予算委員会 第11号
- 発言数
- 256 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1991/03/28
会議録
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 平成三年度暫定予算三案審査についての理事会決定事項について御報告いたします。 質疑は本日一日間行うこととし、総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間の総計は六十四分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党・護憲共同三十五分、公明党・国民会議十一分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ五分、参院クラブ三分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。 ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り選ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) 平成三年度一般会計暫定予算、平成三年度特別会計暫定予算、平成三年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣橋本龍太郎君。
○国務大臣(橋本龍太郎君) このたび、平成三年四月一日から同月十二日までの期間について暫定予算を編成することといたしましたが、その概要について御説明申し上げます。 まず、一般会計について申し上げます。 暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、暫定予算期間中における人件費、事務費等の経常的経費等、行政運営上必要な最小限度のものを計上することとしております。 新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないこととしておりますが、生活扶助基準等の引き上げ、国立大学の学生の増募等、教育及び社会政策等への配慮から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要の経費を計上することといたしております。 また、公共事業関係費につきましては、新規発生災害に係る直轄災害復旧事業費のほか、直轄の維持修繕費等について、暫定予算期間中における所要額を計上することとしております。 歳入につきましては、税収及びその他収入の暫定予算期間中の収入見込み額並びに前年度剰余金を計上することとしております。 以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳入総額は一千二百三十一億円、歳出総額は五兆四千二百十八億円となります。 なお、五兆二千九百八十七億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、十四兆七千億円を限度として、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることとしております。 次に、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましても、一般会計の例に準じて編成いたしております。 なお、財政投融資につきましても、一般会計に準じ、暫定予算期間中に必要になると見込まれる最小限度の額として、住宅金融公庫、国民金融公庫等四機関に対し、総額一千五百八十四億円を計上しております。 以上、平成三年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(平井卓志君) 以上で平成三年度暫定予算三案の趣旨説明は終了いたしました。 それでは、これより質疑に入ります。角田義一君。
○角田義一君 最初に、暫定予算につきまして若干総理にお尋ね申し上げたいと思います。 今大蔵大臣から予算の趣旨説明を承ったわけでございますけれども、私から今さら申し上げるまでもございませんが、暫定予算というのは、総理御案内のとおり、旧憲法時代には予算が成立しない場合には前年度の予算を踏襲してやるということになっておりまして、これではやはり議会制民主主義というのは貫けないのではないか、こういうことで、新しい憲法のもとでこの暫定予算制度というものは確立をした。これは議会制民主主義を貫く上で極めて重大な役割を持っている制度だというふうに私どもは認識をしておるわけでございます。 さらに、憲法の八十三条やあるいは財政法三十条の趣旨からいたしまして、これは一日たりとも予算の空白を生じさせてはならない、こういう形で参議院ではかつて委員長見解等も述べられた経過もございます。そういう歴史的な経過を踏まえられて、今回四党の政調・政審会長会談が持たれましたけれども、総理の今回の事態に対しての御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 暫定予算につきましては、今委員が言われましたとおりの考え方を私も持っております。したがいまして、今般、四党の政審・政調会長の間で暫定予算についての合意がなされましたことは大変望ましいことであり、今後ともこの考え方を尊重して政府は対処してまいりたいと考えております。
○角田義一君 大蔵大臣にちょっとお尋ねしますけれども、本来、予算の提案権は内閣に属するということは我々も十分承知しております。しかし、予算の空白をつくるべきでないという立場から申し上げれば、これは国会も大変重大な任務を背負っておると私どもは考えておるところでございます。 したがいまして、暫定予算を組むにつきましては、これは内閣は内閣のお立場、国会は国会の立場というものを踏まえながらも、やはり必要最小限度の事務的経費に絞っていく。与野党が納得できる、合意できる、こういう形で進むのが、私は立場立場を踏まえながらも望ましいことではなかろうかというふうに思っておるわけでございまして、今回の事態を踏まえて、やはり国会と内閣の間で暫定予算についての一つのルールといいましょうか、そういうものを深めていきたい、内容も深めていきたい、こういうふうに私は思っておるのでございますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今総理から総理としてのお考えを述べられたわけでありますが、私どもの立場からまいりましても、今回のように四党の政審・政調会長会談の中で暫定予算につきましての合意が成立をした、これは大変望ましいと申しますよりも、我々としてはありがたいことでありまして、政府としてこれを尊重していきたいという基本の考え方に変わりはございません。 ただ、今委員がお述べになりましたように、まさに私どもとして、今回の事態の中で国民生活に支障が生じないよう必要最小限の措置を講ずる必要があるという判断をいたしたわけでありますが、今後におきまして、仮にこの暫定期間中に政策判断を要する経費が政府の判断としては支出を必要とすると考え、必ずしも院のお考えと合わない可能性も否定はできないわけであります。こうしたことを考えますと、私は、今回の四党で御相談をいただきました合意というものを政府としても最大限尊重しながら、その折々の政府としての判断におきまして暫定予算を編成し国会の御審議を受ける、そうした意味でのよき慣行が定着していきますことを心から願っております。
○角田義一君 大蔵大臣にお言葉を返すようで恐縮ですけれども、やはり仮に政策的な経費が今後盛り込まれるというようなことになりますれば、これは私どもはその場でまた対応しなきゃならないというふうに思うんですよ。例えば去年でしたか、リムパック関係の予算が出てまいりましたですけれども、ああいうような事態になった場合には、これは我々としても考えざるを得ないと思いますが、そうでない、やはりどうしてもこれだけはやらにゃならぬという、できるだけそういう形で暫定予算というものは組んでいく、こういうことだけもう一度確認しておきたいと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本来、私は委員が御指摘になりましたような姿勢というものが暫定予算を編成するに当たっての政府の態度である、私もそう思います。 ただ、その具体例を挙げられましたが、具体的なケースを想定いたし得ない政策判断が必要な場合というものも否定ができないわけでありまして、そうした場合には、この合意は合意としながら、院としての御判断はまた別途ちょうだいをする。政府も政府としての判断を行うということはあり得ることでありまして、こうした可能性まで私は否定をすることはできない、そういうことを申し上げたつもりでありまして、一般的に私は委員が述べられましたような方向でお互いが努力をしていく必要がある、そのように思います。
○角田義一君 それでは、次の問題に入りたいと思いますが、農林大臣にお尋ねいたします。 千葉の幕張メッセにおける米国産米の展示拒否あるいは撤去事件というものが大変大きな問題になっておりますけれども、その事実関係について、まずひとつ国会の方に詳細に御説明願いたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 先生御案内のように、食管法で商業活動なりあるいは市場開発等に行う米の輸入については許可制になっておるわけであります。 この問題は、昨年も同様のことが起きてまいりまして、昨年は我が国の申し入れに対して撤去をしていただいた経過も実はございます。それだけに、本年はそのようなことがないとは信じておりましたけれども、こういうことが二度三度あることは好ましくございませんので、農林水産省といたしましては事前に出展者にも主催者にも時間をかけて説明もさせていただきましたし、また主催者である日本能率協会からは、国内の法律に触れるような商品については出展をしないようにということで、出展をされる皆様方全員に対して契約書の中で明記をさせていただいて、アメリカ側もこの契約書にはサインをいたしておるところであります。 それだけに、開催日の十二日には出展をしていないだろう、こう思っておりましたら、オーストラリアは出展はしないでアメリカだけ出展をしておりました。その十二日の開催日にアメリカ側が出展をしておるということで、オーストラリア側は翌日十三日出展をいたして両国の出展ということになりまして、それは確認をいたしましたので、千葉の食糧事務所から重ねて説明と撤去の要請をいたしたわけであります。 翌日は、オーストラリアは撤去をしていただきましたけれども、米国側の出展者は依然として出展を続けておりましたので、私どもなお、国内法でありますので時間をかけて丁寧に説明をさせていただいて撤去の申し入れをいたしました。時たまたま民間からの告発も実はございまして、後日警察側からも調査をしたようでありますけれども、私どもはでき得る限り、こういうことで国際的な摩擦を起こすことは好ましいことではございませんから、話し合いによって撤去していただくことが目的を達成することでございますので、重ねて農林水産省から外務省にもお願いをいたしまして、外務省からアメリカ大使館の方にもお話をしていただいて、最終的に話し合いの中で最終日撤去をしていただいたというのが経過であります。
○角田義一君 もう既に大臣ももちろん御承知でございましょうけれども、アメリカの農務長官から大臣あてに書簡が届いた。その全文が新聞に大きく報道されております。その中に、「米国のコメ農民は先週、その製品を教育用に展示していたところ、日本政府に逮捕すると脅され、ひどい侮辱を受けた。」と、こういう文章がありますですね。 まず、事実関係ですけれども、今の大臣の御説明を一応聞きましたが、日本政府が関係者を逮捕するというふうにおどしたと、こういうふうに言っておりますが、これはどういうことでございますか。こういう事実があったのでございますか。
○国務大臣(近藤元次君) この問題はあくまでも慎重に取り扱わせていただいたわけでありますし、告発もしたわけでもございませんし、なかんずく私が逮捕する権限もなければ、逮捕というようなことは農林水産省から話をするというようなことは全くございませんでした。 念のために関係者にどのような表現であったかということもただしましたら、最終日に至ってもなかなか応じていただけないので、最終的には法的手続をとらなければならない、こういう話はあったようでありますが、逮捕のタの字もお話は申し上げておりませんし、アメリカの新聞には私の名前で実は出ておりましたので、私は、少なくとも出展者ともアメリカのマスコミともアメリカの在日大使館の関係者にも一人もお会いをしていないので、逮捕などという話は、全くこの件について私の発言というのは、この関係者には私直接は発言をいたしておりません。そういう意味では全くの誤解だろう、こう思います。 書簡によって今先生から御質問がございましたけれども、私もこのような誤解で日米関係がおかしくなるのは大変なことだと、こう考えまして、総理とも相談を申し上げて誤解を解くような手順を踏ませていただいて、今、東部長と高橋部長両名をアメリカに派遣いたしまして、アメリカ時間できのうの午後四時半から五時半に至る間に、マディガン農務長官と次官、補佐官、農務省関係の人たち多数のところで、在米日本大使と公使と高橋部長等々が説明をいたしたようであります。その中では、何か長官が私に個人的によこした手紙だというような表現であったようでありますけれども、いずれにいたしましても、詳細に説明をしたら、そのことについては全くの反論もなければ何もなくて、了解をしたものということで電話の連絡があったことをあわせて御報告させていただきます。
○角田義一君 そうしますと、この問題については一応、アメリカ政府といいましょうか、農務長官もこちら側の立場を了としたというふうに承っておいてよろしいんでございますか。
○国務大臣(近藤元次君) 電話で御連絡を現地からいただいたものですから詳細について十分ではありませんけれども、現地で対応した日本側の人たちは、農務長官はその件については了解したというような判断をして御報告が来ております。
○角田義一君 今逮捕云々の問題についてはそういうことで一応決着がついたというふうに承っておきますが、しかし、この書簡が、個人的なものであるかどうかわかりませんけれども、ああやって公開されておるわけですから、我々としてもこれは重大な関心を実は持たざるを得ない立場でございます。何か大臣はこの書簡に対して返書をお出しになったというようなことが報道されておりますけれども、事実はそうでございますか。
○国務大臣(近藤元次君) 返書は出しました。ただ、向こうに届いていないので、私の返書の内容について、マディガン農務長官からの内容も公表されたと同じような扱いになっておるものですから、私の方からもコピーでお会いをする時間までに間に合わせて、私の真意を農務長官に伝えてあるはずであります。ですから、向こうの農務長官は私の書簡も受け取って、そしてその上での判断だと、こう思っておるわけであります。
○角田義一君 わかりました。 その書簡の内容をここで御説明いただくというわけにはいかないでしょうかね。その骨子といいましょうか、大臣がこの問題に対してどういう立場でアメリカにお答えをしたかということ、その基本的な立場をお差し支えなかったらやっぱり明らかにしてもらいたいと思うんですね。
○国務大臣(近藤元次君) お答えいたします。 向こうから来ている書簡の概要等を申し上げると、逮捕によって侮辱をされたという前文が一つ要点として取り上げられるだろうと思うわけであります。アメリカ側の農家の皆さん方が高品質の米づくりに専念をして、その専念をする中には日本の自動車を使って農作業をやっておるということと、家庭生活における日本の工業製品というのがこんなにたくさん使われておるというようなことで、自動車から時計から電気製品から家庭用品に至るまで数多く挙げられておりました。もう一つは、アメリカの農民二百万人、もしこの人たちが日本製品の不買同盟をするようなことになったらどうなのかなと、これからの日米の農産物に当たってはもっと自由体制の中でやるというふうに考えた方がいいのかどうなのかというのが実は書簡の大筋でございました。そしてもう一つ大事な点は、日本が非常に農産物について閉鎖的であるという、これが向こうの書簡の大体の要点であった、こう理解をしておるわけです。 私の方からは、その部分については、当然のことながら逮捕は誤解に基づくものですから、そこは、両部長を派遣しておるわけでありますので、詳細に経過の説明を聞いていただければ誤解を解いていただけるものと信じておりますと。それから、日本が閉鎖的であるという問題については、日本の農産物の中で海外から輸入しておるものの約四〇%がアメリカ製品ですよと、閉鎖的ではないということについて説明をさせていただきました。日本の工業製品を使っておる云々については、かなり事実であろう、特別私は触れることもない、こう思っておりますからそのことには触れておりませんが、最終的に、不買同盟なりあるいは今後の自由化については、日米関係は大切なことでありますから、今後話し合いの中でひとつお互いがやっていきましょう、こういう趣旨の書簡を送ったわけであります。
○角田義一君 よくわかりました。 私も、ちょっと感想を申し上げれば、不買同盟云々というようなことが出ておりまして、やや穏当を欠くのではないかなという気持ちを率直に持っております。ただ、この問題が感情的にこじれる、まあそれはないように、お互いに冷静に対応してほしいなという気持ちを持っております。 特に、総理が四日から訪米されてブッシュ大統領と会談されるということを私どもも承っておるわけでありますけれども、その中で当然米問題というのが出てくるのではないかというふうに私どもは予想しておりますが、やはりこの問題を契機にしまして、米の自由化あるいは開放ということをかなり強くアメリカ政府は日本政府に迫ってくるのではないかということを皆心配しておるわけでございます。日米首脳会談で米問題が出た場合には、こういう事態はありますけれども、総理としては基本的にどういうお立場でお臨みになるのか、承っておきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、お触れになっている今回の幕張メッセをめぐる問題は、私は非常に残念な出来事であって、しかも現象面が正確に報ぜられなくて、本人も今ここで言っておりますように、農林水産大臣が逮捕すると言っておどしたという報道がなされたということは、これは事実と反するわけでありますので、そういうところで感情的な面で対立がある、誤解があるということはよくないから、直ちにこれは事実を冷静に話しておきなさい、こう指示いたしました。そのとおり農水大臣も行い、向こうにもそのように伝えておると思います。 それから、お米の問題は、今御承知のようにガット・ウルグアイ・ラウンドの場で、日本もそしてアメリカもECも、それぞれにいろいろ困難な問題を抱えて話し合いをしております。それは、すべての国がやはりガットのウルグアイ・ラウンドは成功させなきゃならぬ、自由貿易というものはきちっとしておかなきゃならぬ、管理主義を生んではいけないんだという基本的な認識に立ちながら、それでもみずからの国の持っておる原則といいますか、あるいは立場というものを共通に理解してもらうように努力を重ねておるさなかでありますから、その方に向かって共通の認識を得るように日本の立場を主張していこうと考え、またこの前のサミットでも日本の立場というものは十分に説明をしてきた考えでおりますので、日本としてはガット・ウルグアイ・ラウンドの成功を期してこれからも努力を続けていきたい。こういう基本的な考え方を、万一そういったことが議題になってきたときには、私から率直に説明をしたいと思っております。
