P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
121回国会参議院1991/08/23

予算委員会 第1号

発言数
317
登壇者
29
会派数
2
開催日
1991/08/23

会議録

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  私は、去る八月五日の本会議におきまして、皆様の御推挙により予算委員長の重責を担うことになりました。  当委員会の運営につきましては、申すまでもございませんが、公正中立を旨として円滑に進めてまいりたいと存じます。  何とぞ、皆様方の御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) それでは、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  現在理事が七名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に井上吉夫君、井上孝君、倉田寛之君、斎藤文夫君、梶原敬義君、久保亘君及び太田淳夫君を指名いたします。  暫時休憩いたします。    午前九時五十一分休憩      ―――――・―――――    午前十時開会

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 次に、予算の執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  質疑を行う期間は今二十三日、二十六日及び二十七日の三日間とすること、質疑割り当て時間の総計は三百四十三分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党七十分、日本社会党・護憲共同百四十八分、公明党・国民会議四十五分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ二十三分、参院クラブ十一分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりとすることでございます。  ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。久保亘君。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、ソ連の今回の事態と日本の対応について、最初にお尋ねいたしたいと思います。  我が党は、去る二十一日クーデターによってつくられた非常事態委員会を認めず、武力行使を直ちに中止するように、そしてゴルバチョフ大統領の復権を保証し、ペレストロイカ路線を支持して立ち上がっているソ連の民主勢力を支持するという立場を明らかにして、クズネツォフ代理大使に申し入れたところであります。  今回の事態を政府としてはどう受けとめておられるのか、この点に関して総理の御所見を伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今回の事態は、軍部と保守派と、一部の人々によって企てられた憲法違反のクーデターであるわけでありまして、それがソ連の民衆のあのような抵抗運動と同時に、そういったものを支持し支えていこう、正当に選ばれた大統領の地位というものをみんなで支援しながら、より一層世界の民主化のために関係国際各国が高い支持を送ったことによってあのクーデターが終えんしてゴルバチョフ大統領が復帰をしたということについては、これはペレストロイカをより一層進行させる上において、またソ連の新思考外交がさらに地球的規模で広まっていく上において歓迎すべき事態だと思っております。  政府は、二十日の夜記者会見をして、これらの現下の情勢については考え方を広く示したわけであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 二十日の総理の記者会見については私も承知をいたしておりますが、この段階において総理は必ずしも新政権に対する評価を明確になさっていないのではないか。  それから、ペレストロイカをゴルバチョフ大統領が進めたことを評価するということを言っておられることは、あれは見方によってはゴルバチョフ政権が終わったという判断に立たれていたのではないかというふうにも読み取れるわけでありまして、その点に関してもっと非常事態委員会並びにゴルバチョフ大統領に対する立場を日本政府として鮮明にあらわすべきではなかったのか、こう思っておりますが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 十九日のお昼に第一報が来ましたときに、健康上の理由というのがすぐ入ってきた。しばらくして全土に戒厳令がしかれたという全く矛盾するような情報も入ってきた。私たちは、当初から深い憂慮の念を持って注視しておったことは、これは事実であります。また、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ路線というものを一貫して支援してきたことも事実でありますから、その評価をするとともに、私は記者会見の中でもゴルバチョフ大統領の生命、安全の保証について日本政府としても強い懸念を有しておるんだということもきちっと述べておりますし、あの二十日の夜の時点でなし得る限りの情報収集をしながら、あの時点において行われておるものは憲法違反、その可能性が極めて高い異常な事態だというふうにきちっと申し上げてきたわけでありまして、政府の考え方というものはそのようなもので一貫しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 先進諸国家の首脳の今回のソ連の事態に対する対応の仕方に比べれば、日本政府の対応は必ずしも私は国民の期待にこたえるようなものではなかったのではないか、もっと積極的な対応があってよかったのではないか、こう思っております。  この際少しお聞きしておきたいことがありますが、今回ゴルバチョフ政権に対してクーデターが起こったその背景といいますか、原因はどのように分析をされておりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ソ連の国内における、大きぐ大ざっぱに分けますが、保守派とそれから改革派の中の綱引き、争いがあったということはよく知られておるところであります。そして、その中にあって、連邦条約の調印ということになりますと、一体連邦の権限と共和国の権限がどうなるのか、これに対して不透明な面があり、特にその中で徴税権をどうするかとかあるいは権限をどうするかとか、いろいろな問題について意見の対立があったことも事実であります。私は、そういった中でも、あくまで民主的な手続を踏んでの議会の中の議論なり討議なりを通じてではなくて、保守派の方がそういったことに危機感を持って、連邦条約の調印が予定されておった直前をねらっての行為ではなかったか。これはいろいろなソ連通の人や識者の意見等も聞いておりますと、そういったことが一つの今度の引き金になっておるんだというふうに言いますが、要は保守派と改革派の大きな力関係の争いではなかったのか、私はそう判断しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今、総理が述べられたようなことも含めて、ゴルバチョフ体制の危機的な状況というのを予測する向きも非常に多かったわけでありますが、日本の外務省としてはこのような事態があり得ることを事前に情報等によって予測がありましたか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) 総理の御答弁にもございましたように、過去一年のソ連の国内の動静を見ておりますと、十一月には大変に強い車部からの突き上げがあった。そこで、ゴルバチョフ大統領は急速に右に旋回していった。あの過程においてクーデターという話が一部出ていた。そういう危機的な状況の中で、シェワルナゼ当時の外務大臣が劇的な発言とともに退陣をし、それがバルト三国の流血につながっていった。また、この五月から六月にかけましては、逆に今度はゴルバチョフ大統領が九プラス一の合意によりましてエリツィンと手を握る。急速に今度は左の方に、革新派の方に転回をしていく。  それに対して、保守派が大変な危機感を募らせる。五月には、人民代議員大会を開いて合法的にゴルバチョフを解任しようという動きが出ました。これは失敗をいたしました。六月の最高会議においては、パブロフ首相みずからゴルバチョフの権限に挑戦をする、あるいはプーゴ内務大臣、クリュチコフKGB議長、それからヤゾフ国防相、三人が大変に激烈なゴルバチョフ攻撃をいたしました。そのときにも若干クーデターの可能性ということがささやかれていた、こういう事実もございました。ゴルバチョフ大統領は常に厳しい状況下に置かれていたという認識でございました。ただ、八月のこの日にこういう形で軍事クーデターが起こる、そういう情報は私どもは持ち合わせていなかったことは事実でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 総理、ゴルバチョフ政権がもし崩壊をするというようなことになれば、世界の新しい秩序に大きな変動が起こるという憂慮を私は持つんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 予断と憶測でもって勝手な論評は私はすべきではないと思うし、またできませんが、しかしお話しのように、ソ連の国内で考え方が違っておって、それに非合法な方法ででも倒そうというようなことをした。考え方が少しは変わってくるんではないか、そういったことにならなかったことは非常に歓迎されるべきことであった、私はそう思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 世界の政治に対して責任を持つという立場から考えれば、もし今度のクーデター政権が成功をおさめたという場合には一体どんな方向に進んだであろうかというようなことに対しては、政府としてきちっと見解を持つことが私は大事なことだと思うんですが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げましたように、自由と民主主義という基本的な、普遍的な価値に反する力による政権転覆をねらうんですから、そのことは非合法であり、許されるべきことではありません。そういつた方向に進まないようにするためにそれを非難し、それはいけないと言い、指摘をしたわけでありますから、そういったような状況が出現することは、再び冷戦時代へ戻るような発想につながっていってはこれは極めて重大な問題でありますので、そのようなことは断じて許すべきものではない、こう考えて行動してきました。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私が繰り返し申し上げておりますのは、ゴルバチョフ政権がもし変化をするというようなことになれば一体どのような状況が生まれるかという判断を持ちながら考えれば、ロンドン・サミットにおけるゴルバチョフ大統領の出席がございましたですね、その中での先進諸国家の対ソ支援のやり方というのはあれでよかったのかということを私は聞きたいわけです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ロンドン・サミットにおける各国首脳の話し合いと、その後におけるゴルバチョフ大統領を加えての七プラス一という会議の雰囲気や結論については、はっきり言えますことは、ソ連のペレストロイカを成功させることと、そのためには何をしなければならぬか、何をしたらいいかということを皆で議論をしたんです。そして各国首脳の議論の中で、まず市場経済に本当に移行する、国内の政治の仕組みを変えていくということについては何をしたらいいかということについて、昨年のヒューストン・サミットでも議論しましたが、IMFや世銀やその他の国際機関がどのような技術支援あるいは知的支援をしたら体質改善に役立っていくのかという調査をし、その報告書も出ておるわけです。  それを踏まえて、今度はIMFやあるいは世銀の特別関係の加盟を認めることは、それらの国の持っておる自由と民主主義と市場経済へ移行するためのいろいろなノーハウやその他のこと等についても協力をすることができる。そういったことについて加盟国は皆サミットの議長国を通じて二国間あるいは多国間を通じてできるだけの技術支援協力をしていこう、こういうことを決定したわけであります。だから日本は日本として、四月の日ソ共同声明の中でペレストロイカ技術支援を含む十五の協定も署名しておりますし、緊急援助についてはいろいろな項目を決めておりますから、そういった問題についてソ連が真剣に変わっていくことを強く望んできたわけです。  重要なことは、ソ連自身の中に自由主義経済に変わるという明確な決意とその展望と自助努力の方針を示すことと、同時にまたソ連には非常にたくさんの資源があるわけでありますから、それを軍需に使っておらないで民需に転換する、軍民転換の方向も極めて大事であるし、また対外的な支援に使う費用があったら国内の支援に振り向けるべきであるということも大勢の議論の中でこれは一致をし、ゴルバチョフ大統領を含めての会合でもそのことを述べて、その結果があの六項目にわたる共通の認識でありますから、私はあれは間違いなかったと思うし、また日本としても拡大均衡の方針でソ連との間の技術支援、人道的な支援はさらに積極的に進めていくべきである、こう理解しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、あなたが施設方針の中で述べられております新思考外交の全面的展開、ペレストロイカの推進、こういう主張に対しては全く同じ考え方に立つわけです。それを進めている政権に非常に危機的な状況が生まれつつあるということであれば、この政権を支えるということは、二国間の問題というようなことを超えて、もっと世界の新しい秩序を確立していくという立場から自分の国にとっても必要なことだという考え方に立たなければならぬだろう、私はそう思うんです。  だから、ロンドン・サミットでもドイツのコール首相は、西側全体が協力をして対ソ支援をもっと強めてほしいということを訴えていたのではなかったでしょうか。そういうことを通して、私はロンドン・サミットにおける合意が間違いだったと言っているんじゃないんです。これで十分だったのであろうかということを申し上げているわけです。今日のソ連の事態を考え合わせながら、そういうことについての見解を聞きたかったわけです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ロンドン・サミットの前後、二国間の首脳会談とかあるいは食事の場なんかでも率直に腹を割ったいろいろな話し合いを首脳間でしておりますけれども、例えば今ソ連に対する支援というのは、黙ってお金さえどんどん持っていけばいいという考え方、発想の首脳は一人もございませんでした。具体的にお示しになった方も、例え話として、我々はいろんな例え話をいたしますが、今ソ連にとって一番大事なことは、きちっとした仕組みをつくって効率的に援助したら、その援助が国家と国民のために実っていくような方に使われなければならぬというそういう考え方では一致しておるんです。  表現はどうか知りませんが、底の入っていないたるにはどれだけ水をついでもとまらないということを言った方もありますが、どうやって底を入れるかということをみんなで議論しようというので、IMFや世銀やその他の国際機関の調査や、あるいは本当に転換するには何が必要かということをみんなでもっと協力していこうではないかという随分具体的な支援の方策についても話し合いをしてきておりますし、問題は、経済的な問題とともに政治的な文脈も非常に大切なことであって、軍事費が二〇%とも二三%とも言われる、そこでつくられるものは一体どこへどう使われておるんだということもきちっと政治的に決断をして我々にわかりやすく表明してもらわなければならぬとか、いろいろな疑念やいろいろな心配が出されました。  そういったことを全部含めて、冷戦時代に戻してはいけない、冷戦時代の発想を乗り越えていこうというならば、それらの政治的文脈も含めてきちっとした自助努力を促していこうということでありますから、ロンドン・サミットのときの議論は、全体の共通の認識を得ることができた、あの時点であの方針を取り決めたということはそれでよかったと、私はそう評価しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 もし、ソビエトにおけるペレストロイカ路線を進めている政権がつぶれるというようなことになった場合に、戦略兵器削減の交渉でまとまったものはどうなっていくのか。米ソが共同主催しようとしております中東和平会議はどうなるのか。それから、何よりも私が心配になるのは、物すごい数が配備されているソ連の核兵器は管理が分散することになるのではないか。そういうことになる場合に、我々は世界の平和、新しい秩序の将来に対して非常な懸念が残るわけです。そういう意味でも、今のゴルバチョフ大統領の政権というものが安定的に維持されていくということは日本にとっても極めて重要なことであろう、こう考えているから申し上げているわけです。  海部さんよりも中山さんの方があるいは実務的にもお詳しいと思いますが、今のソ連の事態で、クーデターが失敗をした、そしてゴルバチョフが復権した。今後どういうふうにソ連の政治の状況は展開していくというふうに日本の外務省は考えておられますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) お答えを申し上げる前に、総理と私とは外交関係においては毎日情報の交換をいたし、相談をいたしておりますから、海部総理と私との考え方の間に差異はないということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  私は、今、久保委員からお尋ねのような、これからのソ連が一体どうなっていくのかということについて、ここで政府として無責任な話をするわけにはいきませんが、およそ常識的な考え方として、いわゆるクーデターを起こした内務関係の権力者あるいはKGB、軍部、保守派、こういった人たちが今回敗れたわけであります。そういう中で、いわゆるクーデターが起こる前のソ連の社会経済状態はどうであったかといえば、ヤナーエフが国民に発表したアピールにも出ていますように、必需物資は不足をしている、国民生活は破綻に近づいている、そして性犯罪、あるいはまた物の流通がうまくいっていないといったような状態を指摘したわけです。こういうふうな状況がクーデターの終了によってきょうから一挙によくなったかといえば、私はよくなっていないという認識が正しいだろうと思います。ここでゴルバチョフ大統領は、恐らく今回の人民の支持を得て自由と民主主義を守ったエリツィン・ロシア共和国大統領との間で十分協議をしながら、これからの新しいソ連をどうやっていくためにどんな人が一番必要かという、まず組閣人事をやるだろうと思います。  そういう中で私どもが考えられますことは、民族運動がどうなっていくのか、あるいはまた、きょう開かれると思われる共和国との会議、これがどのような形になって新連邦条約が承認されていくのか、あるいはまた、新連邦条約の承認がしばらく時日を要して一部修正が必要になってくるのか、こういったことは事態の推移をしばらく見詰めていく必要があろうと思います。  一方におきましては、おとといの晩、日本から派遣をいたしました渡辺外務審議官がまずロンドン、そしてドイツ、あるいはこれからアメリカヘ寄って、この週末に日本へ帰ってまいります。各国のいわゆるソ連を担当している事務次官クラスの人たちとの、シェルパ同士の話し合いの結果をこの日曜日に私は報告するように命じておりますけれども、そのような具体的なG7の個々の協議の結果を踏まえて、日本政府としては、ただいま委員から御指摘のように、対ソ支援についてどのように具体的に我々がやるべきかといったようなことを協議しなければなりませんし、そういう方針が決まれば改めて国会にも御報告をいたす機会を持たなければならないと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これからの日本の国際的な責任、また、日本自身の問題を含めて世界に起こるいろいろな状況に対して、政府の対応は時期を失せず、しかも鮮明な対応が求められていくようになるだろう、こう思っております。そういう意味で、今回のこのソ連の事態に対するいろいろの教訓をぜひ生かしていただくように心から期待をいたしております。  もし、今度のクーデターが成功したと仮定をした場合には、アジアにとって、特に朝鮮半島にとっては重大な影響を及ぼしたに違いない、私はこう思っております。そういう意味では、朝鮮半島と日本との問題というものを私はもっと積極的に考えるべきではなかろうか。今、日朝交渉が三回目でストップして、また今月の末には再開されると聞いておりますが、ぜひこの際、日朝の国交樹立に関する交渉について、日本政府としてこれまでよりも積極的に進めなければならないという考え方に立っていただきたい、今回のソ連の問題を一つの視点にしながらそういうことを非常に強く感じておるのですが、総理、いかがお考えでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日朝間の問題について常にいろいろとお心がけを願っておる久保議員ですから、私も率直に申し上げますけれども、今度のソ連の政変劇があったなかったにかかわらず、政府は日朝の国交正常化をしなければならないと決意し、正常化交渉に着手をしておったことは御承知のとおりだと思います。今度政変があったからどう、なかったからこうという前からの問題で、朝鮮半島の緊張緩和ということと、朝鮮半島の平和的な統一ということはアジアの安定のために隣国としての立場からいっても極めて大切であり、日本としては正常化をしなければならぬ、こう念願し、第四回の本格交渉がもう目の前に来ておるわけでありますから、誠意を持っていろいろ話し合いを続け、一日も早い日朝正常化を目指していきたいと決意しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 いや、そう力んで反論されなくてもいいんです。  私が言っているのは、ソ連の今回の事態があろうとなかろうと、それは結構です。しかし、この事態がもし我々の思わぬ方向に進んだ場合に朝鮮半島にどんな影響が及んだか、そういうことはやっぱり日朝間の交渉を進めている者としては念頭に置かなければならぬ問題です。それで、相互に門戸を開放していく。特に、海部さんも誠心誠意言っておられました植民地支配に対する謝罪と償いの問題、こういうような問題を基本にして、今進められている日朝間の政府間交渉をより積極的に、新たな障害をつくるようなことをしないように十分な配慮を行いながらやっていく。これは今度のソ連の事態を考えるにつけても、我々は急いで朝鮮半島の問題については対処をしていく、政府間交渉の結実のために努力をしなければならぬ、そういうことで率直に考えていただいていいんじゃないでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 朝鮮半島の平和的統一のために、緊張緩和のために周辺諸国は何ができるかという立場から考えると、我が国としては日朝間の国交の正常化でありますから、そういった意味でいろいろと交渉を始め、第四回の本格交渉も誠意を持って臨んでいき一たい。基本的な考えてあります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 アジアに対する日本の犯した歴史的な誤り、こういうものは今も朝鮮民主主義人民共和国に限らず韓国との間にもいろいろな問題が残っております。こういう問題について、やはり日本政府としては誠心誠意こういった問題を解決していくということがアジアの平和と安定に日本が貢献をする道であろう、こう思っております。そういうことを念頭に置きながら日朝間の交渉を積極的に結実に向けて進められるようにお願いを申し上げて、この問題に対する質問を一応終わりたいと思っております。  次に、雲仙・普賢岳火山災害対策についてお尋ねをしたいのでありますが、私は、長年にわたって火山災害を地域住民に与えております桜島に直接かかわっている者として、今回の雲仙・普賢岳火山災害については特に大きな関心を寄せざるを得ないのであります。特に、今回の災害によって犠牲になられた多くの方々に対して、私どもは哀悼の意を表するとともに、災難に遭って今も避難生活を送っておられる、しかも想像を絶する苦痛の中で今日この災害に耐えておられる方々に対してお見舞いを申し上げるということにとどまっておってはいかぬ。どうしてこれらの方々の要請に、政治の責任にこたえていくか。  法体系上、自然災害に対する生活救援が困難であるということが言われておりますけれども、法律というのは人間のためにつくられるのであって、法律のために人間がいるというのではない、私はそう思っております。今回の問題については、そういう意味で必要な特別立法を行わなければ救援の道がないということであれば、そのことに大胆に取り組むべきものだと思っておりますし、地方自治体の財政負担も限界に来ている状況の中で(復興基金の問題等についても私は急いで方針を決めて実行しなければならぬ、そういう段階のものだと考えているのであります。  この問題について、篠崎年子議員から関連質問をいたしますのでお許しいただきたいと思います。

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。篠崎年子君。

篠崎年子日本社会党・護憲共同

○篠崎年子君 ただいま久保委員の方からお話がありましたように、私は、雲仙・普賢岳噴火災害対策について関連質問させていただきますが、初めに、重なりますけれども、このたびの火砕流あるいはその他で命を落とされました多くの方々と、それから今なお不便を強いられている方々あるいは避難生活をしていらっしゃる多くの皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  さて、初めに私は総理にお尋ねをいたしたいと思います。  雲仙・普賢岳の噴火災害、総理も現地においでになってお見舞いをいただきましたし、また御視察もいただいたと思いますけれども、その他の関係大臣の皆さん方も現地にたくさんお見えになりました。それらの皆さん方のお話を総合いたしまして、現地の皆さんが今最も政府に求めているものは何だとお思いになるでしょうか。お答えいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私も冒頭に、今回の雲仙・普賢岳の被災者になられた皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。私自身も伊勢湾台風を自分の故郷で味わった体験者として、災害の質こそ違いましたが共同生活を余儀なくされて、長時間災害に遭った方々のお気持ちは痛いほどわかります。  さて、今政府に求められておることは、できる限りのことをして地元の皆さんの御要望にこたえることだと思うんです。知事さんあるいは市長さん、町長さんが代表で、現場でも申されましたが、上京して申されたこともございました。それらにつきまして、政府は直ちに対策本部をつくってでき得る限りのことをし、従来の法律の仕組みの中でできないこともさらに御要望の中にあるならば、それを踏み越えてでもやっていくべきだというので、政令も改正、省令も改正、また弾力的な運営の着手など新たに三十項目にも及ぶ内容をつけ加えて処置いたしております。  御必要とあらば本部長から答弁いたさせますが、そのようなことで現にやっておりますけれども、なお将来のあの地域全体のことを考えると、さらに基金などの御要望があるということもよく承知しております。これについては国土庁の対策本部長、自治大臣等にも、地元の御要望をよく聞きながら、災害終結後のあの地域の発展や活性化のためにも何をしたらいいかということを全力を挙げて検討するようにとただいま命じておりますのででき得る限りのことをしていくことだと思います。

篠崎年子日本社会党・護憲共同

○篠崎年子君 ただいま総理から御答弁いただきましたように、できる限りのことをしていきたい、皆さん方からの御要望もそうだということですけれども、現地の皆さん方は、確かに政府がいろいろな施策をしてくださっているということはわかったと。例えば仮設住宅もすぐつくってもらった、あるいは仮設校舎の方も設置に取りかかってもらっている、そういうことはよくわかるし、またできる限りのことをしていただいているということはよくわかるけれども、まだ自分たちとしてはどうしても不安が残っているという声が強いわけです。  その不安というのは何かと申しますと、まず第一に、自分たちの将来、生活がどうなっていくだろうかということだろうと思うのです。今までの災害と違いまして、雲仙岳は現に噴火を続けておりまして、いつ終息するかわからない。そういう中にあって、確かに義援金もいただきました。しかし、義援金だけではこれから先の将来の見通しは立たないし、また、生活を再開する場合にもどういうふうにしてそれを再開していったらいいのかわからないというのが皆さん方のお気持ちではないだろうかと思っております。  私も社会党の視察団で数度現地の方に参りました。そのときにこんな話を聞いたわけです。  これは農業者の方でしたけれども、国がいろいろ施策をしていると言われまして、私たちもいろいろありがたいと思っております。しかし、私たちは将来に大きな不安を持っております。私はブドウの栽培をいたしておりますけれども、警戒区域になりましたので収穫は皆無であります。私どもの地域は他のところと違いまして非常に農業の盛んなところで、しかも優秀な農家が多いものですから後継者が六〇%から八〇%ぐらい育っている。これは大変誇りに思っております。私の息子も工業学校に行きたいと言ったんだけれども、農家を継げということで農業高校に入れました。途端にこの災害に遭ったわけです。ブドウ畑というものはことし収穫をしなければ来年芽が出ませんので収穫がだめになります。再来年もまただめになります。こういう場合に一体どんなふうにして国が助けていただけるんでしょうか。そういう大変痛切なお話がありまして、これは漁業者の皆さん方もまたそのほかの皆さん方も同じようなお気持ちじゃないだろうかと思うわけです。  また一方、商工業者の方々がおっしゃいますのには、国は確かに援助資金、中小企業に対しまして中小企業金融公庫災害貸付金等を設置して、その金額もふやしていただいております。しかし、その金額をお借りしても、それをいつから返すというめどが立たないとこれを借りるわけにまいりません、今現在借りているものもあるわけですから、ということなんです。  そこで、ちょっと関係の方にお尋ねをしたいと思いますけれども、例えばそういう資金を借りる場合に、一億倍りたといたします。今三%から六・二%までの間の利子ということですね。三%といたしましても年に三百万円になるわけですから、これを返さなければならないということになりますと、それも返さなきゃならないし、前に借りている分も返していかなければならない。据置期間を一年あるいは二年、三年と、こういうふうに決められているとしても、それをどう返していくかということを考える場合には非常に不安であります。ですから、ここのところで国が思い切っていろいろな施策をしていただきたい。それにはまず国が基金を出していただいて、その基金の中からいろいろな融通をしていただく、そういうことはできないだろうかという御希望が大変多かったわけです。先ほどの久保委員もそういう意味をおっしゃったんだろうと思いますけれども、この点につきまして総理はどういうふうにお考えになるでしょうか。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) お答えを申し上げます。  政府におきましては、雲仙災害救済のための非常災害対策本部を設置いたしまして、政府としてあらゆる角度から検討をしてまいりました。既に、御承知のように、住宅、民生、農林漁業、中小企業、教育、雇用、各般にわたりまして、二十一分野にわたる雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定し、既に実施いたしております。この中には、制度の改正等もございますし、政省令の改正、あるいは特定基準を設ける、そういうような措置が三十項目もつくられておるわけでございます。今回の雲仙岳の災害の重大性、さらに長期化、こういうことを考え合わせましてでき得るだけの対策を進めておるわけでございます。  このうち、農林漁業対策といたしましては、農林漁業金融公庫の自作農維持資金等の貸付限度額の引き上げを行いました。また、同公庫の主務大臣指定資金貸し付けにおける激甚法の適用措置に準じた措置などを実施しておるところでございます。中小企業対策といたしましては、国民金融公庫等の災害貸付限度額の引き上げを同公庫における激甚法に準じた措置などを実施しているところでございます。これらの救済策を適切に実施していくことにより、お尋ねの特別立法を行うまでもなく、所要の措置を確保できるものと考えております。  また、今、基金の問題の御指摘があったわけでございますが、この問題には、先ほども申し上げましたように避難が大変長期化をいたしておりますから、私どもも最大限にこれらの問題をどう救済していくかということに焦点を絞って考えておるわけでございます。総理からも強く御指示がございまして、ただいま地方公共団体等の御意見等をよくお聞きしながら、将来のこの地域の防災に強い町づくり、あるいは地域の活性化、商店街の振興、そういうこと等も含めた基金制度というものを積極的に進めていく方向で検討をいたしておるわけでございます。

