法務委員会 第2号
- 発言数
- 276 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1991/08/30
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 本日、最高裁判所今井民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○伊藤委員長 第百二十回国会、内閣提出、借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 お諮りいたします。 両案につきましては、前国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 借地借家法案 民事調停法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
○塩崎委員 借地借家法につきまして若干の質問をさせていただきたいと思います。 まず委員長にお願いがございます。 今も理事会でお話がございましたが、この借地・借家法は民法という基本法の例外法、とは言いながら、同時にまた基本法的なものであり、大正十年に大変な意欲をもって制定されたものでございます。その後、昭和十六年に正当の事由ということだけが追加されて今日まで来ておりますが、これについての改正意見は古くから言われている法律であった。そしてそれは、今も問題でありますが、去年の国会では大変な問題であった地価問題、土地問題、これに大きく影響する法律でございます。私は、この法案の御審議が今国会に継続審議になって行われることは非常に残念なことで、実は前国会で徹底的に審議していただければ、土地問題、地価問題が大変クローズアップされたときであっただけに、国民にこの改正の趣旨が徹底したと思うのです。今度証券問題、金融問題等の陰に隠れて、大臣がまたそちらの方に引っ張られるようなことで、審議が非常に何といいますか影が薄くなるとか、あるいはおくれるというようなことがあったのでは大変申しわけないと思います。私は、これらについてはやはり徹底的な審議の上に、さらにまたこのキャンペーンについて、特に国民に対するキャンペーンについて委員長は特段の御配慮を、委員会の審議を通じあるいは記者会見等を通じてお願いをしたいと思うのですが、いかがでございますか。
○伊藤委員長 塩崎委員の大変適切な御意見でありますので、委員長として十分今後検討してまいりたいと思います。
○塩崎委員 そこでまず第一に、法務大臣に対しまして若干の御質問をさせていただきたいと思うのでございます。 先ほども申しましたように、この借地・借家法は大正十年、まだ大臣もお生まれになってないころの法律でございます。私は生まれておりましたから借地・借家法は大いに記憶があり、大学のときに我妻さんの本でこの借地・借家法の意義に感激したものでございます。当時は債権の物権化、そして借地人、借家人の地位を安定せしめることが土地所有権者の義務であるというぐらいまで言われた時代でございました。我妻博士はその後もこのような考え方を踏襲されていたようでございますが、三十五年ごろの答申にも、土地賃借権を物権化する、我妻さんのあの民法、物権法の持論を三十五年にも主張していたように見受けられるわけでございます。しかし、時代の流れは変わったように見受ける。やはり三十五年以降の高度成長は日本の経済を一変した。そしてまた、国際化の状況もどんどんと進んでいるような状況でございます。したがいまして、土地利用の需要が非常に多様化してきておる。一方、借地の供給の増大は大変要請されているのに、しかし借地の供給は減少しているような今の状況でございます。私は、このような二つの要請の中で、大正十年のこの法律をどのようなねらいで大臣は改正をしようとされておるのか、このねらいをはっきりと打ち出していただいて国民に明らかにしていただきたいと思うのであります。
○左藤国務大臣 今お話しのように、今回御審議をいただいております借地法、借家法、大正十年の制定であり、昭和十六年に改正された後、基本的な改正というものがなくて既に半世紀経過したというわけでございまして、現在、現行法の仕組みではこうした社会情勢、経済情勢の変化に対応し切れないようになっているのではないか、このように考えるわけであります。特に、今お話がございましたように、その画一的な規制は、貸そうとする側にとりましても借りようとする側にとりましても障害になってきておるというところから、その不都合が指摘されていたわけでありまして、今回の改正はこういった不都合を解消して当事者の権利義務関係をより公平に、かつ合理的なものにしよう、こういうねらいでありまして、利用しやすい、すなわち貸しやすくまた借りやすい、こういう借地・借家制度を築くことを目的として今回の改正をお願いしておるところでございます。
○塩崎委員 今の御説明でわかりましたけれども、大正十年の旧法によりますところの借地権契約、その効力、これは今度の新法によって全く影響を受けないような仕組みになっておりますね。この仕組みは果たして法改正の趣旨と合致するかどうか。新法が一つの理想とするならば、新法の契約の型、私は、そもそも契約自由の原則はフランス革命以降人民がから取った最大の政治的な価値だといたしますれば、できる限り民法上の契約自由の型に当てはまるようなものにすべきである。そしてまた、一歩譲って今度の新法のいろいろの新しい形が現在の経済状態に合うとするならば、旧法の部分についても次の更新の際にはそのような方向に持っていくような改正が考えられるのではないかと思うのですけれども、それを考えられずに、それはそれ、もう平行線で走っていくような形をとっておられるのは、これはどういう意味なんでしょうか。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 今回の改正法は幾つかの点があるわけでございますけれども、一つの点は、借地権の存続期間に関する改正でございます。存続期間を原則三十年とし、更新後の期間は十年とする。これが現行法の普通の建物の場合ですと、原則と申しますか、契約で実際上は二十年、あるいは更新後も二十年、こういうことになっておる。堅固の建物を目的とする場合でございますと三十年、あるいは更新後の期間も三十年、こういうことになっておるわけでございますが、一律三十年と更新後の期間は十年、こういうことにいたしておるわけでございます。それからもう一点は、正当事由に関する規定を整備したということがございます。それから第三の点として、定期借地権制度を導入する、こういうことがあるわけでございます。 先生のお尋ねは、既存の借地・借家関係に適用すべきである、こういう意見はなかったかというお尋ねでございますが、この中で問題になりますのは存続期間と正当事由に関する規定を既存の借地・借家関係に適用することを考えるべきではないか、こういう御趣旨の質問がと思うわけでございます。 この点につきましては、実は法制審議会の審議の過程あるいは法制審議会に対して寄せられました各方面からの御意見にもいろいろなものがございました。特に存続期間の点につきましては、これはやはり形式的に見ますと既存の、特にこれは借地権でございますけれども、借地権に変更を与えるということにおいては変わりがない、したがって、このことによって既存の借地人が不利益を受けるというふうに感ずるということも十分考えられるのではないか、こういうようなことから、この存続期間の点につきましては法制審議会の審議におきましても、これは既存の借地権にはもう一切適用しないことが望ましい、望ましいけれども、やはり一つの考え方として、新法施行後二回目の更新からは新法の規定による更新期間にする、こういうようなことも検討すべきであるというような答申をいただいたわけでございます。 しかしながら、法制審議会自身も、やはり別建ての方がいいという基本的な考え方が強くあったということもございまして、答申後の各界の御意見の中に、この存続期間については既存の借地関係には一切適用しないようにするのが、この借地関係というのは当該個人にとってみますと日常生活の基盤であるだけに、いたずらに不安を与えるという意味におきましても適当ではないということから、この法案におきましては存続期間についても一切適用しない、こういうことにいたしたわけでございます。 それから正当事由につきましては、これは実は、従来の判例とか実務で一応固まった考え方を法文にしたにとどまるというように私ども考えておりまして、法制審議会におきましても、正当事由に関する新しい規定は直ちにこれまでの借地・借家関係にも適用すべきである、こういうような答申がされたわけでございます。 しかしながら、この点につきましても、少なくとも規定ぶりが違っておる、今回の改正法ではいろいろな今まで固まっている具体的な取り扱い例などを法文の中に入れておりますために条文が非常に長くなっておるわけでございますが、規定ぶりを形式的に見ますとこれは変わっているということは否定することができない。そのために、既存の借地人、借家人の中に、新しい規定が設けられることによって自分たちが将来不利な取り扱いを受けることになるのではないかというような不安の念が生じ、あるいはそういう不安の念が生じていることに乗じて地主、家主側が借地人、借家人に対して不当な要求をする事例があるという新聞報道をされるというようなこともございまして、これもやはり個人にとってみますと生活基盤にかかわる重要な問題でございますので適用はしない。形式的な意味ではございますけれども、正当事由に関する新法の規定は既存の借地・借家関係には適用しないということにして無用な不安を除くということも一つの重要なことではないかなということから、正当事由につきましても最終的に、既存の借地・借家関係に新しい規定は適用しない、こういうことにいたしたわけでございます。
○塩崎委員 今の問題はまた後で清水局長にお伺いすることにいたします。 そこで、大臣にもう一点お尋ねをしたいのは、この借地・借家法の改正と土地対策との関係と申しますか、土地対策の中で借地借家法をどのように位置づけるかという問題でございます。 法務省の方々は、これは私人間の調整、特に裁判所を中心とするところの調整だから土地対策には直接関係がないような口吻を漏らされておるようでございますけれども、しかし、何と申しますか、民間の一部では今度の改正によって土地が大変貸しやすくなる、さらにまた権利金も、このような期間の減少ざらにまた定期借地権の制度等によって必ず返ってくるというものならば、これは権利金の必要があるかどうか、こんな問題まで考えてみると、貸し地の供給は増大していくのではなかろうか。そして、そうなると家賃地代、ひいては自己所有の土地を持たなくても済むようなことになって地価も下がっていく場合もあり得る、こんなふうな見方をしている人がいるわけでございます。 法務大臣は、この借地・借家法の改正の土地問題に及ぼすところの影響、効果、これをどのように見ておられるか、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○左藤国務大臣 今回の改正が土地の有効利用あるいは住宅の供給の促進、そして地価対策、こういった土地政策、それを直接の目的とするというものではございませんけれども、今お話がございました例えば定期借地権制度の創設という問題を初めといたしまして、借地・借家に対します多様な需要にこたえていこう、こういうところが今回の改正の中心をなすものであります。これによって良好な借地・借家の供給が促進されまして、結果として住宅宅地問題の改善に寄与する、このように考えておるところでございます。
○塩崎委員 もう一つ、大きな問題でございますので大臣にお伺いしたいのは、この借地・借家法の問題が日米構造問題協議で取り上げられたと聞くわけでございます。アメリカの法制は御承知のように、英米法、アメリカだけじゃありません、ヨーロッパの法律でも借地法なんというものはなくて、土地と建物は一体として考えられているものでございますから、日本の借地法、借家法というような考え方は乏しいようでございますが、それにもかかわらず借地・借家法の改正を望むというようなことを言われたその真意は何か、大臣はどう考えられておるか。 私は、日本の土地は高くてアメリカがなかなか企業進出ができない、大店法があってその調整を受けなければアメリカのスーパーは日本に進出ができないような趣旨から言っているのかどうかよくわかりません、あるいはアメリカと同じような仕組みにした方が国際的な制度はわかりやすいのだというような考え方があるかもわかりませんけれども、これについてどのように見ておられるか。異常な地価でとても日本の土地は買えないから、結果としてアメリカの企業というものは進出できない。日本の方はどんどんとアメリカの土地を買って進出しているが、アメリカはなかなか買えない。それが借地借家法によって直されるというふうに見るのかどうかですね。どうして日米構造問題協議で取り上げられたか、その原因、そして大臣のこれに対するお考え方をひとつ伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 日米構造問題協議におきまして、アメリカから土地問題の一つとして借地・借家法の見直しというものの必要性につきまして問題の提起があったことは、そのとおりであろうと思います。 いろいろの考え方、今御指摘のような日本におきます企業進出のときの土地が高い問題とか、あるいはまた日本におきます内需拡大ということで、アメリカの商品を売る場所といいますか、そういうものを広げていこうとかいうような、そうした個々のいろいろなねらいがこの日米構造問題協議のところで出てきて、日本の土地の問題に着目して借地・借家法の見直しという形で一つの要求が出てきたのじゃないか、私はこのように推測いたしますけれども、今回のこの借地・借家法の見直しというのは、日米構造問題協議でアメリカから指摘される以前からこの問題についての勉強は始められておったものでありますし、そしてまた、その必要性について、法制審議会でもいろいろ御議論いただいておった問題であるわけであります。アメリカ側のこの協議に対しますこの点につきましての指摘というのは、結局、良好な借地・借家の供給が促されることによりまして、アメリカ側の関心事であります日本におきます土地問題の改善、こういうことを米側は期待しておって、そしてこの協議の中に問題を入れてきた、このように我々は理解しておるところでございます。
○塩崎委員 権利金というような、何と申しますか仕組みと申しますか、借地権の対価的なもの、このようなものは法律上の制度ではないことは御案内のとおりでございます。そして、このようなものはアメリカにももちろんないかと私は思うのです。私は、もう長らくこの権利金課税で、税金の上で悩んできた経験があるものですから思うのですが、アメリカ人にこの権利金というような制度は、アメリカ企業が日本へ来て借地権を取得したときに権利金を払うようなことがスムーズに行われているかどうか、こんなような事実はありますかどうか、清水さん、ちょっとお答えを願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 アメリカ側で日本の土地を借りる場合に、権利金の授受等についてスムーズにそのようなことが行われているかどうかというような御質問でございますが、私ども、申しわけございませんが、そういうような事実について、これを把握してはいないわけでございます。 権利金につきましては、先生まさに御指摘のとおり、法律にも何にも規定がございません。ある意味においては、経済的な法則と申しますか、そういうようなことにより、あるいは地域的な実情により、借地権の設定契約あるいは借家契約の際にそういう権利金の授受が行われるというようなことが特に戦後顕著になってきたというふうに言われているわけでございます。戦前は必ずしもそのような権利金の授受というものは行われておらなかった。ところが、最近はかなりそういうことが行われておる。しかしながら、権利金の額につきましては、東京と大阪ではかなり額が違うとか、あるいは地方では非常に安いとか、どうも全国的に見ますと区々ばらばらな性格と申しますか、慣行と申しますか、そういうものがあるようでございまして、やはりまだ全体的な統一的な取り扱いというようなものはなかなか難しい状況にあるのではないかというような気がいたします。ましてや日米関係でそういうような契約をするという際に特に異なった取り扱いをするのか、あるいはアメリカ企業あるいはアメリカ人が土地を借りる、家を借りる場合にも同じような当該地域における慣行なり慣習に従ってやはり行われておるのではないかというふうに私どもは推察はしておりますけれども、その事実を正確に把握している状況ではございませんので、まことに申しわけございませんが、そういうことで答弁させていただきます。
○塩崎委員 ついでの問題になるかもしれませんけれども、今の権利金の問題に関連して、日本の土地問題、地価問題が非常にいびつになっておる。その原因が私は借地・借家法にあるとは思いませんけれども、借地・借家法もその法律の趣旨からそうなったんじゃなくしてその運用の結果なったのかもわかりませんが、ともかくも一遍土地を貸したら返してくれない、そうすると、期限をつけておっても危ないとなるなら、これはひとつ権利金でもあらかじめもらっておこうかというようなことで、自然発生的に自衛措置として発生したに違いないと思うのですね。そして、家賃を上げることがなかなか難しい。後でも質問しなければなりませんが、借地・借家法の精神だと言われるのかもしれませんけれども、家賃を交渉によって上げることはなかなか難しいとするならば、権利金を多目に取っておこうじゃないかというようなふうに発展してきて、今その権利金が銀座あたりでは地価の九割までというふうになってきたこの不自然さ、これは外国人にはなかなかわからないと思うのです。外国人はもう当然期間が来れば返すものだということで契約いたしますから、権利金を払えなんと言ったって、殊に住宅の場合などは、私は経験があるのですけれども、絶対に納得しない。やはり日本の慣行のある四カ月の保証金と地代。ところが、地代はやはりその地域におけるところの家賃というようなことを基準に相当高くても払ってもらえる。このようなことを考えると、このような経済的ないびつを直すためにはよほどの改正をこれからも進めていかなければならない、借地・借家法の改正がこれ一回で終わりとは私は思わないのです。 例えば事業用の建物について今度は十年、二十年という特例を、短い借地期間を設けておられますが、皆さん方が言われておりますように、ヨーロッパやアメリカでは事業用の建物については生活用の建物と違って存続期間の強行法規みたいなものはない、やはり契約自由の原則が働く分野である、その方がやはり経済の合理というものは働いてくるのじゃないか、こういうふうなことになり、そのあたりからだんだんと土地問題も正常化して、外国人にでも理解できるような土地問題になるのではないかと思うのです。 そこで、今申しましたように事業用資産と生活用家屋と区別して取り扱うというようなこと、一部その萌芽は出てないわけでもないと思うのです。しかし、それはいや今度は入れないのだというふうに皆さん方言っておられますが、今度なぜそのような区別をヨーロッパ流にしなかったか。制度というものは、国際化し投資が各国交流するにはやはり制度が余りかけ離れておったのでは投資の交流も行われないわけでございます。その問題を区別して今度の借地・借家法の改正の中にどうして織り込まれなかったのか。いや、同じ営業用家屋でも中小企業があるからだということならそれはまた別のやり方も一つありはしないかと思うのですが、こんな点ほどうなんですか。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、欧米諸国では居住用の借家とそれから事業用の借家というものを区別した法制度をとっているのが多く見られるわけでございます。例えばフランス、イギリス、米国、あるいは第二次世界大戦後のドイツでもそうなのでございますけれども、伝統的に居住用建物と営業用建物の貸し借りについての取り扱いの差を認めているわけでございます。そして、居住用の建物の賃貸借につきましては非常にいろいろな規制がございまして、貸借人を保護するというような形のものが多く見られるわけでございます。しかしながら、事業用の建物の貸し借りにつきましては原則として契約自由の原則の分野に任されておる、こういうようなことを特色として言うことができるわけでございます。 実は、今回の法改正について、法制審議会で審議する過程におきましてもそういうような先生御指摘のような議論が出てまいりまして、一つの考え方といたしまして、事業目的のために建物を借りるというようなものにつきましてはその期間がれによって建物の賃貸借関係は終了するということにする、しかし、事業用でございますのでそこに借家人がある程度の投資をしているというようなこともございますので、そういう投下資本についてはこれを家主と申しますか建物の所有者の方で補償をするというようなことにすることはどうかというような案が一部において出されたわけでございまして、そういうようなことについても私どもは関係方面に、こういう意見があるけれどもどうだという形で意見照会をした経緯があるわけでございます。しかしながら、我が国では現実にはそういう生活用の建物と事業用建物、つまり営利を目的として建物を借りているというようなものを明確に区別するということが非常に難しい。また我が国の土地利用の状況におきましても明確に、例えばこの地域は事業用地域である、この地域は居住用地域であるというようなことは必ずしも明確にはされていない、欧米に比べましてそういうような地域の用途規制というようなものが必ずしもはっきりはしていない、こういうようなことが指摘され、さらにはまた、こういうような事業用建物と居住用建物というようなものを区別すると、どうしてもまたそういう制度を悪用すると申しますか、返してもらいやすい事業用建物の賃貸借というような方向に建物の貸し借り契約が流れるのではないかというような心配もございまして、大方の御意見は、我が国においてはまだこのような制度を採用するについては慎重であるべきであるということになりまして、最終的にはこのような御意見が採用されなかった、見送られたという経緯がございます。先生御指摘のような問題があるということは私ども承知しているところでございますが、今回の改正法においては取り上げられなかった、こういう経過になっているわけでございます。
○塩崎委員 先ほども申しましたように、資本の交流、国際間の交流が非常に大事になってきた。しかもまだ日本は閉鎖市場であると言われて、この閉鎖市場をどうかしてその汚名を消したいと思って、制度全般について検討しているのが日本だと思うのです。それは、民法なら基本法ですけれども、この借地・借家法は一種の政策立法、大正十年は私は社会立法であったと思うのです。弱い借家人を保護する、借地人を保護する、我妻さんのにもそういうふうに書いてあるのですから、そういう立法であったのですから、やはり時代時代に応じて修正されなければならない法律。民法はそう簡単に、民法、刑法は片仮名で皆さん方は頑張っている、憲法が直っても依然として昔の片仮名で頑張っておられることを見ると、これも困るのですけれども、なかなか私らに理解できないところなんだけれども、しかし、政策的な借地・借家法みたいなものはやはり時代の流れに応じて直していく。特に投資の対象になるような事業用の建物については、私は、借地権の問題はやはり相当契約自由の原則が働くような仕組みの方向に早く直してもらいたい。 ところが、とにかく法務省にお願いしても、私は法務委員会にばかりいるんだけれども、片仮名の法律がなかなか直らない。不動産登記法もいまだに直してもらえない。コンピューターのところだけ直したといったら、それもまた片仮名で直すぐらいに皆さん方は片仮名の法律が好きで、とにかく平仮名も新憲法時代の法律は余り採用されない。私は税法の仕事を長らくやっておったのですけれども、税法なんというのは、皆さんの要求で、こういうことをやれ、ああいうことをやれと、これが時代に即するんだといって、朝令暮改的な点もありましたけれども直してきたんですが、これはどうしても私は早い機会にもう少し契約自由の原則が働くような、特に事業用建物について直す必要を考えていただきたい。 もう皆さん方、借地・借家法を直したら、大正十年から今まで六十何年もかかっておるわけですが、あと六十年は直さぬというようなことでは私は適当じゃない。特に今後の改正の結果を見て、土地の動き、借地の動き、権利金の動き、家賃の動き、これらを見て、十年後には見直すぐらいのことをやっていただけるかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、大正十年の借地・借家法の制定あるいは昭和十六年の正当事由追加による借地・借家法の改正、これらの一連の改正は、借地人、借家人の権利を保護してその長期の安定を図る、こういう根本思想に基づいてされているものでございまして、そういう根本思想自体は、私どもはもうこれは絶対変えることはできないし、維持すべきである、こういうふうに考えているわけでございまして、今回の改正法案におきましてもこの基本的な思想は変わっているものではございません。 しかしながら、先生御指摘のようにいろいろな社会経済の情勢の変化がございまして、従来のような一つのパターンの借地・借家規制だけでは不十分であるというようなことから、今回定期借地権、これは三種類ございますけれども、定期借地権というような制度を導入する。さらにはまた、正当事由がない限り借地・借家関係は長期にわたって当然存続することになるけれども、正当事由があるかどうかの判断の機会を若干ふやす、こういうような形での当事者間の権利関係の公平な調整というような観点からの法改正を今回お願いしているわけでございます。 さらに、先生御指摘のように、先ほどもお答え申し上げましたけれども、例えば事業用借家権と居住用借家権の区別を欧米諸国の多くの国では設けておる、こういうような実情を私どもも承知していないわけではございませんけれども、今後における社会経済情勢の変化につきましては、過去の五十年の変化に比べてこれからの十年、二十年の変化はもっと激しいものがあろうと思うわけでございます。そういう変化に配意しつつ適時適切な法改正を検討することは必要だと思いますけれども、今回の法改正案について申しますと、私どもは現在の社会経済情勢に適合させるために必要な最小限の法改正をお願いしておる、こういうことになろうかと思うわけでございます。
○塩崎委員 そこで、少し観点を変えまして、法の規定の内容でございます。その内容についてはもう既に清水局長さんがコメントされましたが、例の法六条の正当の事由でございます。 これも、今まで大変な問題であり、運用に苦労し、判例も出てきたわけでございます。今度これを明確化するという改正をされた。私は大変結構なことだと思うのです。しかし、この程度の明確化で大変難しいこれまでのいきさつが積み重なっておりますところの更新が解決できるかどうか、この点は実効が上がると思われるかという点が第一点なんです。 それから第二点は、何か旧法の賃貸借の更新にはこの条項の適用は避ける、適用しないというふうに言われたように思ったのですが、そうなんですか。しかし、今度の改正の趣旨は、今までの旧法のもとにおいて生まれた判例を、土地所有者の自己の使用の必要性のほかに、その他の中に区分して入れていっただけだ。そうすると、旧法の場合にも、これは判例法としてでき上がった旧法の時代の規定として、解釈かもしれませんが、当然適用していいのではないかと思うのですが、どうなんですか。
○清水(湛)政府委員 正当事由についての今回の改正の趣旨は、借地関係あるいは借家関係の消滅の要件でございます正当事由の有無を判断する場合に、現に裁判実務で考慮されている要素を規定に掲げることによりましてより具体的に実情に即した判断をすることができるよう法文上も明らかにする、こういうことをねらいとするものでございます。 現行法は、みずから使用を必要とする場合その他正当事由ということで非常に抽象的に実は書いているわけでございまして、これが具体的に何を指すのかというようなことについて従来いろいろな議論があったわけでございます。この規定をめぐりましていろいろな裁判例の集積があるわけでございますが、そういうものから導き出される主な要素を法文に掲げて、判断をする場合に遺漏なきを期する、こういう趣旨でこの改正規定を設けたわけでございます。 御承知のように、我が国における借地・借家関係の訴訟の問題点というのはほとんどこの正当事由をめぐってでざいまして、正当事由についての判断が借地・借家紛争事件のほとんどである、こういうふうに言っても差し支えないかと思います。車ほどさように、正当事由については個々の借地関係、個々の借家関係の当事者のいろいろな事情によりまして判断が違ってくるというすぐれて個別的なものでございますけれども、そういうものから抽象的に抜き出せるものをできるだけ法文化したという趣旨のものでございます。 そういう意味で私どもは、今回の改正法の趣旨は、改正前の規定と内容は変わってない、こういうふうに考え、また法制審議会におきましてもそのような趣旨のもとに答申がされ、その答申に基づいてそれをそのまま法文化するということを私どもしたわけでございます。 そして、法制審議会の答申におきましても、そういうような趣旨から、正当事由に関する規定は既存の借地・借家関係に適用することとしても何ら差し支えない、こういう趣旨の答申がされているわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、条文の形が変わっておるというようなこともございまして、既存の借地・借家人の方に法改正によって不利な結果になるのではないかというような不安が生まれておる、あるいはそういう不安に乗じて地主あるいは家主が借地人、借家人に不当な要求をすることがあるというような御指摘がございましたので、そういうことであるならばやはりそういう不安を解消させることも非常に重要なことでございますので、正当事由に関する規定、新しい規定は既存の借地・借家関係には適用しないということに法律の上では明確にしたわけでございます。しかし、御指摘のとおり、私どもの法案作成の趣旨からいきますと、旧法の解釈、運用をそのまま成文化したものでございますので、実質的にはそこに違いは生じてこないというふうに考えているところでございます。
○塩崎委員 今の清水局長の御答弁は、法律論としてそう考えられるのですか。今度の改正された正当の事由ということ、判例から積み上げて採用したところのあの規定は、旧法の契約には適用しないということは法律論として言い得ることなんですが、法律の解釈論としてそういうふうなことも言えるかもしれないということではないのでしょうか。私のような解釈でも、解釈論として成り立つと言えませんか。
○清水(湛)政府委員 これは法律の形式の問題でございますけれども、正当事由に関する新法の規定は既存の借地・借家関係には適用しないということを法律の附則で明記いたしておりますので、この限りにおきまして旧法の正当事由に関する規定が、法律の形式の面から申しますと、既存の借地・借家関係に適用される、経過措置についての附則の規定上、当然そういうことになるというふうに考えているわけでございます。
○塩崎委員 そこで、それはさておき、同じく条文の解釈の問題として新法の十一条の第一項の規定でございます。 私は、借家法が日本人の契約思想そして多年の慣例で、先ほど申し上げましたように権利金とか、そして特に低い家賃とか地代とかいういびつな姿を生み出してきていると思うのでございますが、今度は、十一条の一項で、皆さん方は改正されて、土地の借料については次のような場合に増額あるいは減額の要求ができるんだ、こういうふうにされておりますね。その中に、前の法律になかった規定、文言が少し入っている。しかしこれは大変大事な条文のように思う。「地代又は土地の借賃が、土地に対する租税その他の公課の増減」、「租税その他の公課の増減」は旧法にもありました。「土地の価格の上昇若しくは低下」これもありました。「又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときはこもこれもありました。今度新しく追加されましたのは「その他の経済事情の変動によりこ非常に広範な意味に読める。しかし適切なる条件として考えられる規定を追加されたんですが、多分に新法はほとんどの規定は前の法律の規定そのままであるにもかかわらず、大胆に清水局長がこの経済変動の規定を追加されたのはどういう理由であるのか。これは、判例でもいろいろ私も見ましたけれども、さすがは清水局長と私は思ったんですけれども、この追加した理由、まずそれをお聞かせいただきたい。
○清水(湛)政府委員 結論的に申しますと、「その他の経済事情の変動」というものを加えたというのは、これまでの地代家賃の増減に関するいろいろな裁判実務あるいは鑑定実務等におきましてこのような経済事情の変動というものが既にもう考慮されておるというようなことから、そういう実態を法文の上に明確にした、こういうふうに言うことができるわけでございます。 さらにあえて言うならば、一般に適正な地代とかあるいは適正な家賃というものは一体何であるのか。これは、例えば地価公示法の規定に基づいて設けられております土地鑑定委員会が国土庁長官に、たしかこれは平成二年でございましたか答申したものの中に、地代家賃の適正な算定方法というようなものが示されているわけでございますが、そういうようなものの中におきましても、例えばいろいろな方法が示されているわけでございますけれども、一つには、やはり地代等の額を判断する場合に、その土地あるいは建物からの収益と申しますか、期待利回りと申しますか、期待収益と申しますか、そういうようなものの変動がやはり考慮されることになろうかと思うわけでございます。例えば土地の価格、更地価格を元本といたしますと、それを一定の利回りによって運用するということによって果実が生ずるわけでございますが、地代家賃はその果実に該当するということにもなるわけでございまして、非常に純理論的に考えますと、そこにおける期待利回りをどの程度と考えるかによって地代家賃の額が変わるということがあるわけでございますが、現実の姿は到底そんな純理論的な計算でいっているわけではないわけでございます。いろいろな要素が当然のことながら絡んできておるということが言われているわけでございまして、そういう状況の中の一つとして物価水準等の経済情勢の変更というようなものも、単に公租公課だけの問題ではなくて、やはり考慮されて最終的な算定がされるということになろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、この「その他の経済事情の変動」というものを、これまでの実務運用を正確に法律に反映させるという意味においてこのような言葉をつけ加えさせていただいた、こういうことになるわけでございます。
○塩崎委員 もう一つ、借地・借家法が民法の特例法であり、これは弱者救済のための強行法規で、契約自由の原則の例外であるというふうに私らは教えられてきたわけでございます。ところが、十一条の地代増減請求権なんというのは、もう契約が自由な社会では物の対価はお互いの間の契約で決まる。そこで、「その他の経済事情の変動によりこというまで入れるならば、この規定は何を意味するのか。大体、お互いの間で経済事情の変動というふうに見ればいいのじゃないか。物価スライド、こんなことも中へ入れてもいいだろうし、あるいは証券に比べて利回りが余りにも下がり過ぎておるから七%くらいに利回りはしてもらうような地代、こんなふうに考えてもいいはずでございますから、これくらいな十一条にするくらいならば、この規定はもう民法の契約自由の原則に任すことができないのでしょうか。私はこれは根本的な問題だと思うのですけれども、そんなふうにも読めるように思ってお聞きしたいのです。
○清水(湛)政府委員 地代家賃の定め方につきましては、もちろん、最初に借地契約なり借家契約をする際にどういうふうに決めるかという合意の問題がございます。それとは別に、その後の事情の変更によってどういうふうに増減をするか、こういうことがまた一つの重要な問題になるわけでございまして、それをめぐってのトラブルというのも多いわけでございます。 そこで、これは一つの知恵と申しますか、例えば物価スライド条項というようなものを契約の中に入れておくというようなことも現に行われておるようでございます。それからさらには、例えば租税スライド条項、例えば固定資産税が値上がりすればその何倍かを地代とするとか家賃とするというような、租税額にスライドして自動的に地代家賃が決まるというようなことを契約の中で定めておくという例もあるようでございます。そういうのもこれは契約自由の原則の範囲内で基本的には有効だろうと私どもは思うわけでございますけれども、しかし、裁判例などを見ますと、事案によっては、その物価スライドあるいは租税スライド条項をそのまま適用すると借地人、借家人が非常に不利になるというような結果になる、周辺の事情の変動が余りにも大き過ぎてそういうようなことになるケースもあるわけでございまして、裁判例等を見ますと、そういうものを基本的には有効だとする、しかしながら、例えば固定資産税の四倍を常に地代とするというような特約があったケースにつきまして、その地価の評価が改められるに従いまして固定資産税がどんどん上がってくる、こういうようなことから、その四倍の地代はひどいじゃないかというようなことで、そういうスライド条項の効力を認めないというような裁判例もたしかあったやに記憶しておりますけれども、やはり基本的には契約自由の原則の範囲内、それが許容される範囲内でそういうスライド条項というものを設けることも可能かと思いますけれども、しかし、それがあればそれによって直ちに常に決まるということでも必ずしもないのではないかというふうに考えられるわけでございます。そのような条項が有効であるということであればそれによるわけでございますけれども、そのような合意がないということになりますと、やはり最終的には地代については十一条というもので対応しなければならない、こういうことになろうかと思うわけでございます。
