予算委員会 第3号
- 発言数
- 297 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1991/08/27
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に、日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(中村太郎君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。 昨日に引き続き、質疑を行います。寺崎昭久君。
○寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、総理並びに各関係大臣に御質問をいたします。 まず、雲仙・普賢岳噴火災害に際し、とうとい人命を亡くされた方々には心より哀悼の意をささげるとともに、今なお困難な生活を余儀なくされている方々に衷心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。また、この災害救援のために日夜を分かたず御努力されている関係者の皆様方には心より感謝と敬意の念をささげる次第でございます。 なお、噴火災害対策につきましては、政府はこれまでも早期に国会を開いて十分なる対策をしたいという趣旨の見解を述べてこられましたので、私は、以下三点について御要望を申し上げ、速やかなる、そして誠実なる実施をお願いするものでございます。 その第一でございますが、被災し今なお困難な生活を余儀なくされているそういう人々が失った商品、家畜、機械等、そうした財産及び所得基盤、これに対して一定の補償を行うための新たなる制度を創設していただきたいこと、これが第一点です。 第二点は、農業者が今後円滑に農地を取得し再び農業を営むことができるように、無利子融資制度を創設してもらいたいということでございます。 第三点は、政府は既に地方自治体が災害復興基金を創設する場合には財政援助を行うということを発表されておりますが、これについては、前例にとらわれずできるだけ中身の濃い、そして早期に実施をしていただきたいということでございます。 国土庁長官並びに関係大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(西田司君) 御指摘がございましたように、今回の雲仙岳噴火災害につきましては、その重大性と、それから大変長期間にわたっておりますので、政府がとります諸対策につきましても慎重かつ積極的に取り組んでおる次第でございます。 お尋ねの趣旨でございますが、従来自然災害というものに基づいて個人が被害を受けられたという場合におきましては、そもそも被害が私有財産にかかわるものであるとするならば、それは自己の努力によって復旧、復活をしていくということが大前提になっておるわけでございます。例えば、被害は個人みずからが共済制度、保険その他の方法により自主的に回復をしていくということを原則といたしておるわけであります。災害対策基本法に基づきますところの避難勧告あるいは警戒区域の設定、こういうものにつきましては、まず第一に住民の生命、身体を守っていく、こういうことが前提になっておるものでございますから、そのことによって個人補償をしていくということは極めて困難な状態にあると理解をいたしております。 いろいろな施策をやってまいりましたが、先ほども申し上げましたように、長期にわたるものでございますから、八月二日までに農業共済金あるいは建物共済金、災害援助金等が合計で十三億既に支払われておるところでございます。このことを確認いたしております。 また、避難が長期化しているという今回の災害にかかわる特別な事情にかんがみまして、政府におきましては、これまでの救済対策に加え、去る八月二十三日に雲仙岳噴火災害にかかわる特別措置の取りまとめを決定したところでございます。 その内容でございますけれども、一つは、二カ月以上避難生活が継続し収入が途絶えている世帯に食事の供与、またはその実施に当たって個別の世帯の事情により長崎県が必要と認めてこれにかわる金銭の給付を県が行う場合には国も補助を申し上げる、こういうことでございます。二番目は、警戒区域等に住居を有する者に県が生活安定再建資金等を貸し付ける場合には五カ年間に限り無利子制度で貸す、こういうことを実施される場合は国において応分の助成をしていく、こういうことを追加として取り決めたような次第でございます。 御理解をいただきたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 雲仙岳の災害につきましては、警戒区域解除前のことはそれぞれ御答弁申し上げたように最大限できるだけのことをしてまいりましたけれども、いよいよ解除されてからの農地の復旧、そしてまた、そこへいく営農につきましてのお尋ねが今ございましたが、御案内のように、実は長崎県において最も優良農地とされておる地帯でございまして、農家所得においても一千万、二千万の所得のあった地域であるだけに大変落差が大きい現象でなかろうか、こう思っておるわけであります。 それだけの優良農地であるだけに、ぜひまた現地で復旧をしていただきたいという希望が私どもにも強いわけでありますので、現地を視察させていただいたときにも、農家にその旨お話をして激励してきたところであります。しかし、やむを得ず現地復旧不可能であったり、防災体制のために農地がつぶれてしまうというようなところも起きる可能性がある、こう判断をいたしまして、隣接地に国有林などで開墾のできるところがあったらぜひまた調査してお話をお聞かせいただきたいということも、県並びに市町に申し上げてきたところであります。 新しくやむを得ず農地を開墾する場合には、農地等の取得資金ということで手当てをしてもらわざるを得ないのですけれども、国有林等々について新しく開墾予定地ができたらまた相談をさせていただくという考えは持っておりますけれども、ただ、被災地をまた新しい農地にやむを得ず開墾しなきゃならないときには、激甚災等の制度の中で極めて軽微な負担において開墾等の事業ができるということになっておるわけでございまして、私どもは、一には極めて優良農地で現地復旧、やむを得ぬ場合にはまた相談に乗って対応していきたい、そう考えておるところでございます。
○国務大臣(吹田愰君) 寺崎先生にお答えいたしますが、先ほど国土庁長官から御丁寧な答弁をされましたのですけれども、特に基金の問題につきまして私の方の担当として申し上げるわけであります。 先日来からこのことにつきましては私もお答えをいたしておるわけですけれども、自治体においての自主性というものをここでしっかりと踏まえた基金対策というものをやることの方が名目の問題より実質的に実をとる方が必要ではないかということからいたしますと、その場その場においての判断として知事や市町村長が十分臨機応変な措置がとれるような対応をしていく、そういう基金がむしろ住民の望んでいるところではないかという判断からいたしまして、私の方としましては長崎県知事とも協議いたしましたが、政府の一つの対応の策として我々の方から十分な起債を長崎県に対して出す。大体基金三百億の規模であります。それによりまして、五カ年間ということになりますと、その果実だけでも少なくとも九十億程度のものは考えられますから、それは基金を担保にすれば直ちにその九十億は前借りできるわけですから、これをもって対応していく。この金利については、すべて交付税その他によって自治省で長崎県やその他の関係の地方公共団体に御迷惑のかからないようにするという方向を考えておるわけであります。 また、そういうふうに特に総理からも御指示がありまして指示をいたしておるわけでありますから、御心配の向きは私は少なくともこれで大部分のものはカバーして解消できる、こういうふうに思っておる次第であります。
○寺崎昭久君 ほかにも要望したい事項はいろいろございますが、その問題につきましては別の機会に譲らせていただきまして、災害の特殊性にかんがみ、特段の対応を重ねて期待しつつ次の質問に移らせていただきます。 総理に質問いたします。 対ソ外交についての質問でありますが、ソ連共産党が解体する、そしてソ連が民主化あるいは市場経済の方向に向かいつつあるということは歓迎すべき出来事であると存じます。また、情勢というのはいまだ混沌としており、流動的でありますから、この段階で日本の対ソ外交あるいは経済支援の詳細まで求めるのは難しいかと思いますが、さりとて手をこまねいているわけにもまいりませんので、現段階における対ソ外交あるいは対ソ支援について、とりわけ北方四島返還絡み、平和条約絡みで総理の見解を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 対ソ外交の基本につきましては、ソ連がずっと進めてきておる一連のペレストロイカとか、あるいは新思考外交という改革がクーデタ「の挫折、失敗、そして昨日のゴルバチョフ大統領の反省を込めてのより一層強力に推進させるというあの演説を聞いても、基本としてはきょうまで同様にソ連の自由と民主主義と市場経済への普遍的な価値を共有する国として、我々と国際社会の中で協調できるようなその改革に支援すべきであるという基本は、これは変わらないと思います。 それから、おっしゃるように今刻々情勢も変わりつつありますし、特に気をつけなきゃならぬのは連邦と共和国との権限関係であり、その連邦条約の問題についても今動きつつあるさなかでありますから、斉藤外務審議官をモスクワに派遣いたしまして、しかとその状況を調査し、確かめてくるように今指示もいたしております。 具体お触れになった北方領土の問題につきましては、これは四月の日ソ首脳会談で共同声明を発出して基本方針は確認してありますが、七月のロンドン・サミットのときにも別にゴルバチョフ大統領と首脳会談を持って、それ以後の情勢、例えば軍民転換の調査団を出す話とかあるいはいろいろ技術研修生を受け入れるとか、十五の協定についての日本側の対応や進捗状況、そういったものを伝えるとともに、ゴルバチョフ大統領にもそのときの声明に従った、とにかく平和条約を絡んでいない二国間関係というものは正常ではないわけですから、領土問題を解決して平和条約を締結するという方向に向かってさらに一義的にこれを進めていこうということは確認をいたしてありますから、領土問題については共和国と連邦政府の権限の問題等不透明な部分はあるにしても、いずれにしてもこれには適切な対応をしながら所期の目的を達成するために、拡大均衡の中で精力的に続けていかなければならない問題である、このように基本的に受けとめております。
○寺崎昭久君 ベルリンの壁が崩壊して約二年になるわけでございます。この段階で私は共産主義イデオロギーは崩壊した、否定されたと思いますが、しかしながら、このことは必ずしも現状の市場経済に問題がないということを意味していないと思います。 我が国の場合、それをサラリーマンとか勤労者の側から見ますと、経済大国と言われてもその実感がないということになるのだと思います。そういうギャップが広がったのは、とりわけプラザ合意以降であろうと思います。円高不況と言われる中で、経営者の中には日本的労使慣行を弊履のごとく捨て去ろうとした人もおりますし、その後の地価高騰だとか、あるいは内外価格差が明らかになるにつれてマイホームの夢も遠ざかったと思います。そして今度の金融・証券事件の発生でございます。 そういう過程で、サラリーマン、勤労者が市場経済に疑念を抱く、疑問を持つ、あるいは企業観、労働観が変わるということがあっても私は何ら不思議はないと思います。そういう意味で、市場経済もまた危機にさらされていると考えてもいいのではないかと思います。私は変化を恐れるものではありませんけれども、そういう市場経済の崩壊こそ恐れるものでございます。そうならないために必要なことは、市場経済に新しいコンセプトを確立すること。意義を与えて、それによって信頼回復を図ることが大事だろうと思います。 そういう観点から、総理に、経済の目的は何か、あるいは日本経済の課題は何なのか、政府の役割は何なのか、そういったことについて大所高所から御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおり、共産主義の経済政策や社会がこれで変わっていく、また、ベルリンの壁の崩壊に象徴されるように、冷戦構造の発想も乗り越えられつつある。市場経済、自由と民主主義というものが普遍的な価値になりつつあるときに、市場経済の側でもみずから率直に反省すべきは反省し、正すべきは正さなければならないという御指摘は私もそのとおりだと思います。 ただ、きょうまで努力してまいりました市場経済の枠組みの中で経済をやっていく目標というのは、国民生活を豊かにし、そして安定的に向上させていくという一点に尽きると思います。そして、そのことについてはこの数年来いわゆる前川レポート言われるものによって日本は内需を拡大し、内需を振興することによって諸外国との貿易不均衡の問題を是正したり、あるいは真に豊かさが実感してもらえるような政策をやっていこうという方向性を立てて進んできておることは御承知のとおりと思います。 よく内外価格差の問題も出てきまして、豊か豊かと言われても内外価格差があるではないか。政府もこれに対しては真剣に対策に取り組みまして、例えば昭和六十三年にこの問題に取り組みましたとき、東京を一〇〇といたしますとニューヨークでは生活費水準が七二、ハンブルクでは六八という差があったわけでありますけれども、最近の調査ではそれがさまざまの努力で接近いたしまして、一〇〇に対してニューヨークでは八二と一〇ポイント幅は狭まってきましたし、ハンブルクにおいても七九、これは一一ポイントほど接近をしてきておるという。こういう例等もございます。 もちろん、為替の変動によってそこには複雑な問題が出てくるでしょうけれども、こうや一つて内外価格差の是正をするとともに、国民生活に豊かさが実感できるような内政をしていかなければならない、またそれに役立つような市場経済でなければならない、そのためにはやはり公正さを実感できるような政策努力を政府は今後とも続けていかなければならないということでございます。
○寺崎昭久君 ただいま総理の所見の中にもございましたけれども、市場経済の中心になっているのは言うまでもなく企業でございます。したがって、企業がどういう行動をとるかということが国民生活あるいは社会に大きな影響を及ぼすことは言うまでもないと思います。 そこでお伺いしたいわけでありますが、市場経済の担い手としてあるいは社会的存在として、総理は企業にどのような役割を果たすことを期待されるのか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 企業の存在というものは、それは国民生活の側から見ますと、そこに社会的責任を自覚して大いに活躍してほしいという一語に尽きると思います。企業があればこそそこに雇用も生まれ、また生活も豊かになり、物の生産もあり、いろいろ国民生活に対して大変なメリットを与えておってくれることは、これは間違いありませんけれども、ただ企業が自己中心主義になられて、自分の企業さえ利益があればいい、簡単に言うともうかればいいというもうけ主義だけの観点から企業活動をされるといろいろな不協和音が社会に出るわけですから、社会的責任というものを厳しく自覚しながら努力し、頑張ってほしいと思います。
○寺崎昭久君 八月二十三日の本委員会で大蔵大臣から、プラザ合意以降の金融財政運営に関して基本路線に誤りがなかったという御発言がございました。きょうの月例経済報告閣僚会議でイザナギ景気と並ぶ大型景気が報告されるようでございますので、景気とか企業業績という面から見ればおっしゃるとおりだと思いますけれども、この間にそれでは社会資本が充実したのか、どれだけ国民生活が豊かになったのかということを考えてみますと、問題がないわけではありません。金余りと言われる中で、それを吸収すべき政策が不在だったということ、そのためにバブル現象が起こったということ、土地の高騰を招いたということ、このことは大変重大な問題だと思うんです。 政策不在あるいはバブル現象をもたらしたことについて、大蔵大臣はどのように認識されているのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、昭和六十一年以降の金融緩和局面におきまして、景気拡大などを背景にして株価が大幅に上昇して株式市場が活況を呈したということも事実でありますし、こうしたブームの中における証券会社の業務の拡大等が一方に営業姿勢において行き過ぎがあったということも事実であります。そして、今日脚批判を仰いております問題の背景にはこうしたものが確かにありました。 そして、私はこの際、自己責任原則とかそういうことを申し上げるつもりはありません。当時の内需中心の自律的な経済拡大を図らなければならないという、これは世界的に与えられた一つの日本の役割の中で金融緩和を行ったこと自体が私は全く誤りだったとは思っておりませんし、それがそれなりの役割を果たしたことは委員もお認めをいただけると思います。 ただ、我々はその副作用というものをもっと厳しく認識しておくべきであった。今一つ例に挙げられました土地というものにつきましても、むしろ税制とか金融とかという面ばかりではなく、本来あるべき国土利用計画なり都市計画なりというものがもっと早くに動き得る素地をつくるべきであった、こうした御指摘は我々は甘受しなければならないと思います。そうした中における行政の責任を私は回避するつもりはございません。 ただ同時に、やはりその中において、企業がと先ほどから何回かお述べになりましたけれども、その企業という言葉にあらわされる集団の中で私は自己本位な行動がなかったとも、これは言えないと思います。 こうしたことを考えてまいりますと、いわば性善説といっては語弊があるかもしれませんけれども、例えば証券市場について保護育成という姿勢をとってまいった、それが長く続き過ぎた。そしてより透明性、競争の拡大というものを通じながら、むしろ監視、検査という面に我々は視点を移していくべき時期をもう少し早く考えるべきであったのではないかと今真剣に反省をいたしております。
○寺崎昭久君 私は、やがて戦後五十年近くになるわけでありますけれども、今こそ戦後の経済体制、体質というものを見直して、生産第一主義だとか利益第一主義、それを卒業して生活者、消費者の利益を第一にする政策に転換しなければいけない、そういう大事なとき、絶好の時期であろうと思います。そういう意味で、今後政策についての特段の充実をお願い申し上げまして、次に証券・金融不祥事問題について御質問いたします。 その前に、きょうは日銀総裁に御出席いただいておりますので、エクイティーファイナンスあるいはその償還が今後景気や中小企業経営に与える影響について御質問させていただきます。 きのうの平均株価は二万一千五百九十二円ということになっております。株価が千円下がるとBIS基準が〇・一ないし〇・二下がるということをおっしゃる方もおいでですが、多分そういう事態を招けば銀行側、金融機関はそうならないために、例えば資産を国債に振りかえるとかあるいは政府債に振りかえるとか、貸し出しの引き締めを行うとか、そういう手だてを講ずるであろうと思うわけです。そういうことが景気の先行きにマイナスになるのではないかということを懸念するわけでありますけれども、株価が仮に二万二千円ぐらいで推移した場合に経済への影響をどう見ていらっしゃるのか、日銀総裁にお伺いします。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 今、委員が御指摘になりましたように、株価が低落いたしますと、それが金融機関の株の含み益の減少を招きまして、それがいわゆるBIS規制の自己資本の拡張を制約するということはそのとおりでございます。 ただ、今も委員がちょっと御指摘になりましたけれども、株価は今二万二千円前後で非常に不安定な動きを続けております。昨日は四百七十円下がりましたが、きょうはまた二百円ぐらい上がっているようでございます。この程度でまだまだ続く限りにおきましては、BISの自己規制は一九九三年、再来年の三月に八%をクリアすればよいことになっておりまして、現在でも大多数の銀行はそれをクリアしています。そういう点から考えますと、今すぐにここで大きな制約が銀行貸し出しに加わるというふうには考えておりません。銀行は経営戦略といたしまして資産の中の貸し出しの増加を最優先に考えておりますどころから見ても、もしBIS規制がじわじわと効いてまいりますにしても、ほかの債券保有とか外為資産の圧縮をある程度考えるにしても、優良なあるいは健全な経営を行っている企業に対する貸し出しは続けていくというふうに思います。 また、企業金融全体あるいは収益を考えましても、不動産等特定の業種を除きましては企業の流動性はなお厚めでございますし、長い間の好況で財務体質も改善いたしまして、収益もそこそこまだ良好さを失っておりませんので、直ちに現状が日本経済の安定的発展に大きな影響を与えるとは思っておりません。ただしかし、非常に変化の激しいときでございますので、楽観することなく今後の金融経済情勢を注意深く見てまいりたい、かように考えております。
○寺崎昭久君 現在、ワラント債と転換社債の発行残高が約三十六兆円と聞いております。このところ銀行の貸し出しというのはやや渋りぎみ傾向にあるようでございますが、そうした中でエクイティーファイナンスの償還時期を迎え大量に償還されるということになると、資金需要が発生するわけであります。ただでさえ、どちらかといえば資金調達能力の弱いのが中小企業でございます。そういう中で、貸し出しかBIS規制との関係で渋くなるということになると、金詰まりになるあるいは資金コストが上がるということで中小企業の経営が著しく圧迫されはしないか、また資金繰りが詰まって悪い場合には倒産というようなシナリオも考えられるんじゃないか、そういうことも心配されるわけでありますが、現状の株価のもとでそんな心配があるのかどうか、再度総裁にお伺いしたいと思います。
○参考人(三重野康君) 委員が今御指摘になりましたように、この数年前の非常に大量のエクイティーファイナンスの償還額は明年度以降出てまいります。したがいまして、株の好転がない限りこれは償還ということになろうかと思います。 委員の御質問の趣旨は、そういう償還が多額に上った場合そのファイナンスは恐らく銀行の借り入れによるであろう、エクイティーファイナンスは大企業でございますから、もしそうなった場合中小企業に影響はないかという御質問だと思いますけれども、確かにそのファイナンスは銀行借り入れによることが大きいとは思いますが、現在の銀行の貸し出し、銀行の経営戦略の主眼は大企業よりもむしろ中堅中小企業に置かれております。先ほども御説明しましたように、現状では直ちに大きな影響が出るとは考えておりませんが、いずれにしろこれは明年度以降のことでございますので、その点も視野に入れまして十分注意して見てまいりたい、かように考えております。
