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123回国会衆議院1992/03/25

決算委員会 第2号

発言数
175
登壇者
30
会派数
4
開催日
1992/03/25

会議録

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 これより会議を開きます。  平成元年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中北海道開発庁及び沖縄開発庁並びに北海道東北開発公庫、沖縄振興開発金融公庫及び会計検査院所管について審査を行います。  この際、伊江国務大臣及び中村会計検査院長の概要説明並びに会計検査院の検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    平成元年度北海道開発庁決算の概要説明  平成元年度における北海道開発庁の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、及びこれに基づく事業の実施に関する事務の調整・推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費、北海道開発計画費、一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策・道路整備・港湾漁港空港整備・農業基盤整備等の事業費であります。  これら開発事業費の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移替え又は特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  平成元年度の当初予算額は六千九百九十七億四千六百四十九万円でありましたが、これに予算補正追加額四十六億三百三十七万円余、予算補正修正減少額九千五百六十二万円余、予算移替増加額三千八百十五万円余、予算移替減少額二千八十二億八千七百六十万円余、前年度繰越額六億五千八百十万円余、予備費使用額一億二千五百八十三万円余を増減いたしますと、平成元年度歳出予算現額は四千九百六十七億八千八百七十二万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は四千九百六十三億九千二万円余、翌年度繰越額二億五千九百二十九万円余でありまして、その差額一億三千九百四十万円余は、不用額であります。  次に、開発事業の執行のため、関係各省所管への移替え及び繰入れの状況を申し上げますと、移替えた額は厚生省所管へ一億三千百万円、農林水産省所管へ一千三百四十一億三百十万円余、運輸省所管へ六億八千九百六十五万円、建設省所管へ七百三十三億六千三百八十五万円、合計二千八十二億八千七百六十万円余であります。  また、特別会計への繰入れとして支出した額は農林水産省所管の国有林野事業特別会計へ百二十六億六千十四万円、農林水産省所管の国営土地改良事業特別会計へ七百三十五億七千三十八万円余、運輸省所管の港湾整備特別会計へ四百三十二億六千二百五万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ九十億三千八百四十四万円余、建設省所管の治水特別会計へ八百七十一億五百九十四万円余、建設省所管の道路整備特別会計へ一千九百四十八億六千五十二万円余、合計四千二百四億九千七百四十九万円余であります。  つぎに、その他の経費の支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費百八十二億六百十九万円余、北海道開発計画費一億三十四万円余、北海道開発事業指導監督費三億八千百五十五万円余、北海道開発事業の各工事諸費五百七十億七千百二十二万円余、北海道特定開発事業推進調査費九千三百九万円余、科学技術振興調整費二千三百五十三万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千四百五十八万円余であります。  以上、北海道開発庁の決算概要を御説明申しあげましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。     …………………………………    平成元年度決算北海道開発庁についての検    査の概要に関する主管局長の説明                会計検査院  平成元年度北海道開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    平成元年度沖縄開発庁歳出決算の概要説明  平成元年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁の歳出予算現額は、一千三百六十二億五千五百四十五万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、一千三百二十三億七千四百五万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十五億四千二百七十九万円余、不用となった額は、三億三千八百六十万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百九十一億二百七十九万円余、予算補正追加額一億五千七百五十二万円余、予算補正修正減少額七千八十四万円余、予算移替増加額九十四万円余、予算移替減少額八百八十七億一千六百八十九万円余、前年度繰越額五十七億八千百九十二万円余を増減しまして一千三百六十二億五千五百四十五万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計及び国営土地改良事業特別会計へ繰り入れた経費一千八十七億五千五百二十万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額三十五億四千二百七十九万町余は、補償処理の困難、用地の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、道路整備特別会計等への繰入れが年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった三億三千八百六十万円余は、空港整備特別会計へ繰入等の必要額が予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして平成元年度沖縄開発庁の決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    平成元年度決算沖縄開発庁についての検査    の概要に関する主管局長の説明                会計検査院  平成元年度沖縄開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    平成元年度決算の概要             北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫の平成元年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫の平成元年度の事業計画は、当初、総額一千六百八十八億円の出融資(うち貸付金一千六百七十五億円、出資金十三億円)を予定しておりました。  これに対し、実績は、貸付金一千六百四十七億七千七百万円、出資金二億四千四百万円で、平成元年度の出融資合計は、一千六百五十億二千百万円となり、前年度実績に比較し、九・八パーセントの増加となりました。  これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金四十二億円、政府借入金七百四十三億二千百万円、債券発行による収入六百四十九億八千八百万円、及び自己資金等二百十五億一千二百万円、合計一千六百五十億二千百万円をもってこれにあてました。  次に、平成元年度の収入・支出の状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額五百二十八億四千五十三万円余に対し五百六十四億八千七百五十一万円余、支出済額は、支出予算額五百六十一億五千九百九十五万円余に対し五百五十八億一千二百四十万円余でありました。  また、平成元年度の損益状況でございますが、貸付金利息収入等の益金総額が六百十二億四千二百九十一万円余、支払利息、事務費等の損金総額が、貸倒引当金繰り入れ前で五百六十八億三千二百七十二万円余となり、差額四十四億一千十九万円余を、全額貸倒引当金に繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、平成元年度末における資産負債の状況をご説明いたしますと、主な資産は貸付金八千八百九十九億八百四万円余、出資金百十四億五千三百万円、主な負債は政府借入金三千百七十四億八千百七十四万円余、債券発行高五千三百十二億九千三百万円、貸倒引当金四十四億一千十九万円余であります。また、政府出資金は五百九億円であります。  なお、平成元年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、八十一億五千四百五十四万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・九パーセントになっております。  以上、平成元年度北海道東北開発公庫の決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。     …………………………………    平成元年度決算北海道東北開発公庫につい    ての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成元年度北海道東北開発公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    平成元年度沖縄振興開発金融公庫の業務概    況  沖縄振興開発金融公庫の平成元年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  平成元年度の事業計画は、貸付として千五百八十二億円、出資として三億円、合計千五百八十五億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、出資については実績がなく貸付契約額が千五百七十八億円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和六十三年度末の貸付残高は八千六百六十七億五千万円余でありましたが、平成元年度中に貸付けを千五百三十七億五千万円余行い、回収が九百十九億七千万円余ありましたので、平成元年度末においては九千二百八十五億三千万円余となっております。  なお、貸付金の延滞状況につきましては、平成元年度末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は九十三億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは八十四億二千万円余となっております。  次に、平成元年度の収入・支出の決算について御説明申し上げます。  収入済額は五百九十九億一千万円余でありまして、これを収入予算額五百六十九億三千万円余に比較いたしますと、二十九億七千万円余の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等が予定より多かったためであります。  支出済額は五百六十五億六千万円余でありまして、これを支出予算額五百八十三億六千万円余に比較いたしますと、十七億九千万円余の減少となっております。これは借入金利息等が予定より少なかったためであります。  最後に、平成元年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は六百二十七億八千万円余、借入金利息等の総損失は六百二十七億円余となり、差引き八千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定の利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定の積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が平成元年度における沖縄振興開発金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    平成元年度決算沖縄振興開発金融公庫につ    いての検査概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成元年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    平成元年度会計検査院主管一般会計歳入決    算及び会計検査院所管一般会計歳出決算に    関する説明  平成元年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千六百九十六万余円に対しまして、収納済歳入額は二千七百三十二万余円であり、差引き三十六万余円の増加となっております。  収納済歳入額の主なものは、公務員宿舎貸付料等の国有財産貸付収入二千六百六十四万余円であります。  次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額百十四億二千百三十九万余円から、補正予算額二千七百四十七万余円を差し引いた予算現額百十三億九千三百九十二万余円に対しまして、支出済歳出額は百十一億五千二百七十八万余円でありますので、その差額二億四千百十四万余円を不用額といたしました。  支出済歳出額の主なものは、人件費九十七億八千三百七十万余円、検査旅費六億七百十万余円となっております。  以上、簡単でございますが、平成元年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。     …………………………………    平成元年度決算会計検査院についての検査    の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  平成元年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 かつてお世話になりました北海道開発庁に関しまして質問させていただきたいと存じます。  御承知のとおり、過去において、北海道開発庁の存在意義そのものに関してさまざまな議論がなされた時期がございました。しかし、私は、いろいろと勉強させていただく中で、今ほど開発庁の存在というものが求められている時期はないのではないか、むしろそのように思っておる立場でもございます。すなわち、縦割り行政のさまざまなひずみが国内で見られている今こそ、総合的な地方の調整官庁としての開発庁の役割というものが大きく求められているのだと私は思っております。  そして、例えば夕張のシュウパロダムのような、あのような事業は、多分開発庁がなければなし得ない事業ではなかったかというふうに思っておるところでもございます。また、いよいよ北方領土問題も、私どもといたしましては射程距離に近づいてきたという気がいたしておりまして、北方領土の例えば開発という問題を含めて、新しい役割が今開発庁に求められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 先生いみじくも御指摘がございましたように、北海道開発庁の所管する仕事の範囲は非常に応うございますけれども、いわゆる公共事業をいたしますにつきましても、執行官庁じゃございませんで、それこそ企画総合調整という機能でもって、執行すべき、指揮監督すべき各省庁の公共事業につきましてそれの調整をやる、また予算の計上を一括計上しておるということで、一体ぬえ的存在じゃなかろうかという批判は確かにございました。  しかし、実際やってみますと、私は、これは一つ行革の先取りの姿をいみじくもあらわしている、また、実質的にそういう仕事に携わらせていただいている立場からいたしますと、ああいう広い地域でもって大きなプロジェクトが行われる際には、どうしても各省庁別々に単独で事業をいたします場合には、それこそ先生御指摘のとおり、むしろ縦割り主義の弊が出て横の横断的な協調というのが欠けるおそれがあると思うのですが、そこは幸いにして、今御指摘がございましたように、総合的な調整ができるという立場からすれば、まことに北海道のような大きなプロジェクトをしなきゃならぬ、今後に向かっても、また過去においてもそうでございましたけれども、そういうメリットが、縦割りという弊害をカバーし運営する限りにおいては大変にメリットが出てくるし、また総合的に企画も推進できる、こういうことでございますので、今の体制を実のあるように私どもとしてはやってまいりたいと思っております。  それからまた、御指摘ございましたように、北方領土の四島返還が射程距離に入っているという状況でございますので、我々としては現地に入ることもまだできませんけれども、これを、現実にロシアとの友好条約、平和条約が結ばれた暁において返ってまいります段階では、相当に大きな、北海道の開発といいますか、あるいは日本の開発という大きな立場からとらえてもいいと思うのでありますけれども、期待をしておるわけでございます。  私は沖縄の出身でございまして、現実に沖縄が本土に返還になりましたあの前後のいきさつを知っておりますので、そういうノウハウも生きるのではなかろうかというふうに考えて、期待をして待っておる次第でございますので、また御指導賜りたいと思っております。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 大臣の今おっしゃいましたお立場、ぜひ力強く推進していただければと存じます。  続いて、第五期北海道総合開発計画に関しましてちょっとお尋ねさせていただきます。  この計画は、御承知のとおり昭和六十三年に閣議決定がされたわけでございますが、今ちょうどその計画の折り返し点を迎えようとしておるわけであります。このときに当たりまして、その計画に盛り込んでありました産業構造の調整の問題とか、あるいは多極分散型国土の形成とか、あるいは国際化時代を迎えての対応の問題とか、いろいろとうたわれておりましたが、この事業の進捗状況はいかがでありましょうか。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 幸いに北海道の開発につきましては、御承知のとおり、閣議と申しますか、政府を挙げてのお取り組みのしからしむるところでございまして、おかげをもって第五期の計画のちょうど折り返し地点に立ってございます。  投入されました財政の支出につきましても、今こちらに数字を持ってまいりましたが、前期、つまり昭和六十三年から平成三年度まででございますけれども、五兆一千八百四十九億という、これは総事業費でございますが、やはり相当大きな財政的な応援がございます。したがいまして、本来的には、個々の指標をとってみますと、その間の経済的なショックがございまして、多少指標の目標値に達しない面もございますけれども、総体的にやはり北海道の社会資本の充実には役立ったのではなかろうかと思っております。  ですから、その成果を踏まえまして、後期に向かってはなお一層、今継続事業としていまだ進捗上いみいろ問題点のある事業を抱えておりますが、これはまた地元の御協力をいただきながら、また当委員会の皆様方の御支援を賜りながら進めてまいりたい、こういうふうに存じております。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 その計画によりますと、昭和六十年を基準年といたしまして平成九年度が目標年であり、その目標年次に製造業や農業などのいわゆる産業活動の規模はおおむね一・五倍を見込んでおります川ざらに、人口については、五十万人ほど増加をさせて、六百二十万人程度に達するということが見込まれておるわけでございます。しかしながら、現実におきましてはかなり厳しいものがございまして、平成二年度の国勢調査によりますと、北海直有史以来初めて人口が減少したわけでございますし、景気も減速傾向にあると言わざるを得ないのではないかと思っております。  こうなりますと、目標の達成はかなり厳しいのではないかな、そんな気がいたしておりますが、これからどのようにお取り組みなさいますのか、お伺いしたいと存じます。

竹内透北海道開発庁総務監理官

○竹内政府委員 ただいま御指摘いただきました第五期北海道総合開発計画に盛られております諸指標の達成率といったような関係でございますけれども、まず、道内総支出というものを見てまいりますと、これは、昭和六十二年に大型補正予算を組んでいただきまして緊急経済対策をやっていただいたわけでございますが、その後引き続いてまいりました日本経済の良好なパフォーマンスと、その北海道に特に重点的にやっていただきました補正予算の効果等もございまして、その後の道内の成長率といったようなものを見てみますと、基準年でございます昭和六十年と平成元年との対比で見ましても、四・一%といったような成長率を達成いたしておるわけでございまして、経済五カ年計画等々で見込まれました成長率よりも高いような成長率も遂げておるわけでございます。  それからまた、北海道の一番の特色でございます農業といったものを見ましても、農業の総生産額が一兆一千億程度の水準を保っておりまして、我が国の食糧基地としての役割を果たせていただいておるのではないかと思っておるわけでございますが、先生御指摘のとおり、人口につきましては六百二十万といったような目標値を想定をいたしておりました。これはその前年に策定いたされましたいわゆる四全総におきましても、北海道地区六百二十万というような数字でございますけれども、御指摘のようにこの平成二年の国勢調査では北海道始まって以来ということで人口が少しではございますけれども減少いたしました。  しかし、その間の、昭和六十年から平成二年の五年間の経済を見てみますと、北洋漁業だとか石炭だとか鉄鉱だとか、そういったものの規模の縮減とか、あるいは国鉄の改革によります。そういった面からのいわゆる社会減が増加いたしましたし、また当時見込んでおりましたのに比べますと出生率が下がってまいりまして、自然増加も減少をいたしたというような面がございまして、言うなれば北海道経済、戦後最大の厳しい試練の時期であったかと思います。  そういう面で、人口の減少というのはやややむを得なかった面があろうかと思うわけでございますが、その後の推移というものを見てみますと、幸いなことに昨年の後半から北海道の人口、増加傾向に転じておりますし、また観光等も大変活発でございます。あるいは観光とか滞在型レジャー、そういったものから道外からの人が入ってくる、そういったいわば交流人口と私ども考えておりますけれども、そういったものが増加しておるというような面にも着目して今後の施策を進めてまいりたいと思っておるところでございます。  そういう面から見ますと、私ども本年度の、平成四年度の予算もお認めをいただきますと、対前年度化四・四%増の公共事業を北海道に行うということにもいたしておりますので、そういったものの前倒したとかあるいは北海道に重点的に配分していただいておりますゼロ国債の完全消化、そういったものを通じまして北海道経済の下支えの役割も果たしていきたいと思っておりますが、また中長期的にはいろいろ社会基盤の整備、これは航空路あるいは基幹幹線道路網、そういったものの整備を果たしてまいりますとともに、北海道の特性に合いました、私どもネーミング事業などと称しておるのでございますが、そういうふゆトピア事業とかニューカントリー事業とかそういったものも進めまして、さきに申しました交流人口等々の増加も通じて北海道五期計画が目指しております。そういった目標、理想に近づいてまいりたいと思っておる次第でございます。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 今お話がありました個々のプロジェクトに関しまして、ここでは時間の関係で二つばかり取り上げさせていただきたいと存じます。すなわち、新千歳空港の二十四時間運用の問題と千歳川放水路の懸案の二つのプロジェクトでございます。  御案内のとおり、北海道は国土の二二%を占めておるわけでございまして、その北海道の広さというものを最大のメリットとして生かすためには高速交通体系、これを整備することが不可欠であるというふうに認識しております。その中でも空港整備というものが何よりの急務ではないかと思っております。  新千歳空港あるいはその周辺地域におきましては、御案内のとおり国際エアカーゴ基地構想あるいはエアロポリス構想等のプロジェクトが検討されているわけでありますが、私は、新千歳空港は単なる北海道活性化の目玉だというとらえ方ではなくて、アジアの拠点となるハブ空港としての位置づけが極めて大切ではないかと思っておるのです。韓国や台湾あるいは香港、シンガポール、タイといった地域が、国々がアジアの拠点としてのハブ空港つくりを大変に整備を急いでいる中で日本が取り残されないようにするために、今こそ新千歳空港を日本の全体の中でのハブ空港として位置づけることが大切なのではないかと私は思っておるところでございます。  そのためには、まず新千歳空港の二十四時間運用というもの、これを実現させなければならないと思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 まことに御指摘のとおりであろうと私どもも存じております。  今新千歳空港が、B滑走路につきましての、拡張の新しい滑走路をつくるための予算も計上されておりますが、近々のうちに予算を通していただくことになるとすれば、これが新しく着工し、平成四年度からスタートするということでございますので、機能的には国際空港にふさわしい、充実をする姿になってまいるだろうと思っております。したがいまして、今後はそれをいかにして使うかという今委員御指摘のとおりの方向で取り組まなきゃならぬものだと私どもも考えております。したがいまして、新千歳空港の機能をさらに一層発展させるためには、やはり北海道庁が地元の皆様方とのコンセンサスの上に立っての、今おっしゃいましたいわゆるハブ空港化への要件を整えるということが大事だろうと思っております。  したがいまして、今盛んに北海道庁も、地元の関係市町村との間に二十四時間空港の条件を整えるために騒音対策でありますとか、あるいはまたイミグレーションの問題でありますとか税関の問題でありますとか、いろいろ問題がございますけれども、要するに二十四時間体制にするかしないかによって後は勝負が決まってまいります。おっしゃるとおり、日本だけじゃなく、また、北海道だけの地域的な発展のためだけじゃなくして、国際間の、特に東南アジアに向けても、あるいはまた、中国、韓国に向けても、あるいはまた、近い将来ロシアの国に向けても大変な空港の主軸となる交通拠点になるところでございますために、そういう二十四時間の運用体制がとれるようにしてほしいものだと私どもも開発庁の立場から道庁に対して激励をしているところでございます。  したがいまして、今おっしゃいましたように、何しろアメリカから東京へ参ります、成田へ参ります時間よりはずっと短い時間で千歳を通過して国際的な航路が開設できる唯一の大きな能力を持った空港にこれからしていかなきゃならぬわけでございますので、そのためにも、単にエアカーゴの基地としてだけじゃなくて、そういう意味の国際拠点の軸になる、交通アクセスの軸になる空港にすべく、ハード面についてもソフト面につきましても、これからいろいろと手を入れていかなきゃならぬ、その第一歩が今御指摘ございましたような二十四時間体制の運用だ、こういうふうに存じておりますので、今後とも北海道庁に対して皆様方からもひとつ督励をお願い申し上げたいし、私どもも、それに伴ういろいろな問題がございますならば、道庁に協力していろいろと手を加えてやってまいりたい、こう思っている次第でございます。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 今まことに伊江長官が申されたとおりだと私も思います。特に北海道庁に対する激励あるいは指導、協力というものが今大変に求められておると思いますので、どうぞ今の立場から力強くこのプロジェクトが推進していかれますように御指導をお願いしたいと存じます。私もつい先日この植苗の方に入りました折に、これは日中でありましたが相当の騒音、うるさいなという思いがしたことは確かでございまして、ある意味で政治的な決断というものが道庁にも、また開発庁にも求められているんではないかと思っておりますので、その意味でぜひ御指導を力強くお願いしたいと存じます。  それでは、最後のテーマになりましたが、千歳川放水路の件に関しまして幾つか御質問させていただきたいと存じます。  御案内のとおり、北海道は広大な低平地を特に道央部に抱えておりまして、また火山やあるいは軟弱な地盤など特異な地勢条件というものもありまして、洪水が一度発生いたしますと、その被害というものは広範囲に及びまして、また被害が非常に激甚となる可能性が多いわけでございます。安全で豊かな生活を営んでいくために、昭和五十六年あるいは六十三年、私どもが経験いたしました苦い大洪水の経験というものを踏まえまして、例えば千歳川放水路など抜本的な対策を着実に進めていかなければならないと思っておりますが、所感をお聞かせいただきたいと存じます。

