政治改革に関する特別委員会 第7号
- 発言数
- 382 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1991/09/27
会議録
○小此木委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案、以上三案を一括して議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 三案審査のため、本日、参考人として前選挙制度審議会副会長佐藤功君及び前選挙制度審議会第一委員会委員長堀江湛君の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ―――――――――――――
○小此木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
○尾身委員 私は、今回政府によって提案されました政治改革関連三法案につきまして、自民党の一員としてその原案作成の初期段階から携わってきた者の一人といたしまして、その方向及び内容について多くの疑問があるとの観点から質問をさせていただきます。 もとより、政治改革は、新しい内外情勢の変化に対応して、民主主義の原点を踏まえつつ、政治が国民から負託された責務を正しく果たすためにぜひとも成し遂げなければならない課題でございます。この法案を取りまとめられた関係者に深く敬意を表する次第でございます。しかしながら、この三法案に盛り込まれました政治改革案のうち、特に小選挙区比例代表並立制の導入に関しましては、内外の諸情勢を踏まえ、民主主義の原点に立ち返ってみたとき、我が国将来の政治のあり方を過つおそれが強いと考えているわけでございます。そこで、この点を中心といたしまして幾つかの質問をさせていただきます。 民主主義の基本である選挙制度の変更、改正を行うに当たりましては、我々は、現行中選挙区制度の長所、短所と、また新しく考えられている小選挙区比例代表並立制の長所、短所を十分に比較考量をいたしまして、そのどちらの制度が今後の我が国の国家社会の発展のために民主主義の基本原則から見てよりよい制度であるかということを冷静かつ客観的に比較考量し、分析した上で結論を出す必要があると考えている次第でございます。そういう意味で、私は、これから選挙制度改正の基本的な問題点について質問をいたします。 まず、総理は所信表明演説の中で、現行中選挙区制度では、政策、政党を同じくする者同士が同じ選挙区で争い、そのために政治活動に金がかかり過ぎる、そして、その政治に金がかかり過ぎる点が政治が腐敗したり堕落したりする原因であるので、政策本位、政党本位の小選挙区比例代表並立制を導入すべきであるとされているわけであります。 私も、政治に金がかかり過ぎるというのでこれを是正する、それが必要であるという点はまさにそのとおりであると考えております。ただ、しかし、小選挙区制にしたら金のかからない選挙が実現できるか否かについては大きな疑問を持つものでございます。例えば、小選挙区制の典型的な実例とされております奄美群島区ではほかの選挙区よりもはるかに厳しい選挙が行われ、そして金も多くかかっていることが現実であることは否定し得ないところであります。また、昭和二十二年に我が国が中選挙区制を導入した際にも、大先輩の小沢佐重喜先生が小選挙区制を採用し得ない理由として、小選挙区制は選挙抗争が非常に激烈になり、その結果は当然の事実として情実と投票買収が横行するとされて、金がかかることが小選挙区制の欠陥であるというふうにされているところでもございます。 さらに、外国の例で見ましても、お隣の韓国でも、金のかからぬ選挙を実現するために、現在の小選挙区制から大選挙区制の方に変えた方がいいのではないかという主張が強くなっていることなどもございます。 このように、過去の歴史や諸外国の実例を見ますと、中選挙区制よりも小選挙区制の方がお金がかからないという見解とはむしろ反対の現実や歴史の教訓が多いのであります。この点につきまして総理はいかにお考えか、お伺いをいたします。
○海部内閣総理大臣 私は、御引用になりましたように所信表明演説で申し上げました。私がなぜそういったことを言うかと申しますと、自由民主党が世の批判を受けて、政治改革をやろう、先輩方が集まって党の政治改革基本大綱をつくられたそのときの議論等は、私も当時その本部の一役員として参加しておりましたけれども、お金とそして政治行動、政治活動にまつわる関係、それが政治不信を生んだ一番大きな原因である上いうことを率直に反省しで、そこからスタートをしておりました。したがって、わかりやすい透明性なお金の流れをはっきりしなければならないという点と、なぜこんなに莫大にかかるのだろうかという点についてもいろいろ議論があったことを率直に思い起こします。 それは、個人でいろいろ後援会をつくったり、個人で政策活動をしたり、選挙活動の大半を個人でやっておるというところに必要以上にお金がかかる面があるということも共通した認識でございました。お金はかかるけれども、それは限度を持ったものにきちっとしていかなければならないというようにするためには、一人だけに、いろいろ心の問題である、心の中に政治倫理を立てると言うだけではやはりいけませんから、制度的にもお金が必要以上にかからないようにしよう。と同時に、政党というものが活動するときに、政党の活動が議会制民主主義につながるわけでありますから、政党の機能というものをもっと強くし、政党の役割を強くし、個人が政党のやるべきことまでそれぞれ負担をしてやっておるような状況は変えていこうというような議論の結果小選挙区制に到達をしたものである、私はこう理解をしております。
○尾身委員 次に、現行の中選挙区制度と小選挙区比例代表並立制のどちらがより民意の反映がなされているかという点について伺いたいと思います。 民意の反映という言葉について、政府及び野党等のこの国会の論争を伺っておりますと、いかなる制度が民意を的確に議席の数に反映できるかという議論に終始しているわけであります。つまり、その論争の中には、議席数が幾らになるかという議論が多いわけであります。そして、いかなる人物が有権者の代表として国会に送られてくるかという議論は全く欠落しております。私は、もとより、議席数に民意を反映することも必要であることはわかります。しかし同時に、選ばれてくる一人一人の政治家の人格、識見、有権者との信頼関係、そういうものに民意が反映されていなければならないと思うわけであります。言いかえれば、選ばれる人物に民意が反映されることが民主主義の基本原則であると思うのであります。 政策本位、政党本位の選挙ということを言われておりますが、果たして本当にそれがいいのか。政党の政策といえば、いわばパンフレット一冊にまとめられたものであります。この各政党のパンフレットをそれぞれ読み比べて、どのパンフレットがいいから、その政党の政策がいいからこの政党の候補者に投票しようというほど単純なものではないと私は思うわけであります。 去る七月の産経新聞に香山健一教授は、「二十世紀未の現在、世界的な規模で進行しているのは、イデオロギー政党ならびに近代組織政党の終焉(しゅうえん)である。画一的なイデオロギーで支配され、巨大な党員数を擁し、中央から末端に至る党官僚組織からなる近代組織政党モデルはいまや完全に時代遅れの存在となろうとしている。 個性化、自由化、多様化、国際化、情報化などの構造的な変化が進展する新しい社会のなかにあって、有権者は二十四時間私生活を拘束するような強固な組織政党への忠誠心を持ちたいとは考えていない。有権者が求めているのは、激動する内外情勢のなかにあって国や地方の政治の進路選択のリーダーシップをとることのできる国会議員や地方議会議員である。」したがって、個々の政策についての判断が微妙に違うその中に個人個人の資質、能力、先見性、そういうものを生かして、有権者の望む方向、国のあるべき方向を見出していく個々の有能なる人物はだれかという選択を有権者が自分自身ですることを望んでいると主張しているわけでありますが、私はまさにそのとおりと思うのであります。 中選挙区制においては同士打ちが起きるから、厳しい競争で金がかかる、小選挙区制は金がかからないということについて疑問があることは、先ほど質問したとおりであります。同じ選挙区で同じ政党の候補者が同士打ちを起こさない方がよいということは立候補する側の論理でありまして、有権者の側からこの問題を考えてみたときには、中選挙区制には有権者の選択の自由があるということであります。小選挙区制のもとにおいては、一つの政党から、例えば自民党から一人しか立候補できないために、有権者がその人を気に入らなかった場合どうしたらいいか。その場合には他の政党に投票するか、あるいは棄権する以外にないということになります。他方、現行の中選挙区制のもとにおいては、あの人はいい人だけれども○○党だからだめだ、あの人は立派な人だけれども××党だからだめだ、やはり自民党がいい、そしてその自民党の中で何人もの候補者がいるから、その中のだれが自分にかわって国政の場で国の方向を決めてもらうのにベストか、だれがふるさとの発展のために一番役に立つか、だれが自分の考えている政治の課題を解決してくれるか、そういうことを考えて人物を選び、投票をしているわけであります。つまり、今の中選挙区制度においては、政党の選択と人物の選択を有権者が同時に行っているのであります。これに対して、新しく考えられている小選挙区制のもとにおいては、有権者は政党の選択はできるけれども、人物の選択はできないということになります。つまり、言いかえれば、有権者が今まで持っていた政党を選ぶ権利と人物を選ぶ権利のうち、人物を選ぶ権利を政党が取り上げてしまう、有権者には政党を選ぶ権利しか残されていないということになるわけであります。私は、これは大変なことだと思うわけであります。 このことは、私は、有権者が神様である、主権は国民にある、主権在民という民主主義の基本理念に反すると考えております。したがって、政党と人物の両方を選ぶ権利を有権者が持っている現在の中選挙区制の方が、民主主義の基本原則から考えれば断然すぐれた制度であると思うのであります。この点についての総理の御見解を伺います。
○海部内閣総理大臣 冒頭にお述べになった、中央に非常に強いコントロールがあって、全国末端までという政党の決めつけ、これは恐らく、私は香山先生の論文もいろいろ読ませていただきましたけれども、最近起こっておる東欧における、あるいはソ連における一党独裁の政治が終わりを告げて、複数政党の選挙制度を持ち込もうという動きのそういった背景をお書きになったものであり、そういった一党だけで支配をしようということはもう今日許されるものではない、それが世界の流れたというように私は読んだ結果受けとめさせていただきました。 また同時に、今の中選挙区と小選挙区の政策を選ぶか、人物を選ぶかという御議論は、それは御議論として私も今拝聴をいたしておりましたけれども、しかし、議会制民主主義というものをつくって、そして国民主権である以上、それは手続によって代表者を選ぶ、正当に選挙をするというところにその焦点があるわけでありまして、選挙をされるときに有権者が投票行動をするときには、国家の安全と国民生活の安定、向上というものが政治の目指すべき大きな目標であり、それを国民がどちらを選択するかということは、政策を掲げる政党が自分たちの政策はこれである、我々が政権とったらこうなるんだということを選挙を通じて訴えて、そのような制度、仕組みの国にしたい、いや、このようなことがいいんだというような政策上の論争点で選挙というものは争われる。したがいまして、選挙においてそのときどき各党の公約合戦がある、公約を守れ、公約を守らない、いろいろな御議論が出てくるのもそういうことでございますから、私は、公約以前の問題としてその人の人物に対して選挙民がいろいろの批判、判断をされることは当然でしょうけれども、政党というものが候補者を立てて、同じ政策でやるんです、当選させてもらったら議会制民主主義に従ってそれが政権につながっていくことになるんですということを訴えながらやる選挙でありますから、小選挙区といえども必ずしも民主主義の方法に反するものとは思いませんし、現に、小選挙区制度を行っている先進国もたくさんあるということでございます。
○尾身委員 私は、政治改革そのものの必要性をもとより否定するものではございません。国民のために、我が国の繁栄のために正しい政治が実現できるシステムをつくることは極めて重要であると考えております。だからといって、政治改革即小選挙区比例代表並立制の導入ということには断じてなり得ないのであります。 現行中選挙区制は制度疲労を起こしているとか、お金がかかり過ぎるとか言われておりますが、小選挙区と比べて、私はお金がかかり過ぎるという実態にはないと思います。そして、私はいろいろと総合的に考えてみて、有権者が政党と人物の選択を同時にできること、競争原理が働き、新人が出やすくて新陳代謝が確保され、政治に緊張感が保たれること、有権者の選択が党の決定よりも上位にくること、有権者が神様であるという民主主義の一番大切な基本原理が守られていること、また、野党との間で議論になっている得票数と議席数との関係についても、ほぼバランスのとれた数の配分に結果としてなっているなどという点を考えますと、現行中選挙区制度は、百点満点ではないけれども、小選挙区比例代表並立制よりもはるかにすぐれた制度であると考えているわけであります。 中選挙区制は外国に例がないというようなことも言われておりますが、戦後四十六年間、あの戦争に敗れて廃墟の中から立ち上がった日本が、いわばマラソンで言えば一番びりからスタートをした日本が世界の各国を追い抜いて今や世界のリーダーとしてトップに立っている、トップランナーとして走っているというそういう現状を考えてみたときに、基本的な我が国の政治の枠組みが間違っていたのならば決してこれは実現できなかったということも確かなわけでありまして、そういう意味で、この基本的な枠組みを変えることは極めて問題があると考えているわけであります。 時間がございませんから、最後まで質問をさせていただきます。 選挙制度に反対する者は対案がないではないかと言われておりますが、私は、制度の持っている本質的な性格からして、現行中選挙区制の方がはるかに民主主義の理念に合致したすぐれた制度であると確信をしております。そこで、私は、政治改革の基本は、この中選挙区制度をもとにして定数格差の是正を実現するところにあると考えております。 定数格差の是正については国会決議がございます。与野党一致した国会決議でありますから、それをベースとしつつ、中選挙区制度のもとで定数格差の是正を行い、そしてその前提において政治改革を実現していく。例えば資産公開、腐敗防止法の制定、これらを通じて正しい政治のあり方を確立していくことが極めて重要であると考えているわけであります。 我々の仲間は、既に中選挙区制度のもとにおいて格差二倍以内にするという案を検討しているわけであります。定数格差の是正を実現することは、政治改革を目指す我々にとってどんなにつらくても苦しくても必要不可欠なことであります。我々は苦しさを避けるつもりはありません。つらさを避けているわけでもありません。この定数格差是正を中選挙区制度のもとにおいて行うべきだと考えております。選挙制度のあり方は我が国政治制度の枠組み、メカニズムの問題でありまして、定数格差の是正は、現行中選挙制度をとろうが、あるいは小選挙区比例代表制をとろうが、どうしても実現しなければならない課題であります。中選挙区制のもとにおいて定数格差の是正が非常に困難であるから小選挙区比例代表並立制という形でやるというのは、私は本末転倒であると考えているわけであります。 以上、いろいろな点を指摘をいたしまして御見解を承っておりますが、私は、小選挙区比例代表並立制を中心とするこの政治改革三法案の底に流れる考え方は極めて一貫していると思っているわけであります。その考え方は政党本位の政治体制であります。政党がその構成員である政治家個人をコントロールし、管理する政治体制にする、そして有権者との結びつきは、個人対個人の結びつきではなしに政党と有権者の結びつきを重視する、有権者は政党を相手にして投票をするというものでありまして、いわば管理された政治、政党支配の政治、そういう方向を目指していると考えられるわけであります。したがって、その究極のあり方は、政党による管理体制の確立、政党による個人の規制、政党による個人の政治活動の抑え込み、管理、そういう方向を一貫して目指しているように私には感じられるわけであります。 この三法案が通ったならば、地方区における公認の決定や比例区における順位づけを政党の幹部が行う、資金の配分も政党幹部に一本化するということで、公認、順位づけ、資金の三点から政党幹部にすさまじい権力の集中が起こるものと予想されます。その結果、政党幹部が国会議員の生殺与奪の権を握ることになり、政党ファシズムの台頭が懸念されるわけであります。そして政治家は、有権者の意向を尊重するよりも政党幹部の方に顔を向けるようになると思うのであります。総理は、もとよりこのようなことは全く考えていないとお答えになるかもしれませんが、制度の本質としてそのような欠陥を内蔵していると思うのであります。これは極めて憂慮すべきことであります。 それに対して私は、これからの複雑多様化する社会においては、政党の個人政治家に対する規制、コントロールというものはできるだけソフトにした方がよいと考えております。むしろ個人個人が時代の流れに即応した判断をし、政治行動をする、そして個々の政治家が有権者と直接信頼関係によって結びついてその有権者のニーズや要望を吸い上げて、それをもとにして政党という組織を通じてコンセンサスをつくり上げ、日本の政治に反映していくべきである。私は、自由で濶達で、そしてオープンで開放的で、そしてまた多種多様な政治家が育つ、その多種多様な政治家の中で基本的に政治理念を同じくする者同士が集まって政党を構成し、そういう中からコンセンサスを確立して日本の方向づけをする、そのような政治のあり方がこれからの日本の方向づけ、国際社会のあり方を決める政治体制としてはベターである、その方か民主的である、より国民の意思に合っている、そのように考えるわけであります。 したがって、この政治改革についての最大のポイントは、今後我が国がより管理された政治ファシズム、政党ファシズムの方向に行くか、あるいは自由な政治体制をとるかという基本的方向の選択の問題でありまして、私は、この両者を比較した場合に、どんなことがあっても、断固、より自由な政治体制をとることがこれからの国家社会の健全な発展のためにどうしても必要と考えているわけでございます。 以上の諸点について最後に総理の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○海部内閣総理大臣 今お述べになったことで、私も基本的な点だけ考えを率直に申し上げさしていただきますけれども、有権者の皆さんと個々の政治家がそれぞれ接触をして意見を吸い上げ、国会活動に反映させることは、これは極めて大切なことは御指摘のとおりであります。そして、小選挙区制の方が中選挙区よりもそういったことがすぐれるかどうかという点になりますと、やはり政党政治というものである以上は、御指摘のように政党ファッショになってもいけませんし、一極集中の政党になってもいけないということは最近の東欧の例が示すとおりでありますけれども、各選挙区ごとの政党の支部と今あります個人の後援会の事務所と、それの重なり合いなんかの実例をよく見てまいりますと、やはりいずれの政党でも、政権政党となろうとするときに、この中選挙区で複数以上の同じ政策を持った同じ党の候補者が相争うというところに、広報の宣伝の問題にしても、選挙の組織のつくり方にしても、日常の後援会との接触の仕方にしても、これは必要以上にお金がかかる面が出てくるということは、あえて一々申しませんが、私も一いろいろ御議論を調べてみますと、昭和三十七年のときの自由民主党の基本問題調査会の御議論や、あるいは四十五年、四十七年のころの選挙制度調査会の御議論や、いろいろその都度その都度先輩方の中に厳しい反省の声を上げて、だから小選挙区にして政党本位のことにしなければいけないということを指摘された例が随分たくさんございます。 また、中選挙区制度というものがしかれましたときも、自由民主党の記録によると、大正十四年には、いわゆる護憲三派と言われた政友会、憲政会、国民党の連立内閣のもとにあったのでありますけれども、このときの選挙制度を決めるときのいろいろな主張を読んでみると、政友会は小選挙区制を主張された、憲政会は大選挙区制を都道府県単位で主張された、その三派のいろいろな話し合いの中で生まれたのがこの中選挙区制であったということが書かれておる。そして、そのころからずっと続いて、制度の中でよりよいものにしようとする努力を続けてきたわけであります。 おっしゃるように、この中選挙区制度のもとで戦後の日本のこの成長、この発展、質の高さというものが確保されたことはそのとおりですが、率直に言って残念ながら世論の中には、正しい、正しくないは別にして、経済は一流、政治は三流というような言葉が時々活字になりました。それは政策を言うんじゃなくて、政治姿勢を問われた言葉であった。政治倫理の面から政治とお金の関係を厳しく問われたものであったと、私はそのように受けとめて歯を食いしばってきたことも事実でございます。ですから、その中で果たしてきた役割その他をもって、政策全体として間違いなかったから、平和を守り、経済を成長させ、国民生活を安定させた。そのとおりでありますから、私は、一面の、要するに陰の面として言われるような政治不信の問題を除くためには、ぜひ必要以上にお金がかからないような仕組み、制度をつくるとともに、法の規制もしていかなければならぬ、この両方から考えていくべきだと思っております。 また、党内の問題については、これは党の問題ですからここでお答えするのはいかがかと思いますけれども、党の政治改革本部では、制度改革に伴う党の運営方針もあわせてこのように決定をして提案しておりまして、候補者の決め方とか集めた資金の分配方法とか、いろいろな問題についそは細心まで注意を払ってやっていくということをモデルに示しておりますし、最近のいろいろな党の機関の運営も、執行部に権力が集中するというような御批判をいただかないように常に心がけて対応しておるところでございます。
○小此木委員長 これにて尾身君の質疑は終了いたしました。 次に、衛藤晟一君。
○衛藤(晟)委員 衛藤晟一でございます。 まず、総理にお尋ねをいたしたいというぐあいに思います。 政治改革、そしてまた選挙制度に関してこの委員会で質問できることを非常に私はありがたいなと思っております。それででございますが、自民党の中におきましてもこれに対していろいろな疑義も出されております。こういう形の委員会での質問というかあり方というのは、総理は好ましいとお考えでしょうか、それとも好ましくないというぐあいにお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 いろいろな議論が行われるということは率直に言って好ましいことだと思っておりますから、私も好ましく思って御答弁させていただいておるところでございます。
○衛藤(晟)委員 ありがとうございました。 それでは質問をさしていただきたいと思います。 まず、政党本位ということについてでございますが、総理は、政党本位というお言葉と政策本位というお言葉を何度も何度もお使いになっておられます。一番耳につくのがその言葉でございますので、政治改革の中から選挙制度に関連をいたしまして、このことについて質問さしていただきたいというぐあいに思います。 憲法四十三条には、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」というぐあいに書かれております。国会を構成する最も基本的な存在は議員とお考えでしょうか、それとも政党とお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 選挙され、選ばれてくるのは議員でありますし、また、現在の日本の制度、仕組みの中では議院内閣制という制度がありまして、それも議員の数というものが一番基礎になりますから、基本的に選ばれるのは議員であります。
○衛藤(晟)委員 そうしますと、国会というのは本来、独立した議員の合理的な討論によって合意を形成していくということであろうかというぐあいに思います。それが、総理が言われますようにすべて政党中心、政党本位ということになりますと、いわゆる個々の議員というのは政党の将棋のこまになるのではなかろうか。もちろん、その政党内において議員の活発な議論は展開されるでありましょうが、どちらが主であり、どちらが従であるかということがはっきりされなければいけないと思うわけであります。総理は先ほど、国会の中における主体は議員であるということをはっきりおっしゃいました。そういたしますと、私は、それが政党本位、政党本位という言葉の中でいつの間にか、とりわけ日本のような集団主義をとりやすい中においては、結局は議員というのは、こういう改革をしていくことによって政党の将棋のこまになるのではないかという危惧の念を持っています。議員に個人の意見を求める必要というのは小さくなり、逆に、議員は政党の主張をオウムのように繰り返せばいいということになるのではなかろうかという感じがいたします。そうなりますと、何で五百名もの議員が必要になるのか。限定された党幹部と世論調査と、そして有能な党官僚がいれば議員は不必要になるというようなことになりはしないか、そういう危惧の念を私は持っています。個々の議員の存在価値はどこにあるのか、総理にお尋ねしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 私は先ほど、選挙で選ばれるのが議員であると申し上げました。同時に、今の日本の国会は議院内閣制をとっておりますから、志を同じくし、政策を同じくする者が集まって結成する政党というものが、その多数党が政権政党になるわけであります。そして、それぞれの政策を国民のために実行するものであるということも、これは前回ここでお答えをしたところであります。したがいまして、今お互いおのおの所属する議員があって、それが届け出をして、そして議院内閣制のもとでこの議会というものを運営しておるわけであります。 私は、議会制民主主義というものは個人政治ではなくて政党政治だということを申し上げました。それは、政策を同じくする者が政策を主張して政権を獲得するわけでありますから、そういった意味において議員が、志を同じくする者がたくさん集まる多数党の存在、多数党になれるかどうかということは選挙で議員が選ばれたその次に出てくる問題でありまして、議会政治というものを運営する上においては、政党というものの存在、その動きが非常に大切になってくるということでございます。
○衛藤(晟)委員 そのとおりだというように私は思います。そのとおりではございますが、若干違うわけでございまして、そこで質問いたしたいと思います。 総理、アメリカは議会制民主主義の国だというぐあいに思いますけれども、アメリカは政党政治でありましょうか、それとも政党政治ではないんでしょうか。
○海部内閣総理大臣 アメリカは大統領制の国でありまして、大統領府と議会との関係は、日本のように、議会制民主主議の国と違いますから、その意味では、政党政治といっても日本とは違うと思います。
○衛藤(晟)委員 ちょっとこれは問題でございまして、それは行政のトップとしての長の選び方は大統領選挙で選ぶということでありまして、議会は同じなんですよ。今回、私ども言っておるのは、行政のトップとしての大統領は大統領選挙で選ばれるということと、内閣総理大臣が議会の多数によって選ばれるということの違いはあっても、同じ議会制民主主議なのであります。そのときに、このアメリカはいわゆる政党政治なのかどうかということをお尋ねをしているわけであります。どうですか。
○海部内閣総理大臣 どういう意味で議会政治あるいは民主主義ということをおとりになるのか。私は、アメリカも日本も民主主義であるということ、そして政党政治であるということは同じだと思います。ただ、議院内閣制と大統領制と制度、仕組みが違って、立法府と行政府の関係が違うということを申し上げたわけです。
○衛藤(晟)委員 そんなこと聞いていない。私は、大統領制とそれから議院内閣制の違いを聞いているんじゃないのです。議会のあり方そのものを聞いているのです。 私は、政党を超える議員の良心が時々あるのではないのかというぐあいに思っているのです。そしてその議員の良心を担保することが必要ではないのか、あるいは制度的に保障されることが必要ではないのかというぐあいに思っています。 アメリカは、やはり大統領を選ぶときにははっきりとした政党政治をとっております。そしてまた、議員もおのおの政党に所属をいたしています。しかし、何かあったときに、こういうことをアメリカの議員は言っております。これはトーマス・フォーリー下院議長の弁であります。いわゆる湾岸戦争のときに彼はこう言ったのであります。 「私は、レバノンに海兵隊を送る一票を投じたことを悔いている。それは三百人の海兵隊員が命を落としたからだけではなく、私が自信のないまま、確信のないまま、投票したからです。大統領に開戦の権限を与えるべきだと心から考えるひとは、賛成票を投じるのをためらうべきでない。しかし少しでも疑念がある人は、反対票を投じてほしい。」ここからが大事でありまして、「そしていかに票を投じようとも、投票の後、われわれは共和党員、民主党員としてではなく、アメリカ国民として団結しよう。良心に従って熟慮の上で、国のために最善をつくさんと、この歴史的な日に票を投じたアメリカ国民として」これが議長の弁であります。そして、アメリカはこの湾岸戦争のときに、三日間昼夜を問わず議論をいたしたそうであります。私は、すばらしい議会のあり方だなというぐあいに思っています。 そういう意味においては、私は、先ほどもありましたように、憲法からも保障されていますように、議員の良心をいかなるものであっても侵してはならない、それを担保される必要があるというぐあいに考えておりますけれども、総理はどうでしょうか。
○海部内閣総理大臣 アメリカの議会で行われましたあの長時間にわたる討論、そして一人一人が自己の良心に従って行動をしたいと悩みながら最後の決断に至ったいろいろなことを読んで、私は、アメリカの議会政治の本質というものを厳しく我々に示されたように受けとめました。 同時にまた、今、日本の場合でもいろいろな御議論があり、いろいろな意見の交流は、党内においても議会においてもそれぞれ行われておるものと考えますし、今度のこの政治改革大綱を自由民主党が平成元年五月につくりますときも、当時の党の執行部の皆さん方は大いに努力された。その後、また二年間にわたって三百回を超える御議論をなさったことも、その中で白熱のいろいろな御議論があったことも私はよく承知いたしており、それぞれの個々のものを尊重しなければならぬという気持ちも強く持っております。
○衛藤(晟)委員 私は、やはり議員の良心が担保される必要がある、保障される必要がある、それが議会制民主主義をより伸ばす道だというぐあいに思います。そういう意味においては、我々は、国家と国会と、そして政党と議員と有権者、国民という間をいま一度真剣に考えなければいけないのではないのかというぐあいに本気で思っているのです。そして、そのことを我々は今回の政治改革、選挙制度改革の中で少し見落としてきたのではないのかという反省を私は持っております。それであるがゆえに今こういう質問をさせていただいているわけであります。 議員個人の良心というものを重視し、担保しようと思えば、いろいろなものに頼らなくても、やはりできるだけ保障されるという選挙制度の方が望ましいというように思うのです。今の中選挙区制度も大変厳しい点があります。しかし、やはり議員の発言権の基盤というのは、一つは選挙区であると思います。選挙制度であると思います。自分が正しいことをやっている限り支援者は支持してくれると信じるからこそいろんな発言ができるのだ、そしてその良心が担保できるのだというぐあいに私は思っています。それが選挙制度の中においても担保されなければいけないというぐあいに思います。 ところが、今回示されました改革案というものは、五年後にはすべての政治資金は党に一本化しますよ、そしていわゆる個人の後援会はなくしてすべて党組織一本で戦いますよ、そして公認や比例代表の順番を決めるのも党でやりますよということになってまいりますと、組織も資金も、そして人事もすべて党が握るということになります。そのときにいかなる形で議員個人の良心を担保しようとするのか、これは、できるできるというぐあいに一部言われている方もおられますが、私はその見通しは全く立っていません。この道をもし誤るのであれば日本の議会制民主主義は大変なことになってしまうというぐあいに思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 その角度の御議論に対しては、議員一人一人の立場というものを今述べられたようにどのように党内民主主義で確保するかということについて、自由民主党はきょうまでも、例えばいろいろな機関の長を決めるときに党内民主主義的な発想に立っていろんな規制を持ったり、あるいは自制する制度を置いたりしてきましたが、今回それを制度に関する党運営方針として、選挙制度調査会と政治改革本部の合同会議で皆さんのそれぞれ活発な御意見をまとめて合意を得てつくった案が党にございますから、これを党内で実現することによって今おっしゃったような御意見やあるいは党内民主主義の確保はできるようになっておる、これは皆さんが認めて議論をしておつくりになったものだと、私はそう信じております。
