国会等の移転に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/02/21
会議録
○村田委員長 これより会議を開きます。 国会等の移転に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として地震予知連絡会会長茂木清夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○村田委員長 この際、茂木参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、最初に三十分程度参考人の御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、茂木参考人、お願いいたします。
○茂木参考人 私、茂木でございます。 国会等の移転に関する特別委員会で意見を述べるようにということでございますので、私の考えておりますことについてお話しいたしたいと思います。 最初に、私の考えの要点をまず申し上げたいと思います。 まず第一点は、我が国は、先進国の中で最も地震による災害を受けやすい国であるということ、そして東京は、その日本列島の中でも内陸部では、つまり陸地部では地震の危険度が最も大きいところであるということでございます。 第二点は、そこに政治、経済の諸機能が集中しているわけでございますので、国会が先頭に立って東京からの移転を決議されたことには心から賛成でございます。国会の移転が引き金になりまして東京一極集中を是正する、少なくとも歯どめになるというふうに考えます。 三番目に、東京の防災上の観点から考えまして、国会等の移転跡地は、やはり防災のためには空間というのが非常に重要でありますので、防災のための空間として残すことが重要であると思います。 第四に、地震は必ずやってまいります。したがいまして、地震対策は国防政策の一つとして強化、推進していくべきことであると思います。このような地震の危険性に国の心臓部がさらされているという先進国は我が国だけでありまして、特別な対策を図ることが重要である。 以上、四点が私の考えでありますが、その説明を申し上げますと、地震は、環太平洋地震帯といいまして、太平洋を取り巻く一帯に集中して起こっているわけですが、日本列島はその中にすっぽり入っている。ロシアあるいは旧ソ連というような国は、モスクワあるいはそういった国の重要な部分ではほとんど地震がない。カムチャッカとか千島あるいはカスピ海の周辺とかそういう一部ではありますが、国全体としては、大部分はほとんど地震のないところでございます。それからアメリカにいたしましても、カリフォルニアでは地震が多いのでございますが、これはアメリカ全体から見ますと一部でございまして、アメリカの東部それから西部にはほとんど地震がない。それからヨーロッパに参りますと、イギリス、フランス、ドイツ、これはもうほとんど地震がないので、建物などもほとんど重みを支えればいいというような建築構造になっておるわけでございます。 それに対しまして日本列島というのは、それ全体が地震帯にすっぽり入っているということでありまして、こういう先進国の中では、日本だけがそういう大地震の危険にさらされているといってよろしいかと思いますので、地震対策というのは非常に重要である。日本にとって、ほかの国にない重要な問題であるということが言えるかと思います。 それから、日本列島の中で東京はどういうところにあるかといいますと、日本列島全体が地震帯の中にはあるのですが、細かく見ますと地震のないところとあるところとありますが、非常に地震の多いところは、御存じのように太平洋側、日本海溝沿い、それから南海トラフという太平洋側のそういう海溝に沿って大きい地震がたくさん起こっております。そうではありますが、北の方は、御存じのように北海道では根室半島沖地震それから十勝沖地震、三陸沖地震、宮城県沖地震、福島県沖地震と、みんな仲なんですね。陸地には若干かかっておりますが、ほとんど大部分は海域で起こっている。幸い海域で起こっておりますので、地震による被害は比較的、もちろんかなりの被害はありますけれども致命的でないという状況にありますが、この地震帯が南下しまして関東平野に入りますと上陸するんですね。それで、まさに首都圏直下というのが、そういう大きい地震の頻発するところになっておるわけです。それは、海溝がここで、日本海溝の系列と、それから分かれた相模トラフという相模湾の方に入り込む系列がちょうど関東地方のところで分かれているということがありまして、特別に地震の多いところであるということです。 関東大地震は相模湾で起こったと言われておりますが、大部分破壊が起こったところは陸地なんですね。