予算委員会 第16号
- 発言数
- 277 件
- 登壇者
- 48 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1991/04/05
会議録
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成三年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本医科大学教授山本保博君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、一般質疑を行います。森暢子君。
○森暢子君 きょうは私は、引き続きまして子供の権利条約の国内法とのかかわりについて質問いたしたいと思います。 この条約の一番源に当たりますのが人権の保障ということで、基本的理念として人間の尊厳がうたわれているということが大変な特徴であると思います。この権利保障の前提としては差別の禁止ということが一番ではないかと思います。二条に差別の禁止というのがうたわれておりますが、今子供を取り巻くいろいろの状況の中で、子供が法律的に差別されていると思われている中身について御報告をお願いいたします。そして、それをどのように考え改正しようとしているか、まず法務大臣の方からお願いします。
○国務大臣(左藤恵君) 子供の人権につきましては、依然としていじめとか体罰とかいったような問題がありまして、これは非常に重要な問題である、このように考えております。 そこで、法務省の人権擁護機関といたしましては、従来からいじめ、体罰の問題を初めとして子供の人権擁護に重点を置いた活動を行っているわけでございますけれども、こういった第二条で差別の禁止を定める、子供のことについての世界的な一つの大きな動きということももちろんございます。我が国は今までそういった立場で努力をしてまいりましたが、今後とも積極的にそういう啓発活動を進めていきたい、このように考えているところでございます。
○森暢子君 中身に詳しく入らせていただきますが、例えば出生届の面とかそれから戸籍の面、住民票とか財産相続とか寡婦控除、こういう中身に非嫡出子に対する差別というものがあると思うんですが、このあたりをちょっとお願いします。
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。 御指摘のように、例えば相続分の例で申しますと、嫡出子に比べまして非嫡出子はその二分の一ということになっているわけでございます。こういう場合の子供というのはこれは何も幼年の子供だけではございませんで、被相続人に対する相続人という意味で大人も当然非嫡出子の中に含まれるわけでございまして、一般的に当然未成年の子供であるということにはならないわけでございます。そういう前提がまずあるわけでございますが、その中で嫡出子と非嫡出子の相続分に違いを設けるということの合理性ということにつきましては非常にいろいろ議論があるところでございます。従来の立法の考え方と申しますと、正当な婚姻秩序というものを維持するためにそのような差別を設けることが合理的であるというふうに説明されているわけでございます。 このような合理的な差別というか区別というものが果たして子供の権利保護条約に抵触するかどうかというようなことについては、またこれはいろいろ考えがあるところでございますけれども、私どもといたしましては、今のところこれに抵触するものではないというふうに考えております。現在のところの考え方でございますが、そのように考えておるところでございます。
○森暢子君 出生届とか戸籍の中に、非嫡出子の場合は「男」とか「女」と書かれるとか、それから続柄の欄にただ「子」と書かれるとか、それから住民票では続柄のところにやはり「子」とのみ書かれるとか、そういうふうな差別があるんですが、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
○政府委員(清水湛君) 嫡出子という言葉と非嫡出子という言葉、これは当然言葉が違うわけでございますけれども、嫡出子というのはこれは正当な婚姻関係にある男女の間に生まれた子供、それから非嫡出子というのはこれは法律上の婚姻関係のない男女の間に生まれた子供、こういう意味でございまして、その言葉自体に人間的な差別をするというような意味は私どもはないというふうに考えておるところでございます。 いわばそういう法律的な事実を表示する手段として、嫡出子の場合でございますと長男、次男、三男、長女、次女という表現になりますけれども、非嫡出子でございますと男、女というような表現で記載されるという約束事に法律上なっているわけでございまして、それ自体が差別であるというふうには私ども考えていないところでございます。
○森暢子君 子供はどういう環境に生まれようと思って生まれてきたわけではないのであって、生まれた環境によって差別されるということはやはりいけないことだと思います。これを機会に、子供の最善の利益ということを中心にしてこういう法制上の関係を見直していただきたいというふうに思います。 それから、国籍による差別のことなんですが、外国人には登録原票及び指紋原紙に指紋を押すということがあり、それを拒否した場合には罰則が設けられておりますし、それから十六歳以上の外国人は登録証明書の携帯ということも言われております。このあたりについてどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(股野景親君) 外国人登録法に基づきまして日本に在留する外国人の方々に幾つかのことをお願いいたしておるわけでございますが、これは外国人登録法の目的が本来日本におられる外国人の方々の公正な管理に資するという目的でございますので、その限りにおいて外国人の方々にある程度の負担ないし手続をお願いするということ、これは、それが合理的な理由に基づくものであるという限りにおいては、行政上そういうことを行ってもこれは国内で差別という問題ではなくて、一つの合理的な外国人と日本人との違いによる扱いの違い、こういう点であるというふうに我々としては認識をいたしております。
○森暢子君 やはりこの点も、この権利条約は国際的なものでありますので、ただ日本とか外国とかそういう観点ではなくて、子供の権利を国際的にどのように平等に認めていくか、そういう観点から考え直していただきたいというふうに思います。 それから、婚姻年齢の男女差のことについてですが、今民法の七百三十一条では、男は満十八歳、女は十六歳で結婚できるというふうになっています。この男女差について、どういう理由なのかお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(清水湛君) 御指摘のように、現在婚姻することができる年齢につきましては、男は十八歳、女は十六歳ということになっているわけでございます。恐らくこのような区別が設けられた背景には、社会生活上の男女の能力とか生理的な能力とか、社会的ないろいろな諸条件というものが考慮されたのだろうというふうに私どもは推測するわけでございます。 しかしながら、御指摘のように、このような区別が合理的なものであるかどうかというようなことについては最近各方面から指摘があるわけでございまして、法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会の身分法小委員会におきましては、婚姻、離婚に関する法制の全面的な洗い直しをするというようなことの一つの問題といたしましてこのような婚姻年齢の問題も取り上げるとか、あるいは、先生御指摘にはなりませんでしたけれども、離婚した場合に、再婚するには女性の場合には六カ月待たなければならないという待婚期間の規定、これは女性だけにあるわけでございますけれども、そういうふうな規定を設けている現行制度が合理的であるかどうかというようなことにつきまして検討しようということで、現在調査、審議を重ねているところでございます。
○森暢子君 今その理由については社会生活上であるとか推測とかいうふうなお返事でございまして、合理的な理由が見出せません。そういう意味でぜひ改正を検討していただきたい、このように思います。 その他、日本の現実といたしましては、女性差別であるとかアジア、アフリカの人たちの差別であるとか、それから障害者、被差別部落の人たち、そういう人たちには就職とか結婚、住居などの差別があるわけであります。 次に、文部省にお伺いしたいんですが、被差別部落の人たちの子供の教育、同和教育、それから今回この条約の中に障害者の差別というものをぜひ取り除くようにという項目があるわけですが、そのあたりについて、文部省としての御見解をお願いしたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 子供の権利の保障、学校におきましては、信条また性別、門地などによる差別があってはならない、このように思っております。さらにまた、学校教育におきまして児童生徒に基本的人権尊重の精神を正しく身につけさせることは極めて重要でありまして、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとり、学校の全教育活動を通じて基本的人権尊重の精神の徹底を図っておるところであります。特に、社会科におきましては、先生専門家でありますが、私も教育出版の本を見せていただきましたが、日本国憲法について学習する中で基本的人権の尊重の重要性を指導しておりますし、また道徳の時間においては、だれに対しても差別することや偏見を持つことのないように指導しております。基本的人権の尊重につきましては、学校教育の基本として今後も指導の徹底に努めてまいりたい、このように考えております。 もちろん、部落であるとか、いわゆる障害教育に関しましては全く差別のないようにいたしたい、このように考えております。
○森暢子君 この同和の教育の中で高校への進学に対して奨学金を考えていただいているんですが、今まで給付制だったのが貸与制になっているわけですね。教育の機会均等、そして勉強したいという部落の子供たちのためにこれをもう一度給付制に復活してほしい、こういうふうな要望があるんですが、このことについていかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 高校進学に対しまして同和地区の生徒に進学奨励の事業をいたしておりますが、これは御案内のように、当初給付制でございましたけれども、その後貸与制に切りかえております。これは地域改善対策協議会の意見具申に基づきまして数年前にこの措置をとったわけでございますが、私どもとしましては、貸与制にいたしましたときにもいろいろな事情によりましてその免除措置を拡大するような措置もとっておりますし、その後これにつきまして手続をもっと簡易化してほしいというようなこともございましたのでその手続の簡易化などの措置もとっておりまして、いろいろやっているわけでございますが、これを現時点におきまして給付制に戻すということは大変難しい状況にございます。
○森暢子君 子供の権利を平等に保障する以前に、差別の解消ということが一番ではないかと思うわけです。その中で、現に教育現場でも差別を受けている子供たちがいるという現実をやはり直視していただきまして、その解消に向けての格段の努力をお願いしたい。この権利条約を批准する本当に根本にかかわる問題ではないか、このように思います。 では、十条に「家族再会のための出入国」というのがあるんですが、これは親子の国境を越えた分離にかかわる規定でありまして、国内法で家族再会のための出入国に関する権利が保障されていないということは問題であるわけです。アジアからの難民であるとか出稼ぎ労働者の急増によって、分かれて生活している家族の再会目的での出入国を自由にする、そういう保障というのが言われているわけですが、このことにつきまして法務省の方でどのように考えていらっしゃいますか、お願いいたします。
○国務大臣(左藤恵君) 今御指摘の十条には家族再会のための出入国の権利を定めておりますが、このことについて、出入国管理及び難民認定法ということになりますと法務大臣の裁量に任されている、こういう点についての御指摘だろうと思いますが、児童の権利に関する条約につきましては、その趣旨、目的といったことを念頭に置きまして、現在その批准に向けて関係省庁と協力いたしまして検討しておるという最中でございます。 御質問の外国人の入国に当たっての上陸の審査ということにつきましては、入管法で定められた条件に適合するか否かを審査いたしておりますが、上陸条件に適合しないと考えるものでありましても法務大臣に対する異議申し立て、申し出というような上陸審判手続が定められておりますので、不服申し立ての方途が確保されている、そういうことを考えておりますので、こうしたことで今の問題は解決するのではないか、私はそのように考えております。
○森暢子君 今法務大臣の方からおっしゃっていただきましたように、現行の出入国管理手続は法務大臣の自由裁量ということで、ぜひこの不服申し立て制度が十分整備されますようにお願いしたいと思います。出入国の問題を人道的、積極的に、そして手続的に早く処理することも保障していただきたい、このように強く要請しておきます。 それでは、十二条の「意見表明権」に移りたいと思いますが、日本は従来子供の意見を聞くということを大変軽視しておりまして、国や親などが子供にかかわる重要な決定を下す際も、その決定過程で子供の意見を聞かない場合が多い。まあ聞いても聞きおく程度で大体大人が決めてしまう。子供がいても、あなた黙っていなさい、あなたのことは親が決めるんだからというふうなことが多いわけですね。しかし、三条に「子供の最善の利益」というのが書いてあるんですが、それを確保するためには、その決定の過程の中にどこかに子供の意見を尊重する、関与させる、そういうことがこの条約の意見表明権では必要になってくるのではないかと思うわけです。 それで、法務省の方に、親子関係の中で未成年者の子供の結婚とか、それから両親が協議離婚する場合に子供の意見をどのように聞くかとか監護者の決定をどうするかとか、そういうふうなことについてどのように考えていらっしゃいますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(清水湛君) 先ほどの十二条の問題でございますけれども、まず協議離婚の場合について考えますと、現行法ですと、夫婦が話し合いで離婚をするという場合にはその際に話し合いで子供の親権者を決める、こういうことになっているわけでございます。その際、離婚については合意が成立したけれども親権者をだれにするかということについて話し合いがつかないというような場合には、これは家庭裁判所で決めていただくということになるわけでございますが、家庭裁判所で親権者を決める場合には、現行法上も子供の意見が十分に反映されるような仕組みになっているというふうに私どもは考えております。 問題は、先生御指摘の点は恐らく、夫婦が話し合いで協議離婚をする、その際話し合いで親権者も決めて、かつ決まったという場合に子供の意見が反映されるというような仕組みになっているかどうかということでございますが、この点につきましては、父母が離婚をするということでいわば対立関係にあるわけでございます。そういう対立関係にある両親が子供のためにどちらが子供の親権者になるかということの話し合いをするわけでございまして、両親の少なくともいずれか一方は、子供の立場を十分に代理していると申しますか、その立場に立っているというふうに実は考えているわけでございます。そういう意味におきまして、話し合いで親権者を決めるというような場合には、私どもの考え方では、十分に子供の気持ちとか立場というものが取り入れられて親権者が決められておるというふうに思うわけでございます。 そういうようなことから、もちろん子供の意見が十分に取り入れられることは必要でございますが、この児童の権利に関する条約十二条はそういうような場合について、いわば法律上の権利として、あるいは制度として、父母の話し合いの中に子供が意見を表明するというような仕組みをつくれというようなことまでは言っておるものではないというふうに実は理解しているわけでございます。子供の福祉という観点から親権者を決めるべきだという民法の思想、これは、協議離婚の場合におきましても父母が話し合う場合におきましても、現在十分にそういう意味では日本においては守られておるのではないかというような考え方に私ども実は立っているわけでございます。 それから、未成年者の婚姻の場合は父母の同意が必要でございますけれども、まずこれは未成年者の方で婚姻をしたいという意思表明があって、それがいいかどうかということについて父母の同意が要るということに現在なっているわけでございますので、この点につきましても十分に、子供の意見は意見、親の意見は意見ということで、その立場はお互いに主張されると申しますか尊重されるというふうに考えているところでございます。
○森暢子君 未成年者の結婚の場合に親の一方の同意が必要である。ところが、親が正当な理由なく拒否した場合に子供を救済する規定というものがないわけです。私どもはやはり子供の不服申し立て制度を設ける必要があるのではないかというふうに考えております。 それから、両親が協議離婚する場合に監護者は、原則的には民法の七百六十六条というところで両親の意思で決めるんですけれども、やはり子供の意見の聴取を義務づける。お父さんにつくのかお母さんにつくのか、これは多分お父さん、お母さんの平生のあり方が問題になってくると思うんですけれども、自分はどうしたいと、こういう子供の意見をきちっと聞く機会ですね、そういうものを義務づける必要があるのではないか。家事審判規則にその追加規定というものを設けるべきではないか。今、十五歳以上の場合はあるんですけれども、十五歳以下の子供にもきちっとそういう意見を聞く機会が要るのではないかというふうに思います。 それから、この「意見表明権」の中で学校なんですけれども、今一番問題になっているのが校則の関係であると思いますが、それから停学とか退学とか家庭謹慎、出席停止、こういうときに子供自身の弁明を聞くと、こういうものがちゃんとあるかどうか、そしてそれについてどう思っていらっしゃるか、文部大臣の方からよろしくお願いします。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。 校則は教育、指導の一環として学校がその責任において定めるべきものでありますが、この制定に当たりまして、学級や生徒会などで生徒がみずからの問題として討議する場を設けるなどこういう指導の工夫、こういうことも一つの方法と、このように考えております。 なお、この懲戒等に先立ちましてあらかじめ児童生徒に弁明の機会を与えるかどうかは、これは懲戒等を行う校長または教員の裁量にゆだねられているものと考えております。
○森暢子君 教員の裁量にゆだねられているということですので、やはり子供の弁明を聞く機会をきちんと保障するように、文部省の方でこれを機会に指導していただきたいというふうに思います。大体、教師とか親というのは子供のそういう弁明を聞きません。おくれてきたらおまえは悪いと。おくれてきてもやはりその子供に一応弁明をする機会を与えて、聞いた後にともに考える、こういうことが必要であると思うわけですが、そういう保障をぜひしていただきたいというふうに思います。 次に、二十八条「教育への権利」というところでいろいろとお伺いしたいんですが、一応本条に抵触する国内法上のものはない。日本は教育基本法とか学校教育法初め教育法制はかなり整備されておりまして立派だと思うんです。しかし、今その教育の現実の状況はもう大変変わってまいりました。そういうことで、本条の規定や趣旨を踏まえて法改正とかまたは運用改善というものが必要ではないかと思います。 その中で、まず無償教育のことについて、これは高校にまで無償制の導入が必要ではないかという問題、それから指導要録や調査書を本人に開示する問題、そういうふうなことについて、文部省、よろしくお願いします。
○国務大臣(井上裕君) 本条約の個別あるいは具体的な事項への対応につきましては現在関係省庁による検討が行われているところでありまして、先生のお尋ねの点も慎重な検討を行っているところであります。 また、今おっしゃいました高等学校を義務教育にして無償化するというお話でございます。これは、中学校卒業者の高校進学率は確かに平成二年度において九五%に達しておりまして、高等学校は希望する青少年のほとんどすべての者を教育する教育機関となっております。この高等学校教育を義務教育として無償化することにつきましては、これは教育的にも財政的にも非常にまだ問題が多く、今、小学校、中学校、義務教育の無償化をしているわけでありますが、そういうふうに高等学校を義務教育とするということ、そのような方針をとることは、現在のところ適当ではない、このように考えております。
○森暢子君 それから、学校への定期的な出席の確保という点で、今現在子供たちの不登校とか登校拒否の子供が小中学生で約四万二千人おります。それから高校の中途退学者、これがもう大変大きな問題となっておりまして、一九八八年度の調査で約十一万六千人いるわけです。これを全部足しますと十五、六万の青少年が何らかの意味で学校へ行っていないわけであります。このことについて、やはり各人の状況に応じた教育への権利を保障するために何か対策を講じないとこれは大変な問題になると思うんですが、そのことについて文部省はどのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(井上裕君) 今の先生の登校拒否問題、これは平成元年度で小中におきまして、今四万二千と申されましたが、四万七千ぐらいございます。これは年々増加しております。また高校の中退者も、今先生詳しい数字を挙げていただいたんですが、大体アバウト十二万に上っており、これらの問題への対応は重要な教育問題、教育課題となっております。 登校拒否及び高校中退の問題につきましては、現在、高校の不適応対策調査研究協力者会議、そこにおきまして鋭意検討を進めております。文部省では今後とも、学校全体としてこれへの積極的な取り組みが進められるよう指導の充実を図ってまいりたい、このように考えます。
○森暢子君 それから、学校における管理義務ということなんですが、体罰はいけないということで学校教育法の十一条で禁止されているんですけれども、現在、学校の中ではやはり体罰とか人権を無視した行いが横行しているのが現実であります。特に、兵庫の高塚高校なんかはその中の痛ましい事件であったと思いますが、これを人間の尊厳と人権の保障にふさわしいものに改善していくことが急務であるというふうに思います。この管理主義に対して、文部大臣、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 学校におきます管理主義の問題がいろいろ社会的な問題になっていることが多いわけでございますが、管理主義といいましてもいろいろな意味で議論されますので必ずしも一義的な意味ではないと理解しておりますが、一般的に言われておりますのは、学校におきます規則が画一的であったり、ないしは非常に瑣末なことにつきまして規則を決めて、そしてそれに基づいて生徒をいろいろ細かく指導している、そういう状況一般につきまして管理主義の問題が出ているのであろうと私どもは理解しております。 学校教育におきまして決まりといいますか校則のようなものが必要であることは先ほど文部大臣から御答弁申し上げましたけれども、ただそれがいたずらに画一的であったり、それから瑣末にわたったり、教師の指導が規則にとらわれて真の教育ができないということであれば、これはやはり問題であろうと私どもも考えております。生徒指導に当たりましては、やはり人間味のある温かい指導ということがまず第一に教育では大事でございますし、学校内の指導も社会の良識に合った、社会の良識を踏まえた、国民や保護者の理解が得られる指導内容でなければならないと思っております。また、教師は生徒との日ごろの触れ合いというものを大事にして人間的な関係をよくしていく、その中で教育をしていくということが大事であろうと思います。 したがいまして、私どもとしましては、そうした人間味のある、良識を踏まえた、生徒との触れ合いのある学校教育が実現されますように努力をしてまいりたい、このように考えております。
○森暢子君 二十八条の「教育への権利」の三項に教育に関する問題についての国際協力がうたわれているわけですが、この非識字者の根絶ということでは、世界に十五歳以上で九億もいるわけで、発展途上国のニーズに合わせた特別な国際協力が必要だと思うんです。 ここで、大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、子供のための国際協力ということについて今まで教育とか医療とか福祉等でどのようなことがされていたか、そして今後どのような課題があるか、どのようになさろうとしていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国際協力ということになりますと、これはむしろ私よりも外務省あるいは文部省等にお聞きをいただく方が的確であると思います。そして、そういうくくりから、今私は手元に資料を持っておりません。 ただ、それを前提にして申し上げますならば、例えばユニセフを通じ、あるいはユネスコ活動を通じ、さまざまな国際機関を通じて、日本は相当程度の国際的な児童教育の分野における協力をいたしておると思います。また、その中には、単に識字教育といったものだけではなく教材の供与でありますとか、あるいはちょっと私も細かいことを忘れてしまいましたけれども、大分前になりますがユネスコ国内委員会の委員を命ぜられておりましたころには、民間の出版関係の方々とユネスコ日本委員会が協力をいたしましてそれぞれの国の国語による絵本の作成でありますとか相手国の要望に沿った児童図書等の整備など随分広い活動をしておりました。恐らくそうした活動は形を変えても今日続けられておると思いまして、その方針というものは今日も堅持をされておると承知いたしております。
