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120回国会参議院1991/04/03

予算委員会 第14号

発言数
338
登壇者
54
会派数
6
開催日
1991/04/03

会議録

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、総括質疑を行います。森暢子君。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 私は、まず子供の権利条約についてお聞きしたいと思います。  昨年の十二月十四日の予算委員会におきまして外務大臣から、できればこの通常国会に、遅くとも次の国会には必ず出させていただき批准をしたいというふうなお答えをいただいたところですが、現在の批准の見通しについてお聞かせください。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 批准の状況につきましては、現在作業を進めておりまして、この国会の終わるまでにということで努力をさせておりますけれども、まだ調整が少し残っております。それが現状でございまして、できるだけ早急にということで、ほとんど作業は完了に近いところまで近づきつつある、こういうことでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 これを批准するためには国内法の整備というものが要ると思うんですが、それをなさっていると思うんです。各省庁、審議の経過とか、どういうところに問題があって何を考えているかというところをお聞かせ願いたいと思います。文部省、厚生省、法務省、外務省のあたりだと思います。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) まず、私の方からお答え申し上げたいと思います。  この条約に入った場合の日本の国内法の関係の御質問かと思いますが、この条約の各条文の定める権利義務の内容と日本の国内法との関係の詳細につきましては関係各省庁で現在引き続き検討中ということでございまして、各問題点については先生の方から現在関係各省庁にお尋ねされている、こういうことでございます。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  文部省といたしましては、具体的な問題点の有無につきましては今後検討を進める中で明らかにされていくものと思いますが、例えば第二十八条に規定されております中等教育の無償化の導入の趣旨、こういうものが検討すべき課題になろうかと思われます。  なお、その他の関係条文につきましても、今後国内への適用を考える段階におきまして検討、調整を必要とする部分もあろうと思います。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。  この中で厚生省に関係ある部分で申し上げますと、児童の福祉関係の問題でありますが、その施策につきましては当省といたしましては児童福祉法等によって十分手当てをいたしております。したがって、本件については特に問題はない、このように考えております。

左藤恵自由民主党法務大臣

○国務大臣(左藤恵君) 児童の権利に関する条約につきましては、法務省の所管いたします各法律におきましてもおおむね条約の要求しておる権利の保障が行われておるものと考えておりますけれども、なお細部にわたって検討をする必要があるということで、ただいま本条約につきまして、その趣旨、目的を念頭に置きつつ、批准に向けて関係省庁とも協力いたしまして検討を進めておるところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 今お答えを皆さんお聞きなさったように、中身について細かい情報がやはり入ってきていないわけですね。何が問題かというのが国民に知らされていないということがあるわけです。特に子供の権利に関する条約のような人権関係の条約は、技術的な条約と異なって、国民の盛り上がりといいますか、そういう関心の高さがなければ、批准しました、しかし中身は変わりませんというふうなことになりやすいという難点があるわけです。  この条約に関連して、今子供のいろいろな問題を国民全体が考える最高のチャンスである、この条約は子供の憲法にも値するものであるというふうに思うわけです。やはり大人の憲法が守られなければ子供の憲法も守れませんし、こう言ってはなんですが、国民の人権意識というものを育てていく、高揚させていく一番のチャンスではないかというふうに思うんですが、ひとつ総理大臣、これについていかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 子供の権利というものを大切にしていこうという角度から開かれました昨年の子供のためのサミットには、私も他の七十一カ国の首脳とともに出席をして、特に分科会の基調講演もいたしました。同時に、その責任を感じて、日本国内においてはそれらについて積極的に最大限に協力をしていくように、また、そのときに問題になりました識字率を向上していくという問題につきましても基金を提唱し、提唱国としてイニシアチブをとって、しかも既に基金に対する拠金もいたしまして第一歩を踏み出しておるわけであります。  こういった地道な努力を続けていくことによって、子供の権利、子供の生きる幸せというものがきちっと確保されていくように努力をしていかなければならないと考えており、現在政府ではこの条約に向けての問題点を乗り越えて批准できるように今鋭意努力をしているさなかでございますから、これは批准に持っていきたいと考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 今私がお聞きしたいと思っていたことをもう総理がお触れになったんですが、昨年の夏ありました子供のための世界サミットにおきまして海部総理が演説をなさったその中身に、我が国はアジア・太平洋地域を対象とする識字信託基金を設置してこの地域の基礎教育拡大に貢献してまいりたいと考えていますというふうなことを提案なさっていらっしゃるわけですね。今、その識字信託基金というものですね、そういうふうなものが具体的にどのように進んでいるか、基金はどのようなものになさるおつもりか、そのあたりをお聞きしたいんです。

長谷川善一文部省学術国際局長

○政府委員(長谷川善一君) お答えいたします。  ユネスコに平成二年度に七十万ドル、それから平成三年度の予算案でも七十万ドル拠出することにいたしております。  これはユネスコのアジア・太平洋地域事務所に基金を設けるということでございまして、この基金によりまして現在計画いたしておりますのは、この識字の事業に従事いたします先生方の研修、それから教材の開発、それから学習教材、特にビデオ、そういったものを開発していく、そういう経費に各国の要望に応じましてユネスコの太平洋地域事務所でそれを配分し、それからまた日本からも専門家などを送りまして各種の指導をやっていく、こういうことになっております。事業は始まったばかりでございますので、今後いろいろと各国に協力を求めてくるということも考えられますけれども、日本としましては積極的に専門家を送って協力をやっていこう、かように考えています。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 この条約は、子供の権利、特に経済的、社会的及び文化的権利の保障のために国際協力を国家の義務としている、こういうふうな内容になっております。  どのような国際協力をなさるおつもりかということをお聞きしたいんですが、例えばODAの中に子供の権利条約の実施を特別枠として設定して物的援助とかそういう援助をするおつもりはございませんか。外務大臣、お願いします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 御意見を承りまして、この特別枠をODAにつくるということにつきましては、ODAのフレキシビリティーが非常に制限されてくるということがございます。ほかにも、例えば環境のODAの特別枠をつくったらどうかというような御意見もございますが、いろんな枠が設定されてしまいますと非常に流動性を欠いてくる、こういうことで、特別枠をつくるということには外務省としてはODA運用上少し将来問題が起こってくるという不安を持っております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 その特別枠をつくるのには将来問題が出てくるということになりますと、この子供の権利は経済的援助をするためにどういう形があるんですか、外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) いずれ国連に加盟しておる各国が、それぞれの国で子供たちの識字能力を高めるという教育施設が必要であるという場合には、その政府がODAの関連で要請してくるというようなことが起こってくることは当然でございまして、我が国と相手国との間でそういう点については十分留意しながら努力する道が開かれてくる、このように考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 そういうふうになった場合に外務大臣は積極的にそういうことについてはやっていただけるということですが、外務省の方からそういう要請があった場合、大蔵大臣、どのようにお考えですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今、識字教育といった分野に限定をいたしますと、実態的にどういうやり方があるのか、もう一つイメージがわきません。ただ、率直に申しまして、子供に関する問題というのはいろいろな角度のものがあると思います。その場合に、それは例えば教育だけではなく、医療でありますとかいろいろな分野があるわけですが、これを分離して一つの別のシステムをつくるということは、実効性は私はなかなか難しいのではないだろうかという気持ちはいたします。  いずれにしても、私どもとして発展途上国における子供の問題というのは、教育のみにとどまらずいろいろな分野で非常に大切なことでありますから、予算編成上真に必要なものについては適切に対応していきたい。これまでもそうしてきたつもりですけれども、これからもそうした姿勢をとり続けていきたいと思っております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 子供の権利条約を批准するのを契機にいたしまして、特に湾岸戦争では一番の犠牲者は子供ではないかということで、そういう方面にもやはり日本の国際協力というのはこれを契機にして強めていっていただきたいというふうに思います。  それで、留保のことなんですが、五十一条の二の中に、条約の趣旨と目的に両立しない留保は認められない、こういうふうにしてあるんですけれども、日本といたしましては一切の留保なしに批准をしていただきたい、このように私どもは思っておるんですが、政府の方はいかがでしょうか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  この条約につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますとおり、批准に向けまして国内法との関係等につきまさに現在検討中でございまして、仮定の議論ではございますけれども、理論的には、この検討の結果、今後批准の段階で留保または解釈宣言を行うこともあり得るわけでございますが、現在のところ、それでは一体そういうことを行うことになるかどうかということは、最終的な考え方がまだ決まっておらないということでございます。現在検討中であるということでございます。  いずれにいたしましても、この五十一条にございますとおり、この条約と両立しないような留保あるいは解釈宣言を行うことは考えておりません。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 経済大国の日本が批准する内容でございますので、ひとつ中身のいいもので、子供たちのことを思ってやっていただきたいと思います。  特に、この権利条約は大人だけが知っておればいいという問題でなくて主体者は子供たちなんですから、子供たちに知らせるという政府の広報活動というものがやはり少ないと思うんですね。それで、私たちにもなかなか情報公開されない。国民はそれに対して意見を言う時間がない、意見を言う場所もない。私どもは国会という、国会議員は国民の代表でございますので、こういうところでどういうことが問題になっているかということはやはり情報公開していただきたいというふうに思います。いい中身の、留保なしの完全批准をしていただきたいというふうにお願いしておきます。  それでは、続いて育児休業法に移りたいと思います。  育児休業法の法制化の問題について、去る二十九日に政府より、民間労働者を対象とする育児休業等に関する法律案が国会に提出されました。この提出を受けて、四月一日には人事院から「一般職の国家公務員の育児休業等に関する法律の制定についての意見の申出」というのが出されました。  この人事院の意見の申し出を受けて公務員の育児休業に関する法律案が今国会に提出されるものと思いますが、国家公務員、地方公務員それぞれに関する育児休業の法体系はどのようになるのか、それから、それらの法案の提出時期がいつかというふうなことを教えていただきたいと思います。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) お話しございますとおり、一般職の国家公務員につきまして四月一日に法律に基づきます意見の具申をいただきました。私どもはその内容に即しまして立法をすべく現在検討中でございます。作業が終わりましたら国会へ提出をさせていただきます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 施行の時期。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) 申し出がありました意見に沿ってやりたいと思いますので、民間と合わせて来年の四月一日になるだろう。現在検討中でございます。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) お尋ねの育児休業法につきましての地方公務員の問題でありますが、これにつきましては、今総務庁長官からお話がありましたように、国家公務員の制度が今検討されておりますから、これに準拠して、地方公務員の場合もそれにならっていこう、こういうことで進めてまいりたいと思います。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 民間と同時ですね。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) 同時ということでなしに、民間のが国会に今提出されているわけですが、国家公務員の場合がこれから検討されておりますから、その国家公務員の制度に基づいて我々の方も、地方公務員もそれに準拠して進めていきたい、こういうことであります。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 公務員に係る育児休業法とそれから先日出されました民間労働者に係る育児休業法の内容ですが、その内容に異なる点があるとすれば、その主な相違点はどういうことかお答えいただきたいと思います。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) 現在検討中なのでございますけれども、御案内のとおり国家公務員につきましては、看護職、教員、保育関係の方々には現在育児休業制度がございまして若干の手当を支給しているわけでございますが、今回の人事院の意見の中でも、これはこのまま維持をしていく、こういうことになってございます。それから、育児休業した場合の、休むわけですけれども、この休んだ期間を将来の給料の計算だとか退職金の計算だとか、そういう場合にこれをどう取り扱うか、こういう点について公務員の場合特殊な規定を設けるべきだという意見になっておるようでございます。現在、いずれにしましても検討中でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 もうちょっと詳しいお話が聞きたかったんです。  今の相違点の中で経済的援助、社会保険料は維持されるというお話ですね。それから、原職または原職相当職への復帰もそのまま。それから勤続期間への算定、これは二分の一だと思うんですが、休んだ間は二分の一が勤続期間の中に算定されるというのもそのまま。それから、職場復帰または復帰後の労働条件については不利益の取り扱いは禁止というふうなことが盛り込まれていたというふうに思うわけです。こうしますと、先般出ました一般労働者の育児休業法案と大分そこに格差があるというふうに思うわけです。その点についてどのようにお考えですか。これは労働大臣。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○国務大臣(佐々木満君) 私の御説明があるいは誤解を招いたとすればいけませんので申し上げますが、若干の手当が看護職、教員等ありますが、この分野の職種についてはこれは維持していくということでございまして、それを除いた一般の国家公務員につきましては手当は支給しないということになっておりますので、その点は誤解のないようにお願いします。

小里貞利自由民主党労働大臣

○国務大臣(小里貞利君) 先生ただいま数項目御指摘になりまして、それに対しまする私どもの民間企業、既に提出をいたしておりまする法律案との比較でお話しでございますが、率直に申し上げまして、私どももただいま先生御指摘の原職または原職相当職への復帰あるいは不利益取り扱い等の問題点等につきましてはよく承知をいたしております。しかしながら、先ほどからお話がございますように、国家公務員あるいは地方公務員等に対するいわゆる法律案はまだ未提出の状況でございまして、それぞれ関係省庁で目下検討中でございますから、それを基準にして比較して今論議を申し上げることは私の立場からはいかがであろうか、かように考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 今、女子の教員であるとか看護婦、保母さんを対象とする現行のいわゆる特定職種育児休業法というものがあるわけです。この中に学校事務職、栄養職というのはその適用を受けていないわけですが、育児休業というのは働く者たちに平等に与えなければいけない、男女ともにというのが今回の民間に出た育児休業ですから、事務職、栄養職というのはどこに入ってどの法の適用を受けることになるんでしょうか。

石川雅嗣総務庁人事局長

○政府委員(石川雅嗣君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました従来の特定職種の範疇に入っておらない分野につきましては、今回の人事院の申し出にございます一般の職種の中で取り扱われることになるというふうに承知いたしております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 そうしますと、一般職の中に入りますとまた差がでてくるわけですね。同じ学校の中で、先生は育児休業があり、事務職、栄養職にはないというのが今の現実であるわけであります。  さて、労働大臣は大臣就任のインタビューにおいて、四会派共同提出の育児休業法案が賃金の六割相当額を支給するとしているということについて、なるほどという感じで聞いている、注目しなければならないというふうに答えたと報道されております。この大臣の発言は、育児休業中が無給では、たとえ育児休業を取得したとしても労働者の負担が大きいことについて何らかの措置を講ずる必要があるという理解を示したものと受けとめております。それから先日、四月一日の委員会においても大臣は、この法律で敢然無欠であるとは思っていない、こういうことを答弁なさったわけであります。  育児休業取得の実効性を確保するという観点からも、休業中の所得保障措置を教職員は持っている、一般の労働者は持っていない、そういうふうな差があるということで大変なんですけれども、やはり何らかの所得保障措置というものは必要であるというふうに思いますが、もう一度労働大臣にお願いしたいと思います。

小里貞利自由民主党労働大臣

○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。  私が大臣に就任をいたしました前後に申し上げました言辞についてのお話でございますが、粗筋におきましてただいま先生お話しのとおりでございます。  ただ、私は、大臣に就任いたしました当時、育児休業法についての国会論議、なかんずく参議院社会労働委員会等におきまして相当長きにわたりまして、しかも相当濃度の深い論議をきわめておいでになる事実を、正直申し上げましてその時点で知りました。審議の経過等も詳細一通り目を通させていただいたその結果を、ただいま先生がお話しのようにそういう質問が出ましたから、実は私は、参議院における審議は極めて濃度の深いものでございますねと、こういうふうに申し上げました。  あわせまして、端的に休業中の保障についてはどう考えるか、こういうようなお話でございましたので、野党の皆さんや与党の皆さんの論議は注目に値します、これは私も参考にいたしますと、こういうふうに申し上げたわけでございまして、特定の法律の中身におきまする特定の趣旨をきちんときわめた上で申し上げたわけではございません。しかしながら、感覚的にはなるほどこれは注目するべき議論をしておいでになるなと、こういうことを申し上げたわけでございまして、そのようにひとつ正確に御理解いただきたいと思う次第でございます。  それから、一日の本委員会におきまして私が申し上げたことでございますが、これはもうここで皆さんお聞きのとおりでございまして、質問者の方から、こういう状況でいいのか、本当にこれで完全だと思っているのか、いろいろな方面から功罪両面について意見があるじゃないか、もっと率直に話すべきではないか、こういうようなお話がございましたから、私は心情的にとお断り申し上げまして、しかも、これが完全無欠なものであるなんという気負いは持っておりません、これから皆様方の御意見を十分お聞かせいただきまして、そして、とりあえずこの際休業を取得することについての法的担保をとることが第一条件じゃないでしょうか、そして中期的な展望に立って、中期と言うとちょっと言葉がどうかと思いますが、かなりの期間をかけてこの法律の幕開きをして、制度の幕開きをして、そして国会を初め国民の皆さんの意見を聞きこの法律制度を切磋琢磨してよりすばらしいものに仕上げていこうではありませんかという私の一つの希望像を申し上げた。それがまた私の信念でもございますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 この育児休業法案は、男女ともにとれる、そして労働者が請求すれば一年間の育児休業はとれるという今までからいえば大変画期的な法案なんですね。しかし、最大の問題点は、所得保障規定が全くないということなんです。高齢になりましては、幾ら制度をつくってもその実効性を著しく阻害されるということです。はっきり申しまして、新生児の養育費であるとかそれから休んでいる母親の生活費、休業中の地方税、社会保険費等の負担はやはり若い夫婦の生活を圧迫すると思うんですね。そうしますと幾ら法律があってもとれない、とりにくい。労働力が不足だといいながらどんどん職場を去っていく、こういうことは目に見えているわけです。  今、結婚、出産で退職する女子労働者が四割います。また、育児休業を導入している事業所は二割に足りないわけですね。この実情を見た場合に、所得保障のない制度は幾ら決めても労働者の真の労働権確立ということにはならないということははっきりしておりまして、これははっきり申しまして絵にかいたもちと、このようにしか考えられないということなんです。  それで、賃金の六割を保障しろということで野党や労働側が提案いたしまして、その育児休業法案は現在参議院の社会労働委員会にちゃんとあるわけですね。六割の保障なんて到底できない、これはノーワーク・ノーペイだと言ってしまえばそれだけですけれども、やはり先見的な方策であるということですから、この賃金保障のない育児休業法案というものに対しては私どもは賛成できません。はっきりどういう方向か、その六割の保障ということを目指して会計の方の法案も出しておりますし、ぜひしっかりした御論議を願いたいというふうに思います。  それから次に、労働省に。  一定の要件に該当する育児休業制度を導入する事業主に対して、雇用保険法の雇用安定事業として育児休業奨励金の支給というのを行っているわけですが、育児休業法が制定されたらこの制度は役割を終えることになると思うんですね。そこで、今後育児休業の法制化に伴ってこの奨励金制度を見直して、育児休業法の実効性確保を支援するような新たな視点からの助成制度というのを考えていらっしゃるかどうか。既に検討に着手しているのであれば、その概要についてお伺いしたいと思います。

高橋柵太郎労働省婦人局長

○政府委員(高橋柵太郎君) 現在労働省の方で、育児休業制度を普及、確立するということで育児休業奨励金という制度を設けていることは先生御指摘のとおりでございます。これは制度導入にインセンティブを与える、この制度の確立に資するということでございますが、今回御提出を申し上げております法案が通りました際にはその趣旨が一応かなうわけでございますので、この制度については見直しをしてまいりたいというふうに考えております。  ただ、小規模の事業に係りましてはなお三年間の猶予措置がとられることとなっておりますので、この間におきましてもできる限り早くこの制度を導入していただきたいということで、中小企業に対しましてはいろいろな経済的な支援ということも考えていかなければいけないだろうということで、目下その内容についていろいろと詰めている段階でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 それではもう一つの観点に移りますが、この育児休業の法制化に関連して、労働基準法の第六十七条に規定されています育児時間の対象者が現在女子に限定されているわけですね。女子が育児時間をとることができる。例えば乳児への授乳のための時間という性格で入れてあるんですが、現在では保育所への送迎であるとか、授乳でも男の人でもミルクはできますので、これを女子に限定するというのはやはり考え直さなければならないのではないかと思うんです。特に、今回法制化によって男女とも育児休業が取得できるということを考え合わせますと、この六十七条の育児時間の適用対象を男子にも拡大すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

高橋柵太郎労働省婦人局長

○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘のただいまの労働基準法上の規定でございますが、これは規定の趣旨が二つあると思います。生児に対しまして専ら哺乳をするということと、それから産後まだ健康が十分でない女性労働者のためにその間のゆとりを与えるいわば母性保護という観点もあるわけでございますので、今回の育児休業の法律の規定の趣旨とはその趣旨、目的において違うのではないかというふうに私ども考えているところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 出産は女性ですけれども育児は男女でできることですから、やはり男女平等に、ともに一緒に育てていくというふうなことで考え直していただきたいというふうに思います。  この育休法は、昭和五十七年五月に社会党から全労働者を対象とする法案が出てからおよそ十年、それから昭和五十年の特定職種育児休業法の成立からおよそ十七年の年月を費やしてつくられた法案であるわけですね。そういうものが、労働力不足を補うものとか出生率の上昇という観点からのみ検討されるということは大変誤りであると思います。やはり我が国におけるもう一つの観点、男女の役割分業、性別役割分業からも、社会で男女がともに子供を育てていくという観点から中身を充実していただきたいというふうに思います。  それでは、次の問題に移りたいと思います。  科学技術庁の主要な施策の中に原子力の開発利用と安全対策というのがあるんですが、きょうは日本の原発で使われます核燃料であります天然六弗化ウラン、その輸送のときの安全対策についてちょっと問題を提示したいと思うんです。  この天然六弗化ウランというのはどこから輸入されて、昨年どのくらい輸入されたか、それからその回数とか容量ですね、そういうようなものをお答え願いたいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 我が国の天然六弗化ウランの輸送の主なものでございますけれども、これはアメリカとかフランスとかから輸入されまして、東京の大井埠頭にまず入ります。そこから陸上輸送で、現在これを使っておりますのは動燃事業団の人形峠の事業所でございますので、大井埠頭から人形峠の事業所まで陸上で輸送されているわけでございまして、平成元年暦年で輸送回数が六回、それからその量は三百二十トンでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 その大井埠頭から岡山県の人形峠まで運ぶ道筋ですね、どこをどう通ってどのように運ぶかというその道筋を詳しく教えてください。

山本貞一科学技術庁原子力局長

○政府委員(山本貞一君) お答えいたします。  今お話しございましたように、大井埠頭に入りまして陸上輸送で輸送されることになっております。詳細の輸送経路につきましては、国際的なIAEAの勧告もございまして、詳細についてはその都度公表しないということになっております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 公表しないということですね。  じゃ、人形峠だけですか。聞くところによりますと、青森県の六ケ所村にもそういう濃縮プラントがあるということですが、六ケ所村へはどういうルートで行くのですか。やはりこれも公表しないと言われるかもわかりませんが、もう一度お聞きします。

山本貞一科学技術庁原子力局長

○政府委員(山本貞一君) 六ケ所村につきましては実はまだ操業しておりませんで、予定が若干おくれております。そういう意味で、現在のところ事業者がどういうルートで輸送するかということについてはまだ検討中というふうに伺っております。  公表するかどうかという点については、人形峠へ輸送しているのと同じ方針でいくことになると思います。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 公表しない、検討中、こういうお返事ですね。  この陸上輸送に際して必要な承認とか確認とか、申請書とか届け出書とか、そういうものはそれぞれどんなものがあるのかお答え願いたいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 天然六弗化ウランの輸送につきまして科学技術庁との関係でございますが、ウランの量が五百キログラムを超える天然六弗化ウランにつきましては、原子力事業者が内閣総理大臣の確認を受けることになっております。この確認は、輸送をどういう方法でするのか、それから関係者がどういう責任分担、その責任の移転をどこでしていくのかというようなことの内容を記した計画でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 ほかにまだ、警察庁とか運輸省とか消防庁とか。