○角田義一君 世間では、統一自治体選挙でも終われば、政府はやはり米の自由化、何らかそういうところに踏み込んでいくのじゃないか、こういう心配をする向きも多々あるのはまた事実でございまして、そういうことを踏まえますと、もう一度総理に念を押しておきますけれども、基本的な我が国のこの米問題に対するスタンスは変わらない、それはブッシュ大統領に対してもそういうふうに申し上げるというふうに承っておいてよろしいですね。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題は、ガット・ウルグアイ・ラウンドで今継続しておるさなかのテーマでありますから、あくまでガット・ウルグアイ・ラウンドの場を通じて日本の基本原則は誠意を持って説明して、このウルグアイ・ラウンドの成功に向けて努力をしていきたいという基本的なスタンスは変わりありません。 また、それが首脳会談でテーマに出てくるのかどうかということも今はまだ全く何もわかっておりませんが、そうなった場合にはこの気持ちはそのまま伝えるということであります。
○角田義一君 次に、日ソ問題について若干お尋ねしたいと思います。 日ソの問題は、ゴルバチョフ大統領が訪日をされる、あるいはそれに先立ちまして自民党の小沢幹事長が訪ソされて大統領といろいろ会談をなさるということで、大変大きく動いておるわけでございます。その際、私から申し上げるまでもございませんけれども、日本政府の態度というのは、終始一貫四島一括返還ということを主張してきたわけでございます。そこで、日ソ共同宣言では、御案内のとおり、歯舞、色丹二島は平和条約が締結されれば返すという形になっております。そういう中で、世間では、まず二島返還、四島についてはいわば日本の主権が認められればそれで平和条約締結に踏み切っていくやの報道がなされておるわけでございますが、政府の四島返還をめぐる基本的な立場、今日これに若干の微妙なニュアンスの違いというのが出ておるのかどうか、まずその辺をちょっと承っておきたいと思うんです。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。 政府の北方領土の返還に関する考え方は、国会の御決議を踏まえて、四島一括返還という方針に何ら変化はございません。
○角田義一君 それはわかりましたけれども、四島一括返還といっても現実に非常に難しい問題だと私は思っております。したがいまして、いわば四島の日本の主権というもの、ソ連側がそれを認めるのであれば、それで一応、観念的と言ってはちょっと語弊がありますけれども、大きな前進として、その承認、確認が得られれば平和条約の締結ということに踏み込んでいくのかどうか、その点を承りたいわけなんですよ。
○国務大臣(中山太郎君) これから外交交渉をこの週末にべススメルトヌイフ外相と私との間でやるわけでございまして、日本の国会の決議、また五千万人以上に及ぶ国民の皆様方の御署名、私はこういう基本的なことを踏まえながら交渉を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
○角田義一君 外交交渉ですから余り突っ込んだ御質問をしても恐縮だと思いますからやめますけれども、若干観点を変えたいと思うんですが、佐藤孝行先生を代表とします自民党の代表団が最近サハリン州を訪問されて、そこで州知事を表敬訪問される、あるいは州の執行委員会議長というんですか、日本で言えば議会議長でしょうけれども、会談をされた。その中でかなり思い切ったいろいろな提案がなされておるわけでございますが、まず、これは大臣でなくても結構でございますけれども、関係する局長にお尋ねしますが、佐藤自民党代表が提示をした内容については御存じでございますか。
○政府委員(兵藤長雄君) お答えをいたします。 私どもも新聞報道等を通じまして、佐藤団長以下がアクショーノフ議長、サハリン州の議会の議長に対して一定の考え方を述べられたということは承知をいたしております。 私どもが理解しております内容は、これはあくまでも新聞報道でございますけれども、四島の主権をソ連側が認めることを前提に、現在住んでおられるソ連人の居住権の問題についてこれを前向きに考えたいというようなことでございますとか、そこを軍事的に非軍事化するというようなお考えですとか、そういうようなお考えを述べられたと承知をいたしております。
○角田義一君 私はこの内容というものは、率直に申し上げましてかなり画期的なことを提示しているというふうに思いますし、ソ連の態度というのは、日ソ平和条約を締結するに際して日米安保条約というものは障害にならない、こういう態度を今日述べております。それは大変結構なことだというふうに私も思いますけれども、ただ相手の立場に立った場合、日本にこの四島が返還をされると、当然そこにあるソ連の軍事基地あるいはソ連の軍隊というものは撤退をしてもらうということになるだろうと思います。しかしその後、今度は日本の自衛隊が出ていくとか、あるいはアメリカの軍隊がそこに駐留をするとか、あるいはアメリカの基地がそこにできるとかということになりますれば、これは率直に申し上げまして返すに返せないということに私はなるのじゃないかと思います。 これは外交交渉のカードというような次元の問題ではなくて、今後のやはりアジアにおける、特に日ソの信頼関係を醸成するという立場から申し上げますと、この四島の非軍事化という問題は私は非常に大きな意味を持つ御提案だなというふうに思っておるわけでございまして、これはやはり政府としてもそれなりの関心を持つべき事柄ではないかというふうに思うのでございますが、これはどなたに御答弁いただけますか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員のお話しの、非軍事化の問題をお示しでございましたけれども、私ども外交交渉をこれからやってまいります時点におきましていろいろなことが考えられると思います。この週末に持たれる外相会談は、ゴルバチョフ大統領の訪日のいろいろな案件について日ソ双方がいろいろと意見を調整する場所でございまして、そこの場所でどのような提案がソ連側から出されてくるか、私どものまだ十分知るところではございませんけれども、やがて提示されるであろういろいろなソ連側の考え方については、私どもとしては真剣に対応して考えていかなければならないと考えております。
○角田義一君 恐らくゴルバチョフ大統領が日本に来られるときに、一連のウラジオストク発言等に見られるように、やはり日ソ間の信頼醸成措置なり、あるいはアジアにおける平和機構の確立なりということの提案がされるのではないかと盛んに言われておるわけでございます。したがいまして、外交技術という問題ではなくて、やはりあの北方四島をどういうふうにするのか、米ソの冷戦終結という中でそれを本物にしていく。その中で日本がどういう役割をするか。しかも、北方四島がやはり平和の島になるというようなことをしかるべき時期には積極的にこちらからその構想を対案とし出してまいらないと、これはどうにもならないのじゃないかというふうに私は思います。 やはり日ソの関係を、今後子々孫々まで日ソ相戦わないという立場からいえば、日本も相当思い切った構想を出すべきじゃないかというふうに私は思っておるのでございますが、そういう検討といいましょうか、そういう問題意識を外務大臣として持っておられるのかどうかだけ承っておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 日本海及び北太平洋を含めまして、アジア・太平洋地域における平和の問題、安全保障の問題、これは避けて通れない大きな問題でございます。貴重な御意見も承りましたので、私どもとしては十分これからソ連側と議論を闘わせてまいりたいと考えております。
○角田義一君 あと二つだけお尋ねしておきたいと思うんですが、佐藤団長の提案の中に、やはり四島にかなりの方が住んでおられるわけでございますから、仮に将来この返還問題でいろいろ具体的な日程、内容を詰める場合に、この方々は皆ほかの島なりあるいはソ連本土に帰っていただくというようなことは、私は現実に非常に難しいだろうと思うのでございます。したがいまして、当然そこに住んでおられる方の権益といいましょうか、こういうものの保護といいましょうか、そういう問題も私は当然問題になってくるだろうと思います。そういう意味では、いわば日本の本土とは違ったような、統治形態と言ってはちょっとおかしいと思いますけれども、様相を呈すると思います。 例えば、治安維持のために日本の警察がおったとしても、語学の問題一つとっても、これはロシア語を話せるわけでもないわけでございますから、当然ソ連の警察官もある一定の期間いてもらわなきゃならぬというような問題も出てくるでございましょう。いずれにいたしましても、いわばソ連の国民とあるいは日本の国民とがそこで共存していくというような事態は私は長期にわたってあるんじゃないかというふうに思うのでございます。そういう問題につきましても、やはり首脳会談等において私は議題として、突っ込んだ問題として、いつとかなんとかということを私聞いているんじゃない。ですけれども、そういう重大な問題があるのではないか。佐藤先生が提起した問題というのは、そういう意味で非常に重大な問題を提起された。 そういう意味で、私はそういう問題を含めてこれについて政府としても重大な関心を待つべきだというふうに思うのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 基本的な対ソ交渉の考え方は政府も党も一体でございますけれども、返還に当たりましていろいろな問題が発生してくることは今御指摘のとおりだろうと思います。 なお、この四島にかつて居住をされた旧島民の日本の方々が現存しておられるわけでございまして、この方々のそこにおけるいわゆる権利の問題、これは一体これからどうなっていくのか、例えば土地を所有していたとか。これは日本の古来の領土でございますから、旧島民の権利義務というものはどうなっていくのか。それから現在住んでおられるソ連の方々の問題。これは、この領土の返還というものが具体的に動きます時点におきまして、日ソ両国政府間の平和条約作業グループで返還に伴ういろんな問題を協議し処理することになろうかと考えております。
○角田義一君 それから、もう一つちょっと気になることがありますのでお尋ね申し上げたいと思うんです。 エリツィン・ロシア共和国最高会議議長が最近レニングラードで演説をされまして、この日ソの問題について、ロシア共和国の正式な代表が参加しない取り決めというのは一切無効であるというような演説をしたというふうに報道されております。過般の当委員会だと思いますけれども、総理大臣は、それはソ連の国内問題であるから処理をしてもらいたいということでございますが、私も基本的にはそうだと思います。しかし、最大の共和国であり、現にそこに領土もあり、それから人も住んでおるわけでありますから、このロシア共和国の意向なりそういうものを完全に無視していろいろ話を進めるということは事実問題として難しいのじゃないか。 したがって、当然このゴルバチョフ大統領との会談の中で、これはどういう表現を使うかわかりませんけれども、注意を喚起すると言ってはちょっとおかしいと思いますが、御無礼だと思いますが、留意してもらうとか、そういうことでないとやはり交渉がスムーズにいかないのじゃないかというような気もいたしますので、あえて総理にもう一遍ここら辺の問題についてお立場をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 今の御議論を承っておりまして、まさにゴルバチョフ大統領とそういった議論ができるようなところまで関係が改善、前進していくことを心から期待しながら今いろいろな問題を準備しておるところでありますが、御指摘の問題は皆私どもも関心を持って、興味を持って見ております。 具体的に後半私に申されたことは、実はこの前シェワルナゼ前外務大臣が参りましてお目にかかって話をしたときも、このごろソ連もだんだん変わってきて民主主義の国になったからその地域の住民投票も必要になろうと思うというようなこと等を言われましたときに、それはそちらの国内事情であって、日本にも北方四島をきちっとする北海道という道があるけれども、そこの道民投票をやったからどうこうということは、国と国との会議のときには、これは首脳同士では国家と国家の関係になるわけでありますから、どうぞロシア共和国の問題はソ連邦の中で政府としてお考えをいただき対応願うことで、そのような事実があったということは私は十分承知いたしておりますし注目もしております、こう申し上げたわけであります。 ただ、ロシア共和国の人がオブザーバーとして一緒にいらっしゃる、あるいはいろんな会議のときにそこに顔を出されるかどうかということも、まさにこれはソ連の代表を構成されるときのソ連の国内問題だと思っておりますので、どのような扱いになろうとそれに対しては全部こちらは誠実に対応していきたい、こう考えております。
○角田義一君 最後に。 やはり四島返還というのは、もうこれは日本国民挙げての悲願でございますし、また返す立場のソ連にとってみましても私は大変な問題だと思うんですよ、立場を変えて見れば。したがいまして、特に交渉に臨まれる外務大臣なりあるいは総理なりは、やはり国民世論、合意、こういうものを背景にしながら、かなり思い切った立場で対処していただきたい。従前のような、ただ返せ返せというような形だけでこの重大な世紀の大事業を解決できるというふうに私は思いませんので、総理にかなり思い切った見識を持ってこの問題に取り組まれたいというふうに要望いたしますけれども、最後にその決意を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、北方領土を返還して平和条約を締結して、日ソ両国の間の長年のわだかまりを解いて、そして未来志向の真の友好関係をつくっていきたい、そのとき解決されるべき北方領土問題というのは四島の返還である、これが国民的な合意であり、そして国民の念願であるということは私どもも重々承知もいたしておりますし、また、私自身も何回も北方領土へ出向いたこともございました。そういった意味で、この問題の重要性については一致しておると思いますから、この国民的な世論の支持というものも私は背に受けながら、今御指摘のこと等も念頭に置いて心を定めて交渉に当たりたい、こう考えております。
○角田義一君 ここで関連質問を安恒委員の方から希望しておりますので、お願いしたいと思います。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。安恒良一君。
○安恒良一君 東京都知事選の磯村候補が都民税を一兆円減税するというのを公約されて、二十六日の日に総理を訪れて総理に協力要請をされたら、総理は全面的に協力すると答えられたと新聞に報道されています。そうしますと、総理としては何を協力するのか、どういう方法で協力するのか、具体的に説明してください。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、我が党が推薦しております磯村候補が私に会いたいと言われるので、自由民主党総裁としてこれは会うべき問題でありましたから、党本部へ行ってお目にかかりました。いろいろ感想を聞いたり、選挙の公約等を言われました。私は、党の総裁としてその公約が実現するように全面的に協力をしよう、こう言ったわけでございます。 具体的な問題については、今候補者としてそれぞれ各党の推薦の方々と政策論争なんかをやっておるさなかのことでございますし、また具体的な内容について一々これをこうする、あれをああしろというようなことまで踏み込んだものではなくて、全体的にしっかりやれという意味で激励をしたわけでございます。
○安恒良一君 新聞に報道されているのは、一兆円の減税に協力する、こう言われているんですから、そんなあいまいな答弁では困ります。 そこで、総理に重ねて聞きますが、個人都民税の税率を半分に引き下げるという構想ですが、地方税法で規定している税率をそんなに簡単に変えることが実際上の問題としてできますか。総理はそういう点を承知した上で全面的に協力するということを言われたんですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 都知事に当選したならば、都知事の権限でできることもあるし、またいろいろ十兆円とも言われる開発計画なんかは見直しをしながらやっていきたい、しかしいずれにしても都だけでできないことは党にも全面的に協力をしてもらわなきゃならぬ問題も出てくると思うからよろしくと、こういうことでございましたから、都の知事の権限でなし得ることでそういった自分の政策を頭に描いて、そして選挙戦で訴えておるということでありますから、それに対して私は、しっかりやれ、全面的に党としても協力をする、こう言ったわけであります。
○安恒良一君 答弁をそらしてはいけませんね。私はいろんなことを言っているんじゃないんですよ。一兆円減税についてあなたが協力すると言われたということですから、それに絞って聞いている。 そこで、総理に私が聞いたことの意味が全くわかりません。ですから、同じ質問を自治大臣にします。自治大臣、答えてください。
○国務大臣(吹田愰君) お答えいたします。 ただいま総理から御説明がありましたことで尽きておると思いますが、この磯村候補の……
○安恒良一君 税制のことを聞いているんです。
○国務大臣(吹田愰君) 説明していますから聞いてください。 この都民税の減税構想については、新聞やテレビ等で報道されておる範囲で私どもは承知しておるわけであります。選挙も実は告示されておりますし、選挙戦も始まっております。そんなことで各党がそれぞれの政策を掲げておるわけでありますから、そういった意味からいたしますと、私どもで今一兆円減税の問題についてこの席で、こういう場でとやかく申し上げるということは差し控えた方が適当ではないかなと、こう思っております。
○安恒良一君 質問がわかってないんじゃないですか。 自治大臣、こう聞いているんですよ。個人都民税の税率を半分に引き下げるという構想だが、地方税法で規定している税率をそんなに簡単に変えることができるのかどうかということをあなたに聞いているんです。
○国務大臣(吹田愰君) この問題は、地方財政法の第五条一項五号で規定しておるわけでありますから、これはもう御存じで御質問されておることでありますから、簡単にできるとか簡単にできないとかということじゃないということはわかっています。しかし、いずれにしましても、法律の趣旨というものはもう御承知のとおりであります。ただ、選挙中でありますから、こういう点で御理解を願いたいと、こう申し上げておるわけであります。
○安恒良一君 答えになっていません。 それじゃ、やむを得ませんから、地方税法第一条第一項の五号、どんな規定があるか、説明してください。
○国務大臣(吹田愰君) 概略でいいですか。そのものを読むんですか。
○安恒良一君 読んでみてください。
○国務大臣(吹田愰君) 「普通税の税率がいずれも標準税率以上である地方公共団体において、戦災復旧事業費及び学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾その他の土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費並びに公共用若しくは公用に供する土地又はその代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費の財源とする場合」、こういうふうに書いてあります。 〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
