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120回国会参議院1991/03/04

予算委員会 第6号

発言数
538
登壇者
23
会派数
2
開催日
1991/03/04

会議録

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、平成二年度補正予算二案審査についての理事会決定事項について御報告いたします。  質疑を行うのは三月四日及び五日の二日間とすること、質疑割り当て時間の総計は二百二十三分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党四十二分、日本社会党・護憲共同九十八分、公明党・国民会議三十分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ十五分、参院クラブ八分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。  ただいま御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 平成二年度一般会計補正予算、平成二年度特別会計補正予算、以上二案を一括して議題といたします。  二案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。本岡昭次君。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 まず初めに、けさの一部の新聞に、大塚建設大臣のところにリクルートから四千万円の政治献金があったという報道があります。ゆゆしきことであります。総理、 一体これはどういうことなんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 報道があったことは御指摘のとおりで、私も報道を見ておりますが、本人がそのようなことに関しましては事実と相違するということを申しておりますので、その子細は本人から御報告をさせたいと思います。

大塚雄司自由民主党建設大臣

○国務大臣(大塚雄司君) お答えいたします。  一部の新聞で報道された事実につきましては全くないことでございまして、大変に不愉快に思っております。  私は、入閣のときに、リクルート社からの献金はあるかという新聞社の問いに対しまして、昭和五十八年の七月に陣中見舞いとして百万円を受領したことは公開をいたしまして、政治献金規正法に基づく届け出もいたしております。それ以外については全くございません。一部の記者からそのことにつきましてお尋ねがありましたが、その新聞の記事が出ました後、全社にお集まりをいただきまして、日曜日でございましたが、昨日、その事実について調べた結果をお話しいたしました。その当時おりました秘書に連絡をとりまして、たとえ私が知らないことでも仮にあるかどうか確かめましたが、そのことについては一切ないという報告もございましたし、当時の預金通帳もつぶさに調べましたけれども、あの五つについての入金の事実は全くございません。  そのようなことでございまして、このことについて大事な質問のお時間をとらして申しわけないと思いますけれども、一切不明はございませんので、御了承を願いたいと存じます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私も不愉快なんですよ。大体、リクルート議員を排する、そして清潔でクリーンな内閣をという海部内閣のもとでこういう話が出てくる。また別のところでは、公用住宅の転用、又貸しというようなことで出てくる。海部総理、本人はああおっしゃっているけれども、秘書が秘書がというのはずっとおたくらの専売特許なんですよ。だから、やはり私は政府としてきちっとこのことは事実であるのかないのかということを政府の責任で確認をして、公式に私たちに返答をいただきたいと思うんですが、いかがですか。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 私もきのう新聞を見まして、御本人にお確かめをいたしました。ただいまここで御本人が申されたとおりであります。(「答弁になっていない」と呼ぶ者あり)  先ほども申し上げたように、新聞を見て、私もこれは御本人に確かめるべきだと思いまして、御本人に問い合わせをいたしましたら、新聞のあの記事は全く事実無根であるというお話でございました。  私から申し上げられることはそれまでであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 御本人はないと、こうおっしゃる。皆初めはそうおっしゃるんですよ。だから、きちっと政府の責任において、海部内閣がクリーンな内閣であるということを国民に示すために、内閣の責任で、総理の責任で調査をするということを当然ここで言うべきじゃないですか。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 御本人が今ここで明確にお話を申し上げましたが、私といたしましても、また御本人によくもう一度、再度確かめてみたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 政府として正式に調査をしてこの予算委員会で報告していただきたい。国民が大きな疑念を持ったに違いないわけでありますから、それを晴らす責任が政府にあります。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 御本人がここで新聞に関することは事実無根であると申されましたが、先ほども重ねて御質問がございましたから、私が御本人にまたもう一度念のために確かめて、そして御報告をいたしますと、こう申し上げたわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 いや、余りこだわりたくないんですけれども、私は、御本人じゃなくて、政府の責任において調査をしてこの真相をつまびらかにしていただきたい、こう言っているんですよ。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 調査をして御報告を申し上げます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は、今回の中東湾岸戦争が終結したことを率直に喜ぶものであります。これは一日も早く停戦、和平を望んでいた国民も同じであらうと思います。そしてまた、戦争によって多くの犠牲者が出たこと、このことについては哀悼の意を表していかなければならぬと思っております。  そこで、総理にこの戦争の終結の問題についてお尋ねいたしますが、多国籍軍がフセイン打倒を目的としないでイラクの国連決議受諾によって戦争を終結したことは、私は評価いたします。しかし、国連が平和的手段でなく武力行使による解決しかできなかったことを悲しく思います。それは国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄した戦後日本の政治外交路線は反するとともに、戦争の惨禍を体験してアジア諸国に多大の損害を与えた日本の私たちの生き方にかかわる問題であるからであります。総理の所見を伺っておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今回の国連のたび重なる決議というものは、八月二日のイラクによるクウェート侵攻以来、これは侵略であるから、侵略は許さないという国際社会の総意が国連の決議にあらわれておったものと思います。それ以来、ことしの一月十五日の期限に至るまでいろいろな努力が繰り返されましたけれども、イラクにその反省の態度が見られなかったということ、無条件に反省をして撤退するという行為がなかったこと、これが国連決議に基づいた武力の行使につながっていったものと私は受けとめ、もしそれもしないでこのまま放置することは、ああいった力による侵略、併合という既成事実を認めることになって、新しい世界の秩序というものは力による侵略は許さないということが根本原則でなければならぬはずでありますから、その意味で国際社会の総意というものをあのような形であらわさなければならなかったことは、まことにやむを得ない最後の手段としてこれは行われたものである、私どもはこう認めております。  同時に、そういったことによって国際社会の総意が示される、最悪の事態だとおっしゃいましたが、武力の行使の中でやはりいろいろな犠牲者が出たことは、私も率直に心を痛めております。けれども、それによって平和が回復されるということ、侵略が排除されるということ、これも紛れもない事実でありまして、あれをほっておきますといつまでも侵略者のやり得ということになって、侵略されたという国際社会の正義はただ決議と演説だけでは達成できなかったというこの痛い教訓を身にしみて、今後とも世界の公正な秩序を守るにはどうしたらいいか。日本国憲法も「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」と書いておるところでありますから、我々もそういった公正な解決のためにとられた措置を評価するとともに、今後再びこのようなことが起こらないように国連の機能強化その他の面についてさらに多くの国々と協議を進めて確立していかなきゃならぬ大きな問題である、このように受けとめております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理の今のお話であるならば、これからの国際秩序はやはり最終的には軍事力でもって維持していくんだということを肯定的はとらえておられる。そして、その軍事力はアメリカだ、そして戦費を負担するのは日本とかドイツあるいは受益国がやるんだ、こういうことが新しい国際秩序とたっていくことを私は大変恐れるんですが、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) そちらの角度から立論なさればそういう恐ろしいということで、こういう事実を恐れるとおっしゃいますが、私はその前に、たび重なる国際社会の総意というものをイラクが無条件で受け入れて、あのような行為に至らないように局面打開する決断のかぎはイラクのフセイン大統領一人が持っておったのだという事実をどうか思い起こしていただきたいと思うんです。そして、このような国際社会というものがいまだ現実に力による解決で平和を守らなければならなかったという今度の苦い体験を踏まえるなれば、第二、第三の力によって野望を遂げようとする指導者が絶対あらわれないように、このことを国際社会の総意として世界に向かって発信すべきときである、私はこう考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 しかし、憲法の国際紛争を武力で解決することを放棄するという、この日本の立場は総理としてどうしますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本の憲法には、武力による威嚇もしくは武力の行使はこれは行わないということが御指摘のように出ております。したがいまして、アメリカを初め二十八に及ぶ多国籍軍に参加をした国の首脳が、自分の国の経済状況とか自分の国のいろいろな意見を乗り越えて、そして自分の国の有為な青年男女の生命が犠牲に供されるかもしれないという現実の厳しい選択の中にあって、なおそれよりも守らなきゃならぬのは力による侵略を許してはならぬという国際社会の大義を守ろうという線で今度の行動に参加した、その決断を思いますと、それは率直に認めていかなければならない、支持をしていかなければならぬ行為であると私はそのとき考えました。  ただ、御指摘のような憲法の条文があり、日本が多国籍軍に武力をもって、力でもってお役に立とうとすることはできませんでした。そういった日本の立場を世界の人々に理解してもらうためにも、日本の置かれているいろいろな立場、いろいろな地位、我々お互いが平和の中で今日まで繁栄してきたという事実、いろいろなことを顧みて、日本として許される限りの支援はすべきであると決心をしたわけであります。そして、この侵略の排除と平和の回復というものについて日本も傍観視しないで、人ごとのように黙って見ておらないで協力をすべきである、こう判断しておりますから、国家による実力の行使をしたわけではございませんし、今度の平和回復活動というものはその意味で国際社会の大義として正しいものであった、私はこう判断しております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理は憲法九条を制約的な、制限的な問題としてとらえておるようですが、本当はもっと積極的にとらえて、国際社会の中に生かしていく立場が日本にとって必要であった、こう思うんですね。だから、要するに、今度の武力行使に踏み切ったという背景を見ましても、結局日本、ドイツ、サウジ、クウェート等々が戦費を負担するということがはっきりしたからこそアメリカは武力行使に踏み切ったんではないか、私はこう思うのであります。だから、日本の憲法上、武力行使に戦費を出すということは事実上そのことに協力したということで、どうしてもこれは日本国としては許すことのできない問題である。総理、あなたは歴史的な誤りを犯したと私は思うんですけれども、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 歴史的な誤りを犯したのは、お言葉を返すようですが、サダム・フセイン・イラク大統領であったと私は思いますし、また今度の国連のこのような六百七十八号の決議、これは国際社会の総意と見ていいものと思いますし、また国連加盟国に適切な支援を求められてきておる。できることとできないことは確かにありますけれども、できる限りのことをしないと、そのときこそ日本は国際社会から孤立するという歴史的な誤りを犯すことになると、私は逆の視点に立って判断をいたしました。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうすると、憲法九条ということにやはり問題ありと総理はとらえておられるんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 憲法九条は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する、こうきちっと書いて、そして武力による威嚇または武力の行使は、国権の発動たる戦争の手段としては認めないということで、武力による威嚇や武力の発動を考えたことは全くありませんでした。しかし、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求するというのは、そのとおりでございました。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 何かわかったようなわからないような話ですが、憲法に従って誠実に平和的なそういう手段を希求するというなら、今回の場合、それはどれだけ政府の行為としてなされたんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際社会においてあのような行為を許してはならないということに対し、イラクのクウェートに対する侵略、併合という行為は許すべきではないという、そういった立場に立って政治的な態度も明確にいたしましたし、同時に、多国籍軍に加わることはできませんでしたけれども、国連決議に基づいてあの地域の平和回復活動に努力する関係諸国に対して、日本としてはできるだけの支援協力をすべきであるということを決心していろいろなことを行ってきたつもりでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そのいろいろなことということを詳しくひとつ教えてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 当初は、イラクのフセイン大統領に国連決議を無条件で受け入れてクウェート侵略という事実行為から手を引いて完全に撤退することを日本も強く主張し、それは日本の戦争体験等も踏まえて、私自身が親書をフセイン大統領に送ったり、ラマダン副首相に話したり、いろいろなことをいたしました。また、ゴルバチョフ大統領から電話がかかってきたときも、今度の平和解決の目的は国連決議を無条件で受け入れるということが唯一のかぎになっておって、国際社会はそれを求めておるんだから、ゴルバチョフ大統領の能力や努力を多とするから、さらにもう一歩進んで、条件をいろいろつけるんじゃなくて、無条件で撤退するような努力もされるべきであるということを強く期待したり求めたりしました。また、外務大臣以下それぞれの在外公館や外交ルートを通じてそのような努力を数多く積み重ねてまいりました。  また、やむを得ない措置として武力の行使が始まりましたときに、黙っていたら今日の国際社会はまだまだこういった力による紛争解決、力による野望の達成という現実があるわけでございます。何でもだめだ、侵略されても我慢しておれということになったのでは国際社会の秩序は成り立ちません。私は、無法者におどかされたら泣き寝入りしておれという態度はとりたくありません。したがって、国際社会がこの日までに聞かなかったらこうなるよということを再三時間をかけて警告もし、決議もしておるんです。私は、そういったことを考えると、反省して局面を打開する場所は、時間は十分にあったと受けとめております。ですから、そういった意味で日本はいろいろと努力を続けてきたつもりでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは、国連安保理事会がいろいろ開かれたと思うんですが、この間何回ほど開かれたんですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 昨年の八月二日にあの事件が起きまして以来、国連安保理は随時開かれておりまして、そのために決議案が十二採択されたことは御承知のとおりでございます。戦争と申しますか、戦闘行為が残念ながら始まりました以降も、例えば二月十三日から十六日まで安保理は継続的に開かれておりまして、その後停戦問題、終結の処理のために日本時間の日曜日、昨日も開かれましたし、現在この時点においても開かれてございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は何回と聞いたんですが、それはよろしい。  それで、再三にわたって安保理事会が開かれているんですが、日本政府はその場にあって、和平、戦争回避、停戦のために具体的に何か発言をしたり努力をいたしましたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) デクエヤル事務総長自身と私はニューヨークで一回、東京で一回懇談もいたしましたし、また国連の安保理のぎりぎりのきには私の親書を国連大使を通じてデクエヤル事務総長にも手交いたしましたし、またニューヨークに派遣しておりました外務大臣に、直接デクエヤル事務総長に会って我が国の希望や期待や意思、総長の最後の努力、そういったものを強く要請するような措置もいたしました。