本会議 第4号
- 発言数
- 21 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1991/11/12
会議録
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。 ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。串原義直君。 〔串原義直君登壇〕
○串原義直君 あるときは良識派、時に護憲派と呼ばれてきた宮澤総理がこのたび政権を担当するに当たって、国民世論は、ある部分では期待、一面では不安を抱いております。今日の激変ともいうべき国内外の諸情勢を踏まえ、私は、日本社会党・護憲共同を代表して質問いたします。(拍手) 総理、今国民は政治に何を求めていると思いますか。私は、まず第一に、金権腐敗の政治を追放し、きれいな政治を期待していると確信します。 保守党の政治家は一カ年に一億円、二億円の政治資金を要し、ベテランともなればそれに倍する金が必要と報道されております。一日の賃金およそ一万円の庶民感覚からすれば、まさに異常と言わなければなりません。総理、そこにロッキード、リクルート汚職事件が発生した根っこが存在するのではございませんか。 国民はあの事件に怒りを爆発させ、過ぐる総選挙にも明確な答えを出しました。残念ながら宮澤総理、あなたもリクルート汚職議員として厳しい指弾を受け、副総理兼大蔵大臣を辞任せざるを得ませんでした。その事実と経過の中から自民党総裁選に立候補、ジグザグとした、国民の目からはとても拍手する気になれない派閥力学によって当選、このたび総理に就任されました。 宮澤内閣誕生については、率直に祝意を表するにやぶさかではありません。しかし、宮澤総理、問題は、自民党総裁に決定した直後から、ロッキード、リクルート関係者を党役員に選任、組閣の中でリクルート議員が次々閣僚に指名されたことであります。ある人はリクルート復権内閣と決めつけました。総理みずからがリクルート事件に強い反省をお持ちであるならば、むしろ関係者の党役員、関係閣僚は、その指名を真の政治浄化のため思いとどまるべきであったと思うのであります。選挙によって洗礼を受けたというだけの弁解では、国民は納得しないでございましょう。 自民党総裁選のとき、本格政権の実現という声をよく耳にいたしました。それだけに今、本格政権とは何かという疑問を国民は抱くのであります。だから、宮澤内閣を実現させた一つの目的は、ロッキード、リクルート汚職議員の復権、元気回復にあったのではないかという政治不信感が広がっているのであります。(拍手) 総理、この国民の声にどのようにお答えになりますか。そして、金に支配されない政治を築くため、宮澤内閣は何をやろうとなさいますか。選挙区を小選挙区制にすれば、より金による政治支配となることは明らかです。だから政治改革を断行しますという総論でなく、政治浄化のためにこれだけはやろうという具体策をお答えください。 なお、政治改革は一年をめどにと言われましたが、その内容について総理はどのように考えておられるのですか。さきの国会で廃案となった小撰挙区制を柱とする政府案をたたき台に結論を山羊うとするなら、納得できません。自民党の議員の中にも多くの反対があり、廃案になった政府案ではございませんか。定数是正も視野に加えて検討し、一年前後の期限を考えておられるのか。総理の見解を伺いたいのであります。(拍手) 次に、冷戦の終結を迎えた国際社会の中で、日本がどのような国際的役割を果たすべきか、PKO問題を含め伺います。 我が国の憲法では、その前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と述べた上で、第九条において、戦争を放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持しないと定めております。私は、我が国の憲法を支えているのは、正義の戦争はないという思想であって、非武装中立が憲法上の要請であると考えております。当初は政府も同じ考え方であったはずです。ところが、総理も御承知のとおり、政府の憲法解釈は次々変質を重ね、最近では、自衛隊の海外派兵、政府の言葉では派遣でありますけれども、これも可能であるとするに至りました。 そこで、総理に伺いたい。 憲法を尊重する立場を鮮明にしてきた宮澤さんは、総理に就任した現在でも、その立場に変わりはないと思いますけれども、いかがでございましょうか。であるとするならば、海外に派遣された自衛隊部隊の武力行使さえ想定されるPKO法案は、違憲の疑いが極めて濃厚であり、この法案を白紙撤回すべきであります。信条に偽りのない御答弁をいただきたい。(拍手) 湾岸戦争を契機に、昨年来、国会で国連平和協力法案が審議され、廃案となりました。また、九十億ドルの追加支援を含む多国籍軍の戦費援助も議論となりました。PKO法案が今後継続して審議されるわけでありますが、政府が提示してきた国際貢献策は、余りにも場当たりではありませんか。経済大国となった日本は、二十一世紀を展望し、じっくり腰を据えて、アジア各国を初め、どの地域の人々からも歓迎される非軍事、文民、民生中心の国際貢献策を、野党との協議を含め、国民的なコンセンサスを得る中で、改めて練り上げ直すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。(拍手)。 さらに、具体的なケースとして、長年内戦状況にあったカンボジアでは、民族和解のレールが敷かれました。カンボジアの人々が日本に求めているのは、武装した自衛隊PKO部隊でしょうか。それとも、生活基盤整備のために働く非軍事、文民の平和部隊でございましょうか。カンボジアはかつて日本が戦場としたところであります。カンボジア支援について、どのような方策を具体的にお考えか、お聞きいたしたいと存じます。 世界は軍縮の時代に入りました。対立関係にあった米ソは、お互いをパートナーとするまでに国際情勢は劇的に変化しております。このような国際情勢のもとで、冷戦構造を背景に生まれた自衛隊の存在意義が今日ほど問われている時代はかってありません。他方、未来志向の関係を誓ったはずの韓国からでさえ、日本の防衛力増強に懸念が公式的に表明されておるのであります。新中期防衛力整備計画は、計画当初から三年後の定期見直しを待たず、今日の情勢を反映させるよう、直ちに再検討すべきであり、防衛予算を削減すべきときだと考えます。総理の見解を伺っておきます。(拍手) 自衛隊を削減し、自衛隊とは別の組織をつくって、非軍事、文民、民生の原則のもとで、自衛隊の非軍事の能力を国際貢献に生かすという社会党の考え方は、軍縮の時代にも合致するものと考えます。このような考えは、宮澤さん個人のかつての立場にも合致するものと思いますが、総理としての見解を伺いたい。(拍手)総理は、総裁公選の最中にも、対ソ支援について建設的な意見を表明されました。また、領土問題の解決のためには、北方領土返還後のソ連島民の生活保障が重要であるとも発言されております。しかしながら、所信表明での関連部分は、率直に言って味気ないものでした。総理は、従来の政経不可分の原則から離れ、人道的立場でソ連に経済、金融支援を拡大する用意がありますか、伺っておきます。前海部総理大臣は、社会党の田邊委員長の申し入れに対し、積極的な追加支援に賛意を表明し、ソ連極東地域を重点に援助を行うべきだと答えております。海部前総理大臣の前向きの立場を総理は引き継ぎますか、確認したいと存じます。 また、戦後冷戦構造の崩壊、新国際秩序の模索という大激動期にあって、米国の防衛戦略は、対ソ封じ込めから、グローバルな地域紛争対処へと大胆にシフトしつつあります。この米国の新戦略に対応して、今や日米安保は変質し、米国のアジア・太平洋地域の紛争対処の前進拠点と化す危険な岐路に立っております。近時の米軍機超低空飛行訓練の頻発も、この具体的なあらわれであります。 総理、私は、日本の再軍備、日米安保の基礎固めに直接立ち会った政治家である総理に対し、今こそ日米同盟関係のこの危険な転換を阻止し、アジア・太平洋地域の信頼醸成と軍縮への日米共同のイニシアチブを発揮するよう、日米安保体制、日米地位協定の積極的見直しを強く求めるものであります。いかがですか。 財政についてお尋ねいたします。 このところ、歳入の中で、今年度二兆円、来年度においては五兆円の税収不足が生じるのではないかと懸念されております。この税収不足に対し、総理は増税はしないと明言されました。同時に、赤字国債の発行も考えておられないと思いますが、いかがですか。 ところが、この税収不足に対応するため、消費税引き上げ論が自民党の中から出ております。それは税制両院協議会での審議経過を考えれば、できることではありません。我々は絶対に認めません。大蔵大臣、いかがですか。 消費税については、与野党の税制両院協議会において緊急是正策が協議されてまいりました。その中で、逆進性緩和を求める飲食料品の非課税問題は、野党一致の要求にもかかわらず、期限を理由に自民党は協議打ち切りを宣しました。この問題は自民党の選挙公約ではありませんか。引き続き税制協議会において継続協議を進め、速やかなる実現を求めます。御所見を伺っておきます。(拍手) 報道によりますと、大蔵省は、来年度五兆円の財源不足が生じるとの見通しがら、地方自治体富裕論を展開し、地方交付税率の引き下げを検討していると言われております。社会党は、強くそれに反対します。好況による税収の伸びは、東京圏とそれ以外の自治体との地方税収の格差の拡大をもたらしました。また、地方財政は、たお六十八兆円もの債務を抱え、今後の景気動向によっては、一転して危機的状況に陥る可能性をはらんでおるのであります。「地方交付税は、国と地方の事務分担、経費負担区分に基づき国、地方の税源配分の一環として設けられている地方団体の固有の財源である」という百二十国会での地方財政の充実強化等に関する決議を踏まえた上で、伝えられる地方交付税の税率引き下げ問題にどう対処するのか、総理の考え方を伺っておきたいのであります。(拍手) 次に、東京一極集中問題について伺います。 「東京の不満、地方の不安」という言葉が聞かれて久しくなりました。情報化時代、高速交通網の時代と言われるようになりましてから、かえって東京への人、物、金、情報の集中は一層激しくなってまいりました。その結果、地方の過疎化は進み、東京・首都圏においては、地価の高騰、交通渋滞を初め集中のデメリットが大きく膨らみ、個人の生活の困難さだけでたく、経済的にも不効率、阻害要因が大きくなってまいりました。東京一極集中の是正は、二十一世紀に向けて日本が活力を維持し、「生活大国」を実現する上で最重要課題であると言わなければなりません。 もとより、東京一極集中を是正するための多極分散型国土形成促進法が一九八八年につくられましたが、十分な成果が上がっているとは到底言えない状況であります。 例えば、中曽根内閣時代に政府関係機関の移転が閣議決定され、順次移転しておりますけれども、その移転先は大半が首都圏の一都三県にとどまっており、多極分散に資しているとはとても言えません。大学の都心からの移転も同様の結果となっております。こうした隆路を打開していくものは、政治決断以外にありません。昨年の臨時国会では、国会等の移転に関する決議がなされ、実施に向けた検討が進められておりますけれども、政府においては、中央省庁も含めた政府機関や大学、研究所の首都圏外への思い切った移転からまず取り組むべきではございませんか。新総理の決断を切に願うものであります。(拍手) また、多極分散型国土の形成には、東京一極集中是正と並んで地方圏の振興が車の両輪です。今、改めて「地方の時代」を提起すべきときと考えます。産業の振興、生活基盤の整備などにとどまらず、財政権限も含みますところの思い切った地方自治体への権限委譲が伴わなければなりません。総理の考え方をお聞かせください。(拍手) 次に、環境問題についてお尋ねいたします。 地球環境の悪化が叫ばれて既に久しい。それにもかかわらず、地球環境は残念ながら悪化の一途をたどっております。環境汚染による温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨による森林の破壊、熱帯林の喪失、砂漠化の進行など、人類の将来にとって深刻な脅威となるに至っております。私は、来年ブラジルでいわゆる地球サミットが開かれる今こそ、地球環境を守るため政治が全力を挙げて取り組むべきであると考えますが、総理はどのようにお考えか、御見解を承りたいと存じます。