本会議 第3号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1991/11/11
会議録
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。 ――――◇――――― 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。田邊誠君。 〔田邊誠君登壇〕
○田邊誠君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、宮澤総理の過般の所信表明演説に対して質問いたします。 第二次大戦後、四十数年にわたった東西冷戦の時代が終わり、対話と協調、平和共存の時代の始まりが人々に明るい希望を与えている一方、今も人類の一二分の二を超える人々が、経済の低迷、極度の格差と人権問題、民族紛争の激化、環境・資源の荒廃、人口爆発などの難問に囲まれています。この混沌とした状況の中から、人類の共生と共存を保障する世界の新しい秩序が追求され、その道を切り開く政治のリーダーシップが強く求められているのであります。 総理、あなたは、現代世界のこのような状況の中で、巨大な経済力と技術力を持つ日本のトップリーダーの地位を与えられました。その使命は極めて重大であります。あなたは、国内的要請に誠実にこたえると同時に、確固たる平和政策と軍縮の推進、飢餓と貧困の克服、人権擁護、環境保全など、地球社会の急迫した課題に挑戦し、その解決を目指す国際的協調行動をリードすべき任務を担っています。 総理、この私の演説の瞬間にも、地球上では毎日四万人の子供たちが、貧困ゆえに病気への適切な治療を受けられず、あるいは栄養失調によってかけがえのない命を失っており、年間、その幼い犠牲者はおよそ千五百万人にも及んでいます。この数字こそ、現代の暗い谷間を端的に象徴するものと言わなければなりません。 このような内外に山積する問題を背負いながら登場した宮澤総理が、名実ともに世界のトップリーダーズの一員たり得るのかどうか。それは、あなたが日本の総理として、こうした静かなる破局に立たされている世界の人々と子供たちに向かって、いかなるメッセージを送り、何を約束できるかにかかっていると私は思うのであります。総理、いかがですか、御決意のほどを承っておきたいと思います。(拍手) 私は、まず、我が国の国際貢献の理念と方策について、総理の所信を伺いたいと存じます。 世界のGNPの一五%近くを占める我が国が、その経済力と技術力に見合って人的、物的な貢献に努めるのは当然であり、相互依存度の深まる国際化の時代に、世界の中の日本として生きるための条件でもあります。しかし、問題は、その内容と方向のいかんにかかっております。 私は、我が国の貢献策が、第一に、国際社会の信頼を土台にするものであること、第二に、対象国の民衆の求めにこたえるものであること、第三に、飢饉や災害、疫病、環境汚染などの異常事態に対処し、人間的な生存条件の確保に高い優先度を置くものであること、第四に、平和と安定に役立つものであること、という四つの原則に沿うべきであると思います。 国際貢献のあり方、その原則基準に関して総理の明確な御所見を伺いたいと存じます。(拍手) 今年は、日中戦争六十周年、真珠湾五十周年に当たりますが、この過去の傷ついた歴史を反省し、犠牲となった諸国民に心から謝罪することが国際社会から信頼されるための第一歩であります。信頼のないところには歓迎される国際貢献の道もあり得ません。私はこの観点から、この節目の年に当たり、本国会において、過去の戦争責任を深く反省し、平和国家として進む決意を改めて内外に宣言する国会決議を行うよう提起し、これについて総理の御見解をお尋ねしたいと思います。(拍手) 我が国の国際貢献が、本当に対象国の民衆の求めに応ずるものなのかどうか、これも大きな問題であります。政府のこれまでの態度は、国際貢献の課題をいわゆるPKOへの参加問題に矮小化し、特に自衛隊の部隊ごとの海外派遣に焦点を当て、そのねらいを押し通すためには、国会の承認というシビリアンコントロールの基本さえ踏みにじろうとしてきたのであります。米国のシュルツ前国務長官は、先日、ある新聞のインタビューに答え、「私は湾岸戦争の際、日本やドイツに部隊の派遣を要請する動きには与しなかった。ほかにできることがいくらでもあるからだ。」と語っています。PKO法案が示すようないわゆる国際貢献の形を、一体どの国が、どの地域の民衆が求めていますか。カンボジアですか。アジア唯一の紛争国であったカンボジアでも和平協定が調い、国連は小規模のPKOを派遣するとされています。その中に日本の自衛隊員をぜひ加えてほしいとの要請でもあるのでしょうか。我が国からの貢献策としては、もっとほかに、はるかに切実で重要なものがあるのではありませんか。現実の情勢に根拠のない、憲法違反の自衛隊海外派遣に血眼になるりはやめ、PKO法案は直ちに撤回すべきであります。最近の世論調査を見ましても、国民の大多数は強い反対と懸念を持っていることが明らかにされております。総理にこの撤回の決意がおありかどうか、伺いたいと存じます。(拍手) 民主的改革の過程で経済運営の困難に直面しているソ連との関係について、所信表明でも言及されましたが、政府村政経不可分にこだわることよりも、東アジアの安定に配慮し、北方領土問題の解決を視野に入れた長期にわたる友好関係の観点から、積極的な対ソ支援に踏み切るべきであります。 また、日朝国交正常化については、自社両党も加わった三党共同宣言の趣旨に基づき、速やかな実現を図るべきであります。総理はどうお考えでしょうか。(拍手) 緊要度の高さからいえば、私は、フィリピンにおけるピナツボ噴火や台風災害、中国の大洪水に見られるような大規模災害に対する救援活動にこ辛目を向けるべきだと思います。そうした災者はほとんど例年アジア各地を襲っているのですから、我が国としては、これに対処する非軍事・民生・文民の原則を貫いた国際災害救援組織を常設することが火急の課題と言えるでしょう。私は、この早急な設立を提唱したいと思いますが、総理はどうお考えでしょうか。(拍手) 私は、ここで我が国の国際貢献のあり方に関連して「グローバル・ミニマムの構想」を提起したいと思います。これは、人類すべてが人間としての生存、生活、福祉の基礎条件を共有できるようにすることを目指し、そのための基準と優先順位を明確にして、社会経済政策、開発政策等を進めようとする構想であります。 既に国連では、人間らしい生活の基本、いわゆるベーシック・ヒューマン・ニーズに基づいて多様な数値や指標が打ち出されていますが、その充足を優先することなど先進諸国と発展途上国の合意を踏まえ、国連中心に国際協力のプログラムを推進することがこの構想の主眼であります。総理はこれについてどうお考えか、見解のほどを伺いたいと存じます。 私は、次に、我が国の軍縮問題について伺います。 米ソ両軍事大国は大規模な軍縮計画に転換し、先ごろ、画期的かつ一方的な核軍縮提案を行いました。冷戦時代の対ソ封じ込め政策は、今や共通の安全保障政策への変容を迫られております。その中で我が国の防衛予算のみが突出を続け、現に韓国の国防白書で、日本の軍事費総額は軍事大国の水準に達し、攻撃的性格の防衛力に変貌しつっあると指摘されております。この批判と不安は、アジア諸国に共通なものと言えるでしょう。このような状態が許されるはずは断じてありません。総理は以前、我が国は軍事的な分野ではなく経済的な分野で国際貢献を図るべきであると強調され、また、憲法第九条についても、国家主権の制約と考えることはない、これは二十一世紀を先取りしているんです、誇りですと言明されたではありませんか。今こそ我が国は、防衛力増強政策から思い切った軍縮政策への転換に踏み切るべきだと思います。具体的には、五%以上の増強を図ろうとする来年度防衛関係予算を今年度並みに凍結すると同時に、中期防衛力整備計画の抜本的縮減を断行すべきであります。総理の率直な御決意をお尋ねいたします。(拍手) さて、国内に目を転じて、総理のリーダーシップを問題にする際、残念なことに、あなたと、あなたの内閣の足元の汚れから目を背けるわけにはまいりません。それは、政治改革の本質に通ずる問題であります。 はっきりと申し上げますが、国民は、宮澤内閣が政治改革に本当に取り組めるのか疑問の眼を向けているのであります。 具体的には、まず、政治改革の直接のきっかけとなったリクルート疑惑で、総理自身が当事者であったこと、そして、あなため名義による未公開株の取得について、納得できる説明がまだなされていないことであります。第二に、同じような立場にあるリクルート及びロッキード事件の関係者が、このたび重要閣僚や党三役として一挙に顔を出したことであります。第三に、今回の総裁選挙を通じて、自民党の政治改革大綱もなきがごとき前近代的な派閥政治があらわであったことであります。 総理は、国民に対し、御自身の足元に渦巻くこれらの疑惑をぬぐい去るような明確な説明ができるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。(拍手) このような疑惑を引きずって発足した内閣が政治改革に取り組もうとする以上、なまはんかな決意で済まされるはずはありません。連座制の強化や立候補禁止など、厳しい罰則を伴った政治倫理法をこの際推進すべきであります。そのことなくしては「品格ある国」へのリーダーシップもむなしいものとならざるを得ないのであります。総理はどのようにお考えか、明確な御所見を承りたいと思います。(拍手) 政治改革というキーワードは、本来、議会制民主主義のもとでの政治の復権を意味しています。すなわち、それは、国会が国権の最高機関としての実質を取り戻すことにほかならないのであります。そのためには、議会が公正なルールに基づく公開されたものに生まれ変わる必要があります。当面、まずその自浄能力を発揮することから始めなければなりません。 この原則を踏まえた上で、いわゆる政治改革三法案について触れておきたいと思います。 政府提出の呵法案は、御承知のようにさきの臨時国会において廃案となりました。私たち野党がこぞって反対し、また自民党内にも多くの反対意見があったからであります。この原因を一言で言えば、政治倫理や定数是正という本来待ったなしの課題と抱き合わせにして、党利党略が余りにも露骨な小選挙区比例代表並立制の選挙制度を押しつけようと図ったからではありませんか。 今後、政治改革を具体的に進めるに際しては、前国会の反省に立ち、緊要度の高いもの、各党の合意を形成し得るものから順に着実に実現を図っていくという手法に立ち戻るべきであります。私は、そのときにこそ各党の真剣な協議と討論の実りを期待できると確信するものであります。 私たち社会党は、既に定数是正の案を用意し、野党共同で政治倫理法案を取りまとめた経緯があります。以上の合意の上に立つならば、選挙制度の問題についても、民意の公正な反映という観点から、積極的に協議することに異論はありません。 そこで伺いますが、政治改革について総理が、三法案をたたき台とし、一年以内をめどに結論を得ると再三にわたって繰り返されている真意は一体どこにあるのか。廃案となった小選挙区制にこだわるのは、各党協議に水を差すものであり、合意形成の可能性をみずから投げ捨てることにほかなりません。しかも、一年以内という期限で、どのような手順と優先順位をもって政治改革を進めようとお考えなのか、明確にしていただきたいと思うのであります。(拍手) また、公正で透明度の高い日本をつくる上で、証券・金融市場と国の行政のあり方を改革していくことは、引き続き重い課題であり続けています。このスキャンダルが大衆投資家や国際社会に与えた不信感は、前国会の証券取引法改正や一連の責任者の進退によっていやされるほど浅いものではありません。私たちとしても、日本型SECの創設等によって、独立した監視と公開性の確保、癒着の排除などを提案してきたところであります。総理も所信の中で、「法制面をも含む総合的な対策」の必要を認めておられますが、どのように進めるおつもりなのか、この際、お聞かせをいただきたいと思います。(拍手) 総理、あなたは「生活大国」を提唱されました。この「生活大国」とはどのような内容のものか、そしてどのようなプロセスで進めるのか、今、国民に向かって明らかにすべきでありましょう。 我が国の経済は今や世界トップの資金力、技術水準、経営能力を誇り、ぬきんでた市場支配力を築き上げています。しかし、その経済的な豊かさを実感できる国民は少なく、むしろ生活の質の貧しさを改めて問題にせざるを得ない実態にあります。生活の豊かさとは、資源節約的、環境保全的な落ちついた暮らしの中で、人間的な充実感を味わうことのできる生活の創造、社会的な基盤づくりが基本であります。私はその考え方から、次の諸点について総理の見解を求めたいと存じます。第一は、高齢者の方々の生活をどのようにしたら安心、安定、安全なものにできるのかという問題であります。 総理、第二次世界大戦でほとんど壊滅状態にあった日本経済を立て直し、世界でもトップランクに押し上げたのは、ほかでもなく、現在高齢期を迎えられている人たちであります。戦後日本の最大の功労者ともいうべきこの方々は、果たして今その長年の御労苦を正当に評価されているでしょうか。