また、我が国は今安全保障理事会のメンバーではございませんけれども、安保理に積極的に発言を求めて、許されたときには代表が出席をして安保理で臨時に発言もいたしてまいりました。  我々は、あくまで無条件でイラクがクウェートから撤退することが今度の局面打開のかぎである、このことを強く一貫してそれらの行動を通じて主張し続けたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 どの理事会で、だれがどのような発言をそこでしたのかということをここで報告してもらえませんか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 日本の外交努力という観点からの先生の御質問と理解いたしますけれども、日本時間の二月十六日の午前中に開催されました安保理におきまして、波多野大使から、今回の事件につきましての日本政府の考え方につきまして演説を行いました。  要旨は、一、日本政府は、クウェートからの撤退の用意があるというイラクの声明に接したが、これにはさまざまな条件が付されており、イラクの真意を慎重に見きわめる必要があると考えている。二、日本は、地域の正義と平和を回復するために、イラクのクウェートからの撤退をイラク指導者に働きかけてきた。十三日には、中山外務大臣より在京イラク大使にこの旨を強く要請しているという趣旨をずっと述べられまして、最後に、安保理会合においては、日本も含め大多数の国が現在の武力衝突を早期に終結させるため、安保理決議に沿ったイラクのクウェートからの撤退を強く求めてきておる。日本としては、今後とも国連がこの問題の解決に建設的な役割を強く期待するという趣旨のことを演説しておるように存じます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうすると、二月十六日以前、八月二日からたびたび安保理事会を開かれたと思うんですが、その段階では発言はなかったわけですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、ただいま日本は安保理の理事国ではございませんで、そういう意味では安保理事会に出ていって公式に発言をするという機会は、各国が求めておりますのでなかなかその順番は回ってこないわけでございますが、しかしながら安保理十五カ国とは常に日本政府代表は密接な連絡をとり合っておりまして、日本政府の考え方、そういったものは、その代表を通じて常に我が方の考え方を伝えておるというふうにして努力してきておるつもりでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 国連憲章では、理事国でなくても発言の機会を与えているわけであります。だから、日本が大きくこの安保理事会を通して国連による戦争回避あるいは停戦、和平という問題について提案することも可能であったというふうに思うんですが、それは順番が回ってこなかったということなんですか。ということは、日本の立場というものはそれほど低いんですか。八月二日から二月十六日まで一遍も安全保障理事会で発言の機会が与えられなかったというふうに我々は理解したらいいんですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 二月十五日には先ほど申し上げたような発言をしてございますが、そういう正式な場ではなくても、日本政府といたしましては、安保理のメンバー国とその首都あるいはニューヨークに行きまして常時接触いたしまして日本側の考え方は伝えてきておるということでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 これだけ世界が激動しておる中で、日本の顔が見えない見えないと。私は本当に情けなく思うんです。  それで、同じような中東湾岸問題に関係するイラン・イラク戦争のときに日本の果たした役割というのは、また別の役割を果たしております。安倍外務大臣が国連総会で紛争拡大防止の二項目の提案を一九八四年九月二十六日に行っておりますし、一年経過した一九八五年九月二十四日に再び三項目の提案をして、そして日本がある種の調停工作というんですか、和平への積極的な働きをやったという事実があるわけでありまして、そのときやれたものが、外務大臣、なぜ今回はできないんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今回のイラクによるクウェートの武力による占領あるいは正統政府を追放するというようなことは、かつてのイラン・イラク紛争と少し趣を異にいたしております。  委員御指摘のとおり、イラン・イラク戦争当時、安倍外相はいるいると苦労をされました。それはおっしゃるとおりだと思います。しかし、イラン・イラク紛争はどういう経過で起こってきたかということは、私どもの認識では、イランの国境線問題が一つあったのではないか。もう一つは、ホメイニ政権ができて弱体化をしてきた、攻撃する絶好のチャンスだったのではないかということをイラクが考えておったというふうに私どもは認識しておりまして、このような武力衝突というものがだんだん大きくなっていく、こういうふうな形で起こった問題と、今回のようにイラクがみずからの軍事大国化を急いで、みずからの経済的な欠陥を補てんするために、小さな隣国で極めて豊かなクウェートを武力によりて併合するように持っていくという形では、非常にプロセスが変わっておりました。  こういう中で、国連は早速安全保障理事会を開きまして、八月二日の侵攻以来十二の決議をやり、そしてイラク政府に対して完全撤退を強く呼びかけてきたわけであり、撤退をしない過程において経済制裁とかいろんなことをやってまいりましたが、まことに残念なことでございましたが、この決議はイラク政府によって完全に無視をされたという経過で国連は一致してこの作業をやったということでございますから、このイラン・イラク戦争と今回のイラクによるクウェートの武力による制圧というものは全然そのプロセスが違う。国連が中心になってすべて初めから行われたということが大きな違いだと私は認識をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 だからといって、日本が何ら和平提案とかあるいは具体的なこの問題の解決について行動できなかった、ただアメリカとの関係においてしかこれにかかわれなかったということにはならないと私は思うんですよ。日本はやるべきことをやらなかったという、そこの問題については、外務大臣、どう思いますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 日本政府として何もしなかったというおしかりでございますけれども、日本政府は、まず私が湾岸諸国を歴訪して情勢の調査を行い、海部総理はアンマンにおいてイラクのラマダン副首相と直接会見をされて、一時間以上にわたって国連安保理決議に従うように強く説得をされ、さらに私自身がイラクの在日大使を招いて、日本政府の強い平和への願望とイラクの即時撤退をやるように強く要請をいたしました。また、デクエヤル事務総長が日本に来られましたときも、国連の決議を遵守するように強く働きかけていただくように努力をいたしましたし、私は国連総会においても強くこの問題を提起し、関係各国と協議をいたしております。  また、私自身が、ことしになりましてからも事態が緊迫してまいりましたときには、イラク大使を呼んで安保理の決議を即時実行するようにさらに要請もいたしましたし、またアメリカへ行って、最後までアメリカ政府は和平のために努力をしてもらいたいと。また、一月二十三日にはモスクワへ行ってソ連政府と交渉をして、ソ連政府と日本政府の間には安保理六百七十八号の決議の実施について何ら考え方に違いがたい、それに向かって両国は協力をするという話し合いもいたしておりますから、私は何もしなかったという御意見は少し当たらないのではないかと考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そういう範囲のことは私も存じております。ただ、日本として和平提案というふうなものを具体的に出して、そしてこの問題の解決に行動を起こさなかったというのはひとしくみんなが知っていることでありまして、これはまた後ほど別な機会に徹底的に議論をさせてもらいたいと思います。  それで、きょうは九十億ドルの支出問題というのが本論でありますから、時間を大切にして今からそこのところに入ってまいります。  まず、今回の多国籍軍への九十億ドルの追加拠出の問題で、衆議院でも随分議論されましたが、一番の問題はこの積算根拠というものが全く明らかになっていないということでございます。外務省がどのようにしてこの九十億ドルを積算し、そして大蔵省に要求する、大蔵省はどのようにしてその中身を精査してこれを予算化したのか、そこの事実関係を明らかにしていただきたいと思います。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今回の九十億ドルに関しましては、外務省から「国際分担金其他諸費」という項の中で湾岸平和基金への拠出金として要求させていただいております。  その積算の根拠でございますけれども、これは累次総理が国会の場で御説明しておられますように、湾岸の平和回復活動という国際社会の共同行動のコストの一部を我が国が国力、国際的責任にふさわしい規模で負担するということでございまして、これがまさに安保理決議六七八が求めている適切な支援であるということに基づいております。一

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 九十億ドルというのはどういうところから出てきたのかという具体的なその根拠を示してもらいたいと言ったわけで、その趣旨とか目的を私は求めたのじゃないですから、総理、あなたの方からひとつこれは正確に答弁してください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 九十億ドルの問題については、これは国連決議に基づいて国際の平和回復と安定のために関係諸国の行動を日本としても応分の支援をしなければならぬ、こういう判断に立って、今日日本の置かれておる国際的な地位、同時にまた、世界の平和な仕組みの中で今日まで到達した日本の立場、そういったことから総合的に判断して、いろいろな人の意見を聞きましたが、最終的に九十億ドル拠出が適当である、こう判断をしたわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 応分の支援が九十億ドル、あるいは総合的な判断が九十億ドル、そういうふうなことでいいんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) あの地域における平和回復活動の中心となって多国籍軍の先頭であったアメリカ自身にも、具体的な、これこれの費用が平和回復と安定にかかるということは、されたものはありません。  例えば、ブッシュ大統領の議会における四日の一般教書であったと思いますが、仮置きの試算を置いて物を言っておるわけであります。同時に、議会の調査局の計算でも、二百八十億ドルから八百六十億ドルまで大変な幅のある試算、しかもあの武力の行使によって平和回復活動がいつ終わるかということ、逆に言うとフセイン大統領がいつ決断をして無条件で受け入れるかということは、これはだれも数学的に明確にいついつまでにこうなるんだということは断言できない性質の平和回復活動でありますから、いつまでかかるか、幾らかかるかというようなことは、具体的に断言することは私にとっては不可能なことではなかったか。不透明なことが非常に多いのを各国もそれぞれ表明をしておるわけであります。  ですから日本は、現在、日本の置かれておる平和な社会の中で、平和な国際秩序の中でここまで成長してきた日本の力、それが直ちに九十億ドルの積算根拠と直結はしませんけれども、世界のGNPの中において日本は今一五%近くになってきたとか貿易の九%前後であるとか、いろいろ数え上げれば数字は切りがございません。ですから、そういったようなこと等を総合的に判断して決めたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 アメリカもないとおっしゃいましたが、アメリカもないんですか。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 松浦北米局長。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 あなたに聞いているんじゃない。総理が、アメリカがないとおっしゃったから、アメリカもないんですかと聞いておるんです。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 指名しましたから答弁してください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今回の国際社会の行動に関しまして、特にその中でアメリカの活動に関しましてどのくらいの経費がかかるかということに関しましては、従来いろいろな試算が行われておりますが、今回、二月二十二日にブッシュ大統領がアメリカの議会に対しまして歳出予算案を提出しております。  その中におきまして必要な経費見込みというのが盛られておりますが、一言で申し上げますと四百億ドルプラスアルファということで、このプラスアルファというのは具体的な戦闘のための追加経費でございますが、この二月二十二日の時点におきましてはまだこれは算出されない、算出することはできないということで四百億ドルプラスアルファという形で出ておりまして、まだ最終的な具体的な数字がはじかれていないと承知しております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私たちは予算委員会をやっているわけでありまして、九十億ドルを多国籍軍に拠出するというこの問題にかかわって、積算根拠のないものを論議するわけにいかぬと思うんですよ、どのように言われたって。それはどうしてもはっきりさせてもらいたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先ほどからお答えしておることの繰り返しになると思いますけれども、私どもは国連決議による適切な支援の要請にこたえて、日本というのは今日平和の中でこれだけ繁栄した国で、好むと好まざるとにかかわらず世界に対して影響力の出てきた国でありますから、応分の協力をすべきである。しかも、国連決議の趣旨に政府は賛成でありますから、武力による侵略、併合は許さないという基本的な原理を守っていきたいと思っております。けれども、武力による共同行動に対する参加は日本はできませんから、そういった日本の立場を世界の多くの国々にも理解を求めるためには、これは日本として何ができるかといえばとりあえずは資金の協力でありますから、いろいろな問題を総合的に判断して決めたと申し上げるよりほかございません。本当にそういうことでございますから。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 応分というなら、百億ドルなら多過ぎて八十億ドルなら少な過ぎるという、そういう論理になってしまうでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) それらの問題についてはいろいろな御議論もありましょうけれども、アメリカの議会自体においても、先ほど申し上げたように、大統領は国会演説の中で仮置きという言葉を使わなければならない。それは武力行使が起こらないということを予測した、前提に置いた試算であった。けれども、アメリカの議会予算局は二百八十億ドルから八百六十億ドルまで数を示しておりますように、どこが計算しても、どこが求めても、こういった武力行使がどれくらいの期間かかり、どれくらいかかるということは、これは具体的な積算の根拠を示せと言われても示せるところはなかったんではないでしょうか。  私は、むしろあの地域の安定と平和の回復のために諸外国の行動に対して支援をしたい、応分の協力をすべきである、こう思っていろいろなことを考えました。その中に今言ったような問題、例えば二十兆ドルという世界の大きなGNPの中で、アメリカが一国で五兆ドル、ヨーロッパ、ECが全部集めて五兆ドル、日本は一国で三兆ドルを超えておるというようなこと等も念頭に置きながら、あるいはまた日本の海外旅行、去年一年間で二百二十億ドルという発表があったな、そんなこと等も念頭にございました。また、貿易の結果日本は世界との間でどれだけ貿易の黒字が残ってたのか、平成元年には六百四十三億ドルともあるいは七百六十九億ドルという計算も挙げました。平成二年には五百二十四億ドルという通関ベースの発表も出ております。  いろいろなそういった日本の置かれておる立場、そして武力による御協力のできない国、それが、世界の国々があれだけひたむきな努力をして平和回復活動をしており、国連から適切な支援を求めるとまで言われたときに、一歩下がっておれの国は関係がないことであるとか、自分の国は何もできないとか言っておったのでは将来日本が国際社会の中において頼られる国になれない、ともに語る国になれない、そういったことを考えて、許される範囲の資金の協力ですから、ここにしようということで総合的に判断をして九十億ドルを拠出することを政府で決めたということでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 いや、ちょっともわからへんのですよ、私は。  それで、わかるわからぬで議論しておったって仕方がないから、あなたがおっしゃるように、アメリカもないと言うけれども、アメリカは二月の二十二日、政府が議会に要求した砂漠の盾・あらし作戦を遂行するための補正防衛予算の内容というものをそこで報告しているはずです、ダーマン局長が。それをここにひとつ子細に報告してください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほどもちょっと御紹介させていただきましたけれども、今先生がお触れになりました歳出予算案の主たる目的は、砂漠の盾に関します経費のために運営基金口座というものを設けるということでございまして、それに対しまして百五十億ドルの予算を計上したいと大統領はしております。それにあわせまして、諸外国等からの貢献が財務省に設けられております防衛協力基金に払い込まれることになっておりますが、この諸外国からの貢献を使用する権限というものもあわせて大統領が議会に求めております。  それから、先ほども触れたことでございますけれども、支出の見込みでございますが、必要な諸経費はいろいろ書いてございますけれども、一言で申し上げれば、四百億ドルが追加的な、基礎的な経費ということでございます。追加的な経費と申し上げますのは、全体が今回の一連の作戦に係ります追加的な経費として要求されておりまして、それの基礎的な経費が四百億ドルで、それにプラスいたしまして具体的な戦闘に要した経費ということで、これがまだ算定できないということで上限と下限だけを示しておりまして、全体額が示されておりません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 日本に積算根拠がないから議論できない。