関口祐弘警察庁刑事局保安部長

○政府委員(関口祐弘君) 核燃料の輸送につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律によりまして、一定のものにつきましてはこの運搬に当たりまして公安委員会の方に届け出をするということになっております。  お尋ねの天然六弗化ウランにつきましては、この法律の規制に基づく届け出対象ではございませんけれども、必要に応じまして事前に連絡を受けているところでございまして、輸送の安全を確保するため、関係者に交通事故の防止等につきまして指導を行っているというところでございます。

吉田耕三運輸省貨物流通局長

○政府委員(吉田耕三君) 天然六弗化ウランの輸送につきまして、運輸省が関係している部分について申し上げます。  この陸上輸送につきましては、先ほどから出ております国際基準に準拠して国内法で定められておるわけでございますが、関係省庁におきまして定められておる技術上の基準の中に、運輸省につきましては、その核燃料物質が封入された容器等の車両への積載方法、それから運搬方法などについて基準を定めております。  積載方法としましては、車両へ確実な積みつけが行われるかとか、あるいは車両回りだとか、運転席における放射線量の制限の量であるとか、あるいは運搬の方法といたしましては放射性物質を運んでいるというような標識を添付させるとか、他の危険物との混載を禁止するとか、さらには事故が起きたときなどに関係者に連絡するその連絡先の担当官の氏名、自宅の電話番号というような事柄につきまして基準を設けております。天然六弗化ウランを含むすべての核燃料物質の輸送につきまして、以上の基準がかぶることになっております。  ただ、放射線量の量が大きいものにつきましては、さらにその基準が守られているかどうかということを運輸省の係官が現地に行って確認することになっておりますが、御承知のように天然六弗化ウランはその放射能の量が低いものでございますから、国際基準におきましてもそういう運輸省の係官の現地確認は要らないことになっておりますので、特に天然六弗化ウランの輸送開始に当たりまして手続はございません。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 消防庁。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 消防庁、いかがですか。

木村仁消防庁長官

○政府委員(木村仁君) 核燃料輸送時の届け出等につきましては、消防庁関係はございません。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 これを輸送しているときに容器がどんなものかということなんですね。今ちょっと写真を持ってきましたので、どういう形で運ばれているかというのを皆さんごらんになっていただきたいと思うんです。  これはフラットフレートコンテナというオープンコンテナでございまして、もう上が何もないわけですね。ごらんのように、輸送途中、その中にビニールシートで覆われてひもでくくってあるだけなんです。今ごろは交通事故がいつどこであるかわからないし、天から橋げたが落ちてくるやら何が落ちてくるかわからない。そういう時代に、これを運んでいるときに何もないということは絶対言えないと思うんですね。これが落ちて亀裂が入ったりした場合にはどうするのですか。ちょっとお聞きしたいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 今先生から御指摘がありました輸送容器につきましては、私どもの方で技術基準を定めまして安全の確保ができるように対応をするということでございます。  ただ、先生御質問のそれが割れたらどうなるのかということでございますけれども、これは割れないように何とか対応していくという技術基準を決めているわけでございまして、仮に割れるというようなことが起これば一つの重大な事故でございますので、そういう場合には、私ども各省で連絡会を開きましてそれぞれ役所ごとの分担、それから警察、消防、そういうことの関係を役割分担を決めておりまして、そういう形によって周辺の住民の方等に問題がないように対応していく、こういうことになろうと考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 容器が壊れて六弗化ウランが出てきた場合に関係省庁寄り集まって相談して対処するなんて、間に合うのかなと思って大変心配しているわけですが、この六弗化ウランはどういうものかということ、その危険性とか特性とか、そういうものについてちょっと皆さんに知らせていただきたいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 六弗化ウランの特性でございますが、一つは放射能障害という点から考えられる特性、これは数字が細かくなりますが、容器の表面の線量当量率も九ないし十四マイクロシーベルト・パー・アワーということで、放射能の点からはそれほど問題はないと考えていいと思います。  ただ、化学的な性質でございますけれども、非常に反応性の強い弗化水素というものが水と反応した場合にはできるわけでございまして、この弗化水素が非常に反応性が高いために、いろいろ人体、生物にとっても危険なものであるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、その安全についてはとにかく万全を期するように、我々各省協力して臨んでいるということでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 「核燃料の取扱技術」という本、これは日本原子力産業会議が毎年発行しているものなんですが、その中に六弗化ウランのことについて、今おっしゃったようなことなんですけれども、弗化ウラニルというものと弗化水素というものが発生しましてそれが白い煙を発生する、そしてそれが視界を妨げて、その白煙の中から脱出できない場合は多量の六弗化ウランを吸い込んで窒息死するとか、それからのどとか気管支、肺などの組織を傷つけるとか、それから魚だとかそのあたりの環境を汚染するとか、そういうふうなことが書いてあるわけですね。  それで、実は岡山でも一度それに似た事故が起こったことがあるんですが、それについてちょっと知らせてほしいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 岡山の事故の件でございますが、昭和六十二年の七月八日に発生をいたしまして、これは居眠り運転ということなのでございますが、トラックが横転いたしました。それに載っておりましたものは弗酸、弗化水素酸というものでございますが、これの一部が流出をいたしました。そして、約二・五トンが路上、沿道の用水路に流出をいたしました。しかし、運転手、助手とも打撲により負傷した程度でございまして、弗酸による被害はございませんでしたし、また周辺住民についても被害はございませんでした。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 私そのときの新聞を持っているのでありますけれども、やはりさまざまな恐怖心を抱いた。魚が死に、清流が死の川となり、庭木の葉も無惨に変色した。そして、そのときの処理にもたついて大変大慌てをしたというふうなことが新聞記事に載っているわけですね。  そういうことで、安全に輸送していくということが大前提なんですけれども、しかしどういう事故が起こるかわからないというのが今の世の中でございます。交通事故とかそういうものは自分には起こらないとか、自分の乗った飛行機は落ちないとかいうふうに思いたいものですが、やはりそのうちにどういう事故が起こるかもわからないから、起こったときに完全にこういう防災体制ができているのだということがあってこそ安全ということが言えるのではないかというふうに思うわけですね。そうした場合に、絶対ないということでやっていらっしゃると思うんですが、事故があった場合にどう対処するのか、それを話していただきたいと思います。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) 先生お話しのように、事故がないようにとにかく万全を期すということでございますが、仮に事故が発生した場合には、例えば事業者は法令に基づき関係省庁に連絡をすることになっております。また、原子炉等規制法に基づきまして、事業者に対していろいろ必要な措置をとるような義務づけあるいは命令、そういうことができるようになっております。さらに、私ども警察庁、運輸省など関係各省と連絡をとりまして「放射性物質輸送の事故時安全対策に関する措置について」という一つの決めをつくっておりまして、これに基づきまして関係省庁間の密接な連絡、迅速な連絡というようなことで問題がないように対処していくという体制をつくっているところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 体制はできていてもそれがちゃんと機能するかどうかということは、やはり訓練というものが必要ではないかと思うんですね。それで、いざそうなったときに、じゃ国に連絡して国が来るまで待っている間にどういうことになるかと、こう申しますと、やはり地域防災といいますか、地方の消防署であるとか警察であるとか、いろんな地域の住民であるとか、または自治体の人であるとか、そういう人が対処しなきゃいけないわけです。  それで、ここで聞きたいんですが、責任を持って行うのは国がするのか、地方自治体がそれに当たるのか、そのあたりを聞きたいと思うんです。

長田英機科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(長田英機君) もし万が一事故ということになりますと、事業者が関係の箇所、官庁に連絡をとるということになっておりまして、その連絡を受けて万全の体制が即座に組まれる、こういうことでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 輸送がどの道を通るかということは公表しない、これは大変な問題であります。と申しますのは、その輸送路の沿線には多くの住民がいるわけですね。これは大体真夜中に運ばれるわけです。そしてビニールシートがかぶせてあるだけ。何が落ちてくるかわからない、どこで衝突事故があるかもわからない。そうなった場合に住民はどうしたらいいか。その避難の対応であるとか、それからその危険性なんかは知らないわけですね。やはりこれを住民にも知らせて、そして体制をとって訓練も行っていくと。皆さんは安全だ安全だ、安全第一とおっしゃいますけれども、安全の裏側には危険があるということなんです。そうしますと、それに対してどういう防災対策が立てられているかということ、それが大事ではないかと思います。  今までのやりとりをお聞きになりまして、科学技術庁長官、そして原発の防災体制も含めて通産大臣、それから最後に総理大臣、お願いします。

山東昭子自由民主党科学技術庁長官・原子力委員長・宇宙開発委員長

○国務大臣(山東昭子君) 天然六弗化ウランの輸送を含めまして核燃料物質の輸送に関して、我が国ではIAEAの定めた厳しい国際基準に基づいて定められた国内基準を遵守して輸送しなければならないということになっておりまして、その安全確保には万全を期しているところでございますけれども、やはり私は油断は禁物であると思いますので、今後とも安全確保については最大限の努力を払ってまいるつもりでございます。