陸地の直下、神奈川県の真下、千葉県の房総沖の真下、それから一部は東京の直下にまでも達しているということで、これは内陸直下で大きな地震が起こったということでありまして、日本全体で見渡してみますと、関東地方、特に南関東のようなところはほかにございません。西に参りましても東海地震あるいは東南海地震、南海道地震、これは大部分が海域でございます。もちろん注意しなければいけないわけですが、そういう地震の危険度の最も高いところに首都東京があったということで、地震対策が殊のほか重要であるということであります。 それで、東京で起こります東京に被害を与えます地震にどういうものがあるかというのを簡単に申し上げますと、一つは関東大地震のタイプですね。これはマグニチュード八クラスの巨大地震でございますが、これが起こったら非常に大変でございます。これは南関東一円が壊滅的な打撃を受けることはもう間違いないと思いますが、幸いといいますか、このクラスの巨大地震の起こる間隔ですね、エネルギーがたまってその次の関東大地震が起こるわけですが、それが、人によって違うのですが、二百年とかそのくらいの間隔だというふうに考えられておりますので、この前の関東地震が起こりましてから七十年経過しておりますので、次の関東地震が非常に差し迫っているという状況にはございません。ただ、非常に長い目で見ますと、この地震対策は必要であるというように思います。 ただ、マグニチュード八クラスの巨大地震はそういうわけで発生の間隔が長いのですが、東京の、あるいは南関東地域の真下で起こるマグニチュード七クラス、ですから一ランク小さいローカルな地震ですが、これでも、その起こった場所によっては非常に大きな被害を与えます。一八五五年の安政の江戸地震では、当時でありますが一万人ぐらいの死者が出ております。下町を中心に甚大な被害をもたらしております。それから、明治に入りましてからも東京地震というのがありまして、この地震でもかなりの被害が出ております。 というわけで、この東京直下の地震というのが非常に問題になるわけでありますが、近年、目ぼしい地震が余りないわけです。被害のあるような地震がないわけですが、それには理由がありまして、関東大地震が起こりました。これは非常に大きい地震でありましたので、南関東一帯にたまっていたひずみのエネルギーが一挙に解放されたということで、こういう巨大地震が起こった後はしばらく静かなんですね。ですが、しばらくたちますと平常の状態になっていく。それで、これは太平洋プレートと東の方からのプレートがほとんどコンスタントのレートで日本列島の下に潜ってくるそのひずみエネルギーがたまっているわけですから、それがだんだん平常の、東京周辺の地震活動というのはもっと高いのが普通で、ここ六、七十年、大きな被害のあるようなそういう直下の地震が起こらなかったのは、関東地震で大きなひずみが解放された、その貯金のためになかったのであって、これからはぼつぼつそういう直下の地震が起こり始める、言ってみれば、いつ起こってもおかしくないという時期になりつつあるというふうに思います。 それで、東京直下のそういうマグニチュード七クラスの地震については、現在の観測網、観測体制あるいは予知技術では、事前に予知するということが非常に困難であります。いろいろな困難な理由がございますが、結論だけ申しますと、困難でありますので、この種の地震は突然起こるというふうに考えておいた方がよろしいと思います。したがいまして、そういう局所的な地震が起こるという可能性は十分考えておいた方がいいというふうに思います。 日本列島は、先ほど申しましたように地震国であり火山国ではありますが、日本列島全体がどこも一様に非常に地震の危険が高いということではございませんので、地震の危険度の少ない場所も十分ありますので、国会等の移転の場合はそういうことを十分考慮されて移転されるとよろしいだろうと思います。 例えば富士山ろく移転というようなことが大分前に言われたことがございますが、富士山ろくというのは、富士山が活火山なんですね。それからまた、プレート境界があの辺を通っているということで、地震の面からいっても、それから火山噴火の危険性という点からいいましても適当ではないということで、これは一例でございますが、そういうところではなくて、自然災害の危険性の低いところ、そういうところをうまく選んで移転されるということを希望いたします。 以上でよろしゅうございますか。
○村田委員長 ありがとうございました。 以上で茂木参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○村田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 この際、委員各位に一言申し上げます。 質疑につきましては、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。 なお、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。