仕方がないのでアメリカが、政府が議会に要求したその内容は、これは少なくとも積算に値するものである、試算に値するものである、使途になるものであるというふうに私判断しますので、これに基づいて議論させていただきます。  まず、今おっしゃいましたけれども、一体この勘定の目的というのはどうなっておるんですか、ひとつはっきり言ってください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今回の運営基金口座の目的は、アメリカが進めております砂漠の盾・あらし作戦に係る経費のためでございまして、そのために百五十億ドルを補正予算で計上したいということでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それから、外国から出してくるお金、日本の九十億ドルも入るわけですが、それはどういう目的になっていますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今触れましたアメリカの砂漠の盾・あらし作戦を支援するために外国から期待されている貢献ということで、全体として五百三十五億ドルが一応予定されている。予期されているという表現でございますけれども、そういう形で注として言及がございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は外務省からもらった資料を訳したんですが、こういうふうになっておるんですね。外国から出資されたお金は砂漠の盾作戦に係る増加的費用により費やされた国防支出勘定を弁済するためのものである、こう書いてあるんですよ。どうですか。今回の戦争に使ったお金、国防支出勘定を弁済する、こうなっておるんです。明らかにこのお金は、この出てくるところでは、まず一つは戦費である、戦争遂行上の費用を外国から出してもらうんだということがはっきりしているんです。ここのところ、間違いありませんね。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生、最初に申し上げたいと思いますけれども、大統領の提案は今議会に提出されまして、議会で、まさに上院下院でそれぞれ議論が始まったばかりでございまして、私どもも先生お持ちのこのホワイトハウスの簡単なプレスリリースでいろいろ判断はしておりますけれども、まだ詳細な点については必ずしも十分承知していないということを申し上げたいと思います。私どもも今、アメリカ政府にいろいろ照会をしている段階でございます。  先生御指摘のこの具体的なメカニズムでございますけれども、確かにプレスリリースの中に、運営基金口座に対して、外国からの貢献額がまず防衛協力基金に払い込まれて、そこからも払い込まれることがあり得べしという表現がございますけれども、同時に防衛協力基金からも直接使用するという感じも出ておりまして、具体的にどういう形になるかということはよくわかりません。  ただ、念のために申し上げますけれども、これは総理が繰り返し申し上げておられますように、私どもの九十億ドルは湾岸平和基金に拠出いたしまして、日本政府が考えております輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てるということで、日本政府としては、湾岸平和基金の運営委員会でこれから具体的な使途を議論していくという基本的な考えを持っておりますことをあわせて申し上げたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 これ、僕の訳し方が間違いなんですか。砂漠の盾・あらし作戦に係る増加的費用により費やされた国防支出勘定を弁済するためのものである。既に使われたものを弁済するためのものを、今さら総理が言われるように、いやこの金は輸送、食糧、医療、生活、事務、私も覚えてしまいましたけれども、この五つに使うんだと言ったって、使ったものを弁済するのに、そんなことできぬでしょう。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 外国政府等からの貢献額は財務省に設けられました防衛協力基金に払い込まれますけれども、この防衛協力基金を設立いたしました法律がございます。その法律の第h項によりますと、諸外国政府等から付された資金の使い方に関して議会に通報するということが明示してございます。ですから、これはさらに申し上げれば、アメリカ政府といたしましても諸外国政府等から付された条件に従ってその貢献額を使用していくということは明らかにしております。  それからさらに申し上げれば、湾岸平和基金からアメリカを初め各国に具体的な要請を受けて支払いを行っていきますけれども、そのときにきちんと、湾岸平和基金としてはこれこれの使途に充てるということをはっきりさせた上で支払いまして、事後的にもきちんと報告をもらうというメカニズムになっております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 今の問題はもう一度後でやりますが、問題は、一つは戦費であるかどうかということについて、はっきりと戦争遂行上の費用について拠出するんだ、分担するんだということをおっしゃればそれはそれで話はしやすいんですが、絶対そうだとおっしゃらないわけでありますよ。しかし、アメリカの議会に政府が要求した補正予算たるものは、明らかに戦争遂行上必要な費用と、こうなっておるのでありますから、これは戦費という以外の何物でもないわけで、もう総理、戦費であるということをお認めになったらどうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは、何回もここで委員から御指摘があったように、力でもってお役に立つことのできない国でありますから、同時に平和を恒久的なものとして国際協調主義の中で平和の確立を強く求めておる国でありますから、平和回復活動に対してできる限りの支援をする、あくまで国連決議の要請に基づいて平和回復活動に対する資金協力であると、政府はこう判断して拠出をしておるところでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 いや、受け取るアメリカが明らかに戦争遂行の費用であるというふうに言っているのに、日本は何か別の解釈をつけてというふうなこと、おかしいんじゃないですか。総理は本当におかしいと思われないんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) よく、自主的に日本は判断し、日本の顔で行動しろと、こう言われるんですけれども、平和回復活動の費用全部を日本が出すということになりますとまた問題は別かもしれませんが、分に応じたごく一部を、日本としてふさわしい額を平和回復活動のために出す。日本がそういう資金協力をするのは、あくまで願うところはあの地域の国際の平和の回復であり、サダム・フセインに反省を求めて局面転回をしろということを迫るわけでありますから、平和回復活動のための拠金である、こういうことであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 本当に詭弁そのものだと思うんですが、まあいいでしょう。絶対私は認められませんが、後でまたまとめて議論します。  それでは次の問題で、戦争は二月二十八日に終結したんですが、相当規模の残余が生じるというふうに判断され、アメリカの議会でもそういう議論が行われております。総理は、この戦争が早く終わって残余の拠出金が出たら、それを平和維持や復興にも振り向けたらいいじゃないかという趣旨のことを発言しておられますが、そういうふうにされますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会の審議を終えて拠出ができますれば、これは湾岸平和基金へ出すわけでありますから、最終的には湾岸平和基金の運営委員会の理事会で、その使途その他については我が国の意向を反映しながら充当することになっております。どれだけが要るのか、余ることがあるのかどうかということがこの間うちも御議論になりましたが、これは平和の回復と安定のために拠出するお金でありますから、平和の安定と回復のために使われることは私はそうなっていくだろう、こう考えております。そのことを率直にお答えしてきたわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは、GCCからアメリカには大体どのぐらい配分されるというふうに考えておられますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) GCCのもとに設けられました湾岸平和基金には、国会で御承認を得た後、日本政府としてGCCと交換公文を結びまして九十億ドルの支払いを行いますが、具体的な国別配分に関しましてはまさに運営委員会でこれから議論していくということでございます。しかしながら、湾岸の平和活動の中心的な役割を果たしてきましたのはアメリカでございますから、大宗はアメリカに行くと私どもは考えておりますけれども、いずれにいたしましても、湾岸平和基金の運営委員会でこれから議論していくことでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理も日本は日本として自主的な立場があるとおっしゃったから、この九十億ドルの問題も、戦争が早期に終結したという前提を踏まえて、九十億ドルがふさわしいかふさわしくないのかという議論を我々だってやっていいんじゃないんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは九十億ドルが我が国にふさわしいと思ってお願いをしておるんですし、委員の方からはそれについていろんな御議論を今賜っておるところでありますから、ふさわしい額であったということをどうかお認めいただくとともに、湾岸平和協力基金へ我が国としてはこのような使い道、もう暗記していただいたそうですが、輸送関連それから生活関連その他のものにこれは充てることにします、そういった意向を反映できるように努力しますと申し上げておるわけでありますから、どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうすると、GCCからアメリカには九十億ドルは行かないんですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最終的には拠出してから湾岸の運営委員会で決めることになっておりますので、予断と憶測で物を言うのは避けさせていただきますが、最初に拠出してあります二十億ドルの中は、約九一%ちょっとがアメリカに行った。これはあの地域の平和回復活動に率先して当たっておるアメリカが大宗を占めておるということで、第一回のときはそういうことになっております。今回のことは何しろまだ拠出もしていないわけでありますから、話し合いも始まっておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それはおかしいですよ。あなたはさっきから日本が自主的に自発的にやってもいいんだとおっしゃるんだから、我々予算委員会で日本の国民の税金からの一兆一千七百億がどう使われるかということを議論しておるんですから、それを日本政府としてどう使うべきであるというもの、それが合意に至るか至らないかは別の問題ですが、当然はっきりとGCCの中に持ち込んで、そして議論するという立場がなければ、ただ出してあなた任せということでは困るんじゃないですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 何度も申し上げておりますが、提出するのは湾岸平和基金に提出をいたします。そして、私は何度も答えましたが、おっしゃるとおりそれは国民の皆さんの理解と協力をいただいて拠出するのでありますから、これは国連決議に基づいて関係諸国が行っている平和回復活動を支援するため所要経費の一部を協力するものであって、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連などの経費に充当する方針でありますということであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 アメリカの議会は既に、三月末までの戦争の状況を想定して組んだ予算が二月末に終わった、一ヵ月分はどうするんだという議論をやっているんですよ。我々のこの九十億ドルは、何をもとにして積算したのかということの根拠がはっきりしないから何の議論もできない。こんなばかなことありますか。私は絶対承服できないですよ、こんなことは。  しかも、あなたは、お金が余れば、戦争が早く終結すれば、まことに結構なことです、みんな望んだんですから。幸いそうなった。その残余のお金はこういうふうにも使いたいともおっしゃったじゃないですか。あれは何ですか、もう取り消しですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先ほども申し上げましたけれども、一刻も早く終わることを私たちは期待をしながら対処してまいりました。ですから、あの地域の平和と安定の回復のために拠出する、分に応じたお金であります。武力の行使が終わればそれで全部終わったとは私は解釈いたしません。武力の行使の終わった後にも、あの地域の平和の回復、安定のためにはいろいろなことをしなければなりません。そういったことに湾岸平和協力基金で、今申し上げたようないろいろな面において使用の要求が出てくればそれは皆使うべきであって、私は前から、戦争が終わったら取り返してくるかというような角度の御質問も他日衆議院でもございましたが、そのときも、取り返すというよりも、あの地域の平和の回復と安定のために拠出をしたものでありますからそのために使われるようになると私は考えておりますと、こう答えました。取り消したことはございません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私が会議録を読んだところによりますと、原油が流出して大変な環境汚染を起こしている、それを回復するためにとか、あるいは同地域の復興のためにこの金を使ってもいいという趣旨のことをあなたは答弁しておられますね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) どのような状況に広がって、どのような使用目的が出てくるかわかりませんけれども、あの地域の平和の回復と安定のために、湾岸平和協力基金で話し合いができればそれは使用していいわけですし、現にイラクがあのように原油の流出、垂れ流しをいたしました。どれほどひどい環境破壊になっておるかわかりません。そういったものに関しては第一回で決めてある資金の中から、日本政府としてはもうオイルフェンスなんかは既に現地へ刻々と送りつつあります。これも私は平和の回復、安定の作業、大きく考えればその一環であると思いますし、既にやってもおります。  今後のことは、どのような要求が起こり、どのようなニーズが出てくるかわかりません。関係諸国のイニシアチブを尊重しながら、日本としてはできる限り平和の回復と安定のためには協力していくべきである、こう考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうすると、こういうふうに理解したらいいんですか。  九十億ドルはGCCに出すと。しかしそこで、今総理のおっしゃったようなことを全部ずっと積算して、そしてアメリカにはこれだけのお金が必要だろうということで出していくということだから、九十億ドルが相当割り込んで八十億ドルぐらいになるということが十分想定されるわけですね。でなければ、アメリカに一たん出しておいて、そして今おっしゃったようなことを取り戻してくることはこれはできないんですよ。だから、それはGCCのところの議論できちっと整理をして、それでアメリカには八十億ドルというふうなことになる、こうでなければ今総理の言うような趣旨は生きませんね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) GCCのことは後ほど詳しく申し上げますけれども、既に第一回の拠出分もあって、それは運営委員会の理事会でいろいろお話し合いをしていたしました。結果として全体の約九一%余りがアメリカに使用されることになるというような御報告もしたはずであります。  ですから、九十億ドルのことについては、日本としてはこのようなものに充当したいという意向を述べるということまでは申し上げましたけれども、まだ現実に拠出していない段階でありますから、それを断言するのは差し控えさせていただきたいと先ほど申し上げたんですが、それは審議のためによくないということでございましたので、先ほどまた私がここで、これだけの関連の問題に充当するように日本としては意向を反映して使っていくつもりでありますと、こう申し上げておるところでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうすると、各国が約束したというふうに書いてあるこの九十億ドルというのは、今総理のおっしゃるような形の中で、この金額が八十五億になっても七十五億になってもそれは別にアメリカと格段約束したわけではないのだからいいんだ、こういうふうに理解していいわけですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) アメリカ側が期待をしておる日本の協力額というものが参考資料に載っておるということは、これはそのとおりでございましょう。けれども、それはアメリカ側のことでございまして、日本側としては、九十億ドルを決めていただいたならばそれは湾岸の平和協力基金に拠出をして、そこからいろいろな形の配分が行われる。また、アメリカの国会のいろいろなやりとりの中でも、例えば二月の六日、七日に下院の外交委員会とか下院の予算委員会でいろいろ行われておりますが、そこにおけるアメリカの責任者の発言もいろいろ弾力性のあるものになっておるわけで、それらのことについて、必ずしも九十億ドルの全額がアメリカのというようなことを述べているばかりではございません。日本としては、日本のこういう考え方で処理をし、湾岸平和基金に臨んでいきたいと考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理はそうおっしゃいますが、アメリカの受け取り方は違うわけでありまして、日本が九十億ドルを出すということを信じて疑わない、こういうふうに答弁をしているわけです。そうですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 二月六日、ベーカー国務長官は、日本の対米コミットは八十億ドルを超えるものである、これは下院の外交委員会の答弁であります。ブレイディ財務長官は、九十億ドルの一部は、小さい額ではあっても、英国及びフランス向けとなるであろう、これは下院の予算委員会の答えでありまして、いろいろ場所とか人によってこういったニュアンスの違いがあるということでございますが、日本側としては自主的に九十億ドルはGCCに出す、そこまで確定をしてお願いしておるわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 しかし、困ったことですね。