外務委員会 第6号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/04/17
会議録
○麻生委員長 これより会議を開きます。 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
○川島委員 私は、ただいま議題となっております所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約を改正する議定書及び我が国とノールウェー王国との間の条約の改正、さらに新たに結ぶ我が国とルクセンブルグ大公国との条約について、順次お尋ねをいたしたいと思います。 まず、オランダ王国政府との条約についてでありますが、一九七〇年三月三日に締結されておりますこの条約は、今日までどのような経過をたどって運営がなされてきたかについて、まずお伺いをしたいと思います。
○志賀説明員 お答えいたします。 一九七〇年に締結されましてから、両国の経済関係の交流に従いまして適宜適用がなされ、両国の経済関係の発展に著しく資するものがあったと心得ております。
○川島委員 一九七七年のOECD新モデル租税条約案が規定された以後において、我が国は、オランダ王国との間で条約のいろいろいな相違点について討議がなされてまいりましたか。 さらにまた、我が国として、この新モデル租税条約案についてどのように受けとめてきたのか。このことについてお伺いをしたいと思います。
○志賀説明員 御案内のように、OECDのモデル租税条約は六三年にでき上がりまして、その主要な諸原則というのは大体その六三年モデルにおいて完成を見たわけでございます。その後、七七年に全文改正のような形で改正が行われましたが、その大宗は、実質的な相違は余りありませんでした。芸能人条項その他の幾つかの新しい部分 はありましたが、非常に大きな内容的な変更があったといったぐいの改正ではございませんでした。
○川島委員 この条約の範囲に規定されております各年度の末にそれぞれの国の税法について行われた改正をお互いに通知をする、こういうことが記されているわけでございます。三十八カ国と条約が行われているわけでございますけれども、これらについて、現状をどのようになされてきたのかをお伺いをいたします。
○志賀説明員 我が国租税条約の半数強のものにこのような改正内容の通知の規定がございます。それで我が国当局は、年次改正がありますたびに英文の文書を送付するという形で相手国に送付いたしております。これは改正内容の通知が義務づけられてない国に対しても行っております。 他方、条約の相手国からは通常、直接にあるいは随時、国際会議の場を通じる等の形で改正税法に関する資料が定期的に我が国に対し送付をされております。
○川島委員 今回改正を行う事項の一つとして、親子関係にある法人間で支払われる配当に対する源泉地国としての我が国の限度税率を現行の一〇%から五%に引き下げるということになっておりますけれども、このことは我が国にとってメリットがあるのかどうか。この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
○志賀説明員 御案内のように、モデル条約におきまして親子間配当の限度税率は五%と定められておりますが、我が国はこれまでの条約例、いずれも一〇%として締結してまいりました。これは我が国が法人税率、配当軽課税制度をとっておりますために、この配当分、留保分の差額に該当する部分について中立性を確保するという形から一〇%という税率を維持してまいったわけでございます。 ただ、御案内のように六十三年の抜本税制改正におきまして配当軽課制度というものが廃止されました。したがいまして、我が国はモデル条約の五%というものから乖離した一〇%を維持する理由がなくなりましたので、かつオランダとは、書簡によりまして、そういうことになりました場合には一〇%を五%に引き下げるという約束をしておりまして、その約束に従いまして五%に引き下げました。そういう意味で、我が国はまずそういう約束を守ったということによりまして、国際社会に我が国は約束を守る国ということを示すことができた、それが一つの大きなメリットかと思います。 もう一つのメリットといたしましては、これによりましてオランダ国から我が国に対する対外直接投資というものが入ってくるということがある程度期待される。まあ微々たる差ではありますけれども、対日直投の促進が図られるということも一つのメリットかと考えておる次第でございます。
○川島委員 この限度税率がモデル条約に基づき同率となっていない国が我が国と三十八カ国との条約の中にまだ多々あるわけでございますが、今後これらについてどのように扱っていくのか、お伺いをしたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおりOECDモデル条約と御指摘の点につきまして異なっている国がございます。また、限度税率そのものが相手国の税制事情によりましてOECDモデル条約ともまた異なっている国がございます。例えばオーストリアについては、一般の配当につきましては二〇%、親子については一〇%等々でございます。 それで、今回締結いたします三条約につきましては、先ほど御説明申しましたとおりOECDモデルと同様の五%の限度税率を採用しておりまして、今後も相手が同意いたしますればOECDモデルどおりとする、そういった基本方針で臨んでまいりたい、さように考えておる次第でございます。
○川島委員 先ほどの答弁では、我が国は約束事を守る、この答弁ではメリットが我が国になくなる条約の改正だと受けとめているわけです。それがモデル条約に基づいてまだ三十八カ国と、守られてない国がたくさんあるわけでございますが、これらについて協議が進んでおるのかどうか、この点についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○志賀説明員 五%という税率になってない国に関しましては、逐次交渉に向けて努力を積み重ねていく。また、今五%という形になっていない一 〇%で締結している諸国から、逐次改正の申し入れがあることが予測されます。
○川島委員 次に、現在我が国と租税条約を締結している国が三十八カ国、旧モデル条約のまま今日に至っている国が多々あるわけでございますが、その各国との改正のための協議というのはどのようになされてきておるのか、経過についてお伺いいたします。
○野村説明員 お答え申し上げます。 何分、OECDモデル条約、特に新しいモデル条約の採択、締結が一九七七年でございますけれども、それ以前に結ばれた国がパキスタン、オーストリア等十八カ国がございます。基本的に私どもはこういうふうに認識しております。 新旧のOECDモデル条約案と申しますのは、租税条約締結国間の基本的な課税関係について変更をもたらすものではないのだ、その規定ぶりにつきまして一層の、どちらかと申しますと整備を図るということでございます。そういう意味におきまして、こういった十八カ国との間の租税条約について特段の不都合というのが生じているというふうには認識しておりません。 他方、そういうことでございますので、先ほど申しましたような点につきましては、相手国の要望等も考慮いたしまして新しいモデル条約に適合させていくということは基本方針といたしておりますけれども、新旧OECDモデル条約の差ということだけに着目した、そういう意味におきまして相手国の方から交渉の申し入れというのがあるわけではございません。そういう意味におきまして、そういう交渉が行われているということはございません。
○川島委員 今回、ルクセンブルグ大公国と条約を締結するわけでありますけれども、現在我が国の海運及び航空機が行き来している国で、まだ租税条約が締結されてない国があるわけでございますが、これらは現在どのくらい存在しておるのか。さらにまた、ルクセンブルグ大公国との条約を締結するについての基準というものが何かあるのかどうか、この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
○土橋説明員 お答え申し上げます。 まず、航空の分野でございますけれども、現在我が国と租税条約を締結していない国で我が国の定期航空企業が乗り入れている国の数としては三カ国ございます。 さらに、海運の分野でございますけれども、同じく我が国と租税条約を締結していない国で我が国の海運企業が乗り入れている国、これは定期船の主流を占めるコンテナ船で申し上げますと、コンテナ定期船が寄港している国は約二十一カ国ございます。
○川島委員 海運なり航空なりが乗り入れている国で結ばれていないということは、我が国にとってはメリットが失われているという判断をするわけですけれども、これは間違いでしょうか。
○土橋説明員 先生御指摘のとおりでございまして、我が国の航空企業あるいは海運企業が乗り入れているにもかかわらず租税条約が締結されていないという状態になりますと、二重課税の問題ですとかあるいは相手国と我が国双方で納税の手続をとらなければだめとか、企業にとりまして非常に手続的にもあるいは経費的にも負担になってくる現状でございます。
○川島委員 先ほど外務省に、今回のルクセンブルグとの条約締結についてどのような基準に基づいてやられているかということをお伺いしたのですが、返事がないわけです。 今お話を聞きますと、二十一力国と航空の三カ 国、これらの国々と早急に締結をすることが我が国のメリット、プラスになる、こういうことでございますから、外務省は早急に協議を始めてもらわなければいかぬわけでございますけれども、どのような状況になっておるのか、まずお伺いしたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 租税条約につきましては、先生御案内のとおり国際的な二重課税を排除するということによって総合的に経済を中心といたしました関係をできるだけ発展していく、そういう大きな目標がございます。したがいまして、現在までのところ三十八カ国と結んでおるわけでございますが、これは二国間のそれぞれの経済、文化交流その他の関係を総合的に考えまして、そういう経済、文化、人的交流の促進に資するものとして基本的には前向きに対応していくべきもの、そういうふうに考えている次第でございます。
○川島委員 我が国がオランダに輸出している金額が三十五億九千八百万ドル、主な製品としてコンピューター、乗用車、複写機、テレビカメラ等、さらにオランダから我が国に輸入している金額として五億九千五百万ドル、主な製品が球根、鉄の半製品、写真フィルム、冷凍の魚等でございます。 今回の改正で我が国がこれらの輸入と輸出の差から見て非常にメリットが損なわれるわけでございますけれども、租税条約に基づき現在相手国に支払っている租税の総額、これを我が国はオランダにどのくらい払っているのか、さらにまたオランダからいただいている費用は幾らなのか、特に使用料等について我が国が相手に対してどのくらい払っているのか、内訳についてお伺いをしておきたいと思います。
○志賀説明員 本邦企業が外国に支払う税金といたしましては、現地企業、在外支店が支払う法人税、消費税、資産税、それから外国から日本に支払われる利子、配当、使用料に対する源泉税などが考えられます。ただ、それがどのくらいの額になるかは明らかでございません。ただ、本邦企業が外国で支払った法人税等で日本で納付すべき法人税から控除された額、いわゆる外国税額控除による法人税額は平成二年分で約四千六百億円という数字が出ております。ただ、これが各企業が世界各国に支払った税金を国別に集計するというシステムができておりませんので、お尋ねの国の分が幾らになるかというのは明らかにできません。 それからまた、逆に外国企業が日本に支払う税金についても同様でございまして、ただ手元の資料で明らかになっておりますのは、非居住者に支払われる利子配当等について日本が源泉所得税により徴収した税額、これが平成二年分で約二千億円となっております。それで、コンピューターのインプット等の関係で、国別に集計するシステムになってございません。
