土地問題等に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1991/09/26
会議録
○薮仲委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事小野信一君から、理事を辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○薮仲委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○薮仲委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に山元勉君を指名いたします。 ――――◇―――――
○薮仲委員長 次に、土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。 参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 社会資本の整備と土地問題について調査のため、本日、参考人として上智大学経済学部教授岩田規久男君及び日本大学経済学部教授田中啓一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○薮仲委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○薮仲委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 先般、国土庁から土地の基準地価が公表されましたが、いまだ国民が住宅を取得できる地価にまで下がったとは言えない状態にあり、さらなる地価対策が望まれるところであります。 同時に、日米構造協議に基づく今後十年間の四百三十兆円の公共投資に伴い、求められるのは安定した地価の推移であります。 先国会、土地税制については地価税を中心に大幅な改正が行われましたが、このことによる地価の推移も見守る必要があります。 同時に、税制改正に伴う固定資産税、相続税の課税評価の見直し、あるいは三大都市圏における宅地並み課税の推移も重要であります。 このほかに、国土利用計画法に基づく監視区域あるいは現行の土地取引のあり方、金融機関の総量規制、都市計画等、今後の検討すべき課題は数多く存在いたします。 このときに当たり、当委員会として公共投資を円滑に遂行するために地価対策はどうあるべきかを御討議いただきたいと思います。 参考人各位には、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序でありますが、岩田参考人、田中参考人の順序で御意見をお一人三十分程度お述べいただき、その後、懇談に入りたいと存じます。 それでは、まず岩田参考人にお願いいたします。
○岩田参考人 上智大学の岩田でございます。よろしくお願いいたします。 「社会資本と土地問題」というレジュメをお配りいたしまして、その裏に二枚紙ほどで私の書いたものが存在をします。 これから十年ぐらいかけて公共投資が四百三十兆円ぐらいに上って、社会資本の充実というものが今課題になっているわけですが、最初の一、二、三というレジュメにあります問題は、現行の制度の中で余り大枠を変えないで社会資本の整備を進めるのにはどうしたらいいかというものでありまして、その四というのは、これからもっと、少し大きく変えなければならないという問題が書いてございます。 まず、社会資本を整備するために公共用地を取得しなければならないわけですが、この取得の問題は二つの問題がありまして、一つは、先行取得をしていかないとだんだん、後で取得しようとすればするほど地価が上昇してしまう。特に、公共事業が開始されるということが人々に知れ渡りますと、そこで投機が非常に盛んになって、将来の開発利益を先取りして地価が上がってしまって、公共側はその開発利益を含んだ、自分で開発して利益を出すわけですが、それを含んだ価額で買わなければならないという、いわば矛盾に直面するという問題があるわけです。それからもう一つ、先行取得しませんと、その間に土地の権利者がどんどん変わったり、土地がどんどん細分化してしまって権利が非常に複雑になったりしてしまうということで、後で取得することは非常に難しいということがございます。 そういった点で、できるだけ早い時期に取得をするということが必要ですが、現在の国庫債務負担行為というので取得しようとしますと、大体、平均的に三年ぐらい先の取得はそういう措置で可能になっているようでありますが、現在、それでは財政的に措置が十分でないために、必ずしも取 得がスムーズにいってない面がございます。この財政措置は、本来は土地の税制をうまく活用するということで対応すべき問題でありますが、さしあたり今の土地の税制を、現状を前提にいたしますと、なかなか土地から取った税金だけでは公共用地の取得のすべてを賄うことはできないという現状であります。 そういう現状では、措置として、財政投融資からのかなりの資金をつぎ込む、それから一般財源からもつぎ込んで、この公共用地を取得をするための特別会計のようなものをつくって、それで土地公社にどんどん買っていただく、そして先行取得を進める、そういう財政措置をとって進めていくということが考えられるかと思います。来年度から地価税が始まりますので、その地価税をうまくそういう財源として使うというのも一つの考え方ではないかというふうに思います。一応二千億円という地価税、そのくらいの税収と見込まれておるようでございますが、それぐらいの財源だけで特別会計をつくるというのは問題があるのかもしれませんが、一応そういう地価税を目的税的に公共用地の取得に使うというのは、後からお話しするように、経済的には非常に合理性を持っているものであります。ですから、そういう財政投融資であるとか地価税とか、そういったものを財源として先行取得をする体制をきちんと財源的には整える必要があろうかと思います。 