法務委員会 第4号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1991/09/10
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所今井民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、 そのように決しました。 ————◇—————
○伊藤委員長 第百二十回国会、内閣提出、借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
○貴志委員 実は、先般建設委員会がございまして、ここで借地借家法の問題を質問する過程におきまして、ぜひ法務委員会との連合審査をやってもらいたいということを申し出たわけでありますが、結果的には、きょう、この法務委員会で差しかえで発言をさせていただくということになったわけであります。 私は質問に先駆けまして、ちょっと議事運営上の問題について委員長にお尋ねをいたしたいのでありますが、議事規則におきましては過半数の出席がなければ会議が行えないようになっていたように記憶するのでございますけれども、果たして現在の状況はそういう議事規則の条件を満たしているのだろうか、これで間違いなく進められることになっておるのか。特に、与党の席が極めて閑散たるものでありまして、これから質問を続けるべきであるか否か、いささか内心じくじといたしておりますので、委員長にお尋ねをいたします。
○伊藤委員長 過半数は十五名でありまして、委員長を入れて十六名でありますので、過半数を超えております。
○貴志委員 当委員会におきます与党の方、要するに、もし反対である立場の者が席を立てはこの審議が続けられないということ自体が異常な状態であるということをぜひ認識しておいていただかなければならない。十六名だといって、拍手をできる状態にないということだけはわかってもらわなければならぬと思います。なぜこの委員会がこれほど出席が悪いのか。特に、今証券・金融問題でこの国会が大変揺れましたし、これから政治改革三法案についてきょうの午後にも提案される、そういう国民的関心がそちらの方に集まっている中で、なぜこのような状態の中で法案の成立を急がなければならぬのかということについては、私は非常な疑問を持つものであります。そういう疑問を持つがゆえに、私はこれから質問の中身に入ってまいりますが、私の質問についてその趣旨を十分に把握いただいて、ぜひ誠意ある答弁を求めてまいりたいと思います。 まず第一番目に、借地・借家法というものがつくられましてからもうかなり長い年月がたつわけでありますが、なぜこの法律が生まれたかということの趣旨については今さら申し上げるまでもないと思いますが、やはり封建時代から地主とか大家というものは、一つの行政機構のもとに権力の側に利用され、一定の権力を与えられて、支配を容易にする役割をしてきたものと理解をいたしております。要するに、地主、家主と借地・借家人との立場が決して対等でないという歴史的な流れがあったと思います。その流れゆえに借地・借家人が契約に当たって対等に地主、家主側との間で契約が結びがたいという実績の上に立ってこの法律がいわゆる社会政策的な立場で制定をされてきたと私は理解をいたしております。 そういう観点から見ますと、それから昭和十六年にも若干の改正をされ、その後も一回改正をされておりますけれども、今回の改正は軸足を貸し主の方に乗せた形の改正ではないかという疑念が持たれておるのであります。そういう疑念はどこに裏づけられるかといいますと、この借地・借家法の改正に対して、これではまだ不満足だという意見はありますけれども、流れにおいて経団連や民間デベロッパーの団体あるいは家主、地主の団体はおおむね賛成であります。これに対して、公団住宅の入居者あるいは全国の借地・借家人の組合は反対であります。こういう状況から見て、今回の法案の提出の趣旨は、一体何のためにどうして今ここで成立を急がなければならないのか、そういうことは借地・借家人の側から言えば極めて不満であり、強い意見の持つところであると理解をいたします。 この法案提出に当たっての基本的な考え方について、まず法務大臣の御答弁を願いたいと思います。
○左藤国務大臣 現行の借地・借家法は、借地に対します需要の多様化、いろいろなものが進んでまいりました今日の社会経済情勢の変化には対応し切れていないのではないか、そういうことで現行法の不都合という、対応できていないという面を解消して、当事者間の権利義務関係をより合理的なものにするということによって利用しやすい借地・借家制度にしようというのが今回の改正の趣旨でございます。
○貴志委員 この法律の改正につきましては一九八五年から法制審議会民法部会財産法小委員会で論議がされまして、「問題点」が出されました。その「問題点」という内容の中で私どもの目を引いたのは、正当事由という課題の中で所有者の土地有効利用の必要性、相当性を認めていくというふうな考え方がそこで出されたわけであります。時あたかも日本全国にバブルが発生する直前の状態でございます。やがて日本列島には土地高騰のバブルがどんどんと生じてまいったわけでありまして、もしこの時点でこの正当事由の中に土地の有効利用あるいはその必要性、相当性というものを取り入れたままで法改正が行われておったとするならば、あの土地高騰の全責任、というよりはかなりの部分は法改正が負わなければならないことであったに違いないと思うわけであります。その時点ではかなりの意見がございまして、これを採用するに至らなかったけれども、そういう流れはやはり今度の法改正の中でも生きているのではないかというのが私どもの疑問点でございます。 こういう一九八五年当時の「問題点」を出した時点から今日の法改正に至るまでの経緯、なぜ最初に出された土地の有効利用の必要性、相当性というものが削られていったか、それがもう完全に根を切っているのかということについて、法案作成に当たった責任当局の御答弁を願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 申し上げるまでもなく、借地借家法は当事者間の実質的社公平を確保する、借地人、借家人の権利を確保してその長期安定を図りつつ当事者間の公平を図るというのが基本的な精神でございます。私どもは、そういう精神に基づきまして、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、時代の変化に対応した借地・借家法の改正問題に取り組んだわけでございますけれども、問題に取り組むに当たりましては、とにかく各方面でいろいろな議論がされている、いいか悪いか、借地法、借家法の面から見て採用すべき意見であるかどうかにかかわらずいろいろな意見が当時述べられていたわけでございますので、そういうものを問題点として整理して、そしてオープンに、公平に各界に公表して、それぞれの関係方面の御意見を伺ったわけでございます。それが昭和六十年の「借地・借家法改正に関する問題点」でございます。その中には、御指摘のように、例えば土地の有効高度利用という観点から借地・借家法を改正すべきではないかという意見も当時あったわけでございます。そういう意見があるわけでございますから、それは問題点として整理して、こういう意見もありますがどうですかという形で全国に問うたわけでございます。それで、それに対するいろいろな意見もちょうだいしながらまた試案をつくりまして、これをまた世間にオープンにいたしまして各方面の意見を自由にお聞きする、こういうようなことを繰り返してきたわけでございます。 借地借家法につきましては、そういう当事者間の公平な調整を図るという見地から、私どもは全く公平な立場から、特定の業界とか特定のグループというものの意見に偏ることがないように常にオープンな形で議論を進め、審議を進め、法案を作成した。こういうことでございますので御理解いただきたいと思うわけでございます。
○貴志委員 というようにお答えではありますけれども、現実に今度の改正を見ますと、土地所有者が提供を申し出た財産上の給付も考慮されると正当事由の中に明記されております。これは、先ほど申し上げました問題点として取り上げられた中身をこの立退料という三文字の中に凝縮されているのではないかという心配を私どもはするわけであります。私の心配は同時に借地人の心配であります。その借地人の心配を、どのようにして理解を求めるか、説得できるか、その内容についてお答えをいただきたいわけであります。
○清水(湛)政府委員 この借地借家法の中で、一番のポイントと申しますか論議の対象になるのが正当事由に関する規定でございます。これを新しく現代語化した。口語化した法律の中でどのように表現するかということが実は一つの大きな問題であったわけでございます。 私どもはいろいろ審議いたしました結果、正当事由について現在裁判例で認められている、つまり戦後数十年かかって裁判所が形成してきた一つの基準というものがあるわけでございます。この基準をそのまま素直に法文化することが必要だ、その判例の基準を一つ抜いたりあるいは加えたりということになりますと判例を変更したということにもなりかねませんので、判例を素直に法文化するということに最終的に結論になったわけでございます。そういうような裁判実務、判例実務を素直に書きますと、私どもが御審議をお願いしているような正当事由の条文になるわけでございます。 この点につきまして、例えば現行法のままでいいではないかというような御議論があるわけでございますけれども、もし現行法と同じような条文を新しい法律に書き直すということになりますと、これは現時点においてそういう条文をつくったことになりますので非常に大きな問題を生ずるおそれがある。 御承知のように昭和十六年に正当事由の規定が出ましたときには、あれはかなり地主側に、つまり貸し主側に有利な解釈になるような形で正当事由がつくられておった。例えば土地の所有者、つまり地主の方で土地を使用する必要性があればすなわち正当事由である、借り主の方の使用の必要性ということほ考慮事項には法律上なってないわけでございます。いわば貸し主側に足を置いた正当事由条項でございましたけれども、判例がそれを修正しまして、貸し主側、借り主側双方の使用の必要性を考えよということで判例が固まっているわけでございます。 そういうことでございますから、もし現行法のままで現時点で新たにそのような同じ条文を書きおろすということになりますと、改めてまた昭和十六年当時におけるような貸し主側に有利な議論が展開されるおそれがある。そういう危倶もございまして、もし正当事由を条文化するとするならば、現在の判例実務を素直に法文化するにしかず、これが借り主、貸し主の現在の状態を反映する法文として一番公平なものだというふうに考えたわけでございます。 そういうような観点から、例えば立ち退き料の問題でございますが、法律の上では財産上の給付の申し出というふうに書いてございますが、現実の裁判実務におきまして貸し主、借り主双方の使用の必要性を考慮して、なおかつ判断しがたいときに貸し主の方で財産上の給付を申し出る、これは、例えば別に住む家を提供するということも含まれるわけでございますけれども、あるいはまた立ち退き料というような金銭的な給付の申し出をすることもあろうかと思いますけれども、そういうことをすることによって正当事由を補完するという実務がもう確立しておると言ってもいい状況でございますので、それをむしろ素直に法文化しないとかえって混乱を生ずるおそれがあるというようなことから、繰り返し御説明申し上げておりますように、現在の判例実務を素直に法文化したというのが今回の正当事由に関する規定でございます。
○貴志委員 現実的に問題を見ていただきたいと思うのでありますが、昨年、一昨年、地上げブームと呼ばれたころに随分といかがわしい地上げ屋が横行いたしましたし、現実に地上げされたところが全国でたくさんあったわけです。現行法のもとでそれだけのことがやられたわけです。一般的に借地人の方は、現行法でもやられたのに今度新しい法律がつくられて、そこで金銭による、要するに立ち退き料というふうなものを出すことが一つの正当事由になってくるということになれば、まさに今日までの地上げのやり方、金で面を張って地上げをするやり方を追認するやり方ではないか、これからそれをやることを認めることになるではないかという極めて強い懸念を持つわけです。 おっしゃるとおり、法を提出する方の側はそういうことのないようにという配慮をしておると言うけれども、現実はそのようにしか受け取られていないし、社会的にそのように受け取られる現在までの経過があるということを御承知のはずですから、その点について借地人の側にこれは不利にならないということのもっとはっきりとした証拠がなければならぬ、このように思いますが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 私ども、現行借地法のもとにおいてではございますけれども、委員御指摘のように、いわゆる地上げということによりまして弱小の借地人が無理やり追い立てられておるというようなことを報道する新聞記事等によりまして承知しているわけでございます。しかしながら、今回のいわゆる財産上の給付条項を含めた正当事由に関する規定がこのような悪質な地上げ行為を助長するようなことになるということは毛頭も実は考えていないわけでございます。いわゆる地上げが暴力的なあるいはいろいろな脅迫的な言辞を弄して行われるということになりますと、これはまた別途それぞれの法令に違反する行為ということになろうかと思うわけでございますけれども、少なくとも借地借家法の立場から見て、この正当事由に関する規定がより地上げ行為に有利になるとかそういうようなことは全くないというふうに考えている次第でございます。悪質な地上げ行為は地上げ行為として別途、別な法律によりしっかりと取り締まらなければならない行為であろうというふうに考えております。
○貴志委員 それは後でまた問題に入っていくといたしまして、今度は一遍、これで地主側が有利になって借地人側が不利になるということにならないかという疑問を持ちながら、具体的な課題をひとつ論議してみたいと思うのです。 それは、今度の改正で定期借地権の導入というふうなことがありました。これは、ある意味では土地の貸借を近代化させる意味で非常にいいんじゃないかと歓迎をする声もあるわけでございますが、私はその中でふと、もしこういうケースであったらやはり地主の方が有利じゃないかというふうなことを思いました。例えば十年の契約で、借り手の方は中古車センターをやるということで借りる。そのころは家がまだまばらで、道路もまだ、交通アクセスもよくない、そういう状況で始めて、十年がかりでようやく採算のとれる中古車センターができ上がった。十年で契約切れになる。そのとき地主の側は、契約の更新更改については契約書どおりでありますから絶対の権限を持ちます、そして、契約更新を断る。中古車側の方は継続を望むけれども契約更新を断る。そうして、近所にあった同業者に今日までのしにせ分を上乗せして転貸をする。要するに他の同業者の人に貸すことができる。十年という契約が経過をすれば活殺与奪の権は地主の側だけにあって、使用者が前と同じ条件あるいは少し上乗せする程度の条件だけでは貸してもらえない。それどころか、商売のライバルの相手先に貸されることだって自由である。これはそういう事態になりはしないかという心配を私は今の法改正の中で一つ思うのです。 もう一つ、ついでに言っておきますと、これは、途中で解約をしなければならないというふうなことになるおそれが常にあるわけであります。特に、解約を迫られるというのは計画した事業がうまく進まない、そういうふうなときには中途解約になるわけです。その場合にほ、恐らく契約の中ではペナルティーが科せられる、こういうことになるだろうと思うのです。中途解約の場合には、傷を負って、賃を背負っての解約になる借地人が、解約することによってさらにペナルティーを最初取られておる敷金の中から差し引かれるとかいろいろな方法で取られるようなことになって、ここでも借り手の方はいつでも弱いということになるのじゃないか。今度の法改正の一つの目玉、新しい近代的な貸借のあり方として取り入れられた定期借地の問題につきましてもこういった問題が具体的に出てくるのではないか、起こるのではないかという心配を私はするのでありますけれども、こういったことについて今度の改正はどういうイメージというか、予測を持って新たな項目を設けられたのか、ぜひお答えをいただきたいし、私の疑念に思った点についてもお答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 具体的な事例を設定して、それについてのいろいろな想定される問題を御指摘になるという御質問でございますので、事実関係がいろいろ世の中複雑でございますから一般的に申し上げることはできない点もあろうかと思いますけれども、ただ、一つ申し上げたい点は、事業用の定期借地権、これは十年以上二十年以下の期間という極めて短期の定期借地権でございまして、これはある特定の事業、借りる方でもそう長期の事業は予定していない。貸す方でも二十年以内に間違いなく返してくれるということであるならば貸しましょうということで、新しい法律で全く新規に認めた賃貸借形態でございます。しかも、そういう短期の賃貸借でございますので、あくまでも住宅ということではなくて事業用の借地権というふうに限定し、しかも乱用を防ぐという意味で公正証書で契約をしなければならない、こういうことになっているわけでございます。そういうことから貸す方でも安心して貸せる、借りる方でも容易に借りることができる、こういうことで今回の法律で初めて新たに認めたものでございます。 したがいまして、そういった性格のものでございますから、当然いろいろな事業というものも短期の事業に限定されるでございましょうし、あるいは一定の期限が来れば借地権が当然消滅するということになりますので、権利金も非常に安いものになるでしょうし、あるいは地代もそれ相応に実情に見合ったものになるというふうに考えるわけでございまして、借地条件の中にそういった状況がすべて反映されるということになるわけでございます。したがいまして、借り主の方としてもそういうことをすべて承知の上で公正証書でもって契約をするわけでございますので、借り主が不利益を受けるということにはならないのではないか。 ただ、先生御指摘のように、最初は短期ということで土地を借りて例えば郊外レストランというようなものを始めたけれども、だんだん周辺が整備されてきて、こういうことならもう少し長くやりたいというようなことになる場合も恐らく考えられるかと思います。その場合には、結局当事者間の話し合いによりまして再契約をする、その方がまた貸し主にとっても有利であり借り主にとっても有利であるというような状況は、もし同辺の状況がそういう状況になったということでありますと十分に考えられることではないかというふうに思うわけでございます。 中途解約によってペナルティーをどういう形で払うのかというのは、これは個々の契約によって定めるべき事柄だと思いますけれども、基本的にはそういう短期間というものを想定して事業目的に限定して借りるということを明確にしてされる契約でございますので、それ相応の借地条件への反映というのは当然合理的にされる、したがって、借り主が不利益になるというようなことは言えないのではないかというふうに私どもは考えている次第でございます。
○貴志委員 私が申し上げておるのは、契約の期間はお互いに定めるわけですからそれは納得だということはわかるのですが、しかし、契約が終了した時点で継続して借りたいという希望を持つ場合がある。それは認められました。そういう場合、貸し主の方が、より高い借り手がある、特に同業ライバルの企業が高い価格を提示して借りに来るという場合には、せっかく借り主が営々として築いたしにせはもろくも貸し主の意向によって飛んでしまう、別なところへ貸されてしまう、こういうことだってあるじゃないか。私は、それはまさに貸す方の論理がまかり通ることではないだろうかということを申し上げたわけなんです。 それから、途中で解約をしなければならない事態もかなりこれからのケースとしては出てくるだろうと思うのです。そういうときにもやはり、これだけの契約期間があるんだからあすにでもまた他に貸せる条件であるにかかわらず、借りていた方にペナルティーを科するというふうな契約が最初から行われるであろうということはもう火を見るよりも明らかであります。現在でも大体それに似たようなことが賃貸借の敷金などの契約でほ行われているようでありますが、それが十年という契約の中で常に借り手の方が貧を背負って貸し手の間との交渉に当たらなければならぬというところが、今度せっかく新しい手法を取り入れたけれども、その辺のところがどうも一対一の現場でのやりとりになってまいりますし、片一方は法律的にもいろいろと研究をしているし、また専門の不動産屋を入れたりあるいは法律の専門家を入れたりして、借り手の方の意向が、意見がなかなか通らないような形にされてしまうということは後に申し上げる別な項目でもあり得ると思うのですが、そういった懸念について、心配はないかということについて再度お伺いしておきます。
○清水(湛)政府委員 今回のこの事業用の定期借地権というのは、とにかく十年、あるいは十五年でもいいわけですが、そういう一定の期間そこで事業をしたいという事業者が土地を借りたいという場合に、地主の方でそういう条件ならば貸しましょうということで双方の合意の上で成立する契約でございます。現行法のように、土地を一たん貸すとほぼ半永久的に戻ってこないというようなことから、そういうような土地についてはこれまで貸さないということにほぼ流れは行っていたわけでございますけれども、そういう明確な条件であれば貸してもいいという方々はおられるわけでございまして、そういう事業者の事業の目的ということで限定的にこの契約が結ばれるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、その契約には権利金や地代というものも期間が短期間であるということから当然に反映されるということになるわけでございまして、そういうものを前提として、一定の期間が来れば終わるということになるわけでございます。 先生御指摘のように、商売が非常に順調にいって、もっと続けたいということもこれは確かにあるだろうと思います。あるだろうと思いますけれども、それはそもそも出発のときの契約が十年なら十年、十五年なら十五年で終わるということを前提にしてずべての契約条件が決まっているはずでございますので、そこは今度は改めて当事者間でまた自由対等な立場でお話し合いをしていただくということにならざるを得ないのではないか、これは事業というものである以上そういう性格づけはやむを得ないのではないかと思う次第でございます。決して、その際に借り主が不利であるとか、貸し主が有利であるとか、こういう議論には私どもとしてはならないのではないか。やはりそこは経済合理性と申しますか、事業者でございますから経済合理性を追求するという面で適切な調節が図られるのではないかと思う次第でございます。