○衛藤(晟)委員 確かにその文はできました。しかし、自民党というのはありがたいところでありまして、いろんな議論を許していただきました。そのときに、私どもは当初から、政治改革そのものを直接的にやる部分と、それから定数是正と、そして選挙制度というのはおのずと分けて考えるべきものである、じっくりやっていただきたいということを何度も申し上げましたが、党の幹部はそれを聞き入れてくれなかった。意見は一応聞くけれども、それを聞き入れることはしなかった。その中に一部は入れていただきましたけれども、肝心の大きな方針については我々の意見が入れられなかったということだけ申し上げておきたいと思います。 議員個人の良心が担保されるということは、最近ずっと見ましても、総理は党内民主主義は確保されるということを申しておりますけれども、それであれば、ソビエト共産党だって党内民主主義は理論的には確保されたはずなのですね。一党独裁であったからこそできなかったのです。私どもがいつも持っておかなければいけないものは、いわゆる選択の自由がより大きく確保された方がいいということと、そしていろいろな形でのチェックが入ることが望ましい、これが議会制民主主義を育てる一番の基本だと思うのですね。ところが、党内においてそれが確実にいくはずだという議論は、私はやはり大変だというぐあいに思っているのです。外からも選択の自由や、そしてチェックがいろいろな形でより働くことの方がいいことだというぐあいに思います。 社会党や共産党が戦後数十年にわたって政権がとれなかった一番大きな理由は、政党本位の選挙をしたからであります。当初の社会党は、いわゆるマルキストやいろいろな方々を出してまいりましたけれども、個人本位の選挙ではなくして、いわゆる労組中心の政党本位の選挙をしてきたわけであります。本来多くの議員を出せばよかったのに、そして組織政党であればあるほど票割りが可能であったにもかかわもず政党本位の選挙だけをし、こういうことをやらなかったわけであります。それが第一の理由であるし、いま一つは、いわゆるイデオロギー的な組織政党としてやってきた、いわゆる自由な形で余りやれなかった、自民党の方がより柔構造社会でやってきた、国民政党としてやってきた、そのことが国民から支持を受けてきたのだというぐあいに私は思っておりますので、あえてそのことだけ申し上げておきます。 過度の政党中心主義というのは、私は、必然的にみんなが批判してきたとこうの国対政治に行き着くのではないかという感を持っています。先ほどもちょっと申し上げましたように、すべてが政党中心になってしまいますと、政党と議員の関係が不明確なまま政党本位ということになってしまいますと、行き着く先はもっと激しい国対政治へ行くのではないのかという心配をいたしております。本当に政策中心ということで考えるのであれば、それは政党中心ということと矛盾することもあるのではないのかというように思います。政策が中心ならば、本来、党議拘束などということは緩めてもよいはずであるというように私は思っています。議員の良心と政策判断を重んずるようになれば、党と違う判断をすることもあり得るのではないのかというぐあいに思います。党議拘束をする必要がある時代というのは、いわゆるイデオロギー的にあるいは大きな体制の選択をせざるを得ない、そのときに私は確かに党議拘束は必要であろうかと思いますけれども、現代のように価値観の多様化が起こりながら、かつイデオロギー的な対立もなくなった、冷戦構造もなくなった、大きな体制の変化もなくなったという時代においては、私はそのような厳しい形の党議拘束は必要ではなくなったのではないのかというぐあいに思っていますが、総理はその点とういうぐあいにお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 やはり政党政治を行っていきます以上、政策を同じくし、志を同じくする議員が集まって行う、そして、その政策を国民のために反映していきたいという大きな目的があって初めて議会制民主主義というものが確固たるものになっていくのだと私は考えております。そこで、院に対していろいろな届け出をして、政党に所属する議員の数というものが基礎になって議会政治というものが行われてきたという事実もございます。こういう現実の政治の中で、政策を同じくするということ、この政策を実現しようとする努力をするということ、それは党内の議論は御自由でありますし、また議員の良心に従っていろいろな御意見もあろうと私は思います。きょうまでも自由民主党の中ではいろいろな活発な議論が行われてきましたが、議論はあるけれども、決定されたことには最後の瞬間には従っていくというのが党のきょうまでの姿であったと私は思っておりますし、また民主主義というのは、多数の意見をいろいろ議論をする、どうしても意見が合わないときは多数の意見に従うという多数決の原理というものも、やはり民主主義の中には働いておるものと私は思うのです。 先ほど来いろいろ御議論になりました、例えば日本は議会制民主主義の国である、アメリカも議会制民主主義の国でありますけれども、日本は議院内閣制の国であり、アメリカは大統領制の国の違いはあると言いましたが、しかし、アメリカの される必要がある、保障される必要がある、それが議会制民主主義をより伸ばす道だというぐあいに思います。そういう意味においては、我々は、国家と国会と、そして政党と議員と有権者、国民という間をいま一度真剣に考えなければいけないのではないのかというぐあいに本気で思っているのです。そして、そのことを我々は今回の政治改革、選挙制度改革の中で少し見落としてきたのではないのかという反省を私は持っております、それであるがゆえに今こういう質問をさせていただいているわけであります。 議員個人の良心というものを重視し、担保しようと思えば、いろいろなものに頼らなくても、やはりできるだけ保障されるという選挙制度の方が望ましいというように思うのです。今の中選挙区制度も大変厳しい点があります。しかし、やはり議員の発言権の基盤というのは、一つは選挙区であると思います。選挙制度であると思います。自分が正しいことをやっている限り支援者は支持してくれると信じるからこそいろんな発言ができるのだ、そしてその良心が担保できるのだというぐあいに私は思っています。それが選挙制度の中においても担保されなければいけないというぐあいに思います。 ところが、今回示されました改革案というものは、五年後にはすべての政治資金は党に一本化しますよ、そしていわゆる個人の後援会はなくしてすべて党組織一本で戦いますよ、そして公認や比例代表の順番を決めるのも党でやりますよということになってまいりますと、組織も資金も、そして人事もすべて党が握るということになります。そのときにいかなる形で議員個人の良心を担保しようとするのか、これは、できるできるというぐあいに一部言われている方もおられますが、私はその見通しは全く立っていません。この道をもし誤るのであれば日本の議会制民主主義は大変なことになってしまうというぐあいに思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 その角度の御議論に対しては、議員一人一人の立場というものを今述べられたようにどのように党内民主主義で確保するかということについて、自由民主党はきょうまでも、例えばいろいろな機関の長を決めるときに党内民主主義的な発想に立っていろんな規制を持ったり、あるいは自制する制度を置いたりしてきましたが、今回それを制度に関する党運営方針として、選挙制度調査会と政治改革本部の合同会議で皆さんのそれぞれ活発な御意見をまとめて合意を得てつくった案が党にございますから、これを党内で実現することによって今おっしゃったような御意見やあるいは党内民主主義の確保はできるようになっておる、これは皆さんが認めて議論をしておつくりになったものだと、私はそう信じております。
○衛藤(晟)委員 確かにその文はできました。しかし、自民党というのはありがたいところでありまして、いろんな議論を許していただきました。そのときに、私どもは当初から、政治改革そのものを直接的にやる部分と、それから定数是正と、そして選挙制度というのはおのずと分けて考えるべきものである、じっくりやっていただきたいということを何度も申し上げましたが、党の幹部はそれを聞き入れてくれなかった。意見は一応聞くけれども、それを聞き入れることはしなかった。その中に一部は入れていただきましたけれども、肝心の大きな方針については我々の意見が入れられなかったということだけ申し上げておきたいと思います。 議員個人の良心が担保されるということは、最近ずっと見ましても、総理は党内民主主義は確保されるということを申しておりますけれども、それであれば、ソビエト共産党だって党内民主主義は理論的には確保されたはずなのですね。一党独裁であったからこそできなかったのです。私どもがいつも持っておかなければいけないものは、いわゆる選択の自由がより大きく確保された方がいいということと、そしていろいろな形でのチェックが入ることが望ましい、これが議会制民主主義を育てる一番の基本だと思うのですね。ところが、党内においてそれが確実にいくはずだという議論は、私はやはり大変だというぐあいに思っているのです。外からも選択の自由や、そしてチェックがいろいろな形でより働くことの方がいいことだというぐあいに思います。 社会党や共産党が戦後数十年にわたって政権がとれなかった一番大きな理由は、政党本位の選挙をしたからであります。当初の社会党は、いわゆるマルキストやいろいろな方々を出してまいりましたけれども、個人本位の選挙ではなくして、いわゆる労組中心の政党本位の選挙をしてきたわけであります。本来多くの議員を出せばよかったのに、そして組織政党であればあるほど票割りが可能であったにもかかわもず政党本位の選挙だけをし、こういうことをやらなかったわけであります。それが第一の理由であるし、いま一つは、いわゆるイデオロギー的な組織政党としてやってきた、いわゆる自由な形で余りやれなかった、自民党の方がより柔構造社会でやってきた、国民政党としてやってきた、そのことが国民から支持を受けてきたのだというぐあいに私は思っておりますので、あえてそのことだけ申し上げておきます。 過度の政党中心主義というのは、私は、必然的にみんなが批判してきたとこうの国対政治に行き着くのではないかという感を持っています。先ほどもちょっと申し上げましたように、すべてが政党中心になってしまいますと、政党と議員の関係が不明確なまま政党本位ということになってしまいますと、行き着く先はもっと激しい国対政治へ行くのではないのかという心配をいたしております。本当に政策中心ということで考えるのであれば、それは政党中心ということと矛盾することもあるのではないのかというように思います。政策が中心ならば、本来、党議拘束などということは緩めてもよいはずであるというように私は思っています。議員の良心と政策判断を重んずるようになれば、党と違う判断をすることもあり得るのではないのかというぐあいに思います。党議拘束をする必要がある時代というのは、いわゆるイデオロギー的にあるいは大きな体制の選択をせざるを得ない、そのときに私は確かに党議拘束は必要であろうかと思いますけれども、現代のように価値観の多様化が起こりながら、かつイデオロギー的な対立もなくなった、冷戦構造もなくなった、大きな体制の変化もなくなったという時代においては、私はそのような厳しい形の党議拘束は必要ではなくなったのではないのかというぐあいに思っていますが、総理はその点とういうぐあいにお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 やはり政党政治を行っていきます以上、政策を同じくし、志を同じくする議員が集まって行う、そして、その政策を国民のために反映していきたいという大きな目的があって初めて議会制民主主義というものが確固たるものになっていくのだと私は考えております。そこで、院に対していろいろな届け出をして、政党に所属する議員の数というものが基礎になって議会政治というものが行われてきたという事実もございます。こういう現実の政治の中で、政策を同じくするということ、この政策を実現しようとする努力をするということ、それは党内の議論は御自由でありますし、また議員の良心に従っていろいろな御意見もあろうと私は思います。きょうまでも自由民主党の中ではいろいろな活発な議論が行われてきましたが、議論はあるけれども、決定されたことには最後の瞬間には従っていくというのが党のきょうまでの姿であったと私は思っておりますし、また民主主義というのは、多数の意見をいろいろ議論をする、どうしても意見が合わないときは多数の意見に従うという多数決の原理とい、つものも、やはり民主主義の中には働いておるものと私は思うのです。 先ほど来いろいろ御議論になりました、例えば日本は議会制民主主義の国である、アメリカも議会制民主主義の国でありますけれども、日本は議院内閣制の国であり、アメリカは大統領制の国の違いはある生言いましたが、しかし、アメリカの利になるということは間違いないわけでございますから、野党のほとんどは反対するであろうということも当初から予想されておりました。また、議会制民主主義のあり方をめぐって、与党の中にも半分ぐらいの疑念を持った人たちがいるということ一も予想されておりました。こういう中で今回スタートしたということについて、私は、これも若干軽率であったんではないのかなという感を持っています。 そして三点目は、この制度改革によって、いわゆる政治改革ということはいいわけでございますが、選挙制度というのはいかに民意を反映し、そしていかに政権を安定させるかという二つの役割を持っているわけでありますから、将来についての検証が必要であった。いわゆる今後の政治理念、新しい政治理念とはどうあるべきか、あるいは今後を担うべき政党とはどうあるべきか、あるいは今後の立法府とはどうあるべきかという細かな検証が必要であったというぐあいに私は考えています。 そのことだけ申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小此木委員長 関連して、小林興起君。
○小林(興)委員 衛藤晟一君の質問に関連し、総理に若干のお考えを伺いたいと思います。 私は、昨年の総選挙におきまして、政治改革を掲げて出てきた議員でございます。そういう意味におきましては、この政治改革特別委員会におきまして我が国の総理に質問をさせていただく機会を得させていただきましたことを、関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。 ところで総理、今までも質問の中で政党本位という言葉が大変出てきているわけでございますが、それももちろん大事かもしれません。しかし、この政治改革の本当のねらいは、政治家のレベルを上げてくれということが国民の願いではないかと思うわけでございます。そういう意味で外国等をいろいろと考えてまいりますと、日本は、先ほど総理は政治家は三流で経済一流ということを言われましたけれども、実は世界と比較をするならば、相対的な問題でありますけれども、政治家もまた一流であったのではないか、それゆえにこそ日本の経済はこれだけ順調に発展をしてきたというふうにも考えられるわけであります。 もちろん、政治家にも問題があり、個々の政治家に若干の問題はあるでしょうけれども、おおむね政治家のレベルは高かった。そのおおむね高かったという政治家のレベルを決定づけたのは、実は中選挙区制度ではなかったか。例えばそれは、政策を党に教わって話をするだけでは実は日本では政権政党では勝てない。つまり、同じ党から出るわけでありますから、党の公約を述べただけではだめでありまして、自分がそれをどう解釈するか、あるいはその党の公約を敷衍してどう説明するか、あるいはまた人格まで訴える力がなければ、日本においては、政権政党の中にあっては政治家として勝ち上がってこれない。そういう中選挙区の結果、例えば、有力な政治家が出るところではその対立候補もまた立派な政治家になる。総理大臣、例えば福田先生が出れば中曽根先生もまた出るという形、また小渕先生もその可能性があるという形になってくるわけでございます。海部総理の選挙区におきましても、海部総理が一国の総理という重責を担われたその背景には江崎先生という立派なライバルがいらっしゃったからだ。そういう中選挙区制の利点によって日本の政治家の高いレベルが保障されたとは考えられないでしょうか。
○海部内閣総理大臣 私は今、御質問を聞きながら思い出しましたのは、昨年二月の総選挙のときに私も総裁としてあなたの演説会場へ参りましたら、政治改革を熱心に訴えていらっしゃる候補者の姿に私は感銘を受けたことを今思い出しながら聞いておりました。 そうして私は、決して政治が三流だと私が言っているのではなくて、世の中からそういう御批判を受けたことを厳しく、つらく思うけれども、政策がよかったからきょうまでの成長があったんじゃないか、けれども、いけない面があるとするなれば、それは政治倫理の面で批判を受け、指摘を受ける面があったのではないだろうか、ここを改革していくことによって政治も名実伴うトップクラスに行くんだ、こういう考え方を持っておるということを改めて申し上げさせていただきますし、同時に、政治家のレベルを上げることが政治改革だとは私は考えておりません。それは、政治改革をすることは政治をもっとわかりやすく、きれいに、信頼できるものにして、政策論争が、政策中心の政党本位の選挙が行われるようにしていくのが大切なことなのではないでしょうか。みんなそれぞれ、お互いの場所において歯を食いしばって切磋琢磨して成長してきておるわけであります。 御指摘のように、私のところには江崎先輩もおられました。野党の佐藤観次郎先生にも切磋琢磨してもらいました。この方には随分私はいろいろな御議論をしたこともある。率直に言ってそういう切磋琢磨の中から、どちらの政策がいいか選んでくださいという態度をとったことを、例えば安保に対する考え方とか、あるいは自衛隊に対する考え方、そういったようなことで私は随分政策論争をやったことも思い出しますので、そういった意味での切磋琢磨というものはおっしゃるとおりあるわけでございます。そういった意味で、これからどんどんとそういったようなことによって政治改革というものを進め、高めていきたい、こう考えておるところであります。
○小林(興)委員 持ち時間がなくなってきたようですので、最後の質問をさせていただきます。 私は、総理の話の中でレベルを上げることよりということを言われましたけれども、レベルを上げること、政治家の質を高めることが政治改革の本当の意味だというふうに今なお思っているわけでありまして、国民の皆さんは、多少お金がかかっても政治家のレベルがいい方がいい、お金がかからなくて政治家のレベルが低い方が問題ではないかという考え方もあるということを私は総理に訴えたいと思うわけでございます。 それから、総理は政治家の姿勢が大事だと言われました。私は政治家の姿勢として、まずこの政治改革、大事でございますけれども、選挙制度を考えることも大事でありますけれども、これは時間がかかる。そういう意味におきましては、とりあえず政治改革の議論とは少し離れて、現在この一対三の問題が出てきているわけでありますから、五百十二名の定数をいじることなくても結構ですので、この中選挙区制における定数是正を、とりあえず一案をつくるということが私は政治家として極めて大切ではないか。それはそれでやっておきながら、小選挙区にするか中選挙区にするかという議論をしても結構でございますけれども、政治家の姿勢として、少なくとも今の国会に即定数是正案を一応出すべきだというのが一つの姿勢だと思います。 それから、もう一つ最後にお伺いしたいのは、総理は不退転でこの問題をやると言っているわけでありますから、新聞とかテレビで言われておりますように、万が一この国会でこの法案が廃案になったら、やはり総理の政治姿勢止しては当然解散ということをお考えでしょうね。このことを確認させていただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 私は、やはり日常の政治活動というものとお金の関係がどうしてもかかり過ぎておるんじゃないか、必要以上にかかり過ぎておる、それをかからないようにするためには個々の倫理の確立も大切ですし、お金を使わないような制度、仕組みをつくっていくことも大事ですが、それには制度の根源に触れていくことが大事だと何回も申し上げたことでございます。 また、一票の格差の是正の問題も、おっしゃるように極めて大切なことでございます。したがって、党でいろいろ御議論願った中で、どのような制度、仕組みにしていくかという中でみずからも血を流して努力をしようというので、総数は本則の四百七十一にしようという非常に厳しい決定を党はされた。私は、政府の選挙制度審議会に向かって党のこの厳しい姿勢、決定を政治改革への真摯な態度として受けとめてもらいたいということもお伝えをいたしましたし、また、その中において一票の格差というものは、今お願いしておる法律によりますと、原則一対二という基準をつくって、審議会で決めてくださった枠内に入りますから、この法律を通していただくと、その一票の格差の是正という問題については大幅に改善されるものと考えております。 また、このような法案をお願いをし、このような審議を鋭意続けていただいておるさなかでございます。政府としては、この法案を通していただきたいという強い気持ちを持って最後まで最善を尽くしてまいりたいと考えております。
○小林(興)委員 時間が参りましたので、最後に、総理に要望をして終わりたいと思います。 理想を追求することは政治家にとって大事であります。しかし、それには時間もかかることであります。現実を踏まえましてすぐできることをやるということも、また政治家の姿勢として大事だと思います。そういう意味におきましては、定数をいじることは難しいかもしれませんが、削減とかいうことを考えるとまた難しくなるかもしれませんけれども、現在の定数を前提にして例えば定数の是正だけは直ちにやれるわけでありますからそういうことをするとか、あるいはお金を、もちろん抜本的にかからないことを考えることも大事でありますけれども、今よりもかからなくて済むことぐらいならば、現在の制度を前提としてもできるのであればそのことはすぐやるという、まずすぐできることをしていただいて、それからゆっくりと理想に向かってまた議論をしていく、そういう二段階方式をぜひともお考えいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終えます。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて衛藤君、小林君の質疑は終了いたしました。 次に、星野行男君。
○星野委員 お許しをいただきましたので、私は、海部総理大臣に対しまして、まず基本的なことを二点、お伺いをさせていただきたいと存じます。 第一点は、総理の時代認識と今回の政治改革の位置づけでございます。 今からちょうど百二十年前、すなわち一八七一年、我が国は版籍奉還、そして廃藩置県を断行いたしまして、近代的な国家の形態を整えたわけであります。御承知のとおり、ペリーが軍艦四隻を率いて我が国へやってまいりまして、アメリカ大統領の国書を持って開港を迫ったのが一八五三年であります。以来、御案内の幕末動乱の時代に突入するわけでありますが、明治の若者がそれこそ多くの血を流しながらあの維新の大業をなし遂げたわけであります。私は、今まさに我が国は第二の維新のときを迎えているのではないか、そう思います。 御承知のとおり、戦後四十数年続いてまいりました冷戦構造が音を立てて崩壊し、東西ドイツの統一、そしてソ連、東欧の民主化、そして市場経済への移行の大きな流れが定着し、この流れに逆らったソ連のクーデターが惨めな失敗に終わりました。そしてソ連、さらにはいっときは世界の半分を支配したソ連共産党の解体、あるいは隣の韓国、北朝鮮の国連同時加盟等々、冷戦終結後の新しい方向に向けて世界が今大きく動き出しているわけであります。 このような歴史的な世界の転換期に当たりまして、我が国だけが冷戦構造の中に定着した発想やあるいは制度や政策をそのままにして、世界の中の日本としてこれから生き続けていくことができないことは明らかだと私は思います。また国内には、御案内のように東京一極集中と地方の過疎、急激な高齢化の進展あるいはまた出生率の低下あるいは外国人労働者の問題等々、困難な多くの問題を抱えているわけであります。そういう国際あるいは国内における変化に対応して制度や政策の改革、改善を図って、そして二十一世紀の我が国の基礎をしっかりと揺るぎないものにしていくということが今必要であり、そういう意味で、まさに我が国は今、第二の維新のときを迎えているのではないか、そう思うわけであります。そして、冷戦構造の崩壊によりまして、不毛なイデオロギー論争から実りある政策論争ができる環境が整ってまいりました。私は、今回の政治改革もそういう内外の変化に対応するための改革の一環としてとらえるべきではないか、そう思っておりますが、そういう総理の時代認識と選挙制度を含めた政治改革の位置づけについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 お述べになりました星野議員の御議論というものは、私も今拝聴いたしておりまして、私の考えておることと大きく交わっておる問題ばかりだと思います。そのような時代認識に立って、私も、冷戦構造の発想を乗り越えた新しい考え方が日本にも必要になった、こう考えております。 同時に、サミットなんかの議論なんかに参加しておりましても、これはもう東西対立じゃなくて、今まで東側の頂点にあったソ連をどのようにして自由と民主主義と市場経済上いう私たち、我が党の掲げておる旗印を共通の普遍的な認識として集まってくるような、そんなパートナーにするにはどういう協力をしていかなければならぬかということが中心議題になってくるくらいでありますから、地球的規模で新しい秩序づくりに日本も積極的に加わっていかなければならぬときが来たというこういう認識、同時に国内でも、東京一極集中じゃなくて地方のことをもっと考えろ、党の政治改革の御議論の中では地方分権の問題も、それから地方と中央の議会の役割の問題等もまさに出ておりまして、地方と中央の役割分担、責任分担、権限分担をもっと明らかにして、身近な地方議会が地方の政治を行い、地方の活性化に専心し、国は国で対外的、国内的、全体的な問題に的確に責任持って取り組め、こうなっておりますが、そのとおりだと思いますし、議員の御意見は、その意味で私も同感でございます。
○星野委員 いま一点でございますが、政治と国民の信頼の関係であります。論語にも「信なれば民任ず」という言葉がございます。政治の基礎は国民の政治に対する信頼にあることは今さら申し上げるまでもないわけであります。 そこで私は、国民の政治に対する信頼を確保するための基本的な条件といたしまして三つあると思います。一つは政治家の身辺が清潔であること、二つ目は約束を守ること、そして三つ目は、政治家が国家国民のためにおのれの利害を顧みず一生懸命に汗を流すということにあると思うのであります。これを政治改革に置きかえて申し上げますと、一つは政治資金の問題であり、二つは公約は守らなければならない、こういうことであります。そしてさらにこのような大きな時代の変化の中で、時には国民に痛みを伴う改革もお願いをしなければならないわけでありますが、政治家だけが痛みを伴う改革を避けて果たして国民の理解と協力が得られるだろうか、こういうことであります。 この国民の政治に対する信頼の問題につきまして、選挙制度を含めた政治改革と関連して総理の御所見を承りたいと思います。
○海部内閣総理大臣 お挙げになりました三つの条件、第一のことは、やはり政治とお金の流れの間に何かたくさん政治にはお金がかかり過ぎておるんではないか、同時にその明朗性が欠けておるんではないかという疑問や疑点や御批判が国民の皆さんから出てきたことも事実でありますし、率直に言って、与党である自由民主党はそのことを謙虚に受けとめて、厳しい反省に立って政治改革をお願いしなければならないという決断をしたのもそのためでございましたし、また公約を守れというのは、これは政党である以上、政策を訴えて当選さしてもらうわけですから、それはやはり公約は守るべきだと思いますし、同時に、痛みを伴う政治改革を避けてはいけないとおっしゃいます。そのとおりだと思います。今回も自由民主党が決められた政治改革大綱の中には、例えば定数を本則に戻すとか、いろいろ議員個人にとっては厳しいこと、つらいこともあるかもしれません。 政治資金の出入りの問題や、あるいは買収や寄附行為に対する厳しい倫理の規制をかぶせていくという法改正の問題なんかは、これは非常に痛みを伴う面があるかもしれませんが、これを甘んじて乗り越えていってこそ、この試練を耐えてこそ強くなるものだと私は考えております。
○星野委員 ありがとうございました。 次に、具体的な問題に入らせていただきます。 先ほど小林議員も取り上げました一票の格差の問題であります。今までに一票の格差をめぐる問題で数多くの訴訟が提起をされ、そして最高裁判所は、憲法第十四条との関係で格差一対三を超えた場合は違憲である、こういう判断を示していることは御案内のとおりであります。そこで、現行中選挙区のもとでとりあえず一対三を超える選挙区だけ直せばよいという考えもあり得ると思いますが、この点につきまして、参考人の堀江先生から御判断をお願いいたします。 そして、一票の格差について国民世論の大勢は一対二未満が許容限度となっていると思うわけでありますけれども、仮に現行中選挙区のもとで一対二未満を基準に定数是正を行う場合、現行百三十の選挙区のうちどのくらいの選挙区が影響を受けることになりましょうか。これは自治大臣にお答えを賜りたいと存じます。 さらに、現行中選挙区のもとで定数の抜本是正をやるということは非常に困難なことと思いますけれども、それを仮にやったといたしましても一票の格差是正という一面的、部分的な政治改革にすぎないことでありまして、本質的な政治改革にはならないと考えますけれども、この点については総理の御所見を賜りたいと思います。
○堀江参考人 ただいまの御質問は、一対三の格差のもとで定数是正をすることについてどう思うかという御質問がと思います。 確かに、これまで最高裁の判決では一対三という数字は出しておりませんが、おおむね一対三に近い数字の場合には、やむを得ざる政策的な判断ということで合憲の判決を下してきておったように思います。しかし、今日の我が国ももとより世界の大勢は、やはり同じ国民でありながら国の政治に参加する権利というのは本来一対一でなければならぬ、しかし、いろいろな事情からそれがその原則どおりにはいかないということであるので、少なくとも、特定の国民が他の国民の二人分以上の参政の重みを持つ投票権を持っておるというのはいかがか、これが多くの学説あるいは世界的な世論の動向であろうかと思いますので、一対三の格差の中で定数是正をするということは必ずしも世論の御賛同を得ることにはならぬのではないか、こういうふうに考えます。
○吹田国務大臣 星野先生にお答えします。 現在の中選挙区の状況で一対二未満ということでこれを改正する、いわゆる定数是正をやるということになればどのように選挙区に手を入れなきゃならぬかということにつきましてのことですが、我々の方は御案内のようにこうした小選挙区比例代表制を出しておりますから、その問題は試算をしておるわけではありません。ありませんけれども、仮にこれを試算するということになりますと、現在我々が出しておる四百七十一、この本則に基づいて一対二未満である程度の計算をさしていただくとすれば、かなりの数字が動いてくると思うのですね。したがいまして、四百七十一を、いわゆる国会決議にも出ておりますように、過疎ど過密の問題を考えろというのもありますから、そういう点で審議会も考えられておりますが、各都道府県に一人をまず均等配分する、そして残余を各県に配分するんだというようなこと等も考え合わせまして、しかも三から五の定数で考えろということになりますと、少なくとも私どもから計算いたしますと、相当な合区あるいは分区あるいは境界変更というものをやらなきゃなりませんが、そういった数字は百十前後になるのではないか。どうしてそういうことを申し上げるかというと、先日、対案として出された社会党案でも百十二の選挙区がこういった対象になっておるというのを見ましても、おおよそそういった数字になるのではなかろうかなと思うのでありますが、これは全く私どもの仮にの話でありまして、そういう点は省としてははじいておりません。
○海部内閣総理大臣 御両所から詳しい御説明がございましたように、私は、一票の格差というものをきちっと是正していかなきゃならぬ、そして是正することが決議の趣旨にも沿うものであるという判断に立ちまして、そしてまた審議会からもらいました答申を踏まえて原則、基本一対二というところに行きますと、これは抜本的な改正にもなりますし、現在の憲法違反という指摘を受ける三を超えるという現状から大きく是正されて目的を達成することができる、趣旨においては全く同じことになる、こう考えておりますので、ぜひ実現をさせていただきたいと考えております。
○星野委員 今回の政治改革のねらいの一つが、政党中心、政策本位の選挙ができるようにしよう、こういうふうに承っているわけでありますが、しかしまた、現行中選挙区制のもとにおいても政策本位、政党中心の選挙が実現できるのであり、小選挙区比例代表並立制の導入は自民党の党利党略ではないか、こういう御意見がございますが、これにつきまして総理の明快な御判断、御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 自由民主党の党利党略ではないかという御批判があるということでありますが、私が今率直に申し上げますと、現状のままで、いろいろの新聞社の方々が昨年の参議院選挙、衆議院選挙のときのそれぞれの得票数というものを基盤に置いて、もし今出ておる現状の法案が通過、成立したとした場合にどうなるかというシミュレーションを発表されたことは議員も御承知のとおりと思いますけれども、衆議院選挙のときの得票数でいきますと確かに自由民主党にとっては有利だな、安心できるな、けれども、参議院選挙のときの結果のシミュレーションを見ると、これは過半数割っちゃって非常に厳しい状態になって大変なことになるな、極めて心配な結果が出ておるわけであります。 このことは、議会制民主主義を唱える以上、政権交代の可能性が抽象的に存在するということは、これは当然の理論的な問題でもあろうと思いますし、また、アメリカとかイギリスのように議会制民主主義で選挙を行っておる国でも、二大政党のもと、中心にして選挙が行われると政権が交代することがあるな。そうすると、こういうふうに変えていきますと、自由民主党にとっても非常に厳しい状況が来るかもしれない、真剣にこれは対処していかなきゃならぬ。政局に緊張感が出てくるということ、政権維持というものは、もっと政策努力を民意を尊重してしなければならぬという方向に傾いていかなきゃならぬということありますから、私は、一概に自由民主党にとってこれは有利だと言ってはかりおれない現実のシミュレーションの報告もあったということもあわせてお考えを願いたいと思うわけでございます。
