環境委員会 第6号
- 発言数
- 332 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/04/21
会議録
○小杉委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
○馬場委員 まず大臣にお尋ねしたいと思いますが、ことしはアースイヤー92と言われて、地球環境に非常に関心が高まっておるわけでございまして、環境庁の果たす役割というのは非常に大きいと思いますし、こういうときに大臣になられて大変苦労が多いと思いますけれども、また非常にやりがいもあるのではないかと思っております。 特にことしは国際的な会議を含めて、三月に京都でワシントン条約の第八回締約国会議があって、これは大臣も出席されたのではないかと思いますけれども、それが三月にございました。それから四月十二日、これは報道機関では地球環境凡人会議、民間の方々、NGOなんかを中心にそういう会議を持たれたわけでございますし、また、十五日からは地球環境の賢人会議が持たれたわけでございます。そして、いよいよ六月には環境と開発に関する国連会議、地球。サミットが開かれるわけでございまして、聞くところによりますと、NGOを含めて四万人ぐらいの人が集まるのではないか、大変な会議が行われる予定になっておるわけでございます。さらに来年は、この前私たちも環境委員会で調査に行ったのですけれども、釧路でラムサール条約の締約国会議が開かれる。こういうぐあいに、メジロ押しに地球環境問題の国際的な会議も開かれるわけでございます。 いろいろ言われておるわけですけれども、地球がこのまま行きますと、二十一世紀になったときには地球上の生物種が四分の一ぐらい絶滅するのではなかろうか、こういうぐあいに言われておるわけでございますので、今生きている私たちはこの種の根絶を防止して生態系のバランスを維持し、人と野生生物が共存する自然環境を守って二十一世紀に移行する、それを引き継いでいかなければならない、こういう任務を私達は持っておるのではないかというぐあいに思います。 そこで、提案されているこの法律案ですが、種及び種の生態系そのものの保護、保存をねらいとしておる点、これは我が国では初めての総合的、体系的な野生動植物の保護法じゃなかろうかと私は思うわけでございます。この我が国で初めての総合的な野生動植物の保護というものを提案されておるわけでございますが、これを提案するに当たりましての、提案理由はお聞きしたわけでございますけれども、大臣の所信というものをまず承ってから質疑に入りたいと思います。
○中村国務大臣 委員御指摘のとおりに、ことしのUNCEDサミットも控えまして世界的に環境に関する関心が高まりまして、それが、従来のように関心を示さなければならないというだけではなくて、いろいろな行動に移して、世界として将来の地球の環境保全のために合意をなしていこうという時代に入ってまいりました、 そういうところで、今委員御指摘のとおり、我が国としても初めてこの絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存ということで法律を提出させていただいたわけでございますけれども、地球環境問題の一つとして、また我が国の自然環境保全の観点からも、極めて重要なことであると思っております。私どもも地球上に生存する種の一つの人類でありますから、その我々の住んでいる地球上の種を守ろうという全く新しい観点から、初めての法律を提出させていただいた。こういうことを提出させていただき、御論議いただける時代になってきたのだと感じておりまして、この保存を図る体系的な制度を整備していこうということで御提出させていただきました。どうか御審議をいただき、いろいろな御意見をいただきたいと思っております。
○馬場委員 まず、この法律案の内容に入ります前に、この地球環境をめぐる国際的状況について、大臣の認識をお伺いしておきたいと思います。 つい先日、四月十七日に地球環境賢人会議が「地球環境と開発のための資金に関する東京宣言」というのを発表されたわけでございます。これは幾つか項目があるわけですけれども、環境保全に役立つ特別な税、課徴金の検討ということが出ておるようでございますし、さらに、先進国のODAをGNPの〇・七%に引き上げるということも出ておるようでございます。それから、途上国の援助資金は年間千二百五十億ドルが妥当だ。こういうことなど五項目ぐらいから東京宣言は成っておるようでございますが、その中に、日本に対して、「我々は、日本に対し、地球サミットにおいて他の先進諸国とともに、そのリーダーシップを発揮するよう訴える」という項目も、東京で開かれたからだけではないと思いますけれども、日本に期待するところも大きいということが東京宣言に出ておるわけでございます。 大臣、この宣言を見ても、そして日本の現在置かれておる地位から見ても、地球環境は日本の国際貢献に最もふさわしい分野だと私は思うわけでございまして、この宣言にも日本がそういうリーダーシップを発揮しろというぐあいに訴えてあるわけでございますので、地球環境を担当されておる大臣として、この東京宣言について、これが発表されたということについての御感想をまず聞いておきたいと思います。
○中村国務大臣 委員仰せのとおり、地球環境問題は、日本が果たすべき国際的な協力、貢献の中で最もふさわしい一つのものであるというふうに認識しております。 過去、日本は大変な工業発展を遂げ、五の中で、馬場委員がいつも御注目されておられる水俣とか、過酷な環境公害を経験してまいりました。そして、その中で大変な苦労を重ねて対策をしてまいりまして、今まだまだ国内ではやらなければならないことが多くあるわけでありますが、水俣病もそうでございますけれども、世界から見ますと、ある程度技術的にいろいろなことを経験し、解決もしてきた国であるというふうに見られております。そういう面で、一つの経験をもって世界に貢献できる。それから、世界の経済が非常に困難している中で、日本も同じように困難をし、今政府としては経済対策等をやっているわけでございますけれども、世界の工業国、経済国として大きなものになってきた、そういう地位を踏まえてふさわしい国際貢献をしなければならないという中でも、日本がなすべき国際貢献の大変重要な一つであろうと思います。 そういう中で、リーダーシップということですが、今度請われて、これは非常に個人的に参加する会議でありますけれども、賢人会議が日本で開催された。これはストロングさんの要請に基づいて、ホスト役を竹下元総理、海部前総理、そして平岩経団連会長が引き受けられた。こういう会議が開かれたことも一つのリーダーシップであり、国際貢献の一つではないかと思っているわけであります。 その中でいろいろなことが、委員述べられましたように採択され、東京宣言ということになっているわけでありますけれども、世界の政治経済分野のリーダーの方たちが集まって、これは環境問題の大切さをこれまでと異なった新しい対策の必要性ということを含めて大きく訴えられた宣言になっている、これまた大変大きな意義があると思います。 それから、資金の問題というのは困難な問題でありますけれども、先進国、途上国の壁を越えて一つの文章に一応まとめて、とかく政府間の交渉を準備でやっておりますといろいろな意見が飛び出すのですが、一つの方向性を出してくれたということで、画期的であるというふうに考えております。このほか、自然と共生するという我が国の哲学、こういったものを世界の賢人のコンセンサスを得て訴えることができた。また、NGOなど市民の草の根的な支持と参加が必要ということも訴えた。内容はおおむね中庸を得ておりますし、今後の国際的コンセンサスのあり方を誘導するという意味で、大変に有意義なものであったと思います。 環境庁といたしましてもこれを真剣に受けとめ、検討して、地球サミットに対する対応や今後の施策に当たりまして、貴重な参考として活用していくべきものと考えております。
○馬場委員 私もこの東京宣言を読んでみたわけですけれども、これはお金のことを話す賢人会議だったのかもしれませんけれども、環境を守る具体策というのが出ていないのですよ。例えば大気はどうするかとかあるいは海洋はどうするかとか、森林はどうするかとか、こういう具体策が出ていなくて、お金のことが主になっておるわけですよ。やはりお金を言う場合、金さえ出せばいいというのじゃなしに、こういうことをするためにこういうぐあいに金が要るんだ、そういうことでなければならないのじゃないかと思いまして、東京宣言に具体策がないという点は、今後煮詰めていかなきゃならぬ問題だと思います。 そこで、具体的に出ておるものについて質問いたしますと、環境税の問題です。石炭や石油、天然ガスなどCO2発生源に排出量に応じて課税する炭素税なんか言われておるわけですが、この環境税について、現在環境庁とかあるいは大蔵省とか、この会議があったからということでなしに、その前からも検討されておると思うのです。けれども、環境税について、今環境庁や大蔵省、話し合いながらどういう検討をなさっておりますか。
○中村国務大臣 確かに仰せのとおり、この東京宣言では、具体的な対策についてはいろいろなことはサミットの準備会合ほどは煮詰められていないわけであります。委員御指摘のとおり、どういうことをやる必要があるんだ、それにはどういう資金が要るんだ、それをどうやって集めよう、どうやって渡していこうという枠組みをつくって、それではその資金をどういうふうに調達していくんだというふうにいくべきことであろうと思います。 その中の一つの方策として、確かに環境税のことがこの中にも述べられておりますし、環境庁でもかねがね研究会を置いて検討しておりますし、いろいろなお役所でもやっておられると思います。しかしながら、この税の問題というのは国民のコンセンサスが得られなければならないということ、それから我々も税制を随分つくってきた、私個人としても経験してきたのですが、なかなかそう簡単に環境だ、それじゃ税でいいだろうというふうにいかない御議論があろうかと思います。 ですが、私といたしましては、今ECだとかOECDでも検討しているようですが、炭素の発生に課税してその消費を抑制して、出てきた成果を環境対策に使うというのは一つの筋の通った考え方だと思います。しかし、これに持っていくまでにはまだまだいろいろな御議論があろうかと思っております。
○馬場委員 これは事務方でも結構ですけれども、現在、その研究会を昨年つくっておられるようですが、これは環境税研究会というのですか、つくって大蔵省なんかとも打ち合わせておられる。ようでありますが、この研究会はどういう内容をいつごろまでに結論を出そうという段取りで研究しているのですか。
○八木橋政府委員 ただいま先生御指摘になりました環境税における環境庁としての研究でございますが、これは、一つは確かに説とかそういうものをやりますと歳入面というものが生ずることは事実でございますけれども、環境庁における検討は、そういった財源調達の仕組みということに重きを置くよりは、むしろ環境に対する汚染行為を削減するために経済的手段というものもやはり有効な手段ではなかろうか、そういうような関心から、この環境税研究会というものを昨年の年末から勉強し始めたところでございます。これは主として財政学者、経済学者を中心として議論に加わっておりますし、また随時大蔵省の職員もこの研究会には加わってもらっております。 この研究会におきましては、北欧諸国で現実に環境税なるもの、炭素税を中心としたもの、また排水に対する課税、またプラスチック等の廃棄物に対する課税、いろいろございますが、そういったものをどういった視点から導入し、それがどういうふうになっているかというようなこと、また、先ほど大臣からお答えいたしましたOECD諸国における検討状況というものをにらみながら、まずは原理的な側面、それから事実関係がどうなっているかということをレビューをしながら調査をしていくこと一になっております。 これからこの研究会がどういうふうになるかというようなことにつきましては、まだ議論の進展中でございまして、確たる見通しについてお話し申し上げる段階には至っておりませんが、私どもは、とりあえずはそういった事実に関する調査、それから理論面でどういうふうに考えていくべきかということを中心にして、今研究を行っているところでございます。
○馬場委員 検討中だそうですが、大臣にお願いしておきたいわけですけれども、こういう環境税とか炭素税というのは環境保全のどこに使うのか、この使途を明らかにしなければいけないのじゃないか。それから、どういう取り方をするのか、こういうことを明らかにして、いわば環境税といって第二消費税みたいな格好になって広く薄く取っちゃって、そして後はまたそれをばらまくというのじゃなしに、やはり使途を明らかにしながら、それに見合った取り方をするとか、そういうことを慎重にやるべきで、何か税金を余計に取ろう、第二消費税、こういうような格好になっちゃならぬと私は思うのです。 大臣、これは今検討させておられますけれども、基本理念はそういうことであらねばならぬと思うのですが、どうですか。
○中村国務大臣 前提として、先ほどお話ししましたように、いろいろな御議論がありましょうし、まだ白紙であります。そして税の問題は、私非常につたない経験でありますけれども、消費税とかいろいろ担当して経験してまいりました。大変な国民の御意見ということがあって御議論があろうかと思います。そしてやはり環境問題は、国民全体ひとしく一人一人の国民に関係あることだ、被害者であり加害者であるという立場に立ては、消費税のようなものでいただくというのも一つの考え方ということがあるのも事実だと思います。また、委員御指摘のように発生抑制的な、例えば炭素にかけるとか、それを目的税として使うのも、さっき申し上げたように一つの筋の通った考え方かなと私個人は思っております。 ただ、私は凡人でありますから、簡単に考えてそれは抑制して、それからいただいた成果をと思うのですが、その中には、ある目的税というものをつくる、これはアメリカの財政当局なんかと昔話したことがあるのですが、目的税として入ってくると、入ってきたものを全部使わなきゃいけない、目的的に、というようなことで財政が放漫になろうというようなことで考えなきゃいけないという面もある。ですから、一般会計に入れて一般会計の中で支出というものはまた考えていこうという考え方もあるようでありますけれども、凡人といたしましては、今ECが考えているような一つの排出抑制に使ってそれを対策に使えたら――ところが、実はこの前ブラントラントさんが来られたときに伺ったのですが、あそこでもやはり炭素税は一般会計に入っているんだそうですね、そういう処理をしているということであります。ですから、今企画調整局長が答弁したように、ちょっと研究の中でも、いわゆるそういったものの排出、環境に対する害を抑えようという意味の税金という面もある。ただ、私個人としては、何遍も繰り返して恐縮でありますけれども、凡人としてはやはり委員の御指摘のような目的税的な考え方があるのかなと思っておりますが、これはまだ個人的な考えでございます。
○馬場委員 少なくとも、歳入が少ないのだ、第二消費税みたいにしてお金をたくさん集めて、そして果たしてそれを環境保全に使うかどうかわからぬ、環境税をそういうような税金にしてはならない。 それとともに、また環境税そのものが是か否かということもあるのじゃないかと私は思いますし、東京宣言でもこういうことを書いてありますね。年間六千億ドルと計算された地球環境資金について、一兆ドルの軍事費との関連で見れば控え目な数字だ、こういうぐあいに書いてあるのです。今世界は御承知のとおりに軍縮の潮流が激しく流れて、どこでも軍縮をやっているわけでございますから、軍備を縮小して、一兆ドルと言われているものを縮小して、それを環境保全に回す、そうすると十分金は出てくるし、地球環境は守れる。実際この間賢人会議でも、カーターさんなんかもそういう軍事費の削減ということは発言されておるようでございますし、宣言にも載っておるわけでございますから、やはり地球を破壊する軍事費を削減して環境保全に回す、そういう大きい潮流というものをつくり上げるべきだ、日本もそうすべきだと私は思うのですが、これは長官、どうですか。
○中村国務大臣 確かに冷戦構造の終わりということで、ソ連がロシアというふうに変わってくる、そしてアメリカと共存していくのだというような大変大きな国際的変化の中で、一つの方向としてはやはり軍事費は減っていくのかなという気はいたします。さはさりながら、これも私が答えるべきことではないかと思いますけれども、お許しをいただければ、世界各地で紛争が起こっているわけでありまして、そういうところとの兼ね合いをどう見るかということだと思いますけれども、やはり方向としては委員のおっしゃるような方向かなと思っております。
○馬場委員 環境庁長官は、辞令か何かに地球環境担当ということになっているのですね。地球環境担当大臣ですよね。そうした場合、今の軍事費を削減して地球環境に回せ、これは環境庁長官、地球環境担当大臣が一番先に言わなければならぬ問題です。ちょっと生臭い話になりますけれども、今PKO法案が参議院で議論されておるわけですけれども、今日本が国際貢献をして国際的に名誉ある地位を持つというようなことは、私は、自衛隊なんか派遣するよりも環境保全のリーダーシップを日本がとる、これが最大の国際貢献ではないか、国際的に名誉ある地位を占める行動じゃないか、こういうぐあいに思うのです。 地球環境担当大臣は、国際貢献の第一は地球環境保全だ、このリーダーシップをとることだ、そういう覚悟でひとつ閣議なんかでも頑張ってもらいたいと思いますが、どうですか。
○中村国務大臣 先ほどから御答弁さしていただいておりますように、国際的に御協力をする、貢献するという中で、地球環境問題は我が国が貢献すべき、最もふさわしいものの一つだと思っております。しかし、多様な世界の中で、やはりPKO等による国際的な貢献も、私は自民党でありますから、今は環境庁長官をやらしていただいておりますが、私は必要だと思っております。
○馬場委員 今環境庁長官の上に地球環境担当大臣だということで質問しておるわけですから、自民党のことを言わぬでもいいのですよ。だから地球環境担当大臣は、これはもうあなたが言わなければ、PKOよりも地球環境にリーダーシップをとるんだ、あなたが言わなければ言う人はいないと思うのですね、地球環境担当大臣だから、あなたを差しおいて言う人はいないと思いますから。そういうことを覚悟でやってくださいということをひとつ要望しておきたいと思います。 そこで、今度は法律と関係したところに入っていくわけですけれども、UNCEDで気候変動枠組み条約、地球温暖化防止条約とも言われておりますが、これと生物の多様性条約、今この二つを署名するために準備が一生懸命行われておるわけでございます。ところが、森林に関しても条約と言われておったのがだんだん後退して合意文書ということに今方向が行っているようでございますが、この五月に何か第七回の条約会議があるそうですね、六月からは地球サミットですから。その五月の第七回条約会議を終えて、六月の地球サミットでこの生物の多様性条約が署名できる見通しがあるのかどうか。事務方でも結構ですから、これに対する見通しについて答えてください。
○伊藤(卓)政府委員 生物多様性条約の採択の見込みいかんというお尋ねでございます。 生物多様性条約に関しましては、UNEPが事務局となりまして、地球サミットでの署名を目指して政府間条約交渉が鋭意進められてきているところでございますが、実は環境庁といたしましては、このきっかけになりましたUNEPでの管理理事会決議を受けまして専門家会合が過去から開かれておりまして、そういったものも含めて出席してまいったわけでございます。 今御指摘の第七回のいわば最終条約交渉も含めますと、すべての条約交渉会議に出席することになるわけです。今までも保全のあり方について意見を申し述べてまいったわけでございますが、この最終条約交渉でも、合意に向けて外務省等と協力してまいりたいというふうに考えております。 最初に申し上げましたように、現段階ではまだかなり処理すべき事項が残っておるようでございますが、最終条約交渉で案文を確定し、地球サミットにおける署名を目指しておるという段階でございます。
○馬場委員 日本がリーダーシップをとれということもさっきから申し上げておるわけですが、この条約は、やはりCO2の問題と同じように財政の支援の問題、あるいは技術移転の問題等々で今まだ解決されていない問題があるようでございます。日本はその一回から出ました、七回の条約会議にも出ますということですが、日本がこれを成功させるために、例えば途上国と先進国が意見の食い違いがあれば、それをどういうぐあいに調整して条約を成功させようと努力しておられるのか。 もう一つは、今度の地球サミットではNGOの位置というのも非常に重要になってきておるわけでございますが、この条約を成功させるためにNGO等の意見を日本国内においても求められる、そういう知恵もかりて、力もかりて条約を成功させよう、そういうことを考えておられるかどうか、具体的に聞きたい。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
○伊藤(卓)政府委員 この条約の問題につきましてはやはり他の、例えば温暖化防止条約と同じような問題を抱えておりまして、技術移転の問題であるとか、特に財政支援措置の問題について先進国と途上国の間に意見の乖離があるというようなことでございまして、基本的には地球サミット全体の持っていき方との関連があるわけでございますので、その辺の議論の進展を見ながら対応することになりますけれども、私どもといたしましては条約の採択というような合意には達する可能性が強いのではないか、また、そのための努力をしていかなければならないというふうに考えております。 NGOの協力という問題でございますけれども、実は、今申し上げたような基本的な問題点は、NGOの御意見をどうこうという問題よりも、基本的にUNCEDの全体の成功をどうするかという問題とのかかわりがあるわけでございますが、国内NGOの意見という観点でいいますと、私どもは、既に生物多様性の保全というような観点からのシンポジウムを環境庁主宰で設けて御意見を聞いたり、あるいは自然保護団体自体のシンポジウムにも出席をいたしまして、いろいろな機会を通じて意見をいただいておるという状況でございます。
○馬場委員 聞くところによりますと、大臣、この条約を成功するためになかなか日本の顔が見えないとか声が聞こえない、こういう批判を私は耳にしておるわけです。もう一つさらに言いますと、アメリカがCO2を含めて消極的であるということで、そのアメリカの言うことに日本は賛成が多い、これは一部の分科会とか何かかもしれませんけれども、そういう批判も聞くわけです。私は、やはりこれを成功するためには、消極的なアメリカをどうやって説得するかということも非常に大切なことではないかと思うのです。 いずれにいたしましても、リーダーシップをとれと言われておる日本だから、この条約の成功のために声も聞こえる、顔も見える、そういうような活動をしてもらいたい。例えば、なぜ分科会とかなんとかに専門家が出ていないかと聞くと、環境庁の予算が少のうございますから人を派遣できませんでした、こういう答えさえ返ってくるわけですから、そういう点で、この問題についてリーダーシップをとるというのだったら、顔が見える、声が聞こえる、アメリカなんかをこうやって説得しておる、そういうことがわかるような頑張りをしなければいかぬと思うのですが、どうですか。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま先生の御指摘の中で、具体的にどういう点かちょっとわかりかねるところがありますけれども、実は先般のサミット全体の準備会合におきましては、この生物多様性条約については条約交渉が別途あるわけですから、専門家による条約交渉の方にゆだねるということで、余りその内容にコミットしないという前提で会議がなされておるというふうに聞いております。 したがいまして、条約交渉の方はそれなりに進展をしておる、ただ、基本的に言いますと、やはり財源問題とか技術移転の問題というのは全体の問題との絡みもありますので、その辺をにらみながら言っているということでございますので、実はニューヨークでの準備会合後のいろいろな国際的な動きを踏まえて、この五月での最終準備会合がなされるものというふうに考えております。
○中村国務大臣 今委員おっしゃられたような話は、私もほかでも聞いたことがございます。しかしながも、私は地球環境問題担当大臣として各省庁調整をいたしまして、政策を打ち出して外交交渉に当たってもらっております、外務省が窓口になりますが。そういうところを通じて、私どもはどこかの特定の国に追従するようなことはしておりません。 例えば、CO2の排出量につきましても、今ECと私どもが大体意見を一致してアメリカを説得していこうということでも、何回もECの方も私のところへ来られますし、それからUNEPの事務局長トルバさんも来られ、そしてもちろんストロングさんもこの間から来られ、そして日本が国連の要請を受けて賢人会議も開き、また、例えば気候変動枠組み条約の議長は日本が引き受けているわけであります。そして非常な、精力的な調整を進めてあの条約の締結に向けて頑張っている。 それから資金の問題にいたしましても、枠組みができたら日本は応分のものをお出ししますよということを鮮明にしている。こういう国は日本がトップだと思うわけでありまして、巷間言われるようなことは、私が今までいろいろな外国の環境庁の大臣、国連の方たちと会っていろいろな交渉をしている過程からしてもあり得ないことだと存じております。
○馬場委員 長官は一生懸命やっておられるということですが、僕ら国民には余り見えないのですね。なぜ見えないのか。なぜ聞こえないのか。 では具体的に聞きますけれども、この生物の多様性の条約がいろいろ対立がある。そういうときに、例えば対立を解消するために、今度行われるところの第七回条約会議には日本はこういう態度をもって、こう対立があるからこういう案を持っていってここをまとめたい、そういう具体的なことを何か考えておるのですか。事務局、どうですか。
○伊藤(卓)政府委員 会合自身は五月の半ばに予定されておりますから、これは実は外務省等とも相談をいたしまして、最終的な対処方針を決めるということになると思います。
○馬場委員 全然、最終的には外務省と打ち合わせをしてとかなんとかということで、外務省の顔も見えないとか、外務省だけだったとかといううわさもあるのですけれども、とにかく今から押し問答したってしょうがないのですけれども、具体的に国民にもわかるように、国民がまた声援を送るように、ひとつ積極的にこの条約が結ばれるように頑張ってもらいたいと思います。 そこで、法律の中身に入っていきますが、我が国の絶滅のおそれのある野生動植物を環境庁はどのように把握しておるのか、これについてお答えいただきたい。
○伊藤(卓)政府委員 私どもといたしましては、野生生物に関しまして基本的な調査をやっておりまして、特に動物について環境庁の責任で取りまとめたものを昨年発表いたしましたが、いわゆるレッドデータブックというものに基づきまして公表をしているところでございます。
○馬場委員 この法律は動物だけではないわけですから、植物もあるわけですから、私が聞いておるところによると、レッドデータブックで動物については百十種ぐらいを検討されている。日本自然保護協会は、野生の植物について調査したのは百四十七種ぐらいだということを発表されておるようでございますが、結局その種というのは、対象の種は政令で決めるとなっているのですね。では、この政令の内容というのは、大体ここでこういう政令を予定しておりますと出してもらわぬと議論にならぬわけですよ。 政令は大体どういう予定をしておられるのか、それをお聞かせ願いたい。
○伊藤(卓)政府委員 この法律によりますと、絶滅のおそれのある野生動植物種というものを大きく分けますと、国内種、国際種に分けて指定することになりまして、その指定の仕方といたしまして政令で定めるということになるわけでございますが、国内種におきましては、当然のことでございますが、「その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定める」ということでございまして、この考え方を法律案の六条に定めますところの希少野生動植物種保存基本方針に基づいて決めていくという形になりますので、具体的には現在の段階で政令で何を定めるかということについては御勘弁いただきたいと思います。
○馬場委員 では、その基本方針を閣議で決めるということになっておりますけれども、基本方針というのはどういうのを決めようと思っているのですか。
○伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。 ただいま引用いたしました第六条に実は基本方針に定めるべき事項というものを書いておりますけれども、一つは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する基本構想」、いわば基本的な考え方ということでございます。 次の二に「希少野生動植物種の選定に関する基本的な事項」、ここで種の選定の考え方を書くということを考えております。種の選定の考え方の基本になりますのは、やはり「定義」の第四条一項にあります「絶滅のおそれ」というもの、これは個体数が著しく少ないことあるいは著しく減少しつつあるあるいは生育環境等が著しく悪化しつつある、こういった事情に照らして選定をするということになりますので、その辺をやや細かく、ここでは選定に関する基本的な事項というところで書くことになろうかと思います。 それから、基本方針の三番目といたしましては、個体の取り扱い、つまり個々のものについての取り扱いの仕方、つまり捕獲の規制であるとか、あるいは譲渡の規制をするといった場合の考え方を書くというのが第三番目の事項でございます。 それから第四番目に、生息地または生育地の保護に関する基本的な事項ということで、後ほど条文では出てまいりますけれども、生息地等保護区といったようなものの考え方をここで書くということを考えております。 それから五番目の柱といたしまして、保護増殖事業、こういったものを書きたいというふうに私どもは考えております。
○馬場委員 私が質問しておるのは、基本方針で今あなたが言われたような種の選定の方針だとか、あるいは保護のやり方だとか、保護増殖のあり方だとかというものを閣議で決める、それをここで出さなければこの法律は審議できないという代物だということです。これはこういうぐあいにして種の選定の方針を閣議に諮って決めたいんだ、ここのやり方はこういうぐあいにしてやるんだということを閣議に諮って決めたいんだ、保護増殖のあり方はこうだという内容を示さなければ、この法律の審議はできない、実のある審議はできないというふうに私は思うのです。それに基づいてまた政令で決めることになるわけですが、みんな大切なのは基本方針で閣議で決めます、種は政令で決めます、大枠だけここで法律を通してくれ、それじゃ審議のあり方としては不親切だし適当でないと思うのです。 伝えられておるところによりますと、国内種というのはトキやイリオモテヤマネコとか、いろいろ大体六十種ぐらいを指定しようと思っている、国外種はワシントン条約とか二国間の渡り鳥条約とか八百八十種ぐらいの保護を考えておるんだということが伝えられておるわけですけれども、こういう種類がこれで六十種ぐらいだ、こういう種類で何種類ぐらいだとかということを政令で予定しているんだ、それを言ってもらわなきゃ困る。それはまた政令で決めるということでしょうから、ちょっと時間がないからここでは一々聞きませんけれども。 もう一つ、海洋種というのは種の中に含まっているのですか、どうですか。 〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。 法律の立て方といたしましては含まれるわけでございますけれども、具体的な指定ということを考えてみますと、海洋生息の生物につきましては、生物学的データが十分蓄積されておらないということで、指定に足りるだけの判断がでさるかどうか、今の段階では難しいかなというふうに考えております。 また、中でも漁業関連種につきましては、水産資源の保護という観点から別途対策が図られておりますところから、役割分担でいくべきではないかというふうに考えておるところでございます。
