厚生委員会 第12号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/05/20
会議録
○牧野委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
○三原委員 久しぶりで質問させてもらうのですけれども、社労委員会が厚生と労働に分かれまして、弁解じみますけれども、私は労働の方で理事をやれと言われておりまして、いつも日にちがダブるものですから採決のときぐらいしか来なくて、石破君なんかにいつも怒られていますけれども、申しわけありません。逆のケースもあるようで、厚生に席を置いておいて労働になかなか来れない人もおるようで、申しわけなく思っておるのですが、きょうは質問の機会を与えていただきましたので、ありがたく三十分間ばかり質問をさせていただくわけであります。 きょうは、私は生と死の問題みたいなことを、日ごろ私がふるさとにおるときにいろいろな人から質問されたり聞かされたりするようなことを率直に国政の場に、伝達役でもありますから質問させていただいて、国の方針を聞かせていただきたいと思うわけであります。 今から小一カ月ほど前ですか、新聞で何か大々的に、顕微鏡で授精をさせて、人工授精した赤ちゃんができるという話があって、仙台の方ですか、あそこで赤ちゃんが生まれたような話も出ておりました。 私の地元にも実はそういうことを一生懸命やっておる若手の医師がいまして、その人も新聞に載ったのですが、友達なものですから、あなた、よう活躍して頑張っておるで、ええこっちゃと言いましたら、それについてということで、自分たちは一生懸命やっておる、しかしながらコストがかかる。例えば東京からも子供が欲しい欲しいといって来るのだそうですが、来た人の足代がかかる、泊まり賃がかかる。そういうことはさておいても、自分がそれに対して医師としてのいろいろなことをやるのだが、それにも丸々払っていただかなければいけないので申しわけない。 それを突き詰めて考えると、経済的に余裕のある人は、例えば一回で赤ちゃんが生まれるとも限らないのですから、二回も三回も四回も五回も続ける人もおるそうです。もう五回以上来ている人もいる。そういう人たちに対してはそれこそディスカウントしてやりたいような気分になるけれども、自分も生活がありますのでなかなかそうもいかない。突き詰めて極論すれば、普通の状態では生まれない夫婦が子供を欲しいと思ったら、お金持ちの人はチャンスが多い、お金のない人はそういうチャンスに恵まれない。つまり、医師からいろいろな技術的なアドバイスを受けたりするチャンスに恵まれないということになると、極論ですが、金持ちの方は子供をつくることができる、経済的にそういう余裕のない人は子供をつくることができないということになるじゃありませんか。 私は、それもそのとおりだなと思って、そういうことに対してある一定の指針みたいなのをこれから先、国は考えてもいいのではないか、例えば保険の面で。それは医療ではないからと言われるなら、子供を産む年齢の人というのは夫婦ともまだ若いですから、余り経済的余裕がないなら、何かそれこそ基金でもあってお金を貸してあげて、将来返すこともできるとか、例えば奨学金制度じゃないけれども、そんな感じでもええやないか。何か考えてチャンスを与えてやることは、これは社会的一般に考えても、片一方だけに公平の原理をやるというような状況ではない。そういうぐらいのことをしてもいいのじゃないかと私は思ったもので、きょうはそういう点の考え方をちょっと聞かしていただきたいなと思って、まず質問させていただきます。
○古市政府委員 顕微授精を例に挙げられまして、そういう人たちの希望にかなうことが全体の制度の中で何か考えられないか、こういうことの御提案だと思います。 確かにそういう考えはありますが、体外受精、また顕微授精そのものにつきまして、現在まだ完全に完成して、そう広く制度に乗るというところまでは行っていない段階かと思います。そういうことで、私どもは、先駆的な技術の高いところで行われているということで、いましばらくの間はそういう状況を見て、先生の御提案も、今後そういう技術が定着をした段階には、また話題になることではなかろうかと思っておる次第でございます。
○三原委員 今の局長さんの答えもわからぬわけでもないのです。もちろん、まだ例が少ないから一般的にはなり得てない、こういうこともそのとおりだと私は思いますが、例えばどのぐらいになったら技術的な面をクリアして、もっと一般的に、子供が欲しいと思ったら、普通の状況ではできない人に医療が手助けして子供ができるか。そのときにかかるコストあたりも、国が助成するなり、今も私が言いましたスカラシップじゃないけれども、若い経済力がないときには再生産能力が一番あるときですから、お金の面では貸しておいて、後で返してもらうぐらいの寛大な気持ちも持っていい。 ましていわんや、このごろは子供をつくる人が少なくなってきたということも考えると、欲しくてできないような人がまだたくさんおられるというならば、もし経済的な面でも一つのバリアがあるなら、それを解消することは何ら反社会的行動ではない、そういう方面に一歩踏み込むことはいいことだと思うのでありまして、これから先は大いにでき得べくんば考えていってほしいなということを、私は地元からの意見ということで再度申し上げておく次第であります。 次の質問は、きのうのラジオ、テレビ、そしてきょうの新聞でも書いてありましたけれども、日本人はどんどん長生きしておるわけでありまして、男も女も世界一になって、男はスウェーデンを追い越した、女はスイスを追い越したなんて言っていました。それも大いにありがたい、いいことでありますが、逆に生まれる方は世界で冠たる出生率の低い国なのでありまして、一時期出生率が一・五七と言っておったのが、このごろはまたそれから減ったらしいですね。一方では、確かに開発途上国あたりでは出生率が三以上もあって、どうするか、人口の爆発みたいなことで悩むかと思ったら、我が国のようにぜいたくな悩みといいますか、将来を見越して、これから二十年、三十年先、彼らが大人になって社会を支えていくような時期になったときに、日本はどうなるであろうかなどということも大いに悩んでおるところで、それが杞憂に終わればいいですが、実際問題として大変な状況になるのじゃないかということも言われておるわけであります。 ところが、聞くところによりますと、今スウェーデンの話をちょっとしましたが、スウェーデンあたりでは、一時期出生率がぐっと低下しておったのが回復してきた。それにはいろいろ社会的原因とか何かあるのですが、我々はそういうことも大いに参考にしなければいけないなと思うわけで、子供が生まれなくなったのは、もちろん晩婚ということもあるでしょうし、女性の学歴も大いに伸びてきた。いいことなのですが、選択肢がふえてきて、結婚して子供をつくることだけが自分たちの人生じゃない、やることがもっとたくさんあるんだという多角的な価値観みたいなものができてきて、それがということも言われているようですけれども、そういった面で厚生省はこれまでどういうことをやってこられて、そしてまたこれから先、大いなる出生率低下の問題をどういうふうに憂慮されて、施策を考えておられるのかということをちょっと聞かせていただきたいと思う次第であります。
○土井政府委員 今お話がございましたとおり、二十一世紀の日本の社会を考えますと、最近における出生率の状況、非常に難しい問題を将来に提起しているというふうに考えておりまして、そういう意味で、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりは最も重要な課題であると考えておる次第でございます。 もともと結婚でありますとか出産であるというのは、個人の価値観とかかわりのある問題でございまして、行政としてどこまでタッチできるかという限界があろうかと思いますけれども、内閣に十八省庁から成ります連絡会議を設置しまして、この問題に真剣に取り組んでいるというのが今日までの経緯でございます。 厚生省といたしましては、昨年、先生方にお願いをいたしまして、児童手当制度の改正を実現させていただきました。また、多様な保育需要に対応する種々の保育サービスの拡充、あるいは育児休業制度がこの四月から実施をされましたが、年度途中入所児童の保育所への円滑な受け入れ、さらには育児不安というものに対して、育児に対する相談支援体制の確立等々の具体的な施策を推進してきているところでございますけれども、今後さらにこれらを積極的に拡大したいと考えております。 しかしながら、この問題につきましては、行政だけではなかなか限界があるということで、企業でありますとか労働組合でありますとか地域社会でありますとか、そういったいろいろな方々に御参加をいただいて、児童環境づくり推進協議会というものを本年度から設置いたしまして、国と若干の都道府県でございますが、官民一体となってこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。そして、これらを進めるに当たりましては、ただいまお話がありましたようなヨーロッパの諸国等々におけるこれまでの経験、こういったものを十分参考にしながら、さらに今後の取り組みを進めてまいりたいと考えている次第でございます。
○三原委員 数日前、局長さんのところの部下の人たちとちょっと話をしたのですが、そのときに言ったのです。スウェーデンあたりの話を聞くと、子供を産んでから女性は、もちろん産休はあるでしょうが、その後に御主人に、あなた一年間ぐらい育児しなさい、私は働くわよ、そういうことがかなり社会的にも許されておるし、夫婦の間でもそういう状況もあって、そういう面から、女性と男性の平等の意識からそういうことができて、女性の方も、産むのは私しかできないからそうだけれども、育てるのはあなたでもできるでしょう、そういうのがかなり影響しておるという話も聞いたことがあるのです。 局長さんのところの部下の人に、冗談ですけれども言ったのです。では、あなた、もし万が一子供をつくったら、あなたが家におって奥さんが働くかと言ったら、いや、給料が私の方が上ですから。給料の問題じゃなくて、そういう意識があるかと言ったら、いや、それはそうなると上司が怒るのじゃないですか。だから、それが当然で、私も戦後教育を受けて、より男女平等社会で生きていこうというのは頭の中にあるのですが、いざ私自身のことを考えたって、なかなかそうはいかない場面があるのです。それは私もわかっておるのです。 それから考えると、人間のメンタリティー、精神構造をぱっと変えるのはなかなか無理というのはわかっていますけれども、これから先そういうことぐらいやらないと、一・五七以下になってきてこれが回復しないと、七百年か八百年かたつと、日本の人口は数字からだけいうとゼロに近くなるのでしょう。そんなことも考えられるのです。もちろん児童手当とかなんとか、生まれた後の世話も大切です。僕もそろそろそっちの退役者になりそうですが、再生産能力のある男女の人たちが生めるような状況、生めるような精神構造、生めるような環境みたいなものを、もちろん生む生まないは国が決めることじゃありません。まさに個人のことですから、そんなところまで入り込んではいけないけれども、環境づくりみたいなことは僕らは本当に真剣に考えていかなければいけないなと思っておる次第であります。 次に、今度は話がもう一つの質問に移ります。 私は昭和二十二年生まれで、団塊の世代の始まりのところでありまして、社労委員会のときにもそれこそ委員として末席を汚しておったので、そのときにも話にはなったのですが、なかなか前進しなかった例の年金の問題ですね。 六十の年金を今から先、今の状況でやると、掛け率を上げるか、それとももらう側の人が今から二十年ぐらいたったら減らして、最終所得の大体三分の二とか、自分の一生の所得の平均の半分ぐらいもらうのをそれより減らすか、またはもらう年齢を六十から六十五にしてもらわぬと、計算的にはやれませんよということをはっきりと政府が言われて、私もそれはむべなるかな、こう思って、それなら退職の時期を自然と六十から六十五に延ばしつつ、そしてなおかつ年金も僕らがもらう。まともからいうなら、僕もあと十五年もたてば年金受給者の側に、払う方からもらう方、納付側から給付される側に回るのですけれども、率直に厚生省あたりの考えでも、それはもうちょっと無理な状況なんですよ。 ですから、徐々にやりましょうということは私は賛成だったのですが、国民全体に理解を得られるところまでになかなかいかなかったし、また社会も、先ほども申し上げましたように、みんな元気で高齢になってきていますから、それなら働くのを延ばしていくというようなことをやっていかなければいけないのでしょう。 そのことで、私自身も、衆議院議員になってもう五年と十カ月になりますか、年金をもらうまでにまだ何回選挙を勝たないといかぬかわかりませんから、けちな話ですけれども、基礎年金と、それこそ経験の意味もあって、二階建てのもう一つの国民年金基金の方に自分自身でも入ってみてやっておるのです。いろいろ形はありますけれども、下から二番目ぐらいのところでやっておるのです。それは、みずからそういうことをやってみることも、私は皆さんの意見を聞くのは大切だと思っているのですが、率直に申し上げて安心はしませんよ。六十五になっても本当にもらえるのかな。私たちのときには、それこそ「楢山節考」のうば捨て山じゃないけれども、特に団塊の世代は、自分の子供たち、孫たちが私たちを支える時代になったら、あなたどうです、早く川の向こうに行ってもらった方がいいのじゃないかなんということを言われる時代になるのじゃないかというような危惧もあるのです。 私は、もう年金の制度は今から先はっきりして、しゃきっと六十五からだ、もうちょっと過ぎれば六十七だぐらいのことを国民に知らしめて宣伝もし、なおかつ教育もしてやった方がいいのじゃないかという気持ちがあるのですけれども、ちょっと意見を聞かせていただきたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 御指摘のように、高齢化社会が急速に進展してまいります中で、適切な年金の給付水準は確保しながら後代の負担も適正なものとしていく、こういうためには、今後老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に引き上げていくということは、避けては通れない課題であると考えている次第ではあります。 この問題につきましては、先ほども御指摘がありましたように、さきの法改正におきまして御提案申し上げたところでございますが、その際に、改めて次期財政再計算期におきまして所要の見直しを行うということとされたところでございます。今後は、政府を挙げて高齢者雇用の改善に努めますとともに、その状況も見ながら、この対応について国民の理解が得られるように努力してまいりたい、かように考えております。
○三原委員 本当に私たち団塊の世代は、今ごろが働くときには一番役に立つでしょう。そのかわり、年をとってこれだけ僕らの年代が健康で長生きしたら、本当に大変だと思うのですね。それから考えると、確かに金を出してもらうことですから言いにくい面があるでしょうけれども、さらに積極的にされた方がいいと思うし、政府と国民の皆さんとの伝達役でもある私たちあたりも、地元に帰ったときには説いて回れば、反対する人は私が知る限りでは一人もいません。 やはりそれは確かにそうだ、世代間扶助といいながら、僕らの年代が年をとったときにはそれほどの労働力もない、四人に一人ぐらいは大体老人となるのですから、それはそうだろう、それなら今から徐々に準備するような形をもっとわかりやすく明確に提示してもらった方がいい、こういうふうな意見がたくさんあるので、反対の向きもあるでしょうけれども、勇気を持って私はやってほしい。そのことが実は二十年、三十年、僕らが受ける側のときにやはりこの制度がずっとあって、また制度があることに反対の人は別にして、僕らはこの制度はいいことだ、必要である、存続してほしいと心から願っておるのでありますので、その点もこれからも大いに勇気を持って、いろいろ施策を遂行してもらいたいなと私は思っておる次第であります。 年金と、もう一つお金がかかる問題は医療の問題ですよね。これもまた僕らが六十五歳、七十歳、今七十歳で初診料八百円払ったら、もう一月間医療は十分に診てもらえる。こんないい制度はないと私は思うのであります。ですから、これをやはり僕らが今から二十五年たったときにも持っておいてほしい、あってほしいと思うのです。しかし仏がら、今度の医療法の改正あたりでもいろいろ勘案されて、無理が財政にいかないということもいろいろ考慮もされておられますけれども、この面でも、二十五年先のことはまだまだそれははっさりとわからないでしょうけれども、この制度も私は絶対に存続してもらいたい。 やはり貧富の差なく医療を受けられる、こんな女心した老後を送ることはないと思うわけでありまして、その面で、自己の負担、受益者の負担がいろいろな変化があって、今よりもちょっとふやしたとしても、それは構わないことであろう。だって、こんなに多い私たち団塊の世代の人間ですから、私はそうも思っておるのですが、その面でのロングランにわたっての考え方みたいなものをちょっと聞かせていただきたいなと思うわけであります。
○岡光政府委員 先生が御指摘なさいましたように、老人医療制度の長期的な安定ということは絶対に必要だと思っております。それで、先般の老人保健法の改正の際の改正法附則二条で検討規定が入っておりまして、この中では、給付及び費用負担のあり方について検討するということになっております。したがいまして、私ども、老人医療費の動向などを注意深く見守りながら、この長期的安定ということに心してまいりたい、こう考えております。 なお、改正法の審議の際にいろいろ議論があったわけでございますが、その中で、老人医療費の中で特に介護的な費用というものが今後増大するであろう、したがって、この介護的な費用についてどうするのだ、こういう議論があったわけでございまして、年金とのかかわりについてどういうふうに考えるかということがいろいろ議論をされました。その際には、次期年金財政再計算の際に、全体の様子を検討する中で年金とのかかわりについて結論を出してまいりたい、こういうふうな考え方をお示ししたところでございまして、こういった幅広な議論をしながら、制度の長期的安定に努めてまいりたいというふうに考えております。 なお、中身も問題でございまして、お年寄りの心身の特性にふさわしい医療を確保するということが必要でございますから、いわゆる老人診療報酬を設定しまして、その中でそのふさわしい医療の確保に努める、あるいはまた、個人の生活全体を支えなければなりませんので、保健と医療と福祉を連携して総合的な施策の展開が必要だ、これはいわゆる十カ年戦略でそういうふうな施策を行ってまいりたい。こういう中身の点についても配慮しながら、制度全体の長期的安定に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○三原委員 一等最初にも申し上げましたけれども、男も女も日本が世界一の長寿国になった。本当にありがたいことで、これはやはり社会環境とか、今言われた医療とか福祉とか老後の年金あたりが、我が国国民として何か自画自賛するようですけれども、それはパーフェクトじゃないかもしれないけれども、それが少なくともいいレベルまで来ておる。そのことがそういう世界一の長寿国になった。もちろんそれ以外にも気候とか風土とかもあるでしょうが、しかしながら、日本みたいな国土はまだよその国にもたくさんあるでしょうから、それでありながらなおかつ世界一を我々が誇れる長寿国になったということは、今、岡光部長が言われたような年金、医療とか福祉とか、そういうことが上手に兼ね合ったからで、その結果の一つの原因が皆さん方の施策でもあろう、こう思うわけであります。 何度も言いますけれども、団塊の世代の代弁者として、髪の毛にしらがもできてきて、少しずつこれから先の人生とうだなんて思うようになり出す時代ですから、吉田兼好の「徒然草」も少しずつわかるような時代になったのですから、そういうことを考えたときに、やはりこういう今の年金の問題とか老人医療の問題あたりも、長期的に、本当に十年といわずに二十年、三十年ぐらいの計画でこれからも大いにやっていただいて、制度がいつまでも維持できるような、これからもそういう方針で努力していただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただく次第であります。
○牧野委員長 五島正規君。
○五島委員 私は、本日、沖縄の厚生年金格差の問題について質問したいと思います。この問題につきましては、沖縄・北方問題特別委員会におきまして繰り返し論議されてきた問題でもあり、私自身この問題について沖縄・北方問題特別委員会において質問をさせていただきました。しかし、年金問題につきましては基本的に厚生省の所管であり、そういう意味において、当委員会においても改めて質問させていただきたいというふうに思います。 まず最初にお伺いしたいわけでございますが、沖縄の厚生年金制度、これはたしか一九六八年に沖縄の厚生年金法として当時の琉球政府のもとにおいて成立しているわけでございますが、この沖縄の年金法はそのまま日本の厚生年金に引き継がれたのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 昭和四十七年に沖縄が本土復帰いたしましたときに、それまでの沖縄の厚生年金制度につきましても本土の、本土のと申しますか、現在の厚生年金保険法に引き継がれております。
○五島委員 この沖縄の厚生年金制度の中においては、当時の日本の厚生年金と異なりまして、高齢者に対する特別措置というものがございました。その問題につきましてもその当時そのまま引き継がれたのでございましょうか。
○加藤(栄)政府委員 基本的にはそれは受け継いております。
○五島委員 基本的に受け継がれたというのは、法律が違うわけでございますが、具体的にどのような形で引き継がれたわけですか。
○加藤(栄)政府委員 まず、本土復帰の四十七年におきまして、昭和四十五年当時四十歳以上の方々につきまして、当時の本土の中高年の特例にかんがみまして、本来は本土の中高年齢の特例は、四十歳以降は原則十五年の加入期間を要するものでございますが、沖縄の方におかれましては、四十五年当時の年齢に応じまして、四年ないし十四年にこの中高年齢層の特例の適用の加入期間の短縮と申しますか、四年ないし十四年でも中高年齢層の特例を適用する、こういう形にいたしております。
