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120回国会参議院1991/03/29

予算委員会 第12号

発言数
334
登壇者
35
会派数
2
開催日
1991/03/29

会議録

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、総括質疑を行います。瀬谷英行君。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 最初に、都知事選挙の問題についてちょっと触れたいと思うんです。  昨日の本院の暫定予算の審議、一昨日の衆議院における審議を通じまして、磯村さんの方の選挙の問題でいろんな話が出ました。繰り返しませんけれども、やはり一兆円減税が可能かどうかということが問題でした。それに対して昨日並びに一昨日の答弁を要約しますと、今選挙中だから差し控えたいということで肝心なところがぼけてしまったんです。しかし、総理大臣が推薦をしますと、こういう人ですから、総理がやはり責任を持っておられるわけですね。その候補者が約束したことは総理も責任を持つ、こういうことになると思うんですが、その点、総理、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 内閣総理大臣は候補者を推薦しませんので、自由民主党総裁として党の推薦候補としておるのが磯村さんでありますし、私は一昨日の朝党本部へ行って総裁室で会いまして、党三役とともにその政策をいろいろ聞きました。それなりの構想を持って、自分がもし当選することができたならばこうしたいという政策論争を今まさに各党の推薦、公認の人々と争っておる最中であるからと。ただ、自分としてはこういう考えであると考えを述べましたので、私も総裁として協力しよう、しっかりやりなさいと激励をいたしたわけでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 衆議院でも和田さんのところへ海部総裁の名前でこういう文書が来ているそうです。我が方の野田さんのところにもやっぱりこういうのが来ているんですよ、磯村さんのこういう写真入りで。そして、世界の東京です、世界の東京にふさわしい希望に満ちた国際都市をつくりたい、貴殿の御健勝と御多幸を衷心よりお祈りいたします、海部俊樹。総裁であると同時に、明らかに総理大臣なんですね。  しかも、野田さんのところには御丁寧に同じものが二通来ているそうです。これはもうだれかれ構わず出したということなんですね、衆議院でも参議院でもこういうふうにだれかれの差別なし。きのうの質問で花粉症の話が出ましたけれども、杉の花粉と同じなんですよ。こういうやり方をして一体いいのかどうかということなんですが、どうでしょうかね、総理。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 率直に、お一人のところへ二通も行っておるということは随分効率の悪いことをしておるなという感じがしますし、また、私が磯村さんを自民党総裁として推薦しお願いしたいということで、選対かあるいは地区のだれかが熱心さの余りダブって出したんでしょうけれども、以後なるべく効率的に適正にやるようによく注意をいたしておきます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 一兆円減税を実現させるためには地方財政法の改正といったようなこともやらなきゃならないし、多くの問題が懸案として残るわけですが、それらのことについて政府として道を開くことができるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。自治大臣、出番がないと悪いから、どうかひとつ。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) このことにつきましては、衆議院でもお答え申し上げておりますし、また昨日安恒先生にもお答えを申し上げたわけでありますが、おまえはよく地方財政法を知らないと、こういうおしかりでありますから余り手違いを起こしてはいけませんが、私はこの問題につきましては、別に法律の問題についての改正というのは、これはもう何といいましても国会が国権の最高機関でありますから、過半数あるいは大多数の方々が一つの方向に向いてやろうではないかということになれば、どんな法律だってできるんだし、改正もできるわけであります。  ですから、やらないということであればまたこれはできないわけでありますから、それはやはり国会の権能に属する問題でありまして、とやかく私がこれを申し上げるわけにいきませんが、この選挙の問題につきましては、先日来から申し上げておりますように、私としては今この時点で、せっかく選挙のもう中盤に入っておるところですからとやかく申し上げることは差し控えたい、こう思っておるわけであります。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 お答えをきのうもおとといもやりましたと言っているんですが、確かにお答えはしているかもしれませんけれども、中身がないんですよ。中身のない答弁は困るんですね。  今もおっしゃったけれども、やらないことはできない、これは当たり前なんです。聞かなくたってわかっているんです。やるためにはどうしたらいいんだと。やるためには地方財政法の改正もしなきゃならないし、そういうことをやりますかやりませんかといったようなことを単刀直入に聞かれた場合に、選挙と離れて自治の拡大のためにやりますということをおっしゃるんなら、これは選挙とはまた別の話ですから、それはそれで答えになるんですよ。どうなんですか。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(吹田愰君) ただいま申し上げましたように、法律の改正の問題は、やろうとすればやれますし、やらないという方向に国会が向けばこれはやれません。ただ、政府としてどうするんだと、現行の法律を改正する意思があるかないかという問題についてはこれはまた別の問題でありまして、これはそれなりの審議会を通しての話になりますから、その答申を伺わなきゃならぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 要するに、現行法じゃできないんですね。できないことをできるように言うことはよくないんですよ、幾ら選挙の候補者でも。選挙ですからラッパを吹くのはいい。しようがないです、皆さん御経験があると思うから。ラッパを吹くのはいいけれども、ほらを吹くのはよくないですよ。これはラッパじゃなくて大ほらの部類に入るんですね。  総理、やはり御自分が推薦をなさる以上は、ラッパは吹いてもいいけれどもほらを吹いちゃいけないということはくぎを刺さなぎゃいけないと思うんですが、その点、どうでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 候補者として、自分がもし知事になったらこういうことをしますということをそれなりに考えて、そして四年間の間に一兆円の減税をしたいということでいろいろ言っておるわけでありますから、これはまず当選させてもらうことが大前提であり、当選した暁にこういうことをやりたいというならば、応援するからしっかり頑張れ、こう言ったわけでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 今総理が言われたこと、当選した場合にはということなんですけれども、それじゃ地方財政法も改正しなきゃならないでしょう。自治をどんどん拡大しなきゃならない。自治の拡大ということも、きょう新聞の社説にも載っておりますけれども、自治の拡大を歯どめなくやっていけば、これは国としてどうなるか。  東京都民の税金は下げます、東京都民には住宅も保障しますというようなことは、東京都民にとっていいかもしれないけれども、それほぼかの県民にとってはどうなるのか。東京都は確かに富裕な自治体かもしれませんけれども、東京都民のことだけを考えて地方を考えないと、これはえらいことになると思うんですが、その点、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 全国に一カ所だけいいところができてその他のところがよくないようになっていっていいというような考えは、これは捨てなければなりませんし、そのためにいろいろな角度から自治省が適正に全国の問題を目配りしておるわけであります。ですから、政策の基本からいけばまさにおっしゃるとおりですが、その中にあっても、自治体の首長が自治体の議会と相談すればできることもあるし、また知事だけの権限でできることも与えられておるわけでありますから、そういったことをいろいろと駆使してやっていこうということと思いますし、また住宅問題も、これはお言葉を返すようで申しわけありませんが、各党の人々が言っておる公約というものもやはりそこに幾らかの違いはあるわけでして、東京に五十万戸という人もおれば七十五万戸という人もいらっしゃる。  ですから、そういうことになっていくと、それぞれの人がこういったことでやりたいという自分の政策、それを掲げて議論して論争しておるさなかでありますから、そのどちらが正しいとかどちらがいいとかいうこと、できるかできないかということを今ここでこの立場で申し上げることは、これは差し控えさせていただきます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 自治の拡大ということは、それ自体は私は悪くないと思います。しかし、極端なことを言って、東京都民の方は減税もします、住宅も保障します、仕事もありますということになると、地方はうば捨て山になっちゃうんですよ。そういうことは許しちゃならないから法律があるんです。その法律を変えないで、できないことをやりますと言うことはラッパじゃなくてほらだというんですよ。  だから、ほらを吹かないようにくぎを刺す必要があると私は思うんですね、総理がもし候補者と会ったならば。そこに公約には限界があるということを私は申し上げたいんです。だから、余り勝手なことを言うなと、これは立候補者のモラルの問題なんですね。このモラルを振り捨てて勝手なことを言うということは許されないと思うんです。その点、やはり総理も責任があるからしっかりしてほしいと思うんですが、どうなんですか、くぎを刺しましたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 総理大臣として言ったのじゃなくて総裁としてしっかりやれと激励するのは、党が推薦した候補者に対して、これは総裁として私はむしろ当然のことだと思って激励もいたしましたし、また同時に、掲げて当選してくる政策というものについては、それが実現の暁には総裁としては全力を挙げて応援するからと。また、私はそのつもりでおりますし、現に今知事の権限でいろいろなし得ることも定められておるようでありますから、これはそこまでここで介入することはできないと思います。知事の与えられたる権限でできる範囲内でやればこういうことだという説明を受けて、その決心を本人が持って臨んでおるというならば、それを支持し激励することにつながっていく、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 知事の権限でできないこともできるように言いふらすのは、これはよくない、限界を超えているということを私は言いたいんですよ。だから、そこのところのけじめをはっきりつけろということでくぎを刺しなさいと言ったんですが、どうも刺そうとしてもぬかにくぎじゃしょうがないですからね。その点は、じゃ、もうこれ以上申し上げません。申し上げませんが、選挙の問題だから事のついでに、ちょっと順番を変えまして、選挙法の問題について触れたいと思います。  小選挙区制ということがやはり党の方針として非常にかたいようでありますけれども、この小選挙区制というのは一選挙区に一人ですからね、これはやはり非常に問題があると思うんです。死票がたくさん出ますし、制度として私はいいとは思わないんだけれども、やはり小選挙区制に一生懸命こだわっていくのかどうか、その点をお答え願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 衆議院の選挙区制の問題について選挙制度審議会からいただきました答申に、やはり今の現状についての厳しい反省と批判があって、政党本位、政策本位の選挙に変えていかなきゃならぬということが出ております。同時にまた、政権を目指すのが政党の当然のあるべき姿だと思いますけれども、中選挙区で同じ党に所属する複数の候補者が出て相争う選挙というものを実際に積み重ねてまいりますと、政策が同じ政党の候補者が同じ選挙区で複数争っておるというときは、どうしても、好むと好まざるとにかかわらず政策以外のところにもいろいろ心配りや気を使わなきゃならぬ点が出てきておったのではないか。  だから、政策本位に改めていくのが抜本的な問題であるなれば、政治倫理も政治資金もいろいろあるけれども、根本的はは制度の仕組みを変えていくことが抜本的な改革には必要である、こういう選挙制度審議会の答申をいただいて、それを党の政治改革推進本部の中で、あるいは選挙制度調査会との合同会議の中でいろいろ議論をして、そのような制度、仕組みに変えていくことが正しい。しかも、一票の格差の問題についてもいろいろ御議論がありますけれども、答申の趣旨に従って一対二以内にきちっとおさめていこうとすれば、この方針を貫くことによってその緊急の要請にもこたえることができる、こういったことによって党の方では党議決定をして決めたわけでありますから、そのような線に従って今御議論が進んでおるものと心得ております。  これは各政党、各政治家の皆さんにも、よって立つ基盤の問題でありますから、今いろいろなしベルで十分な御議論をいただいておる、このように信じておりますが、政府としては答申に従ってそのような仕組みの政治改革ができることを強く願っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 私は、小選挙区制というのは金を使わないということに必ずしもならないと思うんです。例えば、さっきちょっとお見せしましたが、こういうものがもうのべつ幕なし、だれかれ構わず配られるということは、よほどの金がなきゃできません。それから、それ相応の組織もなきゃできません。もし小選挙区でそういうことが行われれば、もう戦わずして勝負は決まってしまうということになると思う。  そういうことを避けるためには、やはりある程度有権者に選択権を与える、こういう必要があると思うんです。三名区、四名区あるいは五名区でも、出てこられる方は同じところから複数の候補者が出て当選しておられるんですよ。自民党は数が多いから、数が多くなれば、まあ失礼だけれども玉石混交という話がありますが、玉もあれば石もある。前の閣僚席に並んでおられる方はおおむね玉の方なんです。まれには玉にきずと、そういうこともありますけれどもね。  そこで、有権者が選ぶ場合にはどちらがいいかという場合に、例えば衆議院の本会議の質問を私は聞いておりますと、参議院はそんなことはありませんけれども、衆議院の場合は、土井委員長の質問に対して初めから終わりまでやじを飛ばしっ放しの人がいますよ、壊れたラジオのようにね。それ以外に何にも聞こえない。そのくらい激しいやじを飛ばす人がいるんです。やじ以外に能のない人にはやはり出てもらいたくない、しかし、人格、識見ともすぐれた方にはぜひ出てもらいたい、これは党派を超えてそういう願望が有権者にあると思うんです。その選択の自由を生かすためには、小選挙区じゃなくて、選挙区の幅を広げて三名区あるいは四名区という中選挙区にした方がいいし、そうしないと小さな政党はもう割り込めなくなってしまうんですね。そういうことじゃよくないと思うんです。  だから、比例代表制というのはその意味では私も有効な方法だと思いました、最初はちょっと疑問を持ちましたけれども。そういう意味では、選挙区の幅を広くするということの方が私はより民主的ではないかと思うんですが、その点はどうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ立場の違いとか視点の相違がございますけれども、例えば今御説明になりました、小選挙区にすれば選挙に金がかからぬとは決まらぬぞとおっしゃいますが、まさに昨年の二月から施行になりました公職選挙法の一部改正による法律、あれは候補者がお金を使うことをまず規制しようということで厳しい制限を設けていったものであります。また、先ほど申し上げましたように、そういったいろいろ選挙運動のやり方というものも政党本位のやり方にして、厳しい自主規制を置いて、周知徹底の方法を公に変えていくことによってそういった文書頒布その他の問題についてのお金の使い方もまた変わってくるであろう。これはもうお互いに候補者同士が心がけてやらなきゃならぬ問題でございます。  同時にまた、私自身に言わしむれば、中選挙区の中で争ってきた議員というのは、政策本位で、政党本位でやはり選挙したいなという願望が必ずあると思います。同時にまた、そうすることが政治とお金のいろいろな問題や有権者と選挙との金銭にまつわるいろいろな問題を指摘されないでも済むような仕組みをつくっていくことができるように相なるわけです。そういったものが理想的にできれば、今度は政治というものは公の仕事でありますから、その公の仕事に対して必要なものは公から支出しよう。ドイツでやっておるようにいろいろな例もございます。  また、先進民主主義国の選挙制度というのは、一人一区でずっとそれはこだわって、いろいろな比例制とか何かございますけれども、それが中心原則的な考え方になっておって、中選挙区で同じ党の者が同じ政策、同じ公約を掲げて複数で争っておるという例は消えていっておるわけでありますから、私は今回は、政治とお金の関係をわかりやすくせよというこういった要望にこたえるためにも、またお金のかかり過ぎない政治運動や選挙運動ができるようにするためにも、やはり政策本位のものに変えていく必要があろう、そう思っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 政策本位の選挙は私も同感です。そうしなきゃならないと思います。金が物を言う選挙はやはりやめなきゃいけない。  そこで、選挙制度の問題は、これは大政党だけが生き残ればいいというふうな仕組みを考えちゃいけないと思うんですよ。やはり小さい政党でも割り込めるような余地を残しておかなきゃいかぬ。  そこで、有権者に対して選択の幅を広げるという意味で、選挙制度というのは自民党だけで決めるということは結局自民党だけのエゴになりますから、各党の意見というものを網羅して超党派的にこの制度改革は行われたきゃならないと思いますが、その点、どう思いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) それは御指摘のとおりでありまして、自民党だけで選挙制度の合意をしてそのとおりすぐ実行できるものとは考えておりませんし、きょうまでもまた、民間のフォーラムとか研究会とか勉強会とか、随分各党の代表がお集まり願っておやり願っておる御努力の積み重ねも、私も出席したことのある経験者として承っておりますし、また国会の場を通じて、まさに各党各会派の御論議もいただいて合意を求めて決めていくべきものであると考えております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 それでは、選挙制度の改革は自民党だけで決めるのではなくて各党との合意を求めるという今の御発言がありましたから、そのように取り計らってほしいと思います。  それから、湾岸戦争の総括ということになりますけれども、今まで何回も何回もこの湾岸戦争の問題について総理の答弁をいろいろとお聞きいたしました。同じ答弁が繰り返されておりますから、もう一回また繰り返してもらおうとは思いません。もう何百回聞いたかわからないんですね。これはイラクが悪いんだ、だからアメリカのやり方を支持するんだという趣旨の話は、もうさながら留守番電話のように耳に入ってしまいました。  そこで、今後一体どうするのか、これでいいのかということがあるのでありますけれども、アメリカに行かれる前に、やはり日本としてはもう少しきちんとした態度をとる必要があるんじゃないか。アメリカの言いなりにはならないという姿勢が今大事だろうと思うのでありますが、その点、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本としてきちんとした態度をとりましたからこそ、初めから終わりまで、この七カ月間同じことを言い続けてきたわけであります。  それはやはりイラクがクウェートを侵略、併合するということは、新しい世界の秩序をつくる上においてはこれはよくないことだ、力による他国の侵略を許してはならぬ。これをもし黙って見過ごすならば、やられた方は黙って我慢しておれということになるわけでありますから、それはいけない。ですから、正義と秩序に裏づけされた国際平和を希求するために国連決議を支持しようというきちんとした明確な政治的な立場を日本は自主的に決断をして、そして行動したわけでありますから、また同じことで恐縮でしたが、そう思っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 武力による他国に対する侵略はいけないんだということで国連決議に基づいたと言われますが、例えば国連安保理決議の二百四十二のように、イスラエル軍の撤退、イスラエル軍が占領したところから撤退しろと、こういうのもあるんです。同じことをやって、イラクはいけないけれどもイスラエルはいいということにはならないと思うんです。その点はどう思いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) その点は私も全く委員と同じように考えます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 昨日の新聞によりますと、イスラエルに対する関係を強化する、総理が訪米のときに表明をする、アラブ寄りを見直しをするんだというような記事がありました。もしこのパレスチナ問題を解決するということであれば、パレスチナ問題の解決に向かってアメリカにも協力をさせる必要があると思うんですが、その点、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今のお話は、国連決議の二百四十二号、これはたしか第三次の中東戦争の反省に立っての決議でありますし、三百三十八号というのもございます。日本はそのときからそれに対しては決議に支持をして、そして占領地からの撤退、そのかわり、当時アラブの国々はイスラエルの国家の存立を認めないという立場でありましたから、イスラエルの生存権もきちんと国家として承認することが大切だというので、そのことも含まれている、そしてパレスチナ人の独立国家への民族の権利をきちっと認める、この三つが簡単に言うと二百四十二号の柱であったと思うんです。日本はそれを支持しておりますから、そのようなことになっていくように環境整理にきょうまでも努力してまいりました。  湾岸でこのようなイラクの行為が起こる前に、PLOのアラファト議長が、一回日本の政府と接触して話したい、賓客として待遇しないかという申し入れがありました。私は、二百四十二号に賛成しておるけれども、PLOには二点、この際恒久和平について厳しく求めなきゃならぬ点がある。  一つは、決議はイスラエル国家の生存を認めるんですから、国家としてのイスラエルをやはり認めるということが第一。それからもう一つは、テロ行為を公然と行うということはよくないことだから、テロはもうやらないということをきちっとわかるように表明してもらわなきゃならぬ。そうなればお話し合いをするのはやぶさかではないということで、その二項目が確認できましたから、政府賓客で東京へ来てもらって、私も直接PLOのアラファト議長と首脳会談をいたしました。そういったことは、二百四十二号に従ってあの地域の恒久平和を守らなきゃならぬという日本の立場をそこで申し上げたわけであります。  なお、昨年の九月にニューヨークの国連での子供のためのサミットに出席しましたときに、その翌日、総会でブッシュ大統領が演説をしましたが、そのときにも――当時の話ですよ、去年の九月ですが、イラクがみずから国連決議に従ってクウェートから無条件に完全に撤退する、そうすればアラブ・イスラエル問題やパレスチナの問題を含めて討議するさまざまな機会が提供されるであろうということを演説しておりました。また、フランスの大統領の提案や国連の事務総長の提案も、重ね絵のように合わせてみるとそういう方向に向いておるものだと。私はこういった環境を大切にしていかなきゃやならぬと思いますし、また中東の恒久的な包括的な和平というものは、まさに一番の根本はそこまでさかのぼるものである、こう受けとめております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 パレスチナに対する援助とかあるいはパレスチナ問題の解決のためには、相当やはり踏み込んだ覚悟を持っていかなきゃならないと思いますし、これは大事なことだと思います。  私は、アラファト議長というのを列国議会同盟会議のときに見たことがあるんですけれども、そのときのほかのアラブ諸国の人たちの熱狂的な姿を見て驚いたんです。我々はよく知らないんですよ、あのアラファト議長というような人は日本に余りなじみがない人ですからね。ところが、向こうの方では大変に支持が多いんです。したがって、アラブというものに対して日本は余り今までは身近なものと考えていなかったけれども、今度の湾岸戦争でもってアラブ問題あるいは中東問題というものは深刻に考える必要が出てきたと思うんですが、根本的な解決は、アメリカに行ってアメリカの大統領と話をして、そこでもって解決策が見出せるんですか。その点の展望をお聞きしたいと思うんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) アメリカが平和回復活動に非常にイニシアチブを発揮して積極的な行動をとった、同時に極めて適切な時期に停戦提案をして、今国連でまさにその停戦決議が行われる直前の状況になってきておると私は見ております。そうしますと、当然その後の問題についてもいろいろとイニシアチブを発揮してやっていかなきゃならぬのがアメリカの立場だと思います。  ただ、戦後の問題についてはあの地域の人々のイニシアチブを尊重していかなきゃならぬ。ですから、安全保障の問題でも、湾岸六カ国プラス二カ国の自主的な案があったり、いろいろございます。私は、そういう当該地域の中東の人々のイニシアチブを尊重しながら、また、国連なりあるいは周辺の者たちが協力しなきゃならぬものについては、これは積極的に、何ができるか、何が相手国に歓迎されるかということ等も考えながらやっていかなきゃなりません。それらの問題についてはひとつ我が国の考え方というのも積極的に話してこよう、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 私は、日本が主導権を握るためにはやはり自主性を確立していかなきゃいかぬと思う。総理の今までの姿勢を漫画的に表現すると、ブッシュ大統領のベルトにつかまって後ろからついて歩く、こういうような印象を国民に与えておると思うんです。  九十億ドルの問題だってそうですよ。本来ならば金をもらう方は、こじきだってもらえばお礼を言うんですが、アメリカの方は、為替レートの問題で減った分はよこせとか、もしおくれたならば報復決議をするとか、そういうおどし文句みたいなことを向こうの議会で言っていることを我々も聞いておりますが、そういう態度はやはりもらう側の礼儀じゃないと思うんです。その点、どうも我々には、特に国民には納得しがたいと思うんですが、どう思いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 湾岸の平和協力基金に日本が自主的に決めて拠出をしましたことについては、ブッシュ大統領初めアメリカの行政府はこれを高く評価して、今おっしゃったようなこと、アメリカの議会のごく一部の人だと思いますが、そういった意見があるということは私も報道を通じてよく知っておりますけれども、日本はあの地域の平和回復活動のために日本の応分な資金協力をしたということ、それに対してアメリカの政府はこれを高く評価して感謝しているということ、それは直接いろいろなところでいろいろな人が述べておることでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 金の問題だけじゃなくて、例えば自衛隊の派遣の問題でもいろいろと物議を醸しておりますけれども、先ごろは飛行機をよこせという話がありました。今度は掃海艇も欲しいという話がありました。しかし、掃海艇というのは大体三百トンか四百トンぐらいですね。  今、日本の海上自衛隊が持っている掃海艇というのは何隻あって、その排水量とかあるいは航続距離とか、そういうことがわかったら教えてください。

関收防衛庁装備局長

○政府委員(関收君) お答え申し上げます。  現在日御陵が保有いたしております掃海艇は三十八隻でございます。さまざまなタイプがございますので、一番新しいタイプについてちょっと御紹介申し上げますと、基準排水量が四百九十トン、最大速力が十四ノット、それから各種掃海具を装備しているということでございます。  先生、航続距離のお話がございましたが、航空機などの場合には、燃料を満載いたしまして、それで最後に一定量、一〇%程度余す状態で何キロ飛べるかというようなことで航続距離を決めておりますけれども、船舶の場合には御案内のようにそういう形態をとりませんので、通常航続距離といったような形態は私どもは使っておらないので、それについてはちょっと御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 航続距離というのは、どのくらい走れるかということを私は聞きたかったんです。  では、掃海艇について、何百トンのものが何隻あるか、それから掃海母艦といったようなものがあるのか、その要目はどうなのか、そのことも報告していただきたいと思います。

関收防衛庁装備局長

○政府委員(関收君) 大きく分けまして四つのタイプがございます。基準排水量で申しますと、五十トンのものが六隻、三百八十トンのものが七隻、四百四十トンのものが二十三隻、それから四百九十トンのものが二隻ということでございます。なお、今申し上げました四百四十トンのタイプのうち二隻につきましては、その後居住環境等を改善する角度から四百九十トンという規模にいたしておるわけでございます。  なお、掃海母艦につきましても二隻保有いたしております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 掃海母艦の性能等についても報告していただきたい。

