政治改革に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1991/09/13
会議録
○小此木委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案、以上三案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋一弥君。
○石橋(一)委員 質問第一陣を承りまして、まことに光栄であります。 そこで、まず吹田自治大臣へでありますが、私は、先週大臣があるところで本問題に対しての御見解を吐露し、その一言一句が私の肺腑に迫る大臣の熱情をお聞きし、感激をいたしました。担当大臣として、まさにそのとおりであると思います。私は同志として、大臣が初一念を貫かれるよう切望をいたします。 そこで総理、私は政治改革には賛成でありますのでも、私が本法案について、私の政治哲学にもとるもの、そして、選挙は選ぶ人と選ばれる人との両面があって成り立つものであります。選挙民が理解に苦しんでいることを質問を申し上げます。私は自民党の政審で十項目にわたって質問をいたしましたが、今回は時間がありません。そこで、三項目についてのみ質問をいたします。お答えはできるだけ簡便にお願いをいたします。 その第一は、憲法と選挙法との関連についてであります。憲法では前文の書き出しに、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しこ第十五条の第三項には「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」第四十二条、これには「両議院はこ「選挙された議員でこれを組織する。」こうなっておるわけであります。 そこで、今回の選挙法の改正と憲法とのかかわり合いはどう思われますか、お伺いをいたします。
○海部内閣総理大臣 御指摘のように、憲法には選挙によって議員が選ばれるということはきちっと書いてありますし、ただ、それはその法規手続に従って選ばれるということが、これが憲法の精神であろうと思います。したがって、今回お願いしておゑ二法案も、そういった選挙の手続、選挙の方法について述べておるものでありますから、これが憲法違反であるとは私は考えておりません。
○石橋(一)委員 御賢知のとおり、比例代表制は昭和五十六年から参議院に取り入れられました。議員立法の発議者は合憲論でありますが、このとき、参考人六人のうち四人は、中西一郎委員の「拘束比例代表というのがいろいろお話ございましたが違憲であるというふうにお考えであるのかどうか。再度イエス・オア・ノーだけお三方にお願いしたいと思います。」速記録であります。 参考人の長谷川正安君は、「この法案の導入の仕方では違憲の疑いが非常に濃いと思います。」そして参考人堀江湛君は、「若干の憲法上の疑義があることは否定できないと思いますが、かといって明瞭な違憲であるという判断もいたしかねる」、こう申し述べております。また参考人佐竹寛君は、「今回の法案につきましてはかなり深い疑義があると申し上げます。」こういうことでございます。 そしてさらに弁護士会では、十五条について、公務員たる個人を取捨選択する自由を国民に保障するものであります、こう明確に答弁もいたしているわけであります。 そのようなことを考えまして、再び総理から御見解をいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 参議院に比例代表制度を導入する際のいろいろなやりとりをここで御指摘をいただいたわけでありますが、おっしゃるようにその際、拘束名簿式比例代表制の合憲性、あるいは拘束名簿式比例代表選挙制度と平等原則、結社の自由や信条に関する問題等に絡んで憲法問題があったということは私もよく承知をいたしております。 ただ、今回の場合も、御承知のとおりに、二年有余にわたって政府の選挙制度審議会でもあるいは党内でもいろいろな御議論を各方面から重ねていただいたものを、政府は十二分にこれを参照させていただいて、あらゆる角度から検討をしてこの法案化作業を進めてきたものでありまして、今の問題について憲法違反の問題が起こる、そういった可能性はないと判断をし、法案を作成し提出をさしていただいておるところでございます。
○石橋(一)委員 私はそうは考えておらないものであります。 そこでさらに、衆議院、参議院との性格と申しますか、国民との密着性について御見解を伺いたいわけですが、時間がありませんので、著名な憲法学者の見解を申し上げてみたいと思います。 宮沢俊義先生でありますが、「全訂日本国憲法」の中で、議員の任期が短い点や解散が認められる点からいって、衆議院の方がより高い程度に国民と直結していると言える、こう言っております。深瀬忠一先生は「日本国憲法における両院制の特色」、この中で、衆議院が四年の任期を解散によって短縮される可能性を持ち、それだけ国民の意思により密着していると解される。佐藤功先生、「日本国憲法概説」の中で、両院のうち、特に衆議院が国民の意思を強く代表するものである、このような意見をそれぞれ述べられているわけであります。 そこで、参議院の比例代表の場合にも申し上げたような各委員の見解が表明されております。さらに衆議院と参議院との比較をいたしますと、衆議院の方がはるかに国民と密着性がある、こういう意見があるわけでありますが、そうしたことを考え合わせてみて、総理の御見解をさらにお願いを申し上げます。
○海部内閣総理大臣 衆議院と参議院の性格あるいは国民との密着性の問題については、いろいろ学者の間にも御議論があることを私もよく承知しておりますし、また例えば、スローガン的にいろいろと衆議院はこう、参議院はこうと言われてきた過去の経緯もよく知っております。 ただ、密着性ということに焦点を当てて物を考えますと、衆議院の場合には解散、総選挙というものも想定されておる。参議院の場合は六年間という長い間、これは解散も全く想定しないで任期というものが設定されておるということもございますし、同時に、衆議院における議院内閣制のもとで政権を獲得することを目指しての選挙、主として政権獲得のための政策論争というものが選挙のときの争点となってきますと、これはやっぱり国民との密着という面においては、衆議院の方がある意味で密着性が強いということになると私もこれは受けとめます。 しかし、国会において二院制度を置いておるというのは、国民生活のために慎重な審議といいますか、あるいはいろいろな意味において衆議院の決定に対して参議院が別の角度から抑制機能を果たすとか、慎重審議をするとかいう性格等もありますし、また、衆議院が選挙等の真っ最中に、もし国会が開かれなければならない、意思を決めなきゃならぬというときの緊急集会の制度等も決めであることなどから衆参のこの性格の違いは出てきておるものである、こう考えますが、密着性は衆議院の方が高いのではないかと、私もそう判断しております。
○石橋(一)委員 総理の見解と私の見解は異なっているわけであります。 ただ、四十三条も「選挙された議員」となっております。決して政党とはなっておりません。議員となっております。特にまた十五条は、公務員の選挙について、特別職の私たちの場合であります、「公務員の選挙についてはこ「普通選挙を保障する。」となっていますね。この読み方の問題であります。私は決して違憲とまでは言い切っておりません。ただ、このような違憲の疑いが非常に強いとか、あるいは憲法上の疑義があることは否定できないとか、かなり深い疑義があるとか、このような疑いのことが学者先生方も述べられているわけであります。今のこの問題について最高裁の判断は一回も受けておりません。 ただ、私の申し上げたいことは、疑いのあるようなものをあえて立法措置を行う、これがもし最高裁判断が後に出てまいった場合どのようなことになるのか全く私はそのようなことを考えると恐ろしいわけであります。 そこで総理、その疑いのあるものをなぜ立法をしようとなさるのか。もしものときのことをお考えになったことがあるでしょうか。その点について、再三再四恐縮でありますが、御答弁をいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 前段の、選挙されるのは政党でなくて議員だという点は、私も全くそう思います。議員が志を同じくし、同じ政策を持つ者がそれを訴えて選挙をして選ばれるわけで、これは議員が選ばれる。 それからもう一つは、憲法違反の疑いのあるかもしれないような法案を出すのはどうなのかという角度の御質問だと思いますけれども、憲法違反になるのかどうか疑いがあるかどうかということについては、政府部内でも、先ほど申し上げたようにいろいろきょうまでの議論や経緯等を踏まえて慎重に判断しました結果、これは、この制度は憲法違反の疑いはないということを判断しましたから三法案として出させていただいだわけであります。 憲法違反かどうかということは、これは委員、百も御承知のことと思いますが、憲法八十一条の違憲立法審査権において最高裁判所がきちっとこれは違憲であるという判断をされれば、それに対して行政府は従わなければならぬことになるのでしょうけれども、それは理論的の問題であり、それを出す前の今の段階で、政府が憲法違反の疑いがあるかもしれないけれども、でも出そうというようなことでは決してありません。その点については、必要でございましたら法制局長官からお答えをさせていただきたいと思います。
○石橋(一)委員 時間がありません。この問題、見解の相違であるわけでありますから、時間がもし許されるならば本会期中に参考人の要請をいたしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。 そこで、次の問題についてでありますが、これは私の全くの政治に対する、あるいは日本の文化に対する哲学であります。 我が国の文化と選挙との関係でありますが、党を選ぶか人を選ぶかの問題であります。古来、我が国はやおよろずの神の精神であります。一神教ではありません。一人一人の人格を重んずる思想です。これが我が国の精神文化の基本であります。ゲルマン民族は、その論理性からいって人より党、つまり組織を選ぶでしょう。我が国は組織、党より個人を神として選ぶでありましょう。この考え方が、明治以来三十九回の選挙の中で二十二回は中選挙区制であります。残りの十六回が小選挙区と大選挙区とであります。総理の、日本の文化論と選挙との関連性をまず第一にお尋ねをいたします。
○海部内閣総理大臣 この問題は非常に、個人的な石橋議員の考え方というのは、私もかつて文教委員会で何回も御議論を承ったり、議員の物の考え方は重々承知をいたしておりますし、それはとうといものだと思いますが、日本の文化や日本の歴史や伝統の中に、おっしゃるようにいろいろなやおよろずの神がある。言われることは、和をもってたっとしとなすとよく言われますが、逆らわざることをもって旨とするというのが和をもってたっとしとするの後の句でございます。そしていろいろなことを言いながら、いろいろな意見を述べながら和を求めて、そして逆らわないことをもって常とするという思想、考え方の中から、この文化や歴史や伝統というものが生まれてきた一面があるということは私もよく承知しております。 しかし、近代的な民主主義になりますと、やっぱり国民一人一人の主権、意見というものによって選挙の制度というものが構築され、そこから政権というものが生まれ、そしてそれによって政治が行われるということになってきておるわけでありますから、これはお答えになったかならぬか知りませんけれども、皆さんの意見を吸い上げて集めて、自民党もきょうまで国民の支持をいただきながら政策努力をすることができたのであるし、またそれが今の日本の文化のあらわれた結果ではないか、こう思っております。
○石橋(一)委員 ありがとうございます。 ただ、選挙民の立場に今なってみますと、同じ党の中でも、AはよいけれどもBはだめだという判断、すなわち中選挙区制が議会発足後約百年を超える中で六十六年も続いたことは、まさに組織でなく人を選ぶという日本の精神文化のあらわれだと思います。総理のおっしゃる新たなものを求めて、これもわかりますが、世界の中で各国境の垣根が狭くなればなるほど、私は、みずからの国、みずからの民族の文化というものをきちっと、哲学というものをきちっと打ち出していくことが国際社会の中における日本国の立場であろう、いつもそう考えております。 再びそのような長い時間、中選挙区制を選んでまいったもの、これについて、もう一歩突っ込んで総理の御見解をお伺いいたします。
○海部内閣総理大臣 今おっしゃったように、国際社会の中で日本国の立場をどうするかということを確立していかなきゃならぬと委員もおっしゃったわけでありますけれども、まさにそうだと思います。したがいまして、この大きく移り変わる国際社会の中で、この政党はこういったことを考えておる、この政党はこういったことを考えておる、国際協力のあり方一つをとらえても、いろいろ政党間には考えの差も出てきております。 そういったときに、国民の皆さんの側からはどうするかということになりますと、それはもちろん人も大事でありますし、同時に自由民主党の公認になってお出いただく方は、石橋議員初めみんな人としては党が責任を持ってこれは公認をし御推薦をする、我々の政策はこれであるということを国民の皆さんに訴えるようにするということは、より鮮明な選択をお願いすることができるようになるのではないか。私はそういう意味で、国として今後向かっていかなきゃならぬ将来に向かっての的確な立場とか、意思とか、考え方とか、哲学というものも志を同じくして訴えていけるようになっていかなければならない。選挙というものは、国民の皆さんとの接点はまさにそういうところに生まれてくるべきである、こう信じております。
○石橋(一)委員 もう一点ですが、総理御承知のとおり、現在、世界は緩やかな連合、そして党や組織のたがはできるだけ緩めよう、独裁の芽はつまんでおこうという動きであります。どうして日本が世界の潮流に逆らって、せっかくとうとい日本の精神文化があるにもかかわらず小選挙区すなわち党の独裁を強くする方向を選択するのでしょうか。もう一度、文相を二度もおやりになった総理であります、このことについて総理の御見解をさらにお願いをいたします。
○海部内閣総理大臣 文相をおやりになった石橋議員からの御質問でありますから、どう答えましょうか。これは、独裁をねらうとおっしゃるけれども、それは一人の権力者が国の中に独裁的な権力を強制しようとしたことが間違いてあったというので、近くはソ連の政変の問題から、東欧諸国の政変の問題から、いろいろ起こっているああいった独裁がいけないという点は、私は石橋議員と全く同感であります。独裁をしてはいけないというのはそのとおりです。 したがって、独裁をやらせないようにするために民主主義の制度があり、そこに政党政治があり、そして一党だけでいろいろなことをしないために、与野党でいろいろと議論をして、その手続が決まっておるのが民主主義のルールだと思いますから、私は独裁をしておるとか独裁をしようとかいう発想はかけらもありませんし、また世界はその独裁を否定する方向に動いておることは間違いございません。 しかし、大切なことは、国家というものがあります以上、国家が対外的な問題を考えていかなければならぬ。これからは国民生活の向上だけではいけないと思うのです。特に日本の場合、戦後きょうまで、世界の片隅で小ぢんまりとみずからの国の幸せだけを追求すればいいではないか、額に汗して働いて豊かになろう、人に迷惑をかけなければいいと言っておったのでは、国際社会において名誉ある一員になれない。そこで、憲法の前文にも書いてありますように、国際社会において名誉ある地位を占め、平和の理念を達成していこうと思えば、何らかの意思決定をして、そして国が出ていかなきゃなりません。意思決定をするための努力というのは、やはりそれぞれの政策になってくるわけではないでしょうか。 そういったことを決めるためにどうするか、そういった政権を選ぶための選挙の仕組みはどうなるかということになってきますと、なるべく政党中心の、そして政策が中心になってくるような争いの中から、論争の中から、選択の中から生まれてくる意思をきちっと立てていこうというのでありますから、独裁の方向に向かって進むというのとは、これは次元の違う、視点の違う角度の問題ですから、選挙の手続というものは政党中心にしていきたいというのは、それは間違いなかろう、私はそう確信をいたしております。
○石橋(一)委員 この問題、全く文化論の問題であります。 時間があとわずかになっておりますので、次に移らせていただきます。 これは最後でありますが、小選挙区とお金の問題についてであります。私は、村会議員を振り出しとしてはい上がってまいった者であります。国会議員より県議会議員、県議より市町村会議員の方が、はっきり申し上げますが、一票当たりの選挙費用が高いのは常識であります。この点につきましては、これは自治大臣も同じように町長さんから参ったものでありますから、自治大臣の御見解をいただきたいと思います。
○吹田国務大臣 石橋先生にお答えいたしますが、私は、選挙に金のかかるということよりは、いわゆる政治活動の日常の経費というものが問題であるということに多くの焦点が合わされておるわけでありまして、それがひいては選挙につながっていく、こういうことになるものだと思っているわけであります。 したがいまして、今度の改正しようとする考え方というものは、政党本位にあるいは政策本位という、総理が非常に言われますが、この考え方に立脚して政党政治というものを確立しようということになりますと、個人からの支出というものは私は大幅に減るであろうという前提に立ってはおりますが、今言われるいわゆる選挙制度の中で、小さな市町村会議員と県会議員と国会議員、その単位の問題からの単価が云々という問題については、それはもう千差万別でありまして、私は一概にどうだこうだということをこの場で選挙について決めるということはあり得ない。選挙そのものは、これはもう法定選挙費用でいっているわけでありますから、日常の政治活動の問題について、小さい範囲であればたくさん要るではないか、割合と単価としてはたくさん要るではないかということについては決して私は否定するわけではございません。けれども、まあ一応今回はそういった意味で政党中心で進めていくんだということになってまいりますると、個人の支出というものは大幅に削減されていく、それが政治の浄化につながっていくんだ、こういうことでこの問題に力を入れておるところであります。
○石橋(一)委員 ただいまの問題、それこそ裏の話はこういうところではやるべきではないということ、私も十分承知をいたしておりますのでも、選挙になりますといその地域が目に見えてまいった場合は、ただ立候補することに意義があるだけでなく、どうしても当選をせねばみずからの政治信条が貫かれないという場合、目に入ってきた場合は、どうしても選挙費用が余計かかってきておるのは、これはもう現実の姿である、こう私は考えております。 そこで、ここに、先輩各位の小選挙区の弊害と金についての意見が今までも多く出されております。その中の有名人の意見だけを取り上げてまいったわけであります。 例えば大正八年の改正、いずれも速記録からであります。中身が大変長うございますので要約をいたしますと、小選挙区になれば必ず醜い争いになる、この弊風を除去するには選挙区を拡大する以外はない、小選挙区に対しての植原悦二郎先生の御意見であります。 同じく大正八年の改正、これは三木武吉先生の御意見であります。小選挙であるからといって費用が少ないということは言い得ないとえんきょくにあらわしております。 次に、大正十四年の改正、これは若槻礼次郎内務大臣の見解であります。このときは御承知のとおり中選挙区制をとり、しかも国民全部に選挙権を与えた大改正のときです。その中の一節に、「実験ノ結果ニ体依ルト、小選挙区ノ方ガトウモ競争ガ測烈デアッテ、時ニ体ルト暴力ヲ用ユルヤウナコトガ、大選挙区ヨリ小選挙区ノ方ガ多イ、サウ云フ点ハ小選挙区制ノ弊害デアラウト思ヒマスここう述べられております。 次に、昭和二十二年の改正、これは御承知のとおり中選挙区をずっとやってきて、昭和二十一年に一回だけどういうわけか大選挙区、私もよく覚えておりますが、大選挙区は二十一年に一回やりました。そして、その大選挙区からまた中選挙区に返ったときのことであります。議員立法であります。小沢佐重喜先生、前自民党幹事長小沢一郎先生の父親であります。「その欠陥の第一は、選挙区域が非常に狭小でありますので、その区域内の地方的人物のみが多く選出されまして、中央政治界に活動する大人物が、当選困難であったということであります。」「第二は、選挙抗争が非常に激烈になりまして、その結果は当然の事実であるところの、情実と投票買収という点が横行することに相なってまいっておつたのであります。」そしてさらに「議員の行動が常に地方的問題にのみ傾きまして、やゝともしますと中央の問題には、きわめて冷淡であるというような欠点を有しておつたのであります。」これはたくさん先輩各位が、あるいは学者先生方が言っております。 このような問題、この先輩の貴重な御意見を総理はいかが受けとめていらっしゃるでしょうか。
○海部内閣総理大臣 今お読みになったような御意見が先輩にあったことも私はよく承知をいたしておりますし、物事をそういった角度から体験されて、そういったお考えを述べられたということも私もよく理解をさせていただきます。 しかし、私もいろいろと先輩方の発言や小選挙区に対する御意見をずっと読ませていただきましたけれども、恐縮ですけれども、それと全く違う御意見も実は随分あるわけでありまして、具体的なお名前をここで申し上げませんけれども、選挙区に金と時間をとられ過ぎて国政に熱中できないのは問題だから、私は小選挙区制が必要であると常に強調しているんだということは、もう二十年も前に我が党の大先輩が言っておられることでありますし、また、いろいろ組織、組織と言っても党のものではなく議員個人のものなんだ、中選挙区制では自民党同士の足の引っ張り合いに金がかかり、党対党にしなければならない、小選挙区制にすれば金がかからなくなる、これも有名な方が言っておられることです、個人名はきょうはもう言うことやめますけれども。 また、ごく最近でも、テレビに出られたある有名な方が、正直言ってここまでお金がかかる制度では、これは長続きしない、代がわりしたらこのままではもたないだろう、やっぱりそれは直していかなければならない、私がいろいろ読みました限りでも数限りなく違うものもございます。 そしてもう一つは、当時行われました小選挙区の経験というのは、たしか明治二十二年から始まった小選挙区、大正八年からの小選挙区、そのときは今のような普通選挙じゃありませんから、限定選挙の制度とでも申しましょうか、特定の限度の納税額以上の人でないと選挙に参加できなかったというような、今とは全く違う社会の事情や実情もございます。 また、委員御指摘になった大選挙区になったときは、連記制をいたしましたがために、連記制では責任の明確化、いろいろなことがならない、委員おっしゃるように議員を選ぶということでありますが、複数の議員を連記したのでは責任の明確化がないという反省等もあってあれは中止になったものと私も受けとめておりまして、そのときどきの事情によって、いろいろな角度から物を見ますと、物には光の面も影の面も、いろんな角度がございます。視点によっていろいろな意見のあるということは率直に私も受けとめさしていただいて、それらを総合的に判断して、今日から未来に向けてどのようなふうにするのがいいかという点に絞っての制度の改革でございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○石橋(一)委員 今の問題も、大正十四年は普選であります。昭和二十一年も普選のときであります。その意見の開陳を主としたはずでありますのでも、既に時間が参ったのでやめさせていただきます。 私は、小選挙区になりますと、立法の考え方の根底にあるもの、この思想が揺るがせられてしまうのではないか、たくさんの無所属の人が立候補するようになってしまいやしないかな、このような考えてあります。私の考えは、国会が昭和六十年、六十一年、定数是正の決議をやっております、そして英国が一八八三年に制定した選挙における腐敗、違法行為を一層効果的に防止するための法律、このようなものを組み合わせていった方がいいのではないかな、こんなような考え方を持っているものであります。政治改革そのものには賛成であります。 以上、時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。 次に、野呂田芳成君。
○野呂田委員 言うまでもなく、政治改革は行政改革と並んで不断に必要であります。特に、衆議院選挙のたびに指摘される一票の重みの格差に関する憲法違反の実態の是正は、これは立法府の自浄作用として早急に実現しなければ、是正しなければいけない問題であると思います。 さらにまた、政治家の倫理、政治の倫理の確立というものはまさに喫緊の要務であると思います。 今から二千五百年前に孔子と子貢の有名な政治問答があります。子貢が孔子に政治の要請を尋ねたのに対しまして、孔子は、食糧を満たし、軍備を満たし、国民の信頼を得ることだと教えております。子貢がその三つのうちどうしても切り捨てなければいけないときに何を捨てるかと聞いたのに対して、孔子は、まず軍備を捨て去れと教えております。そして、さらに子貢が、残った二つのうちどれかをどうしても切り捨てなければいけないときは何を捨てるかという重ねての問いに対し、孔子は食糧を捨て去れと教えております。しかし、残った国民の信頼、国民に対する信頼というものだけは、これを捨てると国家の政治が成り立たない、こう教えております。 今国民の信頼を政治が失い、核をもって覇権を支えているというこの時期に、私どもはこの二千五百年前の孔子の言葉をまことに粛然として厳しく受け取らなければいけないものだと思います。そういう意味で、総理が政治の改革に大変強い情熱を示されるということに対しては敬意を表するものであります。また、このたびの政治改革の三法案に対して汗を流された関係者の皆さん方には、心から敬意を表するものであります。しかしながら、現在提出されている三法案については、幾つかの指摘されなければいけない問題が私はあると思っております。 時間の制約上、小選挙区比例代表並立制の問題に絞って総理に御質問をいたしたいと思います。 まず、選挙制度審議会の答申によれば、この小選挙区制度というものは国民の政権選択の意思を明らかにし、そして、政権交代の可能性を高め、政局が安定する、こう書いてありますが、私は、この審議会の答申の基本理念がまことに矛盾したものであると考えております。政権交代の可能性が高くて政権がいつもかわるということであれば、政権が安定し政局が安定するということはいかなることか。この矛盾する理念を平気で並べているこの審議会の答申に対しまして、私は、こういう矛盾するものに基づいた小選挙区制というものに大変大きな疑義を持っているものでありますが、この点に対する総理のまずお考え方を承っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 率直に申し上げますけれども、政権を交代する、そういった具体的な問題に直接この選挙制度というものが影響し作用するものとは、これは答申でも言っておらないわけでありますが、今の制度でいくと、今の中選挙区制度でいくと、百三十の選挙区に、複数候補をそれぞれの選挙区に選挙のとき野党がお立てになりませんから、全員当選したって過半数にはなりませんので、だから三百の小選挙区になれば、その小選挙区の民意は敏感に反映するので政権交代の抽象的可能性が生まれてくるということを答申はきちっと書いておるわけでありますし、また議会制民主主義というのは政権交代を前提としてのいろいろな議論でありますから、そういった抽象的可能性というものが生じてくるようなことを奨励するためにはこうしなければならぬということを述べておるわけでありまして、私はその意味で、この答申の指さす方向が矛盾しておるものだとは考えません。 同時に、小選挙区だけにしますと、今いろいろなところで議論になっておりますように、これは政権交代の抽象的可能性も奪うのではないかという御議論もございます。それは現実に小選挙区制度だけをとっておる諸外国でも政権交代は行われてきたわけでありますけれども、しかしその意見を聞いて、比例代表も加味することによっていろいろな角度からの民意の反映を生かしていこうというんですから、少なくとも政治が緊張状態になることは間違いありませんし、私ども政府・与党として見れば、今のままの中選挙区では候補者を立てない限り政権交代の具体的な可能性はないけれども、しかし抽象的可能性が出てくるような制度、仕組みになるんだということを指摘されれば、率直に言って厳しい選択になると思います。いつでもその可能性の中へ入っていかなければならぬわけですが、それは国民の皆さんの民意を尊重した政策努力によって、努力を続けていくということによって解決をしていくべき問題だ、別の次元の問題だと受けとめて、この答申を受けておるわけでございます。
○野呂田委員 答申を読んでみると、総理の御答弁にかかわりませず、私は、小選挙区制につきまして三つの特性が書かれていると思います。その第一は政党本位、政策本位の選挙ができるということ、第二は政権交代の可能性を高めるということ、第三は政局の安定が期せられるということだと思いますのでありますから、そういう意味でこの基本理念は、私は明らかに、政権交代が容易になれば政局は不安定になるという、その矛盾というものはどうしてもこの答申の中に内在をしている。ただいまの総理の説明では全く納得することはできません。 そこで、私は、過去の日本の政治について考えてみる必要があると思います。 先ほど来総理も触れられておりましたが、日本は明治二十二年から三十三年までの間小選挙区を実施しました。この十一年の間に内閣が九代もかわっております。また、大正八年から大正十四年までの六年間に内閣は六代がわっております。合わせまして計十七年間に十五代の内閣がかわっている。一内閣の平均寿命がたった一年一カ月であります。内閣が一年ごとにかわって本当に国民の負託にこたえて立派な仕事をすることができるかどうか。小選挙区制というものが本当に政権交代を可能にするということであれば、その帰結として内閣は毎年毎年かわって、そして政局が安定しないということは、私は歴史が証明しているんではないかと思いますが、この点に対する総理の見解を承っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 政権が交代をしたという今の計算上の問題はそのとおりだと思います。しかし、そういったことが行われないようにするために、将来に向かっての現実的な政権の安定、政局はどうなのかということを私どもは議論しておるんです。 具体的に言えということでありますから申し上げますけれども、それじゃ戦後の片山内閣は何年続いたでしょうか、芦田内閣は何年続いたでしょうか、いずれも一年以内であったわけでございます。このときはそれぞれ政策の違う政党同士が三つ集まって連合政権をやったがために政策協調その他の問題で短かった、これはある意味では非常に不安定な政権の結果であった。長さだけからいえば一年以内だったということは戦後二度も体験しておるわけでございます。 したがって、具体的に答えろといえばそういうことになるわけでありますから、どうぞ、そういう過去の一ところだけで議論をしますとどうしても狭くなってまいりますから、全体としての政権のあり方というものは、今度は選挙そのものを同じ政党の者同士で争っておるときには政策中心、政党中心にならないので、もっと、今委員の言われるような安定した政権で政治が運営できるようにするためには、選挙そのものを政党本位にし、政策中心の議論ができるようにしていくことが安定してくる基礎でもある、またそれをねらっておるのが今度の答申である、私はそう受けとめております。