○五島委員 この問題につきましては後ほどもう一度質問したいと思うわけでございますが、既に成立しておりました沖縄の年金法におきまして、この問題については特例措置が認められているわけでございます。 改めましてお伺いしたいわけでございますが、沖縄におきます年金制度、私が調べた限りにおきましては、具体的にはどうも一九五九年に沖縄の公務員の退職年金制度が人事委員会勧告として出される。それを受けまして、当時の民政府からサリット大佐の署名によりまして、日本とは異なりまして、軍雇用者を対象にすべきであるとか、あるいは民間の商工業に雇用されている人々に対しても、そうした制度を別に設けるべきだというふうな指摘がございました。 その後、沖縄独自においてこうした退職年金制度についての検討が始まるわけでございますが、こうした当時の琉球政府の独自的な年金制度の確立努力に対して日本政府は当時どのようにかかわってこられたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 今先生が御指摘ありました公務員年金制度の創設に当たりまして、当時の記録を書いております本寺を調べますと、琉球政府の厚生局保険庁というところは、公務員の退職年金法の施行準備作業を進めておりました昭和四十年十二月に、軍の雇用員は琉球政府における公務員とは解されないということなどの理由によりまして、軍の雇用員に同法を適用することは適当でない旨の見解をまとめているところでございます。 こうした経過において、日本政府が何らかの関与を行ったかどうかということにつきましては、全貌を掌握するだけの記録を私どものところでは掌握してはおらないのでありますが、本土から行政分離をされて米国の施政権下に置かれていました当時の沖縄の状況等から見まして、基本的には琉球政府の御判断によりまして見解をまとめ、また、日本政府としてはそれに対して関与をするという余地がなかったものと考える次第でございます。
○五島委員 十分に掌握し切れていないとおっしゃるわけでございますが、これに引き続きましてこの問題の議論が進んでまいります。 そして、具体的には、一九六一年には、これまた高等弁務官ブース中将の提案によりまして、例えば保険数理につきましても日本政府から専門家を招請して、それについて検討しているわけで、協力しているわけでございます。また、琉球政府からも、六一年には約三カ月間この問題について担当者が日本政府に派遣され、協議をしているわけでございますが、この間におきまして、もう既に日本においては厚生年金制度等々は成立している。そして、民政府の方からは、そういう民間に対する退職制度についての提言もあるという状況の中において、日本政府が琉球政府に対して、日本の制度とすり合わせるような形で提言をする機会は幾らもあったように思われるわけでございますが、その間の経過はどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 私の承知しておりますところでは、昭和四十七年に実現するわけでございますが、将来、本土復帰等を念頭に置きながら、本土の厚生年金保険法と原則として同じ制度ということで近づけていく、こういう問題意識を持って制度を考え、また、本土からもそういう方向で専門家をお招きになってアドバイスを受けられた、こういうことが行われたのは昭和四十一年からというふうに理解しております。
○五島委員 昭和四十一年にそういうふうな具体的に琉球政府から人が派遣され、また日本からも行っているというふうな状況があるわけですが、その中において日本政府は、今おっしゃったように本土復帰ということが前提であるならば、どのような形で当時の琉球と日本の制度の格差というものを縮めるような努力をされたか、どういうふうな指導をされたかということを聞いているわけです。
○加藤(栄)政府委員 琉球政府におきましては、厚生年金制度の創設に向けて、昭和四十一年以降本格的な作業を開始されたわけでございます。その後、四十五年の創設に至るまでの間におきましては、琉球政府の求めに応じて厚生省の担当者が沖縄に出向きまして、技術的な助言を行っております、数理の面からの助言等も行っております。その場合には、沖縄の当時の給与水準あるいは社会的な各般の状況等もかんがみまして、保険料率の設定などにおきまして、現実に適用する場合の方策等についても御相談に応じるとか、いろいろきめ細かな御相談に応じているわけでございます。 また、二十九年から制度創設までの間のブランクにつきましても、何らかの経過措置と申しますか、そういうものの対応につきましても議論が行われたわけでございますが、これについて日本側がどの程度関与したかということは明らかではございません。本土復帰前の沖縄におきましては、本土から行政分離されまして米国の施政権下に置かれておりましたので、技術的なアドバイスということはそれぞれ専門家がいろいろ行っておりますが、基本的には琉球政府の政策判断によりまして年金制度の整備が行われていたものと考えております。
○五島委員 それは事実から照らしてみますと、今の局長の話で少し納得できないことがございます。確かに公務員年金制度という問題が主要なテーマの問題と、厚生年金というものが主要なテーマであった時期というのは、昭和でおっしゃいますから昭和に直しますと、三十四年に公務員制度の問題が大きな問題になり、そして日本政府からは三十六年に人も派遣し、琉球政府からもおいでになる。そして、その中において議論となったのは、沖縄で公務員という範囲については、当時のいわゆる民政府の判断は、米軍の従業員もそれに入れる、そして民間に対してもそれに合わせてそうした退職年金制度をつくってはどうかというアドバイス、これが昭和三十四年、三十六年と二度にわたって出されているわけです。この段階でも日本はその問題で人をそこに派遣している。 おっしゃいましたように、昭和四十一年に沖縄の厚生年金が議論になりまして、その段階においては、今度は厚生省の年金局から法制担当者と保険数理の専門家をわざわざ招聘してやっておられるという経過がございます。もちろん施政権が米軍にあるということはよくわかっておりますし、日本政府がそのまま制度を適用するということについて、いろいろ問題があっただろうということについては十分推測されます。しかし、その間の交渉について見てみれば、施政権を持っていた米軍の方が、独自であったとしても年金制度に対してむしろ極めて積極的である。ところが、日本の政府がそれについてどのように、今局長が復帰に向けてとおっしゃったわけですが、復帰を前提としていたのであれば、そういう状況を受けて日本の制度とすり合わせするためにどのように指導したのか、どのように努力したのか、それが見えてこないわけでございます。そこのところをお伺いしているわけでございます。
○加藤(栄)政府委員 経過につきましては、昭和四十一年の七月から琉球政府の厚生年金保険法の本格的な立案の作業が進められたわけでございます。年金制度におきましては、その当時で見ますと、将来本土復帰ということと、その間本土の制度との関係をどういうふうに考慮しなければならないか、こういうことにつきましては、琉球政府としてそういう問題意識を念頭に置きまして、ただし、本土と沖縄との経済的あるいは社会的な背景というものの違いもあるわけでございますので、その両方を比較考量しながら、先ほども申し上げたところでございますが、保険料率等につきましてどういうふうに設定するのか、こういうことでございました。その立案に当たりまして、琉球政府としまして厚生省から担当者を招きまして指導を受けまして、詳細にわたってそこら辺の問題点を取り上げながら論議を重ねた、こういうことになっております。 その技術的な議論はいろいろと詳細にされたところであるということでございますが、そのときに私どもの方といたしましては、本土の厚生年金保険法の仕組み等につきまして、また、沖縄で行うときにそれがどういう形で行われるのがいいのか、こういうようなことを専門家の見地から種々アドバイスをしたところでございますが、一つ一つのやりとりについて、現在は私どもの方で記録を所持しておりません。大きな流れとしてはそういうところでございます。
○五島委員 数理のアドバイスの問題を聞いているわけではないので、基本的にそういうシステムの問題でどのようにアドバイスしたかということをお伺いしているわけですが、それについての記録が手元にないとおっしゃるのでは、質問のやりようがないわけです。 そこで、きょう外務省おいでになっていると思いますので、外務省の方にお伺いしたいわけです。 施政権が喪失しているといいますか、米軍、民政府のもとに置かれている沖縄に対して、日本政府は、もちろん潜在的ではございましたが、主権は持っていたわけでございまして、ということは、言いかえれば、復帰を前提とした政策が進められていたと考えていいかと思うわけですが、その場合、復帰を想定した場合の日本の制度とアメリカの施政権下における琉球の制度、この制度の復帰時の整合性を図るために日本政府としてはどのような努力をしてこられたのか、外務省としてはどのようなことをしてこられたのか、それについてお伺いしたいと思います。
○田中説明員 今、委員御質問の点でございますけれども、御承知のとおり、日本国との平和条約の三条におきまして、合衆国はいわゆる沖縄の領域及び住民に対しまして、行政、立法、司法上の権力の全部及びその一部を行使する権利を有するものとする、こういうことになっておりまして、行政に関しましてはすべて当時アメリカがやっておりました。 そういうことにかんがみまして、私ども外務省といたしまして沖縄の返還に当たってアメリカとの交渉に当たりましたのは、社会保障に関する限りにおいては、米軍の被用者の退職手当に関するもの、これについては私どもも交渉した経緯はございますが、その他につきましてはそういうことが行われたということは承知しておりませんし、また返還までの間、沖縄の住民の社会保障等につきまして、我が国として公式にどのような関与をしていたかということにつきましても、施政権者が米国であるということから承知しておりません。
○五島委員 日本政府の方が、積極的に復帰を前提とした制度上の整合性を図るという行動をとられていなかったということなんだろうというふうに思います。 一方、この時代においてもアメリカの民政府の方からは、さっきも申しましたように、年金制度について日本の専門家の招聘というものを、例えば三十六年にはブース中将の提案によりまして、日本政府の対琉球技術援助計画に基づいて担当官を派遣しておりますし、あるいは同じく三十六年の二月に、このブース高等弁務官から公務員の退職年金制度というふうなものの提案があり、さらに、そういうふうなものを受けまして琉球政府が日本に職員を派遣している。 加藤局長は、これは公務員の問題で、厚生年金じゃないとお考えかもわかりませんが、確かに仕分けとしては、表題としては公務員退職年金制度なんですが、その中において、現実に民間についてのそういう動きも琉球の中でございました。また、おっしゃるように、昭和四十一年におきましてもこの問題につきまして日本政府の専門家が呼ばれるわけでございますが、これまた、むしろ米軍の方が積極的にそういうような対応をするというふうなことが見られるわけでございます。そういう意味では、沖縄が米軍の施政権下に置かれているときに、どうも日本政府は、沖縄が将来日本に復帰したときに、そういう二十年を超える状況の中でのさまざまな制度上の矛盾が起こってくるであろう、それをどのように調整するかということは、施政権がないから仕方ないわということで、放置していたのではないかというふうに思われるわけでございます。 そういうふうお中でできます沖縄の厚生年金法でございます。これは一九六八年、四十三年に成立するようでございますが、先ほども申しましたように、高齢者特例措置という本土の厚生年金にはない制度が盛り込まれるわけでございます。そして、この本土の制度にない高齢者特例措置というものがどういうふうな理由で入っているかというのを当時の琉球立法院の議事録、当時の琉球政府の説明を見てみますと、今説明申し上げましたように、本土と非常に違うそういった高齢者特例措置を設けた一つの理由といたしまして 現在高齢被用者には行政分離がなければ当然に資格期間を満たし得たものであると、その事情も勘案してあるということと、さらに公務員退職年金制度の場合の均衡上、公務員退職年金の場合はその期間を遡及いたしております。一九四六年の一月二十九日に遡及いたしておりますけれども、そういったような考え方に立つと、この場合においては民間被用者についてはその各勤務期間を把握するということが事務的にも不可能である、一律にそれぞれ年齢に応じた特例措置を設けた これは琉球政府の厚生年金法が成立したときに、本土になかった特例法が設けられたその当時の説明でございます。 日本政府が沖縄の年金制度を引き継いだと言われるのなら、この沖縄の年金制度ができた精神といいますか、この議論をきちっと引き継いているかどうか、僕はこれが一番大事な問題だと思います。そこのところについて加藤局長はどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 現在、沖縄の本土復帰に伴います厚生年金保険法におきます特例措置でございますが、復帰時の特例措置につきましては、沖縄の厚生年金保険法が立法されましたときにも御議論があったところでございますが、過去の期間につきまして遡及して適用するということは、これは法制度上社会保険制度をとる厚生年金保険としてとりえない、こういうことでございます。 したがいまして、いかなる特例をもってそれに対応するかということを考えますときに、現在の特例措置ということで中高年齢層の特例措置、これは本土にありますものをさらに沖縄につきましては有利にする形での特例でございまして、本土復帰におきましてもそれをもって対応をするということでございます。さらに、平成二年におきまして、その特例措置の報酬比例部分につきましてもさらに特例措置を講ずる、こういうことで現在に至っているものでございます。
○五島委員 まあこれは現在の年金法に基づいて、いわゆる掛金に基づく支給という建前、原則を持っている年金制度を維持されている局長の立場からいえば、そういうお話が出てくるというのは一方で理解できないわけではない。しかし、それはあくまでそうした沖縄という状況、あるいはその沖縄の中においても、私質問いたしましたように、あるいは説明いたしましたように、そういう特殊な事情の中においてそういう問題があって経過しているという事実を考えた場合に、この年金格差の問題というのは、今局長が言われるように、年金という性格そのものから、それは仕方ないんだ、払われていないんだから遡及できないんだと単純に言えるものではないということも歴史的に明らかでございます。 大臣には河北の特別委員会においてもこの問題について何度か御所見を賜っているわけでございますが、宮澤総理もこの問題について何らかの政治的決断が必要だという形で、かなり前向きに対応されようとしていると伺っております。この点につきまして、大臣としての政治的決断と処理の方法について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 この問題につきましては、過去たびたび私も答弁申し上げてまいったのでございまして、同じ答弁の繰り返しでまことに恐縮でございますが、今日までのいろいろないきさつにかんがみて、なかなかこれは容易ではない。 一回目には、短期間でお金が出るような臨時的な措置をとりました。第二回目の年金額の増額は、現在これは実施中でございまして、第二回目の改正はまだ今継続してやっているわけでございますけれども、そういうことを抜きにして、とにかくもう一回考え直して抜本的にやれよといういろいろな御注文等もつきまして、いろいろと苦慮をいたしておるところでございます。 その結果、沖縄の厚生年金に関する諸問題についての関係省庁の検討会というのをつくったわけでございまして、超法規的にという言葉も私ども使いましたけれども、ただ、これも何回か申し上げておりますように、立法府として、初めから超法規的という立場だけでこれを検討するというのはいかがなものであるか。しかし、いろいろなありとあらゆることをひとつこの際考えてみて、何かその中からできないのかな、これが私どもの願望でございますし、また、関係省庁検討会において何らかの前進的な素案というものが見つかれば大変幸せだなということも私ども考えておる次第でございまして、とにかく、できますればこれは二十年の記念の式典までに解決したかったのでございますが、なかなか名案がなくてできなかった。しかし、引き続きさらに一歩でも前進し、何らかの結論らしいものが見出せないかということで、引き続き努力をすることははっきりお約束申し上げていいと思います。
○五島委員 大臣が努力するということをお約束いただいたということで、私どもも期待をつないでいきたいというふうに考えております。 続きまして、話題は変わるわけでございますが、今日、難病治療の問題につきまして随分とさまざまな新しい問題が生まれてきております。それで難病指定、たくさんあるわけでございますが、中でも神経難病の問題、あるいはいわゆる膠原病として総括できる難病問題、これらの患者さんについての問題点、そして、血液難病といったようなものについて非常に多くの問題が山積しているというふうに考えます。 特に、これらの患者さんにとって一番の問題は、難病の治療機関が実態的に減りつつあるという御指摘があることでございます。例えば血友病の患者さん等につきましても、この間、HIVの感染問題等との絡みもあり、血友病の治療を受けれる医療機関が非常に少なくなってきたというふうな御指摘もございます。 また、神経難病あるいは膠原病の患者さんを見てみますと、非常に多くの患者さんがいわゆる国公立病院で治療を受けておられる。例えばベーチェット、多発性硬化症あるいはエリテマトーデス、まあいろいろございますが、そうした膠原病関係あるいは筋無力症であったり側索硬化症であったり、そうした神経性難病、そうした患者さんの治療機関を見てみますと、入院患者で見ますと千五百四十八名が大学病院、そして千八百三十九名が国立病院、そして千二百二十五名が国立療養所、そして千七十七名がその他の公的病院、これだけの入院患者さんだけで五千をはるかに超えるという数でございます。五千五百ぐらいがそうした公的病院に入院しておられる。一方、民間病院で治療を受けておられるそうした難病患者さんというのば千四十四名にすぎない。これは入院患者だけでございますが、国公立病院と民間病院との入院対比が五・五対一ぐらい、国公立病院にこの治療というのは非常に集中しております。 そういうふうな中で、国公立の中で、例えば神経性難病の患者さんの場合、看護に非常に手がかかるという問題もございます。そういうふうなこともございますし、特三類の基準看護等が入院期間を大体一カ月、今回伸びて一カ月というふうになっているという関係もございまして、患者さんの方がそうした国公立病院からも締め出されるのではないだろうかという不安を非常にお持ちなわけでございますが、そうした意味において、この難病患者さんの治療についてどのように治療体制、医療機関の整備をお考えか、お伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 今先生から、いわゆる難病と言われるもののいろいろな病気の中で、それの治療体制がどうなっているのかな、どうも患者さんで非常に不便に思っていらっしゃる方もあるのではないかというようなお話がございました。 私どもの所管しておりますのは、いわゆる難病の中で特定疾患と言われるグループなのでございますが、それの受療医療機関というのは事業の実施主体が都道府県ということでございまして、この治療、研究を行うのに適当であると判断した医療機関と委託契約をするというような形でしているわけでございます。 ちょっと数字が古いのでございますけれども、昭和六十三年に私どものところの疫学調査研究班が調べたところによりますと、特定疾患と言われるものを受け持っておりますのが全国で大体五千七百九十ぐらいの病院、すなわち全体の病院の約五七%ぐらい、診療所が六千八百三十三でございますが、これは全体の診療所の八〇%ちょっとぐらいというようなことでございます。私どもが聞いておりますのでは大体そういうことで、全体の病院の半分くらいが対応しておるというようなこともございまして、一応マクロ的には対応できておるんじゃないかなと思いますが、今先生御指摘のように、個々の疾患あるいは地域によってはそういうようなことがあるかもしれません。 そこで、私ども今後特定疾患の研究調査事業を進めていきます場合に、そういう患者さんの医療需要に応じて対応していかなきゃならぬと思いますので、またその辺もいろいろ調査をいたしまして、あるいは都道府県の意見等も聞きながら対応していきたい、このように思っております。
○五島委員 ぜひ局長のおっしゃったような形で、都道府県と協議しながら、それぞれの地域の特性に合わせた形で難病の治療についての医療機関の確保というものを図っていただきたい。そして、とりわけこれは実態的に国公立が中心になっておりますので、そういう意味において、それの可否は別として、現状国公立の医療機関が中心になっている以上、やはり国公立を中心として、そういうふうな難病の治療の場の確保というものを政府としても積極的に整備を進めていただきたいというふうにお願いしたいと思うわけでございます。 あわせまして、こうした難病患者さんでございますが、もちろん重症になれば、入院あるいは施設への入所ということもあり得るかと思うわけでございます。入院ということになるわけでございますが、比較的軽症の段階においても、非常に病状の変化の激しい疾患でございます。また、神経性難病の中におきましては、疾病が極めて長期にわたるという問題もございます。 そういうふうな中には、神経性難病の患者さんを病院に入院させつ放してはだめだ、気の毒だということで、御家族が抱えて大変御苦労している方もおられます。その程度は、例えば身障の何級という形で単純に評価できないような疾病の側面もあるわけでございましで、そういう意味では難病患者さんに対して、例えば家屋の改修によって難病の患者さんが在宅で療養生活が送れるように支援をしていく、あるいは神経難病の患者さんの場合はほとんどの場合通院に介護者が要るということで、通院介護者の派遣であるとか、あるいはもっと必要であると思われ名のは、これは福祉の概念ではあるわけでございますが、ショートケアとかデイケア、そういう福祉の概念を難病患者さんに対しても適用することが必要なんではないか。あるいは家族が非常に介護にお疲れになっているという状況において、緊急的にそういうショートステイ的に入所させていくというふうなことが必要なんではないか。その辺についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 今先生がおっしゃいました難病患者でございますけれども、一定の身体障害があって重篤な方の場合には、身体障害者福祉法によりまして措置を受けておるというのが実態でございます。 しかし、そうでない、それ以上に軽い方々に対してどうしたらいいかというのはなかなか難しい問題なんでございますが、特に住宅の改修等につきましては今のところちょっと困難なのではないか、こういうふうに思うわけでございます。在宅でいろいろと治療に専念される、あるいは通院もなかなか難しいというような方々もいらっしゃるのではないかと思いますし、私ども患者の団体の意見とか実際に研究、治療に当たっていただいておる専門家の意見、そういうふうなものもいろいろ徴しまして、そして在宅ケア等について、いわゆる難病と言われる患者さんのサービス、在宅サービスというのでしょうか、在宅訪問サービスというのでしょうか、そういうふうなものも何か考える必要があるのではないかというふうにも考えておりますので、ちょっとその辺は研究課題にさせていただきたい、このように思っておるわけでございます。