関收防衛庁装備局長

○政府委員(関收君) 掃海母艦は、御案内のように、掃海艇が作業いたします場合のいろいろな補助をするというような趣旨のものでございまして、一隻は二千トン、それからもう一隻は三百八十トンということでございます。  なお、速度につきましては、二千トンのものにつきましては最大速力十八ノット、それから三百八十トンのものにつきましては十四ノットということでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 御案内のようにとおっしゃったけれども、恐らくだれも知らないと思うんです。  三百トンか四百トンだということですね。ちょっと風が吹くというと津軽海峡だって渡れませんよ。これを持ってこいと言われて持っていけるのかどうか。その点、どうでしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  掃海艇の性能等につきましては先ほど事務当局からお答えしたとおりでございますけれども、かなり遠隔な海域まで行けるのかという御質問でございますが、これはやはり航路の選定とか、あるいは途中で燃料等の補給が適切に行える、こういう条件が確保されるならば物理的には可能だと、このように考えております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 航続距離ということも私聞いたんだけれどもよくわからなかったようですが、そういう航続距離も考えなきゃならないし、キロ数も考えなきゃいけない。  ペルシャ湾まで派遣するのに何日ぐらいかかるのか、どのくらいの距離があるのか、その点もお聞きしたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  先ほど装備局長が申しましたように、船舶の場合航続距離という考え方はしていないわけでございますけれども、先ほど私が御答弁申しましたように、途中で燃料の補給等が適切に行えるならば、これはかなりの距離が航行できるのじゃないかと存じます。  ただ、速力の方は、先ほど申しましたように最高速力は掃海艇の場合十四ノットということでございますから、そういったところをどの程度の距離を航行するのかによりますので何日と申せませんが、いずれにいたしましても、私ども今現在の段階で具体的にどこへこの掃海艇を、海外へ派遣するなんということを検討しているわけじゃございませんので、あくまで先ほど来御答弁申し上げておるのも一般論として申し上げておるのでございますから、ちょっと何日という御質問には私どもはお答え申し上げるのは必ずしも適切なことではないのじゃないかというふうに思います。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 私は、自衛隊を勝手に将棋のこまのように考えちゃいけないと思うんですよ。いけないものはいけない、だめなものはだめとはっきりさせなきゃいけない。これはアメリカに対してもどこに対してもはっきりさせる必要があるんです。日本はアマコスト大使に言われると、じゃ飛行機出しましょうなんて紙風船みたいな飛行機を出そうと考えたり、掃海艇出せ、はいそうかいということで引き受ける、これじゃ困るんですよ。自衛隊もこれじゃやはり納得しないと思うんです。  そこで、私は、防衛大学の卒業生の中に任官を辞退する者が九十人も出たということ、これは湾岸戦争や骨衛隊に対するあり方についての不満というものが出てきていると思うんですが、その点、どう思いますか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  本年の防衛大学校の卒業生は総計で四百九十四人であったわけでございます、そのほかに外国人留学生がおりますけれども。そのうち任官辞退というのが九十四名ございました。これは、九十四という数はこれまでの最高でございますので、かなり数は多いなという感じは持っております。しかし、一方で任官いたしました者もことしは四百名、これは近来にない高い数字でございます。学生数が全体として非常に多かったわけでございます。そういうことを一つ申し上げさせていただきたいと思います。  さて、そしてなぜそのような辞退が出たかということでございますけれども、これは防衛大学校へ入学いたしますときは十八歳でございますから、まだやはり将来の進路について確たる気持ちが固まっていないというのはやむを得ない、そういう者が多いということはやむを得ないと思います。これは一般の大学でもそういうことはあるのじゃないかと思います。そういう意味では、その後進路を変更したということがあろうと思います。また、具体的な事情につきましてはいろいろあると思いますが、現在景気もよろしゅうございまして就職状況なんかも御承知のとおりでございますから、そういったことも影響していると思います。また、家庭の事情とかいろいろなこともございます。  しかし、それにいたしましても、これまでの最高が五十九名の辞退であったのがことし九十四というのは多うございます。そうしてまた、個別に聞いてみますと、中に辞退の理由として、昨年来のいろいろな内外情勢、それに伴ういろいろな議論、世論のいろいろな動きもございました。そういったことを挙げた人間も若干名、十名ぐらいでございますがおりましたので、そういったことが影響しなかったというわけにはまいらない。確かに影響はあったと思いますけれども、これはやはりある意味で、国民の皆様方の中で、国際社会で日本がいかにあるべきかという御関心が強まっておる。  そうしてまた、自衛隊なりなんなりの社会的位置づけについてどうするかという観点がこういった御関心の高まりの中で次第に収れんしていって、正当なといいましょうか、適正な位置づけが与えられるようになればそういった影響もなくなっていくのじゃないかな、このように考えますし、また我々防衛庁といたしましても、防衛の任に当たることの意義というものを十二分に学生に理解していただくような教育内容の改善も図ってまいりまして、今後の我が国の防衛に遺漏がないようにしてまいりたい、このように考えております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 自衛隊の問題も、やはりだめなものはだめとはっきり言わなきゃいけない。この間から長官の答弁も、やるともやらないとも決めてないような話だったでしょう。だから、やらないならやらないと。やれないんですよ、これは第一。津軽海峡だって渡れないような船が何でインド洋を渡ってペルシャ湾まで行けますか。そんな途方もないことは約束できないんですから、できないものはできないとはっきり言ってもらいたい。  それから総理も、この九十億ドルの問題だってそうですよ。金が余ったから、その余った金は復員兵士の何かに使うとかなんとかということを言われているでしょう。そんなばかな話はないというのがやはり日本の国民とすれば持つ感情なんですよ。ドイツは余ったものは返済しろと言っているでしょう。何で日本だけが、つりは要らないとおおように構えるんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) つりは要らないと言っていい格好するとか、そういうことじゃございません。これは全く次元が違いまして、あの地域の本当の平和回復活動のために行われておる国連の行為に対して、日本は多国籍軍に参加できないという日本の立場、それを乗り越えてなお国際社会の大義のために何か協力したいということで、九十億ドルお願いをして拠出してあの地域の平和回復活動に提供したわけでありますから、それは武力の行使が終わって本当に平和が回復されるまでの間、湾岸平和基金運営委員会でいろいろ話をしてそれを使っていくのがその気持ちだ、こう思っておりますので、これは平和回復活動、湾岸の地域の安定、そのために使われるものである、こう受けとめております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 国連の強化のためにこの九十億ドルが役に立つならば、日本の国民も我慢するでしょう。しかし、アメリカは自分のポケットに入ったものだ、こういう認識を持っているから我々もちょっとおもしろくないんです。その点はやはりちゃんとけじめをつけてもらいたい、こう思います。  それから、防衛費の問題ですけれども、要らないものはもう買う必要はない、こういう気がするんですよ。ところが、この間の予算委員会の審議をお聞きしますと、かなり要らないものが出てきたような気がするんですね。‐例えば戦車だとかあるいは護衛艦だとか、飛行機にしても要らないものがたくさん出てきていると思うんですけれども、先般の予算委員会でも小川質問でいろいろ問題になりました九〇式戦車とか百五十五ミリりゅう弾砲とか、これらのものは一体どのくらいの価格なのか、どこでつくっているのか、どういう役に立つのか、その点を御説明願いたいと思います。

関收防衛庁装備局長

○政府委員(関收君) お答え申し上げます。  まず、九〇式戦車でございますが、いろいろな企業がかかわっておりますが、プライムメーカーと申しますか、主製造事業者は三菱重工業でございます。それから、百五十五ミリりゅう弾砲について御指摘ございましたが、これはライセンス生産で生産をいたしておりまして、日本側のメーカーは日本製鋼所でございます。  単価でございますが、平成三年度の予算でお願いいたしております平均単価は、九〇式戦車の場合が十一億五千万円でございます。一台でございます。なお、この一台と申します場合に、各種の初度部品等も含まれた値段だと御理解をいただきたいと思います。それから、百五十五ミリりゅう弾砲でございますが、平均単価は三億三千万円ということでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 対戦車ヘリコプターというのがありましたが、これは幾らですか。

関收防衛庁装備局長

○政府委員(関收君) 先生の御指摘はAH1Sというタイプのヘリコプターかと存じますが、これもアメリカのベル・ヘリコプターからのライセンスで、日本では富士重工業が主なメーカーとして生産をいたしております。一機当たりの平均単価でございますが、二十三億三千万円でございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 全部並べると大変だから代表的なものをちょっと私は指摘したんですが、一機二十三億のヘリコプター、一台十一億の戦車、これはどういう場合を想定して必要とするのか、その点を説明していただきたい。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) まず、陸上自衛隊の全体の対応の仕方の問題でございますけれども、自衛隊の任務は、御承知のとおり、何よりも我が国土、国民に対する外国からの侵略を防止するということでございまして、その場合におきまして、当然ながら着上陸侵攻が起こらない前にまず洋上において撃破するということが必要でございます。それに対する装備としていろいろな、例えばSSM1地対艦ミサイルといったようなものもあるわけでございます。  しかしながら、それで一〇〇%阻止できるということが必ずしも想定できませんので着上陸が行われることがある。そういたしますと、まず海岸線において対処いたしますが、内陸部において戦闘が行われる、あるいはそこまで来られるということをも想定せざるを得ない。そういうところでの機動力、防護力、打撃力にすぐれます戦車というものが有効に活用されるということでございます。  なおまた、戦車について申しますと、そういった意味を逆に考えますと、我が国においてそういう着上陸侵攻をされたときに戦車が保有されておるということは抑止力にもつながるということでございまして、現在におきまして各国の状況を見ましても、なお戦車というものが陸上戦闘におきます骨格をなしておる、骨幹をなしておるということは、これは変わらない事実でございます。  それからまた、対戦車ヘリコプターでございますけれども、これは機動力がすぐれ、かつ打撃力にすぐれるということでございまして、着上陸した戦車に対してその能力を発揮する、こういうことでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 いずれも敵の戦車が上陸をした場合のことを想定しているんです。各国においてもと言うけれども、日本は島国ですから、敵の戦車が上がってくるという場合には、あれは泳いでくるわけにいかないですから、そういう場合が想定できるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) ただいまも申し上げましたとおり、極力洋上において撃破するということでございますけれども、戦車を輸送船で運んできてそして着上陸するというケースは想定されるわけでございます。また、別途にヘリボーンとかあるいは空挺部隊というようなことで入ってくるということも考えられるわけでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 そんなことが考えられるとすれば、具体的にどの国が対象になっているんですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 具体的にどこの国がどういう形でということを想定しているわけではございませんが、一般にどこの国においても、自国の防衛を行うという場合におきましてはそういった一般的な侵略の事態というものを想定して対処のための準備をするということでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 軍隊では仮想敵国というものがあって、その仮想敵国が来た場合を想定していろんな訓練も教育もするわけですよ。仮想敵国というものがない状態では、こういうものの必要性はなくなってくるんです。仮想敵国というのはないというふうに断言できるのか、ないとすればなぜこういうものを必要とするのか、その点をあわせてお伺いしたい。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 従来から私ども、防衛力を整備しますに際しまして、仮想敵というものを想定したことはございません。今後ともそういう状態での想定をいたすことはございません。  しかしながら、他方、各国とも同様に防衛力というものを持っているわけでございまして、それがやはり同じように仮想敵を想定しているかというと必ずしもそういうことではない。一般的に自国の防衛を行う場合に、当然のこととしてそういったような最悪の事態を想定して準備を整えておくというのがこれは一般的なことだろうと思っております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 素人だましの言葉なんですよ、それは。軍隊はちゃんと仮想敵国というものを想定して、それに対応する準備を進めるというのがこれは原則なんですね。  そうすると、仮想敵国はないと言うけれども、敵国がないのに戦車をたくさん、しかもこんな高い金をかけてそろえるという必要性があるのかどうかということですね。その点、お伺いしたい。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 先ほど来御答弁申し上げていますことの繰り返しになりますけれども、我が国としては、防衛の問題について、安全保障の問題について責任を持ちます我々といたしましては、どこの国が具体的にどういう攻め方をしてくるかということを想定したことはないにしても、最悪の事態に備えて我が国の国土、国民の安全を確保するという観点からそういうふうな備えをしておくということが必要であるということを申し上げているわけでございます。  なお、数量等につきましては、これは防衛計画の大綱にもございますとおり、どこの地域においても即応態勢がとれるようにということが規定されておりますので、この大綱の考え方に従いまして所要の数量を備えているということでございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 外国がやっているから日本もというのは理屈にならないんですよ。日本の周辺の国は決まっているんです。イラクが日本まで攻めてくるなんという心配はないわけですね。それを考えるならば、近隣諸国との友好関係を確立できれば何もこんな高い金をかけて戦車なんかそろえる必要はないというふうに私は思うんですが、その点、いかがですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  もとより我が国の安全保障は防衛力の整備のみにてできるものではございません。それは、我が国の防衛の基本方針というのが昭和三十二年に策定されておりますが、その中でもまず民生の安定に努力するという言葉があるわけでございますし、また外交努力というものも大きな柱になっているわけでございます。それに加えまして日米安保体制、そしてまたみずから適切な規模の節度ある防衛力を整備する、こういうことで現在やっているわけでございます。  そしてまた、先ほど防衛局長の方から御答弁申し上げましたけれども、我々は防衛力の整備に当たってこれまで仮想敵国ということを想定したことはございませんし、また、とりわけ現在の大綱のもとでの考え方というのは、具体的な軍事的な脅威というものに対応するために、対処するために整備していくということではございませんで、全体として世界の平和なり安定なりというものは、いろいろ外交努力などもございましょうが、さらにやはり軍事力のバランスというものが一つの要素であることは否定できない。  そういうことも考えまして、ともかく我が国がみずから力の空白をつくってしまってそのことが地域の不安定要因になる、こういったことは避けようということで、極めて節度のある防衛力を現在保持するという、こういう方針でまいっておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 先般、北海道の島で日ソ合同で映画を撮影しようとしたら、ソビエト人の入ることを外務省の方で許可しなかったという話がある。これはやはりソビエトを仮想敵国、敵国人として見ているからこういうことになったんじゃないかと思うんですが、その点、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) もし先生のおっしゃっておられるケースが礼文島におけるソ連のテレビ撮影チームの入域問題ということでございましたら、これはいろいろ検討いたしましたが、最終的にこれを許可するということで処理をいたしております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 ゴルバチョフ大統領の来日ということを考えてやった措置だろうと思うんですけれども、それまでは仮想敵国という見方をしていたからじゃないのかというふうに疑われてもしようがないと思うんですが、その点、いかがですか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) 仮に先生が北海道におけるソ連人のいろいろな行動の規制ということに御言及でありますれば、あくまでもソ連邦において日本国民に行われておりますいろいろな規制との見合いにおいて相互主義で実施をいたしておる措置というものはございます。しかしながら、私たちは、過去三十数年いっときたりともソ連を仮想敵国という観点からそういう措置を検討いたしたことは全くございません。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 戦車なんというのが具体的に役に立っておるのはどういうときかというと、天安門事件であるとかリトアニア事件であるとかイラクの侵攻であるとか、そんなことだけなんですよ。あとは役に立っちゃいないんです。役に立っていないものを高い金をかけてそろえるということは、これはどういうわけか。防衛産業のための予算じゃないかと言われてもしようがないでしょう。そういう必要はないと思うんです。三月のひな人形じゃないんですからね。やはり我々は、要らないものは要らないでもって予算に計上しないように、軍縮の方向に向かわなきゃいけない。今ソビエトでも大変な事態になっております。日本に向かって戦車をたくさん持って攻め上がってくるなんということは考えられないと思うんですね。  対ソ外交にいたしましても非常に重要になってくると思います。ソビエトとの外交政策、それから軍縮といったような問題に対して、相互に軍縮をやればお互いに余分な負担はしないで済むんです。私はそういうことを最後に申し上げると同時に、石原慎太郎さんという人が書いた「NOと言える日本」というのを去年買ったのをもう一度読み直してみましたけれども、この本に書いてあるように、ノーと言うときにはノーと言わなきゃいかぬということを慎太郎さんも言っているんです。総理もやっぱりそういう気構えでもって行ってもらわないと、行くたびに重い荷物をしょい込まれちゃ困ると思うんですが、最後にその点の総理の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、ソ連との問題でありますけれども、ユーラシア大陸の西のヨーロッパでは事実上ワルシャワ条約機構とNATOとの力の対決というのは乗り越えつつある。冷戦時代の発想を乗り越えるならば、今度はユーラシア大陸の東のアジア・太平洋でも乗り越えるようにお互いに努力をしていかなきゃならぬという気持ちを私も強く持っております。  そういった意味で、日本は節度ある防衛力の整備をして政治の大きな目標である国の平和を確保していくこと、これに対しては、ある意味で大変大きな国家の目標でもございますから、節度ある整備をしながら対処していかなきゃならぬ、こう考えております。  また、後段に言われましたが、私は日米関係というのは二国間関係で一番大切だと思っておりますが、言うべきことをお互いに言うということは、それは当然のことでありまして、昨年の首脳会談のときにもSIIと呼ばれる経済構造協議において、大きくくくって七つに分けた項目を日本側からアメリカに要求して、これはこうするべきだ、これはこうするべきだ、いろいろなことを言いました。輸出競争力をつけて日本の市場にもっと売れるものを売らなければ、結果の数字だけ見て議論してはいけないということもいろいろ言って、アメリカもそれなりに努力をしておるわけであります。  立場に立って言うべきことはきちっと言っておくことの方が、二国間関係というものをきちっと永続させていく信頼のパイプが太くなるものであるとも思いますし、またクエール副大統領もそのことを私にも率直に認めて、間違っておることがあったら間違いだと言ってくれたらいい、輸出競争力のことはなるほど言われたとおりだから、自分が、副大統領がキャップとなってアメリカの政府の中に輸出競争力促進委員会をつくって一層その方面の努力もすると。これは一例でありますけれども、いろいろその他言うべきことは言いながら日本の主張をしていきたいと考えております。

瀬谷英行日本社会党・護憲共同

○瀬谷英行君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で瀬谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、斎藤栄三郎君の質疑を行います。斎藤君。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 私がいただいております時間は三十分でありますが、十二時までに全部終えたいと思いますので、閣僚の皆様方にも要領のよい御答弁をお願いしておきます。  唐の詩人曹松が「己亥歳」という詩をつくりました。当時の唐の模様を申しますると、群雄割拠して戦争の連続、一人の大将がえらい功績を上げたように自慢しているが、多くの民衆は飢餓に苦しみ死んでいく。その模様をうたったのがこの「己亥歳」であります。今ならもうどなたでも知っている「一将功成りて万骨枯る」という言葉の生まれた原因であります。  どうも今度の湾岸戦争を見ていると、この詩がぴったりなんであります。フセインは確かに一将功成ったでしょう。イスラム教のスンニ派の中では彼は英雄であります。しかし、多くの民衆が非常に苦しんでいるし、多くのイラクの国民が死んでいることを考えますると、今度平和維持機構、PKOをおつくりになるときには、そういうイラクの民衆の苦しみも考えて対策を立ててくださることが望ましいのじゃないかと思います。  総理にお伺いいたしますが、PKOについての構想をお漏らしいただければ幸いであります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際社会の秩序を守るための平和維持活動に日本もできるだけの協力をしたい、こう考えております。そして、昨年そういった考え方に立って国連平和協力法案というものを政府として立案し提案をしたわけでありますが、議会の御審議の結果あのような状況になりました。ただいま公明党、民社党と自民党との三党合意の線、それを念頭に置きながら政府としては成案を得る具体策の作成努力中でございますが、日本もでき得る限りの国際社会の秩序維持に人的な面での貢献もしていかなければならない、このように考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 次に、外務大臣にお伺いいたします。  日本は国連に対して世界で第二位の金を出している。なすべき義務は全部果たしていると考えます。ところが、残念ながらまだ敵国条項、すなわち五十三条と百七条がそのまま残っている。どう考えてみても私はこれは不平等だと思うんです。さらに、安全保障理事会の常任理事国にはなれない。ドイツは今度の湾岸危機を境にして常任理事国になりたいという運動をしているそうでありますが、私は日本でも当然常任理事国の運動をすべきだと思いますが、敵国条項廃止についての外務大臣の御意見を承りたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 国連憲章におきます旧敵国条項削除については、私は委員のお説が当然の論理だろうと思います。  政府といたしましても、先般私が訪米いたしました節に、まずこの常任理事国、かつての戦勝国であるアメリカに対して、今委員のお説のとおり、日本政府としては国連に加盟して以来平和国家として協力をしてきている、拠出金もアメリカに次いで多額の拠出をいたしておる、こういう中で旧敵国条項がここに存在していることは日本政府としてはどうも納得ができない、これの削除についてぜひアメリカの協力を要請したい、こういうことを申しましたところ、アメリカの国務長官は、その日本の考え方についてはアメリカは協力をするというお話でございました。  私は、この問題の解決には、P5と言われる常任理事国にまず日本政府としてはその意思を明確に伝えることが必要である。今夕予定されております日ソ外相会談におきましても、日本政府のこのような考え方を明確に伝える考えでございます。  なお、常任理事国になりたい、またなるべきだというお説につきましては、この敵国条項の廃止、また憲章の改正がなければなかなか常任理事国になることは困難が伴う。しかし、各国から現在の国連憲章につきましては大変多くのクレームがついておりまして、私どもはこの国連憲章の今後のあり方、こういうものにつきましても日本政府としては考え方を強く主張していかなければならないと考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 外務大臣にお伺いいたしますが、その方向は私は大賛成で、ぜひひとつその線で押していただきたいと思いますが、見通しはいかがですか。敵国条項廃止の見通し、国連規約見直しの動きを御紹介してください。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 昨年まではドイツが分割されて、ベルリンが戦勝国による戦後の管理をされておりました。そういう状況の中で、旧敵国条項の廃止というものは現実に困難が存在したことは事実だと思います。しかし、昨年の東西ドイツの統合によって戦後の残された問題はほぼ解決されたわけでありまして、このドイツの統合の結果、旧敵国の一つであるドイツもまた、憲章の中でのこの不合理な旧敵国条項の存在というものについては、国家としても当然異議を感じているだろうと思います。  そういう中でこれを改正していくという手続には、御案内のように、全国連加盟国の三分の二の賛成、また常任理事国を含めた三分の二の加盟国がそれぞれの憲法に従ってこの改正案を批准しなければならないという厳しい規約がございますので、日本政府としてはそのような点の改正のために今後努力を続けたい、このように考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 今度の湾岸戦争を通じて私が痛感したことは、日本全体がイスラム圏についての理解が非常に乏しいということであったと思います。イスラム教というのは世界最大の宗教人口を持っています。約七億と言われている。多く見る人は十億と言っております。世界最大の宗教人口を持ち、フィリピンからアフリカの西海岸に至るまで広大なる地域に分布している。ただ、それについての研究が日本では非常に足りなかったと思います。  そこで、文部大臣にちょっとお伺いしたいのですが、日本の官立大学でイスラム教を教えている大学がありますか。