○星野委員 次に、政治資金制度についてお伺いをいたします。 現在の中選挙区のもとでは、私ども自民党の議員は後援会がなければ選挙戦は戦えません。御案内のとおりでありますので、常時後援会の維持拡大にお互いしのぎを削っております。そういう関係で、いろんなPRとかあるいは後援会活動の促進あるいは多少の助成というようなことで相当なお金がかかります。その政治資金を集めるためにお互いさま相当苦労しているのが実態だ、こう思うわけでありますが、同時にまた、今まで戦後の歴史の中でも、この政治資金あるいは政治と金の問題で多くの有能な政治家がつまずいてきたことも事実でございます。 そういう点から、個人の政治家のそういう政治資金の負担を軽くして、そして政策本位あるいは政策の研究とか立法活動、そういうことにもっと力を注ぐようにするとか、あるいは政治と金の問題で国民の批判を招かないようにする、そういうことが必要だと思うわけでありますけれども、そういうことにつきまして今回の政治資金制度の改革はどのような配慮がなされておりますか、お聞 かせをいただきたいと思います。
○吹田国務大臣 ただいま先生お話しになりましたとおりであります。この基本的な考え方というものはもう今お話がございましたとおりでありまして、いわゆる政治資金の調達は政党ができるだけ中心になってやっていこう。今までは個人の後援会、しかも、その個人の後援会の政治資金の調達団体というものは無制限であったわけであります。それを、暫定的ではあるけれども一定の経過措置として二つに絞っていこうというようなことに個人はしまして、できるだけ政党に政治資金というものは集中していこうということをまず基本的に考えております。しかも、その内容を非常に公開性を強めていこうということを考えておりまして、いわゆるガラス張りの姿にできるだけ持っていこうということでありますし、さらに、規制の実効性の確保という面につきましては、いろいろな面について罰則その他も強くいたしておるわけであります。また、そういった意味からいたしますと、政党に対する定義というものもきちっとつくっていかなければならぬということから、その定義もこの際きっちりと決めておるわけであります。 いずれにしましても、政治資金調達という問題が、従来からいろいろ団体とかあるいは企業とか、そういったものから個人に渡っておるというものを、今回は全面的にこれを政党なりそういった組織に持ち込もう、個人のいわゆる寄附についてはこれは従来どおりの姿で存続する、しかも、それは個人の政治資金調達団体に限るということでいたしておるわけであります。
○星野委員 そこで、一票の格差是正を仮に一対二未満に抑えたといたしましても、現行中選挙区の状態を変えない限りいわゆる後援会中心の選挙はもう避けられないわけでありますが、そうした場合、現行中選挙区制のもとで一票の格差是正をやった場合は、これはやはり政党に対する公的助成はそういう関係で無理だと思いますけれども、この点はどのように御判断されますか。
○吹田国務大臣 当初から総理からお話が、先般のこの委員会でもあるいは本会議でもなされておりますが、今回の法律につきましては、政治改革は三本の法律を一本として問題の解決を図っていこうということに相なっておりますものですから、そのように御理解をいただきたいと存じます。
○星野委員 いろいろとお伺いをいたしてまいりましたが、今回の政治改革は、まさに明治維新をなし遂げたあの志士たちのような勇猛心を奮ってやり遂げなければならない課題だと思いますが、この点につきまして総理の御決意のほどを最後に承り、同時に、ただ地方におきましては、過疎が進んでいる中で議員の数が減るということはさらに過疎に拍車をかけるんじゃないかという心配があるわけであります。この点につきましても、地方の振興について一言総理の御決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○海部内閣総理大臣 御指摘のように大変大きな変化でありますし、また、この大きな激変は、御議論の中にもありましたように私たち自身の方にも厳しい痛みを伴うものでございますから、相当の御理解と御協力をお願いしなければならない、お願いする方としてはそれにふさわしいような法案内容をつくって、そして確実に前進していくような政治改革の実を上げなければならない、こういう強い気持ちを持って臨んできておりますので、最善を尽くして努力を続けますから、どうか御理解をいただきたいと思います。 また、地方の問題につきましても、これは党内議論のときにもございましたが、地方と中央との役割分担、責任分担、権限の移譲、それらの問題を通じて、地方の活性化は、地方住民に一番身近な地方自治体により多く責任を分担してもらうのが望ましいということに相なってきておるわけでございまして、それらの問題等も踏まえて、これから大いに前進をさせていかなければならないテーマであると考えております。
○星野委員 ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて星野君の質疑は終了いたしました。 次に、武部勤君。
○武部(勤)委員 私は、海部総理はお師匠さんの一人と、このように心得ております。といいますのも、大学を出てから三木武夫先生の事務所で六年間、私は御指導をいただきました。そういう総理に対してきょうは横綱に胸をかりるような気持ちで、極めて失礼なこともお伺いするかと思いますが、まず冒頭お許しをいただきたい、かように思います。 そこで、端的にお答えいただきたいと思いますが、総理はかつて、自民党の党議違反をしたことはありませんか。
○海部内閣総理大臣 率直に言って、反省して申し上げますが、党議違反があったことはあると思います。
○武部(勤)委員 私は、そこが自民党の濶達ないいところだ、こう思うのです。すなわち、自民党が今日まで長らく政権を国民の信頼を得て維持してきたというのは、国民の多様なそういう意見を体して、我々が党の政策、党を中心に、しかし国民一人一人の民意を左から右まで吸収してその体現の努力をしてきたからだ、こう思うのです。 この政治改革大綱、私も選挙区制のことを除いて賛成しているのです。これは党議決定、党議決定とおっしゃいますけれども、三十七ページのうち小選挙区制については二ページしかつづっておりません。しかし、その二ページの問題だけでもこれだけ大きな論議があるわけであります。しかも、これは総理というよりも総裁という立場でお聞きいただきたいと思いますけれども、先般の総務会の論議の状況を見ましても、私は、今回論議を尽くして、そして最終的には党議に服しますよということを選挙制度調査会でも申し上げました。しかし、今度は少し無理をして出されたのではないか。私は、断固小選挙区制反対と言っているのではないのです。論議を尽くして党内の合意が得られるならば、とりわけこれは野党の皆さん方との協議も必要でありましょうし、そういうことを踏まえて出すのがやはり一つの政治的な責任ではないか、かように思うわけであります。このことは私の意見として指摘だけしておきたいと思います。 それから、きょうの新聞に「廃案なら辞任の腹」という見出しで、自民党本部長、また本部長代理の記事が出ているのです。私は、伊東先生も後藤田先生も非常にすばらしい方だ、人格、識見ともにすばらしい方だと深く敬意を表しているのでありますが、ただ、この質問に当たりまして多少勉強し、新聞の記事等を読んだときに愕然としました。その一部を読んでみます。これは日経新聞の一九八九年八月十三日の佐々木毅さんと内田満さんの対談の中で、「小選挙区軸に改革論議」という中で後藤田先生がインタビューに答えているところがあるのです。ちょっと読みます。「私の選挙区では、自民三人、社会、公明各一人ですが、私は社会党や公明党を攻撃したり悪口を言ったことがない。言っても票が増えないからです。攻撃は全部同士打ち。同じ党ですから政策論争にはなりません。ふだんのサービス合戦になる。これにカネがかかる」。大先生たる後藤田先生が何ということを言っておるのか。 私の北海道五区は、自民党四人、社会党一名です。前は社会三、自民二だったのです。それが四人が切磋琢磨して、そしてお互い努力をして、皆我々の同僚は自民党の政策を訴えています。そして選挙では社会党や共産党や各党の防衛政策あるいは経済政策等々を断固批判して、そして支持を得て出てきているのですね。私は、後藤田先生のこの新聞に書いてあることが事実だとするならば本当にこれは情けない。これは制度の問題じゃなくして政治家の資質の問題です。やるべきことをやらないで、みずからの姿勢を正さないですぐ制度、仕組みを改正すれば政治はよくなる、それは国民に対して非常に失礼な考えだ、こう思います。 次に、私は、先ほど来お話がありましたけれども、自民党が今日これだけの勢力を得て努力しているというのは、党を中心に、党の政策を中心に、しかし党より人という要素で出てきている。私は、総理、不快に思うかもしれませんが、総理のところにも五十八年の選挙に出るときごあいさつに参りました。党公認の問題についても御支援をお願いいたしました。私は、手前みそでありますけれども、道会議員四期をやり、そして広報委員長、幹事長代理と道連の役職を務めて、自民党の広報活動をよくしなくちゃいけないということで株式会社自由広報センターというのを資本金三百万でつくって、これは今非常に立派に機能しているのです。それから毎週土曜日は土曜キャンペーンとして、大みそかの日も一回も休まず一時間広報活動をやりました。演説をやりました。しかし、道連は私のその活動を認めているから公認申請しましたけれども、残念ながら党は公認を与えてくれなかったという、こういう問題があるのです。何も自分のことを棚に上げて言うわけじゃありませんが、やはり党改革とか国会改革、これをきちっとやって、国会が挙げて、また我々政治家がみんなして政治改革に努力しているという実を上げて、そしてこの選挙制度の問題は、まずやはり国民の合意を得なくちゃいけないんじゃないですか。そういう必要性を痛感するのであります。例えば国会改革、この間の論議を見ても、全然質問のない大臣がここにいなければならない、そういったことから改めるべきだ、こう思うのです。 さような意味で、これはもう少しじっくり、しかも現職の国会議員だけじゃありません。区割りの問題一つとっても大きな問題がある。ある選挙区は、これは野党の皆さん方に関係ないかもしれないけれども、党の中で議論して、これは総裁としてお聞きいただきたいのですが、どういうふうにして区割りをするのか。ある選挙区の私の先輩は、年が一つでも上だったら外へ行く、当選回数が一回でも上だったら国がえだ。当選回数は同じだから、年齢がわずか二つしか違わない我々の先輩が自分の県からさえ出られない、全く国がえの国がえ。大阪へ行くかどこへ行くか。こういう不合理なことをやっちゃいけないと思うのですね。やるとしても、よほどそういう方々の気持ちを納得をしていただいてやるべきだと思うのです。それには少しく拙速過ぎる。私のことを、武部君はいいじゃないか、君は総論反対、各論賛成だろう。そんなことでこの大事な議員の身分にかかわる問題を簡単に片づけてはいけないわけであります。私はこのことを指摘しておきたいと思います。 そこで最後に、これは質問として申し上げます。 もう選挙区では非常に動揺が起こっております。後援会は大変です。特に私の北海道五区は広いから大変なんですよ。少し十勝へ行く日が少なくなれば、おれたちを見捨てたのか、そういう話がもうたくさん出てくる。その逆もあります。したがって、私は、これは委員長にも申し上げたいと思いますが、ここに至って、この問題をもっと国民の合意を得ながら、そしてこれをぜひ実現させようというふうな考え方に立つならば、この際一度振り出しに戻すべきだ。これは積極的に廃案にして、継続というお話がありましたが、継続が大変なんです。継続ということはこのままの形でなるなと思うから、無用な混乱が各選挙区で起こるのです。ですからこの際、簡単に言いますと廃案ということになるが、廃案というそういう言葉は私は使いたくない。一度これだけの議論をしたということはこれは決して悪いことではありません。非常に大事なことでありますし、政治改革や選挙制度について大きな関心を与えたわけでありますから、国連平和協力法のときもこれは一たん廃案になった。あのときに私どもはえらい衝撃を受けましたよ。しかし、今PKO法案という非常に前向きな法律を出しているわけでありますから、この際は政治的な御判断のもとに出直しを図ってはいかがかということを私はお伺いしたいと思います。総理のこの法案に対する取り扱いについて御決意を聞かせてください。
○海部内閣総理大臣 いろいろの事例を挙げての御批判がございましたが、私どもは、今度のこの政治改革を行うというのは、平成元年の五月に党が厳しい反省に立ってあの政治改革大綱をつくったという原点をもう一回考えていただきたいと思うし、同時に、そのとき国民の皆さんや世論がどのような政治改革を求めたかということを謙虚に受けとめて、党でも三百回を超えるいろいろな御議論をいただいてこの政治改革の法律案の提出にまで至ったものだと私は思います。 時間の関係で詳しいことは言いませんけれども、きょうまで何回も自由民主党の中で行われてきた議論の中においても、むだを省いて必要以上なお金がかからないようにするためにはやはり選挙制度を抜本的に改革しなければならない、そのときには痛みを伴うかもしれないが、私情を捨てていかなければならぬ。ここはおれとのつながりのあるところだ、ここはおれとの関係のあるところだという角度だけで物事をとらえますと、制度の抜本改革というものは全くできないようになるのではないのでしょうか。だから、それは政府とか党とかがするのではなくて、一対二というものを基本原則にして、一人当たりの議員の皆さんにどこをどうするかという区割りのことは、これは政府・自民党を離れて、選挙制度審議会の公正な第三者機関に区割りをお願いをしたということになっておるわけであります。それについての御議論はこうしていただいておるわけでありますし、政府といたしましては、これをしなければならぬという考え方に立って最後まで最善を尽くしていきたいと考えております。
○武部(勤)委員 これは委員長にも申し上げたいと思うのです。それは総理のお気持ちはわかりますよ。わかりますが、実際問題、いろいろな波紋を呼んでいるということは事実です。国連平和協力法案のときに、廃案にしたことによって決してマイナスになっていない。これはやはり時間をかけてもっと理解を得て、自民党の中だって本当に残念に思うのですよ、同じ同志が反対派と賛成派と。だから、もっと合意を得るような努力をして振り出しからやった方がいいのではないかということをあえて申し上げておきたいと思います。ここに至って総理がそのことにこだわるのは、私はいかがかと思います。 最後に申し上げますが、選挙制度も政治改革も、国民の皆さん方の協力をいただかなければできないことであります。私は、国民運動をやることがぜひ必要だ、このことも申し添えて、時間でございますから質問を終わります。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて武部君の質疑は終了いたしました。 次に、石破茂君。
○石破委員 一番望ましい制度というものは世の中にはなかろうと思います。どの制度が一番正しいか、人間の考えることでありますから、この制度が一番正しいというものは世の中に存在はいたしません。政治改革を望まない者は一人もおりません。与野党ともに、自由民主党、賛成派、反対派とか言われますが、みんなが政治改革を望んでおるはずであります。そのことは一致をしておるはずです。しかしながら、私は、小選挙区制をやればすべての問題が解決するとは全く思っていない。しかし、小選挙区制を柱とする政治改革をやっていくことは、つらくても苦しくても絶対に必要なことだ、かように信じておりますので、そういう観点から質問をさせていただきます。 この制度を導入することが自由民主党にとって有利だと言う方がいらっしゃいます。私は実際に選挙をやってみて、自民党にとって有利だとは全く思わない。(「第一党に有利だ」と呼ぶ者あり)第一党に有利だとも思わない。ましてや、自分に対して有利だということも我が身に当てはめて考えたことは一度もございません。四割、八割論というものを反対派の方が随分おっしゃいますが、仮に四割、八割論というのが成り立つためには、私の場合でも、自由民主党であれば石破茂一人だからすべての人がそれに入れる、そういう前提が必要なはずであります。そしてまた、野党の皆様方が共闘をし協力をして、こういうふうに国はあるべしというふうに自民党に対して対抗して連合する。それで初めて四割、八割論というのは成り立つはずだ。そういう前提をすっ飛ばした四割、八割論などというものは、私はそれは欺瞞だというふうに思っております。私は、この制度をやりまして自分が楽になるとは全く考えておりません。しかしながら、自分の選挙区にならないところで、つらくても苦しくてもこの制度はやらせていただきたい、そういうお願いをしておるのであります。自分が落選をすることがあるとしてもこれはやり遂げねばならない、かように思っております。 今の選挙制度は、一言で申し上げますが、国会議員を好きか嫌いかで選んでおるとしか考えられない。好きか嫌いかで選ぶのが国会議員の選び方だと私は思わない。正しいか間違っているか、それで選ぶのが国会議員の国民に対する信の問い方だというふうに考えております。今の選挙制度で、一体何割とれば当選をすることができるか。一五%得票すれば当選をすることができるのであります。五人に一人以下の人たちさえ信用させることができれば国民の代表として国会に出てくることができる。しかしながら、私は、少数代表が幾ら集まってもそれは少数代表の集まりであって国家の意思とは言えない、そのように思っております。 それは先般の選挙で痛感をしたことであります。すなわち、私どもは、つらくても苦しくても消費税はやらねばならぬ、米の自由化を阻止するためには、農民の方々には大変申しわけないけれども、つらくても苦しいことであるけれども減反はお願いをしていかねばならぬ、かようにお願いをいたしました。そしてまた厚生年金六十歳支給、それはだれもが望むことであります。しかし、それを続ける限りは、やがて財産は破綻をして後世の方々に大変な負担を負わせることになる、苦しくても六十五歳支給というのはやらねばならぬ。つらくて苦しいことをお願いをしたつもりであります。当選をさせていただきました。ありがたいことでございました。しかし、そのときに後援者の方々から、おまえ、そんな国民の皆様方に嫌なことを訴えては当選できないよというふうな御指摘もいただきました。しかし、当選ができた。 私はそのときに一瞬、やはり中選挙区制というのは正しいと思ったのです。なぜならば、正しいこと、苦しいこと、つらいことを訴えようと思えば小選挙区制ではだめだ、中選挙区制で一割、二割の人の支持を得られれば、だからこそ正しいことが訴えられるのだというふうに思ったこともございました。しかし、すぐにこれは間違いだというふうに気がつきました。野党の皆様方に失礼でございますが、私どもが考えても実現不可能としか思われない政策を訴えて得票をし、当選をした。申し上げます。消費税は絶対粉砕とおっしゃったのはどこのどなたですか。我々が当選をすれば消費税を粉砕してみせるとおっしゃって、それを公約にして戦ったのは一体どこのどなたですか。そしてまた、食糧自給率は六割だというようなできもしない公約を訴えて当選をしてきた方は一体となたですか。そして、年金は六十歳支給のままで大丈夫だというふうな公約を訴えて当選をされたのはどなたですか。 私は、国会議員の使命というのは、決して人の喜ぶことを訴えるのが国会議員の使命だとは思わない。つらくて苦しいけれども国家の将来のために必要なことを訴える、それが国会議員の使命だというふうに信じておるのでありますしからば、そういうことを二割の人だけわかればいいというのではない。五割の人たちにその政策を訴えて、日本の国はいかにあるべきかということを訴えて当選する制度が何が何でも必要だというふうに思っております。自由民主党同士で戦いますから、自分だけが当選をしたい、どうしても自分は当選したいと思えば、やはり野党の皆様方と似たようなスタンスのものを言わねばならぬでありましょう。しかしながら、そういうように二割の人だけとれればよい、そういうことで本当に国民の皆様方に日本の国はどうあるべきかということを問うたことになるのか。一七%の得票さえすれば当選できるということであれば、一部集団の利益だけ守っておれば当選できるということであれば、それは国家の将来に禍根を残すことになる、私はかように信じておりますが、総理の見解を伺います。
○海部内閣総理大臣 それぞれの政党が掲げる公約というものは、政権についたときにはそれを実現をする。この委員会でも先ほど来御議論にな一つたように公約は守らなければならないということでありますから、実現をさせることのできる裏づけのある具体的な公約を述べるべきだと思いますし、また、そのことを述べるということが正直に言って国民大衆の反発を買うかもしれないけれども、しかしそれは自分の信念として訴えて当選をしてきたんだというそのお立場には、率直に政治家として私は敬意を表します。 同時にまた、今後ともそれらのことが行われていくためには、確かに国民の皆さんから、どちらの政策がより現実性があり、どちらの政策が自分たちの将来にとってふさわしいかということをそれぞれの立場で選択して、選んで投票してもらってこそ将来のあるべき姿というものが出てくるわけでありますから、その意味で政策中心、政策本位意で訴えていただく。かりそめにも同士打ちのようなことで時間や労力やお金を使って、非常にそれは考えてみればむだであったという反省が我々の先輩方の多くのいろいろな会議の中で述べられておることでありますから、私は、そういったことを踏まえて今思い切っでそのような改革がしたいのだということを改めて申し上げさせていただきます。
○石破委員 重ねて総理にお尋ねをいたしますが、私は、少数代表の集まりはしょせん少数代表の集まりでしかないというふうに考えております。国家の意思の形成というのは、やはり多数を得た者の集まりでこそ初めて国家の意思だ、それが議院内閣制をとる我が国の使命だというふうに信じます。 そしてまた、反対をされる方の中には死票が出ると言う方がおられます。しかし、死票という言葉は世界のどこにあるか。日本の国だけに存在をしておる言葉であります。あるイギリスの国会議員に聞きましたところ、死票という言葉がありますか、死票なんぞという人を侮辱したような言葉は決してあるはずがないというふうにおっしゃいました。五十一対四十九であったとした場合、五十一ということに従うのが民主主義のはずであります。それが民主主義のルールです。しかしながら、五十一を選択し、その党が政権をとったとしても、四十九に対して全く考えることがないとすればその政党は必ず政権を失うでありましょう。そしてまた、その反対票に対して、これだけの反対票がある、それは明確な意思表示であって、死票なんぞということは全くもって失礼な話だ、そのようなことは議会制民主主義に対する侮辱である、かように考えますが、いかがでございましょうか。
○海部内閣総理大臣 選挙というものにやはりつきまとってきますのは、候補者が競争するときには勝ち負けがどうしても決まります。それは投票によって決まるわけであります。特に首長選挙といいますか、市長とか知事の選挙のように一人を選ぶときはそれが極めて露骨な形で出てまいりますが、それを死票と言わずに、私は、受けとめ方は、これだけの批判票があったんだからその地位についた者は謙虚な気持ちで、批判票があったということも念頭に置いてすべてのための政治をするわけであります。あくまで国のための政治を目指して当選してくる国会議員には、国全体のことを念頭に置いて考えなければならぬという大きな使命もあるわけでありまして、批判票というものは、それは常に念頭に置くべき存在である、こう考えております。
○石破委員 先ほどの星野議員の質問にも関連をすることでありますが、私は、中選挙区制がすべていけないというようなつもりは全くない。政治が悪かったから国が栄えるなんぞということがあるはずがない。今まで日本の国は確かに今の中選挙区制でうまく機能してまいりましたし、自由民主党の政治が正しかったからこそ日本の繁栄はここまで来た、私はそのように考えておるのであります。しかしながら、昨年からことしにかけてどれだけ世界が変わっていったか、それに対して日本の国は本当に対応ができたのか。一人一人が胸に手を当ててみて、確かに対応できたと言える人は私はほとんどいないというふうに思っている。 国会議員でなくてはできない仕事とは何かということであります。本来、国会議員がなすべき仕事、国会議員でなくてはできない仕事は、国防と外交と教育のはずであります。この三つが国家の基本方針であり、このことは何人たりとも国会議員以外できない。しかし、残念ながら、国防、外交、教育を一生懸命やっだ者は落選をしますよというような話がある。今までは確かにそれでよかった。米ソ冷戦構造の中では、日本の国がとにかく栄えていくことがアメリカの利益にかなったことでありました。ですから日本の国はここまで来たと思います。しかし、米ソ冷戦構造が崩壊をして、今や日本の国が日本の頭で進路を選択していかねばならないときに国防、外交、教育なんぞやっておっても票にならない。地元の利益を誘導し、一七%、一五%の票さえとれば国会議員であるということで本当に次の世代に今の日本の国が残せるかというふうに考えております用地方の発展というのは、そのために知事がおられ市長がおられ、県会議員がおられ市会議員がおられる。それが本当の地方分権だと思っている。国会議員でなくてはできない仕事、そして政策を訴える仕事、それぞれの利益を代表しなくても当選できる制度、それが国家の将来のために必要なことだとかたく信じますが、いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 国会には国会が果たさなければならない役割があり、地方議会には、地方議会が地方住民に最も身近な存在として地方の活性化のために果たしてもらわなければならない役割があるということを私は基本的に考えておりますし、そのために今必要なことは、ややもすればいろいろ中央集権的になっておるとか、あるいは権限や役割や責任の分担が明確になっていないという御指摘や批判も随分聞いてきたわけでありますから、それらの問題を明らかにし、地方の時代と言うならば、地方自治の本旨にのっとったような役割分担、同時に責任も分担していただくようにしていくことが大切である、こう考えております。
○石破委員 民主主義はだれが支えるものかということにつきましてお尋ねをいたしたいと思います。 私は、金のかからない政治という言葉は欺瞞だと思っています。金のかからない選挙という概念は確かにございますが、政治が大切なものであれば、それはそれなりのお金はかけていかねばならないと思います。しかし、一票をとるために、野党の皆様方がおっしゃるように飲ませ食わせなぞということはもってのほかだと思います。 私どもは、自由民主党の中で若手の議員が集まりましてユートピア政治研究会というのをつくりました。総理も御案内のことと思います。そこで、本当に恥ずかしながら自分たちの収支を公開をいたしました。それを出しましたのは何も偽悪趣味でも何でもない。この中でどれだけが必要なお金で、どれだけが必要でないお金なのか、国民の皆様御判断ください、そのつもりで出したのであります。今の世の中で、飲ませ食わせで一票を入れるような有権者なぞというものは私はそんなにいるとは思わない。しかしながら、今の中選挙区制のもとでは、国民の皆様方が何を欲し、何をいとうておるかということを正確に把握をするためにはどうしても何カ所も事務所を持たねばならぬ。私のところは全県一区でございます。だとすれば、三つの事務所を置き、秘書を十何人置き、一体何を町村のためにやったらよろしいですか、自民党の政策はこれで正しいですかということをお尋ねするために人は要るのです。 だとすれば、そういうために金がかかるとすれば、それが民主主義のコストであるとすれば、それはだれが持つのが正しいのか。民主主義が国民のものであるとするならば、それは企業が出すのが正しいのではない。政治家個人が土地、田畑を売り払うのが正しいものでもない。それは国民の皆様方に出していただくのが正しい。そして、それは政治家個人に出すのが正しいのか、政党に出すのが正しいのかといえば、それは政党に出すのが本旨であろうというふうに考えております。御見解を承ります。
○海部内閣総理大臣 今の御質問の内容については、私も同感でございます。同時に、きょうまで私自身も自分の日常活動を顧みて、本来ならばこれは政党活動として行ってもらった方が政党本位の政治になっていくんだろうと思うことを、個人の立場でいろいろ事務所を組織し、後援会を組織し、宣伝紙をつくり、政策の陳情を受け、走り使いをし、またそれをお伝えをする、そういったことが公の党の機関でやってもらうようになれば、それは必要以上のお金が個人にはかからなくなる。同時に、必要なかかるお金は、公の支出というものを、欧米先進国でもやっておるような方法等を参照しながら、政党の役割は国家に対する公的なサービスの面が十分含まれるわけでありますから、政党機能の拡充ということとともにそれはあわせて行われてしかるべきことだなという感じを私も強く抱いてまいりましたので、そのようにお答えをさせていただきます。
○石破委員 何にいたしましても、この比例を加味した小選挙区制というのは、政権与党である我々が再三にわたって国民の皆様方にお約束をした公約でございます。参議院選挙、衆議院選挙、そしてまた統一地方選挙、国民の皆様方にこれをやりますということを自由民主党はお約束をしているのです。それをやらないということがあってはならぬ。国会議員だけで話をしておって、国民の皆様方にきちんと議論をするということが必要だ。つらくても苦しくても、次の時代のために自分にとって不利であってもやらねばならないことが世の中にはある、私はそう信じます。 そういうような観点で、委員長にお尋ねをいたしたいと思います。 今後の運営についてでございます。あと残された審議期間はわずかしかございません。だといたしますと、社会党の皆様方からもこれがベストだというお信じになる案が出てまいりました。特別委員会を設けるような大変な重要法案であります。審議を十分に尽くしたと私どもは考えておりません。私どもは、これが成立することを心から願っております。しかしながら、十分に審議が尽くされたとは思っていない。最悪でもこれは継続にすべきものだというふうに私は信じております。継続につきまして賛否を問うお考えがおありや否や、委員長に承ります。
○小此木委員長 委員長は質問を受ける立場にもありませんし、お答えする立場でもございません。しかし、あえて申し上げれば、あなたのおっしゃるすべてのことは、今後、理事会で協議することばかりでございます。 以上です。
○石破委員 審議を尽くすことが国民の皆様方に対する国会の責任であろうというふうに信じております。こういうような例えば行政改革にいたしましても、消費税にいたしましても、国の命運を左右するような重要法案のときは、公聴会を開き、国民の皆様方に十分に御納得をいただき、御納得いただけるだけの材料を提供するのが国会の責任である、かように私は信じます。社会党の皆様方も、これがベストだとお考えになって案を提出をされたはずであります。自民党案も十分に審議することなく、そしてまた社会党案も審議することなく審議未了、廃案というようなことに仮になるとすれば、私は、これは国民に対する重大な背信行為である、かように信じておるのであります。私どもは国会議員のための政治をしておるのではない。次の将来の世代のために、本当にどの説が正しいのか、どの制度が正しいのかということを国民の皆様方に御判断をいただくことが国会の責任であろうというふうに信じます。 これは委員長に対する私の要望でございますが、自由民主党案も十分に審議をしていただき一訂正をいたします。政府案も十分に審議をいただき、そしてまた社会党案も十分に審議をいただく、そういうような機会を与えていただきます ように委員長に心よりお願いをいたしまして、質問を終わります。
○小此木委員長 これにて石破君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小岩井清君。
○小岩井委員 私は、選挙制度審議会に最初に質問いたしたいと思います。 第八次選挙制度審議会の第一回総会が平成元年六月二十八日に行われております。この総会で諮問された諮問第一号の内容について、きょうは選挙制度審議会の副会長さんが御出席でありますから、この点について、確認の意味で諮問の内容について最初に伺いたいと思います、
○佐藤参考人 第八次の審議会に対してなされました諮問は、選挙制度及び政治資金制度の根本的改革に関する具体的な方策を示されたい、こういう文句のものでございました。
○小岩井委員 今、副会長から、諮問の内容は選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策についてだ、こういうことでありますね。ということは、二点だけですね。選挙制度と政治資金制度の二点だけですね、諮問の内容は。国会決議に基づく定数是正については諮問を受けておりませんね。
○佐藤参考人 国会決議に基づく定数という問題も選挙制度の中身に入っているものだと考えておりました。文句としては、そういう文句は諮問にはございません。
○小岩井委員 今極めて重要なところで、確認をいたしますが、副会長は選挙制度と政治資金制度の二点だけと言っておりましたね。国会決議に基づく定数是正については諮問されたんですか、されなかったんですか、どっちですか。
○佐藤参考人 お答えいたしますが、定数という問題は、選挙制度を中選挙区にするか小選挙区にするかということによって当然に変わってくることでございますので、定数という問題は選挙制度の中に含まれていると思います。
○小岩井委員 副会長、私の聞いているのは、国会決議に基づく定数是正について諮問は受けたのですかと聞いているのですよ。
○佐藤参考人 国会決議に基づく定数是正ということについては諮問はなかったと思います。ただ、先ほど申しましたように、定数是正という問題そのものは選挙制度をどうするかというところに含まれていると考えておりました。