今総理もおっしゃるように、それが九十億になるかならぬかわからぬのに、アメリカは各国の約束分だといって九十億ドルを出して、そして議論をしている。そんなことが実際の国際間の中で通用するんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本の国会で私がお願いしておるのは九十億ドルで、ですからそれは資料にも、日本の国会で今審議中とか、あるいはアメリカが期待しておる額はとか、まくら言葉というんでしょうか、何かいろいろな条件がついての意見の表明になっておると思います。  それから、現に前回の場合も、御必要ならば詳しくここで御説明させますけれども、GCCに出たものをすべてアメリカが消費したわけではなくて、そのほかの十ぐらいの国がいろいろなところで使った。けれども、アメリカがあの地域の平和回復活動の大宗を占めておるわけでありますから、たしか九一%以上のところがアメリカに行ったという実績がある、こういったことも申し上げておるわけで、そのことはアメリカの議会もよく承知のことだと思います。また、そういったことをよく承知だから、あのような議会における証言もいろいろなものが出てきておるのではないかと思います。  私は、あくまでも日本の国会でございますから、日本が拠出するのは九十億ドルで、湾岸の平和回復活動に応分の費用として資金協力をするものである、こう言い続けておるわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 三月二日の新聞に、アメリカの政府と議会で戦費の見積もりについての議論をしておりまして、政府の方は五百二十億ドルと見積もったが、議会が四百三十億ドルでいいではないかということで削減を判断したというような記事が載っておりますが、この事実関係を明らかにしていただきたい。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほども触れましたけれども、二月の二十二日にブッシュ大統領がアメリカの議会に補正予算案を提出いたしまして、上院、下院のそれぞれの歳出委員会で議論が始まっております。そこでいろいろな議論が今行われておりますが、ちょっと詳細に関しましては私ども現段階では承知しておりません。  先生が御指摘のような新聞報道があることは承知しております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 事実関係を早急に調査して教えていただきたいと思いますが、どうですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生が言及されましたのは下院の歳出委員会での議論かと思いますけれども、まさに調査中でございますので、大使館からの報告があり次第御報告いたしたいと思います。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それで総理、問題は、あなた方は九十億ドルの積算根拠も何も明らかにしないままこれをGCCに拠出する、アメリカにどれだけのお金が行くのかどうかわからぬ、そういう段階でアメリカが補正予算の審議をしている、こういうことであります。日本の立場からすれば、GCCの交換公文をやるというときにやはりはっきりと日本の意思としてアメリカに、この予算を見て、頭等遂行上必要であったと思うと向こうが積算をしておるのですから、それにふさわしい金を出し、そして残りの金はこういうふうに使うべきだという問題を日本の意思として交換公文をやるべきだ。何に使いたいかという問題はまた後ほど言いますけれども、そういうことを今回の場合は責任を持ってあなたがやる、こういうふうにここで言い切っておかなければ問題が残ると思うんですが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) きょうまでのいろいろな御議論の中で、私は拠出国としての政府の意向として、湾岸平和基金に出すときに輸送、医療、糧、生活、事務関連などの経費に充当する。こはあくまでも平和回復活動に使うために日本の意向を反映しておくわけであります。したがいまして、武力行使が終わったあるいは終わらないという段階よりも、平和回復活動に必要なもの、あの地域の平和の回復と安定のためにはいろいろこういうようなものに関連した費用が要るでしょうから、拠出国の意向として湾岸平和協力基金の理事会で、運営委員会でこれは正確に反映させていくつもりでございます。また、それは反映されるような仕組みになっておりますし、最初に資金協力として交換公文を結びますが、こういった意向等をよく踏まえて理事会には臨んでいくように、何回も外務省にも指示をいたしておるところであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それで、アメリカに試算もないというふうにおっしゃったんですが、しかし二月二十二日の中にはアメリカの試算が、いわゆる四百億ドル分についてはどういうふうに使うかという問題の試算があるわけですね。そのアメリカの試算を言うてください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の四百億ドルでございますけれども、これに関しまして今回の補正予算案で対象にしておりますのは、アメリカの会計年度九一年度の前半、具体的には昨年の十月一日からことしの三月三十一日まででございますけれども、それに関しまして幾つかの項目に分けまして積算をしております。例えば、十月一日から十二月三十一日までに実際に生じた追加経費九十一億ドル、それからことしの一月一日から三月三十一日までの追加経費百二十三億ドル、弾薬その他消耗品のために六十四億ドル、戦闘終了後の戦域内における撤退準備費が七十億ドル、それから帰還経費が五十二億ドル、合わせて四百億ドルでございますが、先ほど申し上げましたように、具体的な戦闘のための追加経費については算出できないとしているわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それも言ってください。書いてあるじゃないですか。一日当たり何ぼと書いてあるじゃないですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 私は総額について申し上げましたけれども、戦闘についての追加経費は上限下限を示しておりまして、下限が一日当たり一・五億ドル、上限が十六・五億ドルでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そして、総額と年度、何月から何月までかということも正確に言っておいてください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今申し上げたと思いますけれども、今回の補正予算案が対象にしておりますのはアメリカの会計年度九一年度の前半六ヵ月でございまして、具体的には昨年の十月一日からことしの三月三十一日でございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それで、総理にお伺いしますが、今言ったような事柄に、日本が幾ら拠出するのかわかりませんけれども、使われるんですよね。とすれば、あなたがおっしゃっている輸送、医療、食糧、生活、事務というんですか、それは一体どれになるんですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 日本政府の基本的な考えは、総理が繰り返し御説明しておられますように、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てるということでございまして、具体的に先生が今どこのどこだという御質問でございますけれども、私どもはまさに輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てるということで、湾岸平和基金の運営委員会で決定いたしまして、そこに対しましてアメリカ政府から具体的な要請があると思いますが、それを受けまして、そこで審査し決定するということでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理はなぜ武器弾薬には使わせないとおっしゃったんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会の御議論を通じて、また日本が拠出するのはごく一部であるという、そういった状況を踏まえて、日本政府の意向としてこういったものに使ってほしいということを言うということを決めたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私の質問に答えてないでしょう。なぜ武器と弾薬に使ってはいけないんだ、こう総理は思われるんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本としては平和回復活動の一部に資金協力をするんですけれども、平和回復活動といっても、我々が頭で描いた輸送協力、医療協力、食糧、生活関連、事務関連等というところに充当してほしいと日本政府の意向を申し上げたわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 総理の認識では、武力行為そのものは平和回復の手段である、今こう認めておられるんでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) そのとおりでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そうしたら、戦争全般ということになるじゃありませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 先ほども申し上げましたように、武力行使による平和回復活動をすべて日本が資金負担するという立場ではございません。その一部を日本の置かれておる国際的地位にふさわしい拠出をするということでありますから、日本が拠出するお金は九十億ドルとして今ここで御議論願っておりますけれども、それらのものについては.既にきょうまでも湾岸平和協力基金へ拠出をして使用してきた分等もございます。そういったことを踏まえて、今度の九十億ドルも日本政府としてはこれらのことに充当してほしいという、審議する上において具体的な大体の姿かたちを示せという御議論が、これは衆議院でございましたけれどもございましたので、そこで私どもとしては、今申し上げたものに充当していく方針である、こういうことを申し上げました。  以上です。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 だから、なぜ武器と弾薬ならいけないんですかということを聞いているんですよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) そうではなくて、ごく一部を充当するんですから、日本としてはこういったことに充当してもらいたいという日本政府の意向を伝えて、それを行っていく、こう言っておるのでありますから、武器弾薬がいいとか悪いとかいう角度の議論をしたことは一度もございません。平和回復活動が大切ですから、平和回復活動に対する応分の支援をするということを申し上げ、何に使うかとおっしゃるから、こういうことに使うつもりですという政府の意向をお示ししてきたところでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 今の議論はおかしいですよ。いろいろ議論なんかがあって、武器弾薬には使いませんと。それでは何かと聞かれて、こうこうこうであったんでしょう。そんな参議院に来て別のことを言われたら、こっちは議論できないじゃないですか。戦争そのものはあなたは平和回復の手段だと、こう全体を認めておられて、その中でなぜ特に武器と弾薬だけには使ってもらっては困る、こうおっしゃっているのかということをぜひここではっきり僕は聞きたいです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 何度も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、日本政府としては拠出をする側でありますから、拠出をする側の意向としては、このお金は平和回復活動のごく一部に充当されるものでありますが、輸送、医療、食糧、生活、事務関連などの経費に充当してほしいという意向を申し上げておるわけで、ごく一部ですから、これすら充当されない額かもしれません。それはわかりません。ただ、政府側の意向を申し上げておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 あなたがそこを盛んに逃げられるのは、やっぱり憲法九条に、日本が国際紛争に対しては武力の威嚇または行使をすることを永久に放棄するというものが現にあって、交戦権もこれを認めないとある。そういう憲法の運用上から見たら、戦費というものは出してはならぬとは書いてないけれども、少なくとも憲法上疑義がないようにしたいという懸命の努力である、私はこう見ておるんです。だから、あなたが今言う全体の一部なんというようなことじゃない。  しかし、あなたがいかにそうおっしゃっても、武器弾薬を抜いても戦費であることには変わりないんです。戦争に協力をもた、多国籍軍の戦争の協力をするために出すお金であるということはもう間違いのない事実なんです。そこのところをあなたが逃げ回って、そしてある種の欺瞞をやろうとするから、話は少しも前に行かないんです。やっぱりこれは日本としてやってはならない戦費を日本が今出そうとしているんだと、憲法運用上大変な間違いを犯そうとしているんだという問題を私は厳しく申し上げておきたいと思うんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) じゃ私も角度を変えて申し上げさせていただきます。  絶対平和というものは今実現しておらないんです。実現しないから、いかに国連決議があっても武力による侵略そして併合ということが現実に行われておるということでございました。そういった中で、決議だけで、そして見ておって、こっちも悪い、イラクが悪いけれどもアメリカも早過ぎるとか、いろいろな御議論がありました。何か国際社会の中でともに生きておる者だという一歩踏み込んだ考え方の中に立つと、日本も一員としてこのようなことは許してはならぬという明確な立場と意思表示が必要でありました。反対と言っておるだけで済ませたり絶対的平和の手段だけで対処することは、武力侵略行動を結果的に容認し、これを利することになる、かえって戦争への道に近づいていくことになるでしょう。こんなことでは喜ぶのはサダム・フセイン大統領だけだ、明確なこういう意見もあるわけです。  そういった意味において、日本としては、ほっておいたのではいつまでたっても武力の侵略が終わりません。これではいけませんから協力をしよう。けれども、今おっしゃるとおり、力でもってお役に立とうということは、日本の場合は憲法の制約でできませんでした。ですからそういった日本の立場は、二十八もの国の首脳が決断をして、自分の国の青年男女の犠牲をも顧みず国際社会の大義を守ろうと動いておることに対して、分に応ずる拠出金を出そう、そしてそれはごく一部でありますから、この出したお金を日本政府としてはこのようなことに充ててもらいたいという政府の意思意向というものを伝えてきたわけであります。それによって、国連の決議に従った侵略を排除するための、平和を回復するための武力の行使を支持してまいりましたし、それが一日も早く国際の平和と安定をつくり出していくことも強く希望してまいりました。そのために、日本はこれらのことにこれらの資金協力をいたしますという態度表明をしてきたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 どうしても今の総理の話は納得できないんですね。  武力行使を放棄した日本国憲法があって、あなたはその憲法の忠実な誠実な実行者でなければならぬわけです。それで一方、あなたがおっしゃるように、フセインがクウェートを侵略した、これはもう許すべからざることであります。そして、長い間にわたって経済制裁で何とか原状に復帰させようとしたけれども、できなかった。それで、あなたがおっしゃる、やむを得ず武力行使に踏み切った。しかし、そのやむを得ず武力行使に踏み切ったということに絶対的な支持を与えるというそこのところ、武力行使を放棄した日本国政府の責任者が絶対的な支持を与えるというところに踏み切っていく過程というのは、私はかなり難しいと思うんです。ここのところは難しいと思うんです。だから、そこのところに、それでは日本国憲法の関係にあって一体どうなのかという日本自身のもっと苦しみなりいろいろな考え方がやはりそこに出てこなければ私はいけなかったと思うんです。  にもかかわらず、積極的な支持、そして戦争遂行上の戦費を、全体として百億ドルを上回るものをそこに結果として拠出するというふうな問題、私は今の憲法運用上許されるべきことではない、こういうふうに申し上げているわけです。あなたが日本国の総理大臣であるから、そういうことを私は申し上げているわけです。もうこのことが意見のすれ違いであるならば仕方がありませんが、しかしこの問題はもう明らかに、あなたが戦費と認めたくないから武器弾薬には使わないんだと言っていろいろぐるぐる回っておられるわけであります。そのあなたの苦しみは私はわからないでもありませんけれども、ここのところは日本としてやはり最後の判断が間違ったんではないかというふうに私は思います。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 憲法の規定しております武力の威嚇、武力の行使を許さないという、これは国家によるやはり実力行使の概念でありまして、やはり日米安全保障条約のもとで我が国は平和と安全を確保してずっときょうまで来たわけでありますけれども、そういった立場に立つと、自国のために個別的自衛権を私たちは認める立場でございますが、それを集団的自衛権にまで発展させていくことについているいろ疑義があることを私どももよく承知しております。したがって、力によるお役には立てないということはきちっと守っておるつもりであります。  同時に、国家による実力行使というものと、また今回の国連決議に基づく平和回復活動と従来の国と国とが侵し合いをした戦争の概念とは、私は質が変わってきておるものと受けとめております。したがって、例えばイラクがクウェートへ侵入していった戦争は、あれは確かに許すべからざる戦争でありますから、それに対する支援とかなんとかということは考えられないことでありましたが、国連が決議をして、ことに平和の破壊者がいるんだと、国際社会はこういった平和の破壊を許してはいけないということを決めましたし、日本国憲法も平和主義、国際協調主義の理念を掲げておりますが、これはあくまで正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に履行しておるわけでございます。  