○貴志委員 ところで、土地というものほ不思議なものだと思うのでありますが、国なり地方自治体が、社会資本の充実ということでインフラ整備に盛んに税金をつぎ込んで整備を行います。道路、下水、公園、そういったものにどんどん金をかけるわけであります。それが、都市政策からいいましても、地域の均衡ある発展からいいましても、どうしても必要なことであるということはそのとおりであります。それを有効に整備していかなければならぬのは当然でありますが、ところが、御本人の努力いかんにかかわらず、周辺が国民の税金によって整備をされてくれば、その土地の価格が上がるのであります。本人の努力いかんにかかわらず、土地の値段が上がるわけです。先ほど申し上げました中でも、私が触れておきたかったなと思うのはそういった点であります。今までほとんど使い道のなかった土地でも、周辺に道路ができる、下水道が完備する、公園ができる、そういうふうなことの中で値打ちがどんどん上がってくる。そうすると、借りている方に対して、値打ちの上がった分だけ今度は賃料を上げていくという構図になってまいります。これはもう否定はできないと思うのです。 ここで、契約期間の存続期間というふうな問題がやはり借り手の方の論理からいえば問題になってくる。長ければ長いほど、その値上がりをもととした契約更新料などの請求をされる機会が少ない分だけ、借り手の方は助かる。しかし、今度のように更新後十年というふうに短期間になってまいりますと、その都度、社会資本の充実がされていけばいくほどに、政府が金をかければかけるほどに、税金をつぎ込めばつぎ込むほどに、今度は更新料も上がってくる。こういうふうな構図は果たして、土地の私有財産上の権利はもちろん認めるわけでありますけれども、同時に土地は公共のものであるという基本的な考え方からいえば、そういうふうな本人の努力なしにどんどん地価だけが上がり賃貸料も上がっていく、更新料も上がっていくということに賃貸借の関係を決めるときにもどこかでやはり制限がなければ、このまま野放しに上げられていく。特に、東京都かのような非常な土地の高騰が行われておるようなところでは、契約の更新ということについては借り手の方に極めて不利な条件を政治そのものがつくっているということを知らなければならないと思うのでありますけれども、そういう観点からいうと、私有財産権を認めながら土地は公共のものであるという観点に立った一定の見方、視点というものはこの法律改正の中にあったのだろうかということを疑問に思いますがいかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 土地は基本的に公共の利益に関係する特質を有しておるということ、これは憲法二十九条でも「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」こういうようになっておるわけでありますから、財産権の内容の典型と申しますと土地所有権でございますから、公共の福祉に適合するようにその権利内容を定めるということは御指摘のとおりだと思うわけでございます。また、そういう観点からいろいろな土地に関する、土地基本法の制定とか、場合によってほ公共開発のための土地収用権の発動とか、あるいは各種の住宅土地政策立法というものが行われておるというふうに私どもほ承知しているわけでございます。 ただ、そういうことは当然のことでございますけれども、借地借家法というのは、そういう土地の公共的性格というものを基本として公共的な見地から立案するあるいは法律をつくるというような性格のものではございませんで、土地で申しますと、あくまでも地主と借地人の権利関係が合理的に公平に調整されるようにということを目的としてつくられた法律であるというふうに私どもは思うわけでございます。そういう公共の福祉とか公共の利益ということのために、例えば借地人なり地主の方が犠牲と申しますか権利の制約を受けるというようなことは、借地借家法の問題ではございません。都市再開発のために例えば一定の地域を強制収用する、その際に借地権も収用する、借家権も収用するということは、それは土地収用法の問題かもしれませんけれども、借地借家法の問題ではない、あくまでも当事者間の権利関係を合理的に調整し、公平ならしめるというのが借地借家法の目的だというふうに思うわけでございます。 御指摘のように、例えばインフラの整備によりまして土地の値段が上がる、開発利益というような言葉で言ってもいいかと思いますけれども、それが借地の場合に、公共投資によって値上がりした利益というのが土地の所有者だけに帰属するということであるとあるいは問題かもしれません。しかし現在の扱いでは、やはり借地権者にも当然その値上がり利益が借地権価格の上昇という形で反映していることになっているわけでございます。 そういうような状況を踏まえ、例えば土地の値上がりに伴って公租公課の上昇があるというようなことになりますと、これはやはり貸している方でも税金負担にも足らない地代では風るということになりますから、その必要な限度において地代の値上げをせざるを得ないということもあり得るでありましょうけれども、この借地借家法というものの性格は、基本的に当事者間の権利関係の公平、妥当な調整を図ることを目的とするものであるという観点から、私どもは今回の改正案をお願いしておるということでございます。
○貴志委員 その土地が値上がりをすればその財産上の価値の値上がり分、もちろん地主だけが取るものではございませんけれども、比較いたしまして非常に有利である。本来、政治の恩恵を受けるのは全体的に公正であり平等であるべきでございますけれども、そういう意味では、インフラ整備の中でその利益を大変多く吸収することのできる立場にあるのはやはり持てる者という構図になっているではないかということを私は言っているわけであります。だからこそこの法律の改正については、先ほど説明の中にありましたように、一たん貸したらもう返ってこない、貸し手の方からいえば返ってこない、借り手の方からいえば返さないというふうな、そういう姿を是正する意味が今度の法改正にあったんだということは、そうなりますと、どちらかといえば貸す方の側に軸足を置いた改正ということになるではないかということを私は申し上げてきたつもりでありますが、今ここでそのことについて論議を繰り返そうと思いません。次の問題を聞いてみたいと思います。 今度の法改正の中で、既存の借地・借家人に対しては従来どおりであって新しい改正法のもとで運用されるものではないということが明確にされておるわけでありますけれども、現実問題は果たしてそんなぐあいにいくだろうかというのが大方の心配の種であります。 例えば、ここ一、二年の間でもそうでしょうが、五年、六年たってまいりますともう改正法がかなり定着をしてまいります。新しい法律が定着をしてくる。十年、十五年たってくると、もうほとんど今の法律が法律そのものであるというふうに理解されるようになってくるおそれがある。これから未来永劫、借地・借家に関しては二つの法律が生き続けていくんだ、未来永劫というのはちょっと言い過ぎでしょうが、それほど長い間二つの法律が生き続けていくんだということが常識的に理解されるだろうかというのが私どもが持つ心配であります。 現実の問題として、仮に七年先にちょうど三十年の契約の期限が終了して更改をする、既存の借地人がそういう事態を迎えます、そのときに、地主の方あるいは業界の方ではちゃんとした専門家を中に入れて、借地人に更新のための契約料金の更改を迫っていくというふうなことは当然に考えられることであります。また、先ほど局長自身も言われましたように、固定資産税等の値上がりがございますからというふうな理由で、この機会に借地料の大幅値上げを申し出られる可能性も十分にあるわけであります。仮に借地料の値上げが手続的に面倒だということになれば、契約更改の段階で契約料という形で強く主張される場合がありまして、それをめぐっての紛争というものがかなり頻繁に起こってくるのではないか。しかも新法を振りかざしての契約更改というケースが、ここ五年、十年、年数がたてばたつほどそういう心配が現実のものになる、そういうことを多くの人々は懸念しております。 これについて、法的にこういうふうに書いているんだから大丈夫だということでは済まないと思うのですが、その辺どのような見通しとお考えを持っておられるか、お伺いします。
○清水(湛)政府委員 既存の借地・借家関係には新法の更新及び更新後の法律関係に関する規定は適用されない、これは法文の上に明確に規定しているところでございます。つまり新しい法律は、これから土地を貸しあるいは家を貸すという方について初めて適用されるものである、こういうことになるわけでございます。そうしますと、特に新法によるものと、いわば旧法と申しますか、既存のものについては、借地権の存続期間等が若干異なる等の問題が生じますけれども、しかし、法律できちっとそういう形で整理をしているわけでございますから、このこと自体は極めて明白であるというふうに私どもは思うわけでございます。 ただ、先生御指摘のように、あるいはそういうことが十分に理解されないまま地主の方からいろいろな不当な要求を受けてそれに屈するようなことがあるということになりますと、これは問題でございますので、そういうことについて国民の方々に十分な理解をしていただくということが重要だと思うわけでございます。先般もこの法案の審議の関係で公聴会で公述人の方々が述べておられましたけれども、少なくとも弁護士のところへ来ればそういうことははっきりするので別に問題は生じないと思う、その前にいろいろ問題があるということはあり得るかもしれないということを述べられた方がおられますけれども、私どもといたしましては、そういう新法と旧法の関係についての国民に対する周知、PR、これはもう大いにやっていかなければならないというふうに思います。それから、あえてそういう誤解を生じせしめるような行為というのは大いに慎まなければならないというふうにも考えているわけでございます。
○貴志委員 現実は、おっしゃるとおりのような、机の前で法律がこうだから、あるいは専門家のところへ来てくれればうまくいくのだとかそういうふうなことにはならない、そういう今の社会情勢だということはぜひ頭に入れておいてもらわなければならぬと思うのです。恐らく局長初め関係の方面に、借家人組合の関係の方や公団の居住者の方々がいろいろな形で陳情やらをされておるだろうと思うのですが、それらの末端の借地人の人々に十分な納得が得られたんだろうか、納得を得ておる、このようにあなた方はお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 既存の借地・借家関係に新法をどういう形で適用するかということにつきましては、立案の過程におきましてもいろいろな議論がされたわけでございます。法制審議会の審議の過程、あるいは私どもが作成いたしました試案とかそういうようなものを外部に公表する際におきましても、既存の借地・借家関係への適用をどうするかということが一つの重要な問題、ある意味においては最も大きな問題だったというふうに私どもは考えております。 したがいまして、そのことにつきまして関係各方面、各団体からいろいろな意見が寄せられたわけでございまして、そういう意見を踏まえまして最終的に、例えば契約の更新後の期間につきましても、法制審議会の答申におきましては、基本的にはもう既存のものには一切適用しないということにするのが望ましいけれども、他方いろいろな意見を踏まえて、新法施行後、二回目以降の更新からは新法の規定を適用するということもまた考えられないことではないというふうな趣旨の答申をいただきました。しかし、さらにいろいろな立案の段階でいろいろな方々の御意見を拝聴するうちに、既存の借地・借家関係の方々がいろいろな不安を持っておられるというようなことも私どものところに参りましたので、この際、法律の明文の規定によりまして、既存の借地・借家関係には新法の更新及び更新後の法律関係に関する規定は適用されないということをこの法律の附則におきまして明確に規定しているわけでございます。 したがいまして、残された問題は、その趣旨を、この法律の規定の存在をよく知っていただくということ、これが私ども非常に大事なことだ。法律で書いたわけでございますから、これ以上明確なことはない。ただ、そのことを知らないでということでありますと問題でございますので、こういう法律の規定がありますよということは、この法律が国会を通過した場合におきましては十分に周知徹底するための方策を講じてまいりたいというふうに思うわけでございます。
○貴志委員 借地・借家人の側は依然としてなお厳しくこの法案成立の行方を見守っておると思います。 先般公表されました政治資金規正法による届け出を拝見いたしておりますと、やはり不動産業界、民間デベロッパーの関係での献金、またバブルの主役であった企業からの政治献金も報道をされております。そういう報道を見るにつけ、借地・借家人の皆さん方は、自分たちは政治献金をしていないという、極めて短絡的に現象を見るのも無理からぬことではないだろうか。しかるがゆえに、この借地借家法、重要な法案を、問題を抱えた臨時国会で、どんどん、なぜこんなに急がなければならぬのかという疑問にも発展をしてきておる。このように当事者たちが受け取るのも無理からぬことである、そのように考えられるわけであります。 したがって、今まで時間をいただきまして質問を申し上げてまいりましたが、まだまだ解明をして、これからの借地・借家人、今の借地・借家人たちも納得ができるようなところまで詰めていかなければ、この法案はにわかに賛成をするというわけにはまいらない、このような考えを持っておりますことを申し添えまして、私の質問を終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 渡辺嘉藏君。
○渡辺(嘉)委員 委員長の許可をいただきまして質問をいたします。 私は、法律家でありませんし、もちろん弁護士でもありません。ただし、戦後あの焼け野原の中で居住権を守るあの戦災地の借地借家臨時令の時代からこの借地・借家問題に取り組んで、今日も数百人の方の借地借家人組合をつくっております。日常、それらの人々の悩み、苦しみ、不安感、そして時代の流れの中で彼らが苦慮しておる実態、いろいろなものをつぶさに見ておる立場から、この実際にやってきた現実の中で、従来の借地法、借家法が持っておりました。持たざる者を保護する幾多の立法箇所に非常に大きな恩恵を受けながら、この持たざる人々の生活権、居住権の安定確保に努めてきましたし、この法律が基盤となってこれができてきた。その意味においては、従来の借地法、借家法は、私は、そういう持たざる人々の生活権のための居住の安定を図った必要最低限の一つの規範、基準を定めたものではなかろうか、そういう社会政策的な意味を持ったものではないか、こういうふうに実態の中で感じてきたわけですが、この点、大臣はどのように政治家として考えていらっしゃいますか。
○左藤国務大臣 お話しのとおり、借地・借家法、この法律は大正十年に制定されたものでありまして、民法関係の特別法というような形で制定されたものでありまして、契約の当事者間の実質的な公平を確保する、こういうことを目的にして、借地権者及び建物の貸借人の権利、この安定化を図ることを目的とした。このようにした法律であるというふうに理解をいたしておるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 今大臣から御理解のある御答弁をいただいたわけですが、私もそういうふうに考えておる次第です。 今度改正されるわけですが、この借地法、借家法、これが、何回も言いますが、この七十年間、持たざる立場の人々の保護法として今のような制定、改正の経過を経てきたわけですが、それによって居住権の安定のために賃貸借関係をつくり上げてきたと私は思っておるわけです。しからば、今度改正されるに当たっては、単なる時代の流れということ、あるいはまた判決、判例に基づく、こういうことだけではなくて、保護立法的な、社会政策的な考え方、こういう観点に立って法改正をされたのか、それとも今までの借地法、借家法ではこういう不都合があった。この不都合を直すために改正するんだ、しからばどういう考え方で不都合があったのか、この点をひとつ承りたいと思います。
○清水(湛)政府委員 借地・借家法につきましては、先ほど大臣からの御答弁がございましたように、借地・借家人の権利の安定化を図る、借地・借家人の権利を保護してその権利の長期的安定を図る、こういうふうにさらに強く言っても私産し支えないと思いますけれども、そういう目的で大正十年制定され、昭和十六年にその改正がされておる、こういう経過だろうと思います。私ども、この借地・借家法の基本的な性格というものを変える、あるいは一部でもいいから修正をするというようなことは全く考えていないわけでございます。そういう借地・借家法の理念の上に立って現在の社会経済情勢の変化というものを眺めまして、これに適合するような形でのものを考える、こういう社会経済情勢というものを踏まえて当事者間の利害の公平な調整を図る、こういうことが基本的な考え方でございまして、このことが例えば今回の改正案の特色でありますところの定期借地権制度の創設、これは今まで法律では認められなかったものを一定の厳格な要件のもとにできるようにする、つまり新しいメニューを追加する、こういう意味での定期借地権制度の創設でございまして、これは借地・借家法の基本理念と全く矛盾するものではないし、むしろ現在の経済情勢に適合するという意味において極めて妥当なものであるというふうに私どもは考えているわけでございます。 それから、例えば借地権の更新、基本的な存続期間あるいは更新後の存続期間につきましても、現在の社会経済情勢というものを踏まえまして、当事者間の公平をより一層適切に図るためにはこのような基本的な存続期間三十年、更新後の存続期間は十年とするのが適当である、こういうことでこのような修正をした。さらにはまた正当事由につきましても、これはたびたび申し上げていることでございますけれども、今の正当事由の裁判実務の運用というのが昭和十六年の法律制定時とはやや違って、つまり、法律はどちらかと申しますと地主の方にウエートを置いた形になっているわけでございますけれども、裁判例の積み重ねによりまして、地主、借地人側を公平に見るという形で裁判実務、裁判例が定着してきた。こういう実情があるわけでございますから、これをそのまま素直に法文化する。もし判例実務で固まったものを少しでもどこか落とすというようなことになりますと判例を変更したというふうにもとられかねない要素がございますので、判例実務で固まっているものを素直に法文化するということにいたしたわけでございますが、いずれにいたしましても、借地・借家法の基本的な性格というものは一切変えられていないというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 今承っておりますと、基本的な保護立法の理念は変えるつもりはないし、変えたつもりもない、こういう改正案だ、こういうふうに承ったわけですが、私もそれで結構だと思います。 そうすると、不都合はなかったけれども、判例、判決に合わせて時代にそぐうようにしたんだ、こういうふうになってきたわけですが、今現実の姿は借地によるところの建物居住が減少しておることは、これはもう御案内のとおりであります、具体的なことは一々言いませんけれども。持ち家の総数が総務庁の調べで二千二百九十五万戸ある。そのうちで自己所有地が二千八十二万戸、そして借地によるのが二百十三万戸、九対一の比率になっています。これは五年前一一%が今九%に下がっておりますから、どんどんこの五年間で急速にまた下がった。しかし、これ以上下がるかどうか、これは非常に微妙なところへ来ました。その反面、今度は借家が非常にふえておる。十年前のときにほ千二百六十九万戸で、五年前には千二百九十五万戸、わずか二十六万戸しか借家はふえなかった。ところがこの五年間は、借地が先ほど申し上げたように三十五万戸分減った反面、六十三年の借家が千四百二万戸と百万戸もふえたわけですね。その中で特に著しいのが民間の借家のふえた数なんですね。民間の借家はこの五年間で百五十二万戸ふえた。借地は三十五万戸減少した。ということは、借地が減って借家がふえた。言うなれば、簡単に言えば土地を貸しておる利回りよりも、先ほどから何回もあるように、地価の値上がり等から見てその底地の利回り等々計算したら借地にしておくよりは立ち退きをかけて、地上げをして高層マンションつくって、そして高利回り図った方が得なんだ、こういう経済ベースから、どんどんと借地を立ち退きさせて、そしてそこに新しくマンションをつくって高利回りを図ってきた。こういう現象が大都市を初め各地方にまで及んだことは事実なんです。その結果がこういうふうになった。そこへこの五年間言うまでもなくバブル経済が横行して、低金利あるいはまた原油安あるいはまた経済成長、こういうものが一体となりまして、そして地価の高騰、株価の引き上げ、こういうふうなバブル現象を呈してきたわけなんです。 ここで私は問題にしたいのは、この動きに法務省も一役かしたのじゃないか。なぜか。昭和六十年の十月に法務省の民事局参事官室は、借地・借家改正法案の問題点という中で、更新拒絶の正当事由の中に「土地所有者による当該土地の有効利用の必要性及び相当性を加える」ということを問題点としてぽんと出した。家主地主組合は大喝采をして一面新聞広告を出して、賛成、これを法律化せよとやった。借地借家人組合あるいはまた借地・借家人は大反対、法曹界も大反対。その結果、法務省は今度は元年に改正案を出した。これによると、そういうのを今度は形を変えて、表現を「土地の存する地域の状況」と変えられた。これまた反対の声が多かった。そこで今度は「土地の利用状況」と出された。 私は、この流れをずっと見ておると、同じこっちゃないか、こう思うのですけれども、この点はどうですか。 〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