○小岩井委員 諮問は受けてなかったのですね。ということは、なぜこれを聞くかということは極めて重要な問題なんですが、本年の三月二十日に公職選挙法改正に関する調査特別委員会、この日、私は同種の質問を堀江第一委員会委員長にしているのです。そのときに、私の質問の答弁として、定数是正に関する国会決議に対する認識について、国会決議は承知をいたしておりますけれども、審議会に対する諮問は選挙制度と政治資金制度の根本的改革であり、諮問の御命令に即して検討し、答申に至った、こう述べているのですよ。御命令というのも非常に穏やかじゃないけれども、政府が審議会へ命令したというふうに堀江さんおっしゃったのだから穏やかじゃないけれども、こういう答弁をなさっている。今の答弁、この答弁、間違いありませんね。
○佐藤参考人 先ほどお答えしたとおりに考えております。
○小岩井委員 これで明確になりましたけれども、一総理、総理は国会決議に基づく定数是正について、これは宇野前総理のときですけれども、なぜ諮問しなかったのですか。
○海部内閣総理大臣 なぜ諮問しなかったのかと言われまして、こういう理由ですということをちょっとここで具体的に申し上げられませんけれども、諮問を宇野総理がされたときは「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」、こういう諮問をしたと私は受け継いております。
○小岩井委員 ということは、憲法第四十一条で「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」とされていることは御存じですね。政府は国権の最高機関の国会決議に拘束されますね。されるのですか、されないのですか。はっきり答えてください。
○海部内閣総理大臣 国会が国権の最高機関であり国の唯一の立法機関であるということは十分承知をいたしておりますし、また、国会決議はこれを政府としては尊重していかなければならないと常に心得ております。
○小岩井委員 拘束されるのですか、されないのですか。今尊重とおっしゃった。どっちなんです。
○海部内閣総理大臣 これは常に尊重してまいります。
○小岩井委員 尊重と拘束とどう違うのですか。違いを明らかにしてください。
○海部内閣総理大臣 これは、私は決議は、いつも歴代総理大臣も御決議の趣旨を尊重してまいりますというように言ってこられましたし、私も、国会の決議は尊重をしなければならない、こう考えて尊重しております。
○小岩井委員 ということは、非常に論理の矛盾があり過ぎますね、総理の答弁は。ということは、選挙制度審議会は国会決議に基づく定数是正については諮問を受けてないと言っているのですよ。いいですか。それで、国会決議に対する諮問はされてないわけですから、それはされていないということを先ほどの答弁で確認しましたね。ところが、総理は先日来どういうふうにおっしゃっていましたか。思い出してください。今回の小選挙区比例代表並立制案は国会決議の趣旨に沿っていると言ったでしょう。諮問もしていないのにどうして国会決議の趣旨に沿った答申が出てくるのですか。はっきりしてください。
○海部内閣総理大臣 いただきました答申の結論部分をよく読んでみますと、一対三を超えるのが原則一対二ということにおさまるようになっておりますから、趣旨において非常に方向性は一致しておる、私はこういうふうに受けとめております。
○小岩井委員 国会決議の趣旨は小選挙区ではないはずです。中選挙区に基づく是正なはずであります。その点について国会決議に沿っているという答弁は、審議会の審議の経過あるいは諮問の経過、答申の内容からして総理の答弁は矛盾いたしておりませんか。
○海部内閣総理大臣 国会決議は衆議院議員の定数是正に関する決議、昭和六十一年五月の決議でございます。私は、この決議の定数是正に関する精神、その趣旨、方向というものは一対三を超える一票の格差の是正をぜひしなければならないというところに大きな精神がある、趣旨はそうだ、このように読ましていただいております。
○小岩井委員 国会決議に拘束されるかどうかの質問に対する答弁は、尊重するとおっしゃった。今また答弁、後退しましたね。ということは、ここに会議録があるんですよ。いいですか。途中省略しますけれども、 今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされ た現行規定を早急に改正するための暫定措置で あり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表を まって、速やかにその抜本改正の検討を行うも のとする。 抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消 並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行 い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した 定数の配分を期するものとする。 右決議する。ですね。二人区と六人区を解消するということはどういうことですか。真ん中をとれば三人区ないし五人区でしょう。あなたの言っていることと全く違うじゃないですか。
○海部内閣総理大臣 その後いろいろな状況がございまして、その中で党の方でも政治改革をしなければならぬということを考えて、それからまた、選挙制度審議会には前総理大臣が諮問をしていろいろな御議論をいただき、その中で出てくるのは、ポイントは一票の格差是正に関する決議でありますから、格差是正せるというこの決議の趣旨は尊重をして一対二原則というところへおさめてきておる、私はそのように考えております。
○小岩井委員 総理、なぜごまかそうとするのですか。論理一貫してないですよ、あなたの答弁は。二人区を解消し六人区を解消するというのは三人区から五人区でしょう。はっきりしなさい。
○海部内閣総理大臣 国会の御決議にそのような文句が出ておることは、これはよく承知いたしておりますが、この趣旨の中では大切なことは一票の格差を是正するということが大切であり、同時に、国会全体の改革のために根本までさかのぼってするためには、やはり選挙制度の改革に取り組まなければならないということで選挙制度と政治資金の諮問をしたわけでありまして、すべてが含まれておると私は考えております。
○小岩井委員 答弁にならないですよ。
○小此木委員長 小岩井君に申し上げます。 国会決議の問題は、現在も理事会で協議中のことでもございますので、それをしばらくおいて質疑を続行願います。小岩井君。
○小岩井委員 今私は全く坂田議長の見解には触れてないのですよ。 諮問第一号の第一回の総会に、この審議会として選挙制度を審議をする前提として坂田議長の一九八五年十二月十九日ですか、坂田議長見解というのは諮問の際説明を受けていますか。
○佐藤参考人 先ほどの国会決議もそれから坂田議長の見解と言われているものも、それがありましたことは我々よく承知をしておりました。ただ、それについて説明を受けたということはなかったと思います。
○小岩井委員 坂田議長見解を説明を受けていないというふうに言いましたね。総理、なぜ説明しなかったのですか。
○海部内閣総理大臣 坂田議長の見解をなぜ説明しなかったと仰せられますが、諮問したときの私は総理大臣でございませんでしたので、その間の事情はつまびらかにしておりませんけれども、しかし、(小岩井委員「随分無責任なこと言いますね」と呼ぶ)責任回避じゃありません。だから、諮問したときには「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」こういう諮問がしてあるからという引き継ぎを受け、一そのことは重々承知しておる、こう申し上げたわけであります。
○小岩井委員 それじゃ自治大臣に伺います、自治省の責任ですから。なぜ説明しなかったのですか。
○吹田国務大臣 このことは、事務当局であります自治省の職員から説明させます。
○吉田(弘)政府委員 先ほど来総理及び自治大臣の方からお答えしておりますとおり、審議会には「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」という諮問をいたしまして、その中で広く、広範な範囲から多角的にこの根本的な改革の方策について御審議を賜りたいということで諮問をいたしてございます。そういう中で必要なものについては説明をしているということでございます。
○小岩井委員 説明したのか。
○吉田(弘)政府委員 決議については説明をしております。
○小岩井委員 ちょっといいですか。議長見解の説明は聞いてないと言っているのに、なぜあなた説明したということになるんだ。
○吉田(弘)政府委員 諮問は、先ほど言いました選挙制度及び政治資金制度の根本的な改革についてということで諮問をして、それは副会長そういうことでお答えになったと思います。そういう説明の過程の中で国会決議についても説明をしているということでございます。
○小岩井委員 坂田議長の見解は説明したのですかと聞いているのですよ。国会決議を聞いているのじゃないですよ。
○吉田(弘)政府委員 国会決議についてはしておりますが、坂田議長見解についてはしていなかったかと思いますが、ちょっと今手元に資料も持っておりませんので……。
○小岩井委員 議事録について提出の要求をしている。こういうことがあるから議事録を提出してももいたいと言っているのですよ。議事録も出さないということはきちんと説明するというからなんでしょう。しかも、あなたはあいまいなこと、こっちは聞いてないと言っているのですよ。副会長聞いてないと言っている。どっちなんだ。
○吉田(弘)政府委員 国会決議については、諮問はさっき言ったような項目で諮問をしているわけでございますが、議長見解については今ちょっと定かでございませんが、説明をしていなかったかと存じます。
○小岩井委員 説明していない。なぜ説明しなかったのか自治大臣から伺います。
○吹田国務大臣 私も、どうもその辺につきましては当時まだ、したがって伺っておりませんものですから、事務当局から答弁をしてもらう以外ないと思います。
○小岩井委員 これは極めて重要なんですよ。恣意的に、意図的に小選挙区に持っていこうとしたかどうかの一つの重要なポイントなんですよ。いいですか、政府が意図的に小選挙区に持っていこうとした一つの重要な証拠になるんだよ、これは。小選挙区について議長見解を説明してないと言うんだから。どうなんですか。
○吉田(弘)政府委員 先ほど来お答えしておりますように、今回第八次選挙制度審議会に「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」という諮問をいたしまして、その中で、審議会で多角的に、広範な御審議を賜るということで必要なものについては説明をしておりまして、その中で国会決議については説明をしているということでございます。
○小岩井委員 答弁になりませんね。明確に答えるまで質問できないよ、これは。ということは、選挙区制度の検討を説明したんでしょう、検討について。一人区というのも選挙区制度だよね。違いますか。なぜ、じゃ、国会の議長見解を説明しなかったんですか。これは重大な問題ですから、きちんと考えて答えてくださいよ。
○吉田(弘)政府委員 坂田議長見解は昭和六十年の十二月十九日の見解でございますが、これは、この議長見解にございますように、次の通常会で、次の原則に基づき速やかに成立を期するということでその原則が書いてあるもの、そこで次の通常会で御案内のとおり八増・七減が成立をいたしまして、その際に国会決議が行われた、その国会決議が現在ありますので、その国会決議について審議会の方に御説明をしているというようなことでございます。
○小岩井委員 自治省としては、あなた重大なことを今発言しましたよ。議長見解と国会決議は全然別なものなんですか。一体なものじゃないんですか。違うんですか。これは分離して今答えている、大変なことですよ。
○吉田(弘)政府委員 この国会決議につきましては、先ほども申しましたように、会期末になりまして六増・六減案が……(小岩井委員「そんなこと二度と言わなくていいよ、私の質問に答えなさい」と呼ぶ)そういう中で国会決議が出まして、それに基づいて次の通常会で暫定的な定数是正がなされまして、八増・七減案が成立しました際にこの国会決議がされたわけでございますので、それが現在生きているということだと思います。
○小岩井委員 これは重大発言だね。国会決議がなされたら議長見解は消滅したということだね、今あなたの答弁は。間違いないね。
○吉田(弘)政府委員 法律が、この議長見解に基づきまして八増・七減の法律が、たしか百四国会だったかと思いますが、そこで法律が成立をしたわけでございます。それによって、そのときにこの原則で、議長見解に基づいた是正がなされたというふうに理解をしております。
○小岩井委員 ちょっと待ってよ。消滅したんですね、今の答弁は。消滅したんですね、どうなんですか。これは大変な問題ですよ。
○吉田(弘)政府委員 要するに、その議長見解が実現に移されたということかと思います。
○小岩井委員 答えになってないです、答えになってない。――理事会で協議をいただけるそうでありますけれども、議長見解があって、国会決議があった。しかも国会決議の内容は二名区・六名区を解消するということでありますから、三名区から五名区の間に中選挙区で定数を是正するという国会決議になるはずでありますから、その中に脈々と議長見解は生きている。これは国会の権威としても、この点は消滅したという見解について全く同意できません。本来ならば重大問題なんだけれども、理事会で御検討いただけるということでありますから、次に移ります。その点についてきちんと解明をしていただきたいと思います。 ということは、一連の質問をしてまいりましたけれども、国権の最高機関の決議並びに議長見解、これは議長見解については説明をしてないということは明確になりましたから、行政府はこれを全く無視したことになりますね、無視したことになりますね。尊重もしてませんよね。この点について理由を明らかにしてください。
○吉田(弘)政府委員 国会決議については説明をしております。
○小岩井委員 またこの問題でやりとりしたくないんですよ。佐藤副会長は諮問を受けてないと言ったんじゃないですか、冒頭に。諮問の中に入ってないと言ったんですよ。
○吉田(弘)政府委員 諮問は、先ほど来お答えしておりますように、「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」という諮問をいたしているわけでございます。
○小岩井委員 まあ、のれんに腕押しみたいなことですけれども、本年三月二十日の私の公選特における質疑のやりとりを見ていただければ、堀江さんが明確に答えているんですよ。これは説明をしたうちに入らない。ということは、国会決議は承知をいたしておりますけれども、国会の決議については、国会としてその定数是正をおやりいただくのが筋で、自分たちは、選挙制度審議会は諮問の御命令に即してである、政府が命令したらしいから、御命令に即して検討し、答申した、こう述べてますね。ですから、説明したことになってません。これは申し上げておきます。答弁は要りません。 ということで、これは堀江第一委員会の委員長がそのことについて答弁をしたとおり、国会は国権の最高機関であって唯一の立法機関であるということで憲法第四十一条はされてます。これは先ほど申し上げました。公職選挙法のような直接議員の身分に関する法律案並びに直接国民の権利に関する法律案については行政機関が提案をして、行政機関と国権の最高機関である唯一の立法機関を構成する国会議員が議論をするということはなじまないんじゃないか。議員立法とすべきじゃないかということを私は、そのときの三月二十日の公選特の堀江第一委員会の委員長のやりとりとして、そういうふうに答弁として受けたのです。これはそういうふうにすべきではないですか。直ちに今回提案をしているものを撤回して国会の議員立法に任せるべきではありませんか。この点について総理の明確な見解を求めておきます。
○海部内閣総理大臣 政府といたしましても、選挙制度というものは国会の議員の皆さんの一人一人の立場や意見にもかかわるものでありますから、政府提案でいくのか議員立法でいくのか、いろいろ議論もあったところであると思います。しかし、政府がその責任を感じて選挙制度及び政治資金制度の改革のための方策を諮問をし審議会から答申をいただいてこれを尊重していく、そういう立場に立っていろいろな議論の結果、政府改革三法案として取りまとめて提出をしたところでございます。
○小岩井委員 私は、政府提案ではなじまない、この選挙制度の場合、議員立法とすべきだというふうに考えております。また、公選特の質疑のやりとりにおいても、堀江第一委員会の委員長はそういう趣旨のことを答弁されたというふうに私は理解をしているわけです。もう一度その点について答弁してください。総理は、議員立法にしなかった、みずから提案してきた理由についてもう一度答弁してください。
○海部内閣総理大臣 いろいろな御意見のあることはよく伺って承知いたしております。ただ私は、当時の、海部内閣が生み出された当時の背景からいって、政治改革というものを非常に大切に考えてまいりましたし、また、それを選挙のときには党の公約としても戦ってまいったわけであります。政府の責任ということを果たす上において、これは準備をし提出をさせていただきました。したがいまして、今回またいろいろ党の皆さんの御議論があり御意見があり代案を提案されるということについては率直に敬意を表しております。
○小岩井委員 政治改革にかける責任から政府提案にされた、こういう御答弁ですね。それでは伺いますけれども、なぜ選挙制度及び政治資金制度の根本的改革の二点だけしか諮問しなかったのですか。この第一回の総会のときに、当時の宇野総理並びに自治大臣のあいさつの中で、竹下前内閣の政治改革有識者会議の提言を踏まえて諮問し審議することを要請していますね。そういうふうにあいさつになっているのです。そして「提言」は「緊急に講ずべき措置」として七項目挙げています。その中で「政治倫理綱領の実効性の確保」並びに「政治倫理綱領の実効性を確保するための法制化の検討」を挙げているのですよ、「法制化の検討」を挙げている。総理は先日来の答弁の中で政治倫理綱領の実効性の確保ということはおっしゃった。しかし、法制化の検討というこの有識者会議の提言を、故意か偶然か落としていますね、答弁の中で。政治改革にかける熱意が政府提案にさせたんだということであれば、政治改革の柱は政治倫理法じゃないんですか。なぜこれを落として諮問したのですか。
○海部内閣総理大臣 政治改革の中で政治倫理の確立が大切で大前提であるということはこれはもうそのとおりでありますし、また政治改革大綱も平成元年の五月にそのことを大きく明示して打ち出しており、そして、この問題については既に自由民主党としては、倫理の問題については政治倫理の確立のためにはその政治倫理綱領の実効性を確保するための法制化の検討ということも、今お触れになりました有識者会議の提言の中に提言第三として出ておるところでありますし、また、党は、政治倫理確立のための国会議員の資産公開に関する法律案と、同時に行為規範の実効性確保のための措置を議会制度協議会に提案し、各党からの具体案もその後示され、各党間において御検討を願っておる問題だと承知をいたしております。今国会の開会直前にも、党として政治倫理の確立と国会改革について議長のところに申し入れも行っております。 なお、政治倫理法の制定については、平成元年十二月の議会制度協議会座長所見でも、国会法の改正内容について慎重に検討すべき重要な問題であるので、行為規範の整備や審査会の権限強化等を行う方向で協議を調えたらどうかと各党に示されたところと承知しております。 これらの問題は、事柄の性質上、既に国会において御議論が進んでおる問題であると私どもも受けとめ、その議会制度協議会等において適切な結論が得られることを期待をしておるところでございます。 〔委員長退席、粕谷委員長代理着席〕
○小岩井委員 議会制度協議会の結論を待っている、それだけは随分消極的ですね。というのは、政治改革は内閣の使命だとおっしゃったでしょう。(「命運」と呼ぶ者あり)いや、使命だとさっきおっしゃった。それで命運をかけているとおっしゃった。それにしてはなぜそちらだけ結論を待つのですか。私どもは、四野党並びに連合参議院で政治倫理法の法律案について議員立法で提案をする予定なんです。柱の部分を除いて政治改革があり得るのですか。ということは、政治倫理綱領の実効性を確保するための法制化について諮問から抜き、しかも諮問から抜かなければ政府みずから立法化をし提案をしない、政治改革のスタートから後ろ向きじゃないですか。真に国民の期待する方向になっていないじゃないですか。しかも、前々内閣ですから竹下内閣、有識者会議が指摘をしているのですよ。国民の常識を無視し、政治腐敗の一掃ではなくて選挙制度を改革にすりかえてきている、矮小化する意図はこの事実の中、明らかなんじゃないですか。なぜ政治倫理法について今回提案をしてこなかったのか。この点については端的に今度の問題の性格をあらわしていると私は思うけれども、総理の明確な見解を伺います。
○海部内閣総理大臣 私が申し上げておりますことは、政治倫理の問題についてはこれは国会の中で各党各会派が議長のもとで協議会で御議論を願っておる、しかも、そこへ既に提言を受けて直ちに、政治倫理確立の重要性は考えておりましたから、先ほども申し上げましたとおり、政治倫理確立のための国会議員などの資産公開法の制定と行為規範、政治倫理審査会の改正、強化の問題と、これは既に昭和六十年にできておった規範でありますけれども、それを拡大強化しようということと、この両方を合わせて既に提案をしておるわけでありますし、事柄の性格上、国権の最高機関たる国会で各党の代表者が御議論される場でこの倫理の問題は御議論が進んでおることでありますから、そこにおいて適切な結論が得られることが一番望ましいものであると政府は考えております。
○小岩井委員 大変海部総理は話もうまいし非常にすりかえて、どこうが論理矛盾しているのですよ。政治改革に命運をかける、だから、内閣の責任で提案をしたんだとおっしゃったでしょう。じゃ、どうして政治倫理法だけ国会の結論を待つんですか。全く論理矛盾していませんか。お答えください。
○海部内閣総理大臣 政治倫理というものについては、それは個々の議員の皆さんと国民の皆さんの御理解とそして御協力をいただいて我々自身が、我々というのは国会議員自身が確立をしていくべき問題であると私は考えておりますから、その意味において、既に提言を受けて先に出ておった政治倫理の問題については具体的な柱が出ておるわけでありますから、それを一刻も早く適切な結論を出していただくことが望ましい。要は、政治資金は、公私の区別をきちっと峻別をして、和していない、政治活動に使っておるんだという公明性そして透明性を明らかにせよというような、これは今御指摘の有識者会議の結論にもそういったことになっておるわけですから、これを提案しておりますので、これは各党の御意見も今お出しになるということでありますから、ぜひお出しいただいて御議論を進め、適切な結論が出ますことを強く期待をさせていただきます。
○小岩井委員 総理、じゃなぜ選挙制度についても議員立法にしなかったのですか、国会の決議に待たなかったのですか。いいですか、それがポイントなんですよ。政治倫理、要するに政治改革の柱になるべき政治倫理は、国会の決議、国会の結論を待ちます、小選挙区比例代表並立制の選挙区制案だけ政府提案にするのはおかしいでしょう。なぜこっちに任せなかったのですか、国会に。直ちに撤回をして国会の議員立法に任したらどうですか。いかがですか。
○海部内閣総理大臣 何度も申し上げるようでありますけれども、国会においては行為規範あるいは倫理委員会というものを議決をしていただいておるわけですが、それだけでは弱いのではないかというところで、政治改革のために行為規範と政治倫理審査会の改正、強化も提案しておりますし、同時にまた、政治倫理確立のための資産公開法の制定等も、これは具体的に提案をしておりますから、それをきちっとおやりいただくことがふさわしいと思うし、また、国会のことでありますから、国会法できちっと国会の議会の協議会でおやりいただくということがやはり一番適切な問題ではないだろうか、私は今でもこう思っております。代案をお出しいただいたならば、それに対していろいろまた国会の中で御議論をいただくことも望ましいことであると私も考えております。
○小岩井委員 もう一度くどいようですが伺いますけれども、この政治改革のスタートは何だったんですかね。というのは、リクルート事件があって、政治腐敗を一掃する、金権腐敗をなくしていこうということがスタートでしょう。とすれば、しかも、そのころリクルート事件で現職の閣僚を初め、多数の人がリクルート事件に関係をしているということが明らかになりましたね。とすれば、政治倫理法こそ政府提案になじむんじゃないですか。みずからの政治改革にかける意気込みを政治倫理法としてお出しになったらどうですか。どうですか。
○海部内閣総理大臣 これはおっしゃるように、この有識者会議の中でも、リクルート事件のような不祥事を二度と起こさないようにするためには、ということで政治資金と政治の行動の問題について、政治資金の問題について明らかにして信頼を確立するようにしなければならぬという提言が平成元年四月に出てきておることはそのとおりでございます。したがって、それを受けて、特に厳しい批判を受けた政府・与党としてまず資産公開の法律、それから国会で決められております倫理綱領その他についての問題についても、強化の案を既に提案をして議会制度協議会で各党協議になっておるわけでありますから、この政府の責任、これは行政府の責任は行政ですけれども、国権の最高機関たる国会のそういった機関が既に動き始めており、そこに具体案も出してあるのですから、事柄の性質上そこで御議論を進めていただくことが最も適切であると私は判断をいたしております。
○小岩井委員 政治倫理法だけは国会で、選挙制度は政府提案で、論理一貫してませんね。この点についてはきちっと指摘だけいたしておきます。なぜ政治倫理法が必要なのだということを次の質問にします。 自治大臣、あなたは政治改革を所管する大臣として、政治倫理についてあるいは政治改革についてどのように考えているか、基本的な姿勢を伺いたい。最初にその点を伺います。
○吹田国務大臣 これは先般来からもお答えもいたしておりますが、総理もたびたびお答えいたしておりますように、いわゆる選挙とお金という話がよく出ますが、政治にかかわるこのお金の問題というものが、いわば国民の信頼というものを裏切るという行為が起こるというようなことではいけないということからの政治改革であるというふうに考えております。
○小岩井委員 ちょっと不明確な答弁ですけれども、関係企業の職員を秘書としていたこと、それ、から事務所費を企業に負担させていたことについて、これは新聞の報道でしか知る由がありません。これは年間総額幾らですか。あなたの口からちゃんと聞きたい。それから、三年間の修正申告をした、あるいはするですか、というけれども、合計幾らになるのかということについて伺いたいと思います。
○吹田国務大臣 これは私がまことに申しわけないことでありますが、私がかつて県議会議員時代に、今からさかのぼること約二十年以上になりますが、いわゆる私の会社を設立したその小さな会社の職員が、いわば私の会社の職員というのはほとんど役所とかあるいは企業を定年退職した人たちが勤めておるわけですが、今直接私関係しておりませんけれども、当時は私がつくった会社であることは間違いありません。その会社の実は職員が六名私の方に勤めていたわけでありますが、平成二年度の収支につきましては、前年度繰越金が三百三十八万でありまして収入総額は八千万になります。平成二年度分だけで七千六百八十六万になります。これが企業の収入総額であります。 そこで問題になりますのは、三年間にさかのぼるものですから、そうなりますと、一六人分の給与を支払っている、それが会社の方で支払っているわけですね。そこで、会社から支払っておる給料分だけは全部立てかえ金としては認められないということになったわけですね。それが六千程度でいいですか。(小岩井委員「数字を聞いたのだから、ちゃんと答えてください」と呼ぶ)失礼しました。正確にお答えいたします。六千百九十一万でございます。これが六人分の給与手当であります。 そこで、この分だけは結局税務署としましては、私の方に企業からお手伝いしてくれたものだというふうに考えておったのですけれども、それはだめだ、それは秘書としてしか認めないということになりましたものですから、それではその分だけは立てかえ金として会社に返しなさいということになるわけでございます。したがいまして、私の方の政治団体としましては、その職員を引き取っていますから、これから会社に対して立てかえ金をお支払いしていくということになってまいります。私としましても、大変残念なまことに不明なことでありますが、そういったことに相なっておりますことを遺憾に思っておるわけであります。
○小岩井委員 国税庁に伺いますけれども、今回なぜ会社の経費とすることを否認をしたのか、追徴することにしたのか。その点について、当該支出を何と判断をしてそういうふうにしたのか、伺いたいと思います。
○坂本(導)政府委員 一般論として申し上げますと、法人が個人等の負担すべき支出を経費として計上している場合には、その支出した経費は当該個人等に対する寄附金となりますので、当該個人等がその経費に相当する金額を法人に返済するというようなときにはそれは個人等への貸付金となるという処理であります。ただ、委員御指摘の個別の問題については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○小岩井委員 ちょっと問題答弁ですね。要するに、一般論としてですが、個人等に対する寄附金、政治家ですから政治活動に対する寄附金ですね、一般論としてもそうですね。一般論として、じゃ答えてください。政治活動に対する寄附金なのかどうか。
○坂本(導)政府委員 たびたび申し上げますが、一般論として申し上げますと、法人等が特定の個人等に対して一定の給与等を支払っている場合、それがその個人等の負担に帰すべきものであれば当然個人等に対する寄附金となるわけでありますが、それが返済されるということであれば貸付金という処理になるわけでございます。
○小岩井委員 具体的に私は自治大臣のケースとして聞いているのですけれども、具体的に聞いているのになぜ答弁は一般論なんですか。 それともう一つ。自治大臣は本会議の答弁で十数年認められたと言っていましたね。そうおっしゃいましたね。ということを答弁がありましたけれども、今回三年間ですけれども、これまで認めてきたのですか、自治大臣の答弁どおり。その点について伺います。
○坂本(導)政府委員 繰り返すようでありますが、一般論として申し上げれば、税務調査においては、例えば法人が個人等の負担すべき支出を経費として計上しているような事実を把握した場合には、税法に従い適正に処理しているところであります。なお、税務調査に当たって、各新聞報道等のあらゆる情報等を的確、効率的に活用し処理をするというケースもございますので、それは随時間別の処理になるかと思います。ただ、お尋ねの件は個別にわたりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○小岩井委員 十数年認められていたと本人言っているのですよ。本人言っているのに、認めたのか認めないのか、どうして答えられないの。
○坂本(導)政府委員 私ども国税職員は一般の国家公務員より重たい守秘義務を負っているわけでございます。それは、納税者の人権あるいは名誉といった私人の秘密、及びその納税者と取引関係にある第三者の秘密を保護するために必要であるわけであります。また、申告納税制度のもとにおいて、納税者に関する申告調査の有無、内容等を公表しないことによって、納税者の真実の把握を容易にし、税務行政の適正な執行を確保するためにやっております。したがって、たとえ納税者等が公表いたしましたとしても、税務職員としては、税務行政の適正な執行を確保するということから、答弁することば差し控えさせていただきたいと思います。
○小岩井委員 本人が認めていても税務当局は認められないというのですか、それとも、これは認めていたか認めていないかコメントできないということですか、どっちですか。
○坂本(導)政府委員 納税者の方が公表されたとしても、我々税務職員の守秘義務は解除されるわけではございませんので、答弁することはできないということであります。
○小岩井委員 まあ、税務署より自治大臣の方が正直だったということだね、ということになると思いますけれども、自治大臣は認められていたということですから、認められていたということで、その前提で質問をいたしますけれども、三年間の政治資金規正法上の訂正をするということをおっしゃいましたね。それは間違いありませんね。
○吹田国務大臣 今先生のおっしゃったとおり、これを訂正していかなきゃなりません。立てかえ金としての手続をとっておりますから、当然会社へ対してこれは返済していかなきゃなりません。
○小岩井委員 一般論としてではあったけれども、個人に対する寄附金、あるいは政治家だったら政治家に対する寄附金ということが税務当局から答弁ありましたね。ということは、十数年間――これ、三年間は立てかえ金として処理をするとおっしゃった、それはそれで、じゃ、それ以前のは寄附を受けたままということになりますね、もちろん。訂正しませんから、というふうに理解してよろしいですか。
○吹田国務大臣 私は直接担当しているわけじゃありませんので、会社から離れていますから、担当しておりませんが、私の方の会社の担当役員から聞くところによりますと、過去の分につきましては私がさきに委員会や本会議で御答弁申し上げたとおりでありますから、それは認めてもらっていったわけですから。だから私から言えば、そんなことを言うと何か開き直るみたいになりますが、三年の際に、いやことしまではこれは認められるけれども、この程度の仕事とこの秘書の分量とによって、比重からいくとどうも四分六分以上に少し、五分五分以上に会社の方が軽くて秘書の方が重いではないかということで御指摘になって、これからはだめだよとおっしゃれば、恐らくその時点でやっておった、こう会社は言っておるのでありますが、私の方は直接タッチしていないものですからわかりませんが、いずれにしましても三年間分はきちっと税務署の方に四月二十六日に納税をいたしたわけであります。
○小岩井委員 そうすると、三年以前に指摘をされていればそのようにしたとおっしゃったのですね、この三年間と同じようにしたとおっしゃいましたね。