○馬場委員 これは法律で海洋種というのも含めてきちんと保護すべきだというような結論が出れば、当然それを加えていかなければならない問題だと思いますし、海洋種はだめだといって、わからないからといって除外してはいけないということを申し上げておきたいと思います。 具体的なことを質問する時間がないが、我田引水になるかもしれませんけれども、九州にニホンカモシカというのがおるのですね。これは指定されるのですか。 それから、植物で言いますと、九州に分布しておりますハナシノブというのがあるのです。これは指定するのですか。予定になっていますか、検討されておりますか。
○伊藤(卓)政府委員 具体的なお尋ねでございますけれども、ニホンカモシカにつきましては、国内の種全体としての見方をとりますと、絶滅のおそれは高くはないと考えておりますので、この法律で予定しております国内希少野生動植物種の対象にならないのではないかと考えております。 また、御指摘のハナシノブにつきましては、私ども直接データを持っておりませんが、日本自然保護協会等が作成いたしましたいわゆる植物版のレッドデータブックにおきまして、絶滅危倶種のランクに指定されておるところでございます。当然、こういったデータは私どもが指定を検討する際の参考にさせていただきたいと考えております。
○馬場委員 そうしたら、九州にすんでいますニホンカモシカはどんどんとっていいわけですね。
○伊藤(卓)政府委員 実は、鳥獣保護法という別の法律がございまして、 ここで規制をされておるところでございます。
○馬場委員 鳥獣保護法で規制をしておって、この法律で何で規制しないのですか。
○伊藤(卓)政府委員 この法律は絶滅のおそれがあるものについていろいろの規制をかけようということでございますので、そういった可能性は今のところないと考えておるところでございます。
○馬場委員 この法律は、最初長官に聞いたのですけれども、従来いろいろな法律があるわけですね、鳥獣保護法とか。こういうものをまとめて生態系全体として保護するということで、今までの法律よりも非常に立派な法律ができたぞとさっき褒めたばかりなんです。ところが、今の話によりますと、鳥獣保護法から一歩も進んでいないというようなことで非常に問題だと思いますが、政令なんかをつくられるときにまた検討してもらいたいと思います。 そこで、今出ました絶滅のおそれというのは、だれがどうやって判断するのですか。
○伊藤(卓)政府委員 絶滅のおそれにつきましては、法律の条文に書いてあることは避けますけれども、そこに書いてあるようないろいろな、いわゆる種の存続に支障を来すような事情がある場合には、おそれがあると判断するということでございますが、これは今後の手順についてまだ決めておるわけではございませんけれども、私どもとしては、先ほど申し上げました基本方針で定め、また具体的には自然環境保全審議会あるいはそのもとに置かれる専門の委員会等によって判断することになると思います。 ちなみに、現在、私どもがいわゆるレッドデータブックをまとめます際に、専門家の意見等を聴取いたしまして一応選定の基準といいますか、カテゴリーを決めたところによりますと、例えば絶滅のおそれが非常に高いいわゆる絶滅危惧種につきましては、確実な情報があるかないか、あるいは情報量が多いか少ないか、そういったところから判断いたしまして、ある個体数が非常に危機的な状況であるかどうかという判断をすることになりまして、それは各種によりまして随分違うようでございます。 哺乳類の場合であると、またいろいろ考え方があるわけですけれども、あるいは何百頭程度とか具体的に数字で言えるものはそういうことも可能かと思いますが、なかなか数字で具体的には言いにくいというのが一般の考え方になっておりますが、いずれにしても、専門の学者の意見を聞いて決めていくということを考えております。
○馬場委員 みんな基本方針は閣議で決める、政令はまだはっきりしていない、絶滅のおそれの定義、判定に必要な事項は専門家の意見を聞いてやる、全然はっきりしないのですよ。例えば絶滅のおそれというのは、人間の病気に例えて言いますと、集中治療室にいるような重症な人あるいは入院をする人、病気で検査をする人、どのくらいに当たるのが絶滅の基準になるのですか。
○伊藤(卓)政府委員 人間の病気に例えてというのは非常に比喩的で難しゅうございますので、一、二私どもが今考えておりますものの例で御容赦いただきたいと思います。 例えばイリオモテヤマネコは現在沖縄県の西表島にのみすむということで、百頭程度ではないかと見られております。また、ツシマヤマネコは長崎県の対馬にのみ生息しておりますが、これも百頭程度ではないかと考えておりますが、専門家に言わせますと、例えば哺乳類であると、百頭前後を下ると非常に危機的になるというような意見もございます。 それから、例えば、両生類なんかでいいますとホクリクサンショウウオなどというのがございますが、これは石川県あるいは富山県の比較的狭い地域で、二十数地点というようなところで生息しているものでございますが、これは生息場所も限られておりますし生息数も非常に少ないということでございます。これは種によりましていろいろなとらえ方が可能でございますので、一例として申し上げたところでございます。
○馬場委員 政令がはっきり出なければわかりませんけれども、長官、これは絶滅のおそれということでいろいろ指定をするわけですけれども、なぜ野生の動植物が絶滅するのか、さらに立派な法律をつくるといいますと、絶滅のおそれがないような自然環境をつくってあげる、そういうことというのは非常に大切ではないかと思うのですよ。絶滅のおそれのあるものを対症療法するのじゃなしに、動植物が、生物が絶滅のおそれのないような環境状態をつくっていく、 こういうことがこういう法律の基本になければならないのではないかと思うのですが、そういうものに対する認識をまず……。
○伊藤(卓)政府委員 基本的には先生のおっしゃるとおりだと思います。私どもの生活が非常に潤いのあるものとしてあり続けるためには、やはり私どもの周辺に住んでおります野生動植物を大事にしていくということが大事であるわけでございまして、従来から絶滅の危機に至っているものの状況を見てみますと、どうしても私ども人間生活とのせめぎ合いといいますか、人間が生活域を拡大していくところから出てきている要素が非常に多いわけでございますので、そういう点でも私どもの生活を振り返り、またうまく調和を図っていくという必要があるということをこういった問題は提起しているのではないかと考えております。
○馬場委員 この法律ができますと、従来ある法律とか条約とか現行制度よりも、どのような点が野生動植物の保護その他について改善されるのか。法律がたくさんありますね、自然環境保全法だとかあるいは鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律だとか絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律だとか特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律だとか、多国間条約でワシントン条約とかあるいはラムサール条約とか、二国間条約で例えば日米、日ソ、日中、日豪の渡り鳥条約とか、こういうのがたくさんありますね。こういう現在ある法律とか条約よりも、この法律ができるとどういう点が端的に改善されるのですか。
○伊藤(卓)政府委員 今、先生がいろいろ既存の法律、条約等挙げられましたけれども、この法律はそもそもそういった既存の法律でいわばカバーし切れてない部分を補うというのが第一でございますけれども、今条約関係で御指摘いただいたワシントン条約とか、あるいは二国間条約に係る特殊鳥類でございますけれども、この二つにつきましては基本的に本法の中に取り込まれておるわけでございまして、それ以外にどういう点が有利になるかというと、私といたしましては、従来私どもが野生動植物について調査して発表しただけにとどまっておりました野生動植物の保護の問題がいわば全政府レベルの問題として取り上げられることになった、基本方針で閣議決定をし、そこでいろいろなことをやっていく、また法律の後の方に出てきますけれども、いろいろな事業について関係の省庁なり自治体もこぞってこれに取り組むことができるようになった、これが一番大きな進歩の点ではないかというふうに考えております。
○馬場委員 私はやはり、今言われたこともそのとおりと思うのだけれども、問題は、生態系を保護するのだという思想というか具体的なことが、この法律で非常に重要だと見ておるわけなんです。 そういう意味から、生息地の保護区の問題について質問をいたしますけれども、この法律によって、保護区の指定の基本的考え方はもういいとして、予想される保護区の数とか、あるいはどのくらいの面積がこの法律によって保護区として指定されるのか、予想される数とかその面積というのは何か計算したものがありますか。
○伊藤(卓)政府委員 保護区の指定の基本的な考え方ということでございますが、これは実は種の指定との関連がございますので、一つ一つその種を指定する際に、それの生息域等の調査ももちろんするわけでございまして、そういったものとの兼ね合いで指定していくというところから、現段階で具体的に面積とか何カ所というようなことは、説明するだけの材料を持ち合わせておりません。 特に悩むところは、保護区の指定の際に、具体的にその場所を明らかにすることによって違法の捕獲を誘発しかねないというようなことで、管理上の問題も含みますところから、そういった地元での保全についての御協力あるいは保全の対策といったものともかみ合わせながら指定をしていくということになりましょうから、今の段階で具体的な答えは御勘弁いただきたいと思います。
○馬場委員 地域を指定するのは種によってその地域を決めるのだというようなお話でございまして、私が聞いておるところによりますと、大体哺乳類、鳥類、両生類、昆虫類、魚類、植物というので三十種ぐらいの地域を指定するのだというぐあいに聞いておるわけでございますが、まだ全然その数とか面積は検討していないということです。 そこで、今提案されておるこの法律は予定よりも大分おくれてこの国会に提案されたのですよね、もう少し早く出ると思っておったら。それは、各省庁との調整が長引いたと私は聞いておるわけでございますけれども、その地域を指定する場合に、結局そこで行われる開発省庁の開発行為、そういうものと保護区の指定の調整もあったのではないかと思うのですよね。生息地の保護地区と開発の規制、いわゆる公益との調整、こういうものは行うことになっているわけでございますが、指定については、さっき言われましたように、関係省庁と協議をする、地方自治体の意見聴取や公聴会などをやるのだということが環境庁に義務づけられておりますが、端的に言うと、例えば環境庁はここを保護区としたい、いやここは開発をするのだと建設省が言う、いやここは例えば堤防をつくるのだ、ここには林道をつくるのだ、ここの木は切るのだと林野庁が言う、そういうことについて協議をするわけですけれども、協議が調わなかった場合は、これはどうなるのですか。
○伊藤(卓)政府委員 この法案の提出までにいろいろあったのではないかということについてまずお答えいたしますが、実はこういった基本的な大がかりな法律というのは、現存しておりますけれども、以前に出しました自然環境保全法以来二十年ぶりということで、しかも、先ほどから先生の御質問に私も明答できないで申しわけないのですが、種についてのとり方、特に種と関連しての区域のとり方、こういった。ものについて具体的なデータを我々としては必ずしも準備できてない。これは環境庁のおくれといえばそれまででございますけれども、野生生物保護行政についての基本的な問題でございまして、こういったところから、必ずしも十分な説明、理解が得られなかった、それで時間がかかったわけで、決して関係省庁だけの問題ではないということを御理解いただきたいと思います。 なお、建設省等開発官庁のお名前を挙げてございますけれども、こういった問題は何も開発関係行政だけでなくて、地域においても同じような問題をお持ちのようでございまして、私どもとしてはそういった点にもいろいろ配慮してきたところでございまして、そういうことで、こういった今の段階に至っておるということでございます。
○馬場委員 これは大臣にお聞きしますけれども、やはり関係省庁の開発の問題と公益の問題どこの自然保護の問題、動植物、生物の保護の問題、地区を指定するときには必ずその調整が必要だし、意見が違う面もあるかと思う。意見が調わない場合があったとすれば、あると思いますけれども、そうするとこの法律は地区指定が底抜けになってしまう。こういうことにもなる可能性がありますから、私は、こういう行政で、環境庁長官と建設大臣とあるいは農林大臣と横並びによって調整するんじゃなしに、やはりこういう自然の動植物、生物の保護とかあるいは環境保全、こういうのは地球環境大臣とか環境庁長官に一元化すべきだ、最終の決定権限は長官にあるんだ、そういうようなシステムをつくる必要があるんじゃないか、そうしなければ意見が食い違ったら底抜けになってしまう、これでは法律の目的も達成しないんじゃないかと思うんですが、長官どうですか。
○中村国務大臣 基本にはやはり民主主義という問題があると思います。役所の間の意見の調整ということ、また自治体の方の意見を聞くということ、そしていろいろな公聴会を開いたりすること、それぞれ民主主義の手法としてやるべきことだと私は思います。 その中で権限をどこに集中させるというよりか、やはり皆さんのコンセンサスを得て指定をしていくということが大切であって、いろいろな御意見が私のところにも寄せられました。動物を愛し、また昆虫を愛する方でも、自分たちがとって標本やなんかつくられるときにもとれなくなってしまう、ですから自然保護の方でも地区指定をちょっと緩くしてくれというような意見を言われた方もいらっしゃいますし、いろいろな考えの中で、私どもはとり得る最善のものをこうして法律としてまとめて今御提案させていただいて、また御論議をいろいろいただいて、またそういったものをもって将来に向けての参考にさせていただきたい、こう思っております。
○馬場委員 僕は、やはりこの地球環境は、環境の時代と言われる中でこのままいけば大変な状態になるわけですから、我々は生存できないとか人類が滅びるとかいうことだって地球環境の中で想像されるわけですから、そういうときには、例えば開発なんかのときに逆に環境庁長官の許可を受けなければ開発ができないぐらいの、そういう権限とかいうのは、環境保全の行政の一元化というのは、意見は当然聞かなきゃならぬ、NGOとか一般の人の意見でも大いに聞かなきゃならぬわけですけれども、ファッショ的な独裁をやれという意味じゃないんですけれども、やはりそういう点については環境行政のシステムの一元化というのはぜひひとつやっていただきたいと思います。 それから問題は、これはどういう法律ができたって、何といったって、国民の理解とか、あるいはこういうものを保護する行為に国民が参加をするとか、そういうことについての教育とか普及とか啓発とか、こういうのを大いにやらなきゃならぬと思っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、この法律を施行する場合にはNGOとか大学とか地域の研究者とか一般の市民とか、こういうものは意見を申し述べるだけでなしに何でも発議できるんだというぐらい、こういう人たちの意見というのをやはり権利ということも含めて認めるべきじゃないか、こういうぐあいに思います。 そこで、環境七か調査研究とか普及とか教育とか、そういうものを総合的にやる機関というものを設ける気はありませんか。
○伊藤(卓)政府委員 御指摘のこういった問題についての国民の理解を深めるための普及啓発活動、これは非常に大事なことでございまして、実は法案の作成に当たりましても関係方面からの御意見をいろいろ聞かしていただきまして、今後とも保護団体を初めとしていろいろな形での意見の吸収には努めたいというふうに考えておりますが、もちろん学者等からも審議会等を通じて意見をいただいておるところでございます。 なお、これをきっかけに何か団体をつくらないかということでございますが、既にいろいろな形で御理解、御協力いただいておる団体もございますし、全国的な研究者のネットもございますので、こういったことの御協力を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○馬場委員 文部省、来てますね。環境教育についてお聞きしたいのですが、時間がありませんから、多く言いますからよく頭に整理しておいて答えてください。 現在の小中高校の指導要領、これで環境教育は十分と思っているのか。それから、私は環境庁にも、現在の教科書なんかを見て、これで学校教育の中の環境教育は十分だと思っているかどうかも聞きたいのです。この際もう一遍、こういう法律もできますから、環境庁の意見を聞いたりNGOの意見を聞く、そして教育課程というのをさらに充実させるという気はないか。さらに進んで、中央教育審議会に対してあるいは教育課程審議会に対して、環境教育はいかにあるべきか、そのカリキュラム等について、学習指導要領について諮問する気はないか。さらに進めて、社会だとか理科だとか数学だとかいうように、環境という教科をつくって総合的に環境教育をしようという気はないか。今、理科教育振興法とか産業教育振興法という法律がございますが、環境教育振興法というような法律でもつくって環境教育を振興すべきじゃないか、こういうことをどう考えているか。文部省、答えてください。
○遠山説明員 お答えいたします。 環境問題につきまして、児童生徒に正しい理解を深めさせることは極めて重要な事柄であると文部省も考えているところでございます。このような観点に立ちまして、従来から社会科それから理科それから保健体育科を中心に置きまして、小中高等学校を通じて、児童生徒の発達段階に応じて、環境と人間とのかかわりや環境を保全することの大切さなどを指導しているところでございます。 それで、小中高の指導要領の話でございますが、今回学習指導要領を改正いたしまして、小学校は本年度、平成四年度から、中学校は平成五年度から実施されるわけでございますが、環境教育につきましては各教科等の内容の充実を図ったところでございます。 例えば小学校でいきますと、小学校の五年の社会科ですが、新たに国土の保全や水資源の涵養などのために森林資源が大切であることを気づかせるようにする、それから環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気づかせるように配慮する必要があるというようなことを充実しておりますし、また理科の第六学年で新たに、人は食べ物、水、空気などを通して、ほかの動物、植物及び周囲の環境とかかわって生きているということを理解させる、こういうように充実しているところでございます。 指導要領でそういうぐあいに充実するとともに、文部省では教師用の指導資料、これも昨年、中高校編をつくって全国に配付したところでございますし、それからことしは小学校向けをつくっているところでございます。 それから、昨年新規事業としまして、滋賀県で第一回の環境教育シンポジウム、研究協議会を開催して、ことしさらに千葉県で第二回目を開きまして、環境教育の充実を図っているところでございます。 それから、環境教育のあり方につきまして環境庁なりあるいは関係団体と意見交換すべきである、こういうお話でございますが、これは環境教育の推進に当たって、文部省は環境庁との連携の重要性を図るということで、その協力を得ながら、先ほど申し上げました教師用の指導資料の作成でございますとか研修などの事業を行っているところでございます。先生お話しのように、文部省だけでは環境教育というのは必ずしも十分にはできないというぐあいに考えておりますので、さらに環境教育の効果的な推進のために、環境庁初め関係団体との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。 それから、環境教育につきまして中教審等に諮問すべきではないかというようなお話でございますが、学習指導要領の改訂に先立ちます教育課程審議会におきましては、社会の変化に適切に対応する教育の内容について審議が進められまして、その答申を踏まえて、先ほど申し上げました新しい指導要領ができているところでございます。学校の教育内容につきましては、いろいろ環境教育だけではなくて、消費者教育でございますとか福祉教育など御要望等もあるわけでございますが、個別の指導分野だけを取り上げて検討することよりは、やはり教育内容全体の検討の中において、個別の指導分野につきまして、そのあり方なり比重の置き方あるいは位置づけ等を検討することが妥当というぐあいに考えております。 それから、環境という教科でございますが、これは現在、環境問題はその内容がさまざまな多岐の分野にわたっていることを踏まえまして、社会科なり理科なりあるいは保健体育科で、それぞれの教科の中で位置づけを明確にしながら全体としての取り組みの充実を図っているところでございますので、今後ともそのような方法が妥当ではないかというぐあいに考えているところでございます。 それから、環境教育振興法でございますが、その内容はどのような事項ということが必ずしも明確ではございませんけれども、環境という個別の指導分野を振興するための法律を制定することは大変難しいのではないかというぐあいに考えております。当面のところは環境教育の推進について法律を制定しなくても、文部省としましては、学校教育なり社会教育あるいは学術研究、それぞれの分野での取り組みを充実させることによりまして推進していくことができるのではないかというぐあいに考えているところでございます。 以上でございます。
○馬場委員 理科教育とか産業教育とか、議員立法でこの振興法をつくったわけでございますから、それはやはり議員の方で考えていかなければならぬ問題だと思います。もう時間が来ましたから答弁要りませんけれども、最後に、この法律を施行する上には、予算とか人間とか非常に要ると思いますから、今後も予算の確保とか人員の確保にひとつ努力をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○小杉委員長 岡崎トミ子君。
○岡崎(ト)委員 ことし三月にはワシントン条約締約国会議が京都で開催されました。また、ことしの六月には地球サミット、この中で生物多様性条約が署名されるべく検討されております。また、来年の六月には、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約、いわゆるラムサール条約締約国会議が釧路市で開催されます。 こういうような野生生物保護の分野で国際的な動きが活発になっておりますときに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律ができますこと、心から歓迎をしたいと思います。アメリカからは二十年遅かったなという思いもありますが、この中身を見ますと、国内の希少野生動植物種の保護、生息地の保護、保護増殖事業、そして国際希少野生動植物種の保護と大変幅広い扱いになっております。また、違法に輸入されたものの返還規定や強い罰則を含む法案を環境庁が作成されておりますこと、いよいよ重要性を増しております日本の国際的な使命の中でも、地球環境、野生動植物の種の保存の面からも国際的に協力して、また貢献していく上で大切な礎になるものと思い、高く評価するものでございます。 まず、この希少野生動植物種をどのような物差しで選定なさるのか、同時に、生息地等保護区の選定はどのような基準に基づいて行われるのか、お伺いしたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 まず、種の指定でございますけれども、これは今先生いろいろ御指摘いただきました国内希少野生動植物種、あるいは国際希少野生動植物種というような区分けによりまして、政令で指定をしていくという形になります。実際には、その基本的な考え方を第六条におきます基本方針で定めて、それに基づいて指定をしていくという形になります。 それから、保護区の指定につきましては、三十六条でございますけれども、国内の希少野生動植物種の保存のために必要があるというような観点から、その生息地または生育地、それからこれらと一体にその保護を図る必要がある地域、例えば動物でいいますと、それのねぐらとかあるいはえさ場であるとか子育ての場所であるとか、そういった動植物の状態によっていろいろな重要性が出てくるわけでございますが、それらを判断いたしまして生息地の保護をしていく。その中でも、さらには管理地区と監視地区に分けて、人間のいろいろな行為について規制をかけていく仕組みをとろうと考えております。
○岡崎(ト)委員 幅広くさまざまな観点から種を選定していく、あるいは生息地等保護区を選定していくというふうになるだろうと思いますので、それぞれ専門家の皆さんの御意見を十分聞いて決められるのだというふうに思います。 立派な有識者の方々で構成されております自然環境保全審議会、この審議会で野生生物の担当の方は大体どのぐらいいらっしゃるのでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 まず、自然環境保全審議会というものを法律で設けておりますけれども、現在、委員が四十二名、臨時委員が二名の四十四名から構成されております。 野生動植物の専門家という観点からこの方々を必ずしも選択しておるわけではございませんで、動植物あるいは自然環境の保全全般についての学識経験をベースに選任させていただいております。大学教授や研究機関の著名な研究者、自治体、経済界、労働界、マスコミその他の有識者を広く含んでおりまして、その中にいわゆる自然保護団体の方々も含まれております。それから、先ほど申し上げました大学研究機関の研究者の中には、動物、植物、動物でも微細な動物、水生生物等についての専門家なども含まれる形で、多彩な構成をしておるところでございます。
○岡崎(ト)委員 その中に、例えば、これまで大変に自然のことが好きで山に入って、あるいは野をいつも観察していて、動物や植物が本当に好きな人たちが、この種類がとても大切なんだけれども、その情報をたくさん持っている人、それがこの行政の中に入り込むような、そういう情報に耳を傾けていくような、この審議会のシステムはそういうふうにはなっておりませんね。
○伊藤(卓)政府委員 私ども行政をやる場合に、個々の細かい情報についてすべての専門家を網羅するということはできませんので、先ほど申し上げましたような非常に広範な審議会構成になっておりますけれども、実は、私どもがまとめましたレッドデータブックのまとめなどにつきましては、それこそその分野の専門家を網羅して、哺乳類なら哺乳類、爬虫類なら爬虫類の専門家を網羅した形での構成になっております。 さらに、その先生方はその学識経験なり従来の活動の中で、いろんなグループの方とのコンタクトを持っておられまして、そこから情報を吸収していただいておるということでございます。それからさらに、私どもが直接所管しております自然保護関係の団体、認可した団体の中に、具体的に、それこそたくさんの会員を抱えて情報を持っておられる方々がおられますので、もちろんその代表の方が一部委員にも入っておられますが、入っておられない場合におきましても、その団体から御意見を伺うという形で情報をいただいているところでございます。
○岡崎(ト)委員 大変立派な陣容で固められております審議会が十分な機能を発揮されるためには、幅広い、国内だけではなくて海外の情報を持っていらっしゃることと私は思います。これをさらに補強するためには、政府、民間の別なく希少野生動植物そのもの、また保存の各分野の専門家の人たち、これも日本国内であるか海外であるかは事の性格から区別する必要はないと思いますけれども、こうした人たち、またその組織などの意見、情報などの提供も求めることで、野生動植物の国際的な保存活動と軌を一にすることができるというふうに考えますけれども、そういった、広く知見を求めていくことを要望しておきたいというふうに思います。 民意を反映させる、公式に吸い上げるところがないというところがちょっと残念な気がいたしますけれども、段階を踏んで吸い上げていく、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
○伊藤(卓)政府委員 この分野の仕事というのは、いわばこれからということでございます。いろいろな方のいろいろな情報をいただくということで、先ほど先生御指摘の国際的な情報というのを、我々としては当然収集をしていかなきゃいけないと思っております。ただ、具体的に審議会等ということになりますと、余り専門家に固まってしまってもなかなか全体的な判断は難しいわけでございますから、その内容に応じて御意見をいただくようにしていきたいと考えております。 〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
○岡崎(ト)委員 アメリカの絶滅法ですと、やはり市民の意見を入れるというふうな仕組みになっておりますし、私たちの今度の法律もそのような姿勢が大変必要なのではないか、ぜひとも民意を反映させるということをしていただきたいというふうに思うわけです。 ところで、希少野生動植物の国内取引については、現在ある絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律の法案審議に当たりまして、昭和六十二年、当委員会では附帯決議を行っています。附帯決議は七点から成っており、そのトップは「規制の対象となる「希少野生動植物」の種は、ワシントン条約附属書Ⅰに掲げる種に限定することなく、適切な評価を行うことにより同条約の効果的実施に資するよう、その範囲を定めること。」このようになっております。 ワシントン条約の附属書そのものに掲げております種の数は、全体でおよそ三万五千と聞いておりますが、そのほとんどは附属書Ⅱでありまして、Ⅰ及びⅢはおよそ三%程度であるというふうに聞いております。ちなみに日本のワシントン条約対象種の輸入の内訳は、件数に基づきますと附属書Ⅰがおよそ一%、附属書Ⅱがおよそれ九%となっております。附属書Ⅰの種というのは国際的に絶滅のおそれのあるものと認定された種でありまして、国際取引は厳しく規制されております。これの国内における取引を規制するのは当然な措置であろうと思いますけれども、附属書Ⅱの種は国内規制の対象となるでしょうか、お伺いします。
○伊藤(卓)政府委員 今先生御指摘のワシントン条約の附属書Ⅰの種につきましては、基本的に取引をさせないということで、特別の場合のみ許可をして流通させるわけでございますから、件数としても非常に少なくなっているのは当然のことでございますが、附属書Ⅱ及びⅢの種につきましては、輸出許可書の添付等一定の条件が具備されておりましたら流通を認めるというような分類の種でございますので、こういったものについては国内での流通規制をする種というふうには我々としては考えておりません。 したがって、今回の法案で考えております国際希少野生動植物種としては、附属書Ⅰの種を中心として考えていきたいというふうに考えております。