ですから、ただ単に武力の行使が行われないだけの平和、私はけさのある新聞で有名な作家の書いておられた冒頭の文章を読んでみて、ハイジャッカーのもとにおける平和は我々の求める平和じゃないということも明らかにしておられました。そういったことを考えると、国連の決議に従った共同による武力の行使というものは、国権の発動たる今までの概念にあったものではなくて、初めて機能し始めた国連が、国際社会の大義として、国際社会の総意として平和秩序を守るためのものでありますから、日本は憲法のもとにおける平和主義、国際協調主義の中でこのような決意をし、このような態度をとったわけでありますから、これが直ちに憲法違反だという御指摘は、私はどうしてもそのまま受けとめるわけにはまいりません。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私も、総理がおっしゃるように、初めて機能をし始めた国連、こう思うわけであります。ポスト冷戦時代の中において初めて国連というものが日の当たる場所に出てきた。さあ国連に我々は何を期待するかという場合に、国連の制裁措置の中に平和的手段と、最後は武力に訴えるというのがある。これは日本国憲法ははないんですが、国連憲章の中にはある。  だから、その国連憲章の武力行使に訴えるという問題と、日本国憲法の交戦権を認めない、そして武力行使を放棄したという問題のかかわり合いをやはり我々は真剣に議論をして、そしてある意味では国連憲章よりも日本憲法の方が上回っているわけでありますから、理念的にも、具体的な中身にあっても。そこへどう高めていくかということは、やはり国連憲章の六章までの平和的手段のところにおいてどれだけの解決ができるかという問題をこそ私たちは期待したし、それができ得て初めてポスト冷戦時代の新しい国際秩序というものが生まれるのではないかと期待したけれども、結局最後は武力行使による解決しかできなかったという、その問題をあなたのように肯定的に見るのかそうでないのかというところが議論の分かれ目であるわけであります。だから、今総理の言われたことについては私は納得できないわけであります。これは私たちと政府との違いでありますから、はっきりさせておきたいと思います。  そこで、九十億ドルを戦費として出すんだということで、かなり中身についてはよくわかってきたわけであります。それではその九十億ドルを、我々は反対であるけれども、出すべきでない、しかし今、中東あるいは湾岸周辺の国あるいは発展途上国の問題等々にこの戦争によるさまざまな被害がいろんな形で起こっている。そして、中東の戦後回復の、復興の問題もそこにある。  こうした事柄に対して、それでは日本がどう貢献するかという問題、これに関しては国民を挙げて私たちも協力しましょう、必要なお金は出しましょうというふうに言っているわけでありまして、だからこの九十億ドルが今日の時点で戦費だけに使われることなく、そういう国民の本当に期待する方向にこれが使えるように政府としてGCCのところで積極的にかかわる。そして、それについてはこれとこれとこれと、こういうふうに、九十億ドルの中の五億ドルを、二十億ドルをというふうに分けて支出を求めていくというふうなことを、日本の自主性、自発性において、独自性において当然そういうことがやられてしかるべきではないかと思うんですが、政府、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は今回の九十億ドルの問題に関して、あの地域の平和回復、安定のために関係諸国が行っておる行動を支援すると言ってまいりましたが、これは九十億ドルの問題を乗り越えて、さらにあの地域の恒久和平のためにも果たしていかなきゃならない政治的、経済的、いろいろな役割とか分野の仕事というのは出てくるものと思います。そういったこと等も念頭に置きながら、今後ともあの地域の平和回復、安定のためにできるだけ努力をしていかなきゃならぬというのは当然の政府の心構えでありますし、同時に、今回の九十億ドルが国会で補正予算案の可決をしていただいたならば現実に平和協力基金の議論になるわけでありますから、何回もここで申し上げたように、政府代表を通じて我が国政府の充当したいという意向を反映させて、その意向を反映させながら適切に使われていくようにいたします。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 適切に使われるようにというその問題は、くどいようでありますけれども、九十億ドルが今こうして補正予算に組み込まれてあるけれども、その中の相当額を、相当額というのは多いという意味じゃなくて、必要な相当額というものを戦費以外の問題に使うということについてあなたは日本政府の立場としてとっていく、こういうふうに今おっしゃったんだというふうに理解してよろしゅうございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは拠出を決めていただいたならば、最終的には湾岸平和基金において運営委員会で議論すべき問題でありますけれども、あの地域の平和と安定の回復のために、日本が申し上げておるような、今いろいろ申し上げた分野の意向を尊重してもらうように言いながら、平和回復のためにこれを使っていくつもりでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 ここは九十億ドルの補正予算是か非かの議論を今やっているわけでありますから、今のままでは九十億ドルはそのままGCCに出されて、そして多国籍軍にこれが配分されるということになっているんでしょう。そして、その多国籍軍に配分するについては、総理が繰り返しおっしゃっているような武器弾薬を除いて云々ということになっているわけで、それではあなたが今までおっしゃってきた環境破壊を回復するとかあるいは中東の復興のために使ってはどうかと思うとかいった問題を、支出の部分で明確に補正予算の九十億ドルの中身としてあなたがここで明言をしていくということができるかできないか。どうですか、できませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今回お願いしておりますものは、平和回復活動に、関係諸国の行動を支援するための一部として九十億ドルの支出を決めてお願いしておるわけでありますから、あくまでも国連決議に基づいた、そして適切な支援を求められた日本として平和回復活動のために使ってもらう金である、こういうことでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 九十億ドルについて、総理の頭は、平和回復活動というのが結局戦争全体を含めての平和回復活動ということで、これは当然我々と相入れるところではないわけでありまして、これからこれが本当にどう使われるのかというものを厳密に私たちは見きわめていかなければならぬと思います。これが恐らく全部戦費として、総理はああ言っているけれども、結局使われてしまう、こういうふうに私は見ております。  そこで、総理、それではこれがどう使われたかという問題です。締めて百十億ドル、二十億ドルと追加の九十億ドル、これがどのようにして使れたかという詳細な使途、これを国会に後日提出するということをここで確認していただきたいと思います。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 今まで二度にわたりまして合計十九億ドル、円にいたしまして二百二十九億円を湾岸平和基金に拠出しておりますが、その具体的な使い方に関しましては国会の場で既に報告をさせていただいておりますけれども、今回の九十億ドルに関しましても適切な形で明らかにしてまいりたい、こう考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 前回のやつはだめなんですよ。今度は総理がはっきりと使途の中身を、輸送関連、食糧関連、医療関連、事務関連、生活関連、こういうふうに限定をしておっしゃっているわけで、アメリカへ幾ら行ったということだけではだめだ。前のやつは結局アメリカへ十七億ドル幾ら行ったと、こういうことだけでしょう。アメリカでそれをどう使われたということは全然報告がないわけですから、総理の裏づけのしようがないわけです。今回はここまでいろいろ議論をして詰めたものですから、そのとおりになったかどうかという問題を私たちは国会に報告を求める義務が国民に対してあると思うんです。どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最終的に湾岸平和基金の運営委員会で決めるときには、運営委員会に出ていく我が国の代表に対して、今申し上げたように輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連などの経費に充てる我が国の方針を伝えるとともに、拠出国である我が国の意に反した使途には充てられないように確保し得る仕組みとなっておりますから、それがどのように使われたかということも後日報告を受けることになっております。したがいまして、それらについては適切にまた御報告をさせていただきます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は今、絶対に九十億ドルを戦争協力の問題として日本が支出されるべきでないという立場で議論を進めてきたわけであります。しかし、その支出の中身について政府があれこれと議論を発展させられたものですから、それに対する裏づけを一つ一つとるために、今アメリカとの関連で議論をやってまいりました。しかし、幾ら聞きましても、私たちはこの九十億ドルというものを、今の憲法上に照らし、また国連のあるべき姿から見て絶対にやるべきものでなかったということをやはり再度ここで強く申し上げて、この反対の立場というものをここで貫いておかなければならぬ、このように思うわけであります。  そこで、次に戦争の終わった後の問題でありますが、中東湾岸戦争が終結した今、中東の恒久平和の実現を目指して各国がさまざまな提言をしているわけでありますけれども、政府は今後の中東安全保障体制づくりにどのような具体的な構想を持って関与しようとしておられるんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 中東の中長期的な安全保障問題につきましては、基本となりますものは、まず域内国がどのように考えるかということが基本でなければならないと思います。  御案内のように、今月の五日、GCCの国々とそれからエジプト、シリアといったような国々が八カ国集まりまして、そこでいろいろとこれからの中東の和平に関する会議が開かれようといたしております。そのような中で、一方安全保障理事会ではいろいろと協議が進んでおりますが、いずれにいたしましても、GCC及びシリアあるいはエジプト、ジョルダンといったような地域の国々が、みずからの安全保障をどうするかということも含めていろいろと協議されることが原則でございまして、我々は域内国のこれからのイニシアチブがどうなるかということを十分見詰めながら、日本としての対応を考えていきたいと考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それぞれいろいろな提案がなされておりますが、日本は中東の安全保障体制づくりについて具体的なものをまだ何ら持ち合わせていないというふうに受け取っていいんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 中東地域の安全保障問題というものは、御案内のように、この地域は相当日本からの地理的な距離がある、そういう問題も含めまして、原則としてやはりこの地域の国々が、この地域をどのように中長期にわたって安全を保障するような構想を固めることが大事かということからスタートするべきであろうと私は思います。現に各国の外務大臣が集まって協議をする日程も決まり、国連は国連でいろいろやっておりますから、我々はこのような一つの動きを十分注目しながら、この地域の安全保障をいかに確立するかということについての日本の考え方を打ち出していくべきだ。  しかし、そこにありますものは、委員も御案内のように、中東地域において長い間一つの紛争の種となっておりますパレスチナ問題の解決、このような問題を避けて通るわけにはいかないのでございまして、このパレスチナ問題を解決するためにどうしたらいいのか。それは、従来日本は、イスラエルの国家としての存在権を認める、また一方パレスチナの方々に対しては、パレスチナ人の自決による国家の建設も認める、そうして両方がお互いの立場というものを認め合いながら、そこでこの地域の復興を考えるならば日本政府としては応分の協力をするというのが日本のパレスチナ問題に対する基本的な原則でございますから、私はそのような原則を崩さずにこれからもパレスチナ問題に取り組んでいかなければならないと考えておりますが、従来との変わった動きというものがこの中東戦争に出てまいりました。  それは、今回の湾岸戦争で、イスラエルとパレスチナ人との間の戦いというものが従来あったわけでありますが、今回はイラクがスカッドミサイルを数十発打ち込みまして、たくさんの方々が死んだりけが人が出ましたけれども、イスラエルはじっと戦火の拡大を防ぐためにこらえてきたわけであります。ここに新しい中東の歴史のページが開かれようとする姿が出てきている、私はそのように認識しながら、一日も早く、域内国の政治家たちが中東地域の長期的な安定をどうして図るかということを、イスラエルも含めて議論する日が近づいてまいったと考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 今の問題はまた本予算のところで議論をさせていただきたいと思います。  それでもう一点、今後日本の資金援助なり経済援助が武器購入や戦費になるような形のものは絶対避けなければならないと思いますし、また日本の武器輸出三原則、この中身の問題をもっと厳しく改めていくとともに、こうした考え方を国連を通して国際的に拡大していく、こういうことがなければ、今回のイラクがクウェートを侵攻していったというその背景にある重大な問題が解決しないと私は思うんですが、この点についてはいかがですか。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 本岡委員にお答えいたします。  これは大変貴重にして微妙な問題でございますから、私からもしかと申し上げたいと思うのでございます。  まず、武器輸出三原則の問題についてはきちっとさせるべきではないか、こういうことでございますが、武器の輸出につきましては、あくまでも平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争を助長するようなことが決してあってはならない。これを回避するためには、何としても政府としては従来からの方針を貫きまして、厳格に対処していくということを堅持することであろうと思うのでございます。  第二点につきまして、政府としては、総理が今国会でももう既に施政方針演説の中で申し上げたと思うのでございますが.核兵器、生物・化学兵器やあるいはミサイルの拡散防止を徹底するということが第二点の大きな問題であろうと思うのでございます。通常兵器の移転につきましても、透明性あるいは公開性の増大や、ある意味においては各国にも適切に管理の強化というものが必要欠くべからざるものでございまして、これに関する国際的取り組みの強化が急務である、このように考える次第でございます。  さらになおかつ、我が国からの武器輸出規制の所管大臣として、私もかかる考え方のもとに、先ほど委員が御指摘のとおり、武器輸出三原則に基づく厳格なる武器輸出規制というものを実施いたしまして、我が国の考え方については今後とも、普遍的な原則でございますから、これは諸外国の理解を求めるとともに、機会をとらえまして各国が同様の施策をとっていくように呼びかけ、なお訴え続けていくことが肝要である、このように考えている次第でございます。  以上でございます。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 本岡委員の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二年度一般会計補正予算、平成二年度特別会計補正予算、以上二案を一括して議題とし、休憩前に引き続き本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私は、残されました時間、国連の経済制裁の問題について幾つかの点を政府にただしたいと思います。  まず国連憲章に言う経済制裁、この意義について政府の見解をお聞きしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 国連安保理の決議の六百六十一と記憶いたしておりますが、経済制裁によってサダム・フセイン大統領を中心とするイラクの政府が、国民生活に一つの大きな影響を与えることによってクウェートを侵略したことの反省を起こして兵を撤兵させるという六百六十の決議の実効につながるように行われた経済制裁でございまして、イラクからの石油の輸出あるいは各国の輸入、このようなものを一斉に国連決議によって中絶するということでございました。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 その結果、制裁の実施状況は実際はどうであったんですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。  まず、制裁の実施につきましては、これは決議六六一が国連加盟国に対する経済制裁実施の義務を課しまして、そのほかに国連加盟国でないスイス等も、この決議を受け入れてそれに参加いたしました。また、決議六六五それから六七〇という二つの決議が、それぞれ海上及び空域においてこの経済制裁の実効性を担保するために加盟国が必要な措置をとるということを規定をいたしております。  そのような形で、経済制裁は国際的に非常に広く厳格に遵守されてきたというふうに承知をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そういう抽象的なことじゃなくて、具体的にどのような経済制裁が行われたのかということを聞いているんです、実施状況を。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 決議六百六十一に基づきまして、これはイラクまたはクウェートから輸出されるすべての産品または製品の輸入の禁止、それから逆にイラクに対する輸出の禁止を基本的には規定をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 もっと具体的に、経済制裁が行われたと言うけれども、どういうふうなことがどのように行われたのか、もっと具体的な中身の問題を掌握していないんですか。

堤富男通商産業省貿易局長