○安恒良一君 これは大臣は無理ですね。事務当局、答えてください。今大臣が読んだのは、地方税法第一条第一項の五号にどんな規定があるかと聞いたら、ほかのところを一生懸命読んでおる、違うやつを。事務当局、答えてください。わかっていない、大臣は。
○政府委員(湯浅利夫君) 地方税法第一条第一項第五号は標準税率の定義規定でございますが、この標準税率について、「地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、自治大臣が地方交付税の額を定める際に基準財政収入額の算定の基礎として用いる税率とする。」、こういう規定でございます。
○安恒良一君 はい、正解ですね、それが。 そこで、大臣にお聞きしますが、この規定は、みだりに税率を変えていいということにはならない。さらに、この規定の「財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない」、こうなっていますが、これはいかなる場合か、答弁してください。
○政府委員(湯浅利夫君) この「財政上の特別の必要があると認める場合」というのは、地方自治体がいろいろなそれぞれの持っている財政事情に応じて判断すべき問題でございまして、それぞれの自治体が議会と相談し条例によって定めるべきものであるというふうに理解しております。
○安恒良一君 そこで、大臣に今度は聞きますが、「財政上の特別の必要があると認める場合」の具体的な解釈として、日本一の富裕県であり、しかも不交付団体の東京都が個人住民税の減税のために国が決めた地方税の税率を半分にすることが、今言われた「特別の必要がある」というところにこれは含まれますか、含まれませんか。
○政府委員(湯浅利夫君) この特別の事情というものは、国が判断するというよりも、それぞれの自治体が判断をしてその税率を決めるという性格のものではないかと思うわけでございます。
○安恒良一君 いや、あなたもそれじゃもう少し正確に言って。 日本一の富裕県であり、しかも不交付団体の東京都が、個人住民税の減税のために国が決めた地方税の税率を半分にすることができるのかどうかということを聞いているんだから、そんな一般論の答弁じゃだめなんだよ。同じことを二回言わせるな。
○国務大臣(吹田愰君) 先ほど聞き間違えまして大変失礼いたしました。これはお許し願いたいと思いますが、できますよ、それは。それは地方自治体の長の考え方でできると思います。
○安恒良一君 それじゃ、中身をさらに詰めましょう。 東京都は法人二税、法人事業税、法人住民税について超過課税を行っていますね。一方では法人からきつい税金を取りながら、今度は個人の住民税だけは税率を半分にする、これは税負担の公平論から見て妥当ですか、それとも政策の整合性がありますか。この点について、総理、自治大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(吹田愰君) これは先ほどから私申し上げておりますように、地方公共団体の責任において、議会という決議機関もこれあり、そういったところとの御協議で権能として持っておるわけであります。
○安恒良一君 地方自治団体がやれるということはわかっているんです。しかし、今言った現象について私は聞いているわけですよ。片方において超過課税をやっておる、それをそのままにしておいて住民税だけは半分にするということ、私たちがいつもここで議論するときは、税の負担の公平論、政策の整合性という角度から議論しているわけでしょう。そういうことについて、これは自治大臣として、また総理も聞いて黙っているけれども、いわゆる妥当とあなたたちは思いますかどうですかと聞いているんです。やれるとかやれぬとか聞いているんじゃないんだよ、こっちは。あなたは妥当と思いますかと聞いているんです。総理にも聞いている。妥当か妥当じゃないかというのを聞いているんです。
○国務大臣(吹田愰君) 先ほども申し上げましたように、地方公共団体でそれぞれの組織において決定したことにつきましては、それはそれとして認めざるを得ませんし、私がこれに対して言葉を挟むというのは、地方自治に対する侵害と申しましょうか、一言多い、こういうことになるんじゃないでしょうか。
○安恒良一君 大臣、あなたは全然わかってないね。 自治省の行政実例、昭和二十六年八月の実例にこう書いてあるんですよ。一方の税目において標準税率を下回る税率を定め、他の税目において標準税率を超える税率を決めることは違法と解釈すべきである、こういうあなたたちのところの行政実例が出ているんです。それなのに、今のあなたの答弁は何ですか。あなた、わからぬならわからぬで事務当局に答弁させてください、こういうあなたの方の行政実例があるわけですから。 そうすると、私はあえて聞きますが、総理としてもあなたとしても、全面支持というのは違法のことをやれと、こういうことですか、違法のことを。ここには違法だと、あなたの方は行政実例で解釈例をきちっと出されているんですが、あなたは違法なことをやれと言われているんですか。総理、あなたはどうですか。
○国務大臣(吹田愰君) お答えします。 私は違法なことをやれと言っているわけではありません。ただ、そういうことは自治体で、それぞれの機関で決めることでもあり、また、今後の法律改正の問題等につきましてはそれなりに今後の問題として検討をすることもできるわけでありますから、今選挙中でありますから、できるだけこういうことについては触れないということを申し上げておるわけであります。
○安恒良一君 総理、考えを聞かせてください。選挙中であればこそ、私は法に照らして聞いているんですよ。それを、あなたたちは法を外れたことを幾らでも言ったらだめだ。 そこで、もう一遍聞きますが、あなたたちは違法なことをやれと言っているのか、それともこの解釈に従って法人二税の超過課税を改めるか、どっちかなんです。どっちかでないとやれないんだ。その点、どうですか。
○政府委員(湯浅利夫君) おっしゃるとおり、一つの自治体で財政上の特別の必要があると認めて標準税率以外の税率を定めるという場合に、一方で高い税率、一方ではそれより低い税率というのはそれなりに問題があるのじゃないかというそういう趣旨の立場から、先ほど御指摘の行政実例が出ているものだというふうに理解しているわけでございます。 現在の公約で出ている問題は、そのうちの一部だけの議論でございますので、全体の形でどうなっているかということはなかなか選挙公約の中では判断できない問題でございますので、これについては私ども意見を差し控えたいと思うわけでございます。
○安恒良一君 実際の行政実例、そういうものに基づいてあなたたちは全国を指導しているわけでしょう。ですから全く、今の答弁でも私が言った前段は認められたわけですね。 〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 そこで、私は少なくともこの行政実例から見ますと、法人二税の超過課税を是正しない限り個人住民税を半分に軽減することはできません。でないと、自治省としては他の全国都道府県を指導されているわけですから、そのバランスからいってもこれはできないと思いますが、その点、どうですか。
○政府委員(湯浅利夫君) 標準税率についての考え方は先ほど申し上げましたとおりでございまして、一つの自治体で財政上の特別の必要があると認めて標準税率以外の税率を認める場合には、やはり一つの方向というものを定めて決められるというのが通常の姿ではないか、また法もそういうふうに予定しているのではないかということで私どもは理解をしているところでございます。
○安恒良一君 そうであれば、これはやはりそのままでやれば違法行為じゃないですか。あなたたちは、日ごろ地方自治体にぎゅうぎゅう自治省は押しつけるところは押しつけるけれども、今度だけは何で逃げるんですか。 そこで、私はさらに聞きたいと思いますが、それならば、いいですか、あなたたちは全面支持とかなんとか、今は選挙中だから言えないというんだから、それでは地方税法の標準税率を全部引き下げる考えを持っているんですか、政府としては。これは東京都だけの軽減ではなくなりますね。富裕県はいざ知らず、他の府県の財政運営が不可能になるほどの私は難題だと思うんですが、この際地方税法の標準税率を全部下げるという考えがあるのかどうか。その点、これは政策的なことですから、総理、自治大臣、答弁してください。
○国務大臣(吹田愰君) 今直ちにそういうことをこういう席で申し上げるような状況ではありません。しかし、今後の問題としてそれでは考えないのかと言っても、それも肯定するものでもありませんし否定するものでもありませんが、いずれにしましても、こういう問題も検討はしていかなきゃならぬことであるというふうには思います。
○安恒良一君 私は具体的に聞いているんですよ。全国の都道府県の地方税法における標準税率自体をお引き下げになる考えをお持ちでしょうかどうでしょうかと聞いているんです。
○政府委員(湯浅利夫君) 個人住民税の標準税率につきましては、過去においても十数段階の税率からだんだんと整理をいたしまして、現在三段階にし、それを今回も減税という形でそのブラケットを変えるというような形で、そのときそのときの経済事情、財政事情を踏まえまして標準税率を見直すということはやっているわけでございます。そういう観点から、今後ともこの標準税率というものを常に固定のものというふうに考えることはないと思うわけでございます。
○安恒良一君 私はそんな一般論を聞いているんじゃないのですよ。半分に下げるというから、そうすると、東京都が半分に下げるとなればそれが連鎖反応を全国的に起こすでしょう、これは大変なことになるでしょうと、こういうことを聞いているんですから。もう答弁は要りません。 そこで、一部新聞報道で、減税の財源に地方債、起債で行うと言われていますが、東京都のような富裕団体に減税で起債を認めますか。その点、自治大臣、答えてください。
○政府委員(小林実君) 起債につきましては、地方財政法五条というような規定がございまして、ここに掲げられております財源にする場合に認められるということになっているわけでございます。
○安恒良一君 答えになっていません。中身を説明しなさい。失礼じゃないか。
○政府委員(小林実君) 第五条でございますが、地方団体の歳出は原則といたしまして地方債以外の歳入をもって行うというのを原則といたしております。ただし、五つの事項が書いてございまして、交通事業、ガス事業等の公営企業に要する経費の財源とする場合、出資金、貸付金の財源とする場合、これが二つ目であります。三つ目は地方債の借りかえのために要する経費の財源とする場合、四つ目は災害復旧事業費等の財源とする場合、それから五つ目でございますけれども、これは先ほど大臣が御説明いたしましたように、公共施設あるいは公用施設の建設事業費、土地の購入費の財源とする場合等でございます。
○安恒良一君 地方財政法第五条第一項の五号には、普通税の税率がいずれも標準税率以上でない地方公共団体においては、地方債をもって財源とすることはできないとされているはずでありますが、その点はどうですか。
○政府委員(小林実君) 五号の公共施設、公用施設の建設事業費、それから土地の購入費の財源とする場合につきましては、普通税の税率がいずれも標準税率以上である団体について、地方債をもってその財源とすることができるというふうに定められております。
○安恒良一君 磯村候補の場合は減税のためということですが、これまた、地方財政法五条第一項の五号の趣旨は支出すべき財源を念頭に置いての規定だと私は思いますが、従来政府の考え方は、減税財源は必要な支出財源より必要性は後の順位のはずですが、そのようにとっていいですか。
○政府委員(小林実君) 地方債の運用につきましてのお話でございます。私どもは、減税をしたかしないかということは関係ございませんで、あくまでもこの五条の第一項五号に掲げられている事業の財源とする場合ということで申請がありました場合にそれは認められる、こういうことにいたしているわけでございます。
○安恒良一君 時間がありませんから、総理、最後にあなたにお聞きします。 私が今ずっと法律によって詰めていったら、磯村氏が言っていることは全く無理なことを言っているんですよ。しかも、起債もだめなんです。起債でもできないんだ。こういう点について、これでは余りにも国民、選挙民をばかにしている行為じゃないか。非常に不可能なことを言うのは全く私は誤りだと思う。こういう点について、総理、今までずっとこのやりとりを聞かれて、私は少なくとも財政法並びに税法、両方の法律に基づいて一つ一つを聞いたのですが、その点、どうお考えになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今の仕組みや法律の問題等、やりとりをなさいました点については、私はそのとおりであろうと思います。 また同時に、磯村候補が説明をいたしましたことも、別に違法なことをやろうという意味で言ったのではなくて、知事に自分が当選することができたならばやろうと思っている考え方を今の中で言ったわけでありまして、御指摘のように、法人の都民税、法人事業税が特別に加算されておるということもよく彼は知っておりましたが、都市計画税については同様の方法で逆に今減税になっておるということ等も申しておりました。また、財源その他の問題については、臨海開発事業が事業費十兆円であるそうですが、これの見直し等も考えるとか、あるいは大規模建設中心主義を転換していく、平成三年度だけでも投資計画約二兆円の経費が必要となっておるというようなことをるる彼なりに勉強し、説明をし、自分が知事になった場合にはこういったものもいろいろなことで努力をしていきたい、こんなことを言っておりましたので、私は最初言ったように、しっかり頑張れと、こう言ったわけでございます。
○安恒良一君 しっかり頑張れと言っても、できないことをしっかり頑張れと言って、だから、きょうは質問しませんが、後からしますが、自民党海部総裁の名前において磯村を支持してくれというのが、私どもの野田前国対委員長の部屋まで封書が二通も来ています。こんなばかげた、野田さんのところへ二通も来ているんですからね、あなたの名前で。総理じゃありませんよ、総裁の名前で。こんなばかげたことが東京都では行われているということだけは一つ明確にしておきます。これは後からまた同僚議員が質問します。 そこで、今度は経企庁長官、まず三月十九日に経企庁が発表しました平成二年十月ないし十二月の国民所得統計、これをちょっと説明してください。
○政府委員(田中章介君) お答えします。 平成二年十―・十二月の実質GNPの成長率でございますが、前期比で〇・五%、年率に換算しまして二・一%の成長になりまして、七―九月期の一・一%に比べますと鈍化はしております。これは内需が前期比でマイナスの〇・一%となりましたことでございますが、ただ前年同期比で見ますと、まだ現在実質GNPは四・六%の増と、伸びはその前に比べますとやや鈍化しています。こういう状況でございます。
○安恒良一君 そこで、経企庁長官、今言われたような実情にありますし、特にいわゆる経済成長率に対する内需の寄与率が前年比マイナス〇・一というのは五年ぶりなんですね、こういう状況で。 ところで、私はあなたと十九日の午前中に経済、景気問題で議論したら、あなたは胸を張ってこう言ったんです。イラク戦争が終結したことで先行き不透明感は払拭された、個人消費は堅調だ、設備投資もいろいろの調査の結果、年度初めで低い伸び率は当たり前である、六つほどの調査機関の調査の結果、伸び率は一ないしは二%であるがマイナスでない、わずかであるがプラスを見込んでいる、投資のニーズは大変高い等々と、自信満々に御答弁をされました。 ところが、その午後夕方、それがどかっと発表されたんです。そこで、あなたに聞きたいんです。あなたが午前中国会で答弁をした同じ日の午後にあなたの所管庁が発表した経済、景気の実勢の間に、余りにも私はあなたの説明と乖離が大き過ぎる。ですから、あなたの国会答弁というのは、この平成二年十月―十二月の国民所得統計の動向を軽視ないし無視した、私はそういう危険があると思いますが、その点はどうですか。
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。 三月十九日、経済に詳しい先生からたび重なる御質問をいただきました。私なりに、何と申しますか信念を持ってお答えさせていただきました。今もその考え方は変わっておりませんが、三月十九日現在におきまして、申し上げましたように、経済は明るい方向に向いている、このように考えておりました。 去年の十月―十二月の数字が三月おくれてその段階で発表された。実は国民所得統計は四半期ごとにやっておりますが、経済企画庁の中にございます附属機関の経済研究所、吉冨という所長が長年やっておりまして、ここで独自につくりまして、従来、これの発表の時期によりまして為替、株式の市場等に影響も与えることから、恒例として夕方発表ということになっておりました。 私の方は、発表する最後の数字は、実は昼休みにここの下の参議院の議食で説明を受けたという段階でございますけれども、その個々のいろんな数字は、四半期の統計が整う前にいろんな数字につきましてはそうしたものを織り込んで事務当局から聞いておりましたので、あの発表が出ましたことによって午前中に先生にお答え申し上げたことと差はないと、このように感じているところでございます。
○安恒良一君 今になって言い繕っていますが、事務局は僕のところにこう言ってきたんですよ。あれは午後発表したんだから大臣は知らなかったんですと。ほうと思いましたね。 少なくとも私は経済、景気動向について質問通告をしているんですよ。大臣の答弁も事務局が一緒になってつくっているんです。その事務局が、あれは大臣に言ったのは昼過ぎだと。今あなたが言ったように、株やその他に与える影響があるから大臣にも言わなかったと、こういう言い方をするから、下がれと言ったんです、そんな話は聞きたくないと。私は、少なくともあなたは私とやりとりをするためにはそれなりに準備されてこのことは知っておられたと思うんです。その上であなたはああいう答弁をされたんですか。それをはっきりしてください。わけのわからぬことでは困る。
○国務大臣(越智通雄君) ただいま申し上げましたように、国民所得統計としての最後の数字、〇・五とか、年率に直して二・一とか、対前年同期比四・六という数字までは聞いておりませんでした。ただ、設備投資の動向、個人消費の動向その他は、十―十二月がこうで、その後一月、二月がこうですと毎月のように聞いておりますので、三月十九日段階におきましてそれらも織り込んだものとして判断して御答弁申し上げております。
○安恒良一君 ところが、私はその当時あなたたちに、認識のラグはありませんか、後退局面が始まっているんじゃありませんかと、こういうことをいろいろしたんですが、あなたはこう言ったんですね。先行指標、一致指標、遅行指標、三カ月前の経済諸指標と比較してその傾向値を出し、グラフ化するので、アップ・ダウンの非常に激しいグラフが出ている。この読み方はいわば心電図を読む医者みたいなもので大変難しゅうございますと、何か自分だけが名医みたいな言い方をしているわけだね。 この指標をつくったのは、より正確に、しかもわかりやすく景気の動向を国民に知らせる、経済のことを周知徹底させようと、こういうことでつくったはずなんですね。経企庁の長官の言い分では、専門家で心電図の読める医者でなければわからない、こういう例を引いてあなたは説明しています。少しあなたは思い上がっておられはしませんか。また、これらの指標作成の目的は、今私が言ったように、わかりやすい景気の判断の資料だと、こういうことでこれがつくられていることにもあなたの言っていることは反しておりはしませんか。 私は、そこでお聞きをしたいんですが、経企庁の景気判断で認識のラグ、判断の誤りは決してないと断言できますね。それから経企庁長官、景気の判断に絶対自信をお持ちで誤診はないとあなたは断言しますか、ここで。