○岡崎(ト)委員 附属書Ⅱの種が全面的に国内取引の規制対象とならないのは、なぜなんでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 附属書ⅡあるいはⅢの種につきましては、ただいま申し上げましたように一定の条件のもとで自由な流通を認めるという前提の種でございますので、その届内への輸出入の際には当然水際で規制されるわけでございますが、国内で一々許可等の規制をする必要はないというふうに考えております。
○岡崎(ト)委員 附属書Ⅱの種は、税関での十分なチェックが大蔵省の担当で行われていると思いますけれども、税関では一般の物品も同時にチェックする義務を持っておりまして、関税率による品目分だけでも一方に近い分類があるというふうに言われておりますが、その各分類は異なる種類の物品を含んでいまして、この中にワシントン条約の対象種があるわけです。すべてを合算しますと、おびただしい種類の物品を税関でチェックするということになるわけなんですが、税関では訓練にも大変励んで御苦労なさっているというふうにも伺っております。しかし、ワシントン条約対象種のみへの集中を求めることは非常に過酷である、水際での税関の努力を国内で支援するためにも、ワシントン条約の効果を高めるためにも対象を広げることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 国内に入ってからどうするかというのは国内法の問題でございますけれども、一応国際的な評価といたしまして流通が認められておるということでございますので、そういう水際規制の問題を国内でカバーするというのはなかなか難しいのではないかと考えております。
○岡崎(ト)委員 ワシントン条約の正式な名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」ですが、絶滅のおそれのある種だけを規制するのでは効果が不十分であるという趣旨から、附属書Ⅱのものも規制しているわけなんです。第四条の四の定義をこれに沿って解釈してはいかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま御指摘の条文は四条四項かと思いますけれども、ここでは「国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種」という表現でございますが、これは一応附属書Ⅰを念頭に置いた表現でございまして、ⅡあるいはⅢはここで言う「絶滅のおそれのある」というところには該当しないというふうに考えております。
○岡崎(ト)委員 ワシントン条約の精神は、絶滅のおそれのある種だけを規制するのでは効果が不十分であるという趣旨で、全体の正式名称が「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」というふうになっておりますので、私はそういう精神を盛り込むべきであろうというふうに考えます。 具体的にはアフリカゾウなど、一部の国の取引を再開させてほしいという提案があったわけなんですが、次回アメリカで行われます九四年にももう一度蒸し返される公算が大きいと思います。附属書Ⅱへこのアフリカゾウがおろされるという議論が再燃する可能性も高いわけなんですが、附属書Ⅱのものも本法による譲渡禁止の対象にぜひしていただきたいというふうに思います。
○伊藤(卓)政府委員 附属書Ⅱを本法の対象にすべしという御意見でございますけれども、実は附属書Ⅱの中では「現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするためにその標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種」というようなとらえ方をしておりますので、私どもの法律ではそこまで考えてはおらないというところでございます。
○岡崎(ト)委員 例えばアフリカゾウが附属書Ⅱへおろされるということになりますと、きばも象牙も取引可能になってくるわけなのですけれども、アフリカゾウのきばが出ることになりますと、それを買うのは日本が非常に大きいのではないかというふうに思われております。日本がきちんとした法律をつくるかつくらないかが注目されておりますので、九四年になる前に、ぜひとも日本の評価のためにもこの象牙の取引に関する議論を十分にしていただきたいというふうに思います。 以上が、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案審議の際に、前回の委員会で行われました附帯決議の第一に即した具体的内容でありまして、今回は条約が締結されましてからずっと、なかなかこの条約が効力のない部分もありましたので、特に改めて対象をワシントン条約に全面的に対応したレベルまで引き上げられることを、今求めたわけでございます。 ちなみに、日本の条約対象種の輸入のうちに、爬虫類だけをとってみましても全輸入件数の六割になっています。このほとんどが皮やバッグなど、部分と加工品でございます。したがって、輸入全体に占める部分や加工品の割合はさらに高いものとなるだろうと思います。アフリカゾウが附属書Ⅱに下げられた場合には、象牙の国際取引が再開される可能性もありますので、条約の対象種の部分や加工品も規制の対象にされたいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 ちょっと私も理解が足りないのかもわかりませんけれども、附属書Ⅱに落ちることを前提にそれが読めるように法律を柔軟にすべきであるというのは、ちょっと私どもとしては現在とりがたいわけでございまして、あくまでも象牙の問題はまだ附属書Ⅰということで議論が先に送られておるわけでございますので、それを将来落ちるかもしれないということで和らげた運用はなかなか難しいかと思っております。 現在考えております法案の譲渡の規制につきましては、一々の譲渡を許可にかからしめるということで非常に厳しい規制措置でございますので、やはりこれを実効あらしめるためには、一つ一つの区別がつく、個体が想像できるというようなものを考えないと運用も非常に難しゅうございますので、識別が困難になるものについては本法の対象とは考えておらないわけでございます。 いずれにしましても、ただそういった細かくなったものをどうするかというのは、基本的な、また派生する問題も抱えておりますので、今後のいろいろな動向等を考慮しながら検討してまいりたいと思います。
○岡崎(ト)委員 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、このワシントン条約締約国会議が行われますときに、アフリカで随分きばを燃やしている、そういうニュースが伝わってきたのをごらんになりましたでしょうか。 それで、私たちはどうも象牙を印鑑に使っているというような状況なのですけれども、象牙でなくてもいいだろうと思うのです。本当に将来はこういうものを使わないような、印鑑も別なものでできるようなアイデア、大臣、何かお持ちじゃないでしょうか。
○中村国務大臣 やはり、これまた再び民主主義の話になるのですが、日本人の中には、やはり象牙の判こを使いたいという方がいっぱいいらっしゃるのも事実じゃないかと思います。そして、象につきましても、例えば密猟されたものは、今委員御指摘のように燃してたのだと思います。あれを売ったら、貧困にあえいでいる国だとすれば、それだけその国は得ではないかというような議論もあったようですけれども、これは密猟してはいかぬということで、そういう見せしめといいますか、そういう意味において燃したのだ。しかし、国によっては実際にふえていく。私はアフリカに行ったとき聞いたことがあるのですが、ふえていくと象というのは非常に食物をたくさん食べるので、結局食べ尽くして一遍死ぬ、それからまたふえてくるというようなことを繰り返す。それならある程度のところで安定させた方がいいのじゃないかという考えもあるのだということを聞いたことがあります。 そういう中で、この前御主張されていた国々が、もしそういうことで安定させるために何らかのそういう作業の中で象牙というものを得た場合に、それを国のために売って使いたいということを一概に否定していくかどうかということになると、私個人としても悩むところでございます。 そういう、実際に象がいる国の問題と、それからこちらの問題ですが、確かに象牙と全く同じようなものがあればいいわけでありますね。しかし、プラスチックでつくってもこれはすぐわかりますし、私はそこで一つおもしろいものを見せてもらったのです。ブラジルで植林をやっている民間団体、今NGOというのですか、そういう方がいらっしゃったときに、ヤシの実で、回りを割りますと象牙そっくりなんです。それで彫刻をしまして、ウサギの彫刻や何か持ってこられましたので、その方に、これは日本の判こに使う材料に一番いいからといって申し上げたのですが、残念ながら持ってこられた数が少なかったのでもらえなかったのです。そこで私はうちの職員に、たしかベネズエラかどこかだと思いましたけれども、今調べてくれるように頼んでいるところでありまして、そういうのを探すのも手かなと思っております。
○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。 次に、日本にも生息しておりますウミガメ類やツキノワグマはワシントン条約附属書Ⅰの種なんですが、国内取引はこの法案では適用対象になるのでしょうか、お伺いいたします。
○伊藤(卓)政府委員 御指摘のウミガメにつきましては、ワシントン条約の附属書Ⅰの種でございますけれども、国内に生息しておりまして、かつ他の法令によって捕獲等の制限がなされているということで、いわば適正に管理がされておる、すなわち絶滅のおそれはないというような観点から、私どもとしては、国際希少種としては条約の関連から指定はするわけでございます。したがって、国外から輸入されてきたものにつきましては、国内における譲渡等の規制の対象になるというふうに考えます。 なお、国内での密猟対策というようなものは、また別途考えられることになります。
○岡崎(ト)委員 そのうちウミガメなんですが、これは絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約では絶滅のおそれのある種に指定されておりまして、原則として国際取引が禁止されております。そして国内におきましても、二月三十一日付をもってヒメウミガメのワシントン条約上の留保の撤回をいたしました。水産庁長官通達で、省令でもってこの四月一日から採捕が原則として禁止ということになりました。ウミガメというのはほとんど定置網によってかかるというのが多いらしいのですが、そのウミガメを発見した場合に、生きているものは生きたまま海に戻すように最善の努力をしてほしい、現状ではその数は少ないけれども、死んでいるものについては、伝統的に利用する習慣の地域を除いては、埋設、焼却等適切な処理を行われたい。ヒメウミガメについては、利用する習慣のある地域であっても利用を行うと省令に違反となるので、十分な処理をしてほしい。こういうような水産庁長官の通達がなされておりまして、水産庁としてはこの国際基準に合わせて努力をされた、そういう結果が見られるわけなんですが、このツキノワグマなんですね、これは絶滅のおそれが今少ないと考えられるというふうにおっしゃいましたけれども、今まで数を数えて公表されたことがおありでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 ツキノワグマについては、大体一万頭から一万五千頭ぐらいというふうに推定されておるところでございます。
○岡崎(ト)委員 これは非常にばらつきもありまして、同条約の絡みでもって輸出入規制の対象とはなっておりますけれども、国内ではリストアップされない。行政側は保護よりも駆除に傾いた対策を立てておりまして、個体数が減少した九州、四国の五県を除いて狩猟が認められているということなんですけれども、私はそのツキノワグマそのものがやはり大切な動物ではないかというふうに思うのです。ですから、危険であるということについては防止しなければいけない、だけれども、共存もしていかなければいけない、保護もしなければいけないという立場で、国内でも規制すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 ツキノワグマは我が国を代表する大型哺乳動物ということで非常に注目を集めておるところでございますけれども、先ほど申し上げたような頭数のものが大体東北地方を中心に存在しておりまして、特に四国、中国山地あるいは紀伊半島等では少なくなっておるということで危惧されておるものではございます。ただ、先生も御指摘ありましたけれども、危険、つまり人畜に対する害性も認められるというところで、地域によりましては被害防止のためのコントロールが必要な場合もあるわけでございます。いずれにいたしましても、生息数とか繁殖状況についての科学的データをもう少し集積いたしまして、それぞれの生息地の実情に応じた適正な管理が必要ではないかと思っております。 ちなみに、既に狩猟禁止等をやっておりますのは、先ほど申し上げました非常に生息が危惧されておるところとして、四国の徳島、高知、それから九州の熊本、大分、宮崎といったところでございますし、さらには中国地方等では大日本猟友会で、この猟期から自主的に捕獲を自粛しようというようなことを検討中でございます。 なお、私どもといたしましては、平成三年度からツキノワグマ保護管理検討会を設けまして、今後の管理方策について検討を続けておるところでございます。
○岡崎(ト)委員 環境保護大国を目指す日本が、ワシントン条約で絶滅のおそれありと認定されておる種が国内に生息していても取引を禁止しないというのは不合理ではないかと思いますので、ぜひ前向きに、規制対象とされますように努力をお願いしたいと思います。 次に、現行法であります絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律の第十三条には、国庫に帰属した希少野生動植物についての措置が定められております。これは、輸入に先立って所有権が任意放棄された結果、国庫に帰属した希少野生動植物については必要な措置を講ずることを定めておりますが、本法案にはこの規定がないようです。この辺はどういうことになっているのでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 現行の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律の十三条では「法令の規定により国庫に帰属した希少野生動植物について必要な措置を講じなければならない。」というふうに定めておるところでございますけれども、例えば国庫に帰属した後どうするかというようなことがここでこの内容になってくるわけで、例えば適切な飼養施設で管理をするといったようなことがその内容になってくるわけでございますが、新法案では第二条第一項に国の責務という規定がございまして、この総合的な施策の中でこれを読み込むことに考えておるところでございます。
○岡崎(ト)委員 特に、生きたものは原産国へ返還するというのが本筋だと私は思います。適切な措置をとる必要があると思います。それを国が負担して返すということになりますと大変お金のかかることにもなるだろうというふうにも思いますけれども、ぜひともこの趣旨をお汲み取りになっていただきたいというふうに思います。 次に、違法の輸入者あるいはそれと知りながら譲渡を受けた者に対する原産国への返還の規定はありますし、国庫に帰属したものについては今述べましたけれども、本法に違反して譲渡された希少野生動植物そのものはどのようになるのでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 違法に輸入したことが後で判明する場合というのはいろいろなケースが考えられるわけでございまして、一概には判断しかねますので、個々の具体的ケースによりまして、例えば本法案による措置命令、つまり違反した者が明確で今発見されたといったような場合には、個々に、例えば本国、原産国への返送命令だとか、あるいは適当な飼養施設で飼うことの命令だとかいったことが可能になりますが、さらにそれが転々流通していったような場合等につきましては必ずしもその規定が適用できないで、場合によっては指導という形での対応にもなろうかと思いますが、そのケースに応じて判断することになろうかと思います。
○岡崎(ト)委員 国際の希少野生動植物であればそれは原産国へ、また、国内の希少野生動植物であればそれは本来の生息地あるいは適切な施設へ送るなど、種の保存のための適切な指導をお願いしたいというふうに思います。 さて、特にワシントン条約の書類の中には、偽造のものや、正式に発行された書類ではありますが記載数量の中に条約違反のものが紛れ込まされたものなどがありまして、これらによります輸入事例が過去にはありました。これらが税関をまんまと突破した場合、この法案では規制が可能でしょうか。
○鷺坂説明員 お答え申し上げます。 本法律の十六条の規定によりまして、通産大臣は外為法五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで輸入された希少野生動植物につきましては、必要がある場合には返送等を命ずることができるというふうになっておりますので、ケース・バイ・ケースの場合があると思われますけれども、この規定に沿いまして適正に対応したいというふうに思います。 いずれにしましても、そのような事例が生じないように、輸入管理につきましては厳格に運用するということで対応してまいりたいと思います。
○岡崎(ト)委員 何件か件数がありまして、そのうちの、一九八八年のことですか、タイから日本と台湾に向けて四万五千枚の附属書Ⅱの種のワニ皮が輸出され、そのうち一万二千枚は直接日本に輸入されています。しかし、タイはそれ以前にシンガポールから輸入した一万一千枚を再輸出した形をとっておりまして、その差の三万四千枚は違法にタイに持ち込まれたものだったわけです。また、台湾に輸入された三万三千枚も、そのままあるいは加工されて日本に船積みされている可能性が非常に高いわけなんです。 今述べました実例は、附属書Ⅱのものではありますが、理屈としては附属書のいずれであっても起き得るものというふうに思います。こうした、正式に輸出国が発行した書類であっても条約違反のものが含まれているものについて、輸入後事実が発覚した際、本法案ではどのように対応できるのでしょうか。
○鷺坂説明員 ただいま先生御指摘の個別のケースについては、具体的に当たってみる必要があると思いますけれども、先ほど読み上げました法律の十六条の規定によりまして、輸入の承認を受けないで輸入されたという程度にみなされるものについては、返送命令ということは一定の範囲でできるということかと思います。
○岡崎(ト)委員 個々のたくさんの事例が私のところにはありますけれども、それを一々知らせるということよりは、輸入後に条約違反とわかった時点で、国内での譲渡が行われ続けることがないように、ぜひとも譲渡を禁止していただきたいというふうに思いますけれども、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 転々流通の問題はなかなか難しいわけでございますけれども、実は本条文の十六条二項という規定がございまして、これは、輸入承認を受けないで入ったものにつきまして、それを知りながらさらに譲り受けをした者については返送命令等も可能だという規定がございますので、こういった規定の運用でまいりたいと思います。
○岡崎(ト)委員 ところで、国際希少野生動植物種で学術研究のために特に輸入を認められたものについては、現在どのような規則がありますでしょうか。できましたら、学術研究のためにというこの学術研究の言葉の定義もともに教えていただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 現行法で学術研究目的で許可をするケースでございますけれども、例えば試験研究機関あるいは教育機関、博物館等におきまして、研究者が、対象となる種の保護のために、あるいは科学的に新たな知見の解明をする必要があるという観点で許可を求めてくる場合、こういったのがこれに該当いたします。
○岡崎(ト)委員 学術研究のためのものであっても国際希少野生動植物種であることに変わりはなく、ワシントン条約の趣旨に沿いますと、その種の存続のために研究に使われなければならない。その個体、そしてそれから生まれたものなどがその趣旨に合致した形で利用されるよう、どんな場合でも安易に営利目的に転用されることがないように、規則をぜひつくっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 学術研究目的のものにつきましては、私どもとして、許可の際にいろいろ条件等をつけておるわけでございますけれども、その結果を把握いたしまして、有効に活用していきたいというふうに考えておりまして、今後とも新法においても同じような運営をしていきたいと考えているところでございます。
○岡崎(ト)委員 こうした世界的な条約の問題、各国との協力の関係が大変大切になってまいりまして、今、学術研究という点からいい、ましても、世界的な調査の実施、野生生物の取引に関するデータベースの整備、そして途上国における野生生物の調査研究面での協力、それから大学における人材の養成もまた重大な課題ではないかというふうに思いますけれども、この全体を通しまして、研究センター、この法律の中ではそういったものはどのところで扱われるのでしょうか。研究機関というものがございますでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 ちょっと私、うまく理解できなかったのですが、今回の新しいものについて研究機関ができるかというお尋ねでございますか。 今後の野生動植物の研究というのは非常に広範になると思われますので、何か特別のものをつくるというのはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えております。できるだけ既存のものを活用しながら、それをどう有機的につないでいくかということをまず考えていきたいと思っております。
○岡崎(ト)委員 ぜひともその辺の連絡をなさっていただきたいというふうに思いますし、ネットワークをぜひともつくっていただきたいというふうに思います。 ところで、人材のところなんですけれども、今回の法律の中では、第五十一条に、「環境庁長官は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に熱意と識見を有する者のうちから、希少野生動植物種保存推進員を委嘱することができる。」というふうにありますけれども、大体、この方々が名誉職というふうに言われておりますが、この名誉職というのはどういうことなんでしょうか。説明をしていただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 希少野生動植物種保存推進員というものを私ども考えましたのは、やはりこういった仕事は非常に広範にわたりますし、例えば生息地の保護等に係りますと地元での活躍が必要だということで、必ずしも役人ではできない分野があるということで、いわばボランティアの方、つまり報酬を目的とせず、ボランティアとしての活動を期待するという意味で、他の法令にも用例があるわけですけれども、名誉職という表現を使ったわけでございまして、いわゆるその方々の識見なり活動に期待をしておるというところでございます。
○岡崎(ト)委員 それぞれの地域では国指定の鳥獣保護区というのがありまして、例えば宮城県の場合ですと二地区ございます。仙台海浜、そして伊豆沼とあります。伊豆沼では、大場さんという人と笠原さんという人が三百六十五日見回るということになっておりまして、これの報酬は百六十万円、これを二人で分けるというふうに聞いております。それでもやはり、彼らは少ないというふうには言っておりませんけれども、やはり何らかの財政面が確保されることが必要ではないかというふうに思いますし、また、この推進員の方々の仕事というのは範囲が大変広いのではないかと思います。 というのは、この鳥獣保護区の仕事の内容を今手元に、県庁からも送っていただきましたけれども、大変な仕事の内容なんですね。仕事を持ちながら、朝早く起きまして実際に自分の目で周りを、沼地を見る、内沼を見る。そして、山に登って沼を見てみる。あらゆる観点から見ることによって、初めてその沼のすばらしさを深く知っていく。長い目で見ていかなければ本当に知り尽くすことができない。十五年やっておりますけれども、やっと十年目にして深く知り得た。そして、その後の五年間というのは、本当に大切なところ、ノウハウは大体わかっておりますけれども、うまくやれるようになりましたけれども、やはり若い人たちを養成して後継者としてつくっていくためには、この名誉職という形だけではとても守り切れないのではないかというふうに思います。しかもボランティアという、無報酬という形もこれは何とか考えていただきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 自然保護に関連する現地のいろいろな仕事をやる場合に、いわゆる常勤の職員だけじゃなくて、どうしてもこういった熱意のある方の御努力に負うところが多いわけでございますが、実は今御指摘の鳥獣保護員は、我々が考えているものとはちょっと違っておりまして、確かに都道府県の常勤の職員を補う仕事をやっておるわけでございますが、したがって、狩猟者の登録証の提示を求めたりというような権限行為も一部持っており、なおかつ、先ほど先生御指摘のように広いテリトリーの監視などもやっておるというようなところで、宮城県の場合には特別の報酬を出したりしているというところかと思います。 ただ、鳥獣保護員の場合は、基本的には予算といたしまして鳥獣保護法に基づく狩猟免許の手数料、そういったものをベースに手当てがなされておりまして、それも各県によって業務の内容あるいは範囲が違うために、まちまちにはなっております。 私どもが考えておりますのは、鳥獣保護員とは活動範囲もちょっと違っておりまして、なお、具体的には申し上げておりませんが、生息地等保護区というのが、今後の保護区の範囲につきましては今後決まっていくことでありますけれども、それほど広大なものにならないのじゃないかと。ただ、いずれにしても、活動費用は御本人の負担ということで、可能のことならば実費程度の何らかの助成ができるようなことは考えられないかということで、今思案をしているところでございます。 〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
○岡崎(ト)委員 名誉という言葉をつけることによって、実費程度のことを考えたいということで、何かもうちょっと誇りが持てるような感じだといいなというふうに思うのです。つまり、お金をもらえることが名誉にはならないということではなくて、もう少しこの仕事を大切に考えて、そして、誇りを持って仕事に当たられるような、そういうふうな財政の支援を考えていただきたいなというふうに思うのです。 もう一つ。今現在、山のことについて一番詳しいのは山の中で仕事をしている人ではないかというふうに思うのです。営林署の中で山を守っている、木を切るけれども、やはり一方では木を守りながら動植物を守る義務のある、これが営林署の目的になっておりますから、本当に山を語れる人があと十年でいなくなってしまうのではないかと思います。 この方々の能力というのはすばらしいものがあって、例えば岩手の山にクマゲラがいてその鳴き声を聞いた、どうもここには生息しているらしいというのは、本当に山の奥の奥まで行った人でなければわからない。それで、専門家の方々にお話を伺いますと、クマゲラは北海道だけではないか、岩手にいないのではないか、あの津軽海峡を渡ることができないのではないかというような認識らしかったのですけれども、はっきりとつついた跡などもわかっているというような、本当に山を知り尽くしている人がいるわけなんですが、こういう方々を本当に能力を伸ばしていく、ガイドの面でもお願いをしていく、そういうような活用のことを、大臣、お考えになっていただけないでしょうか。働きかけていただけないでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 本法の推進員に具体的にどういう方をあれするかということですが、保護区の設定との関連がございますけれども、場合によってはそういう方々にお力をかりるということもあるかと思います。それから、私どもは自然公園も抱えておりまして、自然公園の指導員等にもそういった方の中からお願いしているケースもございます。 それからなお、国立公園の管理というのは管理事務所という形でやっていますが、職員が足りないというようなことを常々感じておりまして、実は林野庁から、トレードをするという意味で、部門間配転でいただいております。これを少しスピードアップして勢力を増強したいと思っていますが、先生御指摘のように、特に林野で仕事をした人たちは山のことをよく知っていますし、木のこともよく知っている。非常に、来てすぐに役に立つというような人ですので、公務の面でもそういった人たちの力をかりていくようにしたいと考えております。
○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。ぜひ、営林署で、山で働いている方々がもう平均年齢五十になって、あと十年もしたら仕事ができなくなるということなんですが、暮らしの方も決して豊かではなく大変な状況で、また、全山労の方のお話などを聞きますと、賃金体系もなく、期間で働いている。そういうようなことを伺いますと、その方々をさらにガイドとして養成をしていくシステムができたら本当にありがたいというふうに思っております。 最後に、自然保護憲章には次のように書いてあります。「自然保護についての教育は幼い頃からはじめ、家庭、学校、社会それぞれにおいて自然についての認識と愛情の育成につとめ、自然保護の精神が身についた習性となるまで徹底をはかるべきである。」というようなことが書いてあります。今度の法律の中で、ぜひとも、小さいころから自然保護についての教育を身につけるということが大事であろうというふうに思います。殊に、開発の時代に生まれてきた子供たちが、コンクリートジャングルの中で、ブルドーザーがかかっていくことが当たり前のような感覚でいたら、将来を任せることができないという心配もあるわけなんです。ぜひ、長官の自然保護教育を進めようという積極的なお考えを伺わせていただきたいと思います。