○五島委員 局長、住宅改造なんかの費用の負担は無理ではないかとおっしゃるわけでございますが、神経性難病の中には、御承知のように、症状がどのように推移していくかということがある程度予想できる疾患がございます。病院の中へ閉じ込もってしまう、入れてしまうという時期を少しでもおくらせるという意味からも、まだ身体障害者としての、あるいはならない状況であったとしても、三年後、五年後というものを予測した場合に、そういう時期を予測して、少しでも住宅環境を改善していくことによって、在宅で社会活動ができる時間を長引かせていこうということがあっていいのではないか。そういう意味では、そういうふうな措置がむしろ今必要ではないかと思うわけでございますが、どうでしょうか。
○寺松政府委員 先ほどお答えしたようなことなんでございますが、非常に重篤な方々、特に神経難病のような方々については、入院医療が必要な方がかなり多いのじゃないかと思いますし、それはそれなりにそういうふうな対応をする。 それ以外で在宅で治療を続けたい、一般的に患者さんの場合には、できれば施設よりも在宅でやりたいという御希望は、これは何も難病にかかわらずあるわけでございまして、そういうものに対してどういうふうなサービスをしていくべきか。あと、今住宅の例を挙げられたものですから、私も非常に困難なのじゃないかと申し上げているわけでございますけれども、いろいろな形で知恵を出してやったらどうだろうかということで、私どもも、先ほどちょっと申し上げましたように、治療、研究を実際に担当していらっしゃる専門家の方々とか、あるいはいろいろな学識経験者の方々の意見等もお聞きしまして対応してまいりたい、このように考えております。
○五島委員 神経難病の場合、患者さんの方も、その疾病に罹患したということについて将来に対する強い不安をお持ちです。その不安に打ちかっていくためにも、在宅で日々の生活の中において患者さん自身が生活の目標というものを持っていく、これは非常に重要でございます。また、そのことが疾病の進行を非常に大きく抑制するということもよく知られているところでございます。そういう意味からは、在宅での療養が少しでもできるように、そうした患者さんに対して福祉の範疇あるいは医療という範疇、そういう範囲を超えてぜひ御検討をいただきたいと思います。 それから、いま一つ難病の患者さんの問題でお伺いしたいのは、重症の難病患者さんの問題でございます。 この四月から、いわゆる付添看護というものは、寝たきりの老人を除きまして重症、重篤というものが外されました。事実、先ほども言いましたように、難病患者さんの入院というのは国公立病院が圧倒的に多いという状況の中で、ほとんど基準看護の病院のもとにおいて療養されているわけでございます。しかし、重症の難病患者さんに対する処置は長期になりますから、特二類の基準看護、二・五人に一人の看護婦さんでやっていかないといけない。とてもそれではできないから、基準看護の病院においても、国公立病院であっても付添看護が要請されるという問題がございます。そういう意味からいいますと、難病患者さんに対する介護については、もっと大幅に生活上の介護を要する人たちを配置するなりなんなり、別の看護・介護の人員の配置というものが必要なのではないかというふうに考えるわけでございますが、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○黒木政府委員 私どもといたしましては、全体的な方向でございますが、保険外負担の軽減ということで、できるだけ院内介護化、院内で看護・介護の体制をとるという方向で政策を進めているわけでございます。 その中で、難病の患者さん方のケアをどうするかという問題も秘めているのだろうと思いますけれども、方向は、やはり院内の看護婦さん等を中心にケアをしていただくということが方向でございますし、したがって、そのためには基準看護をとっていただかなければならない。そのために、基準看護をとりやすい方向での改正を今回の診療報酬改定で私どもはいたしたわけでございます。そういう方向を御理解願いつつ、難病患者の方々に対するケアの問題はよく勉強させていただきたいと思うわけでございます。
○五島委員 現在の基準看護の基準では、非常に重症の難病患者の処遇には問題があるということを御指摘申し上げているわけでございまして、この問題についてぜひ御検討をお願いしたいと思います。 時間が若干残りましたけれども、以上で質問を終わらせていただきます。
○牧野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。外口玉子君。
○外口委員 今、日本でもエイズが急速な蔓延の兆候を見せ始めております。そのようなとき、私たちは、過去においてさまざまな感染症を克服してきた過程を謙虚に振り返る必要があると考えます。 私は、長年、らいや結核、精神病を病む人たちとかかわる中で、患者の悲しみや苦しみが、世間の無知と偏見から生ずる差別によって、患者やその家族に多くの負担を負わせてしまってきていることを経験してきております。過去において、らい、いわゆるハンセン氏病、結核などなど、それぞれの時代を震わせた病に対する人々の恐れや病む人への差別は、病気の実体を覆い隠し、適切な対応をおくらせる結果を招いてきました。そのような過ちを私たちは新しい感染症であるエイズにおいて二度と繰り返してはならないと考えておるものでございます。 そうした観点から、昨年十二月の世界エイズデーにちなんで出されたエイズ予防財団のポスターは、二重三重の差別をもたらすものとして、また、今現にエイズにかかり、苦しんでいる人たちへのべっ視の風潮を助長しかねないものとして、多くの人々の批判を浴びました。そこで、私は、もうひとつのエイズポスターを創る実行委員会を呼びかけ、その呼びかけ人の一人として、それにかわるポスターを公募し、エイズ問題に対する認識を高める運動に取り組んでまいった次第です。この実行委員会にはあらゆる分野の人々の参加を得ることができました。日本で最初に患者への具体的な支援を担った市民グループも加わり、当事者である患者のニーズを反映する努力を私どもも重ねてまいりました。 その一つの成果としてのポスター公募は、当初の予想をはるかに超え、全国各地から二百六十一点もの作品が寄せられ、人々の関心の大きさに改めて問題の重要性を痛感した次第です。もうひとつのエイズポスターを創る実行委員会の活動は、ポスター公募、寄せられた作品の審査過程、パンフレットの作成、ポスター発表会の折のシンポジウム、ポスターの掲示などなど多様な取り組みへと今広がっていっております。そしてポスター作成は、エイズ問題の緊急性や予防法を人々に訴える手段であるだけではなく、病む人を社会から排除する考え方を改めていくための新しいネットワークづくりへの一つのきっかけと言えるものと思います。 さて、質問ですが、こうした民間の活動がエイズ問題をめぐって繰り広げられている今日、国としての責任において、より積極的な対応がなされるべきと考えます。日本においては、感染予防の啓蒙はもとより、感染者や感染を案ずる人々に対するカウンセリングやサポート活動など、行政による受け入れ態勢づくりが余りにも立ちおくれている現状にあると考えます。また、プライバシーの保護などエイズ問題の特徴を十分に配慮し、感染者が予防的行動をとりながら、脅かされずに生活できるようなサポートシステムをつくり上げていかなければ、実効性のある対応策とはならないとも考えます。 そこで、まず、現在国が行っておりますエイズ問題への対策の実情をお伺いいたします。
○寺松政府委員 国といたしましてやっておることでございますけれども、私ども関係閣僚会議というものがございまして、そこにおきましてエイズ問題総合対策大綱というものをつくっていただいて、それに沿ってエイズ予防法ともども運用しながらやっておるわけでございます。先般、その大綱につきまして改めたい、こういうことで関係閣僚会議をお願いいたしまして、各省の意見を統一いたしたわけでございます。 その理由は、一つは感染の状況が非常に深刻になってきた。すなわち、患者が激増しておるということもございますが、それ以外に、いわゆる血友病患者の方々あるいは麻薬、同性愛によるという、今までかなり主要な感染経路でございましたものから、普通のセックスといったらあれかもしれませんが、異性間の性行為によります感染というのが主流を占めてきたというのがここ一、二年の我が国の状況でございますし、世界的にもそういうふうな状況が見られます。そういうふうな状況を踏まえまして、先ほど申し上げました関係閣僚会議を開き、各省とも意見を統一してこの重大な時期に対処してまいりたい、こういうことでやってまいったわけでございます。 その重点は、一つは検査を受けやすいようにするということ、そのためには匿名のシステムというのをつくらなければいかぬ。これが先生がおっしゃるサポートシステムの一つだろうと思います。それから治療につきましても、行きたいという患者さんがおられたときに、それを十分受け入れるような治療体制というふうなもの、それから国際研究協力をして、世界を挙げてこのエイズに挑戦するということでございます。 さらに基本的なことは、エイズというのがワクチンとか有効な治療薬というものがまだ得られていないという非常に不幸な状態でございまして、エイズに対する正しい知識というものを普及することが今の時点では非常に大事で、これが唯一のワクチンといったら言葉があれでございますけれども、そういうことではないかと思っております。その正しい知識を得るということは、患者自身に対しますいろいろな差別、誤解を起こさないようにするということも一つございますし、自分自身の身を守るということにもつながるわけでございまして、そういうふうに正しい知識を普及するということに重点を置いて私どもやっておるわけでございます。
○外口委員 本年四月、厚生省は、エイズ患者、感染者が地方で急増していることに対処するため、増加が著しい自治体に対して、感染経路を調査するなどの急増の原因究明に乗り出すように指示したと伺っております。感染経路の調査はプライバシーの保護など難しい問題がありますが、現在厚生省が把握できている実態と、それに基づいた対応策についてもお聞かせいただきたいと思います。
○寺松政府委員 普通、一般的に申し上げます伝染病に対しまして、その感染源を把握し、感染経路を絶つということが基本なんでございますけれども、このエイズの問題の場合は非常にプライバシーの問題、特にエイズのいわゆる病気としての特性がございまして、人権の保護と申しましょうか、プライバシーの保護というのは非常に大事だということでございます。したがいまして、患者さんあるいは感染者といいますか陽性者に対しまして、ある程度のことはいろいろお聞きすることはございますが、それは専門家の医師という方々あるいはカウンセリングをされる方々がその辺も十分わきまえながらいろいろお聞きをする、こういうことではないかと思います。 それで、今おっしゃっておりました全国的に見まして大体患者さんが非常に多い県というのが、東京を初め幾つかございます。その辺も各県でそれぞれ苦労して、いろいろと検査体制あるいはカウンセリング体制、治療体制ということに努力をしておるわけでございますが、少し私どももその辺の実情も把握し、かつまた的確にいろいろ指示したいと思いまして集めた、こういうようなことでございます。そのときにいろいろな実情をお伺いした、こういうことでございます。
○外口委員 まだその結果については十分な把握がされていないというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○寺松政府委員 県のいろいろな事情は伺っておるわけでございますけれども、今の感染経路の把握という問題につきまして、非常にしつこくやれというようなことを指示しているわけではございません。それからまた、都道府県と研究班等との接触もいろいろやっておりまして、そういうような形で対応しているわけでございます。
○外口委員 国が事業を委託しているエイズ予防財団は、エイズの予防のための知識普及及びエイズの予防、治療などの研究助成、情報交換などを行っていると伺っています。これらは重要な役割であると私も認識しております。 しかし、エイズ問題に対して重要なことは、社会全体が感染者を拒絶するのではなく、ともに生きていけるような支えのシステムをつくることが大切だと思います。感染の予防ばかりが先行するのではなく、感染者の受け皿や感染を心配している人への受け皿ともいうべきサポートシステムの確立が急務であることは、ただいまの御答弁でも強調されていたと受けとめます。現在そのような役割を献身的に担っているのが民間の救援団体であります。例えば、お聞き及びかと思いますが、HIVと人権情報センターによる三十六時間のテレソン相談活動はさきに行われ、大きな社会的反響を呼び、それをきっかけに相談件数が急増しておるというようなことでございます。 そこでお聞きいたしますが、このようなエイズ問題に対して重要な活動を先駆的に担ってきている民間救援団体を国としてはどのように認識なさっておいででございましょうか。
○寺松政府委員 今先生から御指摘いただきましたように、このエイズの問題につきましては、官民挙げてというのでございましょうか、国も都道府県も、それから一般の市民の方々も、みんなエイズの撲滅のためといいますか、エイズの予防のために挑戦しなければならぬ、こういうふうに考えております。 したがいまして、今先生がおっしゃいました団体も含めましていろいろな任意団体が、例えばロックバンドの方々も含めましていろいろと催し物をやっていらっしゃいます。そして私どもの方も、そのエイズ予防財団からいろいろな形で、ポスターでありますとかいろいろな関係の資料、そういう知識普及に役立つような資料をも提供したりしまして、協力をいたしておるところでございます。そして、こういう民間団体の運動と申しますのは、やはりいろいろなボランタリーにおやりいただく非常に貴重な行為ではないかと思います。いろいろ本職を持ちながら、このエイズ予防のためにいろいろとそういう活動に参加されるということは、非常に私ども歩といたしておるわけでございます。
○外口委員 例えば患者のサポートシステムの一つとして、肝炎等に関してはセルフヘルプ・グループとしての患者会とか家族会が設けられ、それへの助成というのは行われておりますし、胆道閉塞症の子供を持つ親の会とか、さまざまな疾病に関してのサポートシステムの一つとしての患者会、家族会への助成というのは最近行われ始めておりますが、それは患者自身が最も安心できる支え手として大きな役割を果たしてきていると思います。しかし、エイズ患者の場合には、そのような支え手が最も必要であるにもかかわらず、患者会をつくること自体が世間からの偏見のまなざしを受けることになり、非常に難しい課題でもあります。 そういう中で、民間救援団体が患者会にかわる働きを担っているということは確かでございまして、患者が勇気を出して自分の体験を伝えられるように、そしてまた相談者とともに考え、行動していく、そういう活動は社会的支援ネットワークをつくり出していく上に非常に大切な活動と考えています。このような民間救援団体のサポート活動に対してどういうような助成をされていくおつもりなのかということについてお伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 私も、このエイズ問題が国際的に世界的な規模で非常に重要になりましてからつい最近まで、何回か各国のエイズ対策の実情を見てまいりました。特にフランスでありますとかアメリカでありますとか、その辺は患者数も多数抱えておりますし、感染者の方々も多いというようなことでいろいろな行政的な施策をやっておりますし、またボランタリーな活動もいろいろとおやりになっております。 特に私が気がつきましたのは、患者さんのそういう団体か何かが、いわゆる支援するグループがやるのはもちろんのことなんでございますけれども、それ以上に患者さんを支える一番大事なのは何かと申しますと、やはり家族でございます。どこの国におきましても、家族がこの問題を理解するということが一番大事なんじゃないかと思います。その辺は私ども、もちろんいろいろな形で国も挙げてそのようなことの知識普及をしてまいらなければならぬわけでございますけれども、民間団体の方々にも応援をしていただいて、家族が患者さんをサポートするというようなムードづくりというのでしょうか、そういう空気をつくらなければならぬのじゃないかと思います。 それから、そういう団体につきましてのいろいろな支援の状況でございますが、いろいろな形があるかと存じます。私ども考えておりますのは、例えば一つは厚生省が後援をするというようなこともございましょうし、あるいはエイズ予防財団がつくっておりますようないろいろなパンフレットとかポスターとか、そういう知識普及のためのいろいろなものを差し上げるということもございましょう。それからまた、中にはいろいろなしっかりした団体、特に補助事業の遂行能力でありますとか、事業継続性が非常にあるというふうな事業なんかにつきましては、何らかの形で、国庫負担というのかどうかあれでございますけれども、予防財団からいろいろな形でサポートしていくということもございましょう。あるいはそういうような研究の中に協力していただくことによって、研究費も一緒になっていろいろ研究してもらうということもあるのではないかと思います。 特にエイズ患者の場合は、カウンセリングの問題あるいは行動科学的な問題、社会経済的な問題、いろいろな側面がございます。そういうようなことも我々施策を進めていく上で非常に大切でございますので、そのような研究成果もまた欲しい、このように思っておるわけでございます。
○外口委員 国の予算を見てみますと、今年度はエイズ対策費で二十一億円、しかもこの三年間のエイズ対策費の推移は、現実の状況は先ほど御答弁されたように大変大きく変わってきているにもかかわらず、予算はほとんど増加していない状態と見られます。しかも、その大半が研究費によって占められているのが実態のように思われます。また、厚生省においては、疾病対策課の結核・感染症対策室にエイズ担当係長が置かれているだけにすぎない状態とも伺います。 このような現状は、エイズ問題に対する緊急性や重大性、そして、まだ本格的に蔓延していない今だからこそ、抜本的な国の対応が必要であるというふうに考えるわけです。その点、国としての医療、教育、労働など関連する省庁にわたった施策を総合的に責任を持って展開するような部署が必要かとも思いますが、そういうことへの政府としての御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○寺松政府委員 厚生省のエイズにつきましての予算でございますけれども、平成四年度は二十一億三千万でございます。この金額が少ないか多いかでございますけれども、私よく申し上げるのですが、アメリカは二十一万の患者がいるわけでございますが、予算としましては五千五百億ぐらいと聞いております。我が国は四百五、六十、五百足らずでございますので、そんなことを考えますと、そう遜色はないのじゃないかと思うのではございますけれども、決してこれが多過ぎるとは思っていないわけでございます。 私ども、先ほども先生からいろいろ御指摘いただいておりますように、先般関係閣僚会議を開きまして、重点が大体決まりました。それは先ほどもお話ししたとおりなのでございますが、そういうふうな制度をめり張りをつけてやる。特に患者の多いような都道府県というようなものに対しましても、十分な対応をしていかなきゃならぬのじゃないか。だから、そういう地方自治体なんかの意見、あるいはその治療に当たっております医療機関なんかの意見、そういうふうなものもいろいろいただいて予算を考えたい、来年度の予算につきましては考えてまいりたい、このように思っております。
○外口委員 今触れられました本年三月十九日に行われた第三回エイズ対策関係閣僚会議の中で、医療現場の確保、カウンセリングの充実、匿名検査の実施など、その受け皿の問題が言及されたと聞き及びます。にもかかわらず、受け皿としてWHOも必要性を認めている民間救援団体への助成等に関して触れられていないのはなぜなのでしょうか。民間救援団体の役割は、先ほど申し上げましたように、大変きめ細かな、かつ、さまざまなアプローチをしていけるという点で重要だと思いますが、そういうような重要な一部を担っている活動への補助金の交付などという支援体制はどのように国としては図っていこうとされているのか、伺いたいと思います。 今、アメリカの例を触れられましたけれども、例えばアメリカのサンフランシスコのシャンティー・プロジェクトなども、一九九一年度の予算を見ますと、三九%を行政からの補助で賄っています。それによってエイズ患者に対して精神的ケアや日常的なサポートができるボランティアの養成、患者の無料の送迎サービス、HIV患者に対するレクリエーションやそれに伴う治療の付き添いなど、さまざまなサービスを行っていると報告を受けています。 そういった点では、先ほども申し上げましたように、HIVと人権情報センターなどは、電話相談を初め感染している人に対する医療機関の紹介などさまざまな活動を行っているわけでして、またエイズ問題に対してのシンポジウム、また街頭行動なども行うなどして、問題の重要性をアピールし続けている団体も育ち始めております。そういうような活動に対する日本の国としての助成、補助体制というものをどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○寺松政府委員 私ども、エイズ対策を進めていく上で、何も役所だけが中心で、それがオンリーだと考えておるわけではございません。しかしながら、日本のいろいろなシステムを見てみますと、我が国は八百五十ほどの保健所もございます。この保健所をフルに活用するということが必要なんじゃないかと思いますし、それで年間七万件ぐらいの検査をやり、十七万件ぐらいの相談をやるというふうに、保健所がいろいろな形で対応をいたしております。この辺も私ども非常に重要な役割を担わさなきゃならぬ、こういうふうに考えております。 それから、民間の問題につきましては、特に最近、先生の御指摘のありました団体等、いろいろ民間の活動も活発になってまいりました。その辺も含めまして、今後こういう団体に対しましてどのようにしたらいいだろうかというようなことで、実は私ども公衆衛生審議会の中に専門の委員会をつくっておりまして、これは何も民間団体を助成する、それを検討していただくためにつくったわけじゃございませんけれども、大きな問題としましていろいろまた御意見を伺って、それに対応いたしまして予算要求とか何かも含めてやってまいりたい、このように思っております。その中身につきましては、先ほど答弁をいたしましたときに具体的にお答えしたわけでございます。