○山口(鶴)委員 茂木先生にお尋ねいたしたいと思います。 今お話を聞きまして、マグニチュード八クラスの巨大地震といいますか、それはある程度、二百年といいますかそういう周期、しかし、マグニチュード七クラスの地震というのは、事前の予知も困難だし、いつ起きてもおかしくない、こうお話しになりました。そうしますと、マグニチュード七クラスの、いつ起きてもおかしくない地震が東京の都心の直下で起きたというふうに想定いたしますと、その被害はどの程度のことが予想されますか、お差し支えない範囲でお示しいただければありがたいと思います。 それからいま一つは、国会を移転する場合に、日本列島一様に危険であるわけではない、日本列島全体が地震帯ではあるが、危険でないところもあるんだ、こういうお話でした。そうしますと、東京周辺でもし危険のないところとすれば一体どこか、東北では一体どこだろうか、あるいは中部、近畿では大体どのようなところが危険が少ないのか、その点も専門的お立場でお示しいただければありがたいと思います。
○茂木参考人 先日、二月二日に起こりました地震は、震源は東京湾と言われておりますが、詳しく申しますと、浦賀水道でございます。マグニチュードが五・九ですね。それで、東京でもかなり揺れましたが、マグニチュードが一違いますと、エネルギーが三十倍違うんですね。ですから、マグニチュード七ぐらいの地震がしばしば起こっているわけでございますので、現在、都市が脆弱化している面がありますので、場合によってはかなりの被害が出る。どういう場合、特に大きい被害が出やすいかといいますと、特に浅い場合ですね。この前の地震は九十キロでありましたが、災害といいますか、東京の下で起こる地震は五十キロぐらいから八十キロぐらいまで、ある程度深いのでございますが、それが浅くてマグニチュードが七クラスとなりますと、東京全体ということではないでしょうけれども、限られた地域は関東大地震のときの震度と同じぐらいにもなり得るということで、例としては、先ほど申しました安政の江戸地震ではマグニチュード六・九でした。それで相当の被害が出ております。 それから第二の御質問ですが、どういうところが地震の危険度が少ないかという点につきましては、非常に大ざっぱに言いますと、条件としては、過去に大きい地震、大きいといいましてもマグニチュード六・五とか七が内陸で起こっているわけですが、そういうところは割と固まって起こりますので、そういう癖がありませんところ、そういうのが起こっていないところがいいでしょ う。それから活断層というのが、地質の方たちがお調べになっておられますが、その分布図がわかっておりますので、それがないところがいいだろうと思います。それから、活火山がございますね。浅間山とか白根山とか富士山とか、そういうところの近辺は避けた方がいいだろうというふうに思います。
○山口(鶴)委員 そうしますと、第一の質問では、安政の地震クラスのものが起きる可能性があるということでございますね。そうすると、当時と現在とでは建物の様相とか随分違いますけれども、安政の地震のときに一万人もの死者が出たというお話も聞いているわけですから、結局その場合、現代の建築、安政の地震クラスのものが起きた場合に、現代の建築物にはどの程度の影響が出るのでしょうか。もしお示しいただければお示しをいただきたいと思います。
○茂木参考人 私は建築の方の専門ではありませんが、かなりしっかり設計された建物はなかなか壊れないだろうと思いますが、いろいろなライフラインとか情報網とかそういった、都市がいわゆる脆弱化しておりますね。この前の地震ぐらいでもある時間麻痺するというようなことがございますので、新しいタイプの被害が出るのではないかというふうに思います。
○山口(鶴)委員 そうしますと、通信網とかガスとか水道とかそういった都市的機能の重要な部分に相当な被害が起きる可能性があるということですね。
○茂木参考人 あると思いますね。それから、建物も非常にきちんと建てているとは限りませんので、伊豆大島近海地震のときなども、外見は立派でもがしゃんとつぶれたものが結構あるんですね。そういうのを子細に調べてみると、手を抜いていたり、そういうのが、恐らく現在のこういう大都市の中にはいろいろなところにあるのではないでしょうか。
○鳥居委員 茂木先生、御苦労さまでございます。 地震の予知手法につきまして、今研究陣の皆さんが一生懸命頑張っていらっしゃるわけなんですが、第六次測地学審議会年次計画で地震の予知を研究しよう、また内閣に地震予知推進本部ができて、予知連があり、判定会がある、こういう仕組みはなかなか立派なんですが、予知手法というのはやっと緒についたという感じでしょうか。それともかなりのところまで来ている、こういう感じでしょうか。
