運輸委員会 第3号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/03/10
会議録
○久間委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方克陽君。
○緒方委員 それでは、特定船舶製造業経営安定臨時措置法の廃止する法律案について、造船の大合理化がやられたわけでありますが、この法律を廃止するに当たって数多くの問題点が考えられますので、その点についてお尋ねをしたいと思います。 まずお尋ねをいたしますのは、この造船業の構造対策の結果と、そしてそのことによって労働者被害というのが大変多かったということであります。私どもがいただいた資料では下請まで含めて約三万人の人たちの職が奪われたということでありまして、家族まで入れればもっと大きな被害になったということでございます。 そんな意味で、一つは、この構造対策の結果がどういうことになったのかということと、労働者が数多く職場から追い出されてしまったわけでありますが、その数などについてどういうふうに認識をされているのか、あるいは実態について示していただきたいと思います。
○戸田政府委員 この特定船舶製造業経営安定臨時措置法が制定されました当時、昭和六十二年でありますが、我が国の造船を取り巻く環境を見てみますと、ちょうど第二次石油危機後の海上輸送量の伸び悩みという背景がありまして、非常に大きな船腹過剰が発生しておりました。そういうことで新造船の需要が著しく減退しまして、造船にとりましては設備が大幅に過剰になっていた、また各社間の過当競争が相当激しくなっていた、そういうような問題を抱えておりました。 こういうことで、その過剰供給能力の削減を初めとする需給の不均衡の解消をまず最初に考えた、それから、過当競争の体質から抜け出す、そういうことを眼目としましてこの特定船舶製造業経営安定臨時措置法が制定されまして、これに従いまして特定船舶製造業、五千総トン以上の船舶を製造する造船業に当てはめておりますが、このための設備能力を六百三万CGTから四百六十万CGT、約二四%でありますが削減しまして、特定船舶製造業の事業者並びにグループ数も四十四社二十一グループから六社八グループに集約しております。 先生御指摘の、ただいまの従業員の問題でありますが、これは労使ともに相当の苦労を強いられた問題でありまして、この特定船舶製造業の新造船の部門の従業員を挙げてみますと、各社の経営悪化及びこれらの構造対策の実施に伴いまして、昭和六十年度末の約四万六千人から昭和六十ご年度末には二万四千人に減少しましたが、運輸省におきましては、各種の雇用対策制度、中小企業対策制度にこの造船業を指定してもらいまして、こ れらの制度を活用しまして雇用及び関連中小企業の経営の安定に努めまして、設備処理が雇用に与える影響を極力抑えてきたところであります。
○緒方委員 今、局長は四十四社二十一グループから六社八グループと言われましたが、これは二十六社が正当ですね。 そこで、今後の展望について大臣にお尋ねしたいと思います。 これらの諸対策が実施をされた中で、我が国の造船業の現状をどのように見ていらっしゃるのか、また、今後の展望について不安や問題点はないのか、この点について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○奥田国務大臣 まず、今回の提出法案に関してでございますけれども、恐らく暫定的なこういった特別措置の中で、これほど成果の上げ得た、しかも業界の各位も本当にこの不況脱出に懸命な努力をやってきたという形は、私もたくさんいろいろな臨時的な措置法を見ておりましたけれども、まあどちらかといえば、時期が来れば、ぬるま湯につかってまた継続という形の中で、これほど成果の上げ得た法律はなかったんじゃなかろうかなと思っております。 と申しますのは、御承知のごとく、この造船業というものは我が国の基幹産業でありましたけれども、常に世界一のシェアを確保するために、設備過剰、そして過当競争、時にはダンピング等々、こういった基本的な体質を持ってずっとやってまいったということでございます。 ですけれども、昭和六十年当時からのあの長期不況を抱えまして、まことに困難な状態を労使一体となって真剣に取り組んだ、今、局長からも話がありましたけれども、人を減らすことにも協力していただいた、しかも船台も減らす形の中で、そして体質を強化したと同時に、今現況はどうかということになりますと、これは、受注も含め、しかも従来のような過当競争による価格ダンピングというのは一切なく、適正な価格を保持した中で二年、三年後の予約受注も持っておるという形で、全く体質が一変したということが言えると思います。 ただ、今後の展望として、また忙しくなって、今大変な予約がありますから、またこれで船台をふやし人をふやすというような悪循環を繰り返していくとするならば、またかつて来た道をたどらなければいかぬということになろうかと思います。ですから、ここはひとつ五百万トンなら五百万トンというシェアを確保しながら、しかも高度な技術を持った人たちによって、現在の人員で、そしてハイテク機能を備えた形をやっていければ、私は、一番基盤が不安定だった造船業が、これからのますます刮目される、注目される基幹産業として、国際競争に十分勝ち得るし、中長期的な業界の安定にもつながっていくであろうと大きな期待を持って見ておるところでございます。
○緒方委員 大変期待を持っているということでありますが、問題は、後ほどいろいろ指摘をいたしますけれども、そのまず第一は、一九七〇年代に建造された大量の船舶の代替建造の需要が一九九五年以降集中的に出てくるわけでありまして、ここが非常に問題であるし、その後も問題があるわけですが、この対策は具体的にどう考えていらっしゃるのか、示していただきたいと思います。
○戸田政府委員 ただいま先生から御指摘のありました点というのは、確かにこれからの造船業を考えていく上での最も基本的な問題であるかと思っております。 今後の我が国の造船業の外航船建造需要でありますが、一応現在程度の世界のシェアを考えながら、これからの世界経済の安定的な成長による海上荷動き量の緩やかな増加、それから、先生御指摘の一九七〇年代半ばに大量に建造されました大型タンカーあるいはバルクキャリア、そういったものを中心とした代替建造需要が相当出てくるものと見込まれまして、我々の予測によりますと、一九九五年で四百四十万CGT、それから二〇〇〇年には五百三十五万CGTと、需要の方は順調に増加していくものと予想されます。 ただ、それから後の、二〇〇〇年前後に需要のピークを迎えて、それからですが、大型タンカーを中心にした代替建造などが一巡するということがありまして、その後の需要の予測は緩やかな下降局面を迎える、そういうことを予想しております。 このようなことから、できるだけ中長期にわたりまして需要と供給のバランスを確保しながら造船事業の安定的な運営を図るということを考えますと、現在の設備能力をできるだけ維持しながらその間の一時的な需要の増加に対応するというためには、機械化、省力化、そういったことによる生産性の向上で乗り切るべきであると考えております。 現在、造船事業者におきましても、まず第一に長い不況の間に老朽化しました設備の更新を行わなければならないわけでありますが、そういった状況に備えまして、生産性向上のための技術開発としまして、コンピューターを大幅に活用した生産システム、いわゆるCIMの開発が進められているところでありますが、運輸省としましても、このような生産性の向上に資する技術開発に対しましては積極的な支援を講じていくこととしておりまして、引き続き、現在の需要と供給のバランスを崩すことなく今後の需要の増加に対応していけるように努めていく所存であります。また、実際にそれが可能かどうかということにつきましては、我々は現在の設備をもって十分対応可能であると考えております。
○緒方委員 可能かどうかというところが非常に問題なところであります。 そこで、造船業の労働の実態とそれから残業の実態、そういう中で政府としては閣議決定がされまして、一九九三年までに日本の総労働時間を一千八百時間にするんだということで、それぞれの業種ごとに努力をされております。これはアメリカを初めとした経済摩擦などの中で、日本の労働者の働き過ぎということが大きな問題になりまして、何とかしてこれを実現しなければ外国からまた圧力がかかるという中で、政府としては閣議決定をされてその努力をされているということになっておりますが、一部の業種ではかなり進んだところもありますけれども、このような人を食うような、労働集約型といいますか、そんなところの強い造船業では非常に問題があるんじゃないかということで私は認識しておりますが、そういう中で政府目標一九九三年までの総労働時間対策についてどういうふうに進められるのかということでお尋ねしたいのです。 実は役所からいただいた資料で、二枚目、経営安定法の廃止ということで「我が国の建造量等の推移及び見通し」というのをいただいておりますが、いろいろ業界やら労働組合の話を聞いてみますと、この資料で言う一九九〇年、これまでが実績、それからこれからが予測ということで資料をいただいておりますが、実はこの時点の三百六十八万CGTのところで、現在の八万九千なり九万の労働力でせいいっぱいだというのが労働力の現状にあるわけですね。それからもう既に一年半近くたっているわけでありまして、この部分がだんだん労働力不足になっているという現状になっております。 それから、同じように一九九一年の六月の時点で労働組合が調査した資料によるものでありますが、この時点での労働時間等の状況を見ますと、大手で年間所定が千九百四十三時間、それに残業が三十一時間、中手とかいろいろありますが、省略いたしまして、全体として集計いたしますと二千五十七時間ですね。