井上裕自由民主党文部大臣

○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。  今先生がお話しのように、イスラム教は七億から十億と言われておりますが、中東関係の言語や文化等につきまして教育研究を実施するものとして東京大学ほか各大学にございます。その中で、今先生がおっしゃいました私どもの研究機関として、まず国立民族学博物館、ここにおきましてイスラム教の都市性の比較研究、さらにまた東京大学東洋文化研究所、これにおきましてイスラム国家に関する研究、さらに国際大学、これは中東研究所におきましてイスラム法の基礎研究、こういうものが行われております。  今国立大学におきましては、東京大学の文学部第一類におきましてイスラム学の講座、さらにまた東京外国語大学におきましてはアジア・アフリカ言語文化研究所、これはイラン研究部門、こういうものを行っております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 文部大臣が述べてくれたように、極めて少ないですね。東大と東京外語大学にあるだけです。民間でいうと中東調査会、これは外務省の外郭団体であります。学会では、私学の先生と東大の一部の先生が入って日本・イスラム協会というものがある。しかし、いずれもやっている方々は真剣な努力をしておられると思いますけれども、日本全体におけるイスラムについての研究というのは非常におくれていると思うんです。  今度の戦争を契機にしてぜひとも総理にお願いしたいことは、やはり宗教の研究なしにその地域と商売しようとかその地域と外交を展開しようとかということは非常に無理だと思いますから、ぜひともその方面に目を注いでいただくようにお願いをいたします。  自分のことを言ってはまことに僭越なんでありますけれども、私は学位を三つ持っていますが、そのうちの一つの文学博士はイスラム教の社会思想という論文でいただいたのであります。なぜ日本ではイスラム教の研究がはかどらないかというと、大学に講座がないものですから、学位を取っても教授になれない。その点が諸外国と非常に違うので、諸外国の場合は学位を取れば必ず講座があるからそこで教授になれるということです。まずやれることは、官立大学でイスラム教の講座を設けて真剣に研究なさることが私は今度の湾岸戦争での貴重な体験を生かす道ではないだろうかと思いますから、参考までに申し上げます。  次に、今度の戦争で力というのは何だろうかということを考えてみると、結局武力だということになってしまう。しかし、武力を用いるときは最後のことなんであって、武力を用いないでうまく解決されることが望ましいと思うんです。そういう意味において、今度総理が主張なさって軍縮会議を日本で開かれるということに私は心から敬意を表します。  ソビエト・ロシアがなぜ世界最大の軍備を持ちながらあんなに経済が悪くなってしまったかというと、歴史の教訓だと思うんですね。軍隊の強くなった国は必ず滅びるのであります。それはギリシャ、ローマからの歴史です。今ソビエト・ロシアはGNPの一四%を軍事費に使っている。アメリカは六%、日本が一%です。だから根本は、もっと軍備を縮小してそのお金を民生安定の方向に向けるのでなければ、私はソビエト・ロシアもアメリカも立ち直りは困難じゃないかと考えます。  そういう意味において、総理が軍縮を主張なされ、そのための会議を開かれることに敬意を表しますが、どういう方向に軍縮を持っていかれるか、総理の腹案と申しましょうか、会議の結果はどうなるかわからないでしょうけれども、お考えをお知らせいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりに、力が世界の平和を支える枠組みでありた二大勢力の対峙のときには、アメリカの側にもソ連の側にも必要以上の軍備がございました。特に核兵器が発達してきてからは、地球を何十回という単位で破壊できるだけの兵器を持ってしまった。そのために非常にお金がかかる。非常に短絡的かもしれませんが、そういったことについて、力でもって世界の秩序を抑えつけていくというのよりも、その冷戦を乗り越えて話し合いでいこうというのが米ソの軍備管理・軍縮あるいは核兵器の廃絶条約というふうに流れとして出てきておった、私はこう受けとめております。  同時に、それをより確実な確かなものにしていくためには、米ソだけの話し合い、米ソだけの軍備管理・軍縮ということじゃなくて、やっぱり世界的な規模でむしろ国連のような場で本当はきちっと枠組みをつくり、基準をつくり、示していくべき大事なときでありますし、また今回の中東の出来事を見ても、だれが突出したイラクのような武器をたくさん持った軍事力の強い国をあの地域につくり上げていったかということの反省に立ちますと、実はそれは超大国の中にもあるではないか。  日本としては、武器輸出三原則を守って、そして紛争を武力によって解決するという方法を少しでも話し合いの方向に持っていくために、きょうまでも武器輸出には厳正な態度をとってきた国でありますから、国連と話し合って五月の末に京都で軍縮会議を開きます。世界各国から人々に来てもらって、軍縮に対する基本的なイニシアチブを日本は言う。ただ、それは最終的に国連のような場に参加国みんなで、超大国も入つて、どの辺のところにどうするかという枠組みをきちっとつくって、核兵器や生物兵器や化学兵器については、これはもう移転の禁止、不拡散、これをまず当面の第一段階としていかなきゃなりませんが、こういった大量破壊兵器は究極的に廃絶ということを目指して話をしていかなきゃなりませんし、通常兵器というものは、いろいろそれぞれの国の自衛権とかその地域の安全保障とかございましょうけれども、透明性、公開性を高めていくということをまず決めて、みんなで合意していかなきゃならぬというのが基本的な立場ですから、こういったことを今度の軍縮会議で話をしてみたいと思っております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 ぜひその軍縮会議が成功することを心からお祈りいたします。  人類の戦争の歴史を調べてみると、一番悲惨だったのは十字軍の戦争だったと思うんですね。キリスト教徒とイスラム教徒の戦いです。百年間の長きにわたりました。もう十二、三歳の子供まで戦場に駆り出され、非常に悲惨だった。ところが、その中で一つほのぼのとした話がありますのは、お互いに血を流すことは避けようじゃないかという気持ちになって、両軍から一人ずつ戦士を出して、この二人が相対で戦って勝敗を決めようということをやった。コンスタンチノープル攻略戦のときに用いた方法であります。  私は、軍縮もそこまでいくべきだと思うんですね。両軍から一人ずつ出して戦わせて、その勝敗で結論をつける。そうでもしなきゃ私は本当の平和というものは来ないんじゃないだろうかという気がいたしますが、総理、いかがですか。先輩はそういう知恵を持っておったんですからね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いい御質問でございますから答弁は非常に難しいわけでございますし、時代は十字軍のころからは随分変わってまいりましたので、両方から一人ずつ出して戦わせて結果が出ちゃう、確実に両方から一人ずつその国の将来にいろいろ影響のある人々が出ていってやるというのも、そういった力に頼る平和というものを今は反省をして防ごうとしておるのでありますから、それを闘争の方法じゃなくて、力じゃなくて、話し合いと道理による解決の方に見出していこう。一人と一人でやると主観と主観のぶつかり合いですからいけませんので、国連というような場ができて、そこでみんながこれがいいと決めたことには従えと。  平和を破壊してはいけないというのが最近の人類の出してきた知恵であろうと思いますので、私はそちらの方へぜひ先生のお考えを向けていただいて、そういうような方向にするにはどうしたらいいかということもあわせて御教示いただきたい、こう思います。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 人類はなかなか闘争心をなくすことはできないのであって、全部が宗教家じゃありませんし、宗教家自身が争っている時代ですから、何か最後において解決の方法がなきゃだめだと思う。それはやっぱり話し合いというのは理想だと思います。しかし、第一次世界大戦後の国際連盟がつぶれ、そして第二次世界大戦になったことを考えると、やはり本当に今言ったように一対一で、それは武力で戦うのじゃなしに討論でもいいだろうし、とにかく血を流さないで紛争を解決する方向を真剣に考えなきゃならぬと思います。どうぞひとつ、軍縮の最終目標は何だろうかということを考えていただくことをお願いしておきたいと思います。これで第一の湾岸問題は終えます。  第二は、累積債務の問題です。  今一兆三千億ドルの累積債務がある。この約半分がアメリカであります。去年の九月に私はブラジルとペルーへ参りました。特にペルーは日系大統領フジモリさんの関係で非常に興味を持って見てまいりましたが、ブラジルもペルーも非常に困っている。その原因は、前の大統領の時代に外国から借りた借金の金利を払わない。したがって新しい融資が得られない。だから物の輸入ができないということになっている。私はこの両国を見ての感じは、やはり早く国際金融の世界に入るように道を開いてやることだと感じております。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、累積債務をどう処置なさるつもりか、まず大きな方針をお教えいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これは委員がよく御承知のとおり、日本だけで解決のできる問題ではございません。そして、累積債務の問題を考えます場合幾つかのカテゴリーがあると思います。  一つは、民間債務の割合が高く、比較的所得水準の高いブラジル、メキシコ、アルゼンチンといった中南米の債務国、あるいはポーランド、エジプトのように公的債務に多くを依存しております債務国、またアフリカなどの最貧国のように発展が停滞してしまっていて経済的自立に多くの困難を伴う債務国、こうしたものもございます。一方では、対外債務を抱えながら健全な経済運営また経済改革に努めて、返済をスケジュールどおり一生懸命努力して履行しておられる国もあります。  日本がこれにどう対応するかと言われますならば、やはりそれぞれの債務国の状況に応じてきめ細かく対応していく必要があると考えておりますし、最も重要なことは、その債務国自身がIMF、世銀などとの間に経済構造調整プログラムを合意され、その経済再建にやはりまず真剣に取り組んでいただくという姿勢が何より大事だと思っております。同時に、このような債務国に対してIMF、世銀など国際金融機関が支援を行い、あるいはこれと協力しながら二国間ベースにおける支援を行う。経済再建、発展のために必要な資金がこうした債務国に流れていくようにすることが債務問題の解決に一番重要な点であると考えておりまして、こうしたことを考えながら、日本として、経済発展、再建に努めております途上国に資金が流れていくようなODAの拡充、資金還流措置などを進めてきているところであります。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 今度またフジモリ大統領が日本に来られるそうでありますが、伝えられるところによると、十六億ドルの援助が欲しいと、これは二年間にわたってですが、言われているそうであります。  私は、ペルーだけをひいきにするという意味では絶対ありませんけれども、とにかく非常に困っていることは現実だし、日系の大統領として御苦労なさっているんだから何とかしてあげたいなという気持ちを持っております。それは大蔵大臣としては特定の国を指して援助するということは言明しかねるかと思いますけれども、私はやはり日系の大統領が失敗しないように、成功するようにというような気持ちから、ぜひともペルーのこの苦しみを救ってあげたいような気がしております。橋本大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) フジモリ大統領がこの前日本を訪問されましたとき、私もお目にかかり、いろいろなお話も伺い、また率直に私の感じもお話し申し上げました。私は、今委員がお述べになりましたような気持ちは私自身の中にもありますし、よくわかることであります。しかし同時に、日系の大統領であるからという特別扱いを仮にいたしましたとき、これがどういう反響となってはね返ってくるか、その影響というものも考えていただく必要があろうかと私は思います。  やはり累積債務国としてのペルー、その債務救済を考えるという場合に、何といいましてもやはりペルー自身が経済再建に真剣に取り組まれるということが最も重要であると考えております。現在IMFあるいは世界銀行等国際金融機関との間に、財政赤字の削減あるいは公営企業民営化などについての経済再建策の策定について協議を続けておられると承知をしておりますし、また国際金融機関はこうした経済再建策の策定などに積極的に対応しております。これらの機関の中には日本を代表する役員も入っておりまして、私どもとしては陰に陽にそうした立場からもサポートをいたしておりますが、こうした国際金融機関の対応につきまして私は一定の評価をいたしておりますけれども、やはり引き続きこれら国際金融機関が積極的に対応してくれるように我々としても努めていきたいと思っております。  そして、そうした国際金融機関というものを中心にした国際金融支援体制というものが組成されれば、日本としても関係国との間で相談をしながら支援を検討していくことができる、私はそのように考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 一方において、一兆三千億ドルの累積債務があるところへ、ことしの資金不足が世界的に約六千三百億ドルという数字が出ております。もうこのままでいきますると、世界全体が金詰まりで動けなくなるのじゃないかという心配をしておりますが、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 世界的な資金不足という問題は、私が大蔵大臣を海部内閣で拝命いたし最初のG7に臨みましたころからそろそろ議論の対象となっておりましたり当初は、まさにその累積債務国の債務に対し、我々はそれにどう取り組むべきかの心配をしておったわけであります。  ところが、その後、御承知のように東西両ドイツの統合、さらに東欧諸国の経済改革といった中から、今後非常に旺盛な投資需要というものが予想されるという新しい問題が発生をいたしました。さらにその延長線上に、ソ連の経済というものについても検討を必要とする情勢が生まれてきつつあります。さらにその上に、今度この湾岸における復興需要というものが加わってきたわけでありますから、これは我々として非常に深刻な資金不足というものを考えておかなければならない状況になっていることは事実であります。しかし同時に、これはもう専門家中の専門家である委員に私が申し上げることではありませんが、それらの資金需要が一度に降ってくるものではないということも計算に入れなければなりません。  しかし、いずれにしても、金利の上昇をできるだけ回避しながらこれだけの資金需要に適切にこたえていこうとするならば、日本を含めました主要先進国というものが引き続き協調体制というものを維持しながら、それぞれの各国自体が健全な財政政策と安定志向の金融政策というものによって、世界的な金利の低下、世界経済の強化というものをより容易にする環境をつくっていくために全力を挙げなければならないと考えております。こうした点におきましては、我々として努力すべき目標を持っておりますが、日本一国でその資金需要を支えることは到底できるものではございません。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 大蔵大臣がおっしゃったことはよくわかります。  そこで、やはり世界的な資金需要にこたえるために、また貿易拡大のために、ブロック経済がたんだん進んでいくのじゃないかということを懸念いたします。ECの地域拡大、それからアメリカがカナダとの間で自由貿易圏をつくりましたし、ラテンアメリカにおいてまた同様の傾向がある。結局日本が、またアメリカでもそうです、ドイツでもそうですが、全世界を見るなんということは不可能ですから、やはり方向としては、そのブロック内の資金難をどう打開するかということになるのじゃないでしょうか。  それからもう一つは、やはり一国の生産力をフルに動かすためには広域経済でなければ成り立ちませんから、そういう面から見てもブロック経済化が進むのじゃないだろうかと思います。その点について、大蔵大臣並びに通産大臣の御所見を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 我々は、やはりブロック経済というものがだんだん固定化していくことについては非常な抵抗感を持っておりますし、またそのためにもウルグアイ・ラウンドというものが成功をおさめることが必要である、そのように考えておるわけであります。  ただ、これを前提にして、通商政策の方とは別に私の立場で申し上げますならば、我々はやはり日本として軸足をどこに置くべきかということをまず第一に考えなければなりません。同時に、日本にとって非常に地理的、歴史的に緑の深い地域と比較的縁の薄い地域、日本がそれぞれの地域に持っておりますノーハウの濃いところと薄いところ、こうしたことは当然のことながら考えていかなければなりません。  そういたしますと、やはり日本としては何といってもその軸足はアジアに置くべきでありますし、日本が果たすべき役割は、アジアの経済をいかに支え上昇させていくことができるか。それがそれぞれのアジアの諸国の国民生活の質的向上につながり得るような、そしてそれがひいては世界の平和と安定というものに資するような、そうした視点も欠くことはできない、そのように考えております。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えいたします。  ブロック経済、確かに過去においてもそういう動きがなかったわけではございません。モンロー主義などもある意味においてはそういうような発想から生まれたのかもしれません。世界的に歴史をひもといてみましても、そのような角度があります。  この間私は李鵬首相ともお会いいたしましたときに、これはマレーシアのマハティールの考え方かもしれません、その影響を受けたのかもしれませんが、そのようなブロック化傾向、特に東アジアなんかのブロック化ということも相当関心を持っておられました。同様に、アメリカといたしましても、カナダ、メキシコ等を含めましたブロック経済圏、あるいはECは九二年におけるユニフィケーション、こういうものを考えますると、確かに委員御指摘のようなブロック化傾向にあると言っても、これは否定できないと私は思うんです。  そういう意味におきまして、先進国の一部の間には、一方的措置による貿易問題の処理等、保護主義というものへの傾斜が見られることは否定しがたいものでございます。また、EC市場統合、あるいはまた先ほど言ったカナダ、メキシコ等々の問題もございまして、この地域経済統合の動きが進められているとおりでございますけれども、これが閉鎖的なものになってはならない、これはやっぱりオープンソサエティーの中における自由主義経済というものは堅持しなくてはならぬと私どもは思っておるわけでございます。貿易問題の解決におきましては、自由あるいはまた多角、あるいは無差別なり、ガットのルール及びその精神を尊重して解決を図っていくことがその精神のプリンシプルでなければならぬ、こう思っておるわけでございます。通産省としましてもその方向に沿っていく所存でございます。  さらに、ここでとらえられておりまする解決策の内容につきましての透明性ということは、これが確保されて他の諸国が理解しやすいようにしていくことが不可欠な条件じゃないのだろうか、このように思います。ガット・ウルグアイ・ラウンドの推進によってガット体制を維持、強化していくということも重要でございますが、通産省としても積極果敢にこれに取り組んでいくビヘービアもこれまた必要である。  なお、地域経済統合につきましては、域外に開かれました形で進められまして多角的な自由貿易体制を補完するものとなるように、世界経済にとりましても有益なものとなっていくことを期待申し上げるものでございます。  以上でございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。  次に、日本銀行総裁にお伺いをいたします。御多忙中どうもありがとうございます。  最近、有力新聞が公定歩合の引き下げ近しということを報じております。日銀総裁の忌憚のない御意見を承りたいのですが、なかなか本当のことは言えないんでしょうね。公定歩合の引き下げについてはうそをついてもいいものだと昔から言われている。だが、やはり時代が変わったので、日本銀行の責任は非常に大きいのでありますから、私は率直に御意見のほどを承りたいと考えます。  その前に、バブルは完全に消えたでしょうか。その点をひとつお答えいただきたいし、それから世界のバブルの歴史を私調べてみました。  三百五十年前にオランダでチューリップバブルが起きました。それはチューリップの球根が非常に高く売れて、一個の球根で一軒の家が買えるような時代であった。そこでもうみんなが球根栽培に努力した。今度はその反動で捨てなければならないようになった。しかし、そのチューリップバブルの処理には十年かかっていますね。第二は、これは世間周知の事実で、一九二九年の世界恐慌であります。この起きた原因は、一九二五年にイギリスが金本位制に復帰する、アメリカは低金利政策をとる。そこで金がどんどんと証券市場に流れてあのバブルになった。それで、第三回目は言うまでもなく日本でございます。低金利政策があのバブルを起こしたと私は考える。  そこで、金融政策の重要性については私なんかが言うのは釈迦に説法でありますけれども、よほど慎重にこのバブルの処理をしないと悔いを千載の後に残すのじゃないだろうかということを懸念いたすのであります。総理並びに日銀総裁の御意見を承りたいのですが、まず日銀総裁から公定歩合についての忌憚のない御意見を拝聴したいと思います。

三重野康日本銀行総裁

○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。  国内の景気は昨年の秋口から、非常に緩慢ではありますけれども減速傾向にあると思います。これはむしろ、今までややスピードが速いわけですから、適当な無理のないスピードに落ちるのは好ましいというふうに考えておりますが、いずれにしろその減速過程で、現在はどういう状態かといいますと、かなりまだ景気の水準は高いというふうに判断しています。と申しますのは、需給のあれを端的にあらわします設備稼働率あるいは求人倍率が非常に歴史的な高さを保っております。これから先を考えましても、設備投資、個人消費ともに、今までのような強さは期待できませんけれども、なお根強いものがございます。さらに、湾岸戦争が終結いたしましたので、いわゆる企業マインドの不透明も解消しつつあります。こういう点を考えますと、直ちに景気が失速するというようなことはないというように判断しております。  その間の物価でございますが、委員も御承知のとおりでございますが、昨年の夏以来じりじりと上がってまいりまして、国内の卸売物価が二%の半ば、消費者物価は四%前後まで来ております。これはもちろん石油の上昇あるいは生鮮食品の上昇が主因でございますが、その他の品目についても、今までのいわゆる人件費あるいは物流費の高騰を製品価格に移す動きも若干出てまいりました。その上に、委員御承知のとおり、為替レートがこの一月にもう十円ぐらい円安になっているわけであります。そういう意味で、まだまだ物価というものに対しても目が離せません。  さらに申しますが、今御質問ございましたバブルでございますが、バブル経済はこの間かなり是正を見たと思います。しかし、例えば土地の値段にいたしましてもまだ完全に収束というところには至っていないし、もしここで緩めますと、また戻るという気配さえ一部には感じられます。その点は非常に慎重にしなければならないというふうに考えております。  したがいまして、いろいろ申し上げましたけれども、現在はやはり内外の情勢を注視しながら今までの政策効果の浸透を見守りたい、こういうふうに考えておりまして、有力各紙の観測記事は注意深く読んでおりますけれども、私どもの態度は今まで申し上げたとおりでいささかも変わりないということでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 総理、御意見いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日銀総裁が申し上げたとおりでございますけれども、私が実感として感じておりますことは、こう膨れ上がってきた、高騰してきた東京を初めとする大都市の地価というものが下がり始めたという報告が出ておりますが、これにはやはりいろいろ融資の問題について極めて厳しい指導と引き締めをしてきたということ、これもあったでしょうし、また、あるいはちょっと長い目で見ますと、いよいよ土地に対する地価税の問題等も現実の問題として議論の対象になってきて、それが成立しそうであるということも心理でございましょう。  同時に、一極集中を避けて地方に生き生きとした地方の活力倍増計画などというものも取り扱って活性化をもたらしていこうとすることになれば一点集中という問題もたんたん引いていくであろうというようなことから総合的に判断をいたしまして、バブルが消えてしまったとはまだ率直に言いにくいと思いますが、少なくとも現在進行形であると。消える、望ましい方向に向かって効果の兆しがあらわれつつあるというふうに私は受けとめておりますので、一層いろいろな政策努力を総合的に重ねていかなければならない、こう思っております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 日銀総裁、わざわざ御足労いただいたときに申し上げて大変失礼かもわかりませんが、日本銀行から「日本銀行月報」という創刊号をいただきました。それから三月号もいただきました。全部通読いたしましたが、これは一体だれに読ませるための雑誌ですか。

三重野康日本銀行総裁

○参考人(三重野康君) 委員御承知のとおり、私どもの調査統計局が出しておりました「調査月報」というものがございました。それは金融、経済のみでございましたけれども、今度はそれを昨年新設いたしました情報サービス局というものに移しまして、金融、経済の論文だけではなくて、もう少し日本銀行の業務とか金融システム全般に関するものも載せようということでございます。この月報はもちろん今まで経済の専門家を当てに出しておりまずけれども、今度は少し範囲を広げたい、そういうふうに考えてはおりますが、今先生御指摘のとおりまだ二号しか出しておりませんが、今後多くの皆様の御意見を取り入れましておいおいと充実させていきたい、かように考えております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 私は拝読して、私にはわからない。浅学非才のせいだろうとあきらめておりますが、例えば創刊号の百五ページに「ボラティリティー」と書いてあります。私わからないですね、これ読んでみて。それから「コア部分」というのがある。これはまあこうじゃないだろうかと想像する。三ページに「アヴェイラビリティ」と書いてある。  私はわからなくてもこれはまあいいんでしょうけれども、私が知っている学生に読ませてみてわかるかと聞いたら、大部分の諸君がわからないんですよ。そういうものをお出しになっていいんでしょうかね。どうもお金のむだ遣いじゃないだろうか。公害発生だと、読まなきゃ皆捨てるんですから。もう少しその点は対象を絞って、もっと日本銀行の政策のPRならPRらしくわかりやすくした方がいいと思う。そうじやなしに大学の金融論の先生に読ませるなら何もこんな分厚いものじゃなくたっていいんでして、その点の御研究を必要とすると思いますが、いかがでしょうか。

三重野康日本銀行総裁

○参考人(三重野康君) 高名なエコノミストである先生がわからないようなものを出してはやはりだめだと思います。したがいまして、その点は非常に工夫をしていきたいと考えております。ただ、この雑誌は比較的経済の専門家を当てにしておりまして、それ以外に日本銀行のいろんな政策をPRするために約四万部出しております「にちぎんクォータリー」というものがございます。これはもう少し砕けておりますが、いずれにしろ貴重な御忠告をいただきまして、改善いたしたいと思います。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 日本銀行総裁、結構です。ありがとうございました。  次に、バブルで、土地問題でありますけれども、国土庁長官にお伺いいたします。  地価公示を見て幾らか下がったかなという感じなんです。しかし、あの効果は二階から目薬でありまして、国民はあれで地価が安定したとはだれも思っておりません。そういう点から見ると、国土庁の方針はどういうものなのか、どの程度下げたら地価安定というのか、その辺の目安をお知らせいただきたいと思います。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) お答えをいたします。  平成三年地価公示結果に基づきまして最近の地価動向を見詰めてみますと、先ほどもお話がございましたように、東京圏、特に神奈川、こういう地域におきましてはわずかながら下降線をたどっておる、このように考えております。特に、昨年激しく高騰いたしました大阪圏、ここにおいても昨年の後半から下落傾向が見られておるところでございます。しかし、その反面におきまして、地方都市の県庁所在地であるとかかなり中心になる都市というのの地価が上昇傾向にございます。  そういうことを全体的に見詰めてみますと、下落傾向、鎮静化の状況にありますけれども、地価はまだまだ油断のできる状態ではない。今後いろいろな、例えば金融政策であるとか、あるいは今御論議をいただいております地価税を中心とした土地税制の問題であるとか、あるいは土地利用計画であるとか、そういうことを総合的にかなり力強くこれから進めていかないというといつまたぶり返すかわからない、私はこういう認識をいたしておるところでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 今の私の質問はどの程度下がったら安定と見るかという質問なんですが、その点、いかがですか、もう少し数字で。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) お答えをいたしますが、なかなか地価の問題を定量的に何十%下がるということは申し上げにくい状態でございます。しかし、先ほどもお話をいたしましたように、今日の地価というものは異常に高い、こういう認識をいたしております。去る一月二十五日に閣議決定をいただいたところでございますが、総合土地政策推進要綱の中で特に適正な地価水準まで地価を引き下げていこう、こういうことになっております。  そこで、先生の御質問でございますけれども、一体適正な地価水準というのはどういうことかということでございますが、私どもが考えておりますのは、東京圏におきまして平均サラリーマンの年収の大体五倍程度、このくらいを目途にして努力を払っております。仮に、現在の東京圏におきます平均年収の倍率から見ますというと大体七・五倍から八倍、こういう状態にございますから、これを五倍程度に引き下げる、こういうことになりますとおおよその引き下げ目標というものが出てこようか、このように考えておるところでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。  最後に、景気の見通しの問題を伺いたいと思います。  私は昨年五月十一日の参議院予算委員会で、秋になると景気に陰りが出るのじゃないかと、去年の五月十一日の時点で申し上げたのであります。甚だ残念ながら、そのとおりになってしまっております。今経済界で一番心配しているのは景気の見通しの問題だろうと思います。そこで、経済企画庁長官にお伺いいたしますが、見通しはいかがでしょうか。