それから、公共用地を取得するときのために、その土地の売買をきちっと公共当局がキャッチしておかなければいけないわけで、そういう情報ネットワークとして、公共用地の拡大法というようなことで、ある一定の面積以上の取引に対して情報を得る手段はあるわけですが、いろいろなところでその土地を持っている公共団体などがどういう公共用地等を持っているかというようなことの情報ネットワークが現在存在していないようでありますので、そうした情報ネットワークをうまく使うということによって、特に公共用地に関しては、代替用地といいますか、そういう要求が非常に強いということがありますので、そういったことに応ずるためにも、どういう土地を各自治体が公共用地として持っているかといったようなことのネットワーク、含めて、土地の取引に関して情報ネットワークをつくる必要がある。現在、国土利用計画法に基づく土地取引の監視区域制度がありますが、ああいったものも一つの土地取引の情報ネットワークとして使えるのではないかというふうに思います。 それから、今ちょっと申し上げたものとして代替用地でありますが、公共用地として土地を地主から提供してもらうと、その地主がほかのそれにかわる土地を要求する場合が非常に多くて、その代替地がなかなかないために公共用地それ自体が取得が困難になるという状況がかなり現在ございます。公共用地の場合には、譲渡税の五千万円控除というものと、また税率も一五%くらい低くなっておりますので、民間の土地と公共用地とかなり競合するわけですけれども、公共側が税制上かなり競争力を持って公共用地の取得に当たることができるような体制が現在少しできておりますが、代替用地の方に関してはそういう譲渡税上の措置がありませんので、そういう譲渡税、これも公共用地の取得の一環であると考えて、譲渡税の五千万控除のような優遇措置というものを使って、代替用地の取得に対してもそのような税制上の措置が必要かというふうに思います。 ただ、代替用地に関しても、本来は、その人の生活が公共用地として提供することによって失われるとかそういったようなことであるとか、あるいは居住用の土地を提供しなければならないというようなとき、原則としてはそういうときに代替用地を公共が世話するというのが基本的には望ましいというふうに思っておりまして、何でもかんでも、資産として土地が一番有利だから、その公共用地の見返りの違う土地を保有したいというようなことに対してまで、公共側は本来代替用地をいろいろ提供するという必要はないのではないかというふうに私は思います。ただ、現在の制度のもとでは、そう言っていたのでは公共用地の取得が非常に難しいという状況にありますので、さしあたりはその辺柔軟に対応する必要があろうかと思いますが、代替用地の提供者に対しても譲渡税の優遇措置を施して公共用地の取得をスムーズにするというような体制をつくることが必要かと思います。 今まで申し上げたのが、現状を若干手直しすればできるのではないかという程度の話でありますが、本来は、本格的には四番目に書いてありますような財源の問題をきちんとしておいて、その財源の措置によって同時に開発利益をうまく還元していくというシステムをつくることがやはり必要であります。そのためには、やはり基本的には税制をうまく活用するという必要があるということであります。ただ、先ほどちょっと控え室でお話があったとき、なかなか税は改革が難しいというようなお話をちょっと伺ってしまったので、これから申し上げることはなかなか実現は難しいのかもわかりませんが、一応あるべき姿ということでお話しいたしたいと思います。 まず、税制としては、土地の保有税と土地の値上がりにかかるキャピタルゲインという税と二つの税が主な税金としてあるわけです。現在、土地の保有税は、地方税である固定資産税と、国税である地価税が来年度から導入されるという状況ですが、社会資本を整備いたしますと、一般にそれだけ土地の有効利用を進める機会が開けるために、土地から得られる利益が増大する、あるいはその効用が増大するということに伴って、地価あるいは地代や家賃が上がるという状況になります。そのために、土地を社会資本が整備される前に既に持っていた人たちは、貸す場合には地代家賃が高く取れますし、土地を守っている場合でも、地価が上昇ということで、自分の資産が増大するという利益を得るわけです。資産が増大することは余り利益でも何でもないんだ、売る当てもない資産が増大しても仕方がないんだという意見もありますが、仮に同じ資産を金融資産で持っていたならば、社会資本の整備とともに自分の金融資産が上昇して資産が増大するという利益はやはり得られないわけでありまして、そこに土地という資産が金融資産とは違った性質を持っているわけであります。そういう意味で、土地を持っていると、社会資本がだんだん整備されてくると自然に地価が上がって、大きな資産を持つことができるという利益がやはりあるわけであります。 それに対しまして、新しく社会資本を整備したところに住もうという人は、そこで賃貸住宅に住もうとかあるいは賃貸事務所を借りようという人は、地代家賃が高くなってそこに入居したりするわけでありますので、社会資本の整備の利益というものを自分たちで高い地代で、あるいは家賃でもって払っているという意味で、ちょうど受益と負担がある程度バランスしているわけであります。あるいは新しくそこに社会資本整備が終わった後に、あるいは社会資本整備が始まるということがわかって地価が上昇した後に土地を買う人は、やはり高い土地の代金でもってその社会資本整備の利益を得るという意味で、負担と利益が一致しているわけであります。したがいまして、税制がない場合に、負担と利益という形で見ますと、負担をせずに利益を専ら受けるのが社会資本整備が始まる前から土地を持っていた地主ということになるわけであります。そういうような状況というのは、普通、一般の人から見れば、余りフェアであるとは言えないのではないかというふうに思います、何がフェアかということは非常に問題ですけれども。