竹内透北海道開発庁総務監理官

○竹内政府委員 今御指摘いただきましたように、北海道の地形はまことにそういう平たんでかつ軟弱な低平地が広がっておりまして、そういった自然災害の危険が大変大きいわけでございまして、私どもも、第五期北海道総合開発計画の主要施策の一つといたしまして、安全でゆとりのある地域社会の形成ということを掲げまして、石狩川等の特に重要水系について抜本的な治水事業を展開いたしておるわけでございます。  また、この千歳川の放水路事業につきましては、明治三十一年以来九十三年間で四十二回というような洪水の記録もございまして、頻繁に洪水被害に遭っておる地区でございまして、この地区の抜本的な治水対策といたしまして放水路事業は重要かつ緊急な事業であると考えております。長年この地区で洪水被害に遭っている方々を中心に強い放水路事業の促進要望がありますことから、私どもも早期に事業促進を図ることといたしております。ただ、この関係地域の一部に慎重な御意見があることから、開発局を中心に事業促進に対する御理解を得るべく鋭意識整に努めておるというところでございます。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 第五期の北海道総合開発計画の今計画折り返し点を迎えているわけでありますが、その主要施策の一つで大変に大きなプロジェクトとして、千歳川放水路が多くの生命財産を守るものとしてうたわれているわけであります。にもかかかわりませず、今お話しございましたとおり、一部でと申されましたが、懸念の声がまだかなり強く聞かれている中で、環境アセスメントもまだ実行されていない状況でございます。どのように環境アセスメントを含めて今後前進をさせていかれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと存じます。

竹内透北海道開発庁総務監理官

○竹内政府委員 仰せのように、今この時期、公共事業の充実といった面からも重要な二十一世紀を迎える大変重要な時期に当たっておるわけでございまして、私どももこのために早期の実施ということを考えまして、地元の御理解を得るべく鋭意御説明に努めておるところでございますが、この事業を円滑に推進してまいりますためには、現地の北海道開発局と北海道庁あるいは関係地方公共団体が一致協力をいたしまして課題解決のために対応する体制を整えまして、いわば行政機関が打って一丸となって行政に対する信頼感の醸成に努めていくことが肝要であると考えておるわけでございます。  この環境評価手続は公害の発生防止とか自然環境の保全を目的とした手続でございまして、事業への御理解を得るためにも重要な手続になるわけでございまして、北海道あるいは関係地方公共団体の協力のもとにできるだけ早期に、かつ円滑に手続が着手できるよう一層努力してまいりたいと考えておるようなところでございます。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 これは私見を述べさせていただきたいと思いますが、今お話しをいただきましたが、それこそ行政機関が打って一丸となることが大切である、まさにお話のとおりだと思います。その中においても、まずは開発庁、開発局全体の問題としてとらえていただきたいと思っております。特に千歳川放水路、現実に放水路の事業がなされる地域は室蘭開発建設部の所管となる地域を通るわけでございますし、またあの地域には多く酪農家もおられるわけでございます。そのような農業問題を専門に扱っておられる方々あるいは千歳川放水路が現実に通るような地域を所管しておられる方々、そういう方々と一体となって開発局また開発庁が事業を推進させていただくためにいろいろな青写真をさらに綿密につくり上げていただくことが大変に大事なのではないか、かように私は思っております。  また、関係地域は御承知のとおり北海道の中央部でございまして、発展に欠くことのできない地域であるわけでありますから、北海道庁やあるいは関係自治体といったものとの連携を十分に図っていかなければならないと思いますのは先ほどお話しのとおりだと思っております。今の件に関しまして、なおもしできれば細かくお話しいただければと存じます。

竹内透北海道開発庁総務監理官

○竹内政府委員 ただいま御指摘の点、関係の地方公共団体、この流域の町村という点でございますと二市二町ございますが、そういった地方公共団体においてもいろいろと打って一丸となるための調査検討の動きというふうに私ども期待しておるわけでございますが、そういった調査検討の動きがございます。  例えば北海道庁におきましては、平成三年度に独自に美々川の流域の自然環境調査を実施しておりまして、この結果も三月末には出てくるというふうには聞いておりますし、苫小牧市とか千歳市、早来町、そういったところにおきましても独自に種々の検討が進められております。私どもはこうした調査検討が進むことによって事業に対する一層の理解が進むというふうに期待をしておるわけでございますが、さらに十分この関係団体と連携を保ちながらこの事業の推進を着実に図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただきたいと存じます。  私は、これから開発庁はある意味で自然を創造する、つくり出すという意味においての開発が強く求められているのではないかと思っております。むしろ千歳川放水路の問題もかような角度から考えていただきたいと思っております。  先般、ラムサール条約の湿地登録指定がなされましたウトナイ湖におきましても、このウトナイ湖の水は自然のまま放置してしまいますといずれかれてしまうわけでございます。むしろウトナイ湖の自然を今のまま守るためにおいても千歳川放水路は利用できるものだというふうにも私は思っております。またさらに、例えば放水路の周辺に幅広い森林空間などを設けていただいて、地域住民あるいは国民全般の皆様方にとって、森林浴とかあるいはマラソンコースとか、そのような憩いの場を提供させていただくということもこの千歳川放水路事業そのものを、決してマイナスのものではないのでありますから、地域住民にとっては、おれたちにとっては余りプラスに思えないと思っておられる方々にとってもプラスのイメージに転換させていくことができるのではないかと思っております。そんな発想の転換などもぜひしていただければと思っておりますが、御所感があればお聞かせいただきたいと存じます。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 御指摘のとおりであろうと思うのであります。先ほど事務当局が申しましたように、この千歳川放水路の開削と申しますか建設は、それこそ過去の洪水の危険を、また被害をこうむったとうとい犠牲の上に立っての発想に基づいての事業でございますから、これは北海道全体のためにどうしても必要な大きな事業であろうと思うので、地域住民の方々のコンセンサスをいただくために地元の開発局は今懸命になって取り組んでおる次第でございます。  今先生御指摘のように、この事業を単に洪水対策の放水路としてのとらえ方ではなくて、全体的に環境とマッチするような、あるいはまたウトナイ湖のように北海道の歴史を語るような自然のこの姿、あるいは湿原、そういったものを保存する、こういう大事なことも念頭に入れながら、また、地域の方々に憩いの場を提供するという事業も含めてやらなければならぬという御指摘は、まことにそのとおりだと思うのであります。  私どもの、開発関係に当たります先輩が申しました言葉の中に、開発というのは自然を殺していくのではなくて、その自然を生かしながら賢く使うのだ、こういうふうなことを申した言葉がございますが、その言葉に今御指摘の点はまさにぴたり当てはまることだと思うので、御意見を大事にしてそのような方向で取り組んでまいり、一日も早く洪水からの解放あるいは自然の景観の保存ということをあわせて、両々相まって事業を進めてまいるように努力してまいることを申し上げておきたいと思います。今後ともひとつ先生の脚後援と申しますか御指導を賜るようにお願い申し上げたいと思います。

鳩山由紀夫自由民主党

○鳩山(由)委員 ありがとうございました。終わります。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 以上で鳩山由紀夫君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 会計検査院の権限あるいは検査の問題についてお伺いをしたいと思います。  会計検査院は、申し上げるまでもなく、政府から独立をした機関として、会計の適正、有効な執行を監査、指導するということでありまして、言ってみれば、三権ということからすれば行政の分野でありましょうけれども、内閣からは独立をしているということからすれば、国権のうちの四権の一つとも言える極めて重要な機関であるわけでありますが、それだけに国民の期待も大きいわけであります。そして、これから経済の高度化、そしてまた財政規模もますます膨大になっていく、そしてまた財政も国際化をしていく、こういうような趨勢にあるわけでありますが、そういう中で検査院の権限の拡大強化ということがかねてから要望されておるわけであります。  会計検査院法の改正問題がここ十数年来課題になっておりますけれども、依然として実現をいたしておりませんが、今申し上げたような検査院の重要性にかんがみて、かねてから懸案になっている院法の改正等について院長はどうお考えであるのか、あるいはまた、今後の会計検査院の機能強化ということについてもどうお考えであるか、まず伺いたいと思います。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 御指摘のとおり、会計検査院の検査権限の強化ということにつきまして国会で種々御審議をいただいたということは十分承知しておりますし、私どもとしましても、その点について真剣に検討をしてきたわけでございますが、ただいまのところ、法的改正をして権限を強化するというよりもむしろ肩越しで検査をするということにおいて、日常の検査において支障のないようにしていく、こういうことを考えながらやっているわけでございます。この点につきましては、政府としても会計検査院のそうした検査の方法に対して協力するというふうに言っておりますので、その点のやり方で私どもとしては現在行っているところでございます。  しかしながら、先生のおっしゃいました会計検査院の権限と申しますか検査の範囲につきまして、私どもとしては今後とも十分にその点の配慮をしながら、また、その方向に努めてまいりたい、こう考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 いわゆる肩越し検査ということで相当の実績を上げておられることは聞いておりますけれども、やはりそれは権限として持つことの方が一層有効であり、実効的な検査あるいは指導ができるのではないかと思いますので、そういった点についてもひとつ御検討をいただきたいと思うわけであります。  それから、財政の拡大化あるいは国際化ということがあるわけでありますが、そういう中で会計検査院の検査が及ばない範囲というものがだんだんと出てきていると思うのですね。例えばODAの問題であるとかあるいは国際機関に対する負担金の、例えば国連に対する負担金の使い方がどうであったとかいうようなことがあるわけでありますが、現在、国家予算、一般会計の予算のうちで、会計検査院の検査の及ばない分野はどのくらいあるのか、あるいはまた金額にして、その検査の及ばない金額がどのくらいあるのか、概略で結構ですから伺いたいと思います。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 私どもの検査の権限は、国内のものに関する限りすべての面に検査が及ぶ、要するに会計経理に関係のある場合にはすべてのものについて検査をする、こういう基本的な姿勢をとっております。  しかしながら、私どもの検査というのは、今先生御指摘のとおり、国際化時代を迎えまして、例えばODAの問題についても十分に検討していかなければならない、こういう情勢でございますが、ただこの会計検査院法で言うのはあくまでも国内法に関するものでございますので、相手国に対する検査というのは当然ながら及んでいない、こういうところでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 ODAとか対外的な支出、例えば湾岸戦争のときの支出ですね、そういう支出は虫法の規定にはもちろんないわけでありますし、虫法がつくられた当時は想定されていなかった事態ではないかと思います。また院法にもそういう一とがないわけでして、憲法九十条あるいは院法二十二条が想定しないような費目、金の使われ方が最近出てきている。そしてそれが将来拡大の傾向にあるということも、これは趨勢としては言えるのではないか。いわゆる国際化の中で、日本が国際的に貢献をしていかなければならないという世界情勢の中で、しかも日本の国際貢献は、主として経済的な面に重点が置かれる。  こういうことからしますと、憲法あるいは院法に想定されていない、そういった面での国際的な金の使われ方がふえるわけでありますから、そういう面についてこれから現状でいいのかどうかという問題が起こるわけでありますが、これについてはどうお考えであるのか。それから、元年度の決算の中で、そういう会計検査院の検査の手が及ばない部分の額はどのくらいあるのか。これは概略で結構ですから、伺いたいと思います。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 先ほども申し上げましたのですが、例えばODAの場合でございますが、ODAが金額的にも、あるいは国民の関心も非常に強いということで、私どもとしては力を入れているわけでございますが、ただ私どもの検査権限は、先ほど先生がおっしゃいましたように、あくまでも援助実施機関である、例えば外務省、国際協力事業団、海外経済協力基金、こういうものでございまして、相手国の政府あるいは事業、それを行う機関というものには直接権限は及んでおりません。  しかし、こういうふうな場合につきましても、私どもとしては国内の検査だけでは効果が十分でないという場合には、やはり相手方の協力を得て実施機関の職員の立ち会いのもとで現地調査を行うという形で毎年数カ国、そして事業につきましては数十事業を検査し、またこれを検査報告に載せている、こういう状況でございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 いろいろ努力をされていると思いますけれども、その分野での額はどのくらいあるか、その概略、わかりますか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 ODA検査の実績ということでよろしゅうございますですか。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 実績ですが、方法だけではなくてその額ですね、額。どのくらいの額があるか。――いや、わからなければ後でいいですよ。後でもいいです。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 手元に資料がございませんので正確なところはわかりませんけれども、事業規模としましては一兆五千億くらいではないか、こういうふうに理解しております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 一兆五千億の規模、これは決して少なくないわけですね。しかも、それは借款も含むのでしょうから、無償供与は直接予算から出る、借款は一般会計とは違うわけでしょうけれども、特に無償供与の場合には国民の税金が直接いくわけですね。ですから、現在の国際間の慣例あるいは国際法あるいは憲法、院法、そういう法制上の問題からすると難しい点はあろうかと思いますけれども、国民の税金、相当部分の税金が使われている。しかも、その税金は国庫から出れば、外国に渡ってしまえば、その先は検査ができない。精密な検査はできないということでありましょうから、こういう状況では、これからますますこういう援助あるいは国際間の財政的な負担というものがふえる傾向にありますから、現状のままでいつまでもいていいかどうかということになりますと、これは問題だと思います。  ですから、それは一つの会計検査上の大きな問題点として、あるいは国政上の大きな問題点として取り組んでいただかなければいけない問題であると思いますが、それは一つの課題として、現状ではどういう検査をされ、どの程度まで資金の効率的な使い方等についてチェックをされているのか、それを伺いたいと思います。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 ODAに関して申し上げますと、先ほどの私の御答弁とダブる面があって恐縮でございますが、会計検査院としましては、昭和六十二年の十二月に外務検査課を設置いたしまして、ODAの実施機関であります外務省とか国際協力事業団あるいは海外経済協力基金に対する書面検査及び実地検査を統一的に実施する、さらに、その検査の一環としまして、海外における現地調査を実施してきたところでございます。  昭和六十三年度以後、毎年現地の調査をやっているわけでございますが、調査事業数にしてみますと、それぞれ七十七件、五十六件、三十六件及び今回の七十六件ということになっております。  この調査に当たりまして、やはり援助の対象案件の規模、内容につきまして、詳細な事前調査を行うということをやりまして、そしてその上で現地調査の箇所とか時期等を選定いたしまして、そして計画を策定する、その上で重点的にあるいは効率的に検査を行う、こういう形でやってきております。  そうしまして、検査あるいは調査の結果でございますが、昭和六十二年度の決算検査報告におきましては、技術協力の対象となる相手国の研修員を日本に受け入れる際の国際航空運賃の支払い方法を当時の円高状況を反映した経済的なものに改善された、こういうものがございますし、また、六十三年度の検査報告におきましては、ODAの実施につきまして、援助の効果が十分に発現されていない事態、これが見受けられましたので、問題提起を行ったものがございますし、このたびの平成二年度の決算検査報告におきましても、このODAというものが国民的関心が非常に強いということを特に考慮いたしまして、会計検査院の検査活動の全体を明らかにしたい、こういうことで、別に項を設けまして記述したわけでございまして、私どもの調査した事業につきましては、よいものも悪いものも全体として評価する、こういう形でもって特に掲記の方法を改める、こういう形でもって現在対処しているところでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 いろいろ御苦労されているようでありますけれども、ODAの実効を上げる上におきましても、それからまた、ODAの目的を達成する上からいっても、いろいろ困難はあるでありましょうけれども、その面での検査院の今後の御活躍を期待するわけでありますが、これはあくまで権限に基づくものではなくて、相手国の協力を得ながらやるということのようでありますが、一歩進んでこれを国際的な一つのルールにしていく、やはりこういう追求もしていかなければいけないのではないかと思います。  それで、国際的な会計検査院長の会議等もありますよね。先般アジアの会計検査院長ですかの会議があったようでありますけれども、こういう国際機関の中でそういう問題提起をなさって、日本はODAでも今世界随一でありますから、国際的な経済援助等においてその援助が有効に使われるという目的のために実効の上がる監査の方法あるいは国際的なシステムあるいは国際間の合意というものが必要ではないかと思います。  これは相手の国家主権にかかわる問題になってくるでありましょうから、外務省で行う交換公文にそれを挿入をするなりして国際的な合意をまずしていく必要があるのではないか、国際的な合意を得ていく必要があるのではないかと思いますが、ぜひそういう点についての御努力をいただきたい。そしてまた、対外援助の会計検査について一定のルールをつくっていくということが必要であると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 御指摘のとおり、国際会議の場がアジア地域と世界を対象にしたものとございますけれども、私どもとしましては、そこに積極的に参加いたしましてODAの問題につきましても知識経験を交換するということをやっておるわけでございますし、やはりこれは先進国あるいは開発途上国を問わず大きな関心のある問題であるというふうに理解しております。  したがいまして、こうした国際会議の場はもちろんでございますが、さらに各種研修を通じてその知識等を高めるということも必要でございますし、さらには国家間の合意ということで先ほど先生がおっしゃいましたけれども、そういうふうなお考えもあるいはあろうかと思いますが、ただ、この援助に際しまして、交換公文に検査権限を盛り込んで、相手国に、検査を受け入れる、こういう約定を交わすことがいいかどうかということにつきましては、これはやはり高度な国家政策上の問題ではないかというふうに考えておりますので、会計検査院としましては与えられた条件のもとで最大限の努力を尽くしていく、こういうことで現在努力しているところでございます。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 一層実効の上がる方法をひとつ追求をしていただきたいと思います。  この問題については、過去におきましても被援助国の中で問題を起こした例があります。これは正確に把握はされていないと思いますけれども、被援助国の中で援助資金が不正に使われたのではないか、あるいは特定の権力者の蓄財の手段に使われたのではないかというような疑いが持たれたことがかつてありますので、そういう点からしても国民の関心は深いと思います。ですから、対外援助についての検査、会計検査についてのルールをぜひつくっていただくようにお願いをしたいと思います。  それから別の問題でありますけれども、我々が決算の勉強をする場合あるいは審査をする場合に、その基本になるものはやはり資料であります。各省庁からの資料を提供願ってその資料に基づいて決算の審査をするということになるわけでありますけれども、この資料の提供ということについて、なかなか各省庁におかれては議員の要請どおりに資料を出してくれないという傾向があります。  そういう点で、会計検査院の場合にはもちろん権限に基づいておやりになるわけでありますから、いかなる資料でもこれは提供されるわけでありましょうけれども、その問題について会計検査院と国会との関係、それから国会と行政府との関係、そういう点からして資料の提供ということについて、これは検査院の皆さんにお願いすることは筋違いかと思いますけれども、資料の提供ということについて二足の基準なり、ここまでは公開をする、これは公開できないんだというその基準が各省庁とも極めてあいまいだと思うのですね。ですから、そういう点について、ひとつ検査院におかれても決算審査のために必要な資料についてはできる限り各省庁の協力が得られるような検査院としての御努力をいただきたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 先生がおっしゃいましたように、会計検査院は内閣から独立した立場にはございますけれども、また国会からも離れた立場にはございますけれども、やはり私どもは国会と密接な関係を保っていくということが私どもの立場からしてぜひとも必要である、こういうふうに考えております。  そうしたことを前提にしまして、今行政情報の問題がございましたですけれども、この点につきましては、やはり会計検査院としてはあくまでも検査の目的に照らして検査上必要とされる範囲に限定して書類を提出させていただいている、こういう状況でございます。したがいまして、検査という目的に限定して収集した書類を別途に使用するということが、あるいは検査をする者とあるいは検査を受ける者、この信頼関係といいますか、今後の検査の遂行に大きな支障を来すということにもなりかねないという事情もひとつ御理解いただきたいと思います。  ただ、先生のおっしゃった趣旨につきましては十分理解できますので、その辺のこともさらに検討させていただきたい、こう考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 これは各省庁によって極秘文書あるいはマル秘文書の区別が違うと思いますし、これは統一的にそれを管理しているところはないと思いますが、機密文書、会計検査あるいは決算検査に関連をして公開できない文書  もちろん公開が原則でありますけれども、公開できない文書の規定の仕方、この規定の仕方が行政側の恣意によって決められているというのが現状でありますね。ですから、国会あるいは委員会で資料の要求をしても、これはだめですよと言われればそれまでなわけです。  ですから、各省庁における文書あるいは資料の管理の基準、これが確立をしていませんと国会の権限が極めて制約をされる、必要な資料も出てこないということになりますし、現状はそれに近いと思うのですけれども、そういった点について、やはり国会あるいは委員会の要求があれば原則としては公開する、どうしても国家機密上あるいは外交上秘密が必要な部分については厳しい審査によって線を引いていくというルールが確立をしていませんと、国会の審査権が制約をされるという事態があるわけであります。そういった点で、院長さんにお伺いしてもこれは無理がと思いますが、会計検査院としてはその限界をどういうふうにお考えになっていますか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 ただいま申し上げましたように、私どもは資料を提出していただく場合には、やはり検査の目的に照らしまして検査上必要とするものに限るという形で提供していただいております。したがいまして、今先生のおっしゃった点になりますと、これは各行政官庁の文書管理上の問題かと思いますので、その辺で私どもとしては十分なお答えができかねるわけでございますけれども、一般的な形で今後とも私どもとしては検討を続けていきたい、こう考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 検査院が会計検査上知り得た情報はたくさんあると思います。この情報については国会で開示をされることはできないのですか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 私どもは、検査の対象に対しましては、検査上必要であるという場合にはこれは秘密文書であろうと何であろうとすべてのものを提出していただく、こういう基本的な姿勢でやってきておりますので、それはあくまでも検査上の必要性に基づくものであって別途の目的に使用するものではない、こういう立場に立っておりますので、その点、ひとつ御理解を賜りたいというふうに考えております。