○川島委員 我が国が外国法人に対して企業の実態の掌握が非常に課税面で甘い、こういう声があるわけでございます。それは、今答弁でもおわかりのように、大蔵省は各企業についての内容等緻密なデータを全然お持ちじゃないわけなんですね。 今日のように科学が進んで、我が国は先端技術を世界に誇る大国と言われているのに、コンピューターすらそれらに適用されていないというのは非常に残念に思うわけでございまして、この件についてはこれらのデータ掌握をきちっと整備をされて、我が国に各国から来ている我が国で活躍している、いろいろな租税、いろいろな形で納めてもらっている費用も商品ごとにきちっとわかるように、そういうデータをひとつ蓄積をしていただきたいと要望しておきたいと思います。 次に、オランダにおける在留邦人の数だとか留学生、前年度対比で何名ぐらい、さらに日本へ来ているそれらの人たちがどのくらいか、このことについてお伺いをしておきたいと思います。
○津守政府委員 お答えいたします。 オランダにおける在留邦人数でございますが、昨年の十月一日現在で四千八百九十人、なお留学生はうち三百六十六人でございます。他方、日本におけるオランダ人は、九〇年十二月現在の数字が最も新しいものでございますが、合計七百四十九人、うち留学生が二十六人、こういう結果になっております。
○川島委員 残念ですね。私が質問予告をして、出した答弁が九〇年のデータです。これが今の外務省のアークなんです。少なくとも昨年の十二月現在で何名我が国にこういうふうに見えて、そして我が国から向こうにどれだけ行って、こういう答弁が通常じゃないですか。九〇年のデータですよ。九一年の末、九二年の二月とか三月の末、こういうデータの返事が返ってこないというのは、またそれらの事務的能力が非常に欠けているような気がするわけでございまして、この点についてもひとつ十分な対応を要望しておきたいと思います。 次に、オランダの国に滞在する我が国の科学技術の交流、これらの研究者ですね、我が国へ向こうから迎えている国立研究所なり文部省関係の研究所なりについての科学者の交流等について、見えている人たちについての人数をお伺いしておきたいと思います。
○白川説明員 まず、科学技術庁関係についてお答え申し上げます。 科学技術庁の関係では、私ども科学技術庁の中に、国立の試験研究機関の研究者を海外に派遣する制度、それから逆に国立の試験研究機関等に外国人研究者を招く制度、さらには特に若手のポツドクと言われるクラスの研究者をフェローという形で招く制度、こういう制度を持っております。 この制度で招いております、あるいはオランダの方に派遣をしております人数について実績を申し上げますと、平成元年度、二年度、三年度の各三年の合計でございますが、オランダの方に派遣をしておりますのが二十四名、それから先ほど申し上げました逆に研究者を招く制度、それからフェローシップの制度、これで招聘をしておりますのが十六名。平成三年度のみに限って申し上げますと、派遣が九名、招聘が四名、こういう格好になっております。
○川島委員 今回の条約改正で説明書の中に、今後ますます文化交流も促進される、こういううたい文句があるわけでございますけれども、これは何を根拠にこのようなことを言われでおるのか、特にここで文化交流が今日オランダとの間でどのように行われてきておるのか、この点も含めてお伺いをしておきたいと思います。
○津守政府委員 それでは私の方から、現在どういう文化交流がオランダとの間で行われておるか、御説明いたしたいと思います。 オランダとの間では文化協定が締結されておりまして、人的交流、芸術交流、学術教育交流、スポーツ交流等各種の分野で文化交流がこれまで着実に進展してまいりました。主な行事といたしましては、八四年に日蘭修好三百七十五周年記念事業としてロッテルダム市におきまして「日本展」が開催されましたし、八九年には日蘭修好三百八十周年記念事業としまして日本の各地で「オランダ・フェスティバル89」が開催されております。
○川島委員 次に、航空機の乗り入れ関係でございますけれども、オランダが旅客便が週五便、貨物便が週一便名古屋へ来ております。さらに我が国の方からは、日本航空が旅客便が週三便アムステルダム、日本貨物航空が週三便アムステルダムに乗り入れているわけでございますが、後で出てまいりますルクセンブルグとの間では、我が国へは福岡空港へ貨物便が週二便来ているわけでございますけれども、我が国の方がルクセンブルグヘ全然入ってないわけですが、これはどういう関係でそのようになっておるのか。 さらにまた、オランダとの間でこれらの前年度対比で乗客の異動だとか貨物のトン数だとかそういうものは掌握しているのかどうか、この辺について御答弁をいただきたいと思います。
○羽生説明員 お答えいたします。 先生の御指摘のとおり、ルクセンブルグには日本企業は参っておりません。これは一つには、荷動き関係でございますとエアカーゴ、カーゴを運 ぶ企業二社が入るだけの十分な需要がないからではないかというふうに考えております。 それからまた、もう一つの理由といたしましては、先生御承知のとおりルクセンブルグとオランダの間はかなり近うございますので、日本の企業はやはりオランダのアムステルダムへサービスを集中しているのではないか、かように考えられます。 また、今先生あわせてお尋ねになりました輸送の実績でございますが、日本発ベースで申し上げますと、一九九〇年度で約十四万人の旅客がございます。一方、貨物についてはやはり日本発ベースで一万三千トン強、一万四千トン弱の需要がございます。一九九一年につきましては速報値でございますが、おおむね九〇年と変わらない数字でございまして、貨物については若干ふえている、このような状況だと把握しております。
○川島委員 次に、スリナム及びオランダ領アンティルの扱いについてお尋ねをしたいと思います。 条約の中では、「「オランダ」とは、オランダ王国のうちヨーロッパに位置する部分」と言われているわけでございますけれども、当初の交換公文は存続されることになっている、こういうふうに言われているわけでございますが、この辺の事実関係についてはいかがでございますか。
○野村説明員 オランダ領アンティル及びスリナムとの関係というふうに理解いたしたわけでございますが、スリナムは七五年にオランダより独立しておりまして、現在オランダ王国は、オランダ王国及びオランダ領アンティルから成っておるというふうに考えております。 また、オランダとの租税条約の第三条で定義いたしておりまして、「「オランダ」とは、オランダ王国のうちヨーロッパに位置する部分をいう。」というふうに規定されておりまして、したがいまして、この租税条約はオランダ領アンティルには適用されない、そういうふうに理解いたしております。
○川島委員 昭和四十五年五月十一日の外務委員会の会議録がございまして、ここで中川議員の質問で、「これらの地域にスリナム及びオランダ領アンティールは入っていたんでしょうかこういう問いをしているわけです。ここにきちっと同じように、「オランダ王国のうちヨーロッパに位置する部分」と条約が結ばれているわけですよ。 その審議の中で、山崎説明員は、「仰せのとおり、オランダ本国に加えましてスリナム及びオランダ領アンティールにも」交換公文が「適用されておったわけでございます。したがいましてさしあたりこの条約よりもこの交換公文は適用範囲が広いので、そのまま一応存続させるということになっておるのでございます。」こういう答弁になっているわけですが、これがいつ外されたのですか。ここにありますよ議事録は、昭和四十五年の。
○野村説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘になりました交換公文というのが、私ども合租税関係でオランダとの間でどういう条約関係に立っているかということで見たわけでございますけれども、この租税条約のほかに、交換公文といたしまして、私どもの把握しておりますのは、国際運輸業所得免税取り決めと申しますのが結ばれている、それ以外には承知いたしておりません。
○川島委員 時間がございませんので、この四十五年の議事録を国立図書館で私どもは手に入れてきておりまして、そこにはっきりと書かれておりますので、これを一遍後ほど精査をしておいていただきたいと思います。 次に、日本国とノールウェー王国との間の所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約についてお尋ねをいたします。 この条約は、現行に比べ、全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れ、他の国との間で締結した租税条約と同様、「OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。」こういう説明がございます。 しかし、新たに沖合における天然資源の探査・開発活動を恒久的施設として認め、沿岸国に課税権を認めております。さらに、国の定義を拡大をいたしまして、従来の領土、領海に限られていたものを、領海のみならず、領域周辺の一定水域も含めることといたしておりますが、どういう理由と経過に基づいてこのような話が取り決められてきたのか、その改正の経過について、我が国のメリット、デメリットがどのようにこれに行われていくのか、この辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
○野村説明員 今御指摘の北海油田との関連で、基本的な事項について私の方からお答えさせていただきます。 まず、北海油田を有しておりますノールウェーといたしましては、自国の沖合におきます天然資源の探査・開発活動から生じます所得に対する沿岸国といたしましての課税権の確保及びその明確化に強い関心を有してまいりました。ノールウェーがほかの国と結んでおる、あるいはこれから結ぶ租税条約にこうした立場も反映した規定を置く、そういうことを租税条約締結の基本方針としている、そういう事情がございまして、それを受けまして今回その趣旨の規定が置かれたということでございます。 何分、通常、租税条約におきましては、先生御案内のとおり恒久的施設に対して課税というのが基本的な考え方でございますけれども、今回の租税条約の全面的な改正におきましては、ただいま申しましたノールウェーの基本方針を受けまして、それを反映させたということでございます。 メリット、デメリット等につきましては大蔵省の方からお答えさせていただきます。
○志賀説明員 今御答弁申し上げましたように、オフショア関係の恒久的施設の定義によりまして、資源の開発・探査に関する課税関係が明確化する、これが一つのメリットでございます。 それから、居住者の定義に関しても、最近のOECDにおける議論の動向を取り入れまして、明確化するということも一つのメリット。 それから、芸能人条項による文化交流免税、これも一つのメリットでございます。 それから、親子間配当、先ほども御説明いたしましたように、一〇%を五%に引き下げるということによりまして、対外直投を相互にし合うということが増加する、こういうようなメリットがあるというふうに存じておる次第でございます。