これが年間の所定でありますが、それに二十九時間の残業ということになりますと、二千八十数時間というような、これは一九九一年時点でそういう残業と長時間労働の状況が出ているわけです。 そんな中で、これから政府目標達成に向けていろいろ問題があると思うのですけれども、今度経営安定臨時措置法と中小造船の第三次構造改善事業のもう期限切れを迎えるわけでありますが、今後の展望を考えた場合には、今回の大きな合理化 の経緯というものを厳しく受けとめて、まず現行の建造能力を堅持することを前提にしてということで、先ほど大臣は五百万CGTみたいな数字を言われましたけれども、ここでは四百六十が出ているわけでありますが、積極的な国際協力を推進をしながら秩序ある操業というものをやはりやっていかなければならないし、安定的な魅力ある造船業というものが望まれるわけでございます。 しかしながら、先ほど言いましたように、一九九一年で全体で二千八十時間というような状況の中で、労働力の不足とかあるいは設備の老朽化あるいは作業環境の悪化ということで、非常に仕事の伸びに対して対応できないような制約を受ける労働者の数の実態にある、特に中小造船は技術労働者の確保を迫られているわけであります。 そこで、具体的に質問したいのでありますけれども、造船業を働きがいのある職場にするために、先ほどの閣議決定、一九九三年一千八百時間というものに向けて具体的に関係省庁との連携を十分とりながら努力をしていただかなければなりませんけれども、この実現のためにどのような具体的な対策をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○戸田政府委員 確かに労働時間の短縮、これも非常に大きな問題であります。造船業界、最近は人手不足、また若者がなかなか確保できない、そういうような状況にあったわけでありますが、今後労働力不足の状況が続くという中で優秀な労働力を確保していくためには、労働時間の短縮、待遇の改善、工場の作業環境の改善、そういったことがまず第一に達成されなければ労働力の確保が不可能であるというような状況にあります。 そこで、今後労働時間の短縮を図っていくというために残された道は何かということになりますと、機械化、省力化、そういった道しか残されていないと私は思っております。その具体的な方法としましては、先ほども若干申し上げましたが、造船各社が一致団結しまして、現在、CIM方式といいますが、コンピューターを大幅に導入した生産方式、これの開発を進めておりまして、今から二、三年後には相当の実用化のめどがついていると私は考えておりますが、こういうシステムを生産システムの中に大幅に取り入れていく、そういうことしか道がない、まあ現在の造船各社協力しての開発の状況を見ますと、これも可能であると私は考えております。 我々としましては、引き続き年間総労働時間を平成四年度末までに千八百時間に向けてできる限り短縮するという目標を実現したいと考えておりますし、そのために造船事業者に対し適切な指導を行ってまいりたいと思っておりますが、こういった省力化のための技術開発につきましても、今後とも積極的に支援を行ってその実現を図っていきたいと考えております。
○緒方委員 本来であれば、合理化が終わって、そして新しい需要がどんどん出てくるというときに、今研究をされているということですが、結局そのスピードに一波も二波もおくれているんじゃないかというふうに思うわけでして、これから研究開発をして実用化するにはやっぱり時間がかかるわけですね、そこのところの問題が出てくるだろうというふうに思います。それから、支援の話も具体的にはやりたいということですが、ちょっと時間がありませんのでその辺は省略をして、ぜひ人手不足対応のためのいろんな施策について研究開発にもっと力を入れるべきだという御意見だけ申し上げたいと思うのです。 そこで、造船業の場合には、安全面もあると思うのですが、全体の造船のことを掌握するという意味で、工事予定船及び工数、山積み表というものを法律に基づいてあるいは施行規則、通達で出されているわけでございますが、その中身も見ますと、二時間の残業能力というようなことを一つの前提にしながら山積み表がつくられているようでありますけれども、この二時間の考え方ですね。そして、こういう状況の中で一九九三年一千八百時間というのが達成できるのか、いろいろ運輸省としては造船業界を指導したりやっているわけでありますが、こんな形でやっていてできるのかなという疑問が率直に今あるわけでありますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○戸田政府委員 ただいま御指摘がありました件は、臨時船舶建造調整法に基づきます船舶建造許可に際しまして、我々が一つの目安として二時間残業能力というようなことで許可の一つのチェックの物差しにしているわけでありますが、この臨時船舶建造調整法においてチェックする点というのは、まず第一に海運の需給の問題を見、それから、実際に船を建造するという面につきましては、技術的に可能であるかどうか、それから物理的に可能であるかどうかという点でありまして、その物理的に可能であるかどうかというところで、どれぐういの工員がいて、どれくらいの工数がかかって、それを消化し得るかどうかというようなことをチェックしているわけであります。 そこで、この二時間という時間につきましては、我が国の造船各社の労使協定に基づく時間を基準にしてそういうチェックを行っているわけでありますが、将来の労働時間の短縮というようなことを考えますと、生産性の向上などによってこれをどれぐらい圧縮できるかというのが緊急のこれからの課題であると我々は考えております。
○緒方委員 そういうことで、一生懸命省力化、コンピューター化その他で努力をするということでありますが、どうも私に言わせると泥棒を見て縄をなっているような状況じゃないかという気がしてしょうがないわけでありまして、本当に仕事があるということはいいことですが、その中でいろいろな安全問題その他惹起してくるということで心配をしておりまして、そういう点を指摘しておきたいと思います。 次に、労働安全確保と労働環境の整備の対策についてお尋ねしたいと思います。 実は、先ほど二枚物の資料で、これは運輸省からいただいたこの臨時措置法の廃止についてということで、背景とそれから中身と「建造量等の推移及び見通し」という表をいただいたわけでありますが、実はこれでいきまして、さっきも言いましたように一九九〇年の中ごろで現在の大体九万人体制ということになっているわけです。そして、それから一年たった昨年の秋ごろに、実はもう既に人間が足りないということで重大な死亡災害事故が起きているわけです。昨年の秋ごろには、二カ月間の間で、名前を言うとあれですけれども、大手の日立とか三井造船とか三菱とかいろいろなところで七名の方が亡くなる死亡災害が発生するというような状況になっておりまして、それからだんだん今もまだ仕事がふえているわけですね。 そして、これは政府の方も出しました資料で、一番ピークの二〇〇〇年ごろには五百二十五万CGT・年ということになるわけですが、これを九万人の一九九〇年の中ごろの三百六十八万CGTで見ますと一・四五倍ですね。約一・四五倍の仕事がふえるということになるわけですね、数字で割ってみますと。それに、さっき言いました現在二千八十時間を千八百時間にするということになりますと、仮に二千八十が二千というふうに見たとしても、その時点で千八百時間になったとしてもそこでまた約一割の人手が足りなくなるということでありますから、五割五分の人間をふやさないと、千八百時間でもこれは仕事がよっぽど省力化をしなければできないという問題になるわけでありまして、先ほど言われました、ずっと省力化が進んでいけばいいのですけれども、その間におくれが出てくると、結局何とかして仕事をしなければならぬという状況の中でまたもや重大災害が発生するのではないかということを大変心配しているわけでございます。 この十年間に省力化が完全に進まないと五割五分の仕事がふえる、そしてそれからまた下がる、そのときがまた問題ですけれども、そういう意味で、死亡災害を初めとして多数発生しているわけでありまして、これから仕事がますますふえるという状況の中で、安全確保と労働環境の改善、そして福利厚生施設の充実などについて、今後の対 策について、現状が今のような状況ですから、その対策についてお示しをいただきたいと思います。
○戸田政府委員 造船業の今後の安定的な運営ということを考えますと、まず第一に必要な労働者を確保していくということでありますが、一般的に労働力人口が減少しているあるいは高齢化が進む、そういった中で、安全な作業環境を確保するとかあるいは福利厚生施設等を含む就労環境を改善していく、こういうことは極めて重要であります。そういうことが達成されなければ必要な人員が造船所に来てくれないというようなことでありますから、労働時間も含めてそういった点を十分に配慮しないと、今後の経営の安定が図れないという状況にあります。 そういうことで、今後、造船事業者としましても、この問題にはどうしても積極的に取り組んで解決を図っていかなければならないということであります。運輸省としましても、事業者の自主努力を促すような方策を進めてまいりたいと考えております。 それから、先ほどお話ございました労働者の安全確保の問題でありますが、先生から御指摘のように、昨年秋、幾つかの事故が起こっております。こういうことはやはり造船業の健全な事業運営上極めてゆゆしき問題であると認識しておりまして、これから仕事が増加していく、こういうような状況にあっては、これらの点に一層注意を払っていかなければならないと我々考えております。そういうことで、ことしの一月に、各地方の運輸局に対しまして、管内の造船所の事故防止に向けて万全を期するように指導を行っていくよう指示しております。 就労環境の問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、技術的な面で省力化を進めていく、機械化を進めていく、そういうことが非常に重要だと思っております。先生御指摘のように、泥棒を捕まえてというお話ございましたが、造船業のこれまでの状況を考えますと、なりふり構わず合理化を進めてきたというようなことで、そこまで確かに手が回らなかったということがあったかと思いますが、現在各社とも全力を挙げてこの問題の解決に邁進しているという状況でありますので、その点御理解いただきたいと思います。
