比率は比較的、相対的には小さな負担であるというふうに説明できるのではないかというふうに私は思っております。ただ、納める側から見れば、おっしゃるような気持ちが出てくるというのはそのとおりだと思います。

中井洽民社党

○中井委員 西野先生にお尋ねをいたします。  同じような観点でありますが、先生は湾岸特別税あるいは地価税まで引き合いに出されまして、数字的なことで財政はこれで何とかいけるんじゃないかという御賛成論をお述べいただきました。しかし、私どもからしますと、地価税の二千億というのは、論議の中で土地対策に使うんだ、あるいは減税に使うんだ、こう言っておりますが、一部は使われたけれども、ほとんど一般会計化されてしまっておる。あるいは、湾岸税も私どもは賛成をいたしました。しかし、これも一年限りだということが、臨時特例的に、制度は少し変わりましたが残される。こういう税金のあり方、税制のあり方で本当に国民が納得して税金というものを納めていくんだろうか。こういったところが今問題となって私ども議論をいたしているところでございます。そういった観点からお話を承らせていただければありがたいと思います。

西野萬里明治大学商学部教授

○西野参考人 今先生がおっしゃられたとおりでございまして、自動車の消費税にいたしましても時限が切れるわけでございますし、それから湾岸の特別税の方も切れて失効したということは、待っていたわけでございますから、当然増税に対しましては大賛成ではございません。しかし、選択的な意味で賛成せざるを得ないというふうに申し上げたかったわけでございます。時間の制約からそれができませんでしたが。  つまり、今度二兆八千億というような減収が見込まれまして、引き続き何年かはやはりこういった問題を抱えていかなくてはならないわけでございますが、それでは、増税を見送って何もしないでいるとやはり赤字公債に頼らざるを得ないということにもしなるのならば、私はこれはまた大問題だと思うわけでございます。既に国債費が二〇%を超えておりまして、社会保障関係費などを大きく上回っているわけでございますから、財政硬直化というような非常に重要な問題を引き起こしてまいります。ようやく赤字公債、特例公債がゼロになったところでございますから、そのどちらかを選ぶかといったときにどちらかを選ばなくてはならない。赤字公債を選ばないならば、そうするとあとはやはり増税に頼るしかない。そういった意味で、消極的な選択という意味で賛成せざるを得ないというふうに申し上げたつもりでございます。

中井洽民社党

○中井委員 金子先生にお尋ねをいたします。  先ほど景気対策のお話がございましたが、法人特別税、去年の湾岸戦争のときにはここに石油臨時もあったわけであります。この石油臨時はとられずに法人税がとられたということについてどういうようにお考えか。あるいは、同時に法人税で取るのと石油税で取る、景気対策上はどんな違いがあるのだろうとお考えであろうか。この二点、お聞かせをいただきます。——ごめんなさい、米原先生にお尋ねします。

米原淳七郎追手門学院大学経済学部教授

○米原参考人 石油税と湾岸税の差でございますね。石油税は、結局赤字法人であろうと石油を使う、ガソリンを使っている限りはかかるという税金でございますね。法人税は利益を上げている法人だけにかかる。ですから、やはり本当に困っている法人に税をかけないという意味で、石油税がなくなったということはそれなりに評価できることではなかろうか。それよりもやはりもうかっている人が払えという方が筋ではなかろうか。そういう意味で賛成しました。  私も先ほどの西野先生と同じで、積極的に大賛成というのじゃなしに、まあまあ目くじらを立てるほどのことでもなかろうかということで賛成しているという意味でございます。

中井洽民社党

○中井委員 最後に飯塚先生にお尋ねをいたします。  久しぶりに御高説を拝聴いたしまして、お元気なので大変喜ばしいところであります。先ほども御議論のありました赤字法人課税であります。これをどのようにやればいいか。もちろん、先生のおっしゃった、国税の附則改正等を含めてきちっとやればわざわざ赤字にしておると言われておる法人がなくなるのでありましょうが、現行、法人の半分ぐらいは赤字だと言われておる、こういう異常な状況で赤字法人に対する課税のあり方、私ども議論をいたしております。先生の御意見をお聞かせをいただきます。

飯塚毅TKC全国会会長

○飯塚参考人 先生の御質問の要点は、赤字法人への課税は可能かということと、それから法人の二分の一が赤字を出しているじゃないかということですね。そういうことですね。  赤字法人への課税は、法人税としては不可能ですね、これは。ただ、そこで一つ問題があるのは、日本の場合は、帳簿にうそを書いたあるいは不実記帳をやったという場合、罰則規定がないんだ。商法四百九十八条という条文の一項十九号に不実記帳をやった場合ということは書いてある。しかし、それは百万円以下の過料なんだ。つまり過ち料なんだ。だから、刑罰じゃないんですよ。日本には破産法を除いては刑罰規定がないんだ、不実記帳に対して。破産企業だけめちゃくちゃにやっつけるわけなんだ。これはちょっとおかしいよ、むしろ。  そこで、私が申し上げたいのは、赤字法人というけれども、本当に赤字なんですかということが問題で、日本の場合は、その点はちょっと透明性が欠けていますからね。もう透明性が欠けているのは、日本のあらゆる部門において透明性が欠けている。その透明性が欠けているところで、表面的に赤字法人は課税できるかできないかと言ったところてしょうがないんだ。問題は、それを突っ込んで調べてみると、実は意外に赤字でないという場合が多い。だから、そこのところで、租税正義を貫くんだということ、そのことが国民に本当に定着するように、政治家の先生方は国民を指導していただかねばならぬと思っているんですが、我々税理士や会計士だけが幾ら叫んだって、数少ないし、先生方のように権力はないし、だから大したことはないんですよ。  そこで、先生方にお願いしたいのです。その赤字法人への課税は、法律上そのとおりならば不可能ですよ。しかし、果たして赤字法人なりやということになると、日本の場合は今申し上げたように不実記帳や虚偽記帳を罰する規定がないんだから、国税通則法なんかまるっきりないんですから、ですからこの点は疑わしい。そんなものじゃない。企業経営者は、そんな赤字ばかり出しているんだったら解散しちゃった方がいいんだから、そうじゃない以上は、そうは言いながら実はかなりうまみがあるんじゃないかということで、我々も勘ぐらねばならぬということなんです。

中井洽民社党

○中井委員 ありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  この際、暫時休憩いたします。     午後四時十八分休憩      ————◇—————     午後六時三十八分開議