○清水(湛)政府委員 昭和六十年のときの借地・借家法改正の問題点という形で問題点を整理した中にほ、御指摘のような土地の有効高度利用というような観点からの正当事由についてのアプローチの考え方、そういうものが問題点の中に示されていたということは事実でございます。これは、先ほどもちょっと貴志委員の御質問に払お答えしたところでございますけれども、当時の問題点というのは、法務省がこういうことをしますとかああいうことをしますというのじゃなくて、こういうような意見が各方面で述べられておる、こういういろいろな各方面の意見というものをいわば整理いたしまして、こういう意見があるけれども皆さん方はどう考えますかという形で、関係方面の意見を広く聞くという材料として用意したものでございます。したがいまして、当時から法務省がそういうような考えを持っていたということにはならないわけでございまして、いわばその当時議論されていた問題点の整理にすぎない。 それから、そういう問題点に対しまして返ってきたいろいろな各方面の意見の中には、それに賛成するものもございますし、反対するものもあります。そういうようなことから、例えば先生御指摘のような、当該土地の存する地域の状況、つまり具体的に貸し借りの対象となっている土地だけではなくて、その周辺の土地の利用状況はどうなんだということが正当事由の判断事由として加えられるべきである、こういうような御意見ももちろん強くはね返ってきたわけでございます。そこで、そういうようなことも考慮して一つの試案としてつくるとこういうことも考えられるかという形で、また再びオープンにいたしまして関係方面の意見を伺った。しかし、それに対しましても、やはりそういうものは入れるべきではないという、特に弁護士会とか、あるいは借地人、借家人の方々の関係する諸団体からもその種の意見が述べられまして、最終的に法制審議会の審議の段階で落ちたという経過があるわけでございます。 これは、私ども、特に民事に関する法案についてはそうでございますけれども、常に中立、公正の立場から、これは借地・借家法のみならず民法、親族・相続法その他すべての法律がしかりでございますけれども、すべて問題点をオープンにして、試案をつくったらすべてこれをオープンにしてまた意見を聞くという非常に丁寧な手続を踏んでいるわけでございまして、そういう意味で、まさに関係方面の十分な意見を聞いた上で最終的に今回の法案のような形になった。あくまでも、法務省としては中立、公正の立場から立案に当たったということは御理解いただきたいと思う次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 私は法務省の良識は当然そうあったと思うのです。しかし、法務省がそういうことを出された。一渡辺嘉藏や私の家内がしゃべったのとほ違うんですね。法務省が出された。そうすると、周囲は高度成長で地価高騰、あのバブルの真っ盛りなんです。まさに昭和六十年からずっと右肩上がりの時代なんです。そのときにこれを出された。当然こうなるんだということで、火に油を注いだことは間違いないのです。これは、法務省の真意でなくたってそうなったんだ。私は、まずいときに出したものだとあのときも思ったし、今も思っておるのです。 そこで今度は、周囲の状況ということを考えないで、土地利用の状況だけと当事者の事情とでずっと正当事由を整理してきた。こういうことなんですが、私はここに非常に問題があると思うのは、土地利用の状況という表現の中には、周囲の状況を無視してはあり得ないのです。まず両者間だけで賃貸借をした。その土地をどう利用しておるか、このことは貸し手と借り手だけではなくて、周囲の状況を見てどう土地が利用されておるのか、こういうことを判断するのは当たり前なんです。このことは第十七条の第一項の案によると、借地条件の変更の中にも出てくるのですが、これは、用途等を制限しておる借地条件の場合に、従来の制限していた用途を変更する場合には付近の土地の利用状況の変化その他を考慮して裁判所が決める、こう出てきたのです。こんなものは連動してくるのです。裁判所が決めるからには、これが当然これになる。そうすると、土地利用の正当理由も当然これを加味したものになる。今までは、住宅しかいけませんよ、住宅で借りますよ、貸しますよ、こういう条件。ところが、周囲にマンションができてきた。だからお客さんがふえる、スーパーをやってみたい。あるいはまた、隣に何かできた。繁華街になってきた。だから、これは住宅だけでは困るから営業用にしてくれぬか。一階を営業用にするから、おまえ二階に行かぬか。あるいはまた、十階建てをつくるから、おまえ八階に入れてやるから、一階、二階、三階ほひとつ、こういうふうに出てくることは、もう理の当然なんです。現実もまたそういうふうに進んできたのです。 こういうふうに考えますと、この第十七条の一項に規定した借地条件の変更の中の付近の土地の利用状況の変化その他を考慮してということは、更新拒絶の正当事由の中の土地利用の状況というこの文章表現は当然これと連動して判断されるようになり、また貸し主は当然これを援用、悪用といいますか、して、そして借地人に対してかくあるべきだ、法律はこうなっておる、連動しておる、裁判所はこう出るぞと言うに決まっていると思うのですね。とすれば、結局持たざる借地人、居住していた者が立ち退きをさせられる。そしてその立ち退きも、従来の土地所有者だけとは限らないのです。従来の土地所有者がいろいろな事由で地上げ屋に売ってしまった。地上げ屋が動くのです。動くのは地上げ屋なんです。従来、長い間因縁がんねんのあった土地所有者と借地人がかんかんがくがくやるというのはもう百のうちの一つか二つしかないのです。あとは仲介人と不動産業者と地上げ屋がやるのです。だから、そこには義理も人情も何もないのです。だから、過去の経過を加味するぞといったって、文章では入ったところで、地上げ屋には血も涙もないのです。 こういうような意味で、正当事由の中に、三遍ひっくり返ったというか、文章表現を変えていらっしゃったこの流れほ借地条件の変更の裁判の前提条件の中に生きておるから、これは連動して、嫌でも今おっしゃったような理念はむしろ貸し主に有利な状態でいつでもどかせられる。貸し主というのは土地所有者、土地所有者は過去の所有者とは限らない、新しい土地所有者もそれを足がかりにして立ち退きをやってくる。これは火を見るより明らかだと思うのですね。この点に対する配慮はどうなっているのですか。
○清水(湛)政府委員 十七条に「付近の土地の利用状況の変化」という言葉がございます。これは、借地条件の変更について当事者間で話し合いがつかないというときに、当事者が裁判所に「承諾に代わる許可」の裁判を求めるということでございまして、一般的にはこの規定は借地人を想定しでつくられたと言ってもいいと思います。例えば、借地契約で、この土地には木造の建物しか建ててはいけませんよ、あるいは何平米以上の建物は建ててはいけませんよというような借地条件を仮に定めることができるということになっているわけでございますけれども、ところが、そこを長い間借地人がそういう契約条項に従って使っていたけれども、周辺の状況はもうみんな鉄筋になっている、あるいは防火地域、今回は防火地域という言葉は抜きましたけれども、いろんな土地規制とかそういうものが変わってきて、借地人としてその土地を利用する場合にはやはりもう堅固の建物を建てるということに借地条件を変更してもらわないと困る、こういう主として借地人の立場を考慮した借地条件の変更の手続でございまして、そういう場合には借地人の方から、付近の土地の利用状況がこう変わってきたから私のところもそうさせてください、こういう意味での許可の裁判の申し立て手続でございます。 一方、今回の正当事由の規定におきましては、付近の土地の利用状況という言葉は明白に除いているわけでございます。同じ法律の中に独、一方では当該土地・建物の利用状況と言い、十七条の方では付近の土地の利用状況と言っているわけでございますから、正当事由の独立の判断要素として付近の土地の利用状況の変化というものが入らないということは、これは規定を対比しただけでも明確になるというふうに私どもは考えているわけでございます。もちろん、当該土地の利用状況を判断するという場合に全くその付近の土地の利用状況というものが影響しないかということは、これはおっしゃるとおりだと思いますが、現に裁判例の中でも、当該土地の利用状況を判断するに当たって、ちなみに付近の利用状況というようなものも考慮しているものもございますけれども、少なくとも付近の土地の利用状況はこうだったからこうだというふうな独立の判断要素にほなり得ないという、そういう趣旨で私はこの規定を置いているわけでございまして、決して御心配のようなことにはならないのではないかというふうに思う次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 局長さん、それが心配なんです。あなた方はこういうところで見ていらっしゃるからいいと思っていらっしゃる。そして、借地人のためになるような十七条一項だ、冗談じゃないです。それなら借地権者の申し出だけにしておいてください、後の条項と同じように。ここの部分は当事者が出せるんです。いいですか、当事者が出す場合には、借地人の方から出す場合は、従来の法律でも、間取りが狭くなった。家を直したい、その場合に、私は今まで何回も地主と交渉したときにストップばかり食った。そのかわり時価の一割出せ、二割出したら認めてやる、こういうことばかりだったのです。ところが四十一年の法律改正で、裁判所がかわって許可を与えます、あれによってがらっと変わったんです。あれは借地人からの要求なんです。それでいいんです。それならこの当事者というのを削らにゃいけない。むしろこれの要求は、これから見ておってごらんなさい、実際は借地人から出すよりも、こんなものは従来の法律で十分カバーされておった。新しい法律をつくって「当事者」とこう認めた以上は、出てくるのは貸し主、土地所有者が大部分になる危険性はもう多分にある。このことがおたくらのように雲の上におりなさるとわからぬのやないかな、こういう危険を特に感じるのですけれどもね。これについて、答弁またまとめてもらいますがね。 さっき定期借地権のこともおっしゃったのですが、これによって五十年安定しました。三十年安定して、そして買い取り請求権をつけてあげました。私は、これは事業用はやむを得ぬと思うのです、いいと思うのです。頭からその間の事業を、収益を目的として十年借りた。二十年借りた。これでいいと思うのです。 ところが、問題はこの定期借地権なんです。三十年だよ、後、買い取ってあげますよ。いいですか、人間はだれでも死ぬのです。ところが、いつ死ぬかわからぬからみんな頑張っておるのです。あした死ぬと思えば、ばかばかしくて、きょうこういう仕事をやるかどうか。最後までやる人もある。しかし、わからぬからいいのです。これは天のお与えなんです、わからぬということは。ところが、我が家はあと十年しかないぞ、あと五年しかないぞ、こういうときの居住者の不安感、これは大変なんです。今のように、家がどんどん建てられる時代ならともかく、土地がどんどん買える時代ならともかく、そうでないときに、もう五年しかない、もう十年しかないというような不安定なことを、こういう制度を設けてそれで事足りるというのが、ああやはり法理論家の発想だな、実態ではない、こういうふうに私は思うので、居住の安定性というものは継続性が大前提であるということ、この意味から見て私は、この定期借地権によって法務省の考えていらっしゃることは大分実態とピントが外れております。 特に今おっしゃった前段の十七条の一項は、当事者が申し立てれる、このことは、借地人に有利な規定だというような考え方を持たれたら大間違いですから、この点は直していただかなければいかぬと思っております。
○清水(湛)政府委員 十七条の規定につきましては、これは若干の要件の修正はございますけれども、現行法の規定をそのまま受け継いだものでございまして、昭和四十一年のときから「当事者の申立てによりこということになっているわけでございます。現実の申し立ては、これは借地人からの申し立てが圧倒的でございますけれども、地主の方から申し立てをしなければならない事情というものも全く考えられないわけではないということから、四十一年当時の改正におきまして「当事者の申立て」ということになったというふうに承知いたしております。 それから、定期借地権についてのお話でございますけれども、定期借地権というのは一定の期間というものがまず前提になるわけでございまして、例えば建物買い取り型の定期借地権あるいは五十年以上の定期借地権、恐らくこういう借地権を利用するという方々は、五十年型の定期借地権については現在、例えば日本住宅都市公団あたりがいわゆる紳士協定ということで六十年とか七十年の期間借り上げまして、そしてその期間経過後にはそれを間違いなく返すという約束のもとに、これは現在の借地法ではそういう約束は無効でございますけれども、そういうような紳士協定のもとに現実にそういう土地の借地契約が行われておる。こういうような実情を踏まえて、まさにこれが現在の社会経済情勢の激しい変化のもとにおける借地に対する新しいニーズに対応するものである、こういう考え方のもとにこのような制度が設けられたわけでございまして、決してこれが借地人に不利益に当たるとか不利になるというようなことにはならないというふうに私どもは考えているわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 押し問答しておってもこれはしょうがないですから、ただ、私の立場から実態を申し上げておきましたので、この点は十分御配慮をいただきたい。 同時に、今度は更新後の期間を十年と規定されたわけですが、この十年という物差しはどこから出てきたのですか。
○清水(湛)政府委員 更新後の期間十年、これは既存の借地・借家関係にはもちろん適用がないということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、今回の改正に当たりましてはまず基本的に、現行法におけるような堅固の建物については最低三十年、非堅固、つまり木造の建物につきましては最低二十年、こういうような違いを改めて、一般的に土地を貸す以上は三十年は我慢する、三十年は返してもらえないということで、基本的な存続期間を三十年、こういうふうにいたしたわけでございます。三十年間は基本期間とした上で、更新後の期間については十年といたしたわけでございますが、これは要するに、十年ごとにいわば当事者の実情というものが借地関係に反映される、つまり正当事由があれば地主の方では返してもらえるということになっているわけでございますが、現行法ですと二十年ごとにしかその正当事由の有無の存否を判断してもらえない、堅固の場合でございますと三十年ごとにしか判断してもらえない。地主の方にも家族構成の変更とか生活状況の変更とかいろいろな大きな事情の変更というものがあるわけでございますけれども、今のように特に時代の変転が激しい時代には、少なくとも地主の方からも十年単位ぐらいに正当事由の有無をチエックしてもらうということが、やはりこの借地人、地主というものの立場を公平に考えた場合に適当なことではないか、こういうことでこのようなことにいたしたわけでございます。 ただ、この十年の期間が参りましても、正当事由が存しない限り地主の方では土地は返してもらえないということは現行法と変わるところがございませんので、正当事由が存する限り、つまり正当事由が地主に存しない限り、借地人は従来と同様に結果として半永久的にその土地を使用することができるということにもなるということについては、現行法と変わらないということでございます。
○渡辺(嘉)委員 既に何回もこれほ論議が尽くされたと思っておりますので、繰り返しはいたしません。 十年ごとの更新料の問題、幾多の問題が十年目ごとに発生するというような不安定なことで、今聞いておりますと十年ぐらいが妥当だ、どうして十年が妥当なんだ、今まで二十年でも私ども短いと思っておったのですよ。要するに、三十年なり五十年最初借りたんだ、それならそれに近い数字がいいんだ、こう思っておりましたが、まあ二十年でもやむを得ぬと思っております。むしろこれほ延長したいと思っておるときに、これを十年サイクルに抑えるというようなことを、こんなものは借地人側にとって不利であり、貸し主に有利であることほ明らかじゃないですか。それなら、こうこうこういう物差しではかったら十年だという理論的な根拠はきちっと出せますか。簡単に答弁してください。
○清水(湛)政府委員 借地関係の存続期間とか更新後の存続期間を科学的に何年が適正妥当であるということを証明するということは、これはできない話でございますけれども、私ども各方面のいろいろな方々の意見を聞いて、そして、例えば三十年の期間が過ぎたら正当事由が存すればいつでも返してもらえるというふうにすべきだという非常に強い議論から、おっしゃるように更新後の存続期間をもっと長くすべきだというような議論も当然あり得たわけでございますけれども、いろいろな意見の中で最大公約数として十年が妥当である、こういう結論に落ちついた。こういう経過をたどっておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 それは、とてもじゃないが、科学的な十年という期間の算出ということでは今のお答えを聞いておる限りあり得ない。これはもう聞いた聞いたと、だれの話を聞きなさったか知らぬけれども、少なくとも持たざる人々の意見を聞いてごらんなさい、もっと強く。なぜかというと、持てる人の声の方が大きいの、世の中というものは。持てる人は一言しゃべってもばあんと響くし、小さな仁が町の隅っこでしゃべったって響かぬじゃわな。だから、そういうような意味で私は聞かれた声そのものがおかしいと思っておるので、十年はこれはもう絶対にいけない。やはり実態論から見て私は、二十年程度でも短いが、まあまあここらなら一つの世代がかわりますから、二十年というと。十年じゃだめです、まだまだ同じ世代ですから。こういうような意味で、そして三十年と二十年と足すと五十年、定期借地権のあの五十年と見合うのですから、まずそこまでは確保すべきだ、こういうような意見を持って強く申し上げておきます。 いま一つ、三十年の買い取り請求権のついた二十三条のこの規定なんですが、現在の借地・借家契約についてはこういうものは適用しない、こういうことになっております。しかし、十年ごとに更新するために更新料を取られて、一々うっとうしいことをやられて、必ず起きますが、やられてどうもならぬ、それならもう三十年の買い取り請求のやつで我慢しようか、そういうようにすりかえる危険性、すりかえられる危険性、そしてこれが、立ち退き料があれば正当理由としていつでもどかせられるということ、これは一連が連動してくるのです。こういうような意味で、この点については、しからば法務省について、何とおっしゃったってこれは貸し主側に有利な法改正である、私はそう思うのです。私の実践の中からもうひしひしと感ずるのです。 と同時に、今度は建設省にお聞きしたいのですが、こういうことで借地・借家の新しい流れが、法律改正が行われると、これに合わせた借地・借家の契約基準令のようなものが必要になってくるのではないか。あるいはまた、これは法務省がつくるのか建設省がつくるのか、これも聞いておきます。私は、こういうものをきちっとしておかないとすりかえが横行するのです。今までほこれです、これからはこれですと。だから、これについて、借地についての契約基準令をどう考えていらっしゃるか。つくるのかつくらぬのか、あるいはまたどういうふうに。借家についてはどうなのか。今の不動産業界がつくっておるあの印刷したものじゃだめなんです。この点、どうですか。
○瀬野説明員 御説明申し上げます。 まず、借地の関係でございます。 今般の借地借家法案におきましては、借地需要の多様化に見合うよう一定の要件のもとで更新のない借地権、すなわち定期借地権制度の創設を盛り込んでおるわけでございますが、同制度は、土地を貸しやすくあるいは借りやすくするということから、この普及定着が土地の有効利用及び宅地供給に資するものではないかというふうに考えておるわけでございます。 このため、建設省におきましては、この新たな借地方式に対する双方の不安感というものを除去いたしまして、貸し主、借り手の双方のニーズに合った安定的な借地関係のモデルとしての標準的な契約約款を提示をしてこの制度の普及に当たってまいりたいというふうに考えておりまして、現在その内容等について研究を行っておる最中でございます。 〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
○石井説明員 借家関係について御説明申し上げます。 民間賃貸住宅におきます賃貸借関係におきまして、家賃の改定とかあるいは更新料の授受といった点につきましてトラブルが多発しているわけでございまして、非常に問題となってきているというふうに理解しております。 このため、建設省といたしましては、こういった民間賃貸住宅に係る管理の適正化あるいは貸借人の管理水準の向上を図るために、こういったトラブルを防止し、あわせて健全で合理的な賃貸借関係を確立する必要があると考えているところでございまして、現在、学識経験者あるいは関係同体の方々の意見も徴しながら、標準的な住宅賃貸借契約に係る基準につきまして検討を進めているところでございます。
○渡辺(嘉)委員 法律が施行になってどんどん法律は走っていってしまった。ところが、あなた方が検討していなさる、その間空白ができてしまう、その間にはいろいろなトラブルが起きる、これは一番危険なことです。当然、この法律改正するときにほ、こういう改正をしたい、そのときにはこういうことも、これは附属書類なり参考資料で出していくぐらいでないと非常に問題が多くなる。いつまで検討しておるつもりです。間に合うのかな、これに。どうですか。
○瀬野説明員 御説明申し上げます。 先生御指摘のことはあると思いますが、私どもとしても精いっぱい早急にこういった案の内容について検討を進めさせていただきたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 少なくとも法施行に合わせてこれほ参考資料として出せるようにしていただきたいと思っております。 借地の場合でも借家の場合でもそうですが、特に借地の場合には、人に土地を貸すだけの土地を持っておる人でなければ貸し主にはなれない。当たり前のことです。土地のない人が土地を貸してやると言ったってこれほ不可能。貸すからにはやはりある程度、百坪とか以下じゃちょっと無理だと思うんですね。そうするとやっぱりせいぜい二、三百坪、五百坪、平米に直したら五百平米とか千六百五十平米とか、こういうことになっている。それ以上でないとこういうことはできない。個々のケースとこういう業としてのケースとはまた違っできますから、そうするとどうしてそういう差ができたのだ。持てる人は千坪、まあいわゆる三千平米持っておる、持たざる人はゼロだ。借地もできなくて、アパート、マンション、こういう格差が生じたんですよ。 今、法人がどんどん土地の買い占めも進めておると聞いておりますが、私の調べたところによると、固定資産税の比率でも個人の宅地と法人の宅地とは今拮抗しつつあるんですよ。今国土庁は、この点についてどうしてこういう格差が生まれたのか、それで合格差はどういうふうに進行しつつあるんだ、この点について調査されたことほありますか、どうですか。 〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
○板倉説明員 法人、個人の土地所有の状況についてのお尋ねでございますが、近年民有地に占める法人の所有割合というのは増加傾向にございまして、昭和四十五年、法人が八・六%であったものが、平成二年には法人が一二・九%となっている次第でございます。特に大都市部におきましては、東京都区部の宅地を例にとりますと、昭和六十年以前はほぼ横ばいで推移してまいりましたが、六十年以降になりますと法人の土地所有割合が増加に転じておりまして、昭和六十年から六十四年までの間に二五%から二七・四%となっておりまして、この時期に法人による宅地の買い入れが活発であったことがうかがえる次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 こういう土地所有が、先ほど申し上げたいわゆる今までの土地所有者から土地を買って、そして立ち退き、地上げ、高層ビル、こういうことにつながってきたわけなんです。これがまた地価高騰の原因にもなったわけですが、私はそこに、要するに富の偏在が土地という基盤において行われ進んできておる。私は、これの経過その他もきちっと一遍調べて、そしてそれへの対応を考えていただかないと、この借地・借家法を改正しました。貸し主に有利になった。定期借地権を設けました。じゃどれだけの借地契約ができると思います、借地供給がどれだけ出てくると思しまつ。 じゃ、きちっと聞きたいんですが、この借地・借家法の改正によって、どんどん減少しつつある借地による居住者に、借地供給がふえできますよ、こういう数値をどれだけ法務省は考え、建設省はこれによってどれだけ見ていらっしゃいますか。
○清水(湛)政府委員 この借地借家法というのは、直接にこれだけの例えば借地あるいは借家の供給を目的としてこの法律改正をする、こういうようなものではございません。あくまでも当事者間の権利関係の公平な調整という見地に立って、いわば貸しやすく借りやすい法律関係の創設を考える、こういうことでございます。したがいまして、私ども、特に今回の改正によりまして具体的にどの程度の借地が供給されることになるかということは、これはなかなか推測しがたいというふうに考えているところでございます。しかしながら、例えばこのお手元に差し上げております資料にもあったかと思いますけれども、土地の所有者に、この定期借地権制度が創設された場合には土地をあなたはそれに従って貸しますかというのに対しまして、五十数%の方がそういうことであれば貸したいというお答えをなさっている。まあしかし四十数%の方はそれでも貸さないという答えをしておりますから、果たしてどういうふうに動いていくのか。あるいは定期借地権についていろいろな理解が深まって、先ほど建設省の方でも御検討なさっているいろんな基準等がはっきりしてまいりますと、そういうことでもっと利用したいという方もふえるのではないかというような気がいたしております。 特にまた期限つき借家の制度につきましては、転勤等によりまして今でも一たん貸すと転勤等から帰ってきたときになかなか返してもらえないというような不安からその間空き家にしておくというようなケースが多いというようなお話がございまして、いろんな団体からそういう一定の厳しい要件のもとに期限つき借家制度を認めてほしいということで、この法案では認めることになっているわけでございますが、こういうようなことも、小さなことではございますけれども、都市部における良好な借家の供給にかなりいい結果をもたらすことになるのではないかというような期待を私どもは持っておるところでございます。