○野呂田委員 私は短命内閣の日時を挙げたわけでは決してございません。総理が挙げたのは戦後の短い内閣を象徴的に挙げただけでありまして、その反面、吉田内閣あるいは佐藤内閣、海部内閣もかなり続いております。私が指摘したことは、小選挙区制の実施期間十七年間に一年ごとに内閣が交代しているという事実を申し上げたのでありまして、このことについて私は小選挙区に内在する問題がありはしないかということを指摘したわけでありますから、この点については総理の答弁はもう要りません。 ところで、今この答申のとおり小選挙区を実施すれば、政権交代が容易になって政局が安定しないという、私はそう確信いたします。 それに対して、さらに答申によれば、比例代表制というものは小党分立して連立内閣の可能性が高まり、政局は不安定となると答申をしております。小選挙区そのものでも政権交代が高まって政局が不安定になりやすいのに加えて、なおまた小党分立して連立政権ができやすく政局が不安定になるような比例代表制をあえて組み合わせる、何ゆえにそういうことを考えるのか、その点について私は伺いたいと思うのであります。まさに政局の安定こそ国家の盛衰をかけた大事な問題でありますから、私は、あえて政局の不安定になるような制度をここにおいて導入する理由が全く納得できません。その点についての総理の御所見を伺っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今回の政治改革というのは、そもそものスタートは、政局を安定しようということで始めた政治改革ではございませんでした。率直に委員も振り返っていただくと、あの三年前の自由民主党の党を挙げての政治改革大綱をつくったときの基本というのは、政党中心の、政策本位の、そして国民の皆さんから信頼を受けられるような、政治とお金の関係を公明なものに正して確固たるものにしていこう、こういったことに立っての政治改革大綱のスタートでありました。 ですから、最初には政治倫理をどうするかということで、政治倫理確立のための、議員のいろいろな資産公開法も自由民主党も用意をして国会に既にお出しをし、小此木委員長にも議院において御努力願ったところであり、野党の皆さんもそれは重々御承知と思います。また、候補者側からの支出や寄附や買収の問題を、これを行き過ぎはいけないから、少しでも選挙活動というものとお金の問題とをきれいにしていこうというので、昨年二月の衆議院選挙のときから適用になる公職選挙法の一部改正もやってまいりました。政治資金のもう少し公明性あるいは透明性も高めて、いろいろな不祥事件や不信から国民の信頼を取り戻そうというための政治資金の問題についてもいろいろ考え、決めてまいりました。 では、お金の問題がこんなに必要以上になってきたのはなぜなのかという党内の議論のときにも、今の選挙や今の日常生活の仕組みの中にお金がかかり過ぎる要因があるのだということに皆でこれは気づいたはずです。そして、政治改革大綱をつくるときに、政策中心の、政党中心の選挙にできれば、必要以上のお金は使わなくてもいいことになるということを合意をしたわけであります。 したがいまして、そのためには同じ党で同じ政策を掲げて複数が争うことが、個人と個人の責任で、後援会とのいろいろなつながりやサービス合戦やいろいろな努力が出てきて、そこに時間とお金がかかっておるという現実も、勇気ある方々の御報告によって明らかにされておるところでありますから、これを防いでいくにはどうしたらいいかというと、基本に立って政党政治、民主主義というのは政党政治だ、政党政治ならば政党本位の、政策中心の論争ができるようにしよう、そのためには制度の根幹に触れる必要があるということを自由民主党は二年間かかっていろいろな立場で御議論を願い、選挙制度審議会もそれと同じ方向の結論を出した、このように受けとめております。
○野呂田委員 今世界が直面するいろいろな状況を見ておりますと、私は、政局の安定、政治の安定こそが最も大事なことだと思います。それなくしては国民生活も安定しないし、一国の経済も成長するものではない、こういうふうに確信しておりますのでありますから、私は今総理の御答弁を伺っても、この新しい小選挙区比例代表並立制という制度を導入するという本当の意味は、私には全く納得できません。この点はそう申し上げておかなければならないのであります。 今総理は政治の倫理について言及をされました。そして、この答申によれば、政策本位、政党本位の選挙になって金がかからない、金がかからなければ政治家の倫理もよくなるだろうという論理のようでありますが、これはこの間から同僚議員が本会議でも、ただいまも石橋議員からもお話がありましたが、私は、この制度をやったらますます金がかかるようになるだろう、こう思っております。 先ほど来国内のいろいろな著名な人の見解がありましたから、ちょっと方向を変えて、現に小選挙区を実施しているアメリカの学者の話をちょっと引用してみたいと思います。 今コロンビア大学の政治学者でジェラルド・カーチスという教授がおります。「代議士の誕生」や「日本型政治の本質」という本を書いた、これは単にアメリカの学者ではなくて、知日派としても有名な学者であります。この方はまず、日本の現在の政治のシステムは決して内外で評判されるほど悪いものではない、だから日本の現在の政治システムを評価しております。その上で、小選挙区の利点というものは、政治に金がかからないとか、あるいは政治家が地元の利益に狂奔することなく高潔の士になるというのではない、それが小選挙区の本当の意味ではない、こう言っております。そしてアメリカの国会議員の選挙では、下院の議員の選挙では特に大変な金がかかっている。そしてまたアメリカの国会議員は地元の利益を最優先している、こういうようなことをこのジェラルド・カーチス教授は強く指摘をしております。それを裏づけるように、あるミズーリ州の下院議員は、私どもの想像を絶するような選挙資金が小選挙区ではかかるということを指摘しております。むしろ告白しております。 この間、韓国のある著名な議員さんと会いましたら、韓国では、小選挙区をしいたら、日本円に換算して五億も六億も選挙費用が必要になった、だから日本は誤っても小選挙区なんかやるべきではない、大変な選挙資金がかかるということを指摘しているのであります。 それであれば、政党本位、政策本位になって政治に金がかからなくなって、そして政治家が浄化されるというような話は余りにも私は楽観過ぎるじゃないか。むしろ内の事情については、さっき総理からも見解の披瀝があったけれども、そういう過去の遺物じゃなくて、現に小選挙区をやっている国でそういう政治のことをよくわかった人がそういう実態を指摘しているということについて総理はどういうふうにお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 ジェラルド・カーチス博士は私もよく存じておりますし、総理になる直前にもテレビの対談等もした二とがありますから、今委員がおっしゃったような角度の話をされたこと、それに対して私が申し上げましたことは、アメリカの大統領制のもとにおける議会の議員の選挙、それも完全な小選挙区制であります。私はそういったような立場の違いからもいろいろな御議論をしましたし、またアメリカの議員は、御承知のように議員一人に年間十九人分の秘書、下院にすれば全部それは公費の助成が出ておりますし、その他通信とかあるいは交通とかあるいは政策伝達の費用というのは、全部それぞれの政党の支部がやっておりますから、金がかかる、金がかからぬという面から見ますと、全部それを今、あるいは自民党の議員さんだけに妥当すると言った方がいいかもしれませんが、党の宣伝でも政策決定でも、党の機関を使わないでみんな先生方個人の後援会を使っておやりになっておるんじゃないでしょうか。 ですから、そういった意味において、それをやろうとすれば、同じ地域に複数の議員がいるということがそういったことを制度的にできなくしておるから、政党本位のものに変えていくべきではないだろうかという考え方がそこからも出てくるのです。だから野党の皆さんも、政権とろうと思ったら、そういうことに、そういう矛盾になってくるわけですから、その矛盾を乗り越えて、政党の責任でできるような政党本位、政策本位のシステムにしたいという強い願いが体験の中から私たちはあるわけであります。 また、韓国の例については、どなたの御意見か私は存じませんので、そういった御意見があることを謙虚に承っておきますが、いずれにしても、候補者個人でやらなきゃならない選挙のシステム、政治家個人でやらなきゃならないような資金の問題とか政策の伝達の問題とか、いろいろなものを考えると、やはり政党本位のものにしていくことが必要以上のお金をかからないようにするということだと思います。
○野呂田委員 私が指摘したのは、政党がかかる金が多くて小選挙区が問題だと言ったわけじゃありません。政党も金を使いますけれども、個々の議員の出費が大きいということを教授も指摘しているし、ミズーリ州の議員も告白しているのでありまして、その点は、小選挙区制にすれば政党本位になって、個人の選挙資金が要らないということには決してならないということを改めて強調しておきたいと思います。 今総理は、この制度を実施すれば政策本位の論争ができるということを言われました。それはまことに望ましい状態でありますから、私もそれを期待したいのでありますが、現実はどうでありましょうか。今、ジェラルド・カーチスが言ったように、政策本位といっても、アメリカでは政策本位なんかじゃなくて地元利益の問題に狂奔する、こう言っております。そして重ねて、小選挙区制なるがゆえに地元に迎合するような政策しか出てこない、こう言っております。そして、こういう制度のもとでは、例えば日本の消費税のような抜本的な制度改革は決してできないだろうとも言っております。 こういう同じような指摘が、例えば日本の学者でも、アメリカに非常に詳しい関西大学の谷川永一教授はこう言っております。アメリカの下院議員というのは完全なる小選挙区制であるから、当然のことながら選挙区には一人しか当選しない。しかも任期は二年である。その結果、議員はその選挙区にべったりになってしまう。日本の場合ももちろん地元の利益を考えているけれども、それでもアメリカの政治家ほど密着性はない、こう厳しく指摘しております。小選挙区制ほど政策本位よりも地元の利益優先になってしまう、だから私は、小選挙区制に疑問は昔から持っておったと、この教授は言っております。 そしてさらに、小選挙区制では地元民に迎合する政策しかできないのでありますから、例えば教授は重ねて言っております。アメリカの日本たたきというのはどういう組み立てで出てくるのか。これは、要するにその選挙区に自動車工場があったとする。景気が悪くなって、レイオフになって失業する。その場合に、このアメリカの下院議員たちは、おまえらが技術革新が行き届かなくて、あるいは工場の設備投資が悪くて、だから倒産したのではない、そういう理由で倒産したと言えば必ず次は落選してしまう。だからそれは決して言わない。だからあなた方は気の毒だ、これは悪いのはみんな日本だ、あなた方は一生懸命働いたのに日本がむちゃくちゃに物を売りつけるから、これはジャップが悪い、こう下院議員たちは演説する、こう書いてあります。 つまり、アメリカの経済に内蔵する本質的な問題は全部押し隠して、そして遠くに敵をつくる、悪魔をつくる、それが日本である。こういう結果、アメリカの下院には日本たたきの法律が四十数本も出されている、こう指摘しております。これはやはり、小選挙区が地元に迎合する政策しか唱えられない、その弊害の結果であると私は確信いたします。その証拠に、上院の方は州に二人の議員があって、これが何年ごとでしょうか、任期が六年間で二年ごとに三分の一交代するという緩やかな小選挙区制をとっておるものですから、厳しい小選挙区制をとっている下院に比べまして、日本たたきの法律は一本も上院には提出されていない。これが谷川永一教授の指摘であります。 私は、小選挙区制をしけば選挙が政策本位になってすべてうまくいって金もかからない、こういうようなことをこの答申には書いてありますけれども、結果はそんなに甘いものじゃないと思うのでありますが、この点に関する総理の見解を改めてお伺いしておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 各地域のいろいろな利益誘導に関するお話をアメリカの問題を例に引いてお述べになりました。そういう意見がアメリカにあることも承知しておりますが、しかし日本の場合にそれがそのまま当ではまるのかどうか。あるいはその一部の小さい問題は、アメリカの公職選挙法の選挙における行動の規範、アメリカの候補者には厳しい倫理というものは余りないんじゃないでしょうか。選挙のときに、選挙を通じてお金を無制限に使ってもいいというようなことになっておらぬわけでありますけれども、しかしそれでもお金が要るというのはお金を使うということを許しておるんじゃないでしょうか。したがって、そういったものに対してお金がかかるとかかからないとかいうことだけで言ってはいけません。私はそう思っております。それぞれの国々のルールとかシステムによってお金の使い方があるのですから。それはそういう意見があったということを聞いておきます。 同時に、お金を使う、使わないということよりも、日本の現在のシステムからいきますと、大体候補者の数も限定されてくれば、どうでしょう、一つの選挙区でその地域を代表する国民の意見の大体十数%あるいは二十数%というところで当選が決まってくるという制度と、その地域の少なくとも五〇%に近いものを求めなければ当選の基盤にならないということになりますと、より広く国民の意見というものが反映することになるのだと思いますし、アメリカの下院のように小選挙区だけでやっておりますと、いろいろな交代の問題とか利益代表とか地域代表の問題も濃密になってきますから、そこに比例代表制も並立させることによっていろいろな意見が素直に反映できてくるように計らってあるわけでありますから、アメリカの制度、仕組みがそのまま日本の議論に当てはまるものとは私はどうしても考えられませんので、その点は日本の制度として、日本の仕組みとして考えておることをお認めいただきたいと思います。
○野呂田委員 私たちは歴史に謙虚に学ばなきゃいかぬと思うのであります。日本では、先ほどからも話が出ておったように、大選挙区制については過去二回実施をして二十一年間続きました。そして中選区制はやはり二回実施されまして、今日まで六十四年間続いております。そして小選挙区制については、先ほど来話があるように二回実施いたしまして十七年間続きました。 こうして見ると、いろいろ我々の先人たちは苦労して政治改革をやってきた、やってきながらこの大、中、小の選挙区を実施してみて、なぜこの小選挙区は十七年間という一番短い期間で終わったのか。先ほど総理が指摘された大選挙区制よりもまだ短い、四年間も短い。中選挙区制、今日で終わるわけじゃないでありましょうが、既にその四倍実施されておる。これはやはり私は、小選挙区制というものが日本人の感情とか日本の風土、風俗に合わない本質的なものを内包しているのじゃないか、こう思いますが、この点について総理のお考え方を聞かしていただきたいとおもいます。
○海部内閣総理大臣 委員長が一番初めに言われましたように、ここはこれからの政治改革をやり、そしてそのための選挙制度の問題を政府が提案してお願いしておる議論であります。私は過去を学ばないわけではありません。過去を忠実にもちろん学び、過去の経験は踏まえていかなきゃなりません。私は、その続いてきた中選挙区の政治の中で自由民主党が、今議員が冒頭に言われたように、軍備よりも食糧よりも大切な国民の信頼というものを失った、それをよみがえらせなきゃならない、国民の信頼を確固たるものにするためには何をしなければならぬかというのが政治改革のそもそものスタートであったということを申し上げたわけであります。 そこからスタートして、政治資金と政治との関係、日常生活と資金との関係、選挙と資金との関係、いろいろな面から自由民主党でも選挙制度審議会でも二年にわたっていろいろ議論の結果、ここに問題点を、メスを入れて、信頼を確固たるものにするためにはどうしなきゃならぬかというと、これは過去の経験にも学びながら、なぜ不信が生まれたかということを率直に反省しながら、それをどうしたら少しでも取り除いていけるかということを鋭意御検討いただいた結論や大綱に従って法案作業をするとこういうことになるという結論でございます。お認めをいただきたいと思います。
○野呂田委員 お断りしておきますが、私は冒頭に、政治の要請は国民の信頼が一番大事だということを申し上げました。そういう意味で政治改革は不断にやらなけりゃいけないと申し上げました。私はむしろそうしなければいけないし、そのことについて総理が情熱を傾けているということに敬意を表するとも申し上げました。でありますけれども、今度のこの三法案が本当に国民の信頼にこたえる内容を持っておるかどうかという点に疑問があるから重ねて申し上げているのであります。 そこで私は申し上げたいのでありますが、小選挙区制というものが大選挙区制、中選挙区制に比べてはるかに短くその寿命を終えだということは、やはり日本人にはどうしても共存共栄というような、あるいは助け合いというような風潮が昔からある。あるいは落ちた者に対しては次には同情するという判官びいきの心情がある。そういうものに対しまして、この小選挙区制というのは欧米から出てきたのを見てもわかるように、一対一で白黒をはっきりさせようというような制度であります。こういう制度はやはり本質的に日本人になじまないのじゃないかということを私は思うのであります。 特に今度の小選挙区比例代表並立制というものは、これまで密着しておりました人と土地というものを全部切り離してしまった。鎌倉武士以来、日本には一所懸命という言葉があるくらいで、自分の風土を守るために平気で命を捨ててきたというのが日本人の伝統であります。いわば私どもにとって墳墓の地というのは血であり肉であります。それを一片の試案でおまえはどっかへ飛んでいけというようなことを言われて、人と土地との重要性、その結びつきというものを全くばらしてしまって、私はとてもこういう制度が永続するとは思われない。そういうことをひとつ総理がお考えになって、この案について再検討をお願いしたい、こう思っております。御所見を伺います。
○海部内閣総理大臣 お言葉を返すようでまことに申しわけありませんが、一片の試案でもっておまえはこの地域から飛んでいけというような、そういうことでこの案はできておるわけじゃありませんし、これも試案ではございません、選挙制度審議会という公正な第三者機関に、あらゆる国民の各界各層の代表の皆さんに入っていただいたところで慎重に検討していただいたわけでありますし、その三百の選挙区、そこは一票直接投票で選ばれるわけでありますが、そこが第一関門と申しますか、あるいは第一選択の基準であるとしますれば、それだけで終わると先ほど来お話しのあったようなアメリカの小選挙区制の下院とかイギリスの現状みたいなことになるでしょうが、そうではなくて、国民全体の意思の中に、そうはそうでも少数政党の意見や少数意見の代表も入れるべきではないかという、今御指摘の多くの国民的な合意なども考えながら比例代表制を並立させて、そしてさらにそこから意思を吸い上げるように仕組んだということでありますから、委員のおっしゃるような日本の文化や歴史や伝統というようなものが全部総合的に判断、加味されておる制度であると政府は受けとめて法案の提出をさせていただいておる次第でありますから、どうぞ御審議の上、御理解いただきたいと思います。
○野呂田委員 まあ総理にそうおっしゃられれば、それじゃ本当に総理がお答えしたようなことが審議会で行われておったかどうか、私どもはその議事録を見なければ総理のお言葉を信用することができないのでありますから、そのことはまた後日協議をしたいと思います。 最後に私は申し上げたいと思いますが、今度の小選挙区制を実施すれば地方の国会議員の数が激減いたしまして、東京圏と京阪圏に大きく集中することになります。比例代表の数を除いて考えてみましても、私のところの県は今七人の代議士がおりますが、これが三人になります。三人になりますと、これで地方の声が中央に反映するということには決してなりません。 これまでの国策は、歴代の総理が本当に苦労されて、一極集中というものは悪いから多極分散型の国土を形成しよう、これが日本の百年の大計のために大事だ、こういう議論を営々としてやってきたはずであります。ところが、最も弊害きわまれる政治機能、政治家の数だけが大都市に集中してしまって、地方から激減をして、そして地方の声が中央に響かないということになってくると、これは国土の均衡のとれた発展というのは期しがたいし、国家百年の大計を誤ることだと私は思うのであります。こういうこれまでの歴代の総理たちの苦労に逆行するような制度である、私はこういうことを考えます。 時間がありませんから最後まで言いますが、私は、この制度の検討に当たっては、本当に国の基本を揺るがすような大問題でありますから、もっと国の世論を喚起し、衆議に徹してこの問題について方向を見出していただきたい、拙速は避けるべきであると思いますので、重ねて要望して、私の質問を終わります。
○小此木委員長 答弁はいいですか。内閣総理大臣。
○海部内閣総理大臣 御意見を十分拝聴いたしましたが、その地方の声を反映させるという視点は二つの面から考えられておるわけでありまして、まず、人口比例だけを厳密に考えないで各県に一つずつ議席をあらかじめ配分をしたという配慮、これは地方尊重の一つのあらわれでありますし、もう一つは、自由民主党で政治改革大綱を御議論願うときに、地方の声というもの、地方を大切にするということを、あるいは一極集中を避けるということをいろいろな角度から皆さん御議論いただいたことはこの結果にもあらわれておるわけであって、そのために地方と中央との役割分担や、地方の尊重とか責任分担とか権限移譲とかいろいろなことによって、地方は地方に一番身近な地方議会が責任を持つ、国は国としての責任を持つような政治にしていくということで、地方の声の尊重というのはそちらの面もあわせて両方で考えていかなければならぬということは自民党の大綱にも明確に示されておることであり、それが反映されて、議論の結果このような答申になったということも申し上げさせていただきたいと思います。
○野呂田委員 委員長、一言だけ。私は、秋田の問題で例を引いて申し上げましたが、この事例は、東北、北海道、四国、九州、中国、皆同じでありますから、これはどう考えても総理の納得の仕方が浅いのじゃないかと思っております。重ねて検討をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○小此木委員長 これにて野呂田君の質疑は終了いたしました。 次に、谷川和穗君。
○谷川委員 「総裁の熱心な要請により、組織調査会長の重責を引き受け、党近代化という重要かつ困難なる課題と取り組むこと丸一年、ここに答申の運びとなったことは、副会長、小委員長および委員諸君の真摯なる努力はもとより、党員諸君の理解と輿論の励ましに負うところ大である。」ただいま私が読み上げました文書はいつ、どこで出てきた文書か、総理はおわかりになりますか、おわかりになりませんか。
○海部内閣総理大臣 いつということはちょっと明確にできませんが、多分池田内閣のときに、党の組織を変えよう、そしてそれをやるために、何という名前でしたでしょうか、党改革の基本問題調査会というのを池田内閣でおつくりになって、そのとき、当時の三木武夫さんがその会長を引き受けさせるために呼ばれたときにたしか言われた言葉ではなかったかと、私はそう思いますが……。
○谷川委員 この文章の「総裁の」というのは、今おっしゃられたとおり池田総裁、当時の内閣総理大臣でございまして、党近代化に関する組織調査会答申、俗に三木答申のこれは頭の書き出してございます。この答申が出てから一年後に、池田総裁は実は内閣を辞しておられるわけです。というのは、もう既にこの答申が出ましたときには池田総理・総裁の体は病魔にむしばまれておった。 さて、その答申を書かれた三木先生でございますが、昭和六十三年十一月に亡くなっておられますが、その三木先生が亡くなられる直前に、これは我が党の鯨岡兵輔先生が公になすったんですが、三木先生が精魂込めてつくられたという選挙浄化特別措置法というのが出てまいりました。これは大きく二つの柱の上へ乗っかっておりましたが、うち一本が選挙運動費用の限度額の遵守でございまして、もう一本が選挙区への寄附の禁止。実はこの選挙区への寄附の禁止が百十六国会で公選法改正の基本になった骨子でございますが、これを熱心に推薦されましたのは当時の内閣総理大臣竹下登先生でございました。 こういうことから推して、総理、私は自由民主党という政党は、長い間政界浄化あるいは選挙腐敗防止の問題に懸命になって取り組んできた政党である、こう考えますが、どういう御印象をお持ちでありましょうか。
○海部内閣総理大臣 御指摘のとおり、いろいろな角度から自由民主党は、特に政権担当をする政党として、いろいろな不祥事件が起きたりしますと与党の責任というものを厳しく受けとめて、これは改革をしていかなければならないという政治改革の問題については常に真剣に取り組んでこられたと思うし、特にまた今回のこの三法案を提案するもとになりましたのも、当時の政府・与党の指導者が皆集まって、私の記憶に誤りなければ平成元年には竹下内閣で有識者会議というものを招集されて、そこで有識者の皆さんの意見を謙虚に聞き、同時にその結論に従って党に政治改革推進本部を置いて、政治改革大綱をつくってこの方向を示唆された、大変な努力を積み重ねてきたものだということを私も十分承知しております。
○谷川委員 今総理のお口から政治改革という言葉が出ましたが、政治不信あるいは政治の浄化、選挙の腐敗防止あるいは政治倫理の確立、このいずれも、国民が現在の日本の政治に対して一番関心を持って見守っておる問題であろうかと思います。 政治不信というものは政治腐敗から非常に強く出てまいりますが、この政治腐敗の問題を考えますと、えてしでその国の経済が成長あるいは発展を約束されるような、こういう機に起こってきておる。イギリスの腐敗行為防止法ができた当時、あるいはアメリカのタマニー・ホールのあの大疑獄事件などまさにそれだと思うのであります。 総理にお尋ねいたしますが、政治にお金がかからないようにする、あるいは選挙の腐敗を防止するということは、これは当然やらなければならない問題でありますが、特に経済が伸展を遂げようとするような時代には、なおさらこの問題については政治は襟を正しながら真剣に取り組んでいかなければいかぬと思います。ただ、政治改革にはそれだけではなくて、もう一つ非常に大きな課題がある。政治改革にはもちろんそれはやらなければいけないんだが、それだけではなくてもう一つ非常に大きな課題がある、私はそう考えております。 国民が政治改革と言う場合には、国の内外の課題に対して政治が国民の期待するような、国民の思いを代表して立派に政治行政システムの新しい確立を目指しながらこういう新しい問題に対して対応ができているのかどうか、もしできていないならばそれを改革してもらいたいという意味の政治改革という面があると思います。したがって、政治改革というものに対しては今言ったような非常に大事なもう一つの課題が隠れていると思うのですが、それについては総理はどういうふうにお考えでありましょうか。
○海部内閣総理大臣 谷川議員御指摘のとおり、私も全くそれは賛成をいたします。同時に、そのように国民の信頼を取り返すためにやらなきゃならぬ面で、政治の問題は今三法案としてお願いしておりますことに尽きるわけでありますけれども、しかし、その背景にあるものは、やはり内外の諸情勢に対してどのような対応をしていくか。国会改革の問題を党の政治改革で主張しましたこともその角度からの主張でありましたし、またつい最近、各党の合意をいただいて国会の一月召集ということができましたのも、あれは実情にきちっと合わせて、お正月を挟んだ年末年始のあの問題の中でどのような扱いをしたらいいかというきょうまでの反省に立っての改革だったと受けとめておりますし、さらに十項目近くあります国会改革、あるいは自由民主党自体で党の改革という案も党で決めておりますことも、これは広い意味からいくと、的確に内外の諸情勢に対応していくための政治の体制をつくっていくための政府・与党の反省と前進のための施策である、このように受けとめております。
○谷川委員 今総理は、内外のうちの専ら内の方も随分詳しくお触れになられましたが、私は、外の方についてちょっとお尋ねをいたしたいと思うのです。 これは例でありますけれども、この七月にロンドン・サミットがあった。そこヘゴルバチョフが出席をした、出てきたということは、恐らく総理のそのときの御印象として、はあ、これでひょっとすると今後のソビエト・ロシアは、国連の安全保障理事会でビトー、拒否権を使わない国になるかもしれないなという御印象をお持ちになったんじゃないかと思うのです。もしそうだということになると、これからの地域紛争に対しては国連の出番がだんだんと大きくなってくるだろう、日本の政治もそれに対して対応しなきゃいかぬのじゃないかなということをお考えになっていたんじゃないかと思う。 けさの新聞では、ソ連にガット加入を促すということが大きく報道されました。「西側経済の支柱になってきたガット・IMF体制にソ連が組み込まれることになる。」というような記事を書いた新聞もございます。しかし、よくよく考えてみますと、もともとブレトンウッズ協定でIMFや世銀が誕生したときに、ソ連はIMFのオリジナルメンバー、創設者の一人であった、一国であった。そのソ連がIMFへ戻ってくるというのですから、やはりこれから世界の経済は大分変わってくるだろうなという印象も総理はお持ちになったんだろうと思います。 さらに、国内的に見ますれば、日本は世界一子供が生まれない国になった。恐らく生産人口はこの九〇年代後半には確実に減少に転ずるだろうと思います。そういうことを考えますと、これから先、先進国に経験したことのないようなスピードで高齢化社会が到来してくるということになってきますと、これから社会資本だとかあるいは社会保障だとか社会福祉の長期戦略を立てていかなければならないという時代になってきたということになると思うのです。 総理にお尋ねいたしますけれども、今までの日本の政治行政システムがすぐれたものであったからこそ今日までの経済発展が約束されたという説もあるかと思いますが、その逆に、多くの欠点は指摘されてきたんだけれども、しかし、幸いにして内外の条件が有利に展開してきたために戦後経済の発展が可能だったという、こういう説もございます。しかし、今我々に問われておるのはそれだけではなくて、もう一つ、これだけの経済大国となった日本の政治行政システムはそろそろ改革の必要性が見えてきたということではないのでありましょうか。国民は、激しく揺れ動く、まさに戦後五十年にして始まってきた世界史的なこの転換期に、日本の政治は的確に内外のこういう課題に対して対応できる、そういうような政治行政システムをつくり出すことに成功しているのかどうかということで、今進行中の政治改革論を見守っておるのではなかろうかと私は思いますが、この点について、もう一度改めて総理から御所見を述べていただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 先ほど、国内問題の角度からの御答弁に重点を置いたのでありますけれども、今委員まさに御指摘のように、ロンドン・サミットのゴルバチョフ大統領との話し合いの問題などを見ますと、もう既にソ連は、イラクの問題以来、国連で拒否権を発動しなくなりました。むしろ、発動しないというよりも積極的に国連の機能を強めていこう、支持しようという態度に変わってきたわけでありますから、それで東西の対立も終わりを告げ、冷戦時代の発想を乗り越えていく世界が生まれてきた、私も率直にそう認識しますし、今後は、国連の機能をより高めていくことによって世界の平和というものは確実なものに支えていかなければならない。そのためには、西側と言われたG7の国々がやらなきゃならぬことは何であるかというと、ソ連がともに同じ普遍的な原理の中で、民主主義と自由と市場経済という価値を求めて世界の再建のために協力できる国になって参加してくることである。そのために何をしたらいいかという基本でロンドンでは話し合いをいたしました。 したがって、そういったことになりますと、日本が対外的にどのようなことをしなければならないかということは、世界とともに生きる日本という面に角度を当てていかなきゃなりません。小ぢんまりとつじつまを合わせて、自分のところだけぐあいよければいいんだとは言っておれない時代が来たわけでありますから、国連に対してどのように参加をし、協力し、出ていくか。そうすれば、言葉をかえて言うと、外交問題でも、例えばアジア・太平洋地域の問題にしても、ソ連と日本との関係、朝鮮半島との関係、カンボジアとの関係、それぞれにも日本は積極的に出ていかなきゃならぬ。国際社会で求められ、期待される役割に対しては的確に反応していかなきゃならぬ、積極的にやらなければならぬ、これは御指摘のとおりであります。 したがって、日本が今後、力でお役に立てない日本が力以外のことでお役に立つというなれば、それは軍備管理・軍縮の問題等についてできるだけ国連を中心にして世界の合意を求めるべきだというので、国連軍縮会議も五月に京都で行い、サミットのときにもそのことを主張もし、それが合意を得られたということは望ましいことであると思っておりますから、今度の国連総会では日本からそのことも提案をし、そういったことについての国際的な努力について的確な反応をし、積極的な努力をしていかなきゃならぬというのは委員の御指摘のとおりでありますから、そのためにも日ごろから政策中心の政党間の論議を高めておいて、それによって誤りのない前進をさせなければならない。御指摘のとおりだと考えております。