太田誠一自由民主党

○太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑を続行いたします。細谷治通君。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 大蔵大臣初め関係者の皆さん、大変御苦労さまでございます。いよいよ国税三法に対する質疑も締めくくりの段階を迎えております。そこで、若干総花的になりますけれども、時間の許す範囲内で多くの問題に触れてみたいというふうに思っております。  それでは早速質疑に入らせていただきますが、まず第一に、大変現場の第一線で御苦労いただいております税務職員の皆さん方の労働条件の向上の問題について、お尋ねとお願いを申し上げる次第でございます。  既に私どものところへは国税労組の皆さん方からの強い要望が寄せられております。そして私ども毎年この大蔵委員会におきまして、その要望に基づきましてその実現方を強く求め、附帯決議という形で税務職員の要員確保の問題を取り上げてまいりました。逐年、少しずつではございますけれども、前進をしてまいりました。  ところで、国税職員の方々の働き度といいましょうか、生産性というものを若干私なりに見てみますと、この十年間で職員数では四・二%の微増でございます。ところが、対象になります法人数が一四一・一%、申告所得者数で見ますと一四三・八という大幅な伸びをしているわけでございます。世間一般の時短促進の問題もございますし、週休二日制の普及もございます。したがって、必然的に納税事務というのは集中化、偏りを強めるということは否めないと思います。  片方で、コンピューター化等徴税事務の簡素化、合理化を幾ら図ってみましても、職員への労働過重というものはとても解消できる状態ではないというふうに私は考えております。来年度以降をとってみましても、地価税の実施でありますとか相続税の見直しによります評価基準の見直し等、新規の業務量の増大が予想されるわけでありまして、こういうことを考えますと、これまでも御努力いただきましたけれども、引き続き、福利厚生等国税職員の待遇改善を含めて、抜本的な要員体制の見直しというものをぜひ図っていただきたい、引き続き御努力いただきたいというふうに考えております。  大蔵大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 私どもの税務職員に対します御配慮をいただきますことにつきまして、まずお礼申し上げたいと思います。  今も御指摘がございましたように、確かに、近年課税対象というものが増大しているほかに、また、不正の手口の巧妙化ですとか、あるいは経済取引の複雑化、広域化、国際化、そういうものに伴いまして大変事務量が多くなっているというのはもうおっしゃるとおりでありますし、また、税務執行面における公平確保の要請、これもさらに高まっておるというふうに思っております。また、今御指摘のとおり、地価税、相続税等新たな要素というものもあるということでございまして、私どもといたしましても、従来から事務運営の合理化ですとかあるいは効率化、こういったものを講じてきておるところでございますけれども、なお必要になる要員につきましては、その確保に努めてまいったところでございます。  しかし、今後とも事務の運営の合理化ですとかあるいは効率化の努力を続けていくことはもう当然でありますけれども、税務の困難性及び歳入官庁としての特殊性というものをやはり踏まえ、国税職員の増員について各関係方面の御理解をいただけるように、私どもも一層努力をしていきたいということを申し上げたいと思います。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 いわば国会挙げての要望でございますから、ぜひ引き続き実現方、万全の体制をお願いしておきたいと思います。  続きまして、証券トラブルの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。全般的な問題につきましては、今後提出されるでありましょう証取法の改正の段階で詳しく、しかも細かく、詳細に議論をさせていただきますけれども、今日時点でちょっとただしておかなければならない点だけ簡単に述べてみたいというふうに思います。  御承知のように、最近、また再び証券トラブルというものが発生をいたしております。これは、証取法の一部改正で損失補てんができなくなった、そういうことに起因いたしまして、無断売買、飛ばしなどの証券トラブルが発生しているわけであります。そして、これを財テク企業や個人投資家というのが訴訟、調停に持ち込んでいるというケースが、東京地裁管内だけで六十一件、総額で五百四十億円を超えるということが判明いたしまして、これは新聞報道に伝えられているところでございます。この六十一件、総額五百四十億円について、まず事実を確認できるのかどうか、大蔵省としてどの程度把握しているのかについてお伺いをいたしたいと思います。と申しますのも、大蔵省通達によりますれば、訴訟事件の当事者となったときは遅滞なく報告するようということで報告義務を課しておるようでありますから、当然把握しているはずでございますので、お述べをいただきたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 確かに、通達に基づきまして、証券会社が訴訟事件の当事者になった場合には当局に報告をするようにということを要求をしております。したがいまして、訴訟事件になった件数につきましては私ども把握をしているわけでございますが、民事調停によるものにつきましては、これは訴訟事件ということではございませんので、正確には把握をしておりません。  訴訟になったということで報告を受けております件数でございますが、これは新聞報道などの数字、いろいろございますけれども、私どもは、まあどこからとるかによりますが、昨年の一月からごく最近、現在までの数字を申し上げますと、これは三月三日まででございますが、全国の証券会社全部で、件数にいたしまして二百三十五件、金額にして三百十四億九百万円というのが報告を受けているものでございます。訴訟事件でございますから、今申し上げた金額はその訴状に書いてある金額でございまして、訴状に金額が書いてないものについては金額を確定することができません。そういったもの、書いてある金額を合計いたしますと、三百十四億九百万円ということになります。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 民事調停に係るものについては、報告を求める必要はないということでしょうか、今後とも求める気はないということでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 民事調停による部分につきましては、実は証券事故というのを原則として大蔵大臣が確認するということに今度法律上したわけでございますが、それ以外に確認を要しないものということで、確定判決あるいは裁判上の和解、さらに民事調停による調停というものが挙げられております。これらはすべて、法律的には確定判決と同一の効果だということであるわけでございまして、したがいまして、そういうものに該当する場合には事故報告として後ほど出てくるということにはなります。したがいまして、若干時間はかかりますけれども、民事調停が行われたものについては私どもの方に報告書が来るということになっております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 先に議論を進めますが、今回の不祥事は、俗に言いますと、飛ばしと言われる行為だと言われております。この場合、俗に言う飛ばしの場合、証券会社における手数料収入というのは一体あるんでしょうか、ないんでしょうか。それをお答えいただきたい。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 俗に飛ばしと言われております行為は、私どもが証券会社から報告を受けたところでは、ある企業が財テクなどで例えば損が出て、含み損を持っている有価証券を保有している、その含み損を表面化しないために、別の企業に相対で売却をするというような、しかも、それは含み損を表面化しないような値段で売却をするという直取引でございます。ただ、その直取引に証券会社の営業マンが仲介をしているという行為があるわけでございますが、私どもが報告を受けている限りでは、その仲介については一切手数料を取っていないということでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 そうしますと、手数料を取ってないということは、その飛ばしの事業法人間の単なる金銭の貸借契約の仲介をした、ないしはあっせんをしたということになるんでしょうか。そうすると、それは例えば証券会社がするにしても証券マンがするにいたしましても、そういう単なる事業者間の、事業法人間の金銭消費貸借の仲介ないしはあっせんだ、こういうことになるんでしょうか。それを確認したいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 少なくとも今まで私どもが報告を受けておりますものは、営業マンが全く会社に無断でそういう仲介行為を行ったという報告を受けているわけでございます。したがいまして、その仲介行為というのが売買の仲介なのか、あるいは御指摘がありましたように事実上担保金融的なものなのかという点については必ずしも明確ではございません。というのは、この仲介行為については、今申し上げたように手数料も取っておりませんから、証券会社の帳簿、記録等には一切出てきていないわけでございまして、営業マンがどういうふうな行為を行ったかというのはなかなかまだ明確に事実を解明できていない状況にあるわけでございます。  ただ、新聞報道などで見ますと、企業の方は担保金融をしたのだという認識をしている企業もあるというふうに言われております。確かに時価よりも非常に高い価格で取引が行われているわけでございまして、それを売買と見るか、あるいは担保金融と見るかというのはなかなか一義的には確定しがたいというのが、率直なところの現在の我々の感じでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 それは局長、それでは世間は絶対納得しませんよ。だって、事業者間のやりとり、契約にたまたま証券会社の証券マンが仲介をいたしました。それでどうして三百億も四百億もその証券会社が現実に損害賠償をするんですか。そんなものは、それは幾ら使用者責任といっても、それは全く会社は知らなかったんだ、現場第一線の営業マンが、証券マンがやったというのでは絶対信じないと思う。しかも、今回のケースでは本店の部長とか有力な支店の支店長がやったと言っておるでしょう、それでもなおかつこれは個人のことだといって言い逃れができるというふうに私は思いません。これは、この問題は今後実際に証取法の改正の段階で詰めてまいりますけれども、世間は絶対納得しないということだけは申し上げておきたいと思います。  それでは話を進めますが、次は証取法五十条の二が適用されないケース、すなわち事故の場合ですね。五十条の二というのは、御承知のように、改正証取法では事前の利回り保証、それから事後の損失補てん等を規定しているわけでありますけれども、この規定は、事故の場合、すなわち同条第三項に該当する場合は違法性がなくなるんだということになっております。そして、この証券事故に何が該当するかということは、この三項によりますと「あらかじめ大蔵大臣の確認を受けている場合その他大蔵省令で定める場合」というふうになっています。実は、この「その他大蔵省令で定める場合」というのが私は大変問題だというふうに思っております。  証取法五十条の二第三項を受けた大蔵省令、すなわち証券会社の健全性の準則等に関する省令第四条に該当する場合は、すべて違法性がないものとされてしまうわけであります。すなわち、五十条の二第一項第二号の違反行為である利益保証や損失補てんの行為がなかったことになってしまう、これがどうも大蔵省の解釈のようであります。ということになれば、この第四条に書いてあります確定判決は別といたしまして、これは法律上の判断がありますから別でありますけれども、裁判上の和解も民事調停も確定判決と同じ効力を持つということによって、五十条の二第一項第二号のこの要件に該当しなくなってしまう、違法性がなくなってしまうということのようでありますけれども、それでよろしゅうございますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 御指摘のように、証取法五十条の二で損失補てんを禁止したわけでござい省すが、その中の例外として、証券事故というものを挙げて、それは大蔵大臣の確認が得られた場合、証券事故というものの内容についても法令上明らかにしているわけでございます。例えば営業マンの違法な行為があったとか、不当な行為というような類型が挙げられているわけでございますが、それで大蔵大臣が確認した場合、さらに御指摘のように、それ以外に確定判決、裁判上の和解、それから民事調停法上の調停という三つを挙げて、これに該当する場合は損失補てんではないというふうにしているわけでございます。民事上の調停あるいは裁判上の和解というのは、法律上確定判決と同等の効果、効力を持つということが明定されているわけでございまして、私的な和解ということではないわけで、裁判官が関与するということでございます。  ただ、裁判上の和解の中でもいわゆる即決和解、起訴前の和解については、これは除いてあるわけでございます。それについては損失補てんに該当しないということにはならないことになっております。これは、こういう規定を設けるときにいろいろと議論をしたわけでございますが、今申し上げましたように、裁判上の和解でも即決和解でないものは、裁判所がその合意を確認して調書に記載するということで、確定判決と同じ効果を持つわけでございますし、また調停につきましても、裁判官を加えた調停委員会が公序良俗に則した調停を行うということになっております。それによって確定判決と同じ効果を持つという民事調停法の規定がございます。そういったようなものを勘案して、こういうものについては五十条の二の禁止行為の例外といいますか、適用をしないということにしたわけでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 法務省、お見えになっていると思いますけれども、お尋ねしたいと思います。  ということであれば、今の解釈であれば、訴訟や調停の申請がなされた場合に、果たして証取法五十条の二の違反の事実、すなわち損失保証や利回り保証があると裁判所が判断した場合には、それでは裁判の性格上、和解や民事調停はなされない、こういうことになるのでしょうか。要するに、法律判断まで踏み込まない和解や調停と、実際に証取法五十条の二の一項、二項に違反しているかどうかというその判断というのは別だと私は思うのです。もっと言いますと、民事上の紛争が仮に解決されたとしても、刑事責任の普及はあくまで残るのではないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

柳田幸三法務省大臣官房参事官

○柳田説明員 まず、調停がされるかどうかという点についてお答えさせていただきます。  お尋ねの点は、具体的な事案に即しまして裁判所または調停委員会が判断すべき事項であると考えられるわけでございますが、一般論として申し上げさせていただきたいと思います。  民事調停法の十三条は「調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるときこ「調停をしないものとして、事件を終了させることができる。」と規定しております。そして、この「事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるときこといいますのは、事件の内容が公序良俗に反する場合、あるいは法規や条理に照らして調停をするに適しないと認める場合を言うものとされております。したがいまして、調停の申し立てがされた事案の内容がそのような場合に該当するということになりますと、調停委員会といたしましては、調停をしないものとして事件を終了させるということになるものと思われるわけでございます。また、訴訟上の和解につきましても、同様の取り扱いになるのではないかと考えられるところでございます。