○茂木参考人 地震の基本的な予知の手法というのは、かなり前から私どもそういう考えを持っておりまして、それに従って予知計画を進めてまいっております用地震の前に予知するというのは、地震というのは地殻の破壊ですが、突然破壊する場合は予知できないわけですが、破壊の前に微小破壊が起こったり、そういう前兆が起こって、それから主破壊が起こるのではないかということで、前兆をつかまえて予知するということに全力を挙げているわけですが、その方針は一貫して変わっておりませんので、その前兆の出方が地震によって非常に顕著に出る地震があり、それから余り出ない地震があったりして地域性がありますので、やはり時間をかけて、ここではこういう起こり方をする、ここではこういう前兆のあらわれ方をするという、そういう経験も積み重ねていくことが重要ではないかということで、地震予知計画というのはそういう意味では長期にわたらざるを得ない。私は、着実にいろんな手法も進んでおりますし、方向も間違っていないと思いますが、最近、そういう意味では、内陸で大きい地震が余りないんですね、幸い。ですが、平生の小さい地震についてのデータというのも重要ですので、予知計画ではそういうものを蓄積していくということに努力しております。 東海地域については、これはマグニチュード八クラスでございますので、これは前兆現象が出る可能性が高いのではないかということで、予知できる可能性は高いだろうというふうに思っております。
○鳥居委員 それで、今南関東で心配されているものは、プレート境界周辺で起きるもの、この懸念されるプレート境界型地震と、二月二日に起きましたマグニチュード五・九、これとの関連性はどんな感じですか。
○茂木参考人 二月二日の地震も、太平洋プレートが西の方に潜り込んでいって、そのプレートの上面に近いところが、プレートの中が壊れたのですが、プレートの上面、まあプレート境界と言っていいようなところで壊れたみたいでしたが、この前の地震は小さいのと、それから深いということで、余りはっきりした前兆現象は観測されなかったということです。
○鳥居委員 もう一つ、三千メートルの深井戸を四本目、今江東区で着手しまして、引き続いて二千メートル級のものを十二本、南関東の予知のために掘るという計画がありますけれども、これを掘ることによってマグニチュード一・五ぐらいの微小のものをつかまえることができる、そうすると予知は一段と進むと考えているのですか、これが実現できれば。
○茂木参考人 東京周辺は、先ほど申しましたように、地震の危険性という点からは非常に高いところで、しかも政治、経済の諸機能が集中しているところでありますので、ぜひここで予知を実現したいというのが私どもの非常に大きな目標でございます。ところが、この地域はごらんのとおり、人口が非常に欄密で、人工的なノイズが非常に高いんですね。それから、関東平野の下というのはやわらかい堆積層が厚く覆っておりまして、なかなか地下深部の地震前の前兆のシグナルを観測しにくいんですね。普通の山岳地帯ですと、ほとんど地表にいろいろな計器を置いてよろしいのですが、南関東地域では、地方で観測したのではほとんどそういう前兆をつかまえることができないということで、できれば深く掘って、岩盤に達した点でいろいろな観測をやりたい。そういうことで、三千メートル級の深井戸、現在三本、今お話にございましたように、現在四本目を掘っているところでございますが、これは非常に重要なことで、お金はかかりますが、これをやらないことには地下からのそういうシグナルをとらえることはできないということでございます。それで、もう少し浅いのをたくさんやるというのは、深いのは非常に金がかかりますので、それだけに依存しておりますと、一本ふやすのに十年かかったわけでございますので、この調子ではなかなか地下の状態を把握できないということで、それより若干浅いけれども、たくさんの点で観測してそういうシグナルをとらえようということで、これは今首都圏での地震予知には欠かすことのできない方向ですね、こういう深井戸を掘って観測するということは。
○五十嵐委員 我々、先生のお話を承るような機会はめったにないものですから、二、三お伺いしたいと思います。 一つは、確認みたいなものですが、国会等の移転について今我々はごらんのように審議をしているわけですが、今のような先生の御見解からいうと、とにかく国会等の移転はこの際急いでやれということであられるかと思いますね。 それから二点目は、実はこの審議をしながら自分でもちょっと感ずるのですが、大事なのは、そういう危険性があるとすれば、国会ないし政府機関だけではないだろう、つまり移転を要するのは、常に重大な危険にさらされるという意味では。巨大都市に住んでいる市民全体が一体どうすればいいかという大問題があるわけですね。もちろん、それは国会であるとか政府機関が急いで移転しなければいかぬということもあるが、しかし、そういう大変な事態というものが少なくとも一定の可能性を予見されるとすれば、一体我々はどうしたらいいのかということが政治にいる者としての大変大きな責任のように思われますので、国会移転等にとどまらず、その点についても御見解があればいただきたいと思います。 