証券及び金融問題に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1991/09/03
会議録
○委員長(平井卓志君) ただいまから証券及び金融問題に関する特別委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 証券及び金融問題に関する調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君及び日本証券業協会専務理事関要君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(平井卓志君) 証券及び金融問題に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○斎藤栄三郎君 おはようございます。 冒頭に、雲仙・普賢岳の犠牲者に対し、心から哀悼の意を表します。同時に、この事件が早く解決するよう心から祈らざるを得ません。 鴨長明の書いた本の中で、「よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かっ結び」と言っております。この「うたかた」というのは泡のことであり、何だか今回の証券不祥事件を予言しているような気がいたします。華やかに浮かびましたが、華やかに消えてまいりました。なぜこのような「うたかた」が生じたかということから入りたいと考えます。 きょうは、たっぷり時間をいただいておりますので、まずその原因、それから市場の振興策、それから国際的な影響と国内的な影響、この三段階に分けて御質問いだそうと考えます。 まず、大蔵大臣にお伺いいたしますが、なぜこのような現象が起きたとお思いでしょうか。私は政府にも責任があるのじゃないかという気がいたすのであります。もちろん、証券界あるいは銀行界に対して言わなきゃならぬことはいっぱいありますけれども、政府にも私は大変大きな責任があるであろうと考えます。まず、大蔵大臣自身はどうお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本委員会の御審議の冒頭に、私は、まずこうした特別委員会を御設置いただかなければ在らないような事態を惹起いたしましたこと、その中において大蔵省自身の監督責任が問われておりますこと、また私自身にも部下の監督責任を問われでおりますという状態について、この場をかり、すべての方々に心からおわびを申し上げます。本当に申しわけありませんと言う以外の言葉はございません。 そこで、今委員から証券問題につきまして、その原因の把握、どうあるべきかというお尋ねがございました。そして、その中における政府の責任というものにも言及をされました。私は、今さらくだくだ過去の財政金融政策を述べるつもりはございません。私なりに、今回の事態が発生をいたしましてから真剣にその内容というものを分析いたしてみました。そして、私が本院でも既に申し上げたことでありますけれども、この証券についての一連の問題の原因というのは大きく分けて五つあると考えております。 その第一点は、証券取引というものについてのルールが不明確であったということであります。この中には、当然のことながら通達行政というものに対する我々自身の反省も含めなければなりません。そして、今後解決すべき方向の一つがここにあることも事実であります。また、証券取引法そのものにおいて、どこの国でも行われるとは考えていないために法律上禁止という措置をとっていない損失補てんというものが、通達をもって禁じたにかかわらず行われたということでありますならば、これに対して法律上の手当てをいたさなければなりません。 第二は、ペナルティーが甘い、ペナルティーが厳格を期していないということがあります。これもやはり我々としては反省をすべきことでありまして、現実の時代に合った方向にそれぞれのペナルティーを整備していく責任がございます。 三番目の問題としては、検査・監視体制というものが果たして今日の時代に合ったものになっているのか。これは仕組みの面でも、また検査手法そのものをも含めて私どもとして真剣に考え直さなければならない点を持っております。これは既に総理が行革審に要請をされまして、その仕組みの問題については現在行革審が御検討をしておられるさなかであります。 大蔵省は、実は七月十日からこうした問題についての根本的な対応策を講ずるためプロジェクトチームを発足させ、真剣な検討をいたしてまいりましたが、去る八月十九日、それまで私どもの作業をしておりました内容、そしてそこから出てまいりました問題点のすべてを行革審に御説明を申し上げ、今後行革審の方から例えば特定の資料あるいは作業等の御依頼があれば当然のことながもそれに協力するという姿勢のもとに、この点についての結論をゆだねました。しかし、検査手法またその要員の質の確保、さらにコンピューターのこれだけ普及した時代において、電算機対応というものにつきましては、これは我々自身が手法のあり方として真剣な検討を行わなければなりませんし、現在引き続いて検討を行っております。 もう一つの問題は、一部の大口投資家と言われる方々の中に証券市場における自己責任原則というものが忘れられてしまっていたのではなかろうかということであります。これも必要ならば法的な手当てを要するものと心得ております。 さらにもう一つ、一番大事なことは業界行政のあり方というものでありまして、確かに私は、過去証券市場が未成熟な時代においてはその保護育成という点に力点を置いた行政が行われたことは必ずしも誤りだとは思っておりません。しかし、既に世界有数の市場に成長しております今日の証券市場を考えますときに、その保護育成という考え方から、この市場を利用される投資家の方々の保護ということに重点を置いた姿勢に切りかえる努力が遅かったのではないかということは深刻に反省をいたしております。ここしばらくの間に、例えばインサイダー取引の禁止でありますとかディスクロージャー制度の採用でありますとか、それなりに行政は努力をしておりましたけれども、基本的にそのかじを変えるというところまで至っていたと、そう申し上げる自信はございません。 我々自身のこうした点における反省を含め、私は問題点、原因というものをこの五つに分けて、それぞれに対する対策を必死で講じようといたしております。
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣の御説明はよくわかりましたが、私はもっと大きなところに目を向けなきゃいけないのじゃないかと思うのです。昭和六十年のプラザ合意以来為替が円高になります。そうすると輸出が伸びなくなる、国内に不況が生ずる、その不況を乗り切るために昭和六十二年に公定歩合を二・五%に下げる。一方、経済界では、不況ですから設備投資はしない、その金を証券界に向けてくるということが私は底流にあったと思うんです。したがって、二・五%の公定歩合で銀行か借りてきて、銀行かこれを五、六%で貸すと。そうすると、経済界はそれで証券投資をやればもうかる。だから製造業なんかでも、製造はもう顧みないで専ら財テクにのみ走る、こういうところに本当の原因があったんではなかろうかと考えるのであります。 そうして、ピークのときには三万八千九百十五円という空前の高値に至りました。そこまでいったときに、なおかつもっと上がるだろうということを言っていた証券会社もあるし経済評論家もおられたわけでありますが、高値までいけば後は反落する以外に道はなくて、とうとう二万二百二十円まで暴落をいたしました。実に一年間に一万八千円の暴落であります。 そこで今度の証券不祥事の問題が起きてくるわけで、もっと高くなるだろうと思って勧めた証券会社、また高くなるだろうと思って買ったお得意様が、下がっちゃった、さあ後の始末どうしてくれるかと、こういうことになる。元来からいえば証券取引法五十条、さらにまた証券局長の通達によって補てんはできないことになっているんだけれども、お得意様は大事だというので補てんをしてしまったということになるわけです。そのときに問題なのは、大企業中心に行動しておって、個人投資家を全く無視しておったというところが非常に問題じゃなかったかと思うんですね。 日本の証券民主化運動をちょっと振り返ってみると、大蔵大臣のお父様の時代に、すなわち昭和二十四年のころ証券民主化運動が緒についたのです。当時、三井、三菱の持っておった株をどう処置するかということが大きな問題でした。そのときに国民大衆にお願いをして持っていただいたのであります。あくまでも個人が中心なのが民主主義だと思います。 ところが、今度の補てんを見ておりますと大企業にばかりやっておる。しかも、大企業の中には日本を代表するような会社がずらっと並んでいる。何も補てんをしてもらわなくたって営業が困るわけでもないしつぶれるわけでもないにもかかわらず、そういうところには補てんをしてあげている。また、補てんしてもらった方も補てんしてもらったという自覚がないというんですから、何だか証券会社、死に金を使っているような気がしてならない。その間、一方、個人の方は全く無視されておったというところが問題だと思うんです。 この点、総理大臣、どうお考えになりますか。個人を無視した証券というものをどうお考えになるか、御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、個人が幅広く市場に参加をするという体制をきちっと確保していくということは、これは極めて重要な視点であると私も考えております。そういった意味で、個人が参加をし、個人がその証券投資というものに魅力を感じるような証券市場の育成というものも大きな問題点の一つである、こう受けとめて、今後そのような姿勢で対処してまいりたいと思います。
○斎藤栄三郎君 この証券民主化運動をやったころ、日本の株主の六九%が個人株主であったわけです。それが現在ではわずか二三%にすぎないんです。六九%から二三%への転落です。それだけ証券市場というものは個人が離れてしまったということなんです。それに拍車をかけたのが今回の補てん問題だったと思います。私は、補てんそれ自身が法律違反だと思いますが、それよりもっと重大なことは、こんなことをうっちゃっておいたら日本の証券市場というものはつぶれてしまうであろうと考えます。大蔵大臣、いかがでしょうね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど冒頭の委員の御質問に対して、原因ということでありましたので、私は基本的な部分を申し上げました。しかし、限定して申し上げるなら、確かに委員が御指摘になりましたように、プラザ合意以降の円高の進行の中で、内需中心の経済成長というものを確保しなければならないという日本の国際的に置かれた立場の中で動かしてまいりました施策に、基本的な部分に私は誤りがあったとは思いませんけれども、まさに委員は証券を例にとられましたが、証券と同時に土地騰貴の原因をここで惹起したという問題点は、私は否定ができないと思っております。 そうして、今回の問題というものの与えます影響は、まず第一に、一般投資家の方々に対して証券市場の信頼を失わしめた、大きく傷つけた。しかし、それ以上に私は、証券市場と全くかかわりのない、本当に一般の国民の方々の中に現実に不公平というものが存在するということをまざまざと心の中に植えつけてしまった。本当に特定の一部の人たちだけが不公平な行為で利益を得たということに対する不信感、怒り、これが私は国内においては最大の問題であると思います。と同時に、その取引が不明朗なものであるという印象を海外に与えたことも間違いがありません。 これは、多少お許しをいただいて一点つけ加えたいと思いますが、私がこの事件が起こりましたとき一番問題視いたしました一つは、今委員が御指摘になりました損失補てんとの対比において、問題の軽重はいろいろな御議論がありましょうが、暴力団との不透明な関係というものがこの中にあらわれたことでありました。 そうして、ロンドンにおけるサミットの際、蔵相レベル会合の冒頭、たまたま日本がリードでありましたので、私から世界経済と自国経済の現況を説明いたします中にこの問題についての報告を入れ、今後我々としてこう対処することにより市場の信頼を回復したいということを説明いたしましたとき、それ以上の議論はその場ではありませんでした一しかし、それは私の説明ですべてを納得したということでは決してありません。むしろ、この事態を受けて、日本がどのような対応をし、その中でより透明性の高い市場を形成する努力をするか、各国は見守るということだと私は理解をいたしております。そして、非公式な時間の中で、各国から私が問いただされたという言い方は不的確でありますけれども、聞かれましたのは、実はその暴力団とのかかわりというものについてでありました。これも問題として私の脳裏に刻み込まれておることであります。
○斎藤栄三郎君 証券界は、流れてくるお金を受けとめて、これを有効に使おうというわけで御努力なさったんでしょうが、エクイティーファイナンスという何だか聞いてわからぬ言葉を盛んに使っております。 総理、大変御無礼でありますけれども、エクイティーファイナンスということをおわかりですか、どういう内容だか。もしもおわかりだったら教えてください、エクイティーファイナンス。 では、大蔵大臣でも結構でございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 経済学博士であられる斎藤議員にお教えする知識はありませんが、今回の一連の問題を通じて、新聞や国会の御討議の中にも随分そのエクイティーファイナンスという言葉は出てまいりました。そうして、それによって行われる極めてわかりにくい資金の大幅な動きのからくりというんですか、補てんの一つの手口として使われておったんだということもよくわかってまいりました。
○斎藤栄三郎君 エクイティーファイナンスというのは、字引を引きますとこう書いてあります、財産物件の純粋価額を維持することだと。だから、わかりやすく言うと、財産を減らさないようにしますよということでしょう。その方法としてはワラント債を発行する。ワラントというのは保証という意味でありますけれども、新株引受権つき社債なのであります。そのワラントという社債を買いますと、将来新株は幾らで買えますよと書いてあるわけです。そうすると、株がどんどん右肩上がりに上がっていった時代ですから、社債を買っておいて将来ここだと思ったときに新株を買えば二重にもうかるわけで、そういう手を用いてどんどん大衆の資金を集めたのであります。 さらに、転換社債。これは前からあったのですけれども、これも社債であります。社債の利息をもらっておいで将来株が高くなりそうだと思ったときに株式に転換すればいい、これを転換社債というわけです。ですから、エクイティーファイナンスというのは新しく設けたわけじゃなしに前からあった転換社債とかワラント債とかあるいは株式の増資とか、そういうものをひっくるめてエクイティーファイナンスと証券界は言っておったのです。わからぬけれどもとにかく大衆は株を買っておけばもうかるだろうというようなことでついに引き込まれてしまった。大企業もそれに巻き込まれたわけであります。大きな渦であったと考える。気の毒だったのは逃げ損なった個人です。 先日、大阪の知らない人から手紙が来ました。それを拝見すると、大企業は補てんを受けておるからいいだろうが、自分は公務員であって退職金三千万円もらった、それで株を買ったところが、買った翌日大暴落してしまった、半値になっちゃった。売るに売れない。後は妻と一緒に死ぬ以外にないという手紙が参りました。私はそれに対して本当に哀切の意を表しますと申し上げ、同時に、これから何としても証券市場を健全にする努力を我々もしますからということをお誓いしたんですけれども、とにかく個人が大変ですよ、それは。 本当に私は気の毒なのは個人投資家だったと思うのであります。個人投資家が非常に犠牲をこうむっておるのは配当政策をごらんになればすぐわかります。戦前及び戦後の昭和四十年代まではなぜ株を買うかというと、個人が株を買うのは第一に配当をもらえる、それから第二はたまには値上がりも期待できるだろう、それから増資新株の割り当てがある、この三つを楽しみとして株を買ったものです。ところが、今配当はどうかというと額面配当ですから五十円でしょう。その五十円に一割配当があったって五円です。五円なんかじゃ子供だってもらいません。たばこも買えない、あめちょこも買えません。たったそれだけでやっているんですから、これはもう株に魅力を感じなくなります。 そこで、増資はどうだろうというと、これまた昭和四十年から全部増資が時価発行になっちゃった。従来は旧株主に割り当てた。だから五十円払い込めばそれが証券市場では二百円で売れるかもわからない、三百円になるかもわからないという楽しみがある。ところが全部時価発行でしょう。一番喜んでいるのは発行会社、企業です。非常に資金コストの安い金が使えるわけであります。これが実は日米経済摩擦の大きな原因になるわけであって、増資をした会社は額面五十円配当すればいいんだ。しかし、自分たちは増資で大変な金を得ているわけです。資金コストという点から見ると、アメリカの企業は平均八%の資金コストを必要としています。ところが日本の企業はたった一%の資金コストです。これじゃ競争する場合にアメリカが負けるのは当たり前です、資金コストが違うんですから。したがって、これからますます私は日米経済摩擦が激しくなるんじゃなかろうかということを心配いたすのであります。 大蔵大臣、この点御意見いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、構造協議という舞台を土台に御論議になりました。私は、その構造協議という点でも論議は当然のことながらあろうと思います。しかし、それよりも私は直接的に非常に気になりますのは、日米金融協議の方であります。金利の自由化と申しますもの、これは確かに国際的な流れがございます。日本としても国際社会に身を置く以上当然のことながらその方向に動いていくことになりましょう。しかし同時に、その間において例えば、ちょっと他国を例に挙げるのはいいことではないかもしれませんが、アメリカにおいて御承知のように自由化を急ぎ過ぎた結果大変混乱が起きております。アメリカ自身が自由化を急いだ結果において金融機関の中に相当な問題を抱えておることは委員が御承知のとおりであります。 我々は、世界的な流れの中で、日本としての政策としてもやはりそれは金利の自由化というものを当然進めてまいりますけれども、その間において、預金者が不安を感じなければならないような事態は起こしてはならないと思っております。そしてそれは、金融機関の中に不安を巻き起こすようなことであってはなりません。となれば、それなりの時間と準備を要する作業であると私どもは認識をいたしておりまして、今日までの日米金融協議等の席上、我々はアメリカが今起こしているような状態を日本で起こすことを絶対好まないという考え方と、日本は日本としての準備をしながら進めるということを言い続けてまいりました。 しかし、それ以上にある意味で私は気になっておりますのは、今違った角度からの問題点ばかりが議論されておりますけれども、ウルグアイ・ラウンドの中におけるサービスの部門で一体金融というものがどう位置づけられるのかという問題であります。例えば、特定の国が自国の産品の輸出入に対して不満を覚えたとき、全く異質の分野のものを報復対象として取り上げることができるのかできないのか。その場合に、その国の確かに主要望品かもしれませんが、特定のその製品の報復に例えば金融サービスというものを取り上げることができるのかできないのか。私は、これは大変大きな経済混乱を起こす問題だと思っておりますし、日本としては、その金融サービスというものの持つ特殊性というものにかんがみて、他の一般のサービス分野の論議とこの問題についての公平性を確保するための議論とは分けるべきであるということを主張し、むしろスウェーデンでありますとか、スイスでありますとか、中立的な考え方の国々と相談をしながらこうした問題に対しての議論をリードしてまいりました。今回の一連の事件がこうした分野にまで波及しないことを私は今真剣に願っております。
○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。 大蔵大臣、一つ提案があるんですが、配当を今のような額面で配当するのではなしに、時価配当に変えるおつもりはありませんか。企業の中には、そういうことを考えかつ実行に移しつつある企業もあるんです。額面配当というのは余りにも企業を優遇し過ぎていますよ、それは。五十円の一割で五円じゃどうにもならないことは今申し上げたとおりであります。そこでこれを、時価は幾らかというと、今東京証券取引所の上場株価の平均は千二百円ですから、その一割といえば百二十円になるでしょう。これなら使いでがありますよ。五円じゃどうにもなりはしません。 そこで、大蔵大臣としての御決意を承りたいので、やはりこれから証券市場を育成しなければならぬことは明らかなんですから、その一つとして、額面に対する配当から時価に対する配当に変えるという私の提案をどうお考えなさるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、一つの示唆に富んだお考えであることは認めます。ただ同時に、仮に時価配当主義をすべてに強制をしました場合に、例えば赤字会社が配当を要求される、あるいはその配当が株価変動に左右されて不安定になるといった問題も生ずる可能性があります。私は、委員はそういう問題点を十分御認識の上で御提起になったと考えておりまして、そのお考えを基本的に全く間違いだと申し上げるようなつもりはありません。ただ、そういう問題があることも事実であります。 ですから、私どもとしてはその利益に見合った配当が行われるよう、むしろ基本的に配当性向を重視した考え方というものをとるように指導していくことが必要なのではなかろうか。確かに、委員の御指摘もありまして調べてみますと、株式の配当利回りが平成二年では〇・四九%に低下しているわけでありまして、配当に対しての株価水準が異常に高くなれはこれは配当を期待するよりもむしろ値上がり期待、投機という色彩が非常に強くなってくることはもう委員の御指摘のとおりでありまして、やはり株式投資における配当の魅力を高めるということに私どもの政策の主眼を置きたい。時価に対してそのままというにはまだ私は検討すべき課題がある。しかし、委員が指摘されるその方向、配当というものにもっと魅力を持たせるという御指摘は私もそのとおりに心得ます。
○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。ぜひその実現を心からお願いいたします。 また、大蔵大臣にお伺いいたしますが、どうも補てんの問題というものは私なかなか納得できない。法律的には違反でないものもあるだろうし、違反のものもあるだろう。参議院の予算委員会で社会党のある先生がそれを取り上げて、社会福祉の方にも使ったらどうかというような御意見をここで述べられたことを私も聞いております。一体、取り得のままでいいのかどうか、補てんをこのままにしておいていいのかどうかということを私は大蔵大臣にお伺いしたいんです。このまま時間が過ぎていって、あんなこともあったなという話りぐさにしちゃっちゃいけないと思うんです。私は、これを何とかもっと頭を絞らなければいけないんじゃないかと思いますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 個人的に私は委員と同じような感じがないと申し上げるつもりはございません。しかし、行政当局としてその法律の執行をゆだねられ、その法律の枠内で行動することをいわば指示されている立場として考えますと、どこの国でも倫理的にあり得ないと思われる損失補てんというものは、実はほかの国と同じように日本でも法律上決めていなかったわけであります。そうなりますと、その補てんというものを強制的に徴収するといった行動を我々がとる機能がありません。これは非常に公式的な申し方になりますけれども、損失補てんによって各企業、あるいは各法人と言いかえましょうか、大口投資家に提供されました利益というものにつきましては、その御指摘になる社会還元を含めて、それぞれの法人がみずからの判断として決せられるべきことという以上に申し上げる中身を持たないわけであります。 ただ、私どもといたしまして、今国会に御審議をいただきたいと願っております証取法の改正案の中におきまして、悪質なお客さん、刑事罰に処せられるような悪質なお客さんに供与された財産上の利益というものについては、没収、追徴の規定を設けたいということを願っておりまして、現在関係各省庁などと御相談をいたしております。
○斎藤栄三郎君 法体系からいえばおっしゃるとおりで納得いたします。しかし、国民感情から見ると納得できないですよ、これは。 そこで、どうでしょうか、もらった企業が多いんですから、その中から自発的に、おれはひとつ社会還元するよというような企業はないものですか、大蔵大臣のところへそういう申し出はないですか、全然。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 遺憾ながら、今日までそういうお申し入れをしてこられた法人は全くありません。
○斎藤栄三郎君 では、大蔵大臣にお伺いしますが、今回の大企業向け補てんをもう少し法律的に今度追及してみようかと、これは証券取引法五十条違反なんでしょうか、五十四条にひっかかるんでしょうか、百二十五条にひっかかるんでしょうか、ひっかかるなら罰則適用でやればいいと思うし、ひっかかるかひっかからないか、大蔵大臣の結論だけをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今まで証券局長がたびたび御答弁申し上げてまいりましたように、さまざまな問題意識を持ちながら、例えばその百二十五条、株価操縦といったことも含めまして問題意識を持ちながらチェックをしてまいった中で、それらの問題意識に対して確証を得るには至らなかったと、こう聞いております。 ただ、現時点におきまして、証券大手四社に対して特別検査に入っております。当然のことながらそうした問題意識も持っておると思いますが、この点につきましては証券局長から、これは法律解釈の問題もありますので、お答えすることをお許しいただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 今回行われました損失補てんが何らかの証取法に触れないかというお尋ねでございます。 一番考えられますのは、御指摘にありました五十条に禁止行為がいろいろ書いてございます。その中に、損失をあらかじめ保証して勧誘する行為、あるいは一定の利回りを保証して勧誘する行為というのがございます。大量の損失補てんが行われている場合に、そういう事前の保証行為というのがなかったのかどうかという点については、私ども非常に問題意識を持って今検査の中で、必要に応じては補てん先からも事情を聞くというようなことも含めて現在事情を調査しているわけでございます。 あと五十四条、百二十五条の関係でございますが、損失補てんをした取引行為というものについてこういったようなものが適用できないかどうかというような問題もあるわけでございまして、いずれにいたしましても、こういう大量の損失補てん行為をめぐります状況について検査の中で事情を明確に把握し、何らかの条文に抵触するような事実が見つからないかどうか、もちろん見つかった場合には法律に基づいて厳正に処分をするつもりでございます。
○斎藤栄三郎君 局長にもう一つお伺いしますが、従来、平成二年三月期までの補てんだ。その後やっているかどうかと聞いたら、今調査中だからわからぬとおっしゃっておった。ところが、きのうあたりから、どうも平成二年四月もやっているようなニュースが入っておりますが、その辺の真実はどうでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 昨日私が申し上げましたのは、野村証券の定期検査にことしの一月に入りまして、その定期検査は実はまだ終わっていないわけでございます。定期検査の途中で特別検査に入ったわけでございます。 ただ、定期検査の過程で検査官の講評という段階まで進んでおります。その段階で検査官が野村証券に対して、損失補てんと疑わしい取引というようなものが認められるというような指摘をしているわけでございますが、これに対しましては会社の方の見解というものがまだ検査手続の一環ということでそういうことが行われているわけでございまして、検査が終了していない間に特別検査に入っております。 そういったことから、私どもとしては損失補てんと疑わしい取引があると、それに対しての指摘はしているわけでございますが、会社の方からはそれに対しての見解が出ていない段階で、現在、検査の中で会社と我々と一緒になって個々の取引についての精査をしているというような状況であるということを御理解いただきたいと思います。
○斎藤栄三郎君 日本の証券市場は非常に大きな力を持ち、証券局でとてもこなし切れないのじゃないだろうかという印象を私は持っておるのであります。 私は、今の証券市場は寡占状態だと考えますが、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。寡占でないでしょうか寡占か。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 寡占であるかないかということにつきましては、これはへ理屈をこねればいろんな言い方ができると思うんです。ただ、少なくとも免許制発足以来、最近に至りましても、外国証券を別にいたしまして、新規参入の事実がほとんどない。これは寡占状態という言葉を当てても私はあながち不当な形容詞ではないと思います。 そして、私どもの問題意識として、本年六月十九日に出されました証券取引審議会の報告におきましても、このような状況にかんがみて、発行市場において「有効で適正な競争の促進という観点から、新規参入の途を開くことが必要」という指摘を受けております。こればかりではなく、御承知のように、銀行、証券の相互参入についての新たな考え方というものも打ち出されておりまして、この状態はいずれにしても変えていかなければならない必要のあるもの、そのように認識をいたしております。
○斎藤栄三郎君 幸い大蔵大臣と私は意見が全く同じで、寡占だと思います。 今、日本の証券業者が二百二十社、昭和四十四年に免許制が施行されてから一社も新しいものが入ってないということ。そして、現実に新株増資をしようと思うと四社が幹事社の奪い合いをやる。幹事社になると非常にもうかるからです。その手数料が三・五%。例えば一千億円の増資をやれば三十五億円手数料が入る。そして、二百二十社の日本の証券会社の中で系列というのがちゃんとできております。四社の系列が三十三社あるわけです。二百二十社の中で三十三社というと一五%は四社系列に組み込まれているわけです。したがって、増資新株の手当てをしたこいつを皆に売らせる、これはえらいもうかるわけです。これはもう完全な寡占による利益だと考えるんです。 これを打破するために、漏れ承るところによると、大蔵省ではシンジケート団をつくらせて、それでもっと中小証券も参加させようという企てたと聞きましたが、そうでしょうか。それも寡占打破の一つの手だと思いますが、どの程度の進行かをお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 私どもこの発行市場における競争をより促進するためにいろいろな方策を考えているわけでございまして、一つは、今大臣から御説明申し上げましたように、制度改革の中で新規参入を認めていきたい。あわせて現在の発行市場の状況を改善し、大手のシェアをできるだけ小さくする。あるいはより多くの証券会社が発行市場で業務を行えるというようなことも必要ではないか。その一環として今御指摘ありました引受シンジケート団を組む。特に新株時価発行増資の場合には現在シ団が組まれておりませんので、そういったものを組むことによって中小証券が引受業務に参加できるようにする。あるいはそれによって時価発行増資が適当なタイミングで適当な市場状況で行われているかどうかという点のチェックも可能になるのではないかというようなことで、引受シ団を組むようなことを業界に要請しているわけでございます。 御存じのように、現在この時価発行増資はストップした状態でございまして、いわばそれはそういう時間を利用してこういうふうな引き受け方式の見直しというものを検討する時間があるのではないかということで、再開に備えてこういう問題を検討し、あるいは諸手数料の問題もそうでございます。いろいろな引き受けの現在の状況についての改善について業界に対していろいろな要請をしているところでございます。
○斎藤栄三郎君 次に、手数料自由化の問題を取り上げたいと思います。 今の売買の手数料は、これは百万円から十億までを十段階に分け、一番高いのは一・一五%、一番安いのは〇・〇七五%となっております。この手数料が非常に高いことは、今度の事件が発覚したときにアメリカのSECの委員長が、こういうことが起こるのは日本の手数料が高過ぎるんだと言っております。私は、アメリカがやっているように手数料の自由化をやるべきだと考えますが、大蔵大臣、御意見いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) アメリカ、イギリスあるいはフランス等におきまして、既に株式委託手数料が当事者間の自由な交渉にゆだねられているという点は御指摘のとおりであります。ただし、同時にその結果弊害が生じており、交渉力のない小口の投資家の手数料が総じて上昇傾向を示していることも委員御承知のとおりであります。同時に、アメリカで例を挙げますならば、証券会社が手数料の減収を補うために自己売買でありますとかM&A業務に傾注している、また大手証券会社への集中度が高まるといった問題が生じておるということは御承知のとおりであります。 一方、これは証券取引所自身の問題でありますけれども、昭和六十年以降四回にわたり順次引き下げを行ってまいりました。現在の時点におきまして、私はその水準というものは必ずしも欧米諸国と比して高いと言い切れるかどうかには疑念を持ちます。しかし同時に、株式委託手数料の取り扱いというのは取引所のルールでありますから、まず取引所が検討されることが望ましいことでありますけれども、大蔵省としても引き続きその水準というものについて機動的、弾力的な見直しを行うことを願っておりますし、同時に、手数料制度のあり方というものにつきましても、証券市場に与える影響などを踏まえつつ見直すことが必要であると考えております。
○斎藤栄三郎君 この手数料についてはどこの証券会社で買っても全く同じで、その点は買う国民からいえば安心してどこででも売買できるということで安心ですけれども、しかし同時に証券会社が合理化を怠る一つの原因でもあるわけで、私はできるだけひとつ自由化をすべきものだと考えます。そこで、公正取引委員会の委員長、お忙しいところ御臨席いただいてありがとうございます。ちょっとお伺いします。 今回の補てんの問題をあなたはどういうぐあいにお考えになりますか、独禁法の番人としてのお立場から。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の証券会社によるいわゆる損失補てん、保証等の問題につきまして、独占禁止法との関係の我々の考え方につきまして申し上げたいと思います。 一つは、御案内のとおり独占禁止法では、事業者間の公正な競争が行われるようにということで各種の不公正な取引方法の類型というものがございます。その中に、正常な商慣習に照らして、利益を供与することによって顧客を誘引する、それが事業者間の公正な競争に反する場合は、これは不公正な取引方法に該当するということでございます。その観点からすれば、今回のいわゆる証券会社の損失補てんというのは、これは行為の態様によりまして不公正な取引方法に該当する余地は十分あるというふうに考えております。 ただ、翻って考えてみますると、この証券会社によるいわゆる損失補てんというのは、実は証券取引規制の中で、つまり投資家の間の公平を保つといいますか、公正という観点から損失補てん自体が証券取引法で規制される。諸外国におきましてもその観点から、独占禁止法と別個の法領域といたしましてさらに証券取引の公正さを保つために独自の規制があるわけでございます。その観点からいたしますと、今回の補てんの事態につきましては、やはりこの行為自体を端的に規制すべき証券取引法の立場から、所管庁である大蔵省が規制を行うということがより直接的であり効果的であり、かつ行政機能の重複を避けるという観点からも適当であるというのが当面の私どもの考え方でございます。 先般、四大証券等につきまして大蔵省が特別検査を実施されるに当たって、公正取引委員会に対しまして、当面この問題については大蔵省が責任を持って事態を究明し効果的な措置をとるという御連絡を受けているところでございまして、当面この大蔵省の御努力を私どもは見守りたい。ただ、特別検査の結果、あるいはそれによってとられる措置等の状況を見ながら、独占禁止法の立場からも政府のこの問題に対する有効な措置として必要な措置をとるかどうかということも、その判断を留保しつつ今見守っておるということでございます。