○国務大臣(越智通雄君) お医者さんの心境はよくわかりませんが、患者を診ているときには、私は本当に、何と申しますか、神に祈るような気持ちで間違いなければいいがと思って診るだろうと思います。私も同様に、この先行指数、一致指数、遅行指数のことを御説明したときには、心電図のようで大変読みにくいんです、私なりに努力をしておりますと、こう申し上げました。 ところで、実体の問題でございますが、先生は御質問の中で後退局面というお言葉を使いました。今もお使いになりました。また、減速局面というお言葉もございました。私どもは、減速局面だとは思っておりますが、カーブでいえば、アップ率がアップの角度が緩くなってきたと見ておりますが、後退局面、前の期よりも下がっているという状況にはない。 十―十二月の〇・五%の伸びというのは、そのもの自身をいわば四倍して年率に直せば二・一%かもしれません、四倍というのはちょっとラフな言い方でございますが。昨年平成二年としましては、今局長から御説明はいたしませんでしたけれども、平成二年一―三月が一・六%です。そして、その後の四―六月が一・四、そしてその後の七―九のところだけが、今言いましたけれども、一・一でございました。最後が〇・五で、これを年率に直すと何と五・六%の実質成長になっているわけであります。 私どもの経済見通しで見ました平成二年度、三カ月ずれるわけでありますが、これは五・二%でございまして、五・六と五・二、すなわち昨年の一―三月の分を除きまして本年の一―三月を入れますとどのぐらいになるか。もちろんまだ終わっておりません。よくわかりませんが、逆算的に申し上げますと、本年一―三月が〇・九%の四半期の国民所得の上昇であるならば、平成二年度は、年度の方は五・二という私どもの経済見通しのとおりになるわけでございます。 私どもは、十―十二月は、先ほど申し上げましたように、湾岸紛争が激化していく過程の中で企業家が大変に不安な心理になった、金融の引き締めも効いてきた、そういう中でいろんな指標が悪くなってきたのじゃないか。したがって、一―三月は、既にディフュージョンインデックスは一月の分が出ましたけれども、一致指標だけがちょっと下向きましたが、先行、遅行いずれの指標も上向いておりまして、この分ならば今年一―三月は〇・五よりも高く一・〇よりも低いところにおさまってくれるのではないか。 そういう格好で入ってまいりますと、平成三年度、この四月から始まりますときに、理論上で言いますと、各四半期の成長率が一・〇%で、全く仮の話でございますが、直線的に動くとすれば、それで実は三・八%の成長になるわけでございますので、私どもは何とか四半期一・〇というものを頭に置きながら、経済でございますからどうしても波を打ちます、息をしますけれども、その中で三・八を達成できる、このように考えております。
○安恒良一君 あなたはこの前、依然としてなだらかな拡大局面を続けているという判断をされているんです。私は、下降局面、後退局面とか、まあわかりやすく言うと流れが少し変わったんじゃないかという角度から聞いたわけですね。ところが、あなたは、具体的には例えば一致指数が五〇%を切った事実を認めながらも、こういうものは下降局面に入ったと思わないんだと。 それなら、ちょっと聞きますけれども、経済の成長率、これは四半期ごとの対比ですが、それから設備投資、消費、住宅建設等の数字がマイナスにならないとあなたは下降局面と考えないんですか。そこのところを聞かせてください。
○国務大臣(越智通雄君) 景気の後退局面と申しますか、下降局面といいますのは、個々のファクターもございますけれども、トータルとしてマイナスが立ったときが怖い。アメリカでは、四半期ごとの数字がマイナスが二・四半期続いたときに初めてリセッションと称しておりますけれども、私どもの方もトータルの数字で、要するに今のプラス〇・五がマイナス幾つかになったときですね、この場合が下降局面かなと。 先生おっしゃいますように、内需の中のファクターはどうだと。内需でいえば、設備投資はプラスになっているんですから、消費とそれから在庫がマイナスになっているんです、先ほどの十―十二月の分は。その一つ一つでもって下降か上昇かという景気の局面の判断は、もちろん頭に入れますけれども、表現としてはトータルのものを頭に置いて申し上げます。
○安恒良一君 私は、今私が言った状態は、下降局面じゃなくて不況だと思いますね、不況だと思う。ですから、私は、どうも経企庁の皆さん方は下降局面という言葉を使いたくないんじゃないかという感じがしてなりませんが、もう時間がありません。私は、前年比マイナスは上昇でなく下降、減速だということをこの際はっきり申し上げて、判断を誤らないようにしてもらいたいということだけ申し上げて、終わります。
○角田義一君 私からまたちょっとお尋ねします。 その後の九十億ドル問題ということでございますが、大蔵大臣は終始一貫、私も全部議事録を拝見しましたけれども、本会議でもそれからまた今回の私どもの國弘委員の質問に対しましても、九十億ドルすなわち一兆一千七百億円というのはアメリカに出す金じゃないんです、平和基金に出すんです、このことをずっと言っておられるんですけれども、それでよろしいのでございますな。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はそのとおりに申し上げてまいりましたし、今ももしお尋ねがあるならばそのとおりに申し上げます。そして、湾岸平和基金から配分されて、どう、どこの国にという点につきましては、私よりも外交当局にお尋ねをいただいた方がよいと思いますので、事実そのようになっておると心得ております。
○角田義一君 その大蔵大臣の答弁の上に立って私はお尋ねするわけですが、二十八カ国が多国籍軍に今参加しておる。その国々は皆、この日本が出した一兆一千七百億円に対して支援を要請する権利と言っちゃおかしいでしょうけれども、立場に立つんですな。そうとすれば、その二十八カ国に対して日本は、一兆一千七百億円を基金に出しましたよ、もし資金の要請があるならば言ってください、こういう手続を当然とるべきだと思いますけれども、とっていますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 従来からも御説明しておりますけれども、前回の十九億ドルに関しまして、これも同じく湾岸平和基金に払い込んでおりますが、そのときは十三カ国を対象にしております。今回に関しましても、かなりの国から湾岸平和基金に要請が出ております。アメリカ、イギリス、フランスその他でございまして、これらの国々は、今大蔵大臣がお答えになりましたけれども、日本が一兆一千七百億円既に湾岸平和基金に払い込んでおりまして、これを十分承知した上で湾岸平和基金に要請書を出しております。
○角田義一君 私が聞いておるのは、二十八カ国に日本政府として、こういうところに出したから資金の要請をしていただいて結構だということを全部出したかと聞いておるんですから、質問にぴたっと答えてください。
○政府委員(松浦晃一郎君) 従来の十九億ドルに関しましても、今先生が御質問のような形で日本政府から各国には連絡しておりませんし、今回も連絡しておりませんけれども、それは何もこれらの国々に意図的に知らせないということではございませんで、従来の例に倣いまして、これらの国々が十分承知しているという前提に立っております。
○角田義一君 そんなばかな話はありませんよ。冗談じゃないです。一兆一千七百億円という大変な血税を出すわけです。そして、国際貢献の最大の問題、日本はお金を出したわけだ。いい悪いは別ですよ。とすれば、二十八カ国に対して日本は、こういうところへお金を出した、要請をするなら要請をしてよろしい、このことを出すのは当然じゃないですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 繰り返しになりますけれども、従来の十九億ドルにつきましても十三カ国を対象にしておりまして、これらの国々は日本のこのような財政的支援を高く評価しております。当然、この次の九十億ドル、円貨で一兆一千七百億円に関しても十分承知しておりまして、今私が申し上げましたように、既にかなりの国が湾岸平和基金にアプローチしておりますので、繰り返しですけれども、日本政府からあえてこれを具体的に連絡をとりませんでも、日本の九十億ドルの貢献に関しましては世界に広く知れ渡っておりまして、これらの国がそれを承知した上で湾岸平和基金に既にアプローチしております。
○角田義一君 くどいようですけれども、私が申し上げたいのは、政府のやり方としてそんなルーズなことじゃ許されないということです。国民の血税を一兆一千七百億円出すんですから、出すなら出すように、世界のそれが貢献だと言っているなら言っているように、きちっと手順を踏んでもらわないと困るんです。大臣、どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 湾岸平和基金に対しまして拠出をいたしますのは、もちろん国民のとうとい血税であることは言うまでもございません。ただ、その配分につきましては、この運営委員会の理事会、これによって配分を決めるということになっておりまして、政府は、拠出した以上はこの湾岸平和基金の運営委員会理事会の決定にまつ、このような考えでございます。
○角田義一君 この続編はいずれしかるべき時期にやりたいと思いますけれども、これは私は納得できないです。建前というか、建前なら建前をきちっと貫くということはやっぱりやってもらわなきゃいかぬと思いますよ。 しかも、運営委員会にはきちっと日本の代表が入っているわけでしょう。大使が行っているわけでしょう。それを当然各国に対して通知をするということでなければ、これだけのお金を出して、それは私は納得できませんな。どうです、大臣、もう一遍答えてください。
○国務大臣(中山太郎君) こちらから正式に通知をしていないじゃないかというおしかりでございますけれども、各国ともこの湾岸平和基金に振り込みました日本の拠出金については大変高い関心を持っておりまして、各国から、自国にもぜひひとつこれの配分について配慮を願いたいという要請が相当来ました。それに基づきまして、我々は日本の大使にこのような国々からこういうふうな連絡が来ているということは政府として伝えております。
○角田義一君 ちょっと質問を変えますが、一兆一千七百億円という拠出をした以上、一昨日ですか昨日ですか、アメリカのフィッツウォーター報道官が、どうしてもドル建てで九十億ドルを出してもらいたい、これを下回れば日本側に全額の支払いを求める意向を示した、こうなっておるのですが、一兆一千七百億円を払っているのですからもうこの問題は解決済みだというふうに私どもは理解しているのですけれども、それでよろしいですか。総理大臣、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 国会に予算案として一兆一千七百億円お願いをして、それを認めていただいて、湾岸平和基金を通じてこれを拠出するわけでありますから、日本としてはそのときの事情をきちっと説明しようと思っております。そして、その第一回のときも円建てで払い込んだわけでありまして、為替の変動によって、わずかでしたが第一回のときは益があった。今度は減額があったということでございますけれども、それよりも、基本的に日本の円で国会に諮ってそこで成立した第二次補正予算の中身で円建てで払ったということでありますから、誠意を持ってこのことを説明していきたいと思っておりますし、また現に説明もいたしております。
○角田義一君 そうしますと、アメリカ当局はこの問題については外交交渉にのせるというようなことが報道されておるんですが、それは向こうがそういうことをおっしゃるのは勝手ですけれども、これははっきりとさせていただきたいと思うんですね。一兆一千七百億円払ったんだから、それ以上はもう払えませんよ、出す意思はありませんよと。仮にブッシュさんとの会談でこの問題を持ち出されても、言うべきことははっきり言ってもらいたいと思いますけれども、総理、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今申し上げたとおりでありまして、円建ての日本の拠出金を国会で決めて、その全額を払い込んだということでありますから、為替の変動によっての問題については、そこは誠意を持って話をして理解してもらいたいと思っております。
○角田義一君 一兆一千七百億円の中から既にアメリカに対して五十七億五千万ドル、円に換算して七千九百四十億円が支払われておるということが言われておりますが、アメリカ政府はこの運営委員会にどういう請求書といいましょうか、この五十七億五千万ドルが何に必要だということをどういう形式の文書によってどういう内容で要求してきているんですか、明らかにしてください。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今回の一兆一千七百億円に関しましては、湾岸平和基金の運営委員会におきましてその具体的使途といたしまして、関係諸国が湾岸の平和と安定の回復のための活動に要する諸経費のうち、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連、通信関連、建設関連の諸経費に充てるという決定が行われておりまして、この決定を受けまして、アメリカ政府よりこれらの六分野におきましての具体的な要請書が湾岸平和基金に出されております。それを踏まえまして、今先生が言及されましたけれども、この三月二十二日に湾岸平和基金よりアメリカに対しまして円で七千九百三十九億円が支払われているというふうに連絡を受けております。
○角田義一君 時間がありませんから一つだけ言います。 その七千九百四十億円相当のアメリカ政府のいわば基金に対する支払い請求、この写しを国会に出してください。
○政府委員(松浦晃一郎君) 申しわけありませんけれども、これは湾岸平和基金に対する公開しないことを前提とした要請書でございますので、そういう前提で湾岸平和基金にアメリカ政府から提出されたものでございますので、提出することは差し控えさせていただきたいと思います。
○角田義一君 これで終わりますけれども、とても納得できません。これはまた後で別の委員からやってもらいます。
○委員長(平井卓志君) 以上で角田君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十六分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成三年度一般会計暫定予算、平成三年度特別会計暫定予算、平成三年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。木庭健太郎君。
○木庭健太郎君 今回の暫定予算は、湾岸問題への対応の審議のために時間を要したこともございますし、この経過から緊急やむを得ないものと理解はいたします。ただ、一、二点ちょっと確認させていただきたい点がありますのでお聞きいたします。 一つは暫定予算と本予算のかかわりでございます。これまで暫定予算は本予算と密接不可分という見解できておりますが、一方では、本予算成立までは根拠法的にも内容的にも独立したものとして見ることができるというような見解もございます。この点、政府としてどうとらえていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 暫定予算は、本予算がその年度開始前に成立を見ない場合に、その予算が成立するまでの間必要な経費の支出または債務負担ができるようにするためのものでありまして、本予算とは独立した議案であります。そして、その限りにおきまして、財政法におきましても、本予算の作成に関する規定とは別に、財政法第三十条に暫定予算の作成に関する規定が置かれておることは御承知のとおりであります。ただ、その点をあるいは複雑にするかもしれないと思われますものは、本予算が成立をいたしましたとき、その暫定予算は、期間が残っておりましてもこれは失効するわけでありまして、暫定予算に基づいて行われるその支出または債務負担というものが本予算に基づいて行ったものとみなされる、いわば吸収されるという関係にあることも事実であります。しかし、財政法におきましても本予算とは独立した条文が置かれておるということをもってしても、これは独立の性格を持つもの、そのように思います。
○木庭健太郎君 もう一点なんですけれども、今回、暫定予算については各党の政調・政審会長会談で合意事項が確認できたわけでございますけれども、政府としてこういう事態をどう受けとめておられるのかということとともに、今後の暫定予算の編成に当たってこうした各党合意を基本的に尊重していかれるのかどうかということをぜひ確認しておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、自民、社会、公明、民社、四党の政審・政調会長の間におきまして暫定予算についての合意がなされましたことは、政府といたしましても望ましい結果と考えておりますし、尊重してまいりたいと考えております。 そして、この暫定予算も、国会審議の情勢から見て三年度予算というものが年度内に成立することが困難であると見込まれるということから、国民生活に支障が生じないよう必要最小限の措置を講ずる必要から御審議をお願しておるわけでございまして、今般の四党の御相談の内容にも合致しておると思います。 そして、基本的には私はこれからも同じような関係でありたいと考えておりますが、午前中にもお答えを申し上げたことでありますけれども、全く今後において政策判断を必要とする経費を計上しないで済む事態ばかりが続くと断言することもできないわけでありまして、そうした場合におきましては、院におかれてはまた政府とは異なった立場からの御論議もあり得ると思います。 しかし、私どもは、今回の四党のお話し合いの中から生まれてまいりました方向というものは基本的に望ましい、そして政府としても尊重してまいりたい、そのように考えております。
○木庭健太郎君 ぜひその点をしっかり受けとめていただければと思っております。 さて、前回湾岸問題でいろいろ現地に行ったことを報告し、なおかつ環境の問題については、政府の調査団、また私たちも行ったことを受けまして、環境問題についての人的派遣の問題について非常に早い時期に結論を出していただき対応できるということになったことについては本当によかったと思っております。現状厳しいわけですから、一日も早いそういう派遣をお願いしたいということをまず申し添えたいと思います。 ところで、今国会を見ておりまして、今国会の中で一番よく出てきた言葉は何かといいましたら、私聞いていて人道的貢献という言葉が非常に多く出てまいりました。我々とは折り合いませんでしたが、自衛隊機の派遣の問題についても人道的という言葉が出、その言葉がある意味では今国会のテーマであるような形でも受けとめることができました。 その人道的問題の大きな柱は、やはり政府も考えられた避難民、難民の問題だと私は思っております。実際、私たちもイランでは国会議員として初めてバラーミーン、コムというニカ所のキャンプに行ってまいりました。そこで難民、避難民の方たちの声も聞きました。ジョルダンではアズラクというキャンプにも行ってまいりました。そういうことを躍まえて何点かお聞きしたいと思います。 まず最初に、現在の避難民、難民の発生状況について、わかっている範囲でお答えを願いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 国連の災害救済調整官事務所、いわゆるUNDROでございますけれども、UNDROの報告によりますと、多国籍軍とイラク軍との事実上の停戦が成立しましたのは二月の末、二月二十八日でございますけれども、それから三月二十五日までの間をとりますと、周辺諸国へ合計約三万八千五百人の避難民が出てきておるということでございます。 内訳を申し上げますと、イランへ約三万人、ジョルダンへ約六千五百人、シリアに約三百人、トルコへ約千七百人ということでございます。第三国の国籍の避難民は激減していますけれども、それにかわってイラク人の避難民が停戦成立後非常に急増しているという状況であるという報告がございます。