木村仁消防庁長官

○政府委員(木村仁君) 先ほど言及されました「放射性物質輸送の事故時安全対策に関する措置について」によりますと、地元の消防機関は事故の通知を受けました場合には直ちにこれを都道府県消防防災主管部局に通告をいたしまして、その情報は消防庁の方にも直ちに通告されることになっております。地元の消防機関としては事故の状況把握に努め、関係の専門家あるいは輸送責任者と協力して火災の消火、延焼の防止、警戒区域の設定、救助、救急等に当たりますとともに、必要な場合には住民の避難等も行うことにいたしております。なお、消防庁は、放射性物質輸送時消防対策マニュアルというものを作成いたしましてこれを全消防機関に示し、必要な教育訓練を行うことにいたしております。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) ただいま科学技術庁長官並びに政府委員からも答弁がありましたように、重々各省庁との連携が必要でございますから、そういうものに対応しながら、早速そのような形で万遺漏なきようにしたいというふうに考えております。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) それぞれの担当、それぞれの分野が全力を挙げて安全確保に努力をしますとともに、今申し上げましたように、各省庁の縦割りの中に縮こまることなくよく連絡し合って、相互にこの目的をきちっと果たしていくために努力をすべき問題である、このように受けとめております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で森君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、片上公人君の質疑を行います。片上君。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 総理は今夜米国に向かって出発されるわけでございますが、これは湾岸戦争後の日米関係の再構築ということを主眼に首脳会談に臨まれると聞いておりますが、この日米首脳会談において取り上げられるテーマとこれに臨む総理の姿勢について、まず伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 全体的なことを申し上げますと、日米二国間関係というものは極めて重要なものでございますし、また同時に、ただ単に湾岸危機のみならず、日米関係においては昨年来の経済構造協議を通じて世界のために日本が経済的に何が協力して貢献できるか、また地球環境の問題について何が協力できるか、あるいは麻薬の問題についてどうするか、いろいろ地球的規模で協力し合わなきゃならぬ政策の話し合いもしておりました。そのためには、双方の確固たる信頼関係が何よりも大切だと思っております。  政府と政府の間では、いろいろな立場、いろいろな態度というものを通じて率直に話し合うことによって相互理解を確立して、今後に向かってより一層の信頼関係を深めるために首脳会談をしてこよう、こう決意をいたしておるところでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 大いに頑張ってきていただきたい、こう思うわけです。  次に、日米双方の反発感情に対する配慮について伺いたいんですが、湾岸危機、湾岸戦争を通じまして我が国としては、国連決議に基づく平和回復を進めた多国籍軍の中核となった米国に対しまして、増税による国民の痛みを伴いつつ、憲法の範囲内で、国際社会からの期待にこたえ応分の協力を果たした、こう思います。しかし、米国では、湾岸危機での我が国の人的な面での貢献が目に見える形にまで至らなかったことから、対日批判がくすぶっておると言われております。これに対しまして我が国におきましても、矢継ぎ早に米国が要求を深めてくることに対して相当の反発感情があることもこれまた否定できないと思います。  総理は、このような日米双方の相反発する感情の存在についてどのように対処していく所存なのか。また、今回せっかく日米の両首脳が一堂に会するわけでございますから胸襟を開いて会談されて、日米双方の反発感情が対立感情まで膨らまないうちに日米関係の再構築の確認をすべきだ、こう考えますが、総理の御見解を。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最近のアメリカにおけるいろいろな世論調査も発表になっておりますし、また論評あるいは有名人の意見というものの中で、日本の湾岸危機に対する国際的な協力のあり方について遅い、少ないという非常に端的に言われる意見が出てきておったことも、私は率直にそれは承知いたしております。ただ、このことは、日本としても今の情勢の中でできる限りの協力はしなければならないということと、委員も冒頭に仰せられたように、国際社会の大義の中で政治的な立場に立って今回は国連決議の趣旨に従う、同時にそれを支持する、同時に平和解決のためにできるだけの協力をする、こういう基本原則をつくって対処をしてきたわけでございますし、また皆さんの御理解もいただいて第二次補正予算も適していただき、一兆一千七百億円の拠出もして国際社会に貢献をしておるということ、このことについてはアメリカでも、大統領を初め日本の努力を評価する、日本の努力を感謝するという世論もございます。  また、例えばごく最近のハリス社の世論調査によりますると、日本に対する好感度、日本はどのように米国にとって重要な相手方かという世論調査では、指導者層では九五%が日本を、一般層でも七九%が日本を非常に大切な相手国であるということを示しておるという世論調査もあるわけでありますから、私は、アメリカの世論の多くは、そういう日本がなし得ることとなし得ないことがある。  アメリカの青年が血を流してやっておるときに、日本は軍事力の協力、参加がなかったではないか、お金の払い方も遅かったではないかという角度の御議論があったこと、甚だしきに至っては、アメリカの議会に日本が何月何日までに払い込まなかったら今後日本に対してはという報復的な意味の法案さえ提出されたという話を聞きまして、私は、これは日本の現在の民主主義国家として、予算案もそして法案も国会を通して審議をいただいて、それが終われば直ちにまた手続きをして協力しておるんだというこういった積極的な姿等も説明をすることによって、同時に、そのことのみにとどまらず、これから将来にわたっての世界の平和の構築のためとかあるいは世界の平和と安定のためとかいうようなことについて日本がどのような役割を果たしていったらいいかということについての考え方なんかを率直に話しまして、御指摘のような危機的な状況にならないように努力をしてきたい、こう思っております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 私も大いに総理の雄弁を期待するわけでございますが、真ある雄弁で、本当に率直に日米の将来のため、また世界のために語り合っていただきたい、こう思っております。  次に、通産大臣にお伺いいたしますが、通産大臣も来月ですか訪米の予定と聞いておりますけれども、この目的と、特に対米経済対策として具体的に何か想定しておる対策はあるのかどうか、まず伺いたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) けさもけさとて七時にモスバカー商務長官がおいでになられまして、アメリカの各業界の方々をお連れになりました。そして、少なくとも日本の方との今のトレードインバランスをもっともっと縮小してくれ、すなわち貿易はあくまでも拡大均衡でやってもらいたい、こういうことでございましょう。これは私どももわかるんですが、今これは私ども全力を挙げましてドンドン縮小傾向にあるわけでございまして、バランスは非常にいいバランスになりつつある傾向にございます。  そういうようなこともございまして、私、日米関係は何も我が国のみならず世界経済にとっても重要な二国間の関係と強く認識しておる次第でございます。通商所管大臣といたしまして、国会の御了承を得ました上で早い機会に訪米の機会を得まして、米国の要人と会談等を行うことによりまして日米の太いきずなを再確認申し上げなければいけない。また、先ほど総理から御答弁賜りましたように、非常に認識が深まっているとはいえまだそのような誤解をされている面もないというわけではない、その点を一刻も早く解消していくことが我々のまた任ではなかろうか、こういう感じもいたします。良好な日米関係の維持発展に向けて努力をしていくことがこれは最大の課題である、こう感ずるわけでございます。  具体的な日程についても、国会の御審議との関係もございますから検討中でございますが、昨今米議会を中心に保護主義への、ブロック化とまでは申しませんが、傾斜が懸念される中でございますから、自由貿易主義の堅持に向けまして米国政府の断固たる対応を促すとともに、日米構造問題協議の着実な推進、ウルグアイ・ラウンドにむしろ日本が積極的なイニシアチブをとってもこれを果たしていかなければならぬという問題点、あるいはまた湾岸戦争後の世界経済秩序の回復に向けての両国の協力関係の推進というものについて、率直な話を米国との間でしなければならない、こういう意向で考えておる次第でございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 スーパー三〇一条の延長法案が提出される等、米国が二国間対応への志向を大変強めておる。また、日本への風当たりが強くなっている中でございますが、通産省としてこのウルグアイ・ラウンドの推進のための具体的方策を何か考えていらっしゃるのかどうか、これを伺いたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) この一方的措置の頻発と申しましょうか、保護主義的勢力の台頭などを回避するためには、ウルグアイ・ラウンドというものの成功が絶対必要条件であると私は思っておるのでございます。  ただ、我が国といたしましては、現在ジュネーブにおいて開かれておりまする交渉に適切に対応していかなければならないことは言うまでもございませんけれども、その成功に向けまして国際的なイニシアチブを発揮してこそ、初めて日本の世界的貢献、経済的貢献といいましょうか、世界のある意味におけるグローバリゼーションというものにおいての認識を深めていただける上には大変大きな意味を持つわけでございまして、国際的貢献の実を上げることこそが重要であると私は指摘しなければならぬと思うのでございます。  特に、ウルグアイ・ラウンドの早期終結に向けまして国際的機運を一層盛り上げていくことが重要でございますので、今後OECD閣僚理事会及びサミットの機会を通じましてこうした機運のさらなる盛り上げというものを図るべく、先ほど委員御指摘の三〇一条の適用なんということになりますると、これはもう貿易立国である日本に対しては致命的な問題にもつながるわけでございますから、それをあくまでも避けていくというためには米国を始め主要各国との重要な連携を保っていくことこそが重要なファクターである、そのように私どもは認識するものでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 米国の対日赤字でございますが、絶対額では縮小しているものの、米国の赤字に占める日本の割合は改善していないと思います。この原因は日本の輸出構造が対米に集中していることが大きいと考えられますが、日米不均衡の是正のためには、対米輸入の増進だけではなくして対米輸出偏重の是正が必要と考えますけれども、通産省の具体的対応を伺いたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 米国の対日赤字というのは、米国商務省の統計によりますと、一九八九年から九〇年にかけますると八十億ドルの減少を見せております。対世界貿易赤字に占める割合も、八九年の四四・八%が一九九〇年には四〇・六%に縮小したわけでございます。また、日本の対米輸出も、八九年から九〇年にかけますると約三十億ドルの減少を見せていることも、これまた事実でございます。総輸出に占める米国向け輸出の割合も、八九年三三・九%から九〇年は三一・五%に低下している、これまた現実としておとらえ願いたいと思うのでございます。  我が国の貿易政策の基本そのものは、自由貿易主義に基づきまして世界貿易の拡大均衡的発展を目指すこと、このため従来から総合的輸入拡大対策を推進してきているのが私どもの使命であり、また遂行してきた行動体系であります。  さらに、我が国貿易構造上、過度に対米輸出に依存する構造というものは決して望ましくないという観点からかねてから内需の拡大を図ってきたところでございまして、「世界とともに生きる日本」という三年前に私どもが指針を発表したあの方向の中で、私どもは内需拡大というものにいそしんでおるわけでございます。今後とも、輸入拡大、内需拡大というものを推進することによりまして均衡ある貿易の拡大に努めてまいるというのが私どもの存念でございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、北方領土問題についてお伺いしたいと思いますが、政府は、ソ連が北方領土の四島について我が国の主権を認め、これを返還することを明確に約束すれば日ソ間の領土交渉は決着するとの考えを示しておるわけでございますが、これは、ソ連が四島について我が国の主権を認めれば、実際の返還は段階的なものとなっても平和条約の締結に踏み切るものと、こう理解してよろしいでしょうか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答え申し上げます。  北方領土の返還交渉の中核は、先生仰せのとおり北方四島の主権の問題でございます。これが決着できました場合にいかなる形で返還を受けるかということは、まさに返還交渉自体の内容でございます。いろいろなお考えがあろうかと存じますけれども、まさに交渉の内容にわたりますので、ここで考え方を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 そして、その北方領土には二万五千名とも言われる住民が現実に生活しておることから考えますと、在留ソ連人の継続居住の取り扱いや移転の問題、返還に伴う社会経済基盤の整備など具体的な返還スケジュールを詰めていくことになるかどうか、このことについても伺いたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。  同趣旨のお答えになって恐縮でございますが、実際に返還ということが決定されました場合に、先生仰せの問題も含めまして、具体的に処理をしなければいけない問題が多々あると存じます。それらをいかにするかということも、先ほど申し上げましたように交渉の具体的な内容に立ち入ってまいるわけでございますので、そういうことにつきましての私ども政府の考え方を今ここで申し上げるということは御容赦いただきたいと存じます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、対ソ経済協力についてでございますけれども、ゴルバチョフ大統領の訪日を控えまして、ソ連にたいする経済、技術協力についていろいろな構想が報道されておるわけでございますが、これらにつきまして中山外相が記者会見で、政府の関知するところではない、この旨を発言されたと聞いておりますけれども、いずれにしても、日ソ両国民に北方領土問題と対ソ経済協力問題とが深く関連している、こう受け取られているわけですから、我が国の対ソ経済協力の本旨を内外に明確にすればいろんな憶測をまねくことはないのではないかと思います。  我が国の対ソ経済・技術協力は、ソ連の政治的経済的改革を支援するために、市場経済システムの定着に向けた官民の意識改革と市場経済運営に関する知識の伝授、社会経済基盤の整備を中心に進めるものであって、中でも我が国の戦後復興の経験、ノーハウを伝えて、ソ連の経済改革のかなめである産軍複合体、軍需産業の平和産業への移行を促進し、ソ連を平和産業国家として世界経済に迎え入れることに重点を置いていることを内外に明らかにすべきではないか、このように思いますが、これについてお伺いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 先般新聞等によりまして日本の対ソ経済協力というものが何百億ドルという単位で掲載をされておりましたが、これについて、日ソ外相会談を始めます前にこの内容が私ども政府が中心になって話し合いをしたもの、協議をしたものという誤解がソ連政府に伝わっておりますれば、それを前提にして日ソの外相会談が行われることは外相会談上非常にまずいことになるという私自身の判断によりまして、外相会談の始まる前日に、政府としてはそのような具体的な内容について何ら相談をしておるものではないということを明確にした上で外相会談を開くという段取りをいたしたということでございまして、その点は外交交渉を進める上で極めて重要な問題でございますので御理解をしておいていただきたいと思います。  なお、委員御指摘のように、日本のソ連に対する協力のあり方、これはもう人道的な支援は別といたしまして、ソ連の進めているペレストロイカの正しい方向性を支援するということで、知的な協力というものは、いわゆる調査団を日本に送り込んでくるというような場合には、今までも政府は経済界とも十分協議しながらできるだけの協力をいたしてまいったことも御存じのとおりであろうと思います。私どもは、隣国のソ連が経済的に、いわゆる市場経済が導入されていく、そして経済が安定して発展をし、近隣諸国との交易が盛んになる、このことによってこの地域が安定することは日本政府の最も望むところでございます。  そういうことから考えますと、我々の考え方の中には、ソ連の経済が安定し、繁栄することについて重大な関心とこれを支援したいという気持ちはございますが、問題は、我々の二国間に一つ大きな問題が残っている。それは北方領土問題、この領土問題が解決をされるということになりますと日ソ間の関係は飛躍的に拡大するものと。そういう中で我々は、今回のゴルバチョフ大統領の訪日を機にこの領土問題の解決の突破口を開いていただいて、拡大均衡で日ソ関係を拡大していきたい、このように考えているということを明確に申し上げておきたいと思います。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 日ソ両方とも大いに国民が期待していることでございますから、ひとつ大いなる努力をお願いしたいと思います。  もう一度通産大臣にお伺いしたいんですが、湾岸紛争後、日本に最もふさわしい国際貢献の重要な柱として国際的な武器輸出規制の強化があると思うわけですが、他方、その実行というのは決してこれは容易ではないし、現に大臣が訪中の際の中国の対応も積極的ではなかったと承知しておるわけですが、中国とのやりとりの真偽と、通産省としての今後の対応について伺いたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 率直に委員にお答えいたします。  先般の訪中の際、李鵬総理との会談におきましては、貿易は拡大均衡でいくべきである、かといって武器輸出は縮小均衡でいくべきである、私の考え方も率直に申し延べた次第でございます。具体的には、国連への報告制度の確立というのは絶えず総理が言われていることでございまして、この方針もきちっと私は申し上げたつもりでございます。これは私は率直に申し上げますが、中国は大変に歓迎いたしまして、むしろそのとおりでいくべきだと。これは何も李鵬総理だけでなく、田副総理にいたしましても、あるいは外交部長にいたしましても同じ意見を述べておられました。  ただしかし、それには一つの考え方がございまして、先方は、基本的な考えは賛成であるということを前提としながら、核兵器の抑制というものが最重要であるという旨、及び日本の提案が超大国に向けたもの、例えば、超大国の名前こそあえてメンションはしませんでしたけれども、超大国に向けられるものであるならばありがたいことであるということもつけ足しておられたことも事実でございます。小国の自衛権の否定につながるような問題であるというならば、これは先方も消極的にならざるを得ない、こういう旨を述べたということでございまして、前段として申し上げたのは、あくまでも趣旨には賛成ということを打ち出しておることは否定しないということでございますから、その点は御了解のほどを願いたいと思う次第でございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 日中関係ですが、天安門事件の後も経済協力の再開を初め順調な進展を見せておるわけですが、我が国は中国の国際的な孤立化を回避して、中国が引き続き開放政策を推進し政治、経済の改革を促進するための国際的な環境づくりに努めるべきだと考えます。  先般の中国の全人代における李鵬首相の報告で、日本の一部に軍国主義を復活させようとする動きがあり警戒を要する、そういう旨の指摘があったと伝えられておるわけです。我が国は中国と国際社会のよきパイプ役になるべき立場にあると思うわけですが、平和憲法のもと専守防衛とシビリアンコントロールを貫徹して非核三原則等武器輸出禁止を厳守している我が国の姿勢を中国に絶えず伝達して、いわれなき誤解を解くよう政府は努めてもらいたい、こう思うわけですが、総理の御見解を伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本の基本的な外交政策を絶えずアジアの国々、特に具体御指摘になっておる中国に伝えて理解と相互認識を深めていくこと、この基本は私も全くそのとおりと思っておりますし、また私自身も、訪ねてこられる人民日報の編集長の方とか北京日報の社長さんとか中国のマスコミ関係の方、あるいは李鉄映副主席初め訪問される多くの人々に対して日本の外交政策の基本についてはそのときどきに必要に応じて話をしかけており、両者の間の認識は深まりつつあると信じておりますけれども、今後も機会をとらえて一層そういった考え方の徹底に努めてまいりたいと考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、子供の権利条約についてお伺いしますが、政府は児童の権利に関する条約に昨年九月署名されました。しかし、今国会でこの条約批准に向けての準備が進んでいないと言われています。児童の生存権にかかわる基本条約でありますので、ぜひ今国会で批准をすべきであると考えますが、まず総理の御所見を伺います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 子供のための権利というものを世界の国々が大切にしていこう、未来の地球を支える子供のためのいろいろな施策を講じていこう、私は大変結構なことだと思っておりますし、昨年子供のためのサミットに参加する前に日本はこれに署名もいたしましたし、ただいま批准をするために各省庁において全力を挙げて努力をしておるさなかでございます。できるだけ早い機会に批准に持ち込みたいと考えております。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。広中和歌子君。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 重ねて、具体的な作業、そして進捗状況をお伺いいたします。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  児童の権利条約の国会上程の日程に関する御質問と理解いたしますけれども、現在関係各省庁とともに、この条約に日本が入った場合の国内法との関係、その他関係する諸問題を検討中でございまして、先ほど総理が答弁申し上げましたとおり、私たちといたしましてはできるだけ早い時期に国会に上程申し上げたいというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 重ねて総理にお伺いいたします。  この会議で世界の子供たちの直面するさまざまな問題が指摘され、宣言、そして行動計画の指摘がなされたわけですけれども、総理はこの会議に御出席になって、どの問題が一番日本が取り組むべき問題だとお考えになったか、そのプライオリティーについてお伺いいたします。優先順位、重要課題でございます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) この会議では、事前に子供の生存と子供の保護と子供の発育をめぐっての問題に集約されまして、そして子供の発育という問題の分野を日本は担当して、その委員会の基調報告もせよということでございましたから、私はその会議においては主としてこの発育の問題について担当いたしますとともに、まさに識字率を高めていくということ、特に識字率が高まっていくということが子供のいろいろな基本的人権を保護していく上においても必要不可欠な問題であるという立場に立ちまして、識字信託基金の設置をして、特にアジアその他の最貧国の子どもたちの識字活動が一層重要なものであるという認識を深めていただくために、日本として積極的にイニシアチブをとっていこうと。なお、この基金に対しては平成二年度より具体的な拠出もいたしまして、その作業を進めておるところでございます。  基本的に一番大事なプライオリティーと言われれば、やはり生存だと思います。多くの子供たちが、統計によれば一日四万人という数字も報告されておるくらい飢餓によって亡くなっておるわけであります。私の担当した分野と離れてどの分野が一番基本かとおっしゃれば、私は飢餓から救うことである、こう考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 過去十年間に発展途上国と先進国、いわゆる南北の貧富の格差が増大しております。今総理も御指摘になりましたように、一日四万人の子供が栄養不良、飢餓その他劣悪な生活環境のために死亡しております。また、地球上の一億人の子供たちが小学校の教育すら受けられておりません。ですから、識字教育への取り組み、大変評価いたしますけれども、先ほど大蔵大臣は同僚委員の質問に対して子供の問題は非常に幅広く取り組む必要があるというふうに述べられましたが、保健、医療、識字教育、飢餓対策など草の根に行き渡るこうした運動、その援助をどのように取り組んでいかれるか。予算の面、ODAの配分ですね、それから方法、手段、どのように考えていらっしゃいますでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先生御質問の乳幼児救済等に関連する援助の方針に関してでございますが、我々といたしましては、直接この分野に関係するいわゆる保健、医療分野も含めましての基礎生活分野に対する援助というものを援助政策におきまして極めて重視いたしております。これが被援助国の国民の草の根レベルに仰せのとおり直接裨益するというふうに考えておりまして、この分野におきましては八九年の援助実績でも二国間援助全体の三〇%近くに既に達しておるわけでございます。  また、先ほどからの議論の、特に最貧国、後発開発途上国に対する援助というものも拡充それから一層の無償化ということに努めてまいっておりまして、八九年の援助実績で申しますと十六億一千万ドルというふうになっておりまして、主要援助国の中でも日本が最大でございます。中長期的な観点から被援助国の乳幼児を取り巻く生活環境の改善を図るためには、実際問題として一番大事なのは、貧困問題一般の解決と国民生活全般の向上、社会経済発展といった基本的な課題に取り組むことが大事であるというふうに考えておる次第でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ODAに占める我が国のユニセフの拠出金ですけれども、経済大国としてもっと貢献するべきではありませんか。一位のノルウェーが一一・六四ポイント、それに比べて日本は七位で〇・三七ポイントとなっております。  ユニセフはこうした貧困、保健対策などに取り組んでいる大変にまじめなすばらしい国際機関でございますけれども、拠金を大幅に引き上げるべきだと思いますが、外務大臣のお考えをお伺いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) ユニセフに対する拠金の量をもっとふやせという御指摘でございますが、私どもも、政府としてはユニセフを大変重要視いたしております。  なお、この機会に申し上げておきますけれども、我々の国は国連に対して約九千万ドルの分担金を毎年払うことにいたしております。そのほかに臨時の拠出金が実は三億ドルばかりございます。そういうことから考えてまいりますと日本は相当な金額を拠出しておりまして、私ども、外交を預かりながら世界中からいろんな拠出金の要請が来ておりますけれども、これをこれからどのような配分をしていくかということについては国家として外交をやる上で非常に重要な問題でございますが、もちろんユニセフも大事でございますので、十分留意しながら今後この国連関係の拠出を考えなければならないと考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 草の根に行き渡る援助として、こうした国連機関を利用することもございますけれども、NGOを通じてということがあると思います。日本政府はNGOをどのように評価していらっしゃいますか、お伺いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) NGOに関しましては、一昨年から補助制度をつくりまして毎年倍増の勢いでふやしております。しかし、もともとスタートが政府の資金に頼らないというのがNGOの原則でございますから、委員からお考えになりますと金額としてはそんなに多くなってはおらないと思いますけれども、たしか今年度の予算で二億八千――それじゃ詳しい数字は経済協力局長から報告をさせます。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) 補足させていただきますが、今の外務大臣の御答弁の中の補助金、これは事業単位で交付する補助金でございますが、平成二年度、昨年度の補助金額が二億二千、今御審議いただいている予算の中では二億八千ということになっております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 皆様、よその国では、例えばカナダとかアメリカではNGOにどのくらいODA、政府開発援助が使われているか御存じでいらっしゃいますでしょうか。カナダはたしか一六%と伺っておりますし、アメリカは一〇%でございます。日本のNGOは本当に一億、二億と非常に少ないわけです。  それでは、そのNGOですけれども、自分たちの力で勝手に活動できるかといいますと、NGOのほとんどが法人化しておりません。そして寄附についての税制上の恩典も受けられていない。こういうようなことで、NGOの法人認可をもっと容易にし、税制上の恩典を与えるべきではありませんか。大蔵大臣にお伺いいたします。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 税法上、特定公益法人というものがございまして寄附金について恩典が与えられているわけでございますけれども、経済協力を目的とする特定公益増進法人というのはかなりございまして、二、三例を挙げますと、アジア福祉教育財団でございますとか、日本ユニセフ協会でございますとか、国際厚生事業団でございますとか、国際湖沼環境委員会でございますとか、そのようなところが特定公益増進法人となっているわけでございます。  しかしながら、NGOの場合、そういう公益法人としてではなくて任意団体として活動したいというお考えのところが多いわけでございまして、公益法人とならない場合には、やはりこれは特別に税制上の配慮をするということでございますので、その公益性といいますか、使途でございますとか、その目的、運営組織でございますとか、経理でございますとか、相当と認められる業績を持続できるということでございますとか、あるいは受け入れた寄附金により役員等が特別の利益を受けないということでございますとか、そういうことにつきましての担保の点でいろいろ問題がございますので、公益法人に限り先ほど申しましたような制度がとられているわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、仕組みとして主税局長からお答え申しましたが、もう一つの問題点として、今委員から法人格を付与することについてもっと積極的であるべきだという御指摘がございました。これにつきましては、所管省庁は恐らく相当多岐にわたると存じますけれども、どういう実態が出てき得るのか、私どもとしても一度勉強はしてみたいと思います。  ただ、せっかくの御指摘の機会でありますから私の方からも一つつけ加えさせていただきたいと思いますのは、税務統計をもとにして一般論として申し上げますと、実は法人全体としては、一般の寄附金の損金算入限度額の利用割合が五割にも達しておりません。また、特定公益増進法人に対する寄附の損金算入限度額の利用割合は一割にも達しておらないという状況でございます。それだけに、やはり私どもといたしましては、税制上現在既にある制度そのものが活用されていない。それは企業の方にもいろいろな理由はあるかもしれませんけれども、もう少し社会全体として既にある制度が活用されるような状況になってほしい。率直にそういう気持ちを持っておることをこの機会に申し上げさせていただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 それでございましたら、もっと任意団体を財団扱いにしていただくような、そういう御努力をしていただきたいと思います。  ちなみに、アメリカでございますけれども、民間の寄附金で一千億ドル、財団関係が八十億ドル、企業七十億ドル、計千百五十億ドルでございまして、これは日本円に直しますと約十五兆円でございます。第二の政府と言われるぐらい大きな予算を持っております。  湾岸危機をきっかけにいたしまして、日本人にボランティアスピリットがあるのかどうか、そのような論議がされましたけれども、ボランティアスピリットがあっても、任意団体をつくってもなかなか財団の認可がなされず、したがって税控除がうけられる寄附を受け取るわけにはいかない、そのような政府の規制があるということを御認識していただきたいと思います。  それでは、日本のNGOに出すお金が非常に少ないのであれば、他国のNGOへもっと拠出するべきだと思いますけれども、外務大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我が国のNGOの団体に対して政府が補助金を出すということ自身、三年ほど前まではやっていなかったわけであります。しかし、外国においていろんな草の根の協力をやっておられるNGOの方々が相手国から大変大きな評価をされているということを政府としても十分認識をいたしまして、三年ぐらい前からこのNGOに対する補助制度というものをつくったわけでございますが、原則的に、NGOに金を出すということは政府が税金で出すのか、あるいは民間独自の意識の中でそのようなことを進めていくかということで、我々は現在のところ補助金を大幅にふやすという考えは実は持っておりません。  ただし、その方々が現実に外国でいろいろと仕事をされる中で効果があるようなことについてはできるだけお手伝いをしていくという考え方で予算を審議願っているようなことでございますが、外国のNGOに出すという考え方はまだございません。むしろ外国に出すなら日本のNGOの方々にもう少し資金を協力した方がその方々が活動しやすいのではないか、このような判断をいたしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 最後に、大蔵大臣、日本のNGOグループが任意団体としてよりもやはり財団格をいただきますと非常に信用され、寄附金も集まりやすい。政府から直接いただかなくても企業とかそのほか民間の方たちからいただきたい、そういうふうに思いましても、普通の任意団体というと非常に寄附が集まりにくいという現状があるわけでございます。その点について、もっと前向きに認可をする方向に大蔵省としては積極的に指導していただきたいとお願いする次第でございますが、最後に御意見をお伺いいたします。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変これは恥をさらすようでありますが、実は私が厚生省の政務次官をやめました直後ある社会福祉関係の方々から御依頼を受け、亡くなられました元東大総長の大河内先生たちとともに、その財団設立に一生懸命に動いたことがあります。ところが、実はこれが結果的に詐欺的な問題を起こしまして、その後始末に大河内先生と私は数年がかりで処置をする苦労をさせられたことがございました。それ以来、率直に申しますと私は、財団の認可等はやはり相当なきちんとしたチェックが必要だと、個人的な体験からそういう思いがございます。  ただ、今委員から御指摘がありました最初のお尋ねの際に私から主税局長の答弁につけ加えて申しましたように、認可についても勉強してみたいということを申し上げましたわけでありまして、やはりそれらの活動が本当にきちんと続いていくということ、そして自分の足で立っていけるだけのしっかりした運営がなされていること、そうしたことも十分見きわめながら考えていく必要があると思いますが、勉強するということは最初に申し上げたとおりであります。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、土地・住宅問題についてお伺いしたいと思います。  最近、大都市圏を中心に地価の値下がりが進んでいると言われておりますけれども、先般発表された地価公示価格によりますと依然として適正・安定にはほど遠い状況にあるように思いますが、平成三年のこの地価公示の概要の説明をお願いしたいと思います。

藤原良一国土庁土地局長

○政府委員(藤原良一君) 平成三年地価公示の結果から昨年一年間の地価の動向を見ますと、全般的には、昨年前半まではまだ上昇傾向が見られるところが多うございまして、特に三大圏の周辺地域等ではかなり高い上昇を示したところが多いわけでありますが、後半に入りますと多くの地域で地価の上昇は鈍化いたしまして、地域によっては下落傾向に転じているところが出始めております。昨年末に近づくに従ってこの傾向が強まっていることが認められます。  ただ、私どもといたしましては、地価は依然として強含みのところが多いわけでありますし、そういう意味では予断を許さない状況だと。また、国民の住宅取得等の観点から見ましても大都市圏等の地価は依然高過ぎる、そういうふうに認識しております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 総合土地政策推進要綱では、   地価については、土地の利用価値に相応した適正な水準まで引き下げることを目標とする。   特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。 と明記しておるわけですが、現在の地価水準をどの程度引き下げる必要があると国土庁長官は考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 先ほど局長もお答えを申し上げましたように、現在の地価の水準は特に東京圏を中心に異常に高いものと、こういう認識をいたしておるわけであります。去る一月二十五日に閣議決定をいたしました総合土地政策推進要綱におきましても、土地政策の一つの目標といたしまして、利用価値に相応した適正な水準まで地価を引き下げていくということを最大の目標として今取り組んでおるところでございます。特に住宅地におきましては、中堅勤労者が相応の負担、すなわち平均年収の五倍程度で一定水準の住宅を確保できるようなところまで持っていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。  ここで、現在の水準でございますけれども、やはり東京圏域におきまして大体七・五倍ないし八倍という高い水準にあるものでございますから、これを五倍程度に下げていくということでございます。これを定量的に何割下げるということは申し上げにくいのでございますけれども、そこらで御判断をいただきたい、このように思います。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 今回の地価の高騰をもたらした最大の要因というのは金融機関の過剰な不動産融資だと、こう言われておるわけですが、このために大蔵省は、六十一年四月以降再三にわたって金融機関に対しまして投機的土地取引等にかかわる融資を自粛するよう要請するとともに、六十二年七月から特別ヒアリングを実施するなど融資規制を強化された。さらに昨年三月から総量規制も導入したわけですが、どの程度の効果が出ているのか、大蔵大臣に伺いたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) ただいま委員から御紹介がございましたように、大蔵省といたしましてはかねてから、土地関連融資につきまして通達の発出、特別ヒアリングの実施などを通じまして、投機的な土地取引に係る融資を厳に排除すべく指導をしてまいりました。さらに、昨年三月、一歩踏み込んだ措置といたしましていわゆる総量規制を導入いたしました。  この結果、全国銀行の不動産業向け貸出残高の前年比伸び率を見まして一つ効果を御説明申し上げたいのでございますが、総量規制導入前の平成二年三月末には一五・三%の伸び率でございました。これが一番新しいデータで、本年一月末には二・〇%へと急速に低下をしております。このようなところからも、金融全般の引き締まり基調などとも相まちまして効果は着実に浸透しつつあるものと考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 若干効果が上がっているようでございますが、まだまだ十分ではないのではないかと、こう思います。したがいまして、さらに生損保会社の不動産取得の規制強化、ノンバンクに対する総量規制の実施を行う必要があると考えますが、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。

竹内克伸大蔵省銀行局保険部長

○政府委員(竹内克伸君) 保険会社につきまして御説明を申し上げます。  御案内のように、保険会社は将来の年金保険の支払いに充てるために保険料を超長期のお金としてお預かりしてございます。最近では百三十兆弱というような金額になっておりますが、それを運用しております債券でありますとか貸し付けでございますとか株でございますとか、そういうところが主流でございますが、不動産に対する投資もございます。  全体の中では五、六%のシェアでございますが、その性格上、超長期の資産運用でございますので短期保有という目的、性格まではないということで、投機的な取引にというような性格のものではあるべきでないし、またないというふうにも考えておりますが、ただ不動産取得に当たりまして、地元のプロジェクトとの調和でございますとか地元との話し合いでございますとか、そういうことも十分気をつけなくてはいけませんし、いわんや土地の高騰につながるようなことであってはいかぬというふうに考えております。  そういう考え方から、従来から年間の計画を求める、あるいは一定金額以上のものにつきましては個別に価格その他取引の内容について私どもでもチェックするというような指導をしてまいりましたが、先ほどお話しございましたような融資の抑制と同じタイミングで、昨年の四月から、原則として総資産の伸びの範囲内に抑えるようにということで指導してきてございます。その後の動きでございますと、総資産の伸びを下回る推移をたどっております。  今後とも御指摘のような点に十分注意して、地価の高騰に万が一にも結びつくことがないように適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今二点お尋ねのありましたうちの一点、ノンバンクについて私から申し上げますと、これは今委員から金融機関に準じた総量規制といった御指摘もありましたが、こうした直接的な規制は実は現行の貸金業規制法のもとで困難であることは御承知のとおりであります。しかし、資金供給者であります金融機関を経由する間接的な方法で、可能な限りこれまでも適正化に努めてまいりました。今後、ノンバンクに対して直接的な指導を行いますために、貸金業規制法の法的整備を行うことの適否についても検討したいと考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、土地利用計画の充実についてでございますけれども、土地利用計画さえしっかりしていれば地価高騰は防げたと多くの専門家が指摘しておるわけですが、したがいまして、再び地価高騰を繰り返さないためにも都市計画等を見直す必要がある。そこで、建設大臣としては、土地利用規制のあり方等については基本的にどうあるのが望ましいと考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) 土地基本法の中に土地の理念を定めておりますが、土地は公共の福祉を優先する、またもう一つの柱は、地域に応じた土地の利用をする。特に土地の有効利用はこの問題におきましては極めて大事なものと認識をいたしております。  都市計画法が施行されましてから既に二十年以上経過しておるわけでありますが、その間に内容の拡充や改善もしてまいりましたけれども、長い木造住宅中心の歴史から耐火建築中心に変わりました大都市の建築制度につきましてはもろもろの問題がございます。  実は、一月の二十三日に都市計画中央審議会にその制度の今日の経済社会の変動に対してどうあるべきかを諮問いたしておりまして、その一つの柱としては、適正な用途規制をどうするか、例えば現行法制で八種類の用途地域が決められておりますが、準工業の地域でマンションが建てられたり、あるいは住居地域には業務施設の建物が商業系を初め建てられるというような状況で、これらをもう少し細分化して規制をする方がいいのか、ともかく土地を有効に使うための制度を見直してみたい。  またもう一つは、土地の有効高度利用につきましても、従来、地区計画制度や再開発計画制度あるいは総合設計制度等いろいろな手法があるわけでありますが、いかにしたら本当に有効に供給できるかというようなことを諮問いたしまして、抜本的な対策を立てまして地価のためにも頑張ってまいりたい、このように考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 次に、首都機能移転問題について伺いたいと思いますが、行政機関の移転等についてはたびたび御決定されたわけですが、実際に移転を完了した機関はわずか税関研修所と宇宙科学研究所の二機関と聞いておりますけれども、この辺、現状はどうなっておるか。また、佐藤前国土庁長官は昨年三月、今後五年をめどにすべての行政機関の移転を具体化する、こう発言されたわけですが、その方針は西田国土庁長官も受け継いでいくのかどうか、伺いたいと思います。