○外口委員 今御答弁されたように、保健所の体制の充実というのは非常に必要であります。私も現場に働いていた者として、赤ちゃんから老人までのケアを地域の中で非常に担っている保健所は、新しいいろいろな疾病対策が出るごとに通達が出され、新しい業務が課されるわけなんですが、それに見合った保健婦の増員というのはほとんどなされてこない状態にありまして、保健婦の現場からの大きな問題として出ていることは御存じかと思います。そういう点でも、保健所をフルに活用されるという今の御答弁によりますならば、その裏づけとしての人員体制、そしてまたその財源の裏づけというものをきちっと進めていただきたいというふうに考えます。 それからまた、もちろんそのような保健所の活動とさまざまな民間の活動とのネットワークづくりが必要だと思います。例えば、これまでのいのちの電話などの活動に見られるように、保健所というと公的な機関で、敷居が非常に高いという方なども、身近に気楽に相談できるという相談活動が非常に展開されたわけです。そのような相談活動を担う担い手を養成して、その質を高めるための研修とか講習とかというものの体制を早急に確立しなければならないのではないかと考えますが、そのようなことについてはどのような取り組みをなされているのか、お伺いしたいと思います。相談活動の担い手の養成ということに関して、また、その相談活動の質を高めるといった点で、具体的にどのような方針をお持ちなのかを伺わせてください。
○寺松政府委員 今先生がおっしゃいましたように、相談活動というのは、このエイズの問題の場合は非常に重要であろうかと思います。その説明やインタビュー一つにいたしましても、あるいは答え、指導するといいますか、言葉があれでございますが、助言する、アドバイスする場合も、その言葉一つ一つがその方の人生を決めるということにもなるわけでございまして、大変重要なものではないかと存じます。がんの告知の問題もございますけれども、このエイズの問題は特に大事なのじゃないかと思います。そこで、私ども、カウンセリングについて特別にいろいろ研修しなければならぬ、そして、やり方についていろいろな形でそういう場をつくらなければいかぬ、こういうふうに考えております。 まず、その前に実態を申し上げたいのでございますけれども、全国の医療機関内に相談窓口の設置、それから専門スタッフによるカウンセリング、あるいは看護婦等を対象としたカウンセラーの養成研修会の実施、あるいは保健所での匿名検査の実施及びその際の相談というようなことが大事なことで、そういうことをやってまいったわけでございます。今後ともその充実を図りたいのでございますが、先ほども申し上げましたように、非常に質の高いカウンセリングをやらなければならぬと考えておりまして、エイズ予防財団におきましてカウンセラーの養成事業というのをやっておるわけでございますが、医療従事者、特に医者だけではなくて、看護婦さんとか保健婦さんなんかにも広げましてその研修を充実させてまいりたい、このように考えております。 それからまた、国立公衆衛生院というのがございますけれども、そこのカリキュラムの中で特に看護婦め課程は非常に多数の方々が受けられます。そういうところにエイズのカウンセリングのための時間を、カリキュラムを入れるというようなことも今やろうとしておるわけでございます。 それから、私どものところに国立病院管理研究所というのがございますが、そういうところでの院長とか事務長とかあるいは看護婦さんなんかの研修について、も、そういうふうなコースを設けて、あるいはそういうカリキュラムを入れて充実を図りたい、このように考えております。
○外口委員 そういう研修体制を積極的に進めていくということですが、その研修のあり方についてはこれまでもさまざまな問題が提起されておりまして、単に講義を受けるということではなく、知識の付与ということではなく、もっと当事者の経験を聞く、あるいは当事者のニーズに見合った活動ができるような訓練の仕方を工夫しなければいけないのではないかというこれまで取り組んだ方々の意見がありますので、そういう実際の経験を交流し合えるようなミーティングとか、そういう場づくりへの助成とか、そういうものがもっと必要ではないかと私は考えますので、そういうような方向でぜひとも取り組んでいただきたいし、実際に救援活動をしている方々が相談活動を一番進めやすい体制づくりという点で、その一環としての研修、お互いの経験交流の場づくりというようなことの重要性を強調して、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいことをお願いしたいと思います。 次に、血友病患者の血液製剤によるエイズ感染をされた人々に対する救済制度についてお伺いしたいと思います。 国は死亡者と極めて重篤な発病者のみにしか救済を行っていないために、大変不十分な状態に置かれています。多くの血友病患者が恐怖におののきながら、社会から隠れた生活を余儀なくされているのが今の実態であります。この理由の一つば、発病基準が極めて低いことに原因があるように思われます。一九八八年の衆議院社会労働委員会で血液製剤によるエイズウイルス感染者の早期救済に関する件が決議されておりますが、そうした精神を踏まえて、特別手当の発病基準をせめて薬害救済制度並みに緩和すべきと私は考えておりますけれども、これに対してぜひとも前向きなお答えをお願いいたしたいと思います。
○川崎政府委員 血友病患者でHIVに感染された方々につきましては、まことにお気の毒なことでございますけれども、これらの方々に対しての救済制度につきましては、先生が今おっしゃいましたように、昭和六十四年一月から医薬品の副作用被害救済制度に準じた救済制度を実施してまいっているところでございます。 救済制度の各種手当につきましては、支給対象の範囲とか金額についても、この副作用被害救済制度に準じて定められているところでございますが、具体的に申し上げますと、発症に至らない感染者の段階で関連疾病で入院された方々については医療手当が支給される、発症された方々については特別手当が支給される、それから、エイズによって死亡された方々の遺族に対しましては、葬祭料のほかに、生計維持者が死亡された場合には遺族見舞い金、生計維持者以外の方が死亡された場合には遺族一時金、こういったような給付が行われているわけでございまして、また、この救済制度とは別個に、発症者であるか否かを問わず、血友病患者の医療については一部負担が公費によって負担されているところでございます。 そこで、今おっしゃいました特別手当でございますが、この特別手当は、医薬品副作用被害救済制度にもございますいわゆる障害年金に相当するところでございまして、血液製剤によりHIVに感染された方々で、入院されましたり日常生活に支障が出てくる等の現実の障害の発生に着目して救済するという制度の趣旨でございますので、厚生省のサーベイランス委員会が現在設けております発症基準が妥当ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○外口委員 ぜひとも前向きにと申し上げましたのは、その給付の額の少なさもさることながら、このサーベイランス委員会が取りまとめた診断基準を見ますと、これを全部満たすということはなかなか大変なことでして、それ以前の対応というものが私たち社会全体にとっての責任ではないかと思いますし、厚生省がこのような方々に対しての最も責任ある対応をすべきと思いますので、ぜひともこの点は今後より積極的に検討していただきたいと思います。 もう一つだけエイズに関して行って、次の質問に移ります。 エイズ予防法が制定されて、一九八九年一月でございますから、もう既に三年が過ぎました。このエイズ予防法については、いろいろな是非の論議が闘わされたことは皆さん御記憶のことだと思いますが、この間、エイズ問題は、血友病患者の病気から、ごく身近な家庭にも起こり得るものへと大きく変わってまいりました。感染者が増加したことは先ほどの答弁で述べられておりましたが、母予感染事例も報告されておりますし、薬物の静脈注射関連があると思われる例も報告され始めております。 そうした点からいたしまして、エイズ予防法の附帯決議には三年後の見直しかったわれているはずですが、エイズが蔓延するかしないかの瀬戸際と言われる今この時期にこそ、時代を見越した法体系の見直しを通して、根本的に施策を見直すときとも言えると思いますが、この点同意なさっていただけますでしょうか。いかがでしょうか。
○寺松政府委員 現行の予防法ができましたときの状況については、今先生がおっしゃいましたように、いろいろな御議論がございました。そして、この法律ができまして、その目的として明記されておりますのは、一つは感染源を的確にとらえるということの体制整備、それからもう一つは、プライバシーの保護に非常に気を使って、社会的ルールづくりというものをやろうという観点からつくられたものだというふうに理解をしております。それからまた、正しい知識の普及ということもやるようにということも言われております。これはエイズ問題総合対策大綱におきまして特にその辺は強く言っておるわけでございまして、法律とその大綱と相まって私ども今エイズの対策を進めておるわけでございまして、エイズ予防には役立っておるのではないか、こういうふうに評価をしておるわけでございます。 しかし、今先生おっしゃいましたように三年目が参りました。それで、あれにございますように、いろいろな患者の発生状況とかあるいは法律の施行状況等、その成果等も見ながら検討を加えろ、こういうふうな話でございまして、改正という言葉は使われてはいないと思いますけれども、私どももその辺の検討はもちろんやる必要があると考えておりまして、いろいろな形でその辺の検討をやっておるわけでございます。 今先生も御指摘になりましたように、一般の異性間の性行為によります感染が非常に多くなってきた。ところが、この法律ができましたときは、その辺は確かに少なかったわけでございます。しかしながら、それが拡大していく場合もあるということも予測しながらつくられたというふうにも聞いております。したがいまして、今のところでは現行の枠組みでも十分対応できるというふうにも考えておりまして、現在のところ予防法を改正する考えは持っていないわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、いろいろな形で検討はする必要があると考えております。
○外口委員 この点に関してはぜひ検討を続けてほしいと思います。 私たちは、過去多くの感染症との闘いを幾度となく乗り越えてきたわけですけれども、その乗り越え方は、当事者に病気から来る苦しみと偏見からもたらされる二重の苦しみを与えながらの克服であったように思われます。感染症に対する過去の施策というものは、らいの予防法にも見られますように、感染者を感染していない人から隔離するという、極めて社会防衛的な要素の強い法律を打ち出しての対策であったことを私たちは謙虚に反省し、その悲しくつらい歴史から学んで、今後の新しい感染症に対する対応策に生かしていかなければいけないと痛感しているものでございます。 今後とも、このエイズ問題に対しては、根本的な、抜本的な、積極的な対応策を続けていただきたいと思いますので、ここで中間の締めくくりとして、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 先ほどから御意見等賜りまして、全くそのとおりでございます。物すごい勢いで各国間にふえている。 今月の初めにジュネーブにおきましてWHOの総会がありまして、私はその席で代表演説を行いました。エイズの問題について特に強く私も力説をいたしましたが、他の国からの代表演説の方々も、エイズの問題に触れられなかった方は恐らくおられなかったのじゃないかと思います。私はこれを考えてみますと、一民族ではなくて、人類全体の将来にわたって憂うべき問題だと思います。 ある国において、エイズにかかった患者が自分が死ぬことの道連れに次々に性交をしていった、数十名にうつしたというような話も新聞に出ておりました。その人たちがまた同じようなことをやるならば、これはもう算術ではなくて、幾何級数的に世界じゅうに蔓延するということになりまして、二十一世紀に世界の人類は一体どうなるのだろうというふうに突き詰めて考えると、そんな憂慮もすべき気すら私はいたすのでございます。 したがいまして、ただいままでいろいろと御説がございました。答弁の中あるいは先生の御説もございましたし、私はあえて繰り返しませんが、こうなれば、言葉は悪うございますが、わかっていることばなりふり構わずやっていくぐらいの決意でなければいけないのだな。我が国も本腰を入れてこの問題には取り組み、予算はもとよりでありますが、私は大きく呼びかけてやってまいりたいと思います。
○外口委員 では、そのようなことでぜひとも推進していただきたいと思います。 次に、今感染症対策における患者の人権の保護という観点から、エイズ対策についての質問を申し上げてまいりましたが、同じような人権にかかわる問題として、何も感染症に限らず、医療におけるほかの分野でもさまざまな人権侵害の問題が起こっております。これから質問させていただきたいいま一つの問題というのは、入院中の障害児に対する教育でございます。 一九七九年の養護学校義務制を契機にして、全国各地の病院内に療養中で学校には通えない学齢児のために養護学校が整備されました。しかし、医療現場の中での教育という医療と教育の縦割り行政のはざまで、国民の基本的な権利に関する重要な問題が次々と生じているのが事実でございます。 そこで、まず文部省にお伺いいたしますが、このような養護学校のあり方についての基本的なお考えを聞かせてください。
○霜鳥説明員 病院に入院しております児童生徒につきましては、その医療を必要とする期間に応じまして、病弱の養護学校、それから小中学校の病弱・身体虚弱の特殊学級というところで教育をするのが原則でございます。 病弱の養護学校というのは大体病院等に併設された形になっておりまして、そのような養護学校に通っておる子供たちの一部につきましては、病院内におきます分教室で学んだり、あるいはまた一部が訪問教育の対象という形になっております。また、小中学校に置かれる病弱・身体虚弱の特殊学級も、約半数が病院内に設置されているという形になっておりまして、そんなような形で、病気の子供たちの入院、治療、医療の期間に応じた教育をそれぞれやっておるのが現状でございます。
○外口委員 過日、私は、以前の職場でもありました国立精神・神経センター武蔵病院へ行ってまいりました。そこでは、重度の心身障害児のために東京都立小平養護学校武蔵分教室が二クラス病院内で開かれています。その中の一つのクラスは、生徒数小学生六人、中学生十二人を生徒の実態に合わせて六グループに分けられて指導が行われております。教室はなく、病院の食堂や庭や職員室を使って勉強をしておりました。例えば一つのグループは、生徒六人と教員三人が約四畳の部屋で学習しなくてはならず、全員出席したときは部屋に入ることはできません。また、教材置き場もなく、毎朝、授業の場所がどこでできるのか、その都度に借りた場所に先生が教材を運ばなくてはならない状態にあります。 子供たちは、ふだん生活している病室で勉強するのではなく、病室から朝登校し、生活の場とは異なった学習のための空間を必要としているはずです。それは単調になりやすい入院生活の中で生活のリズムをつくり出すとともに、より教育的なアプローチができる環境づくりとなり、子供たちにとっては極めて大切なものだと考えます。 そこで、まず厚生省、そして文部省にお聞きいたします。どうしてこのような実態が改善されないままに今日まで置かれてきているのでしょうか、お聞かせください。
○寺松政府委員 外口先生には先日私どもの国立精神・神経センターを御視察いただきまして、どうもありがとうございます。いろいろな点で有益な御助言をいただいたり御指摘をいただいておりまして、私どもそのお話を十分承りながら対応してまいりたいと思っておるわけでございますが、今御質問の件につきましてお答えを申し上げたいと思います。 厚生省におきましては、国立療養所等に入所しております障害を持った子供たちに対しましては、義務教育を確保するという観点から、施設の事情やその入所者の意向も踏まえまして、養護学校の設置を担当されております各都道府県に対しまして、それぞれ必要な働きかけをやっておるわけでございます。 武蔵病院につきましては、東京都とも相談いたしまして、昭和五十四年の四月以来、都立小平養護学校分教室を設置しまして、学校運営に当たっていただいているところであります。病院としましても、できるだけ施設等も御活用いただきたいというようなことで、療育訓練棟をも活用していただくというようなこともやっておりまして、その運営に協力をいたしておるわけでございます。先生が今御質問の中でおっしゃいましたが、平成四年五月現在では、小学生六名、中学生十二名が教育を受けているのが実情でございます。 そこで、今いろいろ改善するべきところがあるのに、全然改善が進まないではないかというようなことでございますが、養護学校の設置や施設整備につきましては、教育当局において所管されていることは先生も十分御承知の上で御質問だと思いますけれども、厚生省といたしましては、施設の事情も十分踏まえまして、教育施設の設置を含めた適切な教育環境の充実につきまして、今後も関係当局に理解を強く求めてまいりたい、このように考えております。
○霜鳥説明員 先生お尋ねの院内学級の件でございますが、私ども具体的なものにつきまして直接調査をしたわけではございませんが、一般論として院内学級というものにつきまして若干御説明しておきたいと存じます。 一般論としてでありますが、院内学級は、その病気の種類やら程度やらによりまして、児童生徒数の変動が年間を通じて大きいという問題がございます。また、入院する児童生徒が出ましても、病院のある市町村の教育委員会にはわからないというケースがあったり、あるいは学年当初に入院者がなくても、年度途中に入院者が出て、その場合に教員の異動とか予算上の措置がなかなか難しいという問題、それから、お話にありましたような施設の関係では、病院内のスペースを教室に借用する必要がございますが、その場合に利用可能な施設設備に制約があったというようなケースもあるようでございまして、臨機応変に対応するのはなかなか難しい問題ということは承知しておるわけでございます。 しかしながら、従来から、病院内の特殊学級等の適切な設置とかあるいは養護学校の訪問教育の充実などにつきまして、各都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会を指導いたしておるところでありまして、今後とも、病気療養中の児童生徒に対する教育が適切に行われるよう、指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○外口委員 国立精神・神経センター武蔵病院の実態は、私どもの調査によりますと、都教育委員会としては、一九八六年十月の教育委員会と病院の覚書により、教職員の派遣、児童生徒の安全などは教育委員会が、そして施設設備などの維持管理、光熱費の負担などは病院が行うことと分担事項が定められているため、病院側が教室の提供をする義務があるとして、病院側に教室の確保を求めています。 また、病院側は、会計検査院が監査の際に伝えたと言われる国立医療施設内の養護学校分教室、分校などの教育施設は、養護学校義務教育制に基づいて地方自治体の負担で建設すべきなどの見解を根拠にして、教育は地方自治体の仕事だとして取り組みを避け、また、都教育委員会にこのような趣旨の要望書を提出したそうです。私が先日会計検査院の担当官をお呼びいたしまして確認いたしましたときには、会計検査院は、国有地法に基づいて使用料を払えば、病院本来の目的を妨げない範囲で分教室をつくっても問題はないとのことで、一九八九年八月に行った当病院への監査の際には、使用料を取っていなかったので、徴収するようにと口頭で言っただけであるとのお答えをいただきました。 このような混乱の被害をこうむるのは、結局、日本の縦割り行政のはざまに置かれている障害を持ちつつ学ぼうとしている子供たちなのです。責任の所在は一体どこにあるのか、このような実情に対して厚生省、文部省の責任あるお考えをそれぞれお伺いいたしたいと思います。
○霜鳥説明員 先生ただいまお話しの具体の病院の関係でございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、医療を必要とする期間に応じて、病弱の養護学校あるいは小中学校の病弱・身体虚弱の特殊学級で適切な教育を行うということが重要であるというふうに考えておるところでございます。 先ほど来お話しの東京都の件につきましては、十分把握しておらないところでございますが、教育という観点からいいますと、教員の措置は、病院内に分教室あるいは特殊学級が置かれるということにつきましては、きちんと基準に沿った措置がとられるということでやってございます。また教室につきましても、必要な設備という点につきましては、補助制度などを使ってその旨準備をしておるという状態でございます。ただ問題は、病院の中にスペースがうまくあるかという点につきまして、若干相談をしていかなければいけない点が残っておるのではないかというふうに考えております。
○寺松政府委員 先ほどもお答えしたことなんでございますけれども、厚生省といたしましては教育関係当局に対しまして理解を求めてまいりたい、このように考えております。