(拍手) 私は、地球環境を保全するための対策は、地球的規模で考え、足元から行動することが何よりも重要であると思う。 現行の公害対策基本法が制定されて既に二十五年が過ぎます。しかし、環境問題が地球規模で悪化する中で、我が国も、先端技術産業の発展に伴い、新たな化学物質による環境汚染、移動発生源としての自動車による大気汚染の深刻化、リゾート開発による自然破壊など、極めて多くの問題を抱えております。そのため、新たに地球環境憲章を制定し、公害対策基本法の抜本的見直しと、環境影響評価法、すなわちアセスメント法の制定、さらには、これを実効あるものとするための情報公開法の制定、自動車排出ガス規制の強化など、地球規模にまで拡大された環境問題の新たな局面に対応し得る環境保全制度の確立が必要だと考えますが、明確なる御答弁を承りたいと存じます。(拍手) あわせて、地球的な規模で考えますとき、地球温暖化防止対策は一刻も猶予てきたい事態となっております。我が国は、先進国間に共通する二酸化炭素排出目標を定め、また、発展途上国を含む全地球的な参加のもとに、実効ある内容を有する条約の締結に向けて最大限の努力を払うとともに、国内的には、既に策定されておりますところの地球温暖化防止行動計画を着実に推進していく必要があると考えます。総理の御答弁をいただきたい。(拍手) 次に、林業問題について伺います。 国有林野事業は、森林面積の約三割、国土面積の約二割を占める国有林野の管理経営を通じて住宅用資材などを国民に供給するとともに、水資源の涵養、国土保全等の公益的機能の発揮、自然保護、国民に対する保養地の供給、農村地域振興への寄与など大きな役割を果たしております。したがって、我が国の林業政策の結果が山村や林業関係者だけの問題ではなく、広く国民生活全体に影響を及ぼします。今日、国有林野事業は、木材価格の下落、森林整備等に充てた長期借入金の債務償還金の増大、労働力の減少等、依然として厳しい状況にあります。 こうした中、さきの第百二十回通常国会で、国有林野事業改善特別措置法が改正され、七月四日には、国有林野事業の改善に関する計画を決定されました。しかし、その裏づけとなる一般会計の導入を含めた財源確保が不透明なまま、収支均衡を改善計画の目標に置くなど、先行きを危惧せざるを得ません。国有林再建に向けての総理の見解を伺っておきたいのであります。 いま一つ大きな問題は、山村の過疎化に伴う林業労働力の減少及び高齢化であります。このまま進めば、林業労働者一人一人にかかる労働負担は限界を超え、大きな事故の多発にもつながりかねません。また、早晩、林業労働力の絶対的不足から、森林・林業の再生は机上の空論に終わることになるでございましょう。林業労働力の安定的確保のため、林業を若者にとって魅力的なものとするべく、都市並みの賃金や労働条件、年金など社会保障の確立をすること、また、山村地域の定住条件を満たすべく、生活基盤の整備充実を図るための具体的な施策を講ずるべきであると考えますが、総理の考えを伺いたいのであります。(拍手) 次に、米市場開放について伺います。 総理、宮澤内閣発足後、この問題に取り組む姿勢が急速に後退したのではないかという不信感を多くの国民が抱いております。総理の不透明な発言もさることながら、所信表明に「米の自給」なる文言が歴代内閣以来初めて消えました。重大な動きと受けとめたい。したがって、以下、私の質問に明快なる答弁を求めます。 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、いよいよ大詰めを迎えております。今月中にも、ダンケル・ガット事務局長より包括文書が提示される見込みでありますが、この間のマスコミ報道、そして我が党代表団がダンケル事務局長と会談を行った感触からも、この包括文書に、国境措置について一律の関税化が明記される可能性が高いと思われます。 関税化は米の自由化に直結します。今日、相次ぐ減反政策や生産者米価の引き下げ、農村の過疎化や後継者不足などで農家は疲弊し、ここで自由化が断行されれば、雪崩を打ったごとく離農者が相次ぎ、日本農業は壊滅的な打撃を受けるであろうことは疑いありません。我が国水田農業は、国民に食糧を安定的に供給するだけでなく、洪水防止や水源涵養といった国土保全、自然環境の維持、地域経済の活性化など、大きな役割を果たしているのであります。最近、農水省が行った委託調査では、この水田の持つ公益的機能の最大の受益者は都市消費者であるという報告がありました。もし、自由化とたれば、その被害は農家だけでなく国民全体に及ぶことになるでございましょう。 総理、もちろん我々は、これまでガットが公正な国際貿易の確立のために果たしてきた役割を高く評価しており、今回の農業交渉も成功することを願ってはおります。しかしながら、貿易交渉はあくまでも貿易交渉であって、これは各国の主権、とりわけ食糧の自立に関する権利の尊重を前提にしたものでなければならず、それが逆転し、ガット交渉がすべてに優先するようなことがあってはなりません。(拍手) 今年の稲作は、天候不順のため十月十五日現在、作況指数九五、十一年ぶりの大変な不作となりました。このままでは政府備蓄米が底をつく危機感から、農水省は明年度、米の減反を十万ヘクタール程度緩和するといいます。私は、取り入れ完了時、政府調査を上回る不作が現実になると憂慮しております。この事態に急ぎ増産奨励策をとりましても、そのまま受け入れる力は既に農村から失われつつあるのではないか。明年度減反緩和を実施する場合、九三年度以降はどうされますか。農林水産大臣の見解を伺いたい。 世界的にも食糧は不足しており、アフリカ等発展途上国の飢えは悲劇です。また、ソ連などの食糧不足はまさに深刻です。その中で、今年の米の不作は、我々に厳しい警鐘を鳴らしてくれたものと受けとめなければなりますまい。(拍手) 我が党は、米市場開放に強く反対いたします。我が党は、国の安全保障にとって優先さるべきは、戦車ではなく、自国の食糧は自給することであると主張し続けてまいりました。 総理、さきに触れましたが、新内閣は米について柔軟に対応するのではないかという声が伝えられてくるだけに、三たびの国会決議を踏まえ、国益のため毅然としてガット農業交渉に当たる決意を表明すべきではありませんか。所信を伺いたいのであります。(拍手) 次に、台風災害について伺います。 今年の相次ぐ台風の来襲は、我が国農林業に大きな打撃を与えました。特に十七号、十九号は風台風りため全国各地に甚大な被害を与え、農林業関係の被害は七千億を超えております。農業分野では特にリンゴの被害が大きく、青森での被害額は一年間のリンゴの生産額を上回りました。このほか、作況指数にも示されているように、稲作の被害も甚大であり、また西日本のミカン被害も深刻です。林業分野でも、大分、福岡、石川を初め被害は全国に及んでおり、その回復には数十年といった期間を要すると言われます。 農林業は、気象や自然災害に大きく影響を受ける産業であります。今回の台風被害によって農林業関係者が意欲を失うことのないよう、災害を乗り切れる緊急対策とともに長期的な対策を図るべきであると考えますが、総理の見解を伺いたい。(拍手) 運輸関係について伺います。 五月に信楽高原で列車が正面衝突、多くの乗客が亡くなるという事故がありました。九月には東海道新幹線で、回らない車輪を引きずって走るという事故がありました。また、武蔵野線小平駅の冠水問題は、その復旧のめどさえ立っておりません、これらに政府はどう対処されてきたのか、お答えください。 さきの運政審答申では、鉄道の復権が叫ばれ、安全、環境面の問題からも鉄道の重要性が増している今日、国民の命を預かる交通機関の、特に経営者の自覚が重要と考えますが、いかがですか。大臣就任記者会見の際、運輸行政の基本は安全がすべてに優先すると強調された運輸大臣の見解を伺いたい。 以上、当面する諸点についてただしてまいりました。総理は所信表明の中で「我が国が、国際社会において名誉ある地位を占め、国民が誇りを感ずることができる品格ある国となるようこと言われました。賛成であります。しかし総理、その道を歩むためには求められることが二つあると思う。その一つは、政治に国民の信頼と参加がなければなりません。いま一つは、国際的に心からの尊敬を得ることであります。特に、アジア近隣諸国の真の友人となることです。そのためには、不公平たき経済の仕組み、心に触れる政治の上に平和国家日本を築くべきであります。いかがでしょうか。 平和を志向する二十一世紀を目前に、我が国政治の方向が、角を矯めて牛を殺す愚かな道を歩むことのなきよう強く訴え、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 串原議員にお答えを申し上げます。 リクルート事件にお触れになりましたが、私の不行き届きから国民の皆様に御迷惑をかけました。政治家として深く反省をいたしております。同じ過ちを繰り返しませんように、今後の政治生活を通じて一生戒心を怠らない決意でございます。政治的には、過般の選挙において、心を新たにもう一度努力せよという信任をいただいたものと受けとめております。 なお、同僚議員につきましても同じような心境でおられることと考えております。これらの方々は、先般の選挙の洗礼を受けてこられました。高い識見と能力を持っておられるこれらの諸君が、適材適所に活躍をせられることは極めて大切なことであると考えております。 次に、政治改革の実現のためには、現行の選挙制度や政治資金制度をめぐるさまざまな問題を抜本的に解決し得る方策を生み出すことが必要でございます。このことについては、既に政治改革協議会が設けられ、協議が進められているところでございますが、前国会で廃案とされました三つの法案については、国会の御審議の中で、その実績を踏まえ、これをたたき台として各党間で論議を尽くしていただきまして、おおむね一年を目途に実りのある合意が得られるように念願をいたしております。 次に、PKO法案について、違憲の疑いがある、白紙撤回せよというお尋ねでございました。 昨年の湾岸危機に際し、国民の間に幅広い議論があり、財政的貢献だけでは十分でない、いわゆる汗も流さなければならない、人的貢献を行わなければならないという議論が行われたところでございます。その結果、我々の憲法のもとで、できないことはできない、しかし、できることは最大限に行うべきであるというコンセンサスが国民の間に生まれておると考えております。(拍手)いわゆるPKO法案は、このような考え方に基づくものでありまして、国際協調のもとに恒久の平和を求める我が国の憲法の理念にも合致しております。偽りなく私の所信を述べよと仰せられましたので、偽りなくさように思っております。(拍手) やがてカンボジアにおきまして、国連のPKOに適切な協力を求められることが考えられますが、それとの関連におきましても、今国会においてぜひともこの法案が速やかに成立するようお力添えをお願いをいたします。撤回することは考えておりません。(拍手) 次に、カンボジア支援についてでございますが、十月二十三日に和平合意が成立したことにより、カンボジア問題は新しい段階に入りました。今後は、暫定期間における国連カンボジア暫定機構等、国連の活動内容が具体化するのでございますが、それを見きわめつつ、要請を受けてカンボジア側に対して我々として適切な人的、資金的貢献をいたさなければならないと思っております。また、それと別に、長い間の戦乱により荒廃したカンボジアの国土の復旧、復興についても我々として応分の貢献をしなければならないと考えておりまして、この点で早期に調査団をカンボジアに派遣する考えでございます。(拍手) 軍縮の時代と中期防の関連についてお尋ねがございましたが、今日の国際情勢は、東西冷戦が終えんをする、またソ連においてあのような新しい動きがあって、世界の平和と安定への流れが幸いにして強くたってきていると思います。また、核相互抑止を含む軍事均衡のもとに、各般の国際関係安定化の努力によりまして、大国間の全面的軍事衝突などの可能性はさらに少なくなっておると考えます。我が国としては、このような事実をも踏まえながら、みずから適切な規模の防衛力を保有することにより、我が国に対する侵略を未然に防止することを我が国の防衛政策の基本としてまいりました。 このような政策のもとに、我が国は、いわゆる基盤的防衛力構想の考え方を取り入れた防衛計画の大綱に従い、長いこと防衛力の整備を進めてまいりました。