○緒方委員 労働災害の発生というのは本当に深刻な問題でありまして、死亡事故を含めて、本年通達を出されたということですが、この点についてはさらに十分指導をやっていただきたいというふうに思います。 それから同時に、先ほどの質問でも申し上げましたが、中手、中小対策というのもまた大事な問題であります。五千総トン未満の対策、特に技術労働者確保、そういうものが、大手に比べて労働条件その他も悪いものですからここにはなかなか人が集まってこないということであります。第三次の対策がもう終わるわけでございます。きのう政府の方、運輸省の方にレクチャー受けておりましたら、第三次が終わった後第四次をやるには、少し調査期間を置いてそれからやるということで、しばらくの時間がかかるのじゃないかというような話を聞いたのですけれども、もう大手の方だって厳しいわけですから、中手あるいは中小対策というのは非常にいろいろ難しい面もあるわけでありますので、この点について、やはり早目早目の対策をとっていかなければならないのじゃないかというふうに思います。 第四次の対策を早めるということについてと技術労働者対策ということについて、お答えをいただきたいと思います。
○戸田政府委員 確かに、中小造船業のバックグラウンドを考えますと、内航船については最近若干需要がふえてきているというような状況にありますが、漁船などにつきましては、国際的に漁業規制が強化されるというような影響がありまして相当受注量が減っているということでありますし、その上に、中小造船事業者の方は労働力の確保についてはより深刻な状況にあると思っております。 そういったことで、ただいまの中小企業近代化促進法に基づく次の第四次構造改善計画でありますが、この計画の策定につきましては、計画が策定されるまでに通常二年ぐらいを要しているわけでありますが、そういった状況から非常に急を要するということで、全力を尽くしてできるだけ一年以内にそういう計画を取りまとめる、それで平成五年から九年までの構造改善事業が遅滞なく実施できるように努めていくつもりでおります。
○緒方委員 第四次の中小企業に対する具体的な対策については全力を挙げるということでありますので、今積極的な御答弁をいただきましたから、そういうことでぜひ期待をいたしますので、中手、中小対策について努力をしていただきたいというふうに思います。 そこで、四百六十万CGT体制の問題でお尋ねしたいと思うのですが、仕事はこれからどんどんふえてくる、しかし船台をふやせばまたいろいろ問題も起きるということで、非常に難しい問題だと思うのですね。難しい問題だけれども、十年、十五年後を考えると、何としてもそこのところを省力化なりあるいは国際協調とかいろいろなことを総合的に考えてやっていかなきゃらなぬと思うのですけれども、結局、今からどんどん仕事がふえていくと、二〇〇〇年ごろからは下り出して、二〇〇五年ごろからはもっと下がっていくという状況になるわけでありますが、そうなりますと、船台をふやしていくと人もふやす、どんどんふやすということになれば再度合理化ということになるわけでありましで、そういうことにならないようにしなきゃならぬということで、私としては、この四百六十万CGTというのはぜひいろいろな手だてを講じて確保する努力をしていかなきゃならぬじゃないかというふうに思いますが、この点について大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
○奥田国務大臣 もうこの点に関しては全く先生と同感でございます。特に、短期の需要増に今までだとすぐかき込みで増設をするという、この悪循環が今日の業界が非常に困難な時期を迎えた原因でもあったわけでございます。しかし、今日のように省力化、合理化の道をたどって労使一体となって取り組んでいただいたおかげでこれだけ業界はスリムになっている、にもかかわらず、まだ世界の半分、世界一のシェアを占めているという現状というのは、私たちは大変これを誇りに思っておるわけでございます。 ですから、こういった形を認識しながら、先生は四百六十万トンと言われますけれども、まあ大体五百万トン前後、こういった形で、その期間に足腰を強くして省力化体制も含めての設備をきっちり改善していく、この基本的な努力は絶対怠ってもらっては困る。そして、造船業に働く人たちが、本当に先端の産業界に働いておるという誇りと、いい労働環境で仕事をやっていっていただきたいなと願っております。
○緒方委員 最初の答弁のときも、四百六十万CGTというのと五百万トン前後というところでは約一割近く違うわけでありまして、一番ピークで五百三十五万ということになれば、それに合わせればということになりますので、造船所というのはいろいろと老朽化もするであろうし、さらには、船台が今五万トンだけれども新しい状況で六万にしたいとかいうような、時の流れで変わってくるものはやはりあると思うのですね。だから、多少四百六十万を総体としては年間の中で上回るということはあるだろうけれども、今のような答弁で五百万トン前後というのが残りますとすっと打っちゃうことになりますから、そこはやはり四百六十万トンを基礎にしながら、多少の上下はあるというか、これからしばらくは少し上回るかもわからないというぐらいの話でないと、何か五百万トン前後を委員会で容認したというようなことにもなりますので、そこらは、この答申に基づいた中での政府の見解、大臣の見解をもうちょっとはっきりしていただきたいと思うのです。
○奥田国務大臣 私の言わんとするのは先生と同 じことだと思うのです。基本的には、現在の設備をできるだけ省力化、合理化をしていく、環境改善を図っていくという形の中で、現在の設備をベースにしながら、短期の多少の需要増に対しては省力化、近代化の方向で切り抜けていく。ですから、先生が四百六十万という数字におこだわりになるなら、私も基本的には現在の基本数字を基調にして考えますから、全く一緒であろう、ちょっと私の方が融通をつけた数字を申し上げたかもしれませんけれども、お考えは一緒であろうと思います。基本ベースは、四百六十万トンを基準値に、それをベースにしての近代化を図っていくということで御了承賜りたいと思います。
○緒方委員 現在の設備を基本にしながら、多少の上下はある、上下というよりも、これからは少し上がる部分があると思いますけれども、そういう御答弁をいただきましたので、そういうことで考え方を確認したいと思います。 そこで、海運造船合理化審議会の答申では、今のような現状の中で魅力ある造船業にしなければならぬということで、「今後の需要構造や就業構造の変化に対応できる創造的な技術ポテンシャルを保持した魅力ある造船業」ということで答申が出ているわけでありまして、答申が出たのは昨年の十二月ですかね、そういう状況ですからまだ月日は余りたっておりませんけれども、これから議論をされていくでしょうけれども、今日時点で考えられるものがあると思いますので、その辺をお示し願いたいと思います。
○奥田国務大臣 足りないところは局長から補足させますけれども、私は先生が指摘された魅力ある造船業の方向にはもう着々と向かっておると思っております。国民に豊かな生活云々ということを私たちは言いますけれども、この八億トンに近い生産資源を輸入しながら八千万トンの製品輸出で飯を食っておる我が国の現状ということは、まさに海とかかわりなくして今日の日本はあり得ないし、将来もあり得ないということははっきりしているわけですから、この造船業を含めての海運輸送に携わっている人たちの職場が魅力のない形になっていったときには、もう我が国の国民生活の豊かさというのは全く絵にかいたもちにすぎない、それくらいの気持ちでおります。 したがって、港湾設備をよくしていくことはもちろんですけれども、もう世界的な形で海の輸送改革が必ず技術的にも行われてくる時代が来ているな。この委員会でも御議論なさっていただいているモーダルシフトのそういった政策的な推進も必要でしょうし、そしてまた、先生も御指摘になったように、これから造船を含めて海の輸送体系、物流体系も大きく変革の時期を迎えている。二十一世紀を待たずして、恐らくテクノスーパーライナー等の新技術開発によって海の新幹線にも匹敵するような輸送改革が行われるのじゃなかろうか、そのときにも技術的に備えていかなければなりませんし、私はこの造船業に携わる技術者の皆さん方、もう三K産業と言われるようなそんな形じゃなくて、むしろ最先端を行く新しい産業として造船業に大きな期待をかけておるわけでありますし、それに関して、政府、運輸省としても積極的な支援策を講じていく、そのことが国民生活の豊かさにも基本的には通ずる大切な道であるという自覚でやっていこうと思っております。
○緒方委員 今、基本的な考えについては大臣から示していただきましたが、もう少し何か具体的なものがあれば局長の方からお願いしたいと思います。