○森暢子君 それでは、厚生大臣にお伺いしたいんですが、この条約に関連して、児童福祉の関係でどのようなものを考えていらっしゃいますか、お願いします。
○国務大臣(下条進一郎君) 厚生省といたしましては、外務省と協力いたしまして保健医療分野での国際協力をするという基本的な立場がございます。その中で、児童の関係で母子保健の分野の国際協力を進めるということで既に実施いたしておりまして、数は多くないのでありますが一年間に五人ということで、これはちょっとまだ寂しいんですけれども、この関係の方々を数カ国からお招きいたしまして研修をする。そして児童の福祉についての認識とそれから日本の経験を知っていただいて、今の精神が十分生かされるように努力をしているところでございます。
○森暢子君 三十一条に「休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加」ということで、子供たちに豊かな、そして芸術的なものに接する環境、そういうものを保障していこうということなんですが、この子供を対象とした文化とか芸術団体に対する特別な予算措置ですね。今いろいろな遊びとか余暇とかというのには大人を中心にしたものが多いわけです。ゴルフ場であるとか、いろんな遊びの空間は大人を中心にしたものが大変多いということで、ぜひ子供を中心にした音楽ホールであるとか芸術劇場であるとか、そういうものに対する特別な予算措置というふうなものを考えていらっしゃいませんか。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。 子供を対象にした芸術、これは実は文化庁では従来から、地域の子供さらにまた青少年を対象に民間芸術団体のすぐれた舞台芸術等を鑑賞する機会を確保するために、こども芸術劇場また青少年芸術劇場、それから中学校芸術鑑賞教室等の地方巡回あるいは公演事業を実施しますとともに、高校生の文化活動を奨励するため全国高等学校総合文化祭を実施してきております。また、日本芸術文化振興会におきましても民間芸術団体の行うさまざまな事業に対しまして平成二年度から補助を開始したところであります。これは子供等を対象にしたものであります。 今後とも民間芸術団体の行う事業に対する施策の充実に努めてまいりたいと思います。
○森暢子君 皆さんも御経験だと思うんですけれども、学校には体育館というのがありまして、その中で体育もすれば演劇もすれば音楽会もするんですが、あの体育館というのはやっぱり体育をするようにできているわけですね。そういう意味で、ぜひ、学校ごととは言いませんけれども、その学区内にそういう芸術活動をするような施設というものを今回考えていただきたい、これを機会に企画していただきたいというふうに、これは子供のために思うわけであります。 今何点か申しましたけれども、子供の権利条約を批准するための国内法のことではまだたくさんあるわけです。そういうあたりを、子供の人権を守る立場、それから子供の利益を最優先する立場からそれぞれに考えていただいて、やはり立派な内容の批准をしていただきたい、このようにお願いしておきます。 さて、最後なんですが、逗子市の池子にありますシロウリガイの化石群のことについてちょっとお尋ねしたいと思います。 実は、二月二十一日に社会党の文教委員がこの池子のシロウリガイの化石群につきまして文化調査に参りました。このシロウリガイについて、皆さん御存じないと思いますので、ひとつ文化庁の方で説明していただきたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) シロウリガイ化石といいますものを文化財の観点からどう考えているかという御趣旨かと存じますが、シロウリガイは、先生御存じのように、海底の割れ目からの湧水によりまして養われるバクテリアの仲間をえさとしております。こうした湧水のわき出す海底の割れ目といいますものはプレートの運動により大規模な地殻変動と関係するとされておりまして、近年大変注目を集めております。ただ、その事柄につきましてまだ学問的には煮詰まった段階ではないわけでございます。シロウリガイ化石はその化石自体に格別の貴重さがあるということではなくて、そのプレートテクトニクス論との絡みにおいて重視がされてまいっているわけでございますが、ただ、シロウリガイ化石につきましてはいまだその分類学上の位置づけもはっきりしていないというところでございます。 ただ、このシロウリガイの化石につきましては既に全国で二十四地域にわたり地点としましては数十カ所発見をされてきているところでございまして、今後学界の広い立場からの学術的な研究というものが待たれているところだと考えております。
○森暢子君 私どもも行って見てまいりましたんですけれども、池子の米軍住宅地にそれがある。それから逗子高校の裏のがけのようなところにいっぱいあるわけですね。そこを見に行きましたけれども、やはりまだ研究中ということでそこは天然記念物の指定もないということなので、みんながぽろぽろ持ち帰っているわけです。私も実は一つぽろっと持って帰ったんですけれども、ここへ持ってこようかなと思ったんですが、きちっと貝の跡が残っているわけですね。やはり貴重なもので、それが大規模にずっと重なっているというものですから早く調査していただきたい。こういうものは世界的にも日本だけということでありますし、日本でも大きくは四カ所ほどということなんですね。そういうことで、文化庁といたしましてもきちっと調査をしていただきまして、そういう重要な遺跡ということで指定していただきたいというふうに思います。 それで、私どもが行きましたときに、地位協定課長にその期日とだれだれが行くというきちっとした名簿も出して許可を求めて、そしてその米軍住宅地へ行ったんです。しかし、そこへ入れてくれなかったわけです。国会議員団が、衆参の文教の国会議員団が行ったんですが入れてくれなかった。その理由としては、湾岸戦争中であるので基地内は厳戒態勢をしいているというふうなことで入れてくれなかったんですけれども、それについて、外務省の見解をお願いしたいと思います。
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。 先般、先生方より二月二十一日に池子での立入調査を行いたいという御要請がございましたものですから米側に連絡したのでございますけれども、米側からは、今は都合が悪い、それから現下の湾岸情勢にかんがみて厳戒態勢だというふうに回答があったので、その旨をお伝えした次第でございます。 そこで、地位協定上は、米側は、米側に提供された排他的使用になる施設、区域においては、「それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」と三条に定められておりますので、米側の個別の同意なくしては米側の施設、区域に立ち入って調査することができないということになっている次第でございます。
○森暢子君 そこのところで、その住宅地の中に埋蔵文化財が出たということでそのときには調査中だったんです。大勢の、アルバイトだと思うんですが、百五、六十人の人がこうして掘って調査をしていたんです、その中で。実際入っているわけですね、出入りしている。なのに、私ども国会調査団が行きましたときには入らせてもらえなかったわけですが、これはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。 シロウリガイの化石の調査でございますが、調査自体は外務省として立ち入って申し上げる立場にはございませんですが、現場での調査を含めまして、施設庁とそれから神奈川県との間で環境アセスに基づきまして調整を行って、調査自体は既に実施しているものと承知しております。したがいまして、恐らくその調査に出入りしていたということではないかと思います。 いずれにいたしましても、先ほども申しましたとおり、施設、区域への個別の立ち入りというものはこれは米側の個々の同意を必要としておりますので、それはどういう理由かということについて、私どもとしてはあれこれちょっと推測すべき立場にはないわけでございます。
○森暢子君 こういう問題だけを提起しておきます。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。吉田達男君。
○吉田達男君 人権問題に関連しまして地域改善対策について、総務庁長官また自治大臣にお尋ねをいたします。 私は、地域の中で多くの差別に直面して今日に至りました。婚約に破れて命を失いかけたその娘の老父から、おれは差別されて、あほにされて今日になった。何くそと思って思い直しながら、やっと家を人並みに建てて死ねると思うたそのときに娘の命を失うほどの差別に遭った。この部落にへその緒を切ったが因果でこのような苦しみに遭うということは耐えられぬ。だから、自分は死ぬるが、この財産はすべてそのような差別のない村にやってもらいたい、身内が泣かぬでもいいようにしてもらいたいという深刻な訴えがありました。 そのような中にあって、地方では生活の末端の中で差別をなくす努力をしておられる。そして、市町村は市町村長を通し全国町村長会で、あるいは市長会で、あるいは知事会で地域改善についてそれぞれの意見を国に提出しておられる。これを真剣に聞きとめていただきたい。足を踏まれた者でなければ踏まれた痛さがわからぬというところを聞き届けていただきたい。私は地方議会に若干お世話になりましたから申し上げますと、地方自治法の九十九条二項の権原に基づいて、三千二百余の自治体のうちの千三百三十四の議会がこれを意見書としてそれぞれの省庁、国に提出をしております。これらの意見は十分に国の方で聞かれたいと思う。謙虚に聞かれたいと思う。 この問題は重要でありますから、国に一定の方針があることも承知をしております。また、与党自民党は一定の方針、お考えのもとに進んでこられた経過も承知をし、また野党も一定の考え方を持っておることも承知をしておりますが、そのようなことにこだわらず、差別に学ぶということで謙虚に聞き取りを願いたいと思います。 また、この地方自治体の意見については、地方自治法を運営される大臣におかれましては各省庁にわたってこれが実現されますように格別の御努力をいただきたいが、御所見をお伺いいたしたい。総理がいらっしゃいましたらと思いましたが、いらっしゃいませんので、官房長官におかれましてその意を伝えていただきたいと念願しながら、御答弁もいただきたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 部落差別問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、政府は昭和四十四年以来二十余年にわたって三たびにわたる特別措置法に基づき今日まで関係諸施策の推進に努め、相当の成果を上げてきたと思っております。最終の特別法である現行法が失効する平成四年四月以降の方策については、地域改善対策協議会において一般対策への円滑な移行について幅広く各方面の考え方を聴取しつつ審議が進められておりますので、地域改善対策協議会の意見具申を尊重し検討してまいる考えであります。今後とも、本問題の一日も早い解決のために全力を尽くしてまいる所存であります。
○国務大臣(佐々木満君) この地域改善対策事業を進めるに当たりましては私どもこれまでも地方公共団体の御意見をお聞きいたしまして、お聞きいたしましてと申しますよりも地方公共団体と一緒になってこの仕事を進めてまいったわけでございまして、今後におきましても当然この地方公共団体の御意見を十分お聞きをして進めていかなきゃならないものと思っております。 今官房長官からもお話がございましたが、特別法失効後の問題につきましてこの対策協議会で御審議いただいておりますが、この中でも地方公共団体の御意見を十分お聞き取りをいただいておるようでございまして、そういう御意見を踏まえた御答申がいただけるものと、こういうふうに確信をいたしております。今後とも公共団体と一緒になって進めてまいりたいと思います。
○国務大臣(吹田愰君) 吉田先生の同和問題に対しましての御意見は、私も全く同感であります。私も地方議会を経て今日があるわけでありますし、今日までも何遍となくこの差別問題については地方議会におきまして決議もされてまいりました。そうして自治省や関係省庁に送達をした経験もあります。そういった場合に回答をいただけないというのは、極めて地方自治体としての残念さというものがあります。 したがいまして、今後自治省におきましてもそういった点を十分考えて、このまさにゆえなき差別という問題は日本国からどうしても消していかなきゃならぬという信念に私は燃えておりますし、また、私も自治体の首長を務めた経験からいたしまして、私の地域におきましてもそういった差別を受けた部落があります。そういった意味におきまして、どうして救うかということはこれはもう政治家が熱心に、あるいは教育者が熱心にこれに取り組んでいかなければならない問題だと思っておりますし、今後全力を挙げてこの差別問題については努力をする。そしてまた、そういった地方からの意思表示がされた場合におきましてはそれなりにできるだけの御回答を申し上げていくという親切な姿勢が役所にあってしかるべきである、こういうふうに思っております。
○委員長(平井卓志君) 以上で森君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、細谷昭雄君の質疑を行います。細谷君。
○細谷昭雄君 平成元年の年金改正の際に、学生が、これは二十歳以上の学生でございますが、最初任意加入というふうになっておりましたが、この四月一日より強制加入というふうになったわけでございます。その理由について、厚生大臣から御説明願います。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。 今おっしゃいましたように任意加入でありましたために、いろいろ傷害を受けた場合に無年金なために救済ができない。それからまた、御承知のように全体の期間が大変長うございます。満額を受け取るためには四十年必要でございます。そういたしますと、二十から継続して入ってちょうど六十歳ということでありますから、学生時代に二十を超えても入っておられませんと満額支給の資格を得にくいということになりますものですから、その両方の理由から、学生さんも二十から皆さん入っていただくというような改正をしたわけでございます。
○細谷昭雄君 文部省にお尋ねしますが、二十歳以上の学生生徒の障害者の件数を報告願いたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 二十歳以上ということで私ども数字を持ち合わせておりませんが、幾つかの前提を置いて御理解を賜りたいと思います。 私どもの所管法人で内外学生センターというところが学生に対する傷害保険というものを取り扱っております。これは授業中の事故、それから課外活動中の事故といったようなものを対象にいたしておりますが、課外活動中の事故につきましても、冬山登山であるとかあるいはスキューバダイビングであるとか、そういった危険度の高いものは対象といたしておりません。そういう前提でこの内外学生センターが取り扱っております傷害保険の状況から申し上げますと、平成元年度には死亡した者が十六人、後遺障害を残したものが二十五人、こういう状況でございまして、事故の発生率は十万人対二・二人、こういう状況でございます。
○細谷昭雄君 私も文部省の外郭団体でありますこの保険のセンターにお伺いしましたところ、やっぱりよくわからないということでございました。実際問題としますと、交通事故その他考えますとやはりかなりの数に上るんじゃないか、私はこんなふうに思っているわけです。 問題は、今回の改正が任意加入から強制加入に変わったということでございますけれども、こういう無年金で事故に遭ったという若者が大変ふえてきているという現状からしまして、これは当然そのためにこそ強制加入、つまり全員を加入させた方がいいのだという方にウエートがかなりかかっているんじゃないか、私はそういうふうに思うんですが、これについての大臣のお考えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、数の点は今いろいろの数字が出ておりますけれども、実際はかなり障害の方がいらっしゃるわけでございます。私は乗馬の方の学生の世話人をやっておりますけれども、大体一年に一人ぐらい亡くなられます。それからけがの大きなものもございます。ラグビーもそうですし、その他たくさんいろんな面でありますし、今お触れのような交通上の障害の方もいらっしゃる。そういう方が一般の傷害保険に入っていらっしゃらない場合にはこの年金制度でも救済できないということでありますので、やはりそういう意味での無年金の方の障害が起きた場合の保障をするということが一つの大事な要件でございますし、また先ほど申しましたような年金の基本的な考え方、両方合わせまして皆様の御利用をいただきたいということで実施することにいたしたわけでございます。
○細谷昭雄君 この二つの目的で今回そういうように措置されましたが、問題は強制加入させた学生の保険料の支払いなんです。これは親の所得によって免除したり徴収したりということになっているわけですが、これは私は大変問題があるというふうに思うんですが、そういうふうにした理由について、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) 学生さん本人の保険でございますから、学生さんが負担ができればこれは負担をしていただく、これが筋だと思います。また、多くの学生さんは親の支援を受けて学校へ行っていらっしゃるということでございますので、いわば学生さんと親御さんは一つの経済単位であるということで見られないわけではない。そういうことでありますので、今の負担の問題につきましては、学生さんが御本人で負担できない場合が多いと思いますので、そういう場合は親御さんの御負担をお願いすると、こういう立て方になっておるわけでございます。 なお、その先の御質問かと思いますけれども、親御さんが負担できない場合どうするかということにつきましては、これは附帯決議がございますので、その場合には国立大学あるいは私立大学の授業料等のいろいろな差がございますので、そういったものを根拠にしながら免除の規定を別途定めて救済措置は講じておると、こういうことでございます。
○細谷昭雄君 二十歳になりますと、これは法律的に立派に独立した社会人でございます。ただ、問題は、一般社会人だけれども定職を持っておらないということだと思うんですね。私は、これは徴収する場合にはあくまでも学生本人の所得の有無によって決めるべきじゃないか、こんなふうに思っておるんですが、その点についてどうでしょう。
○国務大臣(下条進一郎君) その点は、今お話しした中に含まれていたと思いますけれども、御本人が払えればそれは申し分ないのでありますが、学生さんは親御さんの仕送りというようなことでやっていらっしゃる場合が多いし、いろいろと家庭的な面でいえば、一つの経済単位がどこで切れるかということになりますとこれはやっぱり学生さんと親御さんというのは一体であるというところが、これは住まいが別な場合でも一緒の場合でもいろいろあろうと思いますので、そういう意味で、御本人が払えない場合には親御さんに払っていただくということでございますし、もちろんその中で、例えば生活にお困りになる場合はこれはもう当然別途免除になるわけでございますから、そういう形でスタートをさせていただきたい、こういうことでございます。
○細谷昭雄君 私はやっぱり甘いと思うんですね。学生というものに対して親がかりというのが日本の通弊のようでございますが、今の学生というのは確かに金は持っているんですよ。金は持っているんですが、学生かたぎといいますか、今風の学生は自分の老後のために親からもらった金をわざわざ保険料として持っていくというふうには考えられないんですよ、実際問題として。したがって、私はそういう甘さじゃなくて、法のこの改正の目的がなるべくたくさんの人方を入れるということにあるとすれば、これは別の方法を考えるべきじゃないか。今の学生のそういう学生生活、学生かたぎ、こういったものについて考えると、私はそういうふうに徴収できるとは思えませんよ。 そういう意味で、文部大臣なり厚生大臣なり、ないしはお子さんを持っておられると思いますので大蔵大臣、年金を管轄しておる責任者としましてどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、学生さんも見方によって豊かな方もいらっしゃるということは耳にすることでありますが、普通やはり学生さんは学業に専念されて所得はないという方が多いかと思います。そういう場合は、親御さんの世帯とは一体であるという見方もまたあるわけでございますので、そういう観点で親御さんの御負担をお願いする、所得がない場合はお願いする、こういうことで整備いたしておるわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 我が家には適齢期が一人おりまして、まさに今度大学院に進むという対象者がおります。当然のことながら、これは親のすねもかじっておりますが、すねが余り太くないためにアルバイトで補強をしております。そして、今回小遣いの値上げを言ってきましたけれども上げないと言いましたら、自分でちゃんと払っておるようであります。 同時に、国民年金制度というものが、国民皆年金という考え方に基づいて御本人が収入のない方でありましても被保険者とする。そしてその負担については、被保険者本人にその保険料の負担能力がない場合でも、世帯単位で負担能力を有しておられれば保険料を負担するという仕組みで今日まで来ておることは御承知のとおりであります。私は、恐らく厚生大臣がお述べになりたかったことは、その延長線上として、仕組みの問題としてとらえてきているということをお述べになりたかったものと理解をいたしておりまして、私もそうした考え方でいかれることが望ましいと率直に思っております。
○細谷昭雄君 私は実際問題として、いかにして多くの皆さん方、つまり学生を皆年金にさせるかということだと思うんですが、そのために私どもは具体的に提案したいと思います。 第一は、これは親から独立した社会人として考えて、本人の所得の有無によって徴収するか免除するかということを決めるべきだというのが第一点でございます。第二点は、免除者につきましては、いずれ就職をします。就職をした後十年なら十年という期間を限って、その期間の保険料の後納制度、後から納めるという制度を考えるべきじゃないかということなんですね。このことによって、学生がもしも傷害事故に遭った場合でも万全を期することができる。そして、保険財政、年金財政についても穴があかないということになろうかと思うんです。 この点、具体的な提案をしたいと思いますが、厚生大臣、大蔵大臣のこれに対するお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) 最初の方の負担の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、負担の方は学生さん御本人の所得があるないで判断するというわけにはまいりませんので、やはりこれは、学生さんの御負担できる範囲は結構でございますけれども、できない場合は、親御さんと世帯が同一であるということで親御さんに払っていただくという立て方をぜひ御理解していただきたいと思う次第でございます。 それから、後納の問題につきましては、これは猶予の制度がございますので、その猶予の制度を利用していただくという立て方をやっておりますので、そのような形でぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣から述べられましたように、現行の仕組みの中にも猶予制度がございます。これを運用することによりまして、委員が御指摘になりますような運用は実態的にある程度可能なものだと思います。私は今の委員の御提起は、むしろ自賠責の方で同種のケースを想定しておく必要があるのではなかろうか。これは実はその御本人の障害の問題よりも、例えばお子さんが免許証を持たれそして親御さんの車を利用する、あるいはレンタカーを利用するといった場合の自賠責等で、自傷のケースよりも他傷のケースに対する対応としてむしろ検討すべきテーマかなと、今一瞬そのような印象を持ちました。
○細谷昭雄君 今の大蔵大臣のあれも含めまして、やはりもう一度今度の改正の場合には考えていただきたいということを要望したいと思うわけであります。 次に、竹村委員から関連質問をさせていただきます。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。竹村泰子君。
○竹村泰子君 今、若者たちの国民年金加入の問題がございましたけれども、同じく若者や子供たちの命が侵されております問題として、輸入血液製剤によってエイズに感染させられました血友病患者に関する質問をさせていただきたいと思います。 日本におけるエイズの感染者、患者の数はどれぐらいでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。 時点でいえば本年の二月末でございますけれども、エイズ患者は三百七十四名、また感染者は千六百四十名、こういうことになっております。