この大綱は、平時における十分な警戒態勢などを確保するといった観点から、我が国が保有すべき防衛力の水準を示したものでございます。最近の国際情勢の動向は、今後とももとより注視する必要がございますが、総じて大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだ形であらわれつつあると見ることができると思います。政府としては、かかる状況を踏まえまして、引き続き大綱の基本的な考え方に従って、効率的で節度ある防衛力の整備に努めていくことが適切であると存じます。 なお、中期防におきましては、三年後においてその時点における国際情勢等を勘案し、必要に応じて計画の修正を行うとの仕組みが組み込まれておりますことは、御承知のとおりでございます。 平成四年度の防衛力整備の具体的内容につきましては、中期防のもとで、その後、国際関係安定化に向けさらに動き出しております国際情勢等を勘案しつつ、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するように努力をしていく所存でございます。 昨年の湾岸危機に際しまして、国民の間に幅広い議論があり、人的貢献も行わなければならないという議論が行われたことは御承知のとおりであります。その結果、我々の憲法のもとでできることは最大限に行うべきであるというコンセンサスにつきまして先ほど申し上げましたが、PKO法案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律案は、このような考え方に基づくものでございます。自衛隊が長年にわたって蓄積をしてまいりました技能、経験、組織的な機能を活用することが、この際、国際協調のもとに恒久の平和を希求するPKO活動に適当なことである、適切かつ効果的というふうに考えております。 ソ連との関連でございますが、我が国としては、ソ連が市場経済と民主主義に立脚して新しい世界秩序の建設的な担い手となるような努力に対して適切な支援を進めていく考えでございます。具体的には、十月八日にいわゆる二十五億ドルを目途とする対ソ支援策を発表いたしましたが、これを着実に実行してまいりたいと思います。 御指摘になりましたいわゆる金融支援でございますが、これは、先般バンコクにおいて行われましたIMFの総会の際のG7でも議論になったところでございますが、ソ連においては、いまだ本格的な経済政策が策定されておらない、いわんやその実施体制も整っていない現実の中で、むしろG7の代表たちあるいは国際機関の代表たちがソ連当局、シラーエフ委員会とよく協議をすることが先決であろうということで、その協議が、第一回が先般モスクワで行われましたことは御承知のとおりでございます。そのようなソ連におけるこれからのいわゆる経済再建の建設の青写真、あるいは受け入れ態勢、実施体制等々の整備を見まして、そうでありませんと金融支援が効果を持つ状況にない。それを助け、それを待つというのがサミット諸国の共通の認識でございます。 北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題として、日ソ関係全体をいわば均衡のとれた形、北方領土と支援という両方の問題を均衡のとれた形で拡大をしていこうというのが、政府のいわゆる拡大均衡の立場でございます。 日米安保体制についてでございますが、国際情勢が大きく変動する中で、日米の協調と協力は、単に日米両国にとってのみならず、この地域、いわゆる太平洋のこの地域並びに世界にとってますます大きな意味を持つものと思われます。我が国の安全確保にとっての抑止力であるとともに、日米関係の基礎をなす強固なきずな、また、日本がより大きな政治的役割を果たしていく基礎であると同時に、アジア・太平洋の平和と安定に不可欠な枠組みであると考えております。このような日米安保体制の意義並びに重要性は、今日いささかも変わっていない、かように考えております。 次に、税収不足あるいは増税、赤字国債の発行問題等についてお尋ねがございました。 御承知のように、我が国の財政は巨額の公債残高を抱えております。しかも、やがて高齢化社会に入っていくことを考えておかなければなりません。従来税収増加をもたらしておりましたいろいろな経済の流れが、ここへ来て流れを変えつつございますので、租税収入についても楽観を許しません。ただいまの収納状況も、今日までのところ極めて低調である、こういうことでございます。さりとて、将来に向かって赤字公債を残すことは大変に問題でございますので、平成四年度の予算編成は大変に苦しいことになってまいります。しかし、まず歳出の節減合理化に、そこから努力を始めなければならないと思っております。 来年度の税制がいかになるべきかにつきましては、まだ具体的な中身はこれからでございます。これから税制調査会の御審議等を踏まえて検討していかたければなりませんが、いずれにせよ、これは国民の負担にかかわる問題でございますから、十分慎重に検討しなければならない問題だと思っております。 地方交付税については、財政の状況などを踏まえ、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのたいよう適切に対処をしてまいります。いずれにいたしましても、平成四年度の地方財政対策につきましては、今後の予算編成過程で検討をいたしてまいります。 政府機関等の移転の取り組みについてお尋ねがございました。 東京一極集中への基本的対応として、中央省庁を含む首都機能の移転問題は極めて重要であります。昭和六十三年七月には国の機関等の移転について閣議決定が行われ、これによって東京への諸機能の過度の集中の抑制、分散の促進が図られつつございます。また平成二年に、衆参両院において国会等の移転に関する決議が行われております。これらの問題について国民合意の醸成を図るため、内閣総理大臣の主宰する首都機能移転問題を考える有識者会議を開催して御意見を徴しているところでございます。 地方自治体への権限委譲についてお尋ねがございましたが、従来から政府は、国と地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点から、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理できるよう、権限委譲に努めてまいりました。さきの通常国会でも権限委譲についての一括法案を提出し、成立をさせていただきました。今後とも、多様で自立的な地域社会の実現を目指して権限委譲に努めてまいります。 地球環境問題は、御指摘のように極めて重大な問題になってまいりました。御指摘のように、その解決には全地球的な取り組みが必要でございますが、我が国といたしましても、過去の経験、技術に基づきまして積極的に貢献をする決意でございます。明年六月の地球サミットの成功に向けまして、御指摘のように、地球の温暖化防止、森林保全等の諸問題につき、国際的合意づくりに引き続き我が国は積極的に参加をいたします。また、それとの関連で、途上国支援の重要性を踏まえまして、開発途上国の環境保全努力を我が国としても引き続き支援をいたす考えでございます。 我が国としては、地球環境問題に関する国際的な取り組みとともに、環境影響評価の適切な実施、いわゆる窒素酸化物に係る自動車排出ガスの総量抑制方策等の確立を含め、環境保全の基本的な制度のあり方について検討していかなければならないと思っております。なお、これにつきまして情報公開法の制定につきましては、引き続き調査をさせていただきたいと思います。 地球温暖化問題につきましては、我が国としては、明年六月の地球サミットに向け、引き続き積極的な役割を果たすほか、国内的には、昨年十月に決定いたしました地球温暖化防止行動計画に基づき、広範な対策を着実に推進してまいります。 国有林の再建についてお尋ねがございました。 第百二十回国会において改正されました国有林野事業改善特別措置法に基づき、新しく国有林野事業の改善に関する計画を今年七月に策定いたしたところであります。現在、この新たな改善計画に基づきまして、国有林野事業の健全な経営を確立し、今後ともその重要な使命を十分に果たしていくため、各般の経営改善対策に取り組んでいるところでございます。 林業労働力の育成確保を図ることは、林政の重要課題であると考えております。このためには、雇用の長期化、社会保険への加入促進等による就労条件の改善、高性能林業機械の導入、労働安全衛生の確保、生活環境基盤の整備などのために必要な対策を総合的に講じてまいる所存であります。 ウルグアイ・ラウンドにつきましてでございますが、後ほど農林大臣からお話があろうかと存じますが、所信表明で申し述べましたとおり、我が国としても、この最終段階にありまして、他の主要国とともにこの交渉が年内に成功裏に終結するよう努力を続けつつございます。 農業につきましては、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えております。ECには可変課徴金の問題がございますし、アメリカには、御指摘のようにウエーバーという大きな問題もございます。各国いろいろ問題を抱えておりますが、我が国の米については、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。(拍手) 台風の被害でございますが、台風十九号等の災害により農林漁家に大きな被害が発生いたしました。謹んでお見舞いを申し上げます。 まず、緊急の対策として、共済金の早期支払い等を講じましたほか、天災融資法の早期発動及び激甚災害の早期指定についても、現在精力的に手続を進めております。殊に今回の災害では、果樹の樹体の損傷や森林被害など、その回復に長期を要するものがございます。これらについては特に十分な対策を講ずるように努めます。また、農地、農業用施設等の被災施設の早期復旧を図ることといたしております。これらによりまして、被災の農林漁家の経営再建に私どもとしても万全を期してまいる所存でございます。 残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手) 〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) 串原議員にお答えをしたいと思います。 消費税につきましては、議員立法によります法改正が本年十月から実施されているところでございまして、政府は、この改正法に基づきまして、これを円滑に実施することが最も重要と認識しております。今、消費税の税率につきましてどうこうするということについては考えていないことを申し上げたいと思います。 なお、消費税の税率の変更は、ほかの税と同様に、これは国会の議決を要するものでございまして、結局のところは、基本的には、今後の財政需要の動向ですとか、あるいは税制全体としての負担のあり方などを踏まえて、そのときどきの経済社会条件のもとで国民が選択する事柄であろうというふうに思っております。ですから、国民の御理解なしに安易な税率の改正というものは行い得ないということだろうと思っております。要するに、国民の意向をそんたくして、尊重をしながら、私どもはこの問題に対応してまいりたいと思っております。 なお、飲食料品の非課税問題でございますけれども、御指摘の問題につきましては、「本年十月を目途に」ということで、引き続き両院合同協議会において協議を続けてこられ、政府としては、その御検討の状況を見守ってまいったところでございますけれども、十月の二十三日に開催されました同協議会におきまして、飲食料品の取り扱いについて「各党会派の意見の隔たりは大きく、その一致は見られなかった」というふうに伺っております。 私どもといたしましては、こうした立法府における御論議というものの経緯、これを尊重しながら、我々としても対応していきたいと思っております。なお、非課税を含め、消費税に係る特別の措置につきまして考えるに当たっては、広く薄く負担を求めるという消費税の基本的性格や、そうした措置が経済取引に与える影響等に十分留意しなければならない、このことを申し上げたいと思います。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣田名部匡省君登壇〕