○外口委員 どこから取り組むかということで、それぞれのお立場で大変譲り合っているように受けとめられますが、教育権というのは、生まれながらにして持った何人も侵されない権利でございます。このための所管である文部省の取り組み、そしてまた療育という極めて特殊なというか、いろいろな配慮が必要とされるそういう場面での厚生省の積極的な取り組み、その双方の取り組みによって可能なはずです。ここに「教室をください!!」という白書、「東京都立小平養護学校武蔵分教室校舎建設にむけての白書」とか、それまでの東京都立小平養護学校関係のさまざまな資料、また家族からの要望書なとたくさんの資料がございますが、このまま決してきょうの答弁だけでお避けにならずに、きちっと実効ある施策を打ち出していただきたいとお願いする次第です。 これは単にこの国立精神・神経センター武蔵分教室の問題であるというのではなくて、この国立精神・神経センターは、厚生省肝いりのナショナルセンターとして、世界に冠たる研究施設をさきに敷地内に建設されておりますし、また、長い間日本の精神医療の先進的な役割を果たしてきた施設でもあります。その施設の中で、本来でしたら最もモデル的に療育が行われるべきものであるはずにもかかわらず、このナショナルセンターの中で、そして新しい研究施設やさまざまな施設が次々と建てられているあの敷地の中に、子供たちが学ぶ部屋がないという実態は全く見逃せないものと考えます。そういった意味で、日本の療育問題の一つの象徴であるように思います。また、縦割り行政の被害が象徴的にあらわれている場でもあると思いますので、武蔵分教室が直面している問題を全国に存在する多数の重症心身障害施設の共通の課題として、障害児教育の推進に向けてぜひとも御努力いただきたいというふうに考えます。 時間がございませんので、私が実際に施設の方に参りました際、現場の先生方からたくさんの切実な声を伺ってまいりまして、一つだけどうしてもお伝えしておきたいことを申し上げて終わりにしたいと思いますが、こういう重症心身障害児にとって、教育は単なる受ける権利があるというがけではなくて、療養の効果をも高めます。また、療養中の生活の質を高めるという点で療育には欠かせない大切な要素であるからこそ、厚生省の責任ある対応が必要だというふうに改めて強調させていただきます。 にもかかわらず、現在の法体系の中では、九年間の義務教育が終わった生徒に対しては教育の側からの関与が明記されておらず、思春期を迎え、身体の発達も著しくなる時期にある重症心身障害児に対し健康教育もできず、その結果、教育的働きかけがなされないままに義務教育を過ごした子供たちが、そのままにされているという実態がございます。このような重症児が年を追うにつれふえていく現状に対して、義務教育を年限だけではかることをせずに、このような障害児に対しては、義務教育の特例として、これまで受けていた教育の延長として、もっと受け続けることができるような対応策も必要だと考えます。 特に先生方がおっしゃっていも言葉が印象的でした。義務教育終了後の障害児に対する訪問学習のシステムをつくりたい、そのためにぜひとも強力な行政の側の対応策を求めたいと、大変重症な子供たちに本当に愛情を持って接している先生方、そしてまた病棟スタッフの切実な声をここで改めてお伝えして、両省の責任あるこれからの取り組みを求めたいと思います。 大臣に最後にお伺いしたいと思いますが、本日はエイズ問題、そして重症心身障害児の教育の問題、病むことによって人として普通に生きる権利を侵されやすいという実態に着目して、質問させていただきました。社会全体の支援体制がそういう方たちにとってどれほど必要かということを痛感している立場から、ぜひとも行政の責任ある施策を打ち出してほしいと思います。 そういった意味では、さきにWHOの会議でも発言されていたと大臣はおっしゃいましたけれども、国内できちっと充実した体制をつくらなければ、国際社会の中での日本の役割は、これから期待されるでしょうけれども、それを担っていく資格はないと思います。そういった意味で、これから開かれた医療システムの確立を目指し、さまざまな課題が生じてくる医療の中で、どういうように社会的なサポートシステムをつくられていくのかという点に関して、前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
○山下国務大臣 御高説をいろいろ拝聴いたしまして、私も大変参考になりました。私は、昭和四十四年に初めて国会に出まして、どの委員会を選ぼうかなと思って、やはりこれからは福祉が政治の一つの大きな柱だなと思って、最初から社会労働委員を選びました。 社会福祉の基本となるものは社会保障であり、社会保障はもう弱者対策であるという考え方から、全般的に厚生省がやっております一つの基本というものは、弱い人たちに国が手を差し伸べるという意味でございまして、きょういろいろ御説ございましたすべての問題は、ややもすれば落後しようとする人々あるいは障害者、その他十分でない体を持っていて人並みについていけない人、そういう方々に対して国が一生懸命お手伝いをするということでございますから、今のエイズにいたしましても、また先ほどおっしゃいました障害者その他の問題につきましても、厚生省というのはそういう仕事を担っているということをざらに自覚しながら、頑張っていきたいと思います。
○外口委員 終わります。
○牧野委員長 柳田稔君。
○柳田委員 きょうは、保育についてお尋ねをしたいと思います。 午前中の質問でもございましたけれども、出生率が大分減ってきておる。平成三年では一・五三ぐらいにまで落ち込むのではないかというふうに言われております。こうなりますと二十一世紀を支える子供たちが大幅に減少する。このことはいろいろなことに波及をしてくるんではないかな。今厚生大臣は、御答弁で福祉の大事さを説かれたわけでありますが、高齢化社会に対する福祉も厳しくなるだろうし、さらには費用負担についても難しくなるだろう。そして、二十一世紀の初頭には労働力も減る方向に転じると言われておりますので、経済の方も活力がだんだん低下をしてくるんではないか。いろいろな面で社会全体として憂慮すべきことだというふうに思っております。 厚生省は、この出生率の低下と社会に及ぼす影響についてどのようにお考えになっているのか、まずお答え願いたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。 我が国の出生率の減少の社会に及ぼす影響につきましては、既に先生がお触れになっておりますが、平成三年一月に、長い名前ですが、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議というものをつくっていろいろ検討いたしたわけでありますが、そこでどのような社会的影響があるだろうかという点をまとめておりますので、それをまず念のために御紹介したいと思います。 将来の影響といたしまして、一つには、将来的に生産年齢人口の割合が大幅に低下して、産業構造、消費市場等に少なからぬ影響を与える可能性があるという点が一点でございます。 それから一つには、現行の行財政制度や社会経済の諸条件を前提とする限り、社会保障の負担が一層増加することとなり、また、高齢化社会における老人介護等の保健福祉マンパワーの確保にも支障が生じる可能性があること、これが二つ目であります。 さらには、二十一世紀初頭以降の生産年齢人口の減少が加速され、労働力供給面での制約要因になることが懸念されるという点が三番目であります。 それから四つ目に、やはり子供数の減少によりまして、子供自身が仲間の中でもまれるといいますか、あるいは我慢することなどを学ぶ機会が減りまして、子供の社会性が育ちにくくなるというようなことで、子供自身の健やかな成長への影響も懸念される、こういう四点を特に大きな点として整理をいたしております。 厚生省としましても、大体この基本的な整理をいわゆる社会経済への影響ということで受けとめておりまして、厚生省の立場といたしましては、この連絡会議の報告を踏まえながら、今後とも、家庭を築き、子供を生み育てて行くことに喜びや楽しみを感じることのできる社会づくりということを厚生省の課題として行政を推進していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○柳田委員 もう既にこのことは何回もこの委員会でも取り上げられまして、早急に手を打たなければ大変なことになるということは、皆さん一緒のことだろうというふうに思うのです。なぜこれまで出生率が低下をしてきたのだろうか。午前中もいろいろとありましたけれども、この要因については大まかなところどの辺を考えていらっしゃるでしょうか。
○大西政府委員 お答え申し上げます。 この出生率低下の原因を一応まず人口統計学的な観点で整理いたしますと、一つには未婚率といいますか、その未婚率も、一つには一生結婚しないという生涯未婚と、それから、結婚はするけれどもその結婚年齢が上がるという両面を含めました未婚率の上昇、それから、夫婦が最終的に何人子供を生むかという完結出生児数ということになりますが、それが減るという点がその低下の大きな要因ということでありまして、これを一応数値的に補完いたしますと、今の結婚年齢につきましては、二十歳代後半、つまり、二十五歳から二十九歳の女性で結婚していない方々の割合がどれぐらいかというのを昭和四十年と平成二年を比べますと、昭和四十年では一九・〇%でございましたが、平成二年には、四〇・二%に上昇しております。 それから、生涯未婚率につながる数値でありますが、四十五歳から四十九歳の方の未婚率はどうかといいますと、四十年では三%、それから平成二年では四・六%というふうに上昇しております。したがいまして、これはいずれも平均初婚年齢の引き上げの方に働いておりまして、平均初婚年齢で申し上げますと、二十四・五歳から二十五・八歳へ上昇した、こういうことになるわけであります。それから子供の数の方も、調査時点がちょっとずれますが、昭和四十五年時点で夫婦の出生率二・六五人であったものが昭和六十二年には二・二〇人に減少している。こういうことが統計学的な見地から見たときの大きな要因でございます。 ただ、もう少し社会現象的な面で説明を加えてはどうかという御意見もよくありますので、それは必ずしも統計学的な意味での数値をベースにしたということではありませんが、一般に指摘されております要因として申し上げますと、一つは、やはり女性の高学歴化あるいは社会進出に伴いまして、女性の経済力が上昇しているという点がまずあろうと思います。それから、独身生活の楽しみが増大をしている。三つ目には、若い男女の結婚に対する意識も変化してきている。それから、社会慣行としての見合いが減少いたしております。それから、最も大きいものでしょうが、女性の就業と家事、育児の両立を支援する社会的な体制がまだ整っていないという点、それから、子供の教育問題なり住宅の問題等が結婚や育児に対する負担感を重いものにしている。こういった点がいわゆる一般的な社会的要因ということで指摘できるのではないかと考えております。
○柳田委員 今いろいろと原因を答えていただきましたけれども、一つ一つそうだなというふうに納得する点が多うございます。それで、これに対してどのように対応をしていったらいいのだろうか。私が三人の子持ちですと言うと、大臣は四人の子供を育てましたという御答弁は前にいただいたわけでありますが、最近は子供を育てるということを考えますと、莫大な費用がかかるというのも一つありますし、さらには、父親のことについては午前中三原さんの方からもありましたけれども、まだまだ夫婦ともにという環境も整っていない。 私個人としては、いろいろなお友達から聞きますと、学校といいますか教育にかかる費用が物すごい。さらには、家の中で子供に部屋を与えることもできないし、そうなると夫婦の部屋もなくなる。お父さんは家に帰ってきても、台所にいすが一つあるだけという家庭も多くあるような気がするわけであります。また、独身でいますと、海外の旅行に一年に一遍行ったりとかできるわけですが、子供がいるとそれすらもできないということにもだんだんつながってきて、大分若い人たちの子供に対する考え方が変わってきたのではないかと思うのです。 それを一つずつ挙げていきますと時間がないわけなので、きょうはその中でも保育サービスの充実ということについて質問をさせていただきたいと思うのですが、この保育サービスについては、従来から夜間保育とか延長保育とかいうことでいろいろと手を打ってこられたというのは知っておるわけでありますけれども、それも含めましてどのようなことで保育サービスを充実されてきたのか、お答え願いたいと思います。
○山下国務大臣 保育サービス面についてのお尋ねでございますが、その前に、子供を生み育てる環境、いわゆる子供をもっと生まなきゃならぬと、私もそれを非常に心配いたしております。 そこで、生み育てる環境と同時に、やはり人生の価値観の問題。若い人が結婚当初、夫婦でゆっくり旅をしたいという希望もあるかもしれませんが、その価値観というものは老後にもっと求めるべきである。ですから、できれば二十代の前半に結婚をして、三十には子供を持ち上がる。持ち上がるという言葉はおかしいかもしれませんが、そうしますと、もう大体四十ちょっと過ぎで中学を出て、大体子供も離れる。中学に入って小さな世話から離れる。正味三十年かかります。さらに十年追加しますと大学を卒業するのですから、あとの平均寿今からすると、三十年というのは御婦人は自由でありますから、三十年子供を生み育てて自由になれば、その方がいいのじゃないか。つまり、ライフサイクル計画というものをもう少し国民に対して求めていくべきだし、いろいろとそういうことについて意見を聞きながら普及していくべきだな、そんな感じもいたしております。 そこで、保育についての問題でございますが、最近看護婦不足で新たにまた病院内の保育、四人以上の場合には一人の保母さんがいて面倒を見るというようなシステムもいよいよこれから行われるわけでございまして、今日まで保育はかなり多様化してまいりました。最近でも季節保育とか夜間保育、長時間、その他いろいろございますが、今申し上げましたようなことにつきましてさらに積極的にこれをやってまいります。地域によっては一時保育などというのがあったりしまして、例えば農繁期であるとか、あるいはまた東北地方の漁業のところは、朝五時ぐらいから預かったりするところもあるんだそうでございますが、そのように非常に多様化してまいりまして、国民のニーズにこたえて保育というものは行われていかなきゃならぬと思うのでございます。そういう意味におきまして、今後ともきめ細かな保育対策を立てていって、そして、本当に保育というものはいいことだと国民に喜んでいただけるように、さらに努力をしてまいらなきゃならぬと思っております。 —————————————
○牧野委員長 議事の途中でありますが、ただいまオーストラリア連邦議会のハリー・アルフレッド・ジェンキンス下院議員御一行が本委員会の傍聴にお見えになりました。皆さん起立して拍手でお迎えください。 〔起立、拍手〕 —————————————
○牧野委員長 柳田稔君。
○柳田委員 今、国民のニーズにこたえて、いろいろなことを考えていかなければならないというふうにお答えを願いました。 実際に保育についてはいろいろな施策が行われているというふうには思います。しかし、逆に今雇用の状況を見てみますと、保母さんも三K職場になるのではないか。三Kという言葉は使わないように努力をしたいと思うのですが、そういうことで余り魅力のある仕事にはなっていないということで、一部の地域では保母さんが足りない。夜間保育をするとなると、自分の家庭のこともあるので、そこまではということで非常に保母さんが集まりにくいということも聞いております。保母さんが集まりにくくなる。逆に国民のニーズにこたえるために努力をしていくと、仕事量がふえるのにマンパワーは足りない。週休二日制も実施される運びになったのですけれども、それも難しい。労働時間短縮をどんどん進めるべき時期に来ているんですが、これすらもできないということで、大分厳しい状況になっているところもあるように聞いております。このような保母さんの足りないところをどういうふうに保母さんを確保していくのか、お答えをお願いしたいと思います。
○山下国務大臣 政府委員から答弁があると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、看護婦さんが足りないから、保母さんをつけて各院内で四人以上のところはやると言いましたが、その保母さん自体が既に足りなくなって、一体どうするんだということは切実な問題でございます。十年前は、募集さえすれば保母さんは何ぼでも来るよといった時代でしたが、全くさま変わりいたしました。したがって、これからは看護婦さん同様、保母さんもそういう時代が来ることを今から予見しながら、十分計画を立てた養成とか、そういうことに力を尽くしていかなきゃならぬと思います。
○土井政府委員 保母さんの需給の問題でございますけれども、御案内のとおり、年間で保母の資格を取得して社会に出る方々が約三万三千人ございます。このうち保育所に保母として就職する方々は三分の一の一万一千人、残りの三分の二のうち半分は他の福祉施設などに就職をする、そして残りの三分の一、最後の三分の一は一般の民間会社に就職する、これが最近の就職の状況になっております。 ただ、これは全国的な状況でございまして、お話がありましたとおり、特別な保育対策ということに力を入れておりまして、例えば夜間の保育、延長保育、あるいは地域によっては保母の需給関係がかなり逼迫しているというような地域もございますので、全体の状況は先ほど申しましたような状況であるとしても、これからの保育需要の多様化に対応するためには、どのような対策をあらかじめ手を打つ必要があるかということで、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○柳田委員 今は保母さんが集まらない集まらないといった地域のことを申し上げたのですが、今度は逆に保母さんが余ってしょうがないところもあるし、これからはそれもふえるであろう。と申しますのは、若い人がだんだん都会に集まり出して、そこで子供を育てる。夫婦共働きをしなければ食べていけませんので、さらに需要がふえるという格好になるのではないか。それで保母さんが不足する。ところが、逆に都市部でないところに行きますと、若い人がどんどん都会に出ていきますから、それに子供が生まれる数が少なくなるということを考えていきますと、今も保母さんが余っているのに、将来もっと余るのではないか。現実に施設が縮小や廃合、統合されたところも出てきておるわけでありまして、大変皮肉なことだなというふうに思うのです。 この定員割れと同時に、無認可の保育所もいろいろなところに出てきておるというのも現実であります。つまり、公のものは保育料が高いという理由もありますし、サービスが悪い。ところが、無認可の方に行きますと、サービスはいいのに料金が安い。そういうことで無認可の保育所に預ける親もふえるから、そういう保育所もふえるんだろうと思うのですけれども、まずこの無認可の保育所の増大についてどう考えておるのか、そして今後どうしようと思われているのか、お答えを願いたいと思います。
○土井政府委員 お話にありましたとおり、全体として出生率が低下する状況の中でございますので、保育所全体の定員から見ますと、これは十数%の余裕があるというのが全国的な状況でございますが、ただ、地域によりましてはかなりきついところも出てきている。そして、そういうことの一つの特徴として無認可の保育施設があるということでございます。 この無認可の保育施設につきましては、私ども、やや上昇しながら、ほぼ横ばいというような全体の状況の認識をしておりますけれども、かつてのような無認可保育施設における事故というものは、最近非常に少なくなっているというふうに認識しております。現在、都道府県におきまして、できるだけ良質な保育環境をこのような無認可の施設についても確保するという観点から、定期的に立入検査等々の指導を行っておりまして、子供たちの保育環境の安全性の確保ということに努力してまいっておりますけれども、今後とも、そのような形で地方団体と連携をよくとりながら、一層の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
○柳田委員 今度は、先ほど申しました保母さんが余っているところについて御質問といいますか、ちょっと提案をしてみたいと思うのですけれども、都会ではなくて、要するに若い人が町に出ていっておるところというのは、若い世代、子供が少なくなるかわりに、お年寄りの比率がふえておるということも現実としてあります。幸いといいますか、保育所というのは、少なくともそこの事情を考えながら各地域地域に設置をされておるわけでありまして、そこで保母さんが余っておる。余っている保母さんは、もう何もしなければ、将来は子供がいなくなれば統廃合されるのか、はたまた何かほかのところに転勤をさせられるのか、不安もだんだん出てくるようになるのではないかなというふうな気がするわけであります。 そこで、保母さんというのは、それなりの資格、勉強、教養を積んでなられているわけでありまして、お子さんの心理の面についても大変勉強されて保母さんになっておる。また、経験も豊かであろうというふうに思います。以前、だんだん年をとると赤ちゃんに近づくというふうに聞かされたこともあったわけでありますけれども、こういうふうに余った保母さんに、将来これから子供も減るであろうけれども、何かもっとお役に立てるような仕事をしてもらえないものだろうか。 そういうふうに考えてきましたところ、地域にお年寄りの比率がふえるんだったらば、教養もあるし経験もあるのだから、資格が要るんだったらさらに勉強して、そういうお年寄りの面倒を見る。さらには、マンパワーの確保法案も近々衆議院で審議されると思うのですけれども、そういうシステムができるようになりますと、保育所の保母さんの余った方々もそのシステムに参加をして、地域の高齢者の対策に協力できるような格好を検討していってみたらどうかなというふうに思っているのですが、いかがでしょうか。
○土井政府委員 保育所の保母さんの全体の状況につきましては、先ほど約三分の一が保育所以外のその他の福祉施設に就職しているということを申し上げましたが、その中には老人の関係のものもありますれば、いろいろな児童福祉関係の施設もあろうかと思います。 いずれにしましても、保母さんという非常に能力のある方々ができるだけ有効な社会的な活動をしていただくということは大変大事なことであると私どもも考えておりまして、保育所で保母さんを十分採用できないというような地域におきまして、その保母さんをどのような形で活用していくかというような御趣旨がと思いますけれども、例えば今年度から、老人のデイサービスで新しくD型というのが、小規模なものでございますができることになりました。一方で保育所の子供の数が非常に減っているという場合に、そのD型の老人のデイケアセンターと保育所を一緒にする、複合型の施設をつくる、そういうような形で、その地域の実情に合ったような施設設計ができるのではないだろうか。そういった施設設計に対応した形で、またマンパワーの方も対応していくことができるのではないだろうか。そういったことも地域の事情に応じて、今後はできるだけ弾力的に工夫をしながら研究をしてみたいと考えているところでございます。 —————————————