決してそうではありません。 地域社会の中で、他の人々とともに自立した生活を営むことのできるような社会基盤が十分に整備されていないのであります。真に社会的な支援が求められたときに、それに対応できる体制はなく、施設を必要とする人々のための施設もまた不足をしているのであります。高齢者とその家族が、年金、医療の拡充とともに、信頼できる在宅福祉サービスのシステムにどれほど熱い期待と願いを寄せているか、総理は御存じでしょうか。このような事情は、心身にハンディを持つ人々にも共通しており、まさに人権と生存権が損なわれていると言っても過言ではないと思うのであります。 私は、今ここで、行き場のない高齢者の方々の介護のために生涯をささげた戦前の多くの先覚者の活動を、私の父の姿を通して想起せざるを得ません。戦前戦中の厳しい条件のもとで、国や公共の援助はほとんどなく、ひたすら地域の人々の善意に頼り、乏しい食糧や衣料を集めて回ったころの辛酸を、私自身も子供心に刻みつけてまいりました。日本の社会福祉は、このような民間人の奉仕によって支えられてきた歴史を持っていることを認識するときに、今なお国の福祉行政の貧しさ、冷たさを直言しなければならぬことを何よりも残念に思います。お金がないからできないのではなく、お金があってもやろうとしないというのが現在の福祉行政ではないでしょうか。何が欠けているのか。私は、端的に福祉の心の欠落を指摘せざるを得ないのであります。(拍手) 総理、このような福祉の姿を変えるために、あなたはどのような志を抱き、いかなる政策とビジョンを示してくださるのか、率直なお答えをいただきたいと存じます。 私は、社会福祉政策の基本は、高齢者も障害者もみずからの人生をみずからで決定し、希望した地域で、その地域の人々とともに生きられる社会づくりにあると考えています。我が国の政治がまずなさなければならないのは、公的年金、公的医療体制の拡充を図るとともに、家族の介護能力だけに依存しない地域介護体制の確立てあり、しかも、その介護サービスを、国の援助のもとで、自治体を中心とした公的な責任で果たしていくことであります。そのために国は、地方自治体の権限と財政力を一段と高める方向で努めなければなりません。 総理、あなたの「生活大国」構想は、こうした社会の底辺にまで温かい人間の血を通わせた政策を念頭に置かれているのかどうか、しかとお伺いしたいのであります。(拍手) 、 第二に、私は、「生活大国」への要件として、労働時間短縮の課題に関し質問をいたします。 「生活大国」への道は、生活空間と生活時間を変える過程の連続であります。その中で生活の質の向上に直結する労働時間短縮の意義は、極めて大きいと言わなければなりません。ところが、我が国における労働時間の実態を見ますと、働きバチの異名に背かず、他の先進諸国に例を見ない長時間労働が続いているのであります。 政府は、一九九二年までに年間千八百時間の目標を達成すると称していますが、八七年から八九年までの二年間に二千百十時間から二千八十八時間へとわずか二十二時間が短縮されたにすぎず、このテンポでは目標達成は到底不可能と言わなければなりません。労働時間短縮は、いわば「生活大国」戦略のキーポイントであるだけに、目標達成を目指す抜本的な努力、強力な行政指導とシステムの改革を急ぐ必要があります。総理は、千八百時間達成の目標にあくまでも挑戦する決意をお持ちか、お尋ねしたいと存じます。(拍手)第三に、私は、豊かな社会はまた人権が尊重される社会でもあるとの視点から、被差別部落の問題に関して質問したいと思います。 部落差別の現実は、今なお後を絶たない差別事件の激発に端的にあらわれています。同対審答申が、心理的差別と実態的差別は相互因果関係にあると分析しているとおり、差別事件の背景には、被差別部落の生活の厳しい実態的格差が存在することも認識しなければなりません。 第百二十通常国会以来、再三にわたり確認してきたところでありますが、地対協の論議と結論を尊重し、ハード、ソフトの両面にわたり総合的に全力を挙げてこの問題の解決を図られることを強く求めておきたいと存じます。(拍手) 第四に、消費税の扱いについてお尋ねをいたします。 国民の圧倒的な反対を押し切って導入された消費税が、既に定着したとの声があります。だが、それは上辺だけの認識でしかありません。国民の沈黙の抗議は、今日在お広範に根づいています。社会党の基本的な立場は、あくまでも消費税の廃止、国民の納得できる抜本的税制改革にあります。そのことを明確にした上で、当面、私たちが警戒しているのは、税収減、財政困難などの口実のもとに現行の消費税率を引き上げる意図が政府部内にくすぶっているという点であります。 宮澤総理は、かつて大蔵大臣として消費税創静を提案され、その当初原案が税率五%とされていただけに、税率引き上げへの懸念に根拠なしとは言い切れないものを感じます。総理は、この場所で、絶対に税率引き上げは行わないことを明言されるべきであります。そして、当面、与野党の税制両院協議会で検討されてきた飲食料品等の非課税化など、消費税の緊急是正策に前向きに対処することも明らかにしていただきたい。総理の勇断を促し、答弁を求めるものであります。(拍手) 第五に、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉と米の自由化問題についてであります。 総理、あなたは、新ラウンドを壊してはならず、各国と相応の譲歩をしていくことが交渉の精神だと述べられております。確かに、この交渉は、ドンケル事務局長の包括文書に例外なしの関税化が盛り込まれる可能性が高く、我が国にもその方向での対処が求められると予想されています。 しかし、我が国における農業、農村の現状、水田が果たしてきた多面的な公益機能、稲作によって形成されてきた歴史、文化の重みなどを顧みるとき、総理のごとく軽々に、相互の協力による解決を口にすることは不見識きわまりない。いたずらに不安と危惧の念を呼び起こすことになります。この際、米の完全自給の国会決議を堅持しつつ、バイオテクノロジーを活用した農業生産性の向上、経営改善などの展望を示し、農業、農村の将来に不安を与えない施策を明らかにすべきであります。 これらの課題に関し総理の明確な答弁を求めると同時に、この問題について国論の統一を図るため、早急に党首会談を開くことを提案したいと存じます。(拍手)最後に、総理も所信表明で述べたように、長崎県の雲仙・普賢岳の火山災害は長期化し、また、台風による風水害と長雨は全国各地に大きな被害を与えています。これらの被災者に対し、生活の安定、生業の継続確保のために各種融資制度の早期適用を強く求め、災害防止策の確立、地域経済の再建のため、実効ある施策を要請したいと存じます。 島原地方の地元住民は、特別立法制定による救済を切実に求めています。さきの国会で本院において採択された請願に基づき、島原地方復興のための特別立法の制定を実現しなければなりません。私は、去る九月、現地を視察した折、島原防災都市建設法の制定を提唱いたしましたが、政府がこうした特別法制定に取り組む考えを捺たれるなら、社会党も一緒に汗を流したいと考えております。総理の決断を求めたいと思います。(拍手) また、今回の雲仙災害に学び、長期にわたる災害に対処できるよう、災害救助法等を抜本的に見直すべきではありませんか。この点についても御答弁をお願いいたします。 以上で私の質問を締めくくるに当たり、一言申し添えておきたいことがあります。 宮澤総理は、かねて平和主義とリベラリズムを信条とするキャリア豊富な政治家として評価され、歴史のこの重大な転換期に、世に言う本格政権として登場するのではないかと言われてきました。しかしながら、内閣成立の経緯と内実に向けられた批判は厳しく、国民はさめた目で宮澤政治の行方を見守っているのが冷厳な現実であります。 宮澤総理、あなたの平和主義とリベラリズムは今や一枚の踏み絵と化しています。派閥の力に引き回されてそれを踏んでしまえば、たちどころにあなたの過去の声望は地に落ち、権力への暗い執着のみが記録されることにとどまるでしょう。そうではなく、信念を貫いて踏み絵に足をかけず、それを守り通すことができるならば、あなたの政治は光を放つことにもなり得ましょう。時代がその可能性を生み出しているのです。 さて、あなたはどうなさいますか。踏み絵を踏みますか。それとも、短くてもいい、後世に輝かしい名を残す道を選びますか。 この問いかけを最後に宮澤総理に寄せて、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 田邊委員長にお答え申し上げます。 委員長は冒頭で、毎日地球上で四万人の子供たちが貧困のゆえに命を失っているという御指摘をせられました。そのことを粛然として承りました。 過日、私は、所信表明におきまして、東西間の冷戦の終結とその明るい展望について申し上げたのでございましたが、委員長はただいま、その反面でますます深刻化しつつある南北問題を踏まえてこのような御発言をなされたものと承ります。 幸いにして東西間の軍備縮小が順調に進みますならば、そこから膨大な資源と資金が放出されることになるはずであります。そうしてそれが南北問題の解決に投入されるならば、我々は、今貧困に悩む人々に大きな貢献ができることになります。いわゆる平和の配当は、第一に南の人々に分から与えられなければならないと思います。(拍手)また、それによって、東西間の地殻変動が南北間の地割れに転ずると言われております危険をも防止することができるようになると思います。 もとより、そのためには、南の国々の間のいたずらな軍備競争あるいは民族間の抗争等々いろいろ配慮を要請すべき問題はございますけれども、何よりも我々先進国間のこの問題に取り組む決心が大切である、御指摘のとおりに考えております。(拍手) かつて資本主義は、やがてその過剰生産によって崩壊するということが言われましたが、今、この南の膨大な物と金を必要とする状況を見ますと、この問題の解決は、まさに我々市場経済が人類に貢献すべき偉大なチャレンジであるとすら言えると考えるのであります。 我が国は、軍事大国にならず、今やODA援助では世界一、二の国となりましたが、さらにその量、質を高め、人的貢献をあわせて、この世界の新しい動きの先頭に立たなければなりませんし、私はまだその決心でございます。(拍手)すべての人々が、飢餓や貧困あるいは種々の抑圧から解放され、人間としての生存を保障される世界をつくっていくために、南北間の格差の是正を図ることは不可欠であります。これらの問題との関連も有する地球環境やあるいは難民といった人類共通の課題に積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。 そこで、そのような国際貢献に関してでございますが、委員長は、それについての四つの原則及びグローバル・ミニマムということをおっしゃいました。これは、私は、基本的な理念として、言われるとおりである、賛成でございます。しかし貢献をするに際して、我が国は、我々の誠意の裏づけとして過去についての反省を明らかにすべきではないかという御指摘がございました。 我が国及び我が国国民は、我が国の過去における行為が、アジア・太平洋を初めとする関係地域の人々に多大な苦痛と損害を与えてきたことを深く自覚しております。そうして、二度とこのような不幸な歴史を繰り返さないことを決意しております。こうした考えに立脚して、戦後一貫して平和国家としての道を歩むとともに、国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献すべく、できるだけのことをいたしてまいりました。今必要なことは、このような努力を一層強化することであると考えております。また、そうすることによって、我が国に対する国際社会の尊敬と信頼をから得ることができると確信をいたします。 国会における御決定につきまして御言及がございまして、それにつきましてかれこれ申し上げる立場にございませんが、私は今のように考えておりますことを申し上げさせていただきます。 次に、国際貢献の一つとして、先国会来御審議をいただいておりますPKO法案について、撤回の考えはないかというお尋ねでございました。 昨年来の湾岸危機に際しまして、我々がなすべきこと、なしてはならないことについて国内に幅広い議論がございました。財政的貢献は、国民の血税によって異例に大きな貢献を我々はいたしたわけでございますが、なおそれだけでは十分でない、いわゆる汗を流さなければならないであろうという御議論が広く行われたところでございます。 その結果として、片方において、我々の憲法のもとに我々のできることには限界がある、いわばできないこと、なしてはならないことがあるという、そういう判断の反面において、そうであれば、むしろ我々はできることは最大限にする、それによってなし一ではならないことについての我々の立場も明確にある、こういう、私はコンセンサスが生まれつつあると存じます。(拍手) 先国会来御審議をいただいておりますPKO法案は、このような考え方に基づくものであり、そうしてこれこそは、国際協調という憲法の基本に流れる国連協力の精神に沿うものと考えております。何とぞ速やかにこの法案が成立いたしますようにお力添えをお願いいたしたいと存じます。