篠崎年子日本社会党・護憲共同

○篠崎年子君 大変御丁寧に御答弁をいただきました。しかし、二十一分野あるいは三十項目というふうなことで御答弁いただいたわけですけれども、そのことはもう現地の皆さんも十分御承知のことなんです。現地の皆さんが今一番求めているものは、自分たちの生活の将来をどう保障してもらえるだろうかということで、お金を借りても、例えば農家にいたしますと、お金を貸してあげると言われてもつくるところはないではないか、どうしていったらいいのか、商工業者がお金を借りても、買う人もいない、店を出すところもない、それをどうしたらいいのか、そこが一番地元の方々の心配なのでございます。  そこで、今、基金のことについて検討するとおっしゃっておりますけれども、ここで思い切って、例えば生産再開復興資金とか何とか、そういうふうな名目はいろいろあると思いますけれども、国が四百三十兆円の公共事業費あるいは湾岸に九十億ドルを出した、その中の一部分がなぜ島原雲仙の皆さん方に対して出せないのか。そのことをここで一言、基金としてそういうものを積み立ててあげるよという言葉が欲しい、それが地元の皆さん方のお願いでございます。大変恐れ入りますが、再度総理の御答弁をお願い申し上げたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしまして、内容を一々申しませんけれども、もう新たに政令や省令やできる限りの特別措置を今行いつつあることは、これは御理解をいただきたいと思います。  同時に、最後にお触れになった将来の問題についても、私は、あの島原半島地域全体を含めてこの影響をどう乗り越えてやっていかれるべきかということについても、地元から基金の御要望のあることはよく承知しております。承って対策本部に、それぞれの意向を踏まえてどのようにして将来に対してお力添えができるのか積極的に検討するようにと指示をいたしております。将来にわたっての問題については、鋭意地元の意見等も聞きながら対策本部で研究を続けております。

篠崎年子日本社会党・護憲共同

○篠崎年子君 ぜひそれ、実現の道へ進んでいただきたいと思うわけでございます。  最後に、ここに一つ雲仙の災害対策からいただきましたビデオがございます。折がありましたら皆さん方に見ていただきたいと思うんですけれども、いかに豚や牛やそして鶏がその場で死んでいっているか、そしてその土地がどういうふうになっているかということがこれに大変明らかに出ておりますので、ぜひ見ていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 例えば湾岸戦争での九十億ドルの負担などというのは法律をつくって出す、こういうこともおやりになっているわけです。日本国民が生活や生業に自然災害によって大変苦しんでいる、こういう状況に政治がどうこたえるかというのは、政府が積極的に自分からやらにゃならぬことですよ。しかし、国会も立法府として特別立法については努力をしなければならぬと思っております。災害対策特別委員会や小委員会を中心にして努力が払われていると思うので、政府も協力してやっていただくようにお願いを申し上げておきます。  次に、証券・金融不祥事の問題について若干のお尋ねをしたいと思います。  社会の公正をモットーとされている海部さん、そして証券・金融の直接の監督責任を負われている橋本さん、今回のかつてない証券・金融のこの不祥事に対してまさに辞任に値する問題だと私は思っておりますが、この不祥事に対する首相と大蔵大臣の見解を国民に向かってわかるように言っていただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一連の証券・金融不祥事件に対しましては、御指摘のように、私は、公正な社会という理念からいって、あるいは免許会社としての規範という面から見ても内外の投資家の信頼を失った、このことに対してはまことに遺憾でありますし、行政府はその責任を重く受けとめております。私は、そういった意味で、世の中における公正の理念というものに外れたこういった行為が行われた、このことに関して国民の皆様には、監督不十分であったということを率直におわびをいたします。  そして、こういったことがどのような原因にして起こって、どうしなければならぬか、それについては今大蔵省に厳正な対処を指示するとともに、再びそれが再発しないように、通達だけで済まないことがあるなれば、よく仕分けをして法律によって、証取法を改正し、このような批判を受けるような出来事が二度と起こらないように法の整備もすべきである。また、それとは別に当面の急務として、大蔵省自身がそれらの監視、監督指導、通達の中でこのようなことが出てきたこと、これを率直に反省して、どこに何がいけないところがあったのか、どこをどう強化していったらいいのかということについても検査体制をみずから充実すべきである。プロジェクトチームをつくって鋭意その方向で努力をいたさせておりますが、そのような考え方で今後とも臨んでまいります。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から辞任に値するというお言葉をちょうだいいたしました。そして、そのお言葉は私は非常に重いお言葉として、また友情のあるな言葉として聞かせていただきます。  と同時に、参議院の本会議におきまして、冒頭私はおわびの言葉から自分の答弁を始めましたが、こうした不祥事、一連の問題につきましておわびをする以外の言葉はありません。そして、単に辞任すれば済んでしまう問題であるかどうか、それで自分の責任は済むのかどうかも私なりに真剣に考えてきたつもりであります。そして、こうした事態を再発させないために、もちろんこの原因を調べることも大切でありますし、しかし同時に、どういう対応策をとれはこうした事態を起こさずに済むかということについて真剣に考えてまいりました。そして、本会議で申し上げましたように、私は大きく分けてこうした問題を起こした原因は五つあると考えております。  一つは、証券取引に対するルールが不明確であったという問題点であります。この中には通達のあり方とかさまざまな問題を含んでおります。また、ペナルティーの問題がございます。そしてもう一つは、これは行政のあり方にもかかわることでありますが、検査体制、監視機構というものが今までのままでよかったのだろうか、よくないとすれば一体どういうところに問題があったんだろうか。そしてもう一つは、自己責任原則というものが徹底していなかったのではなかろうか。そして、これは行政自身も反省すべきことでありますけれども、業界行政というものが果たしてこれでよかったのだろうか。こうした五つの原因に私は問題を絞り込みました。それぞれについて私どもとして必死でその対応策を検討いたしております。  その中には、総理が触れられましたように、証取法の改正を今国会で御審議願いたいと考えておりますものもありますし、また今日まで発出いたしました通達全部を見直しながら、その中で業界の自主規制に任せるべきものは業界の自主規制団体にお預けをする。法令化すべきものは法令化をする。何よりもいわゆる口頭での行政通達といった明朗性を欠く手法というものは今後とるべきではない、こうした反省点も持っております。  私なりにみずからの責任というものについて真剣に考え、今月の時点においてでき得る限りの再発防止に向けての努力をしていくことが今私に課せられた責任だと、そのように考えております。国民にはおわびを申し上げる以外にありません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今、大蔵大臣が述べられた問題についてはこれから少しいろいろお尋ねしてまいりたいと思っておりますが、証券問題の最初に、東急電鉄株をめぐる問題についてこれまでも国会の中でも議論がございました。今大蔵省としては、東急電鉄株をめぐる問題についてはどういう認識を持っておられるんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘の東急電鉄株につきましては、平成元年の十月から十一月にかけまして売買量が急増をして、価格も急騰しているわけでございます。その中にありまして、野村証券の買い付けシェアが非常に高まっているわけでございまして、私ども現在検査を行っているわけでございますが、その中で証券取引法百二十五条の株価操作あるいは大量推奨販売、これは通達で規制をしているわけでございますが、そういったものに該当するかどうかという点について極めて大きな問題意識を持って検査をしているところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 警察庁は、この問題について捜査を行っていますか。

國松孝次警察庁刑事局長

○政府委員(國松孝次君) 私ども警察が暴力団関係者による東急株を買い取ったという点を認識いたしましたのは、兵庫県警察が外国為替管理法違反で捜査を始めました過程におきましてわかってきたことでございます。  ただ、今回全体といたしまして証券問題がいろいろと取りざたをされておるわけでございますが、その中で今申しましたような暴力団による大量の株の買い取りその他いろんな問題が出てきておりますので、私どもといたしましては暴力団対策を進めるという観点から、そこに重点を置きながら今回の事犯全体につきまして実態の解明をいたしておるところでございまして、その過程におきまして刑罰法令に触れる事犯を私どもが把握いたしました場合には、適正な措置をしてまいりたいと考えておるところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大蔵省は、東証と一緒になって株価操縦の疑いがないということを言ってきたと思うんです。ところが、今警察の方から言われましたけれども、私の手元に兵庫県警察国際経済事犯合同捜査本部が設置された後の報告書第三報がございます。この中には、明らかに東急の問題について証券取引法違反容疑についても鋭意解明するべくこの合同捜査本部を設置したと書いてございますが、これは容疑として取り調べ中のものですね。

國松孝次警察庁刑事局長

○政府委員(國松孝次君) 今御質問の中に出ました文書がどのようなものか私存じませんけれども、私どもといたしましては、ただいま申しましたように、今回の事件を暴力団の絡む大変重要な問題、治安にかかわる問題と考えておりますので、幅広くいろんな容疑について検討しておるということでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この暴力団関係の外為法違反容疑事件の捜査に関する第三報というのは、これは警察庁もお持ちになっているものでしょうか。

國松孝次警察庁刑事局長

○政府委員(國松孝次君) 当然、兵庫県警と警察庁におきましていろいろな報告はなされていると思いますが、そのお尋ねの第三報というものがどんな文書か存じませんので、それについてお答えをする限りではないと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、後ほどこれをごらんいただきましょう。  これは、見出しの次に「暴力団稲川会二代目会長石井進による東急株大量買付事実の発覚」というのが括弧書きになっておりまして、「日興クレジットや野村ファイナンス等のノンバンクから巨額の融資をとりつけて、これを日興証券や野村証券等の証券会社を通じて「東京急行電鉄」の株式・投資に集中的に充当している事実が判明するとともに、これらが起因してか同株価が一時期急騰している事実も判明した」、こういうものの捜査のために合同捜査本部が置かれたということになっているんですが、これは確認できませんか。

國松孝次警察庁刑事局長

○政府委員(國松孝次君) 今お話しになりました事実関係は、おおむねそのような形で私ども認識しておりますし、そういうことで兵庫県におきましても合同捜査本部が置かれておるということだと思いますが、その文書なるものにつきましては、私どもとしていかんともお答えをいたしかねるというところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、私が今読み上げましたようなことについては、この文書の確認その他は別にして、そのようなことでやられているということはお認めになりますね。

國松孝次警察庁刑事局長

○政府委員(國松孝次君) 今お話しになりましたような全体のコンテクストの中で私どもは捜査しておるということは、そのとおりでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 としますと、警察庁がこの合同捜査本部をおつくりになりましたのは既にことしの四月十五日。しかるに大蔵省の方は、その後も国会の審議等の中でも株価操作の疑いはないというようなニュアンスのことをずっと述べられている。これは一体どういうことなんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が記憶をいたします限り、疑いがない、問題がないという御答弁は申し上げておらないと思います。そうした疑惑あるいは懸念を持ちながら調査しているが確証を得ていないという言い方で証券局長が申したと私は記憶いたしております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 証券局長、あなたはどういうふうに言ってこられましたか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今、大臣からお答え申し上げましたように、私ども問題意識を持って検査をしているわけでございますが、現在までのところ株価操作を認定するに足るだけの証拠を集めることができず、確証を得られていないというふうにお答えを申し上げてきているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうです。あなた方は、この二日の保田事務次官の記者会見の中でも、西の一部地域で多少行き過ぎがあったとの懸念を持っている、大蔵省通達に違反したかもしれないというニュアンスのことは言っておられるが、これが株価操作の疑いが濃いものであるという立場を全然おとりにならぬ。警察の方は既に四月段階からその容疑。でもって捜査を進めておる。証券会社等にも人を派遣して、全部いろいろな口座のチェックから者やっているんですよ。何で大蔵省はそういう態度でおられるんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 株価操作につきましては、証券取引法百二十五条の第二項という条項がございまして、これは、有価証券の売買取引等を誘引する目的を持って、単独または他人と共同して、有価証券売買取引が繁盛であると誤解させ、または当該有価証券の相場を変動させるべき一連の有価証券の売買取引を行うことというふうな規定になっているわけでございます。  御指摘の東急電鉄株式の場合でございますが、私どもが今まで調査をしたところでは、先ほど申し上げましたように、平成元年十月から十一月にかけて急騰しているわけでございますが、その過程で非常に多数の投資家が参加をしておりまして、特定の投資家が、今申し上げたように、例えば相場を変動させるべきような注文を大量に出しているというような形ではなくて、非常に多数の投資家が参加をしているというようなこと。それから、取引所におきます売買手口を見てみましても、作為的に相場を左右するような、明らかにそれとわかるような注文が現在までのところ見つかっていないというようなこと。  したがいまして、私どもは各営業店において多数の投資家から注文が出ている状況を踏まえまして、各営業店においてどういうふうな投資勧誘あるいは売買受注が行われたのかという点に重点を置いて現在調査を集めているところでございまして、百二十五条の今申し上げました構成要件と現実の事実とを当てはめるというようなことを進めているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在まで把握している事実では、この百二十五条にずばり該当するという確証を得られていないという状況にあるわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは野村の推奨作戦といいますか、そういうものによって多数の客が一般投資家としても東急電鉄株を買っだということは、これは事実です。しかし、特定の野村証券と組んでやった関係者などによって二千万株を超えるような、三千万株に近いようなものが買い取られているという事実もあなた方は知っているでしょう。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘の件は、暴力団関係者が東急電鉄株を大量に取得したことだろうというふうに受けとめるわけでございますが、これは平成元年の四月から九月にかけて野村証券を通じまして約一千百万株、日興証券を通じて同じ四月から十一月にかけて一千五百万株の買い付けが行われております。それは確認しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうやっておいて、そしてこの株をつり上げるために野村が推奨株として各支店、営業所を通じて売りまくった。そして、そのうちに特定の者には売り抜けさせた、こういうことが問題になっているんじゃないですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもの現在まで調査したところでは、今申し上げました暴力団関係者による大量の株式取得というものと、その後平成元年の十月から十一月にかけて急騰したわけですが、その急騰とを結びつける証拠というのは現在までのところ我々としては手に入れていないわけでございまして、その野村証券による大量の推奨、十月から十一月にかけての売買が暴力団関係者のためにその株価を高騰させるということを意図して行われたというような確証は得られていないところでございます。  一言つけ加えさせていただきますと、その暴力団関係者が大量に取得いたしました株は現在でも保有されているということになっております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そう言うだろうと思って私もここへこの第三報、先ほど申し上げましたこの中に、なぜその暴力団関係者が高値売り抜けをやらずに保有しておるか、そのことについてもいろいろな判断を加えて書いてございます。JR株の上場のときになればもっと上がるとか、いろいろな思惑でやられていることが、そういう点も警察の捜査の方は解明の対象としておやりになっているわけです。大蔵省は一体何をやっているのかね。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもとしては、この暴力団関係者による大量の株式取得がどういう意図で行われたのかという点については、現在までのところそういう意図を明らかにするような証拠を検査などでも得ていないわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それで、こういう問題について、大蔵省が本当は一番知り得る立場にありながら、積極的にこういうものを検査し監視をするというようなことができずに、そしてむしろそういうものは株価操縦に当たらない、そういう立場をつくっていくために大蔵省証券局は努力しているんじゃないか。けさの新聞に出ている「東急株、強引に押し上げ 大蔵通達違反は必至」というこの記事をあなたは読みましたか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 拝見いたしました。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは事実ですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私ども、先ほどから申し上げでおりますように、現在検査中でございますが、事実関係については私どもが把握しているものとほぼ間違いございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうすると、事務次官が今月の初めに会見をされたときに、一部西の地域においてはという話とは全然違うじゃないですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもの調査では、特に西の地域、近畿、四国地区の営業店の注文が多いということを把握しているわけでございます。  しかし、それ以外の部店についても大量の注文が出ているということは事実でございますが、特に近畿、四国地方が顕著だということは、これも事実でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題にかかわっていると時間がなくなるのでありますけれども、私は、この東急株の株価操縦の問題が、証券会社と暴力団とそれからこれにかかわるいわゆる仕手戦をなりわいとしている連中、こういう連中が組んで証券会社にやらせてやってきた事実を解明することなしには今度のこの証券不祥事の問題は明らかにならぬ、こう思っているんですが、大蔵省は検査中だということで、ずっとそういう立場であなた方は済ませるおつもりですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、私ども非常に重大な問題意識を持って検査に全力を挙げて現在やっておる最中でございます。  なるべく早く検査を終了し、見つけた事実に基づいて判断をしたいというふうに思っているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 その検査結果はいつごろまどまりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) いつまでという確たることを申し上げる段階にはございません。しかし、いずれにいたしましてもできるだけ早く検査を終了するようにということで努力をしているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私が六十三年の三月二十五日、証券取引法の問題についてここで質問をしたことがございます。当時、藤田証券局長は、東証、大証は連日、毎日の動きを細かく把握しておって、そういう問題について見逃すことはほとんどないような答弁をされているんですが、今あなた方は検査に入らなければわからぬ。これは一体どういうことなんですか。そして、これが問題になってからもうどれだけたっていると思うのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、この東急株につきましての取引所におきます売買を見ますと、確かに特定の証券会社のシェアが高いという姿は出ているわけでございますが、それは非常に多数の投資家の注文が出ているということでございまして、取引所の売買の状況を見ただけでは、株価操作あるいは大量推奨販売というような事実はなかなか判明しないわけでございます。現在私どもがやっておりますのは、多数の投資家の注文がどういうふうな経緯で出てきたのかという営業店における具体的な勧誘方法あるいは注文の受注方法というものを重点に置いて調査しているわけでございます。  このように、東急株のように大量の、多数の投資家の注文が市場に出てくるというような形の場合には、先ほど申しました百二十五条の作為的な相場というようなものを立証するのが、営業の前線におきます投資勧誘の実態というものを見ないとできないというような困難な面があるという点を御理解いただきたいと思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私に三年前に大蔵省が答弁をされたことでは、株価操縦の疑いがある場合には、取引所において当該企業を呼んでいろいろ話を聞いて、その事実を解明するということを言っておられるんです。今度の問題は、この東急の株価操縦の問題は、もう早くから問題になっておるんです。当然、東証の理事長に対してあなた方は、どうなっているのだということを詳細に聞かれなきゃならぬ。東証の理事長は、そんな疑いはないと言っているんです。これはどういうことなんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、取引所におきます売買状況だけを見てみますと、特定の注文によって買い上がりが行われているとか、あるいは恣意的に、つまり注文の出し方によって価格操作が行われているというような形の注文の出し方がないわけでございまして、確かに御指摘のように、東証におきましても、証券会社に対し注文主、つまりだれから注文を証券会社が受けたかという点もあわせて事情を聞き、判断をしているわけでございます。この東急株の場合には、今申し上げたように、取引所におきます売買の執行の状況を見たときに、価格をつり上げていくような形の注文が出されていないというようなことで、取引所として株価審査上価格操作が行われているというような判断をするのが非常に難しいというような状況にあるわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大蔵省にこの種の問題を検査してもらおうとしても、あなた方では大変無理だということがよくわかりました。それで私は、またこの問題については改めて審議のできる場所で詳細にお尋ねをしたいと思っております。  大蔵大臣、かつてリクルート事件が起きましたときに、証券業協会の会長でありました田淵節也氏が、社会的な公正さという視点にとらわれ過ぎると、マーケットメカニズムそのものを否定するような議論になることが恐ろしい、こういうことをコメントされているんですが、これはどう思われますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その発言自体を存じませんけれども、どなたが言われたことでありましても、今お話しのような内容というものは、国民の間に公平を欠くことを受忍しろという趣旨にしかとれない発言という感じがいたします。私であればそういう言葉は選ばないと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それは橋本さんがそういうことをおっしゃれば、直ちにここから退場してもらうことになると思う。私も、あなたがそういうことをおっしゃる方ではない。よくわかっております。しかし、証券業界のトップに君臨していた人がこういう考え方で証券業をリードしてきたというところに今日のこの不祥事の根源があるんじゃないか、こういうことを思うからお聞きしているんです。私の言っていることは間違いでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その言葉自体を存じませんと先ほど申し上げましたように、その言葉自身を聞いておりませんので、私自身の言葉で物を申し上げさせていただきたいと思います。  いずれの事件につきましても、今回起きておる事態にいたしましても、特定の人々だけが投資家の中で保護をされた、あるいは優遇をされた、これはまず第一に投資家全体に不公平を生じせしめることであります。公平性を欠くことであります。しかも、それは市場そのものの信頼を損なう行為であります。そしてそれは、証券というものにかかわりのない一般国民の間にも不公平というものを実感させるものになります。こうしたことがよいことでないことは当然であります。どういう立場の方が物を申されようと、そうした〉」とが許されていいことではありません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それだけのことを前置きにして、私それでは伺ってまいりますが、証券業協会に発表させた、私は発表したとは言いません、証券業協会に発表させた補てんリストはすべてであるか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回公表されました一連の損失補てんのリストと申しますものは、平成二年三月の大蔵省への報告で損失補てんとして報告されたものはすべて含まれております。また、各社がその後の証券検査あるいはそれ以前も含めまして証券検査、また税務調査等におきまして損失補てんとして指摘をされましたもの、これもすべて含まれております。  ですから、現在のところ、リストを公表した証券会社につきまして、これ以外に損失補てんがあったという事実は我々は把握をいたしておりません。しかし同時に、現在大手四社に対しましては、平成三年三月期の損失補てんの有無を中心にして特別検査を実施いたしておるさなかであります。当然のことながら、検査の中において新たに把握する事実がありましたなら、検査終了後可能な限り事実関係を明らかにする責任があると考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大蔵省に報告されたものと業界が発表したものとが完全に一致している、こういうことですが、では、公表された内容の最終的責任はだれに持っていただけますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、今回公表されました一連の損失補てんのリストと申しますものは、大蔵省に対して自主報告として出てまいりましたもの、それ以外に税務調査の結果、税務当局として損失補てんと認定されたもの、これらがあわせて自主報告の内容となっております。そして、それを公表されたそれぞれの各社といたしましては、自分自身で損失補てんと認識をしておられたもの、加えて税務調査の上で新たに損失補てんと認定されたもの、これを総合して証券会社の責任において証券業協会に報告をされた、私はそう理解をいたしております。  責任というお言葉でありますが、これは各社が責任を持ってこの損失補てんの内容を公表したもの、私はそう思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 では、この公表された内容に対する責任は大蔵省にはない、こういうことですね。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、決してそうは申しておりません。最終的な責任という今委員のお問いかけでありましたから、我々自身が現在大手四社に対して特別検査を実施していることでもありますし、その報告の内容というものが正確であるかどうか、その事実について今わかります限りにおいては事実関係を明らかにしたということであります。私は、大蔵省が行政責任を全く負わないなどということを申し上げておるつもりはございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 補てんの時期と方法については、企業から大蔵省にはきちんと報告されておりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 自主報告において私どもが求めましたのは、補てんの総額、それの事業年度別の内訳でございます。補てんの手口につきましては、個々の取引の手口まではその段階では自主報告を求めておりません。  典型的な例については、どういうものを使ってどういうふうにしたかというようないわゆる取引の類型といいますか、そういったものについては報告を受けております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この補てんが法以前のもう基本的ルールにかかわる問題だと大蔵大臣も言っておられる。そういうものを、通達にも違反し、取引の基本ルールを犯しているようなものについて、なぜその時期や方法について報告を求めないんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私が今申し上げましたのは、平成二年三月の自主報告を求めたときの内容でございます。現在、この問題いろいろと御審議をいただいております。私どももできるだけその内容を明らかにしようということで、個別の補てんの取引の実態についてもできるだけ細かい、いつどういう手口で行われたかという点について各社から報告を求めているわけでございます。しかし、非常に膨大な取引が行われております。これは手口といいましても、非常に頻繁に取引を行うことによって顧客に損失を補てんするあるいは利益を供与するというような行為が行われておりまして、非常にたくさんの取引を利用して行われている。それを現段階ですべて把握しているかというふうにお尋ねでございましたら、すべてを把握しているということではございません。ただ、大きなものは把握しているというふうに申し上げたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、報告を求めておられて、大きなものは把握しておられると言うなら、具体的にその大きなものをちょっと御説明ください。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) これは非常に細かい取引が多いわけでございまして、典型的な例を幾つか御説明申し上げたいと思います。  これは野村証券が日立製作所に対して損失補てんを行った取引例でございますが、いわゆるワラントを利用したわけでございます。ワラント債のうちのワラントだけを切り離したものが取引されているわけでございますが、このワラントを利用いたしまして、一つの取引は、平成二年の三月十六日にワラントを二千二百単位、ある銘柄でございますが、それを単価一〇ポイントで売却をいたしまして、それを同日、同じく二千二百単位、七二ポイントで買い取りまして、十億二千万円の利益を供与しておりますし、またもう一つのワラントの取引は、同日でございます。別の銘柄を使いまして、同じく四千二百三十二単位を一〇ポイントで売却し、これも同日、四五・七五ポイントで買い取りまして十一億四千万円の利益を供与しております。これを合わせますと二十一億六千万円ということで、このワラントによる二つの取引で野村証券が日立製作所に対して損失補てんをしているわけで、利益供与をしているわけでございます。  あと、典型的なもう一つの例を御紹介いたしますと、日興証券が丸紅に対しまして、これは株価指数の先物を利用した補てん行為でございます。株価指数の先物、これは日経二二五の先物といわゆるTOPIXの先物と両方あるわけでございますが、これが平成二年の二月の十九日から二十七日にかけまして十三の取引が行われております。いずれにいたしましても、この株価指数先物取引で顧客に売却し、それを高値で買い取るというような取引が繰り返されておりまして、合わせまして十六億円の利益を供与しているというような取引がございます。  今申し上げましたのが典型的なワラントを利用した取引行為、あるいは株価指数先物を利用した行為ということでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうすると、このワラント利用の場合に、六ポイントのものを七二ポイントで買い戻すということなら十二倍で買い取るということですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 一〇ポイントで売りたものを七二ポイントで買い取っておりますから七・二倍でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 ワラントや先物が利用されたということは、これはテレビを通じてみずから公表された企業もございます。そのやり方の典型的なものを今お示しになったんだけれども、こういう取引というのは異常な取引なのですか、普通の取引なのですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) これはなかなか難しいところでございます。  と申しますのは、当時ワラントの取引は市場が日本にはございません。このワラントというのは外貨建て、ドル建てのワラントでございまして、ロンドンのユーロ市場で発行された日本企業のものでございますが、それがかなり日本に還流して日本で取引が行われていたという事実はあるわけでございますけれども、公開市場があったわけではございません。あくまでも証券会社が相対取引でお客との取引を行っていたというのが当時の状況でございます。したがいまして、そういう相対取引で行われる場合の価格というのは非常に不透明な状況にあったわけでございます。これは昨年の九月から私ども市場を整備いたしまして、価格の公正な形成あるいは価格情報の一般投資家への伝達ということの措置をとったわけでございますけれども、それまでは全く相対で取引が行われて、しかもかなり値段については不透明であったということがございます。  したがいまして、この取引だけを見て不自然かどうかという点は非常に難しい問題がございます。同日行ったという点でやや不自然ではないかという感じが強いわけでございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、証券会社も自主的に点検をしてこういうものが損失補てん行為だということをみずから認定しているわけでございます。取引の形態、先物取引はこれは市場で執行するわけでございますので、市場で執行された取引のうちの一部でございますから、そういう意味では先物取引は市場取引だということで、不自然だということはこの取引だけを見ますと決めつけがたいわけでございますけれども、証券会社が損失補てんのためにこういう取引を頻繁にかつ極めて短期間、同日のうちに行うというようなことで、補失補てんだという認識をして我々に報告してきているということでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 このようなやり方は、損失を伴う、つまりリスクの自己責任というものを相手方にやっぱり負わせているんですか。それとも必ずもうかるということでやらせているんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) この取引そのものは、今申し上げましたように、損失補てんのための利益供与の取引でございまして、必ずもうかるとかいうような取引の行為ではなくて、もう同日のうちに安値で売って高値で買い戻すということで、いわば現金の提供といいますか、供与と同じような利益提供行為だというふうに私どもは判断をしているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それは異常な取引じゃありませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、取引の形式としては異常でないものもあるわけでございますけれども、確かに取引の流れあるいはそれが行われた状況、つまり損失が発生しているとかいうようなことを考えますと、それは利益提供を目的として行われた行為であるということでは正常の取引であるということは言いにくいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 正常な取引でないということになれば、これは証券取引法からも、その補てんの取引そのものを抜き出せば完全に証取法に触れる行為じゃありませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 証券取引法で規制をしております行為は、現在の証券取引法では五十条に禁止行為が列挙されております。あるいはそれに基づく健全性省令というのがございまして、そこにも禁止行為が書いてあるわけでございますが、これは例えば特別の和益提供を約束して勧誘する行為という勧誘行為を禁止しているわけでございます。この趣旨は、やはりそういう勧誘をするということは投資家の投資判断に非常に大きな影響を与える、つまり公正な取引ではない、そういう勧誘行為自信が取引をゆがめるものだということで禁止行為としているわけでございます。  この損失補てんで行われた取引といいますのは、今申し上げたような趣旨からいいますと、投資家の投資判断をゆがめるというよりはもう利益提供そのものを目的とした行為だというふうに私どもは考えるわけでございまして、証券取引法にずばり触れる行為というふうに現在のところ解釈しにくいということで通達を発出した次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それで、仮に相手方がそれを知らないうちにやってやったんだという、証券会社がそんなことができるということになれば、補てんでなく特定の人や特定の団体に同日ワラント債売買によって何億という利益を供与することが可能であるということになりますね。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今申し上げたような行為は、私どもとしては、有価証券投資の自己責任原則を曲げる非常に不適切な行為だということで平成元年に通達を出し、そういう行為を厳にしないようにというふうに指導をしてきているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 証券会社が自分の意思でもってある人、ある団体に対して十億のお金を供与したいと思ったら、帳簿処理でもってワラント債をその日のうちに売買したようにすれば供与できるシステムになっているということだね。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) このワラント債を利用した取引は、確かに先ほど申し上げましたように、証券会社が相手方となってお客と取引をするわけでございます。しかし、それは証券会社がみずから持っているワラントを安く売るという行為でございますけれども、やはりあくまでも証券取引行為の一つでございまして、証券取引行為ということになりますと、お客との間で売買報告書を交わすとかいうことで証券取引のルールに従った処理が行われているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 いや、僕が聞いているのは、例えば政治資金を証券業界から受けたいという場合に、政治資金規正法によらず、こういう証券取引という形でもって、同日取引で全然原資を必要とせず帳簿処理でもって十億単位のお金が手に入ることが可能であるということを僕は言っておるわけです。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、これはあくまでも有価証券取引でございまして、当然代金の入出金はその都度きちんと行われているわけでございまして、全然金額の、つまりお金の出入りなしにただ取引だけが行われているということではございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 補てんでそれがやれるんなら、補てんでないことであっても、証券会社が特定の人と気脈を通じればやれないことではないでしょうと聞いているんです。それは可能なことかと聞いている。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもとしてはそういうような行為が適正な行為ではないということで強く指導をしているわけでございまして、理論的にできるかどうかという問題と、私ども行政の立場としてそういう行為はやるべきでないという指導をしているということについては御理解をいただきたいと思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 やっぱり海部さん、こういう問題は当事者に証人として来てもらわなけれはこういう問題の真実を確かめることは不可能だと私は思うんだが、あなたも今お聞きになっておって、証人喚問は、それは国会が決めることだとおっしゃればそれだけのことです。やっぱりやらなきゃ真実は解明できないなということはお感じになりましたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) きょうまで補てんの手口とかやり方とかいろいろわかったことについては、政府はこの場を通じて国会にも御報告をしてきたとおりでありますが、今後とも引き続き真実の問題については明らかになっていくように努めていかなければならないということであります。  ただ、国会の院の運営の問題については、国会の最高機関に対して行政府がくちばしを差し入れることは、これは厳に慎まなければならぬ問題であると考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 まあ、これ以上あなたにそのことを申し上げても無理だと思います。  それでは大蔵省、もう少し聞きたい。  それは、こんな補てんを伴うような取引がもう長い間慣習的に行われてきたということを大蔵省は知っていたんじゃありませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) こういう大量かつかなりの証券会社としての損失補てん行為というのが始まりましたのは、私どもの感じではブラックマンデー以降でございます。ブラックマンデーで相場が急落したということを受けて損失を受けた顧客がふえた。その後、日本の株式市場は持ち直して平成元年十二月まで非常に好況を示したわけでございますけれども、いずれにいたしましても、まずブラックマンデーのところでそういう問題が生じたということで、それを私どもが把握いたしましたのは元年の十一月、大和証券のケース、あるいはちょうどそのときに山一証券に証券検査で入っておりまして、その検査の過程でも把握をいたしまして、元年の十二月に通達を出して、事後補てんについて厳に慎むようにという指導を始めたわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今あなたはそういうふうにおっしゃるけれども、通達を出しても証券会社はこれを無視する。野村証券の社長は株主総会で、これは大蔵省も承認していることだと言ってはばからない。だから、本人は訂正していないんです。それで、大蔵省はすべて、証券会社において大口顧客を失わないためにとられていたこういう手段、力の強い団体、投資機関からの要求に対してこういうことが行われていたということは知っておったが、税務上の処理で済ませておく、こういうことで今までずっと来たんじゃありませんか。社会的公正の問題として取り上げられるようになってから初めて事の重大さに気がついたんじゃないですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもは、平成元年の十二月に通達を出しまして、事後的な損失補てんを行わないように指導を強める、あわせまして、大証券会社に対しまして、自主点検をして損失補てんについて自主報告を求めたわけでございます。その自主報告が平成二年の三月に出てまいりまして、それを受けまして、その際、社内処分、これは法律違反というふうに直ちに決めつける行為ではございませんので、どうしても行政指導ベースになるわけでございますが、各社に対して厳正な社内処分を要求し、減俸あるいは賞与の返上あるいは配置転換というような形で社内処分を行わせたところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 証券局長、取引の公正性、市場の透明性というのは日本の証券市場に対する内外の信頼を確保する上で最も重要なことであり、そのことを確保していくことが証券局の一番の仕事だとあなたは思っていますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘のとおり、日本の証券市場は今や世界の三大市場の一つになっておりますし、国際化が進んでおります。証券市場の公正性あるいは透明性を高めるということが非常に重要だということで、私どもも、例えばインサイダー取引規制を指導する、あるいはいわゆる五%ルール、大量株保有の問題とかいうことで、できるだけ証券市場の透明性を高めていく、透明性を高めることによって公正性も高まるというふうな考え方で行政をやってきたつもりでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そう言われるけれども、あなたのところから大蔵省証券局年報というのが毎年出されて、私もちょうだいしておる。しかし、平成元年度の証券局年報の最初のページには、取引の公正性、市場の透明性を高めることが第一の任務として書かれております。ところが、平成二年度、あなたが証券局長になられてから出されたものでは、この第一の任務が第二の任務に格下げになっておるんです。市場の活性化が一番に来ておるんです。これはどういうことですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私、その点については実はあれでございますが、ただ、もしそういうことになっているといたしますと、現在我々が最大の課題として取り組んでおりますのはいわゆる金融制度改革、見直してございます。金融制度改革と申しますのは、銀行、証券おのおの余り従来の垣根を守らずに、それを取っ払って競争を促進するということによって市場を効率化するというふうな方向を目指しているわけでございます。その際の一つの大きな問題として私どもが考えておりますのは、債券市場、特に社債市場でございまして、この社債市場が日本の場合に国内の社債市場が機能していないという点を非常に大きく問題意識として持っているわけでございます。  これについては、受託制度あるいは引受手数料がどうだとか、あるいは四社の寡占的な状態はどうだとか、いろいろな問題があるわけでございますが、そういった面で特に社債市場の活性化ということが私どもの頭の中で非常に大きな位置を占めているということがそういう表現にあらわれたのではないかと思うわけでございまして、決して証券市場の公正性あるいは透明性を高めるということが二番目に落ちたということではございません。五%ルールあるいはインサイダー取引というようなことでいろんな施策をとってまいっているわけでございまして、今申し上げたように、当面の大きな課題である制度問題に絡んだ債券市場の活性化ということが非常に大きく念頭にあったということがそういう表現にあらわれたのではないかというふうに思うわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 あなたは余りよくわからぬようなことを言われたけれども、あなたがこの年報の編集責任者ですよ。そんなことを言われては困るんです、僕みたいな素人が見ているんだから。やはり大蔵省の証券問題に関する物の考え方というのがそういうところにあらわれてきている。  そして、この補てんとか、補てんだけではなくて、年金事業団の場合には、我々は資金運用で損失なんか出していない、責任者がそう言っているんです。それでも最高の補てんを受けておるんです。この補てんは何か、利回り補てんなんですよ。約束のない利回り補てんというのがあるんだろうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、補てんの中にはいわゆる努力目標を、ある程度証券会社の方から大体この程度の努力をしたいという目標利回りを示して運用に携わり、その努力目標に達しないというようなケースがあったというふうに私どもは聞いております。  その件については、そういう努力目標利回りというものが相手に対してともすれば保証というふうに受け取られるという可能性もあることは事実でございまして、私どもとしては、そういう努力目標利回りというようなものを示さないようにというような指導をしてきているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そんなこと言ったって、地方共済組合連合会や公立学校共済も全部補てんを受けているが、これは年度ごとに計画書をつくるんですよ。利回りもその計画書の中にちゃんと書いてあるんですよ。その利回りの目標も書かれたものを契約に当たって相手が持っておらぬわけないでしょう。そうすると、そういうものは初めからちゃんと契約事項になったものと同じなんじゃないですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、努力目標あるいは運用努力目標というような形で利回りを示すということが行われていたことは、私どもも承知しております。しかし、それが証券会社がその利回りを保証したというふうに直ちに認定できるというわけではないんではないかと。ただ、私どもとしては、今申し上げましたように、それは相手に対して過大な期待を与えるおそれがあるということで、平成元年十二月の通達を出したときに、あわせてそういう利回り目標を示すようなことはしないようにという指導をし始めたわけでございます。