○寺崎昭久君 日銀総裁、どうもありがとうございました。今後とも慎重なかじ取りをぜひお願いしまして、次は損失補てん問題についてお伺いします。 端的に言って、今回の証券・金融不祥事というのはまさに構造的な不祥事ということを言ってもいいんではないかと思うわけです。この不祥事について、総理はなぜ起こったと考えられるか、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 企業と人間関係の中で、やはり顧客関係を大切にしたいとか、あるいは企業の利益をどうしても優先させなければならぬとか、いろいろな側面があったろうと思いますけれども、要は私は、公平な社会の倫理というものを守らなければならないという規範に対する責任観念が欠落したのであのような結果が生まれたのではないか、今率直にそう思っております。
○寺崎昭久君 先日来、大蔵大臣も五つの観点から説明をされたのは伺っておりますけれども、私はその原因の中でもとりわけ大きい問題だと思うのは、またその事件の底流になっていると思うものは、政府の権威だとかあるいは行政手法に陰りが見えているのに、それに気がつかずにお上意識にどっぷりつかったまま相変わらずの通達行政をやってきた。そして、護送船団方式と言われる業界指導だとか育成をやってきたというところにこの問題の原因があるんではないかと思っております。政府は御用金調達思想から抜け切っていないなんという悪口を言う人すらいるわけであります。権威に陰りが生ずる、そして甘い行政が行われるということになれば、なれ合いが生じるのは当然でありまして、自己責任原則などは確立するすべもないと思います。不正がはびこるだけではないかと思うんです。 私は、政府に必要以上に権威を回復してもらいたいと思っておりません。むしろ逆に、民主化、大衆化の流れに従うべきである。したがって、従来のような不透明な通達行政を廃止してルールをまず確立、明示し、このルールに違反した者は罰せられるぞという考え方に改めるべきだと思いますが、総理はいかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 冒頭に私は、金銭万能主義の哲学から脱却しなければならぬという規範的責任を申し上げましたけれども、具体に言えば、今委員お示しのように、やっぱり物事には守るべきルールがある。ルールを破っていろいろなことをするのはこれは罰せられるんだ、ルールを破って勝っても勝ったことに意味はないんだということをきちっとしていくために今政府としては、ルールというものは、やはり強制力を持ったルールは法でありますから、法の規制の足りないところがあったならばそれをどうするか、あるいは自己責任を厳しく求めてゆだねるべき分野は何であるかということの振り分け、そしてそれに対する対応に全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
○寺崎昭久君 大蔵大臣に伺います。 この数日の新聞を見ておりますと、大蔵省が今検討されております証取法の改正をめぐって、与党の中に損失補てんを受けた顧客に刑事罰を科すのはいかがなものかという意見もあるやに伝わっております。私は、損失補てんをした者、受けた者、両方が公正なルール、公正の原則を乱したということで刑事罰に相当してよろしいと思うんですが、大蔵大臣はいかが思いますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員がごらんをいただいておりますように、毎日九時ないし十時から夕方六時まで私は委員会にくぎづけになっておりまして、現在党内においてどのような論議がなされているかを私自身存じておりません。 ただ、私自身から繰り返し申し上げてまいりましたことは、今回の証券会社の不詳事に対する再発防止策というものの中におきまして、今委員が御指摘になりましたルールの明確化、同時にペナルティー、そして自己責任というものは当然のことながら法律の世界で考えなければならないものであると思っております。そして、損失補てんを禁止する証券取引法の改正法案を今国会に提出し御審議を願いたいと考えておりますし、具体的な内容につきましては、顧客に対する罰則適用の問題も含めまして現在関係省庁と協議中であります。例えば、中には法制審の御論議が結論が出ないと結論を今回としては見出し得ない問題もあるわけであります。しかし、そうした中で私どもとしてはできるだけ早く証券取引法改正案をまとめて御審議を願いたいという姿勢を全く変えておりません。
○寺崎昭久君 金もうけの世界を道義的責任あるいは自覚だけで律しようというのは、私は最初から無理な話なんだと思います。やっぱり法律を明示して、違反した者は厳しく罰するというのがこの世界のルールであろうと思うんです。その意味で、公正なルールづくりが後退しないようにぜひ立法化に向けて努力をしていただきたいと思うんですが、総理の決意はいかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の御趣旨等も十分踏まえ、当然のことながら政府もそのような考え方で今取り組んでおりますので、鋭意努力を続けてまいります。
○寺崎昭久君 ところで、八月十六日に日証協の専務理事が記者会見をされておりますが、その中で、今回損失補てんを公表した二十一社の証券会社があるわけですけれども、それ以外については、多分これは大蔵省だと思いますが、公表してほしいという要請が来ていないという発言をされているんですが、これはどういう意味と受けとめたらよろしいんでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の日本証券業協会専務の発言でございますが、これは二十一社以外の証券会社から協会には要請がないということでございまして、私ども今回の公表に当たりましては、各社に対し証券業協会に公表を要請するようにということを指導したわけでございます。その関係で、この二十一社と申しますのは私どもが有価証券報告書の訂正を求めた会社でございます。そういったことで、有価証券報告書の訂正を求めた二十一社に対して、二十一社から証券業協会にまとめて公表するという要請が行われたということをこの発言は述べているというふうに考えるわけでございます。
○寺崎昭久君 大蔵省は、報告については二百六十七社全部に報告する方向で要請したと考えていいんですか。
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十二月に通達を出しましたときには、本省が直接監督しております大規模な証券会社二十二社に対しまして自己点検を行って自主報告をするようにという指導をしたわけでございます。
○寺崎昭久君 事の重大性からいえば全社を対象にしてしかるべきだと思うんですが、なぜ二十二社に限定したのか、理由を聞かせてください。
○政府委員(松野允彦君) 当時の判断では、このような大規模な事後的な損失補てんというものが行われているものは本省が監督しております大手の証券会社ということで自主報告を求めたわけでございます。その後、税務調査などで見つかった事後損失補てんがありまして、さらに財務局が監督しております四社に対しても有価証券報告書の訂正を求め、あわせて補てんの公表を要請したわけでございます。
○寺崎昭久君 そうしますと、先日来発表されております千七百二十八億円余の損失補てん以外にも調査をすればまだまだ出てくる、そういうことですか。
○政府委員(松野允彦君) 私ども、各証券会社全社に対しまして、定期的に一定の周期をもって証券検査を行っております。その中には既に検査が終わって損失補てんが認められないものもございます。ただ、検査の周期の関係で、すべての会社について通達発出以後定例検査を行ったわけではございません。検査におきましてその点については引き続き重点的に検査の対象としているところでございます。
○寺崎昭久君 先日来、証券会社がみずから補てん先を公表するのが筋だ、それが信頼回復のためにもいいことだという発言をされておりますけれども、私は、今回の問題というのは、証券会社の信頼性だけではなくて、大蔵省自体の監査能力とか予防的監督能力を問われている問題だと思うんです。だとすれば、全社を対象に速やかにみずからが調査して発表してしかるべきなんじゃないかと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、事実問題としてまず第一に、現在の要員すべてを挙げまして財務局監理会社まで一斉に日をそろえて同時に監査に入るといったことは、実質的に要員数からいっても無理があるということには御理解をいただきたいと思うのです。 そして、定例検査の時間をできるだけ周期を短くする努力あるいはより濃密な検査をする努力、こうしたものは当然のことながらやっていかなきゃなりませんし、今回問題が発生いたしましてから大蔵省としてプロジェクトチームを設けて改めてこの原因を必死で検討してまいりました中には、検査の手法そのものが現実の例えばコンピューター化の進んでいる情勢の中で十分足りていたんだろうかとか、あるいは検査要員そのもののレベルはどうだっただろうかといったことまで今掘り下げて私どもは原因の究明をいたしております。 全力を尽くして努力をいたしますけれども、委員が御指摘になりましたように、ある日を定め一斉に財務局監理会社まで全部に対して同時に検査を行うだけの要員体制にはなっておらないという事実はどうぞお認めをいただきたいと思います。その限りに全力を尽くします。
○寺崎昭久君 先日大蔵省からいただいた資料によりますと、今回損失補てんを受けた会社、個人というのは、これは本省監理関係十七社ですが、全部で六百十七と報告されておりまして、内訳で言いますと、二事業年度にわたって補てんを受けた企業が六十五社、三事業年度にわたって損失補てんを受けた企業が二十四社とされております。 一方、大蔵省が定期監査をいつやったのかということで調べてみますと、先日の衆議院の予算委員会でも報告されておりますように、これは一九八八年でございます。そして、この一九八八年のときには、その検査の過程である程度の損失補てんは把握したという証券局長の答弁があるわけですね。もしこのときに適切な措置を講じていたならば、少なくとも八九年三月期以降についての損失補てんは発生しなかったと思われるんですが、このときどういう措置をとられたんですか。
○政府委員(松野允彦君) 私どもの定例的な証券検査におきまして、御指摘のように、損失補てんが発見された例が過去にあったわけでございます。その点につきましては、その検査の都度これを指摘いたしまして、個々に厳しく改善指導をしてきたわけでございます。結果としてその後これが十分守られていなかったという点については私どもも大いに反省をするとこしろでございますが、検査を通じまして個々に改善指導をして、厳しくこういうことをしないようにという指導をしてきたことは事実でございます。
○寺崎昭久君 指導したけれども守られていないということは、大蔵省の言うことを聞かない、つまり通達だとかいってもそれが効果をなさない、そういう意味に受けとめていいですか。
○政府委員(松野允彦君) 事後的な損失補てんでございますので、どうしても行政指導で指導をするということになるわけでございまして、私どもはそれについて当然証券会社はその指導を厳しく受けとめて対応しているというふうに考えていたわけでございます。株式市況の環境等もございますが、結果としてその指導が十分守られていなかったという点については大変反省をしているところでございます。
○寺崎昭久君 反省という簡単な言葉で済ませていいという問題ではないと思うんです。先ほども言いましたように、損失補てんとして報告されているのは八七年十月以降の分です。それで、検査が行われたのは八八年一月からなんです。その後二年分にわたって損失補てんが行われていたというのは重大な責任だと思うんですが、その責任をどう感じているんですか。
○政府委員(松野允彦君) ブラックマシデー以降、つまり昭和六十二年十月以降でございますが、確かに定例的に検査に入った会社がございます。ただ、検査の周期が二年半というようなことで、大分周期が延びてきておりまして、必ずしも多数の証券会社に定例検査に入ったわけではございません。しかし、その入りました定例検査の中で損失補てんというような取引が認められたということは事実でございます。 この件につきましては、先ほど申し上げましたように、検査の過程でその都度指導いたしますとともに、検査終了後においてもその点についての今後の改善を要請してきたわけでございます。結果としてその要請が十分守られなかった。これは平成二年三月の自主報告が出て全貌がわかったときにそういうふうに我々としては認識をしたわけでございますが、検査における改善指導が十分守られなかったという点については非常に責任を感じている次第でございます。
○寺崎昭久君 二年、三年にわたって損失補てんを受けた企業が合計で七十九社もあるということは、結果としてこの企業はあるいはそれを出した証券会社は事前に損失保証をしたということになりませんか。
○政府委員(松野允彦君) 二期あるいは三期にわたって損失補てんをしているというケースにつきまして私どもが証券会社から聞いたところでは、毎期損失が生じ、その都度それを補てんしたというような例もございます。あるいは一期大きな損失が生じ、それを一期では補てんし切れず二期、三期に補てんをしていたというような例もあるわけでございます。 現在までのところ、それを事前の損失保証があったのではないかという点についての確証が得られていないわけでございますが、現在四社に特別検査に入っております。そういう点もあわせて事前の損失保証の有無について現在検査で鋭意その中身を調べているところでございます。
○寺崎昭久君 二十二社以外についてもぜひ調査をしていただきたいと思いますし、先般来のお答えの中では九〇年四月以降について現在調査中であるということでございますから、あわせてぜひ国会にも報告をしていただきたいと要望しておきたいと思います。 これに関して、今回損失補てんを受けた会社あるいは損失補てんを行った証券会社に対して、例えば税制上その損失補てん分についてどういう措置をとられるんでしょうか、伺います。
○政府委員(冨沢宏君) お答えいたします。 国税当局といたしましては、まずこの損失補てんをした証券会社の側でございますが、私どもは、いわゆる補てんに当たるかどうかということにかかわらず、証券会社等が有価証券取引を通じて特定の顧客に特別の利益を供与した場合、その実態に応じて交際費等として課税をするということでございます。 それから、補てんを受けた立場でございます。これは法人と個人と両方あるわけでございますが、法人の場合は多くの場合、補てんを受けるということでございますればそれを公表の帳簿に載せておるケースが大部分だと思います。そういう場合は当然益金として課税を既にされておるということでございますが、仮に漏れておれば、私ども今後調査の過程でそれは是正をしていくということでございます。個人が受けております場合は、これは所得税の課税の対象になるわけでございます。
○寺崎昭久君 今回は三期分の補てん分が出てきたわけでありますけれども、考え方としてこれは申告漏れなんですか、脱税分なんですか、お伺いします。
○政府委員(冨沢宏君) いわゆる脱税と申しますのは、仮装隠ぺいによりまして税額が過少になっておるというケース、それから申告漏れというのは、そういう仮装隠ぺいというような事実がないケース、そういうふうに通常考えられるわけでございます。 今回のケースにつきましても、そういう事実があったかどうかということに応じて適正な処理をしておるということでございます。
○寺崎昭久君 八月二十三日の本委員会で大蔵省から、証券会社が補てんをするに際して行った手口として、ワラントを使って同日売買をしたケース、株価指数と先物取引を利用したケース、またきのうも国債を使っての補てんを説明されておりましたけれども、その他の手口を三つほど挙げていただけますか。
○政府委員(松野允彦君) 主な手口を先日御説明したわけでございまして、それ以外の手口といたしまして、例えば外国の国債、これはアメリカの国債でございますが、アメリカの国債を利用したケースがございます。アメリカの国債のうちでいわゆる利札部分を切り離したものがいわゆるストリップス債というふうに呼ばれております。いわば割引債のような形になるわけでございますが、こういったものを利用した例として、例えばある証券会社でございますが、昭和六十二年の十二月一日にこのストリップス債を五億七千万ドル、補てん先に単価八ドル十五セントで売却をいたしまして、翌日同額を十三ドル七十二セントで買い戻しまして、為替が絡んでまいりますが、この一回の取引によって円価にしまして四十億七千万円の利益を供与したというようなケースがございます。 あと、この前御説明いたしました国債を利用した取引、あるいは先物でも株価指数の先物ではなくて国債の先物を利用した取引がございます。これはある証券、これも一つの取引を申し上げますと、六十三年の十一月二十五日に国債の先物を五百億円買い建てをいたしまして、この単価が百六円九十銭でございます。それを同日百七円三十九銭で売却をするということによって二億四千百万円の利益を供与しております。この国債先物の取引の相手方は、これは市場を通すわけでございますが、相手方が証券会社になっているというようなケースでございます。 あとはこの前申し上げましたワラントを利用したもの、あるいは新発の転換社債、あるいは公開株を配分するというようなものが主に見られる辛口でございます。
○寺崎昭久君 今の手口というのは、私は取引自体にいずれも違法性はないんだろうと思うんです。損失補てんかどうかというのは、専らその目的を持って行ったか、動機があったか、それが大事なポイントなんだろうと思うんです。そういう意味では、この損失補てん問題を調査するに当たってきちんとした定義あるいは基準というものを持たなければいけないんですけれども、今回公表された中には税務当局がこれは補てんだとみなしたという部分も含まれているそうですけれども、その際どういう定義、基準を使ったのか、お示し願いたいと思います。
○政府委員(冨沢宏君) 先ほどもお答え申しましたように、私ども、補てんに当たるか否かにかかわらず、証券会社等が有価証券取引を通じて時宗の顧客に特別の利益を供与したかどうかということを判定基準にいたしております。 これを判定しますのは、一連の取引状況からケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないわ叶でございますけれども、一般論として申し上げれば、一連の取引の中で通常の取引から見て不自然な価格、数量あるいは形態による取引によって顧客に利益が生じ、その結果として証券会社等に損失が生じたと認められるものについて、その実態に応じて交際費等として課税をしておるところでございます。
○寺崎昭久君 不自然な取引であったかどうかが判断基準だと言われても、なかなかわかりづらいわけです。 これから証取法が改正になりまして罰則が強化されるということになりますと、その動機、目的があったか否かをどうやって証明するかということが大事なポイントになると思うんですが、大蔵省はどのように立証するつもりでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに、御指摘のように、個々の取引を、その取引だけをとらえて損失補てんが目的かどうかというのは難しいわけでございますが、今国税庁からもお話がございましたように、その取引が行われた状況、あるいは損失が発生しているかどうかというような点もございます。現在の証券取引法で与えられております私どもの検査の権限の中に、証券会社の営業に関して必要であれば取引先からも事情を聞くということができることになっております。現在の特別検査におきましても損失補てんが一つの大きな検査項目になっておりまして、その中で必要であれば取引先から事情を聞いて、状況から見て損失補てんというようなことが確認できるのかどうかという点についてもあわせて事情を聞くということにしております。 したがいまして、もちろん証券会社が損失補てんの目的を持ってやったかどうかという点についても、取引の状況を見ればある程度わかるわけでございますが、あわせて取引先からの事情聴取によって損失補てんの行為がどうかという点についてはかなり詰めることができるというふうに考えているわけでございます。
○寺崎昭久君 現在も特別検査という方法があるそうですが、これまでそれが機能しできていないわけです。そういうことを考えますと、やはりこの際公正なルールを守らせるためには捜査権だとか行政処分権を備えた、言ってみればアメリカのようなSEC的機能を新たにつくる必要があるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか、大蔵省。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般来何回か本委員会におきましても大蔵省としての姿勢はお答えを申し上げましたが、改めて申し上げさせていただきます。 私どもがこれらの事件を知りました直後に、大蔵省自身として今までの検査のあり方、仕組み、さらにはその手法等、全般を掘り下げて検討し直す作業のためのプロジェクトチームを発足させました。しかし、その後におきまして総理から諮問があり、行革審がこれらの問題について作業に入られ、そして行革審としての作業を本年度末、すなわち平成四年度予算編成時に間に合うように結論を出すと言ってくださっております。 そこで、去る十九日の行革審にこれまで私どもの作業してまいりました内容すべてを御報告いだすとともに、今後行革審側から、例えばこうした資料を用意しろとか、あるいはこうした点についての考え方を聞きたいとかいう御指示があれば、当然のことながらそれに従うということを申し添え、すべての作業をお任せいたしました。私どもとしては、行革審の御審議の結果を待ちたいと思っております。
○寺崎昭久君 米国でなぜSECが生まれたのか、あるいはどういう機能を持っているのか、簡単に御説明いただけますか。
○政府委員(松野允彦君) アメリカのSECは、一九二九年の大恐慌によりまして投資家が多大の損害を生じたということの反省に立ちまして、投資家保護を目的とした一九三四年の証券取引所法によって設置をされたわけでございます。 SECの機能でございますが、これは一つには企業内容開示、いわゆるディスクロージャー制度を監督しております。それから、二番目に詐欺的な不公正な取引の調査、摘発。それから、三番目に証券会社あるいは証券取引所等に対する規制、監督。これは、アメリカは登録制でございますから若干日本とは違いますが、いずれにいたしましても、証券会社に対するあるいは取引所に対する規制、監督を行っております。それから、四番目に投資信託あるいは投資顧問業者の規制、監督を行っているわけでございまして、このほか証券政策に関する企画立案にも当然携わっているわけで、基本的には大蔵省の証券局と同じような機能を備えているというふうに理解をしております。
○寺崎昭久君 ちょっと角度を変えまして、国債が今発行されておりますが、国債を発行するときの条件だとか引き受け方法というのは具体的にどうやって決めておられますか。