○斎藤栄三郎君 委員長にもう一つお伺いいたします。 手数料の固定化、ちゃんと固定しちゃっている。これほどうもカルテルのような気がしますけれども、独禁法の第二条の適用除外にしてある。こういうときに私は、固定化はだめだ、自由化しろと言っているんですが、この点委員長はどうお考えになりますか。固定化はもうちゃんと独禁法第二条の適用除外になっているんだから問題ないんですけれども、自由競争をさせた方が私は日本経済のためにもなるし投資家のためにもなると思うんですが、どうお考えになるか。
○政府委員(梅澤節男君) 株式の売買委託手数料につきましては、ただいま委員が御指摘になりましたように、現行制度のもとでは独占禁止法の適用除外、一種の政府規制として固定手数料が認められておるわけでございます。ただ、この問題につきましては、もう既に二年前になるわけでございますけれども、当委員会の事務局が学識経験者に委嘱をいたしまして各種の政府規制全般についての御検討をお願いしたことがございますが、その中でこの問題も一つとして取り上げられております。基本的には、やはりこの株式売買の委託手数料の固定化というものは極力自由化すべきであるという方向が打ち出されております。もとより競争政策の立場からは、市場原理を修正するという形での政府規制というものは、公共の政策目的に照らして真に必要なものを除き極力自由化すべきであるというのが基本的な立場でございます。 既にこの問題について今後大蔵省の方でいろんな角度から検討されるということでございますので、証券市場政策という一つの政策立場、それから今申し上げました競争政策の立場、これを調整しながらいかにしていい制度を構築するかという観点から今後大蔵当局と十分に話し合ってまいりたいと考えております。
○斎藤栄三郎君 次の問題は免許制問題。 大蔵大臣のお考えはもうたびたび承っておりまして、登録制にすると投資家に迷惑をかけるということですけれども、私はこれだけ大きな弊害が生じたらやっぱり免許制ももう一回見直すべきではないだろうかと思うんですね。昭和三十九年に証券局ができました。従来は大蔵省理財局証券課であったものが局に上がった。そして四十三年に免許制を採用した。そのときはそれだけの価値があったと思うんです。しかし、ここまで弊害が生じて寡占化が進んできた場合には、やはりこれはアメリカがやっているような登録制ということも考慮に値するんじゃないだろうか。 もちろん、大蔵大臣のお答えを先にとっちゃうようで申しわけありませんが、登録制には登録制につきものの欠点がある。非常に欠点があるということはよく存じ上げておりますけれども、どうしても私はこの際、毒を制するのに毒をもってしなければ今日の証券界は直らないだろうと思う。そういう意味において、免許制を廃止して登録制に移るお考えはないかどうか、大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本院におきましても今までそうした視点からの御質問を何回かいただきました。そして、私はやはり免許制の方が望ましいのではないかということを申し上げてまいりました。その後、改めて古い幾つかの記録も読んでみましたが、今委員が既にお述べになりましたように、かつて日本が登録制を採用しておりました時期における証券市場というもののさまざまな問題点、これが今世界の市場において有数の証券市場になっております現況の中で再びそうした問題が起きたときの世界経済に与える影響、国内経済に与える影響、さらに個々の本当に個人投資家の方々に与える影響等を考えますと、必ずしも私は委員と同じ結論になりません。 それは、一万二千を超える証券会社が現にアメリカにあり、それが登録制のもとで動いております。そして、毎年千何百という新しい証券会社がスタートをしております。しかし同時に、やはり千数百の証券会社が市場から姿を消しております。その結果起きておるさまざまな事象は委員よく御承知のとおりであります。果たして今、日本にそのような事態を惹起する可能性を承知の上で現行制度を切りかえるのか、私は必ずしもそれには委員と同じ方向の考えとは申せません。 むしろ、免許制のもとでどうやって新規参入が現実にできるようにするか。そして、それとはまた別の次元で議論をされてまいりました証券、金融の垣根論争というものの中から、相互乗り入れという方向、子会社方式等いろいろな角度で議論をされてまいりましたものも、結局市場の拡大、透明性の確保、さらに新規参入というものを示唆しているわけでありまして、現行制度の欠点は直しながら基本線はやはり維持していくべきだ、少なくとも私は今そのように考えております。
○斎藤栄三郎君 梅澤さん、お帰りくださって結構です。どうもありがとうございました。 総理にお伺いいたすのでありますが、今までの論議をお聞きくださって、結局今のままではどうにもならぬということはもう御了解いただけたと思うんですね。これだけ弊害が出ている。そこで監視機構をどうするかということが大きな問題で、今まで随分論議されたものを要約すると三つになると思うんです。一つは、大蔵大臣がかねておっしゃっているように、大蔵省の金融と証券等の監査機構を統合して大蔵大臣の管轄下に置く。もう一つは、それを大蔵省の外局にする。国税庁のようなものにする。もう一つは、独占禁止法のようなものにする。総理大臣直属機関として設けてはどうかという議論があります。総理としてどれが適当とお考えになるか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の問題を反省して、厳しい言い方をいたしますと、きょうまでそれなりに努力もし、通達も出し指導もしてまいってきたのでありますが、にもかかわらずと言うと言い過ぎかもしれませんが、その通達や指導に従わなかった現象がたくさん出てきた。そのことが公正な社会の理念からいって厳しい批判を受けておることは御指摘のとおりでありまして、これに対して政府の責任としては、どこに問題点があったのか、今のままの体制を続けていったのではこういったことを根絶することができないという御指摘の角度から政府も厳しくこの問題を受けとめたわけでございます。そして、直ちに大蔵省には大臣を通じて厳正な対処を厳しく求めておきましたし、また大蔵省自身のきょうまでの通達のあり方、あるいは法律にしなきゃならぬものがあったのかどうか、いろいろ反省を込めて研究体制の強化拡大に向かっていることは、これは御理解をいただきたいと思うのです。 ただ、大蔵大臣だけにそのことの処方せんを書いてもらったり、大蔵省だけにそのことの対応を任せておきますと、きょうまでややもすれば、御議論にもあったように、保護育成のみに重点を置き過ぎて企業中心の考え方ではないかという御批判等もありましたので、今後検査機能というものをきちっと充実していくためにはどのようなあり方が適切なのか、またどのようなことをしていったらいいのかということを今行革審の各界を代表される委員の皆さんの間でまさに御議論をいただいており、そしてどのような方策でいったらいいかという答申をいただきましたら、それを尊重してきちっと対処していきたいと考えております。
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣、お考えは従来と変わりませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私の考えと言われましたが、委員が認識しておられる私の考えというもの、大変失礼でありますが必ずしも正確でないように思います。 そこで、多少の時間をいただきまして、八月十九日に大蔵省のプロジェクトチームとして行革審に御説明を申し上げました問題意識並びにそこから出てくる問題点を簡潔に申し上げることをお許しいただきたいと思います。 まず第一に私どもが持ちました問題意識は、所掌事務につきまして、行政機能と検査機能の両機能の所掌のあり方、また証券と銀行の両業務の分野の所掌のあり方はどうか。また、検査権限等につきまして、現行の権限を越えて準司法的権限をも持つことにするかどうか。また、検査対象を証券会社や銀行の取引先まで及ぶものとするかどうか。現在は、御承知のように、それを越えることはほとんどの場合できないわけであります。また、三つ目の問題点は、告発あるいは行政処分との関係につきまして、検査の結果を司法当局への告発及び行政処分にどうっなげていくか。また、行政処分の適正さを担保するためにどのような所掌あるいは仕組みが考えられるか。また、取引所などの自主規制との関係につきまして、新しい監視機構というものはこれを想定して役割分担をするのかどうか。もう一つは、人的な体制につきまして、採用、訓練、人事、処遇等をどうするか。そして、最後に責任体制についてでありますが、国会や内閣に対してどのような責任を持っ組織であるべきなのか。問題意識としておおむねこのような問題意識を持ちました。 そして、まず所掌事務につきましては、行政機能と検査機能の両機能の間には一定の節度あみ距離というものを保たなきゃいけない。同時に、どうしても必要とされる二つの機能間の連絡調整については、これを実質的に維持していく必要がある。また、金融、証券両市場が相互連関を強めておる中でありますから、今後予想される金融制度改革による相互参入などを考えますと、金融、証券両市場を視野に置いた検査機構が望ましいと考えられるのではなかろうか。そういった問題意識を持ってさらに検討を行っていたところでありました。 また、検査権限などにつきましては、現在のような任意的検査権限にとどまらず、ある程度の準検察的権限を持たせることの方が望ましいのではなかろうか。同時に、行政と検査というものが適正に行われることを制度的に担保するために、第三者的にチェックあるいは助言をいただく何らかの新たな仕組みを考えることが望ましいかどうか。そして、取引所などの自主規制との絡みにつきましては、諸外国などの例にも見られますように、自主規制機関が政府の規制と並んで一定の役割を、重要な役割を担っていく、その方が望ましいんではないだろうか。こうした問題意識を持っておりました。 そして、それは例えば現在通達で行われております行政というもの、今証券局の通達全部を見直しております。そして、その中で自主規制に移すべきものは自主規制機関に思い切ってみんな移してしまう、逆に法律化しておかなきゃいけないものは皆法律の中に取り入れる。そして、何よりもやはり一番誤解を生じやすかった口頭による通達というもの、これはもう原則としてやめようじゃないか。緊急の場合に口頭で指示することはあるかもしれません。しかし、それはすぐ文書で担保するといったことを議論しながら、我々としては行革審に検討の結果を御報告したということであります。
○斎藤栄三郎君 わかりました。その結果をお待ちいたします。 私は、今大蔵大臣のお言葉の中で、通達行政を見直す、全く同感です。実は証券局から通達集をもらいました。何とA5判でこんな厚い八百三十七ページもある。一生懸命読んだけれどもおもしろくないから、二百ページぐらい読んでもう今はそのまま机の上に置いてあります。あんなに多くてはとてもそれは守り切れるものじゃないだろうし、恐らく証券局の人だってあれ全部読んでいないんじゃないだろうかということを勘ぐるような状態で、今大臣がおっしゃったように、これをできるだけ簡素化する、法の中に入れられるものは入れるということは私は大賛成であります。なるたけ早くおやりになることをお願いしたいと思います。 次に、NTT株の問題であります。 これは第一次放出が昭和六十二年で百十九万七千円。当時私は証券界のある方に随分高いねと言ったら、いや、証券会社の査定では八十万から九十万が適当だと言ったんだが、大蔵省の方で百十九万七千円とお決めになったのだと、こう言うんです。第二次が二百五十五万円、そして第三次が百九十万、こういうことでございますが、どうでしょう、大蔵大臣、この放出は成功だったでしょうか。 よい面としては、七兆円という巨額のお金が国家に入る。これで随分政策が遂行されたと思いますから、それは確かにメリットだったと思いますけれども、どうも大蔵省のやることだから間違いないと皆国民は思っておったところが、実際はこれが八十万に下がっちゃっている。泣くに泣けない、売るに売れないというのが今の国民の率直な気持ちだと思いますが、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、発行当時どういう算定から価格設定がなされたか、大変申しわけありませんが、私はその詳細を存じません。必要でありますならば関係局から後刻御答弁をさせます。 しかし、その当時、確かに電電公社というものが民営化をされる、そして新たなNTTというものに生まれ変わるということについて国民から極めて大きな期待が寄せられており、その事業の将来性というものについてもさまざまな角度から御議論がなされておりましたことを私も記憶いたしております。今日その株価が低迷をいたしております。これにはさまざまな要因がありましょう。しかし、今委員がはしなくも述べられましたように、これぐらい実は一般の方々にお買い求めをいただいている株というものも私はそうないと思いますし、そして国がいわば責任を持って売却をいたしたという点で他の株とはまた違った問題がここにあることもよく承知をいたしております。 本来、NTTの株式につきまして第一義的にお答えをなさるのはNTTの経営陣であろうと思いますけれども、少なくとも株主に対して、先ほどたまたま委員は幾つかの株価と配当のあり方について見解を述べられたわけでありますが、こうした配当等をも含めまして、いかにNTT株式というものに魅力を持たせるかということにつきましては経営陣にさまざまな御工夫を願いたいと考えておりますし、大蔵省自身といたしましてもその対応というものに極めて強い関心を持っております。 また、補足をいたしますが、現在政府が保有をいたしておりますNTT株につきまして、将来の売却等について不安を一般投資家の中に持たせるのではないかという御指摘の中から、御承知のように、将来ともに保有すべき株式数、残余の株についての年次別の放出の計画、こうしたものも公表いたしておるわけでありますが、これらも市況その他を考えながら私どもとしては慎重に対応してまいりたい。そして、既に株式を保有しておられる方々がほっとしていただけるような状態に、いかにして魅力を持たせるかについてNTTの経営陣の一層の御努力というものを心から願っている次第であります。
○斎藤栄三郎君 今回の不祥事を調べてみますると、大きな特色が一つあらわれていると思います。それはアングラマネーの猛烈な活躍でございます。はっきり言えば暴力団が表に出てきたということです。もちろん御当局としては十分対策を立てておりますし、暴力団新法もできましたし、きっとそうお答えになるだろうと思いますけれども、私は、暴力団がなかなか根絶できない一つの大きな原因は経済的基盤を持ったということだと思う。それをどう防ぐかということがこれから経済界の共通の考え方だと思います。 そこで、国家公安委員長には御多忙中御出席いただいてありがとうございましたが、最近の暴力団の活動についてどういう対策をお立てになっているか。暴力団新法ができますときにいただいた資料を読みますると、暴力団の経済活動は大体八兆円だということを承りました。これは大変な金額です。それから、最近の雑誌、新聞などでは、株式に向かっている金だと思いますが、一兆円だと言っております。国家公安委員長として、その辺の暴力団についてのお考えをお漏らしいただきたいと思います。
○国務大臣(吹田愰君) ただいま先生御指摘になりました暴力団の問題でありますが、私もこの問題につきましては今回のこうした問題にまで暴力団が介入していた、まことに遺憾千万であると思っております。 特に、暴力団組織というものは社会悪として、過般の国会におきましてこれを根絶するための暴力団排除の新法までつくりまして、この施行を一日も早くということで今鋭意検討し、その政令化に向かって努力をしておるところでありますが、その前にこうした問題が表に出てきたということは非常に遺憾なことでもあります。同時に、最も国民的にも社会的にも信頼されておる金融機関なり、あるいはまた証券業界というところにそうした暴力団が真っ正面から入っているということを考えますと、そういう環境というものは一体どういうことでできたのかということに非常に国民は不信感を持つそおるだろうと思うんです。そういう意味におきまして、政治家としましても、政治不信にもつながってくるのではないかという心配もあります。 したがいまして、警察としましてはこれに対しまして徹底的なメスを入れていかなきゃならぬということで、今捜査陣におきましても全力を挙げておるところでありますが、私は、今申しましたように、そういう素地、そういう環境、まずこの排除というものをやっていかなきゃなりませんし、また暴力団が今先生の全く御指摘になりましたように、そうした経済力を持つということに至りましては、これは最も怖いことであります。したがいまして、そうしたことのないような状態をできるだけ早くつくり上げるような方向で今検討を始めておるところでありまして、もうしばらくひとつ新法の施行に向けましてお時間をちょうだいいたしたい。 さらに詳しい問題になりましたら、きょうは捜査関係も来ておりますから、政府委員から答弁をさせます。
○斎藤栄三郎君 大臣のおっしゃること皆よくわかるんですけれども、一段の御努力をお願いしないと、経済界はもう恐らくすっかり荒らされちゃうだろうと思うんです、今のままでいきますと。どうぞひとつ十分経済法の勉強をなすって、同時に、暴力団の手のうちをよく御研究いただくことを要望しておきたいと考えるのであります。 ありがとうございました。 次に、大蔵大臣にまたお伺いいたすのでありますが、最近、景気がだんだん悪くなっていると思うんです。九月の中間決算、どうも証券界はもちろんのこと、事業界もだんだん悪くなるような気がいたします。その理由は、従来のワラント債の発行だって思うようにいきませんし、増資も思うようにいかなくなってくる。一方、金融は非常に締まってきている。 そこで、景気の見通しを大蔵大臣からお伺いし、あわせて、日本銀行総裁に御臨席を賜りましたので、景気の見通しについて日銀の独自の御意見を拝聴したいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは斎藤委員の方が御専門でありまして、私から見通し云々と仰せられましても、委員に対して私が御説明するほどの知識があるわけではありません。 ただ、少なくとも今私の立場で申し上げられること、これは、この証券界における混乱、不祥事というものがさまざまな形で税収その他にも影響を与えてまいっております。そして証券市場の混乱は、まさに今委員が御指摘になりましたように、証券市場を資金調達の場といたしてまいりましたそれぞれの企業の将来の資金計画にも影響を与える可能性を持っております。また、そうした状況と申しますものは日本の経済成長そのものにも影響を及ぼす危険性がないとは言えません。 ただ同時に、今日なお私どもにとりましての救いと申しますならば、今日まで私どもが承知をいたしております限りにおきまして、なお個人消費も堅調でありますし、企業の設備投資意欲というものもいろいろな問題が指摘されながらもなお根強いものを持っております。そして、労働力需給等の数字を見ておりましても、やはり非常にタイトな状態が続いております。 さまざまな角度から考えますと、強気の指標あるいは弱気の指標、さまざまなものが存在することは事実でありますが、私は日本経済そのものが内需中心の自律的拡大への力を失ったとは考えておりません。むしろ我々として今後考えるべきは、世界経済の中で日本に託されております役割、すなわち内需を中心とした自律的な経済成長というものを巡船速度をもって維持するためにどのような対応をすべきであるか、これが我々の今本当に考えておくべきポイントであろう。 委員の御指摘に的確な答えになりましたかどうかわかりません。私はそのような意識を持っております。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 今、大蔵大臣から御答弁がありましたので重複するところも多いかと思いますが、私どもは七月一日に公定歩合を〇・五%下げまして、その後二カ月たったわけでございますが、その間の現状判断をごく簡略に申し上げてみたいと思います。 この間、日本経済は拡大基調ではございますが、引き続き緩やかな減速過程を続けてきたと思います。ただ、かなり高いところからの減速でございますので、現在の企業活動のレベルはなおまだかなり高いところにあるというふうに見ております。しかしながら、やはり需給、物についても人についても一時に比べればやはり緩んでまいりまして、全体の基調はタイトとはいいながら緩んできたことも事実であります。 そしてまた、これから先を見ましても、大蔵大臣もおっしゃっておりましたが、設備投資、個人消費、これは一時の力強さは失っております。また、自動車の販売が悪いとか住宅投資が低迷しているとか、そういう悪い指標もぼつぼつ出てきておりますが、まだ基本的には二つとも底がたさを持っているように見ております。そして、私どもはこれまでの四年間の五%成長というのがやや速過ぎた成長でございますから、これが巡航速度へ落ちてくるのはむしろ望ましいというふうに考えてはおりますが、いずれにしろ、現況から判断しまして予断を持つことはいけませんけれども、直ちに景気が減速を加速するとか、あるいは失速するとかいうふうには考えておりません。 一方、物価でございますが、これは、国内の卸売物価は石油価格関連商品の下落もありまして次第に落ちつきを取り戻しまして、前年比も今は二%台を割りまして、あるいは間もなく一%前後になるというふうに予想しております。ただ、消費者物価の方は、全体としてもあるいは生鮮食品を除きましたコアの消費者物価もまだ三%台で下げ渋っておりまして、この問いわゆる人件費とか物流のコストアップの上昇圧力もひところに比べると落ちてまいりましたけれども、まだ根強いものがある。 こういうことを考えますと、私どもの政策の基本的なスタンスといたしましては、引き続き物価安定というものを基軸にしました慎重な政策をとり続けたいと思っておりますが、何分にも変化の激しいときでございますので、目を凝らして注意深く金融経済情勢の推移を見守ってまいりたい、かように考えております。
○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。 大蔵大臣も日銀総裁も強気の見通しのようで、そのとおりになることを心から祈ります。しかし、個々の業界をちょっと当たってみますると、やはりぼつぼつ陰りが出てきたということを感じますね。 この間、ある自動車販売会社へ行きまして聞きました。自動車販売会社で自転車をただで配っている。なぜだと聞いたら、車庫法の改正で近くに車庫ができない、遠いところに車庫をつくらざるを得ない。それで車庫がないから買わないよと皆断られちゃう。仕方がないから、車庫のところまで行く自転車をただでやるよと言って自転車をやっているんだということを聞きました。それなんかを聞いて、何も今度の補てんで景気の影響が出たとは申しません、それは車庫法の影響で自転車をやっているんだと私は理解いたします。しかし、百貨店とかあるいはコンビニエンスストアなどへ行って聞きますと、やはりみんなが今までとはちょっと違った消費者態度だということを私は承りました。私は、やはりこの機会にみんながもう少し自分自身の生活を振り返ることが大変大事なことだろうと考えますね。しかし、景気全般が悪くなっちゃ困るんで、ぜひとも景気が悪くならないように金融面での十分な対応を要望しておきたいと考えるのであります。 従来、日本の態度はアンフェアだというのがアメリカ側の言い分だった。ところが、最近はコンスピラシーだ。要するに民間と政府が共同で謀議をはかっているということなんです。やはり私は不名誉なことだと思うんです、そういうコンスピラシーだなどと言われることは。私は、やはり堂々と胸を張って、世界に顔向けできるような経済でなければいけないということを感じておりますが、その点大蔵大臣、いかがでしょうね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員が述べられましたように、世界に胸の張れる経済であれという点については私も全く同感であります。
○斎藤栄三郎君 アメリカの下院に外国証券市場調査法という法律が出されたと承っております。その内容、もしも御存じだったらお知らせいただきたいし、それが通るか通らないか、その見通しもお伺いしたい。もしも仮にそれが通れば、私は日本の証券市場というものは外国の批判下にさらされるだろうと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど、ロンドンサミットで私自身が説明をしということを申し上げましたが、私は今委員の御指摘になりました法律、残念ながら存じませんので、後で調べました結果を御報告いたしたいと思いますが、その法律が通る通らないにかかわらず、現在日本の証券市場と申しますものは、一つは欧米におけるBCCIの問題、またアメリカにおけるソロモンブラザーズの問題、こうした問題と並んで非常に注目をされ、解決にどのような手法がとられるかを注視されている市場である、私はそう思っております。 今の御指摘の法律につきましては、私自身知識がありませんので、調べまして後刻御報告をさせます。
○斎藤栄三郎君 経済学では、設備投資すなわち長期資金は証券市場で賄う、短期資金、運転資金は金融機関に頼るというのが根本原則であります。ところが、その長期資金調達の場である証券市場が今二万二千円前後でもたもたしている。これで一番困っちゃうのは証券会社で、恐らくこんな状態が一年続いたら証券会社はお手上げになるものがかなり出るんじゃないかと思うんです。望ましい売買数量というのは大体一旦二億株、これがもう損益分岐点であります。ところが、現実にはもう三億を割っちゃっている。だから何としても証券市場を早く立ち直らせなきゃいけない。 それがためには、まず今回の補てん問題の真相を明らかにして、大衆がまた証券市場に戻れるようなクリアな市場にすることが根本だと私は考えるのであります。証券市場が成り立って、市場というものは公明正大である、不特定多数の人が入って売りと買いとが交錯して初めて公正な値段ができるのであって、それが今証券市場が寡占の状態であり、四社の思うとおりに値段が決められてしまうというのでは、もう証券市場は存在価値がなくなってきていると思う。しかし、証券市場がなくちゃ困るんですから、やはりどうぞ証券市場立ち直りのために大蔵大臣の御努力を心からお願いしたいのでありますが、何か決め手はないものでしょうかね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今回本当に証券市場に出入りされる方ばかりではなく、証券市場というものに全く縁のなかった一般国民の中にまで不信感を生んでしまいました元凶というものを、例えば何か一つの手段をとることによって、それですべてが解決するとはとても思えません。先ほど私は、大きく問題点を五つに整理をいたしましたけれども、それぞれの五つの原因を限定いたしましても、それをすべて解決するには確かに一定の時間をいただかなければならないと思います。 例えば、先ほど委員は通達集の分厚さを例に引かれました。確かにそれはそのとおりであります。そして、それを反省して、その通達というものに全部目を通し、法律に残すべきもの、あるいは自主規制に移すべきもの、そして今後通達というものが必要になったときの口頭通達というものを基本的にやめてしまうという考え方、それに基づいて整理をいたしますだけでもある程度の時間は必要になります。 ただ私は、一番基本的なものは何かと言われるなら、やはり特定の大口投資家だけがうまいことをしたと、これからもそういうことがあるんじゃないかというその部分に出す答えだけは急がなければならない。そしてそれは、それこそ証券取引法の改正を私は本当にできるだけ早く御審議をいただける状態にしたいと今願っておりますけれども、少なくともそこまでは第一歩としてできるだけ早い間に国民の目に見ていただくための努力をする、これが第一歩。しかし、すべての国民の信頼を取り戻すまでには相当な時間がかかるだろう、その努力を本当にそれぞれの問題別に並行して私どもが必死でやっていかなきゃならない、そう思っております。
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣に最後の提案をしたいと思うんです。 それは、一九二九年十月二十四日のあの大恐慌の後でアメリカがとったのは、もちろん国会でも論議をしましたし、いろんな対策を立てましたが、ペコラ委員会というものをつくりました。ペコフ委員会、これは委員長の名前でありますが、それで証券市場をずっと検討したのです。それがまた国民の満足を非常に得ることができたわけで、やはり第三者機関をつくってずっと継続的に調べていくということがこれからも大事じゃないんでしょうか。問題が起きちゃってから対策を立てることももちろん必要ですけれども、ペコラ委員会の活躍というものを申し上げたいと思います。 第二は、ブラックマンデーの後でアメリカが立てましたのは、ブレイディ委員会、これも恒久的にずっと続くのです。そして市場の欠陥や長所をずっと調べていくの世界の資本主義の歴史の中で時々恐慌というものが起こる。そして善良なる人たちが非常に苦しむ。ずる賢い人間はちゃんとそれでもうけている。 やはり私は、このアメリカのペコラ委員会あるいはブレイディ委員会のようなものをつくって安心して大衆が財産運用をすることができるような道をお考えいただきたいと考えますが、御意見はいかがなものでしょうね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私は大恐慌のときのペコラ委員会と申しますものについては知識がございませんでした。ただ、ブラックマンデー以降のブレイディ委員会、たまたま今そのブレイディさんがアメリカの財務長官でもありまして、私自身それのお話等も承ってまいりました。私はこれも一つの考え方と思います。同時に、ある意味では自主規制機関というものが相当の能力を持っている状況の中で成立した手法ではなかろうかという気持ちもいたします。そのペコラ委員会の時代になりますと、アメリカ自身に証券行政のなかった時代でありますから、これはまた全く異質の状況であったと存じます。 今、先ほど来総理が御答弁になりましたように、検査、監視という問題について行革審で御審議をいただいております。また、証券取引審議会という現存する審議会もございます。さらに証券業協会だったと思いますが、たしか最高裁に人選をお願いし、最高裁から元判事の香川さんという方であったと記憶をいたしますが、御推薦をいただいて有識者の懇談会をスタートさせておられる状況もございます。 こうしたさまざまな機関、重複する問題もあるいは今伺う限りにおいてはあろうかと存じます。一つの御提案として私はちょうだいをいたし、私なりに考えてみたい、率直に今そのような感じでおります。
○斎藤栄三郎君 今回、この二冊の本を私は読みました。こちらの方は「ザ・ハウス・オブ・ノムラ」、これは非常にいわゆる因縁つきの本で、これを出そうとしたときに野村が反対をしたということであります。ほとんど内容は皆我々が知っていることですけれども、アメリカ人が書いて出したというところで話題を呼んだんでしょう。 しかし、もっと私が興味があったのは、この「バブルの物語」、これは有名なガルブレイスというアメリカの経済学者がお書きになったものです。ガルブレイス先生は経済学の大家でありますが、この「バブルの物語」の中に日本の今回の補てんの問題も取り上げられております。なぜバブルが生ずるかということをガルブレイス博士はこう分析しております。一つは金融が緩んでいること。もう一つは大衆が株というものは無限に上がるものだという確信を持っていること。そうすると、これは必ず行くところまで行けば下がる以外にないんだということです。その後で必ず対策のときに法律をいっぱいつくったりする。しかし、ガルブレイス博士いわく、法律では律し切れるものではない、こう言っております。そうだと思いますね。 今度大蔵省が御検討くださっていることに大いに期待をしておりますけれども、ただ単に法律だけではなかなかうまくいかないだろう、根本はやはり私は経済倫理の問題だろうと考えるのであります。その経済倫理がしっかりしてこそ初めて法律は守られるのであって、証券局通牒が出ておって、出しちゃいけないよというものを平気で出しているんですね。そういうような経済倫理の全然ないところでいたずらに法律を出しても、これほどうにもならない。法治国家でありながら法律をじゅうりんしている、紳士と言われる諸君がみずからじゅうりんしている。これは困ったことだ。このままでいけばもう法治国家ではなくなるなということで、私自身は非常に悲観的な見方でこの本を読みました。 私は、そこで結論として言いたいことは、実は金融問題については、私の同僚であり、また専門家であられる山岡賢次先生があと御質問してくださいますから、あとは山岡先生にお任せして結論だけを申し上げたいと思いますが、これほどんな国でもそうですけれども、倫理観念がない国は滅びるんですね。どんなに経済が豊かになったところで、倫理観念のない国というものが世界から尊敬されることはないし、滅びざるを得ないのです。私の愛読書である孔子の「論語」の中に、「不義にして富み且つ貴きは我に於て浮雲の如し」と言っておられる。その意味は申すまでもなく、不正、不義をしてどんなに富んだところで、それは自分にとっては空を流れている浮き雲のようなものだということです。昔の我々の先輩は「悪銭身につかず」という短い言葉で申しました。 私は、今回のこの補てん問題で一番貧乏くじを引いちゃったのはだれだろうかと考えてみると、大蔵省じゃないだろうか。全く大蔵省は証券界からばかにされていると思いますよ。大蔵大臣はそう思いませんか。どうですか、その点。どんな通牒を出しても守られない。それではもう仕事をやる気がなくなっているんじゃないだろうかという気がするんです。やはり出したものは守られるのでなければ、出す価値はないですよ。私は、法治国家が今瓦解の危機に瀕しているのではないだろうか。大事なことは、経済問題であると同時に道義の問題であって、経済道義の確立に我々が全身全力をぶち込まなけれはこの危機を乗り切ることができないのではなかろうかと思うし、同時に厳罰主義でやらなければだめですね。 新証取法の罰則を見ると百万と書いてある。恐らく犯す諸君は百万ばかりでは痛くもかゆくもないですよ。説明に来た方にこれでは軽過ぎるじゃないかと言ったら、法制局が他の法律とのバランス上これ以上はかけられないと言うが、私は、今法治国家が崩壊の危機に瀕しているときに、百万ぐらいでもうかるなら何でもやりますよというんで、法律はますます破られちゃうんじゃないだろうか。やはりこの危機を乗り切るためには、遵法精神、経済倫理の確立と、法を犯した者に対しては、特に経済立法のこの法律を犯した者に対しては、免許制なんだからその会社の解散を命ずるくらいの断固たる態度でなければだめだと思いますが、最後に大蔵大臣の御意見を聞いて、私の質問を終えます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、大蔵省に対する御批判は、我々はこれを甘受しなければなりません。これに対して私は弁明をいたすつもりはございません。 また、現在各省庁と協議をいたしております証取法の中におきまして、その罰則について論議があることは事実であります。ただ、それは時間の問題という言い方は大変不見識でありますが、たまたま法制審が量刑の問題を議論しておられ、非常に近い将来その結論を出すように努力をしておられると承知をいたしております。それならそこまで待ったらどうかという御批判もあるいはありましょう。 しかし、少なくとも損失補てんという行為がどこの国の法律制度の中にも書かれていないぐらい、わざわざ禁止されていないぐらい、当然のことながらやってはならない行為という認識がありましたもの、それが現実に発生をし、通達をもって禁じ、その通達が踏みにじられました以上、やはり法律上これがいけないということだけは早急に決めさせていただきたいと私は願っております。そして、その量刑につきましては、法制審が近く御見解をまとめられるとなれば、他の大蔵省所管の関係法を含めまして、その時点においてその量刑についての御審議のみをいただく場面が近い将来生ずるもの、私はさように心得ております。
○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。山岡賢次君。