越智通雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(越智通雄君) 高名なるエコノミストの先生の御質問でございますので、繰り返しになるかもしれませんが、平成二年、当委員会でも議論してまいりましたように、結果といたしましては実質五・六%の成長になりました。ただ、四半期別に見ますと、最初のころが大変スピードが速うございました。そして後半に入りまして、殊に湾岸問題等も絡みまして成長のスピードはダウンしております。しかし、まだグラフとして見ますれば、成長は下を向いてはおりません。上向きの角度が緩くなったというところでございます。  その後の全体の情勢の中では、私どもは、もう一遍ある程度グラフは上に行くのではないか、上向いてもらいたい。平成二年度、今まさに終わらんとする三月末日の分は五・二と実質成長の改定見通しをいたしておりますが、大体その線でおさまってくれるのではないか。さすれば、平成三年度、四月からの分につきまして私どもは三・八%と言っておりますので、これは実現可能である。既に六十三年から平成元年、二年と続きまして五%から六%近い成長を実質三年続けておりますので、かなり減速感は出ると思いますけれども、いわゆる不況はまだ来ないで頑張り抜ける、このように見ているところでございます。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。  最後の結論でありますが、大蔵大臣にお伺いいたしますが、世界的な資金不足で、何か会議をやれば必ず金は日本ということになる。しかし、日本自身は本当にそんなに金持ちなんでしょうかね。恐らく諸外国はこういう判断をするんだろうと思う。日本の対外貸付残高は二兆ドルもある、GNPは四百六十兆円もある、したがって日本に頼れば何とかなるだろうというのでしょうが、私はその考え方は非常に検討を要するのじゃないかと考えます。貸してあることは事実だけれども、回収ができなければ何にもならないんです。それからGNPの伸び率も鈍る傾向になっておりますし、私は、いいわいいわと言うのではなしに、やはり一定の物差しで締めなきゃいけないのじゃないだろうか。  それは何かということは議論はありましょうけれども、私は、国民の負担率、租税と社会保障の負担率でこの平成三年度の予算では三八・九%になっておりますが、これで四〇とか四二、三でとめるということが望ましいのじゃないかと考えますが、大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 国民負担率そのものは、委員既によく御承知のように、高齢化社会の進行に伴って中長期的にはふえていく傾向にあるわけであります。しかし、それをさまざまな形で、例えば臨時行政調査会の答申当時から一つの目標を決め、高齢化のピーク時に至りましても一定の限度の中でとどめるようにということが言われてまいりました。私どもはその方向に向けて努力をしていかなければなりませんし、同時に、本年度末におきまして百六十八兆を超えようとする国債残高の累増にいかに歯どめをかけるかにも腐心をいたしております。  今委員が述べられましたようなさまざまな海外からの思惑というものは、それはあるかもしれません。しかし、先ほども私は御答弁をいたしましたように、世界的な資金需要にすべてこたえられるほど我々は豊かな状況にあるわけではない。これは申し上げたとおりでありますし、同時に、その豊かさの問題とは別に、日本としてノーハウのない地域にノーハウを持たないままにいたずらに資金投入を焦ることは愚の愚である、そのようにも思っております。  ですから、私は、日本の国際的な世界経済の中における資金需要というものの中で果たすべき役割を、必ずしも国民負担率と連動させることがいいかどうかということになりますとまた別途の議論がありますが、方向として世界的な資金需要のすべてに甘い顔でこたえられるような財政状況ではないという点については、委員と見解を一にいたしております。

斎藤栄三郎自由民主党

○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。これで終えます。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で斎藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。堂本暁子君。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 湾岸戦争は、軍事大国化ですとかそれから環境の問題、人権の問題、本当にいろいろな問題を私たちに大変クローズアップして見せてくれたと思っております。そういう問題をきょうはODAの観点からいろいろ伺いたいんですが、その前に、総理は近く訪米なさるということで、少し国際情勢について伺いたいと思っております。  けさも九十億ドルのおつりの話というのがございましたけれども、おつりどころか目減りをというような話もありまして、まず大蔵大臣に伺いたいんですが、最初にアメリカへいらしてプレイディ財務長官とお会いになったとき、円建てでお話しになったのかドル建てでお話しになったのか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) そのドル建て円建てというお話以前の問題として、具体的な金額が出ておらないということを何遍も申し上げました。そして、そのときなかなか御信頼をいただけなかったのでありますけれども、今になりますと湾岸についての数字の非常に大きな躍りというものが実態として証明されましたわけでありまして、あの当時、アメリカ自身が基本として私どもにどうこうという具体的なことを言うだけの固まった数字を持っておらなかったわけであります。ですから、円建てとかドル建てとかいう以前の問題でございました。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理、目減りの分は補てんするようなことはなさらないおつもりでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 委員御承知のように、最初のときも円で払い込ませてもらいましたし、それから追加のときも円で払い込みました。今回の九十億ドル分も、国会の審議でお願いした一兆一千七百億円というものをベースにして審議願ったわけでありますから、それを払い込んでおります。それらのことについては、そういった日本の国会の手続とか日本の実情をよく話して理解を得ていきたいと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 もちろんブッシュ大統領にもその旨はおっしゃるおつもりでいらっしゃいますか。  次に、湾岸の今の状況なんですけれども、外務省に伺いとうございますが、暫定停戦後のイラクの領域内、そこでのアメリカ軍、多国籍軍の展開状況が今どうなっているか、御報告いただきとうございます。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) ただいま先生の御指摘にございましたとおり、現在あの地域におきましては事実上の戦闘行為の停止が行われておりますが、まだ正式停戦に至っておりません。その間、多国籍軍はなおあの職域に展開をいたしておりますけれども、具体的にどこの国が何人というところは十分に確認できておりません。  ただ、既に撤退が開始されておりまして、米軍について申し上げれば、二十六日の発表によりますと、既に十二万八千五百人の撤退が行われているというような状況になっております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 全体として何人ぐらいで、どのぐらいの領域、そしてどういう目的で今まだ駐留しているかということを御説明いただけますでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) まず全体としてどのぐらいの数がどういうところにおるかということでございますが、これもイラク領土の大体一五%ぐらいの部分、南部の方でございますが、そこにおるということでございます。それから、各種の発表等で推定をいたしますと、米軍が四十万程度、それからその他の多国籍軍が二十万程度ということではないかと思います。  それで、この多国籍軍の展開の目的でございますが、多国籍軍の行動は、安保理決議六七八に申しますすべての安保理決議の実施と、それからこの地域における国際の平和と安全の回復という目的を持っておりますので、これについても同様というふうに理解をいたしております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理、実際に現地で今ヘリコプターとかそういうものが飛び立つと、それは違反ですから撃ち落とされたりしておりますしするような状況があると思うんですね。一方で、最近あっと思いましたのは、アメリカのシュワルツコフ司令官が、実はイラクを壊滅させるためにもう少し戦争を続けたかったんだ、あのときやめたくなかったということをテレビで発言した。この発言は、総理、御存じでいらっしゃいますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 報道がなされたということは私も承知しておりますが、直ちにそれをまたブッシュ大統領が、そうじゃなくて、完全に一致して自分たちは停戦しているんだという最高指導者としての明確な意思表示をしたことも、前後して報道でよく承知しております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 確かに大統領もそうおっしゃっていらして、そういうことだろうと思いますが、現実に大変な数の軍隊がイラクにまだ駐留している。そして、シュワルツコフ発言と重ね合わせたときに、また戦争が全く再開されないというそういったこともないのではないか、戦争が再開される可能性が完全に払拭されているとは思えないような気もいたします。そうなった場合に、もしまたアメリカが支援を求めてきたらば、今まで総理の従来どおりの御方針だと応じられることになるんでございましょうね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私はそのようなことに事態が進んでいくというふうには思いませんし、また現在イラクの国内で行われておるいろいろな問題について、冒頭お触れになったヘリコプターの問題でも、ヘリコプターが飛んでおってもそれは停戦の合意違反であるとかないとかいろんな意見があることは知っておりますが、そこへ実力で阻止にはいかないという現状はきちっと保たれておりますし、再び戦争に、戦闘状態に入っていくというようなことは想定されません。また、私はそうあってはならないと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 次に、イスラエルとの関係を強化するということが報じられておりますが、この点について御見解を伺いとうございます。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 我が国の中東外交全体の枠組みの中で、我が国としてはアラブ諸国との友好関係あるいはアラブでない諸国との友好関係を増進するべく努めてきておるわけでございます。その中で、例えば中東和平の問題につきまして、これまでもたびたび申し上げておりますような基本的な立場に立って、パレスチナ人の民族自決権の承認あるいはイスラエルの生存権の承認というようなことを基本として今まで政策を進めておるわけでございます。  そのような中にございまして、イスラエルも中東において重要な紛争の一方の当事国でございますので、これまでも政治対話その他を通じて交流を深める努力をしてまいりましたけれども、同様にこの努力をまた続けていくというふうに考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 伝えられるところでは、政治対話のほかに経済面でも技術協力ですとか難民支援、さらにアラブ諸国によるイスラエルボイコットの同調政策を、そういう今まで日本が同調してきたものを立て直すということが言われておりますが、この点はどうでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) いろいろな報道がなされておりますけれども、例えば難民という観点から申しますと、イスラエルのいわゆる占領地におりますパレスチナ住民の方々の窮状を考えましてそのための支援を行い、最近では一千万ドルに及ぶ緊急食糧援助をしたりということをやっておるわけでございます。それから、アラブボイコットの問題というのがございますが、これは先般外務大臣が訪米されましたときに申されておりますように、我が国としても問題意識を持って検討を進めるべき問題というふうに理解をいたしております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理は訪米されるので、アメリカへいらしたときに、もしこういったイスラエルへの経済援助とか、そういうようなことをアメリカから求められたときにはどうなさいますでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは日本としては、中東の恒久平和を確立するためにはイスラエルというものの存在も一つの大きな焦点であります。そういったことを前提に踏まえて、同時にまた、今日本が経済協力しているためのいろいろな基準とかいろいろな仕組みもございます。そういったものを組み合わせながら適切に対応しなきゃならぬと考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 今までの親アラブと申しますか、そういった日本のアラブへの外交姿勢があったと思うのですけれども、そういうことを修正なさるようなお考えはおありになりますか。親イスラエルにということです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 親イスラエルとか親アラブとかいうのではなくて、中東の問題については基本的にイスラエルというものの生存権はきちっと確保していかなきゃならぬ。同時に、イスラエルは占領地から引かなければならないという両面があると思います。  それに対しては二百四十二号決議の原則に従って、これは親アラブでも親イスラエルでもなく、何といいましょうか、親あの辺の安定という立場を、決議を支持するということでその精神を生かしてやってきておりますから、中東の恒久和平のためにどの国ともきちっとその原則に従っての解決が行われるように日本の外交は対応してまいります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 次に、イラクの援助の問題に移りたいと思います。  総理は、イラクが軍事大国になったのは、そこに軍備を売り込んだ超大国、例えばソ連とかフランスがあるからだ、日本は武器輸出三原則を守ってきたと再三おっしゃっていらっしゃいますけれども、実際直接の要因にはなっていません。しかし、日本の経済協力を通して兵器を買う条件をつくった、そういったイラクの軍事大国化にもしかしたら日本の援助が役立ってきたのではないか、こういった視点から質問させていただきます。  まず、湾岸戦争のときの実際にイラクでの援助、その援助の実態について御説明いただきたいと思います。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  イラクに対します援助の実態というお尋ねでございますが、八九年度までの累計で申し上げますと、混合借款といたしまして、五つのプロジェクトにつきまして円借款約五百七十三億円、輸出信用、これが約一千二百九十三億円、合計千八百六十六億円ということでございます。ただし、これはイラン・イラク戦争よりも前の数字も含まれております。技術協力といたしまして約四十三・五七億円、イラン・イラク紛争時に四億円強の戦乱被災民支援というものも行っております。  しかし・昨年八月のイラクのクウェート侵攻に伴う経済制裁の発動以来、我が国は御案内のとおりイラクに対する経済協力を凍結しているというのが現状でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理はサダム・フセインが悪いと、もう何度も何度も国会の場でおっしゃるのを私は聞いてきましたけれども、エジプト、トルコ、ヨルダン、こういったところに援助はイラン・イラク戦争の間もずっとなされていたわけですね。  それで、もう一回、援助の理念と申しますか原則、理念と原則と援助には両方あると思うのですけれども、現時点で大変いろいろ問題になっております。今お考えの理念を伺わせていただけますでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いわゆるODAになりますと、それは発展途上国に対する人道的な面、それから同時に、やはり国際社会の一員としての相互依存関係、そういったものを深めていくという意味で、それが日本が行っていくための大きな理念でありまして、やっぱり人道的な援助という面が一番強かったと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 原則をもし分けて申しますと、どういうことになりましょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは用語については御必要ならば専門家がお答えしますけれども、援助するときにGNP何ドル以下の国ということが基準になってくる。それはやはりそういったところに持てる国から積極的に協力をしていくのがいいんだと。それは民生安定、人道的な面ということになってきますから、原則は人道的な面で行っていくのが第一の原則である、こう思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 あえて理念と原則と分けて伺いましたのは、国会で何度も、国際紛争を助長するような援助はしない、軍事化には援助はしないということを決議しております。この原則は今も守られるというか、生きているというふうにお考えでいらっしゃいますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先般来私どもは、不必要に軍事費に予算を回しておるというような姿勢とか、あるいは他国に対してそういう脅威を与えるような軍事行動をとろうとする国とかというところに対する援助については、これはいろいろ今おっしゃったようなこと等も背景に踏まえながら念頭に置いて考えていかなければならないことだと、これは基本的に特に考えておるところでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 この原則を確認するためにあえて伺うわけでございますけれども、交戦国であったエジプト、トルコに一月十五日以後に実際にODAを決めているわけですけれども、この原則からいたしますと違反にはならないでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  御指摘のエジプト、トルコ、これらの国は紛争周辺国ということで、今回の湾岸の危機という事態に伴いまして大変な経済的な困難を生じた。御案内のとおり、例えば移民の送金がとまるとか、観光収入が激減するとか、石油価格が上昇するとかといったような事態を踏まえまして、我々は緊急にこれらの国の国際収支の困難というものをとりあえず支援する必要があるという観点から、ほかの西側の諸国あるいは国際金融機関等とも協議しながら、これらの国に対する我々の経済協力の基本的な理念でございます人道的な視点、さらには相互依存の視点といったようなものを踏まえまして、これらの国の経済開発の目的のために緊急に援助を行ったということでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 原則は原則だと思うんですね。まあ、いい戦争というのはないわけでございまして、やはり戦争は戦争です。そして、まさにエジプトは前線に兵を送っていた交戦国、そこにODAがどのような理由であれ出ているということはやはり原則が破られたということだけは、総理、お認めになり鶴すでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) ただいまの点は、先ほど御説明申し上げましたように、基本的には今回の我々の商品借款というものは経済開発のために簡単に申し上げれば供与したわけでございまして、先生先ほど御指摘のまさに軍事的目的のために供与はしないという原則を踏み外してはおりませんし、それから今回の経済協力というものが紛争を助長するものであるというふうには我々認識していないということでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 紛争を助長しなければ、紛争周辺国に、それから交戦国に出していいということですか。そういたしますと国会の決議には反することになりますが、そういうことでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) 若干繰り返しになると思いますけれども、先生のお尋ねは商品借款のことと理解させていただきますが、あくまで先ほど申しましたようなそういう目的のために、つまり、非常に経済的な困窮に陥ったこれらの諸国の緊急なる国際収支の困難というものを和らげるために我々は商品借款を供与したということでございまして、その目的自体が国際紛争を助長するような性格のものではないというふうに我々は観念いたしておる次第でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理、そうしますと、いろいろな理由があるとその都度そういった交戦中の国にも国会の決議に反してODAが出せるということになるんですが、例外というのは、どんどん積もっていきますと結局例外ではなくなると思うんですね。地域紛争はたくさんございます。その辺のところをはっきり総理の御決心のほどを伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは基本的な考え方が、あの地域の平和回復のために国連決議に基づいてその実効性を確保するために行われておる武力の行使でありますから、いわゆるきょうまでの概念の地域紛争、一国と一国がやる武力行使の戦争というふうにはとらえませんし、同時に、交戦国とおっしゃいますが、しかしその周辺国として非常な影響を受けておる、だから、周辺国支援という項目を一つ立てて今御指摘のエジプトとかジョルダンとかトルコというところに対しては商品借款を行ったということでありますし、また紛争地域に対してそれをしても、それはあくまでその地域の住民の人道上の立場での商品借款であるというふうに受けとめております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 これもあえて伺いたいんですけれども、東チモールの場合、やはり国連の決議がインドネシアによる武力侵攻の後にございました。このケースだと総理はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。国連の決議なら正しいということでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 突然の御質問なものですから、その東チモールの国連決議の背景その他はちょっと今私は承知しておりませんから、専門家から答えさせます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 外務大臣は御存じですか。

柳井俊二外務省条約局長

○政府委員(柳井俊二君) 私も現在関係の資料を持っておりませんので詳しいことは承知しておりませんけれども、たしか私の記憶では、東チモールの場合はいわゆる総会の決議でございまして、今度の場合のような国連の容認した平和回復のための武力の行使というような状況とは違った状況であったというふうに考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 武力侵攻ということでは同じだと思うんですね。ですから、ここで深入りして伺うつもりはないんですけれども、国連の決議ということですべてが正当化されるのか、日本としてきちんとした理念なり原則なりを持っていくのかということで伺いたかったわけです。  イラクに対しての外交姿勢で、総理は、実際に今こういう戦争が終わった状態で、戦争中も先ほど外務省から御説明のあったように日本は援助をし続けてきたわけです、混合借款。これは輸出入銀行による混合借款ですが、こういった援助が続いていたことについてはどうお考えになりますか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先ほど来御説明をさせていただく機会がございましたが、イラクに対します援助につきましても、混合借款、先ほど申しましたように五つの経済協力案件でございますけれども、肥料工場あるいは医療機器の事業計画に対しまして行われる援助、火力発電所の援助といったようなものでございまして、基本的にはイラクのその時点での経済社会開発のためにこれらの援助を供与するというのが基本目的でございまして、そういう趣旨で供与されたということでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 そういたしますと、外務省に伺いたいのですが、八五年から八七年までイラクへの二国間援助のうち、日本がどのぐらいのODAの割合を占めていたか教えていただきたい。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) 八五年から八七年の日本のシェアという御質問と思いますが、これはDACの全体のという趣旨に解させていただきますけれども、八五年につきましては七一・四%、八六年七二・七%、八七年八八・五%でございます。ちなみにその前後の八四年、八八年は、ただいま私が申し上げましたのは支出純額ベースでございまして、そういう意味では、八四と八八は日本は退ってきた方がはるかに多いということでマイナスになっております。マイナスシェアでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 数字だけですとわかりにくいので長々しい表をつくりましたけれども、総理、ごらんくださいますか。(図表掲示)  日本が七一・四%、七三%、八八・六%とイラクのODAの中で非常に大きな割合を占めているとき、イラクの総輸入額のうちの武器輸入額は四四・五%、それから五五・九%、そして八七年には七四・二%と大変に増加しております。軍事大国化がどんどん進んでいるところとそれから日本の援助というのは大変パラレルに進んでいるわけです。こういうことは大変に大国化を、フセインをむしろ日本としては援助し育てていたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今その表を見せていただきながらの直観でありますけれども、確かに御指摘のようになっておりますが、イラクの当時からの毎年の武器の輸入は、四百七十億ドル、五百五十億ドルというのの半分ぐらいが武器になっています。我が方のは、今その表を見せていただいても〇・一億ドルとか〇・一四億ドルとかいうことでありまして、これらのことは、そういう民生安定のために本当に必要とする事業に対して協力をしたんだというふうに私は今受け取らせていただいております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 そうしますと、先ほどは軍事化を進める国には余り援助はしないようにするという御発言だったと思いますが、そういう軍事大国化をしている国でも、民生的な援助であればいいということでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 率直に申し上げますと、今回のようなサダム・フセインの隣国に対する侵略、併合というようなことに出会って、そこから受けた教訓という面からいきますと、今までしてきたことを顧みて、こちらはよかれと思って民生安定のためと思ってしておることも、結果としてあのような事実になったとき佐どうするのかということの問題意識に立って、今後これから先行きのときに、これらのことについては一人一人の所得が低いからいいとかあるいはこうだからいいとかというだけじゃなくて、その国がそのような行動に走るような、なかなか見抜くのは難しいかもしれませんが、そういうことならば、二度と再びイラクのような国をつくってはいかぬということが大きな背景、目的意識になっておりますから、今後これらのことについては、最初にここでお答えを申し上げましたように、これはきちっと検討をしてまいりたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 そういった反省が日本の援助のやり方としてあったと思いますけれども、イスラエルも大変な軍事大国でございます。これからここにまた公金を出す、資金を出すということだけはやはりやってはいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) これまでも、御説明申し上げておりますとおり、イスラエルの場合には高所得国でもございますし、我が国としてこれに対して資金協力というようなことば行っておりませんし、現在それを行うという考えもございません。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 援助といってもいろいろございます。イラクの場合も大変石油で富んだ国でした。ですから、OECFではなくて、きょう輸銀の総裁にお越しいただいておりますけれども、輸銀の混合借款という形です。イスラエルの場合も富んでいる国だから援助の対象にはならない。そうでしたら、やはり政府資金で仕事をしている例えば輸出入銀行とかそういったところからも、融資は、経済協力はしないのかどうか、その辺を総理にはっきり伺いたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) イスラエルにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、資金協力というような考え方はございません。その点は繰り返させていただきます。  ただ、イスラエルの場合に、先ほども申し上げましたように、中東和平の問題を解決に向けて促進するに当たって非常に重要な一方の当事国であるということはございますので、そういう観点から人的交流、政治対話等を進めたいというのが今の私どもの考え方でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 アメリカへいらしたときに、今局長の答弁でそういうことでしたけれども、総理ははっきりとそのことをアメリカ側におっしゃいますでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) きょうまでいろいろな基準があってしておらなかったことも事実ですが、私は、アメリカへ行ってテーマになることは、むしろそれと違う次元の恒久和平に対してどうするかという角度のことの考え方の議論をしたい。そのときは先ほどお答えしたとおりの日本の基本的な立場を申し上げますが、経済協力の問題については、それは今とっておる方針をそのまま伝えて、きょうまでもしていなかったと、そういう局長の答弁の線に相なります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 もう一つ。軍事大国化する国とそれから武器を輸出する国と、両方あります。先ほども、イギリスですとかフランスですとか、そういう国がイラクに大変武器を輸出していました。今度も問題は、やはり武器を輸出する国をどうするかということだと思うんですね、アメリカを含めてだと思いますけれども。その点については、武器を輸出する国に対しては総理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これはむしろ援助の問題ではなくて、日本の持っております武器輸出三原則の考え方に従った日本の考え方というものを説明して、今度はそういったものを、日本が言っておるだけでほかの国が聞いてくれないのではこれはいけませんから、国連の枠組みのようなところできちっと話ができていくように、その前段階として軍縮・軍備管理に関する国際会議をこの五月に開こうというので、これは国連と共同して開いてまいります。  そういうところで武器輸出に携わってきた国々の同意も得ていくように努力もいたしますし、また地域でずば抜けた軍事強国をつくるということが地域の安定を阻害するという面も確実にあるわけですから、そういったことを武器輸出をしてきた国々が透明化、そして節度ある問題にしていくにはどうしたらいいかということをむしろ率直に議論をしていきたいと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 少しODAから離れるかもしれませんが、例えば中国ですとかそれからイランのような国、実際に日本のODAを出すことによって武器輸出を抑制するというようなことをアメリカから求められているという報道がありますが、この点についてはいかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本としてはすべての国にこの日本の考え方な伝えて、すべての国がやはり国際秩序の中で行っていく、できれば日本の武器輸出三原則の問題等についても十分説明をして理解と認識を求めながら秩序をつくり上げるようにしていかなければならない、こう思っておりますから、中国にも既に行きました通産大臣を通じてこの見解は伝えてありますし、またアメリカにもイギリスにもしかるべき機会があれば申し上げますが、五月の会議には恐らくそれらの国の代表もみんな来ると思っておりますから、そういうところでもまた話を積み重ねていきたいと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 武器輸出三原期が世界規模の原則になったら大変いいと思いますけれども、説明して了解を求めるというだけではなくて、もっと積極的に総理がこういったことを世界の中で、軍縮のサミットのような形でイニシアチブをおとりになるような御決心はおありになりませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本がこの問題については積極的に主導権を発揮して主張すべきであるという考えに立って、私が五月末の開催を提唱したわけであります。世界の関係国も国連もそれに協力をして、応じて、今その準備が着々と進んでおるわけでありまして、これがまさに日本がそういった考え方を訴えていこうという一つの積極的な態度のあらわれとしてお受け取りをいただきたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 湾岸に戻りまして、先ほどの二十億ドルの商品借款のことに触れたいと思います。  商品借款のリストをやっと、けさですけれども、いただきました。これは今までお願いしてもこの商品借款のリストというのはなかなか国会に出していただけなかったんですけれども、きょうは大変苦労して出していただいたんですが、やはりこういったものが今まではわからない。そして、特に交戦国への資金ということで、私たちは大変それが軍事化、先ほどはそうじゃないんだということをるるおっしゃいましたけれども、やはり実物で見せていただきたいと、もう本当に大変なお願いの仕方をしてやっと出していただいたんですが、こういうものはこれからは積極的に出していただきたいと思います。  そして、もっと大事なことは見返り資金の用途なんですね。これでもって現地のお金が入るわけですから、見返り資金の用途は必ず報告を出すということが交換公文に書いてございます。エジプト、トルコ、ヨルダンの報告をお示しいただきたい。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) 先生御案内のとおり、エジプト、トルコ、ジョルダンにつきましては、それぞれ三億ドル、二億ドル、一億ドルという商品借款を供与いたしまして、残りにつきましては目下先方と交渉中という状況でございます。  三億ドル、二億ドル、一億ドルにつきましては、それぞれ昨年末来供与したわけでございますが、ただいまお尋ねの見返り資金、これは御指摘のとおり、相手国が自分の国の経済社会開発事業のために使用しなければならないとして、その使途につきまして我が国に報告するという仕組みになっておりますが、何分にもまだ供与いたしましてから時日がたっていないという状況でございますので、見返り資金の使途報告についてはいまだそれら三カ国から受けていないという状況でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 常日ごろはそうかもしれませんけれども、交換公文を締結してからもう三、四カ月たっているわけです。これだけ衆参両院で内容は何なのかという議論がずっと闘わされてきた内容ですので、九十億ドルプラス二十億ドル、そしてこのODAの二十億ドルというものの内容については、国民が、そして国会で私たちが一刻も早く知りたい。これを三、四カ月たってもいまだにその報告がないというのは、やはりこれは外務省の怠慢なのではないかと思いますし、外務大臣、ここははっきり国会と国民にお示しいただきたいと思いますが、いつまでにお出しいただけるかぜひ伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) これを国会にお出しする時期については、この時点でいつ何月何日というわけにはまいらないわけでございますけれども、御趣旨を体してできるだけ早い機会に出せるように努力をいたしたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 国会にお示しくださることはお約束いただけますでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) 見返り資金の報告につきましては、それぞれ借款契約の中に、先方から報告がある大体のめどというものが示されております。エジプトにつきましては、会計年度が終わってから三カ月以内、具体的には、エジプトは会計年度は七―六でございまして、九月末までに報告を受ける。それからトルコにつきましては毎年四月と十月に報告をいただく、ジョルダンにつきましては一月に報告を受けるというような規定になっておりますが、先生の御趣旨を体しまして、我々としてもできるだけ早くそれを受けるように努力をいたしたいと思いますし、その内容につきましては御報告申し上げたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 それでは、環境の問題に移りたいと思いますが、環境庁長官に伺いたいと思います。  湾岸への調査団をお出しになった。これからどのような具体的な計画をお持ちかお知らせください。