○政府委員(松野允彦君) 国債につきましてはいろいろな種類が出ております。一番多いのは十年国債でございますが、これは御存じのように、銀行、証券を含めて多数の者が参加した引受シ団が組まれております。 ただ、最近は市場原理ということでクーポンレートを決めた後、一応入札をいたしまして、その入札で条件を決め、それは発行額の一定割合についてそうするわけでございまして、残りについてはシ団でシェアに応じて引き受けるというような形で発行されておりますし、それからあと割引国債とか中期国債については本当の入札ということで発行が行われております。
○寺崎昭久君 入札というとすぐ談合という言葉を思い浮かべるわけでありますが、国債とか債券について、政府債についてそういうことが行われているかどうか、私は証拠を握っているわけではありません。しかしながら、どちらにしても、言ってみれば市場を通じてこれが売買されているわけではない。 それから、今シ団方式と入札方式があるというお話ですが、入札方式というのはまだ比率としてはかなり低いわけですね。いかがなんでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 恐縮ですが、私、今直接国債の発行に携わっておりませんが、私の記憶に間違いなければ、たしか今十年債についても発行額の六割を入札にしまして、残り四割を先ほど申し上げたシェアで分けるという格好になっていると思います。
○寺崎昭久君 この件については時間もありませんので、具体的にどうやって価格形成、つまり発行条件が決められるのか、あるいは国債が市場に流れていくのか、その辺については申し上げませんが、締めぐくりとして、言ってみれば大蔵省というのは証券会社にとって一人のお客様である、そういう立場もあるということを申し上げたかったわけであります。 今回の金融・証券事件を通じまして予防的監督機能が十分発揮し得なかった。あるいは特別検査をやったり、定期検査をやったりしても、そのことが行政に生かされていない。また、大蔵省の一方の立場では業界の育成指導という立場もお持ちだ。また、監督という立場もお持ちだ。お客という立場、監督という立場、育成という立場、この三つが大蔵省に同居しているということはいかにも不自然だと思うんです。今回大事なことは、すぐに役に立つか立たないかではなくて、高齢化社会が進むにつれて恐らく老後の備えを金融商品だとか債券で担保する人、予定する人がふえてくると思うんです。時間がかかっても、素人から見てもぜひわかりやすい監視機構を独立させてつくるべきだと再度強調しておきたいと思います。 総理の所感をお聞かせいただきたいと思います。
○委員長(中村太郎君) 簡潔に願います。
○国務大臣(海部俊樹君) 監視機能のあり方としてどのようなものが必要なのか、内容についてはどのようなことにしていったらその目的を達することができるかについて、私は行革審にその点の検討も至急鋭意していただくように諮問してもおりますし、我々としても事態の再発を防ぐようなあり方について考えておるところであります。
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で寺崎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、前畑幸子君の質疑を行います。前畑君。
○前畑幸子君 まず、さきの百二十国会でやっとの思いで通すことのできました育児休業法について質問をさせていただきます。 民間部門における育児休業法が成立いたしまして、平成四年四月一日より施行されることになりました。それにあわせて公務員に対すみ育児休業法については四月一日人事院より意見の申し出があったことは存じておりますけれども、その後、法案提出はどのように進んでいるかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐々木満君) 国家公務員に対します育児休業制度につきましては、私ども人事院勧告の線に沿いましてこれを法制化すべく現在検討中でございます。国会に何圧に提案できるかというところまではきょうはまだ申し上げられませんけれども、いずれにしましても、来年の四月一日民間の皆さんと一緒にスタートできますように検討を進め、所要の手続を進めてまいりたいと思いますので御了承願います。
○前畑幸子君 ありがとうございます。大変心強いお返事をいただきましたので、平成四年四月一日一斉にスタートということになりますようお願いを申し上げたいと思います。 次に、不動産コンサルタント制度というものについて建設省にお聞きしたいと思います。この創設についての目的を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(伴襄君) お答え申し上げます。 不動産コンサルタント制度は、近年、土地所有者の土地を何とか有効利用しようということのニーズが非常に高まっております。不動産業界としてもこれに対して、土地の有効利用についてのいろいろ高度な幅広い知識あるいはノーハウが必要でございますので、そういう人材を育成する必要に迫られているわけでございます。 そこで、財団法人不動産流通近代化センターが不動産コンサルタント制度研究会というものを設けまして、こういうことについての報告を本年四月にまとめたところでございます。
○前畑幸子君 不動産コンサルタント制度研究会というものを設置して審議していらっしゃるということでございますけれども、そのメンバーはどんなところが入っておられますか。
○政府委員(伴襄君) この研究会のメンバーでございますが、委員長に日本大学の田中教授を迎えまして、あと学識経験者、不動産会社、業界団体あるいは関連の公益法人の職員等で構成したものでございます。
○前畑幸子君 もう少し個別にはわかりませんか。
○政府委員(伴襄君) 業界団体としてはそれぞれ不動産関係の団体がございますが、その団体の事務局長、それから公益法人がございますのでその職員の方、それから不動産会社のそれぞれ担当でこういうことにたけている方を任命して御参加いただいて研究したところでございます。
○前畑幸子君 これは国家資格ですか、資格のあり方はどういうあり方ですか。
○政府委員(伴襄君) 国家資格というのはよくわかりませんが、このメンバーの方々はいずれもこの関係の制度について学識経験を有している方々に集まってもらったつもりでございます。
○前畑幸子君 この不動産コンサルティングの相談内容というもののアンケート結果によりますと、税務関係の相談が四三%、建設関係が二三%、法律関係が二〇%、金融が一一%、経済に関係してが三%と、税務関係の相談が大半を占めているということでございます。大半の分野で税務が関連しているということは、税理士業務を分離した不動産コンサルタント資格制度というものは成り立たないと思うのですが、その辺はどのようにお考えですか。
○政府委員(伴襄君) 本研究会の目的が不動産業界の人材養成というような目的でございましたので、業界が自発的に組織した研究会ということでございます。もちろんお話しのとおり、この不動産コンサルタントとそれから税理士等の業務との関係は非常に深いものがあろうと思いますので、当然税理士法に定められた税理士のみが行える業務は行うことができないといったようなことで、制度創設に当たりましてはその調整を十分に図っていきたいというふうに考えております。したがいまして、税理士業界を初めとする関係業界との調整はこれからということに承知しております。
○前畑幸子君 まだこれからということのようですが、来年四月をめどにということも聞いているわけですけれども、それでいいでしょうか。
○政府委員(伴襄君) 現在、中身を詰めておるところでございまして、今申し上げたとおり、これから御相談するところでございまして、特にいつまでというふうに日程的に段取りを決めているわけではございません。
○前畑幸子君 そうしましたら、このコンサルタントというものに関しまして一言申し上げたいんですけれども、全般にわたって税務が大半含まれているということから考えますと、租税制度とか税務行政に与える影響も大変大きいのではないかと思うわけです。不動産業界だけの視点で社会的な有用性をとらえる制度化を図られるということは好ましいことではないような気がいたします。そして幅広い知識だけで税務にかかわる資格者を生む職業資格制度というものは余りよくないことではないかと思います。この制度を利用する国民に不測の損害とか心配を与える懸念もあるわけです。国民の側から見ますと、公的な資格を有する専門職業のごとくに誤解を受ける懸念があるので、慎重に検討をしていただきたいとお願い申し上げたいと思います。 この件につきまして、大蔵省はどの程度お聞きになってみえるかお聞きしたいと思います。
○政府委員(斎藤次郎君) 特に何も伺っておりません。
○前畑幸子君 税務にかかわることも含まれるわけですけれども、まだそこまでの段階に進んでいないということでとらえていいんでしょうか。
○政府委員(伴襄君) 今、こちらの内部で研究している段階でございますので、先ほど申し上げたように、関係業界団体ともまだ相談しておりませんし、それから大蔵省とも正式にはまだ相談しておりません。そういう段階でございます。
○前畑幸子君 ありがとうございました。 次に、ことしは開戦五十周年に当たり、アジアの戦後補償についてお聞きしたいと思います。 十二月八日を目前にいたしまして、韓国を中心に日本の侵略と戦争行為によって被害を受けたアジアの人々が日本政府に謝罪と補償を求めて裁判に提訴するという準備を進めているということでございます。政府は、こうした動きに対していかなる認識をお持ちですか。総理の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 昨年十月の海部総理の施政方針演説におきましても、政府といたしましては、朝鮮半島地域のすべての人々に対し、過去の一時期、我が国の行為により耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことについて、深い反省と遺憾の意を表明していることは御存じのとおりでございます。 今後は、このようなことを二度と繰り返してはならないという反省と決意の上に立ち、平和国家としての立場を堅持するとともに、未来に向けて新しい日韓関係を築いてまいりたいという政府の方針を堅持いたしております。
○前畑幸子君 前向きな日韓関係を一層進めていただきたいと思います。 ここで、続きまして清水委員から関連質問をさせていただきます。
○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。清水澄子君。
○清水澄子君 外務大臣、韓国では民間の中からどのような要求が起こっておりますでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) アジア局長から具体的に御説明を申し上げたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。 韓国におきまして、最近、いわゆる強制連行者あるいは元軍人軍属の方々、サハリンの残留者の方々、元戦犯あるいはその家族の方々から補償あるいは未払いの賃金の支払い等を求めでいろいろな訴訟なりを行う運動が起こってきておりまして、私どもも報道等を通じてそのようなことを承知いたしております。
○清水澄子君 今、なぜこういう補償要求が出てきたのでしょうか。その理由をどうお考えでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 個々のケースによって当事者の方々のお気持ち等は異なるのではないかと思います。一概に私の方から御説明する資料もございませんけれども、他方、いずれにいたしましても、先生も御存じのとおりでございますが、政府と政府との関係におきましては、国会等でもたびたびお答え申し上げておりますように、六五年の日韓間の交渉をもってこれらの問題は国と国との間では完全にかつ最終的に決着しておるという立場をとっておるわけでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 昨晩、私は委員会終了後に、来日中の韓国の外務次官と約四十分間会談をいたしましたが、政府間の関係は、韓国の外務省の次官のお言葉をかりれば、今日ほど日韓関係が円満にいっていることはないという御意見でございました。盧泰愚大統領の訪日、また海部総理の訪韓ということによって、日韓関係は未来に向けて共同のパートナーとしてこれから活躍をしていこう、またアジア・太平洋における行動についてもパートナーとして協力をやっていく、またグローバルな立場でも協力をしていこうということが日韓間の国際的な外交に関する基本的な認識であるということも、昨晩双方で確認をいたした次第であります。
○清水澄子君 そこで、今おっしゃいましたように、政府間は円滑である、それでは民間の間でも円滑でなければならないと思いますが、これまで請求権は解決済みとされてまいりましたが、今後も民間の請求権は一切認めない方針を貫くおつもりでございますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、政府と政府との間におきましてはこの問題は決着済みという立場でございます。
○政府委員(柳井俊二君) ただいまアジア局長から御答弁申し上げたことに尽きると思いますけれども、あえて私の方から若干補足させていただきますと、先生御承知のとおり、いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます。 その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。
○清水澄子君 七月十日の韓国の国会で、野党が強制連行された朝鮮人の未払い賃金を請求することについて質問したことに対し、韓国の李外相がそれは日本から返してもらう権利があるという趣旨の答弁をしておりますが、このこととどういう関係になりますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 韓国政府も、先ほど私が御答弁申し上げましたところ、あるいは条約局長が御答弁申し上げたところとこの問題については同じ立場をとっておるわけでございます。 ただいまお話のありました李相玉韓国外務大臣の発言がこの問題についてございますので、そのくだりを読み上げてみたいと思います。「よくご存じのように、政府レベルにおいては、一九六五年の韓日国交正常化当時に締結された、請求権及び経済協力協定を通じこの問題が一段落しているため、政府が」と申しますのは韓国政府がという意味ですが、韓国政府が日本との間において「この問題を再び提起することは困難である」、これが韓国政府の立場でございます。
○清水澄子君 意見がありますが、ちょっと先へ行きます。 きょうは、韓国の挺身隊問題対策協議会の会長もそちらに来て傍聴をしております。この会は、昨年の六月、この予算委員会におきまして、政府答弁が非常に納得できないということで三十五万人の韓国の女性たちの怒りの中で組織された会であります。 そして、私は今ここで御質問したいんですが、総理にお伺いします。政府は、今でも、従軍慰安婦問題に国は関与していないという認識でいらっしゃいますか。――いや、総理にお伺いいたします。
○政府委員(若林之矩君) ただいまの御質問は、通常国会におきます私の答弁との関係での御質問だと存じます。 私ども、従軍慰安婦の問題につきましては、労働本省でいろいろ調査をいたしましたけれども、資料等がございませんでした。さらに、当時の勤労局あるいは勤労動員署で働いていた人につきましてもいろいろと聞いてみましたけれども、こういった方々の話でございますと、全く従軍慰安婦問題というものにはこれらの機関は関与していなかったということでございまして、私ども、そういうことになりますと、全くこの状況を把握する手だてがないということでございまして、政府が関与していたか否かを含めて状況を把握できないということでございます。
○清水澄子君 まことに論弁というよりも、日本政府というのがこれほど傲慢でうそつきだということに今本当に私も心から怒りを覚えております。 と申しますのは、国家総動員法に基づいて挺身隊というのは徴用を受けたわけです。それと、今これだけ情報を持っている社会、前の体制と違うことは事実です。しかし、それは本当に誠意があれば調べる方法はいっぱいあります。私は今、時間がなくて持ってきませんでしたけれども、たくさんの手紙が来ています。自分は元軍人でこうしたという、本当にたくさんの資料を持ち出されて、日本政府がこういう答弁をしていることに自分たちも責任を感ずる、我慢できないという、そういう多くの日本の生存する実行行為者の皆さんからの資料さえ集まっているわけです。ですから、政府が本当にこれを集める気があればできると思います。 最近、ソウルで元慰安婦の方が、今おっしゃったような答弁にもう我慢ができないということで名のり出られました。そして今、秋にやはり法廷に出て日本の蛮行を証言したいと言っているわけです。そしてまた、韓国の女性団体からもこの問題を韓国の国会で取り上げるよう要求が始まりまして、秋の国会の議題になるということを聞いているわけです。 総理、日本政府の皆さん方の発言によって日韓の間の民間の友好ですら壊されていく、このことについて、これは大きな政治問題になる、外交問題になると思いますが、これは総理はどのように解決をされようとなさいますか、お答えいただきます。
○国務大臣(海部俊樹君) 日韓の問題につきましては、私自身も二度にわたる首脳会談で歴史の反省の上に立った認識を述べるとともに、未来志向型の日韓関係を築かなければならないということを盧泰愚大統領とも確認をし、また国会をお訪ねして与野党の指導者の皆さんともその問題については率直に話をしてきたところでありまして、厳しい反省に立った対応というものと、もう一つ、昨年五月二十五日の外相会談の際に、いわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿入手についての協力要請があったことは、これは労働省を中心に名簿調査を行っておるところでありますし、その結果、これまで九万人分の名簿を確認し、そのうち韓国政府への提出について保有者の了解が得られたものの写しを、本年三月五日、外務省が韓国側に提出したどころでありますが、政府は、こうした名簿の調査に専念したいと考えており、今後とも引き続いて労働省を中心として関係省庁が協力して誠意を持って対応してまいる所存でありますので、御理解をいただきたいと思います。 また、冒頭にお尋ねありました朝鮮人従軍慰安婦の問題については、先ほど関係省庁で調査の結果を申し上げたとおりでありまして、全く状況がつかめない状況であるということでありますので、私もそのような報告を受け、今後とも努力をあらゆる面で考えていかなければならぬと思いますが、実情についてはでき得る限りの調査をさかのぼってしてきたということでございます。御理解をいただきたいと思います。
○清水澄子君 納得できません。 アメリカやカナダは、日系人強制収容者の人権を回復するために四十年目からでも事実を調査する機関をつくって、そしてその実態を調査し、補償いたしました。私は、こうしたアメリカの民主主義を日本は見習うべきだと思います。 ですから、日本でもぜひそういう調査委員会を設置していただきたい、そして今、御理解くださいじゃなくて、徹底して調査をするということをお約束いただきたいと思います。総理、御答弁お願いします。
○国務大臣(海部俊樹君) 今申し上げましたように、既に関係省庁で協力をしながら、引き続き調査を続けてまいります。
○清水澄子君 改めて質問いたします。 ありがとうございました。(拍手)
○前畑幸子君 改めて調査するのではなく、日本に最も近い韓国、朝鮮のことを一番最初に考えて政治というものに取り組んでいただきたいと思います。 次に、大蔵省に証券問題についてお聞きしたいと思います。 今、企業に対する損失補てんについては先輩たちがたくさんお尋ねになりましたけれども、個人投資家に対する証券会社のあり方というものが大変問題になっております。 株が下がりましたので、セールスマンたちのノルマというものが大変厳しくなって、四大証券を初め証券会社の営業マンたちがノルマ達成のために小口投資家などを食い物にして手数料稼ぎのために一生懸命回っているということでございます。一般の顧客に対しては、銘柄を選ばせようとせずに押しつけて、少々上がりますとすぐに売却させて手数料三%を稼ぐ。そして、自分はこれが買いたいと言っても、いやこちらの方がいいんですよというような形で、大変しつこいセールスが行われているということを弁護士のところで聞いておりますが、その辺はどういうふうにとらえられておりますか。
○政府委員(松野允彦君) 証券会社の営業姿勢、特に営業マンの投資勧誘のやり方につきましては、私どもも営業姿勢を適正化するようにということで指導をしてまいっているわけでございます。しかし、残念ながら中には御指摘のような不適正な営業姿勢で行われている、そういう姿勢が見られるということも事実でございます。 私どもは、今回もこの事件が起こりまして通達を出しまして、営業姿勢の適正化について比較的具体的な改善案を指導したわけでございます。前々から、営業員の成績評価について、手数料だけではなく、やはりいかに適正な投資勧誘を行っていたかという点も十分成績評価に加味するべきである、あるいはそれを重視すべきであるというようなことも言ってまいりましたし、今回の通達では、営業員の成績評価あるいは営業店の管理につきまして、ともすれば営業に流されがちなところを、管理部門だけは独立をさせて、特別のステータスといいますか、本社が直接管理するというようなことで営業店における管理が適正に行われるようにというようなことも指導をしたわけでございまして、営業姿勢の適正化につきましては、特に現在株式市況がこういう状態でございますので、営業の一線で行き過ぎた勧誘が行われないように引き続き指導を強化してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○前畑幸子君 特にお年寄りとか少々のお金を持った人たちがひっかかる率が多いわけでございますけれども、投資家をどのようにだまして手数料を稼ぐのかという「それによって自分の成績を上げるというところにセールスマンの営業姿勢があるわけですので、特にその辺の指導をお願いしたいと思います。 そして、取引上トラブルが生じた場合には和解金が支払われるわけですけれども、トラブルで社会的に何々証券のイメージを下げるということを受けるよりも、また損をさせてそのお客さんを失ってマイナスになるよりも、少々の和解金ならば支払われるという傾向もあるようですが、その辺個人に対してもおわかりになっているでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに営業マンと投資家の間のトラブルというものがございます。そのトラブルにつきまして、話し合いが行われてトラブル処理が行われるというようなケースがあるわけでございます。そういったものにつきましては、正規の手続としては証券事故扱いということで協会に報告がされ、証券取引責任準備金というものを取り崩して処理をするということになっているわけでございますが、そういう正規の処理がされないようなトラブル処理というものもあることは事実でございます。私ども、トラブルの処理につきまして協会のトラブル処理のための相談室の強化、取引所にもそういう機能があもわけでございますが、あわせて自主機関におきますトラブル処理の機能を強化するというようなことも各機関で検討が進められているわけでございます。トラブル処理に当たって、小口投資家に対して特に不利な扱いにならないように、自主規制機関のそういう機能を強化してまいりたいというふうに思うわけでございます。