○吹田国務大臣 もちろんそれは指摘を受ければ、政治家でもありますし、また私にも良心があるわけですから、それは法律に基づいて指摘を受ければ当然あれします。ただ、当時と状況が変わっておる、三年後は状況は変わっておる。いわゆるその後の、私の方に派遣してくれていた職員の比重が、会社の比重よりは秘書の比重が重いという判断に恐らくお立ちになったのだろう上私は思うのですね。直接私は当たっておりませんからわかりませんが、そういう判断で、私はこれを四月に認めるべきであるということでいたしたわけであります。
○小岩井委員 税務当局に聞きますけれども、納税義務は何年ですか。
○坂本(導)政府委員 税務調査において課税誤りのあることが判明した場合にはこれについて更正等を行う、こういうことになるわけでありますが、この場合の更正等を行うことができる期間は、法人税の場合、原則としてその法定確定申告期限から三年ということになっております。ただ、偽りその他不正の行為があった場合には、その更正等のすることのできる期間は、その法定申告期限から七年ということになります。
○小岩井委員 偽り等不正があった場合には七年とおっしゃったのですね。今回のケースは、偽り、不正というふうにはあるいは解釈できないかもしれないが、偽り等不正に該当しませんか。
○坂本(導)政府委員 先ほど来お答えしましたように、個別のケースにはお答えできませんが、一般論として申しますと、要するに重加算税対象となる、七年という更生決定期間でありますが、これは納税者が国税の課税標準または税額等の計算の基礎となるべき事実の全部または一部を隠ぺいし、または仮装し、その隠ぺいし、または仮装したところに基づいて納付すべき税額を免れていたというような場合に適用されるわけでございます。
○小岩井委員 今の申し上げたことに該当すると私は思いますけれども、一般論で具体的ケースについては申し上げられないということでありますから、さらに進みますけれども、自治大臣、広栄物産とおっしゃいましたね、会社、それから建設大臣、市街地開発とおっしゃいましたね、それぞれ資本金幾らですか。
○大塚国務大臣 設立当初が五百万で、その後増資をいたしまして一千万でございます。
○吹田国務大臣 大変失礼しました。資本金千五百万だそうであります。
○小岩井委員 先ほど来の答弁の中で、税務当局から三年以前も指摘されていれば訂正したというふうに自治大臣おっしゃいましたね。とすれば、十数年間同じ措置で来たことは間違いありませんね。とすれば、なぜ今資本金を聞いたかといいますと、政治資金規正法、よく聞いておいてください、政治資金規正法第二十二条の二、これに抵触しませんか、両方の会社は。
○吹田国務大臣 先ほどちょっと私も触れておきましたが、仕事の性格が秘書という分量といわゆるお手伝い、そういう分量が、ただ単にアルバイト的に手伝いを当選当初にしていたという時代と今との分量というものがあるいはひとつ違うではないかということは、これは言えるだろうと思うのですね。 そういう意味で、私も、三年間のものは指摘を受ければこれはもう率直に認めるべきであるということを申し上げたわけでありますし、政治資金規正法でこの問題が云々という問題につきましては、どうも私も詳しくその辺は勉強しておりませんから、その時点についてのことは勉強しておりませんから何とも言えませんが、分量については確かにずっと以前は非常に軽い分量であったということは言えます、秘書としての分量、お手伝いとしての分量は。
○小岩井委員 政治資金規正法の改正案をあなた提案しているのですよ。提案をしていて、提案をした提案者が政治資金規正法がわからないとはどういうことですか。ちょっとこっち向いてくださいよ。いいですか。 「寄附の量的制限」、第二十二条の二「会社のする寄附」十億円未満七百五十万円、年間。明らかに超えていますね、お二人とも。政治資金規正法違反を犯したことになるじゃないですか。
○吹田国務大臣 この私の場合には寄附には該当しないというふうに解釈しているわけでありまして、したがいまして、それは一般論として国税庁は言われましたけれども、それは全く会社からの云々ということではありませんから、仕事を持っておりながら私のところを自主的に応援をしてくれているという建前でありますから、現実にそういう仕事になっているわけでありますから、これは寄附という解釈ではなかったわけですから、そこで指摘を受ければ、私の方はその分だけは立てかえ金としてこれは当然お支払いしなければならぬということになるわけであります。
○小岩井委員 というのは、一般論としての寄附なんですよ。一般論として寄附なんです。いいですか。それで、自治大臣は、三年間は指摘をされたから立てかえ金として訂正した、それ以前については指摘があればそうしたというふうに言ったじゃないですか。ということは、寄附としてお認めになったんでしょう。ちょっと待ってください。先ほどの答弁、認めたのですよ。その上で、十億円未満七百五十万円ですから、あなたの場合については完全に政治資金規正法第二十二条に違反をしていますよ、こう申し上げているのですよ。これは建設大臣も同じ。どうですか。
○吹田国務大臣 先ほどから、これは私のことでありますから極めて小さい声で申し上げるような話になりますけれども、実は、先ほどからもたびたび申し上げますように、このことについては三年の時点で今日までのものは云々ということでこれはちゃんと認めてもらっているわけですよ。ですから、それは寄附でも何でもないわけであります、それは会社の仕事ですから。ですけれども、三年後の、この三年間については私どももきちっと認めてもらったと思ってやってきたのですけれども、ことしの四月にこれは認めがたいと言われたということを聞いたものですから、わかった、それではしょうがないから、これはもうこの際、事実ですから、事実を正直に言っているのですから笑わないでくださいよ。私も真剣に、自分のことですからまじめに言っているのですから。これはやはり指摘を受ければ従うのが正しいという判断に立ちまして、それではこれを三年間さかのぼって指摘を受けた金額を納税いたしましょうということに相なりまして四月に支払っだということが事実ですね。それで会社の方に対しましては、政治団体は寄附ではありませんが、会社に対しての立てかえ金としての処理をした、こういうことです。
○小岩井委員 いや、何遍も同じことを聞かされますけれども、ということは、認められたとあなたは断言するけれども、いいですか、国税当局は認めたと一言も言ってないよ、これはコメントでさないと言っている。もう一度答えてください。認めたのですか、認めてないのですか。
○坂本(導)政府委員 先ほど来申し上げましたが、個別のケースについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○小岩井委員 私は、あなたは政治資金規正法第二十二条に違反した行為を行っていると思っているのですよ。だから聞いている。明確に国税庁答えないけれども。 大塚建設大臣、どうですか。
○大塚国務大臣 本会議でも申し上げましたが、そもそもこのような手続をいたしましたのは、資産公開をしましたときに、私の秘書に会社の身分の者がいるという御指摘を受けました。多分自治大臣もそうだろうと思うのでありますが、私は自主的に国税庁に連絡をとって、そのような指摘を受けたのでこの実情を聞いてくれということで会社の社長に連絡をとらせました。その結果、このような新聞に報道されました分について、これは経費として認めがたい、したがって、修正をして申告をするようにというので修正をして申告をしたわけでございます用意図的に隠ぺいをしようとかそんなことでやったことでは決してございませんで、自治大臣も私も会社と政治家の事務所がまさに隣り合わせのような格好で、自治大臣も県会議員から、私も都議会議員からやっておりまして、そのころから秘書と会社の身分を兼ねた者がおりましたために大変甘い判断をしたなということでは反省をいたしておりますが、いやしくも政治資金規正法の寄附に当たるような認識でいなかったわけであります。しかし、こうなった以上は、立てかえ金ですからそれをお返しをする都度適正に申告をしよう、このように考えております。
○小岩井委員 極めて大きな問題ですけれども、政治資金規正法第二十九条、「報告書の真実性の確保のための措置」ですね。この点について問題がありましたね。いかがですか。
○吹田国務大臣 私は、会社のことは直接タッチしておりませんが、会社の方でそういったことだということで、今回このような話に発展しておるわけですけれども、私にとっては全く本当にこれ、他意はなかったわけだし、私がそういったことで隠ぺいしようなど考えたこともありませんし、ですから、寄附としての云々という考え方、毛頭なかったものですから、これはいいものだと、こう考えたわけですが、指摘を受ければ、これは悪かったということですから、これはもう素直に国会で私も何遍となくお断りを申し上げ、おわびを申し上げておるわけであります。
○小岩井委員 これは指摘をいたしておきますけれども、要するに、真実の記載がなされていることを誓う旨の文書を添えなければならないとあるのですね。ということは、誓約書を出しているんですよ。誓約書を出している。それは自治大臣は御存じですね、そういう誓約書を出すということは、報告書と一緒に。その点について、実際には誓約書を出して違う報告書が出ていたということについて申し上げたんですよ、これに抵触しますねと。ということなんです。 それで、今私は政治資金規正法第二十二条に違反するというふうに申し上げたけれども、その事実を認めませんけれども、少なくとも政治改革関連三法案提出の所管の大臣、責任者ですね。ということで、このような問題になり、御自身のことが問題になり、そして、政治家として後援会と企業との関係のけじめがつかなかったことだけは事実ですね。この点について、どうですか。
○吹田国務大臣 三法を提出し、こうして特別委員会で御答弁申し上げなきゃならぬ責任者であります。そういう責任者がこうした自分の関係の職員に対して指摘を受けるような問題が出たということは、これはもうまことに申しわけないことでありまして、これはもう深くおわびをしておるわけであります。 ただ、特別に混同しておったわけじゃありませんから、そこは他意も何もないんですから、混同したりなんかしておるはずはないので、私も四十年も政治やっておるわけですから、混同はしていない。混同はしていないけれども、そういう意識ないんですから。ところが、現実に指摘を受ければそうかということになったわけですから、会社から指摘を受けましたということが伝わってきましたから、それなら私の方がそれはきちっと整理をする以外ないじゃありませんかということを申したわけでありますから、そこは御理解いただきたいと思うのですね。
○小岩井委員 というのは、先ほど、なぜこんなにくどくやるかといえば、政治倫理法の制定が政治改革の柱じゃないか、それが国会の結論にまつというふうに総理おっしゃった。あなたもそういうふうに、こういうことが起こるから、政治倫理法の制定が先じゃないかということを申し上げているわけですよ。 ということで、昭和六十年六月二十五日に議決された政治倫理綱領というのがありますね。この第一項に何と書いてありますか。これ、読み上げろと言えば探さなきゃいけないでしょう。こっちから言いますから。「われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。」とありますね。これは政治改革を所管する大臣として、真っ先にあなたがこういう立場に立たなければいけないはずだ。 ところが、この点について、政治倫理綱領に照らしても、あなたの今回のことについては、先ほど公私混同したでしょうと申し上げた。「公私混清を断ちこということがある。そういう、この政治倫理綱領について、これに照らしてみても、政治改革を所管する大臣として、私はふさわしくないと思う。全く不適格だと思う。辞職されたらどうですか。
○吹田国務大臣 この問題につきましては、さきにも御答弁申し上げておりますように、私もこれを所管しておるだけに非常に厳しく受けとめております。同時に、私のこういった問題でもこれが国会で問題になるわけでありますから、政治改革というものを通しての、特に政治の倫理と、そうして政治資金の問題については厳しくやっていかなきゃならぬ、ますますこれは厳しくやるべきであるというふうに、私はむしろ逆にファイトを燃やしておるのであります。
○小岩井委員 いや、極めて居直ったような感じですね。 私は、あなた、不適格だと思っているんですよ。しかも、政治資金規正法に違反をする、私は、違反をすると、ちゃんと具体的に指摘申し上げたんだから。違反をする、そして、政治倫理綱領に基づく倫理的義務を果たせない、そういう自治大臣について、海部総理、罷免すべきではないですか、どうですか。
○海部内閣総理大臣 ただいまの自治大臣の答弁等を私も聞きましたし、また、この問題に関する自治大臣自身が私のところにいろいろ報告に来て、みずからの問題でこういった騒ぎを起こしたことはまことに申しわけないけれども、しかし、それは悪意を持ってやったのではないわけでありますし、また、自治大臣自身がそれを指摘を受けて、そのときに素直にそれに従って手続をとり、払うものは払う、それまでは全くそれに反すると自覚をしないでやってきたことであるという事情等もありますので、今後はできる限りその体験を心にいたく受けとめて職員を果たしてもらいたい、私はこう考えております。
○小岩井委員 時間がありませんので、次に移ります。 第八次選挙制度審議会の答申と現在提案をされている、審議している三法案についての関係につ、いて伺いますが、答申と今回提案をされている三法案についての違いはどこか、これは選挙制度審議会の方から答えてもらいたいと思います。
○佐藤参考人 若干の点で答申と今度の三法案との間には違いがございます。それは御案内のとおりだと思いますが、答申では総定数五百名でありましたのが、今度の法案では四百七十一とされておりますし、小選挙区制と比例代表制との議員の数の配分につきましても、答申では三百と二百でありましたのが、三百と百七十一というふうになっております。 それから、比例代表につきましては、我々の答申ではブロック単位ということで答申をいたしましたが、今度の法案では全国単位ということになっております。 そのほか、名簿を提出し得る政党の要件、それから政党に対する公的扶助を受ける政党の要件というものについても、我々の案では得票率一%ということでございましたのが二%ということになっております。などなどが違った点でございます。
○小岩井委員 答申と実際に提案をされているものの違い、非常に大きな違いありますね、今おっしゃった内容も含めて。 まず総定数。これは比例区については二百から百七十一にしましたね。それで、小選挙区部分は三百。これは同じだ。それから小選挙区の議席配分、それと比例区の選挙の単位、全国十一ブロックを今度全国一区にした、政党要件一%から二%にした、それから比例区での当選制限、それから企業献金、それからパーティー規制、小選挙区の選挙運動、政治資金の運用、私どもの調査ではこの九点、答申と今度の提案の内容は違うんです。ということは、第三者機関としての選挙制度審議会の主体性あるいは権威、あるいは見識といいましょうか見識、まあ良心も含めてもいいけれども。ということで、これはどうなっているんですか。ここまで来て、なおかつ区割りまで党利党略案をつくらせられたということについて、完全に政府・自民党の下請機関になったというふうに言われてもいたし方ないと思いますけれども、この点についてはどうですか。
○佐藤参考人 党利党略とか下請機関となったのではないかという御意見に対しましては、そんなことはございませんと言うよりほかございません。 それから、いろいろ九点ほどお挙げになりました。例えば戸別訪問の問題をお挙げになりましたが、我々の答申の際には、選挙運動の自由化というようなことについていわば提言をしてはおりましたけれども、戸別訪問を自由化するということは具体的には提案はしてございません。その他いろいろ細かな点で、答申では大きな原則といいますか、大きな方向というものを示したにとどまる。それで、それが答申を受けられてからの、政府が改革要綱、初めは骨子、それから法案要綱というようなふうに具体化をされまして、それが三法案ということになっておりますが、そのプロセスの中でいろいろ答申に含まれていなかった、明記してはいなかった点がそこに加わっているわけでございます。ですから、それは答申に反するということではないというふうに考えております。 それから、ことしの六月六日に政府から、これこれの点について答申に変更を加えたという御説明があり、そして、その点は御理解を願いたいという御説明がございまして、そして、ついてはそれに基づく区割りを作成をしていただきたい、こういう区割りについての新たなと申しましょうか、区割りについて具体的に区割り案を作成してほしいという、そういういわば諮問があったわけでございます。そのときに、前の答申とは違うではないかということは委員の方々もみんな承知をしていたと思います。しかしながら、その区割りをつくってほしいということをそのゆえをもっていわば拒否すると申しましょうか、区割りはつくれない、変更された以上は、ということでありますと、この法案というものが提出できないということになります。我々としましては、答申から見れば、そのまま、最大限尊重していただくということを総理その他何度も言っておられたわけでございますので、それを期待していたわけでございますが、しかし、その間に若干のそういう相違点、があったとしても、それを理由に区割り案を作成しないということになりますと、この改革のための法案というものが提出できないということになる。すると、それは今日政治改革が緊急の要求だとされている事態におきまして、そういうこととなることはいかがなものであろうか。したがいまして、全体としての委員の方々の大方の意見は、我々の答申そのままではないけれども、いわば一歩前進であると申しましょうか、あるいは基本的には答申の趣旨が盛られているというふうに受け取ったわけでございます。
○小岩井委員 長々と答弁いただきましたけれども、答えになっていませんね。先ほど九点違いを申し上げたですよね。それでもなおかつ最大限答申を尊重したというふうに理解する、こうおっしゃいましたね。 一つ一つ伺いますけれども、今回の法律案の第四条では、定数を四百七十一人としてそのうち三百人を小選挙区選出議員、百七十一人を比例代表選出議員、こう提案されていますね、今も御説明の中にありましたけれども。平成二年の四月二十六日の答申は、総定数は五百ですね。四百七十一と五百の間に違いがある。それから、並立制の趣旨と定数配分の見地から総定数の六割を小選挙区、四割を比例代表と答申していますね。比例代表部分を削った。答申の趣旨からして、望ましい選挙制度ということで審議をされたということでありますけれども、総定数をなぜ変更したのか。 これは最初に政府から伺った上で、総定数を変更したことについての審議会としての受けとめ方、認識ですね、答申を変えられたのだから。その点について双方から伺いたい。
○吉田(弘)政府委員 まず今回の法案の衆議院議員の総定数の問題でございます。 答申では五百人程度とされておりましたが、法案では四百七十一人としております。これは現行の総定数、五百十二名でございますが、これが過去の選挙区別定数の不均衡の是正をすることなどを目的といたしまして暫定措置により増加をしてきておりますので、今回選挙区制の根本的な改革を行うことにあわせまして公職選挙法の本則定数の四百七十一に戻すことにしたということによるものでございます。
○小岩井委員 自民党の政治改革基本綱領というのがありますね。この定数は何人ですか。
○吉田(弘)政府委員 四百七十一名と承知しております。
○小岩井委員 審議会の答申によらずに自民党の基本綱領に沿って、審議会の答申を尊重ではなく無視して、さらに区割りを諮問をしたという理由について伺いたい。
○吉田(弘)政府委員 先ほど申しましたように、四百七十一名にした理由は、過去の定数増によりまして暫定的に定数が増加してきておりましたので、それを本則に戻していこうということでございまして、その中で小選挙区と比例代表の定数につきまして、答申ではその割合が小選挙区が六割、約三百人でございますし、比例代表が四割でございますので二百人とされておりました。法案ではこれは三百と百七十一、したがいまして、その比率は六四対三六ということになっております。 これは、小選挙区制を基本とすること、そしてまた選挙区間の人口の均衡がより図られやすいように小選挙区定数を多くするという答申の考え方を踏まえまして、総定数の削減分、五百人と四百七十一人の差すなわち二十九人でございますが、これはすべて比例代表の定数において削減をしまして、そして、その三百の選挙区について区割りをお願いをいたした、こういうことでございます。
○小岩井委員 佐藤副会長、答申は五百、区割りの諮問が四百七十一、しかも四百七十一は自民党の基本綱領に載っておりますね。あなたたちの答申の五百は無視をされて、自民党の基本綱領についてさらに区割りの諮問を受けたということになりますね。ということは、先ほどあるいは大変失礼だったかもしれないけれども、審議会のみずからの尊厳と権威と主体性を放棄した、こう申し上げましたね。ということは、自民党の基本綱領で決めた数を無批判に受けとめて区割りをしたということについて、自民党の下請機関に成り下がったと言うと言い過ぎかな、自民党の下請機関と化した、そして、この点については極めて遺憾だと私は思うんですけれども、その経過と、あわせて見解を明確に求めておきたいと思います。
○佐藤参考人 自民党の政治改革基本大綱に四百七十一とされていたということはもちろん承知をしておりました。そしてまた、審議会の審議の過程においても、できるだけ定数は減らすべきではないか、自民党の基本大綱にも四百七十一となっているではないか、そういう議論はもちろんございました。しかし、三百、二百と六対四ですかということにしましたのには、これはやはり余りにも減らし過ぎますとバランスと申しましょうか、がなかなかとりにくい、それで三百、二百というようなところがベストではないかということでやったわけでございます。 それで、我々の答申出しましたときは、申し上げるまでもないと存じますが、これがベストだということで出したわけでございますので、それと一部異なるものとなったということについては、それは釈然としないものがあることは、これは事実でございます。しかし、それに対しましては、先ほど申しましたように完璧に一致をしているというわけではないけれども、この段階この程度であっても、政治改革を今の時期に実現するということが望まれているのだという、そういうことで、ベストではないかもしれないけれども、それに基づいて区割りの作成に着手をしよう、こういうことであったわけでございます。
○小岩井委員 釈然としないと今おっしゃいましたね。それは最大限の表現かもしれない、今の立場としてはね。釈然としない。ということは、なぜ釈然としないか。自民党の下請で区割りをやった、そういうことで釈然としないんじゃないですか、どうですか。
○佐藤参考人 自民党とおっやいましたけれども、我々の審議会は内閣と申しましょうか、政府の審議会でございまして、政府からの諮問に応じて政府に対して答申する、こういうことでございまして、自民党のどうのということは私どもは考えておりません。
○小岩井委員 敬意を払うに値する審議会になってもらいたいというふうに思うわけであります。というのは、公選特の九〇年、去年ですね、四月十八日の会議録の中に、きょう先ほど午前中で、午後お帰りになった堀江参考人に質疑をしたかったわけでありますけれども、ここで「一票の格差につきましては、委員会としては極めて重視をいたしまして、選挙区制の改正に当たって、各選挙区間の人口格差を二対一未満にするというのをすべての他の原則に先立つ最優先原則として掲げておるというところでございまして、この一票の格差の問題については、私どもも最も強い関心を持つところでございます。」というふうに述べているんですね。一・二以内に入っていますか、答申は。
○佐藤参考人 その区割りの基準につきましては、二十日でございましたか、堀江元第一委員長が非常に長い詳細な御説明をこの委員会で申し上げていると承知しております。そのときに既に御説明申し上げていたと思いますけれども、結果といたしましては、いわゆる六つの特例区と我々は称しておりますが、それができまして、それの一番最少人口数の選挙区というものが大体二十五万人ということでございました。それのために、一番上は例の三分の四というところでおさまったわけでございますけれども、その二十五万何がしというものを基準にして計算をいたしますと、二倍を超えたものが二十七選挙区あったわけでございます。そのことは承知をいたしておりますが、我々の申します。その六特例区というものを除いて二百九十四ということで計算をさしていただきますと、一・九八倍というところでおさまっている、こういう流れでございます。 〔粕谷委員長代理退席、委員長着席〕
○小岩井委員 ということは、基本原則、先ほど、堀江参考人が公選特に出て基本原則は答弁があったということを申し上げましたね。いいですか。ところが、基本原則放棄した結果なんですよ。放棄した結果。それは何に起因しているかと言えば、審議会答申によって定数配分の基準を決めればこういうことなかったでしょう。何の基準によったからこういうことになったのですか。おっしゃってください。
○佐藤参考人 先ほど申し上げましたように、それに至ります基準それから作業の手順というようなことは堀江さんが既に詳しく御説明していると思うのでございますが、一対二未満を基本原則とするということははっきりと書いていたところでございます。しかし、それが一対二二五というところまで、これはもうきっちり一対二とはまいりませんでしたけれども、しかし、一対二・一五というようなところで、ほぼ一対二ということは達成されたのではないかというふうに考えているわけでございます。
○小岩井委員 聞いたことと違うことを言っちゃいけませんよ。何を根拠にこういうことになったのかと言えば、自民党の要綱に基づいて定数配分したからこうなったんでしょう。都道府県に一議席を割り振って、残りを人口比で配分をした。だから、このとおりになったんでしょう。あなたたちが答申をした内容でやっていれば、堀江さんの言う原則は守れたんでしょう。違いますか。
○佐藤参考人 初めの答申の場合は、人口比ということだけで考えて区割りをつくるべきだということでございました。それで、それが自民党と申しましょうか、政府の要綱の作成の段階でまず一名を各都道府県に割り振る、そして、その上で人口比に応じて区割りをする、こういうことになりました。先ほど申しました人口の少ない選挙区というものがそのために出たという面もございます。しかしながら、初めの我々の案でいきましても、果たして厳密に一対二未満ということでおさまったかどうかということは、これは例えば一対二・〇一になったり一対二・〇二になったりするということもあり得たのではないかというふうに考えております。
○小岩井委員 審議会の答申に基づいても基本原則を踏み出したかもしれない、そうですか。今回の提案だと十三の市と区を分割をして、二地区が飛び地。あと、選挙区間の人口格差は一対二未満とすることを基本原則にする。市区町村、指定都市にあっては行政区の区域は分割しない。郡を分割しない。飛び地にしない。これは自民党でもこう言っていますけれどもね。この点については制度改革の根本的改革に当たって最重要課題だと言っているんですね。みずから決めた基本原則を放棄したことになるじゃないですか。はっきり放棄したとおっしゃい。いいですか。だから、私は大変失礼なことを申し上げたけれども、審議会はみずからの尊厳と権威、主体性を放棄をして自民党の下請機関となったんですか、こういうふうに言ったのですよ。いかがですか。
○佐藤参考人 何度も申し上げている点なんですが、完全に我々の答申がそのまま実現をしたということでないということは認めます。しかし、先ほど申しましたように、この程度であっても、そのようなものであっても、それを実現するということが今日要求されているということではないだろうか。したがいまして、ベストではないかもしれないけれども、それに基づいて区割りを答申して、法案を提出していただきたいというのが私どもの考え方であったわけでございます。
○小岩井委員 区割りの具体的な基準について、あるいは選挙制度審議会の答申と今回の政府案との違いについて質問してきましたけれども、大変消極的ではあったけれども私の質問の内容について認めたようでありますから、具体的内容に移ります。 市区町村、指定都市にあっては行政区、この区域は分割しないことを原則とすると基準が決められましたね、答申で。そして、本公職選挙法改正案で十三の都市の分割が別表第一で提案をされておりますね。これは基準に明らかに反するのじゃないかということを今申し上げた。行政区を細分化する。選挙区は自治体選挙の県会議員、市会議員の選挙区より小さな選挙区になる。国政を担う衆議院議員を選ぶ選挙区として極めて不適当ではないかと思うけれども、この点について、基準が無視されて、しかも行政区すら細分化した具体的な経過と理由について伺いたい。
○田中(宗)政府委員 先般区割りにつきまして御説明申し上げましたことに関連するお尋ねだと存じますので、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。 ただいま御指摘の、人口をどのような範囲におさめるかという事柄と、それから全国の各市区町村の区域を分割しないという事柄と、さらにまた、答申に書いてございますように郡を分割しない、あるいはまた選挙区が飛び地となることはできるだけしない、そのような幾つかの基準、それら全部をすべて網羅的に満たすことは、これは極めて困難、むしろ不可能であろうと思います。ですから、それらのうち、できるだけ人口は一対二未満の範囲におさめることを基本原則とし、それを実現をしつつ、さらに市区町村の区域を分割しないということで、できるものはそのようにしていくということでございます。現に八十万の市があるわけでございますので、それを分割しないということになりますと、これは先ほど来委員が御指摘の一対二未満というのを恐らくはるかにオーバーするはずでございますので、そういうこととされなかったということでございます。 それから、選挙区の広さの問題につきまして御指摘がございましたけれども、選挙区が広いか狭いかということと、その政治家がいかなる任務を負われるかということとは別問題であろうということだと存じております。
○小岩井委員 先日、区割りの基準について資料にして配られましたね。これに照らしてみても、この十三の都市の分割について非常に問題がある。ただ単に数字合わせでやっている、こういうふうに思います。それが一つ。 それから、県会議員、市会議員よりも小さな選挙区になって、国政を担う衆議院議員を選ぶ選挙区として極めて不適当ではないかというのは、これは事務当局では答えられない答弁だと思います。これは総理からお答えいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 区割りをいたしまして、結果としてそのようなことになっておりますけれども、衆議院議員の選挙は政策の実現を目指して政党間の争いを行っていこうというものであり、また地方の議会の議員の区割りの問題は、その地域に密接した住民本位の行政をやっていこうということの区割りでありますから、衆議院の場合はそこで選ばれる人は一人となり、今御指摘になった十三の部分についてはそれぞれ市区議会議員の数は数十名となっておるわけでありますので、おのずからそこに違いが出てくるものである、私はそのように受けとめたいと思います。
○小岩井委員 理由になりませんね。要するに一連の流れについて、これは審議会の主体性、権威、尊厳、そういうことではなくて、自民党の意向に沿って党利党略でずっとこの区割りも含めてなされているというその証左なんですね。ということで、(「ゲリマンダーだ」と呼ぶ者あり)ゲリマンダーということが言われるのではないかというふうに思いますけれども、時間がありませんから次に移りたいと思います。 区割りについて、この間詳細に三百選挙区伺いましたけれども、あと十数分しかありませんから一つだけ伺っておきますが、選挙区が飛び地となることを避ける場合として、「郡の区域が現に他の市町村によって分断されている場合及び離島の場合」「平成二年国勢調査により人口が五万人を超え、市制施行が予定されている町の場合」、そして、「四 選挙区は、できるだけ飛地にしないものとする。」ということで基準が書かれていますね。さらに五として、「地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとする。」となっておりますね。 飛び地は、千葉県浦安市が隣接の市川市とその隣接の松戸市を飛び越して流山市、野田市、関宿町と一選挙区としたこと、三重県でも、四日市を挟んで鈴鹿と桑名の両市で一選挙区とするという二つの飛び地をつくりましたね。これについて、数字合わせはこの間聞きました、ここで。数字合わせは聞く必要はありません。数字のことは要りません。最後に、「地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとする。」最初に伺います。とりあえず三重県の方はおいでおいで、千葉県の方を伺いますが、浦安市の場合ですね。地勢は浦安市と野田市と東葛飾郡関宿町とどういう関係がありますか。
○田中(宗)政府委員 先ほど来、せんだって来御説明申し上げましたように、選挙区割りの基準に照らしまして、特に各選挙区の人口の均衡という観点から上限人口、下限人口を定めまして、それでもちまして人口の範囲をまず定めて、できるだけそこにおさめる、非常に厳しくおさめるというような考え方でございましたし、それからまた、市区町村の区域も、これは人口の上限、下限からはみ出るようなものにつきましては市区町村を分割してでも選挙区を設けるけれども、そうでない限りは市区町村の区域は分割しない、こういうふうな物の考え方をせんだっては申し上げたつもりでございます。 ただいま御指摘の浦安市と市川市の問題につきましては、同じ選挙区とすることがこの基準からしてできないというようなことから問題は発しておるわけでございます。なお、この地域は全体といたしまして沿革的には東葛飾郡に属する地域でございますし、また江戸川沿いの地域である、このように理解をいたしておるところでございます。