○国務大臣(田名部匡省君) 串原議員の御質問にお答えを申し上げます。 来年度の転作等目標面積については、現在検討中であります。確たることを申し上げるわけにはまいりませんが、平成三年十月末の在庫、そして三年産米の集荷、四米穀年度の需要等の見通しを踏まえながら、農家の理解と協力を得ることが必要でありますので、そうした観点で、国民の食糧の安定供給を図るため必要な米を確保するとの観点に立って、適切に対処してまいる所存であります。 なお、九三年度以降における減反緩和をどうするかということでありますが、水田農業確立後期対策の推進状況、水田農業の健全な発展を図るとの観点等を踏まえつつ、需給調整の規模を含めて慎重に検討してまいりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣奥田敬和君登壇〕
○国務大臣(奥田敬和君) お答えいたします。 最近の傾向といたしまして、安全面、環境面から、先生御指摘のように鉄道復権の兆しが見えてまいっております。まことにありがたいことだと思っております。しかし、民営化に伴いまして、JRを初め各公共輸送機関において、各企業が効率性、採算性から、ともすれば便利さ、快適さを求めるサービスに走りがちな傾向があります。このことを厳に戒めまして、各公共交通機関にとって一番大切なことは安全最優先であることを、私は就任に際して徹底指示したところであります。 さて、信楽高原鉄道の事故は、死者四十二名、負傷者六百十四名に及ぶ、まことに近年まれな空前の悲惨な事故でございました。亡くなられたお方の御冥福を心からお祈り申し上げるところであります。 運輸省といたしましては、事故の発生後、直ちに全国的に緊急安全総点検を実施させました。安全対策の徹底に努めたところであります。また、信楽高原鉄道の運行の再開は、十二月十日をめどに努力いたしております。二度と事故を起こさないように、運行システムを初め関係者を指導してまいっておるところでございます。 また、補償措置に関しましても、JR西日本、滋賀県、信楽町を初めとする第三セクター出資自治体等々、自治省の御指導も得ながら話し合いを進めておるところでございます——進めております。円満に進めております。 また、東海道新幹線の車両故障につきましては、車両の整備不良によるものと推定されるために、JR東海に対しまして、車両の検修体制の改善などを図るよう厳重に警告してまいりました。 武蔵野線新小平駅の復旧につきましては、現在まだ、残念ながら出水がとまらないために、工事上困難な問題を抱えておりますけれども、JR東日本に対しまして、早期復旧に向け全力を挙げるよう指導しております。 私は、輸送機関安全確保は運輸行政の基本であることを強く認識いたしまして、今後とも事故防止に万全を期する所存で臨んでまいります。 以上であります。(拍手) —————————————
○議長(櫻内義雄君) 不破哲三君。 〔議長退席、副議長着席〕 〔不破哲三君登壇〕
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、宮澤総理に質問するものです。 総理、あなたがリクルート疑惑の中で竹下内閣の大蔵大臣を辞任してから三年たちました。政治の金権腐敗は、国民の政治不信を引き起こしている最大の問題であり、まずこの問題に対する総理の態度をたださなければなりません。 総理は、総選挙での洗礼がけじめだと繰り返していますが、問題は、国民全体に対する政治の責任であります。一選挙区で信任を得たからといって、それで済むものではありません。しかも、総理のリクルート疑惑は、国会でも未解明のまま残っている問題です。この問題で名前が挙がった多くの政治家の中でも、第三者に責任を負わせる偽りのシナリオまでつくって疑惑をそらそうとしたのは、あなただけでした。それが覆ったとき、あなたは、今度はすべてを秘書の責任とした新しい説明を行いましたが、それを実証するものは何一つ国会に提出しませんでした。そのあなたが国政を担うことになった以上、いわゆる三点セットを初め、事の経過を証明する資料を国会に提出して真相を明らかにすることは、国民に対する最低限の義務ではありませんか。(拍手) 総理にかかわるリクルート疑惑では、一億円の政治献金という問題も、あなたの蔵相辞任後に出てきました。あなたの秘書は、検察の調書で、うち五千万円は八七年の自民党総裁選の裏工作資金用に受け取ったもので、宏池会内外の議員十数人に配ったと説明しています。総理、自民党の総裁選挙は、現状では、事実上、国の首相を選ぶ意味を持つ選挙であり、この選挙の票集めのためにお金をばらまくことが贈賄罪に当たる重大な容疑さえ持つことは、以前から指摘されていることであります。このことが一九七六年の国会で問われたとき、当事者の一人だった福田副総理は、少なくとも、道義的、政治的には贈収賄と同じような関係が成り立つ、このことを認めました。ところが、あなたに対するリクルート社の政治献金は、まさにそのために使われたことが当事者によって指摘されているのであります。 総理がリクルート事件を真剣に反省するとしたら、この問題でも真相を明らかにすると同時に、あなた自身の見解を明確にすべきであります。(拍手) 総理は、所信表明で、リクルート問題の反省として、「今後の政治生活においても片時も戒心を怠らない決意」を表明しました。ところが、この演説に先立ってあなたが実行したことは、リクルート疑惑の対象となった政治家の大部分を、ロッキード事件で有罪判決を受け、それをみずから認めた政治家とともに党と内閣の要職につけ、金権腐敗政治の全面的な復権をやってのけたことでした。これが「片時も戒心を怠らない」あなたの政治姿勢であるとしたら、国民を愚弄すること余りにも甚だしいではありませんか。(拍手) このような内閣に政治改革を語る資格はありません。あなたが政治改革を強調すればするほど、その名のもとに小選挙区制という党略的な野望の実現を目指す自民党の本音が、国民の目の前で一層浮き彫りにならざるを得ないのであります。 小選挙区制の導入を中心とした自民党の政治改革三法案は、前の国会で廃案となりました。これは、国民と民主主義の重大な勝利であります。ところが、あなたは、さきの演説で、与野党協議会がこの三法案を協議の出発点及びたたき台とすることを求めました。与野党協議会は政府の附属機関ではありません。政党間の自主的な協議機関であります。その機関に対して、廃案にたった三法案を協議の出発点とするよう首相演説で注文をつけるとは、言語道断の越権行為であります。私は、このことに抗議すると同時に、廃案になった三法案を復活させようとする企てをきっぱり放棄することを、総理に強く求めるものであります。(拍手) 総理がもしリクルート疑惑などの真剣な反省に立って国政を担おうというのであれば、緊急に実施すべきものとして、二つの問題を指摘したいと思います。 一つは、政治改革の言葉を小選挙区制などの党略の道具にする態度を捨て、議会制民主主義を守るための憲法上の緊急任務となっている問題、現行制度のもとでの抜本的な定数是正の実現に直ちに取り組むことであります。いま一つは、ロッキード、リクルートを初め、無数の腐敗事件を生み出してきた悪の根源、企業、団体からの政治献金の禁止に大胆に足を踏み出すことであります。(拍手) この二つの緊急問題について、総理の明確な見解を伺いたいのであります。 次に、世界の現状と、これに臨む日本の外交の問題であります。 八月に起こったソ連共産党の解散は、世界にも大きな影響を及ぼす事件でした。問題は、ここから世界政治の上でどういう教訓を引き出すかにあります。 スターリン以来のソ連共産党が世界に及ぼした最大の害悪は、千島、歯舞、色丹問題に見られるような他国領土の不法な併合、チェコスロバキア、アフガニスタン問題などの侵略行為や内政干渉、世界の運動を支配下に置こうとする野望など、他国へり侵略、干渉、支配を特徴とする覇権主義にありました。その党が解体することは、世界の平和と進歩の運動に新しい発展と前進の条件を切り開くものであります。日本共産党は、三十年にわたってソ連の覇権主義と闘ってきた党として、ソ連共産党の解散を歓迎する声明を発表しました。 総理、他国への侵略と干渉を事とする覇権主義を許さないことは、世界の平和と民主主義の原点をなす問題であります。そういう見地から、幾つかの問題を伺いたい。 第一は、日本が行った侵略戦争に対する態度の問題です。 日本がアジアと世界に対して行った戦争は、覇権主義の侵略戦争の典型でした。ところが、歴代の自民党政府は、「過去の不幸な歴史」などの言葉は使っても、侵略戦争という明確な認識に立っての反省は避けてきました。あなたの昨日の答弁も同様でした。ことしは、日本が中国への大規模な侵略を開始した満州事変から六十周年、真珠湾攻撃から五十周年という節目に当たる年です。二年前、竹下総理は、私の質問に対し、歴史の審判にまつという無反省な態度を示しました。宮澤総理は、日本が行った戦争を他国民に対する犯罪的な侵略戦争だったと認識しているのかどうか、はっきりした見解を伺いたいのであります。(拍手) 第二は、領土問題であります。 ソ連は、長い間、日本の領土要求に対して、第二次大戦後の国境は不変だとする不当な態度をとってきました。ところが、ソ連共産党の解体とともにこの態度の基盤が覆りました。バルト三国の独立と国連加盟が実現したことは、第二次大戦の際にスターリンが行った不法な領土併合をただす過程が始まったものとして、日本の領土問題にも深いかかわり合いを持つことであります。 日本共産党は、歯舞、色丹だけでなく、千島列島を占領、併合したことも、第二次世界大戦における領土不拡大の原則に反する覇権主義の誤りであり、これを根本からただす必要があると考えています。この点を総理はどう認識しているのか。それが領土不拡大の原則に反すると考えるなら、それをただす日本の基本姿勢を明確にして今後の領土交渉に臨むべきであります。その点を含め、見解を求めるものです。(拍手) 第三は、世界平和の問題です。 ソ連の覇権主義の解体は、世界政治の上に東側の軍事ブロックの解体という重大な変化をもたらし、核兵器の削減の新しい流れを強めました。新しい「世界平和の秩序」を問題にするなら、この流れを核兵器の廃絶とすべての軍事ブロックの解消という目標にまで前進させ、実を結ばせるよう、あらゆる努力を尽くすことが重要であります。 核兵器廃絶の問題では、これまで、それを実現することの困難性がいろいろ言われてきました。しかし、戦術核兵器の大量削減などの最近の動きは、核兵器保有国にこれを廃棄する意思さえあれば、核兵器廃絶という日本国民の悲願を実現する上で何の障害もないことを明らかにしたものです。今こそ政府は、被爆日本国民の声を代表して、国際的な舞台で、核兵器廃絶の政治的な合意をかち取るために、あらゆるイニシアチブを発揮すべきであります。この問題に対する総理の決意ある態度を伺いたいのであります。それとも、これまでの自民党の態度、通常戦力がある限りは核兵器の廃絶は有害だとして、これを究極の目標に棚上げする態度をなおとり続けるつもりなのか、はっきりした見解を求めます。(拍手) 総理は国連の役割を強調しますが、国連創設の本来の理念が、軍事ブロックのない世界秩序に置かれていたことは周知のことであります。東側の軍事ブロックがなくなった今、世界のすべての軍事同盟の解消に力を尽くしてこそ、国連の精神に忠実な外交と言えるのであります。特に日本は、本質的には軍事同盟と両立しない憲法第九条を持ちながら、敗戦と占領の遺産として、日米軍事同盟と大量の米軍基地が存続し続けるという矛盾に長く悩んできました。この矛盾は今極めて深刻であり、抜本的な解決が求められています。 その一つは、専用だけでも全国百五カ所に及ぶ大量の米軍基地の問題です。歴代政府がその理由づけとしてきたソ連脅威論などがもはや通用し得ないことは余りにも明らかです。これは、日本をアメリカの世界戦略の前戦基地にするだけのものでしかありません。実際、これまで、アメリカは世界のどの地域で軍事行動をとるときにも、その発進・支援基地として日本を思いのままに利用してきました。しかも、その米軍基地の費用の二分の一、ことしで四千七百七十一億円が日本国民の税金で賄われています。 先日、在日米軍の司令官は、米太平洋軍の準機関紙「星条旗」紙のインタビューで、我々は日本政府から世界で最も寛大な支援を受けていると述べましたが、この寛大さは日本の名誉になるものでは決してありません。同じアジアで米軍に基地を提供してきたフィリピンの国会は、この九月、米軍基地の存続は世界情勢に逆行し、フィリピンの主権を侵すものだとして、その撤去を求める決議を採択しました。これこそが自国の主権を尊重する国民の誇りある態度であります。