(拍手) 次に、対ソ支援についてお尋ねがございました。 世界が新しい国際秩序の構築に向けての歴史的転換の流れにあります中で、大国であります日本とソ連間において平和条約の締結を見ていないことは、まことに不自然なことであります。一日も早く北方四島の返還を実現し、平和条約を締結して、日ソ関係を安定した基礎に置くべく努力を続ける所存であります。 対ソ支援につきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題といたしまして、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大するいわゆる拡大均衡の立場に立ちつつ、ソ連における政治、経済、外交の各面にわたる抜本的改革の推進のため、適切な支援を行っていく考えでございます。 次に、日朝国交の正常化についてお尋ねがございました。 昨年秋の自民党、社会党首脳による訪朝団の御尽力の結果、日朝間において国交正常化のための会談が開始されるに至りましたことを評価いたしております。日朝の正常化は、我が国にとっては戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面があり、朝鮮半島の平和と安定に資するという国際的側面がもう一つございます。二つの面とも極めて重要な意味合いを持っております。我が国といたしましては、関係国とも緊密に連絡をとりながら、誠意を持ってこの交渉を進めていく所存でございます。 なお、フィリピンの噴火のことを御引用になられまして、大規模災害の際の我が国の貢献についてお尋ねがございましたが、国際緊急援助隊への自衛隊の参加につきまして法案の御審議を願っております。これは我々のそのような努力のあらわれ、そのような貢献をいたさなければならないと考えておるものでございます。 防衛問題についてのお尋ねがございました。 我が国の防衛力の動向につきまして、アジア諸国が関心を有しておることは承知をいたしております。従来から機会をとらえてこれら諸国に、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの我が国防衛の基本理念を説明して、理解を求めて今日に及んでおります。今後とも忍耐強くその努力を進めてまいらなければなりません。 また、我が国は、御承知のように、防衛計画の大綱に従いまして防衛力の整備、いわゆる基盤的防衛力構想を進めてまいっております。平時における十分な警戒態勢を確保するという観点から、我が国の防衛力の水準を示したところに従って毎年の努力を続けてまいりました。政府としては、引き続きこの大綱の基本的な考え方に従って、効率的で節度ある防衛力の整備に努めていくことが大切であると考えております。 平成四年度の防衛力整備の具体的内容について、ただいま確たる内容を申し上げる段階ではございませんけれども、防衛予算の編成に際しましては、中期防のもとで、その後、国際関係安定化に向けさらに動き出している国際情勢等々を勘案しつつ、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力してまいります。また、中期防の見直しについては、国際情勢の動向等を見きわめていく必要もあり、現時点で直ちに見直しを行うことは適当でないと考えております。 いずれにいたしましても、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従うとともに、昭和六十二年の閣議決定に示されました「節度ある防衛力の整備を行うという精神」を引き続いて尊重してまいりますことは申すまでもないことでございます。 リクルート問題について御指摘がございました。 せんだっても申し上げましたが、私の不行き届きから国民の皆様に御迷惑をおかけしたことは、政治家として深く反省をいたしております。同じ過ちを繰り返しませんように、今後の政治活動を通じ、一生戒心を怠らない決心でございます。なお、これにつきまして、今後国会での御論議に際しましては、私として最善を尽くして対応いたしてまいる考えでございます。 衆議院選挙が行われまして、政治的には私ども信任を得てまいりましたが、私はその信任を、心を新たにしてもう一度努力をせよという有権者の意思と受け取りまして、今後とも戒心を続けてまいる覚悟でございます。(拍手) このことは、私の同僚につきましても同じ心境であると存じます。個人個人の倫理は別といたしまして、政治的には信任を得ております私の同僚諸君が、その識見と能力を精いっぱい発揮できるような立場において活躍されることを、私としては実現をいたします。私自身に与えられました一つの責任と考えております。(拍手) 次に、政治改革の問題についてお尋ねがございました。 政治倫理の確立は、政治改革の基本と考えております。政治倫理確立のための国会議員等の資産公開に関する法律案並びに行為規範の実効性確保のための措置が既に自民党から議会制度協議会に提案されておりますし、各党ともそれぞれ具体案をお持ちのことと承知いたしております。また、御指摘の連座制の強化等につきましては、廃案となった公職選挙法改正法案において、対象を立候補予定者の親族や候補者及び立候補予定者の秘書まで拡大すること、当選無効に加えて、連座裁判確定後五年間の立候補制限を科することなどを織り込んでいるところでございます。 私が、一年以内をめどに政治改革についての結論を得ると申し上げた真意いかんというお話でございましたが、いわゆる三法案につきましては、前国会で熱心な御審議が重ねられたことでございます。政治改革協議会において御協議をせられるに当たりましても、このような実績を踏まえて御協議を願えればと考えているところでございます。 また、投票価値の格差是正の要請にこたえることが、過去の最高裁判決等に照らしましても緊急の課題となっておりますことも御承知のとおりでございます。あれこれの事情を御勘案の上、おおむね一年以内をめどに御尽力を賜りたいと申し上げているところでございます。 次に、証券・金融の問題についてお尋ねがございました。 証券・金融をめぐる一連の問題は、我が国の証券市場、金融機関に対する内外の信頼を大きく損なうものであり、まことに遺憾なことでございます。このため、既に、さきの臨時国会におきまして、損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法の改正を行うとともに、金融機関の内部管理体制の総点検を行うことなどの対応策を講じたところでございます。政府といたしましては、さきの行革審答申及び国会決議を最大限に尊重し、引き続き、証勢市場、金融市場の透明性、公正性の向上及び信頼確保に向けて全力を挙げて取り組む所存でございます。 具体的には、証券・金融行政のあり方、検査・監視体制のあり方、自主規制機関の機能強化等について精力的に検討を行うとともに、証券・金融市場における有効かっ適正な競争を促進し、あわせて金融機関の健全経営の基礎を固めるための金融制度改革を推進する所存でございます。 次に、高齢者福祉行政に関しまして、委員長、承りますと、御尊父が大正の初めから御自身で経験をせられましたとうとい御体験に基づいてお尋ねがございました。 我が国は、二十一世紀には、国民の四人に一人が六十五歳を超えるという高齢社会を迎えることが見込まれております。このような高齢社会において、国民が健康で生きがいを持ち、安心して生涯を過ごせるような、明るい活力に満ちた長寿・福祉社会をつくり上げていかなければなりません。 政府といたしましては、御承知のように、長寿社会対策大綱に基づき、各種施策を総合的に推進しているところでございますが、御指摘のように、高齢者が寝たきりや痴呆などの介護を要する状態になりましても、仮にそういう状態になりましても、可能な限り住みなれた家庭や地域の中で暮らし続けるようにすることは極めて重要な課題であると考えております。 このため、高齢者の保健福祉の分野における公共サービスの基盤整備を進める必要がございます。今世紀中に実現を図るべき十カ年の目標を掲げた「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の着実な推進を図り、ホームヘルパーやデイサービスなどの在宅福祉サービスを大幅に拡充していくとともに、在宅での生活がどうしても困難な場合には、必要な施設が利用できますように特別養護老人ホームの整備を進めるなど、高齢者の保健福祉対策の一層の充実に努めなければなりません。 福祉社会の建設は、お年寄りも若い人も、障害のある人もない人も、ともに地域の中で家族や隣人と暮らしていくことができるといういわゆる正常化、ノーマライゼーションの理念を基本として推進せらるべきものと考えております。 このため、政府としては、昨年六月に社会福祉関係八法律の改正を行い、住民に身近な市町村において、必要な在宅や施設の福祉サービスが総合的かつ一元的に提供される体制の整備に努めているところでございます。今後、これらの施策を着実に推進し、高齢者や障害者が安心して健やかな生活を送ることができますよう、長寿・福祉社会の実現に努めてまいる所存でございます。 労働時間の短縮につきましては、豊かでゆとりのある勤労者生活を実現し、生活大国への前進を図る上でぜひとも達成しなければならない問題と考えております。労働時間は着実に減少してはおりますが、経済計画の目標達成のためには一層の短縮が必要でございます。労使の自主的努力を促進いたしますための環境整備を図りつつ、完全週休二日制の普及促進等にまず全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 同和問題につきましては、憲法に保障された基本的人権に係る重要な問題であるという認識のもとに、政府は昭和四十四年以来二十年余りにわたって、三たびにわたる特別措置法に基づき今日まで関係諸施策の推進に努めてまいひました。最後の特別法である現行法が失効いたします平成四年四月以降の方策につきましては、地域改善対策協議会において一般対策への円滑な移行について審議されておりますので、その意見を尊重して検討してまいる所存でございます。 消費税の問題についてお尋ねがございました。 消費税につきましては、両院合同協議会における合意に基づき行われました議員立法による消費税法の改正が本年十月から実施されているところでございます。政府としては、この改正を円滑に実施し、消費税の一層の定着に向けて取り組んでいくことが最も重要と認識をいたしております。今、三%の税率についてどうこうするといったようなことは、私の念頭にはございません。消費税の税率の問題は、基本的にはそのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄でございますから、国民の御理解なしに安易に税率の変更を行うことは考えておりません。 また、飲食料品の問題については、両院合同協議会において、本年十月を目途に協議を続けるとされておりましたが、十月二十三日の同協議会において、各党会派の意見の隔たりは大きく、その一致は見られなかったと承知をいたしております。政府としては、こうした立法府における御議論の経緯、結果を踏まえてまいる所存でございます。いずれにせよ、先般の法改正を円滑に実施するため最大限の努力を行うことが最も大切と考えておるところでございます。 ウルグアイ・ラウンドにつきましてお尋ねがございました。 所信表明で申し上げましたとおり、現在、最終の段階を迎えております。我が国としては、他の主要国とともにこの交渉が年内に成功裏に終結するように努力をいたしつつございます。農業については、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国の米については、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限の努力を傾注してまいりたいと思っているところでございます。 なお、この問題につきましては、今後いろいろな機会に野党の皆様の御意見もよく伺いながら取り進めてまいりたいと考えております。 農業、農村の将来展望でございますが、農政の推進に当たって、農家の方々が将来を見通しつつ、誇りと希望を持って農業を営める環境をつくり上げることが重要でございます。このため、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、バイオテクノロジー等先端技術の開発・普及、道路、下水道等の農村の生活環境の整備など、政策を総合的に展開しているところでございます。 雲仙岳の災害につきましてのお尋ねでございましたが、政府におきましては、非常災害対策本部を設置し、被災者等の救済のために政府としてとるべき施策について、地元地方公共団体の要望を聞いて、あらゆる角度から検討の上、既に住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用など二十一分野における雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定し、強力に推進しているところでございます。 これらの措置には、食事の供与事業、五年間据え置き無利子の生活安定再建資金貸付事業、並びに長崎県が設置する災害対策の基金に国が所要の地方財政措置を講ずることなどが含まれておりまして、お尋ねの特別立法を行うまでもなく、所要の措置を確保できるものと考えております。 なお、災害救助法の運用に当たっては、一般基準によりがたい特別の事情がございますときは、特別基準を設定するなど、実情に即して対応する道が開かれております。今回の雲仙岳噴火災害が長期間にわたっている等の特殊性にかんがみ、この点、弾力的に対応しておるところでございます。また、災害救助法のみならず、関係諸制度も弾力的に運用しておるところでございます。 最後に、私の姿勢について御助言をちょうだいいたしました。 我が国は、先輩の努力によりまして立派な戦後が築かれましたが、その実績の上に、今新しい世界の激変に当たって日本はどのように対処すべきか、自分の信念に基づきまして、進路を誤らぬよう努力をいたす覚悟でございますが、折に触れまして御教示を賜りますようにお願いを申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 森喜朗君。 〔森喜朗君登壇〕