○竹村泰子君 そのうち、凝固因子製剤による血友病の患者はどのぐらいでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) 凝固因子製剤によるものは、時点がちょっと違いましてこれは昨年の十一月末でございますが、二百八十名ということになっております。
○竹村泰子君 つまり、三百七十四名のエイズの患者のうち二百八十名は血友病の方たち、凝固因子製剤によって感染をされた方たちなんですね。 八九年一月に医薬品副作用被害救済基金を活用してエイズ感染被害救済制度が発足いたしましたが、その内容を教えていただきたいと思います。
○政府委員(川崎幸雄君) 血液製剤によりエイズになった方々に対しまして、一昨年、医薬品副作用被害救済制度に準じました救済制度が関係企業の協力により友愛福祉財団によって実施されているところでございます。救済制度の各種手当等、支給対象の範囲や金額につきましては、それぞれおおむね医薬品副作用被害救済制度に準じて定められております。 具体的には、まず医療手当でございますが、発症には至らないが関連疾病で一定の入院をされた方に月三万一千九百三十円が支給されます。次に、特別手当でございますが、エイズを発症された方に月二十三万二千九百三十円が支給されます。なお、十八歳末満の方にはその養育者に対し月九万四千七百三十円が支給されます。次に、エイズにより死亡されました方の遺族に対しましては葬祭料十三万円のほか、生計維持者が死亡した場合には遺族見舞い金十七万五千八百円が、また生計維持者以外の方の死亡の場合には遺族の一時金として六百三十二万八千八百円が支給されることになっております。
○竹村泰子君 この制度ができましてから問題となっておりますことを、きょうは二つほどお聞きしたいと思います。 それは、感染者が発病を防止するために毎日懸命な努力を続けるほど治療に関連する諸経費が支出増となり、またそれが労働時間を圧迫することによって収入減を招くにもかかわらず、八日以上入院するか発病して患者とならない限り、感染者には特段の給付がないことです。これでは発症予防の努力を妨げる制度と酷評されても仕方がないことではないでしょうか。 非加熱型の凝固因子製剤を一九八五年七月までずっと輸入し続けてきた。これは薬事法五十六条第六号で、病原微生物により汚染されている医薬品は製造、販売、輸入禁止のはずであります。 このエイズ予防法成立当時の参議院社会労働委員会における附帯決議はどういうふうになっておりますでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生御指摘の法案が成立しましたときの附帯決議でございますが、六番目といたしまして、 法施行後、三年を目途に、患者・感染者の発生状況、治療法の研究開発の状況等を勘案し、必要に応じ、法の規定に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。 こういうことになっております。
○竹村泰子君 九二年一月で施行後三年を迎えるわけですね。アメリカで加熱凝固製剤がつくられるようになってからも日本は非加熱製剤を輸入し続けていて、血液製剤をとらなければ生きていけない血友病の人々を侵した。これはやはり国の責任ではないかと思うわけでありますけれども、感染者の発病防止の取り組みを支援できる制度への改善に向けてできるだけ早い時期に準備、検討を始めていただきたいと思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。 この救済制度、先ほど御説明いたしましたようにいろいろ段階がありますので、いわゆる感染だけでこれをどのように扱うかということは実際上は非常に困難でございますので、症状がはっきりしたもの、あるいはそれの感染者がさらにほかの病気を起こした場合、そういう場合には救済をするという立て方になっておりまして、ただいまそのような形で患者の救済をやっておるということでございます。これをさらに拡大するかどうかという話につきましては、これはただいまのところはその面についての拡大をすることは困難ではないか、こう考えております。
○細谷昭雄君 次に、いわゆる三Kと言われる仕事に従事しております労働者の諸問題についてお伺いしたいと思います。 労働力が大変不足になっておるというふうに言われておりますが、高卒、短大卒、大卒の就職状況、これの上位下位の方をそれぞれ職種を挙げていただきたいと思います。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。 新規学校卒業者の就職の業種は、十一業種に分かれております。まず中卒でございますが、上位から四番目まで申し上げますと、一位が製造業、二位が飲食店、三位がサービス業、四位が建設業でございます。下の方から申しますと、鉱業、マイニングでございますが、それから金融・保険業、公務、不動産業ということでございまして、建設業は十一大産業分類中の四位でございます。 高卒につきましては、上から一位が製造業、二位が卸売・小売業、飲食店、三位がサービス業、四位が金融・保険業でございます。下から申しますと、鉱業、農林漁業、公務、不動産業でございまして、建設業は十一大産業分類中六位、ちょうど真ん中でございます。 大学卒業につきましては労働省で把握しておりませんが、文部省の学校基本調査から引用いたしますと、平成二年三月の卒業で、上位が製造業、サービス業、卸売・小売業、飲食店、金融・保険業でございまして、下からは鉱業、農林漁業、電気・ガス・熱供給・水道業、不動産業でございまして、建設業はこれも十一大産業中の六位、ちょうど真ん中でございます。
○細谷昭雄君 特に三Kと言われております現業職種は、これから若い人は非常に集まりにくいだろうというふうに思うわけでございます。これらの業界は二十一世紀に生き残るためにはよほどのことをしなければならないというふうに思うんですが、今のお話では、どうも建設業は中位ということでそんなに嫌われておらないようでございますけれども、この建設業を今後どういうふうな形で二十一世紀に生き残る業界にするのかという点で、建設大臣の指導の方向、これをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大塚雄司君) 建設業は六百万人近い就業者を抱えておりまして、八十兆円を超える建設投資を担う我が国の基幹産業でございます。特にまた、いわゆる四百三十兆円の公共投資基本計画を考えますと、これからの労働力の確保は大変に重要であると認識をいたしております。 しかしまた、建設業は中小零細企業が圧倒的な多数を占めておるということもございましてその経営が不安定なことや、元請・下請関係などの生産形態が複雑で合理化すべき面が見られることなどから、従来から指摘されてきた産業構造あるいはまた企業経営の面における問題点があることに加えまして、このところ建設業の将来を支える若年労働者の不足が一層深刻な状況になっております。こうした建設業の現状と特質を踏まえまして、建設省では平成元年三月三十日から構造改善推進プログラムを策定いたしまして各般の施策に積極的に取り組んできておるところでございます。 具体的には、一つは技術力のすぐれた企業の発展を図っていく、二番目に、建設産業における生産システム合理化指針を策定しまして総合工事業者と専門工事業者との間の合理的なルールの確立をする、またロボット化による生産性の向上を図る、あるいはまた雇用労働条件の改善を図りながら産業としてのイメージの向上にも努める、こういうようなことをこれまで具体的に実施してきているところでございます。これらの施策の推進に当たりましては、中小建設業の共同化を推進する、あるいは中小建設業の発注の配慮等にも努めまして、いわゆる中小建設業の育成振興を図っておるところでございます。 先ほど申し上げましたようにこれは非常に重要な問題でございますから、今後も一層魅力ある産業としてつくり上げていくように積極的に努力をしてまいりたい、このように思っております。
○細谷昭雄君 建設省としての近代化に向けた意欲というものに対しては、私も敬意を表する次第でございます。 そういうことをやっていきながら私が一番問題だと思いますのは、土建業と言われるのは零細業者がもう極めて多いということなんですね。これを放置しておったのではもう体質改善はできないというふうに思いますので、この面について、例えば過当競争を抑えるための再編成、資本力を強めるための合同、協同組合、こういうことに対する考え方をお伺いしたいと思います。
○政府委員(鈴木政徳君) ただいま御指摘の問題は非常に重要な問題だと私どもも認識しております。 そこで、共同化の推進を中心にやっておりますが、一つ建設業におきましての問題は、通常の製造業と違いまして集積のメリットというものが本当にあるのかどうか、その辺が非常に問題でございます。しかしながら、御承知のとおり九九・八%が中小企業という現状でございますので、共同化を中心にしながら、そのほか金融面その他の施策も含めまして中小企業の振興に努めていきたいと考えているところでございます。
○細谷昭雄君 これは通産省とも関係がございますけれども、特に建設業の場合は私はやっぱり体質改善をしないとどうしようもないんじゃないか。特に、元請・下請という関係を今度は総合請負そして専門工事業者というふうに区分していこうという意欲的な構えからしますと、この零細業者の関係を放置しておってはだめだというふうに思いますので、強くこの点での指導を求めたいというふうに思います。 通産大臣にお伺いしたいと思います。運輸業、林業、それから零細商工業、これも土建業と同様に現在の状況は大変厳しい状況にございますが、若い学卒が求職をするというふうな業界に再編成する必要があろうと思うんです。これに対するお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) 先生の御指摘は、先ほどからお聞きいたしますると、中小企業における三K等の職業環境の改善ということが叫ばれているにもかかわらず、どういう体質改善をしていったらいいのかというふうなお示しだと思います。 中小企業におけるまず何と申しますか労働時間の短縮、このことも極めて大事ではないか。職場の環境改善ということを推進することは、私どもの今の海部内閣でも言うておりまするゆとりと豊かさの生活を実現するというこの方向を方向づけるとともに、中小企業における労働力の確保を図る上で極めて重要であるということの認識に立つものでございます。そのためには、まず中小企業の経営基盤の強化を図ることが極めて必要でございまして、従来から金融、税制上の措置あるいは経営指導等の種々の施策を講じてきたわけではございますけれども、さらに労働時間の短縮等を行った魅力のある職場づくりというものに努力する中小企業を総合的に支援することが必要なのではないか、このように思っておるわけでございます。 今国会に中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案を提出したところでございますが、また、下請中小企業の労働時間の短縮を図るためには、本年二月、下請中小企業振興法の振興基準を改正いたしまして、親会社の発注方式の改善等については指導を強化することとしておるわけでございます。通産省としましては、ただいま委員の御指摘がございましたように、今般の新法及び関連施策を活用することによりまして、中小企業における労働時間のまずは短縮、それから職場環境の改善等の促進に努めていくことが極めて肝要なことだと考えておるところでございます。
○細谷昭雄君 ぜひ、今お話がありましたとおりひとつ徹底して指導をお願いしたいというふうに思いますが、時短というのは非常に難しい問題なんです、中小企業では。 そこで、まず第一に、例えば宅配の運転手さん、それから民有林の山林労働者、それから零細の町工場や個人の商店といったところの従業員、こういうのはなぜそこへ就業しないのかというと、休みがないということなんです。休日がないんです。週一日の休みさえもとれないというのが実情なんです。そこで、お伺いしたいんですが、通産大臣と林野庁長官、運輸省から、こういう業種に対してどういうふうに休日をきちっと位置づけるかという点の指導をされておりますか、この点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(小澤普照君) お答えをいたします。 林業関係も、先生御指摘のように、山林の中で仕事をやっている、しかも非常に天候に左右されるという形態でございまして、労働者の育成、確保なりあるいは労働条件の改善に努めてはおりますが、なかなか苦労している実態は確かにございます。 今までも休日の確保等につきましては、都道府県の森林組合連合会等に指導員を置きまして事業体に対しまして労働条件の改善指導を行うなどの対策は講じてきたところでございますけれども、まだまだこれは徹底していないというように判断をいたしております。今後は流域を単位といたしまして多様な森林の整備なりあるいは国産材の安定供給に向けまして民有林、国有林一体となって取り組んでいかなければならないと考えておりますが、この点につきましては、今般国会の方で御審議をいただいております森林法の改正の中でもこういう取り組みにつきましての方向を出していこうとしているわけでございます。 このような状況の中で、平成三年度からは新たに全国段階それからさらに都道府県段階におきまして林業労働力育成センターを設置いたしまして、週休日の設定でございますとか、今は休日の御質問でございましたけれども、そのほかにも関連する就労条件改善の問題がございます。つまり、月給制でございますとかあるいは社会保険加入の促進でございますとか、このようなもろもろの改善を推進していかなければならないということで、事業といたしましては林業労働力育成確保特別対策事業というものをこの予算案の中にも入れさせていただきまして就労条件改善の対策を講じてまいりたいと考えております。
○政府委員(渡辺修君) お尋ねの中小企業関係の時間短縮に関する取り組みでございますが、御承知のように労働時間に関しましては労働省の労働基準法で一定の取り決めがございまして、中小企業関係につきましてもそれの方向に従って全般的な施策の展開をしておるわけでございますが、とりわけ中小企業につきましては、先ほど申し上げましたように労働者不足とか生産性の問題とかいろいろございまして、時間短縮をやっていく場合には思い切った省力化、合理化投資をしていく必要がございます。 そういうことで、平成元年度から、例えば中小企業者が向こう二年間で二時間以上の労働時間の短縮をしよう、そういう意欲的な計画のもとに設備投資を行う場合には、中小企業金融公庫その他政府関係金融機関から特別に安い金利で資金の融資を行うといったような労働環境整備貸付制度とか、あるいは国と地方公共団体が共同いたしまして体質強化を図るための労働力不足対策融資とかといったような施策の展開を図ってまいっておるところでございます。 そういうところを通じまして魅力ある職場をつくりますための努力が展開されておるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように今国会に労働力確保法案をお願い申し上げておりまして、それが通りました暁には、中小企業団体を通じます時短の推進その他一連の魅力ある職場づくりが飛躍的に発展、改善が図られるのではなかろうか、かように期待しておるところでございます。
○政府委員(吉田耕三君) 先生御指摘の宅配便などのトラック事業における週休二日制の導入状況でございますけれども、トラック運転者の労働条件というのは全産業に比べて非常に労働時間が長いというのが特徴でございます。週休二日制の導入もなかなか進んでおりません。平成元年におきまして何らかの形で、例えば月一回というようなものも含めて週休二日制をとっている企業は、全産業が五割強であるのに対しましてトラック事業につきましては三割弱にとどまっております。 こういうような状況を踏まえまして運輸省といたしましては、こういう人手不足の中で円滑な物流を確保していかなくてはいかぬというような観点から、昨年行いました五年ぶりのトラック運賃の改定に際しましては、週休二日制の導入、拡大などによります労働条件の改善ということを図るための人件費の増加というようなことも見込んで改定をいたしました。そのかわりそういう労働条件の改善を業界全体が早急かつ強力に取り組むべきであるということとして認可を行ったところでございます。このために、そういうトラック事業につきまして本年五月末時点における週休二日制、労働時間の短縮等の進みぐあいを各会社から報告を提出させたいと思っております。そういう報告書をもとにしまして、また今後強力に指導してまいりたいと考えております。 それからもう一つ、物流業全体につきましては非常に労働力不足が深刻でございますので、昨年の十二月に運輸政策審議会から労働力問題への対応方策についてという答申をいただきました。この答申で、労働力を確保していくためには職場を魅力あるものにしなくてはいけない、そのためには週休二日制の導入等の労働条件を改善していかなくてはいけない、いろいろなことが提言されておりますが、今後このような提言を踏まえまして適切な施策を推進してまいりたい。また、業界は中小企業が多うございますので、業界の団体に対して、団体がみずからそういう労働条件の改善について積極的な活動を行うように今後とも指導してまいりたいと考えております。
○細谷昭雄君 私は、週休二日制というのはもう夢のまた夢みたいな感じだと思うんですよ。今お聞きしているのは一週間に一回休むという週休制の問題を言っておったわけですが、今週休二日制の問題が出てきました。これはもう時代の流れだと思うんです、週休二日制というのは。しかし、現実には中小企業、零細企業の皆さん方はこれを享受できないというところを今私が問題にしているわけです。 ここに建設省の試みがございます。きのうは建設省はさんざん怒られましたけれども、私はきょうは建設省をうんと褒める部面が多いと思いますので、きょうはその点で大いに建設大臣から、現在やっております週休二日制をどう創出するかという点のモデル事業について御説明願いたいと思います。
○政府委員(望月薫雄君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、建設業の構造改善を今強力に官民挙げて進めている中でございますが、そういった中で週休二日制問題というのを私ども大変重視しているところです。 私ども、昨年の十一月からモデル現場を直轄事業についてつくらせていただきまして、具体的には関東地方建設局管内でもって五個の事業、これについて完全週休二日制を前提とする発注を行い、それで企業の方にも御努力いただくということをやらせていただいております。これは挙げて、週休二日制を本当にしっかりと定着させていくためには率直に言いましていろいろと問題、課題があろうと思います。それを具体的に浮き彫りにさせ、これをまたデータを踏まえて官民一体になって検討し、より定着させる方策を編み出そう、こういった願いを持ったものでございます。 いずれにしましても、関東地建でやっていることを平成三年度はさらに全地方建設局においてもやっていきたいということで、モデル事業というものを中心に具体的な問題整理ということに取り組んでいるさなかでございます。
○細谷昭雄君 現在の中間的な、こういう点がこうだったというものはありませんか。
○政府委員(望月薫雄君) 今申しましたように昨年の十一月から実施して、まだ平成二年度が済んだばかりでございまして、現在その結果をいろいろと点検中でございます。 いずれこれをまとめて官民一体となった検討の場に供したいと思いますが、率直に言いまして、現場でやってみている中で言えますことは、例えば休日を実際とった場合にそこで働いていらっしゃる労働者の方がその休日をどう過ごしているかというようなことなどを見ますると、ここは実はいろいろ細かい追跡調査等も要るわけですけれども、それが果たして本当に御本人の休養に結びついているかどうかというところが一つのポイントとして浮き上がってくるのじゃないか。こんなふうな認識を持っているところですが、いずれにしてももうちょっと時間をいただきたいと思います。
○細谷昭雄君 私がこの建設省のモデル事業に一番関心を持っている点は、大企業と違いましてこれらの小規模企業は全部日給制なんです。したがって一日休むと賃金はもらえないわけですよ。二日制なんというのは全く生活を脅かすということになるわけです。そこで、生活を脅かさないように週休二日制をどうするかというところに今の建設省のモデル事業に私が注目している点があるんです。この点は一つの成果として私は注目したいというふうに思っておりますが、今言いましたように問題は賃金形態にあるわけですので、日給制という賃金形態からしますと、週休二日制というのは夢のまた夢ということなんです。 そこで、私は日給制から週給制、週給制というのは一週間単位の賃金体系ですが、週給制に変えるということがこれは時代の要請じゃないのか、こういうふうに思うんですね。零細企業や中小企業の時短を考えるとすれば、もう日本における日給制、まあ時給制もありますけれども、欧米のようにこれはやっぱり週給制に変えるべきじゃないか、こんなふうに思うんです。こういうふうな時短の問題にかかわる中小企業と大企業との格差を縮めるためにはどうしてもこういう踏み込んだ研究が必要だというふうに思いますので、各省相まってこういう研究会、いわゆる賃金形態がこれでいいのかという点での研究会をおつくりになったらどうかというふうに思うんですが、労働大臣なり建設大臣なり通産大臣、そして大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(大塚雄司君) お話しのように、建設業におきましては臨時、日雇いといった不安定な雇用関係が非常に多うございまして、賃金形態も日給制が大部分ということでございます。このことが今お話しのように労働時間の短縮と収入の確保との両立を非常に難しくしておるわけでございますが、労働時間の短縮と賃金形態の改善は、建設業が魅力ある産業になっていくためにも、また良質な労働者を確保するためにも必要不可欠なことだと判断をいたしております。 このため、先ほどもちょっと申し上げましたが、二月五日に建設産業における生産システム合理化指針というものを定めまして、週給制と申しますか月給制の拡大とか労働時間の短縮等について業界を指導しながら、現在全国的なキャンペーンを実施して周知徹底を図っておるところでございます。また、省力化や労働者の能力の向上等の生産性の向上、あるいはまた工事の平準化等をいたしましてこれらの問題に対処していこうと。特に建設労働者の雇用や労働条件の改善を大きな目標としてこれから積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。 先ほど先生お触れになりましたように、いわゆる建設業、あるいは率直に申し上げまして運輸・通信業等々このような中小企業、その中でも零細企業等の労働時間あるいは賃金等におきましては先ほど数々御指摘がございました状況でございまして、私どもも最も注意をいたしながらこれが改善対策を進めてまいっておるところでございます。 殊に、御指摘がございましたいわゆる週休二日制等の取得の状況等に顕著にあらわれておると思うのでございますが、先ほども若干お話がございましたようでございますが、例えば週休二日制の導入にいたしましても、全産業平均で概して申し上げまして、平成元年でございますが三七%、あるいは運輸・通信等で二三%前後、特に先生が一番最初御指摘になりました建設業等は実に不調な状況でございまして、数字で申し上げまして三・四%前後、そういう状況でございますので、きょうは先ほどから先生が関係省庁にいろいろな角度からお尋ねをいただきましたが、まことに時宜を得た御指摘であるなと、そういう感じを受ける次第でございまして、私ども労働行政という観点からはますます集中的にその問題等の改善に対しまして努力を続けなけりゃならぬ、かように考えております。 なおまた、賃金の問題でございますが、これはもう申し上げるまでもなく、原則として労使の協議にまつという形にいたしておりますけれども、実態といたしましては、例えば日給制等の場合には最近経営者、企業におきましても相当時代の流れを、これも先ほど先生御指摘ございましたが、その辺を的確に把握し、そしてまた積極的な対応を示してまいっておる傾向がございます。例えば、日給制でございましてもその日給者の賃金が結果として減少しないようにいろんな観点から検討していこうと。時間短縮の問題におきましても、あるいはまた賃金の問題におきましても、それらのいわゆる賃金水準を結果としてどうして維持するかというようなこと等に対しまするチェックも各企業におきまして相当積極的に出てきておるなと。決してこれは十分なる状況であると申し上げておるわけではないのでございますが、そういうことが言えるかなと、こう思っております。 私どもといたしましては、時間管理あるいはまた生産工程の合理化、改善等を柱にいたしまして、そういう経営改善全体の中で雰囲気として前向きの方に踏み込まざるを得ないような強力なる指導、督励をしていきたい、かように考えておるところでございます。