○中村国務大臣 現在の環境問題、これはすべて、人間活動が地球に課する負担に地球が耐えられなくなったという時代に入っているということがすべての原因だと思うわけであります。そういう中だからこそ、ことし地球サミットが開かれて、広範な問題について討議検討がなされ、そして将来の地球の安全に向けていろいろな取り決めをしようということであります。 しかしながら、先ほどからいろいろ御議論が出て、私も民主主義と申し上げさせていただいているのですが、やはり人によっては、ここの環境は守るよりか開発した方がいいよ、また、象牙は使ってもいいじゃないか、そういう方がいらっしゃるわけです。ですから今、環境問題に取り組むときに、環境というのが、地球がどういう状態にあるんだ、どうすればいいんだ、どうしなければいけないんだ、こんな危険な状態にあるんだ、そういうことを、認識をどう持つかということが一番大切なこと。その認識を持っていただいた上で判断していただかなければならない。ですから、原点に帰れば、教育というのが一番大切であると思います。 そこで、私は環境庁長官になりまして、教科書を取り寄せてすぐ読んでみたのですが、やはりまだ、物を捨てるのはよしましょう、水を汚すのはよしましょうという段階のところから教育が始まっている。私はやはり、地球がその負担に耐えられなくなっている、その中で持続可能な開発、持続可能な成長というものを目指さなければならなくなっている、そこから説き起こした教育というものがないと、すべての解決に至らない。今まで、消費は美徳、物はつくって使うのだ、生活は豊かに、から、物は大切にして捨てない、そういうように思想の転換が図られなければいけない時代に入っておりますので、本当に小さいお子さんの時代からの教育というのは非常に重要だと思いまして、環境庁としても文部省と連携をとっておりますし、私も文部大臣に、そういうところに力を入れてくださいということをお願いしているところでございます。
○岡崎(ト)委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○小杉委員長 時崎雄司君。
○時崎委員 最初に、大臣にお伺いをいたします。 こういうことを聞くのはちょっとおこがましいのですけれども、この法律の目的は何かということを簡潔に御説明いただきたい、こう思います。
○中村国務大臣 目的は、絶滅に瀕している種を守っていこうということでございます。
○時崎委員 先般、この法律案を提案するに当たって、大臣は趣旨説明をやられましたね。そのときは、どうもそうではない発言をされているのですね。この趣旨説明、ちょっと読んでみますからね。 「種の保存を通して良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する」、こう言っている。種の保存が目的ではなくて、自然環境の保全が目的なんだと書いてあるのですね。どうも今の答弁では、種の保存の方が重要で自然環境の保護のことを全然言われないので、ちょっとその辺に不満があるのですがね。
○中村国務大臣 訂正させていただきます。 私は、この法律によって起こすべき行動の部分だけを申し上げましたけれども、すべてこういうことを行うということは、人間生活、人類の生存にとって必要なことであるという観点からなすわけでありますから、今委員の御指摘のとおりでございます。
○時崎委員 そこで、この法律案を読んでみますと、至るところで、重要な部分は政令にゆだねられたり、また、総理大臣をキャップとする基本方針というところがございます。そして、先ほど来の局長の答弁を聞いてもどうもはっきりした答弁がなされない、こういうことで、果たしてこの法律案にどういう態度で臨もうか、私自身ちょっと迷うところもございますので、少し詳しくお知らせをいただきたいと思うのです。 先ほども馬場委員の質問がございました。指定をする場合、数がどの程度か、面積がどの程度あるのかということをお尋ねしているのですが、そういうことについては何ら明快な答弁がございませんでした。ずばり、日本国土の何%を指定しようと考えておるのか、お尋ねいたします。
○伊藤(卓)政府委員 現段階で、そのような具体的な目標は持っておりません。
○時崎委員 先ほど大臣は、目的は少なくとも自然環境の保全だ、それを図る意味で種の保存をしていこうという法律なのだということなんですね。種の保存をするということは、それ自体を目的としているのではなくて、少なくとも環境の保全、人間にとって今よりもすばらしい環境を守っていこう、こういうことなんですね。だとすれば、その数とか面積というのは大変重要だと思うのです。おおよそでいいですから、どの程度を指定しようとするのか、お尋ねをいたします。
○伊藤(卓)政府委員 御指摘のように、種の保存を通じて自然環境の保全を図るというねらいでございますけれども、繰り返しになって恐縮ですが、まず、どの程度の種を守るのかというのがありまして、その種に対応して具体的な生息地等が決まってきますので、今のところ、具体的に何ヘクタールであるとかそういった目標を実は持ちかねているところでございます。
○時崎委員 この法律の提案に至る経過というのを、これは調査室で出されたもめがございますけれども、少なくとも、絶滅のおそれがあるということが現実としてわかっているから守ろうということになっているのでしょう。現状を把握した上でこういう法律をつくらなければならぬということでしょう。現状も把握しないで法律を出そうというのは、これは本末転倒でしょう。何か問題があるからこういう規制の法律をつくろう、こうなるわけですよ。今になってみて、どういうものを保存するのかまだよくわからぬ、これは法案提出者として失礼な話じゃないですか。
○伊藤(卓)政府委員 大変シビアな御指摘でございますが、実は、野生生物保護について、現段階がそういう状況であると残念ながら言わざるを得ないわけでございます。 野生生物の保護を図るというのが、ここ五、六年前からの我が方のテーマでございまして、まず着手いたしましたのが、絶滅のおそれのあるものの状況を調べようということで、学者を動員いたしまして五年かけてできたのが、昨年発行のいわゆるレッドデータブックでございまして、これは大体の種の分類とそれに基づく大体どの辺に住んでいるという、それも学者の先生方からのデータをベースにやってまとめたものでございまして、じゃ具体的にどの部分で何ヘクタールというようなところまでは調査は行き届いておりませんので、残念ながら今数字をお示しすることができないわけでございますが、かといって、それをきちっとやってから法律をつくるというのでは非常に時間的にも間に合わないという危機感から、今回の提案に及んだわけでございます。
○時崎委員 私が冒頭この法律の目的をお尋ねしたのは、どうも大臣の提案の趣旨説明め内容と、るる局長の答弁を聞いている内容との間に相当の乖離があるのではないか、こう感じてならないのです。自然環境を守ろうという場合には、相当大がかりな地域指定をやらなければ難しいのではないかと私は思っているのです。ところが、これまでの同僚の質問等に関して局長の答弁は、何かほんのささやかに指定をしようとか、数もどうも狭めてしまおうとか、そんな印象を受けるので、冒頭何が目的かとお尋ねしたわけでございます。 後ほどまた少し詳しくお尋ねしますが、一つは、種の選定に当たって、先ほども馬場委員からも御指摘がありましたが、海洋種については、おおよそわかりました。法律においてはこれは含まれるけれども、指定する段階で今は考えてないということですが、地域によっては個体群が存在をしているという場合があります。こういうものはどうお考えになりますか。
○伊藤(卓)政府委員 今のお尋ねは陸生のものというふうに考えて御答弁させていただきますけれども、地域個体群という観念で私どもはこの法律を準備しているわけでございませんで、ある種のものがある地域に固まって、なおかつそれが種として全体として絶滅のおそれがあるという状態であれば、当然指定の対象になりますが、ただ、ある地域で少なくなったといっても、全国的に見た場合にまだ存続の可能性があるならば、それは絶滅のおそれのあるという判定にはならないと考えております。
○時崎委員 この辺になると大分意見の違いがあるのですが、私がもっと広く保存してもいいのじゃないかと言うのは、自然環境を守るという観点から考えれば、指定する場所も数多く、その面積も余裕を持って指定をする、こういうことが必要なのではないか。政令その他基本方針を定めるときにはぜひひとつ十分な御検討をいただきたい。これは海洋種についても同様でございます。 次に、生息地の保全の問題で、一たん指定をする、しかし、そこが何年かたつことによって環境の悪化を来してしまう、こういう場合には、往々にして指定地の解除などということを行う傾向があるのですね。私はぜひ、そういうことではなくて、環境悪化に対して、それをもとに復元するとか整備をするというふうに積極的な面で対応していただきたいなと思うのです。いかがですか。
○伊藤(卓)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、私どもとしては、まず生息地等の保護区を指定する場合には、その種がそこにおいて永続的に保存されるということを念頭に置いて指定するわけでございますし、さらにその区域を指定する際に、ただ指定したということではわかりませんので、その区域における保護に関する指針というものを官報で公にするということにしております。これは三十六条の七項で考えておりますが、そういったことで一般の方にも十分それを理解していただいて、生息地の環境悪化を来さないように対処すべきだというふうに考えておりますし、さらに、悪化してきたときにはそれの原状回復といいますか、そういった措置も考えなければいけない。具体的にそれを悪化させた人が特定しておれば、違反行為というような形で当然それの例えば原状回復命令ができますけれども、そうでない場合でも、例えばすみかをつくるとか生息する場所を回復してやるというような仕事も保護増殖事業の対象として考えなければならないというふうに思っております。
○時崎委員 ぜひお願いしたいのは、環境庁みずから、もっと言えば政府みずから、今の局長が言われるように、環境が悪化してしまったときにそこを簡単に解除してしまうというようなことはやめてもらいたいと思っているのです。 百十八国会、私が初めて当選してきて、この環境委員会で指摘したのです。これは環境庁の問題で指摘したのですが、水郷筑波国定公園の特別地区を、当時の局長の言い方では、普通地域に変更申請が県からあった、そこでそれを見に行ったら、とても特別地区として指定しておいているような状態ではなくて、いろいろな残土が捨てられたり何かしておって、これは特別地区に指定しておく必要がないと判断したので普通地区に変更した、こう言うのです。変更したら、一週間もたたないうちに市町村からゴルフ場の開発申請が出てきて、環境庁はこれを許可したということです。こういうことがあるから、一たん指定しておいて、状態が悪ければ管理の責任を感じないですぐ解除してしまうようなことが起きているということですよ。これは、北川長官が二度とこういうことはさせませんと謝ったはずです。 もう一つ、例を申し上げましょう。これは直接私の選挙区ではございませんけれども、茨城県につくば市というところがございます。これは研究学園都市がありますからわかるでしょう。あそこに小田城趾というのがあるのです。昭和十年に文化庁がここを文化財として指定したのです。ところが、新都市計画法という法律ができたときに、何とその一角を市街化区域に指定してしまったというのです。それは、市街化区域に指定すれば家はどんどん建ちますよ。家がどんどん建ってびっくりして、文化庁はもう家を建てるなど言うわけです。今、それでもめているのです。昭和十年にできた法律が優先するのか、その後できた法律が優先するのか、議論をやっているのです。こういうことはないように、ぜひ環境庁はしっかりしてもらいたいと私は思っているのです。指定をすればしっ放し、確かに土塁が積んであったり掘り割りが切ってあるから、ああこれはお城の跡地だろうと思ったって、昭和十年のことですからどんどん忘れられる。 あなたは先ほど官報に登載すると言われましたが、国民はだれがこれを見ているのですか。前の法律改正のときにも、私は言ったでしょう。貴重な植物を踏みつけたり、そこにバイクを乗り入れてはいかぬといって法律を直したことがあったでしょう。ここからここまでは立ち入りだめよというのはどうしてわかるのですか。ばら線が張ってあるわけじゃないでしょう。ハイキングに行って中に行って、あらきれいだわといって摘んじゃう場合だってあるでしょう。これでも処罰の対象でしょう。野放し状態にしておいて規制だけしっ放し、あとはボランティア、住民の方です、これは実際に迷惑ですよ。 そういうことで、この法律をもう少ししっかりと適用するには、それ相当の覚悟が必要なんです。環境庁は官報に登載しますと言ったからあそこはわかるはずだったと、そんなことは地元ではわかりませんよ。何か縄でも張るのですか。きちっと答えてください。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま私が御説明しました官報登載の趣旨をそういうふうに御理解いただくと不本意でございますけれども、いろいろな形で一般の方に知らせておくというのが必要でございまして、官報登載というのは一つの明確な、例えば保護区における規制等を伴うという意味で法的効果も頭に置いた上での規定でございますけれども、先生おっしゃるとおり、まさに現場において具体的にするには、実効を上がらせるためには、標識の問題であるとか、地元の市町村なり現地のボランティアも含めてですけれども、現地の方々がそこをそういうものとして認識して守っていただくということでありませんと、環境庁の職員が何人いてもこれは守り切れませんので、ボランティア云々とおっしゃいましたけれども、やはりそういった方の御理解も得ながら進めていきたいというふうに考えております。
○時崎委員 調査室でつくっていただいたこの資料の中に、まあこちらにもあるのですが、自然保護審議会の答申書が載っておるのですが、この中で、今ボランティアのお話が出ましたから、「ボランティア等の協力が得られるよう措置するとともに、情報と人のネットワークを確立していくことが必要である。」、こう言っているのですね。モニタリングを含めて相当重要だと思いますので、もう少しこの答申の中にあります情報と人のネットワークの確立、具体的に何をどういうふうにやるのか、お聞かせをいただきたい。
○伊藤(卓)政府委員 野生生物の保護を進める上で、調査とかモニタリングとかいうのは非常に重要でございまして、そのためのマンパワーが必要なこと、データ集積の努力、施設が必要であることは、実は御指摘のように答申でも指摘されておるところでございます。 幸いに私どもといたしましては、環境庁発足以来やっております緑の国勢調査、さらには先ほど触れましたレッドデータブックの編集に当たりまして、いろいろな形でのネットワークをつくり上げつつございます。そういうことで、そういったものを有効に活用したいし、さらには将来の人材育成というようなことも考えながら、そういった総合的な力で対応していきたいと考えております。
○時崎委員 どうもこういうところは歯切れが悪いですね。ネットワークをつくるのですか、つくらないのですか。答申で指摘を受けているわけでしょう。その将来というのは「国レベルの例えば自然史センター、総合的な調査センター等の設置についても長期的視野で検討」、こうなる。こっちはずばり言っているのですから、どうですか。
○伊藤(卓)政府委員 私どもとしては、例えば自然史センターとか総合的な調査センターの設置というのを具体的に今考えておるわけではございませんが、例えばトキとかタンチョウに関しましては、それぞれ守るための野生鳥獣保護のセンターを現在準備中でございます。そういったものを将来とも拡充していきたい、そういったところを通じて、人材育成にも寄与させたいと考えております。
○時崎委員 どうも私の聞いているのと大分違うのですが、情報と人のネットワークを確立せよ、こう答申が出ているのですよ。それは今回はやらないよ、将来どうなるかはわからぬが、将来は検討の材料かもしれないが、今回はその答申はやらないよとはっきり言ってください。
○伊藤(卓)政府委員 幸いにこの法律が成立いたしましたら、今まで持っておりますものを再整備をしていきたいというふうに考えます。
○時崎委員 どうも環境庁の考えていることは、まあ大臣の座る場所もずっと端の方に座っておるから、それほど私は重要な大臣だと見られていないだろうと思うから、環境庁ではなくて環境省にしなさいという主張もしました。これは職員までそういう考えになっているんじゃないかと思うのですよ。もう少し自信を持って法律を出さなければ、この法律が通ったって今のような答弁では、実際にはその辺にいるのはボランティアに任せます、役場に任せるということだ。そうでしょう。私のところも何か絶滅のおそれに引っかけてもらいたいくらいのところに進んでいるのです。さっきトキなんて言うから、びくっとした。絶滅のおそれが私にもあるのかと思ってね。 いいですか、その周辺に住んでいる人に頼むということだけでしょう。そして、先ほど岡崎委員からも言われたように、お金はと言うと、いや、それはない、そういう話ですな。それにこのネットワークづくりも、何か今まであるものを見直してといっても、それはあればいいですよ。そして、この総合的な調査センターというのか、そういうものをつくると言ったら、これは先だ、こうなっている。こういう姿勢そのものが、私にはどうも予算要求してもだめだから、もう最初からやめたというような感じに受け取れてしまう。もっと胸を張って、これは絶対必要だ。そうでしょう、これは国民の生命を守るというのですから、何にも増してかえがたい。その姿勢が、答弁なりこの案の中ににおわないのですね。何か指定だけしたらもうこれでおしまい。さっき言ったでしょう。小田城、昭和十年にやって、だれも文化財だって知らないのですよ。そのうちに役所もわからぬから市街化区域にしてしまうのですよ。市街化区域になれば、家はぽんぽん届け出だけでできるでしょう。こういう状態ですよ。だから、法律つくって適用するのならば、もっときちっと、それ相当の体制を整えなければならぬのじゃないか、私はこう思っております。いいです、時間が大分たちますから。 そこで、この法案が取りざたされている中で、私ずっと新聞の切り抜きを持ってきているのですが、この中で若干指摘しておきたいのは、これは新聞の報道ですから、ちょっとの時間だけ聞いていてください。「既に運輸省は保護区から鉄道施設、飛行場、港湾区域、臨港地区を除く」ことを環境庁に求めている。それから、「保護区内の河川改修や護岸工事などの公共事業、標識設置などはこ規制の対象外。「国有林の伐採も、」云々くんぬんというふうに、もうあちらこちらからこの法律の骨抜きを図っているという報道がされているんです。これは皆さんの方も見ていると思うのですね、 例えば、保護区を指定した、そこは水辺の水生植物等がある、後ろの山で国有林の伐採をばんばんやっちゃったらどういうことになるか。これはいいのですね、保護区ではないのですから、指定地域でなければ。最近の林野庁の予算というのか財政が余りよくないというので、伐採してもすぐは植林しない。ある程度成長しても間伐すらできないのですよ。ましてや下刈りもやってませんよ。当然周辺部にそういう山林があるから、そこは湿地帯として保護すべき場所に指定されたんだろうと思うのですね。そういうところに対して、環境庁長官は、この法律からいくと何ができるんですか。
○伊藤(卓)政府委員 保護区外の行為が保護区内に影響を及ぼす場合というお尋ねかと思いますけれども、実はそういった保護区の設定の際には、まずどういった生息状況であるか等を十分調査いたしました上で、それに対する影響を緩和することも含めて保護区の設定をするということでございますので、それが第一でございます。 それから第二義的になりますけれども、保護区外に行われる行為が非常に影響を及ぼすという場合であれば、これはいろいろな形で御相談をしていくということになろうかと思います。
○時崎委員 私先ほど、新聞の運輸省の関係で鉄道とか港湾とか飛行場とも言いましたが、それは最初からもうそういうところは避けて指定する予定ですか。運輸省からのそういう求めがあったと報道されている。これは誤報がどうかというのがまず一つ。それから、いや、そうではない、求められているとすれば、どう考えるのか。
○伊藤(卓)政府委員 具体的な保護区の設定に当たりましては、やはり保護区として適切かどうかという点から判断するわけでございますので、一たん保護区として設定された以上は、当然のことでございますけれども、そこでそれを侵すような開発行為というのは協議等の対象になるというふうに考えております。
○時崎委員 どうも言うことがよくわからないのです。保護区として指定されて、その後開発しようとする場合には対象となるとは、それはだめよという意味で対象になるというのか、いや、環境庁があっさりと引っ込んじゃって認めちゃう、解除しちゃうという意味で言っているのか、それがさっばりわからないのです。
○伊藤(卓)政府委員 当然のことながら、その保護区を守るという観点からの協議に応ずるわけでございます。
○時崎委員 もう時間もございませんので、最後に長官にぜひ考えていただきたいのは、冒頭言われたように、この法律は絶滅のおそれある動植物の種を守るということ、これも一つの目的であろうとは思いますが、真の目的は自然環境の保全で、人間が生きていくすばらしい環境をつくろうということ、そしてこれは自然環境保全法、二十年前と同じぐらい重要だと先ほど答弁しているのですから、これは大変なことだと思うのですよ。勢い経済活動との間に摩擦を起こすし、役所の中だって問題は起きてくると思うのです。そのときに環境庁自体、長官自身が毅然とした態度をとってやらなければ、この法律は実効性ある法律にならないと私は思うのです。 ぜひそのためにも、指定する段階、それからその後もまた追加することもあるだろうし、そしてまた開発のいろいろな要請もあるでしょう、そのときにやはりその目的に合致した法の正しい運用というのでしょうか、施行していただかなければならない、こう思うのですね。その決意のほどを最後にお聞かせをいただきたい、こう思います。
○中村国務大臣 種の保全、守るということ自体が良好な自然環境を守るということであり、そういうことを通じて、我々も地球上に生存する一つの種としての人類でありますから、種を、仲間を守って良好な自然環境を保全していこうということだと思います。そして、今委員御指摘のことは、まさに的を射た御指摘だと思います。そして、やはり民主主義の世の中ですから、いろいろな御意見をお持ちの方がいる。そして、開発を優先させようというお考えの方もいる。その中で、今地球の環境というものが本当にのっぴきならないところまで、人類のいろいろな活動による負担に耐えられないような状態にまでなってきたというところで、環境庁でき上がってから二十年でありますけれども、その間にいろいろなことを経験し、今やっと環境庁の組織、体制の充実も図らなければいけない、環境基本法というようなものの制定も図らなければならないというような時期になってまいりました。そして、こういうことをやるのに、やはり法的規制、こういったものをつくっていただくこと、これが大切でありますけれども、それを執行していく上にはやはり国民の合意、いろいろなそうした認識の高まり、そういったものが大切かと思います。 そういったことについて、先ほども教育のお話もしましたけれども、いろいろ国民に対する啓発、PR、そういったことも含めて、こういった法律をつくっていただいて実効あるものになり、そして地球環境保全が果たせるように頑張ってまいりたいと思っております。
○時崎委員 終わります。ありがとうございました。
○小杉委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
○岩垂委員 最初に、大変恐縮ですが、きのう私質問を準備しようと思って家に帰りまして、朝日新聞の夕刊を見ましたら、奄美のゴルフ場建設に関連をいたしまして、生きた化石と言われているアマミノクロウサギの生息を示すふんが発見されたという記事が出ております。長官もあるいは局長も恐らくごらんになっていらっしゃると思うのですが、県の方は調査をしたのだけれどもいないということを確認してゴルフ場の建設に取りかかるということになっているわけですが、もう歴然とクロウサギのふんであるということを確認しているわけです。したがって、これは本法律とも関係があるわけですが、まだ施行されていませんからどういうふうになっていくかということは法律にかかわって申し上げるわけではございませんけれども、もう申すまでもなく、こういう状況というものに対して環境庁がそのまま目をつぶっているというわけにはいかないだろうというふうに思います。 そこで、かねてからクロウサギのことは奄美大島では問題になっているわけですから、恐らくアセスの項目の中にその種のものが入っていたのではないかと私は思うのです、まだ確かめてありません。しかし、もし入っていたとすれば、それはもう生存していない、生息していないということでパスしたのだろうというふうに思います。そうだとすると、これはアセスが不完全であって間違いであったということにもなるわけでありますので、環境庁としてはその辺をきちんと押さえていただきたい、調査をして速やかな対応をお願いしたいと思いますが、この点について御答弁を煩わしたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま御指摘のアマミノクロウサギの件につきましては、具体的には県の方に情報を求めたいと考えておりますけれども、御有しのように奄美大島あるいは徳之島といったところにすむ非常に固有種で数が急激に減っているということは確かでございますので、これをどういう形で守っていくか。天敵の野良犬とか野良猫にやられているということもありますけれども、いずれにしても、そういった貴重なものを守るために生息地の保護というのが非常に有効であるし大事であるということは、審議会の答申にも御指摘いただいているところでございまして、本法が制定されれば、そういったものの対象としても当然なり得るものと考えておりまして、今後の検討課題としたいと思います。
○岩垂委員 伊藤さん、これは国の天然記念物なんです。したがって、本法が適用されればという議論ではなくて、今の法律の中でも、今私がアセスのことを言いました、項目はわかりませんけれども、そういう問題があるだけに、やはり環境庁はきちんと実情を調査する、そして因果関係を明らかにする、その上で一体どうしたらこれを保護できるかということを検討いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○伊藤(卓)政府委員 至急事情を調べてみたいと思います。
○岩垂委員 それと関連して、これも東北ではかなり大きな問題になっているのですが、例のJR東日本のリゾート構想に関連をしまして、イヌワシの繁殖が失敗をいたしました。この因果関係もいろいろ論争のあるところです。しかし、いずれにしてもそういう種が繁殖ができない、こういう状態というのは、えさの関係もあるでしょう、いろいろあるにしても、やはりすぐ近くでJR東日本がリゾート開発をやるというふうなことはきちんと見直して、そのイヌワシの繁殖失敗という事実をとらえて、そこからさかのぼって、どういう形だったのだろうか、それならばこうしなければいけないのではないとかいう措置をとるべきだと思いますけれども、これは大臣にお答えをいただく前に、伊藤さんにお答えをいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 ただいまのイヌワシの課題は具体的に私存じ上げませんので恐縮でございますが、いずれにしましても、そういったものの生息地なりを具体的にどういった形で守るということがはっきりしていないがために、一方では事業者がそういったことを必ずしも知らないで事業をやってしまうということもありますので、そういった仕切りをするという意味でも、本法による基本方針の策定とかそれに基づく指定とかいうものを進めていきたいと考えているところでございます。
○岩垂委員 伊藤さん、法律が通れば万能だ、だからといって通る前までは何もできないことはないのですよ。私は、因果関係についていろいろ論争があるにしても、今度の繁殖の失敗というのは、えさの問題もあるでしょう、やはり生態系全体の問題というふうにとらえるべきではないかと思いますので、この辺も一遍ちょっと調査をしていただきたい、県の当局からも事情を聴取していただきたい。同時に、自然保護団体がずっと三年間観察を続けてきた、そういう熱意と努力に対して答えを持ち合わせていることが環境行政の上では必要だというふうに思いますので、そういう手だて、つまり県、当事者、あるいは生態系全体の中でJR東日本のリゾート開発がどんな意味を持つかというようなことについてもぜひ関心を寄せていただきたい、調査をしていただきたい。よろしゅうございますか。
○伊藤(卓)政府委員 大変恐縮でございますが、具体的には私存じ上げませんでしたのであれですけれども、県等でもいろいろ調査をしておるようでございますので、事情を聞いてみたいと思います。
○岩垂委員 事情を聞くだけでなくて、イヌワシにしてもクロウサギにしても守るという観点を環境庁としては堅持して対応していただくことをお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますね。
○伊藤(卓)政府委員 はい、そのとおりでございます。
○岩垂委員 これは一番最初に質問をすると大変申しわけないことかもしれませんが、この法案が出てきた背景というのは、やはりワシントン条約、そしてそれに関連する国内法というものを意識して国内の措置をということで法案の御準備が行われてきたと考えます。もう一つは、もう私から申し上げるまでもございませんけれども、UNCEDで野生動植物の種の保存といいましょうか、その条約、やや暗礁に乗り上げているところもあるようですけれども、そういう国際的な、人類的な課題にこたえるという性格を持っていると思うわけです。 そこで、ぜひ念頭に置いていただきたいのは、これは絶滅に瀕しつつある野生の動植物というものを対象にするわけです。しかし、考えてみると、それは切り離して存在するものではなくて、生態系全体の中のいわば一部分といいましょうか、緊急を要するものだ、つまり応急的な手だてというふうに私は思うのです。保全条約なりアジェンダ21、あるいはもっとはっきり言うとアースチャーター、地球憲章にしても、そういう方向をやや歴史的に踏み出す、そのチャンスがUNCEDだと思うのです。したがって、名前はいろいろ呼び方があると思うのですが、生態系の保全のための基本法のようなものを考えるべきだ、またお考えになっていらっしゃると思うのですが、その点についての御答弁を煩わしたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま御指摘の世界的な流れの中で、特に生物多様性条約の交渉が現在進んでおるわけでございます。その条約の中では、生物多様性というものを地球上の生物の多様さとともに生息環境の多様さをあらわす概念としてとらえまして、さらに、そのとらえ方といたしまして生態系の多様性、生物種の多様性、遺伝子の多様性、そういうとらえ方をし、それらの最大限の保全を図るというようなことでございますが、実は我が国の法制といたしましては、御案内のように自然環境保全法というのがございまして、いわば生態系のとらえ方としてはこの法律がある、さらにその傘のもとに自然公園法であるとか鳥獣保護法があり、また今回考えております特に種に着目した法律が出てくるというような形で、大きな考え方といたしますれば、そういった世界的な流れの中に準備が進みつつあるというふうにお考えいただいてよろしいのではないかと思います。
○岩垂委員 それでは、生物的多様性の保全条約について今局長から御答弁をいただきました、その三つの条件、つまり生態系の多様性、種の多様性、それから種内の多様性、つまり遺伝子レベルのことですが、全部自然環境保全法でフォローされていますか。そういう認識ですか。
○伊藤(卓)政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、自然環境保全法というのはむしろ生態系の多様性を守るという観点からのものであるというふうに理解をいたしております。