但木敬一法務省刑事局刑事課長

○但木説明員 罰則の適用関係についてもお尋ねでございましたので、その点について申し上げたいと思います。  先生先ほど御指摘のとおりの条文の構えになっておりますので、言ってみますれば、その罰則が適用されるかされないかということは、大蔵省令で定める事故に当たる場合に限られる、それが大前提でございます。したがいまして、和解や調停がある場合であっても、何らかの事由で、その和解、調停で命じられた賠償の原因たる事実が、客観的に見た場合にはこれが証券事故に当たらないというような場合が生じた場合には、なお証券取引法違反の刑事責任は免れないということであります。これは理論上そういうことになるだろうというふうに思われます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 いずれにいたしましても、証券会社と事業会社の間の紛争を裁判所に持ち込んで和解をさせてもらう、民事調停に持ち込んで、持ち込んだらその五十条の二の一項、二項の判断をもされなくなるのだということでは困るわけです。今度監視委員会、新しくつくる機関は何のためにできるのですか。できなくなってしまうじゃないですか。みんな裁判に持っていって、そして民事調停に持っていって、お墨つきをいただきました、はい、これによってもう違法性は阻却されました。一件落着。これでは何のために委員会をつくるかわからないですね。この辺私は、大蔵省がいろいろと法務省とも相談されたのでしょうけれども、省令の中に裁判上の和解とそれから民事調停を入れた、法律判断をしない、こういうケースを入れたということは大変疑問だと思います。この辺については今後詰めていかなければいけない問題だというふうに思います。  証券トラブルの問題はこの辺にしまして、次に、地価税の使途の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。法務省、どうぞ結構でございます。お引き取りください。  当委員会におきましても、口酸っぱく各党からこの地価税の使途の問題については、国会の附帯決議違反ではないかという話が実は出されました。地価税による増収分約二千億の使途、私も附帯決議違反、附帯決議無視と言わなければいけないというふうに思います。そして、これは同時に、地価税審議における議事録をぜひひっくり返して見ていただきたいと思うのです。政府答弁にも私は反しているのではないかというふうに思います。  政府の説明によりますと、今回ネット地価税の増収分二千億のうち土地対策等インフラ整備に充当した来年度予算というものは、前年度に比べて約七百億円ふえておる。他の予算に比べて重点的に配分したというふうに説明がなされております。百歩譲ってみても、残りの千三百億は一般財源化したと言わざるを得ないというふうに私は思います。私は地価税論議のときに、二千億では所得税の減税に回してもこれは効果が薄いので、全額を土地対策等インフラ整備に充てるべきだということを主張しました。これは各党ではいろいろありました。所得税の減税に充てるという人もいられましたけれども、そういう意見もありました。しかし、いずれにしてもこの増収分を一般財源化するという議論はどこにもなかったのであります。こんなに国会決議が簡単に無視されるならば、私どもは今度国税三法についてもぎりぎり附帯決議をつけて賛成せざるを得ないだろうと思っておりますけれども、こんな附帯決議を無視されるなら賛成できないじゃないですか、こんなもの。大臣どうですか。これは国会決議尊重の立場から今後どういうふうに善処されるのか。補正予算を組まれるのでしょう。まだわからないというなら、補正予算のときこれを修正してください。それでだめだというなら何らかの形で、来年度以降どうするのか、その辺を含めてぜひ決意を聞かせていただきたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 細谷委員の方からの今御指摘の点でありますけれども、この純増分についてどのように予算の中で配分したということにつきましては、もう既に御案内の中で御指摘でございます。私どもといたしまして、四年度予算におきましては極めて厳しい財政事情のもとで地価税の増収分を上回る土地対策等を一応確保して、さらにその中において税調答申等の趣旨を踏まえまして各般の施策の充実強化を図っているところでございますけれども、しかし今後におきましてもこれまでの今お話のございました国会での御論議ですとかあるいは国会における附帯決議の趣旨、こういうものを踏まえまして適切に対処してまいりますということを申し上げておきたいと思います。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 一つ申し上げますけれども、昨年末の税調論議ということをお出しになりましたけれども、もっとずっと以前の、この地価税法案を議論したときのことをもう一度皆さん方思い浮かべていただかなければならぬと思うのですね。  いずれにいたしましても、今大臣我々の意のあるところを酌み取っていただいて、それなりの決意の披瀝があったというふうに受けとめますので、ぜひそういう方向で今後善処していただきたいということを申し添えておきます。     〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕  次に、相続税の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  まず、相続税についての考え方であります。これは私見でありますけれども、後ほど大蔵大臣の相続税に対する私の考え方に対するお考えをお聞かせいただければというふうに思います。  物価の急騰、地価の暴騰に象徴されるバブル経済というのは、いわば日本社会における持てる者と持たざる者の資産格差の一層の拡大を招きました。資産格差の拡大というのは日本社会全体のモラルの低下をもたらし、活力を減殺するもとになると私は考えます。格差の少ない社会こそやはり日本社会の特徴であり、社会発展の原動力だったというふうに」思います。バブル経済前後での資産の増加状況を見ますと、八三年から八九年までの七年間で資産は急増いたしております。個人の金融資産で見ますと、これは二・一倍、四百六十一兆から九百五十九兆と二・一倍になっております。個人土地資産で見ても五百九十一兆から千三百七十七兆、二・三倍になっております。しかも、これを個々に見てみますと、土地所有者というのは持てる者はバブル効果でさらに個人間の格差を一層拡大させ、持たざる者との間の格差というものはこの七年間で随分ついてしまった。このことは政府の国民生活白書でもはっきり証明されております。  ところで、こういう資産の増加状況に対して相続税の課税状況はどうであったか。まず相続税の課税対象となります総課税価格は同じ期間で二・四倍であります。金融、土地資産の増加傾向とパラレルと言っていいのでしょう。相続税の持つ最大の機能であります資産再配分機能、その効果からすればこれまでの相続税というものはこの資産の増加状況に対してニュートラルな役目であったというふうに私は思います。  八八年の税制抜本改革によりまして相続税が大幅に見直しか行われました、基礎控除の大幅アップで。ところが基礎控除を大幅に上げましたから、バブルつぶしの効果というものが私はその分減殺してしまったと思います。すなわち、バブル効果をそのまま資産保有に残した結果、格差を拡大してしまったと思います。むしろこれからは、私の私見でありますけれども、近年における資産格差の拡大不均衡を考えれば、相続税の基本的役割であります資産再配分、調整機能を重視すべきであると考えます。普通の多くのサラリーマンは一生働いても家が持てない。他方では、親が資産家だからという理由だけで何億、何十億の家に住めるというのは不公平、不公正な社会そのものだと思います。格差をなくすために資産課税、特に相続税の持つ機能は大変大きいと考えるのです。また同時に、この相続税を考える場合には、その機能として生涯所得を平準化する、課税バランスの公平化、すなわち所得、消費、資産間のバランスを考えなければならない、こういう機能も重要だと思います。  そういう意味において、この相続税の問題については、むしろ資産格差の拡大を防ぐという意味において、私はもっと資産再配分機能というものを重視した相続税にしてよかったのではないかというふうに考えます。そうした私の相続税総体に対する考えについて、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 今お話がありましたように、資産格差の少ない社会が日本の発展の原動力であっただろうというお話、私も全く同感でございます。それと同時に、相続税の果たす役割、資産再配分機能、これについてやはり重視すべきであろうというお話、全くそうであろうと思っております。  相続税制の基本的なあり方としましては、健全な個人資産の形成と国民生活の安定に配慮しつつ、相続税の有する今御指摘の富の分配の不公平を是正するという政策的役割を担うのがその姿であるべきであろうと思います。今回の相続税の改正におきましても、このような相続税が担うところの今御指摘の資産再配分機能、これに十分配慮しているところでございまして、例えば相続税の負担調整のために税率適用区分の幅の拡大を図りつつも最高税率を七〇%を維持するなど、相続税の有する資産再配分機能というものは損なわれてないというふうに考えております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 私は、今回相続税改正の中で負担調整措置というのが行われておりますけれども、基本的にはその必要はなかったのではないかというふうに考えます。そういう視点に立って、一点だけ、小規模宅地、要するに二百平米以下の相続税負担の減額割合を拡充した問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  大蔵省からいただきました資料によりますと、「改正案による相続税の負担状況」ということで、これは配偶者と子供三人が相続人の場合、そして土地のほかに金融資産が約三分の一、三割あるという仮定で試算をいたします。」居住用宅地の面積、すなわち小規模宅地の軽減措置がある二百平米で考えてみますと、総資産がまず一億の場合、現行税制でいきますと十一万であります。評価の適正化後は八十五万でありますけれども、この負担調整でゼロ、相続税を払わなくていいようになります。次に、総資産額二億強。現行七百五十万に対して何と三七%の減税になるのです。改正案で四百七十二万円で済むようになります。それから、総資産額五億弱で見ますと、現行三千三百八十六万の相続税納税額が二六%の減税、すなわち二千五百四万で済む、こういうことになるのです。大幅な減税になっております。  もう一つ、NHKがテレビで、二月二十九日土曜日の「くらしの経済」で放映しておりました。これは、相続人は配偶者と子供二人のケースでありまして、相続財産は居住用宅地二百平米と貯蓄千七百万円、このケースであります。これは、土地資産額が一億円の場合は現行もゼロ、改正案もゼロでありますけれども、二億円で何と百五十一万の納税額が二十三万で済む。八五%の減税だ。三億円の場合で現行五百四十五万が二百三十一万、五八%、こういうことになるのですね。大幅な減税になっている。  私の負担調整は必要なかったんじゃないかという立場に仮に立ったとしても、まさかこんなに大幅な減税になるとは、減税に減税をする必要があったのかどうかということを大変疑問に思います。しかも、この適用を受けるのは大都市のごく一部の人であります。東京都区部でいつでも世田谷の用賀や桜丘のこうした対象地は課税されないということになるのです。そういう意味で、この負担調整そのものについても大変問題があるし、まして減税になってしまうというのはいかがなものであろうかというふうに私はまず指摘をしたいと思います。  その上に立って、小規模宅地についても、減額割合を五〇%から六〇%、私はそういう意味において政策判断としては適切なものとは思いません。これを六〇%控除ということで資産家優遇の不公平税制と言われても仕方がない、私はこういうふうに思います。そして同時に、事業用宅地についても七〇%に一〇%引き上げておりますけれども、これもほとんど該当者というのは銀座など都心のほんの一部の店舗であると言われております。私は、後継者や相続人は事業承継の場合についても一定のコストというものは当然負担すべきだと考えておりますので、この七〇%の圧縮というものも大変問題だと考えております。  大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。     〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 申し上げるまでもないことでございますけれども、今回の相続税の改正に当たりましての基本的な考え方は、土地の評価額を見直しました結果それが相続税の世界に反映いたしまして相続税が増税になる、相続税の増収をもたらすという事態が予想されました。しかし、相続税制自体は六十三年に見直しか行われた直後でございまして、その増収分というものにつきましては相続税の世界の中で負担調整をする、つまり今回の相続税の見直しは増収のための見直しではなくて、あくまでも土地とその他の資産との間のアンバランスを是正するという目的のためのものであるということを明らかにしますために、約三千億円生じます初年度の増収分をそのまま何らかの形で負担調整したい、これが作業の出発点でございました。  各階層ごとにそれをチェックするわけでございますけれども、例えば今まで相続税がかかっていない土地をお持ちになっていた、それが土地の評価が変わることによりまして相続税の負担を生ずることになる場合には、課税最低限をそこまで上げることによりまして今までと同じ状態、つまり中立的な状態にとどめることができると考えました。以下、各相続財産規模ごとにそういうチェックをしてまいりまして、三千億円もたらされるであろう増収がなるべく適正に各財産規模ごとに負担調整されるという姿を追い求めたというのが今回の作業でございます。  ただ、それをやってみます過程で気づきましたことは、やはり大都市の異常な地価高騰によりまして小規模な居住地でも巨額の相続税をお払いにならなければならないというケースが出てくる、これをどうやって負担調整できるだろうかという問題が残ったわけでございます。  この問題につきましては既に五十八年度の改正のときに、居住の安定あるいは事業の承継ということが崩れてしまう、そういう相続税というのはいかがなものであろうかということが大きな問題になりまして、当時、小規模、つまり二百平米以下の居住用ないし事業用宅地につきましての特例というものが設けられたわけでございますけれども、この思想というものは今の制度にかぶっておるわけでございますので、現在生じましたこの問題にこの思想を重ね合わせまして適正な負担をそこに求める形ができないだろうかと考えまして、この小規模宅地につきましての今までの配慮というものをてこにしましてさらに検討を進めました結果、二百億円足らずの減収額で追加的な調整が施されることになりました。その結果といたしまして、ほとんどの財産規模ごとにチェックいたしましても、今細谷先生冒頭におっしゃいましたように個々のケースをいろいろとってみますと、面積の違うところ、価格の違うところ、いろいろなケースに当たってみまし。たところ、総じて調整が行われるということが確認できました。これが作業の全容でございます。  ただ、先ほど来細谷先生がおっしゃっておられますことは、相続税というものがその再配分機能というものをきちんと果たすものでなければならないはずである、その思想が曲がるということでは相続税改正として問題があるという御指摘なのでございますけれども、今回のこの負担調整を終わりました段階で全体を眺めました場合に、私は、相続税額の低い階層と相続税額が大きい階層とを比較しました場合に、その間の関係において今細谷先生御心配になられたような事象は生じておらない、かように感じます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 この適用になる人はごく少数の人なわけですね。そして、これから地価対策をさらに強化して、既に都心部における地価は下落傾向にあるということになっている。さらに地価対策を強化していけばさらに下がるだろうということでありますね。だとすれば、やはり私は、そこまで大幅な減税措置というものが必要であったのかどうか。私は、最低でも負担調整の範囲内にとどめるべきであったというふうに考えます。  さて、続きまして、だからといって私は、何でも相続税を高くすればいいと言っているわけではないので、例えば夫が死んだ後、残された妻の住む家まで、土地まで奪え、奪ってもいいんだということを申し上げているわけではありません。残された配偶者の住む家や土地まで相続税で召し上げるのではない。妻の生存権というのは保障されなければならないと思います。最低限、残された妻が亡くなるまでは安心して住む権利を保障するというものも税制上必要だと私は思うのですね。しかし私は、子供や孫の住む家まで保障しろとは言いません。そのために物納や延納制度の活用というものが考えられるんじゃないかというふうに私は思います。  妻の生存権を保障するという観点で見て、これまでの物納制度、延納制度というのはどういう機能を果たしてきたのか、活用されてきたのか。そして、今度の改正でその辺について見直しを行われたということでありますので、それについて具体的にわかりやすく御説明をしていただきたいと思います。