○戸田政府委員 基本的にはただいま大臣からお話し申し上げたとおりでありますが、まず第一に、先ほどから先生御指摘の労働時間の問題、それから給与水準も含めての待遇改善、それから、労働環境が非常に悪化していたというような状況もありますのでそういった点の改善、それにやはり外から見て、あの造船所は立派な工場であるわい、こう言われるような造船所にしていく、それにはやはりその中身として技術ポテンシャルが非常に高い、やっていることがなかなかおもしろいというようなことも必要であろうかと思います。 ちょっと余計なことを申し上げて申しわけないと思いますが、造船工業会の飯田庸太郎会長の言によりますと、あそこの工場で働いている人のところにならお嫁に行ってもいいと言われるような工場にしていきたいというようなことでありますから、そういうことで全力を尽くしていくことで考えております。
○緒方委員 次に、経済摩擦の問題に移りたいと思います。 我が国の造船業、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、五〇%近くの新造船の受注量ということになっているわけでありますが、もちろんこれからいろいろ省力化をやっていくし、製品的にも立派な製品が、船ができていくということになっていきますと、またいろいろな国際摩擦が起きるんじゃないか。今自動車もいろいろなっておりますけれども、船もそういうことが当然想定されるんじゃないかという意味でいいますと、やはりそこに対する先手を打った対策というのが必要であろうというふうに思います。 OECDの新協定の中でこのような問題も今議論をされているやに聞いておりますけれども、この経済摩擦に対する対策をお聞きしたいと思います。
○戸田政府委員 造船分野におきます国際協調、これは非常に大事なことであると思っておりますし、そういう国際協調を通じて経済摩擦などの生ずることがないように努力していくというようなことが基本でありますが、ただいま先生からお話のありましたOECDの場でありますが、ここで検討されておりますのは、造船分野での政府助成を削減し、多国間協議の場で、造船市場を歪曲しているような施策を廃止していく、そういうようなことで現在協議が進められておりますが、そのほかに、二国間協議などを通じまして我が国の立場を話し、また、相互に意見を交換し、公正な競争条件を確立していくというようなことで現在話し合いが進められているところであります。 我が国がこれからどんどんつくってというような点につきましては、基本的な考え方を申し上げますと、国際的に認められていると思われます我が国のシェア、これを現在程度に長期にわたって維持していく、そのために注意深く日本の造船業を運営していく、そういうようなことによりまして、摩擦問題などの生じるようなことのないように事前にいろいろと手を打っていきたいと考えております。
○緒方委員 それで、先ほどOECDの中における政府補助の問題とかいろいろな話が出たのですが、これは現在作業中ということのようですが、協定はいつごろ締結の現状になっているんでしょうか、わかればお示しを願いたいと思います。
○戸田政府委員 このOECDの造船産業部会で進められております国際協定の作成の問題でありますが、これは主要な国を申し上げますと、我が国、それからEC、韓国、それに米国、これらが主要な国になっておりまして、そのほかに北欧などが加わっておりますが、そこで、政府助成策を削減していくための基本的な点についてはまだ若干の問題点を残しながら、ほぼまとまる方向になってきていると思っております。 それから、この協定の中にはもう一つの大きな柱としましてダンピング防止のための仕組みがつけ加えられておりまして、その点につきましては、我が国、韓国などに憲法上の問題も含めての法制上の問題もありますが、これらを回避して何とか基本的な合意にたどり着きたいというようなことで現在検討が進められておりまして、おおむね四月の初句の会合でその点についての合意の達成が得られればと希望しております。この点につきましては、米国、ECの姿勢が非常にかたいというようなことがありまして、米国、EC勢と韓国、日本がどれぐらい歩み寄れるか、この一点にかかっております。現在、これまで米国とも意見の交換を行ってきているところでありますが、状況としてはなかなか難しい状況にあるということを申し上げざるを得ません。
○緒方委員 そのほかにもたくさん質問通告して おりましたが、時間があと少なくなってまいりましたので、あと一点だけ質問をして終わりたいと思います。 それはタンカーのダブルハルの問題であります。地球環境問題における海洋関係の汚染の問題で、当委員会でも別途また法案が出されますが、この三月の初めにIMOの海洋環境保護委員会で海洋汚染問題で決定がされたということになっておるようでありますが、その主な内容と、それからこの決定が造船業に与える影響、それから価格面にはどういう影響があるのか、技術面にどうなるのか、それからタンカーの代替期にも差しかかってくるわけでありますが、その点について、三、四点ございますけれども、お答えいただきたいと思います。
○戸田政府委員 このタンカーの二重構造問題につきましては、ここ一年以上の長期にわたりまして海事関係の国連の専門機関であります国際海事機関において検討が進められてきたところでありまして、先週三月二日から六日まで開催されました海洋環境保護委員会で海洋汚染防止条約の改正がなされております。 この条約が発効いたしますのは平成五年の七月からということになっておりますが、内容を簡単に申し上げますと、大型の新造タンカーにつきましては、平成五年七月以降に契約するものについてダブルハルが強制されます。それから、現存のタンカーにつきましては、平成七年の七月以降、船齢に応じまして段階的にダブルハル化が強制されることになっております。大ざっぱに申し上げますと、大体二十五年以上ぐらいの船齢でそういう規制がかかってくるというようなことになります。 それで、この我が国の造船業に与える影響につきましては、我々の方も前から検討していたところでありますが、若干の工数の増加は伴うものの、技術面では十分に対応できると考えております。 それから、船価に与える影響でありますが、これは個々の船舶の設計にもよりますが、大ざっぱに申し上げますと、従来のタンカーに比べて二割前後価格がアップする可能性があります。 それから、今後の代替需要にどういう影響を与えるかというようなことでありますが、昨年の海運造船合理化審議会におきましても、今後の代替需要への対応につきましてはこの点も含めて需要予測を行っておりますので、現在の我が国の造船能力によりまして十分対応が可能であると考えております。
○緒方委員 これで質問を終わりますが、いろいろ御要望申し上げた点、確認した点については、ぜひ努力をお願いしたいと思います。 終わります。
○久間委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。春田重昭君。
○春田委員 質問の前に、限られた時間でございますから答弁者はひとつ簡潔にしていただきたいことを要望しておきます。 さて、昭和六十二年の四月に施行されました特定船舶製造業経営安定臨時措置法、五年をもって廃止される法案が提出されているわけでありますが、廃止に当たりまして、我が国の今後の造船業界に全く懸念がないといいますか影響がないのかどうか、御答弁いただきたいと思うのです。 この法案は、五千トンクラス以上の外航船を造船する造船業界が対象と伺っておりますけれども、そういった業界の皆さん方の合意もされているのかどうか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
○戸田政府委員 この特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止するに当たりましては、いろいろな面で我々運輸省としましても、また関係業界、労働組合含めまして多角的に検討してまいっているところであります。 先ほどから御案内のとおり、この法律に基づきまして設備の削減あるいは会社のグループ化、集約化などの構造対策を実施してきております。一方で、海運市況は当時に比べますとかなり好転しているということから、平成二年度で見ますと各社とも経常ベースでおおむね黒字になってまいってきておりますし、また、その背景としまして、最近の受注状況も順調に進んでおりますし、また、手持ち工事量を見ましても約二年分の工事量を確保しているというような状況にまでなってきております。 それで、今後の市況の展望になりますが、タンカーの代替が相当大きな仕事になってまいりますし、その後に大型バルクキャリアなどの老朽船の代替も需要の中に入ってきておりまして、今後かなりの長期にわたりまして造船業の事業につきましては比較的安定していくものと考えております。そういったことで、仕事面、経営面両方にわたって当分の間は安心できる状況にあるのではないかと思っております。 そういった状況の中で、昨年の十二月に、運輸大臣の諮問機関であります海運造船合理化審議会におきましても今後の造船業のあり方について検討を進めましたが、その中で、特定船舶製造業経営安定臨時措置法を初めとする造船不況対策につきましては、その所期の目的を十分に達成したとの評価をいただいておりまして、今後は、社会経済情勢の変化あるいは国際化の進展の中で我が国の造船業が適切な役割を果たしていける産業になっていくべきであるというふうに考えておりますが、そのための環境が十分に整ったというふうに考えております。
○春田委員 二度のオイルショックで造船業界は構造的な不況に陥った。そういった中でこの法律が施行されて、設備が縮小されたり廃止、また統廃合等々のいわゆる集約化によって見事に立ち直ったわけであります。ただいま御答弁のあったとおり、今非常に造船業界は不況から一転して活況になっている、しかも受注量、工事量は約二年分があるということでございます。 そういったことで、現在の、また将来のこういった活況に対して十分対応できる体制になっているのか。例えば、設備を廃止した、また人員整理も行った、その結果、現在のそういった受注、また将来のそういった高需要に十分対応できるかどうか、かえって危惧される面が出てきているんじゃないか、納期等々も十分間に合うような、そういった体制になっているのかどうか、そういった面はどうでしょうか。