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 久保君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、久保亘君の質疑を行います。久保君。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この際、補てん問題に関連をして、政府系機関に対する補てんの状況について政府側の答弁を求めたいと思います。  地方公務員共済組合連合会、公立学校共済組合、年金福祉事業団、これらがそれぞれかなりの補てんを受けているわけでありますが、この補てんの状況について、これらの組合、事業団等を監督されている政府側の答弁を求めます。

滝実自治省行政局公務員部長

○政府委員(滝実君) 自治省所管の共済組合につきましては、地方公務員共済組合連合会あるいは市町村職員共済組合連合会あるいは地方職員共済組合、その他政令市の共済組合、こういうところが今回補てんを受けている。こういうふうなことで公表されているわけでございます。  そのうち、地方公務員共済組合連合会について申し上げますと、七証券会社で合計金額が九億三千七百万、こういうことになっているわけでございます。特にその中で、大手の中では日興証券の例を申し上げますと、これにつきましては平成元年の六月十六日から二十二日までの間に三銘柄の株式の売買をいたしまして一億四千四百万の売却益を得ております。また、ドル建てのワラントの売買でございますけれども、これにつきましては六月七日から六月二十二日までの間に二銘柄の売買をいたしておりまして、これが合計で二億五百万円の売却益を得ている、こういうようなことが実態でございます。もちろん株式については当時の証券市場における価格によりますし、ワラントにつきましては最大五ポイントのものもございますし一・三六ポイントの利益のものもある。こういう状況でございます。

加藤栄一厚生省年金局長

○政府委員(加藤栄一君) 厚生省関係でございますと年金福祉事業団の運用でございます。  年金福祉事業団におきましては、いわゆる補てんの対象ということで御指摘を受けておりますけれども、総額で一兆二百三十億円を自家運用として運用いたしておりまして、投資顧問会社の助言を受けて年金福祉事業団みずから証券会社を相手といたしまして債券の売買をやっております。主として運用対象は公社債それから預貯金でございまして、株式による運用は行っていないわけでございます。  運用益はすべて将来の年金財政に資する財源として積み立てられているものでございますが、国税当局が、野村証券及び日興証券におきまして年金福祉事業団との間で取引をいたしました国債につきまして、それぞれの証券会社についての損失を更正決定の対象としております。これは、昭和六十三年一月から平成二年三月までの間に野村証券につきまして四十九億円、それから日興証券につきましては平成元年三月におきまして四億円、合計五十三億円をいずれも証券会社における損失として、年金福祉事業団に国債を短期間のうちに連続して売買して利益を提供していた、こういうふうに認定されております。  しかしながら、私どもの方でこの間の売買につきまして証券会社及び年金福祉事業団に事情を聴取いたしましたが、事前あるいは事後にそういう補てんないしは利益提供を求めたということはございませんし、その売買を点検いたしましても、東京証券取引所の基準価格のいずれも上下二%以内で行うということになっておりますけれども、その中にすべて入っておりまして、そのほとんどは〇・五%以内におさまっております。最大でも一%のものが一例あるのみでございまして、私どもの方といたしましてはそういう不自然な取引があったというふうには、そういう事実として私どもの方では把握していなかったというものでございます。

井上孝美文部省大臣官房総務審議官

○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。  文部省関係では公立学校共済組合だけでございますが、公立学校共済組合につきましては損失補てんとされたものは五証券株式会社から合計で総額五十九億四千九百万円となっております。  これらの取引内容につきまして、日興証券の分を例にして申し上げますと、総額が三十七億一千六百万円となっておりますが、いずれも株価指数先物取引でございます。  なお、日興証券以外の証券会社は和光、三洋、第一及び国際の証券会社でありまして、損失補てんとされた取引は株価指数先物取引のほか、国債、転換社債などの売買によるものというように聞いております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これらの共済組合、年金福祉事業団等の関係の場合には法律によって安全かつ効率的運用ということで決められておりまして、これは、安全という意味は株式の運用を認めないということなのでしょうか。

滝実自治省行政局公務員部長

○政府委員(滝実君) 私どもが特定金銭信託の運用を認めるに至りましたのは、昭和六十一年の三月の通達において認めたわけでございますけれども、その際の考え方は、株式の取引そのもの自体はこれは適当じゃなかろうと。したがって、特定金銭信託というそのファンドという中で、債券もありますし国債もあります、あるいは短期の資金運用もある、そういう中でならば多少はリスクが低目にいくんじゃなかろうか、こういうようなこともございまして、直接じゃなくてファンドとしての運用をということでもって認めているような次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 国家公務員共済組合連合会が、今回同じような団体の中でこの補てんを受けていないというのは、国家公務員共済組合連合会は独特の資金運用を行っているということなんでしょうか。

斎藤次郎大蔵省主計局長

○政府委員(斎藤次郎君) お答えいたします。  国共済の場合でございますが、国債、地方債等の債券につきましては、連合会の方針といたしまして原則満期まで保有する長期保有を基本としておるわけでございます。ほかの年金とか、議論になっております年金の事業団とか地共済等では、いわゆるディーリングと言われる短期売買を行っておるわけでございまして、その関係が国共済の場合には運用対象としていないということがございまして、今回そういう関係でいわば損失補てんの問題が生じなかったわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 国共済がそういう運用をやらないというのは所管官庁である大蔵省、最も金融にたけている大蔵省がそれをおやりにならない理由は何ですか。

斎藤次郎大蔵省主計局長

○政府委員(斎藤次郎君) これは、各共済あるいは事業団を含めて、主管大臣としてどういう運用をするかということをそれぞれの機関と相談するわけでございますが、私どもといたしましては、国共済の場合、安全確実の観点からそういう地方債等の債券を持つ場合には、いわばそれに伴って確定の利子が期待されるわけでございますので、途中の価格差による利益ではなくて、満期まで保有して、それに伴う券面に記載されている利子をそのままいただくのが最も有利で確実安全ということではないかということで、大蔵大臣の方針としてそういう運用をしてはどうかということを申し上げているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 自治省や文部省等の所管、あるいはほかにもございますが、そういうところは大蔵省では大蔵省の国共済のようなやり方が最も安全確実、有利である、こういうことを言っておられるのに、ほかの共済が何で別の方法をおとりになるんですか。

滝実自治省行政局公務員部長

○政府委員(滝実君) 昭和六十一年の三月にこの金銭信託の運用を認めた際の背景から申し上げますと、当時は、公庫債あるいは利付国債、政府保証債、こういうような有価証券あるいは貸付信託の利回りが低下していくさなかでございまして、そういう中で今後の、それ以後の共済組合の資金運用ということを考えた場合には、やはり少し運用の幅を広げて多角的な観点から資金運用をすべきだ、こういうような考え方がございまして、当時金銭信託の運用というものを開いたわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 地共済にしても公立学校共済にしても年金福祉事業団にしても、本当に補てんを受けるべき損失が生じていたのですか。

滝実自治省行政局公務員部長

○政府委員(滝実君) 私どもの調査はまだ必ずしも全部し終わっているわけではございませんけれども、少なくとも現在の段階で把握しているところによりますと、昭和六十三年度から平成元年度につきましては補てんを生ずるようなことはまあまあないのではなかろうかと。たまたまその時期は六十二年にブラックマンデーがございましたけれども、それ以後はむしろ株式市場、証券市場は上向きでございましたから、特に補てんを求めなきゃならぬというような客観的な情勢ではなかったように思うのでございますけれども、詳細につきましてはまだ必ずしも全部把握し切れておらないところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 年金福祉事業団の資金運用事業部長も損失は出していない、こう言っておられる。そうすると、これは何を補てんしたんですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもが証券会社から聞いておりますところでは、一つには株価の下落あるいは債券の価格も動くわけでございます。そういったことで実減益損が出ていない場合でも評価損が出ているというような場合もございますし、それからやはりある程度の運用利回り、目標利回りというものを当時ある程度努力目標というもので掲げていたということで、そういう目標利回りあるいは運用利回りを上げるために損失というよりは利益的供与をするというような形のものもあったというふうに報告を受けております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは、利回り保証というのは午前中にもあなたに御質問したんだけれども、利回り保証というのは明らかに業界の言葉で言えば握りですね。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 事前に一定の利回りを保証いたしますと、これは証券取引法五十条に触れる行為でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 各組合とも資金運用の年度ごとの計画が出るんです。その計画で運用に伴う利回りの目標というのはちゃんと書いてある。だから、その上でその資金が運用されているんだから、これはもしその利回りに達しなかったから補てんしたということになれば明らかに利回り保証じゃありませんか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもが報告を受けているところでは、確かに運用努力利回りというものをある程度示したということはございますし、それに達しない場合に、必ずしも運用努力目標に達するまで補てんをしているというわけではございません。できるだけ運用利回りを上げようということで利益供与の取引を行ったというふうに聞いているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この政府系機関の資金運用については、共済組合などがそれぞれ違った資金運用の仕方をやるというのは、私はやっぱりおかしいと思うんです。だから、このようなことを生じない一つのルールというものをきちっと決める必要があるんじゃないですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、たまたま各共済、また年金について御指摘をいただいたわけでありますけれども、私は、国共済というものの性格はまさに公務員制度としての一環の年金制度でありますことから、職域年金有無が例えば厚生年金や国民年金との違いがあるとか、まあ制度的な差異もございますので、その資金運用というものについて一概に申し上げるということは差し控えたいと思います。ただ同時に、私は、年金資金、これは共済でありましても、厚生年金、国民年金等でありましても、その運用対象というものは国債とかあるいは地方債など安全確実なものに限定されている。これは当然のことでありますけれども、そればかりではなくて、その方法につきましてもやはり国民の批判を受けるようなものであってはならないと思います。  それぞれの制度は違いがございます。ですから、その運用につきまして主管省としての御判断はそれぞれにおありでありましょう。ただ、安全確実ということ以外に、やはりその性格上国民の御批判を受けるようなものであってはならないと私どもは考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 年金福祉事業団の場合には、株式運用は違法であるという認識を持つ、こう書かれておりますが、これは法律上はほかのものとも文面はほとんど同じですね。そうすると、年金福祉事業団が株式運用を行えば法律に照らして違法であるという認識を持つと言われることはそのとおりですか。

加藤栄一厚生省年金局長

○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団法の中に運用対象の規定がございまして、年金福祉事業団における資金の運用につきましては、以下に述べる方法によって安全かつ効率的に行わなければならないという趣旨の規定がございます。それで、「国債、地方債その他確実と認められる有価証券の取得」というのがその中にございます。これは株式は含まないというふうに解決されております。それから「預金又は貯金」、それから「信託会社への金銭信託」、それから生命保険会社への保険料払い込みという形式による運用の委託、これだけが認められておりまして、直接に年金福祉事業団が自家運用として取引いたします場合には、国債、いわゆる公社債、あるいは預金または貯金に限られるというふうに解釈しております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題はまた別の機会に私は少しお聞きしたいことがありますが、一つだけ申し上げておきたいのは、共済組合連合会等と比べて、民間の厚生年金の被保険者を対象としている年金福祉事業団の場合には、掛金が、集まったお金が大蔵省の資金運用部に全部入って、そしてこの資金運用部から運用資金を借りてやっている。このことのために資金運用部に大体五%ぐらいの利子を払うんです。その残りの二%ぐらいを稼ぎ出すために必死になってやっておるわけです。共済組合の場合と全然違うんですが、どうして民間の厚生年金の場合にはそういう差別的扱いが行われるんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 必要でありましたなら事務方から補足をいたさせますけれども、今、委員から年金福祉事業団が利ざやをというお言葉がございました。しかし、いわゆる自主運用部分を除きました年金積立金は、これは確かに財政投融資の重要な原資となっておりますし、社会資本整備あるいは住宅整備、中小企業対策といった政策的な要請に対して非常に大きな役割を果たしておりますけれども、これに係ります資金運用部から財投機関への貸付金利というものは預託金利と同一の水準ということになっておりまして、資金運用部が利ざやを稼いでいるというものではございません。そして、預託金利というものが御承知のような性格を持っておるものでありまして、むしろ現に中期、長期的に見て安定確実な収入というものが確保される性格であることは御理解がいただけると思います。  委員御指摘になりました部分につきまして、今利ざやという言葉がありましたから、その誤解を避けたいと思ってこの点を申し上げました。事務的に補足をさせたいと思います。