○中村国務大臣 今御指摘ありました自然生態系を守るような基本法というお話でございましたけ れども、今度の提出させていただいております法律は、この生物多様性条約交渉の中の生物種の多様性に対応する部分ではないか、それで、先ほど局長が答弁しましたように、生態系の多様性は今の自然環境保全法等である、そして新しい問題として、遺伝子の問題が出てきております。非常にこの条約は広範囲なことをやっておりますので、今の交渉で、技術的な発展途上国に関する移転だとか、そこの条件だとかということでいろいろ議論がある、委員恐らく御存じのとおりだと思います。 そういう中で、私どもは環境を守る法体系の整備ということを今検討しておりまして、総理からも御指示がありました基本法のようなものを今考えております。そういったものの中に、今委員御指摘のような生態系の保全というようなものを、実体法的なところは入れていって、いろいろなものがそこに含まれて入っていくという環境に関する基本法という検討の中に加えて検討していくべきものではないかなというようなことを今ちょっと考えさせていただいております。
○岩垂委員 私も、別に一本別個に立ててという議論をするつもりはありません。ただ問題は、生物的多様性保全条約が結ばれた場合あるいは結ばれなくても、問題意識は共通なんですから、途上国の人たちも含めて、問題は、それの財政的な問題などを含めた賛否の議論があるわけでありまして、そういう広い意味のとらえ方というものを国内の法律の中できちんと位置づける必要がある。したがって、そういう基本法と言って悪ければ、生態系を保存するためのトータルな法律というか制度というか、そういうものの新しい発足が必要だという認識について、長官、今大体お答えになりましたけれども、ぜひお言葉をいただきたいと思います。
○中村国務大臣 今もお答えしましたように、今この生物多様性条約の内容自体がまだ固まっておりません。これが固まって確定してまいりましたときには、それに従いまして国内的措置が必要になってくる、当然そういった条約の内容に合った、適合する国内措置、それには既存の制度の活用もあると思いますが、新たな制度の導入というようなものもおると思います。そういうものを含めて検討していくことになる、このように考えております。
○岩垂委員 この法律が出てきた背景というものを振り返ってみますと、私がなり感無量なものがあるのです。というのは、キンクロライオンタマリンが十二頭、日本の動物園、モンキーセンターなどで発見をされまして、それはまさに密輸の、ブラジルにも個体数で四百頭ぐらいしかいないのじゃないかという中の十二頭が、いつの間にか日本に入っていた。私は、この委員会で指摘をしました。そして返すというところまでいったのですが、どうやって返すんだ、その費用をだれが負担するんだという議論でなかなか返還がおくれました。当時は通産省の皆さんの御配慮もあり、私自身も実は自腹を切ってその一部分を通産省にお預けをして、そして御努力をいただいて、それがWWFJなどの御協力も得ながら返還されたいきさつがございます。 この間聞きましたら、保護センターみたいなところで飼って、ふえまして、それを逐次野生に戻しているというのです。大変ふえたというのです。このとき、私はやはり返還ということの意味を真剣に考えなければいかぬ、そうかといって、悪いことをした人のしりぬぐいを国が税金でやるというわけにもいかないぞという感じも一面でございました。しかし、国際的なそういう要請にこたえるためには早く返してあげなければいけない、それは同時に、もしなくなったりしてしまったらどうなるんだろうかというようなこともジレンマとして感じてまいりましたが、その道筋が開かれることになったわけです。 ただ、そうはいいながら、さっき局長の前の委員とのやりとりを聞いていますと、確かに不正な取引をしたのがわかれば、そこに負担をかけることができる、しかし、あの場合でもそうだけれども、転売、転売なんですね。そういうときにその費用をどうするんだろうかということを考えると、これは今私が言ってはいけないことなんだが、しかし、やはりそれに対して対応するためには、ある種のファンドみたいなものが民間レベルでも何でもいいが、考えておかなければいけないなというふうに思うわけですが、その点の認識をどうおとらえですか。
○伊藤(卓)政府委員 違反で輸入されたものの返還の仕方につきましては、なかなかいろいろなケースがありますので、これは先生も御苦労いただいたことでおわかりのように、具体的にどのような手だてがあるのか、そのためにあらかじめそれだけのファンドというのはなかなか立てにくいので、やはりケースに応じて募金等をする、幸いに、最近ではいろいろな関心を持つ団体もふえてきておりますので、そういった形も一つの方法じゃないかと考えております。
○岩垂委員 この法律をつくるときに関係省庁とすり合わせをして、いろいろな新聞にも書かれた面もございますし、御苦労があったことを承知いたしております。 そこで、実はきょうは建設省や林野庁や水産庁や文化庁や全部お越しをいただきました。 そこで、最初に建設省にお願いをしたいのですが、やはり開発官庁という性格を持たざるを得ないし、持っていらっしゃるわけです。そのときに、やはりここは保全をしたい、守っていかなければ生物が守れないという場合のやりとりということの中を含めて、建設省はこの法案に対してどう対応なさるおつもりか、その見解をお尋ねしておきたいと思います。
○澤井説明員 ただいま先生からも開発官庁というお話ございましたけれども、建設省では、住宅、社会資本整備を通じまして、安全、快適で豊かな環境を実現していく、その中で自然と人間活動との共生を目指していくということが建設省の非常に重要な使命ではないかと考えているところでございます。 この中で、絶滅のおそれのある種の保存につきましても、非常に重要な課題であると考えておりまして、従来から公共事業の実施などに際しまして、生物の生息につきましてもさまざまな工夫とか対応を行ってきたところでございます。例えばということで例を挙げさせていただきますと、よく盛り土で高速道路をつくりますと、その上をタヌキとか生物が横断して、年間に、数字はわかりませんけれども、相当多くの動物が死ぬということが言われております。このために、あるところでは、盛り土の下にトンネルをつくりまして、これをけもの道として活用しよう、実際そういうものをつくりましたら、そこに実際に生物があらわれたという例も聞いております。また、貴重な高山植物などが水の汚れで衰退していくということを防ぐことをまさに目的の一つとして下水道を整備するという例もございます。あるいは河川区域の中で、貴重な生物の生息の場を積極的に創出していくというようなこともやっております。 今回の法案につきましては、ある意味ではこういった従来の対応を法律の上でルール化するという面も持っていると思っておりまして、私どもといたしましては、こういった法律にものっとりまして、今後一層こういった面でも施策を充実してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○岩垂委員 やはり建設省は道路も川も、それからもちろん広い地域を開発するというようなこと、そこに住宅を建てていくというような、言ってしまえば非常に大きな仕事をやっているわけです。それ自身というふうに言ってはいけないのでしょう、その結果として、自然環境の破壊というものがあちこちで起こっているということが指摘されている。 例えば私は、長良川のことをここで申し上げるつもりはございませんけれども、アセスの問題でも、結果的に第三者というよりも建設省の下請みたいな企業がアセスをやって、そしてこれでパスという議論には本当はならないんだけれども、手続的にはそういうことが進んでいるという状態がある。だから念には念を入れて、例えば四百三十兆円の公共投資にしても、これからの国土の開発に伴うさまざまなプランにしても、そこのところをきちっと押さえていただかないとどうにもならぬというふうに思いますが、念のためにもう一遍建設省のきちっとした対応をここで担保しておいていただきたいと思います。
○澤井説明員 先ほどは主として環境を保全し、あるいは創造する目的でやっている事業につきまして若干御説明いたしましたが、御指摘のとおり、事業を実施する際に、生活環境あるいは周辺の自然環境との調和に細心の注意をするということも非常に大事な課題だと考えておりまして、今後とも一層努力してまいる所存でございます。
○岩垂委員 澤井調整課長だけとやりとりをするのもどうかと思うのですが、例のリゾート法の制定が進んでまいりまして、国土の二〇%ですよ、日本の農地面積というのは五百三十七万平米、農地面積に匹敵するくらいな面積がリゾート法の指定になっているわけですね、あるいは予定地になっております。そうなると、生息地をというようなことをいってみても片方ではどんどんリゾート法で、壊されていくとは言いませんけれども、そうした自然環境が損なわれているという現実がここにあるわけです。そのときに、いや、生息地を保全するとか確保するとかいってみたところで、それはもう、ちょっと無理ですよというふうな議論になりやすい。また同時に、地元の中にも自然なんてどっちでもいいやというような考え方がないとも言えないということを考えたときに、環境庁は調整官庁でございますけれども、やはり環境庁のイニシアチブというか対応というものをきちんと尊重してほしい。これは念のために、大変恐縮ですが御答弁をお願いしておきたいと思います。
○澤井説明員 リゾート地域の開発につきましては政府の中でも関係の幾つかの省庁が協力して進めておりますが、その過程におきましても、先ほど申し上げましたのと同じように、周辺の環境との調和あるいは貴重な自然の保全ということは当然留意されるべきだと考えております。特に、リゾートの場合にはむしろそういった貴重な自然をその中で生かしていくということも非常に大事な観点だと考えておりまして、今後ともそういう方向で努力してまいりたいと考えます。
○岩垂委員 では次に、林野庁、国有林の問題になるわけですけれども、やはりこれも生息地の保存については非常に重要な、決定的な意味を持っているというふうに言っても差し支えないと思うのです。白神山系のブナの原生林というようなものを皆さんの御努力を含めて守り抜いてきました。そういう意味でいうと、国有林が持っている生態系を維持していく上での役割というのはとても大きいと思うのです。ただ、林野財政が大変厳しいということも承知しています。だけれども、やはり林野庁は少し方針を変えて、日本の貴重な自然を守っていくという観点を行政の基本に据えるという政策的な転換をなさったというふうに私は受けとめていますが、この法律に対して林野庁はどんな対応をなさろうとしているか、お答えをいただきたいと思います。
○弘中説明員 御説明申し上げます。 国有林野事業におきましては従来から原生林や希少な動植物の保護等を目的といたしました保護林制度というものがございまして、これによつ希少な野生動植物の生息地、生育地をゾーニングしまして、木材生産のための伐採等各種行為の原則禁止、営巣木の保存、給餌木の植栽など営林署、森林事務所等国有林の管理組織により希少な野生動植物種の保存を図ってきたところでございます。 この保護林につきましては、平成元年に森林生態系保護地区の設定等を含む保護林制度の再編、拡充を図ったところであり、平成四年四月一日現在九百二十九カ所、三十一万六千六百四十三ヘクタールを指定し、この中で多くの野生生物の保有を図っているところであります。 本法案は、このような国有林野事業の政策の方向にも合致するものであることから積極的に評価しているところであり、希少な野生動植物の種の保存を図るため、今後とも保護林制度の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
○岩垂委員 森林生態系保護地区という発想というのは、大変立派な発想だと私は思います。ただ、それは平成元年ですから時間もたっていないということかもしれませんが、この考え方を周知徹底をして第一線の方々がそういう努力をしているという点からいうと、ちょっとずれがあるような感じがしないわけではない、具体的な例は言いませんけれども。これはやはり周知徹底をして、その考え方、思想というものを林野行政の真ん中にすとんとはめ込んでいただきたい。そういう点で、きょうはもう各論に入りませんけれども、この法律に対して、林野庁、組織を挙げて協力をする、協調するということの御答弁がいただけましたらいただきたいと思います。
○弘中説明員 国有林野事業におきましては、昨年改善計画を改定したところでございますが、その大きな柱の一つといたしまして、四つの森林機能に着目し森林の管理経営をやるということになっております。その中で自然維持林という区分をしてございます。そういう自然維持林の定着と、本年度、現場の計画でございます施業管理計画を一斉に変更することになってございますが、そういう中で先生御指摘のような自然保護についての考え方もきちんと整理いたしまして、現場までこの考え方が浸透するようにしてまいりたいと思っております。
○岩垂委員 水産庁にお願いをいたします。 水産庁はお魚をとる方に重点を置くわけですが、どうしても希少の種といいましょうか魚との競合が出てきますね。例えば鯨の問題もいろいろ議論のあるところです。それからゼニガタアザラシなんかでもそうだろうと思います。そういう問題などを含めて、この法案と水産庁の対応とでもいいましょうか、そこらのところについて一体どんな認識を持っていらっしゃるか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
○小峯説明員 お答えを申し上げます。 漁業につきましては、今御指摘ございましたように、本来自然の恵み、こういったものを利用することによって成立している、こういう言ってみれば環境依存型の産業でございます。したがいまして、漁業資源の持続的な利用を図り、漁業活動を円滑に継続していく、そういうためには我々水産サイドといたしましても、まず通常の漁労行為につきましても、科学的データに基づきまして許容漁獲量の範囲内で適正に管理された漁業、こういった漁業を実践していくということが大事かと考えております。 それから、資源的に問題の生じている水産生物、こういったものにつきましては、本法案の趣旨を踏まえまして積極的に保護増殖措置を講じていく、それによって資源の維持回復を図っていく、こういうことが重要である、かように考えておる次第でございます。
○岩垂委員 文化庁がお越しなんですが、天然記念物の指定をなさるわけですけれども、これとこの法律との関係というのをどういうふうにとらえていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。 と申しますのは、指定をしたが指定のしっ放しというようなことをさっきも時崎委員が指摘をしておりましたけれども、そういう問題点を含めて、この法律との競合、それから協調という二つの面があると思うのですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○吉澤説明員 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案は、生態系の重要な構成要素であり、自然環境の重要な一部として人類の豊かな生活に欠くことができないものである野生動植物のうち、絶滅のおそれのあるものの種の保存を図る、これによって良好な自然環境の保全等を図ることを目的とするというふうに私たちは承知しているわけであります。 一方、天然記念物は、文化財保護法の規定により文部大臣が指定するものでありますが、この文化財保護法は、文化財の保存、活用によって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の振興に貢献するということを目的といたしまして、動植物、地質鉱物、こういう中で我が国にとって学術上価値の高いもののうち重要なものを天然記念物に指定しているというものであります。したがいまして、現在審議中のこの法案と文化財保護法とはそれぞれ趣旨、目的が異なるものであるというふうに理解しておりまして、本法案が制定後においても、制度的には天然記念物の保護と直接のかかわりはないのではないかというふうには思っております。 ただ、この法案の対象とするものがどういうものになるのかというのは現時点では明らかになっていないわけでありますけれども、本法案の対象となる動植物と天然記念物に指定されているものが実態としてダブるということは考えられるというふうに思います。そのため、この法律制定後におきましては、その対象とする動植物と天然記念物との関係、その保護のあり方等につきましては、環境庁と十分連絡、協議、調整を行っていきたいというふうに考えております。
○岩垂委員 きょう実はお忙しい皆さんを、農水省、これは林野庁、水産庁ですが、さらに建設省などにもお越しをいただきました。通産省の関連もございます。大臣、この法律を本当に守っていくために、御存じのようにいろいろな法律が競合していますよね。それからまた、エリアが違ったり一緒になったりといった感じのところがありますよね。目的も、全体から見れば共通だけれどもやはりちょっとずつ違っているというところもありますよね。やはり関係官庁の合議の場所をきちんとつくった方がいいと思うのです。また、つくるべきだと思うのです。これは竹下さんが、環境を論じざれば良識も知性も勇気もない政治家だということも言われたそうだけれども、全くこの言葉たるや御立派な言葉だというふうに思います。そういう意味でも、やはりこの問題を議論するときの合議をする場所というのは、ぜひ長官のイニシアチブで考えていただきたいなというふうに思いますけれども、どうですか。
○伊藤(卓)政府委員 私ども、この法律に基づきまして基本方針を策定するという中では、各省と必ず協議をしなければいけないということになりますし、そういった場ももちろんつくっていきたいと思っております。御存じのように既にワシントン条約では関係省庁が緊密な連携を図ってきておりますから、こういった例にも倣いましてこの際そういった組織も考えていきたいと考えております。
○岩垂委員 各省庁の皆さんにもぜひ御協力をいただいて、いろいろな法律が、普通と比べるとちょっと複雑なんですね、次から次へと継ぎ足していったような法律の体系もあってみたり、それから全く新しい分野があったりという感じでございますので、法律の運用には関係官庁のきちんとした理解とそれから協調が必要だというふうに思いますので、ぜひ合議の機会というものを保障して進めていただきたい、このことをお願いをしたいというふうに思います。 それで、早いもので時間がどんどん進んでしまうのですが、少し質問を速めてみたいと思います。 実は、長官はあるいは御存じだと思うのですけれども、この一月十八日に、世界自然保護基金日本委員会、それから日本自然保護協会、それから日本野鳥の会、関西自然保護機構という四つの団体が中心になって「滅びゆく野生生物種を救うために」というシンポジウムを開かれました。私も出席する予定だったのですが、急な用事が入って行けなかったのですけれども、非常に立派な報告書ができ上がっています。報告書はともかくとしても、その中で声明が出されております。率直に言って、そういう運動にかかわっている人たちはほとんどボランティアで一生懸命頑張っていらっしゃる。そういう人たちの気持ちを尊重するということは、行政にとっても大事だし、我々政治にかかわる者として非常に基本的なものでなければならないというふうに思うのです。 そこで、たまに大臣に伺いますが、とりあえず局長と、あらかじめ質問の通告もしてございますので、一から十までありますけれども、きちんとこれに、国民に答えるという立場で御答弁をいただきたいなというふうに思うのです。 第一は、言うまでもございませんけれども、この法律のいわば性格ということで、「将来に継承すべき財産である」、つまり最近の自然環境などの標語には、豊かな自然というのは親から引き継いたものではなくて、子供や孫から預かっているものだという言い方がひところ言われましたけれども、まさにそのとおりなんで、そういう点についての要望がございますね。伊藤さん、それについてお答えをいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 御指摘の第一点で、目的に関しての今先生御紹介のような御要望がございまして、これは法律に一応書いたつもりでございます。例えば一条の一番最後の方でございますけれども、「もって現在及び将来の国民の」云々というような表現で、この辺を生かしたつもりでございます。
○岩垂委員 そういう考え方に立っているというふうに受けとめたいと思います。 二の「種の選定」は、「対象種は動植物全体から選び、海洋種も含むこと。種の生息状況は年々変化するものであるから、対象種を定期的に見直すこと。保護対象は種に限らず亜種あるいは地域個体群を含むこと。たとえば、四国のニホンツキノワグマ、四国・九州のニホンカモシカなどは対象に加えられるような規定にすること。」というふうになっていまして、定期的に見直すということは当然のことだと思うのですが、例の地域個体群という発想についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 第二点の種の選定につきまして、特に地域個体群につきましては、日本全体における絶滅のおそれのないというような観点からこの法律の対象とはしない方針でございますけれども、むしろ狩猟の適正化という観点で鳥獣保護法により対処する問題であるかと考えておるところでございます。
○岩垂委員 鳥獣保護法の立場で地域個体群を守っていくという観点は、ぜひきちんとしておいていただきたいということを強調して、今の答弁を承っておきたいと思います。 三番目は、「生息地の保全」、ここは非常に重要なところだと思うのですけれども、「種の保護にとっては、生息地を確保しその環境を保全して生息条件を満たすことが重要である。そのため、種の指定だけでなく、生息地の指定もできるようにし、その保護に関する規定をすること。また、生。息地の環境が悪化した場合には、整備あるいは復元などを行うこと。」これは生息地というものの指定を、テリトリーというふうに言っていいのかどうかわかりませんけれども、かなり広い範囲でとらないとやはり生存が保障できないという例はたくさんあるわけでございますので、その点は法律の中にも入っていますが、そのことを念頭に置いて御配慮いただくというふうに考えてよろしゅうございますか。
○伊藤(卓)政府委員 ただいまの生息地の保全につきましては、具体的には第三章の「生息地等の保護に関する規制」、第四章の「保護増殖事業」に関する規定で受けたつもりでございますが、具体的な地域指定の範囲のとり方については、やはりそれぞれの生息状況を十分考えまして、先生の御指摘のような点も念頭に置きながら整理をしていきたいと考えております。
○岩垂委員 四番目は、「取得、所持、譲渡などの規制」ということで、「対象となる種の採集、捕獲および所持を原則として禁止する。また、対象種および加工物の譲渡、譲受などを原則として禁止する。違反に対しては厳しい罰則を設けること。」これは生きた個体だけでは不十分だということ、そして事実上標本や剥製にするために殺してしまうというような形のことも過去にはあったわけでございますから、そういうことを含めて考えると、やはり死んだものにもきちんと対応するということでないと、法律的にいえばしり抜けになってしまうという危惧があるんだろうというふうに思います。この点はどんなふうにお考えですか。
○伊藤(卓)政府委員 今御指摘の個体の取り扱いにつきましては、第二章「個体の取扱いに関する規制」というようなところで御指摘のような点を踏まえて整備をしているところでございます。
○岩垂委員 五番目なんですが、「開発の規制」。これは、「国や都道府県、市町村など行政機関が行う開発および開発の許認可行為に関しては、本法律に関係するすべての種およびその生息地に対して悪影響を及ぼさないようにすること。」という、これは当然のことなんですけれども、国や都道府県、市町村などが行う開発だけでなくても、さっき私がリゾートの問題で関連をして申し上げたように、やはり関連する地域などについても十分な配慮をしていただきたい、この点は要請をしておきたいと思います。 六番目は、「被害対策」。「対象種による被害に対しては、適切な対策を講じ、場合によっては損失補損なども考慮すること。」というふうになっておりますが、この点は恐らく皆さん方の方に御意見があろうと思いますから、御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 第六番目の被害対策についてでございますけれども、これはこの絶滅のおそれのある種が被害を生ずるほどにふえてくるということが余り想定されないわけでございますし、生息地の指定の際に、あるいはその維持管理に当たってもその被害対策を頭に置いて、例えばいろいろなさくを設けるといったようなことが一例ですが、そういったことも考えて進めていきたい。したがいまして、損失補償といったような具体的な問題は、現段階では想定しておらないところでございます。
○岩垂委員 ここはやがて問題が起こってくるところだろうと思いますが、きょうはそのぐらいにしておきます。 七番目、「調査研究の体制」として、「対象となる種およびその生息環境のモニタリング・システムの確立を図り、継続的にモニタリングを行うこと。そのための調査研究および普及教育の機関を設置すること。」。これはさっき時崎さんとのやりとりがあって、自然史センターみたいなものを云々と言ったら、今考えてないというふうにおっしゃるわけだが、やはりこれは環境庁が腹を決めてそういうセンターをつくらなきゃいけませんよ。それは民間の御努力を待つということは大事です。それぞれ専門家もそろっているし、日本野鳥の会などは自然保護センターをつくろうという動きにもう動き始めています。しかも、東南アジアだけじゃなくてアジアの鳥の専門家などを養成しょうというふうな動きもあるわけです。これは日本だけでなくて国際的にもそんなことも考えなきゃいかぬ時代が来たなというふうに思うので、特定の何々のと言わなくてもいいけれども、そういうセンターをつくりたいと努力するということを、長官、これは伊藤さんに言わせておいたのではだめだから、あなた自身がやはり腹を決めて、そういう研究体制、モニタリングのシステム、これは民間の人たちに協力をいただくといったって、ある種のテキストや訓練やそういうものが必要なんですよ。これをやっていきますと、警察の御協力もいただかなきゃならぬ、地方自治体の御協力もいただかなきゃならぬ、それから一般の市民の御協力もいただかなきゃならぬ。そういう場合にやはり最低限の知識といいましょうか、そういうことをきちんとしておかなければいけませんよ。だから長官、在任中に調査費でもちゃんととって、あなたは専門なんだから、そっちの方は上手なんだから、それを発足させるという歯切れのいい御答弁をいただきたいと思います。 〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
○中村国務大臣 お答えさせていただきます。 環境庁ができましてから二十年、そして今この時代になりましてやっとこうした種の保全もやろうというような法律を出させていただけるようになってまいりました。全体といたしましては、委員の御指摘のようなことを体して、これからいろんなやらなきゃいけないことがいっぱいありますので、それに対して組織、体制の拡充、予算の獲得等頑張ってまいりたいと思います。現にまたいろいろやっていることもございますので、それはちょっと局長からお答えさせていただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 釈迦に説法になって恐縮ですけれども、この野生生物の問題、非常に広うございまして、例えば鳥であれば、既に山階鳥研のような非常に歴史のあるところもありますし、それぞれの分野がございます。その辺にまさるようなものを一元化したものとしてつくるというのはとてもできないことでございますので、むしろ大学の研究ネットワークも含めて、中心となるような仕事を環境庁がやっていく、あるいは環境庁でも環境研究所がございます。こういったところもこういう生態問題にも取り組み始めておりますから、こういったものをいかに使っていくかという、とりあえずはシステムづくりから私ども始めていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしましても、先生の御指摘は十分理解できますので、頑張ってまいりたいと思います。
○岩垂委員 何を言っているかわからないと、今冷やかされましたけれども、私は大体わかりましたので。 八番目、「市民参加」、ここが問題なんです。「市民参加」「対象種の選定、保護区の制定、規制やモニタリングの実施など、本制度の運用に際しては、学会や自然保護団体、地域の研究者や一般市民も発言または発議する権利があること、および、行政担当機関はこれらの発言・発議を尊重しなければならないことを明記」しろというふうに言われているわけです。 これは国民的課題だということは言うまでもないわけでして、それを担保するためには、そういう積極的なかかわりというものを保障することが必要だろうと思うのです。お役所仕事だけでやっていくことは不可能だと私は思います。そういう意味で、市民参加をどういう形で担保するのかということをこの際きっちりお答えいただきたいと思うのです。
○伊藤(卓)政府委員 現在私どもも、野生生物の保護行政を進めていく上でいろいろな形で御意見をいただいております。何も法律で担保する以前といいますか、担保するとかなんとかいうことなくお聞かせいただいておるわけでございまして、これを具体的に法律に書くか書かないかという問題でございますが、日本の法体制としても、やり方としては審議会あるいは公聴会といったような手法がいろいろ取り入れられておりますので、法律的にはそういう整理をしたところでございます。
○岩垂委員 あなた、木で鼻をくくったような答弁をすると、物を言いたくなくても言いたくなるんだよ。そういう市民参加というのは、中央だけでなくて、地方でもいろいろなシステムが必要なんですよ。 それで、私は、念のために申し上げると、地方公共団体のかかわりというような点で言うと、確かに法律に書いてあるのは、「種の保存のための施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。」という、地方団体に対するお願いがございます。ところが、御存じのように、自然環境保全法によれば、第六章をわざわざ起こして、自然環境保全地域の指定は都道府県は条例で云々と、つまり都道府県は条例でその他の積極的な施策をやっているわけです。さっき馬場さんがおっしゃったけれども、熊本県なんというのは本当に、あの人の選挙区だから言うわけじゃないけれども、積極的な先取り行政をやっていますよ。 だから、そういう意味で、やはり自治体がもっと積極的にかかわっていくということを保障することが必要だし、自治体は自治体でちゃんとそういう審議会や何かのことを含めた市民参加の道を積極的に開いているわけです。だからここで、法律に入れるという議論をするつもりはありませんけれども、今までもそうであったとすれば、より一層、例えばさっき言ったシンポジウムの主催団体などなど、特定の名前は言いませんけれども、そういう積極的な協力をお願いをするということがやはり必要だなというふうに思うのですが、いかがですか。
○伊藤(卓)政府委員 先生の御指摘のような形で今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○岩垂委員 九番目のことは、みんなが環境庁のことを心配して、「人員・予算措置」についてわざわざ一項を加えてくれています。「本法律を実効あるものとし、有効な保護措置がとれるようにするため、必要な予算措置、人材登用について規定すること。」こうなっているわけです。 先ほど希少野生動植物種保存推進員と例の鳥獣保護法に関連する鳥獣保護員の関連という意見も岡崎さんからありましたけれども、やはり環境庁自身の体制も考えなければいかぬ。それから同時に、そうした推進員になっていただく方々の研修やらあるいは最低限の経済的な手だてというものを講ずる必要があるのではないだろうかというふうに思うのですが、名誉職ということはただのことだということだそうですけれども、ただということだけでなくて、何らかのそういう御努力に対して報いる道を講ずるお気持ちはございませんか。