○木庭健太郎君 参考のためにぜひ聞いておきたいんですけれども、これまで我が国は避難民対策についてどんなことをされたか、簡潔にお答えください。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 御承知のとおり、まず日本政府といたしましては、先ほどのUNDROあるいは赤十字の国際委員会、それからIOM及び関係国からの支援の要請にこたえまして、昨年の湾岸危機発生以降、国際機関を通じまして合計六千万ドルの各国最大の資金協力を実施いたしました。また、ジョルダン政府に対しましては、毛布、テント、医薬品、粉ミルク、石油こんろ等約一億五千万円相当の救援物資を供与いたしますとともに、イラン政府に対しましては、毛布、石油こんろ、発電機など千六百七十六万円相当の救援物資を供与いたしました。それに加えまして人的な貢献という観点から、先生も御記憶と思いますけれども、昨年の秋に日本航空、全日空にお願いして、計三便の旅客機で合計八百七人のフィリピン人を本国に輸送いたしまして、さらにことしの一月末には四便の旅客機によりまして、千四十六人のベトナム人とタイ人の避難民の本国輸送を行った。簡単に申し上げて、大体以上が今まで行ってきたことでございます。 なお、これに加えまして、政府の行為ではございませんけれども、日本の民間の方々がボランティアとしていろいろな活動をされたということもつけ加えさせていただきたいと思います。
○木庭健太郎君 最近、避難民の問題が新聞にも余り出てこなくなりましたね。今後どんなふうに推移すると見られているのかというのが聞きたいし、もうこれでほぼ避難民の問題、難民の問題は終わったととらえているのかどうかもあわせてお聞きしたいと思います。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 ことしの一月半ばに多国籍軍とイラク軍との戦端が開かれて以降今日まで、概数で申し上げて、イランに対する避難民の流入数は約五万三千、トルコに対しては四千七百二十三、シリアに対しては約千二百人、ジョルダンに対しては約二万六千人ぐらいということでございます。 今後の見通しの問題につきましては、イラクの国内におきます状況があのような状況でございますのでなかなか見通しが立てにくいということで、現在IOM自体がミッションをクウェートに送っておりまして、今後の状況を見定めようとしております。残念ながら、イラクは許可を出しておりませんのでIOMはイラクには行けませんけれども、国際機関としては、まさに今後の避難民の発生状況ということの把握に現在努力中であるという状況にございます。
○木庭健太郎君 もう一点、現在の状況を受けて、今後避難民、難民への対策、貢献というので具体的にこれをやろうというのが決まっているもの、またこれはやりたいと思っているものがあれば教えてください。
○政府委員(丹波實君) 今後の問題につきましては、まさに今申し上げましたとおり、今後の避難民の流出の状況その他をまず国際機関が把握しようとしておるわけでございまして、それを受けて、ニーズがもしあるのであれば、日本政府としては今後とも今までやってきたような形での活動をしてまいりたいというふうに考えます。
○木庭健太郎君 そして、今回の避難民、難民の発生状況を今まで見ておられて、政府として、今回の避難民の発生というのは今までと違ったものが何かあったのか、それとも今回こういうことが特徴的だなというようなことで把握されている面があれば、ぜひお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 先生の御質問のこれまでのということの意味が、例えばインドシナ難民などとの比較においてという意味でございますならば、それは、インドシナ難民といいますのはインドシナに在住しているインドシナ人がいろいろな理由から自分の国を離れて出てくるという意味の難民でございますけれども、今回の場合は大方は、第三国人がクウェート、イラクで労働しておった、しかしこの間のような危機的な状況のために外に出てきて本国に帰る、そういう形の避難民としての動きであった、そこが一番大きな違いではないかと思います。
○木庭健太郎君 今外務省に概略をお聞きしましたけれども、私自身、今回の現場を見てきて非常に感じたことは、今おっしゃっていたことなんですけれども、これまでの避難民とか難民の発生状況はどうなのかというと、紛争があったところとか当事国とか、そういうところの人たちが避難民になり難民になるという形だったわけですよ。今回キャンプに行ってみて驚いたのは、本当にさまざまな国の人たちがいるということなんですね。 もちろん、今まで日本で話題になりましたアジア系の人たち、出稼ぎ労働者もいました。それから、中東のあの地域のいわゆる出稼ぎ労働者の方、イエメンの方もいましたし、もちろんパレスチナの方もいらっしゃいました。そういう人たちが難民になっているような、避難民になっているような状況もある。いわばこれからの難民問題、避難民、難民の問題でぜひ考えておかなければいけないのは、当事国だけではないんだと。労働力が国際化している中で、やはり一たん紛争なり何か問題が起きた場合はいろんな国が影響を受けるということが考えておかなきゃいけない課題だと思うんです。 それともう一つ、本当は言っていただきたかったんですけれども、私がキャンプを見て感じたのは、これがどんな状況になるか、推移するかというのは国際機関も現在非常に心配しているところなんですが、もう一つ心配していることがございます。何かというと、避難民の難民化の問題です。結局どういう人たちが今避難民になっているかというと、その国に帰れる人はいいです、母国がある人は。例えばソマリア人とかスーダン人とか、いっぱい避難民のキャンプにいました。この人たちはどうなるかというと、国が内紛です。帰ろうにも帰る国がない。 さらにかわいそうなのはどういう人たちかというと、地図上国がない人たちがいらっしゃいますね。御存じのとおり、アッシリアとかエリトリアとか、こんな人たちが避難民として追い出されたけれども、結局帰れないままもうキャンプが長期化しているわけですよ。こういう人たちに何ができるのか、これが物すごく大きな課題の一つにもなっているわけです。国連機関の現地の人たちと話しても、その問題が非常に出されました。政治的に非常に絡む問題でもございます。それに何ができるか。日本としてもそういう面、ぜひ何かできないのかという話も実際ございました。 そういうことを踏まえて、私は今あの湾岸の避難民、難民の問題は第二段階に入ったと思うんです。避難民が大量に出るという時期は終わって、そこに残された人たちがどうなるのかという問題がある。それから、新たに紛争で、確かにおっしゃったように、イラク国内から兵士が逃げてきたり、いろんな問題がございます。そういう第二次段階を迎えたと私は思っています。決して終わったわけじゃない、今から一つの新しいものが始まったという認識をぜひ頭の片隅に入れてほしいと思うんです。日本人というのは熱しやすく冷めやすいし、ニュースはいっぱいありますから、一つのことが終わったらもうすぐ忘れてしまいますけれども、そうじゃないんだということを認識していただきたいと思うんですね。 そこで、外務大臣、国連事務総長とアメリカでお会いになったというお話ですけれども、人道上の問題については何かお話をされたかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先般、国連を訪問いたしまして事務総長にいろいろとお話を申しましたが、事務総長からは、イラクへの人道援助に関して三月二十二日の安全保障理事会の制裁監視委員会の決定、これは食糧については同委員会に報告するだけで、その他広義の人道援助とみなされるものについても同委員会の了承を得て供与できる旨の決定がされたということについて、満足しているというお話がありました。 また、私からは、パレスチナ難民救済事業機関、UNRWA、これでイスラエルが現在占領しているガザ地域のパレスチナ難民に日本が一千万ドルの食糧援助を行うということも申してまいったわけでございます。
○木庭健太郎君 本当は私は、国連事務総長に外務大臣が会ったらまず言わなくちゃいけないのは何かということ、今回は国連機関が初めて、ばらばらの各機関が初めて一本にまとまってこの避難民、難民対策をやったんです。国連としても初めての取り組みをやったわけですよ。そういう認識というのはぜひ日本としても伝えるべきだと思うし、日本がお金の面では一番貢献したんです、確かに。そういうことをきちんとやっぱりやっているんだということを私たちとしても言うべきだし、また向こうのやったことも評価するという作業をしなければ、私は何をやっているのかなという話になってしまうと思うんですね。その辺もう少し突っ込んだ話をしてほしかったなというふうに思ったわけです。 そして、難民キャンプに行って私自身一番ショックを受けたのは何かといいましたら、ソマリア人とかスーダン人とか、それから国籍のない人たち、結局もとの国に帰すことができない人たちは、安定すればもとのところに戻すというのが本当なんですけれども、そうじゃなくて、第三国にどうしても行かざるを得ない人もいるわけです。そういうソマリアの方に聞いてみると、どこか行きたい国はというと、ヨーロッパは出てきます、アメリカは出てきます。日本についてはどうですかねと聞いたら、いや日本は無理でしょう、日本は受け入れてくれない、日本はそういう問題については一番厳しい国だと聞いているし、ある意味じゃ行きたいという希望はあっても行けないと思っているというふうな答えが何人からも返ってまいりました。 本当は日本は一万人受け入れる枠があるわけですよね。何でこんな評価しか受けないのか。ぜひこれは、担当は外務省だけじゃなくて法務省もそうですから、お二方の御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) 我が国は、昭和五十六年の難民条約への加入に伴いまして入管法を改正して難民認定等のやりやすいように規定を整備しまして、それによって難民の受け入れは行っているわけでありますけれども、インドシナの難民につきましては、昭和五十年の国連総会の決議を受けてその後基準をつくりまして受け入れを行っている、こういうことで、難民の認定、それからインドシナ難民受け入れのいずれにつきましても国際社会における基準となっているものを踏まえて行っているわけであります。 今先生お話しの難民の問題と、もう一つは避難民という形での受け入れの問題、これはまた別に難民条約上の難民に該当する場合にはそうした保護的な措置は今でもできるわけでありますけれども、一般の外国人労働者というような形で中東地域にいた人たちが流出してくる、その人たちを日本で受け入れるということになりますと、これはまた問題は別でございまして、従来の方針に基づいてやらざるを得ない、こういうように考えておるところでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 難民の受け入れについては、政治的な虐待を受けた者あるいは宗教上の迫害を受けて難民となってきた人を約一万人まで日本は受け入れるということを申しておりまして、現在七千二百人ぐらい既に日本は受け入れていると思います。受け入れる際にはいろいろとチェックをいたしますが、例えばベトナム難民といいましても、ボートピープルのようなのは長崎とか鹿児島とかいろんなところで一時入れて、そこで実際の難民かどうかということを確かめてから日本に入れるという手続をいたしておりますが、私もいろいろと回ってまいりました。 確かに、委員おっしゃるように、日本の国内では七千数百人ですが、例えば香港などは相当な数がもう定住化している。また、ヨーロッパでもウィーンの郊外あたりの収容所では難民センターで定住している。パレスチナ難民も含めてこの難民問題というものは国際的に大変難しい問題です。今回は国連難民高等弁務官事務所に日本の緒方先生が御就任になりましたので、日本政府としてもこれらの機関の活動に一層協力していきたい、このように考えております。
○木庭健太郎君 もう一つキャンプに行って感じたことですけれども、確かに日本の物資も届いておりました。金、食糧といった形の大枠、車、毛布も送っていらっしゃる。ただ、実際に現場に行って一番感じるのは、そうお金はかからなくてもいいんだけれども、いろんな面で細かい配慮がもっと必要だな、抜けているところがあるなということを感じました。 例えば、こうやって長期化していくと、子供がいっぱいいますが、子供たちに何か教えようにも教えようがないという問題があるんですね。それはどうなのかというと、ノート一冊あればいいと言うんです。鉛筆が一本あればいい、それだけで本当に助かる、そんな話が随分出てまいりました。そういう意味では、援助するにしてももうちょっと細かい配慮といいますか、そういった点をこれからやっていく時期に来ているんじゃないかと感じるんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生の避難民の救援についての貴重な御意見、今後とも私たち参考にさせていただいて対応してまいりたいと思いますが、なかなか難しい問題がございまして、例えば一例ですが、避難民を受け入れている国にとってみれば、その避難民のキャンプを充実させるということをもしいたしますと、そこに定住されるんじゃないかという心配を実は持っている国があることも事実でございまして、そういう意味で、先生御視察になられて非常にキャンプが貧しい、もっと何とかという、それは私はお気持ちとして非常にわかるんですけれども、その受け入れ国との関係を考えますと、やっぱりそこのところも考えながら物事を進めていかなくちゃいかぬなという感じもいたします。 しかし、いずれにいたしましても、先生の御意見を念頭に置いていろいろなことを今後考えさせていただきたいというふうに思います。
○木庭健太郎君 その定住の問題も確かにあります。確かに実際は、人を置いたり技術指導するような人間が来ると、これはなかなか避難民キャンプというのは難しいんですね、人が来たらもう定住されるというので。ただ、そういう物資の面ではまだまだ細かい面で協力できるのは僕は随分あると思います。 そういう細かい配慮をするためにぜひやらなくちゃいけないのが大使館の充実だと思うんですよ。実際行きましたら、政務担当官の方で一生懸命やっていらっしゃる方がいまして、そういう意味ではうれしいなと思いました。しかし、それは人にかかわる問題です。興味を持って一生懸命やるならそれでいいけれども、結局人に頼るだけじゃだめなんじゃないか。例えば、そういう難民が発生しやすい地域について、また現に発生している地域についてはきちんと担当官を置くような、それをやることがある意味では日本の本当の人道的貢献ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(丹波實君) ただいまの先生の御質問は、外務省の人員増ということに対する応援のお言葉と受け取って、大変感謝申し上げます。今後とも一生懸命やってまいりたいと思います。
○木庭健太郎君 ぜひそういう面を、ちょっと何か大蔵大臣は首をかしげていますけれども、人道国家日本と言うなら、やっぱりそういう面も私は必要だと思っております。 そして、もう一つぜひ指摘したかったことは緊急時の対応の問題でございます。 今確かに、今後三党合意の中でPKOの問題なんかをやらなくちゃいけないと思っていますけれども、実際の緊急時の場合、政府の顔が見えると、正直言ってこれは対応できないですね。要するに、国家の顔をもって紛争時に突入していったりすると、これは内政干渉になるからできないんです。いざそういう問題が起きたときに対応できるのは何かというと、やっぱり非政府機関のNGOであり、そういったものを日本としては今後も育てていかなくちゃいけないと思うし、ICRCという国際赤十字の人に話しましたら、国際赤十字の方は、もし日本がそういうことでやる気があるなら、自分のところで受け入れて訓練してあげてもいいよということまで言っているわけです。 そういうことも含めて、今後NGOの日本での充実を考えていかなくちゃいけないし、そのことにぜひ取り組んでいただきたいというその点についての答弁をいただきたいのと、時間ですから最後に、難民、避難民の問題で今一通りお話ししましたけれども、これからやっぱり日本が貢献するのは非軍事の人道的貢献の強化であり、人道主義国家として日本が世界に貢献することが一番大事だと思っておりますが、その点についての総理の御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 人道的な面ということをこの国会を通じていろいろ議論してまいりましたし、また人道的な貢献は今後ともしなければならぬ、私もそのように決意をいたしております。同時にまた、難民キャンプ、私が見ましたのはジョルダンのキャンプでありましたが、そこにフランスのNGOの人が来て早速医療活動等に当たっていらっしゃる現場も見てまいりました。日本から派遣の先遣隊も見せてもらいまして、いろいろ刺激と教訓を受けてまいりました。今後とも力を入れてまいりたいと思います。
○木庭健太郎君 終わります。
○委員長(平井卓志君) 以上で木庭君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、立木洋君の質疑を行います。立木君。
○立木洋君 海部首相にお尋ねいたしますが、中東の状況を振り返ってみて、八年間にわたるイラク・イラン戦争、あれはイラクの侵略で始まって、国際的には厳しい批判を受けることなしに、かえって大国からの武器の援助を受けるというふうなことで軍事大国になったというふうな事態があの湾岸問題ということを考える場合でも非常に重大じゃないか、こういうことを世界的にも今後の重要な教訓とすべきじゃないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今日のイラクの軍事的にあの地域で突出した力というものがどうしてできてきたんだろうかということになれば、それは御指摘のように、八年間のイラン・イラク戦争を通じてイラクに対して武器を野方図に供与した国があったということでありますから、今後再発防止のためには、そちらの面からの透明性、公開性、そういったものをきちっと枠組みづけていくことが必要であろう、こう考えております。
○立木洋君 ところで、アメリカ政府が三月二十二日にイスラエルとサウジアラビアへ十二億ドルの武器の売却をするということを議会に通告いたしました。引き続いて、今湾岸五カ国に対して百八十億ドルの武器を輸出するという計画が進められておる。こういうことは、先般の湾岸の事態から振り返ってみるとやはり容認できない事態じゃないかと思うんです。湾岸戦争が終わった直後にこういう事態が起こるというふうなことはやはり容認できないと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 湾岸戦争後の中東地域のいわゆる武器の購入問題、これはアメリカが売るといったようなことを今委員御指摘でございますが、私は、イラクが超軍事大国になっておったわけでありますが、ここでイラクが今回の湾岸戦争の張本人として安保理の決議に従わずについに武力でクウェートから撃退されるという事態になってまいりますと、中東地域における力のバランスというのが崩れたと思います。この力のバランスが崩れた中東のこれからの和平、平和をどう構築するかということは、中東地域の国々にとって、単に全体の平和のみならず、自国の安全というものが非常に大きく関与しているのではないか。 そういう意味では、先般、三月六日でございましたか、シリアのダマスカスで開かれましたGCCとシリアとエジプトとの外相会談においても中東の防衛問題というものが議論されておりますけれども、それぞれの国の安全保障が絡まる問題でございますので、日本政府としてこの地域に兵器が拡散することは極めて好ましいことではございませんが、それぞれの国の安全保障問題というものについてはそれぞれの国がそれぞれの権利を持っているわけでございます。日本政府としてはできるだけ兵器が拡散しないように国際社会において考え方を述べてまいりたい、このように考えております。