三点目は、それと関連するのですが、短期的な予知というものはなかなか大変でありましても、 まあ一定の長期的な予見というものはお話しのようなことで見通せるわけでありますから、我々の方も、長期的なそういう先生方の予見に基づくきちんとした対策といいますか、そういうものが国土計画や都市計画の上でも反映される必要があるのではないかという感じがするんですね。例えば東京における臨海副都心の造成だとかさまざまな問題が今新たにまたあるわけでありますが、これらの問題が一体このままでいいのだろうかということなども実は大変不安を感じないわけにはいかぬのですが、今までできている都市と、それからこれからまたつくっていくべき都市と、そのいずれにも重大な影響がある地震についてのそういう上での御見解等もあわせていただければありがたいと思います。
○茂木参考人 ただいまのお話は、いろんな点で私も考えているところでございまして、国会だけ移転するというのでそれで終わりというのでは、これはないだろうと思うんですね。東京にそういういろんなものが過度に集中している、しかもそれがなおむしろ進行しているというのを一つはやはり是正すべきである、そういう災害対策の面から。それで、国会移転というのは非常に象徴的でありますので、それが率先してそういう決議をされたということに、私は非常に重要な意味があるのではないかと思います。 それで、では残った東京はどうするのかということでありますが、これは当然、これだけの東京がどこかに引っ越すということはあり得ないわけで、いろんな意味で非常にいいところでもあるわけでございますので、気候からいっても、それから関東平野を控え、東京湾を抱え、いいところでありますので、地震対策というのをやはり同時に積極的に進めるべきである、東京及びその周辺の地震対策。それは耐震化を推進するということと、それから、今すぐはできないのですが、予知できるようにする。予知できるようになりますと、まあ地震の被害というのは火事が非常に大きいわけですが、地震が近いということになりますと、もしそういう警告が出されれば特に火の元に注意するというようなことができますので、そういう人的な災害に加えて物的な災害の軽減もかなりできるということで、ぜひ首都圏の地震予知を推進したい。これは何年も前から、首都圏の地震予知なくして日本の地震予知はないということを申しております。そのためにはかなりの費用がかかりますので、これはやはり、いろいろ貿易摩擦等ありますけれども、日本には、先ほど申しましたように外国にはない地震という大きな問題があるので、いろいろ大変でしょうけれども、そういう費用をもう少し積極的に使うべきではないか、強力に推進すべきではないか。これは国家百年の計だろうと思うのです。 それで、今、日本の地震予知研究というのは世界でも先端を行っておりますが、それは百年前の先輩方が、非常に地道でありますが、しっかりした観測をやってこられたのですね。それが今非常に役に立っておりますが、必ずしも短期的に限らずそういう長期的な投資、それは必ず将来非常に価値あるものとして報われてくるだろうと思いますので、そういう長期的な意味でも東京地域の地震対策というのは重要であると思います。 それから、臨海副都心についてお話がございましたが、私は、一方で一極集中是正と言っておりながら臨海副都心というのを考えること自体、矛盾しているのではないかというふうに思います。それで、地震に対して大丈夫であるという保証もないのではないかと思いますので、その辺は、私は非常に懸念を感じている点でございます。
○金子(満)委員 茂木先生に若干の点を伺いたいのですが、一つは、地震対策と国会等の移転の問題についてよく言われること、特に専門的に地震対策の立場からいろいろ言われている方々の理由、論拠、これは二つ挙げることができると思うのです。 立法、行政の機能が地震によって阻害される、これを避けることが大事だというのが一つあります。それからもう一つは、国会移転等によって跡地ができるわけですね。これを首都圏の震災対策、防災対策の上から一つの拠点にする、こういう考え方があるわけです。今も一極集中の問題が出ましたが、国会及び政府の諸機構が移転した場合、人口はどのくらい東京から減ると推測しておるのですか。
○茂木参考人 この点はいろいろお考えがあるようでありますが、国会、立法府、そういったものが移転した、そのことによって人口が相当減るということはないと思います。ないと思いますが、これ以上いろんなものの集中が加速していく、それをとめる引き金になるのではないかということで、大変結構ではないかと思います。