○国務大臣(中尾栄一君) 私どもも中小企業庁を主管しておりますので、そのいきさつからちょっと。 先ほど先生に申し上げましたように、本年二月に下請中小企業振興法の振興基準を改正して親事業者の発注方式の改善等についての意味合いから、御案内のとおり、今国会に中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案を出したわけでございます。内容はもう先生御案内のとおりでございますが、まずは労働時間の短縮そのもの、あるいはまた職場環境改善のための整備の指導、助言、あるいは情報提供等がその支援措置、予算措置として盛っておるわけでございますし、あるいはまた認定計画に従って行います労働時間の短縮であるとか、あるいは職場環境改善に必要な省力化、合理化のための設備投資に対する支援措置であるとか等々を盛り込んでおるわけでございます。 考えてみますると、委員御案内のとおりに、これは各省庁と相当に関係を連動しなければやっていけない仕事でございますことは先ほど来お話に出ているとおりでございまして、そういう意味におきましては、これは労働省や建設省、特に建設省は問題を抱えているようでございますからそういう点も一律に見まして、そしてなるべく、先ほど言うたように中小企業に行かない理由というのは単なる金だけの問題ではない、時間自体に大きな、自分自身の自由なる生活を豊かにしていくような時間帯においての問題があるのではないかという御指摘なども勘案いたしまして、十分にこの問題点は詰めてみたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員は三Kということから説き始められ、週休確保の問題とあわせて給与体系の問題を提起されました。私はその中で考えてまいりますと、委員の言われましたような超過労働に類する部分、これは週休がとれないということにつながります。と同時に、日給月給という言葉がありますように、常勤的形態をとりながら身分を臨時職員といった形に固定をすることによって年金やあるいはその他の社会保険料負担を経営側が免れる手法とし、ある程度その雇用者との合意の上に常勤としない雇用形態があることも承知をいたしております。 その意味では、非常に深く、しかも長い論議でありますが、今委員が述べられたような考え方の延長線上で、例えば労働省におかれて給与形態と雇用形態、そしてさらには休日をいかに確保するかといった組み合わせの中で検討していただくというのは有効なことであろうと、私もそう思います。
○細谷昭雄君 大変結構なお話をお伺いしました。労働大臣が主管だとは思うんですけれども、首相臨時代理といいますか、職務代理者としての橋本大蔵大臣にお願いしますが、今お話もございましたが、各関係省庁がもうすべて関連しております。問題は、九九・九%を占めるこの中小零細に働いておる人方、この人方の時短というのはほとんど問題にしておらないという状況なんですから、そこでこれから二十一世紀に向かってそういう人方を引き上げていくという観点からも、この賃金体系の問題、そして休日の問題、総合的な福祉の問題、これらをあわせまして内閣の官房あたりにそういう研究会をひとつ設置していただくということが必要な時期に来ているのじゃないかというように思います。その点、ひとつお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一方、採用される側に、今フリーアルバイターという言葉が若い人々の間に定着をいたしておりますように、本人自身が自由に勤務時間または勤務日を選べるといった形で常用を希望しない流れも相当程度あることは御承知のとおりであります。 そうしたことを考えますと、私は、今内閣にと仰せられましたけれども、例えば内閣官房が中心になってという形態がこうしたものを検討するのにふさわしいのかどうか、必ずしもそうは思いません。そして、私はその場合にむしろ労働行政というものを主管される労働省が中心になられ、かつて定年制延長と年金の支給開始年齢の問題のときには厚生省と労働省が同じテーブルで勉強するといった方法もとってまいりました。まさに私は、労働省の各局が中心になられ、それに各省庁必要に応じて参加をしながら検討していただくといったような形の方がより実効が上がるのではないか、率直にそのような感じを持ちます。 いずれにいたしましても、提起をされました問題は内閣としても改めて勉強させていただくテーマであろう。今まで行ってまいりましたものにさらにより議論を深めるべきテーマと、そのように感じております。
○細谷昭雄君 そのほかに、現業の労働者に対しては労働福祉面というのが非常に悪いわけです、厚生面ですね。 それで、退職金制度というものを一つ取り上げてみたいと思いますが、きょうは参考人として中小企業退職金共済事業団の小粥理事長においで願っておりますので、中退金の事業のあらましと現在の加入状況、それから支給の実情についてお伺いしたいと思います。
○参考人(小粥義朗君) お答えいたします。 私ども中小企業退職金共済事業を所管いたしておりますが、その仕組みを簡単に申し上げますと、中小企業と契約を結びまして、その雇用する従業員について事業主の方から掛金を毎月納めていただき、それを積み立てて運用し、その果実を加えて、従業員の方が退職するときに直接御本人に、退職する従業員御本人にお渡しをするという仕組みでございます。 現在の加入状況を最新の数字で申し上げますと、ことしの二月末現在の共済契約者数、これは契約を結んでいる企業の数でございますが三十六万八千企業、それからそこに雇用されております従業員の方、被共済者と私ども申しておりますが、その数が二百五十四万八千人ということになっております。 実際に個々の従業員の方が退職される場合に支払っております退職金の額は、これは中小企業、なかんずく零細企業の方が多いものですから、比較的勤続年数が短いとか、あるいは自分の社で退職金制度を持っているけれども中退金事業にも入る、いわゆる併用型の退職金制度を持っているところも一部ございます。そうした面で、退職金の額は平均いたしますと約五十六万円というのが現在の支給退職金の平均値でございます。
○細谷昭雄君 この機会に加入のPRや事業の促進上の御要望がありましたら、業界や政府、それから我々に対しましても率直に事業団としての御意見をお聞かせ願いたいと思います。あわせまして問題点も。
○参考人(小粥義朗君) 先ほど加入状況を申し上げましたが、二百五十数万加入しているわけです。この加入の状況は、いっとき、言うならば停滞ぎみでありましたけれども、最近はかなり進んできていることは事実でございます。ちなみに、二百五十万強でございますが、二百万から二百五十万に達するまでに要した期間が約四年でございました。それ以前の百五十万から二百万に届くまでの五十万人ふえるために要した期間が、これは十年ぐらいかかりました。その意味では、最近の加入促進の実は上がっていると思いますけれども、ただ一方で、中小企業の中で何らの退職金制度の適用も受けていない方がまだ何百万という数字で推計をされるわけでございます。 したがって、私どもこれからさらに積極的な加入促進を図っていかなければならないと思っておりますが、なかなか思うように進まない理由の一つとして、制度自体の存在を知らないという向きもございます。これは私どもの力の至らない点でございますが、今後さらに力を尽くしていきたいと思っております。もう一つは、制度のあることは知っているけれども、零細企業の場合やはり退職金の積み立てという十年、二十年先を見た労務管理をやる余裕がなくて、目先のことに追われてしまうというケースが間々ございます。 ですから、ここで私どもが民間企業、あるいは行政の立場に対してもしお願いすることがあるとすれば、いわゆる魅力ある職場づくりの一環として退職金制度が持つ意味というもの、しかも、中退金制度の場合社外へ積み立てるわけでございます。社外へ積み立てるというのは企業の立場ではなかなかしにくい面がございますけれども、それが退職金の支払いを確実にするという意味での大きな安心感を従業員にも与えるわけでございますから、人材確保のために退職金制度あるいはその社外積立制度が持つ意義というものを、むしろ行政サイドでも企業に対していわゆる啓蒙と申しますかそういう面のことをやっていただければ、私ども自身の加入促進活動と相まってさらに効果が上がるのじゃないか。 同時に、これからの広報活動あるいは加入促進活動をさらに今後とも進めていかなきゃなりません。加入者がふえればさらにまた経費もかかりましょう。そうした面の体制整備について国のサイド、関係省庁の御理解が得られればありがたい、こういうふうに思っております。
○細谷昭雄君 ありがとうございました。 同じように建設業関係で、これは林業、それから造り酒屋さんの従業員にも該当しますけれども、建設業退職金共済制度というのがございます。私自身、仕事の関係でしょっちゅう労働省それから建設省の皆さん方にはこの建退共の制度の普及について十年間言い続けてまいりました。おかげで建設省の皆さん方、労働省の皆さん方にも大変御努力いただいて成果が少しずつ上がっている。これはカタツムリみたいな歩みですけれども、少しずつ確実に上がっております。その都度労働省にも建設省にも報告はいたしておりますが、今小粥理事長がお話しのとおり、存在を知らない例が非常に多いんです。建設業の場合も同じなんです。 そこで、その点で建設省では、共管事項でございますので、私たちの要望に対しまして去年、加入しておる事業所に対してこういうステッカーをつくっていただきまして、これを事業所にぱっと張っておく。これによって、ああおれの方はこれに入っているんだなということを労働者がわかるという仕組みなんです。これが小さいという文句が現場から来ました。私たちも言いました。そうしたらことしは今度こういうでかいものをつくってくれたわけです。建設省もこういういいところがあるんですよ。こういう点で、ことしの四月からはこれを掲げまして、ああおれのところも入っているんだなというふうに安心感を与えるという仕組みなんです。 この点で問題は、これほどの努力というのを通産省はやっているのかどうかという問題です。大臣、どうでしょう。
○政府委員(渡辺修君) 通産省が中小企業退職金共済制度について中小企業者にいかなる施策をやっているかという施策の細かい中身でございますので、私の方からお答えさせていただきます。 私どもも本制度は大変重要だという強い認識をいたしておりまして、現在通産省といたしましては本件のPR及び加入促進のための手段といたしまして、中小企業退職金共済加入強化月間というので毎年十月をその月間にいたしております。この月間を利用いたしまして、テレビによる広報活動、それから中小企業の経営者、事業者団体、これは日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会等々がございますけれども、これに中小企業庁長官名をもちまして本制度を紹介し、かつ傘下の事業主にこれを大いに利用し加入促進するようにという通達を出しましてPRに努めておるところでございますし、あわせて都道府県当局にも同じような加入促進のPRの依頼をしておるといったようなところでございます。 また、先ほどステッカーのお話がございましたが、我々も「中小企業施策のあらまし」とか「中小企業要覧」、それからちょっとそれよりも小さいのでございますが「中小企業施策利用ガイドブック」、これを全部で約十万部刷りまして、中小企業者にはいろいろ普及施策を行っておるところでございます。 ただ、最近、中小企業者、特に企業主にお目にかかってみますと、労働力不足というのが大変重要な問題で、かつローブローが効いてきておりまして、むしろこういう退職金共済制度に自分が入っておるというのが人集めのPRになるという認識が非常に幅広く浸透してきておりまして、我々といたしましても今までよりもさらに強力にPRその他に努めてまいりたいと思っております。
○細谷昭雄君 ぜひ通産省も一踏ん張りお願いしたいというふうに思っております。 小粥理事長、きょうはありがとうございました。どうぞひとつこの仕事のさらに拡充、充実をお願いしたいと思います。ありがとうございました。 次に、時間が少のうございますけれども、有給休暇問題について触れたいと思います。 有給休暇は労働基準法に示されておりますが、六カ月とか三カ月とか、つまり一年未満の人方には与えられておらない。その理由はどういうことなのか、これを説明願いたいと思います。
○政府委員(佐藤勝美君) 年次有給休暇の取得要件のお尋ねでございますけれども、基準法の第三十九条によりまして「使用者は、一年間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」というふうになっておりまして、これについてのお尋ねと思いますが、この継続勤務を要件としていることにつきましては、労働者が継続勤務をいたしますことに伴います心身の疲労といいますか、そういうものを回復するというのがこの年次有給休暇制度の趣旨だと考えられまして、そのような考えに基づきましてかような要件を設けているというふうに理解をいたしております。
○細谷昭雄君 これは私はおかしいということで、ずっと前から、もう十年ぐらい続けておりますが、この結果六十三年の四月一日付で労働省は局長通達を出しました。このように出稼ぎ労働者にも有給休暇を付与ということで参議院の社労委員会の附帯決議もございまして、労働省はこういうふうに通達を出したわけであります。これで少しずつ浸透はしておりますけれども、当時の局長から私たち聞いたのでは、これは五年くらいを一つの教育期間、猶予期間として出しておいて、やがて法律改正をするとの前向きの答弁をいただいておるわけでありますが、いつまでこういうふうに通達で過ごすのか、これに対する労働大臣のお考えをお願いしたいと思うわけです。
○国務大臣(小里貞利君) 出稼ぎ労働者についてもいわゆる福祉の向上を図るという観点から有給休暇が付与されることが望ましいと、まず基本的にはおっしゃるとおりでございます。先生ただいま御指摘の昭和六十二年の労働基準法改正の際におきまする参議院社会労働委員会におきまする決議、あるいはまたその翌年におきまする局長通達、お話しのとおりでございます。 そういうような観点から私どもは日ごろいろいろ努力を払ってまいっておるところでございますが、その後の事業の成果等は、ここに細やかなその後の経緯の数値等も持っておりますが時間の関係もあろうかと思いますから省略をさせていただきますが、漸次改善の方向に進んでおりますが決して十分なものではない、かように考えております。 なおまた、ただいまもっと具体的に強化、啓発を図るために法制化をやるべきではないかというようなお話でございますが、基本的に非常に重要な問題でもあろうかと考えまして、関係省庁などとしかるべく連携、協議をさせていただきたいと思います。
○細谷昭雄君 次に、外国人の労働者問題に移りたいと思います。 まず、日本に滞在する外国人労働者の現状について報告を願いたいと思います。これは法務省と労働省から。
○政府委員(股野景親君) 昨年、改正入管法が施行されました関係で統計のとり方が若干年度途中で変わっておりますが、昨年一年間をとりますと、あらかじめ就労が認められるという在留資格を持って新規に入国したという人が九万二千四百三十一人、こういう数になっております。また、平成元年、一年前でございますが、外国人登録で日本に滞在している人、あらかじめ就労を認められている人で外国人登録をしている人が四万九千三百八十四人、こういう数字になっております。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。 外国人労働者の就労の実態についてのお尋ねだというふうに思いますが、これは全体を把握した調査はございませんけれども、労働省の研究会が事業主団体の協力を得まして平成二年十月に一都五県の中小企業三百四十八社を対象として実施した調査によりますと、ここにおきましては全体として千五百九十七人の外国人労働者が就労をいたしておりまして、その就労は合法不法を分けておりませんが、その就労内容につきましては、生産工程作業員、土木建設作業員が約八割を占めておりまして、その他の職種も単純労働分野がほとんでございます。 これら外国人労働者の労働条件に関しましては、賃金を見ますと、時給、現金給与総額の面では国内労働者と格差がないとする企業が過半を占めておりますが、一方、ボーナスにつきましては約五割の企業が、また退職金につきましては約八割の企業が支給していないと、こういう実態になっております。
○細谷昭雄君 外国人労働者の実情につきまして、今法務省、労働省の実数については大変疑問があるわけであります。労働省が実施しております研修制度、これだけでも毎年二万人ずつ入ってきている。帰ったというような証拠がありませんので、現在、推定ですが十五万から二十五万というふうになっているだろうと。これは研修生という名前のいわば不法の単純労働者なんですね。これが実情だと思うんです。 こういう深刻な人手不足の状況でありますので発展途上国から入ってくるということを防ぎようがない、こういう状況でございますが、現在政府は外国人労働者の受け入れに対してどういうふうなお考えを持っておるのか、これを法務大臣と外務大臣と労働大臣からお伺いします。
○国務大臣(左藤恵君) 外国人の労働者の受け入れに関しまして、政府が専門的な技術を有する労働者につきましてはできる限りの受け入れをするという方向は変わっておりません。いわゆる単純労働者の受け入れということにつきましてはいろいろ検討しなければならない問題があるということでございまして、改正入管法はそういったことで、専門的技術、それから技能、知識等を持って我が国で就労しようとする外国人について幅広く受け入れをしようと、こういう立場に立っておりまして、一般のいわゆる外国人単純労働者の受け入れということになりますと、これは我が国の経済に及ぼす、社会全般に及ぼす影響が非常に大きいわけでありまして、法務省だけの問題ではなくて関係省庁と慎重に協議しなければならない、こういう立場を今とっておるところでございます。
○国務大臣(小里貞利君) 外国人研修制度の問題でございますが、労働者の受け入れ問題も絡んでまいりますから、簡単に申し上げますと、先ほど先生もお話しのとおり、まず第一番目には、専門技術的な能力あるいは外国人ならではの能力を有する外国人労働者、これはただいまも法務大臣からお答えがございましたように可能な限り前向きで受け入れていると、そういう状況が一つございます。もう一つは研修生の問題でございますが、先ほど先生、研修生をあるいは二万とおっしゃったかと思うのでございますが、私どもの労働省関係で一万人、いわゆる政府関係、政府の窓口における関係が一万でございまして、そして同じ研修生という枠の制度におきまして民間で二万六千前後かなと、合計三万六千前後、こういうふうになろうかと思っております。 それから、もう一つの枠組みといたしまして、ただいま先生御指摘のいわゆる単純労働者の問題があるわけでございます。これは先ほどまた法務大臣が答弁申されましたように、受け入れ後におきまする我が国の労働市場あるいは社会経済状態に及ぼす影響等を勘案いたしまして、さらにはまた、外国の先進国、主としてヨーロッパでございますが、外国人労働者を受け入れた場合のその当該国におきまする紊乱等を具体的に分析してまいりますといろんな影響等も出ておる実例からいたしまして、同時にまた、最終的には私どもは政府方針がございますので、これを原則として今行政を進めておるところでございます。 なおまた、先生はこれからもっと積極的にやるべきではないかというお尋ねでございますが、目下内外の諸情勢いろいろと変化をしてまいっておる実情も私どもは十分了知をいたしておりますから、それらのことなども参考にしながら検討をさせていただきたい、かように考えております。
○国務大臣(中山太郎君) 今法務大臣、労働大臣からそれぞれ実態等について御説明がございましたが、内閣におきましては官房長官を座長とする外国人労働者問題懇談会が設置されておりまして、日本の社会における外国人労働者の存在というものがどのような影響を我が国に与えるかという問題についても幅広く協議をいたしているところでございます。
○細谷昭雄君 今政府の考え方をお聞きしたわけでございますが、法務省は法務省として、極めて人手不足だという問題がございまして出入りについてだけの事務的な確認、追跡調査その他まではもう到底不可能だという実情のようでございます、私が調べましたところ。労働省は労働省で、今お話がございましたが、政府間のきちっとした研修制度というのはこれはよくいっているんですよ。私も実情をいろいろ見ました。大変これは喜ばれておりますし、いろんな外交上の、民間外交という点でも成果を上げるんじゃないかというふうに思うわけですので、この点はどんどん進めていただきたいというふうに思うんです。問題は民間ルートで参ります研修制度、これは実情を言いますと不法な単純労働者ということなんです。中小企業、いわゆる三Kのところにうんと入っているんです。私も実情は何度も見ております。 問題は、外国人労働者の労働市場開放というのは、これは私は時の流れじゃないかと思うんですよ。いい悪いの問題じゃないんですね。したがって、これに対してきちっとした、我々が受け入れるなら受け入れるという準備態勢が必要だ、今からすぐスタートしなくちゃいけないというふうに思うわけであります。そこで、私どもは、次の状況をクリアするということを考えていただきたい。これは私どもの提案でございます。 まず第一に、外国人の今の研修生制度、これを充実発展させるということなんです。正規の政府間ルートによるところの問題をきちっとこれは発展させる。第二番目には、先ほど私第二番目の問題としてずっと取り上げました国内の三Kの問題です。ここをきちっと整備をする。このままで入れたら国際的な問題、そして人権上の問題、差別問題が出てきますので、今言いましたように、国内の現業労働者の労働条件や環境、これを早急に引き上げるようなあらゆる必要な措置をとるということが二番目です。 そして三番目には、外国人の単純労働者受け入れのための国内法規、これを整備するということなんです。これは入れたら我々日本人と同じようにする。そして第四番目には、希望国と十分に二国間協議をするということです。そして、ヨーロッパの失敗の例を我々は学びながら、少なくとも条件を積みながら、滞在期間というのを二年なら二年とやっぱり短期間にきちっとする、これが絶対必要だと思うんです。こういう段階的な整備をした上でひとつお願いしたい。 このことを特にお願いしたいと思いますが、政府のこれに対するお考えをお聞きしまして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員からいろいろな問題点について御指摘がございましたが、政府といたしましても御趣旨を十分踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えております。
○細谷昭雄君 終わります。
○委員長(平井卓志君) 以上で細谷君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ─────・───── 午後一時二十一分開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。角田義一君。
○角田義一君 まず最初に、外交問題について若干お尋ねしたいと思います。 御承知のとおり、去る四月三日に国連の安全保障理事会で湾岸の恒久停戦のための決議が採択をされました。新聞報道等で一応私どもも承知はしておりますけれども、そのポイントといいましょうか、重要な点についてまず簡明に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 簡単にポイントだけ御説明申し上げます。 まず、第一番目にクウェート・イラクの国境の画定でございまして、これはクウェート・イラク間で既に一九六三年に国境の合意が行われておりますが、それを国連の事務総長の手によって再確認し、その画定作業を実施するということ。第二番目に監視軍を国連として派遣するということ。イラクの中は十キロメートル、クウェートの中が五キロメートルの監視を行うということ。第三番目に大量破壊兵器を破壊するということ。これは特別な委員会を国連のもとに設けまして、事務総長のもとでこういう活動を行うということでございます。四番目に賠償の規定が入っております。五番目に経済制裁の問題。それから六番目には、この決議というのはイラクが正式に受諾したときに発効するというのが大まかなポイントでございます。
○角田義一君 大臣にお尋ねしますけれども、そういう決議が成立をいたしたわけでございますが、日本政府としてこれに対してどういう評価をなさっておりましょうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の停戦決議なるものが成立いたしましたことを我々は歓迎いたしております。 なお、この決議により、イラクも平和国家としてこれから中東の安定のために協力をしていくということが我が国にとっても極めて好ましい、このように考えております。
○角田義一君 いろいろ内容等を見てみますとかなり厳しい内容になっていると思うんです。当然イラクがやったああいう侵略行為に対する一つの制裁的な要素も私はなくはないと思いますけれども、いろいろ論評なんかを見てみますると、これだけ過酷な内容といいましょうか、これはややイラクの主権を侵す嫌いもあるのではないか、こういうことがアラブ諸国あるいは非同盟諸国、さらには国連の外交筋からもそういう声がささやかれておるという評価も一方ではあるようでございます。これについてはどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) この決議の内容につきまして、例えば賠償の問題等につきまして、一定期間一定の石油のいわゆる輸出の対価というものに制限をかけるとかいろんな条項が考えられるわけですが、これからなお国際法上のいろいろな取り決めも含めまして各国間で協議が行われるものと考えておりますが、細部につきましては条約局長から御説明を申し上げたいと思います。