○山岡賢次君 今、斎藤先生が最後に申しましたが、最終的には道義の問題である、まさに私はそのとおりであると思うわけでございます。個々の点につきましては、斎藤委員から詳しく御質問がございました。衆議院でもかなり出尽くしているわけでございます。私は、最終的とは申しませんが、ここで政府の大きな今後の政策、こういう観点から御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。 今回の証券・金融の不祥事につきましては、先ほどから御指摘がありますように、これらが生じた時期の社会経済状況を顧みる、これが不可欠であるわけでございますが、先ほど日銀総裁また大蔵大臣に今後の経済の見通し、こういう御質問もございましたが、少なくとも現在までは、戦後最長のイザナギ景気に並びます平成景気とも呼ばれる息の長い景気拡大を続けているところであります。今回の景気拡大については、プラザ合意以降の円高不況のもとでとられた公定歩合の五次にわたる引き下げを含めた政府の財政、金融両面にわたる経済政策が大いに寄与していたと考えるわけであります。 しかしながら、一方、この時期に地価や株価が異常に高騰したのもまた事実でございます。地価については、東京の商業地では最近騰勢に鈍化傾向が見られますが、昭和六十二年中には公示価格が六〇%以上上昇を示すなど大きく上昇し、株価については、今でこそ日経平均で二万円前半まで先ほどお話しのように下がってはおりますが、一時は四万円近くまで上昇したのでございます。資産総額を対GNP比で見ますと、平成元年で土地は約五倍、株式は二倍にも上っているわけでございます。 こうした地価、株価等の資産価格の上昇は、経済の情報化、国際化を反映した首都圏地域の需要の高まりによる地価上昇のように実態的な土地の収益性の向上を反映した、こういう面もあるわけでございますが、それ以外にも投機的な取引が存在していた面がある、こう言えるのであります。それを称して世間ではいわゆるバブル経済と、こう呼んでいるわけでございます。このいわゆるバブル経済を招いた一因には金融緩和政策があった、こう思うわけでございますが、これは本来、大蔵大臣にお聞きすべきところかもしれませんが、今までずっととってまいりました金融緩和政策、国策としてどういうふうにお考えになるのか、総理からお答えをいただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 昭和六十年にいわゆるプラザ合意というのがありまして、急激な円高状況のもとで国民生活を維持し、確保していくためには内需を振興しなければならぬ。同時に、五年前になりますが、いわゆる前川レポートというものの趣旨に沿って、国際協調の中で諸外国と日本との貿易の帳じりについての著しいインバランスは是正する努力を内需拡大によって果たしていかなければならない、それによって雇用も確保しなければならない、いろんな側面がございましたので、景気を拡大し持続させるために、物価の安定等に十分配慮しながらこのような政策をとってまいりました。率直に申し上げて、それが光の面であったとするなれば、それによって日本が失業率もあるいは物価の上昇率も諸外国と比べて優等生の状況を続けてくることができたのはこの数年の光の部分であったと思っております。 したがいまして、その面においては評価はできるんですが、結果として、ただいま御指摘のように、株価や土地の方に金融緩和というものの影響が及んでいって大変な高い上昇率を示してきた。それによって、公正な社会という理念からいくと、我々が黙って見ていることのできないような状況も出てきたということであります。したがいまして、それは今後の政策立案の上においては、今度の出来事の影の部分を謙虚な反省材料として前進していかなければならない問題である、このように受けとめております。
○山岡賢次君 総理からお答えをいただきましたが、この金融緩和政策を直接担当してまいられました大蔵大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、基本的には今総理が述べられた内容に尽きると思います。そして、その金融緩和というものが内需中心の息の長い経済成長を確保してきた。しかし、その反面、潤沢な資金供給というものが逆に土地取引あるいは証券市場の投機的な取引を活発化させる原因をつくったという問題点は、これは否定できません。そして、私どもなりに総量規制、あるいは本院にも大変な御協力をいただいたわけでありますが新しい土地税制、こうした努力を積み重ねてまいりましたけれども、今ようやく少しずつその効果があらわれ始めているという状況の中で、これから先も努力を必要とする部分を持っております。 金融政策、財政政策というものにはいろいろな角度からの見方がございます。いかに有効にそれを機能させつつ派生する問題を排除するか、その意味におきまして、私どもとして責任を感じる部分が全くないなどということを申し上げるつもりはありません。
○山岡賢次君 金融政策というのは国の政策においても最も難しい分野であるということはよく理解しでいるわけでございまして、我が国の今後の命運を握る政策でございますので、ぜひ一層の御尽力をお願い申し上げます。 次に、金利の自由化問題についてお伺いを申し上げます。 今回の金融不祥事件について見ますと、二千億とか三千億とかいう事故額というものは国民の一般の金銭感覚からはおよそかけ離れたものであります。また、我々の描いていた銀行のイメージは、一方では取っつきにくい、他方では危ないことはしない、こういう安心感があった、こう私は思うわけでございます。例えば我々庶民が融資相談に銀行に行きますと何となく身構える、こういったような厳格な雰囲気が銀行にはあったように思うわけでございますしかるに、今回の不祥事件では、あっけらかんと監督責任者自身が想像を絶する多額の不正を働いたわけであります。このようなモラルの低下や倫理感の欠落といったものは一体どこから出てきたものであるのでしょうか。 バブル経済の発生と崩壊の過程での金銭収益第一主義の行動原理が事故者を事件に駆り立てたと説明はされておりますが、考えますに、金融機関の職員、ひいては金融機関全体としてのモラルの低下は、大幅な金融緩和に起因するバブル経済だけではなく、金融の自由化の潮流の中にありまして、中でも金利自由化の進展が大きく影響をしているのではないかと私は思うのであります。 金利の自由化は米国からの要求、いわば外圧もあって、昭和六十年代に入りまして急ペースで進められてきているわけでありますが、これは日本も米国型の社会あるいは経済構造に近づいていくということを意味している一つの事例であると思うのであります。皆さん御存じのように、自由化の進んだ米国というのは犯罪も多いし訴訟も多い、そういう社会であります。私は、既に踏み出した自由化の道程は後戻りはできないものと考えてはおりますが、このような事件が多発する事態に至った今日、規制よりも自由化へという大きな社会構造の変化が持つ意味をもう一度よく考え直した上で今後の金利自由化の方向を決めていく必要があると思うのであります。 私は、自由化というものの真の意味は、自主的な経営のもとでこれにみずから重い責任を持っていくということと考えているのでありますが、この点に関しまして大蔵大臣の所見をお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員は米国経済の状況を踏まえて御見解を述べられました。しかし同時に、預金の金利自由化というものが一つの大きな国際的な流れであることもよく御承知のことであります。 大蔵省の立場ということでお尋ねを受けますならば、私どもとしては、やはり預金の金利自由化というものを着実に進めていくことによりまして、これまで自由化の成果というものを受ける機会が比較的少なかった小口の預金者層の方々に対してもその金利自由化の効果が公平に及ぶような機会を提供していくことが必要である、基本的にそのように考えております。 ただ同時に、この金利の自由化の進展というものは、金融機関の経営に対しまして、競争の促進あるいは経営の自由度の拡大を通じて個々の金融機関の経営努力に基づく経営効率化あるいは創意工夫の発揮、こういったことによる金融サービスの多様化をもたらすものでなきゃなりません。ひいては、より低い、より安いコストで、より顧客のニーズに合った金融サービスが提供されなければ、その成果が生まれたとは言えないわけであります。同時に、金利の自由化というものは、一方で金融機関にとりましては調達コストの上昇あるいは金利変動といった意味でリスクが増大することも事実であります。 ですから、やはりこの自由化というものを進めていきますためには、金融機関が自由な競争の中で信用の秩序の維持、さらには預金者保護といった社会的要請にこたえていくために、みずからが従来にも増して自己責任のもとに経営の健全性を維持していくという覚悟を持っていただく必要があります。 今、結論に達する前に委員が述べられましたプロセス、私は、そうした現象があったこともあるいはそのとおりなのかもしれないと伺っておりましたが、やはり何といいましても、自由化のもとにおいて自己に課せられた責任というものを個々の金融機関におかれても十分認識され、同時に、いかにすればそれがお客様である預金者にメリットとして還元されるように努力をしていかれるか、また行政はそれをどう支えていくか、サポートしていくか、こうしたことを考えていくべきと思っております。
○山岡賢次君 時間が中途半端でございますので、先にちょっと証券の個人投資家の問題についてお伺いを申し上げます。 金融緩和の局面におきまして企業がいわゆる財テクに走り、本業を差しおいてマネーゲームという虚業にうつつを抜かしたことが証券会社に対し損失の補てんを求めることにつながった大きな原因と考えるわけでありますが、また金融緩和、バブルの破裂といった一時的な要因のほかにも、企業間の株の持ち合いに見られるような企業間のなれ合い体質といった構造的要因も今回の不祥事の背景にあると、これは今まで多くの先生方から指摘をされてまいりました。 さらに問題なのは、今回の事件に見られる証券会社の個人投資家軽視の経営姿勢であります。このことは損失補てん先のほとんどが大企業であるということを見ても明らかなことであるわけでございまして、我が国の個人株主比率が戦後一貫して低下してきていることもこうした証券会社の姿勢に原因があると考えられるのであります。健全な株式市場の発展のためにも、個人投資家が幅広く市場に参加することが不可欠であると思うのでございますして、その点はもう十分御認識いただいておると思うのでございますが、その個人投資家育成のための今後の方策というものをここでお聞き申し上げたいと思います。大蔵大臣、お願いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 基本的に個人投資家の育成を図る、そして市場に参加していただくための努力をするということになりますと、今日では遺憾ながらその市場自体の信頼回復ということから考えなければなりません。しかし、その問題はさんざん論議をしていただいておるところでありまして、その点は省いてお答えをさせていただきたいと思います。 となりますと、証券市場の安定性、透明性をいかにして確保するか、公正性を確保するかということと同時に、投資者の利益に配慮した配当性向の水準設定というものがまず一つ挙げられると思います。そうした配当性向水準の設定などによりまして株式投資魅力をどう向上させるか、大きなポイントはここの部分に一つあろうと思います。 今日、こうした考え方に立脚され、日本証券業協会あるいは東京証券取引所などの場におきましても、いかにして市場の信頼を回復するかとともに、個人投資家育成のための方策というものの検討がされておると承知をしておりますが、私どもとしても従来から、企業が配当を決定するに当たりまして、投資家の利益、株式投資魅力の向上といった観点を十分に考えて決めてもらいたいということを発行体に要望すると同時に、引受証券会社を指導してまいりました。 今回こうした事態の中で、一方においては損失補てん等の禁止を含む証取法の改正の御審議を願うよう努力しておるところでありますし、証券会社そのものの営業姿勢の適正化を求めておりますが、基本的には、やはりどうしたら投資家に魅力を持っていただける配当性向水準というものを設定できるか、かぎはここにあるように思っております。
○委員長(平井卓志君) 山岡君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ―――――・――――― 午後一時開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから証券及び金融問題に関する特別委員会を再開いたします。 証券及び金融問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山岡賢次君 午前中に引き続きまして、質問を続けさせていただきたいと思います。 先般、大臣は、今回の一連の金融不祥事の総決算という気持ちを込めまして、金融システムの信頼回復のための措置を発表されました。それは、現在までの世論、国会等での議論を踏まえまして、行政としての今後の責任を明らかにし、しかもその方向性を体系的に整理する、こういう意味で評価できるものであると思うわけでございます。 しかしながら、そこでは触れられていない大きな視点というものがあるのではないでしょうか。恐らく現在の情勢に責任を負う大蔵省としては言い出しにくかったのではないかと思うわけでございますが、それは政府部内でもう既に六年間にわたって論議が行われている金融・証券制度の改革の問題であります。 私は、国民の利便向上、また国際的に通用する制度でなければならない、こういう視点から現在の日本の金融・証券制度には限界を感じているものでありますが、今回の一連の事件の発生を見ても、やはり固定された参加者による過当競争、横並び意識、こういった現在の制度がはらむ大きな問題が影を投げかけていると思うのであります。当面の対策ももちろん大事ではございますが、こうした現在の金融・証券制度を構造的に変革をしていかなければ真の意味での再発防止にはならないと思うわけであります。 制度改革問題を今回の不祥事との関連でどのように考え、また今後どのように取り組んでいかれますのか、大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今国会の冒頭、私は、今委員が述べられました証券、金融両面を通じての問題のうち、まず証券問題についてその原因を必死で模索する中、五つの原因というものを申し上げてまいりました。さらに先日、今度は金融問題という部分から私なりに今日まで発生いたしております事案につきその問題点を考え、これからどういうふうに我々が行政として対応しなければならないか、私なりに整理をいたしてみました。今委員から御指摘のありましたような問題を含め、改めて金融という問題につきまして、金融システムについての私なりの整理をした考え方を申し上げ、その中で今の委員の御質問に答えたいと思います。 今回の不祥事というものを踏まえました中で、再発防止は当然のことながら、金融システムというものに対して揺らぎかけている信頼をもう一度回復するために、我々自身がどのようなことを考えなければならないかという視点から、同時に金融界自身にも乱発的に努力をしていただかなければならない、そうした点から問題を整理いたしてみました。 まず第一は、金融機関の内部管理体制の総点検についてでありまして、既に金融機関に対して指示いたしております内部管理体制の総点検を推進させる一方、全銀協等業界団体に対しまして金融取引のルールや諸慣行の見直しを求めますとともに、金融機関の内部検査体制のあり方についての検討機関の設置を求めることとしたいと思っております。 また、二点目には金融機関の公共性、社会性の確保についてでありまして、金融機関というものの公共性、社会性が確保されるよう、その業務運営、経営姿勢の点検を求めます。また、経営内容のディスクロージャー、あるいはそのディスクロージャーの推進を求めるだけではなく、金融機関における暴力団対策、さらに麻薬取引に絡みますマネーロンダリング対策というものが適切に行われるように指導したいと思います。 第三点目は、我々自身の努力を必要とする部分でありまして、行政の透明化と検査体制の充実についてでありまして、金融行政というものの透明性を高めるべく、簡素合理化を目的とした通達の見直し、整理を行いたいと思います。他方、当局の金融検査におきましては、内部管理体制を含めた金融機関の業務についての重点的かつ機動的な検査を実施すると同時に、検査手法の充実を図る、また金融機関内部の検査組織などとの連携を図ることとしたいと思います。 第四番目は、金融問題の中で今省で法的にも我々が手を伸ばすことに限界がありましたノンバンクへの対応でありまして、ノンバンクの預金担保融資の実態調査を早急に取りまとめますとともに、さらなる実態調査、またノンバンクに対する指導のあり方の検討のため、関係者による検討会を設置したいと考えております。また、金融機関における関連ノンバンクの管理体制の強化を求めたいと思います。 五番目は、金融システムの安定性の強化でありまして、自己資本比率規制、大口信用供与規制などの金融機関の健全性確保のための枠組みを整備いたします。方、金融機関の相互援助制度の一層の充実など、信用秩序維持のための環境整備を図りたいと思います。 また、外国銀行の経営破鏡問題などへの適切な対応、迅速な対応を図りますために、金融当局者間における国際協力を進めてまいりたいと考えております。 一連の金融機関の起こしました問題の中から、こうした点を我々が心がけるべきことと考えてまいりました。しかし、これとともに先般来本院においてもしばしば御指摘を受けておりますいわゆる銀行、証券の垣根問題と言われる問題、これはそれぞれの市場のより公開された透明性を確保する、しかも新たな参入をもたらすことでありまして、既に一定の方向が見出されております。 実は、きょうまでの本院の御論議の中、また衆議院の御論議の中においても、まずこの不祥事を解明することが先であり、解決策はその後であり、本質的な金融・証券問題への取り組みというものは先に延ばせというような御意見もございました。しかし、私は、少なくとも市場の透明性を確保いたしますために、新たな参入を拡大していくということ一点を考えましても、こうした問題の解決を後に延ばすということは決して好ましいことだとは考えておりません。今回起きております証券・金融それぞれの問題につきましても、当面の対応策とは別に、本来、より国際性を持ち、国民にも信頼していただける市場をつくりますためには、相互参入を含めまして、制度の改正というものはできる限り努力をしていくべき我々の責務である、そのように考えております。
○山岡賢次君 今、大臣からノンバンクと外国の銀行についてのお話も出たわけでございますが、銀行局長おいででございますので、ちょっとちなみに聞いておきたいのでございますが、銀行かノンバンクを通じた迂回融資とか、あるいは協力預金の差し入れ、こういったようなことが現在行われているやに聞いているわけでございますが、こういうことはバブル経済以前にはあったことなんですか、それともバブル経済になってからこういうような形態が出てきたのか、その点についてちょっと先にお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(土田正顕君) 側説明を申し上げます。 ノンバンクを通じた迂回融資というもの、それからさらにはいろいろな協力預金というような問題は、手法といたしましてはそれは別に新しい手法ではございませんが、その量が著しく大きくなり、また、世間のいろいろな批判を浴びるようになりましたのは近年のことであるという印象を持っておるわけでございます。
○山岡賢次君 そうしますと、銀行局長のお話をまた私なりに言いますと、以前はあることはあったがそんな大きな問題ではなかった、しかし近年になってということは、今回の銀行の不祥事というのは、端的に言えば銀行かノンバンクを隠れみのに使うようになったから起きた、こういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(土田正顕君) このノンバンクという言葉自体、比較的この一両年に普及をし立言葉でございます。その前の位置づけといたしましては、これは現在の法律上の位置づけもそうでございますが、貸金業者ということで法律上位置づけておりましたわけでございます。ところがその貸金業者の中の若干、数としては数百程度、少ないものではございますが、それが昔とは比較にならないほどの大きな規模を持ち、職員、店舗網を持ち、それからさらにその資金使途として、特に事業者金融に積極的に進出してくるというような現象が生じました。また近年、いわゆる金融緩和基調を背景にいたしまして、全体としての貸し金量が年間三割台ないしは甚だしきときには四割台も一年のうちに伸びるというような現象があったわけでございます。 これにつきまして、資金の出し手の七、八割は本源的には金融機関でございますので、金融機関の行動ともちろんつながりがないとは申せません。ただ、近年の現象を見ますと、ノンバンクが金融機関のいわば代理人と申しますか、ダミーと申しますか、金融機関の手足として動いておるということではもはや説明できないような独立した行動をとりつつあるような現象が見受けられるわけでございます。 今後とも銀行とノンバンクとの関係につきましては、実態究明を初めといたしまして、多々問題点がございますので、私どもさらにいろいろと調査研究をしてまいりたいと思っております。
○山岡賢次君 そのことについては、明後日、参考人で銀行からおいでをいただきます。きょうのメーンテーマではございませんのでこれ以上お伺いは申し上げませんが、直接その点については銀行に伺ってまいりたい、こう思うわけでございます。 今、大臣からお話のありました外国の銀行、BCCI、これが事実上倒産をしたわけでございますが、このBCCIという銀行の経営実態はいかがなものか、御説明をいただけますでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) 側説明を申し上げます。 BCCI、これはバンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナルの略称でございます。このBCCIグループは、昭和四十七年に設立されました多国籍銀行グループでありまして、六十九カ国、三百六十五の拠点で営業を行ってまいりました。実は東京にBCCIの支店がございます。この支店は、BCCIグループの中心でありますBCCIホールディンクの一〇〇%子会社のBCCI・SAの支店でございます。このBCCI・SAはルクセンブルクに本店がございます。 ところで、これは最近の海外のいろいろな報道を総合いたしますと、このBCCIグループにつきましては、不良貸し出しやディーリングの失敗から経営が悪化いたしましたが、その間、架空貸し出し、簿外預金、自己株取得などの粉飾によりまして破鏡を隠ぺいしてきたとされております。 現在、ルクセンブルクの裁判所が選任した管理人が中心となりまして経営実態の解明に当たっておりますけれども、粉飾が長期にわたって複雑な方法で大規模に行われておりましたため、現時点では正確な実態は判明しておらない。 以上がこのBCCI問題の全体像でございます。
○山岡賢次君 銀行局長が正確な実態が判明していないと、こうおっしゃるわけでございまして、一般国民の皆さんにとりましてはBCCI、こういう名前はいろいろ紙面等々に出てまいりますが、実態は何なんだろうと、こういう気持ちでございます。ただ、一つだけはっきりしていることは、こういう銀行の不祥事件が海外でも起こっているんだ、どうもとんでもないことが出てきているんだ、こういう印象だけは強烈であるわけでございまして、国内の一連の金融不祥事件、これも先ほど大臣にお尋ねを申し上げました。銀行というのは本来こういうものだったんだろうか、我々のイメージは大きく崩れたわけでございます。 証券の問題も極めて大きな問題でございます。内容についてはむしろ証券の方が問題は大きい。そういうことで証人喚問になっているんではないかと思うわけでございます。しかし、社会に与えた影響あるいは国民の皆様が受けたイメージあるいはダメージ、こういったものはむしろ証券よりも金融機関、銀行に対するダメージの方が大きかったと思うわけでございまして、これら一連の国内の金融不祥事、また、こういう国外の銀行の問題等々が我が国金融システムに対する信頼を国民から著しく損なった、こういう点について大臣から所感をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本当に私ども、素朴に金融機関というものに対して信頼を寄せていた、これは多くの国民がそのとおりであったと思いますし、委員が御指摘になりましたように、このところしばらくの間に続きましたさまざまな不祥事というものが非常に大きく国民の信頼を傷つけた、その御指摘は私もそのとおりであると思います。しかも、非常に怖いことでありますけれども、これらは実はそれぞれの金融機関に対する社会的批判というものにとどまるわけではなく、その影響というものは金融システム全体の健全性に対する信頼の喪失ということにもつながっていくわけでありますし、これは本当に大きな問題であり、遺憾というような言葉で済ませられることではございませんけれども、本当に遺憾であるという以外に申しようがありません。 しかも、今委員から御指摘がありましたように、BCCIが例示で出ましたが、国際的にも実は金融機関の不祥事と申しますか、経営破綻というものが出てまいりました。たまたま日本の場合は支店一つだけでありましたが、それでもさまざまな影響を及ぼしております。国際的にはこの銀行の破綻というものは非常に大きな波紋を呼んでおる、これはもう委員が御指摘のとおりであります。 こうした認識の中で、いかにして再発防止と同時に金融機関の信頼というものを取り戻すか。私は先ほど五つに整理をしながら、行政そのものの反省も含めて金融機関自身の努力をも求めてまいりました。これから先、私は金融機関の安定性の強化のために五つの項目から成る総合的な対応策というものを我々自身が準備をしていかなければならない、その責任があると考えておりますけれども、証券の問題と本質的に異なります。そして金融機関自身に努力をいただかなければならないことは、各金融機関の内部管理体制のほころびというものが直接的なそれぞれの事件の原因の中に横たわっているということであります。そして、その内部管理体制まで行政が介入することが果たしてよいことかといえば、自由経済を標榜する我が国として行政の過剰な介入ということは本来慎むべきことでありましょう。 今日、一方ではこの信頼性回復のために、私どもはある程度内部管理体制まで含めて金融機関に対応を求めていくわけでありますし、行政自身の反省の上に立ち、先ほど申し上げたような通達といったものを見直していく、簡素化していく努力も払うわけでありますが、金融機関自身におかれてもみずからの手で、こうした問題をいかにすれば防げるかについては真剣な御検討を願いたい。その上で、我々はまた国際的な関係者との情報交換等を通じ、国際的な金融破綻というものに対応する考え方も立てていかなければならない、そのように考えております。
○山岡賢次君 最後に、総理に時間があればお答えいただきたいのでございますが、今国内の問題を申し上げましたが、このことは国外に対しても大変な不信感を与えたわけでございます。 海外でも広く報道されているところでございますが、例えば今回の事件は日本の証券市場の特殊性、閉鎖性を象徴するものであり、いわゆる日本異質論の正当性を立証するものである。こういった記事から、あるいは日本の企業は株主総会対策等で暴力団との関係を持っており、日本の金融界は暴力団の資金調達源になっているのだ、こういったものもあるわけでございます。さらには、今回の問題は証券市場の問題にとどまるものではなく、系列や政財官の癒着に起因するものであるというような我が国に対する厳しい見方があるわけなのでございます。 ニューヨーク、ロンドンと並んで日本は今や世界の三大市場となっているわけでございまして、まことに不名誉なことと言わざるを得ないのでございます。今回の不祥事で失われました我が国の証券市場への海外の信頼を回復する、また再発を防止する、市場の透明性、公正性を確保する、そういう観点から最後に、総理の御所感と覚悟のほどをお聞き申し上げまして、終わらさせていただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の不祥事が、御指摘のように内外の投資家の利益を損ねたという問題と同時に、外国からは、日本のルールというものは違うのかというようなクエスチョンマークつきの報道がなされたことも私は率直に認めていかなければならぬと思います。そして、これは改めていかなければならない問題でありますし、また国際化時代で、御指摘のように世界の三大証券市場の一つである日本でありますから、それに対しては、法律が必要なものは、大蔵大臣がお答えしておるように証取法できちっといたします。 それから、大蔵省自身がきょうまでやってきた通達その他の問題について、これが守られていなかったという残念な結果に対しても、今度の経験を生かして、どこをどうしていったらいいか、検査体制や監視体制というものをどのように強化しでいくかということはきちっと取り決めていかなければなりません。 同時に、それを乗り越えてすべての企業の皆さんにもお願いしたいことは、利益最優先、金銭万能でもうかればいいというだけではなく、自分たちの社会的責任というものも自覚をしていただく。同時に、多くの投資家の方にも自己責任の原則というものを、厳しい原則ですけれども、きちっと踏まえて守っていただくように、すべての面から対策を立てていかなければならぬことであると私は感じております。
○山岡賢次君 ありがとうございました。
○安恒良一君 私は、まず最初に、損失補てん問題と大蔵省の通達行政についてお聞きをしたいと思います。 八月二十九日、野村証券の前会長は、損失補てんは大蔵省が損失補てん禁止通達を出した後、会社の意思で行った、しかも百六十億行った。日興証券の前社長も、日興の会社の判断で行った、こういうふうに重言をいたしました。私は、証券会社をかばう気はありませんが、公然と国の、大蔵省の通達に弓を引くような行動をとらざるを得なかった会社としては大変苦しい判断をしたものだと思います。一方、大蔵省がとっている態度は、営業特金は整理をしなさい、しかし他方では損失補てんはしてはいけませんよ、こういうふうに二律背反を強いられるような通達を出し、行政が追い込んでいったんですね。 ですから私は、今度の損失補てん問題の一つの大きな元凶といいますか、責任というのは大蔵省のこういう行政に責任が大きくあるんじゃないかと思いますが、大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現実にさまざまな問題が生じております中で、大蔵省自身がさまざまな角度から行政の責任を問われております。そして、私はそのすべての責任を逃れようとは思いません。 ただ、委員にお言葉を返すようでありますけれども、もともと損失補てんという行為、これは法律に規制されていようといまいと倫理的によくないということは当然のこととして今まで世間に通っておりました。それは何も日本だけではなく、国際社会どこの国でも損失補てんという行為を法律でわざわざ禁止している国がない。自主規制団体としてその規制の中に入れておられるところはございます。そういう状況の中で、一方、平成元年のたしか十一月であったと思いますけれども、特定証券会社の損失補てんというものが発覚をいたし、そのころ他のたしか証券会社であったと思いますが、大蔵省の検査の中においても類似の事例が見られたということから、改めてこれを通達で禁止いたしました。同時に、営業特金というものに対しての適正化を求めたわけでありますが、結果としてその通達が無視をされたということが今歴然とした事実の中で私どもの上にのしかかっております。 大蔵省自身が本委員会において御質問を受け、お答えをすべき立場でありますから、そのプロセスにおける証人あるいは参考人の意見、どういう述べられ方をしたかについて個々の感想を申し上げるべき立場ではないと心得ますが、いずれにいたしましても、こうした事実を率直に見詰め、今後の対応策をとらなければならない、そのように考えております。
○安恒良一君 答弁側にお願いしておきますが、きょうは往復ですから、私のしゃべった倍ぐらい答弁してもらうと迷惑しますから、簡潔にひとつお願いをします。 営業特金を始めるときに、大蔵省は最初は営業特金を認めないという方針をとったわけじゃないんですよ。たしかアメリカ側から指摘されて、これはいかぬということで通達を出したんじゃないかと私は思います。大蔵省は通達を出せばそれで責任はない、こういうことで逃げられますが、ところがその後も営業特金の整理と補てんについて大蔵省の証券局のとった態度が厳しい態度であったかどうかというと、どうも私は甘かったと思うんです。なぜかというとその証拠には、今回の問題の発端は、国税庁が査察をして税務面から補てんに課税ということから火がついたわけですからね。もちろん八九年の十二月に通達を出しておりますから、これはやっぱり通達違反をやったんだからけしからぬ、こういうあなたたちのおしかりですけれども、私はやっぱり大蔵省側にも反省される点があるべきだと思いますが、その点はどうですか。簡潔に答えてください、あるかないか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 反省すべき点はございます。過去の証券検査の中で類似の事例がありましたときに、それぞれの当該証券会社に対する指導、指示にとどめ、それを一般的な行政の機能に結びつけなかった、そういった意味で、保護育成行政という中に方向を切り間違えたところがあった、これは私は認めます。
○安恒良一君 それから、これも両社長、会長の証言を聞いていましたら、どうも通常の株の取引、株や社債の売買の取引に伴う損失補てんをしたと、こういう証言がはっきりなかったわけです。また、聞いておった感覚も、どうも通常の株や社債の売買の損失というふうに私はとれなかったんです。証券局長が今までずっと述べられたことをここで繰り返すのは時間がもったいないから言いませんが、世間一般はどうとっているかというと、やはりこれは株や社債、投資信託の取引で出た損を補てんしている、こういうふうに今回のことを世間一般みんなは受け取っていますね。ですから、どうも証人喚問のときに両社の責任者が述べられたことと証券局長の答えとの間にずれがあるんではないかというふうに私は思います。 率直なことを言うと、局長は知っておきながら意識的に補てん対象をはぐらかしてきょうまで答弁をしているんじゃないですか。どうですか、それは。
○政府委員(松野允彦君) お答えいたします。 損失補てん、今回明るみに公表されましたものは、通常の有価証券の取引で生じた損失を埋めるというような、形の上ではそうでございますが、これは主として今御指摘になりました営業特金、企業の財テクの手段でございますが、この営業特金をめぐって、主として法人の大口顧客に対して営業特金の中で株とか有価証券の売買が行われ、そこで損失が発生する、あるいは十分な利益が上がらないというようなものに対して補てんをしたというふうなことでございまして、これは現象的には有価証券の売買で生じた損失ということになるわけでございますが、実態的には営業特金の中での売買取引というようなもので生じた損失ということでございます。
○安恒良一君 今、まだこっちが聞きもしないうちから、質問通告しておきましたから言われましたけれども、問題は、この補てんというのは通常の株や社債の売買の取引の損の補てんということでずっと我々も議論をして、説明をされていましたが、だんだん説明が変わってきた。私から言わせると、ずばり営業特金の整理のために、したがって営業特金に限定された補てんをされている。それは、いわゆる営業特金を使った株の売買等の損失の補てんと、それからどうも評価損の損失の補てんまで一部してきている、評価損の。これは後で証拠で言いますが。 しかし、そういうことを今日まで、大蔵大臣、あなたや、証券局長、あなたが私たちとの議論の中でそういうことをはっきり答弁していましたか。きょうは今言われましたね。しかし、あなたも局長も知っておきながら、そういう点について私たちとのやりとりの中で今私が申し上げたようなことをずばりと答弁されなかったというところはどこにあるんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、どなたに対する答弁であったか忘れましたが、同様の趣旨の御質問がありまして、損失がないのに補てんをしたケースがあるのではないかという御質問を受け、そういうケースがあったということをお答えした記憶がございます。ただ、これが両院のどちらであったか、大変失礼でありますが、今とっさにお尋ねをいたださまして思い出せません。もし必要でありますなら、議事録を調べてどこで御答弁を申し上げたかをまた御報告させていただきます。