○金子(満)委員 そこで、次は災害対策、防災上今やるべきことは何かと言われる中で、特に地中関係の専門の先生方が強調されること、きょうも茂木先生も強調されましたが、空間をつくっておくとか、これは決定的だと思うんですね。私は、そういう点で首都に防災空間をどう保全していくか、どう拡大していくかというのは当面の急務だと思うんですね。ところが、実際、この十年間ぐらい見ますと、空間を埋める方が、つぶす方が政治行政上の問題としてあったと私は思うんですね。 一つは、民間活力導入ということで建物の規制緩和が相当やられた。こういう点で、東京には残されていた貴重な空間が次第に埋まり、そして建物が建っている、しかも高層だというのが一つあると思うんですね。それからもう一つは、首都圏の農地だと思います。農地はだれが見ても空間なんですけれども、宅地並み課税で農地をつぶすことを促進したと思うのです。こういう中で空間がどんどん狭められてきた、それもまた一つのことだったんですね。それから三番目は、一極集中というのを言葉の上ではいけないということを言いながら、実際には東京湾の点でいえば、臨海部の再開発というのがどんどん進められる、これも空間をつぶしているということに私はなってきたんだと思うんですね。 ここのところで、今まで十年間やってきたそういう民間活力の導入あるいは宅地並み課税、さらには臨海部の再開発というのは、防災上、私は否定的な側面が多かった、これはやはり是正しなければならぬと思いますが、茂木先生はその点どうお考えになりますか。
○茂木参考人 私もそう思います。私も、空間が重要だと思います。最も空間が必要であるべき東京で、例えば公園一つ取り上げましても、ロンドンとかパリとかそういうところと比べまして格段に少ないということで、空間を確保するということは、特にこれだけ過密状態になった東京では基本的に重要だと私は思います。
○金子(満)委員 ではもう一つですが、そういう中で確かに防災上、空間がどんどん狭められていく、これが現実だし、これを是正しなきゃならぬし、食いとめなきゃならぬ。これは国会移転以前の問題として、今すぐ手をつけなきゃならぬ。 そういう点は緊急問題ですが、もう一つその点で、防災予算という点もやはり見ていかなきゃならぬ。これも臨調行革と言われるこの八〇年来十年間とってみても、例えば消防予算というのは減ってくるわけです。これがどういう意味を持つかは、人それぞれによって考え方は違いますけれども、三〇%程度減らされてきておる。 こういう中で地震の予知対策の問題、ここにあるのは二月五日の朝日新聞の記事なんですが、これは茂木先生も特に会長さんをやっておられる地震防災対策強化地域判定会ですね、このことがここに出ております。これは、主として東海地震をテーマにしてやっているわけですが、今、地震の東海地方における予知に関する観測点というのが百三十カ所あると書いてあるんですね。その百三十カ所の中でほとんどがもう老朽化しているということも指摘をされているわけですね。今年度、静岡県の浜岡町にある地中センサーを新しくする、次は、来年は静岡市の地中センサーを更新する、現状では一年度に一カ所のペースだ、予算はそうなっておる。百三十個あるのに一年一カ所では百 三十年かかるわけですよ。今この世に生きている人はほとんどいなくなると思うんですね。そのくらい長期にかかるわけですね。ですから、大事なことは、現行法から見ても、地震の発生の二、三日前からやはり判定というのを厳密にやっていなければならぬ。この地震だけは、いかに国会が決議したからといって地震がなくなるわけじゃないんで、対策をどうするかというのを急ぐというのがこれは事の順序ですから、こういう点の予算措置というのが非常に少ない。 それからもう一つは、雲仙問題を見るとよくわかるんですけれども、気象庁のヘリコプターがやっておるというのは聞いたことがない。みんな防衛庁のものですね。私は、観測用の専門のヘリコプターが何で気象庁にないのか、これは要求しているのは私どもも聞いています。なかなかこれがつかない。こういう点も是正すべきだと私は思うんですね。 それから、そういう中であわせて伺いたいのですが、東海地震の場合には百三十カ所と言いました。先ほど先生の最初のお話の中で、日本列島全体が地震列島だ、そして北海道、東北の方は○○沖が震源地になるけれども関東平野に来ると内陸になってくる、そして関東平野の中では南関東が一番危険だ、こういう御指摘があるわけです。そうしますと、関東及び南関東のところで、さあ地震を予知する、そういう地震観測機能はどんな配置になっているのかという点もひとつあわせて伺いたいと思うのですね。 ここの点を解決しないと、国会は移転いたしました、それで国会は無事でした、国会議員も無事でした、あとは大変な災害になっていました、こんなことになったら大変なことで、したがって、今やるべきことは、国会移転ということでどこか地震のないところへ引っ越しましょう、全然引っ越しかできないのは東京の都民なんですから、これは地震の多発地域、最も危険な南関東にいるわけですから、こういう点で観測機器の老朽化の問題と予算、それから気象庁のヘリコプターの問題、これは機器を備える、こういう点と、南関東における地震予知のための機能がどうなっているか、先生の分析とお考えをお伺いしたいと思うのです。