○角田義一君 局長が答弁する前にちょっと。 私が気になりましたのはやはり賠償の問題でございまして、かつての日本のことを考えますと、日本もあれだけの侵略をやりまして敗戦を迎えたわけでございますけれども、賠償問題については私は連合国側が非常に寛大だったというふうに思っております。中国と国交回復したときにも賠償権を放棄していただいておるわけです。かつて第一次世界大戦後ドイツが非常に過酷な賠償の取り立てをされて、それが第二次世界大戦の遠因の一つになったのではないか、こういうことも言われておるわけでございます。 したがいまして、私どもは、フセインがやった行為、これはもう指弾をしなければなりませんけれども、やはり独裁者の犠牲になったイラクの民衆の立場というものも考えなければいけないのではないか。もし非常に過酷な賠償の取り立てをすることによってイラクの国民の反発を招くとかあるいはまた報復だとかというようなことになりますと、かえって中東の長期的な平和にとって問題になるのではないか。そういうことを考えますと、この賠償問題については特段日本政府といたしましても慎重な対応をすることが望ましいのではないか、こういうふうに私は思っておるのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 日本がこれにどのような関与ができ得る立場にあるか、この問題が一つあろうかと思います。 我々の方で今回の停戦決議に関しましての問題は、現地に在留されておられた方々に対する損害の問題、あるいは現地に進出している企業に対する損害の問題、こういったものはこれからの協議の中で一つの対象になろうか、こういうふうに考えておりますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、条約局長からひとつ一応御説明を聞いていただきたいと考えております。
○政府委員(柳井俊二君) 賠償の問題につきまして、ただいま賠償のいわば外交史のようなことについて御指摘があったわけでございますが、今回の賠償に関する規定は次のようになっております。非常に長い規定でございますので、ポイントだけ御説明をさせていただきたいと思います。 まず、今回の決議の前に六百八十六号という決議が採択されたのは御承知のとおりでございますが、そこでもイラクの賠償責任というものが原則的に確認されております。 今回の決議におきましてはE項という項目がございまして、そこで数項目賠償について規定しているわけでございますが、まずここでイラクの賠償責任、これは環境被害あるいは資源の損耗、あるいは外国政府、国民あるいは企業に対する損害を含めておりますが、その責任を再確認しておるわけでございます。それから、賠償の支払いのために基金を創設いたしまして、そしてこの基金の管理を行う委員会を設置することになっております。そして、具体的なことにつきましては事務総長に対しまして、この委員会の構成の問題でございますとかあるいは賠償支払いの履行計画につきまして勧告を作成するように命じております。 そして、その中で、これは先ほど先生が御指摘になった点と非常に関係があるのでございますが、事務総長がこの計画についての勧告をつくるに当たりまして考慮すべきことがいろいろと書いてございます。その中に、例えばイラク国民の必要性、あるいは支払い能力、あるいはさらにイラク経済のニーズ、そのようなものを勘案しろということを言っております。そしてまた、具体的な方法といたしましては、イラクが産油国でございますので、イラクからの石油及び石油製品輸出額の一定の割合をこの基金の方に回すというような考え方も示されているわけでございます。 一点だけつけ加えさせていただきますと、この決議の採択に当たっての安保理構成国の発言の中に例えばフランスの発言がございますが、このような趣旨を述べております。この決議はイラク国民に対し復讐を強いるものではない、その証拠にイラク国民が最低限必要とする物資を買うためイラクが石油を輸出する自由が認められている、そのような発言もございました。したがいまして、ただいま御指摘のあったようなイラクに対する賠償請求というものが過酷であってはならないというような点につきましても配慮がなされているというふうに考えております。
○角田義一君 大臣、まだ決議ができたばかりでございますから、この決議の内容にどういうふうに日本がコミットしていくのか、かかわっていくのか、あるいはどういう役割を果たしていくのかということについてはそう詰めた話はできていないと思いますけれども、原則的な幾つかの問題、お立場がありましたらお聞かせ願いたいというふうに思います。
○国務大臣(中山太郎君) これからこの決議の実施につきましていろいろと手続がとられるかと思いますが、機会あるごとにまた御報告をさせていただくように努めたいと考えております。
○角田義一君 もう一点だけお尋ねします。 この予算委員会が終わったらすぐに外務大臣は訪中されるということでございます。天安門事件以来、いわば西側先進国が中国に対してさまざまの制裁的な措置を講じてまいりました。過般通産大臣も中国を訪問されたわけでございますけれども、日中関係は非常に大事な問題だと思います。今回の訪中の目的あるいは意義というものについてどういうように考えておられるのか、一言だけ述べてください。
○国務大臣(中山太郎君) 一昨年の天安門事件以来、西側関係諸国は中国の国民の弾圧というもの、これに対して厳しい批判をいたしておりました。日本もサミットの加盟国としてそれに共同歩調をとっておりましたが、海部内閣としては中国をいつまでも孤立状態に置くのはアジアのためにも国際社会のためにも決して好ましいことではない、このような日本政府の強い考え方というものを関係国にずっと説明いたしてまいりました。 昨年の六月十五日でございましたか、日米外相会談においても私の方からベーカー国務長官に、日本はこういう考え方で進みたい、アメリカもそのような考え方で理解をしてもらいたいと強く要請をいたし理解を得て、サミットでも日本はこのような主張をいたし、今回第三次円借款も既に再開をいたしましたし、先般は橋本大蔵大臣、中尾通産大臣が行かれましたけれども、私もこの委員会が終わったら今晩中国へ参ることにいたしております。中国におきましては、日中関係の問題、それからアジア・太平洋の問題、国際情勢全般について幅広く意見を交換してまいりたいと考えておりますが、これからの日中の関係を強化することはアジア・太平洋のためにも極めて重要なことだというふうに考えております。 なお、先般アメリカ及びソビエトの政府から、国連の敵国条項の削除についてこれを削除することに同意をいただいておりますけれども、中国に対してもそのようなことを日本政府としては正式に要請いたしたいと考えております。
○角田義一君 今海部総理がアメリカへ行っておりまして、日ソ関係の問題についても当然首脳会議で議論になる、話題になるというふうに承っておりますが、外務大臣は中国へ行かれまして日ソ問題についての日本の立場を中国政府に説明されて、理解なりあるいは支持なりそういうものを得るといいましょうか、そういう立場はいかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 北方領土、四島一括返還ということを通じて日ソ関係を改善していくという日本側の姿勢を中国側にもかねて御支持をいただいておりましたが、改めて支持を求めたいと考えております。
○角田義一君 次の問題に移らせていただきます。 きのうきょうの新聞等を拝見いたしますと、過般私が暫定予算のときに御質問申し上げました九十億ドルの問題につきましては、湾岸平和基金からアメリカに対しまして八十三億ドルでございますか、日本の金にしまして一兆七百九十億円、さらにイギリスに対して三百九十億円、そして湾岸平和基金に若干残っておるようでございますけれども、今日湾岸平和基金からどういう国にどれだけのものが出ておるか、具体的にきちっと説明してほしいと思います。
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。 今先生が御指摘になりましたように、二日現在でございますけれども、湾岸平和基金からは一兆七百九十億円が米国に対して、それから英国に対しましては三百九十億円が支出されたというふうに承知しております。その他の部分につきましては、これから湾岸平和基金の運営委員会の方でどういうふうに支出するかを決める、こういうことだと了解しております。
○角田義一君 この前私が御質問申し上げまして、アメリカなり、あるいはイギリスもそうですけれども、湾岸平和基金に対していわばどういう請求書を出しておるのかそれを見せてもらいたい、明らかにしてもらいたい、こう申し上げましたら、これは公開できないんだ、こういうお話でございました。私はまことに不当だと思うんですね。国会で最大の議論になったのはやっぱりその使途でございます。 総理は十四日の衆議院予算委員会で、かねてからこの使途については輸送、医療、食糧、生活、事務関連など、こう言っておったけれども、などを切って通信、建設関連を加えた六分野に限定してこれを明記した、こういうふうに言っておりますが、一体どういう文書にこの六項目の分野に限定したというふうに書いてあるんですか、説明してください。
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。 今先生言われました輸送、医療、食糧、生活関連、事務、通信、建設、計六分野でございますけれども、この六分野に使用するということで我が国としては拠出をいたしまして、運営委員会はこれを受けて、我が国の資金を適切に使用するということでこの六分野に支出するという運営委員会の決定を行って各国の具体的要請に応じて各国に出す、こういう仕組みでございます。
○角田義一君 交換公文、理事会との合意議事録あるいは了解覚書というようなもので、まず交換公文の中にはこの六項目は規定されてございませんね。これは間違いありませんな。それが一つ。それから、理事会との間に今あなたがおっしゃったような六項目についての合意議事録なりあるいは了解覚書なりはあるんですか。
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。 交換公文につきましては、ポイントだけ申しますと、我が国が追加的な資金で拠出した一兆一千七百億円でございますけれども、この拠出金について、運営委員会側は適切かつ専ら湾岸の平和と安定の回復のために国連安保理の関連諸決議に従って活動している各国を支援するための資金協力を行うためにこれら資金が使用されることを確保する、こういうのが交換公文の骨子でございます。これを受けまして我が国は先ほど申しましたとおり六分野というものを限定いたしまして、これを受けて湾岸基金の運営委員会が先ほどの六分野に使うという決定を行った、こういうことでございます。
○角田義一君 だから、国会で最大の問題になったのはこの使途なんでございますよ。これにすべての精力が費やされていたと言っても過言ではないと思うんです。武器弾薬には使わないんだというようなことをおっしゃってきた。しかし、そのことを、あれは戦費だということを政府はお認めにならなかった。そしてこの六項目のことをずっと言い続けてきたわけですね。 とすれば、少なくとも外交に当たる者は、これは国会でそれだけの議論になったのであれば、文書ではっきりと今言ったような合意議事録なりあるいは了解覚書なりをつくってこれを明示すべきなんですよ。そういうことをしていないということは、これはもう国会の議論というものを本当にまともに受けていないんじゃないか、真剣に考えていないんじゃないかと私は思わざるを得ない。これだけの議論があるならば、ちゃんと文書で交換公文なり議事録なり覚書なりにきっちりと書くのが、これは国会議論を踏まえた外交のあるべき姿ですよ。なぜそれができないのですか。
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。 協力を受ける各国の側の意向といたしましても、それから我が国の拠出を受け入れた運営委員会の意向といたしましても、各国からの要請の内容を含めましてGCCと各国の間のやりとりは不公表にするということが運営委員会及び各国の意向でございますので、この詳細をお出しすることは差し控えさせていただく、こういうことでございます。
○角田義一君 私が申し上げているのはまだそこまでいっていないんですよ。なぜ合意議事録なり了解覚書なりに明記しないのか、この理由を説明してごらんなさいと、こう言っているんです。
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。 運営委員会の決定事項ということでは先ほど申しましたとおり六分野に限定するということの明確な決定がなされておりますし、それは累次御報告申し上げている次第でございます。
○角田義一君 くどいようだけれども、決定があるならちゃんとそれは合意議事録なり了解覚書にして我々に示すのが筋ですよ。そうじゃないですか。大臣、いかがです。
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。 繰り返しになりますけれども、六分野に限定したいという我が国の意向を受けまして運営委員会がその六分野に限定するという決定をしておりますので、まさにそういうことなのでございます。
○角田義一君 なぜ文書にそれができないんだと、こう聞いているんですよ。
○政府委員(川島裕君) 運営委員会での決定を行いました際の記録にそういう六分野に限定するというのが書いてあるわけでございますけれども、その記録自体が運営委員会の意向として不公表になっておる、こういうことでございます。
○角田義一君 こちらは一兆一千七百億円出すのにいろいろ議論があったんですよ。いい悪いという議論があった。でも出したんです。出した以上は、それがどういうふうに使われるかということをチェックするのはこれは我々の任務です。国会の任務です。そうでしょう。議論があったけれども出ていったんだから、その金がどういうふうに使われたのか、当然その議論を踏まえて、今言ったことであるならば書いて何の差し支えがあるんですか。なぜ公表できないんですか。合意議事録なり了解覚書をつくって、なぜ国会にそれを出せないんですか。 出せないところを見るとおかしいんじゃないか、そんな六項目なんというのはどこかへすっ飛んでいっちゃって結局戦費になっちゃうんじゃないか、こういう疑いを持たれたってしようがないでしょう。どうなんです、大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 国会を通じての各党の厳しい御意見、これも踏まえて、政府は運営委員会理事会の日本側代表者である恩田駐サウジアラビア大使にこの旨訓令をいたしておりまして、そのようなことがきちっと守られていると私は信じておりますし、また政府を御信頼いただきたいと考えております。
○角田義一君 くどいようですが、これは最後は私ども総括できちっとやっていただきますけれども、総理はこの前の委員会で私どもの本岡委員の質問に対して、使途について、どういうふうに使われたか、これについては国会に報告すると、こう言っているんですよ。これは一番最後のだめ押しの質問に対して総理みずから言っているんです。そうしますと、国会にどういう報告をなさるんですか。さっき言ったように、アメリカに八十何億ドル、イギリスに三億ドル、これだけでございます、それは何に使われたかわかりませんと、国と額だけ国会に報告すればそれで済むというふうに考えているんですか。
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。 これはその前に二十億ドルの資金協力を実施したときにも同じだったのでございますけれども、受け入れた側からのどういうふうに使ったかという報告は運営委員会側に出されることになっておりまして、それが我が国にも来ると、こういうことでございます。それを踏まえていずれ国会にももちろん御報告することになると、こう思います。
○角田義一君 国会に報告する内容、これは私は今後非常に厳しく求めていきたいと思います。これはアメリカでも日本でも同じですよ、納税者の立場になってみれば、少なくともアメリカと日本が価値観を共有するということであれば、出ていったお金がどういうふうに使われたかということについて我々は当然知る権利があるし、また政府はそれをきちっと国会に報告しなきゃならぬ義務があると私は思っておるんです。そういう意味で、私は国会に報告する際には内容について、あるいは場合によれば受取まできちっと添えて国会に出してもらいたい、報告してもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 今審議官がお答え申し上げましたように、さきの二十億ドルの分と同様に、今回の分につきましても関係国からの報告を得て御報告を申し上げると、こういうふうに考えております。
○角田義一君 では、この問題はこの程度にしておきますが、いずれ総括でもう一遍取り上げさせていただきまして、きちっとしたお答えをいただきたいというふうに思います。 通産大臣にお尋ねしたいと思います。 今回の湾岸戦争で私どもはいろいろな教訓を学ぶべきだというふうに思っておるんですが、一つには日本における危機管理のあり方の問題、さらには私が一番深刻に考えておりますのは、今後の日米関係のあり方をどうするかというような問題があると思います。それと同時に、やはりつくづく考くますのに、日本のエネルギー政策はどうあるべきかということを痛切に感じたわけであります。現在アメリカでは湾岸戦争を契機にしまして国家的な一つの戦略としてエネルギー問題をどうするかということについての研究が始まっておるということは、大臣も御案内のところと思うんです。 日本におきましてはサンシャイン計画等がございますけれども、これは湾岸戦争を踏まえたものではないと思うのでございます。したがいまして、やはりこの湾岸戦争から日本のエネルギーのあり方について考える場合に、私はもう一度このサンシャイン計画なりを根本的に見直す必要があるんじゃないかというふうに感じておるのでございますが、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) まず、エネルギーの問題でございますが、簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。 我が国は過去二度の石油危機を踏まえまして、エネルギーの安定供給に向けまして石油代替エネルギーの導入ということが叫ばれてまいりましたし、またその方向に進んでまいったつもりでございます。省エネルギーの推進等も行ってきたわけでございますが、このために今回の湾岸危機に際しましては冷静なる対応が可能となったものと私どもは認識しておるわけでございます。しかしながら、我が国のエネルギーの供給構造というものは、委員御案内のとおり、約八割を海外に、また七割は中東に依存しているというのが現実の姿でございますから、極めて脆弱なものであることは申すまでもございません。今後ともエネルギーの安定供給の確保というものは重要な課題であると言わざるを得ないと思います。 一方、地球環境問題も顕在化してきておりまして、経済の安定的発展とあるいはまた地球環境保全との両立を図るエネルギーの政策が必要であるということも言わずもがなの問題でございます。通産省ではかかる問題を考えて、昨年十月の閣議決定を経まして石油代替エネルギーの供給目標の改定を行ってきたところでございますが、本供給目標の一つはエネルギー利用のより一層の効率化、第二点は、石油代替エネルギーの積極的な発展、開発、導入を通じました石油依存度の低減を目指すということが大事かなということを遂行してきたつもりでございます。 通産省では今後ともその供給の目標の達成に向けまして、委員も御指摘のサンシャイン計画等々を含めましたそういう総合エネルギーの政策の推進に、アメリカは既に着手しておりますけれども、私どももその推進に今から最大限の努力を傾注することこそが、地球環境上の立場からも、省エネルギーの立場からも生き残っていける我々のレーゾンデートルだ、こう思っておりますので、私はそのように推進していく所存でございます。
○角田義一君 サンシャイン計画の中で見ましても原子力発電がかなりのウエートを占めておるのは事実でございます。原子力発電については私どもの竹村委員からも例の美浜の事故等に関連をしましていろいろ御指摘があったとおりでありまして、事故の問題等が絡みまして今後の立地条件等も私は非常に厳しい状況に追い込まれているだろうと思います。我々の立場はなるべく脱原発を目指すべきだという基本的な立場に立っておりますけれども、私はやはり我が国は基本的には脱原発ということでいかなければいけないんじゃないかというような気がいたします。 その場合に、つくづく思うんですけれども、予算上の措置でございますが、このサンシャイン計画に基づくいろいろ原子力関係の予算等を見てみますると、この新エネルギー研究開発というのは、同計画が発足してから今日までの予算の総額は一九七五年から一九九〇年までに九百九十四億円でございますが、しかし原子力研究所の例えば平成二年度の予算は、一年間でこの九年分の予算に匹敵するものを使っておるんですね。こうなりますと、これは非常に問題ではないか、もう少し新エネルギーあるいは代替エネルギーの開発のために、日本の国力のあるうちにもっとこれに金をつぎ込むべきじゃないか、私はそう思うのでございますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(中尾栄一君) ただいまの委員のお話は、全く時宜を得たといいましょうか、前からの委員の一貫した主張でございますのも知っておりますが、太陽光発電等の新エネルギー、再生可能なエネルギーに関する技術というものはエネルギー安定供給の確保あるいはまた地球環境問題への対応等の観点から極めて重要であると考えておることは全く同様でございます。従来からのサンシャイン計画におきましても、その開発の姿勢で取り組んでまいったつもりでございます。 これからの新エネルギーあるいは再生可能エネルギーにつきましては、昨年十月に閣議決定をされました石油代替エネルギーの供給目標におきまして、西暦二〇一〇年の時点で第一次エネルギー供給の大体五・三%というものを見込んでおりまして、この目標の達成に向けて官民ともに最大限の努力を払っていくべきだ、私はそのような方向で現在資源エネルギー庁の方にも申し上げているつもりでございます。
○角田義一君 これは事務方から答弁していただいて結構でございますけれども、一九八九年が一番新しい資料だと思いますが、各国の新エネルギーの研究及び開発のデータが出ているというふうに思うんです。私の記憶に間違いなければ、日本が新エネルギーに費やす比率というのは三・六%ぐらい、非常に低いと思うんです。先進資本主義国の中で、ドイツあるいはデンマークとかいろいろありますけれども、こういうところで一体何%ぐらいになっているか、ちょっと説明してくれませんか。
○政府委員(緒方謙二郎君) ただいま先生御指摘の点につきまして、手元に資料を持ち合わせてございませんので調べた上でまた別途御連絡させていただきますが、私どもの日本国内での新エネルギーについての取り組みでございます。 サンシャイン計画、あるいは省エネルギー関係のムーンライト計画という技術開発の計画、サンシャインについては第一次オイルショックのありました昭和四十八年から取り組んでやっているわけでございますが、太陽エネルギー以外のプロジェクトも含めて、これまでに投入いたしました予算額というものは累計で約五千億円になってございます。先ほど先生のおっしゃった数字、恐らく太陽関係だけおっしゃったのかと思いますが、それ以外の新エネルギーについてもいろいろ研究開発をしておりますので累計では五千億円になっておりまして、技術開発の成果も、例えば太陽光発電あるいは燃料電池等については一部実用化の段階に近づきつつございます。 先ほど大臣が答弁申し上げましたように、私ども西暦二〇一〇年を目指します総合エネルギー計画と申しましょうか、長期エネルギー需給見通しに基づく計画を立てているわけでございます。その中で、これらの原子力を含めた非化石エネルギーのウエートを高める努力をする。その中で、もちろん原子力と並んで太陽等の新エネルギーについての普及、導入というものも着実に進めていきたい、こういうことを考えておりまして、一次エネルギー全体の中で五・三%を占めるところまで見込んでいるわけでございます。
○角田義一君 私の手元にある資料ですと、ドイツは一八・九〇でございます。デンマークは二八・一三ということでかなり高いです。アメリカに比べても日本は低いわけでございまして、この辺はやっぱり今後の一つの重大な課題になっていくだろうというふうに思います。 そこで、文部大臣にお尋ねしますけれども、日本の国立大学における新エネルギーの予算というものは平成三年度においてはどうなっておりますか。
○政府委員(坂元弘直君) お答えいたします。 突然の御質問でございますのでちょっと資料を手元に持ってきておりませんので、後ほど資料を取り寄せて御説明させていただきたいと思います。
○角田義一君 突然の質問じゃない、ちゃんと言ってあるんです。どこかで行き違いになっておるんです。これはいけませんよ。 要するに、日本の国立大学における原子力関係の研究費用というのは百四十八億円ぐらいあります。それに比べて新エネルギーの研究費というのはわずか一億数千万円でございます。片方、原子力関係が百四十八億円、そして新エネルギーの国立大学における研究費は平成三年度わずか一億四千八百万ぐらいです。これでは一体何を研究するというのですか。大臣、答えてください。
○国務大臣(井上裕君) 勉強不足で大変申しわけありませんが、うちの方は通告を受けてありませんでしたので、お答えは後でしたいと思います。
○角田義一君 私の言っていることは間違いないのでありまして、そういう現状を踏まえて大臣はどう考えておられますか。この一億何千万を、国立大学が幾つあるかわかりませんけれども、ある教授に言わせればこれはもうスズメの涙だと言うのです。ゼロに等しいと言うのです。今後の国家の戦略を考える場合にこんなことでいいんでしょうか。文部大臣、どうですか、もっと新エネルギーに対する研究費というものを国立大学につぎ込むべきじゃないですか。その大臣の所信だけ聞いておきたいです。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。 外国の例とまた日本の例を数字をよく見て、そしてまた対応したい、このように考えます。