寺村信行大蔵省理財局長

○政府委員(寺村信行君) ただいま大臣が御答弁申し上げたことで大半は尽きているわけでございますが、現在の運用部の預託金利は国債金利に連動いたしております。これは、現在年金積立金で運用部にお預かりいたしております金額が六月末で七十六兆円に達しておりますが、これだけ大量の公的資金を安全確実に長期に運用する対象の資産としてはどういうものがあるかと考えますと、やはり長期金融市場の代表的な金利である国債金利に連動するのが適切ではないか。と申しますのは、国債は大量に、かつ継続的に発行されておりまして、非常に市場に厚みがございます。それから流動性が高い、国の信用力を背景にしている。そういうことで、将来の国民の貴重な年金財源を確実有利に運用する対象としての適切な金利というのは、つまるところその根幹は国債金利になるのではないか。そういうことで、国債金利で基本はお預かりしている。  先ほど主計局長が申し上げました国共済で主としてずっと長期債を購入して最後まで持っているのと同じような仕組みで資金運用部がお預かりをしている。そしてお預かりをした金利そのままで、例えば道路ですとか下水道ですとかあるいは住宅対策で同一金利でお貸しをしていて、資金運用部には利ざやが一切発生していないということでございますのでは、国債以外に若干有利な運用対象はないかというと、それはあるわけでございますが、それは、国債の運用に比べて確かに有利であるかもしれませんが、相対的にリスクは高い運用になる、こういう位置づけになろうかと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 いや、私が言っているのは、どうして年金福祉事業団が共済組合のように自己資金を資金運用できないのか。資金運用部に上がったものを今度は利子を払って借りてきてそれを運用しているから、その運用利息から資金運用部の借入金利を払ったものしかその運用益として残らぬのじゃないかということを言っているんですよ。

寺村信行大蔵省理財局長

○政府委員(寺村信行君) 財政投融資は、年金資金ではなくて郵便貯金とかその他の公的資金をお預りいたしまして、お預りした金利でまたお貸しをしております。したがいまして、年金の積立金が運用部に入りまして、そして年金福祉事業団で各種の福祉施設に対する貸付金とかその他について運用されるわけでございますから、同じ金利でお貸しをしている、そういう仕組みになっているわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私の説明が悪いのか、あなたが故意に理解しようとしないのか、よくわからぬけれども、またこれは後ほどやりますが、今七十六兆ということを言われたが、七十六兆の資金を有する年金福祉事業団が共済組合と比べた場合に被保険者に対する貸出制度をほとんど有していないというのは、これはどういうわけですか。

加藤栄一厚生省年金局長

○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団におきましては、ご存じと存じますけれども、一般的には事業主、被保険者あるいは年金受給者に対します住宅資金その他施設整備資金等の貸付制度がございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私が何も知らぬと思ってあなたそんな答弁したらいかぬよ。年金福祉事業団、つまり厚生年金の被保険者に対する貸し出しの制度というのは、住宅金融公庫を利用する場合、そのほか生活資金とかそういう小口の融資というのは年金受給者にしかやられていないでしょう。被保険者にはそういう制度はないんじゃないですか。

加藤栄一厚生省年金局長

○政府委員(加藤栄一君) ちょっと御説明が十分でございませんでしたので申しわけありませんが、年金の被保険者につきましては住宅資金に限られております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 住宅金融公庫を利用する場合の住宅資金の貸し出しかありますが、しかし、ほかの共済組合などと比べた場合に、民間の厚生年金の被保険者というのは現職中にお金を借りる制度がないんですよ。共済組合は貸し出します。だから、八十兆近い資金を持っているところが、一定の条件は必要でしょう。しかし、そういう条件をつけるにしても、被保険者に対して融資制度をつくるということは当然のことじゃないですか。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(下条進一郎君) 今のお尋ねの基本を申し上げますと、御承知のように、長寿社会のその裏づけとして年金制度を我々は充実していかなきゃならない、そういうために年金の運用につきましては長期安定的な資金運用に限定されるということでございますから、先ほど来説明がありましたように、この運用については公社債を中心にやり、あとは預金、こういうことになっているわけです。  そこで、その運用の中で我々は今、受給者の場合の住宅資金の手当てはいたしております。しかし、いろんな御要望がありますから、今掛金を掛けていらっしゃるその御本人に対してどういうような形で御要望に応じていったらいいかということを検討しておりまして、近い将来、できればその御本人のいろんな生活に関連する学資資金とか、あるいはまたそれら以外のいろんな緊急の需要の問題とか、あるいはまた身体障害者の方がございますから、そういった方々が購入されるいろんな機器等々につきましてこの貸し付けの制度を拡大できないかどうか、これは慎重にまたできるだけ前向きに検討してまいりたいと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 慎重に前向きにということになると何にもなくなるんです。だから、そんなことを言わずに、民間と公務員の場合と差別が生じないように、これらの制度は被保険者が融資を受けられるという制度にすべきだと私は思う。今も年金担保で年金受給者に対する貸出制度があって、年間八万件ぐらい二百万円以内で貸し出す制度がこの厚生年金であるはずです。だから、これを被保険者に制度としてきちんとしたらどうですかと言っているんですから、やりますと言ってくれればそれでいいんです。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。  前提としては、我々はやはり年金が長期安定的に運営できるような見地に立って考えていかなきゃならない。その中で今のような年金の掛金を実際に払っていらっしゃる方々の御要望にはできるだけこたえていかなきゃならぬという需要もございますから、慎重にまたできるだけ御期待にこたえられるように検討してまいりたいと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 では、制度創設の御意思があると理解していいですね。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(下条進一郎君) これはまだ予算の問題等々いろんな関係者の相談もございますから、今断定的にはお答えできませんけれども、かなり前向きに対処してまいりたいと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、また証券問題にちょっと戻らせていただきますが、今回公表された補てん総額の一千七百二十八億円というのは、結局この一千七百二十八億円を負担したのはだれなんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 損失補てんは、これは先ほど来御論議がありましたように、証券会社が取引関係維持のために主としてみずからの負担において顧客に生じさせた損失を補てんするというものでありますから、直接的には主として証券会社の負担においてなされたということになります。しかし、それは株式取扱手数料等市場を利用される方々が支払われたお金が積もって証券会社の利益を生んでおるわけでありますから、直接的には証券会社でありますが、今委員がお尋ねになりましたような視点からお答えをするとすれば、市場を利用されたすべての方々とお答えするのが正確でありましょう。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 補てんを受けられなかった一般の小口の、特に小口の投資家が最終的には手数料を払うという形において負担した、こういうことになりますね。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その大口の投資をされた方が全部補てんを受けておられるかどうか事態を存じません。ですから、今市場を利用されたすべての方々という言い方を申しました。言いかえれば、大口の顧客として特別な扱いを受けなかったすべての方々が負担をされた、市場を利用されたすべての方々が負担をされた、委員がおっしゃったような意味も含めまして私はそのように理解をいたします。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは事務当局でよろしいけれども、四大証券の手数料収入というのは年間どれぐらいになっておるんですか。そして、それは証券会社の収益の何割を占めておりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今、手元にございます数字は全部の証券会社の数字しかございません。後ほどまた四社の分は調べてお答え申し上げたいと思いますが、全部の証券会社について見ますと、平成三年三月期、一番最新の決算期でございますが、株式のブローカー業務による手数料収入が一兆七千三百七十四億円ございます。これは全体の営業収入、これは収入で、費用と別でございますから、要するに手数料収入、いろんな手数料収入が全部入っていると考えていただいて結構でございますが、それの五〇・一%、ほぼ半分を占めております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 ちょうど手数料収入の一割を補てんに使ったということになりますね。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたのは平成三年三月期の収入でございまして、補てん総額の千七百二十八億円はブラックマンデー以降の六十三年九月期、元年三月期、二年三月期とその二年半にわたった損失補てん額でございますので、ちょっとベースが違うと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私はさつき大蔵大臣に小口の投資家と申し上げたが、それはちょっと私も訂正しておきましょう。補てんを受けられなかった投資家、この人たちの手数料、証券会社の収入の半分がその手数料、その中から支払われたということになれば、これは補てんの対象にならなかった投資家は、自己責任が原則だということが仮にわかっていたとしても、これは許せない。そして、そのことは不公正というだけではなくて、明らかに証券取引ルールの基本に反する経済犯罪ではないかという思いを強くしているわけです。  私は、法以前のルールに違反をするような行為というものは、不祥事という認識ではなくて、これは経済犯罪に類するものであるという認識を持たなければ大蔵省は本当の意味での監督行政はできない、こう思うんですが、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、委員が仰せられる意味が決してわからないのではございません。そして、むしろ損失補てんといった他の国々においても法律上にこれをわざわざ書いていない、わざわざ書いていない当然のことながらあり得ないとされている行為が、しかも通達をもって禁止しました後にも起きていたということについて、今回御審議をお願いしたいと思う証取法改正案の中に、ほかの国では当然のことながら倫理上行われないものを法律で書かなければならないということ自体を本当に情けなく思っております。  しかし、同時に委員に御理解をいただきたいことは、行政当局の行動は法律によって制約をされ、その法律の中で行動する以外に外に踏み出すことはできません、心の中にどういう思いがありましても。それと、法に従って行動するという中におきまして損失補てんという行為を現行法で禁じていなかったということにつきましては、一つの限界のあることは御理解をいただきたいと思います。むしろ、証取法の改正の中に他国で法をもって禁じていない行為を禁じなければならなくなる、その情けなさの思いの方が私は今先に立っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今、大蔵省とか証券取引所、日本証券業協会等に証券の取引をめぐって個人の投資家等から出されるいわゆるトラブルの件数というのは、月にどれくらいになっているんでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 手元に今正確な数字を持ち合わせておりませんが、証券取引所にも苦情を処理するところがございますが、現実には証券業協会に苦情を申し立ててくるケースが多いわけでございまして、私の記憶では、証券業協会に対する苦情の申し立ては大体年間百件から百数十件とかというような感じでたしか把握をしております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大変少ない数字だと思いますが、これは苦情を申し立てでもほとんど取り扱ってもらえないということなんじゃないでしょうか。  では、念のためにお聞きしますが、証券取引責任準備金というのがございますね。この証券取引責任準備金というのはどれぐらい使われておりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 大変失礼いたしました。ちょっと数字がございませんで、感じで申し上げたのでございますが、証券業協会におきますいわゆる証券苦情相談室というのがございます。これは全国土地区協会があるわけでございますが、この土地区協会の苦情相談室で扱った件数は、平成二年一月から平成三年六月でございますから一年半になるわけでございますけれども、苦情件数は二千三百件ということでございます。これは全国ベースでございまして、大変申しわけございません。  それから、証券取引責任準備金の取り崩し額でございますが、これは平成三年三月期でございますけれども、全証券会社合わせまして八十億円ということになっております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この八十億円というのは補てんのような性格を持っていますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 広い気味では損失補てんというふうに言えると思います。しかし、これは法律上に認められた制度でございまして、証券事故という概念を使っておりますが、証券会社とお客との間の取引において証券会社に何らかの責任が生ずるような事情があるという場合に、証券会社とお客との間でいろいろ話し合いをした結果、証券会社がお客の損失を補てんする、あるいはお客のそういう話し合いに応じて支払いを行うということで証券事故として協会に報告をされまして、その報告に基づいてこの証券取引責任準備金を取り崩してそれに充てるという制度になっております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 証券業協会の調停委員会はどれぐらいの調停を行っていますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 大変申しわけございませんが、証券業協会の調停委員会についてはちょっと今のところ私ども実情を把握しておりません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは別のことをお尋ねいたしますが、証取法に定める大蔵省の仲介制度というのはどれぐらい活用されているんでしょうか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 過去にあった例もございますけれども、ここのところは例がございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私どものところへ言ってまいります個人からのいろいろな苦情というものはほとんど取り上げてもらえない。それから、これらの人たちは、半分は自分たちがだまされたんだと思っておったが、今度の補てんの状況を見れば、これはもう全く証券会社の営業部の営業担当のやり方というのは豊田商事と同じじゃないか、こういうことで、私は関係がないんだけれども、私の方が怒られるわけです。こんな問題が何で起こるんだ、こう言って怒られておるんです。  私は、このことは、具体的に今度の補てんをめぐるいろんな問題をきちっと将来にわたって防止するということではなくて、こういう明らかに証券取引の基本に違反したような者に対して何らかの罰則を科す、自発的罰則でもいいんです、そういうことでないと国民の公正感というものは戻らない、こう思っているんですが、大蔵大臣、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員のところにさえそういう苦情が寄せられるということでありますが、私のところにも郷里の自宅を含めましてそうした声はたくさんございます。そして、そうした声に私自身が心を動かさないということではございません。しかし、現在の制度の中で感情的なものは抜きにして考えますとき、損失補てんによって利益を受けたとされる方々がそれをどう取り扱われるかというものは、それぞれの方々のまさにみずからの良心によって判断されるべきであるという以外にルールを持っておらないということであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 こういう問題こそ大蔵省は行政指導をやったらいいと私は思うんです。そして、そういうことについて参考となるべき意見を伝えてやるべきです。これは明らかに法律の条文一つ一つに照らして罰則を科すことはできないけれども、大蔵大臣が繰り返し言われているように、もう法律に先立つ取引の基本のルールに違反する犯罪なんです。その犯罪を犯したこの行為に対して償うのは当然のことだと私は思うんですよ。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は委員の仰せられる気持ちがわからないつもりはございません。しかし同時に、行政当局が法律の中でその行動を行います場合に、その法を超えてあるいは離れて行動することもまた許されるべきではありません。そうしたことをも踏まえながら、今私どもは証取法改正案の内容の検討をしておるところであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 きょうは時間に制限がございますから問題点の指摘はそれぐらいにしておきますが、実は金融機関における不祥事というよりはこれは犯罪ですね。金融機関におけるこれらの犯罪のよって来った原因に政府の金融政策はかかわっていないかというのが一つ。  それから、このような犯罪、とても常識では考えられないような犯罪が至るところに起こっている。このことがなぜ大蔵省の金融機関の検査によって発見することができないのか。このことについてお考えになったことはありますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 後半の部分につきましては技術的な問題を含みますので、事務当局からの答弁をお許しいただきたいと思いますが、前半の部分について私なりに申し上げたいと思います。  それは、昭和六十年九月のプラザ合意以降急速に進展をしておりました円高のもとにおきまして、経済活動が停滞する一方で物価が安定的な基調で推移していきましたために、内需中心の景気拡大を図りますため、当時政府は財政、金融両面にわたる経済政策を実施し、その間におきまして公定歩合も六十一年一月以降五回にわたって引き下げられてまいりました。私は、この政策そのものは今日なお内需中心の息の長い経済拡大を続けてくるところに十分な役割を果たしてきたと思います。  しかし同時に、その過程でいわゆる金余り現象と言われるような金融緩和局面における潤沢な資金供給が図られること、また投機的な取引というものが活発化をし、土地あるいは株式など資産価額の上昇というものが、典型的には都心部における地価上昇といった傾向で非常に大きな弊害をもたらしたことも私は否定をいたしません。  こうした中で、金融機関の土地関連融資というものにつきましては、御承知のように、数次にわたる通達の末、総量規制という手段に私どもは踏み切りました。それなりにこの効果は出てきておるところでありますし、また平成元年五月以降五次にわたって公定歩合を引き上げてくる等、日銀当局においても適切に対応してこられたと思います。  金融政策全体の中にはさまざまな課題がございます。そして、インフレなき内需中心の自律的成長ということに向けて、プラザ合意以降選んでまいりましたその基本的な路線に私は誤りがあったとは考えておりません。しかし、その中で我々が気づかないうちに大きな弊害を生じていた、それに対する対応がおくれた、その責任を私は否定するものではございません。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 今回各種の不詳事件が発生いたしましたことはまことに残念に感じております。  ただいまの金融検査につきましてのお尋ねでございますが、金融検査は預金者の保護などのため金融機関の業務の健全性の確保を主たる目的として行っているものでございます。その中で、今回の事件にも関連をいたしますが、内部事務管理体制のあり方、それから運用状況、これも検査の対象でございます。そして、検査におきまして問題点を把握した場合には厳しく指摘し、その適正化を求めているところでございます。  ただ、あえて申しますならば、個々の行員の不正行為を発見したり予防するのは、まず第一義的に基本的には金敵機関自身の問題でございます。この金融検査の主眼は、そのような金融機関の内部事務管理体制のシステム、運用、それが適切であるかというチェックにありまして、個々の事務処理自体を網羅的に調べ上げて個別の不正発見を主眼とするものではないということ。それからまた、実際問題といたしましても現在の体制のもとで全店舗を網羅的に調べることは困難であるというようなことは御理解をいただきたいと思うのでございますが、私ども現在のこの検査の法律上の位置づけ、それから実際の検査の体制その他から見まして、この検査の手段なり方法なりに基本的な問題があったと言う。ことはできないと考えております。  ただ、もちろんこのような不詳事件が発生したことはまことに残念でございまして、検査についての御指摘は厳しく受けとめ、一層検査を充実させよという御叱正ということで受けとめさせていただきたいと思います。なお、今後検査の手法、ウエートの置き方その他につきまして研究をいたし、一層の努力を積み重ねてまいりたいと存じます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 最後に、こういうような不祥事をなくするための方法といいますか、これは一つは法的な問題、一つは証券会社の問題、もう一つは大蔵省に現在その権限が与えられていた証券・金融の検査監督の問題、この三つが考えられると思うのでありますが、法律の問題は証取法の改正案をお出しになった段階で議論をすることになろうかと思いますが、証券会社の問題の中できょうは二つだけ言っておきたい。  一つは、証券会社に国際的な責任を負わせるために、ぜひ四大証券をニューヨーク市場に上場させなければならぬ。このことに対してはアメリカからも要請があるはずです。そういうことについては大蔵省はどうお考えになっておりますか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 私どもが承知している限りでは、特にアメリカ側から、ニューヨーク市場に四大証券会社を上場させるという要請は受けておりません。ニューヨーク市場に上場した場合の一つのメリットといいますか効果は、向こうのいわゆるディスクロージャーといいますか、企業内容の開示が非常に厳しいということで、企業内容、企業の実態がより明らかになるという効果がある、そういう状態が続いていたわけでございます。しかし、現在、構造協議なども通じまして日本のディスクロージャー制度も急速に拡充をされてきておりまして、現在ではもうほとんどアメリカのディスクロージャー制度、企業内容の開示制度と全く同じ域にまで達しております。若干セグメント情報というところで差はございますけれども、ほとんど同じような企業実態の開示のレベルに達しているというふうに考えられるわけでございますし、アメリカの専門家との意見交換でもそういう形になっております。  確かにニューヨーク市場に上場するというのは、一つのシンボリックなといいますか、象徴的な問題だろうと思うわけでございますが、今申し上げましたように、特にアメリカ側からの要請があるということでもございませんし、あるいは私どもがそれに対してどういう判断をするかということは、これは基本的にはやはり各証券会社の判断にゆだねざるを得ない問題ではないかというふうに考えるわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は意見がありますが、これは三年前にもここで議論をいたした問題でありますが、そのときよりも証券局の答弁は少しだけよろしい。だが、このことは私は積極的に考えてもらいたい問題だと思っております。  もう一つ、証券会社に関しては、証券事業の企業の中に万里の長城をつくらなきゃいかぬ。チャイニーズウォールと言われるこれをつくることによって、株価操縦とか今不祥事として起こってきているような問題を企業そのものに起こらないような制度をつくらせる、これが今重要になってきているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、現在の証券会社、特に大手の証券会社はいろいろな業務をあわせ営んでおります。ブローカー業務、ディーラー業務、アンダーライター業務、その各業務の間に場合によっては利益相反的な関係が生ずるということが十分考えられるわけでございまして、そういった観点で、例えばインサイダー取引規制の際に、私どもはその法人の情報が入りますアンダーライター業務とブローカー業務あるいはディーラー業務との間にその情報を遮断する厳格な壁をつくるという指導をしてまいっております。  今回の補てんのケースを見ましても、取引関係維持という中に幹事関係を維持するというような考慮が働いていたということはこれは否定できない事実だろうと思うわけでして、そういったことを踏まえまして、できるだけこの業務の間に壁をつくって情報が流れないように、あるいは人事管理上もそういうような考慮をするようにということをこれから指導をさらに強めてまいりたいというふうに思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 次は大蔵省にかかわる部分で、大蔵省の皆さんに対しては私は個人的な問題をいろいろ言いたいとは思わないが、やはり制度として天下り規制ということが厳格でなければならぬと思う。これは、その業務に直接かかわっている部とか課にいたからということではなくて、大蔵省の管轄する部門への天下りというものを人事院の承認制度にきっちりして、そして人事院に対して、これを大蔵大臣が二年間はやらないとおっしゃったようだけれども、そういうことを全体的にやらないと、部門に絞ってやるということは問題ではなかろうかと思っておるんですが、人事院としては今の天下り規制の問題についてはどういうふうにお考えですか。