○牧野委員長 議事の途中でありますが、ただいまオーストラリア連邦議会のハリー・アルフレッド・ジェンキンス下院議員御一行が御退席になります。皆さん起立して拍手でお送りください。 〔起立、拍手〕 —————————————
○柳田委員 いろいろと進めていただきたいと思うのですが、お年寄りの面倒を見るのも何か資格が要るものがいろいろとあるそうですし、何十時間か研修しなければならない。あいている時間と言っては怒られるかもしれませんが、そういう時間を使ってお勉強していただいて、そういう資格を取っていただく。それに必要な制度といいますか、そういう勉強をするんだったら、研修を受けるんだったらそれは欠勤扱いではない、それは業務の範囲内であるとか、さらに必要な費用がかかるんだったらそれも補助して進めていくとか、これは要するに余っている地域でというのも考えてみる必要があるのではないかなと思います。 先ほど御答弁いただきましたけれども、余っているから足りないところに人を移すということをしますと、これが離れておると逆にやめることもあり得ますので、そちらの方のバックアップも考えていただきたいと思うのですが、このことについては何か御意見はありますでしょうか。
○土井政府委員 保育所の保母さんは、御案内のとおり公立の場合と民間の場合とございますが、民間の場合で申し上げますと、一つの社会福祉法人が保育所以外にも幾つかの施設を経営しているという場合には、今おっしゃいましたように、保育所の方では保母さんが余っているけれども他の施設では足りない、そのような施設でさらに働いていただくというようなことは可能かと思います。しかし、その保育所自体で子供がどんどん減っていって、保母さんが要らなくなるというような場合、それでは他の施設でといった場合に、いろいろな形で工夫、努力をすることによって摩擦をできるだけ最小限に食いとめることは可能かと思いますけれども、仕組みの上ではなかなか難しい点があるのではないだろうかと思います。 しかしながら、地域的な問題と全体としての福祉マンパワーのあり方の問題という非常に重要な問題でございますので、私どもも積極的に対応することができるように、今後努力したいと思っております。
○柳田委員 また、地域には幼稚園というのもありまして、この幼稚園も多分同じような状況に相なるのではないかな。まず厚生省の保育所が姿勢を示していただければ、おのずと幼稚園の方の所管の省も考えざるを得なくなるのではないかな。今御答弁でありましたとおり、トータル的に地域をどうしていくのかという観点から、ぜひとも御努力をしていただきたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○牧野委員長 石田祝稔君。
○石田(祝)委員 まず最初に、身体障害者の授産施設における費用徴収問題についてお伺いをしたいと思います。 身体障害者の授産施設は、身体障害者福祉法でも、まず「国は、身体障害者更生援護施設を設置しなければならない。」こういう義務規定もございますし、その中で、身体障害者の授産施設ということで「身体障害者授産施設は、身体障害者で雇用されることの困難なもの又は生活に困窮するもの等を入所させて、必要な訓練を行い、かつ、職業を与え、自活させる施設とする。」こういう形で、国に設置義務があり、なおかつ就労困難な者に仕事を与え、訓練を行う、こういう施設なわけであります。この施設の中で仕事という形になりますから、いわゆる工賃収入というものが入りますが、実は費用徴収という制度がございまして、一カ月に上げる工賃収入よりも費用徴収の方が多い、こういう逆転現象があるやに聞いておりますけれども、こういう逆転現象があることに対して御認識はあるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○末次政府委員 身体障害者の授産施設は、ただいまお話のございましたように、一般企業に直ちに雇用されることの困難な障害者等に対しまして必要な訓練を行い、かつ職業を与え、自活させる社会福祉施設でございます。この授産施設の運営のためには、措置費といたしまして、運営費あるいは入所者の生活費を公費で負担いたしておりまして、他の社会福祉施設と同様、その負担能力に応じまして応分の負担をしていただいているというところでございます。 この場合の負担能力は、ほかの社会福祉施設と同様、負担者間の公平を考慮いたしまして、その方のすべての収入で判断をするということにいたしております。御指摘の授産施設の費用徴収につきましては、したがいまして、障害者の工賃、年金、財産収入、利子配当収入などの全体の収入額から必要経費を控除して決定をするという仕組みをとっておりまして、工賃収入以外の収入が多く、工賃収入が少ない場合には、費用徴収額は工賃収入を上回ることがあり得ると考えております。
○石田(祝)委員 身体障害者授産施設ということですから、体は不自由だけれども意識はもちろん明確に持っているし、知的能力もある。そういう方は身体障害者ですから、一級とか二級の認定を受けて、障害基礎年金をもらっている。そういう中で、みずからが仕事ということで自分の家から通うそのときに、実際通っていただく工賃収入と比べて、取られると言うとおかしいですけれども、費用徴収の額が多い。これは当人たちにとってみればなかなか納得できないのじゃないだろうか、そういうふうに私は思うわけであります。 今局長の御答弁で、逆転現象があり得る、こういうお話でございますけれども、そういう逆転現象が起こり得ることについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○末次政府委員 身体障害者授産施設も、かつては費用徴収という形式ではなくて、食費の一部負担という方式をとっていたこともございます。割合実費徴収的な考え方で対応していたわけでございますが、身体障害者授産施設についてのみこういう方式をとるのはいかがかということで、ほかの授産施設と同様の費用徴収という仕組みに変えてはどうかという御指摘もございまして、ただいまのような方式に変えたわけでございまして、その当時でいいますと、負担は実質的には減ったのではないかと考えております。 ただ、ただいまもいろいろ御指摘がありましたような問題もございます。こういう問題に対応するためには、そもそも工賃収入を上げるための努力が基本的には必要だと私どもは考えておりますが、現在授産施設制度全般につきまして検討委員会を設けまして、ただいまの御指摘の問題も含めまして、授産施設のあり方について幅広く議論をお願いいたしておりますので、その結果を踏まえまして今後検討していきたいと考えております。
○石田(祝)委員 これは、私の提案も含めてでありますけれども、いわゆる工賃以上に費用徴収がされる場合の解快方法は幾つかあると私は思うのですね。大きく言えば収入をふやす。ですから、工賃収入をふやすということが一つの大きな道であると思いますけれども、この工賃収入をふやす場合に、いわゆる工賃収入というものが費用徴収の基礎になるものですから、私が資料としてちょうだいいたしました徴収基準額の表を見直すことがまず一つだと思うのですね。それからもう一つは、対象収入による階層区分における控除額の引き上げ、こういうことが考えられると思うのです。 特に工賃収入に関してどういう形で収入を決めるのかというところで、こういうふうになっておりますね。「作業収入」というふうになって、「身体障害者授産施設においては、事業収入から原材料費、光熱費、運搬費等必要最小限度の事業費を控除した金額は全額工賃として作業員に支払わなければならない。」ですから、収入からいろいろな必要経費を引いた額を工賃として渡しているわけですね。ですから、まずそういうところも考える必要があるのじゃないかと思います。その点はきょうは触れませんが、控除額、特に就労控除、この額が二十四万円というふうに聞いておりますけれども、この額はいつから二十四万円というふうになっているのでしょうか。
○末次政府委員 昭和六十一年度にこの額に設定いたしております。
○石田(祝)委員 そういたしますと六年前の話になってまいりますし、そろそろこの額自体も、例えば年間三十六万円までは工賃収入の実費額とか、そういう形でやられてはどうかと思いますけれども、就労控除額を上げるお考えはあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○末次政府委員 先ほど申し上げましたように、この費用徴収をめぐりましてはいろいろな御意見がございます。再び実費徴収に戻してはどうかというような御意見すらあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、ただいま御指摘があったような就労控除、こういう点の見直しも含めまして、幅広い観点からあり方検討会の報告も待ちまして、その御意見を踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。
○石田(祝)委員 最後に、要望になりますけれども、現実に不自由な体を押して作業に携わる、自分の家から通う、そういう中で月に一回の給料というのでしょうか、そういう日にもらう金額と費用徴収で支払う金額が逆転している。これは、少なくとも自分が働いているんだというふうな意識を持って頑張っていらっしゃる方から見たら、耐えられないのじゃないかという正直な気持ちが私はするのですね。ですから、少なくとも逆転現象が起こらないように、これはぜひとも考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それから、ちょっと年金のことでお伺いいたしますけれども、老齢基礎年金等で現在繰り上げ支給、繰り下げ支給の制度があるわけでありますけれども、繰り上げ支給にて受給している人の数、割合というものはどういうふうになっているのでしょうか。
○加藤(栄)政府委員 繰り上げを受けておられます方でございますが、本来六十五歳で年金を受給される方が六十歳ないし六十四歳で受給される、こういうことでございます。六十歳から六十四歳までで繰り上げを受けておられる万全部の合計でございますが、平成二年度現在で四百七十八万人、六七・七%、こういうことになっております。
○石田(祝)委員 六七・七%の方が六十五歳以前に繰り上げ支給をしている、こういうことでありますけれども、この繰り上げ支給はもちろん全額もらえるわけでありませんで、六十歳の方は減額率が四二%ということは、本来もらえる部分の五八%をもらうわけですね。六十一歳が三五%、六十二歳が二八%、六十三歳が二〇%、六十四歳が一一%、これだけの減額率があるわけですけれども、こういう繰り上げ支給の制度が始まって、減額率がこういう率になったのはいつからなんでしょうか。
○加藤(栄)政府委員 現在の繰り上げ率等を設定しまして、繰り上げ減額支給の制度を設定いたしましたのが昭和四十一年でございます。
○石田(祝)委員 この減額率の決め方についてお伺いしたいのですが、四二%の減額率というものは、それはそれなりの数理的な計算をされてやられていると私は思いますけれども、これはどういうふうにしてお決めになったのか、お伺いしたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 繰り上げ減額率につきましては、六十歳ないしは六十一歳、六十二歳、六十三歳、六十四歳、それぞれの年齢で受給を開始した場合につきまして、それぞれの受給者が、平均余命等を勘案いたしまして、生涯に受給いたします年金額が、繰り上げ支給を選択した場合でも、あるいは本来の年金額を六十五歳から受給された場合でも給付総額にできるだけ差がないようにする、こういう考え方により設定されております。
○石田(祝)委員 そういたしますと、数理的に計算をして大差がないように、要するに差がないように設定しているんだ、こういうことですね。 そういたしますと、けさの新聞に九〇年完全生命表が出ておりまして、平均寿今、要するにゼロ歳の方の平均余命が男が七十五・九二歳、女が八十一・九〇歳、こういうふうにまた延びた、男女ともに世界一の平均寿命になった、こういうことでありますけれども、現在使われている減額率の計算のもとになった生命表、これはいつのを使っているのですか。
○加藤(栄)政府委員 昭和三十年の生命表に基づきまして設定しております。
○石田(祝)委員 昭和三十年というふうにおっしゃいましたけれども、ことしは昭和に直したら六十七年になりますね。ということは、三十七年前の表を使って現在も支給しているということになるわけですけれども、三十七年も前の数字を使うというのは、これはどうなんでしょうか。数理的な厳正さをもって計算したというふうにおっしゃいましたけれども、昭和四十一年当時に三十年の生命表を使って数理的に間違いなくやった。だけれども、四十一年から見ても二十六年後ですから、二十六年間同じものを使っていくというのはちょっと考えられないと私は思うのです。 ちなみに昭和三十年の平均余今、これを調べてみますと、男性の場合は、六十歳の場合が十四・九七歳、約十五年あと生きるだろうという計算です。そして六十五歳が十一・八二歳、約十二歳ということですね。七十歳の方で九・二二歳。これが平成二年の生命表ではどうなっているかといいますと、六十歳の方で十九・九五歳、六十五歳で十六・一六歳、七十歳で十二・六歳。女性の場合はもっと差が大きくなりまして、昭和三十年で六十歳の人の平均余命が十七・七二歳、平成二年で二十四・二九歳。こういう形で、平均余命自体が三歳から七歳近くまで変わってきているんですね。 こういうふうに数字が大きく変わっているにもかかわらず、同じような数字を使ってと申しましょうか、三十年の生命表を使って減額率をそのままにしている、これは問題ではないかと私は思います。なぜそういう三十年の生命表を使ったままの数字を使い続けているのか、合理的な理由がございますか。
○加藤(栄)政府委員 繰り上げ減額率につきましては、繰り上げ支給を選択してもしなくても給付総額にできるだけ差がないようにするという考え方により設定されたものであるということを先ほど申し上げたわけでございまして、そういう考え方に基づいて設定しているわけではございますが、また、そもそも繰り上げ減額をするというのは、本来の年金の趣旨から申しますと、老後生活の基礎的消費を賄うという基礎年金の給付水準の確保という点からすれば、決して推奨されるものではないわけでございまして、そういう意味からいいますと、今の減額率というものはそう軽々に、生命表の変わるたびに変えるということは必ずしも好ましいことではない、こういうふうに考えているわけでございます。 さらに、減額率を緩和いたしますと、全体の給付額につきましては現在の見通しよりも増大するわけでございまして、国民年金の保険料等に関連いたしましても、平成元年の再計算の結果以上のものを算定せざるを得ないことになりまして、いろいろと問題が絡んでおりますので、このような観点も勘案いたしまして、また、新しい生命表に基づきまして支給率を算定するということになりますと、減額率を緩和する方向で考えてまいる、こういうことになるかと思います。また、その緩和の割合というものは現在のところ数%というところでございますので、その点につきましては現在のところ様子を見て慎重に考えてまいりたい、そういう考え方をしているところでございます。
○石田(祝)委員 ちょっとそういう答弁では私は納得できないですね。三十数年前のものをそのまま使って、要するに六十五歳でもらってもらいたいので繰り上げとかは推奨できない、こういう答弁でしたけれども、推奨できないんだったらやめるべきじゃないんですか、制度自体を。繰り上げ支給制度を残している以上は、数理的な合理性というんでしょうか、そういうものでやっていかない限りおかしいんじゃないでしょうか。 先ほどの答弁では、当初減額支給制度を設けたときには損得がないように計算している、こういうお話だったと思います。ですから、その時点では確かにそういう計算だった。そして先ほど局長の答弁の中で、これを見直していけば減額率が緩和されるんじゃないか、こういうふうなこともおっしゃいました。ですから、それは一つの考え方として、年金制度を見た場合に、確かに負担がふえるとかいろいろなことが起きるかもしれません。しかし、そういうものの根本に、数理的な正しさ、合理性というものをこっちへ置いておいて、見直しをしたら年金制度自体が大変になるから三十数年前の生命表を使っているんだ、これは理由にならないと私は思います。 ですから、これから再計算を二年後に控えて、そういうふうなことをちゃんとしないで、これは国民の前に負担をお願いする、また支給額を切り下げる、こういう大変なことをお願いするわけですから、ある意味でいえば正直なことを、正しい数字というものを示していかないと、例えば今もらっている人がどういう計算のもとで繰り上げの減額率をやっているんだというふうに見たときに、昭和三十年の表を使ってやっていますよと、これは怒ると私は思いますよ、はっきり言って。 ですから、制度として残している以上は、合理性というものは私はちゃんと追求してもらいたいと思うんです。それがだめだったら、繰り上げ支給の制度というのはなくすべきなんですよ。ですから、三十数年間そのままにしておいてよかったのかということを私は今聞いているわけでありますから、いま一度御答弁をお願いします。
○加藤(栄)政府委員 今後とも財政再計算に向けまして、各般の課題について私どもも検討していかなければならないと思っております。その御意見のあるところにつきましては、私どももその点を念頭に置いて勉強をし、今後の年金制度をどういうふうに持っていくかということは広く御議論もし、考えてもまいりたい。また、全体的な見地からどういう年金制度の構築をしていくかということについても、私どもとしては広く世の中に問うてまいりたい、こういうふうに考えております。 ただ、今おっしゃいましたように、繰り上げ減額支給制度につきましては、老齢基礎年金の支給開始年齢を本人の希望によりまして特例的に繰り上げて、減額した年金を支給するというものでございます。本来的には、できるだけ減額受給はしていただきたくないということが一つございます。しかしながら、かなりの方々が繰り上げ支給を選択しているという実態等もございます。また、確かに毎回減額率を変えるということになりますと、そのときそのときで受給しておられる方の間のバランスの問題もございます。そういうもの全体を含めまして今後また勉強してまいりたい、このように考えております。
○石田(祝)委員 二年後が財政再計算の年になっておりますけれども、財政再計算は五年に一回やっているわけですね。ということは、少なくとも五年に一回今までも見直してきてもしかるべきではないか。生命表自体だって国勢調査を受けてやっているわけですから、五年に一回はちゃんと変わってきているわけです。そうしたら財政再計算のときに、制度として繰り上げ支給制度を残している以上は、それも当然再計算の中に入れて行っていくべきであったと私は思います。 ですから、どういう意図でもって昭和三十年の生命表を使われておったのか知る由もありませんけれども、もらう側から見れば少なくとも合理性は全然ない。そういうことを知らないで、設定されている率をそのまま受け入れてきたということであろうと思いますので、ここのところは、三十数年間そのままにしておったという事実を真摯に反省してもらいたいと私は思います。それから、毎日新聞の記事なんですけれども、堀勝洋さんという社会保障研究所へ出向されている厚生省の方も、「減額率は、数理的に適正でなければならない。」こういうことも新聞記事の中でおっしゃっております。 ちなみに、私は簡便に計算をしてみました。これは利子とかを考えずに、どれだけもらうかというのを平成二年ぐらいで計算しましたけれども、基礎年金を約六万円として六十歳から繰り上げをもらうと、平均余命等を考えて約一千四十四万円になる。六十五歳で一〇〇%支給でやりますと、平均余命が二十年として千四百四十万。七十歳支給としますと、これは繰り下げですから一八八%もらえるということで、受給期間が十五年ということに余命の関係でなりますけれども、二千三十万円。ですから、六十歳でもらった場合と七十歳てもらった場合、これは利子等が入ってきますから差は若干縮まると思いますけれども、少なくとも数百万円の差になるのではないか。これは要するに平均余命というものをちゃんと計算をしたら、もう今これだけ乖離が生じているということを私は指摘をさせていただきたいと思います。 これで一つ提案でありますけれども、繰り上げ支給というのは、どうしても御本人が私はもらいたい、これは選択の自由ということであるわけですから、その場合、ちょっと現在の一歳刻みの率の設定では粗過ぎるんじゃないか、こういうふうに思います。例えば、ドイツが一九九二年年金法というのですか、それをやられるようでありますけれども、それは一月ごとに〇・三%の刻みで減額をする、こういうふうなきめの細かいことを考えておられるようであります。今後繰り上げ支給制度を残すのでしたら、そこまで踏み込んでやっていただきたいと私は思いますけれども、それについてどういうお考えでしょうか。
○加藤(栄)政府委員 現在は年単位で考えているわけでございます。我が国の年金制度、年金額も支給は月単位ということで、月額がわかるようになっておりますけれども、総じて計算の場合には、給付は年単位で算定されているという体系になっております。 すべてがそういうことでやっておりまして、減額率を月単位とするということがこの体系の中で直ちに取り入れられるか、あるいはこの体系の中でなじむかどうか、こういう問題はございます。また、減額率を月単位に定めた場合には、現在の事務処理機構でどの程度こなし得るか、相当複雑な事務処理体系をつくらなきゃならないのではないかなどなどのそういう点がございます。そういう一つの御提案をされたわけでございますが、私どもとして慎重に検討を要すべき問題であるというふうに考えております。
○石田(祝)委員 時間が若干迫ってまいりましたけれども、年金制度は、現在六十五歳の老齢基礎年金、老齢厚生年金は六十歳からということで、高齢者の雇用ということとも非常に大きく関係をしてきていると思います。また、六十歳から仕事をしながらもらえるという在職老齢年金ですか、そういうものも片やございます。 これは大臣にお伺いをしたいのですが、今後、そういうふうな労働政策等も絡む部分がありますけれども、高齢者の雇用と年金との関係、これは将来を見越してどういうふうな形がいいのか、また、現在大臣はどういうふうにお考えになっているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○山下国務大臣 本来、年金制度は、老齢にして収入がなくなった方に支給されるというのが原則であろうと思います。しかし、まだ働けるよという方、その方々に対してある程度年金を国が幾らか、しっかり働かれる方々に対しての報酬と言ったら言葉は悪いかもしれませんが、幾らか国も面倒を見て、収入の足しにしてください、そういった制度だろうと思います。ですから、収入がだんだん上がっていけば年金もある程度、初め差があったのですが、大体ある程度のところで一致して、これが従来から似年金制度における、むしろそのことが公平感を保っていくことになるのかなということでございます。 御指摘の点、細かな数字をよく私も見なきゃわかりませんが、大まかなことはそういうことであろうと思いますが、検討してまいりたいと思います。