○安恒良一君 いずれにしても、きのうの九月二日の夕刊にでかでかと載っておるように、「利回り保証の疑い」ということで、今になったら、損失がないのにもやはり一割ぐらいは保証しておった、こういうふうに国会の議論が深まってくると小出しに出してくる、こういうやり方は私はやめてもらいたい、こう思います。 次に、東急電鉄株について伺いますが、まずこの問題は、私は、野村証券による東急株の株の操作、それに暴力団の稲川会への肩入れ、こんなことは日本を代表する野村証券ともあろうものがやるべきことではないし、弁解で済まされるような問題ではないと思います、このことは。しかも、田渕前会長はぬけぬけとこういう証言をしていますね。暴力団との取引は会社の役員と総会屋の口ききて始まった、こう証言しています。しかもその後、これは大切なお客さんだからということで、別格扱いで資金の援助も行ったと。そして、いろいろの報道によりますと、いわゆるもろもろの裏取引が行われたということは、これはいろんなことが報道されています。 そこで、大臣にお聞きするんですが、証券会社を認可し監督する立場の大臣として、以上のことについてどのようなお考えをお持ちですか。それからあわせて、私は認可の取り消しまで検討されるべき事案ではないかと思います。国民は非常に怒っています。この点について、監督官庁にある大蔵大臣としてしかとひとつ答弁をしてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 暴力団関係者が大量に特定の株式を取得する、これほどんな状況であっても証券会社としてそれを承知して行うというようなことは社会的に許されることではありませんし、今回、東急電鉄株を暴力団関係者が取得しております中において、これを参考銘柄として取り上げて積極的に投資勧誘を行う、そして大量売買を行う、こうした行動をいたしました野村証券の行為につきましては極めて問題があると言わなければなりません。 ただ、大蔵省がこれまで調査してまいりました中、局から報告を受けております中では、野村証券が暴力団関係者の利益を図るために意図的に株価を高騰させようとして大量売買を行ったという確証が得られていないという報告を受けておりますが、現在行われております特別検査におきまして、こうした問題を含め、問題が本当になかったのかどうか引き続き調査を行っております。新しい問題が出てまいりますなら当然のことながら厳しく対応しなければなりません。これから先、特別検査というもので仮に法律違反の事実が明らかになりました場合には、法の規定に従って厳正に対応してまいりたいと思います。
○安恒良一君 私は、今特別調査しているとか査察しているとか、そんなことを言っておっては国民の証券行政に対する不信を解くことはできないと思うんです。 東急株の操作ですが、平成元年の十月から十二月の最終の山場に東急の株の騰貴を野村が仕組んだことはもう周知のとおりなんです。当時の新聞を見てください。全部書いてありますよ、野村が仕掛けだということは。素人はけがするぞと書いてあるんですね。しかも、最高高値が三千六十円まで上がったことも事実で、しかもその背後で稲川会の前会長石井氏と組んで安値で仕入れて値を上げていく、これを担保にして資金の融資を受ける。また、石井氏は八億円の利益を売り抜けによって得ているということもきょうの新聞にでかでかと報道されていますね。ですから私は、株の操作があったか云々と、こういうことは後にしましても、この野村の東急株の扱い方は不正常である、これは私は間違いないと思うんです。特に暴力団と一緒になって組んだような資金づくりや裏金を表金に出す手助けをする行為というのは、私はどう考えても一流証券会社がやるべきことじゃない。 こういうことをやったことに対して罰する手だてはないんですか。大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私はそうした行動が本当に問題のある行動であるということは率直に申し上げております。同時に、その法的要件につきまして、これは技術的にどういうふうになるのか私も細かいことはよく存じませんけれども、現在特別検査を行っているそれ以前に、むしろこの取引について証券局あるいは東証が問題意識を持ったときになぜ問題がないという結論が出たのか、こうしたことにも我々は振り返って考えなければならないところがあると思います。 お許しかいただけますならば、証券局からその辺についての御説明をさせたいと思います。
○安恒良一君 それは後から明くことの中で証券局に答えてもらう。 というのは、このような不正常な取引があったときに当時の大蔵省証券局としては取引の中止のために何らかのアクションを起こしたのかどうか、また、大蔵省はそういう指導をしたんだけれども、野村は聞かなくて東急株を操ったのかどうか、これはひとつ証券局長、答えてください。
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十月から十一月にかけまして東急電鉄株の大量の売買が行われ、株価が急騰しているわけでございます。そういう場合には通常証券取引所が日々の取引の状況をチェックしておりまして、例えばインサイダー情報のようなものが流れるとかということになりますと、これは取引をストップさせるわけでございます。また、大量の注文が集まりまして取引の正常な執行かできない、つまりやや整理をしなきゃいけないというようなことになりましても一時的に取引を停止するということがあるわけでございます。取引所と申しますのは、基本的には多数の投資家が参加して株価が形成される場でございますので、そういうような事情がない限りなかなか取引を停止するということは行わないわけでございまして、信用取引が非常に多くなるとかということになりますと注意銘柄という制度があるわけでございます。 当時、取引所あるいは私どもの流通市場課でいろいろ取引所における売買の状況をチェックしたわけでございますが、その段階では少なくとも取引所におきます注文の執行状況について特に取引を停止しなきゃいけないというような事情が認めもれなかったということで特段の措置をとっていないわけでございます。
○安恒良一君 局長、答弁はある程度簡単にしてください。私もよく勉強していますから、知っていますから、素人に言うようなことを言わなくてもいい。アクション起こしたか起こさないか、起こさなかったら起こさなかった、起こしたのはこういうことだ、こういうことで結構ですからね。 そこで、証券局長に聞きたいんですが、八九年の六月末から七月へかけて太陽神戸銀行の株が千三百六十円から千六百四十円に上がったときは、東証、大蔵省としてはこれは株価操縦ではないかという取引状況の調査をしていますね。それから、八九年の七月に東証第二部の宮入バルブの株が七日間で八百五十円上がったときも大蔵省、東証は調査をしていますね。ところが、そういうことに対して、野村の株の急騰、しかもある一定の期間なぜ大蔵省は動かなかったのか、私はどうしても納得いきません。今あなたに聞いたら何か動いたようなことで、調査してみたけれども問題なかったとか言われていますが、その点について明確に答えてください。
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の太陽神戸銀行の株の問題でございます。これは平成元年の八月に合併が発表されたわけでございまして、その一カ月二カ月ぐらい前に株が急騰しております。この合併という情報が事前に漏れていたのではないか、つまりインサイダー情報が利用されていたのではないかということで取引所あるいは私どもで調査をしたわけでございます。 それから、もう一つの宮入バルブの株でございますが、これは元年の八月に第三者割り当て増資というのが発表になっております。その前後におきましてやはり株価が上昇しておりまして、これもインサイダー情報が事前に漏れていたのではないかというような疑いで調査をしたわけでございます。
○安恒良一君 大臣、今のをお聞きくださったらわかりますが、小さい証券会社が扱った銘柄は一週間程度の短期のものでも調べているんですね。ところが、独占企業の野村がやること、さらに資金力、系列の証券会社まで使ったこんな手の込んだ大がかりの株価操縦にはどうも証券局は目をつぶっておったと思う。もしくは手も足も出せない。これでは国民は何だと、何で野村のような大独占には大蔵省は手も足も出さないのか、こういう疑問がやっぱり残るんですよ、今の説明を聞いても。この点、大臣、私と証券局長のやりとりを聞いてどう思われますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今のやりとりだけではなく、今まで証券局の答弁を聞いてまいっております。その中で、この東急電鉄株の取引というものに問題意識を持ち調査をしたが、問題とするに足る事実を確認できなかったということを答弁してまいりました。私は、調査が不十分であったというおしかりは甘受しなければならないと思いますが、事実関係として局長が申し上げてきたような内容であったのであろうと思います。
○安恒良一君 大臣、今コンピューターが発達しておりまして、前場後場の売り買いは各支店の扱ったのは瞬間にして全部本店には入ってくるんですよ。本店はそれを見まして、この銘柄が三〇%規制にかかるかどうかと。赤が出るんです。それによってまた各支店にやる。ですから、もう毎日毎日の各支店の取扱高というのは瞬間にしてコンピューターによって本店にわかるようになっているんですね。 ですから、どうも私はここのところのやりとりで納得できないのは、例えば田渕前会長は国会でこう言っていますね。店によっては若干の行き過ぎがあったかもしれませんと、まるで他人ごとのような証人としての重言をしました。しかし、こんなことは会社の中枢の決定なしにできることじゃないんですよ。関西の支店から始まって順次これが東京まで及んでくる。そして、店の取扱量が七割を超える支店がいろいろできてくるわけですね。そうしますと、私は、これは明らかに証取法百二十五条の違反であって、今特別調査中であります、調べておりますと、そんなことを悠長に言って国会をあれする必要ないと思います。 証券局長、この点私は少なくとも証取法百二十五条違反だと思いますが、その点を明言したらどうですか、ここで、すかっと。どうですか。
○政府委員(松野允彦君) 東急電鉄株のこの時期におきます野村証券の投資勧誘、これは今御指摘のような営業部、店を中心にして非常に多数の投資家が参加して価格が上昇しているわけでございます。百二十五条の条文の場合に非常に難しい問題がござい彰すのは、特定の投資家が明らかに作為的な価格形成を行うような形で注文が出されておりますと、これは比較的簡単に認定ができるわけでございますが、東急電鉄の場合には非常に多数のお客の注文によって価格が上昇しているという状況でございまして、その多数のお客が勧誘された状況が一体どういうふうな状況なのかという事実関係がはっきりしないと、なかなか百二十五条をずばり適用するという事実が把握されるというのは難しいわけでございまして、先ほど申し上げましたように、多数の投資家が参加して全員参加型の相場になっている、市場になっているという場合に百二十五条を適用いたそうとしますと、非常にその事実関係を、特に投資勧誘の状況を中心にして事実関係を把握する必要があるということで、現在そういう事実関係の把握に努めているところでございます。
○安恒良一君 多数の投資家で逃げてはいけませんよ。野村の取り扱い、野村の株操縦問題を今議論しているんですからね。 私は幾ら証券局長の答弁を聞いても納得できません。証取法違反であると私は断定します。そして、これを立証し裁料で有罪判決をかち取るか否かは警察と検察庁の努力と英知にかかっていると私は思います。 しかし、今そういうことが司直の手によって調べられているからということだけで証券行政というのを済ましていいんでしょうか。少なくとも証券行政をつかさどる大蔵大臣、証券局長、こういう問題については今ずっと挙げた一連の事実、さらにこの国会で与野党を問わず東急株の扱いについてはいろいろ議論をし、質問を投げかけています。そうすると、私は証取法百二十五条の株価操縦の規定に違反していることは明白だと思います、野村の扱いは。ですから私は、どうも野村の前会長の証言を聞いていますと、大量推薦の販売禁止、この違反は認める、しかしここで刑罰規定の伴う株価操縦とやられたらかなわぬと、こんな印象を実は証言の中から受けました。ですから、もしもそんなことになったら私は大蔵省の証券局は恥の上塗りだと思います。 そこで、これは総理に聞きます。これだけ国会で議論されている問題でありますから、一罰百戒の例えがございますが、この際東急株の問題では国民がすっきり納得するような処断を総理はやるべきだ、そして国民に証券業界にまつわる不正をこの隠すっきりさせるべきだと思いますが、総理、そのお考えはございませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題につきましては、御指摘のように、多くのところから批判の声が上がり、またいろいろ国会の御論議でも取り上げられておるところであります。私は、大蔵大臣に厳正に対処するように当初から申しましたし、また特別調査等を通じて厳正に対処していくものと思っております。
○安恒良一君 あなたはやる気はないんですかと聞いているんですよ。大蔵大臣がやりますと人ごとせん、あなたの気持ちを聞いているんですから。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題が出ました当初に、私は大蔵大臣に厳正に対処するように指示をいたしました。
○安恒良一君 時間がありませんから、厳正に対処するなんて当たり前のことですよ、そんなことをあなたの口から聞こうと思いませんが、まあしようがありません。次にいきます。 そこで、証券局長は補てんの手口を四つ我々に説明してくれました。これは繰り返しません。例えば、野村証券がワラント債を使って日立をどうこうしたとか、年金福祉事業団については国債の売買でと、こういうことで損失補てんの錬金のからくりを述べられました。ところが、八九年の十二月、損失補てん禁止通達を出した以降において損失補てんを受けた企業別に、損失の金額が幾らなのか、それから損失が発生した年月日はいつなあか、それから損失が生じた理由、例えば何という株を売ったり買ったりもしくは国債を扱って損したと、こういうことを明らかにしてもらわぬとこれを議論するのには十分でありませんので、そこをひとつ証券局長、明らかにしてください。今出ているのは、損失を受けた会社名と金額だけが世間に公表されています。これはこれから我々が証券行政を議論するときにどうしても必要ですから、そのことを明らかにしてください。
○政府委員(松野允彦君) 損失の額あるいは発生した年月日、発生した理由というお尋ねでございます。 この損失額を決めようといたしますと、営業特金の中で行われております多数の取引について、一つ一つの取引について、取引の中には利益が出ているものもございますしあるいは損失が出ているものもあるわけでございまして、その取引のすべてについて一つ一つの取引の損益をすべて集計しないと出ないわけでございまして、私どもそれは、もちろん大蔵省としてはそういうデータがございません。各証券会社に対してそういう損失の計算ということがすぐできるかどうかという点を今問い合わせているわけでございます。 発生年月日と申しますのも、これは取引ごとでございますから無数の取引について損益が発生をしているわけでございまして、個々の取引の損益の発生年月日ということになりますとこれは膨大なデータになるわけでございます。それから理由といいますのも、これもその市場の状況によって株式の価格が動くわけでございまして、個々の取引についで損益を全部通算するということは、これは少しお時間をいただければできるわけでございますが、発生年月日、理由ということになりますと、個々の取引ということで考えますと無数のデータということになるわけでございます。 いずれにいたしましても、損益の額につきましては、これは私どもも証券会社に対してできるだけ早く作業を進めるようにということで要請をしておりますし、そういうふうにさらに作業を進めさせたいというふうに思います。
○安恒良一君 私は、今になってまだ作業を進めたいとか、これからですというのは大変不満なんですよ。この問題が出たときに、当然今後証取法の改正なりいろんなことをしなきゃならぬときに、損失が出た金額、補てんをした金額だけで議論ができるはずはないんですよ、そんなことは。当然国会で問題になることはわかっているんですよ。なぜそういうことについて可能な限りの努力をしなかったんですか。 例えば損失補てんというからには、損失を受けた企業なり事業団の公的機関が株や国債への投資で損が出たから損の穴埋めを行ったんでしょう。だから、その実態を国会から聞かれたら言うの当たり前じゃないですか。じゃないと、国民はさっぱりわからぬと言っているんですよ。なぜかというと、会社はうそぶいている。六割ぐらいが、おれたちはそんなことを受けた覚えはないと、こう言うんですからね、公然と。そうすると国民としては、損失を出した企業はどこで、その何割を補てんされたのか、全額を補てんされたのかどうか、これを知りたいんです。なぜかというと、大衆投資家は損が出てもゼロなんですから。一方はこれはしています。そうすると、国民は知りたいし、国会で我々が論議するとき、それを知りたいのは当たり前です。 そこで私は、きのう早目に質問通告しまして、損失補てんを受けたと公表された会社、事業団別に、とりあえず十億円以上の補てんを受けたところが株式、社債等の取引に伴って幾らの損失が出たのか、六十三年九月期以降、毎決算ごとにきちっとしてくれと。それから、六十三年九月以降の営業特金の整理額、残額の現在高、これを出してくれといってきのう要求したんです。しかも、これを全部やらせるのは大変だから、とりあえず十億円以上のところをやってくれと。そうしたら課長が来て、それも大変ですと言うから、そうか、それじゃきょうの論議のために、四社あるんだから十億円以上の二社ずつきちっとして持ってこい、そこまで私は妥協してけさまで待ったんです。そうしたら、けさ持ってきた資料は、十億以上のものはまだできませんということで、それ以外の。そして今さっき、一時ちょっと過ぎに、私の言ったとおりじゃないんですが、十億円以上で持ってきました。 そこで、まず私はこれはお願いをしておきたいんですが、資料要求として、きょうは無理でしょう、きょうは無理ですが、少なくともこの委員会が終わるまでの間に、この前公表されました各社の少なくとも今私が申し上げた二点について、全部の資料を出してもらいたいと思います。それはなぜかというと、すなわち、きょういただいた資料で見る限り、全部営業特金を解約するための補てんのために使われているということがわかったのであります。 きょう、資料をあなたの方からいただきました。この資料で見ますと、A、B、Eという会社はすべてこれは営業特金解約に当たって、そこで出た損失をこれは補てんしていますね。それから、Dという会社は、いわゆる営業特金からこれは顧問つき特金に移る、そのために解約をされている。ですから、いずれも今回の補てんというのは、中身を勉強し議論してくれば、いずれも営業特金の解約に伴う補てんだと、きょうのこのデータではわかるわけですね。しかも、驚くなかれ、昼から持ってきた十億円以上になりますと、損失が十九億しか出ておりませんのに補てんは三十七億している。これは何かと聞いたら、どうも評価損でしょうと担当課長は言っているんです。評価損までいわゆる損失補てんをする。一方大衆の投資家には全然しない。こんなことがこの資料の中で大臣、きょう私が要求した資料、私は二つを見て実は愕然としたんです、何だと、このやり方は。 いわゆる営業特金の解約は証券会社は好んでいるわけじゃないんです。ところが、大蔵省は通達で営業特金の解約を指導して強制した一そこで証券会社は、証券会社の立場では営業特金をどうしても解約しなきゃならぬから、営業特金を預けている企業との間に板挟みになった。苦し紛れに今回の補てんをした。これが今回の私は補てん劇の真相だと思います。ですから、結果的に言うと、営業特金の解約に伴う違約金、迷惑料、こういうことが今回の問題ではないかというふうに、私はきょういただいた二つの資料を私なりに解明して考えるわけであります。 でありますから、これは非常に重要であります。今まであなたたちが言われたことをなおより深くこれを調査して今後の証取法の改正に私たちは当たらなきゃなりませんから、全資料を出してもらいたいと思います。 以上の点について、大臣、簡単に、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 可能な限り資料の提出をすることは当然でありますが、事務的に私はできるかどうかわかりませんので、局長から答弁することをお許しいただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、損失額というものを確定いたしますのには相当なお証券会社に作業が要るわけでございます。もちろん、御指摘でございます。証券会社にその作業を急がせまして、できるだけ御要請におこたえをいたしたいと思います。とりあえず、証券会社に対しましては、大口の補てんをしたところから先に作業をするようにということを今言っております。できるだけ早急に御要請の資料ができるようにしたいと思います。
○安恒良一君 これは今後の証券特の議論ですね。それから、やがて皆さん方が法律改正を出しておいでになります。この臨時国会の議論も必要だし、場合によれば通常国会でも議論しなきゃなりません。そのときに今回のこの補てんの実態というものは非常に重要ですから、ぜひこれは資料を、今私がお願いしたぐらいの資料は、例えば年月日とか毎日毎日の取引までは無理ならば、私が条件をつけましたね、そこまでは早急にひとつ出していただくように、これは委員長、預けておきますから、理事会でも後で御相談を願いたいと思います。 次に、きょうやはり与党議員からも非常に問題になりまして、与党議員からの提起も私は賛成なんですが、損失補てん金の扱い方ですね。 私流に言うと、これは早く取り上げなきゃいかぬなと、こう思っています。それはなぜかというと、今回の不祥事件に対しては、株というのはもともと自己責任原則でありますから、それをまじめに守って多くの投資家はたくさん今日まで来ていますね。ところが、社会的に信頼されている大手大企業は、この大蔵省が出した通達に違反した金を取引先の証券会社から補てんしてもらっている。これが今度の問題でありまして、これは多額の不公正な損失補てん金を受けているわけです。しかも私は、あきれたことには、企業は表ざたになってから、損失補てんを受けた事実を認知していない、知らぬふりを決めているところが六〇%あるわけですね。そして、これは表ざたにならなければ公にならなかった金なんですよ。そうしますと、国民の立場から見ると、目の前にある不公正を正さなければとっても納得いくものではありません。 そこで、午前中の答弁ではどうもお二人とも、それは各企業の自主性などという甘いことを言われていますけれども、あれを聞いておって国民は僕は怒っていると思いますよ。怒っていると思います。だから私、総理、大蔵大臣、このままもらい得を放置して済ましてしまうつもりですか、あなたたちは。このままもらい得を放置してしまうんですか。どうするんですか。これははっきりしてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 午前中も御答弁申し上げましたように、気持ちとして私自身、自分の胸の中にもあるものがございますけれども、我々は法律以上の権限を与えられておりません。そうしますと、企業の自主性に任せるという以外の方法を今日持っておらないわけであります。 ただ、今後の問題として、御審議をいただきたいと願っております法律の中において、今後、悪質な顧客からそうした利益と申しますか、受けた金を没収するような中身にはしたいと考えておりますが、現在残念ながら私どもとして自主性にゆだねる以上の行動の権限を持っておりません。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま大蔵大臣が申し上げたように、社会における公平の倫理から見たら、一般の投資家の皆さん方がこのことに対して激しい不満を持っておられるということは私もいたくわかるわけであります。補てんがどのようなものであったのか、その本当の内容、実態を明らかにしろと、今ここで御議論もあるわけです。ただ、企業が持っておる社会的責任というものもあるわけでありまして、私は、何度も申し上げておるように、この問題については企業がその社会的責任の自覚に立ってどのような自主的な判断のもとで社会に対する貢献をされるのか、いろいろ貢献の方法はあろうと思います。そういったことを今は期待をしておるところです。
○安恒良一君 そんな悠長なことを言っておったら国民はますます怒りますよ。 というのは、あなたたちば一般論としては立派なことを言うわけですよ。例えば大蔵大臣の言葉を引用しますと、世界の他のどこの国でもわざわざ法律の条文にして禁止していない。法律以前の不公正な行為が行われて恥ずかしい、やり切れないとまであなたは言っておるんですよ。また、海部さんもそれに近いことを言っている。そして、恥ずかしい、やり切れないことで不公正な利得を得た企業に、それをあなたたちの企業の道徳責任で対処されたらいいでしょうと。一国の総理、一国の大蔵大臣がそれでいいんですか、それで。それでいいんですか。いいならいいとテレビの前でもう一遍はっきり言ってください。国民によくわかってもらいましょう。海部さんや大蔵大臣が立派なことを言っているが、現実のやり方については、与党議員からもきょうの午前中の質問で何か方法はないかと聞いて、私は重ねて、あなたたちは何か方法をお考えになりませんか、企業の自主性に任せておくだけじゃだめですよと、こう言って聞いているんですが、もう一遍答弁してください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私自身胸の中に思うものはあります。 しかし同時に、私どもは法律の枠内でしか行動ができません。ですから、あえて今後御審議をいただく証取法改正の中にこうした事態において徴収、没収できる規定をつくりたいという気持ちを率直に申し上げております。
○安恒良一君 今あなたが言われているのは今後の法律で、今後起こってくる事例だ。今問題にしているのは、現在不公正な金を受け取っているものをどうするかということなんですから、そこを明確に。 そこで私は、やり方はあると思うんです。現在の目の前にある不公正を少しでも解消するためには特別立法をつくって、これをいっそ取り上げてしまう法律的にしてみればいいというふうに私は思います。それは前例がないわけじゃないんです。昭和四十九年に当時物価高騰と企業への利益の過度の集中を是正するための策として会社臨時特別税法をつくりました。それと今回のものをすべてイコールとは言いませんよ。しかし、つくったんです。ですから私は、今回のこの不祥事を処理するために特別立法で総額千七百二十九億円を国が取り上げてしまう、そして政府としては国民におわびとして実行する、こういう考えを私は、大蔵大臣、今後のこともそうですが、今回のことについてもあなたはやっぱり積極的にお持ちくださったらどうか。次の有力な総理候補の一人と言われているあなたですから、そういうことを含めて私は積極的なお考えをお持ちになったらどうかと思います。 それから、私はさらに今度は海部総理に聞きます。これは、総理というよりも自民党総裁としてお聞きしたいんです。それは何かというと、今回の不祥事件に対して国民はじっと国会を見ています。国会は何をしてくれるだろうか、国民のこういうふんまんやる方ないことについてどうこたえてくれるだろうかと、国民は国会を毎日注目しています。並み並みならぬ関心を持っています。 そこで私は、与党である自民党の総裁として伺いたいんですが、私たちは選挙によって選ばれた者でありまして、今回の不祥事件に対しては、国民の期待にこたえるために、国会は何らかの具体的な成果を上げる必要があると思います。そこで、ここで午前中も与党議員からの提起も幸いありましたから、与野党が一致をして議員立法をつくる、そして今回生じた不公正を少しでも解消する、こういうことが私は必要なことではないか一そうすれば、国民による失なわれた政治の信頼を回復するための一歩ともなりますし、あなたがいつも主張されています政治における不公正を排していく、公平の原則を期す、さらに政治改革をやる、こういうことにつながると思いますから、総理としてじゃなくして、総裁としてどうですか、与野党一致をして、この際、議員立法でこの点をきちっと片づけようじゃありませんか。その点お考えをお聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) おしかりはちょうだいをいたしました。 そして、私ども大蔵省自身また私自身が本委員会においてその責任を問われております。院として行動されることについて賛成とか反対とかをそもそも申し上げること自体が、私の立場としては不謹慎であると思います。今の委員の御意見は私は拝聴させていただきました。
○国務大臣(海部俊樹君) 損失補てんの実態というものをどのようにとらえて、どのようなことがあったときにはこれは許されないものである、今後はそれをしないということについては法改正作業をしておりますが、今すぐ済んだものについての対応その他については、私も先ほど申し上げたように、私は企業がやはり社会的責任を自覚していろいろな方法で社会に貢献し還元していく方法はあろうと思いますから、企業自身でもそのことについての御判断、御議論はあろうと思います。 また、ここで党の立場で答えろということでございますが、与党質問を先ほども厳しく受けました。私は、今後与党ともよく相談をして対処してまいりたいと思います。
○安恒良一君 今、与党の総裁として党ともよく相談したいと言われていますし、午前中も斎藤先生からほぼ私と同じような、表現は私ほどきつくありません、学者先生ですから、しかし大体同じことを言っていますから、これは私は委員長に預けたいと思います。ぜひ理事会でこの取り扱いについては、与野党とも意見を提示していますし、それから総理もよく党と相談してみたいとおっしゃっていますから、ひとつ委員長預かって、参議院の証券特として立派な仕事を国民の前に残してほしいと思いますから、委員長に預けたいと思いますが、どうですか。
○委員長(平井卓志君) ただいまの安恒委員の御提案につきましては、委員長として預かりまして、後刻理事会で十分に協議をいたします。
○安恒良一君 だんだん時間が迫ってきましたから、今度は年金事業団の問題について少し申し上げてみたいと思います。 これは、きょうはもう答弁を実はすっきりしてもらいたいと思ってきのう大分担当局長を呼んで言っておきましたから、簡単に答えてもらいたいんですが、今までのやりとりを見ますと、大蔵省と厚生省の言い分に違いがあるんですよ。そこで、簡単でいいですから、厚生大臣、損失補てんということの定義を明確にしてください。どうも定義がはっきりしていないから今までのような厚生大臣答弁になると思いますが、厚生大臣、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。 損失補てんという言葉をそのまま正直に言葉どおりに受けとめれば、これは要するに損失、今までこの議論の中に出てまいりますのは、株の操作とかあるいはワラント債あるいは先物指数取引、そういったもので出たその損失を補てんするという行為と我々は正直に受け取っておったわけでございますが、実はその後の国会の御審議の経過を経て、証券局の方で提示しておられます損失補てんという概念の説明は、損失補てんそのものずばりのほかにいわゆる利益供与、これを称して損失補てん類似行為というように説明しておられますけれども、そういう言葉の拡大解釈が今あるように承っております。
○安恒良一君 そこで、これもはっきりしてもらいたいんですが、今まであなたたちは、事業団は損失を出してないんだ、二百九億の利益を得ているんだ、事前事後にも利益の供与を求めたこともないし、不自然な取引でも何でもない、通常な取引だと、こう今まであなたたちは答えていた。そこで、じゃ今後ともこのような形の取引をあなたたちは続行するんですかしないんですか、はっきりしてください。
○国務大臣(下条進一郎君) そこで今のお話に続くわけでございますけれども、当省が所管いたしております年金福祉事業団におきましては、貴重な年金の資金を国民からお預かりしているわけでございますので、損を立てないように、しかも長期的に安定的にある程度の利潤を生み出すように、しかも運用は委員御承知のように、株その他ができない、国債、債券にとどまるということでありますから、小さな利幅を元として運営しておるということでございます。そして、それが今お話しのように、利益供与の対象として指摘されたというところが事実でございます。その利益供与の対象というのは、いわゆる税の方の立場から見た概念規定もございますけれども、いろいろな範囲の利益供与があると思います。ディーラーがその取引においてただ利益を供与する形で渡す場合と、あるいはまた取引の中で自分が損をしたと、要するに事業団でなくして向こうさんが損をした部分を今度はカバーするための取引をするということがございます。 我が方の場合の利益を受けたというようなものは、委員御指摘のように、これは我々の取引がいわゆる規定の範囲内にありましてもある時期に集中いたしまして利益を得る時期があった、これが自然であるか不自然であるか、こういうことでございますので、こういう公的機関がディーリングをやる場合におきましては、たとえそれが規定の範囲内におさまっているといたしましても、やはり後ろ指を指されるような取引であるということであれはこれは今後とも慎むような方向で指導をしてまいりたい、私はこのように考えております。
○安恒良一君 持って回ったようなことを言わないでください、時間がありませんから。 私がこういうことをやるのかやらぬのかと聞いているのは、もう既に手口については、ここに資料をいただいていますから証券局から細かくしゃべってもらうのはやめますけれども、一日の売り買いで六百億を動かして、少ないときは一億五千万、多いときには五億五千万も証券会社は損をして取引しているんですよ。こんなことを続けたら証券会社はつぶれますよ、証券会社は。そういうものがこの二百九億の中に入っているんです。これはもう明確になっているんです。 しかも大蔵省は、こういうような取引は今後証券会社を通じてさせません、またこういう取引は不正常でありますと、こう言って答弁しているんです。それをあなたの方は、国民の金を預かっているんだからどんなことがあってももうけさえすればいいということじゃないでしょうと私は言っているんですよ、もうけさえすればいいということじゃないでしょうと。それは、その二%の上下の枠だから構わぬなんて言っても、一日に六百億動かして五億も六億も一日ですよ、せいぜい二日で、証券会社は損をしながら一週間でだあっとこれをやっている事例が出ているじゃないですか。そんなことを承知しておきながら、いや年金事業団がやっていることはいいということに私はならぬと思うんですね。 ですから、それをやった証券会社もけしからぬ、もちろん。しかし年金事業団としては、年金の運用についてそういうことをやってくれと言ってあれしているわけじゃありませんから、私はこういうようなやり方はやっぱり今後年金事業団はやめるならやめるということを明確にしてもらわなきゃならぬ。もう一遍、今度は三大臣相談して答えをもらわなきゃならぬ。というのは、あなたと二人の大臣が言っていることは違うんです。証券局長の言っていることも違うんだ。ですから、私はきょうは余り詳しくやるあれはないと思いますから、そこのところだけをきちっとあなたが答弁をしてくれれはこの問題はそれで済みますから、そこのところを明確にしてください。
○国務大臣(下条進一郎君) くどいようでございますが、私たちのその当時の取引の問題と、それからこれからの対応の問題、この二つに分けて簡単にお話を申し上げたいと思います。 当時のあれをさかのぼってみますと、大体当時のディーリングは一日に約十兆円でございますから、ロットとしてこういう大きな資金を預かっている出し手といたしましては、五百億、六百億というものを例えば短期間の日あるいはまた同日付でやるということは当然出てくるわけでございます。利幅が非常に狭い場合にはそういう取引があることはこれは避けられないということでございますが、今回いわゆる利益供与ということで、受ける方の立場はそういう認識はないにいたしましても、このような問題としていろいろと御議論の対象になっておることもございますので、今後はこういう大きな取引を短期間で集中的にやるということについてはできるだけ自粛するように指導してまいりたいし、また、こういう問題が再び起こることのないようにするためには、やはり規則の改正とかいろいろな形で規律をしっかりやっていただいてそれに従わせていただきたい、こう思うわけでございます。