弥富啓之助人事院総裁

○政府委員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  ただいまの営利企業への就職制限問題、これは国家公務員法上決められている問題でございますが、これはもちろん先生御承知のとおりでございまして、職員が在職中の地位とか権限を利用いたしまして営利企業に就職しようとする弊害を防止し、もって公務の執行の公正を確保するというために、離職後二年の間は離職前五年間に在職した国の機関と密接な関係にある企業に就職することを原則的に禁止することでございますけれども、一方、離職して公務員の身分を離れた人たちにつきましては、いわゆる職業選択の自由とかあるいは勤労の権利等の基本的人」との調和を図るという趣旨にのっとりまして、今仰せのとおり、人事院がこの法律の精神に反しないとして承認した場合に限り就職を認めることとしておるところでありまして、このことにより、国民の行政に対する信頼感の保持を図ろうとする制度でございます。  このようなことでございますので、人事院といたしましてはその職員が非常に重大であるということにかんがみまして、この制度の運用に関しましては、これは従来から国会におきましていろいろ御議論がございました、その御議論を十分に参酌しながら国民の非難を受けないよう厳正に対処してまいりましたし、また今後ともそのような方針で対処していく所存でございますが、ただ、言われましたように、いろいろマスコミあるいは国民の批判がただいまのところあるようでございます。これは今後とも十分に我々として心に期して厳正に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、この職員の再就職問題全体を、今人事院総裁としてお述べになりました見解に付記することはございません。  ただ、今委員から御指摘になりました関連として、証券会社への再就職というものにつきまして、私はそれが証券行政をゆがめてきたとは絶対に思っておりませんけれども、そういう御批判があることは間違いありません。そうしたことから、当面、これは証券市場、さらには大蔵省自身についてもでありますけれども、国民にもう一度信頼をしていただけるまで、それを当面という言葉に言いかえさせていただきます。当面、大蔵省の幹部職員、すなわち、本省の課長相当職以上の者が人事院承認を要する証券会社への再就職を考えます場合、これは本人にも、証券会社自体にも、両当事者の理解を得て自粛を求める、少なくとも人事院承認の申請を行わないという形でこの問題に対処したいと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 最後に、今回の証券不祥事に発して日本版SECの設立を求める声が内外に高まっております。このことについて、総理は行革審に検討をゆだねられたように聞いておりますけれども、本来、これは責任を持つ政府として一定の方向を出してその具体化について検討を求めるべきものであって、丸ごと発注するというようなものではない、私はそう思うんです。だから、このことについてどうすべきかということについての基本的な政府の考え方をぜひ伺っておきたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今委員が御指摘になりましたように、検査組織を含みます検査監視体制というものにつきまして、私どもは大蔵省自身として、証券のみならず金融検査等をも含めまして検査体制、監視機構のあり方というものを根本的に検討する作業をプロジェクトチームをもって発足をさせました。その後、総理から行革審に御要請をされました。これは今委員が御指摘のとおりでありますが、総理は行革審に問題をほうり込んでしまうというような無責任なことで言われたことでないことだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。  そして、大蔵省といたしましても、行革審が来年度予算に間に合うように精力的に御審議をいただけるということを伺いましたし、国会として今日まで続いてまいりました御論議の中で、大蔵省としては新しい検査機構のあり方につきましては行革審の御審議にゆだね、その結論に従うことが筋と考えでそのような態度をとりました。同時に、去る十九日の行革審に対しまして大蔵省として今日まで検討してまいりました内容をすべて御報告を申し上げますと同時に、今後我々もともに勉強いたします、そして行革審から御指示がありますならその御指示に基づく資料も作成をいたします、また、こうしたことについての考えを示せということであるならそうした作業もいたしますということを申し上げてまいりました。  もしお許しがいただけますなら、その検討の内容というもの、そして、その中から出てまいりました我々の問題点について多少の時間をいただいて御報告をしたいと思います。  まず第一に、その所掌事務のあり方についてでありますが、行政機能と検査機能の両方の機能の所掌のあり方、また、証券と銀行の両業務分野の所掌のあり方をどう考えるか。検査権限などにつきまして、現行の権限でいいのか、あるいは現行の権限を越えて準司法的権限をも持つこととするかどうか、また、検査対象を証券会社や銀行の取引先にも及ぶものとするかどうか。また、告発、行政処分との関係につきまして、検査の結果を司法当局への告発及び行政処分にどのようにつなげていくか。また、行政処分の適正さを担保するため、どのような所掌、仕組みが考えられるか。また、取引所などの自主規制との関係につきまして新しい監視機構というものはこれを想定するのか、そして役割分担をするのか。また、人的体制について、その採用、訓練、人事、処遇等をどう考えるか。さらに、責任体制につきまして国会や内閣に対してどのような責任を持っ組織を想定するのか。こうした問題意識を検討してきたわけであります。  まず、行政機能と検査機能の両機能の間には一定の距離、節度ある距離を保ちながらも、どうしても必要となる両機能の間の連絡調整というものがございます。これを実質的に維持していく必要はあると思うけれども、それをどうしたらいいだろう。また、金融・証券両市場が相互の関連を強めている状況、さらに今後予想される金融制度改革というものにつきまして相互参入というものが行われる事態を想定しますと、金融と証券両市場を視野に置いた検査機構の方が望ましいと思うけれども、そこはどうだろう。  さらにそのほかに、検査権限というものについて現在は任意的検査機能であります。この任意的検査権限にとどまらず、ある程度の準検察的な機能を持たせることのよしあし、行政と検査というものが適正に行われることを制度的に担保するために第三者にチェックあるいは助言をいただく何らかの新しい仕組みを考えることが必要ではないだろうか。また、取引所などの自主規制との関係につきまして、諸外国の例に見られるように、自主規制機関が政府の規制と並んで一定の重要な役割を担っていくことが望ましいのではないか。こうした問題について我々は議論をいたしてまいりましたし、今後ともに議論をしていきたいと考えております。  多少長くなりまして恐縮でありますが、我々は決して行革審に無責任に作業をお願いしておるつもりはございません。我々自身も行革審の御審議のための資料あるいは論点整理、どういうお役目でも与えられれば果たしていくつもりであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今のような検討の課題、検討の進んだ段階、こういうものを私は国会にも具体的に御提示願って十分論議を尽くさせてもらいたいと思っておるんです。  そして、我々としてもまたいろいろ提言を申し上げたいこともあります。一体今国民が期待しているのは、今日のような金融・証券業界の状況に対応できる検査、監視、監督、そういう機能というものをいつつくってもらえるんだろうか。ずっと考えた上で遠い将来にはそういうものができてくるだろうというのは国民が期待していることではないわけですね。やはり早く対応しなければならない。そしてまた、SECというのは一般的に使われているけれども、日本版とか米国版とな言われているが、果たして日本版SECというので可能性のあるそして効果のある制度というものはどういうものなのか、こういうものを私どももいろいろと提言をしたいものがあります。だから、そういう問題について行革審の御検討を願われていくことはそれはそれでよいことだと思うんです。ぜひひとつ国会とも政府が議論をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 当然のことながら、国会において御論議がございますれば、そして我々に対して御議論をいただけます部分は我々として十分拝聴したいと思いますし、同時に国会における御審議の内容というものは、当然のことながら行革審の事務方を通じて委員の方々の御検討の参考にもしていただけるものと私は思っております。私どもは、その論議を逃げるというようなつもりはございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 総理大臣、あなたがいろいろお考えになって内局処理か、外局、外庁的なものか独立機関が、そういうようなことに関しての一つの考え方というものをお持ちになったことはありませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、今回の一連の事件の中でまず最初に考えましたことは、当面の急務としてはそれを担当しておる大蔵省が厳正に対処して、どこに埋めなければならない反省点があったのか、検査体制、監視体制というものをもっと強化して当初の目的を達成するようにしなければならない。それには今大蔵大臣が細かく申し上げましたようないろいろなやり口がございます。  ただ一つ、国民の皆さんや内外の投資家やいろいろな人の広い意見や立場からいうと、この際監視機能のあり方というものはこのままでいいのかどうかということについても大蔵省当局の考えや努力はもちろんのこと、広く国民各界の意見を代表する行革審の中で審議をしていただいて、それを政府は謙虚に聞くということも極めて大切だと私は考えたわけであります。  したがって政府は、今回の出来事に省みて、政府自身できょうまでいろいろやってきたことの中でこのような不祥事が起こったということもこれはそのとおりでありますから、これを防いでいくために政府はもちろん努力しますけれども、どのようなあり方がいいか、どのような問題点があるのかも行革審においても御議論をいただきたいという発想ですべて一度御議論を願いたい。ただ、御議論願いたいと言っただけで全部下請に出したというようなそんな発想ではなくて、大蔵省にも厳しく、あなたのところでも今までの仕組み、体制、やり方、法律、通達をどうするかということについても厳しくチェックして、それはそれで直ちに取り組んで進めるべきであると、こう両方からやっておるわけです。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大体いつごろをめどに、さっさ来年度の予算でとおっしゃいましたが、いつごろをめどに方針を固められますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 行革審に御論議をゆだねるという決断をいたします前、と申しますより総理から行革審に御依頼が行われます前には、大蔵省といたしましては八月三十一日の概算要求までに間に合わせなければいけないというつもりでプロジェクトチームの作業を始めておりました。しかしその後、行革審の方の御意向を伺ってみますと、来年度の予算編成には間に合うようにこうした点についての審議を終え結論をいただけるということでありますので、私どもは、その場合に来年度の概算要求に大蔵省自身としての要求は出さず、行革審からの御意見がちょうだいできました段階で、それに従ってあるいは組み替え要求等の手順を踏んで、いずれにしても来年度予算編成にはその結果を反映いたしたいと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 時間が短くなりましたので、証券問題については一応ここでとどめておきます。  次に、政治改革の問題についてはんの二、三点だけきょうは伺っておきたいと思うのであります。  私は、小選挙区比例代表並立制は究極のところ民意が議席に反映しないことによって議会制民主主義の否定につながる、こういう考え方を持ちますが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国民の皆さんが求めていらっしゃる政治改革というものは、民意が反映する政治、そして公正で信頼のできる政治、そういったものを求めていらっしゃると思います。  私は、我々の立場から考えても、今議席に民意が一番ストレートに反映してくるのはある意味では小選挙区制度だと受けとめております。そのことは選挙制度審議会にも御議論を願ったんですけれども、繰り返しませんが、この答申の中にもそういったことはいろいろ書いてございます。そして、その小選挙区制だけで推し進めますといろいろとまた少数意見の反映という面で問題が出てくるという点の指摘もございました。したがって、比例代表制を並立することによって民意がなるべくストレートで反映するような制度、仕組みに変えていかなければならない、こういう願いから発しておるものであると御理解をいただきたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、選挙制度審議会が有権者である国民の選択権に属する政権のありようにまで踏み込んでおられることは、これは行き過ぎだと思っております。どのような政権を選択するかというのは有権者の権利であって、選挙制度審議会がそれを決めることはできない。そういう意味では、この小選挙区比例代表並立制というのがそういう発想から生まれているということも私は大変問題だと思うんですが、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 審議会は、その政権のあり方をどうこうしようという目標で決めたのではなくて、今の選挙の制度、仕組みというものが持っておる問題点をどのように改めていったらいいか。率直に言うと、政治改革の発想の起こりは、これはもう率直に言うのは大変つらい話ですけれども、この前の参議院選挙のときに厳しい国民の皆さんの批判を受けました。それは、政治というものにお金が必要以上にかかり過ぎておるのではないかという政治資金と政治のあり方についての大変な疑問を投げかけられ、その批判の中で、特に与党である自由民主党が厳しい反省に立ったわけです。そして選挙の仕組みの中で、あるいは政治の日常生活の中で、必要以上にかかるお金、あるいはお金はかかるんだけれども公開性や透明性をもう少し高めていくためにはどうしたらいいかというところを原点として自由民主党の政治改革大綱も議論を始めましたし、政府の選挙制度審議会もこれは審議を始めていただいた、このように受けとめております。  では、必要なものほかかるけれども、そのかかるものは、今のように個人に責任を持たせるようなあり方、お金の集め方から政治活動のやり方から選挙事務所のつくり方からいろいろな問題が、政党政治であるはずの議会制民主主義の中で、今は一人一人の個人の政治家がすべてそれをみずからの責任においてやらなければならぬというところにも一つの問題があるのではないか。  特に、これは衆議院における自由民主党だけの問題だという反論やおしかりをよく受けますけれども、しかし、いずれの政党も政権政党になろう一と思ったならば、現行の選挙制度の中では、同じ選挙区に絶えず複数の候補者を立てて複数が相争って複数が議席を確保しないと政権政党にはなれないという一面を持った制度、仕組みになっておるわけであります。したがって、これは政党政治ではなく個人政治になる、そういうような角度からお金の問題をもう少しきちっとするためにはどうしなきゃならぬかという原点に返る、選挙制度審議会の答申を貫いておるのはそういう角度からの発想であって、政権をどうしようとかこうしようとかいう発想で議論されたものとは私どもは受けとめておりません。御理解いただきます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうではなくて、私はこの選挙制度問題で自民党の中の有力な立場でおやりになった方ともシンポジウムに一緒に出席したこともございます。比例代表併用制の問題が議論になりましたときに、並立制でなければ政権の強化安定を図ることができない、こういう御主張でありました。これはやはり、今総理が言われたこととは違った意味でこの制度を生かしたいという意図をお示しになったものだと私は思っております。  しかし、この問題をきょう議論をしてどうということにもならぬでしょうけれども、それでは八六年五月二十一日、中曽根さんが死んだふり解散に使いましたあの緊急避難的な定数是正をやりましたときに国会決議がございました。国民に対する約束が出されております。これほどうなさいますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会決議の総定数の見直しとかいろいろ指摘された中で、私は、一番肝心であったのは一票の価値の是正の問題であったと思っております。それは、憲法判断も最高裁判所で示されておるというような背景等もあり、一対三を超えるものは緊急に是正しなければならぬという必要に迫られてあのときはあの措置がとられたと思います。  私は、一票の価値の問題も、今回選挙制度審議会に、これは私の前任者が諮問されたことでありますけれども、これは原則一対二ということをきちっと踏まえて一票の価値が是正されていくようにお願いがしてあった。それから区割りの問題のときも、これは政府でやるというのもいろいろ問題があるわけですから選挙制度審議会にお願いをする。そのときも一票の価値が原則一対二以内におさまるようにということを基準としてお願いして、今幾つかの選挙区で一対二を少し超えておるところが残っておるわけでありますけれども、これはいろいろな御努力の結果このようなものになったと思いますが、今度お願いしておる法案を通していただけば少なくとも一対二を基本原則とするように一票の価値は改革される、このような仕組みになっておりますので、その点をもあわせて改善できるものと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 緊急是正と国会決議は違うんですよ。あの国会決議は小選挙区制はとらないということになっておるんです。それで、あの国会決議で行うべき抜本的定数是正という、あなた方も加わって決議されたこれが生きておるんですがどうなさいますかと聞いておるんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 緊急是正というのは例の八増七減で緊急にいたしました是正のことでありまして、同時にあの決議の趣旨の中で一番大切なのは、一票の価値を有権者の皆さんのために一対三前後になっておったのを沌っと縮めろということでありますから、一対二になるように基本原則で縮めましたと、これが入っておりますということを御説明させていただいたわけであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 あの中で一番大切なことは、小選挙区制はとらないというのが一番最初にあるんですよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろなポイントの中で私が申し上げましたように、あの一番中心をなしておったのは一票の価値の是正だと言いましたが、あの決議の中にはほかにも議員定数の総数の問題等にも触れてありました。そのこともきちっと踏まえて措置をいたしました。  ただ、現行の選挙制度の中で政治改革というのはそういったことよりももっと前に、政治とお金の関係をめぐっていろいろ国民の皆さんの間から不信を抱いた不祥事の反省に立って、わかりやすい、そして公正な選挙の仕組みに変えていこう、必要以上にかかっておるお金がわかりやすいものに、明朗なものに変えていこうというところにもっともっと根本的、抜本的な政治全体の改革をめぐっての議論をし、自由民主党もその立場に立って厳しい反省をして政治改革大綱を党議決定してつくったわけでありますから、そういったものを踏まえてこの法案をつくり、お願いをしておるわけであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 全然話がかみ合わないんですね。  それで、私は今この国会決議をどうされるんですかと、この決議を廃止するためにあなたは国会に相談されるんですか、どうするんですか。これをこのまま残しておいて違うことをやって、国民はそれでは信頼できませんよ。  それから、政治とお金の関係というのは、選挙制度の問題にこれを集約してしまうということは間違いです。政治倫理の問題、政治資金法の問題、公職選挙法の問題、いろいろやらなければならぬことはあるんです。国民の求めているものはそういうところにあるんです。それを選挙制度だけに集約して、しかも国会決議はそのままにして、それであなたの党の中には絶対廃案だとテレビに出て息巻いておられる方もいっぱいおられるんですよ。そういうようなことで、こんなものを政治改革のポーズにして国民の目をごまかすようなことはやっちゃいかぬ。  それで、特に私は海部さんに聞いておきたいのは、あなたは政治改革に内閣の命運をかけると言われたが、命運をかけて今度政治改革三法案をお出しになった。これが今度の国会で廃案になったら命運をおかけになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政治改革というのは、政治倫理をほっておるわけで決してありません。政治倫理確立のための資産公開法とか、政治倫理確立のためのいろいろな、例えば衆議院なんかでももう既に議院運営委員会に自由民主党も案を出しておるわけでありますし、またこ公職選挙法の一部改正案も、前年二月の衆議院議員の選挙のとき以来適用になるように、与野党の協力をいただいてこの法案は通っております。ですから、政治倫理の問題や、やるべきことも既にやりつつあるということで、全体として眺めていただきたいと考えますし、同時に、政党本位、政策本位のものになりませんと、個人本位、個人中心でいきますと、今のままの状態ではよくないという厳しい反省から起こっておる問題でありますから、私は党議決定に従って総裁になったときから不退転の決意でこれはとにかくなし遂げなければならぬと全力を挙げて取り組んでまいりました。  今まさに提案をして、国会に特別委員会もつくっていただいたわけでありますから、これは政府としては、提案した以上御議論いただき通していただくことが今の大きな願いであり目的でありますから、それに向かって全力を挙げて前進していきたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 あなたに通らなかったらどうするかと聞くのは酷な質問ですから、それはお互いにわかっておきましょう。  ただ、あなたの党のかなりな人たちがこれは今度廃案だと、これは廃案にして総理は退陣だと、こういうことをテレビの画面で堂々と言っておられる。そんなものが通るはずがない。特に参議院においては絶対に今度のこの選挙制度改革は通らない、私は断言しておきます。  その場合に、あなたはどうなさいますか。四増四減などというこそくな手段で解散権を確保するというようなことは絶対におやりにならぬでしょうね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ御配慮ある言葉をいただきながら、絶対通らぬなんて断言されることはどうか絶対おっしゃらぬでいただきたいと思います。通したいと思って努力をしておるんですし、また、与野党の御議論を通じてこれは何とかしなければならない。今のままの状況でいいかというと、それを認めている方はないわけですし、こういったものを乗り越えていい選挙制度をつくり上げていかなきゃならぬ。そのためには政治改革というものはきちっとなし遂げていかなければならない。その中心になるものは、政治と政治資金をめぐる政治倫理、それらの問題等も含めての改革をお願いしておるわけでありますから、どうぞ御理解をいただいて、ぜひ逆に御協力くださるように心からお願いを申し上げます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 四増四減はありませんね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今、法案を提出して、そして一対二を原則とする一票の格差の是正や、あるいはこの間の国会決議も、今も改めて読んでみておりますけれども、一票の格差というのを是正しろ、総定員を何とかしろというような、いろいろ出ておる中の一番大切な目標に向かって今法案を提出しておるわけでありますから、それを私は全力を挙げて通していただきたいと努力をしておるわけです。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今の御答弁から、少なくとも海部首相の手によって四増四減という緊急避難的な定数是正が提案されることはない、私はそういうふうに今の御答弁で確認をさせておいていただきたいと思います。  次に、非常に短い時間になりましたが、ぜひこれは国会のあり方ということとも関係して伺っておきたいことがございます。  自民党の要職を歴任され政府の要職にもあられた方が、例の多国籍軍支援のための九十億ドルについて、今度は自民党が毛針をやった、あれは戦費ではない、武器や弾薬には使わないと言って国会をごまかして通した、こういうことを講演されておりますが、このことについて総理の御見解を承っておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会で私が申し上げ続けてきたことが政府の責任ある発言でありますし、やっぱり平和回復活動のために出さなければならない、それはこういうものですということを国会でも御説明申し上げ、そしてお願いをして通してもらったんですから、私はそれ以外のことには責任が持てません。私の言ったことが私の責任の持てることでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 国会をごまかして通したというのは、これは容易ならぬ言葉です。国会をごまかしたのは、言われた本人ではなくて、もしそのことが事実ならば、政府です。我々はごまかされたつもりはない、そういう危険性のあるものに対しては賛成できないと言ったんだから。我々はごまかされたつもりはないが、これだけの重要な立場にある人が言っておられるんだが、そういうことがあるのかということを聞いているんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 中東における平和が乱され、国連決議によって多国籍軍がアメリカの主導のもとに結成され、二十八に及ぶ国がそれぞれ苦しい経済状況もあろうものを乗り越えて、あるときはみずからの国の青年男女の犠牲をも含めて平和回復活動に取り組んで、そのとき日本としては力でそれにお役に立てない、参加できないんだから、せめてそれに対してはできる限りの支援をしなければならないということで、平和回復のために日本のできる方途としてお願いしますと言って、ごまかしたんではない、率直にお願いをして皆さん方の御理解をいただきながら通していただいた結果であります。ごまかしたという気持ちは毛頭ありません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 もう一つ伺っておきたいのは、武器の輸出、移転について制限をしようということで総理が熱心に提唱されていることに私は大変賛成であります。  ただ、武器の輸出を制限し登録制にしようとか、透明性のあるものにしようとかということを言う場合に、これに本当に説得力を持たせるためには武器の輸入をみずから制限して軍縮をやるということがないと、自分の方はどんどん武器の輸入をやりながら輸出について注文をつけるということは説得力がない。そのことについてどう思われますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 五月の国連の軍縮総会で私が基調演説をしましたが、武器の移転に関する国連報告制度、なぜそれを主張したかといいますと、湾岸危機の反省に立って、その地域で自衛の限度を超えたずば抜けた武力保有国をつくらないということも将来に向かっての予防にとっては極めて大切なことなのであります。そして、武器移転の問題は国連の手の中できちっと透明に確保されておくことがそれに対する一つの予防措置にもなると考えて提唱をし、主張をし、サミットではこれの同意を得ました。  輸入も輸出も移転という面においては両方公開するわけであります。そうしますと、例えば、それぞれの国には個別の自衛権もあります。必要な限度の武力というものも持っていなきゃならぬという必要はそれぞれの国にあるはずです。それぞれの地域でずば抜けたものが地域の安定のためにいけないということでありますから、節度ある武器の移転、節度ある武器の保有というものを機能を高めた国連の場できちっと報告をし、わかるようにしておくということは、平和と安定のために大切なことではないでしょうか、私はそう思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 きょうはこの問題はこれぐらいにしておきましょう。  ただ、AWACSの導入について、これを今価格の問題で中止せざるを得ないというようなことが報ぜられておりますが、これは事実でしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) AWACS、早期警戒管制機と申しておりますが、これは今年度、平成三年度から始まりました中期防の中で整備をすることを予定されております。しかし、それをどの年度で整備をするかというのは決まってないわけでございます。  平成四年度、来年度の概算要求につきましては、ただいま私ども最終的な詰めを行っておるわけでございますが、現在までのところ、いわゆるAWACSというシステム、機能を整備することは不可欠であると考えておりますけれども、その候補と考えられます機種につきましていろいろ資料等を収集しておりますが、来年度の概算要求にそれを盛り込むというに十分な、必要かつ十分な資料を収集するに至っておりませんので、現在のところ私どもとしましては、引き続きその整備を検討するといういわば調査費のようなものを計上する、そして導入そのものの本体の予算は平成四年度においては考えない、こういうふうな方向でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題も、これは十年前、私が山下元利防衛庁長官の時代にAWACSの導入をめぐってここで論議をしたことがございます。いずれこの問題は機会を見て詳しくお尋ねをしたいと思っております。  最後になりましたが、人事院勧告に関連をして人事院の総裁にお尋ねいたしますが、去る八月七日に勧告されました中に、週休二日制の問題を平成四年度の早い時期に実施をするようにというのがございますが、このことについてひとつ御説明をいただいておきたいと思います。

弥富啓之助人事院総裁

○政府委員(弥富啓之助君) 人事院といたしましては、完全週休二日制の民間企業におけるその普及状況とか、ただいまやっております土曜閉庁の定着状況、あるいは交代制勤務職員の試行の実施の状況等を勘案いたしまして、本年はその実施すべき時期に至ったということで勧告をさせていただきました。  ただ、その時期でございますけれども、これにつきましては、いわゆる交代制勤務職員の週四十時間勤務制の試行、これの実施状況について考慮する必要がございましたが、現在まで試行を終了した部面を見まして、全体的におおむねうまくいっているということで、ただいま試行中のものと、それからこれから試行に入るものが九月からございます。それを見きわめないと、勧告時点ではいつというふうにまだなかなか申し上げる時点ではございませんでした。しかし、一日も早く皆様の御努力によりまして完全週休二日制になっていっていただきたいなということの趣旨から、「平成四年度のできるだけ早い時期」にひとつお願いをしたい、こういうふうに勧告をした次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 「できるだけ早い時期」というのは、四月一日が一番できるだけ早い時期ですが、できればそういう実施をやってもらいたいという意味ですか。

弥富啓之助人事院総裁

○政府委員(弥富啓之助君) まさにおっしゃるとおりに、「できるだけ早い時期」というのは、平成四年度は四月から始まるわけでございますので、四月からやっていただければいいんですが、ただ、やはり九月から試行するところもございます。試行の過程においては幾らかは時間をとるのではないかということがありますから、できるだけとにかく、四月も入りますので、それまでにできればしていただきたいなという願望でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 総務庁に伺いますが、それならば、このことを受けとめて九月から試行に入る部分が多少おくれることがあっても、大半が先行できる場合には四月一日から実施するようにやるべきだというふうに受けとめて努力をされますでしょうか。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) 私は、できれば国家公務員足並みをそろえて実施すべきものと考えております。  いずれにしましても、試行か終わったところもありますし、試行中のところもありますし、来月から試行に入るところもございますので、その辺の様子をよく見定めまして結論を出させていただきますが、できるだけ早く実施すべきだと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それから、この人事院勧告の完全早期実施について強い要請もございます。幸い臨時国会が開会中でありますが、この国会中に閣議決定を行って給与法改正案を御提出いただけるでしょうか。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) この人事院勧告制度と申しますのは、御承知のとおり、公務員の労働基本権の制約に対する代償措置という国の大事な仕組みでございます。そうでございますから、勧告が出されました以上、もちろん国政全般との関係を考慮する必要はございますけれども、早期完全実施へ向けて努力する、これは当然の私は責務だろう、こう思います。  そういうことでこれから検討してまいりますが、まだ政府部内で結論は得ておりません。なるべく早く結論を得て所要の手続を進めてまいりたい、このように考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 どうもありがとうございました。

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 以上で久保君の質疑は終了いたしました。(拍手)

中村太郎自由民主党

○委員長(中村太郎君) 次に、井上孝君の質疑を行います。井上君。

井上孝自由民主党

○井上孝君 私は、やはり総理に、十九日に起こりましたソ連のクーデターについて初めにお伺いをいたしたいと思います。  ソ連の保守派によるクーデター劇は三日で終わりました。世界じゅうが恐らくほっとしておるんじゃないかと思っております。やはり一度回り始めた歴史の歯車というものはそう簡単には逆回転はできない、そしてまた米ソ冷戦の時代へ逆戻りすることはないと人々が確信をし、安心したからだと思います。  今回のクーデター劇は、結果的にこれまでソ連の政府の内部で政治、経済改革を阻害してきた保守タカ派の大物がこの際一掃されたという見方がございます。しかしまた、けさの報道によりますと、ホワイトハウスの一部では、ソ連政府の中にいまだクーデター再発の可能性がなくなったわけではないというような報道も耳にいたしました。  これからのソ連の連邦政府の中がどうなるか、また共和国との間がどうなるか、いろいろと複雑な見通しがあると思いますけれども、総理は、今回のこのクーデター、そしてそれが失敗したということでソ連邦の改革路線が加速されるのか、あるいは一時的にしても停滞せざるを得ないのか、その辺のお見通しがございましたらお聞かせを願いたい。大変難しいことだと思いますが、お願いいたします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりのソ連の現在の実情でありますが、私は率直にいろいろな情報等を判断してみますと、きょうまで保守派と改革派というもののバランスを考えながらペレストロイカとかあるいは新思考外交をゴルバチョフ大統領は進めてきたわけです。力でもってそれを阻止した企てはロシア国民のあの英雄的な抵抗行為によって無に帰して、ゴルバチョフ政権は復帰をしておるわけです。  昨日、私は、ゴルバチョフ大統領と直接電話でお話をしました。途中経過は省きますけれども、きょう九プラス一の連邦条約について合意をしておった共和国の首脳と話し合いを始めるということをゴルバチョフ大統領自身が言われましたから、恐らく共和国と連邦との関係はそこで話し合いが続くと思うんです。  今現在、経済の問題、食糧の問題、エネルギーの問題など相談しなきゃならぬ問題がたくさんあるということを言っておられた。けれども、ここから先は私の本当の推測、私見でありますが、それにブレーキをかけようとしておった保守派の勢力が連邦条約の調印にちょっと待ったをかけるような意味で、タイミングをはかってのあのクーデターではなかったかということをロシア通と言われる人や情報通と言われる人が皆おっしゃっておったわけですから、その保守派の考え方が誤りであったということもここで明確になったわけですので、私は、きょうまさに行われるであろう共和国とゴルバチョフ大統領との話し合いの中で、ペレストロイカのための路線が正しい方向性に向かって一層進捗していくことを強く期待して見守っておるところであります。