愛知和男自由民主党環境庁長官

○国務大臣(愛知和男君) お答えいたします。  御承知のとおり、政府の環境調査団は三月八日から十九日にかけましてサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦を訪問いたしました。現地の大気汚染や海洋等の状況を調査するとともに、関係機関からの現地のニーズを聞いてまいったわけでございますが、これを踏まえまして、当面次のような措置を進める方針でございます。  一つは専門家の派遣でございますが、サウジアラビアの環境担当関係機関の活動支援ということで専門家を派遣いたします。それからクウェートの油井炎上に伴う大気汚染の健康影響の調査などのために専門家を派遣いたします。これらにつきましては、具体的な人選を含めまして外務省等と目下鋭意相談中でございますが、できるだけ早く派遣できるように努力をいたしておるところでございます。  それから研究協力ということで、サウジアラビアの研究機関、これはそこの大学でございますが、を中心にしました研究機関との協力のもとに、大気汚染、海洋汚染の予測等の研究を既にこれは開始をいたしました。  それから国連のUNEP活動への支援でございますが、UNEPの湾岸行動計画を策定するための基金に、我が国といたしまして一億五千万円ほどの基金を拠出することを既に決定いたしました。引き続き、我が国のノーハウとかマンパワーなどを生かしまして、このUNEPの活動の支援に当たっていきたいと考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 続けて長官に伺いますが、湾岸だけではなく、世界各地にそういった調査団やそれから公害防止のスタッフを送るお考えはおありですか。

愛知和男自由民主党環境庁長官

○国務大臣(愛知和男君) 環境の問題につきまして世界に貢献するということは我が国の国際貢献策の中でも大変重要な部分である、このように考えておりますので、御指摘のような点につきまして適宜そういうことも考えてまいりたいと思います。  また同時に、この環境問題の取り組みに当たりましては途上国の環境保全努力への支援ということも大変大切でございますので、そういうことの一環としましてUNEPの地球環境保全技術センターを我が国へ誘致するということなども今考えておりまして、こういうこととか、さらに国際会議、来年は大きな国際会議がございますが、こういう国際会議の場などでも専門家を派遣するなりいたしまして積極的に取り組んでいく決意でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 提案になりますけれども、環境については日本独自の経験も技術もございますので、いっそのこと国際環境救援隊と申しますか、環境PKOを常設してはどうか。環境庁長官と外務大臣にもし御意見を伺えたらうれしいです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 御趣旨は私は大変いいお考えだと思います。  実は明日、国際緊急援助隊、これが中東へ出発をいたします。昨晩、私、出発される三十人の団員にお目にかかりましたけれども、私はその際に、こういうふうな活動が国際社会の期待にこたえるように全力を挙げて努力していただきたい、我々の国は公害に関する経験と技術を持っている、また資金もある、そういうことで努力することでぜひ頑張っていただきたいということを申しておきましたが、今お話しのような形は、国際緊急援助隊というものが今回こういう形で出せますので、今後ともそのような対応ができるかと考えております。

愛知和男自由民主党環境庁長官

○国務大臣(愛知和男君) 先ほども申し上げましたけれども、環境の部分で世界に貢献するということは大変大切なことだと思いますので、私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと思います。  ただし、常設のあれをつくるかということに関しましては、人選その他の問題がございますから検討を要すると思いますが、いずれにいたしましても積極的に取り組んでまいりたいと考えます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理にもぜひ。  スウェーデンの場合は平和を守るためにPKOの領域で大変評価されているわけですね。日本は地球環境を守るために環境PKOをつくって世界に先んじる。いかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 実質的に調査団を出して帰ってきて、必要だということでまず第一陣を出すわけでありますし、精神的にはまさにそういった考え方でありますので、今後ともそのようなことに対しては前向きに取り組んでいかなければならぬことである、こう受けとめます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 前向きに取り組む以上、一つの国是として取り組むぐらいの御決心はおありでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) きょうに始まったことではございませんが、アルシュ・サミットのときも世界に先駆けて、三年間に、これは地球規模で、全地球の環境対策に日本は協力します、資金も三千億円出しますということを真っ先に申し上げてやっておりますし、何よりも、二十年前に世界に先駆けて環境庁という役所をつくったのも日本でございました。自動車の排ガス規制の問題なんかも非常に厳しいレベルの基準を置いて、そして環境保護のために鋭意取り組んでおるのは日本でございました。こういった経緯等も踏まえて、私は前向きに取り組んでいきたいという決意を申し上げたわけでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 次に、具体的なプロジェクトのことに移りたいと思いますが、フィリピンはカラカ石炭火力発電所というのがあります。一号機は輸銀の融資でつくられ、今計画中の二号機はOECFのプロジェクトです。一号機について、輸銀総裁、御説明いただけますでしょうか。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) ただいまお尋ねの一号機につきましては、一九八一年、十年前でございますが、フィリピン政府の要請を受けましてフィリピン国営電力公社向けに供与いたしました輸出信用の対象となった案件でございまして、一九八四年に完成いたしました。現在、計画出力で稼働しておると聞いております。  本件につきましては、完成後、粉じん、地下水への塩分混入といった問題を生じました。私ども聞いておりますところでは、あれはフィリピンの国産の石炭を使うというところに一つのみそがあったわけでございますけれども、その石炭の能力が計画より大分劣っておって灰分が多かったようでございまして、それが問題を生じた原因ではなかったかと思います。フィリピン国営電力公社は、ストックヤードの改造でございますとか飲料水の配給でありますとか、いろいろな対応を行っているように聞いております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 一九八六年にJICAから調査団が出ていますが、これはなぜ調査に行ったんでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  カラカ石炭火力発電所一号機につきましてはただいま輸銀の総裁からも御説明がございましたような事態が発生したということでございまして、このためフィリピン政府から、同発電所設備の改善と使用石炭の炭質改善等につきましての調査ということが技術協力として要請が参りました。我が国としては右の要請を検討の上、昭和六十二年から六十三年までの間に国際協力事業団の調査を実施いたした次第でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 公害の状況はどうだったんでしょうか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) ただいま御説明申し上げましたJICAの報告書でございますが、これによりますと、風向きによって周辺民家等への影響を与える粉じんというものの防止対策、それから、灰の捨て場でございますが、これを通じる先ほど輸銀総裁からも御指摘がございました地下水汚染といったような二点の対策の必要を提言している次第でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 お手元に資料をお配りしてあると思います。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕 ここにカラカの写真が載っていますが、実際にはもう住民の人は頭痛があったり目まいがしたり息苦しかったりという状況です。そして、家の屋根にはごらんのようにすすが積もっております。燃やした石炭の殻が海まで流れている。  そういった公害が非常に発生している状況なんですが、この発電機には公害防止の排煙脱硫装置はついているでしょうか。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) この件を、輸出信用でごじいますけれども、審査するときに聞いたところでは、当時のフィリピンの環境基準には適合していたようでございます。環境基準は国情に応じて差があると思いますが、当時のフィリピンの環境基準では脱硫装置の要請がなかったようでございます。したがって、ついていないというふうに記憶しております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 それで済む問題ではないと思うんですね。実際に今フィリピンの天燃資源省の調査によりますと、粉じんは基準値の六倍、そして亜硫酸ガスは四倍になっています。  総裁に伺いますが、事前に十分な環境調査はなさったんでしょうか。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) 繰り返しになりますが、当時のフィリピンの環境基準に照らして審査をいたしました。それには適合していたわけでございます。しかし、その後生じました問題については、住民の方々の御迷惑等もありましてフィリピン政府も努力しておりますし、日本政府も先ほど御答弁がありましたような対応をしているものと理解しております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 四年前の調査ですが、これだけ問題がありながら第二号機の準備が進んでいるわけですが、二号機の方の建設のための調査はされているんですか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  カラカ二号機に関しましては、既にフィリピン側が一九七九年九月にみずからの資金によりましてFSをやっております。そのFSに基づきまして、先ほどからの一号機の環境問題というものがございますわけですので、経済協力基金による本件二号機の環境への影響というものを審査する際に比側実施機関から、これは国家電力公社でございますが、硫黄酸化物、窒素酸化物、粉じん、温排水等の問題に関しまして、その時点でフィリピン側の環境基準を満たしているということについて確認をいただいております。  なお、この件につきましては、現在フィリピン政府部内、担当の環境天然資源省でございますけれども、ここにおいて本事業が環境基準を満たすものであるか否かを最終的に検討しているというふうに承知いたしておりまして、我が国政府といたしましても、環境問題の重要性にかんがみまして、フィリピン側における検討の状況を注視いたしておるところでございます。今後とも、必要に応じまして適切な対策をとるようにフィリピン側に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 問題はやはりフィリピン側に働きかけることで、それだけの技術をフィリピンは持っていないかもしれないんです。やはり受ける方の国ではなくて、出す方の側の国に責任があると思います。  先ほどあれだけ環境には熱心だと総理もおっしゃいました。日本の責任においてきちんと調査して公害防止をするというようなお考えはないでしょうか、総理大臣に伺います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) それはもう総論でいきますと、できるだけ環境調査をして、できるだけ出して喜ばれるようにするのが一番いいことでありますから、そういった基本的た総論は成り立つと思いますし、同時にまた、実際に具体的にやりますときは、それぞれの国の持っております問題の基準とか要望とか要請とか実情とか、いろんなものとよく相談しながらやっていかなければならない問題でもあろうと思いますので、そこのところはよく御質問の趣旨等を踏まえて対応するようにいたします。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 JICAの調査によりますと、石炭には大変硫黄が多いそうです。脱硫装置をつけなくていいと総裁は言われましたけれども、事前に十分調査をすれば、脱硫装置なしではだめだということは十分わかったことだと私は思っています。  今はっきり日本政府に要望したいんですが、それは四つあります。  責任を持ってこの環境調査をしていただきたい。非常に住民が苦しんでいます。日本の経済協力でつくったプロジュクトでこれだけ汚すということは、本当の援助にはなっていないんだと思うんです。そこのところをやっていただきたい。  次に、一号機の公害防止装置、これはやはり日本の責任においてつけていただきたい。できることなら、公害防止装置は高いそうですので、無償か、もし無償ができないのであれば無利子ぐらいのことで融資していただきたい。そして、ちゃんとしたことができて公害が全部とまったときに初めて、二号機に完全な公害防止装置をつけた上で建設を始めていただきたい。カラカ市の市議会は、とにかく一号機が解決するまでは二号機は建ててもらっては困るという決議を採択しています。最後に、総理と外務大臣にこの点を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) この環境の汚染問題につきまして、日本の協力によってできた発電所からの石炭の排出するガス等によって地域が汚染されているという問題につきましては、私は基本的に、率直に申し上げるとこれは相手国の政府の環境管理の責任であろうと思います。  しかし、日本の援助によって地域が汚染されるという委員からのお示しでございますが、我々は地球環境を保全するということで今日まで日本は考え方を明らかにしておりますから、もしそのようなことが、無利子とか低利でやれというお話でございますけれども、我々は今、先ほど総理が申しましたようにアルシュ・サミットで三年間で三千億円の公害防止のための資金を使うと、こう言っていますが、無利子あるいは低利ということになってまいりますと、いわゆる金利が低いほど我我のまた新たなる拠出をやらにゃいかぬわけですから、その差額の利子分だけは全部我々の国民の負担になりますから、それは相手国の政府と我が方政府との間で十分協議をさせていただいて、地域の環境をどうしてよくして維持していくかということの日本側の意見を相手方に伝えさせていただきたいと考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 最初から日本の経済協力でつくったものが排煙脱硫装置がついていないわけです。ですから、相手国の責任でなくてこれは日本側の責任じゃございませんか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘でございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、本件につきましては、例えばカラカの二号機につきましては、基本的に先方が行ったFS、フィージビリティースタディーに基づきまして、先ほど申し上げましたような視点を踏まえて我々が協力するという意向を先方に伝えたと。  基本的に経済協力の建前でございますが、相手国政府が主体となって行う事業に対して、我々も経済協力の視点から種々先方政府と協議をさせていただいてこれを側面から支援させていただくというのが我が国の経済協力の基本姿勢でございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 したがいまして「本件につきましても、先ほど来先生御指摘の環境問題、これはもう大変重要な問題でございまして、我々そういう視点で常に今後ともやってまいりたいと思っておりますけれども、やはり基本的には、今総理、外務大臣からお答えがございましたように、先方政府とよく協議しながら対策を考えていくということが基本なのではないかというふうに考えます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 あえて踏み込んだことを言わせていただいているのは、相手国政府それから行政がそれだけの能力のない国がたくさんあるわけです。そういうときに、本当に金融の論理だけで相手国の政府の責任だと言い切っていいかどうかわからないということで今御提起申し上げているわけです。その辺を真剣に考えていただきたいので、そういうことでいえば、日本は本当に金貸しになっちゃうんです。そうではなくて、日本のODAのプロジェクトが私が見ます限り余りにも環境汚染、これでは喜ばれません。地域の人たちが病気になって何で援助でしょうか。援助じゃございません、これは。相手側の責任だとこれで言えますか。外務大臣にもぜひ御意見を伺いたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我々の国の環境保全に対する方針といいますか、それはもう先ほどから委員も御指摘のように私どもの国家の一つの理念でございますから、環境保全のために相手国政府にこういうことが必要だということはこれから十分意思を伝えて、このODAの所期の目的が達成するようにやってまいりたいと考えております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 大蔵大臣もぜひ、OECFは大蔵大臣の管轄下だと思いますから。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど本年初頭中国に参りましたとき、たまたま私はある場所で話をする機会がございました。これは医学関係の場であります。そこで私が申し上げましたのは、現在の日本の医学の水準を見て、それをただ単に移しかえることだけを考えていただいては困る。というのは、我々は第二次世界大戦後これだけ平均寿命を延ばしてくる間に、実は行政的には幾つかの失敗を繰り返してきた。我々はそのマイナスの情報を提供することを恐れない。そのマイナスの情報も生かして使っていただくことを願うと申し上げてまいりました。  今、環境庁に地球環境部ができております。私はこの地球環境部が、まだ創設間もない部局でありますけれども、昭和三十年代の後半から四十年代の前半にかけて我々が高度経済成長期に失敗をしたその環境問題についてのマイナスの情報を各国に提供されることにより、今委員が御指摘になっておりますようなケースが減ることを心から願っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 総理、トータルとしてではなくて、一つ一つのプロジェクトが環境、人権を守る立場でなければいけないと思うんです。御決意のほどを伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 援助しておりますプロジェクト全部が環境問題を起こしておるわけでもございませんし、もちろん一つ一つのプロジェクトについて、これにはこういうような問題点がありましたよとか、あるいはこれはこういうようなことを伴うかもしれませんという情報と知識を話し合いのときに相手国にも伝えてあげるということ、これは一つ一つについて大切なことだと思いますが、私がトータルとしてと申し上げましたのは、日本の国の姿勢としてそういったものに心して対応していきたいと最初に申し上げたわけでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 環境だけではなくて人権の問題もございます。  インドネシアのクドン・オンボ・ダム、これは世銀のプロジェクトですが、日本輸出入銀行が協調融資しています。このプロジェクトについて、総裁、お願いいたします。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) このプロジェクトは、インドネシア中部、ジャワのスラン川流域クドン・オンボ地区に、かんがい用水の提供、洪水の防止、近隣地域への電力の供給、生活用水の供給等を目的とするダムを建設するものでありまして、ダム自体は一九八九年に完成いたしました。現在は、かんがいのための水路や発電所の建設工事が行われております。  ダム完成後、立ち退きを拒否する住民が残留していたにもかかわらず貯水が開始されました。そこで問題になったわけでございまして、国際的にも注目を集めるに至りました。現在では、関係者の努力もあって事態はかなり改善の方向に向かっておるということであります。  具体的に申しますと、貯水を始めたころ千三百三十五世帯が残留しておりましたけれども、昨年十二月末の一番新しいレポートでございますが、五百五十八世帯になっておるということでありまして、またインドネシア政府の努力によりましてダムの周辺に移転地が確保され、生活環境の改善措置も講じられるといういろいろな対策がとられておるところでございます。  私どもとしては引き続き事態の改善が図られますよう、インドネシア政府、それから先ほどお挙げになりました協調融資先でございます世界銀行と協議して努力してまいりたいと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 現地へ参りましたけれども、そんなものじゃないです。実際に水攻めに遭った人たちは、おぼれ死んだり、食べる物もありません。そして、インドネシア政府からは政治犯のレッテルを張られて、市民権も失って、生きるか死ぬかというような生活をしていました。  私、隠れて現地まで参りましたけれども、本当に人権侵害です。やはり融資することによってこういう人権侵害も起こる、このことを私たちは心しなければいけないんだと思いますが、輸銀としては実際に融資ということを、OECFでも去年ガイドラインができましたけれども、そういうガイドラインをおつくりになる気はおありになりませんか。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) 私どもも環境に及ぼす影響につきましては大変深い関心を持って対処しているわけでございます。国際的にも、例えばIMF・世銀総会の際にも環境問題が大きく議論されている情勢でございます。単なる経済発展でなしに、持続可能な経済発展、つまり環境にも十分考慮した発展でなければいけないということが言われているわけでございまして、私ども融資の審査の場合にはガイドラインをつくりまして、それから我々のスタッフも環境の専門家を強化いたしまして、必要に応じて外部にも委託して調査してもらうというような配慮を行っているところでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 具体的に一つ一つのプロジェクトの十分な調査はやっていらっしゃるんですか。

山口光秀日本輸出入銀行総裁

○参考人(山口光秀君) プロジェクト審査の結果役員会に上がります調書には、環境に対する影響がどうかという欄がちゃんとつくってありまして、先ほど申しましたような専門的知識も踏まえながら判断して結論を出しているということで御理解いただきたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 そういう欄があっても、実際におぼれ死ぬ人が助かるわけじゃございません。  やはりこれだけ全体の資金が私たちの税金であり、それから国民の貯金だったりするわけですね。そういったお金の、融資という形にしろ、そういう形での使われ方は大変納得のいかないものです。特にOECFと輸銀で十二兆ぐらい、大変に大きなお金だと思います。その使われ方が私ども国会でもはっきり見えていないということも問題です。輸銀の情報も大変少ない。これから十分にそういった情報を出していただきたいと思いますが、ここでいろいろ提案をしたいと思います。  これまで二年間、経済協力の問題を取り上げてまいりました。一番問題なのは、やはり軍事政権を助長してしまうこととか、開発と環境、人権侵害なんかの問題が余りにも日本のODAの周辺でたくさん起きているということです。こういったものを、本当に経済協力を国際貢献にしようという御覚悟ならば、十分に国会の場で審議を尽くすべきだと私は思います。特にOECF、輸銀それから各開発銀行、財政投融資の資金運用部資金によって推進されているそういった事業は、一般会計に比べて、内容も積算の根拠も全く国会に示されない。もう何もわかりませんでした。そういう二年間でした。  国会の審議を通してこれらの問題を十分チェックできるように予算書も資料も整っていません。来年からはぜひ、これはもう大蔵大臣にも総理にもちゃんとお願いしたいんですが、予算の審議資料として、国際協力事業団、それから海外経済協力基金、日本輸出入銀行、世界銀行を初めとした各開発銀行、それから国際機関への拠出金、十八省庁に分散しているODA予算、そういったものの過去三年間の実績とそれからその年の計画を、きちんと経済協力としてまとめて国会に出していただきたい。内容としては、各プロジェクトにきちんと国名、相手方、金額、融資または援助先をわかりやすく書いていただきたいと思います。  総理、ODA予算についての透明性がないからやはりマルコス疑惑のようなことが起きますし、疑いを持たれるんです。もっと建設的な論議をするために、そういった資料をきちんと来年から出していただきたい。そのことの約束をしていただけますか。大蔵大臣、お願いいたします。総理にもお願いいたします。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今突然のお話で、非常にたくさんの項目を挙げられたわけでありますけれども、基本的に私は、海外経済協力基金にいたしましても、あるいは日本輸出入銀行など含めまして経済協力を実施しておられる機関というものが、それぞれ融資機関として融資審査の過程で知り得た機密というものを外部に公表することについて制約が当然のことながらあるであろう。これは借入国との関係も含めましてもちろん問題があると思います。  しかし、こうした中でそれぞれの業務活動につきましては、年次業務報告書の発表でありますとか、個別案件についての記者発表などの広報にも努めてきておられると私は承知をしております。そうした努力をもう少しできるだけしろという御指摘であるなら、私はその努力は当然のことながらそれぞれの機関として努めなければならないと思います。今委員がお述べになりましたような範囲にまで広がりますと、私は、これはそれぞれの機関が守るべき本来の制約というものに抵触する部分も多々秘めることになると思います。  同時に、先ほど御指摘のありました、例えば途上国の経済開発を進める上で環境面の影響についての配慮をこれからどうその中に組み込んでいくかといったような御指摘は、これは私も、先ほど私自身が申し上げましたような気持ちでそれぞれのチェックをしていくべきものだと当然のことながら思いますし、その重要性は認識をいたしております。そして、海外経済協力基金の円借款の供与でありますとかあるいは輸銀融資の決定、執行といった段階におきましても、これらの機関自体、またその機関を中心としてそうした問題のチェックあるいは現地調査というものも必要に応じて行ってきておるわけでありまして、こうした点についても努力はしてまいりたいと思いますが、先ほどお述べになりましたような形での資料の作成というものには限界があります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が申し上げたとおりでございますけれども、私がつけ加えるとすれば、先ほどの人権問題等については、その相手国がやはり国内の問題として、ダムができたがために水没して死んでしまう人がないような対策も同時に考えていっていただくようにしなければならぬと思いますから、そういったことも十分配慮してやってまいります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 もっと本当に情報を公開していただきたいと思います。  ありがとうございました。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で堂本君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、井上章平君の質疑を行います。井上君。