斎藤衛国土庁大都市圏整備局長

○政府委員(斎藤衛君) 国の行政機関の移転についてでございますが、平成元年の八月に、移転対象機関の七十九、十一部隊等がございますが、新築、移転間もない三機関を除きまして、その移転先地等は取り決められました。もうこれは先生御案内のとおりでございます。  その後でございますが、昨年三月の末に開かれました土地対策閣僚会議の席上におきまして当時の国土庁長官から、土地対策担当大臣という立場でございますが、各大臣に対しまして、おおむね五年を目標に移転が具体化するようにしていただきたい、こういうことを要請してきたところでございます。  それから、現実の方でございますが、先生のお話にございましたように、昨年の十月二十五日には国の機関等移転推進連絡会議を開催いたしまして、各省庁間でこの移転の円滑な推進ということにつきまして確認を行ったところでございますし、それから税関研修所、宇宙科学研究所、この二機関につきましてはお話しのとおり移転は既に完了しておりますが、私どもといたしましては、着実に移転の準備が進んでいるというふうに解釈しております。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 私に対して、佐藤前長官の考え方やお約束を引き継いでいくのかということでございますが、引き継いで一生懸命やってまいります。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 首都機能の移転問題について、昨年の一月に国土庁長官の私的懇談会として首都機能移転問題に関する懇談会が設置され、また十二月には政府部内に首都機能移転問題を考える有識者会議も設置されたわけですが、今日までの検討状況、それぞれ何回開催したのか、また今後どのようなスケジュールで意見、提言を取りまとめる方針なのか、伺いたいと思います。

斎藤衛国土庁大都市圏整備局長

○政府委員(斎藤衛君) 国土庁の長官のもとに懇談会が開かれております。昨年の一月から御指摘のとおり開催をされまして、今日まで七回の会合が持たれております。  そこで行われました主たる内容は、今日までにいろいろな遷都論等を御主張なさいました先生方がたくさんおいででございます。先生もすばらしい「二〇〇X年遷都の日」という御著書がございますけれども、同じようにすばらしい御提言をしていただきました方々にゲストスピーカーという形でおいでをいただきまして、その御自説につきましていろいろ御説明をちょうだいし委員の方々と検討を重ねてきたというのがまず今まででございます。  今後、昨年十一月の国会の決議もございますので、さらに問題点を少し集約した、掘り下げた議論をしていこうということで、長官の指示のもとで今作業が鋭意取り組まれているところでございます。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 長官、大体めどとして何年ぐらいとかいうふうに言えますか。

斎藤衛国土庁大都市圏整備局長

○政府委員(斎藤衛君) この懇談会発足のときに、大体二年ないし三年ということで委員の先生方にもお願いをし発足してまいりました。国会の決議というその後の状況もございますが、一つはそのあたりが目標になろうかというふうに思っております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 私も、先ほど言ったように六十二年に土地特委をやりまして、その間、一極集中をどうするか、多極分散をどうするか等々いろいろ勉強させていただいたわけでございますが、そういう中で国土利用計画もいろいろやったわけでございますけれども、最終的にはどうしてもこれはもう遷都しかないなというのが私の結論でございました。  私は、遷都というのはいろいろな効果があるのじゃないか、経済構造転換のこれは決め手の一つになるのじゃないかと思っております。遷都というのは首都機能移転でございますが、規模とか継続性といった面でもこれは絶好の投資先になる。また、例えば規模によりますけれども、遷都を本格的にやると、総額では十数兆円、何十兆円ですかね、というお金がかかるわけですが、これは予想以上の乗数効果を生みますし、日本経済全体にいろいろ波及していく。ちょうど東京オリンピックとか大阪の万国博のときみたいな形でこういうのが十年ぐらい続くんじゃないか。  そういう新首都が建設される波及効果というのは多くのものが期待できまして、東京を経済の中心地とし新首都を政治の中心地とした場合、東京と新首都とを結ぶ交通、情報、通信網の整備も同時に行われますし、また全国的な新交通システムあるいは通信システムの再構築にもつながることはこれは間違いないと思うんです。これによりまして日本は、経済、情報、国際政治、産業、文化、国民生活などの面で、世界から魅力的で本当に頼りがいのある国と映るような国土に生まれ変わることができるのではないか、地方の活性化についてもこれは大きなエンジン役を果たすのではないか、このように思っておるわけでございます。私は、新しい魅力ある新首都づくりのために意欲的な形で、二十一世紀に対してもっとロマンを持った大政策として政府はこれに取り組むべきではないか、このように考えております。  そこで、最後に総理にお伺いするわけですが、昨年の十一月七日、国会開設百年を機に、衆参両院におきまして国会等の移転に関する決議が超党派で行われたわけでございますが、国会の首都圏外への移転を含め、総理の首都機能移転に取り組む決意を最後に伺いまして、質問を終わります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) まさに委員御指摘のとおりに、二十一世紀のロマンを求めて首都機能を移転する。また、国会は率先して、政府に対してもそれにとって大きな節目になる国会、政府機能移転の決議もしていただきました。  政府はこれを真剣に受けとめまして、同時に、東京一極集中を除去して日本の国土の有効利用のためにもこの国会の移転は大切なテーマの一つでありますので、内閣にも懇談会をつくりまして国民的合意をさらに得ていくために、これはおおむね三年間ぐらいをめどに各界の代表の方に集まっていただいて鋭意御議論を賜ることにし、第一回会合は既に昨年末行いましたけれども、近くまた第二回も開いて引き続いて努力をしていきたいと考えております。

片上公人公明党・国民会議

○片上公人君 ありがとうございました。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で片上君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。細谷昭雄君。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 総理はきょうの総括質疑が終わり次第渡米いたしまして、そして日米首脳会談に臨むということになりますけれども、ブッシュ大統領との会談のテーマについてお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 首脳会談で話し合おうと私が考えておりますことであります。これはブッシュ大統領と事前にすり合わせをやって決めたわけではございませんけれども、私が話そうと思っておりますことは、日米の二国間関係というのは極めて重要な関係でございますから、いろいろな節目節目にそれぞれのあらゆるレベルで間断のない対話を続けることが大切である、こう思っております。  当面、二国間では、昨年解決をいたしました構造協議の最終報告書のフォローアップについて今いろいろな問題を努力しているさなかでございます。また、あのときの約束事に基づいて国会に対して法案等もただいま数本出してお願いしておるさなかでございますから、そういったような問題、あるいはこの間うち世界の注目を集めました中東の問題について、長い目で見れば将来の恒久和平について、それから緊急でいけばあの地域の環境汚染の問題をどうするかとか、いろいろな当面のテーマがあろうと思います。さらにはまた、当然日本としてはアジア・太平洋地域というものの平和と安定のためにこんな問題があってこういうふうに日本はやろうとしておるんだということについても相互で共通の理解を得ておく必要があると思いますから、そういったこと等もテーマになっていくであろう、こう思っております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 ただいまのテーマの中で念を押して聞きたいと思うのですけれども、特に戦後処理の問題で、何回か総理は各委員の質問に答えて明確に答弁はしておりますが、九十億ドルの問題でございます。ドル建てか円建てかという議論の中で、明確にこれは円建てでありますと、しかも使用目的についても明確に答弁をしておるわけであります。しかし、新聞等で報道されます限りは、いわゆる九十億ドルをドル建てで払えという非常に強い要求があるというように伝えられております。これに対して明確に私自身は確認をとりたいというふうに思いますので、渡米を前にしまして、この九十億ドルは今までどおりの答弁でいいのかどうか、この点を再確認したいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) その点に関しましては、今までここでも何回も申し上げましたとおり、あるがままの姿を率直に説明をして理解を求めてくるつもりでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 次に、構造協議の中で大変重要な部門を占めておると言われております今後のウルグアイ・ラウンド、そしてその中での特に農業問題、集約しますと米問題でございますが、この米問題はその中に入っておりますかどうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 構造協議の中で、SIIと俗に言われておるもの、それについての中に入っておるものとは受けとめておりません。これはガットのウルグアイ・ラウンドというのが別にずっと交渉が続いておりまして、そこで御承知のとおり十五分野についてのいろいろな協議が行われておりますが、その中の農業分野の中にいわゆる米の問題も入っておるものだと、こういう受けとめでございます。  米問題はガット・ウルグアイ・ラウンドの場において今いろいろ交渉が続いておるところでありますから、我が国の基本的な立場を踏まえて、共通の認識を得られるようにウルグアイ・ラウンドの場で協議されるべきものである、このように認識をいたしております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 今回はもう総理としてはその問題は触れないというふうなつもりで出発しますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ウルグアイ・ラウンド全体の問題は、私は、日本が今日こういう立場にありますのも多角的な自由貿易の安定した仕組みの中での恩恵を受けて伸びてきているわけですから、むしろ管理貿易とか保護貿易的な動きに対しては、これは断固として阻止していかなければならない。また、このことは前回のパームスプリングズにおける日米首脳会談でも合意をしておることでありますから、全体的な視野でガット・ウルグアイ・ラウンド、自由貿易体制を守っていくための問題ということについてはテーマが出てくると思いますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの一項目の米についてウルグアイ・ラウンドにかわって二国間でこちらから取り上げていくという、そういう次元の問題ではないと私は思っておりますから、大きな次元でのウルグアイ・ラウンド全体のテーマがあるいは話題になったときには、私は考えておることを率直に説明してこようと思っております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 非常に執拗なアメリカ当局の米自由化要求、これは新聞その他で報道されておるわけであります。これをめぐりまして自民党の首脳部の中でも、ああいう柔軟姿勢に変わるべきだというふうな議論もあるやに聞いておるわけであります。したがって、総理は、もしもこういうふうに会談の中で要求された場合、今お話しがあるとおり私の考えを申し述べるつもりだというふうに言われますが、具体的に米の自由化要求に対します総理の基本的な考え方、これを私は確認を求めたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先般、超党派で官邸までおいでをいただいて先生方の御意見を承りましたときにも、私は、今申し上げましたとおり、米の問題につきましては我が国の置かれておる現状と、やはり日本というのが食糧の最大の輸入国になっておるわけでありまして、アメリカから八十二億ドルの輸入、これは全アメリカの農産物輸出の二割となっておりますし、また日本はそのためにカロリーベースの自給率も、一%でしたが最近下がっておるということ等もございます。食糧の安全保障という立場に立ってもいろいろ重要な立場が日本にはございます。  アメリカにはウエーバー条項、ECには可変課徴金、日本にはお米の問題、いろいろそれぞれの国が困難な問題を抱え、それぞれの国の原則を踏まえながら、しかしこれは成功させようというので今相互に話し合いを進めておるのがガット・ウルグアイ・ラウンドの場でありまして、その場でも私は国内産で自給していくんだという原則を踏まえて日本の立場を主張し、共通の認識を得るようにということを関係各省にも指示をしておるところでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 ぜひひとつ堅持をしていただきたいということを強く御要望申し上げたいと思います。  次に、三月十八日付のニューヨーク・タイムズに、例の幕張メッセのアメリカ米の展示物、これの撤去をめぐりまして報道されておる記事が載っておりますけれども、通産大臣にお伺いしますが、確認しておりますか。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 伺ってはおります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 この報道された中身の問題ですね、その記事の真偽のほど、それからそれに対してどう対処したのかということをお伺いしたいと思います。

畠山襄通商産業省通商政策局長

○政府委員(畠山襄君) お答え申し上げます。  御指摘のは三月十八日のニューヨーク・タイムズだと思いますけれども、通産省にお聞きいただきます理由は、前段のところは別として、後段の方で私が外人の記者にコメントをしたことが載っておることとの関連でお尋ねだと思いますので、当該部分についてお答え申し上げます。  まず、これは私が申し上げたことの一部を伝えているわけでございます。ちなみに、何と書いてありますかといいますと、そのニューヨーク・タイムズの記事は、通商政策局長が米の展示問題を無視した方が賢明であるということを示唆したと。それで具体的には、ここから先はクォーテーション入りでございますけれども、国家安全保障に危険でもないものをもし除くとすればいかがなものかなということを言ったと、こういうふうに出ております。  そこで、まず前段の具体的な件について、私その時点では、これは三月十五日にやった記者会見でございまして撤去の申し入れはその後知ったのでございます。三月十四日でございましたから、その時点で私は存じておりませんでした。それで、急な質問であったわけでございますが、したがって一般論として、食管法とかそういう法律の問題は別にして一般論として申し上げれば、国家安全保障に害にならないものを展示したからといってそれを除くというのはいかがなものですかねと。しかし、本件については、それは存じませんでしたので、本件についてはコメントをいたしませんと、差し控えたいと思いますと、そういうことを述べたわけでございまして、無論お米の自由化を賛成とか、ましてこの展示撤去事件自体、それを、展示自体を無視した方がいいとか、これは示唆したなどと書いてありますけれども、そういうことを示唆したことは全くございません。  申し上げたことは以上でございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 通産大臣にお聞きしたいと思うんですが、通産省はえてして米の、米ばかりではありません、過去においてこういう農畜産物の自由化問題に対しまして、例えば古くは矢野局長、そして近くは武藤前大臣、もう何度か予算委員会ないしは国会等で追及をされておるわけであります。これは今畠山局長からお話がありましたが、真意は私はそういうつもりじゃない、こう言っているけれども、これはもうアメリカだってそれをとらえまして自分たちに有利にやろうと、そういう意図が当然働くわけであります。つまり油断があるということなんです。そういう点について、これは今まで通産省というのはそういう、この問題に関する限りは大変向こうに利用されてきているということだと思います。非常に私たちは苦々しく思っているわけです。  大臣は部内というものをこの点でどういうふうに統率するのか。そしてあわせて、大臣がこの米の自由化に対してどういうふうな見解を持っておるのか。閣僚でありますので、その点、明確にお答え願いたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 委員に率直にお答えさせていただきます。  まず第一に、私は長い間、自民党の米の小委員長を六年ぐらいやっておりました。現在でも自民党の中で総合農政調査会の最高顧問といいますか、この間不幸にもお亡くなりになりました丹羽兵助先生と私が顧問でございましたが、今一人顧問になったわけでございます。その点についての重要性に対しましては、国会審議を重んずる点におきましては全く委員と軌を一にし、考えを同じゅうするものでございます。  畠山局長の場合におきましては、私は親しく、特にウルグアイ・ラウンドの先端を切ってやっておる、これはもう率直に言いましてごくまじめな局長で、私の最も信頼する局長でございます。そういう意味におきましては、先ほどの局長の発言は、まず第一に、法律上いかなる問題があるかは別といたしましてあくまでも一般論を述べたわけでございまして、私も英文のものもちょっと読んでみましたけれども、あくまでも幕張メッセの米の展示についてコメントしたものではなくて、ましてや米の問題そのものに言及したものではありませんということだけははっきりこの際申し上げておきたいと思います。  そういう意味で、三月十五日でございますか、外人記者のブリーフィングの際の発言の一部を引用したものでございまして、法律論から離れて一般論として、国家の安全保障に害をもたらさないようなものについて撤去を求められるようなことがあるとするならばそれはおかしいものだと思うが、それは発言は差し控えたいということをはっきり申し上げておるわけでございます。  さて、そこで私自身の対応の仕方はどうか、こういうことでございますが、私自身は、これは先ほど申し上げましたように、総理以下私ども閣議で一致している点、また国会全体で決めました国会のその方向、すなわち国会で決められた方向で私どもは考えていくことに一貫しておるわけでございまして、これは私の言葉の中に寸分のすき間風が吹くわけではございません。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 ただ、さっき言いましたように、過去において通産省の中ではとかくそういう物議を醸すという雰囲気があることは事実なんです。したがって、今まで以上に大臣が部内のそういう発言に対しては慎重な態度をとられるように強く要望しておきたいと思います。  この問題は法務大臣だと思うんですが、法務大臣か外務大臣かわかりませんが、問題はこの日本の法律、この場合は食管法でございますが、この食管法を何といいますか全く無視するような、新聞にこういうでかでかと、例えばブッシュ大統領が遺憾の意を表明したとか、ないしは近藤農水大臣に米農務長官が抗議文を出すとか、こんなことが堂々とやられておる。これはもうまさに主権の何というか侵害じゃないのかというように思うんですが、この点について政府の見解を承りたいと思います。

柳井俊二外務省条約局長

○政府委員(柳井俊二君) 私の方から、国際法の問題といたしまして主権の侵害かどうか、主権の侵害とは何かという点につきましてお答え申し上げます。  主権の侵害という問題につきましては過去いろいろな例で御議論のあったところでございますけれども、一般的に申しますと、ある国家ないしその機関が、主権国家である他国の領域内におきましてその他国の同意なくして公権力の行使と呼ばれるような行為を行うということは認められていないわけでございます。この点、御案内のとおりでございます。したがいまして、仮にそのような行為が他国の同意なくして現実に行われるということになりますれば、これは主権の侵害ということになるわけでございます。  その場合、いわゆる公権力の行使というものは何かということでございますけれども、一般的に申しまして、ある国家機関が法令に定める権限に基づきまして行う命令的、強制的ないし権力的な性格を持つ職務行為であるというふうに考えられておるわけでございます。したがいまして、通商問題等につきましていろいろコメントをする、あるいは要請をする、そのような場合に間々激しいやりとりがあることもございますけれども、ただいま申し上げたような意味で、いわゆる公権力の行使を他国の同意なくしてその国の領域内で行ったという性格のものではないわけでございますので、ただいま御指摘のような問題は、まあそのいろいろな表現の適否というようなことはあるかもしれませんけれども、国際法の観点から見た主権の侵害というものには当たらないというふうに考えます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 百歩譲って、この公権力とか今の主権の侵害に当たらないとしても、これは明らかに我々からしますと不愉快だし、もう内政干渉というふうにとらざるを得ないわけです。しかも、約束を破ったということが一つでしょう。そしてさらに、撤去しなさいと言ったのに対して自分の国内法を持ってきまして、これは我々が弁護士と相談をしてやっているんだと言って結局最後まで、もう終わる寸前まで粘っている。立場を変えて、もし日本がアメリカに行ってアメリカの国法を犯してやったとすればどういう気がしますか。もう土足で我が国の主権を踏みにじるような、そういうことはまさに不愉快。これはもうはっきり、日本の国会の中でもそういうことは不愉快に思っているということをはっきり外務大臣からでも教えるべきだと思うんですよ。まことに不都合だと思うんです。  私は外務大臣に、内政干渉というのは一体何なのか、その点でお聞きしたいと思います。

柳井俊二外務省条約局長

○政府委員(柳井俊二君) 後ほど大臣から御答弁があると思いますが、内政干渉の概念につきまして私の方から簡単にお答え申し上げたいと思います。  国際法上の概念といたしましてのいわゆる干渉、あるいは内政干渉ともよく申しますが、と申しますものは、いろいろ概念規定の仕方はあると存じますけれども、一般的に申しますと、現状の維持または変更を目的といたしまして、国際法上他の国家が自由に処理し得るとされている事項に立ち入りまして強制的にその国の意思を自国の意思に従わせようとすることであるというふうに考えられております。この干渉の定義につきましては、今までも別な問題についてでございますけれども、国会の場において政府より答弁したことが幾度かございます。  いずれにいたしましても、具体的な行為がこのような干渉に当たるかどうかという点は、もとよりケース・バイ・ケースで判断すべき問題であると思います。いわゆる主権侵害の場合と同様でございますけれども、やはりこの概念につきましても、そのある国家による強制というような概念が入っておりますので、単なる抗議書簡を出すとかあるいは通商上の問題でいろいろやりとりをするというものは、いわゆる国際法上の内政干渉に当たるというものではないだろうというふうに考えます。  ただ、もとより、先ほど先生より御指摘のございましたような感情的な受け取り方がどうかというような問題は、これはまた別な問題でございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) この幕張メッセの問題につきましては、日本国には食糧管理法という法律が現存をしている。そういうものの中で、この食品展示をする際にいわゆるその展示に関する誓約書に署名をした人がおるわけでありますから、その規約に違反しているということは好ましいことではない、こういうことで私はアマコスト大使とお目にかかりまして、日本の法律、それからその現場の姿、こういうものを逐一説明をし、アメリカ政府に対して日本の、私の意思というものを明確に伝えてもらいたいということを申し上げました。  なお、その際、農産物に関する各国の多国間の貿易に関する協議はガット・ウルグアイ・ラウンドで行っていくという日本の考え方であるということも申しておりまして、その点もアマコスト大使はよく理解をしたということでございました。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 外務大臣に特にお尋ねして要望したいと思うんですが、どうもやっぱり私たち日本の外交に対して不満を持っているというのは、だめなものはだめ、いいものはいいということをきちっとしないところに我々非常にいら立ちがあるわけです。したがって、今回の問題についてもけじめというものをぴしゃっとつけるべきだというように思うんですが、特に外務大臣はこれからウルグアイ・ラウンドの交渉に当たるということになりますので、この米の自由化に対する基本的な考え方、これを私は確認したいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 米及び稲作等の重要性にかんがみまして、このような食糧は国内産で自給するという方針で、国会の御決議を尊重して交渉に当たってまいる考えであります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 農水大臣にお聞きしますが、マディガン農務長官が抗議書簡を出された、これに大臣は返書を出したというふうに伝えられております。その返書の内容ですね、どんな反論をされ、どういう主張をされたのか。これを明らかにしてもらいたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) マディガン農務長官から来た手紙の要点は、私の発言で、出展をした業者を逮捕するというようなことで侮辱をされたという点が一点であります。もう一点は、日本の自動車、電気製品をアメリカの農民は大変たくさん使っている、私の家庭でも使っておるという紹介が実はございました。にもかかわらず日本の農産物は規制が多くて極めて閉鎖的であるという、大体三点の要旨に分かれるようでありました。  発言問題については、私から詳細に経過の説明文を返書として送りましたし、なお、両部長を派遣いたしますので内容についてはお聞きをいただきたいということで紹介をいたしておきました。  もう一点の農産物の規制の問題については、具体的に、アメリカの輸出の二〇%が日本に入っておる、日本の輸入農産物はアメリカから四〇%弱輸入をされておる、規制どころではなくて開放的であると、こういうことで返書を出させていただきました。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 さらに、今お話がありましたとおり農水省の幹部を先方に派遣したと。これに対して向こうがどういう反応をし、どういう理解を示したか、この点も明らかにしていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 在米の日本大使と主要なところには同行して一緒に内容の説明と経過の説明をさせていただきましたし、なおまた、時間の許す限り農務省あるいはアメリカの国会の関係者にもるる説明をさせていただいたわけであります。  なお、具体的な輸入品目について、数量、金額等も詳細に書面をもって向こうに説明をさせていただいたわけでありますから、ある意味では、幕張メッセのことについては反論はございませんでしたので理解をしていただいた、こう思うわけであります。  農産物の自由化、輸入されている品目、数量についても、こんなに買っておるかというようなことで理解を深めていただいた関係者もたくさんおられるようでありまして、このことは別としても、日本の開放的であるということがある程度の人が理解を深めていただいたということで大変効果があったと、そう判断をいたしております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 三月六日の朝日新聞によりますと、こういうふうになっているんですね。農水省は米国の強圧をかわすために、新ウエーバー条項と代償基金制度、これをセットにして行き詰まっております食糧安保論の見直しをするというふうに考えておるという報道がなされておりますが、この記事の真偽のほどを農水大臣にお伺いしたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 記事の真偽については正確に私が答弁はできませんけれども、農林水産省においてはそういうことを話し合いをしたことも全くございませんし、またこの問題の対処方針については、私が入らないところでいやしくも相談をしたり検討するようなことはしないように、誤解を招く発生源になりますので、そのことは厳しく指示をいたしておるところであります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 わかりました。  ところが、その次に今度もまた出ているんですね。これは三月十四日の日本経済新聞、これによりますと、政府・自民党のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉に向けて対処方針、こういうのを作成した。しかも、御丁寧に対処方針の全文が載っておるわけであります。これは私たち大変重要な問題だと思うんです。  それはなぜかというと、一部の自由化、これはもうあきらめまして、サミットに向けましてそういう今言いました食糧安保論の見直しを含めて一部米の自由化というふうに踏み切るような準備体制に入ったのではないか、こんなふうに思うわけでありますが、これについて、この経緯を明確に報告願いたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 先ほども御答弁申し上げましたように、農林水産省内でこういうものに対して討議もしておりませんし、まだ対処方針も、具体的なものを考えて相談をしておることも全くございません。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 総理にお聞きしますけれども、渡米で総理が今度は何をお土産に持ってくるのかということを皆さん心配しておるわけですよ。持ってきたお土産が大変に重かったり、それから我々が払えそうもないような代償を要求されるということがあるんじゃないかというふうに大変心配しているわけでありますので、再度、もうだめなものはだめだということをぴしゃっとやるという決意をお伺いしたいと思うんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 首脳会談に臨む私の基本的な考え方、テーマの幅その他については先ほどここで申し上げたとおりでありまして、あれ以外のものは何もございません。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 それを期待しております。  日本農業にとって米の自由化というのは非常に重要だということは、もう総理が何回かここでも述べられております。これはなぜ大事なのかといいますと、まず日本農業にとって米の自由化というのは、これは即農家の廃業にとどまらず、地域の崩壊、その地域の崩壊するということによって日本の国土の崩壊につながっていくという点で、基本的な食糧という点ばかりでなくて大変重要だというふうに押さえながら、国会でも決議をし、しかも閣議でもそういうふうな方向で進んでおるわけであります。  米を基礎食糧として国内自給を国是にするという、総理はこの方針には何としても変わりがないということを、もう大変念を押すようではございますが、再度確認をしたいと思うわけであります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) お米の持っておる日本の基礎的食糧の役割の面、同時に、日本の長い間の文化とか自然環境とかといったようなものに果たしてきた農業の持ってきた役割、同時に、日本の国土が調和のとれたバランスのあるものとして発展していくために農村地帯が果たしてこられた役割というようなもの等、すべて総合的に包括的に判断しながら、基礎的食糧は自給の原則であるという原則を私は堅持しております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 このように総理が明確に答えておりますので閣内の不統一ということはないと思うんですけれども、ただいま総理なり通産大臣、外務大臣に米の自由化に対する見解をお聞きしました。以下、私は全部の閣僚と思いましたが、時間の関係で、次の方々にひとつ自分の職掌に関連してお答え願いたいと思うんです。  大蔵大臣、経済企画庁長官、文部大臣、自治大臣、国土庁長官、環境庁長官、そして最後に内閣を取りまとめる官房長官の決意、以上お願いします。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 我が国として今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処しておるところでありまして、財政当局としてもその交渉の推移を見守ってまいりたいと考えております。