○茂木参考人 東海地方には百三十カ所の観測点、おっしゃるとおりございます。老朽化も進行しておることも確かでございます。それで、それの更新が必要であるということもこれは事実でございます。ただ百三十カ所を全部更新していくかどうかというのはまた別問題です。特に現在問題にしておるのは、体積ひずみ計という一番重要な計器ですが、それが一年一カ所というペースであるということで、これは促進していただきたいというふうに言っております。これはやはり促進していただきたいと思っております。 それから気象庁のヘリコプターについては、気象庁にあるのがどの程度いいのかどうか、ちょっと私、事情がわかりません。 南関東については、現在ある程度観測点を展開しておりますが、東海地域と比べますと、もちろんこれは不十分なわけです。一つは、南関東で第二の、次の巨大地震である関東地震がそう切迫しているわけではない。これが非常に切迫しておれば、東海と同じような体制をとることになると思います。その点は若干先であろうというふうに思います。ただ、先ほど来申しましたように、マグニチュード八クラスの巨大地震、関東地震クラスの巨大地震よりも一ランク低いマグニチュード七クラスの直下の地震、これが起こる可能性が十分考えられますので、それの対策はぜひ強化すべきであるというふうに思います。これについては、地震の大きさも小さいわけでございますので、観測網のあり方、密度等も大きい地震とは違ってまいります。東海の場合と違ってまいりますが、そういう意味では観測点、観測網の現状は甚だ不十分であるということで、ぜひ強化していただきたいというふうに思っております。
○伊藤(英)委員 茂木先生、貴重なお話をありがとうございました。 私、大きく分けて二つお願いしたいのですが、まず一つは、今までもいろいろお話もあったのですけれども、この国会移転ということについて当委員会として鋭意検討しているわけですが、先生のお考えとしては、この移転ということについてどのくらい急いだ方がいいと思われるのか。そして同時に、首都機能ということを補完する意味で重都という言葉があるのですが、一時的にその機能を代替するために、いわば第二国会議事堂のようなものを用意した方がいいという話もあるのですが、そのことについて先生はどういうふうに考えられるかということです。 それからもう一つは、先ほど臨海部の開発の話が出たのですが、東京の大深度地下利用ということがよく言われてまいりました。ざっと地下三十メーターぐらいのところを活用するということなんですが、そういうことについて、一極集中の問題と、あるいは大地震という問題との兼ね合いで先生はどういうふうに考えられるか、お伺いしたいと思います。
○茂木参考人 時期については、できればやはり、いつまでたっても決まらないというのではよくないのではないか、ですからなるべく積極的に時期も進めた方がいいのではないかという気がいたします。 重都の問題については、あるいはそういうことが方法としてあってもいいかと思いますが、移転というのを積極的に進めるという意味で、やはり移転の方がいいのではないかというふうな気がいたします。 臨海部それから大深度地下については、これは東京地域をなるべく効率的に利用しようという発想ですね。そうしますと集中を加速するということにつながりますので、今のそういう国会を移転して一極集中を是正するという方向とは相入れないのではないかというふうに私は思います。
○伊藤(英)委員 今のお話を再確認いたしますと、重都というようなことを考えるよりは、移転ということを急いだ方がむしろいいのではないかというお話なんでしょうか。
○茂木参考人 そう思います。
○渡辺(嘉)委員 今いろいろ聞きましたが、ちょっと私は地震のことは何も知らないのです。ただ地震の被害を見ておるだけなんです。 今聞いておりますと、海岸に多い、海洋性の地震が多い。太平洋側でもそれから日本海側、新潟地域、そんなふうに見ているのです。私は岐阜なんです。濃尾大地震があったわけですね。あれは八以上だったと言われておりますが、そうすると、先ほど山口先生からお尋ねがありまして、じゃ安全なところはどこなんだ。首都移転は地震の問題だけじゃないんですね。地震の問題も最優先にされますが、やはり経済あるいはまた社会、あるいはまた環境の問題、地域、地勢の問題、地価の問題、いろいろあります。ただ、その中の大事な条件としては、じゃ安全な地帯をどのように選ぼうか、こういうことになるわけですが、じゃ内陸地帯で活断層がなくて、火山がなくて、そのようなところで先生は、こういうところなら今のところは安全ですよというものがあったらきちっと教えていただかないと、私どもが審議するときに、この条件はこれでクリアできた、こういうことになるわけですが、何だったら一つの地図でも持ってきていただいて、こういう問題がある、こんなようなことを先生のお差し支えのない範囲内で、安全だと言ったけれども起きたじゃないかと言われても責任問題はないわけですから、ひとつそういう先生の勘で、また知識でお教えいただくところがあったら教えてください。 それからいま一つ、濃尾地震のようなことはまだあるのかどうかということですね、ほかの地域でも。