○塩崎委員 長々と言われてちょっと理解ができませんでしたけれども、この中には権利金の規制の条項は一つもないのですね。しかも家賃地代、もう時価の一%も回らないように低くなっていることは御案内のとおりであります。やっと皆さん方が地代家賃統制令をやめて契約自由の原則がよみがえったように見えても、この規定が、これが何を意味するか私もわからなくなってきた。契約自由の原則を、これを追認しただけで「経済事情の変動」を入れるのなら、何でも私はお互いの契約でできるように読める、民法の方に任したらいいように読めるんですけれども、権利金の方を片一方で規制しないでこれだけを何とかするというようなことは、本当の借地借家法になると言えましょうか。どうなんです。
○清水(湛)政府委員 先ほどの答弁、私ちょっと先の先の話までしてしまったことになろうかと思いますけれども、基本的には地代家賃というのは当事者の合意で決める、契約自由の原則の範囲内の問題であるというふうに考えられます。ただしかし、そういう合意が成り立たないというときに増減の請求という形で第十一条の規定があるわけでございまして、一方的にこういう増減の請求をすれば、そこに客観的な、正当な地代家賃というものが形成される、当事者の合意を待たずして形成される、こういう意味でこの十一条の規定があるというふうに考えられるわけでございます。もちろん、当事者の合意で何でもできるというわけではございませんで、そこに公序なり良俗なりという一般契約、一般法理による規制というものが当然あるということが前提としてあるわけでございますけれども、基本的には合意によって地代家賃を円満に話し合いで決めるということができるわけでございまして、現に多くはそのようにされているというふうに思うわけでございます。 そこで、権利金の問題でございますが、例えば先ほど〇・一%というようなお話がございましたけれども、土地の価額を元本と見て、その運用の果実を地代家賃というふうに見た場合に、そこに一つの期待利回りとか期待収益という概念が出てくるわけでございます。ただ、それだけではなく、そこに今度は権利金というようなものが入ってきますと、権利金をたくさん払っているから地代は非常に安くなる、家賃は安くなる、こういうような要素もございますし、敷金というものの支払いへも影響してまいりましょうし、いろいろな要素が地代の設定には絡んでくる、こういうことに当然のことながらなるわけでございます。当事者が話し合いで決める場合にも、権利金をたくさん払うから地代は安く、権利金を少なくするから地代は高く、こういうことが合意の内容として当然可能なことだろうと思うわけでございます。 ただ、十一条が申し上げておりますのは、そういう形で当初の地代なり家賃というものが契約で決まった、決まったけれどもその後の情勢の変更によって、話し合いによって地代家賃を決めようとしても話し合いがつかない、そういう場合にはこの十一条で定めるような要件を主張、立証して一方的に地代家賃の変更を求めることができる、こういう趣旨のものだというふうに理解しているわけでございます。
○塩崎委員 私は、地代の問題も非常に大事なものですから申し上げるのですが、清水局長さん、地代というものは何でしょうか。私は、長らく教えられたところは、固定資産税プラス金利、こう聞いておるのですね。今そのような地代が取れているところがありましょうか。あなたの御認識はどうなんです。
○清水(湛)政府委員 地代とか利子の問題は、これはすぐれて経済学の分野の問題でございまして、そういう意味では、私ども本当のところある意味では素人でございます。ですから、私ども裁判実務とかいろいろなことで地代家賃なんかをどうするかというような問題が出てくるわけでございますけれども、実際問題としては、そういう方面での専門家である不動産鑑定士の鑑定評価というようなものに依拠してその裁判所が判断をするというのがほとんどの実際の実情でございます。 そういう意味で、私ども、そういう不動産鑑定士の方の書かれた地代家賃の鑑定評価についての論文なども読ませていただくわけでございますが、やはり基本的には、租税、固定資産税プラス金利、つまり当該不動産の価額を元本と見てそれを運用した場合の期待利回り、期待収益というものが地代の基本要素にはなるのだろうとは思いますけれども、現実に裁判実務家等が一番悩んでいる問題として私どもが知らされる問題は、現在の地価というものをどういうふうに評価するか。これは、安定的な地価としてこれをどのようにとらえるか。一時的な現象として地価が非常に急上昇するということがあるわけでございますけれども、地代を定めるに当たって安定的な地価としてこれをどのようにとらえるかというようなことについて、鑑定士によっていろいろな考え方があって結論が違ってくる、それを裁判上どういうふうに採用するかというようなことで悩むというような話も聞くわけでございまして、理論的にはなかなかすぱっと経済学で習ったような知識では割り切れないというような要素も多々あるのではないかというふうに実は考えているところでございます。
○塩崎委員 今、地価の経済的な性格の問題に入りましたので、経済的なアスペクトといいますか、借地借家法の経済的な面に及ぼす影響について、土地政策の主管官庁である国土庁の方に来ていただいておりますので、この改正法の評価をどのようにされるのか、殊に、地代そして今私がたびたび申し上げております権利金にどのように影響をしてくるのか。いや、その前に、借地の需要がふえるかどうか、貸し地の需要がふえるかどうか。それから、ひいては地価、土地価額というものはこの借地借家法でどのように影響していくか。これはなかなかすぐには計算はできないし、まだ施行もされてないのですから難しい面もあるでしょうけれども、大体観念的に考えていって、地価というものはどうなるかまで含めての経済的な側面、土地政策に対してどのような影響をもたらすかについて、国土庁の考え方をひとつ伺っておきたいと思うのです。
○板倉説明員 今回の借地・借家法改正の土地政策に与える効果についてのお尋ねでございますが、これに関連しまして、最近の地価の動向についてまず一言触れさせていただきますと、昭和五十年代末から始まりました今回の地価高騰でございますが、現在、大都市圏においては鎮静化してきておりますが、なお水準は高いところにとどまっておりまして、また、地方圏ではまだかなりの上昇が続いているなど、予断を許さない情勢にございます。国土庁といたしましては、こうした状況にかんがみまして、土地の需給両面にわたる総合的な施策を推進しているところでございまして、供給面においては土地の有効利用の促進及び土地供給の拡大を図ることが大変重要な課題であるというふうに考えている次第でございます。 しかしながら、借地についてその動向を見てみますと、例えば一戸建て、長屋建ての持ち家のうちで敷地が借地であるものは、長期的にわずかながらずつ減少の傾向にございまして、持ち家総数が増加する中でそのウエートはかなり小さいものになってきているわけでございます。 そこで、本法案についてでございますが、本法案は直接土地政策に資することを目的としたものではないと存じておりますが、定期借地権制度の創設に見られますように、借地・借家法制がより合理的なものに改められ、なおかつ今日の社会経済情勢に対応できるものとなりますれば、その結果としまして新規借地の供給の増大が期待できるわけでございますし、土地の有効利用の促進にも寄与する面もあるというふうに考えられるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、本年の一月二十五日に閣議決定されました政府の総合土地政策推進要綱におきましても、施策のメニューの一つとして挙げられている、かように理解している次第でございます。 なお、地価に与える影響についてでございますが、この地価に与える影響の問題につきましては、土地利用の状況とかそのときどきの経済社会情勢、なかんずく金利、税制、融資規制等の種々の要因によって決まってまいりますので一概には言えないわけでございますが、土地の有効利用を進める上で借地・借家法の見直しも一つのテーマだと先ほど申しました総合土地政策推進要綱でも触れられているところでございますので、そういう意味合いにおきまして、他の諸施策と相まって全体として見れば地価対策にも資する面がある、かように理解する次第でございます。
○塩崎委員 そこで、権利金等がだんだん下がるかもしれないということかもしれません。等を通じて地価は下がる方向に働くのが今度の借地・借家法の改正の効果というふうに言えるかどうかですね。国土庁、見られたらどうですか。私はとにかく、借地・借家法の長らくの結果が、一遍貸したら返してくれない、地代はなかなか上げてくれない、よって権利金を取っておこうということになり、税務もその事実を認めて、相続のときにすらもう推定で課税するというようなことになって、取ってなくても課税するというような仕組みまでとっているわけですね。これは私は、今度の新法では権利金が減って、リカレントな地代が上がっていく、そして保証金は四カ月分いつもの賃貸契約のように取られていくというふうなことを考えれば、無理をして自家用の土地を持ち、自家用の建物を持ち、自家用の営業家屋を持たなくても済むということで、土地に対する所有、取得の誘因は減ってくる、したがって、地価はこれによって下がる方向にいく、こういうふうに考えていいんでしょうか、権利金もそうだと思うのですが、地価もその方向にいくと。それはまあ規模いかんによりますけれども、長い目で見ればこういうことが言えるのではないかと思うのですが、どうですか。
○板倉説明員 借地による土地供給につきましては、借地の場合少ない初期投資で土地の使用ができるというわけでございますし、とりわけ地価水準の高い大都市圏におきましては今後その需要は高まるものと見込まれるわけでございます。また、土地所有者にとりましても、先生御指導のとおりその返還とか地代の改定等につきまして不安が少なくなれば、所有地を手放すことなく安定的な収入が期待できるわけでございますので、借地に出してもよいと思う方がふえるというようなことが考えられるわけでございまして、先ほど言いましたように、そういう意味でこの借地法の改正によりまして新規借地の増大の効果というのはある程度期待できるわけでございます。 ただ、これは他の諸施策とやはり相まちまして、全体としての土地の供給の促進がなされ、あるいは土地の流動化が進むということを通じまして、全体として見れば地価対策にも資する面があるというようなことではなかろうかと私ども考える次第でございます。
○塩崎委員 そこで、税務当局にも、国税庁の方にも来ていただいておりますので、今度の借地・借家法の改正が土地課税関係に影響が甚大なものがあろう、私はこういうふうに思うわけであります。大変難しい問題が起こってくる、この点については国税庁が、今度の新法に基づくところの契約が促進されるように、これを妨害しないように、少なくとも妨害しないように国税庁の税金の執行の仕方を考えてもらいたい、こういうふうに私は思うのです。 そこでまず第一に、先ほど来地価、権利金あるいは保証金、地代というようなことを申し上げましたが、私は、権利金というような、世界にない経済価値があるのはおかしいと思うのですけれども、これも長らく発生したところで、清水さんといえども疑わない。ただ法律に書かないだけで、あることは厳然として認められる。そしてまた、これは経済力でございますから、課税の対象にはならざるを得ぬと思うのですね。しかしなかなか、外国人には全くわからない。単に賃貸借で、所有権みたいなものをなぜ払うかという疑問をいつも持たれるものでございます。 そこで、今度の新法は、御承知のように旧法によるところの契約、非常に借地権、借家権が保護されたところの契約、新しい定期借地権みたいなものを求めた、期間が来ればきちっと終わるような契約の型、そしてまた建物の構造によらない三十年という存続期間、その後は十年というようなことになっておりますところの型が、今度は強行法規といいながら、弾力化されていく形ができてきたわけです。 さて、権利金というようなもの、あるいは地代というものがどのように動くと国税庁の方々は見るのか。この点についてまず最初に伺ってみたい。これは恐らく施行の状況を見ながら研究するということにならざるを得ぬと思うのですけれども、大変複雑になってきている。今までのように、東京なら九割、文句なしに銀座なら九割と言っても済むのですが、銀座の中でもいういろの形ができて、二十年でやめてしまうという営業用の建物もできたりすると、さて権利金というものはどうなるか。まず、実際に授受される権利金から変わってくるわけでございます。推計ないし帰属権利金でありません。それをどのように考えておられるか。画一的にやっていけなくなるのではないか、こんなふうに思うので、ひとつ新法の施行を促進する意味において、税務から妨害しない意味において、契約の型が変わったけれども、同じように権利金を認定されて課税されたのではこれは何にもならぬではないかというようなことになるおそれがあるわけでございます。この点について、国税庁の方々はどのようなお考えを持っておられるか伺いたい。
○篠原説明員 お答え申し上げます。 御承知のように、一般に、土地の所有者が借地権の設定によりまして他人に土地を使用させる場合には、借地人の方が借地法の保護を受けて強い権利を有することになる等の理由から、土地の価格がいわゆる底地価格まで低下してしまうという現象が生じるわけでございます。そこで、その土地の価格の低下に対応する対価として権利金等の一時金の授受が行われているという実情にあるわけでございます。 が、今回の借地法の改正案によりますと、借地権の存続期間に影響を及ぼすということが考えられますところから、権利金の価格も借地契約の形態を反映した金額になるものと考えております。また、借地権の経済的価値は、その借地権の存続期間の長短に起因するところが大と考えられるわけでございます。したがいまして、借地法の改正によりましていわゆる定期借地権が新設されたような場合には、御指摘のように、契約期間等借地契約の内容に対応した権利金の授受が行われることになると考えられます。 また、これまでの画一的な、地下の九割とか五割とかいった評価がよいかどうかという御質問でございますけれども、これまでの課税の実務に当たりましては、納税者の申告の便や課税の公平といった観点から、その地域における借地権の売買実例価格、それから精通者の意見価格、それから地代の額等をもとにいたしまして、借地権割合がおおむね同一と認められる地域ごとに借地権割合を定めているところでございます。 今回の借地法の改正によって、いわゆる定期借地権が新設されたような場合には、従来の借地権とは異なりまして、一定の期間の経過により借地権が消滅するということになりますので、権利の残存期間に応じた評価方法等を検討する必要があると考えております。
○塩崎委員 御研究をされているようで、私は、研究をさらにさらに続けて、深めていただきたい、その実施の結果をひとつよく見ていただきたいと思うのです。 今、権利金が下がるとか半分になるとかいうようなお話もありましたが、果たして権利金が取れるか取れないかですね、先ほど申し上げました外国人なんか権利金といったら何だというようなことを考えれば、この慣行はどうなるか。殊に、二十年とかいう営業用建物については、定期借地権のように短かくしておるのですから、さあ今までのようにごねてまた延びるから取っておこうということになるかもしれませんけれども、そう簡単には、やはり普通外国人とやれば四カ月の保証金とリカレントな定期に払う地代というのが普通だと思うのです。外国へ行ったらそれが普通で、外国と同じような年限でなぜ権利金を取るのだ、日本の慣行だというようなことがなかなか理解できない。しかも、今度の改正の結果ではそういうことがどの程度理解できるか、それはよく見ておいていただきたい。実際の慣行をよくひとつ見ていただきたいし、私は、既存の分についてはあるように見えても、一般の権利金が下がってくれば既存の分の権利金も大体は下がってくると見るべきじゃないでしょうか。これはやはりひとつ調べ、また精通者等の意見を聞いてみてください。 銀座は九割あったというけれども、銀座の中にも、今度の短かい新法によるところの借地権契約ができれば、さて権利金を取らないという場合に、果たして権利金が今までのような価値を持ち得るかどうかですね。これはよほど研究していただかないと、とにかく私も長らく税務におってそれが当たり前に思っておったのだけれでも、画一的にやっていくのが、借地・借家法だけじゃない、我が税務の特色なんで、もう面倒くさい、個々の税務署の署員に判断させて調べてやらせたら危ないから、もう一律に九割といこう、一律に五割といこうということでいきがちなんですね。これはよほどの場合に限定して、やはりケース・バイ・ケースでやっていかないと、国際的にもなかなか納得しない。日本人が取っているのだからおまえも取っているのだろうというような行き方でいかなくなる時代ですから、これはひとつぜひとも考えていただきたいと思うのですね。画一的な通達一本で九割とする、まじめな税務署員が、なぜ九割かわからぬけれども九割と書いてあるからこれでいくんだというふうに押しつけて、法律以上に通達を大事にする。そこが証券取引所の証券問題と違うようですね、大体税務とは。だから、そんな点はよほど国税庁で考えていただきたい。 そこで、もう一つ。私は新法による契約の締結が促進されることを妨害しないという行き方をとっていただきたいということです。実際に金銭で授受された借地権の課税は、授受の実際を見て課税するのですかも問題は少ないと思うのですが、問題はまず契約をする際に、私は、法人税法の施行令の百三十七条という怖い規定があるから、この規定の運用について考えていただきたいということです。これは、私が大蔵省の税制第一課長のときにつくったもので、今でもこれは相当強引な規定で、よほどこれは考え直さなければならぬと思うぐらいの規定なんです。 法人税法施行令の百三十七条によると、相当の地代を収受していないときは権利金を収受したものと見る。法文はそう書いてないのですよ。相当の地代を収受していれば、そこの地域に権利金を収受する慣行があっても、それに従って所得を計算すると、裏側の表現で書いてある。相当の地代を払っていなかったらどうなるかということは明文で書いてないのだけれども、今までの解釈は、権利金を認定して実際に収受していなくても、おまえは権利金という経済力が帰属しておるものだと見て課税するという規定と解されています。そうして、この相当の地代は、私が課長のときには相続税評価額の八%でしたが、今、平成元年の三月に基本通達で直されて六%に改められておる。つまり六%取らないと借地権を認定するぞと言わんばかりの規定なんですね。 確かに平常な時代には、先ほど私が清水さんに申しましたように、地代というものは金利、利子と固定資産税だとすれば七%か八%回るべく、しかも、相続税の評価額が低いころは八%でも、それでも大して高い地代ではなかった。しかし、あなた方が努力をして、相続税の適正課税というものは、相続税評価額を時価の四分の一と言われないで時価の七割まで持っていくのだというようなことを言って、相続税評価額が相当上がってきた。その六%を取れというのは、しかし酷ではありませんか。 私はここに、東京大学出版会の「借地・借家制度の比較研究 欧米と日本」の中にあるのですけれども、「地主としては、いきおい一時金的賃料」つまり権利金「の徴収に努力を傾けるという構図になる。」その結果「東京周辺の都市部において」「地代の土地価格に対する利回りは実質年一%にも満たないのが実態である。」これが実際の実例だ、こういうふうに東大の先生が書いておられる。 私も一回経験があるのですけれども、外国人に貸すために六%取っていなければ権利金をもらったものと見て課税をされるということになったらこれは大変なことだと思ったが、さすがに税務署でやはり無理だと思われたのでしょうか、あるいは申告もないから気がつかれないのかもしれない、なかった、申告何%なんて書きませんから。 私は、そのおどかしの規定を置いておくということは、この民主主義社会ではどうかな、実際に適用できない無理な規定を置いて、やるぞやるぞというようなことになるような効果の税法は考え直さなければいかぬ。六%の問題、これはもちろん考えていただかなければならぬ経済の実態だと思うのですけれども、それ以上に、実際に授受しなくても帰属したものと見る経済力課税、この問題はよほど慎重に扱うように、若いころに私がつくった規定であるだけに私自身も大変気がとがめるところがあるのですけれども、よほどのひどい事例、脱法的な行為に対しては適用してもいいのですが、この問題について、新法による契約を促進する見地から少なくとも六%なんというような画一的な見方、これはもう借地借家法以上に画一的で大変危険だと思いますので、これを直す気持ちがおありになるかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
○濱田説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、権利金を収受する取引上の慣行がある地域におきまして、借地権の設定により土地を所有させた場合に、通常の権利金を収受せずに、かつ相当の地代を収受しなかった場合には、原則として通常の権利金を授受したものとして課税が行われております。そして、この場合の相当の地代の算定上の地代率は、地主が権利金を収受してその権利金を運用すると仮定した場合にどれだけの利回りを予定しておけばよいかということで、国債の応募者利回りと固定資産税等の租税公課を加味して算定しております。 そこで、平成元年三月でございますが、この地代率につきまして、地価の高騰に伴い実態に即したものとするため、国債の運用利回りを考慮しまして年六%に引き下げたところでございます。また実際の運用に当たりましては、おおむね六%程度ということで、それに幅を持たせまして実情に応じた弾力的な取り扱いをしているところでございます。また同時に、相当の地代の額の計算上の被乗数と申しますか、その土地の価格でございますが、それにつきましても相続税評価額の過去三年間の平均額を基準とすることとして、地価の高騰による影響をできるだけ少なくするような取り扱いをして、極力実情に応じた取り扱いをしようということで努力しております。 いずれにいたしましても、先生の御指摘の趣旨を踏まえまして、今回の借地・借家法の改正、地価の動向などを見守りながら実態に即して検討してまいりたい、かように考えております。
○塩崎委員 よくわかりました。 ただ、おおむね六%で幅があるというようなことは、強行規定であるところの税制には私は幅はない方がいい。大変危険で、特定の人がねらい撃ちになったり特定の人が助かったり、これはもういろいろスキャンダルの原因になったりいたしますので、裁量がない、やはり法規裁量の税制にしていただく意味で、少なくとも六%はお考え直された方が私は納税者に——もうだれでもみんなそれは考えるのですから。六%取れないよ、外国人に相続税を六%取れなんといったって絶対取れない。私もそれで悩んだことがありますから、ひとつ良民を驚かさないように、そしてまた一々税務署へ行ったりなんかして時間をウェーストするようなことがないように、ひとつこの点は国税庁の中で、長官を含めての大きな見地、殊に税務行政の、私は画一的過ぎる、その中の改善の一つとしても大きく取り上げて考えていただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 秋葉忠利君。
○秋葉委員 日本社会党の秋葉でございます。 三十分ほどこの借地・借家法の改正案について質問させていただきたいのですが、実はこの委員会に来まして、出席されている方の人数が非常に少ないのでこれはなぜなのかと今疑問に思っていたのですが、事によると、国会議員のほとんどは自分の持ち家を持っている。だから借地・借家ということには余り関心がないのではないか、そんな気がいたしました。ところが私はその中での少数派でございまして、借家に住んでおります。家を借りて住んでおりまして、それが主たる住居でございます。しかも、つい最近それまで住んでいたマンションから追い立てを食いまして、具体的にこの借地・借家法によって決められている、その法律の執行条件がどういうふうになっているか、社会の中で一体具体的に家を借りている人あるいは土地を借りている人がどういう状況の中で問題を処理していかなくてはならないのか実体験をいたしましたので、その体験をもとに今回の改正案について幾つか疑問の点をただしたい、そういうふうに思っております。 実はその中で感じたことなんですが、契約関係ということを貸し手と借り手、その間にもさまざまな人がいます。貸し手の中にも、個人もいますし業者もいる、あるいは地方自治体もあるというようなことですし、借り手もさまざまなケースがございます。すべてを一概に論じることはできないと思いますが、少なくとも私の経験では、例えばマンションに住んでいる家族、普通の住民、それに対してマンションを持っている業者、そういった貸し手と借り手との間に非常に大きな力のギャップがある。その力関係の不均衡をあたかも同等の関係であるように前提を加えた上で論じることは必ずしも社会全体の利益に合致しないのではないか、そういうことを感じました。具体的には、例えば借り手の方でさまざまなトラブル処理に際して泣き寝入りをしてしまうというケースが非常に多いんだということを、実感として私は感じました。 その観点から幾つか質問したいわけですが、まず最初に法務大臣に伺いたいんですが、現行の法律でも私はそういう意味で借り手の側の権利保護ということに非常に大きな問題があるんではないか、そういうふうに思っております。 例えば、私の経験で申し上げますと、一月に立ち退き要求が出て四月にはもう出ろ、四月に出た場合には報奨金として一、二、三、四の四カ月分の家賃はそのままもう棒引きにしてやるということでした。そういった条件で普通の立ち退き要求が行われるものかどうか、それについてはまだ後で伺いたいと思いますが、そういう形での立ち退き要求が出てまいりました。それは私の考えでは非常にべらぼうな立ち退き要求だというふうに思います。そして、特に子供がいる家庭では、学校の関係がありますからどうしても同じ学区内に家を探すというような状況になるわけですが、しかしながら同じ学区内で同じような家賃の、しかも同じような広さのマンションを探すということは非常に難しいというような事情もございます。しかしながらその難しさを何とか克服しなくてはいけない、その責任はその借り手の方に全部帰せられてしまうというのが状況です。そういった状況をやはり考えた上で改正案を考えていかなくてはいけないというふうに思うんですが、これまでの現行法のもとで、そういった借り手側の権利が侵害されている場合にどのような救済措置あるいはどのような哲学を持ってそれを考えてこられたのか。 さらに、今回の改正案では、これは意図をしているところではないと思いますが、結果としてその借り手側、それは土地を借りる、家を借りる、両方だと思いますが、借り手側の権利が制限される方向の改正であるというふうに私は考えております。そういたしますと、この改正が仮に通った場合に、行われた場合に、では借り手側の権利、それを保護するためにどのような救済措置をこれから具体的に行っていくのか。今までとられていた救済措置と比較してどういうような点を補強していくのか、具体的にはどんなことをやるつもりなのか。 まず、その辺の大方針について法務大臣から伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 今お尋ねの点につきまして、先生の場合のことにつきましては後で局長から補足的に説明さしていただきたいと思いますが、基本的には、今回のこの借地借家法は借地・借家関係におきます借りる側の、借り主の方の権利の保護、そしてその安定化ということを図っていこうというのが目的でございまして、今回の改正におきましてもこのことについては何ら変更がされるものではありませんし、この改正によって借り主の権利が侵害される事例がふえるというようなことは全く考えておりません。この借地・借家制度の趣旨が関係者によく徹底されまして、いやしくも借り主が不当な不利益と申しますか、不利益を受けることのないように関係者による適切な運用を期待して、法務省としても努力いたしたい、このように考えておりまして、基本的に今申しましたようなことで借地・借家関係におきます借り主の権利の保護、その安定化を図るという基本的な考え方は今回も変わるものではございません。
○秋葉委員 ぜひそうあってほしいと思いますが、その点について私は異議がございます。抽象的な議論をしていても時間がありませんので、その異議についてはもう少し具体的な質問の中で証明、証明というのはおかしいですが、問題提起をしていきたいと思います。 まず、この問題に関してですけれども、私は、これは家を借りているあるいは土地を借りている、私の経験は借家の方が中心ですので主にその点について絞って質問したいと思いますが、かなり多数の人が家を借りている、あるいは部屋を借りているというところです。その実態をまずどの程度把握されているのか、さらにそういった家を借りている人たちの間でどのようなトラブルが起こっているのか、あるいは不法行為が行われているのか、あるいは慣行に反した実質的なことが行われているのか、そういったことを伺いたいと思うのです。 まず実態について、これは法務省、でなければ建設省の方にも伺いたいと思いますが、実際に家を借りて自分の住居が貸し家である、あるいは貸しマンションである、賃貸マンションであるといった実数、さらに今度は貸し手の側、公営住宅であるのか、あるいはそれは業者が持っているマンションを借りているのか、あるいは個人が貸し手になっているのか、その点について具体的な数字でお答えいただければと思います。
○川村説明員 借家の現状につきましてお答えさせていただきます。 昭和六十三年の住宅統計調査の結果によりますと、民営借家は我が国全体で九百六十七万戸ございます。このうち個人所有の借家は八百七十九万戸、法人所有の借家は八十八万戸でございます。一方、公営住宅につきましては百九十九万戸、それから地方住宅供給公社、それから住宅・都市整備公団の借家は合わせて八十一万戸ということでございます。 それから居住者でございます。民営借家につきましては、個人所有、法人所有の別はございません、一本でございますが、二千百五十一万人。公営住宅については六百四万人。公社公団の借家につきましては二百三十五万人の方々が居住しておられるという状況でございます。
○秋葉委員 その中には恐らくマンション、アパートのたぐいは入っていないと思いますが、それも加えた数字をお願いしたいのですが。
○川村説明員 これはマンション、それからアパート、皆含んだ数字でございます。
○秋葉委員 そういたしますと、大ざっぱに考えて一千万戸、人数にいたしまして二千万以上、約三千万近い人、ということは大体日本の人口の三分の一あるいは四分の一という人が借家に住んでいるということだろうと思います。実は、これは一般的な傾向としてもこれから自分の持ち家を持ちたいと思っている人の数がだんだん減って、最近の調査では成人人口の約四分の一の人が一生自分の家は持たずに借家で暮らしたいという希望を持っているという統計もございますので、それとも大体一致した方向だと思います。 それだけの多人数の人たちの権利を守るということはやはり非常に重要な問題だと思うのですが、例えば私が経験いたしました立ち退きに関しても、少なくとも慣行以下の条件によって立ち退きを迫られるというケースがございました。さらに地上げの問題、暴力団絡みあるいはそうではなくても嫌がらせによって借家権を侵される、あるいは居住権を侵されるというケースが非常に多くなっているわけですが、その実態について、例えば年間どのくらいの人が自分の居住権を侵害されているのか、あるいは法律的には問題がないにしろ、慣行以下の立ち退き料あるいは立ち退き期限が不当な明け渡しあるいは立ち退きを要求されているのか、年間どのくらいの人がそういった被害に遭っているのか、またその被害の程度はどのくらいなのか、これについて法務省、どのような具体的なデータをお持ちなのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 具体的にそういうようないわば家主側の不当な要求に屈して家を出たというようなケースについては、訴訟事件等の方からある程度推測はできると思いますけれども、訴訟になるのはごく例外的なケースでございますので、実質上としてどの程度あるかということにつきましては正確な実情は把握しておらないというのが実情でございます。 ただ、一つ申し上げておきたい点は、今回の借家法の改正、借地につきましては存続期間等についての修正を加えておりますが、借家権につきましては存続期間についての修正は全く加えていません。新たに定期借家権という、これは転勤等に伴う場合の新しい借家形態を導入しておりますけれども、基本的な修正は全くないというのが今回の借家法についての改正案でございます。 したがいまして、先生御指摘の問題は現行法でもあるいは改正法でも全く同じ状況のもとで起こり得るということになろうかと思いますけれども、このことは、例えば現行法におきましても、借家人の方で借家法を根拠として正当事由がない限り立ち退きを拒否するということができるわけでございます。ただその際に、家主と話し合って、あるいは円満に、あるいは若干の不満を残しながら家主側の要求をのんで退去するということもあろうかと思います。しかし、やはり事は基本的には家主と借家人の合意によってされているという実情にあろうかと思うわけでございます。しかし、法律的には不当な要求に対してはあくまでも正当事由の存在がなければこの借家からの立ち退きを拒むことができるということで頑張れるはず、理論的には立ち退きを拒むことができることになるというふうに法律制度上はなっているわけでございます。 そういうことを理論的に申しましても、現実には借家人の方で、いろいろ家主からの嫌がらせ等があるという話を私どもいろいろな関係者から聞いているわけでございますけれども、そういうものに耐え切れなくなって、やはり要求をのんで借家から立ち退くというようなケースもあろうかと思うわけでございまして、そういうような不当な立ち退き要求に対しましては、借家人の方でこれに対応することができるように、最終的には裁判、調停というような場でその当否を決するということになろうかと思いますけれども、そういうことが利用しやすい形でできるように配慮をする、あるいはさらに、先ほど大臣がお述べになりましたとおり借家制度の趣旨というようなものを徹底して、適切な運用がされるようにさらに努力をする必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
○秋葉委員 法律の建前を言われても仕方がないので、私は実態について把握をしているかどうかということを伺いました。その答えとしては実態については把握をしてないということですけれども、建設省はいかがですか、住宅政策の一環として、この住宅に関するトラブル、それについての実態を把握していらっしゃるのでしょうか。
○石井説明員 立ち退き料、立ち退き期間等の問題につきましては、住宅の賃貸借が終了するときにおける問題でございまして、契約当事者間において決定される事項であろうということでございます。私ども住宅政策を推進する立場でやっているわけでございますが、そういう立場から、建設省においてはその実態は把握していないのでございます。
○秋葉委員 私は寡聞にして政府のどの部局がこういった実態を把握すべきなのかわかりませんけれども、法務省、建設省でなければ、どの省庁がこういった居住権の侵害についての実態を把握し、それを法律案なりあるいは政策の中に反映させていくべき部局なのでしょうか。その点について御教授をいただければ大変ありがたいと思います。
○清水(湛)政府委員 私ども借地・借家法を所管しているわけでございまして、借地・借家法の運用の実情に照らしまして、これに関係する弁護士会におきまして無料法律相談、あるいは有料の場合もあろうかと思いますけれども、そういう形でいろいろ関係者と接触した経験に基づいて、あるいは裁判所においていろいろな事件を処理した結果に基づいて、あるいはいろいろな業者の団体、借地借家人組合の皆様方等々の関係団体から借地・借家の実情等についていろいろ私どもの方にお話しになるというようなことがあるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、全国に何件あるかというような数字については、これを正確に把握する方法はないわけでございます。例えば建物の明け渡し訴訟の件数は何件がということになりますと、これは明確な統計があるわけでございますけれども、そういう訴訟の場面にあらわれない形での紛争というか、不満を残しながら最終的には家主の言うとおりになってその建物を退去したというような事例がどのくらいあるのかというようなことを正確に把握することができないわけでございますけれども、一応、一応と申しますか、借地・借家法を所管する法務省としては、やはりいろいろなそういう団体を通じて、あるいは私どもの試案に対して述べられた関係者のいろいろな意見というようなものを通じて、借地人あるいは借家人の不満、法改正についての要請というようなものはくみ上げておるというふうに申し上げることができると思うわけでございます。
○秋葉委員 訴訟の件数でも結構ですから、大体のところをお教えいただきたい。 それから、その中でどういったトラブルが中心的なものになっているか。少なくともこちらにも資料があります。例えば東京借地借家人組合連合会というところで調査をしておりますけれども、その調査によりますと、一番多いのが明け渡し、立ち退きの問題、それから家賃の値上げ、それから更新の問題、これが大体三つ中心になっているわけですけれども、大体それがトラブルの中心だというふうに考えていいと思いますが、そちらの訴訟にあらわれた、反映されたこういったトラブルの中心的な問題というのは、それと大体同方向の問題なのでしょうか。