そういうことから考えますと、土地にかかわる税金でもって社会資本整備の財源を調達するというのは一つの合理性を持っている。その一つとして、地価が上がれば土地保有税、例えば固定資産税も時価評価をしてそれにスライドして税金が上がる。税金が上昇しますので、社会資本の整備によって地価が上がった分をある程度徴収していくということになって、その税金がまた社会資本の財源にもなってくるわけであります。 もう一つが土地のキャピタルゲイン税でありますが、これは普通、現在では土地のキャピタルゲイン税は譲渡税を使っているわけですが、譲渡税だけを使いますと、土地を売ると税金がかかるので、税金がかかるくらいなら売らないというようなことで土地が売りに出てこないという問題が土地譲渡税にはあるわけです。ですから、土地を余りうまく利用していないのに、税金がかかるので土地を売らない、売ってもらえないとデベロッパーなどが開発しようとしても買えないという問題が譲渡税にはあるわけです。これを譲渡税のロックインエフェクトとかあるいは凍結効果と呼んでおりますが、土地という資産を塩漬けにしてしまうという意味で凍結効果というのですけれども、そういう効果があるために、土地の譲渡税は緩和せよという意見が結構経済学者の間でもございます。しかし、土地の譲渡税というのは、余り緩くすると土地の投機というものが非常に有利になるという側面があるということと、土地を持っていてそのキャピタルゲインが生じるのは、みずからの努力以外で生ずることが非常に多いということ、そういったことで、土地からの利益をどんどん得るというのは公平という観念にもそぐわないという二つの点からいたしまして、譲渡税を安くするということには私は余り賛成しない立場であります。しかし、譲渡税の凍結効果というのがあるわけですので、それを防ぐ方法としてそこに二つの方法が書いてありまして、一つが含み益利子税というものを課す方法であります。 これは、譲渡税があると、払うくらいなら売らないという行為は、要するに売らないことによって譲渡税の負担を延ばしていくわけですね。どんどん延ばしていくわけです。最終的には相続までどんどん延ばしていくわけですけれども、ということは、土地を売らない方がましだという利益というのは、いわば譲渡税を延納しているのと同じであります。そこで、譲渡税の延納をする利益というのは結局延納がただでできるからでありますので、延納に対して利子を取ってやるというのがこの含み益利子税の考え方であります。したがって、例えば百万円の譲渡税を払わなきゃいけないという場合に、一年間土地を売らないでその譲渡税を一年間延納すると、一年間土地を売らないでおくと一年間譲渡税を延納したことになりますので、その百万円の延納に対して、例えば利子が四%とすれば四万円の利子を取るというのが含み益利子税の考え方です。 そうしますと、要するに含み益に対して毎年含み益の大体一%ぐらいとか、そういう利子税を取っていく。これは普通土地増価税とも言われている税金と基本的には同じでありまして、そういう税金をうまくかけますと、譲渡税の凍結効果を防ぐとともに、譲渡税が持っている投機抑制効果というのをうまく利用することができて、かつその土地の値上がり益を、売らなければ含み益利子税という形で、土地の含み益が生じますのでそれに対してある程度税金を取る、売れば譲渡税がかかるということで、いずれにしても社会資本整備に伴う開発利益をある程度公共側へ還元することができるわけであります。 しかし、含み益利子税に関しましては、別に土地を売らないのに税金を払うというのはどうもひどいではないかというような考え方がよくあります。それに対しては、もしも含み益利子税がどうしても反対であるというのであれば、売却時中立型土地譲渡税というのがありまして、これはむしろ譲渡税の名目税率を土地の保有期間が長ければ長いほど高くするという税金でありまして、これは現行の譲渡税の考え方と全く逆行いたします。現行の譲渡税は短い保有期間の方が高くなっていて、長く持てば安くなっているのが現行でありますが、これを逆にするわけであります。それは、もともと譲渡税というのは、そのままにしておきますと、土地を長く持つことを有利にする税金なんですね。つまり、現在土地を売って税金を払うよりも、ずうっとそれを払わずに将来土地を売って払った方が実質的な税負担が安くなるというのが土地譲渡税の特色といいますか、あるいは問題点なんですね。ですから、現行のような税制にいたしますと、ますます土地を長期に持つということが有利になって、長期的な値上がり益を追求するというのを非常に促進しているわけです。それによって土地の流動性を阻害している面がございます。そこで、むしろ長く持つと名目税率が上がるという税金にした方がいいというのがこの売却時中立型ということで、名目税率を保有期間が長い方が少し高くなるようにしておきますと、いつ売っても税負担を実質的に同じにすることができます。そのために譲渡税の凍結効果というのがなくなるわけであります。こういう譲渡税を少し変形したといいますか、改革したような税金というのも一つ考えられるということであります。 それから、特に公共用地の場合には、その土地を買いかえをする場合には譲渡税を払わないでもよろしいという措置をとる。これは、居住用財産に対する買いかえ特例というのが以前あったわけでありますが、これが地価高騰の原因だということで廃止されたわけですが、旧来の居住用財産の買いかえ特例措置というのは譲渡税の延納は認めているわけです。それを全然無利子でもって延納を認めたというところに地価高騰の要因があったわけでありますので、買いかえ特例は認めるけれども、つまり土地を売っても譲渡税は払わなくてもよろしい、しかし買いかえる場合には従前の土地の取得価格を引き継ぎまして、その取得価格と新しく買った土地の地価の差で含み益が上がりますので、その含み益に対して利子税として含み益利子税を課していくというような税金を取れば買いかえをスムーズにする。要するに一たん譲渡税を払う必要がないという意味で買いかえをスムーズにするとともに、地価の高騰を抑制することができます。