○前畑幸子君 一番弱い個人投資家に特に気を使った監視機関をつくっていただきたいと思います。 それにつけても、どうしてもそういう状態にならざるを得ないのは、手数料を稼がなければ証券会社が成り立たないというところに原因があるわけです。それで、固定手数料制度のあり方について少しお聞きしたいと思います。 私は、株式売買に伴うそうした固定取引手数料の収入が今日の損失補てんにつながった最も大きな原因であると思います。証券会社がお客さんから受け取る手数料で、証券取引法で証券取引所が決めている決まった手数料、それは法定価格になっているわけですけれども、そのためにどうしても手数料を稼がなければならない。売買される株式代金によって少々差はあるわけですけれども、大口投資家から手数料を取り過ぎているという指摘から、その取り過ぎた手数料の一部を今回損失補てんに回してきたということだと思います。この株式手数料のランクは何段階ぐらいに分かれているのでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 現在、東京証券取引所で決めております手数料は、百万円以下から始まりまして十段階に分かれております。これは株の約定代金ごとに区分されまして、百万円以下の部分が幾ら、百万円を超えて五百万円以下が幾らというような形で、最高十億円超というような段階に分かれて決められております。
○前畑幸子君 株式売買手数料は法的に固定されているわけですけれども、もう一つ証券発行手数料というものも固定されているのですか。
○政府委員(松野允彦君) 証券発行手数料には引受手数料あるいは受託手数料などがございますが、これは全く自由に決められるということになっておりまして、法律で決めているわけではございません。
○前畑幸子君 普通社債の引受手数料も大口取引に対して超過利潤を保証しているということですが、そのとおりですか。
○政府委員(松野允彦君) 普通社債の引受手数料も、今申し上げましたように、これはアンダーライター、引受業者と発行会社との話し合いで決めるわけでして、全く自由に発行の都度決められるということになっております。
○前畑幸子君 そうしますと、株式売買の委託手数料も同じようなケースですから、この手数料というのは売買ロットが大きくなると低くなっていくわけですが、ここにも超過利潤が発生するわけですか。
○政府委員(松野允彦君) 株式の委託手数料につきましては、ここ三年ほど順次引き下げてきておりまして、国際的な水準から見ますと、日本の手数料水準は必ずしも高いというわけではなくて、むしろ国際水準並みであるということが言えるわけでございます。 ただ、日本の場合、非常に機関化現象が進んで大口の注文が大きくふえてきている、特に一昨年まででございますが、そういったことで手数料の引き下げは国際水準並みに行われておりますけれども、取引量の増大が非常に急テンポで進んだというようなことで証券会社の株式の売買手数料の収入がふえたということになっているわけでございます。
○前畑幸子君 そうしますと、手数料体系が逓減的であっても、大口売買取引が何回も頻繁に行われればかなり巨額の手数料が得られるということになるわけですね。
○政府委員(松野允彦君) 大口の取引がふえて株式市場の取引高が非常にふえますと甘そういうことになります。
○前畑幸子君 そうしますと、今問題になっている損失補てんというものは、こうした反対給付の一つの手段ではないでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 今回の損失補てん先は、確かに法人を初めとする大口投資家でございます。しかし、すべての法人、大口投資家が損失補てんを受けたというわけではございません。手数料というものが損失補てんの一つの財源になっているという占用はあろうかと思いますが、やはり営業特金を初めとした財テクという行為が行われ、それに伴ってその中で生じた損失を補てんするというようなことが行われたわけでございまして、必ずしも大口投資家すべてが損失補てんの対象になっているということではないわけでございます。
○前畑幸子君 損失補てんというのは、代表者の私たちは知らなかったと言われる答えが出てきているところもありますけれども、それは担当の係において慣例として保証をするという暗黙の了解のもとになされているケースが多いと思うんです。この超過利潤が目に見えて存在している以上、損失補てんというこうした慣行は、規制を強化するだけでは実効性の期待は困難だと思います。 もう一つ同じような例が信託銀行の特定金銭信託、特金というもの、それからファンドトラスト、ファントラの資金を使って株式の売買をすると、委託手数料として公定価格の八〇%が自動的に何もしなくて支払われる。そして、取次手数料というもの二〇%が信託銀行に入るということですが、これでいいのでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 株式の売買手数料は取引所のルールで決まっているわけでございますが、信託銀行からの注文につきましては、御指摘のように手数料のうちの二〇%が信託銀行に戻されるという制度になっております。
○前畑幸子君 そこで、私は思うんですけれども、この際、手数料の自由化ということを考えられてはどうかと思うんです。手数料の自由化には反対論もあると思いますけれども、それは小口取引者に対しては不利になるということ、確かに平均的に上昇して小口取引に不利になることは考えられますけれども、小口取引には最高手数料などを決めて対処することもできるのではないかと考えられます。こういう手数料の自由化という問題をお考えになっているかどうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員からも一部触れられましたので、アメリカやイギリス、フランスなど既に株式委託手数料を自由化しておる、自由交渉にゆだねている国で発生している問題は御承知という前提でお答えをさせていただきたいと思います。 今、局長が御答弁を申し上げましたように、ここ数年の間、四回にわたって引き下げられてまいりました株式委託手数料というものは、今日、国際水準等を考えて比較をいたしましても遜色ないところまで下がってきているという事実はございます。 しかし、やはり委託手数料そのものの取り扱いにつきまして、引き続きその水準については機動的、弾力的な見直しか行われる、私は、その必要を認めますし、さらに手数料そのものも含め、手数料制度のあり方につきましても検討を進めていくべきである、そのように思います。
○前畑幸子君 損失補てんの防止には、やはり規制強化をするばかりではなくて、手数料の自由化ということも考えられてはどうかと思います。それによって多少の弊害もあるかもしれませんけれども、先々の国際的な金融の面での手数料の自由化ということの必要性を考えたいと思います。 次に、取引所の責任についてお聞きしたいと思います。 市場の中心であり、投資家保護と市場の正常化に尽くすべき取引所の今回の責任についてどうお考えになっていますか。
○政府委員(松野允彦君) 証券取引所も、今回の一連の不祥事によりまして一般投資家の市場に対する信頼感を失墜させたということで極めて深刻に受けとめております。取引所としても、自主規制機能を強化するということに真剣に取り組んでおりまして、既に幾つかの基本的な方針を立てたところでございます。
○前畑幸子君 野村証券が、例の注目銘柄として東急株を取り上げて株価の急騰をあおりましたけれども、そうした事実が取引所の責任者である理事長として、プロとしてわからないはずはないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに、御指摘の東急電鉄株につきましては、出来高がふえ、価格が急騰するということが平成元年の十月から十一月にあったわけでございまして、その当時から証券取引所も関心を持ってその取引の中身を精査してきているわけでございます。 ただ何分、取引所の場合には、市場における取引注文の執行というようなものが中心になるものでございまして、東急電鉄株の場合には営業店における投資勧誘というようなものが問題になる。つまり、多数の投資家が参加して価格形成が行われているというような形でございまして、そういった観点からいいますと、取引所における調査あるいは売買審査というものも限界があるわけでございます。現在私どもと取引所とあわせて、この東急株についての事実関係をさらに詳細に調査しているところでございます。
○前畑幸子君 取引所の中にも異常な株の動きをチェックする機関があるのではないですか。
○政府委員(松野允彦君) 証券取引所には売買審査部という部門がございまして、ここが日々の市場における取引をチェックしておりまして、異常な値動きがあるものについてはさらに詳しく調べるということをやっております。
○前畑幸子君 そうしもすと、異常な動きを把握して監督官庁に報告する義務があったんではないでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 売買審査は、第一義的には取引所の自主的なチェックにゆだねているわけでございまして、制度的に大蔵省に報告を義務づけるという形にはなっておりません。しかし、私どもの方にも取引審査室がございまして、常時そことの間で情報交換をし、いろいろ意見交換しながら調査を進めているという状況にございます。
○前畑幸子君 そうしますと、投資家保護を唱えている取引所が、大手証券の不当な相場形成の動きを見まして黙認していたということになるのではないでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、この東急電鉄株の場合には、市場だけを見ますと非常に多数の投資家の小口の注文によって価格形成が行われているわけでございまして、特定の大口の注文によって人為的な注文が出され、それによって人為的な価格形成が行われているというような形になっていないわけでございます。したがいまして、多数の小口の投資家がそういう注文を出してきても、投資勧誘の実態を十分把握しないと、株価操作あるいは投資勧誘に行き過ぎがあったかどうかという点についてのチェックができないわけでございまして、現在営業の一線におきます投資勧誘の実態について詳しく調査をしているところでございます。
○前畑幸子君 今回の不祥事の原因の一つがそういうところに大きな原因を持っているわけです。 もう一つ大蔵省と業界との癒着の関係が挙げられているわけですけれども、この証券取引所の理事長は現実に大蔵次官で続いているという状況のようですが、そのとおりですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在の東京証券取引所の理事長は、大蔵省の卒業生であります。
○委員長(中村太郎君) 前畑君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、前畑幸子君の質疑を行います。前畑君。
○前畑幸子君 午前中に取引所の責任のあり方についてお聞きしたわけですけれども、先ほど大蔵大臣のお答えの中で、大蔵省次官、現在はお名前が長岡實さんという方で、七四年から八二年、八二年から八八年も同じく大蔵省次官、そして、その前二期が日本銀行の副総裁と日本銀行総裁ということで、五期にわたってほとんど大蔵省から出ていられるということで、こういうことですと癒着の構造そのものの感を持つわけです。 至るところに天下りさせている現状では、大蔵省も証券取引所に対して業者だけに厳しく襟を正せということは言いにくいのではないか、証券業界の体質改善を行うことは大変難しいのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来証券局長から、証券取引所自体が自主規制機能の強化に真剣に取り組んでおる状況は御報告を申し上げました。私どもとしても、こうして証券取引所自身の改革努力によりまして自主規制機関としてその機能が充実強化され、証券取引の不正防止のためにより大きな役割を果たすことを心から期待いたしております。 そこで、今、国家公務員の退職後の再就職との関連について御質問がございました。 これは、私が今さら申し上げるまでもなく、よく委員が御承知のように、憲法において職業選択の自由というものは基本的人権として認められております。しかし、国家公務員という身分の持つさまざまな絡みの中で、御承知のように国家公務員法におきましては、離職後二年間は、離職前五年間に在職した国の機関と密接な関係のある営利企業に対する就職を禁じており、もし、どうしてもそれが必要な場合は人事院の承認にかからしめておることであります。 私ども、少なくとも理解をいたします限りにおきまして、退官後の再就職というものについて、憲法の定める基本的人権と、そして国家公務員としての節度ある行動との間に脈絡を持たせておりますのはこの人事院のルールであると考えております。ですから、本来なら退官をした個々の者が人事院規則を超えた時期において、あるいは国家公務員法で禁止されております期間を過ぎた後において、また、退職直後といいましてもその本人の過去の業務と全くかかわりのない部分におきまして再就職することを禁ずるルールはないと思います。 ただ、今、委員から御指摘もありましたように、現在大蔵省としての姿勢を問われておるわけでありまして、先般も本委員会で御報告をいたしましたように、大蔵省として、大蔵省幹部職員、すなわち本省の課長相当職種以上の者たちにつき、人事院の承認を要する証券会社への再就職というものにつきましては、もしそういう希望が出てまいりました場合にも、本人及び証券会社、両当事者を説得して理解を求め、自粛を求めたい、人事院承認の申請を行わない、そうした考え方を明らかにいたしておるところであります。 今後とも、厳正かつ公正な証券行政というものが行われるように努力をしてまいりたいと考えております。
○前畑幸子君 私は、大蔵省からそこに就職してはいけないということを言っているわけではないんですけれども、後の対応の仕方が余りにも癒着が考えられる、なれ合いになり過ぎるということをやはり考えていただかなければ正常に戻ることはできないんではないか、証券業界浄化のためにどうしても取引所にも新風を送っていただくことが必要ではないかと思います。 次に、ノンバンクの問題についてお聞きしたいと思います。 大蔵省がノンバンクとして、ノンバンクといいましても、上は何千億と貸すところから下は町の庶民金融までいろいろなランクがあると思いますけれども、全国に登録をされているのは何社ぐらいあるわけですか。
○政府委員(土田正顕君) 登録と申しますのは、貸金業の規制法と称する法律がございまして、そこで登録制度を設けております。その登録を受けておるものは、概数でございますが、約三万七千でございます。
○前畑幸子君 ノンバンク上位三百社を対象に実施した調査によりますと、平成三年の三月末の融資残高が六十六兆六千百五十二億円に上ったということですけれども、大変な増加のようです。特にこのノンバンクというのは、今金融スキャンダルの中で騒がれているように、不正な貸し方、借りにくい方が借りていられるというケースもたくさんあるわけです。このような状況の中で、ノンバンクの倒産というもの、要するに苦境に立っているわけですけれども、その辺に対する御心配はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) ノンバンクにはいろいろなものがあり、規模もまちまぢでございますので、全体としてその状況を十分把握しているということは申せない状況であります。ただ、大手のノンバンクなどにつきましてはかなり近ごろ報道の対象となるようにもなりました。つまり、それだけ有名な存在になってきたということであります。 ノンバンク全体として見ますと、例えば不動産を担保とする融資が大きな比重を占めておることは事実でございます。したがいまして、担保としての土地の評価額が下落するとか、その他の状況によって経営面に影響を与えることは予想されますが、それが具体的にどの程度のものであるかにつきましては、それぞれ個別の融資内容によってまちまちでありまして、また、ノンバンク側の経営判断によりまして別途さまざまな債権保全措置などを講じているところもあると考えられますので、一概には申せないと思います。 ただ、ノンバンクの例えば倒産というようなことによりまして金融機関の経営にどのような影響が出るであろうか、むしろそれを私どもは非常に注意して見ておるわけでございます。この点はやはり今後いろいろ厳しさを増す面もあるとは思われますけれども、他方ノンバンクは極めて多数の銀行なりノンバンクなりから資金供給を受けておる例が多うございますので、貸し手の側から見れば危険分散というようなこともあると思います。そのほか銀行の方でも十分注意をしてノンバンクとの関係に取り組むということであれば、直ちに銀行経営に懸念を生ずることはないのではないかと考えておるところでございます。
○前畑幸子君 よくテレビに出ておりますリースマンション大手のマルコーというのが今月二十三日までに、取引機関である三菱信託銀行、日本長期信用銀行などとか、それからノンバンクに対して借入金の利子の減免を申し出ているわけですけれども、こうしたノンバンクで借りている企業は不動産業者、ゴルフ場開発とか、それからマンション建て売り業者、そういう業者が多いのですけれども、今土地取引が低下しまして、そして株も下がったという時点で大変厳しい貸付債権がふえてくるのではないかと思います。そうした場合に、今おっしゃられましたように、ノンバンクに貸している銀行に対して大変厳しいものが出てくると思います。 そのときに証券、金融が担保になって、預金証書などが担保になっていればいいんですけれども、例えば土地の価格が担保物権として入っている場合には、今土地の価格も随分下がったわけです。普通ですと大体土地の簿価の八掛けぐらいで借り入れをしているわけですけれども、それが思うようにその土地がその金額ではとても売れない状況になってきたわけです。その辺はどういうふうに対処されるのでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) 主として不動産の関係での御懸念でございますが、確かに全国銀行と比べますとノンバンクの方が不動産業向けの融資についてのシェアが大きい。殊に事業者向けの貸金業者とか、例えばリース会社とか、そのようなグループに属するものに不動産業への傾斜が大きいというような面がございますのと、それから貸付金の担保内訳でノンバンクの方が銀行に比べまして不動産担保を受け入れている、そういう割合が大きいというような数字はございます。これが危険に陥ることはないかということでございますが、そこは、先ほどから申しますように個々のノンバンクの経営上の苦心もあると思われます。 それから、私どもはノンバンクの経営そのものにつきまして、免許業者であります金融機関、預金者から預金を受け入れ、信用秩序の一角を担当しております金融機関ほどにその経営の状況を十分に把握する方法もなく、また情報も極めて限られておりますので、ノンバンクがどのような経営をたどるかということについては必ずしも定かに御説明申し上げることはできません。ただ、これが個別のノンバンクの経営危機などによりまして金融機関にどのような影響が起こるのか、むしろその面を注意深く見守っているところでございます。
○前畑幸子君 土地の価格が急激に下がったわけですので、担保力がみんなないと思います。まして、ノンバンクから借りる場合はほかの銀行にも担保に入っているわけです。二番手、三番手になるわけですので、ノンバンクが倒産した場合には、その危険性というものは銀行にも波及して連鎖的な厳しい状況が起こることを私は大変心配いたしております。 私も大蔵委員として、ことしの五月にノンバンク規制法、改正貸金業規制法というものに携わったんですけれども、規制強化を目指した大蔵省に対しまして、一部の自民党の議員さんの力が、立入検査権というものが見送りになって、その規制法が後退した経緯があるわけです。今から思えば、もっときちっとこのノンバンク規制法というものをきついものにしておかなければいけなかったのではないかなという感じがいたしますが、大蔵省として今どう思っていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘のございました法改正の手続は、幅広く与野党の、ちょっと正確には覚えておりませんが、全会一致がないしはそれに近い、そういう御意向の結果この改正案が可決されたわけでございますので、私どもの方からこのやりとりについて批評を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○前畑幸子君 そういうことでわかりました。 預金証書のような換金性の高いもの、担保性の高いものに関しましては、恐らく銀行も自分の銀行で融資をされるわけです。他行に依頼するというのは、とりわけ金利の高いノンバンクに行くということは、要するに借りにくいからあそこへ行ぐということですので、やはりそうしたノンバンクでの大きな資金の焦げつきというものがこれから大変ふえてくるのではないかと心配いたします。今のうちからきちっとした対応をしていただきたい。証券会社の不正と違って、銀行の場合はノンバンクが絡んで、そして銀行にその危険性が波及するわけですから、きちっとした対応をお願いしたいと思うんです。 私も数社聞いているんですけれども、何千億という借入金を銀行を初めノンバンクでしている業者の方を倒産させないという銀行のお話を聞くと、大変そういう大きな問題がこれから出てくるのではないかなという気がいたします。 それから、時間がちょっとなくなってきましたのですけれども、エクイティーファイナンスの御質問が午前中にもありましたけれども、一番株価の上昇している一九八〇年代の後半から日本企業は約六十兆円に及ぶエクイティーファイナンスを行ってきたわけですが、一、二%の低いコストで資金調達をしてきたわけです。その償還の時期が来年、九二年に迫ってきているわけですけれども、その資金を今度は七から八%の借り入れに借りかえるということになりますと、コストが大変アップしてしまうということは避けられないと思います。こうした結果として産業界に設備投資の影響が出てくるのではないかと大変心配するわけですが、その辺はどうお考えですか。