○茂木参考人 先ほどは非常に一般的に、より起こりやすい点についてお話しいたしましたので、もう少し本当は詳しく御説明しないといけないわけなんですが、内陸には大体マグニチュード七クラスの直下の地震があちらこちらで起こっています。東北でも起こっていますし、中部地方でも起 こっていますし、近畿地方でも起こっています。濃尾地震はマグニチュード八クラスなんですが、これは有史以来確かなデータでは、濃尾地震が唯一のマグニチュード八クラスの地震なんですね。これは千年に一回ぐらいではないかと言われておるのですが、ただ、そういう地震が隣で起こるという可能性はわかりません。例えば四国から近畿、中国に中央構造線というのがありまして、それが活動すると八クラスが起こるのではないかというふうにも言われておりますので、海岸沿いの巨大地震というのは非常に繰り返し頻繁に起こるので、先ほどはその点を強調したのでございますが、ですから、内陸でそういう大きい地震の起こる可能性が考えられるところは避けるべきである。それは、一つは、そういう地震というのは割とまとまった地域で起こることがあります。それから、活断層というのが、地震の傷跡ですが、そういうところは繰り返し起こる可能性がありますので、そういう地域は要注意のところというふうに考えております。 どこが安全か、そういうのはない。現在の調査の結果では、そういう活断層がないところは一応安全性は高いのではないかというふうに思っておりますが、そういうのは、今分布図がちょっとございませんので、具体的な場所をちょっと今申し上げるのも正確にはできませんが、そういう場所は結構あります。
○渡辺(嘉)委員 そうしたら、逆に、これは活断層があって危険だというところの分布図を出していただければ、私どもは判断の材料になるわけですね。それは一つお願いできますか。
○茂木参考人 そうですね。やります。
○村田委員長 後で資料ででもいただけますか。
○茂木参考人 はい。
○村田委員長 それじゃよろしくお願いします。
○鳥居委員 南関東の直下の地震の切迫性がいま一つよくわからないのですが、首都圏直下の地震の切迫性については、ある学者先生によると、マグニチュード六以上のものは四〇%だというふうにも指摘されておりますし、東海地震の方は対策がぐうんと進んでいるのですが、観測強化地域になるのは南関東の方がずっと早かったわけです。その意味では、南関東に対する手だてというのが非常におくれてきた理由というのはたった一つ、予知が難しいということだけなんですが、切迫性が相当ありながら非常に政治的な配慮がなされているのじゃないかというふうに見えてならないのですが、そのあたりを予知連会長のお立場では、あるいは中央防災会議の中で協議をされるお立場で、それに準じた地域指定という、どこがという点なんですけれども、そのあたり、切迫性と地域指定という点についてぜひ御意見をいただきたいと思います。
○茂木参考人 地域指定は、強化地域とそれから特定地域とありまして、強化地域の方が高いランクの地域指定なんですが、南関東地域が強化地域に指定されたのは、房総半島が異常隆起しているのではないかという見方がありまして、それで急遽強化地域に指定したのですが、その後観測を続けておりますと、房総半島沖というのは上がったり下がったり、こういうことを実はやっているということがわかりまして、ですからその理由は消えたのですね。ですから、東海地域はエネルギーがたまっていて、これまで繰り返し起こっているのにまだ起こっていない、それで起こる可能性が高いということで強化地域にしているわけです。ですから、南関東を強化地域に指定したときと、今南関東を強化地域に指定している意味合いがちょっと変わってきているんですね。今は首都圏直下の中規模地震の発生の可能性があるし、それから非常に重要な地域であるということで強化地域になっております。
○村田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、茂木参考人に一言お礼を申し上げます。 茂木参考人には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 なお、渡辺嘉藏委員より御要求のありました資料につきましては、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十一分散会