○谷川委員 最近私が聞いたことなんですが、国会審議あるいは選挙で闘わされている選挙演説、いずれを見ても、日本が直面している課題の大きさと深刻さを考えると恐ろしく貧しい、これはある政治評論家の言葉なんですが、こういう政治に対する批判を聞いたわけです。もし本当にそうだということになりますと、どこかに何かの欠陥がある。 私は、これは保守合同が一つのきっかけをつくったんじゃないかと思っております。というのは、五五年体制が崩れたのは保守合同以来でありますが、単独過半数を得る政党が自由民主党だけになっちゃった。一つの政党が、よく総理も言われますが、百三十の選挙区に一人ずつ立てて全員当選を果たしてみても、国会議員の数が、衆議院議員ですが、五百十二ですから過半数は二百五十七、そのまた半分にしかならない、つまり四分の一にしかならぬということになります。それならば二人以上立てたらどうだ、こういうことになりますけれども、なかなかこれは保守合同以来はそういう形になってきておりませんし、それならもう一つの方法として野党連合があるじゃないかと。しかし、すべての選挙区で選挙協力をするのはこれは言うべくしてなかなか大変、百三十の選挙区全部にこれができて二人以上ずつ当選できるというのは、これはなかなか大変だと思います。 そうすると、仮に定数是正を行ってみても、今指摘したようなこのような問題に解答を与えられないということになりますし、むしろ、現行のままで定数是正をやれば、保守党の我々がたくさん出るわけですから保守の我々の争いをさらに一層激しくするということになるかもしれないし、それから、野党連合をつくって政権交代をするということをねらったらいいじゃないかという形で野党連合は進んでいくとしても、基本的に政策がいろいろ違うとなかなか連合は組みにくいから、それをずうっと長期に続けていくということはなかなか大変だと思いますが、もし仮にそうなったとしても、過半数を野党連合で維持するということになると、すべての選挙区で野党連合候補が複数立つことをずうっとこれからの選挙で続けていかなきゃならぬという話になる。ということになれば、これは現在の自由民主党が持っていると同じ同士打ちの悩みも持たなきゃならぬということを意味することになるんだ。 私は、その意味では、定数是正というのは政治改革断行のための、言うならばそれをつくり上げるための前提であって、政治改革そのものは、仮に定数是正をやってももう一遍いずれかの時点で、しかも比較的早い時点でこれは手を染めざるを得ないという問題になるのではなかろうか、こういう印象を持っておるわけであります。これについては、何か総理から言われることがあれば聞かしていただければありがたいと思います。
○海部内閣総理大臣 定数是正という問題は、御指摘のように、一対三以上になってしまって一票の価値というものを改めなければならないという角度から、一票の価値を改めるためには現在の制度、仕組みを前提として変えるとこういうことになるという仕組みだと思います。それは、いろいろな各党の御意見も私は聞いておりますけれども、それをやったからといって、同一選挙区の複数候補が同じ政策のもとで日常どのようにして選挙民に政策を伝え、支持を求めるかという問題、ここのところの解決には、別の次元の問題ですから直接つながらない、私はそう思います。
○谷川委員 選挙制度の問題について質問をいたしたいと思いますが、過去に選挙制度審議会というものが何次行われたのかということ、これは自治省の選挙部長からお答えをいただきたいと思います。
○吉田(弘)政府委員 今回の答申をいただきましたのは第八次の審議会でございますが、それまで、第一次から第七次の審議会がございました。第一次は昭和三十六年に発足をいたしまして、第七次が終了いたしましたのは昭和四十七年でございます。
○谷川委員 選挙制度審議会について二、三聞きますが、これから私がお尋ねすることは専ら選挙部長、もしそれが違っておったら御訂正いただきたいし、違っていなかったらそのとおりでございますとだけのお答えをいただければ結構でございます。 まず第一に、選挙区制の改正案が出てきたのは第三次審議会からだ、こう理解してよろしゅうございますか。
○吉田(弘)政府委員 そのとおりでございます。
○谷川委員 第三次審議会は佐藤内閣で、会長は高橋雄豺さんであった、これも間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○谷川委員 第三次審議会で区制改正が論じられたのは第一委員会で、その委員長報告では三つ区制について出てきておって、第一が小選挙区制、第二が小選挙区比例代表制、それから第三が中選挙区制限連記投票制、この三つが出たといいますが、これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 そのとおりでございます。
○谷川委員 第三次審議会では、政党本位の選挙を確立するためには現行中選挙区制を改めるべきだという点では一致を見たといいますが、これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 現行中選挙区制を改正する方向で検討せざるを得ないという意見が多数であったということでございます。
○谷川委員 ちょっとその問題についてもう一遍改めて聞きますが、私がお尋ねしたのは、政党本位の選挙を確立するために現行中選挙区制を改めるべきだという点では一致を見た、つまり、私は全会一致を見たという意味で一致を見た、こういう言葉を使わしていただきましたが、これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 そういう意見が多数であったというふうに聞いております。
○谷川委員 第四次審議会は昭和四十年八月から四十一年八月にかけてであって、そのときの内閣総理大臣も佐藤内閣総理大臣だった、これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 そのとおりでございます。
○谷川委員 このときに首相あて、総理大臣あて報告に初めて小選挙区比例代表併用制が小選挙区制と並んで出てきた、こう理解してよろしゅうございますか。
○吉田(弘)政府委員 審議会の報告に小選挙区比例代表併用制ということで出てまいりました。
○谷川委員 この第四次審議会でありますが、その審議会においては、直近の国勢調査人口による都道府県ごとの議員一人当たり人口の格差、このときには偏差という言葉を使っておったかと思うのですが、これを二・二倍以内とするということが出てきた。これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 間違いございません。
○谷川委員 第五次審議会に入りますが、第五次審議会は四十一年十一月から四十二年十一月、この当時審議会というのは一年任期であったから四十二年十一月までだと思いますが、そのときに、もし区割り案というようなものをつくることになれば、その作成は中立、公正な第三者機関によることが適当という答申が出たという、これは正しいと理解してよろしゅうございますか。
○吉田(弘)政府委員 そういう趣旨のことでございます。
○谷川委員 そのときに松野特別委員から、小選挙区制と比例代表制の並立方式がいいという提案がなされた。その理由は、小党分立の傾向を防止し、政局の安定を図るのが主眼である、これはこう理解してよろしゅうございますか。
○吉田(弘)政府委員 そのようなことでございます。
○谷川委員 さて、これから先は自治大臣に御答弁いただきましても、それから選挙部長続けて御答弁いただいてもあれなんですが、松野特別委員がこのときに、小選挙区制と比例代表制の並立制は小党分立の傾向を防止し、政局の安定を図るのが主眼である、こう述べだということが記録に残っているんだそうですが、それでは、これは選挙部長にお尋ねしましょうか。併用ではなぜ小党分立になって、並立ならばなぜそれを防げるのか、その当時はどういう議論があったのか、御紹介いただきたいと思います。
○吉田(弘)政府委員 併用の場合は、いわば基本的には比例代表制ということでございます。すなわち、総定数を各政党の得票数に応じて配分して各政党の当選人を定める、そして各政党では配分を受けました数のうち、まず小選挙区で当選をした人を優先して当選人とするというようなことでございますので、比例代表の特性が基本的にあらわれるということで小党分立というような問題があるということでございます。
○谷川委員 今の問題は大変大事な問題なんで、さらに続いて私の意見も申し述べながらお聞きしたいのですが、まずこの比例代表制ですけれども、小選挙区制だとどうしても死票が出る、あるいは全国で集計した場合に四〇%そこそこの得票を得た党が議席の八割もとることになる可能性もある、比例代表制ならば一票ずつ数えるから完全な民意を示すことになる、こういう言い方があるのですけれども、私は、そもそもこの比例代表制というものは、一つの国の中で人種だとかあるいは宗教だとか大変大きな違いを持った国がそれにしておって、特にこれはヨーロッパでそうですが、そういうヨーロッパの地域で発達した制度だと思っておるのです。それが価値観が非常に多様化した現代に多くの国々で見直されたという言葉を使うのはどうか知りませんが、非常に評価をされながら採用されてきたんだと見ておるのです。ところがこの比例代表制というものにはなかなか頭の痛い問題が一つある。 ワイマール憲法は完全な民主主義の実現を図るという壮大な実験をやったわけですが、それがワイマール憲法の精神ですけれども、そのときに完全比例制を採用した。ところが、わずか十四年の間に政府が二十一、最高の政党の数が十七、ついにはヒトラーの台頭を許してしまった。小党分立というのは非常にその意味では政治の安定の問題が大きいということがあって、そこで、西ドイツ、ドイツ連邦共和国が誕生したときにその反省に基づいて阻止条項、五%条項が入ったり、あるいは小選挙区制もこの際一緒に併用した方がいいんじゃないか 一緒にやった方がいいんじゃないかとかいう努力をして政党の分立状態を避けようと、これはまさにヒトラー台頭を許したドイツ民族の反省のもとにでき上がってきた選挙制度だと思うのです。 さて、もう一回この選挙制度審議会の問題に戻ります。 選挙部長にお尋ねしますが、第七次選挙制度審議会が開かれておりますが、第七次選挙制度審議会に対しては、政党本位の選挙を実現するための根本的な改善策はどうあるべきかというものが諮問されたのだということを聞きました。もう一遍申し上げますが、このときの諮問は、政党本位の選挙を実現するための根本的な改善策は何かということが諮問されたというふうに聞きましたが、これは間違いがございませんか。
○吉田(弘)政府委員 第七次の諮問でございますが、「政党本位の選挙を実現するための選挙制度全般を通ずる根本的改善策を具体的に示されたい。」ということでございます。
○谷川委員 根本的な改善策というのは、諮問で使われる言葉、諮問としては非常に大きな強い言葉だと私は思っておるわけなんですが、この第七次審議会というのは、少なくとも私の知る限り大変に熱心に御審議をいただいた。まあそれまでの審議会も随分熱心に御審議いただいたが、特に第七次審議会の委員の先生方は大変熱心に審議なされて、それまでは一年の任期であった審議会の任期を審議の最中にもう一年加えて、そして中間報告もお出しになったが、まことに残念な話だが、いよいよ本格的な答申間近になって解散・総選挙、そのために答申を見合わす、出すことをやめるということになってしまった、それ以来政局が激しく揺れ動き続けてきたので審議会の答申どころでなくなったと言われておりますが、これは間違いございませんか。
○吉田(弘)政府委員 四十七年に第七次の審議会が終了して以来、今回の八次までは審議会が開かれなかったわけでございます。
○谷川委員 総理にお尋ねをいたしますが、リクルート事件の発生で政治倫理の確立が叫ばれ、政治倫理のことが議論の最中に突然小選挙区比例代表並立制を持ち出してきたのは問題のすりかえだ、こういう議論に対してどういうふうにお考えになられますか。
○海部内閣総理大臣 問題のすりかえではなくて、きょうまでずっと続いてきた党内の有力な議論、例えば先ほど私がちょっとここで申し上げましたように、自由民主党立党のとき以来、我々の大先輩は、あるいはこれは選挙区制度を変えていかなきゃならぬ、小選挙区にすることによって全力を挙げて国政に打ち込めるようにしなければならぬという趣旨のことを言われた、小選挙区制にした方がいいという考えを持った我々の大先輩方がたくさんいらっしゃったということも、それは事実でございます。 したがって、突然の問題でもありませんし、すりかえたのではなくて、国民の信頼を取り戻すためには、これは政治とお金の関係を明らかにし、わかりやすくすることによって信頼は取り戻すことができる。政策全体として間違いだという批判を受けたわけではありませんから、政策はいいけれども姿勢が悪いという、この国民の皆さんの批判を私も直接身に受けたことがございました。したがって、そのためにはどうしなきゃならぬかということで、お金のかからない、必要以上にお金を使わない透明な制度に変えていくためには、結局つまるところは選挙制度の問題であり、それは先輩方がきょうまでも議論されてきた、今谷川議員が自治省とお話し合いの中でずっときょうまでのお調べによって出されたそれぞれの歴史の中でそういった意見があったということでありまして、それが今抜本的な改革案として政府によって法案化作業ができたんだということでございますから、思いつきだとかすりかえとかではないということは議員の御指摘になったとおりでございます。
○谷川委員 政党本位の選挙という言葉を総理は時々言っていますが、常にと言った方が正しいのでしょうか、お使いになっておられますが、世界の流れは個人の選挙から政党本位の選挙へ向かってきている、これはもう大きな流れだと思います。その政党本位の選挙として考えられるのは小選挙区制と比例代表制、この二つがあるのじゃないかと私は思っておるのですが、その比例代表制はすべての投票を数えて比例して割るということですから、その割ったのを各党の得票率に従って各党へ渡していくというわけですから、各党のそれぞれのそのときの実力がそのままあらわれるということになるだろうと思います。ただし、これには小党分立という問題が常につきまとう。片っ方は、その小選挙区制度にもこれも実は問題がある、最大の問題は死票だ、こういうことがよく言われます。小選挙区制の問題は、過半数を超えるという政党が出てこない場合には非常に政局不安定になる、したがって半数を超えるまでは二回投票する、それならば何とか過半数を超えられるのじゃないかというような、これは大変面倒な制度であります。したがって、この両者のそれぞれの長所をお互いに補うようにするために考えられるのは、あとは混合方式しかない、二つをあわせる。そうすると、二つをあわせるということになると、併用制という形であわせるか、並立制という形であわせるかこういう二つが出てくるのだろうと思います。 そこで、総理にお尋ねをいたしたいのは、小選挙区比例代表併用制で今我々の頭の中へすぐ出てくるのはドイツ型の小選挙区比例代表制ですが、このドイツ型の小選挙区比例代表制を我が国において今採用するというのにはこれはいろいろ問題があるのだろうと思うのですが、総理はどういうふうにお考えになられますか。
○海部内閣総理大臣 それぞれの国の選挙の制度、仕組みというものはそれぞれの国の体験や歴史があったことは、谷川議員もドイツの例を引かれて御指摘のとおりであります。現在は比例代表の併用制をドイツは行っておるわけでありますけれども、五%条項というのがあって、それによって極端な小党の分立にならないような歯どめ措置を設けているということと、もう一つ、これはもう私率直に申し上げさせていただきますが、日独の定期協議なんかでドイツの議員と会いましたときにいろいろ考えたこと、例えば、併用制でいきますから、ドイツの場合は御承知のように過半数をとる政党があらわれません。だから、SPDとCDUと全く考え方の対極にある政党がそれぞれ政権を持つことができませんから、最近の例では、いつの場合も自由民主党が連合政権の相手政権となってやっておるわけであります。そうしますと、そこのところでいろいろ相手政権との問題、それは政党と政党の話し合い、選択になってしまって、国民の示した明確な意思というものが直接あらわれておらないという問題点を、現場においても私どもは議員同士でいろいろお互いお話をし合ったことがあるのです。 そして、そういったことについてドイツ国民がそれでいいとおっしゃってやっておるのだからそれで結構で、それを悪いと言った覚えは一度もありませんが、日本がそれを考えるときには、選挙制度審議会の答申等にもそれらの問題点があるということは明確に指摘されておりますし、もう一つ、併用制でいきますと超過議席という問題等も起こるという議論も審議会ではいろいろなされておりますから、それなれば、比例代表で少数政党の意見も聞く方法としては併用制とともに並立制というのもありまして、それが日本の歴史、風土、伝統からいって最も好ましい制度であると判断しましたからそういう仕組みにしたわけであります。御理解願います。
○谷川委員 いかに政権を安定させ、また同時に政権交代を可能にしていくかという、この知恵が今回政府の方で提案された小選挙区比例代表並立制だ、乱そういうふうに理解をいたしますが、私は、その中で、各党それぞれにいろんな案をお持ちだろうと思うのです。やはり一番大事なことは国会の活性化ですから、大いに自由な論議が行われるような国会をつくっていかなければいけないわけですから、そのためには、比例にしても代表制の問題が出てきたり、小選挙区と並立をどうするかという問題もあるけれども、定数是正で現行を改正をしていこうという案があるとすればやはりそれもここへ出してきて、それで我々みんなであわせて論議する。つまり、野党の対案というのでしょうか、野党が反対と言われる場合にはその対案というものを至急国会へ出していただいて、そして国会で論議をしていただくということを恐らく国民全部が期待をしておるのだろうと思います。 私は、今後海部総理が、大きな意味で申し上げたこの政治改革、その中における一番難しい制度の改革、これに対して力いっぱい奮闘されまして、十二分に野党の案も検討し、野党の言うことも耳にしながら、我が国の政治の改革のために御奮闘されることを心から願って、私の質問を終えます。 ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて谷川君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○小此木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 三案の審査のため、本日、参考人として前選挙制度審議会副会長佐藤功君及び前選挙制度審議会第一委員会委員長堀江湛君の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。島村宜伸君。
○島村委員 島村宜伸であります。 私は、本日、政治改革三法案に関して御質問させていただくわけでありますが、私の質問時間はわずか四十分でございます。したがいまして、選挙制度の問題に話を絞りまして、もし時間が許せば政党助成法、政治資金規正法等にも話を進めたい、こう考えます。 まず、総理、あなたは経済は一流、政治は三流という言葉を耳にされたことがあると思います。ありますね。これが最近は、金融界やあるいは証券業界の不詳事件によりまして、国民の皆さんは何か経済も一流じゃないんだな、こう言っているそうであります。 さて、政治は三流と言いますが、戦後これだけの輝かしい実績を築いてきたわけでありますから、私は、少なくも政治の実績については超一流である、こう思っております。まあ、例の倫理の問題等をつかれますといささかじくじたるものはございますが。そこで私は、政治は三流と言われると腹を立てるのではなくて、むしろこれは、国民の皆さんは政治家の倫理観が三流である、こうおしかりになっているんだ、いつもそう受けとめておるわけであります。改めて申し上げるまでもなく、政治家は常に高い理想を持ち、現実を一歩でも理想に近づけるべくたゆまぬ努力をすることがその使命と心得ております。その意味において、政治倫理を確立するとともに、金のかからないわかりやすい政治を実現するための政治改革を断行しようと考える姿勢においては、私は人後に落ちないと自負しております。ただ私は、そうした政治改革が何ゆえにわかに小選挙区比例代表並立制といった極めて問題の多い選挙制度の導入に直結するのか全く納得がいかないのであります。 さて、戦後焦土と化した我が国が、エネルギー等の鉱物資源あるいは食糧資源が極めて乏しいと。いうハンディキャップを克服して欧米先進国をしのぐ今日の経済的繁栄を築いたことは、何といっても国民の皆様の努力と英知のたまものである、これは申すまでもありませんが、それとあわせまして、国の進路に誤りなきよう懸命のかじ取りをしてこられた先輩諸兄の政治の選択、あわせて今日に至るまでの我が党の政策に誤りがなかったからだと、私はひそかに誇りにすら思っております。 他方、あえてこの発展を可能ならしめたその土台は何であったかといえば、これは何といっても現行中選挙区制度のもとで政権が安定し、政治経済政策に一貫性が保たれたこと、この一言に尽きる、こう私は思っております。したがって、国民性も宗教も歴史、文化も異なる欧米の選挙制度に倣い、我が国も小選挙区制にしなければならないとする考え方はどうしても理解できないのであります。 改めて申し上げるまでもなく、我が国はかつて二度の小選挙区制度を経験し、この大きな失敗の反省に立って、大選挙区制度の長所をとり、かつ短所を補って、採長補短の中に生まれたのがいわばこの中選挙区制度でありまして、これは我が国が誇っていい政治的所産だと私は考えます。しかも、与野党間の政策に大きな隔たりがある現在、もし政権交代を行えば、経済政策一つをとっても、経済界や国民生活に大きな混乱と停滞をもたらすことは必定であります。このことは、戦後四十数年間の我が国の経済力と欧米先進国の経済力の推移を見ればおのずから明らかであります。私は、国の将来に誤りなきよう、また国民が真に豊かさを実感できる政治を実現するためにも、清潔でわかりやすい政治の実現と政治の安定こそが必要だと考えております。さはさりながら、そのために小選挙区比例代表制を導入するのだということはどうしても納得できません。つきましては、これが解明に率直な御意見を伺いたいと存じます。総理、お願いいたします。
○海部内閣総理大臣 前半で御指摘になりましたこと、やはり私は、戦後日本の政治というものが大きな政策目標の中において誤りなく行われてきたから、戦後のきょうまでの日本の社会の安定や質的な向上があったと思います。そうして今大きく世界の中で、日本の持っておる影響力というものが好むと好まざるとにかかわらず大きな期待をされるところまで来ておるということも、これは政局が安定をし、政治が国民生活とともに歩みを続けてきたからであるという点も私は全くそうだと思います。そして、今たまたま委員御指摘になったように、政治が三流と言われるのは政治家の倫理観が三流ではないかと率直におっしゃいましたが、私は、政治が信頼を獲得するためには、そこのところは政治もむしろ謙虚に率直に受けとめて、国民の信頼を失ったのは政策ではなくてむしろ倫理観の問題であったという点に焦点を置くとするなれば、政治倫理確立のためのいろいろな一連の努力をきょうまでも続けてきたつもりでありますけれども、今まさにここで御議論願っておる政治改革というものをなし遂げることによって、国民の政治に対する信頼というものを確固たるものにしていかなければならないという願いと方向は全く同じであります。 さてそこで、なぜ小選挙区がということが全く腑に落ちないとおしかりであります。しかし、私は、私自身が国会議員に当選しました今から三十年前、そのときから自由民主党は組織調査会をつくってその問題に真剣に取り組んで、どうしたら改革できるかという議論がずっと始まっておったことがここに記録でもございます。同時にまた、組織調査会の中でも、本当の意味の安定をした政権というものは、そして国民に理解と信頼を求めるための政権というものは政党政治である、政党というものがきちっとしていかなければならぬということがここにも示されておるわけでありますし、同時にまた、具体的な名前は申し上げませ人が、私が先ほどここで谷川委員のときでしたか申し上げましたように、いろいろ我々の身近な先輩たちが小選挙区制にしなければならない、またその必要があるとおっしゃってのは、今の制度、仕組みの中で与党としての歴史が続けば、同じ地域でやはりたくさんの候補者が覇を競わなければならぬ、政策が同じでは、これはややもすると大切な場面で政策が影を消して、個人的なつながり、有権者に対するいろいろなサービス合戦ということが行われるんだということを、これは私が言うというよりも、すべて先輩方がいろいろ言語として残しておられるわけであります。 そういったところにかかるお金をかからないようにして、また有権者の側から見ても、同じ政策を言う人から選ばなければならぬというよりも、政策の違う人が出てきて言ったときには、与党と野党の間の政策の違いも明瞭になってくるではないか、だから、両面から見てやはり政策本位、政党本位の争いにしていくことがより望ましいし、あるべき姿である、こう考えるわけでございます。
○島村委員 それでは、具体的な問題について御質問申し上げます。 政治改革関連三法案、特に小選挙区比例代表並立制を導入することを柱とする公職選挙法改正案は、野党ばかりか政府・与党である自由民主党内に根強い反対論、慎重論が多い中で、党の総務会は党の機関に語らずして、基本を変えない、国会における自由な論議に期待するという注釈までつけた異例な党議決定を行いました。選挙制度の改革は、我が国の議会制度やあるいは政治のあり方の根幹にかかわる問題であり、いわば一つの憲法をつくるに等しい大改革であります。しかも、この選挙制度の改革は国民の主権の行使にかかわる改革であって、一般の行政権や私権を行使するための法律の改正とはわけが違います。私は、そういう意味において、さらに時間をかけて党内で論議を深めて、拙速を慎んで、その上で新しい前進を図るべきではないかと考えます。 既に本案の質疑の中で、本案に対する反対論が極めて高いということを総理は実感なさっていると思います。こだわりを捨てて本案を撤回なさり、改めて自由民主党内の大多数が理解と納得ができるような制度をつくり出して再出発すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○海部内閣総理大臣 私は党の総裁の指名をいただくその前まで、党の政治改革推進本部の行動隊長という立場で全国を訴えて歩いておりました。もう三年前でしょうか。当時の政府・与党の首脳の皆さんが今御指摘になった倫理観三流主言われた問題を厳しく受けとめて、党を挙げて国民の前に反省と再出発を誓ったはずです。そして、それに基づいてでき上がったのが政治改革大綱でございました。政治改革大綱をつくって、その政治改革大綱に従って訴えて歩いたわけです。私は総裁に就任したその日に、そのときまで自分が行動隊長として訴えて回っておった政治改革大綱を、時代からの使命としておまえはこれを果たせと言われました。私は、非常にこれはやらなきゃならぬ重要な問題だと厳しく自覚をしております。以来二年間党内で、お聞きすれば三百回を超える御議論をあらゆる立場からしていただいたものと承知しております。同時に、当時の先輩方がいろいろおっしゃったこと、そういったことを踏まえて党は制度審議会に付託をしたわけであります。 そうしますと、それに従って、途中の御議論は結構です、いろいろな御意見があることはわかっておりますが、党内でもいろいろな御意見はあっても、島村議員、どうでしょう。民主主義というのは、皆が二年間にわたっていろいろな議論をする、個人の意見は意見ですけれども、決まったことには従うというのもやはり自由民主党の党議ではないでしょうか。そうしたら、一人でも反対という人がおったならばそれは永久に議論のすれ違いだということになってしまったら、これは何も決めることはできません。私は、党からはそういうふうに党議決定をされたと、そのような通達も受けておりますし、受けたから政府は法案作成作業に入ったわけでありますし、法案を提出させていただいたわけでありまして、そこで自由濶達な御議論をいただくということは、これは当然なことでありますから、こうして本会議でも三日間御議論をいただいたし、委員会でも与党質問もいろいろいただきながら政府の考えも率直に申し上げておるということでございますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○島村委員 総理、私は常々、政治のよしあしは政治の土壌で決まる、主権者の国民の皆さんを土壌に例えるのは失礼かどば思いますが、小さな言葉におさめるとすればこれが一番適当だと思って、政治土壌論ということを地元で説いております。それは、例えばどんなにすぐれた野菜でも、どんなに新鮮な魚でも、育った土やあるいは自分が生き抜いた水が汚れていたら汚染されて、結果的には食するに当たらないものになってしまう。同じように、政治家がどんなに高い理想を掲げ、どんなに一生懸命努力をいたしましても、主権者の皆さんがまともな姿勢を受け入れていただけないとなれば、政治家をあきらめるか、あるいは汚れにくみするかに変わってしまうわけであります。 小選挙区制というとすぐ奄美大島の例が出ます。聞くところによると、もう莫大な、我々が一生かかっても稼げないようなお金を一つの選挙で使って戦う。そればかりか暴力団が入り込んで演説会の写真を撮りまくって、そこに出席していた人をひそかにおどかして手を引かせる。まことにひどい選挙が行われているようであります。ただ、私は奄美、奄美と奄美だけを悪者にいたしますが、私も全国いろいろなところを回ってみて耳にいたしますのに、まあそこまでいかないまでも、それに準ずるような選挙が間々あるわけであります。例えば、小さな小さな三百か五百、六百票もとれば当選できるというような村会議員の選挙でも、私たちより金を使って戦うような地域もあります。 要は、まず政治家自身の倫理観を確立することも大事でありますが、政治をきれいにするにはどうしたらいいか、総理が率先して国民に広く呼びかけて、そしてやはり国民のいわば共鳴をいただいた上で、政治土壌をきれいにしてからこの制度に踏み切らないと全く同じことになりませんか。私はむしろ、もっと政治が大きく後退し、混乱するだろうと考えて実は反対してきたわけであります。残念ながら党内においては大変な議論が連続したわけでありますが、結局、初めから小選挙区制ありきであって、私どもが主張いたしました、例えば中選挙区制と並べて、対比してどちらがいいかということを党の議論の場で検討しようじゃないかということはとうとう受け入れられなかった。私は、それらの点をひとつ総理にお考えいただいた上で御所見を承りたいと思います。
○海部内閣総理大臣 国民の皆さんに御理解と協力をいただきながら政治改革を進めなければならないことは、これはそのとおりだと思いますし、また同時に国民の皆さんの側からも、先ほど政治家の倫理についての御指摘があったように、今、今の仕組みの中で、今の制度の中で日常活動と選挙活動とお金との関係の中に庶民の感覚を通り越したような莫大なものがあるではないか、不透明なものがあるではないか、そのようなことに対する大変な不信があったこともこれは事実でございます。 私は、したがいまして、土壌論をこれから国民の皆さんに議員の意向に従って申し上げるにしても、その前に、まずみずからが反省して正すべ美ことは正していこうという議論が我が党の先輩方の間にも随分あったということ、同時に、そのために公職選挙法の改正案とかいろいろなものを積み重ねた努力をしてきておるわけでありますが、それだけではまだ不十分だというので、今度は政治資金の流れをもう少し公明にしよう、そして公正なものにしようということと同時に、もう一つは、必要以上にお金がかからないそういった制度、仕組みを考えていかなければならぬではないか。それは、個人の責任でやはりいろいろな活動をしたり行動を余儀なくされてきておる今の制度、仕組みも改めていかないと、いけない、いけないと言うだけではいけないから、制度、仕組みの方にもさかのぼって考えてみよう、こういうことになるわけであります。 したがって、今回初めて小選挙区制の問題が突然出てきたわけではなく、自由民主党では、もう私が当選して以来いろいろなところから出てきておったということを申し上げておりますけれども、そういった議論が政党本位の、そして政策本位のそういった議論になるということでございます。