(拍手) 日本共産党は、日米安保条約の廃棄と、真に独立した非同盟・中立の道への転換をかねてから主張してきました。これは一党派の問題ではたく、日本の国と社会の全体が直面している問題であります。総理、あなたは、これから構築しようという「新しい世界平和の秩序」なるものの中で、この日米安保条約をどうしようと考えているのか、具体的な見解を示してもらいたいと思います。 特に、総理が、四カ月ほど前の講演で、日米関係を軸にアジア・太平洋地域のいろいろな安全保障の仕組みの複合体的な方向を考えていきたいと話っていたことは重大であります。もし、この地域の他の軍事同盟との連携を問題にするとしたら、それは、日米軍事同盟をアジア・太平洋規模に拡大することにほかなりません。総理が、こうした問題提起で何を目指そうとしているのか、あいまいでない答弁を求めるものであります。 もう一つの重大問題は、日米安保条約のもとで、ついに自衛隊の海外派兵という大問題が持ち出されてきたことです。 この問題は、今、国連の平和維持活動、PKOへの協力の問題として提案されていますが、事の本質は、アメリカの世界戦略に自衛隊が軍事力をもって参加するための突破口づくりにあります。実際、政府が昨年秋に計画したのは、多国籍軍への自衛隊の参加でした。それが失敗したため、いわば迂回作戦として今回のPKO協力法案が計画されたのではありませんか。 国連の活動であっても、海外での軍事活動に自衛隊が参加することが憲法下で許されないことは言うまでもありません。総理は、国連協調主義などと称して、国連の軍事活動への参加を正当化しようとしていますが、たとえ国連の名によろうと、それによって日本の憲法上の義務を免れるわけにはいかないのであります。総理は、現憲法が、自衛隊の海外での軍事活動を、名目のいかんによっては許していると解釈するのか、責任ある見解を明示していただきたいと思います。(拍手) 一昨日発表された朝日新聞の世論調査では、六割近い回答者が、この法案による自衛隊の海外派遣には「憲法上問題がある」と答え、「問題はない」とする回答は三割にも達しませんでした。政府は、国民のこの声に率直に耳を傾けるべきであります。それとも、従来の政府の憲法解釈さえ覆す暴論をあくまで振りかざし、国民の間に広範な不同意の意見があるのを承知の上でこれを強行しようというのでしょうか。 しかも、自衛隊の海外派兵が既成事実となったら、事はその段階でとどまるものでは決してたいのであります。先日、ある新聞は、防衛庁サイドの声として、PKO自体には余り関心はないが、この法案が成立すれば、少なくともいつでも海外派遣が可能な体制が整い、補給や輸送の訓練もできる、それは、世界に展開する米軍に自衛隊が直接協力する日米安保の地球規模への拡大の一里塚となる、だから歓迎などの評価があることを伝えていました。ここには、政府が自衛隊の参加になぜここまで固執するかの真意が語られている、こう考えるのは決して私だけではないはずであります。 国連の名を使っての自衛隊の海外派兵法案は、国際貢献どころか、世界の平和の流れに逆行し、日米軍事同盟の体制を地球規模に拡大する方向への最も危険な一歩をなすものであります。私は、日本の将来と世界平和の立場から、自衛隊の海外出動にかかわる二つの法案の撤回を強く総理に要求するものであります。(拍手) 次に、経済政策の問題ですが、まず消費税の問題です。 総理は、竹下内閣の大蔵大臣として消費税を立案した責任者でした。そのときあなたは、国会と国民に対して、これを高齢化社会に備える税金だと説明しました。その後、昨年二月の総選挙では、あなたは、この税からの国の収入はすべて社会保障経費に充てることを公約しました。ところが、実際はどうだったでしょうか。年間六兆円を超える消費税を財源として、いかなる新しい高齢者対策、社会保障のいかなる充実策が実行されてきたのでしょうか。消費税はすべて高齢化社会対策、社会保障経費に充てるといった公約が無責任な宣伝文句でしかなかったことは、既に事実として明らかであります。しかも、最近では、自民党の有力幹部が、対外援助など国際貢献の財源を賄うために消費税の税率引き上げを断行すべきだなどと公然と主張し始めました。偽りの口実のもとに国民に押しつけた税制は、その偽りが明らかになった以上、当然廃止すべきではありませんか。(拍手) なお、昨日、税率引き上げに対する態度を問われて、総理は、今は念頭にないとか、国民の理解が先決とか言うだけで、その可能性を否定しませんでした。少なくとも自分の内閣では引き上げしたいと断言できないのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手) 総理は、バブル経済とその崩壊を、日本の市場経済のひずみ、ゆがみの代表的なあらわれとして挙げましたが、この問題でも、一九八六年、ベーカー米財務長官の注文を受け、公定歩合の史上最低水準への引き下げというバブルの引き金を引いたのはあなた自身でした。そうである以上、あなたとあなたの内閣には、バブル経済が国民生活の上に引き起こした諸問題の解決のため、全力を尽くすべき、とりわけ重大な責任があります。 今、日本経済には、各方面から、ルールなき資本主義という痛烈な批判が寄せられています。大企業の利益至上主義が野放しにされ、それが国民生活を各分野で苦しめている点で、日本の現状は、世界の資本主義諸国の中でもとりわけ異常なものとなっているからであります。証券スキャンダルもその一つの典型でした。 私がここで特に指摘したいのは、バブル経済の中で大企業中心の開発プロジェクトが全国至るところに乱立し、日本列島の全体が新たな環境破壊の脅威にさらされつつある事実であります。リゾート法に基づくリゾート開発計画は、申請予定のものまで含めると、既に日本の総面積の六分の一に及ぶ地域が対象とされるところまで来ました。また、現在でも超過密の状態にある首都圏でさえ、東京路臨海部開発などの大型開発が立ち並び、人口や交通の集中、公害や廃棄物処理など、都市生活が可能な限度を超えることは必至となっています。こうした乱開発を抜本的に規制することは、大企業の横暴から国民生活と環境を守るルールづくりの第一として直ちに取り組むべき問題だと考えますが、総理の見解を問うものであります。(拍手) 最後に、米の輸入自由化問題に対する態度であります。 あなたは、所信表明で米の問題を取り上げながら、輸入自由化反対の国会決議に触れず、しかも「相互の協力による解決」という言葉で対米譲歩の可能性さえ示しました。あなたは以前から、ウルグアイ・ラウンドについて、相互の譲歩が必要などの発言を繰り返してきましたが、あなたの言う譲歩なるものの中に、どういう形態をとるにせよ、またあれこれの限定つきにせよ、米の自由化を容認することが含まれているのかどうか、明確にしていただきたいのであります。 米の輸入自由化に踏み出せば、日本の稲作農業が壊滅附な打撃を受けること、食糧自給の面でも国土保全の面でも取り返しのつかない損失をこうむることは、既に多くの調査が証明しています。しかも、日本は世界最大の農産物輸入国であり、食糧のカロリー自給率は最低水準にランクされている国です。その日本が米の輸入自由化を外国から強要されるいわれはどこにもありません。貿易摩擦が問題だと言うのなら、アメリカの対日貿易赤字の四分の三が自動車とその部品の関係などの数字があります。貿易摩擦の解決は、この状況に即して対策を立てるべきであって、国民の主食である米や農業にその犠牲を転嫁すべきではありません。 私は、政府が、この点ではいかなる譲歩にも応じない態度を堅持して、今後のあらゆる交渉に臨むことを強く要求して、質問を終わるものであります。(拍手) 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) いわゆるリクルート事件につきましての私の反省につきましては、せんだって所信表明で申し上げたところであります。長く戒心を怠らないつもりでございます。 さきの国会に提出いたしました政治改革の三法案は、廃案とはされましたが、熱心な御審議を賜ったところでございます。このような実績も踏まえ、政治改革協議会においては、これをたたき台として各党間で御協議を願えればと考えております。 企業につきましては、企業も一つの社会的存在でございますから、本来、政治活動の自由を有するものでございます。それが行う政治献金をよくないと決めてかかるわけにはまいらないと思います。もとより、団体献金が節度を持って行われるべきことは当然でございます。 北方領土問題に関しましては、今ようやく平和条約を締結すべきときが熟しつつあると認識しております。政府としては、このような認識に立ちまして、一日も早く北方四島の返還を実現すべく全力を傾注してまいる所存でございます。(拍手) 所信表明演説において申し述べましたとおり、私は、今日の「冷戦後の時代」を新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりと認識しております。軍縮の分野においても、米ソがともに自発的に核兵器の大幅削減に取り組み始めるなど、現実の流れが大きく変化しつつあるものと考えております。我が国としては、米ソ両国による最近の核軍縮の動きを歓迎し、核兵器国による一層の努力を期待するとともに、今後とも、国連等の場を通じ、核実験禁止、核不拡散等に向け、さらなる努力を傾注する所存であります。 日米安保条約は、依然として不透明、不安定な国際情勢の中にあって、我が国の安全確保にとっての抑止力であるとともに、日米関係の基礎をなす強固なきずなでございます。また、日本がより大きな政治的役割を果たしていく基盤であるとともに、我が国を含むアジア・太平洋の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能しているものと考えております。 PKO法案は、このPKOへの参加や、国連決議や国連等の国際機関の要請に基づき、人道的な国際救援活動への参加を目的とするものであり、アメリカの世界戦略に自衛隊が軍事力を持って参加するための突破口づくりなどとは全く考えでおりません。 我が国が憲法の枠内において、人的貢献を行わなくてはならないという点については、国民的合意が成立しているものと考えております。 リゾート法の背景には、余暇時間の増大等に伴う国民のリゾートニーズの高まりがあり、また、地方においてもリゾートによる地域活性化の期待は大きいものと考えます。今後とも開発プロジェクトについては、環境保全にも十分配慮をしていく考えでございます。(拍手) —————————————
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。 〔大内啓伍君登壇〕