○川島委員 この条約で、領域周辺の二足の水域というのは一体何を基準に決定されているのか、これはノールウェーの場合ですね。我が国の場合はどのような線引きが考えられておるのか、この点についてお伺いをしておきたきい思います。一さらに、公海における漁業活動により取得する所得については従来どおり租税は免除されている、こういうふうに理解をしていいのか、これもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 まず、国の定義によって追加された周辺水域の関連でございますが、これは日本及びノールウェー双方においても共通でございまして、双方とも現時点において漁業に関する管轄権が認められておる距岸二百海里までの水域及び大陸棚である、そういうふうに理解されます。 それから、漁業活動から取得する所得についてでございますが、これは現行の条約におきましては、確かに、企業が漁業活動等に従事する船舶の運用により取得する利得を、国際運輸業所得と同様、その企業の居住地国においてのみ課税する旨の規定が置かれておるわけでございますが、ノールウェー側の方から、こういった規定はOECDモデル条約にもないレ、ノールウェーの最近の条約においても規定しない方針だということで、削除してくれという提案がございました。実は日本がほかの国との間で締結しております。そういう条約においてもこういった規定を置いていないということもございまして、我が国もこれに同意した次第でございます。 その結果、この条約におきましては当該所得は事業所得として扱われることとなるわけでござい まして、相手国に支店等のいわゆる恒久的施設がない限り相手国では課税されない、そういう扱いに相なります。
○川島委員 そうすれば、今回の領域周辺の一定水域の決定というのは天然資源の探査・開発活動の課税をするために設けられた、こう受けとめていいわけですか。
○野村説明員 最近、沿岸国がその領域の外側に位置する一定の水域に対しても主権的権利ないし管轄権を行使し得るというのが一般国際法上確立いたしてまいりました。したがいまして、そこにおきます活動に係る所得の課税関係についても、やはり二重課税の防止という場合には対象にして規定すべきである、そういう基本的な考え方でこのような国の定義を変えるというふうにいたした次第でございます。
○川島委員 現在ノールウェー沖合で石油及び天然ガスの探査・開発をアラビア石油、三井石油開発、出光興産、出光石油開発の四社が行っておると聞いております。我が国企業の活動状況と、今回の課税権を認めることによってこれらの企業が受ける影響はどのようなものがあるのか、お伺いしておきたいと思います。
○志賀説明員 お答えいたします。 これまで本邦企業は現地法人形態で探査・開発活動を行っていると承知しております。この場合、現地子会社はノールウェー居住者になるわけでございますので、ノールウェー居住者として法人税等を支払うことになっておりますので、今回のオフショアに関する改正の影響はありません。 ただ、現地子会社から日本に送金される配当に対する源泉税率が一〇から五に軽減されることになった分はノールウェーに支払う税金が軽減されるということでございます。仮にでございますが、本邦企業がノールウェーの沖合で直接資源の探査・開発活動を行う場合には、探査活動のみを請け負う場合はともかくとしまして、通常資源を発見しその採掘を行って初めて利益がてることになる、その場合には長期にわたって一定の場所で活動が行われることになりますので、今回の改正をまつまでもなくノールウェーで課税を受けておるということでございまして、その意味で今回の改正は課税関係の明確化を図ったものであるというふうに考えております。
○川島委員 今回の改正で領域外とも言えるところで行っている企業活動に対して課税をすることはほかの条約国にも影響があると思うわけですが、どのように受けとめておるのですか。
○野村説明員 私が先ほど答弁で申し上げましたのは、沿岸国が領域の外側に位置する一定の水域に対して主権的権利あるいは管轄権を行使するということが一般国際法上確立している、そういう基本的な考え方でございますので、したがいましてそれ以外の地域についてこの課税権の調整を行うということではございません。したがいまして、日本、ノールウェーそれぞれにつきまして、いわゆる二百海里の漁業に関する水域とそれから大陸棚ということでございます。ほかの第三国との領域を対象にしたものではございません。
○川島委員 次に、居住者に対する課税についてOECDモデル条約の自動振り分け基準に従った、こう説明がなされているわけでございますが、従来と具体的にどこが変わったのですか。
○野村説明員 御指摘のとおり、この振り分け基準につきましては、今回本条約におきまして基本的にはOECDモデル条約案と同様のいわゆる自動振り分け基準というのを採用することといたしました。自動振り分け基準といたしまして、個人でございます双方の居住者について、基準といたしまして、まず重要な利害関係あるいは常用の住居それから国籍、当局間の合意、そういった順番でそれぞれの基準に従いまして居住者となるべき国を決定するということでございまして、これによりまして考え方としては双方の居住者の振り分けがより明確な基準のもとで行われることとなりまして、条約の円滑な実施が確保される、そういうことにむしろ貢献するということになるんではないか、そういう考え方でございます。 〔委員長退席、新井委員長代理着席〕
○川島委員 次に、不動産所得の関連で新たに農業及び林業が含まれることになっているわけでございます。このノールウェーでどんな事業が農業及び林業で営まれておるのか、また我が国にノールウェーから行われておるのかどうか、この辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
○志賀説明員 具体的に相互に乗り入れてと申しますか、相手国に出かけていっての農林業の展開ということについてはよく承知しておりませんが、実態面が伴っているものというふうには考えてございません。
○川島委員 次に、第十七条関係で政府間文化交流計画に基づく活動の源泉地国の免税に関する規定が設けられておりまして、さらに企業に帰属する芸能所得にかかわる課税権が定められております。これらは今日まで我が国とノールウェーにおける文化交流の実績の中から生まれてきたものだと判断をしているわけでございますが、具体的にどのような文化交流が行われてきたのか、お伺いしておきたいと思います。
○津守政府委員 ノールウェーとの間の文化交流は国際交流基金事業等の枠内で行われてまいりました。具体的には人的交流、芸術交流、学術教育交流等でございます。ノールウェーは一九八七年に、日本におきまして、他の北欧諸国とともに北欧文化紹介事業「スカンディナビア・トゥディ」展を開催いたしました。他方我が国は、一九九〇年、北欧各国で日本文化の紹介事業「ジャパン・トゥディ・イン・スカンディナビア」を開催しております。そのほか、ノールウェーにおいては、我が国の古典、現代舞踊の公演、日本映画祭あるいは各種の展示会等を開催いたしております。
○川島委員 次に、二十七条において条約の不正利用防止のため租税の徴収共助にかかわる規定が設けられておるわけでございますが、これらの規定に該当する事項が今日までノールウェーとの間で発生したことがあるのかどうか、この辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
○志賀説明員 徴収共助条項はこれからお認めいただく形になりまして、旧条約では該当する条項がございません。
○川島委員 次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約についてお尋ねをいたします。 この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流などに伴って発生する国際約二重課税の回避を目的として両国との間で課税権を調整する、また条約全般にわたりモデル条約案に基本的に沿っているとしております。 そこでお尋ねをいたしますが、平成四年三月五日のホース外務通商協力大臣との条約署名に至るまでの交渉の経過について具体的にお伺いしておきたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 ルクセンブルグ政府が、昭和六十二年でございますが我が国に大使館を開設いたしまして、それ以来、日本との間に租税条約を締結したいという希望を繰り返し表明してまいったわけでございます。政府は平成三年、その交渉の開始に同意いたしまして、その後九月にルクセンブルグにおきまして交渉が行われました結果、条約案文について最終的に合意を見るに至りました。本年三月、ルクセンブルグにおきまして双方代表の間で署名が行われた、そういう次第でございます。
○川島委員 我が国とルクセンブルグ大公国との間には既に、海運業、航空運輸業所得の相互免除に関する交換公文が交わされております。この条約の締結によって交換公文の扱いはどのようになるのか、お伺いしておきたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 今回締結いたしますルクセンブルグとの間の租税条約は、国際運輸業所得に対する課税関係の調整を含みます包括的な租税条約でございます。したがいまして、この条約が締結されることとなりますと、所得または租税についての既存の今御指 摘の取り決めというのは効力を失うことになるということを定めます交換公文を、この条約に関連いたしましてルクセンブルグとの間で取り交わした次第でございます。 なお、その交換公文、今回の条約の御審議に際しまして、参考として提出申し上げている次第でございます。
○川島委員 今回ルクセンブルグとの条約を結ぶことによって、ヨーロッパ諸国との関係国、とりわけEC統合に参加する国とまだ結ばれてない国があるわけでございますが、その扱いがどうなるのか。それからヨーロッパ関係で、ソビエト連邦が今度はロシア共和国に変わっていくわけですが、この辺の扱い、それからバルト三国との関係についての扱い、これらの対応の仕方についてお伺いしておきたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 ヨーロッパあるいはECの中で、まだ租税条約を締結していない国はございます。例えばギリシャとかバチカン、アイスランド、リヒテンシュタイン、ポルトガル等でございます。 基本的には、先ほど御答弁申し上げましたが、租税条約につきましては、二国間関係あるいは相手国の税制の状態をよく調べるといった点も必要でございますけれども、基本的には、二重課税を防止することによりまして経済関係あるいは人的交流を促進するという基本的な考え方の枠の中で、双方の要望が合致しますれば締結していくという方針でまいりたいと思っております。 なおただいま、ソ連邦のいわゆる崩壊に伴いまして、CIS諸国との租税条約の締結方針ということでございますが、まずロシア連邦につきましては、基本的には旧ソ連邦と継続性を有する同一の国家であると認識いたしておりまして、したがいまして、我が国と旧ソ連邦との間で締結されましたすべての条約その他の国際約束は我が国とロシア連邦との間で引き続き有効に適用されるものであるというふうに考えております。日ソ間には租税条約がございました。一九八六年に締結されておりますので、当然にロシア連邦との間では適用されると考えております。 バルト三国も含めまして、それ以外のCISの各共和国につきましても、基本的には、日ソ間で締結されておりました条約その他の国際約束と申しますのは、ソ連邦の内部で起こった事情によって実質的に変更を受けるというようなことは、私どもの立場からいたしますと法的安定性の観点からはむしろあってはならないと考えております。そういった基本的な考え方で、条約の承継というのが原則として考え方として出てくるのではないかというふうに思っております。 ただ、現在までのところ、個々の条約、例えば租税条約でございますが、その具体的扱いにつきましてそれぞれの国と協議中でございまして、結論を見るに至っておりません。 バルト三国につきましても、基本的には今申し上げましたような考え方と同様でございますが、何分租税条約まで手が回らない事情もあるようでございまして、そのうち、協議は行っていきまして、基本的には先ほど申しましたように承継あるいは新たに租税条約関係をどうするかということについての話し合いを進めていくことといたしたいと考えている次第でございます。