○永井政府委員 お手元に差し上げてあります「借地借家法案関係資料」の資料編にもございますけれども、第一審の通常訴訟でございますが、土地明け渡しにつきましては、平成元年では約五千件になっております。これは簡易裁判所及び地方裁判所含めまして約五千件でございます。それから建物明け渡しにつきましては約一万九千件ぐらいでございます。それから宅地建物の調停事件というのがございます。これにつきましては、平成元年ですと一万一千件ぐらいになっております。それから地代家賃の値上げの事件でございますが、平成元年度で、訴訟事件で約二千件、それから調停事件で約二千件、このようになっております。
○秋葉委員 その数字が、日本の例えば訴訟事件の中で、民事の中でかなりの部分を占めているというふうに私は、かなりの部分というのは程度問題ですけれども、三千万人の借り手に対してそれだけの、例えば一万五千あるいは二万という数の訴訟があるということは、事を裁判によって決しないという非常に長い伝統のある日本においては異常に高い数字だ、その背後にはもっともっとたくさんのトラブルがあるということは当然考えられるべきことだと思いますが、それについての実態を把握されないで、少なぐともこういった改正案が出てくるということに対して非常に大きな疑問を私は持ちます。 借家に関しては全く変更はないというふうにおっしゃいましたけれども、それは具体的に貸し手、借り手の間の力関係、どういった交渉が行われるのか、どういったおどしか行われるのか、どういった説明が行われるのか、そういったことについて余り実態を御存じないからじゃないかという気がするのです。例えばこれは、もう土地が借りられなくなってしまったのだから、その上に建っている家だって貸せないよ、すぐ出ていってくれというようなことの説明だってあるわけですし、それからさらに、不動産業界にいる人たちの説明というのは、必ずしも常に法の精神に沿って借地人、借家人の立場に立った十分な説明を貸し手の側がやっているわけではございません。先ほど申し上げましたように、私の立ち退き要求のケースでも、三カ月、四カ月分の家賃を棒引きするという条件でしたから、それが現在の慣行に沿っているとはとても思えないわけですけれども、そういった説明がなされております。さらに、不動産業界のイメージというのは暴力団絡みのイメージというのが非常に濃くなっている。それが事実かどうかは別として、例えばきのうも野村証券の田渕前会長の説明の中にありましたように、暴力団と直接関係を持った秘書室担当取締役が現在は不動産会社に行ったからもう問題はないんだ。証券業界にとっては問題がなくなったかもしれませんが、不動産業界にとっては暴力団と直接交渉を持った人が一人ふえたわけですから、そういった形で、しかも不動産業界においてはそれが現在の時点では問題にされていない。そういった人たちが弱い借地人に向かって一体どういうようなことを言うのか、その実態をお考えいただけると、借家人の立場には全然影響がないんだというのは実態を余りにも知らな過ぎる言葉ではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。私の申し上げておることは誇張に過ぎて、全く実情とは違うんだというふうにお思いになりますか。
○清水(湛)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、この今回お願いをしております借地借家法案における借家法の分につきましては、現在の借家法と基本的な違いはない、存続期間、正当事由等についての違いはない、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。 私ども、先生御指摘のような借家法をめぐる紛争というのは、例えば裁判所における調停の場で、あるいは訴訟事件の場でいろいろなケースがございまして、地主側が事案によりましてはまことにあくどいやり方で借家人いじめを図って、追い出しを図っておるというような実情が認められるというようなケース、そういうことも調停あるいは裁判の場で現実に経験している、あるいはそういう経験を私どもいろいろな形で知らされておるということはあるわけでございます。恐らく先生御指摘のような三カ月分の家賃は棒引きにするからすぐ出ていってくれ、こういうようなやり方、あるいはもっとひどい嫌がらせというようなことを現実に家主の方でやって、もう借家人の方ていても立ってもいられなくなって出ていく、こういうようなケースも私ども確かに聞いたことがございまずし、あるいはそういうことも、一般的かどうかは知りませんけれども、あるのも事実であろうというふうに思うわけでございます。 ただしかし、そういった事実的な力の行使による紛争解決と申しますか、家主側の威勢とかそういう力というものを行使して、法律以前の問題としていわば力を振るって借家人を追い立てるというような行為、これを借家法という立場で直接規律をするということはなかなか難しゅうございます。 私どもといたしましては、そういう借家人の権利は正当事由という形で現在も保護されておるし、これからも保護されておるということは変わらないわけでございますが、そのことについて借家人の方が明確に認識され、自分の権利をきちんと主張する、こういうような意識を持っていただくことが必要であると同時に、そうなるように借地・借家制度のPRと申しますか趣旨の徹底、そういうことについての努力を一層してまいる必要があるのではないか、率直に申しましてそういうふうに感じておる次第でございます。
○秋葉委員 最終的にはやはり個人の権利は個人で守らなくてはいけないというところは賛成いたします。 それで、実はまだ申し上げたいことがあるのですが、今おっしゃった自分たちの権利についてPRをして、借地人、借家人の方に自分たちの権利を十分理解してもらう、そういう努力をするとおっしゃいましたけれども、具体的にはどんなことを考えていらっしゃるのか、それを伺いたいと思います。 それから建設省にこれは伺いたいのですが、同時に貸している側、特にこれは法人の方が重大な問題だと私は思いますが、そういった貸し手側に対してどのような啓蒙をこれまで行ってきたのか、さらにこれから行うのか、PRと言っても結構ですけれども、その点について建設省に伺いたいと思います。 まず法務省。
○清水(湛)政府委員 法務省におきましても、いろいろな法務行政に絡む問題として窓口でいろいろな行政相談等をしているところでございます。例えば端的に申しますと、借地・借家関係の紛争が生ずる、地代家賃を持っていっても受け取ってもらえない、そういう場合にどうしたらいいかということが直ちに法務局の窓口に出てくるわけでございまして、そういう場合には供託という制度がありますよということで供託の手続を丁寧に教えてあげるということ、現にもうこれは具体的にやっていることでございます。そういうような行政の窓口を通じての借地・借家関係をめぐる紛争についての正しい認識を持ってもらう。もちろんそれより前にいろいろな各種文書あるいは広報の機会にそういう趣旨の徹底を図るということは当然のことながら、いろいろな方法で考えているところでございます。 さらには、具体的にそういう紛争が生じた場合に、供託というような手続を教えてやるということのほかに、例えば今の民事裁判の制度は非常に金がかかって時間がかかる、しかもわかりにくいのではないかというような批判があるわけでございますが、昨年来、わかりやすくて利用しやすい民事訴訟制度というものを考えるべきではないかというようなことから、民事訴訟手続の全面的な検討作業を現在続けているところでございますけれども、そういうようなものとあわせまして、弱小な借家人、借地人が不当に取り扱われることにならないよういろいろな方策を考えてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○藤田説明員 借地・借家関係に係ります不動産業者に対する指導についてのおただしてございますけれども、私どもの所管しております宅地建物取引業法は、賃貸借につきましては代理及び媒介を対象にしておりまして、みずから貸すということは直接対象にしておりません。この賃貸借の代理、媒介につきましては、相手方に対しまして虚偽の事実を告げましたりあるいは不正、不当な行為を行った場合には、宅建業法に基づきまして従来から厳正に指導しておったところでございますが、不動産業者といたしましてこの借地・借家の内容につきましていろいろ宅地建物取引業法の直接対象とはしていないことでありましても、業として適切な業務ができるよう周知をし、指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○秋葉委員 PRは、現在のレベルのPRのやり方、それから指導というのでは、少なくとも私の経験では十分ではないような気がいたします。と申しますのは、先ほども申し上げたような事例が具体的にあるわけですし、借地借家人組合等の資料によっても同じような問題が続発しております。最終的には訴訟には至らない場合でも、前にも申し上げましたが繰り返しますと、泣き寝入りをしてしまうケースが非常に多くなってきている、そういった人たちを救済するのも政治の非常に大きな責任ではないかというふうに私は思います。 その泣き寝入りをしてしまう理由の非常に大きな原因として、より極端な事例、例えば悪質な地上げのような場合にも、あくどいこと、不法な行為をしているそういった力の強い側に対する行政なりあるいは司法なりの断固とした措置、目に見えるような罰といった形での対抗策が十分に行われていないのではないか。仮に行われているにしろ、それが周知徹底して理解されていないのではないか。だから、あんな大きなところに対して、地上げに対して政府でも何にもできないのに、弱い個人である自分が一体何をできるんだということで、法治主義を捨て、法による救済をあきらめて泣き寝入りをするということが、現在の日本の政治の中に悪弊をもたらしている非常に大きな原因としてあると思いますけれども、少なくとも極端なケースに対して、法務省あるいは建設省がその法の運用に当たって厳正かつ弱者を保護する立場からもっと確固とした態度をとるべきだというふうに思いますが、その方向で、最後に大臣、いかがでしょうか。決意のほどをよろしくお願いします。
○左藤国務大臣 お話しのように、基本的な人権擁護という問題が一つ基礎にありまして、そしてまた弱者の保護ということをやらなければならないわけであります。そういうことにつきまして、今までのやり方というものが不十分であるという点を十分考え反省し、また、この法律が御可決いただきました上はその法律の施行という問題とあわせてPR、そして弱者に対します対策というものに力を入れてやらなければならない、このように考えておるところでございます。
○秋葉委員 それではぜひお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○伊藤委員長 御苦労さまです。 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)委員 社会党の鈴木です。よろしくお願いいたします。 まず初めに、この借地・借家法の改正ということの全体を通じまして、これを出されたことの最も重要な部分はどういうところにあるというふうにお考えでいらっしゃいましょうか。
○左藤国務大臣 現行の借地・借家法は、借地に対します需要の多様化等の社会経済情勢、そうしたものの変化に対応し切れないようになってきておりまして、その改善が緊急の課題になった、こういうふうに考えております。今回の改正は、こうした対応ができなくなってきたという点の不都合を解消して、当事者の権利義務関係をより公平に、かつ合理的なものにすることによりまして、利用しやすい、これは貸しやすく、また借りやすい、両面あるわけでございますが、この借地・借家制度を築くことを目的としておるものでございます。この改正によって良好な借地・借家の供給が促されまして、将来の社会生活の基盤整備に寄与するものと私としては考えておるところでございまして、期待をいたしておるところでございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話ですと、経済情勢というものが大きく変化した、現在、建物とか土地の利用に対する需要の多様化ということには現行法では十分対応し切れないということだううと思います。これは、提案理由の説明の中にもあるところなのです。ですから、そのより公平さを図るところに最も重点を置かれているというふうに私は今伺ったわけなのですけれども、本当にこれで当事者それぞれに、貸す方も借りる方も今の現行法よりもより公平なものになるというふうにお考えなのかというところが私にはちょっとまだ納得のいっているところではないわけです。これからも幾つか具体的にもお聞きしていきたいと思いますけれども、この点については後にも、また大臣にもお答えいただきたいと思います。 この法律も、現行法と変わりなく賃借権というものに一種の物帳的な効果を与えようとする意図は全く見えない法律になっているわけですけれども、そういう形であるとすると、午前中にも多分そういう御質問だったと思うのですけれども、物権化というふうな言い方で言われている賃借権の物権化というのは、この土地の賃借権というのが典型の例のようになっておりまして、その点についてこれからも民法上の解釈としては、賃借権は物権化の傾向にあるということを前提として、しかし法律上は全く債権として扱うというような形でこの法案をされるということは、結局社会の実情、経済的な大きな変化ということから見た場合に実際は余り合った形にはなっていないのではないだろうか、この点がまず一つ私の疑問とするところです。 そして、こういった物権化ということは、一応社会の実情上では、今この法案が改正されようと改正前の現行法であろうと物権化という傾向があるということ、そして需要の多様化ということ、そして公平かつ合理的な調整ということとは、概念的にいいますとその言葉一つ一つはわかるのですけれども、それが一体どういう関係であるのかという点について、わかるように御説明をいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 先生御指摘のように、賃借権の物権化ということがこれまで言われているわけでございます。要するに物権化と言われているその基本的な背景と申しますのは、借地人、借家人の権利を保護する、そしてその長期の安定を図る、こういうことの方策として賃借権の法的な性格をより物権に近づける、こういう政策が従来とられてきたわけでございます。このことにつきましては現行法もこの改正法案も全く同じでございまして、この点について違いは全くないというふうに私どもは考えているわけでございます。 御承知のように、賃借権の物権化と言われる特徴的な要素としては三つの点を挙げることができるかと思います。つまり、賃借権に排他的な効力を与えるということ、それから二番目に、長期安定的な権利とするということ、それから三番目に、賃借権の譲渡性と申しますか転貸と申しますか、そういう譲渡、転貸の自由性を認めること、こういう三つの要素があるわけでございます。 この第一番目の対抗的な効力、つまり排他的な効力を認めるということにつきましては、明治四十二年に建物保護法というものが制定されまして、この法律はそっくりそのまま今回の借地借家法案に吸収されているわけでございます。のみならず、この四十二年の建物保護法では、現行法の解釈でございますけれども、登記した建物が滅失してしまいますと借地権の対抗力はなくなるのではないか、なくなるという解釈が普通でございますけれども、このことにつきましてはさらに手当てをいたしまして、建物が滅失しましても一定の期間は対抗力がなお存続するという、より対抗力を強化するための法改正を実は第十条第二項という規定でやっているわけでございます。 それから、借地権の存続期間につきましては、堅固建物、非堅固建物についての差異を改めまして、一律三十年というふうに期間を統一いたしました。更新後の期間については十年というふうにいたしましたけれども、やはり正当事由がないと期間の満了によって借地権は消滅することなくさらに存続する、こういう建前は全く変わっていない。 それから、賃借権の譲渡、転貸性ということにつきましては、御承知のように昭和四十一年の借地法の改正によりまして、建物を第三者に譲り渡す場合における借地権の譲渡承諾について、地主が承諾をしないという場合には裁判所の許可を得てこれを譲渡することができるというような制度を導入いたしたわけでございますけれども、この制度もそっくりそのまま借地借家法案に受け継がれているわけでございます。 そういう意味におきまして、現在の借地法における賃借権の物権化という現象は、そっくりそのまま、ある意味においてはより強化されて借地借家法案に受け継がれておるということでございまして、物権化することによって借地人の権利の保護とその長期安定を図ろう、こういう趣旨は完全に貫かれておるというふうに思うわけでございます。 今回の改正は、そういう賃借権の物権化というような現象とは別に、社会経済情勢の変化に応じて、例えば定期借地権というような、一定の要件のもとに更新をしない借地権というものを新たに認めようということでございまして、このことは賃借権の物権化という現象と基本的に相反するものではないというふうに私どもは考えているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 物権化ということがこれまでと変わりがないということはわかりましたけれども、そのことと、公平かつ合理的な調整でありますとか多様化という問題について、その調整というものがやはりこれまでと変わりがないということなんでしょうか。そうだとすると余り変えなくてもいいのではないかというような気がだんだんとしてきてしまうわけですが、何かそこに具体的に、例えば先ほどちょっと言われました定期賃借権の導入でありますとか、そういうことがおありなのかもしれませんけれども、具体的にこれまでのものでは非常に不都合であるというところが何かあるのでございましょうか。
○清水(湛)政府委員 この点は後ほど個別に先生の方から詳しい御質問がある問題かと思いますけれども、今回の借地借家法の一つの特色は、定期借地権あるいは期限つき借家権というような制度を新たに導入したこと、それから、これは借地権についてでございますけれども、存続期間とその更新についての規定を変更したということ、この二点が重要な点ではないかというふうに思われるわけでございます。 そして、この定期借地権の制度につきましては、社会経済情勢の変化に応じまして一現行法の借地法というものが非常に規律が画一的でございます。いろんな借地需要というものがあると思うのでありますけれども、土地を貸しますと一律に、堅固であると三十年、非堅固であると二十年、更新は二十年、三十年という形でいきますよというパターンしか認めていない。その結果として、例えば土地を貸したいと思っても、一たん貸すと戻ってこないからもう貸さないというような現象が出てくる。借地にしないで、何か別なもので利用してそのまま放置しておくというような現象、借りる方でも、貸してもらいたいと思いましてもそういうような事情があるものですからなかなか貸してもらえないというような、こういう現象が出てきたわけでございます。そういうようなものに対応するいわば新しいメニューとしてこの定期借地権、三つの種類がございますけれども、それについて一定の要件のもとにこういう借地契約をすることもできる、こういうことにいたしたわけでございます。 それからまた存続期間の点につきまして、この改正法案では、木造二十年、鉄筋三十年と俗に言われますけれども、そういうような鉄筋、木造による区別をすることが今の実情に照らして適当であるかどうかというような観点から検討を加えまして、これは両者に差別を設ける必要はない、一律にした方がよろしい。一律にする場合には、やはり土地を貸して建物を建てるということである以上、二十年というのじゃなくてやはり基本は三十年にする、三十年ぐらいはやはり一たん貸した以上は確保すべきである、こういうことで、基本的な存続期間を三十年といたしたわけでございます。 しかしながら他方で、三十年の期間が到来いたしますと、もちろん正当事由がない限り返してもらえないということは現行法と全く変わりがないわけでございますけれども、借地関係の地主あるいは借り主のそれぞれの事情の変化というようなものが長い間には当然あるわけでございますが、そういう場合に、そういう貸し主の側に生じた事情あるいは借り主の側の事情というようなものをきめ細かくチェックするということのためにはやはり更新後の期間は十年程度が適当であろうということで、これは各界の意見を伺いましたところ、大方の意見が大体そういうところで落ちついたということから、更新後の期間を十年ということにしたわけでございます。基本的には正当事由がない限り借地権はそのまま続いていくわけでございますけれども、事情の変更というものをできるだけ借地関係に反映させるために十年という刻みにしたということになるわけでございますが、こういうようなことも社会経済情勢の変化というものの一つのあらわれであるというふうに私どもは考えているところでございます。
○鈴木(喜)委員 今の御説明、大体わかります。また後で触れさせていただきたいと思いますけれども、こういう現行の改正法案というものは、先ほど一番冒頭には大臣が、良好な建物や土地というものの提供ということ、そういうことを目指しているのだ、そこのどころに重要な部分があるのだというお話があったわけですけれども、結局この改正ということは、今住宅政策として考えた場合に、住宅政策の中でどういう役割を果たすものであるのか、こういう見地からお話を伺いたいと思うのです。 結局、こういう形で今現在、土地というものについてはほとんど庶民がこの都会では手に入れることができないものになっております。これは仮にこの法案がこのまま通ったとして、改正されたとしても、だからといって土地が即手に入るような形になることはもう全く考えられることではないと思うのですが、住宅の提供という意味からいきまして、この改正法案が国全体の住宅政策の中でいかなる位置を占めるものとして法務省はお考えでいらっしゃるのか、その点を伺いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 借地借家法というのは、貸し主である個人、それから借り主である個人、そういう個人と個人の間の契約関係、法律関係を公平に調整をするということを目的とする法律でございまして、この法律によって大量に住宅を供給するとか、大量に宅地を供給するとか、あるいは土地の高度利用を図るというようなことを目的とするものではないわけでございます。あくまでも貸し主、借り主の契約関係を合理的に調整するということがねらいになるわけでございます。したがいまして、借地借家法というのは、そういう意味では土地の有効利用とかあるいは高度利用とか大量の住宅宅地を供給するというような土地政策を直接の目的とするものではございません。 しかしながら、定期借地権制度の導入等、あるいは借地・借家をめぐる法律関係の合理的な調整ということによって、大臣も先ほどお答えいたしましたとおり、貸す方も安心して貸せる、借りる方もはっきりした形で権利関係を明確にして借りることができる、こういうようなことになりますと、やはり貸しやすく借りやすいと申しますか、そういう意味での借地の供給がふえるし、したがってまた借り手の方でも喜んで借りることができるというような現象に結果においてつながってくるのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。そういう意味におきまして、例えば日米構造問題協議なんかでもそういう意味での指摘がされたというふうに私どもは理解しているわけでございますが、そういう結果としての土地問題の改善に資するということは、これはかなりあるのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。 しかし、これは政府の土地政策大綱等でも示されておりますように、土地問題というのはもっと根本的に大変複雑な問題をはらんでいる問題でございまして、個人と個人の契約というようなものをはるかに飛び越えた国の政策、そういうものによって最終的には解決が図られるべき問題でございますので、果たして土地政策の中でどのような役割、位置づけを持つものであるかを正確に言えと言われましてもちょっと困るわけでございますけれども、結果としてそういう土地問題の改善に資することになる、これは私ども大いに期待し、また現実に期待されているところであるというふうに考えている次第でございます。
○鈴木(喜)委員 最終的には全体的なもう少し大きな、この法律で律し切れる部分でない住宅、土地の政策というものが何としても必要なものであって、国民の住宅、これからも住みやすい住宅をつくり、住みやすい町づくりをしていくためにはこの法律のみで済むわけではないし、それぞれが目的をそこに置いているものではないのだというお話ではありますけれども、そうしますと、この法律を今改正してつくってしまう、しかしまだ政策的には最終的な部分ででき上がっていない、全体的な総合的な住宅、土地の政策というものはでき上がっていない。そこで、この法律だけがいわば先走ったといいますか、そういう形ででき上がった場合に、そのはざまで苦しむのはやはりそこで借りている人たち、今現行法、この借地・借家法の規定のもとで借りている人たちが。いる、まだ全体的な政策のないままにぱっと法改正がされた場合に、そのはざまで一番困るのはそういう人たちではないかというふうに思えるわけです。 今局長の方から言われましたけれども、この問題がにわかにこういうふうに出てきまして、今法務委員会で、この間のときからずっと継続審議にはなっておりますけれども、非常にそのことに早く成立をさせたい、もっとじっくりと国民全体の意見を聞いてからというような主張を私たちは考えているわけですけれども、そういうことでなく早く成立をさせたいという意図が何となしに感じられるのは、この日米構造協議というところの問題、内なるものから出てくるわけではなくて、外なる圧力からそういうものが出てきているのではないか、私なんかがちょっとこう勘ぐりたくなるような部分がございます。もう少しこの問題も、今度公聴会も予定されているわけですけれども、そればかりでなくて、一般にそういった借地に住み借家に住んでいる人たちそれぞれの意見というものをそれぞれの地域で聞いていくというような形も。必要ではないか。そういうところのまた議論ということも必要であり、ゆっくりと内なる要求というものを見きわめた上で、こういった法律、民法も七十年続いている、民法の一部になっているような、皮膚の一部になっているような法律の改正ということでございますから、そのくらいの慎重さがあってもいいのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 私どもは土地政策とかそういう住宅政策の専門家ではございませんので、そういうことは建設省なり国土庁というところで十分研究されている問題であると思います。 ただしかし、一つ申し上げることができますことは、国がいろいろな土地政策あるいは土地住宅政策を樹立するという場合におきましても、個人と個人の権利関係が合理化されてない、あるいは不安定であるということになりますと、これはいかなる立派な土地政策、公共的な政策を立てましても、土台が崩れるということになろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、借地借家法は、先生まさしく御指摘になりましたように民法という最も基本法の、あるいはこれは一部であると言ってもいいと思いますけれども、最も基本的な法律関係を律するものでございますから、そういうものについてまずきちんとした、現在の社会経済情勢に適合したきちんとした権利関係の調整規定を置く、これが私どもは何にも増して重要なことではないかというふうに実は考えているわけでございます。そういうものをベースにして、今度は建設省なり国土庁が必要な住宅政策、国土政策というものをお進めになる、これがやはりそういう意味で大事なことだというふうに思うわけでございます。 そういう意味で、個人の私生活と申しますか、個人対個人の法律関係を規律する民法の一部ともいうべき借地・借家法でございますので、私どもは、この法律の改正につきましては、先ほど白米経済構造協議というお話もございましたけれども、そういうような協議の場で問題点が指摘される前に既に、法制審議会という法務大臣の諮問機関があるわけでございますが、そこに各界の権威のある諸先生方に御参加いただきまして、本当にその民法の基本的な立場、あるいは借地・借家法のこれまでの沿革というものを踏まえまして十分な御議論をお願いし、途中では問題点とか試案というものを全社会にオープンにしまして、本当に各方面からいろいろな意見をちょうだいして、最終的に法制審議会で練り上げた答申をしていただいた。そういうものを踏まえてこの法律案ができ上がっているわけでございまして、まさに先生御指摘のように民法に準ずべき基本法でございますので、慎重の上にも慎重を尽くしてこの法律案をまとめているわけでございます。こういう形で、個人の権利関係がまず現状に適合するものとして明確にされた上で、さらにこれを基礎として立派な土地政策なり住宅政策を展開していただきたいというふうに、私ども、個人としても思う次第でございます。
○鈴木(喜)委員 そういうお考えですと、これはあくまでも当事者間の権利関係を個人と個人という形で結ぶ、いわゆる民法の中での問題だという形になったということなんですけれども、この法律がそもそも改正されるという問題点、初めに出てきた要綱案的なもの、答申案の中では、そういうことではなくて、その中の最も眼目と言ってもいい部分というのは、都市の再開発をより容易にすることができる、そういうことを実現するためとも思えるような条項がいわゆる正当事由の中に含まれていたわけで、こういうふうにすれば非常に再開発もスムーズにいくのではないか、こういった面からの、非常に個人と個人の問題を律するということとは、一見個人と個人の問題ではありますけれども、一つのそういった再開発という大きな都市計画上の意図まで含まれたような形での改正案がもともとあったわけでございます。それが今回、ここではそういった条項、文句が正当事由の中からも抜けた形で今提出をされているわけですけれども、この点、今局長の言われたところを考えますと、これから先この改正がもしされたとすると、その借地借家法の中にまた同様の、再開発を容易にするような文言を入れるような改正というものはもう金輪際考えられないということでございましょうか。
○清水(湛)政府委員 私どもは法制審議会で、借地・借家法について問題があるのではないか、これを検討してみようということで、調査審議が始まりましたのが昭和六十年からでございます。その前に、各方面でいろいろな借地・借家法についての問題提起がございました。その中には、借地・借家法というのは個人と個人の間の契約関係、法律関係を合理的に調整するという法律なんだ、私法なんだという基本的な性格、そういうものについての基本的な認識というものについての若干の差異があったということもあろうかと思いますけれども、制えば東京等町で都市再開発を大々的にするためにこの借地・借家法を改正するというようなことを主張する方々も一部におられたわけでございます。私ども、借地・借家法の改正を審議するに当たりまして、どういう問題があるかという問題点を各方面に照会し、そしてそれを整理する、そういう問題点のどういうことが問題ですかということを各界にお尋ねしたときに、そういった趣旨の、要するに都市計画的な再開発的な思想に基づく問題提起というものがあったということは、これは間違いなく言えるわけでございます。 また、そういう問題提起に基づきまして、一つのそういう問題意識を持ってもし法案をつくるとするならばこういうことになりますかということで、改正要綱試案というようなものを審議の過程でまとめ上げました。これは法制審議会がそう考えるというのではなくて、いろいろな意見をいわば列記するという形での試案でございます。この試案の中には、先生御指摘のように、単なる当該土地の利用状況だけではなくて、周辺の地域の状況がどうなっておるのか、例えば木造建物の集中地域なのか、あるいは鉄筋建物がたくさんふえつつある地域なのか、こういうような周辺の地域の事情によっては、地主側の正当事由を認めるというような一つの考え方、そういうものがありまして、これが正当事由の中に一つ入っていたということになるわけでございます。 しかしながら、この点につきましては本来、土地・建物の存する地域の状況というものは、これはいわば土地・建物の利用状況を判断する場合におけるバックグラウンドにはなり得ても、それ自体が一つの正当事由の判断要素となるのは、借地・借家法の性格からいって行き過ぎではないか、こういう議論も当然のことながらあったわけでございまして、特にそういう議論を強力に展開したのは日本弁護士連合会の方々でございますけれども、そういうような賛成論、反対論、いろいろな意見が出てまいりました。 そういう状況の中で法制審議会におきましては、各方面の意見を十分にくみ上げて、結局最終的には、独立の正当事由考慮要素としての土地・建物の存する地域の状況というようなものは、これは入れるのは適当ではない、不適当であるということで答申自体からも落ちましたし、この法律案からも当然のことながら落ちでいるという状況にあるわけでございます。 私ども、借地・借家法というものの性格からいって、周辺の状況を考慮してそれが正当事由の独立の判断要素になるということは、これはもう借地・借家法というものの私法的な性格を逸脱するものだというふうに現段階でも考えているわけでございまして、今後ともそういうことが改正問題として持ち上がることはないというふうに今のところ考えている次第でございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話を伺いますと、そういったことは毛頭考えないとおっしゃるのですけれども、後からまたいろいろと判例等引いて教えていただきたいと思っているところがあるのです。 いろいろな判例の中で、正当事由を判断する中の具体的な問題にはこれまでであってもそれぞれ、町並みの問題でありますとか、周囲が全部ビルになっているところに一軒だけこうあるのがどうであるか、そういう問題についても具体的に裁判官の配慮というものがある場合もあったと思われます。それを全然抜きにしてこれまでの判例はでき上がっているわけではない。判例はそれぞれ個々、そのほかの事情もすべて比較考量して、その上で判断をするわけでしょうけれども、その中にはそういったものを勘案している場合もあり得るわけですね。また、それを否定する場合も判例ならば当然あるわけですね。そういった形で非常に弾力的に、要するに具体的な妥当性というものを裁判官の立場からその判例の中ではとっておられるのだろうというふうに私は理解をしているわけですけれども、今この借地法の中で、どちらのことについてもちょっとこれは正当事由の方に入ってしまいますけれども、今おっしゃったような形で考えていきますと弾力的な運用がかえってなされ得なくなるのではないか、この点が私などは非常に心配でございます。 例示が多くなったような形で正当事由が幾つか書いてあります、その中では、今おっしゃったような形で御答弁いただきますと、社会的な問題、政策的な、都市イメージといいますか、都市づくりというようなものについては、この法案というのはもっと私的なものであるからないのだということを突き詰めますと、そういうこともない。私たちがいかに借地人、借家人の利益を守ろうというふうに考えていても、ここはこうじゃない方がいいのじゃないかなと思う場合だってなきにしもあらずなのです。やはり職業柄で見ていった場合には、いろいろな部分で、これはやはりここにこういう形で住み続けるのが果たしていいことなのかと疑問に思う部分というのも事例としてはあり得るわけでございます。そういうときの弾力的な運用がやりにくくなることはないのでしょうか。逆の意味から言って揚げ足をとっているようで大変申しわけないのですけれども、このあたりをどのようにお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 私、先ほど土地・建物の存する地域の状況というのは、この現在の法律案でも言っております当該土地・建物の利用状況をということは法文の中にあるわけでございますが、これを判断するバックグラウンドにはなり得る。しかしながら、もしこの当該土地・建物の存する地域の状況というものを法文の中に明記いたしますと、当該土地・建物自体の利用状況のほかに、当該土地・建物の存する地域の状況というのが非常に重要な重きを持ってくる可能性がある。これは個人対個人の法律関係を逸脱するものではない、か、こういうことを申し上げたわけでございます。 先生まさに御指摘のとおり、今までの判例の中でも、当該土地・建物の利用の状況というものを判断する場合に、周辺とは余りにもかけ離れた利用のされ方をしている、だれが見てもいささかこれは不適当であるというような場合には、これは正当事由があると認めるような判例もあるわけでございまして、結局、これは最高裁の判例でも言っておりますように、「当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し社会通念に照し妥当と認むべき理由」、これが正当事由だということになっているわけでございますけれども、そういう健全な良識によって最終的にはやはり判断されるということになろうかと思うわけでございます。
○鈴木(喜)委員 それで、そこのところを伺いたいと思いますけれども、六条の更新拒絶で、今の正当事由の問題として、今まで過去にいろいろな判例でその正当事由というものが具体的になされていると思うのですが、そのあたりを、裁判所の判例の中で勘案されました正当事由について具体的にどのようなものがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