越智通雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(越智通雄君) 基本的には総理のお考えと全く同じでございまして、私どものつくりました「世界とともに生きる日本」におきましても、「今後とも国内自給を基本とする。」と明言してございます。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) 先ほど総理が御答弁なさいましたので、もう私も全くそのとおりでありますから、御理解いただきたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  総理と全く同じであります。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 国土行政の観点から、やはり均衡ある国土を発展させていくという重大な使命があると考えております。そのためには、農山漁村の活性化ということがございますし、自然の保護ということがございます。あらゆる面からこの米農業というものが大変大事なものだ、このように考えておるわけでございます。  そこで、米自由化の問題につきましては、総理を初め各閣僚からおっしゃったことと全く考え方は変わりはございません。

愛知和男自由民主党環境庁長官

○国務大臣(愛知和男君) 総理と全く同じ見解でございます。  なお、環境保全という点から農業が大変重要な役割を果たしている、このように認識をいたしております。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 先ほど来総理から明確に幾たびも御答弁を申し上げているとおりでありまして、この総理の趣旨を体して、閣内の乱れることのいささかもないように努力をしてまいります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 まあ勤務評定しますと、国土庁長官が一番しっかりしている。文部大臣、もう一度再答弁願います。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) 私は、全く総理が言われたとおりでありまして、ただ学校教育の面におきましては、農業が我が国の重要な産業である、こういう認識のもとに、小中高等学校を通じて社会科を中心に農業への関心と理解を得させるように指導することといたしております。  ちなみに、今小学校五年生の社会科の本、ここに持ってまいっておりますが、よく後でごらんになってください。ほとんど農業のお米のことについてよく書いてあります。  以上であります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 次に、アメリカは日本へ米の自由化というのを執拗に迫っておるわけでありますが、先ほどから御答弁がありましたとおり、我が国は世界最大の輸入国、しかもお得意先もアメリカということでございます。  お伺いしますけれども、米国の農産物、特に穀物について、現状と、将来にわたって日本人の胃袋を任せることができるような状況にあるのかどうか、これをひとつ説明願いたいと思います。

川合淳二農林水産省経済局長

○政府委員(川合淳二君) アメリカの農業につきまして御説明申し上げます。  最近におきましては、八〇年代に入りましてかなり順調な増加基調でございました。しかしながら、八八年に北米地域全体での干ばつがございまして大幅な減産となりました。この影響で世界的に逼迫いたしましたけれども、八九年、九〇年、それからことしの見通しを見ておりますと、かなり順調に回復し、さらに増産が予想されている状況にございます。アメリカにおきましては現在作付制限が行われておりますし、また土壌保全計画、これは土壌浸食を起こしやすい既耕地を草地とか林地等に転換する計画なども進め、持続的な農業というような考え方も昨今入ってきておりました。こうした中にありまして、現状ではアメリカの生産は増加基調にあるというふうに考えております。  ただ、中長期的に見てまいりますと、今までのような伸びが期待できるかどうかということについてはやや不安定な面があるのではないかというふうな見方をいたしております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 いろんな学者の説もありますし、ここにレスター・ブラウンという元米国農務省に勤めておった行政官ですが、その人の書いた論文もございますが、アメリカ農業というのは今言った中長期的に見ますと、局長は詳しくは言いませんでしたが、かなり問題が出てくる。例えば、耕地の面積がダウンをしておる。それから地下水が物すごくダウンして、もう再生不能の状況になっておる。それから技術革新がもう全く行き詰まっておる。バイオテクノロジーという点でもこれは万能ではない。さらには地球的な気象の不安があるというようなこと。それからもう一方では、全体の世界人口が年間九千百万ずつ毎年ふえておる。もうそういう点からしますと、今のような自給率二〇〇%というふうなアメリカ農業は到底持続できないということになっておるわけです。  そういう点で、私たちは日本の現状を、単に対米関係とかそれから外圧だとかというふうなそういうミクロ的な見方ではなくて、もっとマクロ的な地球全体社会という観点から考えていくことが必要じゃないのかというふうに思うわけでございます。  日本の世界に冠たる水田耕作技術、これはもう世界に冠たるものでありますので、これとあわせまして日本の治山治水の技術、ノーハウ、こういったものをどんどんどんどん非軍事的な面で国際貢献をするということこそ今非常に大事なことだと思うんです、中長期的に見ますと。  私は、首脳会談に臨む総理がこういったグローバルな立場でひとつ先方の理解を求めるということが必要だとおもうんですけれども、総理、そういう点で、開発途上国の中東、アフリカ、それからいろんな問題に対してそういう意味での貢献をするという点での主張、サミットも今後来ますので、その点はいかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これから未来に向かっていろいろ日本が果たしていかなきゃならぬ役割というのはやはり安定と開発であり、特に今具体的にお触れになりました開発途上国の開発に協力をするという問題は、これはそれらの国が経済的に活力を持って国として安定してくるということはその地域の平和にも直結していく問題であると私は受けとめておりますし、そういった方向で努力をしていくということが正しい方向であると信じております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 米価審議会で米穀の管理に関する基本方針というものを策定しておりますが、二米穀年度の十月末の政府米の持ち越しはどの程度に決められておりますか。

浜口義曠食糧庁長官

○政府委員(浜口義曠君) 先生お尋ねの昨年の政府米の持ち越し量でございますが、具体的数字といたしましては九十五万トンでございます。  なお、この点について二つ申し上げたい点がございます。一つは、その前の年は百四十七万トンでございましたが、なお昨年の数字、政府がともに管理をしておりまして基本計画の対象かつまた助成を行っております分を加えての自主流通米等の合計でございますが、百九万トンでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 政府米と自主流通米の比率は現在どういうふうになっておりますか。

浜口義曠食糧庁長官

○政府委員(浜口義曠君) 両者の比率でございますけれども、これも実は二つの見方がございますが、基本的には年間の供給量で見ております。それでまいりますと、大体大きく分けまして、最近のところで六四%が自主流通米、残りの三六%が政府米という割合でございます。  なお、先ほど申しましたように、これ以外の考え方で、いわゆる毎年集めております集荷量でいきますと、その年々の集荷量でございますが、一番新しいところで、その比率は自主流通米が七二%、その残り政府米が二八%でございます。  なお、もう一点つけ加えさせていただきますと、今までこの政府米の集荷量が、去年の場合には百六十三万八千トンでございましたが、現時点で、ことしの集荷量でございますが、これを十万トン上回った形の百七十三万八千トンまで参っております。そういう意味で、従来政府米のウエートがどんどん下がってきている、これはもちろん良質米への志向ということにも関連いたしますが、その点が歯どめがかかったというふうに考えているところでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 食管法の根幹というものについて説明願いたいと思います。

浜口義曠食糧庁長官

○政府委員(浜口義曠君) 食管法の根幹は、まず端的に申し上げまして、食管法第一条等にもございますが、需給及び価格の安定にあるというふうに考えているところでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 問題は、今七二対二八と。もう二八が政府米。それで、食管法の根幹からしますと、今言いましたように、国民の食糧の需給ということを政府自身が管理するというところに根幹があるわけであります。そういう根幹というのがこういう状況でいいのかどうか。もう百九万トンしか在庫がない、こんなことでいいのかどうか。私は百五十万トンは絶対必要だというふうに思うんですが、政府の見解を求めたいと思います。

浜口義曠食糧庁長官

○政府委員(浜口義曠君) 先ほどから二つの数字を申し上げてまいりましたように、政府が管理しております部分、その部分は二つに大きく分けられるわけでございます。  まず、その年間を通じ、あるいは全国的な地域的なことを通じて政府米の安定的供給機能というのがございますが、それとあわせまして、戦後いろいろなゆとりが出てまいりました国民、消費者のニーズにこたえるべく自主流通米、これもあくまでも政府の管掌しております米でございます。そういったものを両々相まちまして対応していくということがこの根幹でありまして、そういう意味では、現在において国民の皆様方に毫も不安をもたらすようなことはないというふうに考えているところでございます。  なお、先生から具体的に百五十万トンのお話がございました。これは端的に申し上げまして、政府が生産調整というものを頭に置いたときのいわば上限でございます。私どもは最低限という意味におきまして適正在庫というものを、政府在庫等々含めまして百万トンというふうに置いております。これは昭和五十五年の大冷害のときにも克服できる数字でございます。私どもはそういう意味におきまして、適正な在庫を供給し、良質米の両面の対応というものを図りつつ、国民の米に対する期待、そういったものに対応していかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 もう一つ、米価の問題です。これは食管法の根幹の一つでありますが、このように自流米市場が開設されて、どんどんどんどんいわゆる産地間競争が激しくなる。産地間競争が激しくなりますと良質米というものが増産されます。増産されますとそれに従って市場価格が下がってくる。それが政府米に影響するのかどうか、これは生産者米価にも影響するのかどうかということが極めて重大な問題でありますので、この点、どうでしょうか。これは大臣に。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 価格形成の場が出て、そしてまたそれぞれ入札制度に変え実施をさせていただきました。それぞれの県でつくられておる銘柄がかなりの実力を評価されるようになってきたと思うわけでありますけれども、これによって自主流通米生産志向が高まっていけば、当然のことながら若干の価格の引き下げという傾向になるかもわかりません。私は、政府米価というのは関係がないとは申し上げませんけれども、連動するものではない、そういう判断をいたしておるわけであります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 これ以上生産者米価が下がりますと、減反が現在三〇%でしょう、これもどんどん拡大せざるを得ない、増産すれば。こういうふうになりますと、農家の意欲というのは一遍にこれはもう消滅します。そして、離農がもう絶対必然的になります。今こそ農政というのをこれは根本的に見直す必要があると思いますが、農水大臣、どうでしょうか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 米価の問題については今ここでお答えをするような状況じゃございませんで、それぞれ統計に基づいて試算をして出てくる一つの要素がございますし、まだ作業に入っているわけじゃございません。ただ、価格市場の場をつくって、細かい部分にいろいろ問題を残されておるわけでありますが、まだ一年経過をしておりませんのでもう少し推移を見たいと思うんですが、少なくともやはり自分のつくっておる米がどのように評価されるか、そしてどのような実力だということは、私は一定のものが出つつあるのではないだろうかなと思うわけであります。一回目は若干の祝儀相場もございましたし、二回目、三回目と若干の変動があるところを見ておると、先生のところの秋田県も、あきたこまちなんというのは相対取引よりは少し実力を評価して上がってきたわけでありますし、幸いにも私のところの新潟コシヒカリもその経過をたどっておるわけであります。  ただ、そういう傾向の中で、少なくとも相対取引よりも下がった地域の産地銘柄は、今はまさに品種改良にまた焦点を合わせているんなネーミングをつけたりして一生懸命取り組んでおるわけでありますし、また消費者ニーズに合わせてピラフなり焼き飯というような品種に改良をしながら、価格形成の場が出てから新しい取り組みをして今までの価格よりもむしろそういう消費者ニーズに合わせて値上がりをして売却ができるというような傾向も出てきておりますので、この生産者の意欲にひとつもうしばらくの間期待を寄せて、推移を見ながら対処していきたい、そう考えておるわけであります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 社会党は、中山間地対策を含んで新農業プランというのを提示いたしました。財政負担というものを伴いますが、農林業の公的機能というものを考えて、私たちは総予算の一〇%を農林水産予算に充てるべきだという基本的な主張をしながら、例えば農山村の中山間地の皆さんのために農山村環境保全補助金というふうな補助金措置をとるとか、ないしは三十五歳以下の青年農業者の就業援助制度をつくるとか、ないしは地域農業振興計画会議をつくるとかといういろんな提案をいたしておるわけであります。  問題は、野党のこういう提案に対しましても、財政措置を含めまして、これはもう本当に農村がそれによって振興し地域が振興するというのであれば与野党の合意に努力をして、そしていいことはもうどんどんやっていくというふうにしなければならない時代じゃないのか、こんなふうに思うわけであります。私の党ばかりではありません。ほかの野党からも出ると思うんです。与野党がこういう面で合意を拡大していくということが今必要になってきているというように思いますが、大蔵大臣を含めまして、総理と農水大臣、このお三人の御見解をお伺いします。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 社会党から出された農業問題の提言につきまして、私も熟読はいたしておりませんけれども拝見をさせていただいて、問題のとらえ方、視点については私もおおむね同感をいたしておるわけであります。ただ、手法の問題について、一部今まで私どもがとらえてきたことと違う点が実はございましてさらに勉強させていただきたいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、与党とか野党とか言わず、私どもが抱えておる問題点の後継者問題あるいは中山間地問題等、ここについては私ども先生方の御意見を拝聴しながら、あらゆる人たちからの御意見をいただきながらこの問題は取り組んでいかなきゃならない、そういう視点でとらえさせていただいておるわけであります。  内容的には、政府が昨年、中山間地活性化対策総合事業というものを改めて出させていただきました。これが実は全国的に大変人気が高うございまして、予算上対応していけるかどうかということで、また来年度予算には大蔵省にお願いをいたさなきゃならぬような大きな一つの問題点であります。これぐらい新しい活性化事業に対して魅力のあるものが一つでき上がってまいりましたので、これは土地条件の、従来のように規模拡大のできないような地域、実は土地の不利な条件でございますが、この地域で農業を営んでいただく人ほど、やっぱり環境問題、国土保全なり水源涵養なりという社会政策上にまた大きな農業以外の役割を果たしていただいておりますので、この地域におけるその種のものが定量的にどう評価していいかということは、これは学者、専門家から御討議をいただかなければならない分野だと、実はそう思っておるわけであります。環境問題が大変クローズアップしてまいりましたので、専門家の学者の皆さん方にここはお願いを申し上げて、どのような評価をしていくか、そういう役割をしていく地域にどうするかということが一点であります。  もう一点は、所得補償するという部分で、直接農家の所得補償という手法は私どもとらないで、今度の中山間地対策についても負担の軽減を図っていくというようなことで実は仕事をさせていただいて、昨年スタートいたしたばかりでございますので、この手法が人気が高いものですから、もうしばらくここで推移をさせていただきたいと思うんです。極めて軽い負担で、傾斜地に合った作物を選定していただいて、そして高品質のものを、やっぱり量的に少ないわけですから、高品質のものをおつくりをいただくというようなことで指導してまいりたい、そう考えておるわけであります。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成二年十二月二十一日に財政制度審議会から報告が行われました中で、農業に関する部分がこのように述べられております。   我が国農業を取り巻く内外の諸情勢にかんがみれば、生産性の高い効率的な農業を確立することによって、早急に産業としての自立性を高め、国民の納得し得る価格での食糧の安定的な供給を確保していくことが基本課題である。   農業関係予算については、こうした観点を踏まえ、農村地域の持つ多面的役割にも配慮しつつ、施策の重点を内外の諸情勢の変化に対応した農地の集積、農業の担い手の育成等に置き、その合理化・重点化を進めていく必要がある。 この趣旨は、今委員が述べてこられたところにも相当程度重複する内容を持っておると私は理解をいたします。  私どもとしてはこうした報告をも踏まえながら今後とも取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 最近どんどんどんどん農林水産の全体予算に対する比率というのは下がっておるんです。その点で、特に大蔵大臣には、財政当局には、そういうふうな、先ほどお話がありましたとおり環境問題、国土の保全という観点から、むしろその比率を上げていくような努力を特に要望したいと思います。  次に、森林問題についてお伺いします。  昨年の十二月林政審議会が、第一に緑と水の源泉である多様な森林の整備、二つ目は国産材時代を実現するための条件整備を打ち出して、一歩前進した林政を示されたものと思いまして私たち非常に歓迎をしております。これを受けて、森林法と国有林野事業改善特別措置法の改正を政府は提出いたしました。ここまで持ってこられました関係者の努力というものを私たちは多としておりますが、むしろこれからが林政再建のスタートというふうに考えております。これから政府挙げての営々とした努力の継続が望まれるわけでありますが、政府を代表する総理のこれに対して取り組む決意をお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 林政の基本課題は、今後国有林あるいは民有林を通じて、今御指摘にあったように、緑と水の源泉である多様な森林の整備をすること、これが一つであります。もう一つは、国産材時代を実現するための条件整備を推進していくこと、これが二つ目であります。こういった問題に対処するために、ただいま森林二法を国会に提出して御審議願っておるところでありますが、今後とも機能の高度発揮のために、また林業の振興のために、必要な施策を講じて山村の活性化に努めてまいりたいと政府は考えております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 昭和五十三年、昭和五十九年、昭和六十二年と改善計画を策定してきたわけですが、国有林野事業が行き詰まっておった中で、林政審答申が閣議了解、そして特別措置法の改正と大きく前進した点は大変評価したいと思うわけです。それで、懸案であります累積債務の自力更新、この一定の方向を目指したということも大変いいことでありますが、これをさらに一層政府が全体で支える必要があると思いますが、農林水産大臣の決意をお伺いします。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 長年にわたって累積債務に苦しんでいて、今回区分をしていただき、自助努力と合わせて一般会計から支援をいただくことになってまいりました。あわせて、これからの経常事業部門で努力をしていかなきゃならないわけでありますから、再び国民の税金で支援をしていただくことのないよう、これから経常部門で努力をしていきたいと思っておるわけであります。  そのために、従来の森林整備の手法から流域単位にやらせていただくことにいたしまして、川下から川上まで一帯に、これから県に森林センター等をつくりながら総合的に整備をしていきたい、こう思っておるわけであります。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 最後になりましたので、漁業問題について御質問申し上げます。  ソ連とカナダとアメリカの漁業交渉がどうなっているのか。北洋サケ・マス問題というのは非常に重要でありますので、日米で相談をすることの、話し合いをすることの必要性があるわけですが、これに対する総理の考え方、さらにはベーリング海の公海の問題はどうなっているのか、これだけお伺いしまして、質問を終わります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 漁業問題につきましては非常に長期にわたる経過が積み重ねられており、日ソ間にもございましたし、また日米間にもカナダ間にも、北大西洋の流し網の問題とかいろいろございます。これらの問題についてはきょうまでも鋭意話し合いによって解決すべく努力を続けておるところでございますが、今後とも協調的な漁業のあり方についてはそれぞれの国との間できちっと対応していくように、関係当局にも指示をいたしております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 公海の沖取り禁止は、一九九二年から禁止ということに決定をいたしておるわけであります。日米加ソの四カ国の協議は続けられておるわけでありますけれども、私どもサケ・マスについては、日ソの関係で長い歴史があるものですから、この機会に日ソ関係で十分な話し合いを詰めて日米加協議に対応していきたい、そう考えております。