○川島委員 あと時間が余りございませんので、今回のルクセンブルグとの条約を新たに締結することによりまして、外務省はOECDのモデル条約案を基本にして、こう言って説明がなされているわけです。しかし、この中身は、国際運輸業所得の第八条、それから投資所得の第十条、芸能人所得の第十七条、年金の十八条、その他所得の二十二条、持ち株法人等に対する条約の適用除外の二十五条、これらがモデル条約と変わった形で扱われております。 今後新たにつくっていかれるこういう条約の結び方というのは、モデル条約よりも、相手国のいろいろな対応の仕方によってこのような対応をしていく、こういうふうに受けとめていいのかどうか、この辺について確認をしておきたいと思います。
○志賀説明員 ルクセンブルグ、OECD加盟国でございますので、日本とルクセンブルグで結びますとき、OECDモデルに沿ってまいるということを基本にしてまいりたいということは基本でございます。 ただ、例えばルクセンブルグの場合、持ち株会社という特別なスキームがあるというような個々の国の事情、それから相手国側の事情によりまして、時々乖離する、実情に即した条約を締結していかざるを得ないということは今後も続いていくものではないかというふうに考えておる次第でございます。
○川島委員 最後に、外務大臣にお伺いをしておきたいと思います。 今までの、条約改正二件それから新たに条約を結ぶところのこの討議の中で、我が国が各国へ出向いておって、条約改正に至る過程の中で、我が国に非常にデメリットになる改正点、それから早く結ぶことによって我が国の利益になる、こういう形がはっきりしておるというのがまず二十カ国近くあるわけですね。ECのこれから重要視されます国々においてもまだきちっとした対応がなされていない状況でございますので、早急にこれらの国々との条約を締結をする、こういう作業をひとつ始めていただきたいと思うわけでございますが、外務大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 御承知のとおりこの二国間の租税の二重課税の回避に関する条約につきましては、経済の交流の実態、今後の動向等をそれぞれ総合的に勘案をして優先順位を決めてやっていくべきものと考えておりますので、それからの諸状況をよく眺めながら、限りある人、それに携わっている人の数が非常に限定されておりますから一挙にできませんので、どこからやるか等については、客観的に眺めながら、できるだけ御趣旨に沿うよう今後準備を進めてまいりたいと存じます。
○川島委員 ありがとうございました。終わります。
○新井委員長代理 土井たか子君。
○土井委員 引き続いて租税三条約についてお尋ねいたしますが、今川島委員の方からもお尋ねのあったことに対して、引き続いて私は確かめておきたいと思うことが少しございます。 それは、ノールウェーとの租税条約の二十一条、この二十一条の条文の具体的な中身は北海油田に関する資源の探査・開発に関連する活動にかかわる所得について問題にされておるということでの質疑応答が先ほどあったわけです。この条文が署名されるまでの間、ノールウェー側からの要請が非常に強くあって盛り込まれた条項であるということを聞き知っておりますが、そのとおりでございますか。
○野村説明員 お答え申し上げます。 先ほど御答弁申し上げましたとおり、北海油田の開発に伴いまして、ノールウェーが沿岸国としての課税権がその地域に及ぶようにという方針を基本方針といたしておりまして、それを今回の全面改正に当たりまして強く求めてまいったということは事実でございます。
○土井委員 ということでございますと、同じく北海油田を採掘している国としてイギリスがあるのですが、このイギリスとの間の租税条約にはこのたぐいの条項がただいまございません。 この条項について、盛り込むまでの意義とか経緯について先ほど御説明がありましたから私は繰り返してここで聞きませんけれども、もう既にお答えになっていらっしゃる以上のことはおっしゃらないでしょうから申しませんが、そうなってまいりますと、これはイギリスとの租税条約を改正する必要性が出てくるのじゃあるまいかと思われて至極当然だと思うのです。この点、どうお考えになっていらっしゃいますか。 〔新井委員長代理退席、委員長着席〕
○野村説明員 お答え申し上げます。 確かに油田開発という点だけに着目をいたしま すと、そういう点は御指摘のとおりだと思います。他方、条約の改正となりますと、全体、総合的にいろいろと考えないといけない面もございますし、私の承知いたしておる限りにおきまして、イギリスの方からその点に着目いたしましてこの租税条約を改正したいという具体的な要望は出ておらないというふうに理解しております。
○土井委員 今までのところはこのノールウェーとの間の条約が具体的にこうなっていない段階ですから、これからこれが締結されて発効いたしますと、恐らくイギリスからも声が出ないとは限らない。それはそうでしょう。首を前に振っていらっしゃいますから、そのとおりだというふうな意思表示であると理解しまして、重ねて問いただしません。それはそのとおりだと思うのです。 さて、ノールウェーとの間の租税条約、今度は議定書を見てまいりますと、スカンディナビア航空職員の所得について規定しておりますね。この規定の中身がもしますと、スカンディナビア航空を共同運航している国々があるわけです。デンマーク、スウェーデンがそうだと思うのですが、デンマーク、スウェーデンとの租税条約にもこのような規定を盛り込む必要性が出てくるのじゃなかろうかと思われるのですが、この点はどうですか。今と同似の問題ですよ。
○志賀説明員 SASという企業体、非常に特殊でございまして、デンマーク、ノールウェー、スウェーデンのいずれにも居住者でないということがございまして、そのために乗務員の課税関係について疑義が生ずるおそれがあるということでございます。それで、ノールウェーから非常に確認的な問題であるからぜひ書かせてくれという要望がございました。ただ、条約に書くには適さないのではないかという形で、いわば下位法規であるこれに書きました。それで、デンマーク、スウェーデンからやはり我々も確認したいという要望があれば、あるいはやらなければいけないことになるかなと思います。ただ、今のところ、そういう要望はございません。
○土井委員 今のお答えからすれば、そういうことがデンマーク、スウェーデンから出てくる可能性は大いにあるということは御認識なすっていらっしゃる、それもまた当然ですよね。それもまた首を縦に振ってお認めですから申し上げませんが、将来の課題として、こういう問題をただいまのノールウェーとの間の租税条約が含みとして持っているという部分に対して認識しておくことが非常に大事じゃないかと思う気持ちで、ただいまお尋ねしました。そういうときには受けて立つというお立場におありになるというふうに認識してよろしゅうございますな。
○志賀説明員 そうでございます。
○土井委員 外務省の方も当然ですね。
○野村説明員 先ほどの大臣の方からの現実の仕事、交渉の優先度の問題がございますけれども、基本的にはただいま大蔵省の方から答弁のあったとおりでございます。
○土井委員 ちょっとお尋ねしたいことは、これは既に質問予告をしておりますから、恐らくは心づもりなどお持ちになって御出席いただけていると私は思うのですが、このたびの三カ国との租税条約、いずれもこれは徴収共助、それから情報交換の条項がございます。これまで我が国が締結した租税条約の中で、この二つの条項が盛り込まれていない国でOECDに加盟している国ということになると、これは何カ国ぐらいあるのでしょうか。ちょっとこれは難しい質問であるかもしれませんが、予告しておいた問題はこれから後で申し上げますから、まずそれを先にちょっと聞いておきたいのです。
○志賀説明員 OECD加盟国に限って見ますと、情報交換規定が入っていない国はスイスのみでございます。それから、逆に今度は徴収共助では、入っている国がアメリカ合衆国とフィンランド、この二カ国でございます。
○土井委員 実は一九八八年の一月にOECDの加盟国そしてまた欧州評議会の加盟国に対して署名のために開放することが合意された、税務についての相互執行協力に関する条約、これは略して、別名徴収共助条約とも言われておるわけでありますけれども、ございますね。これはモデル条約案ではなくて条約そのものというところが非常に問題だろうと思うのですが、多くないと思いますから、この条約について現在署名をしている国は何カ国で、どの国が署名をしているか、また既に批准をしている国があるかないか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
○志賀説明員 お答えいたします。 署名した国がフィンランド、オランダ、ベルギーで、さらに批准書を寄託した国がノールウェー、スウェーデン、及び留保つきですがアメリカと、三カ国、三カ国になってございます。
○土井委員 五カ国が批准書の寄託をした日から三カ月を経過してそして発効するということになると思うのですが、この条約は今後多国間の税務協力については重要な役割を果たすであろうということを非常に注目している人たちが多いわけですが、この徴収共助条約に我が国は加盟するつもりがおありになるのかどうか、これをひとつ承らしていただきたいと思います。
○志賀説明員 徴収共助条約が今後に占める位置づけにつきましては、土井先生のおっしゃられるとおりだと思います。 それで、それに関する、今現在政府部内で検討中でございますが、その考え方を適宜御説明申し上げますと、本条約で問題点というと変ですが、本条約では、要請国の租税というものに対して優先権が与えられておりません。国税債権の私債権に対する優先権というものが与えられていないという問題があります。 そうしますとどういうことが起こるかといいますと、外国からその外国の租税債権を我が国に依頼してきた場合に、優先権を持って執行できないということになるわけでございます。つまり、我が国税当局が、滞納者が納税を拒否しても、差し押さえ、換価処分ということを行えないという、問題点と言っていいかどうか、そういう性格の徴収協力になってございます。それにつきまして、そうしますと我が国が協力するあるいは相手国に協力を求め得る範囲というものが限られてしまうということになってしまうということがありまして、こういう現状を踏まえまして、我が国としては本条約の有効性等を見きわめつつ署名の是非につき引き続き検討しているというのが実は実情でございます。
○土井委員 大蔵当局は担当の責任省でいらっしゃるから、したがってこういう問題に対して御認識をどうお持ちになっていらっしゃるかというのは、対応に対しての大勢を決するだろうと思うのですが、同じ大蔵省関係、東京国税局徴収部長を今なすっていらっしゃる川田さんですね、「国際課税の基礎知識」という本の、にやっと笑っていらっしゃるから御存じだと思います、部分を見ますと、今おっしゃることとちょっとニュアンスが違うことが書いてありますよね。またそれも首を振っていらっしゃるから御存じのとおりなんです。 「被要請国は、要請国の要請に基づき、自国の租税債権を徴収するのと同様に、要請国の租税債権を徴収するために必要な措置をとることとされている。」この条約についてこう書いてあるのです。それはずっと解説されているわけですが。したがいまして、その大蔵省の御見解が、すべてそれは全くその御見解のみということではない。こういう見解が現に専門家、それは徴収部長として東京国税局にいらっしゃる方の著書の中にもあるわけであります。したがって、これは前向きでひとつお考えになるということがこれから考えられていいのでしょうか。つまり、この条約に日本としては加盟していく方向で検討していくということが考えられていいのですか。