○永井政府委員 現行の借地法、借家法の正当事由は昭和十六年に入ったものでございますが、現在の法律の書き方は、賃貸人がみずから土地を使用する場合、またはその他正当事由という二つの柱を挙げてあるわけでございます。当時の解釈といたしましては、みずから使用する場合ということはこれは独立の絶対的事由でございまして、借りている側がどういう事由であっても貸している側にその使用の必要性があれば、これはすべて絶対的な事由として明け渡しを認める、こういう解釈がとられていたわけでございます。 ところが、戦後になりまして、やはり住宅事情その他が逼迫してまいりますと、公平の理念から最高裁判所を中心といたしまして、基本的にはやはり「当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し社会通念に照し妥当と認むべき理由」、こういう言い方をして、要するに、当事者双方の事情をそれぞれ勘案しなさいということが打ち立てられてきたわけでございます。 具体的には、最高裁の判例あるいは高裁等の判例でも、基本的には当事者双方の使用の必要性ということを一番重視しているように見受けられます。例えばこれは東京高裁の昭和五十六年一月二十九日の判例でございますが、貸している側は六人家族で狭いうちに住んでいて、将来、長男が独立をしたい、あるいは結婚したいと言っている、ところが、借りている側はむしろ他に土地・建物を持っていて、しかもそこは第三者に利用させているという場合には、やはり使用の必要性は借地権設定者の方が強いのではないか、こういうような判断をしております。それから逆に、東京高裁の同じく五十六年十一月二十五日の判例では、借りている側の方が商品を保管する場所としてこれは必要不可欠だということを重視いたしまして、やはり借りている側に使用の必要性があるというような判断をしております。 実は、今回の改正法案も、第六条で「土地の使用を必要とする事情」という、これは借りている側、貸している側双方の「土地の使用を必要とする事情」ということを中心にしておりまして、そのほかに付随的な補完的な事情として、従前の経過でございますとか土地の利用状況、あるいは財産上の給付を申し出た場合は考慮しでもよろしい、こういう補完的な規定の仕方をしているわけでございます。 これは判例もそうでございまして、基本的には、先ほども申し上げましたとおり、当事者の使用の必要性ということをやはり中心に置きまして、しかしそれがまあどっちも同じような必要性があるのじゃないかというような場合に、それはほかの事情をどういうふうに考慮するかということで、いろいろな借地に関する従前の経過ということを考えたり、土地の利用状況を考えているわけでございます。 例えば東京高裁の昭和三十四年の十月十九日の判例でございますが、実はこれは貸している側が、はっきり言いまして非常に意地悪をいたしまして、長期間借地権者に使用を妨害していたというような事情がありました。それで、これは貸している側が悪い、いわば悪いんだ、これは正当事由はないよという判断をしております。それから逆に、東京地裁の五十六年十一月二十七日の判例では、これは借りている側が騒音を立てたり無断増改築をするというような背信行為を非常に重ねておる。裁判所でたびたび調停をやりまして、必ず期限には出ていくという約束を何回もしているけれどもそれは守らない。こういう事情もそれぞれ、双方の使用の必要性は割合どちらもあるんだけれども、これでは少しひどいんではないか、こういうことも少し勘案されたとみられるような判例もございます。 それから土地の利用状況でございますが、福岡高裁の昭和五十四年十二月二十日の判例では、博多駅近くの繁華街において借地権者が古い木造建物を持っている、こういうことも一つの理由になっているのがございます。ただし、これもあくまで当事者がどちらが使用の必要性があるかというそこを中心にして、補完的にそういう状況も挙げているということでございます。 それから、委員御承知のとおり財産上の給付といいますのは、例えば一般的には代替家屋の提供、代替土地の提供あるいは立ち退き料の提供、こういったような事情を指しているわけでございまして、例えば大阪高裁の昭和五十八年九月三十日の判例では、これは借地でございますが、立ち退き料四千五百万円の支払いと引きかえに明け渡しを認めた例がございます。これも、あくまで基本的にどちらが使用の必要性があるかということを中心に判断した上で、それを補完的に認めている例でございます。 今までの判例はいずれも借地関係を中心にして御説明いたしましたが、借家関係につきましてもほぼ同様でございます。やはり基本的には貸し主側、借り主側の使用の必要性ということを中心にして考えております。 例えば、大阪地裁の昭和五十五年五月二十八日の判例では、老齢の貸し主が息子にその建物で商売させて生計を維持する必要があるということなどを考慮して、貸し主側に正当事由があるというように認めた例があります。それから、借り主側を強いと見たといいますか、借り主側を保護した例としましては、東京地裁の昭和六十二年六月十六日の判例がございます。これは東京・神田の中華料理店の経営の必要性を重視したという判例でございます。 その地やはり借家関係でも当所の使用の必要性を中心にしておりますが、例えば建物の利用状況を勘案した判例として見られますのは、東京高裁の昭和五十五年四月十四日という判例がございます。これは公認会計士等の資格を持っている借り主が建物を事務所として使っていたわけですが、ほかに事務所を実は持っておりまして、この建物を業務に利用する必要は余りないんじゃないか、そういう観点で、現実の利用状況が必ずしも十分そこを使っていないんじゃないか。これは逆に言いますと、よく考えますと実は借り主の使用の必要性ということかもしれないわけですね。そういうことでございますので、それが建物の利用状況そのものを独立に挙げているかどうかというのは逆で、むしろ、使用の必要性がどちらが強いかということを言っている判例と見ることもできるわけでございます。 それからなお、建物の現況について若干考慮したのではないかと思われる判例がある。例えば最高裁の判例では、昭和三十五年四月二十六日の判例がございまして、これは家屋の朽廃時期がもう切迫しているということを一部考慮しております。 それから、財産上の給付につきましては、最高裁昭和三十八年三月一日、あるいは最高裁の昭和四十六年十一月二十五日の判例がございまして、いわゆる立ち退き料あるいは引っ越し料といったたぐいの金の支払いと引きかえに明け渡しを認めた例もございます。しかし、これも基本的にはどちらが使用する必要がより大きいかということを中心にして、あとは補完的な要素として考えているということでございます。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。 それを伺いまして、この六条について改めてもう一度確認と伺っていくことが必要だと思うのですが、今のお話を伺いますと、六条というのは、借地権設定者及び借地権者、借り主、貸し主どちらでもいいけれども、その両方が「土地の使用を必要とする事情」というのがまず第一に来る。そこでもし判断して、片方の方がどこかほかにもたくさん立派なうちがあって、そこへ越しても大丈夫だというような明らかな差があるような場合には、そのほかのことを考えずにまず第一義的にそこだけで判断をするという、一というふうにしますと、その次に「借地に関する従前の経過」、この従前の経過の内容も、今お話しになられましたような具体的な事例、わかりますけれども、まだほかにもある。ちょっとそれは置いておいて、「従前の経過」、それから「土地の利用状況」というものがその次に来まして、それでそれをまた勘案するのは、例えば一番で土地の使用を必要とする事情がイコールぐらいでどっちをどっちとも決めかねるというときに、そこにさらに片側に何かを乗っけるというときに、この「従前の経過」とか「土地の利用状況」というものを乗っけて、それでもまだなおかつどっちも甲乙つけがたいという場合に、その今の金銭的といいますか「財産上の給付」をそこにするという形で、一、二、三というように正当事由の内容の中に順位がつくということなんでしょうか。それとも、もうばらばらにばっと振りまいたように全部の条件がありまして、それを見ていくということなんでしょうか。 これはどちらでもいいじゃないかという議論もあるかもしれませんけれども、私はそう思わないのです。現行法でいった場合には、正当事由というのは自己使用の目的であるということを第一義的に挙げまして、その他はないわけですね。その他正当事由と書いてあるだけです。ですから、金銭的な給付、金を払えば、要するに、どんな重みがなくても最終的には金だけ払えば出ていかせていいということには現行法上はならないと解釈できるわけです。お金だけでその他の事由は全部払拭することができるという解釈はできないのですけれども、今の問題で一、二、三というような事例をつけていった場合には、これができてしまうのじゃないかというような気がするわけです。このあたりの解釈の仕方ですけれども、もう一度その点の確認をさせていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 「土地の使用を必要とする事情」というのが第一義的な正当事由判断の要素であるということでございます。その際に、もう明白に土地の使用を必要とする事情が一方にはない、こういうことであれば、もうそこで決着がついてしまう、こういうことになるんだろうと思うわけでございます。 ところが、実際裁判に出てくる事例というのは、それぞれの使用の必要性を相互に主張し立証して争っているわけでございますので、そんなに明確に一方に明白にないというようなことにはならないというのがほとんどのケースだろうというふうに思いますけれども、観念的に整理をいたしまして、そういうことが仮に裁判の場でもあるとすれば、やはり使用の必要が一方に明白にないということになりますとそこで勝負がついてしまうということになるんだろうと思います。したがいまして、そういうことになりますと「借地に関する従前の経過」とか「土地の利用状況」とかそういうことを考慮するということにもならないでしょうし、あるいは、財産上の給付をするという申し出があるから、それ以外の要件は何もないんだけれどもお金さえ出せば正当事由が補完されたことになる、こういうことにはならないというふうに私どもは考えているわけでございます。 最後に先生が問題とされた、本来の使用の必要性というものがなくても財産上の給付の申し出さえすれば、高い金額さえ申し出さえすれば裁判所は正当事由があるというふうに認めるということにはならないか、これは、現行法上も財産上の給付はあくまでも正当事由を補完する要素として認めるということでございまして、そういう解釈はこの第六条の解釈においても私どもも変わるところはない、こういうふうに実は考えている次第でございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話をそのまま信ずるとすれば、これから先、お金をたくさん積んでそれで無理やり追い出されるということがないということだろうというふうに思いますけれども、どうもこの部分が非常に不安に思われる方々が大変多いと思います。判例もだんだんと変遷を重ねていく中で、正当事由の一事由として金銭的な給付というものも入れ込むというまでにはかなり長い年月がかかってきたというふうに私理解しているのですけれども、こういう形で金銭的なものが一つ明文化してここに載っかると、非常に財産上の給付という部分に重きが置かれてしまうことが多い。ここに住むことの事由の中には、この町が好きだとかこの町の風景が好きだとか、そういうことだって入ってくるわけでございまして、生まれたところだから、生まれ育ったどころだからいたいのだということもあるわけでございますけれども、そういうものが「土地の利用状況」とか「従前の経過」という中ではなかなかはっきりあらわれてこない部分があるのですけれども、住まいの必要性という問題からいけば、そういう問題も一つの住む必要性、ここしか住むところがないのだという理由を盾に頑張る貸借人の人がいるような場合に、そこにどうしても最後の、財産上の給付を申し出る、代替の土地なり家なりをどこかに与える、そこでも立派に暮らせるじゃないですかというところがある場合に、非常に簡単にやはりそこの部分が追い出されてしまうことがあるのではないか、この危惧感がどうしても抜けないわけです。 冒頭の問題として、良好な家や土地というものの提供ということを一つの目標とされているこの借地・借家法の改正であるとしたらば、自分の住みだいどころに住み続けることができるということが最も大事なことであると思いますので、この財産上の給付という申し出については、正当な事由の重要な一部分としてこういうふうに存在することの積極的な意味というのがあるのかどうなのか、その点もう一度だけ確認させていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 委員御指摘のように、正当事由の判断については、これまで裁判所が非常に厳しいと申しますか、見方によれば借地人にとって非常に、借地人を保護するとか借家人を保護するという基本的な姿勢のもとに正当事由についての運用がされてきたというふうに私どもは理解しているわけでございます。このことは基本的に新しい法律になりましても変わることはない、基本的にはやはり当事者が当該土地・建物の使用を必要とする事情、これがまず基本的な柱になる。 先ほど永井審議官が答えた判例の中でも、例えば借り主の方でほかに事務所があるというにもかかわらずその借家に住んでいて、そこは大して利用もしてないのに、自分は借家人だからここを利用したいというふうに主張している。しかし一方では、例えば長男が結婚し家族がふえてどこにも行くところがない、どうしてもそこに住まないと長男は住めるところがないんだ、こういうような貸し主の方に事情がある。そういうようないろいろな事情が絡まってきまして、これはやはり貸し主の方に正当事由がある、こういうふうに裁判所が判断しているわけでございまして、よほど借り主の方にほかに建物があってそれを第三者に貸して相当の収益を上げているというような事情でもない限り、大体借り主の方の使用の必要性というのは今までの判例でもまあ認められておるのではないかというふうに思うわけでございます。 ですから、先生も御指摘のような、ここに住みたい、あるいはここにしか住むところがないというような方について、この新しい第六条の規定の運用として、裁判所が、立ち退き料さえぽんと高額に申し出れば立ち退きを命ずる判決をするというようなことはちょっと考えがたいことだと、私ども今までの裁判の実務経験から申しましてもそういうことはあり得ないことではないかというふうに実は考える次第でございます。
○鈴木(喜)委員 そういうことであればある程度安心はするのですが、そういう内容であるならば、この文言もある程度、もうちょっと変えた方がいいかななどということを私は思っているわけです。「土地の使用を必要とする事情のほか」というのを、事情を第一義的にとか、それからこういうことを補完してとか、そういう言葉があればいいなというふうに私は思うわけです。それを、解釈と議事録に残った言葉だけでそのことを解釈していくとか、また裁判官の胸のうちでこれを争いになった場合に判断していくとかいうことになりますと、だんだんと法律そのものがひとり歩きをしてきまして、そこの部分で非常に悶着が起こる場合と、また弱い者がそこで泣きを見るというようなことがあると思います。泣きを見ないような形でぜひとも御考慮をいただければというふうに思います。 それで、こういう問題というのが裁判所の方で係争事例としてどのぐらいあるかということを、先ほど秋葉議員の方からもちょっと御質問があったと思いますけれども、過去五年間ぐらいにわたって、借地の紛争について地裁または簡裁の段階でどのくらいの数を受けておられて、そしてそれについて調停は、簡裁も含むと思いますが、どのくらいの件数がそれによって判決まで行って解決をするか、または和解で、途中でだんだん話し合いの中で解決をしていく件数が多いのか、ちょっとその数字的なものをお知らせいただければと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 裁判所の統計でございますが、まず訴訟について申し上げますけれども、訴訟につきましては、実は借地・借家だけについての訴訟については統計をとっておらないわけでございまして、とっておりますのが土地・建物の明け渡しあるいは引き渡し、こういう事件でございます。 この中には、今問題になっております借地・借家の問題、これはもちろん含むわけでございますが、このほかにも、例えば自分の土地をだれかが不法占有しておるというような事件であるとか、あるいは売買契約をしたけれども土地や建物を渡してくれない、こういうような事件もございますので、必ずしも全部がそうだというわけではございませんが、一つの指標にはなると思います。それについて申し上げたいと思います。 平成元年度の事件について申し上げますと、まず土地の明け渡してございます。これは地方裁判所について申し上げますが、まず新受件数、新しく受理した件数でございますが、これが四千四百二十九件、こういうことになっております。平成元年度で既済、終わった事件でございますが、この総数が四千二百一件でございます。その内訳ということでございますが、判決は千六百六十七件、パーセントにいたしますと三九・七%ということになっております。それから和解でございますが、これが千九百五十七件、パーセントにいたしますと四六・六%、それから取り下げとかその他でございますが、判決、和解以外のもの、これが五百七十七件ございまして、パーセントでいきますと一三・七%、こういうことになっております。 それから次に、同じく地裁で建物明け渡しについて申し上げますと、新受件数が一万五千七百四十六件でございます。それから既済の件数、終わった件数でございますが、これが総数で一万六千八百七十八件川そのうち判決でございますが、七千八百八十六件であります。パーセントで四六・七%、それから和解は六千二百三件、三六・八%、その他が二千七百八十九件、一六・五%、こういうことでございます。 それから、同じくこれを昨年、平成二年について申し上げますと、まず土地の明け渡し事件でございますが、新受件数、四千二百四十七件、既済が四千百八十四件。そのうち判決は千五百三十二件、三六・六%、和解は千九百九十件、四七・六%、その他が六百六十二件で一五・八%でございます。 それから、同じく平成二年度の建物明け渡し事件でありますが、これが、新受件数が一万四千七百七十五件であります。既済件数が総数で一万五千六百九件であります。そのうち判決は六千八百九十七件、四四・二%、和解が六千九十九件、三九・一%、その他が二千六百十三件、一六・七%、こういうことでございます。 なお、これらの事件は、地裁のほかにも簡裁にも事件は少ないですが係属いたしますので、念のためそれも申し上げたいと思います。 まず、簡裁の平成元年土地明け渡してあります。新受は四百二十七件、既済が四百六十一件。うち判決が百七十一件で三七・一%、和解が百二十六件で二七・三%、その他が百六十四件で三五・六%。 次に、平成元年の建物明け渡し事件であります。これが、新受が二千九百二十三件、既済が三千百二十二件。そのうち判決が千四百四十九件で四六・四%、和解が九百三十三件で二九・九%、その他が七百四十件で二三・七%であります。 次に、平成二年について申し上げますが、やはり土地明け渡し、これは新受は四百三十六件、既済は四百六十三件。そのうち判決が百六十二件で三五%、和解が百四十六件で三一・五%、その他が百五十五件で三三・五%。 それから建物明け渡してありますが、新受が二千五百九十八件、既済が二千六百九十七件。うち判決が千百七十九件、パーセントで四三・七%、和解が八百四十件で三一・一%、その他が六百七十八件で二五・一%、こういうことでございます。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。件数、それほど変わりはないけれどもだんだんと減っていく傾向にあるし、また話し合いで解決のついていく件数と、取下げというのもほとんどの場合には要するに裁判外で話し合いがついて、それで取り下げという形をとる場合も多いでしょうから、かなりの程度、判決まで至らずに当事者間での話し合いがついていくという事例が多いように今伺いました。 こういった形をとっていきますと、やはり条文の意味というのは、裁判官の胸の内でやられるのは係争のうちの約三分の一強というものが胸の内になりまして、あとは当事者間ということになると、素人がこういった文句をどのように考えて解決していくかというところに非常に重要な意味があると思います。ですから、この文章、条文をつくる上でも誤解のないような文章というものが必要になると思うのです。 私が質問しようとしていることはまだたくさんありまして、機会も今回だけでなくまだまだたくさん質問をしていきたいというふうに思っているのですけれども、きょうは時間の画係もありますので、あと二、三だけ伺わせていただきたいと思います。 この改正の問題で、まだ一つ存続期間の問題が大きいのですが、これはちょっと次の機会にさせていただいて、改正がある、今度あるよということで今から六年前からずっといろいろな審議会の部分やらそれからいろいろな形での要綱試案とかで示されてきた。こういった現実だけで民間の間では、この法案ができるよということの、こういうのをアナウンス効果とでもいうのでしょうか、そういうものが非常にはびこってきている。その現実などを私のところなどにもさまざまな方から訴えがございました。特に東京よりは大阪の方が多いように聞いておりますけれども、今度は改正されるんだよ、借り主に非常に不利な形になるんだということ、だから今のうちに借地権なんというのは売ってしまった方が、処分した方がいいよ、これから持ち続けていてもとても簡単に追い出されてしまうというようなことで、非常に立ち退きの理由に改正されるということ自体が使われる、中身じゃなくて。そういう社会現象といいますか、そういうものが大分あったということを私の方も聞いているんです。 そういうことに使われるというのは非常に残念なのですが、大臣、こういった現実というものを御存じでいらっしゃいましょうか。そしてまた、そういうことについてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。ちょっと御所信を伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 この法案におきまして、新法の借地・借家関係の更新とかあるいは更新後の法律関係、こうしたものに関します規定を一切既存の、今までの借地・借家関係には適用しないということを法律自体で明らかにいたしております。そうしたことで、既存の借地・借家関係には新法になっても従前と何ら変わりのない扱いを受けるということにしておるわけであります。それを曲解してといいますか、相手方との交渉を有利に運ぶようなものがあるとするならば、これはまことに遺憾なことでありまして、これまでもこの法案の趣旨とか内容をわかりやすくしたパンフレットをつくって、あるいはリーフレットとか、そういったものを配布するなど積極的に法務省としても広報を行っておるわけでありますが、今後ともあらゆる機会をとらまえましてこうした法律案の趣旨、内容を国民の方々に十分理解していただく、そしていやしくもそうした誤解から無用の混乱が生ずることがないように鋭意努力をしていかなければならない、このように考えておるところでございます。
○鈴木(喜)委員 ぜひともその点も、まだこれがどうなるかも、きちんとこれが通ったわけでも何でもない段階からこういうことがあるという現実をよ書かっていただきまして、ぜひともそういうことでまた迷惑をこうむる人の出ることのないように御配慮をいただきたいというふうに思います。 そして、今大臣最後の方におっしゃいました、新法の適用ということはなくて今までどおり、今借りているところを借り続ける分には新法の適用ではなくてずっと前の、従前の借地法、借家法の適用でいくのだからそういうことはないんだというふうにおっしゃいましたけれども、しかしこの問題については、二本立ての状況というのがそう長々と続くわけはないのだよというのが、いかに政府の方でこれはないのだよ、いつまでもそういう形があり続けることも可能なのだとおっしゃっていましても、そういった二つの重複した形が続いていくということ自身があり得ないのではないか、その点ではまた近く改正があるのではないかという気持ちがぬぐい切れないのが一般でございます。ですから、このあたりの御配慮というのも非常に重要なことになるのではないかと思います。また、一度そこの賃貸借関係というものを離れて、そこから離脱した後にもう一度新たな、どこか別個に何かの契約を結ぶということがありますと、もうそのときにはこれまでどおりというわけにはいきません、旧法ということではないわけでございますから。そうなりますと、非常に、その点でもだんだんと趨勢は一本の道へつながっていくという、その傾向になっていくことはありありしているわけです。新法になったからといって借家人の地位が弱まることはないのだよとまたこれもおっしゃるんでしょうけれども、しかしそうではない。やはりここで継続性という問題については期間の問題も含めましてかなり薄くなってくるのではないか、保護に薄くなってくる面がどうしてもあるのではないかと思います。特にお年寄りの場合、また低所得者層の場合などにつきましては、そうした不安が非常につきまとっております。こうしたことに対する手当てというものなしにこの法律が、まだここで改正されたものが実施されるようなことになってきますと、一番初めの問題に戻ってしまいますけれども非常に大変な社会不安を引き起こすことにもなります。住宅ばかりでなく、税制の問題でありますとかそういうものの施策も一緒に考えていかなければならないし、次の質問の機会には、こうしたところの並行的に行わなければならない施策についてもお話をお聞きかせいただきたいというふうに思っています。 ちょっと私の持ち時間からは早いのですけれども、最後にもう一度大臣に、この法案の成立またはこの改正の点についてのこれからの御所信を伺わせていただきたいと思います。
○左藤国務大臣 この法案はまだ現在御審議をいただいておるわけでありますが、私は、この法案が成立いたしましたならば、そのことについてPRもいろいろな面でも全力を挙げて国民の皆さんに御理解をいただくような努力はするということを申し上げましたが、それ以外にさらに改正をするとかそういったことについては全く考えておりません。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 小森龍邦君。
○小森委員 さきの第百二十回の通常国会におきましてこの質問の皮切りをさせていただきました。また、いろいろな委員の皆さん方の質問に答えてこの法案の説明をお聞きをしておるわけでありますが、私は疑問とするところがますます深まってきております。そこで、ごく原理的なことでありますが、ここの原理のところを踏み外すというか認識が違えば随分異なる結論になりますので、前国会で私が質問したことをさらにその筋道をたどってみたいと思います。 その一つは、明治の終わりに建物に関する法律、私が言っておることは正確な法律名ではないかとも思いますが、そういった趣旨の法律ができまして、大正十年、一九二一年ですか、借地・借家法ができまして、そして太平洋戦争が非常に激しくなるころまたそこで一部の改正が行われた、こういう流れで借地・借家法というものが今日に至っていることはこの前の議論で承知をさせていただきました。 そこで私がお尋ねしたいことは、地球上のいろいろな先進民主主義国というのは、法律の一つの流れとすれば、先ほどもちょっとどなたかの答弁で出ておったようでありますが、フランス革命でいう、人は生まれながらにして自由であり平等である、この場合でいうと契約の自由の思想でありますが、そういう契約の自由というような形で、我が国に具体的に例をとりますと、明治の改革から封建的な法律体系が変わりまして、近代民主主義というか市民社会の方向に動いてきたときにそういう法律の体系となってきた。ところが、そういう契約の自由に任せておったのでは弱い者がやられてしまう、こういうことで、御承知のとおり社会法的な概念というものが入ってきたわけであります。 ところが、今回のこの提案なさっております新しい中身を見ておると、もう一度一世紀前に帰ろうとしておる、つまり非常に歴史の逆コースではないか、こういうふうに思うわけでございます。これは私が個人的に心配しておるのかと思ったら、例えば自由法曹団あたりでも、この今回の改正に対する評価は、市民法から社会法への歴史的な流れをここらでひとつ政府は逆回転させようとしておるのではないか、こういうような意見もお持ちのようであります。したがって、非常に大きなテーマを投げかけるようでありますが、そういうことについては法務省はどのようにお考えになっておられるか、まずこれを承っておきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 大変大きなテーマの御提示でございまして、私ども十分にお答えすることができるかどうか、いささか自信がないところもございますけれども、確かにこの明治民法というのが、いわば近代民法としてフランス革命等の影響をストレートに受けまして、法的人格の平等、財産権の絶対的保障、そういうものを前提とした契約自由の原則、それと過失がないと責任を問われないという過失責任の原則、無過失責任というのはない、こういういわば近代民法の四大原則ともいうべき原則に基づいて制定されたということは御指摘のとおりだと思います。 しかしながら、法的人格が平等だといっても現実の社会は強者、弱者という非常にいろいろなものがある、そういう状況の中で、特に人間の生活の基盤である居住という問題につきまして、この居住権をどういう形で保護するかということが明治民法施行後非常に大きな問題になった、これもまさに御指摘のとおりでございます。 明治四十二年の建物保護法というのは、俗に言う売買は賃貸借を破るという民法の大原則に修正を加える大変な法改正でございまして、これによりまして賃貸人の地位の安定の第一歩が図られた。しかしながら、この賃借権の存続期間という点についてはまだ不十分な点がございましたので、大正十年の借地法あるいは借家法の制定によりましてその長期安定化が図られた。民法の原則に従いますと賃貸借の存続期間は二十年を超えてはならないわけでありますけれども、借地法におきましては二十年を超えなければならない、二十年以上でなければならない、こういうふうにまさに逆転をさしたのが大正十年の借地法でございます。さらに昭和十六年の戦時下におけるいろいろな国内の事情というものもございましたけれども、いわばこの借地人、借家人の生活の安定を図るという意味で正当事由条項が追加された、こういうことになるわけでございます。これは社会政策立法と申しますか、社会法化と申しますか、いろいろな呼び方はあると思いますけれども、基本的に借地人、借家人の権利を保護し、その権利の安定化を図る、こういうことがずっと行われてきたということは否定できないところでございまして、借地・借家法が民法という基本法に対する特別法であると言われるゆえんであろうと私どもは思うわけでございます。 今回の改正は、このような借地人、借家人の保護、その権利の長期安定を図るという基本路線についていささかも手を加えようとするものではないというふうに私どもは考えているわけでございます。ただしかし、一律に存続期間等についての規定をそのまま適用することは現在の社会経済情勢、土地を貸す方の立場あるいは借りる方の立場から見ましても不適当である。例えば午前中も議論が出ましたけれども、土地を貸せばほとんど半永久的に返ってこない、したがってそのために地主としては高額の権利金を要求するというような経済現象が出てきているわけでございますが、貸しにくくなり借りにくくなるというような現象が一方では指摘されてきたわけでございます。そういうような社会経済情勢の変化を踏まえて、これに適合しようということで今回の改正案の御審議を願っているわけでございまして、基本的に先生御指摘のような民法の原則に対する社会法化と申しますか、そういうものについての原則は全く変わってない、このように御理解を賜りたいというふうに考えている次第でございます。
○小森委員 明治の終わりの建物保護ニ関スル法律、このときは明らかに我が国の経済社会というものが資本主義的な発展を遂げようとする取っかかりのような時期でありまして、これは明らかにやはり都市に集中してくる労働力といいますか、そういう者の居住基盤を安定させなければ経済の仕組みというものが成り立たないという社会の必要性があったと思うのです。これは、私から言いますと、本当に都市に居住する者がかわいくてやったというよりは、むしろ資本主義生産方法というものを発展させるというところに政府のねらいがあったというように思います。しかし、期せずして、そういう政府のねらいと、それから都市に住まんとする人、居住者の利益といいますか、利便というものがそのねらいと一致したというところに、これはもう歴史は必然的に多くの人の利益を無視しては成り立たないという歴史のコースを意味しておると私は思うのです。そして、今度は大正十年でありますが、幾たびかの戦争を経験いたしまして、そしてある程度国の経済的な実力ができた。もっといわゆる生産力というものが伸びていける、そのためにはもっと労働力を確保しなきゃならぬ、都市周辺、工場周辺に労働力を確保しなきゃならぬということで、現行の借地・借家法というものは、少しひねくれておるかもわかりませんけれども、私はそういうふうに社会史的に分析をしておるわけであります。戦争中、一九四一年、昭和十六年の改正というものも、あの戦時体制下でがたがたするようなことがあってはいかぬ、やはりみんなの戦争への力の結集ということが必要であるし、またそのときの労働力の必要というようなこともありまして、居住というものを安定させなかったらだめだというものが加わって、その節々がみんなそうなっておると思うのですね。 そこで、私が先ほど市民法、社会法の関係を問題提起をいたしましたのは、今日はどうなのかという問題ですね。これはまことに私からすれば残念だと思いますけれども、今日の時点は、政府が言っておるような要するに貸しやすく借りやすくというのは、それはうたい文句の、表面つけた理屈だと私は思うのです。今日は何かというと、やはり大きな力を持ったもの、えらいぶしつけな言い方でありますが、今日の政府を支えておるような我が国の経済的実力を持ったもの、そういうものの利便を図るということが第一義的ではないか、私はそう思っておるのであります。これは後にまた十年更新とかあるいは正当事由とかを細かく分析していきますと少なくとも私の立場から証明できると思っていますが、大変大きな問題を冒頭から投げかけるようでありますが、今の分析についてどのようにお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 明治四十二年の建物保護法とか大正十年の借地・借家法の制定、あるいは昭和十六年の正当事由追加の改正、これをどういうふうに歴史的に評価し、位置づけるか、こういうことについてはいろいろな議論があるということを私どもも承知していないわけではございません。単純に借地人、借家人の保護というような社会立法という見方で見るのか、あるいは我が国の産業資本主義の健全な発展のために必要だったということで建物保護法、借地法、借家法の制定あるいは昭和十六年の改正というものをとらまえるかということについての歴史家の評価というものがいろいろあろうかと思います。 小森先生のような御指摘の見方もあるということを私実は承知しているわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういう歴史的な評価というものは別といたしまして、やはり借地人、借家人の権利が安定的に保護されるということ自体においてはこれは変わりはないわけでございまして、そのことが現在の社会でも要請されておる、こういうふうに考えておるわけでございます。歴史的な評価をどうするかということについては、これをまた後世の歴史家がどういうふうに評価するか、これは一つの考え方だと思いますけれども、そのように考えておる次第でございます。