○瀬野説明員 御説明申し上げます。 現行の借地制度におきましては、地主側にとりましては、一たん土地を貸せばもう返ってこないのではないかという意識が現実にあるわけでございまして、その反映といたしまして権利金というものが非常に高くなってくる。したがって、土地を借りる側にとっても非常に借りにくくなってくる等々の問題点があるというふうに認識をしております。 したがいまして、今回の改正法案に盛り込まれておる定期借地権の創設と申しますのは、ただいま法務省から御答弁がございましたように、一つの宅地供給のメニューとして一定の役割を果たし得るのではないかというふうに私どもは期待しておるわけでございますが、具体的にどの程度の量の借地がではこの制度によって出てくるのかといったことについては把握はしておりません。
○渡辺(嘉)委員 そんなような期待ができるんじゃないかという程度のことで、これだけ持たざる借地・借家人の立場が弱まるような法改正は、これはあなた方はそうやないと思いなさるかもしれない。そうじゃないのです、実際は必ずそうなる。これは地代家賃統制令を撤廃されたときに、先日も聞いた。撤廃をした。じゃあそれどうなりました。横ばいでした。冗談じゃないですよ。私の方が抱えておる借地・借家人の数百人の中で、地代家賃統制令撤廃によって二倍や三倍じゃないですよ、五倍くらい上がったのです。だから私どもの組合へ飛び込んできたのです。これが実情なんですよ。だからそういう調査と統計に基づいてあなた方は判断されるから間違うんですよ。 特にここで私は申し上げておきたい。五十何%の人が前向きだ。向きは前向きでも踏み出すかどうかわからないです、実態は。五十何%の人が前向きでよかった——権利だけが強化された。しかし、本当にやるかどうかは五%か一〇%かわかりゃせぬ、こんなもの。だから私は、そういうことが不確定なままこういうことをやるということは土地政策としても宅地供給政策としても好ましくない、こう思っておるのです。 そこで、これとあわせて考えられるのが、借家の問題がかなりこれから重大な様相を帯びできます。この借家につきましても、借家人の立場からこれを見ましたときには非常に今度はまた不合理になってきた。建物の利用状況、建物の現況等々から更新拒絶が可能になるわけなんです。こういうところから判断いたしますと、これは嫌でも先ほどの土地利用が個々の問題でなくて周囲の問題を巻き込んでおる。先ほど答弁でおっしゃったとおりです。必ずそうなってくる。 こういうような意味合いで、私はこういう弱い立場の借地・借家人の立場の人々が、一対一ではなくて、これが組合組織を持ってそして団体的に話し合いができるようなそういうことを考えてやるべきだ。なぜか。家主は一人、地主は一人でも、しかし借りておる人は一人では非常に弱い立場なんです。いっどけと言われるか。いいですか。法律にこうあるとおっしゃった。現実はそんなものじゃないです。嫌がらせやその他でやられたらどうしようもないのです、こんなもの。だから、それには労働組合法のようなああいう社会政策的なものを織り込んだ借地・借家問題を取り扱う一定の組織、これは労働組合のような団結権ではない、しかし一定の条件のもとの委任交渉権のようなものを認めたそういう組織を認めてやる、私はこういう法律の改正を行い、と同時に、そういう委任を受けて交渉に出かけた人とほ正当な理由がないのにその交渉を拒否してはならない、こういうことを入れておけば初めて均衡ある借地・借家関係ができてくるんだ。これは労組法の立場と同じことなんです。こういうような意味合いで、この点についてはどういう御見解ですか。これは大臣にお願いしてあったので、大臣。
○左藤国務大臣 今お話しの借地・借家人の組織の活動が社会的に重要であるということは申すまでもございませんが、これに貸し主との団体交渉権限を認めたらどうか、こういうことの御意見で、それが果たして我が国の現在の紛争解決の方策として適切であるかどうかということは問題であろうか、私はこう思います。現在お話のありましたような主張が有力であるというようなことは私も承知はいたしておりませんけれども、一つの御意見として承っておきたい、このような考えております。
○渡辺(嘉)委員 今の意見が有力でないということは、これは大臣の耳に入らないだけのもので、借地・借家人の方々は、特にこれをつくってほしい、こういう強い要請があるということ、それによってバランスを図っていく。 あわせて、この地代家賃の増減の紛争、これはもうこれからまた多発するんじゃないか、私はそう見て。おるのです。それがために今度は民事調停法の一部を改正して、その場合にはまず調停で出しなさい、こういうことで調停前置主義が出てきたわけですが、これはもう法務省の調べでも明らかですが、平成元年と平成二年とを比べますると、調停に持ち込んだ件数は、申し立てによるもの、平成元年千五百三十九、二年は千四百九十五と減少しております。職権によるものも減少しております。しかし、裁判によるものはふえておる、これが現実なんだ。なぜか。話し合いは十分やった。もう調停ではとてもあかん、だから裁判に持ち込んだケースがやむを得ず出るのです。いいですか。金がない者がやるのはよほどのことなんです。とすれば、当然優位な立場にある人が起こしてくる。これも危険は私は感じております。ただし、どちらを選ぶかは、私は、借地人の立場、借家人の立場に立っても、調停前置主義で縛り切る、これほどうかな、こう実態から見て思うわけなんですが、この点についてはどうですか。
○清水(湛)政府委員 調停を申し立てても、結局調停がだめということになりまして訴訟に移行するということがあるわけでございますけれども、最初からもう調停なんかじゃなくて訴訟でぽんとやってしまうというような方々から見ますと、面倒くさい調停前置の手続だということになるのかもしれませんけれども、しかし地代家賃というような、借地権があるかないかという権利の存否とは違って、具体的な借地・借家関係というものを前提として幾らの家賃が適当か、幾らの地代が適当かというような問題は、やはりお互いに話し合いをして決めていただくということがいいのではないか。その際、公正な裁判所の調停委員会というものがあるわけでございますから、そこで十分に話し合ってもらう。それからさらには調停委員会、これはこういう地代家賃のこれからのいろいろな専門家というものがこの委員の中に加えられることになると私ども思いますけれども、そういう専門家の知識を十分に活用してもらう。それから、当然のことながら訴訟とは違って費用は安い。こういういろいろなメリットがあるわけでございますから、むしろ借地人の方、借家人の方が簡易な手続で適正妥当な地代家賃を決めていただくということのためにも調停というのは私どもは大変望ましい制度ではないか。むしろ地主止か家主の方がいきなり訴訟を起こすというようなことに問題があるというようなことも考えられますので、やはり調停前置ということでとにかく一たんそこで話し合いをしていただく、どうしても調停が嫌だというならこれはもう調停不調ということで、訴訟ということで決着をつけざるを得ないことになるわけでございますが、調停前置が決して不合理であるというふうに私どもは考えてはいないわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 最後に労働省にお伺いいたしますが、現在、サラリーマン、勤労者では、一生働いたって何千万円、何億残るというようなことは望みがたいのです。そうすると、今のように五千万か六千万なければ土地つきの住宅は入手できない、こういう実情だと私は思うのですが、これについて、その実情と、そしてどのぐらいの人が土地つきの住宅を希望しておるか。 と同時に、今のような、土地が買えない場合には借地でなければならぬ、これはもう当然なんです。とすれば、この借地をどう供給できるか。これはよその国は余りないんですけれども、日本の特殊な風土なんです。昔から寺社仏閣に土地を与えて借地によってお寺をお守りしよう、あるいはまたその他いろいろなことで、日本は借地によってそこに自由な建物を建てで生活するというふうに日本的風土があるのです。私はこれは大事にしていっていいと思うのです。だから、サラリーマンの方にも借地によって家を建てられるような政策をやはり積極的に取り込んでいかなければならぬのじゃない一が、こう思っております。 いま一つ、最後になりますので法務大臣にもう一遍聞いておきたいのですけれども、これらの改正案をずっと見ておりますると、実態はどう考えたってこれは貸し主に有利に改正されておることほ明らかなんです。これは実態から見て私は自信を持って申し上げるのです。このような意味合いで、こういう改正に当たっては、私はこの改正案は賛成することができない。しかし、部分的にはいろいろ時代に合わせた手直しかしてある。とすれば、当然これについて、改正案そのものにこだわるのではなくて、提案者の方もこの見直し、修正についての考え方はどういう見解をお持ちかどうか。大臣として、当初に承った保護立法の精神、理念が私の指摘によって崩されつつあるのですが、この点についての見解を最後に承りたいと思います。もちろん私ども国会の仕事もありまするので、これは当然私どもで行います。 以上です。 〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
○畠中説明員 御説明申し上げます。 まず最初に、先生の御質問で勤労者の持ち家の状況についての御質問がございました。昭和六十三年の総務庁の調査によりますと、雇用者世帯の持ち家率は五七・三%ということで、自営業主世帯の七九・一%と比較いたしますと約二一ポイント低いという状況になっております。また、民間の調査機関でございますけれども、財団法人生命保険文化センターの昨年の調査によりますと、勤労者の持ち家購入の意向といいますのは、調査対象の勤労者の三六・五%の方々が持ち家を購入したいという意向を示しておられます。 私どもといたしましては、勤労者の住宅問題というのは、私ども労働省の施策にとりましても最も重要な課題の一つであるというふうに認識いたしておりまして、勤労者財産形成促進法に基づきまして、勤労者の持ち家の促進に努めておるところでございます。 この勤労者財産形成促進制度に基づきます財形持ち家個人融資制度の実施状況を昨年度について見てみますと、三万二千七百十九件、金額にいたしまして三千二百九億円の貸し付け状況ということで、累計から申しますと約十四万件、一兆一千億円というような状況になっておりまして、私どもといたしましては、今後ともこの勤労者財産形成促進制度に基づく勤労者の持ち家促進というものに努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○左藤国務大臣 今回の改正は、当事者間の権利関係を社会経済情勢の変化に見合った。より合理的なものにしよう、こういうことをねらいとするものでございまして、借り主の権利の継続性とか安定性を損なうものではない、このように考えております。法務省といたしましては、この法案におきまして、借り主の権利の安定というのは十分確保されているもの、このように考えておるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 終わります。
○伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩 午後五時九分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。 前回、百二十国会でもこの問題につきまして質問をさせていただきました。ところが最近、法務委員である私の事務所には毎日、借地借家法に反対する多くの国民が来られます。そしてまた、そのほか電報あるいははがき、書簡による反対要請も相当な数に達しております。 これを類別いたしますと、借地借家人組合の方、あるいは団地自治会の方、あるいは自由法曹団ほか法曹関係の方、その他新日本婦人の会等の各種団体の方々や、地域的には、北海道の江別市あるいは函館、長野県松本市及びその周辺、広島市及びその周辺、あるいは奈良市の方々が相当固まって、中には私あてのあて名あるいは要請文も印刷したものが来ておりまして、電文もほとんど同じ文章で参っております。それから、昨日からこの文面が一新いたしまして、慎重審議をせよ。今までは絶対反対だったわけですが、このように変わっております。なお、全文直筆で私のあて名から内容についてまで書かれた分については、私は、できるだけ返事もお書きをして出そうと努力しているんですが、なかなか多くて出し切れておりません。 このような陳情を通じて私が考えることは、多くの国民の方が私が理解する借地借家法案とは違う理解をしていられるという事実でございます。私は、さきの国会の質疑の中でも特に法務大臣に対して、国民に対してきちっと理解してもらうために法務省は特段の努力をしなければならない、このように要求したつもりでありますし、またできるだけ借地・借家一一〇番、こういう無料のフリーダイヤルを設けるなど、最近の技術は進歩しているわけですから、こういう工夫もしていただきまして、国民が、一体自分はこの法改正によってどのように権利に消長を及ぼされるのだろうか、こういう不安を持っていられる方に対して正確な情報をお伝えできるよう努力するように強く要請をしたつもりでありますし、法務委員会の議事録にもそのように正確に書かれております。 まず法務大臣に、私がこのようにお願いしたことに対して、百二十国会以後今日までにどのような御努力をされたのか。それをお尋ねした上で、事務当局に具体的な内容お、国民にわかるように努力されたのかされていないのか、そこら辺を御答弁をいただきたい、このように思います。
○左藤国務大臣 今お話しのように、この法案の御審議をいただくに当たりまして、今回の法が、借地・借家関係の更新及び更新後の法律関係に関する規定は一切既存の借地・借家関係に適用しないという点をまず法律で明らかにしたことも含めまして、全体にこの法案そのものが御心配になられることにはなっていないんだ、こういう点のPRに努力をしてまいりました。なかなかこれは広くPRすることは難しいわけでありますけれども、少しでも御理解いただきたい、こういうことで、法案の趣旨、内容をわかりやすく説明したパンフレットとかリーフレットを配布するとか、そういった積極的な広報活動を行っております。法務省の民事局から「よりよい借地・借家関係に向けて」というパンフレット、それからリーフレット、「借地・借家法の改正案のあらまし」、こういったものを配布するとか、そういったことについていたしておりますが、今後とも、このことについて一人でも多くの国民の方々に十分理解していただくことができて、無用な誤解から生ずる混乱が起こることのないように積極的にあらゆる機会を得てPRをしていかなければならないと思っております。私もまた、例えば閣議後の記者会見とかそういったときにもこの趣旨のことについてお話を申し上げたりいたしておりますが、今後ともこの問題については努力させていただきたい、このように考えております。
○清水(湛)政府委員 大臣がただいまお答え申し上げたとおりでございますけれども、先国会の審議におきまして冬柴先生からこの点について非常に強い御要請があったということを私ども十分に承知しているわけでございます。借地・借家関係というのは、いわば生活の基盤である人にとっては、改正法がどういうことになるのか、どういう影響をもたらすのかというようなことについて非常に御心配になるということもよく理解できるところでございますし、私どもといたしましても、法案の中身を正しく理解していただいて、無用な不安に陥らないように、安心していただけるということが非常に大事だということは全く御指摘のとおりでございます。 そこで、大臣がただいまお答えいたしましたように、リーフレットとかパンフレット、これは三種類でございますけれどもこれを十数万部印刷いたしまして、地方自治体、都道府県庁とか東京二十三区の区役所とか大阪などの政令指定都市、主な市町村、あるいは借地・借家の方々の団体、貸し主の団体、あるいは大学等試案に対して意見を呈してきた団体、地方法務局の窓口、さらには弁護士会、司法書士会などにもお願いして関係者にこの種のパンフレット、リーフレット等を配布して、その趣旨が徹底されるようにいたしたわけでございます。 また、先国会での先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、当局に借地・借家法改正に関する問い合わせに対応する専用の直通電話を設けて、電話による問い合わせに対して法案の趣旨、内容を説明したところでございます。先生の方からはフリーダイヤルという非常に具体的な提案があったわけでございますけれども、フリーダイヤルの設置には手続上の制約もあるというようなことでございまして、緊急に相談窓口を設けて対応するために即座に設置できる直通電話を設置したという経緯でございます。 フリーダイヤルにつきましては、御指摘の趣旨も踏まえまして、今後、この法律が仮に通りましても、その周知徹底を図るということはいずれにしてもその重要性は変わりませんので、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○冬柴委員 相当努力されているようでありますけれども、しかしながら、私のところに来る各種陳情とかお手紙の中でほ非常にいろいろな不安を訴えていられまして、これほど広く国民がこのような点で悩んでいられるのかということを思いますと、これほ政府になお一層の努力をしてもらわなければならない、こういうことを強く感じるわけでございます。 今回でもう二十数時間の審議を重ねてきたわけでありまして、その中でもいろいろ論じられたことではありますけれども、このような国民から私どもに寄せられたいろいろな訴えを類別をしまして、そしてこれについての、もう余り法律的な言葉じゃなしに、国民に訴えるようにこの正確な情報を提供してもらいたい、こういうふうに私は思うわけであります。 一つは、いろいろ集約をしてみますと、借地借家法案、今回提出されている法案は、貸し主が借り主に対して明け渡しを求める際に必要とされている正当事由を大幅に緩和し、借地人、借家人の権利を著しく弱めるものとなっています、このようなくだりがあります。したがってこういう法案には反対してもらいたい、こういう趣旨でございます。 もし大幅に緩和するというような内容であれば、これは許されないというふうに私は思うわけでありますが、百二十回国会で法務大臣は、正当事由につきましては、実際の、現在実務で考慮されている要素を掲げ、その内容を明確に法定化することによりこの間の調整をするものであります、このような趣旨を述べられ、民事局長は、正当事由に関する規定、これは新法施行前に既に設定されている借地・借家関係には一切適用がない、これは規定の上、改正法附則六条だと思うのですが、で明確にされておる、このように述べられた上で、新法の正当事由は従前の判例等で示された基準をいわば整理して法文化したものにすぎない、こういうふうな答弁をされていると思うわけであります。 これが本当であれば、正当事由を大幅に緩和するというそのような国民の御不安というものほ、この法案を正しく理解されていないんじゃないかということになってしまうと思うわけですけれども、こういうふうに何回も言われてもやはりこの不安がつきまとうということは、まだ説明が不足していると思うのですね。これをもう少しはっきり大臣の方から国民に説明をしてもらいたい、こういうふうに思います。
○左藤国務大臣 この法律案におきます正当事由に関します規定、これは借地・借家関係の解消の要件であります正当事由の有無を判断する場合に、先ほど先生お話のありましたとおり、現に裁判実務で考慮されている要素を掲げることによりまして具体的な実情に即した判断ができるようにしたものでありまして、借り主の権利を弱めるというような御理解は全く間違っておるといいますか、誤っておるということでございます。正当事由の内容の実質は基本的に現行法のもとでのものと変わりません。そして、借り主の権利を弱めるものでは決してないということを御理解いただきたいと思います。
○冬柴委員 では続けて、非常に大切なことでありますので、新法の読み方といいますか、見方をやはりこれは法務大臣の口から答えていただきたいと思うのです。 借地についての第六条、借家についての二十八条での更新拒絶の正当事由についてでありますけれども、四つに分類できると思うのです。一つは、双方すなわち貸し主と借り主、これについての土地またほ建物使用を必要とする事情、法文ではその後ろに「のほかこという言葉があり、非常に重要だと私は思うのですが、これを一つ目といたしましょう。二つ目は契約の従前の経過、三つ目は土地または建物の利用状況、そして四つ目は財産上の給付、いわゆる立ち退き料の給付とか提供ということを意味するように思われるわけです。 法文では、この二つ目、三つ目、四つ目を「考慮してこういうふうに書かれていまして、こういうものを考慮して正当事由を判断するんだ、こういう立て方になっておると思うわけでありますが、この四つの判断要素の関係、特に一番目と二、三、四、この関係を国民にこれもよくわかるように一度説明していただきたいと思います。
○左藤国務大臣 この法律案におきます正当事由の規定におきまして、今お話がありましたように、当事者双方が土地や建物の使用を必要とする事情というのをまず掲げてございます。その後「のほかこという言葉がありまして、借地や借家に関する従前の経過、それから土地や建物の利用状況、建物の現況、それから財産上の給付をする旨の申し出、こういった要素を掲げております。 これらの要素の中では、「のほかこという言葉から御理解いただけるように、当事者双方の使用の必要性の有無というのがあくまで基本的な要素になるのでありまして、正当事由の有無は主としてこのことから判断をされるわけであります。そして、ほかの要素は必要性の有無のみでは判断しがたい場合に補完的、補充的な判断の要素、こういうことになるのではないかと考えております。
○冬柴委員 それではもう一度重ねてお尋ねしておきますけれども、使用の必要性というものがなくてもといいますか、立ち退き料さえ大きく積めば明け渡しを求められるのかどうか、そういう点についてお答えをいただきたい。どなたでもいいです。
○清水(湛)政府委員 ただいま大臣が答弁されましたとおり、やはり当事者双方の使用の必要性の有無というのが基本的な要素でございまして、これがなくても立ち退き料さえ払えば、あるいは立ち退き料の申し出さえすれば正当事由が完備されたことになるということにはなりませんので、このことについてもくれぐれも誤解のないように御理解をいただき、一般の方々に御理解をいただきたいと思います。あくまでも使用の必要性の有無ということを判断して、どちらにも足らざる部分があるというようなときに補完的に立ち退き料の提供の申し出等が考慮される、こういうことでございます。
○冬柴委員 それでは法案提案者は、決して新法の正当事由というものは現行法の正当事由を緩和はしない、そのように明快に断言されたものと受けとめますし、この議事録は必ずや将来の裁判の一つの資料とされるでありましょうから、そのように受け取っておきたいと思います。 次に多い訴えに、不当な家賃値上げを促進するとか家賃値上げを自由化する、こういう文章があります。あるいはまた、地代家賃値上げが簡易迅速にできるようにする、こういう新法は反対だ、こういう訴えがございます。 そのうち前二つ、すなわち不当な家賃値上げを促進するあるいは家賃値上げを自由化する、こういう要素が新法にあるのか、そこについて誠心誠意答えていただきたい、このように思います。