○伊藤(卓)政府委員 今御指摘の点はごもっとものことだと思います。ただ、環境行政は全般的にそうでございますけれども、基本的に財源がないというところでございまして、他に例えば特別会計を持っていればいろいろなやりくりもできるとかということですが、そういう余裕もないということで、私どもとしては今のところは正当といいますか真っ当な予算要求の形だけできておりますけれども、いずれにしましても、新法ができましたらこれはまた一つの大きな武器になりますので、これを支えに予算要求等を行ってまいりたいと思います。
○岩垂委員 先ほど同僚議員から言われましたけれども、少し胸を張って予算要求も人員の要求も含めてやっていかないと、少ない人数でやれと言っても無理な話だし、少ない予算でいろいろなことをやれと言っても無理な話ですから、そこはUNCEDを機会にしてきちんと予算、人員などについて充実強化をするということのためにぜひ御努力をいただきたいなというふうに思います。 それで要請の項目はまだ十もあったりしますけれども、私が感じたことで、希少野生生物を科学目的あるいは学術研究のためにという言葉があるわけですが、この定義がはっきりしていないのではないかという指摘がございます。この定義は、ワシントン条約の締約国会議でもガイドラインがございまして、三つの証明をしなければならない。一つは、附属書Ⅰ以外の種では目的を達せられない場合、二つは、他の方法がない、三番目は、人工繁殖された個体が手に入らないというようなことの証明をする、そのことによって初めて学術的とか科学的という形で利用することができる、飼育することができるというふうな決議があるわけです。学術研究だから大学の研究所とつければ何でもいいということだけでは済まない、ある種のモラトリアムとでもいいましょうか、そういう定義はどうしても必要だと思うのですが、その点いかがですか。
○伊藤(卓)政府委員 学術研究目的で例えば大学の研究者が来れば何でもオーケーということではございませんで、それがどういった目的に沿うものであるかというようなことはちゃんと把握した上で許可をするという形になろうかと思います。
○岩垂委員 ある種のそういう証明を必要とするようなことを、ガイドラインといいましょうか、そういうことで出した方がいいと私は思いますが、それは提案にとどめておきたいと思います。 そこで、例のレッドデータブック、これは環境庁が編集したものはそのままだと思うのですが、WWFJや自然保護協会などが植物に関して本をまとめています。これは当然、種の指定の場合に尊重されると考えてよろしゅうございますか。
○伊藤(卓)政府委員 貴重な資料として参考にさせていただきたいと思います。
○岩垂委員 参考といったって、自分がつくったレッドデータブックですから、自分でつくったものを自分で参考にしては困るので、自分でつくった以上は、そのことをきちんと守っていくという今度の法律をつくろうとしていらっしゃるわけだから、その点ははっきり御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 ちょっと私、勘違いいたしまして、植物についてというお尋ねだと理解したものですからそう申し上げましたけれども、私どもが直接やりました動物に関するものほかなり精緻な調査をやっておるという前提でございますが、植物については例えばアンケートに基づいて整理をされたというふうにも伺っておりますし、どこまで具体的な指定等の手続にたえ得るものか、そこはちょっと自信がありませんので、参考にさせていただくという答弁にとどめさせていただきます。
○岩垂委員 動物の方はそっくりそのまま入るというふうに私は理解させていただこうと思います、自分が努力したことの結果ですから。よろしゅうございますね。植物の方もどうぞこれからも尊重していただきたいと思います。 最後になりますけれども、ワシントン条約の話を伺おうと思って通産省にお越しいただいて、本当に申しわけございませんが、すっ飛ぶことになると思います。 最後に、遺産条約のことについて一言。これはこの法案とも若干の関係がございますから、御質問を申し上げたいと思います。 白神山系あるいは屋久島の屋久杉あるいは南西諸島のサンゴ礁などなど、特に自神山系のブナの原生林と屋久杉について遺産条約の地域の対象に指定するということについて、林野庁は問題意識を持っていらっしゃるかどうか。
○弘中説明員 世界遺産条約につきましては、現在国会に提出されているところでございますので、その審議を見た上でまた林野庁としての考え方を明白にすることになるかと思いますが、現在、林野庁としましては、具体的な候補地を決定しているわけではございませんが、森林生態系保護地区の中から世界的に見ても傑出した価値を持つものを推薦し、関係各省庁で協議の上、学識経験者等の意見も参考にしながら世界遺産委員会に提出されるものと考えております。
○岩垂委員 長官がどこかで御発言になったようなことを見たことを覚えているのですが、白神山系のブナの原生林、屋久杉、私は石垣のサンゴ礁も言いたいわけですが、遺産条約の対象として環境庁としてはこれは推薦したいなというお気持ちだろうと思うのですが、その点いかがですか。
○伊藤(卓)政府委員 今御質問の最初にございましたけれども、長官という御指摘でございましたけれども、前長官が白神山地あるいは屋久島を訪れておりまして、その際に、この地の自然に非常に感銘を持たれたという発言はしております。 この世界遺産リストヘの推薦のやり方につきましては、条約締結後に各省で連絡調整を図って、専門家の意見を踏まえながらやっていくということでございますが、環境庁としては、国立公園あるいは自然環境保全地域といったような国内法で守られている地域、これは実は推薦の要件でもあるようでございますので、そういったものの中から世界的に誇り得るものとして、審議会の意見等を参考にしながら推薦していきたいと考えておりまして、具体的に今どことどこということを明示するのは御勘弁いただきたいと思います。
○岩垂委員 それじゃ伺うけれども、白神山系のブナの原生林や屋久杉は世界的に価値のあるものだと認識しておられるかどうかという質問に答えていただきたい。
○伊藤(卓)政府委員 世界遺産のクライテリアと いうのがございますので、それに照らして判断せざるを得ませんので、今どうだということを明示することは控えたいと思います。(岩垂委員「いや、あなたか、環境庁がそう思っているかどうかだよ」と呼ぶ) 環境庁はと言いますけれども、これは審議会とか専門家の御意見も最終的には聴取する必要がございますので、控えさせていただきます。
○岩垂委員 この前の長官がおっしゃったと言うが、環境行政というのは継続性を持たなければいけません。前の人が言ったことは関係ありませんというわけにはいかないはずです。だから、それをそのまま受けとめていますかと私は聞かない。しかし、世界的に価値のあるものだということはだれが見たって言えることだと思う。だから、私はそういう質問をしている。手続はいろいろあるでしょう。そのことに対して、大臣、明確に答えてください。
○中村国務大臣 私も実は屋久島に視察に行こうかということでちょっと事務方にあれさせておるのでございますが、私はまだ屋久島、白神山地に行ったことがございません。しかしながら、前長官が行ってそれを見て、大変立派な自然であるということを認識されたのですから、私はそれなりの重みのあるお言葉だと思います。手続は申し上げたような手続になっていくと思いますが、それは注目に値するところであろうというふうな認識は持っております。
○岩垂委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○小杉委員長 東順治君。
○東(順)委員 いろいろ重なる質問もあるかと思いますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 初めに、国内希少野生動植物種の問題でございます。政令で定めるということでございますが、どのような種を何種ぐらい指定されようとされておるのか、また、この指定種を決定する際のガイドライン、基準、こういったものについてまず伺いたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。 国内の種の指定につきましては、現時点で具体的な種の名前とかその数といったようなことを申し上げられないのは恐縮でございますけれども、いずれにしましても、閣議決定に基づく基本方針の中でその考え方を示していきたいということでございます。 ただ、強いて言いますれば、国内種の中には、従来特殊鳥類法に基づいて指定されているようなもので純粋に日本産ということで選定されているものが四十種類ほどありますので、そういったものは当然取り込んでいくだろうということです。それ以外の哺乳類とかその他の動物については、緊急性の高いものから、しかも資料の整備ができたものからということで、あと事務的な作業量等もございますけれども、今後五カ年で二十種程度できればというような目算をいたしております。
○東(順)委員 ガイドラインなり基準なりはどうですか。
○伊藤(卓)政府委員 先ほど基本方針と申し上げましたけれども、基本方針の中で種の選定のところについて申し上げますと、まず絶滅のおそれとは何ぞやという評価の基本的な考え方で、これがどこまで書けるかを実は議論をしておるところでございますけれども、例えば再生産可能な水準を割り込む程度まで個体数が減っている、つまり、個体数の減少の程度を何らかの形で書けるかということでございますけれども、どこまで書いてもこれはどうも数字的には書き切れないで定性的な表現になるのかなという感じを持っております。 それから生息地につきまして、生息地の数が減少しつつあるとか、あるいは環境が変化して住みにくくなっておるというようなことを書こうと思っておりますが、じゃそういったものの限定されているとか減少しつつあるというのは具体的に数字で書けるか、これもまた数字で書けませんので、分散状態にあるとか、あるいは環境の改変によって減少しつつあるとか、そういったやや説明的な表現での変化の書き方ということになるのかなというふうに考えております。 それから、例えば種の選定に当たって具体的に頭に置かなければいけないものはどのレベルか、つまり余り小さなレベルまでは難しゅうございますので、例えば種と亜種のレベルとするとかそういったようなこと、あるいは日本に常にすんでなくて偶発的に来たものは除くといったような書き方になっていくのかなというふうに今考えておるところでございます。
○東(順)委員 それから、この生息地等保護区を種ごとに指定ということになっておりますけれども、この指定について何種を想定されておられるのか、それからまた、先ほどからも議論に出ておりましたけれども、この生息地保全について広い観点から考えるべきではなかろうか、このように思うわけでございます。 例えば、その地域じゃないのだけれども、かなりかけ離れたところでの開発行為、そういったものがそこに影響を与えるといった場合、関連生態系というそういう要素から影響を与えるということに対してどういうふうにこれをとらえるのか。例えば、ラムサール条約締約国会議なんかで採択された決議で対象とされる湿地帯に対して影響を与えるような上流部でのダム建設、こういった場合もそれをアセスメント対象に含めるべきだ、こういう勧告が採択されておりますね。こういう観点からも、関連生態系という要素からこの辺をどうとらえられるのか、伺いたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 まず、生息地の指定を予定しているのは何種類がというお尋ねでございますけれども、これは実は種の指定の数との関連がありまして、生息地をどの程度把握できるか、それとの関連がございまして、今何カ所ぐらい、あるいは生息地指定と絡む種が何種ぐらいあるかというのはちょっとお答えするのはなかなか難しい段階でございます。 もう一点の関連生態系というお話でございましたけれども、これは移動性の動物とそうでないものとによって、動物と移動しない植物との差があるわけでございまして、どの程度のものまでを関連性としてとらえ、地区を指定していくのか、重要な生息地部分は管理地域とし、その周辺はできるだけ監視地域としてとらえるという考え方は持っておりますけれども、それをどこまで広げるかについては、これからの検討課題だと考えております。
○東(順)委員 それから、この保護区の指定でございますが、関係行政機関の長と協議する、あるいは自然環境保全審議会あるいは地方公共団体の意見を聞くとともに、指定の案を公衆の縦覧に供し、住民及び利害関係人の意見書の提出があったとき等は必ず公聴会を開催するもの、こういうふうになっております。これは大変慎重な対応ということでしかるべきだというふうに思うわけでございますが、反面、もしその際ノーというような答えが出てくる、あるいはこじれる、こういったことも十分予測されるわけで、そういったときの実効性の確保の問題についてはいかがでしょう。
○伊藤(卓)政府委員 実は、保護区の指定の際にはそれが一番問題になりますが、これはノーと言われれば無理やりというのはなかなか難しいわけでございますので、意を尽くしてできるだけ指定できるようにしていきたいというふうに思うわけです。現に、実は鳥獣保護区などの場合でもそういうことがございまして、公聴会で一人の方がいわば賛成できないということがありましても、次回までに延ばしてでも、例えばその理由が何か、実はその保護区の設定だけでなくて周辺のいろいろな問題に絡む不満がそういったときに出てくるとか、例えば誤解をされて農道一本つけられなくなるというようなことが案外かぎだったということもありますし、これはやはりじっくり話を聞いて指定の努力を重ねていくというしかないと思っております。 それからもう一つの方法としては、それでもなかなか難しいということであれば、これは今後の予算措置の問題にもかかわりますけれども、買い上げといったような措置も裏打ちとして考えておかなければいけないのではないかと思っております。
○東(順)委員 わかりました。その反対する理由が極めて合理的であればこれはやぶさかではない、しかし、それでもさまざまな問題でこじれた場合には予算措置ということまでやはり裏打ちしておかなければいけない、こういうことですね。 それから、この法案をつくるときに、例えばNGOなんかのこういう意見というものがどのぐらい反映されているのかということを伺いたいんですが、外国なんかは、法律が立法化されるときにNGOの声、意見みたいなものをかなり重視いたしますね。そういうことで、NGOの協力がなければ仮に法案ができた後もなかなかうまく機能しない、運用できないみたいなこともあってしっかりくみ上げるようでございますけれども、我が国の場合、この法案作成に当たりまして、先ほどからも出ておりましたが、国民参加というような観点からNGO等の声をどのように反映なさったのか、その点はいかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 先ほど、岩垂委員の御質問の中でお尋ねがございましたので、逐一お答えしたところでございますけれども、実はこの法律の制定の動きがあるという段階で、野生生物の保護に係わる法体制の検討会と称しまして、民間の保護団体がシンポジウムを主催されております。もちろん我々もそこに参加したわけでございますけれども、その後、そこで声明としてまとめられた形のもの、これが十項目ございますが、こういったものを念頭に置きながら法案の整備にかかったわけでございますけれども、相当程度法案の中に生かされておるものというふうに考えております。
○東(順)委員 なぜこういう質問をさせていただいたかと申しますと、私もこの本年一月十八日ですか、「滅びゆく野生生物種を救うために」というシンポジウム報告を読んでまして、この中に、三月にワシントン条約の締約国会議が京都で行われましたけれども、この垂オ込みのときに、この垂オ込みの締め切りは実は十二月二十日であった、ところが東京のNGOの人たちなんかが申込書を受け取ったのが同じ十二月二十日、関西ではもっとおくれて、結局オブザーバーとしての参加が全くできなかったというところがあったものですから、こんな重要な国際会議にNGOの人たちなんかがしっかり参加できないというようなこと、これはやはり我が国のNGOなんかの人たちの声にしっかり耳を傾けるというような基本的なスタンスが弱いところから起こってきているんではなかろうか、こう私は率直に思ったわけであります。 したがって、この法案をうまく機能させていくためにも、NGOなんかの意見にしっかり耳を傾けて、あるいは自然保護団体、先ほど話が出てました自治体、それから地域の研究者とか、そういう人たちにあまねく意見を求めてやるべきであろう、このように思うのでございます。そういうことで、しっかり意見を吸い上げてこの法案にこぎつけた、こういうふうに判断してよろしゅうございますね。
○伊藤(卓)政府委員 まず最初のワシントン条約会議における民間団体の参加の問題でございます。これは私どもは、国際会議の準備というのは国際機関がやるものですから、当然十分意思が伝達されておると思っておりましたけれども、先ほど御指摘のようなことがあったことは確かでございますが、いずれにしろ、そのことをきっかけに締め切りを延ばして希望の方々は参加できる形になったというふうに報告を受けております。 この法案の作成に当たりましては、先ほどちょっと抽象的な触れ方をしましたけれども、具体的には、日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟、山階鳥類研究所、日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会といったような財団法人のほかに、任意団体でございますが、日本哺乳類学会、日本魚類学会、日本昆虫学会、日本鱗翅学会、日本鞘翅学会、日本植物学会、こういったところからも意見を聞いたところでございます。
○東(順)委員 次の質問に移ります。 これも先ほどからの議論に出ておりましたが、指定地域を公開することによりまして逆にマニアの人とかカメラマン、そういう人たちが生息地にどんどん入ってくる、そういう危険性が十分考えられるわけでございます。したがってパトロールとか監視というようなこと、つまりそういうマンパワーみたいなことがすごく大事になってくる。先ほどからの議論を聞いていますと、今でさえ大変人数が少ない、そういう状況の中で公開によって明らかにそういう人たちがふえてくるであろう、そうなったときのパトロールとか監視の体制、これはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○伊藤(卓)政府委員 保護区を管理するための体制につきましては、環境庁の職員も取り締まり官に任命できる規定がございますが、これ以外にも、特定の種につきましては例えば林野庁の職員などを種の保存取締官に任命できることになっておりますし、さらには地方自治体の御協力を得るというようなこと、それからやはり民間のボランティアのお力もかりる、それから実際に推進員に委嘱するかどうかは別といたしまして、既に地元では、実際に守られているところは、地元の非常に御熱心な方々が市町村との協力のもとにいろいろな保護活動をやっているというところでございますから、そういったものもバックアップしていくという形をとりたいと思います。
○東(順)委員 かなり善意に負うところが多いみたいな感じ。それからまた、環境庁の職員の方も取り締まり官という新たな立場を与えるということですから、人間はふえないわけですね、ふえないで肩書がふえるということで、現実にパトロール、監視ということになってくるとやはり人の数とか経験みたいなところがすごく大きな要素でございますので、予算の問題とかいろいろなことがあるのでしょうが、これはやはり今後具体的に考えていかないといけないことじゃなかろうかなと思います。あちこちでこういう問題がいろいろ続発してきたときに、後手後手になって対応が間に合わないということになってしまったら大変なことになってしまいますので。善意に負う部分がすごく多い、それで肝心のお役人の数がすごく少ない、だから新しい肩書を同じ人につけていくしかない、こういうようなことであれば非常に厳しいものがあろうかと思いますので、これはよく御検討されて、長官もそういうことでしっかり対応していくべきだと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 それから、国内希少野生動植物種を学術研究目的や繁殖の目的で捕獲したり譲渡する、このときは環境庁長官の許可を受けることになっている。こういうことですが、先ほども出ておりましたけれども、私も、学術研究目的、こういう呼び方はあるのですが、この学術研究目的の定義というのは一体どうなっているのだろうか、何が学術研究目的なんだろう、これはいろいろ読んでもよくわからないのですね。それで学術研究目的というもののガイドラインということについて重ねて御説明いただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 実は、学術研究目的は何ぞやという明確な定義をしたものはございませんけれども、文字どおり解釈いたしまして、研究者あるいは大学の研究機関、こういったもの、あるいは公立の動物園とか博物館とか、こういったところでそれを研究していくといったようなものを念頭に置いているところでございます。
○東(順)委員 ある本によりますと、学術研究目的と称してとりまくる学者もいるなんという激しい表現の記述が載っかっていた本もございました。 ワシントン条約の決議で、例えば学術研究目的であったとしても、人工繁殖された個体が入手できないという証明が必要である、これがガイドラインの一つ、それから附属書Ⅰ以外の種ではその目的のために役立たないということを証明しなきゃいけない、これが二番目のガイドライン、それから他の方法ではその目的は達成できないということの証明を必要とする、この三つの定義が極めて具体的にあるのですね。この三つをクリアできなければ、幾ら学術研究目的といったとしてもそれは許可できない、こういうふうに明確になっている。これは、この法案では、学術研究目的という言葉はあるけれども、そのガイドラインということが、定義が明確ではない。これはぜひ明確にすべきであろう、私はこういうふうに思うのです。これはどうですか。
○伊藤(卓)政府委員 この法律の目的が、絶滅のおそれのある種の保存を図るという観点でございますから、そういった目的のものであるかどうか、それはまさにその方が属している研究機関なり学校なりの目的とその先生のテーマ、そういったことから判断することになろうかと思います。いずれにしましても、その人の属する団体、あるいは個人の場合はそういう学術論文等を確認しながら申請内容を判断するということになろうかと思います。
○東(順)委員 研究機関が非常に信用の置けるといいますか、どういう研究機関に属しているか、あるいは個人であっても、これまでどういう論文を出されているか、あるいは公的調査みたいなものをこれまで任されたことがあるのかとか、そういったことだというふうに思いますが、やはりこれは具体的に項目としてきちっとこれから検討していく必要があるのではないでしょうか。どうでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 これは、いずれにしましても許可に係る問題でございます。許可の運用をどうするかというのは非常に大きな問題でございますので、何らかの形で明らかにしていきたいと思っております。
○中村国務大臣 やはりすべてこういうことは何か客観的なものがあった方がいいんじゃないかと私も思いますので、ガイドラインのようなものがつくれるかどうかも含めてちょっと検討させて、先ほどもまたございましたし、委員の御意見もいただいて検討させてみょうと思います。
○東(順)委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。 それから、レッドデータブックという言葉が先ほどからどんどん出ておりますが、日本の野生植物五千三百種のうち、レッドデータブックにリストアップされているのが八百九十五種だ、このように承知しております。つまり、六種に一種の割合で日本の野生植物がリストアップされている。これは保護対策を早急にとらないと絶滅するだろう、あるいは保護対策を早急にとらないと絶滅寸前に至るだろう、あるいはまた現状不明の種であるというようなことからリストアップされておるわけでございますが、どんどんこういうものが減っていく原因としまして、一つに開発行為、もう一つに採集行為、このように二つの行為が主な原因だろうというふうに思います。 特に開発の問題でございますけれども、開発しようとする場合に、例えばその保護区に指定されていないところであったとしても、本法案での対象種以外でも例えばレッドデータブックにリストアップされている種があるのかないのか、開発する前にそういう調査というものが義務づけられないのかどうなのか、この辺はいかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 現在、環境アセスメントは、閣議決定に基づく実施要綱等で行われておりますし、自治体では条例、要綱等で行われているわけですが、そういったときに何を選ぶかというのはやはりこういった法律の規制の対象になるもの、こういったものが中心になろうかと思います。これにない、レッドデータブックにただ載っているというだけでそこまでやるのかどうか、これは必ずしも義務的なものとしてはなかなか通用しにくい問題ではないかと思います。 ただ、いずれにしましても、野生生物を守るという場合のメルクマールみたいなものとして、今後こういった法律の考え方がまず徹底していくことが必要ではないかと思っております。
○東(順)委員 全くおっしゃるとおりだと思います。このメルクマールづくりというのは非常に重要なことだと僕は思います。 というのも、さっきも話が出ていましたが、この四月十八日、土曜日の夕刊にアマミノクロウサギの記事がどんと載っていて、ちょうどこの法案の勉強をしている最中にこれが出たものですから、ああこんなことは突然これからも起こってくる、十分あり得ることだな。詳しいことは先ほど話がありましたから避けますが、私が言いたいのは事前調査ですね。これからはやはり、特に開発しようとするときの事前調査ということがすごく大事だろうということをこの記事は教えていると私は思います。天然記念物で、片や生息していない、しかし片やふんがある、生息している、生息していない、工事はもう進めようとしておる、これは動物のことですけれども、こういう状況が十分起こり得る、これはもう動物、植物にかかわらずこういったことは起こってくると思います。 それで、現実に開発が始まって、その後に非常に貴重な種が実は見つかった、こうした場合具体的にどうするかという問題ですね。これはいかがでしょう。
○伊藤(卓)政府委員 非常に難しいお尋ねでございますが、一定の行為が始まってからそこに貴重なものが見つかったという場合でございますけれども、その個体を適切な場所に移せるものなら移すという形で、緊急避難的に保護することも一つの方法じゃないかと思います。当然のことでございますが、理解が得られるならば、そういった地域を特別に取り出してそこの部分だけ守るというような方法も、生態的に可能ならば一つの考え方ではないかと思っております。幾つかのやり方があろうかと思います。
○東(順)委員 それは、例えば開発行為がもう実際に進んでいて、移植する場合に、事業者に移植の義務づけをするのですか。
○伊藤(卓)政府委員 保護区外の場合については具体的に義務づけ等はございませんので、これは無理じゃないかと考えております。
○東(順)委員 そうすると、緊急避難として、例えば植物園等の施設で緊急に保護するというようなことしか現実としてはやはり考えられないということですか。非常にまれなる種がそこで見つかった、これは大変だ、このまま工事を進めてしまうと絶滅する危険性がある、こういった場合、後手だけれども、選択肢はその植物園みたいなことしかないのでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 仮に、指定された種が発見されて、そこである行為が始まっておりますと、工事に着手したということになりますけれども、まだ何らやっていない、しかし、予定しているような場所で発見されたというような場合には、そこでやる行為が、例えば土石の採取とかいうような形で行われる行為について、改めて許可が必要だという取っかかりがございますので、それをもちましてある程度の措置の命令といいますか、措置を講ずるようなことは指示できると思います。
○東(順)委員 では、その工事がもう既に始まってしまった場合。
○伊藤(卓)政府委員 工事が始まっているところである動物なりが発見されたというときに、そのまま置いておきますと動物の死滅につながるというような場合には、(東(順)委員「植物も」と呼ぶ)植物もそうでございますけれども、だから移せということは、移すために、今度は移すという行為について許可が必要なわけでございますけれども、そういう許可の中身として指示をするということは可能でございます。
○東(順)委員 わかりました。 それでは、特定の希少野生植物の具体的な例としてお伺いしますけれども、ムニンノボタンという野生植物がありますね。これの我が国における生育及び生育地の現状、これはどうなっておりますか。ムニンノボタンです。
○伊藤(卓)政府委員 ムニンノボタンというのはノボタン科の一種だそうでございますが、小笠原の父島にわずか一株残っているのが発見されたというようなところから東大の附属植物園におきましてそれの増殖を図っておるところでございます。先生も御案内かと思いますけれども、これが努力によりましてかなりうまくいっておるようでございまして、現地にかなりのものが根づき始めておるという一つの貴重な成功例かと考えております。
○東(順)委員 おっしゃるとおり、大変貴重な成功例であるというように私も認識をいたしております。これは、こういう絶滅が危惧される植物種の緊急避難として植物園のような施設でこれを確保するということが極めて重要な例だろうというふうに思います。 そこで、日本の植物園、例えば小笠原の固有種のうち八十三種を系統保存していると言われる、小石川にございます東京大学の植物園、これの実際に保護増殖に携わっている人たちの人員あるいは年間の予算、こういったものは文部省、どうなっていますでしょうか。
○工藤説明員 お答え申し上げます。 東大の附属植物園における職員数、それから年間予算というお尋ねでございますが、職員数につきましては、教職員全体で、平成四年度で二十名いらっしゃいまして、そのうち五人が教官でございますので、十五人が技官等支援職員でございます。 それから年間予算につきましては、国立学校の場合に、各大学等を通じました人件費あるいは教育研究経費等を予算の上で措置しておりまして、各大学の部局別に、例えば今の場合ですと、東大の理学部あるいはその理学部の附属施設でございます附属植物園の予算という形での、そういう部局別の予算の編成はしていないわけでございますので、年間予算についてはちょっとお答えいたしかねるところでございます。 大学としましては、当該東京大学全体の経費を学内で重点的に有効に利用していただきまして、この植物園の充実にも寄与しているところと私ども承知しているところでございます。