○小森委員 これは日本に限ったことではなくて世界の大きな思想の流れでありますけれども、日本の歴史で言えば、明治の初年に福沢諭吉先生が、人は生まれながらにして自由で、あり平等であると言った。アメリカの独立宣言で言えば、ジョージ・ワシントンあるいはフランクリンとかジェファーソンとかそういった偉い人が、要するに人間め自由と個人の独立と尊厳ということを独立宣言で高らかにうたったわけです。フランス革命もそういうことですね。ところがそのときは、封建的ないろいろな枠組みで人の自由を縛っておったのでは産業資本主義の方向に向かうことができないということで、これも簡単に言うと、その時代の新しくの上がっていこうとする支配階級の都合でそういうことを言ったわけですね。だから、自分たちと直接関係のないことはそういう項目を掲げながらも適当にそれは無視してきたのであります。日本で言えば部落問題です。そういうふうに私は思うのであります。だから、契約の自由というのも、時の大きな力のある者の私情で、自分たちの都合でそういうことを言った。しかし、それが全体とすれば、歴史の流れる方向に向かって人の自由をある程度保障したということは事実なんです。そういう意味で私は歓迎しておるのであります。したがって、現行の借地・借家法がそういう意味では日本の歴史の流れの中で結果として人々の利益を守るに役立った、こういうことで評価をいたしておるわけであります。 ところが、今日の時点になりましてそれとは逆の、つまり一つのパターンから言えば、契約の自由というような物の考え方でアダム・スミスの国富論のようなことを、そのものずばりじゃないけれども、そういう原則に帰ることが日本の産業経済の発展で、今日の土地をめぐる権利関係からいくとそれが正当なんだと言われることが、どうもそのときそのときの御都合主義の議論のように聞こえていけない。これは後ほど正当事由とか更新十年の問題とか、私、時間の関係できょうは直接議論できないと思いますけれども、例えば調停前置主義というような便法を入れたことなどは、すべて政府が積極的に意識をなさっておるかどうかはわからぬけれども、客観的には私は、そういう大きな動きに作用させられて非常に弱い立場の者の利益というものが少し横の方に追いやられておる、こういう感じがしてならないのであります。 そこで、そのことに関係をして人権擁護局長にお尋ねをしてみたいと思いますが、一体日本における市民法、具体的な法律じゃなくて市民法的権利といいますか、私はこれを市民権的基本権とか自由権的基本権という言葉で表現していますけれども、そういう人間の自由というようなことが我が国社会で本当に定着しておれば、その後三十年とか五十年とか七十年後に出てきた、けさほどの議論からすれば社会政策的に出てきた現行借地・借家法、これを私は社会権的基本権と名づけますが、もともとの市民法的な権利というものが定着しておれば、これもある程度成熟をしまして、そして人々がほぼ満足すべき状況でその権利を使うことができるわけでありますが、市民法的権利が非常に未熟であって、その上に継ぎ足しとして社会法的な法律ができてきて、それもなお未熟で、未熟だからけさほど我が党の秋葉議員が出てきまして自分の体験的なところからなかなか権利を守れないんだという意味のことを言っておったと思いますが、未熟な上に未熟なものが重なって、そして今度は、未熟だからもう少し熟していこうという政府の方針があるのならよいですけれども、それがまた逆の方向へ戻るということになることを私は懸念しておりますので、人権擁護担当の局長として、今日の我が国国民の権利意識というものを、市民法的な観点と社会法的な観点でどのように実務を担当されておってお考えになっておられるか、ここをひとつお聞かせいただきたいと思います。 〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
○篠田政府委員 ただいま委員から御質問のありました問題は非常に大きい問題でございまして、実は自由権と社会権の関係、あるいはいわゆる自由権的な権利、社会権的な権利、その関係をどう考えるかというのは、いろいろな考え方があるわけでございます。 それで、まず第一に権利の発生の順序から申しますと、歴史的にはまず自由権が発生し、それからそれだけでは必ずしも十分でないということで社会権という権利が認められてきた、そういう歴史的順序になるわけでございますけれども、まず、その自由権的な権利が我が国において現在どの程度定着しているかということでございますが、これは戦後新しい憲法になりましてから次第に定着して、かなり定着しているのではないかと考えております。しかしながら、まだ十分というところまでは行っていないというふうに思われます。 それに対して社会権の方はどうかといいますと、これもやはり、社会権というのはどちらかといえば国がむしろ積極的に実現していかなければいけないということでございますけれども、これはむしろ具体的な権利というよりは国の政策的なものという色彩が強いわけでございます。 したがって、いろいろ財政的な見地からの制約とかそういったものを克服しながら、できるだけ実現していかなければならない権利というふうに考えておりますけれども、今御質問の借地権、借家権というのが社会法的なものかどうかという点については学説上も議論のあるところでございまして、判例もそれを学問的にどっちかであるというふうに決めた判例は私としては承知しておりません。 そういったことで、その借地権、借家権につきまして、それがどういう性格のものかという点については私の立場からは議論するのを差し控えさせていただきます。
○小森委員 市民法的ないわゆる自由権的基本権がどの程度定着しておるかとか、あるいは社会権的な権利意識というものがどの程度定着しておるかということは、なかなか言葉で表現しにくいと思います。しかし、例えばさきの通常国会でしたか、その前の特別国会でしたか、議論になりました例の梶山法務大臣の発言、これは最終的にはやはりアメリカの黒人に対する差別であったと認めざるを得ないという意味の当時の梶山法務大臣の方で答弁がございまして、そこまでの認識に到達していただければひとまずそれで基本的な路線に乗ったわけでありますから私は子といたしましたけれども、こういう発言が閣僚の中から出てくるということ、これが私はつまり、人間は生まれながらにして自由であり平等であるという福沢諭吉先生が「学問ノスゝメ」の冒頭に書かれた思想がまだ我が国に定着していないことの何よりの証拠ではないか、そう思いますが、人権擁護局長、いかがでしょうか。
○篠田政府委員 仮に百点満点で採点して何点ぐらいかということになりますと非常に難しい問題ですけれども、確かにまだ百点には達していないというふうには考えておりますけれども、やはり戦後四十数年の間に次第に得点は上がってきているというふうに考えております。
○小森委員 人権擁護局長が確かに物事は前へ進んでおると言われることに私は大変な疑義を感ずるのであります。例えば、戦後間もなくとかあるいは高度経済成長時の五十年代の後半ぐらいから六十年代ごろにかけて政府の閣僚がそういうことを言うたということは、私聞いていないのであります。ところがこの時点になってそういうことを言うということは、この現象一つつかまえて言うならば逆コースでしょう。 もう一つ例を出しますと、例えばこの間警察がタイの女性を、不法入国の理由で保護しておったのでしょうけれども、これ渡したですな、暴力団に。これなんかは人権感覚がないことの証拠でしょう。だからそういう意味で、我が国の人権擁護の番人たるべき人権擁護局長が確かに物事は進んでおるというようなそういう見方をしたんじゃ、世の中正しく分析できないと思いますよ。余りこれくどく言ってもいけませんから、もう一遍だけちょっとそれ、どういうお考えですか、お聞かせください。
○篠田政府委員 歴史の流れというのは一進一退を繰り返しながら進んでいくということがございまして、例えばフランス革命に始まるフランスにおける人権の歴史をたどってみましても、一進一退を繰り返しながらやはり長い目で見れば進んでいるというわけでございます。したがいまして、私が申し上げたのは、長い目で見れば前進の方へ向かっておりまして、個々の問題を個々の点でとらえればそれはまた後退している面もこれは否定できないと思います。
○小森委員 私が期待しておるのは、我が国政府の中の高級官僚の中では人権擁護局長が率先して、いや、人権はむしばまれそうで危ないんだとあなたが言ってくれなければ、政府の機構がバランスを持って発展をしないと思うのです。ところがあなたが先頭を切ってうまくいっておると言うたんじゃ、やがて人権擁護局廃止法案というのを出さなければいかぬようになるでしょう。だからそこらの点を私は考えてもらいたいと思うのです。 もうあなたに質問するのをこれでやめようかと思ったけれども、もう一つ言ってみましょうか。後に文部省からもちょっと私聞きたいと思うけれども、要するに、この間広島県の三原市の小佐木島というところで、コンテナの中に少年と少女を入れて蒸し焼きにしたような事件がありましたね。これはどうですか。これ、民主主義が進み人権感覚ができ、しかも事が公教育ではないけれども教育の名のもとに行われて、三十度ぐらいの気温のときにはあの中は四十度を超えます、三十五度ぐらいになったら五十度ぐらいになりますけれども、蒸し焼きされたんですよ。そういうことが行われる今日の社会の状況を見たら、人権問題についてもっと思想普及しなければならぬということはあなたお感じになりませんか。
○篠田政府委員 テレビ、新聞等で報道されております風の子学園のことをおっしゃったのだと思いますが、この事件はまことに痛ましい事件だというふうに認識しております。こういう事件は二度とあってはならない事件でございまして、私ども人権擁護に携わる者といたしましては、この事件につきましては現在鋭意情報収集中でございます。 また、一般的な啓発といたしましても、いじめ、体罰の問題、それから不登校児の問題、そういった子供の人権に係る問題につきまして、より積極的な活動をしてまいりたいと思っております。今御指摘のような事件が起こるということは、やはりこれは人権上ゆゆしき事態だというふうに認識しております。
○小森委員 そういうことで人権感覚というものが必ずしも定着をしていない、こういう社会情勢のときに、歴史的にはおおよそ一世紀前にさかのぼるような、この法律は七十年ほど前のことですけれども、この政治や行政を動かす感覚あるいは社会的な物事に対する考え方というのをおおよそ一世紀ほど逆戻りをしたようなことが正しいんだという風潮でここで審議されることを私はまことに遺憾に思うのであります。 それで、人権擁護局長、ちょっと先ほどの一般的な人権問題から立場を変えまして、今日の部落問題というのは、明らかに市民法的な自由権的基本権、もとの権利ですね、それが明治の改革のときに保障されなくてずるずるっと来ておるのですが、そういうことを考えて、今度はそこから今日的に問題を解決しようとするいわゆる同和行政、政府が言うのは地域改善対策といいますが、そういうことについて、あなたは市民法とか社会法とかとの絡みでどういうふうにお考えになっておられますか。大体今一般的なことを言ってもああいう事件が起きてくるわけですからね、だから相当これは慎重に考えなければならぬと思うし、先般来法務大臣も予算委員会で答弁されておりましたけれども、差別事件もなお厳しい、こういう答弁がございましたが、人権擁護局長、どうですか、そこらの認識は。
○篠田政府委員 同和の問題が市民法、社会法、どういうふうにかかわるかという御質問でございますけれども、まず、本来保障されなければいけない自由が保障されていない。例えば、就職とか結婚の場面における差別、そういった点につきましては、これは自由権的なものがまだ十分保障されていない点がある、そういうふうに考えます。それから、生活面につきましては、社会法的な側面もやはりあるというふうに認識しております。
○小森委員 質問者を次に進みたいからここでまとめざるを得ないのでありますが、例えば大阪府が大阪の同和地区の居住水準というものを調査したデータが最近出てきましたが、要するに建設省がどこかにあるのでしょう、最低居住水準というのが。その最低居住水準以下のものがまだ一八・五%ある。だから、居住などそういうものが満たしていないということになると社会政策的にそこのところをてこ入れしていかなければならぬものだと思いますが、そういうものを指して人権擁護局長は、少し緩く言えば社会政策、私の感覚から言えば社会権的基本権の保障、こういうふうに私は言いたいのですが、その点どうですか。住宅問題などをうまくやっていくというのは、これは居住、移転の自由ということで憲法の条文からいえば市民法的な色彩も強いですけれども、それを政府が政策的にてこ入れをするということになると、これは社会権的な、社会法的な色彩を強く持ってくると思いますが、そういうところは人権擁護局長、どういうふうに分析されますか。
○篠田政府委員 これは住宅政策がどちらかということになりますと、私としてはちょっと公権的な立場から申し上げるわけにはいきませんけれども、個人的な見解といたしましては、自由が侵害されている、平等ではない、そういった点で平等の段階にする、それから自由を回復する、そういった点では自由権的なものだと思いますけれども、政府の方でよ力積極的に水準を高めていく、そういう観点が入ってまいりますとこれは社会法的な問題ではなかろうかと考えます。これは個人的な見解でございます。
○小森委員 建設省にお尋ねをしますが、最低居住水準になお満たないものが大阪の調査によりますと五千六百七戸という数字が出てまいりまして、パーセンテージでいきますと一八・五%という数字が出ておるわけであります。これを住宅政策として解決するために政府は一般的な公営住宅をもってこれまでずっと臨んできておるわけでありますが、一般的公営住宅で臨むということは、これは私らは両面があると思うのです。つまり、人は生まれながらにして自由であり平等であるというところが保障されていなかった。しかし、世の中はどんどん進む。ほかの法律体系は社会法的なところまで進んできておるというような、非常に盆と正月が一遍に来ておるような状況の中でこの政策が行われるわけでありますから、一般公営住宅でやられる建設省とすれば、この住宅政策というものはどういう権利関係としてお考えになっておられるわけですか。
○川村説明員 私ども住宅政策といたしましては、低所得階層の方々に対しましては、特に民間に入居するということは難しいわけでございまして、公的な力で住宅を供給いたしまして入居していただこうというふうに考えておるわけでございます。ただ、これが先生おっしゃるように直ちに入居の請求権という形にまで法律上構成されておるかという点については、そこまでは私どもも考えていないわけでございまして、ただ救済を必要とする階層の方々にはできるだけの住宅を提供していきたいというふうに考えて施策を講じているところでございます。
○小森委員 さらに建設省の方にお尋ねをいたしますが、今回一億三千万になんなんとする我が国国民の居住の生活において、最低居住水準というのは、住宅のスペースの問題もあるのだろうと思いますが、とにかく建設省が考えられる基準以下のものを解消する、あるいは基準以下のものを解消すると言うにとどまらずとにかく住宅がどの程度不足をしておるかということについて、建設省は今どういうデータをお持ちでしょうか。どのくらい不足しているかということについてお答えいただきたいと思います。
○川村説明員 昭和六十三年の住宅統計調査によりますと、全国の住宅は約四千三百万戸でございます。それに対しまして、世帯数は三千八百万戸ということでございまして、一世帯当たり住宅数としては一・一一というデータがあります。そういう意味では住宅の数が世帯数を上回っているということでございますが、空き家等もございますので、空き家を除けばほぼ一対一というふうに均衡しているわけでございます。 それから、先生御質問の最低居住水準未満の世帯がどれくらいあるかということでございますが、これは九・五%ということでございます。私ども今年度を初年度といたしまして第六期住宅建設五カ年計画を作成いたしておるわけでございますが、最低居住水準未満の世帯につきましては、できるだけこれを解消するということを目標にいたしまして、各般の施策を講ずることといたしております。
○小森委員 どのようにこれを解消するかということについて、鋭意解消に努めると言ったのじゃ、聞いた後と聞かぬ前と同じなのです、私の頭の中は。だから、どのようにするかと言ったら、どのようにするというある程度のプロセスを明らかにしてもらわないと私の頭の整理はできませんので、面倒でしょうけれども、その点もう一度お答えいただきたいと思います。
○川村説明員 第六期の住宅建設五カ年計画におきましては、期間中の住宅総建設七百三十万戸というふうに見込んでおります。このうち三百七十万戸を公的な住宅ということで考えておりまして、公的資金による住宅でございます。この中にはもちろん金融公庫等による融資等を受けた住宅も入っておるわけでございますが、公共的な賃貸住宅といたしましては三十八万五千戸といったものを予定いたしておりまして、これによりまして低所得者層の方々を初めとして、そういう方々に公的な住宅を供給していきたいというふうに考えているところでございます。
○小森委員 そこで、第六期の計画に基づいて七百数十万戸を目標に定めておって、それを政府が公営住宅として三十八万五千戸。そうすると、圧倒的部分は民間に頼らざるを得ないのですが、その民間に頼らざるを得ないことと関係して、貸しやすく借りやすいということで今回の法律と直結したのでしょうか、その点はどうですか。
○川村説明員 今回の法律改正につきましては、賃貸借関係が明確にされる、あるいは将来の権利関係等がはっきりされるというようなことで、少なくとも住宅、貸し家の供給促進という意味では効果があるのではないかというふうに考えております。
○小森委員 そこで、その問題についての私なりの整理をしますために国土庁の方にお尋ねをいたします。 我が国の今日の、お互いが生活をしていく上で、あるいは企業活動の場合も、それを含めまして大体使える土地の面積というものがほぼ見当ついておると思いますが、その使える面積のうち、政府の使われる言葉でいわゆる大企業の部類の法人がどれくらいの割合で土地を保有しておるでしょうか。 〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
○板倉説明員 お尋ねの件につきましては、法人一般の問題として御説明申し上げますと、法人の土地所有の状況につきましては、民有地に占める法人の所有面積の割合は近年増加傾向にございまして、昭和四十五年に八・六%でございましたものが平成二年には一二・九%となっております。特に大都市部におきましては、東京都区部の宅地を例にとりますと、昭和六十年以前はほぼ横ばいで推移してまいりましたが、法人の土地所有割合が昭和六十年以降増加に転じておりまして、昭和六十年から六十四年までの間に二五%から二七・四%となっておりまして、この時期に法人による宅地の買い入れが活発であったということがうかがえます。
○小森委員 後ほどまたそれは続いて国土庁にお尋ねをしたいと思いますが、この辺でちょっと法務省の方へ話を戻します。 こんな現象になるということは、貸しやすく借りやすくというような形で今こういう法案を提案することが時代のニーズにこたえたということにはちょっとならぬと私は思います。要するに、困った状況になったというのは我が国の経済政策あるいはそれと関係して土地政策、そういうものとの関係、もっと言うならば、法人が経済的にうんと力を持ってきて、今たちまち使わない土地を保有するようになった、こんなことが一番大きな問題でありまして、私が思うのはですよ、つまり零細な、居住の安定を求めて生活をしておる市民の皆さん方にとばっちりが行くというのは、これはまさに弱い者いじめの政策ではないか、こう思いますが、この点どうでしょうか。
○清水(湛)政府委員 国土の利用状況とかあるいはそういうものを基本にして土地政策をどう進めるか、ある。いは住宅政策をどう進めるかというのは、建設省なり国土庁のそれぞれの専門家が十分に検討されておることだというふうに私どもは考えているれけでございます。ただ、そういう土地政策とかあるいは国土の利用政策というものとは違いまして、借地借家法と、いうのは、地主、家主である個人、借り主である個人、こういう方々の法律関係、契約関係というものを合理的、公平な見地から調整するということを目的としているものでございます。いろいろな土地の利用状況というものを見ますと、現在のような画一的な借地法あるいは借家法ではなく、いろいろな場面場面で対応することができるようないわばメニューというものをもう少しふやしてほしい、こういうような要請が現実の問題としてあるわけでございまして、そういうメニューを新たに現在の社会経済情勢に照らして付け加える、こういう意味での改正をお願いしているわけでございます。 その結果として、前にも申し上げましたように、利用しやすくというか、貸しやすく借りやすくというのは確かに一つのスローガン的な言葉でございますけれども、地主の方としても今まで貸し渋っていたものを貸すということが出てこようし、あるいは借りる方でも安い権利金で借りることができるというようなことが期待されるわけでございまして、その結果として良好な借地・借家の供給の促進にも資することになるだろう、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。したがいまして、この借地借家法案が直ちに土地の有効利用、高度利用とかあるいは大量の住宅供給、こういうものを目的とするものではございませんので、これは建設省なり国土庁にお伺いいただくことでございますけれども、少なくともそういうことを促進する一つの面があるというふうに私どもは考えている、そういう意味での借地借家法案だ、土地政策全体の中での位置づけというものはそういうものであると御理解賜りたいと思う次第でございます。
○小森委員 そこで、先ほどの質問を補強するためにさらにお尋ねをしてみたいと思いますが、これは今パーセンテージで出てきたわけなんでありますけれども、面積で数字をあらわしていただくとどんなことになるでしょうか。
○板倉説明員 企業の土地所有の動向につきまして面積でどうかというお尋ねでございますが、私どもの資本金一億円以上の企業を対象とした調査によりますと、平成元年度におきまして、これは私ども二万五千四百七十七社を対象にアンケート調査で実施しているものでございますが、回答がございましたのが、一万六千二百九十三社から回答を得ているわけでございます。その結果によりますと、事業用土地の所有企業は一万四百六十二社、面積にいたしまして六十七万六千六百九ヘクタール、販売用土地の所有企業は千四百三十二社、面積にしまして七万一千四百十八ヘクタールとなっている次第でございます。
○小森委員 こういう数字が出てまいりますと、今日のいわゆる住宅用の土地の供給、つまり居住の安定を図るというか、そこをスムーズに社会の状況、発展する状況に対応していくことのネックになっておる最大の問題は、やはり法人が土地の値上がりを目指しておるのか、あるいは銀行で金を借りるのに一定の不動産を担保にしなきゃいかぬからということでそうなっておるのか、そうなればまた銀行の問題にもなってきますけれども、要するに円満な社会の発展を阻害しておるところはここじゃないのですかね。これを考えてもらわないと、これをある程度土地政策で、最近地価税などのことを議論いたしましてある程度はそれやろうとしておるのでありますが、しかし根本的なところはここだということを考えていただかないと、この根本のところを忘れて、そして何だか現象的に貸借関係で千のうち一つあるとか五百のうち一つあるとかの要するに非常にいびつなうまく解決つかない問題、あえて言うならば、このごろは借りた者の方が強いんだからというような、そういう言い方で非常に問題を矮小化して、そして善良なる圧倒的な多数の市民がここで不安定な思いをするということは、政府の政策としてとるべきことではないじゃないか、こう思いますが、先ほどの法人の土地所有関係に絡んでどういうふうにお考えでしょうか。これは民事局長というよりは法務大臣の方がよいと思います。どうぞ法務大臣。
○清水(湛)政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、法人がかなりの利用可能な、宅地として利用可能な土地を保有しておるという状況でございまして、そういうものをどういうふうに有効に良好な宅地を供給させるために活用していくか、これはすぐれて土地政策、あるいは税制も絡んでくると思いますけれども、そういったたぐいの問題だと思います。まさに建設省なり国土庁なり大蔵省のそれぞれの専門家が真剣に検討していただいている問題だというふうに思います。 私どもの借地借家法というのはそれとはやや違いまして、個人対個人の権利関係を合理的に公平に調整する、こういうことがきちんとされる、きちんとされることによって土地の利用関係というものも安定してくる、安定してくることが、実はあるいは国土庁なり建設省なりがこれから大量の住宅供給とか借家供給をしていく場合の一つの前提条件、基本的な条件になってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味では、民法と同じように最も基本的な法律としてこの辺をきちんと整備しておくことがまず肝要であろう。それが先生御指摘の、法人が大量に保有している未利用地の利用というものにどういうふうにつながるかということは私どもにはわかりませんけれども、少なくとも最も基本的な土地利用をめぐる個人対個人の法律関係が明確化されるあるいは多様化されるということによって、それをベースにしたいろいろな行政施策というものが展開されるということもまた期待し得るところではないかというふうに思っているところでございます。
○小森委員 民事局長の答弁と余り変わらないのではないかと思うけれども、ひとつ国務大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
○左藤国務大臣 今民事局長から御説明、お答え申し上げましたが、こうした一つの大きな社会の中におきます経済的な問題、そして社会的な問題、これの一つのバランスのとれた発展というものを我々は考えていかなければならないだろう。そうしたことで、ただ、土地の問題につきましては、一つの大きなバブル経済の中の一環としてそういうようなことが問題になりまして、土地政策の一つとして地価税のようなものについても御審議をいただいたことでもございます。今一方でそうした努力をしておりますけれども、その住宅政策の中で今度はやはり公平な運営というものができるような体制をつくっていきたい、それをまた今回も一層そういったことを願っての改正である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○小森委員 これは建設省にお答えをいただくか国土庁にお答えをいただくか、私の質問に対して一番近い関係のあるところからひとつお答えをいただきたいと思うのですが、労働省あたりに来ていただいておけば労働省に答えていただくのが一番よいかもわかりませんけれども。 結局この東京、我が国の首都に周辺から、首都圏と言われておるところから毎朝たくさんの人が働きに来ておられますが、平均というのもちょっとおかしいですけれども、大体平均的に時間、距離にしてどのくらいのところから東京に勤めておられるだろうか。そして、最も遠い人といえば、それは名古屋からでも来れぬことはありませんけれども、それは高い新幹線の料金払わなければなりませんから、そうでなくて普通の、一般的なサラリーマンが東京に働きに来るのにどれくらいの通勤時間を要することになっているだろうか、こんなことをひとつお答えをいただきたいと思います。
○田中説明員 お答え申し上げます。 通勤の関係でございますけれども、私どもが持っておる調査、国勢調査の結果でございますが、都区部への通勤者がどれぐらいおるかという数字でございますが、昭和六十年時点で都区部全体への通勤流入人口というものが二百六十万人という形になっております。 どこが多いのかということも御質問の中にあったと思いますが、中ではやはり埼玉県、千葉県、東京都か並びに神奈川県といった周辺三県と部か、ここから通ってきている人数が大きいということをお答えさせていただきます。
○小森委員 二百六十万人もの者が毎朝すし詰め電車で通って、ここへ来るまでには相当の労働力を消耗して疲れ切って来る、こういう状況で、まことにこれは不経済なことだと思います。すると、結局、なるべく都心に近いところで住宅地が供給されなければならない、こういう結論になるのでありますが、今まで借りた者が返さないというような、これは私は一種のこじつけ理屈だと思うのですけれども、もし借りた者が返さないならば、なぜ都心部の入口が減って周辺へ周辺へと追いやられていったか、その周辺へ追いやられていった者が職場だけはこっちの都心部にあるから職場へ毎日二百六十万人も通ってこなければならぬ、こういう事態が数字的にもおおよその見当がつくのですが、そこらはどういうふうに説明なさいますか。つまり、実情に合わぬ、実情に合わぬと言うけれども、人々は市民的権利とか社会権的基本権とかの、我が国は先進国では私は人権感覚が非常に乏しい国だと思いますけれども、何しろ大臣が差別発言するような国ですからね。そして、もっともっと政治の中枢部におる人も幾たびか差別発言をしていますよね。だから要するに、人権感覚が非常に乏しいから、したがって逆に、今まで確保しておった住宅地を追い立てられて遠いところへ行かされたということは言い得るとしても、何かねじれてねじれてへ理屈をつけて、そこへへばりついて土地から離れぬのだというようなことは成り立たないと思いますが、どうでしょうか、その点。
○清水(湛)政府委員 私も必ずしも都市あるいはその周辺部の具体的な土地の利用状況というものを行政的に正確に把握しておるというわけではございませんけれども、御指摘のように、都市部の昼間人口は非常に多いわけでございますけれども、夜間人口ということ、つまりそこに住んでいる人というものが非常に少なくなってきておる、現実にはドーナツ現象と申しますか、周辺部から東京の都心に通勤するというような事態が生じておるということは、個人的な常識としても承知しているところでございます。 その原因をどう考えるかということでございますけれども、これにはいろいろの、地価の上昇の問題あるいは都心部の住環境の問題、生活のために必要ないろいろな施設の問題その他もろもろの問題があると思いますけれども、やはり一つには、そういうところに住もうと思いましても、適切な借地あるいは借家というものを求めるのが非常に困難な状況になっておるということが一つの原因ではないか。これはしかし、借地借家法という平面から問題をとらえるというよりか、やはり我が国の土地問題という大きな視点から考えるべき問題であろうというふうに思う次第でございます。
○小森委員 それでは、ちょっと私の方から逆に数字を示したいと思いますが、新たに土地を都心部に探して、しかしなかなかそれが求めにくい、貸したがらないというようなこと、そういう説明ではどうしても説明のつかないものがございます。例えば、東京都千代田区、これは現在人口が四万五千ほどだそうでありますが、この間私、ラジオを聞いておって四万五千だと聞いたからびっくりしたのであります。私はもっと何十万もおるのかなと思ったら、そうではなくて四万五千人でございました。ところがその千代田区は、国勢調査で人口動態を調べてみますとどういうことかといいますと、一九七五年、昭和五十年は六万一千六百五十六人いたのであります。ところが、それが次の、五年後の国勢調査では五万四千、約五万五千に下がり、それから次は五万人ほどに下がり、次々に下がっていきまして今日では四万五千。これが一九五五年、昭和三十年ごろは十二万数千いたのであります。三分の一になっておるのですね。これは、大体その人たちが借家にいたかあるいは自分の土地の上に自分の持ち家として建っておったかは別として、そこの数字はなかなか正確にはつかみにくいと思いますけれども、一応そこに住居を構えておった者が、簡単に言うと、物すごい経済的実力のある者がその地域にいろいろな開発を行っていったところほど外へ出ておるという現象なんですね、これは。そうすると、今の法律が悪いから、したがって土地の供給がうまくできぬのだということは、これは全くうそということになりませんか。いかがですか、それは。
○清水(湛)政府委員 東京都の都心というようなところは、むしろ住宅よりもあるいは事務所ビルのための適地ということが言えるのかもしれませんが、私ども、先生の念頭にあるのはいわゆる定期借地権の制度だと思いますけれども、この定期借地権についての需要というのは具体的にどの地域に集中しているかということについての正確なデータを持っているわけではございません。むしろ都市同辺部、二十三区内でも例えば環状線、環八周辺にはまだ農地とかそういう空き地で残っている地域がないわけではございませんけれども、そういうような地域におきましては、こういう定期借地権制度が導入されれば土地は貸してもいいというような方々もおられるという話も現実の問題として承知しているわけでございます。こういう定期借地権制度というものがどの地域でどういうふうに具体的に利用されるかということについては、今の段階で明確に具体的な見通しを申し上げることができませんけれども、やはりそれなりにかなりの利用がされるのではないか。あるところで、こういう借地権制度が実現されればあなたは土地を貸しますかという質問に対して、貸すと答えた方の方が多いというようなデータもあるという話もあるわけでございます。 そういう意味で、都心の問題と周辺の問題、いろいろ問題の性格が違うかもしれませんけれども、私どもが定期借地権制度を導入する必要があるということの背景には、そういったような考え方もあるということでございます。
○小森委員 そういう具体的な、今回の提案をされた法律に関係のあることは後ほど触れさせていただくといたしまして、ここでもう一つ数字的なことをお尋ねしてみたいと思いますが、東京都の都心部二、三の区の場合を例に挙げていただけばよいと思いますが、ここの土地の地価ですね、売買実例価額から見てどの程度のものなんですか。どこでもよろしいですけれども、ひとつ二、三の地域を列挙して、例示してみていただきたいと思います。
○木村説明員 お答え申し上げます。 東京都の地価、特にここ昭和五十八年以降地価高騰が著しくございまして、この五十八年からことし三月に公表しました地価公示までの間に、住宅地で申しますと約三倍の上昇をいたしております。個々の地点の地価水準というのは、地域によりまして、また土地柄、道路の面し方あるいは画地の状況によりまして大変千差万別でございますので一概には申し上げにくいわけでございますが、例えば世田谷区あたりの住宅地でありますと平米百五十万、二百万、あるいは場所によりましてはもうちょっと高いところとか、大変区々でございますので申し上げにくいところでございます。個別の地点がわかれば、また申し上げることができると思っております。
○小森委員 千代田区あたりではもう売ろうとか買おうとかいう土地がないのかもしれませんが、中心部の、ビルが一番集結しておる、大会社の事務所があるとか政府の建物があるとかいう千代田区の最高値はどれくらいでしょうか。それから、今副都心として物すごい開発が進んでおるように見えます、高層ビルがどんどん立ち並びつつあります新宿あたりではどのくらいでしょうか。
○木村説明員 先ほど住宅地の価格を申し上げまして、個別地点ではございませんけれども、東京圏の住宅地の平米当たりの平均価格、東京都で申しますと八十八万八千六百円ということでございます。ただ、これは都心区部のまた中心になってまいりますと非常に高い数字もございます。今、恐縮でございますが具体の数字は持ち合わせておりません。商業地になりますと、ところによりましては千万円を超えるところもございます。
○小森委員 だから住宅地の供給ということについては、こういう大変な経済的な力のある者が頑張っておるところからは庶民は追い出されていく。人口動態を見ると割合簡単に動いておるように見えます、五年ごとにぐぐっと減っているから。割合簡単に動くというのは、各人はそれぞれ悲劇を伴いつつ動いているのだろうと思いますけれども、ある意味で動けだということは、ここの土地が高くて、同じ東京都内でも他の市部の方へ行きますと、例えば調布あるいは府中、そういうところへ行くと、ここよりは多少地価が違いますので移れる。私はこういう経済的な作用があってこうなっておるのではないかと思う。それの証拠と言えばあれですけれども、同じ東京都の区部におきましてもささやかでも人口のふえたところもあるのです。千代田区などはがた減りでありますし、中央区なども物すごい減り方であります。新宿区などもそうですね。だけれども、要するにわずかでもふえたところがあるということは、私は地価の差だと思います。 そうすると、もうこれは根本的には土地政策の問題というか、我が国の経済活動に対する政府の不公平な力の入れ方というか、そういうものが今日の事態を生み出しておるのであって、この借地・借家法で物事がつまずいておることにはならないと私は思うのです。結論は同じ同じになって私は質問しますから答えにくいと思いますが、いやそうではありませんと答えるのは簡単ですけれども、ある程度はこうして数字のやりとりもしていますから、ひとつその数字のやりとりも頭の中に一定の比重を置いて答えていただきましょう。 〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
○清水(湛)政府委員 その点に関する限り私は小森先生と意見がある意味では同じことになるというふうに思いますけれども、借地・借家法が問題となってこういう都心部の空洞化現象とかあるいは地価の暴騰現象というようなものが生じたというふうに私どもも考えていないわけでございます。あるいはまた、借地・借家法が障害になって都市の再開発が妨げられているというふうには必ずしも考えておりません。これはやはりすぐれて日本の国土利用計画あるいは土地政策あるいは経済政策に係る問題でございまして、そういう大きな枠組みの中で借地・借家法というようなものが及ぼす影響というものは考えようによっては非常に小さいということがあるわけでございますけれども、少なくとも個人対個人の関係におきまして借地の利用が促進されるということであれば、またその土地政策全体の中で若干なりともそれは寄与することになるであろう、こういうことが正直言って私どもの考えておるところでございます。