○島村委員 総理、続いてお願いいたします。 要は、選挙区を小さくすれば選挙もきれいになり、政治活動もきれいになるというのは極めて安直過ぎると思うのです。例えば、私は東京でございます。そこに越智大臣もおられますが、東京の場合、私の区も該当いたしますけれども、一つの行政区よりさらに小さな区の中で選挙ができる。いわば都会議員や区長や区議会議員の方よりは小さな選挙区で国会の選挙を争うことになります。はばかりながら、私が知る範囲で、東京十区というのは全国で一番きれいな選挙区だと思うのです。皆さん手弁当で応援してくださるのです。あなたの派閥の鯨岡代議士もおられる。本当にきれいな選挙区なんですよ。ところが、これがもし今三つの区で成り立っておるものを一つの区、さらにそれを割り込むような小さな区にされた場合に今よりきれいになるかどうかといったら、明らかに汚くなるでありましょう。前回の選挙には、たまたま私たちの地域でも珍しく大変なお金をばらまく候補者が立候補をいたしました。しかしながら、区が三つありますから、一つのところで活躍すればほかから締め出される形で選挙は惨敗に終わりました。私は選挙民の良識に感謝したところでありますが、これがもし小さな選挙区に絞り込まれたら、買収は容易になりますし、むしろそういう動きを助長する形になります。これはむしろあなたが考えておられることとは逆行すると思いますが、いかがですか。
○海部内閣総理大臣 買収してお金がかかるかどうかということは、これは選挙区が広い、小さいと直接の関係がない問題でしょう。それは買収することを許さないという規制をきちっとすることと、その規制をきちっと守るという候補者の倫理観の確立と、それから議員のお言葉をかりれば、選挙民の皆さんが受けとめてくださるかどうかというところで決めていくべき問題にもなってくると思いますし、また、広さ、大きさ、狭さだけからいきますと、確かに東京のように人口密集地帯になりますと、区会議員さんの選挙区の問題と国会議員さんの一人の問題になるかもしれぬが、それはそこでは複数の区議会議員全部が選ばれる広さでありましょうし、同時にまた、区会議員さんのやっていらっしゃるお仕事とそれから国会で国会議員のやる仕事とおのずから基本的に問題が違うわけでありますから、だからそういった意味でそれを一緒にして、ただ広さだけが広いから狭いからという議論は、ほかのものと比べたときに必ずしもそれが一〇〇%妥当するものだと私は思いません。ですから、それはそれ、これはこれという考え方をしていただかないと片づかないことになるんではないでしょうか。 同時にもう一つ、今度の政治資金規正法の問題や公職選挙法による買収禁止の問題やあるいは腐敗行為を禁止していく問題、立候補を制限していく問題、いろいろございます。そういったものすべてを総合的に判断しての政治改革で、小選挙区比例代表制にするから手のひらを返したように一〇〇%完全に片づくとは私も考えておりませんし、それらのことをあわせて皆で片づけていかなければならない、こういうことでございますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○島村委員 総理、実は私は前回の選挙で、政治改革はいたします、私は幸い皆さんのような立派な方に支えられているのだし、まあ曲がりなりにも政治家の中では胸を張って歩けるだけの行動をしているつもりです、しかし、このような事件を起こしたことは共同責任でありますから、私も党内で改革に立ち上がります、こういう約束はしました。しかし、私は中選挙区制のもとで選ばれたわけでありますが、この選挙が終わったら今度は小選挙区制になりますということは一言も言いませんでした。 総理や自治大臣、これはお二人にお伺いします。本当は全部の大臣に伺いたいところでありますが、恐らぐここにおられる大臣方だって、今度小選挙区制になりますと言って戦った方は一人もおられないのじゃないかと思いますよ。私は今までたくさんの方に伺ってみましたが、私は言ったよと言ったのは、はっきり言って羽田議員一人でございました。参考までに総理と自治大臣のお話を伺いたいと思います。
○海部内閣総理大臣 私は総裁として、党の政治改革推進本部と選挙制度調査会の合同会議から党の政調会の正式の決定を受けた政治改革推進重点項目というものを、党が公認候補すべてにこれをお渡しをして、これが党の公約でありますということで戦いました。また、私は全国を遊説して歩いておりましたから自分の選挙区では演説はできませんでしたけれども、全国でこの推進重点項目を御説明して、選挙制度の改革をいたしますということを申し上げて、これに従った選挙をやってまいりました。
○吹田国務大臣 お答えいたします。 私も昨年の二月に選挙をやったわけでありますから、このことは同じ立場でやっているわけでありますが、ただ私も、小選挙区ということをはっきり選挙民に訴えたかと言われますと、政治改革ということと党公約のものはこういうふうになっているということは申し上げましたけれども、これが実現できるかできないかということとか、この次がどうとか、こういったことにまで触れての、これは正直な話ですよ、正直な話ですけれども、そこまで触れた演説をいたしておりませんものですから、ただ、こういったことに方向としては進んでおりますよということだけは申し上げたつもりでありますし、それはちゃんと選挙区において記録されておると思います。ただ、今申しましたように、必ずこうなるんだからこれでいくんだというようなことまで私がしゃべっていないことは事実でありますから、そのことは正直に申し上げておきます。
○島村委員 総理、私は中選挙区制論者であります。なぜならば、現状に甘んずる気ではありません。今度の小選挙区制になったら私の選挙が不利になるからではありません。お調べいただければわかります。ただ、この中選挙区制のすばらしい点は、自分の身分とか財産とか経歴とか、そういうものにかかわらずだれでも自由に立候補できる、この中から有能、優秀な新人がこの国会に生まれてきているのも事実であります。あるいはまた、主権者の国民にとって投票する相手の選択に幅が持てる、これもまたいいことだと思うのですね。例えば自由民主党に二人の候補者がいる、しかし二人とも瑕疵があり気に入らないとした場合に、同じような考えに立つ無所属の方に投票をし当選せしめ、その方が自民党に入っている例もたくさんあるわけであります。やはりそういう意味では、これがまた非常に投票意識を高めてきたと思うのです。 小選挙区制は、何度も指摘がありますように非常に死票が出る。極端な話、五人の候補者が出た場合には二一%でも当選できるという話もできなくはないわけです。死票が初めから予想できたら投票率が一気に落ちるというのは、各種の補欠選挙等がよく証明するところであります。私は、そういう意味でも、これは国民の政治離れを非常に恐れるわけでありまして、中選挙区をなぜけらなきゃいけないのか中選挙区制のもとで政治改革は不可能なんだろうか、この辺の論議が極めてあいまいなんであります。 ついでに申し上げます。実は、私はこの道の専門家でも何でもない、特別興味を持っていたわけでもないんです。なぜ参画したのかといえば、初めから中選挙区制をネグレクトして小選挙区制ありきの動きが強いよ、このままいくとずるずる通りそうだと同僚議員から聞いたこと。次に、会議に出てみたら中堅以上の人はほとんど出ていない、出ていても発言しない。役職上、派閥の関係からいろいろ言わない方が利口だということかもしれません。その中で一、二年生が一生懸命発言しても、結局はベテランの議員にどんどんなだめられる形でこの話が進んできたことは事実です。これは恐ろしいことだなと思いました。 いま一つ私がこれはいけないなと思ったことは、選挙制度審議会のメンバー、大変な御苦労をいただき、しかも見識ある方々と敬意を表しているところではありますが、そのメンバーを見ますと、まず選挙を経験したり政治活動を御自分でなさった方は、まあ私の知る限り一人も見当たらない。政治の実態を経験しておられない。いま一つは、マスコミの、新聞社の重立った方々がほとんど網羅されちゃっている。こうなると、言論に何か抑圧するような面が生まれやしないかこう感じまして親しい記者の方々に、まず選挙制度はどう思うか、こう伺ってみると、やあ島ちゃん、あんなもの無理ですよ、あんなものだめだよということを結構言う方が多いのですよね。ところが、それじゃあなたはなぜ書かぬのかと言ったら、これはやはりサラリーマンでもありますから、せっかく自分が書いたって、上が決めているものをけちをつけるようなことはできませんよ。いかに記者魂があるといっても、やはりそれは理解できるところであります。こういう方々を網羅すると、テレビ局もその系列下にあるわけですから、結果的に言論が抑圧されることにつながる。そして同時に、そういう方たちがもし動けば、マスコミや世論を喚起してどんどんどんどん政治改革の美名のもとでこの話が進みかねない。これはえらいことだな。そこで私は立ち上がりまして、自来いろいろな会議に参画し、発言をしてきたところであります。私は、このような人選をなさり、このような進め方をすることが恣意的でなかったとするならば、やはり反省あってしかるべきだし、やはりこういう考え方自身を導いたということはまずかったんじゃないかと思います。 あわせまして、この間メンバーのお一人である大学教授の方が、現職大臣の方でも今の選挙区から離れる人がいます、ほかの地域へ落下傘でおりるんです、こんなような解説をテレビでしていました。私はとんでもない話だなと思いました。これは総理もそうお感じになるはずですよ。何しろ、政治家がその大臣席に座るまでに育てていただくためには、正直言って兄弟以上、御自分をなげうって親身も及ばぬお力添えをいただいて今日がある。総理御自身だってそのおかげで今日なられたんじゃないですか。その総理の席は、総理御自身の努力も力量もあったでしょう。しかし、多くの有権者、支持者のおかげで今日あるんじゃないですか。いかに制度が変わるからといって、前ぶれもなし、予告もなしにいきなり今度はあっちへ行きますということができますかどうか、お考えいただきたい。また、私の地域は分断されるわけでありますが、それでもおまえは右腕を切るのがいいか、左腕を切るのがいいのか、あるいは右足か左足がと言われる思いで、冗談じゃないと私は怒っているわけであります。この辺、総理のお考えを伺いたい。
○海部内閣総理大臣 今までの御議論は、その立場からいえばそのとおりだろうと思います。けれど、大切なことは、今先生おっしゃったような今の国の中の土壌の中で、いかにそういったことの中で変えるかという努力をきょうまでしてきたわけでしょう。ところが、幾ら努力をしても国民の信頼を得るような改革がをし遂げられなかったということをいろいろな立場で議論をした結果、今の制度、仕組みに問題があるんだという結論に達したことは、これは一つの議論の結果として、党内の議論に参加しておられれば御理解が願えるものであろうと思うのです。 そして、選挙制度審議会のことにもお触れになりましたが、あれはむしろ私の前内閣のときに、学識経験者を中心としてお決めになる、そして学識経験者という方を選ぶときに、今もマスコミを選んではいけないというお話のようですが、マスコミだから選んでいかぬということは、これは間違いだと思います。それから、そんなことによっていろいろな作用は出てこないと思う。私は、第三者機関として純度の高い国民的な立場で御議論を願い、見ていただけたらいいんだろうと思いましたことと、もう一つは、今まで内閣が区割りとかいろんなものを決めますと、これは自分たち都合のいいようにやるではないかということになり、党内の議論でも、区割りその他を決めるときは第三者委員会にお願いをして、そこでつくってもらえということは当初の政治改革大綱のときからの合意事項であったと私は信じております。そのようなことになってきて踏んだ手続でありますから、それ以外個人に任せるということはなお危険になると思いますから、合議体で、第三者機関でお願いをしてきたということでございます。 また、私自身が選ばれてきましたことも、選挙区の皆さんの御支持をいただいて選ばれ、お育て願ったことはそのとおりだと思っております。そこを離れると言われることを、私は個人の立場でいえばそれは身を切られるようなつらい思いであるということは、あなたもおっしゃるとおりです。その次元のことにこだわっておりますと、私の次元と公の立場というものが混同してくるんではないでしょうか。私は、個人は情において忍ばれないことがあるとしても、これがために大事なことだという公の立場で進まなきゃならぬときにはそれを甘んじて受けていただかなければならない。それがないと改革というものは行われないんじゃないだろうか。だから、党の審議会でも皆さんがつくられた政治改革大綱には、みずから身を削ってでも国民の信頼を確固たるものにするために今度の政治改革はやるんだと先輩方がお決めになったことに、私は率直に敬意を表したいと思っております。
○島村委員 総理、少しく厳しいことを伺うようでありますが、総理は、政治改革に内閣の命運をかける、不退転の決意だと何遍も申されております。しかも、総務会の運営などについて見ておりますと、大分強い御要請でこの政治改革を進めようとした節がうかがえます。ここまで真剣に取り組まれて、しかも、あえてこの国会の場に出されたこの法案がもし廃案になる運命をたどった場合、あなたはこの成立に全力を挙げるとあくまでお答えになるのでしょうけれども、しかし私は、内閣の命運をかけた以上は当然その後の責任があろうかと思います。総理はその意味において、もしこれが廃案になった場合、私は道は二つだと思うのです。一つは解散、一つは内閣の総辞職、こうなりますが、総理はどうお考えになっておられましょうか。
○海部内閣総理大臣 党の長い間の御議論を受け継ぎ、それを踏まえ、私もそれはやるべきである、政治の倫理観三流と言われるのを払拭すべきであるという強い決意は間違いありませんから、そのために、受け取った党の党議やあるいは審議会の答申を受けて、内閣としてもこの三法案をまずこの国会に出して御審議を願い。通していただくことに不退転の決意で取り組もうと願ってこの議論が始まってきたところであります。私は、全力を挙げて通していただくために努力をいたします。 具体お示しになったことを、今から私は仮定の問題を想定して、こちらをとる、こちらをするというようなことはここでは申し上げられません。ただ全力を挙げて邁進していくということだけ申し上げさしていただきます。
○島村委員 総理、中選挙区制にこだわるようでありますが、総理は全関東学生雄弁連盟の大先輩でありまして、海部の前に海部なし、海部の後に海部なしと言われた雄弁を誇られた方であります。しかし、それだけ雄弁家の青年であっても、現在の中選挙区制でなければあなたはこの場に座っておられなかったんじゃないですか。あるいは党の三役の方々についてもそういうことが言えると思うのですよ。我が自由民主党の中で私が尊敬する、能力を持ったあるいは意欲を持った、または政治倫理をわきまえた先輩の中にもたくさんそういう方がおられますよ。今度もし、このあなたの主張される制度に置きかわるということになれば、そういう人たちの道が実際上は閉ざされることになりますよ。こういうことには大変非難が多いし、例えば資力のない人や女性の出る幕はますますなくなる。現在、自民党には女性の議員が衆議院には一人もおりません。しかし、今後はますます出にくくなってしまうでしょう。 私は、こういう拙速でおかしな方向へ持っていかれることは、賢明な総理のとるべき道でないと申し上げたい。時間がありませんから、結びにこのことを強くお訴えいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて島村君の質疑は終了いたしました。 次に、川崎二郎君。
○川崎(二)委員 初めに、委員長に一言お願いを申し上げたいと思います。 政治改革の中で、国会改革も大事な話だと思います。今総理大臣、自治大臣がこの三法案に対して責任を持って答えられておる。しかしながら、質問要請のない閣僚がこのように並んでいなきゃならぬ、内閣一体と言いながら、やはりこのことについて見直しを委員長に特にお願いをしておきたいと思います。 私、政治改革三法に対して感じております疑義についてお尋ねを申し上げたいと思います。 政府が提案した法案に対して私ども与党の議員がこのような質問をする、まことに異常なことであろうと思います。ましてや、きょうテレビをごらんになっておる皆さん方は首をかしげられて見ておられるのではなかろうかな、このように思います。 本来、今回の政治改革は国の政治の根幹を問うものである、また、国会議員一人一人の自分の身分に関することである。それだけに、先ほど総理が言われました民主主義というものは、最終的には何でしょうか。やはり表決であります。私はそういった意味では、両院議員総会か代議士会で、きちっとこの案に対して賛成か反対かをすべての自民党の国会議員に問いかけるべきであったというように思っております。その機会もなく、また我々に対し代議士会で説明、総理の抱負ということも語られないで済んでしまいました。また、党幹部から、総裁は私のように不満を持っている議員に直接話したらどうだ、直接懇談の場を持って総理の抱負を語ったらどうだ、こんな忠告を幹部の方がされた。報道ではそれが実施されるだろうと書かれておりましたけれども、残念ながら、今まで実施をしない形でここまで来てしまいました。したがって、本来党内で論ずべき課題がこの委員会という場に直接出てしまったと思っております。 今後、この後、自民党の国会議員二十七人、すべての方が四十分質問に立たれるというようであります。総理に対する質問なのか総裁に対する質問なのか、あいつは混同しておるんじゃないかという御批判を受けるかもしれませんけれども、御理解をお願いしたいと思います。 第一に、本当に金がかからない政治になるのかということであります。 今回の政治資金の改正は、政治家が個人で調達できるものは、政治団体を二つ、そして二十四万まで。確かに制限をされているように思います。しかしながら、党の方針として出ておりますのは、選挙区支部を設ける。私ですと津・伊賀支部というものを設ける。そこの支部長に私がなるということのようであります。そして、そこには五人事務員を雇える。そうなると、私の秘書がそこの職員になるんだろう。選挙区支部はそこで金を集めなさい、資金調達をしなさいということになっております。したがって、事実上は二団体と七百五十万円を上限とする、まあ自民党という支部で我々は政治資金の調達を行うということになりそうであります。そこへ加えて、政党補助が実施される。自民党の場合で計算しますと約百五十億。自民党は自民党で、本部で資金をお集めになるのでしょうから、まあかなりの部分が選挙区支部に流れてくる。三千万じゃないか、五千万じゃないか、とらぬタヌキの皮算用もされておるようであります。どうもそういう形になる。 そうすると、今申し上げた政治家個人、そして選挙区支部、そして政党補助、こんなものを足しますと、どうやら金がかからなくなるということは想定されていない。今までどおりの資金はちゃんと行きますよ、心配ありませんよというような実は制度になっている。そうなりますと、小選挙区制も中選挙区制も、やはり金がかかる。そして今やろうとしていることは、基本的には公私の区別、政治の金というものをきちっとしていく、ここが言われているのであって、必ずしも小選挙区制にリンクした話ではないのではないかな、このように私は思います。 総理に御答弁をお願いします。
○海部内閣総理大臣 初めの項に申し上げれば、私自身も総理になるまでは党の政治改革推進本部の一員でしたから、討議や会議にはいつも参加をし意見を述べさせてもらってきました。どんな御意見が闘わされたかということはよく知っておりますし、また総裁に指名を受けてから、またこの法案審議の過程においては、例えば選挙制度審議会と、選挙制度調査会の合同総会に出席して、いろいろ皆さん方の直接の御意見も聞き、私自身の考え方もその合同総会で申し上げたこともございますし、また党大会で、すべての議員の皆さんの前で申し上げたこともございました。 直接申し上げたり伺ったりしながらこういったものをつくってきたこともそのとおりでありますし、また後半でおっしゃったこと、政治倫理を確立して、しかも、お金はかかるんだけれども、公私の区別を明らかにすることがまず大事ではないか、そのとおりでありますから、党としても、政治倫理確立のための資産公開を、今閣僚と政務次官はしておりますが、すべての国会議員の皆さんにも、今川崎議員がおっしゃったように資産公開のための法律をつくってくださいということを党でも案を決め、院にお願いをして、各党間の御議論が今まさに行われておると私は承知しております。そういったことは事柄の性質上国会でお決め願うことですから、どうぞ、党としては提出してあるわけですから、与野党間の話し合いが進捗をして適切な結論が出て、公私を明らかにするような法律の仕組みが、これは小選挙区制度とは別に行われていくということは議員御指摘のとおりでありますから、そのことについては私も全く同感であり、きょうまでの自由民主党の努力がさらに続けられていくべきものであると信じております。
○川崎(二)委員 今の御答弁で、中選挙区制の中においても政治改革というのは進められていくんだというように私なりの理解をしておきたいと思います。 第二に、権力一極集中に対する危惧であります。人事権、資金が党に集中し過ぎるという問題であります。 私の父は、昭和三十三年の十二月、当時、党の総裁に対して両院議員総会で批判をいたしました。即刻その翌日、一日の論議で、党紀委員会で離党勧告を受けたところであります。しかしながら、もちろん反対の議員もいますから、実際は離党にはならなかったわけであります。総務会で救っていただいたという経過があります。祖父の場合も、大政翼賛会というものを経験をし、そのときは非推薦で残った経過があります。 権力の一極集中というものだけは絶対に避けねばならない。そのときは、海部総理のときはよかったと思っても、次なる新たな総裁というものが出てきたときに、非常に権力主義者であったとしたら大変な問題が私は生じるんではないかなというように思っております。権力に対する批判精神、常に持ち続けていかなきゃならぬ、保障されていかなければならないと思っております。 そういった意味で、先ほどの想定の中で、おい、あいつは変なこと言ったからあの選挙区支部にはもう政党補助金は流さないでおこうや、こういうプレッシャーをかけられるとこれは大変なことになります。これはあり得ないという御答弁をいただくと思いますけれども、実際問題離党勧告を受けた例があるわけでありますから、これはないとは言い切れないんではないかな。 先ほど候補者の問題、調整をして落下傘で出ていけ、これは自民党が血を流すという意味では甘んじて受けなければならないのかもしれない。しかしながら、よく考えてみますと、それじゃその受け皿となります千葉県とか神奈川県とか大阪府の民意、自民党員の民意、地方議会、長い間自民党を支えてきた人たちの民意というのはどうなるんでしょう。上からこの候補者だよ、まさに人事権の最大の行使と言わざるを得ないというように思っております。 また、比例代表について、既に参議院の選挙制度の答申の中に、候補者名簿への登載やその順位決定をめぐり問題が生じておる、したがって、参議院の拘束式比例代表名簿は改めるべきであるという実は答申が七月になされておる、後で詳しくそのことは審議会にお聞かせ願いたいと思いますけれども、されておる。こっちじゃ、やはりそれまずいんだよ、どうもその順番を決めるのは難し過ぎてだめなんだよ。自民党はルールをつくったようですけれども、野党だってっくっておるかどうかまだわからぬ。そういう意味では、やはり権力の一極集中、おれのところに頭下げてこなければ上にしてやらないのよというルールがいつの間にかでき上がるかもしれぬ。そういった面も含めて、一極集中、大変この小選挙区制と比例代表拘束式の並立という問題について私は疑義を持っておるものでございます。 そのことについて、総理の御意見をお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今御指摘になったいろいろな疑問点は、五月三十一日に党でお決め願った制度改革に伴う党運営方針というものの中に、きちっとそういった疑問が解消されるように、こうしてはいけない、こうしてはいけないということがきちっと書かれてあります。総裁としてはこれにもちろんきちっと従うわけでありますから、また、そういった地方の支部の問題についても、党の、中央の恣意でここに助成金は渡さないとか渡すとか、そんなことはとてもできるものではありませんし、そういったことをしてもいけません。だから、ここで皆さんの合意で決まっておる運営方針に従って一極集中にならないように、党内の民主化という問題についても、いろいろな御議論で決まった結論にはきちっとそのまま従ってやっていくべきものである、これは次の人がだれになったってそれは守っていかなければならぬことである、いつになってもいつになっても変わるまでは守っていくものである、私はこう思っております。
○川崎(二)委員 私も五十五年当選以来でありますけれども、正直言ってこの十数年間に自民党の総裁選挙の選挙制度、これは自民党にとっては最大のものだと思っているのですけれども、これが何回変わりましたでしょうか。今度は、再来年は七月までにしておこうじゃないか、こんな案もささやかれておる。正直言ってまさに融通無碍で、どんどん変わっていく。 ましてやさっきの資金の問題。どのように担保されるのかと書いてあるかといえば、総理、私も読みました。しかしながら、書いておりません。きちっと書いてあると言いますけれども、書いておりません。どのぐらいは流れるんだよ、こういう形にするよということは、私は実は推論です、先ほど、選挙区支部に流れていくんじゃなかろうかなというのは推論であって、使い方まで正直言って私は書いておらぬというように思っております。もうこのことについては御答弁結構でございます。 第三に、小選挙区制と補助金行政の問題であります。 現職議員に対決して、当然自民党内で決まったように、それじゃ野党の方も一人決めようということで対峙をしていくことになるのだろうと思います。そうなると、日本型の慣習からいくと、まあ今度選挙制度も変わりますから、その対決する候補者は毎日戸別訪問されるのだろうと思います。そしてあらゆる葬式へ、五千円か一万円包んであらゆるところへ出てくる。もちろん我々現職議員は、秘書が行って持っていっちゃいけないのですから、当然受ける側からはある程度の差がついてくるのかなと思います。そうなりますと……(発言する者あり)いや、秘書がかわりに行くのですからだめです。お香典、だめです。これへの対抗手段、当然対抗手段がとられる。そうなると、現職議員は何を考えるかな。私の場合は三市九カ町村になります、三市九カ町村。そうなると、やはり補助金行政というものに目をつけざるを得ない。自分が歩けない分、それじゃもう市町村長を通じてぎゅうっと言わせちゃう以外にない、組織をつくる以外にないというような形になるのではないかな。 選挙制度審議会なり有識者の方々から、小選挙区制度をやるのならやはり権限の移譲、地方権限の拡大というものをしていかなければならぬよということになっているのですけれども、どうもそれが先へ進まないまま小選挙区制度を導入しちゃう。小選挙区制度ができ上がってから権限を移譲しなさいよと言ったって、国会議員は放すもんじゃないですよ。まさに自分たちの選挙運動の命綱になっちゃうわけですから。ですから、やはり小選挙区制を導入されるというならば、権限移譲というものをどういう形でやるか、地方への権限移譲をどうするんだ、補助金行政をどうするんだという明快なお答えを総理からいただいておきたいというように思います。どうぞよろしくお願いします、総理に。
○海部内閣総理大臣 個人がいろいろなところで寄附をすることがいけないようになったということは、これは公職選挙法の一部改正案が昨年の二月の衆議院選挙のとき以来規制も加わってきておりますけれども、さらにいけないところは、今後まさにそのことは、皆さんのそういう御指摘があれば法律改正でそこのところはとめていけばどこまででもできることだと思いますし、同時にまた、地方の分権ということを、地方に生活する住民に最も身近な地方の自治体が行うのが望ましいということで、地方と中央との責任の分担、役割分担、権限移譲の問題は常にテーマとして議論されてきておるところでありまして、今度もそれらの問題については、役割分担がきちっとできるようにしていかなければならぬという方向できょうまでも進んできております。一層努力をしたいと思います。
○川崎(二)委員 やはり小選挙区制を導入するという決定をなされたときに、総理としてこうやっていくよ、こういう道筋だということを国民に対してもっと明確に、我々代議士でもわからないのですから、国民に対してもうちょっと明確にどこかの場でやっていただきたいというように思います。 審議会にお尋ねをいたしたいと思います。お見えになっておりますか。――済みません。 選挙制度審議会が平成二年七月に出された参議院選挙制度改革、これは結論でありますでしょうか。どうもずっと読んでみると、結論であるようなないような感じを受ける。推薦制等いろいろな論議がなされているのですけれども、結論としては、地方区の定数是正、比例代表名簿の非拘束化、この二つを結論として出されているように思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
○堀江参考人 ただいまの川崎委員の御質問にお答えいたします。 選挙制度審議会におきましては、現行憲法下における望ましい参議院議員の選挙制度のあり方について非常に密度の高い議論をいたしてまいりました。具体的な内容といたしましては、答申に述べてございますとおり、例えば候補者推薦制をとることとか、あるいは都道府県を代表する議員を選出する選挙のみとすることといったような実とか、あるいは広域ブロック単位の選挙のみとするといった案、あるいは全国単位の選挙のみとすることといったような案、あるいは現行のような都道府県単位の選挙とそれから広域のブロック単位あるいは全国単位の選挙を組み合わせる案など、いろいろ検討したわけでございます。 しかし、審議会といたしましては、候補者推薦制については、それがうまく機能できればまことに参議院にふさわしい選挙制度になるのではないか、こう考えましたが、制度化を図るためにはなお検討すべき問題が、詰めていかなければいけない問題が多々あるということで、具体的な改革の方策としては結論に到達し得なかったということでございます。 その他の方策につきましても、それぞれ一長一短がございますので、いろいろ議論はいたしましたが、当面のといいますか、現在の憲法のもとにおける、現行憲法下における望ましい参議院議員の選挙の制度といたしましては、ただいま御指摘のありましたような、答申に述べられております、全国単位の拘束名簿式比例代表選挙に対する世論の批判等々、あるいはもう一つは選挙区選挙における議員定数と人口のアンバランス、この二点が非常に大きな問題であるということで、この二点についての改革をされてはいかがか、こういう答申をまとめたような次第であります。
○川崎(二)委員 結論ですね、要するに。当面これでやろうという結論ですね。 そうしますと、その中に、実は先ほど総理にも御質問しましたように、「候補者名簿への登載やその順位の決定をめぐり問題が生じており、金のかからない選挙を実現するという所期の目的が果たされていない」、したがって、「政党名投票の絶対拘束名簿式がとられていることにその原因があると考えられる」という結論を出されているのです。ところが四月の答申が、わずか三カ月前、これは拘束式名簿をやれというのですね。それで参議院になったら今度は非拘束式名簿に変えなければいかぬ。この三カ月の間に何があったのですか。私は、やはり衆議院の論議をするときは衆議院と参議院を並べて論議をしなければだめだ。何でこれ三カ月ずれちゃったのか、まことに実は不透明に思っております。
○堀江参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、私ども、参議院と衆議院とは国会における役割や機能が異なるのではないか、かように考えております。また、そういった見地から、参議院につきましてはむしろ政党化を排すると申しますか、過度な政党化が進むことは好ましくないといったような文脈でいろいろ議論してまいりまして、そして絶対拘束名簿式について少しお改めになってはいかがかという答申を出したわけでございます。 今回の衆議院の方でございますが、これは確かに比例代表制の方で今回の政府案では全国一区の、絶対拘束名簿式を提案しておいででございますが、ただ、名称は同じでございますが、実際には衆議院の今回の案では小選挙区との重複立候補を認めておるわけでございまして、名前は同じでございますが、働きと申しますか、それは実は、参議院の場合完全に切り離されておる制度と、今回の衆議院の小選挙区制と比例代表制とを結びつけ、かつ比例代表制で小選挙区制を補完する、そういった意味で比例代表制を加味しておる、こういう場合とでは実は果たす役割が違うのではないかそういう意味で論理、論旨は一貫しておる、このように私ども考えております。