○角田義一君 外国は外国、日本は日本、こういうことじゃないですか。私が今お話ししたことを踏まえてどういうふうに感じておられるか。これでいいのか。私はこれじゃいかぬだろう、こう思うんですが、どうなんですか。
○国務大臣(井上裕君) 今委員がおっしゃるとおりだったら我々ももっとやはり研究をしなくてはいけない、このように考えています。
○角田義一君 最後に要望しておきますけれども、しっかり予算をとってもらって、大蔵大臣もここにおられますが、日本の世界戦略に関することですからひとつ頑張ってもらいたいと私は思うんです。 時間がありませんから、あと二つだけお伺いします。 四月一日でございましたか、NHKで九時から高張力鋼のボルトの破壊の特集をやりまして、私も非常にびっくりしたわけでありますが、簡単に申し上げますと、六年前の昭和六十年四月に福井県鯖江市の市立総合体育館の第一競技場で、天井付近の鉄骨を固定しておる直径約二十四ミリのボルトが真っ二つに切断をして落下したわけであります。当時体育館に人がいなかったから惨事は免れたのですけれども、この体育館では三年前も同じようなボルトが切断して落下する事故が起きておる。これはいわばおくれ破壊という一つの現象なのでございますけれども、学術的にははっきり理由がわかっております。 問題なのは、この鯖江の場合はもう数が多くて一万本もこのボルトが使われている。それを実は全部新しいボルトにかえたわけでありますが、その中で、一万本のうち十本でございますけれども、やはりこのおくれ破壊が出ておる。千本に一本というのは、専門家に言わせれば実は非常に深刻な頻度なんですが、このボルトというのは今日なおかつまだ生きて使われておるわけなんです、生産はもう禁止されていますけれども。体育館あるいは公設市場等で裸のままで使われているやつがたくさんあるわけであります。これについてあの報道で非常に不安をかき立てられたわけでございますので、私は建設省として従前の経過にとらわれることなくこの対応を早急にする必要があるのじゃないかというふうに思うのでございますが、ひとつ大臣の所見を承りたい。
○政府委員(立石真君) 先日テレビで報道されたボルトF11Tの剥離、落下問題でございますが、このF11Tといいますのは非常に引っ張り強度の特に高いボルトでありまして、体育館とかあるいは超高層建築のような高強度を要求される大型の建築物に使用されている例が多くございまして、大体昭和四十年代の初めから五十年代の前半ぐらいまで多く使われたと承知しているところでございます。 ところが、五十年代の前半ごろにこれらのボルトが破断して落下するという事故が数件発生したというように聞いております。この事故の原因につきましては、ボルトの表面に付着した水分の水素成分がボルト内部に浸入することによってボルトがもろくなって壊れるという破壊であるというように承知しております。 こういうような状況でございましたので、当時、五十四年ごろでございますが、まず高力ボルトに関するJISの規定を改正いたしましてこのF11Tというものの使用の制限を行いますとともに、その後五十七年以降はメーカー等がその製造を停止しているところでございまして、建築物等にも使用されていない状況になっております。 この問題につきましてですが、一つはまず構造強度上の問題でございますが、この11Tボルトにつきましては露出して水分を受けやすい場所ですと先ほどのように確率の高い場合があるわけですが、一般的には水分がはじくようになっていれば非常に確率の低い現象でございますので、例えば接合部には一カ所に数十本のボルトが使われておりますが、それらのうち例えば一本のボルトが破壊したとしても構造物の安全性には特段の問題がないというように承知しております。 しかしながら、同時に、ボルトが落下して人身事故に結びついてはいけない、そういうような危害を防止する必要があるというように考えておりまして、特段の注意をするように関係者を指導してまいりたいと考えております。
○角田義一君 建設省は既に昭和五十四年に、こういうおくれ破壊あるいは突然破壊というものがこのF11Tには起こり得るんだということを承知しておったんですか。承知しておって今日まで何もその危険性を指摘しなかったとすれば、これは重大問題ですぞ。
○政府委員(立石真君) こういうような事故が発生するものとは考えておりませんでした。そして、この事故等についても特段の報告はなかったわけでございますが、しかし強度上の問題があるのではないかというような指摘が多くなされるようになりましたので、先ほどのようにその使用を制限する方向に行政として持っていったわけでございます。
○角田義一君 不幸中の幸いで今まで人身事故はなかったんですけれども、私が言っているのは、何も建築物すべてを調べろと言っているんじゃないんですよ。そんな無理なことを言っているんじゃないんですよ、大臣。露出している体育館なりあるいは公設市場なり人が出入りするところで、これはF11Tというのは見ればすぐわかるんですよ。刻印を押してあるんだし、あるいは設計図を見ればすぐわかるんです。だから、これをどう予防したらいいかということで指示を出してもらいたい、調査する指示を出してもらいたいということを私はお願いしているんですよ。無理ですか。
○国務大臣(大塚雄司君) ただいま御指摘の問題につきましては、構造上の安全を図るということもありますけれども、お話しのありましたように落下したときの安全策というのは大変大事だと思います。一本五百グラムぐらいあるそうで人身事故が起きたら大変でございますので、特に不特定多数の者が出入りする建築物等、建築基準法に基づく専門技術者による定期調査制度や特定行政庁による防災査察等によりましてその安全性の確保を図ってまいりたい。特に、今御指摘のように当該ボルトが露出して使用しているものにつきましては早急にその状態をよく調査いたしまして安全を図るように指導してまいりたいと存じます。
○角田義一君 じゃ、あと四分ありますから若干別の問題を質問いたします。 防衛庁長官、恐れ入りますけれども、だれか局長に自衛隊法三条というものをここで読んでもらってくれませんか。
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊法三条でございますが、「自衛隊の任務」という規定でございます。「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」、二項で「陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。」、以上でございます。
○角田義一君 法制局長官に伺いますが、この自衛隊法三条というものは、自衛隊法を解釈する場合にどういう本質的な機能、役目を持っていると理解しておりますか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。 ただいま防衛庁の局長が読み上げました自衛隊法三条「自衛隊の任務」でございますが、当然のことながら、自衛隊のその主たる任務、それから必要に応じてこのような公共の秩序の維持に当たるということで、これが自衛隊の中心をなすものと、かように考えております。
○角田義一君 私がお尋ねしたいのは、自衛隊の組織運営をする場合、この三条の任務規定というものが本質的な役割を果たすんじゃないかということを聞いているんですよ。
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま委員御指摘のように、その中心的任務を果たすもの、主要な任務を果たすもの、かように考えております。
○角田義一君 防衛庁長官にお尋ねしますが、百条の二以降に自衛隊の特別の任務がいろいろ具体的に書かれておりますね、全部法律で。この重み、法律によってそういう規定ができている重み、これをどう感じておられますか。
○国務大臣(池田行彦君) 国会の議を経まして法律という形で自衛隊に対して与えられている任務でございますので、それを重いものとして受けとめております。
○角田義一君 要するに、法の解釈と運用によって自衛隊の新たな任務をつける場合には、必ず新たな条文がつけ加わってきているわけです。 そこで、法制局長官にお尋ねいたしますけれども、百条の五で自衛隊機を日本の領空外に飛ばすことは許されるかあるいは許されないか。明文でどういう規定になっておりますか、御説明ください。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。 自衛隊法の百条の五におきましては、これはこれまでもしばしば議論のあったところでございますが、「長官は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」、括弧は飛ばしますが、「の輸送を行うことができる。」、かように規定されてございます。特に地理的な問題につきましてここの中で明記されているということはないと存じております。
○角田義一君 百条の四には自衛隊が南極へ行くと。南極へ行くのは、これは海を越えていかなくちゃならないのは当然でしょう、魔法遣いのようなわけにはいかないんだから。だから、南極に行くのすら法律によってきちっと南極ということが書いてあって、それでいわばオーバーシーができる、飛行機を飛ばすわけだけれども、百条の五に日本の領海、領空の外へ出ていいということの明文があるかと聞いておるんです。百条の五にそういう明文の規定があるかと聞いておるんです。
○政府委員(工藤敦夫君) 自衛隊法の百条の五におきましてそのような海外という形の明文の規定はございません。
○角田義一君 中東へ行くのは海外ですな。法律の明文がないものを政令で飛び越えて何でできるんですか、説明してください。
○政府委員(工藤敦夫君) この点は、以前にもお答えしたことがあると存じますが、百条の五を追加いたしましたときの国会の議論におきましても、そのような海外に行くことまでも禁ずるものではない、かような政府委員からの答弁がございます。明文をもって国内に限るということもないし、また明文をもって海外に行けるというふうな規定はございませんが、今のような過去の百条の五の法令改正のときにそのような議論があったと承知しております。
○角田義一君 授権をする法律に明文の根拠がないんですよ。解釈上をあなたは言っているんだ、行けるかもしれないということを。要するに法律に明文の授権のもとがない。木に竹を接ぐという話はあるけれども、木がないんだ。木もないし、もとがないんだ。法律に何もないものがなぜ政令で飛び越えてできるかと私は聞いているんです。それを説明してくださいと言っている。
○政府委員(工藤敦夫君) 委員のお言葉ではございますが、私ども、百条の五に基づきます委任の範囲として、当然のことながら、そのような政令といいますか、今のような委員の御指摘の中東に行くというふうなことにつきましても委任の限度内である、かように考えている次第でございます。
○角田義一君 それは工藤法学というんです。日本の法学部では絶対通用しない。あなたのような論理が通用するのであれば日本の法学は要らないんです。要りません。こんなむちゃくちゃなことが通るようでは日本はおしまいだ、本当申し上げて。法治国家じゃないですよ。 そこで、官房長官にお尋ねします。きょうは総理がおられませんから、官房長官が守り役だから私申し上げたいんだけれども、今後政府専用機がいろいろ問題になってきます。これを在外邦人のいわば救出に使いたいというようなことが議論されているように聞いておりますが、そういう場合、またこの政令で悪いことをやるんですか。
○国務大臣(坂本三十次君) 政府専用機はこの十一月にも入ってくる予定であります。今まで検討委員会というのがありまして、中間報告では、総理などの首脳外交のときなどに使うような輸送とか、それから邦人の緊急事態の救出だとか、あるいはまた海外の災害地、これに対して援助救援物資を送るとか、そんなようなことが想定をされるということであります。 それ以外にも多目的にもっと有効に使いたいということもありましょうし、あるいはまた所属、どこに運営をさせるか、そういうようなことについても今後検討委員会で検討を積み重ねていこうということでありまして、まだ政府専用機を自衛隊に所属させるなどということは考えておりません。これからいろいろと目的を立てまして、管理、運用の面もいろいろ研究をして、それならばどこに所属をさせるとか、どういうふうな運営をするとか、これはこれから研究をしてそしてやっていく。今とにかく予算を通していただきたい、その後にひとつ一生懸命やっていきたい、こういうことでございます。
○角田義一君 最後に一点。 官房長官、これだけいわば政令問題が、これはもうちょっとやりたいんだけれども時間がありませんからやりませんが、議論になっているわけですから、私ははっきり申し上げたいのは、国会というものの存在を大事にして、自衛隊をどうするか、必ずそれは国会にかける、この大原則だけはきちっと守ってもらわにゃならぬと思うんですが、どうですか。結論はどうでもいいですよ、国会にちゃんとかけるかどうかということ。
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま申し上げたように、管理、運営につきましてはこれから検討をいたしますが、国会が大事なことはよく知っておりますから、これは国会にお諮りすべきことがあれば、そんな卑屈なことはいたしません。ちゃんとおかけをいたしますし、これは必要でないということになればおかけしないかもしれませんし、これはこれからの話で、どうぞひとつよろしく予算の方はお願いをいたします。
○角田義一君 だめだ。私は最後に言います。要するにおてんとうさまの下を堂々と歩くような政治をしてください。これだけ言っておきます。終わり。
○委員長(平井卓志君) 以上で角田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、常松克安君の質疑を行います。常松君。
○常松克安君 私は、救急災害医療充実への全般にわたる質問をいたします。なお、本日午後五時三十分、外務大臣は中国へフライトされると聞きました。これは十番目の質問でございましたけれども、厳しい御要求もございまして、トップに質問させていただきます。 突然でございますが、本日参考人として日本医科大学の山本教授をお招き申し上げましたが、大臣は御面識ございましょうかしら。
○国務大臣(中山太郎君) 存じ上げております。
○常松克安君 よく存じていらっしゃるそうでございます。山本教授は国際緊急援助隊の隊長として過去十五年にわたり十数回、日の丸を背に災害及び難民救済ということで国際社会で活動されてこられた教授でもございます。よって本日、現在置かれている問題あるいは今後の課題について、まず山本先生の方から御意見をちょうだいしたいと存じます。
○参考人(山本保博君) 私、災害医療には過去相当数行っておりまして、その中で私の気のついたことをお話し申し上げたいと思います。 まず、日本の災害医療に関してでございますけれども、私は最も大事なことは人材の育成ではないかというふうに考えております。現在、我々のJMTDRというものがありますけれども、JMTDRの人員というのは三百三十名程度でございます。しかしながら、外国の災害援助の機関を見渡しますと何万という単位の皆さんが登録しておりますので、その人材の違いというものをまず痛感するわけでございます。 そして、人材がなぜ日本では育たないのかということでございますけれども、それは日本では災害医療と申しましょうか災害の専門家というのがゼロでございますとともに、災害の講座もないというのが実情だと思っております。そして、どうして災害医療というものがそれほど現在のところは少ないのかということでございますけれども、やはりそれは日本の全体の雰囲気が災害に対しては、特に外国への医療協力あるいは災害援助でございますけれども、日本の全体の関心度が低いのではないのかなという気がいたします。 実は現場に出ますと全く反対でございまして、現状では災害オリンピックという形になってまいります。そして、災害の先生方というのはどんな先生でもいいというわけにはいかないわけでございます。耳鼻科の先生や皮膚科の先生が行ってもそんなに役に立つものでもないということは御承知のとおりだと思いますが、そういう災害医と申しましょうか救急医というものが現在では育っていないというのが現実でございます。それを現場に行って日本のレベルはというふうに言われますと、非常に問題があるのではないのかなということを強く感じております。 そして、災害の医療の現場ではどういう災害医の要件があるのか、条件があるのかと申しますと、やはり災害医療に経験のある先生がどうしても必要でございます。それから、現場に行きますとどうしても文化の違い、風習の違い、そういうことが当然たくさん出てまいりますので、現場の文化あるいは宗教、風習にある程度理解のある先生方が行かなければいけないということが非常に大事なところになってきます。それから、国際機関等の経験のある人が行かなければいけないでしょうし、あるいは語学の問題、あるいはチームワークの問題、このような要件というものがあると思いますが、そういう要件の中での現在の人材の育成というものをやはりもう少し考えなければいけないのではないかという気がいたします。 それから、今お話が出ておりました、現在の状態では我々民間機を乗り継いでいきますけれども、民間機を乗り継いで、時には三十時間にも達するような乗り継ぎ乗り継ぎで行くことがありますけれども、実際には災害の現場というのは三日、四日以内に行かなければいけないということがありまして、実はその辺の問題点もあるのではないかという気がいたします。 もう一つは、災害の現場では通信機の問題もあると思いますが、現在では日本と、あるいは現地と大使館を結ぶ通信機も不自由するのが現状だと思っております。 それから専用機の問題でも、今お話しの政府の専用機が出てきたとしても、実はこの専用機というのはいつでもどこでも飛んでいけるのかなという気がいたします。外国では百人、二百人の単位の医療援助あるいは災害援助の皆さんたちが軍用機で参ります。これは事実でございますが、日本ではそういう準備が整っていないというのが現状だと思います。その辺のことについてもこれからもう少しみんなで考えていかなければいけないのではないかという気がいたします。 それからもう一つは、災害医療というものはリスクを伴うものだということは当然だと我々は思っております。特に、アフリカ等の災害の現場に出たときには、半分あるいは三分の二程度の先生方、看護婦さんたちが病気になって帰ってきました。これは我々もリスクというのはどうしてもしようがない、我々のリスクをゼロにしてということはなかなか難しい問題があると思いますけれども、その辺の補償の問題等もやはりこれからみんなで考えていかなくてはいけない。 あるいはボランティアという問題につきましても、外国でのボランティアのとらえ方と我々のとらえ方が少し違うことがあります。それは、ボランティアというのは時間的なボランティアとか精神的なボランティア、経済的なボランティア、いろんなボランティアがありますけれども、外国では時間をボランティアするんで経済はボランティアしないというものもありますし、いろいろな問題もありますので、その辺もこれから考えていかなければいけないのではないかというふうに思います。 全体的には以上でございます。
○常松克安君 今、教授のお話をつぶさに聞きまして、大臣、御感想のほどをよろしく。
○国務大臣(中山太郎君) 今、教授のお話を聞きまして、私も前から空港の救急医療とかいろいろなものに政策的に携わってきた立場で考えておりますと、日本ではやはり救急医療体制というもの、特に海外に対してそうでございますけれども、そういうものの人の育成がなっていないということが一つであります。 それからもう一つは、専用の航空機をどうするか。これはおかしなことを申しますけれども、外国の外務大臣はほとんど、大国は全部外務大臣の専用機がある。私はやっぱり乗り継いでいく。この間もソ連の外務大臣から、日本はどうなっているの、こう言われたことがございますが、やはりいつでも出動できる体制というものを国家の機能として整備することが極めて必要だと思います。その整備をするための組織をどうするのか、これがもう一つあろうかと思います。それから、乗員たちは平素は一体どういうことをしているのか、絶えず出動するわけではございませんから。 それから、そういうことのボランティアをやっていただく方々に対する災害時のいわゆる救済措置でございますね。例えば日本でしたら、空港で飛行機が事故を起こす、そういった場合には、出動する地域の医師会あるいは薬剤師の方々、歯科医師会の先生もそうですが、徐々に国内では今政府は整備をいたしております。だから、出動したときの二次災害によって受ける被害に対する補償をどうするのか。こういうことも整備されていかなければなかなかお出まししにくい。 それから、現場、今もお話がございましたが、皮膚科の先生とか耳鼻科の先生が行かれるのは、やっぱり救急医療というのは外科、脳外科、整形外科、それからやけどの専門家、こういう人たちをきちっとチームで組むことがどうしても必要でございまして、そういうことでは教授のおっしゃったことは極めて豊かな経験に基づいた貴重なお話だったと考えております。
○常松克安君 大臣は、一方ドクターでもございまして、医師会報の元旦号に出ていました。ドクター中山として医師会長との対談、全文興味深く感動して拝読いたしました。その中で綿々と、目に見える国際緊急援助隊、しかし、制度や法律がありながらなかなかその制度の内容が完備されていない等々というふうなことも申されております。 具体的に申し上げます。先日イランに行かれたときは、空港で重量制限があり、予算がないのでその資材をおろしてくれと言われました。二番、医師手当が一日四千円でございました。三番、フィリピンに行かれましたとき、看護婦さん三名、一名は何と、行くなら行きなさい、あなたの有休を使ってと、こう言われたそうです。あるいはイランへ行かれましたときに、衛星放送の機材、通信機がなく他国のものを借りた。これが豊かな日本の国の目に見える救助と言えるでありましょうか。これをもちまして終わりますから、もう一度大臣に。申しわけございません。
○国務大臣(中山太郎君) これらの問題につきましては、日本国としてやはり専門家、緊急援助隊の先生方を中心にこの組織を充実させるためにどのような政策と予算を確保することが必要かということの意見を取りまとめて、積極的に推進してまいらなければならないと考えております。
○常松克安君 じゃ、次に移ります。 過日、本院において救急救命士法案が可決されました。これこそ救急医療元旦のスタートとも言うべきものであり、この法案成立のための両省あるいは関係者の方々の大変な御尽力に心より敬意と感謝の意をあらわすものでございます。よって、これよりこれを救命率向上のためにどのように具体化していかれるか、厚生大臣並びに自治大 臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほどはお待たせいたしまして御無礼いたしました。 おかげさまで、皆様の御協力によりまして救急救命士の法案が参議院を通過させていただきまして、ありがとうございました。 御承知のように、救急体制、これは一次、二次、三次とございますけれども、おおむね整いつつあるということだと思いますが、そこに至るまでのいわゆる救急現場あるいはまた搬送途上の整備が十分でありませんでした。したがいまして、かねてからのそういう状況を参考にいたしまして救急救命士制度を設けまして、これによりまして、そのような救急の現場あるいはまたその現場から救急病院に搬送する途中の今までの不備を補うという制度を今度設けた次第でございまして、これの充実によりまして少しでも多くの方々が、あるいはまた人命が助かるようにということを念願しておるわけでございます。
○国務大臣(吹田愰君) お答えいたします。 常松先生はこの救急問題につきまして非常に熱心に、今日までもあらゆる角度から御勉強いただいておりますことは、もう既に私も地行の委員会等で伺っておるところであります。そうして、今回こうした救急業務の救命士問題につきましても非常な大きな発言をしていただいて、これが促進に多大の御尽力を賜っておることも承知いたしております。 特に、救急業務につきましてまず基本的な考え方はどうだというような御意見でございましたが、言われておりますように、人の命は地球より重しという言葉もありますが、いずれにしましても人命を救うということに尽きるわけであります。そういった意味で、けがをなすった方あるいは病気の方、そういった方々を救命していくということについての救命率というものを高めるために、この救命隊員の応急の処置の範囲を充実強化するということが基本であると思っております。 さらに、自治省といたしましては、この救急隊の隊員の行う応急処置の範囲を拡大するということが一つと、新たに必要な教育訓練の体制の整備ということが非常に強く要請されておりますから、この問題と、さらに現在提案中でありますが、今厚生大臣からお話がありましたように、救急救命士法案が成立をいたしますならばこの救命士制度というものを早く実施に移さなきゃならぬという問題があると思っております。そういった面につきまして、私ども自治省としても全力を挙げて御期待に沿えるような形で頑張るつもりでおります。
○常松克安君 忘れがたきは昨年の十一月十五日、実はこの法案、自民党の丹羽小委員長の見解なくしては現実にでき得なかったのであります。この点、なかんずく日本医師会の坪井副会長の御助力というものには頭の下がる思いであります。よって、そのことの背景があったことを心を込めて付言申し上げておきます。 次に移ります。 今大臣からお話がありました。今度は消防庁長官にお聞きいたします。具体的に、これがもしも通ったら何が必要となるか。ここに救急振興財団、こういうものの構想をお持ちであろうが、この現況及び内容についてお知らせ願いたい。