新村勝雄日本社会党・護憲共同

○新村委員 以上で終わりますけれども、資料の提供については、検査院さんを含めて各省庁におかれても、できる限り委員会あるいは国会の要求に応じていただくようにお願いしたいと思います。  以上で終わります。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 次に、志賀一夫君。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 私は、ODA並びにこれに関連した戦後処理問題等についてお伺いをいたしたいと思います。  我が国は、いわゆる経済大国と称されまして、全世界の国々から大変な熱いまなざしで日本の豊富な資金についての供与という面で、相次いで日本を訪れるというような事態があるわけであります。ODAなどを通じまして大変な、世界的な貢献をなさっており、その中には大変感謝されているものもありますが、同時に問題視されている事情も多々あるようであります。  それは別にしましても、大変な援助を世界各国にしながら意外と世界の各国からその割に日本の貢献ということについては高い評価はなされていないというふうに聞いておるわけでありますが、その根底にあるものは何かというふうに私なりに考えますと、やはりそれは日本のあの侵略戦争に対するいわば戦後処理がきちっとなされていないからだ、そう私は言わなければならないと思うのであります。  あの西ドイツのワイツゼッカー大統領は、過去に目をつむる者は現実に盲目となる、こういうまさに歴史に残る言葉を吐かれたわけでありますが、後で若干申し上げますけれども、西ドイツ等においてはその戦後処理をきちっとやって、そのことが東西ドイツの順調な統一への歩みを促進させたのではなかろうか、そんなふうに思っておりますにつけても、我が国の戦後処理、今いろいろと問題のあるだけに、これについてはきちっとした方針で対処すべきだ、そんなふうに思うところであります。  さて、今新村先生からいろいろお話がODAについてございます。重複を避けまして一点だけお伺いをいたしたいと思うのでありますが、先ほども若干申し上げましたように、ODAによって大変感謝されている国々と、それからいろいろ問題がありとしてはるばる我が国まで陳情、請願に来られる方もあるわけでありまして、こういった状態をもっと詳細に調査をして、そしてその検査をするべきではないのかな、そうなふうに私は思うのでありますが、それらについての院長のお考えをお聞きしたいと思います。  そしてまた、先ほどもお話しございました、調査をした結果についてはやはりその結果を公表すべきではないのか、そういうふうに考えますが、その点についてまずお伺いをいたしたいと思います。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 御指摘のとおり、ODAにつきましては援助額も年々増大しておりますし、国民の関心も非常に高いというところから、会計検査院としましてもこのODAの検査の重要性は十分認識いたしまして、また、その点にいろいろと手段を講じてきたところでございます。  まず機構の面でございますが、昭和六十二年の十二月には外務検査課を設置いたしまして、政府開発援助の実施機関である外務省、国際協力事業団、海外経済協力基金に対する検査を統一的に実施するという体制をつくりました。  そして検査の実施に当たりましては、事前の国内における援助実施機関の検査はもちろんでございますが、海外に赴きまして毎年数カ国、数十事業を検査してまいったわけでございます。こうした形で私どもとしましては、ODAに対する実績を積み重ねながら、また各種の検査手法を開発するあるいは研修を行うというふうな形でもって今後とも充実していきたいというふうに考えておるわけでございます。  ところで、先生の公表すべきでないかという点につきましては、まさにおっしゃるとおりでございますので、私どもは今度の検査報告におきましては、必ずしも指摘事項に至らないまでも、やはり私どもの検査活動をした実績を国民の前に明らかにすべきではないか、こういうふうな観点に立ちまして、検査の全般的な活動を記述すると同時に、それからODAの事業について、よいものも悪いものもすべて挙げるような形にしまして、全体として評価する、こういう形でもって検査報告に記述させていただいた、こういうところでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 次に、ODAと関連をいたしながら、シベリア抑留者についてお伺いをいたしたいと思います。  最近ロシアからの労働証明書発行がロシア公文書委員会の中央特別公文書館からなされた旨、政府は三月五日の内閣委員会で答弁されておりますが、五六年日ソ共同宣言で両国は相互に請求権を放棄したので、未払い義務は日本側に移っているというふうに聞いているわけでありますが、今回ロシア政府が労働証明書の発行をしたことによって、シベリアなどの抑留者に対して政府は未払い賃金の支払いを行うつもりはあるのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。

小町恭士外務省欧亜局ロシア課長

○小町説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の証明書が、仮にシベリア抑留者の方々の抑留期間等につきまして証明する文書であったといたしましても、抑留者の所属国たる我が国が当該抑留者の方に対して労働賃金の支払いを行う国際法上の義務を負うことにはならないと考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 ちょっと後の部分が不明確であったので、もう一度お聞きをしたいと思います。

小町恭士外務省欧亜局ロシア課長

○小町説明員 お答えいたします。  この証明書が、仮にシベリアに抑留された方々の抑留期間などにつきまして証明をする文書であったといたしましても、抑留者の所属国たる我が国がその抑留者の方に対して労働賃金の支払いを行う国際法上の義務を負うことはないと考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 そういうふうにおっしゃられますけれども、実は南方で米軍の捕虜になった日本将兵が帰還の際発行された労働証明書と引きかえに日本政府から未払い賃金を受給しているという事実が、私は大蔵省当局にお聞きいたしまして明らかになっていますが、これとの関連はどうなんでしょうか。同じ日本の大変御苦労なさったかつての軍人軍属に対する措置として、国際法上云々ということで片やそれについてはできないというのはどうも納得いかぬと思うのです。

小町恭士外務省欧亜局ロシア課長

○小町説明員 お答えいたします。  南方の方々の件について、私がちょっとお答え   する資格が必ずしもございませんけれども、私が国際法上の義務がないというふうに申し上げましたのは、先生御存じの日ソ共同宣言第六項によりまして請求権を相互に放棄しているということを申し上げたわけでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 その中では、そういうことをうたった、しかしその結果としてロシア側の弁護士さんが、むしろ逆に今度は日本側に支払い義務がありますよ、こういう実は関係者の質問によってそういう答えになっているわけであります。  ですから、私が申し上げたように、既に具体的に南方諸国で日本兵が捕虜をされて支払われたという事実があるわけですから、やはりこれに準じてソ連の抑留者の皆さんに対しても支払うというのは当然じゃないでしょうか。同じ日本人ですよ。日本のかつての大変御苦労なさった軍人軍属等であります。その場合は当然支払うべきだと私は思いますが、どうですか。

小町恭士外務省欧亜局ロシア課長

○小町説明員 お答えいたします。  南方の方々への支払いとの比較での御指摘でございますけれども、これは担当の国内の官署の方からお答えいただいた方がよろしいのではないかと思います。  私が先ほど申しまして、繰り返しになりましてまことに恐縮でございますけれども、ソ連あるいはロシアとの関係におきましては、日ソ共同宣言六項によってすべての請求権が放棄されているので、国際法上政府が支払いの義務を負うことにはならない、そういう御説明をさせていただいたわけでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 私は、その点については納得できません。それは後の、台湾の軍人軍属等に対する弔慰金という問題については後から触れますが、それで台湾人に対してはお金をたくさんお上げをしている。そういう実態なども考えますと、単に法律的にはこうだから出せないというのは、それはちょっと理解することができませんので、この件については保留にしておきたいと思います。  次に、今申し上げました台湾住民戦没者遺族等に対する弔慰金についてお伺いをいたしたいと思います。  政府は、第百九国会において、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律を可決し、今日まで実施してまいりましたが、支給した対象者数及び総額について明確にしていただきたいと思いますし、また今後予想される請求著はどれくらいな人数になるものか明らかにしていただきたいと思います。

石倉寛治総理府大臣官房管理室長

○石倉政府委員 お答えいたします。  現在、二万八千名に国債を償還いたしまして現金としてお届けをいたしております。  あとどれくらいになるかということでございますけれども、厚生省の戦死者名簿によりますと三万ぐらいというデータがございます。現地からは、三万四千ぐらいということで当初声があったわけでございますが、最近の申請状況、もうことし一年、来年の三月末で申請を打ち切るわけでございますが、今の状況で見ますと、三万前後で落ちつくのではないか、こう考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 次に、戦後今日まで、台湾についてのみこういった法律をつくって戦後処理をしたというこの基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

石倉寛治総理府大臣官房管理室長

○石倉政府委員 この制度は、御承知のように、台湾出身の元日本兵の戦没者遺族に対する弔慰の措置、それから重度の戦傷病者に対する見舞い金、こういう制度でございます。したがいまして、この方々の戦後の御労苦というものに対する人道的な措置ということで議員立法によって成立したものでございます。御承知のように、支給する仕方につきましては政府提案で法律を通しましたけれども、基本法として弔慰金法は議員立法で通していただいて、それを私ども所管させていただいている、こういうことでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 昭和四十七年九月二十九日ロ中共同声明では、賠償の請求の放棄をうたっているわけでありますが、これとの関連性、先ほどの日ソとのこともかかわりあると思うのでありますが、これはどういうふうに受けとめておられるわけですか。

石倉寛治総理府大臣官房管理室長

○石倉政府委員 先ほど制度の発足の趣旨を申し上げましたけれども、この制度は、亡くなった戦死者の遺族の御労苦あるいは重度の戦傷を負われた方に対する見舞いという人道的見地からお支払いをしておるものでございまして、いわゆる法律上の個別補償という考え方はとってございません。  それから、このことが日中共同声明との関係でどういうことかということのお尋ねでございますけれども、これは国内法で、人道的見地から措置をした特別な立法であるという意味合いでございますので、特に国と国との間の条約に基づくものではございません。そういう意味で、日中共同声明の原則は、政府としては堅持をしているという立場でこの法律の運用を行ってきたところでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 どうもあなたが答えられるかどうかわかりませんけれども、しかし、先ほどのソ連の抑留者問題についても、日ソの賠償の協定があったから、その協定に基づいて日本側としては請求する権利を持たない、こういうふうにおっしやられているわけでありますが、やはりそうであるなら、ソ連に特別抑留されて大変な御苦労と物心両面にわたる損害を受けた方々に対しても、やはり特別な人道的立場に立った措置が当然求められていいはずではないでしょうか。どうですか。