○東(順)委員 二十人のうち事実上五人の方たちが保護増殖に携わっておられるということでございました。 そこで、東大の植物園と対比して世界的に有名なイギリスのキュー植物園、これについての人員面、予算も伺いたかったのですけれども、文部省の方ではわかりかねるということでございましたので、これは省きます。 ここに「滅びゆく植物を救う科学」ということで、この東大の植物園の岩槻先生と下園技官という方の共著で書かれております本がございます。この中で日本の植物園の状況ということに触れておられます。 このキュー植物園というのが絶滅危惧種の系統保存という緊急の目的に絞った国際機構もあわせ持っている、それで各国の植物園間の連絡機構として国際植物園連合がここにある、その事務所がこのキュー植物園内にある、一九八八年九月の持点での調べですけれども、アジアも含めて二百六十余の植物園がこの国際機構に参加している、こういうことでございましたけれども、「この活動に、形式を整えて参加している日本の植物園は一つもない。国立大学の植物園などでは、この種の活動に参加するため拠出金を分担するのには、殺人的に面倒な手続きを必要とし、私達の植物園でも、いまでは、実際的には各種の協力を行なってはいるものの、機構に加盟するには至っていない。」このような記述がございます。 それから、「植物園という施設は、日本では、極めて貧弱で、欧米のものどころか、開発途上国の植物園にも比べられないような施設に甘んじている。」それから絶滅危惧種への対応では、日本の植物園の間での情報交流ということも非常に重要なテーマである、このようにこの先生は書かれています。しかし、その問題意識というものも決して日本のどの植物園も低くない、これはみんな重要であるということを認識している。しかし「実際に栽植している植物の世話にさえじゅうぶんに手が廻らないというのが現実で、それらについての情報をデータ化し、他と交流したりしていたら、その間に植えている植物を枯らしてしまう、なんてことにもなりかねない。栽培管理を必要とする種は多く、それに対処するには絶対的に勢力が不足しているということである。」このように語られておるんですけれども、諸外国、特に欧米に比べて明らかに人材の数、そういったものが不足している。 先ほども御説明いただいたように、日本を代表する植物園でムニンノボタンというのは、これは世界てだった一株ですよ。最初は三株あったのが、一株が道路工事でだめになっちゃって、もう一株がだれかが引っこ抜いていってわからなくなっちゃった。最後に一株残っていたものを辛うじて保護できた。そして一人の技官の方が丹精込めて、その方の長年の経験と勘と植物に対する真心というものをずっと注ぎ込んで、なおかつ経費なんか全然乏しいものだからいろいろやりくりして、小笠原に行くのも本当に並み大抵のものじゃなかった。そういう中で必死になって一株を二百六十株というところまで広げられた。下手をすると四十億年ずっと経過してきた末にある一つの貴重な種が、最後の一株がなくなるところが、一人の技官の方を中心に必死になって守り育てて、ここまでにされた。非常にとうといことだと私は思うのですけれども、日本を代表するそういう植物園でありながら、現実には五人の方しかおられないというようなことで、私は、マンパワーはどうしても緊急に拡充しなければいけない絶対の要請である、このように思うわけでございます。この辺について、文部省、いかがでしょうか。
○工藤説明員 東大植物園におきます人員構成は、先ほど申し上げましたように、教授とか助教授等の教官が五人で、あとは技官等が十五人でございます。 それで、先生お話しのように、私どももこの植物園の岩槻教授と下園技官の共著に成ります本で、大変な努力をされているということに頭が下がっているわけでございますが、先生お尋ねのような、もう少しマンパワーを充実してはどうかという御提案は極めて貴重な御意見と承っているわけでございます。 ただ、政府全体で公務員数の縮減という前提のもとでの、あるいは行政需要の消長に応じました定員の再配置を前提として、各省を通じます定員削減計画というのが昭和三十九年以来行われてきておりまして、そういう中で所要の定員の確保には各大学とも苦慮しているところでございます。 ただ、この東大植物園におきましては、逐次にわたります定員削減の中ではございますけれども、他の部門の行政需要なども勘案しながら、当該植物園については、大学全体の御判断でございますけれども、ここしばらくむしろ定員削減の対象から除外するとか、あるいは昭和六十三年からは逆に学内でいろいろやりくりいたしまして、助手を一名増するとかいう形の配慮をさせていただいているところでございます。 ただ、今後とも今の定員事情もあるいは財政事情も非常に厳しい折でもございますので、なかなか環境としては予断を許さないわけでございますけれども、私どもせっかくこう努力されている教育研究の現場の努力に報いるために、予算あるいは定員含めまして最大限努力をしてまいるつもりでございます。
○東(順)委員 この岩槻先生に伺いますと、実際にこの保護増殖に携わっていらっしゃる方は五、六人だとおっしゃっていました。だから、今おっしゃった人数の中で現実に保護増殖に携わった方は五人ないし六人という、こういう認識でよろしいですね。 そういうことで、何とかこれ以上減らないように努力されているということだったのですけれども、非常にそれは寂しいお答えですね。要するに、下園さんとかこういう大変熱意のある方がもしいらっしゃらなければ、四十億年の進化の末に生まれたこのムニンノボタンというものが、最後に残っていた一株が地球上から結局なくなっていたところなんですから、これはそういったまたまな原因というものに負うところが大という状況であれば甚だ心もとない。やはりこれからは、こういったことはしっかりと確保されて、そして同時にまたそれが逆に、先ほどもちょっと紹介しましたけれども、発展途上国よりも我が国の植物園の体制は劣るというぐらい厳しい状況なわけですから、逆に我が国のこういうマンパワーとか施設をしっかり充実させて、そして今度は逆に発展途上国なんかに対してどんどんいろいろ影響を与えたり、指導したりというようなものができてこそ、私は本当の意味の国際貢献の一翼を担えるのではなかろうか、このように思うわけでございます。 実際、小石川植物園に伺って、施設も見させていただきました。本当に温室一つとっても狭くて古くて、実際問題こんなところでこんな貴重な種が、えっと思うようなところでございますね。これはもう伺いませんが、やはりマンパワーと同時に、施設の拡充ということも今後やはりしっかりと認識して対処していかなければいけないのじゃなかろうか、私は本当にこれを痛感いたしました。 大臣、今のようなやりとりを伺っておりまして、これは質問通告はしておりませんが、大臣としての所感なり、いかがでしょうか。
○中村国務大臣 すべて、環境問題だとか自然保護の問題、日本においては最近になって非常に注目を集め、対策がとられてきたことだと思います。先ほどもお答えさせていただきましたように、環境庁もできてから二十年、やっとこういった法律が提案できるようになったという中で、やはりこれから国民の御理解を得、各界の御理解を得てやっていかなければいけないことが山積していると思うのです。 そういう中で、幸いことし四年度の予算につきましても、例えば地球環境予算等は三〇%増という予算をいただきました。また、環境庁のプロパーの予算ですと約八%ぐらいの伸びということを示させていただきました。これからもこうした自然環境に対する御理解をいただきながら、やはり裏づけのあるものを得て、いろいろな対策を進めるべくまず御理解をいただいて、努力をしていかなければいけない問題だなと感じております。
○東(順)委員 それと、これも先ほどの質問の中に出ておりましたけれども、地域拠点の問題です。八百九十五種というこの種を、これは植物ですが、全国的に呼びかけて守ろう、こうすれば今の体制ではとても無理である。したがって、地方の植物相を調査したり、データを収集したり、あるいは自生地を守る、こういうことをしていくためにはどうしても地域拠点が必要だ。中には県に一つつくれというような人も学者さんの中でいるのですね。そのくらいにこういう自然史博物館のような地域拠点というものが必要になってきているわけで、実はこれも長官に伺おうと思ったのです。環境庁ができまして二十年ということで先ほどから再三お答えになっておりますので重複は避けますが、この辺の物の考え方です。 今、佐渡とか釧路に野生生物保護センターをつくろうとされておるでしょう。これはここで言うところの自然史博物館的なこういう機能を持たせたものなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 今、釧路と佐渡で準備しております野生生物保護センター、これはここを拠点といたしまして生息地等の調査研究それから増殖、保護事業などをやるということでございますけれども、さらには展示施設等も設けまして、その付近に来た方々にそこで学んでもらうといったような設備も考えているところでございます。そういう意味では自然史博物館という機能も持っていると御理解いただいて結構でございます。
○東(順)委員 こういう今、佐渡や釧路でつくろうとされている野生生物保護センターみたいなものをこれから必要に応じて順次全国的に広げていこうとされておるわけですか。
○伊藤(卓)政府委員 具体的な計画を持っているわけでございますけれども、来年度以降も順次予算を確保して整備をしていきたいと考えております。幸いにこの佐渡なり釧路のセンターにつきましても、昨年、平成三年度以来のいわゆる生活関連の予算枠という特別枠を確保することによって可能になってきておりますので、こういったものを確保することによって整備を進めていきたいと考えておるところでございます。
○東(順)委員 大変強い要望でございます。ぜひとも順次広げていっていただきたい、このように思うわけでございます。 また、こうした現場での具体的な研究ということが実際絶滅のおそれのある野生動植物を保存する上で大きな貢献ができる、このように思うわけでございます。地球的に見ても、そこまでつながっていくのじゃないかというふうに思うわけでございます。したがって、途上国の野生動植物の保護に対して我が国の協力がどのように今行われているのか、これを伺いたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 環境庁におきましては、東南アジアの諸国を中心といたしまして国際協力をやっておるところでございますが、具体的に三つほど例を申し上げたいと思います。 一つは、鳥類の標識調査技術講習会、つまりバンディングのワークショップでございます。もう一つは開発途上国の鳥類保護協力事業、ちょっとかたいのですが、湿地等の保護計画策定の技術協力でございます。それから三番目に、ASEAN地域の野生生物保護調査ということで、これは生息状況等を調査するいわば基礎的なデータベースの策定作業の協力でございます。 以上でございますが、これ以外にもJICA事業を引き受けるという形で、いわば専門家協力でございますが、これにも積極的に取り組んでおりまして、例えば中国とのトキ保護研究協力もこの一つの例でございます。そのほか、環境研究所の中に環境研修センターがあるわけでございますが、ここで自然保護管理研修コースを設けて、東南アジアよりもう少し広いのですが、外国の方々をお招きをして研修をするというようなこともやっております。それから、最近、特殊な例といたしましては、パラグアイでダムをつくる、その影響としての野生生物の保護といったような事業を進めるということで、これも専門家派遣をしておるところでございます。さらには、フィリピンでのワニ養殖研究所への専門家派遣、こういったことをやっておりますが、さらに来年のラムサール条約の締約国会議を控えまして、この秋にはシンポジウム等を考えて外国の方々にもそういった湿地保護への認識を深めてもらおうと計画しているところでございます。
○東(順)委員 六月の地球サミットで提出が予定されております生物多様性条約、この内容と本法との関係についてお伺いしたいと思います。 この生物多様性条約の内容をある程度踏まえて本法があるのかどうなのか、あるいは、この条約が批准された場合の国内法との整合性というものはどうなっているのか、この辺はいかがでしょうか。
○伊藤(卓)政府委員 厳密に申し上げますと、本法案が生物多様性条約の義務を履行するための国内措置というわけではございませんけれども、条約の目的といたしております生物の多様性を守る、そのために生息環境の保全も図るといったことは十分念頭に置いておるところでございます。 生物多様性条約は、三つのレベル、つまり生態系の多様性を守る、種の多様性を守る、遺伝子の多様性を守るというような観点を持っておりますけれども、そういったレベルから考えますと、種の保全という点はかなりこれでカバーできるかと思います。 ただ、条約の方は現在交渉が続いておるところでございますが、さらには内容といたしまして、地域を設けて保全をするというような考え方以外にも、例えば技術援助とか資金調達の問題とかいろいろ網羅されておりまして、これは他の条約等との関連もありまして今後さらに詰めが必要でございますが、そういった問題は今後の課題として残される。つまり、条約が採択された後、国内措置としてどういう対応をするかというのが考えられるべき課題として残っておると思っております。
○東(順)委員 時間も最後になりまして、最後に私は、さきの分科会でちょっと質問をさせていただいた、鹿児島県出水に飛来するツルの問題についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。 これは、毎年秋に飛来してきて春になったら北帰行していくということで、年々飛来するツルがふえてきて、実ば長官、今もう一万羽になりつつあるのです。実際はもう一万羽を超えたのじゃないかという説もあるぐらいで、驚くことに、このうちナベヅルが、世界の全生息数の約八割がここに飛んでくるという大変すごい状態です。私もそこに行ってきたのですけれども、狭い外遊地の中にたくさんツルがおりました。 そこで、ここが抱えている問題をかいつまんで言いますと、地元の農家が自分たちの農地をツルの外遊地として提供しているのです。提供することによってその借り上げ料をいただいている、こういう問題が一つある。 もう一つは、外遊地を提供している農家が実は減反対象に当たっている。そうすると、裏作のとき、つまり秋から冬にかけての裏作のときはツルの外遊地として提供して、したがって裏作であるソラマメとかそういうものは耕作できない。それで借り上げ料をいただいている。今度は表作で減反対象になったときは、これまたお米がつくれない。こういう非常なピンチに追い込まれているわけです。こういう問題が一つあるわけです。 それともう一つは、外遊地に指定されてない、そこに隣接する地域、ここが外遊地に指定されていないので、借り上げ料も、何らそういう措置がないわけです。だけれども、ここにツルが飛んできて食害を及ぼす、こういう状況が出ておるわけでございます。 それで、外遊地の人は外遊地の人で大変悩んでいらっしゃって、その周りの人は周りの人で食害問題で悩んでおる。食害等があった場合農業共済補償の対象として、食害が三〇%以上に及んだときに共済金が給付される。ところが現実にそういうツルの食害というのは三〇%以下であるということで共済金の支給もない。結局、ツルよけのビニールテープとかいったものを国からもらうなりして対応しておるのですけれども、現地に行ってみますと、そのテープ一つを張るのにも、今後継者問題で農家は大変ですから、お年寄りばかりでその人手だけでも大変だ。実際それを張ったとしてもツルはどんどん食害を及ぼしていく。 それでこういう話をしておりました。北帰行で帰っていくときはある程度人になれて帰っていくのだけれども、旧ソ連に帰って、そこで野性味をもう一回取り戻して、秋になって再びこちらに舞い戻ってくるときは完全に野生になっているものだから狭い外遊地には来ないのです。広い広い、外遊地以外の地域に先に飛んできて、人がいない、車がいないところに来て、そこである程度ついばんだりいろいろなことをしながら、だんだんなれてきて外遊地に戻ってくる、こういうことを言っておりました。 ちょっと長い話になってしまって恐縮なんですけれども、そういう状況で、ツルをしっかり守らなければいけない、本当に愛さなければいけないという意識は十分にあるのだけれども、その善意によって外遊地を提供したりあるいは周りの人たちも食害を我慢してきたのだけれども、じいっとやっているうちに逆に、ツルがどんどんふえてきているものだから、そこの当該地の生活そのものがどんどん圧迫され、今悲鳴を上げ始めているわけです。状況をかいつまんで言えばそういうことでございます。 したがって、この二月十三日ですか、鹿児島県ツル保護会長の出水市長それから関係団体等から、環境庁、農水省、文化庁に対して陳情がございました。そのときに、関係省庁間の連絡会を年度内に設置して、ツルを含めた野生鳥類の食害対策を強化する方針というものが明らかにされたということを私は新聞等で知ったのですけれども、一つは、その後の進捗状況はどうなっておるのか、これを伺いたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 ただいま御指摘の出水市のツルをめぐりましては非常にいろいろな問題を抱えております。非常に長い長い歴史の中でここまで保護がされてきたということでは地元の方の御努力に負うところが非常に多いわけでございますが、今御指摘のように、地元の後継者不足その他もありましてなかなか保護が難しいというようなこと、それから減反との関連等もありまして、地域地域によっても利害が異なったりしてなかなか調整が難しゅうございます。 私どもとしては、今御指摘のように、農水省それから文化庁、従来ばらばらに御陳情等を受けておりましたけれども、そういうことではいずれにしても困るということで、寄り寄り集まりまして、連絡会議でもって次のツル渡来までの間に何らかの方向性が出せるようにできないかということで検討しているところでございます。三月中と思っておりましたけれども、いろいろございまして四月になって第一回会合を持ったということで、まだ具体的な方策は打ち出しておりません。 いずれにしましても、これはほかのところにもございますが、その地域においてせっかく保護の思想が徹底してきているわけでございますし、それを利用して、例えば出水市の場合ですとツル観察センターができたり保護の会ができたりしておりまして、ツルによる利益というものが得られる部分もありますので、そういったものも育てる道がないかということをいろいろ考えているところでございます。
○東(順)委員 そこで大臣にお伺いしたいのですが、今言いましたように、この問題には、減反問題とかで農水省が絡んでいる、文化庁が借り上げの問題で絡んでいる。それから、周りの食害の問題も文化庁、環境ということで環境庁。そういうふうに多省庁にわたる場合の環境庁としての役割、これはぜひ一度大臣に伺っておきたいわけです。 調整官庁という言葉をよく聞くのですが、果たしてこの調整官庁という意味は一体何なのだろう、こういうふうに私は思うわけです。こういうふうに各縦割りの省庁でいろいろなかかわりを現地にしている。それは、それぞれ省庁の言い分があって、なかなか事態は進展しない。そういうことで、今、第一回会合を持ったというふうにおっしゃいましたけれども、果たして、環境庁というのは、他省庁、例えば通産とか運輸とかそういう省庁なんかと妥協をして、現実的な対策を打ち出すということがその調整という意味合いなのか、あるいはあくまでも環境行政という立場に立って厳然と問題を提起して、そして時には他省庁に政策の軌道修正をも迫る、こういうことが調整の意味なのか。長官のお立場や環境庁の置かれた立場、こういったいろいろ難しいこともあるかと思います。 例えば、今話題になっている環境省昇格ということ一つにしても、いろいろな思惑がやはり自民党の中にもさまざまあることも承知しております。そういう難しい状況の中で、本来環境庁というものが調整官庁として果たすべき役割というのは那辺にあるのかという極めて基本的なスタンス、基本的な姿勢、この辺をぜひ率直に長官に伺いたいと思います。
○中村国務大臣 環境問題というのは非常に広い範囲にわたる問題でありますから、本質的に調整を要する仕事だと思います。そして今、総理から付与された権限によりまして、環境ということをとらまえて、幅広くその調整をして政策を打ち立てていく、その基本にはやはり環境を守っていくんだという視点があるわけであります。その視点に立って、環境政策を打ち立てるために、環境庁だけではできないわけですから、幅広い政府内部の取りまとめ、調整を行って政策を立てていく、こういうことになるわけだと思います。 しかしながら、今おっしゃられましたように、そういうやり方もあるし、またほかのやり方というのはどうなんだろうなということで、特に地球環境問題という問題が出てまいりまして、今までの、出てきた公害をとっつかまえてやっつけるということから、持続可能な開発とよく言われることですが、そういった視点を社会経済、そして人々の生活の中にまで入れて、経済と環境というものを融合させ、統合させていかなきゃいけないという時代に入ってまいりまして、そういう時代に今移り変わる転換期にあると思うわけであります。 でありますから、環境庁の環境行政のあり方、環境庁の組織体制のあり方、これらについて私ども今二つの審議会に諮問をいたしまして、また、総理からも新しいそういう時代における環境をめぐる組織体制のあり方、それに基づく法制度のあり方について検討せよということでありますので、今まさにそこらを勉強しているところであります。方向としては、やはり今までよりかはるかに大きなレベルでこの環境の保全ということが大切であり、人類生存の基盤の地球環境という問題も出てまいりましたので、私は、この環境行政を体制を強化するという方向で検討されるべきものだと思っております。むしろ今の体制を云々するよりか将来に向かっての検討ということが大切でないかと思っております。
○小杉委員長 時間です。
○東(順)委員 では、時間が参りましたので、終わります、ありがとうございました。
○小杉委員長 寺前巖君。
○寺前委員 六月に国連の環境開発会議が予定されていますが、そこで生物学的多様性保護条約というのが調印されようという方向にある。それを前にして、日本が一役をひとつ明確にしていこうというのがこの法案をお出しになったねらいかと思いますが、そのために格好だけつけるということになるとぐあいが悪い。真剣にそのことの持っている役割をきちんと担ってほしいという希望を最初に申し上げまして、以下何点かについてお聞きをしたいと思います。 国際自然保護連合の調査によると、一九八六年、世界の動物約三千種、植物で約一万六千種が絶滅の危機に瀕している、こういうふうに出されています。それじゃ日本は一体どうなっているんだろうか。九一年に発行された環境庁のレッドデータブックを見ますと、こう書いてあります。日本の哺乳類では百八十八種のうち五十種、鳥類で六百六十五種のうち百十九種、その他脊椎動物、無脊椎動物合わせて六百五十種以上が絶滅のおそれがある。三分の一、四分の一というところでしょう。これは、動植物がそういう環境になっているということは、人間の自然環境がえらいことになりつつあるんだということを同時にそれは示しているというふうに言わなければならないと思います。だからそういう意味では、おのれの生きる問題として積極的に打って出なければならない。その打って出るときに何が障害になっているのか、そこにメスを入れてこそ真剣にこの問題への取り組みが決まってくるであろうというふうに言えると思うのです。 私はよく知りませんが、一九七三年にアメリカでは、絶滅のおそれのある種の保護という法律が、ESAというのですな、制定されて、これまで世界で可決された最も精巧な種の保存の立法だと言われている。それを見ますと、絶滅のおそれのある種の最低限の生存を確保するだけではなくして、特別の保護の必要がなくなる状態まで種を回復することを目的にしているんだ。なるほど、なかなかの積極さだなということをこの法律の目的からうかがうことができます。種の保存が人間活動に優先し、そのために人間の活動にも制限が加えられるべきことを認めているわけです。やはり、そういう積極性がこの問題になくてはならない。 さて、それでは具体的に、この法律ができたら日本の国内で種の保存のために何をやるんだろうか。具体的にメスを入れなかったら役に立つのか立たぬのかわかりませんから。ところが、聞いてみたら、五年間に二十種ぐらいの保護区の指定をやろうという話らしい。二十の種、保護区の指定。さて、それじゃ絶滅危機というのが、レッドデータブックを見せてもらうと、そこには脊椎動物で四十九種、無脊椎動物で六十一種、植物種で百四十七種というのが出てくる。これ、二十種というのは何を考えているのであろうか。ほんまにやる気かいな、これやったら、私は疑わざるを得ないわけです。だから本気にやる気やったら、アメリカじゃないけれども、単に生存を確保するだけではなくして、保護を必要としないところまで攻め込んでいくという、そういう積極策を打って出なかったら、これ、形だけ日本にはこんなのがありまっせという話になってしまうのじゃないか。そこの姿勢、そんなもの、寺前さんの言うのは間違うとるんじゃ、二十種なんてそんなこと考えてへん、アメリカと同じですわと言ってくれるのやったらそれでいいんですよ。どうなってまんねん。
○伊藤(卓)政府委員 この法案によりまして、当面五年間で二十種ぐらいを目標といたしまして指定作業を進めたいというふうに考えておりますが、これは現時点におきます生息状況等の手持ちのデータ、つまり情報からは、その程度ぐらいにしかたえられるものがないというふうに判断しているわけでございます。将来的には当然生息数、生息地の実態を十分把握いたしまして、順次追加していくつもりでございますけれども、生息地を指定いたしますとそこにおけるいろいろな規制もかかってくるというようなことも勘案いたしますと、こういったところが精いっぱいではないかと考えております。
○寺前委員 この五年間に二十種が精いっぱいでございますと。一方では、あなた、絶滅の危機に瀕するデータは、これ、環境庁の資料に基づいて私、さっき数字挙げましたんやで。絶滅の危機に瀕すると書いてあるさかい、ありゃありゃと私は思ったんだ。えらいことが急速に進んでいるんだから、だからもっとテンポを速めて、そして積極的に、絶滅の危機なんというような数字が出ないように、いや実はあれはもう絶滅したから数字はなくなりましたなんて恥ずかしいことにならぬように打って出ていただきたいと思うのですが、この点ではひとつ大臣の決意のほどを聞かせてください。
○伊藤(卓)政府委員 恐縮でございます。数のお尋ねが先ほどございましたので。私どもといたしましては、いわゆるレッドデータブックで四つに分類をいたしておりまして、もう絶滅したと思われる絶滅種、それから絶滅危惧種、危急種、希少種ということでございまして、例えば哺乳類でそれを全部合わせると五十五に確かになりますが、ここで絶滅危惧種というのは三種類という形で取り上げられておりまして、私ども考えておりますのは特に緊急な絶滅危倶種を頭に置いておるということでございますので、数はある程度絞られてくる。 さらに、生息地の状況を十分把握しているかどうかからいいましてもその辺が限定されてくるということは御理解いただきたいわけでございますが、そうかといいまして、レッドデータブックに挙げたものを無視するわけではございませんで、監視をしていく。四十九条に特別の規定もございますけれども、十分な調査をし、さらにおそれがあれば指定をするということにつながるわけでございますから、その辺まで抜きにしておるわけではございません。
○中村国務大臣 今局長から御説明させていただきましたけれども、この指定につきましては、レッドデータブックの絶滅危惧の種類に選定している中で、特に保護の優先度の高いものから指定していくということになると思いますけれども、現時点において、生息状況等で情報の蓄積が比較的進んでいる二十種ということで今答弁をさせていただいているわけであります。将来的には、生息数や生息地の実態等を十分把握した上で、保護が必要とされる種について順次指定していかなければならないと思っております。 こう言えば通り一遍の御答弁なんですけれども、こういった法律がやっと御提案できるようになったというのも、こういったことに対する国民の関心の高まりではないかと思うのです。そしてやはり、我々人類、そして地球上にすむ生物、こういったものの種の保全をしていこうということになると、根本的には地球環境保全の問題になってくると思います。そういった観点から、今やっと世界全体でこういったものに光を当てて、世界で地球環境保全、その中で、さっきから話題になっております種の保全の条約をつくろうとか、そういう機運が高まって、いよいよサミットで具体的な条約だとか取り決めをしていこうということになってまいりました。 しかしながら、さっき局長も言っておりましたように、いろいろな地域の指定ということになると、現実的にそこの地域の方々の御意見とかいろいろなものも出てくると思います。そういうわけですから、私どもといたしましては、やはり国民の御理解を得ていかなければいけない。そういうことに大いに力を入れて、そして、こうした指定だとか、種の保全だとか、そういうものについて力を入れてまいりたいと考えているわけでございます。
○寺前委員 それで、今は絶滅危惧種じゃないけれども、これほど、三分の一、四分一まで周辺でなくなってきているという実態を見たときに、また新しい危惧種が出てきよることになるから、だから積極的な攻めの施策をやる必要がある。今もう危機に瀕しているものを緊急にやらなければならぬのはそのとおり。しかし、それにとどまっておったら事態は大変だという認識を持って臨んでほしいと思う。 私が環境委員になったというだけで、私のところに、地元でも電話がかかってきますよ。例えば、去年でしたが、京都駅前に何とかいう学校があって、そこの先生をやっている人から電話があったんや。うちの生徒を連れていきましたら、イタセンパラが見つかりました、私は木津川というところで長年生活していますけれども、私のおやじの代でも知らなかったものが見えた、これは大事に守らなければいかぬと思いますよと言って電話をかけてきはるんですわ。そういうような種類というのは、各地に見られなくなっているものが見えたときに、我々の社会にはまだこういうものが生存しておるのかという喜びと、やはりそれを何とか守らなければいかぬ、そういうときに、政府の方がどういう態度を打って出てくれるか注目しているのです。 私が去年聞かされた話だけで、イタセンパラという話がある、アユモドキという話がある、それからヒメバルゼミという問題がある。これ、認識にありますか、何とかせなあかんという。どうです、知りませんか。
○伊藤(卓)政府委員 お尋ねの中で、イタセンパラとアユモドキにつきましては、いずれもレッドデータブックの中で絶滅危惧種に選定されておりまして、保護の優先度が高いものだという認識を持っております。