○小岩井委員 余計なことを言うことないですよ。聞いたことだけ答えてください。もう数字はいいですから。地勢はどういう関係があるんですか。交通はどういう関係があるんですか。ここは、交通は江戸川で、船なんかは通ってないから、川で行くしかつながってないんだから、どうやって交通行くんですか。それから、歴史的沿革について、さらに自然的社会的条件について説明しなさい。
○田中(宗)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、選挙区割りの基準を適用するに際しましては、人口の上限、下限というものを非常に厳格に守っていく。それからまた市区町村の区域は分割しないことを原則とするということを二番目に守っていく。それからさらに、飛び地の選挙区としない。あるいは郡の区域を分割しないということをそれぞれ守っていくということでございまして、それらの原則あるいはそれらの基準を適用するに際しまして、それでもなおいろいろと選択肢があります場合には、この五番にございますような自然的社会的条件を総合的に考慮しながら区割りをするんだ、こういう区割りの基準の趣旨でございます。
○小岩井委員 答弁なってないじゃないですか。浦安市はこの現行千葉四区の最南端です。東京都江戸川区に隣接をしているんですね。流山市は埼玉県に隣接しているんですよ。いいですか、野田市並びに関宿町は埼玉県並びに茨城県さらに栃木県に隣接しているんですよ。いいですか、こういうことが地勢並びに交通、歴史的沿革、自然的社会的条件に合うんですか。しかも、浦安から流山並びに野田に行く鉄道がありますか。直通の道路がありますか。答えてください。
○田中(宗)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、沿革的には千葉県一の東葛飾郡に属する地域でございます。かつて県議会議員の選挙区でも同じ選挙区とされていた時期もたしかあったと存じます。 それから、先ほど来申し上げておりますように、この区割りの基準のどれから優先的に適用するかという問題がございまして、例えば一対二未満の範囲におさまらなくてもいいんだというようなことがもし考え方としてあるものならば、それはこういう飛び地の選挙区とすることとされなかったかもしれませんけれども、やはり一対二未満の範囲におさめることを基本原則とする、あるいは市区町村の区域は分割しないことを原則とする、そういうさらに優先されるべき基準があるという考え方に基づきまして区割りの作業が進められた、こういうことでございます。
○小岩井委員 今お聞き及びのとおりですけれども、自治大臣どうお考えですか。おかしいでしょう。私は、でもこの区割りを直せばいいと言っているんじゃないですよ。いかにいいかげんかということを申し上げているのですよ。しかも、これは得票の状況からいけば完全にゲリマンダーなんですよ。この点について自治大臣、お考えを伺いたいと思います。
○吹田国務大臣 事務当局は極めて中正、公平な立場から私はやったと思いまして、いいかげんであるというような言葉は、それはちょっと私も非常に困るわけでありまして、私はそれに対してはお答えできません。少なくとも、私は事務局は極めてまじめにやっている、こう思っておりますし、政治性は一切入ってないということは断言できると思いますよ。そういう意味で、私はこの問題については、先ほどから事務局から答弁しておりますように、いろいろなデータを出して、そして過去の歴史も踏まえて私はやったものだというふうに信じております。
○小岩井委員 今、自治大臣、自分の発言、重大なことに気がついてないね。これは審議会がやったんじゃなくて事務当局がやったんだね。間違いないね。
○吹田国務大臣 それは、今事務局と言ったのはいわゆる選挙制度審議会の事務局ですよ。それははっきりしておりますから。
○小岩井委員 ということは、自治省みずから恣意的に選挙区をやったということになるんですよ。どうですか。
○吹田国務大臣 いや、それは決してそういうことではない。それはお言葉を返すようですけれども、そういうことは私どもは考えておりませんし、そういうふうな意思は毛頭一審議会の事務局としてそんなことは絶対ありません。
○小岩井委員 先日、三百選挙区の区割りの説明を伺いました。大変無理のある説明を、しかも矛盾のある、選挙区で全然違うことを言った、それを一つ一つ私は全部ここで席を外さずに聞いていましたから、ということに感じます。その一つのことを今申し上げたのです。これは完全に数字合わせ、あるいは意図的と言ってもいいんですけれども、この点について、党利党略案であるということは明確なんです。こういうことを指摘をいたしておきます。 最後になりますけれども、政治改革三法案、今審議をいたしておりますが、きょうは九月二十七日です。十月四日まで一週間の会期です。海部総理は政治改革に内閣の命運をかけるとおっしゃいましたね。これは再三にわたって言明をしておりましたね。これは、きょうの情勢からいって政治改革三法案は廃案になる。先ほど自民党の質問にも出ていましたね。廃案になるということは確実な状況になっている、私はそう思います。廃案になったとき、あなた責任をどうとりますか。命運をかけると言った以上、廃案の責任をとって辞職をすべきではないかと思いますけれども、明確な態度表明を求めておきます。
○海部内閣総理大臣 私は、当初から不退転の決意で取り組んでまいりましたし、また、今このような御審議をいただいておる最中でありますから、政府としては、この法案が成立しますように最善の努力を続けていきたいと決意をいたしております。
○小岩井委員 海部内閣の命運をかけるとおっしゃったわけだから、そのときは明確に責任をおとりになることでしょう。そのことを申し上げておきます。 終わります。
○小此木委員長 これにて小岩井君の質疑は終了いたしました。 次に、北側一雄君。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。私の方から、まず最初に投票価値の平等の問題、一票の価値の平等の問題についてお聞きをしたいと思っております。総理、投票価値の平等すなわち選挙人の投票の持つ影響力の平等は議会制民主主義の大原則であるというふうに思います。総理は、この投票価値の平等という要請をどのように認識されておられるのか、また選挙区割りを行う際に、投票価値の平等という要請をどの程度満たしておればよいとお考えなのか、これからまずお聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 投票価値の平等の考え方は、北側委員のお述べになったと全く同じでございます。重要だと受けとめております。 それから、どの点がとおっしゃいますと、最高裁判所の示す判断基準というものが、私の理解では一対三を超えると憲法違反という最高裁の意思表示があった、こう受けとめておりますけれども、私はでき得る限り縮めていかなければならない、したがって、一対三を超えなければいいというものよりも、原則一対二にしたい、基本原則はそこにしたいということで考えておるわけでございます。
○北側委員 今の総理の御答弁は、この投票価値の平等という問題については、裁判所の判断はともかくといたして、政府やまた我々国会の役目としては一対二未満が基本原則であるというお考えをおっしゃったものであるというふうに御理解してよろしいわけですね。
○海部内閣総理大臣 慎重に言葉を選んで申し上げますが、私の答えに二文字加わりました。一対二を基本原則としてと私はお答えをしておりますし、一対二の基本原則で作業してもらいましたから、その基本原則をちょっと超えて〇・一四六ほどふえておるところがあるということもこれは事案として御報告をさせていただきます。
○北側委員 未満ということですか、今総理のおっしゃったのは。
○海部内閣総理大臣 一対二を基本原則としてということでございます。
○北側委員 ことしの六月六日に政府が審議会に区割りの諮問、改革の方針を出されました。そのときの答申の内容には「各選挙区間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とする。」というふうに記載してありますよ。違いますよ。
○海部内閣総理大臣 党が示した基本原則でございますか、今読まれたのは。(北側委員「いやいや、政府です」と呼ぶ)一対二を基本原則としてということであります。
○北側委員 もう一度正確に申し上げます。ことしの六月の六日に、政府は審議会に対して区割りの諮問をされておられるのですよね。その諮問内容の中に書面で、文書でちゃんと「各選挙区間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とする。」と書いてあるのですよ。
○海部内閣総理大臣 選挙制度審議会の答申では、各選挙区間の人口格差は一対二未満とすることを基本原則とすべき旨述べられております。
○北側委員 まず、諮問として一対二未満とすることを基本原則とするという諮問を審議会になされたかどうか、もう一度明確に答えてください。
○吉田(弘)政府委員 六月六日の日に審議金の総会を開いていただきまして、そこで先ほど来お話ございましたように政府の改革方針をお示ししまして、総定数は四百七十一にするとか小選挙区の定数は三百にするとかいう中でその区割りをお願いをいたしたわけでございます。区割りにつきましては、審議会の四月答申にその基準も書いてございますので、それに従って審議金は区割りをやっていただいたということになるわけでございます。
○北側委員 質問にきちんと答えてくださいよ。一対二を基本原則とすると一対二未満を基本原則とするじゃ、えらい違いですよ。明確にしていただけませんか。
○吉田(弘)政府委員 先ほどもお答え申しましたとおり、六月六日の総会に政府の選挙制度の改革方針というものをお示ししまして、その中で区割りにつきましては各選挙区の間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とするということを言いまして、政府の改革方針でそう言いましてお願いをしております。
○北側委員 諮問の内容は一対二未満なんですよ、一対二未満。一対二を基本原則ということじゃないのですよ。
○吉田(弘)政府委員 先ほど来申し上げますように、六月六日の日に選挙制度と政治資金制度の改革の方針、政府の改革の方針というものを審議会にお示しをした、その中で、それで区割りをお願いしている。その中で小選挙区選挙の選挙区については、「選挙区間の人口の御衡を図るものとし、各選挙区間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とする。」これが政府の改革方針、これをお示しして、これで区割りをお願いするということをしたわけでございます。
○北側委員 総理、それでよろしいわけですね、先ほど一対二というふうにおっしゃいましたけれども。
○海部内閣総理大臣 よろしゅうございます。
○北側委員 憲法の保障した平等選挙からは、当然選挙区間の人口格差というのは一対二未満でなければならない、これは当たり前の諾です。なぜなら、人口格差が一対二以上になるということは、投票価値の低い選挙区の方は一票でも、投票価値の高い選挙区は二票以上の投票を認めることになってしまうからであります。これは特定の選挙人、例えば身分のある人とか経済力によって差別を設けて、身分のある人、経済力のある人に二累または三票の投票を認めるような複数投票制度と実質的には変わらなくなってしまう。民主主義の根本的な原則でございます。選挙区の区割りに当たって、この人口以外の要素を仮に考慮することがあったとしても、人口格差は一対二未満の範囲内で考慮することが許されるだけであるというふうに私は考えますが、総理いかがですか。
○海部内閣総理大臣 そのようなことで諮問をして区割りをお願いしておると思います。
○北側委員 私の質問は、具体的に選挙の区割りをするに当たって、人口以外の要素、例えば過疎地域の配慮とかそういう人口以外の要素を考慮することがあったとしても、人口格差が一対二未満の範囲内でほかの要素を考慮することが許されるんではないのかというふうに聞いておるわけなんです。
○吉田(弘)政府委員 先ほど来総理もお答えしておりますし、私どもからもお答えしておりますが、 今回三百の小選挙区定数につきまして、まず各都道府県に一つずつ定数の割り振りをいたしまして、残余の定数を人口比例にしたということでございます。それで、都道府県間の議員一人当たり人口の格差は一・八二ということで二倍を切っております。
○北側委員 また後で御質問させていただきますが、昨年の選挙制度審議会の答申に反しまして、本年の六月六日、区割りの諮問をする際に、この諮問内容としては各都道府県に一人ずつ議員定数を割り振ったわけでございます。この各都道府県に一人ずつ割り振った理由というのは一体何でしょうか。総理、お答えしてください。
○吉田(弘)政府委員 都道府県への小選挙区定数の配分でございますが、これは先ほども申しましたように、まず一人ずつ割り振ったわけでございますが、これは過疎地域への配慮あるいは多極分散型国土の形成等の政策課題への配慮などの面から人口以外の要素を取り入れるべきではないかという御意見もございましたし、また御要望等もありました。こういうことが各方面にあったのでございます。そこで、都道府県にまず一人ずつ配分をいたしまして、これらの意見も踏まえまして、人口の少ない県に対して定数配分上の配慮をしたということでございます。
○北側委員 じゃ、聞きますけれども、人口の少ない県、日本全国で一番人口の少ない県、どこですか。
○吉田(弘)政府委員 鳥取県でございます。
○北側委員 鳥取県は人口比例だけで考えた議席と今回の各都道府県に一つ議席を配分した議席と変わらないんですよ。隣の豊根県は鳥取県よりも人口が多いですけれども、定数一ふえてますよ。人口の少ない県にふやしたなんというのは当たらないでしょう。
○吉田(弘)政府委員 人口の少ない県に充てたというのは、物の考え方、基準として各県に一名ずつ基礎配分して残余を人口比例にいたしますので、当初の総定数三百を完全に人口比例するのに比べて、小さい県について配分はされていもということでございます。
○北側委員 じゃ、もう少し、もっと具体的に言わせていただきますと、今過疎地域への配慮というようなことをおっしゃったわけなんですが、まず人口の少ない県が過疎地域がというとそうじゃないですよね。 例えば北海道。北海道は今回単純人口比例によれば十四あるはずが、この区割り案では十三と一つ減っているわけです。ところが、北海道では札幌以外の地域は今過疎で困っているわけです。全然過疎地域への配慮なんて当たらないでしょう。さらに奈良県。奈良県はこの区割り案では、単純人口比例によれば三議席が四議席に一つふえてます。奈良県は今大阪のベッドタウンとして、人口が国勢調査で七万人もふえている。過疎地なんてとんでもないですよ、何が過疎地域への配慮ですか。また、人口の減っている富山、石川県。これは、全然単純人口比例による割り振りと変わりません。過疎地域への配慮という趣旨は全然当たっていない。また、一つの県の中だって過疎と過密があるわけで、今おっしゃっている過疎地域への配慮から各都道府県に一つずつふやしたんだというのは全く妥当しないと思いますが、どうですか。
○吉田(弘)政府委員 今の各人口の少ない県に配慮をしたということでございます。
○北側委員 じゃ、人口の少ない県に配慮したのはなぜですか。
○吉田(弘)政府委員 先ほどこれは申し上げましたように、過疎地域への配慮とかあるいは多極分散型の国土の形成というような政策課題あるいは各都道府県への定数配分というような問題というようなことをいろいろ考慮いたしまして、人口の少ない県についてまず配慮するということで各県に一人ずつ配分をするということです。たまたま計算の方式で定数が同じに、完全人口比例と一人基礎配分する方式が同じになるところもありますし、ふえるところもあるし、減るところもあるということになるわけでございます。
○北側委員 ともかく過疎地への配慮とか多極分散型国土への形成とかおっしゃるけれども、そんなの全然当たりません。 この各都道府県に一つずつふやすことによってどう単純人口比例と変わってしまったか。ふえた県は岩手県、宮城県、山形県、福井県、山梨県、三重県、奈良県、島根県、徳島、香川、高知、佐賀、熊本、大分、鹿児島、これだけです。十五県ですね。減りましたのは、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡。要するに自民党の強い地域で定数がふえて、野党の強い地域の定数が減っているんじゃないですか。
○吉田(弘)政府委員 今申しましたように、一人基礎配分をして、あと残余の定数を人口比例で配分した結果がそういう数字になっているわけでございます。
○北側委員 佐藤先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、本法案の区割り案によれば、最小選挙区の高知三区との人口格差が二倍を超える選挙区が二十七選挙区ございます。なぜこのような二十七選挙区も二倍を超えるような選挙区ができてしまったかというと、この根本原因は、今申し上げました各都道府県一人ずつ配分するというようなことをしてしまったからそうなったんじゃないですか。
○佐藤参考人 それもあると思います。ただ、平均四十一万というものの三分の二、三分の四ということでやりましたので、それで五十四万、それから二十七万、上が五十四万、下が二十七万、こういうことになったわけですね。それでありますので、特例区のすべてがまず一人を割り振ったからああいう現象が起きたんだというのではございませんで、人口が少ない県を分けたというときに、それが二十七万以下ということになったものがあるわけでございますので、すると、それを上の五十万というようなところで割りますと一対二を超える、こういうことになったわけです。
○北側委員 佐藤先生、私が申し上げているのは、一番の原因はそこにあるんじゃないですかということを申し上げておるんです。これはもう明確です。先生も今うなずいておられますけれどもね。 総理、一つや二つの選挙区が二倍を超えてしまったんならまだわかるんですけれども、三百選挙区中の二十七選挙区も二倍を超えるような選挙区があるようでは、一番最初に申し上げた人口格差一対二未満との基本原則に合致しない、そう思いますが、総理、いかがですか。
○海部内閣総理大臣 今いろいろの事情と、そのようになったやり方の御説明があったわけでありますけれども、私はその基本原則を守りながら今の開いている一票の格差を縮めていこうという基本原則に従って御努力をいただいた結果である、こう受けとめさせていただきます。
○北側委員 去年の審議会の答申でもことしの政府の諮問の中にも人口格差一対二未満にするとの基本原則が書いてございます。二十七選挙区も二倍を超えるような選挙区が制度の当初の発足案からあるというのはとても納得できません。基本原、則に明らかに反すると私は思いますが、総理どうですか。
○海部内閣総理大臣 今申し上げたように、いろいろな基準をお決め願って審議会で作業をしていただき、そして、その結果が出たと思っております。私はその御努力に敬意を表しておるところであります。
○北側委員 今いろんな要素を考慮してというふうにおっしゃられました。それじゃ今回の区割りを行う際にこの人口比例以外の要素として一体どのような要素を考慮されたのか。簡単で結構です、述べていただけますか。
○田中(宗)政府委員 人口以外の要素といたしましては、先般来御説明がございましたように市区町村の区域は分割しない、逆に言いますと市区町村の区域を尊重する、あるいはまた郡の区域を分割しない、逆に言いますと郡の区域はできるだけ尊重する、それからまた、選挙区の区域はできるだけ飛び地としない、さらにまた、自然的社会的条件を総合的に考慮する。それらの要素を考慮されたところでございます。
○北側委員 今のおっしゃったような要素を考慮することがいけないと私申し上げているのじゃなくて、そうした要素を考慮したとしても、この人口均衡というのが第一番の原則ですから、一対二未満の範囲内におさめるように選挙区割りをつくっていくというのがこの答申の、また諮問内容の一対二未満を基本原則とするという、そういう意味じゃございませんか。
○吉田(弘)政府委員 区割りの基準につきましては先日堀江前委員長の方から詳細な御説明がございました。そこで、今回の審議会では、各選挙区の人口は全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとするという基本原則を審議会として立てられたわけでございます。そこで、そうしますと、島根県とか福井県の議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回っているために、そういうところでは例外が生ずるということになったわけでございます。 そこで、もしこのような例外を生ずることを避け、各選挙区間の格差を二倍未満にするということにするためには、人口が最小の選挙区を基準にしてその選挙区の上限の人口をその二倍未満とするという方式も考えられるわけでございますが、こういうふうにいたしますと、人口基準はそもそも客観的に明確な基準とすべきであり、人口が最小の選挙区をもとにその二倍までとするのは区割りの結果により基準を設けることになり適当ではないというようなこととか、全国の議員一人当たり人口の三分の二をさらに下回るような人口の選挙区を基準にその二倍までとすると区割りが必要以上に困難になるとか、それから選挙区間の人口の格差を二倍未満とすることが基本原則ではあるが、市区町村の区域を分割する場合にはその必然性が棚得されることが必要であって、人口の最小選挙区を基礎として分割の基準を設けた場合には、分割する側の市区から見て納得が得られないではないかというような問題があったというのは、先日の堀江委員長からのお話にもあったことでございます。 そういうことで、この審議会におきまして論議の結果、例外となる選挙区が幾つか生ずるということになりましても、人口の基準としては全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四という、そういう客観的な明確な基準にするのが最も望ましいということでされたというふうに承知をいたしております。
○北側委員 今おっしゃったような理由で二十七選挙区も二倍を超えるような選挙区が出たわけじゃないでしょう。それを一番御存じのはずじゃないですか、あなたが。
○吉田(弘)政府委員 今申しまして、この間の堀江委員長のお話にもありましたが、全国の三分の二から三分の四ということにいたしまして、三分の四を超えるような市区はないわけでございます、選挙区はなくて、三分の二を下回るのが六選挙区あるということでございます。その一番小さい選挙区から比べるとその二倍を超えるものが二十七あるということになるわけで、その例外の、三分の二を下回るのは六選挙区ということでございます。
○北側委員 去年の答申の内容、またことしの政府から審議会への区割りの諮問の内容、その中にきちんと人口格差は一対二未満とすることを基本原則とするというふうに明確に記載をされております。今の御答弁に何回聞いても納得は私はできません。投票価値の平等というのはほかのどの要素よりも最優先で私は尊重されなければいけない。先日、二日間にわたって今回の区割り案の説明を聞いておりまして、私も全選挙区聞かせていただきましたけれども、聞いておってよくわかりましたことは、投票の価値の平等、また、そのほかのさまざまな要請を考慮して、平均人口四十万人程度の小選挙区を全国に三百選挙区もつくることがもうほとんど不可能であるということがよくわかりました。人口の移動によって選挙区ごとの人口格差はもうすぐに拡大をして、区割り是正を頻繁に行わないと投票価値の不平等をもたらしてしまう。区割り是正をするとまた市区町村の分割とか飛び地等を出さなければいけない。そもそも定数一の小選挙区を三百つくることには無理がある、そのように私は思いますが、総理、いかがですか。
○吉田(弘)政府委員 小選挙区の三百をつくることが無理ということじゃございませんで、先日来審議会の考え方を堀江委員長あるいは事務当局から説明がされたものというふうに承知をいたしております。
○北側委員 もう時間もございませんので、次の質問に進みたいと思います。 次には、連座制の強化の問題についてお聞きをいたします。 買収等の罪によりまして裁判所に起訴され、そして有罪となっている件数でございますが、私の調べたところでは、昭和六十一年から平成二年までの最近五年間で約二万件あるというふうに思います。これは自治省の資料と合っていますか。
○吉田(弘)政府委員 御指摘の有罪の件数でございますが、司法当局あるいは法務当局の資料をもとに総合して推計をいたしますと、おおむね御指摘の数値になるのではないかと思われます。
○北側委員 それでは、連座制が適用されて当選無効となった事例がどの程度あるのか。
○吉田(弘)政府委員 連座制の適用の関係でございますが、国会議員の選挙につきましては、連座制により当選無効となりました事例は戦後一件であると承知をいたしております。また、地方公共団体の議会の議員または長の選挙について、これは昭和五十年の連座制の改正がされた法律の施行以降の話でございますが、すなわち現行の連座制のもとでございますが、連座制に係る事例は、平成三年の八月現在で十六件と承知をしております。
○北側委員 今の御答弁は昭和五十年から現在までで十六件という御趣旨ですか。
○吉田(弘)政府委員 五十年から平成三年八月までで十六件ということでございます。
○北側委員 最近五年間の連座制の適用になった事例は何件ございますか。
○吉田(弘)政府委員 過去五年間でございますが、これは国会議員の選挙につきましてはございません。地方公共団体の議会の議員または地方の選挙については五件であると承知をいたしております。
○北側委員 自治大臣、最近五年間で買収等の罪によって裁判所に起訴されて有罪となった件数が、五年間ですよ、五年間で二万件あるのです、二万件。この有罪件数二万件というのは、実際、選挙で買収行為がなされているものの中のもう当然氷山の一角でございます。二万件有罪、実際の買収行為がどれだけあるかわからない。いかに日本の選挙において買収行為がはびこっているかということを端的に示す数字ではないかというふうに思いますけれども、この数字を聞いて自治大臣、どう思いますか。
○吹田国務大臣 明正選挙を唱えている中で、こうした事件があるということは非常に残念に思います。これは早くこの点を是正していかなければならぬということで、今回もそういった面では非常に厳しく受けとめまして審議会の答申を得てやっているわけであります。
○北側委員 要するに、私はこの数字を見て思いますことは、我々が真っ先にやるべきことは腐敗防止である。五年間で二万件もの有罪の買収事件、実際はどれだけあるかわからない。この数字を聞いてやはり我々が真っ先にやるべきことは、腐敗防止対策ではないかなというふうに思います。 今回の法案で連座制の強化がなされたというふうにおっしゃっているわけなんですが、その内容と申しますのは、候補者になろうとする者の一定の親族、それと公職の候補者等の秘書も新たに連座制の対象になった。ところが、要件が一つついていまして、禁錮以上の実刑でなければいけないというふうに法文ではなっておるのですね。今、先ほど五年間で二万件の買収の有罪事件があるというふうに申しましたけれども、このうち禁錮以上の実刑に処せられているのがどの程度あるか、自治大臣、御存じでしょうかね。私の調べたところでは、この五年間で買収を含む公職選挙法違反全体で禁錮以上の実刑に処せられているのは合計数で四十三件です。この四十三件のうちのほとんどが買収の罪であると考えましても、二万件のうちのたった四十件程度しか、有罪になった者のうちの四十件程度しか実刑になってない、〇・二%です。自治省、この数字間違いないですか。
○吉田(弘)政府委員 これも司法当局の資料によりますれば、御指摘の数値になるかと承知をいたしております。
○北側委員 買収の罪を犯して裁判所で有罪となっている二万件、最近五年間のこの二万件のうち、実刑となっているのは約四十件、たった〇・二%、総理、こういう数字なんです。さらに、この実刑判決を受けた者で親族とか秘書の身分を持つ者というのは皆無です。このような過去の例からいって、今回の改正案の内容で政府の方は連座制の対象を拡大したというふうにおっしゃっているのですけれども、この規定によって連座制が働いて腐敗防止の実を上げるということは全くないというふうに私は断言できます。大臣、いかがですか。
○吹田国務大臣 御指摘の点はよくわかりますが、ただ、それにはそれなりの理由もありますからこういった程度にしておりますが、それはやはり有責性というものも、第三者いわゆる他人の有責性というものを考えますと、必ずしも全部連座に持っていくわけにはいかないわけでありますから、その点も考え合わせて最大限の、いわゆる候補者と候補者になるべき予定者というところまでも入ったわけでありますし、そういった点からいきますと、私は最大限の強化をしておる、現状におきましてはそういう認識を持っております。それで相当なこの効果はあるものだというふうな判断に私自身は立っております。
○北側委員 今せっかくこうやって私数字を詰めていっているのですよ。最近五年間で二万件の買収の罪、有罪となった事件がありました。そのうち実刑になったのはたった約四十件、〇・二%なのですね。そのうち秘書とか一定の親族というような身分を持つものなどというのはほぼ皆無なのです。実際この規定ができても連座制が働くことというのはないのです。
○吹田国務大臣 今度の改正内容につきましては、過去と違います点は、少なくとも連座制が適用される候補者、これにつきましての内容強化が非常に強くなっておるということは御承知のとおりだとは思いますが、私の方から言わしていただきますと、連座制の裁判の確定した後は当該の公職にかかわる同一の選挙についての五年間の立候補制限をするとか一あるいは候補者の親族ということであったり、いろいろ秘書というふうに言われておりましたけれども、それは立候補予定者の親族ないしは秘書といったところまで連座の対象を広げてきましたし、私は、少なくとも裁判の進行につきましても、相当なスピードで百日裁判の現実の姿をつくり上げようというようなこと等をやっておりますし、いわゆる選挙の主宰される責任者、こういった選挙責任者等が連座にかかわるということは当然でありますけれども、それ以外の者の親族とかあるいは秘書とかいうものもすべて連座だということにつきましては、先ほど申し上げましたような有責性の限界というものを考え合わせますと、慎重にやらなければならないのではないか、こういうふうに考えたわけであります。
○北側委員 総理、ちょっと聞いていただけますか。総理ちょっと今度を外されたうちに少しお話させていただいたのですが、今回の連座制の強化規定がされております。その内容というのは、新たに連座の対象となる人をふやしたわけなのです。それは、公職の候補者となろうとする者の一定の親族プラス公職の候補者等の秘書、この二つについて新たに連座の対象とした。ところが、その要件として別に一つ加わっておりまして、買収等の罪を犯して禁錮以上の実刑判決を受けた場合に限るというふうに、そういう要件が入っておるわけです。ところが、最近五年間の公職選挙法違反の中の買収の罪によって裁判所で有罪となっている件数が二万件ございます。そのうち実刑となっているのはたった四十件前後しかない、〇・二%程度なのです、これは自治省も認められたのです。〇・二%程度なのです。自治省がさっき認めたわけなのです。この〇・二%、四十件のうち秘書とかそれから候補者の親族というような身分を持っている人などというのは皆無なのです。総理、要するにこの連座制の強化といってつくった規定が実際は連座の機能を果たさない、そういう規定だということを私申し上げているんです。総理、いかがですか。総理、答えていただけませんか。
○海部内閣総理大臣 今回のこの連座の規定と、それからきょうまでの、何というのですか、実際に立証されて有罪となった者の数を今お示しになっての感想を求められたわけですが、私は、これから先に向かってこのようなことをしてはいけないし考えてはいけないということの範囲を法律でこうきちっと広げたこと、同時に、そういったことがあれば立候補の五年間の制限というようなものも新たに当選無効に加えて出てきますよということは、これは一つの、何というのでしょう、私も学生中に習ったことですから的確かどうか知りませんが、こういうことをしちゃいかぬよという規定をきちっと置くことは、フォイエルバッハが唱えておったあの心理強制説みたいなもので、ああいけねえなあ、ここでとどまろうという抑止効果というものも大きく出てくるのではないかと思いますし、やっていけないという規範をきちんと込めること、これは大事なことではなかろうかと私は思いますから、こういうことにひっかかるような行為を、もう秘書や候補者になろうとする人や議員は絶対にしないという戒めになってくるのではないでしょうか。そのように今やりとりを聞かせていただいておりました。
○北側委員 私の今申し上げた統計の数字から明らかなように、今回の連座規定は腐敗防止の実を上げることはないというふうに私は断言できると思います。なおかつ立候補制限というふうにおっしゃっていますけれども、立候補制限が働く前提として連座が働かないといけないのですから。その連座が働かないというふうに私申し上げているんですよ。これまで連座で国会議員が当選無効となったのはたった一件しかないんですよ。今回の新たな連座制の強化をされてもふえません。そういう意味では、今回その連座制の強化をして腐敗防止の対策を図ったんだというのは私は見せかけであるというふうに申し上げたいと思います。 それで、私はぜひ政府に御提案申し上げたいんですが、こんな実刑判決を受けた者に限るのではなくて、総括主宰者や地域主宰者の場合は、彼らの場合は買収等の罪を犯して罰金刑の場合でも連座制が働くわけなんです。と同じように、一定の親族や秘書の場合も、もう罰金、買収等の罪を犯して有罪になるような場合には、私はすべて連座制を働かせるべきであるというふうに思いますが、いかがですか。