○清水(湛)政府委員 今回の民事調停法の改正は、家賃の不当な値上げを許すとか、つまり値上げをしやすくするとかあるいは家賃の額を自由化するというような非難があるようでございますけれども、これは全く関係のないことであるというふうに御理解いただきたいと思います。 私どもといたしましては、借地・借家をめぐる紛争というのは、いろんなタイプでいろんな態様でたくさんあるわけでございますけれども、事地代とか家賃というようなことになりせすと、これは当事者間で円満な話し合いをしていただくということがやはり何より肝要なことではないか。いきなり地主さんなり家主さんが借地人、借家人を相手取って訴訟を起こすというようなことは、これは必ずしも好ましいことではない。現に、減額ということは問題になりませんので、訴訟を起こすといたしますと地主、家主さんの方が訴訟を起こすという形になるわけでございますが、そういうようなことではなくて、まず調停の場で調停委員会に人を得まして、この種の紛争の解決に専門的な知識を有する方に調停委員になっていただいて、適正妥当な額にこの調停で決めていただく、こういうことを考えているわけでございます。あくまでも調停というのは基本的には当事者間の合意を前提とするものでございますので、合意がないということになりますと訴訟に行かざるを得ないということになりますが、費用が安くて、しかも十分に当事者としての主張をして調停委員会のいろんな説得に従って円満に事を解決するという意味においては、調停制度が非常に適しておるというふうに思う次第でございまして、不当な家賃の値上がりにつながるとか、そういうようなこととは全く関係のないことであるということでございまして、このことは十分に一般の国民の方にも理解してもらいたいことだというふうに思っている次第でございます。
○冬柴委員 では、まあ若干先取りして言われたのですが、値上げを促進するという、あるいは家賃の値上げを自由化するという要素がない、このように言われたわけですが、この地代家賃値上げが簡易迅速にできるようにする新法は反対だというふうなくだりもありまして、これほ恐らく、民事調停法の一部改正法案を指していらっしゃるのではないか、こういうように私は思うわけであります。 すなわち、前回の同僚議員の質疑でも、いわゆる対席判決に要する一審の審理期間と調停に要する期間とが、片一方は十一・六カ月ぐらいですか、片一方の調停の方は六・七ということで、ほぼ半分ぐらいでまとまっているという、そういうことを考えますと、この調停制度というものが導入されることは、借地人あるいは借家人、ほとんどが地代増額事案でしょうから、訴えられる方、そういう人にとってこの民事訴訟に応訴するということは非常に煩雑でもあり、費用もかかります。そういう意味では、調停という制度、話し合いの中で解決していくことは借りている人にとっても私は決して不利な制度ではないと思うわけでありますけれども、しかしながら、私は前回の百二十国会で聞きましたからここでは繰り返しませんけれども、この民事調停法一部改正案の中には非常に私も不安に覚える条項もあります。 そういうところから、きょうは最高裁の方から民事局長もお越しいただいておりますけれども、民事調停規則、これは最高裁が制定された規則で、たしか三十四条にほ、こういう調停委員会の調停を定めるという前には、当事者にこれを求める合意があるのかどうかということを審尋しなければならない、こういう規定があると思います。これほ今回改正されましても直接適用がないと思うのですね。したがいまして、もしこういう法案が成立した場合には、これと同じ扱いが当然最高裁においてとられるべきである、こういうふうに思います。その点についての御答弁をいただきたいことと、一般国民にとって審尋という手続はどんなものか、何を尋ねるのかわかりにくいと思うのですね。そういうこともあわせて御説明をいただきたい、このように思います。
○今井最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。 調停というの独、御承知のように当事者双方が互譲により紛争を解決するという制度でございまして、何といっても互譲、当事者の合意というのが基本になるということは委員御指摘のとおりでございます。したがいまして、今御指摘のございましたいわゆる調停委員会が定める条項の制度でございますが、これにつきましても、調停委員会としては当事者の間でできる限り合意ができるように努めまして、どうしても合意ができない、ただ、訴訟にするのにはいろんな関係で困るので、せっかく調停の手続をとったのでこの手続で何とか解決してほしい、そのような場合に初めてこの制度が働くものだというふうに考えておるわけでございます。 そこで、現在、同じような制度は商事調停、それから鉱害、これは鉱山の鉱害でございますが、にございます。これにつきまして今御指摘のように、そういうところで調停条項を定める前には当事者を審尋しなければならない、こういう規定がございます。もし今回の改正法で賃料の改定につきましてもそういう制度ができました場合には、最高裁判所規則におきまして同じような規定を設けたい、このように考えておるわけでございます。 そこで、審尋というのはどういうことをやるのかというお尋ねでございます。これは当事者双方の意見を聞く、平たく言えばそういうことになろうかと思います。もう少し具体的に申し上げますと、こり制度では調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意がある、こういうのが要件でございますので、果たしてそういう合意をしたのかどうかということ、それから、現在、調停委員会に条項を定めてもらいたいというような希望があるのかどうか、それから、調停委員会が調停条項を定めるに当たってどのような裁定条項を定めてもらいたいのかというようなことを十分伺いまして、その上に立って調停委員会が判断をする、このようなことを予定しておるわけでございます。あくまでも調停は当事者の合意に基づく制度でございますので、当事者の意思というものを十分大切によく聞きまして、裁定という制度を運用するということになろうかと思っております。
○冬柴委員 次に多い共通の要請文は、住民無視の建てかえの促進につながるとか、あるいは公共住宅の建てかえ強行を招く新法、これは反対である、こういうふうに多くの方が私の方に寄せていられます。 こういうものについてあらゆる観点から、法務省にも恐らくこういう投書も行っていると思うのですけれども、新法の態度はどうなのか、これについても明快な答弁をお願いしたい。できれば大臣、具体的にきちっと御答弁いただきたい。
○清水(湛)政府委員 大臣の御答弁の前に、私の方からまず最初に答えさせていただきたいと思います。 先生引用の、住民無視の建てかえの促進とか公共住宅の建てかえ強行を招くというような表現で反対をされておるということでございますが、今回の改正法は全くこのようなこととは関係がない、これは確信を持って私は断言できるというふうに考えております。御承知のように、既存の借地・借家関係にほ新法の借地・借家関係の更新及び更新後の法律関係に関する規定を一切適用しないこととしておりまして、既存の借地・借家関係は現行法の取り扱いと全く変わらない、こういうことでございます。 さらに、正当事由につきましても、昭和十六年の「いわば地主サイドに足を置いた正当事由条項に関する規定について判例が借地人、借家人を保護するという立場から公平な判例法理を形成してきた。そういう判例法理を素直に法文化しているわけでございまして、決してこの正当事由の条項からも住民無視の建てかえの促進とか公共住宅の建てかえ強行を招くと小うような要素は出てこないわけでございます。もしこのようなことを考えておられる方がおるということであれば、これは再々先生からも指摘されていることでございますが、私ども大いにこの新法の趣旨についてさらに徹底した周知徹底方を図ってまいりたい、こういうように考えております。
○左藤国務大臣 今局長の方から御答弁申し上げましたように、既存の借地・借家関係についてはそれなりに一つの安定した関係が成り立っておりまして、これに新法の更新後の借地権の期間及び正当事由の規定を適用することにいたしますと、既に土地や建物を借りている者に生活の基盤を不安定にするのではないかという不安が生ずる心配がございます。そういうことは一切ないようにしなければいかぬというので、今そうした既存の借地・借家関係については現行の法律でやるんだということを法文の中に明記しておるわけでありまして、そうしたことで既存の借地・借家関係には一切適用しないということも御理解をいただきたい、こう思います。
○冬柴委員 そのように法務省あるいは法務大臣が答えられているわけですけれども、相当長時間にわたる前国会からの法案であるにかかわらず、私の事務所に、これは函館に住む女性の方から来たはがきにこういうものがありました。「私は七十二歳の母と二人暮らしをしています。家は自宅ですが、土地は借地で現在、更新の為地主と話し合いが折り合わず調停中です。もし新法が成立したら、母子二入住む所を追われることになるでしょう。そのことを思うと夜も眠れません。」こういうことが書いてあります。私はまず、今法務大臣が言われたように、あるいは民事局長が言われたように、借地契約が存続中であれば新法は適用されないわけですから、このはがきを寄せていただいた二人住まいの女性の方が心配されるということは的を射ていないんじゃないかと思うわけでありますが、庶民はこういうことで非常に苦しんでおられる。 それで私は、弁護士経験もありますので、私なりの意見を詳しく手紙に書いて、この方には、心配になることはありませんと申し上げたわけでありますけれども、今回の借地借家法案は、日本国民の実に四割近い方がこれに対して利害関係を有する、こういう法律なんですね。したがいまして、国民がいたずらに不安をかき立てられるということは許されないことだ、こういうふうに思うわけであります。同時に、政府は国民に法の正しい内容、解釈に関する情報を手軽に得られるような努力をすべき義務があるにかかわらず、冒頭お尋ねはしましたけれども、まだまだ不十分である、このように思うわけであります。 それと私は、当選以来自分のライフワークとして法律扶助制度というものを充実してほしいということを訴えてきたつもりでありますし、また議員である限り訴えていこうと思っております。それは、国民が求めてやまない法律家による法律的助言、これに対して国は十分な予算の手当てを行っていないということを痛感するわけであります。地方公共団体の行う無料法律相談、あるいは企業や政党の、我が党もやっておりますけれども、そういうような法律相談というもので、ほとんどこれを担当する弁護士は交通費実費ぐらいでやっているわけです。昭和二十七年以来多くのボランティアとして奉仕的にこれを行ってきているわけであります。しかしながら、それには限界もありまして、今回のような法律案が提案されれば、多くの庶民の方が気軽に、自分のお金を払わずにでも自分ほどういう立場に立たされているのかということを教えてもらう、そういう場所がぜひ必要だというふうに思うわけであります。 過日私は、こういうことで英国の法律扶助制度についても視察に行ってまいりました。イギリスでは、我が国では想像もできないような国費を支出しまして、多くの国民がこの法的サービスを受けられるような制度が確立されております。これは追ってこの法務委員会で訴えていこうと思っておりますけれども、今回の借地借家法をめぐって、国民の不安の解消のためにはこういう法律相談というものがもっともっと行われなければならない、このように私はかたく信ずるわけであります。先ほどの二人住まいの女性がこのような悩みを持っていながら、日本の国ではこういう人に対して法的助言をする人もいないのかという悲しみすら覚えるような次第でございます 人権局長そして法務大臣から今私が申し上げたような点についての御答弁を伺って、私の質疑は終わりたいと思います。
○篠田政府委員 お答え申し上げます。 国といたしましては、昭和三十三年度以降今日まで、財団法人法律扶助協会が行っております法律扶助事業に対して予算補助を行い、毎年度扶助費について補助金を交付して相当の成果を上げているものと考えております。 もちろん諸外国に比較いたしました場合、金額的にほ少ないという面がございますけれども、各国の情勢がそれぞれ違いますので、単純に比較するわけにはまいらないと思います。現在の法律扶助につきましては既に定着してきており、当面は現行の予算補助の方式により法律扶助制度を充実発展させてまいりたいと考えておりますけれども、諸外国の制度その他につきましてもなお勉強してまいりたいと考えております。
○左藤国務大臣 今局長の方から御説明申し上げたように、この制度、一応定着してきております。当面はやはり現行の予算補助という方式を充実さしていくということが先決ではあろうと思いますけれども、先生おっしゃったような外国の制度というようなものを参考にさせていただいて、もう少し幅の広い法律扶助制度ができないか、前向きに検討していかなければならないんじゃないか、このように考えておるところでございます。
○冬柴委員 今の答弁で、私は時間が来ましたから終わりますけれども、今国が法律扶助事業に出していただいている金はいわゆる訴訟費用の立てかえ分でありまして、法律相談というものについての国の補助は大きく出されているとほ私は思っておりません。そういう意味で今後もこれは機会あるごとにお願い申し上げて増額を要求していきたいし、また実に寂しい話だと思うのですね。国民が正確な法的情報を得られないというこの国は、改めなければならない、このように申し上げて、私の質疑は終わらせていただきます。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 木島日出夫君。
○木島委員 現行借地法、借家法と今回提案されております借地借家法案で、文言上も決定的に違う問題の一つである正当事由の問題に絞って、時間の許す限り質問をしたいと思います。 もう今さら言うまでもなく、一九四一年、昭和十六年に新しくつくられた正当事由、これは借地権、借家権を守る中心的な法概念であったわけですね。今回の法案について、正当事由について法務大臣の衆議院本会議での答弁、それからまた大臣並びに民事局長の当法務委員会での一貫した答弁をまとめてみますと、次の三点に要約できるのではないかと私考えております。そのとおりかどうか、まず最初に確認をしておきたいと思います。 一つは、今回の正当事由の文言の変更は決して正当事由の拡大ではない、借地権、借家権を弱めるものではない、正当事由の明確化を図ったんだ、現行法が余りにも正当事由の文言が簡潔過ぎて、簡単過ぎて、その具体的内容が裁判に頼り過ぎている、混乱を避けるためにも法文で明確化が必要だというのが第一点。一つが明確化ですね。 第二点は、実質が旧法と新法とは何ら変わりがない、従来の積み重ねられてきた裁判例を集約して、それを法律の文章にしただけであるというのが第二点。 それから第三点ですが、しからば、この法務委員会でも他の同僚委員から再三追及をされた問題でありますが、新法の正当事由の規定が、現行法の正当事由の規定の解釈で積み重ねられた裁判例を法文化しただけでその実質が何ら変わりがないのであれば、なぜ附則六条で、正当事由の解釈についても、既存の借地・借家について「なお従前の例による。」とわざわざ規定をして現行法を適用するのはおかしいではないか。法務省が説明しておりますように新法が旧法と何ら変わりがないのであれば、わざわざ附則六条で「なお従前の例による。」などという言葉を入れる必要がないではないか。内容が実質変わって、正当事由が拡大をされて、そして借地人、借家人の一番大事な権利が侵害されるあるいは縮められたからこそ、新法は附則六条をわざわざ制定して既存の権利を守ったのではないか。そういう追及が他の同僚委員から再三にわたってなされましたが、それについては法務省の答弁は、法律専門家の法律の読み方としては何ら変わりがないものである、裁判例の集積にすぎない、しかし、法律を知らない実際の借地人や借家人は誤解をする、新たな不安を与える、その不安を解消するために、まあ念のためこういう附則を置いたんだ、それが三番目の点に対する、同僚委員が再三追及された点に対する法務省の御答弁だったと私は理解しております。 細かい答弁は結構ですが、そういう三点の理解ということで、民事局長、よろしいでしょうか。
○清水(湛)政府委員 正当事由を明確化するということ、その明確化する場合の内容は、判例を積み重ねてきたことによって打ち立てられた基準というものを中身に盛り込むということ、それから、そういう意味でこの新しい正当事由に関する規定は、既存の借地・借家関係にも適用してしかるべきであるという考えがあったわけでございます。現実に法制審議会の答申はそういうことになっているわけでございますけれども、しかし、委員御指摘のように、正当事由に関する法文の規定が変わることによって、既存の借地・借家人に不安を与える、また不安に思っているという事実の指摘がございまして、また、現実に私どもの方にそのような不安を訴える方もございましたので、実質は変わらないけれどもそういう不安が解消されるならばということで、一切既存の借地・借家関係には適用がない、こういうふうにいたしたわけでございます。
○木島委員 三点について、ほぼ私の指摘したとおりの答弁がなされたと思います。 私は、第一点の、本法は内容を明確化しただけである、第二点の、裁判例の集積を法文化しただけであるという見方には立っていないわけです。明らかに真言をつくることによって正当事由を拡大する、逆に言えば、借地人、借家人の権利を縮小するものである、また、そのようにこれからこの法律が、新法第六条が現実にほ社会の実態の中で運用されていくであろうということを大変心配して、それが私が本法に反対する一つの大きな理由になっているわけです。第一点の、明確化しただけである、第二点の、裁判例を集積して文章化しただけであるという法務省の御答弁が本当に正しいかどうなのかは、まさにこの法務委員会において一つ一つの裁判例を丹念にチェックをして、その法務省の言い分が正しいかどうかを審査するのが私は当法務委員会の任務であろうと思うわけでありますが、ずっと私この論議を聞いていまして、そういう現行判例のチェックによって法務省の言い分が正しいかどうかの審査はほとんどされておりません。私に与えられた時間は非常に短いので、この場で私、一つ一つの最高裁判例、下級審判例を詰めて、これはどうなんだということを聞きたいのですが、それは時間的に不可能でありますが、それがやはり法務委員会の任務ではなかったかなあと思っているわけであります。 そこで、端的にお聞きいたします。 今回の法案と、この法案が準備される過程でつくられた。法務省が出した改正要綱試案との間で、この正当事由について三つの点で明確な違いがあると思います。 第一点は、改正要綱試案には盛り込まれていた正当事由の一要素として、「土地の存する地域の状況」という言葉、「建物の存する地域の状況」という言葉、これが本法案では全部削除されたという点が第一点。 第二点は、改正要綱試案には正当事由の一要素としては全くなかった財産上の給付の申し出。今大変世間では問題になっております、いわゆる地上げ業者が札束で借地人を追い出していく、借家人を追い出していく最大の武器に使われているのがこの問題でありますが、改正要綱試案には正当事由の一要素としては全くなかった財産上の給付の申し出が、何とこの法案には堂々と潜り込んできているということが二つ。 三つ目には、借家について、やはり改正要綱試案になかった建物の収益を家主が必要とする事情。「収益」とい亘言葉まで本法案には盛り込まれてきているということ。これは、そのこと自体も大変化なんですが、借地関係について点「土地の使用」とい三言葉であって、土地の収益ということはありませんでした。借家関係だけ、なぜ「使用」だけではなくて「収益」という言葉を盛り込ませてきたのか、しかも、改正要綱試案にはないものをなぜこの法案に盛り込ませてきたのか疑問なんですが、それを論ずる時間的余裕はありませんが、少なくともこの三つの点については、法務省みずから御準備なさった改正要綱試案と本法案とは全く決定的に文言の上で違う点であります。 法律の文章、特に民事の基本法の文言は、一つ一つ非常に重要なものであります。この文言が、裁判官が現実の立ち退き裁判で、原告を勝訴させて明け渡しを認めるか、被告を勝訴させて明け渡しを棄却するか、まさに文言をどう解釈するか、非常に緻密な論理を組み立てていくわけでありますから、どんな文言が法文に入ってくるか非常に重要であることは、法務省としては当然御認識のとおりだと思うわけであります。 そこで端的に聞きます。改正要綱試案と法案との間で、三点で言葉が変化しております。これは正当事由の範囲の拡大、縮小などの変更なのか、変更ではないのか、端的に答弁願います。
○寺田説明員 御指摘のとおり、改正要綱試案というものを平成元年に出しました。この改正要綱試案における正当事由条項と現在の案における正当事由条項とは、木島委員御指摘の三点のうちの二点と、さらに一点がございまして、合計は三点になるわけでございますが、そのうち「土地の存する地域の状況」「建物の存する地域の状況」というのが除かれていること、それから財産的給付の点につきましては、実は試案では別の項、「借地関係の終了に伴う利害調整」という項で立てておりますので、これは必ずしも入っていないということにはなりませんが、これは後ほど詳しく御説明いたします。 それからさらに、「収益」の点につきまして新たに要綱及び法案では加わったということ、これは借家関係でございます。 それにつけ加えまして、試案では今挙げております要素をそれぞれ全く同一の平面に並べておりましたのを、要綱では土地の所有者及び借地権者、法案ではそれぞれ借地権設定者、借地権者となっておりますが、これが「土地の使用を必要とする事情」、これを主とし、その他を従とするという点の修正がされまして、結果的には合計三点のとおりでございます。 その理由を御説明申し上げますと……
○木島委員 もう時間の関係で端的に。正当事由の範囲の変更、縮小、拡大という変更なのか、それとも一貫してこの委員会で法務省が答弁していた。従前の裁判例の集積にすぎないんだということの流れの上に乗ったことなのか、そのことだけ聞いているんです。
○寺田説明員 従前の裁判例等に照らし合わせましたところ、現在の案の方がより実際の裁判例の流れに則したものである、このように考えているわけでございます。
○木島委員 そうすると、こういうことになりますか。要綱試案の段階では、まだそのときまでの日本の裁判例の研究の成果が足りなかった。より勉強して、法制審や法務省で勉強して、日本の裁判例を一生懸命勉強して集約してみようとしたら今回のこの法案になった。そういうふうに伺っていいですか。
○清水(湛)政府委員 要綱試案というのは、法務省が公開しました問題点、これは法務省の考えを示すというのじゃなくて、借地・借家法がいろいろ抱えておる問題点が各方面から指摘されております。そういう問題点に対して、各方面からいろいろな意見が寄せられた。そういう意見をいわば集約する形で試案、試みの案というものにいたすわけでございます。 この正当事由につきましても、当委員会でしばしば御議論ございましたけれども、現行法の解釈としての正当事由、つまり判例で認められている正当事由以上に、もっと地主の方に有利な正当事由条項を設けるべきである、こういうような御意見もあったわけでございます。その一つの例として、「土地の存する地域の状況」というようなものを明文化すべきだという御意見がございまして、そういう意見を踏まえた要綱試案というものをつくったわけでございますけれども、それが当時の法務省の考え方であるというわけではないわけでございます。 その要綱試案を各方面に公開いたしまして、いろいろ御議論願いましたところ、やはり正当事由については、これは基本的には変えるべきではない、現行の判例法理に沿ったものにとどめるべきである、こういう意見が大勢を占めましたので、その結果として、今回御審議をお願いしておるような法案、その前提には法制審議会の答申があるわけでございますが、法制審議会といたしましても正当事由の拡大はできない、すべきではない、現行法の貸借範囲にとどめるべきである、判例の集積を成文化するにとどめるべきであるという最終的な結論に到達し、私どもは、その答申を尊重してこのような法案を作成して御審議をお願いしておる、こういうことになっておるわけでございます。