○川崎(二)委員 いずれにせよ、拘束式比例代表名簿というやり方は、導入期はいろいろあると思いますけれども、将来的にはかなり禍根を残すようになるな、こんなことを指摘したいと思います。 いずれにせよ、今の御答弁どおりとしますと、平成二年四月に衆議院が出た、それから参議院が平成二年七月三十一日に出た。来年参議院選挙ですから、約二年間、間があったわけですね。出された答申自体も正直言って衆議院ほど抜本的な改革じゃない。とりあえず定数是正と非拘束にしなさいよという御提案ですから、これは逆に言うと参議院の方が受け入れやすかったんじゃなかろうかなと思うのですね。 そうなりますと、わずか三カ月違いですよ。ところが参議院はいまだに法案、いろんな内部で議論をされておる。総理としてリーダーシップとられて、両方きちっと出してこい、こんなことがやはり総理として一番決断されるべきことだったんではなかろうかな。党の総裁として自民党の幹部にやはりそのことはきちっと言うべきではなかったのかなというように思っております。 そういった意味で、参議院選挙の制度改革、今回見送られておるようであります。見送られたまま定数是正という、衆議院で今定数是正が大変な論議になっています。参議院は逆転現象のまま、しょうがない、来年七月は選挙しちゃおうという決断を総理はされた。それじゃこれの改革はいつおやりになるのか。また、このとおり、先ほどから総理の御答弁を聞いていますと、大体選挙制度審議会の御答申どおり尊重すると言われているわけですから、参議院はやはりこのとおりにやられるおつもりなのか。その辺の御所信をお伺いしたいというように思います。
○海部内閣総理大臣 選挙制度審議会から答申をいただきまして、その答申を尊重してやっていこうということが政府の基本であることは御指摘のとおりであります。 参議院の問題につきましても、この参議院の問題についていろいろな指摘を受けました。定数是正と非拘束式ということになってきますと、それで改革ができるならば早くしたいということで党の方でもいろいろ御議論願ったはずであります。また私自身も、参議院の執行部の皆さんおいでいただいて、そして六月末までにできればこれの案を出していただきたいとお願いをし、参議院で鋭意御努力願ったことも承知しております。同時に、我が党の中でもだれだれ私案という案をつくり、同時にまた、川崎議員と同じところから参議院に出ていただいておる参議院の当時の幹事長から幹事長私案というものもまとめて出していただいたことも御承知のとおりだと思います。 ただ、あの問題につきましては、いろいろな面で直ちにあれを法制化するということについていろいろな疑義があったことも事実でございました。したがいまして、次回の参議院選挙、すなわちもう目睫の間に迫っておりましたから、それについてはそのままで行う、その次から行うということにいたしましたので、参議院の選挙は衆議院の改革とは切り離した形で行っていくということで党と政府の間で了解をし、そして一日も早くその対案を出していただくように鋭意作業が進んでおるものと承知をいたしております。 政府としては、その動向を見ながら、参議院の改革についても、この答申で示された方向を尊重して改革案をまとめていきたいと思っております。
○川崎(二)委員 今のお話ですと、どうも答申と違うものを総理の頭の中にお考えになっておる、いや参議院から場合によっては違うものが出てくるかもしれぬなという想定になっておるように思います。衆議院はあくまで答申尊重、そのとおりやってきた、しかしながら参議院については、先ほど言いましたように結論だと言っているのに、この改革は参議院の中でいろいろ議論があるから次の選挙が終わってからやろう、定数という大きな問題も、参議院については来年の選挙が終わった後というようにどうも受けとめさしていただきたいと思っております。 同時に、答申は、参議院が憲法によって期待されている役割をよく果たすためには、衆議院議員と異なる仕組みによって参議院議員が選出されることにより、衆議院とは異なる面からの民意が代表される、とある。もし今回この衆議院改革がなされますと、例えば来年ダブル選挙あるかどうかわかりませんけれども、されると衆議院では百七十一名、それから参議院では合わせて百名、拘束式名簿で選ばれた、党名を書いた国会議員が二百七十一名来年誕生するということになる。二百七十一名というと、五百十二名、二百五十二名、約七百六十名の国会議員の中で大変大きな数を占めることになります。そして先ほど申し上げましたように、それはかなりのウエートで党幹部の一つの決断で物事が決まっていくということになりそうであります。この辺ちょっと私は問題があるのではなかろうかなというように思っております。 その点、総理、お答えいただきましょうか。どうでしょうか。
○海部内閣総理大臣 審議会の答申の趣旨を尊重してやっていくわけでありまして、参議院でもいろいろ御議論になった中で一時期推薦制の問題についても党内で御議論があったことはよく承知しておりますが、それは外れてほかの方の問題の議論に移っても、この答申と逸脱してやっていこうというような方向ではないはずでありますから、答申を十分尊重してやっていただく。ただ、参議院のことは参議院でお決めいただくのが私はそれが一番ふさわしいと思って、参議院の執行部にお願いをしておるところでございます。 それから、名簿の順位その他のことについては、これは繰り返すようでありますが、党改革も大切であり、また一部の執行部だけで勝手に決めてしまうのではないかというような御不満を取り除いていくのが、これは近代政党の運営の方法である、あくまで党の機関がこれまた公正に、明朗に、透明性を持っていろいろ対処していかなければならぬことは、党改革の中では、皆さんがお決めになった党改革の方針にもそのとおり載っておるわけでありますから、それをきちっと守っていかなければならぬということであります。
○川崎(二)委員 お答えでありますけれども、参議院の拘束名簿の順位の決め方に疑義があるといって答申が出ておる、このことだけはぜひ頭に置いていただきたいなと思います。 審議会にちょっとお尋ねしたいと思います。 政治は中央と地方、車の両輪であります。特に民主主義の原点ということになれば、身近な政治、地方の政治こそ重要であると思いますけれども、選挙制度審議会、衆議院の答申を出されるときに、やはり参議院もやらなければいかぬということを明記されて、七月に昨年出されたわけですね。そういった意味合いからすると、今地方の選挙制度というものについては全く問題がない、論ずるに足らぬ、こんなふうにお考えをいただいたのか、いや、今回は自治省から何にも言ってこなかったから今回省いておいたよということなのか、ちょっとそのことについてお聞かせ願いたいと思います。 それからもう一点、政党補助を答申をされておる。そうすると、この政党補助は国会議員の数で割り出されておるのですけれども、基本的には地方組織とか地方政治のPRだとか地方選挙にも使って構わぬ、政党ですから上から下までつながっている、これは当たり前のことだというふうにお考えになっていますでしょうか、その点お伺いしたいと思います。
○佐藤参考人 お答えをいたします。 今の第一の御質問で、審議会の答申が地方議会については触れていないのはどういうことかということであったかと存じます。それにつきましては、審議会が受けました諮問が選挙制度及び政治資金制度の抜本的な改革についての具体的な方策を示されたいという、そういう諮問でございまして、選挙制度、政治資金制度ということが書いてあったわけでございます。 そしてその場合に、選挙制度といいますと地方議会の議員の選挙の制度というものも含むわけでございますが、したがいまして、最初にどういう問題を取り上げて審議すべきかということを議論をいたしました。そのときに、地方議会あるいは地方政治についてどうかということは当然議論をいたしました。ただ、当時、御承知のように衆議院議員の選挙制度、政治資金制度というのが直接に世間の関心もあり、また政治と金という問題をめぐって政治不信と言われましたが、それが同時に国会に対する不信といいますか信頼を回復するにはどうすればいいかという、こういうことで直接にはございましたので、まず国の場合、衆議院議員、参議院議員、それの選挙制度、これから始めようということであったわけでございます。 ただ、御案内のように、あの答申に基づきまして法案要綱それからこの三法案が出ているわけでございますけれども、政治資金制度について、それから戸別訪問を認めるというような選挙運動の自由化ということについても今回の法案で出ておりますけれども、それにつきましては地方議員の選挙それからその選挙運動というものにも適用するということになってございます。 それから、もう一つの政党補助との関係でございますが、これは答申及び今回の法案は、いずれも国政に対する政党の役割とそれの公的性格ということ、それからまた今回の選挙制度の改革によりまして政党本位という形が強く出てまいりますので、そういう場合に、その政党の活動に対して国が公的補助を与える、こういうことを直接目的としておるものでございます。 それで、ただ国政における政党の役割、活動という場合に、政党が中央あるいは地方、すなわち地方の支部というものを通して政党が政治活動を行われるということでございますので、そこで地方の政治あるいは地方における政党の政治活動というものについてもどの程度各政党がそれをおやりになるのかという問題、これはまあ各政党がお決めになることであろうと存じますが、そういうものについて公的補助を受けた額がそういう分野、そういう活動にも支出されることになるということは、これは当然予想しているわけでございます。 それからまた、御承知のように、この法案では、我々の答申もそうですが、政党がどういう目的に支出したか支出するかということは限定しておりません。それからまた、それを御報告願うことにはなってはおりますけれども、その使途を限定しておりませんので、したがって、政党が支部を通して地方の政治に当たられる政治活動に対してその額が支出されることになるであろう、それを何ら制限しているわけではございません。
○川崎(二)委員 時間がなくなっていますので。 答申では、衆議院は政権の獲得、政策の実現を目指して、政党間の争いを中心として行わるべきである、政党政治、こう言われております。しかしながら一方、参議院は政党化はでき得る限り抑えるべきであろう、まあ推薦制なんということも含めて言われております。 しかしながら、総理は先日の所信表明において、議会制民主主義を支えるのは選挙であり、議会政治は政党政治であると明言をされております。それからしますと、まあ参議院も政党化、そして地方、特に市町村会議員となりますと、ほとんど政党化が進んでいない、まさに個人個人の血縁、同級牛地縁というもので選挙が繰り広げられておる、この実態を、総理の演説からしますと憂えて、やはり地方政治も政党政治に変えなきゃいかぬ、地方政治もこの政党補助金というものを十分利用しながら変えていかなきゃならぬし、そして選挙制度自体も変えるべきである、こんなふうに思われておりますのでしょうか、御所信をお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 所信表明演説のところで、もし私の言葉が足らずに御理解がいただけなかったとしたらここでつけ加えさせていただきますが、私は、議会政治は政党政治だと端的に言い切りましたのが、地方政治にまでその政党政治を持ち込んで地方議会も政党政治にすべきだと思っておるのではございません。そのことを直接言いませんでしたけれども、地方議会というのは、御承知のとおりに、地方の首長は別の仕組みで選挙を、直接選挙を受けておりまして、言うなれば国政レベルでは大統領選挙のようなスタイルが地方議会であります。国会は議院内閣制で、特に衆議院における院の信任というものが内閣の存立の直接の基盤であります。政党政治で、政党の抱える政策で国の政策を左右していかなければならぬということになるわけでありますから、国政レベルにおいてそれは使いましたけれども、地方議会とは別個に私は考えておりますし、また地方議会の方は、それぞれ地方議会ごとに条例なりその他で定数の削減の問題であるとかあるいは選挙区の区画を変える問題であるとか、既に自主的にいろいろな努力もしておられることもよく承知しておりますし、同時にまた、地方自治を活性化するために地方に身近な問題を解決するという地方議会の大きな目的もございます。 自民党の政治改革大綱によっても「地方分権の確立」ということをわざわざ項をあけて書き、「地方は中央への陳情行政を保解消し、住民の福祉や街づくりなどに独自の工夫と努力を発揮」することができるようにしていかなければならぬというので、過度の地元への利益誘導に政治活動の多くを割くことなく、国政に専念することができるようにするためには、地方議会、地方分権、地方の役割というものもきちっと認め高めていこうと、分けてこう考えておる、こういった考え方は大綱からずっと一貫して出てきておるわけであり、私もその考え方を受け継いでやっておるところでございます。
○川崎(二)委員 今、総理の御答弁を聞きますと、大統領制であると、首長選挙は。したがって政党政治でなくていいんだ。そうすると、アメリカは大統領制ですから、あそこは政党政治でなくていいんだ、議会制民主主義が政党政治でなくて個人個人でいいんだというように実は私の耳には聞こえました。どうもその辺ちょっとお取り違えがあったのではなかろうかなと思います。 ただ、時間がありませんので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○小此木委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。 次に、前田武志君。
○前田(武)委員 昨年二月の第三十九回総選挙におきまして自民党が政治改革を一番大きな争点として掲げて戦ったわけですが、私もその去年の選挙におきまして政治改革を訴えて戦った一人であります。確かに、海部総理が、海部内閣が誕生するあの経緯、我が自民党、非常に大きな、あのリクルートの中で深い反省の中から政治改革に取りかかり、そしてそれを去年の選挙の争点としたわけであります。私自身もあの当時、先見性のある、正しい判断のできる政治ということで訴えてまいりました。 そういった観点から私は総理に幾つか御質問をしたいわけでございますが、最近のマスコミの報道、新聞等を見ておりますと、例えば八月十九日の東京新聞でございますが、今自民党政府が提出しております小選挙区比例並立制につきまして、賛成五〇%、反対三七%といったようなデータが出ておるわけでございます。大体押しなべて、見ていると、徐々に理解も深まりつつあるかなという感じがするわけです。 さらにきのうの夕刊でございますが、「政治改革推進五百万人要望」というのが出ております。社会経済国民会議ですか、これは多分、私もよく存じませんが、政界あるいは経済界、労働界も入り、またマスコミ、言論界そして学界、そういったいわば日本の各界各層の代表的指導層が集まっての会議だと思いますが、その会議が総理に署名簿を持って要望したというふうに書かれておりました。 こういった最近の世論、そしてそういった各界各層の、総理が受けとめておられる国民の期待、熱望、そういったものに対して御見解をお聞きする次第であります。
○海部内閣総理大臣 御指摘をいただきましたいろいろな各種の世論調査やあるいは直接私のところへ参ります激励や要望書、その中には、もちろんいろいろな角度のものもございますけれども、政治改革をしっかりやれ。特に、昨日朝おいでをいただいた社会経済国民会議の代表の皆さんの中には、組合の代表の方ももちろんいらっしゃいましたし、学者の代表の方もいらっしゃいましたし、また同時に、与野党を通じての国会議員の皆さんの署名まで添えていただいて、現行中選挙区制度の抜本的な改革、政治資金制度の改革、そして公的助成制度を含む一連の三法案については、この機会を逸してはできないから、勇気を持って断行しなきゃならぬという御激励もいただいてまいりました。 私は、そういったことをありがたくちょうだいしながら、同時に、政府としては、きょうまでの一致した体制の受け継ぎと申しますか、継承と申しますか、改革をしていかなきゃならぬという、この道を不退転の決意で進んでいかなければならない、こう決意を新たにいたしております。
○前田(武)委員 この社会経済国民会議でございますが、六月二十八日に、五月三十日から六月十二日にかけてのアンケート調査の結果を発表しております。対象が千二百六十一人ということでありますが、いろいろのアンケートをとっておるわけでございますが、今のままの政治でいいかどうか、そういうことに対するアンケート結果、例えば経済界におきましては、八五%が現在のままではだめだという不満を示しております。同じく、労働組合関係におきましても九七%、報道関係も八五%、そして政治学会で九五%といったような形になっておるわけでございます。それからまた、今の内外の激変する環境の中で今の政治システムで対応できるのかといったようなことについても、大体各層とも九〇%前後の不安と申しますかこのままじゃうまくいかぬのじゃないかといったような見解を述べております。 さらに、現行中選挙区制でこのままやっていけるかどうか、これを改良、改革しなければいけないのではないかという、そういったアンケートについては、経済界の九四%、労働界の九〇%、マスコミ界の九二%、学会の八九%までが現行の制度を変えるべきであるというようなアンケート結果になっておるわけでございます。 そういった中で、やはり日本の中選挙区制というものの今まで果たしてきた役割は非常に大きいかと思いますが、現状において、確かによく言われるように制度疲労を起こしている。そういった意味で、例えば民主主義の先進国であり、世界の指導的な諸国の選挙制度、これがどういうことになっているか。例を挙げれば、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そういったところの選挙制度について、自治省から御見解をいただきたい。
○吉田(弘)政府委員 御指摘がございました主な外国の制度でございますが、アメリカ合衆国それからイギリスが小選挙区制でございます。フランスが小選挙区二回投票制でございます。ドイツが小選挙区比例代表併用制を採用しているところでございます。
○前田(武)委員 先進国の中ではやはり日本の中選挙区制というのはかなり特異なケースではないかというふうに考えるわけでございますが、先輩議員が、午前中の中でもコロンビア大学のジェラルド・カーチス教授のお話が出ておりました。アメリカの小選挙区制というものが金が必ずしもかからないというわけではないとかいう御指摘があったわけですが、実はこれは去年の一月十日の日本経済新聞なんですが、やはりジェラルド・カーチス教授が現在の政治改革について論陣を張っております。そういう中で言わんとしているのは、要するに現在の日本の中選挙区制では政策論争を阻害しているというふうに述べておりまして、我々がかねて主張してきたことを、そういう知日派の政治学者もそういうふうに指摘をしておるわけでございます。 もちろん、小選挙区には小選挙区なりの問題がある。しかし、その小選挙区制を採用することによって選挙の結果がはっきりとして、一人の代表を選ぶ、その中から政策論争が展開されるのではないかというふうに述べておるわけでございまして、そういう意味におきましても、私は、この選挙制度の問題というのは、今までその各国の歴史の中でいろんな苦渋に満ちた経験を重ねながらの現在の結果だろうと思います。 そういう中で、やはり今の日本のこの状況におきましては、今我々自民党・政府一体となっての現段階におけるこの案というものが、私はやはり知恵に満ちたいい案であると確信をしておるところでございます。 特に、中選挙区制と申しますのは、かつてのようにイデオロギーの対立のあった時代、東西対決あるいは社会主義、共産主義と自由主義、こういった中においては多少の意味はあったかと思います。しかし、今のようにそういったイデオロギーの対立がなくなった場合、これはやはり、もっともっと政策論争を中心とした的確に機敏に反応できる選挙制度、そういったものをつくり上げるべきではないかな、こういうふうに思う次第でございます。 そういった意味で、中選挙区制のいろいろ指摘されるいろんな欠点というものがあるわけでございますが、自治大臣の総合的な見解を、中選挙区制に対する見解をお伺いいたします。
○吹田国務大臣 総合的になるかどうかわかりませんが、現在私どもは、我が国において衆議院は中選挙区制をとっておるわけであります。その中選挙区制によって議席をいただいておるわけであります。したがいまして、この制度についても、それはそれなりに当時からの、昭和二十二年からの制度として今日まで続いておりますが、中選挙区制が悪いと断定する、そういう意味ではありません。私はそうだと思います。 しかしながら、今日の段階まで我が国が進歩発展してまいりましたし、非常に多様化してきた現在の中でこの中選挙区制をそのまま続けていくことはどうであるかということが、先ほどからいわゆる選挙制度審議会の第八次答申で出されておる状況でございますし、私ども政治家としましても、このままでこれを推移していくということであれば、これは必ずしも最終的に、今後の二十一世紀を見たときに、決して、我が国の政治の上に適当な方法の選挙制度であるかどうかというのは問題ではないかということは率直に私は思っております。 したがいまして、今のようにやはり、先ほどから総理もしばしば御答弁になっておりますけれども、政権を獲得するということになりますれば、そこにはそれなりに一党の複数の候補を立てていかなきゃならぬということになってまいります。百三十の選挙区において社会党の方が、社会党を挙げて大変失礼なんですけれども、二人をお立てになっておる選挙区が二十四あります。そこは確かに私は、せんだっての選挙では政権獲得の意思があったというふうに受けとめてもいいのではないかこう思います。しかし残念ながら、あとは一人しか立っておりませんから、そうなりますとこれは政権党を確保できない。いわゆる百三十の選挙区ですから、百三十の選挙区で少なくとも二人以上ということになれば過半数を獲得できるわけでありますから、これは政権党を目指しておるということになります。 そういった意味で、私は、これからの政権党というものを考えた場合には、やはり一人の選挙区には一党が一人を推薦するということが適当であろうと思いますし、今日、現実の問題として、これは自由民主党、おまえたちだけだというふうに野党の皆さんおっしゃるかもわかりませんが、私をして言わしめれば、やはりそこに、定数の中で複数を持っておるだけに、率直な話が、土帰月来を繰り返しておる今日の姿を見ると、あの先生があすの土曜日は帰るということを聞けば、やはり東京にじっとして勉強しておるわけにもいかないということから、また他の先生も一緒に帰っていく。そうして選挙区でこれサービス向上を全力を挙げていくということにもなります。そういったこと等で相当な経費を必要とするわけでありますから、経費の方の支出の面も抑えるし収入の面も抑えていくということになれば、私は、やはり今回の、制度を改めていくべき必要がある、こう思っております。
○前田(武)委員 時間もありませんので、次の質問はかなり刺激的に受け取られておるようでございますが、私の調べたところでは、過去三回の総選挙における自民党の立候補者数というのは大体三百五十人前後でございます。五百十二人の過半数というと二百五十七でございますか、もちろん自民党はそれ以上の候補者を立て、過半数を制する選挙をやっておるわけでございます。社会党はそれに対して大体百五十前後でございます。野党第一党のこの政党が、かつて過半数を超える候補者を立てたことがないわけでございます。初めから政権をとる気概も気持ちもないわけでございます。こういうような状況が中選挙区制の、社会党、野党が政権をとるつもりのないままに自民党が同士打ちを繰り広げる、これが中選挙区制の最も現在における欠点であろうかこのように思う次第でございます。 さらに申し上げれば、小選挙区制に対するいろんな欠点についても御指摘がございました。例えば、かえって金がかかるのではないか。確かに選挙区が小さくなるとそういう心配をする向きもございます。しかし、あくまでも政党が中心になっての日常の政策PR運動、そして選挙も政党が中心になって行うわけでございますから、政治資金規正法そして政党助成法、この三法が一体になっての結果でありますなら、私はそういった心配はまさしく無縁であろう、こういうふうに思う次第であります。 さらに申し上げれば、人物が小さくなるというような話もあります。しかしこれは政党そのものの責任の問題でございまして、我が自民党におきましては党本部において候補者をどうやって選んでいくか、そういったいろいろの装置、資格審査の装置であるとか、そして選挙区において候補者選定委員会、そういったものもつくって、民主的な手続で広く人材を集めていくというようなことも考えておるわけでございますから、これも非難に当たらないというふうに思う次第でございます。この辺のことに関して、自治大臣の見解をお聞きいたします。
○吹田国務大臣 ただいま前田先生からお話がありましたことにつきましては全く同感でありまして、私もそういった点につきましては、小選挙区になれば選挙区が非常に小さくなってくる、そうすると人物も小さくなるのではないかというような意見もありますが、それは状況によって必ずしもそうなるものでもありませんし、また選挙区が広いから人物が大きいとも言えませんし、それは一概には私は言えないと思う。状況によるわけでありますからケース・バイ・ケースであるというふうに思いますし、殊に、国政に対して参画するということはそれなりに地域において最もすぐれた人を出していくということになってくるわけでありますから、私は小選挙区になればこの点について、非常に人物が小さくなり、あるいはまた特別な因縁関係からこれが選出されるんだということにはならないというふうに思っておりますので、そういった点の危惧はどうぞ払拭させていただきたいと思います。
○前田(武)委員 この政治改革は、私が考えるには、もちろん党内の議論でもそうですが、単に選挙制度を変えるということだけではなしに、やはり明治維新、あるいは終戦時日本の国のいわば統治機構そのものを大きく変えていった、それ以来四十数年たって制度疲労も起こっている、そういう中でああいう証券疑惑等も私は出てきたのではないかなと思うわけでございますが、こういう経済、社会、各般にわたるそういった制度の、それを指揮し運営していく一番の権力である政治そのものをまず改革し、そして我が国のいわば諸制度、地方自治もありましょう、そして縦割りの行政制度もありましょう、私自身も、例えば公共事業のあの四百三十兆にしても、分野別の調整ができないというのはやはり私は政治の責任であろうと思うわけでございますが、そういったことも含めて諸制度の改革の第一歩であるというふうに考える次第であります。 そして、さらに申せば、この一カ月のあのソ連の状況、ああいうことを見ても、早速日本に大きな期待あるいは役割が回ってこようとしておるわけでございます。いまだかつて我が日本の歴史において体験したことのないような大きな責任を、役割をしょわなければいけない、そういう状況でございます。 そしてまた、国内におきましても、高齢化社会一つとりましても、こんなに急激に、そして激烈な高齢化社会に到達する、こういったことに対応するそういう内外の非常に大きな課題、そういったことを取り上げてみても、やはり国会を通じて常に政策中心に与野党が活発な議論を闘わして政策を選択していく、そういった制度が必要であろうかと思います。 私が残念なのは、野党の皆様方、反対なされるなら具体的な政治改革の対案をつくられて、まさしくこの閣僚のお席に座っていただいて私と議論をさせていただく、そういうような政治にしていただきたいというふうに思う次第でございます。 時間が参りましたので、最後に総理の御見解をお聞きして終わります。
○海部内閣総理大臣 いろいろな貴重な御意見を承りました。 私も、やはり政党政治というものは、政党の考えを出し合ってこういった場所で御議論をいただくことが極めて望ましい、こう考えております。同時にまた、政策をもって争うことを本来の目的とする選挙にしていかなければならないと考えております。
○前田(武)委員 終わります。
○小此木委員長 これにて前田君の質疑は終了いたしました。 次に、畑英次郎君。
○畑委員 私は、質問に入ります前に、このたびの政治改革に寄せます海部総理の真摯な御努力に対しまして、まず心から敬意を表する次第でございます。さらにまた、吹田自治大臣を初めとする政府関係皆様方の今日までの御努力に対しましても、これまた深く敬意を表してやまない次第でございます。 私は、この問題のとらえ方といたしまして、今日の政治の最優先課題は、そしてまた国民的課題といいますものは、ただいま論議が始まっております政治課題である、この位置づけにりきましては何人といえども異論のないところではなかろうかなというように考えるわけでございます。さような意味合いにおきまして、私自身もやはりこの政治改革の問題につきましては引き続き積極的に取り組みをしていかなければならない、かような認識と立場にありますことをまず申し上げておきたいというように考えるわけでございます。 そこで、まずこの今回の政治改革の中で、いわば国民的な関心の最も高い公職選挙法の改正問題を中心にお尋ねをしてまいりたいというように考えるわけでございます。 ただいま前田委員からアンケート調査の、いささか野党の皆さん方には刺激的な内容の発表があったわけでございますが、私自身にもただいま、きょうは申し上げようというような意味合いで手元に持ってまいりました一つの世論調査の結果のデータがあるわけでございます。 これはNHKさんが九月の一日ごろに面接調査をもって行いました世論調査の結果であるわけでございますが、既に大きく報道されましたとおり、海部内閣の支持率が四九・四という数字が出ました世論調査でもあるわけでございますから、この正確度、信頼度はかなり高い、かように申し上げてよろしいのではないかというように私は考えます。 そういう中にございまして、一つの設問に、衆議院の選挙制度についていろいろな議論がありますが、あなたの意見は甲乙どちらを選びますかというような設問がなされております。その甲といいますものは、「現在の中選挙区制にはへい害が多いので選挙制度を改めるべきだ」、乙「選挙制度を改める前に、まず定数是正を行うべきだ」というような設問であるわけでございますが、ただいま申し上げますように、二番目の「まず定数是正を行うべきだ」というごとに五一・六%という調査結果が出ておるわけでございます。 さらにまた、今の臨時国会に政治改革関連法案を提出されておる、この法案における、その中でのいわゆる衆議院の小選挙区と比例代表制を組み合わせたこの案についていかがというような設問に対しまして、「賛成」が二七・八%、「反対」が一八・三%、さらにまた、「どちらともいえない」「わからない、無回答」といいますものが五三・九%、ここに数字となってあらわれておるわけでございます。 私は、さような意味合いから、この政治改革、とりわけ選挙の仕組みを変える公職選挙法の改正問題につきましては、これは当然のことながら、あくまでも国民主権の立場からいたしましても、世論の動向を踏まえて、さらにまた国民皆様方のこの問題に対する理解度といいますものに絶えず気配りをしていかなければならない、かような考え方に立つわけでございます。 私は、さような意味合いにおきまして、この理解度、ただいま申し上げましたように、いわば問題のすっきり割り切った形での世論調査の結果はまだ出ていない。いわば国民の皆様方におかれましても、主権者たる有権者の皆さん方におきましても、問題がなかなか理解が十二分についていないという点につきましては慎重な配慮をすべき必要があるのではないかなというように考えるわけでございます。 私は、さような意味合いにおきましては、従来から指摘されておりますとおり、かかる民主主義の根幹に関する問題におきましては、これまた永田町かいわいのみならず、国民の理解度、納得といいますものを大きく前提として問題の推進を、解決を、そしてまた制度確立を図っていかなければならない、かような考え方に立つわけでございますが、まず総理のこの問題に対する、ただいま申し上げました数字を踏まえての私の意見に対する御見解を伺いたいと思うわけであります。
○海部内閣総理大臣 御激励いただきましてありがとうございました。 私も、この間のNHKの報道は終始見させていただきましたが、数字の中で一番気になりましたのは、おっしゃったとおり、わからないという方が五三・九%という半分以上あったということでございます。そうすれば、これらの方々に御理解をいただくためにはどうしなければならぬか、どうしたらいいだろうか、逆に言えばどうしたら御理解いただけるだろうかという一点に絞られてくると思います。 なお、きのう朝、御激励をいただいた社会経済国民会議の皆様方の中にも、現行中選挙区制度の抜本改革とともに政治資金制度の改革もあわせて行えという項目もございます。国民の皆さんの中にある政治不信というのは、やはりスタートは金と政治家の政治資金の問題、それをもっと明らかに、もっと明朗にしろというところが一つ大きく問題意識としてある、これは率直に受けとめなければならぬと思いますし、先ほどの島村議員の御指摘も政治に対する倫理観を求められておるのである、そこは厳しく受けとめます。 ただ、どうしたらそのように必要以上のお金をかけないで済むだろうかという角度で考えますと、自由民主党が長らく議論をしてきたその議論到達の結果、これは今回だけじゃありません、昭和三十五年の池田内閣のときの調査会の結論もそうですが、制度の抜本的な改革ということになっておるわけでありますから、それらのことについて誠意を持って国民の皆様にもあるいは与野党の皆さん方にもこれはぜひ御理解をいただいて、この問題の解決に取っ組んでいかなければならない、このように考えております。