○立木洋君 アメリカ政府のそういう動きについて、既にアメリカの国内では大変厳しい批判が出てきているんですね。つまり、湾岸戦争というああいう事態があった直後にそういう武器の売却をする等々というのは大変危険じゃないか、もっと武器の輸出を自制するという方向にこそ努力すべきじゃないか、そういうふうな態度をとらないというアメリカ政府の態度は矛盾しているんじゃないか、こういう大変厳しい批判がアメリカの国内で相当起こっております。 そういう点について、アメリカがそういうことを行おうとすることについて言うならば、今までも、パーレビ国王時代にイランに対してはアメリカも相当やっぱり援助してきたんですね。ところが、パーレビ国王がああいう形でイランの革命でひっくり返って、イラクが侵略を開始したときには、今度は一九八四年アメリカはイラクとの間に国交を正常化して、そして援助を提供するようになった。だから、地域の安定だと言いながら、結局武器の提供ということは非常に大きな問題を与えているんだということを厳しく考えなければならないと思うんですが、そういう点、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 世界の武器輸出の八五%が国連の安全保障理事会の常任理事国で行われていることも現実問題でございまして、アメリカの兵器を買うかあるいはソ連製の兵器を買うか中国製を買うか、いずれにしても、兵器が拡散していくことは日本政府としては好むところではないという考えでございます。
○立木洋君 日本政府の当局者が中国側に対して武器の輸出の問題に関して自制するように話をしたという趣旨のお話がありましたが、どういう内容でしょうか。
○国務大臣(中尾栄一君) 立木委員にお答えいたします。 それは先般私が中国に参りましたときにいろいろ出た話でございまして、私どもは私どもの立場として、貿易は拡大均衡で結構だが、武器輸出は縮小均衡でいくという基本方針を述べたわけでございます。七人か八人の要人にお会いをさせていただきまして、大体型どおりではございますけれども、その形はずっと貫いて言い続けたつもりでございます、これは私どもの政府の基本方針でございますから。それに対しましては、具体的に国連への報告制度の確立なども呼びかけたつもりでございます。先方は、基本的考え方では賛成としておりました。 しかし、核兵器抑制が最重要であるという点からいきますると、やはり二つに分けるべきことではないか。これはお一方が言ったわけでございますけれども、それは通常兵器と、それから核ミサイルあるいはまた原爆みたいなものですね、そういうようなものに対しては分けて考えていくべきではないか。その場合に、むしろ超大国に対してもそういう訴え方はしていただいた方がさらに大きな効果を生むのではないだろうか。そこで、その旨はまたひとつあなたのサイドでもお願いをしたいと思いますと、こういう要請でございました。私も、それはそのとおりでございますから、それはしますということも申し添えたというわけでございます。 ただ、そういうことと同時に、小国の自衛権の否定につながってしまうようなことも、これは私どもとしては余り賛成できるものではない。だから、大国から始まって、同時にまたそれが小国も受けて一緒にいくというような姿こそが理想じゃないかということを向こうは理想として述べておられたことも申し添えておきたいと思います。
○立木洋君 首相は今度四日に訪米されブッシュ大統領と会談なさいますが、やっぱり武器輸出の問題についてきちっと今の湾岸後の状況を踏まえてお話をなさっていただきたいと思うんですが、そういうおつもりはおありでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 日本は世界の平和とそして繁栄を願って今後努力をしていかなければならぬという立場に立って、武器輸出の問題については透明性、公開性を高め、国連の場なんかでその基準とかルールをきちっとつくって平和の枠組みとしての役割を果たしていかなければならぬ、こういう考えも持っており、現に五月には京都で国際会議を招集して、それぞれの国の学者やそれぞれの国の担当者に集まっていただいて、これらのことも率直に話していくつもりでございます。日本の基本的な考えについては、話題に出ればいつでもこの基本をお話しするつもりでおります。
○立木洋君 イラン・イラク戦争の一九八一年から一九八八年までの間、日本のイランとイラクに対するODAの援助の状態がどうであったのか、金額を挙げて説明してください。
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。 先生御指摘の八一年―八八年の八年間の両国に対するODAということでございますが、有償資金協力、無償資金協力、技術協力という形態がございますが、同期間中の対イラン援助の実績は、これは約束ベースでございますが十六・八七億円、対イラク援助実績は、同じく約束ベースで二百三十七億四千七百万円というふうになっております。
○立木洋君 今の数字、お聞きになったと思いますけれども、イラクに対して、これはもちろん武器の輸出じゃありません、日本政府は。しかし、やはり軍事大国になったという経過を見るならば、やはりODAのあり方というものを当然考えなければならないと思う。首相自身も、必要以上に軍事力を強化したり他国に軍事援助する国に援助すべきではないと思うと予算委員会でも述べておられますが、今後どういう形で具体的にこれを進めていかれるのか、ODAの検討の問題ですね。その内容について御説明いただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) これはそれぞれの国の実情に応じて、日本はもちろん軍事援助はいたしませんし、また考え方としては、民生の安定、そして民衆が根づいていくように、その国が経済的に自立できる活力を持っていくように、そういったことを願っての協力でありますから、その基本線に従って引き続き行っていかなきゃならぬと思っております。 なお、今お触れになったように、今後は必要以上に軍事力強化に予算を使っておる国とか、他国に軍事援助を行っておるというようなこと等については、これはODAの場合には研究をしなきゃならぬ問題であると、かねて申し上げております。
○立木洋君 この点は非常に重要な問題であり、ああいう軍事大国になったということから引き出すべき重要な教訓であるわけですから、ぜひODAの問題についても積極的に検討していただきたいということを強調しておきたいと思います。 それから、総理が先般の参議院の予算委員会で、新しい国際秩序について、力で他国を侵略、併合しては絶対にいけないという大原則、これを今後の共通の理解として打ち立てていかなければならないというふうに述べられております。そういう見地に立ってパレスチナの問題、つまりイスラエルの軍事占領の事態ということはきちっと解決しなければならないと思うんですが、今後、具体的にどういう努力をパレスチナ問題解決の上でなさっていかれるのか、その点についてお聞きしておきます。
○国務大臣(海部俊樹君) パレスチナ問題については、もうかねてから国連で何回も議論もなされ、また有名になっておるのは二百四十二号の決議、三百三十八号の決議、これは中東戦争の後で行われておるものであります。あの決議の中に入っておる基本原則というものが、今後、日本として中東恒久和平のためにパレスチナ問題解決に臨んでいくときにとっての基本の問題でございます。それに従って解決をされるべきである、こう考えております。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。吉岡吉典君。
○吉岡吉典君 午前も問題になりましたアメリカ産米の展示問題ですが、去年に引き続いて、ことしもまた食管法違反という同じ問題が起こったわけです。 午前の答弁を聞いておりますと、アメリカは何も知らないでやったのではなく、よく知った上でやったように思いますが、そうとっていいでしょうか、農水大臣。
○国務大臣(近藤元次君) 知っておると思います。
○吉岡吉典君 アメリカは知った上でやったということです。重大問題です。 日本政府は、アメリカが展示してからどの時点で話をしましたか。それで、アメリカは何日の何時まで展示し続けていましたか。
○国務大臣(近藤元次君) 日本政府としてアメリカ側に申し入れをしたのは数次にわたることで、すべてを記憶しておりませんけれども、十二日に確認をいたしました。十四日の午前中まで展示をしておったと思います。事前に注意も、日本の法律を外国の人に守っていただくわけですから、十分丁寧に説明をしてきたことであります。
○吉岡吉典君 すぐ撤去したんですか。
○国務大臣(近藤元次君) 十二日から十四日の午前中まで展示をしておりました。
○吉岡吉典君 アメリカは百も承知で違法の展示をやった。日本政府が申し入れてもすぐに撤去しないで、最終日まで展示を続けたということです。 これはとんでもないことですが、その上に農務長官の書簡を送って、脅迫的な手紙で日本に文句をつけてきた。これは全く逆さまなことだと私は思います。アメリカ農務長官は、アメリカの農民が侮辱を受けたと、こういうことを書簡の中で言っておりますけれども、私は、侮辱を受けたのは日本の国家主権そのものだと思います。そう思いませんか。総理か外務大臣、どちらか。
○国務大臣(中山太郎君) 見方によっては、日本が侮辱を受けたという見方をする方もおられるかもわかりません。しかし、私は昨日アマコスト駐日大使に午後六時十五分に外務省に来ていただいて、この事件の経過、そういうものを順序立てて説明をし、そして日本の食糧管理法、これに基づいた食品の展示の誓約書に署名をされているということに対してこれが守られなかったことは甚だ遺憾である、このように申して、ワシントンの米国政府に対して駐日大使から連絡をしていただくように言っております。 私は、この二つの国の関係が誤解あるいは一部の新聞報道によってセンセーショナルになっていくことは極めて遺憾でございまして、双方がこれから注意をしていかなければならないと考えております。
○吉岡吉典君 私は、誤解に基づくものだとか、だから説明して了解を得るという性質のものではないと思います。 というのは、百も承知でやって、午前の論議でも明らかになりましたが、オーストラリアは日本の話を聞いてすぐ撤去した。アメリカは撤去もしないで展示を続けた。その上に日本に脅迫的な手紙を送ってよこしているわけですから、これは説明して了解を得るというふうなものではない。大体アメリカの書簡というふうなものは全くお門違いのものであって、日本の側が国家主権無視、国家主権に対する侵害として抗議すべき性質のものだと私は思います。その点は再度お尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) アメリカ側という話でありますけれども、アメリカの政府が米を出展したわけじゃなくて業者が出展しておるものですから、私どもは、最初は出展者に対して、あるいは主催者であるべき日本能率協会に対して、法律の内容を丁寧に説明して撤去の申し入れをしてきたわけであります。最終的にはアメリカの在日大使館が中に入って撤去をしたと、こういうことでありますから、アメリカ側の在日大使館も最終的な努力をしてくれたものと判断をいたしております。
○吉岡吉典君 その後で、あなたにあてたとんでもない手紙が来ているわけですね。 私はこの問題が非常に重要だと思いますのは、一九八八年に当時のヤイター通商代表が、日本は風圧をかければ幾らでも折れる国だと、こういう発言をして、それは当時閣議でもその発言が問題になったことが報道されております。私は、今回の農務長官の書簡というのは、日本はおどかせば折れると思っての、そういういわゆる風圧の意思としての手紙だと思いますが、農水大臣はそういうふうに思いませんか。
○国務大臣(近藤元次君) 今のお話は、新聞情報等に私の発言で、逮捕する、おどかしたというようなことがアメリカのマスコミの世上にのったことはさきに御答弁申し上げたとおりであります。そういう誤解に基づいての書簡の内容になったりブッシュ大統領の発言になったのではないだろうか。そのことをもって米の出展と日本国内の対処の仕方ということとを連動させたんだろうと思うわけでありますから、私にいただいた書簡も誤解に基づいたものだと、こう判断をして、正確にお伝えをしたら、そのことについては、対応した私のところの部長は、理解を得られたと、こういう判断をいたしておるわけでありますから、誤解に基づいた書簡であると思うわけであります。 おどかしによってその後日米の農業交渉その他について日本が折れるというような判断をする人もいるかもわかりませんし、私は担当大臣としてそういうおどかしには乗りませんので、御安心をいただきたいと思います。
○吉岡吉典君 安心したいんですけれども、アメリカの誤解に基づくものだと一生懸命弁護なさる点を見ると、完全に手放しで安心するわけにはいきかねます。大使館を通じて説得したわけですから本国にもわかっているはずなんです。その上での書簡ですね。 私は、訪米前に総理にも要望しておきたいと思いますが、さっきはアメリカの側の発言を申しましたが、日本国内でもそれに似た発言がある。これは当時新聞に報道されましたが、自民党首脳の発言として、この米の輸入自由化問題はアメリカの圧力があってどうにもならなかったということで決着をつければ済むのだ、そういう報道が行われたことがあります。そういう経過を踏まえてみますと、今度の展示問題も、またその後の脅迫的な手紙も含めて、日本政府が筋を通して、特にこの参議院における国会決議、これも念頭に置き、たとえ部分的なものであっても認めないという立場を貫いて交渉してきていただきたいと思います。総理、決意のほどを。
○国務大臣(海部俊樹君) 米の問題はガット・ウルグアイ・ラウンドの場でそれぞれ担当大臣が行って話し合いをするわけでありまして、ガット・ウルグアイ・ラウンド全体を成功させるために、厳しい問題を持っている日本の立場も説明しなきゃならぬ、日本は米に対してどのような考え方を持っておるのか、各国の共通の理解、認識を得るために主張すべきことはきちっと主張をする、ウルグアイ・ラウンドの場において担当大臣が主張するように私からも強く指示をいたしておきます。
○委員長(平井卓志君) 以上で立木君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、井上哲夫君の質疑を行います。井上君。
○井上哲夫君 連合参議院の井上でございます。私は花粉症のことをお尋ねいたします。 このところ、毎年春先になると杉花粉によるアレルギー症が大都市に居住する住民に多く発生しまして、罹病者本人の苦痛や日常生活への支障となるばかりでなく、いわば社会的にも大きな問題になっている。一説によれば、一千万人がかかっているかもしれないいわば国民病であるというようなことも言われております。 そこで、まず花粉症と呼ばれる病状について厚生省の方でどのように把握してみえるか、お尋ねをいたします。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 花粉症というのは、御承知のように、花粉に対します生体防御機構の過敏な反応でございます。これが本態でありますが、その症状につきましては、アレルギー性眼結膜炎とか鼻炎が主な病態でございます。それから、具体的に申し上げれば、くしゃみでありますとか水様性鼻汁あるいは鼻詰まりというふうなもの、あるいは目のかゆみあるいは流涙というような目の症状がある、こういうことでございます。
○井上哲夫君 今の花粉症についての御説明で、特に杉花粉症と言われる点について、どのような把握を厚生省の方でしてみえますか。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 花粉症というのはいろいろ考えられるわけでございますが、私どもの研究班の報告によりますと、大体花粉症の八〇%ぐらいは杉花粉症と、こういうことだと聞いております。
○井上哲夫君 では、この杉花粉症と言われる症状を帯びている人は一体どのぐらいみえるのか、その数字をお尋ねいたします。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 全国的な規模の調査はないのでございますけれども、私どもが聞いておりますのは東京都の調査がございまして、住民の大体一〇%、一割ぐらいいる、こういうふうに聞いております。 それで、実はその特徴的なところは、全国調査ではございませんのですが、研究班の報告によりますと、地域性あるいは季節性でございますね、それから二十歳代に発病する者が多い、こういうようなことを聞いております。
○井上哲夫君 このような花粉症についてどういう治療方法があるか、対症療法あるいは基本療法についてお尋ねをいたします。
○政府委員(寺松尚君) 今先生から御指摘いただきましたように、対症療法的なものとそれから基本的なものと、こういうふうにあるわけでございますが、対症療法といたしましては、ごく平凡なんでございますけれども、マスク、眼鏡等により花粉への暴露を防ぐ方法、あるいは花粉症の症状を一時的に抑えます薬物投与、あるいは症状の軽減を図るために花粉が飛散します前に抗アレルギー剤を投与する、こういうような方法がございます。 それから基本的な問題で、なかなかこれも効果の発現率というのは大体三割程度から四割ぐらいと聞いておりますが、一応花粉の低濃度のエキスを皮下注射いたしまして、そしてそれを頻回にわたってやるというようなことで身体を花粉にならしていく減感作療法、こういうようなものがございます。
○井上哲夫君 先ほど東京都で約一〇%と。それから国内の罹病者を推測いたしますと、何と一千万人ということになろうかと思いますが、この花粉症の原因、花粉の抑制あるいは飛散を防ぐこと等ができるかどうかについて、農林省の方へお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(小澤普照君) お答えいたします。 花粉症の原因としては、杉の花粉量の増加のみならず、食生活の変化によるアレルギー体質の人の増加でございますとかあるいは大気汚染等との複合要因など、これらの要因も挙げられているところでございますが、私どもといたしましては、このために、平成二年の四月でございますけれども、環境庁、厚生省、林野庁、気象庁で構成する関係省庁の連絡会議を設置いたしまして、密接な連携をとらせていただきながらこの問題に対応しているところでございます。 それで、私どもとして昭和六十二年度から調査をいたしておりますのが杉花粉の動態調査でございますが、この調査の中で、杉林の分布状況それから杉花粉の発生状況等につきまして調査をいたしまして、平成二年の四月には当面の対策といたしまして、花粉発生量の抑制に資すると考えられる森林施業の推進について指導を行ったところでございます。この指導と申しますのは枝打ちとか間伐でございますけれども、私ども調べてみましたところ、同じ杉でございましても品種によりまして花のつき方が大分違うわけでございます。それからまた、同じ品種でも個体差があるということもわかってまいりまして、そのような状況でございますので、花のたくさんついている杉につきましての枝打ちとか間伐を進めたらどうかということで現在行っているところでございます。 さらに、平成三年度におきましては新たな事柄を考えておりますけれども、これは花、雄花でございますが、雄花の少ない杉の品種を選定するというようなことで花粉発生量の抑制に資する調査研究を行うということでございます。それからもう一つは、都市近郊の杉の林分につきまして、花粉発生量の多いものにつきましては優先的に間伐を行う事業を行いたいということでございます。それからまた、全国的に見まして花粉発生量の多い杉やヒノキ等の人工林の枝打ちを行う事業も新たに実施いたしたい、このように考えているところでございます。