というのは、余り高い地価でもって新しい土地を買いますと、含み益利子税が非常に高いものについてしまうわけですね。市場価格がそんなに高い価格であると、その市場価格でもって買ったのだから、それを租税当局は含み益を計算するときの基礎にしますということにしておけば、非常に含み益利子税が負担になりますので、めちゃくちゃな値段で土地を買いかえるというようなことがなくなって、買いかえ特例措置が地価の高騰の波及する効果を防ぐことができるわけであります。二番目の税金、いろいろ複雑でありますので、評判がちょっと悪いのですが、その二番目は一つの理想でありますが、そういう理想がなかなか難しい場合には、譲渡税を引き上げるとともに土地の保有税も引き上げるということによってある程度同じような効果を発揮させることができます。 こういった税制を社会資本整備の財源にするというのは、土地税制がほかの税金とは違ったよい性質を持つからであります。といいますのは、例えば社会資本の整備を所得税で取るという場合には勤労意欲を阻害するとか、あるいは利子所得にもかかるということになると貯蓄を阻害するとか、あるいは法人税で取る場合には法人の投資行動を阻害するといったような意味でいろいろな阻害要因になるわけでありますが、土地から取る場合には、税金が高いので土地をもっと有効に利用しないと土地を持っていても仕方がないという意味で、有効利用を進めることがあってもそれ以外の悪い効果がない。悪い効果がなくて開発利益が自動的に公共側へ還元できて、社会資本の整備の財源が獲得できるという非常に望ましい性質を持っているから、ほかの税制ではなくて、社会資本整備は今の一、二のような土地に関連する税金を財源とすべきだという意味であります。 それから四番目は、この土地保有税であるとかキャピタルゲイン税というそういった税金でもって、土地を買うと毎年利子がありますのでその利子を払っていくというような財源に使う。あるいは社会資本の整備のために債券を発行して、さしあたり税金がないので債券を発行して土地を取得したという場合には、その債券の利子と償還の財源として税金を用いていく。社会資本に関しましては、利用に関して料金を取ることが可能なものもあります。鉄道のような場合がそうですが、そ ういう場合にはその料金はその人が鉄道を利用するたびにかかる人件費とかそういったものを料金で負担していって、鉄道を敷くときの土地とかレールとかいった固定費的な費用は、今言った土地に関する財源で負担するというのが最も望ましい方法であるという意味であります。これは税制を利用するわけでありますが、現状の税制は必ずしもそういうふうなことに使われていません。 そこで最後に、五番目というのを簡単に申し上げておりますと、これはある地域的なプロジェクトに関して、現状では税制がうまく使えないというような場合に、ひとつ開発権制度のようなものを導入してはどうかということであります。ある地域的なプロジェクトに関して社会資本を整備する。その社会資本を整備された地域の土地に関して、現状の土地の利用の容積率という以上の容積率を利用することができるようになる場合に、現状より大きな容積率を利用する場合には、その追加的な容積率に対しては公共当局から開発権というものを買ってこなければならないという制度にするわけであります。そうすると、公共当局は、その地域に対して許可してもいい追加的な容積率の分全部を、例えば百平米の床面積を一単位の容積としますと、そういう百平米の容積を利用できるという、そういう権利書を公共当局が発行するわけでありますね。そうしますと、その開発権に対して、開発する人たちはその公共当局に一枚の開発権を幾らで買うかというのを入札してもらいますと、そういうふうにして開発権の価格が決まるということになりますと、これは自動的に開発利益がどれだけあるかをいわば民間が、開発する人たちが将来を予測しながら、開発利益がこれくらいあるからこのぐらいの開発権で買ってもペイするという形で、開発利益がその市場でもって幾らに大体相当するかということがわかってしまって、自然に公共当局が開発利益を、自分の開発権証書を売るということによって徴収することができるわけであります。 そういう意味で、社会資本に関する開発利益の還元という場合に、よく開発利益が一体幾らになるのか算定が難しいという問題があるわけですが、これは市場で民間が一枚の開発権証書を幾らで買うかということを入札させることによって、自然に開発利益が自動的に算定されてしまうという方法でありますので、公共当局が、開発利益が幾らというのであるから、これだけその周囲の地主等に負担を求めるというようなことをせずに済むという意味でメリットがあるのではないかというふうに思います。現在、税制の仕組みをうまく変えられないならば、個別のプロジェクトごとに、社会資本を整備したところでは容積率を追加してもよろしい、その追加分に関してだけ開発権制度といったものを導入してはどうだろうかということであります。 以上で私の陳述を終わります。(拍手)
○薮仲委員長 ありがとうございました。 次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 田中でございます。 この特別委員会の第一回の研究会ということでございますので、レジュメとやや離れますけれども、総論的なことも踏まえまして御説明をさせていただけたらと考えております。 まず、今回のこの狂乱地価ということでございますが、よく言われますように、世界の非常に伸びる国、そしてまた発展する都市はいずこの国も、特に資本主義国家では当然のこととも言っていいと思いますが、地価は上がるという現象がこれまで見られたわけであります。スペインから覇権国となりました十八世紀、十九世紀のイギリスが、ロンドン、マンチェスター、リバプールなどを中心としてやはり異常な地価高騰がございました。そして次の覇権国がアメリカであるわけですが、そのアメリカでもやはり一八八〇年ごろカリフォルニア、そして一九二〇年にはマイアミを中心とした狂乱地価が起こり、それが前回の一九二九年十月の大恐慌につながったわけであります。 