井上達夫総理府大臣官房参事官

○井上説明員 先生の御質問と少しずれるかもしれませんが、先生お尋ねのように、抑留者の方々が国に対して何らかの補償を求めるという動きが五十年代からございまして、そういう要望を受けまして、今のシベリアの抑留者の問題を含む戦後処理問題について検討するということで、戦後処理問題懇談会というのが五十七年に総理府の中に置かれてございます。  その懇談会では、二年半にわたりまして検討いたしました。その結果は、さきの大戦に伴うもろもろの戦争損害そのすべてについて政府がそれを償うということは事実上不可能であって、国民一人一人畑止場で受けとめていただかねばならないという基本的な考え方に立ちまして、今のシベリアの抑留者の問題、それから恩給欠格者の問題、それから引揚者の問題、三問題を中心にして検討したわけですが、結論としましては、もはや国において措置すべきものはない、しかし、関係者がそのように戦後四十五年以上もたって国に対して補償を求めている心情には十分心するところがあるから、関係者に対して衷心から慰藉の念を示す事業を行う特別の基金を創設すべきであるという提言をいたしたところであります。  特にその中で、シベリアの抑留者の方々に関しましては、戦争が終結した後にシベリアの地で想像を絶する御苦労をされたということでございますので、その方々の国に補償を求める心情は理解するにかたくないという理解をしておりますが、一方、国としましては、抑留者の方々に、恩給あるいは援護という観点から恩給あるいは年金の支給あるいは療養の給付等の措置を講じてきた、こういうことを考慮すれば、抑留者の方々がこうむった損害も、先ほど言いましたように、国民がそれぞれの立場で受けとめなければならなかった戦争損害の一種に属すると言わざるを得ない、したがって、シベリアの抑留者に限って新たな措置を講ずるということは、これまでとってきた、先ほど述べましたような政府の諸措置、それから他の戦争犠牲者との公平という観点から問題があるという御指摘でございました。  政府としましては、この五十九年に出された報告書を受けまして、先ほど報告書が提言した基金ということがございますので、平和祈念事業特別基金等に関する法律というのを六十三年に御提案いたしまして、成立を見まして六十三年七月に基金が成立しているわけでございます。この基金におきましては、戦後強制シベリア抑留者の方々に対しまして慰労金の支給、慰労品の贈呈という事業を行っているところでございます。このような経過がございますので、私どもとしましては、この基金における慰労品、慰労金の贈呈の事務というものを適切に進めることによってこの問題に対処していきたい、また、対処してきているところでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 まず、一人当たり平均して二百万円という弔慰金ですが、この算出根拠についてお聞きしたいと思う。

石倉寛治総理府大臣官房管理室長

○石倉政府委員 特定弔慰金の二百万円の算出根拠という御質問だと存じますが、いわゆる基本的に、議員立法でつくりましたときには法律上は金額を書いてございませんでした。その後、支給法で決めたわけでございますけれども、これという理由だけで二百万円というものを積算したわけではございませんで、先ほど申し上げました人道的な見地で、どれくらい差し上げればお気持ちが済むだろうかということを考えまして、総合的に勘案した数字でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 つかみ金だということの意味ですね。平和祈念事業特別基金設立の趣意書があって、その中でのソ連抑留者等についての弔慰金はわずかに十万円ですね。まことに少ない金だと思うのです。こういうこととの整合性はどうなんですか。

石倉寛治総理府大臣官房管理室長

○石倉政府委員 戦後抑留者に対する措置と、特定弔慰金、台湾の元日本兵に対する支払いの制度というものは基本的に違ってございまして、先ほどから御説明いたしておりましたように、戦死者の遺族あるいは重度の戦傷病者に対する支給が台湾の元日本兵に対する制度でございまして、これに対しまして、先ほどおっしゃいました戦後強制抑留者の問題というのは生還された方々に対する措置でございます。そういう意味で、対象、内容、相当異なっているというふうに申し上げたらよろしいかと存じます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 この件については、私は了解できません。また、当然台湾の戦没者遺族に対する弔慰金については、これはその制度自体が悪いという意味で私は言っているわけではなくて、後でこれに関連して朝鮮問題をお聞きしますので、その際、ま丈申し上げたいと思います。  厚生援護局が明らかにしている朝鮮人の軍人軍属数は約二十四万二千人、うち二万二千人が戦死したと韓国側に通告していると聞くが、そのとおりですか。また、北朝鮮側ではどれぐらいの数になるのか、お聞きをしたいと思います。また、炭鉱や軍需工場などに強制労働のため連行された労働者は、米国調査団では約六十七万人、日本政府が明らかにした名簿は九万人というふうに大分差があるわけでありますけれども、この部分について御解明をいただきたいと思います。また、これから調査をして不明の分については当然公表されるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

村瀬松雄厚生省援護局業務第一課長

○村瀬説明員 お答えいたします。  朝鮮半島出身の旧軍人軍属の人数についてでございますけれども、日韓国交正常化交渉当時に調査をいたした数字でございますけれども、これによりますと、朝鮮半島出身者につきましては約二十四万二千人でございます。そのうち、死亡者は約二万二千人、こういう数字になっております。

戸苅利和労働省職業安定局庶務課長

○戸苅説明員 いわゆる朝鮮人の徴用者の方々の数でございますが、今先生御指摘のものはアメリカ合衆国の戦略爆撃調査団、これが戦後に行った調査結果によるものであろうと思いますが、これで六十六万七千七百人の方々が何らかの形で日本国内に渡航した朝鮮人の労働者の方の数であるという報告になっております。それかも、労働省を中心にいたしまして、平成二年の夏ごろからこういった徴用された朝鮮人の方々の名簿の調査を関係省庁の協力を得、地方自治体の協力を得てやっておるところでございまして、これまでに約九万人の名簿を確認いたしまして、昨年の三月五日に外務省を通じて韓国政府に提出したわけであります。  ただ、その朝鮮人の徴用者等の方々の数、明確に何万人というふうに申し上げられるデータはないのでございますが、今申し上げたアメリカの戦略爆撃調査団の調査では六十六万人強でございまして、その差がまだ大分あるわけでございます。これにつきましては、一人でも多くの方の名簿が把握できるように、今後とも関係省庁あるいは地方自治体あるいは民間の協力も得ながら誠意を持って調査の実施に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 この大変な差は今の段階である程度解明してくださいよ、こんな極端な差ですから。

戸苅利和労働省職業安定局庶務課長

○戸苅説明員 何分戦時中の資料につきましては、例えば労働省で申し上げますと、徴用関係の事務というのは厚生省から労働省が独立した段階で既に事務としてなくなっております。そういったことで、沿革的に労働省が関係があるということで労働省が中心になって調べているわけでございまして、とにかく労働省としてもいろいろ四万八万手を広げて調査をしているのでございますが、残念ながら九万人しかまだ把握できないという状況でございまして、戦後の混乱期あるいは戦時中のもろもろの資料の残存状態、そういったものが非常に悪いということが一番の理由だろうと思います。  ただ、いずれにしても先生おっしゃるようにまだ差が非常に大きいものですから、何とか一人でも多くの名簿を把握するように努力をしたいというふうに考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 ぜひそれを解明していただくように、特に要求をしておきたいと思います。  次に、日本と韓国の当面の関係でも、戦後処理がされてないために大変訴訟が多い。二、三を申し上げますと、元BC級戦犯の朝鮮人軍属と遺族七名が平成三年十一月十二日に東京地裁、それから軍人軍属の遺族七名、徴用された労働者の遺族六名、軍属一名の計十四名が平成三年十二月十二日に東京地裁に提訴、韓国戦争犠牲者千百名が平成四年二月十七日に対日補償を求めて訴訟というふうに、そのほかにも幾つかありますが、たくさんの方々が戦後補償を求めて裁判に提訴しているという事態を考えますと、日韓協定で五億ドルの賠償、補償ですべて相済みだという政府の一方的理解では日韓関係の正常化を期待することはできないのではないか、この辺に対する見解をお聞きしたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  政府といたしましては、朝鮮半島全域のすべての方々に対しまして、過去の一時期、我が国の行為により耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことにつきまして、深い反省と遺憾の意を累次の機会に表明してきたところでございます。  日韓間におきましては、六五年の日韓請求権・経済協力協定によりまして、御指摘の補償の問題を含めまして日韓両国及び両国民間の財産請求権の問題は完全かつ最終的に解決済みということでございます。また、これと並行いたしまして五億ドルの経済協力を実施してきたところでございます。  日朝間の財産請求権の問題につきましては、現在日朝国交正常化交渉が行われておりますので、この場におきましてさらに話し合っていきたいと考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 日朝関係の今後の話し合いで進めるというお話でありますが、こういう相次ぐ訴訟がなされた場合に、どういう方針で政府としては対処されようとしているのですか、お伺いしたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、訴訟の行方を見守っていきたいと考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 結局、訴訟だけで相済むもので。はなくて、やはり今後の日韓の間のこの問題についての話し合いが、国と国との間の話し合いというものが極めて私は重要になっているのではないかというふうに思います。  特に最近、韓国では政府側が、六五年日韓条約締結当時と違って新しい事実が相次いで明らかになっておって、その当時の状況とは変わった認識に立っているということでの、後から申し上げますが、元従軍慰安婦の徹底究明と補償要求を政府に対してしている事実があります。これについてはどう思いますか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 日韓の財産請求権の問題につきましては、完全かつ最終的に解決済みという立場でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 今、解決済みだ、こういうようなお話でありますけれども、しかし、国と国との間の賠償については解決済みだということで、国際ルールからいえば必ずしも個人の補償はされていない、賠償と補償は違う、こういう見解も当然国際ルール上あるわけでありますから、単に一方的なそれだけの理由では朝鮮のみなさんが納得できないのではないでしょうか。今後もこれらの問題は、韓国ばかりではなくて、北朝鮮からも恐らく相次いで出てくるだろうと思うにつけても、それだけの解釈で通すことができると思いますか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  これは何度もこれまで答弁申し上げているとおりでございまして、私どもといたしましては、過去の一時期我が国の行為によって耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことについて深い反省と遺憾の意を累次の機会に表明してきたわけでございますけれども、財産請求権の問題につきましては、完全かつ最終的に解決済みということで御説明申し上げているところでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 次に、今の問題は一応おきまして御質問いたしたいと思いますが、昨年の十二月六日、元従軍慰安婦ら三十五名が約七億円の補償要求を東京地裁に提訴、こういう問題が明らかになった段階で、宮澤総理が訪韓した際に、一月十七日、韓国大統領からしかるべき措置を要求されて、総理は韓国民に対し謝罪し、慰安婦問題についての調査を継続して行う旨約束をいたしたことがありますが、その後の経過についてお聞きをいたしたいと思います。  さらにまた、今回従軍慰安婦にかかわる関係資料が防衛庁の図書館から見つかったことや、あるいはアメリカの大学教授が保管をしておった資料でもこの問題に対する国としてのかかわりは明らかになっているわけでありますが、これら慰安婦に対して国としての補償をするということは当然のことだ、そういうふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  従軍慰安婦の問題につきましては、宮澤総理が先般韓国を訪問されました際に、衷心よりおわびと反省の気持ちを申し上げますとともに、日本政府が関与していたか否かにつきまして誠心誠意調査を行いますということを申し上げたわけでございます。現在この調査を外政審議室を中心といたしまして行っているところでございます。  先ほどからも御答弁申し上げておりますとおり、日韓の財産請求権の問題というのは完全かつ最終的に解決済みということでございまして、六五年当時予想できなかったことについてもこの協定により解決済みという考え方でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 ただいまそういう見解を表明されましたけれども、外務大臣は予算委員会でこのことについて、やはり国で何らかの対応が必要だということを認められておるわけでありますから、国としてのそれこそ人道的な立場に立った解決方法をぜひ検討してほしい、強く求めておきたいと思いますし、今の返答ではちょっと納得できません。  先ほどの台湾の問題ともかかわりありますが、私はやはり問題があるんではないかと思います。それは何かと申しますと、中国との間に、日中の賠償要求を放棄ということでやったにもかかわらず、台湾については議員立法で一人二百万円という補償をいわば弔慰金ということでやっている、片や朝鮮半島の軍人軍属については既に両国間の了解事項でもう相済みだ、これだけでは通らないのではないかというふうに私は考えるわけですが、その辺はいかがでしょう。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  台湾の事情につきましては、中国課長が参っておりますので、中国課長からお答え申し上げるのが適当かと考えますけれども、韓国との関係におきましては、十三年間国交正常化交渉を行いまして話し合った結果が財産請求権・経済協力協定でございまして、この問題は解決しているという考え方でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 どうも最後の方になると何言っているんだかさっぱり聞こえませんね。もっと明確に答弁してください。  やはりこれは、朝鮮の問題に対してもあるいは台湾の問題に対しても同じだと思うのですね。アジアの各国で日本がかつての侵略戦争で被害を与えた事実が明確であるわけですから、台湾については日中との間の協定で確認されて、もう賠償はしない、お互いに放棄しますということになり、対韓国については五億ドルで決着をしたという経緯がありますけれども、しかし、いずれにしても、かつては日本の軍人軍属として大変な犠牲を払い苦労をされた皆さんに対して、片方の台湾には弔慰金制度を法律でちゃんとつくり補償をして、片やについてはもう話し合いで済んだ、こういう不平等な取り扱いということは、私としては、今後の朝鮮半島の皆さんとの友好を一層深める、こういう意味で実に不愉快きわまるものだというふうに相手国から思われるのではないでしょうか。この辺についてどう思いますか。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  戦後処理の問題につきましては、各国それぞれの事情に応じましてサンフランシスコ条約あるいは二国間で話し合ってやってきているところでございまして、この問題を処理するに当たって、韓国の場合では十三年間韓国政府と十分議論を尽くした上で解決しているわけでございまして、私どもといたしましては、財産請求権・経済協力協定によりまして完全かつ最終的に解決しているという考え方でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 いつまでも課長さん、あなたとの対話では平行線でありますので、いずれの機会に十分議論をしたいと思います。  次に、報道によれば、中国、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどアジアの戦争犠牲者からばかりでなく、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの元戦争捕虜らの組織が昨年の九月、日本政府から一人二万ドルの補償金の支払いを国連人権委員会に訴えているのでありますが、これらに対して政府としてどのように受けとめ、今後どう対応されるのか、お伺いしたいと思います。

吉澤裕外務省国際連合局人権難民課長

○吉澤説明員 ただいま御質問にございました米国等の元戦争捕虜からの国連に対する申し立てにつきましては、これは一九八七年ごろからアメリカ、イギリス、カナダ、オランダ、ニュージーランド、オーストラリア、合計六カ国の元戦争捕虜等で組織いたします民間の団体が国連に対しまして、個人または団体からの人権侵害の通報を取り扱う手続、これはいわゆる一五〇三手続というふうに言われておりますけれども、この手続に基づきまして国連に対し捕虜問題につきまして申し立てを行ったものでございまして、ただいま九一年という御指摘もございましたけれども、八七年から九〇年、九一年にかけてそのような申し立てがあったというふうに承知しております。  この一五〇三という手続自体は通報者の保護という観点からすべて非公開の手続となっておりますけれども、ただその一般的な問題といたしまして、昨年の八月に国連の人権委員会の下にございます差別防止・少数者保護小委員会というところにおきまして、この一五〇三手続の一般的な適用範囲の問題といたしまして、第二次大戦中に生じた損害に関する賠償または救済のメカニズムとしてはこの一五〇三手続を適用することはできないという旨の決定がなされております。  この差別防止・少数者保護小委員会の決定につきましては、今年の一月二十七日から三月六日に開かれました国連の人権委員会にお。きましても特に異議が出されておりませんので、今後将来この国連の人権委員会というものが別の決定をしない限り、この通報の手続につきましては、先ほど申し上げた昨年八月の差別小委員会の決定、すなわち、第二次大戦中に生じた損害に関する賠償または救済のメカニズムとしてはこの手続は適用できないという決定が適用されることとなると考えられますので、国連に申し立てる手続といたしましてはそういう形で終了したというふうに理解いたしております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 次に、中国の補償要求についてお聞きをいたしたいと思います。  本年の三月二十日、北京で開かれる全国人民代表大会に中国侵略の戦争賠償として千八百億ドル、約二十四兆円を要求する案が提出されることになったというふうに報道されております。また、中国侵略の補償総額は三千億ドル、戦死者等に千二百億ドルは解決済みだが、南京虐殺など一般市民に対する被害補償として残る千八百億ドルを要求している。中国の一部である台湾への補償との関連の中では一方的に解決済みとは言い得ないのではないかというふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。

樽井澄夫外務省アジア局中国課長

○樽井説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、中国の全国人民代表大会、日本の国会に当たりますけれども、現在開催されております全人代において御指摘のような法案の提出の動きがあるというふうに私どもは承知しております。ただ、あくまでも現在先方の国会内の手続の話でございまして、国会の意思として決議をされたとか、そういった結果はまだ出ておらないものですから、私どもとしては現段階において具体的なコメントをするというのは不適切だろうと思いますので、差し控えさせていただきます。  ただ、一般的に申し上げますと、先生先ほど御指摘になりましたように、日中間の戦争賠償及び請求権の話につきましては、日中共同声明、一九七二年に発出されましたけれども、日中共同声明で政府間では一応完全に決着を見ているという一つの現実がございます。当時中国政府は、いわゆる中国人民を代表して、当然政府でございますから全中国人民を代表して明確に戦争に係る請求権は放棄されたわけでございます。そういった立場は当然現在中国政府も維持されておりまして、一昨日でございましたか銭其シン外務大臣も記者会見でその点を改めて確認されております。したがいまして、いずれにしろ本件につきましては政府間の話にはなり得ないというのが私どもの認識でございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 今一つの見解をいただいたわけでありますが、しかし、日中間のかつての協定は国と国との間の賠償についてであって個人に対する補償ではないということを中国政府の考え方として明らかにしている点もあるわけでありますから、必ずしも今の言うとおりではない。今後相次ぐ各地からの補償請求が裁判で行われるということに相なれば、やはり中国からも、個人の集団か何か知らぬけれども、相次いで出てくる可能性はある、それにどう対応していくのかという中でやはり問題はあり得るのではないかというふうに思いますので、その辺についてはどうお考えですか。