○小森委員 民事局長どこのあたりの分析についてはほぼ同じだということを聞かせていただきまして、物事の一つの事実を分析する上で、ある程度その合意というか同じ考えのところまでいかないと、言うならば私の考えを今立証しつつ質問しておるわけでありますから、そこまで到達できだということは仏とすれば非常に喜ばしいことだと思います。 ところで、民事局長、重ねて、そこまで来ますと、私は次の質問に移るわけでありますが、要するに根本的には土地政策とか我が国の経済政策とかというものがこのような人口動態をもたらして、言うなれば朝の通勤ラッシュの時間というようなものが出てきて、これは豊かな社会とかゆとりある社会とかということとはもうおよそ関係のないような状況が展開をしておるわけであります。それで経済的な状況というものが弱肉強食のような格好になってきておるわけでありまして、経済の状況がそうなれば、人々の考え方もやはり大体弱肉強食的な考え方になってくる。これは先ほど私が議論いたしました人権擁護局長とのやりとりで人権感覚が大変な事態になってきておるということを指摘するのは、実は私はそういう経済的な根拠のところからそういう考え方に到達をしておるのでありますが、いみじくも人権擁護局長が言いました、これは人権感覚というのはジグザグコースをたどる。そのジグザグコースが要するに日本の経済も素直に発展しておるのかと思ったら、今回のようなバブル経済のような格好になってきまして、それが行き過ぎて破裂いたしまして、今問題になっておる証券特別委員会で議論をするような問題あるいはそれ以前のリクルートの問題なんかも株に関係をした問題だというところに、我が国経済の非常にいびつなところがあるわけです。だから、根本は民事局長が言われるように土地政策の問題であり経済の動向の問題でありますが、おおだたいのところがそうなっておるときに、余り大きな効果とか余りそのことによって手際よく土地の供給がスムーズに進むというそこまでのことは考えていないという意味のことで、ただ権利関係をきれいに正すのだというお話でございましたが、そういうふうに人権擁護局長が言われるように、権利関係というものはジグザグして時には逆の方向に向かう場合だって、歴史がこれまで我々に教えていることではしばしばそういう例がある。私もそれはわかるのでありますが、たまたまそういうふうに行ったときに、たまたまそういうふうにちょっと変なことになっておるときに、わざわざ取り急いで借地借家法のこういう提案をしなければならぬ理由はないでしょう。やはりちょっと状況を見て、素直なときに、もし政府が言われるように政府の説明される理由に十分根拠があるとして——個別私は今度は根拠のないことを、今回に限りませんけれども、また数回やりますので、私は私なりの証明をしたいと思いますけれども、しかし根拠があるとしても、今の時期やられるのは時宜を得ていないのではないですか。
○清水(湛)政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、借地借家法というのは民法と同視し得る民事基本法でございます。個人と個人、私人間の権利関係を調整するための規定でございまして、こういうものがまずきちんと整備されると、国家の歴史を見ましてもそういう私法関係はきちんと整理され、それを前提として今度は公法的な分野あるいは行政各種の政策というものが私は行われることになるのではないかというふうに考えるわけでございます。それは歴史的には逆立ちしているということがあるのかもしれませんけれども、基本的にはやはり私法秩序というものがきちんとして、それを前提として一つの公法秩序が成り立つ、こういうふうにも考えるわけでございます。 そういう意味におきまして、これからいろいろな土地政策、あるいは住宅公団等におきましていろいろな宅地造成をしていく、あるいは大量の住宅を建てるというような場合に、そういうような基本的な権利関係に関する規定が整備されるということになりますと、それがベースになってさらなる進展が土地政策上も図られることになるのではないか、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。 借地・借家法の改正につきましては、そういう土地政策の一環と簡単に言いますけれども、そういう意味におきまして、やはり昭和十六年から見ましても既に半世紀を経過しておる、大正十年から見ますともう七十年近く経過をしているということになるわけでございまして、この間のいろいろな情勢の変化というものを踏まえて、現在の情勢に適合するような形に改めるべきだという意見は、これはもうかなり前から各方面で提唱されていた意見でございまして、私ども、この借地・借家法の改正が時期尚早であるとかそういうふうには決して考えていないわけでございます。むしろある意味においては、今の社会情勢というものを考えますと、あるいはもっと早く手をつけるべき問題であったかというようなことも考えられないわけではないというふうに考えておるところでございます。
○小森委員 ごく素直に考えると、日本の国の人口もどんどんふえてきたわけですが、しかし、労働力の吸収の度合いというのは、これは女性の労働者もふえてきたというようなこともありまして、全体では物すごい人数がふえてきておると思います。そうなると、明治から大正、昭和へかけて都市に集中してくる労働力人口が多くなってきたことに対する社会政策としてここを安定させなければいかぬ。それは第一義的には企業が労働力をどう安定して確保するかということにあったと思うけれども、図らずも結果としてそれが今日の借地・借家法のように権利関係としてある程度家を借りておる者、土地を借りておる者を守る、こういう結果になったと思う。だから私が先ほど素直に見るということを前置きをしたのは、今日のように労働力人口が物すごくふえて、それで東京都内へ二百六十万人も朝働きに来るというような状況のときに、どうして今まである程度そういう立場の人を守ってきた法律をこの辺で手をつけなければならぬのか、これが私は不思議でかなわぬのであります。 この間も私、あれはどこだったか、JR線に乗りましたら、駅員が、こらっ、そんなに焦って乗ってはだめじゃろうがと言って乗客を怒りおるのですな。しかし、それに乗りおくれたら、勤め、間に合わんのですね。それで私はそのときに、何時何十分の電車でというのをちょっとメモしておこうと思って、JRの当局へ注意しようと思ったのですよ、そういう乗客に対して無礼なことを言うなと注意しようと思ったけれども、何日の日は覚えているけれども、ちょうど何分発であったかというと覚えてないからよう言わなかったけれども、そこまで通勤するのに怒られ怒られ電車に乗らなければならぬような情けない目に遭っておるわけですよ、現実は。労働力人口がふえてきておるのに、その労働力を供給する安定的な生活の基盤である住居の問題をめぐって、先ほど私が申し上げましたように、主たる原因は借地・借家法ではないということが明らかになっておるのに、しかもバブル経済その他の大変な社会的な矛盾が生まれてきて社会の不合理というものが物すごく露出しておるときに、どうしてみんなが心配するようなことをするのでしょうかね。
○清水(湛)政府委員 これは繰り返しになるわけでございますけれども、借地・借家法の基本的な枠組みというのは今回変えていないわけでございます。ただ、従来のものにプラスして新しいメニューをつけ加える、そういうメニューも利用していただく、それを利用したいという社会的な需要が現実に生じてきたということでございまして、基本的には従来どおりの借地権、借家権というものが保障されているわけでございまして、このことは全く変わっていない。恐らく委員御指摘のように、例えば借地権の存続期間あるいは正当事由というようなことについての御懸念というものがあってそういう御発言になっておられるのかなという感じもいたしますけれども、これにつきましても既存のものについてはもちろん適用はございませんし、また基本的には、新しい法律が適用される借地・借家関係におきましても、借地人の権利の保護、その権利の長期・安定的な保障というものは全く変わっていないというふうに私どもは考えているところでございまして、都市部の労働者に不安を持ち込むというようなことば私どもは全くないのではないかというふうに考えているわけでございます。
○小森委員 全く変わっていないというお話ですから、まあ時間の配分の問題もありますので、正当事由のところへちょっと入らせていただきたいと思います。 全く変わっていない、判例のとおりだということになれば、どういう必要があって新たな法文がここに出てきたのか、ここからまずお答えいただきましょう。
○永井政府委員 現行法におきます正当事由の書き方は、先ほど鈴木委員の御質問にもお答えいたしましたとおり、例えば借地法でございますと、現行借地法第四条で「土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合」という規定の仕方をしております。この規定の仕方は、この昭和十六年当時は、貸し主の側に使用の必要性があれば借り主の側の事情を考慮することなく立ち退きを求めることができるというのが絶対的な条件になっていたわけでございます。それでもう一つ、「正当ノ事由」というところで、いろいろな事情を考えて、貸し主の使用の必要だけでなくてほかの事情がある場合もいわば立ち退きを求めることができますよ、こういう規定ぶりになっているわけでございます。この規定ぶりをそのまま解釈いたしますと、要するに借りている側の事情は本来考えなくてもいい、そういう解釈が従来されていたわけです。しかし戦後の判例によりまして、これは社会的正義に反するのではないかという判例の動きによりまして、これは双方の事情を勘案しなさいというふうに実務の取り扱いが変更になったわけでございます。 それで、これだけ長年の間の判例が定着しておりますから、これを改正しなくてもこれはこれでいいのではないかという考え方も確かにあるわけでございます。しかし、長年の判例の集積の結果をどのように表現するか、また、平仮名、口語の条文に改めていく場合には、できるだけその基準というものは裁判所に対する裁判規範としてもやはり拘束性を持たせた方がいいのではないか、こういう考え方から、できるだけその要素をはっきりさせる、とりわけ双方が土地の使用を必要とする事情ということを明確に第一義的に出した方がいい、こういう考え方でございます。したがいまして、現行法のもとでも実は判例では、このように現在の借地借家法の第六条に提案しておりますような考え方で判例が運用されております。しかし、その判例の運用を担保する意味で、ある意味ではこういうふうな明確な規定ぶりにした方がいいのではないか、こういう考え方で規定をしておるわけでございまして、中身は全く同じであるというふうに考えております。
○小森委員 法律、判例で出てきたものと全く同じである、こういうことでございますが、それをよりわかりやすくするというような意味で新たにここにそういう条文がつくられようとしておるわけでありますが、しかし、そのことによって、裁判ではそのとおりの判決が出るのにそういう文章を書くことによってほかのハレーションが起きることは、幾らか計算に入れておられますか。そこは、そういう条文が複雑になるほど、先ほど私が申し上げましたように、今日の我が国社会の国民の権利感覚とか権利意識とかというものとの関係において、ちょっと強い者が口を挟むとか、場合によったら暴力団が口を挟むとか、その暴力団に、いかにも知ったらしく、この法律、新たにこういうように改正されておるじゃないかと言われれば、それはちょっと警察に行ってもなかなかうまくいかぬだろうと思うしというようなことで国民の権利が侵害されるわけでしょう。だからそこを明確にすると——ほっておいてもそれは判例では明確になる、その判例が定着しておるわけですからね。ところが、ほっておいても判例は定着しておるその方向に行くのに、新たにここでもう一つ何か問題が起きるようなことを、そこから出てくる矛盾というものを考慮に入れられておるかどうかということですな。 これは私は、地方においてもそういう土地の貸し借りとかあるいは家の立ち退きとかという問題について、民間的レベルで話に入ることがあります。しかし、そういう場合にむちゃを通そうと思う者は必ず暴力団に頼みますね。それでまた、暴力団がかなり賢らしいことを言うのですよ。かなり理屈っぽいことを言うのです。それで、つまり普通の平穏な家庭生活を送っておられる方は押し切られてしまう。警察が万能ならいいのですよ。ちょっと言うたらすぐやってくれるならいいのですけれども、日本の警察は、御承知のように強盗はする、強姦はする、タイの女性を暴力団に渡したり、むちゃするでしょう。これはすぐ言うたって間に合わぬのですよ。まじめな警察官がおられることも私は認めますけれども、全体の機能とすれば、すぐ言っても間に合わないのです。そこで余計な話の種をこの改正でつくることになるのじゃないか、こういうことを私は思うのです。 〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
○清水(湛)政府委員 正当事由に関する規定につきましては、先ほど永井審議官の方から詳細御説明申し上げましたように、現行法の規定ぶりが非常に簡単過ぎちゃってかえっていろいろな誤解を招く、むしろ貸している方に有利に解釈される要素すらある、こういうことでございます。しかしながら、判例で確立した一つの解釈理論というもの、その判例の集積があるわけでございまして、それを明文化するということでございますので、新たな要素をプラスしておるというわけではございません。 したがいまして、そういった趣旨のものであるということを借地・借家関係の当事者によく理解していただくということが必要であるとともに、先生の御指摘のように、例えば借地・借家関係の一番のポイントはこの正当事由に関する規定についての争いでございますので、そういう際に、例えば暴力団が介入するというようなことがあってはこれは借地人、借家人の正しい権利も守られないということになりますので、そういうことのないよう法律の趣旨の周知徹底、あるいはこういうことがあってはならないということで各地の弁護士会等もかなり積極的な活動をしてくださっているわけでございますけれども、いろいろな施策を考えまして、そういうことがないように努力をしていきたい、また私ども、そういうことをする必要があるというふうに考える次第でございます。
○小森委員 そうすると、その正当事由の中に、こういうことの場合はどういう判断になるでしょうか。 いや、みずから使うのだと言ってそこにアパートを建てる、そして追い出しをかける。みずからアパートを建てるのだからみずから使うと言って言えないことはないですわね。しかしそれは明らかに人を入れるために建てるんですよね、アパートだから。そういう場合はどうなりますか。
○永井政府委員 これは借地のケースを想定された御質問だと思いますが、貸し主側が例えばアパートをそこに建てて収益を上げたい、こういうようなのも一つの使用の必要性でございます。ただし、現在借りていらっしゃる方が実際にその土地以外に現在土地を他に借りているとか持っているということがない、やはりその土地に住む必要があるということならば、これはやはり通常の場合、ほかの要素もあると思いますが、借りている側の使用の必要性の方が高い、こういうふうに見られると思います。といいますのは、その土地について貸し主が自分が自分で居住するということでなくて貸すということはほかに居住する場所を持っていらっしゃるということだと思うのですが、そういうケースですと一般的には、ほかの事情によって異なると思いますけれども、借り主側の方が使用する必要がある、すなわち貸し主の正当事由は否定されるということになるのではないかと思いますが、もちろん事情によっていろいろな差異があろうかと思います。
○小森委員 ケースというのは非常にさまざまなものがあると思いますので、もう一つ私の思いつくところを尋ねてみますが、こちらに自分が既に居住しておる土地と家がある。しかしここに人にものを貸しておる、ここへ新しく建てたい、自分が新しく建ててここで住みたい。そういう場合には、表面上考えたらみずからが使うんだということが成り立ちますが、こちらはみずからが使うんだということで追い出しかけてここへ自分の家を建てて、こっちは人に貸すとか売るとか、こういうケースだって幾らでもありますからね。そういう場合はどうでしょうかね。
○永井政府委員 これも具体的な事例によって随分違いますが、現在判例などのやや近いケースでは、現在住んでいらっしゃるところが非常に狭いところである、それで家族も多い、この土地で住まう、あるいは増築する余地が非常にない、しかし貸しているところが非常に大人数でも増築ないし建物を建てれば住まうことができるということになれば、これは貸し主側の使用の必要性というのは相当出てくる場合があると思います。ただ問題は、相対的な問題でございますから、借方でいらっしゃる方が当該土地以外に他にないんだ、ここで住む以外にほかに方法はない、そういうような状況が出てきますとこれは非常に難しい問題でございまして、やはり貸し主の正当事由はそう容易には認められにくいケースが多いと思います。これも具体的ケースでございますので、ほかのいろいろな諸事情によって随分考え方が違ってくるかと思いますが、基本的には、他に土地を持っていて現に住んでいるという貸し主の方はなかなか正当事由は認められない場合が多いのではないか、かように思っております。
○小森委員 つまり、国会における法務委員会の議論でもそういった個々のケースについては政府側とすればなかなか明確にこうだと割り切った答えが出ないほど、結局は裁判に最終的にはもつれた問題をゆだねることになると思うんですね。そうすると究極において裁判にゆだねるということになれば、裁判は裁判所が大体、マスコミの報道等や論評を読んでみても、今回政府が言っておるように定着した判例のとおりのことを思っているんだというその定着した判例というのは判例として既に出ておるわけなんですからね。出てきたし、またこれからも出るわけなんですから。にもかかわらず、そこでその実際の条文の解釈のやりとりをするときにいろいろケースがあってちょっと明確なことは言えませんがという答弁になるような煩わしい文章になるわけでしょう。だから、私から一言うたら必要のないものを書き込んで、けさほどの答弁では、これは更新時期の問題について民事局長が答えられた言葉をここで使わしてもらえば、つまりむだな心配を、政府の言うことがそのとおりだとしてもむだな心配のうちの一つに入ると思いますよ。むだな心配をさせない方がよいと思うからというようなことを塩崎委員に対してお答えになったでしょう。私はそういう懸念を持ちますけれども、どうですか。
○清水(湛)政府委員 正当事由に関する現行法の規定というのは本当にわずか数語で書いているわけでございまして、一体これは何のことなのかということもよっぽど法律の専門家あるいは判例を知っている人でないと今の借地法、借家法の条文を読んだだけではわからない。私ども法律に関係している人間で、戦後数十年間の判例の集積というものの流れというものをある程度理解している者は、この条文はこういうふうに現在解釈されているんだということがわかるわけでございます。しかしながら、借地法、借家法というのはこれはもう本当に一般の国民の皆様方の日常生活をある意味においては規律する法律でございますから、そういう方々が法律を読んだ場合に、これはこういうことなんだ、こういう事情が考慮されてこういうことになるんだということがわかるということがやっぱり私は大事ではないか。特に今回の借地借家法は、法律全体を現代語化してわかりやすい法律にする。現代語化するということは、そのまま今の漢字仮名まじりの条文を口語に言いかえるというんじゃなくて、やはりそういう余りにも簡潔過ぎるところはわかりやすい条文にする、こういうことも現代語化の一つの重要な意義だというふうに私どもは考えるわけでございまして、そういうことからそういう集積された判例の理論というものを条文に集約して書き出したわけでございます。 したがいまして、このことが正しく理解されればそういう不安というものはなくなるわけでございますが、しかし条文が違ってきたということからいろんな不安を持たれる方もあるということでございましたので、既存の借地・借家関係には適用しないことにした、こういうことで塩崎委員にはお答え申し上げたところでございます。
○小森委員 持ち時間があとわずかになってきましたので、この際に緊急な問題について、せっかく文部省なり総務庁においでをいただいておりますのでお尋ねをしたいと思います。 まず文部省にお尋ねをするのは、先ほど来ずっと住宅の問題などを話してまいりまして、そして通勤距離の問題なんかも話してまいりましたが、文部行政からいいまして、交通の大変なラッシュ、これは高校生とか中学生とか電車等を通じて通学しなければならぬような者に対して、教育上一つの相関関係というか影響を与えると思います。田舎の都市におきましても、朝、各高等学校の生徒諸君が乗り合わして相当生活が乱れておる姿を私は見かけますが、こういう住宅との関係で、文部省は、この子供たちのきちょうめんな生活態度とかあるいはひいては学力の向上とか、そういうこととの関係においては突っ込んだ相関関係に対する認識をお持ちでしょうか。
○福島説明員 突然の御質問でございまして答弁を用意しておりませんが、私どもも通勤の途上、特に高校生あるいは私学へ通います中学生が大変なラッシュにもまれて通う、こういう状況は教育上もやはりその学業に影響を及ぼすのではないかということは常々考えております。 しかし、これにつきましては、学校の適正配置とか要所要所に公立の学校をつくる、そういういろいろな文教行政上の施策もございますが、抜本的には、私は都市交通の立場で考えていただければ大変ありがたい問題じゃないかと思っている次第でございます。
○小森委員 それから、同じく住居とか住所地とかというようなことに関係をしてお尋ねをするのでありますが、今回の広島県三原市小佐木島の施設、私的な施設でありますけれども、二人の少年少女が亡くなったあの風の子学園のことについて、文部省はそういった類似の施設を調査するようにということを各県に連絡をとっておられるようでありますが、あの三原の施設について、子供たちが現に寝起きをしておった言うなれば住居の条件というようなものについて、実情を把握されておるでしょうか。
○福島説明員 本件の小佐木島の事件につきましては、大変痛ましい事件でございまして、文部省としても厳粛に受けとめております。また、これの対応を現在真剣に考えているところでございます。 文部省としましては、従来から生徒指導の問題、いろいろアイデアを出して取り組んでまいりましたけれども、現在は、この登校拒否問題、現下の最重点課題だという認識で、登校拒否対策の抜本的な拡充をやろうというところでございます。 今先生おっしゃいました実態調査につきましては、現在、八月の半ばごろでしょうか各都道府県に、その県内にございますこういう民間施設、これの実情、その住所、代表者、どういう施設でどういう子供たちが通っているかという概況を調べているところでございます。 ただ、先生御指摘の小佐木島のこの施設そのものは、いまだ私どもは実際見ているわけではございません。それにつきましては広島県あるいは兵庫県からは実情は聞いておりますが、実際まだ視察したというような状況ではございません。
○小森委員 私は、こういう発言の機会がなかなか訪れてこないと思いましたので、きょうはこうやってわずかばかり差し込んでやらしていただいておりますけれども、国会法に基づく質問書を提出いたしまして答えてはもらっておりますけれども、どういいますか、まことにぶしっけなことを言うようですけれども、文部省は果たして本気なんだろうか、本当に子供たちのことを考えておるんだろうかというぐらい、簡単に言うと木で鼻をくくったような、そういうそっけない答弁をされております。やはり現地を見て、恐らくまだあの子供たちをせっかんした鉄の鎖なんかもぶら下がっておるはずですから行って見てもらいたいし、あのコンテナもそのままありますからね。だから、目で見て実感をしないと、この子たちのことを再び起こしてはならぬということを口の先では言っても、本当の政策というものは出てこないと私は思います。それは、きょうもう時間がありませんからその程度にさせてもらいます。 そこで、人権擁護局長、お尋ねしますが、鉄の鎖が天井からぶら下がっておるんでしょう。そして、私が見に行ったら、一週間ほど前のパンくずじゃないかと思われるようなパンのくずがそこに転げておりまして、梅干しの干っからびたしそがそのパンにくっついておりまして、まるでそこでひっくくられてちょうど死んだ子がそうなったのか、ほかの子をそうしたのかわかりませんけれども、そんなことが広い意味での教育の名で行われておるのですよ。だから、人権というものについてもう少しあなたのところで横並びの各省庁にやかましく言ってもらいたいというのは、私はそこを前から言いよるのです。これは、ぜひひとつしっかり頭にたたき込んでおいていただきたいと思います。 そこで文部省にもう一度、これは事務的なことになりますからちょっとお尋ねしますが、例えば姫路の市教委が紹介をして、十四歳になる中学の学齢期ですね、まだ中学に通わなければならぬ子供をそこへ教育委員会が世話をして入れたというのでありますが、その風の子学園の施設のあるのは三原市の小佐木島でありますが、三原市の教育委員会の教育長に尋ねたら、第一だれが来ておるかわからない、せめて住民票でも市役所へ持ってくれば、これは学齢期の子供が来た、さあどうするかということで何らかの手がかりはつくが、住所が移っておっても住民票も来ない、こういうことになっておるので、そうならば、要するに文部行政というものが日本の教育に関する法律のらち外にこの子を置いたということになるでしょう。これらについては、少なくとも地元の教育委員会に、どこからどの子が来たということがわかるぐらいの、緊急な、これは無理に法律をすぐ改正しなくたって、いや、法律どおりやれば私はそれはできるのだと思いますが、そんなことはもう緊急に文部省は手を打たなければいかぬでしょう。もし三原市の教育委員会がかかわっておったら、私は自分のところだから一言うんじゃないですよ。自分のところといったって私の住所地じゃない。私の広島県内のことだからあなたはひいきして言うと思うかもしらぬけれども、非常に同和教育、人権教育に熱心な市なんですよ。熱心であっても、自分たちの目が届かないところでそういうことが起きるということは、まずは、文部省とかあるいはその子を送り込もうとしたその市の教育委員会が物を考えなければいかぬのじゃないですか。この点ちょっと、私質問書を出しておるけれども、すっと素通りをした答弁しかしてないでしょう。答えてください。
○福島説明員 今回の事件を契機にしまして私ども反省している点がございまして、一つは、やはり第一義的に、公教育である学校でもちろんこの子供たちを面倒見なければいけないわけでございますが、どうしてもこういう民間施設に行かざるを得ないというような状況にあった場合、学校なり教育委員会なりはその実態を十分に事前に調査しなければいけないこと、それから、この子供たちは学校に籍があるわけでございますので、そういう施設にいる間も常にフォローアップしなければいけないこと、それから、今先生御指摘のありましたとおり、教育委員会間の連携といいますか情報交換、これはぜひとも必要であると考えておりまして、この秋に生徒指導主事、各県すべて集めて会議を開きますが、こういう情報交換の場というものもそういうところでつくっていきたいと考えているところでございます。
○小森委員 どんな法律であろうが、どんな政府の政策であろうが、この世の中が人間によって構成されておる世の中であるということを忘れてはいけません。人間によって構成されておるということは、根底には、長い人類の歴史によって、その営みによって構築されてきた人権の状況がどの程度かということで物事の勝負は全部つきます。そういうことで、きょうは少し回りくどくやりまして、できれば更新十年のところまで言及したいと思いましたが、私の質問が少し下手で、ある一定のところで時間を余計に取り過ぎたわけで、私の思うとおりにいきませんでした。しかし、あと一分ほど残っておりますからついでに申し上げておきますが、総務庁にせっかく来てもらっておりますので、これは答えは要りません。ちょっと私の方から申し上げておきますが、この間の予算委員会における大臣の答弁をずっと聞いておりました、野坂浩賢代議士の質問に対して。大臣とか局長あたりが答弁をされる答弁の言葉遣いとして、同和地区に対する呼称が非常に乱れております。いろいろなことをいろいろな呼称で呼んでおります。これは要するに、閣僚の一員、法務大臣もおられるわけでありますが、つまり閣僚のレベルの者が、ここのところの呼称が、一つの言葉で世間で使っておる言葉が使われないということは同和問題をよく知らないということです。同和問題をよく知らないということは、もっと概念を進めていったら人権問題をよくわかっていないということなのであります。これは、ここで私が何大臣がどうだとか何局長がどうだとかということについては、既にレクチャーの段階である程度のことを言っておりますから、閣僚の段階でも行政的に使う言葉というのはもう決まっているんですから、それさえ使われないということは認識がまちまちであるし、物の考え方があやふやということでしょう。これはぜひひとつ総務庁におかれて各省庁に連絡をとって、もう少し緊張した態度でやっていただくようにお願いをしておきたいと思います。 きょうは時間の関係でこの程度で終わらせていただきます。
○伊藤委員長 御苦労さま。 中村巖君。
○中村(巖)委員 初めに建設省にお尋ねをしてまいりたいと思います。 ただいま審議をされております借地借家法案、これは私どもの理解では、賃貸借契約という契約関係の当事者間の利害、権利関係を調整するということに主眼があるということでございますけれども、やはりこの種法律というものはどうしても日本の住宅の置かれている状況あるいはまた日本の住宅政策、土地政策、こういうものに関連を持たざるを得ない、こういうことになりますので、最初に、日本の住宅の置かれている現状、こういうものについてお尋ねをしてまいりたいというふうに思うわけでございます。 日本にも相当数の住宅が当然あるわけでありますけれども、この住宅の状況というものがどうなっているのか、このことをお尋ねをしたいと思います。日本に住宅の戸数が総体でどのくらいあるのか、その中で持ち家とそれから賃貸の比率というようなものはどうなっているのかということからお尋ねをしてまいりたいと思います。
○川村説明員 お答え申し上げます。 昭和六十三年の住宅統計調査によりますと、住宅総数は全国で四千二百一万戸でございます。持ち家率につきましては、全国で六一・三%ということになっております。なお、空き家率は全国で九・四%ということでございます。
○中村(巖)委員 今生き家率のことまで触れられましたけれども、当然自分の家を持っておればそこに住んでいるわけでありますけれども、一方で、賃貸ということで家主があってそれを貸すということをしているのがあるわけで、そういった場合に貸し家として貸し家市場に出されているもの、それがどのくちいあるのかということ。それがつまり借りられないままになっている、いわゆる空き家というものがどのくらいあるのか。今九・四%という数字をおっしゃいましたけれども、実際の戸数の関係からいうとどういうことになりますでしょうか。
○川村説明員 六十三年の調査によりますと、空き家は三百九十四万戸という数字になっております。別途、私どもの空き家調査によりますと、実は非常に条件が悪くなっているとかあるいは建てかえ等のために入居者を募集していないといったことでございまして、使える空き家は大体四分の一程度というふうに出ております。 以上でございます。
○中村(巖)委員 それだけの数の空き家があるということは、今そういう貸し家というか賃貸住宅の需給というものは非常にルーズであるということになるのでしょうか。それとも、実際はそれだけの空き家があっても非常に需給関係がタイトだ、こういうことになるのでしょうか。
○川村説明員 国内の移動その他があるものですから、どうしても一定の空き家の数は必要になっているわけでございまして、外国の例を申し上げますと、アメリカあたりでは日本よりもっと空き家率が多くなっているわけでございます。しかしながら、全体の住宅戸数で見ますと一応住宅戸数が世帯数を上回っておりますので、数としてはそれなりの水準に達しているというふうに考えております。
○中村(巖)委員 実際には、殊に大都市圏においては家賃が非常に高いという状況があるわけで、それは一つには、何といってもなかなか空き家がなくて、したがっていい条件のところに入ろうということになれば相当の多額の金を出さなければならない。言ってみれば、貸すサイドの方が非常に強いというか、そういう状況になっているというふうに思いますけれども、実際粗密の空き家があり、また世帯の数を超える住宅というものが存在をするということになりますと、それは結局大都市圏においては状況が違うので、全国的に見た場合には割合に余っている、いえば空き家というものが偏在をしている、こういうことになるわけでしょうか。
○川村説明員 手元には実は東京の数字しかないわけでございますが、東京都について空き家率を見ますと八・五%ということでございますから、やはり全国ベースよりはタイトになっておるということでございます。
○中村(巖)委員 二番目に、土地というものは、自分の土地に自分の持ち家を建てるというところもありますし、あるいはまた人の土地を借りてそこに家を建てているという、いわば賃貸敷地というかそういうものもあるわけでありますけれども、そういう家の側から見たという場合に、賃借地の上に建っている家、それから自分の土地の上に建っている家、これを比率で見ますと大体どういうことになりましょうか。
○川村説明員 これも同じく六十三年の住宅統計調査の結果でございますが、持ち家につきまして、その敷地が借地であるものは全国で九・三%ということでございます。
○中村(巖)委員 これも当然のことながら都会と田舎とでは随分と比率が違うわけですね。
○川村説明員 これも東京都の数字しかございませんが、東京都で申し上げますと、借地のものが二〇・四%というふうになっております。
○中村(巖)委員 そこで、いずれにしても、それだけ空き家がありながらも住宅が足りないのではないかということが言われているわけでございまして、住宅というものをどんどん建設をしなきゃならない、こういうことでありますけれども、今日本において、ここ数年でも結構ですけれども、毎年どのくらいの住宅というものが建てられているのでございましょうか。
○川村説明員 住宅着工統計で平成元年、二年の建築状況を申し上げますと、総戸数で百六十七万戸が元年でございます。二年度で百六十六万五千戸という住宅が建てられております。
○中村(巖)委員 そういう多数の住宅が建てられていながら、なおかつ住宅が足りないというふうに思われているというのは、これはどういうわけでございましょうか。
○川村説明員 先ほど来申し上げておりますように、数としてはかなり数字が出ているわけでございます。しかしながら、一応私ども住宅建設五カ年計画の策定に当たりましては居住水準といった目安を持っているわけでございまして、最低居住水準以下の住宅が全国で九・五%、大都市、東京圏ですと十数%という数字になっておるわけでございまして、質的になかなかゆとりある住環境を持った住宅が確保できないという状況にあるということでございます。
○中村(巖)委員 今、年間に百六十万戸内外の住宅が建設されているということでありますけれども、これを持ち家と賃貸住宅、賃貸住宅の中では公共賃貸住宅、民間賃貸住宅、こういうふうに分けて数字を言っていただくとどういうことになりましょうか。
○川村説明員 前年度、平成二年度の数字を申し上げたいと思いますが、持ち家それから分譲住宅、いずれにしても持ち家になるものでございますが、持ち家系住宅が八十六万一千戸でございます。それから貸し家住宅が七十六万七千戸ということでございます。それから、貸し家のうち公営住宅、改良住宅、それから公団賃貸住宅の合計は五万二千戸ということでございます。なお、公的な資金によって建設されました貸し家がそのほかに五万二千戸ございまして、公的資金によって建設された貸し家は全体では十万四千戸という数字になっております。
○中村(巖)委員 そういう日本における住宅の現状というものを踏まえた上で、建設省としては現在、日本の住宅政策というものはどういうふうにあるべきだというふうに考えておられ、かつまたどういうことを重点にその政策を遂行をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○川村説明員 我が国の国民が豊かさを実感できる住生活を営むということは、内政上の最も重要な課題の一つだというふうに私ども認識をいたしております。このため平成三年度を初年度といたします第六期住宅建設計画を策定したところでございまして、これにおきましては、住宅金融公庫の融資ですとかあるいは税制によります住宅取得の促進、それから公営住宅、公団賃貸住宅など公共賃貸住宅の的確な供給、それから融資、利子補給等による良質な民間賃貸住宅の供給などによりまして、借家政策、持ち家対策をバランスよく展開していきたいというふうに考えております。 先ほど来先生の御指摘にもありましたように、特に大都市地域においては住宅問題が引き続き深刻でありますので、昨年、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法等の改正を行いまして、本年三月にはこの法律に基づきます大都市における住宅及び住宅地の供給に関する基本方針というのを決めたわけでございます。これは東京、大阪、名古屋の三大都市圏を対象といたしまして今後十年間の住宅及び住宅地の供給に関する基本方針を決めたものでございまして、この方針に基づきまして都市計画制度、融資、税制あるいは補助といった総合的な施策を展開してまいりたいというふうに考えております。
○中村(巖)委員 一つは、住宅政策というものを、その基本的な考え方として持ち家を増加させるという方向で進めるのか、あるいは賃貸住宅というものを数を拡大させるという方向で進めるのか、その辺のことはいかがでしょう。
○川村説明員 当面、地価の高騰等によりまして非常に住宅価格が高騰しておるわけでございます。私どもは、先ほど申し上げました大都市の供給基本方針におきましては、適正な負担で勤労者を中心とした方々が住宅を確保できるということが最も大事だというふうに考えておりまして、そういう観点から、持ち家、貸し家政策をバランスよく展開していきたいと考えておるところでございます。
○中村(巖)委員 それから、先ほど最低居住水準というお話が出ましたけれども、やはり最低居住水準を確保するという考え方からすれば、まだまだ大都市においては一〇%以上の、十数%ですか、水準以下の住宅があるということで、これをなくしていく方向というものの努力がなされなければならないというふうに思っておりますが、その点についてはどういうことを考えておられるのでございましょうか。