○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、宮澤総理の所信表明演説に対し、質問を行います。 宮澤総理は、任期満了に伴う自民党総裁選挙において、党員の多大な支持を受け、十五人目の総裁に選任され、引き続き本国会において第七十八代内閣総理大臣に指名されました。私は、ここに心からお祝いを申し上げる次第です。(拍手) そして、激動する内外の諸情勢の中にあって、世界の平和と繁栄、我が国の発展と国民の幸せのために満身の努力を傾注されることを強く期待するものであります。 質問に先立ち、長期にわたる避難生活を続けられている長崎の雲仙・普賢岳噴火による被災者の方々、連続の大型台風で大きな被害を受けられた各地の方々に対して、心からお見舞いを申し上げます。 さて、宮澤総理の当面する最大の政治課題は政治改革の実現であります。 政治改革とは、我が国政治の基本である議会制民主主義の一層の前進と、政治に対する国民の信頼獲得に向けて、政治がみずから改革をすることであります。そして、その原点は、政治と資金の問題について、世間の常識を超えた類と、公私のけじめの不透明さによって生じた国民の政治不信を払拭し、金のかからない公正な政治の実現と、激動する内外の諸情勢の中で政策課題に迅速かつ的確に対応する政治の仕組みをつくり上げることであります。 宮澤総理は、自民党の総裁選挙の際に、政治改革三法案は、我が党と政府が心血を注いで練り上げたものと評価している、廃案という法案処理については、本会議、政治改革特別委員会での熱心な議論の末、到達した結論であるから、事実として厳粛に受けとめている、積み重ねられた議論を尊重し、政治改革の灯を消すことなく、国民が納得できる政治改革を辛抱強く実現していきたい、そして、政府案をたたき台にして、与野党協議の場において、おおむね一年を目途に合意を形成し、実りある結論が得られるように念願していると述べられています。 私は、政治改革に対する総理の決意は高く評価いたしますが、政治改革の主柱である選挙制度改正の政府案の是非については、与野党の別を超えて意見が交差し、廃案となったものであります。他方、現行の議員定数の不均衡は、司法当局から、違憲あるいは違憲状態にあると判断されているのであります。これらの事実を踏まえ、総理は与野党間でどのような改革案がまとまることを期待しておられるのか、率直なお考えをお聞かせいただければと思います。 また、我が党は、政治改革の全体像を、選挙制度、政治資金制度の改革にとどまらず、政治倫理確立のための国会議員等の資産公開、国会運営の改革、党改革、そして地方分権の確立の六項目を政治改革大綱として既に三年前から国民に示しているのであります。今日、総理はこれをどう評価し、推進されるのか、改めてお伺いいたします。 現在、国際社会は、目まぐるしい速度で劇的な変化を遂げつつあります。一昨年来、東欧の旧社会主義諸国は、民主主義と市場経済の導入に取り組んでおり、ソ連においても、本年八月のクーデターの失敗以後、共産主義体制の崩壊を見て、根本的な改革が加速化されております。東西間の冷戦構造は崩れ、米ソ関係は、欧州通常戦力交渉や戦略兵器削減交渉の合意、さらには最近の核兵器削減提案の応酬などに見られるように、対話と協調を基調として新しい協力関係を打ち立てようとの姿勢が顕著になっております。しかし、国際社会は、国家間や民族間の対立や紛争を初めとして、依然として多くの問題を抱えております。一昨年発生した湾岸危機はその一例であります。また、現在、ユーゴ情勢は、依然として問題解決の見通しが立っておりません。 我が国として、このような国際情勢の変化をどう認識し、また、今後の情勢についてどのように展望しているのか、お伺いいたします。 激動する国際情勢の中で、世界は新しい国際秩序の構築に向けての真剣な努力を続けております。このような中で、我が国は、その巨大な経済力を背景として、国際社会のいかなる問題にも大きな影響を与える存在となっております。総理は、所信表明演説の中で、新しい世界平和の秩序を構築する動きに言及されていますが、我が国として、新しい国際秩序形成のためにいかなる分野で国際的責務を全うされているのか、総理のお考えを伺います。 これからの国際秩序を考える上で、湾岸危機が国連を中心とする国際協調のもとで解決されたことは重要な教訓を含んでいると思われます。国際協調主義はまさに我が国憲法の基本理念であり、また、国連は、世界の平和と安定のため、枢要な役割を果たすべき機関であります。新しい世界平和の秩序の中で、国連はどのような位置を占めるのか、あわせてお考えをお伺いいたします。 国際貢献を行う際に特に重要なことは、資金、物資面だけでなく、人的側面でも積極的な協力を行っていくことであると考えます。前国会で継続審議となったPKO法案は、まさにこのような人的協力の一環であり、今次国会でぜひともその成立を図らねばなりません。 他方、我が国が国際貢献を強化すべき分野は他にもあります。国際社会の変革が続く一方で、人口、難民、累積債務、貧困等、多くの開発途上国が直面する問題は依然として深刻であり、世界的な取り組みが求められております。開発途上国の行っている開発への努力を支援するに当たっては、我々の経験と知識を生かした貢献ができると考えられます。また、地球環境の保全、災害復旧支援、難民救済、緊急医療等の分野における国際的な支援活動に対し、我が国が身をもって参加することが必要なのではないでしょうか。人という日本の持つ貴重な資源を生かした日本の協力のあり方につき、総理の御所見を伺います。 日米関係は、我が国外交の基軸であり、日米安全保障体制と緊密な相互依存関係の上に基本的に強固であります。また、このような良好な関係を基礎として、日米は世界全体の平和と繁栄の促進に向けて協力してきており、こうしたいわゆる日米グローバル・パートナーシップは、アジア・太平洋における政策協調、対ソ支援、東欧・中南米における民主化支援、軍備管理・軍縮等の面で着実に成果を上げてきております。 しかし、現在、日米両国の報道等においては、このような積極的側面は必ずしも取り上げられることなく、むしろ米国における対日批判や、日本における嫌米感などが取りざたされております。また、日米の経済関係は、建設、半導体の決着、経済構造協議のフォローアップ等、実態面では進展は見ているものの、大幅な貿易不均衡を背景に米議会等の保護主義圧力が高まっています。このような中で、今回ブッシュ大統領の訪日は、日米関係強化のまたとない機会となると思われていたところ、これが直前になって延期されたことはまことに残念であります。 こうした状況を踏まえ、日米関係を今後どのように取り進めていかれるおつもりか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。我が国は、一貫して、日ソ間の懸案事項である北方領土問題を解決して平和条約を結び、真の友好親善関係を築こうと努力してまいりました。本年四月、ゴルバチョフ大統領の訪日の際の共同声明において、北方四島が平和条約において解決されるべき領土問題の対象であることが確認され、また、平和条約交渉を加速化することについても合意が得られたところであります。さらに、ソ連の国民は、八月の政変を克服し、真の自由化、民主化を目指した本格的改革を推進しつつあり、対日関係においても、法と正義に立脚して対応する考えと承知しております。 このようなソ連の改革の動きに対しては、我が国としても、ソ連が自由と民主主義、市場経済という共通の価値観を有する真のパートナーとなり得るよう積極的に協力していくことは当然であり、全面的に支援を行うことが重要であります。 総理は、今後の我が国対ソ外交をいかに進めていくお考えか、お尋ねしたいと思います。 ロンドン・サミットでの合意にもあるとおり、ウルグアイ・ラウンド交渉を本年末までに成功裏に終了して、多角的自由貿易体制を維持強化することは、今後の国際経済が安定的に発展していくためにも不可欠な要件であります。 戦後四十数年の国際貿易において普遍的な法の支配を達成したガットは、貿易の拡大を通じ、世界経済の安定と発展に大いに貢献してきました。多角的自由貿易体制のもとで経済的繁栄を享受し、ここまでの発展を遂げることのできた我が国にとって、ウルグアイ・ラウンドの成功は極めて重要であり、ぜひとも年内に実質的な合意を達成させる必要があります。 現在、ウルグアイ・ラウンドは大きな山場を迎え、非常に難しく、かつデリケートな時期にあります。九月以来集中的に行われていた各分野での交渉を受け、いわゆるダンケル・ペーパーがまとめられると伝えられています。一方、サービス、知的所有権、農業等の分野においては、いまだに各国間の対立が大きく、かかる対立が調整されなければウルグアイ・ラウンドが危殆に瀕するのではないかと思われます。万が一にもウルグアイ・ラウンドが失敗するという事態に至った場合は、二国間貿易摩擦の激化、一方的主義の乱用、閉鎖的地域主義といった保護主義の台頭につながるおそれが極めて大きいものと考えられます。 かかる事態を防ぐためには、ウルグアイ・ラウンド関係諸国が力を合わせ、一層の努力を行う必要があります。国際社会において責任ある地位を占めている我が国としては、ウルグアイ・ラウンドの成功のため積極的なリーダーシップを発揮することは、我が国に与えられた重要な使命と至言えましょう。交渉も山場を迎えつつある現在、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功に向けての総理の決意を改めてお伺いしたいと思います。 我が国経済は、五年の長期にわたり拡大を続けております。今回の景気は、個人消費や設備投資などの高い伸びに支えられた経済成長という形で持続し、地価、株価はともかくとして、物価も安定的に推移するなど、我が国経済は諸外国との対比で見ても非常に良好なパフォーマンスを示してまいりました。 しかしながら、現在の経済情勢を見ると、個人消費、設備投資が総じて底がたい動きにあるものの、乗用車販売が落水準で推移しており、今年度全体の黒字額も昨年度をかなり上回る水準になると見込まれておりち込み、住宅投資の大幅な減少が続いているなど、減速してきている面が見られます。他方、対外面を見ると、本年に入り経常収支の黒字額が前年を上回るます。こうした経常収支黒字の拡大は、原油価格の下落、絵画等のぜいたく品輸入の減少、あるいはドイツ統一に伴って需要の急増が見られた対EC向け輸出の増加といった特殊要因によってもたらされていると考えられますが、調和ある対外経済関係を維持していく観点からすれば、今後とも経常収支黒字の動向には十分な注意を払っていく必要があると考えます。 金融面では、市場金利が低下する一方で、金融機関の慎重な姿勢を反映して貸し出しの伸び率は低下してきており、企業の借り控えも見られております。また、企業家心理も、先行きに対する不透明徳から、徐々に弱気の見方がふえてきております。金融政策については機動的な運営が重要だと考え脅すが、他方、地価の動向は鎮静化傾向にあるものの、なお予断を許さない状況にあることから、いわゆるバブル経済の再燃はぜひとも回避しなければなりません。 総理の景気に対する認識と今後の経済運営についての基本的な考え方をお伺いするものであります。 私は、資源らしい資源もなく、極東の一島国たる日本が、今日、経済大国となり、国際社会に大きな地歩を築くことができたのは、日本人が受け継いできた勤勉さと教育の力によるものであるとかたく信ずるものであります。 先ほども申し上げましたとおり、人という日本の資源を生かすため、明治以来、我が国の先達は、いずれも教育の振興を国の重要課題として位置づけ、これに大きな力と情熱を注いできたところであり、我が党も立党以来、人づくりは国家百年の大計であるとの観点に立ち、諸施策の充実に積極的な努力を重ねてきたところであります。 しかしながら、最近の厳しい財政事情のもとで、我が国の発展の基盤である学術研究の推進、さらには高等教育機関の教育研究環境の悪化等、緊急の諸課題への対応のおくれが指摘され、各方面から強く憂慮される事態となっております。 