冨沢宏国税庁次長

○冨沢政府委員 私ども今回、今委員がおっしゃったような観点から通達で幾つか措置した事項がございますが、まず一つは、相続人が住んでおる不動産でかつ相続財産のほとんどがその居住の用に供しておる家と土地であるというような場合につきましては、その土地が係争中の財産である、そういうような特段の事由がない場合には、その土地の底地の部分を物納を認めるということを通達を出して明らかにいたしておるという点がございます。  それから、これは事務的なことになりますけれども、物納ということになりますと、財務局との協議でありますとか、いろいろと法律上面倒な事務も出てまいります。今までは物納に関する事務は税務署長の所管になっておりましたけれども、そういう難しい事務を迅速に行うためにはこれを国税局の方で直接所管した方が便利であろうということで、これを国税局の方で所管できるような、これは法律の改正でございますけれども、措置も行っておるところでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 議論を先に進めたいと思います。  次は、取引相場のない株式の評価の見直しについてであります。  私は、基本的に、土地の評価にあわせて、不公平税制と言われております取引相場のない株式の評価についてもあわせて評価通達の見直しを行うべきだったというふうに思います。ぜひ、今後の税調論議の中で生かしていただきたいと思います。  現行の取引相場のない株式の評価方法は、利益や配当の操作が可能であります。同じ資産でも、個人が持つより法人で持つ方が相続税が安くなりかねない。これはよく言われております。また、大企業のオーナーの中には、個人で持っていた自社株を非上場会社をつくって移すことによって節税を図っている者がいるということも言われております。  非上場の資本金一億円以上の大企業に適用されております類似業種比準方式は大変問題があると私は考えております。大体こういう企業はオーナー企業でありオーナー経営者でありますし、同族会社が多い。したがって、会社の経理操作で利益や配当はどうにでもなる。言い過ぎかもわかりませんけれども、私はそう指摘してもいいんじゃないかと思います。利益や配当を限りなくゼロにすることによって、これだけでも評価が三分の一に下がってしまう。これに調整割合の〇・七というものを掛けるわけでありますから、計算上は〇・二一、まさに約八割評価が下がってしまうということが計算上想定されるわけであります。そういう想定も可能だということでよろしゅうございますか。

冨沢宏国税庁次長

○冨沢政府委員 今御指摘の大会社についての類似業種比準方式というものをとりました場合に、今のような計算になるというのはそのとおりでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 そういうことが理論上考えられるということ、大変私は問題だと思うのですね。この辺についてもやはり十分検討はなさるべきだったというふうに思います。この点を指摘しておきたいと思います。  また、その調整割合の〇・七というのは一体どういう根拠に基づいているのか。類似業種の平均株価を使って、しかも、非上場とはいっても業績の非常に高い資本金一億円以上の大企業なんですから、減額する根拠というのは一体何なのか。少なくとも、七掛け、多少は上場していないということで不安定性はあるかもわかりませんけれども、七掛けというのは私は納得できないのです。今回の土地評価の見直しにあわせて、私はこれは〇・八に最低でも上げなければいけなかったと思いますけれども、どうでしょう。

冨沢宏国税庁次長

○冨沢政府委員 最初に、先ほどおっしゃいました点でございますけれども、この三要素の二つは限りなくゼロにすることができるでないかという御指摘がございまして、この点につきましては、行き過ぎた節税というものを是正するために平成二年の八月に通達の改正をいたしまして、直前の期末及び直前々期末において三要素のうちのいずれか二つ以上がゼロとなるような会社の場合は純資産価額方式で評価する、そういうような改正をやっております。  それから、今おっしゃいました七割ということでございます。  これは、やはり上場会社と非上場会社と比べますと、経営者のノウハウあるいは労働者の資質その他の点において、非上場会社の方がいささか劣後する点があるのではないか。あるいは上場企業と違いまして、全く市場性のない株式でございます。売ると申しましても、なかなかそういうわけにまいらないというようなことから、評価の安全性を考慮いたしまして、七割ということで評価することとしておるわけでございますけれども、確かにこの七割でなければならないのかどうかという点につきましては、従来の検討あるいは長年の慣例に従ってこういうふうにやってきておるという法的安定性という観点もあるわけでございますけれども、今後ともその評価の適正化ということにつきましては、中長期的に検討していかなければならないものと考えております。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 今お話がございましたけれども、限りなくゼロに近いようなケースの場合には純資産方式で計算するんだ、そういう見直しを行ったんだというふうに今お話がありましたけれども、それでよろしいですね。  だとすると、限りなくゼロ、それは基準はどうなるのですか。限りなくゼロといってもいろいろありますね。じゃ、どの辺が一つの限界になるのですか。