○川村説明員 現在大体二戸当たりの住宅延べ面積が八十九平米ちょっとというのが、六十二年度の結果が出ておるわけでございます。昨年公共投資基本計画を決めたわけでございまして、十カ年間に四百三十兆の投資をするということでございます。その中では、二〇〇〇年に百平米に持っていきたいという大きな目標を持っているわけでございます。第六期の五カ年計画の最終年度であります平成七年度には九十五平米まで持ち上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。その施策のために、公営住宅あるいは公団住宅等につきましては、基準となります新たにつくる住宅については面積の拡張を少しずつ図っていこう、それから公庫融資等につきましても、一定規模以上の比較的優良な住宅が建設できるようなものを優先的に融資していきたいというふうに考えて施策を行っているところでございます。
○中村(巖)委員 要するに根本的に、今いろいろお伺いいたしましたけれども、建設省の住宅政策としては、これからは個々の住宅の内容をよくしていきたいというふうな方向で考えているのか、量的にもっともっとふやしていかなければならない、そういうことを重点に考えておられるのか、どっちになるわけでしょうか。
○川村説明員 質的な向上を目指すというのはもちろんでございます。 それからもう一点、量の問題としては、実は現在三人から五人といったいわゆる標準世帯向けの住宅というのが非常に不足をしているわけでございます。どちらかというと民間賃貸住宅というのは規模が小さいというものが多いわけでございまして、そういういわば中堅勤労者向けといいますか、三人から五人の標準世帯向けの住宅については今後供給をふやしていかなければいかぬというふうに考えております。
○中村(巖)委員 次にお伺いをいたしますけれども、今日、大変家賃が高いというような状況があるわけです。その根底には、何といっても土地が高騰をしたという問題があるわけでありまして、これは先年来土地問題というものが大きくクローズアップされて、いろいろな形でこの土地高騰を何とか食いとめなければならないし、またさらに土地の値段を下げることができれば望ましいんだ、そういうために多くの政策が考えられ、また一部は実行をされてきたというふうに思っておりますけれども、現実にはなかなか土地は下がっておらないという実態だと思います。 そういう状況の中で、内閣としても総合土地対策要綱というようなものを策定をし、その中で幾つかの方策を定めているわけでありますけれども、その中の一つとして借地・借家法の改正というようなものが含まれているわけでございまして、これは内閣が策定をした総合土地対策要綱でありますから建設省のみが決めたわけではないわけでありますけれども、そういう地価を下げるという土地対策の中に何で借地・借家法の改正というものが含まれてくるのか、その辺のことについては建設省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○瀬野説明員 御説明を申し上げます。 借地・借家法の改正案は、法務省の法制審議会答申の改正要綱を基本といたしまして、社会経済情勢の変化のもとで当事者双方の公平な利害調整の合理化等、合理的な借地・借家関係の確立を図ることを目的としておりまして、今般、今年一月二十五日閣議決定されました総合土地政策推進要綱におきましても重要な施策の一つとして位置づけられているというふうに理解をしております。 現行の借地・借家制度につきましては、貸し主にとっては賃貸借終了時のトラブル等に対する不安あるいは借り主にとりましては高額な権利金の問題等、その活用を図る上での支障となっておる問題点もあるわけでございまして、土地基本法に規定されております土地の有効利用の促進あるいは住宅宅地供給の促進を図る観点からも、私どもといたしましてもこの改正を行うことは有用なことであるというふうに考えておるわけでございます。
○中村(巖)委員 今の御説明ではさっぱりよくわからないのですけれども、それでは、借地・借家法をどういうふうに改正すればどういうチャンネルを通じて土地が安くなるんだ、こういうことについてきちっとした御説明を賜りたいと思います。
○瀬野説明員 今回の改正法案は、既存の借地・借家関係には原則として影響を与えないよう経過措置を置くなど居住の安定に一定の配慮をしつつ、定期借地権の創設でございますとかあるいは確定期限つき借家といった制度の導入をすることを内容としております。こういった新制度の導入によりまして、土地の有効利用の促進あるいは住宅宅地供給の促進に寄与するというふうに考えております。
○中村(巖)委員 そういうふうにお考えということはわかりました。つまり、新しい制度といいますか、今度の借地借家法案の中にある新しいメニューと申しますか、そういうものが住宅宅地の供給をふやすのだ、こういうふうに考えておられるということであります。それ自体も議論があるところでありますけれども、今日までやはりこの土地対策の問題というものがいろいろ言われる中で、借地・借家法の改正ということが取り上げられてきたということは、もう借地・借家法の改正というものに対して過大な期待がかけられ過ぎてきたのではないか、あるいはまたそれに対する幻想というようなものがあり過ぎたのではないかというふうに思うわけでございまして、今度借地借家法が今提出されたままに成立をして施行された、そうすると本当に実際土地の供給がそんなに行われるのだろうか、そういうことはもう大変疑問であるわけでありますけれども、その辺について建設省としてはどういうふうに見ておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○瀬野説明員 私どもの今回の改正案についての住宅宅地供給面での期待というものは、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。具体的にどれだけのボリュームがこういったもので出てくるかということは正直申しまして非常に難しい問題でございまして、今回の法案の中で定期借地権の方式にも幾つかの類型がございます。こういった類型ごとにどういった具体的なことが動いていくのかといったことについては、現在私どもとしても鋭意勉強しているところでございます。
○中村(巖)委員 これは住宅の問題というよりも土地の問題でありますけれども、実際問題として、今土地を市場に出さないで留保をしている地主さん方が、今度定期借地権というようなものが、三つの類型があるわけですけれども、これにどのくらいのメリットを感じるものなんだろうかという、その辺を建設省としては推定をしているというか、そういうようなことは全然ないのでしょうか。 〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
○瀬野説明員 量的なものについての推計といったものは私ども持ち合わせておりませんけれども、ただ、先ほど来申し上げておりますように、現行の借地制度の中での期限の不確実性と申しますか、正当事由の絡みでございますとか、そういった関係のものがこの定期借地制度の場合には明確な形になっておりますので、そういった意味で土地所有者のこういった土地活用に対する一つの不安というものはクリアされるのではないかというふうに理解しております。
○中村(巖)委員 その辺のことは実際にやってみないとわからないという部分もあると思いますけれども、それ自体なかなか、こういう定期借地権の制度ができたからといって、新たに土地所有者がどんどん土地を放出をして市場へ供給をしてくるということは考えにくいんではないかなというふうに私自身は思っているわけでございます。 まあそれはそれといたしまして、先ほど来申し上げておるように、今日土地が高いということに伴って家賃が高騰している、家賃が非常に高くなっている、こういう状況が都会地では見られるわけでございまして、みんなこの住居費に悩んでいる、こういうのが現状だろうというふうに思います一本来的に人権じゃありませんけれども、それぞれの人間が安定した住居を確保できるということは大変重要なことであるべきでございまして、住居の安定性なしに生活そのものが安定をするということはないわけでありますから、その辺のことを考えますと、今月のような家賃の高騰で住居が脅かされている、こういう状況、さらにまた、特に高齢化社会に向けてお年寄りがこの家賃の負担に非常に悩んでいる、こういう状況というものに向けて、建設省としては何か施策なり考え方というものを持ち合わせておられるでしょうか。
○川村説明員 お答え申し上げます。 家賃負担の軽減を図りますために、現在、融資あるいは税制の活用等によりまして賃貸住宅の供給コストの低減を図っておるところでございます。特に低額所得者等の世帯の方につきましては、公共賃貸住宅の的確な供給に努めるということで対応してまいったところでございます。 平成三年度におきましては、民間賃貸住宅を公的に借り上げることによりまして、公的管理を行うことによって家賃軽減を図るという借り上げ公共賃貸住宅制度といったものを拡充いたしております。また、公営住宅あるいは密集木賃住宅の建てかえ促進を図りますために、家賃の激変を緩和する補助制度といったものも創設いたしておるところでございまして、新たな施策を準備いたしております。とりわけ、先生御指摘の高齢者等社会的弱者の居住の安定の確保を図りますことは、住宅施策においても重要な課題だと考えております。平成三年度におきましては、地方公共団体が良質な賃貸住宅を借り上げまして高齢者に賃貸をいたします高齢者向けの借り上げ公共賃貸住宅といったものも創設をしたところでございます。 今後とも、本格的な高齢化社会の到来に向けまして、豊かで安定した住生活を営むことができるよう、施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○中村(巖)委員 公共賃貸住宅を多くつくっていくこと、それは大変重要でもあり、結構でありますけれども、平成二年度の実績で公共賃貸住宅が五万二千戸だ、こういう先ほどのお話でございました。五万二千戸程度の供給では到底そういう需要に対して不足するのではないかというふうに考えられます。しかも、なおかつ公共賃貸住宅と申しましてもそれらの住宅の家賃そのものが民間賃貸住宅に大変に近づいておって、高額であるということになってまいりますと、今おっしゃられたような程度の施策ではこれから全く不十分なのではないかというふうに考えられますけれども、その点はいかがでしょう。
○川村説明員 直接供給の公的住宅等につきましては、先ほど申し上げましたように五万二千戸ということでございます。それから公的資金による貸し家につきましても、入居についての条件等も加えさせていただいておりましてそれなりの家賃あるいは入居条件で提供させていただいておるということでございます。そういう意味では、公的資金による住宅十万四千戸といったものがある意味ではある程度の対策になっておるのじゃないかというふうに思っておるわけでございますが、先生御指摘のように、絶対数からいえばまだまだという御指摘があるのは事実でございまして、今後借り上げ住宅ですとかそういうものの拡充といったものについても努力をしていきたいというふうに考えております。
○中村(巖)委員 そこで、建設省は住宅政策というものを基本的にどう考えているのだろうかということでございますけれども、私が先ほど申し上げたように、やはりそれぞれの各人にとって安定した住居を確保できるということは大変重要なことで、国の施策の一つの根本にならなければならない、基本的な施策にならなければならないというふうに思っているわけでございまして、そういう点でまだまだ建設省は、住居権というものを考えるのではなしにただ単にいわば住宅さえたくさんできれば、それは民間であれば民間の需給の関係で家賃が決まるわけでありますから、そういう高い住宅でも何でも余計つくっていくこと、それを促進するというか、そういうことは考えておるけれども、国民の住居に対する基本的な権利に基づいた発想というものがないのではないか、こういうふうに考えられてならないわけでありますけれども、住宅政策の根本的なところでどう考えるべきなのかということをお伺いしたいと思います。
○川村説明員 私どもは、住宅につきましては生活の基本的な条件ということでございます。したがって、国民各層が適正な負担で適正な住宅に居住できるようにするということが基本的な目標だというふうに考えておるわけでございまして、そのための施策を先ほど御説明申し上げましたようにいろいろ講じさせていただいておるところでございます。
○中村(巖)委員 先般土地基本法が成立をいたしまして、土地に対する考え方というものをこういうふうにすべきじゃないかということでそれがこれからの土地政策の基本になっていく、こういうことが図られたわけでありますけれども、まだまだ土地に対する認識と住宅に対する認識というものが隔たりがあって、土地に対しては曲がりなりにも先般来の大変な土地高騰の中でああいう考え方が出てきたわけでありますが、住宅に対する国民的な考え方というようなものもこれから形成をされなければならないと思っているわけです。そのために私ども公明党は住宅基本法というものをつくるべきではないかということを提唱しているわけでありますけれども、その中身を建設省で御承知かどうかわかりません、その中身を今ここで一々説明するわけにはまいりませんけれども、そういう住宅基本法的な考え方についていかにお考えでしょうか。
○野見山説明員 公明党から御提案の住宅基本法案は、住宅政策の基本的な御提案の一つと承知いたしております。 政府としましては、先ほど来御説明申し上げましたとおり、国民の居住水準向上のため、住宅建設計画法等に基づきまして住宅建設五カ年計画を策定し、良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成に努めておるところでございますが、今後とも居住水準向上のための施策の充実に努力する所存でございます。 住宅基本法につきましては、先生御指摘のとおり国民各層の合意形成が不可欠でございますけれども、住宅政策の目標、国・地方公共団体の責務、住居費の負担の取り扱い、居住水準のあり方等に関しましてコンセンサスがいまだ未形成ではないかと考えておるところでございます。
○中村(巖)委員 コンセンサスがまだできてないということはないので、国民の皆さんは住宅に対して非常な、いろいろな期待とかあるいは国がこうしてほしいという考え方をそれぞれにお持ちであって、それは大体一致をしているというふうに思われるわけでございます。そういう意味で、私ども提唱しておりますところの住宅基本法というものについて、ぜひ建設省でも真剣に取り組んでこういう法律ができるように御尽力をいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げまして、建設省に対する質問は終わります。 次いで法務省に対してお尋ねを申し上げるわけでありますけれども、今般、借地・借家法の改正が提案をされました。ここにこれが提案されますまでの間に多くの経過があるわけでございまして、例えば法制審議会にこの借地・借家法の改正の諮問をされたのは昭和六十年であったわけでございます。それが法制審議会に諮問をされるに至る経過というものがいろいろあったろうと思うわけであります。殊に昭和五十年代後半から借地・借家法の改正へのいろいろな動きがあって、そういうものと法制審への諮問というものとの間にかかわりがないということはないのだろうと思いますけれども、もともとどういう動機で法制審への諮問ということになったのか、その辺の経緯からお聞かせをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 委員仰せのとおり、昭和六十年の六月から法制審議会におきまして借地・借家法の見直し作業を開始しまして、昭和六十年の十一月十五日に借地ぺ借家法改正の問題点というものを広く公表いたしまして、関係各界の意見を照会したわけでございます。 このように、法制審議会がこの問題についての調査審議を開始するに至った背景には、昭和五十七年七月の臨時行政調査会の第三次答申というのがございまして、ここでは借地・借家法の改正ということをストレートには言ってはおりませんけれども、「借地、借家に関する制度の合理化等を行い、良質な民間賃貸住宅の供給を促進する。」ということが答申されておるわけでございます。借地、借家に関する制度の合理化という面は必ずしも借地・借家法を直ちに改正するということをストレートに言っているわけではございませんけれども、やはり当時における我が国の土地問題、住宅宅地問題というようなものを背景に、借地・借家法というものが実質的に改正されることなくもう半世紀近くも過ぎておるというような、その間における社会経済情勢の変化というものに対応して、やはりこの際見直しをすべきである、こういうようなことになったわけでございます。もちろん、五十七年の七月に臨時行政調査会がそういうような答申をする背景には、経済界その他各種の団体から借地・借家法等の見直しをすべきであるというような意見が寄せられまして、これを受けて臨時行政調査会のそういうような答申になったものというふうに私どもは理解しているわけでございます。 そういうものが背景となりまして、法務省におきましても借地・借家法改正に関する各方面の動きというようなものを注目していたわけでございますが、そういう議論の過程でいろいろ提言されておる問題点は少なくともこれは整理して、それぞれの問題点について広く各方面の意見を聞く必要があるということで、先ほど申し上げましたように昭和六十年十一月十五日に借地・借家法改正の問題点を公表して関係各界の意見を照会する、こういうようなことになりまして、本格的な調査審議が始まった、こういうことになるわけでございます。
○中村(巖)委員 結果として今日出されている借地・借家法の改正案の中身というものは必ずしもそうはなっていないと思いますけれども、昭和五十年代の末にそういう法制審への諮問がなされたその背景には、具体的に言えばやはり何といってもあの時代、都市の再開発ということが非常に言われて、そういった中で借地・借家法というものが再開発に対して非常な障害になっている、こんなようなとらえ方がされておったのではないかというふうに思いますけれども、そういうような観点というものもまた法制審への諮問の中に含まれていたのではないかという点はいかがでしょう。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、昭和五十年代における借地・借家法改正論議、これは法律家のグループだけではなくて、不動産関係の諸団体あるいは都市再開発に関係する諸団体というようなところでいろいろされていたという事実は確かでございます。また、そういう意見の中に、先生御指摘のように東京都内における土地の高度利用を図る、そのためには都市再開発を積極的に進めなければならない、そうであるけれども借地人、借家人の権利が強くて。なかなかうまくいかないというようなことをおっしゃる方々も中にはおられたというふうに私自身も承知いたしております。そういう方々がストレートに借地・借家法の改正という形でこの提言をされたということであるかどうかは必ずしも明らかではございませんけれども、やはり土地の有効利用を図るというような観点からの提言、そういうものが経済界等にあったという事実、これはそのとおりだろうと思うわけでございます。 ただしかし、私どもは、借地・借家法というのはやはり民法の基本法、民事の基本法のいわば特別法とは申しますけれどもまあ民法と一体となるような私法法規でございまして、あくまでも借り主と貸し主の間の契約関係、権利関係を平等、公平な立場から合理的に調整するという法律でございまして、この法律の中に都市の再開発とか土地の高度利用というようなものを持ち込むことは、これはやはり法律の性格からして難しいし、またこれを所管する法務省というのはやはりそういう土地政策官庁ではございませんので、そういうようなことについての十分な判断、こういうことばできないということを申し上げていたわけでございますけれども、そういうことについての理解というものもまた徐々に関係方面に深まってきたというふうに申し上げて差し支えないのではないかというふうに思います。
○中村(巖)委員 私も先ほど来申し上げておりますように、やはりこの借地借家法というのは賃貸借の当事者の権利調整を図るということに主眼があって、そういう私法法規であると言うべきであるというふうに考えておりまして、そういう意味で政策的な課題をこの中に持ち込んで現時の土地問題、住宅問題を解決をしようというような考え方というのはこれは間違っているんじゃないかなというふうに思っているところであります。 しかしながら、昭和六十二年以降、いわゆる土地高騰問題というものが起こってまいりました中で、いろいろな土地対策が必要だということが叫ばれてまいりまして、例えば行革審におきましてもその種の土地対策というものが提言をされておりますし、あるいはまた政府におきましても総合土地対策要綱というようなものを、あるいは緊急土地対策要綱というものを策定するということがあったわけであります。しかし、それらの土地対策ということになってまいりますと、必ずその中に借地・借家法の改正というものが一項目入っている、こういう状況であるわけであります。私どもはその時点から、何で借地・借家法を改正をすれば土地が値下がりをする、土地の値上がりがやむということになるんだろうか、大変不思議に思っておったのでありますけれども、一般にはやはりそういう借地・借家法の改正をすれば土地の供給が莫大にふえるのではないかというような過大な期待というか幻想というか、そういうものがあったのだろうというふうに思っております。 その辺の関係で、いわゆる土地高騰に伴うところの土地対策として借地・借家法の改正を考えること、そのことを法務省としてはどういうふうに考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、借地・借家法は土地の有効利用とかあるいは住宅の供給というようなことを主たる目的として、あるいは直接の目的として制定された法律ではないわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても土地の利用関係あるいは建物の利用関係に関する法律でございますので、こういうような利用関係というものが現在の社会経済情勢にマッチするような形で適正円滑にコントロールされるということであるならば、やはり土地の利用、建物の利用というものが非常に円滑に促進される、こういうことになることもまた否定することができないわけでございます。 そういうような観点から、借地・借家の実情に照らしまして現在の社会経済情勢にマッチするような形での、つまり多様化した需要に対応することができるような形での借地・借家関係というものをつくり出すことによりまして良好な借地・借家の供給が促されるのではないか、結果として土地の有効利用、住宅の供給促進にもつながっていくことになるのではないか、こういうふうに実は考えているわけでございます。臨時行政調査会の各種の答申あるいは非常に近くは平成三年一月二十五日の総合土地政策推進要綱の中にも同じような表現があるわけでございますが、そこに至るまでの政府の各種の閣議決定におきましても、やはり借地・借家法の見直しというのが、土地政策あるいは住宅政策を直接の目的とするものではないけれども、それを合理的に公平に調整することによって土地の良好な借地・借家の供給につながる、こういうような観点から、非常に広い意味におきます土地政策の一環として借地・借家法の改正が位置づけられてきておる、こういうふうに私どもは考えている次第でございます。
○中村(巖)委員 この問題はまた日米構造問題協議においてすら取り上げられておる、こういうような状況でございまして、何でこの問題がそういうところに取り上げられるようになってしまうのかという、この辺のことについてはいかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 日米構造問題協議の中で、借地・借家法の改正問題が土地問題の一環として取り上げられております。土地問題についてのアメリカ側の関心が非常に強いということがあるわけでございますけれども、いろいろ列挙されている中の一つといたしまして借地・借家法の改正というのが取り上げられております。もとより、この日米経済構造協議の始まる前から先ほど申し上げましたように私ども借地・借家法の改正の見直し作業に着手しているわけでございまして、別に日米構造問題協議があったから借地・借家法の改正作業を始めたというわけではございません。 そこで、アメリカ側が土地問題等について、借地・借家法も含めましてなぜ関心をそんなに強く持っておるのかということでございますけれども、日米経済構造協議、私ども直接アメリカ側から説明を受ける立場にはございませんけれども、私どもの理解するところでは、やはり日米間の貿易収支のアンバランスの是正ということが一つの大きな問題になっている。そのためにはやはり、日本の国内仁おいて日本からの輸出圧力を減らし輸入をふやす、こういうことが一つの大きな問題として意識されていただろうというふうに思うわけでございます。そのためには輸出の総量規制とか関税をどうするかというような問題もあろうかと思いますけれども、より基本的にはやはり経済構造の問題としてアメリカ側がそれをとらえた。そのためにはやはり内需を拡大して、日本人が粗末なうちに住んでひたすら輸出をしておるというような認識があったのかどうか知りませんけれども、とにかく住宅をより良質なものに整備するとか、あるいは下水道を整備をするというようなことのために内需の拡大というようなことが叫ばれたというふうに思うわけでございまして、そういう内需拡大政策をとる上におきまして土地問題が一つの重要な問題としてある、その土地問題のいわばさらに多くの問題の中の一つとして借地・借家法というものがございまして、これを改善、合理化することによって良好な借地・借家の供給が促されれば土地問題の改善にもつながってくる、こういう認識がアメリカ側にあるのではないかというふうに私どもは推察しているわけでございます。
○中村(巖)委員 日米構造問題協議の事後点検というのですか、そこにおきましても、日本側は借地・借家法の改正について現在見直し作業を行ってきているということで、国会にも提出しているから、この改正案によって「結果として、土地のより適正な利用と優良な賃貸住宅の供給が増加することを期待している。」こういうふうに答えているわけであります。 そこで、そういうふうに答えるのはそれはそれでいいわけでありますけれども、実際問題として、今度の改正案が仮に成立をしたといたしましても、今政府がこの点検の会合の中で言っているように、本当に土地のより適正な利用と優良な賃貸住宅の供給が増加するということがあり得るのか、こういうことでございまして、私自身はそれに対して大変に疑問を持っておるところでございますけれども、法務省自体が本当にこれがそういう住宅土地問題に寄与するんだというふうにお考えなのでございましょうか。
○清水(湛)政府委員 具体的に今回の改正が住宅対策としてどの程度寄与するのか、こういうふうに真っ正面から聞かれますと、私どもといたしまして具体的にこの程度であるということを申し上げるということはなかなか難しいわけでございます。ただしかし、定期借地権制度の創設に見られますように、借地・借家に対する多様化した需要にこたえるための施策が実現される、しかも借地・借家法制がそういうことによってより合理的なものに改められるということになるわけでございますので、こういった制度の利用を望んでいる多くの方々の期待にこたえることになるのではないかというふうに考えているところでございます。 こういう定期借地権制度なんかの導入につきましても、法制審議会審議の過程等におきましていろんな団体が、定期借地権制度が実現された場合に利用することになるのかどうかというような調査をされているわけでございますけれども、お手元に差し上げております「借地借家法案関係資料」の三十ページに、これは財団法人日本不動産研究所が昭和六十二年度にした調査でございますけれども、定期借地方式による借地制度が導入された場合にはこれを利用して貸したいと思うというような人が全体の五三%、しかし四一%は貸したいとは思わないというふうに答えておりますので、やや貸したいと思う人の方が多いという程度のものでございますけれども、確かにそういう制度を望んでいる層が現実にあるし、そういう方々の御意見がいろんな団体を通じて法制審議会に反映されてきたというふうに私どもは考えております。 したがいまして、結果としてそういう意味でこれが適切に利用されて良好な借地・借家の供給につながっていくということになる、法務大臣も前にお答えになりましたけれども、ぜひそうなってほしいという私どもの主観的な願望も十分込められておるということも御理解いただきたいと思う次第でございます、
○中村(巖)委員 何かやはりまだそれは願望の範囲にとどまっているような感じもしないではないわけであります。これは結局定期借地権という新しいメニューを今度加えてくる、こういうことでありますけれども、メニューを加えてみたところでお客さんの方がこのメニューを選択をしないということであれば、これはどうしようもないわけなんですね。それで果たしてこの定期借地権あるいは建物譲渡特約付借地権あるいは事業用借地権というようなものが本当にお客さんであるところの土地所有者の嗜好に合うのだろうかということになれば、大変に疑問ではないかということを申し上げておきたいと思います。 次に、今度は角度を変えまして、さきに法制審議会でこの借地・借家法の改正要綱というものが発表せられ、それから今回法案になってこれが出てきたわけでありますけれども、要綱と改正案との間には幾つかの相違点があるわけで、要綱にはあったけれども立法に当たって落としたあるいは加えたというものがあるわけでありますが、それはどういうものがあるのか、それぞれどういう理由によってそうなったのかということをお聞かせをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 最終的な法制審議会の答申とこの法律案の食い違い点と申しますのは、経過措置に関する点だけだというふうに理解いたしております。もちろんその前に、先ほど申しましたように昭和六十年の十一月に問題点を公表しまして、それについていろんな意見が述べられた。そういう意見を整理した形での改正要綱試案というのがございまして、これには実にいろいろな案、例えば事業用の借家権と居住用の借家権の違いを設けるとかというようないろんなものが盛り込まれていたわけでございますけれども、最終的には、各方面の意見を踏まえてこの法制審議会の最終答申になりました。その答申と法律案との実質的な違いというものは、経過措置に関する部分だけであるというふうに申し上げても差し支えないのではないかというふうに思います。
○中村(巖)委員 最終的な部分ではほとんどそれに尽きるかと思いますけれども、その中間の段階では、例えば自己借地権とかあるいは借地権の担保化、こういったようなものもあったようにに思ったのですけれども、それは最終的な答申の要綱の中にはないのかもしれませんが、自己借地権とか借地権の担保化の問題については、それはどうしてなくなってしまったのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 細かく説明すればいろいろ問題があるわけでございますけれども、自己借地権については、これは最終答申にも盛り込まれ、法案化されているところでございます。借地権だけを抵当権の対象として担保化するという問題も要綱試案の段階では一つの試案として示されたわけでございますけれども、この問題につきましては、現実の借地権、これが独立の財産的な価値があるものとして評価されるという面があることは否定することはできないわけでございますけれども、しかし実際問題としてはその上にある建物と一体的に利用されるというか、一体的に動くということに実は意味があるわけでございまして、現行法でも建物に設定した抵当権の効力というのはその建物の所有を目的とする借地権にその効力が及ぶということになっておりまして、それとの関係を一体どういうふうに調整するのかというような問題、建物とは別個に借地権だけを抵当権の対象にするというようなことは果たして一体いいのかどうか、その間の法律関係は非常に複雑になるのではないか等々の問題が指摘されまして、最終的には採用されるに至らず、こういうことになったわけでございます。
○中村(巖)委員 それでは次に、今度の改正法が仮に成立しますと、既存の契約に対してはこれは影響がないんだ、こういう御答弁で法務省は終始しておりますけれども、やはり一部の方々の間では、既存契約に対して大変大きな影響があるのではないかというようなことを言われる方々があるわけでございまして、それはいろんな考え方に基づくわけでございましょうけれども、例えば正当事由の問題なんというものについても、これはやはりこういうふうに改正をされるとしますと既存契約にも大きな影響がある、こういうふうに言われているわけでございます。その辺のことについて、既存契約に対しては全く何の影響もないんだ、既存契約の権利関係というものは従前と同じなんだということをはっきり明言ができるわけですか。
○清水(湛)政府委員 これはこの法律案の経過措置の規定をお読みいただければおわかりいただけるわけでございますが、既存の契約関係には新法の契約の更新及び更新後の法律関係に関する規定は一切適用しない、新法が成立いたしましても従来どおり現行法で更新される、こういうことになっているわけでございまして、その限りにおいては現行法が有効な法律として生きる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、既存の契約は従来どおり全く変わることなく保護される、これは法律がそうなっているわけでございますから、その法律どおりに解釈していただくということが当然のことだと思うわけでございます。 しかしながら、この借地・借家法の改正の趣旨が十分にまだ理解されていないというようなことなのかどうか、あるいはまた別な動機があるのか、私どもにはわかりませんけれども、何か影響するのじゃないかというようなことをおっしゃる方もあるやに聞いております。しかし、私ども法律家といたしまして、この法律案できちんとその点についての明確な規定が置かれておる、こういうことでございますので、その規定どおり裁判所は法律を運用するはずであるし、それ以外の法律の運用をするということはおよそ考えられないわけでございますから、そのことについては全く安心していただいて結構であるというふうに申し上げたいと思います。
○中村(巖)委員 現在のこの借地・借家法改正案、これに対して批判というものがいろいろあり得る、現実にあるわけでありますけれども、例えば、今申し上げたように改正されたことによって正当事由が地主、家主の側に有利に拡大をされるのではないか、こういうようなことを言う人があります。この点は、たびたび民事局長がお答えになっておられるところですけれども、これは従来の判例を集大成したもので、それをこの種の表現にまとめたのだ、こういうことで地主、家主に有利なように拡大をされるということはあり得ない、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○清水(湛)政府委員 結論的に申し上げますと、全く委員仰せのとおりであるというふうに考えております。このことにつきましては、先ほどの小森委員の御質問に対しても詳細にお答えしたところでございますが、現行法が非常に簡単に、自己使用の必要性その他正当事由という極めて簡単な表現をいたしております。私どもは法律に携っておる者といたしまして判例の集積というものを踏まえましてその条文を読みますからわかるのでございますけれども、一般の方々には今の正当事由に関する条文を読んだだけでは何を言っているのかわからない、こういうことに当然のことながらなるわけでございまして、新しく現代語化した法律をつくるという場合には、やはりわかりやすくこの正当事由を表現する必要がある。そのためには、これまで数十年間にわたって集積された判例、法理というものを明確に条文の中に書き込むということが、この借地借家法というのが一般の国民の生活にとって重要な法律でありますだけに、法律を読んでわかる。こういうことが必要であるということから判例、法理を成文化したということになるわけでございまして、決してこれは現行の正当事由の範囲を拡大して著しい家主に利益なものとするというようなものではない。このことは、裁判所が今後新しい法律を運用する場合におきましても十分に配慮して運用していただけるというふうに私どもは確信している次第でございます。
○中村(巖)委員 さらに、新しい法律が適用された場合における期間の問題でも、期間は三十年だ、それからその後の更新は十年なのだ、十年というのは余りに短か過ぎるじゃないか、こういう批判もあみようでありますが、この点についてはいかが考えておられるでしょうか。