○吹田国務大臣 今先生もおっしゃいましたように、選挙の責任者やあるいは出納責任者や、これはもう当然選挙を意識してその先生のためにやろうということで選挙運動をやっているわけでありますから、そこに問題が出てくればこれは当然連座になることは当たり前でありますのですけれども、親族とか秘書とかというものは、必ずしも候補者との連係プレーというものがあるとは言い切れないわけでありますから、そういう意味においての有責責任というものの限界というものを持たなきゃならぬということであって、私どもは決して連座にならないようにすべてを持っていこうというような、そういう考え方からこの法律改正を進めておるわけじゃありません。
○北側委員 自治大臣はもう少し私、勉強していただきたいと思います。一定の親族や秘書の場合は、「意思を通じて」という要件をそのために入れているわけなんですよ。だれでもかれでも親族や秘書が入ってきてはまずいから、公職の候補者等と意思を通じて選挙運動をした者に限って連座の 対象となるわけなんです。だから、実刑に限るとか限らないとかそういうところで分けるんではなくて、「意思を通じて」というところでちゃんと歯どめをつくっているわけですよ。意思を通じて選挙運動をした一定の親族や秘書である以上は、買収等の罪を犯して有罪となった場合はすべて連座の対象とすべきである。どうですか。
○吉田(弘)政府委員 今回の連座制の強化につきましては、先ほど来御指摘がありましたように、その対象となる範囲を拡大をいたしております。立候補予定者の親族、それから候補者や立候補予定者の秘書にまで拡大をしているということが一点。それから、当選無効に加えまして五年間の立候補制限を科しているというところでございます。それから、当選人などの選挙犯罪の裁判における公判期日の事前一括指定の制度化等をやりまして制裁の実効性の確保をしようということでございますが、御指摘の、連座によりまして、一定の親族や秘書についても地域主宰者等々と同じく買収の罪によって有罪となる場合はすべて連座制の適用を認めるべきではないかという御指摘だろうと思います。 そこで、これは、連座の場合は本人と一定の関係がある者の選挙犯罪等によってその制裁が本人に及ぶというような制度でございますが、現行法におきましても候補者の親族は連座の対象とはされているわけでございます。親族は、総括主宰者等とは違いまして、選挙で重要な役割を果たすことが当然には予定されているというものではないことから、連座制の適用は候補者等と意思を通じて選挙運動をした者で禁錮以上の実刑に処せられた場合に限定されているところです。今回新たに立候補予定者の親族あるいは候補者及び立候補予定者の秘書を連座の対象とすることとしているわけでございますが、同様の理由からこれらの者についても同じような要件としたのでございます。要するに、連座は他人の選挙犯罪に対する候補者の責任を問うというものでございまして、選挙で当然には重要な役割を果たすことが予定されていない者についてまでも、地域主宰者等と同様の要件のもとに連座制を適用するということは適当ではないのではないかということでこういう法案といたしているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○北側委員 ともかく現行法の腐敗防止の実を上げるための連座制の強化には全くなっておらないというふうに改めて申し上げたいと思います。それで、もう一度申し上げますが、一定の親族や秘書の場合も私は買収等の罪によって有罪となった場合すべてに連座制の適用を認めるべきである。 それで、もう一つ御提案申し上げたいと思うのですけれども、もうこれは親族とか秘書だけではなくて、私は、さらにこの連座制の対象というのは拡大しないといけないと思うのです。選挙運動人全員というわけにはなかなかいかないかもしれませんけれども、ある一定の選挙運動人の買収行為についても連座制を拡大する方向で考えるべきじゃないか。 例えば今回の法案で戸別訪問の規定を挙げられています。戸別訪問が一定限度合法化されます。私、この規定自体は大賛成でございますけれども、この十五人ですか、十五人の戸別訪問をする人についてはもうこれは選ばれた人なわけですから、この戸別訪問と買収行為というものは関係性もあるわけですから、こういうものについても連座の対象を拡大すべきじゃないか、そのように思いますが、いかがですか。
○吹田国務大臣 私はそうは思いません。
○吉田(弘)政府委員 連座をさらに拡大すべきではないかという御意見でございますが、先ほども申しましたように、連座制は他人の犯した選挙犯罪に対する候補者本人の責任を問う制度でございます。このため、連座の対象となる者は、選挙で重要な役割を果たし、また候補者と密接な関係にあると認められる者に限っているところでございます。 それで、今回戸別訪問について一定の制限のもとにこれを認めることといたしておりますが、戸別訪問に従事する運動員全員が候補者との関係で例えば総括主宰者や親族等と同様の立場にある者とは考えられないわけでございまして、これらの者にまで連座制の適用を拡大するということにつきましては慎重に検討すべきだろうと考えております。
○北側委員 もう時間ございません。政治資金規正法についてお聞きいたします。 今度の改正案では、政治家と関係政治団体との関係が公表されることになること、それから資金調達団体を二つに限定していること、それから企業献金は原則として政党への献金に限っていること、こうしたことは現行法に比べれば、不完全ではあると思いますけれども、私は一歩前進と評価をいたします。その上で御質問をさしていただきたいんですが、政治資金パーティーの規制の問題でございます。 今回の法案の中で政治資金パーティーについての規制がなされておるわけですが、この規制がパーティーの開催一回ごとについての規制になっております。私は、これはちょっと抜け穴じゃないのかな。法案では、パーティー一回で購入金額の制限が百五十万もしくは百万であったり、公開基準も一回のパーティーで六十万以上というふうな一回ごとの規制になっている。これはやはり寄附の総量規制と同じように年間の総額規制もあわせて行うべきではないかというふうに考えますが、大臣いかがですか。
○吹田国務大臣 おっしゃることはよくわかるわけです。ただ、一回一回に対してその団体がきちっと収支を報告する、内容もきちっとつまびらかにすることに義務づけられておりますから、一年に何回もこのパーティーを行うということはまずまずあり得ないのではないか、あるいはまたパーティーをやろうとすれば、私もかつてパーティーをやったことがございますが、それに対する準備やその他大変な時間が必要になるわけでありますから、そういった意味では、すべてが内容がつまびらかになってくるということになれば、それが一年に二回も三回も実施するということはおよそできない行為であるというふうな考え方に立ちまして、その都度つまびらかに報告するということになっておりまして、一年をまとめて云々するということには、今日そういう制度にはいたしていないわけであります。
○北側委員 企業献金が原則として政党への献金に限られてしまうことによって、私は、この政治資金パーティーがまた活発に行われてくるようになるんではないのかというふうに逆に思います。 もう一つ、欠陥といいますか、私、問題点だなというふうに思っているのを言わしていただきますと、この政治資金パーティーについては、収入について開催年月日等を、また収入の金額等を政治団体の報告書に記載する、これで公開を図っているわけですね。ところが、この政治資金パーティー、すべての政治資金パーティーが入るのかというとそうではなくて、特定パーティーというふうに限られていまして、収入の金額が一千万以上のものに限っている。私は、一千万以上の政治資金パーティーに限って報告書に記載義務を認めて公開をさせる、なぜ一千万円以上に限ったのか、これが理解できないのです。私の意見としては、すべての政治資金パーティーを公開すべきである、金額の制限なんか設けるべきではないというふうに思います。
○吉田(弘)政府委員 今回政治資金パーティーについての規定を設けたわけでございますが、原則として政治団体が政治資金パーティーを行うことになるわけでございますが、政治団体がパーティーを行います場合には、その金額の一千万云々ということはございませんで、すべてのパーティーについて収支報告の対象になるということでございます。ただ、政治団体でない団体がこれを行う場合には、一千万円以上のものを政治資金パーティーといたしまして、これを届け出をさせるというような規定になっているものでございます。
○北側委員 私は、この政治資金パーティーの規制が、今の状態の、今の法案のままでは、これまでの企業献金と同じく、新たな大規模な政治資金の収集手段となってしまうおそれが強いんではないかというふうに思います。この政治資金パーティーについては、総額規制、また公開についても徹底した公開制度をしていくべきであると考えます。ぜひこの点、御検討をしていただきたいというふうに思います。 次に移りますが、総理、今回関係政治団体を二つに限定することになるわけですね。政治家の名前も出てくるわけなんですが、その政治家とこの関係政治団体との関係なんですが、私は、政治家は自己の少なくとも資金調達団体に対する監督義務を認めるべきではないかというふうに考えておるんですが、どうですか。
○吉田(弘)政府委員 今回の改正法案との関係でございますが、関係政治団体の公表とその収支の集計報告の制度でございますが、これは政治家とその関係政治団体との結びつきを明らかにするということとともに、政治家をめぐる政治活動の全体を明らかにしようということでございまして、政治資金の公開の強化を図ろうというものでございます。しかし、政治家の関係政治団体は、政治家を支持、支援するものではございますが、あくまで政治家からは独立した存在でございまして、政治団体として別個に政治活動を行うものでございます。御指摘のように、資金調達団体は、その指定をした政治家のための政治資金を受けるという点では、他の関係政治団体よりは政治家との関係が深いと言えましょうが、あくまで政治家とは独立した政治団体である上に、また、政治家に監督義務を負わせるといたしましても、どの程度の指導や指揮命令を行うべきか等、そこの責任の限度を一律に定めることがなかなか難しいと考えられますので、なお慎重に検討をすべきものと考えております。
○北側委員 総理、何でこんな質問をしたかといいますと、現行法の政治資金規正法の二十五条の二項にはこういう規定があるんですよ。「政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、罰金に処する。」という規定があるんです。選任、監督義務があるから、その選任、監督義務を怠って報告書の未提出とか虚偽記載とかのような政治資金規正法違反があったような場合には、代表者も罰金に処せられることがありますよという規定があるわけなんですね。ところが、今回資金調達団体を二つに限るわけですが、この資金調達団体と政治家上の関係というのは、実態は、政治家から見ればこれは自分の政治団体であると思っているのが普通なわけですね。自分の政治団体であり、自分が管理している政治団体であるというのが事実上の姿なわけです。だから、当該政治家にもこの代表者と同じように監督義務を私は認めるべきである、そのように思うんです。いかがでしょうか。
○吉田(弘)政府委員 政治資金規正法二十五条二項でございますが、「政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、二十万円以下の罰金に処する。」ということが規定されております。これは同一団体の、同じ団体で代表者がその会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときということでございまして、先ほどの関係政治団体の場合は政治家とその関係政治団体が別個の存在でございますので、この二十五条とは同列には論じられないのではないかというふうに存じます。
○北側委員 今回、政治資金規正法が改正されまして罰則が強化されておるんですが、例えば公民権の停止等の規定もされておるのですが、これはしょせん会計責任者だけなんですね、政治家に及ばないわけなんです。これを政治家に及ぼせたいわけなんですけれども、政治家には監督義務がないというふうに言われておるから、この政治資金規正法違反に対する連座が政治家に働かないわけでございます。私は、政治家にも自分の資金調達団体に対する監督義務を認めるべきである。 最後に一点だけ総理にお聞きいたしますが、選挙制度改革案であるこの小選挙区比例代表並立制については、総理、これまで本会議、委員会もやってまいりまして、総理がいろいろおっしゃられますけれども、野党は一致して絶対反対、これまでの経過からわかるように自民党の党内からも反対の声が大きい。この選挙制度改革案の成立する見込みは私はもう全くないというふうに思います。この段に至っては廃案しかない。 総理に改めて私申し上げたいのですが、ここはもう廃案にして、一たん白紙にした上で、戻した上で、まずはこの腐敗防止、それから政治資金規正の強化をまずやろうじゃないですか。そして選挙制度については時間をかけてじっくりと与野党のコンセンサスを図りながら、国民の皆さんの声をしっかり聞きながらやっていけばいいのじゃないかなというふうに思います。そうすることが私は金権腐敗体質からの改善を一番願っている国民の意思に沿うものであるというふうに思いますが、総理いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 お述べになる御意見やお気持ちは私にもよくわかるわけでありますけれども、私どもの方としては、何度も申し上げておるように、平成元年の五月に特に自民党が厳しい反省に立って政治改革大綱をつくり、きょうまで地方にも出ていって国民の皆さんの御意見も聞きました。経済界や労働界や言論界や各界の代表の皆さんにもいろいろ御意見も承りました。私も公聴会に出ていっていろいろ地方の皆さんの御意見も聞き、また政府は、与党における二年間、三百回を超えるいろいろな御議論も聞いてまいりました。また審議会でも二年間で十分な御議論をいただいておると思っております。 そういう議論を十分踏まえた上でこの法案の提出まで来て、こうして御議論をいただいておるわけでありますから、どうか、私どもは最後の最後までこの法律はぜひ通していただきたいという強い気持ちでお願いを続けてまいりたい、このように考えておりますから、お願いをいたします。
○北側委員 以上でございます。
○小此木委員長 これにて北側君の質疑は終了いたしました。 次に、木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 私も、この小選挙区比例代表並立制導入を柱とする、今回の政府が提出したいわゆる政治改革関連三法案は、衆議院本会議で三日間質疑が行われる、当委員会においても実質質疑がきょうで三日目であります。これらの質疑を通じても、議会制民主主義に反する最悪の選挙制度だ、撤回すべきだと思うわけであります。 それは、既に質疑の中でも明らかなように、全野党が一致して反対を表明しております。今総理は、自民党の中で二年間、三百回けんけんがくがくの論議をやったとおっしゃられましたが、その結果は当委員会において、先日の質疑では自民党代表者七人のうち五人が反対、賛成を表明しない、きょうも自民党の質疑者六人のうち四人が反対を明確に表明するという結果は、もうこれは維持できないということを証明しているものではないかと思うわけであります。いろいろ反対の道筋はあろうかと思いますが、この反対では一致していると。潔く撤回されることを私からも求めたいと思うわけでありますが、総理はあくまでも撤回しないとおっしゃられております。きっぱりと火種などを残さずに廃案にすべきだと思います。 以下、そういう立場から数点にわたって質問をしたいと思うわけであります。 今緊急にやるべき課題は、選挙制度についていえば、何といっても一九八六年、昭和六十一年の国会決議に従った現行中選挙区制での定数の抜本是正であろう、これがこの国会が国民に負っている責務であり、そして、それはまた政府が国会と国民に負っている責務であろうと思うわけであります。しかし、総理は今回の小選挙区制の中で、投票価値の平等の要請にもこたえるように基本原則一対二以内という審議会の答申に従って行われた、だから国会決議の要請はこれで満たされているという立場をいまだに崩そうとしていないわけであります。しかし、既に自民党の先ほどの委員からの質問にもありますように、これはやはり国会決議のとんでもないねじ曲げだと思うわけであります。 そこで、これに関して質問します。 まず、海部内閣が成立したのが一昨年、一九八九年八月九日でありました。海部内閣が成立して初めて行われた第八次選挙制度審議会の総会が平成元年八月三日、一九八九年八月三日でありました。官邸におきまして午後二時から四時半――失礼しました、平成元年の九月十八日でありました。午後二時から四時まで首相官邸で行われているわけでありますが、ここに海部総理が出席をしてあいさつをしております。そして、あいさつの後、総理以下自治大臣を初めとする政府側と八次審の委員との間で懇談、質疑等があったと当委員会に自治省から出された第四回総会の概要には書かれております。 そこで質問いたします。 総理が初めて総理大臣として八次審に出席したこの第四回総会において、委員の側から現行中選挙区制での定数の抜本是正を急ぐべきではないかという意見がたくさん出たと思うのですが、どうでしょうか。
○海部内閣総理大臣 就任早々その第八次選挙制度審議会に就任のごあいさつを申し上げに行ったことは覚えております。同時に、そのとき委員の皆さんからいろいろな御意見があったことも記憶しております。それは、当時の背景からいきますと、前任者にこういう諮問を受けておる、政治改革はぜひやらなければならぬ、不退転の決意でやるかということで、私もそこで決意を表明したことも覚えております。
○木島委員 そのとき八次審の委員は、資料によりますと二十二名出席をしているわけでありますが、いろいろな意見が出た中で首相に一番インパクトを与えたのは、今やるべき課題は現行中選挙区制での定数の抜本是正ではないかということだったんではないんでしょうか。そういう記憶全然ないですか。いやいや、総理に聞いているのです。総理の記憶を聞いているのです。自治省関係ないです。
○海部内閣総理大臣 最初に出席して就任のごあいさつをし、お話をし、委員の皆さんからいろいろな御意見が来ましたが、とにかくきちっとやれ、審議は続けていくから必ずきちっとやれということが一番印象に残っております。
○木島委員 今の総会が一昨年の九月十八日であります。翌日である九月十九日に総理、あなたは閣議におきまして自治大臣に対して、現行中選挙区制での定数の是正をやるべきだという指示を出した記憶はありませんか。いやいや、総理に聞いているのです。閣議で総理大臣たるあなたが自治大臣に対して、中選挙区制での抜本的な定数是正をやりなさいと総理大臣として指示を出した記憶ないですか、翌日。自治省関係ないです。閣議での総理大臣の自治大臣に対する指示が出た記憶ないですか。自治省関係ないですよ。
○海部内閣総理大臣 翌日閣議で自治大臣に指示したというような覚えはございません。
○木島委員 とんでもないことだと私は思います。 私、手元に一九八九年九月十九日の毎日新聞、朝日新聞、九月二十日の毎日新聞、朝日新聞、ずっと持ってきております。大見出しは、総理が初めて総理大臣として出席した第八次選挙制度審議会第四回総会で、委員から定数是正要求が相次いだということが記載されております。毎日新聞によると非常に詳しいやりとりまで出ております。委員から、「緊急の問題として、衆院の定数配分、一票の格差がある。審議会としては本来の審議事項と切り離して緊急提言するのは適当ではないというのが大勢だったが、国会として取り組むべきだ。」ということが委員から指摘される。首相も、「重大な問題だ。来年六月には任期がくる。それまでに是正を必ずやるとは約束しかねるが、審議会の考えを示されることを期待している。」それから同じく首相は、「手をつけなければならないことは承知している。国会決議もある。違憲状態でないよう取り組むべきだと考える。」これが八九年九月十九日の毎日新聞の記事です。 そして、翌日の九月二十日の毎日新聞の記事の見出しを私読みます。「衆院定数 首相、是正を指示 自治相に 自民にも検討要求」、要するに、前日の八次審第四回総会におきまして委員からそういう指摘が厳しくなされたのを受けてあなたは翌日、自治大臣に閣議で、定数抜本是正をやるべきだという指示を出した。それが歴史的な事実じゃないのですか。そんな大事なことを、二年前の話、もう忘れてしまったのですか。
○海部内閣総理大臣 これは審議会でいろいろな御意見を聞いたと申し上げましたが、その中に一対三のあれを超えている、衆議院の定数是正を急がなければいけないではないかとか、いろいろな角度の議論が出たことはそのとおりでございました。 同時にまた、私がそのとき定数是正を必ずやるとは約束できないが、党や内閣と相談して進めていくということを答えたわけでありまして、そういう答えをしたときに横に自治大臣もたしかいたので、それが終わってから自治大臣にも申し上げ、その後見の政調会長にも、そういうやりとりがあったから考えてほしい、研究をしてみてもらいたい、こういったことを言ったことになっております。
○木島委員 そんな簡単なものではなくて、九月十九日に総理が自治大臣に定数字直しを指示した、そして九月二十六日の閣議でその指示を撤回した。その一週間というのは、あなたの中選挙区制度の定数是正をやれという指示が日本の政治の。大問題になって一週間連日、新聞は大きな見出しをつけて報じているじゃないですか。その出発点になったのは前日の九月十八日の第八次審の第四回総会、総理が出ていった総会だと思うわけであります。 ところが、当理事会に出された自治省からの、当日、一九八九年九月十八正午後二時から四時までの「選挙制度審議会第四回総会の概要」を見ますと、「内閣総理大臣、自治大臣のあいさつのあと、総理以下政府側と委員との懇談、質疑等があった。」とだけしか書いてないのですよ。総理大臣が自治大臣に定数是正をやれと指示せざるを得ないほどその日の総会では委員からいろいろな、緊急是正をやれ、抜本是正、定数是正をやれという意見があって、総理大臣をも動かす意見があったにもかかわらず、その第四回総会の概要にはその大事なことが全然報告されてないのです。こんな概要で私はまともな審議がこの委員会でできるはずがない、もう欠陥概要だと思うわけです。 自治省に聞きます。何でそんな大事なことをこの概要に書かなかったのですか。
○吉田(弘)政府委員 ただいまいろいろ御質問ございまして、総理からも定数是正問題についてのお答えがございました。そういうことでの、審議会でいろいろ御意見もありまして、この問題につきましては、定数是正は従来から国勢調査人口に基づいて行われてきておりまして、当時直近の国勢調査人口は昭和六十年のものでございました。それによる限り、御案内のように格差は二・九九倍ということになっていたわけでございまして、他方、住民基本台帳人口を用いて三倍を超えたという話になったわけですが、その住民基本台帳人口を用いて定数是正を行うことは国勢調査人口を用いる場合と異なる結果が生ずるおそれがあるということなどから、この住民基本台帳人口による、これに基づく緊急措置としての定数是正は行うことは困難であるということを申し上げ、御了解を得たところでございます。
○木島委員 実は今のは第四回総会の話であります。自治省からいただいた「第三回総会の概要」、平成元年、一九八九年八月三日午後二時から四時半まで開かれた総会ではこう書いてあります。 「前回の総会でこ前回の総会というのは第二回総会、七月二十八日に行われたものであります。「緊急を要する事項について提言をしてはどうかとの意見などがあり、一方、審議会は選挙制度等の根本的改革のための具体的な方策について諮問されているところであるので、この点の取り扱いについて相談したところ、速やかに実体面に立ち入って論議を進めこ云々とあります。要するに前回、第二回総会、平成元年七月二十八日の総会で委員から、緊急を要する事項について当審議会としても提言してはどうかという意見があった。これは内容が全然報告されていないからわかりません。しかし、第四回総会で総理が出席しているところで、朝日新聞、毎日新聞の報道にありますように、定数抜本是正をやれ、定数是正やれという意見があったということはどうも事実のようであります、総理も否定しておりませんから。やはりそういう流れがあった。そういう定数抜本是正、現行制度での抜本是正をやるべきだという意見があった。しかし、第三回総会で、この審議会はそういうことをやることが諮問されてない、選挙制度等の抜本的改革のための具体的な方策の諮問だから、そういうことはやめましょう、そういう結論になったように読み取れる総会の概要が今私どもに渡されています。 しかし、そのときに資料として「衆議院議員定数是正関係資料」が委員に配付され、選挙部長から説明がされております。どんな説明がされたのかは当委員会に全く報告はされておりません。しかし、どんな資料が配付されたがは「選挙時報」を見ればかいま見ることはできます。これは「選挙時報」第三十八巻第十号、全国市区選挙管理委員会連合会、これにずっと毎回の八次審の総会関係の報告が載っています。それを見ますと、第三回総会が平成元年八月三日午後二時から日本消防会館大会議室で行われた。配付資料として、「衆議院議員定数是正関係資料」、そこで「衆議院議員の定数是正の経緯」、「昭和六十一年定数是正(八増七減)の経緯」それから六十年十二月十九日の「坂田衆議院議長見解」、「昭和六十一年五月八日 衆議院議長調停」、昭和六十一年五月二十一日「衆議院議員の定数是正に関する決議」、先ほど来各委員から再三にわたって指摘されたこれらの衆議院決議が資料として配付された。自治省、その第三回総会であなたたちが委員にこれらの資料を配付しなければならなかったのは、やはり国会決議に基づく衆議院現行中選挙区制での定数抜本是正が委員の間でも大きな問題になっていたからではありませんか。
○吉田(弘)政府委員 ここにございますように、衆議院の定数是正の関係につきましては、現行の状況がどうなっているかということについて御説明をするということで資料をお出しして、一般的な説明をさしていただいたというふうに承知をいたしております。いわば、先ほど来からお話し申し上げておりますように、国調人口としては当時直近のものが六十年の国調しかなかったわけでございます。それは一対二・九九になっているわけでございます。その後の住基その他で動きは出てきているわけでございます。
○木島委員 質問にずばり答えてください。私の質問は、そのときの総会でこのような定数是正に関する決議の資料を審議会の委員に配付しなければならなかったのは、そういうことが問題になっていたからではないかという質問であります。先ほど来、何が諮問されたかが問題になりました。前宇野総理は一体国会決議については諮問したのかしないのかがまさに問題になりました。それで聞いているのです。ずばりそこを答えてください。
○吉田(弘)政府委員 先ほど来申しましているように、定数が国調人口では三倍以内になっているわけでございますが、その他の資料で出てくる。そこで、緊急提言というような話も出てきているわけでございますので、実態を御説明をしたということでございます。
○木島委員 緊急提言という話も出てきた。その緊急提言というのは、国会決議に基づく現行中選挙区制での定数抜本是正という意味ですか。
○吉田(弘)政府委員 抜本ではございませんで、抜本是正は国調人口ですね。今回のはそうでなくて、緊急に是正するということで、先ほど来住民基本台帳では従来なかなかやったことはないということを申し上げましたが、そういうものでございます。
○木島委員 わかりました。しかし、もっと真実を知りたいので、どうしても私は八次審の議事録、速記録を全部公開されることを改めて求めたいと思います。 さてそこで、話を先ほどに戻します。 新聞報道等によれば、一昨年の九月二十日に、総理が自治大臣に、緊急是正というのですか、定数の緊急是正指示を出したということで大きな問題になりまして、内閣の中でも問題になった。自民党の中でも大きな問題になった。結局それが決着を見るのが一九八九年、一昨年の九月二十六日の閣議であったということが報じられています。要するに、それは総理がその指示を引っ込めたということで決着がついたというふうになっているのですが、総理、記憶ないですか。
○海部内閣総理大臣 そのようなことで、むしろ閣議というよりも、政府・与党首脳会議なんかの場合に、私は当時の自治大臣、政調会長に、こういった御意見が選挙制度審議会でもあったけれどもということを言い、また、そのことについてはどう考えているかといろいろ言ったのでありますが、そのときたしか自治大臣から、従来から国勢調査人口に基づいて定数是正は行っている、最新の国勢調査人口は昭和六十年のものであり、それによる限り格差は一対三の中におさまっていたことと、あのときたしか審議会で問題になったのは、当時発表になった住民基本台帳人口に基づきいろいろな御議論があったと思います、そして、それをもとに定数是正を行うことは困難であるということをるる説明されて、私は、わかった、それでは今後とも努力をしていこう、こういうようなやりとりをたしかしたと今思い出しております。
○木島委員 いや、そんな簡単なものじゃない。一昨年の九月二十六日の朝日新聞の夕刊。大見出しで、「衆院定数 緊急是正、首相が断念 各党協議に任せる意向」こんな大きく出ているのですよ。それで閣議の模様も伝えられています。閣議の中で渡部恒三自治大臣は、「海部首相から定数是正の緊急対応措置に取り組むよう指示されていたことについて、①今までの是正はすべて国勢調査を基に行ってきており、住民基本台帳で変えた例はない」。国勢調査ではやってさた、住民基本台帳を基本にして定数是正をやったことはないんだということが一つ。「②政府が政府提案として改正法案を出すのはなじまない、として「(定数是正は)与党はもちろん、野党も含めた国会の場で検討すべきだ」と述べこれは自治大臣が閣議で述べた。そして「政府として定数是正を行うのは難しいとの考えを示した。これに対して首相は「自治相の報告はよくわかった。今までの経験を踏まえてみると難しいことではないか」と述べ、自治相の報告を基本的に了承した。」これが決着、であります。それは事実だったんじゃないでしょうか。
○海部内閣総理大臣 それは、先ほど申し上げましたように、私のそういった相談を受けて自治大臣がいろいろの経緯を話され、それは国勢調査人口に基づいてきょうまでは行ったんだから住民台帳に基づいてやるのは困難であるという結論を、それは閣議で聞いたかもしれません。ただ、私は党の政調会長ともいつもそのことを話しておったという記憶がございますから、むしろ政府・与党の場で私は問題を報告し、検討するべきことはないだろうかと指示をしたけれども、あるいは、閣議の場で自治大臣がそういう報告をしたと書いてあれば、そうであったかもしれません。
○木島委員 非常に重要な歴史的事実は、海部総理が総理大臣となられて初めての八次審総会に顔を出した、そうしたら八次審の委員から、緊急にしろ定数是正をやってほしい、やるべきではないかと言われた、そして翌日、総理が閣議で自治大臣に指示した、そう書いてあります。そして一週間後に自治大臣から国勢調査の結果に基づいてやるべきなんだということを言われ、それはもっともだということでこの一件は落着した、そういう事実が残っているということであります。私は、 総理がその時点で衆議院現行中選挙区制での緊急定数是正を指示したというのはいいことだった、なぜそれを貫かなかったのかと思うわけであります。 実は一九八六年の十一月に八五年、昭和六十年に行われた国勢調査の確定値が発表されました。最大一対二・九九でありました。ところが、次の国調はいつかというと、九〇年、昨年の十二月十九日に昨年行われた国勢調査の速報値が発表されております。それは御案内のように最大格差が広がりまして、一対三・三八倍にまで広がってしまった。これはもう最高裁が言う明確な違憲であります、憲法違反であります。そうしますと、私が今指摘した、総理が総理大臣になられた直後の一週間のいろいろな政治経過から見て、自治大臣の報告から、国勢調査の数値でやるべきだ、住民基本台帳では動くべきではないということを言われて、それに従って緊急定数是正の指示が撤回されたという経過から見ますと、少なくともその脈絡からする限り、昨年十二月十九日に国勢調査の速報値が発表され、そして、それは三・三八倍というもう明確に違憲の数値が出てきているわけでありますから、まず何はともあれ海部内閣としてはこの定数是正にこそ真剣に取り組むべきではないかと、この歴史の経緯から見て思わざるを得ないのですが、どうでしょう。
○海部内閣総理大臣 定数是正についてはきちっとした対応をし取り組んでいかなければならないという考えに立って、今回の提案しております法案をお認めいただければ基本原則一対二というところでおさまっていく、今よりもさらに目的を果たすことができる、このように考えておりますので、お願いをいたします。
○木島委員 それがもう国会決議のねじ曲げであるということは、各党の委員から再三指摘された、自民党からも指摘されたことではなかったかと思います。 もう時間がないからやめますが、私ども日本共産党は、本年の四月二十一日、「最悪の選挙制度=小選挙区制導入を阻止し、違憲の定数格差をただちに抜本是正するために」という具体的提案をしております。そこで、すべての選挙区を定数三ないし五人区として例外をつくらない。そして、私どもは一対一・五を最大格差として一票の価値を平等にさせる。そうしますと、三十四選挙区を合区する、九選挙区を分区する、四十一選挙区で再編する、合計八十四の選挙区をいじればこれはできる。どんな困難があろうとも、我々国会議員、各党はこのみずから決めた国会決議にしっかりのっとって、まず現行中選挙区制での定数の抜本是正をやることこそ国民に対する国会の責務であるということを重ねて主張いたしまして、質問を終わります。
○小此木委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。 次に、川端達夫君。