○大内啓伍君 私は、民社党を代表して、宮澤総理の所信表明に対して質問いたします。 まず、具体的政策課題に入る前に、総理の政治姿勢について一言お伺いいたします。 あなたはその所信表明の冒頭、「政治改革の実現」を取り上げられ、海部前総理の志を継いで、真摯に政治改革に取り組む決意を表明されました。私は、そのことには大賛成であります。政治改革の原点は、国民に信をおく政治の実現であります。「民意に依って国を建て、民意に送ろうて国を亡ぼす」孫文は、国民と政治との信頼関係の重要性をこう説いております。 しかし、総理になられたあなたの言動は必ずしも一致しておりません。今回あなたが断行された党及び内閣の人事は、国民がひとしく感じているように、それは各派閥からの強い要求にこたえたロッキード、リクルートの復権人事そのものでありました。これが果たして真摯に政治改革に取り組むあなたの政治姿勢なのでありましょうか。 人は時に過ちを犯します。しかし、人間的な深い反省と自戒の行為が示されるならば、その過ちは許されるべきものと考えます。しかし、政治家の復権は、国民の十分な理解が必要であります。政治改革の核心である、国民から信頼される政治の実現と、あなたが行われた今回の人事はどう両立するのか、総理は国民に明確に説明する責任があると考えます。この点についてまず総理の答弁を求めます。(拍手) 問題は、今後の政治改革の進め方であります。 総理は、この点について同じく所信表明演説で、「政府がさきの国会に提案したところを出発点に、これをたたき台としてこ「おおむね一年をめどに具体的な結論」をと述べられております。 総理は、さきの臨時国会で小選挙区比例並立制法案が国会の意思として廃案になった事実を何と心得ているのでありましょうか。提案された政府案に対しては、すべての野党が反対し、あまつさえ提案者である政府・与党の中にも大きな反対があったからこそ廃案になったのではありませんか。この冷厳な国民の意思をまず尊重し、白紙の立場に立って検討し直すことが今我々に求められていることだと思いますが、いかがでしょうか。 私は、政治改革は、二段階で実現する以外にはないと確信いたします。 第一段階は、各党間で共通の理解を得やすい政治倫理法、政治資金規正法の改正、政党助成法、さらには、待ったなしの違憲状態にある定数是正についてこれを優先して論議し、結論を早急に得て、政治改革を着実に前進させることであります。 第二段階は、各党間で意見の大きく異なる選挙制度の改革については、それぞれの建設的な意見を出し合い、意見の一致を得る努力を尽くすことであります。海部前総理は一括解決にこだわったために、できるものもできたくし、政治改革を一歩も前進させることができませんでした。賢明な宮澤総理は、再びそのような轍を踏むことはないと考えますが、この二段階で政治改革を進めることについて、宮澤総理の見解を承りたいと存じます。 特に定数是正問題は、再三にわたって違憲判決が下されており、このような違憲状態を放置しては、少なくとも政治的には総理の解散権は制約されると思いますが、この点についての御見解を承りたい。 既に、あなたの閣僚である担当大臣の塩川自治相さえ定数是正の先行を口にされ、また、渡辺副総理、加藤官房長官ら重要閣僚も、定数是正を急ぐべきだと発言するなど、政治改革の取り組みに対する宮澤内閣の姿勢はばらばらの状態にあります。まさに内閣不統一が暴露されていると言えましょう。したがって、この際、政治改革の進め方について、宮澤内閣としての統一された方針を総理の口から明快にしていただきたいのであります。 また、今後、選挙制度を検討するに当たっての重要な課題の一つは、小選挙区制の是非であります。 九月十一日、総理は、並立制を導入しても金のかからない政治が実現する保証はない、中選挙区制度のもとでの連記投票も検討の対象になると発言し、また別のところで、政治に求められているものは、多様な価値観を持つ国民一人一人が自発的な創意と創造で自由濶達な環境をつくっていくことだと述べられています。小選挙区制は民意の半分近くを切り捨てる制度であり、総理の言う、国民の多様な価値観を政治に反映する制度ではありません。むしろそれに逆行するものであります。総理は小選挙区制に賛成なのか反対なのか、重要な問題なので明快にお答えをいただきたいと存じます。 質問の第二は、PKOと国際貢献についてであります。 米ソの冷戦の終結、湾岸戦争、そしてソ連共産党の解体など、世界は激動を続け、新たな世界の平和秩序の構築が今最大の課題として提起されております。世界第二の経済大国として、アジア唯一のサミット参加国として、その問題に日本がどう対応するか、世界各国は日本の出方に注目しております。我が国に対する世界各国の期待は、世界の平和と繁栄のために、日本がその国力にふさわしい誠実な人的、資金的支援を今後どのように遂行するかについてであります。昨年八月、湾岸戦争が起こったとき、私はいち早く、平和を金で買うような姿勢をとるべきではない、自衛隊の活用も含めて人的支援を真剣に考えるべきことを提案いたしました。当時はいろいろな御批判もちょうだいいたしましたが、今日の内外の世論は、おおむねこの提案の方向で帰一しつつあると確信いたします。この見地から、PKOへの参加問題についても、憲法の枠組みをしっかり踏まえつつ、自衛隊の参加を求めることなど、終始一貫してこの問題についてリード役を果たさせていただきました。したがって、今国会中にぜひ法案を成立させたいと考えております。(拍手) しかし、太平洋戦争を引き起こし、周辺諸国にも多大の迷惑をかけた日本は、仮に軽武装とはいえ、武器を携帯した自衛隊を平和目的にせよ海外に派遣するに当たっては、内外世論の理解を得る上でもシビリアンコントロールを厳しく確立し、これを国会承認事項とすることが必要であると確信いたします。(拍手)国会承認があっては緊急事態に対応できないというこれまでの政府の説明は、自衛隊法第七十六条の、防衛出動という我が国の死活にかかわる重大緊急事態においても国会承認が必要とされているという一点をもってしても、説得力はありません。 それとも政府は、日本が戦禍に巻き込まれることより、PKOへの協力の方が緊急性を要するとでもおっしゃるのでしょうか。それを拒否する理由は、政府の行政権、外交権に対して、我々の国会のチェックを一切受けたくないという考えによるものでありましょう。それはまさに三権分立を口実にした官僚主義と申さなければなりません。最近のある有力新聞の世論調査では、七六%に及ぶ圧倒的な国民の多数が国会承認に賛成を表明しております。総理は、この国民の声を無視するのでありましょうか。 また、このPKOへの参加は、総理の唱える国際貢献の最も重要な行動の一つであります。したがって、そこへの自衛隊の派遣は、自衛隊法の雑則で処理するような問題ではありません。それはまさに自衛隊の本来の任務の一つとして書き加えるべき崇高な任務であります。それともPKOへり協力は、自衛隊法第百条以下に規定する運動競技会や南極観測への協力と同程度のものとでもお考えなのでしょうか。この見地から私は、PKOへの自衛隊派遣に当たっては、事前もしくは緊急を要する場合、事後の国会承認を受けること、及び自衛隊法第三条で自衛隊の明確な任務づけを行うことを要求いたします。(拍手)総理の率直な答弁を求めます。 質問の第三点は、今後の日米関係についてであります。 今日、日米関係は、日米開戦五十年という節目を迎え、新たな日米の五十年に向けてその友好を一層強固にしつつ、新しい世界平和秩序づくりに向けて両国がどのような責任を分かち合うかが問われております。 湾岸戦争の戦費も他国に依存し、六千億ドルを超える世界一の対外債務を抱え、九二年度三千五百億ドルの財政赤字が予想される米国が、今後我が国に対して、経済摩擦の解消、対ソ支援を中心とする対外資金協力、さらには防衛分担の増加、国際的な平和維持活動への協力など、各面で厳しい姿勢をとってくることが予想されます。これら一つ一つの対応を誤るならば、日米関係は大きく崩れる危険性を内包しております。 それだけに同米の首脳は、それらの諸問題について胸襟を開いて話し合うべきときだと確信いたします。その意味で、今回のブッシュ大統領の突然の訪日中止はまことに遺憾であります。これは一時的な延期で、近い将来に来日されることになるのか、それとも、場合によっては宮澤総理の方から訪米されるのか、今後の日本の対米関係再構築についての基本的な考え方とともに、米大統領の訪日、首相の訪米についての政府の方針を明らかにしていただきたいと存じます。 それらの諸課題の中で当面最も重要なのがウルグアイ・ラウンドであります。伝えられるところでは、今月末にもドンケル事務局長が農産物について、例外なき関税化の導入を打ち出す可能性が強まっております。この関税化を容認した場合、それが米の完全自由化につながることは明白であります。そして、その道は、日本農業を崩壊させるものであり、容認することはできません。政府は、農業を破滅の方向に導くのではなく、まず産業として自立し得る農業を確立する方策を示すべきであります。 総理は、アメリカとECが譲歩すれば、日本としてもそれに見合った譲歩を行うと発言しておりますが、現実にはアメリカのウエーバー条項やECの可変課徴金制度が容易に廃止できないことは明らかであります。昨日、ベーカー国務長官との会談で渡辺外務大臣は、例外なしの関税化については受け入れは困難だと伝えたと言われるが、これは宮澤政権の基本姿勢を示したものか、総理の言う、アメリカとECの譲歩に見合った譲歩とは具体的に何を指すのか、明快な答弁を求めます。 質問の第四は、北方領土と対ソ支援についてであります。 四十年前、ソ連のグロムイコ外相がサンフランシスコ講和会議の交渉の席をけって以来、初めて北方領土問題の解決と日ソ平和条約締結の好機が訪れようとしております。特に八月クーデターの失敗と、七十四年にわたるソ連共産党の解体、ソ連経済の破綻、それを踏まえての西側諸国の対ソ支援積極化の動向並びに新しい世界平和秩序づくりのために、日ソ関係の正常化を求める動き等々がそれであります。 ハスブラートフ・ロシア共和国最高会議議長は、さきの訪日に際して、我が国に対し八十億ドルから百五十億ドルの大規模支援を要請しております。しかし、ソ連は、さきの日ソ首脳会談で、領土問題の存在は認めたものの、日本に領土を返すとは一言も約束してはおりません。北方領土の問題について、多くの日本国民は、経済支援はしたが、果たして領土は返るのか、大きな不安を抱いております。 総理自身も六日の記者会見で、対ソ金融支援にはチェックポイントがあると述べておりますが、一体どういう条件が満たされれば本格的な経済支援、金融支援に踏み切るのか、それは四島返還の確認を不可欠の条件とするのか、対ソ支援と北方領土に対する総理の明快な答弁を求めます。 質問の第五は、日朝関係についてであります。 現在、日朝間で国交正常化交渉が進んでおり、我々もその早期妥結を要望するものであります。しかし、国交正常化とは、お互いの国家同士が平和で友好的な国として相互信頼することがその根本であります。この見地に立って二点質問いたします。 第一は、「李恩恵」問題の真相解明であります。 政府は、国交正常化交渉の開始に当たり、この問題を条件の一つとして要求しましたが、北朝鮮がこれを受け入れないと見るや、外務省の課長を休暇と称して北朝鮮に派遣し、根回しをした上で、「検討する」ことで交渉再開を約束したと伝えられるが、実際は、この問題について一言の言質も得ることなく、ずるずると交渉に入りました。しかし、この問題をうやむやにすることは断じて許されません。これは、李恩恵という一個人の問題ではなく、法治国家日本の主権にかかわる問題であります。また、人権を守るという政治の基本的問題であり、懸案の日本人妻の里帰り問題の早急な解決とともに、日朝両国が信頼関係を築いていく上で絶対にあいまいにしてはなりません。(拍手) 第二は、国交正常化の前提として、国際原子力機関の核査察協定調印を北朝鮮に受け入れさせることであります。 核不拡散条約に調印しながら核査察を拒否している国は北朝鮮だけであり、核武装をねらっているという国際的非難が出ている中で、日本がこれをあいまいにして国交を正常化し、経済的支援を行えば、日本が世界から非難されることは明らかであります。 既に米政府が韓国からの核兵器全面撤去の方針を示しているにもかかわらず、北朝鮮がなお保障協定締結には応じられないと頑強に主張していることはまことに遺憾であります。総理は今後、日朝交渉をいかなる原則に立って進めようとするのか。去る八日、韓国の盧泰愚大統領はこの問題に関し、韓半島の非核化と平和構築のための提案、いわゆる非核五原則を発表しましたが、日本政府はこれをどう評価するのか。 以上の諸点について、総理の明快な答弁を求めます。 質問の第六は、国連の強化と中国との関係であります。 新平和秩序の構築に当たっては、中国を孤立化させず、その改革・開放路線を求めつつ、これに積極的な参加を求めることが必要であります。一定の条件が満たされるならば、G7にソ連だけでなく中国も加え、G9を構成していくという展望に立って、我が国がアジアの代表としてそのイニシアをとるべきであります。また、国連強化を進める上で、我が国としては、旧敵国条項の撤廃を当然要求すべきだと考えますが、総理の見解はいかがでありましょうか。(拍手) 質問の第七は、税制など経済財政問題についてであります。 これまで堅調な拡大を続けてきた日本経済に陰りが見え始め、同時に、バブル経済は今や音を立てて崩壊しつつあります。こうした中で深刻な問題になっているのが、本年度三兆円、来年度五兆円とも言われる歳入欠陥であります。政府は、これをどう打開しようとするのか。赤字公債は発行しないと言明されましたが、しからば建設国債はどうするのか。消費税の税率は引き上げるのか。総理は、増税は国民の理解がなければ安易に考えるべきではないと述べられているが、それは、来年度は新規の増税はしないということなのか、明らかにしていただきたいと思います。 また、財政当局は、湾岸協力のための増税措置として、一年限りの法人税、石油税の増税措置及び本年度までの経過措置である普通・小型乗用車の消費税率の割り増し税率六%をさらに延長する方針を固めたと伝えられますが、もし事実だとすれば、それは重大な約束違反であり、あなたの言う国民の理解は得られるものではないと考えますが、総理の明快な答弁を求めます。