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。 先生おっしゃいました六十兆というのは、恐らく公社債、エクイティーファイナンスと申しますが、ワラント債それから転換社債以外も含めた数字かと思いますが、今償還が参ります問題になっておりますワラント債と転換社債の分は来年度から始まりまして、今年秋もちょっと始まりますが、来年度からで、大体来年度が四兆円、再来年が十兆、その先が六兆で、二十兆ぐらいのところが三年間にちょっとだんごになっておりまして、あとは一兆数千億でずっと来るわけでございまして、一遍に押し寄せるわけではございません。 なお、設備投資の長期資金源としましては七割までが現在手元資金、主として減価償却による内部留保が充てられることになっておりますので、そうした面でも直接的な大きな影響ではないけれども、しかし先生おっしゃいますように、長期資金の金利コストが上がっておりますものですから、これがどういう格好になりますか、異常に上がってまいりますと、ことしてはなくて来年度以降の設備投資計画に微妙な影響を与えるのではないか、その点を注意深く見守っているところでございます。
○前畑幸子君 途中ですが、済みません。ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で前畑君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、櫻井規順君の質疑を行います。櫻井君。
○櫻井規順君 予算委員会におきます初めての質問でございます。参議院予算委員会の重みをかみしめながら質問させていただきます。 最初に、ソ連邦の政変に関連いたしまして質問をいたします。 昨年の湾岸戦争とまた別な意味におきまして大変大きな、これからの世界の進路にとって重要な意味を持った政変であるし、日本の進路を定めていく上においても重要な意味を持っているかと思います。ゴルバチョフが進めてきたペレストロイカは、御案内のように、東西の緊張の緩和、軍事同盟も解消して世界の核軍縮の方向に大きく平和も歩み出すし、ソビエトという政治体制もまた民主化、市場原理の導入ということで大きな変革がなし遂げられてきたわけであります。 そこで、今度のクーデターを、主としてソビエト国民あるいは周辺から国際世論がクーデターを失敗させたわけでございます。このクーデターという一つの事件、そしてそれを抑えたという経過、これはペレストロイカを推進するか、あるいはこれを食いとめるかという一つの大きな綱引きがあったわけでございます。サミットでもいろいろとソビエトの民主化については心配をしてきたわけであります。このクーデターと、そしてペレストロイカのゴルバチョフが進めてきた進路が私は勝利したというふうに思うわけでありますが、この綱引きの中で、サミットでも心配していたこの政変がこういう形で前進してきているということについて、まず総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、ソ連におけるクーデターはいわゆる正常な手続によって選ばれた大統領に対する極めて異常な事態でありました。けれども、ペレストロイカが進んできておったというこの六年間の成果がある意味ではクーデターを失敗に導いた大きな背景にあったものと私は受けとめて、ゴルバチョフ大統領と電話がかかったときにそのことを率直に評価するとともに、絶対にこれが後退しないように、さらに前進していくことを日本としても強く期待をしておるということを申し上げました。お考えのようなことを私も受けとめております。
○櫻井規順君 以下、順次アジアの平和、アジアとしてこのソビエトの民主化、飛躍をしますが、有事に対してアジア自身がどう国際的に貢献するかということも追求しながら質問いたしたいと存じます。 最初に、こうした軍隊を背景にして、いわば八人組と言われるグループが武力を背景にしてクーデターを起こしたわけでありますが、これを決定的に食いとめた力というものは武力ではなくて国民、市民が立ち上がって食いとめたというところに非常に大きな意味があるというふうに思うわけであります。こうした武力クーデターを市民の力で、国民の力で食いとめたということについて、総理いかがでしょうか、どんなふうなお考え、御感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 一言で言うとすばらしいことであったと思いますし、同時に、六年間のペレストロイカのために軍部の中にもそういった権力的なクーデターには従いたくない、命令は返すという声が起こったという報道等も聞いております。すべて国民的レベルでの改革の成果である、こう受けとめます。
○櫻井規順君 私は、民主主義と平和の力というものは決して武力によって保障されるものではなくて、市民のこうした力によって保障されるということを強調したいわけでございます。 次に、ソ連の新体制の問題で、これは触れ方によると内政干渉にも当たりますのでお互いに慎重を要するわけでありますが、いわば長年にわたって支配していた共産党が解体をする、これは一種の権力が解体をするようなものでありまして、大変な動きだというふうに思うわけであります。しかし、選挙で選ばれ、憲法に基づいたゴルバチョフ政権があるわけであります。このゴルバチョフのこれまでの実績そしてこれからの進路というものは、我々はソビエトのやはり代表として評価をしなければならないと思いますが、急進的、改革的な動きもあり、ソビエトに対して一段とゴルバチョフ体制を支持し、ペレストロイカを支持してやっていく必要があろうかと思いますけれども、総理大臣の見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的に申し上げれば、私もゴルバチョフ路線というものの正しい方向性というものをきちっと見きわめて、それはただ単に国内の立て直しのペレストロイカだけではなくて、新思考外交がユーラシア大陸の西の端で成功したならば、東のアジア・太平洋地域にもすべて押し及んでくるように、内政、外交ともにゴルバチョフの掲げた路線というものが着実に進んでいくことを強く期待しておるものであります。
○櫻井規順君 この八月十九日にクーデターが発生しまして、二十一日の夕刻には一定の収拾の方向が見つかったわけであります。この三日間、総理はソビエトの憲法で選ばれた政権を支えるために日本国という立場に立ってどんな行動をされたか、かいつまんでお知らせ願いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 十九日に突発事件が起こったという第一報が入りましたときに、私たちは政府・与党連絡会議というのを開いておるさなかでありましたので、直ちにその場でこれに対してどう判断すべきか、やはり正当な手続で選ばれている大統領を国際世論の中で支持していくのが大切であるという基本を固めました。 そうして、特にどのような対応をすべきかについて、情報の収集をするとともに、G7、サミットにおいてもソ連の改革については共通の認識を得ておりましたし、また同時に、ゴルバチョフ大統領ともエリツィン大統領ともお話をした経緯もありますから、でき得る限りこれらの人々と連絡をとり、直接情報と意見の交換をしながら、また、改革派の象徴として抵抗を続けるエリツィン共和国大統領の行動を強く支持しよう。同時に、アジアの国々には翌日、二十日に、予算委員会終了後、記者会見で発表しましたあの考え方を外交ルートを通じてすべてお届けし、また、アジアの国々の考え方も聞きました。 以来、きょうまでサミット参加国のすべての首脳とエリツィン、ゴルバチョフ両大統領とも、これは外務省のソ連大使館の非常な努力によって、あの混乱の中で、とにかく電話で話がしたいんだという指示に基づいてつないでもくれました。 そういったところで、日本としては、国際的な世論の支持の中の一国として日本もソ連には激励をし、サミット諸国とは国際的世論を盛り上げるための共同作業をする。アジアの国々には日本の知り得ておることを、日本のとろうとしておる態度をお伝えする、意見も聞く、こういうことできょうまで終始一貫努力をしてきたところでございます。
○櫻井規順君 私もなかなかテレビを見たり新聞を見ることが少なくて恐縮でございますが、今のアジアに対してメッセージを送って行動を起こされたということにつきまして、総理並びに外務省もどうであったかということを含めま して御答弁願いたいんですが。
○国務大臣(海部俊樹君) サミット諸国は、前回のサミットで共通の認識もありましたし、それからエリツィン並びにゴルバチョフ大統領については考え方はわかりますからこちらから一方的に支持をする。アジア諸国に対しては日本の考え方をまず伝えなきゃなりませんし、アジア諸国がどういう考えを持っておるのかを聞かなければなりません。これはそれぞれの国の立場の違いや発言にニュアンスの違いがあったり、きょうまでのソ連との、何というのでしょうか、距離というか、いろいろなものがあって、必ずしもEC諸国とかサミット諸国のように共通の認識の枠の中にがちっと入るという結果は残念ながら得られませんでしたけれども、どんなことを考え、どんな方向に支持をしているのかということは、こちらの意向も伝え、またアジア諸国の意向も我々のところへ届いて、そのような努力を重ねてきたわけでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 今、総理から御答弁申し上げましたように、政府としてはアジア各国に情報の提供あるいは意見の聴取をやっておりますが、御案内のように、日本は毎年ASEAN拡大外相会議というものに参加をしておりまして、私も昨年、今年と引き続いて出ましたけれども、この会合においてアジア地域の国々に、アジア全体の安全保障問題を協議する高級事務レベル協議を設定すべき必要が出てきたんではないかということを今年私はクアラルンプールの会議で提案いたしております。 そういうことも含めまして、我々はアジアの一国としてこのASEAN拡大外相会議加盟国、今年は特に中国、ソ連もASEAN外相会議の開会式に招かれて出席をしておられますから、こういう関係をさらに強化しながらアジア・太平洋における安全保障問題というものをこれから協議する場を持つことが必要であるというふうに考えております。
○櫻井規順君 今おっしゃったアジアというのはどこの国で、そして何をメッセージとして送ったか、答弁願えますか。
○国務大臣(海部俊樹君) メッセージとして送ったものは二十日の夜記者会見で申し上げましたあの政府の考え方、これを日本のメッセージとして送ってあります。アジアの国は、アジアというとこれ言い方は悪いんですけれども、アジア諸国でございます。国名が具体的に必要ならばアジア局長から答弁してもらいます。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま総理が仰せのアジアと申しますのは、朝鮮半島、中国あるいはASEANの諸国、西側におきましてはインド、パキスタンまで及ぶ地域でございます。 いずれにいたしましても、それぞれの国に対しまして、先ほど総理から御答弁申し上げましたように、総理のお考え方あるいは累次にわたる官房長官の談話等を大使館に送付いたしまして、それをベースに先方と意見交換を今も続けておるところでございます。
○櫻井規順君 どこの国に送ったか教えてください。
○政府委員(谷野作太郎君) 中国、韓国、ASEANの諸国、そして記憶に間違いなければ南西アジアにおきましてはインド等でございます。
○櫻井規順君 シンガポールは入ってないですか。
○政府委員(谷野作太郎君) ASEAN諸国と申し上げましたからもとよりシンガポールは入っております。
○櫻井規順君 これ、ちょっとアジアの問題はまた別途やりますが、海部総理がサミット諸国の首脳と随分電話で会談をされているわけです。私も全部ここにメモしてございますけれども、この各電話は海部総理が電話をしたものでしょうか、向こうからかかってきたものでしょうか、国別にちょっと御紹介いただけますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 国別に言えということでありますが、まずアメリカはかかってきたこともあるし、こちらからかけたこともあります。それからマルルーニー首相の方は向こうから一回かかってぎて、きのうはたまたま私がかけたブッシュ大統領のそばにいるということでしたから、かわってくれと言ってかわってもらって話しましたからこれは私からかけたことになると思います。それからコール首相の方には私からかけましたし、アンドレオッチ首相はたしかコール首相の後で向こうからかかってきたと覚えております。それからまた、ミッテラン大統領のところへは私の方から申し込んでかけております。また、エリツィン、ゴルバチョフ両首脳に対しては、我が方からかける場所を探して、そしてこちらから申し込んで出てもらいました。二人とも日本の支援とかそういった努力を高く評価して非常に感謝するということも言っておりました。 他の首脳との問のことについては、その都度記者クラブで内容の筋は発表してありますので重複は避けますけれども、すべてのサミット参加国とお話をいたしました。メージャー首相には私の方からかけました。
○櫻井規順君 二十二日以降の電話は、私は今余り重視をしていないわけでありまして、十九日から二十一日の間の電話でございます。十九日の九時五十分にブッシュさんと会談をされているわけでありますが、これはどちら側からですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 向こうからかかってまいりました、十九日の九時五十分は。
○櫻井規順君 私は、今も外務大臣からアジアの外相会議のお話がありましたが、非常にそれは心強い思いがするわけであります。しかし、いわばこれは有事の事態だというふうに思うわけであります。こういう有事の事態に、アジアで経済力もすぐれて、アジアをまとめていく上において大変大きな役割を持っておる日本がどういう役割を果たすかということは非常に重要なことだというふうに思うわけであります。ところが、アジアのそれぞれの国は、総理が冒頭お話しになったように大変な状況にあるというふうに思うわけであります。 このアジア諸国に対して、二十二日以降ではなくて十九日から、あの時点でもってメッセージを送って、あれを送ったというわけですけれども、もう一歩前へ出て、ソビエト連邦といえばアジアにもあるわけでありますが、いわば民主主義を守るための連携というものをもう一歩踏み込んでアクションが起こせなかったのか。それからサミット諸国に対しても、私の方は、今の電話をどっちからかかってきたかかけたかということはそんな大きな問題ではないかもしれませんが、日本の総理としてその積極性について大いに期待をしているものですからあえて触れるわけであります。 アジアの外相会議、アジアの首脳会議ということについて、有事の際に、総理、どんなふうにお考えになって、ある意味では悩んできたことも含めまして、あるいはこれからこういう事態が起きた場合の対応も含めまして、いろんな教訓があったかと思うんですが、どんなお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 首脳会談の個別の内容を一々申し上げるのは差し控えなければならぬかもしれませんが、例えば中国とのつい最近の首脳会談のときに、ソ連に対する考え方もお話し合いをしてまいりましたけれども、やはり日本とは完全に立場を同じくして完全に同じような方向を見ているというわけにはなかなかいかない点があったことも正直に申し上げますし、また、私はモンゴルの首脳とも話しましたけれども、モンゴルとソ連との関係というもの、そしてモンゴルが今考えておる自由化、民主化の方向はやはり同じですけれども、ソ連に対する考え方、その反応というものも、モンゴルとの首脳会談のときにもやや歴史的あるいはいろいろなきょうまでの背景から食い違いがあるものでございます。お隣の半島でも、日朝あるいは日韓の間でどのような考え方になるのかということもそれぞれ微妙な立場の違いがあると思います。 私は、アジアをまとめていくというようなことよりも、アジアの意見を聞きながら、こちらの意見もアジアに率直に聞いてもらいながら対処、対応することが大切だという基本に立って行動をしております。
○櫻井規順君 アジア諸国にメッセージを送りまして、アジアの諸国から日本に回答か呼びかけが何かあったでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 時間の関係ですべてを申し上げるわけにまいりませんが、御議論の例えば中国の場合でございますけれども、御存じのように、私どもからのメッセージの送達に対しまして中国側の立場は、本件についてはソ連の国内のことであり、ソ連の人たちがみずから解決すべきであるという一貫した立場であるということを説明した後に、いずれにいたしましても、中国とソ連との関係はこれまでの幾つかの共同コミュニケに盛られた原則にのっとって引き続きこれを発展させていきたい。いずれにせよ、中国としては、ソ連の国内情勢がどのようにこれから発展していくかということを注意深く見守っておるということでございました。 韓国でございますが、御案内のように、最近の韓国とソ連との関係は非常に目覚ましい発展があるわけでございます。それがゆえに、韓国政府としても、ソ連の情勢というのは非常に注意深くという以上に非常に憂慮を持って見ておりました。また、北朝鮮が一体どのようにこれに対応するかということも自分たちの関心事であるというようなことも説明がありました。そのような説明を受けましたし、今この時点におきましても、韓国の外務次官が見えて、外務省におきましてまさにこの問題について外務省の次官と意見交換が行われておるところでございます。 最後にシンガポールのお尋ねがございましたが、シンガポールの件だけをちょっと御説明いたしたいと思いますが、シンガポールはソ連の情勢の正常化を祝福し、と申しますのばゴルバチョフさんの帰還を得てのその後の状況でございますけれども、それを祝福し、いずれにしてもエリツィン大統領の勇気ある行動を非常に称賛したいということを申しまして、今後とも西側の特にG7の諸国が一丸となってソ連の民主化にぜひ協力していってもらいたいというような説明がございました。
○櫻井規順君 ヨーロッパを見るにつけ、外相会議を持ち、緊急首脳会議を招集するというような対応をしております。これは伝統も違うし、いろいろと条件の違いがあります。しかし私は、アジアにおいても緊急外相会議あるいは首脳会議、そうした呼びかけをむしろ日本がして、民主主義を守る、有事の場合に国際世論をつくる、力をつくる、そういうことが必要だということを指摘しておきたいと思います。 それから、一連の御答弁を聞いたわけでありますが、私ども国会は参議院公報があり、日々のことが全部議員に伝わってくる仕組みになっております。しかし、総理大臣がどういう談話を発表し、どういうことをしたかということ、そういうことは新聞で見ることが多いわけであります。これはひとつ、内閣の動きについてあるいは各省の動きについては国会議員にわかるような日報をお出しになることを御検討いただきたいというふうに存じます。 時間がありませんので次に進みますが、私は、今度のソ連の有事の事態を見まして、やはり平和、安全、経済の繁栄というものは、文字どおり経済的交流、文化的交流、人間と人間との交流というものが基本にあるということを痛感した次第でございます。 そこで、今春ゴルバチョフ大統領が来日をいたしまして十五の文書交換をされているわけであります。その中で、このクーデターを経て新しい体制に今移行しつつあるわけでありますが、主として私は、日本海を包むシベリア、極東と日本との連携ということに中心を置きながらお伺いをいたしますが、この十五の協定の中で一つは日ソ間の貿易に関する協定がございます。この政変を機に日ソ間の貿易についてどんな見通しを持っているか。これは盛んにしていただきたいわけでありますが、どんな考えか、通産。それから、同じく第四協定であります極東地方との消費物資等の貿易に関する交換公文、これがどのように具体的に実施をされどんな見通しにあるかということ。それから、漁業の分野における協力の発展に関する共同声明があるわけでありますが、これがどんな進展ぐあいになっていて、見通しがどうか。これは非常に盛んにしていただきたい問題でありますが、関係大臣から御答弁をいただきたいと存じます。
○国務大臣(中尾栄一君) ちょっとお話の内容を完全に把握したのかどうか自分で自信がないんですけれども、アジアと一口に言いましても、ASEAN全体という問題、あるいはまたアジアの問題……
○櫻井規順君 ソビエトですよ。
○国務大臣(中尾栄一君) そうでございますか。 極東の経済的な問題、そういう問題についてのお話だったかと思いますが、我が国そのものがアジアの一員であることはもう申すまでもないことでございます。同地域とりわけ地理的に近接いたしました日本海沿岸の、すなわち俗に言うところの環日本海地域ということの安定と発展というものは極めて重かつ大なものである、このような認識に立つものでございます。また、東西対立の終えんの後にこのような環日本海地域におけるシベリア、極東地域が属するソ連というものにおいての民主化あるいは市場経済化というものの著しい動きがなされておることは、先ほどから総理、外務大臣が御答弁になったとおりでございますが、また韓ソ関係の正常化というものもここのところ目覚ましく進展してきた事実であるということも、これまた頭の中に入れなければなりますまい。 そういう点では、今後各国との二国間関係の総合的な判断に立ちながら経済的交流の促進などを促していくということが私ども通産関係の使命ではなかろうかな、このように感ずる次第でございます。
○国務大臣(近藤元次君) お答えいたします。 日ソ間の漁業協力は、長期にわたっての両国の協力関係の柱に実はなってまいりました。両国の政府間の協定に基づく協力と民間ベースでの協力が行われてまいりましたけれども、このような状況を踏まえて、ゴルバチョフ・ソ連大統領の訪日の際に漁業協力について、お話のございましたように、首脳間の共同声明において取り上げられたわけであります。それに基づいて、六月に私が訪ソをしてソ連漁業大臣との間で、極東地域における両国の漁業関係が一層の発展をするための共同新聞発表をさせていただいたと」ころであります。 その後において、民間ベースでは、合弁等の日ソ間の促進を目の前にしてソ連の今問題になっておるような変化が実はございましたけれども、また再び正常化の状況の中で、合弁を含めて日ソの漁業交渉なり漁業の成果を上げていきたい、そう思っておるわけであります。
○櫻井規順君 もう一つ、質問通告してございますので外務省に。 ソビエトと中国と北朝鮮との間に流れています豆満江の河口の貿易港開発の問題が中ソ、北朝鮮、モンゴルでいわば学者グループで検討され、日本でもさまざまな動きがあるわけであります。この開発問題というのは環日本海の活性化という面で見て一つのポイントだというふうに思うわけでありますが、どんなふうにとらえているのか、プロジェクトとしてお持ちなのかどうか、御答弁願いたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どももただいま仰せの豆満江の地域の開発の問題については大変大きな関心を持っております。ただいま仰せのように、ソ連、中国そして北朝鮮が交わる地域の開発でございまして、この先行きにつきましては大きな関心を持っておりますが、大規模な工業団地をつくるとかあるいは経済特区をつくってはどうかというような考え方があるようでございます。他方、まだ考え方の詳細をこれから煮詰めるという段階だと承知いたしておりまして、それを経た上で日本としていずれ協力するかしないかという問題になり得るのだと思いますけれども、いずれにしても引き続き関心を持っていきたいと思います。 このように経済交流が盛んになる、そしてあの地域の緊張がより緩和される、緊張が緩和されたことによって経済交流がまた盛んになるということは大変結構なことでございまして、引き続き関心を持って見守っていきたいと思っております。