細谷昭雄日本社会党・護憲共同

○細谷昭雄君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で細谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、吉田達男君の質疑を行います。吉田君。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 第二次世界大戦以後、冷戦構造の中で世界は東西に分かれましたが、そのはざまにあって国家、民族が分断されましたのがドイツ、朝鮮、そして日本は北方領土と本土四島に分断されたのであります。  現在、国際情勢の変化もあり、またそれぞれの努力もあって東西ドイツは統一されましたし、南北朝鮮も自主的な努力の上に立って、これを支えて統一されようとしております。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕  今、日本の悲願であります北方領土返還に当たりまして、首相の決意と、この返還に臨む交渉方針をお伺いいたしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 世界の東西対立の時代が終わりを告げつつあるという認識の中で、委員がお示しになったように、北方領土の問題は東西関係の残した残滓としてこれは解決をされるべき問題だと私は強く思っておりますし、また国民的な願望でもございます。  ただ、この四島は、分断ということよりも、むしろ我々から言わしむれば日本固有の領土であるという基本的な考え方に立っておりますので、今度のゴルバチョフ大統領の日本訪問のときの首脳会談で四島返還の問題について私も真剣に交渉をし、決断を求めていく決意でございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 四島ということでありますが、この四島について一括か、あるいは段階的か、即時か。主権が確認されればさらに漸次ということなのか、その辺の考え方についてお伺いをいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 四島一括返還という基本方針に変わりはございませんが、これからの交渉の過程におきましていろいろな話が行われると思います。その具体的な内容についてはまだ申し上げる段階にないと考えております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 交渉の機微もあり、まだ明らかにする段階でないとおっしゃいましたけれども、総理の親書を受けた与党・自民党の小沢幹事長は、既に訪ソされて相当突っ込んだ話をなされた結果を記者会見されておられます。その中身は、四島について主権の問題やあるいは米国と同盟関係の枠の中でやるとか、あるいはさらに、開発等にわたっても合弁をするならばどこどこというような指示に及ぶまで、それぞれございます。  そこで、総理が機微もあり今発表の段階でないというこの日ソ交渉についてですが、このようなことが既に出ておるという現状の中で、総理の代理といいますか、親書を託した中身がこのような中身になっているのか、どの範囲において総理はそれをゆだねたのか、お伺いをいたします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私とゴルバチョフ大統領との間でどのような親書を交換したのかという内容についてここで詳細御報告することは避けさせていただきますが、小沢幹事長が参りますときには、与党自由民主党の幹事長であるということ、それから日本国民が四島返還によって領土問題を解決し平和条約を締結したい、従来の願いというものを私から伝えたわけでありますが、代理とかそういう性質のものではございませんで、外交はあくまで政府の専権事項でございますし、またついその後にはべススメルトヌイフ外相が日本へゴルバチョフ大統領の訪日問題の事前の話し合いのためにも来るということが決まっておったわけでございますから、あらゆる立場で日本の希望というものを正確にきちっと伝えて環境を整備するために協力をしてもらう、こういう形で行ったわけでございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 外交は一元、政府の責任でやって、国会はそれを批准するという手続になるので、総理が託されたのはいわゆる親書を託したという範囲で進んでいると思うが、頭越しということは、それぞれ国民の注視の中でありますから、私どもはいろんな意味でこれは慎重にやらなければならぬと思う。  例えば、アメリカとの友好関係の中でこういう交渉をするべきだという考え方は私は当然だと思いますが、日米同盟の枠の中でと、こういうような限定的な条件の意味合いというものは、総理はこういうことが起こったことについてどう理解されるか、あるいは、総理として幹事長が言われたその枠という意味合いはどういうことだと解釈されますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) そのような内容を書いた親書ではございませんし、また幹事長がいろいろ帰ってからのお話の中で述べられたのは、日米関係というものを大切にしておるという基点に立っての発言であったと思います。  また、私は別の面からいって、きょうまでソ連と日本の間で、例えば共同宣言を出しましたときに、本当は四島で片づいておれば平和条約が結べたと思っておりますが、二島しか出てきておらなかったがために結べなかったんだと、このように私は理解をしております。その後、日米安全保障条約を続けておる間はこの二島返還の問題も雲散霧消であるとか、認めないとか認めるとか、両国の間でいろいろな経緯のあったことは委員もよく御承知のことと思います。  そういったものを離れて、近くはソ連側も、日米安保体制というものは肯定する、これは阻害にはならないんだ、両国の平和条約締結に向かっての阻害ではないということを明確にしておるわけでありますから、それは同じような意味合いを含むものであると、私はそう広く解釈して御理解を賜れば結構なことではないか、こう思っております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 それでは、前提がそういうことであれば、あした米国で総理はブッシュ大統領とも会われるんですが、それまでにいろいろな予備的な事務的交渉等もあり、アメリカは北方領土返還にわたりましてどのような見解を持っておると分析しておられるか、あるいは明日話されるに当たって総理はどのような話し方をされる予定なのか、お聞かせ願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) この問題は、あくまで日本とソ連との二国間における平和条約を締結するための前提条件として日本側の主張をするわけでありますから、二国間の問題でございます。  しかし、背景としては、日本に北方四島の問題があることはもう世界周知の事実でございますし、昨年のサミットのときも私は特にこの問題に触れて、北方四島の問題についてはアジア・太平洋地域の安定と平和のためにも大切であるし、東西関係が本当にヨーロッパで乗り越えつつあるというときに、アジアでもそれを乗り越えるためには北方四島の問題は大切だというようなことをすべての首脳の前で話してありますし、各国の首脳もそのことに留意をして、日本にとって北方四島問題の解決は大切な問題であり、それにみんなが理解を示すということになっておりますから当然承知の上の前提であると思いますが、こういうようなことになってゴルバチョフ大統領がいよいよ来日されるということでありますから、そういった事実とこちらの考え方を、どう言うのでしょうか、話し合って共通の認識を得ておきたい、こう思っております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 問題は、領土返還と経済援助とリンクするかどうか、こういうことが現在浮かんでおるわけであります。これについてNHKの現場の報道等を見ると、ソ連の島民の意見、市民の意見は、金で領土を買うのか、こういう意見もあり、全体的には反対の意向もあると。一方、バルト三共和国の紛争について武力をもってこれを抑えたゴルバチョフに対して、西欧諸国で批判的な、経済援助をすべきでないというような意向等も示されたりしておる折から、日本が領土欲しさに経済援助、金を出すんだと、このような指弾を受けるというような場合は考え方としてあり得るかどうか、どのように総理はこれを分析されるか、お伺いいたします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 委員がそのような考えに立脚したり、そのような考え方をとっていらっしゃるとは私は毛頭考えませんけれども、今御指摘になったような声がもしあるとするなれば、それは明らかに間違った見方でありますので、そういった考え方を持っておる方々は御訂正を願いたいということを私はここで世界に向かって申し上げたいと思うんです。  同時に、日本としては、これは両国の本当の信頼関係、隣国としての友好関係を樹立するためには幅広い相互理解と相互交流が必要だということを繰り返し主張してきたつもりでございます。いわんや、お金で買うというようなことはこれは考えてもおりませんし、相手に対しても極めてそれは失礼なお話にも相なります。失礼どころか、それよりももっと奥深く、幅広く相互交流を通じて信頼関係を打ち立てていくためには、両国の間に法的にも歴史的にも原因があって、我が方からいえば返してもらう根拠があって、わだかまりになっておる北方四島の問題があるわけでありますから、これを正面から取り組んで解決することによって真の信頼関係、友好関係、相互協力関係が樹立されていくものである、こう信じております。  したがって、ソ連のペレストロイカの方向性は正しい方向だと認めておりますし、日本としてもできるだけ協力は幅広くしていきたいと思います。その中で問題は解決されていくべきものである、こう受けとめております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 私は、私の考えですべて質問したのではなくて、そのような事実の報道もあちこちにあるから、リンクするのかしないのか、こういう聞き方をしたのであります。禅問答のようにちょっとわかりにくいので、そこのところを聞かせてもらいたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 無原則な政経分離はしないということであります。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 それでは、質問を変えますが、日本は戦後米国と密接な関係の中で国家運営をやってきまして、太平洋ベルト地帯、東京側の方が発展をする中で、日本海側の方は、国家の経済的な基盤等々、いわゆる過疎になろうとしております。しかし、日本の地政学的な位置やあるいは歴史的な大きい流れの中で見ると、日本も近い中国、ソ連、韓国、朝鮮等々近隣諸国と密接な関係の中で将来を期するという軸足を立てるべきだと思うのでございますが、この点について総理のお考えはいかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先進民主主義国の一員として日米関係を大切な基軸と考えていくという座標軸が一つと、それから今おっしゃったように、アジアの一員としてアジア近隣諸国と協調しながらこの地域の平和と繁栄のために努力をしていくという、アジアの一員という立場と、これが日本の外交上の大切な座標軸であると私も考えておりますから、朝鮮半島の安定と平和のためにも、韓国と、そして新しく日朝間の国交正常化の交渉も今鋭意行っておるところでありますし、ソ連との間も平和条約が結べるように、過去のわだかまりをのけて真に前向きの協力体制に進んでいくことができるように、今度の領土問題を解決し、平和条約を締結していきたいという願いもまさにそこにあるわけでございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 外務大臣にお尋ねいたしますが、総理がそのように対岸国とも積極的な友好を持つということを国の方針とされたいということでありますから、その辺についての当面する課題よりさらに大きないろいろな問題に取り組んでいらっしゃると思う。日朝の国交正常化の交渉も進めておられるが、その現在の状況はいかに。韓国とは長い継続的な友好の中にも幾つかの微妙な問題も含めた問題の提起がありましたが、それの解決についてはいかに克服されつつあるのか。天安門事件があったときから経済的な凍結を含めて若干冷え込みかけた日中関係も、昨年九月からこれを解除してさらなる発展をやろうとしておりますが、どのような展開で友好発展させようとしておられるのか。この辺を概括して外務大臣の所見をお伺いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のように、環日本海という言葉が最近よく言われるようになってまいりました。つまり、今まで日本の国土、太平洋を中心に沿岸が開発されてきたという中で、新しく裏日本と朝鮮半島、また沿海州、中国、こういったところを含めて新しい交流が現在活発化しようといたしております。そういう中で、日本政府といたしましては、この地域の新しい人的、物的交流を盛んにするということはこの地域の平和と繁栄のために極めて好ましいという関係からその政策を進めておりますが、まず第一に、北朝鮮との関係におきましては、日本社会党、自由民主党、朝鮮労働党との間に話し合いができまして、既に二回の本格会談を国交回復のために現在やっておるわけであります。三月中旬に第二回が東京で開かれたことは御案内のとおりであります。  なお、日韓におきましては、昨年の盧泰愚大統領の訪日、またこの春の海部総理の訪韓、こういうことを通じまして、日韓関係は過去に一区切りをつけて未来志向型の両国関係が樹立されたものと考えております。そういう意味で、現在我々は、この朝鮮半島全体の平和と安定のためにすべての国交交渉を進めていくという考え方に立っております。  また、中国につきましては、天安門事件以来一時経済協力も中断をし、私どもも中国がどういう方向をたどるのかということを十分注目いたしておりましたが、中国はこの問題を踏まえていろいろと改革・開放路線を進めるという積極姿勢を示しておりまして、私どもはそういう意味で、海部内閣が登場以来西側の諸国に対しても、中国を孤立化させることはアジア、世界の平和のために好ましくないという考え方で、この国に対する協力を再開することを日本政府としては強く主張し、既に第三次円借款を開始したことは御案内のとおりであります。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 また、この春には橋本大蔵大臣、昨年は保利文部大臣が行かれまして、私もこの五日の夜中国を公式に訪問いたしまして日中外相会談を開催いたし、これからのアジアの問題、日中間の問題、世界的な問題をいろいろと協議をして一層の親交を深めてまいりたい、このように考えております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 国においてせっかくの努力を願いたいんですが、国と国の関係以外に、また地方自治体等が地方交流を友好姉妹都市等々を結んでやる、こういうことについては自治大臣はどう考えるのか。あるいは民間交流として政治よりも先行してやられようというようないろいろな経済交流、合弁会社等については通産省はどう考えて促進されるのか。あるいは現在世界の卓球選手権大会を前に朝鮮の南北統一チームが初めて参加して感激的な練習をやっていますが、こういうピンポン外交を見てもスポーツ、学術、文化の交流というものは大きい意義があると思いますが、文部大臣はこういうことの促進についてどういうお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 先ほど外交の問題でも、お互いに言うべきは言う、聞くべきことは聞くという言葉がありましたが、これは対中国に対しても同じでありまして、互恵平等の精神をお互いに尊重し合い、内政はお互いに不干渉であり、そしてお互いを尊重し合いながら協力し合っていく、これが極めて大事かと思います。  そういう意味におきましては、私どもも、先ほど外務大臣も答弁いたしましたように円借款の問題等も、改革・開放という路線が確認され得るならば世界のどこよりも先んじてこういう問題点については協力し合おう。そしてまた、タリム盆地のような問題点についても、私どもは資源が必要でございますから、そういう点では、技術とか金の面は私どもが負うても、労働力、ナチュラルリソーセスは向こうから提供していただく、このような相協力する体系というものが必要でございましょうし、そういう体系、あるいはまた政策的な面、あるいはお互いの協力方針というものは確認し合ってまいったという次第でございます。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) 突然のお尋ねでありますが、過般もこのことにつきましては他の先生にもお答えしたことがございますが、自治省としましては、こうした問題につきましては自治体に対しましてできるだけ積極的に推進するようにと、そして地域的な一つの自治体としての考え方の交流、あるいはまた地域の産業あるいは文化、そういった面においての交流を深めていくことが、いわゆる最近よく言われております草の根運動としての一環にも相通ずるのではないか。こういう意味で、外交というよりはそういう意味の人間関係を深めていくという意味で、自治省としましては関係の自治体に対しまして大いに推進しよう、またそのことにつきましての若干の財政的な援助等も事と次第によれば協力していきたい、こう思っておるわけであります。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  ただいま先生の、学術、文化、スポーツ、特にスポーツの卓球の例を挙げられましたが、この国際交流は我が国のスポーツの普及あるいは発展に寄与することはもとより、言語、さらに文化等の違いを超えて諸国民の相互理解を増進しております。友好と親善を深めるなど国際交流上非常に大きい意義を有するものと思います。  このような観点から、近隣諸国とのスポーツ交流の推進を図るため、市町村が実施するアジア地域のスポーツ交流の事業あるいは財団法人日本体育協会が実施いたしますアジア地域ジュニア交流事業に補助を行っているところであります。今後とも近隣諸国とのスポーツ交流、あるいはまた今おっしゃいました芸術、文化、これの推進に努めたい、このように考えております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 国内の扱いについてちょっとお尋ねいたしますが、そういうことでソビエトの方が飛行機に乗って米子空港に来られる。外務省は、米子空港はやめてくれ、おりられない、ソビエトの人はよその空港におりてもらいたいと、こう言う。朝鮮民主主義人民共和国の方も同じような扱いをなさる。今の時期で、先ほど御答弁の趣旨に合わせてみると、このような国内の扱いというものはまことに友好的でないじゃないかと思うので改められたいと私は思うのですが、いかがでございますか。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○政府委員(久米邦貞君) 具体的にどのケースを指して言っておられるのか必ずしも承知いたしませんけれども、政府といたしましては、相手側の国が日本国民に対して行動制限等を課している場合において、特に日本側で安全保障上等の理由がある場合には日本側においてもある地域への行動を規制するというケースはございますけれども、それを理由に入国を拒否したということはないと承知しております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、この日ソ間の人的交流の拡大につきましては、これまでも拡大均衡の考え方に沿って促進していくという考え方でございまして、近年日本を訪問するソ連人の数というのは急速にふえているというふうに理解しております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 行動制限がある国に対しては日本に来られてもそのような扱いをされる地区もあると。この言葉の中に思い当たるんです。民間空港でありますけれども、軍事併用ということで、そのことのためであったかと思いつくわけでありますが、他の日本人及び外国人はそこを民間人としてどんどんやって、ソビエトと合弁をするということで合弁を目的に来られるソビエトの人についてそのような制限をされるということは私は余りにもしゃくし定規であると思う。そういう事実も重なったので聞いておるのでありまして、軍人であろうが何であろうがすべてそのような場所にでもと、そこまでは強弁しませんが、ケース・バイ・ケースで考えられるならば、そのような扱いを今日改めると、このように御答弁をいただきたい。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○政府委員(久米邦貞君) 行動制限の地域につきましては、ソ連側が日本人に対して実施している制限というものは極めて厳しい制限を課しております。これに対しまして我が方が課しております制限は、安全保障等の観点から総合的に判断して必要最小限なものとなっておりまして、かつ関係者の同意も得て、例えば緊急な場合あるいは人道上やむを得ない場合というケースについてはケース・バイ・ケースで判断するという弾力的な運用をやっておりまして、必ずしも相手側の行っている行動制限に対比して非常に過酷なものであるとは考えておりません。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 若干の断りがありましたが、ケース・バイ・ケースの扱いをするということについては、より友好的な側面の促進ということを考えながら御判断いただきたいと思います。  日本が対岸について経済、文化、政治交流をするということになると、太平洋ベルト地帯に比して日本海側の諸都市は公共投資の向上ということが見込まれなければならぬと思いますが、例えば動脈を北海道から日本海側を通って九州、沖縄まで行く、こういうことになると、現在高規格幹線道路あるいは鉄道はどのようになっているか。それが通って太平洋側とまた肋骨の交通網が張られるということが日本の将来のために必要ではないか、過疎過密を解消するためにもまた必要ではないかと思いますが、この点について、建設省、運輸省、現状をお知らせいただきたいと思います。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) お話しのように、いわゆる日本海側の道路網につきましても、太平洋側も含めて高規格幹線道路、二十一世紀初頭を目標に一万四千キロの整備をしようと鋭意努力をいたしておりますが、現在約五千キロと。これから四百三十兆円のいわゆる公共投資基本計画もあるわけでありますから、人間の体で言いますと血管に相当する道路や鉄道でありますので、全力でいわゆる日本海側も整備を進めてまいりたい、このように考えております。

大塚秀夫運輸省大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官

○政府委員(大塚秀夫君) 山陰地方につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして大阪―下関に至る約五百五十キロの新幹線の基本計画がございますが、この基本計画路線については、他の基本計画路線と同様、長期的な課題として今後検討していくこととしております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 建設大臣、この国土開発幹線自動車道、これを見れば、特に山陰がすぽっと穴があいておりますね。これは動脈が切れたということになりませんか。こういう点については、日本海側を第三国土軸と、こういうようなことの構想の中でいけば、これは動脈からまさに赤い血が流れてしまうんじゃありませんか。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) 山陰地方につきましては、中国縦貫自動車道や横断自動車道、山陰自動車道、合わせて千三百六十三キロの計画がございまして、そのうち中国縦貫自動車道の全線供用を含めますと五百九十三キロ、約四四%の区間が供用されておりまして、全国平均からするとやや上回る供用になっております。  しかし、今先生の御指摘は舞鶴―鳥取間のことになると思うのでありますが、基本的に四全総でも、道路の計画を定めるにつきましては全国の主要都市、十万人以上の都市を相互連絡するという前提で、しかも全国の都市からインターチェンジまでおおむね一時間で到達し得ると、一般道も含めまして。血管というふうに申し上げましたが、毛細血管とは申しませんが、一般道路と含めてネットワークを組んだものでございます。  しかし、御指摘のように山陰の地区についてぷつっと切れたような感もあるわけでありますから、今後の自動車道の整備につきまして鋭意努力をしてまいりたい、このように思います。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 JRの新幹線について聞きましたが、新幹線が段取りを経て整備新幹線から山陰に来るというのは、段取りで日が暮れると思うんです。現在ある線をせめて電化する、複線にする、こういうことぐらいは考えてスピード化してもらわなければならぬ。特に、あの辺は小浜を初め原子力発電所がたくさんありまして電力供給をしておるところでありますから、この点について、在来線の複線、電化についてはどう考えておられるか。

大塚秀夫運輸省大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官

○政府委員(大塚秀夫君) 御指摘の山陰線につきましては、城崎以遠について最近の輸送需要の伸びが少ないために現時点では複線化、電化の計画はございませんが、JR西日本では、スピードアップあるいは輸送需要に見合ったダイヤの設定等によりサービスの改善や近代化を図っているところでございます。  また、山陽本線と鳥取方面を結ぶものとして、現在智頭線を建設中でございまして、智頭線ができますと、現在大阪―鳥取間四時間が二時間半で結ばれるというような大きな時間短縮効果がございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 城崎から西が交通客が少ない、こういうことですが、なぜかというと、これは余部の鉄橋だからであります。これは一年間に百三十本とまるんです。月に十本とまるんです。昭和六十一年から五年かかって、毎月平均十本ずつ汽車がとまっておるんです。このような欠陥箇所があるために定時運行がなされぬというアナウンス効果もあってお客が減るのであります。この余部の箇所は、これは欠陥路線であります。この点についてどのような対策をお持ちか。

大塚秀夫運輸省大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官

○政府委員(大塚秀夫君) 先生御指摘のように、余部鉄橋については強風の際等、年間を通じて百本以上の運行休止があることは事実でございます。この点について抜本的な改善策を講じますとルート変更を行うことが必要となりますが、ルート変更をするに際しては、需要動向のほかに、ルート変更によりまして近くの駅を二駅廃止しなければならないというように問題が幾つかございますので、こういう問題についても地元あるいはJR西日本で今検討中でございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 今ちょうど当該地区が選挙でありまして、余部の鉄橋は名物でもありますから、ルート変更するか、これを保存するかの争点もありますからちょっと微妙な点がありますが、間もなく選挙が済めば解決いたしまして、定時運行ができるような路線になろうと思いますが、問題はその資金であります。  JR西日本については、お客さんの少ないあの箇所でペイをする投資はなかなか難しいと。この際に、欠陥箇所を国として財政的にどうするか、こういう観点で運輸省は指導をされたい。鉄道整備基金等々の構想についてもこれありながら、地元の知事がこれの対策協議会長となって先般二週間ほど前に結成されたところでありまして、そのようなものについてはさらなる具体的なものを願いたい。  また、風の吹き飛ばしによって事故が起こったんですが、それの解析が不十分なために、今風速二十メートルでとめている。これをさらに、風の方向や、下から吹き上がったのか、横からの風圧等々とかさらなる流体力学的な解析をすれば、二十二メートル、二十三メートルぐらいでまだ運行できるのじゃないかという意見も専門的に出ておる。その辺を再検討されれば、当面停止される本数も減ると思う。この調子で減っていくと、汽車がとまると上に猿が乗って、猿ばっかりのお客になるような路線になる。しまいには線路をはぐってしまう。こんなことになると「哀しみ本線日本海」ということになるんです。そういうことにならぬように運輸大臣の指導を願いたいと思うが、どうか。

村岡兼造自由民主党運輸大臣

○国務大臣(村岡兼造君) 今、吉田先生のおっしゃっていることと総括審議官のお話を聞きました。地元の問題もあるようでございますから、いずれ地元の結論を聞きまして対処していきたい、こう思っております。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 質問を変えますが、日本海を平和の海にしよう、豊かな海にしようと、これが漁業振興であります。  現在、日本海を囲んでいる四カ国について、日ソ、日中、日朝、日韓それぞれありますが、安全操業はどうなっておりますか。

京谷昭夫水産庁長官

○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のとおり、日本海におきます関係国との漁業関係をそれぞれ持っておりますが、ソ連、それから中国、韓国との間では政府間の漁業協定を結びまして、それに基づきまして双方の漁業の関係が維持されております。それから北朝鮮につきましては、国交関係がないという状況下で民間レベルでの協定を持ちまして、これに基づいて漁業が行われておるわけでございます。  操業の状況について若干問題がありますのは、一つは中国でございます。御承知のとおり、中国周辺の漁業資源が悪化をしておる、それからまた生産力が大変高まっておるという状況を背景にしまして、最近長崎県の五島周辺それから対馬周辺におきまして集中的な操業が行われて、我が国の沿岸漁業との若干の摩擦が起こるというケースがあります。政府間での協議を通じまして、その都度調整を行っておる状況でございます。  それから、韓国も実は我が国の周辺海域、特に九州周辺、それから山陰の周辺におきましてかなり集中的な操業をする、あるいはまた、政府間で結んでおります協定あるいはそれに基づく自主規制措置に違反するような操業が見られるというケースが発生をしております。私ども政府間あるいは民間レベルでいろんな働きかけをして、その遵守を厳重に申し入れております。韓国側におきましても、政府以下改善努力を現在積み重ねて徐々に改善をされてきておると、こういう状況でございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 私の資料の方では、改善の努力で拿捕したり拿捕されたりしたようなケースは最近は激減をしておるということで期待をしておりますが、問題は、そういう海の中で漁船の近代装備が進んで魚の乱獲がある、したがってそれが熾烈な競争になるということもあるので、漁場の開拓、漁獲資源の調査、保存、こういう点にわたりましてさらなる努力を願いたい。共同管理をできる日本海の海にする、こういう方向で水産関係者はどういうふうに努力しているか、水産庁の御答弁をいただきたいと思います。