こういうような中で、我が国のような小さな国土の中で、世界の陸地のわずか〇・二四%しかないと言われておりますが、その中で一五、六%の経済力を持っているこの日本、しかも八四%がほとんど使えない土地ということになりますと、残りの一六%の中で農業地、住宅地、そしてまた商業地、工業地があるわけでございますので、当然のことながら、そのままに放置しますと必ず地価は上がるというような現象が見られるわけであります。戦後の地価高騰というのが今回の狂乱地価でいろいろ議論されましたけれども、実は明治四十年ごろ既に大阪を中心としまして年間二倍以上になる狂乱地価があったわけであります。当時の経済の中心が大阪であったわけですが、その余波が東京に来たという現象がございまして、大都市集中型の狂乱地価を既に日本では経験したわけであります。 その少し前、もう既に明治三十四年ごろには、日本の資産家の長者番付的なものが新聞社で第一回が発表されておりまして、日本でもやっと資本家と言われる人々が出てきた。しかし、これらの人は欧米と違ってほとんどが土地持ち、土地で形成されている資産家であるということを喝破しております。そして既に、今申し上げました明治四十年から大正の初めにかけての大阪を中心とした狂乱地価の中では、一生涯働いても土地は持てない、そして一方地主の方はいながらにして巨万の富を得ている、一体これはどういうことかというような形で、たまたま持ってまいりましたけれども、今から七、八十年前、一市民がこんなような本を自費で書いたり、あるいはまた今問題となっております土地増価税、今岩田先生も事実上おっしゃっていましたいわゆる未実現キャピタルゲインの課税がもう七、八十年前から言われているわけでございます。そんなような状況があったわけであります。 そういう中で、我が国としても特にこの狂乱地価、列島改造論、そして今回の狂乱地価と言われるものが世界の歴史上かつてない、多分古今未曾有のスケールであったという感じが私はいたすわけであります。それだけに自本の土地問題というのは非常に困難な難しい問題があると同時に、またこの下げ方によって、一面としてはこのバブル解消ということが大前提でありますが、その下げ方の手段を誤りますと、一九二九年に、アメリカの一九二〇年代に起きた株と土地のバブル解消の失敗という形で大恐慌が世界が起きたと考えられるわけでありますが、そういう懸念が日本からもあるということも我々は軽視してはならない。経済的な世界の中の責任ということを考えますと、そう考えるわけであります。だから、その下げ方という問題が非常に今重要であるという前提でお話をさしていただけたらと思います。 そういう中で、事務当局から私は、開発利益と総量規制を中心にお話をするようにという御指示をいただいておりますので、限られたテーマでありますが、この辺につきまして時間の限り述べさしていただけたらと思います。 まず、世界一の高齢化社会、当然のことでありますが、私どもの大学では人口研究所を持っておりますが、政府の発表よりももっと厳しい高齢化社会の到来を主張しているところであります。とりわけ、高齢化と同時に、ゼロから十五歳が世界一少ない、これがもちろん将来大きな問題となってくるということでありますので、高齢化とともに、この将来の生産人口になる十五歳以下が非常に少ないということ、これの方をむしろ重視するということが必要であろうと思います。この一因にもよく言われますように、住宅環境が悪いから子供を生まないというようなことも言われているところでありまして、この辺が、これからの十年間で高齢化とともに対応しな付ればならない問題だという感じがいたします。 そういう点、図らずも四百三十兆円ということが言われてきたわけでありますが、たまたま私、日米構造協議の調査問題研究会の取りまとめをやらしていただきましたけれども、このときにアメリカは非常に厳しい要求を言ってまいりました。構造問題の中でも土地問題が一番の元凶であるということが強く主張されたのは、先生方既に御承 知のとおりだろうと思います。そういう中で四百三十兆円が生まれてきたわけですが、残念ながらと言っていいかどうかわかりませんが、奇貨としてこれを必ず実行するということが必要であろうと思います。 そうなりますと、まずインフラ整備、社会資本整備には公共用地が必要であるわけでありますが、スウェーデンのように、ストックホルムや何かに公共用地、市有地が六〇%、七〇%、もう八割ぐらいまで持っているというところと比べまして、我が国はまだまだ公共用地が非常に少ないのは御承知のとおりであります。これをこれからどう獲得していくかということでありますけれども、このときには、収用法の問題とかいろいろな問題があろうと思いますし、また、先ほど岩田先生御指摘ありましたような、先行取得制度がまだまだ不十分というようなことも考えられます。しかし、同時にこのことはまた、その土地代が四百三十兆のうち一五%とか二〇%とか言われておりますが、私はもっと多い感じがいたしております。このままで推移すると土地代で二五%ぐらいといいますと、八十兆から百兆円、この十年間で土地を買っていくということになりますと、地価をどうしても上げてしまうというようなことが現行制度の中では見られるわけであります。 そういう中で、ごね得というのが今もいろいろありまして、この辺をどう防止するかという問題。これと、土地基本法、今回土地の憲法が与野党一致法案で成立したわけでありますけれども、この二条の精神というのが特に重要であろうと思います。公共の福祉優先という考え方でありますが、この考え方は、現行憲法はマッカーサー憲法草案がそのまま現行憲法になったという御指摘はいろいろありますけれども、その中でただ一条とも言っていいほど消えた、マッカーサー憲法の草案でありながら二十八条が消えてしまいました。それは土地の条項であったわけでありますが、それが現行憲法二十九条の私有財産尊重に移行したと言われております。