○井上哲夫君 今花粉の飛散の抑制策をお答えいただいたんですが、即効性といいますか、その効き目はどの程度予測されているんでしょうか。
○政府委員(小澤普照君) 杉の森林というようなことで考えます場合に、花粉の発生対策ということになりますと、着花量につきましては品種とか個体によって差があるということを申し上げましたけれども、そのような観点から見ますと、杉の花粉の少ない品種を育成していくとか、あるいは杉の林内に広葉樹なども混植をいたすというようなやり方もあると思うのでございますが、これにつきましては時間もかかると思います。 したがいまして、即効性という観点になりますと、やはり雄花の着花量の多い木を対象とした間伐や枝打ちの方が効果があるというように考えているわけでございまして、このことから、先ほども申し上げましたような直接花粉を削減するための施業を行うということで都道府県等に対して指導もいたしまして、実績といたしましては、間伐では五千六百ヘクタール、それから枝打ちにつきましては千九百ヘクタール今までやっていただいたということを我々把握しているわけでございます。さらに、平成三年度からは、これらの間伐や枝打ちにつきましては市町村でございますとかあるいは森林組合等に対しましても助成をするというような新しい事業を創設させていただいて、花粉の飛散量を減らしたいということを考えておるわけでございます。 さらに、森林の施業と花粉発生量との間の関係ですが、どのようになっているかというような調査につきましても、これは森林施業との関係解明調査ということで新たな事業をやらせていただきたい、このように考えております。
○井上哲夫君 花粉症の原因の一つが花粉である、ただ最近は大気汚染、ディーゼルエンジン車のすすも関与しているのではないかと言われておりますが、その関係について環境庁で取り組みがなされているか、お尋ねをいたします。
○政府委員(柳沢健一郎君) 花粉症の発生に大気汚染物質が関与しているという指摘もございますけれども、大気汚染物質の介在によりまして花粉症が増加するか否かということにつきましてはよくわかっていないというのが現状でございます。そこで、環境庁といたしましては、平成三年度より花粉症と大気汚染物質との関連等につきまして調査研究に着手することとしている次第でございます。
○井上哲夫君 大気汚染の方は今から調査研究に着手というお話でございますが、もう一つの原因と思われる現代人の体質の面で、これが花粉症にかかりにくいような体質に改善できるかどうか等、厚生省の方でどのように受けとめてみえるか、お尋ねをいたします。
○政府委員(寺松尚君) 今先生御指摘いただきましたように、いろいろな原因があるということはあるわけでございますが、その中で体質改善の問題、先ほどもちょっとお話しいたしましたが、花粉のエキスを繰り返し注射しますことによりましてだんだんならしていくというふうな減感作療法というのもございますが、そのほかのことで考えられますのは、食生活の改善ということもあるのではないかというようなことが言われておるわけでありますけれども、これにつきましては、私どもいろいろと現在の研究班なんかで得ております報告によりますと、どうもはっきりした確立された方法がない、このように聞いております。
○井上哲夫君 この花粉症について、もしわかっておればということでお尋ねをしたいんですが、職業病的な素因といいますか側面はあるのでございましょうか、労働省の方にお尋ねをいたします。
○政府委員(佐藤勝美君) お尋ねの花粉症でございますけれども、発症の原因につきましては、その就業の場、業務の場だけではなくて、日常生活全体を通じて原因が存在しているというふうに思われます。そういうことからいいますと、一般的には業務が有力な原因になって発症したとすることは難しい、つまり職業病であると言うことは難しかろうというふうに一般的には考えておる次第でございます。
○井上哲夫君 このところ、新聞には花粉予報というのが載っております。きょうは多摩地区は多目、東京も多目と出ておるわけですが、気象庁の方がこういう杉の花粉についてどのように国民一般に予報を出しているか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(立平良三君) 花粉が飛散する量の予報につきましては、気象庁の外郭団体でございます日本気象協会が自治体等と協力いたしまして実施しておるところでございます。その成果は、御案内のようにテレビ等を通じまして一般に報道されているところでございます。 この予報を作成するに当たりましては、気象庁の観測しました天気、風、気温、湿度、そういう観測成果、それから気象庁の発表いたします各種の予報、こういうものを基礎にして気象協会が作成しておるところでございます。気象庁では今後ともこれらの気象要素の予測精度向上のために努力する所存でございます。
○井上哲夫君 今いろいろ尋ねたわけでございますが、たかが花粉と言いますが、されど花粉。それで、昨年委員会で花粉症について質問があったときに、政府の方では関係省庁の意見交換はやっていると。しかし、これほど大きな国民病と言われるような花粉症に対して、例えば総合対策室をつくるとかそういうふうな本格的な腰の入れ方といいますか、そういうことはどうもやるつもりはないような趣旨の答弁があったわけでございます。 そこで、農林大臣、厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思うんですが、今こういう状況の中で、総合対策室を設けてこの問題について政府も本腰を入れてやるというようなお考え、あるいはその点についての御意見をお尋ねいたします。
○国務大臣(近藤元次君) 今政府委員からそれぞれ御答弁がございましたように、全くこれという決め手がまだ定まっていないわけでありまして、私は幸いにも花粉症にかかりませんけれども、実は林野庁でも花粉症で困っておる人も今それに取り組んでおるという状況でございます。 花粉症の問題は、今先生から類推して一千万ということでありますけれども、花粉症が発生をするというよりもかかるという地域も、どちらかといえば、森林に近いところの山村は花粉症にかからない、かかっても少ないので、むしろ東京とか大阪とか福岡とか都市部において花粉症の患者が多いということを考えてみると、必ずしも森林のそばにいれば花粉症になるということでもないようでもございます。 また、日本は杉の花粉によってかかるわけでありますが、世界的に見て、必ずしも杉の花粉だけではなくてそれぞれの地域によってそれぞれの樹木によってというそういう関係もあって、なかなか一堂に対策室を持ってどういう進め方をするというよりも、残念ながら、今のところ各省庁においてもう少し研究を進めていく、調査を進めていくということで、それを持ち寄ってやがてそういう対策室をつくることがあっても、現在では省庁におけるそれぞれの分野においてもう少し研究なり調査を進めていただくという、せっかくの先生からの昨年以来の御指摘、御心配で、御勉強いただいていることには感謝を申し上げますけれども、現状の段階では、濃密に連絡会議を開いて情報交換をするということの方がより適切でないだろうか。それぞれの省庁でその専門家がたくさんいる中で研究をしていくということの方がもっと大切ではないかなという判断をいたしておるわけであります。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。 花粉症は非常に厄介な病気であり、そして患者もかなり多い。先ほど委員の御指摘の一割という数は一つサンプルでとりました東京都の例でございますので、これで全国の数に延ばしてみることは若干問題があるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、大変多い患者であることは事実でございます。ただ、これについての的確な対症療法がまだ十分に定まっておらないことも、先ほど政府委員から御説明を申し上げたとおりでございます。 また、同時にこれが関係各省それぞれにわたる問題でありますので、委員の御指摘のように、昨年来これは各省、すなわち農林省、厚生省、気象庁、環境庁、この四省で取り組むということに相なっておりまして、平成二年の四月からその関係各省庁の連絡会議を既に四回開きました。それぞれの専門分野で検討し、また協調の体制を続けて研究に当たっておるわけでございます。
○井上哲夫君 最後に、総理にお尋ねをいたしますが、実はことしは昨年に比してはるかに新しい花粉症の患者が出ておると言われております。きょうこのような質問をいたしましたが、ひとつ総理のお考えを最後にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) いわゆる花粉症と言われるものに私はかかったことはないので同情が足りないのかもしれませんが、しかしお話を聞いていると約一割の人がかかっていらっしゃる。そう言われてみれば、テレビの報道なんかでも、花粉症、きょうはここが四とか三とか二とか色分けをして注意信号が出るようなものでありますから、大変多くの方々にとって関心の多い問題であろうと思います。 隣でささやかれたのは、いや、食べ物に気をつけたりスポーツをやったり、基礎体力をつくることもまた抵抗力をつけるという意味で大事なんだよと言われて、それもそうだなと、いろんなことを今聞きながら先生の御質問を聞いておりましたが、これがどうやったら本当に解決できるか、英知を絞って対処していくことが大事だと考えます。
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。池田治君。
○池田治君 私は、暫定予算について反対をするものではございませんが、若干予算編成上の問題につきまして疑問がございますのでお尋ねをしたいと思います。なお、この疑問の点につきましては、隣の安恒先生はもう初めから、やめとけや、恥かくだけだからという御意見のようでございますが、どうしても私は納得できませんので質問をする次第でございます。 まず第一に、大蔵大臣の提案理由説明では、平成三年四月一日から同十二日までの期間、しかも本予算成立までの経常的経費等行政運営上必要最小限度のものを計上する、こうお述べになりまして、地方交付税交付金は三兆三千六百七十億、本予算に対し二一%、社会保障関係費は九千三百九十億、恩給関係費が四千三百八十億、これも総予算の二四・二%、こういう膨大な数字になっております。 これを私が十二日間で計算しましたところ、地方交付税交付金は六千六百五十六億、社会保障関係費は五千八十八億円、このような小規模の数字になってまいります。これが何で十二日間の最小限度必要な経費と言えるかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 三年度の暫定予算は、まさに委員御指摘のように、その期間中における人件費あるいは事務費などの経常的な費用につきまして行政運営上必要最小限のものを計上しているわけであります。 具体的には、原則計上率は年間予算の三%、すなわち三百六十六分の十二という係数になります。しかし、その暫定予算の期間中に支出を必要とする例えば地方交付税交付金あるいは年金、恩給、生活保護費などにつきましては、それぞれの法令の規定によりましてその支給の月が決められておりますので、これらは実はそれぞれの所要額を計上しているわけであります。 例えば、地方交付税交付金につきましては、四月交付分として、二年度補正後予算額の普通交付税の四分の一相当額を計上いたしております。それは、普通交付税につきまして、地方団体の財政が円滑に運営されますように、毎年、四月、六月、九月、十一月の四回に分けましてほぼ四分の一ずつ交付されることが例になっております。そのために三兆三千六百七十億円を、まさに今委員の御指摘のように積算をいたしております。 また、厚生年金及び国民年金の給付費につきましては、法令などの規定によりまして二カ月分を計上しておるわけでありまして、四月給付費は二月及び三月分でありますから、これを計上いたしております。また、恩給費、遺族及留守家族等援護費など、これにつきましては、法令等の規定によりまして三カ月分を計上いたしております。すなわち、四月支給分というのは一月、二月、三月分でありますから、この三カ月分を計上いたしております。 また、生活保護費につきましては、同じく法令上の規定によりまして、四月支給分一カ月分を計上しておるということでありまして、基本的に、委員御指摘のようにその十二日間に対応すべき経費を計上しておるわけでありますけれども、法令によりまして支給月が定められておりますものにつきましては、その実態を計上しているということで御理解をいただきたいと思います。
○池田治君 それではまだ御理解はできませんよ。十二日分をぴちっと切れとは申しませんけれども、今までの慣例として年四回支給していたということは、これは大蔵省で勝手におやりになるんですか。どの法令に基づいてやられるんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) それぞれ、例えば恩給法あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法等、これらの法律条文の中あるいはその法律に基づきます政省令によって定められておるもの、そのように私は承知しております。
○池田治君 しかし、それは本予算が成立した場合の法令の規定でありまして、本予算が成立する前の段階でその法令は適用できないと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 仮に、もし委員の御指摘のような考え方をとりました場合、例えば厚生年金及び国民年金、これは基礎年金も含むわけでありますが、四月に給付をいたしますものは二月分及び三月分であります。これを暫定予算の日数割りにするというのは実態と全く乖離すると思います。また、先ほど戦傷病者戦没者遺族等援護法を一つの例で申し上げましたけれども、恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の中で支払われます公務扶助料等につきまして、四月に支給されますものは一月、二月、三月の三カ月分であります。これも暫定予算の期間日数で分割をして支払うという性格では私はないと思います。 また、地方交付税交付金につきまして、今委員がお述べになりましたように日数割り計算というような考え方をもしとりました場合に、本年度は幸いに十二日間の暫定で御審議をいただける状況でありますが、例えば昨年のように非常に予算自体がおくれていきまして暫定の補正をお願いするといったような事態を考えましたときには、私は地方自治体の財政というのは非常に大きな狂いを生じ、運営に影響を生ずると思います。 こうしたことを考えますと、私はやはりそれぞれの根拠法規の中、またその根拠法規によってつくられております政省令によって定められております支給月、これは暫定予算といえどもそのルールを守るべきものだと、そのように思います。
○池田治君 大分わかってきましたけれども、なおわからぬのは、地方財政とか年金、恩給関係費とか、こういうものの支給日が決められて何カ月分を支給する、そうしないと実態にそぐわないからそうするんだということは理解できましたが、しかし、何日間分ということを大蔵大臣は明確に期間を決定されている以上、この期間のうちそういう問題がありますということは少なくとも提案理由説明書では述べておかれた方がなお親切じゃないでしょうか。これは予算編成上の当然の前提であるということは前提であったかもしれませんけれども、こういう問題がある以上は、私は提案理由書にそれを述べておかれるのが大蔵省の務めだと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 率直に申しまして、私自身、法令あるいはその法令に基づく政省令に基づいて支給月の決まっておりますものにつきましてはそのルールを守ることが当然と実は考えておりましたので、委員の御指摘のような考え方を全く持たずに今回も御説明を申し上げました。しかし、これは実態として、いわばルールとして法律によって定められ、あるいはその法律を受けた政省令によって定められておりますものでありますから、これを個別に御説明申し上げるということは非常に煩雑になるのではないか、率直に申してそのような印象も私は持っております。 しかし、御指摘でありますので私なりに勉強はしてみたいと思いますが、説明不足という御注意でありますなら甘受をいたしますけれども、理由として今申し上げましたようなことがあることは、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○池田治君 よくわかりました。できるだけわかりやすい御説明をお願いいたします。これは仮に民事裁判が起きますと、十二日間分と切ったら、法令があっても十二日分の後でこれは議決するわけですから、後の議決が有効だとすればそんな前提のことは通らなくなりますよ。それは行政機関が今まで堂々とやってこられたのが私はむしろおかしいんじゃなかろうかと思っておりますが、時間も過ぎましたので、この辺で私の質問を終わります。
○委員長(平井卓志君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、寺崎昭久君の質疑を行います。寺崎君。
○寺崎昭久君 日ソ関係について総理にお尋ねいたします。 去る三月二十五日の当委員会で総理から、政府は四島返還を繰り返しソ連に求めてきたとの見解が述べられております。ポツダム宣言だとかサンフランシスコ講和会議以降も、北方領土問題については政治的曲折がさまざまございましたので、総理から四島を日本の領土とする根拠についてお伺いしたいと思います。 なお、全千島返還論というものもあるわけでして、これについてもあわせて見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 簡潔に申し上げますけれども、私は、北方四島は日本固有の領土であると思っております。これは、歴史的とかあるいは法律的とか、条約、宣言その他の問題について専門的な回答が必要だとおっしゃれば、専門家の方からいたさせます。ただ、明治八年の千島樺太交換条約というのによれば、千島列島とは得撫島から占守島まで十八の島を言うといって、十八の島の名前がずっとその交換条約に書いてあるんですから、それが、北方四島が日本固有の領土であって千島列島と言われるものに属していないんだということの根拠に私は考えておるわけであります。 それから、全千島列島の問題につきましては、これはいろいろ各党の御議論のあるところだと思いますから、それは各党なりにいろいろ考えていらっしゃるんでしょうが、自由民主党の考え方というもので育ってきた私としてみれば、サンフランシスコ条約で千島列島は放棄したわけでありますから、サンフランシスコの平和条約というものが戦後の領土確定のあれは大前提として認めておかなきゃならぬものであると私は考えておりますので、そういう根拠に立って、今回も北方四島の返還ということで貫き通していく考えでございます。