また、最近では、我が国みずから科学技術大国と称しながら、海外からは基礎研究ただ乗りなどという批判も聞かれるようになってきており、我が国に期待される国際的な貢献を果たしていくためにも早急な対応が必要であると考えます。 総理のお考え方をお聞きするものでございます。 ことしは、日米開戦から五十年の節目に当たります。そして、戦後四十数年の歳月を経て、我が国は世界のGNPの一五%を占める経済大国となりました。一方で、最近の世界情勢は、冷戦の終結、湾岸戦争、ソ連共産主義の崩壊等、激動のさなかにあり、まさに歴史の転換点と呼ぶにふさわしい時代を迎えています。冷戦後の新しい国際秩序が模索されている中で、我が国はどんな役割を果たすべきか、その指針を内外に示すのが政治におけるリーダーシップであります。 宮澤総理は、終戦直後から、若くして大蔵大臣秘書官をスタートに、一貫して我が国政治の中枢にあり、戦後、日本の枠組みができ上がっていくさまをつぶさに体験してこられました。その政治経験は、まさに戦後政治の生き字引であると言えるものであります。そして、そのことが、未曾有の転換期を迎える今日、宮澤総理をして我が国のリーダーの地位にっかしめたものと言えましょう。 今や、外交、内政のいずれをとっても、あの終戦直後に匹敵するほどの、深い洞察力と先見性を持った冷静な政治判断が求められています。国民の宮澤総理に期待するゆえんもまさにここにあります。(拍手) 総理の理想とする政治のビジョンを内外に明確に示し、歴史の流れを見通した、勇気ある政策の実行と政治決断を示されることを期待して、私の質問を終わります。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 森政調会長にお答えを申し上げます。 政治改革につきましては、その実現の方策を見出すことを目的といたしまして、既に各党間で政治改革協議会が設置され、御協議が始まったところでございます。前国会に政府が提案いたしましたいわゆる三法案をたたき台として、協議会におかれまして、現行制度をめぐるさまざまな問題を抜本的に解決し得る具体的な結論を、おおむね一年を目途に出していただけるようにというのが私の念願でございます。政府といたしましても、なし得る限りの協力等につきましては、もとより最善を尽くす所存でございますので、政治改革の実現に向けまして、各党各会派の御理解と御協力をお願いする次第でございます。 このほか、政治改革につきましては各党においていろいろ御議論がなされておりますことを承知いたしておりますが、自民党の政治改革大綱の中で取り上げられております。ただいま御指摘の政治倫理の確立等六項目は、いずれも政治改革の内容として重要不可欠のものであり、総合的に実現を図る必要があるものと考えております。何とぞ、協議会の場等を通じまして、各党間に十分論議を尽くしていただき、政治改革の実現に向け、速やかな合意づくりがなされますことを念願をいたします。 次に、国際情勢の認識についてでございますが、まさに何百年に一度という大きな変化の中にございます。ベルリンの壁の崩壊、ソ連共産党の解体という激変により、国際社会は冷戦後の世界へ入りつつございますが、せんだっても申し上げましたが、これは新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりと私は考えております。 ただ、世界におきましては、依然として国家間や民族間の対立、紛争が多く存在をいたします。今後ともこれが容易になくなるとは考えませんけれども、同時に、国際の平和に向けて対話と協調によるさまざまな努力が行われております。米ソによる核兵器の大幅な削減を含む軍備管理・軍縮の動き、湾岸危機に対する国際的対応、カンボジア和平合意の達成、中東和平会議の開催等がその最近の例でございます。また、この新秩序構築の中で、国連の役割が一層増大しつつございます。 このような対話と協調による新しい秩序の模索の中で、我が国は、今やこれからの国際秩序の根本にかかわるすべての問題に大きな影響を与える存在になってまいりました。新しい世界平和の秩序を構築していくため積極的な役割を果たしていくことこそ、我が国の国際的な責務であるというのが、私どもの基本認識でございます。 このため、我が国としては、他の先進民主主義諸国と協力しつつ、国連平和維持活動に対する積極的な協力、軍備管理・軍縮の促進、地域紛争の解決への協力などを通じる世界の平和と安定への貢献、自由や民主主義といった価値を確保するための国際的努力への積極的な参画、開発途上国に対する支援、地球環境の保全、難民問題等々人類共通の課題の解決、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功に向けた努力を初めとする世界経済の発展への貢献などに取り組んでまいらなければならないと思います。 この中における国連というものをどう考えるかというお尋ねでございますが、この冷戦が終えんをいたしました。新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりに対して、不確実性と不安定性はいろいろございますけれども、国連の平和及び安全の維持の分野における役割が高まっていることは事実であると思います。 我が国といたしましては、憲法の基本理念である国際協調主義のもとに、世界の平和の確保に向け大きな役割を持っております国連に対して最大限の貢献を行う必要がございます。我が国の国際的地位、国力にふさわしい国際的責務を遂行するために、人的、物的両面で効果的な協力を行ってまいりたいと存じます。御指摘のように、御審議をいただいておりますいわゆるPKO法案も、我々のそのような人的な協力の具体化を目途とするものでございまして、速やかに成立をさせていただきまして実行に入りたいと考えております。 なお、国連についてでございますが、何分にもいわば非常に短期間の間に大きな役割を担うに至りました。最近の歴史でございますが、国連そのものがいわば強大国の利益代表でなく全加盟国の、小さな国もたくさんございます、公平な代弁者である、そういう信任を獲得することが、私は極めて大切なことであると思っております。そのためには、実はなさなければならない改革がたくさんにあるように存じております。安保理事会制度などもその一つと思いますが、掴連の役割が重要になればなるほど、世界の各国の公平な代弁者であるというものになっていってもらいませんと、国連に対する信頼が失われますと、その役割を果たすことができません。これにつきましてはいろいろ難しい問題が多うございますけれども、ぜひともそういうものになるために、我が国としても努力をいたさなければならないと思います。 人的な貢献でございますが、我が国として、国際社会の一員として世界の平和と安定のために、財政ばかりでなく人的にも国際的地位にふさわしい貢献を行っていかなければならないことは当然でございまして、これまでも国連の選挙監視団へ要員を派遣したこともございます。また災害被災地への緊急援助隊を派遣したこともございます。あるいはペルシャ湾、戦争が終わりました後、掃海艇等の派遣などさまざまな人的貢献をいたしました。この国会におかれましても、PKO法案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部改正法案について引き続き御審議をお願いいたしておりまして、速やかに成立をお願い申し上げたいと存じております。 日米関係についてお尋ねがございました。 日米間において最も重要なことは、両国が基本的な価値観を共有しているという事実であると思います。その上に立ちまして、安保体制、緊密な相互依存関係、あるいはいわゆる地球的な共同責任といったような協力関係が成り立っておるというふうに考えております。 冷戦後の新しい国際秩序の構築に当たりまして、世界のGNPの約四〇%を合わせ持ちます両国の責務は非常に重大でございます。時として両国間には個別の問題が発生をいたしますが、率直な話し合いは、共通な価値観を持つ両国の間において、常に大切であり、常に可能であります。それを通じまして両国の友好関係を深めるとともに、世界の平和と繁栄に向けて、協力関係を一層強化していかなければならないと存じております。 御指摘のように、ブッシュ大統領の訪日が一時延期になりましたことは残念なことでございますが、ただ両国の間には、民間、政府を通じまして、四六時中、間断なく、非常に幅広い対話と絶えざる接触が行われておりますので、お互いの間の相互のコミュニケーションあるいはお互いの間の理解、それに何心支障があるとは考えておりません。一日も早くまた来日されることを希望をいたしております。 対ソ外交につきましては、この新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりに、日ソ間に平和条約がないということはまことに不自然でございます。ようやくにして、北方領土問題を解決し、平和条約を締結すべき機運が熟しつつございます。ソ連、ロシア共和国とともに、我が国としてもこの問題の解決に向け一層真剣に取り組んでまいります。我が国として、ソ連が市場経済と民主主義に立脚して新しい世界秩序の建設的な担い手となる努力に対して、適切な支援を進めていく考えでございます。 ウルグアイ・ラウンドは、御指摘のようにまことに大切な意味を持つ交渉でございます。失敗に終わらせることはできない。保護貿易主義や閉鎖的地域主義などの傾向を排して、二十一世紀に向かって多角的な貿易体制を維持し、発展させることを目指しておるところでございます。交渉は最終段階を迎えておりますが、我が国としては、御指摘のように他の主要国とともに、この交渉が年内に成功裏に妥結するよう努力をいたす決意でございます。 景気につきまして、御所見と御懸念とを御表明になられました。 経済の現状については、確かに拡大テンポが緩やかに減速しつつございまして、政調会長が御指摘のように幾つかの問題がございます。それは私も同じような認識を持って考えておるところでございますが、政府としては、今後とも引き続き物価の安定を図ることを基礎とし、主要国との協調にも配慮しながら、適切かつ機動的な経済運営に努めることによりまして、内需を中心とした持続的な成長に努めてまいる必要があると存じます。この点につきましては、金融当局も長短金利の低目誘導に努力を続けてまいりますなど、現状の基本認識については余り私どもと相違がないと考えておりますので、しばらく金融当局の判断にゆだねたいと考えておるところでございます。 最後に、教育の問題につきまして強調せられましたことは、共感を禁じ得ないところでございます。 大学を中心とする学術研究は、国家社会のあらゆる分野の発展の基盤を形成するものであり、独創的、先端的な学術研究の推進と高等教育機関の教育、研究環境の改善が必要でございます。また、このことを通じて世界の学術研究の推進に積極的に貢献していくことが我が国に強く期待されているところでございます。このため、大学の教育研究基盤の整備、国際交流の推進等につきまして努力してまいりましたが、今後とも一層積極的に施策を推進してまいる所存でございます。 最後に、このような困難なときに当たりまして重責を担いました。身の引き締まる思いでございますが、我が国が進路を誤りませんよう微力を尽くしてまいる所存につきましては、何とぞよろしくお力添えのほどをお願いを申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。 〔石田幸四郎君登壇〕