今必要なことは、そうした増税措置の据え置きではなく、抜本的な行政改革の断行であります。 去る昭和六十三年十一月十六日、消費税関連法案の処理に関し、徹夜の論議を通じ、自民、民社両党間で、「行財政改革を強力に推進しこ消費税率は「極力その維持を図るよう努める。」との合意を文書で交わしました。私は、その交渉に当たった者として、自民党がこの約束を誠実に守るよう、ここに改めて要求いたします。 本年六月十二日に提出された行革審の報告書でも明らかなように、行革はいまだ道半ばであります。総理は、来年度予算編成に当たって、歳出の徹底した見直しに取り組む決意を明らかにされましたが、この際、一歩進んで、国と地方の権限見直し、補助金や許認可の見直しなど、本来の行財政改革を進める方針を明らかにすべきだと考えます。 この見地から、宮澤内閣は、今後の行革審に本来の行革を諮問するとともに、政府としての新たな行革五カ年計画を策定することが必要と思いますが、総理の答弁を求めます。 相続税改革も今や庶民にとって切実な課題であります。来年一月からの地価税の導入に際して、相続税の土地評価額は、公示価格の七割から八割に引き上げられることになり、これを放置すれば相続税は増税になります。これを防止するため、基礎控除の引き上げや税率区分の調整を行うべきだと考えます。 また、事業承継に苦しむ中小企業を救済するため、中小企業承継税制の再度の改革を断行すべきであります。特に、取引相場のない株式の評価改善、事業用土地等の生前一括贈与に際しての贈与税納税猶予などを実行すべきだと考えますが、いかがでありましょうか。 また、現在、持ち家世帯のみにしか適用されていない住宅減税を拡充し、住宅家賃を控除する制度を創設し、約束どおり地価税収をこの原資とするよう求めます。 さらに、申告納税の中核をなす青色申告制度の一層の発展を目指す観点から、青色事業主勤労所得控除六十五万円の創設を図るべきだと考えますが、宮澤総理は以上三つの政策減税を行う用意があるかどうか、明快な答弁を求めます。(拍手) また、経済の最大の問題である当面の景気対策についての的確な財政支援を来年度予算で講ずることはもとよりでありますが、当面、金融対策の面で、公定歩合の一%程度の思い切った引き下げなど、機動的な金融政策が求めけれておりますが、あわせて総理の答弁を求めます。(拍手) 質問の第八は、国民生活にかかわる緊急課題についてであります。 私たち民社党は、既に四年前から二十一世紀に向けての政策目標を生活先進国づくりに置くことを提唱し、今日ようやく宮澤総理が生活大国を掲げられたことは、我々の考えと軌を一にするものとしてこれを歓迎いたします。その生活先進国づくりの一つの重要な課題が、高齢者の定年延長と六十五歳までの雇用保障であります。 我が国が世界一の長寿国とたった今、六十歳を超えても働く意思と能力を持ったすべての人々に働く場を保障することが政治の重要な責務であると考えます。そのためには、六十歳定年の完全定着とそのさらなる延長、そして六十五歳までの雇用保障法を策定し、計画的に高齢者の雇用の場の拡大を図っていくべきだと考えるが、総理の御見解をお伺いいたしたい。 最後に、雲仙・普賢岳の噴火と台風災害について伺います。 これらの災害でお亡くなりになった方々に対し、衷心より哀悼の意を表しますとともに、生活再建のため日々懸命の努力を行っている方々に対し、心より敬意を表します。 しかし、個人災害に対する現行制度の基本的考え方は自主救済が原則となっており、被災者に対して政治の責任が十分果たされていないことは遺憾であります。台風十七、十八、十九号の農林漁業への被害額だけでも一兆一千億を超えます。したがって私は、この際、自然災害による救済策を抜本的に拡充すべきであると考えます。 そのため、第一に、激甚法、天災融資法の迅速な適用を行うため、基準要件の緩和や運用の改善を行うこと。第二に、自然災害による被災者の不安定な生活を救済するため、国や県の負担による基金もしくは共済制度を創設すること。第三に、雲仙・普賢岳噴火災害については、島原半島の復興のための立法措置を行うこと。 以上三点について、宮澤総理の誠意ある答弁を求め、私の質問を終わる次第であります。ありがとうございました。(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 大内委員長のお許しを得まして、先ほど、不破委員長の御質問に対する答弁の補足を、おわびを申し上げながらさせていただきます。 我が国の過去の戦争に対する認識でございますが、我が国が過去において戦争を通じて近隣諸国等の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であり、かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできないと考えております。我が国としては、かかる認識を踏まえ、平和への決意を新たにするとともに、このようなことを二度と起こさないよう、平和国家として世界の平和と安定のために貢献をしていく考えでございます。 次に、私がかつての講演の中で、日米関係を軸にアジア・太平洋地域に安全保障の仕組みの複合体的な方向を考えていくと述べたということについてでございますが、このことにつきまして、私は、アジア・太平洋地域の平和と安定に向けて関係国と話し合いを行っていくことは有意義と考えておりますが、日米安保関係のような同盟関係を米国以外の国との間で構築する考えは持っておりません。 次に、消費税導入について、廃止すべきではないかとおっしゃいましたが、高齢化の進展を踏まえ、安定的な税体系を確立することを目的としておりまして、その選択は正しいと考えております。 税率の問題について、私としては、ただいま三%の税率を安易に変えるというような考えを持っておりません。経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄でございますが、国民の理解なしに安易に税率の変更を行うというようなことを考えておりません。 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、先ほど何度も申し上げましたが、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国は、これまでの基本方針のもとに、相互の協力による解決に向けて、最大限の努力を傾注してまいります。 大内委員長にお答えを申し上げます。 いわゆるリクルート事件につきまして、私の不行き届きにつきましてのおわびは、先般、所信表明において申し上げたとおりでございますが、今後とも戒心を一生怠らない決意でございます。なお、心を新たにもう一度努力せよという選挙民の信任をいただいたというふうに考えて、心を戒めておるところでございます。 この点は、私の同僚諸君も同じような立場でございます。既に選挙の洗礼を得ておられますので、私は、識見に富み、また非常な才能を持っておられるこれらの方々が、適材適所で活躍されることが大切なことであるというふうに存じております。 次に、政治改革の基本に政治倫理の確立があると言われますことは、仰せのとおりでございます。制度面においても、金のかからない政治活動、政策を中心とした選挙が実現できますような仕組みとすることが大事でございまして、これらの選挙制度の改革と政治資金制度の改革は相互に密接な関連を持っておりますので、これらを一体として実現するために、さきの国会に三法案を提出したところでございます。この三法案が廃案となりました事実は、厳粛な事実として十分に認識をいたしておりますが、その際、御熱心な御審議を賜った、このような積み上げの上で、政治改革協議会において、これをたたき台にして各党間で御協議がお願いできないかということが私の念願でございます。 なお、衆議院の解散権と定数是正の問題についてお尋ねがございましたが、法律論として申しますならば、衆議院の解散権は、憲法上、国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に与えられておるものでございますので、いかなる場合に衆議院を解散いたしますかは、内閣がその政治的責任で決すべきものと考えております。法律的には、衆議院議員の定数の是正が行われていない間におきましても、衆議院の解散権の行使が制約されることはないというふうに私は考えております。 小選挙区の比例代表並立制は、金のかからない政治活動や政策を中心とした選挙を実現するため、現行制度にかわるべき制度として選挙制度審議会から答申されたものであり、また、自民党においても長期間にわたる党内論議を経て出された結論でございます。政府としては、答申を尊重する立場にあり、また私自身、党議の尊重という姿勢を貫いてまいりました。 次に、自衛隊の派遣に際しましての国会承認の問題についてでございます。 我が国が行うべき国際貢献、いわゆるPKOに関する委員長の御意見は注意深く拝聴をいたしました。また、湾岸戦争に際しまして、いち早く委員長が、自衛隊の活用を含め人的支援の必要性を指摘されたことも記憶に新たなところでございます。 新しい世界の平和秩序の構築が求められております現在、我が国がその国力、国際的地位にふさわしい貢献をどのように行っていくかが問われております。そして、財政面のみでは足りない、人的支援が求められているということは、私どもも委員長の御指摘のとおり考えておるところでございます。 また、我が国がこのような国際的貢献を行ってまいります上で、過去の歴史に対するいろいろな反省を込めるべきであるという御指摘がございました。まことにそのとおりでございますから、私どもも、いわゆるシビリアンコントロールというものはいささかもおろそかにしてはならないと考えておるものでございます。 そこで、いわゆる国会の承認の問題につきまして、PKOへ自衛隊が参加する場合を含めまして、我が国がPKOに効果的に協力をいたさなければならないという観点から申しますと、私どもの考えでは、国連事務総長から要請がございまして、その要請に機動的に対応する必要がある、また、国連との関係からいたしましても、国連と我が国との約束の中で、参加そのものがいわば条件つきになるということの不安定は避けたいという気持ちがございまして、そのような意味において、本法案においては、政府としては、政府の独自の責任で行わせていただきたい。国会承認を求めはいたしませんが、しかし他方で、実施計画を決定いたしましたときには、遅滞なく国会に御報告をすることといたしたのであります。これを受けまして、国会の御審議の結果を踏まえまして、この計画を改めるような機会もございます。そういう意味でも、いわゆるシビリアンコントロールには十分配慮をいたしておるつもりでございます。そのような私どもの考慮につきまして、政府として、私どもの考え方が最も適当ではないかと考えておるものでございますが、この点につきまして何とぞ御理解を得たいと存じます。 なお、これとの関連において、これは自衛隊法三条の改正として取り上げるべき問題だという御指摘がございました。 自衛隊法第三条は、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」、これを自衛隊の本来の任務という法構成をいたしております。 一方、国際平和協力本部長の要請を受けまして、防衛庁長官が、この法律案によりまして自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせることは、自衛隊が長年にわたって蓄積してまいりました技能、経験、組織的な機能の活用を図るものであるという点から、自衛隊法第三条の改正を要しないとともに、第八章に規定されている業務と同様の位置づけをいたしたものでございます。この点もひとつ御理解を賜りたいと存じます。 次に、今後の日米関係、大統領の訪日延期等についてお尋ねがございました。 日米関係で最も重要なことは、両国が自由、民主主義、市場経済といった基本的価値観を共有していることでございます。冷戦後の新たな世界秩序の構築に当たりまして、両国は世界のGNPの四〇%を占めておりますので、我が国としては、両国間に時として発生する個別の問題については、双方が率直に話し合うということが最もいい解決方法だと信じておりますし、また、両国が一致して共同に世界の平和と安定に向けてしなければならない仕事も多うございます。 