井上章平自由民主党

○井上章平君 私は、持ち時間に関係なく三時過ぎには終了いたしたいと思います。したがいまして、いろいろ御答弁を御用意いただいた向きもあるわけでございますが、その辺はひとつ御容赦のほどをお願い申し上げたいと思います。しかし、これだけございますので、できるだけたくさんお伺いして実りある討議にいたしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  そこで、まず総理にお伺いするわけでございますが、新聞のいわゆる内閣支持率につきまして、昨日は読売新聞、きょうも見ますと日経新聞で発表されておりますが、読売新聞は四七・九、日経新聞は四四・八でございます。この種の調査といいますのは為政者が常に批判にさらされているという趣旨からいいますと大変辛口の答えが出る場合が多いわけでありますけれども、この数字についてどのような御見解か。私は国民の間に引き続き海部内閣が高く評価されておると判断をいたしておるところであります。  それともう一つ問題になりますのは、湾岸戦争に対する政府の対応について国民がどのようにお考えかということであります。これにつきましてはいろいろな資料があるわけでありますが、例えばNHKのテレビを見ておりますと、九十億ドルの拠出については七〇%という非常に高い支持が得られておるとか、あるいは自衛隊機の難民輸送につきましては、これは実現いたしておりませんが、これについても五四%と半数を超えておるような支持があったというふうに出ております。また、きょうの日経新聞では、日本の対応を過半数の人が評価しておるというようなコメントも載っておるところであります。  こんなことで、私たちの心配する以上に国民のこの面についての理解が進んでいるなと思ったところであります。これにつきましても総理の御所見をお伺いいたしたいところであります。  さらに、いよいよ四月に入りますとアメリカのブッシュ大統領と会見されます。また、ソ連のゴルバチョフ大統領の来日も決定と聞いております。本日既にソ連外相が来日されておるわけでありますが、対米、対ソ関係の大きな歴史上の節目を迎えておるというふうに私は思います。特にポスト湾岸の対米関係、これはまた後でちょっとお伺いできたらと思いますが、非常に多くの問題を抱えておりますし、対ソ関係については今さら申し上げるまでもないところであります。これらの問題についての国民の海部内閣に対する高い評価あるいは期待感というものがこれらのさまざまな世論調査の結果に私はあらわれておると思うわけでございますが、総理の御所見あるいは決意のほどをお伺いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、御激励を賜りましてありがとうございました。同時に、各紙にあらわれております世論調査の支持率は謙虚に受けとめさせていただきながら、国民の皆さんが何に期待をしていらっしゃるのか、何に不満を考えていらっしゃるのかということもそれから受け取りまして、今後の政策努力の中に生かしていきたいと考えております。  また、お触れになりました九十億ドル支出の問題や、あるいは難民輸送の問題等についても御指摘のような評価が得られましたということは、あのテレビの長時間番組を私も見ておりましたけれども、国民の皆さん方が我々の考え方を理解していただけたものとこれも受けとめさせていただくと同時に、国際社会というのは日本が自分だけよければいいということでこれは認めてもらえないわけでありますから、日本がそれなりの応分の努力を、日本の持ち味に応じてできるだけのことをしていくということは大切な役割であると考えております。  また、最後にお触れになりましたソ連との関係は、戦後の大きな一つの節目でありますから、真に友好的な安定的な関係をつくるために、明日私もべススメルトヌイフ外相と会いますし、来月はゴルバチョフ大統領が来られますけれども、四つの島の問題を解決し、平和条約を結び、抜本的な関係改善のためにこれを大きな節目にしたい、こう思って今、日々準備をしておるところであります。

井上章平自由民主党

○井上章平君 その問題に関連いたしますが、次に、湾岸戦争に対して我が国のいろいろな貢献策があったわけでありますが、これについて国際間でどのような評価を受けておるかということであります。  これは外務大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、国際的にはいろいろな評価があると聞いております。しかし、総じて大変厳しいものであるということではないかと思います。俗に、一番困ったときに助けに来てくれるのが本当の友人だということわざがありますが、国連に結集して価値観と目的意識を共有したほぼすべての国が何らかの形で参加した、中で日本だけが残念ながら一人も人を送らなかったということであります。  確かに私たちとしては、紛争当事国を除きましては最大の百十億ドルという巨額の資金拠出を、しかも国民に増税までお願いして行ったという思いがあります。しかし、やっぱり金だけ払ってあとは君子危きに近寄らずということではなかったかという言われ方もあるわけであります。これは日本人の伝統的な美学から見ても全く相入れないというふうに私は感じます。あの赤穂浪士の大野九郎兵衛のような役割を実は演じたのではないかというような思いもするわけであります。  特にアメリカがどうかということが大変重要であろうと思いますが、既に貿易問題を抱えて、しかも安保条約によって我が国の安全について大きく依存しているアメリカのこのことに対する反応はどのようなものであったのか。外務大臣はさきに米国首脳ともお会いになったわけでありますので、外交辞令でなしに本音はどうなのかという面についてお伺いいたしたいと思います。そしてさらに、これが今後の日米関係にどのような影響を及ぼすのか。これはもう済んだことということで特に及ぼさないとお考えなのか、あわせて見解をお伺いいたしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今回の湾岸におきます日本の協力に対する国際的な評価はどうか、まずこれが第一のお尋ねだったと思います。  私も外交を預かる立場で、この間アメリカでクウェートの政府が「ありがとう」という国の名前の中に日本が入っていなかったということについては、私は大変大きな関心を実は持っているわけであります。私は率直に、クウェートの立場に立って世界を見たときどうなっておったのか。それはイラク軍が一夜にして占拠をして、自分の夫を門前で射殺する、あるいは妻を暴行する、あるいは子供を殺す、あるいは病院の保育器から赤ん坊の未熟児を連れ出して捨ててしまう、こういったようなことがその地域で、国家で行われているときに、そこの国民たちは、そういうことを排除するために血を流し汗をかいて協力をしてくれた人たち、国家に対して、本当に助けてくれたなという気持ちを持ったんだろうと思います。  そういうことから考えてまいりますと、我々の国が資金を提供した、こういうことで、平和回復のために憲法の枠の中で我々の国家としてはいろんなことをやりたいと思いましたけれども、現実には医師団も行けなかった。また、なかなか飛行機も飛ばなかった。こういったような中で国際的な評価というものは、自分の国が攻撃されたときに日本という国はお金だけ送って、ちっとも命をかけてまで自分たちを助けてくれるという腰の据わった国家ではないな、こういう評価をしているのではないか。私はクウェートがアメリカの新聞に広告を出したときにそのような広告文を読んで、そういう感じを率直に受けたことは事実でございます。  私は、日本の場合を考えてみたら同じことが言えるのじゃないか。日本もクウェートと同じように極めて豊かな国で、そして防衛力は比較的弱い、大国に比べて弱いですけれども、この国がもし外国から侵略されたときに、我々の同胞が殺され、あるいは射殺され、そして子供たちが暴行を受けるといったときに助けてくれる国は一体どこなのかということを考えれば、日米安全保障条約から考えるとアメリカがそれを助けに来てくれる国家だ、私はこういうことをこのクウェートの事件によって改めて外務大臣としては考えさせられたわけであります。  こういうことを考えてまいりますと、日米関係というものがこれからどうなるのか。それは今回のいわゆる資金協力によって、アメリカの大統領も国務長官も国防長官も私に対しては、大変協力をしてくれてありがとう、高い評価をしているというお話がございました。それじゃ、これから日米関係はどうなっていくのかというと、議会の指導者たちといろいろ話をしてまいりましたけれども、アメリカでは現在景気が余りよくございません。あるいはまた、いわゆる湾岸に出ていっていた米軍の軍人たちがこれから国へ帰ってきて、果たしてその人たちの職場がどうなっていくのか。自動車の売り上げは現在非常に落ちております。こういう中で、一方的に黒字を計上している日本とアメリカとの関係について見れば、これは日米間の大きな黒字ギャップというものを何とか均衡した形で政府も民間も考えながら協力していくということがアメリカが大きく期待している一つの問題点だ、私はこのように外務大臣としては認識をいたしております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 ありがとうございました。  自衛隊の海外派遣についてお伺いいたしたいわけでありますが、これはいろいろ議論はございましたけれども、結局行われなかったわけであります。しかし、そもそも論として、武力行使の目的を持たないで自衛隊を海外に派遣するということはそれ自体憲法上何の障害もないと、私はそう思うわけでありますが、それでよろしゅうございましょうか。防衛庁長官、お願いいたします。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりでございまして、我が国の憲法に禁じられているいわゆる海外派兵と申しますのは、武力行使の目的を持って武装部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである。したがいまして、そういった武力行使の目的でないいわゆる海外派遣につきましては憲法上何ら問題がないということは、従来繰り返し政府が明らかにしておるところでございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 それで、およそ紛争地域で一定の活動、いろいろあると思いますが、それが今まで論議されてきた中で言いますと後方支援であったりあるいは輸送であったり医療活動であり、またこれから議論になると思いますのはPKOへの参加というようなことだろうと思いますが、これらを行うためには、その目的に応じて十分に訓練され、組織され、かつ使命感を持った集団でないと、およそ紛争地域に派遣するわけでありますからかえって危険ではないかと思うわけであります。  よく民間人の派遣ならという言われ方があるわけでございますが、紛争地域であります以上、火急に対しての身の処し方がわからないと大変でありますし、特にそれが集団となるとなおさらでありまして、いわゆる烏合の衆と化すおそれが十分にあるわけであります。こんな危険な目に民間人を遭わせるということは、本来断じて許されないことではないかと私は思うわけであります。  また、自衛隊とは別の組織というような考え方もあるわけでありますが、もし事が起きてから直ちに編成するというようなにわか集団でありますと、これはもう同じことであります。また、そういうことではなくて常に備えておく、つまり常備するということになれば、これは自衛隊と本質的に何ら変わらないということになるのではないかと思います。  そういうことから考えますと、つまるところ、今後こういった紛争地域に対する日本の国際的な貢献、人的派遣というようなことに対して自衛隊を活用する用意があるのかどうかという点について、これはいろんな局面があろうかと思いますが、原則論としてどういうふうにお考えかお伺いいたしたいわけであります。  また、その際やはり避けられないのは、何よりも国民の御理解、特にまたさきの大戦で侵略で大変傷ついた国々があるわけでありますが、これらアジアの周辺諸国政府に自衛隊の海外派遣について十分な理解を求めるということがこれはぜひ必要だと思います。これを急ぐべきではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  今後国際的ないわゆる人的な面での貢献について我が国としてどのように対応していくか、これは政府全体として、あるいは我が国国民全体として真剣に考えていかなくてはいけない問題だと思います。  さて、そういった場合に、自衛隊の持てる能力というものをそういった面で活用できるかどうかという点でございます。この点につきましては、先ほど憲法の問題がございましたけれども、まず憲法上十分吟味いたしましてそれは問題のないケースでなくてはできないと思いますし、また仮に自衛隊が出る場合には法律上の根拠も必要になろうかと存じます。  そういうことでございますけれども、いずれにいたしましても、こういった国際貢献に自衛隊を活用するという場合には国民の御理解が必要だというのはそのとおりだと思うのでございます。自衛隊というのは、本来は日本の国内、我が国自体の安全を守る、他国からの侵略に対応するという任務でございますけれども、その持てる能力というものを活用するという、それがまた自衛隊の持てる力が一番よりよく対応し得るといったケースはそれはあり得ると思いますが、その場合にもやはり国民の皆様方が、日本国全体として国際的に貢献していく、その場合に自衛隊が持っている力をぜひ使ってくれよといった御支持と申しましょうか、そういったことがあることが一番肝心かと存じます。  そしてまた、先生御指摘のアジアの近隣諸国の理解を得なくてはいけないということもそのとおりでございまして、基本的にはアジアの近隣諸国も、我が国の防衛政策のあり方あるいは自衛隊がどういう性格のものであるか、海外に武力行使の目的で出ていくものではないんだということは理解をちょうだいしておると思いますけれども、これからもそういった面での理解をさらに高めていく努力をしなくてはならない、このように思っております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 それで、総理にお伺いするわけでございますが、今次戦争を見ましても、国民の多くは改めて平和あるいは独立という問題の大切さ、またそれを守ることの難しさを痛感したと思います。ただいま外務大臣からお話がございましたが、特にクウェートと日本をオーバーラップさせて、日米安保条約あるいは自衛隊の存在でこうなる前に抑止できるのかどうか、あるいはいざとなったらどういうことになるのかというようなことも頭の中をよぎるわけであります。  総理は過日の防衛大学校での訓示の中でも自衛隊に対する国民の信頼と支持を大変強調しておられるわけでありますが、政府としてどのようにこれを努力されるのか、総理からお伺いいたしたいと思います。  また、近ごろ自衛隊をめぐるいろいろの議論が行われておりますが、その中で、さきに同僚議員からもお話がありましたが、例えば防衛大学校の任官拒否が非常にふえたというようなこともあります。つまり、自衛隊の士気の低下あるいは動揺が大変心配されている向きもあるわけであります。これにつきましても防衛庁長官から、どのように受けとめておられるのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、日本の国の平和と安全を確保していくということは、これは政治が果たさなぎゃならぬ大きな政策目標でもあり、またきょうまで日米安保条約のもとで日本は平和と安全を確保し続けてきたということはだれしも認める事実でございます。そして、今後ともこの体制を堅持する中にあって、日本は国民の理解を得ながら、世論の支持を得ながら政策を立てていかなければならないのは当然のことだと思いますし、またアジアの近隣諸国の中でも、アジアと極東の安全と平和を守るための枠組みとして安保条約が役割を果たしてきたということもよく認めておるわけであります。  ただ、それがためには、日本の方にも必要にして十分な節度のある最小限度のものはみずからが準備をし、みずからがその訓練をし、みずからがまず第一義的に国土は自分で守るべきであるという自覚に満ちた自衛隊の存在というものが必須であるわけでありますから、そういったような意味で、御指摘のように、自衛隊については今後ともさらに世論の支持を求めていくように大いに努力をしていきたいと考えております。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 御指摘のとおり、士気がいかに大切であるかということは、今回の湾岸危機をめぐる一連の動きを通じても痛感されたところでございます。  さて、我が国の自衛隊員の士気をいかに確保するかという点でございますけれども、これはまず自衛隊員自身が自分たちの職務、任務なりその使命について十分なる自覚を持つということが肝要だと思います。また同時に、国民の皆様方の中におきまして、自衛隊に対する正当な位置づけ、そうして深い御理解をちょうだいするということが士気の高揚にもつながるんだと、このように考える次第でございます。  そしてまた、昨年来のいろいろな動きあるいは世論の動向等が、先ほど御指摘のございました防衛大学生あるいは自衛官一般にある程度の影響を与えたのじゃないかという点は、これは否定し切れないと思います。いろいろな議論というもので自衛隊員の中にもいろいろな思いがあったと思うのでございます。しかしながら、全体として見ますならば、私は日本の自衛隊の士気は極めて高いものがある、日夜任務に精励していると思っておりますし、防衛大学生についても全体としてはそういうことだと存じます。しかし、これからも私ども防衛庁といたしましても、教育等を通じまして自分たちの使命というものを十分に自覚して国民の負託にこたえるように努めてまいりたいと存じます。  それからいま一つ国民の皆様方の御理解という点につきましては、いろいろな議論はございましたけれども、自衛隊というものに対する関心と申しましょうか、そういったものが広まってきたということは私は決して悪いことではないと思っております。そしてこういった関心の広がりというものが、もう少し議論を深めていただく中で、現在の日本の国柄あるいはその国際情勢の中で日本の安全保障はいかにあるべきか、その中で自衛隊はいかにあるべきかという正しい方向づけをしていただくならば、そういった国民の皆様方の御理解というものが何よりも自衛隊員の士気につながるものである、このように考えている次第でございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 次の問題に移ります。  公共投資十カ年計画についてでありますが、この計画を見ますと、真に豊かさの実感できる社会を目指して住宅、社会資本の整備を図るとあります。特に、生活環境、文化機能を重視するということになっておるわけでありますが、経済企画庁長官にお伺いいたしますのは、この計画は、かつて経済社会発展計画というような計画の中で公共投資の部門別配分計画がつくられておったわけでありますが、この公共投資基本計画はそういった性格のものであるのかどうか。あるとすれば、どういうふうに部門別配分計画がなされておるのかお伺いいたしたいわけであります。  そして、そういうことでありますと、平成三年度に発足いたします八つの事業があるわけでありますが、これらの五カ年計画の投資額というのはこの基本計画の前期計画として当然位置づけられる。そういうことで、総投資額でありますとかあるいは整備目標がつくられておるのではないかというふうに思うわけでございますし、またさらに引き続き平成四年、五年度と各事業次々と五カ年計画が新たに策定されるようなことになるわけでありますが、そのときの投資総額をこの基本計画の四百三十兆円の中身として性格づけるような形で決められるのかどうかということでございますが、いかがでございましょうか。

冨金原俊二経済企画庁総合計画局長

○政府委員(冨金原俊二君) 公共投資基本計画でございますけれども、先生御指摘のとおり、今後十年間にわたって公共投資のあり方を検討するために策定したものでございます。  十年間と申しますと、いろいろと社会情勢の変化あるいは新しい公共投資に対するニーズ等出てまいるものでございますから、ここで決めようとしたものは、「計画の役割」というところに書いてございますけれども、今後の公共投資に関する枠組みと、それから基本方向を総合的に示すものであるということを述べておりまして、個別分野の具体的な姿は、その時々の情勢に応じ、本計画を踏まえて、各種公共事業関係長期計画及び各年度の予算等において示されるべきものである、こういう規定をいたしているわけでございます。  したがいまして、先ほど先生御質問の件につきましては、四百三十兆円の十年間の枠を決めた中で、ここで基本的な方向を幾つか重点施策をしているわけでございますが、その中で各五カ年計画あるいはそれに従った各年度の予算が位置づけられていく、そういう関係になっていると理解をしております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 大蔵大臣にお伺いするわけでございますが、平成三年度の予算におきまして公共事業、特に二千億円の別枠をつくって生活関連重点化枠として従来のシェアにとらわれない配分が行われたわけでございますが、これは私も評価するわけでありますが、しかしこれが一年限りでなくて、この四百三十兆円計画の執行の中で今後とも続けられるのでございましょうか。当然そのように期待しておる向きもありますし、また、このような毎年行う予算づけを通して公共投資計画の重点となっておる生活環境重視型の投資配分を達成しようとなさっておるのか。そういう意図があるのではないかと私は思うわけでありますが、お伺いいたします。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 簡潔にお答えをいたしたいと思いますが、今後ともに公共投資の配分に当たりましては、公共投資基本計画や公共事業等長期計画に沿いまして、社会経済の動向、社会的ニーズを踏まえ、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配慮をしてまいりたいと考えております。  ただ、今具体的にどのような概算要求基準を設けてまいるのが適当か、その中におきまして生活関連重点化枠をどうするかという点につきましては、本院の御論議におきましても賛否こもごもでありました。こうしたことも十分検討の中に入れながら、そのときどきの財政状況あるいは今後の経済事情等を勘案し慎重に考えるべきテーマと思っておりまして、予算成立後、次年度の概算要求基準策定時までに十分検討したいと考えております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 この公共投資十カ年計画の中身の議論になるわけでございますが、時間もございませんのではしょらせていただきますが、これは大変意欲的な、四百三十兆円という額もさることながら、二十一世紀を迎えるに当たってやはり後世に受け継がれるような立派な社会資本の整備ということが当然あるわけでございます。しかも、これは総花的にやるのではなくて、やはりこれだけの投資額でございますから後世に残るようなモニュメントといいますか、そういった形で重点を置いて実施すべきというような声もあるわけであります。  そこで、これは総理にお伺いいたすわけでございますが、言うまでもなく一極集中の排除、多極分散、均衡ある国土の発展を目指して進められるわけでありますが、そのためにはやはりかねてから懸案となっております首都機能の移転の問題、特に国会でもさきに国会移転決議があったわけであります。そういうことから考えますと、この計画期間、二十一世紀に至るまでに何らかの形でこれをある程度実現するべきではないかと思うわけでありますが、その取り組みにつきまして御所見をお伺いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおり、国会でも決議をしていただきましたが、これは内政上の重要課題として政府も考えておる問題でございますから、早速有識者会議も設けまして、それぞれ別の次元からのいろいろな御意見をいただいて、国民的合意の形成に向け、この首都機能移転によって結果として東京の一極集中問題等にもいい影響が及んでくるように、そして皆さんが豊かさを実感できるような毎日を送ることができるように、この問題もその中の一つの重要な施策として真剣に取り組んでいきたいと思っております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 北海道開発庁長官にお伺いいたしますが、北海道につきましてはこの地域の持つ豊かな国土資源の利用拡大が我が国の復興と発展に欠かすことができないということで、戦後五期にわたって北海道総合開発計画を進めてきたと伺っております。特に新たな日ソ関係の進展ということも考え合わせますと、北海道の位置づけはますます重要なものとなると思われます。この公共投資計画の中で今後どのような事業を重点に積極的に進めていこうというお考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。簡潔にお願い申し上げます。

谷洋一自由民主党北海道開発庁長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(谷洋一君) お答えいたします。  委員よく御存じのとおりに、北海道は広大な面積を有し、豊かな資源を有するところでございます。しかしながら、我が国で最も開発の可能性を秘めた地域とは思いますけれども、一方、寒冷地帯という障害もあるわけでございます。  北海道開発庁は昭和二十五年につくられまして四十年を迎えたわけでございますが、その間、道民の皆さん方の強い御支援のもとに積極的な公共投資をやってまいりました。特に私は、過去十年を振り返ってみますと、石炭産業の衰微、漁業並びに水産加工業の二百海里をめぐる状態、あるいは国有林を中心とする林業の低迷、あるいはJRが半分ぐらい廃線になる等々の他の地域には見られない大変な障害がありましたけれども、道民の皆さん方の力強い御支援、そして団結によってそれを乗り越えてきたと思います。  しかしながら、昨年の国勢調査によりますと、道の二百十二の市町村のうち七割が過疎町村でございまして、その過疎町村の地域が十七万人減少する、そして札幌周辺が十三万五千人増、プラスマイナス三万五千人減、昨年の国勢調査で減ったわけでございます。道民の皆さん方に大変な衝撃を与えておるわけでございますが、私はこの観点に立ちまして新たな北海道の考え方をまとめていかなきゃならぬと思っております。  そこで、いろいろと問題はありましょうけれども、第一に空港の整備でございます。新千歳の整備は、これは新千歳の民間空港としての整備を急ぐとともに、それ以外の十四ございます地方空港の整備もそれぞれ急がなきゃならぬと思っております。私、就任以来空港の陳情が一番多いということを感ずるわけでございまして、その点で空港の整備に全力を挙げなきゃならぬと思っております。  また、港湾につきましても、室蘭あるいは函館等々に大型船舶が入れるようにしなきゃならないということで、これも急がなきゃならぬと思っております。  さらに、一番大きな課題としましては高速道路の関係でございます。我が国の各ブロックに比較いたしますと、高速道路が一番おくれているように思うわけでございまして、それは何といっても広大な面積で都市が点在しておるということを考えてみますともっともなことだと思いますけれども、それを早期に、先ほど委員御指摘の四百三十兆円の中でどんどんやっていくことを心がけなきゃならぬと思っております。  また、道民の大きな将来を考えてみますと、千歳の放水路事業のような、これは一方では非常に災害にたたかれまして道民の苦労していらっしゃるところがある。しかしながら、また一方では放水路導入によって不安もある。自然保護の観点もある。そういう点では北海道開発庁ももう長年にわたって研究に研究を重ねておるわけでございますので、そういう方面の理解を深めながら、道民の理解のもとに前進をしなきゃならぬと考えております。  一方、ソビエトの関係でございますけれども、ソビエトにつきましては、近くて遠い存在というのがソビエトと日本の関係ではなかったかと思います。そういう点で、今後は我々は大いに近い存在としてのつき合いをさせていただくことは当然でございます。  最近、大学の病院にお入りいただいていろいろと治療をしていらっしゃる方もあるわけでございますが、私は北海道開発庁の立場から申しますと、寒冷地帯としての地域開発の手法とか、あるいは寒冷地としての土木技術の手法であるとか、そういうものは北海道開発庁が非常に技術の向上をしておりますので、そういう点での御協力ができればまことにありがたい。そういうことで、ソビエトとの交流を図っていくことが北海道開発庁としての仕事ではなかろうかと考えておりますので、今後大統領が訪日されることに大いに期待を寄せておるというのが、私の偽らざるところでございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 どうもありがとうございました。  ところで、今度は、第二国土軸構想というのがございます。国土庁長官にお伺いするわけでございますが、時間もありませんので、私の方から申し上げます。  実はこれは南海道と言われておるものでありまして、南九州、四国、それから紀伊半島を貫いて伊勢湾に至る、東海道、山陽道に変わらない地域の発展のかぎを握るような新しい主軸をここに構築しようという構想であります。  御承知のように、伊勢湾、紀伊水道、豊後水道で隔てられておるわけでありますが、これらの地域はいずれも気候温暖、有数の多雨地帯であります。したがって、水と緑の豊かな国土資源に恵まれたところであります。かつて最も開けた地域でありましたが、それは神代の時代のことでありまして、以来二千年にわたって辺境の地として取り残されてきたところでもあります。これを結んだ第二国土軸構想というのが浮上してきまして関係十七府県でいろいろと検討を進められておるというふうに伺っておりますが、この公共投資十カ年計画では恐らく調査を進める準備期間ということになって、本格的には二十一世紀の問題だと思いますが、この問題についてはどのようにお取り組みいただいておりますか、お伺いいたしたいと思います。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 簡単に要点のみをお答えさせていただきます。  お話しのように、国土の均衡ある発展を図る上で高速交通体系の整備ということは大変重要なことだと認識をいたしておるわけであります。今お話しのような、例えば第二国土軸という呼び方をされたわけでございますけれども、このような新しい国土の軸の形成に対し、西日本やあるいは東の方やそういうところで大変声が高まってきておる、こういうことが提案されておる。こういうことはまさに私は、これから二十一世紀へ向かっての国土構造やあるいは形成や、そういう上において大変重要なことだ、このように考えておるわけであります。  御指摘の伊勢湾口から紀淡海峡、四国、豊予海峡、九州、このルートは大変昔から大事なルートでございまして、先生も今お話がございましたけれども、このことにつきましては、いろいろ経済社会あるいは技術の面からも相当慎重に研究をしなきゃいけない課題がたくさんあると思うわけでございます。国土庁におきましては、平成三年度からそのような長期的な視点に立ちましてこれらの事前の研究や調査に手をつけていきたい、このように思っておるわけでございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 それでは、次の問題に入りたいと思いますが、公共事業の執行についてでございます。  先ほど四百三十兆円公共投資十カ年計画のお話がございましたが、実は、補正予算までも含めまして年度当初に前年を上回る予算が配賦されるというのは、今度の平成三年度が実に昭和五十四年以来久々のことであります。そういうふうに公共事業については大変重要な意味を持つようになってきておりますが、しかし一方ではいろいろ問題を抱えております。  もう時間もございませんので私の方から要点を申し上げますと、大きく分けて三つあると思いますが、一つは人手不足の問題であります。特に三K、つまりきつい、汚い、危険というような三Kの代表的な業種でございますので、今日の人手不足時代には最も厳しい状況に置かれておるわけであります。またもう一つは、建設残土あるいは建設廃棄物対策であります。これも従来は自由処分といいまして、発注者側は関与せずに業者が勝手に捨てるというようなことであったわけでありますが、それがしばしば不法投棄等を引き起こすことになりまして非常に社会問題になっておるわけであります。したがって、円滑にこの対策が進みませんと公共事業の執行にも大変問題になってくるような事態になっておると伺っております。  また、公共用地の確保の問題であります。今日の地価高騰の時代でございますので、それでなくても非常に難しい用地の確保がますます困難になっておるわけであります。しかも、お聞きいたしますと、いろいろ例えば景気刺激対策等々で工事を進めてまいりますと、今まではあらかじめ用地を確保しておいて、恐らく一・何年分というような用地を先行取得して用意しておりまして、そして計画的に工事を施行するというような方法をとってきたわけでありますが、景気対策等で工事を実施することになりますと、それらをどんどん食いつぶしてできるところの仕事をしてしまうというようなことが続けられましたために、もうとうとう一年を切ったというような話もあるわけであります。つまり、年度内に用地を取得して工事を完成させるというような、まさに綱渡り的な事業の執行を迫られておるということも聞いております。  それから、これに対応いたしまして、税制等の優遇措置あるいは用地国債等によりまして用地の取得についていろいろその強化策が図られておるわけでございますが、これも一つ大きな問題になっておるわけであります。  それでお伺いいたしたいわけでございますが、まず、建設産業における人手不足の現状、あるいはこれに対してどういう対策をお考えであるのかということにつきましてお伺いいたしたいと思います。