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。 まず、宮澤氏の総理就任に当たり、御本人の心情に思いをいたし、心から祝意と敬意を表したいと思います。 しかし、宮澤政権の担った政治課題は、政治改革、国際貢献、証券不祥事、歳入欠陥、米、高齢化対策等の内政面を初め、対米、対ソなどの激動する国際対応など、問題は極めて多岐にわたり、かつ深刻であります。政治は結果がすべてであることを思うとき、大地に耳を傾けて国民の真意に思いをはせ、その対応に誤りなきことを強く要望せずにはおられません。 公明党は、宮澤政権に対し、まず対決ありきの姿勢はとりません。国民のために是か非か、この一点を軸に果敢に政治論争を展開し、日本社会の公正な前進に貢献することを明言いたしたいと存じます。(拍手) さて、冷戦の時代が終わり、国際社会は新しい共存のシステムの構築へ歩み始めています。イデオロギーや社会体制の違いが生み出した緊張は、時として人類の生存に絶望的な見通しを与えたときもありました。しかし、これももはや過去のものとなり、国連の機能強化と今後予想される地域紛争等の防止に英知の結集が図られるようになりました。 我が国においても、湾岸戦争への対応を迫られる中で、広く国民の中に、日本も国際社会の平和と安定に進んで貢献すべきなどの意識が形成されてきたのであります。激動の後、大きくさま変わりした風際社会が求める理念は何か。そして、その中に日本をどう位置づけるのか。この解答はまだ明らかな形にはなっていません。 その一つの考えとして、公明党は既に、「日本はノーブレス国家たれ」との提唱を行いました。地位ある者は他の者に貢献する義務があるというノーブレスオブリージュは、政治理念として、高潔で公正な政治の実現を支えるものとなるのであります。世界のリーダーの一つである我が国は、自国の経済的利益のみを追求するのではなく、利他の精神に立って全人類の利益、世界への貢献を図るべきであります。そして、その理念が内政に求めるものは、生活者重視の文化・福祉国家の実現であると私は考えます。戦後政治は、国際社会への復帰を目指した国づくりの時代から目覚ましい経済成長を経て、戦後政治そのものを見直す時代に入りました。これまでの自民党政治を転換する新しい政治理念が求められているのであります。総理は、年来の目標として、日本を「品格のある国」にしたいと言っておられますが、私は、これからの日本はノーブレスオブリージュの理念を高く掲げて進んでいくべきであると強く主張したいのであります。(拍手) 私は、こうした基本的認識に立って、外交、内政問題について質問をいたします。 世界は、冷戦の終結に伴い、新たな国際秩序の構築を求めて激動しています。ソ連の激変、米ソ協調体制の確立と米ソの大幅核軍縮提案、南北朝鮮の国連加盟と南北対話の進展、さらにはカンボジア和平協定の調印、中東和平会議の開催等々、世界は冷戦時代の呪縛の鎖から次々と解き放されつつあるのであります。 このような人類史上まれに見る大変革期に当たり、今こそ我が国が率先してビジョンを示し、国際的責務を果たしていくことが強く求められています。日本に対し、世界から多くの期待の声とともに、厳しい注文も寄せられていることは総理も御承知のとおりであります。日本は、金だけ出せばいいと思っているのか、あるいは、米国に追随するだけですべて対応がおくれているなどという批判があります。このことを総理はどう受けとめておられますか。日本の真意はどこにあるのか、日本の本当の顔はどこにあるのか、そうした懐疑的なまなざしを解消することなくして国際貢献への適正な評価を得ることはできません。総理は、世界情勢の変化と我が国の国際的責務についてどのような認識をお持ちか、また、総理の考える外交理念は何かを明確にしていただきたいのであります。特に、ポスト冷戦における新たな国際秩序の枠組みとして国連への期待が高まっている中、我が国は通算七回目の安全保障理事会非常任理事国に選出されました。国連中心主義を掲げる我が国が、具体的な行動をもって国際貢献を内外に示すまさに絶好のチャンスであります。総理は、あるべき国連像についてどうお考えになられるのか、そのため今後我が国がどのような主張、行動をとろうとされているのか、伺いたいのであります。 史上最大の軍縮と言われた米ソなど二十二カ国による欧州通常戦力削減条約や戦略兵器削減条約の調印、さらに九月には、米国の核戦略の大転換を意味する核兵器削減計画の発表、あるいは在韓米軍の核兵器撤去、あるいはまた、米ソ、NATOなどにおける兵力の削減、軍事費の明確な圧縮など、世界はいまだかつてない規模とスピードで軍縮の機運が高まっています。アメリカは、来年度四十二億ドルの軍事費削減、そのうち十億ドルを対ソ支援に向けることなどが検討されており、極めて明確な方針を示しています。また、国連による通常兵器の移転登録制度なども行われようとしております。 日本はどうでありましょうか。世界のこの軍縮に対し、日本はいかなる貢献をしようとしているのか、日本自身の軍備縮小の計画は何も示されないのか、この世界的軍縮の時代に日本の防衛費だげはなぜ確実に増大をしていくのか、総理はこの準直な国民の疑問にどう答えられますか。日本も明確に防衛費の削減方針を打ち出し、軍縮を基調とした世界の平和秩序構築へ積極的な参加の姿勢を示すべきであります。(拍手)また、中期防の見直しは三年後などと時代錯誤的な発想を捨てて、少なくとも新内閣が発足した今このときこそ、中期防の見直しを検討すべきではありませんか。総理の見解を求めるものであります。 次に、さきの臨時国会で継続審議となっているPKO参加問題について伺います。 言うまでもなくPKOは、国際紛争の平和的解決のため、非暴力、非強制・中立を原則として行うとうとい平和への貢献活動であ力、将来にわたってその重要性が高まってきております。PKOはこれまで八十カ国以上の国が参加しており、永世中立国で国連に加盟していないスイスですら参加し、さらにPKFへの参加も既に決定しているのであります。また、PKFは一九八八年にはノーベル平和賞を受賞しております。我が国においても、憲法の枠の中でこうした平和貢献の活動に積極的に参加していくべきであり、今国会において法案の成立を図るべきであると考えますが、総理の基本的姿勢を明らかにしていただきたいのであります。 PKO参加について多くの議論があり、その代表的な議論の一つに、国際貢献はPKOだけではない、他にやるべきことが多いという主張があります。私もこの意見には反対しませんのしかし、だからPKO、PKFへの参加は必要ないという議論は誤りだと私は思います。(拍手)戦争ほど悲惨なものはないとの人類的体験を思うとき、確保できた平和を守る、これ以上の優先事項はないと決意すべきであります。国際貢献のあらゆる分野に参加するという態度こそ、新しい日本のとるべき国際貢献のあり方であると同時に、PKO、PKFへの参加を否定しては画竜点睛を欠くことは明白であります。(拍手) また、報告義務か承認かの議論がありますが、PKO五原則が法文上明確にされた以上、私どもは報告義務で十分であると考えます。国連の要請を受けるかどうかの物差しはあくまで法律によるべきであって、それでなければ法律をつくる意味がありません。法律の上に国会承認を置くということになれば、法律の形骸化をももたらす可能性なしとしません。総理の明快な答弁を求めます。(拍手) 本年は第二次世界大戦が開始されてからちょうど五十年目に当たります。私は、こうした歴史の節目を迎えるに当たって、全世界に対し、国民の総意として、二度と侵略行為を繰り返さないという不戦の決意を盛り込んだ国会決議を行い、これを内外に宣言することを提案いたすものであります。特に、その中には、我が国が過去にアジアに対して犯した過ちを率直に反省することを明らかにし、アジアに対する負の遺産の清算として新しい平和国家日本の再出発とすべきだと考えるものでありますが、総理のお考えをお聞きしたいのであります。 日米関係についてお伺いをいたします。 私は、米国が我が国の外交政策上最も重要な国であり、さらに米国と関係強化に努めていかなければならないものと考えます。特に、ポスト冷戦における国際社会において、日米の果たす役割は今後ますます重要になってこざるを得ません。そうしたとき、日米両国が政治、経済その他のあらゆる分野において懸念を取り除き、また懸念が生ずれば即座に議論し合える、そうした厚い信頼で結ばれたパートナーとしての新しい日米関係を構築すべきであります。総理は、今後の外交の展開に当たってどのような日米関係のビジョンを描こうとされているのか、お伺いをいたします。 次に、日ソ関係についてであります。 周知のとおり、ソ連は八月の政変以降、共産党支配の崩壊、各共和国の主権確立等によって、従来のソ連邦の政治体制は事実上解体したと見てもよい状況にあります。また、北方領土交渉の相手が実質的に連邦からロシア共和国へ移行したことなど、これまでの対ソ政策の前提は大きく変化しています。我が国は政経不可分の政策を含め、従来の対ソ政策全般についての根本的な見直し、再検討を行い、新たに再構築するぐらいの取り組みが必要と考えますが、対ソ支援の基本的な対応と北方四島返還に対し、いかなる方針で臨もうとするのか、総理並びに外務大臣の見解をお伺いをいたします。 内政問題に質問を移したいと思います。 今、我が国は、内外情勢の変化に機敏に対応し、国民と世界に信頼される政治が求められており、政権担当者の責任は従来にも増して重くなっております。それだけに、総理、宮澤政権の当面の緊急課題の一つは政治改革であろうと思いますが、私は、宮澤総理がこの問題にどれだけ本気で取り組まれようとされるのかを厳しく監視している一人であります。 総理は、御自身、かってリクルート事件に関与したことにより、副総理、蔵相を辞任されました。そして今、日本政治の最高責任者の立場に立たれ、宮澤政権の発足に当たってリクルート関連議員を内閣や党の要職に多数起用されました。 この重要な問題で指摘を受けた総理は、事件の責任については衆議院選挙で有権者の信任を得ており、残っているのは政治家本人の倫理の問題だという趣旨の発言をしておられますが、これは自民党一流の釈明であって、国民を納得させることはできません。結果としてリクルート事件の教訓を風化させる以外の何物でもありません。また、この問題に対し総理がいかに百方言を費やしても、国民の信を取り戻すことは不可能です。政治改革を断行する以外に国民の信を取り戻す道はありません。その意味で、宮澤政権の最大の内政課題は、この政治改革の実現以外にないと指摘するのでありますが、所信を承りたい。 また、政治改革について総理は、一年をめどに抜本改革について合意を得られるよう最善の努力をすると総裁選のとき表明されました。まず、この公約を絶対にごまかさないでいただきたいと思います。政府が先国会へ提出した政治改革三法案は、十分な審議が行われないまま廃案となり、現在、各党協議にゆだねられております。政治改革の議論が進まなかったのは、法律そのものに欠陥があったこと、同時に、提出した政府・自民党の側に多くの異論があり、混乱があったことなどがその原因であります。 こうした経過がある中で、総理は自民党の最高責任者として、あくまで小選挙区比例代表並立制に固執するのか、それとも、この原案を修正して自民党内の異論を克服しようとするのか、答弁を求めます。 また、一年をめどと公約されましたが、この政治改革を一年後に成立させようとすれば、少なくとも来年の通常国会後半には法案を提出しなければなりません。このためには、主張が異なる各党間の協議を進展させる必要があります。自民党がこれまでの主張を繰り返す限り、与野党間の合意は不可能と言わなければなりませんが、合意形成のために自民党最高責任者としていかなる努力をされようとするのか、妥協もあり得るのか、この公約が実現できないときはいかなる責任をとられますか、それぞれ決意のほどを伺います。 また、リクルート事件が突きっけてきた政治改革の本質は、まさに政治倫理をどう構築するかであり、選挙制度論議は行うとしても、まず腐敗防止に実効性のある政治倫理、政治資金規制問題から議論を展観すべきだと主張する私たち公明党の考え方について、どのように考えられますか、明確な答弁を求めるものであります。 さて、バブル経済の破綻は、単に企業社会のあり方に厳しい反省を迫っただけではなく、我々国民一人一人の生き方までも考えさせるきっかけとなりました。そしてそのことが意味するものは、生活者が企業にひたすら奉仕させられてきたことに対する反省でもあります。 総理の言う「品格のある国家」の品格とはにじみ出てくるものであり、国民の暮らし向きにゆとりと豊かさが実現されなければおよそあり得ないことであります。立ちおくれた社会資本整備、老後の不安、あるいは一生働いて手元にローンしか残らない現実、通勤地獄、過労死など、働きに比べて報いられることが少ない、このことに国民の不満が集約されています。何のために働いてきたのかと嘆く国民が多いようでは、品格のある国とは言えません。総理が掲げた公約の中に「公正な社会の実現」「生活者・消費者重視の政治」とありますが、問題は、それをどう実現するかであります。スローガンだけではなく、それを実現するメニューを明確にすることを要求します。(拍手) 以下、具体的な問題について数点お伺いをいたしたい。 第一に、現在問題となっている証券・金融不祥事の再発防止にかかわる市場監視機構の創設についてであります。 証券・金融不祥事は、公正さを欠いたゆがんだ経済システムの存在を象徴する事件でありました。私は、速やかに証券・金融制度の抜本的な改革を図るよう主張するとともに、証券・金融全般在対象とし、大蔵省から独立した行政委員会として、仮称「証券・金融委員会」の創設を提案するものであります。総理の見解をお伺いいたします。 第二に、近年の著しい地価の上昇によって拡大している、いわゆる持てる者と持たざる者の間の資産格差をどう是正しようとしているかという問題であります。 資産格差は、ほとんどが本人の努力の結果によるものでないため、人生における努力や勤労意欲等にも悪影響を及ぼしかねません。総理の言う社会全体の公正を実現する上で見過ごしできない問題でありますが、資産格差の是正にどのように対処されるのか、お伺いをいたします。 特に、このためには地価対策が重要であります。地価が鎮静化の兆しを見せていることから、大蔵省は、年内に不動産融資に対する総量規制を撤廃するとの方針のようでありますが、私は、効果ある政策は持続すべきであり、バブル経済の原因となった土地問題については厳しく対処すべきだと考えます。また、本来地価対策は土地利用計画、税制、金融が一体になって行われるべきであります。それぞれについて総理のお考えを承りたい。 第三に、総理は、社会資本倍増計画を提案をしておられますが、これをどのように推進するつもりなのかという点であります。 公共投資十カ年計画における四百三十兆円の公共事業については、従来のような予算の配分方法では到底「生活大国」の実現は不可能であります。