井上孝自由民主党

○井上孝君 この件に関するいろいろな論評を見てみますと、今回のクーデターで最も評価が上がったのは、どうやらエリツィン・ロシア共和国大統領ではないか。戦車の上から民衆に対して抵抗を呼びかけた姿、あれを見ますと、ソ連の改革の旗手は今やゴルバチョフからエリツィンに移ったことを印象づけたというふうに見たわけでございます。ゴルバチョフの時代が終わってエリツィンの時代が来たという一部の見方もあるようでございます。また、今おっしゃいましたクーデターで阻止された新連邦条約、これにエリツィンもまた修正の意見を出しておるようでありますが、いずれにしても、近くこれは成立するということになるでしょう。  そうしますと、ますます共和国の権限が強化されるということが予想されるわけでありますが、これからの我が国の対ソ外交というものはソビエト連邦政府を相手にするのか、ロシア共和国を初めとする各共和国指導部との関係をもっともっと深めていくのか、深めざるを得ないのか、そういう点についての総理の御認識を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃったとおり、今回のクーデター劇の最中において、ロシア共和国のエリツィン大統領のとった姿勢というものは、これはゴルバチョフ大統領を復帰させるためにも大変大きな役割を果たしたと思いますし、またゴルバチョフ大統領自身が六年間かかって進めてきたペレストロイカ、そういった改革路線がソ連の多くの人々の間に浸透して、民主主義、改革への動きが本物になっておったんだということも証明しておると思うんです。  そこでお尋ねですけれども、私は、やはりロシア共和国とそれからソ連邦との間の権限の問題は、ロンドン・サミットでもゴルバチョフ大統領にじきじきにいろいろただしたわけですけれども、徴税権の問題とかエネルギーの保管管理の問題とかいろいろなところにおいて、また私有財産を認めるのか認めないのかという問題についても、対外債務を共和国がするのか連邦がするのかという問題についても、いろいろまだ決まっていないわけであります。そしてその連邦条約の中にまさにそれが書き込まれるわけですが、それに対してどのようなことになっていくのかは、きょうまさに始まらんとしておる会合で決まっていくんですが、ただ、共和国側の発言権とか共和国側の徴税権とか考え方というものが従前よりは一歩前進するのではないか、そういう見方を私は持っております。  ゴルバチョフ大統領自身も、お気づきになっておるでしょうが、四月に日本へ来られたときに、私は六回にわたって首脳会談をしましたが、いつもロシア共和国の外務大臣は一緒に来ておりました。そして、問題になる領土があるところはロシア共和国でありますから、今後ともロシア共和国とそれからロシア連邦との権限関係がどうなるかということは極めて大事ですけれども、ロシア連邦もロシア共和国といろいろ相談をしながら、話をしながら進んでいくであろう、こういうような考え方を持っておりますから、両方にそれぞれ私どもは努力をしていかなければならぬことになろう。  エリツィンさん自身にも、実は一昨日、あなたの英雄的な行為でこのようになっておる、テレビを通じて見ておるけれども、ひとつゴルバチョフ大統領の身柄について、生命について、またソ連の人道主義の問題について日本は非常に懸念を持っておるので、そのこともお伝えするということを言いました。

井上孝自由民主党

○井上孝君 今回のクーデター事件で、改めてソ連の経済社会、治安等が非常に深刻な状況にあるということが我々にもよくわかったわけであります。  さきのロンドン・サミットで、参加各国は対ソ支援を強化しようという合意を得たわけでありますが、特にドイツ、フランス等は積極的な態度であったと聞いております。ただ、我が国は、北方領土問題もございますし、またソ連の政治の民主化、経済の自由化というようなものの方向がまだ不明確だ、こういう理由から、アメリカと同じようにソ連に対する支援については一歩引いたような姿勢でおったわけでございますが、こうした姿勢は今後国際的にどうなるのか。ペレストロイカ路線を支持し、市場経済の導入、ソ連経済の世界経済への統合というようなものを目指しますと、対ソ支援をもっと強化しなきゃならぬのかなというような国際的な意見もあると思います。  私自身も、実は十九日のクーデターが起こる前、本日の質問の原稿を書いておりましたが、その時点では、ソ連に対する経済支援等は時期尚早だ、少し慎重にやったらどうだという意見を言おうと思って書いておったわけでありますが、実はクーデター直後はこれはもう凍結すべきだと書き直しましたら、クーデターが失敗をして、今度は強化したらいいんじゃないかと大きく揺れてしまったわけです。  日本外交が余り揺れてもらっては困るわけでありますけれども、今後このまま改革路線に乗っていくということになりますと、国際的にも経済支援を強化すべきだという圧力が強まってくると思いますが、我が国としてはどういうふうにすべきか、総理の御見解を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど私の答弁中、ソビエト連邦もしくはソ連と言うべきところをロシア連邦とお答えしたそうでありますが、これは慎んで訂正させていただきます。ロシア共和国とソビエト連邦でございました。  また、今の御質問でありますが、私自身もあの異常な事態の報告を受けましたときに、これは極めて憲法違反の可能性の高い異常な事態であるから直ちに日本は当面支援は停止すべきだ、支援は停止すると記者会見等でも発表いたしました。ただ、クーデターが終わってもとへ戻れば、これはペレストロイカの正しい方向性を支持しておるんですから、それは停止を解除して行ってまいります。  同時に、アメリカと日本とイギリスがというような見方も時々報道なんかでも見るんですけれども、ロンドン・サミットの場において、参加国すべてがいろいろな立場を議論し、いろいろなことを討議しました。そして昨年のサミット以来続いておった考え方は、ソ連のペレストロイカを成功させるためには自由と民主主義と特に市場経済の体制、仕組みにソ連が変わっていかなきゃならぬ、それにはソ連の自助努力が大切で、政治的な意思の表明があって、それに対する技術支援や知的協力やいろんなことをしていかなければならないということで、参加加盟国全部の意見が一致したことは、委員も御承知のとおりでございます。そして、そのためにIMFとか世銀という世界の代表的な機関が調査してきた報告書をもとにして、さらにそれらについて協力をしていく。各国それぞれ皆が力を合わせて技術支援や知的協力をしていこうということで、サミットでも一致しております。  同時に、日本としても、これは日ソの共同声明を発表しましたときに十五の協定も結びまして、ペレストロイカ支援のための技術支援というのはもうきちっと書いてある、始まっておる。それから、軍需と民需の転換というのがソ連のためには大事なことなんでありますけれども、それの調査団ももう既に出ていく、あるいは緊急食糧援助とかいろいろな緊急支援も始めておるということでありますから、これはクーデターによって停止したのは直ちに解除しておりますので、でき得る限りの支援を続けてまいりますし、ペレストロイカの路線は絶対に後退してもらってはいけないという信念で対処してまいります。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ソ連問題は以上で終わります。  顧みますと、平成元年の参議院選挙、リクルートや消費税の問題で我が自民党は国民から結党以来の厳しい審判を受け、参議院は与野党逆転をする羽目になりました。そのいわば自民党としてのどん底のときに海部さんは党総裁に選任をされ、そして海部内閣を率いてちょうど二年目になる。この間の世界の動き、一々申し上げませんが、ベルリンの壁の崩壊とかあるいは冷戦構造の終えん、そして中東湾岸戦争、最近ではロンドン・サミット、いろいろと激動の時代に総理はこの二年間精力的に外国を回り、首脳外交を展開されました。また、先日もお盆休みに中国に行かれ、西側の首脳としては天安門事件以来初めて中国に行かれ、モンゴルにはまさに初めての訪問をなさいました。また、国内でも政治改革、後ほど申しますけれども、政治改革関連三法案を取りまとめて国会に提出すると、いろいろな業績を上げてこられました。  私は、海部内閣がスタートしたあの二年前、党内基盤が決して強いとは言えない総理が一体どこまでやれるかという多少の不安も持っておったことを正直に申し上げます。ただ一生懸命頑張りますという、よく総理が言われるお言葉のとおり、内外にわたって大変な努力をなさった。そして、今世論調査によりますと、大変高い支持率を得ておられる。総理の過去二年間を振り返って、今どういう御感想をお持ちか、一言お聞かせいただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) この二年間は、一言で言えば私は、微力でありますけれども、一生懸命与えられた任務を遂行する、これに全力を挙げてきたつもりでございます。  顧みていろいろなことがございました。自民党の党内基盤が弱いことは、これは事実でありますけれども、また、皆さんが御理解と御協力を下さったことも、これも事実でありまして、今後、そういったことに私は甘んじることなく、全力を挙げて努力をしていきたいと考えます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 先ほど申しましたけれども、どん底の状況で発足した海部内閣、総理が就任以来内閣の命運をかけると言われたのは、まさに政治改革であります。政治改革の実現こそが時代から託された使命と考え、ぜひとも実現させなければならない、今国会の所信演説の中でも強く表明をされました。今国会はまさに政治改革国会として召集されたわけであります。  ただ、その後、国際貢献といいますかPKO問題、それから長崎の雲仙・普賢岳の噴火問題等がありましたから、そういう問題も含めて政治改革とPKOそして雲仙問題、こういう国会を予定して一召集されたと思うのでありますが、召集の直前に証券会社の不祥事、銀行の不正融資の問題が起きました。今国会は証券・金融国会だというふうに言われるように変わってまいりました。先ほどの久保委員の御質問もほとんどの時間が証券問題、金融問題に費やされたようなことで、こういう国会になりましたことを私はまことに遺憾に思います。  どうか政府は、これらの証券・金融等の不祥事につきましては、証券会社の損失補てんの禁止とかあるいはその罰則、そういったものを盛り込んだ証取法の改正等を速やかに提案し、この問題の審議を早く終わらせて、本来の政治改革、PKO、そういった本来国会召集の目的とした審議を促進するように努力すべきであると私は強く希望するのでありますが、この国会に臨む総理の御決意を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今から思えば、二年前に総裁に指名されたときに、政治改革をやれというのが党の皆さんの一致した宿題でありました。私は、これは政治改革をぜひやり遂げなければならない、今度の国会も政治改革を大きなテーマとして臨んでおるつもりでありますが、しかし、おっしゃったとおりの状況でございます。それらの問題についてはできるだけ審議を進めていただいて、政治改革の御議論も深めていただきたい、ぜひお願いいたします。

井上孝自由民主党

○井上孝君 その政治改革の問題でありますが、私から申し上げるまでもなく、政治改革三法案、非常な努力によってまとめて今国会に提案されております。これはもちろん政治と金の問題を正す、国民の信頼を取り戻すというようないろいろなことがやられておるわけでありますけれども、その中でも衆議院の選挙制度の改革、これはたびたび言われておりますように、総理も所信演説で言われておりますように、中選挙区というのはもう制度疲労の極に達しておる、個別利益誘導型の政治が定着して金が無制限に使われる、こういうようなこと、過去にいろんな忌まわしい事件が再三ありました。最近は一九八八年のリクルート事件、ここで政治と金の問題に関して国民の不信感が非常に大きく増幅されたのであります。その結果、先ほども申しましたが、第十五回参議院選挙では国民の厳しい審判で我が党の同志が多く議席を失ったのであります。その後、一昨年の参議院通常選挙、昨年の衆議院選挙、そしてことしの統一地方選挙において、我が党は政治改革を掲げて国民の皆さんに公約し、実行することを約束して今日に至ったわけであります。  今回提案されている衆議院の選挙制度の改革は、終戦直後のわずか一回、一時期を除いて六十数年我が国で続いてきた中選挙区制度を一挙に小選挙区比例代表並立制というものにしようという非常にトラスチックな改革案でありますが、私は、この中選挙区に金がかかるとか政策が見えないとかいろいろな欠点が挙げられておりますけれども、一番の欠点は、野党第一党の社会党でさえ過半数の候補者を立てることができない、すなわち政権交代が全く望めないというところにあると思います。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  野党の一部には、小選挙区制は一党独裁をねらう自民党の野望だなどとおっしゃる党がありますけれども、これは大きな間違いだと思います。一昨年の参議院選挙の結果を見れば明らかであります。リクルート事件や消費税で国民の批判を受けた我が自民党は、一人区、すなわち、いわば一人を選ぶ小選挙区でありますが、全国に二十六県あります。選挙の前には自民党は二十三勝三敗だったわけです。わずか三つの県で野党に議席をとられておった。それが選挙の結果、文字どおり逆転して三勝二十三敗になったわけであります。しかも、比例代表でも社会党が二十名、自民党はわずか十五名と。参議院というのは任期が六年あって、三年ごとに半数が選挙を受ける、これは私は激変緩和のためにこうなっておると思います。ところが、わずか一回の半数の選挙で参議院は自民党と野党とが逆転したわけであります。  したがって、衆議院でも小選挙区比例代表並立、参議院はまさに比例代表並立でありますから、これを自民党が提案するということは、もし自民党が一党独裁を続けようと思うなら大変危険なことじゃないかと、したがって、自民党の中にも反対する者がたくさんいる。野党も全党が反対を表明しているようですが、これはまさに野党に政権交代の意欲がない、そう思わざるを得ないのであります。  しかも、公明党を除いて、いまだに対案を出した党はありません。速やかに対案を明らかにして、今国会で与野党挙げて徹底的に議論をすべきだと思います。どの党がどの点に反対なのか、どのように改正したらいいのか、こういう具体的な議論を国民の前に明らかにする。衆参両院に政治改革委員会もできたようでありますから、その場で徹底した議論を期待したいと思います。  先ほど申しましたように、幸か不幸か参議院は与野党逆転でありますから自民党の強行採決はできません。したがって、少なくとも参議院の野党の方々は、ただ反対反対では国民の納得を得られないと思います。改革の焦点をひとつ与野党ではっきりさせるべきです。結果が廃案になるとか継続になるとか、そういう結論にとらわれることなく、国会の中で徹底して議論を尽くし知恵を出し合うべきだと思いますが、総理はどういうふうにお考えになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ御指摘になりました問題点は、私もほとんどそのように受けとめさせていただいております。そうして、今の選挙の制度、仕組みというものがとにかく今のままではいけないという点においては一致しておるわけでありますし、政府・与党自身が反省をして、与党自身の中からまず政治改革大綱というものも世に問うて、政治改革をしますと決意をして生まれてきた三法案でありますから、どうかこれは初めから結論をお決めにならずに、政府の立場で言いますと最後の一点だけが議員のお考えとちょっと反することを申し上げますが、出した以上はどうか成立させていただきたいというのが私の今の率直な願いでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 参議院でありますから参議院選挙制度についてちょっと触れさせていただきますが、参議院選挙制度に関する審議会の答申前文におきまして、「候補者推薦制は参議院議員の選挙制度にふさわしい制度である」と書いてありますけれども、答申の中身は、拘束名簿式比例代表制を非拘束にする、党名と個人名を投票のとき両方認める、選挙区の逆転現象を是正する、こういうようなことが中身でありまして、私はどうもこれは時間がなかったせいか中途半端な答申ではないかと、大変失礼ですが、そう思わざるを得ません。  ただ、参議院の来年の選挙は現行制度でやるということになっておりますので、次は平成七年であります。十分時間があるわけであります。もう一遍この審議会で参議院の選挙制度のあり方について検討を行っていただくか、または参議院自民党自身もいろいろと研究を重ねておりますので、私は、参議院が政党中心の政治の衆議院に対するチェック機関として自主性、独自性を発揮すべきである、その観点から改革をすべきだと思っております。総理は参議院の選挙制度の改革について何かお考えがあればお述べいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、参議院の制度については、選挙制度審議会も七月の第二次答申で触れられたわけでありますが、それは、具体案についてはまだまだ詰めなければならぬ点が残っておるところも御指摘のとおりでございます。  今、参議院の望まれる選挙制度のあり方というものについては、これは各党各会派にも御意見があろうと思います。参議院のお考え等も十分拝聴しながら政府としては対策を立てていきたいと考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 次に、経済問題に移ります。  現在の好景気は今月をもって五十七カ月、戦後最長のイザナギ景気と並ぶことになります。今月九日に発表されました経済白書でも、景気はなお持続力を保っておる、さらなる景気の拡大が続くだろう、こういうことであります。  この好景気は、昭和六十一年十二月から始まっておりますが、これは前年のプラザ合意による円高政策以降でございまして、政府及び我が党の経済運営がおおむね適切であったという成果だと思います。この間に日本経済は非常に力をつけてまいりました。そして、財政再建も第一目標である赤字公債の発行をゼロとする目標を達成しました。国際収支の黒字の圧縮もある程度達成できておりますし、国民の所得・生活水準の向上、そしてまた週休二日制という労働時間の短縮、そういうものも実現してきております。非常なすばらしい成果を上げておって、これは世界の驚異だと言われておるわけであります。  しかしながら、この間にとられた超低金利政策の過程でほころびが出てまいりました。株式や土地へ大量の資金が流れ、バブル経済と言われる現象が生じ、その一環として今回の金融・証券の不祥事が発生した、こう言われております。大筋では非常にうまくいった経済運営がこの点で欠陥をあらわにしたということはまことに残念に思われてならないわけであります。  証券問題につきましては同僚の倉田議員にお願いをいたしますけれども、今回のこの証券・金融の不祥事に関連して、日本型企業システムとでもいいますか、経営慣行とでもいいますか、こういうものに批判が出てきております。企業間のもたれ合いとか系列取引とか、あるいは役所の行政指導、こういったものまで批判の対象になってきております。こういうことは、従来、むしろ我が国がこのような驚異的な経済成長をしてきた陰の力になっておったんだというふうに私は認識するわけでございますが、この点がむしろ経済の国際化とともに日本的企業経営の不公正の温床だというように指摘されてまいりました。  この我が国の長い間の慣行を短期間に急激に是正するというのは非常に困難なことでもあり、また影響するところが大きく、角を矯めて牛を殺すというようなことになりはしないかなという懸念を私は若干持っておるわけでありますが、こういうことに対する総理の見解を伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ただいまの御指摘の中に私はいろいろ含まれている問題があろうと思いますけれども、日本経済全体に活力を持ち底力をつけていくということ、そういったことが国民生活全体のためにもいろいろプラスになった面が非常に多いと思います。物事には光の面と影の面とはございますけれども、御指摘のようないろいろな考え方については十分今後とも私も研究してまいります。

井上吉夫自由民主党

○理事(井上吉夫君) 関連質疑を許します。倉田寛之君。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 これまで、経済は一流、政治は二流であるとか三流であるとかという陰口をたたかれたことを耳にしてまいりました。このたびの証券・金融の不祥事、この信頼を根本的に揺るがすものでありまして、国民の皆様に与えた衝撃は極めて大きいものであろうというふうに私は思うのであります。  言うまでもなく、株式投資の原則というのは、市場価格が公正に形成をされて、投資家はすべての投資リスクを自分で負担するということにあります。今回の不祥事では、大口顧客だけが損失補てんをされて、見えざる手が働いて株価操作があったとするならば、個人投資家が怒るのは当然であります。不正な融資額は二千億、三千億という巨額な額で還流をし、その資金を動かしてほとんどが十億とか百億の単位です。住宅ローンに苦しんで、千円の支出にも気を使う庶民にとってはとんでもないことでありまして、許されることではありません。我が国は、これまで社会的に比較的平等な国とされてまいりました。このたびの事件は、私は、この平等性が次第に損なわ札ていることを示す現象ではないかと危惧されてならないのであります。  私が最も恐れるのは、勤勉に働く人たちへの影響であります。もし、今回の不祥事を契機に、まじめに働いてもばからしいというような悪風が国民の皆様の心をむしばんだとしたら、我が経済大国の根底を支えてきた勤勉な国民性というものにひびが入るような気がしてなりません。まことにゆゆしい問題であります。バブル経済の生んだ現象であることに間違いはないでしょうが、問題の本質は極めて重大であります。この際、徹底的にその原因を究明して対策を講じなければならないでありましょう。  戦後、営々と築いてきた経済大国という我が国の現況がバブルによってはじき飛びかねません。私はそれほどの危機感を感じているものであります。今回の不祥事に、戦後我が国をむしばむ金権万能の思想や企業における営利、利益中心主義の思想がその根源にあるのではないでしょうか。この点は、当面大蔵省を軸としながら広い立場で講じられなければなりませんが、よって来るべき背景について、総理はどのようにとらえておられるか、まずお伺いをいたしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の御趣旨は私も同感で、ただいま一々うなずきながら聞いておりました。  御指摘のように、お金が幅をきかせ過ぎるという世の中になってきますと、企業にとっては社会的責任というものがあるんですが、やはり経営第一主義に目が向きがちになる。個人にしても、物事を決断するときに、これはおれにとって損なのか得なのかということが価値の基準になってきます。そういう利己主義のとりこになるようなところではどうしても公正な社会の理念というものは二の次、三の次にされてしまってきた。私はそういった議員の御指摘はそのとおりだと思います。    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕 したがって、社会的責任とかあるいは個人にはやはり倫理、きちっと社会正義を守って公正な世の中のために尽くしていかなければならぬというけじめや責任も自覚していかなければならぬ時期が来た、こういう気持ちでございます。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 我が国経済の発展の過程におきまして、証券市場が活力ある経済を支えるために機動的に資金調達を行う場として我が国経済の推進役を果たしてきたことは御案内のとおりであります。今日では、世界に向けた資本の還流の場として世界経済全体を支える役割も担うようになってまいりました。この証券市場の成長はまさに加速度的でありますし、国民の皆様の自覚をはるかに超えたものと言っても過言ではないでしょう。  ところが、我が国の証券業界に目を転じますと、古い着物を新しい洋服に着がえることができないまま、とにかく自分の企業の収益が上がればよいという一国平和主義ならぬ一個企業繁栄主義に固執してきたことが今回のいろいろなゆがみを生み出してしまった要因ではないかと私は思います。今我が国に求められていることは、自由化された国際社会に通用する経済取引のルール、証券市場の仕組みをきちんと確立することでもあります。これは大変厳しく難しいことではありますが、何としてでもやり遂げていかなければならない課題の一つであろうと私は思うのであります。  そこで、我が国の証券市場の国際化への脱皮ということについて、総理はどのようにお考えでありますか、お伺いをいたしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際化時代になってきて、しかも日本の証券市場の規模というものはもう世界の三つの代表的な市場の中でも、量においてはさらに一位をうかがう位置になってきたということ、これは非常に国際社会に大きな影響があります。同時にまた、世界が日本を見、日本に対する一つの批判の中に、日本の民主主義は同じ民主主義と言っておってもルールが違うのではないかというような一部の批評家の意見があったことも私どもは思い出さなければならぬことだと思います。  そういった意味で、公平、公正、透明な、世界に共通するルールというもので日本もきちっと対応をして、あなた方と同じルールで、同じ仕組みで、同じ普遍的価値を求めて公正に努力をしている国ですということを身をもって示していく必要がある問題だと考えております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 今回の証券問題の損失補てんについて一点お伺いをいたしたいと存じますが、損失補てんの手法とされた債券、ワラントの取引における不透明な価格決定に対して、大・蔵省は問題意識をどのようにお持ちであるか、また価格決定の透明性を高める方策をどのようにお考えであるか。このことは、公開市場でないところでの取引が可能でありますから、価格決定が恣意的に行われます。しかも、商品の多角化というのは日本の証券市場成長の産物であるという評価はあるものの、取引内容の公開性を高める方策をやはり講じなければならぬという問題点を惹起していると私は思います。これらを含めてお答えをいただきたいと存じます。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、今回の損失補てんにおきましては、価格の透明度が非常に低い債券あるいは外貨建てのワラントなどが利用されているわけでございます。債券につきましては、国債は大体上場されておりまして価格がはっきりしているわけでございますが、それ以外の債券につきましては、証券業協会で気配を発表している銘柄もございますが、銘柄数が多いということもございまして、必ずしもすべての銘柄について気配が明らかになっているわけではございません。今般、こういう損失補てんに使われたという実態を踏まえまして、私ども適正な価格で売買を行うよう改めて指導をしたところでございます。  それから、外貨建てのワラントにつきましては、平成二年、昨年の九月から原則として業者商売買をある特定の日本相互証券という証券会社に集中をいたしますとともに、顧客との間の売買の値幅についても市場ルールをつくり、また気配を発表するということでこのワラントの売買についての価格の透明性を高めるという措置をとったところでございます。  なお、さらに企業のディスクロージャー面につきまして、債券の時価情報を、来年、平成四年の三月決算期会社から時価情報を発表するということで現在検討を進めております。上場債券につきましては、時価がわかるわけでございますが、非上場債券についてどういうふうに時価情報を発表するかという点について、現在実施に付けまして時価の合理的な算定方法というものを、実務担当者の間で検討を進めているわけでございます。  いずれにいたしましても、こういうようなディスクロージャー制度の充実というような点を通じて、債券あるいはワラントについての価格の透明性をさらに高めていきたいというふうに考えているわけでございます。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 時間の関係がありますので次に進ませていただきますが、次に証券行政を今後どう行っていくかという点について一、二お伺いをいたしたいと思います。  大蔵大臣は、代表質問の答弁でも五つの問題点をお挙げになられて集約をされました。私は三つ申し上げたいと思うのであります。  一つは行政指導の法制化、損失補てんの禁止、ルールの一層の明確化、法制化とルール違反に対する罰則の整備、三つ目でありますが、免許制度の運用というのは、この採用当時というのは、言うまでもなく資本の蓄積がなかった我が国の現状、証券業界の国際的競争力の弱さという点では極めて合理的なものだったと思うのでありますが、現段階では世界の証券業界ランキングの中に上位に数社が載るほどの実力を備えてきたわけでございまして、世界の先進諸国のほとんどが登録制をとっていることは御案内のとおりであります。したがいまして、将来の課題として検討に値するものであるかどうかという視点でお答えをいただきたいと存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 重要なポイントの幾つかにお触れになりましたが、問題点を整理し、二つの点についてお答えを申し上げたいと思います。  一つは、通達行政についての反省でありますが、私どもはこれを全部点検しますと同時に、自主規制団体に移すべきものは自主規制団体の規制に任せたいと思いますし、法令化すべきものは、今回は間に合いませんが、しかしその整理を終わりました段階で法律に改めて取り入れたいと考えておりますし、誤解を生じやすい口頭通達という形は今後避けたいと基本的に考えております。  また、免許制度、登録制度の問題にお触れになりましたが、これは既に委員は過去の経過を御承知でありますので、長々と申し上げるつもりはありません。ただ、同時に、免許制度がとられているからと申しましても、新たな参入が想定されていないわけではありませんし、本年六月十九日の証券取引審議会報告におきましても、証券業への新規参入について検討が行われておりまして、有効で適正な競争の促進という観点から発行市場を中心に新規参入の道を開くことが必要であるとされております。また今日、銀行、証券の相互乗り入れの問題が議論をされておりますが、こうした点も視野におさめてまいらなければなりません。私どもとしては、今後ともこの枠組みの中におきまして、証券市場における適正な競争というものが促進されるように対処してまいりたいと考えております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 適正な競争ということになりますと、どうしても触れておかなければならないのは株式手数料の自由化についての見解であります。  確かに固定制でありますと、大口投資家を求めるための競争が激化をしてまいります。自由化をすると小口投資家の手数料が割高になるという問題があります。この点についての御見解を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これも既に委員が問題を指摘されましたので、私は結論だけ申し上げたいと思います。  株式手数料、委託手数料の取り扱いにつきましては、引き続きその水準というものにつきまして、機動的、弾力的な見直しを行う必要がありますが、同時に手数料制度のあり方につきましても検討を進めてまいりたいと今考えております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 先ほど大臣も御答弁でお触れになられましたが、内部的な業界の機能の強化という点も見逃すわけにはまいりません。証券業協会と証券取引所の機能の強化の点でありますが、それぞれ自主規制機関の機能の充実に取り組んでいるというふうに聞いておりますが、どのような取り組み方をしておるか、御承知の範囲でお答えをいただきたいと存じます。