樽井澄夫外務省アジア局中国課長

○樽井説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の点は、私、大変個人的には理解申し上げますし、そういった動きが中国国内にあるというのも事実でございます。繰り返しになりますけれども、国と国との約束というのは少なくとも全国民を代表する政府と政府の約束でございますから、換言いたしますと、国民と国民との約束というふうに私ども理解しております。これが第一点でございます。  第二点につきましては、いかなる国民にあっても物を言うのは自由でございますし、表現の自由というのは当然ございますから、中国の方がそれぞれの政治信条、お立場、考え方でどんなことをおっしゃっても、それは当然許されてしかるべきでございますし、私ども、そういった点についてとやかく申し上げることではございませんけれども、少なくとも、私が政府の立場として先生御指摘の件にお答えするとすれば、先ほど申し上げたように、いわゆる国を代表する、国民を代表する政府と政府の間で本件については明確に解決済みであるということでございます。  一つ、例えば外国の個人が本件について対応するという場合、一つの理論的な可能性といたしましては、我が国の裁判所に訴えるとか、いろいろなそういった方法はあろうかと思いますけれども、少なくとも、私ども政府レベルの話には本件はなり得ないということでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)委員 きょう、戦後補償という形でいろいろ議論をしてまいりましたが、どうも私の質問に対しまして十分答えていただく立場の方がおりませんので、いずれの機会がにまた取り上げてみたいと思っているわけであります。  ただ、ここで参考までに、私は、この私の考え方にぜひ答弁をしていただける方がいればしてもいただきたいと思いますけれども、いないようですからやむを得ませんが、日本の戦後補償についての考え方とアメリカあるいはドイツと、国際的な流れというのはやはりかなり違うという点を指摘をしておきたいと思うのであります。  アメリカを例にとれば、八八年八月、レーガン大統領は日系人補償法案に署名いたしました。これは、第二次世界大戦中強制収容所に収容した約十二万人の日系アメリカ人に対して、今後十年間に一人二万ドルの補償金を支払うことを内容とするものであります。  アメリカ連邦議会は、一九八〇年議会にこの事件に関する調査委員会を設け、二年間、二十回に及ぶ聴聞と七百五十人を超える証言を聞き、当時の関係資料の収集と分析を行った。その結果、日系人の排除、拘禁は戦争遂行を妨げる危険性がないにもかかわらずなされたものであり、人種偏見、政治指導力の欠如によるものであると認定されたというふうに聞いておるわけであります。  今回のこの日系人補償法は、大統領と議会がみずから犯した不正をみずから正したものであり、アメリカ・デモクラシーの復元を意味するものであり、我々の範とすべきに足るものではないかというふうに一つは思います。  それから、実は統一ドイツにおきましても、ポーランド人に対する迫害、強制連行、そういうことに対して、まさに約百万人に対してつい最近補償をすることを決定したという、いろいろな事例がたくさんあるわけであります。  したがって、日本も戦後補償を、単に台湾にだけ特別な補償制度をやるのではなくて、日本から被害を受けた、戦争で大変な犠牲を受けた各国に対して、もっと根本的な調査をした上で、やはり応分の我が国としての補償をする、こういうのがむしろ当然のことであり、それがやはりアジアにおける日本の信頼と友好を高めるゆえんのものになるであろうというふうに考えますと、今後の補償対策はもっと真剣に、もっと別な角度から再検討してしかるべきだろう、そういうふうに申し上げたいと思います。  いずれこの問題については、御答弁いただける方が出席の場合にまた質問させていただく、そういうことで、きょうは私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 志賀一夫君の質疑はこれで終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 私の方から御質問を申し上げます中身は、主としてアイヌ民族の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  まず、北海道開発庁長官に対しまして、北海道開発の基本的な理念の中に、北海道に住んでおられる先住民族と言われる少数民族、私の知るところではアイヌ民族、正確な呼称であるかどうかは十分に承知をしておりませんけれども、オロッコ族、ギリヤーク族など少数民族が先住民として住んでおると承知をいたしておりますが、これらの我が国少数民族に対して、北海道開発の基本理念の中にこれらの問題がどう位置づけられているか、この点をまずお伺いしたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 御指摘ございましたように、アイヌの方々、私どもこれは正式にはウタリと申して、先生もう御高承のとおりでございますが、そういう方々がいらっしゃることは十分に承知いたしておりまして、ウタリ対策の関係省庁連絡会議の窓口を北海道開発庁としては承っておりますので、いろいろな意味において、そういう方々の文化の向上、生活環境の改善のために手を加えていかなければならぬじゃないか、こういうふうに思っております。  関係省庁はたくさんに分れるわけでございますが、私どもの方としても毎年度予算を計上いたしまして、継続的にこの方々の文化の向上、生活環境の向上あるいは進学のお伝いができるように手配をしていきたいということでございまして、ある意味においては、大変大事な文化的な要素もお持ちでいらっしゃる方々でございますので、そういう方面にも十分に配慮をしてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。要するに、差別のない北海道、もちろん差別のない日本ということの前提のもとに我々としては細心に気を配ってやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 北海道開発の全体的な行政の中で大変大事な問題として考えておる、こういう答弁をいただきましたが、それでは、これらの少数民族の今日の生活の現状、生活、それは教育とか文化をも含めての現状について、いわゆる日本国民一般の水準と比べて格差があると認識をされておるかどうか、その点はいかがでしょうか。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 過去何年かにわたって調査した結果に基づく限りにおきましては、残念ながら先生御指摘のようなある程度の格差があるように思っております。その格差をなるべく早く埋めなければならないという願望でございますけれども、現時点でとらえる限りにおいては御指摘のとおりであろうと残念ながらそう思っております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 これは後ほど文部省なりあるいは法務省等にそのことについてさらに突っ込んだ質問をしたいと思いますが、格差があるという認識であるならば、その格差を是正するためにどのような重点的な政策、政策といいましても一々政策をここで述べていただくわけにはいきませんが、そこで私が、どういう理念でやっておられるか、こういうことを尋ねたわけなのでございまして、大変大事な問題だと言うだけでは格差是正ということに直ちに直結しませんので、もう少し格差是正のための理念、こんなものをお伺いしたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 格差があるというふうに私御答弁申し上げているわけでございますが、その格差は人によってとらえ方が違うだろうと思うのであります。しかし、北海道にお住まいの全道民とウタリの方々の格差がどういうふうな形であらわれているかという物の見方によっても対策は違ってくると存じますが、まず第一に挙げられるのが、住宅問題を含めて生活環境の問題だと思います。  これは確かに一般の道民の方々との生活の水準というところに原因があるかもしれませんが、確かに生活環境については格差があると存じます。したがいまして、そういう方々のために、まず環境の施設改善をしてまいらなければなりません。そういうことを重点に開発庁の方も予算を組みまして、大体来年度の関係から、これは厚生省から後であるいは補足をしていただくかと思いますが、国費で見て六億円の予算を平成四年度では組んでございます。  その次は、先ほどもちょっと触れましたように、やはり大事な、しかも希少価値を持った民族文化でございますために、その文化財の保護のためあるいはその調査のために補助を、これはわずかな金ではございますけれども、平成四年度では二千万円の計上をいたしております。総体的に、いろいろな面で国費といたしましては十五億余、厳密に申し上げますと十五億五千万円ぐらいの国費を用意いたしておりまして、ウタリ対策の基本の財源にいたしている次第でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 長官にさらに深い理解をいただきたいと思いまして私は申し上げるわけでありますが、後ほど法務省なり文部省とのやりとりについて十分にお聞き取りをいただきたいと思いますが、これは釧路の人権擁護委員連合会が主催の人権擁護に関する作文コンクール最優秀賞ということで、竹内公久枝さんという当時中学一年生の子が書いた作文でありますが、生々しく差別の実態を訴えております。  ちょっと簡単に読んでみますと、「例をいえば、」自分の校区の、ある高等学校の「学校祭へいった時、ぜんぜんしらない人たちに、うしろゆびをさされて「ほら、あの人アイヌ人よ」と、いわれたこともあるし、西小へいつて「かえれアイヌ」と、ぜんぜんしらない男子四、五人に、石をぶつけられたこともあるし、芽小」、芽小というのは芽室という小学校ですが、「芽小にいたころ一年か二年の子が、私にぶつかって「きっもちわる~いアイヌにぶつかっちゃったー」と、あやまりもせず逃げていったり、ある男の子が女の子を泣かしていたので、ちゅういすると、「アイヌのくせにいばるな」と言われたことがあります。まだまだ、ぜんぶの例をあげてみれば、この原稿用紙が百枚あってもたりないかもしれません。」  これはやはり現実に顕現的な差別ですね。実際自分が体験する差別をこの人権擁護委員連合会主催の作文コンクールで訴えておるわけであります。したがって、こういう現象、こういうようなのを顕現的、現実にあらわれた差別、顕現的な差別と言いますが、それは今大変なインパクトを持って国の政治の上にも強い働きかけをしております同和問題が三十年とか五十年前、こういう状況であったのであります。  ところが、まだ我が国において、北海道の先住民に対して、子供に対してさえ、子供の世界でさえこういう状況があるということでございますので、ぜひ北海道開発庁長官、この北海道の開発行政の総合調整の役割を果たされるのだろうと思いますから、私の気持ちでは、それは六億や十億や二十億や三十億で年々の金がそれくらいのことでは、これはとても及びがつきませんので、どのように現実的な格差を埋めて人々の意識というものを解決していくか。格差が片づくというか、格差が解決しなかったら、人々の意識は常に差別的な方向に再生産をされるわけでありますから、その点をひとつ十分にお考えをいただきたいと思います。  それでは文部省の方にお尋ねをいたしますが、今日のアイヌ民族、その人数を正確に把握することはなかなか困難だと思いますが、そのアイヌ人と呼ばれる立場の青少年諸君の高等学校進学率と大学進学率を北海道全道と比較してどの程度の状況になっておるか。あるいは全道との比較が直ちになければ、日本の国全体とどういう形になっておるかをお答えいただきたいと思います。

辻村哲夫文部省初等中等教育局高等学校課長

○辻村説明員 お答え申し上げます。  私ども、道の調査を通しまして把握をしているわけでございますけれども、昭和六十年度の数字で申し上げますと、道全体の高等学校への進学率が九三・九%に対しまして、ウタリの子供たちの進学率は七八・四%、また大学への進学率につきましては、道全体が二四・六%であるのに対しまして、ウタリの子供たちの進学率が八・一%というふうに承知いたしております。(小森委員「ちょっと聞き取れませんでした」と呼ぶ)八・一%でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 そうしますと、これは大変な開きがあるわけでありまして、我が国政府あるいはまた国連代表部、国連の会議に出る我が国政府の代表などは、よくこの国連の各種人権の会合、国連の会議ですね、そういうものに出ては、日本政府はアイヌ民族に対して何らの差別を行っていません、こういう意味の演説をしたり報告書を提出いたしております。なるほど、行政的におまえらは学校へ来てはならぬ、これはもう今の時期はないと思いますね。これは同和問題だってそうですね。行政が来てはならぬという邪魔をすることはないと思いますね。しかし、行こうにも行くことができないような客観的な状況から子供たちを救っておるという状況においてはまだまだ非常におくれておるというか、やるべきことをやっていない、つまり、やるべきことを十分にやっていないという意味の行政的差別があると私は言わざるを得ぬと思いますが、その点、文部省、どうでしょうか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局高等学校課長

○辻村説明員 私どももこの数字を把握いたしまして、なお高校進学、大学進学において格差があるという認識を持っております。  そこで、経済的な理由によりまして進学を断念せざるを得ないというような状況をまずなくすということは一つの重要な施策であるというふうに考えておりまして、そのために昭和五十年度からでございますが、進学奨励事業というものを行ってきております。これは道が行います事業に対しまして、国がその二分の一を補助するものでございますが、奨学金、それから通学用品費等に対しましての助成をいたしておりまして、ちなみに、現在国会にかかっているわけでございますけれども、平成四年度予算におきましては、これらに要する経費といたしまして一億八千九百五十八万余の予算を計上しているところでございます。  また、先生から先ほど生徒の作文を御紹介されまして、現実にそうした意識の面でも歴然とした格差があるではないかという御指摘があったわけでございますが、この面につきましても、私ども大変重要な課題と考えておりまして、各学校におきましては、それぞれの生徒の発達段階に応じまして、教科、道徳あるいは特別活動といった教育活動全体を通しまして、生徒一人一人に基本的人権尊重の精神というものをしっかりと身につけさせるという趣旨に立ちました教育の充実に努めているところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 答弁が昭和とか平成とか言われると、私はちょっとこれよくわからないのですけれども、昭和六十年というと今から何年前ですかね。これは後で答えていただければいいのですが、つまり、そのころから何かをやっておるが、グラフにかいたらどういう軌跡をもって進学率が向上しておるか、現にそれで効果が上がっているか、あるいはその効果の上がり率が我々が目の黒い間に、生きておる間に間に合うぐらいのテンポなのか、その点については文部省はどう認識されておるでしょうか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局高等学校課長

○辻村説明員 大変恐縮でございますけれども、この六十年度の調査が先ほど申し上げましたとおりでございますが、さらに前からの数字を申し上げますと、大変恐縮でございますが昭和四十六年度、その六十年度からさらに十四年前の時点では、例えば高等学校について申しますと、道全体の進学率が七八・二%でございましたが、それに対しましてウタリの子供たちの進学率は四一・六%でございました。その七年後の昭和五十三年度の進学率について申しますと、高等学校、道全体が九〇・二%でございましたのに対しまして、ウタリの子供たちの進学率は六九・三%でございました。その後、先ほど申し上げましたようなことで、九三・九%に対しまして七八・四%、こういう数字になっておるところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 余り細かく数字のことを言っておりますと時間が足りなくなりますから、私の所見をちょっと申し上げておきますが、ある一定の段階までは、全体の進学率が上がるにつれてアイヌの少年、青年たちの進学率が高校あるいは大学ともに上がるという傾向は、私は、同和問題を通して、そういう動きを示すということは大体わかるのです。問題は、ある程度上がった段階で、日本の政府が本当の意味で差別撤廃の決意を示し、その差別撤廃の政策を打ち立てなかったら、一定の格差をもってそこで足踏みをするのです。  それを、これは皮肉だと思って聞かれたら私は困りますけれども、それは私は学問的にも議論できると思いますけれども、どうしても日本の国に差別を求める、つまり、差別の実態を温存しようとする者もおり、また、人間は弱いものでありまして、そういう気持ちを持つ者もおりまして、何かにが悪い方向にこたえて、ある一定のところまで届いてそこからクリアできないという問題があるのです。これはよほどてこ入れしなかったらクリアできないのであります。そのある一定のところからクリアできなかったら、我が国にはいつまでたったって民族差別は残る、こういう問題になるのです。  そこで、ひとつ開発庁長官、これはきょうはあなたと私が議論をして決着つけようなどという気持ちじゃないのですけれども、私は、この日本という社会の中にあって、同和問題は身分差別、こっちは、アイヌ問題は民族差別ですけれども、その差別の形態というものが現象面では非常によく似通っておりますから、私の目から見たことを言っておるわけでありますので、文部省の方もその点はひとつ十分に考えて取り組みをしていただきたい。  そこで文部省にもう一つだけお尋ねをしますが、我が国憲法がその保護する子女に国民はひとしく教育を受けさせる義務を負う、これは普通教育のことについて書いておるわけですけれども、しかし、その精神は法のもとの平等ということでできておるわけなんでありまして、こういう現実の事実、格差が現実にあるということは、憲法がひとしく保障しておる市民的権利、我が国国民の市民的権利が残念ながら現実的には阻まれておる姿だ、こういうように文部省は思われますか。

辻村哲夫文部省初等中等教育局高等学校課長

○辻村説明員 やはり生徒一人一人に真の他人に対します正しい人権の認識につきましてなお不十分な点がある、残念ながらあるというふうに認識をいたしております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 時間の関係で深入りできませんが、先ほどもちょっと長官の方が触れられました伝統文化などに対して若干の補助金が出ておるということでありますが、それはもうきょうは仕方がないからちょっと棚に上げるとして、アイヌ語の問題、これに対しては文部省はどういうように考えておられますか。つまり、アイヌ語というものはこのままいったら滅亡してしまう、なくなってしまうと私は思いますが、それはどういうように考えておられますか。