○畑委員 次に申し上げますことは、御案内のとおり、我が国の国会は二院制であるわけでございます。先ほど川崎委員からも御指摘があったわけでございますが、私は、国民の皆様方の前に、いわゆる政治改革を行う、国会の改革も行う、さような意味合いにおきましては、やはりこの両院に対する政治改革のいわゆる仕組みがえの内容といいますものを国民の皆様方の前に同時に提示することが極めて大切なことではないかなというように考えるわけでございます。そういう姿の中から、両院の設置の必要性、あるいはまた両院のそれぞれの持ち味を発揮できるそれぞれの仕組み、こういうものについて、私は、国会におきましても、国民の皆様方の中におきましても論議ができる、そういう姿の中から御納得をいただいて、衆議院の選挙のありよう、参議院の選挙のありよう、こういうものが求められておるタイミング的なありようではなかろうかなというようにも考えるわけでございます。 とりわけ今回、小選挙区比例代表制の並立制というものが提案をされておるわけでございまするけれども、現行の参議院の議員選挙の選挙区選挙をすべて一人区にしたような、いわば極めて似通った制度ということも私は言えるのではなかろうかというように考えるわけでございます。それでなくても、大変失礼な言い分ではございまするけれども、参議院がカーボンコピーの姿になっておって、いろいろ国民の中にも参議院の存在価値につきましても一部批判がありますことも、残念ながらこれまた事実ではなかろうかというように考えるわけでございます。そしてまた、参議院の現在行われております比例代表制につきましてもいろいろ御批判があるところも御案内のとおりであるわけでございます。 私は、さような意味合いにおきまして、この衆議院の改革問題だけを先に急に急ぐ、そしてまた、今のこの政治情勢の中におきまして、今回のこの仕組みがえという衆議院の問題につきましての取り扱いにつきましては、いささか抵抗感を覚えざるを得ないわけでございます。この辺につきましての総理の御見解をいただきたいと存じます。
○海部内閣総理大臣 衆議院と参議院の二院があります。そして日本の衆参両院制度というものは、アメリカの二院制度を見ても、あるいはイギリスもドイツもそれぞれ二院制度でありますけれども、大変な違いのある二院制度であります。したがいまして、カーボンコピーというお言葉を使われましたが、そうでないような姿かたちにしていくにはどうしたらいいかということをまさに今参議院側に御検討、研究をお願いをするとともに、選挙制度審議会の答申も踏まえて、政府としてはどういったことにしていったらいいかということを努力しておるさなかであります。 御指摘のように、同時にここでお示しをして同時に改革できることがベストであるという点については、私もそれは否定はいたしませんが、いろいろな事情があって、今衆議院の選挙改革だけが進んでおるということをどうぞお認めをいただきたいと思います。
○畑委員 時間が限られておりますので、残念ながら先を急がせていただきます。 ただいま申し上げますように、さてそこで、今日、私ども自民党を含めまして、我々の置かれております政治情勢からいたしましても、また、選挙制度は選挙の土俵づくりの問題でありまするから、国民の十二分なる納得、御理解、これは当然のことであるわけでございまするけれども、関係者すなわち与野党の合意をあくまでも第一義的に求めるべきでなかろうかというように考えるわけでございます。 先ほど申し上げました世論調査の結果からいたしましても、私は、この段階におきましては、いわゆる違憲状態を解消する、定数是正の論議も前向きに検討すべきという考え方を持たせていただいておるわけでございますが、さような意味合いのものにつきましての総理の御見解をお尋ねをいたします。
○海部内閣総理大臣 違憲状態にあります定数是正の問題が重要問題であって、その解決に鋭意取り組めという御指摘については、私はその点は全くそうだと思います。そして、その違憲状態を是正するためにはどうしたらいいかということは、自由民主党の選挙制度調査会でもいろいろ御議論をいただいてきたと思います。 そして、抜本的な改革をしなければならぬということに相なるなれば、これは違憲状態一対三を超えるということを是正するのみならず、基本原則一対二にしていきたいという考えがきちっと決まっておることもそのとおりでありますし、今回御提案しました法案の中には、衆議院に関して基本原則一対二ということを踏まえての作業、努力が行われまして、今回これをお認めいただければ、最高格差はたしか少し超えていきましたけれども、それは基本的な考え方や趣旨をおおむね満たしながら、格差を是正していくという当初の方針にはきちっとしまった結果におさまっていくわけでありますから、全体的に定数是正だけを改めればといえば、今度は中選挙区で、その中で行われておるいろいろな矛盾の解決ということになっていかないということで、三法案の中にその他の問題等も含めていろいろお願いをさせていただいておるわけでございます。決して、定数是正を軽視しておるわけではございません。あわせて解決をしたいということでございます。
○畑委員 私は、いわゆる自民党案によりますとお国がえという立場に相なるわけでございまするけれども、そういう中にございましても、将来像を見詰めました場合におきましては、いわば政治の分野におきます求める姿といいますものは、将来は小選挙区制であるべきであろうという私自身の認識を持っておるわけでございます。 そういう中にございまして、この小選挙区制という意味合いの中に期待されますものは、やはり二大政党であり、政権交代であるということが求められて、先輩の皆様方も従来から小選挙区という問題で論議を重ねた、かように考えるわけでございますが、今日の政治事情からいたしまして、実態からいたしまして、そしてまた与党の自民党と野党の第一党の社会党さんに対しましては、残念ながら極めて基本的な政策におきまして乖離が激しい今日の姿であるわけでございます。さようなことを考えますと、近い将来における二大政党といいますものを求めることができ得ない、こういう認識に私は立たざるを得ないわけでございます。 そういう中にございましては、私は、現在の中選挙区の仕組みの中におきまして、ただいま総理もいろいろ御指摘いただいたわけでございまするけれども、最近聞こえてまいりますいわゆる中選挙区のこの姿の中における連記制というような意味合いのものもこれまた検討に値する問題ではなかろうかなというように考えるわけでございまして、この点につきましての総理の御見解を賜りたいというように考えます。 なおまた、残された時間がわずかでございますので、あわせてお伺いをしたいわけでございますが、私は、いわゆる地方の行政の小さな市の首長経験者という立場にございまして、その経験からいたしますと、今総理は再三にわたって、三法案を一括して云々というようなお話であるわけでございますが、私は、この三法案の中にございましても、この選挙の仕組みがえといいます問題はさらにまた時間をかける必要がある、手間暇をかける必要がある。そういう中にございまして、規正法の問題あるいはまた政党助成法の問題、これは野党の皆さんとも合意する点が多いわけでございますから、これを切り離して成立を図る、こういう柔軟な対応はする必要があるのではなかろうかという見解を持つわけでございますが、この辺につきましてもあわせて御答弁をいただきたいと思うわけであります。
○海部内閣総理大臣 貴重な御意見として承らせていただきましたが、政府といたしましては三法案を一括してお願いしておりますので、どうぞ総合的に御判断をいただきたいと思います。ありがとうございました。
○畑委員 終わります。
○小此木委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。 次に、佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 ただいまは七人、自民党の方の御意見、質問でございましたが、私は社会党・護憲共同の佐藤観樹でございます。 今の大変白熱した自民党さんの質問を聞いておりましたけれども、一番肝心かなめの、今政治で最大の問題になっております金の問題、この問題が全然出ない、これはまことに本政治改革の主題を忘れているのではないだろうかと言わざるを得ないわけであります。 その問題につきまして、私もこれからじっくりとお伺いをしていくわけでありますけれども、せっかくの機会でございますから、一点だけ北方領土の問題について総理にお伺いをしておきたいわけであります。 それは御承知のように、ロシア共和国の議長代行でございますハズブラートフさんが見えて、エリツィンさんの親書を総理に持ってこられ、そして、伝えられるところによれば、いわゆるエリツィンさんの五段階案というのが、何もそう五段階一つ一つこうやっていくんじゃないんだよという、大分時間を縮めてもいいのではないかというような話が伝わっているわけでございます。また、これは新聞報道でございますけれども、ソ連の暫定内閣の国民経済管理委員会のヤブリンスキー副議長、ヤルタ協定あるいはサンフランシスコ平和条約等ではなくて、その前の一八五五年の日露通好条約、この線に戻ってもいいのではないかという一つのアイデアも出ているわけであります。 それで、お伺いをしたいのは、今世界の大きな変わり目の中で、我々もソ連の状況がどうなっていくかというのは大変関心を持っているわけでありますが、その中でも我が国との関係でいえば、何といってものどに刺さった四島の返還の問題、この問題が一番国民的に関心があるわけでございますので、ハズブラートフさんとお会いになって、外交でありますから全部が全部総理としてお話しできないにいたしましても、北方四島について若干なりとも前進や明るい見通しができたのではないかというふうに考えられておるのかどうか、その点をちょっとお伺いをしておきます。
○海部内閣総理大臣 北方領土問題の見通しについての御質問でありますから、簡単にお答えいたしますけれども、ハズブラートフさんが日本へ来られて、エリツィン大統領から私も親書を受け取りました。そのとき、親書の内容を詳しく申し上げることは外交上差し控えさせていただきますが、二人で会談をしましたときに、ハズブラートフさんはエリツィン大統領の考えとして、五段階の提案を一九九〇年に日本へ来たときに非公式に述べたけれども、あの中で既に実現されたものもあるし、しかし、あのときの目盛りというものは非常に長い、御承知のように十五年とか二十年とか次の世代とかいう表現までございました。それを縮めていく必要がある。同時に、私もエリツィン大統領に、あのまだ政変のさなかでありましたが、二十二日に電話で物を言いましたときに、あくまで日本は日ソ共同声明の線に従って平和条約、そのための領土問題の解決を加速的に行っていきたいという基本的な考え方を申し上げたときに、それは自分も全くそのとおりだ、そのようにしたいという話をもらっておった。それで、今度の会談で新しい点というのは、エリツィン大統領、そして五段階の提案、それが加速されるということ、同時に公正と国際法の規範の尊重の原則の中で、新しい状況の中で自分たちは努力をしていこうということも言っておられますし、また、今御指摘の日ソ通好条約という物の考え方、それは正しいのであるし、それによってこの問題を片づけていきたいということでありますから、言われておった五段階の当初の予想がある程度短縮されていくのではないであろうか。また、そういう考え方のメッセージを私に親書を通じて伝えられ、またハズブラートフさんもそのことについて触れられたものと私はこのように受けとめておりますから、あくまで日本側としてもその基本をしっかり踏まえて、領土問題を解決して平和条約を締結するという所期の目的に向かってさらに作業を加速化していきたい、同時に、二国間でお約束をしてあるいろいろな技術協力や人的支援協力、その他の問題については、状況に応じて積極的に拡大均衡の形で進めていきたい、こう考えておるところであります。
○佐藤(観)委員 さて、本題の政治改革の問題でございますけれども、極めて金権体質、あるいはこれは自民党さんの方がよりウエートが高いと思うのでありますけれども、この今の政治の状況を本当に活性化をしたものにしていかなければならぬ、国民の期待に沿うようにしていかなければならぬということは、お互いの議会に籍を置く者の課題であると私は思っております。 したがいまして、社会党も真剣に、熱心にこの問題に取り組んでいるわけでございまして、今、公明党さん、民社党さん、進民連の皆さんと政治倫理法を出すべく最後の調整をしておるところでございます。それから、きょう四時に公職選挙法の改正案を社会党の方から出させていただきます。これは、なぜもっと早く間に合わなかったかということにつきましては、後で具体的に申し上げさせていただきますけれども、この区割り案もちゃんと入れた定数是正の問題、あるいはその他非常に重要な裁判の促進化の問題なり、あるいは連座制の強化の問題などなど、たくさんの課題を含んだものを出させていただきます。それから九月いっぱいに、政治資金規正法と、私たちの方では政党交付金法と言っておりますけれども、この法案も出させていただきます。 私たちも政治改革についてこういう姿勢で臨むんだということで具体的に対案を示す中で、国民の皆さん方にどちらが本当にいい政治改革なのだということがよくわかるような、そういうことでこの改革に臨ませていただくわけでありますが、それにつきまして、ひとつ総理に決意をお伺いをしておきたいわけでありますけれども、あのゴルバチョフさんもクーデター後、連邦が解体をしようとするときに、連邦制が解体をするなら大統領をやめてもいいというまで言い切ったわけであります。そして今、最終的にソ連邦というものがどういうふうな構成になっていくのか、それはいろいろ議論があるところでありますけれども、ゴルバチョフさんのあの一言でかなりあの人民代表会議というのは雰囲気が変わってきたということが報じられているわけでありますが、海部総理、この政治改革にかける決意を改めてお聞かせをいただきたいと存じます。
○海部内閣総理大臣 社会党の責任者である佐藤さんが社会党の選挙改革案をまとめられて、ただいま区割り案をも含めて国会へ出す、同時にまた、いろいろ問題になっております倫理に関する問題や腐敗防止に関する問題等についてもいろいろな御議論の試案が出されるということでありますから、私は、それは議会政治の展開の上において率直に評価しなければならぬことであると思いますから、区割り案等が出ましたら、よくそれは拝見させていただきたいと思います。 同時にまた、自由民主党の方の出しております案についてもいろいろな角度で、もう今ここで御議論を願っておるわけでありますので、私は、これについてきちっと……(「政府案だ」と呼ぶ者あり)失礼しました、自民党案じゃない、政府案です。それはそのとおりですから、政府案三法案をここに提出をしてお願いをしておるわけでありますから、政府といたしましては、こちらの三法案について十分御審議の上通していただきたい、この一念について、私は就任以来不退転の決意で取り組むということを何度も申し上げてお願いをしてきております。ぜひ通していただくように私自身も最善の努力を尽くしたいと決意をしております。
○佐藤(観)委員 新聞の報ずるところによれば、九月の二日に竹下派の研修会が箱根で行われて、そしてそのときに、あなたの後見人と目される金丸元副総理の方から、次回の衆議院選挙、これは任期満了選挙である、そして、それは現行の中選挙区制でやるんだということを述べられたのが各紙に報道されているわけであります。あなたが今それだけの決意を言われるんだったら、後見人である金丸元副総理に会って、それは困ります、海部内閣の本当に命運をかけたこの政治改革三法案というならば、やはり金丸元副総理の力ももらってやる、それが本当にあなたの決意の示すところじゃないかと思うんでありますが、それ以降どうも金丸さんとお会いになったというのが報道としてはないので、私が見落としているのかもしれませんけれども、そういう金丸元副総理に、ひとつぜひこれは通るように自民党の皆さん方に協力を願いたいというような行動は起こされたんでしょうか。
○海部内閣総理大臣 自由民主党の中でいろいろなお立場にある方に、私は、政府案を決定して国会に提出しますときにすべてお目にかかってお願いもし、また、野党の党首の皆さんにも党首会談を通じて率直にお願いをいたしてまいりました。 国会に提出いたしますと、今度公のこういった場で議論を進めておるわけでありますから、私はいろいろな御意見は耳にしながらも、私自身の決めたこの決意に従って、政府の三法案を通していただくというこの基本方針に従って、御承知のように本会議も三日間続きました、異例のことでございます、そしてまた、こういったお話し合いも、今までの制度、ルールからいったら異例の行いがこれから続くわけでありますから、私はそこで誠意を込めてお願いをし、これの成立を期していきたい、この一念であります。
○佐藤(観)委員 まあ自民党さんあるいは政府・与党という立場でいろいろなやり方があるんでしょうから、それはそういうふうにいたしまして、そこでお伺いをしたいのでありますけれども、リクルート事件あるいはその前のロッキード事件という政界の大変なスキャンダル、そこから発した政治改革であったはずであります。それに対して一体自民党さん、反省があるんだろうかと言わざるを得ないわけであります。 きょうも新聞によれば、石原元運輸大臣があの茨城カントリークラブ、五万人とも言われております会員権を、詐欺罪でいろいろ動きもありますけれども、そういったところから三千万円受けていたというのが報道されている。あるいは、昨日は水野元総務庁長官の六千万円ということ、あるいはきょうの新聞にも出ておりますけれども、例の富士銀行の不正融資事件に絡んで北海道の自民党の方、失礼ながら名前出させていただきますけれども、中川昭一さんと町村さんが名前が出ているということ、あるいはもっとさかのぼれば、後でお伺いをしますけれども、自治大臣、建設大臣のお話等々と、金にまつわる話、これがまさにどんどんと出てくるわけですね。 一体自民党さんというのは、どういうふうにリクルート事件後のこの政界浄化というものを考えていらっしゃるんだろうかということについて、これは疑問を持たざるを得ないのでありますけれども、総理・総裁として一体どういうふうに考えていらっしゃいますか。
○海部内閣総理大臣 一連の不祥事件の反省に立って自由民主党の平成元年五月の政治改革大綱というものができたということは、私は、自民党がそれらの問題を率直に厳しく受けとめ、その反省に立って行った政治改革行動の始まりであったと思っております。そして、それに従って、不祥事件を招かないようにするためには入りと出を明らかにしていかなければならないということで、そして、それに対する一連の問題の反省に立って三法案も今回つくって提出をしてお願いしておるわけであります。政治改革をやらなければならぬということは、これは特に政府・与党としての自由民主党が厳しく反省をしておるその問題点のところでありますから、いろいろ御指摘になった具体的な事実に関しても、これはもし事実であったとするなれば、それは遺憾なことでありますし、また、決められた政治資金規正法の手続があるなれば、それに従って行われなければならないものであると私は考えております。
○佐藤(観)委員 自治大臣、今私が具体的な例を挙げたことですから、自治大臣という立場で、政治資金規正法を扱う担当相として大変御関心をお持ちだと思うのでありますけれども、きょう報じられた石原元運輸大臣の三千万円、これは名前が、相手先が水野さんという社長でありますけれども、正確には前社長でありますか、名前が政治資金規正法では出てこない。三千万円を受け取ったということを認められているわけでありますから、そうしますと、これは恐らく百万円ずつ三十の後援会ですね。三十の後援会に入れればいいというのは、現行法では表へ出てこず受け取れるようになっているわけですね。 しからば、今度皆さんの方でお出しになりました政治資金規正法の改正案ではこれは取り締まれるんですか、取り締まれないんですかどうなりますか。
○吹田国務大臣 ただいま佐藤先生のお尋ねになりました政治資金規正法に基づく問題について、石原慎太郎先生の問題につきましては私もけさ新聞で承知した程度でありますから、内容につきましては、これを確認しておるものでもありませんし、承知いたしておりませんので、それはお許しを願いたいと思いますが、今後の政治資金の問題につきましては、こういったことにつきましては極めて厳しい罰則規定も設けておりますし、もしもそれが、その届け出というものに対して大きな誤りがあるとすれば公民権の問題にまで発展するというようなことにもなっておるわけでありますので、今後の問題につきましては、私は厳しく改正後は行い得る、こういうふうに思っておりますが、これはもう、まず性善なりという形で物の考え方というものは進めなきゃいかぬと思っておりますが、そういった面から、その抜け穴を云々ということになりますと、それは極めて問題でありますから、そういう点につきましても、今後届け出等につきましては厳しくやることになりますし、入りも非常に今度は小さくなってくるわけでありますから、そういう意味におきましても、私は、今せっかく佐藤先生がお示しになりました、それじゃ三十のそれぞれのというふうなお話がありましたが、これはもう二つに絞っていくわけでありますし、それ以外の団体には寄附を受けることはできないことになりますし、したがいまして、私は、そういう面では御心配は要らなくなるんではないかなという感じはします。しかし、十分今後も注意をして、御趣旨に沿うような形でお互いの政治観をしっかりした姿勢をつくらなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○佐藤(観)委員 これは届け出の問題ではないんですね。固有名詞の話は私も除かしていただきたいと思うんです。届け出の問題ではない。なるんじゃないだろうかでは困るんじゃないでしょうかね。だって、おたくの方で法律を出されているんだから、政治資金規正法の法律を。したがって、これは今度は、今三千万円も受けられている、固有名詞は別ですよ、受けられているというのは、今度は皆さんの方で出された法律で一体ちゃんと取り締まれるんですかということをお伺いしているんです。
○吹田国務大臣 法律さえ通していただければ、今御趣旨の点に沿ってきちっと整理ができます。
○佐藤(観)委員 きちっとどういうふうに処理ができるんですか。
○小此木委員長 選挙部長。
○佐藤(観)委員 いやいや、いい、いいですよ。こんな基本的なことなんですから、これは。前から政治資金規正法というのはざる法だと言われている。それをそのまま使ったのが今その三千万円の話なんで、今度はどういうふうになるんですかという一番政治資金規正法の肝心かなめの問題ですから大臣に答えていただきたいと言っているので、いやいや、ちょっと待ってください、私は、要求をしてないのですから。私は、国会の審議というのは、これは事務方ではなくて、大臣と大臣でやろうと、政治家同士でやろうということをもってやっているわけですから、これからほかの大臣にもお伺いしますからね。求めてないんですから。こんな基本的なことを事務方に答えられたんじゃだめですよ、これは。最も基本的なことじゃないですか。
○吹田国務大臣 大変失礼しました。 先ほどもお答えをいたしておりますが、御案内のように、個人の場合は政治資金を受ける調達団体というものは二つにきちっと整理をされることになるわけであります。それが、しばらくの間ということになっておりますが、これはできるだけ期間を短くしていくということにしなければならないというふうに思っておりますが、移行期でありますので若干の期間をということになっておるわけでありますが、その間一団体については二十四万円、年間二十四万円で二つを集めますと四十八万円、こういうことに、年間の一団体から受ける資金、いわゆる企業から受けるあるいは団体から受けるということに相なるわけであります。
○佐藤(観)委員 六年目以降は今自治大臣が言われたようなことでありますけれども、まあその間に段階がある。いずれにしろ資金調達団体を二つに絞って、これは三千万円も受け取ることはできなくなる、こういうことですね。一番これは肝心なところですから。 それから、これまた茨城カントリークラブからの水野元総務庁長官の六千万円という問題が報道されておるわけでございますけれども、これまた固有名詞はちょっと外しまして、一九八八年の十二月に一千万円、それから一九九〇年、昨年の二月に五千万円、合計六千万円ということで、これは九月の五日にお返しになったというふうに報じられております。そうすると、最初に受けたときから二年九カ月、それから昨年の二月の総選挙のときでありますから一年七カ月後に返される、その間は預かっていたんだと、一体今の政治資金規正法ではこういう預かり金というのはどうなっているんでしょう。今度皆さんの方で出されたこの政治資金規正法の改正案では、こういった預かり金というのは本当に取り締まれるんですか。
○吹田国務大臣 この点につきましては、私の方から答弁申し上げるより、正確に事務当局から答弁させます。
○吉田(弘)政府委員 お答えを申し上げます。 預かり金という実態についてはよく承知をしておりませんが、一般的に政治資金規正法上「「収入」とは、御承知のように、「金銭、物品その他の財産上の利益の収受をいう。」ものでございます。収受とは、相手方の提供に対してこれを受け取るということでございます。したがいまして、個々具体の事実に即して判断をする必要があるのでございますが、その提供されました金銭を自己に帰属させる意思を持って収受するものではなく、単に預かるにすぎない場合には政治資金規正法上の収入には該当しないのではないかというふうに思います。
○佐藤(観)委員 大体、今私あえて言いましたように、二年九カ月預かったとか、それから一年七カ月預かったとか、こういうことを一般世間常識として預かり金ということで一体済むのか。これで政治資金規正法あるいは政治資金をきれいにしようということ、一体、国民の皆さん方の常識からいってこれでいいんだろうか。結論的に今度の法案では、皆さんの方の出した法案ではこの預かり金というのは取り締まれるようになっているんですか、なってないんですか。
○吉田(弘)政府委員 個々具体の事実に即して判断しなければならないということは先ほども申し上げたとおりでございまして、それが寄附に該当するものであればそれは当然寄附規制の対象になるわけでございます。ならない場合にはそのままということでございます。
○佐藤(観)委員 寄附なら寄附の扱いでそれは当然じゃないですか、寄附ならば。預かり金だと言ってお返しになる、しかも政治資金規正法は五年の時効だということで、こういうことをやっていけば全く政治資金規正法なんてかご抜けですよね。ざる法がますます穴が大きくなっちゃってるわけで、私が聞きたいのは、それじゃ三千万円でも一億円でもその間使ってて、時効の少し前に預かりましたと言って返せばこれは何にも取り締まれないんですかということを聞いているわけですよ。
○吉田(弘)政府委員 個々具体の事実に即して判断をするということになると思いますが、結局それが実際に収受をされているかどうかという実態に基づいて判断すべき事柄であると思います。
○佐藤(観)委員 全然答えになってませんが、これは何も新しい問題じゃないん、です。 実は、リクルート事件のときに、あの岩手の岩手県長期政策懇話会というのが竹下さんのためにパーティーをやられたということで、竹下首相のもとに残額二千万円が届けられた。このときに、青木秘書が預かったということで、竹下政権がつぶれるかつぶれないかという問題の大きな契機になったのがこの預かり金なんですよね。したがって、皆さん方が政治資金規定法を直されるというときには、しっかりとこういうものは、今選挙部長のお話を聞いても、どうも要するにぱしっとこれを取り締まるということができないようでありますけれども、そのことについてちゃんと穴を埋めなきゃいかぬのじゃないでしょうか。 それから、来年は参議院選挙でございますけれども、自民党さんの方も比例代表の候補者を出すについて党員何万人という、何といいましょうか条件と言うのがいいんでしょうかをつけてらっしゃるということでありますが、それはそれで自民党さんがやられることでいいわけでありますけれども、問題はその党費を一体だれが出すのか。本来党費というのは党員になられる方が出すのが当たり前でありますけれども、実はそれが全部、会報と言いませんけれども、業界が肩がわりをしているという問題が二年前に予算委員会で大きな問題になりました。これはパチンコ業界の問題でございましたけれども、当時選挙部長は、一般論として、これはパチンコ業界と党員になる人との貸借関係でございますということで逃げておりますが、一体これまた立てかえというもの、実際事実上経済的な効果からいえばその人が比例代表の候補者に載るための条件でありますから、それを業界が事実上持っているわけでありますから、したがって、これは事実上の寄附じゃないでしょうか。この立てかえ問題というのは、今度の法律では防ぐことができるのですか、できないのですか。
○吹田国務大臣 この点も担当者から答弁をさせますが、いずれにしましても、自治省の方としましては、現状の法律で申しますと調査権を持っておりませんものですから事実関係をつかむという方法はないわけでありますので、この点だけは御理解を願いたい、こう思っておるわけであります。
○佐藤(観)委員 これは事実関係の問題ではなくて、こういうことが予算委員会でも、今書記長になりました山花さんがかなり詳細に調べて大きな問題になっていたわけです、この立てかえ問題というのは。したがって、これは皆さん方が法律をつくられるときに、こういうことをちゃんと防ぐためにはどうしたらいいだろうかということをちゃんとして法案を出すべきではないか。したがって、今度の法案というので、こういう事実上寄附だけれども立てかえ金という格好で何だかわからないという格好に雲散霧消してしまうような、こういう政治を毒するものについて政治資金規正法で取り締まることができるかどうか、このことはどういう検討をしたんですか。今の改正しようという法律ではどういう見解なんですか。
○吉田(弘)政府委員 立てかえ払いの問題でございますが、立てかえ払いのその具体的な事実関係につきましては十分承知してないわけでございますが、先ほどお話ありました党費の立てかえが、党費を支払うべき債務を有する者にかわってその債務を履行するということを意味するのであれば、政治資金規正法上そのような行為自体を禁ずる規定はないということでございまして、政党に対する寄附にはその場合は該当しないということと考えております。
○佐藤(観)委員 要するにこれも大きな穴があいているということであります。 それで、先ほど預かり金の問題につきましてケース・バイ・ケースだというふうに選挙部長言われましたから、それならどういうケースなら今度の政治資金規正法では取り締まることができるのか、どういうケースならできないのか、このことをはっきり統一した見解を、来週の十七日は委員会があるわけでありますから、これをちゃんと出してください。よろしいですね。
○小此木委員長 よろしいですね、選挙部長。(佐藤(観)委員「大臣が答えるんだ、大臣が」と呼ぶ)大臣、じゃ答弁してください。
○吹田国務大臣 確かに承りました。そういうように私の方から十七日の委員会で御答弁さしていただきます。
○佐藤(観)委員 もう一つ、政治資金規正法の中で大きく穴があいているのは、実は、自治大臣あるいは建設大臣のことで国会でも大きくなりました会社からの派遣の問題でございます。それで、たびたび自治大臣の方からも本会議での陳謝がございましたけれども、大塚建設大臣、お伺いしたんですが、最終的に大塚建設大臣の方ではどういう処理がなされたのですか。結論だけで結構でございます。本会議場で随分会社の経費までお伺いしましたが、それは結構でございますので。
○大塚国務大臣 悪いことは直さなければなりませんから、国税当局と協議をしまして修正をいたしました。そして、それに伴う政治資金規正法の収支報告につきましては、自治省を初めとする関係機関の指示に従いまして手続をするようにいたしてはおります。