○戸田政府委員 今後の需要にどのように対応できるかというようなことでございますが、当分の間はこれから受注が順調に伸びていくということを考えまして、それに対応するには人手不足の問題がありますが、これについては、やはり世界一のその産業を持っているというような状況から、機械化、省力化を積極的に進めていく、そういうようなことで需要には対応できていくものと考えております。
○春田委員 機械化、省力化というお話がございましたけれども、経営者の心理といいますかマインドとしては、こういった法律が施行されまして設備も縮小してきたわけですよ、それが一転して今日活況になっているから、設備投資をしようと思っても、企業家心理として、この五年間この法律が施行されて、設備投資は余りできないんだというマインドが働くと思うのですね。しかし私は、必要な設備投資はやっていくべきである、こう思っておりますので、そういった企業家心理を高揚するための運輸省の特段の配慮といいますか、助成も必要であろうと思うのです。 この法律は設備を縮小するものですから、今一転して活況になってきたんだから、何でもかんでも設備投資をやろうというわけじゃないのですけれども、必要なものについては運輸省は促進する、また援助もしていく、こういった設備投資に ついては従来の姿勢と違って前向きに対応する必要があるのじゃなかろうかと思いますけれども、どうお考えになりますか。
○戸田政府委員 運輸省としましては、我が国造船業、世界の五〇%のシェアを持っている、それで世界海運に与える影響が非常に大きいということから、我が国の造船業というのは今まで以上に立派な産業として維持していかなければならない、そういうふうに考えております。 設備投資につきましては、先生御指摘のとおり、この長い不況の間に投資が相当おくれてきたという面があります。そういったことで、設備の更新その他相当の投資が必要になっておりますし、先ほど申し上げましたように、人手不足というような面からも設備投資を相当積極的に進めていかなければならない、そういうような状況にあると思っております。 また、我々が造船業を支援していくというような観点から、例えば新規需要の創国策としまして、海上浮体施設の整備などにつきましてはNTT株の売却益を活用した無利子の貸し付けを行うとか、それから各造船会社の技術ポテンシャルを高めていく、それによって造船業を活性化していくというようなところから、テクノスーパーライナーなどの高度船舶技術開発も促進しているところであります。 そういったことで、官民挙げて、これからの新しい造船業をつくり上げるために設備投資も含めて積極的に諸対策を進めていかなければならないというふうに認識しております。
○春田委員 海運造船合理化審議会の答申の中で、一つは、労働力確保のための就業環境を改善する、さらに、環境、安全、海運市況安定のために老朽船の解体を進める、こういった答申が出ておりますので、この問題につきまして深く質問していきたいと思うのです。 まず第一点の、局長も答弁なさっております人手不足、人手不足の中でも、特に若者の不足という問題について聞きたいと思うのですが、造船業界は三Kと言われております。さらにプラス二K、いわゆる危険、汚い、きついの上に、休日が少ない、また給料が低い、こういった悪評があるわけでありますが、そういったことがやはり若者の定着率が悪い原因になっていると思うのです。平均年齢も造船業界は四十一・八歳なんです。特に、この従業員の年齢構成でも四十歳から五十歳未満が全体の四七%を占めている、かなり高齢化していっている。そういった点で、私は今後の若者のいわゆる定着というものが、確保というものが大事になってくると思うのです。 そういった面で教育、学校が大事だろうと思うのですが、高校には造船科というのがあります。資料によりますと、昭和四十一年時には公立、私立合わせて十六校あったのですね。ところが、今日においては九校になっております。さらに、今春この造船科を三校廃止して、来年からは何と六校に減るというのですね。かつての十六校が六校ということで、約三分の一に減ってしまうのです。全く寂しい限りであります。こういったところもやはり若者の造船界に定着しない原因にもなっているんじゃないか。大学では、こうした傾向に歯どめをかけるためにも、大学でも造船科というのがありましたけれども名称を変えまして、船舶海洋工学科という、ちょっと幅広くそういった名称に変えまして、内容を広げていっております。私は、こういったことで、高校でもただ造船でなくして、先ほど局長も御答弁あったように、テクノスーパーライナー、これから豪華客船なんかもどんどんそういった時代の要請において竣工されるようになってくるわけですから、高校の造船科を今後幅を広げて、そしていわゆる若者の対策といいますか、人材確保といいますか、そういった面にいく必要があるんじゃなかろうかと思いますけれども、どう思いますか。
○戸田政府委員 確かに、人手不足の解消という面から若者たちにとって魅力ある造船業にしていかなければならないという課題が大きいわけでありますが、昨年十二月の海運造船合理化審議会の答申の中にも述べられておりますように、今後は、まず第一に、これまでの不況により疲弊した造船所の設備などを更新していく、あるいは就労環境を改善していく、こういうようなことがまず第一でありまして、これまで定着しておりました造船業に対する三Kイメージ、これを全く払拭するような対応をしていかなければ労働力の確保は難しいというようなことで、運輸省としましても、その事業者の自主努力を促すような方策を進めてまいりたいと思っております。 もう一つは、やはり産業として最先端の生産設備を誇っている、そういう技術ポテンシャルを高めていく、それが非常に大事であろうかと思っております。 大学の工学部の問題につきましては、先生からお話がありましたように、船舶工学科というようなものが、大体全国で、海洋工学も含めましてカリキュラムが決められるような状況になっておりますが、造船所が扱っております製品の対象としましては、船舶だけではありませんで、石油掘削ジグとかそういったものも含まれておりますので、造船業自身が幅広いレパートリーを持たなければこれからやっていけないというような状況にあるのではないかと思います。そういった意味では、高校の課程でもそういうような面も取り入れていくというのはこれからの課題として重要ではないかと思っております。 ちなみに、最近二、三年の実態を考えてみますと、工学部の学生、卒業生が金融業などに就職したという例がそれ以前には相当数ありましたが、最近は工学部の学生が相当数造船業にまた戻ってきております。そういったことで、各社とも来年度からの入社員としては相当数の工学部卒業生を確保しているというような現状が見られますので、我々としても大変その今後の状況を楽観してよろしいのかなというふうに思っております。
○春田委員 局長、私の答弁で、時間がないんだから、今あなたの答弁を聞いていると三分の二は余計なことですよ。後半だけですよ。 大臣どうですか、高校がかつて十六校あったのが今六校しかないんだ、そういった面で、造船科じゃなくして、大学並みにそういった内容、幅を広げて造船科を維持すべきじゃないかという私は質問をしているのですよ。局長の答弁は三分の二は余計なこと。ちょっと大臣、どうですか。
○奥田国務大臣 いや、さっきから感心して聞いておったのですけれども、三Kプラス二Kだと、三Kのほかに、休日は少ない、給与は低いという御指摘で、かつての造船業というのは長い間そういった形の中でやってきておったのかなと。 私は、先生、造船業界志望の技術者、若者は必ずふえてくれると思っています。ということは、今までは先生の言われたように三Kプラス二Kの企業イメージが定着していましたけれども、今はもうまさに造船はハイテク技術を総合した近代産業の中で、かつての鉄のがらんどうをつくっておる造船と違って、まさに技術の集積した産業として、しかも今までのような過当競争、過剰設備という形の弊さえ、そういった同じ道をたどらなければ、この造船産業というのは、私は、若者にも魅力のある業界として必ず受け入れられるであろうと大きな期待を持っています。
○春田委員 大臣も私の質問に答えていない。いずれにしても、教育というのは非常に大事ですから、そういった面で、高校がかつての十六校が現在六校になってきたのですから、歯どめをしていただきたい、内容を変えて拡充していただきたい、こういうことを言っておきます。 さらに、賃金ですけれども、これも陸上職と造船業界を比較した場合、例えば造船業界は高卒四十歳で平均が二十五万二千六百円です。全産業平均では三十一万です。約六万の開きがあります。そういった面でも、私は、経営者任せじゃなくして、国としてもいろいろな角度から応援する必要があるのではないか、こう思っております。 さらに、給与や時間、労働時間ではなくして、その他職場の労働環境といいますか、改善といいますか、厚生施設、こういったことも必要になっ てまいります。テニスコートとか野球場とかいろいろな保養施設、独身寮、こういったいわゆるその他の保養施設といいますか厚生施設も充実していくことが若者がサービス産業に流れる流れを食いとめる原因にもなってくるのではなかろうかと思っておりますので、こういったいわゆる賃金の面、またこういったサービス施設の面につきましても国としては前向きに取り組んでいただきたい、私はこのように要望しておきたいと思います。簡潔に御答弁いただきたい。