渡邉隆文化庁文化財保護部伝統文化課長

○渡邉説明員 アイヌ語のお尋ねでございます。  アイヌ語の保存につきましては、私どもも大変大事な問題であると考えておりまして、特に近年アイヌ語を話せる古老の方々が減少をしてこういう姿が衰えていく状況にございます。そういうことで、北海道教育委員会の方でアイヌの生活文化用語の伝承教室というようなものを開設しておられます。そのための経費につきまして国庫補助金を交付しているところでございます。  実施地区につきましては、平成三年度八地区で実施をいたしておりますが、この実施地区につきましても北海道教育委員会の方と御相談をいたしまして、毎年度実施地区をふやしていくというような方向で対応しているわけでございます。今後とも、さらにこの拡充強化を図ってまいりたいと思っております。  こういう施策、私ども文化財の保存という立場でアイヌ語の保存については今後とも懸命の努力を続けていきたいというふうに思っております。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 言語を単に文化財の保護というかそういう角度でとらえられると、私はこれは大変見当違いだと思います。言語はその民族の魂ですから、だから言語というものが廃れていくということはその民族が次第に滅亡していくということですからね。だから私は、よその国の少数民族に対する政策もよく研究していただきたいと思うのです。  中国なんかは五十幾つかの少数民族がおりまして、一番小さい民族はわずか数千人ですよ、一番小さい民族は。しかし、中国はどういうことを考えておるかといったら、言葉はあるが文字を持っていない民族に対しては、その言葉に適した文字をつくって、そしてその文字を使ってその言葉を継承するというところまでやっておるのですよ。これは北京に行ってみなさい、北京に少数民族学院というのがありますから。各省には各省少数民族学院というのがありますから。それくらい民族問題というのはかなり物をよく考えて、深く考えてやっていただかなければ、我が国は単一民族だなどということを政府の要人が平気で言うようなことになるわけでありますから、その点はきょうは私の指摘にとどめておきます。  さて、もう一点御質問いたしますが、法務省にお尋ねいたします。  過般、私は法務委員会におきまして法務大臣に尋ねたところ、旧土人保護法という法律の名前は差別的な法律の名称である、こういう見解を、当時の法務大臣、閣僚の一員であった左藤法務大臣がそういう答弁をいたされておりますが、法務省人権擁護局は、大臣が差別的法律の名前であると答弁したからにはその後何らかの処置をとられておるのが当然のことだと思いますが、この問題を解決するために、わかりやすいから法律の名前だけ言いますが、中身も随分問題があるのですけれども、どういうような方途を講じられてきたか、お答えいただきたいと思います。

佐竹靖幸法務省人権擁護局総務課長

○佐竹説明員 お答え申し上げます。  ただいまの法律につきましては、これは法律の名称といたしましては不適切なものであると考えております。人権擁護局といたしましては、アイヌの人々に関する人権問題については、北海道知事等からの新法制定要求について検討するために政府部内に設けられている関係省庁から成る検討委員会などにおいて、アイヌの人々に対する差別の根絶と人権の擁護の重要性という当省の考え方や取り組みなどを説明するなどしているところであります。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 やはりお互いに生きている間に間に合うように、目が黒い間にやるというのが現在を生きておる者の良心なんですね。そういう説明だったらだれでもします。法務大臣があんな答弁する前だってそんな答弁できるのです。だから、もう少し人権擁護局は、法務省は人権擁護行政持っているのですから、つまり人権擁護を全うするという精神に立って」日も早くこれは解決しなければいかぬと思いますよ。強く指摘をさせておいていただきます。  それで、同じ旧土人保護法の中に北海道の土地を幾らかの面積で、私の記憶では一万五千坪ではないかと思いますが、それを農耕に従事したい希望者には無償でこれを与える、こういうことに旧土人保護法はなっておると思いますが、もともとアイヌのウタリの諸君に言わせれば、アイヌモシリ、自分らが自由にここで山野を駆けめぐって自然のものを収集して生活しておったところだ、にもかかわらずただでやるとは何事かという気持ちもあるのですが、それは遠い相当昔のことでありますからちょっと棚に上げておきますが、つまりその一万五千坪の土地を、通常言われるところの完全な近代市民社会の所有権とはちょっと違う、少し制限を加えているのですね。北海道庁長官の、北海道知事の許可がなかったら売り買いできない。私権に制限を加えていますね。これが、今日の私有財産権はこれを侵してはならないという憲法第二十九条との関係で法務省はどう考えられますか。

寺田逸郎法務省民事局参事官

○寺田説明員 今御指摘になられました保護法の第一条に、御指摘のとおり一万五千坪の範囲内で対象になる方々のうち農業に従事する方々に無償で土地を下付するという規定がございます。この下付された後は一定の年月がたちますと道知事、現在でございますと道知事でございますが、の許可をもって譲渡することができるわけでございますが、逆に申しますと許可がなければ譲渡することができないという意味では自由な所有権の発現に対する一種の制約になっているわけでございます。  ただし、民法の規定から申しますと、民法の二百六条で所有権の内容というのは法令の制限内にあるということが規定されております。ただし、この制限内の制限でございますが、これは全くどのような制限でもいいというわけではなくて、もちろん憲法の趣旨その他の趣旨を踏まえまして合理的な範囲内でなければならないというように考えられているわけでございます。  ところで、先ほどの規定でございますが、これはこの対象になる方々のうち農耕に従事する方々の特に生活の安定に配慮いたしまして特に無償で土地を与えるという形での目的を持った規定でございまして、したがいまして、こういう目的に沿うようにその後の譲渡その他の所有権の行使、権利の行使というものを制約するというのは、それなりに特別に配慮をしたということに対する目的からいたしますと、合理的な範囲内の制約になるのではなかろうかというように考えられるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 指摘だけにします。  憲法は、人種、信条、性別、社会的身分などなどによって差別してはならないとある。アイヌ民族なるがゆえに旧土人保護法はそういう私権の制限をしているのであります。したがって、これは憲法の定めた合理的な範囲内のことだと言葉で言うことはできるかもしらぬけれども、中身とすればまことに納得のいかないことであります。きょうここで直ちに結論の出ることじゃないから、この点についても私の指摘にとどめておきます。  終わります。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 以上で小森龍邦君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 きょうは平成元年度の決算についての審査で、北海道開発庁、沖縄開発庁所管でございますが、まず、当面する課題について最初にお伺いをしてまいりたいと思います。  昨日韓国で総選挙が行われまして、昨夜来からの報道によりますと、韓国の政界においても大きな変革といいますか、変化が起きたようであります。盧泰愚政権の民自党が過半数を割りまして百四十八議席、そして、野党の金大中総裁の率いる民主党が九十七、そして、新たに財界の指導者として国民党が今回三十二議席という進出をしたようでございまして、韓国の政界もこの総選挙を契機に、ある意味では政権党が大変に不安定な国会運営を強いられる、こうした状況が醸し出されたと思うわけでございます。  今後日本と韓国の関係というのは非常に大事な関係であります。そういう意味合いから、この総選挙が終わってすぐ今後の見通し等について対応をするのは早計がと思いますが、まず政府として、きょうは北海道開発庁長官でありますが、やはり政府の重要な閣僚でございますから、この現実の政界の変化というものに対して率直に、まず大臣はどのように受けとめておられるのか、お考えを伺いたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 ただいまの御指摘の点は、私はけさ新聞で拝見した程度でございまして、また、私の立場からその価値判断を申し上げるのもいかがかと存じますが、いずれにいたしましても、衣帯水の我が友好国でございますから、政治的安定、経済的安定を、ひとしく国民の一人としても、また閣僚の一人としてもお祈りする、こういうコメントだけを申し上げたいと思います。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 先ほど、ちょっと急遽でしたが、よく外務省としての分析を報告するように申し上げておきましたが、外務省としては今どういうように受けとめておるか、御報告いただきたいと思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  昨二十四日実施されました韓国の国会議員選挙、これは与党民自党にとりまして非常に厳しい結果になったものと私ども承知しております。ただ、このような選挙結果となった背景ですとか今後の韓国政局の見通し等、こういった所見につきましては、他国の内政にかかわる事柄でございますので、私どもとしても軽々に発言できないわけでございますし、また、こういった選挙結果についての現状分析というものを今後やっていかなきゃいけない問題だろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、我が国といたしましては今後とも与野党双方との関係を深めていきたいと思いますし、日韓友好の増進に努めていきたいと考えております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 先ほど宮澤総理も記者団の質問に対して、これからの日韓関係については影響がない、こういうようなコメントを出されたようであります。今外務省が非常に厳しい状況になったというニュアンスのお話が報告されましたが、まさに私もそういう感じがしてなりません。今後の推移を見守りながら、今までの日韓友好関係をさらに増進するために政府として努力することは当然でありますが、今回のやはり盧泰愚政権の経済に対する施策の厳しい韓国民からの指摘がこの総選挙にあらわれた。特にインフレの問題あるいは地価高騰の問題、ソウル・オリンピック以後の韓国経済の状況に対しての厳しい韓国民の審判が下った。ましてや今後秋には大統領選挙が控えているわけでございまして、金泳三氏の動向についても今後大変に影響が出てくる、こういうことでございますので、ぜひ私は、きょうはまあ開発庁長官ですから直接の所管ではないにせよ政府のやはり一閣僚として、この問題は、非常に今後の日韓関係においての重要な選挙ではなかったか、そういう意味ではよく分析をし、今後の日韓関係の、善隣友好国としてのきずなをさらに深めるように政府としても特段の努力が必要ではなかろうか。そういう意味では盧泰愚政権後の韓国情勢に対してもそれなりの綿密な分析と動向をしっかりとらえて的確な外交を展開すべきである、私はこのように考えておるわけでございます。  ましてや、後ほど御質問さしていただきますが、今回の韓国とロシアのいわゆる漁業協定の問題等もこれあり、非常に私は重要な局面に差しかかっている、後手に回らないよう特段の政府の今後の対応について強く要請をしておきたいと思いますが、この点について再度長官から今後の決意を政府を代表して御答弁いただきたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、私は予見を持って申し上げる立場ではございませんので、その点は御容赦いただきたいと存しますが、いずれにいたしましても、先ほども御答弁申し上げましたように、いかなる結果になりましょうとも、友好善隣の韓国でございますために、今後やはり政治の安定、経済の安定、同時にそういったものがこれからの日本に大きくまた影響も及ぼすことでございますから、安定をお願いしたい、こういうことで我々は対処してまいるべきだ、こういうふうに思う次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 また総理あるいは外務大臣の御出席の場で、今後の推移を見守りながら当決算委員会でも政府の対応について御指摘をしながら進めてまいりたい、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。  そこでまず、この二十日、二十一日の連休に当たりまして、ロシアのコズイレフ外相が日本に参りまして宮澤総理初め渡辺外務大臣と協議をいたしてまいりました。この二国間の日ロ外相会談はまさに北方領土の問題を含めた事実上の第一回の平和条約締結に向けての交渉である、私はこういう位置づけをしているわけでございますが、この日ロ外相会談の意図するところ、またこの外相会談の中における北方領土問題についてはどのような前進が見られたのか、あるいは確認がされたのか、この点について外務省から報告いただきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、先週末日本を訪れましたコズイレフ外相と渡辺大臣との間で第一回の日ロ間の平和条約に関する交渉が行われました。それに先立ちまして、宮澤総理がニューヨークでエリツィン・ロシア大統領と会談した際に、ロシア大統領の方から九月中旬に訪日したいという希望の表明があったわけでございます。つまり、現在平和条約交渉は九月中旬のエリツィン大統領の訪日を目標にして行われているわけでございます。  具体的には、既に二月の十日、十一日にモスクワで第一回の事務レベルの平和条約作業グループが行われました。日本側からは斉藤外務審議官、先方からはクナーゼ外務次官が出席したわけでございます。そして今回第一回の外務大臣同士の交渉が行われたわけでございますが、今回の交渉におきましては、コズイレフ外務大臣の方から、法と正義に基づいて問題の解決を図りたいという確認がございました。さらに、一九五六年の日ソ間の日ソ共同宣言、これを含めたこれまでソ連が締結した国際約束、これをすべてロシア政府も引き継ぐという確認がとれたわけでございます。  こういうことで、私どもとしましては、ロシア側は領土問題を解決して平和条約を締結するという強い意思と意図を持っておるというふうに受けとめておるわけでございます。これを踏まえまして、申し上げましたようにさらに九月の中旬のエリツィンの訪日に向けて鋭意交渉を進めていきたいと思っております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 今回のこの二国間外相会談というのは非常に重要な、今後の領土問題解決のための一つの大事な意義があった、こういうふうに私は理解をしております。それはまさに今外務省からお話がありましたように、エリツィン政権になりまして、これからの北方領土返還交渉については法と正義に基づく領土問題の解決、これを確認した、これは大変重要なことである。旧ソ違の政権時代には、どちらかというと戦勝国は戦敗国の言うことに優先するんだ、こういうまさにイデオロギー的考え方といいますか哲学において旧ソ連はこの領土交渉に対応してきたわけでございまして、一九五六年の日ソ共同宣言、ここに戻って法と正義に基づく領土問題解決を確認したということは、ある意味ではロシア政権、エリツィン政権になってこの領土問題交渉の、対日政策の外交交渉の変化あるいは変更、ここに私どもは着目しているわけでございますが、外務省としては、旧ソ連、そしてロシア・エリツィン政権の外交交渉にそうした変化が見られた、その上に立って今後この領土返還問題、平和交渉に臨んでいくんだ、こういう意識を持たれているのかどうか。この点についてまず確認をしておきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、今回五六年の日ソ共同宣言を含むすべてのソ連が締結した国際約束を引き継ぐという確認があったわけでございますが、この点は今までと違った変化、一歩前進と受けとめております。ただ同時に、今回の外相会談におきましてコズイレフ外相の方から、そういった原則を実際に実現するためにはいろいろ困難がある、政治的に困難があるという発言もあったわけでございます。したがいまして、この点につきましてはさらに今後鋭意交渉を進めまして、私どもの四島返還という基本的な方針、目標が実現する方向でロシア側に働きかけていく必要があろうかと思っております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 まさにその後段の御発言がまた非常に重要なポイントであろう。エリツィン政権の中には、北方四島返還について快しと思っていないそういう勢力もある。あるいは、サハリン州知事のように、強硬に四島返還に反対をしている知事もおる。そういうような中で、特に今回のロシア外相の訪日に当たりまして我々がいろいろ感じますことは、日本のとっている政経不可分の原則に対して何らかの見直しを迫ってきたのではないか。まさに、ロシアの今日的な経済危機に対して、日本が相当な支援をしてもらいたい、その強い要請の中に、日本側の外交交渉の原則としてきた政経不可分のこの原則の見直しを迫ってきたのではないか。こういうふうに我々は見ているわけですが、これに対しては、外務省はどういう対応をされたのか、今後また、この政経不可分の外交交渉の原則について弾力的に運用しながら対応するのか、この点についての見解を伺っておきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 旧ソ間、日ロ間に横たわります最大の懸案でありますこの領土問題、これを解決して平和条約を締結する交渉の過程において、私どもの基本的な方針としましては、今御指摘もございましたように、こういった基本的な政治問題が解決しない限り本格的な経済支援はできないという立場は、つとにロシア側に表明してきた次第でございます。この方針は今後も堅持するつもりでございます。  しかしながら、約二年半になると思いますが、当時の宇野大臣が、当時のシェワルナゼ外務大臣との間で協議を行った際に、日本としては、同時に日ソ関係、日ロ関係を拡大均衡の方向に持っていくという表明をしておるわけでございます。その具体的な措置といたしまして、数度にわたる緊急人道援助を行っておりますし、さらに、技術支援についても協力を行う、こういうことで、ソ連ないしロシアのペレストロイカの正しい方向性を支援するということで今まで対処してきたわけでございまして、決して日ソ関係、日ロ関係は固定された動かない関係ではなく、むしろ拡大均衡の方向に持ってきた次第でございます。  しかしながら、繰り返しになりますが、すべてのそういった大幅な、あるいは本格的な支援を行うには、まだその前提条件ができてない、こういう認識でございます。この点は、今回も、渡辺外務大臣の方から、さらに宮澤総理の方から、コズイレフ外務大臣に申し伝えた次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 私は、ここのところも、これからの外交交渉の中で非常に大事な位置づけだと思うのですね。拡大均衡論、これでいくんだ、しかし根っこは、やはり日本の国民の悲願は北方四島返還という、これがあるわけですから、これをしっかり押さえた上で、この政経不可分の見直し、拡大均衡論についても対応していかないと、なかなか交渉事というのは難しい、やはりこう思うのですね。  そういう点で、もう一つ、我々が心配している最近のロシア政権の動きが目まぐるしく変わってきているのが、いわゆる新憲法、ロシアの新憲法のこれからの動きの中で、領土の割譲については国民投票でいくんだと。これは、恐らくロシア政権と現在の共和国の中の地方分権とのかかわりで、そうした領土割譲の場合には、ロシア政権、中央だけで勝手にやらぬでくださいよ、我々の民族国家においてもきちっと国民投票によって、国民の合意の中で割譲してくださいよ、こういう一つの動きの中で出てきている問題ではなかろうか。しかし、そうした動きの中に北方四島の問題も十分縛られる、そういう可能性もやはり秘めているわけで、これは我々としては注目をしていかなければならない重要な事柄ではなかろうか。しかしまた、最近、こうした動きの反面、いや、条約の批准でいくんだ、こういう新たな動きもあるやに伺っているわけでございます。  この辺は、やはり日本政府としても、ロシアのそうした対応というものを的確に分析をして、そして対応していく必要があるんではないか。この辺の地方分権の問題と国民投票による領土割譲問題については、外務省としては、現在どういうふうに分析をされ、また、今後対応されようと検討されているのか、御説明をいただきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 お答えいたします。  今先生から御指摘のございましたロシア憲法の草案の中身、実はこれは新しいものではございませんで、昨年の秋にもそういった国民投票に関する条項がございました。ただ、今回のも含めまして、これはまだあくまでも草案の段階でございまして、これまでの例に徴しますと、こういったものが最終的にロシアの憲法として確定するかどうか、これはまだいろいろなプロセス、過程を経なければならないだろう。したがいまして、今の段階で、こういったものについて一喜一憂するといいますか、あえてコメントを行うことは適当ではないのではないかと思います。  私どもは、もちろん北方領土に関連する問題でございますので、非常に注目して、このロシア国内の憲法草案の審議の行方を今後とも見守っていきたいと思いますが、まだ、相手国の憲法の問題でもございますし、この段階でコメントは必ずしも適当ではないのではないかと思います。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 確かに、現段階ではコメントはこれは慎重にした方が私もいいと思います。非常にまだロシア国内においてもいろいろと意見が分かれ、揺れ動いている、そういう状況であろうかと我々も見ております。  ただ、ここで非常に大事なことは、この北方四島返還に今後我々国民を含めて政府が外交交渉を展開していく中で、今までの旧ソ連のときと、新たなロシア共和国という新政権ができた、こことは相当な違いが出てきている。私どもとしては、やはりロシアのエリツィン政権を初めとする民主的改革を推し進めることにできるだけの協力をしていくと同時に、ロシアの国民世論に対しても、この北方領土の過去の歴史と法律と我が国固有の領土であるというこの確固たるまさに法と秩序と正義の主張というものを、ロシア国民に対してできるだけのアピールをあるいはPRのできる、そういう機会というものを私どもはこれから強力に推し進めていくことではなかろうか、そしてロシアの国民が、確かにあの北方四島はロシアのものではないんだ、あれは日本の固有の領土なんだというその認識を進めることが、最も遠い道のようでまた近い道ではなかろうか、こういう感じが私はしてならないわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、今回二国間の外相会談において、いわゆるそうした北方四島の領土の歴史とかあるいは法律上の措置の問題とか、そうした問題について、資料の収集を作成委員会でつくって、そして両国の国民にお互いに、相互にPRしていく、これはまさに私は画期的な一つの提案事項として大変評価のできることではなかろうかと思っております。  私は、そういう意味で今後とも、例えば民間の交流の問題においてももっともっと政府が積極的に進めて、まさにお互いの国と国の国民の人間交流、友好を拡大して、そして、間違いは間違い、事実は事実、この認識を深める、私は、そうした苦労が必要な時代に入ったのではなかろうか、また、それが結果として花が咲く、そうした一つの希望が見えてきたのではなかろうか、こんな感じを昨今しているところでございますが、この点についての外務省の所見を伺っておきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 お答えいたします。  まさにただいま先生のおっしゃられましたとおり、ソ連の社会もゴルバチョフ登場以来大幅に変化いたしました。特に、言論の自由、いわゆるグラスノスチという標語に代表されます言論の自由が大幅に認められるようになったという点で目覚ましいものがあるわけでありますが、そういった状況を背景にいたしまして、私どももこれまでささやかながら対ソ連、対ロシア国民に対する北方領土問題を中心とする広報活動に努めてきている次第でございます。  具体的には、モスクワ駐在の我が方大使が過去何回かソ連、ロシアのテレビに出演いたしまして、そうしてこの問題について日本の立場を訴えている次第であります。さらに、両国民間同士のいわばグラスルーツの交流を深めるということは、今後極めて重要になると思うのですが、その観点から八六年に日ソ文化協定を締結した次第でございます。この日ソ文化協定が、こういった政府間ではなくて国民同士の交流の強化に大いに活用できるのではないかと考えております。  さらに、御指摘のございました今回の外相会談で合意ができました領土問題資料集、これはエリツィン大統領訪日までに作成することが合意されたわけでございますが、これは領土問題、平和条約、こういった問題についてロシア国民の理解を深めるために大いに役立つことになるのではないかと期待いたしております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 そういうような新たな時代の新たな変化にやはりどうかスピーディーに対応しながら、日本国民の悲願である北方四島返還にさらなる努力をしていただきたいと思います。  北海道開発庁長官、今外務省の審議官と何点がやりとりいたしまして、大臣も聞いていただいたと思いますが、やはり北海道開発庁長官もこれは重要な北方四島返還の、特に北海道の根室市を中心とした地域の皆さんは、我が先祖が眠っている地域でもあります。大臣はそうした北海道の開発の最高責任者です。この北方四島返還についても、外務大臣、政府の大事な閣僚の一人として、新しい時代の新しい変化に適切にどうかリーダーシップをとって、国民の悲願の四島返還に汗をかいていただきたい、こう思いますが、今までの議論を聞いていただいて、大臣としてどのような決意で今後この新しい変化に臨まれるのか、その辺についての所見を伺っておきたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 ただいま先生と外務当局との御意見のやりとりを伺っていて、まことに御指摘のとおりであろうと感激をしながら承っておった次第でございます。私も北海道の開発庁長官として、旧四島に住んでおられた島民がまだ健在でいらっしゃいます。と同時に、これは北海道に住んでおられる方々だけではなくて、全国民の北方四島の返還についての悲願は、これはもう申し上げるまでもないことでございまして、特に私はこの問題については閣僚の一員としまして、早くロシアとの平和条約が締結されて、四島がそのままの形で返ってくることを心から念願しながら協力してまいるし、努力してまいりたいと思っております。  ちょっと駄弁になるかもしれませんが、沖縄県の島が昭和四十七年に日本に返還されましてからちょうど二十年を迎えるのがことしてございます。その迎えるに当たって、返還に当たっていろいろと現地の沖縄県人が抱いておりました本土への復帰という悲願、そしてまたそれに対する努力、そういったものをつぶさに見てきている私といたしまして、また、返還に当たってどういうことをしなければならぬのかという問題につきましてつぶさに体験もし、また、国会議員として戦後の事後処理の問題についてあずかってきた一人でございますので、そういう経験も生かしながら北方四島が返りました節、また返るに当たりましてやらなければならぬことを自分自身で順序立ててこれから活動してまいりたい、こう思っておりますので、ひとつ先生の今後ともの脚後援を賜りたいと心から念願する次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 特に長官は昭和四十七年の沖縄返還の県民の当時の喜びを恐らく知っている体験者として、ぜひ大臣就任中においては特段の御努力によって北方四島返還に汗をかいていただきたい。このことを強く要請をしておきたいと思います。  そういうような新しい変化と新しい流れの中で、私どもとして非常に遺憾に思う出来事が起きたのがまさに韓ロ漁業協定の問題であろうかと思います。本年一月十日から二十一日までソウルで第一回の韓ロ漁業委員会が行われ、具体的な入漁条件等については二月十日から十四日までのウラジオストクで開催された韓ロ漁業協議において決定されたと聞いております。  今、日本とロシアが北方四島返還のそうした交渉の新たなテーブルについた、そういう時期にまさに日本の主権を侵すようなこうした韓ロ漁業協定が結ばれ、漁獲高までこの中で明確にされているわけであります。ロシア共和国経済水域内全体としては無償入漁が三万トン、有償入漁が七万トン。特にこの四島二百海里の現在の領土交渉中の中においても無償入漁一万三百五十トン、有償入漁四万九千トン、約六万トンがまさに北方海域で日本の操業とダブリングの海域になってくるわけであります。  これについては外務省としても、ロシアに対しても韓国に対してもそれなりの厳重な抗議また申し入れをされ、二国間外相会談の中でもこの問題が指摘をされた、こういうふうに伺っております。特に、本日も小和田事務次官が韓国の呉大使を外務省に招いて厳しく操業の問題について申し入れをした、こういうふうにも報告を受けているわけですが、この本日の小和田次官、韓国の呉大使の会談について、この場で御報告できることがありましたら国民に報告をしていただきたい、こう思います。