○佐藤(観)委員 問題は、今自治大臣と建設大臣が新聞紙上に載ったわけでありますけれども、我々の耳にするところお二人だけなんだろうかと、率直に言って。 法務大臣、いかがでございますか。おたくの東京でも地元の事務所でも、そういうふうに会社の方から派遣してもらっている方、あるいは自動車あるいは事務所、こういうものの提供というのはございませんか。
○左藤国務大臣 私の方はそうした秘書とかそういった点につきましてはございませんで、私のは個人的な秘書というので、学園の方のいろいろなことをやっておりましたときに秘書は一人おります。それだけであります。 あとは、それから車につきましても学園の方から借りておるという状態、一台借りておるだけでございます。
○佐藤(観)委員 法務大臣にしては異なことを言われますが、学園でも会社でも、恐らく学校法人だと思いますが、これは同じことなんじゃないんでしょうか。専ら左藤恵衆議院議員、法務大臣に提供されている。まあ実態は、専らと言っても、恐らく実態的にはお互い常識としては全部それで自動車の方はやられているんだと思うのですが、それは企業からの提供と全く同じではないでしょうか。
○左藤国務大臣 車につきましては、お話しのように私が法務大臣になりまして、つまり離職した間、その車の使用ということは一応別にいたしておりまして、その間、借りてその経費を出すという形をいたしております。それから、そうじゃなくてそれ以前は、私個人が学園の理事長もずっとやっておりますから、それで学園の車を使っている、こういうことでございました。
○佐藤(観)委員 法務大臣を別に責めるわけじゃありませんけれども、これは形態上、今の法務大臣が言われた形態というのはお二人の大臣と同じ形態ではないでしょうか。つまり、企業であれ学校法人であれ、ほとんど事実上法務大臣あるいは衆議院議員左藤代議士についているのを学徳の方で持ってやっているという形態のようでございますから、ちょっと一時的にどこどこへ行くときだけ借りるという問題ではなくて、地元へ帰られたときにそれで専らやられるということになりますと、これは事実上お二人の大臣と形態は一緒なんじゃないでしょうかね。 一人どなたでもいいんですが、例えば文部大臣にちょっとお伺いしたい。文部大臣のところはどうでございますか。
○井上国務大臣 私は自分の車、また自分の秘書も自分で払っております。
○佐藤(観)委員 これは自民党席からいろいろ小言が飛んでおりますけれども、実は自民党さんというのは私たちの聞いている限り、全部が全部とは申しませんけれども、そういう提供がほとんどではないかというのが我々のところに聞こえてくることなんですね。一人一人事実を確かめたわけではないけれども。そういう便宜というのがあるわけでありまして、したがって、政治資金規正法のこれまた穴があいているのではないか。 このことも、今総理ちょっとお出かけでございましたけれども、たまたま今自治大臣と建設大臣の会社からの派遣ということで問題になりましたが、実はこれは政治資金規正法からいいましてもちゃんと、便宜の供与でありますから、届けるものは届けなければいかぬ、会社側の税金のことはちゃんとしなければいかぬということでありまして、したがって、これは政治改革を断行しようという海部総理としては、ひとつそういうことはないなということを閣議の中でちゃんと確認をすること、これが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 ただいま御指摘の問題等につきましては、厳しく今後はみずからを律していくということを御本人も言ってきましたし、また閣議においても、いろいろな資産公開を初めとして閣僚として心がけるべきことについては内閣のスタートに当たって申し合わせもしておるわけであります。今後厳しくそれを実行させてまいります。
○佐藤(観)委員 私が申し上げたのは、今のお二人の方だけではないんじゃないだろうか、我々の耳にするところ。そのあたりで、海部内閣として、政治資金規正法の穴の一つになりますこういう便宜供与というものについてはぴしっと、せめて内閣の命運をかけてやられる海部内閣としては全閣僚にそのことは徹底すべきではないかということを申し上げておるので、別に私、一人一人このことのために立っているわけじゃありませんので、このこともひとつ政治資金規正法の中で非常に大きな穴になっておりますから申し上げておるわけであります。 そこで、私も政治資金規正法につきまして、皆さん方の方で大変努力をされていることにつきましては一定の評価をしてはいるんであります。例えば先ほど問題になりました、幾つでも政治団体というものはできるのを、今度は最終的に二つの調達団体に限るというようなことやら、あるいは公表額が一万円という最低になっている。このことは政治資金の明朗化という方向の中でそれなりの一定の評価が私はできると思っています。それからパーティーの規制につきましても、まだまだ穴はいろいろ考えられるかと思いますけれども、しかし、従来の政治資金パーティーあるいは特別パーティーにつきましても一応の手当てが、特別パーティーについては一千万以上のものについては届け出をしなければいかぬということ。それから資金の運用につきましても、株とか絵画はいけませんよということになった。ただ、これは私もいろいろ研究してみたのですが、なかなか罰則がつけられないという難しい問題がございますが、一応政治資金の運用のあり方について一定の枠をはめたこと。それから政治団体が三千もありますけれども、だれの政治団体だかはちっともわからぬというものについてはっきり明朗化したということはそうでございますし、一定の評価ができるわけであります。 また、政治団体の資産を公開をするということになっているわけでありまして、これも一定の前進だと思っています。ただ私たちは、資産の公開だけではなくて収支も、あそこまで細かく資産を出されたのでありますから、それについて収支も出すべきではなかったか。私たちの政治資金規正法の方では収支の公開も同じ項目についてしておるわけであります。 それから罰則の強化ということでありますが、今具体的な例を申し上げましたように、しかし残念ながら、申告しないなどということはもう言語道断でございますけれども、派遣社員の問題とか業界による党費のたてかえとか預かり金の問題とか、こういうものを考えていきますと、この政治資金規正法というのは、今の金権体質の政治というのは本当に改善されるのだろうかというのは、正直言ってなおかつ疑問を、残念ながら持たざるを得ないわけでございます。 私、あると申し上げた方がいいと思いますけれども、政党の方に、先ほど大臣が言われましたように、最終的に従来の政治団体というのは寄附が受けられなくなる、そして資金調達団体が二十四万円だけ二つ持てるようになるということで大変お困りでしょうということをお伺いしましたら、いや佐藤さん、それはいろいろやり方がありますよと。どういうやり方ですかと聞いてみたら、お互いに友達の議員がおるじゃないか。こんなこと本当は、私はこういう国民の皆さんが聞いているところで公にしたくないんです。公にしたくないけれども、政治資金の問題を扱う者として、これだけの討議をしておきながらそんなこと考えられなかったのかと言われたくないから申し上げるのでありますけれども、選挙部長もよく聞いておいてくださいね。 例えば、話を簡単にして、今まで百万なら百万の政治資金を受けていた。今度は四十八万になるということになりますと、友達を三人つくればいいんだと。友達というのは、同じ資金調達団体をできる人をすればいいんだと。そしてその方に今までもらった企業から、この方にも四十八万円、残りが少し少なくなりますが、この方に残りをと。そしてもう一人お友達に同じように紹介してもらえば、これはお互いに紹介し合いっこで四十八万円の枠の中でできるからそう心配ないんですよということを聞かされまして、私なんかあんまりそういう政治意識がないものですから及びもっかなかったのですが、確かに今のやり方ではできるなということを感じて、一体本当にこの政治資金規正法の改正案というのは今の日本の政治の金権体質というのを直すことができるのだろうかというのに大変疑問を持ったわけでございますけれども、大臣、いかがでございますか。そういうことは可能だと考えられますか。
○吹田国務大臣 大変厳しく受けとめておりますが、今佐藤先生のお話しになりましたようなことは私も想像もっかなかったことでありますけれども、現実にそういう問題がささやかれておるというようなことにつきましては極めて遺憾なことであります。 いずれにいたしましても、せっかくの整備をする政治資金規正法のことでありますから、これからもさらに検討を加えながら、内容的にきちっと、御疑問をお持ちにならないで済むような形にまでこれを整理していかなきゃならぬと思いますが、事務当局ともよく協議をしまして、先ほど申し上げましたように、これからもまだ委員会が続くわけでありますから、その間におけるさらに検討をした結果も御報告させていただこう、こう思いますから、お許しをいただきたいと思います。
○佐藤(観)委員 この問題の本質はどこにあるかといいますと、私たちが最終的に企業献金、団体献金、団体献金は私たちの場合には労働組合ですけれども、労働組合の方々というのは、個人が税金を払った後カンパしてくださるだけの集積が労働組合からいただくものでありますから性格は違うけれども、しかし、企業献金というものをちゃんときれいにしていくためには、それもお互いにやめるものはやめようではないか、したがって、皆さん方の方の企業献金もおやめなさいということを申し上げておるのであります。 そのこともちょっとおいておいて、今私が申し上げましたように、非常に政治資金規正法について心配を持っておりますのは、今度の政治資金規正法では、法律の二十二条、つまり資本金によりましてランクがありますが、最高一億円、それから団体の場合には十万人以上は一億円というランクがございますね、総量規制。これは何もいじってないですね。
○吹田国務大臣 御指摘ありました、確かに十億円未満からになりますか、会社の場合の寄附の限度額ですね、これは動いておりません。それから労働組合関係の五万人未満云々という、これも動かしておりません。そういった関係につきましては特に動いておりません。 ただ、政党に対するものというものにほとんど集中することになりまして、個人に対するもの、あるいは個人の先ほど申し上げましたような調達団体というものを二つに絞りましたが、そういったもの以外にはもう個人の政治家には求めることができないわけでありますから、したがいまして、政党にすべてを集中的に寄附行為を行うということに改めたわけでありまして、個人の方は完全にここでとめられる、こういうことにはなってきたと思っております。
○佐藤(観)委員 いや、それも結学窓口を、私の後援者だと。しかし、今後は四十八万円しか受け取ることができなくなるから、そうしたら残りの分は党の方に入れる、党の方に。ただしこれは、一万円以上は公開をしなければならぬことになります、党の方から今度は私なら私の政治団体に入れることについては、これは問題ないわけですから、政党、政治資金団体から個人の調達団体に入れるということは許されるわけでありますから、もちろん百万円以上のものは公開ということになっていますから。政党や政治資金団体に集めればこの金権体質の今の政治がなくなるということにならないのです。いいですか。 そこで総理にお伺いしたいのでありますが、一番大事なことはこのお金の出てくるもとを小さくしなければ、確かに皆さん方の受け手の側の方は、党に集中しよう、個人や派閥は小さくしようということは努力されているけれども、肝心かなめのお金の出てくるもとは全然絞ってないのですね。ですから、昨年の政治資金の報告が出されておるわけでありますが、例えば石油連盟の一億とか鉄鋼連盟の九千八百万とか、例えば企業でいえば三菱銀行の九千四百七十六万とか富士銀行の九千百七十六万とかこういう出し手の側というのは全然これは絞られないわけですよ。資金は従来どおりそこにございます、大変御苦労なさっているのだと思いますが、ありますと。しかし今度は、今まではバケツでその資金をすくっていたけれども、今度はそれがひしゃくになりますという程度のことしか変わりなくて、総理が今度の選挙法を変えてお金がかからなくなると言うんだったら、本当に言われるんだったら、政治資金規正法上二十二条のこの総量規制というものをしてちゃんと絞って、お金の出るところ自体をもっと少なくしていくということにしないと、最終的に私は企業献金やめるべきだと思っておりますが、それはちょっとおくにしても、そのことなくして、従来どおりお金のもとはあって、金のかからない選挙、金のかからない選挙、こういうことにはならないじゃないですか。
○吹田国務大臣 どうも私の説明が不十分で申しわけないのですが、確かにおっしゃるように、企業や労働組合その他の団体が政党に出す方につきましては、政党にいわゆる寄附する、この寄附につきましては上限一億に企業はなっておりますし、そういった意味での上限はきちっと決まっておりますものは確かに今回特別に手が入っておりません。ただし、個人についての、政治家についての寄附行為というのは、これはもう政治資金の調達団体二つ以上はだめですよということで、しかも一団体二十四万円ということで決まっておりますから、ここはきちっと整理ができたのですけれども、政党に対するものは、確かに私は政党本位ということでいきますし、そのかわり現実問題として今後の小選挙区においての政治活動、日常の政治家の政治活動、こういったものが、すべて個人が今日まで賄っていたものを政党にゆだねる、その支部にお願いするということになりますから、政党本位という建前からいたしますと、政党に入っていくことはこれは従来どおりの形をとっておる、一こういうことであります。 それから、個人寄附の問題も、これは従来どおりの枠をそのまま認めておるわけでありまして、特に今回の大きな変わったところは、企業や団体から、政治家の資金調達団体を今まで先生のお話では十も二十も持っていた人がいるじゃないか、こうおっしゃいましたが、それはそういう方もあったかもわかりません。しかし、今度はもう二つであるよということに決定しておりますから、そういう意味では相当な絞りになっておるというふうに私は思っておるわけであります。
○佐藤(観)委員 そのことは私も理解をした上で、一番重要なことは、その金の出てくるもと自体は全然絞っていないじゃないですか。そして金のかからなくなる選挙だ、金のかからなくなる選挙だと総理は言われるけれども、金のかからなくなる選挙なら、政治資金規正法上、二十二条のこの総量規制自体をもっと絞っていくということをしなければ、金のかからない選挙だということにならないんじゃないですか。
○吹田国務大臣 政治活動に対する寄附の総枠の限度額は、昭和五十年の改正によりまして設けられて以来はずっと据え置きのままになっております。これは確かにおっしゃるとおりであります。したがいまして、今日もそういった形、今後もその形を引き継いでいこう、こういうことに相なっておるわけであります。したがいまして、政治改革により選挙や政治活動が政党中心のものとなり、政治資金の流れも政党に集中していくということでありまして、金のかからない政策本位、政党本位の選挙ということに、あるいは政治活動ということの実現に向けて努力する、こういうことでありますので、これは御理解願いたいわけであります。
○佐藤(観)委員 理解できるわけないよね、今の話聞いたって。政党に集めるといったって、もとのたくさん出てくる、例えば昨年の政治資金の届け出は千八百億。もちろんこの中には皆さんの方の自由新報代も社会新報の印刷する代も入っているわけでありますが、地方分を含めますと、約三千二、三百億ですよ。ただ、この中に政治団体から政治団体に行ってダブっているのがありますから、まあ三、四百億引かなきゃいかぬわけです。いずれにしろ、話を簡単にしてざっと三千億円、つまり政治にお金が動いている。お金がかからなくなる選挙と言うんだったら、そのものであるところのこの総量規制というものをもっともっと小さくしていかなければ、お金のかからない選挙だという証明にならないんじゃないですか。御理解くださいと言ったって、そういうやるべきこともやらない、しかも企業の方は献金が出しやすいように、損金の算入制度という新しい制度を租税特別措置法六十六条の十五というのでつくっている。企業の方はなるべく出しやすいようにしている。そして総量は全然従来と変わらない。これで政治の浄化とか金のかからない選挙といって、国民の皆さんに説得力ありますか。総理、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 御議論を聞いておって私が感じますことは、政治不信を解消していくために政治家個人に対する政治資金の流れを公明に、そして透明性を高めていく、その必要が一番強いものだと思うのです。政治にお金がかからないとは私は思いません。必要以上にかけてはいけないということは何回も申し上げてきましたが、政治資金は要るんです。したがいまして、各政党ごとにこれだけ要るんだという発表もされるわけであります。そのこと自体をいけないと言っておりません。私は、政治家が一連の不祥事件で国民の不信を買ったのは、出と入りが両方とも不透明であったということに由来すると思いますし、同時にまた、政治活動や選挙活動というものは、政治家個人が集めて個人が使うというのじゃなくて、政党中心、政党本位のものに変えていくべきでありますから、団体や組合等の献金というものは、これは寄附は政党中心の流れに変えていくことによって、お金はかかっても、その質や透明性や政治家個人に対する不信感というものはここで除去させていくことができる、こういうふうに私は受けとめております。
○佐藤(観)委員 おかしいじゃないですか。中選挙区制のもとで、選挙のあるとき、ないときによって額は違いますが、ざっと中央分と地方分を含めて三千億、上下はいろいろありますけれども、三千億円の政治資金が、中央分、自治省に出す分、それから各県の選挙管理委員会に出す分あるわけですね、三千億円。中選挙区制だからお金がかかる、かかると言っておいて、皆さんの方では、選挙制度を変えると言うんだったら、三千億円は確かに、一万円の公明基準といいましょうか、公明性を増すために公開基準を広げる、このことは非常に重要であります。このことは重要でありますけれども、総額について全然さわらずに、これから中選挙区制から今度は小選挙区制になればお金がかからなくなりますと言いながら、肝心かなめのお金の量を規制することは何もしてないじゃないですかこれは。むしろその上に、かつ企業が出しやすいように損金算入という、わざわざそういう制度まで設けて、法人税の公約四〇%余というものは、これは税金の方で見てあげますよ、経費で見てあげますよという、そういう制度をつくっておいて、盛んに、小選挙区になれば、並立制にすればお金がかからなくなる、かからなくなると言われるけれども、実際のお金が出てくるところ自体は何らいじってない。納得できますか、これで、国民の皆さんに。
○吹田国務大臣 たびたび同じことをお答えするようで恐縮なんですけれども、確かに総量の枠というものにつきましては変わっておりません。しかし、今も総理も申されましたけれども、とにもかくにも政党の方で肩がわりして活動を、政党活動というものを、これは自由民主党だけの話じゃありませんから、全党において、全政党において政党活動というものを活発化してと」うということに、政党の仕事としてこれを持っておるわけでありまして、総量枠は確かに縮めることができ得ませんでしたけれども、今回の、そういった一つの大きな意義が、政党政治という意味で活動の形が今日までの姿よりは大幅に変わってくるであろう、そういう意味において私は評価しておるわけであります。
○佐藤(観)委員 恐らくテレビで聞いていらっしゃる方も、今の自治大臣の答弁で、本当に金のかからぬ、それは総理が言われるように、私たちも政治活動にはお金がかかる、一定のお金がかかると、皆さんほどじゃないかもしれませんが、かかることは認めているわけであります。ですから私たちも、政党助成という考え方は、これは私たちも二年前に政治資金規正法の法案を出したときに既に公的助成ということは法律の精神の中に書いてあるわけですから、そのこと自体を否定をいたしませんが、片方の方で企業から、今申告をされているように千八百億というような膨大な金額が企業の方から流れてくる、なおかつそれはそのままにしといて、いや、これは党を通るからいいんだということにしといて、かつ三百億円も国民の税金を使う。確かに少しは質は変わるかもしれませんが、総額自体は何にも変わらずに、金のかからない選挙になると言いながら、総額自体はさわらずに、かつ国民の税金を使うということで国民の皆さん方は納得してくださるでしょうかね。私は納得できないと思います、これは。企業からは大体こうやってお金を従来どおり、だれがもらうかは別として、もらっておいて、なおかつ税金を三百億円も使うなどということは、これは決して私は国民の皆さん納得しないと思います。完全に企業の方からも減らしていきましょう、最終的にゼロにしていきましょう、団体もしていきましょう、私たちの方の労働組合もゼロにしていきましょう、そのかわりひとつ、それは今まで申したとおりでありますから、したがって、総理が言うように一定のお金はかかるんでありますから、ひとつ政党にも公的な助成をいただきましょうというならこれは筋が通ります、説得力があります。しかし、皆さん方のように全然総量はいじらずに、小選挙区になれば金がかからなくなる、金がかからなくなると言いながら、たまっている、出し手があるところのお金は全然減らさずに、いや、それ以上にむしろ企業側からいえば出しやすいようにしておいて、そして国民の税金を使うというようなことは、決して私は国民の皆さんは納得できないというふうに思います。これは大事なところであります。総理、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 私は、政治活動そのものには、政党が行う行為に対して各党ともそれはお金が要るだろうと思います。同時にまた、きょうまで国民の皆さんから政治家が不信を持たれたのは、入りと出の不透明さであったという点に重点を置くとするなれば、個人が集めるというよりも政党本位の活動に切りかえていくことの方が透明性は増しますし、同時にまた、個人個人でいろいろなことをやっておる、本来政党がやるべきようなことまで選挙の前後にするわけでありますから、それを政党本位に切りかえていくことによって必要以上のお金は個人にはかからなくなってくるわけであります。 そのことを申し上げたことと、それから、総量、総量とおっしゃいましたけれども、必要がなくなるなればそれはどうでしょうか。政党に集まるお金も必要があるものはやっぱり出していただく、政党に出る、政党活動をすべて悪であると決めつけて国民の皆さんもおしかりにはならぬだろうと思いますから、わかりやすくきれいにやっていけば、それは国民の皆さんの御理解と御納得もいただけるものである、私はそのように考えておるところでございます。
○佐藤(観)委員 確かに、今までの政治資金の問題というのは不透明さがあったことが一つあります。もう一つは量の問題、金額の問題じゃないでしょうか。地盤培養行為ということで、この前私も関与して公職選挙法を改正をいたしました。何か、新聞によりますと、月に三百万円これで減ったというようなことも書いてありましたが、それはまことにいいことだと思うわけでありますけれども、問題は余りにも政治にお金をかけ過ぎているところがあるということが問題なんで、透明性を増すことは確かにそうでございます。しかし、それを、余りにもかけ過ぎているというお金を本当に減らすのは、この政治資金規正法二十二条の総枠規制というものを、総量規制というものを、本当に幾らかずつでも減らしていくということを国民の皆さん方にはっきりさせて初めて国民の皆さん方に、ひとつそれでは公的助成いただけないでしょうかと言う整合性と説得力があるんじゃないでしょうか。いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 おっしゃるように、すべての必要以上のお金を使わないようにしていこうというのが今度の改革の一つであって、きのうもニュース解説を聞いておりますと、平均してどなたの地区でも、今の、一日とおっしゃいましたと思いますが、七件ずついろいろな御不幸がある。そういうときは議員がその地域の人に連絡をしておいて全部花輪を出す。そうするとそういうことになるという御報告がきのうテレビであったことは私も聞いておりますし、いろいろなことがございます。 だから、そういったようなことを今後一切やめていけば、お金の使い方というのも必要以上に使うものはなくなっていくと思います。だから、そういったようなことについてもう少し、どのようにして必要なお金だけにしていくか、政治活動の。そういったことにしていかなければならぬと私は思っておるのです。
○佐藤(観)委員 今の御発言の中でですね、花輪はもうそれも出せないようになっているわけですから。まあ総理はテレビを見られたのを言ってらっしゃるわけですから、それはそれといたしまして、今テレビを見ていらっしゃる方もいらっしゃるので、したがって、それはできないことになってますよということを申し上げておきたいと思うわけであります。 いずれにいたしましても、私は、ちゃんと出してくださる、御苦労いただいてそれはお集めになるんだと思いますけれども、出していただくその方々が、量の規制ということがなければ、皆さん方が行けばそれは従来どおり出てくる。しかも、私申しましたように、従来個人で受け取ったものを政党に入れて、二万円以上は公開基準になりますけれども、政党に入れて、それから今度政治団体に行けば、だれからもらったかわからないということになるわけでありますから、総量規制というものをちゃんとして、その見返りとして公的な助成をしていくということでない限り、とても私は国民の皆さん方の納得がいかない。皆さんが言うように、いや使うものがなくなったらもらいにいかない、少なくなる、そんな私は今の情勢ではないと思います。ただ、まことに重要なことでありますけれども、こればっかりやっているわけにまいりませんので次のテーマに行かせていただきたいと思います。 私は別の角度から、今総理もあるいは選挙制度審議会においても、あるいはマスコミにおいても、今の逼塞した政治状況というのができておるのは自民党の一党支配と申しましょうか、つまり長期の自民党の政治が続いたためではないかということ。これは私たち自身も、御承知のようにシャドーキャビネットというものをつくってひとつそれなりの努力をしようとしておるところでございます。いや、今日までも努力もしておるわけでございますけれども、今のような逼塞的な政治状況になった、これはやはり長期政権のため。これはやはり政権交代というのが必要なのではないかということを私も二十二年国会におってつくづく思うわけでありますが、この間にやはり政府・与党一体化の中で、補助金の問題あるいは許認可権の問題というんで与党の皆さんと政府、こういった権力というものあるいは権限というものを勢力、自民党の地盤培養に使ってきたということも今の政治状況の中にあると思います。 また、自民党の優先順位というのは、どうしても自分の支持基盤からその政策の優先順位を決めてくるということで、全国民的な問題というものに必ずしも配慮が行き届いていないということの不満が国民の中にもあると思います。 また、結局出てくる法案というものが、政府と自民党の中でつくられたものをこの国会で審議をする。この法案も本来おかしいんですよ。これはお互いの政党の消長にかかわる話でありますから、本来ならば、出されるなら自由民主党が出してきて、自由民主党と我々と、どう日本の政治のためにあるべきかというのを論議をするのが本当なんでありまして、参議院の比例代表につきましても、御承知のように、自由民主党の提案であったわけでありまして、これが私は本来政治の正しいあり方と思うんでありますが、それは今ちょっとわきに置きまして、いずれにいたしましても、国会の審議が活力がなくなったというのは、政府・自民党で決められたものをここは通すだけということで、日本の政治の議会における活性化というものが大変なくなったということ。 いろいろな言い方ができるかと思いますが、その尽きるとこみは、私たち自身の努力も足りなかったことはあるわけでありますけれども、やはり長期政権というものが続いたことだと思うのであります。 そこで、私たちも政権交代という上から今の状況というのを考えていかなければならぬじゃないか。私も選対委員長を五年やらせていただいてつくづく思いましたのは、皆さん方の方も政権交代、政権交代と言って出していただく、まことにありがたいが、皆さん方のよって立つところと我々とでは随分ハンディキャップがある。これからそれをやりますから、よく聞いてください。ハンディキャップがある。これをイコールの状況にして、平等な格好にして、そして政権交代ということができる政治環境をつくっていくことが私は政治改革の第一歩ではないか、これは選挙制度の前の問題ではないかと思うわけであります。 そこで、私がそういうことで考えておりますのは、先ほど触れました政治資金の余りにも違う額の問題であります。私たちの方はそう地盤培養行為をやるわけではないわけでありますが、今度の届けでも自民党さんの方は四百三十六億、うちの方が六十八億円という政党及び政治資金団体の数字になっているわけであります。私たちもそれなりに努力しているつもりでありますけれども、それについても政党という立場からいっても少しうちの方も少な過ぎるな、ここがイコールフッティングになってないなということが一つであります。このことはもうちょうちょっと申し上げるまでもないことですから、これは省かせていただきますが、御承知のように野党というのは、後から申し上げますけれども、いろいろな意味でハンディがあるわけですね。 一つは情報公開の問題であります。これは、行政の方には大変膨大な情報量、しかも一番新しい情報が入ってくるわけですね。ところが、野党の方には残念ながらその情報量というのは大変限られている。これは大変な、皆さん方与党に長いこといらっしゃるから感じられないかもしれませんけれども、これは非常に重要な差でございます。したがって、私は今、公明党さんも民社さんも社民連さんもそれから連合参議院の皆さん方も含めて、情報公開法という法律をつくること、行政情報を一定の範囲の中で公開をしなさいという法律をつくるように準備をしておるわけであります。これはこれからまだまだ細部について詰めをしなければいけませんけれども、イコールフッティングに立つ、総理が政治改革の中で政権交代ということを言われるんでしたら、私たちがハンディと考えておりますこの膨大な情報量の違いについて、情報公開、特に行政の情報について公開をする、こういうものにぜひ積極的に取り組むべきではないか。私たちの方も野党の皆さんと協力をして法案を出す準備をしておるわけでありますが、この基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 最初に、先ほどの答弁の中で一点追加させていただきますけれども、言葉足らずでしたから。 佐藤議員が一人三百万円あの二月の公選法の改正の結果助かっておるんだ、支出がと言われたことと、きのう報道されておりましたことは、それまでどんなにお金がかかったかということで私は花輪の例だけここで言いましたけれども、会合の会食費の例なんかも具体的に示されておりまして、そういうこと等ができなくなったから一人三百万円助かるようになっておるんだ、こういう意味でございました。それは訂正させていただいておきます。 また同時に、今この議員立法のことについても、政府は当初国会が国権の唯一の立法機関だということは重々承知しておりましたから、この議論の中で、これはあるいは与野党の間の御議論で議員立法で、選挙法でありますからおやりになるのか、あるいは与野党の合意で政府にやれとおっしゃるのか、そこらのところが明確になるまでは、政府提案にするとは一言も申したことはございません。そして、与党と十分協議をしながら、どのような改革をしていったらいいかを議論してきたところでございます。 したがいまして、もし与野党の皆さん方が、これらの議員の身分に直接関する問題であるから、これは与野党協議でやるから政府はちょっと待てとおっしゃるなれば、それが国会の合意であれば、それはそれに従ったと思います。ただ、与党との間で御相談の結果、そのような雰囲気に今なっておらぬから、政府がやるならば三本政府提案で出せということで、それで政府としてはその成案を得て出させていただいた、こういうことでございますから、三本一致において御解決を願いたい、こう思っておるわけであり、議員立法を軽視しておるわけでは決してございません。 同時にまた、情報公開法の問題に最後にお触れになりましたが、政府は、行政に対して国民の信頼を確保する、こういう観点から、行革大綱等について行政情報の公開にはきょうまでもできる限り努めてきたところであります。そして、行政の中で情報公開法の制定、これの制度化の問題については、これは我が国において全く新しい事態でございますから、今後引き続き検討すべき問題も多いと思いますので、引き続いて研究をさせていただこう、こう思っておるところであります。