冨沢宏国税庁次長

○冨沢政府委員 私がちょっと言い間違えたかもしれませんが、ゼロの場合でございます。二つの要素がゼロの場合には、残りの一つのものでやるということでございます。(細谷委員「じゃ、一〇%、ゼロじゃない」と呼ぶ)ゼロでないものであれば、それはやはりこの方式で評価をするということでございます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 それは全然あれですね。むしろ、私が今、先ほど指摘しましたような、まさにゼロの場合だけが純資産である。じゃ、ゼロでなければそのまま適用するということと同じことですね。ですから、非常に甘いと私は思います。いずれにしても、この辺は見直しをしなければならぬのじゃないかと私は思います。これは、この問題は、だから法律改正じゃなくて、実は通達の改正でできるんですよね、通達の改正で。だから、何も、大蔵省がやろうというふうに決意をすれば、私はできる話じゃないかと思うのですね。思い切ってやはり検討していただきたいというふうに思います。  それから、もう時間がなくなってまいりましたけれども、証券税制。昨今、株価対策といいましょうか、市場の活性化対策で証券税制を見直せという大号令があちこちでかかっておりますけれども、この問題についてちょっと触れてみたいと思います。  証券市場活性化対策が言われまして、その一助として証券税制の見直しか言われております。自民党の提言もございました。証券大手四社株式部長会の提言もありました。その他いろいろ雑誌なんかにも出ております。これは御承知のように、有取税の撤廃ないし低減、軽減それから配当の二重課税の是正、それから配当所得の源泉分離課税の税率の大幅引き下げ、こういうようなことが言われているわけであります。  私は、そもそもこの株式市場の低迷を税制と関連づけて考えるのはおかしい、ためにする議論だということをまず指摘したいと思います。なぜなら、現在の税制というものはまさにバブル経済の真っ盛りのときにできた税制だと私は思います。そして、このときは大体従来の負担から見て二・三六倍ぐらいにしたんじゃないかというふうに言われておりました。にもかかわらず、株式市場は活況を呈しました。もう数字は挙げませんけれども、もうそれは御承知のとおりであります。じゃ証券税制を緩めればこの証券市場の低迷を打開できるという議論を仮に認めるとするならば、じゃ将来証券市場が好況になったら証券税制を逆に強化する、課税強化するということもまた逆の論理としてはあり得ると思います。  だから私が言いたいのは、株式市場の好不況で場当たり的に税制を考えちゃいけないんだ、市場に思惑が広がるし、かえって不安定化を招くものであると思います。税制というものはもっと中長期的観点、他の税制との公平性等総合的に考えて私はなされなければならないと思います。  したがって、税制の見直しというのは、市場の病気を治す特効薬ではない、全快した後健康を維持するための下準備だとだれか識者が言っておりましたけれども、まさに私はそういうことではないかというふうに思うのです。時あたかもことしは利子課税の見直しを含めて株式の譲渡益課税のあり方を検討するよう義務づけられております。そうした観点を大事にして、この秋に行われます税制論議の中ではぜひお考えいただきたいというふうに思います。  そして、先走るようでありますけれども、ちょっと今後の議論の展開でぜひ注文を出して招きたいのは、見直し条項というものがありますけれども、この作成の経過からすれば、株のキャピタルゲインの総合課税化を図ることにしておりますけれども、これは精神は課税強化の方向だったというふうに私は理解をいたします。特に、前回大口取引につきまして一%の源泉分離課税を認めました。これは私は大問題だというふうに思います。仮に納税者番号制の導入とセットでなければならないといたしましても、したがって早急な実施が無理にいたしましても、大口の取引に限っては私は次の改正のときにぜひ是正を図るべきものだというふうに考えます。  そこで、そういうことをぜひお願いをしたいと思いますけれども、もう時間もなくなりましたので、一点お尋ねしておきますけれども、有価証券取引税について、さきの大蔵委員会で証券局長は、国際的に見れば有取税はないにこしたことはないとし、廃止を希望するかの答弁をなされておりますけれども、主税局としては一体この考え方、見解についてどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま細谷先生から御指摘がございました証券局長の答弁、私も記憶いたしておりますけれども、証券局長は証券市場の立場からの見方を踏まえながら税の立場からの考え方もあるはずで、総合的に見て調整をしていく必要があるという答弁をこの際行っておりまして、そういう意味におきましては、つまり総合的に見て調整をしていくというその限りにおきましては、私どもも特に異存はございません。細谷先生も御異存はないと存じます。ただ、その際、先ほどから多々御指摘いただいております点、いずれもそのように感じながら拝聴しておりますけれども、税制の理論とそれから実態、それを適用する実態を配慮するに当たって非常に重要な視点をたくさん与えていただいていると存じます。そういった点を十分拳々服膺してまいりたいと存じます。  有価証券取引税そのものにつきましては、どういう視点で改正に臨むのかということでございますけれども、私どもといたしましては、これまで同様国際市場の状況、これもいろいろでございますけれども、よく踏まえながら課税の適正とか公平の確保、それから税制全体のあり方、財政事情、そういったものをあわせ勘案いたしまして、目先のことではなく中長期的な視点で考えていきたい、かように存じます。