京谷昭夫水産庁長官

○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のとおり、日本海の水産資源は我が国を初め周辺諸国のいわば共通の資源でもあるわけでございます。その保存管理体制というものを確立していく必要があるということで、政府間で、現在関係を持っております国とは二国間で、いわば科学者レベルでございますけれども、共同の資源調査を実施するとかあるいは試料の収集、分析をするというふうな活動の積み重ねをしております。  ただ、中国・韓国との間それから日本と北朝鮮の間では御承知のとおり国交関係がございませんので、直ちに多国間の協力関係というものを展望していくのは大変難しい状況でございますが、中長期的には、いろんな条件整備を図りながら、お互いに共通の資源の保存管理のための体制をいかにつくっていくかということについてそれぞれに努力を積み重ねていくことが必要である。私どもとしても、関係国ともいろんな意見交換を通じてそのような体制づくりに、時間はかかると思いますけれども努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 努力を願いたい。  魚の資源も枯渇しておる。かくなる上は魚をつくり育てる、こういうことを考えなければならぬ。したがって種苗を生産し育成して放流する。こういうようなことをやると同時に、その種苗をまた生育しなければなりませんから管理もしなければならぬ。資源管理型漁業、こういうことに進まなければならぬが、そういう方針について、農水省はどういう考え方を進めようとしておられるか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 先生からも御指摘があったり、政府委員から答弁をさせていただいたように、二百海里問題が定着してから国際的には大変厳しい規制の中に後退をしておるのが我が国の漁業の状況であります。特に日本海側において御指摘がございましたけれども、海にはあぜがないものですからなかなか魚の管理というのは一国だけではできにくいし、古くから漁師言葉の中に、親のかたきと魚は見たときとれなどという時代も実はあって、そういう時代から漁獲の技術が急速に進歩をして実は資源が枯渇をしておるわけでありまして、管理型漁業というのは、日本海に面する諸国との関係もありますけれども、まずは我が国から管理型漁業を推進し、技術的にも進歩しておる我が国でもつくり育てる漁業というものに積極的に実は取り組ませていただいておるわけでございます。  周辺水域、高度利用を図ることがまた一層重要になってまいりましたし、沿岸漁場の整備開発事業、実はいわゆる海の畑づくりみたいなものでございまして、漁場の開発なり栽培漁業による海の種づくり、海にも種と畑と一緒にこれから積極的に取り組んでいかなければなりませんし、養殖漁業なり放流事業なりというものを進めていくわけであります。  先生、日本海に特に触れられたわけでありますが、日本海側というのは水温も大変低うございますし、また、太平洋や瀬戸内海から見ると、湾がそういう事業を進めるには実は一定の規制のある地理的条件でございますので、特に総合的に事業の運用に当たってそれぞれの地域と相談をしながら、運用面で積極的に日本海側には対処しておるところでございますので、今後ともさらに事業の拡大を進めて、少なくとも管理漁業に入れば漁獲減少という問題があって、漁民はまた一方漁獲上の制約を受けるわけでありますから、つくり育てる漁業というものでそれを支援していかなければならないわけでございますので、先生からまた御指導いただいたり御協力いただきますようにお願い申し上げたいと思います。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 時間がなくなりましたし、米の問題は相当されましたので、土地改良事業について一つだけお尋ねいたしますが、公害防除特別土地改良事業であります。  環境庁にお尋ねいたしますが、土壌汚染防止法が施行されて安全な農産物の生産、供給ということで成果を上げてきて、おおむね半分をこなしたところだと思いますが、今日指定されている物質の種類、濃度基準、その対処する扱い方、これがまた外国からの農産物のポストハーベスト・アプリケーションやああいうようなことが出てきておりますが、こういう現行の基準を後退させることはないかどうかということについて、環境庁からお答えいただきたい。

武智敏夫環境庁水質保全局長

○政府委員(武智敏夫君) 土壌汚染の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  環境庁におきましては農用地の土壌汚染防止法等に基づきまして、銅等の特定有害物質、銅とカドミと砒素の三つをやっておるわけでございますが、これらの土壌汚染対策を進めてきておるところでございます。  これまでの土壌汚染、わかっております全体面積は全国で百二十八地域、七千五十ヘクタールでございます。これらの地域につきましては、都道府県知事が対策地域として指定いたしまして、汚染の除去なり防止をするために客土、土を入れるわけでございますが、そういった事業をやっております。現在事業が完了しておりますのが、平成二年度末見込みでございますが四千三百六十ヘクタール、進捗率でいいまして六二%に相なっておるわけでございます。これらの土壌汚染の広がりにつきましては過去二十年間にわたりまして調査をやりまして、ほぼ全体を把握いたしておるというふうに考えております。  これからまさに事業の一層着実な促進を図っていくことが必要であるというふうに考えておりますので、今後とも、関係省庁とも密に連絡をとりまして都道府県等を指導していきたいというふうに考えておるところでございます。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 農林大臣は、五十四年に今の環境庁の申し上げた基準よりもさらに上乗せ的な厳しい基準を課して安全確保に努めておられるが、これを後退させるというようなことはないと思いますが、念のために御答弁をいただきます。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(近藤元次君) 後退させるようなことはございません。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 農林大臣の談話と環境庁の基準に差がありまして、その経過は語るほど時間もない、長いんですが、担当者はよく知っておられますればこの差の矛盾についてわかっていると思いますが、現行のままでいいと担当者は思っておられるかどうか、お答えいただきたい。

鶴岡俊彦農林水産省大臣官房長

○政府委員(鶴岡俊彦君) 適切なお答えになるかどうかわかりませんけれども、公害防除特別土地改良事業等では、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律で指定されました地域の周辺の地域につきましても指定地域とあわせて事業の対象とすることができることになっております。この周辺の補助事業の農家負担については一般の土地改良事業よりも軽減して事業を実施している地区事例等もありますので、これを参考にしつつ、関係府県、市町村の自主性も尊重しながら、事業実施地区ごとに十分従来の経緯を踏まえまして地方公共団体と相談しながら事業を進めていきたいと思っております。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で吉田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡君。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 私も千島問題について質問します。  今、千島問題がこれほど重大問題になっているのは、ヤルタ協定で日本の領土である千島列島をソビエト連邦に引き渡すことを取り決め、スターリンがこれを根拠に千島をソ連領に編入したこと、サンフランシスコ平和条約でアメリカが千島列島の放棄を日本に認めさせたことによるものです。総理は、ヤルタ協定の取り決め、サンフランシスコ講和条約の千島放棄条項を国際法の原則、国際的な公理から見て正当と考えますか。また、これを今回の日ソ交渉の不動の前提にするのか、交渉に臨む根本問題としてはっきりしてもらいたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答えをいたします。  ヤルタ協定につきましては、日本政府はそもそもこの当事者ではございません。当事者でない条約にはいかなる意味でも拘束されないというのが基本的な立場でございます。  また、当事国でございます米国政府の見解も、これは当時の戦争目的から当時の政府の政策意図を表明したものであって、最終的にこの領土権の移転を決めるものではないというのが米国政府の公的な見解であるというふうに考えております。  他方、サンフランシスコ平和条約は御承知のように日本も批准をいたした条約でございますから、日本政府は従来からこれを厳粛に遵守いたしておる。したがって、その中にございます二条C項も、当然日本政府はこれを遵守すべき立場にあるというふうに考えております。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 総理、前提にするかどうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今局長が答弁したとおりでございますが、ヤルタ協定に関しては、これはもう我々は当事者でもなかったし、それは前提にはならないものであると。平和条約の方は我が国の全権も参加をしてきておるものでございますが、ただ、問題は、千島列島というものはどの範囲かということについていろいろ議論があり、私は明治八年の千島樺太交換条約にもはっきりと得撫島から占守島まで十八の島と、十八全部、島の名前を挙げて日ソ両国できちっと確定しておる文書等もございますから、そういったことを踏まえて四島返還の理論的前提根拠にしておる、こういう受けとめ方です。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 サンフランシスコ講和条約というのは、千島をソ連領に、ソ連に引き渡すということを前提としたものです。それを前提とする政府の四島一括返還というのはどういう内容のものですか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。  まず、サンフランシスコ平和条約で、日本は二条C項におきまして、これらの千島列島及び南樺太の「すべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と、こういうふうにうたわれておるわけでございます。この南樺太及び千島列島をソ連邦に帰属せしめるということは、サンフランシスコ平和条約のどこにも規定されていないというふうに私どもは認識しているわけでございます。  なお、千島列島の範囲につきましては、ただいま総理から御答弁申し上げたとおりでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 四島一括返還の中身。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) 四島一括返還と申しますのは、従来から御説明しているところでございますが、日ソ共同宣言第九項には、歯舞群島、色丹島につきまして、平和条約が締結された後に現実に日本国に引き渡されるものというふうに規定がされておるわけでございます。  総理が先ほど御答弁いたしましたように、なぜ日ソ共同宣言という形でしか国交が回復できなかったかと申しますと、唯一の理由は、国後、択捉両島につきましての主権、帰属の問題をめぐり日ソ双方の政府の意見がどうしても一致しなかったということで、御承知のように、松本・グロムイコ書簡という書簡の発出に至り、そこで領土問題を含む平和条約締結に関する交渉を継続するということにされたわけでございます。したがいまして、今日でも、ソ連政府と北方領土問題を交渉いたしますその中核は、国後、択捉両島の主権の帰属をめぐる問題、この二島の主権と、既に引き渡しを約束されております歯舞群島、色丹島と合わせて一括四島の返還を受けるというのが日本国政府の従来からの一貫した立場であるわけでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 総理、北千島は永久に放棄するんですか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) 先ほど申し上げましたように、サンフランシスコ平和条約二条C項におきまして、日本国はこれらの権利を放棄いたしました。この放棄する意味は、サンフランシスコ平和条約に署名し、批准し、この条約が発効した時点で永久に我が国はこれらの権利を放棄したというふうに解釈をいたします。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 総理、それでいいですね。  日本の領土北千島の永久放棄を前提とするのではなく、スターリン時代の大国主義をただす立場に立ってこそこの交渉に当たるべきではありませんか。我が党はそういう立場に立って全千島の返還を目指しつつ、過渡的措置として、ヤルタ協定でもサンフランシスコ条約でも問題になっておらず、もともと北海道の一部である歯舞、色丹の二島は平和条約の締結を待たずに中間的な条約で返還を実現することを提案し、政府にもこの提案を伝えております。総理、この点についてどのようにお考えになりますか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、日ソ共同宣言第九項には、歯舞群島、色丹島につきまして「平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。」というふうに規定されております。したがいまして、日ソ共同宣言を原点として議論をさせていただきますならば、歯舞群島、色丹島の平和条約締結前の返還というものはそもそもあり得ないというふうに考えております。  また、サンフランシスコ平和条約二条C項の規定につきましては、そもそも私どもは日本が国交を回復いたします際の厳粛な基本的な条約として平和条約に署名し、批准し、これが発効したわけでございますから、この二条C項を云々するということは既に現実的な問題としてはあり得ないというふうに認識をいたしております。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 私はそのように決めてかかるべきではないと思います。  もう一度お伺いします。歯舞、色丹の二島というのはもともと北海道の一部であって、日本がサンフランシスコ平和条約で放棄した中に入らないと思いますが、これについての見解はどうですか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。  歯舞群島、色丹島は、国後、択捉両島とともに、先ほど総理からも御言及がございましたように、下田条約、一八五五年の日魯通好条約、一八七五年の樺太千島交換条約等の規定を見ましても、国際法上も明白に固有の領土である。歴史的に見てもそのとおりである。したがって、明確にサンフランシスコ平和条約で放棄をいたしました中に、千島列島の中にこれらの二島は入らないというのが従来からの日本国政府の立場でございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 私はそういうことを固定したものとして見ないで、スターリン時代の大国主義的な立場をただす立場に立った交渉こそ必要だと思います。その点での総理の考え方をもう一度お伺いして、終わります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 歴史的な、法律的な秩序の上に立って、我が国が固有の領土であると国民的合意によって認めたものに対して返還を毅然として求めていく。この態度に立って交渉は進めたいと、こう決意をいたしております。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で吉岡君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、池田治君の質疑を行います。池田君。

池田治連合参議院

○池田治君 戦後、新憲法が公布されまして男女の平等ということがうたわれてまいりました。そこで、何十年かするうちに次第に女性の地位も高まりまして、この後ろの方には立派な議員さんもあらわれましたし、閣僚の席にも立派な御婦人があらわれました。これは我々男性にとっては都合の悪いこともございますが、しかし憲法の規定でございますのでこれを実現していく以外にないと思っております。  そこで、政治、経済、社会的には地位が上がってまいりましたけれども、今、婚姻制度そのものにも男女の平等を実現していこうと、こういう機運が出てまいりました。今、御承知のように、新民法では婚姻に際して男女は夫もしくは妻の氏を称すということで、どちらかの氏を称さなければならないことが規定されております。しかるに、今後の問題としては、何も妻が夫に従う必要はないんじゃないか、姓を同じゅうする必要はないんじゃないかという声が高くなりましてこの問題が出ております。これは笑っておられますが日本だけではございません。近時ドイツにおきましては、男女の平等をうたった基本法に反するのが妻に夫の姓を強制することだという最高裁判所の判例が出ております。  そこで、日本におきましても、参議院公報を見ますと毎日のように夫婦同氏別氏の選択を可能にする民法等の改正に関する請願と、こういうのが出ておりまして、法務省もかなりのことはお考えになっていると思いますが、法務省のこれに対する取り組み方、並びに、法務大臣も御年配でございますから感覚がちょっと古いと思いますので、法務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

左藤恵自由民主党法務大臣

○国務大臣(左藤恵君) 何歳をもって年配と言われるのかわかりませんが、いずれにいたしましても、今の問題につきまして、現在法制審議会におきましては婚姻及び離婚に関する民法の規定の見直し作業、これを今鋭意進められておりまして、その作業の中で、夫婦別姓問題を含んで夫婦の氏のあり方の問題も審議される見通しでございます。非常に大事な問題でございますので、当面は法制審議会の審議を見守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

池田治連合参議院

○池田治君 海部総理は非常に愛妻家だとお聞きしておりますが、総理はどういうお考えでございますか、お聞かせ願えませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 夫婦別姓に関するお尋ねでありますけれども、私は男女の出会いというものは厳粛なものであると受けとめてまいりましたし、また夫婦が営む家庭生活というものは、これは人生においても最も崇高な共同作業である、このような考えでまいりました。したがいまして、ごく素直に夫婦はどちらかの同じ姓を名のるものだという社会のルール、仕組みの中で育ってまいりましたのでそのことに対して何の違和感も持たなかったのでありますが、今日、別氏選択制の導入を求める声があることも、これはよく承知をいたしております。  これは基本的人権、個人の尊厳に関する問題でもありますので、現在法制審議会においてその見直し作業が進められている中でその審議が続けられておると思いますから、国民世論の動向等にも十分目を配ってまいりたいと考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 同氏別氏を選択するということは、男女の出会いの厳粛なことを否定するものではないわけでございまして、厳粛であればあるほどお互いの個人を尊重しよう、女性の地位も尊重しようと、こういうことになっております。  ドイツの判決も言っております。名前は個人の人格の表現であり、何人も氏名の保護を法に期待することができる、これに反して妻に夫の姓を強制することは男女平等をうたった基本法に反する、こう書いてございますので、海部総理もきょう飛行機の中で奥さんと一緒にこの問題もお話しになって新しい時代を築くようぜひお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で池田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、今泉隆雄君の質疑を行います。今泉君。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 総理、諸先生方が湾岸戦争とか九十億ドルの話とかいろいろされていらっしゃいますので、きょう私は全然違う心温まる文化、芸術のお話をしたいと思いますが、今日本に、二万人、三万人あるいは五万人と言われていますけれども、河原こじきという人種の人たちがいるんですが、総理は河原こじきというのは御存じでございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 昔の本などを読んでおりますとそういう言葉が出てきておったことは私も読んで知っておりますけれども、今の世の中でそういう言葉を使ってはいけないことであると私は受けとめております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 実は私も河原こじきというところの出身でございまして、名前のついた大学なんというのは全然出てないし、作曲なんかも全部独学でやってまいりましたけれども、総理は去年一年間でいろいろ音楽会へ、ポーランド支援コンサートとかボストンポップスとか、あるいはミュージカル南太平洋とか、それからニューヨークポップスまで奥様と一緒にいらしたというお話をお聞きしておりますが、総理は今の日本の文化、芸術に対してどのようなお考えを持っているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本のですか。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 いや、世界でも結構です。日本でも結構です。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は豊かな社会というのは、やはりお金も必要でしょうし物も必要でしょうけれども、物やお金に表現することのできない心の豊かさというものも追い求めることが大切で、そういったものが満たされることが文化だと、こう思いますし、今御指摘になりましたようなところには、私も心の豊かさを求めて暇があれば行くようにきょうまでもずっとしてまいりました。そういったものがやはり人間生活の中でみずみずしい感受性を生んでいくとか、あるいは物に対する価値を認めたときにはすばらしいなと素直に感動するようなそんな心が育成されていくわけでありまして、文化というものは非常に大切なものである、このように私は受けとめております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 その音楽、文化あるいは舞台芸術に対して、昔は入場税というものがかかっておりましたが、今は消費税というものに変わっております。この消費税が、人件費、美術、衣装、照明、宣伝、弁当、汽車賃、宿、全部にかかってまいりまして、入場料にまでかかってくるわけなんですが、非常に私どもはそういうものに困っておりますけれども、入場税というのがいつごろできたのか、大蔵大臣、御存じでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の生まれた翌年であります。すなわち昭和十三年です。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 大変よく御存じですね。  ただ、施行されたのは昭和十五年ということで、一番最初は支那事変の特別税法としてつくられたということです。戦争協力税としてこれはつくられて、十九年ごろは二〇〇%ぐらいまで上がったらしいんですけれども、そのことによって非常に困っているわけですね。世界じゅうで芸術、文化に対して税金をかけている国、高い税金をかける国はもう本当に少なくなっておりまして、アメリカなんかでは州ではないところもありますし、イギリス、ドイツ、フランスにおいてもこれは消費税じゃなくて、ポルノとかそのほかの遊技場なんかには二〇%、三〇%かかっておりますが、非常に少ない税金なわけですね。そして、おまけに宗教とか政治の催し、非営利の催しは一切無税であるし、公益法人の事業に対しても無税なんです。  そういうことに対して、大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに僕は、実は二〇〇%近くになりましたのが昭和十九年というのまでは存じませんでした。しかし、いずれにしても、戦費調達の一つの手段として入場税というものが生まれたという歴史は存じております。そして、その中におきまして、確かにそういう時代があったわけですが、むしろ次第に税率が下がってくると同時に、その戦費調達あるいは消費抑制というねらいもその当時はあったのかもしれません。しかし、そういう見地を離れて、入場料金の支払いに占める担税力に着目をした課税となっておったと承知をいたしております。ただ、これには非常なアンバランスがございました。そして、そのアンバランスがありましたことがさまざまな御論議を呼んでおったことも承知をいたしております。  一方では、消費税というものが、広く薄く御負担をいただくという基本的な考え方の中、しかも、売上税のときに示されました両院の御論議の中から、できるだけ非課税取引というものを減らすという観点のもとに極力限定をいたします中で、まさに一般的なサービスの一つとして課税対象となっておるのが現在であります。私どもといたしましてはこうした考え方について御理解をいただきたい、そのように考えておるところでありまして、入場税と全く性格を異にする、国民の受ける一般的なサービス、そうした視点から課税対象になっているということを申し上げたいと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 アメリカなんかでは寄附は全部免税される。ところが、日本では、寄附した場合には贈与税がかかっていくというようなことなんかで、アメリカと日本でも文化、芸術に対しての考え方が全然違うということがよくわかるわけなんですけれども、私はずっとミュージカルをつくってきて、全然もうかってもおりませんし、また今日本に五十万人以上いる親子劇場、子供劇場というところの非営利団体のところで運動をやっておりますが、こういうところはぜひ今後無税にするという方向を考えていただきたいのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 税について、新たな非課税措置を設けるかどうか、あるいはどのような税体系をもって臨むか、それは毎年毎年の税制調査会の御論議等の中で考えられ、不断に見直しをされていくテーマでありますけれども、一般的に今委員が述べられましたことで一点申し上げたいと思いますのは、日米両国の違いを言われたわけですが、私は、日米両国の特に法人の寄附金に関する課税の取り扱いというものを比較いたしますと、一概の比較は非常に難しいと思うんです。  と申しますのは、米国の場合には、一定の適格団体に対する寄附金について課税所得の一〇%を限度とした控除を認めている。日本の場合には、一般の寄附金につきましては一定の限度の中におきましての控除を認めた上で、美術、文化、教育、科学、経済協力など幅広い分野における特定公益増進法人に対する寄附については別枠の控除を認めている。さらに、国あるいは地方公共団体などに対する寄附につきましてはその全額を控除する、こうした制度をとっているわけでありまして、制度そのものが全く違いますために、これは私は比較が大変難しいということだけは申し上げておきたいと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 少し先に進みまして、文化予算の問題でお尋ねしたいと思います。  衆参両院の音楽議員連盟の中でも文化予算の拡大が非常に叫ばれておりますし、やはり文化というものは予算がないとできないということなんです。先ほどもアメリカの話が出ましたが、アメリカでは連邦が約三百四十億円、州政府でも百七十億円、市町村でも三百八十億円という予算を組んでおります。個人、法人の免税なんか入れると、トータルで約四千億円の予算があるということが言われております。同じく、イタリアなんかでも音楽に五百四十五億円、演劇に百三十億円、映画に二百九億円という予算が組まれておりますし、フランスなんかでは一九八一年の社会党政権になってから数倍から十倍ぐらいの予算にはね上がっておりまして、約一千九百四十一億という数字が出ております。あのイギリスなんかでも九百八十五億。しかも、外国では全国家予算の一%から〇・九二%ぐらいなんですね。ところが、日本は去年四百三十二億円ぐらいで、〇・〇六八%という少なさなわけです。  総理は、さっきおっしゃいましたように、非常に文化、芸術のお好きな総理でいらっしゃいますから、何とかこの文化予算を少しでも上げていただきたいんですが、お考えをお聞かせいただけませんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理へということでありましたけれども、私の方からまず一点申し上げさせていただきたいと思います。  確かに、委員がお述べになりましたように、各国のいわゆる文化関係の予算というものについては相当な金額の開きがございます。そして、そのカバーしている範囲にも違いがございます。それは今委員がお述べになりましたとおり、各国例えば音楽に、あるいは美術に、その他の分野に、さまざまなところへの重点の置き方の違いがあることも御承知のとおりであります。  そういう意味では、我が国の文化関係予算が少ないという対比は必ずしも私は正確ではないように思いますが、今私どもとしては、国民が文化というものに対して非常に大きな関心を持っておられる状況の中で文化庁の予算の充実に努めておりまして、二年度は前年度に比べて五・六%増し、今委員が述べられたとおり四百三十二億円、三年度は今御審議をいただいております内容として対前年度六・三%増の四百六十億円を計上しております。  またさらに、我が国における芸術文化活動の基盤の強化というものを期して平成元年度の補正予算におきまして創設されました芸術文化振興基金、これを通じましての文化施策の拡充も図られているところでありまして、今後の文化庁予算というものにつきまして各年度の予算編成におきまして、そのときそのときの諸情勢というものを勘案しながらできる限りの増額に努めていきたい、そのように考えておるところであります。今たまたま委員の御引用になりました中に、新たに生まれました芸術文化振興基金を加えてどうぞお考えをいただきたい、そのように考えております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 芸術文化振興基金のことはちょっと後でまたお聞きしたいと思いますが、森繁久弥さんがこう言っていらっしゃいます。日本の文化は非常に低い、なぜ芸術家をもっと大事にしないのか、文化というのは社会そのものであるというようなことを森繁さんが言っていらっしゃるのですけれども、現在、芸術家の、特に俳優たちの収入というのは、これは特殊な人を除きます、スターと呼ばれる方を除いて、高くても大体六百万ぐらい、平均して三百万ぐらいの収入と言われているわけです。例えば一番売れているアニメの俳優さんですら、一年間に五十何本のテレビに出ていてたった二百四十万円しかもらえないというのが現状なわけです。この中から事務所のマネージメント料とか税金を払っていったら食っていけないわけなんです。  それはなぜかといいますと、スポンサーから代理店、代理店からテレビ局に行きまして、テレビ局から下請プロに行きまして、下請プロから俳優のところに行くという、こういう流通の機構もあるわけなんですが、テレビ局、代理店がまた少なくても一五%から一七%ぐらいピンはねをしていきますから、どんどんどんどん少なくなっていくのが現状なわけで、下請に来たときにはもう原価の三五%ぐらいないというのが現状なんですが、こういうようなことに対してどうお考えになっているか、通産大臣と労働大臣にお聞きしたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 岸洋子さんの「夜明けのうた」とか、あるいはまた坂本九さんの夜空の星ですか、とかおつくりになられたいずみたく先生の高名な名前からして、そのような御説明でございますからそのとおりにお受け取りいたします。  ただし、私ども余りよくその問題点についてはわかっておりませんでしたけれども、そんなに低いものかなと思っていろいろ資料を調べてみると、平均値にしますと、先生今三百万と言いましたが、四百万くらいのものですかね。そうしますと、やっぱり低いということになりましょうか。  そこで、そういう点におきましては、プロダクションとかあるいはテレビ会社とかというところからも相当に、今ピンはねという言葉をお使いになられましたが、ピンはねという言葉がいいのかどうかは別といたしまして、そういういわゆる何といいますかプロシージュアの中にいろいろ問題があるのかなという感じは率直に受けます。ですから、そういう点におきましては私どもも今勉強をさせていただいたような次第でございます。