この私有財産尊重というところと、やはり土地は普通の財と違って公共性というものがなかった、これがやはり戦後の土地政策の最大の欠陥であったというような感じがいたすわけであります。これがある意味では復元したというのが基本法の二条であろうと思いますが、それと三条の計画利用優先という精神、これをやはり遂行していくということになれば、私は、ごね得もある程度防げるという感じがしているわけであります。 これと同時に、代替地の問題もさることながら、このごね得というのがどうしても発生するのは、自分が公共用地、公共事業に、インフラ整備に協力した方が損してしまう。一方、協力しなかった人たちがごね得になったり、あるいはまた開発して、日本の保有税、とりわけ固定資産税が安いために、そのほとんどが開発利益が自分のものになるということで、余りにも得する者と損する者との、協力して損というようなことに、現行制度はどうしても土地所有者の間ではなると思います。こういうために、一種の開発損失制度というようなことで、税制優遇で今のところやっておりますが、そういう一時的なものも重要でありますけれども、同時にある意味では、地価税とか固定資産税というようなものの一定部分を数年間あるいは十年間というような形にわたって支給するという形で、開発に協力した人にある程度プラスアルファをつけるという発想もここに来て考える必要があるのではないかと考えるわけであります。 いずれにしろ、こういう社会資本整備を進めるためには、その基盤となる土地が必要であるわけでありますけれども、そのためには財源調達が何よりも不可欠であるわけであります。このとき、公的負担、日本の租税負担率もかなり上がってきているわけでありまして、しかも、高齢化社会、インフラ整備ということになりますと、欧米以上にこれからこの負担率が上がる可能性も強い。そうすると、一般財源だけで賄えるかということもあるわけであります。現行、我が国は約六十近い税源があるわけでありますけれども、こういう中で土地税制が、広義に考えれば十近くぐらいあろうと思います。 こういう中で、これまで土地税制の機能と言われております地価の安定、供給促進、そして所得再分配、資源の最適配分、都市整備財源確保機能、この五つがほとんど機能しなかったということがあるわけであります。これをどうかして機能するようなシステムの構築が必要であるということが考えられるわけであります。とりわけ、資産課税に対して緩やかだったフランスと日本が地価の高騰が激しかった、ラテン系の国も含めて激しかったという、高度成長期と言われているところであります。 それともう一つ。当然公共事業をやれば、先ほど岩田先生も御指摘のあったように、開発利益が出るわけでありますが、それの還収システムをどう確立していくかという問題であります。これはローマの時代から非常に問われてきたわけでありまして、ローマ法時代からずっと続く古くて新しい問題でありますけれども、そういう中で試行錯誤をいろいろ重ねておりまして、参考資料としてございます韓国の例があるわけであります。国土開発院の院長の黄氏が委員長としてこの法案をつくられたわけでありますけれども、こういう資本主義の限界とも言われる韓国の例があるわけでありますが、それでもまだ最近では三・三九%ぐらい上がっていて、必ずしもマイナスになっていないということも見られますように、なかなかこの地価の安定というのはいずこの国も苦慮をしているところであろうと思います。しかし、我が国も一歩何かの形で踏み出す必要があるような感じがいたします。 投資効果の問題ということも、この一極集中の問題と絡みましても考えていく必要があろうと思います。地方圏では土地代は一〇%から二〇%ぐらい、公共事業の場合はほとんど、その種類によっても違いますが、この中に入ると思いますが、大都市圏では、公園のようなものでは九〇%以上というような問題もございます。貴重な財源であるだけに、この投資効果という問題も、我々は社会資本整備を進めていくときに考えていく必要もあるというような感じもいたします。 それと、純粋公共財は、一般財源を中心とした租税負担原則でやればいいと思いますが、準公共財と言われるものについては、限られた公的負担では資金として限られますので、民間資金の導入も考慮するということも必要であろうと思います。イギリスや何かがドックランド開発とかマーシーサイド開発、あるいはドイツではミュンヘン新空港開発、あるいはまたフランスではデフエンス地区の開発あるいはまたセルジュポートワードのニュータウン、アメリカでは不動産ファイナンスというような形で、いろいろ民間資金を社会資本整備に導入しておりますが、我が国もこれを積極的に考える必要があるという感じもいたします。個人資産としては約千百兆円、法人でも、これだけ下がってきても三百二、三十兆円は余剰資金的なものを持っていると言われておりますから、これの活用ということもこれから考えていく必要があるような気がいたします。 それと代替地、これは非常に大きな問題にこれからなるわけでありますが、この場合にも、先ほど申しましたような先行取得の問題あるいはまた特別立法というようなことも考える必要があるような気がいたすわけであります。それにしても、土地国債への代替手段あるいはまた税制優遇をすると同時に、土地の再取得熱の抑制システムというものを考えていくということも必要であろうと思います。 こういうような中で、いずれにしろ、とにかく地価上昇を抑制するということ、我が国の場今いろいろな制度い法律があったわけでありますが、その整合性がなかったとかいろいろな批判がございますけれども、現実面はかなり、先ほど申しましたように世界有数の狂乱地価をこの数年間でもたらしてしまったわけであります。この後遺症に今苦しんでいるところでありますが、まずこれは、都市計画、土地税制の不備、そして金余りという のがこれまでの世界のほとんどの狂乱地価のいわば私は三点セットと言っておりますが、これがあったわけでありまして、我が国の場合もこの例外ではなかったわけであります。 