細谷治通日本社会党・護憲共同

○細谷委員 最後になりますけれども、私が申し上げたかったのは、有取税だけ引き出して議論をするのじゃなくて、有取税を仮に軽減する場合にはキャピタルゲイン課税を強化する、譲渡益課税を強化する等のそういう総合的に証券税制というのを考える必要があるのではないかということを実は申し上げたかったわけであります。  いずれにいたしましても、株価対策の一助としてこの証券減税というものを唱える、これは一つには市場環境の現在の悪さというものを強調するということでありましょうけれども、やはりこの秋に向けてこの税制論議に対して牽制球を投げているという意味もあるのじゃないかと私は思うのですね。ですから、そういうことに惑わされることなく、過去の与野党合意の経緯を踏まえ、そして所得税法の一部改正の附則に書かれている精神にのっとって、あるべき適正な税制の姿というものをぜひ検討していただきたいということを私は申し上げたかったわけであります。  残余の質問を大分残しましたけれども、次の機会に譲らせていただきまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 日笠勝之君。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 国税三法の質疑も十七時間、予定でございまして、いよいよ私で大詰め、最後でございます。私、昭和二十年のとり年生まれでございますので、トリを務めさせていただきます。  暴力団新法が三月一日施行になりました。実は私、この件につきましてもう既に三度当委員会で御要望申し上げたわけでございます。  この暴力団新法は、言うまでもなく暴力団の資金源活動を排除しよう、何と法律に十一項目の資金源活動が列挙されておるわけでございます。口どめ料要求であるとか、寄附金、賛助金の要求であるとか、下請参入の要求であるとか、用心棒代の要求等々十一項目ございます。  そこで大臣、お疲れでしょうからちょっとクエスチョンを一つ。用心棒代のことをみかじめ料と言うのですが、どういう意味か御存じですか。——これは、用心棒代を払わないと三日ぐらいすればもう店を閉めなきゃいけないというのでみかじめ料、こう言うのだそうでございます。その用心棒代までが暴力団の資金源ということを法律で明記しておるわけですね。  こういうふうなことを見ますと、警察白書にございますように、暴力団の非合法の収入は年間一兆円を突破する、これは警察白書にあるのです。この前加藤官房長官が、それはどこに書いていますか、警察白書に書いています、ああ、我が政府の白書ですから信用しなければいけませんねなんということをおっしゃっていました。  そこで、こういうことにつきましては、二月二十八日でございますか、官房長官が暴力団対策法施行に伴い三点の要請を各大臣にされたそうでございますね。その中に、各省庁の職員に対し同法の制定趣旨や内容を周知徹底させるとか、関係業界、団体に対し暴力団排除のための活動を推進し、被害を受けた場合は直ちに警察に通報するよう指導する等々あるようでございます。  それで、このことにつきましては、大蔵省内でも例の証券不祥事のときを反省して、例えば銀行局においては口座開設のときの身元確認であるとか、証券局の方も信用取引の制限をするとか、こういうふうなことが恐らく着々となされておることと思います。  さて、問題は国税庁でございますが、もう時間もありませんからきょうは結論だけ聞いて、今後、暴力団対策法が施行された、そしてまた、時あたかも二月十六日から確定申告のときでもあります。先日テレビを見ておりましたら、あの有名なきんさん、きんざん百歳の双子の姉妹が、国民として出すものを出さなければいかぬというようなことも明確に言っておりました。問題は、一兆円以上の非合法収入のあるこの暴力団に対し、国税庁としてはどのように対応されるか。四度目の質問でございますから、明快な御答弁をいただきたいと思います。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 四回目の答弁をさせていただきます。  暴力団の課税に当たりましては、警察当局との協力関係を密にして課税の適正化を図ってきたところでございますが、今回の暴力団新法の施行という局面を踏まえ、国税庁及び国税局において警察当局との連絡会議を開催するなどのこれまでの警察当局との連絡協力体制をより一層強化し、有効な資料、情報の提供を受けて部内関係課においてこれを積極的に活用するなどして、暴力団に対する課税の充実を図ってまいりたいと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 四度目にしてやっと前向きな答弁が出ました。一歩前進と敬意を表します。暴力団対策連絡会議が国税庁内につくられた、警察関係と連携を密に国民の期待にこたえていく、このように私は答弁をとらえて、次の質問に移りたいと思います。  先ほど細谷委員も申されたいわゆる証券の飛ばし、何か宇宙遊泳とも言うそうでございますが、この点につきましてお聞きをしたいと思います。  先ほど証券局長の方から報告を受けた被訴訟提起件数の御報告がございますが、もう少し細かく、四大証券とその他の証券会社と分けて御報告をいただきたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、昨年の一月からことしの三月三日までに私どもに出された報告書の全体の件数が二百三十五件で、金額が三百十四億九百万円でございますが、そのうち大手四社が八十三件、二百三億五千万円でございます。その他がその差し引きで百五十二件、百十億五千九百万ということになっております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 これは訴訟事件報告書により確認をされたものと聞いておりますが、民事調停は、これは入っておりませんね。ですから、先日話題になりましたコスモ証券のすかいらーくは、これは民事調停で三百六十億ですから、それをカウントしなければいけません。それから先ほど局長も御答弁されておりましたけれども、訴状に金額のないのもあるということですから、これはわかりませんけれども、それもまたカウントしなければいけない。そうなりますと、これは例の損失補てんのときの金額を上回るようなことにもなりかねない。例えば九〇年三月期の大手四社の損失補てんは七百七十三億でございましたね。もうそれに匹敵するような損害賠償請求がなされておる。損害賠償請求でございますから、いわゆる原告の言い値であるということは言えると思います。このとおりになるとは限りません。しかし民事調停のも入れますと、これは莫大な損害賠償ということになりかねないわけでございます。  そこで証券局長にお伺いしますが、民事調停によるものは除いておりますが、これは大蔵省として集計はできますか。できれば、それは御報告いただけますか。それが一点。  それから二点目は——順番にいきましょう、それからひとつお願いします。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 民事調停による調停が成立した分につきましては、改正証取法で損失補てんを禁止する改正をしていただきました後で、民事調停につきましては、先ほど申し上げましたように、これはそれによる支払いは補てんにはならないという扱いにしたわけでございます。その関係で、その部分については報告をとるということにしております。ただ、ことしの一月から新法が施行されておりますので、私正確には存じませんが、今のところ、民事調停によって調停ができたということで報告書まで来ているものはまだないのじゃないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、報告をとるということにはなっております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それで、これは大変な、何百億、下手すれば一千億台にいくようなことにもなるやもしれませんが、どうも三月期決算を控えて、この含み損を抱える企業から同様の訴訟なり民事調停が頻発されるのではないか、このようにも巷間言われておりますが、証券局長の見通しはいかがですか。もうこれで終わりかな、しかし三月決算までもう少しございますからまだふえそうなのかな、どうでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 訴訟あるいは民事調停というものが行われますのは、お客とのトラブルがあってそのトラブルを訴訟なりあるいは調停で解決するということで起こるわけでございまして、トラブルには種々のものがございます。現在大きいもので明るみに出ております企業を相手にしたトラブルというのもございますが、個人投資家が相手になっているトラブルも相当件数あろうかと思うわけでございます。  見通しというお話でございますが、見通しを申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、客観情勢として株式市況が非常に低迷を続けているわけでございまして、現在明るみになりました大口のトラブルというのは、それ以前のいわゆる財テク華やかなりしころに行ったものが平成二年以降株価が急落して損が出てトラブルになったというようなケースが多いわけでございますので、そういったことを考えますと、こういったトラブルというものが潜在的にはまだ存在するということが言えるのじゃないか。私ども、明るみに出ましたものは営業マンの個人行為でどうしても証券会社がキャッチできなかったということを報告を受けているわけでございますけれども、しかし、証券会社の内部チェックをもう少し洗い直すとか、営業マンあるいはその取引先に照会するとかいうような形でこういう潜在化しているようなものをできるだけ早く顕在化といいますか、証券会社が把握して、それに対して不明朗な処理をしないで法令等に照らして適正に処理するということを指導しているわけでございます。その関係もあると思いますが、今申し上げたような市場環境のもとではこういったようなトラブル、あるいはそれが訴訟に発展し、あるいは調停手続に移行するというようなものが出てくるということはある程度考えざるを得ないのではないかというふうに思っているわけでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 局長おっしゃるように、証券会社が訴訟を提起された件数の推移、流れを見ますと、平成元年が三十五件で、平成二年が七十三件で、平成三年が百九十八件、平成四年は、この一月、二月の二カ月間で三十七件ということでございまして、先ほどのお話を聞くとやはり平年度ベースより相当ふえるのじゃなかろうか、このように思いますし、また証券トラブルで処分された外務員の件数も、平成元年が三十二件、平成二年が三十九件、平成三年が三十八件、大体三十件台でございますが、平成四年は二カ月間で十八件、こういうようなことを見ましても、相当これは今後大きな、証券界の健全な経営ということを見ますと心配せざるを得ないわけです。やはり損失補てんは禁止されたわけでございますから、長年のそういううみを出し切って、一般小口大衆投資家がこの市場に戻ってくるためには有価証券取引税を上げるとか下げるとか、それから大手四社の株式本部長が配当性向を上げるとか何かそういうようなことを言ったとか、自民党の皆さんも言っているとか、そういう以前の問題として、今後さらなる証券業界の市場の健全化のためにもこの点は下に滞らせずに堂々と出させてうみを出し切るということが一番小口投資家、大衆投資家の信頼をから得ることではなかろうか、こう思いますが、大臣、今の議論を聞いて、お考えいかがですか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 御指摘のありました点につきまして、全く私も同感でございます。いずれにしましても、何といっても証券市場が信頼を取り戻すということが証券市場を活発化させることであろうというふうに思っておりますので、今後ともそういった環境をつくるために努めたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 もう一つ、この問題の締めくくりでお伺いしたいんですけれども、飛ばし、宇宙遊泳とか言われておりますけれども、やはりこれは、ずっと突き詰めていくと最終的には簿外でやっておるという、それも証券マンの個人的な仲介等々であるというようなこと。もしそれが本当なら、これはやはり証券会社そのものの社員教育、社員研修、こういうものをもっとしっかりしなければいけないんじゃないか。それから、それに伴ってやはり上司は配置転換をするとかなんとかというきちっとした管理もなされなければいかぬ。上司は上司、会社は会社としてのそういう外務員を見逃しておったというこの責任は免れないと思います。そういう意味で、今後の社員教育、管理、それから社内処分、こういうものはどう考えておられるかお聞きして、この問題は終わりたいと思います。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 この問題は、確かに簿外で行われておりましてなかなか把握ができないという非常に大きな問題があるわけでございます。そういうことから考えますと、今御指摘がありましたようにそもそも証券会社の営業マンの教育の問題に突き詰まるわけでございます。法令、諸規則の遵守についての社員教育をより徹底する。これは昨年の一連の不祥事問題からもそういうことを指導しているわけでございますけれども、それをさらに徹底する必要があろうかと思いますし、あわせて法人取引の相手方とのいわば癒着関係のようなものがこういう問題を起こしたということも言えるわけでございます。いろいろと批判があるわけでございますが、私どもはやはり法人の担当者をある程度定期的に交代させるというような指導をしておるわけでございまして、これは行政としてはやややり過ぎではないかというようなことが言われておりますが、しかし、こういったような問題が起こって、癒着関係ということで場合によってはその証券会社に非常に大きな損害を与えるというようなことになるわけでございますから、証券会社の自己防衛上もやはり社員教育の徹底、充実あるいは担当者の定期的な交代というようなことを行っていく必要があるわけでございます。そういった点について私どももできるだけ今後厳正に指導してまいりたいと思いますし、また証券会社自身にも今申し上げたように企業防衛上そういうことをやるような自覚を促していきたいというふうに思っているわけでございます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 社内処分。