○木島委員 それでは、こう聞いていいですか。要綱試案に盛り込まれていた「土地の存する地域の状況」という概念や「建物の存する地域の状況」という概念を正当事由判断の一要素として潜り込ませることは、現在の日本の裁判例の事例の集積から見ると逸脱する。ちょっと拡大し過ぎて、その分だけ借地権、借家権が小さくなってしまう。それではいかぬから、そんなところまで日本の裁判は一般的、普遍的に正当事由を広げているわけではないから、今法案では「土地の存する地域の状況」「建物の存する地域の状況」という言葉は落としたんだ、そういう面でほ要綱よりも本法案は、私が今述べたその文言に関する限り、縮小されたんだということでいいですか。
○清水(湛)政府委員 「土地の存する地域の状況」とか「建物の存する地域の状況」という言葉をいわば独立の正当事由としての考慮事項には加えないというふうにしたということにおきまして、要綱試案、これほ試みの案でございますが、要綱試案と最終の要綱とは違っておりますし、したがってまた、この要綱をベースにした法律案とも違っておる、こういうことになるわけでございます。
○木島委員 もう一点、問題の立ち退き料による、いわゆる講学上正当事由の補完と称せられている問題について、では引き続いてお尋ねをいたします。 要綱試案では、立ち退き料の支払いの問題についてはいろいろ、どう位置づけるかについて大変な論議がされた。位置づけの一つとしては、もう正当事由の一要素として潜り込ませようという考え方。それともう一つの大きな考え方の流れとしては、いやいや、立ち退き料の支払いは、正当事由の一要素として潜り込ませるといわゆる地上げを合法化することになって大変なことになるから、正当事由の一要素として潜り込ませることはやめよう。そして、正当事由は正当事由としてほかの要素でちゃんと認められた。しかし、それで明け渡しを認めるとか認めないでは、言ってみれば黒か白かになってしまうので、当事者間の利害関係の調整からふさわしくないから、いわゆる清算金という概念でこの金の支払いをさせていこう。要綱試案をずっと読んでみますと、こういう二つの大きな流れがあるやに私は受けとめております。それでいいですか。
○清水(湛)政府委員 借地関係を終了させるに際しまして、いわば独立の手続としてこの金銭的な受け払いをするというような手続を新たに創設するということになりますと、これは正当事由とは違った別な性格を帯びる可能性がある。あくまでも正当事由があるかどうか、まさに言葉どおり正当事由があるかどうかということを判断する要素として、その地主あるいは貸し主の方で財産上の給付の申し出をしているかどうかということを一要素として判断する、こういうことにした方がこれはやはり従来の裁判例の流れにも沿うものであるし、これが不当に金さえ払えばいいんだというような解釈にもつながってこない。こういう意味におきまして、あくまでも正当事由がなければならないんだ、その正当事由を判断する要素としてこういう要素を入れたわけでございまして、これを入れたから地上げにつながるとか、そういうようなことは私どもとしてはもう到底考えられないことでございます。 むしろ、正当事由というものを現在の判例に則して法文化するということでございますと、これは財産上の給付ということについて触れざるを得ない。これをもし触れないということになりますと、逆に新しい法律によって判例を修正したのかというような疑問すら出てくる要素があるわけでございまして、素直に判例の流れに沿ってこの正当事由を法文化した。こういうふうに御理解いただきたい。というふうに思うわけでございます。
○木島委員 非常に大事なところで、詰めてお聞きいたします。 いや、法務省がお出しになった借地法・借家法改正要綱試案によりますと、正当事由という考え方と借地関係の終了に伴う利害調整という考え方は決定的に違うという概念で論を組み立てているのですよ。それはそのとおりでしょう。本に書いてありますよ。それで、いわゆる金の支払いという問題ですね。これを正当事由の一要素としてぶち込むのか、それほやめて、正当事由は別だ、しかしその清算金の支払いで利害関係を調整しよう、そういうものの一つとして位置づけるか、そういうこれは大変深刻な、日本の民事法学界を左右する論議がずうっと行われてきたのですよ。そのとおりでしょう。まあいい。そのとおりだと思うのですよ。 それで、さて質問に移りますが、そういう論議をずうっと経てきて、本法案には、単なる清算金ではなくて、正当事由の一要素として新法の第六条にきちっと文章が入ってきたというふうに私は受けとめているわけです。これが正しい法解釈だろうと思うのです。そうすると、従来の法務省の説明の仕方を言いますと、正当事由を判断する一つの要素として、立ち退き料の支払いの提示があったかどうかについてはもう判断の一つの要素として組み込まれているということが日本の現行裁判例にあって確立した基本なんだということになってくると思うのですね、論理上、今まで。そうでいいのですか。
○清水(湛)政府委員 立ち退き料というようなものを出す必要があるかどうか、あるいは立ち退き料を支払う義務があるかどうか、こういうようなことになりますと、これは立ち退き料を支払う法律上の義務もございませんし、また地域によって、当然にその立ち退き料というようなものが支払われるというような慣行というか、そういうものもないところもございますし、あるいは立ち退き料の額につきましても、非常に地価が上昇しているような地域では借地権の価額も上昇しておりますので立ち退き料も高額化するという現象があると同時に、地方に参りますとそういうような問題はない、こういうようなこともあるわけでございます。 ですから、私どもといたしましては、正当事由を判断する場合に必ず立ち退き料の支払いの申し出がなければならぬとか、そういうようなことは一切考えていないわけでございます。たまたま当事者が当該土地を使用する必要性というものを考慮して判断する場合に、それだけでは判断しかねるというような状況のもとで地主の方でそういうことも申し出ておる、これは申し出の義務があるとかないとかということはないわけでございますが、地主の方でそういう申し出をしているという事実があるならば、それも一つの要素として考慮しましょうということでございまして、裁判例でも立ち退き料の支払い義務があるとかなんとかというようなことを論じたものはございません。立ち退き料の申し出があるかどうかというようなことを補完的な判断要素として考える、こういう意味でございます。
○木島委員 いや、私が聞いているのほ、立ち退き料の支払い義務があるかどうかなんということを聞いているのじゃないのですよ。法務省の一貫した説明は、今度の新法の第六条の文言は、既に日本の裁判例で蓄積された。確立した判例の流れがある、その流れをそのとおりに文言化しただけにすぎないと再三おっしゃっているでしょう。だから、そうであれば、新法の第六条の中に「財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮してこ正当の事由があるかどうか判断するというのですから、もう日本の現行裁判例の確立した流れとして、財産上の給付が正当事由の一つの判断要素としてもう日本の裁判所は考えているんだ、そういう確立した判例があるからそれをたまたま文章化しただけにすぎないという論理でしょう、法務省は。それなら、日本の今の裁判例の確立した判例の流れとして、財産上の給付があればそれは必ず正当事由の一要素としてしんしゃくされるというふうに法務省はお考えなのかと聞いているのですよ。そういうふうに判例を受けとめているのかということです。
○清水(湛)政府委員 実務で、立ち退き料の支払いの申し出がある場合には、立ち退き料の支払いを条件として明け渡しを命ずるという判決は数多くされているわけでございます。私どもといたしましては、そういう申し出があれば裁判所としてはそういう事情もしんしゃくする、つまり、正当事由判断の補完的要素として判断するという現在の裁判実務というのは、これはもう確立しているというふうに見て差し支えないというふうに思うわけでございます。
○木島委員 大変重大な答弁だったと思うのです。日本の裁判例の確立した判例の流れとして、立ち退き料の支払いの提示があれば正当事由の一つとしてしんしゃくされている、だから今回文言化しただけにすぎないとおっしゃいましたが。 法務省が発行している、先日も私引用いたしました「どう変わる借地・借家法」の三十八ページには、そんなこと書いてないのです。どういうことが書いてあるかというと、土地の明け渡しを求めるときに、立ち退きの申し出とあわせて立ち退き料を払って解約して明け渡してもらうという「実務慣行が形成されるようになってきています。」これは実務上、金で立ち退きをやらせるという法律上合意解約ですが、そういうことがあると。 その次が大事なんです。三十八ページの三行目です。こういう文言があります。「ただ、このような実務慣行ぼ、法律上の明文の規定がないためにきわめて不安定なものですしこ次なんですね、「裁判所も、どの程度これを認めていいかということは、問題がないわけではない事情にありました。」とはっきり書いているのですよ。日本の現在の最高裁や下級審判例は、そういう立ち退き料の提示があったからといって、それを正当事由の一つとしてしんしゃくする、それはもう確立した判例の流れなんだというふうには、そこまでは行って狂いんだということをこの法務省の本は書いているじゃないですか。 そうすると私は、今まで法務大臣初め民事局長が再三、今回の改正法六条は従前の裁判例を集積して分析して、それが拡大にも縮小にもならないように、たまたま明確化するために文言化しただけにすぎないと言うのは間違っている、そうではないと。少なくとも、金の支払いの問題については違うということを法務省みずから認めているじゃないですか。非常に大きな法務省の答弁の破綻が出てきていると私は思わざるを得ません。 そこで、では、立ち退き料の提示がなされたが実際裁判になって、そういうものは正当事由として認められない、補完としても認められないという判断をして原告敗訴の判決をしたのが大体どのくらいあるか、数をつかんでいますか。
○寺田説明員 御承知のように、日本の裁判所におきましての判決というのはすべて公刊の判例集に載るわけではございません。したがいまして、私どもが把握しておりますのは、その判例集に載るものの中に、たとえ立ち退き料を提供してもなお正当事由を認めるに足らないということを述べた判決があるということを承知しているわけでございまして、その裁判例集に載らない、これほ民間のものも公刊のものも含めまして、にどの程度あるかにつきましては把握してございません。 ただ、この程度の立ち退き料を提供したのでは正当事由を認めるに足りないという判決におきましても、なおその正当事由の有無を判断するについて立ち退き料の提供を全く判断の一材料にしなかったかといいますと、それは、一応それを見たけれどもなおこれでは正当事由は立たないという判断をしたのもまた数多くあるわけでございまして、そこのあたりは正確に見る必要があろうかと存じます。
○木島委員 正当事由に関する判例が膨大な集積をされております。それを分析して、日本の裁判の流れがどうであったか集約するのは非常に大変な作業であることは私も承知しております。 時間が来ましたから、一つだけ例を挙げまして、こういう文言が本法新法に入ることによって日本の裁判をこれから変えていくのではないかという心配を和しておりますので、一つだけ有名な判例を挙げたいと思います。判例時報の千二百六十九号に載っております。東京地裁の昭和六十二年六月十六日の民事第二十五部判決であります。 どういう事案かといいますと、東京の千代田区神田神保町で、借家人です、ビルの一角を借りて昭和五十二年から中華料理店をやっていた借家人。十数名の従業員を使ってラーメン屋をやっていた。それに対して、周りの土地から建物からずうっといわゆる買い取って、まあ言ってみれば地上げですね。そして、いよいよそのラーメン屋を追い出して、その建物を壊して都市再開発をしようという事案でありました。それが原告でした。そして、なんと借家ですよ、ラーメン屋ですよ。八千万円の立ち退き料の提示があった。しかし、この判決は、八千万の提示があってもだめだ、正当事由はないということで原告敗訴の判決をさせているのですね。こういう判例もあるのです。 これはやはり、正当事由の文言の中に立ち退き料を払えばそれを正当事由の一つの要素として考えなさいなんということが今度の法案に入ってきますと、八千万り提示が借家人にあったらもう裁判所なんというのはすぐ、正当事由はある、もう補完されている、こんなラーメン屋なんかは一千万ぐらいの立ち退き料で十分だという判例になるのは当たり前なんですよ。私も長い間の弁護士経験でそう感じざるを得ないのです。それだけに、正当事由の要素では現行法はこういう金の支払いという文言は全くない、そういう文言が今度の借地借家法で入り込んできたのがどんなに地上げに大きな武器を与えるかということを私は指摘せざるを得ません。その点だけ指摘をいたしまして、終わります。
○伊藤委員長 御苦労さん。 中野寛成君。
○中野委員 詳しい法解釈論は、弁護士出身の委員の方々が詳しく述べられました。私は、政策的視点からお尋ねをいたしたいと思います。 今回の借地・借家法の改正に対しまして先ほど来多くの指摘がございますが、借地人、借家人の皆さんから心配の声が寄せられております。その理由を考えますときに、借地・借家法が変わることに対する不安と同時に、マイホームに住んでいる人と比較したとき、家賃の値上げや契約の更新など、さまざまに厄介な問題を抱えている点にあるわけであります。したがって、今回の法改正に当たって最も留意すべき点は、第一に、借地借家法に対する国民の理解、第二に、ハード面、ソフト面の両面にわたる住宅政策の充実が必要であると考えるわけであります。 このような論は、いろいろな方々がいろいろな機会に発表されております。その一例を御紹介申し上げますと、本年八月号の法学セミナーで、早稲田大学の内田教授が、「居住用の借地借家の場合には住宅政策との関連で考察することが必要でありこ「また、良好な環境の下で、適切な質を備えた住宅を、相当な住居費負担で、国民が安定的に享受できるようにすることが住宅政策の目的であるとすると、改正法案は住宅政策としていかなる役割を果たすのか。」という疑問点を投げかけているわけであります。また同様に、その法学セミナーで北海道大学の吉田教授が、「国などの(住宅)政策の不十分性を借家法が補完ないし代替するという構造は、公共住宅政策との関連でも見出される。」「まずもってそれらの(住宅)政策の実施による条件整備をなすべきであって」云々と論述しておられるわけであります。 そこで、まず第一問でありますが、このように、吉田教授が指摘をしておりますように住宅政策がまだ不十分であるのに借地・借家法だけを改正するのはおかしいではないかという疑問に対して、法務省あるいは建設省はどのような対応を考えておられますか、お尋ねいたします。
○清水(湛)政府委員 国全体として住宅政策なりあるいは土地政策をどういうふうに進めていくかということは、これは専門の官庁である建設省あるいは国土庁で十分に研究あるいは御検討なさっておることだと思います。私どもといたしましては、そういう住宅政策というものとこれは相反するとか矛盾するということになってはならないのは当然でございますけれども、まず基本である、他人の土地を利用してそこに生活をする、あるいは他人の家屋を利用してそこで生活をするという場合におけるその当事者間の法律関係というものをきちっと整理をする、こういうことが基本的には大事なことではないか。その上に立ちまして、円滑、つまり公平、妥当な居住をめぐる法律関係というものが整理されますと、そういうものをベースにした住宅政策あるいは土地政策というものも、これまたそういうものに対していい影響を与えることになるであろうと思っているわけでございます。ですから、先生のお言葉にございましたけれども、住宅政策の不足部分を借家法で補うということは具体的にいかなることを意味するのか私どもわかりませんが、少なくとも借家法なり借地法というものを整理することによりまして、結果として住宅政策に資するようなことは少なくとも期待をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○川村説明員 お答え申し上げます。借地・借家法の改正は、賃貸借当事者間の公平な利害調整の確保など、合理的な借地・借家関係の確立を図ろうとするものであるというふうに理解をいたしているところでございます。 住宅問題の解決のためにほ、先生御指摘のとおり強力な住宅政策の展開が必要であると考えておるところでございます。このため、平成三年度を初年度とする第六期住宅建設五カ年計画に基づきまして総合的な住宅対策を進めることといたしております。特に大都市地域における深刻な住宅問題の解決のため、昨年改正をされましたいわゆる大都市法に基づきまして本年三月には供給基本方針を策定いたしまして、融資、税制、事業、都市計画など各般の施策を積極的に推進をいたしまして良質な住宅の供給に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○中野委員 もう一つ、これは建設省にお尋ねいたしますが、不安定要因と指摘されていることがあります。 先ほど御紹介申し上げました吉田教授は、アメリカの成長管理型の都市開発、ドイツの都市縮小論、フランスでの人間規模での都市計画論、こういうものに基づく土地利用規制と都市計画と比較をし、我が国ほ都市における計画規制の考え方が希薄だと指摘をいたしております。このような日本の土地の利用規制や都市計画からくる借地人、借家人への不安定要因というのが指摘をされるわけでありますが、この点の改善についてどうお考えでしょうか。
○林説明員 お答えいたします。 健康的で文化的な都市生活を確保するために、適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図るということは都市計画の重要な目標の一つと考えております。このために、都市計画制度においては、例えば市街化区域及び市街化調整区域の区分をもとに開発許可を通じまして土地利用の規制を行うとか、あるいは用途地域あるいは特別用途地区あるいは地区計画といったような制度を活用しながら適正な土地利用規制を行っていくという制度ができているわけでございます。 しかしながら、先生も御指摘のとおり、最近いろいろな面で土地利用計画あるいは土地利用規制の見直しというものが指摘されておるわけでございまして、例えば一例といたしましては、大都市の都心部及びその周辺部を中心にしまして、地価負担力が比較的高い商業あるいは業務系の土地利用が無秩序に進出してまいりまして住宅が減少するとか、あるいは学校等の公共公益施設の遊休化とかコミュニティーの崩壊とか、そういった種々の問題が生じてきていることも事実でございます。そういう観点から、住居系土地利用の保護に一層配慮したような土地利用規制が必要となってきているわけでございます。 このような課題に対処するために、現在、都市計画中央審議会において都市計画制度の見直しを行っておりますが、本年中をめどに答申がなされる予定でございまして、この答申を踏まえて必要な制度の見直しも図っていきたいというふうに考えております。
○中野委員 その点については、後ほど総務庁の指摘も含めてもう一度お尋ねをいたします。 さて、平成二年度、一九九〇年度の「住宅経済データー集」というのがございますが、勤労者世帯の家賃負担率、これを十五年前の一九七五年、昭和五十年に比較いたしますと、七・六%であったものが一〇・八%に上がっております。これは、上昇率からいうと四二%もの急激な上昇率ということになるのです。 そこで、家賃は市場原理で形成されるという現状があるとはいえ、この上昇率はせめて賃金の上昇率以下であってほしい、これほだれしもが思うことだろうと思います。家賃の上昇率はどの程度が適当と建設省はお考えか。また、適正負担率はどの程度が適正だとお考えでしょうか。
○川村説明員 民間賃貸住宅居住世帯の家賃負担率でございますが、ただいま先生から御指摘のございましたとおり、家計調査によりますと、昭和五十年に七・六%となっておりました。その後、所得の上昇に伴いまして木造から非木造への転換、あるいは規模の拡大、さらには設備の充実等住宅の質の向上等もございまして、五十年代を通じまして上昇を続け、六十年以降はおおむね一〇%から一一%台で推移しているという状況でございます。 家賃の適正な上昇率ということでございますけれども、所得の上昇、物価の上昇、さらにはまた住宅の質の向上といったいろいろな要素がございまして一概に申し上げることは困難でございますけれども、負担限度につきましては、中堅の勤労者世帯の場合で年収の二〇%程度ではないかというふうに推定をいたしております。
○中野委員 そこで、負担率というのは供給との関係も大変深いのですが、今回の改正で建設省は、おおむね住宅の供給はふえると見込んでおられるようでございます。しかしながら、本年二月の住宅新報社の調べによりますと、東京圏のアパート家賃相場は、需要に対し供給が少ないことから例年と比べ上昇率が高いと指摘しております。昨年八月より二DKで四、五%上昇しているようです。供給に与える借地借家法の影響は余り大きくないのではないか、こういうふうにも思われるのでございます。 現在こうして法案が審議されているわけでありますが、これによって供給のふえる兆しかあるかどうか、また将来の見通しほどうか、お考えをお答えいただきたい。
○石井説明員 民間賃貸住宅の供給を促進するためには、税制とかあるいは金融、補助等の助成措置、こういった各般の施策の推進が必要不可欠であると考えております。今回新たに導入されます定期借地権あるいは確定期限つき借家の特例、こういったものは、借地・借家の新しいニーズの多様化にこたえるものであろうというふうに理解しておりまして、賃貸人の土地あるいは建物の返還にかかわる不安が解消されまして住宅供給に資するものと考えているところでございます。 建設省といたしましても、特に近年、大都市地域を中心といたしまして良質な賃貸住宅が不足しておりますので、今後これらの民間賃貸住宅の供給促進を図るため諸般の対策を講じていきたい、かように考えているところでございます。
○中野委員 随分と努力しなければ政策効果というのはなかなか上がらない。今回の法律も、住宅供給とは全く無関係というわけではない、むしろそれに期待しているところが政府としては大きいわけであります。それを有効に進めていく、効果をあらしめなければ、逆にこの法律はいろいろな疑問点があるだけマイナスだということになりかねない、そういうことを十分踏まえていただきたいと思います。 同時にまた、新法が施行されるようになった場合、いろいろな不知、知らないことによってマイナス、不利益をこうむるということがあってほ断じてなりません。先週金曜日のこの委員会で、同僚委員の質問に対する御答弁で、地方自治体の住宅問題に対する窓口業務を強化するために通達を出すようにしたいというお答えがありましたことは、評価をいたしたいと思います。ぜひ充実したものにしていただきたい。 ただ、住宅問題のうち借地・借家に係るものは極めて専門的であり、対応する自治体の職員も苦慮されるであろうと思うのであります。このような職員もしくは専門家といいますか、担当者に対する専門知識等の拡充もあわせて必要であります。マニュアルの作成等、研修も含めましてどのようなことが考えられますでしょうか。
○石井説明員 建設省においては、今回の借地・借家法改正についての正しい理解が広く得られますように、地方公共団体におきます住宅相談の充実を図ってまいりたい、かように考えております。このため、地方公共団体の住宅相談窓口におきまして今般の改正に伴う相談が住民等からいろいろあろうかと思いますが、これに適切に対応できますように、先ほど御質問ございましたように通達等による指導徹底を図る、こういったことを検討しているところでございます。 また具体的には、建設省といたしまして、来年度において今回の借地・借家法改正の内容、あるいは賃貸借契約の実態にかかわる情報といったものを内容といたします賃貸借契約に係るマニュアル、もう一つ、今回の改正で新たに導入されます定期借地権あるいは確定期限つき借家の制度、こういったものを利用した住宅の供給及び管理の適正化を図るためのマニュアル、こういった二つのマニュアルの作成を行うこととしているところでございます。これらのマニュアルにつきましては、担当職員の専門知識の拡充に資するために都道府県の住宅相談窓口等にも配付をいたしまして、今回の改正に係る問題点の周知徹底に努めてまいるようにやっていきたい、かように考えております。