○安恒良一君 もうこれ以上あれしませんが、私は、やっぱり公的機関である年金事業団が国民から疑惑の目をもって見られるような債券の売買のあり方ということについては、とにかくもうけて元金をふやせばいいということじゃないんですから、そこだけはひとつ厳重に申し上げておきますから、今大臣が言われたようなことを十分今後やってもらいたい、こういうことでこの点はひとつ話を一件落着ということにしておきましょう。 そこで、今度はいわゆる再発防止について少しお聞きをしたいと思います。 これももうきょうまでの委員会でたくさんの議論、提起がされています。例えば、引受部門の分離による大手証券の分割、それから免許制を登録制に変えること、行政指導を法律の規定で行うようにすること、株の配当性を高めること、それから、きょうも先生からもいろいろありました経済倫理面の根本的な見直し、それから自己責任原則の確立、こういうのがありますね。しかし、最終的に日本版のSECの設立ということは不可欠であるというふうに私は思います。既に我が党は、委員長が大蔵省から独立した第三者機関としての独立の行政委員会の設置法案要綱を国民に発表しました。 そこで、まずお聞きしたいんですが、現段階での政府の検討状況について、大蔵大臣、御説明ください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻来申し上げてまいりましたように、大蔵省として七月十日にスタートをさせましたプロジェクトチームは、八月十九日の段階で行革審にその検討内容をすべて移しております。もし必要がありますならばその内容の御説明を申し上げますが、私どもはその時点までに検討いたしました内容のすべてを行革審にお渡しし、行革審の作業を見守っております。
○安恒良一君 行革審の作業を見守っているということですが、これはいろんなのが流れていますね。例えば、大蔵省の中に本省内の部局として再編成をしたりとか、国税庁のような外局案をつぐったりとか、また財界もこういう意見に賛成であるとか、いややはりSECをつくるべきだという財界の意見等もいろいろありますが、私は、やっぱりこれを議論するときに、問題は、創設ありきで設置したけれども機能しないということではこれは政治的な逃げになってしまいますし、また、逆に強制一辺倒では角を矯めて牛を殺す、こういうようなことになりますと世界的にも金融不信を助長しかねません。 そこで私は、アメリカがやっているSECのような二千五百人もの弁護士や公認会計士から成る組織を今直ちに日本につくるというのは非常に問題があるだろうと思います。しかし、少なくともこの国会の中で、日本型SECはどういうもので、どういう内容にすれば実効が上がるのかということをお互いが考えてみる、また議論をしてまとめていかなきゃならぬと思います。 そこで、まずその第一は、新組織というものは情報や資料が十分入手できることが大前提だろう。というのは、現在公取委があります一これは独立機関です。しかし、私たちの目から見ると十分な機能を果たしていません。その一つの原因は、私は、各省の協力が十分でないのじゃないか、この轍を踏んではいけないと思いますが、蔵相、この点は一致しますね、どうですか、外につくるとしたら。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、公正取引委員会の現在果たしておられる役割について云々すべき立場ではないと心得ております。しかし、当然のことながら、公正取引委員会が例えば大蔵省に対して行政的な協力を求められました場合に、可能な限り協力をすべきものである、そのように思います。
○安恒良一君 いや、何も大蔵省がと言っているんじゃないですから、誤解がないように。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ほかのところは私、答えられないから。
○安恒良一君 まあそのことはおきましょう。 そこで、独立機関をつくるとしますと、私は、まず第一は各省庁の協力機関をきちんとやっぱりこの際担保しなきゃならぬと思いますね。これが第一です。 それから第二は、その上で国税庁が今有しています程度の検査、捜査、監視、告発、処分といった強制権限を付与することが私は非常に必要だ、不可欠だと思います。 それから、こうした組織を設置しますから、当然私はやっぱり国税犯則取締法のような法律を立法化することになると思いますが、蔵相、どうお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもは既に行革審に大蔵省としての検討内容をすべて御説明した上でその作業を待っておる立場であります。ですから、委員が前提を置かれまして幾つかの御質問をいただきましたけれども、個別の内容に入ることは私の立場としていかがかと思います。 ただ、独立機関ということで委員が御指摘にならなかった部分で、その組織がどういうものであるか、私ちょっとイメージがわきませんけれども、例えば採用でありますとか処遇でありますとか、あるいは訓練でありますとか人事でありますとか、さらに、当然のことながら国家公務員としての役割をお果たしいただくわけでありますから、その後の再就職問題とか全く異質な部分でも検討すべき課題はあるように思います。
○安恒良一君 私は、きょうはアウトラインだけ言っておりまして、そういうものを十分これからお互いに議論しなきゃならぬと思います。 そこで、例えば組織を考えますと、証券局からは証券取引審査室、投資管理室、検査課、銀行局からは金融先物取引所監理官、金融取引管理官、それから国際金融局からは為替検査官室、これをとりあえず独立機関に移すとして、そして独立機関の長は法務省から検事総長ないし同次長クラスをこれに充てなぎゃいかぬと私は思います。それから公正取引委員会、会計検査院、国税庁からも若干名充てる。民間から弁護士、公認会計士、税理士、こういう者を充てて私はつくっていけばいいと思う。そういうことをきちっとすることが私は国民の期待にこたえることだと思うんですが、今幾ら聞きましても、行革審に全面的にげたを預けているからということで、これより以上の答弁を大蔵大臣からいただこうと思いません。 しかし、まあ行革審に預けているからということで、そんなことを悠長に言っておることが今国民が望んでいることだろうかということを考えると、総理、日本版のSECの実態を十分詰めずに議論することはやめて、私はやっぱり国会の場で与野党がこれまた協議して新組織をつくるべきではないか、こういうふうに思いますね。ですから、きょうもやはりこれまた自民党の方からもそういう提起があって、それに対していろんな答えがありましたが、この点もたびたび自民党総裁として総理に答弁してもらうことはあれですが、私はぜひ総理のお考えを聞かしてもらいたい。 それはなぜかというと、国会は立法府ですから、私は総理だけに申し上げません、与党の皆さんにも申し上げたいんですが、これだけの大事件が起きて世界的にも注目されているときは、証券等の検査・監視部門を独立組織にする、そういう立法化を与野党の手でつくろうではないかということを申し上げている。そうすれば、証券問題について国会は何をしたか、国民は国会側の回答を今待っているわけですから、私は一つの大きな国民に対する期待にこたえる回答になると思います。 そこで私は、ぜひ与党の皆さんにも一緒にやろうじゃありませんかということをこの際呼びかけると同時に、以上の私の考え方について、総理としてじゃありません、総理であれば今行革審に頼んでいるからと、こうなりますからね。自民党の総裁としてどうお考えか、お考えをひとつ聞かしてください。
○国務大臣(海部俊樹君) きょうは行政府の長としてここにお呼び出しをいただいておりますから、まず答弁するときは政府の立場でお答えをさせていただきますが、政府は、これをほっておいていいとは決して思っておりませんし、同時に、大蔵省に対して当初からいろいろとこれに対する反省の上に立ってのいかなる検査機構のあり方がいいか、どのような拡充強化がいいか、プロジェクトチームをつくって早急に対応させ、どのような補てんの内容であったかということは国会に随時御報告もいたさせてまいりました。そして、行政府の中で大蔵省とだけ相談して決めるよりも、国民の皆さんの各界の代表がお集まり願っておる行革審にお願いするのが政府の責務と考えて、私は会長に総理官邸においでいただいて、そこで現状を詳しく話し、早急な審議をお願いしたところでございます。 もちろん、自由民主党の方においてもそれぞれの専門の委員会、調査会においてこの問題については見なりの考え方もいろいろ御議論願っておるわけでありますし、今お触れになりましたように、国会が国権の最高機関であるということも行政府としては十分認識をして対応してまいる考えでございます。
○安恒良一君 この問題は、委員長にお願いしておきますが、与党の先生方も大変御賛成の方も多いと思いますから、ぜひともこの委員会進行中、理事会の中でもひとつ与野党で早急にそういうものをつくるということについて御議論をしていただきたいということを申し上げておきます。 そこで、参考人には大変お待たせいたしました。申しわけありません。もう時間が四十一分までしかありませんから、私、まとめて聞きますから。 というのは、証券業協会というのは大蔵省から出したいろんな示達を指示して協会員が守る、こういうことをされていますね。ところが、今まで協会の定款に従って本当にそういうことをおやりになったのかどうか、おやりになっておれば今回のような不祥事件は起きなかったんじゃないか、私はそこがどうしてもわからぬわけです。 それから、いま一つお聞きをしたいのは、本当に具体的に証券会社を検査しておやりになっておれば、皆さんの手で今回の補てん問題というのはわかったはずですが、それがなぜわからなかったか。 それから最後にお聞きしたいんですが、証券業協会の幹部というのはかなり大蔵省から天下りで、例えばあなたもそうだし理事長さんもそうですが、何人ぐらい大蔵省から天下りがあるのかということと同時に、どうも今回の問題が起こってもあなたたちは涼しい顔をしていますね、責任の一端も何にも感じていない。私から言わせるとちょっと厚顔無恥だ、こう思うんですが、そういう点についてあなたたちとしては、もう本当ならば、これだけの大スキャンダルが起きますと、証券業協会の役員の皆さんはやはり辞職して姿勢を正す、こういうことが私はあってしかるべきだと思うんです。ところが、そういうことも何にもないということになると、私は、この日本証券業協会が必要なのかどうか、その存立すら危ぶまざるを得ませんので、一括してえらい申しわけありませんが、以上の点についてひとつあなたからしかとした答えを聞かせてください。
○参考人(関要君) お答え申し上げます。 まず、証券業協会が大変厚顔無恥ではないか、こういう御指摘でございますが、この問題が発生いたしましてから、私ども証券業協会が中心になりまして、こういった事態、証券不祥事というものが絶対に再発しないように業界改革を推進しているというふうに思っております。今回の事件が発生いたしましたおわび、反省、それから今後の取り組みの姿勢につきましては、去る八月二十三日、倫理綱領の発表と同時に会長談話を発表いたしております。その文書につきましては、諸先生方にお送りしたものでございます。また、その内容についてもし詳しいことを御説明いたせということであれば、いつでもお呼び出しをいただけば御説明をさせていただきたいと思います。 それから、証券業協会は、証券取引法に基づきます自主規制機関としての位置づけでございます。平成元年十二月の証券局長通達をいただきまして、その通達を会員に周知徹底を図るとともに、協会もそれに対応いたしまして規則あるいは各証券会社の社内規則のモデル等を作成いたしまして、あわせて会長の通達を出しまして、役職員に対する教育指導、社内管理体制の強化、こういったものにも一層努力を注ぐようにという指示をいたしております。 また、私ども監査の機能を持っておりまして、この監査計画につきましても、新たに特金勘定の整理状況というものをよくチェックするようにと新しい項目を加えた、こういった努力もいたしているわけでございます。しかしながら、この自主規制機能が十分に働いたかどうかということにつきましては、先生御指摘のように、我々としても十分反省し、なお総点検をしなければならない、こういうふうに思っております。 そういうことで、今後取り組んでいきたいと思っておりますので、御理解願いたいと思います。
○安恒良一君 時間がありませんから、これはまた改めて徹底的に追及はします。私から言わせると、何にもやっていないと思います。 委員長、どうもありがとうございました。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。本岡昭次君。
○本岡昭次君 今も証券スキャンダルの再発防止ということでいろいろ議論がありました。今の段階で再発防止に向けた第一弾として国民が期待しているのは、証券取引法改正案がこの臨時国会に提出されるであろう、こういうことなんでありますが、新聞等を見ますと、大蔵省は改正案の原案をつくる、そうすると自民党がそれに対してあれこれと注文をつけてなかなか改正案がまとまらないという状況のようであります。一体いつこの改正案が国会に提出されるのか、そしてまた、自民党がぐあいが悪いと言っている、注文をつけている中身は一体何なのか、そこを教えていただきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の証券会社の不祥事に対する再発防止策として幾つかのポイントを挙げてまいりました。その中におきまして、損失補てんを禁止する証券取引法の改正法案を今国会に提出し、御審議を願いたいということは繰り返し申し上げてほいりました。しかし現在、具体的な内容などに関しまして関係各省庁などと鋭意協議を進めているところであります。 また、今その改正案の最終案の確定に向けての作業のプロセスについてのお尋ねがございましたが、これはそのプロセスの問題として、個々の御意見についてここで御披露することはお許しをいただきたいと思います。
○本岡昭次君 この特別委員会を参議院で今やっているわけですが、この審議中に提案されるというふうになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、もう正直に申し上げまして、御承知のように、私は国会に今くぎづけでありまして、作業状況を十分に把握いたしておりません。できるだけ早く提出したいと考えておりますけれども、事務的にどこまで進んでいるのか、今現在の状況を確実に把握いたしておりません。できる限り早く提出をいたしたいと考えております。
○本岡昭次君 大臣、それはおかしいですよ。この証券取引法の改正は、通常国会でももっと抜本的なものがされる。しかし、当面緊急を要するものはこの臨時国会でということになっておったんでしょう。そして、今我々がこれを審議しているんですが、法案はいつできるかわからぬ、私はここにくぎづけになっておるからわからぬという、そういうことはちょっと私は許せないと思うんですよね。しかも、先ほどから論議になっておる一般大衆の投資家から見たら我慢のならない損失補てんというこの問題にかかわって、没収せよ、あるいは社会還元せよ、そのまま猫ばばすることは許せぬ、こういう状況が一方にあって、先ほども、これは特別立法でもつくってひとつ扱いを決めようじゃないかというふうな議論が出ておるわけですが、この損失補てんという問題と、今自民党の中で議論していることが深くかかわっておるんです。 というのはどういうことかというと、結局、この損失保証、損失補てんの禁止に違反した者には刑事罰を加える、その刑事罰を加える対象は証券会社とそれから顧客という両方にかかっている、これが大蔵省の原案だと聞いている。しかし、自民党の方は顧客にかけることはやめろと。なぜかというと、自民党の議員の皆さんは、こういう言い方をしたら失礼かもしれませんが、お客になる機会が非常に多いし、現にそういうかかわりをたくさん持っておられる。(発言する者あり)失礼ですがと言っていますやないか、そやから。だから、そういうところがあってこの問題について少しも前へ行かないんじゃないか、こう思っているのであります。 そこで、私がお伺いしたいのは、この証券会社と顧客両方に罰則を加える、すなわち刑事罰の対象にするということをやれば、その後に起こった損失補てんというのは裁判所において没収できるということになる。このことは間違いな。いですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変先ほど失礼いたしました。最初の御質問の個々の御意見というところから続いてとらえたものですから、不適切な部分がありましたらこの点をおわびいたします。 そこで、今御指摘になりました国会提出の日取りということについて、今具体的な日取りを申し上げられるところまで作業が進捗しておりません。これは事実として私も申し上げます。 その上で、証券会社の違法行為を求めるような悪賢な顧客に対して刑事罰の適用の問題、また刑事罰に処せられた顧客が受け取った財産上の利益の没収、追徴といった問題を含め、今私どもとしては法案の取りまとめに鋭意努力をいたしておるところであります。
○本岡昭次君 いや、損失補てんという形で出されたお金は没収できるのかということを聞いている、今度新しくできた法案は、双方に罰則を加えた場合に。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、今申し上げましたように、証券会社の違法行為を求めるような顧客、これは悪質な顧客と申し上げるべきでありましょう。こうした顧客に対しまして刑事罰の適用の問題及びその刑事罰に処せられた顧客に対して、その人が受け取った財産上の利益の没収、追徴の問題を含めて今私はお答えをしたつもりであります。私どもとしては、法律案の取りまとめに今全力を注いでいるさなかであります。
○本岡昭次君 ぜひ、損失補てんという形で蓄積された財産が裁判所の手によって没収されるんだという形での法律改正が大蔵省の原案として出ることを希望いたします。 それで、今回の証券スキャンダルの内容は、証券会社による損失補てんとそれから野村証券、日興証券など証券会社が暴力団と結託した、ここのところに一つの大きな問題があるわけであります。そして結局、一般投資家、大衆投資家をないがしろにして、その犠牲のもとに大手の機関投資家だけの利益を図った。しかも、社会悪として糾弾されるべき対象である暴力団への実質的な資金提供がそうした中で行われていったということ、この問題にかかわって私たちがどういう具体的な解決ができるかということを迫られている、私はこう思います。 したがって、国民のものであるべき証券市場をある意味では私物化した証券業界、大手四大証券とそれから大蔵省の関係、また暴力団の関与、こうしたものがこの際徹底的に解明をされなければならない。そうでなければこの証券・金融特別委員会の使命も果たされない、このように考えるものであります。こうしたことの認識、そしてまた我々に訳せられた責任、こうしたことについて総理と大蔵大臣からその決意を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私ども自身、本委員会の冒頭申し上げましたように、私個人をも含めまして大蔵省の過去の行政というものが問われておるという認識は十分持っておるつもりであります。そして、そのポイントに触れることをお許しいただきますならば、かって保護育成というものを必要とした証券市場から既に世界の有数の市場に発展してきた今日の証券市場というもの、そのプロセスにおいて行政が保護育成という方針から、より透明性を確保し公正性を確保し、開かれた市場に変わっていくべきタイミングを我々はとらえることにおくれたのではないだろうか、こうした反省は深刻に持っております。 また同時に、そのプロセスにおける通達行政というものを振り返り、現在、過去の通達すべてを洗い直し、自主規制団体に移してしまう方が望ましい通達というものは業界の自主規制にゆだねていきたい、しかし法律にきちんと明文化すべき通達というものは法令化していきたい、そして全体を簡素合理化したものにしたい。同時に、今日までしばしば問題を生ずる原因となっておりました口頭通達という習慣は少なくともやめたい。緊急の場合、そういう必要がありましても後でそれを文書で担保するような努力をしたい。こうした点を含めて私どもなりに過去の行政のあり方というものに対しては深刻に受けとめております。 また、先ほど安恒委員から過去の答弁も例に引いておしかりをいただきましたが、確かに各国が当然の倫理として法制化していない損失補てんというものをある時期において我が国では通達で改めて禁止をしなければならない事態というものが発生をいたしました。しかし、その通達もまた完全に踏みにじられました。となれば、その事実の上に立って法制度というものを考えなければなりません。 また、そうした視点において我々が問題を考えますとき、この損失補てんという行為とは全く別の問題というわけにはいかない問題として、また本質的な問題として、証券会社と暴力団との不明朗なかかわり合いというものが大きな問題であります。この問題につきましては、暴力団新法というものも既に国会で制定をいただいております。こうした法律を所管される各省庁とも御相談をし、また捜査当局からの助言もいただきながら我々としての今後のあり方在求めてまいりたい、そのように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 公正な社会の理念という角度から見て、今回のような不祥事件が再発しては絶対にいけないことはそのとおりでありまして、そういう総論に従って今大蔵大臣がここで申し上げたように再発防止のための、そして今起こったことに対する対応としての各論については、政府としては重大な反省に立って、責任も受けとめながらこれを解決するために努力をしていく決意でございます。
○国務大臣(吹田愰君) 先生にお答えいたしますが、国家公安委員会としましてはこの暴力団問題につきましては非常に大きな関心を持っておることは事実でありますし、また今回こうした事件が発生したということは、私は、暴力団そのものの問題ももちろんでありますけれども、そういう金融界とかあるいは証券界、こういったところにそういう暴力団が入っていく環境があったということは非常な残念なことであると思うわけであります。 特に、言葉をかえれば、健全な証券、金融取引の場に奇異に感ぜられる人物が登場するというようなことは、これはもう私どもからとりましてもいかにも残念なことであり、これは許せない行為だと思うんです。したがいまして、断固とした処置でこれから捜査当局を通してこの問題については御期待に沿うように頑張るということをここで意思表明いたしておきます。
○本岡昭次君 具体的な問題で明快な国家公安委員長の答弁をこれから期待して、進めてまいります。 それで大蔵省に伺いますが、一九八九年十二月末の局長通達の出し方ですが、どのような出し方をしたのか。私の理解しているのでは、まず野村証券の役員を呼んで通達を示す、そしてその翌日一日置いて日興、山一それから大和、残りの三社に今度は幹部を呼んで通達する、さらに一週間おくれてそのほかの中小の証券会社に通達する、こういうふうなやり方が行われたというふうに書いてあるんです。これが事実とすれば、そうした情報をまず野村に与えて、そしてその後次々と大から中小というふうに流していく。これがもし大蔵省のやり方だとしたら大変なんですが、私の得ているこの情報は正しいのか間違いなのか、はっきりさせてください。
○政府委員(松野允彦君) 平成元年十二月二十六日付でこの通達が出ているわけでございます。通達は、証券局長名で文書の形で出ておりまして、直接のあて先は日本証券業協会長ということになっております。二十六日付で証券業協会長あてに文書をお渡しし、あわせて各大蔵省の地方の財務局長に対してこういう通達を出したという連絡をしているわけでございます。
○本岡昭次君 答えていないな、僕の質問に対して。
○政府委員(松野允彦君) 通達は、これは今申し上げましたように二十六日付で証券業協会長に出したわけでございまして、その前に各社にこういう通達の内容を連絡するということはしておりません。 それから、通達を出したときに本省の監督二十二社に対しては自主点検を求めたわけでございますが、この自主点検も、各社を呼んで同日あるいは翌日に担当官の方から自主点検をして報告をするようにという連絡をしたわけでございます。
○本岡昭次君 そうすると、私が得た情報は間違いであったというふうにおっしゃっているわけですね、そうですね。それでは後でそのことは私が得た情報の問題として点検をいたします。 それで、この通達なんでありますが、八月二十九日の衆議院における証人喚問で野村証券の田渕前会長が、損失補てんは専務会で決定した、いわば会社の意思としてこれを決定したんだということを証言されているわけですが、会社ぐるみで大蔵省の通達に違反する、こういうことを公然とやられたわけなんであります。 こういう事態に立って大蔵省は一体どう考えていくのかということなんであります。野村証券なり日興証券が損失補てん問題についてある種の責任をとるということから社内処分というものを七月にやっております。しかし、そのことだけで今回の状況を見たときに済むのかという問題があるんです。通達だからやむを得ないという問題じゃないと思うのであります。この間の田渕前会長の証言が誤りでないとするならば、これは改めて野村証券に対して大蔵省からこの処分の問題についてもっと厳格な対応を指示し、求めていかなければならないと私は思うのでありますが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の問題解明のために衆参両院に特別委員会がつくられ、その中において既に衆議院では証人喚問が行われ、参議院においても近く行われると承知をしておりますが、私はその証言の内容についてどうこう申し上げるつもりはございません。 しかし、いずれにいたしましても、結果として損失補てんの禁止を求める通達が完全に無視されたという事実は否定し得ない状況でありまして、こうした事態を踏まえて今後の法改正にも臨みたい、そのように考えております。
○本岡昭次君 今後の法改正は、そうならないような形に当然すると言うのですが、現に通達というものを公然と会社の意思で無視されても、それは通達というものなのだから仕方がない、こういうことになるんですか。おかしいじゃないですか、それは。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 証人の証言というものについて私は言及することは避けるべきであると思います。 しかし、いずれにいたしましても、大蔵省の通達が無視されたという事実が厳然として残っております。これ自身を私自身としては心にとどめなければならない出来事と思いますし、同時に、現在そうした状況をも踏まえて四社に対する特別検査が行われております。検査担当者たちはそれぞれそうしたものを踏まえて行動してくれておると思います。
○本岡昭次君 野村に免許を与えているということは、大蔵省の関係において、通達が出たらそれを誠実に守るという関係というものは保持されるであろうという前提で免許というものを与えていくのと違うんですか、そういうことをしないところには与えないというふうにね。極めて重要な関係だと思うんです。それを無視した、しかも公然とそれをやってのけたというこのことに対して、やはり大蔵省が切り返していくのは、これは免許を取り消すということで対抗しなければ社会的な一つのルールというものが保たれないのじゃないですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 損失補てんと申しますものが現行法令上法令違反でないということに現実の問題がございます。法令違反でないというものを証取法三十五条に基づく行政処分の対象にできるものかどうか。法律上の解釈問題としてはそこに疑義を生ずるのではなかろうか、私はそう思います。
○本岡昭次君 通達行政というものがいろいろ反省されていることはわかります。しかし、通達行政の意味というのは、法令でやらなくともその範囲の中のことですべてうまくいくからそれでいいということでしょう。むしろ法律で縛るよりも証券会社の自発的な、自主的なそういう意思も尊重してということでしょう。だから、そのルールが一方的に無視されるという状況は、これは大蔵省にとって僕は大変なことだと思うんですね。何も大蔵省がいつもトップにいて、そしてそうした行政指導で関係するところを全部締め上げていけというふうなそういうことじゃなくて、やはり公正な社会のルールというものから見たらこれは許せないことだと思うんですよ。法令で縛れなくともあらゆるところで通達、またほかのいろんな形の文書でもってお互いに信頼関係の上で日本の政治とか行政の仕組みは成り立っているんでしょう。それで歴然として一方で打ち破られたことに対して、大蔵省の今の大臣のその態度ではこれは示しかつかぬと思います。 これ以上、大臣に答弁を求めることのやりとりは私はもうしませんが、そのこと自身が大蔵省のやっぱり責任の問題が出てくると思うんですよ。だから、私はその免許取り消しも含めて、野村証券と日興証券の処分のあり方について検討するということをここで求めておきたいと思います。どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員におしかりを受けましても、やはり現行法上法令違反でないものに対して行政処分の対象とできるかどうかについて私は法律的に疑義が残ると思います。 しかし、いずれにいたしましても、現在特別検査を実施中であります。その中におきまして新たな問題を見出しました場合、厳正な処分の対象にしていかなければならぬ、そのように思います。
○本岡昭次君 この通達が出たときの状況をいろいろ調べますと、営業特金という、整理をしなさい、廃止をしなさいと言われているその対象、それは金額的に見て五兆円というふうな大変なものであったと言われています。この営業特金の整理とあわせて、東証一部のそのときの平均株価が三万八千九百十五円という状況が急速に下がって、九〇年の三月末には二万九千九百八十円、わずか三カ月で一気に一万円の株価の値下がり、こういうことを引き起こしたのであります。しかも、大蔵省通達あるいはまた証券会社の営業特金の整理をやるとか損失補てんをしてはならないというふうなことは、ある意味では密室的な出来事なんであります。大蔵省は通達を官報に出したといっても、それが一般大衆に知れるわけでも何でもない。国会議員の中だって、あっ、そんなことがあったのかと後で知るというふうな状況であったと思うのであります。結局、その犠牲になったのはだれか、そんな状態を何一つ知らされていない一般投資家であったのではなかったんですか。 そしてさらに悪いのは、この時期に証券業界は、株価上昇の勢いが来年も続く、一年後には平均株価が四万五千円台になるのではないかといって一般投資家に買いをあおり立てたわけです。そのときに高値をつかまされ、将来四万五千円になるかもしれへんといって、三万九千円台というときの株を買わされた人たち、それを売っていったのはこの四大証券であります。一方で営業特金を整理するという大変なこと、五兆円に上る金が整理の方へ一斉に動くんですから、どういうことになるかということはわかっているはずです。にもかかわらず、買いをあおり立てていった。そして三月末になってくると損失補てんを大口投資家、機関投資家だけにやっている。結局、すべてのその後に起こる事態というのは一通の大蔵省のこの通達から始まったんだと僕は言ってもいいと思うのであります。通達は出さなければならなかったでしょう。しかし、その通達がもたらした意味というのはそういうものがある。 一般投資家たちの怒り、それを大蔵省がしっかりと受けとめなければ、私は大蔵省の信頼は回復できないと思うんですが、どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、さまざまな角度からおしかりをちょうだいいたしました。これに対して、私はそのままそのお言葉はちょうだいをいたします。 ただ、同時に、営業特金というものを既に注意し、警告し、そうしたものを正常化しようという努力を払ってまいりましたこと、また法以前の問題として、当然のことながら守られると思っておりました行動が、現実にはそうでなかった結果、損失補てんを禁止しましたこと、これ自体は私は誤った通達を出したとは考えておりません。しかし、その結果について委員の分析の上でおしかりを受けるならそれは甘受いたします。
○本岡昭次君 私は、ここで総理あるいは大蔵大臣に投資家の保護、投資家というのは一般投資家、大衆投資家というふうに考えていただきたいのですが、それをはっきりさせていただきたいと思うのです。 結局、今回のこの証券スキャンダルが明らかにしたことは、有価証券投資にかかわって、損失補てんが実質に受けられた主体と、そうしたチャンスが全くない。先ほど言ったように情報も入手できないという一般個人投資家が二分されていったという状況を生み出したことなのであります。 結局、大蔵省がどちらの立場に立ったのか、また政府自身がどちらを重視したのかということになるわけですが、もうこれは答えは明らかで、生活者、消費者、一般投資家の利害、便益よりも生産者、そして証券発行体の利益、供給者というふうなものをあなた方が代弁するという仕組み、それを国民がはっきりと知ったということだ、こう僕は思うんです。 投資家の保護というのは、まさに額に汗して働く勤労市民の権利を保護することだ、私はこう思うんです。そのためにこそ証券の発行体や証券会社に対して厳しい基準をつくり上げていかなければならない、こう思うんですね。それを怠った結果今回のスキャンダルを引き起こした、こう思います。 だから私は、新しい日本版SECを新設する、監視、監督の機関をつくるというときに、何のためにつくるのかということは、投資家の保護はどうしたらできるかというところにきちっと絞ってやるべきだ。大蔵省の中につくっては保護できないということははっきりわかったわけでありますから、そこのところを私は強調しておきたいと思うんです。 そしてまた、この大衆投資家の保護ということとあわせて、投資家の自己責任ということがよく言われました、自己責任。株は損したり得したりするのは当たり前だから、そういうことを自覚して買えばいいじゃないか、損をしたときに何を文句言うとるのか、もうけたときもあるじゃないかというふうな異論、議論。結局それは投資家の自己責任、こう言われてみたらそのとおりなのであります。 しかし、本当に大蔵省がこの投資家の自己責任というものを主張して、そしてそうでしょうと国民にアピールするのでしたら、私は、野村証券に代表される証券会社のマスセールス体制をやめさせなければならない、こう思うのですね。しかし、それは全く放任されたまま、四大証券のシナリオ相場というのがあって、そのシナリオどおりに大衆を動員して株を売ったり買わせたりしていく。このことによって投資家の自己責任というふうなものは育つはずがないわけであります。 私は、「野村證券銘柄委員会」という本、そのほかたくさん読みました。これはそういうシナリオ相場をどういうふうにして野村証券がつくり上げていくかということが一番詳細に書かれてあるわけです。結局こうしたシナリオ相場によって大衆に株を買わせて、そしていざ株が下がって損したら、これは投資家の自己責任ではありませんか、こういうふうなことで皆を黙らせてきたということ。そしてそれが実態を見るとそうではない、補てんされていた人たちがいたということで今大衆が怒っているということなんですね。 そこで、大臣とそれから総理大臣に御紹介申し上げたいのですが、社会党の大分県本部が二日間にわたって証券金融問題一一〇番というのを設置して、そしてこの証券問題についていろいろな声を聞いたのであります。二日間で百十七件に及んだ、こうなっている。相談者の多くは高齢者、女性であった。これは想像がつきます、一番被害をこうむったところでしょう。そして最高が千八百万、平均二百十五万円の損失というふうになったようであります。 結局、そこでは豊田商事まがいの証券会社が、金を持っておられると目されるお年寄りやそれから女性のところへ入り込んで、強引に元金は必ず保証するとか、銀行よりはるかに得とか、いろいろなことを言いながら金を集めて、そして商品を変えてくれ、そこでもう私が売るのをやめてくれと言っても、それをさせない。そして次々と保証金を出させて負担を増大させていく。そして抗議に行ったら、いや、あなたと立ち会った人はもう転勤していないとか、それから最後は開き直って対応するところもある。そして今解約してしれと言っても応じない。こういうケースがたくさんあったということで、私はこういうものは全国的にずっとこれからやっていけば大変な事態が具体的に出てくるのではないか、こう思うのであります。 結局、この証券行政というものに携わった大蔵省の責任は一体どうすればいいのか。すべてやはり大蔵省に対する不信感ということに私は尽きてくる、こう思うのでありますが、大蔵大臣の御所見というものを、本当の気持ちをひとつここで述べていただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今国会の冒頭、本院におきましての本会議で、私に発言を与えられました最初の機会に、私はこうした事態についてのおわびを本院本会議場を通じて申し上げました。今も同じ気持ちであります。そして今委員から具体的に社会党大分県本部として生の声を受けとめられたそのままのお話をいただきました。率直に申して、行政当局として力足らざるをおわびする以外の言葉がありません。ただ同時に、例えばその損失補てんの禁止にいたしましても、営業特金の問題にいたしましても、むしろ一部に発見された実例から、まさに委員が御指摘のように特定の顧客だけが利益を得るような行為、証券市場に公平性を欠く行為を禁止するつもりで行動したということだけはおわかりをいただきたいと思うのであります。その結果が全く予期しない事態を招き、今私どもは厳しい御批判の中にあります。それ自体について弁解をいたすつもりはありませんが、また個別の施策について長々とごあいさつをするつもりはありませんが、このような事態が再び起こらないために全力を尽くしたい。その中において、今日までの行政が業者の保護育成に偏っていたという御批判も素直にちょうだいをいたさなければならぬと思います。 私は、今日までも一般の小口の投資家の方々の保護を行政が脳裏に置かなかったとは決して思っておりません。しかし、結果が力足らずを皆さんの前にお示しすることになりました。この事態に対しては本当に申しわけありませんという言葉以外はありませんが、今後私と同じ職につく方が、今私が申し上げておるような思いでこの場に立つことが二度とないように全力を尽くしたいと思っております。