松野允彦大蔵省証券局長

○松野(允)政府委員 営業マンの行為だとはいいましても、それが当然監督上問題があったというようなこともあるわけでございます。監督者の責任あるいは場合によっては経営責任というものにも及ぶことが考えられるわけでございまして、まだ事実関係、訴訟中のものもございます。必ずしも事実が確定をしておりませんが、そういう事実関係を十分把握した上で監督責任あるいは経営責任を問うていきたいというふうに思っております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 次に、予算修正絡みでこれはもう社会党さんも民社党さんも我が公明党も主張しておる中にいわゆるパート減税というのがございます。きょうお手元に仮定計算の表をお配りをさせていただきました。大臣のところ、ございますか。  パート減税ということになりますと、税制の世界で何とかしろ、こういうふうな議論になりがちなわけなんですね。私は仮定計算をつくらせていただきまして、前提条件というのが五項目ほどございますね。きょうは時間がありませんからこの前提条件はよく読んでいただいて、間違いないと確信しておりますから、その結果として表のところをちょっと見ていただきたいと思います。一  二段目の妻のパート収入が百万円の場合、この場合は妻と夫の収入金額が、妻が百万円でございますが、夫はいわゆる中堅サラリーマン、平均給与収入ということで七百万ということにさせていただきました。平均でございます。そういたしますと、子供さんが二人で一人が特定扶養親族、すなわち十六歳から二十三歳未満の子供さんが一人いる、標準世帯ですね。そういうふうなこと、前提条件全部書いておりますが、ずっと計算いたします。すなわち所得税、住民税、社会保険料それから手取り、夫婦合計のいわゆる可処分所得、こうやって見ますと、妻のバート収入が百万円の方はいわゆる可処分所得が夫婦で六百九十七万二千五百円ということになるわけでございます。じゃ、よく百万円になったらパートをやめる、先日も予算委員会の公聴会で大阪商工会議所の副会頭の方が、年末になるとパートの方がやめられて大変忙しい目をして困るんだ、何とかパートの減税を、こういうことも自民党推薦の公述人がおっしゃっておりました。それは、この百万円の方ですと、先ほど申し上げました可処分所得で夫婦で六百九十七万二千五百円です。では、これが百二十万になったらどうなるのかというのがその下の段でございます。これは夫の収入が六百七十四万になっております。これは、公務員の方の場合百二十万を超しますと、いわゆる配偶者の扶養手当がなくなるのですね。これが年間二十六万円ございますから、これをカットしたわけです。そういうものを加味いたしまして、所得税、住民税、それから妻の場合百二十万になりますと国民健康保険料、国民年金保険料がかかってまいります。計算は上の前提条件にあるとおりでございます。要は、夫婦合わせて可処分所得が六百八十二万三千百円と、何と妻の収入が二十万ふえたら可処分所得が十五万円減る、こういうふうな実態になるわけなんです。ですから、百二十万円まではパート減税というふうに私たち野党は言うわけなんです。これについてまず主税局長、御所感を。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 お示しいただきました表を拝見いたしまして所感を述べろということでございますので遠慮なく申させていただきますが、この四つの事例につきましての計算を眺めておりまして、今、日笠先生の御指摘は、第二段目の妻のパート収入が百万円の場合夫婦合計の所得額が六百九十七万二千五百円、それが、妻のパート収入が百二十万になった場合には夫婦合計で六百八十二万三千百円と低下するではないかという御指摘だと思いますが、なぜ低下したのか、ちょっと今の御説明にもございましたけれども、二つポイントがあると思います。  一つは、この欄をそれぞれ比較してみますのに、夫の収入金額の欄が七百万円から六百七十四万に減額になっておる。この理由は扶養手当の支給がとまったことによるものである。いま一つは、妻の社会保険料の欄がゼロから九万一千百円に上がっておる、これは健康保険の所得制限の関係であろうと思います。つまり、二つの点とも税の世界の外で起こっておる事情によりましてこのような変化が生じた。つまり、先般来この委員会でも御論議いただきました問題点、問題意識がこういう形で非常に明確にしていただけたという気がいたします。まず所感を述べろということでございますので……。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 そうなんですね。ですから、これをパート百万円の妻の収入と夫との可処分所得と同じような、もし今のままの制度の中で減税の税の世界だけでいきますと、これは一番下の段の百四十四万ぐらいにしてやっと一緒になってくるわけです。  そこで、いみじくも主税局長おっしゃいましたけれども、この百二十万円まではパート非課税にしろという議論は、大蔵委員会で主税局長相手にやっていたのでは余り実りが少ないということなんですね、百四十四万ぐらいまでしなければならないわけですから。  そこでやはり、これは例えば配偶者の扶養手当を、国家公務員の方はことしから百二十万円未満ということで相当上がったそうですが、一般会社もその半分ぐらいは大体国家公務員の方と同じくらいに、百二十万円未満ぐらいならば配偶者の扶養手当を出そう、それ以上はだめよ、こういうようなことらしいです。統計がないので、はっきりしたことはわかりません。そうなってくると、労働省の方から、百二十万円少々くらいまでは扶養手当をやはり出すべきだろうとか、また厚生省の方では、社会保険料は百二十万円くらいまではこれは選択にしてもいいんじゃないかとか、こういうふうないろいろな議論があって初めて、いわゆる百二十万円くらいまで働いたらこれは間違いなく百万円より可処分所得はふえるんだ。こういうような議論をしていかなければ、パート減税、パート減税、主税局長とうだこうだと言ったって、これはなかなか実りのある議論としてかみ合わないと思うのです。  そこで、しかし主税局長、方法はあると思うのですね。配偶者特別控除を引き上げることとか、それから給与所得控除であるとか基礎控除であるとか、こういう控除を一万円とか二万円とか上げるということでも可処分所得は当然ふえると思うのです。そういうようなものも当然、税の世界では減税もなされておりませんし、先ほど地価税だって、我々は所得減税があるものと思って附帯決議をつけて恭しく賛成をさせていただいたわけです。そういうことを見ますと、やはり所得減税、所得税そのものの減税ということも当然考えていかなければいけませんが、どうでしょうか大臣、これはやはり厚生省や労働省や、国家公務員の方は人事院なんでしょうか、こういうところとも協議をして、何とか野党の我々が言っております、パート減税というのは税の世界だけでは難しいんだ、少し事務レベルでも協議しませんか、ひとつこういう前向きなお考えはございませんか。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 資料までおつくりいただきまして御勉強いただいていることに対しまして敬意を申し上げたいと思います。  この間から、これで何回目になりますか、るる申し上げてまいったわけですけれども、それはやめますが、パート課税問題というのは、他との関係なんかもございますので、一応税の点では解決したというふうに思っております。ただ、今後のパート雇用の問題の解決のためにパート労働雇用政策あるいは社会政策上どう位置づけるのか、こういった基本的な課題であろうというふうに考えます。  いずれにいたしましても、御質問のございました趣旨につきまして厚生省、労働省あるいは人事院ですか、そういったところによく伝えたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 なぜ妻がパート労働をするかというと、それは、社会参加であるとか自立てあるとかあると思いますが、正直なところ、家賃が高いであるとか教育費が高いとか、こういうところで何とか家計の手助けということでやっておるわけなんですね。そういう原点ということをよく思い起こしながら、先ほど大臣おっしゃったように何とかこれは、百万円以上働くと百四十四万円までは可処分所得が減ってしまうんだ、十五万円も減るわけですから、そういうようなことがないような総合的な政策というのでしょうか、考慮をしなければならないということで、ぜひ労働省なり厚生省なり人事院とも協議をしていただきたい。そしてこの庶民のささやかな願いをぜひかなえていただきたい。このことを強く要望申し上げておきたいと思います。  それから、時間も来ましたけれども、いよいよ法案審議の方に入らせていただきます。  租税特別措置法に絡むことだと思いますが、実はたまたまきょう夕方、予算委員会が終わるまで二時間くらいでしたか休憩時間がございましたね。きょうの朝日新聞の夕刊を見ていましたら、何と私がきょう質問することを大阪大学の本間正明教授、もう政府税調等々でおなじみの方ですが、あの方がそっくりそのとおりにおっしゃってくださっていますので、これを読みます。私は通告しておりましたので、もう当事者の方はおわかりだと思いますが、本間先生の文化論壇の論文でございます。「そもそも特定公益増進法人のリストそのものが公表されていないのは、いかなる理由であろうか。これでは、寄付者がその対象先を選択するうえで著しく不便である。この点での情報公開をすみやかに実施することが望ましい。」ということで、いわゆる個人も社会もフィランソロピー、すなわち社会貢献への関心が非常に高まっている、寄附の文化の時代に入ったとか、このように言われているわけですが、それらを踏まえて本間先生もきょうの朝日新聞の夕刊で、私がきょう質問するのと全く同じことを申し上げています。大蔵省のこの特定公益増進法人の特に民法法人、平成二年現在七百七十七あるとお聞きしておりますが、これを何とか情報公開ということで、リストをつくるとか、それを何らかの形で公開するとか、そして日本国民の寄附の文化といいましょうか、寄附に対する考えを大きく側面から支援していく、これは非常に大切なことだと思うのです。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