松野允彦大蔵省証券局長

○政府委員(松野允彦君) 今回の事件にかんがみまして、協会、取引所で自主規制強化の検討を進めております。証券取引所におきましては、二十一日、一昨日でございますが、取引所の運営により公益を反映させる、公益理事をふやすなどの検討をしたいということが第一点。第二点は、会員規律をもっと強化したい。例えば厳正な処分を行うというようなことについて、もっとより検討をしていきたい。それから第三番目は、価格監視あるいは売買審査機能を強化するという三つの柱を立てまして基本的な方針を発表したところでございます。この三本柱について今後検討がさらに深められるというふうに聞いております。  また、証券業協会につきましては、現在業界改革推進本部というものを設置して検討が進んでおりまして、第一弾として業界の倫理綱領というものを策定するというような作業が進んで、近々この倫理綱領というものが発表されるというふうに聞いております。  なお、それ以外につきましても、会員規律の強化あるいは会員に対する検査の充実等について引き続き検討が深められていくというふうに聞いております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 今回の証券問題の不祥事におきまして、投資顧問業という企業の存在は極めて問題を投げかけました。今回の損失補てんにおきましては、投資顧問会社の顧客に対し、系列の親会社である証券会社から間接的に補てんしていたと認定される例が幾つも見られるのであります。これは、各投資顧問会社の親会社からの独立性が弱いというところに不透明な取引が行われる原因があったと言えると思うのであります。この点についても改善が必要だと思うのでありますが、投資顧問会社の独立性を高め、系列親会社との不透明な取引をなくさせるための施策というものはどのようなものを考えておられますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の損失補てん問題に関連いたしまして、投資顧問つきの口座に補てんが行われておったということから、親会社への依存体質というものが指摘をされているのは委員の御評価のとおりであります。  現在、事実関係の確認作業を行っているところでありますが、当局といたしましても、その背景には投資顧問業者というものが親会社からの独立性が必ずしも十分に確立していなかったという認識を持っておりまして、今確認作業を行っております作業の結果といたしまして、親会社との取引などにつき投資顧問会社の独立性を一層確保するための種々の施策を検討してまいりたいと考えておりますが、現時点においてその内容は確定いたしておりません。その点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 次に、金融機関の偽造預金事件等について二、三点お伺いをいたしたいと存じます。  バブル経済の崩壊によりまして、そのほころびが一気に表面化したように、このところ都市銀行等におきまして偽造預金証書を用いた不祥事が続発いたしております。このことは、特に土地の地上げ横行に対処するためいわゆる総量規制が行われ、土地価格鎮静化の政策目的というものが実現しつつあり、この政策の副次的な効果として、違法、不当な融資によってバブル経済の陰の主役を演じてきた者があぶり出されたというのが今回の偽造預金事件の一面ではなかろうかと思うのであります。言いかえれば、総量規制がなかったら不出正の融資活動によって地下経済がはびこって大変なことになったでありましょうし、副次的な効果は実は日本経済の正常化に大きく寄与したと言えるのではなかろうかと私は思いますが、この点についての御所見を承りたいと存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘をいただきました総量規制というものは、少なくとも昨年後半以来、大都市部を中心にして地価の騰勢を鈍化傾向に追い込むといった意味では、これまでの金融全般の引き締まり基調とともにその効果は発揮をいたしておると思います。こうした過程におきまして、いわゆるバブルの融資先の資金繰りが逼迫した。こうした中から不祥事の発生、発覚につなかったという側面の御指摘を私は否定はできないと思います。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 ただいまの大臣の御答弁をお聞きいたしまして、これについてもう一点御質問させていただきたいと思います。  そうなりますと、今後総量規制が続いていくとまたこの弊害も起こりはせぬかという感じがするのでありますが、その点についての対策はどのようにお考えになっておられるでありましょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 地価問題というものに対処いたしますためには、基本的には都市計画、国土計画等によって対処すべきものであると私は思います。また、おかげさまで土地基本法を制定していただきましたが、まだ制定後間もない今日におきましては、金融面や税制面の役割というものも引き続き大きなものでありましょう。  こうした金融面の措置としての代表的なものが総量規制でありますけれども、その総量規制の基本的な考え方と申しますものは、内需拡大に必要な資金の円滑な供給に引き続き配慮はいたしながら金融面からも地価問題に積極的に対応する、そのため金融機関のその融資全体に対して均衡のと一れた水準にすることが望ましいという観点から考えたものでありまして、例えば必要な宅地開発の資金などまでを抑え込むつもりというものは決してありません。持続的な経済成長というものを確保いたしますためには、金融機関に対し融資の実行に当たってこうした総量規制の趣旨というものを踏まえて、地元企業への密着性、地域経済への振興という視点をきめ細かく配慮の中に加えるように指導してきたつもりであります。総量規制というのは、もともとこれは非常時の措置ですから、いつまでもこれを続けるという性格のものではもちろんございません。しかし、大都市部を中心にして地価の騰勢に鈍化傾向がようやく見えてきた現時点におきましては、私はなおその浸透度合いというものを注意深く見守る必要があると思っております。  これから先につきましては、地価動向に加えまして金融経済情勢でありますとか金融機関の融資動向でありますとか、さらには土地政策全般の推進状況等を総合的に勘案しながら、あくまでも臨時的な措置、非常措置ということを忘れずにこの施策は運用してまいりたい、そのように考えております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 銀行法第一条第一項には、「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする」ということが書いてあります。  ところが、今回の金融機関における不祥事というのは、いずれも営業店の管理職にある者が起こしているのであります。しかも、かつて銀行マンというのはかたい職業であって、信用制度のかなめのように実は信頼をされていた職場であります。イトマンから始まって富士銀行、協和埼玉銀行、東海銀行、東洋信用金庫まで、私はとてもごく一部の事件として片づけてしまうことはできないと思うのであります。この一連の事件が管理職の手によって引き起こされたという背景を踏まえて、今後どのように信用と信頼を取り戻すのか、金融のモラルはどうやって回復するのか、大蔵大臣のお考え方を伺いたいと存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身この問題について本当に苦慮いたしている部分を抱えております。そして、本来なら内部管理体制の点検を行うべき役職にある人間が巨額な偽造預金証書の作成をみずから行ったというような事案につきましては、どうすればそうした犯罪行為というものをチェックできるのか、銀行自体の仕組みを知らない私にはその対応というものが率直に言って見当たりません。こうした一連の不祥事件というものがどれほど金融機関自身の信頼を傷つけるかを考えますと、何といたしましてもこれは金融機関自身において内部管理体制を整備していただく、そして日々のそれぞれの中におけるチェックシステムというものを再検試していただかなければならないという思いがいたします。  無論、行政の立場におきましても、金融検査等を通じて、そうした面についてより厳正な指導を求めていく必要があると考えております。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 世界の金融市場を変えたと言われる技術革新、つまり金融のコンピューター化をどのようにとらえるかという問題もあろうかと実は思います。コンピューターを用いた不正操作をどのようにチェックするかということだと、また一方では思います。」  大型コンピューターによる処理は、一銀行のみならず多くの銀行を結んでおりまして、そのような膨大な処理はもはや人の手によって一つ一つその内容をチェック、管理することは容易ではありません。金融のコンピューター化のもとでの犯罪や機械の不正操作に対してどのようなチェックシステムをつくり出すかが今後の課題でもあります。そのチェックシステムづくりに対して大蔵省はどのような対応をお考えでありますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 金融のコンピューター化は、事務の大量処理を前提にいたしまして、省力化、効率化等を図るものでございまして、御指摘のように、今日コンピューターなしには金融機関の事務は成り立たない状況にございます。したがいまして、そのような状況の中で、金融機関がコンピューターを多数利用しております中で犯罪や機械の不正操作が行われた場合の影響は多大なものがございます。これを防止するためには、金融機関が内部管理体制を充実することが極めて重要でございます。  そこで、その安全対策でございますが、業界の努力に加え、行政におきましても、これまで例えば金融機関などコンピューターシステムの安全対策基準というものを定め、それの普及推進に努めておりますが、なお今後とも引き続き安全対策の検討に努めてまいりたいと存じます。  具体的には、例えば金融機関に対する検査におきましても、その機械化システムの安全対策の実施状況につきまして実態把握に努めているところでございますし、その際の安全対策といたしましては、コンピューター装置やプログラム面での安全対策とともに、例えば行員による不正利用などをチェックするというようなコンピューターの操作面での安全対策につきましても実態把握と改善の指導に努めてまいりたいと存じます。  また、そのほか検査体制におきましても、要員の確保、研修制度の充実、検査手法の改善等について、絶えず問題意識を持っておるところでありまして、このような問題も含め、いろいろ検査のあり方全般につきまして、なお検討に努めたいと考えておるところでございます。

倉田寛之自由民主党

○倉田寛之君 この点には一言つけ加えて申し上げておきたいと思うのであります。  こういうことを申し上げると大変失礼でありますけれども、大蔵省の金融行政というのは、まあ言ってみれば健全な金融業界の育成ということも含めて、はしの上げ下げから食べ方まで行政が指導して今日まで育成してこられたと実は思うんです。ところが、金融機関自体は技術革新によって大変な機械化になってきている。しかし、大蔵省の検査体制というのは、果たしてその機械化に対応して開発や研究が行われていたかどうかというと、私は甚だ疑問の点があります。どうかひとつ、その時代に即応した検査体制が確立できるように、さらに開発研究をお進めになるように、この点は御要望をいたしておきたいというふうに思うわけでございます。  時間もありませんから、最後に一点、総理にお伺いをいたしたいのでありますが、こういったもろもろの問題が惹起してきたという背景には、先ほど私が比喩で申し上げたように、一国平和主義、一国繁栄主義、そういった企業の意識というものが戦後ずっと続いてきた、これも一つの原因ではなかろうか。同時に、プラザ合意以降、過剰流動性を有効な分野に活用するといった視点が欠けていたのではないだろうか。経済政策という点であります。  このことを実は指摘したいと思うのは、よく流行語にありますように、顔が見えるとか見えないという言葉が実はございます。このことをお金の面にかえてみますと、金の面でも顔が見える見えないの話になってまいります。今回の事件というのは残念ながら顔の見えない分野での事件であります、事件というものはそうであろうとは思いますけれども。歴史を振り返ってみて、かって日本の財閥の安田というのは東大に安田講堂をつくりましたね。藤原銀次郎氏は慶応大学に工学部をつくった。アメリカではロックフェラー財団があり、フォード財団があります。お金もうけをしたお金を、その使い方を国民の皆さんにわかってもらうようにみずからも努力したという歴史的な事実があります。しかし、最近はそういうようなことがなかなか見えないのであります。顔が見えない、企業の行動が見えない、こういう状況ではやはり私はだめだと思うんです。  したがいまして、今日の金融・証券業界、もちろん産業業界まででもありますが、規模拡大、業容の誇示のために資金を集めて、資金を使うことが中心、自分のため、会社のため、そうした風潮、こういった風潮をやはりこれらの一連の不祥事を契機として大きく変革していく必要があろうと思います。  顔と行動の見える企業活動への経済政策の転換、こういった視点について総理はどのようにお考えになられるか。前段申し上げた金余りのときのお金の使い方について政策的に示せなかったという点も含めて、最後にお尋ねをいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の点は、二つのことについて大いに考えさせられる貴重な御意見であったと思います。  一つは、企業の持っております社会的責任、社会還元への自覚というものを私は促された面において、これはむしろこの場をおかりして、企業の皆さんにも率直に自覚を高めていただきたいと思う側面でございますし、同時にまた、国内の経済政策全体の中で過剰流動性というものをどう誘導していくのか。これはやはり今後の政策を立てていきますときの反省材料の一つとして我々も念頭に置きながら、適切な経済政策に向かっていかなければならぬということに対する一つの指針を与えていただいたもの、このように受けとめます。  ありがとうございました。

井上孝自由民主党

○井上孝君 通告を申し上げた質問の順序をやや変えまして、雲仙・普賢岳噴火災害について御質問を申し上げたいと思います。  六月三日の雲仙・普賢岳噴火に伴う火砕流による犠牲者は四十二名に及びます。この方々に心から哀悼の意を表するとともに、十一名の負傷者の方々の一日も早い快癒をお祈りいたしたいと思います。  また、既に三カ月にわたってこの炎天下、不自由な避難生活をしておられる二千八百世帯、一万人以上の方々、また警戒や救護に日夜活躍を続けておられます多数の方々の御労苦に衷心よりお見舞いと激励を申し上げる次第であります。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  今回の噴火災害は、実は、私も長い間災害対策というものに携わってまいりましたし、六月七日には現地に行ってまいりました。つくづく思いましたのは、従来の災害というものは台風とか洪水とか大体一過性の災害であります。今回の災害は、その点から見ますと極めて異例なものだと思っております。  先日の本会議におきます西田国土庁長官の御報告にもありましたが、六月三日の火砕流による人命、財産の被害、それから六月三十日に土石流によってまた被害が起きました。時々降灰、火山灰が降ってくることによる被害もあります。しかし、そういった被害以外は危険区域から立ち退きをさせられ、避難をさせられ、強制的にこれが行われているということによります多数の人々の肉体的、精神的な苦痛、しかも、これが既に三カ月の長期に及び、さらに、この状況が一体いつまで続くのか全く見通しが立たないままに継続しておるわけであります。  もう一つは、長期にわたってこの地域に危険が続いておりますために、経済活動が全く停止をしておる。その経済活動が停止するという被害がいわゆる危険区域にとどまらず島原半島全体に及んでおる。小浜町の旅館、ホテルにもお客が全く来なくなってしまった、こういうことであります。  それからもう一つは、今立ち退きを命ぜられております危険区域、これは法律上は警戒区域と申しますが、この中に立ち入りができない。これは罰則があるわけであります。立ち入りができないために、一体自分の家が、自分の農地がどのくらい被害を受けているのかという被害の確認、特定ができない。もちろんそのための災害復旧事業もできませんし、自分の田畑や財産がどのくらい被害を受けているかわかりませんからそれぞれの世帯の生活再建策のめどがたたない。普通の一過性の災害とは著しく異なった、性格の特異な災害であります。  しかし、災害発生以来、政府と県と市、町当局は既存のあらゆる制度を適用して、避難民の救済、危険の防止に当たってこられました。特に、既存の災害制度では、今私も申しましたように今回の災害が非常に特異である、たくさんの制度がありますが、こういう特異な場合を想定して制度ができておらない。したがって、制度を適用しようとしてもどこかで法律にひっかかるものもございました。政令、省令、あるいはいろいろときめ細かくつくっております基準が当てはまらないというようなものがたくさんありましたけれども、災害発生以来、政府に災害対策本部をつくっていただきまして、各省がそれぞれ相談して支障になるような、今申しましたような政省令とか基準は思い切った弾力運用をしていただきまして今日まで対処していただきました。二十一分野八十三項目と言われておりますが、私は、日ごろ硬直した考えしかやらない日本のお役所がよくもここまでやってくれたなと。私自身も役所の出身でありますからよくわかるのでありますが、大変思い切ったことをやってくれたなということを私自身高く評価するわけであります。これはお世辞でも何でもありません。(「お世辞だ」と呼ぶ者あり)お世辞とおっしゃるなら、後ほど各省から少し細かく伺いたいと思います。  例えば、まだ災害が終わっていない、もっと大きな災害が来るかもしれない、しかも被害の状況が調査できない、したがって、法律では激甚災害というものは被害がわからなきゃ指定ができない。それなのに各省は激甚災害並みの手当てを既に各分野でやっていただいておる。これなんかもある意味じゃ法律違反かもしれませんけれども、思い切った措置を講じていただいております。そのほか応急仮設住宅の規格とか面積、クーラーもつけてくれたというような、いろいろな従来にない細かい措置もとってきていただいております。  私、こういうことをいろいろ調べておりまして、戦後から今日まで四十六年間、災害のなかった年は一年たりともありません。多いときは八回も九回も自然災害があったわけであります。毎年のように台風、集中豪雨、地震、津波、噴火、豪雪、寒波、いろいろあるわけでありますが、こういった自然災害を毎年のように受けておりますので、政府も非常にきめ細かな制度を積み上げてきております。  私は、今回の災害で個人災害等に対する手当て等でいろいろと文献をひもといてみましたけれども、やはりこれには政府の努力もありますが、政治家の努力もありました。個人のお名前を挙げて恐縮でございますけれども、自民党の前議員の天野光晴さんの名前があちこちで出てくる。この間お亡くなりになった佐藤隆先生も、個人災害については大変な努力をして制度を既につくっていただいておる。また、野党では社会党の辻原弘市先生、公明党の小川新一郎先生、災害に大変御熱心な先生方がいろいろなことに努力をされて、いろいろな制度をつくっていただいております。  この先輩の御努力に私は本当に頭の下がる思いをいたしておりますけれども、今申しましたように、今、災害だけのための法律が二十本近くあります。私が勘定したところ十七、八本あります。それぞれそれに伴うきめ細かな政令、省令というものができております。こういうものを駆使していただきまして、今、雲仙のあの気の毒な方々に政府、県及び市、町当局が細かな対策を練っておられるわけでありますけれども、ただ一つ今回の災害で困ることがあります。  それは、冒頭申し上げましたように、今回の災害の特異性からいって、災害対策基本法の六十三条で言う警戒区域を設定する。先ほど申しましたけれども、危険だからといって公権力で立ち退かせた。そこへ入ると警察官が来て追い出してしまう。こういうような法律、公権力で立ち退きを命じておるわけであります。しかも、危険がもう既に三カ月にもなっておりますから長期間に及んでおる。この点に対する手当てだけは実は残念ながら諸先輩、過去の政府の御努力にもかかわらず現在ございません。このことをまず指摘させていただきまして、私は後ほどこれに対する手当てをお願いしたいし、また、政府の御見解を承りたいと思います。  その前に、今、この災害地がどういう状況になっておるか、また各省がどんんな手を打っていただいたか、全部やりますと時間がとても大変でございますので、幾つかの省についてお伺いをいたしたいと思います。  まず国土庁に伺いますが、五月二十九日に災害救助法適用と同時に避難所を設置した、これは厚生省でございます。六月七日に警戒区域が設定されて避難住民が二千八百十四世帯一万三百四十九人に達した。避難所が島原市に八カ所、深江町に四カ所、主として体育館であります、約四千人の人が入る。また、旅館やホテル、それから客船まで持ってきて約千五百人を緊急に収容いたしました。しかし、これは体育館に雑居であります。これが長くなると家庭の世帯ごとのプライバシーも守られないということで一生懸命に応急仮設住宅をつくりました。今ほとんどの方が応急仮設住宅その他に収容されておりますが、この避難民の方々がどういうところに何人行っておられるか。大変恐縮ですが、もし何でしたら政府委員でも結構ですが、国土庁から御報告を願いたいと思います。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) お答えを申し上げます。  現在、千二百八十九世帯四千七百六十一人の方々が応急仮設住宅や体育館等の避難所に避難をしておられるわけであります。この内訳は、体育館等の避難所が百八十五世帯五百二十一人となっております。災害当初の約六分の一程度まで減少しておる、このように考えております。ほかの方々は仮設住宅が五百九十世帯二千六百八十六人、旅館、ホテルが五百十四世帯千五百五十四人となっております。なお、県におきましては今後仮設住宅を、既に完成しておるものも含め全体で千戸程度を建設ずみ予定であります。おおむね八月末から九月の初めにかけまして、ただいま御報告を申し上げました体育館等での避難生活を送って御苦労をいただいておる方々にお入りいただくことになるのではないか、このように考えております。  なお、御質問はなかったわけでありますが、県におきましては、災害公営住宅の建設も含めて、公営住宅の建設を約百戸を目標にいたしまして現在取り組んでおるところでございます。  以上でございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 厳密に言いますと、公的住宅、県営住宅とかそういうものにも空き家があって、そこにも収容しておるというのがあるはずでございます。まあよろしいでしょう。  次に厚生省に伺いますが、災害救助法によって今話がありました避難所、応急仮設住宅等をつくっていただきましたが、従来の災害地におきます措置と今回どのような取り扱いの違いがあったのか、これは細かいから政府委員で結構です。  それから、弔慰金の支給状況、これはお亡くなりになった方へのお見舞いといいますか御香典といいますか、そういうものでありますが、これも法律で決まっております。それから災害援護資金、避難された方あるいは家を失った方への貸付金、これは弔慰金支給の法律によるものと生活福祉資金貸付制度による災害援護資金と二種類ありますけれども、あわせて結構でありますから支給状況、貸し付け状況はどんなものか。