小里貞利自由民主党労働大臣

○国務大臣(小里貞利君) 労働行政の立場からお答え申し上げますが、お答えになるかどうかわかりませんが、ただいま先生お話しの芸能関係従事者につきまして、一般的に労働基準法の観点から申し上げますと、これが適用をお受けになる労働者が比較的少ない、こういう実態でございまして、これはもう先生が一番よく御承知のとおりでございまして、したがいまして、それらの就労実態等につきましては詳細を把握申し上げておりません。しかしながら、そのような従事者の関係の中におきまして労働条件上個別にあるいは具体的に問題があるといたしまするなれば、私どもは労働基準法履行確保の観点から適切に対処させていただきたいと思っております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 今の問題はわかりました。  次の問題に行きたいと思いますが、今セーブ・アワー・ミュージックという言葉が日本及びアメリカあるいはヨーロッパでも非常に流行し始めております。これはどういうものかといいますと、DATと申しましてディジタルオーディオテープレコーダーという機械ができました。それが去年の六月に日本でも発売されたんですが、アメリカではこのDAT法案というものが出てきたんですが、この法案がのらないように非常に反対運動が起きております。ここにそのパネルがございます。セーブ・アワー・ミュージック。これは日本のパネルでございます。それからこれはアメリカのポスターでございまして、ヘンリー・マンシーニとかペギー・リーとか、非常に有名な音楽家がみんなサインをしているわけです。  そして、これはヨーロッパなんかではテープレコーダーそのものに関税のように著作権をかけられてドイツそのほかの国ではもう売り出しているということがございますが、日本ではほとんど私たちとか芸術家に相談もなしに六月に突然売り出されたということで、日本の芸術家それからアメリカの芸術家が手を組んでこれに反対しているわけなんですが、この辺は、通産大臣、どうお考えになりますでしょう。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) DATの問題は私も前から聞いておりましたが、現行のDATにおきましては、ディジタル録音物から一世代は直接録音ができるという、すなわちSCMS方式でございますか、先ほどの委員御指摘のセーブ・アワー・ミュージックのその問題でございますが、方式が採用されておりますけれども、通産省としましては、本方式そのものが消費者の利便あるいはまた著作権者の懸念の両面を配慮したと、こういうことで、当面考え得る最も適切な方法であろうと考えているわけでございます。  なお、我が国における著作権保護の今後のあり方につきましては、これは著作権審議会の審議結果等を踏まえまして所要の対応をしなければなるまいなと、このように考えている次第でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 この著作権の問題は商標権の問題、特許権の問題とほとんどよく似ている問題で、このことについて、文部大臣はどうお考えでしょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  録音機器の普及に伴い、家庭内におきます録音、録画の増大に対しまして著作権者等をどのように保護するかという問題につきましては、これは重要な課題であります。昭和六十二年八月から著作権審議会に検討をお願いしているところであります。この問題の解決におきましては、録音、録画を行う利用者の理解を深めるとともに、録音、録画用の機器あるいはまた機材メーカーの協力を得ることが必要であり、今後、関係者の理解が深まるよう配慮しつつ、また国際的動向も踏まえながら適切な対応に努めてまいる所存であります。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 もう一つ、続いて文部大臣にお伺いしたいと思うんですが、今は著作権の問題なんですけれども、同じようにテレビにおける映像権という問題がございます。そして、まして衛星放送では現在映像権がほとんど支払われていないという現実があって、これもいろんな芸術家の中で問題になっているわけなんですが、特にこれは、この間の湾岸戦争でお金を出したということと同じぐらいに、アメリカの映画なんかでも払われていないとしますと非常に大きな国際紛争になるおそれがあるのですが、文部大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  映画の放送やビデオ化等の利用に対します実演家の権利につきましては、映画に出演した実演家は当初の出演料等は受けるものの、一般的には当該映画のその後の利用に対しては権利が認められていない。そうしてこの問題が提起されております。この点は、世界各国におきましても、また条約の上でも同様の取り扱いとなっておりますが、欧米諸国では契約交渉による実際的な問題の解決が図られているところであります。この問題は各国におきまして長年定着している映画に係る権利の取り扱いに関係する問題であり、これは制度的対応に十分慎重な検討を要するものがある、このように考えます。  いずれにいたしましても、歌手や俳優の方々の実演家が我が国文化の創造と発展に寄与している役割には重要なものがあることから、私どもといたしましては関係者間における実際的な合意形成のため、必要な指導、助言を行いつつ今後さらに著作権審議会等の場での検討も考えてまいりたい、このように思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 では、次の問題に参りたいと思いますが、さっき大蔵大臣がおっしゃった芸術文化振興基金の問題なんですが、当初三千億という何か非常な目標で進んだものが現在は六百億という形でやられておりますが、ある雑誌に、ことしはそれに五億追加されるというようなことがちょっと出まして、文化庁の方に聞きましたらば、文化庁の方ではそれはまだ全然わからないと。なぜわからないのかと言ったら、いい作品がないからねと簡単に言われて、文化庁さんがいい作品と判断しているのか、いい作品じゃないと判断しているのか、そのようなことは文化庁が判断することなんでしょうか。文部大臣、どうでしょう。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) 先ほど大蔵大臣がちょっと申し上げましたが、御承知のとおり、芸術文化振興基金は我が国における芸術文化活動の基盤の強化を期して、平成元年度補正予算におきまして政府出資金五百億円と、百億円を目途とする民間拠出金の運用益によりまして多彩な芸術文化活動を幅広く助成しているところであります。  基金発足初年度であります平成二年度におきましては、総額二十一億三千万円の助成金が交付されました。平成三年度におきましては、助成金の規模も対前年度五〇%増の三十二億円程度を予定しているところであります。さらに、今お話がありましたが、基金の拡大につきましては、今後私どもとしては、基金の運営状況やまた関係者の要望も勘案しつつ、その充実を検討していくのが課題であると考えております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 ただ、一千億に達するまでに、五億ずつふやしていったとすると九十九年かかるわけです。今後九十九年かけて一千億になる。そうすると、九十九年間かけてそういうふうに当初の目標どおりの一千億になさるおつもりなんでしょうか。どうでしょう、文部大臣。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) 先ほど私申し上げましたように、今だんだんと助成金がふえておりますし、また基金の問題もいろいろな審議会でそれに対応しつつ今考えておる最中であります。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 その運営方法とか助成内容とか審査員の名前ぐらいは知っておりますが、どういうふうにされているのかがよくわからないので、文化庁さんに聞いたらよくわかるようにぜひしていただきたいと思います。  私も三年前にミュージカルを持ってアメリカに二カ月行ってまいりました。そのときは外務省の国際交流基金からお金をいただきまして非常に助かりました。やはりそういうものがないとなかなかいいものができないので、よろしくお願いしたいと思います。  ドゴールの下で文化相を務めたアンドレ・マルローという人がこういうことを言ってます。国家は芸術を指導するのではない、芸術に奉仕するためにあるのだというようなことを言っております。それでちょっと一つ心配なのは、いろいろ項目を読んでいますと、宗教にかかわるもの、政治にかかわるものはだめと書いてあったりするんですが、フランスなんかでは、そのときの内閣に反体制の演劇、踊りなんかにも助成金は出すということがこの間朝日新聞にも載っておりましたが、その辺については、文部大臣、どうお考えでしょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  芸術文化振興基金は、これは特殊法人日本芸術文化振興会で運用されております。御指摘の助成金交付の基本方針も、同振興会に置かれた芸術文化に広くかつ高い見識を有する委員で構成された運営委員会において決定されたものであります。基金は公的助成であるということから、宗教的または政治的な宣伝意図を有しないものに助成することが適当である、このようにされております。  また、実際の配分につきましては、基金の趣旨に照らし公正かつ的確に行うため、百人を超える専門家から成る委員会組織において専門的立場から審査を行っているものであり、芸術文化の創造、普及を図るという基金の趣旨にふさわしい活動であれば基金助成の道が開かれている、このように考えます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 ということは、例えば反体制の演劇であった場合でも、審査員がオーケーすればそれは出していただけるということでしょうか。文部大臣、いかがでしょう。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) お答え申し上げます。  先ほど大臣も答弁を申し上げましたように、この芸術文化振興基金の配分につきましては、特殊法人の日本芸術文化振興会に置かれました運営委員会、それからその下に置かれました部会あるいは専門委員会におきまして精密な論議を重ねた上で決まってまいるわけでございます。  先ほどの宗教的または政治的な宣伝意図を有しないものということが助成の要綱のただし書きに書いてあることは確かでございます。これは公的な助成であることから当然の要件であるわけでございますけれども、恐らくこれは明白な宣伝意図を有するようなものについての注意書きであろうかと思うわけでございます。したがいまして、その個別の案件によってこれが当たるかどうかということを判断すべきものでありますので一般的には申し上げにくいわけでございますが、少なくとも昨年度の配分に当たりましてこのような要件に該当するものはなかった状況でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 では、続いて国立劇場のことについてちょっとお尋ねしたいと思います。  今はASEAN諸国なんかも立派な国立劇場がたくさんありますし、この間、おととしですか、フランスの革命記念日のときに第二オペラ座がパリにできました。これが非常にすばらしいということなんですが、日本の場合、明治十九年に国立劇場をつくるということが提案されたという話を聞いておりまして、そしてそれから明治三十九年、大正十年、昭和十一年と四回ほど提案されたんですが実現をしなかったもので、伊藤博文さんたちによって帝国劇場ができたということも聞いております。  この間、文化庁の方に来ていただいて第二国立劇場の話を聞いてその設計図を見せていただいたんですが、これが、日本の第二国立劇場は何か大きなデパートの中につくられたような国立劇場で、いかにも国立劇場らしくない劇場なんでございます。特にまた、今の設計者の方というのは劇場に非常に詳しくない方が多くて、例えば劇場の下手、上手と言いますけれども、こちらの右の方から左の方に抜けられなかったり、それから池袋にできた東京都の東京芸術劇場なんかは客席から舞台の方には行けなかったり、非常に困る場合が多いわけなんですが、そういうような国立劇場ができていいのかどうか、ちょっと総理にお聞きしたいんですけれども。  ちょっと補足させてください。本当に大きな建物の中の半分が第二国立劇場で、こっち側半分がいろんなショッピングセンターみたいなものがあったりコンサートホールがあったりして、非常に劇場らしくないんですね。まだごらんになっておりませんか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) お答え申し上げます。  第二国立劇場の設立に関しましては大変長い歴史を持っておりまして、芸術家の方々も長年の夢とされてきたところでございます。それで、文化庁といたしましてもこの設立の実現に向けて大変な努力を歴代重ねてまいったわけでございますが、やっと用地の問題が解決いたしましてただいま環境アセスメントが行われておりますが、今年度末に都市計画の決定が出ましたならば建設着工に移り得るという段階でございます。  先生のお話は、まことに残念でございますが第二国立劇場につきまして大変誤解に満ちておりますので、ここでちょっと御説明させていただきたいと存じますけれども、第二国立劇場は御存じのように東京都の渋谷区とそれから新宿区の境にできるわけでございまして、元東京工業試験所の跡地を使うという劇場でございます。その立地条件は必ずしも劇場にふさわしくないということが、昭和五十年代の後半に芸術家あるいは一部の建築家の中から出たわけでございます。そのようなことを背景といたしまして、あの周辺を劇場にふさわしい環境に持っていくということが大きな課題であったわけでございます。それを解決いたしますために、都市計画法上の特定街区制度を導入することにいたしました。  それで、第二国立劇場そのものの設計に当たりましては国際コンペも行い非常に立派な設計が行われているところでございますし、この設計者は劇場についても大変勉強しておられるところでございまして、私どもといたしましては、これが実現の暁には国際的にも誇り得る見事な劇場になろうかと思っているわけでございます。と申しますのは、我が国ではまだオペラ、バレエ等の専用劇場はないわけでございます。四面舞台を持った本当の専用劇場ができ上がるということは多方面の方から期待されているところでございます。そして、先生がおっしゃいましたが、デパートのような大きな建物の中にあるわけでは全くございません。第二国立劇場は一定の敷地の中にきちんとした設計のもとに建てられる劇場専用のものでございます。  ただ、先ほど申しましたように周辺街区を文化的なものにするということの問題を解決するために、周辺の地権者の方々に御協力をいただきましてそこを文化街区として設定し、その横に高層ビルを建てて、その下の方に文化的な街区なりあるいは人々が集まり得る広場なりというものをつくっていく、そういうことでございます。一見すると第二国立劇場と高い建物が一体のように見えるわけでございますけれども、劇場そのものは画然とした設計になってございまして、三つのホールを有する立派なものであろうと思います。またこれはぜひ個別に先生のところへ御説明に伺いたいと思いますが、一応誤解だけは解かさせていただきます。どうぞよろしく。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 この間文化庁の方が来て説明なさった話と全然違うし、いただいた設計図なんかとも何か全然違うような話で、それは一応は信用しておきますが。  じゃ、その国立劇場ができたときに、これもやはり日本にないんですが、世界各国どこにでもあることなんですが、日本には国立オペラがありません。国立バレエがありません。国立オーケストラがありません。それから国立演劇大学というものもありません。そのようなものに対しては、文部省はどうお考えになっていらっしゃるんですか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) 大変多岐にわたりますが、次代の芸術活動を担う中核となり得る各分野の若手芸術家の養成・研修は、我が国の芸術水準の維持向上を図るための重要な施策と認識しております。このような基本的な認識のもとに、文化庁においては従来から内外の若手芸術家に研修の機会を提供する各種の事業を実施しているところであります。  なお、既にオペラ、バレエ、演劇等の分野におきましては民間芸術団体附属の養成機関が多数設けられていることもあり、国立の養成機関を新たに設置することにつきましては当面慎重に対応すべきものと考えます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 私もその民間のミュージカル学校をやっているものですからよく知っているんですけれども、やはり世界に対して恥ずかしくないように、国立オペラ、国立バレエ、国立オーケストラ、これは絶対つくっていただかないと文化的な日本ということを言われないと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、もう一つお願いしたいのは、フランスの第二オペラ座ができたときに、三日間VIPを御招待した後四日目から一般に開放して、一般に開放したときに何と七百円ぐらいの値段でパリの市民たちにオペラを見せた。そのくらいのことはやはり国立劇場をつくられた文部省としてもお考えになっていただきたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) この入場料金につきましては管理運営の具体的な検討の中で決定していくことになっておりますし、また民間の公演等の例も考慮しながらできるだけ配慮してまいりたい、このように思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 では、次の問題に行きたいと思います。  子供たち、青少年の問題なんですけれども、ドイツは敗戦後何を一番最初につくったかというと、工場をつくったわけでもなく住居をつくったわけでもなく、一番最初に劇場をつくったそうです。それはなぜかというと、人間が大勢集まって話し合える場所として劇場をつくった。これはやはりすばらしいことだと私は思いました。私も、私のミュージカルをもう二千回ぐらい上演して全国を回っているわけなんですが、よく学校の先生から、私たちが教えるよりか二時間のミュージカルを見た方が教育になりますねという手紙をいただきます。  これも総理にお願いなんですけれども、何とか児童専門劇場というものを全国にたくさんつくっていただきたいのですね。これはソビエト、東欧、ドイツ、フランスなんかには非常にたくさんできていて、いつどこへ行っても子供のお芝居、子供のミュージカルが見られるようになっておりますが、戦闘機一機、軍艦一隻やめれば全国にすぐできるんじゃないかと思うんですけれども、その辺は、総理、どうお考えになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一般的に申し上げて、子供がすぐれた芸術に触れる、あるいはみずからの力で芸術活動に参加するということはこれは大切な教育であると受けとめておりますし、また同時に、こども芸術劇場、青少年芸術劇場などの地方巡回公演事業などもかねてから実施をしておるところでございます。  子供等、全体の文化活動の拠点として文化会館の整備を今日まで行ってまいりましたが、先生は子供専用とおっしゃいましたけれども、やはり社会全体の中でよりふさわしい文化施設の設置について検討もさせていただこうと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 次に、テレビの問題でちょっとお伺いしたいと思います。  現在、二十四時間ずっとテレビが放映されておりますが、この前のオイルショックのときには深夜テレビは全部中止されました。今は表現の自由ということでいろいろなものをやっておりますが、どちらかというとわいせつなものが非常に多かったり、深夜のテレビはそういう種類のものが多いわけなんです。これは子供たちにも余りいい影響はないと思いますし、現在、湾岸戦争後のエネルギーの問題としてテレビの二十四時間放映というのをやはり自粛した方がいいと思うんですけれども、郵政大臣、どうでしょう。

関谷勝嗣自由民主党郵政大臣

○国務大臣(関谷勝嗣君) 政府といたしましては、省エネルギー・省資源対策推進会議で決定をいたしました当面の省エネルギー対策におきまして、昨年の十一月六日でございますが、深夜におけるテレビジョン放送の時間短縮について検討をするように放送事業者に呼びかけを行ったところでございます。  ただ、一方、深夜における視聴者の情報あるいは娯楽に対する要求に対しましても適切にこたえることも大切なことであり、放送事業者に省エネルギーと放送のバランスを考えて対応してもらうべく、具体的な判断は放送事業者にゆだねているのが現状でございます。しかし、先生のお考えと私の考えも大変近いものであるということを私の答弁にさせていただきたいと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 もう一つ、郵政大臣にお尋ねしたいことがあります。  最近新聞なんかでも非常に問題になり社会的な問題になっておりますダイヤルQ2の問題なんです。もうきのうも出ていましたし、きょうも出ていました。これはダイヤルQ2に電話しますと、見知らぬだれかとすてきな出会いがあるかもしれませんみたいな案内が入るんですね。そしてパーティーラインとかアダルト番組が非常に多い。未成年者が電話ばかりして月に五十万ぐらい払っている、これが裁判ざたになっている。あるいは子供がよそのうちに忍び込んで電話をかけるというようなことが非常に多いし、あげくの果てはパーティーの中で刃傷ざたになったりしているんですけれども、このダイヤルQ2に関して、これは親も非常に困っているということもありますし、またまじめな情報提供者も非常に困っているんですが、これは何とかならないものでしょうか。

関谷勝嗣自由民主党郵政大臣

○国務大臣(関谷勝嗣君) この問題につきましては、二月の一日に発表されましたNTTのダイヤルQ2サービスの利用規制に関する措置、いわゆる地方公共団体であるとかあるいは地域の婦人団体から出されておりました改善要望に沿って現在対処をいたしておるところでございます。  委員御指摘のように悪い部分もございますが、ダイヤルQ2は例えば外国語のニュースの提供であるとか健康に関するカウンセリングなど社会的にも有用な利用が行われている、そういう部分もあるわけでございまして、今後は正しい方向で、メディアとしての有用性を生かした多様な活用が図られる方向に指導をしていきたいと考えております。いわゆる悪貨が良貨を駆逐するようなことのないようにこれに対処していきたいと考えております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 文部大臣にお尋ねします。  内申書の問題なんですが、私の内申書を見せてほしいと大阪の中学の女の子が申し入れております。高校受験には内申書の比重が非常に大きいわけですが、また内申書というのは、教師の主観、思い込みなんかで評価が決まってしまう場合も非常に多いと考えられます。アメリカなんかでは公開制度をとったり、本人や保護者が見られるような仕組みになっているということらしい。日本では内申書に響くぞと言って教師がおどかしたりする例も非常に多いんですが、これは子供の不信また不安を取り除くためにも、この内申書制度というものをもう少し改良するか、いい方向に持っていく方法はないものでしょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  今先生のお話でありますが、いわゆる内申書は、高等学校の入学者の選抜がただ一回の学力検査のみで決まるため、中学校の在学期間中を通じて培われた一人一人の生徒の多面的な能力あるいはまた適性等を見ることができる点で大きな意義を有するものでありまして、今後ともやはり高等学校の入学者選抜の資料として重用される必要がある、このように文部省では考えております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 最後の質問に移ります。  これは前に商工委員会で私も質問したことなんですけれども、冠公演というものが今非常にはやっております。冠公演にしますと、不思議なことに一万円の入場料であったものが二万円になったり、二万円が三万円、高いものは五万円にもなる。つまりスポンサーがつくと高くなっていくという非常に不思議な現象が起きているわけなんですけれども、これは広告料とか代理店マージンとかいろいろなものが入るから高くなるのであると、私の息子が代理店にいてそういうことをやっているので、そういうことを言っておりましたが、そういうことでは見る者が非常に困るわけですね。その冠興行というものをある程度セーブできるかできないか、その辺は、通産大臣、どうでしょう。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 通産省といたしましては、企業の文化支援というものの見地からいきますと、総理がいつもおっしゃるゆとりと豊かさということに満ちた社会の構築に向けました多元的な方策あるいはまた貢献度という問題の一つとしましては望ましい姿だとは考えておるのでございます。しかしまた、その方法につきましては、PR効果重視の冠方式ではなくて、むしろ短期的な見返りは求めないというような、ある意味においては社会に対する奉仕といいますかサービスといいますか、あるいは還元といいましょうか、そういうような貢献が企業の社会的貢献度としては好ましいものではないかな、このように考えておる次第でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 そういう意味で、通産大臣がおっしゃったみたいに、今メセナ方式というのが非常にはやってまいりまして、このメセナ方式で、余り派手な宣伝はしない、派手なパンフレットはつくらないという形で、今までの利益を還元するのであるという考え方が非常にふえてきているので私どもは非常に助かっているんですが、最後に、総理に、そういう企業と文化、それからメセナ方式というものはどういうふうにあればいいかということをお聞きしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは決して強制をするとか、あるいは本来の職務に励めということと全然別の角度から、企業が社会的存在として社会に対する貢献ということでいろいろな文化活動をされておること、私も、時々オペラなんか企業が何の反対給付も求めないで都民に提供される、広くそれを国民の皆様も方々で見られる、これは企業の社会的貢献として評価されるべきものである、このように受けとめさせていただいております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で今泉君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて総括質疑は終了いたしました。  本日の審査はこの程度といたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会

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