○寺前委員 認識してはるのやったら、積極的に保護してくださいね。 そこでその次に、今度は、緊急に保護しなければいかぬ、だから保護種として保護区の指定をやっていくという事態が生まれるけれども、保護区が積極的にやれない要因というのは、民間の人が土地を持っておられるわけでしょう。そうすると、その人は開発の規制を受けちゃうわけだから、障害にばあんとそこですぐに突き当たってしまう。 同じ問題が、ずっと前の話になります、もう二十年くらいになるのでしょうか、私ども京都なんかには歴史的風土何とかいう法律があります。古都法というやつです。古い景観を大事にしようじゃないか。指定されますでしょう、指定されたらもう開発ができなくなるから、売れぬようになる。そうすると相続だって大変ですわ。安い安い値になってしまうわけでしょう。ところが保護されている横は、ああ、いい景観やと、高い高い値段。こんな扱いのままで、どうぞ私のところを指定してくださいなんて言わはるはずあらへん。だから、こういうような大事なものを残そうと思ったら、国が責任を持って買い取るとか、民間の人が喜んでそれに協力する諸条件をつくってあげなかったら進まへんと私は思うのや。そこはどういう手だてを考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 今の御指摘は非常に大事な点、しかも難しい点ではございますけれども、最終的には、その土地を守る方法としては、その土地を分なりの管理のもとに置くというのが一番いいわけでございますが、そういうために既存の制度といたしましては民有地の買い上げ制度というものがございますから、こういったものも新制度に適用できるように検討していきたいと考えております。 さらには、もう一つの手法としては、税制上の優遇措置によって、所有権は持ったままでお守りいただく。それはあくまでも同意なり御協力の気持ちがなければいけないわけでございますけれども、そういった手法も組み合わせていきたいと考えております。
○寺前委員 これは、例えば古都法の指定地域のときでもそうや。あれは税制度の問題だけだったんだ。それで、実際相続しようと思ったら、安い安い買い上げ価格にしかならなかった。私は建設省へ行ったですよ。そして、これは考えなければあかん。周辺の地域以上の役割を担ってくれているのだから、高い買い上げにやはり物の総合的判断から変えるということが本当に保護をお願いしますということを示す政府の態度だ。後から変化したのですよ、古都法の場合でも。 私は、これは今からやるんだから、固定的に見ないで、税の問題をもっと積極的にいろいろ考えてもらうと同時に、保護するために喜んでもらえる手だてというものを研究してもらう。やってみなければわからぬことが起こってくるんだから、積極的に打ってもらうということをやはり国民の前に約束して、人類にとって重要な役割を担ってもらうことになるんだから、大臣、いかがですか。
○中村国務大臣 やはり、大事なところだと思うのですが、環境保全には金がかかる、自然保護にも金がかかる、そういうコンセンサスを得て、いろいろな新しい対策を立てていかなければいかぬ時代に入っていると思います。 具体的には、特定民有地の買い上げ制度の適用などできないかというようなことについても、財政当局と協議検討してまいりたいと思いますけれども、要するに、環境を守り自然を守るということはただじゃないのだ、そこでいろいろな支出をして実際に自然保護ができるように、環境保全ができるようにするためにはどうしたらいいのだというコンセンサスを得る努力というのができる時代に入ってきたと思いますので、そういう方向でもいろいろ努力をしてみたいと思っております。
○寺前委員 国の打って出る施策が思い切ったものがなかったら形だけになってしまうということを私は危倶しますので、積極的にやってほしい。 そこで、来年、ラムサール条約の登録指定湿地となっている釧路湿原のところで国際会議がなされるようです。去年、私どもも委員会として視察をさせていただきました。それで、実際に釧路湿原は、国立公園の特別保護地区や鳥獣保護法の国設特別保護地区にも指定されてきているけれども、あの湿原の狭い範囲でしか保護というのができないことになっているのじゃないだろうか。というのは、現に釧路湿原の水系に、その上流部分に七つのゴルフ場がある。新たに十二カ所もゴルフ場の計画がされている。何でこんなにたくさんここヘゴルフ場を計画するのかなと私も思うのですけれども、そうなってくると、狭い範囲の湿原の保護をいろいろの手だてでやったり、今度の法律の適用をいろいろやってみても、もっと広い範囲に対策を組まなかったら、上流部分から破壊が進んでくるじゃないか。 しかも、その上流部分にも、例えば鶴居村というところではタンチョウヅルが生息していますよ。聞いてみたら、国もなかなか積極的な役割を担われたのか、一九五二年には三十三羽しか生息が確認されていなかったものが、九一年の四十回目の調査のときには成鳥が四百八十、幼鳥が七十七、合計五百五十七羽確認されているというふうに随分ふえたものですよ、また、ふえたらふえたで新しい問題が生まれてくるというものではありますけれども。要するに、そういうタンチョウの生息も見られる。しかし、周辺全体も含めて見なかったらあかんのじゃないだろうか。この丘陵を見ると、シマフクロウも絶滅の危惧種として例の分類の中には入っていましたけれども、これも生息している地域になっている。来年、ラムサールの会議をやるということになってきているわけだけれども、保護ということを考えたら、狭い湿原の部分を念頭に置くだけでは本当の意味の対策にはならないのじゃないだろうか。 そこで、私がお聞きしたいのは、こういう周辺部を含めたところの湿地の保全基本計画なるものをつくり上げて、狭い範囲でなくして広い範囲で買い上げも計算に入れた対策を組んでいく必要があるのじゃないだろうか。いかがなものでしょう。
○伊藤(卓)政府委員 本法では、生息地等の保護区ということで、種に着目してそれぞれの大事な場所を管理地区あるいは監視地区というような形で指定していくわけでございます。 今先生のお尋ねは、その周辺を含めてその湿原を守るという法律は考えられないかということでございますが、あの地域は国立公園と指定され、また鳥獣保護区、特別保護区という形で守っておりまして、現段階では、その中で湿原の状態がどういう状態であるかということの調査等はやっておりますけれども、それらの周りを含めてどういう形で守った方がいいのか、これはまだ今後の研究課題であろうと思っておりまして、何かの法律でできるという形にはなかなかならないのではないかというふうに考えております。
○寺前委員 法律にならぬでも、何かあの周辺を含める基本計画というものを確立していくという方向を打ち出していかなかったら、せっかく国際会議までやってきて、さて私が外国へ行って聞かれたときに、あれどうなってますと言われたときに、あなた、どう言いまんねん。周辺を含めて計画を立てて計画的にこういうふうにやってまんのやとちゃんと言えるように、事をやる以上はきちっとやられたらどうなんですか。 それから、今私が言うように、国も買い上げ地などを考えていくという積極的な手だてもやっていく必要があるんと違うか。私は新しく打って出る施策として問題を提起しているのでして、どうですか、そんな考え方は毛頭ないですか。
○伊藤(卓)政府委員 湿原の大部分は国の敷地になっておりまして、現在所有は、所管は大蔵省になっておりますが、逐次、環境庁は所管がえをしておる段階でございまして、そちらの方をまず取り急いでおりまして、いわゆる周辺の景観的な観点からは、区域外のものについては、私ど、としては当面その所有なり区域の拡大というところまでは考えておらないわけでございますけれども、北海道でも周辺におけるゴルフ場の開発等については非常に気を使っておりまして、条例あるいは要綱によっていろいろ指導をやっております。 私どもとしてもその周辺からの、湿原というのは周辺からの影響を非常に受けやすいものですから、どういった影響があり得るか、現在その監視を続けておるところでございまして、その影響があるとすれば、それに応じた対応を考えなければならないと考えておるところでございます。
○寺前委員 だから、そういうふうに積極的に調査し、積極的に打って出る、胸を張って仕事をするようにやらないと、ひとつよろしく頼みますよ。 次に、今度は去年十一月にこんな問題が起こりましたよ。天然記念物のアカヒゲを輸入鳥に見せかけ、別の鳥の輸入証明書をつけて売買した事件というのが、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律違反だといって五人が逮捕される事件が起こりました。関係者はだれか。日本鳥獣保存協会の副会長が証明書を高く売りつけていた。これは従来からいろいろ話題になっておったことであって、来るところまで来たかなという感じを私は受けました。 そこで、今度の法律によって、国際希少野生動植物の種の登録制度や輸出入の規制措置がこの中に含まれてきたわけでしょう。さて、含まれて一体うまくいくんかいな、こんな事件はもう二度と起こらぬようになるのかいな。どういうふうに改善がこの法律とともに具体化されてあんなことにならぬようになりますよと、具体的にわかりやすく一回説明してください。
○伊藤(卓)政府委員 事案の大要は先生が御指摘のとおりだと思いますけれども、私もちょっと腑に落ちませんのは、アカヒゲというのは日本国有の種でございまして、本来輸入されるはずのものではないと考えておるわけでございます。現在、特殊鳥類にもなっておりまして、本法案によれば国内希少種に該当するということになろうかと思うわけでございます。 ただ、国内産の鳥類を捕獲して飼養する場合には、現在足輪をつけておりまして、国内での違法捕獲防止という観点で整理するという意味で、輸入鳥について同様の規制をすることにつきましては、今後検討しなければならないと思っております。
○寺前委員 ああそうか、これから検討か。わしも別に専門家でもないからよくわかりませんけれども、輸入証明書をもらって鳥が来るわけでしょう。その鳥が死んで、ほかの鳥にこの輸入証明書を渡したらええという話になっていろいろ適当にやっておる。国内の鳥に標識をつけるのだったら、輸入鳥についても全部標識をつけるようにするというようなことをやったらわかるのと違うのかいなとか、素人的にはそんなふうに思うんですが、そうもいかぬのですか。一体それはどうなっていますのや。この証明書方式だけでは僕はまた同じことが起こると思う。
○伊藤(卓)政府委員 この輸入証明書というのは民間の団体が確認的につけているものでございまして、しかもそれをつけることによって輸入鳥に見せかけておるというところでございます。そこに問題があるわけでございますので、現在国内鳥について使用許可したものは足輪装着を法律に基づいて義務づけている、それと同じようなことを輸入鳥にも義務づければそこは整理できるのではないかと考えているわけです。ただ、アカヒゲについては輸入というのがあり得るのかどうか、ここは一つ別の疑問として残ります。
○寺前委員 そうすると、輸入鳥についてもつけようという方向で検討は始まっているわけやね、そういうことやね。僕も素人的にもそう思う。何で輸入の方だけはしておらへんのかいなというふうに思っていたわけです。なるほど、それは一つ賢くなりました。 しかし、国際的な規制はそれだけで済みますのかいな、ほかに方法はもう全然考えられまへんのか、そこはどうですか。
○伊藤(卓)政府委員 このアカヒゲというのは、本来国内種でございまして輸入ではないわけですから、民間のものといいながら輸入証明書があり得るのかどうか、これは一つ疑問が残るわけでございます。 ただ、仮に輸入鳥と国内鳥を同じ種において区別する必要が生じた場合に、輸入鳥について個々に具体的に区別するためには輸入鳥に足輪をつけさせるという方法が一つ有力な方法として考えられるわけですが、ただ理論的に言いますと、現在の鳥獣保護法で国内の鳥類を守るために輸入鳥に足輸をつけられるかというのが、ちょっと理屈なんですけれども議論として残っておるところでございますが、いずれにしろそういった何らかの区別は必要であろうということで検討をしているところでございます。
○寺前委員 それじゃ大臣、一番最初に申し上げましたけれども、国際会議に臨むに当たって、法律までちゃんとありますよということだけでは、法律があったからといって事は積極的な役割を果たすわけではございませんので、ひとつ積極的に打って出るんだということのために、喜んで指宗地域を受けた人が協力できる、その人たちに喜びを感じさせるような施策を具体的に検討してもらうということを要望したいのですが、大臣よろしいですか。
○中村国務大臣 確かに、古都法を例に挙げられましたけれども、そうした対策も必要かと思います。 ただい私は先ほどから繰り返しお話しさせていただいておりますように、やはり自然環境保全、そして地球の環境の保全、そしてそれに基づくこうした野生生物の保護等にはコストがかかるんだ、そしてそれには守っていくんだという国民のコンセンサスがなければ実効あることにならない。そういうところをPR、また宣伝等に努めまして頑張ってまいりたいと思いますので、委員におかれましても、どうか御援助くださいますようにお願い申し上げます。
○寺前委員 どうもありがとうございました。
○小杉委員長 中井洽君。
○中井委員 私どもの党は、この法案に賛成であります。 本日は、党大会が行われておりましたし、また今まで大蔵委員会で質疑をやっておりました。他党の方の質問を聞いておりませんので重なる面もあろうかと思いますし、ごく初歩的な質問になろうかと思いますが、お許しを賜りたいと思います。順次、疑問に思うところ、気になるところだけお尋ねをいたします。 この法案は種の保存を図るということでつくられる法案でありますが、日本には大体野生動植物の種というのはどのくらい数があるのですか。
○伊藤(卓)政府委員 なかなかこれは数え方が難しいわけでございますけれども、動物の中で例えば哺乳類であれば百三十六種類というようなこと、あるいは鳥類であれば五百三十種類というふうに言われておりますが、例えば昆虫類になりますと約十万種というようなことを言われるような次第でございます。また、植物でいいますと、これは維管束植物、つまり種子植物とシダ植物についてでございますが、五千五百六十五種と数えられているところでございます。
○中井委員 大変な数でありますが、この法案では、絶滅のおそれのある種、こうなっておりますし、先ほどからおそれがあるということについてはいろいろ定義づけは難しいというお話もございましたが、いわゆる絶滅のおそれのあるものは全部指定していく、こういうふうに理解をしていいですか。
○伊藤(卓)政府委員 私ども動物におきましてはレッドデータブックで示しておるところでございますが、絶滅種、これはもうないわけでございますが、絶滅危惧種、危急種、希少種というふうな現存するものでは三つに分けられる中で、一番絶滅に瀕しているという意味で絶滅危惧種を対象として考えているということでございます。
○中井委員 残さなきゃならない種であるとかなんとかいう判断じゃなしに、野生の動植物で絶滅のおそれのあるものについては全部指定していく、こういうことですね。
○伊藤(卓)政府委員 残さなければならないものというような判断、ちょっと難しいわけでございますけれども、専門家にいろいろ判断をしてもらいまして分類をし、絶滅のおそれがあるというものについては取り上げておりまして、それが学術的にどの程度価値があるかとか、あるいはきれいであるか見かけが汚いかあるいは色がどうかとか、そういったいわゆる通常言いますような価値ということには必ずしもとらわれていないということでございます。
○中井委員 そうしますと、大事な種類だとか、人間にとって親しみがあるとか、きれいだとかなんとかということじゃなしに、野生の動植物の種で絶滅のおそれのあるものから順次やっていく、そしてそれを少しでもふやしたり残したりしていくことが自然環境の保護につながる、こういう発想の法案だと理解していいですね。
○伊藤(卓)政府委員 おっしゃるとおりでございます。 恐縮でございますが、先ほど申し上げました数字の中で、動物に関しまして私がちょっと例を出しましたので、昆虫が約十万とか申し上げましたけれども、レッドデータブックでは約二万九千というふうに書かれておりまして、トータルで、動物類でいいますと三万五千種くらいが取り上げられたものでございます。
○中井委員 この法案を見せていただきますと、基本方針を閣議決定をする、こうなって、内閣総理大臣が何か関与するようになっておりますが、これくらいのことをどうしてそんな環境庁だけでできずに内閣総理大臣まで引っ張り出すのか、ちょっとここのところはわからないのですが、これは環境庁の各省庁との調整の難しさ、こういうことですか。あるいはもっとほかの理由がありますか。
○伊藤(卓)政府委員 基本方針につきましては、閣議決定を経るということにはなりますけれども、決めますのは総理府の長である、内閣の長である内閣総理大臣ということになるわけでございますので、つまり環境行政の、環境庁の上にある内閣総理大臣という意味でございます。
○中井委員 別にこだわるわけじゃありませんが、どうしてこういうことが環境庁でできずに内閣総理大臣の指定になってしまうのか、基本計画づくりになってしまうのか、そこのところを御説明ください。
○伊藤(卓)政府委員 実は、環境庁というのは総理府の中に外庁としてあるわけです。したがいまして、いろいろな告示を出したり、決めるというのは基本的に内閣総理大臣の名において行うことになっているということでございます。
○中井委員 この中で、国内希少野生動植物種のうち商業的に繁殖させることができる種については、譲渡の事業を届け出でやる、こう書いてあります。私の方から簡単に考えれば、守るのですから、そういう業者さんがおって譲渡をするとかそういうことはどうなのだろうと実に単純に考えるわけでありますが、どんな種類であると、あるいはどんな種であると商売としてこういうことが届け出をしてやれるのか、具体的にどんなものを対象にお考えになっていらっしゃるのか、今そういう業者がおありなのか、実例を挙げていただきたいと思います。
○伊藤(卓)政府委員 この法案では、特定国内種というものがございまして、ここでは商業的に繁殖させるもの、それから国際的に協力して種の保存を図ることとされてないという、わかりやすく言いますと、いわば山に生えている野草みたいなものでございまして、非常に大事である。これをとることは規制したいわけでございますが、一般にはそれが栽培をして売られておるといったようなものがあるわけでございまして、これは個々の移転について許可を求めるということにいたしますと非常にとらえにくい。それ全体を悪としてとらえるのもどうだろうかということでございまして、特定事業ということでその譲渡等の業務を行う者を通じてルートを押さえておけばその全容が大体つかめるという観点から届け出制度を導入したものでございます。 どういったものを考えるかということでございますが、今までいろいろ出ている例といたしましてはアツモリソウとかキタダゲソウといったようなものが考えられるのではないかと思っております。
○中井委員 同じくこの法案の中で、生息地等の保護区あるいは監視地区とかいろいろな地域を指定する形になっております。この場合に所有者、財産上の権利を侵さないというような形の調整の条文もあるわけでありますが、これらの地区で、地域と相談をして指定をする、その指定をした場合に、所有者が買い上げてくれ、こう言ったときに、環境庁としては十分な予算措置ができておるのか。 また同時に、今までいろいろな動植物の保護ということに関して、あるいは自然公園等に関して環境庁は既にお買い上げになったところもあります。従来どのくらいの規模で買い上げというものが進んできたのか、またこれからどういう予算づけでこの買い上げというものを実行していこうとするのか、お尋ねをいたします。
○伊藤(卓)政府委員 まず、指定の際に直買い上げというような仕組みにはなっておりませんが、指定をする、そこでいろいろな行為規制が働いてくるわけでございますけれども、そういったときに行為規制にかかって思うようなことができない、そのときには買い上げを申し出れば買い上げをするというような仕組みは考えております。 さらには、指定を円滑に進めるために、特に大事な地域については民有地の買い上げ制度というのが、先生御指摘のように国立公園等でございますので、こういったものを同じような形で導入するということを考えなければいけないというふうに思っております。現在の制度といたしましては、手元に詳しい資料はございませんけれども、たしか国立公園等大事なところを千ヘクタールぐらい購入しておる。金額で言いますと百億ぐらい累積をしておるところでございます。
○中井委員 また、この法案の中で、保存の取締官だとか推進員だとかいろいろな制度もつくろうとされております。一番難しいのは、どれくらい種を指定されて、対策をどれくらいの期間でおやりになるのか。先ほどは五年というお話がございました。しかし、環境庁にもいろいろとデータはあろうかと思いますが、民間のデータというものをどれぐらい今集められて、本当に五年の間に保護指定というものができてしまうのかどうか。 同時に、これは指定した後、環境庁の今の人数でこの種の絶滅を防ぐためのいろいろな対策は到底できるとは思いません。地域の人たちの十分な御協力、あるいは従来そういう運動をやってこられた人たちの理解が要ると思うのであります。それらについてどういうような対策をとられようとしておるのか。 同時に、今民間の人たちが経験的にいろいろと調査をなすったり、これかももしていただくわけでありますが、国としてそういった指定した種や地域でどういう定期的な状況調査をなさろうとするのか、ここらについてお尋ねをします。
○伊藤(卓)政府委員 種の指定あるいは保護区の指定に関しましては、やはりきちんとしたデータを持つということが基本でございまして、従来、いわゆるレッドデータブックの編さんに当たりましては学者の先生方のいろいろなルートを通じまして情報を得ておるわけでございます。 種についてはある程度マークできるものの、具体的な生息地については、先生方が必ずしも押さえてないものもあるし、大事だから出したくない、実はそれらを無理無理お願いをしてまとめ上げたというのが現況でございまして、それをさらに一歩進めて地域指定ということになりますと、そこにおける保護活動が伴わないとやはりとられてしまうとかいう不安が非常にございます。したがって、いろいろなところで御説明する場合にも具体例を出すのは我々も非常に心配しながら出しておるわけでございますが、現に守られておるところは地域の方の活動に負うところが多うございますので、そういったものをできるだけ援助できるようなことを考えたいし、それから法案の中にも、ボランティアでございますけれども、そういった保存推進員といったものも活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。 いずれにしましても、今後、予算措置等を通じてそういったものを強化してまいりたいと考えております。
○中井委員 今出したくない、そっと大事に保護したい、こういうお話でありました。私もふっと今思い出したのですが、昔私どもの近所でムラサキソウの野生地を見つけた人がありまして、新聞に僕が言えよと言うたら、絶対に言わない、自分だけで見るんだ、言うたら明くる日にもう全部とられてしまう、こういうことを言われて、なるほどそんなものかなという思いがしました。しかし、こういうものを保護したり守ったり繁殖をさせたりというのには地域の人たちの御理解もいただかなければならない、こういう面もあろうかと思います。そういったところの調整をどういうふうに役所が関与してやっていけるのか、不安な面もありますし激励の面もございます。その点でお答えをいただきます。
○伊藤(卓)政府委員 まさにごもっともな点かと思います。私どもとしてはこの法律をできるだけ円滑に運用したいということで、この四十九条にも規定がございますが、定期的に調査をしていくためには、そういう調査のルートといたしまして、従来からお世話になっております緑の国勢調査におけるいろいろなグループ、それからレッドデータブックの調査に当たりました先生方のグループ、そういったものを十分尊重し活用さしていただきながら進めてまいりたいと思っております。
○中井委員 そういう地域指定等を含めまして、住民の意見を聞いたり、それから公聴会を開いたり、あるいは地方公共団体の意見を聞いたり、こういうことであります。どのくらい期間がかかるのだと言ったら、大体自然環境保全審議会の意見等も聞いて二、三カ月だというお答えでありましたが、利害関係の意見を聞くと同時に、それらの地域を守ってきたあるいは種の保全に情熱を燃やしてボランティアでおやりになった方の意見というものを十分聞いて、期間ということだけではなしに、あるいは画一的なやり方だけではなしに、柔軟な対応でおやりいただきたい、このことを要望いたしますが、お答えいただきます。
○伊藤(卓)政府委員 指定に要する期間、今二カ月ぐらいと御指摘ありましたけれども、恐らくそれは準備が整って形式的に要する期間でございまして、それを本当にやるためにはかなりの時間、今先生がおっしゃったように具体的にやっておられる方々の御意見も聞けば、また地元の所有者なり土地の利用関係、その度合いが複雑かどうかによりますけれども、いろいろな調整が必要だろうと思います。これは鳥獣保護区の設定等に当たって十分今まで経験しておるところでございますので、そういったものも生かしながら、時間をかけてでも守るものは守っていくということでいきたいと思っております。
○中井委員 捕獲規制の規定がありますが、この中で学術研究等の目的で環境庁長官の許可を受けた場合、それから同時に、生命、身体の保護その他やむを得ない場合を除く、こういう形になっております。かってこの委員会でも、随分カモシカの捕獲問題あるいは野生の猿の問題、こういったことで議論のあったところであります。生命、身体の保護その他やむを得ない場合にはこの捕獲ができる、こう読めるわけでありますが、この場合には、種の種類によって違うと思いますが、許可を出すのはやはり環境庁長官ですか。
○伊藤(卓)政府委員 この法律の仕組みとして許可は環境庁長官でございますが、今のような人の生命または身体の保護上やむを得ない場合といったようなそういうケースというのが、今回のこの絶滅危惧種についてあるほどに数がふえてくれれば、これはまた逆説的ですけれども、非常にありがたいことでございます。ただ、そういったものをふやしていくための指定あるいは保護事業の際にどういったとり方をすればそういった問題も起きないかということも含めて指定の段階で考えていきたいと思っております。
○中井委員 最後に、こういう法案が出てきて、各党側賛成で通過するのでありますが、私どもも大変結構なことだと思いますが、世界各国でこういう種の保全についてこういう法律がつくられているのだろうか。同時に、そういう世界各地のレベルと比べて日本のこの法律あるいは行政の今の種の保全に対するレベルというのはどんなものだろう、こんなことを最後にお尋ねをいたします。
○伊藤(卓)政府委員 種の保存という観点での立法例というのは余りないわけでございますが、似たような例としてアメリカにございます。ただ、今度生物多様性条約がうまくサミットでまとまりまして、それに応じて各国が国内体制を整備をしていくということになりますれば、それぞれの国の状態によりますが、生態系の保全あるいは種の保全に応じた体制整備がなされるものというふうに考えております。
○中井委員 前にも委員会で申し上げたのですが、旧ソビエトで環境大臣と、環境委員会の派遣で行きましたときに、シベリア等でもう何にも手のつかない本当に原始そのままの地区が二十数カ所、超自然公園みたいな形で指定されておる、ここにはどんな種があるかもわからないし、何が出てくるかもわからない、ここはソビエトの力では到底研究できないから、日本に任じて研究を助けてくれなんという話があって、委員会でも要請をしたことがございます。世界のレベル、国際協調ということも書いてございますが、十分国際協調をなさって、世界的に恥ずかしくない実りある実行ができますよう最後に要望しまして、質問を終わります。
○小杉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○小杉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小杉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○小杉委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君、馬場昇君、斉藤節君、寺前巖君及び中井洽君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。馬場昇君。
○馬場委員 私は、ただいま議決されました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、野生動植物の保護は、国民的関心事であることを踏まえ、さらに我が国の国際的使命の重要性にかんがみ、国際協力及び国際貢献の一環としての野生動植物の種の保存活動に資することを目的として、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。 一 「希少野生動植物種」及び「生息地等保護区」の選定に当たっては、国の内外また官民を問わず、有識者並びに各種機関の知見を積極的に徴すること。 一 昭和六十二年、「絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律案」審議に際し、本委員会が採択した附帯決議を踏まえ、「国際希少野生動植物種」は、ワシントン条約附属書Ⅰの種に限定することなく、同条約の効果的実施に資するよう、その範囲を定めること。 一 「国際希少野生動植物種」として指定された種の個体については、部分及び派生物並びにそれらの加工品まで規制対象にするよう検討すること。 一 国庫に帰属した生きた「国際希少野生動植物種」の個体につき、原産国への返還を含め、必要な措置をとること。 一 「国際希少野生動植物種」で、学術研究を目的として輸入された個体及びその次世代以降の個体について、ワシントン条約の趣旨に沿った利用が行われるようその取り扱いに関する基準を設けること。 一 「国内希少野生動植物種」の「保護増殖事業」については、個体の増殖、生息環境の維持及び管理等を積極的に行うとともに、地方公共団体及び民間団体が行う保護増殖事業に対する技術的支援を行うこと。 一 希少野生動植物を始めとする野生動植物の種の保存のために必要な措置を適切に実施するための体制の整備に努めるとともに、科学的調査、研究を強化すること。 一 絶滅のおそれのある野生動植物の種の現状を把握し、国民に対する普及啓発に積極的に努めるとともに、本邦内外の希少野生動植物を含む野生動植物の種の保存に関して、環境教育の視点からも積極的に取り組むこと。 一 生物の多様性の重要性にかんがみ、海外の野生動植物の種を保存するため、原産国における個体及び生息環境の保護等に関し必要な技術、人材の育成その他の国際協力を推進すること。 一 関係省庁及び地方公共団体等は、連携を密にし、野生動植物の種の保存の一層の推進を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○小杉委員長 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小杉委員長 起立総員。よって、鈴木恒夫君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、中村環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。中村環境庁長官。
○中村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。ありがとうございました。(拍手) ―――――――――――――
○小杉委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○小杉委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十一分散会