○志賀説明員 川田部長の著書が手元にありませんので、ちょっと私の考え違いかもしれませんが、該当する部分は、マルチの条約の方でなくて今御提案申し上げているようなバイの条約の徴収共助条項が、国税債権の優先を租税条約実施特例 法に基づきまして持っておりますことについての記述であっ先かのように記憶しております。ただ、土井先生の御指摘のような徴収共助条約、マルチの徴収共助条約に対する態度決定がこうあるべきでないかという御指摘について、心して承ってまいりたいと思います。
○土井委員 これは私の読み違いでなければいいがということを思いながら、十一章のところで多国間執行共助条約についてお述べになっている部分での記述でございます。したがって、バイの条約ではございません。マルチの条約について、特に今私は特定して申し上げている徴収共助条約についての説明でございます。もう一度それはぜひ確かめてください。そうなんですよ。
○志賀説明員 もし川田部長の著書がそういうふうになっておるのであれば、それは川田部長の著書の間違いではないかと思います。
○土井委員 私も読み違いをしていたらこれは困りますから、もう、一度私はこれを読みましょう。 それで、そうすると大蔵省としてはこの見解をとらないということをおっしゃるんですな。それはちょっと問題ですよ。これは大蔵省の所管の職務の場所にいらっしゃる方ですからね。 ページ数を申し上げましょう。三百三十六ページをちょっと開いてくださいませんか、そこに本がございますならば。
○志賀説明員 もしお許しがいただけますれば、また原典に当たりまして、調べまして御説明させていただきたいと思います。
○土井委員 今の御答弁は御答弁として私は承っておいて、また改めてひとつそれは本に当たっていただいて、御意見など私自身聞かせていただくことにします。こちらもそれは少しまたそういう機会を持たせていただく、そういうことでよろしゅうございますか。お願いします。それじゃ、そのようにしましょう。 さあ、それで、どのようにこれは徴収共助条約に対して対応されるかというのはどうもまだはっきり聞かされていないので、肝心のところちょっと聞かせておいてください。
○志賀説明員 先ほども申し上げましたとおり、実は部内で鋭意検討作業中でございまして、今段階でどうしようということを申し上げられる段階にありませんので、御容赦いただければと思っております。
○土井委員 これは大蔵省の皆さんにしてみたら専門家ですから、そういうことについては専門的な分野で、したがって、その視野でお考えになるということもあるわけで、それは一面もっともだ、言ってしまえばそのとおりなんです。 しかし、これから国際社会はそのままでいいのだろうかという問題も一方で起こってきます。つまり、経済の国際化に伴いまして企業活動や経済交流というのが非常に活発になっていく中で、租税の回避や脱税の事例というのは多数見られるということも昨今の傾向としてございますから、この徴収共助条約に加盟するということなどは一つは非常に大事な課題ではなかろうか。さらに進んで、この条約は加盟国に限っていますから、したがってOECD加盟国以外の国に対しても加盟できるような趣旨の条約をつくって締結していくという方向で我が国としては努力していく立場に立つということが大変大事になってくるのじゃなかろうかと思うのですね。 つまり、自由貿易の恩恵というのは享受しています。そして、世界でも有数の経済国であるわけですから、そういう立場からしたら常にこういう問題に対しての日本のあり方や姿勢というのは注目されているのはもう言うまでもない話でして、これからどのような方向で、どういう姿勢で日本というのがこういう問題に対応していくかということは、ただ一国日本のみならず、世界に対して多大の影響とそれに対しての効果というのがあるわけですから、この辺も少し勘案していただいて、ぜひとも考えていただく必要があるということを、もう当たり前でわかり切った話ですけれども申し上げさせていただいて、先ほどのは宿題にしましょう。 さあ、それでもう一つ。日本から海外の経済活動に従事する海外勤務の人たちがふえています。外務省の海外在留邦人数調査統計、これは先ほど、九〇年のしかない、これは古い資料だ、昨年のがどうして出ないのか、昨年十二月のがもう出ているでしょうという御質問の中での御発言ございましたけれども、やはりこの統計の資料も九〇年なんですね、外務省から現在出ているものが。六十二万人を超えております。 海外勤務に伴って一つ問題があります。ほかにもたくさんありますが、ここで取り上げるのは一つの問題であります。年金保険料の二重払いや掛け捨てを防止するための諸外国との協定締結の必要がありますよという声が高まってぎていることなんですね。我が国では現在こうした海外勤務者の年金保険料の二重払いや掛け捨てに終わらせない方法というのが現行法制度の上でとられているかどうか、税法上の特段の配慮というのはこれに対してあるのかないのか、これはどのようになっておりますか。あらましのところをひとつまず聞かせていただきたいと思います。
○服部説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおり、私ども外務省といたしましても、このような海外で活躍する邦人がだんだんとふえてきておりますので年金の掛金の二重払い等をぜひとも防ぐ必要があるということで、具体的には既にドイツ、アメリカとの間でもって、まだ年金当局の事務的な協議の段階にとどまっておりますけれども開始しておりまして、私どもといたしましてはこのような年金当局間の協議の進捗ぐあいを見まして、厚生省とも協議しながら外交交渉の開始について検討していきたいと思います。 それから、先生御指摘の我が国における法制の問題につきましては、ただいま外務省として詳細に承知しておりませんのでお答えを差し控えさせていただきます。
○土井委員 質問の予告は申し上げていたのですけれども、これについてはやはりお答えいただくべきは厚生省からかもしれません。 したがいまして、外国との間では、今おっしゃったアメリカ、ドイツということが具体的国名として挙げられたわけですが、要は年金通算協定でしょう、問題になるのは。それで、これについては協定を結ぶための事務折衝が進んでいるという趣旨の今御答弁でございましたけれども、いつごろそれは具体的に外務省としては交渉に入れるということを今おっしゃっていただけますか。そういう見通しありますか、どうですか。
○服部説明員 お答え申し上げます。 ドイツとの間におきましては、そもそも最初にこの種の話し合いが始まりましたのは昭和四十二年でございますけれども、したがって非常に長い間事務レベルの協議が続いております。アメリカとの間におきましても同様に昭和四十三年に最初の接触がございました。御承知のように、年金制度というのは各国それぞれ非常に制度が違いますので、事務レベルの協議におきましてもこのようなおのおのの制度のすり合わせとか調整とかに相当の時間を要しているのだと思います。ドイツとの間におきましては、一番最近の接触は平成三年の六月、昨年でございますけれども、東京で行われております。 先生が御質問のいつごろには協定の締結の方向で話が進むかという点につきましては、そのような過去の経緯にかんがみましても合いつごろというふうに具体的な時期を申し上げることは残念ながらできませんので、その点のお答えはただいまの私の御説明で御理解いただきたいと思います。
○土井委員 まだその目安は立てるところまでいっていないということらしゅうございますけれども、海外勤務者の赴任先によって不利益をこうむるという場合も出てまいりますから、これは今のアメリカ、ドイツは言うまでもない話かもしれませんが、欧米諸国とやはりできる限り早く締結していくという心づもりで御努力をしていただく必要がぜひあるなと私は思っております。 したがいまして、その政府の対応について大い にここで御努力方を喚起しながら、もしもそういう協定が締結されるということになったら、これは国会承認条約でしょうね。いかがですか、外務省とされては。
○野村説明員 お答え申し上げます。 何分、先生も本当によく御承知のように国会承認条約になるかどうかにつきましては大平答弁がございまして、ちょっと中身を見てみないとわからないのですけれども、いわゆる法律事項に該当するものがあるような種類の協定になるという場合には、当然国会承認条約というふうに考えます。
○土井委員 教科書を読んでいただくような御答弁を聞かせていただく必要はないのであって、これは国内法と直接関係しますよ。それと同時に、今までにない制度を具体的に各国との間で、国対国という二国間で決めていこうというわけですから、これはやはり本来外務省とすれば国会承認条約にしたいぐらいはおっしゃる問題じゃないですか、そんな。そうでしょう、局長。もう一回お答えになりますか、いかがですか。
○野村説明員 何分、年金の話でございますし、中身が濃くなっていけばいくほどやはり法律事項の分野というのがふえてくるのであろうと思うのです。 私申し上げますのは、そういうことにおきまして、せっかく長年、先ほど御指摘がございましたけれども、話し合いを行っておるわけでございますので、そういう意味のあるような種類、今先生まさに国会承認条約という見地で御指摘がございましたけれども、本当に意味があるのであれば、やはり法律事項までも含めた内容の協定にしていくという方針であるべきだと思っております。
○土井委員 条約関係で、あと一問聞きます。 特許、ノウハウ、著作権などの提供、使用料ですね。これについては、OECDのモデル条約案では免税になっていると思いますが、いかがですか。
○志賀説明員 そのとおりでございます。
○土井委員 オランダとの租税条約十三条、ノールウェーとの租税条約十二条、新しく今度締結するはずであるルクセンブルグとの租税条約十二条、これは同じ条約の規定になっているのですが、この中では、当該締約国の法令に従って租税を課することができるとなっておりまして、日本の場合、我が国の条約例では、これは一〇%ということになっているのですが、オランダについてもノールウェーについてもルクセンブルグについても、同じくそれぞれの国の法令では、日本と同じような取り扱いをしているのですか、どうなんですか。 そして、それをお調べになっていらっしゃる間に追加して、もう時間ですから申し上げておきますけれども、これは、今のOECDのモデル条約案では免税になる中身なんですね。それを一〇%ということになることに対して、いろいろな異論がこれに対して向けられてはいないかということについても、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○志賀説明員 お答えいたします。 日本は、非居住者に支払いますロイヤルティーに関しまして、本則は二〇%、これを条約によりまして一〇%に引き下げております。それで、御指摘のとおり、ロイヤルティーに対する源泉徴収税率は、モデル条約の場合ゼロでございます。したがいまして、我が国は、OECDのモデル租税条約に対しまして留保を付しまして、一〇%という税率を今のところ維持しておるわけでございます。
○土井委員 それは事実に対しての説明にしかすぎない。私がそういうことについては質問の中で既に言っている部分について繰り返しをおっしゃったにすぎない。御答弁はこれから先のおっしゃるべき中身になるわけで、私の聞いたことに対してのお答えはまだ聞かされていないのです。