武藤正敏外務省アジア局北東アジア課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  本日朝の小和田外務次官から呉在煕韓国大使に対する申し入れでございますけれども、これは、先週行われました韓ロ外相会談及び日ロ外相会談の結果を踏まえまして改めて我が国の立場を強く申し入れたものでございます。  小和田次官からは、韓ロ外相会談において韓国側より韓ロ漁業協定の実施により北方領土の領有に関する我が国の立場を害する意図はない旨発言されたことを一応評価しつつも、他方いまだ善後策について韓国側より説明を受けておりませんので、北海道周辺の自主規制措置がようやくまとまった直後にこうした問題が発生したことは今後の日韓漁業関係に重大な影響を与えかねない問題である旨、さらに、この問題をめぐりましては日本国民の間に強い反発が生じでおりまして日韓友好協力関係を進めていく上で障害となりかねない旨るる御説明して、韓国側として早急に善後策をとるよう重ねて促したものでございます。  これに対しまして呉在煕大使からは、北方領土問題に対する日本政府の立場は十分理解しており、韓ロ外相会談においても韓国側より明らかにしておりますとおり、今回の韓日間の合意については北方領土に関する日本政府の立場に影響を与えるとの意図はなかった、この点は三月十四日に韓国におります我が方の柳大使と李相玉外相との会談でも李外相から十分説明したとおりであります、ただ本日の申し入れについては改めて本国政府に伝えたいと思いますといったやりとりがございました。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 この問題について、特にロシアとの問題で、二国間外相会談において渡辺外務大臣はコ外相に対してどのような厳重抗議をされたのか。それに対して、聞くところによりますと、ロシア側はあくまでも経済問題としての対応である、北方四島返還など政治的な問題ではない、こういう言い方をしているようですが、この点につて確認しておきたいと思います。

津守滋外務省大臣官房審議官

○津守政府委員 お答えいたします。  今回の日ロ外相会談で渡辺外務大臣の方から、特に本件が日ロ間がこれからいい雰囲気の中で平和条約交渉を行おうとしている際に、こういった雰囲気をぶち壊しかねない、あるいは既に相当程度ぶち壊していると言ってもよろしいかと思いますが、こういった問題が出てきたことについて特にコズイレフ外務大臣の注意を喚起した次第でございます。  具体的には、今回の韓ロ漁業協定の問題は極めて残念であり遺憾である、特にこの問題について北海道の漁民は強く反発している、ロシア側において早急に善後策を考えてほしい、これは単に経済問題あるいは漁業問題にとどまらない、極めて重大な政治問題である、さらに、日ロ間の問題に第三国が入ってくると話を複雑にするということを強く指摘した次第でございます。  これに対しましてコズイレフ外務大臣の方からは、ロシアとしてはこの問題を領土問題解決の障害にしてはならないという立場であると言いつつも、他方領土の帰属という政治問題にこれを絡めることなく経済レベルの話として処理すべきであるという返答があったわけであります。端的に申し上げて、話し合いは平行線ということでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 時間もないので端的にお伺いしておきたいのですが、一つは、ロシアが政治問題化したくない、あくまでこれは経済問題である、であるとするならば、そのねらいはやはり外貨の獲得にあるのか、こういう感じもするわけですね。この地域においての九一年度の操業実績、我が国は消化率が大体二割から三割。いろいろ状況はそれなりに、採算ベースの問題もあるでしょうが、そうした消化率の低下というのが韓国の操業をさせることによってロシアの外貨を高める、そういうような面の一つの背景があるのかな、あるいはもっと政治的な問題が含まれるのかな、この辺の分析も、我々としてもまた政府としてもやはり率直にやっておく必要があるのではなかろうか。  もう一点は、韓国に対しましても本日、小和田次官が申し入れをされたようですが、既に韓国の漁連の中には韓国政府に対して操業の認可申請を出しているという情報もあるわけです。既に五百トンから一千トン級の船が七隻から九隻ぐらい、この五月ごろをめどに操業開始をするのではないか、こういう動きもあるやに聞いておるわけですね。  そういうような状況というものを的確に政府としてもキャッチしでそれなりの先手を打っていかないと、まさに今審議官お話しのように、経済問題であると言いながらもこれは政治問題化して、日本と韓国、日本とロシアの関係が悪化をしかねない、そういう重要な課題ではなかろうかと私は見ているわけです。ましてや、北海道漁連の皆さんの声をいろいろ伺ってみますと、大変に怒り心頭であります。まさに資源のないこの地域が韓国の操業によって資源が枯渇化するのではないか、そうした危惧も北海道漁連の皆さんも大変に持っております用地元の漁連のそうした声も率直に受けとめて、外交、内政においても政府としては積極的に取り組んでいく重要な時期に来ているのではなかろうか、私はこういうふうに考えております。  長官、時間もありませんので、政府を代表して、こうした点について今後どのように努力されるおつもりなのか、伺っておきたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 今外務当局から御説明がございましたように、北海道の漁連に限りませず北海道の道民は、北方四島の返還という問題を手の届く範囲に迎えた今日、この事態については大変に重大な関心を持つと同時に大変遺憾なことだと思うわけでございます。特に水産関係の方々は、いろいろな意味での、今のロシア、米国に挟まれて漁業水域が狭まってまいりましたし、ただでさえ厳しい状況の中さらにこういう追い打ちをかけられるという思いでこの問題を見ておると思うのです。  しかしながら、これはもう今外交交渉の俎上になっていることでございますので、私どもは関心を持ちながらこの行方を見守り、できるだけ早いうちに平和的に解決することを私も外務大臣にも要請を申し上げ、そしてまた関係者にもそういうふうなことを静かに平和裏に解決するのを見守ってほしいということを呼びかけたいと思っている次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 そうした大変難しい案件が並行して領土問題に絡んで出てきておりますので、政府としても外務省初め関係当局が連携をとって、どうか国民の期待に沿って大いに汗をかいていただきたい、このことを強く要求をしておきたいと思います。  時間がもうありませんが、北海道問題について何点かお伺いをいたしますので、答弁は結論的で結構ですから簡明にお答えいただきたい。  一つは、けさほども少しお話がありましたが、千歳川放水路の問題について会計検査院、それから建設省にお伺いをしてみたいと思います。  この千歳川放水路の建設の重要性については、私もこれは、今までの北海道の千歳市を中心とした四十数回にわたる洪水の中で治水対策として大変に重要な計画であろう。総事業費も約二千百億円ということでございます。しかし、最近この事業費の運用について、用地費が調査費に回されているということで会計検査院が今後調査に着手するのではないか、こういうことが地元でも相当大きく報道されております。  私は、会計上の問題については検査院は法律に従ってきちっと対応はしていただきたいと思います。と同時に、この千歳川放水路の重要な事業についても、北権道開発庁も、環境アセスメントの問題等、住民の一部には反対の意見を持っている人もあるようでございまして、私もいろいろ地元の皆さんから伺っておりますと、何か岐阜の長良川の問題に類似するような、そうした動きもあるように危惧をしております。  まず北海道開発庁長官、この問題の事業の推進に当たってはどういう見解を持っておられるのか。会計検査院として今回の用地買収費が調査費に回されていたというこの状況について、事実関係をどの程度把握されているのか。建設省としてはその点についてどういう指導をされておるのか。関係省庁の意見を確認しておきたいと思います。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 お尋ねは三つあるかと思いますが、まず一つ、千歳の放水路についてどう考えてどう進めていくのか、こういうことについて私から御答弁申し上げて、あとの問題は専門の立場からの御答弁にお任せしたいと思っておりますが、けさ、午前中にも鳩山議員からの御質問がございまして、千歳川の水路のこの問題で、環境アセスメントもまだ実行されていないという段階で一体沿川住民の方々のコンセンサスをどういうふうにとっていくのか、そういう将来計画についての御質問がございましたときにお答え申し上げたこととあるいは重複して申し上げることになることをお許しいただきたいと思うのであります。  御承知のとおり、あの水域が着手しなければならぬ必要性に迫られたのは、たび重なる洪水がございまして、それをどうしてもやはり海へ引っ張り出して流さなければならぬという、端的に言えばそういう事業であろうと思うのであります。したがいまして、相当時間的に長期も要しますし、予算ももちろん高額な予算を使うわけでございますが、それよりも、やはり治川の関係する方々への影響というのが一番大きな問題だろうと思うのであります。  まず、その影響の中の一番大きなのは、かつて二回とも大きな水害に見舞われた方々は、この水路の開設によって今後その心配をなく済ませる、こういう安心感で歓迎をされる住民の方々と、また、一部の地域につきましては、天然的な、歴史的な文化財として残るべき性質の湖やら湿原が破壊されてしまうじゃないか、こういうことに対する配慮が欠けているじゃないか、こういう御意見で難色を示しておられる方々に分かれるわけでございます。  したがいまして、この両者をどう生かすかという問題でございますので、これは端的に言えば、そういう反対をなさっている方々に御賛成いただくような説得と申しますか、環境影響評価を伴いながら十分に御納得をいただくという方策と、そしてまた、そういう貴重な歴史的な文化財的なものあるいは生態系を汚すようなことのないような配慮というものをどういうふうにそこへまぜていくかという両方の立場から今後我々としては進めてまいらなければならぬということでございまして、鋭意そういう方向で北海道の道庁にもお願いをし、環境影響評価を進めていただいている。また、我が方の現地の北海道開発局につきましても、鋭意そういうふうな方面で地元のコンセンサスをいただく方向で配慮していきたい、こういうことでございますので、十分に地元の御意見は、どういう御要望であるかは、環境の保全の問題についての御意見は十分に承っております。今後は、そういうふうな方向で志向をして、早く環境アセスメントが実行できて、そして着工ができますようにというふうに念願をしている次第でございます。  あとのことにつきましては、専門の官庁からひとつ。

中北邦夫会計検査院第三局長

○中北会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘の用地買収費を調査費に流用している件につきましては、現在承知はしております。しかし、その内容についての適否は、現在まだその詳細について会計実地検査を開発局に行っていない現在、判断いたしかねますので、御容赦お願いいたします。

松田芳夫建設省河川局治水課長

○松田説明員 お答え申し上げます。  北海道の千歳川放水路の事業費の先生の御質問の件でございますが、千歳川放水路事業につきましては、先ほど来御議論ございましたように、事業の緊急性あるいは重要性から早期に事業に着手する必要がございます。昭和六十三年度から当初予算案に用地及び補償費を計上してございますが、これは、事業着手に向け関係者と毎年毎年鋭意調整しているところでございますが、場合によっては用地の買い取り請求その他等も生じてくる可能性もございますので、予算上念のため計上しているというところでございます。  現在、関係者と調整している段階でございますが、調整の過程におきましては、まだ環境アセスメントというものが正式に手続上得られていない段階で、環境調査、あるいは地元からの御要望による追加的調査、そういったものに多大の調査費が必要となるものでございますので、年度末までにそういう用地補償費を測量試験費に流用して調査を継続しているところであります。  なお、その処理に当たりましては、関係法規に基づき適切に処理されているとこうでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地委員 終わります。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 今、佐川急便の問題というのが政界やいろいろな社会的問題としても随分問題になっていますが、沖縄の土地をめぐって、また佐川急便の問題を私はきょうは指摘をしたいと思います。  率直に問題の場所を、これは委員長、許可をいただきたいと思うのですが、写真で言うとこういうところなんですが、ちょっと違うございますので、開発庁長官はもう御存じだと思うのですが、浦添市です。道路のすぐ横ですが、三段のこんなところが使えるのかなと思うような土地かんですが、この間、うちの関係者に行ってもらっていろいろ調べてきたのです。  沖縄県浦添市牧港二丁目の八百八十二番の二、八百八十四番の一、六、七、八百八十五番の一、八百八十七番の一、ニの合計七筆、一万一千二百八十六平米、坪にすると三千四百二十坪の土地が、いずれも地目は原野となっているのですが、ここにこの土地の現況、先ほど示したようなところでございますが、この土地の現所有者はだれだろうか調べてみたのですが、熊本佐川急便株式会社になっているのです。これは間違いございませんか。関係省庁はどこになるのですか。