羽田孜自由民主党大蔵大臣

○羽田国務大臣 確かに寄附活動、これをしたくても、さあどこにあれしたらいいのかなかなか理解されないという点からの指摘だと思いますけれども、特定公益増進法人のリストにつきましては、民法法人の場合、個々の特定公益増進法人の認定というのは当該の法人の主務大臣が行う制度となっておりまして、大蔵省としましてはあらかじめすべてを承知しているということじゃございません。そういう意味で、各省を通じて一覧できる形では整理してないというのが今日の実情であるわけでございます。しかし、せっかくの御指摘でございますので、まず各省庁と相談するなどいたしまして、その方向に向けてちょっと私ども努力させていただきたいというふうに存じます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 この特定公益増進法人の認可も緩和していくべきじゃないか、そういう御意見も一方にございます。しかし、余り緩和し過ぎてせっかくの善意の寄附をほかのものに使うとか、こういうおそれもあるとか、痛しかゆしの面もあるのですが、きちっとやはり基準をまず明確に決めて、それに該当するものについては適宜認可をしていく。そして、その後のディスクロージャーが大事なんですね。極端に言えば、どういうところへいただいた寄附を有効に活用したか、そういうものがわかるようなリストといいましょうか、本間先生もそのようにおっしゃっておるわけですが、そういう方向でのリストを公開、公表を考えておる、このように考えればいいのでしょうか。大臣、そういう方向でいいでしょうか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 これから、今大臣のお答えにございましたように、各省庁と相談させていただきまして前向きに考えてまいりたいと思っておりますけれども、御趣旨を体して努力してみたいと存じます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それにつけて、いつも大変御苦労されておる国税庁の方に、これはせっかくの新聞の投書で、投書が全部正しいと私も申し上げませんが、たまたま寄附に関する投書が出ておりましたので、ちょっとお伺いをします。  ある社会福祉法人に勤務する方の投書でございます。寄附者が発行された領収書を持って寄附控除を申請しても、税務署の担当者に申請を受け付けてもらえなかったとの苦情が数多く寄せられるのです。そのような場合、税務署担当者に連絡をとり、個別に説明すると受理されるものの、これに要する人手と時間はかなりのものがあります。こうしたことがしばしば起こるのは、税務署職員の寄附控除に対する理解が不足しているのではないでしょうか。ちょっと辛口の投書でございますが、確かに二月十六日の確定申告になって行きますと、それはもう税務署の窓口は大変ですね。所得税担当の職員の方ならすぐわかるのでしょうけれども、いろいろな方がそのときは総出で受け付けをされるんでしょうね。一つ苦言を呈しますが、寄附の文化でこれから今主税局長がおっしゃったような特定公益増進法人のリストも前向きにつくろう、こういうふうなことでもありますし、寄附ということの意識がだんだん芽生えてきておりますので、寄附金控除の分はスムーズに窓口で受け付けができるようにひとつ対処していただければなと思いますが、いかがでしょうか。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 委員御指摘の新聞報道があったことは私ども承知しております。ただ、申し上げますと、確定申告時期は本来の所得税職員だけでは足りないものですから、ほかの関係の職員も入れたりしておりまして、すべてに精通しているというわけではないのも実情でございます。しかし、常日ごろの研修等を通じてそういった面で手落ちのないように、遺憾のないように努力をしてまいりたいと考えております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 それから、租税特別措置法の中に医療用機器等の特別償却制度について、対象設備に看護業務の省力化に資する機器を加えて、当該機器については取得金額の百分の二十の特別償却を認めるという措置があるわけでございます。これはいわゆる医療機関がそういう特別償却ができるわけですが、個人はだめなんですね。いわゆる寝たきり老人を抱えた家庭は、もう最近では介護用のベッドとかトイレであるとか、そういうふうなたぐいのいろいろな機器が開発されておるようでございます。ベッド、ふろ、トイレ。買うとこれは五百万とか四百万とか高いものですが、リースですと十三万とか九万とかいろいろあるそうでございます。  そこで、やはり今後の日本の福祉、特に寝たきり老人に対する福祉の一つの方向は、御承知のとおり在宅介護ということが基調であろうと思います。そのためにゴールドプランというようなことで介護三本柱が高らかにうたいとげられて、予算も増額をしておるわけでございます。在宅介護、これが非常に大切でございますが、そういうふうな介護機器を家庭用にぜひ活用したいといってもほとんど税制の面では、こういう企業とか法人の場合は今後できますけれども、個人の場今ない。そこで、どうなんでしょうか。こういうものも、寝たきり老人の紙おむつも医療費控除にしていただきました、これは大変国税庁の英断であると私は心から敬意を表しますが、さらに英断をもう一つ、こういうものが医療費控除の対象にならないのかどうか、お聞きしたいと思います。

坂本導聰国税庁課税部長

○坂本(導)政府委員 委員御指摘の紙おむつにつきましては、医師等の治療の関係でぜひ必要であるということでこれを対象にしたわけでございますが、しかし、一般的に医師のもとで治療等に要するものというものが現在の所得税法施行令で規定されておりますので、なかなか難しい面があるということを御理解いただきたいと思います。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 せっかく暴力団対策連絡会議までは協調体制で来たのですが、突然こういう御答弁でございます。しかし、これから寝たきり老人対策は非常に大切な問題ですね。介護用ベッドとかふろとかなりますと、これは褥瘡を防ぐであるとか、このハイテク時代いろいろなものが開発されておるわけでございますから、理屈は貨車で後からついてくると言われるわけでございますから、こういうものを医療費控除の対象にしても国民の多くの方はそう大きな声で何だとは、不公平とは言わないと思うので、ひとつ今後の検討課題ということで御検討いただきたいと思います。これはまた後日やることにしましょう、今度厚生省の方々など入れましてね。  ところで、次は、いわゆる生命保険料控除とか損害保険料控除の世界に入っていきたいと思います。  かつて税制調査会でも、昭和六十一年十月それから六十三年四月、この生命保険料控除と損害保険料控除については見直しを行うのが適当である、こういうふうな答申が二回も出ておるわけなんです。いろいろお聞きしますと、達成率というのですか適用率というのですか、もう八割、九割でほぼその使命を果たしたとも思いますし、生命保険と損害保険の垣根がだんだんなくなってきていますね。一瞬見たらこれは生命保険会社の保険がなと思ったら、いやこれは損保でしたとか、そういう垣根がなくなってきた。そういうようなこともございますし、政府税調、先ほど地価税は政府税調の答申どおりやったという金科玉条にされておられるようでございますが、今度はこちらを金科玉条にしていただきまして、この生保と損保の控除については、主税局長、どうでしょうか。  例えば、近未来の話なんですけれども、給与所得控除を上げるときにはこれは廃止にして簡素にするとか、例えばの話です、何かそういうことでそろそろ考えなければいけないのじゃないか。いつまでも過去の遺物を所得税の世界へ持ち込むということもいかがなものであろうか、かように思いますが、この点、いかがでございましょう。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 ただいま御指摘ございましたように、生命保険料控除はたしか昭和二十六年、それから損害保険料控除は昭和三十九年から導入された制度でございまして、税制調査会の抜本答申などにおきましても、ただいま御指摘ございましたとおり、長い時間がたっているではないか、加入率も相当の水準に達してその変化も見られない、あるいは、減収の規模でございますけれども、生命保険料控除の減収額が二千七百五十億円、損保の方が百八十億円といった規模に達している、そういったことがございまして、御指摘のようにこれを見直しをすべしという指摘を受けております。  私どもといたしましても、こうした問題を踏まえながら、負担の公平確保それから税制の簡素化の観点にも配慮いたしながら、これを今後とも、この控除のあり方そのものにつきまして検討させていただきたいと存じます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 もう一つ検討していただきたいのは、いわゆる特定支出控除でございます。サラリーマンにも事業者と同じように経費をできるだけ見ていかなければならない、そういう税意識の向上とともに昭和六十三年に創設されましたね。この特定支出控除を適用した人の数を調べますと、昭和六十三年は十六人、平成元年が五人、平成二年が九人。まあ四千万納税者から見れば微々たるもの、もうほとんどゼロに近い。こういう人のために特定支出控除制度を残しておくというのも、それも一つのお考えでしょうけれども、しかしこれも、近い将来給与所得控除を物価上昇分と同時に上げるというのが私たちの主張でもございますが、そういうときにはわずか五人とか九人しか適用できないような制度は、簡素というのが税制の理念でございますから、やはり検討していくべきではなかろうかと思いますが、この点はいかがですか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 御指摘のサラリーマンの特定支出控除でございますけれども、給与所得者の特定支出控除の特例制度と申しますものは、勤務に伴いまして通常支出を余儀なくされますいろいろな支出項目のうちから、支出額が相当程度となりましてその負担が担税力を減殺するに及ぶ、そういったような支出をしんしゃくする趣旨から設けられたものでございまして、その場合に、控除対象となる特定支出の範囲、これが難しいのでございますが、公平を確保しまた適正な執行が図れるようにということで、わかりやすい、それから納税者側から見ても容易にアプローチできる、できるだけ具体的な、明確な基準を設定する必要があるということで論議されまして、通勤費それから単身赴任者の帰宅のための往復旅費、転任に伴う引っ越し費用、研修費、資格取得費、この五項目の支出につきまして、これが給与所得控除を上回る場合に制度を適用するという仕組みになっております。確かに、その後の状況を見ておりますと、この適用を受けられている方はごく限られた事例であるということを承知いたしております。  その理由としましては、現在のサラリーマンの給与所得控除の水準が、平均で給与収入のおおむね三割に達している、十分高いものになっているという事情もあって、その反映でもあろうと考えますけれども、これについて検討してみてはどうかというお示してございますが、この制度自体六十三年分の所得税から適用され始めたばかりでございまして、いましばらく実施状況、実際の定着ぶりというものを今のところ見守らせていただきたい。その後におきましての検討課題、先ほどの生命保険料控除、損害保険料控除も今後の検討課題と申し上げましたけれども、これにつきましてもそういう意味で、そういった実態把握をしました上で検討させていただきたい、かように思っております。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 最後に、法人特別税についても、時間もありませんから簡潔にお伺いいたします。  やはりこの法人特別税は景気の足を引っ張るんではないか、こういうふうな、予算委員会で参考人が公述されておられました。反対である、これは自民党の推薦の方がそう言っておられましたけれども。実際は、この法人特別税は景気の足を引っ張るんだろうかどうか、この辺はどのように見ておられるのかが一点と、やはり問題は中小企業にまで影響が大きく及ぶんだろうか、この心配の種があるんだと思うのですね。簡潔で結構でございますが、以上二点をお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

濱本英輔大蔵省主税局長

○濱本政府委員 既にたびたびこの委員会でも御論議のあった点でございますけれども、法人特別税をお願いいたします背景といたしまして御説明申し上げました事情、それから現行のいろいろな臨時特別税のレベルに対しまして、新しくお願いしております法人特別税その他特別措置の負担のレベルというものを比較いたしました場合に、それらといたしましてレベルは増大しているわけではございません。そういう意味におきまして、これらが景気に対して景気の足を引っ張るもの、その限りでそのようなものではないというふうに我々は受けとめております。  中小法人に対します影響につきましても当委員会で御議論がございましたけれども、この点につきましても、やや細かくなりますが、現在の法人臨時特別税、この基礎控除額三百万円に対しまして、新しい法人特別税の基礎控除額を四百万円とさせていただいておる二とによりまして、中小法人に及びます影響はその分だけ小さくなっておるはずでございます。その点もお酌み取りいただきまして、何とぞよろしく御裁断のほどお願い申し上げたいと存じます。

日笠勝之公明党・国民会議

○日笠委員 時間前ですが、きょうは皆さん遅いですから、これで終わりたいと思います。  以上です。

太田誠一自由民主党

○太田委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は一これにて散会いたします。     午後八時二十八分散会

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