○本岡昭次君 きょうは質問したいことがたくさんありますので、もう少し大蔵大臣とやりとりしたいのですが、また大蔵委員会でさせていただくことにいたします。今の大蔵大臣の御答弁は一〇〇%受けとめておきます。 文部省に一言伺っておきます。 衆議院の質問の中で、公立学校共済の損失補てんの問題にかかわって、営業特金をまだ残しているということで大蔵大臣なりにおしかりを受けているような状況を私見ましたが、何ですか、まだ営業特金を大事に持っておるのですか、まだ整理をしていないのですか。
○国務大臣(井上裕君) 営業特金につきましては、平成元年十二月の大蔵省証券局長通達等にかんがみ、文部省といたしましてこの趣旨を指導し、公立学校共済組合においては当時十三社あった営業特金を投資顧問契約つきの特定金銭信託に順次切りかえるとともに、残っておりました営業特金につきましては、同組合と証券会社との間で平成二年六月に損失補てんをしない旨の確認書を取り交わしたところであります。 公立学校共済組合では、今回の事態にかんがみ、八月三十一日に残っておりました六社の営業特金をすべて投資顧問契約つきの特定金銭信託に切りかえた次第であります。
○本岡昭次君 結構です。同じやるならもう少し早く切って、恥をかかぬようにした方がいいと思いますね。 次に、証券会社、銀行などの金融関係と暴力団、そして政界との結託について伺っていきたいと思うのです。 最近、協和、富士、東海、興銀、東洋信金を舞台に、手口が全く同じの超大型金融犯罪が続出しておりますが、これらは氷山の一角で、金融界全体にはまだ類似の犯罪がたくさん埋もれているんではないかというふうにも言われています。そして、今回のずっと一連の金融犯罪、経済犯罪というべきものを見たときに、登場してくる共通項があるんですね。金融ブローカーがいて、株取引が必ずあって、そしてそこに暴力団が介在している、そして政治家と、こうくるんですけれども、それは浮かび上がってこない。 こういうふうなことになっているんですが、法務省それから警察庁、こうしたことに対する認識、どういう認識をしておられるのか、大臣なり国家公安委員長にこれはお伺いしたい、このように思います。
○国務大臣(吹田愰君) お答えいたします。 先ほども暴力団問題につきましては少し申し上げたわけでありますが、今回の一連の金融機関に係る事件の背景には、いわゆるバブルがはじけた現象、こういったものをまず認識しなきゃならぬと思いますが、この種の金融機関をめぐる不正事案について、その公共的性格から国民の経済生活に影響を与えるということにつきましては、私は特に経済秩序を乱すということにおいての問題として責任を非常に大きく感じなきゃならぬと思っております。 したがいまして、これらの犯罪に対しましては、ただいま捜査当局におきまして厳正に対処しておるわけでありますし、私も毎日のように刑事局長と会って督励をいたしております。全力を挙げて関係機関が努力しておるわけでありますし、また刑罰法令に触れるというような事犯があるとすれば、それはもうきちっと処理をいたす、こういう考え方で進めておることもこの際申し上げておきます。
○国務大臣(左藤恵君) 検察の面におきましても、今国家公安委員長が言われたように、健全な経済取引秩序を侵害する、そして国民生活を脅かす、こういった各種の財政経済事犯、これに対しましては厳しく対応していかなければならないということで、現在検察に課せられました重要課題の一つと認識して、刑事事件として取り上げるべきものにつきましては、その真相の解明に全力を尽くして適正に対処していかなければならない、今そういった姿勢でおるところでございます。
○本岡昭次君 私、今手元に持っておりますリストは、東京佐川急便関連金融一覧表、そして東京佐川急便が裏保証をした金融機関より借り入れた会社名、金額を明示する保証先内容一覧表を持っておりますが、きのうこれを関係局に示しまして、これが正しいものかどうかということの確認を求めていたんですが、どうですか。
○政府委員(土田正顕君) 一覧表を拝見したわけでございますが、私どもとしてはそのような一覧表は承知しておりません。
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。 東京佐川急便に関しましては、八月一日に前社長、前常務につきまして、いわゆる弁済能力のない会社に対する融資について、そのことを知りながら佐川急便の名前におきまして債務保証をした、こういう特別背任容疑で告発がなされておりまして、現在その捜査が行われておるわけでございます。その事実は、昨日お示しいただきましたこの表の中にございますユートピア修善寺という会社に対する二十億円の債務保証ということで告発がなされておるわけでございまして、それ以外の事実につきましては、少なくとも告訴状上承知をしないわけでございます。 いずれにいたしましても、佐川急便の前経営者陣による債務保証問題がこの告発のポイントであるというふうに理解をしておるわけでございまして、この点につきましては具体的な捜査事件でございますからこれ以上言及はできませんけれども、そういった立場におきまして、先生お示しのごの表が、何と申しますか、正しいものかどうか、あるいは証拠をもって認定できるものかどうかという点につきましては、私はここでお答えする立場にはないということは御理解いただきたいと思います。
○本岡昭次君 お答えできないとおっしゃるのですけれども、私の持っているのが正本と書いてあって、整理ナンバーも打ってあって、ちゃんと事件の番号もあるわけで、立派なこれはリストだ、こういうふうに思っているのです。 そこで、確認の問題は別にして、ここに三十六社ですか、そして一個人が出ておりますが、この中の三十六社が稲川会石井進氏等の暴力団関係の会社、あるいはまた佐川急便の前渡辺社長あるいは早乙女前常務関連の会社、あるいは最近の経済事犯をずっと起こしておりますが、そういうところに暗躍した金融ブローカー関係者の関係する会社。私も今一生懸命調べまして、この三十六社の中で十二社、そういうものを国会図書館の協力も得て調べ上げました。どうですか、きのうそれを調べてくれと頼んでおいたのですが、そのリストが確認できたできないとは別に、私の頼みました暴力団と関係のある企業はどうかという点についてはお答えしていただけるんじゃないのですか。
○政府委員(井嶋一友君) 先ほど申しましたように、具体的に捜査が始まっておる事件でございますから、お示しいただきました表についての個々の確認は差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、御指摘のようなことも踏まえて捜査が進んでいくのだろうというふうに思っております。
○本岡昭次君 国家公安委員長とか法務大臣の歯切れのいい決意と打って変わって、何ですか、局長は隠しておるわけですが、この中には北東開発、今出てきたユートピア修善寺、ゴールドバレーカントリークラブ、グレンピークマナーカントリークラブですか、それからキタイチとか、リバスター音産、それから市原観光開発、北洋産業、岩間開発、日本ロイヤルクラブ、ずっとこういうところはみんなそういう方たちに関係しておるんですよ。それで、私もこれからまた調べていきますが、今の段階でわかっているのはそれだけです。 要するにこの問題は、債務保証ということをなぜ東京佐川急便、これは運送会社でしょう、そこがやるのか。ここに保証債務の区分と保証債務履行に関する対策ということで東京佐川急便、佐川急便グループがやっているんですよね。 この資料をずっと読みますと、最後のところに出てくる債務保証総額が三千九百八十五億円、約四千億という債務保証を佐川急便が先ほど言いました三十何社に対してやっているんですよ。そしてその中で、債務保証しなくてもその企業の力で返せるだろうというのが四百七十六億円、債務保証したんだからこれは佐川急便が責任を持たなければならないだろうというのが三千五百九億円というふうにここに出ている。そしてその中で、佐川急便自身が債務保証として借りたお金を返さなければならないだろうというのが一千八百四十四億円、その中に資産の裏づけが全くないというのが千七百三十三億円もあるという、そういうことを承知の上で債務保証をするんですね。大変なことですよ、裏づけが何にもないのに。そしてグループ各社で引き受けるものというのが千六百六十五億円、これは株式が二百八億とか、不動産が千二十七億とか、ゴルフ会員権が四百三十億とか、債務保証するときの担保のようなものがある。ところが、今言いました千七百三十三億円というものは全く何もないものを債務保証してまさかのときは私のところが引き受けますよ、こういうことをやっている。 この債務保証、一体なぜこういうことをやったのか。債務保証をすると何か〇・何%とか一%とか手数料をもらえるというふうな商慣行かあるようですが、まさかその手数料を稼ぐために債務保証をしたのではないだろう、こう思うのであります。だから、東京佐川急便の今起こっている問題を解明するかぎ、それはこの債務保証、なぜこれだけの債務保証を東京佐川急便がやったのか。しかもそこには暴力団関係の企業がずっと出てきている。ここのところを解明するということが現在の金融犯罪の問題を解いていく非常に重要な問題だと思うのですが、どうですか。
○政府委員(井嶋一友君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、現在告訴が出ております事件は、早乙女が代表取締役をやっております株式会社ユートピア修善寺に対する二十億円の融資についてこの佐川急便会社の名前で債務保証をしたという事件でございますから、当面この告訴事実についての捜査が進行するわけでございますので、今委員はたくさん御指摘になりましたけれども、私自身もそのようなことにお答えする情報を持ち合わせておりません。 しかし、なぜそういう債務保証をしたかというお尋ねですが、実はその辺が告訴の趣旨だろうと思うわけでございまして、そういったところが解明されて初めて告訴の目的が達成するのだろうと思うわけでございますから、いずれにいたしましても、これから捜査が行われるという段階であるということに御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 捜査中だということはそれはわかりますけれども、今私が示したこういう問題、あなたはこの債務保証の総額の問題について全然知らないとおっしゃいましたね。その程度のことで一体この東京佐川急便の問題が解明できるのですか。先ほど断固たる決意でやると言って、初め物すごい決意表明をいただいたら、後は何かもう全く意味のない答弁に終始しているじゃないですか。もう一遍ちょっと答弁してください、きっちりできるでしょう、もう少し。
○政府委員(井嶋一友君) 捜査中の事件につきまして答弁を差し控えさせていただきます理由というのは、もう既に委員もおわかりいただいておると思うわけでございますけれども、いろいろ捜査というのは密行といったような原則もございますし、人権その他にもいろいろ影響いたします。さらに、現在及び将来の捜査あるいは裁判にもいろいろ影響するわけでございますので、詳細につきましてはできるだけ答弁を差し控えさせていただいておる。しかし、はっきりしたものについてはお答えを申し上げておるわけでございます。 しかしながら、今お尋ねの事件につきましては、先ほど来申しましたように、二十億円の債務保証という事件として告発を受けたという事実を承知しておるだけでございますので、それ以外の背景あるいはそれに至るいろいろな経緯といったものは私も情報としてまだ何も受け取っていないということを申し上げておるわけでございます。
○本岡昭次君 東京佐川急便の元社長の渡辺氏とそれから前常務の早乙女氏が告訴されている。しかし、それを取り消そうという動きもあるというふうなことを聞いておりますが、そういうことはあるのですかないのですか。
○政府委員(井嶋一友君) そういう動きがあるということは私ども全く関知する立場にはございません。
○本岡昭次君 経済犯罪と暴力団の関係を一体どういうふうにして私たちは解明をしたらいいのかという糸口を、私は今必死になってある意味では求めているわけであります。ところが、検察の側は木で鼻をくくったような紋切り梨の答弁で、捜査中だから何もできない、こういうことでは国会というものに対して国民が期待している問題の解明、本質は何かということをもっと追及してほしいということに何らこれはこたえられないということで、私は非常にこれは不満足であります。 しかし、限られた時間の中でどうしようもありませんから、もう少し問題をずっと発展させていきますけれども、東京佐川急便という運送会社が先ほど言ったように多額の債務保証をやって、ある意味では第二のイトマンというふうな形になっていくという可能性がかなり高い。しかし、その中は暴力団がその会社を食い物にしていくいろんな典型的な形が出てきている。だから私はそのことを問題にしている。しかも、東京急行電鉄ですか、その株の取引の中にも、やはりこの東京佐川急便の渡辺社長の名義で、石井進氏の仮名の形で買い占めに加担をしているというふうなこともずっと今出てきておりますので、もう少し誠意を持って私は答弁をしていただきたい、こういうふうに思うんですね。 それで、私は取っかかりを失ってしまって今困っているんですが、そうしたら角度を変えて、ことしの八月二日に出された週刊朝日にこの佐川急便の佐川会長の告白が出ているのであります。「ヤクザと政治家に喰われた二千億円」という表題であります。「ヤクザと政治家に喰われた二千億円」というのは、これは債務保証をしたことを「喰われた」と言っていると私は思うんですね。そして、その中に佐川会長の話として、渡辺という東京佐川急便のかつての社長は佐川氏に対して、わしには超大物の政治家が二人ついておる、だから警察がおれを捕まえようとしても捕まえられへんのやというふうなたんかを切っているんだというようなことをその週刊誌の中で言っています。超大物の二人の政治家はだれかと尋ねても、それはよくわかっておっても答えへんと思いますが、ほぼこれは想像がつくわけなんですね。そして、その二人の超大物政治家というものがついているこの渡辺氏と稲川会の石井氏が竹下内閣の誕生に深くかかわるというふうな有力な話も一方に存在をしているのであります。日本の内閣がつくられる際に暴力団がかかわっていたというふうなことは本当にゆゆしき問題で、私も信じたくありません。だけれども、そうした事柄がやはりこう流布されて私の耳にも入ってくる。こういうことでありますので、若干質問をしておきたいと思うんです。 昭和六十二年ごろ、都内で竹下登氏を総理にしようという街宣活動をやっている団体がありました。私も、清水谷の宿舎からここに来る間にずっとやっておりますから、ごっつい右翼に応援してもろうとるんかなあ言って、みんなで何でやろうというような話もしたこともあるんですが、この団体は、これは何という団体ですか。
○政府委員(吉野準君) お答えいたします。 この団体は、香川県に本部を置きます日本皇民党という団体であると承知いたしております。
○本岡昭次君 それで、一九八八年二月の月刊現代には、今度はまた竹下総理はなぜ右翼におびえるのかという、こういうショッキングなルポが出されてくる。そして、その中に今言われた皇民党と竹下氏のかかわりが詳細に出てくる人ですね。警察庁としてそうした情報を持っておりますか。
○政府委員(吉野準君) これは一般論になるわけでございますが、私どもは右翼なら右翼ということで幅広く情報を収集しておるわけでございますが、この目的というのは犯罪として成立するかどうか、あるいは犯罪としての容疑があるかどうかというところにポイントがあるわけでございまして、犯罪が成立するものなら断固として捜査をしてこれを公表するということでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 そのかかわりというのは、この「現代」から得た知識ということで申し上げるならば、そうした竹下氏を総理にしようというような運動はやめてもらいたいと言ってこの皇民党の方にいろいろ働きかけをするんですが、自民党の代議士の方々も何かそういう交渉に当たられたと名前が出たりしておりますが、しかし全然それをやめようとしない。そこで、先ほどから私が問題にしている東京佐川急便の渡辺氏がそこにあらわれて、そして稲川会の石井進氏がその仲立ちをして、そして一定の何億という資金を渡辺氏が提供して一件落着ということになったというふうなくだりがずっとある。そして、そういうことは私の耳にもいろいろな形で情報として入ってくる。 それで、結局私はなぜこういうことを言うかというと、佐川急便の渡辺氏というのは、単に東京佐川急便の社長であってユートピア修善寺の二十億をどうしたとかこうしたとかということだけじゃなくて、こういうところにもずっと名前が出てくる。しかし、先ほどおっしゃったように、犯罪がなければ何もやれないんだと、こうおっしゃる。今日のこの証券スキャンダル問題にかかわり、そして暴力団がいろいろな形でかかわってきている。それがみんな犯罪がないから何もやらないんだということになれば、それはどうぞ御自由におやりくださいということと私は同じことになるんではないかというふうに思うんです。 だから、渡辺氏がそうした四千億円もの債務保証をしていろんなところでお金を動かしながら、やみの中で使う金をそこで蓄えて、そしていろんなところにそのお金を使いながら日本の政治を動かしていく、あるいはまた証券や金融業界を食い物にしていく、こうした図式、構図というものがある程度浮かび上がってきても、今言うように犯罪を構成しなければ手がつけられないというふうなことでは、これは一体どうなるのかということですよ。重大な決意を持ってやりますとおっしゃいましたけれども、どういうふうにしてこうした問題が出てくる前にそうしたことを一つ一つそうならないように抑えていくかという、この問題が大事なんでしょう。 犯罪を犯したらそこを取り締まりますというふうな形ではもうやれない一つの状況が今あるということについて一体どういうふうな認識を持っておられるのか、国家公安委員長とそれから法務大臣、お二人にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(吹田愰君) これはなかなか難しい話で、犯罪を構成していないということであればそれはもちろん逮捕もできませんし、手を入れることもなかなか難しい問題だと思いますが、しかしながら社会的に今日のようなこういう問題になってくるとすれば、これは少なくとも道義的社会的責任というものは大きいと思います。そういう意味におきまして、社会の秩序というものを維持するためには公正な姿というものをつくっていくということが非常に大きな意義を持っておると思います。そういう意味におきましては、どれから政治家の最も大きな役割になってくるのではないかというふうに思います。 ただ、残念なことは、私どもも暴力団に対する新法というものを過般の国会で極めて短期間に満場一致で皆さん方の御協力でこれを成立せしめていただいたわけでありまして、その施行に当たりまして非常に努力をしておりますが、法的な問題で若干の時間が今かかっておりますものですから、直ちにこれを適用するというところまでは入っておりません。したがって、その時間は少しいただかなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、政治家としての国家公安委員長の私としまして、今後捜査陣に対しましても、あるいはまた社会的なこうした大きな反響を呼んでおる問題について、全力を挙げて国民の皆さんに少しでも御理解いただけるような姿勢というものを警察当局もつくっていかなきゃならぬ、こういうふうに頑張ることをここで申し上げておきます。
○国務大臣(左藤恵君) 暴力団が経済取引の分野に進出してくる、そして不法な活動をしていくということで資金源を稼いでいくといいますか、そういうことをするということ自体、法秩序の維持を所管する法務大臣という立場からもまことに遺憾なことである、このように思います。暴力団がそうした経済取引の分野において行います犯罪行為というものがあれば、これはもう厳正に取り締まらなければならない、このように考えておるわけでありまして、今お話しの点につきまして、犯罪行為という分野で我々はそれに対処していかなければならない、このように考えておるところでございます。」
○本岡昭次君 時間が来ましたので、最後に総理にこの暴力団問題についての決意を伺って、終わります。 私が冒頭言いましたように、今回のこの証券・金融スキャンダルという問題を解明していく一つの柱がその暴力団との癒着関係、結託した状況というものを解明していく、そしてそういうことにならないようにやっぱり政治の手で一つ一つ手を打っていく、問題は犯罪が起こらないようにしていくということなんでありますが、そういうことをやらなければどうにもならぬ。そして、今回の暴力団新法とおっしゃいましたけれども、私はそうしたものではもはや対応できないような状態にあるんではないかと思います。 海部総理、我が国は法治国家として国際的信頼を高めていかにゃいかぬと思うのであります。そして、国民の信頼もそういうところから回復していかにゃいけないわけでありますが、この暴力団の経済犯罪を生み出す土壌をやっぱり徹底的に取り締まっていくきめの細かい対応というものをひとつ政府の行為としてやっていかなければ、犯罪が出たら取り締まりますというふうな受け身の形ではもうどうにもならないような状態があるんじゃないかと私は思いますので、総理の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 暴力を背景にしての経済活動や国民生活を脅かす活動は根絶の必要があるというのは、そのとおりであります。そして、犯罪の容疑があるときには、これは徹底的に厳正に対処しなければなりません。それも当然のことであります。それを事前に予防していくためにはどうすべきか、今後関係各省庁、企業等とも連絡をとりながらそれを未然に防ぐための努力をいたしていかなければならないと考えておるところであります。
○太田淳夫君 先ほど同僚委員からもお話がありましたが、この証券不祥事、金融不祥事に対して国民の皆様方からの声というものがやはり私たちの手元にも数多く届いております。その一つをここで御紹介させていただきたいと思うんです。 この方は最初にこうおっしゃっております。「現在向けられている視点は証券各社と大口投資家との問題が総ての感あり、大衆は蚊帳の外、その陰に虎の子の資産を食ひつぶされ何の補償も受けられない多くの庶民が忘れ去られています」と、こうおっしゃっております。 そして、こういう大きな株投資のために犠牲になっている庶民の皆様方の多くは、大蔵大臣も御存じだと思いますが、あのNTTの株の問題がやはりそこに存在をしているわけです。この方は、第二回、二百五十五万で買ったんです。周りの方々も買われました。第一回目の売り出しというものはなかなか庶民の皆さんには手に入りませんでした。第二回目は二百五十五万でありました。NTT株は上がりますよという声にこの方も胸を躍らせたのではないかと思いますが、その直後から毎日のように株価が下がりました。証券マンに相談しますと、今売ることはない、辛抱していれば必ず上がるんだ。その言葉を信じていらっしゃいました。「遂には半値八掛け二割引きで底を打たない株はないと説得され」、それを本当に信じて多くの大衆というのはこのNTT株を手放さないで辛抱してみえました。今、半値どころか三分の一にもならないこの現状で、断腸の思い、泣くに泣けない立場にいるのが実情である、こうおっしゃっております。 こういう実情をどのように大蔵大臣はお感じになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この問題が発生をいたしましてから私のところにも、第一回目、第二回目のNTT株の放出に際してそれを取得し、今日株価が低迷している中で、一方で損失補てんといった大口の一部の人たちにだけ証券会社が利益提供を行っていることは許せないという声は何件からょうだいをいたしました。私自身が電話に出たものがあります。また、家族がとりましてお答えに窮したこともございます。まさに御指摘のとおりの声が多数あると思います。 殊に、電電公社が新たな組織として発足をすることになりまして、その前途というものに国民は大きな期待を寄せられました。私たちもそうでありました。今日、NTT株というものが本当に七十万円台で推移をしているという状況を考えますと、政府が放出をした株でありますだけに、また当時その値段を設定するには私は設定したなりの理由はあったと思いますけれども、そうしたおしかりの声が来るということは当然受けなければならない私自身への声と、そのように考えております。 そして、NTTに対して株主への利益還元を要望される声が強いことも承知いたしております。NTTというものが民営化企業として株式会社であり、かつ企業規模などから考えましても日本を代表する上場企業であります以上、料金の引き下げなどによる利用者への利益還元ばかりではなく、株主への利益還元というものにもこうした点から十分配慮していただきたいもの、私自身そのように感じます。 昨年の三月三十日、政府として決定をしましたNTTのあり方についての措置におきましても、「NTTが行う株主への利益還元について十分配意する」こととされております。基本的には、NTTがその経営状況等から自主的に判断されるべき事項ではありますけれども、私どもの立場としてはNTTが株主に対する利益還元策に積極的に取り組んでいただくことを心から願っておりますし、またそうした行動がNTTの評価を高め、NTT株というものの魅力を市場においても取り戻す最大のものであると考えております。当然ながら政府としても、NTTがそうした方面についての意向を有しておられるとすれば十分配慮すべきことと、そのように考えております。
○太田淳夫君 これは報道にありましたけれども、再度NTT株の売り出しをするんだということを大蔵省で検討されているということがございました。これはまさしく二百五十五万で買って悩んでみえるこういう方々の気持ちを踏みにじることになるのではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) NTT株の売却というものにつきましては、未売却五百万株というものを確かに現在政府は保有しているわけであります。そのためにこの取り扱いをめぐって市場に不透明感が生じている、そして需給関係に影響を与えるという指摘がなされておりました。こうしたことから、私どもとしてはそうした不透明感を払拭すると同時に、NTTの民営化というものが着実に進展しますように、昨年十二月、計画的売却というものを基本に置いた方針というものを公表させていただきました。 具体的に申し上げますならば、未売却の五百万株のうち、二百五十万株につきましては今年度以降計画的な販売をしていきたい、五十万株ずつ程度。そして、これは市場の状況いかんによることでありますが、場合によっては前倒しをすることもあり得るだろう、それだけの状況がよくなれば。同時に、残余の二百五十万株については当分の間売却を凍結しよう、こうした方針を明らかにいたしております。 これから先も状況を十分判断しながら、市場に不透明感を残さないように、また民営化に資するように我々としては努力をしていきたいと考えております。
○太田淳夫君 売り出しをすれば、また値が下がるおそれがあるわけですね。先ほど私が申し上げましたように、そういう二百五十万で買った方々の気持ちを踏みにじるようなことはしてもらいたくない、このことを申し上げておきたいと思います。 さらに、この方が補てんの問題に絡んでおっしゃっておりますことは、一つは、内容の説明もよく受けずに買った投資信託の多くは大きく額面を割っている。この問題はまた後ほど取り上げたいと思います。また、最も悪質なケースというのは、ワラント債の勧誘なんですね。これは午前中もいろいろと質問されましたけれども、ほとんどこれによって購入をし、将来の楽しみにしておりながら資産はゼロという状態になった方々もおみえになります。 今回の証券会社による大口投資者に対する補てんの問題、これは大蔵大臣としまして、先ほどかろいろいろと御答弁されておりますけれども、証券取引法にまさしく違反する行為ではないですか。どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 繰り返し申し上げてまいりましたけれども、損失補てんなどという行為が現実に行われるというようなことはだれも想定しておりませんでした。私個人から申し上げるなら、法律以前の倫理の問題と申し上げたいぐらいでありますが、遺憾ながら法律には損失補てんというものを禁止しておりません。この点は各国ともに損失補てんについて禁止の条文を設けておる法律がないのと同様に、日本でもこんなばかなことをする、そういうことはだれも考えていなかった。今日、そうした事態が現実に発生をし、通達が踏みにじられ、法律改正までを必要とする状態になりましたことを本当に情けなく思っております。
○太田淳夫君 第一条の目的には公正な取引ということが書いてございますね。公正な取引ということです。これはまさしく法律以前の問題かもしれません。法文にはないかもしれませんね、損失補てんと申しますものは。先ほどあなたがおっしゃっておりましたように。世界じゅうでそういう条文が法律にないとしても、公正な取引ということは世界共通な一つの大きなルールじゃないでしょうか。今回のこの損失補てんということは、そういう世界共通のルールに反することじゃないですか。この証券取引法の第一条に書いてある目的、これにも反することじゃないですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) むしろ、ですから委員がその御指摘になる気持ちを私は決してわからないというのじゃありません。ただ、証券取引法の中に、例えば事前に約束をして利益がそうならなかったとき、事前の約束をして補てんをする行為、すなわち損失保証はわざわざ条文を設けて禁止しております。こういうことは恐らく立法者の意思としてあり得ることとして法文上明定されたと思いますけれども、事後における損失補てんというのはまさに条文の中にないんです。他の国においても自主規制機関のルールとしてそうしたものを定めておられる国はあると聞いておりますが、法律の中に定められていないということは事実であります。
○太田淳夫君 ですから、今あなたが取り上げられました五十条の件でございますね。損失補てんのこの五十条三号で言います「約」、これですね。この意味はどういう意味ですか。
○政府委員(松野允彦君) 五十条の第一項の第三号以下がこの損失補てんの負担を約して勧誘する行為というものが規定されているわけでございます。 第三号では、「有価証券の売買」、ちょっと飛ばしまして、「について生じた損失の全部又は一部を負担することを約して勧誘する行為」というのが禁止行為となっております。私どもは、これは文字どおり、この「損失の全部又は一部を負担することを約して勧誘する行為」、つまり勧誘行為としてそういう行為をしちゃいかぬということがこの五十条で禁止されているというふうに解釈をしているわけでございます。
○太田淳夫君 今説明がありましたけれども、この五十条三号で言う「約」というのはすべてに通ずるんじゃないですか。例えばいろんな約束がありますね。名刺による約束あるいはメモによる約束、正式文書による約束あるいは口頭による約束等々がございます。相対の場合もあるでしょうし、あるいは第三者を介入させた場合もあるでしょうし、あるいは電話によるいろんな約もあるでしょう。今回の場合は、国民の立場から見ましても、そういったやりとりが何もなくて補てんなどはあり得ない、これが共通の感情じゃないでしょうか。法律上が云々と申しますけれども、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは具体的に私が取引当事者ではありませんし、また検査、調査に入りました立場でもございませんので、個別の事例について云々はできません。しかし、委員がお述べになりたいお気持ち、あるいは先ほどのお手紙の中にございましたようなお気持ちというものが理解できないわけではありません。 ただ、行政当局として、やはりそういう問題について、いわば訴訟にたえるだけの確証が得られる場合と得られない場合とがございます。また、証券局の持つ検査機能と申しますのは、犯罪捜査を想定したものではないということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
○太田淳夫君 ですから、世界共通のルールからいえば、これはもう法律以前の問題なんです。あってはならないことなんですね。それが現在行われた。 私たちは、この損失補てん問題を見てみますと、やはり何といっても、保証と補てんとは違うんだというのは、大蔵省の行政責任を回避するために考え出されたものとしか思えないわけですよ。ですから、これは大蔵省にとっては非常に都合のいい論理と言わざるを得ないわけです。事後の補てんがあるということは、これはどう考えても事前の利益保証、これの実効的な行為なんですから、ですからこれは明白に証取法違反である。この損失保証があったかどうかということをまず大蔵省としては調査する、それが最初ではなかったかと思うんですね。 私たちが申し上げたいことは、まず関係者というのを調査し、そして損失保証の立証に全力を挙げる、これを認定できるような段階に達したならば違反行為に相ふさわしい行政処分をしていく、これが私たちは当然大蔵省としてとるべき態度であったと、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今日の時点において過去を振り返ってのおしかりにつきましては、これを甘受いたします。 現在、御承知のように、大手証券四社に対して特別検査が行われております。当然のことながら、今委員が御指摘になりましたような認識を検査に当たる職員は皆持ちながら検査をいたしておるものと信じております。
○太田淳夫君 今、六十年四月以降の補てんの話も出されました。この調査は今何社に対してされていますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大手証券四社への特別検査の問題でありますか。これは大手四大証券に対して特別検査は行われておると承知しています。
○太田淳夫君 現在どの程度までこれは把握されていますか。
○政府委員(松野允彦君) 大手四社に同時に特別検査に入っておりまして、特別検査の主なテーマは、御指摘の損失保証の有無ということが非常に大きなテーマになっております。あわせまして、平成二年四月以降の損失補てんあるいは損失保証というもの、あるいは野村証券、日興証券につきましては暴力団関係の問題あるいは東急株の問題というふうな問題に絞って検査をしているわけでございます。 検査は七月の十八日から入ったわけでございますが、現在までのところ、これは四社に同時に入っておりまして、検査官がやや手薄ということもございますし、あるいは東急株の問題では営業店に今臨席をしている最中でございます。まだ残念ながら中間報告を聞くような段階になっておりません。これは主任検査官が各社に一人ずついるわけでございますが、その主任検査官にある程度判断をゆだねて、検査をある程度独立してやるというのが検査のやり方でございまして、主任検査官がある程度まとまった段階で報告を受けるということになっております。主任検査官にはできるだけ早くある程度のまとめをするようにという指示はしているわけでございます。