○石田(祝)委員 労働省の方に来ていただいておりますので、最後にお聞きをしたいのですが、高齢者の雇用ということと雇用保険の制度の中での雇用保険の給付、いわゆるやめた後の給付の日数の問題でちょっとお伺いをします。 私が地元へ参っておりましたときに、ある工場を経営されている方からこういう話を聞きました。私たちはある程度地元の企業として地元のお年のいった方も雇いたい、長く雇用をさせていただきたいという考えはあるんだけれども、例えば雇用保険の給付日数は、六十五歳でやめた場合に現在三百日雇用保険が出ます。それが六十五歳以上でやめますと百五十日になるのですね。ですから、日額掛ける三百日分が日額掛ける百五十日になります。 ですから、これは高齢者を雇用していくという考え方から外れているんじゃないか。六十五歳を境にして、三百日もらえたものが、なおもうちょっと働いてもらいたい、地元に貢献をして、そういうお年のいった人もできるだけ働いてもらいたいという気があっても、六十五歳を超えた途端にやめたときの雇用保険の給付日数が半分になってしまう、これはどういうものでしょうか、これからのそういう社会の仕組みを考えたときにおかしいんじゃないでしょうか、こういうふうな疑問を提示されたわけでありますけれども、最後に、労働省来ていただいておりますので、これはどういうことなのか、もうちょっとこれは考え直す必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○北浦説明員 お答えさせていただきます。 先生御指摘のように、私ども高齢者の雇用対策には大変力を入れているわけでございます。その一つの考え方といたしましては、まず六十歳の定年をともかく完全定着させなきゃいかぬ、それから、少なくとも六十五まで働きたい方は働けるというふうにつくっていく、こういうことが最大の使命であるということでございます。現状においてまだまだ不十分な点があるわけで、その中で頑張っているわけでございます。 御指摘になった点は、まさにその六十五歳以上の方ということでございまして、私ども、基本的な考え方は、幾つになっても働きたい方が働けるようにしていく、これが大事なことであろうと思っております。労働省といたしましても、六十五歳以上の方であっても、公共職業安定所に来ていただきましたならば職業のあっせん等をやっているわけでございますし、その他関係の相談施設等も整備してきたわけでございます。 その中でこの雇用保険制度をどのようにとらえるか、こういうことでございますが、昭和五十九年の法改正のときに、六十五歳以上の方の実態を見てみますと、一般的にはもう引退過程にある。したがいまして、もうお仕事をなさらない方も大変多くなっております。また一方に、お仕事をなさるといっても短時間就業あるいは隔日勤務、二日に一遍しか働かないとかあるいはごく簡単な軽労働のみにつく、こういう方もいらっしゃるわけでございます。そういうように就業の実態というのが非常に多様化しておりますし、また、全体的には引退の傾向が強くなっておる。 そういう方々の実態を見てみますと、保険制度の対象にならないような労働をなさる。ほとんど生きがい労働、こういったような方も多いわけでございます。その中には、御指摘のあったような生活のために働く方もいらっしゃることも事実でございます。しかし、全体として見ればそういったように引退傾向にある。したがいまして、その中において通常の雇用保険の制度は、これも御案内のとおりでございますが、四週間に一遍安定所に来ていただいて、フルタイムの仕事につくことのいろいろ御相談をさせていただきながら失業の認定をする、それによって保険を払う、こういう仕組みでございます。 それに対しまして、今申し上げたような六十五歳の方々の実態でございますと、そういうように毎月毎月というのではなくて、むしろその六十五歳の時点において一度御相談をいたしまして、あらかじめその保険金を支払ってしまい、それによって自由にいろいろ活動していただいた方がベターではないか、こういうような一つの割り切りから、昭和五十九年に、六十五歳以上の方につきましては一時金という形であらかじめ保険金を支払い、むしろその後の求職活動においてはその方々の実情に応じてやっていただく、こういうふうにしたわけでございます。 したがいまして、三百日のところが半分になったではないか、こういう御指摘もそういうときに生まれたわけでございますが、全体の流れの中で考えますと、むしろ高齢者の就業の実態に即して、自由に求職活動をしていただきやすい環境をつくったつもりでございます。しかしながら、そういったような投書をいただいているようなこと、また、高齢雇用対策が非常に重要になっていく情勢もございます。私ども、先般の雇用保険制度の改正の関係で、中央職業安定審議会で今後の高齢化社会への対応ということもにらみながら、現在雇用保険制度のあり方についていろいろ議論をしていただいているところでございます。そういったところの中で、その議論の推移の中で、私どもそういったような問題も当然取り上げられていくだろうと思っておりますので、その辺十分議論の推移を見守って対処させていただきたい、こう思っております。
○石田(祝)委員 終わります。
○牧野委員長 大野由利子君。
○大野(由)委員 先日のNHKの報道によりますと、東京都が自治体として全国で初めて行いました調査によって、有害物質のPCBが入った使用済み電気機器の五分の一近くが紛失したり行方不明になったり、廃棄物として不法投棄された疑いが非常に濃い、そういうことが判明したという報道がなされておりました。岐阜県でも同じように調査したところが、やはり二〇%が所在不明で、不法に投棄されている疑いが強い。たまたま調査した東京と岐阜でこういう結果が出たということは、他の地方においても同じようなことが予想されるわけでございます。 今回、全国調査が必要と思われるわけですが、これはいつ調査を実施されるのか、いつごろまでに調査結果をまとめられるおつもりなのか、通産省に伺いたいと思います。
○青柳説明員 現在、通産局がPCB使用電気機器の保有者の監視、指導を行う際に必要な台帳について、整備、管理を行っておるわけでございます。これは財団法人の電気絶縁物処理協会というところが作成して、通産局においてそれを保管、管理しておるという状況がございます。 それで、使用済みのPCB使用電気機器につきましては、この台帳を活用しつつ、通産局の協力のもと、産業廃棄物規制当局であります都道府県、それから政令市が実態調査することが最も適当であるというふうに考えておるわけでございまして、できるだけ早くこれが実施できますよう、厚生省とも早急に相談してまいりたいと思っているわけでございます。
○大野(由)委員 大体いつごろ調査をなさる御予定がというその時期を伺っているわけでございます。
○青柳説明員 今この場で何月ごろというのはちょっとお答え申し上げかねるわけでございますけれども、できるだけ速やかにやりたいというふうに思っておるわけでございます。
○大野(由)委員 このPCB入りの電気機器、コンデンサーとかトランスとか、昭和四十七年にPCBの製造が中止されたときに既に約三十七万台あった、そのように言われているわけでございますが、これが不法に投棄されますと回収は不可能で、やがては鉄製の容器が腐食して、中のPCBが漏れ出して、重大な環境汚染につながる大変恐ろしい状況であるわけでございますので、ともかく早急に調査をしていただいて対策を講じていただきたい、そのように思うわけでございます。 それで、昭和四十七年といえば二十年前に製造停止になって、通産省が責任を持って保管をしているメーカーを監督する、そういうふうになっているわけでございます。今回、所在が不明というものが約二割から出てきたということは大変な問題であるわけですが、この二十年間で全国で約十三万とか、また十七万とも言われていますが、こうした有害なPCB入り電気機器等を民間企業に分散して保管をさせていたということ自体に問題があるのじゃないかな。管理責任者が仕事をやめてしまったり、会社自体が倒産をしたりということが当然考えられるわけでございますので、PCBが不法投棄されているのを通産省は黙認をしようとされていたのか、それともごみとして、廃棄物として扱うつもりでいらっしゃったのか、その見解を伺いたいと思います。
○青柳説明員 現在まで通産省といたしましても、使用済みPCB使用電気機器につきましては、昭和四十七年及び昭和五十一年の局長通達筆によりまして、事業所に対してもろもろの要請を行っているわけでございます。例えば、適切な場所における保管あるいは管理責任者の選任、管理台帳の整備、PCB使用電気機器であることの裏示等につきまして事業者に要請を行いまして、通産局に対しまして届け出を行わせているところでございます。現在はこれに加えまして、使用中の、まだ稼働中のPCB使用電気機器も含めまして、先ほど申し上げましたように財団法人電気絶縁物処理協会において台帳管理をしておりまして、この台帳に基づきまして通産局が毎年事業所に対する巡回等の監視、指導等を行っておるところでございます。 それで、管理中にこれらの機器が紛失、損傷した場合におきましては、産業廃棄物規制当局でございます都道府県に対しまして紛失届を提出して、指示を仰ぐように指導をしてきているところでございます。ただ、本件、いろいろなマスコミ報道にありますように、PCB問題は極めて大きな問題であるというふうに認識しておりまして、今後、例えば先ほど先生おっしゃいましたような集中管理方法とかあるいは効率的な処理施設の整備とか、そういった有効な対策につきまして関係省庁とも相談をしながら、早急に検討を行ってまいりたいと思っておるところでございます。
○大野(由)委員 私は、まず国が責任を持ってこの有害なPCB入り電気機器等を一定の場所に集め、一元的に管理をして、そして、今後どういうふうにこれを処理するかという対策を考えるべきではないか。今のように分散したまま各民間企業に持っていてくださいということは、これは必ず事故のもとである。責任を持って国が回収すべきではないか、そう思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○青柳説明員 PCB使用電気機器につきましては、基本的には産業廃棄物ということでございまして、廃掃法の中で事業者がそれを保管するという義務が課せられておりまして、従来まではその線に従って事業者による管理を指導してきたところでございます。ただ、いろいろな昨今の状況がございますので、今後につきましては厚生省と相談いたしまして、適切な方策について検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○大野(由)委員 今、産業廃棄物なのでという御発言があったのですが、昭和五十二年の参議院の公害対策特別委員会で、通産省の松村審議官は次のように答弁をされているわけです。 PCB使用機器を保有する事務所に対しましては、地方通産局を通じて立ち入り監視、指導等を実施し、これら機器の適正な保管が守られるように努めているところでございます。 なお、今後PCB使用電機の処理につきましては、昭和四十八年八月に電気絶縁物処理協会、これは財団法人でございますが、こういつた協会を設立いたしまして、この無害化処理事業の推進に当たっているところでございます。 このように当時国会の答弁の中で行われているわけですね。 それから、昭和五十一年に都道府県に出されました厚生省の環境衛生局水道環境部環境整備課長通知の「PCBを含む廃棄物の処理対策について」という通知の中に、「処理は財団法人電機ピーシービー処理協会が」この電機ピーシービー処理協会というのは、電気絶縁物処理協会の名前が違う同じものの協会のようですが、これが「一元的に行うこととし、現在、処理体制の整備に着手しつつある。」「これら機器が耐用年数を経て廃棄される場合には、同協会の倉庫に搬入され、適正に処理されることとされており、現在、処理体制の整備に着手しつつある。」これは五十一年の厚生省通知であるわけです。これは今も生きていると思うのですが、このとおり事が進んでいるのかどうか。倉庫が設置されてPCBの耐用年数が過ぎたものがここに集められている、そういう状況があるのかどうか、伺いたいと思います。通産省と厚生省、両方にお伺いしたいと思います。
○青柳説明員 先生おっしゃられましたように、確かにこれまで私ども通産省は、財団法人電気絶縁物処理協会を設立いたしまして、最終処理を前提といたしまして、処理施設の技術的検討とかあるいは必要なプラント施設の立地につきまして、いろいろと努力をしてまいったところでございます。この結果、安全に処理できる技術についてはほぼ確立したのではないかと思っておるわけでございますが、肝心の最終処理施設の立地につきましては、候補地の地元関係者の合意が容易に得られませんで、現在まで時が経過してきたという状況でございます。
○大野(由)委員 私の質問は、倉庫ができたのかどうか伺っているのです。
○青柳説明員 最終処理施設ができておりませんので、まだ倉庫はできておらないという状況でございます。
○大野(由)委員 厚生省の方にお伺いしたいのですが、倉庫ができないのには何か理由があるのでしょうか。
○小林(康)政府委員 先ほどお話がございました通知を出しました当時は、電気絶縁物処理協会におきまして熱分解等の中間及び最終処理の施設が実現化できるであろうという想定のもとでの指導でございましたが、ただいま通産省の方からお話がございましたように、結果といたしまして、処理施設の実現化には今日まで至っておりません。そのため、私ども、PCBを含みます廃棄物につきまして、厳重に保管をするということで来ておるわけでございまして、現実のところ、その事業者のもとでの保管の指導をしておるところでございます。 倉庫の点につきましては、通産省からお話がございましたように、処理施設ができる、それに付随をしてという構想で当時進んでおったものと私ども承知しております。
○大野(由)委員 全く安全な処理施設ができることが望ましいわけでございますが、立地条件とかいろいろなことでそれが一度に無理であれば、もう一つ前の段階で、まず、危険なPCB入り電気機器を民間のいつ倒産するかわからないような企業に預けておくのではなくて、国が責任を持ってこれを保管すべきだ、そう思うわけですね。それがどうしてできないのかということを伺っているわけでございますが、これは何か処理施設がはっきりしなければ集めることができない、厚生省の方でそういうふうにブレーキがかかっているわけですか。
○小林(康)政府委員 廃棄物処理法を所管いたします私どもといたしましては、環境汚染を生じないよう、また、その行方が不明にならないよう適切に保管をするという点が重要でございまして、具体的にどういう形で保管をするかという点につきましては、処理法は特段の規定あるいは制約条件がございません。 現実といたしまして一元的にという方向に来ておりませんのは、一元的に集める処理責任といいましょうか、その責任をそこに持たせるかどうかのところの議論が現在のところ詰まっておりませんので、処理法上第一義的に責任を持っております、それを使っております。あるいは所有しておりました者の責任で保管をするというのをまず基本に置いて保管の徹底を期している、こういう事情でございます。
○大野(由)委員 さっき申しました電気絶縁物処理協会が耐用年数が来たこうしたPCB入り電気機器を廃棄される場合には、同協会の倉庫に搬入して、そして適正に処理をする、そういう処理体制の整備をするというふうになっているわけでございますし、それから、この電気絶縁物処理協会の事業内容を見せていただいたわけですけれども、これも単なる技術の研究というだけじゃなくて、ここの協会がどういう事業をするのかというと、電気絶縁物の無害化処理技術に関する調査とか試験研究、これはやっていらっしゃるようでございますし、あと電気絶縁物の保有状況に関する調査もやっていらっしゃるようですが、電気絶縁物の回収、これも事業の一つになっているわけですね。そして、電気絶縁物の無害化処理及びその推進、それも事業の中に入っているわけです。 ところが、その回収とか処理が全く進んでいない。まずこれがスムーズに進められるように、もしこれが廃掃法の中で何か縛りがあるのであれば、処理協会が責任を持って倉庫に集めることができる、そういうふうにもう少しすべきじゃないか。この大変有害なPCB入りの電気機器が全くばらばらにそれぞれの業者にあることは、とてもじゃないけれども国民は不安であるわけでございますので、まずこれを回収すべきじゃないか、そう思うわけですが、これについて通産省に見解を伺いたいと思います。
○青柳説明員 例えば国による集中管理あるいは財団法人電気絶縁物処理協会による集中管理等々、そういったお話かと思います。 最終処理施設の立地が現在まで極めて難航してきたという状況もございますし、どこか一カ所に集中保管するという話になりますと、多分またその立地というのはかなり困難ではないかと思うわけでございます。ただ、そうはいってもいろいろな問題が出てきているわけでございますので、そういった集中管理方式とかいうものを含めまして、関係省庁とも相談しながら検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○大野(由)委員 この電気絶縁物処理協会というのは、昭和四十八年に、民間、業界からだけじゃなくて、競輪資金からもお金が出て通産省がつくった協会でございます。この協会が責任を持ってPCB入りの電気機器は処理をする、そういうことでスタートして、二十年たって何ら進んでいない。何ら進んでいないところか、全く行方不明になったままになっている。電気絶縁物処理協会に伺って話を聞いてきたわけでございますけれども、倒産したのでPCB使用機器をどうしたらいいかという質問の電話が毎月一件から二件協会に入るそうでございます。協会は通産省に聞いてくれと言っているそうですが、通産省はそのときどういうふうにお答えしていらっしゃるのでしょうか。
○青柳説明員 倒産に関する問い合わせのときには、債権引き継ぎ者に対してしっかりと引き継ぐようにというふうに答えておると思います。
○大野(由)委員 そんなのが引き継がれるはずがない。本当に無責任きわまりないのじゃないか。国民の健康を一体どう考えているのだろうか、私はそういうふうに思います。本当にこうした問題に通産省は責任を持って対処していただきたい。 もっといろいろ質問させていただきたいわけですが、時間も余りございませんので、もう一つ。 今、コプラナPCBが東京都の魚の三分の二から検出された、また母乳からも検出されたということが出ております。このコプラナPCBというのは大変な毒性を持っておりまして、ダイオキシンの毒性に近い。近いだけじゃなくて、生体にたまる蓄積性が非常に高いものですから、この蓄積性と毒性を掛け合わせるとダイオキシン以上に毒性は大変高い。そういうものだそうですが、このコプラナPCBが今まで市販されていましたPCB入りの電気機器から検出されるというか、そういうことが予測されているわけでございます。もちろんそれだけではないかと思いますが、主として市販されているPCB製品からコプラナPCBが検出される、そういうふうなことを考えますと、このPCB入りの電気機器がどのように扱われるのか。不法投棄されて地中に埋められたりというようなことがあると大変恐ろしいわけです。 このコプラナPCBについて、今PCBは魚とか食品の残留基準が決められているわけですが、PCBの中でも主たる毒性はコブラナPCBじゃないか、研究者の間でそういう意見が強まりつつあるようでございますが、コプラナPCBは食品とか水道の水に対して残留基準が決まってないのですね。これを当然決めるべきではないかと思うのですが、見解を伺いたいと思います。
○玉木政府委員 ただいまの御質問でございますが、PCBの中にコプラナPCBが入っておるということは、以前からわかっておったことだと我々伺っております。 したがいまして、いわゆるPCBの本体、原体ともいいますが、本体の中にはコプラナPCBが大体〇・五%ぐらい含まれておるということが学者方の研究報告の中にございます。そういうものを含めてPCBの基準というものを、暫定基準でございますが、昭和四十七年に慢性毒性試験その他をやりまして基準を決めております。いわゆる動物実験その他を行いまして基準を決めておりますので、特別にコプラナPCBだけを取り出して基準を決めなければならないということはないのじゃないか、全体で決めておりますので。そういうぐあいに考えております。
○大野(由)委員 時間も迫ってまいりましたので、最後に大臣に伺いたいと思うのですが、先ほどのPCBの調査を早急にやっていただきたい。それから、民間任せではなくて、まず危ないものは、特に倒産したりする中小企業の電気機器は集める、責任を持って国で保管する。その後どうするかはその次の課題といたしまして、責任を持って保管する。二割もどこかに打っちゃったということは絶対あってはならない、そういうこと。 それからもう一つ、今ちょっと答弁いただきましたが、コプラナPCBがPCBの中の毒性の本体だと思われている状況の中で、PCBは残留基準が決まっているけれども、コプラナPCBの残留基準がなければ、これは当然検討していただいて、そしてこの残留基準を設けなければいけないのじゃないか。このことについて大臣の御見解と御決意を伺わせていただいて、最後にしたいと思います。
○山下国務大臣 非常な御心配をおかけして、私どもまだ不十分な点があるということでございましょうか。いずれにいたしましても、私ども専門家によく相談いたしまして、御心配の点がないように今後さらに気をつけてまいりたいと思います。
○大野(由)委員 以上です。
○牧野委員長 児玉健次君。
○児玉委員 この四月三十日、私は、北海道の保険医会の十数名の先生方から、今回の診療報酬の改定に関して非常に率直な御意見を伺う機会がありました。 そのとき歯科の先生から、義歯は扱えば扱うほど経営が困難になる。全体として義歯を扱うことについて敬遠する傾向が強くなる中で、町であのお医者さんのところに行けばぴったりしたいい義歯が入れてもらえる、こういう評判が立つと、そのお医者さんのところに今まで以上に患者さんが集中して、ますます経営が困難になっている。そういう歯科医の方にとって、しっかりした歯科技工士を見つけて、そして確保することがこれまた難しい、そういうお話が一斉に出されました。 歯科医の方々から出された強い不満の中で、今回の診療報酬の改定で装着料について三百四十点、装着後一カ月以内の調整は有床義歯指導料、簡単なもの六十点、困難なものは百五十点、こういうふうになっている。ところが、患者さんが来て義歯の調整をする、いろいろ工夫してみても平均して三十分はかかるとおっしゃるのです。それに対して六十点とか百五十点というのは余りに点数が低過ぎる。しかも、その後調整が必要なとき、これはもう再診料二十七点、これで扱う以外にない。この部分を思い切って是正してほしいのだ、こういう強い声が出ておりますが、この点いかがでしょうか。