○政府委員(木村仁君) 救急救命士法が成立いたしましたならばまず一番最初に重要なことは、現在の救急隊員の再教育ということでございます。特に、私どもの希望としては、救急救命士法が施行されますと来年の春からも最初の資格試験が行われますので、その資格試験を受験できるだけの勉強を教育訓練として行わせる必要がございます。 御承知のように消防職員の教育訓練は都道府県の仕事でございますので、原則としては都道府県の消防学校によって行うことになりますが、この救急救命士という高度の医療知識等を必要とする教育につきましてはこれを各県の消防学校に現在期待することができませんので、都道府県が協力する形で全国的な見地から行おうという計画が進められております。これを実施いたしますのが救急振興財団でございまして、法律が成立いたしましたならばできるだけ早い機会に設立するようにということで準備が進められております。 その事業の内容といたしましては、専門的な教育訓練を実施する高度の教育機関を全国的見地から設置すること、それから、国民あるいは住民と申しますか、の応急手当ての普及啓発事業を推進すること、さらに、救急自動車等の高規格化等を含め救急体制の整備推進のための調査、研究、啓発等を行うことが目的でございます。
○常松克安君 じゃ、具体的にお教えください。この法案が通ったならば救命士を何名確保され、それは何年計画のものをお持ちなのか。 しかし、ここに大きな一つの山がございます。これは今日の救急車ではもはやその能力が応じ切れない。よって、既に高規格の救急車を必要とし、二十五台をお考えになられますが、これを何年計画で何千台の計画をお持ちなのか、お教えください。
○政府委員(木村仁君) お答えいたします。 二つの御質問で、一つは救急救命士として何名を確保するつもりか、そしてそれを何年計画で教育する予定かということで、第二は、高規格救急自動車の導入をどのようなペースで進めるかということでございます。 最初にお断り申し上げますが、これは現在全国的見地から計画を進めているところでございまして、最終的に明確なことは現在申し上げられないことをお断りいたしておきます。 まず、救急救命士の数でございますが、現在四千隊を少し超える救急隊がございます。さらに四千五百台を超える救急車が活動いたしております。私どもの理想といたしましては、このすべての救急車に少なくとも常時一名の救急救命士が乗れるような状態にしたいと考えております。そうしますと、三交代で、余裕まで見ますと一万四、五千名の救急救命士が必要であるということになります。 これを一体どのようなペースで教育するかということでございますが、現在都道府県が計画をいたしております救急振興財団ではピーク時千数百名の救急救命士を教育できるような体制に持っていきたいということでございますが、その他に、東京でありますとか大阪でありますとか指定市等はみずから消防学校を持ち、かつ実習病院等も身近にあるというような環境がございますので、そこらでもみずから教育をすることも考えられておりますし、また、次第に民間の教育施設を経て救急救命士になる方も出てまいります。そういうこと全体を考えませんと完全な計画になりませんが、私どもは少なくとも十年ぐらいでは最初の理想に到達したいという考え方で鋭意計画を練っているところでございます。 それから、高規格救急自動車の整備の推進でございますが、これも現在四千五百台ございます救急自動車を将来はすべて高規格化することが理想でございます。しかし、これは財政的な問題、それから救急救命士養成とのペースの問題、いろいろ条件がございますので、これも現在私どもで何年までにということを申し上げられる段階ではございません。その手始めといたしまして平成三年度から救急高度化推進整備事業を創設いたしまして、当面二十五台分を補助金として予算計上しております。 なお、このほか、起債等の財政措置も含め、自力のあるところは補助金を待たず高規格化していくというようなことも考え、これも全体としては救急救命士の増加に合わせて進めてまいりたいと考えております。
○常松克安君 私の聞き間違いでしたらまことにごめんなさい。現在救急隊員は四万七千でございまして、四千七百ちょっと聞こえたものですから、お気づきになったら後ほど議事録を訂正なさっていらした方がよかろうと存じます。 じゃ、次へ移ります。救命率の向上こそこの法案の目的である。しからば、この救命率という概念は何なのでしょうか、お教えください。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 救命率という概念に関するお尋ねでございますが、この救命率につきましては救急医療に関しますいろいろな研究でこの言葉が使われているわけでございますが、必ずしも統一的な定義があるわけじゃないというぐあいに思うわけでございます。一般的には、いわゆる救命救急センター等の救急医療機関に搬送されました心肺機能の停止状態の患者さんのうちに、搬送当時におきます応急処置あるいは医療機関に搬送された後の医療機関における医師の診療等によりまして心肺機能が回復した患者の割合を言うものというぐあいに理解いたしているところでございます。
○常松克安君 救命率は病院へ入ってから息を吹き返してどれぐらいの期間のことを言うのでしょうか、期間は。――結構です。私の方から申し上げます。大体、今、病院もさることでございますけれども、救命率と日本で言っておりますのは、東京消防庁は、病院へDOA患者で入って一週間生きております、これを救命率と、こう申している。あるいは今度は諸外国ではまた違うんですね。欧米では、これは一カ月、三月のところもございます。 こういうようなことは、これから救急元年スタートでございますからよく御研究いただきたいと存じますが、大事なことは、昨日厚生省に私の方から資料をお渡しいたしました。それに準じて、社会復帰率の上から論じていただけませんか。
○政府委員(長谷川慧重君) 社会復帰率という言葉でございますが、先ほども申し上げましたように、いわゆる救命率というのは医療機関等に搬送された患者さんのうちで命の助かる患者さんの割合でございますが、いわゆる社会復帰率ということになりますれば、心肺機能停止状態の患者さんのうちに、心肺機能だけでなくて脳の機能まで回復した患者さんの割合ということで、先ほどお話がございましたDOAの患者さんが病院に搬入されてからその患者さんが本当の意味での社会復帰をする人の割合というぐあいに考えておるところでございまして、そういう面で、単なる救命率の議論も大事でございますけれども、その病院に運ばれました患者さんが生命を回復いたしまして社会復帰する割合を高めることも非常に重要なことである、大事なことであるというぐあいに認識いたしているところでございます。
○常松克安君 じゃ、こちらから申し上げますが、よく存じていただいていると思いますが、ドリンカー曲線について御説明願います。
○政府委員(長谷川慧重君) アメリカのドリンカー博士によりまして示されている曲線でございますが、心肺停止した後の時間経過とそれから蘇生率との関係を示した曲線でございまして、心肺停止の時間が長いほど脳を初めといたします重要臓器が不可逆的な変化を起こしまして、いわゆる蘇生率が悪くなっておるというようなカーブを描いたものでございます。
○常松克安君 じゃ、補足説明申し上げておきます。 ここはよく一般の方は理解が困る場合があるんです。仮死状態の人が病院へ運ばれて助かる率、こうはっきり言わぬことには、何か、救急車で運ばれると一・七人しか助かりません、救命率は三・四というと、まるでこれだったら霊柩車みたいな感じに誤解を受ける場合があるんですね。これはDOA患者、仮死状態の人が助かる率。 それで、仮死状態になってから一分まで救命処置がとられれば九五%は助かると博士は主張しました。二分後までならば九〇%、それから三分では七五%。よって、日本の消防庁、救急隊の方は三分救急ということで一生懸命全国ネットを張って努力をしてきておるわけでございます。 さあ、そういうふうなことからいいまして、この法律の目的である救命率だとか退院率だとか蘇生率だとか社会復帰率だと混然といたしておりますが、やはり大事なのは、社会復帰率というのは治療を受けて半年間たって完全に社会人として仕事ができる、こういうふうな概念が大体欧米ともどもにこれは根底にあるわけでございます。よって、この法案というものを今後大きく生み育てていただきまする厚生省にありましては、社会復帰率、これをもとに、これこそ救急医療の原点に置くべきだと私は主張したいんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生の御指摘のとおりに、いわゆる救急患者、DOA患者が発生しましたときには、速やかに救急車によりまして医療機関に搬送されまして、医療機関で治療を受けまして、そしてできるだけ早い機会にリハビリテーション等必要な処置を施しまして社会復帰をすることが非常に大切であるというぐあいに思っている次第でございます。
○常松克安君 過日、防衛医大に参りまして救急部長の三村教授にレクを受けてまいりました。はっきりおっしゃいますことは、これからの救急は社会復帰率を根底にすべきだ。なぜならば、昨年DOA患者、仮死状態で預かった三百名のうち、六カ月後に社会に出たのは二名しかないのが現実ですよと。よって、第一発見のときの一分、二分、三分、これが勝負。しかし、その勝負の中に、この法案に期待すること大である。よって、ここで三点セット三点セットと言われますが、まず厚生省の方から三点セットについて、何のためこれを必要とされたのか、御説明願います。
○政府委員(長谷川慧重君) 心肺機能停止状態、いわゆるDOAの患者さんの救命のためには、呼吸なり循環管理を速やかに行うことが必要でございます。そういう面で、この呼吸、循環管理の方法といたしましては、口あるいは鼻から気管に至る気道を閉じないように保持する気道の確保、それに続きます人工呼吸と、それから心臓がとまりました場合におきましては心臓マッサージ、あるいは心室細動がある場合には正しい収縮に戻すための除細動を行う必要があるわけでございます。それからもう一点は、静脈路の確保のための輸液という三つのものがいわゆる三点セットということで言われているところでございまして、これらが有効なものというぐあいに考えているところでございます。 そういうことで、この救急救命士法案におきましては救急救命士がこれらの行為を行うことができるという形に法定いたしておるところでございます。
○常松克安君 長く救急救命センターの所長でいらっしゃいました山本教授、今日までDOA患者を約一千体以上治療された経験を踏まえていらっしゃる、かように聞いております。よって、もう一度教授に御意見をちょうだいします。 三点セットがなぜ重要なのか、ひとつよろしく御意見を賜りたいと存じます。
○参考人(山本保博君) 三点セットというのは今局長のお話のとおりで、心肺停止状態に陥っている患者さんにいかに呼吸、循環を確保するかということに尽きると思います。 しかしながら、現在の救急隊の応急処置の範囲の中にはこの三点セットというものが含まれてはおりません。もちろん気道確保あるいは人工呼吸等はありますけれども、この三点セットで言われている高度の応急処置、応急手当てというものは入っておりませんので、このために従来の救命率というものが欧米に比べて極めて低かったということがあると思います。 そして、その三点セットの中で何が重要なのかということは、そのすべてが重要でございまして、気道確保にいたしましても除細動にしましても、静脈路の確保と輸液にいたしましても、それはすべてが重要でございます。しかしながら、我々現場で働いておりますと、確実な気道の確保ということがその中でも極めて重要なものになってくるのではないのかということを考えております。 しかし、この確実な気道の確保の中にいろいろなものがありまして、食道閉鎖式のエアウエーでありますとか、気道と食道どっちに入ってもいいような合体的ないわゆるツーウエーチューブと申しますものとか、あるいはラリンジアルマスクでありますとかいろいろなものがありますけれども、やはり私自身といたしましては、最も確実な気道確保の方法というのは気管内挿管ではないかというふうに考えております。 それから、静脈路の確保、除細動については、最近非常に医療機器が進歩してきておりまして、除細動の問題でも半自動式の除細動器が出てまいりまして、コンピューターで心室細動はこうだよということを教えていただけますので、そのようなエレクトロニクスの機器をどんどん駆使いたしましてこれからもプレホスピタルケアを充実していくということは、非常に大事なことではないかというふうに考えております。 以上です。
○常松克安君 ここにありますのがアメリカから取り寄せましたパラメディック、高規格の救急資機材一覧です。日進月歩に進んでおります。ただいまお手元に委員会のお許しをいただきまして提示いたしますが、教授、申しわけございません、私素人で説明を誤ってはなりませんので、この資機材について少し御説明をお願いいたします。
○参考人(山本保博君) 常松先生の三点セットの中での確実な気道確保という中に、実はここに四つありますけれども、一つが食道閉鎖式のエアウエーでございます。食道閉鎖式エアウエーというのは、幾ら気道確保をしたと申しましても、我々の鼻と口とが一緒になって喉頭のところで気道と食道の方に分かれてまいります。だから、それをどういうふうにして正確に空気を気道の中に入れ込むのか、気管の中に入れ込むのかというのが一番大事なことでございます。 そのために我々いろいろ苦心をしておるのでございますけれども、これは一般的に、口の中からあるいは鼻の中から管を入れますと、我々の体というのは大体は食道の方に入るようになってしまいます。それは食道というのは、口の方からずっとそのまま行きますと食道に入るからでございます。ということは、これを食道の中に入れまして食道の方を膨らませますと、ここから出てくるのは当然気管の方に行くぞということで、食道を閉鎖しながら気管の中に空気を送り込むというのが食道閉鎖式のエアウエーというふうになります。 それから、気管と食道のどちらから入れてもいいよというのがこのツーウエーチューブということになっております。そして、これは例えば食道の方にこのチューブが入りますと、この中から気管の方に空気が入るようになります。しかしながら、気管の中にこのチューブが入りますと、気管の方のこれを取り出して、ここから空気を入れればそのまま気道確保ができるということでございます。 それから、ラリンジアルマスクと申しますのは、普通は口のところでマスクをしますけれども、このマスクは気管の開口部のところでマスクをするという形になるわけでございます。だから、これでもエアウエーの正確な確保はできるということ。しかしながら、それでもなかなか問題があるので、我々救急医療の現場では、普通はこのような気管内挿管のチューブを使っております。これは鼻からでも口からでも正確に気道の中に入れて、そこで空気を送り込むという形でございます。 以上でございます。
○常松克安君 どうもありがとうございました。 今いろいろと御説明いただきまして、確かに三点セットの中で点滴、輸液、それから除細動と、気道確保については慎重の上にも慎重を図らねばならぬ、こういう御意見もございます。しかし、一方では、仮死状態でレベル三〇〇、つねろうがひねろうが針を刺そうがもう痛みがない、それをのどへ――救うことへの挑戦、それになぜチャンスを与えないのかというようなこともございましょう。これまたいろいろと論議がございましょうから、慎重の上にも慎重に、気道確保というものが早く救命率向上効果のためにプラスになるように御尽力をお願いいたしておきます。 じゃ、次へ移ります。この法案の内容でございますけれども、まず一つお尋ねいたします。 厚生省といたしまして、医師の指示において救急救命士は動くわけでありますから、二十四時間体制のベースホスピタル、二十四時間体制でいつ聞かれてもそれらに答える、こういうような基地計画はお持ちでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お話しございましたように、救急救命士は、医師が指示を行った上で救急救命士が応急処置を施すわけでございますので、その指示を行う医師といいますのは、基本的にはまず救命救急センターにいらっしゃる先生あるいは消防本部におられる先生というものを想定いたしておるわけでございますが、これ以外にも、例えば、地域地域によって異なるかと思いますけれども、搬送先の医療機関の医師が指示を行う場合等もあるわけでございます。 そういうようなことで、先生お話しのようにベースになるホスピタル基地の整備ということではなくて、私どもといたしましては、それぞれのところの地域によって対応は異なるかもしれませんけれども、いわゆる消防本部における救急センターあるいは救命救急センターあるいは関連する医療機関等におきまして医師が常駐いたしまして、いろいろ連携をとりながら医師が常時指示できる体制を整えてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○常松克安君 次は、救急救命士が使用できる薬品でございまするが、例えばこれはアメリカのパラメディック、お医者じゃございません、技術員、これは二十三種類のものを積み込んで、これを全部使うだけの認定を受けているわけです。じゃ、果たしてこれから救急救命士が使えるような薬品は何種類ぐらいあるんでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士が行う処置の中におきまして薬剤を投与するケースといたしましては、静脈路確保のための輸液を行う場合というぐあいに考えているわけでございます。その際に投与する薬剤といたしましては、取り扱い等におきまして危険性が比較的少ない乳酸リンゲル液が今考えられているところでございます。 それ以外に他の医薬品をどうするかという問題につきましては、救急救命士の教育訓練の問題等もございますので、専門家の意見を聞きながら十分慎重に検討してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○常松克安君 セルシン、ボスミン、ニトログリセリン、キシロカイン、プロタノール、かようなものもひとつ御検討の中に入れていただけますれば幸甚かと存じます。 じゃ、あと一点にします。救急救命士のこの法案の中で、先ほど消防庁長官は、来年春にも研修し国家試験を受けさせたいということであります。法案には年一回以上と、こうございますが、これを待たれている方々がたくさん時を待っている時代でございますので、年何回実施するのが可能でございましょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士に関します国家試験につきましては、法律上には一回以上という形になっているわけでございますが、先生お話しございましたように、そういう資格を有する方が社会に出ることにつきましては非常に期待もあるというようなこともございますし、それから一定の実務経験を有します救急隊員に対する教育の期間が六カ月というようなこともございますから、年二回実施すべきではないかという要望があることも承知いたしているところでございます。 試験の年二回実施につきましては、救急救命士の早期養成の必要性に配慮しつつ、実施体制の問題もございますので、今後検討してまいりたいというぐあいに考えております。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。針生雄吉君。
○針生雄吉君 救急救命士の法制化は、人の生命の保全にかかわる医療行為を医師の専権事項とみなそうとする従来からの考え方に風穴をあげる極めて重要な出来事であると思います。この機会に、医学、医療の分野における東洋医学、伝統医学の役割の再評価をめぐって、厚生大臣あるいは担当の方に二、三の質問をさせていただきます。 昨年六月に大阪府で行われました全日本鍼灸学会でWHOの事務総長である中嶋宏氏が、「一九九〇年代における伝統医学 WHOの活動と展望」というテーマで特別講演をなさっております。講演の記録をお読みと思いますけれども、まずお読みになっての全般的な感想をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 お話しございました中嶋事務総長の講演につきましては、国際的な視野に基づきます東洋医学に関する貴重な御意見というぐあいに受けとめているところでございます。 我が国におきましては、現在西洋医学を中心とした医療が供給されているわけでございますが、これにあわせまして、はり、きゅう等の東洋医学によります医療も提供されているところでございます。今後、高齢化社会を迎えまして国民のニーズが多様化してきていること等を踏まえますれば、西洋医学によります医療に東洋医学による医療をどのように組み合わせて国民に適切な医療を提供していくかということは非常に大切なことである、十分検討していかなきゃならない課題であるというぐあいに思っているところでございます。
○針生雄吉君 この中で中嶋事務総長は、発展途上国のみならず先進工業国においても伝統医学に目が向けられており、その要因の一つとして医療費の高騰あるいは医療経済の破綻等があるのではないだろうかと論ぜられております。この論点についてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お話しございましたように、先進工業国におきまして新しい何らかのものが模索されつつある、その理由として、薬づけとかあるいはエコロジー運動とかあるいは医療経済の破綻等というような要因を中嶋事務総長がおっしゃっているのは承知いたしております。 先ほど私申し上げましたように、これからの高齢化社会を迎えまして国民のニーズがいろいろ多様化してまいっておりますから、そういう面で、東洋医学、西洋医学といいますものを組み合わせるといいますか、それを併用した形でいかに展開していくかというのがこれからの重要な課題であろうというぐあいに思う次第でございます。
○針生雄吉君 同じくこの講演では、複合製剤あるいは鍼灸の総合的治療方法については数千年来の伝統的なシステムが既に成立しているのであるから、このシステムを有効かつ安全に用いるということが至上の問題であるとも述べておられます。この点に関してはいかがでございましょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 我が国におきましては、はりとかきゅう等の東洋医学につきましては、既に、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律によりまして資格制度が設けられているところでございます。また、こうしたはり師、きゅう師等の資格制度につきましては、昭和六十三年の法律改正によりまして教育の期間を一年延ばすなど、資質の向上を図るための措置も講じられておるところでございます。 今後ともこれらの資格制度を通じまして、はり、きゅう等の施術が適切に国民に提供されるように努力してまいりたいというぐあいに考えております。
○針生雄吉君 これは国内で行われた調査でありますけれども、昨年の六月に東京都衛生局が「東洋医学に関する都民意識の分析調査報告書」というレポートを出しております。三千八十名をヒアリングによる調査対象として、東洋医学に関する一般都民意識の数量的把握を試みたものであります。厚生省としてはこのデータをどう評価されますか。また、厚生省としても我が国における東洋医学の実情、実態を調査する御計画はないでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(長谷川慧重君) 御指摘の東京都衛生局が調査いたしておることにつきましては承知いたしております。 これは東京都が検討いたしております東洋医学事業に関しまして今後の行政施策の参考とすることを目的といたしまして、先生おっしゃられましたように、平成元年に都民の東洋医学に対します意識、利用の実態について調査されたものというぐあいに承知いたしておるわけでございますが、都民の東洋医学に対します認知度なり、あるいは漢方薬、はり、きゅうの利用経験、今後の利用意向の実情を示すものとして非常に有意義な調査であるというぐあいに考える次第でございます。 それから、御指摘の東洋医学についての実情等の調査につきましては、厚生省といたしましては当面実施する予定はないわけでございます。都の調査を初めといたしましていろいろな調査並びに関係者の御意見等を踏まえまして、国民のニーズの把握等に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
○針生雄吉君 この際、厚生大臣と、また首相臨時代理としてのお立場から大蔵大臣のお考えもお聞きしたいと思いますけれども、命を救うに際して、その手段が法律違反であるからけしからぬというのはまことにばかげたことでありまして、その点、救急救命士が多くの方々の熱意と政府の英断によって法制化されようということは、まことにすばらしいことであると思います。 東洋医学の再評価という問題でも同じことが言えるのであります。国民には東洋医学的医療を受けるか西洋医学的医療を受けるかの選択の自由があるはずであり、それは憲法で保障されている基本的人権の一つでもあると思います。その医療体制をつくり、提供するのが国の責務であろうとも思います。 国の医療行政に責任を持つ厚生省といたしまして、東洋医学の蘇生、再評価といういわば国民的な課題にどう取り組むおつもりか、厚生大臣に方針をお示しいただきたいと思いますし、また首相臨時代理としてのお立場から大蔵大臣のお考えもお伺いできれば幸いでございます。