例えば都市計画、フランス、イギリスの都市計画学者がよく言われますように、どいつは一応ヨーロッパの中でも成功しているということを言われておりますが、ドイツの都市計画、これが例えば税制の場合でも、譲渡課税の税率が非常に低い、あるいはほとんど無税というようなことが大胆にできるのも、都市計画がしっかりしている、地価がそう上がらないということにも原因があるわけであります。最も大きなものが都市計画という感じがいたしますが、その後の不公平が発生したとき、税制でどう負担の公平を図っていくかというのが問題であろうと思います。 この平成四年から地価税が導入された。私は、現行では余りインパクトはないという考え方に賛成するわけですが、将来にはこの地価税の導入の効果があるという面で期待しているところであります。これに対して、譲渡税の問題は非常に大きな問題があるわけでありますが、先ほど岩田先生も御指摘のように、保有税、固定資産税が現行では余りきがなかった、そして、この問題とともに地価税も余り現行ではきかないということになりますと、ロックイン効果、譲渡税を強化するとロックイン効果が出てくるということもこれは現実にはあると私は思います。このロックイン効果をどうほぐすかという形で先ほど土地増価税的な御発想の御意見がありましたけれども、私もこれも必要だと考えているところであります。 私自体は、この土地に対する税に対しては三層構造という主張をしているところであります。まず一番初めに、全土地保有者、どんなに小さなもの、例えば十坪でも一応資産課税である以上、税の本質からいって課税される。そしてまた、東京の商業地のように借地権が非常に強いところは、そこも低率で広く浅く課税した全面課税の上に、今度は市街化区域農地、特に生産緑地以外のところの大都市の農地、これはアメリカの自治体がやっているわけですが、そういうところを重課する。あるいは個人で一定以上の大土地所有者には重課する。あるいは企業の未利用地、低利用地の場合はこれを重課する。そして、さらにその上でまだ地価が上がってきたときには、今申し上げましたような土地増価税と言われる未実現キャピタルゲイン課税というものの導入を図る。そしてまた、面積とか額で超一定規模以上の所有者についてはこういうものをさらに重課する。あるいはまた、投機的所有についても当然のことながら重課するという、そういう三層構造がないと、税制の面から地価の抑制はできないと考えているところであります。高度成長期、昭和三十年代、我が国以上に上がった地価高騰があったのはイタリアでございますが、一九六三年、これは最高裁の判決で土地増価税は合憲であると言った結果、土地所有者の方がむしろ地価を上げないでくれというようなことがありまして、イタリアの地価は一応安定方向に大きく変わったという歴史的事実も我々は考える必要があるような気がいたします。一八九〇年代末、ドイツでこの税が世界で一番初めに導入されたわけですが、やはりそれなりの効果的なものがあったというわけでございます。 そして、開発利益の還収ということでございますが、これは、先ほどいろいろな手段についても岩田先生が述べられたところでありますので、重複を避けたいと思います。 そして、その他として、公的評価の一元化ということもこれはぜひ必要であるという感じがいたすわけであります。こういう中で、土地基本法の中でもこれに準ずることが言われたわけですが、私は早急にやはりやるべきであると考えております。評価額は私は一本でいいような感じがいたします。評価額、それもアメリカの一九七三年、ニューヨークの最高裁では、評価額とは時価であるという査定が出たわけでありますが、私も評価額は時価でいい。しかし、それに応じてそれぞれの自治体、あるいはまた日本で言う固定資産税、あるいはまた路線価格、あるいはまた公示地価というのも、税率――公示地価は税率は関係ありませんが、税率はそれぞれの形でいいような気がいたします。特に、地方自治ということが言われておりますが、そういうことから考えますと、評価額は各都道府県、時価に近づくものであっていいわけでありますが、現行では公示地価がこれに代替するとも考えられるわけでありますが、それに対して、やはり税率で各地方自治体が違うということ、行財政サービスに応じて税が違うということこそ本当の地方自治になるわけであります。そういう中で、負担の、あるいはまた行財政サービスが余りにも不公平があったとき初めて財源で補助するというシステムが必要であるような気がいたします。こういう形では、アメリカのニューヨーク州とハワイ州とはかなり、数倍の税率の違いがあるわけでありますが、日本もこういうことをそろそろ考える必要があるような気がいたします。 そして、土地情報整備ということで、今回の狂乱地価の一つに、この土地情報が余りにも確立してなかったということも指摘されているところであります。当面の対策といたしましては、今国土庁がいろいろお考えの、地価調査を非常に精査にするというようなこと、あるいはまた、さらに土地基本調査というような住宅統計の土地版みたいなもの、しっかりした情報を確立するということが必要であろうと思います。それと同時に、公共部門間が余りにも整合性がなかったという反省も私どもはやるべきだと考えるところであります。 こういうところに当然の守秘義務の問題が出てくると思いますが、こういう中で、当面の対策では、今のような土地基本調査や何かを中心として、あるいは不動産登記簿あるいは固定資産税課税というようなことをうまく活用していく、現行の制度を活用していくということが必要であろうと思いますが、将来にわたっては、ドイツがああいうような形の中でやっておりますグルントブーフといいましょうか、土地を登記する場合ある程度、ある程度といいましょうか、その売買価格を登記する義務があるということも将来の問題として検討すべきだと思います。これができれば、地価が一カ月ぐらい前坪百万で買ったのが、一カ月後にこの登記簿を見れば百万だ、それを二百万で売りに出したらどうもおかしいというようなこともありますし、また、地価というものは面ではなくして地点でありますので、それがやはり長い期間、一世紀以上かかるかもしれませんが、そのときに本当の地価が出てくるという感じがするわけであります。