○黒木政府委員 歯科の診療報酬、御案内のように、私どもは、基本的には全体の点数なり診療報酬で歯科の経営というものは維持されるべきものであるというふうに考えておりまして、そこのところの部分だけで採算か不採算がというのは、余り議論すべき事柄ではないと思うわけでございます。しかしながら、これからの高齢化等も考えまして、私どもは、義歯あるいは補綴等の診療報酬について、これまでも改定の都度いろいろと引き上げ等の措置を図ってきたつもりでございます。 ただいまの御指摘は、義歯の調整について、調整には三十分以上もかかるのに点数が低い、あるいは一カ月経過後にも調整が必要なのに、これがとれないというような御質問だと思います。 まず、義歯の調整でございますが、御指摘のように、有床義歯指導料という中で調整料も見ておるわけでございます。指導料と調整料別建てという御議論もあるでしょうけれども、指導と調整は一体のものとして行われる方が望ましいということから、一本の点数の中に込みで見ているわけでございまして、簡単なものが六十点、困難なものは百五十点ということになっております。私どもは、これで調整料としては相当合理的な点数になっていると思いますが、一カ月経過後の調整につきましては、調整は義歯装着後一カ月以内におおむね二、三回で調整ができるというのが歯科医学の常識であると聞いておりますし、装着後余り時間をかけて調整するというのは、患者本人にとってもいかがなものかと思うわけでございまして、一月以内で算定ができるようにしております。 なお、治療が完了した後、再び義歯による症状を訴えてこられた場合には、別途また六十点が一月に一回算定できる取り扱いになっておりまして、私としても現在の点数で合理的に評価をしているつもりでございます。
○児玉委員 厚生省は、現場でこの分野を担当して苦労されている方々の声に対して、私は謙虚である必要があると思いますね。 今局長は部分を取り上げてとおっしゃったけれども、歯科医師の先生方が一番不満だというのは今の部分なんですよ。そして、おっしゃるとおり、装着後、一応治癒とされた後に患者がその義歯をさらに合わせてほしいと言ったとき、確かに六十点見られていますね。六十点が貨幣で幾らかというのはもうここで言う必要もないので、そういったものが今日の総義歯についての国民のいろいろな不満の重要な要素になっていますよ。一方、全体でというお話ですから、今度は社会保険で五千百七十点、そして老人保健では五千三百七十点、これで十分でないという声が大きく噴出しているではありませんか。総義歯の製作料が千四百点掛ける二倍。この点数は前回も今回も変わりがありません。据え置かれている。 そして、歯科技工士の方の年間労働時間。先日私の部屋に東京の技工士の方がお見えになりましたが、大体開業されている人でいえば、年の労働時間が三千時間だそうですよ。人によっては四千時間働いている人もいる。それほどまで頑張っているわけだが、厚生省の衛生業務報告によれば、現に就業されている技工士さんの数は、昭和六十三年の三万二千五百十八人から一九九〇年、平成二年三万二千四百三十三人と、数年間ずっと着実に数がふえていたのが、この最後の段階で確実に人数が減っていますよ。なぜこの現象が生まれたんでしょうか。
○黒木政府委員 現場の声を知らないんではないかということでございますけれども、私ども、事あるごとに歯科を経営されている人、その他について意見は聞いているつもりでございます。したがいまして、従来歯科の診療報酬は一%以下という形で、非常に低いアップ率にとどまっておりましたのを、本当に数年ぶりに二・七というふうに、私どもは歯科の診療報酬は思い切って引き上げたつもりでございます。 そして、配分に当たりましてはいろいろ御議論いただきました。国会でも歯科については初診料が安過ぎるんではないか、医科に合わすべきじゃないかという意見も相当御見からもいただいたわけでございまして、そういうことから中医協を含めまして、関係者を含めまして、どこの点数にめり張りをつけるべきかということで、初診料もございましょう、再診料もございましょう、あるいは歯槽膿漏のようなものも非常に重要になっておりますから、そういう配分について関係者の意見を十分聞いて、私どもは対応したつもりでございます。なお一層現場の意見を聞きながら努力をしてみたいと思っておるわけでございます。 確かに先ほどの御指摘のように、歯科技工士の就業者数が減っているようでございます。先生御案内のように、歯科医師に対しまして歯科技工士というのは、技工所で働かれるということの意味においてとりますと、年々歯科診療所に対しましてあるいは歯科医師に対しまして、歯科の技工所というのは増加率が高いわけでございます。かつて十対一だったものが昭和六十年ぐらいに四対一ぐらいで、だんだん歯科技工所の数というのはふえておるわけでございまして、言ってみれば、かなり過当競争になっているんではないかという気がいたすわけでございます。そういう意味で、技工所の方が少し経営が苦しくなっておるということのあらわれかなというふうに思います。 突然のお尋ねでございますので、ポイントが外れておるかもしれませんが、感想でございます。
○児玉委員 局長の今のポイントを外れているという部分が極めて正確ですよ。その技工士の経営が困難になっている結果、数が減っていますね。 そこで、今回の改定で、私たちはリアルに見ています。いいところはいいというふうに見なきゃいけないと思っておりますが、歯科衛生士の行う患者に対する指導を加算するという形でお認めになった、これは一歩前進だと思いますね。歯科技工士についても、保険診療上で医療の専門技術職としての役割を明確にして、例えば先ほどの総義歯千四百点掛ける二倍、その中でどの程度を技工料の基準として示すのかという、この点で厚生省としてはやはり一定の線を出すべきだと思いますし、あわせてその際、歯科医の経営が成り立つように、補綴関係の点数については二倍以上に引き上げることを今検討すべきではないか、この二点についてはどうですか。 技工士の技工料の基準を明確にするということと、それを同一のどんぶりの中で歯科医と技工士が奪い合うのでなく、全体として成り立つように補綴関連の点数を二倍以上に引き上げる、この二点について簡潔にお答えいただきたい。
○黒木政府委員 これはもう御案内のことだと思いますけれども、歯科技工料につきましては、昭和六十三年の診療報酬改定におきまして、製作技工に要する費用がおおむね百分の七十、製作管理に要する費用がおおむね百分の三十ということで告示を定めたわけでございまして、私どもは、これが費用の平均的、標準的な割合ということで広く周知をいたしたところでございまして、それによって歯科技工を委託する場合の円滑な実施に資しているものと考えておるわけでございます。 それからもう一点は、補綴関連を二倍以上に引き上げよという御要請だと思いますけれども、この四月に引き上げたばかりでございますし、先ほど申しましたように、私どもは、医業経営がどうかということで、その収支差を医業経営実態調査の中で見ながら、引き上げの枠と申しますか、トータルとしての医業を支える費用の引き上げ幅を決めたわけでございまして、その配分をどうするかということになりますと、補綴関係を大幅に引き上げますとほかの技術料評価が下がるということになるわけでありまして、ではトータルを上げればいいじゃないかということになりますと、もう御案内のように、診療報酬は国民の負担で成り立っているわけでございますから、合理的な説明ができない以上に歯科医業だけたくさんの収入を得るというのも、いかがなことかと考えるわけでございます。 私どもとしては、歯科補綴について非常に困難な技術を伴う、手間暇のかかる技術だというのは十分承知をいたしておりますので、その辺は今後検討すべき問題だというのは承知をいたしております。
○児玉委員 昭和六十三年五月三十日の告示については承知をしています。それがどのように実態的に効き目を発揮しているのか、そこのところを厚生省としてはもう少し目を配るべきだと思います。 この分野で最後の点なんですが、山下厚生大臣は、たしか三月十一日の予算委員会の分科会で、歯科の改善について中医協と相談すべきだという質問があったのに対し、会議録を拝見しますと「よくわかりました。その点は私どもからもよく伝えたいと思います。」とお答えになっているし、そして今局長から御堂の質問とおっしゃったが、四月七日、参議院の厚生委員会で沓脱委員がまさしくこの問題で質問しています。大臣は「いずれにいたしましても十分真剣に検討すべき問題ではあります。」とお答えになっております。時あたかもこの二十九日に中医協の全員懇談会があるそうですから、そこで大臣としては国会における歯科、とりわけ総義歯の関連の問題についてきちんと報告をしていただけるんだと思うのですが、いかがでしょうか。
○山下国務大臣 まだ中医協には話しておりませんけれども、適当な時期にということは私も念頭にございます。 ただ、先生のおっしゃるように、この前も御答弁申し上げたと思うのですけれども、ただ安いから高いからによって、いいとか悪いとかという問題ではないんじゃないかと私は思う。特に歯科の技工なんて極めてデリケートなことでございまして、同じ歯科医と同じ技工士が組んでやっていても、時によっていい場合も悪い場合もあるわけでございまして、問題は一カ月にどの程度の収入を得ておられるか、そういう点は大いに考慮しなきゃなりませんが、ただ値段だけでという先生の御判断に必ずしも私はついていけない面があるのでございます。しかし、先生の御意見としては承っておきますよ。 いずれにいたしましても、しかるべき機関に、さっき申し上げた中医協その他には、適当な時期に私からも話はすることにいたします。
○児玉委員 前段のお話はもう少し議論しなきゃいけませんが、まだ課題がありますので。ちょうど二十九日にあるんですから、タイミングもいいじゃないですか。ぜひ伝えていただきたいと思います。どうですか。
○黒木政府委員 大臣からそのような御答弁をなされたことは十分承知をいたしておりますので、それを踏まえて次回の中医協、これはどういうふうに議事を進めるかというのは会の方向でございますけれども、機会があれば私どもの方から説明のチャンスを得たいと思っております。
○児玉委員 次に、外来部分の大幅削減について伺いたいと思うのです。 今回の改定で内科再診料、そして慢性疾患外来医学管理料が廃止されています。七十項目の慢性疾患が十八項目の特定疾患療養指導料に減らされて、点数減もある。さらに、二百床以上の病院についてはそれが一切算定されていない、こういう状況ですね。厚生省は、参議院での我が党の沓脱議員の質問に対して、対象患者に関して言えば、この特定疾患療養指導料に切りかえたとしても八割強はカバーできる、そういうふうにお答えになった。これはいろいろな積算その他をなさってのことだと思うのです。膨大な作業をなさったと思う。今ここでそれを一々答えてくれとは言いません。皆さんの作業なさったデータをこの際公表されてはいかがでしょうか。
○黒木政府委員 御指摘のように、八割程度になるのではないかという見込みをお答えしたわけでございますが、これは厚生省が実施いたしております平成二年度の社会医療診療行為別調査の結果をもとに試算した結果でございます。具体的に申し上げますと、従来は慢性疾患指導料の対象疾病に係る患者数を七百六十万人と見でおったわけでありますけれども、今回対象疾患を整理したことに伴いまして、今回の新たな特定疾患療養指導料の対象疾患に係る患者数は、六百一万人というふうに推計をした結果を申し上げたわけでございます。
○児玉委員 ですから、その六百一万人、どの疾病についてはかくかく、こっちの疾病についてはしかじか、そしてこの疾病については外したというあたりの判断のデータを公表すべきだと思うのです。そのことがこの診療報酬についての、もしかしたら現場の医師の信頼を高める一助になると思うのです。いかがですか。
○黒木政府委員 社会医療診療行為別調査というのは公表いたしているわけでございますから、今直ちにということはできませんけれども、担当の方がこれに基づいて推計しているわけでございますから、お出しできます。
○児玉委員 次に、特定疾患の中にてんかんが入っておりません。このことについて山下大臣のところに日本てんかん協会から要望書が出されていると思いますね。そこでこのてんかん協会の皆さん方は、「現在まで専門医を中心として築き上げられてきたわが国のてんかん専門医療がすべて根底から破壊され、日本に百万人以上いると思われるてんかん患者の診療は荒廃することになります。」こう述べています。 御承知のように、てんかんについていえば、専門外来に依拠する部分が非常に多い。そこのところが慢性疾患指導料の廃止、一律にやられてしまう結果、てんかん患者に非常に大きな不安と危倶を与えていますね。このてんかん協会の要望書に対して厚生大臣はどのようにお答えになっているのですか。
○黒木政府委員 その前に、まずどういう意図で今回整理を行ったかということでございますけれども、慢性疾患患者の日常生活等に対する療養上の指導を評価するというのが慢性疾患指導料の本旨であったわけでございます。ところが、毎年毎年それに対する疾病名を追加していきまして、それが非常に膨大な形になりまして、中には急性の感染症、脳髄膜炎とかポリオだとか日本脳炎みたいなものまで、ほかにもたくさんありますけれども、この慢性疾患指導料の対象になってきたということで、医療の関係者等から、そういうものまで含めるというのは本来の趣旨からいかがなものかという意見を絶えずいただいたわけでございまして、今回そういうことから、慢性疾患のうち、栄養、運動等の日常生活についての指導がその療養上特に重要な地位を占める疾患というようなものを優先的に取り上げさせていただいた結果、てんかん等が落ちることになったわけでございます。 そこで、私どもも、これは小児科の療養指導料で受けられるかなと思っていたわけでございますが、大人の方のてんかんということで、はたと当惑をいたしたのが正直なところでございまして、したがって、これは解釈通知で、中医協の御理解を得ながら、大人にまでこれを適用するという形で、大臣とも御相談の上、踏み切らさせていただいたものでございます。
○児玉委員 先日、医療法の質疑のときに、私は筋萎縮性側索硬化症のことを扱っていらっしゃるすぐれた専門医のいろいろな言葉をこの委員会で紹介しました。そのお医者さんから強い訴えとして出ているんですが、パーキンソン病、十万人当たりの有病率が六十人から百人に及ぶそういう方々についても、専門医が外来で適切な投薬を続ければ、十分その方々を守っていけるというのですね。 最近の病院における専門外来の発展というのは非常に著しいですね。そしてその分野は、もしかしたら厚生省がよく言われる入院の期間を少なくするということについて大いに寄与していますよ。ところが、今度の診療報酬では、病院は入院、外来は診療所、こういうふうに機械的に区分した結果、今の成人のてんかんの方がどうなるのかとか、パーキンソン病、ベーチェット病、そういった部分について大きな矛盾が噴出していますね。ここのところを速やかに是正すべきだ。いかがですか。
○黒木政府委員 私ども、診療報酬改定を行う際に、中医協ともいろいろと御相談をしながら進めておるわけでありますけれども、今の医療のあり方というものを見ますと、機能、役割等をもう少し明確にしないと医療が混乱するのではないかという意見が大半でございます。 病院については、御案内のように三時間も待つとか、入院患者へのサービスの質が低下を見ておりまして、外国に比べても何倍という長期入院の形になっておりますし、まずいとか、あるいは狭いとか、いろいろな意味での入院の質が問われている時代でございます。したがって、私どもは、外来はやはりプライマリーケアとしての診療所、そこの機能をフルに発揮していただくとして、病院というのは入院サービスの質を高めることが非常に大事だという認識に立ちまして、入院機能に重点を振り向けたという形になっておるわけでございます。 そこで、お尋ねのパーキンソン病等については、従来は病院も含めて慢性疾患指導料がとれていたわけでございますが、病院は入院機能ということから、今回、個々の点数としては中小病院を除いてとれなくなったわけでございます。しかし、私どもは、そういう専門外来的な機能を無視しているわけではございませんで、大いに病院等はそういう難しい管理を必要とする患者をこれからも診ていただきたいと思うわけでございますけれども、今後のあり方として、病院の診療報酬改定上の配慮として入院のところに、特に看護婦さんがたくさんおられるようなところに配分をしたということから、そこまで手が回りかねているという状況でございまして、そういう専門的な外来についてこれからどうするかというのは、これからの検討課題だと思っております。
○児玉委員 検討課題だと言われて片づけられたのでは、その分野を担当されている医師にとってはもう大変なことです。皆さん方の今度の四月一日の診療報酬の改定で、内科再診料やさっきの慢性疾患に対する管理科、これらが廃止される。現場の医師にとっては文字どおりこれは抜き打ちです。本当に驚天動地という印象で受けとめられています。 厚生省は、三月七日に保険局長から都道府県の知事にあてて出された通知で、今回の診療報酬の改定の趣旨についていろいろ書いていらっしゃる。薬価差益に依存する病院体質でなく云々、そのあたりは、もしそれが本当にそのようになるのであれば、私たちば異を唱える人は少ないだろうと思います。じゃ、どこの部分で病院、診療所の経営を支えるかといえば、当然それは技術料です。適切に評価しなきゃいけない。局長の知事あての通知の中でも、「技術料重視の観点からの評価」こういうふうに明記されています。ところが、実際は先ほどの内科の再診料にしろ外来医学管理料にしろ、すぐれてこれは技術料じゃありませんか。技術料を評価すると言いながら、実際にやっていることはそれと全く裏腹である。 石川県の医師会の代議員会がこの四月十九日、「無床診療所の経営を悪化に導き、有床診療所・中小病院つぶしを図っている。これは正に国民医療の崩壊を招くものである。」こういう決議もされていますね。医療の各分野で今回の診療報酬に対して非常に厳しい批判が上がっているわけですから、厚生省は緊急に診療報酬の再改定に取り組むべきではないか。いかがですか。
○黒木政府委員 今回の改定は、御案内のように、私どもは質の高いサービスを目指したわけでございまして、従来のようにスタッフがいないところもイコールの評価というのはいかがなものかということで、医師がちゃんといる、看護婦さんがたくさんいる、それから例えば、先ほど言い忘れましたけれども、在宅医療をしっかりやっているというようなところは、相当大幅に上がるようにしているわけでございます。したがいまして、今回の改定は、非常にきつい批判があるというお言葉でございますけれども、非常に高い評価をしてくださっている方もたくさんいらっしゃるわけでございまして、私どもは今後の医療のあり方、方向から見て、今回の方向というのは正しいというふうに思っております。 全体としての医業経営という点から見ますれば、私どもは、医業経営実態調査に基づきまして、収支差が生じないように、全体として経営ができるようにしたつもりでございますから、緊急に手直しをするつもりは持っておりません。 さらに、先ほど専門外来は今後の課題と申しましたけれども、ほかの外来とか通院を評価していないわけでございませんで、例えば難病等が対象となります在宅医療は、大幅に約一六%程度引き上げも見ているわけでございまして、全体的な評価でぜひ御評価をいただきたいと思うわけでございます。
○児玉委員 願わくば、厚生省は裸の王様になったらまずいですね。やはりきちんと現場の声を聞いてほしい。 そこで、もう少しで時間がなくなりますが、今回の改定で医療法基準という言葉が随分出てきます。病院の中で医療法の標準を満たしていない病院がどのくらいあるか、医師と看護婦の別でその率を示していただきたいと思います。
○古市政府委員 平成二年度の調べによりますと、医師につきましては満たしている割合は全体の四五・五%、看護婦につきましては全体の七七・四%となっています。
○児玉委員 ここで最後に厚生大臣にお答えいただきたいのですが、日本の医療を診療報酬という名前の経済的強制力で思うままに政策的に誘導していく、それがこの仕組みだと思いますね。医療政策の面で、今日の日本の医療を左右するという点で決定的に重要な役割を果たしているのですが、国会審議を経ることがありません。しかも、ごく短時日の中医協での密室の審議によって事が運ばれる。ここは改めるべきだ。そうしないと日本の医療行政に対する国民の信頼というのは増していかない。この二点について大臣のお答えをいただきたいと思います。
○山下国務大臣 診療報酬のことについて経済的強制力というお言葉をお使いになりましたけれども、これも所管は厚生省でございまして、我々としては、これも一体化しながらいろいろな医療の中でやっているわけでございまして、決して秘密裏といいますか、政治の世界でも秘密裏にやっている部分もあるかもしれませんね、ですから、それよりもむしろ医療の方がもっとオープンでやっていると私は思いますよ。 さっき、てんかんの話等についていろいろ出ましたけれども、難しいものはなかなかすぐお答えできない面もあります。てんかんというのは、御承知のとおり治療も難しいし、かかりつけの医者ですぐ治るようなものじゃないですから、これは点数についてはなかなか難しい面もありますけれども、しかし、他の一般的な医療については、診療報酬についてもオープンで私どもやっているつもりでございますし、また、私は今度の診療報酬の決まったときも、医師会長を呼んで、かくかくしかじかであるとちゃんと言って聞かせてやっているわけでございまして、どの部分を強制力とおっしゃるかよくわかりませんが、どうかそれは誤解なさらないように、極めて民主的にやっているわけでございまして、今後もその方針でやってまいります。
○児玉委員 中医協の審議の公開、そして、そこで提起される中身が突然今度の四月一日に出されるということでなく、医療政策を左右する以上、これは国会の審議も経なければいけない。この点については引き続き議論をしていくことを述べて、終わります。
○牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時八分散会