○佐藤(観)委員 その最後の精神だけ受け継いで、具体的に私たちも法案を山さしていただきますから、それまで海部内閣かどうかわかりませんけれども、ひとつ積極的な対応をする、これは皆さん方が与党に長いこといらっしゃるから感じないんで、しかも、この情報公開法につきましても請求してから二週間以内という、二週間時間がかかるわけでありますけれども、それは総理が考えておる以上に情報量の違いがある。これは大変なことでありますから、ぜひ積極的な協力をしていただきたい。 それから政権交代、政権交代と言われますが、ヨーロッパの中でも、例えばスウェーデンにしてもドイツにしてもイギリスにしても、むしろ今申しましたような情報量の違いとかあるいは政治資金の構成の仕方、それが違うから、むしろ野党は不利だからといって、御承知のようにむしろ野党を有利にするようなそういう補助金を出しているところもあるんですね。これは日本でそれを具体的にどうするかということまで私もまだ研究が進んでおりませんけれども、やはりそういう、本当に日本の政治をよくするために、懐の深い政権交代ということを考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 たしかヨーロッパの一国で、与党と野党に対する事務局補助という項目の中で、野党に幾らか有利な事務局補助を出しておる国があったということを私も記憶しておりますけれども、しかし、全体として見ると、やはりヨーロッパの国々においては議席数と得票率において与党、野党ともにきちっと公正に分配をしておるのが大きな流れのように私は理解をいたしております。今後、日本においていろいろいたしますときには、そういった意味においても十分研究はいたしますけれども、与野党公正に扱われるべきである、このように考えます。
○佐藤(観)委員 総理の方もよく調べてもらいたいのですが、すべてのヨーロッパの国がそうやっているという意味じゃありません。それから、基本的には当然議席率あるいは得票率に基づいていることは言うまでもありませんが、例えばスウェーデンの場合には、各党に政党事務局補助金ということで、基本補助というので一律につける。つまり、一律につけるということは、少数政党の方が相対的に有利になるとか、あるいはドイツの場合にでも、これも機会均等化調整金という格好でつけているものもありますし、イギリスでも額は知れておりますがあるというように、本当に政権交代ということを考えるときにはこそういった自民党さんの方も懐の深い、日本の政治の向上のために考えるべきだということを申し上げておきたいわけであります。 それからもう一つ、私も先ほど冒頭申し上げましたように、今国会には我が党の同僚各位の議員の協力も得て法律案を三つ出す。きょう四時に公職選挙法の……(「遅いよ」と呼ぶ者あり)その理由を今申し上げますから聞いていてください。使ったことがないから皆さん方はそういうことを言うわけでありまして、お盆前から三法案つくるのに大変苦労してまいりました。 何を苦労したかというと、法制局の方は本当に一生懸命毎晩、毎晩十一時までやっていただいておるわけであります。これは法制局第一部第二課というところが担当してやっていらっしゃるのでありますが、総理、何人いらっしゃるか、知らなくても当然だと思いますが、何人いらっしゃるか御存じでございますか。
○海部内閣総理大臣 衆議院の法制局の第一部第二課に何人いらっしゃるか、ちょっと正確には私承知しておりませんが、余りたくさんではないかもしれません。
○佐藤(観)委員 まあ、それは総理でございますから。認識を新たにしていただきたいのでありますが、法制局が全部で六十八人なのであります。そして、後ろにいらっしゃる常任委員会の調査室が、専門員が十七名、調査員が百五十二名、特別委員会の調査室が三十七名、そしてこの公選法、政治資金規正法あるいは政党交付金法、こういった法律を扱う一部二課というところが今課長さん以下四人なんですよね。本当に一生懸命やっていただいております。それで、じゃ、自治省の方が何人いらっしゃるか。自治省の方は部長さん以下四十二人いらっしゃるのです。これは十対一なんですね。行政ですからそれはたくさんいらっしゃるのはわかるわけですけれども、唯一の立法機関という立法府にいたしましては、極めて人数的にも貧弱な法制局であります。 これは国会の中の問題でありますから私たちも国会の中でさらに議論をしていきますが、ただ問題は、これは予算に絡むものですから、すぐ国会の方から出してもとめるのは大蔵省なんですよね。これはやはりこういう状況というのをよく知っていただいて、本当に総理の方が政権交代ということを考えられるなら、ここでもっともっと野党が法律をつくる、そういう体制というものを整えるためのそういう予算的な措置、国会が出しても国会で予算をつけるわけじゃありませんから、総理が政権交代ということを言われるならぜひそのことを十分念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 野党の皆さんのそれぞれの御努力を、衆議院が、いや国会が国権の最高機関としていろいろ法制局で十分お手伝いや御協力ができるようにしていかなければならぬということは、どうか各党各会派において十分お話し合いをいただいて、その結論にはでき得る限り方向を見定めて政府としても、政府として国会のことについて余り差し出がましいことを申し上げるのほかえって三権分立の中でいけないことでありますので、そのお考え方を大切に聞かせていただいていきたいと思います。
○佐藤(観)委員 せっかくの機会でありますから、大蔵大臣、私が言ったことはもう既に大体おわかりだと思います。本来これは国会から予算を請求という格好になるわけでありますが、ひとつそのことも十分、本当にお互いに日本の政治を与党、野党でやっているんだという立場に立って、野党の方はやはり法律をつくるということでぜひそれが必要だというふうに思いますので、今、何人増員とか、どれだけの金額とかは申し上げません。申し上げることではもちろんございませんけれども、そのことについて理解のある御発言をいただきたいと存じます。
○橋本国務大臣 今まで超党派での議員立法に当たりましたときにも今委員が御指摘になりましたような実態がありましたことは、私も記憶をいたしております。これから先の国会の御論議も踏まえながら、議院法制局あるいは調査室の調査機能充実強化のための経費というものは、内閣としても、国会と十分御相談をしながらこれまでも対応してきたつもりでありますし、今後とも適切に対応していきたい、そのように考えます。
○佐藤(観)委員 それから、我が方にとってやはりハンディキャップだというのは、都道府県会議員の議員定数の問題であります。 千二百三十五、選挙区があるわけでございますけれども、このうちの五百二十が一名区なんですね。これでは県政の中で十分民意が反映をされない。今議論になっております第二党以下の議席というのは確保されないということになるわけであります。四二%という大変高い率が一名区になっているのであります。したがって、これは公職選挙法の第十五条で郡市によるというふうになるからそうなるだけの話でありまして、これを適正な大きさということを考えて、地方自治におきましても少数意見がそれなりに反映をするような、そういう選挙制度にし、国と一体になっていく、そういうことがなければ政権交代の基盤自体ができないわけであります。 このことをぜひひとつ理解をいただいて、これはまた改めて、新たにできます公職選挙法の委員会の方でさらに論議をしていきたい。あるいは自治体議員の方々の選挙運動の公営化につきましても、国会議員ばかりがやっているけれども自治体議員の人の公営化というのはちっとも進んでないじゃないかということで、我が党の案では、選挙運動用の自動車の使用とか通常はがきとかポスターの作成とか、こういったものについて、地方自治体がやりたければひとつやれるように、条例をつくってやれるように公職選挙法を変えようということが提案をいたします公選法の中に出ておりますので、そのことについてもひとつ御承知おきを願いたいと思います。 総理が、あるいは自民党の方も、本当に政権交代ということを言われるのでしたら、そういうハンディキャップがある、このことをイコールフッティングする中で本当の政権交代の条件づくりということは、これは選挙制度の問題ではないのですね。それ以前の問題なんですね。ぜひともひとつ選挙制度と切り離してこれらの諸改革は進めるべきであるというふうに私は思いますが、総理はいかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 地方議会がそれぞれのお立場できょうまでも定数削減や、あるいは選挙区域の変更等、それなりのお立場で努力をしてきておられることは、私も先ほど申し上げたとおりでありますけれども、さらに政権の問題につきましては、これはやはり国政レベルで私ども政党が政策を世に問うことによって争うべき問題であると考えておりますので、それらの問題については、地方議会のことについての御意見はまたそれなりの別の機会に十分おやりをいただくのが望ましいことであろうと考えております。
○佐藤(観)委員 地方議会のことじゃないのですよ、これは。公職選挙法の十五条でございますから。地方議会のことではなくて、公職選挙法で郡市によるとなっているから、千二百三十五の選挙区のうちの五百二十、約四二%、これが一名区になっているというだけでありまして、したがって、民意が地方自治体の中で十分反映をしておりませんよという問題でありまして、地方自治、地方の問題ではないのですよ。 そこで、次に国会決議の問題についてお伺いをしていきたいと思います。 総理は盛んに国会決議の趣旨を生かした生かしたと言うわけでありますけれども、これに関与した私といたしましては、総理の発言は極めておかしい。これはおかしい。衆議院議員の定数是正に関する決議というのは昭和六十一年の五月二十一日でございますけれども、 選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分につい ては、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。 今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置で あり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。 抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。 右決議する。ということで、これは私も関与した一人でございますけれども、中選挙区を前提にしてこの国会決議というのはできているんですよね。私は改革派のつもりでございますから、選挙制度の問題というのはこれからいろいろな議論がもっともっと必要だと思います。しかし問題は、非核三原則なり、あるいは北方領土の返還なり国会の移転なりというような重要な国会決議というのがいろいろされている国会決議であります。全党一致でなければできないのが国会決議でありますから、その意味では大変重みが大きいわけでございます。 これはさかのぼれば、昭和五十九年五月に自民党さんの方が違憲の状態の判決を受けて六増・六減案というのを出されたわけであります。しかし、これの中には二名区が入っていたものですから、野党は一致をして別の公職選挙法改正案を出したわけであります。これはずっと審議をしたわけでありますが、当時、中野四郎公選法特別委員長のときでございます。しかし、これは結局継続審議ということになりまして次の国会で議論をしたわけでございますけれども、しかし、何といっても二名区というものを含んでおりました、しかも、その間に国勢調査があったということで、またやっても新たな不均衡ができてくるではないかということで大変問題になりまして、最終的には昭和六十年十二月十四日に与野党の幹事長・書記長会議を開きまして、定数是正問題については議長の調停にゆだねるということになったわけであります。そして、案をつくるに当たって、当時坂田議長でございますが、坂田議長が議長見解を出されまして、このときには各党の党首、自民党さんは中曽根総理・総裁、私の方は石橋委員長、公明党さんの方は竹入委員長というように各党の党首も一緒に出まして、坂田議長の議長見解というものが出されたわけであります。 これは、一つに定数は五百十一名、それから一対三以内の是正、三番目に小選挙区制はとらない、四番目に六十年の国勢調査の確定値の公表を待って抜本改正を図る、そして、これはあくまで暫定措置であるから、立法府の決意表明の措置を講ずるという坂田議長見解が出たわけであります。そして、公選法の特別委員会でも決議をし、そして本会議でも決議をした。そして、出されておりました二法案は審議未了ということになったわけであります。そして、昭和六十一年二月ぐらいから、坂田議長を中心にいたしまして定数是正問題協議会というのが設けられまして、最終的には八増・七減という案で落ちついたわけであります。しかし、これはあくまで暫定措置でございますから、先ほど読み上げましたようなこの定数是正に関する決議というのがなされたわけでございまして、こういう経過を、総理、振り返ってみますと、総理が答弁なされますように、いや定数是正の決議は、一対二の範囲内に入っているから、実際は御承知のように二・一四六ということになって格差は二倍以内におさまらなかったわけでありますけれども、格差がそういうことで、そこで、一対二を基本にしてやったのだからこの国会決議はクリアしているのだということに、今申しました経過から申しまして決してそんなことにはならない。総理の御認識は誤っているのではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 御指摘の衆議院の定数是正に関する決議の問題については、私は、ここにおいて示されておりますことは、違憲状態にあって八増・七減ということをいたしましたのはあくまで暫定措置だ、抜本改正をせろということが根本の趣旨であったと受けとめさせていただいております。そして、私の記憶に誤りなければ、党の選挙制度の調査会でも改革本部でも、どうしたらいいだろうか、いういろな議論の入り口のときにおいては、もし今の制度、仕組みの中で変えるとすれば、何十という選挙区の異動とかいろいろなことをしなければならぬ。同時に、それでは今一番気づき始めておる問題点の、同党同士の候補者の複数化という問題を解消することもできない。一番根本的な問題は、やはり政党中心の選挙制度に変えていくことなのだ。そして、その趣旨で判断をしていくときには、今度はこの定数是正に関する決議の趣旨、精神を踏まえて、一対二を基本原則にしてその改革案をきちっとつくれば、この決議の趣旨、精神はそこで生かされることになる。こういうことになりましたから、定数是正の問題もあわせ含めて選挙制度の改正案の中で解決をさせていただくことができる、こう思って法案にまとめておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 それは、総理か自民党さんか知りませんけれども、自分の都合のいいようにこの国会決議というものを解釈しているだけでありまして、曲解というものですよ、それは。だからあえて私は、この経過、約二年間、実際に自分もここにおりましたからこの経過を申し上げ、議長見解という、国権の最高機関の議長が見解を出されて、その中にはっきりと小選挙区制はとらないというその一項目もあって、そしてその延長線上としてこの国会決議というのが出てきているわけですよ。ですから、これを換骨奪胎、自分の都合のいいように全部解釈をして、そして出てきたものがこれでございますというわけにはいかない、それは経過があるわけですから。 選挙制度がどういうものが本当にいいか悪いかの話はちょっと今わきに置いているわけであります。国会決議という、この院の中で、当時総理も自由民主党にいらして、総裁である中曽根総裁がちゃんとそのことを認められてずっと経過を持っているものについて、自分の都合のいいように曲解をして、そして国会にその議案を出してくるということは、これは国会無視ですよ。国会決議無視ですよ、これは。私は選挙制度の問題をわきに置いて、経過から申しまして、議長が小選挙区制をとらないというわざわざ議長見解を各党の党首にお示しになった、その延長線上として八増・七減ができ、これは暫定措置だからというので国会みずからが決議をしたものを、それを全く無視して小選挙区制を出してくるということは決して私たちは認めるわけにはまいらぬ。総理、いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 申し上げますように、政治改革全体の中でいろいろなことを考え、議論をいたしましたが、そのとき定数是正をしなければならないということもこれは大きな緊急眼目であったことは間違いございません。そして、一対二以内を基本原則にお願いをするということで区割り問題等もお願いをしたわけですけれども、そこにおいてこの決議の精神は生かされておる。決議の趣旨の一番基本である違憲状態を是正せるという点においては、これは解決の方向に向かってきた。法案を通していただければ、三を超えておるのが、基本原則二に縮まってくる、このように受けとめさせていただいております。
○佐藤(観)委員 そんなわけにはいかないのではないでしょうか。この問題は、選挙制度をどうするかということ以前に、国権の最高機関たる国会、その議長が、苦労の末に坂田議長がまとめられて、そして今読み上げましたように、議長見解を出されて、小選挙区制はとらないということを書かれているわけであります。言われて、おたくの方の総裁もそれを受諾をして、そういう経過を持っておるわけであります。それに対して行政府の長が、いやそれは、適当なところは、自分の都合のいいように読めばこうなりますと言って、国権の最高機関たる議長の見解というものを全く無視をしてやってくるということは、これは立法府と行政府という関係において、これは認めることができません。これは認められませんよ。 みずからこういう経過を持っているわけでありまして、今総理が言われるように、そういう背景があって、選挙制度をどうするかという背景があってこれを書かれているわけではないので、これはあくまで中選挙区制を前提として、したがって二名区・六名区という言葉も出てくるわけでありまして、総定数というのは五百十二名になってしまったから五百十一名以下にしなければならぬということを言っているわけでありまして、これは全く総理の本会議あるいは今の答弁も納得できません。これは立法府と行政府のその立場の問題であります。私は、もし総理があくまでそのことを言われるのだったら、これを実際に書かれた坂田元議長をひとつ呼んでいただいて、これはこういう経過を全く無視してやるということになりますと、これは、議会の権威という言葉は余り私好きではありませんけれども、立法府の長が見解を示したものを行政府の長が全く無視してこれをやれるということになりますと、これは本当に議会制度の根幹にかかわる話ですよ。これはひとつ、今総理の答弁というのは決して納得できない。ぜひ私は、この当時の議長でございます坂田議長を呼んでいただいて、そして今総理が言われるようなこういう見解では全く今までの経過を無視することになりますから、ぜひそれをお願いをしたいと思います。
○小此木委員長 後刻理事会で協議いたします。
○佐藤(観)委員 これは極めて最も基本的な問題でありますから、私もなるべく物事は前向きに考えたいという者の一人でございますけれども、これだけは立法府と行政府という関係において看過できない問題でありますから、きちっとひとつさしていただきたいと存じます。 それで、もう時間も少なくなってまいりましたけれども、最後に、あるべき選挙制度の問題について、私も総理が出されましたこの並立案というものについて全く理解と評価をしない者の一人として、限られた時間でございますけれども、論戦をしてみたいと思うわけであります。 選挙制度審議会で出された論戦の一番の誤り、これは何かといいますと、議院内閣制でありますから、議会の構成というものが国民の民意というものを正しく反映をしているという前提に立たなければ、これは議院内閣制の土台が崩れるわけですね、土台が。ところが、総理の言っていることもあるいは選挙制度審議会が言っていることもその点を全くごちゃごちゃにしておって、政策本位の問題とか、政権の交代とか、あるいは政権の安定とか、政権を直接に端的に引き継げるかとか、多様な民意を出せるかとか、政権をつくるという問題と国民の民意を正確に反映をするという問題をごちゃごちゃにしたから結論がごちゃごちゃの変なことになっていったわけであります。議会制民主主義の土台であるところの議会が国民の民意に素直な格好にならないで、どうしてその上によって立つところの議院内閣制が立派なものになるでしょうか。その根本が私は違っていると思うのであります。選挙制度を考えるときに第一義的に考えるのは、国民の民意をいかに正確にあらわす制度であるかどうか。もちろんそのほかにも投票価値の平等とか、あるいはやっぱり有権者にわかりやすい制度でなければならぬとか、あるいは候補者の顔が見えるとかそういったいろんな要素がありますが、一番選挙制度で重要なことは、これは国民の皆さん方が思っていらっしゃるその相似形がこの議院の議席に反映をする、これが第一義なんです。政権は第二なんじゃないでしょうか。いかがでございますか。
○海部内閣総理大臣 議院内閣制でありますから、選挙をされたそれぞれの政党が院を構成し、その院が今度は内閣を指名するわけでありますから、だから内閣は議院の信任に基づいてできるわけでありますから、それは国会が国権の最高機関であり国の唯一の立法機関であるという言葉と同じように、議院内閣制というのは院の信任に基づいてできるものであるという順序になると思います、直接投票で内閣は選ばれておるものではございません。
○佐藤(観)委員 ですから、この院というものが国民の民意とできる限り近い相似形でなければならぬということだと思うのであります。それを一番あらわせるのは比例代表、これは、比例代表が一番国民の民意というものを正確にあらわせるんじゃないでしょうか。それが第一義だと、今総理が議院内閣制の定義を、事実を言われましたように、その土台がしっかりせずにして、今皆さん方が考えていらっしゃるような二六%で当選をして小選挙区三百を得るということ、だめですよ、そういう顔したって。ちゃんと皆さん方の案には九十五条に二五%、小選挙区で二五%以下になったら再選挙ということになっているんです。皆さん方の出された法案ですよ。ですから二六%で当選をしてきて三百議席占めれば、これはこの衆議院の議席の過半数を制することができる、二六%でできるのです。問題は、一番重要なことは国民の民意を正確に反映をする選挙制度、これが第一義であって、政権をつくるということは第二義である。これはひとつ佐藤副会長があるいは堀江第一委員会の委員長か、どちらでも結構でございますが、その議論が、第一義の民意を正確に反映をするということと政権をつくるということをごっちゃにしているから結論がおかしなことになったのです。いかがでございますか。
○佐藤参考人 おっしゃいましたように、選挙というのが民意の正確な反映、ちょうど鏡のように投票の結果に反映すべきであるというそういう面があることはそのとおりだと思います。 ただ、私はやはりそれと同時に、あるいはそれと並んで、政権を形成するといいますか、選挙民が投票することによって政権の形成、政権を選択するというそういう役割というものも総選挙というものは持っているというふうに考えるわけでございます。それはやはり、議院内閣制について総理から今お話がございましたが、議院内閣制というのは、総選挙という形においてあらわれる民意の変化に応じて内閣がかわるということを可能にする制度だというふうに考えることができるんじゃないだろうかと思います。そういたしますと、選挙をする側から申しましても、この一票がどのような政党に今度は政権を担当させるかということの判断というものと結びついて各選挙民が一票を投ずるということではないだろうかと思うわけでございます。 そうなりますと、やはりそこにさっきから御議論がございますように、政策を掲げて、そしてその政策によって支持を得る、票を獲得するということが総選挙ということのやはりもう一つ重要な役割ではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、そこから、民意を反映するということだけから選挙制度のあり方というものを観ずるということには私は賛成いたしかねる、こういうわけでございます。
○佐藤(観)委員 そこが、その根本が狂っているからおかしな結論になっているのであります。後ろの方で二六%なんという、そんなあたかも仮定の数字のようなことを言っていらっしゃいますけれども、例えば平成二年の衆議院選挙、これは自民党の支持率、総選挙で自民党の支持率が一番低かったのは二七・九一%、二七・九一%というところがあるのですね、県全部で合わすと。場所を言ってよければ言いますけれども、大阪であります。この前の参議院選挙で最低のところは一九・五%というところが自民党さんあるのですよね。場所を言えば神奈川であります。というように、情勢によってはあるわけであります。もちろんこれが第一党になる場合も第二党の場合もありますからすべてではありませんが、しかし皆さん方がみずから法律の九十五条に書いてございますように、二五%以下のことも予想して、現に今申しましたような場合があるわけでありますから、この前の参議院比例の大阪は二〇・八%ということがあるわけでございますから、今副会長からお話がありましたように、みずから想定するような二六%の支持率で、それが結果的に多党化の中で第一党で議席をとっていくというようなことでできたこの議院というものが、比例代表もそのときは、第一党かもしれませんがそのときには二六%の議席しかない、そういうときに一体議院内閣制というものは動くんでしょうか。これは今お話がございましたけれども、第一義的には皆さん方の、この議院というものは正確な国民の反映でなければならぬということを全く無視をしたところから出発しますから、上に乗ってくるものが大変おかしなことになるわけであります。 総理、具体的な例はどうでございますか。具体的に今私は皆さんの方のパーセンテージも申し上げたけれども、法律の中にも二五%以下ではだめですよ、再選挙ですよ、ということは形として言えば二六%以上の当選、二六%で当選して一議席ということをとってきた、それが例えば全国均一だとすれば、そういう議院で、全部が二六%で第一党だとした場合に、一体これは内閣をつくる資格があると皆さん方お考えでございましょうか。制度そのものがおかしいんじゃないでしょうか。
○海部内閣総理大臣 最初に、私の今御質疑を聞いての直観を申し上げますけれども、きょうまでの選挙の制度、仕組みの中で結果としてそのような数字で当選してきた人もあることも事実だと思います。また、自治大臣は詳しいそれぞれの選挙区ごとの集計も集めております。しかし、そういった民意が反映されることというのをより反映されるようにするにはどうか。それはいろいろな角度からの御議論が選挙制度審議会でももちろん、あるいは党の政治改革本部でも行われたと思いますけれども、私は、小選挙区制度というものが民意の集約あるいは民意の反映というものにおいては一番鋭敏に反応する制度であるということになりますが、それだけをしますと少数政党の意見が反映されにくくなるので、そこに比例代表制というものをあわせ加味することによって、そして民意の集約がより的確なものになるようにしようというのがこの審議会の答申にも書いてございますし、私もそうだと思います。そして、政府が三法案を提出するときに考えたことは、民意の集約と政治における意思決定と責任の帰属の明確化、こういったものを考えていきますと、答申を受けた小選挙区比例代表並立制という制度が民意の集約には一番ふさわしい、こう判断をして提出しておるところでございます。
○佐藤(観)委員 あたかも比例制を入れたからよくなったように言われますが、今、参議院の結果を一度見て分析をしていただきたいと思うんです。前々回の例ですね。前々回の例をとりますと、昭和六十一年でございますけれども、選挙区選挙の自民党さんの当選者が五十、野党は二十、それから比例代表の当選者は、自民党さんが二十二、野党が二十四、したがいまして合計自民党さんは七十二、野党は四十四という結果になっているわけですね。つまり、比例代表では皆さん方の方が負けているけれども、小選挙区で救われて総数では多くなっているという格好になっているわけであります。これはいみじくも、御承知のように皆さんの方で出された四百七十一の、この三百の小選挙区と百七十一の比例代表とほとんど同じ比率が参議院ではなされているわけであります。 つまり、比例代表では皆さん方は負けているけれども小選挙区では勝っている。したがって、結果は皆さん方が多数派になっているということでありまして、今総理は木に竹を接いたような比例代表を入れればいかにもいい制度になったように言われますが、それなら比例代表で全部やっていれば、自民党さんは比例代表の選挙が入ってからずっと過半数をとれないわけでありますから、政権交代はそれの方が起こりやすい。むしろ小選挙区を入れているがために参議院の方では前々回もその前も自民党さんは多数派になっているわけで、小選挙区で救われているわけですよ。ですから皆さんの方は、総理の今の言い方は、何か木に竹を接いたような制度でこれによって政権交代が起こりやすい、民意が正確に反映できるようなことを言っていますが、全然逆です。一番民意の反映が素直にできるのは比例代表ですよ。そしてそれに対して、連合政権になりますとこの議会の中で政権ができるからいけないと言われますけれども、それはあらかじめ、選挙協力しますし連合政権をつくりますということを国民の皆さん方に言っておけばいいわけでありまして、何もそんなことは困ることはないわけであります。 もう一度参議院の結果を見て、皆さん方が救われているのは小選挙区なんですよ。政権交代ができるじゃないか前回の参議院の結果を言われますが、あれは比例代表でも勝っていれば小選挙区でも両方勝っているわけであります。その前の前は、繰り返しますけれども、比例代表では皆さん方の方は負けているけれども小選挙区では勝っているから、それに救われて多数派に参議院の方ではなっているということですから、よくもう一度分析をしていただいて、木に竹を接いたようなこの制度が、政権交代がしやすいとか、そんな結果に全くならないということをひとつ十二分に認識をしていただきたいと思うわけでございます。 これは本会議でもいろいろお話がございましたけれども、今や小選挙区をやっておりますイギリスにおいても、韓国においても、あるいはニュージーランドにおいても、カナダにおいても、小選挙区制というのはいろいろ考えなければいかぬ、制度を変えていかなければならぬと深刻に考えているところですよね。歴史の中であれだけやってきたイギリスでも、とる得票と議席の比率が余りにも違い過ぎる、これじゃ議会制度が発展しないじゃないか、保守党と労働党との合わせた票がもう七〇%台になってしまって、そして第三党の票の方が三割近くになっているにもかかわりませず議席はそれにはるかに及ばないということで、小選挙区というのは今や世界的に衰退をしていく方向にあるわけであります。言うまでもなく比例代表というのはヨーロッパの諸国でやっておりますし、あえて国を挙げることはないと思いますけれども、いろいろ皆さん工夫しながらやっておるわけでございまして、すぐ多党化すると言うけれども、それが国民の民意ならそれはそれでいいのじゃないでしょうか。少数意見を切り捨てるというそれ自体は、自由民主党といいながら私は民主主義じゃないと思うのです。 連合政権になりますと、皆さんの方は直ちに政権が短くなる、先ほど自民党さんの方の御質問にもありましたけれども、短くなると言われましたけれども、失礼ながら、皆さん方の方が多数派を持っておりました政権でも、宇野さんのときが六十九日、竹下さんのときが五百七十六日、それから鈴木総理のときが八百六十四日、大平総理のときが五百五十四日、中曽根総理のときが千八百六日、中曽根総理あるいは佐藤総理というように、政権の長さというのは必ずしもその体制によるのじゃなくて、そのときそのときのいろいろな情勢を含んでいるわけでありますから、どうぞそのことも十分考えていただいて、お互いに本当に国民が期待を寄せられる清潔な政治ができますように私たちも頑張らせていただきたいと思いますが、ひとつ政府におかれましても、もう一度よくお考え直しをいただきたいということをあわせて申し上げさせていただきまして、終わらせていただきたいと思います。
○小此木委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。 次回は、来る九月十七日火曜日午前十時より委別会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会