○櫻井規順君 総理にお伺いします。 実際民間のレベルでも、今北海道とサハリンといろいろな交流があります。あのクーデターの最中でもファクシミリが私どもの友人のうちに入ってくるというふうな状況があります。クーデターに勝利したときには万歳万歳というファクシミリが入っていたお宅もあるとのことであります。 私は、問題は、アジアというところはそれぞれ有事のような事態を抱えている国が多い。その中でもってPKOをどう準備するか、有事のための自衛隊派遣をどう考えるかというよりもより決定的に重要なことは、もう御案内のとおりでありますが、環日本海の経済、文化、アジア全体の経済、文化、特に私は、環日本海の際、極東、シベリアとの交流の大切さというものを痛感するわけでありますが、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 環日本海の関係を大切にしようという考え方は、私も基本的に同感でございます。 問題は、その隣接する両国間にまだ平和条約の締結がされていないということが非常に不自然な状況でありますし、また国交の正常化がまだ図られていない国があるということも非常に不自然な状況であります。同時に、そういった半島の全体を挙げての平和と統一のためにも今いろいろ努力もしていかなきゃならぬし、特にソ連との間においては、領土問題を解決して平和条約を締結して、国と国との信頼関係というものを本当に揺るぎないものにしていく努力をしなければ、信頼と友好関係に基づく経済特区の発展というものもやっぱり両輪のように拡大均衡で進んでいかなければならぬというのが私どもの基本的な考えでございます。
○櫻井規順君 今の特に環日本海の関連諸国との問題で、種田議員から関連質問をさせていただきます。
○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。種田誠君。
○種田誠君 今、櫻井議員の方から、アジアの外交問題また日本海を取り巻く経済問題などについての質疑があったわけでありますが、私はきょう午前の同僚議員の質問を聞いておりまして、総理、外務大臣にはアジアの人たちの声が届いていないのかな、今アジアでも世界の民主化の流れに乗ってまさに主体的な市民が人権や経済の自立、こういうことを真剣にまさぐっているときであります。まさに日本の戦後の責任処理をもう一度見直しをしなければならない。また、アジアの外交に関しても、このような大きな歴史の変化の中での変貌を遂げていかなければならない。こういう時期にあるわけでありますから、総理、外務大臣にはこれからの質問に対して新しい日本の外交政策を展開するんだというような視点でお答えをお願いしたいと思います。 私、八月十五日から八月十八日まで、幸いに衆参十一名の若手議員で韓国を訪れることができました。十六日には、盧泰愚大統領にお会いすることもできました。さらには、高麗大学の崔教授の司会のもとに、韓国の与野党の国会議員十一名、私どもも十一名、真剣な議論を展開してまいりました。たくさん学びました。そのことを踏まえましてお聞きしたいと思います。 まず一つには、総理に伺いたいんですが、八月十六日、盧泰愚さんにお会いしましたときに、私たち、ああそうか、帰ったらば真剣にやらなきゃいかぬなと思ったことがございます。盧泰愚さんの言葉の中に、「韓日の数千年の友好の歴史の中で、わずかな一時期の不幸な歴史をきれいに清算できないめは悲しい限りだ」、こういう言葉がございました。総理、この言葉をどのように受けとめますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今のお言葉は、確かに議員が盧泰愚大統領と交わされたお言葉だということの御報告でありますから、それは率直にお聞きしますが、私の立場で言わせていただくと、昨年盧泰愚大統領と私も東京で首脳会談をいたしましたときに、過去の歴史の反省に立って率直に私はおわびの気持ちも表明をしましたし、盧泰愚大統領は、そのような一時期の不幸な関係について歴史の正しい認識を率直に表明してもらったことについて自分は高い評価をする、過去のわだかまりを乗り越えて、これから日韓両国は未来志向の、アジアの中で平和を築いていく未来志向のパートナーとなっていかなければならぬということを自分は確認すると私に東京では盧泰愚大統領は言ってくれた。 そして、その基本的な立場に立って、それなれば日韓両国にわだかまっておる問題を言葉だけじゃなくて具体的に誠意を持って片づけようと。そこで、問題になっておりました在日韓国人三世問題についても鋭意努力をして詰めまして、ことしの一月、私が韓国訪問をするまでに大筋において全部きちっと解決をして、そのことを報告もいたしました。盧泰愚大統領にはそういったことも理解を願ったと思います。 同時に会談の中では、これで今後ともアジアの平和と安定のためにパートナーとなってやっていこう。そして、さらに一歩乗り越えて、朝鮮半島の平和のために南北朝鮮では首相級会談等を開いたりいろいろな努力をしておる。日本も、北の政府との関係は朝鮮半島の平和統一に役立つようにひとつ十分配慮して努力をしてほしいというようなやりとりまで重ねてきておりますので、私は、文字どおり、首脳会談で決めましたこれらの問題について未来志向に向けての共同作業を今後とも一層進めていかなきゃならぬ、このように受けとめております。
○種田誠君 それでは、外務大臣にお伺いいたします。 シンポジウムの中で、韓国の与野党の国会議員十一名が十一名、韓国の世論や裁判などの成り行きを踏まえまして日本に対して個人の人権侵害に対しての救済をお願いしたい、求めたいという発言がございました。そして、私どもが訪韓しております十七日に李相玉外務大臣がこのような談話を発表いたしました。先ほど外務省のアジア局長さんは前の方だけしか言わなかったんですが、後ろがあるわけであります。「韓国政府として、日韓の過去に関連した問題に対して、引き続き慎重に検討し、対処していきたい」、このように述べられております。このことについて外務大臣ばと一のように受けとめられますでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) そのときの李長官の御発言が今議員がお話しのようなことであったかどうか。そのとおりだと私は思いますが、昨晩、私は韓国の外務省を代表する外務次官と四十分にわたって委員会終了後会談をいたしたわけであります。その会談において、韓国政府としては日韓間に現在政府間の問題はありません、こういうお話でございますから、この私と韓国の外務次官との正式な会議の場の話を信用するといった以外に政府としてはほかの考え方で対応する考え方はございません。
○種田誠君 私は今、海部総理、外務大臣の見解は見解として賜りたいと思うんですが、この盧泰愚大統領さらには韓国の外務大臣の発言をまとめるならば、韓国政府として決して問題が完全に清算されていないというふうに受けとめざるを得ないんではないだろうかなと思うわけであります。先ほども外務大臣は、政府対政府の間においては一切問題はございませんというお答えでした。問題は、政府対国民の間において問題があったかないかということを、すべてこれを韓国政府と国民というふうにして解決してしまうのが果して正しいのかどうかということですね。 問題は、今日のように民主主義がグローバル化されまして、そして一人一人の市民の人権ということがまさに基になっての政治形態を展開していく、こういう時代だからこそ、もう一度一九六五年の日韓条約並びにそれに伴う協定書を私たちは素直に謙虚に見直す必要があるだろう、こう思うわけでありますが、総理大臣の御見解もしくは外務大臣の御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) およそ国家と国家の外交というものは、その国民によって選ばれた政府間の正式な代表団による会議というものが合意をし、その合意された考え方が文書として両国の言葉で確認をされ署名をされて初めてこれが発効するのでございます。 そのような手続を両国ともに正式なルートを通じて確認したのがこの一九六五年のお示しの我々二国間の問題の戦後の処理に関する公式な政府間確認でございますから、国民の中にはそれはなかなかその協定に御不満をお持ちの方もいらっしゃいます。韓国にもいらっしゃれば日本にもおられるかもわかりません。しかし、およそ民主主義の国家では、正式に選ばれた政府間が公式な国際条約にのっとって、その法規にのっとった二国間の外交交渉を通じてまとまったことによって両国の政府は合意をする、こういうことが国際慣例でございますから、そういうふうな基本的な問題を政府間で協議いたしました上は、両国の一人一人の方々の中に御不満がたとえあろうとも、それは政府間の合意事項ということで公式に外交的には確立された文書である、このように御理解をいただきたいと思います。
○種田誠君 それでは、今日、韓国はもとよりアジアの諸国においていまだ戦後清算が済んでいないということで、人権救済の視点からのこの民衆の声に対して日本政府はどのようにこたえていくというお考えでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 第二次世界大戦におきまして日本国がアジア地域の方々に大変な御迷惑をかけたということは、過去にこの国会の委員会の席で総理が日本政府として公式に御意見を述べられていることはよく御理解をいただいているところであります。しかし、アジア地域にはまだその国の政情の不安定な条件とかいろんな問題がある国があります。そういう国との正式な国交がまだ開かれでおらず、そういう国に対しては処理が終わっていない国も確かにございます。現在、御案内のように、日朝の外交交渉もこの月末の三十日、三十一日、北京で行うことが両国間で合意されております。 政府としては、誠意を持って国と国との関係を確立していく、そして問題を処理していく、こういう誠意を持った外交努力をやることによってアジア・太平洋における日本のこれからの信頼される国家としてのあり方というものを確立してまいらなければならない、こういうのが私の外務大臣としての考え方でございます。 戦後、振り返っていただくとよくおわかりのように、焦土の中から立ち上がった日本が、やはりアジアというものはそれぞれの国は貧しい国が多い、お互いに助け合うという考え方で、経済力が出てきた日本がこのアジア・太平洋地域には我々の経済協力の六二・五%を提供しているわけであります。また、ASEAN拡大外相会議を通じ、いろんな面でアジア各国との連携もいたしております。 ごらんいただくとよくわかるように、海部内閣が誕生して二年でございますけれども、東北といえばモンゴルから始まってインドに至るまでアジア・太平洋地域は海部総理がほとんど歴訪をされているわけでありまして、御案内のように、日韓の問題も解決しました。日朝も現在交渉しております。モンゴルも今回総理の訪問によって両国間の関係が確立しましたし、あわせて中国は名園に先駆けて日本が経済協力を再開したわけでありますし、カンボジア問題、ベトナムへの私の公式の訪問、こういうふうにいろんなことを考えていただきますと、日本政府はいかにアジア地域にその外交の力をつぎ込んでいるかということが十分御理解がいただけると思います。
○種田誠君 私も今外務大臣が述べられた一つのアジア政策に関して理解を示す部分は多々あるわけでありますが、問題は、日本のこれからの国際貢献にしても、さらにはまた日本のアジアにおける諸活動にしても、アジアの民衆の方々の理解をもらって、まさに大きな感謝の評価をいただけるような形でなければならないと思うわけであります。 大事なことは、この戦後処理の中で、西ドイツにしてもカナダにしてもアメリカにしても、最近においてはソ連も東ドイツも、民衆に対する一定の戦後処理という形を明らかにしてきているわけであります。私たち戦後生まれの者でありますが、正の遺産と同時に負の遺産も背負って、そして私たちもこれを一つののどに刺さったとげとしてはっきりしたけじめをつけて、そしてアジアに対する貢献策を展開していくことが私は今日本の外交に求められるんではないだろうかなと、そう思うわけでありますから、重ねてこの点について外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 政府間の問題は問題といたしまして、御指摘のように、確かに民衆の間に、例えば在韓の被爆者の方々への日本の協力問題が出ておりました。この問題も海部総理訪韓のときに大方の話し合いを私どもはつけたわけでありますし、また在サハリンの韓国人の母国訪問についても日本政府は協力をいたしております。 今年は、お示しのように、十二月八日で太平洋戦争を開始してちょうど五十年の記念すべき日を迎えるわけでありまして、日本政府といたしましては、この歴史的な時期に、アジア・太平洋を初め日本の戦火によって傷つき、家を失いあるいは家族を失った方々に改めて心からこの大戦への反省を明確にするとともに、今後アジア・太平洋に対する日本の協力を進めていく、このような考え方で現在対応をいたしております。
○種田誠君 最後に、ぜひとも今外務大臣が述べられたような視点でアジアの民衆の心をつかまえる外交をこれからも展開していただきたいと思います。 終わります。(拍手)
○櫻井規順君 とにかく、自衛隊の海外派遣の道を選ぶのではなくて、まだまだ有事に対する外交努力が足りないということ。日本がアジアを中心としてダイナミックな外交活動を展開することを願うものであります。 次に、証券問題に入らせていただきたいと思います。 最初に、私は大衆投資家という観点に立ってちょっと取り上げたいと思います。いわゆる法人投資家ではない個人投資家の株主教、それから株数、これの一九五〇年あたりの時点とそれから今日時点をとらえて、その比率はどんなぐあいになっていますか。それから、絶対数はどうなっておりますか。御答弁願います。
○政府委員(松野允彦君) 平成二年度、これは全国上場会社二千七十九社について見たわけでございますが、個人株主数は約二千五百六十万名、これは延べ数でございます。 それから、個人の持ち株比率は二三・一%というふうになっております。
○櫻井規順君 株主数は。
○政府委員(松野允彦君) 株主教はちょっと今手元にございません。今、調べまして。
○櫻井規順君 いわゆる自社株を持っている皆さんがいます。これは一千株以下の方も大勢いますけれども、自社株所有者を入れますと株主数の中でどのくらいのパーセントになるのか。株主数をお知らせください。
○政府委員(松野允彦君) その統計はございませんものですから、ちょっと私どもわかりかねますが。
○櫻井規順君 株主数のパーセントはわからない。
○政府委員(松野允彦君) 株主数のパーセンテージでございますか。
○櫻井規順君 全体の中の。
○政府委員(松野允彦君) 全体の中に占めます株主数は二千五百六十万でございますが、これは株主数では九五・四%を占めております。
○櫻井規順君 とにかく圧倒的な九七%近い、恐らく自社株を持っている社員の皆さんを含めますと大変な数になるというふうに思います。 それで問題は、大衆投資家のそもそもの原点は配当利回りというところに出発があったというふうに思うわけであります。我々が株、証券を論ずる場合に、やはり原点としてこの配当利回りということを基本に考えるべきだと思うわけでありますが、今日配当利回りというものはどんなぐあいになっているのか、それから配当利回りというものをベースに考えるということはもはや時代おくれであり、投機が一〇〇%であるという見解を大蔵大臣はお持ちかどうか、その辺の基本的なお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、投機が基本であるとは全く考えません。 そして、株式の配当利回りというお尋ねでありますが、近年低下傾向にありまして、今私が手元に持っております資料によりますと、平成二年には〇・四九%まで低下をいたしております。配当金に対しまして株価の水準が高くなり過ぎますと、まさに投資者におきましても配当金を期待するよりも株価上昇に対する期待感が強くなる傾向があるというのは委員の御指摘のとおりであります。この傾向が過度に強まりますと、市場が投機的に動くということもそのとおりであります。このため、健全な株式市場を保ちますためにも株式投資における配当の魅力というものを高めることが必要でありまして、当局として従来から企業が配当を決定するに当たりまして、投資家の利益、株式投資魅力の向上といった観点に十分配慮してほしい、考慮してほしい旨、発行体に要望すると同時に、打き受け証券会社に指導をいたしてまいりました。また、証券取引所におかれても、企業に対し配当政策の見直しについて要請しておられると承知しています。 委員の御指摘の方向が私は誤りだとは全く思いません。
○櫻井規順君 投機性が配当利回りからほぼ一〇〇%かけ離れまして、もはや投機一〇〇%の状況になっているのが今日の姿ではないかというふうに思うわけであります。 問題は、この小口投資家が現在株価低落の中でもってどういうふうに対応しているか、あるいは損失補てんに対してこの小口投資家がどんな状況に置かれているか。特に、それぞれ小口投資家が株を信用なり現物で買っているわけでありますが、今どういう現状になっているかということについて御答弁いただけますか。
○政府委員(松野允彦君) 詳しい状況につきましては個々の投資家によってさまざまだと思います。ただ、株式市況がこういう状況でございますので、確かに平成元年末のあのピークから相当下落をしております。個人投資家の中にはかなりの持ち株の評価損を抱えている方もございまするし、あるいは信用取引でやっているお客、個人投資家の場合にはその信用取引が評価損を持つ、あるいは期限が六カ月でございますので、期限が来たときにその評価損が実現するというような形になっているというふうに、それは市場の状況からしてそういうふうな状況がかなりあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○櫻井規順君 今お話のありました小口投資家が、現状ですけれども、もう株価低落で実損を払って解約をするケース、あるいは六カ月延長して損金を払って、追い証を払って継続をするケース、あるいは他の品受けのところへ転換していくケース、どういう対応が一番多くなっていますでしょうか。そして今日、小口投資家共通の証券行政に対して求めているものは何かということをどんなふうに理解されていますか。
○政府委員(松野允彦君) 今御指摘の個人投資家、特に信用取引をなさっておられる個人投資家がどういうふうに考え、どういうふうな対応をされているか。期限が来た場合に、御指摘のように、それを現物株として引き取る、あるいは決済をして損を実現させる、あるいはさらに信用取引を乗りかえるというような対応があるわけでございますが、私ども具体的にそれがどういうふうな割合で行われてどれが一審多いのかという点については、ちょっとそういうデータを持ち合わせないわけでございます。 いずれにいたしましても、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、私どもは個人投資家の証券市場への参加ということが証券市場の価格形成を公正にする意味で必要不可欠であるということで、株式保有魅力を高める、これは配当利回りを上げるということになるわけでございますが、発行者あるいは引き受け証券会社に対して、企業の利益からの配当の割合を示します配当性向をできるだけ引き上げて配当政策の見直しを行ってもらいたいという要請をしているわけでございます。
○櫻井規順君 ぜひ配当利回りというものが原点にあるということを理解され、それに現在の証券行政が近づくような指導を願って、私が小口投資家あるいはずっと地域地域の証券会社等からお話を聞いたことをもとにしながら、以下証券関係で質問させていただきます。 最初に、今日までの審議の継続の問題でありますが、日本興業銀行が大阪の女性料亭経営者に資金を融資したという金額は、系列銀行、ノンバンク系列を含めましてどのくらいの金額になるのか、御回答ください。
○政府委員(土田正顕君) 興業銀行からのただいま御指摘の女性に対する融資状況は、現在興銀から聴取しているところでございます。 この興業銀行の融資状況というのは、これは多少新聞や何かにも出ておりますが、なお落ちついた確定した数字ではございませんが、私どもが承知しておりますのは二百億円というふうに承知をしております。
○櫻井規順君 新聞報道と大分違うわけでありますが、系列、ノンバンクを含めまして千五百億とも言われるわけでありますが、二百億は大変な金額だと思います。これが日本興業銀行から融資されているというところに問題があるわけであります。 先般の議論の中でも、ちょっと大蔵省あるいは銀行局長の答弁、これは明らかにやはり日本興業銀行が従っております長期信用銀行法に反するのではないでしょうか。言うまでもありません。この銀行法に基づいて融資対象というものは極めて限定されているわけであります。どう理解しても長期信用銀行法とかみ合わないと思います。これは違反であるというふうに思いますが、いかがですか。
○政府委員(土田正顕君) 長期信用銀行法上、設備資金、長期運転資金の貸し出し及び預金の総額の範囲内での短期資金の貸し出しは、法人個人を問わず、長期信用銀行の業務として可能でございます。したがいまして、個人に対する貸し出しか直ちに長期信用銀行法上の各条項ないしはその趣旨に反するわけではないと考えております。
○櫻井規順君 これは何を担保にして貸したのか。そして、長期信用銀行法の融資目的にこれは明らかに反しているじゃないですか。もう一度質問いたします。
○政府委員(土田正顕君) 今のところを再度詳しく申し上げますが、この長期信用銀行は、当然、「設備資金又は長期運転資金に関する貸付け、手形の割引、債務の保証又は手形の引受け」を行うことができる、法律の第六条第一項第一号でございます。そのほかに第六条の第二項で、「前項各号に掲げる業務のほか、当該業務の遂行を妨げない限度において、設備資金及び長期運転資金以外の長期資金」、括弧内は省略いたしますが、「に関する不動産を担保とする貸付けをし、又はその受け入れた預金及びこれに準ずるものの合計金額に相当する金額を限度とする短期資金に関する貸付け、手形の割引、債務の保証若しくは手形の引受けをすることができる」と書いてございます。 それで、具体的な取引の経緯につきましては目下詳細調査中でございますが、興業銀行が売却いたしました債券担保、それから物によりましては若干その他の証券、不動産その他の担保もとってきたというふうに理解をしております。
○櫻井規順君 繰り返しになりそうですから、次に進みます。 年金福祉事業団の損失補てんといいましょうか利益補てんといいましょうか、この問題について質問をいたします。 この年金福祉事業団は、もう議論をしていますから経過は省きますが、自家運用額として一兆円を超す運用額があるわけでありますが、この運用に当たって投資顧問会社から助言を受けていたということですけれども、具体的にはどういう助言を受けていたのか御答弁ください。