○清水(湛)政府委員 この点につきましては、私ども更新後の期間を十年といたしましたのは、やはり当事者間におけるいろいろな諸情勢の変化というものができるだけ借地関係に反映されることが望ましい、こういうことからこのような期間を設けたわけでございますけれども、その前提には基本的な存続期間が三十年とされておるということも、また御注目いただきたいと思うわけでございます。木造建物の場合には現在は二十年というふうに、ほとんどすべての契約で二十年ということになっているのが実情でございます。鉄筋等につきましては三十年ということになるわけでござ、いますが、通常の借地契約の場合ですと二十年でございますので、二十年、二十年という形で更新をしていく。最初の更新だけを見ますと、今回の改正法は三十年でその次に十年の更新でございますから、四十年間に二回だけ更新の機会が来るという点においては現在の場合も新法の場合も変わらない。違っできますのは、新法ですと五十年後に更新の判断の機会が来ますけれども旧法ですとそれが六十年目になって、そこで十年の差が出るということになるわけでございますけれども、建物を貸す場合に基本的な存続期間、まあ三十年程度は今の建物の寿命ということから考えますとこれは基本的な存続期間として当然だろう、しかしその後における更新期間というのは、長年月の間に生ずる当事者間の事情の変更というようなものを的確に反映させるという意味におきましてもやはり更新期間は十年程度が適当であろうと、関係方面の大方の意見の一致したところがそういう数字として出てまいりましたので、法案におきましても答申にのっとりまして基本期間を三十年とし、更新期間を十年とした。決してこれによって地主の方が有利になるというふうに私どもは考えているわけではございませんで、正当事由がない限りやはり更新を続けていくということにおいては変わりがないというふうになっておるわけでございますから、この点についても御理解を賜りたいというふうに考えておる次第でございます。
○中村(巖)委員 最後に一点だけ。既存契約というものが新法を適用しないという形の中で進行し、従来の権利関係というものが同じである、こういうことでありますけれども、ただ、批判する人は、この新法の立法形式が附則という形の中で旧来の権利関係なんだ、新法を適用しないんだ、こういうふうに決めている、そうなると、附則を廃止してしまえば全面的に新法が適用になるじゃないか、それで法務省は何年か後には附則を廃止してしまおう、こういうことを考えているのじゃないか、こういう批判をする人がありますが、それに対してはいかがでしょう。
○清水(湛)政府委員 附則も立派な法律でございまして、本則であろうと附則であろうと法律の効果においては全く変わるところがない。これはもう私が改めて説明するまでもないところでございます。 それから新法と旧法の適用関係につきましても、法制審議会の答申では、存続期間に関する規定はやはり新法の規定は旧法による契約には適用しないのが望ましい、もう全然適用しないのが望ましいとしながら、しかし、もし適用するなら新法施行後二回目の更新から更新後の存続期間に関する規定を適用するというのはこれはもうしょうがない、こういう趣旨の答申になっているわけでございまして、法制審議会に参集しているそれぞれの権威ある学者の先生方もそういう形で新法、旧法の二つの契約形態の併存というものを承認されているわけでございます。私どもとしては、そのような考え方が合理的であるという判断のもとに、今回の法律案も、まあ正当事由についても適用しないということにいたしましたけれども、そういう判断のもとにこの法律案の御審議をお願いしているわけでございまして、先ほど小森委員に対して大臣からお答えになりましたが、今回の法律案が通った後また改正するんだというふうなことは全く考えていない、これは考えていないということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○中村(巖)委員 終わります。
○田辺(広)委員長代理 これをもちまして中村巖君の質問を終わります。 引き続いて、木島日出夫君に質問を許します。木島日出夫君。
○木島委員 私に与えられた時間はわずかに二十五分でありますし、私、きょう二巡目の質問でありますので、きょうは民事調停法の一部を改正する法律案についてのみ質問をいたします。 提案理由は、地代家賃の紛争について調停手続の積極的な活用により適正かつ迅速な解決を図るため、一つには調停前置制度を採用する、二つ目には調停委員会が調停条項を定める制度を設ける、いわゆる仲裁的な手続で地代家賃の紛争の解決を図る、これが目的だと法務省は述べております。 最初に確認ですが、この民事調停法の一部改正法が成立いたしますと、既存の借地・借家に係る地代家賃の紛争についても適用になるわけですね。
○清水(湛)政府委員 地代家賃に関する紛争を適正妥当に解決しようという趣旨のものでございますので、既存の借地・借家契約の地代家賃に関する紛争事件も原則としてこれが適用される、こういうことになろうかと思います。
○木島委員 法務大臣にお伺いいたしますが、今回の改正で、調停条項制度と私言いますが、これを入れることによって、メリット、効能、どこにあると考えているのか、まず御答弁願いたい。
○左藤国務大臣 今回の改正では、賃料の増減額請求の事件、これにつきまして、当事者間での合意によって紛争を解決するという民事調停制度を積極的に活用するということで迅速かつ適正に紛争が解決されるのではないか、こういうメリットを考えておるわけでございます。
○木島委員 これは調停という名前ですが、その実体は、調停でなくて仲裁手続であると伺ってよろしいですか。
○清水(湛)政府委員 調停というのは、あくまでも当事者間の話し合いを尊重して当事者間における紛争を円満、適正に解決をする、こういうことが調停制度のねらいでございまして、それで、この合意にかえまして調停条項を示すというような制度につきましても、基本的にはやはり当事者間の事情を十分考慮してこのようなものがされると考えております。仲裁とどこが違うのかという、それは言葉の問題あろうかと思いますけれども、適正妥当な解決を図る、こういう趣旨でこの制度が運用されるものであるというふうに理解しているわけでございます。 〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
○木島委員 質問にまともに答えていないと思うわけであります。調停というのは、あくまでも両当事者の合意があって、それを調書に記載して成立するもので、その場合にはその調停調書は確定判決と同一の効力を有するというものであります。本件の調停条項制度は、紛争についての解決の、例えば地代家賃の金額を幾らにするかという合意がなくても、事前に当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意があれば、当事者が一致しなくても調停委員会は適当な調停条項を定めることができる。これが成立したときは裁判上の和解と同一の効力、要するに確定判決と同一の効力を有するということでしょう。中身の実体は、いわゆる民事訴訟法上の大原則である調停じゃなくて、仲裁だということは間違いないでしょう。
○清水(湛)政府委員 当事者間で合意が成立しない、あるいは成立した合意が相当でない、こういうことが認められる場合に、当事者間であらかじめ調停委員会の調停条項に服する、こういうような合意があれば、この中し立てによりまして事件の解決のために適当な調停条項を調停委員会において定めることができる、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、合意が成立しなくても当事者が申し立てればそういう解決のために適当な調停条項を定めることができるという意味におきましては、確かに仲裁的な要素もある、こういうふうに考えてもよろしいのではないかと思う次第でございます。
○木島委員 仲裁的な要素があるなんというものじゃなくて、本件改正法は、民事調停法三十一条に商事調停事件について調停委員会が定める調停条項という制度がありますが、これを今回地代家賃の紛争についても広げるということを内容とするものであります。それはもう言うまでもありません。最高裁判所事務総局が発行した「民事調停法規の解説」という中に、第三十一条について「調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意はやはり一種の仲裁契約である」とはっきり書いてあるわけであります。これはもう調停じゃなくて仲裁です。それはもう紛れもない事実だと思うのですね。 それでお聞きしたいのですが、調停と仲裁が本質的に違うところはどこですか。
○清水(湛)政府委員 仲裁というのは、仲裁契約があれば仲裁人を選んで必ず仲裁判断をする、こういうことになるわけでございますけれども、二十四条の三の調停委員会が定める調停条項というのは、調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面の合意ということと、それに基づく申し立てということ、それからさらに、それが事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる、こういうことになっているわけでございまして、やはりそこに調停委員会の判断と申しますか、そういう調停条項を必ず定めるかどうかということについてのその適当性と申しますか、妥当性についての調停委員会における判断が入り得る余地がある、こういうふうに考えているわけでございます。
○木島委員 かつて法務省は、民事調停法を改正して、現行法では商事調停事件と鉱害調停事件についてのみ定められた調停条項制度をすべての民事調停事件に拡大するという法案を提出したことがございますか。民事調停法の改正。そんな古い話じゃないです。法務省が出してないですか。
○清水(湛)政府委員 民事調停制度の改正につきましては、そういったたぐいの議論があったということを私記憶しておりますけれども、法律案という形で国会に、すべての調停条項について、いわば一種の今回御審議をお願いしておりますような調停委員会の調停条項による調停、こういうものを拡大する形での法律案を出したかどうかということについて、私ちょっと記憶がありませんので、もし必要なら後刻調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
○木島委員 ばかなことを言ってもらっちゃ困りますよ。第七十二回国会、昭和四十九年に民事調停法の大改正法案を法務省は出しているじゃないですか。そこで民事調停法十六条の二で、すべての調停事件について私が言うところの調停条項制度を拡大するという提案じゃないですか。それでそのときの委員会で徹底した審議が行われて、まさに商事調停、鉱害調停事件だけにのみ存する調停条項制度を全調停事件に広げることが徹底した審議の対象になったんじゃないですか。そんなのを忘れてもらっちゃ困りますよ。どうですか。
○清水(湛)政府委員 ちょっと古いことでございまして、まことに失礼を申し上げましたけれども、昭和四十九年に提出の民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案において、お尋ねのような趣旨を盛り込んだ提案をしましたが、修正されて削除されたという経緯がございます。まことに失礼いたしました。
○木島委員 そういう法案を提出して、その結果どうなりましたか、その部分については。
○清水(湛)政府委員 議員修正により削除されたという経過がございます。
○木島委員 そのとおりですね。全面削除されたでしょう、その制度は。法務省としては屈辱的な削除だと言ってもいいと思うのです。なぜ削除されましたか。
○清水(湛)政府委員 全部の事件についてこれを適用するのは不当であるという当時の野党の反対がございまして、その結果、議員修正により削除をされたというふうに承知いたしております。
○木島委員 野党の反対ではありません。全会派一致での削除であります。 当時の議事録を私は今手元にお持ちしております。昭和四十九年四月三日、当時の法務委員長小平久雄氏、委員長提案であります。読んでみたいと思います。 原案は、商事及び鉱害調停事件の特則として 認められている現行の調停委員会の定める調停 条項の制度を民事調停事件全般に適用しようと するものでありますが、この制度を通則化する ことは必ずしも適当でないと考えられるので、 この規定を削除し、現行どおりとしようとする ものであります。そして、この委員長提出の修正案について起立総員、全会派一致です。自民党、社会党、共産党、公明党、民社党、全会派一致であります。間違いないですね。
○清水(湛)政府委員 議事録を見ておりませんので正確な責任のある答弁をすることができないのでございますけれども、委員の仰せのとおりであろうというふうに考えております。
○木島委員 なぜ法務省が出したこの調停制度の大改革が全面削除されたか、どう法務省は理解したのでしょう。調停条項制度が当事者間の合意に基づく調停ではさらさらなくて、合意がなくても調停委員会が調停条項を決めることができる、それが調停調書に書かれたら、もうそれは判決と同じ効力だ、不服申し立て制度もない、そういう弊害が指摘されて全面削除になったのではなかったでしょうか。どうでしょうか。
○清水(湛)政府委員 詳細にそのときの経過を私ども実は事前に調べるということを十分いたしませんでまことに申しわけございませんけれども、恐らく全事件にそういったたぐいの制度を導入することは不適当である、政府といたしましては、調停制度を積極的に活用するという見地から、これは合理的に妥当する制度であるということで法律案を作成いたしまして国会に御審議をお願いしたということでございますけれども、しかしながら全事件についてそういった制度を導入するのは適当でないということで、最終的には委員仰せのとおりの形で議員修正をされた、こういうふうに理解しているわけでございます。
○木島委員 一回かつて出された法律の趣旨が当法務委員会によって全面否定されて削除された、それを知らずに、今回地代家賃の紛争について同じような制度を持ち込んできたわけであります。まことに私は不見識だと思います。昔の削除された理由がわからなければ、今回地代家賃についてはこういう理由があるからこういう制度をつくっていいんだと、理由を述べることはできないと思うわけです。御存じないようですから、私、全部議事録読んでみましたけれども、中心的な、この制度がいかに害悪かというものを述べている当時の日本弁護士連合会司法制度調査会委員長の江尻平八郎参考人の意見を開陳します。これは現在も通用する考えですから、この江尻さんの当時当法務委員会で述べたこの制度の害悪に対して、今法務省はどういう答弁をするのか、答えていただきたいと思いますので、そういう立場から聞いていてください。 民事調停法改正そのものを反対だという参考人の意見ですが、反対の第一の理由に、調停委員会の定める調停条項の一般化だ。 解決をあらかじめ、白紙で調停委員会に一任するものでございまして、しかも、出された結論がいかに不満なものであっても、これに従わなければならないのでございまして、さらに不服の申し立ても許さないというものであります。納得のいかない解決が押しつけられることは、不服のある者にとっては不公正な解決が無理やりに押しつけられるということになります。法案では「当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合」にこの方法をとるというのでございますから、おそらくそのほとんどの場合当事者に不満を残すことは見やすい道理であろうかと存じます。 国民にとって調停制度が安心し信頼して利用できるということは、調停委員会の説得が十分に行なわれ、しかも、いやならば、その説得に応じなくてもよいからでございます。この法案が実現することになりますと、調停委員会は、めんどうな説得を尽くさないで強制調停でまとめてしまおうとする方向に走りがちとなります。また、いざといえば強制調停の手段があるからということで、調停委員会の説得の態度が独善的になり押しつけ的になることが憂慮されるのでございます。現在でも、委員が自分だけの特殊な考えを押しつけたり、あるいは機械的に足して二で割る式の調停をなすことが多過ぎるという不満があげられています。このような不満は一そう多くなることと思われます。 六行飛ばします。 現在この制度を採用しております商事調停、それから鉱害調停では、この制度はほとんど活用されていないといわれております。このことはいかにこの制度が調停になじまないものであるかを証明しているのでございまして、あえてこの制度を活用するとするならば、前のように調停制度の本質をそこなう結果になるわけでございまして、この提案は、いずれを指向するとしても実現されてはならないものだと確信しております。 なお、提案者は、この制度が書面による合意を前提としておるものであることを強調しております。しかし、合意そのものが強制されない、あるいは常に適正に行なわれるという保障は全くありません。しかも、一度合意書面ができてしまえば、その結果に不満が残っても訂正の機会が全くないのでございますから、合意に有効なチェックを期待することは不可能でございます。これは調停ではなく仲裁であり、運用によっては公開の裁判所における裁判を受ける憲法上の権利を侵す重大な問題を含んでおるものでございます。 こういう参考人の意見陳述です。 この指摘は、まさに私は、地代家賃の紛争にこの制度を導入することによって害悪が一層大きくなる。それは、御存じのように今バブル経済で地価がどんどん暴騰する。地主、家主の要求は、その暴騰、高騰した土地価格、建物の価格に見合うように地代家賃を上げるという要求が全国各地で今一斉に噴き出しているわけですね。そういう状況の中で、せんだっての同僚委員からの質問によって、民事局長は、この合意、書面による合意というのは調停が始まってからじゃなくてもいいんだ、借地契約、借家契約がもう取り交わされて、その中に不動文字が入っていてもそれは合意が正当なんだという、まあ例文解釈の例外があるということを言いましたが、しかし基本はそういう合意であろうとも有効なんだとおっしゃいました。そうすると、圧倒的に力関係の違いが前提としてある借地人と地主、借家人と家主との関係を律する紛争について、まさに私は当時の江尻参考人のこの指摘は図星だと思うわけです。ますますそれが理由として重要視されなければならないと思うわけです。恐らくこの論理に対して当時、これ全部私は議事録読んでみましたけれども、法務省から的確な反論がなかったということから、私は、当時自民党もほかの野党も全部一致して、全会派一致てごめ条文を削除、修正して民事調停法を成立させたと思わざるを得ないわけです。 どうですか、江尻参考人のこの害悪に関する論述に対して、法務大臣、どう考えますか。
○清水(湛)政府委員 江尻参考人の御意見をお読み上げになりましたが、私どもの理解しておるところでは、原案、当時の政府案というのは、商事及び鉱害調停事件の特則として認められている現行の調停委員会の定める調停条項の制度を民事調停事件全般に適用しようとするものでありますが、この制度を通則化することは必ずしも適当ではない、通則化するのは適当ではないということでこの規定を削除するということにいたしたというふうに理解しているわけでございます。 ところで今回、地代家賃紛争に限定して、借地・借家事件全般ではなくて地代家賃紛争に限定して調停条項による裁定制度と申しますか調停条項制度というものを導入したのは、地代家賃紛争につきましては当事者の合意によって解決されるということが望ましいわけでありますけれども、必ずしも常に合意が成立するとは限らないという要素がある。この場合に、直ちに時間と費用がかかる訴訟によって解決するよりも、地代家賃の問題に専門的な知識経験を有する者を調停委員として参加せしめる、そういう方々の専門的な知識を活用する、こういうような形で解決をする。そういう方々の裁定に服するという方法で解決することを当事者は希望するというのであれば、これも一つの合理的な解決方法ではないか。訴訟事件におきましてもほとんどの事件は不動産鑑定士による鑑定に依拠した判断がされておるということでございまして、これを訴訟の場ではなくて調停の場で積極的に活用するということが望ましいということからこのような制度の採用を提案したわけでございます。 この点につきましては、法制審議会、これは日弁連の代表者も当然参加しているわけでございますけれども、かつての昭和四十九年の政府案に対してのような反対論、こういうものはなく、法制審議会においても認められておる、こういう経過をたどっているわけでございます。あくまでも、地代借賃の増減調停事件についてのみ例外的に適用する制度として合理的な制度である、妥当な制度である、こういうことでこの制度の採用を法律案として盛り込んでおる、こういうことでございます。
○木島委員 今、民事調停法にある商事調停事件に関する調停条項制度がどのくらい成立しているか、裁判所、お呼びしておりますが、数字どうでしょうか。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 この制度は商事調停及び鉱害調停制度でございますが、今までの統計によりますと全部で三十四件、こういうようなことが定められ……(木島委員「いつからいつまでですか」と呼ぶ)これは統計がございます。昭和二十七年から四十六年、この間でございます。
○木島委員 それは昭和四十九年の私が今持っております議事録に書いてあるのです。じゃ、四十七年から今日までに、約十九年間たっていますが、ありますか。
○今井最高裁判所長官代理者 それ以降はございません。
○木島委員 まさにほとんど使われてない。 それで、この議事録の昭和四十九年四月二日の法務委員会の質疑において、中村梅吉国務大臣、それから当時の川島政府委員、法務省です、川島一郎法務省民事局長答弁、質問者からこの制度がいかに当事者の権利を侵害する害悪があるか、それをどうするんだということを詰められたのに対して、例えば川島一郎政府委員、こう言っているのですよ。 従来、商事調停、鉱害調停にあってはほとんど 利用されていなかった、今答弁されたとおりです。 先ほど御指摘がございましたとおりでありまし て、私も、この規定が一般化されたといたしま しても、それほど多く利用されることにはなら ないであろうというふうに思うわけでございま す。 これを一般化することが、何か調停を強権的 に成立させるとか、押しつけ調停の危険がある というような点が指摘されておるわけでござい ますが、従来の実績から見ましても、これがそ う急に活用され、たくさんの事件がこれによっ て解決されるということにはならないのではな いか。そういう意味で、私は、必ずしもこの規 定が多くの弊害をもたらすというふうには考え ません要するに、余り使われないから弊害がないと考えるのだというのが法務省民事局長の正式な答弁ですよ。使われたら弊害があるということを認めているのです、逆に。 そこで私は、法務大臣に最初お聞きしたわけです。この制度を今回借地・借家事件、家賃地代の紛争について適用して迅速に進めるということがどんなに大きな弊害をもたらすかということを、当時の昭和四十九年の法務委員会議事録は如実に示していると思うわけであります。 もうこの民事調停制度は撤回していただく以外にないというふうに思いまして、いろいろせんだっての民事局長の答弁で、じゃ、どういう場合に事前の書面による合意が有効なのか、どういう場合には例文規定として無効なのか、それも私きょうは聞きたかったし、あるいはそういう契約書に入った合意はだれが有効無効を判断するのだ、いつの時点で判断するんだ、そういうことも聞きたかったわけでありますが、時間が参りましたから終わります。
○伊藤委員長 中野寛成君。
○中野委員 法務省民事局が出されましたパンフレットに、タイトル「貸しやすく借りやすい借地・借家関係を」というのがございます。貸しやすくはなるだろうという気はするのですが、借りやすくなるのかな、このことが大変大きな疑問でございます。 これは実は幾つかの、言葉じりをとらえるようで恐縮でございますが、この貸しやすくなったということで供給がふえれば借りやすくなるでしょう。しかし、その供給がふえるかどうかということが一つ問題になります。貸しやすくなるということは、ひっくり返して言えば、今回の法律の目的からいえば返してもらいやすくなるからであります。返してもらいやすくなるから貸しやすくなるという論理だと思うのですね。ということは、借りた方からいえば返させられやすくなるということなのではないのか、そこに借地・借家人の皆さんの心配があるということだと思います。 現在の契約には新法は適用されないということでありますが、しかしながらそのことは、端的にわかりやすく言いますと、先ほどから繰り返されておりますが、今の土地、今の家を借り続ける限りは、また親から子にそれが相続をされようとも、または又貸しもしくは譲渡されようとも現在め法律が適用される。これは念のためにちょっと聞いておきますが、そういうことですね。
○清水(湛)政府委員 この法律が通過いたしまして施行されるということになりました場合に、この法律の施行前にされた借地契約、借家契約についてはすべて従前の規定が適用される。これをこの借地・借家関係が相続されて相続人承継され、あるいは他に譲渡されて移転するというようなことがございましても、借地・借家関係は同一性を持って移ることになりますので、やはり旧法の規定に従って更新等が規律されることになる、こういうことになろうかと思います。
○中野委員 親が住んでいて、親が借方でいて子供に相続されても、また他に譲渡をされても、今までどおり、既に契約されているものは現在の法律、旧法が適用される、こういうことでありますが、そのことがまだ意外に知られていないことも事実です。それで、いろいろパンフレットをつくって努力をされている。またその場合に、国民の皆さんが広く知っていただくということが一つ第一条件にありますが、ところが貸す方の人はいろいろ勉強をされます。そしてそのことによって、どちらかといえば需要供給の関係で今なお家賃が高い、地代が高い、なかなか借りれないという状況が続いている場合には、どうしても貸す人の方が立場が強いということが一つ問題になります。 それからもう一つは、そのときにどうしても便宜的に、法制度の問題ではなくて、制度はきちっと配慮されておっても、実態論上、例えば今でもそうなんですね、明け渡しを要求するときに紙切れ一枚で通知、それは地主とか家主が直接じゃなくてプロの代理人を通じてやるとか、それでもう言いわけは許さない、強制的に出ていってください生言わんばかりの雰囲気のものが多いですね。私も自分の事務所は借りた事務所ですし、私が住んでいるのも賃貸公営住宅でございますから、私も借りている方でございますけれども、決してだれかが言うように豪邸に住んでいるわけじゃないが、しかしやはり借りている方というのは実に不安がつきまとうことは事実。そして、元気なうちはいいんです、まだしも。これがやはり体が弱ってくる、または所得が少ない、または高齢になってくるということになりますと、自分は将来ここで住み続けることができるのだろうかという不安がいつもつきまとうのですね。だから、よほど配慮に配慮を加えておかないと強者と弱者の関係というのがつきまとうということになる。 そういう意味では、地方の法務局ですとかまたは地方自治体の窓口ですとか、いわゆる駆け込み寺も含めて、いろいろな配慮がなされなければならないと思いますが、そういうことについても考えておられますか。
○清水(湛)政府委員 一般の国民の方々が紛争に巻き込まれるケースといたしましては、借地・借家のケースが非常に多い、その次に金銭の貸し借りというようなものが典型だろうと思いますけれども、この借地・借家の問題につきましては弁護士会でも無料相談というようなことで積極的に活動をしておられるし、あるいはそれぞれの自治体におきまして法律相談室などを設けておられるというようなことも聞いているわけでございます。 そういうほかの団体のことは別といたしましても、例えば法務局におきまして、借地・借家の紛争に伴いまして借地人、借家人の方で地代を地主、家主の方に持っていったけれども受け取ってもらえない、どうしたらいいかというような形で、じゃ、それは法務局に供託をしなさいというようなことを契機といたしまして借地・借家の問題が法務局に持ち込まれて、それに供託というような面ではございますけれども指示をするというようなこともございます。 それからまた、これは私ども民事局の所管ではございませんで人権擁護局の問題でございますけれども、いわば社会的にそういう弱い立場になった者が地主、家主からの不当な要求によって追い出しをされるというようなことになりますと、これは一つの人権問題でございますので、人権相談というような形で人権の窓口へいらっしゃる、現にそういうこともかなりあるようでございますけれども、そういうような形で法務局における民事行政、人権行政の面でできるだけそういった方々の相談に応ずるように努めてまいりたい。現にいろいろな形でそういう相談活動をいたしているわけでございますけれども、さらにそういうものを法務省みずからも努めるとともに、さらに法律の中身、借地・借家制度の中身につきましてもPRに努めて、法律を知らないことによって不利益を受けるというようなことがないように努めてまいみ必要があるというふうに考えております。
○中野委員 既に結ばれた契約のものについては一応きょうはそこまでにしておきますが、もう一つ、借りかえ、新規に契約をする、今までに比べて借りる方にとっては不安定な状況になるということは避けられないと思いますね。そこでこれまた供給が多くていつでも借りかえができる社会情勢があるということであれば、これも借りる方にとってはある程度の安心感がありますね。しかし、それが十分フォローされませんと、結局、一定年限、三十年とか五十年とかたったら返さなきゃいけない。それからまた、三十年、五十年の契約で土地を借りてそこに賃貸マンションを建てた、そのマンションの中に住んでいるという人にとっては、それが建って何年たっているか、あとどのくらいの契約が残っているのか、そういうことも含めて調べませんと不安定な状況がありますね。 こういうことなどを含めて、よほどこの住宅政策、土地政策と相まった方法論というのが組まれなければいけません。法務省で独自でそういうことをやるわけではもちろんありませんけれども、そういうことについての法務省と例えば建設省との連携とか、また、政府トータルとしての検討とか、そういうものはなされたんでしょうか。
○清水(湛)政府委員 借地関係と借家関係で、借りかえ等の問題については違う面がございます。借家につきましては、基本的には現行法と新法、全く変わっておりませんので、借りかえについても全く同じような問題が起こるということになろうかと思います。借地につきましては、改めて借り直すというようなことが全くないとは申し上げられませんけれども、そういうような事態も起こり得るというふうに思うわけでございます。 その際、借地人なりあるいはその借地上に建っております建物の借家人、そういうような人たちが不利益を受けないように配慮をするということは当然のことでございまして、今回の法律案におきましても、定期借地権上の建物、これはもう一定の期間が来れば土地は返さなきゃならないということになっているわけでございますが、そういう定期借地権の上に建てられた建物が借家の対象になっておる、そこに借家人が住んでおるというような借家人の権利の保護については、一定の規定を置いているわけでございます。 そういう面でのいろいろな配慮をしているわけでございますが、私ども建設省にもお願いいたしまして、建設省で、そういう宅地建物取引業というのがあるわけでございますから、そういう業界の方にも十分にこの借地・借家の制度の趣旨が徹底されて、借家人、借地人が不利益を受けることがないように御配慮願いたいというふうに考えている次第でございます。
○中野委員 建設省に伺いますが、一つは、この法律とは別に、住宅政策、土地政策として建設省や国土庁で取り組んでいただく、そしてできるだけ供給をふやして、そして土地事情や住宅事情をよくしていくという独立した政策の部分と、もう一つ、この借地・借家法が改正されたとすれば、その法意を有効に活用するために、この新法のもとにおいて建設省の工夫、政策によってよりよい土地対策や住宅対策ができるようにしていくこともこれはまた大切なことだと思うのです。単に法務省がいろいろ検討した結果こういう法律をつくりましたということではなくて、そういう改正がなされたときに、それを利用して建設省として住宅供給や土地の供給がふえるようにすることが大切だと思いますが、そのことについての検討、工夫はされておりますか。
○川村説明員 私からは総合的な住宅政策の面についてお答えさせていただきたいと思います。 先生御指摘のとおり、国民の居住の安定を図っていくということは大変重要な問題であるというふうに考えておりまして、そのために、私どもといたしましても総合的な住宅政策を推進していきたいというふうに考えておるわけでございます。 このため、平成三年度を初年度とする第六期住宅建設五カ年計画を策定したところでございまして、この計画に基づきまして、一つは住宅金融公庫の融資あるいは税制による住宅取得の促進、それから公営住宅、公団賃貸住宅などの公共賃貸住宅の的確な供給、それから融資、利子補給などによる良質な民間賃貸住宅の供給など、総合的な対策を展開しているところでございます。さらに、今後都市計画あるいは建築規制制度の見直しによります土地利用計画の整備充実ということをひとつ図りたい。 それからまた、本年三月に、大都市法に基づきまして大都市地域の住宅及び住宅地の供給基本方針を決めたところでございますけれども、これに基づいて広域的な住宅宅地供給の促進を図ってまいりたい。さらには、都市内の低・未利用地の利用促進等による土地の有効利用を図っていくというような形で、都市政策あるいは土地政策とも連係をした住宅対策の推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○石井説明員 新たな借地・借家制度に対応いたしました住宅供給、管理の推進策についてのお尋ねでございます。 建設省といたしましては、平成四年度の重点施策といたしまして、今回の改正を受けました新たな借地・借家制度、これを利用いたしました住宅の供給及び管理の適正化が促進をされますように実態の調査を進め、あるいは手引書を作成するということで推進策を講じてまいりたいと思っております。 その具体的な内容といたしましては、一つには、定期借地方式によりますマンション供給に資するための手引書の作成、二つ目は、確定期限つきの借家制度を活用いたしました民間のリロケーション住宅の供給促進、これを図るための調査を実施し、またリロケーション住宅の管理の適正化等を図るための手引書を作成する、こういったようなことを具体的に考えているところでございます。
○中野委員 総合的な住宅政策につきましては、今の御答弁、それはそれで結構でございます。それはまた別の場で、別の機会に十分突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います、住宅基本法等も含めまして。 むしろきょうは、この借地借家法に関連をしてお伺いをいたしますが、今のマニュアルをつくる、そしてまた定期借地方式によるマンション供給の推進を図りたい、民間リロケーション住宅供給、管理システムの確立をしたい、また賃貸借関係の合理化、管理の適正化をしていきたい、こういうことでありますが、このことについての現在の住宅事情の中での必要性、そしてまた国民からの待望の度合い、そして、これをやりますことの効果、これらのことについて、今日までの皆さんがやってこられた行政経験からして、どのくらいの効果があると思いますか。
○石井説明員 今回の改正におきまして、定期借地権、確定期限つき借家特例というのが導入されるわけでございまして、こういった制度の導入によりまして、賃貸人の土地あるいは建物の返還に係る不安が解消されることによって住宅宅地の供給に資するものと考えております。現在の住宅賃貸借の関係等を見ますと、当事者間におきますトラブルが非常に多発しておるということで、現在賃貸住宅経営者の経営意欲の向上とかあるいは逆に貸借人の居住の安定の確保、こういう観点からすると問題があると思っておるところでございますが、今回の借地・借家法の改正は、これらの状況を踏まえまして、賃貸借当事者双方の公平な利害関係の調整等、またあるいは合理的な借地・借家関係の確立を図るというようなことで、私どもといたしましてもそういうことで評価をいたしているところでございます。
○中野委員 先ほど同僚委員の質問の中で清水民事局長が、音とったアンケートについての御説明がありました。制度が改正されれば貸してもいいと思っているという人と、いやそうは思わないという人とのパーセンテージをお出しになりました。この結果を建設省に聞いてみたいと思うのですが、そういうものをより一層拡大する努力、これが今のマニュアルをつくったりいろいろなことをすることによってより一層促進されるというお考えなのであろうと思いますけれども、先ほど清水さんが言われたあのアンケートの結果は御存じだったでしょうか。そしてまた、そのことをどう分析されますか。これは現在までの率直な感想としてお聞かせをいただきたいと思います。
○石井説明員 先ほどの調査、日本不動産研究所におきます調査だと思いますが、私どももその調査は承知しております。こういう貸したいと思うというふうな意向につきましては、私どもも一定の評価を持っておるところでございます。同様の意見を持っておるところでございます。
○中野委員 いや、そのことを、より一層パーセンテージを高める努力であるとか、それをより一層その傾向を政策的に、行政的に助長することによって、より一層高まると思うかどうか、そして、今建設省で工夫をされていることがそのことにどのくらいの効果を発揮するとお考えかとお聞きしているのです。
○石井説明員 具体的にどの程度の効果があるかということについてはまだ定性的に把握してないところでございますが、方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、私どもがやるいろいろな実態調査、あるいはマニュアルの作成等によりまして、こういった土地所有者の意向にも合致いたしまして供給促進に資するものであろうというふうに認識しております。
○中野委員 時間が参りましたから終わりますが、一つの提案、一つの政策をそれだけに終わらせることなく、土地住宅問題というのは実に多岐にわたる問題ですし、国民の利害得失、感情、生活様式、いろいろなものにまたがります。各省庁が協力をし、そして、その中で行政効果を上げるという御努力をなお一層お願いをしたいと思います。 きょうはこれで終わります。
○伊藤委員長 次回は、来る九月四日水曜日午前九時四十分理事会、午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四分散会 ————◇—————