○寺崎昭久君 本日午前中外務大臣から、四島一括返還、これが政府の方針である、これは変わりませんというお話がございましたが、四島一括といった場合の一括ですが、四つの島が現実に返ることを意味するのか、それとも四つの島の主権が一括して確認されれば、返還方法だとか時期だとか、そういったものが違ってもいいとお考えなのか。これはいかがでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) お答え申し上げます。 四島一括返還と申しておりますのは、まずは何をおいてもこの四島の主権の問題、これが根幹であるというふうに認識しているわけでございます。しかるところ、たびたび御説明申し上げておりますように、歯舞群島、色丹島につきましては日ソ共同宣言に既に規定が書かれておる。したがって、国後、択捉両島の主権の問題にまず決着をつける。そういたしますと、歯舞群島、色丹島と加えて、四島一括して主権の問題にケリがつく。これがまず政府間交渉で決着を図るべき問題であると、こういうふうに考えておる次第でございます。
○寺崎昭久君 その際、四島返還というのは、ソ連による四島の返還スケジュールが示されること、それに対して日本の合意がない限り四島が返還された、約束されたとは言えないと思うんですが、そのように理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 先ほどお答えを申し上げました四島の主権の問題について明確に決着がつく、つまりソ連が四島の主権を認め日本に返還をするということを明確に約束いたしますれば、その後のいろいろなことにつきましては、具体的には両政府間の交渉にゆだねられて決定されるべきものであると。その際のいろいろな対応につきまして今の時点で、これは交渉の中身に入るわけでございますから、その対応につきましていろいろ申し上げるということは、対ソ交渉上御容赦をいただきたいというふうに考えている次第でございます。
○寺崎昭久君 交渉に入るところであるからという事情はわかりますけれども、来年返っても百年後に返すと言っても返すことには違わないというような理解をされたら困るわけです。ですから、私はスケジュールを確認したところで四島が返還されると考えるべきではないかと申し上げたのですが、そういう考えでよろしいですか、再度お伺いします。
○政府委員(兵藤長雄君) 当然のことながら、北方領土問題の最終的な解決と申しますのは現実に北方領土四島の引き渡しを受けるということで決着をいたすわけでございますが、その決着をする文書がまさに日ソ平和条約でございます。したがって、日ソ平和条約が結ばれる、締結される時点というのは、まさにこの北方領土問題についてのいわゆる返還を受けるということとこれは同義語であるというふうに解釈するわけでございます。
○寺崎昭久君 このほど自民党訪ソ団が、北方四島の潜在主権が認められれば、歯舞、色丹以外の二島は一定期間後の返還でもよいとの発言をしたやに報道されておりますけれども、政府の考えに沿ったものなのかどうか。つまり、最初から二島は後でもいいよという考え方があって交渉、会談に臨まれるつもりなのかどうか、見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 政府の考え方は、四島の北方領土というものは一括して考えておりますから、それは四島返還ということがきちっと決まるということを大前提にしてその次の話の段階には進んでいくわけでございます。
○寺崎昭久君 二島だけでも善隣協力条約を結んでもいいのじゃないかという話が従前に聞かれたことがあります。今の話から推測しますと、日ソ平和条約は四島返還がきちっと約束されない限り締結しない、そのように確認してよろしいでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 歯舞、色丹二島の問題で共同宣言を行いました一九五六年のときは、残る二島の問題についてどうしても両国の合意が得られませんでしたので平和条約にならなかったという経緯がございます。私たちは、この日ソの共同宣言の歯舞、色丹とともに、国後、択捉を含めての四島の返還というもの、四島の日本の主権というものを、それをきちっと確認して、その先でないと平和条約締結には入れない、こういう基本的な考えを持っております。
○寺崎昭久君 今の継続交渉の問題ですが、一九六〇年、六一年のソ連からの外交書簡によりますと、日ソ共同宣言でうたわれている二島返還を修正するかのような、そのように受けとめられるような文章が私は見えると思うわけです。それからもう一つ、この共同宣言を締結した後も、ソ連は領土問題は解決済みだというような話を長い間言われてまいりました。 そこで、共同宣言の有効性とか拘束力というのは本当にあると、そこから出発していいのか。つまり北方領土問題の出発点は共同宣言と考えていいのかどうか、そのことは日本とソ連との間で確認したことなのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま総理から御答弁がございましたように、日ソ共同宣言という形をなぜ国交回復のときにとらざるを得なかったかということは御承知のとおりでございます。しかしながら、名前は日ソ共同宣言という名前でございますけれども、これは両国によって批准をされた、いわば条約法に言う大変重い政治的な意味を有する条約でございます。したがいまして、ソ連もこれを批准して条約を認めたわけでございますから、この一たん批准をして認めた条約に対して、後日になってある特定の条項について条件をつける、そしてその条件が満たされない限り当該条項を履行することはできないということを言うこと自体、これは国際法上到底認めることができないわけでございます。 先生が申されましたソ連の文書とは、一九六〇年のいわゆるグロムイコ書簡と呼ばれるものであると思うわけでございますけれども、その中で、ソ連政府は日本領土から全外国軍隊の撤退及びソ日間平和条約の調印を条件としてのみ引き渡すことができる、こういうことを言ってまいったわけでございます。ところで、日本領土からの全外国軍隊の撤退というのは、ソ連が後日になってつけてきた条件であるのみならず、一九五六年共同宣言締結時におきましても既に日米安保条約というものは存在していたわけでございまして、米軍の基地並びに米軍は日本に駐留をしていたわけでございます。したがいまして、こういうような形で一方的に条件をつけてくるということは日本政府の到底認めるところにあらずということで、これに対して日本政府は直ちに反論をいたした。以後、日本政府の立場は一貫しているわけでございます。
○寺崎昭久君 ロシア共和国エリツィン議長の発言や訪日代表団の構成について、先ほど総理は、これはソ連の国内問題であるというお話をされましたけれども、最近伝えられるところによりますと、内乱の可能性があるとか軍部の台頭があるというようなことも伝わってまいりまして、そういったことを考え合わせますと、果たして平和条約締結に向けた会談をやっていいのか、そういう土壌ができていると言っていいのか大変不安を覚えるわけですが、この点、総理はどのように判断されておりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 平和条約締結はやはり政府と政府の専権事項として、また政府と政府が責任を持って対処すべき問題であると考えております。したがいまして、先ほども御質問がありましたから、代表団の構成にその構成共和国の代表を入れるかどうかということはまさに相手国の国内問題であって、こちらから連れてきてほしいとかほしくないとか余計なことは一切言うべきものでもないし、言ってはならないことである、私はこう思っております。 それから、ソ連の国内の事情についてはいろいろ憂慮を示した問題もございますし、また将来に対しての懸念を表明したこともございますけれども、しかし、現在日本は全体として、この間うちの連邦制度に対する国民投票その他の結果とか、あるいはペレストロイカの正しい方向性は支持をしておるわけでありますから、この隣国との間においてこの問題の解決をきちっと前進させていきたい。ゴルバチョフ大統領も来月十六日に初めて日本を訪問するとなっておるわけでありますから、この大切な節目を日ソ関係の抜本的な関係改善のために役立たせていくように強く期待をし、また準備をしておるところであります。
○寺崎昭久君 私も正常な状態でそういう条約ができることを望んでいるわけであります。 ところで、総理は三月二十五日、ソ連が我々と共通する原則に従って改革を目指すなら、いろんな意味で日本は協力できるという見解を当委員会でお述べになっております。他方、政府・自民党案ということで、四島返還を前提とした二百六十億ドルに上る対ソ経済援助策が伝えられているわけですが、この二つをつなぎ合わせてみますとなかなかわかりづらいところがありまして、そこで質問なんですけれども、四島返還が約束されない限り経済援助は行わないということなのか、四島返還があっても価値観を共有できないと判断されれば援助は行いませんということなのか、四島返還がなくても価値観が共有できると判断できれば援助するということなのか、その辺を分けてわかりやすく御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 四島返還が行われなければ抜本的な金融支援その他に入っていかれないというような意味のことを私はここで申し上げたと思います。それは無原則な政経分離はとらないということでもございます。 その考え方はサミットのときにも私は日本の立場として明確にしてまいりましたが、東西関係が終わりを告げて、そしてユーラシア大陸の西のヨーロッパでは共産主義よさようならで、自由経済を求めて価値観を同じくする方向にペレストロイカが向いておる。このペレストロイカに対して積極的な支援をすべきではないか。必要ならどんな方向の支援が必要かということを、今度はIMFとかECとか、世銀とか東欧開発銀行、欧州開発銀行、それらが一緒になって、どのような金融支援をすれば我々の持っておる価値観と同じような国にソ連がなっていくことに協力できるかということをサミットでは話をしております。 それは私も、日本も応分の協力をしていかなきゃならぬということも申し上げました。しかし、そのときも、アジアに残っておる東西関係の残滓は、ヨーロッパにはなくても日本には北方領土というものがあるんだ。ですから、この問題を片づけることが日本がそういう金融支援に乗り出していくための大前提になるということもわかってほしいということを、サミットでは私は日本の立場として明確に申し上げてまいりました。 したがって、今人道的な立場とか、あるいは調査団を受け入れるとか人を派遣するとか、幅広い交流をなるべく、両国は隣国ですから相互理解を深めるように、人工衛星の共同撮影もありましたし、地上では札幌や新潟でソ連の坊やのやけど治療が日本で行われるとか、随分幅広くなってきました。こういった中に立って、拡大均衡の中で解決をしていきたい。四島問題も平和条約問題もこの延長線上でぜひ片をつけたいというふうに強く思っておりますので、これは首脳会談の主要なテーマとして訴えて、決断を求めていきたいと思っておるところであります。
○寺崎昭久君 最後に、私は今度の領土問題の会談については、日本としての名誉だとか尊厳だとか、権利だとか正義だとか、そういったことを大事にして会談に臨んでいただきたいと思うんです。領土を金で買うようなことをしないと先日総理もおっしゃっておりましたけれども、日本の援助がソ連のペレストロイカを前に戻すようなことになっては、かりそめにもそういうことになってはいけないだろうと考えております。外交が単純でないということは理解しておりますけれども、少なくともそうした外交理念というものをしっかり持って、成功させられるように御努力いただきたい、そのように望んでおります。 終わります。
○委員長(平井卓志君) 以上で寺崎君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、喜屋武眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 私は、まず総理に念を押したいことがございます。 と申しますのは、今十三都道府県で知事選挙並びに統一地方選挙が展開されております。我が沖縄県では去年知事選挙が行われまして、十二年ぶりに革新県政を実現したわけです。 ところで、沖縄県の施策に対して総理が、あるいは政府が、冷たい態度や、ずばり言いますと差別をするようなことがあってはいけないと思うんですが、県民の不安でありますので、まず見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) 沖縄県の皆さんに対して差別をするというようなことは全くございませんから、その御心配はございません。
○喜屋武眞榮君 もっと前向きにお答え願いたかったのですが、残念であります。 次に、開発庁長官に尋ねます。 平成三年度は第二次沖縄振興開発計画の最終年度に当たるわけですが、第二次振計の諸目標に対して現時点で達成率はどうなっておるのか、目標達成の見通しはどうなのか、また何が問題点であるのか、以上お答え願いたい。
○国務大臣(谷洋一君) お答えいたします。 沖縄が本土復帰いたしましたのが昭和四十七年の五月でございまして、政府といたしましては第一次振興計画並びに第二次振興計画を樹立いたしまして、島民の皆さん方の御協力、そして政府といたしましても莫大な社会資本の投資をしたわけでございます。その結果、まず本土との格差の是正という大きな課題が徐々に解決したと思いますけれども、まだまだいろんな課題を持っております。現在、水不足の問題、あるいは格差の問題もまだまだこれからの問題でございましょうし、また沖縄が抱える離島の問題等々の問題もあるわけでございます。 そういうことを考えますと、第二次振興計画で果たし得なかった積み残しの問題等もございますし、また今の時代にふさわしい新しい計画をつくることも必要かと思いますけれども、沖縄開発庁といたしましては、先般沖縄県知事の方から次の考え方をお聞きしたわけでございますが、沖縄振興開発審議会の十分な御審議を賜りまして、今後その措置を考えていきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 もっときちっとした御答弁を期待しておりましたが。 それでは、総理にお尋ねします。第三次振計の策定が今後沖縄県の大きな目玉になるわけですが、この沖縄振興開発計画に対して総理は基本的にどのような見解を持っておられるか、お尋ねいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) 本土復帰以来十九年間にわたる県民の皆さんの御努力と、二次にわたる沖縄振興開発計画の実施等によりまして沖縄県の地位が着々と向上しつつあるということを私は注目いたしておりますが、しかしながら、現在もなお水資源の確保の問題とか所得格差の是正の問題など、まださまざま問題があると認識をいたしております。 したがって、次期の振興開発計画に向けた政府の取り組みといたしましては、沖縄開発庁においてこれまで二次にわたる計画に基づいて実施されてきた諸施策の総合点検をいたしました。また、振興開発審議会においても計画終了後の振興開発のあり方について調査、審議中でございます。政府としてはこれらの結果等を踏まえて、沖縄県のためにいろいろとまた施策を考えてまいりたいと思っておるところであります。
○喜屋武眞榮君 次に、外務大臣にお尋ねいたします。 昨年の四月、米国防長官の議会報告によりまして、アジア・太平洋地域の戦略的枠組みが明らかになったわけですが、在沖米軍の削減計画はその後の湾岸戦争の発生によって変更があるのかどうか、政府の見解を明らかにしていただきたい。また、削減見通しの動きがあるとすれば、それに対して政府はどのような態度をとっていくのであるか、これも明らかにしていただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの件は、アジア・太平洋地域におきます米軍の削減計画について、去る三月一日に公表されました米国防報告におきましても、米国の軍事力が砂漠のあらし作戦に用いられている中にあっても米軍の削減・再編成計画が実施されていること、ただし、こうした削減計画はソ連及び第三世界における好ましい傾向を前提としておりまして、もしいずれかの地域において事態が劇的に悪化した場合には、九〇年代半ばに向けて削減計画の遅延または中止の必要が生じるかもしれないことが明らかにされております。 いずれにいたしましても、本件につきましては、昨年二月にチェイニー長官が来日しました際に日米間で緊密に連絡協議を行っていくことを確認いたしておりまして、政府としても、今後とも米国との間で緊密に協議を行っていく考えであります。
○委員長(平井卓志君) 以上で喜屋武君の質疑は終了いたしました。(拍手) これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(平井卓志君) それでは、これより平成三年度暫定予算三案に対する討論に入ります。 討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。吉岡吉典君。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました一九九一年度暫定予算三案に対して反対討論を行います。 私は、まず最初に、来年度の暫定予算は八七年度以来連続五年目であり、政府が暫定予算の提出を恒常化していることを指摘しておきます。 同時に、今回暫定予算を組むに至ったのは、海部内閣が国連憲章の基本精神と日本国憲法の平和原則に反し、湾岸戦争に伴う米軍等多国籍軍への九十億ドル戦費分担のため九〇年度第二次補正予算とその財源法案を提出し、その審議に一定の日数を費やしたことにあることも厳しく指摘しておかなければなりません。 次に、反対理由を述べます。 財政法第三十条第二項には、「暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。」と明記されているように、暫定予算は本予算成立までのつなぎ予算であり、本予算と一体のものであります。 ところで、九一年度予算について言うならば、多国籍軍への九十億ドル戦費の戦時国債償還のための増税を国民に押しつけ、憲法の平和原則をじゅうりんする戦争協力予算であります。また、対米誓約を最優先にした軍拡予算であります。特に、九一年度から始まる二十二兆七千五百億円にも上る新中期防衛力整備計画は、新たな大軍拡を目指すものであります。 他方、福祉、教育予算を初めとする国民生活関連予算は容赦なく切り捨てられ、国民は多大の犠牲が強いられるものとなっています。 本暫定予算は、基本的にはこのような九一年度予算の一部分をなすものであり、我が党は到底賛成するわけにはいかないものであることを強く指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(平井卓志君) 以上で討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 平成三年度一般会計暫定予算、平成三年度特別会計暫定予算、平成三年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。 三案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(平井卓志君) 多数と認めます。よって、平成三年度暫定予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十六分散会