四百三十兆円の規模を考えると、従来の各省庁の要求は要求とし、その上で、生活・文化関連社会資本の整備のために、政治がリーダーシップをどう発揮していくのか、これが国民が期待しているものであります。この巨大な公共事業投資計画の性格をどう方向づけるのか、国民の前に明らかにすべきであります。総理の見解を伺います。 第四は、国際的な公正の実現という角度から、懸念される我が国の貿易黒字の拡大についてであります。 この問題の処理を誤り、大幅な対外不均衡が続くならば、世界から厳しい批判にさらされるのは必至であります。総理は、米国や対EC並びにアジア諸国間の貿易不均衡にどのように対処されるつもりなのか、お伺いをいたします。また、新たな自由貿易の方向を決定するウルグアイ・ラウンド交渉の中で、我が国の果たすべき役割は極めて大きいと考えます。中でも、今月中にも提示されると言われるドンケル事務局長の包括文書に対し我が国がどう対処するかは、交渉の行方を大きく左右することになると思われます。 農産物に対する関税化の流れが強まっておりますが、公明党は、関税化という最悪の事態を回避し、日本農業を守るために米の部分自由化を提唱してまいりました。これを裏づけるように、十月二十九日、ドンケル事務局長は、日本は、ミニマムアクセスについて、もう少し早い段階で関心を持ってほしかったと語ったと報道されています。しかし、政府・自民党及び他の野党は、一粒たりとも輸入させずの姿勢をとり続け、米問題に関する我が国の立場を窮地に追いやっているのではないかと危倶するものであります。(拍手)ドンケル原案が提示されていない現段階では十分な議論はできませんが、総理の見通しはどうか、伺っておきたいのであります。 第五に、高齢化社会の対応についてであります。 安心した老後を送ることができないような社会は、豊かな社会と言うことはできません。二十一世紀の超高齢化社会に向けて、政府は老人福祉法の改正など一連の法改正とともに、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、寝たきり老人ゼロ作戦など、さまざまな対策を講じてきております。しかし、総合的戦略が国民を納得させるものとはまだなっておりません。暮らせる年金は保障されるのか、高齢化に対応する医療は万全か、介護も保障されるのか等々、不安が高まっております。こうした不安にどう答えられるのか、明らかにされたいのであります。 とりわけ国民に対する医療、保健、福祉サービスの担い手であるマンパワーは、その果たす役割が乱すます重要なものとなるにもかかわらず、人手不足はますます深刻化しつつあります。これらの人材確保を図ることなくして「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、すなわち、厚生省埜言うところのゴールドプランの実現は到底不可能であります。 我が党は、看護職員、福祉従事者など今後必要なマンパワーを確保するため、その待遇及び労働条件の改善並びに福利厚生の充実等を図ることを内容とする医療、保健、福祉にかかわる人材確保法を早期に制定することの必要性を提唱しておりますが、この提唱に対する総理の見解を求めるものであります。 戦後最長となった今回の犬型景気にも陰りが顕著になってまいりました。今回の大型景気の牽引力となった設備投資、個人消費にも落ち込みが目立ってきております。景気対策としては、当面、金融政策に頼らざるを得ないと思いますが、問題は、バブル経済再燃への配慮であります。バブル経済の背景は、超低金利政策と膨大な貿易黒字にあったことは周知の事実であります。しかも、その空前の超低金利を長期にわたって継続させる契機をつくられたのは、ほかならぬ当時の蔵相であった宮澤総理、あなたであります。総理は、景気の先行きをどのように判断し、景気対策をどのように考えているのか、超低金利政策を推進した当事者としての反省も含め、お示しいただきたいと存じます。景気の後退に伴い、歳入不足問題がクローズアップされております。総理は、今年度は二兆円規模との見通しを明らかにされておりますが、さらに来年度においては数兆円という規模の歳入不足が伝えられ、既に増税や赤字国債の発行さえ懸念され始めているのであります。この歳入不足問題にいかに対応するのか、方針を示していただきたいと思います。 また、これらと関連して、総理は過日、増税は行わない旨を表明されましたが、消費税については、宮澤内閣においても税率の引き上げは行わないことを約束できるのかどうか、明確な答弁を求めたいと存じます。 最後に、災害対策についてお尋ねいたします。 八月下旬から相次いで襲った台風十七、十八、十九号に加え、秋雨前線による長雨と日照り不足等が重なり、堤防の決壊、家屋の倒壊や浸水、農林水産被害など記録的な被害が発生しております。特に、台風によるリンゴ、ミカンなど農林水産被害は七千億を上回るとさえ言われております。私は、被災関係者に心からお見舞い申し上げますとともに、これら多大な被害をこうむった方々が安心して新しい年を迎えられますよう、万全な対策を講じなければならないと思います。 そのためには、天災融資法の早期発動や農業共済金の年内支払い等はもとより、激甚災害法の早期適用と災害援護資金の適用基準の緩和、被災農家のための救農土木事業の実施、果樹園、森林の復旧作業への助成、被災市町村に対する特別交付税の増額等については、従来までの枠組みにとらわれない思い切った救済措置をとるべきであります。一方、災害の影響で懸念される野菜の高騰についても、年末に向け一層の安定対策が必要となっています。 また、今なお雲仙・普賢岳の噴火活動が続いておるわけでございますが、自然災害により長期にわたってやむなく収入を断たれる家族の救済策として、都道府県単位で加入できる個人補償を対象とした災害共済制度の創設を含め、立法措置を積極的に検討すべきだと思います。 これら一連の災害救助対策に対する総理のお考えを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 石田委員長にお答えを申し上げます。 冒頭に、我が国はノーブレス国家でなければならないと思うがどうかというお尋ねがございました。 まさに、外から見られております我が国は、そのようなものとして期待されておると思います。また、それは無理からぬことでございますから、私どもとしてはそのような意識を持っていかなければならない、御指摘のとおりだと私は思います。 考えてみますと、戦後直後にいわゆるガリオア・エロア等々の援助を受けて、我が国はしばらくの間援助を受けた国でございましたけれども、一九六〇年代の中ごろから、賠償との関連もありまして、日本からの経済援助の問題が出てまいります。そして、やがて被援助国から援助国に転換をいたしましたが、その間、我が国が軍事的な貢献ができないということもございまして、援助国になることについては、比較的国民のコンセンサスができ上がりやすかったというふうに思っておりますけれども、現在ではもうODAにつきましては世界第一、年によりまして第二になることもございますが、援助大国でございます。また、JICAの人的貢献も非常に大きゅうございます。 このことは、昨年の湾岸戦争で非常に深く国民の意識に上りまして、やはり増税をいたしまして百三十億ドルの貢献をする、また人的にも御審議をいただいておりますPKOの考え方あるいは掃海艇の派遣等々がございました。また、これから後も、例えばカンボジアにおける平和維持、新しい国の建設について我が国にいろいろな期待が審せられておりますし、対ソ支援についてもそうでございます。 世界の情勢を見ますと、我が国が一番そういうことのできる力のある国だというふうに頼りにされるような現状になってまいりました。したがって、またそのような経済運営もいたさなければならないと存じますが、意識の問題としてノーブレス国家というふうに考えると言われますことは、私はまことに時宜を得た御指摘であるというふうに思っております。そのような我が国に対する期待が、おっしゃいますように金だけではいけないではないかということで、御指摘のようにPKOというような発想になりましたことも、そのとおりでございます。 そして、そのような新しい世界の変化の中で国連というものが出てきて、あるべき国連像をどう思うかというお尋ねがございました。 国連は、ああいういきさつのもとに国際機関として創設されましたけれども、創設以来、米ソの対立等々、戦後の東西対立がございまして、なかなかそのような理想的なものに育たなかった。そういう時間がかなり長くたっておりまして、この湾岸危機等々で初めていわゆる冷戦終えん後に国連の役割というものが非常に大事になってきたというふうに申し上げるべきであろうと思います。 我が国としては、長いこと国連中心の外交をやってまいりましたし、また、最近でも通常兵器の移転の国連への報告制度の創設等を提案いたしてまいりました。国連を中心に我が国の外交政策を進めるべきことは所信表明でも申し上げました。 ただ、国連そのものがそのように急にいわば大きな役割を担うに至ったということから申しますと、忌憚なく申して、まだまだ加盟国全部の公平な代弁者であるというふうに定着した位置を必ずしも確立したとは言いがたい。湾岸戦争の場合には幸いにしてそうでございましたが、大国支配になるようなことがございますと、国連への信頼というものは揺らぐわけでございますので、そういう意味で、例えば安保理事会制度等々を考えましてもなかなか問題が多うございまして、真にみんなの国連になるというための努力を我が国もいたさなければならない、これは事実問題としてそのように考えておるところでございます。 そこで、そのような状況の中で、我が国の防衛の問題についてお尋ねがございました。 国際情勢は、東西冷戦が終えんをいたしまして、世界の平和と安定への流れが強くなっております。ただ、現実の問題といたしまして、それがまだまだ、定着して大丈夫だとも言いにくいというようなことでございますから、かねて持っておりますところの防衛計画の大綱に従いまして、基盤的防衛力構想ということで我々の防衛計画を着実に進めてまいっておるところでございます。効率的で節度ある防衛力の整備に努めていくことが大切でございます。現実に国際関係安定化の流れがより進みつつあることは、ただし、常に意に置いておかなければならないというふうに考えておるところでございます。 なお、中期防の見直しは、現時点で直ちにそれを必要とするかどうかということには問題があろうと存じます。いずれにいたしましても、昭和六十二年に決定をいたしました節度ある防衛力の整備を行ってまいりたいというふうに考えております。 それから、PKO法案につきましてお話がございまして、国連の平和維持活動や人道的な国際救援活動に参加することが我が国のいわば国連中心主義の考え方でございます。また、カンボジアにおきまして国連の平和維持活動が行われます際に、我が国としても何かの形でこれに貢献することが期待をされておる現状から考えまして、そのためにも、この法律案をできるだけ早く成立させていただくことが肝要だというふうに考えておるところでございます。 御指摘のように、いわゆる五原則というものがPKO法案の中に法文化されたのでございますので、いわゆるシビリアンコントロールというものにつきましては、御懸念のないような法案の整備ができたと考えております。現実の事態が起こりましたときに我が国の協力を効果的に、迅速にいたしますためには、やはり国連事務総長の要請に機動的に対応することが必要でございます等々、いろいろな事情から考えまして、殊に、政府が実施計画を決めましたときには、遅滞なく国会に御報告をしなければならないことになっております。その際、国会の御批判を受けて改めるような機会も十分にございますので、そういう意味でもシビリアンコントロールというものは十分にここに配意されておると考えておりますので、政府の考え方が、御提案いたしました法案が最善のものと私どもとしては考えておるところでございます。 それから、我が国が、過去における我が国の行動について反省の意を表すべきではないかというお尋ねにつきましては、我が国が過去において、我が国の行為がアジア・太平洋を初めとする関係地域の人々に多大な苦痛と損害を与えてきたことを深く国民は自覚しておりますし、また、このような不幸な歴史を繰り返さないということについては、国民の間にコンセンサスがございます。今必要なことは、先ほど申し上げましたような国際平和への貢献を一層強化することによって、我が国に対する国際社会の尊敬と信頼を得ることが大切であるというふうに考えております。 国会の御決議のことにつきましては、私がお答えを申し上げますことはもとより差し出がましいことでございますが、私としてはそのような考えを持っております。 次に、日米関係についてお尋ねがございまして、この点は、やはり日米の関係で最も大切なことは、両国が基本的な価値観を同じくしていることだというふうに考えております。その上に立ちまして、安保体制であるとかあるいは人、物、資本の行き来であるとか、いろいろな交流が行われておるわけでありまして、この基本的な価値観を共有していることが一番両国の関係を強固にしておるゆえんであると考えております。 