○中野委員 せっかくの御努力をお願いしたいと思います。 さて、先ほど住宅系の土地がだんだん少なくなってくるという表現が御答弁の中でありました。まさにそのことを大変憂慮するわけであります。事実、先般出されました総務庁の「土地対策に関する調査結果に基づく勧告」というのがございます。これによりますと、現行の八種類の用途地域につきまして、「競争力の弱い住宅系の用途が駆逐されるという問題が生ずる原因となっている。」というふうに現行の土地利用規制について指摘があります。この八種類の用途地域というのは何ともアバウトですし、実際に現状に合わないといいますか、時代に合わないという部分もある。そのことによって便宜的に解釈をされたり、またどうしても住宅系の方が不利に扱われたり駆逐されたりという傾向があることをいみじくも指摘をされたと思うのであります。 借地借家法ばかりでなくて、このような土地利用に係る規制のあり方によって住人を追い出すこともあると考えられるのでございます。二重、三重の住んでいる人に対する圧迫または不利な現象、そういうものをあらゆる面から総合的に判断をし、そしてそれを解消していくということでなければ居住の安定性というのが図られないわけでございますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○林説明員 先生から御指摘のありましたように、大都市の都心部におきまして、地価負担力の比較的高い商業業務系土地利用の進出によりまして住居系土地利用が圧迫され、その結果といたしまして、これらの地域におきます住宅の確保を困難にしているという実情があることは十分承知しております。このような状況に対しましては、都市計画のみならず、住宅対策等いろいろ総合的な対策が必要なこととは思いますが、都市計画といたしましても、適正な土地利用規制により住居系土地利用の保護を図ることは重要な課題であるというふうに認識しております。
○中野委員 この用途地域の見直し等についてはお考えになる計画はありますか。そしてそれは、私はかなり大幅に、八種類などというのじゃなくて、むしろ十五種類とか二十種類ぐらい決めていって、町づくりというものをもっと真剣に考えたらいかがかと思いますが、どうですか。
○林説明員 先ほど申し上げましたように、都市計画あるいは建築規制制度につきましては、現在、都市計画中央審議会及び建築審議会におきましてその見直しについて検討が進められておりますが、その中で、先般、両審議会の部会から中間報告が出されたわけでございます。その中間報告の中で、用途地域制度につきましては、先ほど申し上げましたような住居系用途地域における商業業務系の土地利用の無秩序な進出を防止するという観点、あるいは東京などの大都市部心部におきまして商業業務施設と住宅が調和して併存できるような形で立地することを促進するための規制といったようなことを行うことによりまして、住宅の確保に資する方向でよりきめ細かな用途規制が行えるように、用途地域を細分化することが課題の一つとして提案されているわけでございます。 先生のおっしゃいますような八種類を幾つにするかというふうなことにつきましては、今後両審議会においてさらに検討を進めていかなければいけないというふうに考えておりますが、本年中をめどに答申がなされる予定でございますので、その審議会における検討を踏まえて必要な制度の見直しを行っていきたいというふうに考えております。
○中野委員 住宅用の土地をしっかり確保するということが大切だと思うのですが、商業用にも使えるということになりますとその地域の地価というのがどんどん上がっていくのですね。住宅としてしか使えませんとなりますと地価はある程度安定してくるという問題もあるわけでありまして、いろいろな効果を発揮すると思うのでありまして、ぜひとも真剣な御論議の中で前向きの対策を講じていただきたいと思うのであります。 もう一つ、都留文科大学の岩見教授の論文によりますと、大変いい言葉が書いてありましたが、「都市の住みやすさとか美しさほ、そこに住む住民がたえず建物や街並みに手を加えていくことによってのみつくられるものである。」なかなか名言だと思うのですが、そういうふうに安定的に定住することが都市計画には必須の条件だと指摘をされております。例えば地区計画制度、土地区画整理事業などは、住民の参加なくしてはできません。 そこで、まず法務省にお尋ねをいたしますが、今回の改正でこのような契約更新が不確かなものになるとすれば——いや、法務省はそうではない、むしろ確定しますよとお答えになるかもしれません。しかし一方では、契約更新等で大変不安定な状況に置かれるという心配もあるわけであります。もしそうなるとすれば、借地・借家人の定住意識は育ちようもありません。そうすると、美しい町づくりはできないということになっていきかねません。そういう意味で、例えば定期借地権等を新設されるとそれはプラスに作用するのだというお考えがあるのか。いずれにいたしましても、この居住者の定住性もしくは安定性ということが大変国民にとっては望まれることでございますので、そのことについてはどうお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 美しい町づくりのために住民の定住性、安定性ということが大事であるという御指摘、私どもも拝聴しておりましてそのとおりではないかというふうに思う次第でございます。 ただ、それとの関係におきまして、今回の改正によって借地・借家契約の更新が不確かなものになるということでございますけれども、これは先生がおっしゃいましたように、私どもは不確かになるというふうには実は考えていないわけでございます。例えば正当事由に関しましても、現行法と同じように具体的な実情に即して適切な判断がされるということになると思うわけでございまして、現行法と実質的に変わるところは何もないということでございます。あるいはまた、定期借地権というようなものが都市づくり、町づくりの過程でどのように利用されるかということも将来の見通しとしては一つの問題でございますけれども、そういった定期の借地権の存続期間に見合った形での土地利用ということが当然考えられることになろうかと思います。そのことが直ちに美しい町づくり、都市づくりというものの障害になる、あるいはそういうもののマイナス要素になるというふうにはちょっと考えにくいのではないかというふうに思っているところでございます。
○中野委員 同じことを建設省にもお尋ねをいたしますが、建設省は今回の改正で、計量的ではないが、また計量的にほ答えられないけれども、建てかえや住宅の供給がふえると判断をしておられるようであります。といたしますと、こういう解釈も成り立ちます。都市の更新や住人の移動が高まって定住意識が低下する地域が発生するということは予想できないか。そのような中にあって、地区計画制度の住民参加の都市計画というのが、これはよほど計画的にやらなければできない、こうなってきますけれども、この関連性についてどう見通しておられますか。
○林説明員 町づくりに当たりましてはそこに住む地域住民の役割は非常に重大であり、特に地区レベルの詳細な町づくりを進めるためには、住民やあるいは土地の所有者等の町づくりへの積極的な参加が不可欠であるというふうに考えております。特に先生御指摘の地区計画制度につきましては、地区レベルでの町づくりの要請にこたえるために道路、公園等の配置あるいは建築物に関する制限などにつきまして地区の特性に応じてきめ細かく定める計画でございまして、その案の策定に当たりましては、都市計画法上も区域内の土地の所有者その他の利害関係を有する者の意見を求めることとされております。したがって、その運用に当たっても地区住民の積極的な参加が期待されているところでございます。 このような観点から、先般出されました都市計画中央審議会の中間報告におきましても、地区計画制度の積極的な推進を図るために、土地所有者の要請を受けて地区計画を定めるような方策、あるいは地区計画の策定に資する地域住民等の活動に対する助成制度の拡充、あるいは地区計画の策定を支援するような公共団体等の体制の充実といったようなことが提言としてなされているところでございます。これらの検討も含め、今後とも都市計画における住民の意見の十分な反映等に努めてまいりたいというふうに考えております。
○中野委員 最後に、法務大臣に御要望を申し上げたいと思います。 私は、昨年の地価税を柱とする土地税制の改正のときに、税制と土地利用は有機的に結びつけて考えるべきだと主張してまいりました。それぞれどちらが主役でどちらがわき役というのではなくて、その両方が有機的に結びつかなければ効果を発揮しないということを常に指摘してまいりました。今回、借地・借家法の改正に合わせてやはり土地利用のあり方については再検討すべきだと思いますし、都市計画法、建築基準法をこのような観点に立って改正する必要があるだろうと思うのであります。また、さきの総務庁の勧告を実施するといたしますと、住宅の供給や居住環境の整備を促進するように用途地域を変更するために、都市計画法、建築基準法を改正せざるを得ないのではないかと思うのであります。 いずれにいたしましても、そっちの方は法務大臣は御所管ではありませんけれども、今日まで借地・借家法についてここで質疑応答、論議をしてまいりました経過の中で、やはりトータルとして政府が住宅政策を考えていただかなければならない、その必要性は法務大臣、当然お感じになっておられるだろうと思うのであります。これまた大変プライベートなことを申し上げて恐縮ですが、私の察するところ法務大臣の選挙区は多分借地・借家人の一番多い地域と言えるのではないかという気もするのでございまして、そういう視点に立ちましても、ひとつ閣僚の一員、いわゆる政府のお立場から、その総合的な住宅政策、土地政策の推進についてせっかくの御努力をいただきたいとお願いしたいわけでありますが、御所見をお伺いいたします。
○左藤国務大臣 この改正によりまして良好な借地・借家の供給が促進されるということで、今お話がございました。要するに内閣としましては、とにかく幅広いいろいろな方々との十分の打ち合わせをして将来の社会生活の基盤整備にこの改正も寄与することができれば、我々は大いにありがたい、このように思っておるところでございます。
○中野委員 終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 田辺広雄君。
○田辺(広)委員 大変長時間にわたりまして、百二十国会、また百二十一臨時国会に引き続いて慎重審議を重ねられまして、各党の先生方の御質問もそれぞれ聞きました。 その中で、私が先回行われました公述人の方々のお話を聞いておりまして、法制審議会の民法部会長の加藤一郎先生初めたくさんの公述人から、いろいろの立場から賛成、反対等の意見が出ておりました。中には、現行法のままであったら土地を貸したら土地をとられたと一緒だという考え方で、土地を提供する、貸す人は恐らくなくなってくるであろうというようなことまで言われる方もあったわけです。しかし、私どもここではっきり言えることは、従来のそういう考え方だから今新しい法律をつくる、同時に旧法も直すべきだという強い意見もありました。しかし旧法は旧法として、現行法は現行法としてそのまま残していくのだということがはっきりされておるわけでございまして——そのことが時たま質問の中に、新法の中にもその精神が入ってきたり前後したりして、それが一つの混乱の状態になる。ある一人の人はいろいろな具体例を挙げまして、例えば一万五千円の家賃が一遍に四万円になったとか五万円になったとかというお話も聞きました。しかし、これは現行法上における問題であって、新法をつくってそれを解決しようという立場ではないのです。ですから、はっきりと線を引いて、旧来のものは旧来のもの、新しいものは新しいものという立場でやっていくべきではないかと私は思います。 しかし問題は、大正十年に設定されましたこの法律の中の借り主の立場を守るということは、現在も変わらないと私は思う。だから、現行法の精神は必ず生きておるのだということで私は考えております。そして新法は普通借地権の三十年または更新の十年、定期借地権またほ譲渡つきの借地権、建物譲渡つぎの借地権等々というものが新しいものであって、その他ほ従来どおりだということを、くどいようでもはっきりと政府当局においてもPRをしないと、先ほど、冬柴委員に手紙が来ました。その方に手紙の返事を出しました。それもやはりそこの混線の状態、だれがどういうPRをしておるか知りませんが、間違いのもとをっくってくる、こういうことが私は非常に残念だと思います。 そこで第一の質問は、今回の改正はそういう意味で借り主の権利を弱めるという立場からそれぞれの御質問がありましたが、法務大臣、基本的な精神ですから、このことをはっきり御答弁をいただきたいと思います。
○左藤国務大臣 今お話がございました点につきましては、今回の改正は借り主の立場を弱めるとかそういったことほ一切ない、私はこのように確信をいたしております。
○田辺(広)委員 次にお尋ねしますが、正当事由について現行法より拡大されて、借り主の追い出しか容易になるということを言われますが、それについての考え方。 もう一つは、先ほど木島委員がここで神田のラーメン屋さんの話をされました。裁判の判決によって、立ち退き料を八千万円出しても立ち退かなくてもよかった。けれども、今度の新しい正当事由というところであったら、一千万円出したら立ち退かなければならぬのではないかというようなことも言われましたので、そのことについても、あわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。 〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
○清水(湛)政府委員 正当事由は、たびたび申し上げておりますように、現行法の解釈として判例が積み重ねた諸要素を成文化したにすぎないものでございます。 先ほど木島委員が神田のラーメン屋さんの判例を指摘されましたけれども、むしろこういう判例があるからこそ、例えば立ち退き料というようなものを考慮事情の中に入れても立ち退き料さえ払えば立ち退かせられるんだということにはならない、あくまでもこれは補完的なものであるということを証明する判例として、私どもはむしろ積極的に引用したかったものでございます。 この事件でも、立ち退き料を提供する、その八千万でも足りないということになった。こういう事案でございますので、この正当事由が弱められて、法律が改正されれば今度は一千万円でも立ち退くんだ、こういうようなことには絶対にならない。私は、この正当事由についてそれぞれの裁判官が長い間大変な苦労をしていろいろな実務を積み上げてきた。こういう裁判所の正当事由に対する公正な態度というのは今後とも信頼できる、こういうふうに思うわけでございます。新法によってもっと安い金額で追い出すことができるんだなどというようなことには到底ならないというふうに考えております。
○田辺(広)委員 今お話を聞きましたが、実は私自身も誤解をしておったのです。今度正当の事由その他いろいろ具体的なものが出て、現行法の正当の事由よりももっとはっきりしたんだ、だから前とは違っておるんだというような考え方で聞いておりましたら、これは判例だとかそういうものを全部引いて具体的に言葉を列記したので、現行法と新法とは全然変わらない、こういうことをおっしゃってみえました。それが私どもの勘違いのもとだと思いますが、そのこともひとつよく御注意をいただきたいと思います。 それから、三番目に私がお聞きしたいのは、借地権の更新期間、これを十年に短縮するということは、借り主の権利を弱めるものであり、居住の安定性を欠くのではないかということで、それぞれの先生方から問題が出ておりました。私は、これは新法の場合でございますから、更新が十年でありましても、契約そのものに、初めから了解の上になされておることだと思いますので、十年をじゃあどうするかというようなことも問題だろうと思いますが、はっきりひとつ御答弁をいただいて、これの対処をお聞きをしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 この問題につきましても当委員会でしばしば御質問がございましたが、これまでお答え申し上げておりますように、基本的な存続期間を三十年とする。これは、いわば現在の木造建物の使用を目的とする借地権で見ますと十年長くなるわけでございますが、三十年とした上で、更新後の存続期間は十年とする。しかし、十年が来たらすぐ家を返さなければならない、土地を返さなければならないということではございませんで、先ほど来問題となっております正当事由というのは、やはりそこで必要である、こういうことでございます。 十年といたしましたのは、借り主側、貸し主側の事情の変更というものをできるだけ当事者の借地関係というものに反映させるのが公正妥当である、こういうことから、最近の社会情勢の変化の速さというものも考えまして十年という期間にするのが相当であるということになったものでございます。
○田辺(広)委員 今お話を聞いておりましたが、それもそうですが、今まで三十年、今度め更新は十年となりますと、正当な事由等でまたそこで話し合いをしたりいろいろしなければなりませんので、どちらかというとやはり借り主が大変だろうということを私も思うわけでございますが、実際の取引としてはそのことはそれほど痛痒は感じませんかどうですか。大体十年が妥当かと重ねてお尋ねいたします。
○清水(湛)政府委員 この新しい法律の規定はこれから結ばれる借地契約に適用されるわけでございまして、借地人といたしましては、当初の存続期間が三十年でその後の更新は十年ごとに正当事由のものをチェックされるという前提で土地を借りるということになるわけでございまして、先生御指摘、御心配のように十年ごとに地主と話し合わなければならない煩わしさが確かに出てくるという要素はございますけれども、しかし基本的に、正当事由がなければ明け渡しに応ずる必要はないということは全く変わらないわけでございますので、その点は、借地人としては十分にそのことを認識して適切に対応することができるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。 先生の御指摘のような御心配はこれまでの当委員会の各委員の質問にもございましたけれども、そこは、十年にすることによる事情の変化を借地関係に反映させることの必要性という意味においてやむを得ざる期間である、十年ぐらいが合理的な期間であるというふうに思っているわけでございます。
○田辺(広)委員 そこで、簡単に言いますと、今度の改正によりまして地代家賃の値上げが非常に簡単になるんだという感じを受ける人がたくさんあるんじゃないかと思いますが、もう一度そのごとをよく、そうではないならない、どういうふうだということをひとつはっきりわかるように御説明をいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 結論から申し上げますと、今回の改正は地代家賃の値上がりにつながるということは全くない、そういう要素は法律の中にはどこにもないと申し上げて全く差し支えないというふうに考えておるわけでございます。新しい法律の地代家賃の増減額請求権に関する規定は、基本的には現行法と変わっておりませんし、今回の改正によって現行法より値上げ幅が大きくなるんだなんという要素は私ども全くないというふうに考えております。 また、民事調停手続とかあるいは合意がある場合における調停委員会における裁定というような制度が導入されたことによって、地代家賃をめぐる紛争が低額な費用で、しかも専門家によって構成される調停委員会というものの手続によって簡易、迅速に解決されるという可能性が出てきたわけでございますが、だからといって地代家賃の値上げがしやすくなるということにはなりません。いつまでも紛争が長引いて訴訟をするということが一体利益なのかどうか、そういう点を考えますと、紛争の合理的、円滑な解決という点から見ますと、調停制度を活用するということは、これは十分に合理的な理由があり、またその必要性があるものであると私どもは考えているわけでございます。
○田辺(広)委員 今お話がございましたが、例えば今までの場合ですと、家賃を値上げしようと思いますとやはり供託金を積んだり調停裁判になったり本裁判になったり非常に煩わしい、わずかの家賃を上げるぺらいならもうこのままで辛抱しようかという人もあったと思うのですが、今度の改正によって、もちろん旧来の方は現行法でいきますから問題ないと思いますが、新しい方々が、調停も簡単になったということで値上げが簡単になったんだ、それは、紛争の処理が簡単になったのであって値上げが簡単になったのではないと私は思うのですが、何か一連の関連があるように思われるのですが、その点はどうでございますか。
○清水(湛)政府委員 調停制度は、現在の借地・借家関係につきましても、今後地代家賃の増減が問題になる場合にはこの調停制度に関する新法の規定が適用されることになるわけでございますけれども、調停によって紛争を解決する、これはお互いに合意の上で解決する話でございますので、決してこれが不当に一方に不利益にされるということはあり得ないわけでございます。 そういう意味におきまして、こういう制度が導入されたから地代の値上げをしやすくなったとか家賃の値上げがしやすくなったとかというふうなことは、これは一部でそういうことをどうもおっしゃっている方があるようでございますが、私どもはそういうことは全く理解できないと申しますか、あり得ないことであるというふうに思います。裁判所の調停制度の適切な運用というものを信頼してよろしいと私どもは考えているわけでございます。 〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○田辺(広)委員 そこで、何回も言われておりますように、既にある現在までの既契約は新法を適用しない、こういうことを言ってみえます。しかし現実には、借り主の法律に対する理解が不十分だということで、更新の都度に、いろいろ日がたっていきます間に新法のもとでの契約に切りかえられることがあるのではないかというようなことを心配してみえる方が多いのじゃないかと思います。そういうことについてはどういうふうになるか、同時に、どうしてそれを防いだらいいかということを、これはもちろんよく理解をしていただくようなPRの仕方、またいろいろ言われております方法があると思いますが、それを含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 既存の借地・借家関係に新法の規定が適用されないとはいっても、今後お互いにそういう新法の適用のある借地・借家関係に切りかえられてしまうのではないかという御指摘、これほあるわけでございます。 私どもといたしましても、借地人あるいは地主が任意で話し合って合意をして、そして既存の借地契約を解約して改めて借地契約をし直すというようなことが本当に自発的な意思、任意の意思に基づいてされる、このこと自体を否定するということはやはり法律的にはなかなか難しいことであると思います。しかし、何らの理由なしに、いわば借地人の無知と申しますか法律をよく知らないことにつけ込んで、地主の方が一方的にそういうような合意解約を装った形での契約の解消あるいは新契約の締結をするということになりますと、これは個々の事情いかんにもよることでございますけれども、これらの合意は無効という判断を裁判所からされる可能性はあるわけでございます。 とにかくそういうような法律を知らないことによって地主側のある意味においては不当な要求に屈するというようなことがないように、法律の中身、上れは大臣も前々から強くお答えしているところでございますけれども、新しい法律の内容の周知徹底、いやしくも法律を知らないことによって不利益を受けることのないように私ども十分PRをしてまいりたいと考えております。