○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団におきましては、まず基本的には、各運用対象の投資顧問会社に対しまして年金福祉事業団の基本的な運用方針を説明いたしまして、その後、年間あるいは四半期ごとの運用計画につきまして基本的な助言ないしはヒアリングを行いますとともに、個別の売り買いにつきまして、銘柄、価格、数量あるいは売買の別等につきまして助言を受けましてみずから証券会社に対して売買を行う、こういう形になっております。
○櫻井規順君 具体的に年金福祉事業団が国債に実際に運用した金額ですね、国債の件数。いろいろお利率の変化で日々価格が変動しているわけですけれども)どの程度の回転をさせているのかということを、できれば月の単位で結構ですけれども、御答弁ください。
○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団におきましては株式はやっておりませんで、国債、公外債、預貯金、社債その他につきまして扱っているわけでございますが、六十二年度以来行っておりまして、毎日の取引も相当多うございますので、全体の回数等につきましては、大変申しわけございませんが、ただいま手元に資料を持っておりません。 ただし、平成二年度におきまして、そういう国債も含めまして全体の自家運用額としましては一兆二百三十億円でございます。
○櫻井規順君 この運用額の中で、一九八七年、八八年、八九年と二百九億円の運用益を事業団は得ているわけであります。いわゆる損失補てん額というのはこの期間の金額でありますが、この二百九億円というのが正しいかどうかが問題ですけれども、この運用益の中に計算されているのかどうなのか御答弁ください。
○政府委員(加藤栄一君) ただいまお話のありました期間、六十二年度から元年度までに二百九億円の利益を上げております。これは利差益でございまして、純粋な利益でございます。その中に、国税当局で更正決定の対象になりました五十三億円というものが含まれております。
○櫻井規順君 年金福祉事業団は、とにかく元本が保証された債券にだけ投資できるわけでありまして、実際にはかなりの運用益を皆さん頑張って上げているわけであります。しかし、それにもかかわらず損失補てんということは、どういうからくりになっているんですか。
○政府委員(加藤栄一君) 私どもの方では損失補てんという定義をしているわけではございませんので、純粋に国語的な意味からいえば、損失がありましてそれに対する補てんをするというふうに考えられるわけでございますが、年金福祉事業団について私どもの立場から考えますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、収益を上げております。また、五十三億円というものを引きましてもさらに収益が残るわけでございますので、損失があってそれを補てんするということではございません。 私どもといたしましては、年金福祉事業団といたしましても高齢化社会を控えまして将来の年金財源を幾らかでもふやそう、こういうことで一生懸命やっておりますので、それに対応いたしまして投資顧問会社の方にもできるだけの努力をお願いしておりまして、その結果、成績をさらに上げる。また、国税当局の方の指摘等も証券会社の方から聞きますと、むしろある特定の損失を埋めるということではなくて利益を提供した、対象の証券会社の方で損失として計上されたものがむしろ年金福祉事業団に対します利益供与というふうにみなされまして更正決定を受けた、こういうふうに理解しております。
○櫻井規順君 それでは、なぜ補てんされたのか。これは新聞も損失利益補てんと書いている。これは利益補てんだろうと思うんですが、なぜ補てんをされたのか、そこを解明してください。
○政府委員(加藤栄一君) したがいまして、そういう国語的な意味からいうと損失補てんじゃないんですが、こういう利益を供与したということにつきましては、私どもは事前にも事後にもそういういわゆる補てんをお願いしたということはございませんし、事後的に当時の指摘されております期間の国債取引を調べましても、東証の自己ルールでございます東証の取引価格の上下二%の範囲内にはおさまっておりまして、また実際にはいずれも幅としましては大部分が〇・五%以内におさまっております。最大のものでもせいぜい一%程度のものが一例ほどあるという程度でございますので、私どもの方といたしましてそういういわゆる補てんがあったということについてこちらの側から解明するとか、あるいはそういうものを認識するという期待可能性がないということで御説明しております。
○櫻井規順君 これは時間がないから結論を私言いますと、野村証券と一体になった投資顧問会社と福祉事業団が次のような約束をしているんじゃないですか。資金運用部の借入利率よりも一または一・五%上回る利差というものがこの資金運用の目標だという確認がなされて行われた。その利差が保証されないがためにこの補てんというものがなされたんではないですか。いかがですか。
○政府委員(加藤栄一君) 投資顧問会社との間に投資顧問契約を結んでおりますが、その契約の中にはもちろん目標利率、利回りというものは記載されておりませんし、仮に投資顧問会社の助言を受けまして収益が上がらなくてもそれは投資顧問会社の責任ではないというふうに明定されております。 また、一ないし一・五%コストよりも高くするということにつきまして約束をしたということはございません。ただ、私どもは平常、そういう預託利率よりも一ないし一・五%の高い収益といいますか、そういう収益を得ることが望ましいということは公的年金資金の運用全体としては表明しております。
○櫻井規順君 利益補てんをされたことは認めるでしょう。そして、その補てんされた原資というものは何だというふうに理解しますか。
○政府委員(加藤栄一君) 私どもの方から見た限りにおきましては通常の取引をしたというふうに認識しているわけでございます。また、その原資につきましては、私どもの方ではそういう証券会社の方の経理というものまで存じ上げないわけでございます。
○櫻井規順君 少なくとも福祉事業団の自家運用額、これはもう福祉事業団自身が投資顧問会社の助言を得ながら自家運用をしなければならない法律的な枠があるわけであります。そういう面からいきますと、今の回答は非常に無責任であります。 こういう点はいかがでしょうか。一兆余の運用額を持っているわけでありますが、この福祉事業団の自主運用体制といいましょうか、その事務局体制というものはどのくらいのメンバーで構成されているんでしょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団におきましては、現在運用に当たっております部は公的年金資金全体を扱うものとしては部長以下二十名でございます。その中にいわゆる自家運用に直接タッチしております課がございまして、これは課長以下五名ということでございます。
○櫻井規順君 一兆二百三十億円ですか、この運用額をとにかくこれは自家運用するという責務を負わされた資金運用事業部。とりわけこの自家運用体制がこういう五人でなされている。それならば、その五人というのは相当なエキスパートだと思うんですけれども、どこから派遣されている方ですか。
○政府委員(加藤栄一君) 五人のうち、厚生省におりました者が二名と、それから事業団の者が三名、こういうことになっていて、いずれもしかし現在事業団の職員でございます。
○櫻井規順君 厚生大臣にお伺いします。 これは高齢化社会を迎えて財源をつくる熱意は買いますけれども、それが大衆投資家を含んだところのその手数料を原資としたそれでこの事業団の自主運用がなされているということについては、どう見ても間違いだというふうに思うわけでありますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) 今のお言葉の中にありましたように、年金福祉事業団が貴重な国民の年金の資金をお預かりしているわけでありますから、その立場においてこの長期安定的な運用をするということで、限られた範囲で、すなわち自主運用が公社債、預金に限定されておる、その中で安全な運用に心がけてきた、こういうことでございます。したがいまして、今まで過去の実績を見ますと、この実績の中では大きな赤を出したことはございません。しかも、小さい利幅をうまく転がしながら先ほど御指摘ありましたような期間の二百億を超える純益を上げている。こういうことでこの資金運用に寄与しているわけでございます。 お尋ねの、その裏に今おっしゃったように証券会社の方において利益供与があったんではないかというお話でございますが、これは再三私はこのところで申し上げましたように、まず第一の損失補てんということはない行けでございます。これはもう理解していただきたいと思います、損失がないんですからね。
○櫻井規順君 利益補てん。
○国務大臣(下条進一郎君) そうですね、そういう言葉になると思います。ですから、年金事業団の方の損失はなかった。その補てんはないと。 しかしながら、今のように、証券会社の方においてやはり国民の貴重な年金を運用するということを理解し、そしてまたこれだけの事業に対する理解と協力ということで、それぞれ玉のはめ込み等について自分の計算の中で税務の方で否認されるような損失を立てて結果的にそれがこちらに対する利益供与になった、こういうことは言えると思います。だから、それがいかなる原資によるかどうかは我が方ではこれはタッチできない分野でございます。
○櫻井規順君 時間がありません。次の問題に移ります。 日本の四大証券のアメリカの会社に、支社といいましょうか、アメリカのSECから公開質問状が出ていることについて、大蔵大臣、御存じでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 概略存じておりますけれども、正確には事務方からお答えをさせたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) アメリカのSECから四大証券のニューヨークの現地法人に対しまして資料提出要求が出ております。その趣旨は、一つは現地法人がアメリカの市場で損失補てんをしていなかったかどうか、さらに本社の損失補てんに関与していなかったかどうかというような点を中心にしてSECが資料請求をしているという報告を受けております。
○櫻井規順君 それは野村証券を初め四大証券はどう処理されていますか。そして、大蔵省はどう対応されていますか。
○政府委員(松野允彦君) 各証券会社の現地法人は、今申し上げたようなみずから損失補てんをしている、あるいは本社の損失補てんに関与したことはないというレターをSECに出し、必要な資料の提出を始めております。私どもとしては、この件はアメリカ市場における損失補てん行為についてSECが調査をしているということでございますので、それは証券会社の現地法人とSECとの間の話し合いといいますか交渉に現在ゆだねて見守っている状態でございます。
○櫻井規順君 この四大証券に対するSECの対応が日本の証券本社に発展する可能性、さらには国際的舞台における日本の損失補てんのシステムからして、SECの今後の調査が全体に広がるという動きについて大蔵省はどんなふうにとらえているか、御答弁ください。
○政府委員(松野允彦君) 現在のところ、SECから私ども大蔵省には直接アプローチはございません。今申し上げたような観点で、アメリカ市場における取引について調査をしているわけでございまして、それに必要な限りにおいて本社と現地法人との関係というようなものもSECが調査をするということは考えられるわけでございますが、現在のところは今申し上げましたように、SECが独自に調査をし、我々が見守っているという段階でございます。
○櫻井規順君 時間がなくなりましたので、証取法の改正案を含めまして、そして損失補てんを含む一連の不祥事について大蔵省の対応、政府側の対応を早めていただきまして、この問題が一日も早く解決することが証券業界、大衆投資家の立場に立っても必要でございますので、参議院の証券特別委員会には証取法の改正法案が大蔵省として出される、ように希望いたしまして、質問を終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で櫻井君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 質問に先立ちまして、雲仙・普賢岳の噴火によります被災地の皆様方にお見舞いをまず申し上げます。 そこで、ここで伺いますが、こういうときに障害を持った方々とかあるいはひとりでは避難できない方、難病の方、高齢者の方、特に施設や病院に入っていらっしゃる方々、ひとり住まいの方、在宅で介護を受けていた方々、こういう方々が現在どのようになさっていらっしゃるのか。視覚障害、聴覚障害、さらには知恵おくれの方々に対する情報の提供などは万全なのか。また、避難地域の共同作業所などが安全地域で再開しようとする場合などさまざまな費用が必要となります。こういう場合に、一般と同様の手当ての活用ができる制度があるのかどうか、以上三点についてまずお伺いします。
○政府委員(末次彬君) まず、施設に入所しておられる方の状況につきまして御説明いたしますと、今回の災害によります警戒区域内に所在する社会福祉施設は、特別養護老人ホームが二カ所、精神薄弱者の更生援護施設、通勤寮及び福祉ホームがそれぞれ一カ所、養護施設が一カ所、計六カ。所でございます。その入所者は全体で二百九十三名でございまして、これらの入所者につきましては、警戒区域の設定に伴いまして区域外の他の同種の施設等に分散して避難をしていただいております。 また、警戒区域内の在宅の要援護者は、平成三年八月二十六日現在で、ひとり暮らしの老人の方、この方は六十五歳以上の方でございますが七十六名、寝たきり老人の方、これもやはり六十五歳以上の方が十八名、一、二級の重度身体障害者の方が百十六名おられまして、こうした方々につきましては集団生活を行わなければならない避難所では不便でございますので、それぞれ応急仮設住宅、公営住宅等に避難していただいているところでございます。 それから次に、視覚障害、聴覚障害者等の方々に対する情報提供の問題でございますが、この点につきましては長崎県を通じまして島原市及び深江町に対しまして、こうした方々に対する情報伝達に十分配慮するように指導いたしております。島原市及び深江町におきましては、福祉事務所、身体障害者相談員と連携をとりながら、町内会長、避難場所の責任者を通じまして、視覚・聴覚障害者等の世帯に災害情報につきまして確実に情報が伝達されるように配慮されております。 なお、島原市、深江町とも視覚障害者及び聴覚障害者の単独世帯は存在しておりませんで、すべて健常者との同居世帯でございます。 それから、三点目の小規模作業所の問題でございますが、小規模作業所につきましては、これは既存の施設を利用して少人数の障害者等を対象に事業運営を行う者につきまして、その運営の実態を考慮いたしまして運営費の助成を行っております。避難し、移転された場合でございましても、適地において事業が継続して実施されるということでありますれば、引き続き助成を行うことといたしております。
○下村泰君 今のお話はほとんど新聞記事と同じなんです。中にはケースワーカーの方が毎週来てくださっているんですが、その方が来ないためにもう私はだめだと思いながら、どうせ年が年だから、六十九だというけれども、私と同じ年ですが、その方はもうどうでもいいんだというふうな気持ちになっていたときに、あのドカーンという音を聞いた瞬間にはやはり家財道具で一番大事なものをしっかり握った、こういうような感想を漏らしている方がいらっしゃるんです。ですから、いわゆる東京にいて何だかんだと言っている方と現地にいる方とは全然大きな差があるということですね。ですから、どうぞひとつ万全な施策を施してください。 七月三十一日、中央心身障害者対策協議会から「「国連・障害者の十年」の最終年に当たって取り組むべき重点施策について」の意見具申があり、八月二日には総理府の障害者対策推進本部が重点施策を決めました。その経緯と重点施策について御説明願いたいと思います。これは官房長官ですかな。また、総理にはその決意をお聞かせください。
○国務大臣(坂本三十次君) この七月三十一日、中央心身障害者対策協議会より最終年に向けての意見書が提出をされまして、八月二日、関係十九省庁から成る障害者対策推進本部会議、本部長は総理であります。ここで、今般の意見具申を十分尊重し、これを踏まえて最終年に向けて施策の推進を図るという旨の方針を決定いたしました。障害者の自立と社会参加のために一層の施策の推進に努めてまいりたいと思っております。
○下村泰君 その内容についてひとつ御説明願えませんか。
○政府委員(末次彬君) この御答申は、平成四年が国連障害者の十年の最終年でございますところから、この十年を締めくくるに当たりまして特に取り組むべき重点施策について御意見をいただいたわけでございます。 基本的な考え方といたしましては、障害者に対する長期計画、これは昭和五十七年三月に策定されております。その後に、後期重点施策、これは六十二年六月に策定されたわけでございますが、この両計画あるいは重点施策につきまして、各部門におきまして着実な進展を見ているという御評価をいただいております。 最終年に当たりましては、リハビリテーションあるいはノーマライゼーションといった理念を基調にいたしまして、完全参加と平等という目標を国民の間に一層定着させるとともに、第一に国連障害者の十年を記念する事業を実施して、施策の一層の進展の契機とする。第二に、住宅、建築物、公共交通機関における障害者のアクセスに配慮した施策、障害者の住みよい町づくりの推進等、こういった事業も必要であるというふうに述べられております。 特に重点的に取り組むべき課題別施策といたしまして、教育育成につきましては、心身障害児に対する教育、療育の充実。雇用就業につきましては、障害者の雇用率の改善を図るために企業への指導体制の整備を進めるとともに、事業主に対します障害者の雇い入れ指導を強力に実施すること。福祉につきましては、在宅サービス、障害者の社会参加のための施策の充実、さらに精神障害者社会復帰施設の整備、助成等の精神障害者対策の推進。生活環境につきましては、建築物につきまして建築設計標準等指針の見直し、障害者の利用に配慮した整備改善を誘導するための助成制度の推進、公共交通機関のターミナル施設のエスカレーター、エレベーター等の設置の推進、テレビ放送におきます音声、字幕放送の増加等々、こういった全般的な施策についてさらに一層推進するようにという意見をいただいているところでございます。
○下村泰君 ありがとうございました。この間のように、車いすに乗った方がエレベーターの中に閉じ込められた、ああいうような間抜けたことのないようにひとつお願いしたいと思います。 ところで厚生大臣、六月二十一日から七月一日にかけて訪米されたそうで、国連のデクエヤル事務総長と会談されて、その際、国連障害者の十年についてもお話し合いをなされたと伺っておりますけれども、そのあたりをひとつ詳しく聞かせていただけませんか。
○国務大臣(下条進一郎君) 委員御指摘のとおり、六月の下旬にニューヨークの国連本部へ参りまして、デクエヤル事務総長とお会いしたわけでございます。そのときに、ちょうど国連の方でも障害者の十年につきまして関心を持っておられましたものですから、その問題につきまして、日本で今までとっておりました障害者の施策、ただいま局長からお話しいたしましたようなものをまとめましてお話しいたしました。また、世界的にこの運動が盛り上がっておりますので、そういう問題についてのデクエヤル事務総長の御意見などを拝聴したわけでございます。 ただ、あと残すところわずか一年余でありますけれども、やはり我が国としてもまだまだ積み残しのものがたくさんございますので、これから精力的に、しかも今の重点項目の中で何としても優先しなければならない問題については、厚生省としてもあるいは関係官庁としても協力してその目的の実現に努力してまいりたいと、このようにお話をしたわけでございます。 なお、この会談のときの一番最後に、私の方から、この国会であるいはまた世論でいろいろ問題になっておりますが、国連の常任理事国に日本がなっておりませんものですから、いろんな不便がありますので、この点については国民の強い世論あるいは国会の討論でそういう要望が強く出ておるということを特に事務総長にじかにお話をしておきました。 以上でございます。
○下村泰君 確かに積み残しの方が多過ぎるんですよ。今、厚生大臣がああいうふうなお話でございました。 ここで、各省庁の障害者、難病児者への基本的認識を伺いたいと思うんです。この間のああいったエレベーターの中に閉じ込められるというような一件もございましたし、それから最近の建築物で車いすの方々が利用しようとしても利用できないというようなところが多過ぎるんです。ここでいろいろと皆様方に御意見を伺っても、必ずああするこうするというお話だけは伺うんですけれども、むしろそれに対する満足感を得たというようなお答えは返ってこない。いまだに皆様方に対する厳しい御注文しか返ってこないんですよ。 そこで、労働、文部、運輸、建設、通産、自治、郵政、そして国連の決議なんですから外務大臣にもお伺いしたいと思います。各省庁、皆さん全部お答えください。
○国務大臣(小里貞利君) 国連障害者の十年、この最終年、先ほどお話がございますように、平成四年に向かいまして、先ほど官房長官より説明ございましたような政府としての方針が示されました。私どもは雇用の立場からこの方針に沿いまして鋭意努力を展開いたしておるところでございますが、二つだけ申し上げておきたいと思います。 その一つは、先ほどの説明の一項にもございましたように、雇用率を厳正に運用すること。これはもう先生御承知のとおり、法律、制度等できちんと一定の水準が示されておりますから、これを厳正に実施していただくべく強力に督励をいたしておるところでございます。 それからもう一つは、強度な障害者を雇用するための方策、これらにつきまして、決して既成の制度として十分ではございませんので、平成四年度に向かいましても、目下予算概算要求の作業が始まったところでございますが、新規の施策等もこの中に重点的に織り込みまして交渉中でございます。 以上でございます。