○志賀説明員 そうしております理由ですけれども、ロイヤルティーに対する源泉課税の一〇%を維持している根拠でございますが、一番主要なものは、担税力を認めておる、特に諸外国に支払いますロイヤルティーの方が出超でございまして、それなりの税収があるということが一つの理由になっております。おりますが、こういう人、物、金、さらには技術というものの交流がボーダーレスエコノミーと言われている中で進んでいく時代において、何らかの形でこれを維持していっていいのかということにつきましては、部内で検討してまいりたいというふうに実は思っております。
○土井委員 今のはわかりました。部内で大蔵省としては検討される課題がある中身なんです、本当に。 さて、条約についての今回の審議とはちょっと違うかもわかりませんが、これまた条約問題ですから、最後に外務大臣にお尋ねします。税制の専門家の外務大臣にこの条約についての条文にかかわる質問に対する御答弁をお願いすることなく、さらに副総理としての外務大臣のお立場というのは非常に重要だと思いますから……。 実は、六月のあの地球環境国際会議までの間にこのことがどうなるのかというのが非常に注目を受けているのは、例のバーゼル条約なんですね。日本において、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約、これは外務省とすれば採択済みということで非常に御努力をなすっていらっしゃるようでございますけれども、今国会中にこれは出していただけるのでしょうね。それは外務大臣としての心づもり、また、ぜひ国際会議までの間に日本としたらしっかりこのバーゼル条約を締結する一国として努力していくということは、やはり世界の注目の的だろうと思いますよ、この問題は。いかかがですか。副総理としてぜひ頑張っていただきたいのです、外務大臣。
○渡辺(美)国務大臣 外務省といたしましては、ぜひ批准を受けるために手続を進めておるところですから、間に合うかどうか、極力努力を続けます。
○土井委員 ぜひそれはやってください、本当に。そこで副総理の手腕が問われると思います。どうぞ頑張ってください。 ちょっと超過しましたが、終わります。
○麻生委員長 遠藤乙彦君。
○遠藤(乙)委員 租税三条約に関しまして質問を進めたいと思います。 まず最初に、現在我が国は三十八カ国との間に租税条約を締結をしておりまして、経済的、人的交流に伴って発生し得る二重課税の回避を図ってきでおるわけですけれども、他方におきまして、こういった租税条約のもとでの課税の減免措置を悪用しまして、不当に税逃れを行おうとする試みが出てこないかという懸念もあるわけでございます。 本日審議の対象になっております三条約においては、そのような懸念に対してどのように対応しているのか、まずこの点につきまして御説明をお願いします。
○志賀説明員 お答えいたします。 特に徴収共助条項について、今度の三条約、いずれもOECDのモデル条約にない条項でございますけれども、これを相手国と交渉の末、挿入することに成功いたしました。それから情報交換規定、これも三条約、もちろん入っていますが、特にオランダの場合、これは旧条約ではなかったものを折衝の結果相手方に認めさせて入れてもらうという結果となったものでございます。 この情報交換ということがいかに大事であるかということ、これは申すまでもございませんし、またこの徴収共助という条項によりまして、不正利用ということに対していわば抑止効果というようなもの、こういうものを念頭に置きまして、この三条約、調印、署名にこぎつけた、こういうことでございます。
○遠藤(乙)委員 続いて、ルクセンブルグに関しまして、この国は御承知のように欧州の多くの国と国境を接するその地理的位置もありまして、金融業あるいは海外からの投資受け入れに力を入れておりまして、税制面での優遇措置が講じられて いるようでございますけれども、反面、こういった優遇措置がいわゆるタックスヘーブンとして外国企業の租税回避のために利用される側面もあり得るわけでございまして、ルクセンブルグとの本条約においては、こういった租税回避を防止するどういう措置がとられているのか、この点につきまして御説明をお願いします。
○志賀説明員 ルクセンブルグの場合、特に持ち株会社制度というものがございまして、持ち株会社に対する免税が制度として定められておりまして、これがいわばルクセンブルグはタックスヘーブンであるというふうに言われていることでございます。これと条約を組み合わせました租税回避行為を防止するため、本条約は持ち株会社に対する適用がないという仕組みをとっております。
○遠藤(乙)委員 続いて、ノールウェーに関して、ノールウェーは伝統的な海運国であって、海運分野における我が国との関係も深いわけでございますが、こういった国際的に船舶を運航する場合の課税関係は租税条約上どのように整理されているのか、また航空機の場合はどうかということ、この点につきまして御説明をお願いします。
○野村説明員 お答え申し上げます。 企業が船舶の国際間の運航によって取得する所得と申しますのは、租税条約上国際運輸業所得として特別な扱いが行われております。 国際運輸業につきましては、普通、事業活動が多数の国で行われるため、その企業の居住地国以外の国で正確な課税所得というのを算定するのは非常に難しいという特殊な事情がございます。まさにそういう点に着目いたしまして、こういった所得につきましては、課税権につきましては居住地国においてのみ課税するという整理をいたしているところでございます。この点、OECDモデル条約案あるいは我が国の基本方針とも合致している点でございまして、今回のノールウェーとの間の条約においても、こういった特別の規制が行われております。 また、あわせて航空機についてのお尋ねでございましたが、その航空機につきましても、今申しました点と同様の整理が行われておるということでございます。
○遠藤(乙)委員 このノールウェーとの条約では、関連の交換公文におきまして、ノールウェー、スウェーデン及びデンマークによって運航されておりますスカンディナビア航空、SASの所得等に関する取り扱いが規定されているわけですけれども、今後のECの統合といった動きが進んでいく中で、ヨーロッパにおいては、このスカンディナビア航空のような複数国の企業が共同して国際運輸業を行うケースが航空、海運の双方においてふえていくことが予想されるわけでございます。 そういった点、この租税条約におきまして、このようなケースに対応して適切な課税を行うための整備がなされているのか。また、このルクセンブルグとの条約においてはどうか。この点につきましてお伺いしたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 まさにただいま御指摘のとおり、国際運輸業につきましては、運賃のプールとか、共同運航等の国際的な提携を行う例が多いわけでございます。 こういった点を踏まえまして、OECDのモデル条約は、国際運輸業につきまして、共同計算、共同経営、またはスカンディナビアですとSASのような国際経営共同体といった形態で企業に分配される、いわばその持ち分とされる所得というものにつきましても、その課税関係に関する特段の規定、源泉地国において免税ということを設けることによりまして二重課税の排除を行うというふうにいたしております。このノールウェーとの条約におきましても、これは具体的には八条の第二項でございますけれども、そういった規定を設けてございます。 ルクセンブルグにつきましても、これは八条の三項でございますが、条約において同様の規定を設けておる次第でございます。
○遠藤(乙)委員 このノールウェーとの条約を今回全面的に改正するに当たりまして、特に北海油田を擁するノールウェー側の方から、沖合における天然資源の探査・開発活動にかかわる所得の沿岸国としての課税権を明確にしたい、こういった要望があったと聞いております。租税条約上は、企業の事業所得につきましては、恒久的施設なければ課税せずという基本原則があるわけでございますけれども、他方、この天然資源の探査・開発活動は短期間で移動しながら行われる性格のものでございまして、通常の意味での恒久的施設を有すると言いがたい面があるわけでございます。 そういった点、今回の条約におきまして、このような探査・開発活動と恒久的施設の関係をどのように整理して課税権の調整を行っているのか。この点につきまして御説明を得たいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。 ただいまいわゆる恒久的施設という通常の意味の理解といたしまして、この北海油田のような短期間で移動するようなプラットホーム等の場合には当然そういう恒久的施設に該当しないという点、御指摘のとおりでございます。その結果、通常の租税条約の考え方からいたしますと沿岸国としての課税権が確保されないということに相なるわけでございまして、この点がノールウェーが今回租税条約を全面改正したいということを申してきた背景にある大きな事情の一つでございます。したがいまして、そういった場合も沿岸国の課税権が及ぶように独立の規定を置くという形で手当でいたしたわけでございます。我が国としてもこれを受け入れることといたしたということでございます。
○遠藤(乙)委員 今回の租税条約を締結しようとしております三カ国はいずれもECの加盟国または加盟意図を有する国でございますので、ここでECに関連したことについて若干お伺いをしたいと思います。 これは大臣にお伺いをしたい問題なんですが、昨年の十二月、オランダのマーストリヒトでECの政治、通貨統合を目指して首脳会議が行われまして、ローマ条約の改正が合意された経緯があるわけです。そしてことしの二月七日にはこのマーストリヒト条約が加盟十二カ国の首脳によって調印されて、いわばECの統合に道筋がついたという状況でございます。 そこで、現段階でのEC統合の状況それから今後の見通しと問題点につきまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 今お述べになったような状況で、統合の方向で進んでいるということでございます。 さらに、明年の欧州連合条約については、明年の一月一日の発効を目指して現在EC各国において批准の手続が進められている、こういうことであります。 しかしながら、九九年までに通貨統合しようとか、これは主権の放棄に匹敵するぐらい難しい問題が実際ございますし、比率の問題もあるでしょうし、非常に難問もございます。 いずれにいたしましても、話し合いの上で円満に統合がされ、しかも我々といたしましては、その統合されたECというものがブロック化をして排他的なものになったのでは困るわけです。しかも開放的なものであるならば、欧州の中核として安定的な役割を果たすのみならず、世界の自由貿易にとってもプラスになるだろう、そのように考えております。こうぜひとも成功することを期待いたします。
○遠藤(乙)委員 今、このEC統合の動きとともに、他方、二月十四日にECと欧州自由貿易連合いわゆるEFTAが、来年一月一日から両市場を統合した欧州経済地域、略称EEAと言っておるそうですが、この創設に最終合意をしたわけで、この結果十九カ国、三億八千万人、域内のGNPは米国に匹敵する約五兆ドルという規模の統一市場が誕生することになるわけです。 こういった状況は我が国に少なからず影響すると思うわけですが、このEFTAの今後の行方並びにこのEEA創設が我が国に与える影響につきまして政府の見解をお伺いしたいと思います。
