法務委員会 第2号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1991/09/12
会議録
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十一月、八百板正君及び栗村和夫君が委員を辞任され、その補欠として三石久江君及び肥田美代子君が選任されました。 また、本日、鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として加藤武徳君が選任されました。 —————————————
○委員長(鶴岡洋君) 借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 まず、政府から両案について順次趣旨説明を聴取いたします。左藤法務大臣。
○国務大臣(左藤恵君) 借地借家法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 現行の借地法におきましては、借地権の存続期間、契約の更新等について、借家法におきましては建物の賃貸借契約の更新等について、それぞれ強行規定を中心とした民法の特別規定が置かれているところでありますが、いずれも大正十年に制定された法律であって、昭和十六年に改正された後は、今日まで基本的な枠組みは変わっておらず、この間の社会・経済情勢の大きな変化、特に土地・建物の利用に対する需要の多様化に対応し切れていない状況になっており、これに対応するためには、借地借家法制のあり方について再検討をし、現行法に見られる画一的な規律を改めて、より利用しやすい借地・借家関係を実現するための手当てが必要であります。 この法律案は、このような見地に立って、借地法、借家法及び建物保護二関する法律を総合した単行法を制定し、現行法の基本的な枠組みである借地権の存続期間、借地・借家契約の更新等の仕組みを見直してより公平なものとするほか、新しい類型の借地・借家関係を創設するなどの改善を図ろうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、借地権の存続期間及び契約の更新後の期間中に建物が滅失した場合の法律関係を改めることであります。現行法では、借地権の存続期間を、堅固な建物の所有を目的とするか、堅固でない建物の所有を目的とするかによって差を設けていますが、建物の社会的、経済的耐用年数等の変化及びより適切な当事者関係の調整の要請にかんがみ、一律に当初の存続期間を三十年、更新後の存続期間を十年とすることといたしております。また、契約の更新後に建物が滅失した場合に、妥当な事前の権利調整が行われるように、新たな建物の築造には借地権設定者の承諾を得る必要があるとするどともに、借地権設定者の承諾にかわる裁判所の許可を非訟事件手続をもって得ることができるようにすることといたしております。 第二は、借地関係、借家関係に共通の点として、借地・借家関係の解消の要件となっている「正当の事由」を明確にすることであります。現行法では、貸し主がみずから使用することを必要とする場合その他正当の事由がある場合とだけ規定しておりますが、これを改め、貸し主及び借り主が使用を必要とする事情を中心として、従前の経緯、土地・建物の利用状況等幾つかの基本的な判断要素を示し、もって、具体的な実情に一層即した判断をすることができるようにすることといたしております。 第三は、更新のない借地権という性格を有する定期借地権の制度を一定の要件のもとに認めることであります。必ずしも永続的な土地利用を望むものではないとの需要に対応するために、現行法では認められていなかった類型の借地権として新たに設けるものでありますが、通常の更新のある普通借地権との関係をも考慮し、その要件を絞って、存続期間を五十年以上とする長期のもの、存続期間を十年以上二十年以下とする事業用のもの及び三十年以上経過した後に建物を土地所有者に譲渡する建物譲渡特約によるものという三つの類型の定期借地権を認めることとしております。 第四に、借家関係においても、転勤等の単なる貸し主の意思を超えたやむを得ない事情で生活の本拠を移転させざるを得ないような場合には、その持ち家を一定の期間に限って貸すことを認めるため、更新のない確定期限の借家の制度を導入することとしております。 なお、この法律案の経過規定におきましては、法律案の成立前に既に存在する借地関係及び借家関係につき、この法律案の更新関係の規定を適用することに対して借り主の間に不安が生じかねないこと等を考慮し、その適用をしないものといたしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。次に、民事調停法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 借地法及び借家法においては、宅地の地代・借賃及び建物の借賃が事情の変更等により不相当となった場合には、当事者がその増減を請求することができることとされておりますが、その増減の是非に関して当事者間に争いが生じた場合には、最終的には、通常の民事訴訟でその紛争を解決することになっております。しかし、地代・借賃は、合意により定めるのが原則であり、その後の事情変更による増減も、本来は当事者の合意によりすることが望ましいものであります。また、この点をめぐる紛争の解決を直ちに通常の民事訴訟手続によらしめることは、この紛争の本質から見て、迅速さに欠けるところがあり、むしろ当事者の互譲により条理にかない実情に即した解決を図る調停手続を積極的に活用すべきであると考えられます。 そこで、この法律案は、民事調停法の一部を改正し、宅地の地代・借賃及び建物の借賃についての紛争を調停をもって迅速かつ適正に解決することを促そうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、地代及び借賃についての紛争がある場合に、原則として調停を経なければ訴訟を提起することができないとする調停前置主義をとることとしております。 第二は、調停委員の専門的判断を生かして、仲裁的な手続で地代及び家賃についての紛争の解決を図ることを可能にする趣旨で、調停委員会の決定に従う旨の当事者の書面による合意があるときは、その決定により紛争を最終的に解決する制度を新たに設けようとするものであります。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(鶴岡洋君) この際、両案の衆議院における修正部分について、衆議院法務委員長伊藤公介君から説明を聴取いたします。衆議院法務委員長伊藤公介君。
○衆議院議員(伊藤公介君) 借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分について、その趣旨を御説明いたします。 まず、借地借家法案に対する修正の趣旨について御説明いたします。 第一点は、借地契約の更新後の存続期間についてであります。 政府提出案は、借地契約の更新後の存続期間を十年としておりますが、常に、十年ごとに更新における正当事由の有無について判断するものとすることは、借地人の負担を過大にし、ひいては居住権の安定性を損なうおそれがあることにかんがみ、借地権設定後の最初の更新にあっては二十年としたものであります。 第二点は、土地・建物の利用行為に関する用語の統一についてであります。 政府提出案は、土地・建物の利用行為について、別個の単行法である現行の民法、借地法及び借家法の用語に由来し、借地関係においては「土地の使用」と、借家関係においては「建物の使用又は収益」とそれぞれ規定しておりますが、土地・建物の利用行為は実体的にはほぼ同一の性格のものであり、借地関係と借家関係を総合した本法律案においては、「使用」の話のみで規定することが相当であるほか、第二十八条において、建物の「収益」の必要性が、使用の必要性とは別の主要な正当事由の判断要素の一つであるかのように解されるおそれが解消することを考慮し、借家関係の諸規定から「又は収益」の字句を削除し、用語の統一を図ったものであります。 次に、民事調停法の一部を改正する法律案に対する修正の趣旨について御説明いたします。 政府提出案は、地代借賃の増減調停事件について、当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意があるときは、申し立てにより、調停委員会は適当な調停条項を定め得ることとしておりますが、この調停条項は確定判決と同一の効力を有するという重大な効果が発生することから、右の合意は紛争解決手段としての調停の申し立て後にされたものであることが望ましいことにかんがみ、調停委員会が定める調停条項に服する旨の書面による合意は、調停の申し立ての後にされたものに限ることとし、あわせてこの規定が商事の紛争に関する調停事件等に準用されることに伴う所要の経過措置を講じたものであります。 以上が両法律案に対する衆議院における修正の趣旨であります。 何とぞ、慎重審議の上、本修正に御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(鶴岡洋君) 以上で両案の趣旨説明並びに衆議院における修正部分の説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十時十二分散会 —————・—————