○戸田政府委員 最近の造船業の状況を考えますと、船価も相当上がってきているというような背景がありますので、そういう面では賃金あるいは労働条件、それに福利厚生施設、そういったものの充実に努めていくことができる環境が整ってきていると考えております。
○春田委員 次に、解撤問題ですね、いわゆる老朽船のスクラップの問題につきましてお伺いしたいと思うのですが、我が国は現在十社程度でこの処理を行っておりますけれども、今お話があったとおり、我が国の造船は世界全体の約半分を受注している、その割には非常にスクラップの処理が我が国は少ないと言われております。そういった点で、現在また将来において、解撤の作業といいますか事業といいますか、現在の体制でスムーズに行われていると思っておられるかどうか、また、将来大変だとなればどういった対策を練るうとしているのか、あわせて御答弁いただきたいと思うのです。
○戸田政府委員 この解撤の問題というのは、これから老朽船が大量に出てくるというようなことで、大変重要な問題であります。国内の現在の解撤の状況を考えますと、これから出てくる大量の解撤には対応できないんじゃないか、そういう危惧を我々も持っているところであります。 そういったことで、現在、海運会社、造船会社含めまして、今後の解撤の方策をどう進めたらいいかというようなことを検討していただいております。また、我が国だけでできないということであるなら、やはり世界各国がこの問題を取り上げていかなければならないというようなことで、日本が中心になりまして、特に東南アジア地域において、この解撤業が今後大量に出てくるスクラップに対応できるかどうかということについて真剣に取り組まなければならないということでありまして、先日、日本におきましてこの解撤への取り組みについて東南アジア各国からの意見を聴取し、また意見の交換を行っておりますし、また、先週ロンドンで開催されましたIMO、国際海事機関の海洋環境保護委員会におきましても、この解撤施設の促進に関します決議を我が国から提案いたしまして、これが採択されております。 そういったことで、大問題としてこれから全力を尽くして我々は取り組んでいくつもりであります。
○春田委員 この解撤問題は我が国でもいろいろ会議が行われまして、国際的な問題として今起こっているわけであります。それも、かつてのシェアの約半分を占めていた韓国と台湾が要するに解撤事業から撤退したということで、残る中小の後進国の事業がやっているわけでありますが、かつてピーク時には解撤の処理能力というのは約四千三百万DWTの能力があったわけでありますが、今日では一千七百万DWTに落ちている。船舶の寿命というのは大体二十五年から三十年と言われますので、七〇年代から造船されたものが大体九五年から二〇〇〇年にかけてほとんど寿命が来る、その段階で約三千万DWTが必要になると言われている。そういった中で、世界の船舶建造の五〇%を出かる我が国、しかし、この処理能力は四、五%しかないわけですね。一そういった点で海外に依存せざるを得ないと思うのですが、我が国の場合は、この解撤事業については財団法人で協会をつくられまして補助金が出されておりますね。この財団法人では基金が現在五十億円が残っておりますけれども、今後の解撤事業を、台湾と韓国が引いたので、インドとかバングラデシュとかああいったところにお願いする以外にない。そういった中で、いわゆる財団法人の基金を海外でも適用することができないかどうか、その辺の検討はできないかどうか、時間がございませんので、ひとつまとめて御答弁いただきたい。
○戸田政府委員 解撤協会が実施しております解撤促進の補助金の制度でありますが、これにつきましては、これまで我が国で解撤されるものに補助金を与えてきていたわけでありますが、今後の問題としては、この基金の運営も含め、また発展途上国とどういうような連携を保っていくことができるか、それから、日本の造船業が解撤のためにできる支援策、これは恐らく解撤の自動化とかそういった技術開発面だろうと思いますが、そういった面についても現在真剣に検討を進めている段階であります。
○春田委員 大臣にお伺いしたいと思うのですが、現在の解撤は要するに建造主というよりも所有者の責任になっております。しかし我が国としては、先ほどからもお話が出ているように、世界全体の五〇%を建造しているわけですね。老朽船になって、これは知りません、適当にやってくださいというわけにはいかない面もあると思うのですね。我が国としては世界全体の五%ぐらいの処理能力しかない。そういった面で、今後やはりこの解撤事業につきましては、いろいろな技術援助の問題とか資金援助の問題とかが必要になってくるんじゃないかと思うのです。 これはやはり船主協会とか造船業界、そして運輸省も一緒になって総合的な取り組みをやる必要があろうと私は思っておりますけれども、ひとつ大臣の御見解をいただきたい、こう思います。
○奥田国務大臣 解撤事業に関しましては、先生の御提案は大変参考になります。特に、造船王国という形で世界の半分に近い造船シェアを誇っておるわけでありますけれども、老朽船、その後始末、まさにそれこそ地球環境問題にも影響してくるわけでありますし、また、開発途上国に資源再生も含めてそういった形での基金活用をどういうぐあいにしたらいいだろうか、これは積極的、前向きに検討させていただきます。そのことが逆に、これから造船王国としての日本が、将来にわたって、開発途上国も含めてのいろいろな技術協力のあり方にも影響してくるわけでございますし、そういった意味合いにおいてぜひ前向きに検討させていただきたいと思っています。
○春田委員 最後に大臣にお伺いしたいと思うのですが、この造船業界の問題じゃなくして、きょうの新聞に佐川急便問題の件でちょっと報道されておりますけれども、六社合併の認可申請が出されておりますけれども、労務管理の責任問題について、運輸省の要求しているそういった項目に対しまして書面でまだ回答がされてないとか、また、金融機関のメーンでございます三和、住友の支援状況が必ずしも明確でないとか、こういった段階で、今月の二十一日に佐川としては要するに認可してほしいという要望を出しているのですが、こういった問題があって、運輸省としては物理的にはできないというような報道がされておりますけれども、この問題について大臣の御見解をいただきたいと思います。
○奥田国務大臣 合併認可に関して、合併六社を代表して二十一日に認可をしていただきたいという要請がなされておることは事実でございますけれども、こちらとしては、やはり問題が問題の事件を起こしただけに、この合併企業がいわゆる資金的な基盤においてもまた現実に安全輸送という面においてもあらゆる条件がきちっと整備されなければ、なかなか認可には至らない。今現在の段階で申しますと、中間的ではありますけれども、そういった金融支援、メーンバンクを中心としたそういった形の問題、そしてまた合併企業それぞれが、債務能力も含めて、また健全な運行能力も含めて適正であるかどうかということを慎重に精査している段階でございますから、今、何日にするとかできないとかという形はまだ私の口からは言えない段階でございます。 全く国民の皆さん方も大きな関心を持っている 問題であり、しかも物流業界の皆さん方そしてまた佐川グループに働いておられるまじめな従業員の皆さん方のことも公平に考えながら、この問題に公正、慎重に対処してまいりたいということでございます。
○春田委員 時間が参りましたので、終わります。
○久間委員長 佐藤祐弘君。
○佐藤(祐)委員 我が党は五年前、この臨時措置法につきましては、国の資金で大手造船を助け、中小造船は切り捨てるものだ、また労働者の大量解雇を進めるものだなどの理由で反対をいたしました。その法律が廃止されるわけでありますから、そのことには賛成ですが、何点かただしたいと思います。 第一には、大臣がたしか冒頭、この法律はかつてなく成果を上げた例だというふうにおっしゃっておられましたが、それはやはり事の一面であって、その一方では労働者の大きな犠牲があった、むしろそういう大きな犠牲の上に今日の造船業界があるんだということだと思うのです。御承知のとおりで、造船の大企業は、この臨時措置法に先立ちます八六年海造審答申を受けて大々的な合理化を進めたわけであります。七万七千人の労働者の、計算しますと四五・五%に当たるんですね、一年半の間に三万五千人を削減する、かつてない大きな問題であったわけです。 中でも激しかったのが石川島播磨重工だったと思います。八六年末の四十五日間にいわゆる七千人合理化というのを進めた。しかもここの場合にはやり方が非常にひどい。本人の意思に基づくということを会社側は明言をしておったわけです。ところが、退職に同意しない労働者については五回、六回と呼び出す、ひどい例では二十回というのもあります。そしていろいろなことを言って退職を強要する、そういうことがありました。 運輸省は全体としては何か平穏に事が進んだかのように説明しておられるけれども、こうした事実があったことは承知しておられますね。
○戸田政府委員 大幅合理化の際の職務配転あるいは解雇、そういったことがありまして、幾つかの問題があったことは聞いておりますが、その中には現在係争中のものもあるということは我々も承知しております。