小里貞利自由民主党労働大臣

○国務大臣(小里貞利君) では、時間もないようでございますから簡潔にお答え申し上げます。  まず、建設関係におきまする雇用失業情勢についてのお話でございますが、この点は、もう先生専門家でございますから、端的に一つの指数を申し上げた方がいいのじゃないかと思うのでございます。それはまず欠員率でございます。昨年の六月におきまする数字でございますが、全産業平均におきましては御承知のとおり五・四%、ただいま御指摘の建設業におきましてはそのおよそ倍の一〇・八%でございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 それで、これからの景気の動向にも左右されることであらうかと思いますが、一番条件の悪い建設業でありますから、人手不足というのは今後も恒久的に続くものであろうと考えられます。そういたしますと、これは発注者側においても相当の努力をしなければならない。つまり、従来から雇用の不安定ということが非常に人を集めやすい。かつては一工事ごとに人を集め、その工事が終わったらそれを散らしてしまうというような繰り返しであったわけであります。人手が過剰の時代はこれは大変有利な人の集め方、人の使い方であったわけでありますが、一転して人手不足時代になりますと、今度はこれが足かせになりまして人が集まらない、こういうことになるわけであります。  したがいまして、例えば年間を通じて今見てみますと、これもお伺いしようと思ったわけでありますが、第一・四半期と第三・四半期を比較すると、実は二倍も工事量が違うわけであります。つまり、ある時期は全く仕事がない、ある時期はそれこそ猫の手もかりたいような繁忙期を迎える。音は農繁期、農閑期というのがございまして、農閑期に農民の方々の人手を使って公共事業をやるというような繰り返しをやってきたわけでありますが、今日はこれももう不可能であります。  そんなことで、年間を通していわゆる工事の平準化ということが今非常に求められておるところでありますが、これにつきましては、既に例えばゼロ国債等で平成二年度におきましても補正予算で六千億お認めいただいて、これは非常に端境期といいますか、四月、五月、六月のこの年度がわりの時期の雇用に非常に有効な手だてとして利用されておるわけでございますが、一般的に言いますと、例えば四月から三月というような単年度予算制度というものが工事をやる方からは非常に大きな制約条件になっておるというところもあるわけであります。それを打破するためには、ゼロ国債あるいは例えば通常国債と言いまして年度をまたがって工事が継続できるような制度の活用等々いろいろ考えられるわけでございますが、これらの点につきまして、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 毎会計年度予算を作成し国会の議決を経るという憲法第八十六条上の要請のもとにおきまして、今委員が御指摘のような問題にこたえ、公共事業の執行の円滑化を最大限に確保するという観点に立って、国庫債務負担行為を活用して我々は対応いたしております。  また、ゼロ国債につきましては、地域経済、特に積雪寒冷地等の地域の実情に応じましてきめ細かい対応を行う必要とともに、まさに最近の労働力需給の引き締まり状況等に対応し公共事業の円滑な執行を確保することが必要だということから、平成工年度の補正予算におきましては平成元年度補正予算と同規模のゼロ国債を補正計上いたしました。しかし、これは毎年度のやはり財政需要を慎重に見きわめながら行うべき事業でありまして、ゼロ国債そのものについて例えば平成三年度どうするかというようなことについては、現在どうこう申し上げる状況ではないと思います。  しかし、いずれにせよ、今後ともさらに工事の計画的な発注に努めると同時に、国庫債務負担行為の活用、適正工期の確保など、執行上の工夫を図っていかなければならないと、そのように考えております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 そこで、ちょっと先ほどの人手不足問題に戻りますが、その対策として外国人労働者を使ったらどうかというのがかねてからあるわけであります。しかし、これは入管法等で厳しく規制をされておるところでございますが、実は昨今外国企業の参入問題というのがございまして、これは日本の建設市場に外国の企業も参加したいという要請がかねてからあるわけであります。特に日米関係でもこれが大きな問題になっておりまして、今日も今ワシントンで日米建設レビュー協議が行われるというふうに伺っておるわけでありますが、外国企業はもうかなり参入実績があるわけでありますけれども、例えば我が国の周辺近隣諸国におきましては、日本の建設市場に参入したい、しかも労働者を連れてきて、仕事が終わったらまたそのまま連れて帰るからというようなことで、非常に期待を持っているという向きもあるわけでございます。  まず、そもそも外国人労働者をどういうふうに考えるのか。建設業界などに伺いますと、これはもう入れるべきではないと、汗を流して働く人がいない社会はやがて滅びるというようなことから、ぜひこれらのことは日本人労働者で歯を食いしばっても賄いたいというような考え方でございますし、今の外国企業の参入に際して、外国の企業からそのような要請があった場合どういうふうに対応するのかということについて、これは法務大臣でございましょうか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。

左藤恵自由民主党法務大臣

○国務大臣(左藤恵君) 外国人の労働者に関しまして、政府は専門的な技術を有する労働者に限って可能な限りの受け入れをするということでやっておりますが、単純労働者の問題につきましては御承知のとおり慎重な態度で進んでおるということで、現行の改正入管法の規定もこの方針に沿った内容であるということでございます。  建設分野におきまして専門的な技術を必要とする業務に従事する技術者、外国に特有の建築等についての熟練技能者の問題につきましては、学歴とかあるいは経験というようなものに関しての一定の要件が適合すればその就労は認めますけれども、しかし一般的に人手不足の対策としての単純労働者の受け入れという問題につきましては、先ほども申しましたようなことで、我が国の社会全般に及ぼす影響というものが非常に大きいわけでありまして、法務省といたしましては関係省庁と十分協議をして慎重に対処していかなければならない、このように考えているところでございます。

井上章平自由民主党

○井上章平君 それでは、もうこの問題で最後にいたしますが、土地、住宅問題、特に土地問題でございますけれども、先般地価公示価格が発表されたわけであります。  もう詳しいお話は省略しますが、この公示価格の算定方式が変わったというようなことも伺っておるわけであります。従来から、これは単なる地価高騰の追認にしかなっていないのではないか、もっと合理的な価格を誘導するような機能がこの公示価格制度の中に導入されていいのではないかということで、例えば収益還元方式の導入というようなこともいろいろあったやに聞いておりますが、これについてちょっとお伺いいたしたいのと、それから、先般の地価公示価格を見て、これは国土庁としてどのように評価しておられるのかということでありますし、最後には、これを受けて今後地価対策をどうお進めになるのか、これは大蔵大臣だと思いますが、お伺いいたしたいと思います。

藤原良一国土庁土地局長

○政府委員(藤原良一君) お答えいたします。  地価公示は、地価公示法によりまして取引事例比較法とか収益還元法、そういった方法を勘案しながら定めるということになっておりますけれども、この地価公示に与えられております役割からいたしまして、どうしても取引事例比較法を中心に行わざるを得ないということでありますが、昨年、不動産鑑定評価基準の見直しを行いました。この見直しは鑑定評価の方法を基本的に変えようというのではございませんで、あくまでも鑑定評価の精度の向上を図る上で所要の充実を行ったということであります。  具体的に二、三の事例を申し上げますと、取引事例の収集に当たりましては、投機的事例と認められる事例は徹底的に排除することを改めて明確にいたしますとともに、広域的な市場分析を通じて市場全体の動向を把握することや、あるいは地価の下落ないし鎮静化の局面にある地域におきましては取引動向そのものが減少いたしますので事例収集が非常に難しゅうございます。そういう意味で、買い希望価格等の諸資料も参考にできることといたしております。また、御指摘の収益還元方法をより一層重視することといたしまして、これを算定し取引事例比較法の検証手段として十分活用する、そういうことにいたしております。  これらの措置により、的確な鑑定評価が行われておるというふうに考えております。

西田司自由民主党国土庁長官

○国務大臣(西田司君) 私は後段の方のお答えをすることにいたします。  平成三年地価公示結果に基づきまして最近の地価動向を見詰めてみますと、委員も御存じのように、昨年秋以来、特に東京とそれから神奈川、こういうところは若干の下落というものが見られたわけでございます。一昨年非常に高騰をいたしました大阪圏におきましては、昨年も前半ほかなり値上がりをしたのでございますけれども、後半に至りましてこの地域においてもかなりの下落が見られておる。ところが、地方圏へその余波というものが回ってまいりまして、一年間をトータルに見ますというと、地価公示価格の中で数字的には下落傾向にあることは事実でございますけれども、まだかなり高い水準にある、こう評価せざるを得ないのではなかろうか、このように思っております。  このような鎮静化の方向が多少なりとも始まったという原因は何だろうかということでございますが、やはり地価上昇を起こした原因というものの一つに土地関連融資に対する金融というものがあったと考えておるわけでございます。ところが、昨年三月以来これらの問題がぐっと引き締まってまいりましたので、そういうことに対する総量規制というものがかなり効いてきたのではないか、このように評価をいたしております。  また、昨年夏以降、よく土地税制、特に地価税の問題を中心にしてかなりアナウンス効果があった。だから、土地を先買いしておってももうからないというような感じが非常に強く動いたのではなかろうか、このように考えております。さらに加えて、監視制度がかなり行き渡ったものでございますから土地に対する投機的なものが非常に落ちてきた、こういうことだと思っております。  しかしながら、先ほども私お答えいたしましたように、かなり土地の問題については強含みな点が見受けられるわけでございますから予断を許さない。だから、土地対策、特に地価対策については、良好な住宅を供給していくために何としてでもこの地価を抑えていかなければなりませんので、これらに対してさらに私どもは強力な政策展開を図っていかなければいけない、このように思っております。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 簡潔にお答えをさせていただきたいと思いますが、私どもの立場からいさますと、今回の一連の地価対策の中で、税制につきましては、租税特別措置法につきまして先般国会で成立をさせていただきました。残る地価税法案につきまして、何とか今国会中速やかに実現させていただきますよう御協力をお願い申し上げたいところであります。  また、総量規制を実施いたしました効果が金融につきましてはある程度ようやく出てまいりました。この効果を引き続き見守りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。  残ります国有地の利活用につきましては、大都市地域の有効利用を図りますための使用状況等の点検結果を取りまとめておりまして、その後十分に努力をしたい、そのように考えております。

井上章平自由民主党

○井上章平君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、小川仁一君の質疑を行います。小川君。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 平成三年度の特別会計の総予算額は歳出百八十九兆七千七百九十二億円で、一般会計に比べて大変大きな予算額であります。その中の一つである特定国有財産整備特別会計には不明朗な部分もありますので、いわゆる特特会計について御質問をいたします。  平成三年度は二千二百七十三億八千九百万円で六百六億一千六十万円の前年比増となっており、非常に大きな伸びでございますが、その要因は防衛本庁等の移転費用ではないのでしょうか、いかがでしょうか。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 特定国有財産整備特別会計の平成三年度予算で御審議をお願いいたしております歳出総額は、先生ただいまお述べになりましたように総額二千二百七十三億、六百六億円の増でございます。この中で大宗を占めますのは事業費、特定国有財産整備費でございまして、これは行政財産等の使用の効率化、適正化を図りますための集約立体化事業と移転再配置事業を行うものでございます。この事業費が大幅にふえてございますが、これは行政財産の使用の効率化、適正化を一層拡充し図りたいということで、その事業規模を大きく伸ばしているところでございます。  この中身につきましては、各省各庁の庁舎等多岐にわたっておりまして、事業費そのものは予算が成立いたしました後で実施計画が定められました後確定し執行に移るわけでございますが、現在のこの実施計画策定前の予定額で申し上げますと、防衛本庁の市ケ谷移転に係る経費は五百二十四億と予定されておりまして、百六億の増加となっております。それ以外のものにつきましては、防衛本庁以外の移転整備、集約立体化に伴う経費増でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 防衛本庁の庁舎等の移転に係る各年度の予算と決算を説明願いたいと思います。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 御答弁いたします。  昭和六十三年度予算で約十二億円、平成元年度予算で約二十一億円、平成二年度予算で約四百十八億円、平成三年度予算でお願いしておりますのが約五百二十四億円でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 防衛本庁の移転計画があると思いますが、御説明願いたいと思います。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 防衛本庁庁舎等移転計画の概要について御説明させていただきます。  これは防衛本庁等、いわゆる防衛中枢と私ども呼んでおりますが、これが所在いたします檜町地区周辺の商業化が進んでおります。この国土有効利用の観点から防衛中枢を檜町地区から市ケ谷地区に移転させて、これに伴いまして首都及びこの近郊の防衛施設の再配置を図るものでございます。これは先ほど先生御指摘のございました特定国有財産整備特別会計により実施し、所要経費は檜町地区の跡地処分収入により賄うことを予定いたしておるところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 その費用計算についても、概算で結構ですから御説明願いたい。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) この計画を検討いたしました昭和六十三年度時点での大まかな見積額は、約三千億円でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 この三千億は各年度の防衛費に含まれているのでしょうか。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 特別会計の経費は一般会計の経費には含まれておりません。したがいまして、防衛関係費の中には含まれていないわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 この特特会計等の性格や国有財産の処分についてはある程度わかっておりますが、大蔵省が防衛本庁等の移転計画を実際行うのか。実際には防衛庁が支出委任を受けて、防衛庁自身でおやりになるのではないんですか。計画をし仕事をやるのは防衛庁、帳簿をつけるのが大蔵省、こういう形で防衛費ではないというのは、法律を盾にとったある種のしり抜け的な行為だと思いますが、いかがでございましょうか。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 私の方からは、特特会計の執行機関と執行のやり方につきまして御説明申し上げたいと思います。  この特特会計は各省各庁にまたがります施設の整備を行うわけでございますが、一般的に官庁営繕は、官公庁施設の建設等に関する法律に基づきまして原則として建設大臣がおやりになることになっております。ただ、刑務所でありますとか防衛関係施設等の特殊建物等につきましては各省各庁がおやりになるというのが国の官庁の営繕の一般的な仕組みでございます。今回この特別会計におきます事務分担につきましては、一般的に建設大臣がおやりになるものにつきましては建設大臣、それ以外のものにつきましては大蔵大臣と、こういうことになっておるわけであります。  この特別会計のやり方といたしましては、建設大臣がおやりになるもの以外のものは大蔵大臣がやるというふうに帰属することになっておりますが、これは現実には、営繕執行体制等があるところに支出委任をするということを前提にこの制度が組み立てられているわけであります。したがいまして、建設大臣がおやりになる以外のものにつきましては大蔵省は、合同宿舎の整備につきましては大蔵大臣が行いますが、それ以外のものにつきましてはそれぞれ一般的な官庁営繕の執行のやり方に準じまして、会計法に基づきます支出負担行為あるいは歳入歳出に関する事務の委任を行って執行しているところであります。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 防衛庁にかかわる特特会計の事業について御説明を願いたい。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 特特会計の事業が発足いたしました昭和四十四年度以降三十五件ほどございますが、詳細でございますとちょっと時間をいただく必要がございますが、よろしゅうございましょうか。  先ほど申し上げましたように、二年度予算までの間で三十五件、予算額にいたしまして八百七十四億円のものがございます。個々について簡単に御説明させていただきます。  昭和四十四年から四十五年にかけまして小倉駐屯地において、日本住宅公団の住宅用地として使用するための移設を行っております。昭和四十五年に健軍駐屯地高遊原分屯地につきまして、熊本空港拡張整備に伴う移転再配置を行っております。昭和四十六年度に東北地区補給処について、警察署の庁舎敷として使用するための移設を行っております。それから、昭和四十六年から四十七年にかけまして東京通信隊の市原送信所につきまして、文教住宅地区として使用するための移転再配置を行っております。四十六年から四十七年、同様でございますが、福岡駐屯地大野自動車訓練場につきまして、国鉄などを横断するため不便であるということで移転再配置を行っております。  四十七年から四十八年にかけまして宇都宮駐屯地基本射撃場につきまして、周辺地域の開発に伴う移転再配置を行っております。昭和四十七年度に海田市駐屯地の公務員宿舎につきまして、小学校敷地として使用するための集約整備を行っております。昭和四十八年度に金沢駐屯地の基本射撃場につきまして、周辺地域の開発に伴う移設を行っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 金額の大きいのだけでいいですよ。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) では、十億円以上のものについて申し上げさせていただきます。  昭和四十九年から五十三年度に別府駐屯地について、別府市からの要望に基づきまして近くに移転再配置をいたしております。四十二億円の予算額でございます。四十九年から五十一年にかけまして佐世保防備隊について、都市計画に伴う移転再配置を予算額二十一億円で実施しております。それから、五十年から五十二年度にかけまして大津駐屯地の訓練場につきまして、中学校の敷地として使用するため移設をしております。予算額十三億円でございます。それから、昭和五十八年から五十九年度にかけまして大久保駐屯地について、京都府の道路整備に伴う移設を行っております。予算紙十億円でございます。防衛庁本庁移設移転計画は先ほど申し上げましたとおりでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 防衛施設庁にかかわる特特会計の事業を、今のような形で百億以上のものを御説明願いたい。