○国務大臣(下条進一郎君) 長い伝統を持っております東洋医学につきまして、その実績なり効果がいろいろと伝えられておりまして、そのことは事実として私たちも認識しておる次第でございます。 ただ、厚生省といたしましてこれをどう扱うかということでございますけれども、この有効性、普及性、保険診療としての効率性等のいろいろな検討すべき事項がありますので、この取り扱いは今後研究課題と相なるわけでございます。ただ、物によりましては、対象疾患について主治医等の同意等の一定の要件を満たした場合には、これは診療費の支払いの対象として給付の措置をとることができるようには相なっております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今委員のお話をきのうきょうと連続して伺いながら、東洋医学についての御関心に対して敬意を表したいと思います。 厚生大臣からお話がありましたけれども、同時に、日本政府は大平内閣当時中国に対して中日友好病院の建設協力をお約束し、その後これを完成させました。そしてこれをつくります一つの動機は、中医と西医というものを結合させて新しいよりよいものが生み出せないだろうかということが非常に大きな原因でありました。そして、あるいは委員も既に御承知かもしれませんが、中日友好病院におきましては中医と西医と両方がこの診療体系の中に共存し、互いに相手の診療についてクロスチェックが行える仕組みになっておりますし、またそれに対し、例えば相手側の医師に対する協力の要請の仕組みもできております。 特に、リハビリ部門におきましては同様のスペースを確保することにより、中医によるリハビリテーション、西医によるリハビリテーション、その効果というものを実質的にチェックできる体制をつくっておりまして、当初なかなか仕組みがうまく動きませんでしたけれども、本年一月に行ってみますとそうした状況も随分変わってきております。私どもも、こうした中から新しい何らかの芽生えが出てこないかということを心から願っております。
○常松克安君 質問に入ります前に、少し皆さんに目をとめていただきたいものがございます。(写真を示す)これは現場へ行ってまいりまして、一応ドクターカーを十三病院十八台を検分して、その中での一つのものでございます。よって、これをもとにいたしまして質問を展開いたします。 まず、ドクターカーのモデル事業について御説明ください。
○政府委員(長谷川慧重君) ドクターカーにつきましては平成二年度現在におきまして、百四カ所の救命救急センターのうちに三十五カ所に整備されておるわけでございます。主として病院間の患者搬送に使用されているのが実態でございます。
○常松克安君 今あるドクターカーは病院間の転送に使われて、事実、救急出動については五%の出動率である、これでよろしいでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 百四カ所の救命救急センターのうちにドクターカーを保有しているのは三十五カ所の救急センター、そのうちに五カ所の施設におきましては救急現場にドクターカーが出動しておるわけでございますが、残りの三十施設におきましてはドクターカーは病院間搬送に当たっているという状況にございます。
○常松克安君 いや、私、モデル事業を聞いているんです。
○政府委員(長谷川慧重君) 現在ドクターカーにつきましては、いわゆる救急医療機関の要請によりまして補助をいたしまして、救命救急センターの方にドクターカーを配置いたしているわけでございます。それが全国で三十五カ所の救命救急センターにあるわけでございますが、これをさらに私どもといたしましては伸ばしていかなきゃならないというのはもう御指摘のとおりでございます。 ただ、現状を申し上げますれば、残念ながら、百四カ所の救命救急センターのうちに三十五カ所の救命救急センターがドクターカーを持ち、そのうちの五施設が実際の現場へ出かけていって患者搬送に当たっているという実情にございます。
○常松克安君 まことにこれはスタートでございまするから非常に大きな峠や山ありで大変かと思いますが、じゃ、なぜ病院におけるドクターカーが現実不可能に近いのか。 それについては現場の声、一番、これは二十四時間体制なんですか。二番、何名体制なんですか。三番、出動のセレクト。大臣のところへはドクターカー、私のところへは救急救命士、救急車だけ。これをだれがセレクトするんですか。医療費はどうなるんですか。あるいは、エイズ、B型肝炎、交通事故で、それに乗る八千時間もとうとい勉強をした医者がわずか一秒で倒れたならば、その補償は国家が見てくれるんでしょうか。 かような五点が、結局ドクターカーができ得ない、病院では受け付けられないという理由なんです。これに対しての反論を言ってください。
○政府委員(長谷川慧重君) ただいま先生から御指摘ございましたような点が非常にいろいろの問題があるというようなことを認識いたしまして、来年度、平成三年度予算におきましては、そういう面でドクターカーの普及事業を実施してまいりたいというぐあいに考えております。 この中身といたしましては、それぞれの地域におきましてドクターカーを持っている医療機関あるいは消防本部あるいは地区の医師会等々と連携をとりながら、そういう面のドクターカーが動かしやすいような体制づくりをする費用、あるいはお医者さんあるいは看護婦さん等が待機をするときの待機料、あるいは先生お話しございましたように事故等におきます補償の問題等を加味いたしまして、平成三年度予算におきましてこのドクターカーの推進事業、モデル事業を実施してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○常松克安君 これは何も批判をしているわけじゃなくて、よりよいスタートのためにこういうふうなものを研究課題にしてくださいと申し上げておる。 例えて言いますと、メーンストレッチャー、サブストレッチャーは何キロか御存じでしょうか、局長さんは。そんなことわかりゃせぬわ、現場は。これはメーンストレッチャー二十三・五キロ、サブストレッチャー十三・七キロ。これはドクターと看護婦さんが患者を乗せていけないんです。補助員がだれか要るんです。それがいないんです。運転手さんは二十四時間体制、私この病院やめさせてもらうと言ったんです。こういうふうな現状がありますから、ドクターカーはなかなか大変だな、全部現場の声なんです、これは。こういうことをよく頭の中へ入れて御検討よろしきように。ドクターカー、これは一番いいです、急病にとっては。こういうことで申し上げておきたい。 なぜ写真を見ていただいたか。いろいろな規格のいろいろ高度なものが積まれておるんですが、残念なことにはストレッチャー、これは貨物車二千ccで、その寝台を防振する装置を持ったドクターカーは一台もなかった。何も機械を載せたといって喜んで走っておるんじゃない、そこに人間を乗せるんです。生きるか死ぬかというような人間を乗せる。複雑骨折のときのあのうめき声。私は救急隊に入隊したんです。そして経験をしてきた、見聞してきた。そうして、六十キロであの上に乗って走ったら健康な者もだめになる。どうかこれからのドクターカーについては、患者さんをストレッチャーに乗せたときはどういう状況にあるかをどうかひとつ検討の深い考えの中に入れておいていただきたい。それでこそ血の通った厚生省と喜ばれるわけでございます。 次、消防庁に聞きます。高規格の救急車はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(木村仁君) 現在、大部分の消防本部において使われております救急車は従来の小型のものでございまして、今後救急救命士が乗ってこれで活動するには小さ過ぎるということと、それからサスペンションがまだ十分に改善されていないために振動が非常に多い、それから器具を十分積み、かつそれを効果的に使うだけの内部スペースに余裕がない、そういう欠点がございます。したがいまして、救急救命士が搭乗する救急車につきましては、これとあわせて高規格化を図ってまいりたい、そういう認識をいたしております。
○常松克安君 ここで大蔵省に少しお尋ね、お願い、要望、指摘を申し上げます。 なぜ救急車は大きくできないのか。これは実は経営者の立場に立ってみますと、自動車の自賠責、任意保険、ここに原因が、ネックがあるわけです。まず、二千ccという排気量の限定、それからそれに貨物、何か載せる場合は縦、横、長さ、そこから載せる箱が十センチでも出ますと、一発で観光バス並みの自賠責、任意保険なんです。この下の刻みはいろいろ細かくなっておるんですが、二千ccから上は一発に、そういうふうな小刻みな区分がないのでございます。これを計算いたしますと、年間平均で八万の負担になるわけです。その八万でさえ病院は非常に困苦する、だから小さく抑える、こういうことなんでございます。こんなことで、この刻みについての御見解を、何とか区分をお考えいただけないかということをお尋ねいたします。 〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
○政府委員(竹内克伸君) 御指摘の自動車賠償責任保険の保険料の区分でございますが、現在約三十二種類ぐらいに区分してございます。御指摘のような二千cc超、以下等で違うわけでございますが、これらは実際の統計上の区分で、リスクの違いを集団で区分して保険料を計算しているわけでございます。 ただ、救急自動車の場合には、救急自動車が加害者になった場合の被害者救済のための保険料ということでございますし、実際上救急自動車の場合には事故率が非常に低いということから、例えば救急自動車の場合には現在年間八千六百円でございます。普通自動車でございますと、二トン以下、二トン超で違いますが、三万七千円ないし五万六千円というようなことでございます。この区分の仕方そのものは、余り細かくしますと保険の安定というような問題がございますし、余り大まかにしますと実情を反映しないというようなことで、区分そのものは現状でまあまあ適切ではなかろうかなというふうに思っております。 御指摘のような高規格化の上で支障になっているかどうか、私どもは実務家の意見もいろいろお伺いしておりますが、余りそういう意見まではお聞きしておりませんので、なお実務家、専門家にも意見を聞いてみたいと思っております。
○常松克安君 よくその辺のところを研究の上対応していただきたいと思います。 救急車のみならず、自動車の態様はいろいろ広がっておるわけでございますから、高さ、幅、長さというものをぱっと聞かれて、そんな数値というものは全然答弁のとり方が違うんです。 時間の関係で次へ移ります。 高規格救急自動車、まずこれが一つ。的確に申し上げますが、今の排気量ではもうにっちもさっちもならないという現況もこれあり、大体三千ccの排気量、こういうふうに考えていかねばならぬかと思うんですが、いかがでございましょうか、消防庁。
○政府委員(木村仁君) 高規格の救急自動車を導入いたします場合には、そういった三千ccというような大型のものが主流になるのではないかと私どもは考えております。 ただ、現場の声といたしましては、都市の形態等によっても、余り大型化するとかえって不便であるというような意見もあります。でありますから、積み込む器材の合理化によってまた小型化していくというような、そういう技術開発もあろうかと思いますから実情を踏まえながら考えてまいりたいと思いますが、三千ccの大型車を導入することには原則としてそのような方針でよかろうと考えております。
○常松克安君 今こういうふうな問題を時代に対応できるように研究会をお持ちで研究していらっしゃいますが、その重要な部分、第三項に、「医師が同乗した場合でも十分対応できること。」、それから五番目には、「振動に伴う傷病者の悪化防止が図れること。」、この三番目はもう少し突っ込んでお話ししておきますと、新幹線から救急が東京駅に入った。東京駅は消防庁に言った。丸の内消防署が出てきた。それは列車の中で心筋梗塞を起こされた患者。たまさか東大の医師が立ち会われた。救急車が行った。一番最初に言った言葉が、気管内挿管の器材を出せ、ボスミンはあるか、こういうことでございます。 先だって京都で医学博士が国際学会で倒れられました。そのときも、救急車が行きましたとき同じように医師仲間から、気管内挿管の器具を出せ、ニトロは。だっと言われたけれども、何もございません、CPRだけでございますと。もはや国立大学の卒論に救急医療という問題を取り上げる、こういう時代になってきているわけでありますから、お医者さんの皆さんも非常に関心が深い。しかし、資機材には全然そういうものがない。この辺のところをどう研究会では図っていかれようとしているのか。 それから、先ほどドクターカーで申し上げましたけれども、振動に伴う悪化防止、この辺についてお知らせ願いたい。
○政府委員(木村仁君) 御指摘のいかなる器材を積載すべきかということにつきましては従来から研究を続けておりますが、平成三年度にそれにつきましての研究会の結論を出していただく予定にいたしております。 それから、振動問題につきましては、現在三十二の消防機関で五十四台のいわゆる振動抑制のためのストレッチャーを載せるストレッチャーベッドを積載しておりますが、これは非常に振動を減少する意味で効果がある、こういうことで、研究会でもその振動面については特に配慮して検討いただいている次第でございます。
○常松克安君 じゃ、次に移りまして、救急専門医の育成についてでありまするが、これは厚生、文部両方にあると思うんですが、きょうのところはひとつ国立大学に限定いたしまして、なぜ救急講座が国立大学には設けられにくいんだろう、非常に疑問があるわけでございます。この辺についての大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。 お答えの前に、今山本教授のお話も承りましたし、また私自身も日本医大の救命救急センターを見てまいりました。また、先生の平成元年十一月十七日の決算委員会におきますお話も全部見てまいりました。そこで御答弁を申し上げたいと思います。 近年、救急医療の重要性は高まりました。また、医師の養成課程におきまして救急医学に関する教育の充実が強く求められていることは、まさに御指摘のとおりであります。昭和六十二年九月に文部省が取りまとめました医学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終のまとめにおいても、いわゆる救急医学は今後要請が高まる分野の一つである、こういうように位置づけられております。この抜粋でありますが、「今後要請が高まると思われる分野」の中で、六番目に、「緊急の疾病や障害の発生に対処するための救急医学の教育」、これは今後どうしてもやらなくてはならないことであるということでございます。 各大学におきましてこの最終まとめに沿って教育内容の改善に現在取り組んでいるところでもあり、また、この救急医学については国立大学医学部で救急医学に関する講座が設置されているのは現時点では三大学にとどまっております。これは御案内のように、平成元年十一月十七日に先生が御質問したうち、うちの方の医学教育課長が、現在これは大蔵に概算要求中でありますと。これは東大ができたわけであります。そういうことで、他の国立大医学部におきましても外科学や麻酔学などの臨床講座が中心となって授業や実習を行うとともに、附属病院の救急部が臨床教育を担当する形で救急医学の教育を実施しております。 文部省といたしましては、救急医学に関する教育の重要性にかんがみ、当面救急部が未設置の国立大学附属病院に救急部を設置しますとともに、医学部における救急医学に関する講座の設置につきましても各大学からの要求を待って、財政事情が大変なことでありますが、この事情を勘案しながら適切に対処してまいりたい、このように考えております。 〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
○常松克安君 再び山本教授、申しわけございませんが、救急専門医の育成という問題、これの非常に大きな課題はどこにあるのか、ひとつ御指摘、御意見をちょうだいできればと存じます。
○参考人(山本保博君) 私も日本医科大学の救急医学教室に所属しておりますけれども、我々の経験を申したいと思います。 我々救急医療をやっておりますと、二十四時間体制でいつ呼び出されるかわからない、どのような状態でも即戦体制をとっておかなければいけないということが非常に現場の人間としてはつらいところでございます。危険、汚い、きついという三Kが全く当てはまるのが救急医療の現場であろうというふうに思っております。 そこで、最近の医学生が危険、きついということよりもやはり生活を優先にということも我々わからないことはないのでございますけれども、その辺でもっと魅力のある救急医療の現場になってくれば人材の育成というものがもっともっと出てくるのではないのかなという気がいたします。現在では非常に人が不足している中でますますきつい業務になってきて、悪循環に陥っているのではないのかという気がいたします。そこで、我々はもっともっと大学に救急医学の講座が出てくれば、その人たちが核になって大きな輪になってくるのではないかというふうに考えております。
○常松克安君 文部大臣、この一言だけ申し上げておきます。 結局、救急講座の必要性は地方国立大で認めている多くの方々がいらっしゃる。ただし、救急講座をやるならば解剖第一教室か第二教室をおやめ願いたい、こういうふうなことがあり得る。たまさかそういうことを耳にいたしたわけであります。そうしますと、そこはその伝統、国立大学は大学の流れがありまして、片っ方をつぶして片っ方の必要性云々ということで、論議の先行きが見通しがつき得ない。スクラップ・アンド・ビルド、こういうような点で地方の国立の救急を一生懸命熱心にやろうとする先生方が激情しているという面もある。こういうことをひとつ頭に入れておいていただきまして、次回、論議は別の機会にさせていただきます。 次は防衛庁、もうこれでやめますが、防衛医官一人を育てるのに一体幾らかかるんでしょうか。
○政府委員(玉木武君) お答え申し上げます。 防衛医官を一人育てるための六年間の教育費ということになりますと、現在のところその積算の仕方が難しゅうございまして今ここで明確に申し上げるわけにいきませんが、いわゆる防衛医官六年間の講義、教育を受けました後、九年間の義務年限を課しておるわけでございますが、この九年間の義務年限をもし履行しなかった場合におきましては、現在のところ三千六百万円の返還をさせるという形をとっております。
○常松克安君 幾らかかるんですかと聞いておるんです。返還金は聞いておりません。
○政府委員(玉木武君) 先ほどは償還金の額を申し上げたわけでございますが、一人当たり年間約千二百万かかるという試算がございますので、千二百万掛ける六ということで七千二百万、こういうことになろうかと思います。
○常松克安君 一括、簡潔にまとめて防衛庁長官にお尋ねいたします。 主眼といたしましては、私もたまさか中央公論二月号に出ました「知られざる自衛隊医療の実力」、これを実は拝読いたしまして、これはたしかフジテレビの黒岩キャスターの五十枚論文だと聞いております。この中の指摘は、長年こうした高価資機材が投入され医官の方々が御立派に育っていらっしゃる。もう一面、例えば病院もたくさんある。東京には中央病院というのがある。五百床ベッドで患者は約百名、ナースは二百三名。患者一人に対して二名のナースさんの割合。お医者さんが約百名。これはこれなりに、過去の経過措置はございますがよろしいです。 例えばその玄関口でえらい大きな事故を受けたとき、これはもう人道的にはその病院はちゃんと受けとめていただけるんです。しかし、残念なことにいろいろなネックがございまして、まず保険指定の病院じゃない。二番目、救急告示病院じゃないために救急車は瀕死の状態の人を隣の遠い病院に行かにゃいかぬ。そこへ入れられない。この法の矛盾はいかがなものか。愛される自衛隊病院とはどうあるべきか、その防衛医官の人は一生懸命考えていらっしゃる。こういうところへひとつ防衛庁長官の配慮をという文面になっておるんですが、いかがなものであるか。 あるいは、救急ヘリについては日本の国ではひとりそこだけです、自衛隊救急ヘリ。お医者さんがロープ一本で下がって患者を連れて上へ上げる、この猛訓練をしていらっしゃる。こういうようなことの救急医療、災害医療への門戸を開いていただくべきではなかろうか。お願いします。
○国務大臣(池田行彦君) 委員御指摘の黒岩さんの中央公論の論文、私も興味深く読ませていただいたところでございまして、大変示唆に富む論文であり私どももいろいろ考えるところがあるなと思っております。 さて、自衛隊といたしましては、これまで救急あるいは災害の関連ではいろいろな面で御協力をさせていただいております。例えば離島等で病人が発生しましたときの緊急輸送であるとか、あるいは災害に際しまして、例えば日航機の御巣鷹山での事故等のときに医官を派遣した、そんなこともしております。 それからさらに、今先生御指摘の自衛隊の病院の活用でございますが、これはおっしゃるとおりでございまして、自衛隊中央病院もそうでございますし、あるいは先ほどもちょっとお話に出ました防衛医大の附属病院、これは所沢市にございますが、たしか埼玉県の第三次救急病院の指定を受けておると思いますが、そういったことでございます。 ただ、自衛隊病院は、先生御承知と存じますけれども、いわゆる職域病院でございまして、原則は隊員とかその被扶養者の診療、こういうことになっておるのでございます。しかし、支障がない場合には一般患者の診療も行うことができるとされておりまして、現実に平成元年でございますと全国の自衛隊病院で一万五千人ぐらいの一般の方の診療を行っております。この中には救急の方も入っておるわけでございます。しかしながら、なかなか救急の側からの需要、あるいはこちらの自衛隊病院の持てる力が十分に発揮されていないという面がある。これは先ほども御指摘ございました保険医療機関の関係があるわけでございます。 ただいま保険医療機関に指定をされておりませんので、一般の方がおいでになりますと救急の場合も含めまして自己負担になってしまう。もとより、後ほどいわゆる療養費の給付で返ってくることはあるわけでございますが、一たんはまずお支払いにならなくちゃならない、この問題が一つのネックになっております。私どもといたしましてはできるところから保険の指定も受けるようにいたしまして、もっともっと救急等の面でもお役に立つようにしてまいりたいと思っております。 具体的に先ほどおっしゃいました自衛隊の中央病院のケースでございますが、これは今地元の医師会の方ともいろいろお話をしておりまして、何とか御理解もちょうだいしながら、それから関係各省庁あるいは地方公共団体等とも御相談しながらこういった面でもお役に立ってまいりたい、こう考える次第でございます。
○常松克安君 じゃ、大蔵大臣、私も本当にかたきにこの一連の問題を政治生命をかけていろいろ提起、提案してまいったつもりでもおりますし、またこれからも御質問を申し上げてまいりたい。しかしながら、一番最後に詰まってまいりますところは、高規格といえども、あるいはいろいろな資機材を積むといえども、これはどうしても資金が、東京消防庁だけ見ておればいいんですけれども、全国へ行きますと大変な負担でございますので、こういうところへの助成制度、あるいはまた国家的な見地から人の命を救うという立場で深い御判断と御理解をいただきたい。こういうような立場で、大蔵大臣の御所見を最後にちょうだいしたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 救急医療体制の整備と申しますものは、私が厚生大臣になります以前、国立病院あるいは公立病院の中で救急指定を受けておらない病院が相当数ありましたための患者たらい回しという問題が生じまして、以来非常に大きな問題になりました。そして、その後さまざまな改良が加えられてまいりました中で、まさに先ほど御指摘のありました救命率といったものがようやく問題になる状態にまでこぎつけてまいりました。国として今後ともにこうした分野に対しできるだけの努力をしていくことは、私も当然のことだと思います。 ただ、そこで、今最後に委員が指摘をされました防衛医大の、また防衛庁所属の自衛隊病院の関係につきまして、防衛医大創設のいわば末端での仕事をいたしておりました一人として、当時以来自衛隊病院また防衛医大というものに対して社会から向けられておりました偏見というものが今日救急医療の場において非常な問題を生ずる可能性を秘めているということについては、一度私もじっくりとした御論議をさせていただきたいと思います。 戦場医学から発達してまいりました救命救急医学というもの、いわば体系的にそれが一番定着いたしておるのは防衛医大でありますし、また自衛隊病院であると私は思います。そして、先ほど御引用になりました論文も私は目を通しておりますし、その記事の執筆者が目指しておられる方向について、私も内心喝采を送りたい思いでありました。 今後におきまして、先ほど来山本教授のお話を伺っておりましても、大学における講座の新設についての問題点等を考えますとき、いわば救命救急の最先端である戦場医学というものを現実に学んでいる防衛医大の諸君がこの分野において働いてもらえない壁がどこかにあるとするならば、これは除去するために本院の御協力も得たいものと心から願っております。
○常松克安君 以上です。
○委員長(平井卓志君) 以上で常松君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 次回は来る八日午後二時から開会することと し、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十七分散会