山崎潮法務省民事局第三課長

○山崎説明員 委員御指摘のとおり、現在の所有名義人は熊本佐川急便でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 それでは運輸省にお伺いしますが、来てくれていますね。来てくれていますか。――熊本佐川急便の業務エリアは沖縄県も含まれているのでしょうか、また、沖縄に営業所、車庫などの事業申請をしているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。

石井幸男運輸省自動車交通局貨物課長

○石井説明員 お答えいたします。  熊本佐川急便の事業区域でございますけれども、これは熊本県全域が事業区域となってございます。したがいまして、沖縄県はそれに含まれておりません。また、沖縄における熊本佐川急便の、先生今おっしゃいましたような申請というのは承知しておりません。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 今のようなお話だったら、何でこんなところに土地を買いに来たんだろう、土地を取得しているんだろう、おかしな話だな。おかしな話だから興味を持って、それじゃ一体何をしようとしているんだろうか。  法務省に聞きますが、売買による所有権移転登記は、この七筆の土地はすべて同じ時期に行われております。平成元年一月以降、売買による所有権移転登記を見ると、平成元年五月十一日、売買による大和建設から大和建設及び和宇慶材木店に持ち分二分の一ずつの所有権の移転、それから、平成元年十一月一日には、大和建設及び和宇慶材木店から宜保安浩氏への代物弁済による移転仮登記をやっているし、平成元年十一月十八日、売買による大和建設及び和宇慶材木店から清和商事へ所有権を移転する。平成二年三月五日には真正な登記名義の回復で南九州佐川急便に所有権を移転、平成三年五月十六日、商号変更で熊本佐川急便に登記名義人表示変更がなされている。一体何をやるんだろうと思ってずうっと調べてみたらそういうことになっているのですが、法務省、間違いございませんか。

山崎潮法務省民事局第三課長

○山崎説明員 ただいま議員御指摘のように、登記簿上はそのような経緯になっております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 そこで国土庁にお聞きしますけれども、国土法の二十三条では、一定規模以上の土地について土地売買等の契約を締結する場合には、両当事者は都道府県知事に予定対価の額、土地の利用目的などの内容について届け出をしなければならぬとなっているはずなんです。  浦添市の牧港の三丁目のこの土地は市街化調整区域だと、調べに行ったらそう言っていました。平成元年当時、国土利用計画法第二十三条に基づく届け出面積は、一体何平米の場合にはこういう届け出をしなければいけないことになっているのですか。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 お答えいたします。  市街化区域におきましては二千平方メートルでございますが、市街化区域以外の都市計画区域におきましては五千平方メートル以上が届け出が必要でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 そうすると、五千平米以上の土地売買についてはあらかじめ届け出が必要になってきている。ところが、この土地は約一万一千平米だから、当然土地売買等の契約を締結する場合には届け出をしなければならぬことになると思うのです。  国土庁に聞きますが、平成元年五月十一日、売買による大和建設から大和建設及び和宇慶材木店へ持ち分二分の一ずつの所有権の移転がなされている。平成元年の十一月一日、大和建設及び和宇慶材木店から宜保安浩氏への代物弁済による移転の仮登記がなされている。平成元年の十一月十八日には、もうわずかの間ですね、売買による大和建設及び和宇慶材木店から清和商事への所有権の移転がなされている。清和商事というのは、御存じの佐川急便の関係するところですね、京都に本社がありますよ。そうすると、これらの内容について国土法上の届け出はどうなっていたのでしょうか。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 お答えいたします。  取引は三つというふうに理解いたしますが、五月十一日付で所有権移転登記をした取引につきましては、国土法二十三条に基づく届け出が受理されております。  それから、十一月一日付とおっしゃいましたものにつきましては、届け出は行われておりません。このことにつきましては、私どもも沖縄県に対して事実関係の調査を指示しているところでございます。  それから、十一月十八日付とおっしゃいましたものにつきましては、届け出は行われております。受理いたしております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 それはいつ届け出がされたのですか。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 失礼いたしました。十一月六日に届け出を受理いたしております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 それで、ここへ不思議な話が入ってくるんですね。登記簿の記載上は平成元年十一月十八日に大和建設及び和宇慶材木店の両者から清和商事へ売却されていることになっている。  しかし、実際はどうなっているかというと、大和建設及び和宇慶材木店から大阪市の淀川区に本社がある株式会社大生産業へ売却しているという話が入ってきたのです。それでまた調べてみたのです。大生産業というのは一体どういうものだろうか。持っている名刺を見たら、「本社 大阪市淀川区西宮原一-六-二〇 第五スエヒロハイツ三一〇 代表取締役 西 久伸」と書いてある名刺があるから、それに基づいて調べに行ってみたら、これまたいろいろ厄介なんですね。  この情報を得た話によると、登記簿にも条件つき所有権移転仮登記として名前が登場している宜保安浩氏の法律事務所で、宜保氏立ち会いのもとに契約をしていると関係者は言うのですよ。登記上はそれは出てこないのです。  ちなみに宜保氏というのは一体どういう人物なんだろうかと調べてみたら、八九年四月から九〇年の三月までの一年間、沖縄弁護士会の会長さんをやっている、九一年八月から沖縄県土地収用委員会の会長にも就任している弁護士さんだというのです。なかなかの人なんでしょう。大和建設及び和宇慶材木店と清和商事との間に入った取引に、大生産業についてここに加わっているという事実が出てきた。  そうすると、これは事実上ここにまた取引行為が行われているんだから、これも届け出が要るのじゃないだろうか、そこは一体どういう届けになっているんだろう、国土庁。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 詳細に申し上げますと、御指摘の土地売買につきましては、平成元年十月三十一日付で有限会社大和建設、それから和宇慶材木店が譲り渡し人になりまして、譲り受け人は株式会社大生産業となっております。これを当事者とします国土法二十三条に基づく届け出が受理されております。それから平成元年十一月六日付で、譲り渡し人株式会社大生産業、それから譲り受け大清和商事株式会社を当事者とする国土利用計画法二十三条に基づく届け出が受理されております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 ちょっと私聞き損ないましたけれども、入っているわけですね。届け出がなされているわけですね。そうしたら私はますます不思議になってくるんだが、この会社がないんですよ、会社がないんだ。幽霊や、実際には。一体それは何をやっている会社なんだろうか。大阪府の知事や沖縄県の知事の宅地建物の取引業の免許があるというふうには私調べてみたんだけれども、出てこない。ペーパー会社なんだ。ここは取引できる会社なんですか、大生産業というのは。わかりますか。説明してください。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 私どもでその株式会社大生産業が法人格があるとかないとかということまでちょっとまだ確認できておりませんので、答えは差し控えさせていただきたいと思います。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 そうすると、差し控えたいと言うのだから調査してくださいと言わざるを得ない。そうでしょう。ややこしいんだよ、これが。全然ない会社が出てきよるのやから、それで届け出がありましたと、のうのうとされていたら、インチキ何ぼでもできるのやなということになるから、これはきちっとやはり調査をしてください。こういうことが許されていくのか、天下御免で通用するのか、国土庁、その点よろしゅうございますか。

伊藤威彦国土庁土地局土地利用調整課長

○伊藤説明員 国土法の届け出上は法人格がないものでもこういう届け出をする場合がございますけれども、先生の御指摘ございますので、調べさせていただきます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 そこで、これは国土法上どういうことになるのか、厳密によく研究してほしいと思うのですが、次に、これは国税庁に聞きたいと思うのです。  実体のないペーパー会社を介在させてまで何でそんな取引がわずかの間にやられるんだろうか。現地でずっと関係者に調査に入ってもらった、沖縄の国税事務所は、大阪国税局の調査依頼を受けて、ことしの二月中下旬にかけて土地取引にかかわった沖縄の関係者に対して税務調査をやっているような事態を私たちは感じた。税務調査に入った理由、これだけの今話題の問題点でもあるし、何か疑惑が持たれるんですが、国税庁、来てますか。これはどういうことになってますか。

高氏秀機国税庁課税部資料調査課長

○高氏説明員 お尋ねの件は個別にわたる事柄でございますので、具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上必要な資料、情報の収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出されました申告書等、総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うことなどによりまして適正な課税の実現に努めているというところでございまして、今後ともこのような基本的な考え方に基づきまして適切に対処してまいりたいと考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 守秘義務があったりするからそれは言えぬわな。言えぬかしらぬけれども、しかし、そこでまた疑問が出てきよるのや。何や言うと、その土地について、大和、和宇慶の購入額は十一億一千八百七十一万円、その取引の不動産売買契約を見ると、八九年一月二十五日に甲を中本、乙を大和、和宇慶とこう書いて、ちゃんと購入額がある。その次に、大生産業が入るんです。そうすると、金額が十二億一千百九十七万円、ざっと一億近く、九千三百二十六万円ですね、これが平成元年の十二月五日の契約で出てくるんです、そこには。ところが、今度はそれが佐川の会社である清和商事、これが購入するということになってくると、とたんに十七億五千万円にぶうんとはね上がりよる。これは佐川急便の広報の担当者もちゃんとそれを認めておるのですね。  そうすると、これはどうなんですか、しばらく、わずか半年やそこらの間に大生産業が入って、そして佐川の清和商事にばあんと行くだけで五億三千八百三万円、ばあんと出てきよるのや。これは使途不明金がばんと出てくるわけや。取引で出てきたわけや。この金を何に使うつもりやろか。沖縄で営業の許可何にもあらへんのやから、事業許可なかったと最初に言わはったんやから、そうすると、これは一体、この金は税務上は一体どういうことになってくるんだろうか。これはどうですか、国税庁。

高氏秀機国税庁課税部資料調査課長

○高氏説明員 私どもといたしましては、その所得の真実の帰属者に課税するということでございまして、一般論としてのお話でございますけれども、よく土地の流れ、物の流れ等追いまして、その所得が帰属すると認められる者を把握いたしまして、そこに的確に課税してまいるというのが一般的な考え方でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 さっきも言ったように、この場所の写真、これを見てもろうてもわかるのやけれども、道路の横、三段になっているようなところで使い道にならぬようなところを、またべらぼうな値段でもって間に人を入れて買う。その金が一体税務上どうなっているのか今調べてみるというふうに一般論やと言って言わはるけれども、やらんならぬことになりますわな。  それにしても、この土地は一体、何でそんなに値を上げてまでやるんだ。そうすると、結局裏金づくりやという話にはならぬのかということを、私はそこに一つの、最近一連の佐川がやっていることから考えると、疑惑が出てくるのは当然なんです。  この複雑な土地取引の裏に、現地へ行くとこういう話が出る。大物右翼の岡村吾一氏から沖縄の東岸会最高幹部にこの土地の面倒を見てやってくれと言ったことから始まっているんだ、こういう話が出てくるんです。岡村吾一氏といえば、かって児玉誉士夫と稲川会の橋渡し役を演じたとも言われているのでしょう。また、八五年九月二十日に東京・赤坂にある佐川急便の接待用クラブ赤坂エザンスで佐川清氏とも会食をしているということまで出てきているわけでしょう。土地取引に関与した関係者数人の周辺には東岸会や沖縄旭流会に属している人物もおる。  こうやってくると、これは一体、脱税問題や、さあ国土法上これが正しい取引になっているんだろうか、いろいろな疑惑が出てきている。そこへ今度は警察は暴力団新法も持ってきているんだけれども、こんな暴力団の動きがあるといううわさもあるだけに、こうやって事が起こってくると、警察は一体この問題をどう見ようとしているのか、どうしようとしているのか、警察庁としては何か考えていますか、この問題について。

石附弘警察庁刑事局捜査第二課長

○石附説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のこの浦添市の土地をめぐる問題につきましては、そのような報道がされていることは承知しておりますけれども、警察としてはその事実の詳細については把握をしておりません。  ただ、一般論として、反社会的集団である暴力団に対して金が流れているというような事実があるとすれば、この暴力団対策を所管する警察としては重大な関心を持って対処をしていくことは当然でございまして、御指摘のあった点につきましては十分に参考にさせていただきまして暴力団対策を鋭意進めてまいりたい、こう考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 時間の都合もありますからあれですけれども、こうやってずっと挙げてくると、うさん臭い話にだんだんなっていくので、監督官庁としては佐川急便は運輸省でしょう。運輸省はこの事態について関係者を呼び出して調査をきちんとやるべきだと思いますが、やっているんですか、それともやるんですか、これから。いかがでしょう。

石井幸男運輸省自動車交通局貨物課長

○石井説明員 お答えいたします。  佐川急便グループにつきましては、その暴力団とのかかわりでございますとかあるいは巨額の債務保証というふうな不祥事が表ざたになっております。これらにつきましては、基本的には運輸省の所管いたします貨物自動車運送事業法、この法律に基づいて佐川急便グループがトラック事業を運営しているわけでございますけれども、この貨物自動車運送事業法の基本的にはらち外の問題であろうと理解しておりますけれども、運輸省としても、佐川急便グループがこのように世の中から指弾されているということについては大変遺憾に存じております。  佐川急便に対しまして、社会から指弾されるような不祥事を起こしたことについては大変に遺憾であり、率直に反省して善後策を講じてほしいというふうなことは申し入れてございまして、佐川急便においては、今までのことについて率直に反省して暴力団との関係を断ち切る等の対応を真剣に考えているというふうに聞いてございます。  なおまた、佐川急便グループにつきましては、従来より過労運転の問題等を初めといたします関係法令違反、これらにつきましては国会でもたびたび指摘がなされておりまして、国会での御指摘も踏まえながら、従来特別監査、行政処分あるいはグループ全体の事業運営の改善指導というふうなことを行ってまいりましたけれども、今後とも関係省庁と連絡を図りながら必要な指導を進めていくこととしております。貨物自動車運送事業法等関係法令違反というものにつきましては、厳正に対応していく所存でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 裏金づくりで、これは暴力団の育成をやったのか、政界に対するところのこれでまた腐敗を生み出す役割を担ったのか。いずれにしても、今出たところの清和商事というのは解散して、そして佐川急便に合併するという形式が確立しているだけに、一層運輸省として十分なる指導を行うべきだと思います。  そこで、沖縄開発庁長官に最後にお聞きをしたいと思うのですよ。  沖縄開発庁長官は、今度沖振法をまた延ばさんならぬということの中で、この間もこんな答弁をしておられました。県民のために資することであれば宮澤閣僚の一員として積極的に物を言っていくと言っておられました。私は非常に大切な態度だと思います。  そこで、沖縄の、開発の過程にあるところにべらぼうな、こういう策動がなされたということについて、一体どういうふうに開発庁の長官としてはお感じになっているのか。あるいは、こういうことが起こっていることに対して、開発庁の長官としてはどういうふうに国政の上においてこれを正していかなければならぬと思っておられるのか、御見解を聞いて、質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊江朝雄自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○伊江国務大臣 ただいまの個々具体的な事案についての見解は、私はいかがかと思いますから申し上げませんが、ただ沖縄はこれからいろいろとまだまだ開発をしてまいらなければならない状況でございますので、先生が御指摘の点は、そのための土地取引というものに対するあり方の問題についてのサジェスチョンを申しておられるのだろうというふうに私は推測いたしまして、そういうことに基づいての私の意見を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、復帰いたしましてから今日まで二十年たちまして、いろいろな意味でお支えを賜って、社会資本、この充実が確かにすばらしいものがございましたけれども、生活基盤、産業基盤についてはまだまだ物足りない点がございますし、沖縄が復帰して今日までずっと県民所得は全国の最下位でございます。  したがいまして、そういうためにもこれから自立をしてまいらなければならぬ、いろいろな開発もしてまいらなければならぬ、またあそこは、御承知のとおりの地域的な特性から、観光の産業に非常に向いたところでございますし、現にまた年間三百万人おいでになるようなところでございますので、いろいろホテルやらあるいは長期滞在の保養地などっくらなければならぬということで、土地の売買がこれから頻繁に行われることは事実でございます。  しかし、それとても、県もそうでございますけれども、お考えになっているのは、やはり受け入れの容量、水の問題、それから電気の問題、それから開発しなければならぬ用地の大きさの問題と、いろいろ条件がございますけれども、それは余り投機的に使われては困るというのは、これは開発庁も、私どもも、それから沖縄県当局もその点について十分配慮していかなければならないものだと私は思います。  したがいまして、先ほど御指摘の個々の問題については私はコメント申し上げませんが、今後の開発のあり方としては、やはり自然体系を崩さず、そしてまた受け入れの容量というもの、水その他電気、食料その他を含めてのことでございますけれども、受け入れの容量その他十分に勘案して土地の問題についての処理に当たってほしい、こういう念願を持っておりまして、私自身も今後は沖縄開発庁の指導方針としては、そういう立場から持っていきたい、かように存じております。  今後ともまたいろいろと御指摘がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。

草野威公明党・国民会議

○草野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会

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