○政府委員(堤富男君) 国連決議に基づきまして日本側でどういうことをやったかということを申し上げますと、国連決議に基づきまして、日本の法律でございますと外為法がその根拠条文になっておりますが、イラク及びクウェート地区に対しまして、輸出、輸入はすべてこれを停止してございます。  それから、輸出入以外では貿易に関連します役務というのがございます。サービスでございますが、技術ですとかあるいはいろいろ建設事業をするというようなことでございますけれども、そういうものもとめております。  それからもう一つ、第三番目のカテゴリーといたしましては支払いというのがございます。送金をする、あるいはいろんな意味の対価としての支払いを受ける、あるいは支払いを輸入の結果こちらからするというようなことがございますが、そういう支払い行為をすべてとめておる次第でございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それで、本当は世界のことをお聞きしていきたいんですが、それは別にしまして、日本はいつ経済制裁をしたんですか。

堤富男通商産業省貿易局長

○政府委員(堤富男君) 基本的には、八月二日侵入がありまして、国連決議が八月中に行われたと思いますが、八月中には、私、正確な日取りはそれぞれ政令、省令等で違いますが、八月の中旬においてはすべてそういうものが手続的には終わったと思っております。具体的には、その後は原則として貿易取引は、非常に例外を除きまして一切ないという状況にございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 国連の安保理の制裁決議の前に日本はもう既に経済制裁措置を打ち出したというふうに聞いているんですが、そうですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 国連の安保理で制裁決議六六一が採択をされましたのが八月の六日でございますが、その後我が国はこの安保理決議に従いまして必要な国内措置をとったわけでございます。ただ、この八月六日の決議に先立ちまして、八月五日に我が国としてイラクに対する経済制裁措置を行うという政策的な決定をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 国連決議に先立って日本が経済制裁措置というものを政策的に決定したという、その意図は何ですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) これは、それに先立ちまして八月二日にイラクのクウェート侵攻が発生をいたしまして、これは国際法違反の行為であり、そのような行為に対して我が国としての遺憾の意を表明するという、それを具体的な行動にあらわすという趣旨でこの経済制裁措置をとろうという方針を決定したわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 外務大臣にお伺いしますが、かなり迅速な措置をとっているわけであります。ということは、やはり経済制裁の措置というものが、これはイラクがクウェートを侵略したという問題に関して、その原状を回復させ、撤退させるということにかなりな実効性を持っているという判断から、文字どおり日本が国連決議に先立ってやったというふうに思うんですが、どうですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我が国はイラクとの間に、御案内のように、石油を輸入する、原油の輸入といったようなものがございますし、また一方では、我が国は七千億円にわたる債権をイラクに持っております。  しかし、武力によって他国を侵略し、それを併合するといったような国際法に反した方法で平和を乱すということについては、我々平和を希求する国家としては、そのようなことは国の存立にかかわる重要な基本の原則でございますので、日本政府としては、この経済制裁を行うことによって日本政府の平和への意思というものを明確にするために早急に決断をしたわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 私もそれでいいと思うんですが、だからやはり政府としては経済制裁措置にかなり自信を持ち、そしてその効果を期待していたんじゃないかと思うんです。その結果、ずっと続けた五カ月間の経済制裁の効果をどう見ていますか、そしてどのようにこれを評価していますか。大臣の方からこれは答えてくださいよ。大事な問題でしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 経済制裁の効果というものは、相当厳しくイラクに影響を与えたという報告を私は受けております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 相当厳しくとは、どのように厳しいんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 幾つかのいろいろな品が配給制度になったということを見まして、私どもは相当イラクの経済にこの経済制裁というものが効果をあらわしてきたなというふうな認識を持っておりました。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 もう少しきちっと、経済制裁を日本が進んでやったんですから、その効果とそれの評価をやらなければいけないんじゃないですか。もうちょっときちっとやってください、できるなら。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 経済制裁の効果につきましては、幾つかの例を申し上げますと、一部の基礎的な食料品について配給制が実施されたという事実がございました。それから幾つかの工場等におきまして、部品あるいは原材料の輸入不足のために稼働率が低下している、あるいは従業員が解雇されているというような種類の報告もあったわけでございます。  そのような報告を総合的に勘案いたしますと、経済制裁についてはそれなりの効果はあらわれておったという判断はできるかと思いますけれども、ただこれがどの程度にどういう効果を持ったのかということを明確に結論づけるのは非常に難しいことであろうかというふうに考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 今の程度の効果とか評価では困るんですね、これだけの大がかりな経済制裁を国際的に国連がやって、そしてその結果どういう状態であったのかという認識を日本自身が持たなければ。今言うたようなことでしかないわけですか。納得できませんね。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 例えば先ほど申し上げました工場の稼働率の問題、それからそれの原因となっております部品、原材料の輸入の欠乏の問題、これにつきましては、例えば自動車のタイヤでございますとか、それから一部製油施設のための必要な部品でございますとか、そういうものが欠乏しているというふうな報告が何カ所かの情報源から入ってきたわけでございます。それから食料品につきましては、先ほど申し上げましたように配給制の導入がございましたけれども、その配給制の導入に従いまして、その後毎月一人当たりの配給量が減少してきているという報告もあったというふうに記憶いたしております。  そういうふうな形の具体的な情報の統合的な判断が、効果があらわれつつあるということであったわけでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 経済制裁というのは、何もこれは武力行使に入る前の前段行為ではないと思うんです。経済制裁はそのものが平和的解決手段として存在するわけで、経済制裁を行ったことが一体どういう効果を持っているのか、もうこれ以上やってもむだなのかどうなのかといういろんな判断があって、その上で次の段階に移るということになると思うんですが、今のような、相当厳しいのではなかったかとか、実にあいまいな形でこの経済制裁そのものを論じることは私はおかしいと思うんです。だから政府としては、日本の判断として、経済制裁をやってみたけれども効果が少なかったからやっぱり武力行使、だから武力行使を支持すると、外務大臣、こういう論理ですか。あなたは相当厳しくと言いましたが、厳しいということは、その次にそれがどうなるかという問題の次の判断がなければいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 経済制裁がどのような影響をイラクの経済に与えたかということを十分確認してないじゃないかという点を指摘されていると思います。  サダム・フセインぐらいの指導者になりますと、あれだけの、隣国を武力で一日で併呑するというような国になると相当ないわゆる戦略物資の備蓄がある、食糧も含めて。そういうことで、その当時果たしてどの程度の備蓄をサダム・フセインは準備をしているか。一説には三カ月とも言われ六カ月とも言われておりました。しかし、国連加盟国が一斉に経済制裁をやるということになりますと、少々の備蓄がありましても影響を与えることは事実でございます。今局長が申し上げましたように、一部の品物については配給制、あるいは水のろ過装置についてはろ過のフィルターがないといったような情報もその当時もたらされておりましたけれども、この効果が完全に上がって国民生活が疲弊するということになれば、いかにサダム・フセイン大統領といえどもクウェートから撤退をせざるを得なかったろうと思います。  結果的には、経済制裁を各国が協力してやりましたけれども、備蓄をされた物資等によって運用されて、それによって直ちにクウェートから撤兵するという国連決議を実施する決断を起こさせるほどの影響はなかったと言わざるを得ないと思っております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そこが議論の分かれるところでありますけれども、これも時間の関係で次の本予算のときにやりますが、それはそれといたしまして、長期にわたってイラクの経済制裁をやったことによって、国連の加盟国はそれに全部協力していったわけです。その結果として、今度は逆に経済的に困窮し打撃を受けるということが幾つかの国に起こっております。それは相当深刻な経済的な影響も受けたというところもあるわけですが、今度は逆の意味で、国連加盟国、協力した側にどういう影響があったかということをどの程度掌握しておられますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今のお尋ねに入ります前に、なぜその数値の計算ができるようなデータがないのかという御疑問をお持ちだろうと思います。イラク政府は、従来GNPを初め各種統計を公表いたしておりません。そのために各国ともイラクの経済実態というものは数値的、数量的に計算ができない、このような特殊性を持った政府であるということをまず御理解をしておいていただきたいと思います。  今の第二のお尋ねでございます。  まず、周辺国であるエジプト、ジョルダン、トルコ、このような国々は、クウェートに働きに出ておった出稼ぎの労働者からの送金がゼロになっている。そして、この人たちが本国へ引き揚げてくるために、本国での生活をどうするかという問題が起こってきた。また、貿易をすることによってイラクとの関係が保たれていた国家が、例えばトルコもありますしジョルダンもございますしエジプトもある、こういったことでこの国々の貿易がとまったという問題がもう一つございます。こういう状況の中で、石油の供給がとめられたという国もございます。あるいはまた、イラクから資金を油でもらっておったというようなケースも周辺国にはあるわけでございまして、こういう直接の近隣の国々への影響というものは相当大きかった。そのために政府は協力をしながら、周辺国援助に二十億ドルの拠出をするという方針を決めたわけでございます。  一方、東ヨーロッパの国々では、昨年、一昨年の民主化、自由化の中で彼らは新しい経済体制へ行こうとする努力をいたしておりましたけれども、ソ連が行っておった原油の供給を三〇%カットする、こういうことになり、しかもそのカットされた石油の充足分をイラク、クウェートから転嫁するという形をとっておったわけであります。このために国内の備蓄は、例えばチェコなどはガソリンは三週間しかなかったと言われております。そういうことで、東ヨーロッパの国々が軒並みにこの影響を受けております。  また一方、南西アジア――パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、あるいは近所ではフィリピン、このような国々からは出稼ぎ労働者が相当あの地域に行っておりまして、これがやはり帰ってきたために送金が途絶え、この人たちの本国における生活問題が起こってきている。こういう影響が私どもの大きく見られるところでございまして、イラクのクウェート侵略によって起こった経済封鎖によって相当な国が、特に発展途上国が大きな影響を受けたのではないか。また、一時的には石油価格の上昇によって非産油国の発展途上国が相当大きな影響を受けたことも事実であろうと思っております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 アジアの諸国の問題について、国連のアジア・太平洋経済社会委員会ですか、それがある種の報告をしておると思うんですが、正確にここで報告していただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 数値につきましては局長から具体的に御説明をさせていただきたいと思います。――それでは私が言いましょう。  アジア各国地域における経済的影響、これは試算に基づくものでございますが、パキスタンの場合はどれぐらいの出稼ぎが行っておったかというと十万人、そのうち帰国者が七万人、それから石油価格の上昇による支出増が九・六八%、こういうことで、国際収支の悪化については十四億ドルぐらいのマイナスが起こっております。インドにつきましては、出稼ぎ労働者がイラク、クウェートへ十八万人、そのうち帰国者が十万人、石油価格の上昇による支出増が二三・六%、そして国際収支の悪化が二十九億ドル。バングラデシュは、イラク、クウェートへの出稼ぎ人が十一万五千人、うち帰国者が六万人、そして国際収支の悪化が五億三千六百万ドル。スリランカにつきましては、出稼ぎ労働者十一万人、そのうち帰国者が七万三千人、国際収支は一億四千万ドル悪化しております。フィリピンにつきましては、出稼ぎの労働者が六万五千人、そのうち帰国者が二万七千人、国際収支の悪化については十四億ドルのマイナスが起こっているだろうと推測をされております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 新聞にも、今おっしゃったような被害が七十億ドルに達しているのではないかというふうに国連の機関が報告しているわけですね。  それで、国連安保理事会の決議六六九では、こうした経済的打撃を受けたところに対して、援助要請があればそれに対する支援をするようにということを決めているようですが、安保理ないし委員会として、六六九の決議が具体的にどのように動いたのか、実際どのような活動がなされたのかという点を、わかっておれば教えていただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(渡辺允君) 安保理決議六六九に基づきまして、安保理の制裁監視委員会が幾つかの関係国からの報告を聴取いたしております。報告を提出した国の中には、例えばヨルダンのような周辺国もございましたし、それから南西アジアのパキスタン等の国、それから東ヨーロッパの国もございました。  それで、制裁委員会はそれぞれの国の報告を聴取いたしました上で、いずれの国につきましても国際的な支援が必要であるということで、その報告を国連の関係機関等に送付をいたしておるというふうに承知をいたしております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そのうちの一つが、過日香港で行われたMAIのフィリピンに対する支援ではなかったかと思うんですが、それでは外務省の方は、六六九に基づいて国際的な機関からそれぞれ非常に経済的に困窮した状態になったところに対して具体的にはどういう支援が行われたかということを把握しているんですか、していませんか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先般香港で行われましたMAI会議、対比援助のためのグループ会合でございますが、この場におきまして、この場には十七カ国六国際機関が参加して会議が開催されたわけでございますが、比経済の現況及び今後の見通し等について種々の意見交換が行われますとともに、各ドナーより全体といたしまして合計三十三億ドルの援助意図表明がございました。  この機会に、我が国よりどういう援助をしたかということをちょっと触れさせていただきたいと思いますけれども、我が国からは今年度対比経済協力の内容につきまして、有償資金協力といたしましては、既に昨年十二月交換公文締結済みであります地震復興緊急商品借款二百八十二億円、本年一月協力を表明済みであります日本ASEAN開発基金としての三百六十七億円の協力に加えまして、第十七次の円借款といたしまして千二百四億円を、また技術協力を含みます無償資金協力といたしまして約二百億円、すなわち総額二千五十三億円、百三十円のレートで計算いたしますと十五・七億ドル程度の協力を行うという表明を行っておる次第でございます。  特に我が国の協力の中身につきまして、供与総額、またその内容におきまして、比経済の直面する困難な状況というものを考慮いたしておりまして、特段の配慮を払いまして、先ほど申しました十七次の円借款のうちの三百七十億円、二・八億ドル相当分というものはノンプロジェクト借款ということにいたしております。これはフィリピン経済への悪影響を勘案いたしまして、フィリピンの国際収支を改善し、比経済の構造調整に資するためのいわゆる足の速い援助として供与するということでございます。  我が国以外にも、世銀、ADBその他、先ほど申しましたような多数の国からの援助表明があったということでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 フィリピンに対する影響、それに対する支援、今聞いたとおりですが、そのほかの国にもその種のものを政府としてやったのかやらなかったのか、どうですか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。  先ほど外務大臣からも御答弁がございましたように、まずエジプト、トルコ、ジョルダンといった今次の事態によりまして一番影響を受けました三カ国に対する周辺国支援というものを、従来約二十億ドル、これはもう意図表明済みでございまして、随時実施に移しているということでございます。  それから、そのほかの湾岸危機に伴いまして経済的な影響をこうむった、まずアジアの国でございますが、これらにつきましては、先ほど外務大臣からも御答弁ございました南西アジア、フィリピン以外に南西アジアが特に経済的な打撃をこうむっているという認識に基づきまして、我々はこれらの南西アジアの国に対しましてはとりわけ年次ベースで経済協力を行っておりますので、そういう年次の経済協力の枠内において、総額、それから中身、先ほど申しましたような足の速い借款といったものをできるだけパーセンテージとして多くするといったような対処方針に基づきまして、いろいろな国際機関、世銀、IMF等、それから欧州諸国といったような他のドナーとの協力のもとに今後適切な支援を行っていくという対処方針にいたしております。  