○国務大臣(吹田愰君) 私の方で今いろいろと考えておりますことは、特に障害者の方々に対して、あるいは老人に対しまして火災等の問題が起きたときの対策等があります。これは調べてみますと、平成元年の災害における火災関係ですけれども、死者が千三十五名でありますが、その中でも六十一歳以上の高齢者、幼児あるいは病気または身体不自由児者が五六・六%を占めておるというようなことから、これに対しましては重点を置いて考えていかなきゃならぬということで、地域防災計画、総合防災訓練あるいは障害者に配慮したものによるいろいろな指導、そういったものを行っているわけであります。特に自治省としまして、あるいは消防庁としまして、地方債あるいは交付税、こういったものを活用しまして、防災まちづくり事業としましてこれらに援助を加えていく、財政的な配慮を加えていく、こういうことで頑張っているわけであります。 特に、この災害弱者緊急通報システムの推進を図っているということの中に、障害者にワンタッチで作動するペンダントを配付しておりまして、このペンダントの緊急通報を受信した消防機関が直ちに緊急自動車を出動させる、こういったシステムも講じておりまして、平成三年度から二十五団体に対しまして五億円の財政的な措置をとる予定でおります。こういったことで、我々としましては最大限の努力をするということ、これが一つであります。 もう一つは、平成五年度から養護老人ホームや身体障害者の入所する更生施設等が都道府県から町村に移りまして、今まで市はやっておりましたけれども、町村は県がやっていたわけですが、これが町村に移譲されました。そういったことから、住民に最も身近な第一線の市町村が福祉の事業を主体性を持ってやっていこう、こういうことであります。これに対しまして自治省としましては、一般財源所要額について地方交付税でこれらに適切な財政援助を加えていく。こういったことで十分関係市町村がお困りにならないように配慮する、こういうことにいたしております。
○国務大臣(大塚雄司君) 障害者の方々に安全で快適な生活を確保するような住宅の確保、それからまた町づくりを進めていくことは非常に重要だと考えております。 特に具体的には、心身障害者同居世帯に対する住宅金融公庫の割り増し融資、あるいは公営や公団住宅での設計上の配慮や優先入居、また官公庁施設へのスロープの設置、道路などの整備に際しましては歩道の段差の切り下げ、また有料道路の通行料金の割引の実施等々、各般の施策に対しまして配慮をいたしておるわけでございます。 特に心温かな配慮をしながら進めてまいる所存でございます。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。 意見具申におきましては、軽度心身障害児に対します教育の充実、また早期療育あるいは教育等の充実などの施策を推進することとされております。 文部省におきましては、この意見具申及び後期重点施策に示されている事項につきましてはいずれも心身障害児に係る重要な教育施設として推進してきているところでありまして、今後とも一層の充実に努めてまいりたい。私も、大臣就任早々一番先養護学校を視察してまいりました。 いろいろ御配慮をいただきます。
○国務大臣(村岡兼造君) 運輸省といたしましては、安全で負担の少ない方法で公共の交通機関を利用できるようにいたしております。 先生御承知のとおり、現在、全国でJRの駅が四千六百八十九ございますが、身体障害者用のトイレの設置は五十年度末には二十六でございましたが今現在二百八十二、あるいはエスカレーターは五十年度末三十六でございましたが百五十八、御指摘のございましたエレベーターでございますが、五十年度末九カ所が百四でございます。いろいろ事業者の方に指導いたしておりますけれども、用地の問題あるいは費用の問題で大変難儀もしていますが、年々ふえている。 エスカレーター、エレベータのガイドラインを五十八年につくったんですが、この前熊谷駅で閉じ込められた問題につきましては、ガイドラインを決める前のことでございまして、大変御迷惑をかけました。今後あのようなことは絶対ないように、JRの方でも鉄道員が案内をする。実は東日本に八十ぐらいエレベーターがあるわけでございます。そのうちの七十ぐらいがまだ高いような状況になっておりまして、近々どうするかということも報告を求めまして善処してまいりたい。障害者の方々ができるだけ利用できるように、多くの駅があって大変でございますがやっていきたい、こう思っております。 以上であります。
○国務大臣(関谷勝嗣君) 郵政省といたしましては、各種サービスの提供に当たりましては、障害者の方々が障害を持たない方と同様に生活し、また活動ができますように十分に配慮をいたしておりますが、なお今後とも障害者対策推進本部の決定に従いまして積極的に取り組んでまいる考えでおります。 具体的な例といたしますと、郵便局舎の出入り口の段差の解消あるいはまた自動扉の設置などは昭和六十年に全部完了をいたしております。それから、身体障害者の方々のための机を特別に配置いたしております。それから、これは今年度からでございまして少しおくれましたが、全郵便ポストへの取り集め時刻の点字の表示を始めております。それから、郵便貯金の内容及び簡易保険契約内容の点字の通知、これはもう現在既に行っております。それから、目の不自由な方のための郵便はがきは平成一一年度から発行いたしております。そして、局員の方でございますが、点字が読める職員の養成をことしから始めておりまして、約千三百名養成をいたしております。 それからまた、これは前回先生に御指示いただいたことで、先生先ほどおっしゃられました、やるやると言ってやらないということでございますが、ことしからやっておりますが、寝たきり独居老人等に対します年金配達のサービス、それから居宅払いの実施を行っております。 一方、テレビ放送におきます場合は、耳の御不自由な方のための字幕の放送、それから目の御不自由な方のための音声多重による解説放送等を増加するように、そういう番組をふやすように鋭意努力をしているところでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 外務省といたしましては、国連総会あるいは国連の経済社会理事会等におきまして、障害者問題について積極的に今日まで討議に参加をしてまいりました。また、国連障害者十年の基金、これにつきましては日本政府として今日まで五十万ドル拠出をいたしておりますけれども、今年もさらに十万ドルの拠出をいたす予定でございます。 なお、この十年が終わりました後、国連総会等におきまして評価が行われると思いますが、今後の身体障害者の方々のための国連における議論には、日本政府としてもこの十年の経験を踏まえて積極的に参加をしてまいりたい、このように考えております。
○下村泰君 どうもありがとうございました。 外務大臣は、大変多額な申し入れが外に対してございました。本当だったらそれを国内に向けていただきたいところなんですけれども。 そうなりますると、今各大臣にいろいろとお聞きいたしました意見、一番渋いのは大蔵省なんです。今一番証券問題でいじめられて針のむしろだとは思いますけれども、とにかくやることはいっぱいあると思います。私も二年間大蔵委員やらせていただきましたが、大変大蔵省の方は障害者問題に対しては渋いんでございますけれども、今こうした各省庁の御意見がまとまって予算要求になったときはどういうふうな態度をおとりになるのか、お聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 障害者対策というものを今個別に各省庁からお述べになりました。恐らくそれぞれにおきまして来年度の概算要求の中に盛り込まれて八月三十一日に提出をされるものと心得ます。 確かに、今委員が御指摘になりましたように、年度末百六十八兆円になんなんとする国債残高を抱えており、利払い費が二割を超えている今の国家財政の状況をよく御承知の上お尋ねになっておられることと思います。 私どもとして、今までもこうした問題について誠心誠意要求側と御相談をしながら予算編成をしてまいったつもりでありますが、今後とも真に必要なものに対しては十分対応していけるように、ただし、それは不要不急のものはできるだけ減らしていただくということとの見合いでありますけれども、できる限りの努力をしてまいりたいと思います。
○下村泰君 大分お疲れのようなお顔色ですね。お体大丈夫ですか。余り情けない顔しないでください。 このポスターはどういうポスターか御存じでしょうか。(資料を示す)総理、御存じでしょうか、これ。見たことございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) それは、たしか国民の休日のためにいろいろアピールしていらっしゃるポスターであろう、こう考えております。
○下村泰君 はい、それこそ楽しくやればピンポンというところなんですけれども、これはグッピーという名前がついているんです。十二月九日が障害者の日なんです。ピーは恐らく平和のピースのピーだと思うんですけれども、グッピーという名前がついている。何とかして障害者の日と言われている十二月の九日が休日にならないだろうか、祝日にならないだろうかという願いを込めてのポスターなんでございますけれども、これは先月、国際障害者年日本推進協議会が決めた障害者の日、十二月九日を休日にしてくださいというためのイメージキャラクターなんです。もう三年も前から四回ほど私お願いしているんですけれども、なかなかまとまりません。 そこで、十二月九日障害者の日を政府としてどのような意義があるとお考えになっているのか、まずこれが一つ。二つ目が、この障害者の日に関して国民に対してどのように働きかけをすべきだとお考えになっているのか。三つ目に、具体的に現在どういう対応をしているのか。四つ目は、休日にできないか。以上で、官房長官、ひとつお答えください。
○国務大臣(坂本三十次君) まず、障害者の日の意義でありますが、これは国民の障害及び障害者に対する理解と認識を深めるための重要な日であるということでございましょう。 どんな働きかけをしておるかということでございますけれども、障害者の日を中心にいたしましてテレビその他マスコミ媒体を通じて啓蒙、広報に努める。そして、毎年十二月九日障害者の日には記念の集いを東京で開いておる。なお、障害を持つ人、持たない人の相互の心の触れ合いをテーマとした心の輪を広げる体験作文を広く国民から募集して、そして最優秀者には表彰を行っておるというようないろいろ働きかけもいたしております。 行事とおっしゃいましたけれども、障害者の日記念の集い、障害者の日十二月九日におきまして、広く一般の皆さんの御参加を得て、まず記念講演をやる。それから、障害を持つ人、持たない人相互の心の触れ合いをテーマとした体験に基づく心の輪を広げる体験作文の優秀者の表彰を行う。そのほか、ポスター、テレビ等のPR、啓発を行っておるということであります。 私も、昨年十二月九日に出席をいたしました。行って非常に感心したのは、障害があっても非常に明るい雰囲気の方々が多い。立派だと思いまして非常にけなげな感じがいたしました。非常に感銘を受けたことを今思い出しておりますので、ますます今後施策の推進に努めてまいりたいと思っております。 ところが一番最後の、十二月九日を祝日にせよということでありますけれども、現行の祝日法では、国民こぞってお祝いをする、そして感謝をする、そして記念をする、これを祝日にするということになっております。これが法の趣旨であります。その趣旨に照らして、またよく慎重に検討しなければならないなと思っております。我が国の祝日はこれで先進国では一番多い方にも来ておりますし、それから今、障害者の日を祝日にせよとおっしゃいますけれども、そのほかにもメーデーをしろとか海の日をつくれとか大分、六つ、七つもございましてなかなか取捨選択が難しい点もございますし、経済活動に影響もございますので慎重に今後とも検討をしていく、こういうことでどうぞよろしくお願いをいたします。
○下村泰君 いや、それでなくても日本人は労働時間が多いというんですからちょうどいいんじゃないんですか。しかも、世界でやってなければ世界に先駆けるということもありますから、よろしくお願いします。 さて、次は骨髄バンクですけれども、今年度、予算がつきまして来年度の概算要求でも増額され、いよいよ本格的にスタートするんだなと思いながら、初めてこの問題を取り上げた四年前を思い出します。担当の課さえはっきりしていなかったんです、厚生省に。それからの患者、家族、そして厚生省、政府の努力、これはもう心から感謝を申し上げます。 ただ、問題はこれからです。実際に稼動し、多くの人々の生命が救われなければ意味がないわけなんですが、六月には骨髄移植対策専門委員会の中間報告が出ました。今後のスケジュール、段取りについて、患者、家族の方々にわかるように御説明願います。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 先生も御承知のとおり、骨髄移植というのが白血病でございますとか再生不良性貧血の有効な治療法である、こういうことでございますので、私ども、平成三年度中には骨髄提供者の白血球の形、HLA型と申しておりますが、の検査や登録を行う骨髄データバンク事業を日本赤十字社の協力を得て実施することといたしております。それからまた、骨髄提供者の募集や事故補償あるいは骨髄提供者及び移植の希望患者に対しますコーディネートと申しますか、調整というようなことの事業を現在設立準備中の骨髄移植推進財団、仮称でございますが、そこに実施させることにいたしております。 今後の具体的なスケジュールについてお尋ねでございますが、この財団をできるだけ早く設立させまして、もう既に設立の発起人会が行われておりまして、後、準備は進んでおりますが、年内にはドナーの募集を始めることができるものと私ども期待いたしております。 厚生省といたしましては、実際の骨髄移植をコーディネートする際のマニュアル、御承知のようにインフォームド・コンセントがいろいろございまして、いわゆる提供者の方々にいろいろ御説明しなきゃならぬ、あるいは同意を得るというようなことも必要でございますし、また民間骨髄バンクのデータの活用方法等につきまして、これも専門家のところで検討いたしておりますので、骨髄バンクの円滑な運営が推進されますように今後も努力をしてまいりたい、このように思っております。
○下村泰君 そうしますと、具体的なドナーの、提供者の募集の仕方あるいは賛同を得るためのいろいろな方法、そういうものはまだ具体的に決まっていないわけですか。
○政府委員(寺松尚君) 先ほどお話し申し上げましたように、検討会でできるだけ早く検討した結果でそのようなマニュアルの作成とかをお願いしてございます。近く出る予定になっております。
○下村泰君 これは大変急ぎますので、よろしくお願いをいたします。こうして話をしている間にもこの病気で亡くなっていく方がいるんです。それが現実なんです。 先日来、そういう患者の家族の方々とお話をしましてなるほどと思ったことがあるんですけれども、難病児を抱えた親御さんたちは、子供の命にかかわることですからこれはもう一生懸命になるのは当たり前のこと、殊に一刻を争う場合ですからなおのことなんです。難病の治療については、地域間の医療の格差が非常に大きいんですね。そこで、どうしても一極集中で東京へ参ります。専門病院へ北は北海道から南は沖縄から参ります。 ところが、長期の治療を受けに来る方たちは、一刻を争うわけですけれども、お子さんが入院できても、今度は親御さんが困るわけですよ、ついてきても。親御さん自身が泊まるところも何もないんだから。見知らぬ大都会の真ん中へ来て、一人で荷物を抱えて泊まるところを探しうろうろせにゃならぬ。こんなに寂しいことはないと思うし、産めなことはないと思います。長期になれば費用もばかになりません。こんなとき、病院の近くにそんな施設があったらどんなにありがたいかな、これは私の話をお聞きになっている諸大臣方もおわかりになるでしょう。ところが、これがあるんです。残念なことに日本にはないんです、いつものことなんですけれども。これが日本にあると私にここで言わせてくれればありがたいんですが、ないんです。アメリカとかフランスにはあるんです。 フランスでもアメリカでもそうですが、小児病院がございますと、必ずその病院の近くに遠隔地から来た方たちのためにそういう施設が置いてある。そして、例えば多少よくなった場合でも通院しなきゃなりません。でも遠いところから通院できません。したがって、その施設に入所することによって通院して全治するまで待つ、こういう施設があるんです。ところが、日本には残念ながらない、とれはしつこく申し上げますけれども。 アメリカではどうしているかというと、企業がその運営費を提供してやっているんです。しかも、その企業名が冠について何々ハウスというんです。今ここで申し上げられません、私は別に一企業のちょうちん持ちするわけじゃありませんから。日本でもそういう大企業が出てきて、自分のところの冠をつけて、スポーツばかりじゃありません冠をつけるのは、こういうふうなハウスをつくってぐださることを私は要望したい。今やアメリカの多くの企業がそういう手当てをしているんですね。ですから、日本でも応急的に、今、病院近くの公団住宅とかそういったものの一部を割り当ててそういうことが考えられないかと思うんですが、厚生大臣、建設大臣そして総理大臣に伺います。 それから、厚生大臣に一言言わなくちゃいけないんだ。六月に出た「これからの母子医療に関する検討会中間報告」でもやっぱりこれは触れられていますね。それだけに余計ちゃんと答えてください。
○国務大臣(下条進一郎君) 確かに、病気の子をお持ちの御両親が専門治療を受けるために居を移して大変御苦労していらっしゃることはおっしゃるとおりでございます。長期にわたる入院療養生活を送る児童の生活の質の向上を図ることは重要なことでありまして、今御指摘の本年六月の「これからの母子医療に関する検討会中間報告」におきましても、欧米における取り組みとして、第一に心理や児童福祉の専門家の配置、第二に病院敷地内における児童家族の宿泊施設の整備といったことが取り上げられまして、これは今後の検討課題ということになったところでございます。 御質問の実例は現在アメリカやカナダ等にございまして、そういうハウスは世界じゅうで大体百五十カ所ぐらいあると聞いております。いずれもこれはボランティアの資金をもととしてつくられたものでございまして、こうした施設が日本の社会において適切なものであるかどうかにつきましては、今のお話のようにさらに時間をかけて検討するということになっておりますので、その検討の成果を見守りながら我が方もまたひとつよく勉強してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○国務大臣(大塚雄司君) 委員の御趣旨はよくわかるわけでありますが、公団住宅は、御承知のように、みずから居住する勤労者のための良質な住宅の供給、適正な家賃の住宅を供給するという本来の目的があるわけでございます。これをそのように転用してお貸しする、雲仙と同じように特例でやれという御趣旨であろうと思うのでありますが、実際にその病院の近くにあるかどうかとか、あるいはまたどのぐらいの期間にわたるものなのか、実際に直ちにここで前向きのお答えはできないわけであります。事はやはり厚生省の御所管でありますから、仮に厚生省の方でこういう措置をしてほしいというようなお話があればもちろん十分検討したいと思いますが、今ここですぐ直ちにというわけにはまいらないことをお許しいただきたいと存じます。
○国務大臣(海部俊樹君) 欧米では御指摘のような施設があるということも聞いておりますし、また病院その他の敷地内にそのような施設が設置されておるという報告等も聞いております。厚生省で昨年来それらの問題について研究討議をし、たしか六月に中間報告もまとまって、さらに前向きに検討を続けていくと思いますので、そちらの方に向いて全力を挙げて努力するようにしてみたいと思います。
○下村泰君 ありがとうございます。 それは確かに、今建設大臣のおっしゃるように、そう簡単にはできないと思います。今すぐに、おい、やれと言ったって、そうはいかないと思います。ただ、お母様方の話を承りますと、これは本当に聞くに耐えられない、気の毒ですわ。お子さんの白血病とかこういうのは長いですからね、治療期間が。三月やそこらじゃないんですよ。長いのは二年も三年も四年もということです。ですから、どうぞひとつ考えておいていただきたいと思います。 次に、障害者だとか痴呆、アルツハイマーの高齢者の方々の人権擁護機関設置について伺います。 この方たちがどんな形の人権侵害をされているかと言えば、ちょっと例がございます、これは東京弁護士会で挙げているんですけれどもね。一番困るのは、本人自身が権利を主張できないんですね、例えば知恵おくれの方とかアルツハイマーの痴呆老人なんという方は。ですから救済のしょうがない。しかも、この権利侵害の多くが本人の身近にいる人だから余計困るというんです。 どういうことが行われるかというと、金銭面で多いのは、サラ金や借金の保証人にされてしまう、貯金や遺産をだまし取られる、給料をピンはねされる、年金を勝手に使われるといったケースがある。何年もピンはねされていたという人もいるわけです。それから、女性の場合ですと性暴力の被害者になることが多いんです。施設内でのレイプ、非行グループに計画的連鎖的に犯され続けたケース、身近にいる大人に何年も性の奴隷にされてきたケース。生きる場で一番問題なのは、本人が望まないのに無理やり施設に入れられるとか、いろいろあるわけです。こういうのは大変な問題なんですよ。 昨年五月二十三日の委員会で、今は亡き長谷川法務大臣に御質問させていただきましたときに、法務大臣は、「法務省として今すぐきょうただいまどうこうといって答弁ということでなくて、これは前向きで十分ひとつ御期待に沿うように検討いたします」、こういうふうにお答えになっていらっしゃるんです。ところが、東京都では今年度中に発足するやに聞いているんですね、この機関を。法務省としてはこの一件をどういうふうにお考えになっているか、この一年の検討状況と今後についての御報告を願いたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) 今、先生お話がございましたように、長谷川元法務大臣が御答弁申し上げた以後のことにつきましてお答えを申し上げたいと思います。 東京都が、具体的に今お話がありましたような障害者、痴呆老人等の人権擁護機関を設置したいということで検討を続けておりました。一応の検討の結論が出たとは伺っておりますけれども、それを具体的にどういう形で実施するか、ことしの十一月から実施したいという御意向だけは伺っておりますが、その内容についてはよく承知いたしておりません。 法務省といたしまして、今お話がございましたそうした方々に対します障害者、老人等の人権擁護について十分配慮した啓発活動というものの充実に取り組んでいかなければならないわけでございますが、特に今お話がございましたように東京都の状況も十分見ました上で検討して、今のところは特に新しい機関をつくるとかいう計画を持っておるわけではございません。
○下村泰君 委員長、最後に一つお願いします。 障害者の十年が終わります。その本部長としての総理のひとつ御意見を承って終わりにしたいと思います。
○委員長(中村太郎君) 簡潔に願います。
○国務大臣(海部俊樹君) 障害者の十年の最終年を目指して、先ほど来御議論になっておったように意見書もいただいております。ここで御答弁申し上げました各省十九省庁集めて、私から完全参加のためのでき得る限りの努力をするように本部長として指示もしておるところであります。全力を挙げてまいります。
○下村泰君 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で下村君の質疑は終了いたしました。(拍手) これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十七分散会