○太田淳夫君 今、特別検査をされておりますけれども、ここでいろんな問題点、今まで指摘されたような問題点が出た場合には公表させるんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今までも損失補てんにつきまして私どもは各社に対して自主公表という行為を求めてまいりました。当然のことながら、これだけ世間をお騒がせしている事態の中での特別検査であります。当然そうした行為は行われるものと信じております。
○太田淳夫君 その場合、社内処分等を求める、そういう態勢でいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、特別検査の内容というものを今から想定するわけにはまいりませんが、その結果において社内処分に該当すべきものであるのか、あるいはそれ以上の処分を必要とする事態になるのか、処分を必要としない検査報告が出るのか、これは私ちょっと今何とも申しようがありません。ただ、処分を必要とする事態が把握されましたときには、当然のことながら厳重な処分を行っていかなければならぬと思います。
○太田淳夫君 証券局長にお尋ねしますが、特別検査が現在行われておりますけれども、この特別委員会の終了までに中間報告をさせる用意はないですか。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、この検査の実施あるいは実施方法あるいはその進度につきましては主任検査官にかなりの自主的在判断をゆだねております。私ども、先ほど申し上げましたように、なるべく早くある程度のまとめをするようにという指示はしているわけでございますが、いつまでというような指示をするというわけにもまいりません。なるべく早くともかく真相をつかんで、先ほど申し上げましたすべてのテーマについて一斉に全部固めるということではなくても、一つ一つの問題、例えば損失保証があったかどうかというような問題、あるいは損失補てんの有無というような問題について、まとまり次第御報告を申し上げたいというふうに思っているわけでございます。
○太田淳夫君 この特別委員会が終わるまでに中間報告を提出してもらいたいと思うんですが、どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは大変申しわけありません。今局長が申し上げましたとおり、主任検査官以下各検査官が全力を尽くしておるところであります。何日までにその作業を終われとか、あるいはその作業を中断して中間報告にかかれとかという指示は私の立場としてはできません。むしろ少しでも早く作業を完了するように督励をいたしたいと思います。
○太田淳夫君 次に、衆参の大蔵委員会あるいは予算委員会等々でいろんな損失補てんの手口ということが明らかになってきているわけですけれども、その中で、国債とかあるいはワラント債を補てん先に安く売って高く買い戻す手法があったわけでございます。この手法で補てんが行われますと、証券会社自体にこれは損失が発生することになるわけですが、この損失は大蔵省としてはどのように調査されておりますか。証券会社が損をかぶっているんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 損失補てんの手口の中で、国債、ワラント債などを利用して証券会社が大口の法人顧客に安く売って高く買い戻すというような取引がございます。その場合にはその取引だけで証券会社に売買損が発生するわけでございまして、その売買損、それは売買損として証券会社の経理に計上されております。 なおそれ以外に、例えば新発債を配分するという場合には、これは直接的には証券会社の損益には反映しないというものもございます。
○太田淳夫君 あるいは証券取引責任準備金を取り崩して穴埋めしている可能性はないですか。
○政府委員(松野允彦君) 現在まで明らかになっております損失補てんにつきましては、証券取引責任準備金を取り崩したものはございません。
○太田淳夫君 あるいは系列の投資信託委託会社の投資信託に肩がわりされているなどの可能性はないでしょうか。これは親会社である証券会社が成績のよい投資信託の中から株や債券を引っこ抜いてそういうことが行われているように聞いておりますけれども、そのような行為がこの損失補てんに使われたことはないでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 現在までの私どもの調査ではそういう事例はございません。なお、特別検査の中でそういう点も含めて検査をしている状況にございます。
○太田淳夫君 先ほどのお手紙の中に投資信託の問題がございました。先日の私たちの同僚の片上委員の質問に対しまして、投資信託におきますところの平成四年の償還分で四五・二%の元本割れの実態が明らかになりました。投信の償還というのは、これは平成四年というよりも平成五年償還分が多いと思います。 そこで、平成五年度中の償還分のファンド数、純資産残高の七月末の額を示していただきたいし、そのうち元本割れはどうなっているのか、その割合と金額を示していただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 平成五年中に償還が予定されております単位型の投資信託でございますが、これは全体で千三十一本ございまして、その純資産額は七月末現在で八兆七千八百八十二億円でございます。そのうち七月末で元本を割っておりますのは五百二十八本、本数のシェアでは五一・二%でございますが、純資産額では六兆四千二百一億円、純資産額では七三二一%という割合になっております。
○太田淳夫君 それだけ多くのものが元本割れになっているわけでございますが、証券局長、この投資信託というのはどういう方式ですか。投資信託、どういう仕組みになっているんですか。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
○政府委員(松野允彦君) これは証券投資信託でございまして、証券投資信託の受益証券というものを一般の方に販売いたしまして、その集まったお金を、これは実際のお金は信託銀行に信託されるわけでございますけれども、その信託されたお金を、投資信託の委託会社というのがございまして、これが運用を指図する。投資信託の種類によっては株式を中心に運用するものもございますし、あるいは公社債を中心に運用するというようないろいろな商品がございます。
○太田淳夫君 そこで、この投資信託のファンドの中の元本割れというのが四年、五年とあるわけです。現在の株価の推移の中ではこれが回復をするかどうかということは非常に疑問であります。その点で私たちもいろいろと調査いたしました。そうしたところ、この投資信託のファンドの中の元本割れの中には、証券会社の親会社が系列を利用して、その子会社が運用するファンドの中から成績のよいのを取り出していくというやり方が私たちの調査でわかりました。そのために子会社がそのしわ寄せを受けて成績不良なファンドを抱えるということでございますが、大蔵省として調査してありますか。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げました証券投資信託委託会社というのが運用を指図しているわけでございます。これは、親会社が証券会社の場合が多いわけでございまして、したがいまして委託会社の運用指図というものが親会社の影響によってゆがめられるというようなことになりますと御指摘のような問題が起こり得るわけでございまして、その点については委託会社の親会社からの独立性というものを私どもも非常に注意して見ておりますし、また委託会社は、これは法律の規定に基づきまして、一般の投資家、つまり受益者のために忠実に運営しなきゃならないという忠実義務が課されております。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕 そういったようなことで、いろいろと仕組み上は委託会社の運用というものが親会社の指図あるいは親会社によってゆがめられないようにというようなことになっているわけでございますが、私どもも委託会社の検査あるいは親証券会社の検査の際には、そういったものが守られるかどうか、御指摘のようなケースがないかどうかという点について十分見ているところでございます。現在までのところ御指摘のような事実はないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在、親証券会社、四大証券会社を検査している最中でございまして、御指摘のような点についても問題意識を持ちながら検査してまいりたいというふうに思っております。
○太田淳夫君 まさしく投資信託というのは、小口の方々、証券投資に対する知識のない方々、あるいは知識があっても仕事が忙しくてなかなか自分では投資をできない、そういう方々が集まってできた基金でございますから貴重な財産です。どうかそういった点についても調査をしていただきたい、そのことを申し上げておきます。 時間もなくなりましたんですが、次に、厚生年金基金の信託資金の総額、この問題について御質問いたします。 これも予算委員会の同僚委員の質問で、平成元年三月末で時価で評価した評価損が九千億円ということでわかりました。この厚生年金基金の運用というのはどこでやっているんでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) 厚生年金基金は、御承知のように、厚生年金の中での二階建ての部分、この部分の有効活用をしようということであるわけでございまして、現在、全国で千五百五十三基金あるわけでございまして、また同時に、それに対する連合会があり、ともどもそれぞれの自主判断で運用をしておるわけでございます。この運用につきましては信託と生保どこの二つでございまして、総額が二十五兆六千億、うち信託が十七兆、また連合会は一兆七千億と、こういうことでございます。
○太田淳夫君 これはやはり予算委員会で明らかになりましたんですが、平成元年の運用実績を見ますと、総合利回りは一・二五、平成二年はどういう状況でありますか。
○国務大臣(下条進一郎君) 平成二年の方は現在調査中でございまして、この十月末までに全国基金並びに連合会から報告がある、こういうことになっております。
○太田淳夫君 最近の五年間の実績を見ますと、やはり総合利回りと総利回りというのが逆転しまして、いわゆるタコ配状態になっているんじゃないか、こう私たちも思っているわけでございますが、簿価の上から見ますと、実体資産の増減というのは非常にわかりにくい、しかし実体資産というのは急激に目減りをしているということは言えると思います。このままでおきますと給付が非常に心配な状態になる、これは指摘されました。この年金基金の経理というのが不健全になりますと、将来の給付の悪化とかあるいは加入者の負担の増加が問題になってまいります。市況が不透明な中でございますので、先行きは極めてこれは懸念されるわけでございます。 先回の参議院の本会議でまた同僚議員からも質問しましたが、総理は心配ないという御答弁がありましたけれども、これは現在の状況から見ますと容易な予測と言わざるを得ないと、こう思います。厚生省としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) 委員御承知のように、厚生年金と申しますのは、長期安定的にこれを運用していかなきゃならない。そして、掛けてこられた勤労者の方々がお年を召したときに給付するその資金でございますから、この運用につきましても長期的な視点での運用をやっておるわけでございまして、現在、御指摘の平成元年の評価損約九千億という数字でございますが、これは帳簿を見て評価をし直せばそういうことだということでありますが、売却したわけじゃございませんので、長期的に見て、長い目で見て損の立たないように安全運転をしていくということに心がけておりますので御心配はないと、こういうことだと思います。
○太田淳夫君 そこで、私たちもいろいろと調査いたしてまいりました。今、信託会社が三分の二の運用をしているわけでございますが、信託会社でこの年金を運用する中で、国税庁の方々が両建てと言っていることが行われているわけですね。 これはどういうことかといいますと、株や債券の先物取引を活用する方法だと。株の先物取引では証券会社にも協力をしてもらう。まず、株式市場が開くと同時に親しい証券会社に対して株先の売り買いを出し、同じ日の後場近くに決済してしまう。その日の相場の変動幅にもよりますが、必ず売り買いどちらかがプラス、どちらかがマイナスになる。そして、このプラスの売買をファントラ扱いにする。その次が問題ですね。マイナスを年金扱いにする。そしてこれを毎日やる。同じ日に決済するのは日付の関係で両建てが露見しないからだ、こう信託銀行の関係者の方がおっしゃっているわけですが、この結果どうなのかといいますと、ファントラには益が出ますけれども、この分だけ年金に損が出るということになりませんか。これは、年金資金が毎月増加するために問題にしにくいということをねらってやっているやり方だということですが、その点大蔵省、どうでしょうか、調査されていますか。
○政府委員(土田正顕君) 個別、具体的にどのようなケースがあるのかということにつきましてはっきりした御説明を今申し上げることはできないわけでございますが、このファンドの受託者はそれなりの裁量権を持っております。それで、その限りにおきまして運用する責任があるわけでございます。ただし、年金の場合に、これが委託者の指図によって運用されている部分がどの程度あるかどうか、そこについてはつまびらかでございませんので、この運用の裁量権を行使する部分と、それから委託者からの指図によって行動する部分、それをどのように組み合わせておるか、ちょっとにわかに御説明はできません。 いずれにいたしましても、信託銀行は受託者の立場としていろいろな義務を持っておりまして、この忠実義務、善管注意義務、分別管理義務、そのようなものに反することがないように運用すべき責任があるものと考えております。
○太田淳夫君 私は、調査をされているかと質問したんです。その点どうですか。
○政府委員(土田正顕君) 厚生年金基金の方の信託の運用について、一般的な調査以外に立ち入って調査をしていることは余りこれまでやっておらないと思います。
○太田淳夫君 今私が申し上げたことについて、大蔵大臣、調査はしますか、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) とっさのお尋ねで、ちょっと私も法律的にわかりません。しかし、問題点として委員が御指摘になりましたことは理解をいたしました。 今後どういうふうにするのか、事務的に相談をし、その結果を御報告させていただきます。
○太田淳夫君 総理、最後になりましたけれども、いずれにしましても、今回の金融そして証券の不祥事の問題、先ほどからも論議されておりますが、やみの世界の金が表の世界に入ってくる。あるいは、せんだっての証人喚問で御出席いただいた田渕前会長の場合でも、私たちでさえもなかなか会うことができない立場の人ですね。それにいわゆるやみの世界の人、暴力団のトップの人が安易に会えるような、現在の我々から見たらそういう不思議な世界が展開されている。大口投資家であれば何でもできるというようなことであってはなりません。 今、日本は世界経済の中心的な立場になりました。それだけに責任の重い立場ではないかと思います。今世界は日本がどのような公正なルールをつくるか、そのことを注目していると思います。 総理に最後に、これからのこの問題の解決、あるいは日本のこれからの政治、経済をどのように運営されていく御決意かをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の一連の事件に対して、内外の投資家の皆さんから厳しい不信の目を向けられたり、御批判を受けたりしてきました。私が目指しておる公正な社会の理念というものからいっても、こういったことは絶対に二度と繰り返してはならぬということはもう言をまたないところであります。 政府は、どのような対応策でもってこれの根絶に努めていくのか、今、できる限りの調査をし、できる限りわかったことは国会にも御報告をしておりますし、同時に、法律に頼らなければならないものは法律改正に従う、さらに広く各界の皆さんの御意見を聞きながら、どのような検査・監視機能というものを強化していったらいいかという点についても鋭意御審議を進めていただいておるところでありまして、行革審の答申等もいただいたら、それを参照しながら対応を力強く進めていかなければならないと考えております。
○太田淳夫君 終わります。
○上田耕一郎君 私、この証券スキャンダル問題をずっと調べまして、構造、仕組みにやっぱり問題があると思います。 第一に、金融政策までアメリカ言いなりという日米関係の卑屈な仕組みがあります。バブル経済というのは、大蔵大臣も何度も言われているように、八五年九月のプラザ合意から始まっている。あそこから急速な円高になりますわな。それでベーカー財務長官から頼まれて公定歩合まで引き下げる。五回にわたって引き下げて最低二・五%。西ドイツは半年ぐらいだったのに日本は二年三カ月続くわけですよ。日銀が出動してドルまで買う。それで円資金、マネーサプライが膨れ上がって土地と株に回っていくんです。それで、大企業、銀行、証券会社はおそるべきもうけをやったんだけれども、一般の国民は地価暴騰でマイホームも失う、それから預金の目減りで恐るべき損害を受けるということになったわけですね。 二番目の仕組みの問題は、世界一の証券会社と言われる野村を軸にして大和、山一、日興の四大証券の日本の証券市場におけるひとり占め、いわゆる寡占体制です。株価操縦もできる、超過利潤も生まれる、その中には暴力団まで組み込まれているという世界にもない寡占体制、四大証券会社の。 三つ目は、その四大証券会社を相手にした大蔵省の通達行政、行政指導等々、反省の言葉もありますけれども、あえて言えば、長い間につくり出された癒着の仕組みというものがあったと思うんです。 きょう私は、時間も余りございませんので、三番目の大蔵省と証券会社との癒着の仕組みの問題から質問していきたいと思います。 資料を配付いたしましたが、これを見てください。「証券局と証券会社との定例の懇談会について」、これは大蔵省から出していただいたもので、この中にある「参加メンバー」の「当方」というのは何も日本共産党のことじゃございません、大蔵省証券局ですからね。この中で、四社との懇談会は四社社長と月一回、副社長との懇談会月一回、株式本部長、債券本部長、引受本部長、国際本部長とそれぞれ二カ月に一回ずつです。最後、株式部長との懇談会、流通市場課長等が出て、四社株式部長、月一回です。これは霞が関ビルの三十三階で、東海大の校友会の会議室で昼食会として行われているんですね。これは大変なものですよ。これだけのものを定期的にきっちりやっているんですから、本当のもたれ合いの癒着だと思うんですね。 証券局長にお伺いしますけれども、記録はとってあるんですか。
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の会合については、特に記録はとってございません。
○上田耕一郎君 この「目的・内容」を見てください。「行政の説明及び意見交換」となっています。だから四大証券側もいろいろ言うわけですよ、意見交換で。それで、あうんの呼吸でやるつもりで記録はとってないんでしょうけれども、僕は記録が全くないということはないと思うんだな。これは課長さん、局長さんが出ているんだから、やっぱりだれか事務官の方が行ってメモをとっていると思うんだけれども、公的にはないということになっている。私は、こういうものを続けていったんでは、通達行政、行政指導の今までのやり方を反省すると大蔵大臣言われても、癒着の構造というのは直らないと思うんですよ。 どうですか橋本さん、もうこういうものは再検討すると、すっぱりやめてもっと透明なやり方に変えるという決意はございませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日、衆議院の特別委員会におきましても同様の御質問がございました。 私は、実はこういう状況すべてを知っていたわけではありませんけれども、そのときに私が感じましたことを率直に申しますならば、これが何ら人に恥じる行動でない内容を持っておるものならば今後も正々堂々と続けるべきである、内心じくじたるものを持つ会合であるなら即刻やめたらよろしいと。むしろ私は、正々堂々と何らみずからに恥じるものがないならばこうした会合を持ち、行政の意思を伝え、例えば本日のこの御審議一つをとりましても、こういう御指摘があったんだから諸君直せとか、そういうことは堂々と言ったらいいと思うんです。これは、会合そのものの中身を私よく存じませんので、率直にそのときも今のような御答弁を申し上げました。
○上田耕一郎君 どうも大蔵大臣もこの一覧表の事実を、一部は御存じだったんでしょうけれども、全体知らなかったと。これは大変なことだと思うんですね。 それで、中身がじくじたるものがあったかどうかというお話なので、きょう私は、損失補てん問題とNTT株の問題、この具体的な問題を二つ取り上げたいと思います。 まず第一に、これまで証券局長は衆参の予算委員会で、十二月二十六日に例の通達を出して以後、一月から三月までの損失補てん額、本省監理十七社で八百二十八億円という答弁をされました。千六十四億円の実に七七・八%ですね、八割。通達で損失補てんは原則禁止、厳に慎めという言い方だけれども、禁止を言った後で八割が行われた。 局長、この中での四大証券の分をお答え願います。
○政府委員(松野允彦君) 大手四社の平成元年度の全体の損失補てん額が七百九十五億円でございまして、そのうち平成二年一-三月期の補てん額は六百八十六億円、八六・三%でございます。
○上田耕一郎君 その中で大和はどのくらいですか。
○政府委員(松野允彦君) 大和証券は、元年度全体が二百四億円、そのうち一-三月は百八十七億円でございます。
○上田耕一郎君 私はなぜ大和を聞いたかといいますと、大和は通達が生まれるきっかけになった会社だからですよ。十一月に発覚するでしょう。大和の問題になったのは、十四年前の百四億円の損害ですね。それをダミー会社つくってかぶせていたということが問題になって、役職員十二人の減給だとか、それから追徴だとか、いろいろ処分されるわけだ。処分発表が十二月二十六日ですよ。その日に通達が出たんだもの。大和は十四年前の損失補てんでそれだけ処分を受けておいて、その後まだ百八十七億円、一-三月でやる。考えられますか。知らなかったんですか、証券局長。
○政府委員(松野允彦君) 当時の報告では、その三月の自主報告のときに一-三月のものがあったという報告を受けたということでございます。
○上田耕一郎君 きょう午後の審議で、問題の損失補てんの実相が大分浮かび上がってきたと思うんですね。今の大和の問題もそうです。つまり、あれだけ処分をされていて、また百八十七億やるということは、証券局と相談しながらある黙認を受けてやっているということなんですよ。十二月二十六日に通達が出ると、それで一月から株価が下がるわけです。あの通達の中身は損失補てんの禁止でしょう。もう一つは営業特金の適正化ですね。ところが、三月というのは営業特金の決算期ですよ。証券会社の決算期です。それで株価下がるんだから。さあ解除しようと思ったら損害が大きくなっておる。どうするかというので証券会社は頑張るわけですよ。だから野村は三月の専務会で決めているんですよ。しかし、こうやって株式部長会をやっているんですから、何の話も出ないわけないですよ、必ず話が出ている。 いろいろ当時の新聞を見てみますと、はっきりと当時の状況が書いてあります。日経の平成二年七月二十七日付には振り返ってこう書いてある。「大きな損失が発生しているような営業特金の契約を解除するうえでやむを得ない場合に限ったもので」、これ損失補てんですよ、「関係者の処分を前提に大蔵省も認めていた」、こう書いてある。さらに決定的な証拠は、日経新聞三月十日付です。もうお亡くなりになりましたけれども、水谷証券局業務課長の談話が載っています。「不透明な裁きと言われても、存在することがおかしい営業特金の排除の方が先決」というんです。だから、通達で二つのことを言ったと。損失保証、損失補てんやめろと、営業特金の適正化と。営業特金の適正化、この排除が先決で、この過程で生まれた損失保証、これはやむを得ない場合は正規のトラブル処理の手続に沿って清算してもいいが、その場合相応の行政処分をやると。つまり関係者の処分を前提に大蔵省は認めていた、業務課長の談話まで載っているんですから。ですから、証券局が何も知らなかったなんて全くあり得ないですよ。 それで、この再発防止というんだけれども、真相を突きとめないでどうやって再発防止ができますか。大蔵省の証券局の責任を明らかにしないでどうやって有効な具体的な再発防止策ができますか。証券局長松野さんは、関東財務局で東京証券取引所の監理官もおやりになり、証券局担当の官房審議官もおやりになった。六月から局長ですね。だから、この間のことをよく御存じのはずです。どうです、真相は私が言ったとおりじゃありませんか。
○政府委員(松野允彦君) その間の事情につきまして私が報告を受けておりますめは、十二月に通達を出し、かつ三月までの自主報告を求め、その自主報告に際して通達発出後の損失補てんをやむを得ずやったということでございます。 その間、営業特金の適正化という点については、もちろん三月までに全部適正化しろという指導をしていたわけではございません。適正化は年内、平成二年いっぱいということで指導していたわけでございます。しかし、その指導をする一方、損失補てんについては、これは絶対にしないようにということを繰り返し指導していたというふうに私は報告を受けているわけでございます。
○上田耕一郎君 真相を御存じになっていてもああいう答弁しかやっぱりできないだろうと思いますけれども、お聞きの皆さんはあの当時の事態の経過が何だったか、真相がどうだったか、大蔵省がどこまで責任を持っていたか、持つべきであったか、おわかりになったと思うんですね。これは今後、もっともっと追求して、真相を国民の前に明らかにする責任をお持ちだということを私は指摘しておきたいと思います。 こういう癒着の中で、NTT株の問題、これは大蔵省が証券会社の助けをかりるという国がやった財テクでバブル経済をあおったものですよ、五百四十万株売って十兆円国の資金をつくったんですから。 まず、三回のNTT株の売り出し価格、株数、国庫に入った総額、現在の株価、簡潔にそれだけ答えてください。
○政府委員(寺村信行君) 第一次売却は、売却株式数百九十五万株でございます。売却価格でございますが、そのうちの二十万株につきましては一般競争入札で売却をいたしましたので、売却価格は最低が百一万七千円から最高は二百四十万円でございます。この一般競争入札の平均落札価格は百十九万七千円でございましたから、百六十五万株を売却いたしました。残り値づけ株十万株は百六十万円で売却をいたしました。以上第一次売却の売却収入は二兆三千五百九十一億円でございます。 第二次売却は、売却価格二百五十五万円、売却株式数百九十五万株、売却収入四兆九千九十八億円でございます。 第三次売却は、売却価格百九十万円、売却株式数百五十万株、売却収入二兆八千百三十八億円でございます。 本日の東京証券取引所のNTT株価の終わり値は七十九万二千円でございます。
○上田耕一郎君 初めて株を買って、その方々が一株二百五十五万円。一番高いものを買った方は百七十数万円の損害を受けているというのは大変なことで、大臣言われたように、国が責任を持って売り出したので他の株とは違うときょう答弁されましたね。そういう問題なんです。 それで、私は特に第二次を問題にしたい。これはなぜかといいますと、第二次は八七年十一月十日から十二日まで売り出したんですが、その前の十月十九日、ブラックマンデーで株が暴落したときだから。有名なアレツハウザー氏の「ザ・ハウス・オブ・ノムラ」という本は、冒頭「野村が世界を救った日」というので、このときのNTT株の問題から書かれています。それで、株の暴落が予想される十月二十日がちょうど株式部長会、火曜会が開かれるときだったんですね。それで開かれた。 証券局長、この昼食会で暴落の阻止、特にNTT株の値下がり防止は話題になったんじゃないでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のちょうどブラックマンデーの翌日でございますが、十月二十日に流通市場課長と株式部長との定例の昼食会が開かれております。十月二十日はブラックマンデーの影響を受けまして株価が非常に急落をしたわけでございまして、そのような状況で流通市場課長、これは流通市場課を直接監督管理しているわけでございますが、ニューヨーク市場の状況とかあるいは国内の投資家の状況というものに対する最新の情報を収集するということでその会合に臨んだわけでございまして、御指摘のように、特にNTT株の問題について話をしたという事実はないというふうに聞いております。
○上田耕一郎君 私は当時の新聞を調べました。日経十月二十一日付には、松川流通市場課長、この昼食会に出た方の談話が出ている。「個々の銘柄については何も言っていない。ただ証券会社の側から、NTT株はシンボル的な存在だから、売り気配が続くのは好ましくないとの意見があったので、聞きおいた」と、そう言っているんだから、何も言わなかったけれども聞きおいたんです。ノーとは言わなかったんです。 さらに翌日朝、異例なことに午前十時から四社の株式本部長会議、これは常務、専務ですよ、それが開かれた。ここで、それまでNTT株の自己売買は自粛になっていたんだけれども、自粛を解いて、四大証券がNTT株第二次売り出しを前にして承認という話が出たんじゃないですか。証券局長、いかがですか。
○政府委員(松野允彦君) 十月二十一日、つまり翌日でございますが、に御指摘の株式本部長会議が開かれたことは事実でございます。これも市場の情報収集のための会議を持ったわけでございます。 御指摘の自己売買の問題でございますが、これは証券会社による自主的な規制として、通常の市場における適正な株価形成のために自己売買について一定のルールを設けているわけでございまして、このルールについて、これは証券会社が自主的につくっているルールでございます。その二十一日の会合で特に大蔵省からそのルールについて何か言ったというようなことはございません。
○上田耕一郎君 六十二年十一月七日の「週刊東洋経済」が取材をして、この会合の詳細について書いています。「四社の意見に対して松川流通市場課長はかなり柔軟な反応を示したようだ」と、こう書いてある。「緊急事態に限って自己売買を認めることで意見一致をみた。そして、だれからということもなく、自己売買の規模は一社二千億円、四社で八千億円といった数字まで話題になった」と。これはNTTだけじゃないですよ。私どもNTTの自己売買を野村がどのぐらいやったか数字も見ました。その年の十月は九月の十六、七倍自己売買ありますけれどもね。こういう形で、あのブラックマンデーの株の暴落の中でNTTの買い支えが始まるんです。NTT株は二十一日には急反発、二十四万円高の二百八十九万円が終わり値です。 それで、詳しい経過はもう省きますけれども、十一月九日の株価の終わり値の三・五%安で、二百五十五万円というそういう高値でNTT株の放出価格が決まったんですよ。こういう経過を見ますと、これは私は事実に基づいて、当時の報道等々で質問しているんですから。それで、野村はこの当時どれだけ本気でNTTをやったか。この点では私は有名な「ポートフォリオウィークリー」、野村証券へ行って直接調べました。八七年十一月十六日から八八年二月二十二日まで連続十四週、これは確認しただけで注目銘柄といってNTTは毎号載っているんですよ。毎号載っている。 それで、私この問題で大蔵大臣にお伺いしたい。 こういう問題は、それこそ通達等々に違反することではないかと思うんですね。例えば証券取引法五十四条に基づいて省令が出ています、昭和四十年。「特定かつ少数の銘柄の株式について、不特定かつ多数の顧客に対し、その買付けを一定期間継続していっせいにかつ過度に勧誘」する、これはいかぬということになっておる、省令で。それから昭和四十九年、これは国会でもしばしば問題になっていますが、「投資者本位の営業姿勢の徹底について」という通達が出ている。先ほどは省令、これは通達です。「投資者の意向と実情に則した取引を行うこと」の中で、「自社の営業方針に基づく特定少数の銘柄の一律集中的な推奨の如く投資情報を主観的又は恣意的に提供することは厳に慎むこと」となっている。野村は、確認しただけで、十四週一律集中的にNTT株を推奨するんですよ。省令違反、通達無視、ここにも出ている。 それで私は、この問題では、先ほど言った三番目の問題、大蔵省と証券会社との癒着構造が大きな問題と言ったけれども、二番目に言った四社の寡占体制、これが大問題だと思うんですね。四社で株式売買額の四割を占めているんですよ。系列証券会社を含めると六割を占めているんですから。引受株式の七五%を四社で持っているんですから。日本の株は安定株主が多いから流通しているのは三割程度だと。その三割程度の流通している株の中で四社が本気で買ったり売ったりしてごらんなさい、自己売買までやってこうやって推奨して。特に野村が出ていってごらんなさい。野村の預かり資産は六十兆円。国家予算の規模に達する。そういうガリバー会社が本当に株式市場で相場の操縦をし、超過利潤をもうけ、暴力団とも結びついてこんなふうなことまで引き起こしているという問題に対して、私は、真剣な検討を、これは与野党問わず、被害者は一般投資家、国民なんだから、本当に真剣に私が指摘したような問題を反省して抜本的に立て直さないといけないと思うんです。 こういう四社の寡占体制というのは欧米にはないというんですから、これも過労死と同じように、日本の資本主義の異常な、おくれたあらわれだと思うんですけれども、大蔵大臣、首相、こういう根源の問題、四社の寡占体制の問題、暴力団との結びつきの問題、大蔵省証券局と証券会社とのこういう構造的癒着の問題、頻繁な会合を持って記録もとってないという問題、どう改善されますか。私はこういうものに本当に手をつけて、きっぱりもうやめないといかぬと思うんです。 そういう点では、私は、大蔵大臣は秘書の問題もあり、再発防止策をあなたは考える資格が本当はないんですよ、責任者なんだから。落第した人に模範答案を書けと言ったって無理でしょう、ちょっと例えば悪いかもしれないけれども。だから、あなたでなければ再発防止策はできないというのは思い上がりだと思うんですね。あなたは、本当に誠実な政治家だろうと思ったら、これだけの責任を感じて辞任すべきなんですよ。そして、国会でよく討議して真相を明らかにして、こういう日本の証券市場の異常さをどう改革していくかということを真剣にみんなで討議しなきゃいかぬ。政府が何かやるだろうというんじゃなくて、それこそ国会で、我々が国民の意見を聞きながら、こういう事態をどう変えていくかということを真剣に出すべき時期だと思うんですが、もう時間も参りましたので、大蔵大臣、首相の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の不祥事件によって損なわれた、内外の投資家の不信そして批判に対しては、政府は責任を重く受けとめてこれにこたえていかなければならないわけでありますし、同時にそれに取り組んでおるところであります。 なお、大蔵大臣の問題についてもお触れになりましたが、大蔵大臣自身からあの問題が出たそのときに、私に、秘書の監督に不十分があって秘書の軽率な行為について自分は厳しく反省をしておる、責任のとり方についてもるるお話し合いをしました。 そのとき私は、あなたは責任者としてこういった反省とその体験に立って、二度と再びこのようなことが起こらないように、まず、なぜ通達が守られなかったのか、大蔵省がきょうまでいろいろ努力してきた結果、なぜこのようなことが起こったかということの反省から始まって、それを法に任せなきゃならぬ問題があったら法改正にもきちっと取り組む。同時に、大蔵省の内部における検査や監督体制に不行き届きな点があったらそのことをきちっとけじめをつける。同時にまた、新しい検査機関の機能の持ち方あるいはその対応の仕方等については、国民の各界を代表される行革審に私から検討、諮問の行動は起こしておるけれども、この答申は大蔵大臣として厳しく受けとめて、二度と起こらないように全力を挙げて対処していくことが大蔵大臣としての責任であると、私はこう言いまして、引き続きその方向に向かって全力を挙げて取り組むように厳しく指示をした次第でございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員から今いただきました、おまえ自身の責任はどうするという問いかけに対しましては、その責任を私は痛感いたしております。みずからの秘書の軽率な行動というものは、私自身、監督責任は痛感をいたしております。 同時に、現在起きております問題について、その責任のとり方というものにつきましては、私は、この問題について解明のため、また再発防止のため努力をすることが私の責任と、そのように考えております。その上で、今委員が御指摘になりました証券市場の寡占体制、これは言いかえれば、新たな参入を求めるかどうか、さらには今後の証券、金融相互乗り入れの問題等々に発展をする問題として私どもは問題意識を持っております。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕 その他の問題につきましても、さまざまな角度から御指摘がありました。たまたまNTT株ということになりますと、実は私は着任をいたしましてから売り出しを中止する決断を続ける役回りでありまして、過去の売り出しの経緯その他は局長等から御答弁を申し上げてまいっております。そして、NTT株というものにつきましては、他の委員からも御指摘がありましたように、いかにして国民にお持ちをいただいているその株がそれだけの値打ちとして評価をされるような努力をNTT御自身がされるかということを私自身も期待を持ちながら見守り、政府もまたNTTが独立した営業体として何らかの方針を打ち出した場合、それをサポートする意向を持っておるということも表明をいたしております。