○佐藤(祐)委員 いろいろ問題があったということは、今もその一端を言われたわけですが、どんなに退職強要がすさまじいものだったか、それを実証する一つの文書を持ってきました。これは、東京弁護士会が、労働者の依頼を受けて、訴えを受けて調査をして、一九八八年の二月十日に石川島播磨重工業あて、会社あてに出した「警告及び勧告書」というものであります。 この中身をかいつまんで申し上げますと、申し立てをした労働者の方は、一、二回目の面談で退職の意思がないことを伝えた。ところが、合計六回から十二回も上司から呼び出されて、執拗に退職を要求された。その際、上司から、申立人らの人格、名誉、感情等を著しく傷つける内容の発言及び退職に応じなければ重大な不利益を受けるであろう旨の発言が行われた。これは、ばかとか無能力者とか、本当に聞くにたえられないような暴言なんですね。これも詳細に記録があります。しかもそれだけではなくて、仕事を取り上げるのです。従来担当していた仕事を取り上げて仕事をほとんど与えないか、雑用、これは草むしりその他です、雑用または補助的作業のみを指示する報復的な仕事差別、職場八分的処遇が始められた。 こういうことから、東京弁護士会は結論的に、任意の退職を求める説得の範囲を超えている、意思に反して退職を強要するものであり、申立人らの人格権を侵害する違法な人権侵害行為であったと認められる、速やかにそういう事態を改善、除去する措置をとるよう勧告する、こういうものが出されたわけです。 私は、日本の大企業、造船では代表的な企業で、表向きは希望退職、本人の意思に基づくと言われていながら、実際にはこういうやり方が行われた、これはまさに私は驚くべきことだと言わなければならぬと思います。今なおこの石播の合理化、差別とか強制出向とかをめぐっては、八六年以前のものを含めて十件、東京地裁と都労委、中労委に上がっているのもあります、十件もの問題が今なお係属して審理されている、こういう状況です。 運輸省として、自分たちが推進した政策の結果こういう事態が今も続いている、こういうことについてはどう考えていますか。
○戸田政府委員 この法律に基づいて進められました諸政策というものは、基本的には、合理化を進めなければ日本の造船業がすべて壊滅するような状況にあったというようなことで進められたわけであります。その根本は、民間会社がこういうふうにしたいというようなものを受けまして、それは海運造船合理化審議会の答申が基本になっているわけでありますが、そういう民間会社の自主的な発意に基づいて合理化が進められたというような状況にあります。 ただいまその係争中の案件、幾つかあるというお話でございますが、こういった問題につきましては、我々としましては、両当事者の問題でありまして、できるだけ円満に解決していただければと考えておりますが、運輸省としましてはこの問題についてはコメントする立場にありませんので、御容赦をいただきたいと思います。
○佐藤(祐)委員 裁判所や都労委の審理について直接コメントせよと言っているのではないのです。いまだにそういう問題が十件も続いている。人数にするとこれは膨大な数ですよ。そういうやられた合理化、それについての反省はないのかということを聞いておったわけです。 今、当時それをやらなければ会社が壊滅してしまうというようなお話もあったけれども、決してそうじゃないですね。あのときの運輸委員会の議論でも、我が党の議員は、当時のいろいろな資料を挙げて、内部留保の問題その他を挙げてやったという記録が残っております。むしろそういうことを口実にして、このままではつぶれるぞということで、いわば一種のおどしといいますか、このままおってもだめになるんだというようなことで退職が強要されていった、ここに私は重要な問題があると思う。 私があえて改めてこの臨時措置法前後の問題を取り上げましたのも、それが、過去そういうやり方があったというだけではなくて、現在も、会社の一方的な都合で、将棋のこまのようにといいますか、労働者の出向とか配転をやるということが続いているからなんです。 一つの例が、東京豊洲に工場がありますね、そこから横浜工場への配転です。この際に会社側は、片道二時間は通勤可能範囲だということを言って、かなり遠隔の埼玉とか千葉に在住している人、春日部その他ありますけれども、そういう人たちも横浜工場に転勤を命ずるということで強引に進めたのですね。およそ三十人ぐらいですが、最近の職場の、皆さんも御存じでしょうが、午前八時といいますと、昔は門を入ってタイムカードを押せばその時間でよかったのですね。今は着がえをして作業現場に立っていなきゃいかぬということになりますと、二、三十分前には入らなきゃならぬ。例えばその春日部の方から来るとしますと、午前五時過ぎの始発電車に乗らなきゃならぬわけですね。そして残業なしで終わったとしても、真っすぐ帰ったとしても七時半なんですよ。家にいるのは正味九時間くらいしかない。そうすると、もう食事をして寝たら終わり、家族の団らんも何もない、こういう状況になるんですね。 だから私は、この通勤の二時間はもう当然なんだというようなことで労働者を一方的に配置転換していく、こういうやり方は当然改められなきゃならぬというふうに思います。 もう五分前になりました。労働省、来ていただいていると思いますが。——いますね。 この通勤時間の問題で関連して。今労働時間の短縮ということが大きな命題になっています。しかし、他方で通勤時間が長くなれば、結局それは帳消しになるという関係だろうと思うのですね。 労働省でも「東京集中と勤労者生活に関する研究会報告」その他で、そういう問題についていろいろ研究とか進められておる。普通、いろいろな調査を私は調べましたが、毎日のことですから、通勤可能範囲は大体一時間以内が望ましいというのが過半数ですね。これは労働省の白書にも出てきます。そういうことからいって、この片道二時間というのは余りにも長い、好ましくないというふうに考えますが、どうでしょうか。
○上原説明員 今の質問に対してお答えいたします。 実は昨年、御指摘のように、労働省におきましては、都市通勤の現状と勤労者生活への影響に関する研究会というのを開催しまして、都内で働いております勤労者の方からいろいろ御意見を聞きました。その中では、特に長時間通勤者、片道通勤九十分以上の者ということですが、その八割以上が通勤に不満を感じていると答えております。
○佐藤(祐)委員 ちょっと答えがはっきりしませんが、私は片道二時間通勤のことを言っているのです。片道二時間というと、この労働省の計算でも、四十年働いてそのうち五年間は電車の中におるという計算になるというほどのひどいものですね。これについて好ましいと思っているのかどうかということです。
○上原説明員 好ましくないと思っております。
○佐藤(祐)委員 時間が迫ってきましたから、最後に大臣にお伺いします。 造船業については、政府が、ある時期には設備拡張を大いに進めるという時期もありました。その次には、今度はまた設備削減ですね、大幅削減、こういうことをやられてきた。その間、大手造船には、施設の買い上げ、この措置法がそうでしたね、施設の買い上げや税制上の優遇措置、さまざまな手厚い保護策をとってきた。労働者の方は、さっきちょっと申し上げたように、きょうは時間がないので十分言えませんでしたけれども、相当な犠牲を強いられてきたというのが事実なんですね。私は、こういうやり方はもう繰り返されてはならぬということを申し上げたいのです。 このところ、造船業界は人手不足ということが言われています。それは、やはり原因の一つとして、合理化で首を切り過ぎた、特に熟練の技術者、これの首を切ったのが今になって痛くなっているというようなことも聞いています。そしてまた、そういう強引な合理化、景気のためには安全弁のように切り捨てるというようなやり方とか、賃金水準が製造業でいいますと今最低クラスだということがさきのやりとりでもありましたが、やはりそういったことが造船職場の魅力を失わせていると思うのですね。 だから、人手不足対策、確信を持っているというような趣旨の発言がありましたけれども、幾らコンピューター化ということだけ言っても、私はそうはならないと思うのですね。やはりそういう陰湿な労働者攻撃とか突然の大合理化とか、不安定感がある、あるいは低賃金、そういうところを改善しなければ人手不足対策も進まない、魅力ある職場にはならないというように考えるのです。その点、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○奥田国務大臣 確かに、造船王国日本という立場の中で、シェアを確保するために、造船業界がいつも過剰設備、過当競争の中で厳しい競争を強いられておったんだろうということは理解できます。そしてまた、先生の御指摘のあったように、いわゆる会社のスリム化を図り、設備の近代化、スクラップ化をまた並行してやらなきゃいかぬという中で、いろいろ御指摘のような、お互いに労使間で不幸なあのつらい歴史があったのではなかろうかなあと、今御指摘の点も理解できるわけでございます。 しかしそれにつけても、今日、労使一体で、そして立派な成果を上げてまいりました。今後とも、まあいつか来た道、過剰設備や過当競争に侵されない、平均したシェアを守りながら、しかも、先ほどから御指摘のあったような三Kプラス二Kのそういった環境の労働職場ではなくて、賃金においても環境においても福利施設においても全く誇りある産業、そういったものを基盤として立派にやっていっていただきたいな、先生の御指摘された不幸な歴史は二度と繰り返してはならぬ、そう思います。
○佐藤(祐)委員 終わります。
○久間委員長 高木義明君。