そのほかの世界各地の地域の問題につきましては、やはり基本的には同様に、西側の諸国あるいは世銀、IMF等の国際機関と協議しながら適切な措置を講じてまいりたい、かように考えております。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それでは、私が言いました六六九に基づく制裁監視委員会ができて、そしていろいろ困窮している、経済的に非常に困った状態になっているところに対する支援を行うということを国際機関を通して日本がやっているということなんですが、それは総まとめして、二十億ドルは二十億ドルでこれははっきりしておるんですが、報告できますか。後で私の方にしていただけますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 後ほど局長から委員のお手元に報告をさせます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そこで、なぜ私がこういうふうなことを長々と聞いたかといいますと、要するに経済制裁を行うというのは加盟国がそれに協力するということであって、協力するということによってさまざまな経済的困難が起こる。それをきちっと国連全体で、また力ある国が経済的な問題が起こらないように支援体制をしいておかなければ、これは経済制裁をやった方が参ってしまうということになるわけですね、先ほどおっしゃったように。イラクはそういうことではなかなか参らないだろう。制裁をやった側は、協力国が参ってしまうという状態になればどうしようもないわけで、だから、そのために国連憲章に五十条というものがあり、今回も六六九というものを出してやった。しかし、それが本当にどれだけのことがやれたのかということが定かでないわけですね。  そして、日本が本当に国連の一員として、加盟国として今の憲法上本当にやらなければならなかったことをやって世界から日本に対して大きな尊敬と信頼が集まるというのは、私はこの面においてもっと積極的にかかわってやるべきではなかったか。だから、百十億ドルというお金を多国籍軍に拠出するというよりも、むしろそちらの方にこそ私は金を出すべきではなかったかという立場をとりますから今のようなことを質問したのであります。後ほどどれだけのことをやれたのかということを聞きまして、また改めて議論をしたいと思います。  そこで、外務省に聞きたいんですが、平成元年度から国連平和維持活動支援強化拠出金というふうなものが予算項目として設けられているようでありますが、一体その目的と使途、金額、どういうふうになっているんですか、ここで教えていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、平成元年度から国連平和維持活動支援強化拠出金ということで、二百五十万ドルずつ二年間拠出いたしております。今年度、平成三年度の予算案には一千万ドルのものが計上されてございます。これは新規にPKO活動が行われる場合には特に立ち上がり経費を必要とするということで、日本政府としてはその立ち上がり経費を援助する、そうすれば国連の平和維持活動というものを非常に強化支援できるのではないかという考え方から、いわゆる平和のための協力の強化の一環として始めたものでございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 それはもう既に拠出をした経過があるのか、あるいは国連の方にその拠出したものが何かの形で基金として残されているという、そういうことになっているんですか。そういう使途の問題を教えてください。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) ただいま申し上げましたとおり、平成元年度二百五十万ドル、二年度二百五十万ドル、これは国会でお認めいただきました結果として国連に拠出いたしております。その中から既にニカラグアの平和維持活動、それから中南米の監視団の平和維持活動のときに現実に拠出されてございます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 そこで、政府に提案をしたいんですが、総理にお答えいただきたいんです。  私は、日本政府が今の憲法上こうした国際紛争にどうかかわっていくべきか。あるいはまた国連というものを舞台にしてこれから新しい国際秩序をつくり、そして平和維持機能というものを強化していかなければならないと考えます。その基盤はあくまでも、国連憲章に武力行使というものを最後はやむを得ないものとして規定してあるという部分はあるにしても、そこに至らない間でどういうふうにして国際紛争を解決するかということを徹底的に追求していくという立場でなければいけない、こう思うんですね。そういう意味で、経済制裁というものが一つの制裁措置として、一つ有効な手段としてここにある。しかし、それを徹底的にやって効果あらしめようと思えば国連加盟国もそのことによってかなり大きな影響力を受けるということで、やはりそこに一定の備えをしておかなければならないんじゃないかと思うんですね、経済制裁をするについてそういう状態が起こる、経済的な困窮が起こったところに対してどうするかという問題を。  だから、今国連平和維持活動支援強化拠出金というふうなものを日本が出している。まことに結構でありますが、こういうものをもう少し広く解釈して、そしてこれをPKOに対する拠出金ということじゃなくて、こういう経済制裁というものを実施する、不幸にしてまたこのような場合が起こったときに、国連憲章五十条、これを担保して、そして経済制裁の結果としてさまざまな困難な状態が起こったところはきちっと裏打ちをしますよということで、国連も安心して経済制裁という問題を徹底的にやっていけるというふうなことをひとつ考えていくことも大事じゃないか、こういうふうに思うんです。  だから、その立ち上がりの資金としてまず日本が一応応分の基金を拠出して、そして名前は国連平和保障基金ということでもいいと思うんです。経済制裁が起こったことによってそれぞれ各国を支援をしていくお金、国連の管理のもとにそういうものをつくっていく、そういうことを積極的に日本が提案していく。とにかく日本には今提案がないと言われて、お金を出すだけではないかというそういう問題があり、お互いにそれはそう言われてみれば恥ずかしいなと肩身の狭い思いをしているわけでありまして、やはり積極的にそうした問題に対して提案をして、そして国連がそういうものをしっかり受けとめていけるようなことを僕はやるべきではないか。だから、経済制裁という問題が国連憲章にある。そのものを本当に実効あるものにしていくためのこうした措置、これは真剣に私は追求し検討していくべきものではないか、こう思うのでありますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思うんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 経済制裁をするということを決断しますときには、例えばイラクと日本の間には二十二万バレルという一日当たりの石油の輸入がありましたが、それがきちっととまってしまうという、そういったリスクももちろん覚悟の上。また、イラクと日本との間にある七千億円に上る債権債務関係、そういったようなものも全部そこで一応断ち切られることになる。それぞれの国がそれぞれ関係国との間において持っておったリスクは負担したと思うんです。  しかし、周辺国でその負担のなし得ないところに対してはどうするかということで、日本も周辺国支援というものに積極的に国際的な協調のもとで今日まで乗り出してまいりました。具体的にお示しになった国連に基金をきちっと置いたらどうかということについては、これは今国連にそういったものがない場合もあります。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 それから、一定の目的についてのみ拠出を呼びかけて集めるもの等もございます。これらのことについては、今後さらに国連の機能をより高めていかなきゃならぬという大きなテーマもあるわけでございますから、国連ともいろいろそういった問題については話し合いを具体的に進めていかなければならないテーマの一つであると、今御質問を聞きながら私も率直にそう感じ取ったわけであります。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 この提案はどうですか。できるかできないか、いろいろ難しさがありますけれども、国際的に日本が提案をして実現に向けて努力するにふさわしい課題だというふうに総理もお考えになりますか。それだけ再度聞いておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 現に資金を出してそのような努力活動を続けております我が国としては、これは国連事務総長やあるいは関係拠出諸国ともいろいろ議論をしていく価値のある話題であろう、このように受けとめます。

本岡昭次日本社会党・護憲共同

○本岡昭次君 あと中東地域における避難民を輸送するために自衛隊を派遣するという問題について若干質問したかったんですが、これは山本さんの方にバトンタッチしてやっていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。山本正和君。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 今からいろいろ質問いたしますことについてひとつ答弁を明快にしていただきますように、ぜひとも委員長の御指導のほどをお願いしておきたいと思います。  まず総理にお伺いしたいのは、八月二日以来の今度の湾岸危機と称せられる事態、この中で日本が人的に貢献しようということで二回の取り組みをやったわけですけれども、その人的取り組みに当たってどういう基本的な考え方があったか、まずそこのところをお伺いしておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際社会の一員としての日本というものが、第二次大戦直後のような影響力の小さい国のうちならば、我々は自分だけが小ぢんまりとつじつまを合わせておってもよかったかもしれませんが、好むと好まざるとにかかわらず経済的な影響力が非常に大きくなってまいりました。同時に、世界の国々がたくさん集まって国際社会の意思というものが国連できちっと方向づけられるようになってきました。それに対して日本としてでき得る限りの貢献をしなきゃならぬ。それはややもすると日本は金だけ出してあとは何もしないのかという御批判が、ヨーロッパやアメリカの主としてマスコミとか議会の中でいろいろ議論になったことも事実でございます。やはり世界とともに生きる日本ならば、世界とともに喜び、世界の中で日本が秩序を守っていく一員であるということを示すためにも、お金のみならず人の面についても貢献し、汗をかかなければならない、こういう考え方に立った次第でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 総理の言われることは私も同感であります。ただ、人的貢献をするについて、これは日本が国際社会に立っていこうとするならば、国論の統一がなくちゃいけない、国民的合意がなくちゃいけない。その国民的合意というものについてどう考えられるのか、その辺はいかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国民的合意を求めての理解をいただきたい、これはやっぱり基本的に私もそう考えております。同時にまた、そのためには、具体的に人の貢献をしようとする、いろいろな面において今まで日本の国内はそういったことに対する対応とか、あるいは具体的に今回も国連が機能し始めたのは戦後初めてのことであると言って言い過ぎではないわけでありまして、そういう意味で国論を皆様方の御理解をいただきながらまとめて、日本も人的な貢献もできる、国際社会の一員としての責任も果たし得る、そのような国にしていかなければならない、私はそう思っております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 前回の海外協力隊のときに総理がお考えになったことと、今回の戦争がいよいよ始まってからお考えになったこととの違いがあるとすれば、それをお聞かせ願いたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 前回のは国連平和協力、ということで、具体的に法案も政府は準備をして国会の審議をお願いいたしましたけれども、結果は御承知のとおりに審議未了、そして廃案ということになりました。自民党と公明党、民社党の三党合意をいただいて、新しい国連に対する協力のあり方というものは何があるんだろうか、政府は目下成案を得るべく努力をしておるさなかでございます。  何が違ったかと言われますが、前回も法案の中に、武力による威嚇もしくは武力の行使を伴うものでないということで、そしてまた、たしか第三条であったと思いますけれども、支援するのは、ただいまお触れになったように、国連の平和協力活動とかいろいろな問題、あるいは多国籍軍が国連決議の実効性を高めるためにいろいろ行動する場合に、それに対して輸送協力とかいろいろ掲げました協力事項ができるようにして、非軍事的な面で、武力行使を伴わない面で日本も協力して役に立とう、こう思ったのでありますが、それは今申し上げたような経過になっております。  それから今回の問題は、これは国連がまさに決議をして、加盟国はそれにふさわしい適切な支援を要請してきたわけであります。私どもはここでも、武力の行使または武力の威嚇、そういったこととは一切関係のない応援をしなきゃならぬ、そう思いまして、例えば九十億ドルの拠金支出を決めたのは、あの地域の平和回復に携わる関係諸国の活動を支援するためということでございました。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 前回の場合は実は参議院まで来なかったものですから、大変私どもも議論したかったんだけれども途中で廃案になってしまいました。いろいろ我が国が国際社会で生きていくために必要なことをしなきゃいけない、これは私どもも全く一緒なんです。我が社会党もいろいろなことを提案していますけれども、党の中にもさまざまな意見があります。同じように、与党にもいろいろ意見があると思うんですね。そういうものを全部含めて、国際社会で日本が何を貢献するかという議論をしなきゃいけない、これがまず第一だろうと思いますが、その認識はいかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) まさに御指摘のようにそう考えまして、政府は前回の国会に法案を提出いたしまして、武力の威嚇または武力の行使を伴わない面でこれこれのことをして協力をしたいと思うということを法案の形にしてお示しして議論したのでありますけれども、結果として極めて残念ながらそれは審議未了、廃案となったということであり、ただいま新しいどのような国際社会に対する協力の仕組みが考えられるのか、今鋭意成案を得るべく努力をしているところであります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 実は今度の政令を見てみますと、まことになじみの薄い言葉があります。重大なる緊急事態という言葉があるわけですね。この重大なる緊急事態という言葉は、ほかに我が国の法律の中のどこにあると御承知でございますか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  私ども防衛庁の関係します法令の中では、安全保障会議設置法の第二条に「重大緊急事態」という言葉がございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 その法律と今度の政令だけが、私が調べたのでは、我が国の法律、政令の中で重大なる緊急事態という言葉を使っているたった二本なんですね。これは総理、御承知でございましたね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今聞きまして、二つあったということを承知しました。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 前回は海外協力隊法というのを出した。今度は特例政令という極めてなじみの薄いものによってこれをやろうとしている。ところが、この特例政令をするについてまずどこでこの問題を議論されたのか、この点をお伺いしておきたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  今回の湾岸における緊急事態が発生いたしまして、政府といたしましてもいろいろこれにどういうふうに対応するか考えてまいりました。そういうことを踏まえまして、一月の二十四日だと思いますが、安全保障会議で自衛隊の輸送機による避難民の輸送を必要に応じやるということが決定され、そして翌二十五日の閣議におきまして、そういった輸送の義務を果たすために必要な新しい政令を決定したところでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 八月二日の湾岸危機が始まったときには、安全保障会議では議論をされましたか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) お答えをいたします。  安全保障会議設置法第二条第二項の重大緊急事態の定義にも係る問題でございますが、重大緊急事態と申しますのは、国防事態以外の我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある緊急事態のうち、通常の緊急事務処理体制によっては適切に対処することが困難な事態、こういう事態を言っているわけでございます。  今回の湾岸危機につきまして、その対処いかんによっては国際社会における我が国の立場あるいは石油資源の安定確保に重大な影響を及ぼすといったようなことで我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるということで安全保障会議を開催いたしまして、重大緊急事態としてその対処方針を決定いたしたわけでございますが、八月時点におきましてはまだ武力行使というような決定的な事態に至っておりません。一月十七日の段階ではそういう武力行使という決定的な事態の変化がございまして、八月と一月では実態が違うということで、今回は重大緊急事態に対する対処方針を安全保障会議において決定いたしたわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 八月が重大緊急事態でなくて今度が重大緊急事態であると、この重大緊急事態という言葉をもう少し丁寧に説明してください。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、国防事態以外の我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある緊急事態のうち、通常の緊急事務処理体制によっては適切に対処することが困難な事態ということでございます。  