将来の検討事項としてぜひ御検討いただきたいと思っているところであります。それは、現行の登記簿が公信力がないとかいろいろな問題がありますけれども、しかし、将来にわたっては、私はこれが基本になるというような感じもしているところであります。 そして、大きな問題としては、今総量規制の問題が言われているわけですが、これにつきましてはいろいろ議論があるところであろうと思います。しかし、当事者の実感といたしましては、イザナギ景気を超えたと言われても、果たして本当に超えたのかという、よく言われる不況感なき不況というのと同様に、今地価が下がっている、いや余り下がらないというところで、果たしてどっちが本当かという議論がいろいろあるところであろうと思います。公的数字は正しいわけでありますが、同時に、公的数字のもとの実感として果たして本当なのかというそういう声もあることも、民間部門では当然あるという感じもいたすところであります。 その多くの問題が総量規制ということになるわけでございますが、今回の地価高騰の環境といいましょうか、極論を言うならば、金余りが地価を上げ、金絞りが地価を下げたという感じもいたしているわけでありますが、バブルが完全に解消したかという考え方については、まだまだという意見と、かなり下げた、バブルが解消した、そして実質的には完全にもう下がっているという三つの見解が民間ではあろうと思います。私はかなり下げたという感じを個人的には持っているところで ありますが、このベースが地価調査、基準地価の調査になるわけであります。これについてはいろいろ御議論があるところでありまして、これは確かに鑑定評価の限界というものもございまして、いろいろ問題が指摘されているところであります。もう既に、実態上はもっと非常に下がっているという意見の強いところも我々は無視することができないと思いますが、まだまだバブルが残っているという感じも私はしているところでありまして、あと二、三割は少なくとも当面下げる必要がある。しかし、その下げ方が重要であるということも考える必要があろうと思います。 今マンションの売り上げ、あるいは倒産件数というのは、不動産業の倒産は多分このままの総量規制でいきますと千件を超え、三兆円以上になるというのが私の推定しているところでありますけれども、そういう中で、逆資産効果で、自動車、百貨店の高級品の売り上げが落ちてきている、バブルというよりも側面の、バブルと関係ない実体経済にもかなりの陰りが出てきているということも事実上あるわけであります。だからこういう点では、私は、今の段階では非常に創業とも言われる総量規制であったわけですが、これをある意味では、今後の対策としてはそろそろ創業一本のものじゃなくて漢方薬的な、総量規制をやりながらも、そしてまた枠内一本を使わすということも、そういう指導をしながら、その創業一本と同時に漢方薬的な総合調整を早急にやる必要があると思うわけであります。例えば、総合調整の一つで監視区域というようなことが今非常に効果を上げているわけですが、しかし地方圏ではまだ上がっているというのをいろいろ見てみますと、やはりほとんどが三百平米ぐらいからスタートしているわけですが、これを百平米ぐらいでやったらかなり違ってくる。そして個別融資の厳格、都市計画、土地税制というものを含めてやれば、これからその三割ぐらいの下げ方というのは、その方がむしろ非常に重要であると考えているところであります。これがため、早急に地価調査、今、現時点が本当に下がっているのかという直近値の調査も早急に、地点を限ってで結構ですが、やるというようなことが必要であろうと思います。 政策は固定的であってはならない、よく言われます。先行、先行、そしてまた弾力的な運用が必要でありますが、先行き不透明なときこそ、今私はそういうことも考えながら総合的にやっていく必要がある気がいたします。そして同時に、適正な地価とは一体何ぞやというコンセンサスがないままに、今議論が進んでいるのではないかという感じがいたします。例えば、よく言われますように昭和六十年時点の地価に戻すのだといったとき、約半分になるわけですが、どう国民がこういうところまで我慢できているのか、そして下げるところまで納得いっているのかどうか、不満があるのかどうか、この辺の議論も私どもないままに今進んでいる、目標値のないところにいっているのではないかという感じがいたします。それと同時に、これはストックの面で考えられるわけですが、一万アローの面では適正な地価の上昇率、適正と言っていいかどうかわかりませんが、地価上昇率は一体どれくらいなのか、ゼロなのかあるいはマイナスなのか、あるいはまたGNPの伸び、あるいは定期預金の伸びというようなことも必要になるか。住宅を持っている方はほとんどローンでございますから、そのローンの金利分との関係でどうなのかという、そういうようなことのコンセンサスが必要であると思います。 我々の土地政策にとっては、今までは建前論がかなり先行していたわけですが、これからは本音の議論ということも、この市街化区域農地あるいは借地借家法も含めましていろいろな本音の議論が今必要になっているという感じ、それが次の狂乱地価を絶対に起こさない国民的な合意であるという感じがいたしているところであります。 ちょうど時間になりましたので、これでやめさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○薮仲委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。 これより懇談に入ることといたします。 〔午前十一時四分懇談に入る〕 〔午前十一時五十九分懇談を終わる〕
○薮仲委員長 以上で懇談は終わりました。 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 正午散会