○高木委員 私は、特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案に対しまして、ただいまから若干のお尋ねを申し上げます。 この法律案につきましては、既に海運造船合理化審議会におきまして各界のそれぞれの意見を踏まえたものでありまして、私はこの法案に対しましては賛成の立場を明らかにするものであります。 二回のオイルショックを中に挟みながら、いわゆる造船構造不況というのがこの間続いたわけでありまして、第二次にわたる設備削減、操業規制、雇用調整、こういったものと同時に、いわゆるグループ化と言われております事業提携などもこの法律によって進めてまいりました。この間、関係業界におかれましては、労使一体となったサバイバル作戦、生き残り、業務の多角化、こういった努力がなされておりまして、苦しいそれぞれの体験を克服されましたことに私は敬意を表する次第でございます。特に、国におかれましては、こういった状況にかんがみましてできる限りの支援をとったということに対しまして、私は敬意と感謝の意を表する次第でございます。 今、造船業は建造能力はかなりスリムになりました。海運市況の回復にも支えられまして新造船建造の需給ギャップは改善をされておりまして、今職場は明るさを取り戻したわけであります。 そういう中で今後を展望するときに、長期的な需給の安定を図るとともに、何といっても我が国造船業の国際的な政策協調が重要ではないかと私は思っております。具体的には、OECDあるいはIMOなどの各分野において我が国が世界のそれぞれの国々と協調してこの産業を支えていく、そして世界の多くの人々の暮らしと環境を守っていく、こういう意味で日本の今後の政策が大切ではないかと私は思っておりますが、この点につきましてまずお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○戸田政府委員 ただいま御指摘の我が国造船業の国際的な政策問題でございますが、我が国の造船業、御案内のとおり、世界の約五〇%のシェアを握っているというような立場で、これまで多国間あるいは二国間などの話し合いを通じまして広く政策協調を図っているところであります。 まず、御指摘のOECDにおきますこの造船問題の検討でありますが、現在、日、米、EC、韓国、そういった国が中心になりまして、各国の政府助成の削減問題について新協定を策定すべく精力的に協議を行っているところであります。この協定づくりも、大体フレームワークにおきましては最終の段階になってきておりますが、国際法上あるいは国内法上の問題などもはらんでおりまして楽観を許さないところでありますが、我が国としては、日米を基軸にしまして可能な限り早期にこの協定をまとめ上げたい、そう希望しております。 それから、船舶の安全あるいは船舶からの環境汚染防止の問題につきましては、国際海事機関で議論が進められておりますが、地球環境保全という観点から我が国もこれらの問題に積極的に参加しているところでありまして、我が国のイニシアチブがこういった面での活躍について大いに期待されているというような状況にあります。 政府間の協調のほかに、民間同士につきましても、日韓あるいは日米、日・ECなどで今後の世界の市況の安定のための協調の話し合いが進められております。
○高木委員 最近〔国際貢献ということがよく述べられるわけでありますが、私は、今回のあらゆる構造不況にかかわる問題等の反省を含め、今後、世界共通の課題克服に向けて我が国造船業界が果たすべきいわゆる国際貢献ということが重要ではないかと思っておりますが、この点につきま して、政府としての御所見があればお聞かせいただきたいと思います。
○戸田政府委員 造船業の面におきましての国際的な貢献につきましては、三点あるかと思います。 まず第一の点は、国際晦な造船市場における公正な競争条件の確立と需給の安定を促進するという点であります。第二点としましては、船舶に関する環境保全あるいは安全に関する技術の開発を促進する、さらに、海運市場の安定化の観点から老朽船の解撤を促進するという点であります。それから第三点としましては、積極的な技術協力を推進することによりまして各国の造船業のレベルアップを図っていくという点になるかと思います。これらの点について我が国としては今後も積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○高木委員 宮澤内閣の大きなキャッチフレーズの一つに「生活大国」ということがあります。そういう生活大国づくりに資するためにも、今後新しい造船技術の研究開発、そういうことによりまして快適な余暇の活用とか物流の効率化、こういった面に寄与していくことが大切だと私は思っております。 そういう意味で、もちろん最も重要にされるべきは企業努力でございまして、その自助努力の中で挑戦をしていく、こういう姿勢を堅持しなければならないと思っておりますが、それを支える国としての支援策というのもやはり大切なことではないかと私は思っておりますので、この点ひとつ大臣の御所見をいただければ幸いかと思っております。
○奥田国務大臣 確かに、海とともに、海なくしては生きていけない我が国でございますし、そういった意味合いにおいて、この造船といいあるいは海運といい、まさに私たちの国民生活を支えている生命線でもございます。したがって、御指摘のように、豊かな生活大国づくりの基本はまず海運であり、また世界に誇る造船が大変大切な基幹産業であるという認識は先生と御同様でございます。 そのために、政府としてはこれらの海運、造船に関して適切な支援策をとっていくことは当然でございますし、とりわけ、陸上輸送の混雑からモーダルシフト等々の輸送政策をどういった形で推進していくかという支援策も必要でございますし、また、将来の物流体系に大きな革命をもたらすであろうというテクノスーパーライナー等の技術開発に関しても政府としては積極支援策をとっていくのも当然でございますし、また、世界の造船王国として海に一番恩恵を受けている我が国の立場として、環境の保全に世界の先達としての使命、責任を果たしていくのも当然でございます。 これら等々の問題点を踏まえまして、今後政府としても積極的な支援策を講じてまいりたいと存じております。
○高木委員 ありがとうございます。 これに関連いたしますけれども、造船業基盤整備事業協会、これが存在しておるわけでありますが、今後この協会のあり方についていかがお考えか、お尋ねしておきます。
○戸田政府委員 この法律に基づきましての事業であります土地の買い上げあるいは債務保証、そういった問題につきましては造船業の合理化が最終的に終了する段階でそれらの業務を終えることになっておりますが、現在、基盤整備事業協会としましては、テクノスーパーライナー初め新しい技術の開発を進めております。 今後の基盤整備事業協会の運営につきましては、現在我々も真剣に検討している段階でありますが、できるだけ早い機会に将来像をつくり上げるということに努めたいと思っております。
○高木委員 造船業界は、御承知のとおり、今、二年分強の仕事量を確保しておると言われておりまして、いよいよ今から確固たる経営基盤の安定のために歩み続けるわけでございます。今後は、適正操業、適正価格、こういったものを確保しつつ、労働条件の改善あるいはまた設備投資、研究開発、こういったものに対応していくわけでありますので、今後とも国におきましてできる限りの御支援を私は強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○久間委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○久間委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久間委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久間委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○久間委員長 次に、内閣提出、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。奥田運輸大臣。 ————————————— 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一 部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○奥田国務大臣 ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 海洋汚染の防止につきましては、各国が協調して取り組むことによって初めて十分な効果が期待できるものであるため、我が国といたしましては、従来より国際的な動向に対応しつつ、海洋汚染防止対策の充実強化を図ってきたところであります。 アラスカ沖で発生したタンカーの座礁事故に伴う大規模油流出事故を初めとする最近の船舶からの油排出事故の状況から、事故の発生時においては、乗組員の行動の指針となる手引書が必要であるとの国際的な認識が高まった結果、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書について、油濁防止緊急措置手引書を船舶内に備え置くことを義務づけるとともに、当該手引書について船舶検査の対象とすることを内容とする改正が行われ、平成五年四月に発効することとなっております。 このため、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正し、同議定書の改正に伴い新たに必要となる国内法制の整備を図ることとした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、船舶所有者は、一定の船舶ごとに、油濁防止緊急措置手引書を作成し、これを船舶内に備え置かなければならないことといたしております。 第二に、船舶所有者は、その油濁防止緊急措置手引書が技術基準に適合していることについて、運輸大臣が行う定期検査、中間検査の検査を受けなければならないことといたしております。 以上が、この法律案を提案する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○久間委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十六分散会 ————◇—————