○原口政府委員 お答え申し上げます。 EEAすなわち欧州経済領域でございますけれども、これは先生御指摘のとおり欧州十九カ国において人と物と資本とサービス、こういったものの自由な移動を確保しようという試みでございますが、こうした動きは欧州経済の活性化につながりますし、ひいては日米欧の間の健全な競争を通じまして世界経済の発展にも資するものであります。したがいまして、政府といたしましてはこれを基本的に歓迎しているというところでございます。 同時に、同地域が域外に対しましても開かれたものであることが極めて重要でありますので、政府といたしましては同経済領域の域外開放性の度合いを注視いたしまして、EC、EFTA諸国がこの方向に進むよう、あらゆる機会をとらえまして種々の働きかけをいたしているところであります。 EEA協定は現在関係各国において批准手続が行われているところでありますけれども、一部EFTA加盟国におきまして必要な国内手続が必ずしも円滑にはいっていないというふうに承知しております。 そこで、発効でございますけれども、これは当初は九三年の一月一日と予定されているわけでございますが、こういう状態でございますので、場合によっては発効の時期は九三年の一月一日以降にずれ込む可能性もあろうかと考えております。 他方、現在EFTA加盟諸国中、スウェーデン、オーストリア、フィンランドの三カ国が既にECの加盟を申請しておりまして、これらの三カ国は可能であれば九五年の一月にでもEC加盟を果たしたいという希望を持っているというふうに承知しております。これに加えまして、スイス、ノールウェーの二カ国におきましてもEC加盟につきまして国内で議論が高まっている状況にあると承知しております。 政府といたしましては、EFTA諸国が将来ECに加盟し、ECがさらに大きな、かつ重要な存在となる可能性というものも十分念頭に置きまして今後とも対欧経済外交というものを進めてまいりたいというのが現在の立場でございます。
○遠藤(乙)委員 将来の問題として、統合されたECとの統一租税条約を締結する可能性あるいは必要性につきましてお伺いしたいのですが、もしするとしたら通貨統合された後になるのか、あるいはさらに政治統合された後になるのか、あるいはその必要性がないのか、ここら辺につきましてお伺いしたいと思います。
○津守政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、租税につきましても統合を進める方向でこれまで種々の動きがございましたが、今までのところ結論を見るに至っておりません。統一租税条約を締結する当然の前提は、EC自体が締結の主体になることでございますが、それが政治統合の前になるのか、あるいは後になるのか、あるいは経済統合、通貨統合の後になるのか前になるのか、その辺の見通しについては現時点では確定的なことは申し上げられない、すべて今後のEC内部の検討、議論の推移にかかっている、こういう状況でございます。
○遠藤(乙)委員 それでは最後にCISとの関連を少しお聞きしたいと思います。 先ほど同僚委員からも質問がございました。政府側の答弁としては、さきに締結されたソ連との旧租税条約についてはいわゆる承継という形で行われるべきである、そういった趣旨の御回答があったと思います。ただ、ソ連邦の解体、CISへの移行に伴いまして個々の共和国についてはまたいろいろ立場の違いがあるわけでして、ロシア共和国、CIS参加国、グルジア、バルト三国それぞれ権力構造が違っておるし、ニュアンスが違うわけでございまして、承継が果たしてすべての場合に適用されるかどうか、これはちょっと若干疑問があるのだと思います。 そこで、まずずばりお聞きしたいのですけれども、バルト三国の場合、これは分離独立というふうに理解をしておるわけですけれども、それでもなおかつ条約の承継ということが適用されるのかどうか、この点につきまして御回答をお願いします。
○野村説明員 基本的には私どもの考えといたしまして、もともと日本がソ連邦と締結していた条約について、それが分離独立の場合を含めましても、やはり私どもとしましては基本的には法的安定性という意味からいたしまして承継の考え方もとり得るのではないかと思っておりますけれども、他方これはまさに先生御指摘のとおり、それぞれの国の事情を個別に話し合って決めていかなければならない点であろうかと思います。特にバルト三国につきましては、バルト三国だけに限らないと思います、私どもはこの問題について協議を行ってはおりますけれども、それぞれ国内政治やら経済の構築に忙殺されておる状況でございまして、何分協議がこういった点について十分に行われていないというのが現状でございます。
○遠藤(乙)委員 最後に追加的に、こういった条約の承継、今のCISの例をとって、行う場合、形式的手続としてはどういうことが必要なのか、全く必要ないのか、あるいは何か必要なのか、この点につきまして個々のケースごとに御説明をいただければと思います。
○野村説明員 形式面かつ実体的にも非常に重要な指摘でございます。ドイツの場合はやはり承継につきましてきちんと文書で確認いたしておるわけでございまして、基本的には私は両国というか我が国が各国と話し合った結果、その決着につきまして承継するということでありますれば、その旨きちんと確認するという手続が必要になってくるというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 以上で質問を終わります。
○麻生委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 三つの租税条約案について基本的な点についてお伺いします。 海外に進出して大きな利益を上げている企業に対して日本国内で実施している優遇税制を保証するということが適当なのかどうかという点は、これら条約案との関連で重要な問題点だと考えています。 大企業が海外に進出するというのは言うまでもなく国内に比べて大きな利益が得られるからであります。それらの多くは、現地で雇用する労働者の賃金を極めて低く抑えたり、また現地政府が労働者の権利を低く抑えていることに悪乗りして労働条件を整備しないなど、日本国内であれば当然と書画われる金までも出さないような経営戦略によって生み出されているという事情がございます。 こうした海外でぼろもうけをしている企業に対して、国内での企業活動と同等の優遇税制というのではなしに、より高い税負担をさせるということが当然のことだと考えます。外務大臣並びに大蔵省からもその点についての御所見を伺いたい。
○渡辺(美)国務大臣 これは発想が全く違いますから、議論がかみ合いません。わかりやすく言えば、過疎地帯の町村長や県知事が大企業に、来てください、そのためには便宜供与をたくさんいたします、固定資産税も何年かまけますということが大企業に対して保護を与えてけしからぬという議論と全く同じですから、それ以上説明はいたしかねます。
○志賀説明員 税制は国の内外の活動に対して他の条件が等しければできるだけ中立的であることが望ましいと考えておりまして、国外で得た所得に限って重課するということは適当ではないと考えております。
○古堅委員 大臣、こういう大事な場ですから、質問されたことに対して見解の相違みたいにして避けるのじゃなしに、まともな答弁をさるべきですよ。 ひどい事例もたくさんあるんですよ、御存じだと思いますが、例えば一昨年、マレーシアに進出している日立家電はストライキに参加したというだけで実に八百五十人を解雇している。復職に当たっては謝罪文を書かせる、書かない者についてはついに復職を認めない、そういうことになっ て、現地でもそのことが大きな問題になっておったのです。 このように労働者に物を言わせないような形で、企業が来てほしいというふうな、現地の受けるその弱みにつけ込んでぼろもうけをする体制を固めていこうなどという、そういうことが今おっしゃるような立場で説明して合理化されるというふうなことになりますというと、これは重大な問題です。 日本国内でもうかる以上に海外でもうける企業に対して国内の優遇税制を適用するというのは、海外での利益をさらに保証するということになります。海外でぼろもうけする、そういう方が得だというふうなことを認められて大臣はそういうことをおっしゃるのですか。もう一度念を押して伺いたい。
○渡辺(美)国務大臣 御承知のとおり、民間企業の海外進出ですから、損するところに出かけていく企業はないのです、これは。政府が命令をして保証するということもできません。したがって、それは考えてやるわけですし、相手の国は、発展途上国のみならず英国のようなところでも、ぜひ日本の企業に来てくれ、こういうような恩典を与えますというのでやっておるわけで、それは当然、それでペイするかペイしないかということを考えてやっておるわけですから、これは企業の判断によるところでありまして、ただいまの労働組合を首を切ったとかどうとかということは、これは税制上の話じゃありませんからね。だから、協約に絡めて糾弾をされましても、それは別個の問題として対応するほかはないと思います。
○古堅委員 確かに直接の税制の問題ということではないのだが、そういう税制というものに擁護されていって現地でぼろもうけするような体制がつくられている。それにかかわる、まさに不可分の関係ですよ、それは。 三菱銀行が出した刊行物、「調査」というものですが、一九八八年二月号でも、投資収益率で見た海外投資の国内投資に対する有利性が保持される可能性が強いというふうなことを述べています。大企業がそのように指摘しておるのです。 そこで、進出先における利益がどうなっているかについて説明をいただきたいというふうに思いますが、オランダに対する日本からの投資状況と投資収益状況について、租税条約を結んだ一九七〇年と最近の三年間の実績について説明してください。
○藤倉説明員 お答えいたします。 一九七〇年、昭和四十五年度の日本からのオランダへの直接投資額は、届け出ベースで百万ドルでございます。これが平成元年度は四十五億四千七百万ドル、平成二年度は二十七億四千四百万ドル、平成三年度上半期は八億一千四百万ドルとなっております。累計額は平成三年九月末時点で百三十六億三千万ドルとなっております。 なお、投資収益を含む国際収支統計項目につきましては、極めて多くの情報を整理、分類する作業を経て作成しておりまして、国際収支上国別に内訳が示されているのはG7諸国と幾つかの国に限られております。御指摘のオランダについては、現在個別に集計できる体制になっておりませんため数字を把握しておりません。 以上でございます。
○古堅委員 なっていませんと言って、そういうことが大事だと思えば、そういうことができるような体制をとるべきです。利益がどうなっているかということについては、この条約を審議し検討を深めるという面でも大事な点なんですよ。 例えば親子関係にある会社の間で支払われる配当に対する源泉地国の限度税率が、これまで一〇%だった。それが今回五%になっています。これが適当かどうかということを見るという面からも、利益総額がどうなっているかということについて、これは当然知らなければならないというふうに思うのです。その主張について、大蔵省は認めますか。
○志賀説明員 今回の改正は非常に理念的なものでありましたので、おっしゃるような計数的な把握ということを、データがありませんこともありまして、してはおりません。ただ、またそのデータを作成するために、納税義務者に大変な負担を強いなければインプットができないという状況がございまして、なかなかおっしゃるようなデータ、直ちに出していくということができない部分があることを御理解いただければと存じます。
○古堅委員 これから先そういう状況がわかるようなことについて、政府として進めるという考えはあるんですか。
○志賀説明員 先ほども申しましたような人、物、金、ボーダーレスエコノミーという中で、人、物、金が膨大な量で流れておりますときに、それを全部水際で把握していくということは非常に困難であるということを御理解いただければと思います。
○古堅委員 今後に当たって、できません、難しいですというふうな態度で、海外におけるぼろもうけにかかわる資料は引き続き国会からの審議における要請に対しても出さない条件下に置いておく、その方がましだというふうなお考えじゃありませんか。もう一度お答えください。