このたび、ブッシュ大統領が訪日並びにアジアの幾つかの国を訪問する計画を延期されたことは、まことに残念なことと存じております。しかし、日米間には、申すまでもなく、民間、政府を通じまして、間断のない、大変に幅広い接触があり、また対話が行われております。したがいまして、両国間の意思疎通、コミュニケーションには欠くところはございません。ただ、大統領が来られるということは、それ自身非常に大きな意味を持ちますので、早期に訪日されることを期待をし、希望をいたしておりまして、実は昨日ベーカー国務長官が来訪をせられましたので、国務長官に対しまして私としてもその希望をお伝えいたしました。長官から遅滞なく大統領に伝えるというお返事があったところでございます。 次に、ウルグアイ・ラウンドでございますが、これは所信表明でも申しましたが、現在最終段階を迎えております。我が国としては、他の主要国とともに、この交渉が年内に成功裏に終結するように努力をする決意であります。 なお、先日、アメリカ、ECの譲与云々と申しましたことは、これが多角的交渉でございますので、交渉の関係者がすべて等量の譲与をすることによって交渉が成り立つという意味で申しましたので、他意があって申したことではございません。 そのうち農業につきましては、いろいろ難しい問題がございます。お話しになられましたように、アメリカにはいわゆるウエーバーをそのまま残すのか、あるいはウエーバーをやめてしまうのかという大きな問題がございますし、ECには可変課徴金の問題がございます。それらのほかに、自由貿易を最も歪曲していると思われます輸出補助金の問題があるわけでございます。いろいろ問題がございます。 外務大臣が昨日どういう意味で申したのかというお尋ねでございましたが、外務大臣はベーカー国務長官に、我が国の国内の困難な状況についていろいろ伝えられたというふうに承知をいたしております。 いずれにいたしましても、この問題は、解決に向けて最大限の努力を傾注してまいりたいと考えておるところでございます。 対ソ支援につきまして、いわゆる金融支援につきましては、さきのバンコクのIMFの会議の際のG7でも、ソ連がこれからの経済政策を確定していくこと、そして実施体制を整えていくことが先決であるということで、G7並びに国際機関の代表者がモスクワに行きまして、シラーエフ氏以下と協議をいたしたところでございますが、まだ協議が調っておりません。したがいまして、これは非常に大事な、将来にわたる長い大きな支援になろうと思いますが、そのような体制の整備をまずしなければならないというのが現状でございます。 それとの関連で申しますと、四島返還につきましては、この両国の間に平和条約がないというまことに不自然な状態を、領土問題を解決いたしまして、そしてまた、ソ連を支援するという立場で、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大して、拡大均衡で問題を処理していきたいと考えておるところでございます。我が国と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化の問題でございますが、お互いが平和友好的な国として相互信頼することが根本であることは御指摘のとおりでありまして、いわゆる「李恩恵」問題につきましても、先方に粘り強くこの問題を提起していく考えでございます。今月十八日から予定されております交渉の際にも、実務レベルの協議を持つ予定でございます。 この日朝の正常化は、我が国にとりましては、戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、朝鮮半島の平和と安定に資するという国際的た両面がございます。いずれも極めて重要でございますから、我が国としては誠意を持って、関係国とも連絡をとりながら交渉に臨んでまいる決心でございます。 原子力施設に対する査察の問題につきましては、これはIAEAの保障措置協定の早期かつ無条件の締結、完全履行を強く求めてまいりますゆえんは、これは我が国自身の安全にも極めて深いかかわ力合いを持つ問題でございますので、この点は強く北朝鮮に対しまして無条件の締結、完全履行を求めていきたいと考えております。 先般、韓国の盧泰愚大統領が核政策に関する宣言をせられましたが、これは朝鮮半島、ひいては北東アジアの平和と安定に資するものと考えております。政府としては高く評価をいたします。我が国としては、北朝鮮がIAEAの保障措置協定を一刻も早く無条件に締結、完全履行することを強く求めますとともに、今回の盧泰愚大統領の呼びかけに対して積極的に応ずることを期待をいたしております。 国連を中心とする新平和秩序への中国の積極的参加でございますが、我が国としましても、中国が国際社会の重要な一員として新しい秩序の構築に積極的に参加することを期待をいたしております。いわゆる六・四事件後も中国との対話維持に努め、サミット等の場では、他の先進民主主義国に対し、中国を孤立化させることは好ましくないとの我が国の考え方を主張し続け、また理解を得たところでございます。開放政策、改革政策に対しては、積極的に支援を継続してまいりました。海部前総理が本年八月に中国を訪問されました際に、中国がNPTへの無条件加入を原則的に決定した旨を表明いたしましたが、これも国際秩序に積極的な参加をしていきたいとの中国の意思の病らわれというふうに考えております。 国連におけるいわゆる敵国条項の撤廃でございますが、これは撤廃すべし、削除すべしという立場を我が国は長く主張をいたしてまいりました。昭和四十五年以来主張をいたしておりますが、本年秋の総会における外務大臣演説でも、可及的速やかな削除を訴え続けているところでございます。 財政経済につきまして、財政の現状は、御承知のとおり増収をもたらしておりました経済的な要因が流れを変えておりますので、税収状況も低調でございます。ただ、高齢化社会をやがて迎えますので、今後に大きな公債負担を残すということは避けなければなりません。したがいまして、平成四年度の予算編成に当たりましても、できるだけ優先度の低い経費を削減をしていくということで臨む必要がございます。 また、来年度の税制改正についてお尋ねがございましたが、まだ作業が進んでおりません。税制調査会の審議等をこれから踏まえまして検討してまいりたいと思います。 消費税の三%の税率につきましては、これを変えるといったことを私は今念頭に持っておりません。国民の御理解と支持がなければそういうことはできません。安易に税率の変更を行うことを考えておりません。 なお、政策税制について幾つが御指摘がございました。先ほども申しましたように法人臨時特別税、石油臨時特別税あるいは乗用自動車に対する消費税等々、来年度税制に関する作業がこれからでございますので、現在の段階で具体的にお答えを申し上げることができませんことを御理解をいただきたいと思います。 さらに、税制につきまして幾つかの御提言がございました。相続税につきましては、実は三年前に抜本的な改正を行ったばかりでございますので、このたびの改正は、土地の評価の適正化を平成四年から行うことに伴います、それから来ます増税の負担調整をやろうというようなことでございますので、株式の評価の緩和や納税猶予の特例などは、土地の資産としてのいわば有利性をなるべく縮減したいという流れと実は合わないという問題がありますことを御理解いただきたいと思います。 住宅取得促進税制につきましても、ただいま六年間を通じて五千八百億円の減税をやっておりまして、最大限の実は配慮を払っておるところでございます。 また、家賃を控除するという制度の創設につきまして、食費、被服費などとどのような関係に立つか、典型的な生計費でございますので、果たしていかがなものであろうか。 青色事業主につきましての六十五万円の控除の措置につきましても、公平の観点から問題があろうかと存じます。事業所得について、サラリーマンの給与所得控除と同様の勤労所得控除を認めることにつきましても、これは所得税制の根幹にかかわる問題であろうと思います。 以上の問題は、委員長が御指摘されました理由は十分に私どもとして理解ができるところでございますが、現在この時点における改正といたしましては、なかなかいろいろ問題が多いということを御理解をちょうだいいたしたいと存じます。 経済の現状につきましては、確かに御心配のような点がございます。ただ、その点は、金融当局も私どもと同じような理解を持っておりまして、長短金利の低利誘導をいたしておりますしばらくその判断に金利政策を任せてよろしいのではないかと存じております。 高齢者の雇用の場の拡大につきましては、高年齢者雇用安定法に基づき、計画的に六十歳定年の完全定着及びこれを基礎とした六十五歳までの雇用の確保に努力をいたしたいと存じます。 激甚災害、天災融資法の指定につきましては、十分弾力的に対処をいたしてまいりたいと存じます。 それから、個人が災害により被害を受けました場合、災害が多種多様でございます。現行制度による救済の状況と課題、地方公共団体の意向などを踏まえまして、制度の必要性や実現可能性を含めまして研究をしてまいります。 雲仙・普賢岳の災害に際しまして、政府はあらゆる対策を講じてまいりました。今後、火山活動の鎮静化に備え、県を指導し、必要な措置について調査検討を進め、将来の防災地域づくり、地域の振興と活性化に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(櫻内義雄君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 坂本三十次君から、十一月十四日から十二月一日まで十八日間、保利耕輔君から、十一月十八日から二十六日まで九日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。 ————◇————— 原子力委員会委員任命につき同意を求めるの 件 公害等調整委員会委員任命につき同意を求め るの件 公害健康被害補償不服審査会委員任命につき 同意を求めるの件 社会保険審査会委員任命につき同意を求める の件 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件 電波監理審議会委員任命につき同意を求める の件 地方財政審議会委員任命につき同意を求める の件
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。 内閣から、 原子力委員会委員に田畑米穂君を、 公害等調整委員会委員に長谷川慧重君を、 公害健康被害補償不服審査会委員に太田壽郎君及び野崎貞彦君を、 社会保険審査会委員に目黒克己君を、 運輸審議会委員に飯島篤君を、 電波監理審議会委員に河野俊二君を、 地方財政審議会委員に荒尾正浩君、木下和夫君、塩田章君、福島深君及び皆川迫夫君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。 まず、原子力委員会委員及び公害等調整委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。 次に、公害健康被害補償不服審査会委員、社会保険審査会委員、運輸審議会委員、電波監理審議会委員及び地方財政審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。」 〔賛成者起立〕
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。 ————◇—————
○議長(櫻内義雄君) 御報告いたすことがあります。 元本院副議長岡田春夫君は、去る六日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。 同君に対する弔詞は、議長において今十二日贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議 をもってその功労を表彰され さきに再度本院 副議長の重職につき また石炭対策特別委員長 の任にあたられた正三位勲一等岡田春夫君の長 逆を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ————◇—————
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十七分散会 ————◇—————