そして、今、合わせますと世界のGNPの四〇%を両国で持っておりますので、二国間関係が良好であることはもちろんとして、世界の平和と安定に向けまして相ともに、いわば国際的な責任を果たさなければならない関係にあると存じております。申すまでもなく、日米関係は我が国外交の基本的な枠組みでございます。 対ソ支援についてどう思うかということでございました。 ソ連が新しい平和秩序の構築に向けて、政治、経済、外交にわたって抜本的改革を推進することを強く期待をいたしておりますし、また、我が国はそのために適切な支援を進めていく考えでございます。去る十月に、人道的支援あるいは貿易経済活動円滑化のため、技術的支援等々、総額二十五億ドルの枠組みを設定いたしましたのも、そのような考え方に基づくものでございます。 北方四島に関しましてお尋ねがございました。 このような、今世界の新しい平和の構築に当たって、日ソ間に平和条約がないということは、まことに不自然なことでございます。本年の四月にはゴルバチョフ大統領が来日をされまして、北方領土問題について日ソ共同声明が行われました。また、八月革命以降は、ロシア共和国及び連邦おのおのの指導部から、法と正義に基づく領土問題の早期解決についての意向が示されております。したがいまして、政府といたしまして、このような認識に立って、一日も早く北方四島の返還を実現すべく全力を傾注してまいる考えでございます。 リクルート問題について御指摘がございました。 私としては、先般も申し上げましたとおり、深く自分の責任を感じております。一生このような過ちを繰り返さないように戒心をいたしておるところでございます。私の同僚諸君におかれましても同様な心境にあられると考えておりまして、過般の衆議院総選挙において信任を得てこられたこれらの方々が、おのおの識見と能力を発揮される働きをされることは大切なことであるというふうに私としては考えておるところでございます。 もとより、政治改革はそのような反省を具体化しなければならないものでありまして、個人の倫理はそれとして、それを制度の上で実現することによってのみおまえの戒心という実がわかる、こういう御指摘は、私はそのとおりまことにいたく承っております。制度面においても金のかからない政治活動、政策を中心とした選挙ができるような仕組みをつくらなければならないと思っております。 国会議員の資産公開あるいは政治倫理関係等々は、議会制度協議会において各党間で御検討でございます。結論をなるべく早く出していただくことを期待を申し上げております。また、政治資金が政治活動を賄うものであります以上、そのあり方は選挙や政治のあり方と密接な関連を持っておりますので、選挙制度の改革と政治資金制度の改革を一体として実現するために、さきの国会に三法案を御審議を願うために提出をいたしたところでございます。廃案とはなりましたが、今後の政治改革協議会における御協議によって、このような考え方を参考としていただきまして、実りある合意がもたらされることを期待を申し上げておるところでございます。 おおむね一年をめどにと申し上げましたのは、投票価値の格差是正についての強い要請がございます。これは緊急な課題であると考えられますので、そのような環境にも照らして、速やかな合意づくりをお願いいたしたいというのが私の念願とするところでございます。 それから、そのような社会の公正化との関係で、証券・金融の問題について御指摘がございました。 私は、やはり御指摘がありましたように、地価でありますとか株でありますとかいうバブルの問題ということにつきまして、長い間の習慣から、行政が一般消費者あるいは一般投資家本位のものになり切っていないというところに、御指摘のように問題があると存じます。そのことを基本的に反省をしなければならないと考えておるところでございます。政府として、さきの行革審答申及び国会決議を最大限に尊重いたしまして、金融市場の透明性、公正性の向上、信頼回復に向けて全力を挙げて取り組む所存でございます。 またへ行政委員会につきましては、先刻、行革審の答申をいただいておりまして、また、国会等においてもいろいろな御議論がなされておりますのできます限りこの答申、御議論を最大限に尊重をいたしまして、制度を改めてまいりたいと考えておるところでございます。 資産格差について御言及がございました。 一般に資産格差というものが増大をしておる。その結果、これは個人の選択、努力が及ばないところでございますので、国民の不公平感につながりかねないということは、私も先般所信で申し上げたところでございます。平成二年の秋口から地価はやや鎮静の傾向にございます。その限りで多少ずつは事態はよくなっておるように存じますけれども、政府としては、引き続き総合土地政策推進要綱に沿いまして、各般の施策を緩めずに推進してまいります。 その点に関しまして、いわゆる総量規制につきましても、再び地価の高騰を招くようなことが万々一もございませんように、よく配慮しつつ考慮をいたしたいと思っております。 いわゆる公共投資基本計画につきまして、平成三年度以降十年間の四百三十兆円が計画されておるところでございますが、平成三年度予算におきましても、殊に生活関連重点化枠などを通じまして、国民の日常生活の向上に直接結びつくように具体的な配分を行いました。ただ、この問題は、御指摘のように、実はおのおのの投資の対象の間のシェアというものが、時代の要請に従いまして当然機動的に動かなければならないのでございますけれども、なかなかそれが思うように十分に動いていないというところに御指摘のように一つの問題がございまして、これは行政内部の問題でもございます。何とかいわば世の中の真のニーズに従いました投資の配分が行われますように努力をいたしたいと考えております。 それから貿易不均衡につきましてお話がございました。 本年に入りまして経常収支の黒字幅が大分大きくなってまいっております。これは幾つか理由がございますけれども、昨年、絵画でありますとか外国の自動車でありますとか、いわば高級品の輸入が資産効果で非常に増加いたしましたものが減少してきた、あるいは円高でドルベースのいわゆるJカーブがあらわれた、あるいは統一後のドイツの需要が大きい、また、石油価格が昨年湾岸危機のときに上がりましたが、ことしはそういう問題がない等々いろいろな問題がございます。ございますが、いずれにいたしましても、対外不均衡が大きくなるということは実は問題でございまして、経済政策全体を含めまして十分に注意をしてまいらなければならないところであると存じます。また、輸入の拡大にもさらに努力を続ける所存でございます。 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、先般申し上げたとおりでございますが、我が国としては、他の主要国とともにこの交渉が年内に成功裏に終結するように努力をする決意でございます。先ほど、最終段階になったが見通しはどう考えるかということでございました。実は、昨日と申しますか一昨日と申しますか、米国首脳とEC首脳との間でアメリカ・EC間の交渉が行われたわけでございますけれども、十分に進展がありましたのかどうか必ずしも定かではございません。したがいまして、ECとアメリカ間が今後どのような進展の度合いを示しますかということに多くがかかっております。また、それによりまして我が国の対応にも影響があると思いますけれども、最後のところで十分見通しがつけられない状況におりますことを、そのとおり率直に申し上げておきます。 高齢化社会におきまして、二十一世紀には国民の四人に一人が六十五歳を超えるという状況の中で、すべての国民が健康で安心して生涯を過ごせるような長寿・福祉社会を築かなければなりません。御指摘のように、年金、医療保険についての制度の充実、また高齢者の保健、福祉の分野における「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の推進等々、高齢者のための総合的な施策の展開に努めてまいります。 医療、保健、福祉のマンパワーの確保につきましても同様でございまして、適切な保健医療・福祉サービスが提供できますように、必要なマンパワーの確保を図っていくことが当然ながら重要な課題でございます。看護職員、社会福祉施設職員及びホームヘルパー等々を中心に、社会的評価の向上等を総合的に推進すべく取り組んでまいりたいと思います。 なお、具体的な対策を講じていきますには、各方面の御意見を十分に参考にさせていただぎたく考えております。 景気の先行きにつきまして、確かに経済拡大のテンポが緩やかに減速しつつございます。その点は十分政策運営について留意する必要がございまして、内外の経済動向を注視しながら、内需を中心とした持続的な成長に努めてまいらなければならないと思います。景気動向の認識につきましては、金融当局も私どもとそんな異なった認識を持っておるとは思えません。現に長短金利の低目誘導等に非常な努力をしてまいっておりますので、今後の問題につきまして、なお金融当局の判断にしばらくゆだねてよろしいのではないかと考えております。 御指摘のように財政につきましては、歳入の動向が憂慮されるところでございます。従来増収かもたらしてまいりました経済的諸要因が流れを変えてきておりますので、また現時点における収納状況も低調でございます。したがいまして、来年度予算編成はかなりの困難が予想されますが、公債依存、いわゆる赤字公債の発行というようなことがあってはならないことでございます。歳出の節減合理化から取り組まなければならないと思っております。消費税につきましては、先般、両院合同協議会の合意で新しい改正が行われ始めたところでございますので、この定着が大事なことであると存じております。三%の税率を変えるというようなことは、今私の念頭にはございません。経済社会の条件のもとで国民がこれは選択をすることでございますので、国民の御理解がないのに安易に税率の変更を行うということは考えられないことでございます。 最後に、台風十九号等の災害の問題でございますが、被災者の救済、援護に万全を期するとともに、早急に復旧を進める必要があると考えております。殊に農作物等に大きな被害が生じております。天災融資法の早期発動、激甚災害の早期指定について精力的に手続を進めておるところでございます。 なお、それに関連いたしまして、いわゆる個人災害につきまして御指摘がございました。 個人が災害を受けました場合、従来から自力救済を原則としておりますことから、国、地方公共団体による救済措置は、自助的努力を支援するということになっておるわけでございます。しかし一方、災害は極めて多種多様でございますし、地域によって発生の確率が異なりますので、一般の共済型の制度になかなかなじまない点がございます。 今後、現行制度による救済の現状と課題、地方公共団体の意向等を踏まえまして、おっしゃいますように共済制度の必要性あるいは実現可能性をも含めまして研究を行う必要がある課題であると存じております。 自余の御質問につきましては、関係大臣が御答弁をいたします。(拍手) 〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) 石田議員から対ソ支援、北方四島についての基本的な考え方の質問がございました。 結論から先に申し上げますと、総理大臣の答弁で尽きておりますということでございます。 しかし、それでは不親切だというお話がありましょうからちょっとつけ加えさせていただきますが、御承知のように、四十数年間日ソ間に平和条約がないということは、まことに不自然、異常なことだと思います。全く近くて遠い国であります。それではいけないということで、問題は、向こうはもう、領土問題は長い間解決済み、こちらは領土問題を解決しなければ、それは平和条約は結べない、あるいは経済協力もできないという、長い間やってきたわけでございますが、幸いなるかな、四月にゴルバチョフ大統領が訪日されて、それで北方四島については少なくとも平和条約で解決すべき問題だというように多少変化が出てきた。それから八月には革命が行われて、そこで、ソ連の中ですよ、失敗はいたしましたが、その後、法と正義に基づいて北方四島の問題の解決に合意をすると両指導部が言っているわけですから、変化が出てきているということであります。したがいまして、日本政府としても、一億ドルしか食糧の援助をやらぬと言っておったものが、つい最近、新聞で見られるように、二十五億ドルを供与しようというように変わって、少し変化がお互いに出ておるわけであります。 そういうことで、我々としては、政府は二十五億ドルをいろいろまぜて供与しましょうというように変わりつつあるわけですから、したがって、今後ともお互いに対立のしっ放しというのでなくて、それは魚心あれば水心ということで、日ソの親善を、幅を詰めていく、そういうように努力をいたしてまいります。 以上であります。(拍手) ――――◇―――――
○木村義雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十二日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(村山喜一君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十一分散会 ――――◇―――――