末次彬厚生省社会局長

○政府委員(末次彬君) 委員御指摘のとおり、今回の災害の特殊性にかんがみまして、災害救助法の適用に当たりましては特別基準の設定などによりましてできるだけ弾力的な運用を行うことといたしております。  例えば、避難所におきます食事の給与に係る基準単価につきましても、実際に要した費用を勘案した特別基準の設定を行っております。また、応急仮設住宅の供与につきましては、原則といたしまして一般的には資力要件による制限がございますが、今回の災害におきましては、資力要件を問わず入居することができるようにするなどの弾力運用を行いますとともに、応急仮設住宅の面積あるいは単価、さらにはクーラーの設置についてもこの災害の特殊性を踏まえまして特別基準の設定を行うことといたしております。一  次に、災害弔慰金の支給等の実績でございますが、まずこの災害によりお亡くなりになられました方三十九名、行方不明の方三名でございますが、このうち賞じゅつ金支給の対象者でございます消防団員等の十三名、それから旅行者二名を除きます二十七名の御遺族には、既にこの法に基づきます災害弔慰金が全員支給されているところでございます。  また、法に基づきます災害援護資金と生活福祉資金の貸付制度要綱に基づきます災害援護資金の貸付実績は、八月二十二日現在で合計百八十五件となっております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 今申しました弔慰金の支給に関する法律、これは実は昭和五十七年に法律で金額が決まってそのままであります。お亡くなりになった方、世帯主でお一人三百万、これはもう十年前の基準でありますからもっと上げるべきだと私は思いますが、調べてみますとこれは議員立法でございますから私どもの責任であります。今国会で何とかしたいと思っております。  ただ、この法律で決まっているのは弔慰金と災害障害見舞金でありますから、さっきの災害援護資金という貸付金は五年前に最高二百五十万と決まって、これは政令であります。近く、もちろん衆議院、参議院御協議をし、与野党協議をしてこの問題を解決し、もう少し金額を上げようと思っておりますが、政令部分については、貸付金の額については厚生省、お役所の仕事であります。五年前に改定したばかりでありますから、議員立法でもとの法律が直りましたらひとつ政令改正をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。  災害援護資金につきましては、今御承知のとおり、この問題について改正の方向で検討をいたしておりまして、すなわち限度額の引き上げ、それからさらには所得制限がございますが、その所得制限の制限額の引き上げにつきまして検討し、早急に政令の改正に持ち込みたいと考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ぜひお願いします。  次は農水省に伺いますが、これもいろいろと農業共済、農協共済、森林共済の共済金の支払いを仮渡しも含めて早急にやっていただいておりますが、これの実績。それから農林漁業金融公庫の自作農維持資金、林業経営安定資金等の貸し付けについても特別の措置をとっていただいたはずですが、その措置と貸付実績。同じく農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設資金。細かくなって大変恐縮ですが、それの貸し付け条件と実績、簡単に御報告を賜りたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 被災地の皆さん方は最初に生活資金が必要になってくるものですから、共済について概算で仮払いをさせていただいたところであります。  建物共済、農業共済を含めて六億七千三百万をもう支給済みであります。あと自作農維持資金、これも農家の生活資金でありますけれども、百五十万を倍額の三百万にさせていただきました。これの実績は、県の方であるいは市町村の方で利子補給というようなことを考えておるものですから、実績としてはまだ国へは上がってきておりませんが、制度改正をさせていただいたところであります。  農業用施設につきましては、貸付限度額の引き上げを二百万から八百万ということに枠の拡大をさせていただいて、六・〇五の利率を三%ということに引き下げをさせていただいているところであります。しかし、御案内のように、これは現地へ入らなければ結果的には施設の整備ができませんので、今日まだ制度改正をしたままで、現地へ入って災害復旧をしてからということで実はございますし、また調査をしてそして設計して査定、こういう段取りになりますので、危険区域の解除ができれば一斉ということになりますから、人的配置を全国的に農林水産省から支援をする体制も準備をしておるところであります。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ありがとうございました。  次は中小企業対策、通産大臣。  通産省としては、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫等災害貸し付けがありますが、その限度額や利率について先般閣議でお決めいただいて特別措置をやっていただいたと思いますので、その内容を簡単に、それから実績と。  それから、これは農林関係の貸し付けもそうなんですが、お金を借りても今避難している人は仕事ができないんです。仕事ができるならお金を借りてやれるんですが、しかし生活のために借りなきゃいかぬ。そうすると、災害がまだ終わっていないんですから災害が終息するまでの間、あるいは償還据置期間ぐらいは無利子にしていただけないかなという要望があるんですが、これについては何かお手当てができるんでしょうか。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) まずは井上委員の政治家としての思いやりに対しまして、心から敬意を表したいと思います。  通産省といたしましては、最初に中小企業対策の御質問がございましたから簡略に申し上げますが、雲仙岳噴火災害の発生に伴いまして、被災中小企業者の実情を踏まえながら最大限の支援措置を講じさせていただいているところでございます。具体的に言いますならば、災害発生後直ちに九州通産局へ雲仙岳の噴火災害対策本部をつくって、そして即応体制の確保であるとかあるいはまた政府系の中小企業金融三機関の災害復旧貸し付けの発動というものを指令したつもりでございます。  殊に被災中小企業者への金融支援につきましては、その後速やかに中小企業体質強化の資金助成制度を活用いたしまして、そしてより低利の特別金融措置等を講じましたほか、今回の抜本的対策といたしまして、政府系の中小企業金融三機関におきまして激甚災害法というものに基づく特別金融措置に準じました措置を地元の要望に対してできる限りの配慮をさせていただいたつもりでございます。これは閣議決定と先ほどおっしゃいましたが、まさに閣議決定によって実施する等、各般の措置を講じまして、被災中小企業者の救済というものに最大限の努力を払ってきたところでございます。  通産省としましても、今後とも被災中小企業者の状況をじっくり注目しながら、こうした各般の措置が着実に実効が上がるようにきめ細かい配慮をしたいと思っておるのでございますが、その中においても、先ほど委員御指摘のように、中小企業金融公庫とか商工組合中央金庫あるいは国民金融公庫等における災害貸し付けの限度額の増額がどうかと、こういう御意見でございました。利率の低減等の問題も触れておりますので、これについても簡略ながら申し上げたいと思います。  まず、被災中小企業者の救済のため、大規模火砕流が発生しました翌日の六月四日に政府系中小企業金融三機関、すなわち先ほど申し上げた中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫による災害復旧貸し付け、これは利率が七・七%というものを発動したわけでございます。政府系の中小企業金融三機関からの災害復旧貸し付けにつきましては、被災中小企業者の経営の安定を支援するためという形で、抜本的な対策としては七月二十三日に特別被害者に対する適用利率三%の激甚災害法に準じました特別金融措置というものを閣議決定によりまして直ちに講じまして、所要の利率の軽減を図ったところでございます。加えまして、同日、貸付限度額につきましても中小公庫あるいは国民公庫の貸付限度額をそれぞれ一・五倍に引き上げまして、中小公庫は別枠一億円から別枠一・五億円に、あるいはまた、国民公庫が別枠二千万円から別枠三千万円と、特段の配慮を私どもとしては目いっぱいさせていただいたつもりでございます。また、貸付業績につきましては、平成三年八月二十二日現在までに三機関合わせまして百四十七件、十三億円、着実な実績を示しておるわけでございます。  最後に、この問題に対する無利子での貸し付けを講ずべきだと考えるかという考え方が出されましたが、これは六月二十日、通産省と長崎県の協力によりまして、中小企業体質強化資金の助成制度というものを活用いたしまして、そして、通常金利は六・九%のところを五・四%の特例措置を講じたところでございます。さらにまた、被災中小企業者の経営の安定を支援するための抜本的な対策といたしまして、七月二十三日に政府系の中小企業金融三機関からの災害復旧貸し付けにつきましては、特別被害者に対する適用利率の三%の激甚災害法に準じました特別金融措置を閣議決定によって講じたところでございます。そしてまた、災害復旧貸し付けにおける据置期間については、例えば国民金融公庫の運転資金の場合は通常六カ月のところを二年という期間を設けるなど、通常よりもよく設定したところでございます。  また、今回の雲仙岳の噴火災害におきましては直接被害に比べまして間接被害がまことに大きいと、御指摘のとおりでございまして、それゆえに、また同法の直接的な適用が困難であったという状況等にかんがみまして、まず、これまた閣議決定によりまして、これまでの火山災害の場合よりもさらに救済要件の緩和あるいは救済対象の拡大を行いながら、特別被害者に対しましては三%の低利融資の措置を規定している激甚災害法に基づく措置並みの特別金融措置を講じた次第でございます。この枠組みを超えるところまでは困難でありましたけれども、被災中小企業者の実情を十分に踏まえながら、我々といたしましては最大限この法案に沿ってやったつもりではございます。  通産省としましては、こうした格段の措置が実際的に着実に実効そのものを上げていくことができますように今後とも細かな配慮をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上、報告までにとどめます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 細かになって恐縮でございますが、現地で困っているのは被災事業所、あるいは災害は受けてないがさっぱりお客が来なくなった中小企業、旅館、ホテル。そういうところで雇用者を一遍解雇しますとまた戻ってこなくなっちゃうというようなことがございますので、労働省にお願いして雇用保険の特例措置をつくっていただいておりますが、それについてもちょっと簡単に御報告をいただきたいと思います。

小里貞利自由民主党労働大臣

○国務大臣(小里貞利君) 三項目につきまして主なるところを整理してお答え申し上げたいと思います。  まず、総合的な雇用対策といたしまして、災害によりまして離職を余儀なくされた方々の就職、これが安定方を保つために特別な措置といたしまして、まず最初に島原公共職業安定所内に特別な相談コーナーを設置いたしました。それからまた、先ほども話が出ておりましたように、災害区域内におきまして交通規制等が行われておりますから、それらのためにその特別相談コーナーを円滑に活用しにくい方々のために、島原半島の南部の口之津町というところでございますか、もう一つ相談コーナーを設置をいたしました。この二つの雇用安定のためのいわゆる相談コーナーをきのう現在までに御利用いただきました求職あるいは求人、あるいは雇用保険関係等の件数が二千七百五十二件でございます。  二つ目に申し上げますが、ただいま先生のお話がございましたように、この災害によりまして事業所が休業する、その場合に働いておいでになる方々が解雇あるいは離職をせざるを得ない、こういう事態が出ております。このような方々にもう一回事業所が再開したら復帰していただく、そういう前提のもとにただいまもお話がございました雇用保険の見直しを行いました。いわゆる失業給付を行う、そういうような省令措置によりまして特別な措置をとった次第でございます。きのう現在でその受給者数、いわゆる特別なそのような恩典の措置を受けた方々が三百九十一名でございます。  それからもう一つは、そのような離職あるいは解雇を防ぐという政策的な意味も持ちまして、事業所は休業したけれども、しかし解雇はせぬでくれ、あるいはまた離職をしないようにしてくれ、そういうような省令措置をとりまして、いわゆる事業所は休んでおる、勤労者は休んでおるから働いていない、働いていないけれども、しかしながらそれに事業主は賃金を支払いなさい、払いましょう、そういう場合に私どもは特別な雇用調整助成金なるものをつくりまして、中小企業に対しましては三分の二助成、大企業に対しましては二分の一助成をいたします、そういうような特別な措置もとった次第でございます。  その全体の、最後に申し上げましたいわゆる仕事はしないけれども事業主が給料を支払います、そしてそのうちの中小企業は三分の二、大企業は二分の一の助成を国がするという対象件数は、きのう現在で合計して申し上げますと、事業所数が三十三事業所でございます。対象労働者数が一千百四十七人でございます。そして、従業延べ日数八千五百二十八人口、こういう膨大な数字に上っておる。  以上でございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 教育対策でありますが、文部大臣、お願いします。  災害が起きましたので、たしか児童生徒の安全を守るために夏休みを繰り上げた。ちょうど今夏休みで全国の小中学校は休んでおるわけですが、繰り上げちゃったから、今この暑いときに学校が始まっておるわけでございます。しかも、危険区域にあったものが仮校舎をつくるわけであります。その中には私立学校もある。こういうものに対して特別の手当てをやっていただきましたか。その内容を簡単にお知らせ願いたい。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  私も七月の十七日に現地へ参りまして事の重大性を肌で感じたわけでございます。  文部省といたしましては、御案内のように、観測所が九州大学の理学部の附属の観測所でございますから、その問題、そしてまた今の御質問の子供たちの安全、こういう面につきまして、平成三年、私どもの火山予知は三億九千百万円でありますので、とてもそういうことでは間に合いませんので、科研費を二千二百五十万円、さらにまた国立学校の方から一億二千八百万、これを出させていただきました。さらにまた、現在四名でございますので、これは九州大学を中心とする四十名の方々がそれに当たっております。新たに観測点も設けている。こういう現況でございます。  今御質問の子供たちの安全及び就学の確保のための他校への転入学、この面につきましても県の教育委員会と相談をいたしまして、私自身も現地へ行ってまいりまして、第三小学校の第五小学校でのプレハブ仮設校舎、これを見てまいりました。ここで八月一日から勉強をしている。さらに、非常に今その校舎が足りなくなったということで県の教育委員会から二、三日前に通知を受けまして、八月の二十六日にこの仮設校舎を増設する、そして九月三十日にそれを完了して授業に当たらせる、そういうことを今行っております。  御案内のように、公立義務教育諸学校の冷房整備につきましても私どもは特段の措置を行いました。さらにまた、私立学校の仮設校舎、この問題につきましても、島原の中央高校あるいは安中幼稚園、こういう問題でありますが、この空調設備についてもリースによりまして設置する、こういうことを承知しておりますが、可及的にひとつできるだけの努力をいたしたい、このように考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 これは実は所管省がどこかわからないんですが、災害ですから国土庁に伺いますけれども、全国の人々から善意によって義援金が集まっておると思います。これがどのぐらいになって、しかもどういう使い方をしておられるのか、また使われる計画なのか、把握しておられますか。国土庁長官、お願いします。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 全国からまことに温かい激励のあらわれといたしまして非常に多くの方々から多額の義援金が寄せられております。心から感謝の意を表する次第であります。  長崎県からの報告によりますと、長崎県、島原市、深江町、日本赤十字社長崎県支部、長崎県共同募金会の五団体で取り扱っておられますものを合わせて現在約百二十八億円となっております。義援金の配分につきましては、県の配分委員会で決められるほか、島原市、深江町がそれぞれ決めて、これまで二回にわたり県市町において被災された住民の方々に直接配分を行っております。その額は約四十八億円が配分済みであると聞いております。  以上でございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 非常に多額のものが全国の方々の善意から集まっております。これは地元のそれぞれの団体がお扱いになると思うのでありますが、どうか有効に使っていただきたいと思っております。  そこで、以上各省からいろいろと対策を細かくお伺いいたしましたが、もう皆さんもお気づきのとおり、一つ大きなものが抜けておる。これは先ほど私が申しました強制的に警戒区域から避難、立ち退きをさせられた方々に直接に何にも、災害救助法によるいろいろの手当てはできておりますけれども、そういう方々に対する対策がどうも手薄である、そういうふうに思います。そこで、地元からいろいろとそういう点に対する要望が出ております。  まず一つは、こうして避難した人々は、家はあるけれども家に行けない、ずっと三カ月も避難させられている。こういう方々は仮にお戻りになる時期が来てもそれがいつになるかわからない。生活も非常に心配だ。こういう方に生活安定の助成金みたいなものが出せないのだろうか。まず第一には、見舞い金が出せないのだろうかという御要望がございました。しかし私は、直接現金を差し上げるということについてはいろいろと他に影響もございますから、超低利の貸し付けでもできないのかということが一つ。それから、見舞い金を差し上げるとしましても、これは直接給付するというよりも、県もそういう目的あるいは今後復興に対していろいろと支出が要るでしょうから、この災害対策基金というものを、午前中に篠崎さんからも御要望がございましたけれども、県が基金をつくって、これに国が資金的な面倒を見るという方法がないのか。  それからもう一つは、体育館に避難しておるときには救助法によって衣食住全部支給であります。ところが、これでは何カ月も大変だというので応急仮設住宅を厚生省につくっていただいて、それぞれ世帯別に入居した。途端に、そこには台所もある、クーラーもつけていただいて冷蔵庫も置いていただいた。そうすると今度は食費がもらえなくなっちゃう、生活費が。この食費を何とかしてもらいたい、これはごもっともだと思います。応急仮設住宅に世帯込みで行きたくたって、そのために体育館から出られないというような方もおられるかもしれません。そういう方に対する手当て。  もう一つは、仮に噴火が終息してあの地域に戻れるようになりましても、恐らく戻れない方もいるでしょう。もう埋まっちゃったという人もいるでしょうが、危なくて戻れない。その危なさを安全にするためには、恐らく砂防堰堤やら何やらたくさんの施設をやらなきゃいかぬ。これにまた時間がかかる。五年やそこらかかると思います。その間自分の家へ戻っていても、例えば雨が降れば土石流が怖い。そうすると集団的にまた避難しなければいけない。そういう避難施設をこれからつくらなきゃいかぬじゃないか。それに対する国の手当ては今ありません。制度がありません。今すぐではありませんけれども、そういうものも手当てしていただきたい。  いろいろと地元からの御要望がありますが、これに対して国はどうか基金の設置等にも支援をしてあげていただきたい。この基金に対する支援は直接的には恐らく自治省だと思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(吹田愰君) 井上先生には非常に御心配いただいておりまして、感謝にたえません。  今、基金の問題が出ましたが、その前に私の方も今日までやったことについて自治省の名誉にかけて一言言わせてください。  自治省は地方公共団体を担当しておるものですから、いち早く国土庁長官とともに一緒に現場へ参りました。私も二度参りましたが、御案内のように、火砕流のまだ発生していない時期でもありました。したがいまして、現地をつぶさに調査することもできました。その後ああした大変な被災者が出たわけだし、また死者まで続出するという格好になりました。私の方も警察官が二名と消防団員が十一名亡くなりまして、明後日は消防団員の合同葬でありますし、警察葬は先日終わったというところであります。したがいまして、この両者について今日までやりましたことについて簡単に申し上げます。  災害対策本部を直ちにつくりました。そうして職員を、特に私の方は消防でございますから消防庁の職員を二名常駐させております。現在も常駐しています。そうして、専用回線を引きまして常時、毎日状況の把握をしておるというのが現状であります。  さらに、旅館、ホテル等のあっせんも県に願いまして、これに対して大幅な財政援助をするからということで、私の方も知事のあっせんを受けておるわけであります。特に客船につきましては、運輸省にお願いいたしまして御紹介いただいて「ゆうとぴあ」という船を借りて、ちょうど一カ月しかあいておりませんでしたけれども、それにしましても避難民をここに一応収容するということもできましたが、こういったことにつきましても財政的措置をすることで我が方で処置したわけであります。六月分とさらに九月分のいわゆる交付税の繰り上げ支給をいたしました。現在八十億五千五百万、これを関係の県及び一市一町にお渡しいたしております。  さらに、警察の方におきましては、警察官を動員いたしましてもちろん避難誘導その他もいたしておりますし、現在監視態勢に入っておりますが、おおむね九州管区機動隊にこれの支援をさせまして、当初は七百名の警戒態勢でありましたが、現在五百名の警戒態勢で配置いたしております。さらに、防石ネットつきの大型バスを五十台配置しておりまして、特に幼稚園とか保育園あるいは老人ホーム、そういった地域へその車を配置いたしておりまして、すわということになれば直ちにまず優先的にそういった足の弱い方々を乗せようということで配置をしてくれておるわけでありまして、警察も常時警備態勢で本部に常駐しておるわけであります。  そこで、今一番問題になりました基本金の問題であります。これは非常に私は大事な問題であると思いまして、先日長崎の高田知事が来ましたものですからこの問題を話し合いました。総理からも、何とか配慮できることならひとつ自治大臣やれということでございますので、総理からの御指示もこれあり、私は知事と協議をしまして、国からの姿で出ていくという形式をこの際やめて、自主的な財源としてむしろ長崎県知事がつくるという形にするのなら私の方は財投の金を出しましょう、起債を出しましょうと。もちろん起債を出すといいましてもその利子は我が方が見るんですし、また償還につきましても相当部分を自治省が面倒を見ることになるわけでありますが、それで五年間行こうではないか。そうすればその果実というものが相当出てくる。いわゆる何百億の単位になるわけですから、そうすれば、井上先生がいみじくもおっしゃったように、いろいろな問題についており制約を加えられなくて、知事や市長さんや町長さんの権限の中で住民のために臨機応変な措置がとれるんではないかということで配慮することに判断を決定いたしております。  したがいまして、できるだけ早くそういった点について配慮をするということにしておりますものですから、私は、これである程度知事さんとしては一応ほっとしたという気持ちで先日お帰りいただいており、あるいはまた県議会等にも御発表になるんではなかろうかな、こう思っておる次第であります。  以上であります。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 自治大臣がお答えをされた以外の御質問でございますが、今回の雲仙災害というものが大変重大であり長期化しておる、そういう視点から御指摘になった点は私はまことに重要だと考えておるわけでございます。  災害が仮に終息いたしましても直ちに農業等に復帰ができるわけではございません。その間のつなぎ資金をどうしていくかという問題、それからもう一つは、現在収入がなくて生活に困っておられる方々の問題をどのようにしていくか、それから第三点、最後におっしゃいましたけれども、非常に大事な問題でございますが、あそこをどう復興させていくかというような諸問題につきましては、御指摘のことを重大に受けとめまして積極的にこのことに取り組んでまいる所存でございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 先ほど私が言いました応急仮設住宅に入った方々の生活費といいますか食費、非常に細かくなって恐縮ですが、それから避難を強制された方々に対する生活安定資金というようなもの、これについて御検討いただけませんか、国土庁長官。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 私のお答えが多少まずかったようでございまして、実は先生から御指摘になりました点を踏まえて私はそのことをやっていこう、こういう考え方でございます。  ただ一つだけ、一律にお見舞いを出すという考え方でなくて、生活に困っておられる方々、そういう方々を重点にして対策を講じていきたい、こういう意味でございますので御理解をいただきたい、このように思います。

井上孝自由民主党

○井上孝君 私の質問も舌足らずで済みませんでした。本当に応急仮設住宅に行っても困っておられる方、困窮しておられる方です。入っていてもちゃんと職業があって毎日通勤しておられるという方まで申してはおりません。困窮しておられる方にお願いをしたいと思います。  この雲仙災害で非常に時間をとりまして大変恐縮でございましたが、実は私は大きなPKOの問題についても御質問したいと思うんですが、時間が非常になくなりましたのではしょりまして、防衛庁長官にひとつお伺いしたいんです。  ペルシャ湾に行っている掃海艇、大変な炎天のもとで御活躍をして大変御苦労だと思います。頭の下がる思いをいたしておりますが、この方々の実績、これからいつごろ帰ってこられるのか、いつ終わるのかというようなことをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) ペルシャ湾へ参っております掃海派遣部隊でございますが、六月五日から作業を開始いたしまして八月十九日までの間にクウエート東方沖合約百キロメートルにある地域、新聞等でMDA-7、こう言っておりましたけれども、その地域でまず作業をし、続きましてシャトルアラブ川河口沖合二十ないし四十キロメートルにございます水深が浅くてまた潮流も非常に速いところ、非常に作業の難しいところ、MDA-10と申しておりますが、そういったところで作業を行いました。そうして、これまでに機雷三十四個を処理したところでございます。それで、なおこれからは、クウエート沖の一部航路、一応航路が開かれたわけでございますけれども、まだ幅が狭うございますのでそれを拡幅する、そういう作業を行うことにしておりまして、作業の終了のめどは大体来月、九月の中旬ごろと、こういうふうに考えておるところでございます。  おかげさまで五百十一名の隊員全員これといった病気もせず、また事故もなくやっておるわけでございますが、これからも安全に十分留意をいたしながら期待にこたえてまいりたい、こう考えておる次第でございます。  なお、雲仙の関係におきましても、陸上自衛隊の隊員、御承知のとおり作業をしてまいりましたし、現在もなお二百名に余る隊員が現地にございますし、それからなお、もし必要な事態が生ずるならば緊急に駆けつけるような体制をとっておるところでございます。

井上孝自由民主党

○井上孝君 私は質問の中にそれも入れたかったんですが、時間がなくなって、私も島原へ行ってみて、自衛隊は要するに自給自足ですよ、地元に何にも迷惑というか世話にならぬであれだけのことをしていただいて、島原市民の心の支えになっているということを伺っております。これはこれから申し上げたいと思っても時間もなくなっちゃって、これは外国の災害にもどんどん出ていって国際貢献をしていただきたい、心からそう思っておりますが、きょうは時間がないのでそれは申し上げられません。  実はこの掃海艇が行くときに、自衛隊の海外派兵につながるんじゃないかと随分もたもたというと悪いですが、注文が出て出発もおくれました。今結果を見てみますと、世論調査によると国民の七割がこれはいいことをした、もっとやるべきだという御意見のようであります。私はこれからPKOのことを言おうとしたが、あと二分しかなくなりました。私は、絶対これはPKFも自衛隊の参加は憲法違反ではないということをるる申し上げたかったんですが、またその勉強も若干したわけでありますが、時間がありませんので、今のこのPKO法の進捗状況といいますか、出される予定、まとまり方の事情を外務大臣にひとつお示し願いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) PKOの関連法案の作成状況につきましては、既に政府といたしましては中間報告を出しておりますし、さきの国会におきまして三党間で国際貢献に関する覚書ができておりまして、三党の幹部の方々には既に御説明を申し上げております。  なお、先般PKOのいわゆる派遣についての五原則というものを決めております。その五原則が果たして国連において認められるものかどうかといったようなことにつきましては、専門官を派遣いたしまして国連の事務局と協議をいたしました結果、その五原則については国連としては何ら異議がないと、こういった確認もいたしておりますので、政府といたしましては、三党の幹部と協議をしながらこの法案の作成の手順を進めてまいりたい、できれば一日も早く御審議をお願いできるようにさせていただきたいと考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 ありがとうございました。ぜひ早急に取りまとめて今国会に御提出をお願いしたいと思います。  可時に私は、このPKOに対する自衛隊の参加だけではなくて、かねて話題になっております、先ほども言いましたけれども、海外における災害救援のために自衛隊をぜひ出動できるようにしていただきたい。そのためには国際緊急援助隊法一部改正とそれから自衛隊法の改正が必要だと思いますが、これはもうPKOと切り離してでも今国会で成立を図っていただきたい。ぜひお願いをしたいと思います。  PKOをもうちょっとやりたかったんですが、残念ながら時間が参りました。また私、実は専門の、専門と行ったらおかしいんですが、公共投資について大蔵省大臣にも伺いたかったので、一言だけ。  八月末に概算要求がありますが、ことしは生活開運重点枠、来年は公共投資充実臨時特別枠というのをおつくりいただいて、例の四百三十兆円を完全達成しようという方向で大藏はお考えいただいておりますが、その達成のめどが立っておるのか。まああと十年もありますがね。  それから、全言った公共投資充実臨時特別枠の臨時特別とは一体何だということをひとつ御説明いただきたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは日米構造協議の中で、今後二十一世紀の到来までに我々としての生活水準の質を高めるという意味からの公共投資の総枠を議論してまいりました。そして、日本政府として四百十五兆の公共投資の総枠を決定いたしました。と同時に、新たな需要も発生することを想定し、弾力枠として十五兆の別枠を用意いたしました。世間的にはよく四百三十兆の公共投資と言われる、そのとおりであります。  私どもといたしましては、当然のことながら、二十一世紀というものを見据えながら着実な社会資本の整備、特に生活関連分野の重点を図っていく必要があると考えておりまして、そんな視点から本年度予算編成時には生活関連重点化枠という仕組みをつくりました。そして、平成四年度概算要求におきましても同様の趣旨で同様の枠を用意いたしております。しかし同時に、やはり厳しい財政事情の中とは申し在がら、公共投資基本計画などを着実に実施を図ってまいりますためには臨時特別の措置を講ずる必要もございます。そうしたことばかりではなく、公共投資というものが国土の均衡ある発展を図る上でも重要な役割を果たすものでありまして、それは必ずしも直接生活関連ということに限定されるものではございません。こうした観点から、公共投資の着実な増加に寄与するということに着目をいたしまして、今回、委員が今お述べになりました公共投資充実臨時特別措置という考え方を概算要求の中に取り込んだわけでございます。  来年度以降これをどうするかということにつきましては、この平成四年度予算の編成の過程におきましてい公共投資充実臨時特別措置というものの最終的な中身、それに対する関係者の御論議、さらには今後における、私は依然として厳しい財政事情が続くと思いますけれども、そうしたことの総合的な判断の中で慎重な検討を要する課題、そのように考えております。

井上孝自由民主党

○井上孝君 建設大臣、質問の通告をしながら時間がなくなって大変申しわけありません。次の機会に譲ります。  以上で終わります。

井上吉夫自由民主党

○理事(井上吉夫君) 以上で井上孝君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の調査はこの程度といたします。  次回は来る二十六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