○田辺(広)委員 今度の改正については非常に細かい配慮をされまして、既契約のものについては全然新法の適用を受けない、せっかくここまで配慮いただきましたら、かつての法律ができた当時のように、経済的にも社会的にも、今はそういう言葉はないと思いますが、たな子と大家というような感じでなしに、それがスムーズに実行される、新法は新法としての契約書の様式、旧法は旧法によっての契約書の様式、いろいろな具体的な方法で間違いのないようなことをすることを考えないと、今話を聞いておりますと、ちょうど期限が来たから、こごて正当な事由をどういうふうに取り扱われるか知りませんが、そこで旧法のものを解約して新法の適用を受けるようにする、そうなればこれはもう個人個人の相対の契約であるから私どもの言う筋ではない、こういうことをおっしゃられますと、せっかく今まで我々が心配して苦労してこの借地借家法を審議してきた精神というのは実はそこにあるのですから、その心配をなくしていただければ皆さん方がそれぞれ御了解をいただけるだろうということを思います。ただ本人の法的知識が少ないとかわからなかったから仕方がなかったということでないような方法をもう一度御答弁いただいて、決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 先生の御指摘、まことにそのとおりだと思うわけでございまして、私ども、法律を知らないことによって不利益を受けるというようなことがないようにするということ、それから、既存の借地・借家人については従前どおりの法律が適用されるんだ、だから安心してよいということをさらに徹底してPRをしてまいりたいというふうに考えております。
○左藤国務大臣 この法律案をお認めいただきまして成立いたしましたならば、先生おっしゃったような誤解がないように、これが正しく適用されますように、そのPRにつきまして一層の努力をしたい、このように考えておるところでございます。
○田辺(広)委員 時間の都合で、もう大変お疲れでございますから、最後に一つだけお聞きをいたします。 これは先般の公聴会で荒木公述人が実は述べられておりました。また、四月四日の日本経済新聞の本人の記事にも載っておりましたが、この新しい法律というのはやはり利害関係の調整の域を出ない、そして、これには土地対策だとか住宅政策とかいうものが全然感じられない、欠けておるのではないかということを言われました。私は、借地借家法、借家法でそのことまで全部の力を及ぼすということは、これは域外のことでもあると思いますからまた別の方で考えていきたい、考えるべきだと思いまして、きょうは建設省にもまた国土庁にもお答えいただくようにお願いしておきましたが、時間の都合でお断りしました。これは直接の関係はございませんが、今後、そういうものについてどういうふうにしたらいいかということを最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 法務省は直接の住宅政策とか土地政策を目的とする官庁ではございませんが、借地借家法も広い意味における土地政策、住宅政策全体の調和の中で考えられるべき法律であるということも、またこれほ否定しがたいわけでございます。 ただ、私どもは、そういう全体の中で、借り主、貸し主、そういった方々の権利関係が合理的に、かつ安定的に適正に調整されるということが、これからいろいろな住宅政策、土地政策を展開する上においても最も基本的なこととして重要なことであるというふうに認識しているわけでございまして、そういうようなことを踏まえまして建設省なり国土庁というところで適切な住宅政策を展開していただけたらというふうに考えているわけでございます。現に、この法律案を長年月にわたって私どもは調査、審議してきたわけでございますが、建設省の方にも常時参加していただいて、住宅政策というような観点からの御研究、御検討の材料にもしていただくということにしてきたわけでございます。そういう意味で、大臣もたびたび答弁しておりますけれども、この借地借家法が今後における住宅政策というようなものに寄与するということも、私ども関係者として心から念願しておるという次第でございます。
○左藤国務大臣 先ほども中野先生にお答えを申し上げましたように、内閣として住宅問題というのは非常に大切な問題であります。この借地借家法もそういう意味で良好な、良質な住宅の供給というものに力を尽くすことができれば、それを我々としては期待しておるわけでございますので、総合的に住宅政策を進める上において内閣として努力していかなければならない、このように考えておるところでございます。
○田辺(広)委員 大変長時間にわたりまして御質問申し上げました。また、それぞれの各先生方が真剣に御質問いただき、その御質問の中の精神というのは、私がお尋ねすることもそれぞれの先生方がお尋ねされることも全部中身は一緒だと私は思います。どうか、最初のこの法の精神、貸しやすい、借りやすい、こういう立場をひとつ堅持されまして、国民の皆さん方がよりよい土地利用、そして土地の需要の多様化に対処していかれますように十分に御配慮いただきますことを心から念じて、私の質問を終わりたいと思います。
○伊藤委員長 御苦労さま。 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後七時十五分休憩 ————◇————— 午後九時三十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ただいま借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案に対し、太田誠一君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提出に係る修正案が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。冬柴鐵三君。 ————————————— 借地借家法案に対する修正案 民事調停法の一部を改正する法律案に対する修 正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○冬柴委員 借地借家法案に対する修正案及び民事調停法の一部を改正する法律案に対する修正案提案理由説明を行います。 私は、提出者を代表して、両修正案の趣旨について御説明いたします。 両修正案の内容につきましては、お手元に配付いたしておりますので、その朗読は省略させていただきます。 まず、借地借家法案に対する修正案について御説明いたします。 修正案の第一点でありますが、原案は、借地契約の更新後の存続期間を十年としていますが、常に十年ごとに更新における正当事由の有無について判断するものとすることは、借地人の負担が過大となり、ひいては居住権の安定性を損なうおそれがあります。 そこで、本修正案は、第四条の借地契約の更新後の存続期間を、最初の更新に限り、原案の「十年」から「二十年」に改めようとするものであります。 次いで、修正案の第二点でありますが、原案は、土地または建物の利用行為について、借地関係においては「土地の使用」と規定し、借家関係においては「建物の使用又は収益」と規定しております。これは現行の民法、借地法及び借家法の規定に由来したものと考えられますが、土地または建物の利用行為は実体的にはほぼ同一の性格のものでありますから、借地関係と借家関係を統合した本案においては、「使用」の話のみで規定するのが相当であります。これにより、借家関係の正当事由を規定した第二十八条においても、建物の収益の必要性が、使用の必要性とは別の主要な正当事由の判断要素の一つであるかのように解されるおそれがなくなるのであります。 そこで、本修正案は、原案の借家関係の諸規定から「又は収益」の字句を削除し、用語を統一しようとするものであります。 次に、民事調停法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明いたします。 原案では、地代借賃の増減調停事件について、当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意があるときは、申し立てにより、調停委員会は適当な調停条項を定め得ることとされており、この調停条項は確定判決と同一の効力を有することになっております。このような重大な効果が発生することにかんがみ、右の合意は紛争解決手段としての調停の申し立て後にされたものであることが望ましいのであります。 そこで、本修正案は、調停委員会が定める調停条項に服する旨の書面による合意については、調停の申し立ての後にされたものに限ることとし、あわせてこの規定が商事の紛争に関する調停事件等に準用されることに伴う所要の経過措置を講じようとするものであります。 以上が両修正案の趣旨であります。 何とぞ両修正案に御賛同くださいますようお願いいたします。 —————————————
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
○伊藤委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。木島日出夫君。
○木島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました借地借家法案並びに民事調停法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。 現行借地法、借家法は、一九二一年に借地・借家権について長期の存続期間を定め、借地人や借家人の居住と営業の安定を図るために立法されました。まだい一九四一年には、当時の住宅難などの社会的事情を背景として、借地・借家契約の期間満了による解約を大幅に制限する正当事由制度を導入する大改正が行われました。いずれも借地人や借家人の居住と営業の安定を図り、生存権を守る上で重要な役割を果たしてきましたし、現に果たしています。 ところが、政府は、時代の要請にそぐわなくなったとして借地・借家人の保護を柱とした現行法を廃止し、経済的弱者を切り捨てる方向で新法を制定しようとしています。これは地上げなどの事態に拍車をかけるものであり、みずからの土地住宅政策の失敗を棚上げして国民の居住権、憲法二十五条で保障された生存権を無視する態度であり、まさに憲法と時代に逆行するものというほかありません。 今、借地法、借家法を改正する必要性は全くないと言わざるを得ず、本法案に強く反対することをまず最初に表明いたします。 反対の第一の理由は、借地権の存続期間を大幅に短縮することです。 借地人にとって最も大事なのほ、居住の安定であり、その地における営業の継続性であります。現行借地法では、堅固な建物は六十年、その他の建物は三十年が借地期間の原則です。ところが法案は、堅固な建物も含め、すべて借地期間を三十年としたばかりでなく、最初の更新期間は修正で二十年になりますが、二回目からほ更新期間を十年としました。これは、借地人や借家人の居住と営業の安定を図るという借地法の基本的考え方を覆すものであります。 私の質疑の中で明らかにしたように、現行借地法が立法された一九二一年の前年の立法案では、司法省は百年という長期の存続期間を定めようとしていました。それは、借地人の居住と営業の安定を確保する上で、長期であることを当然の前提としていたわけであります。また、法案の提案理由では、社会的、経済的耐用年数等の変化、適切な当事者関係の調整の要請により存続期間の短縮が必要としていますが、現在でも、法人税法上の法定耐用年数でさえ、鉄筋コンクリート構造の建物で事務所用は六十五年、住宅用は六十年としていますし、さらに現在の建築技術の発達により、耐用年数は延びているのが実情です。本法案は、この実態を無視しているものであります。 さらに、借地人は、三十年以降、最初は二十年、次には十年ごとに明け渡しの不安にさらされ、多額の更新料を請求され、地代を大幅に増額されることになるのでありますから、借地人が期間短縮を要請することはあり得ません。だとすれば、経済的強者である大地主の利益優先の要請を受けて立法したものと言わなければなりません。さらに言えば、それは都市再開発の促進をねらう財界、大資本の要請であります。借地人の生活と営業を脅かすこのような借地権の存続期間の短縮は、絶対に認めるわけにはいきません。 反対理由の第二は、借地・借家の明け渡しの正当事由の拡大です。 これまでは法文上、地主、家主がみずからその土地・建物を使用することを必要とする場合などに限定して認められていた明け渡しの正当事由が、これからは法文上も借地・借家の従前の経過や土地・建物の利用状況、立ち退き料の支払いの申し出によっても認められるようになります。これは金銭による立ち退きを法が認めるものであり、まさに、各地で重大な社会問題となっている暴力的地上げをあおるものと言わなければなりません。借地・借家人の居住や営業の現状を配慮することを弱め、土地の高度利用を口実とした大企業本位の都市再開発を進めるために、借地・借家人の生存権をすら奪うものと言わなければなりません。 政府、法務省は、新法と旧法は内容は同じであり、問題壮ない、これまでの判例を法文化しただけのものと強弁していますが、現行法の規定が歯どめとなって、相当額の立ち退き料を提示しても正当事由と認めない判例が数多くあるのであります。だからこそ、現行法の障害を取り払って容易に正当事由と認めさせるために法改正を行うのではありませんか。 我が党は、このような借地・借家人の生存権、居住権を奪いやすくする本法案には、到底賛成することはできません。 第三は、地代家賃値上げの問題です。 これまでは、地代家賃の増額は、租税公課、土地家屋の価格、近隣の地代家賃相場の変動によって不相当になった場合にのみ認められていました。法案はこれに「その他の経済事情の変動」を加えています。これは物価の高騰なども地代家賃の引き上げの理由として認めていくことにしようというものです。 このような改悪は認めるわけにはまいりません。 第四は、地代家賃の値上げにかかわり、とりわけ重大な問題と思われる民事調停法の一部を改正する法律案についてであります。 同改正案は、地代家賃の値上げに関する紛争の解決方法として、まず調停を申し立てることを義務づけた上、あらかじめ書面による合意がある場合にほ、借地人、借家人の意に反する地代家賃の引き上げであっても調停委員会が強制的に押しつけることを可能にしています。このような制度がつくられるならば、合意が書面に書き込まれることは必至であり、本修正案によってそれほ調停申し立て後の合意に限るということは一歩前進でありますが、改正法は全体として地代家賃の値上げ迅速化、自由化法となることは明らかであります。これでは地代家賃は当事者の合意によってのみ決められるという民事法の大原則を実質において破壊することになり、裁判を受ける権利すら奪うことになり、憲法に照らして重大な疑義ありと言わざるを得ません。 しかも、本改正案は、国会との関係で見るならば、二重に過ちを犯している欠陥法案と言わざるを得ないのであります。 私の本委員会の質疑で明らかになったように、調停条項の押しつけ制度は、一九七四年の第七十二回国会に提出された民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案に含まれていたのでありますが、当該条項は民事調停法の原則に反するものとして全会一致で削除されたものであります。法務省は、商事調停と鉱害調停の規定を地代家賃値上げ調停に広げるだけだと言っておりますが、同規定は一九七四年以降一件も使われていないとの最高裁答弁でも見事にその説弁が粉砕されたのではありませんか。利用されれば憲法上の疑義があり、そうでないとすれば役に立たないという規定であります。あえてこの規定をどんどん活用しようというのであれば、法務省は大企業、財界の要求に屈して、憲法を無視してでも弱者たる借地・借家人を苦しめて恥じないものとのそしりを免れ得ないでしょう。 国会で削除された法案条項をあえて再度提出してきた法務省の姿勢は、本委員会の答弁で暴露されたように、もし当時の審議内容を知らなかったというのであれば極めて不勉強であると言わざるを得ないし、知っていながら再提出したのであれば、国権の最高機関であり唯一の立法機関たる国会をないがしろにする態度生言わざるを得ません。 本修正案が可決されれば、書面による合意を調停申し立て後に限るということになり、一歩前進ではありますが、それでもこの制度の持つ問題点は残されていると言うべきであります。 第五は、定期借地権の問題です。 この新たな制度は、更新のない借地権という日本に新たな法制度を導入するものであります。それは、現在の借地法の居住権保護の精神を全く失わせるものであります。今後、大きな経済力を持つ地主が新たに行う借地契約は、ほとんどこの定期借地権になるでありましょう。それだけでなく、既存の借地権も更新時において定期借地権に変えられてしまうおそれを否定することはできません。まさにこれは、日本の借地法制の根本原則を破壊し、借地権と借地人の安定した居住や営業を事実上否定するものと言わざるを得ません。この制度の創設は、正当事由の拡大と相まって、既存と新規とを問わず、借地人の権利を侵害する役割しか果たさないのであります。 第六は、既存の借地・借家契約に対する本法の適用の問題であります。 法務大臣は、去る三月十九日の談話で、本法が既存の借地人、借家人の権利を後退させるものではないかのような説明をしています。また本委員会の質疑の中でも、繰り返し繰り返し既存の借地・借家契約には適用されないと答弁しています。しかし、現実には以下の理由により本改正案の附則の規定が既存の借地・借家人の保護に結びっかないことは、審議を通じても明らかではないでしょうか。 それは、第一に、訴訟になった場合、新法の正当事由の規定が実質的に判断の根拠とされるのではないでしょうか。第二に、地代家賃の値上げについては、既存の契約関係についても新法と改正民事調停法が適用されることであります。第三に、既存の契約の合意解除、新契約の締結という形式を踏めば、新法が適用されることとなるのであります。地代家賃の値上げを抑制することと引きかえに新契約を締結するというような場合には、法務省の答弁によりましても、新法適用になる可能性は非常に多いと言わざるを得ません。法務省がそれでもなお既存の借地・借家人の権利は将来にわたって確保されると説明するのは、反対運動を鎮静化させて、悪法成立をしゃにむに押し通そうとするものとの批判を免れ得ないでしょう。 最後に、この法案が提出された経過について触れざるを得ません。 借地法、借家法の改正について、法務省は当初、借地・借家法は民事の基本法であり、見直す考えはない、むしろ地価の高騰を抑える方が先だと言明していました。ところが、民間活力の活用を旗印に掲げた中曽根内閣発足後、歴代自民党政府は都市再開発事業を推進するため、一連の規制緩和政策を推進してきました。そのために、そこに住む住人たちは邪魔者とされてきたのであります。こうした動きの裏に、臨時行政調査会や経団連が、現行の借地・借家人の権利を必要以上に保護している面を是正し、土地の賃借権の流動化を図るべきであると要求してきたことがあったことは、紛れもない事実であります。 さらに政府は、昨年六月の日米構造協議で、借地・借家法の見直しをアメリカに誓約し、ことし五月のフォローアップで重ねて早期成立を約束しました。提案理由の「より利用しやすい借地・借家関係を実現するため」とは、結局大企業やアメリカ大資本にとって利用しやすいものということなのではありませんか。まさにアメリカと日本の財界、大企業の要求には忠実だが、日本国民の切実な要求には耳をかさないという反国民的姿勢を示すものと言うほかありません。 現在、大都市部を中心とする異常な地価高騰、都市再開発のあらしは、借地・借家人の平穏な生活と営業を根底から脅かしています。暴力的な地上げによる立ち退き要求は、借地・借家人だけでなく零細な地主や家主をも町から追い出し、町並みそのものが破壊されているのです。今緊急に求められていることは、現行借地法、借家法の徹底によって借地人、借家人の権利を保護することであり、国民の居住を確保するための土地住宅政策の確立てはないでしょうか。政府は、憲法二十五条の生存権の保障に基づき、国民が健康で文化的な住宅を確保し、安定した平穏な居住を続ける権利を保障する責務がある、そのための土地住宅政策をこそ確立しなければなりません。 日本共産党は、借地・借家人の生存権を脅かレ、零細地主、家主を含めて住民を追い出し、大企業本位の再開発事業を助長する二法案の撤回を強く求め、最後に、三項目の修正案については、民事調停法の一部改正案の調停条項制度の持ついろいろな問題点については私が本委員会の質疑で提起した問題でもあり、いずれも借地人、借家人の権利を擁護する方向での修正ですので、修正案そのものにほ賛成して、私の反対討論を終わります。 —————————————
○伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
○伊藤委員長 これより採決に入ります。 借地借家法案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、太田誠一君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 民事調停法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、太田誠一君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立総員。よって、修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○伊藤委員長 次に、ただいま議決いたしました借地借家法案に対し、太田誠一君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。中野寛成君。
○中野委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。 それでは、案文を朗読いたします。 借地借家法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法が国民の日常生活と密接不可分の関係にある極めて重要なものであることにかんがみ、その施行に当たり、次の諸点について、遺漏なきよう万全の措置を講ずべきである。 一 借地・借家関係に関する紛争を未然に防止するため、国民に対し、本法の趣旨及び内容、とりわけ既存の借地・借家関係の更新等には適用されない旨の周知徹底を図ること。 二 いわゆる社会的弱者保護のため、土地・住宅政策を更に積極的に推進し、土地・住宅が安定的に供給されるよう所要の措置を講ずること。 以上であります。 何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、左藤法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。左藤法務大臣。
○左藤国務大臣 ただいま議決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して善処してまいりたいと存じます。(拍手) —————————————
○伊藤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○伊藤委員長 次回は、来る十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時五十一分散会 ————◇—————