○川端委員 先般の委員会始まりましてからのいろいろな議論の中で何度も出ておりますけれども、総理の御答弁を何度も伺ったのでございますが、どうしても理解ができないといいますか納得できないので、またかとお思いでしょうが、観点を変えて、総理の政治姿勢に基本的にかかわる問題だというふうに思いますので、お伺いをしたいと思います。 六十一年の五月二十一日に、国会は定数是正に関して決議をいたしております。この決議を幾ら読んでも、暫定的な定数是正を違憲判決の中でやったけれども、それはまさに暫定的なものであるから、将来にわたって中選挙区制のもとで、しかも臨時的につくった二人区・六人区の解消をする中で抜本的な是正をする、いわゆる中選挙区制のもとで抜本是正をするということが決議をされた趣旨であるというふうに理解をするのでございますが、この中選挙区制を前提とした定数是正の決議であるということに対しての総理の御見解を改めて伺いたいと思います。
○海部内閣総理大臣 先ほど来申し上げたと同じことになって恐縮ですけれども、衆議院議員の定数是正に関する昭和六十一年の決議の中に書いてあります一番焦点と申しますか大切なことは、まさに一票の格差の是正の問題であった、このように受けとめます。そして、その後のいろいろな経過の中で抜本的な定数是正を行うことが政治改革をなすために必要である、こういう判断になりまして、この法案をつくりお願いをしたわけでありまして、この法案を通していただければ定数是正に関する決議の目指された精神というものはここに生かされることになる、私はこう考えて御答弁さしていただきました。
○川端委員 国会決議の精神がこの政治改革法案で通れば実現するかどうかということをお尋ねしたのではなくて、この決議自体が本来意味することは中選挙区制を前提としたものであるということに対しての御見解をお伺いいたします。
○海部内閣総理大臣 そのときの状況、その他からいって、ここに二人区・六人区の解消ということも出ておりますから、私は、委員のおっしゃることもそれは一理ある説である、このようにお聞きいたしますが、しかし、政治改革を抜本的にやろうという長い間の議論、経緯の中で、どうしても国民の皆さんの不信を解いていくためには政治とお金の問題の関係に入ってきて、それをやるのはやはり抜本的な制度改革まで踏み込んでいく必要があるんだ、こういう結論になり、審議会の答申等もいただいてこのような法律にしたわけでございます。
○川端委員 いろいろお尋ねしたいのですけれども、そのときにやはりこれは立法府の意思として決めたことでございますので、今総理は、私の言うそういう中選挙区制を前提とした決議であるという説が、ちょっとあれですが、一理ある説であるというふうにおっしゃいますけれども、総理自身が今政治改革法案をお出しになったことが、この中身をしんしゃくしていろいろやらなければいけないということはおきまして、政府の立場としては、総理の解釈として、いろいろな説の中にそういう説もあるということではなくで、この決議は中選挙区制を前提としたものと解すべきものであるということをおっしゃっていただきたいのです。そうであると思っておられるのか、違うと思っておられるのか、どちらなんでしょう。
○海部内閣総理大臣 当時のこの文面からいけば、念頭に想定されておったという御主張はそれはそうだろうと考えますと言いましたが、しかし、それからいろいろな事態の変化の中で、さらに抜本的な改正をしていかなきゃならぬということで制度の根本的な改革にまで触れていった。ただ、その根本改革をやるための法案の中に、この中に出ております定数是正に関する決議の最も大切とされた一票の格差の問題についてもあわせて措置できるようになりました、こういうことを申し上げておるのです。
○川端委員 ということを今お聞きをしまして解釈をいたしますと、国会決議は中選挙区制の抜本的な定数是正をやるべしというものであった、今回の法律は小選挙区比例代表並立制を中心とするものであるから国会決議の趣旨には沿ってはいない、しかし、行政府としていろいろなその後の出来事、政治改革を本当にやろうとすると、国会決議はあるものの、一番政治改革のためにやるにはその国会決議には反するけれども、新たな立法府の見解を求めるという意味でこの法案を出したというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
○海部内閣総理大臣 昭和六十一年五月二十一日の決議は、題名にも書いてありますように、「衆議院議員の定数是正に関する決議」、こうなっております。そして「選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。」こうなっております。 私は、国会の御決議は尊重しなければならぬと申し上げてきましたし、これは尊重いたしておりますけれども、ここに示されておる定数是正という大きな目的、大きな趣旨に関しては、今回の措置によっても一票の格差の問題については大幅な是正が行われる、精神、趣旨に沿っているという ことを申し上げておるわけであります。
○川端委員 そういう文章を引用されておっしゃるのであれば、「二人区・六人区の解消」というのはどういう趣旨で書かれたと御理解されておるんでしょうか。
○海部内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、その言葉があるというときは、当時の起草の中に中選挙区を想定されておったというお説は、そのとおり一理あるものと受けとめさせていただきます。
○川端委員 ですから、立法府の意思と行政府の提起が違うということは私はあってもいいと思うのですよ。現にこれは与党の先輩議員に教えていただいたのですが、日米繊維交渉のときに、国会決議としてはそういうことをしないという決議をした、しかし、日米繊維交渉が締結をされた。それを承認を求めるときに、政府としては国益を配慮する中でそういうものが妥当であると考えたからということで新たに立法府の意思をお尋ねになったということで、国会は結果としてはそれを承認したわけだから、新たな意思が決定をされたということであると思うのです。ですから、私は国会決議は、これは明確にだれが読んでも、そしてその過去の経緯もいろいろ調べてみたのですが、その前の議長裁定あるいはその前の議長見解あるいは定数是正協議会の設置、公選特の委員会の議論、そのときの決議等々踏まえて、どれだけ読んでも、これは現行中選挙区制度のもとにおける定数是正をきちっとやりましょうということであって、これが小選挙区制を柱とする、今与党の提案されるものとは趣旨が違う、形としては違うということは明らかだと思うのですね。ですから、私は、総理の姿勢としてそれを違うものを出したからけしからぬと言っているわけじゃないのですよ。国会では中選挙区制できっちりやるということを決議をされております、しかし、その直後にリクルート事件が起こりました、そして、与党も政府も含めて定数是正を考えたけれども難しかった、そして、本当に考えたときにはこれが一番いいと思う、だから、国会決議には沿わないけれども、政府としては改めて立法府の意思を聞きたいので提案をしたとはっきりおっしゃるべきではないですか。趣旨をそんたくしているからとかそういう姿勢ではなくて、私は明確におっしゃるべきだと思うのですが、国会決議と違うということは明らかじゃないですか。いかがですか。
○海部内閣総理大臣 私は、先ほどから申し上げておりますように、この衆議院議員の定数是正に関する決議というものが昭和六十一年五月に行われたこと、そのときの状況等を踏まえて、今のお言葉にあるように二人区・六人区の解消ということは中選挙区を念頭に置いておやりになったものだということも一理あるお説である、そのように受けとめます、こう申しました。けれども、定数是正に関する問題の決議があって、その後いろいろ事情があったというふうに簡略に申し上げましたけれども、抜本改正をしなければならぬという必要に迫られ、そのような検討をし、政府の出した法案の中にはこの決議の趣旨に沿う面も極めて大きくあるわけでありますから、一対二未満の原則に従ってお願いをするということで経過してまいりましたから、この決議の趣旨にも反することはないというように考えておるのであります。
○川端委員 何か途中でロジックがおかしいのですね。その二人区・六人区の場合には一理がある、一理があるじゃなくて、これはそのとおりなのですよ。そして、その国会決議の前段も含めて、これは五十八年の十一月七日の最高裁の違憲判決を受けて、その後国会で各レベルで御努力をされて六増・六減案を自民党がお出しになり、野党もいろいろな角度で議論していった中で、そのときに、例えば議長見解なんかでも小選挙区制はとらない。この中で、議論で一番問題になったのは、二名区というのは小選挙区制に入るのか、中選挙区制の枠内なのかということが最大の議論であったということが記録にも残っております。そういうことからして、この趣旨をあるいはその結果としてもたらす効果ということではなくて、これは小選挙区制をとらないという前提の中で決議をされたということは明らかだと思うのですね。ですから、今小選挙区制を中心とするものを出されたということ自体は、この国会決議とは異なるということは明らかじゃないですか。どうですか。
○海部内閣総理大臣 私どもはあらゆる角度からいろいろ議論をした結果、抜本改正をして小選挙区比例代表の並立制というものを行うことが今政府が主張しておる政治改革を達成するためにはぜひ必要なことである、かように判断して法律案を提出いたしておるわけでございます。
○川端委員 それはもう百回ぐらい聞きましたのでよくわかっておるのですけれども、そのときに総理は、私、前回質問したときも申し上げました。けれども、内閣の命運をかけてというその意気やよしと思います、一生懸命考えておられる。しかしそのときに、本当に政治が今信用を取り戻さなければいけないという原点でお考えのときに、国会決議と明らかに違うときに、国会決議に反してはいないしその趣旨をそんたくしてということをおっしゃってやられるべきではなくて、国会決議は小選挙区を排し中選挙区で考えているけれども、それはそのときの立法府の意思として尊重をしたい、しかし、その直後に起こったいろいろな出来事を含めて政治改革の必要性を考えるときに、総理としては、あえてそのときの国会の意思とはそぐわないけれども結果としてもたらされる効果はそれよりも、総理の立場で言えばそれよりもはるかに有効であり、大きなものとして今回の法案を考えた、だから新たに立法府の意思を問い直したいという、真っ正面から正々堂々と問いかけられるのがまさに内閣の命運をかけてやりますということではないのですか。何か国会決議にも反していないと言われたら、明らかにそれは違いますよ。そういう姿勢で政治改革に取り組まれるべきではない。内閣の命運をかけるという重い言葉を使われた以上は、その姿勢が大事ではないですか。 東京サミットのときにヘリコプターの云々というのをこの前お話ししましたけれども、あれもどれだけ読んでも「その他政令で定める」というのが難民輸送に使えるとは、普通に読めば読めないのですよ。それでも「その他政令で定める」ということで難民輸送をするんだという、同じような姿勢を私は感じてならないのです。物事には真っ正面から、総理は一生懸命やっておられる、よくわかりますよ。そうしたら、なぜ正々堂々とおやりにならないのですか。いかがですか。
○海部内閣総理大臣 正々堂々と法律をつくってお出しをして、毎日御質問をいただいておるのだと思いますし、この問題については、国会の決議をどうするかという御質問がありましたときにも、私は国会の決議は尊重させていただきますということを言ったわけでありますが、しかし、今出しております法律というのは小選挙区比例代表並立になっておりますし、この問題は、その後のいろいろな状況等を踏まえて、これが最善と思って政府は出してお願いをしておるのですから御理解をいただきたい、こう言い続けてまいりました。
○川端委員 もうくどいですからやりませんが、この文章を読んで、そして一連の経緯を見たときに、その国会決議を尊重して出してきたという言葉は、非常に残念でありますし、むなしい思いを持ちます。 時間がわずかしかございませんので次に移りますが、政治改革の非常に大きな眼目として、政権交代可能な状況にしなければいけない、いろいろなところでおっしゃっておりますし、私もそのことに関しては同感だというふうに思います。そのときに、政権交代可能な状況をつくるときに、選挙制度が今中選挙区制よりも小選挙制の方がいいんだというお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 現実の問題として、中選挙区のもとで近年政権交代は行われてきませんでした。そして、いろいろと政治に対する緊張が欠けているとかいろいろな御批判もいただいてまいりました。ただ、率直に言えば、本音を言えば、私どもは政権交代をみずから望むものではありませ ん。大いなる政策努力をし、その努力によって政権は維持しなければならぬとかたく決意しておりますけれども、しかし、先進諸国の議会制民主主義の中では時々与党、野党の交代があったり、また議会制民主主義というのは政権交代というものを前提としながら選挙が行われるということもございます。そして、小選挙区というのは民意を敏感に反映するものである、政権交代の可能性を生むものであるということも言われますが、それは大政党に有利ではないか、あるいはまた、比例代表制というのは民意を直接反映するけれどもいろいろ不安定な状況も起こるのではないかという説もございます。 私は、政権交代の抽象的可能性というものは小選挙区にし、それに比例代表制を並立させることで生まれてくるんだという審議会の答申にも、全く同感をしております。そういったことが政治の緊張状況も生まれるでしょうし、与野党間においても政策的な歩み寄りと申しますか、政権交代を前提としたいろいろの動きをなさっておるわけでありますから、そういう抽象的可能性が生まれることは緊張感が出てくるという説に、私も賛成をしておるところであります。
○川端委員 先進国、例えばイギリスなんかで小選挙区制をとっている、そして、ときどき政権交代が行われるということは事実だと思います。そのときに、その小選挙区制をとる以前あるいはとっている現状の中で存在する政党の基本的な差異といいますか、いわゆる政権を交代させるということと、主には二大政党を念頭に置いておられると思うのですが、そのときにその国の政治的な構造、政党の勢力あるいは考え方というものがどういう政治構造の国であるのかということと非常に密接に関係をしているのではないか、どんな国のどんな政治構造の状況であっても小選挙区制にすれば政権交代が起こりやすくなるということではないのではないか。というふうに私は思います。政権交代は選挙制度にも非常にリンクをするでしょう。しかし、それ以上に、その国の各政党の政治構造がどういう状況であるかということの方が非常に大きな影響を持っているというふうに私は考えるのですが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 お説のとおりだと思います。
○川端委員 最近はどうかはいろいろな評価がありますが、長い間二大政党のもとで政権交代が起こり、そしていわゆる小選挙区制が比較的よく機能したと言われるイギリスで、ロンドン大学のラスキ教授は、「イギリスで議会主義の成功した一つの条件として二大政党が基本政策において一致しておったことをあげている。即ち自由党が自由貿易を行えば保守党は労働組合を公認しこ要するに反対側の立場を認めていくということですね。そして、「一八三二年自由党が選挙権の拡張を行えば一八六七年には保守党がこれに同調するというように、二大政党とも政策の遂行について意見の根本的対立を見なかった。二大政党制下では政党は、その拠って立つ社会基盤を同じくすることが前提となる。従って政党の政策が何等かの相違があるにしても反対党との政策上の妥協が試みられる余地を残しておくことが必要である。」 結局、総理がよくおっしゃる、国民に政党本位、政策本位の選択を行ってくださいと言うその大前提として、イギリスでうまくいったというのは、基本的な国の政策においてはその二大政党で、そこで選択を行っていないということなんですね。そういうものに関しては、二つの政党があるけれども国の基本政策は一致をしている、そして、その後の政策において、その政策の順番づけでありウエートづけであるという部分で選択を行うということでこの仕組みが非常にうまく機能をした、そういう背景であるから機能をしたというふうに言われているわけです。 私は、今の日本の政治構造を考えたときに、自民党と野党第一党の勢力比、まあ御案内のとおりでございます、相拮抗するとはいえない、そういう状況の中、しかも日本の国の基本的な政策においても随分相違がある、そういうふうな中で日本の政治が今動いているというときに、果たしてイギリスで非常にうまくいった小選挙区制の選挙が、たとえ政党本位、政策本位で争うということにしても今の日本の政治構造になじむであろうかということをいったら、私はなじまないような気がするのですが、いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 それは、るるお述べになりましたように、それぞれの国の歴史や社会や文化や、そういったようなものの中から生まれてくる政党のあり方とか政策の問題でありますから、イギリスのその例を直ちに日本へ持ってきてやってうまくいくとかいかないとかいうことは、これは御説のとおり即断はできませんし、また、それぞれの国で選挙制度というものはそれぞれ違うわけでありますから、日本は、やはりそういった意味でイギリスの制度をそのまま。取り入れるとかいうことではなくて、少数意見が国会に反映されるようにするにはどうしたらいいか、イギリスの小選挙区制プラス比例代表の並立制ということにそこは変わってきているわけでありまして、そうして、いろいろな意見が反映されるように仕組みとしてはなっておる。イギリスとも違いますし、そのようなことでやっていきたいとお願いをしておるところであります。
○川端委員 しかし、今並立制でイギリスと違うとおっしゃいますけれども、メーンの六五%の部分は小選挙区で選ぶという部分においては、小選挙区制の機能が非常に働くということは事実なんです。その部分において、日本は全くその政治構造として、政治土壌として異なるときにこういうものを導入するということ、しかも、そのときの効用として政権交代、まさに比例部分で政権交代のドライビングフォースがかかるわけではないわけですから、小選挙区で鋭敏にかかるというときに、日本のこういう政治構造の中でやれば、総理がいかにいろいろおっしゃっても、やはり今の与党が圧倒的議席をとってしまうという日本の政治構造であるというのは、私は事実だと思うのです。 そこで、時間がもうなくなってきましたので、きょう、あと江田委員が質問をされます。それで合計十一名、質問をするということになっております。私はおしりから二番目ですから。江田委員がどういう質問をされるかは全く承知をいたしておりませんが、政党の立場としては政府提案に小選挙区制度に関しては反対だとおっしゃっている。十一人の中で賛成二名、賛成の立場での質問が二名、選挙制度仁関して反対の質問が九名、質問時間で言うと四十五分対五時間十五分という現実があるわけなんですが、きょうで三日目でありますが、その部分の甲論乙駁いろいろありました。そういう状況をどのように認識し、感想をお持ちでしょうか。
○海部内閣総理大臣 そういうことは、私自身がここで質問をお受けしたわけでありますから事実として認識いたしますけれども、中には随分温かい御激励もあったなということを考えております。
○川端委員 会期も、御案内のとおりもうわずかになりました。そして、現実として与野党間わずいろいろな議論が百出をしている。もちろん、総理に頑張れということもございましたし、一回出直すべきではないかという御意見もございました。そういう部分では、現実問題として、先ほどもありましたけれども、この法案が成立するということは不可能であるという状況だと思います。どうかとお尋ねしますと、何とか御議論をいただいて成立によろしくお願いしますとお答えになるというふうに思うのですが、現実に、この政治改革の場合に、そのほかの政治資金の問題、連座制等々を含むほかの選挙制度の問題、公的助成の問題も提案をされているわけです。 そこで、この政治資金規正法の改正に関する各党のこの委員会での議論、それから連座制等々その他の選挙制度に関する議論、そして公的助成に関する議論、もちろん反対の政党もございました。しかし、主には、野党の中にももう少し厳しくきっちりしたものにしたらどうかという、いわゆるその法律の改正の趣旨は理解をするという中での議論が私はほとんどではなかったかというふうに思うのですが、この残りの、選挙制度をのけた部分の政府提案に対する与野党の議論に関してはどのような所感をお持ちでしょうか。
○海部内閣総理大臣 御指摘のように、いろいろな角度からの御議論があり、またそれぞれ政治改革に対して、制度の問題を除けば、皆さんが、いろいろな強弱はありますけれども、それはともにやろうというスタートラインに立っていただいておることが多いんではないか、このように受けとみておりますが、政府といたしましては、そのようなことを含めた、その最大の、政治改革の根源に触れる根本的解決をするにはこの際選挙制度のことにも触れなければならない、こう思ってお願いをしておりますので、どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
○川端委員 選挙制度審議会の会長あるいは副会長、委員長に来ていただいて、公職選挙法の改正に関する特別委員会でいろいろ勉強さしていただきました。そのときに、佐藤先生に来ていただいたときに、私は、答申としては一体的になっているということはそれなりに理解する、一部何となく違うかなという部分もあるけれども。しかし、そういう部分で、前提として、お金にまつわる問題とか、罰則の問題とか、そういう、どんな選挙制度においても共通的にやらなければいけないということは、分けてでも、優先順位をつけてでもやるべきではないか、一体というものに選挙制度審議会としては最後までこだわられるのか、こんな趣旨の質問をいたしました。そのときに、佐藤先生から、これは、一体というのは、選挙制度審議会は衆議院も参議院も一緒にやるというのも含めて一体でございますから、政府提案はそれを外れているからそれだけでも趣旨に沿ってないわけですけれども、「私どもの本旨といたしますのは、やはり全然、全部が全部それこそ一体として実現しないということになると、これは本意ではございません。ですから、その意味で、もしも部分的な点で実現が可能であり、またそれは早期に実現できるということであれば、それはあえてそれに反対ということを申し上げるつもりはございません。」云々ありまして、その後、ちょっと省略しますけれども、しかし、それだけやってあとができないというのは困るという意味では一体だというふうな御趣旨でお述べをいただいたというふうに思います。これは非常に私はよくわかると思うのです。まさに今そういう時期に来ている。 総理おっしゃったように、ほかの法案に関しては、各党かなりの部分においてはベースを同じにして、あと一歩詰めたらできる、早期に。しかも、それは国民の願っている政治改革のかなり大きなウエートを占めている部分なんです。そして、選挙制度はなかなか議論が与野党含めて難しいというときには、それは別の、もう少し土俵をかえて議論をする、そして、そのほかの法案に関しては何とか合意してつくっていこうではないかという姿勢が選挙制度審議会の趣旨でも私はあると思いますし、国民に対する、政治改革を内閣の命運とするとおっしゃった総理の責任でもあると思います。全部一緒でなかったら全部パアなんだという姿勢をおとりになるべきではないと思います。 最後に、そのことをもう一度確認して、終わりにしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 政治改革というものは非常に大きな問題でありますから、やはり政治改革をお願いするとき、同時にそういった必要性が社会からも問われておるとき、このときに抜本的に思い切ってやらなければならない、政府はそう考えて、先ほども御議論の中で申しましたが、倫理に関し、事の性質上国会で、各党間でお決めいただくのがふさわしいという、倫理に関する、資産公開法などの問題については議会制度協議会での適切な御議論を強く求め、それ以外の問題については選挙制度審議会の答申によって、一括してここに法律を三本にまとめて出させていただいた、こういうことでございます。
○川端委員 終わります。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて川端君の質疑は終了いたしました。次に、江田五月君。
○江田委員 きょうは、ピンチヒッターで質問をいたします。 総理、自治大臣、長工場ですが、私の質問時間、十分と限られておりますので、しかし総理と政治改革の議論をするよい機会を与えていただいて、大変光栄と思っておりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。 政治改革が我が国の政治にとって最も重要な、しかも緊急の課題の一つであること、これはだれも異論がない。しかし、何が政治改革かというと、これは答えが一つでないんですね。政権交代がなく、議会制民主主義の制度がその妙味を発揮できていない、これをどうするか、あるいは政治が金に汚れて利権の構造が目に余る状態になっている、これをどうするか、いずれも私たちが何とかしなければいかぬ課題であると思います。この二つが不即不離のものか、それともそこにおのずから順序があるのかというのも、今の川端さんの質問のとおり議論がある。 私は、選挙制度の改革によって有権者の投票行動が変わる、そのことによって政治と金の結びつきが断たれるということは、これはあると思います。思いますが、しかし、これもあくまで可能性の話だし、もっと直截に政治と金の結びつきを断つこと自体に取り組む必要はある。この点は、同僚の菅委員が既に強調したところでございます。 そこで、きょうはそのことを前提として、さらに前へ進んで、選挙制度自体について質問をいたします。 私も、総理、理由は必ずしも同じではないかもしれませんけれども、現行のこの中選挙区制度が、いわゆる制度疲労、これを起こしているということについては総理と同じような感じを持っております。思い切って中選挙区制度に手をつけるときが来ているんじゃないか、この点、同じ気持ちでおります。 戦後、今日まで四十数年、現行中選挙区制度で何回も総選挙を重ねてきた。総選挙の最大の課題というのは何かというと、これは国民に政権を選択してもらうことですよね。国民にどの政権がいいのか選択してもらう、これが総選挙の最大の課題。ところが、これまで時の政権担当政党が窮地に陥ったことは何度もあったけれども、結局その都度政権交代は不発に終わってきました。その理由はいろいろあると思います。しかし、政権交代が一度もなかったこと、一度もといいますか、戦後すぐはちょっとありましたけれども、なかったというのは、これは確かで、私は野党の一員として考えてみても、その理由の一つにやはり現行中選挙区制度というのが挙げられる、これは率直に思います。 この制度が余りにも金権、利権、地縁、血縁が効果を発揮し過ぎる制度である、この点に得意わざを持つ人が当選しやすい、こうして当選した人々がその地位を保持するために政党をつくって、その政党が永久政権を続ける。もちろんそれだけじゃありませんけれども、そういう面も恐らく否定できないと思うんです。中選挙区制度が何もかにも全部悪いとは言いませんが、これだけやってみて、やはりここまでその弊害が露呈してくると、これは手をつけようと思うのが当たり前。野党としても、四十数年やって政権がとれないわけですから、そういう制度にしがみついて、この次には政権交代があるだろうと思うのもちょっと虫がよ過ぎるんですね。そろそろ変えてみようというのも、粗っぽい言い方ですが、私は意味のあることだと思っております。 そこで、私、中選挙区制度を変えようということで、私たちも含めて一部の野党から、いわゆる個人名投票併用比例代表制とか比例代表選挙区併用制とか、いろいろな呼び方がありますが、いわゆる併用制という提案がある。総理は、この併用制という方法では、これは小党分立になって政権が連立政権となって、国民が直接政権を選択できないから、これを採用できない、こういう理由ですね。そう理解して間違いないと思うのですが、なぜ小党分立、連合政権必至だというふうにお考えになるのか、併用制ならば。その理由をお答えください。
○海部内閣総理大臣 御指摘のように今の中選挙区制度でまいりますと、同一選挙区に二名ないし三名の候補者を必ず立てないと過半数確保できませんから、選挙のたびにお立てにならなければ、自由民主党がそこで切磋琢磨しながら当選をするから政権交代が比較的起こりにくい。戦後一時期あったことは、これは率直に、御指摘のとおりでございました。そして、それが制度疲労を起こしてきておるという理由は、もういろいろ仰せになりましたからそれにしておきますけれども、結論の、中間省略して最後の部分だけ申し上げますと、そのとおりでありまして、国民が直接選択できるような政権、政党同士の話し合いによって行われるということは、国民が政権を直接選択するという面から見て問題があるのではないかという点が一つと、また、西ドイツのように五%条項なんかを置いているということは、小党分立になって不安定になるということの歯どめであのようなことがされておるということを、私は先生とともに訪問したときもドイツで聞いてきた話でございました。
○江田委員 総理、よくお考えいただきたいのですが、小党分立になってどうしても連合政権が必至となって、そして国民が直接政権を選択できないとおっしゃるのですが、なぜ絶対そうなってしまうのかなんです。だってそうでしょう。どこかの一つの政党が併用制でも過半数の議員をとりさえすれば、そうすると、連合政権にはならないわけでしょう、単独政党になるわけでしょう。併用制だったら自由民主党は過半数をとれない、並立制なら過半数をとれる、だから並立制がよくて併用制はいけない、こういうことじゃないのですか。いいですか、小党分立になるからいけないといったって、今でも自民党は大きくて野党の方は、まあ大きい政党もありますけれども、大体小党分立になっているので、今よりこの点で悪くなるわけはないので、併用制だとどこかの一つの政党が、つまり自民党が過半数をとれなくて政権から転げ落ちるから併用制はいけない。つまり、並立にしがみついて併用はだめだというのは、自民党の党利党略以外の何物でもないのではありませんか。
○海部内閣総理大臣 これは、各界の有識者の代表の皆さんにお集まり願った選挙制度審議会の二年間にわたる御議論の結果の答申の中に書いてあったことは、私はなるほどそうなんだなと思いましたが、例えば併用制の中では超過議席というようなことが起こる場合があるとか、あるいは小党分立になるおそれがあるとかいろいろなことが書いてありまして、やはり政権の安定ということも一つの大切な要素であるということから、いろいろな御議論の中で併用制も議論されたが、並立制の、小選挙区との並立が望ましい姿である、こういう結論をいただいたものと思いますし、政府もそれが正しいと考えて法案にそれを盛り込んだわけでございます。
○江田委員 もちろん、いろいろな御議論とおっしゃるものがあるのは当たり前なんですよ。いろいろな議論があって、そして選挙制度審議会がああいう答申を出した、それを尊重するのだとおっしゃるのなら、なぜそれならば五百というものでやらずに四百七十一でやられるのか。そういうふうにするのも、やはりそこに自民党の政権というものをこれで維持していきたい、それが危うくなるような制度はとれないという自民党の党利党略だ、いいですか総理、私は何とかしなければならぬと思うのです。中選挙区制度を変えたいと思うのです。 だから、これは今併用制の議論もある、並立制の議論もある。並立というのは小選挙区が基本で、併用というのは比例代表が基本で、これは水と油だからまじらないといいます。私たちもあるいは理論的にはそうだと思う。しかし、国民から見たらどうかといいますと、自分の居住する地域の一つの選挙区で一人を選ぶために個人名を投票し、同時に政党を投票するわけです。それがいろいろな操作を経て議席に結びついていくのですね。そういう意味で、国民から見たら、水と油だという議論の方こそむしろなじまないのかもしれないのですね。ですから、もっと、併用だ、並立だという言葉にこだわらずに、もう並立しかないんだ、併用はだめなんだ、もっとも自民党の討議の経過を見ると、総理の苦しい立場もわかりますけれども、やはりそこはもう一歩踏み込んでひとつ、並立しかなくて併用はだめだとおっしゃらずに、大いに議論をしようという立場に立たないと、議論できないのじゃないですか。 並立、併用というこの言葉にこだわって、一方で国連平和維持軍を維持隊に変えるなんていうのは平気でおやりになるというのは、これはいささか総理らしくないと思うのですが、どうですか、併用というものもひとつ考えてみる余地あり、だからひとつ野党の皆さんも一緒に話し合いをしよう、そういうことをお考えになりませんか。
○海部内閣総理大臣 いろいろな議論を踏まえ、あらゆる御意見等を参照しながら政府も考え、また審議会の答申もいただいて法案を提出をさせていただいたわけでありますので、どうか御議論を賜りたいと思います。
○江田委員 もう時間、終わりですが、総理の苦しい立場はわかるのですよ。だけれども、やはりここはおれがやるんだという気迫が見えないとやれないのじゃないかと思うのですね。それで、一つやる方法があるのは、無理やりに解散・総選挙に持ち込んで、そしてこの並立を公約に掲げてやる、野党が今の状態だと、私はこれは総理の方が勝つかもしらぬなという気がするのです。しかし、今の定数是正の状態だと、これは解散できないでしょう。まあ議論はいろいろありますが、選挙が憲法違反になるおそれがある。 総理、一つ念を押しておきますが、よもや今のこの定数をちょこちょこっといじって三倍以内に何とか、数選挙区の増減あるいは数選挙区の増だけぐらいで三倍以内という、つまり合憲の状態だけを確保して、それでお茶を濁すというような、そんなことは、総理がいつまで総理をやられているかわかりませんが、総現在任中はおやりにならないでしょうね。これだけ確認しておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今は抜本改正を考えて三法案をここにお願いをしておると、ころでありますから、最善を尽くしてこの法案のこと、この法案を通していただくこと、そのことのみを考えて前進しております。
○江田委員 終わります。
○小此木委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十七分散会