○志賀説明員 非常に膨大な量の取引が行われておりまして、これにつきまして一々申告していただいて、それをコンピューターに入れていくということが事実上不可能でございますので、御理解いただきたいと思います。
○古堅委員 それではもう一度最初の質問に戻って、私たちがこの条約にかかわって大事な点だというふうに考えますから再度質問させていただきますが、ぼろもうけにかかわるものについて、日本側で実施するかあるいは現地、進出先で実施するかは別問題として、いろいろと検討される、そういう余地はあると思うのですが、いずれにしてもぼろもうけにかかわる部分について、それに見合った税負担、それは当然のことだと思います。これは国内法にかかわるそういう面を当然指摘している、そういう面でありますけれども、この租税条約というのが企業に有利な日本の税制度を限度として、それを保証するような形で結ばれるというふうなことがあるだけに、それを切り離して見るというわけにはいかないんですよ。 国内におけるそういうものが、租税条約を通じてそのように保証されるというかかわりを現に持たされて結ばれるわけですから、これは公平な税負担という面からも原則に外れていると言わざるを得ないというふうに思うのですが、いかがですか。
○志賀説明員 法人税の課税方法になりますけれども、日本の居住法人は、日本国内で発生する所得のみならず、全世界の所得を対象として日本の法人税を納付します。それからまた、進出先では進出先国の法令に従いまして法人税を納付いたします。その間に、一つの利益に対して二重に税金がかかるという形になっておりますので、その二重課税の排除をするというのが国際課税の原則という形になってございます。
○古堅委員 芸能人やあるいは学生などに対する二重課税の排除、それが強調されるという意味では大事な点を持っていると思いますけれども、租税条約の本質が、大企業の利益を擁護する、今申し上げたような関連において結論的にそのような仕組みになっている。そこについての今の質問に対する答弁も得られませんけれども、そこが重大だということを指摘して、時間ですので終わります。
○麻生委員長 和田一仁君。
○和田(一)委員 租税関係の条約三本の審議でございまして、昨今、国際的に国と国との経済交流、経済関係というものは一層緊密、増大化している状態でございますけれども、そういう中にあって、税制上の二重課税であるとかあるいは脱税を防止するというためのこういう条約というものは非常に大事であり、そのための整備をしていくということには私は賛成をしていきたいと思っております。 そこで、きょうも大変時間がたってしまいまして、ほとんどこの条約について質疑はもう尽くさ れているような感じがいたしますので、私は二点だけについて簡単にお伺いしてやめたいと思います。 こういう法案審議の中で、今まで触れていられなかったのは、今海外に企業がどんどん進出しておりますけれども、そういう際に、非常に企業が神経質になっている問題が一つございます。それは在外活動の中での危機管理をどういうふうにしたらいいのかということではないかと思うのですね。 その前に、最近経団連が企業行動憲章というものを取り決めたようでございます。これは最近の金融・証券業界の不祥事を契機にいたしまして、企業の理念と行動について内外からの批判が強い、これにこたえたものだと思うのですが、その中に企業の社会的役割を果たすための七つの原則というのがあって、その一つに「フィランソロピー活動を通じて積極的に社会貢献に努める」という一項目がございます。 私は、こういう一つの公益活動を積極的に内外を問わずやれ、こういうことだと思うのですが、それは危機管理ということについても、やはりその地域において、企業がその地域の公益のために積極的に貢献していくということが大事なんだということもこの中で言われていると思うのですね。 そういうことは結構なことなので、こういった企業の心構え、活動をやるについて、出先におられる外務省はそういう活動に対してどういう具体的な手助けをされるか、そういうことはもう企業任せでいいんだというお考えか、その辺ちょっとひとつ先にお聞きします。
○渡辺(美)国務大臣 これは、外務省だけじゃなくて、通産、外務等が一緒になって、企業の団体である経団連、貿易会等と話し合いをしていかなければならぬ。 やはり、地域社会から反感を持たれるような企業のあり方はいけません。ただ人を使えばいいというだけではありませんし、もちろん差別があってはなりません。ただ、地域社会の中でややもすると、要するに、工場長に何かクリスマスのときに募金が来た。ところが工場長は、おれは出さないと。だが、秘書が五ドル出したとか三ドル出した。女の子が出した。何で工場長は出さないんだろうか。ところが、その次の日曜日に行ったら、日本人が集まってゴルフ大会をやって一杯飲んで御機嫌だった。そういう金はあって慈善なべへは出せないのか、こういうような事例が一つあるのですよ。工場長宅にスプレーを吹っかけられたとかですね。 だから、そういうように地域社会に対する貢献ということは非常に大事なことですから。ところが、これは必要経費にならない。寄附とか何かなら必要経費になるけれども、地域社会でやっていることに個人で金を出しても必要経費にならないから出せないんだ、会社は負担してくれないから、こういうようなこともあるらしい。しかし、こういうようなことは当たり前のこと。郷に入れば郷に従えという言葉があるくらいですから、こういうのは、やはり会社の方も少し大目に見て、地域社会に貢献するようにやってほしいというようなことは今後も——財界でもやっていますよ、やっていますが、きめ細かい指導ということは大事だろう、そう思っております。
○和田(一)委員 やはり、地域社会の中で溶け込んでいくということが非常に危機管理についてもある意味では大事だ、こう理解しますが、それにしても最近、やはり出先の邦人のいろいろな被害が多い。各企業はそういう状況を見ていて個別に危機管理システムというものをどうしてもつくらなければと、そういう思いになってきて、いろいろな工夫をしておるようです。そういうシステムをつくって対策を練っているようですが、日本在外企業協会というところがこの四月から海外安全センターというものを設けたやに聞いているのですが、やっとその危機管理への本腰を入れた対策が始まったかな、こう思います。 そこで、外務省というものは邦人保護をするという大変な義務、これは国の義務でありますけれども、その出先にあって、大使館、領事館というものが邦人保護をやらなければいけないのですが、企業自身が自分たちで危機管理をするという心構えや対策、これは非常に大事でございますけれども、それだけでは十分でないということから、外務省でも爆弾脅迫対策等に関するQアンドAであるとかあるいは誘拐防止対策のQアンドAとかいう資料をおつくりになっておられる。そういうものをつくって企業との連携をとり、指導しているというふうに思うのですが、このノウハウの確立について、こういったものをつくってこういうものだよということを企業に聞かれれば示すというだけでなく、もっと前向きに積極的に企業と連携をとりながら、そういう管理体制をきちっと出先でつくっていこうというようなお考えはございませんか。
○服部説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、最近におきます邦人に対する誘拐事件とか一般犯罪、凶悪犯罪が大変ふえているということにつきまして、我々も大変憂慮をいたしております。 先ほど先生が御質問の中で言及されました日本在外企業協会に加盟をしておる四百五十社の中で、例えば独立した安全部門を設けてこの問題に取り組んでいるのはわずか九社、それから安全問題に関する専任の担当者を置いているのは四十社というような数字からもおわかりのように、残念ながらいまだ、日本の企業あるいは日本人全体に共通する問題かと思いますが、このような海外での危機に対する認識というものが欧米のそれに比較しまして大変薄いという実態がございます。 したがって、これまた先生が言及していただきましたいろいろなビデオとかパンフレットをとりあえずつくりまして、このような意識の向上にまず努めておるところでございます。 さらに在外におきましては、大変危険な要素があると思われる国につきましては、特に大使館と日本人会あるいは日本企業から成ります商工会議所等の間でもって具体的に安全対策委員会などをつくりまして、大変頻繁に会合をするとかいろいろな具体的な問題につきまして相談をするとかいうことで、お互いに協力しながら本問題に対する対策を進めております。 従来このような努力をやってきたわけでございますが、さらにこれからどのような具体的な追加的措置がとれるか、ただいま私ども鋭意検討いたしておるところでございます。
○和田(一)委員 さっき大臣の御答弁にもありましたけれども、せっかく地域でいろいろそういう公益活動あるいは隣人としてのつき合い、そういうことをやろうとしても税制上何にも配慮がないということもあります。 私は危機管理について、例えばこれも雑誌で拝見したのですけれども、アメリカの大きな自動車会社がスペインに進出していった。そこの地域における危機管理の経費というものは、総売上高の五%もかけて企業自体が危機管理体制を充実しているということなんです。日本の企業だってやりたいというときに、そういった経費に対して大蔵省としては何か特典を与えるというような考えはございませんか。企業として自分でそういう危機管理体制をつくっていく、そういう経費の面では何もないということになると、これはなかなか前向きにならないかとも思うのです。ここらはひとつ考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○志賀説明員 海外に進出いたしました企業が現地の従業員等の安全管理のために支出する費用につきまして、その支出時の損金となる、あるいは施設の改良等につきまして減価償却を通じまして損金の額に算入するというような形で処理させていただいているところでございます。
○和田(一)委員 本会議のベルが鳴りそうなものですから、もう一問でやめます。 先般私は新聞で、渡部通産大臣がサウジに行かれてサウジアラビアとの租税条約についての下請をしてこられるというような記事を読みました。 これは一月だったと思うのです。サウジはどことも租税条約は結んでない国のようですが、そのサウジと日本との間で租税条約を結ぶ方向で訪問された。みなし税額控除制度を盛り込んで租税協定の締結交渉を始めたいという記事を読んだのですが、これは日本側から提案をされたように私は読みましたが、そのとおりかどうか。さらにサウジとの間で協議を始めるという合意がそのときできたかどうか、合意ができてその交渉は始まり出したのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 私どもとしましては、日本とサウジアラビアとの間の経済的、人的交流を一層進めていくというための基盤整備の一環として租税条約の締結が望ましいというふうに思いまして、そういう立場を従来からサウジ側に伝えてきているところでございます。御指摘の先般の、去る一月の渡部通産大臣のサウジアラビア訪問の際にも、そのような立場を改めて先方に表明した次第でございます。 それに対しましてサウジ側も原則的には賛成であるという応答をいただいているわけでありますけれども、現時点におきましてサウジとの間で具体的な交渉に入るという段階にはまだ至っておりません。
○和田(一)委員 わかりました。 それでは、時間になりましたので、これで終わります。
○麻生委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十六分散会