児玉良雄防衛施設庁長官

○政府委員(児玉良雄君) 防衛施設庁の関係の特特会計によります施設整備事業について御説明いたします。  在日米軍施設を返還するのに伴いまして、返還をする土地にある建物等をほかの米軍基地に移設するということを特特会計によって実施したものはこれまでに八件、現在実施しているものが一件でございます。  このうち百億以上ということでございますが、四十五年から四十九年にかけまして、東京都グラントハイツ、武蔵野住宅地区の返還に伴いまして横田飛行場へ住宅などを移設したものがございます。それから、四十八年から五十二年度にかけまして四百四十八億円で、立川飛行場など六施設の返還に伴いまして、これも横田飛行場などへ住宅、学校などを移設したものがございます。それから、四十八年度から五十五年度にかけまして、キャンプ渕野辺等の返還に伴いまして住宅、医療施設などを横須賀などに移設したものがございます。それから、四十八年度から五十六年度にかけまして、横浜海浜住宅地区などの四施設の返還に伴いまして、四百十二億円で横須賀海軍施設等に住宅を移設した件がございます。  百億以上ということでございますと以上のとおりでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 ただいまの防衛庁、施設庁の金額の総計が、国有財産の特別会計が始まった四十四年から平成二年までで二千百九十一億二千万円、うち一千三百二十四億二千万円は防衛施設庁関係であります。こういった観点から見まして、今後の防衛本庁などの移転を含めるとさらに三千億以上の支出が予定されている。この数字が防衛費に含まれないという理由は、私は納得できません。  第百四回国会の参議院の大蔵委員会で我が党の村沢委員は、特定国有財産整備特別会計の制度と防衛本庁などの移転に関連して、こういうことをやると防衛費の一%枠問題のしり抜け行為になると指摘をしております。これに対して当時の大蔵大臣の竹下さんは、それは理解できる話です、一%から逃れるための物の考え方としてはいただける考えではないと答えております。政府は今でも竹下さんと同じような考えと思いますが、いかがでございましょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 特特会計によります防衛施設の整備につきましては、例えば今先生御指摘の檜町地区にございます防衛中枢の移転というのは、先ほど事務当局も御報告申し上げましたように国土の有効利用の観点から行っているものでございまして、防衛力の整備を目的とする一般会計予算による事業とは性格を異にするということは御理解いただけると思います。そうして、この取得する施設といいますのも、従来の施設を機能的に代替する施設であるということでございます。また、その所要経費につきましても、一般財源に御負担をかけるのではなくて処分収入によって賄われるということでございますので、ただいま申し上げましたような観点から申しまして、一般会計の中の防衛費とはまた別建てになっているというのはこれは十分に根拠のあることではないかと、こう考える次第でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そういうお話ですが、私が聞いているのは、そのことに関連して村沢さんが聞いているのに当時の大蔵大臣の竹下さんがはっきりと、それは理解できる話です、一%から逃れるための物の考え方としてはいただけないと、こう答えているので問題があると思うんですが、この当時の竹下さんの考え方とあなたの考え方では食い違いがはっきりあると思いますので、その考え方の違いがあったら説明をしてください。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 私も当時の答弁を議事録で読んでいるわけではございませんので何とも申せませんけれども、特特会計による防衛施設の整備というのは先ほど御答弁したような性格のものでございます。  そしてまた、恐らく当時は防衛力の縦例についてGNP一%をめどにして考えるという、そういった政府の方針でやっておったものではないかと思うのでございます。御承知のとおり、その後総額明示方式という方式に変わりました。現在ではそれでやっておるわけでございまして、かつて五十一年におきましてGNP一%ということを決めましたそのときのように、節度ある防衛力の整備を進めていくという精神はもとより引き継いでいくわけでございますけれども、現在はGNPとの比率で防衛関係費をどうこうということをやっておるわけでもございませんので、そういった意味で、その関係でどうこう、言葉は悪うございますけれども、例えば操作するとか会計を移しかえるなんという必要性もないわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 ただいまの答弁でも納得できませんが、後で内閣委員会でまたやり合いましょう。  そこで、次に移りますが、特特会計の制度について、その目的、意義といったようなものを御説明願いたいと思います。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 今までの答弁の中で出てまいりましたように、本特特会計、特定国有財産整備特別会計は、行政財産の使用の効率化と適正化を図るために、一つは耐火構造を持ちます高層建築物、四階以上のものを高層建築物と定めておりますが、この建設を行いましてその見合いの旧庁舎等を取り壊す、こういうことで集約立体化事業を進めるというのが一つでございます。いま一つは、旧施設が周辺の環境等、特に市街地等に所在することによりまして周辺との環境と調和が保たれなくなる等、移転することによりましてより土地の効率利用が進められる、こういう観点から行います移転再配置事業でございまして、この二つの事業を行いまして土地の行政財産等の効率適正使用を図ろうとするものでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 特特会計の制度は既存の施設を移転するあるいは建てかえるということですが、今檜町にある防衛本庁の中央指揮所はどうなさいますか。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 中央指揮所も、本庁庁舎等の移転に伴いまして市ケ谷に移転すべく準備を進めておるところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 この中央指揮所は、いつ、幾らかけてつくったものですか。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 現在の中央指揮所は昭和五十六年度から五十八年度にかけて建設したものでございます。経費は約八十六億円でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 中央指揮所の建設、設備内容等の予算は、防衛費に計上されておりましたか。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 現在の中央指揮所の建設経費は、一般会計の防衛費から支出させていただいております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 中央指摘所というのは私も見学をしたことがありますが、日本の防衛戦力の中枢であって、軍備、戦力の最も中枢部。そしてまた、そこの中はハイテクの通信特殊設備等がありまして、当然防衛費でつくられるべきものだと思います。このような、本来当然防衛費に計上されるべきものまで特特会計で今回見るというのはおかしいと思いますが、これはどういうわけでしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 確かに、中央指揮所を最初に整備いたしますときには一般会計の防衛関係費で締めさせていただきました。しかし、今回それがほかの防衛中枢とともに市ケ谷に移転するということになりますと、現在既に存在するそういった防衛施設を機能的に代替するものをつくる、先ほども申し上げましたそういったカテゴリーにこれは入るものでございますので、これによって新たに防衛力の整備を特に高めるためのものであるとか、そういう目的のものというものでもございません。確かに最初に整備するときはそうかもしれませんが、代替ということでございますから、これは特特会計で処理するということにさせていただいたわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 建物はわかりますが、設備内容についてはどうですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 私も詳細には存じませんけれども、中にございます機材等につきましては、それを新しく完成した施設の中に持っていくというそういうものもあると思いますし、また新規に調達を必要とするものがあるとするならば、機材等の種類によると思いますけれども、物によっては一般会計で整備されるものがあると思います。施設と一体となるものが恐らく特特で整備される対象になるのだと、こういうことになると思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 これは防衛費と特特会計とを明確に区別してやるべきであります。防衛費は、戦力その他になるものを防衛費で持つ。私は入れ物だけならある程度話がわかると、こう思って、この点をはっきりしてもらいたいと思います。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 先ほど池田防衛庁長官が御答弁申し上げたとおりでございますが、若干事務的に補足をさせていただきますと、この移転計画は先ほども申し上げましたように国土有効利用の観点から移転するものでございまして、その考え方は、従来の施設を機能的は代替する施設を建設する経費、これを特特会計で賄うという考え方でございます。その中に中央指揮所も入りますし、中央指摘所に附属いたします例えば通信施設であるといったものはこれで賄います。電話などの移転できるものは、これは場合によって新しい施設に移設をするということがありますが、それらについて更新をするというようなことが必要な場合には一般会計で賄うという考え方で仕切りをいたしてございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 この特特会計は整備できる対象を制限していないからこういうことが起きてくると思うんです。本来の庁舎等の整備を明確にし、特定固有財産会計法を改正して法律によって対象を制限すべきと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 特定国有財産整備特別会計で対象にいたします施設は一般会計所属の行政財産でありまして、公共用財産は除外されております。また、特別会計に所属いたします財産もこれから外れるわけでございます。したがいまして、いわゆる一般会計所属の公用財産等、それから普通財産であります米軍提供財産、こういう二つを大きく対象にするということになってございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 やっぱり特特会計の中身、入れ物をつくるんならつくる、こういうことと、新しい施設を入れる、それは一般会計でやるということを制限して明確にしておかないと、今みたいに防衛問題などについては一%の枠との問題で絡みが出てきますから、今後明確にしておいていただきたいと思います。  それから、特特会計は当該国有地を処分した収入で従来そこにある施設を移転する、整備するということでありますが、そういうならば、一つの事業についての処分収入と移転整備の費用が見合う関係になっておりますか、どうでしょうか。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 特定国有財産整備特別会計の趣旨は、集約立体化あるいは移転再配置を行うというこういう目的のもとに整備を進めるわけでございます。旧施設を処分いたしまして、その処分収入で新しい施設を取得する、こういう建前にしてございますので、この特別会計が収支相償うような形で運営をしてございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 それでは、防衛本庁の移転に伴う三千億、これの説明と、事業の収支関係を示していただきたいと思います。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 経費の概略の見積もりは、昭和六十三年度の価格で三千億と申し上げたところでございます。その詳細ということでございますが、この計画は八カ年計画でございます。長期の計画でございまして、かなり大きな規模のものでございます。そういう複雑なものでございますので、年度年度の予算で計上されていきますものですから、詳細というのは今の段階で申し上げられる状況にございません。収支ということでございますと、六本木檜町地区の跡地処分収入で十分賄えるという見積もりをしているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 六本木はどれくらいで売れる予定ですか。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 六本木の檜町地区の面積は約七万六千平米ございますが、この処分見込み価格につきましては、これはこれまでも国会で御質問を受けておりますし、あるいは質問主意書等で御照会もいただいておりますが、この処分見込み額を申し上げますといずれ六本木の土地を処分いたしますときの処分価格の予断を示すことになりますので、これは御容赦いただきたいということで御理解を賜っているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 その言い方もある程度わかります。それから、今までの国有財産の売却等についても、私的契約行為であるといって公表はされておりません。  しかし、仮に百歩譲って、最近のものはそういう言いわけもできるかもしれませんが、事業終了後二年とか五年を経過した後にその処分価格とか収入といったようなものを公開して構わないのじゃないか。そうじゃないと、国民感情としてあれだけのものがどうなったんだという印象が残ると思いますが、何年か後に公開するという考え、これは大臣、いかがでしょうか。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 処分いたします場合にはこれは私的契約になりますので、そういう意味では、原則といたしまして、私法上の契約、私的契約としてそれなりの契約一方当事者としての守秘義務は課せられるわけでございますが、最近におきます国有財産の処分に当たりましては事後公表することがあり得るということを同意を取りつけておりまして、そういうものにつきましては公表は可能だと、こういうふうに思っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 じゃ、やっぱり国民感情として、非常に大きな用地等については、すぐとは言いません、何年か後には公表するという考え方を今後おとりいただくことにいたします。  続いて、ある事業を特特会計で行うためには、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法に基づいて特定国有財産整備計画を定めます。同施行令第五条に基づいて特定国有財産整備計画要求書を毎会計年度ごと大蔵大臣に提出することになっておりますが、それには当該国有財産の処分方法、見込み額などを記載することになっています。防衛本庁の移転についての特定国有財産整備計画並びに計画要求書をお示し願いたいと思います。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) 御指摘の整備計画要求書は、特定国有財産整備特別会計により概算要求をするために必要な資料として大蔵大臣に防衛庁から提出しているものでありますが、いわゆる行政内部の準備過程の資料にすぎないものであります。この調整段階での資料であります当該要求書をすべて説明するということは、無用の議論を招くことになります。種々の誤解を生ずるおそれもございますので、詳細は控えさせていただいているところでございます。しかし、先ほど来、あるいは資料提出の形で、この整価計画要求書に盛りましたもので国益を害さないようなものにつきましては、従来から資料あるいは答弁の形で御説明を差し上げているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 それは後の問題にします。  昭和四十四年に国有財産特殊整理資金特別会計法を改正してでき上がったのがこのいわゆる特特会計ですが、処分収入と施設の取得に要する経費の関係等については全くあいまいでわかりませんので、そういうものを含めて、経過を追って説明していただきたいと思います。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 先ほど、本特別会計は全体として収支相償うように運用するということを申し上げましたが、したがって、個々の旧施設と新しく取得いたします施設につきましてのやはり収支上の対応関係というのを求めております。  具体的に申し上げますと、合同庁舎あるいは合同宿舎の場合には、現在やっておりますのは、処分収入額が収得価額の一〇%を必要とするということを一つにしております。そういうことで、合同庁舎等に入居する各省各庁の機関におきまして跡地等を持たない場合でも入居が可能なようにこういう形での運用をすべく、そういう仕切りを設けてございます。それで、合同庁舎及び合同宿舎以外の案件、一般案件と呼んでおりますが、これにつきましては五〇%を最低限のめどにする。一〇%、五〇%というのは、いずれも最低限のそれぞれのめどとして運用しているわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 さっきは見合うとおっしゃったが、今度は五〇%とおっしゃる。なかなかずれがあるようですが。

田中寿大蔵省理財局次長

○政府委員(田中寿君) 今申し上げましたのはそれぞれにつきまして最低限の基準でございまして、物によりましてはそれを大幅に上回るものもあるわけでございます。したがいまして、トータルとして財源が収支相償うように運用しているということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 特特会計は、先ほど来お聞きしましたが、大変あいまいです。特に防衛庁や防衛施設庁の事業になると、何か歯どめがないという感じがいたします。竹下元大蔵大臣が答弁したように、特特会計と防衛費の境界、いただけるものといただけないものを明らかにしないというと、防衛費一%の枠などというものを観念的におっしゃっても中身では一%を突破していることもある、こういう状態がありますので、これは明確に仕分けをすべきだと思いますが、これはひとつ総理、お考え方をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

宝珠山昇防衛庁参事官

○政府委員(宝珠山昇君) その前に、事務的な点を御説明させていただきます。  一%の枠を超えるかどうかという点は、従来議論は確かにございました。しかし、防衛関係費のあり方としましては、現在の中期防からは総額明示方式をとっているわけでございます。この考え方は、防衛力整備計画ということで整備内容とその裏づけとなる経費とを一体として明示することによりまして防衛力の整備に当たっての具体的合理的な指針となるものであるという考え方で、このような具体的な防衛力整備内容を離れて単に経済指標とリンクした防衛関係費の示し方、あり方というものと比較いたしますとこの方がより適切であるということで管理されているものでございます。  その総額の内容はどうかということでございますと、平成二年度までは現在の中期防衛力整備計画に示されているところでございますし、来年度以降のものについては新しい中期防衛力整備計画が定められているところでございます。したがいまして、防衛関係費が一%の中にどうなっているかというのは、現在の中期防策定以前については御議論があったと思いますし、先ほど来御指摘の竹下大蔵大臣の御答弁もあったと思いますが、現在はそれは峻別して十分に管理できる体制になっているということであると理解しております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 単年度では一%を大きく超えることもあるということですか、今の話は。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 先ほど私も御答弁申し上げ、今さらに詳しく事務当局からお話し申し上げましたけれども、防衛費とGNPの関係、これは委員御承知のとおり、昭和五十一年に「当面の防衛力整備について」という閣議決定をいたしまして、その際、「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする。」、こういうことにされたわけでございます。しかしながら「その後昭和六十二年一月二十四日の閣議決定、これは現在の中期防を決定いたしましたが、それまで防衛庁限りの中業としてやっておったものを政府計画にかえたそのときの閣議決定でございますが、その六十二年一月二十四日の閣議決定におきまして、いわゆるその総額明示方式をとったわけでございます。  その関係で、その閣議決定の第四項で、「今回の決定は、「当面の防衛力整備について」(昭和五十一年十一月五日閣議決定)」、これが一%の閣議決定ですが、「に代わるものとするが、同閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神は、引き続きこれを尊重するものとする。」と。節度ある防衛力の整備を行うという精神は引き継いでおるわけでございますけれども、その総枠をどうするかということは、防衛力の総額を明示するという形で今日いわばその上限を決めておるわけでございまして、いわゆるGNP一%の枠というものは今日ではないということでございます。別の意味の歯どめを現在は採用しているというふうに御理解いただきたいと思います。  それから、いずれにいたしましても、先ほどもお答え申し上げましたが、今回のように既存の施設をいわば国土の有効利用という観点から再配置していく、移転していくということは、防衛力の整備そのものを目的とするものではないわけでございますから、いわゆる一般会計の中の防衛関係費の中に入らないということは決して不適当なことではないと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 この論争はまた後にしまして、今さっき以来質問してきましたが、特特会計の制度では国民にも国会にもよく知らせないままの防衛予算の増大という印象を受けるわけでございます。予算書のどこを見ても特特会計の中身は書いていません。特特会計の各自明細を見ても参議院副議長公邸等ほか七十五件の施設整備費とあるだけで、この前の質問のときは、予算の説明には書いてあるとか各省庁の予算概要に書いてあるとか言っておりましたが、今度ほどこを見てもそれが書いてないんです。  それで、このように特特会計の事業を行っているものについては予算書あるいは添付書類に今後記載を要求いたしますし、また、せめて予算の説明には載せるべきではないかと考えます。特別会計でも他の会計は、同じ整備特別会計である電源開発促進対策整備特別会計にしても、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計にしても、事業内容や予算額がきちんと書かれているんです。特特会計だけはほんの少ししか書かれていない。私はこういう制度をやめて、今後善処を望みたいと思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。

保田博大蔵省主計局長

○政府委員(保田博君) お答えいたします。  先生大変御勉強いただいておりまして感謝をしておるわけですが、国の予算はまことに複雑かつ膨大なものでございます。この予算を国会で御審議いただく、あるいは予算の執行統制を行うときにこれを能率的に行いますためには、当然のことながら体系的な区分が必要になってまいるわけでございます。今議題になっておりまする特定国有財産整備特別会計におきましても、他の特別会計と同様の考え方のもとに、その政策目的に従って項、それからそれをさらに使途の別によりまして目に分類をいたしておるわけでございます。  具体的に言いますと、歳出の方では特定国有財産整備費、事務取扱費、国債整理基金特別会計へ繰り入れ、それから最後に予備費という四つに分類をされております。そして、先生が特に関心をお持ちになっておられるであろう第一の特定国有財産整備費という項につきましては、その使途によりまして、施設施工旅費、施設施工庁費、特定施設整備費の三つに分けてあるわけでございます。この目の三つへの区分は、登記あるいは自動車検査登録あるいは労働保険といったこういう施設整備に関する特別会計と同じでございまして、この特別会計だけ特に区分を簡略にしておるということではございません。  それからもう一点は、電源開発あるいは石炭石油の特別会計等々に比べると区分あるいは記述が非常に簡略に過ぎるのではないかということで御指摘でございますが、御承知のように、これらの電発とかあるいは石特というものは非常に多様な政策目的を持ちましていろんな施策を行っておるわけでございます。そして、それが直接産業あるいは国民生活に非常に大きな影響を与えるものでございますので、区分も非常に多様にわたり、記述も詳細になっておるわけでございますが、ここに問題になっておりまする特定国有財産整備特別会計といいますのは国の庁舎等の整備に関するものでございまして、一般的な国民の福祉に直接結びつくという度合いが薄いものでございますから簡略に扱っておる、こういうことで御理解を得たいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 例えば立川飛行場の関東空軍施設移設工事、KPCP、括弧書きになっていますが、四百四十八億円の移転工事の費用の支出がどうなっているか。御承知のように、立川飛行場跡地は国の昭和記念公園と陸上自衛隊の飛行場として使われています。こういったようなものの処分収入を含めながら考えてみますと、この特特会計から防衛庁や防衛施設庁関係の事業を切り離して防衛予算として計上すべきと考えますが、いかがですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたけれども、防衛関係費と申しますのは、一般会計に計上されている経費のうち防衛力の整備、それに必要な経費を防衛関係費として定義づけておるわけでございます。  これが特特会計に計上されておりますのは、一つは会計が違うということもございます。また、全体としての一般財源の中でどれだけを防衛費なりあるいは中小企業対策費なり経済協力なりに使うかと、そういうことをごらんいただきますときに、その関連で申しますと、これは一般財源を使うのではない、その処分収入から出てくるんだ、こういうことが一つございます。それからさらに、先ほども申しましたけれども、この事業そのものが新たに防衛力を整備するというものじゃございませんで、既にある防衛のための施設、その機能を代替するものをつくるわけでございますので、これは防衛関係費に入れなくてはいけないということは必ずしも説得性のある話ではないというふうに思うのでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 具体的数字を当たって、あるいはその事業内容に当たっての議論は後に移しまして、次に住宅問題に移らせていただきます。  今日、大都市を中心にして住宅問題がこれほど深刻化しているのは、政府に住宅政策の基本理念や政策目標がなかったためであります。したがって、住宅政策の基本理念、国、地方公共団体の責務、施策の基本となる事項等を定めた住宅基本法の制定が急務と考えられます。我が党は五十年以来数次にわたって住宅保障法を提出してまいりましたが、今国会に連合参議院等とともに、内容を改めた住宅基本法を昨日提出したところであります。  政府は、国民のコンセンサスが得られていないということを理由に基本法の制定に極めて消極的な態度をとり続けられておりますが、このような政府の無策にしびれを切らした地方自治体は、例えば世田谷区の住宅条例制定に見られるように独自の住宅政策を進めておりますし、また新宿区では住民の直接請求に基づき住宅条例が制定されています。このことからも明らかなように、国民のコンセンサスは十分できています。政府としても住宅基本法制定を急ぐべきだと考えますが、住宅問題に御熱心な総理並びに建設大臣の御所見を承りたいと存じます。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) 住宅基本法につきましては、一昨年土地基本法が制定されて以来、委員からも前大臣に御指摘があったことも承知をいたしております。昨日、住宅基本法について御提出されたわけでございまして、まだ出されたばかりですから熟読する時間がございませんが、ただいまおっしゃるように、国民の間におけるコンセンサスがまだ十分でないという答弁を繰り返してまいりましたけれども、住宅政策の目標やあるいは国、地方公共団体の責務のあり方、住居費の負担の考え方等はまだなかなか難しい問題を持っておると思うのでございます。  しかし、今日までいわゆる住宅供給に関しましては、住宅建設計画法に基づきまして第六次五カ年計画も本年にスタートをし、その計画も五年間で七百三十万戸、中で公的な資金によるものを三百七十万戸ということで、従来にない過半数を公的な資金による住宅の供給をすることを決めましたり、また昨年大都市における住宅宅地の供給に関する特別措置法も改正をいたしまして供給方針を大都市地域において決めることとなりまして、今回三大都市圏におきまして、首都圏では四百三十一万戸、近畿圏では百九十万戸、中部圏では八十三万戸、計七百四万戸を今後十年間で供給していこうということを固めたわけでございます。  ただいま世田谷や新宿の条例等のお話も承りましたが、実際に今度の御提案の趣旨の柱をなすのはボトムアップというような御提言があるわけでありますが、今回の我々の五カ年計画も十カ年計画も当然地方公共団体とは十分な打ち合わせをさせていただいておるわけでございまして、住宅というものを建てるためには、やや広域的に水の供給とか下水道の処理とか道路あるいは交通体系というようなものを考えて策定をするということから、現行法で十分できるというような考え方でやってまいったわけでございますが、せっかくの御提言でございますから、これからしっかり勉強をさせていただいて対応させていただきたい、このように思っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 総理、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今基本的な考え方と現状について建設大臣からここで御説明したとおりでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 我が党や連合参議院その他とともに提出した住宅基本法、これに対応して政府もやはりこの機会に住宅基本法をおつくりになるべきだと考えております。  そしてまた、これまでの住宅建設計画のあり方を改めるべきだとも指摘をしています。これまで政府の住宅建設計画は、国が主導的に計画策定するトップダウン方式でありました。これでは国民のニーズや地域の実情に即した建設計画はできかねます。したがって、今後は従来の手法を転換して、住宅建設計画は国民に最も身近な自治体である市町村からの要望を積み上げてはじき出すボトムアップ方式、これが提案でございますし、建設大臣も今それにお触れになりました。どうでしょうか、このボトムアップ方式というものを思い切って取り入れていただくお考えはございませんか。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) 私も地方公共団体の議員の出身でありますから、先生のおっしゃる意味はよくわかります。しかし、大都市圏全体の住宅供給ということになりますと、例えば東京圏で申しますと、住宅がふえるごとに水の需給の関係も考えなければなりませんし、あるいは下水道処理も考えなければなりませんし、広くいえばゴミ処理からすべてのことを包含した住宅政策ということになりますと、一自治体だけで立てたものを積み上げてそれを計画とするということが果たしていいかどうか、まだにわかに決断をしかねるところでございます。  問題は、自治体の意向をよく聞くということが何より大事でありますから、現行の住宅建設計画法のいわゆる五カ年計画にしても大都市圏の十カ年計画にしても、地方自治体の御意見を十分拝聴しながら、そして実質的には積み重ねをして計画を策定していくということで現在やっておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、せっかくの御提言でございますので、少し勉強をさせていただきたいと思っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 先ほど御説明がありました三月八日の閣議決定された第六次住宅建設五カ年計画、これは五年間で七百三十万戸の住宅建設をやられる、こういうことでございます。しかし、そのうち三百七十万戸の公的資金によって建設するものは、内訳を見ますと、二百四十四万戸は公庫融資を利用した住宅であります。したがって、やや羊頭狗肉の感を免れません。国民が待望しているのは、公営、公社、住宅公団のような直接供給される公共住宅の大幅増であります。第六次計画では直接供給の公共賃貸住宅の建設をどの程度計画しておられますか。  また、私たちが住宅基本法と同時に発表した政策においては、大都市地域では将来公共賃貸住宅ストックの比率を全住宅戸数の二〇%を目標に段階的に供給量を拡大していくとしておりますが、この考えに対する建設大臣のお考えをいただきます。

立石真建設省住宅局長

○政府委員(立石真君) お答えいたします。  第六期の住宅建設五カ年計画におきましては、公共賃貸住宅全体といたしましては、第五期のこれまでの五カ年計画に比べまして四万戸増の三十八万七千五百戸の供給を計画しているところでございます。公共賃貸住宅につきましては、これまで低額所得者あるいは大都市の中堅勤労者等に対する公営住宅、公団住宅等、公共賃貸住宅の的確な供給に努めてきたところでございますが、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 我が党などが今回提案した住宅基本法では、家賃補助制度などを想定して、必要な補助を行うこととしております。一般勤労者が適当な負担で住宅を確保することができるようにするには、家賃補助を通じて負担の適正化を図る必要があります。これまで我が国において直接的な家賃補助制度が導入されなかった理由の一つには、家賃補助の前提となる良質な賃貸住宅のストックが十分でなかったからだとされております。今後良質な世帯向けの賃貸住宅の供給増大が期待されます。既に東京都では中央区、台東区、江戸川区等で実施している直接給付型家賃補助制度も、国として補助すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。  また、広い意味の家賃補助として、家賃の所得控除が考えられます。既に建設省は平成二年度の税制改正要望として、年間収入一千万円以下の層を対象に、家賃の一定額を所得税と住民税の課税所得から控除する家賃所得控除制度を提案していますし、平成三年度の税制改正でも、内容を若干変えて、五十平米未満の借家から五十平米以上の借家へ住みかえた世帯を対象にした家賃補助制度を要求した経緯があります。残念ながらいずれも日の目を見なかったのでありますが、家賃補助制度は、賃貸住宅の居住水準の向上への努力支援を通じて現在不足している世帯向け賃貸住宅ストックの供給増加にも役立つだけに、ぜひとも導入を考えるべきだと考えますが、建設大臣、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今家賃補助制度というものについて、まず第一点御指摘がありました。  一般的な家賃補助制度とは性格を異にいたしますけれども、平成三年度予算におきまして、木造賃貸住宅が密集しております地区などにおきましてその建てかえを促進するための家賃対策の補助制度を新設していることは、委員御承知のとおりであります。  しかし、一般的な家賃補助制度というものにつきましては、家賃の把握、評価が実態的になかなか困難であるとか、あるいは良質なストック形成に結びつかないとか、あるいは実際上大都市居住者に対する補助が多くなり人口の多極分散に逆行するといった視点が考えられ、問題があると思いますし、私は、国はむしろ住居費負担の軽減という視点からは、公共賃貸住宅の供給を促進する努力、あるいは融資税制の活用などによりまして良質な賃貸住宅供給コストを低減する、こうした努力を今後とも積極的に続けていくべきである、そのようは考えております。  家賃控除問題につきましては、従来から繰り返し御答弁を申し上げてまいりましたが、私どもとしてこれが適切でないという理由は従来から申し述べております。特に、私は大都市圏の土地、住宅問題の観点から見ましても、これはかえって大都市圏への人口の集中を助長するのではないかという懸念がどうしても払拭できません。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) 住宅宅地審議会では家賃の補助制度のことにつきまして、家賃の評価や家賃の支出能力の把握や、管理運営のための組織あるいは費用などの基礎的な事項が検討課題であると指摘を受けておる段階でございまして、対応はただいま大蔵大臣がお答えのとおりでございます。  しかし、家賃補助制度ではございませんが、民間賃貸住宅を地方公共団体等が借り上げることによりまして家賃の低減を図る借り上げ公共賃貸住宅制度の拡充を今年度の予算で計上しておりますし、御指摘のように、いわゆる公的資金による賃貸住宅の供給に力点を置いて、ともかく少しでも若い方々に希望を持っていただけるような、最大限の努力をしてまいりたいと存じます。御提言のことにつきましては、重ねて勉強をさせていただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 最後の質問になりますが、住宅政策の目標は、すべての国民が良好な住環境のもとで、適正な負担においてゆとりある往生活を営むに足る住宅を確保できるようにすることであります。都市の現状は、この目標にほど遠いものがあります。我々は、優良な公共賃貸住宅をと、こういう考え方を出しておりますが、大蔵大臣からはその方向のお話を聞いて、やや安堵いたしたところでございます。  海部総理は首相就任以来、国民が豊かさを実感できない最大の要因は住生活の貧困にあるとして百万戸の住宅を考え、これを解決するため年収の五倍前後で中堅勤労者が住宅を確保するようにしたいと国民に約束をしておられますが、現在年収の八倍程度になっている住宅価格をどのようにして五倍前後まで引き下げられようとするのか、お考えの筋、具体策等がありましたらぜひ総理の考えておられる住宅政策をお伺いして、終わりにしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 具体的な政策につきましては、建設大臣、大蔵大臣がそれぞれ御説明いたしましたけれども、私は、東京圏において通勤の時間とか面積とかその他良質なという一定の基準程度のものを、平均サラリーマンの年収五倍程度で手に入れることができるようにしたいということを言い続けてまいりました。そのため、ただいま第六期住宅建設五カ年計画の策定もいたしましたし、また低・未利用地の有効高度利用、新市街地の計画的開発などをただいま建設省に指示いたしてありますから、これも近くその策定が終わって、そういった問題を総合的にあわせながら促進してまいりたいと考えております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 以上で終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で小川君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の審査はこの程度といたします。     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) この際、平成三年度総予算三案の審査の委嘱についてお諮りいたします。  本件につきましては、理事会において次のとおり決定いたしました。  一、審査を委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりとする。  一、審査を委嘱する期間は、特別委員会については来る四月九日の午前とし、常任委員会については同日の午後とする。  以上であります。  ただいま御報告をいたしました理事会決定のとおり審査を委嘱することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る四月一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会

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