○上田耕一郎君 もう時間が過ぎました。 終わります。
○池田治君 私は、連合参議院を代表して、庶民の立場から二、三質問を申し上げます。 今回の証券会社の不祥事や銀行の不正融資に対しましては、国民はもう憤りを超えてあきれ果てておるのが現在でございます。 まず、証券会社におきましては、大口顧客のみ優遇して一般大衆株主を無視した不公正な損失補てん、これにまず第一怒っております。次には、東急やNTTの株価操作があったのではないか、こういう疑いも濃厚であります。疑いだけではございません。株価を上昇させた上、特定の者、暴力団にも利益を得させたのではないか、こういう強い疑いがございまして、国民はますます激怒しております。また、損失補てんを有価証券の売買損だとして計上して脱税行為を平然とやっております。これは国税の摘発を受けまして明白になっております。 これらの証券業界の不正事件だけで終わるのではなくて、銀行もまた、一般国民は百万円のお金を借りるのに担保をよく調査されたり、使い道は何かという使途目的を明確にしなければお金は貸してもらえません。ところが、今回の一連の銀行の不祥事では、大銀行やノンバンクは偽造されたチンピラ証書でまんまとだまされて、何千億という大金を貸し出しております。この銀行における不注意さ、これについて国民はまた怒っております。 それだけではございません。外国からも、アメリカやイギリスから日本経済の不透明さ、もたれ合い、なれ合い、こういうものについての厳しい批判を受けております。日本経済が発展するさなかにおいてこういう非難を受けなければならなかったということは、私はまことに遺憾だと思っておりますが、総理はこれらの事態をどう受けとめて、これからどう信頼回復をやっていかれるか、簡単に御所見を述べてください。
○国務大臣(海部俊樹君) 今いろいろお述べになりましたこと、私も率直に、まことに遺憾なことだと受けとめますとともに、内外の多くの投資家から批判を受けたこと、同時に国際社会でいろいろと影響力のある日本の証券市場でありますから、これを機会に透明性、公正性の確立、確保のために、政府は全力を挙げて取り組んでいかなければならない、こう受けとめております。
○池田治君 大蔵大臣にもお聞きしたいんですが、けさから何回も同じようなことを言っておられますので、これは省略いたします。そのかわり、大蔵大臣、証券会社や銀行に対する保護育成の政策から投資者保護の政策に変えていかなきゃならぬ、こういうことをけさほとおっしゃいましたが、これはちょっと遅過ぎたんじゃないかと私は思っております。 現にこういう事実がございます。証券会社と銀行、それから製造業に働く人たちの年間収入を調べてみました。そうしますと、証券業・商品取引業が年収八百四十四万二千円、銀行業八百二十二万五千円、これに比べまして自動車産業に働く人たちは五百三万、電気機械器具製造業は四百九十六万三千円、鉄鋼業が五百五十万三千円でございます。 もともと証券業というのは、人の金を扱って、それで手数料を得ている職業でございます。また、銀行というのは金を預かってその金利を主たる収入としているものでございます。ところが、この自動車とか電機とか鉄鋼というのは日本の基幹産業であって、社会生活にはなくてはならない製品を生産する最も重要な産業でございますが、そこに働く人たちの給料が証券会社や銀行の半分だということはいかがなものでしょうか。そしてまた、この三産業というのは日本の基幹産業でございますからこの程度の給料を出しておりますけれども、零細企業、中小企業になったらもっともっと少ないと私は確信しております。そうすると、三倍以上の給料を銀行や証券会社の職員は得ているへこういうことになりますが、大蔵大臣、このような事態はノーマルな状態でございましょうか。お答え願います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、昭和三十五年に学校を出まして実社会に出ました。そして、製造業の一部であるある企業に就職をいたしました。実はその当時から既に証券、金融は、同級生の中で初任給を比べ合わせますと我々より高かった。製造業の我々のつくり上げた製品、そのころは商社も我々より高かったと記憶をしておりまして、我々の製品を売ってもらうんだから仕方がないのかな、あるいは我々の会社の資金を供給してもらうんだから仕方がないのかなと思いながらも、何となく釈然としなかったことを今の御指摘で改めて思い出します。 ただ私は、給与水準と申しますものは、やはりそれぞれの企業の収益動向、さらには企業における人事政策、もっと述べていくといたしますならば、労使間の話し合いの結果をも受けて決まっていくものでありましょうし、一概にどうこうとは申せませんけれども、少なくとも私自身が製造業に身を置いたとき、何となく釈然としない思いをしたことを今思い起こしております。
○池田治君 大蔵大臣、もう少し早口でしゃべってくださいよ、私、時間がございませんので。 思い出すだけじゃだめですよ。あなたは大蔵大臣として経済界のリーダーなんですから、これが正しいかどうかという評価を私は求めておるんですから。ノーマルな状態であるかどうかということを、結論だけで結構ですから答えてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ノーマルであるかどうかということだけを言えと言われますならば、その労使交渉の中身等を私は十分存じませんし、個々の企業内容を存じませんので、必ずしも判断の材料を持っておりません。
○池田治君 もちろん大蔵大臣が給与を決定する権限はございませんよ。総理大臣にもございません。自由経済でございますから、自由な企業の決定方針に従うのは、これは結構なことだと思っております。しかし、利益のないところに高い給料は出せません。これだけ利益があるからこそ高い給料が出せるんじゃないですか。この点はどうですか。それだけに絞って答えてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 給与水準を支えるだけの収益があるということはそのとおりであろうと思います。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
○池田治君 そこで、それだけの所得水準を得させるような、利益を得るような証券会社を温存させておられるということが製造業者と比べていかがなものか、こういう質問をしておりますが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、証券市場というものの現状、確かに国民から厳しい御批判を浴びておりますわけですから、私がそれ以上かばうというような行動をとれる状況ではありません。 ただ同時に、アメリカのように一万二千社を超える証券業者があり、年間千を超える新しい会社もできる。しかし、千を超える会社がなくなる。そういう不安定な市場と、ある程度安定した市場が、現実、今の問題をちょっと別にさせていただきまして、どちらがいいかということなら、私はやはり安定した市場の方が望ましいのではないかと思います。 ただ、それは新規参入を阻止するということではありません。むしろ今、例えば金融、証券の相互乗り入れ問題でありますとか新規免許の問題がこうした事件の勃発以前から真剣な論議をされておりましたのは、証券市場というものが閉鎖的であってはならない、むしろ新たな血を導入する必要があるという視点から論議が行われていたわけでありまして、その意味では私は、開かれた市場にする努力は当然のことながら今後も払われなければならないことと、そのように思います。
○池田治君 どうも大臣は博学なためにいろいろな回りくどい答弁をなされて、私のような者にはちょっと理解できないようなところもございますので、結論だけ言ってくださいよ。あなた広いからぐっと回り道してちょっと言われて、ぱっと言えばいいじゃないですか。どうですかと言っているんだから、そうしたら、いや、私は給与体系もちょっとおかしいんじゃないかと思いますと。それでいいんですよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 誤解を生じますよ。
○池田治君 それは誤解を生じますけれども、利益がないところに給料は出せないんだから、利益があるということはそれだけの保護育成政策をとっておられるからじゃないかと私は言っているんですから、そうであるならそうと言い、違うのなら違うと言っていただければ結構ですよ。どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど、それだけの給与水準を上げる収益があることは事実と私は認めております。その次に委員が市場ということを問題にされましたから、私は市場というものをもっと開かれたものにしていく努力は必要であるということを御説明申し上げました。
○池田治君 それでは結構ですが、私が申したいのは、証券会社に余り一時的な利益を与えるような形にしないで、手数料の固定化をやめてもっと自由競争を激化させたり、業者間の規制を厳しくしたりして、もう少し製造業と平等な給与体系がとれるほどの利益を与える程度での政策はとれないものか、こういうことが聞きたかったわけですよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、市場参入の機会をふやして競争原理をもっと導入すること、その結果として公正性を担保すること、これが一つ必要だと先ほどから私申し上げております。 それから、手数料の問題を今委員は指摘をされました。手数料の水準というものは今までも見直されてきておりますけれども、今後ともに機動的、弾力的に見直されるべきものでありますし、その制度そのものも検討の対象になるべきであるということは、繰り返し私は御答弁を申し上げております。
○池田治君 この程度で大臣との取引は終わりにします。あなたが言ってくれないんだから取引と言うしかないですよ。 次に、証券取引法の五十七条の二に規定されております取引責任準備金というものがございます。これにつきましては、証券取引において事故があった場合にこの準備金を取り崩して充当することができるということになっておりますが、九〇年三月期のそれと九一年三月期のそれとを比較した場合に、野村証券では三千三百万であったのが十二億五千八百万、大和については六億七千万が十九億四千二百万、日興は九億六千万が十六億九千八百万と三十八倍、二・九倍、一・八倍というように取り崩しか急激に増加しておりますが、この原因は何であったんでしょうか。そして、この取り崩しについては大蔵省に届け出をする必要があるんですが、件数は何件届けられておりますか。九〇年、九一年にわたって御回答を願います。
○政府委員(松野允彦君) 九一年三月期が九〇年三月期に比べまして、今御指摘のように四社の取り崩し額がふえているわけでございます。この証券取引責任準備金は証券業協会に預託をされておりまして、証券事故という報告を各社が協会にいたしまして、それに基づいて取り崩しか行われるわけでございます。したがいまして、この九〇年三月から九一年三月にふえましたのは、証券事故が増加したということが理由でございます。 なお、件数でございますが、野村証券の場合九〇年三月期が五件、九一年三月期が二十件、大和証券の場合は九〇年三月期が五件、九一年三月期が七件、日興証券が九〇年三月期が三件、九一年三月期が六件、山一証券が九〇年三月期が二件、九一年三月期が一件ということになっております。
○池田治君 この事故というのは、大蔵省はどういうことを事故と認定しておられますか。
○政府委員(松野允彦君) これは、今申し上げましたように、証券業協会に届け出をして協会に預託しております取引準備金を取り崩すわけでございまして、証券事故というのは具体的に証券業協会のルールに書いてございます。これは、有価証券の売買に関しまして、協会員つまり証券会社の役員あるいは職員が法令に違反する、あるいは証券業協会とか取引所の定款、規則等に違反しまたは公共の秩序を乱すなどその使命に背く行為を行ったことによってお客に損害を及ぼした場合、そういうものを証券事故というふうに定義をしているわけでございます。
○池田治君 そうしますと、具体的には、お客から預かっている株券を紛失した場合とか営業マンの悪質な営業行為によって客とのトラブルが起きた場合、こういうものも含まれるわけですか。
○政府委員(松野允彦君) そういうものが含まれます。
○池田治君 そうすると、営業マンの悪質な営業行為による事故ということになりますと、特金契約において損はさせないよという暗黙の了解のもとに特金契約をした、それで最後に清算したら損が出た、これは損させぬと言ったんだからこれを払え、いや、そんなこと言ってもこれは払えない、こういう争いもありますが、こういう場合はこの事故に含まれますか。
○政府委員(松野允彦君) 証券会社の職員がそういうふうな損失補てんを約束、つまり損失保証でございますが、これは証取法五十条違反になりますが、そういうふうなことをしてお客との間にトラブルが起こるという場合も、先ほど申し上げましたように、法令に違反するというようなことで、証券事故ということになります。
○池田治君 それでしたら、その事前の約束というのがそれほど強いものではなくて、暗黙の了解のような場合にはどうでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) これはそのケースによってどういうふうに考えるかという問題がございますが、どこまでその従業員が先ほど申し上げました法令に違反する、あるいは協会とか取引所のルールに違反する、あるいはそれ以外に公共の秩序を乱すとか使命に背くとかいうことがございますけれども、こういうことから判断してそういう行為がこれに該当するかどうかというのは、ケース・バイ・ケースで判断をし協会に届けを出すということになろうかと思います。
○池田治君 取り崩しのためには、協会にも届け出て大蔵省にも届け出てあるんですよ。今回、特金を整理して投資顧問契約に切りかえよという通達は、八九年十二月に出されたわけです。それで、九〇年三月にはこの程度だったが、それから後もいろいろ問題がこれに絡んで、それで急激に何倍かにこの取り崩しか膨れ上がった、こう解釈されますが、いかがですか。
○政府委員(松野允彦君) 九一年三月期に証券事故がふえて取り崩しかふえたということは事実でございますが、その中に現在問題になっておりますような損失補てん、これはいわば会社がその意思として行ったというようなものでございます。 先ほど申し上げました証券事故は、これはむしろ営業員がその会社の意思にかかわらずといいますか、営業員自身がそういう違法行為をするということによってお客とのトラブルが生じ、それを会社が責任を負うというような形でございますので、今問題になっております損失補てんというものは証券事故として届けられ、証券取引責任準備金の取り崩し対象になるというようなものはないというふうに考えているわけでございます。
○池田治君 そうすると、今問題になっている損失補てんというものの定義を言ってください。
○政府委員(松野允彦君) この損失補てんの定義は、実は元年十二月に通達を出しましたときには通達には定義が書いてございません。事後的な損失補てんを厳に慎むことという表現になっております。ただ、その際には、損失補てんといいますのは、平成元年十一月の大和証券のケースが明らかになった、あるいはそれ以前の検査の過程におきましても利益供与というようなことで指摘をしてまいったわけでございまして、一般的には有価証券の売買についてお客に生じた損失を補てんするために主として有価証券の売買の形で行う、それを補てんするというようなものが損失補てんだというような一般的な証券界、証券会社の認識はあったわけでございます。 現在、証取法の改正作業をしておりまして、その中で損失補てんの定義をできるだけ、これは刑罰がかかる規定でございますから、明確にするように作業をしているところでございます。
○池田治君 損失補てんという言葉は五十七条の二にもあるんです、取引に関して事故があった場合の補てんと。だから、事故の概念を広く見るか狭く見るかで今回問題になっている損失補てんがこれに含まれるか含まれぬかの議論になるのであろうと思っております。 九〇年から九一年にかけましては特金を整理しなければいけない。それで、整理についてはいろいろ客との間のトラブルが起こった。そこで、準備金をも切り崩して補てんを行った。そうでなければこんな三十倍というような金額に一年で増加しませんよ。今までにこういう一年間に何倍という事故がふえた例がございますか。ブラックマンデーのときだってないでしょう。だから私は、これは隠された損失補てんに含めるべきだ、こう思っておりますが、正直に言ってくれませんか。
○政府委員(松野允彦君) 九一年三月期に取り崩しか先ほどの金額のようにふえているわけでございます。この中身について詳細に分析をしているわけではございません。 ただ言えますことは、この間非常に市況が低迷を続けていたわけでございまして、その関係で営業マンと顧客との問のトラブルが多発したということも十分考えられるわけでございます。そういったような状況の場合には、どうしても証券事故がふえて準備金の取り崩しかふえるという傾向があるわけでございまして、ここ二、三年といいますか、九〇年三月あるいは八九年末までは非常に好調な株式市況でございましたから、取り崩し額あるいは証券事故の発生額は非常に少ないわけでございますが、九一年三月期はそういう市況の低迷を背景にしてトラブルが多発したということで、こういう証券事故が増加しているというふうに判断をするわけでございます。
○池田治君 そういう理由もあるのかと思いますが、急激にこんなに事故件数と支払い金額がふえるわけがございませんので、この点はまだ私は疑問に思っております。 まだまだいろいろ質問したい点がございますが、時間でございますので、これで終わります。
○三治重信君 審議が大分進んでおりますので、前提は抜いて、質問そのものずばりに入っていきたいと思います。 いろいろの問題がありますが、証券取引審議会が不公正取引部会をつくって、そしてインサイダー取引の規制とか五%ルールの規制とかいうものをつくって業界の不正を防止してきた。しかし最近、殊に証券監督者国際機構というものが採択した七つの原則が審議されている、こう聞いているわけですが、今度の不正で日本が一番注意しなければならぬのは、殊に証券行政みたいなものは国際的な共通ルールが確立されるということが必要だろうと思うんです。 そこで、殊に証券監督者国際機構が採択した七つの原則についてどう対応しようとされておりますか、御説明ください。
○政府委員(松野允彦君) 証券取引審議会における不公正取引部会は、御指摘のように過去議論を進めておりまして、インサイダー取引規制とか、あるいはいわゆる五%ルールというようなものを導入する議論をしていただいたわけですが、この証券監督者国際機構、IOSCOと言っておりますが、これが採択をいたしました証券業者の行為規範原則というのが七つございます。例えば誠実・公平の原則とか注意義務とかいろいろなものがございます。 これにつきましても、不公正取引部会で議論をしていただきまして、この誠実・公平の原則というものは証取法にそういう原則を規定するのが適当ではないかというような報告をいただいておりますし、また、一つの原則であります顧客に関する情報、つまり顧客に対して、その顧客の投資経験あるいは投資資金量等に適合したような情報を提供すべきだという意味でのこういう原則はあるわけでございますが、それとの関連で取引一任勘定を法令で原則禁止すべきだという報告をいただいております。 また今度は、顧客に与える情報といたしまして、広告などについても投資家の判断を誤らせないように、これは法律を改正いたさなくても、例えば健全性省令にそういう規定を整備しろというようなこと、あるいは自主規制機関であります協会、取引所の自主的な規律、機能を高めるために、そこの過怠金をもっと上げろとかいうような報告をいただいているわけでございまして、私ども、今の中で証取法改正に織り込むべきだというふうな報告を受けております点につきましては、制度改正に伴います証取法の全面的な見直しの機会にそれを実現するという方向で考えていたわけでございますが、取引一任勘定につきましては、緊急に、今回営業特金がそういう温床になったということもございまして、今回の法律改正の中に織り込む方向で作業を進めているわけでございます。
○三治重信君 大蔵大臣、こういうふうに七つの原則というのは国際機構が決めたものだ。だから、これが守られれば実際日本の証券市場は国際性を持つということになる。今の御説明だと法律改正の部面と、それから実際の業界の中の整備の問題があると思うんです。 そこで、法律改正は後で審議になるわけですが、そのほかの項目についてはやはり私は証券業協会の機能強化が必要だと思うんですが、証券業協会の機能強化についてどうお考えになっているか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今委員の御指摘をいただきました証券業協会だけではなく、証券取引所におきましてもやはり自主規制機能というものは強化していただかなければならないと思っております。そして、私の知る限りにおきまして、証券取引所もまた証券業協会も、今回の一連の不祥事態の発生の中でそれぞれに自主規制能力の強化ということに努力を開始しておられると承知をいたしておりますし、その一部の方向は既に公表されております。それですべてだと言い切ることはできません。今後なお御努力をいただく面があろうと思います。 また、我々が証券行政の中で過去の通達を見直しております中に、今後、分類をしてまいりますと、いわゆる通達という行政の守備範囲から協会のあるいは取引所の自主規制のルールに移すべきものも多分あろうかと思います。こうしたものが出てまいりましたならば、当然のことながら行政の立場から自主規制のルールの中にこれを移しかえる努力をいたさなければなりませんし、それも証券業協会と証券取引所とそれぞれの立場において受けとめていただくものがあろう、そのように考えております。
○三治重信君 次に、こういうような不正なり株式のインフレが起こった原因を考えると、私は株式の時価発行にあると思うんです。株式の時価発行によって会社が旧来の株式の新株引受権を廃止して売り出して、その利益を全部本当に設備投資に使われればいいけれども、そういうことで時価発行か企画されたと思うんですけれども、しかし実際は時価発行をやったうちの大部分が証券投資、いわゆる財テクに回った、こう言われているわけなんです。したがって、株主の引受権をどうしてやめたのか、その点と、それから証券会社に時価発行によって引き受け競争が過当に出てきたんじゃないか。だから、引き受け競争を廃止するためには、やはりある程度旧株主も優遇する方法としてこの時価発行オンリーで増資をやるということを反省すべきじゃないか。 それからもう一つは、やはり時価発行をやる会社についてどの程度大蔵省は、大蔵省の許可が要るわけですね、時価発行をやる許可が、その許可に対してどういうふうな規制をやっていたか。本当に設備投資なり時価発行をやった金額について使途をしっかり監査して計画を承認してやったのか。そうやるならば、財テクへそんなに証券会社へ時価発行の余剰金がふわっと回るということはなかったはずじゃないか。総括して個人株主への保護が欠けていたのじゃないか。その個人株主の保護についてどう考えるかということを一括してお尋ねいたします。
○政府委員(松野允彦君) 時価発行増資に関しますちょっと技術的なところを私からお答え申し上げたいと思います。 時価発行増資、これは確かに御指摘のように株主の新株引受権との関係があるわけでございますが、法律上は商法では定款に株主の新株引受権に対する規定がない場合には当然には新株引受権を有しないということになっております。したがいまして、株主に新株引受権を付与するかどうかというのは、そういう場合には取締役会の経営判断事項ということになっているわけでございます。したがいまして、法律的に時価発行増資が引受権の侵害というふうには言いにくいわけでございます。 ただ、時価発行ということになりますと確かに配当の問題が出てまいります。個人株主をふやすということからいますと、やはり配当の水準を、配当性向というものを十分考えて会社の利益に見合った配当を行うということが時価発行を行う企業にとっては一つの証券市場といいますか、発行市場に対する責務になってくるというふうに私どもも考えているわけでして、発行企業あるいは引受証券会社にそういうことの意識を十分持ってもらうようにという要請を従来からしているわけでございます。 それから、時価発行された資金の使途の問題でございます。 一般的に申し上げまして、時価発行について大蔵省がある基準を設けて、時価発行かできない企業あるいはできる企業というような指導をしているわけではございません。時価発行は、これはもう企業の自由でございます。もちろん、上場されているとか時価がある企業でないとできないわけでございますが、私どもがやっておりますのは、時価発行する場合に、その企業の財務内容が十分開示されて投資判断が十分できるというようないわゆるディスクロージャーの制度を設け、それが適正に行われるように監理をしているわけでございます。 その中で資金使途のチェックというものがございます。資金使途につきましては、これは基本的には発行会社と引受証券会社、特に主幹事証券会社が発行会社から聞いてそのチェックをする引き受け審査の一環として行うというのが建前でございまして、行政の立場として資金使途をチェックするということにはやはり限界がございますし、またそれが必ずしも適当なことではないという感じがするわけでございます。引受証券会社に対しまして、そういう引き受け審査の際に不要不急の資金というようなものが余り時価発行によって調達されないようにというような一般的な指導はしているわけでございますが、具体的な時価発行増資について私どもが一々判断するというのはやはり余り適当ではないというふうに考えるわけでございます。
○三治重信君 時間がなくて、最後に銀行の問題をちょっと御質問したい。 私は、今度の証券のスキャンダルもありますけれども、銀行のバブル経済に対してとってきた態度が一番悪いと思っておるんです。それだからこそ犯罪者がどんどんできてくる。こういう犯罪者は、今までからいけばこの犯罪をやった人だけ首を切ればいい、こういうことなんだけれども、私は、これだけの大きな銀行の不正犯罪について銀行の相当な責任者も同時に責任をとらせる体制がないと、これではやはり銀行の不正行為の是正はできないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。一つは、そういう不正行為による損失というものを一般の事故や貸し付けの不良債権の処理みたいに損失で処理しないで、むしろそういうような不正をやったものについては損失を認めない、ほかの利益からやれということと、やはり最高責任者の責任を問う、こういうことをやらぬと直らぬじゃないかと思うんですが、総理と大蔵大臣とに簡単に御説明願いたい。
○国務大臣(海部俊樹君) いずれにしても、厳しく対処してもらわなければならぬ問題でありますし、また同時に、このようなことを将来繰り返さないようにするにはどうしたらいいかという点に絞ってただいま対応策を研究いたしておるところでございます。御理解をいただきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 時間の関係で簡潔にお答えすることをお許しいただきたいと思います。 一つは、銀行の経営責任ということでありますが、これは既にこれらの問題が司法当局の手にゆだねられております状況の中でその真相が解明されていきますこと、そして当然のことながらその真相解明に従って処理が行われることの中で当該行としてそれぞれに責任を明らかにされるものと私は思います。 またもう一つは、不正行為によって発生する損失というものの経理処理との絡みの御指摘でありました。これは、今まさにこの一連の不祥事によりましてそれぞれの金融機関におきましてどれだけの損失が発生するのか、まだ事件の解明を待たなければ確定できない部分がございます。しかし、そういう状況の中で確たることを申し上げられないという点はお許しをいただきたいと思いますけれども、いずれにしても当事行として商法その他の諸法規に準拠してその事態に対する適正な経理処理を行う、営業の実態を明らかにされる必要がある、そのように思います。
○喜屋武眞榮君 私がきょうの最後でございますので、委員の皆さんも総理も大蔵大臣もいましばらく御辛抱をお願いいたします。 率直に申し上げまして、きょうの昼からの委員の質疑に対するお二人の応答、これを私なりにじっと聞いておりましていろいろと考えました。一体自浄能力があるんだろうかという不安であります。それはもう病膏肓に達しておると言いたいぐらいのハチの巣をつついたような状況ですね。 それで、私も実は四つの問題を、いわゆるがん細胞の核に当たると私なりにそう思って四つの問題をぜひじかに解明したいと用意しておりましたが、どうも時間がこなせそうにありませんので、できるだけその問題の核心に触れてお二人の明確なお答えを期待いたしまして進めてまいりたいと思うんです。 まず第一に、その背景として、国際的にも国内的にも日本が今抱えておる政治課題は数多いですけれども、わけてもこの証券問題が重要な政治課題であると私は考えております。そこで、この重要な政治課題に対応していくためにはよほどの決意がなければいけないと思うんです。 私は、少年時代から政治家に対するあこがれが二つありました。一つは、本当に日本の政治家は憂国の士であるということがいまだに脳裏に響いております。二つは国利民福ということでございます。この二つが政治家にとって大事な心であり、魂であり、柱であると私は少年のころから自分に言い聞かせて今日までそれを抱いておる次第でございます。ところが、今の日本の状態、政治界は、口幅ったいようでありますが、私はなれ合いの政治、政官財のよく言われている癒着の政治、そして金権がすべてを支配する日本の現状、一体倫理性と哲学が欠落しておるんじゃないか、このことをしみじみ思いつつ自分にも絶えず言い聞かせております。 このことを私は率直に申し上げまして、大臣にお聞きしたいことは、従来の証券行政の反省点、いろいろと述べてこられましたが、ここですべてというわけにはまいらぬと思いますが、特にこの点は決意として国民の前に改めて表明したい、こういうお気持ちで、ひとつ従来の証券行政の反省についてどのように今決意していらっしゃるか、まずその点をお答え願いたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 公開性と透明性を確保していくことが、内外の一般投資家の信頼を取り戻し、また国際社会における日本の大きくなった市場としての責任を果たしていくためには一番大切なことだと受けとめております。 そして、今までもインサイダー取引の規制とかいろいろ努力もしてまいりましたが、今回のこの結果を見ますと、どこにいけないところがあったのか、どこに足りないところがあったのか、厳正に対処して再発をしないように対応を厳しくしていかなければならない、こう私も自覚もし、大蔵大臣にもその旨指示をしておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 それでは、突っ込んでまたお尋ねする時間が到底得られませんので、一応進めてまいりたいと思います。 大蔵大臣に申し上げたいと思いますが、大蔵省が証券界と結びついて天下りが余りにも多いということが言われており、私もまたそれを知っております。この天下りの問題について、今どう考えておられるか、大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 長々としたお答えは控えるべきと存じますが、私どもは証券会社への再就職というものにつき、従来から人事院の承認など国家公務員の営利企業への就職に関する法的規制に従って行われており、適正に行われていると考えておりますし、大蔵省から証券会社に就職をしたということで証券行政がゆがめられてはならないことは当然であります。しかし、そうした御批判があることも事実です。そして、一つの問題点は、人事院の承認など国家公務員の営利企業に対する就職というものを法的に規制いたしますのも、憲法に保障されております職業選択の自由など基本的人権との兼ね合いがある、この点の問題はどうぞ御理解をいただきたいと思います。 結論は、私自身大蔵省として、当然大蔵省の各幹部職員、すなわち本省課長相当職以上の者が人事院承認を要する証券会社へ再就職を求めますようなことがありました場合、本人及び証券会社、両当事者の理解を得て自粛する、そして人事院の承認を申請しないということを考えております。御批判にこたえて、そのような考え方を既に公表しております。
○喜屋武眞榮君 次に、同じく大蔵大臣に聞きたいんですが、証券手数料が固定化しておるということが問題になっておりますが、その証券手数料の自由化についてはどのようなお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 既にアメリカ、イギリス、フランス等において株式委託手数料が自由化されております。しかしその結果、これらの諸外国において交渉力を持たない小口の投資家の手数料が総じて上昇するといった現象が起きていることは委員も御承知であろうと存じます。 私は、この手数料の問題というのは、本来これは取引所のルールの問題でありまして、まず取引所において検討されることが望ましいと思いますけれども、大蔵省としての立場でお答えするなら、その水準について引き続き機動的に弾力的な見直しを行うと同時に、手数料制度のあり方につきましても、証券市場に与える影響などを踏まえながら見直しをする必要があると思います。
○喜屋武眞榮君 もう一つお尋ねします。 もう一点は、補てんの定義について、これが明確になされていないということが混乱の誘因をなしておるように承っておりますが、このことについてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 補てんの定義につきましては、確かに、元年十二月の通達発出の際には、通達には定義が書いてございません。しかし、一般的にそのときには証券業界も、損失補てんというのは有価証券の売買で損失を生じたお客の損失を補てんする目的で有価証券の売買などの形で利益を供与するという行為だということの認識はあったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、現在、証券取引法を改正して、損失補てんに罰則を科すというような改正案を検討しているわけでございまして、その中で損失補てんの定義をより明確にしたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 最後に一言申し上げます。 繰り返すようでありますが、どうか厳しくとも、苦しくとも、国民に向かって誓ったことについてはいかなることがあっても実行していただかなければいけないと思っております。 政治の道は厳しいとよく言われておりますが、釈迦に説法と思いなさるかもしれませんが、どうか、このような結果になったことは、何が誘因であったかということを今改めて我が胸に手を当てて考えていただくならば、必ず自浄能力はそこから生まれてくる、こう私は思っております。 病膏肓と申し上げまして大変失礼な暴言だったかもしれませんが、私のその気持ちをお察しいただいて頑張っていただくことを私は心から期待いたします。どうぞ頑張ってください。
○委員長(平井卓志君) 本日はこれにて散会いたします。 午後六時散会