国際社会での立場あるいは石油資源の安定確保というようなことは関しましての重大な影響を及ぼすおそれがあるわけでございます。また、その事態への対処に当たりましては、外交方針、支援策、また状況によっては邦人の安全確保、さらには経済の安定確保といった多くの問題が非常に密接に関連をいたしております。かつ、多数の関係省庁の所掌にまたがっている状況のもとで、緊急に統一的な対処方針を決定する必要があるわけでございます。また、当該対処方針の決定に当たりましては高度に政治的な制断を要する問題ということでこういった体制を組む必要がある、そういう事態を重大緊急事態ということで安全保障会議設置法では規定をしているわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 八月二日の段階では、在留邦人等も含めて、我が国の財産あるいは今後のあり方等に重大な緊急事態と思わなかった、そして武力行使が始まって我が国の在留邦人もだれもいないときにはこれは重大緊急事態になった、こういうことですか。もう少し詳しく説明してください。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 八月の時点におきましては、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある事態は確かに存在はしたと考えておりますが、武力行使というものが現実化していないというような状況のもとで、これに対して特別の対処体制をとらないと適切な対処ができないという状況ではないという判断をいたしていたわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 これはやっぱり安全保障会議の議長に聞かぬといかぬですね。ここにはっきり書いてあるんですよ。二条二項は、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の措置ではだめだ云々と書いてある。おそれがなかったんですか、八月二日は。そして突然一月になってからおそれが生じたんですか。議長、どうですか。これは議長の責任だ。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、おそれはある事態ということでございますが、通常の緊急事態対処体制で適切な処理ができる、そういう判断、また現実にそういう体制で取り組んでいたわけでございますので、安全保障会議に諮るということをいたさなかったわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 邦人の避難の問題、さらにはいろいろな折衝の問題、大変な問題が起こって、しかも我が国の経済に対してどんな大きな影響が出るかということで大変な不況まで起こった。それが何にもおそれがなかった、こういうわけですね。そして今ここで武力行使が始まったら、突然緊急事態であると。じゃ、安全保障会議設置法をつくるときに国会でどんな議論があったですか。この安全保障会議設置法をつくった理由を説明してください。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 安全保障会議設置法、これは昭和六十一年に成立を見ているわけでございますが、従来の国防会議を発展的に改組いたしまして、重大緊急事態に対応できるようなそういう権能を安全保障会議に付与しよう、そしていわゆる国家危機管理に対応するためのそういう機能を果たすためにこの安全保障会議設置法が成立したというふうに私は理解をいたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 八月の二日はそうではなくて、一月の段階になったらこれは審議の対象になるという理由を、このマニュアルもあるから、これに基づいて説明してください。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 再々御答弁申し上げておりますように、八月の時点におきましても、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある事態、そういうものは存在していたということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、現実に武力行使が行われていないという事態、そして我が国の行政機関挙げてこれに通常の緊急事務処理体制で十分に対応することが可能であったということで、安全保障会議には諮らなかったということでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 今の判断はだれがやったんですか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) その当時、政府として判断をしていたわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 政府のどの機関、だれが判断をしたのかと聞いているんですよ。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 内閣官房でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 ちょっと安全保障会議設置法を読んでください。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君)     安全保障会議設置法   (設置)  第一条 国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、安全保障会議(以下「会議」という。)を置く。   (内閣総理大臣の諮問等)  第二条 内閣総理大臣は、次の事項については、会議に諮らなければならない。   一 国防の基本方針   二 防衛計画の大綱   三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱   四 防衛出動の可否   五 その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項  2 内閣総理大臣は「重大緊急事態(前項の規定により国防に関する重要事項としてその対処措置につき諮るべき事態以外の緊急事態であつて、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。以下同じ。)が発生した場合において、必要があると認めるときは、当該重大緊急事態への対処措置について会議に諮るものとする。  3 前二項に定める場合のほか、会議は、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 総理、どうですか。この判断は議長として総理がなされるべきだと思いますが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 八月二日の段階における状況は、安全保障会議の事務局長が報告に参りましていろいろの情勢等を聞き、私は、それ以外のただいまの緊急な対処方針において対処していくべきものであり、当面内閣の責任において安全保障会議を八月二日に開く段階ではないと判断をしたので、開いていなかったわけであります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 総理の判断ということで結構だと私は思うんですね。  そこで、総理にお伺いしたい。一月はこれを開かなきゃいけないという理由は、どういうふうな理由でお考えになりましたか。一月は安全保障会議に聞かなきゃいけないという理由をひとつ御説明いただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) これは諸外国挙げての努力にかかわらず、どうしてもイラクが国連決議に従っての無条件撤退がない。そして、平和回復活動のために共同して武力の行使に入るという段階になりますと、これは質が変わってくるわけでありますし、私はこれは世界的に重大な事態だと、こう受けとめますから、我が国としてそれぞれにこの問題についての共通の認識と共通の対処を固めなければならない、こう判断をしましたので、安全保障会議というものを招集して開いたわけであります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そのときに自衛隊を避難民の輸送のために送るという方針をお決めになって、特例政令でいこうというお考えを固められたわけですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 安全保障会議を招集しようと決めましたのは、申し上げたとおり、あくまで湾岸における危機的な状態が、国連の決議に従って質が変わるということを私は重く受けとめたわけであります。  また、そのときいろいろ議論しました一項目として、今おっしゃった自衛隊の輸送機の問題につい議論もいたしましたし、また政令を制定するという行為に入りますことについても、それは手続を踏み、その後閣議にもかけていったというたしか手順だったと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 この安全保障会議設置法ができてからいろんな会議の記録をずっと取ってみたんですが、こういう事態で議論したというのは今回が初めてでございます。したがって、そのときに参加されました議員の皆さんというのはかなり重要な責任をお持ちになっていると思いますので、この際、その議員の方のお名前を伺っておきたいと思います。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 安全保障会議設置法の第五条に議員の構成が書いてございます。総理大臣が議長でございますが、あと外務大臣、大蔵大臣、内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官、経済企画庁長官。それに関係国務大臣の出席を議長が要請することができるという規定によりまして、科学技術庁長官及び通商産業大臣が加わっております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 この会議で議論する前提として当然安全保障室がさまざまな準備をしたと思いますが、よろしゅうございますか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) そのようでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 その安全保障室で議論に参加された重要人物と言ったらしかられますけれども、その方のお名前をちょっとお聞かせ願えませんか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 安全保障室は安全保障会議の事務局を担当いたしておりますので、議論に参加をするという立場ではございません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 国防会議に与党の幹事長が参加しておるという事実はあるでしょう。安全保障会議もこの保障室に与党の幹事長が加わっているはずだけれども、どうです。いいかげんなこと言わずに、きちっと答えてくださいよ。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) そのような事実はございません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 国防会議から安全保障会議に切りかわるときにこの問題で議論いたしまして、時の後藤田官房長官、国務大臣が、与党の幹事長、政調会長が加わることは当然でありますということを言っているんですよ。そのことを知りませんか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) そのような事実については承知いたしておりません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 与党の幹事長はこの安全保障会議に対して保障室を通じて発言ができるかできないか、それはどうですか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 安全保障会議には、政党関係者は一切参加できません。ただ、総合安全保障関係閣僚会議という会議がございます。これにつきまして与党の党三役が参加をしている、そういう組織がございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 ちょっと今の問題、また後ほど議論の中で出てまいりますからペンディングにしましょう。はっきりとこれは国務大臣の答弁で、ここに速記録がありますから、何でしたらどうぞ与党の皆さんにお見せしましょう、そういうことを言っているわけですね。  それはいいんですけれども、私はここでお聞きしたいのは、特例政令をつくるというその方向は、先ほどの総理の答弁で、この安全保障会議によって議論されたと、これは明らかになったわけです。特例政令をつくって自衛隊を避難民の輸送に充てるということを、これは安全保障会議で決めた。この事実はもう先ほどの討議の中で明らかになったわけですから、これはもう一遍重要なことですから確認しておきます。よろしゅうございますね。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、一月二十四日の安全保障会議の決定、それを受けての一月二十五日の閣議でこの政令は決定したわけでございますけれども、実はその前の段階がある程度ございまして、一月十七日に総理の記者会見で、必要に応じて自衛隊輸送機の使用を検討するということを発言しておられます。また、同日十七日に安全保障会議が開かれておりますが、この十七日にも安全保障会議では自衛隊の輸送機の使用可能性について議論をいたしまして、今後さらに法制面、実態面から検討を重ねると、こういうふうなことがあったわけでございます。それを受けて、十八日には総理が「湾岸危機に関連する重大緊急事態への対応について」という演説をなさいまして、その中でもやはり「可能性を検討する」ということを発言しておられます。  そういったことを踏まえまして、先ほど言いました二十四日の安全保障会議で航空自衛隊の輸送機による輸送を実施することとするということが決定され、それを可能にするための政令を二十五日の閣議で決定したと、こういう次第でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 十七日には、今おっしゃったように緊急事態への対処についてということで議論されている、そして二十四日に自衛隊輸送機による輸送についてということを議論されておる、それを受けて閣議で決定されたと、こういう経過です。  ところが、国民の間に大変重大な懸念があるのは、この安全保障会議設置法をめぐる議論のときに、これは有事立法ではないかということをめぐってさまざまな議論があった。また法律学界の中でもいろんな議論があった。そういう中でこの安全保障会議というものは設置されている。有事立法かもしれないという懸念のあるものです、これは。そこで議論されたということはこれはもう重要なことですから、その後の問題は別にして、私は一応ここで指摘しておきます。  そこで、今度はなぜそれを特例政令という方法によってやったのかということをお伺いしたいわけです。特例政令とした理由について、これは総理の責任だろうと思いますから、総理からお答え願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際社会に対する協力といいましても、やはり憲法があるということがこの前の国会の審議等も踏まえて念頭にありましたから、武力による威嚇や武力の行使を伴うものはこれは日本ではできないことである、この大前提を一つ踏まえます。  それからもう一つは、非軍事面で人道的な問題として、御承知のIOMという国際機関がございます。そこが、加盟しておる世界の国に対して、今回のこの湾岸危機をめぐって避難民が出てくることが予想される、そして各国はどのような対応ができるのか、対応の要請をするというアピールがございました。それに対して日本としては、避難民の移送ということは人道的な立場に立っている非軍事面の貢献でありますから、できることはしようというのでその対応の腹構えをいたしました。そして、民間の航空機にお願いする場合は、前回もそうでしたが、今回もお願いをしましたところ、カイロまでならば可能であるということで、既に四便にわたってベトナムへの帰国をIOMの要請を受けて行ったことは御承知のとおりでございます。  ただし、それだけではどうしてもさばき切れない場合が予想されるということもアピールの中にもあるわけでありますし、そのときの対応としては、自衛隊の輸送機をこれに充てて避難民の輸送をするということはこれは武力行使ではない、非軍事面だから行かれる、このように考えました。そして法律を調べてみましたところ、自衛隊法の第百条の五には「国の機関から依願があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。」と、こういう規定がここにあったわけでございます。  私は、この規定だけで飛行機を出すということはこれはいけない。それならば、「政令で定める者」というならば政令をつくらなければならない。そして内閣の責任においてその限定された政令をつくろう。これは恒久的、一般的なというのじゃなくて、今度の湾岸対策に国際機関等から要請のあったものという前提を置きまして、そして当分の間自衛隊の輸送機をもって避難民を移送することができると、このような政令をつくろうということを決心したわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 元国防会議の事務局長、これは大変自衛隊を大事にされる方です、私もある意味では尊敬しているわけですけれども、海原さんがはっきり言っている、自衛隊機派遣は法律改正でと。自衛隊を愛する人は、政令でやるとは何事だと、こういう意見が随分強いんですよ。これについて、総理、どう思われますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) そういう御意見を述べられる方がおいでになるということは、私もよく承知いたしております。そして、他に手だてが全くないならば私もそうしたと思いますが、今申し上げましたように、「内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。」と、法律にこう書いてあるわけでございます。ですから、法律に内閣総理大臣以外は運んではいけないとかいうようなことならば、これは越権行為だといっておしかりを受けなければなりませんが、「内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。」と、法律にはまさにそれだけきちっと書いてあるわけでありますから、私は素直にこの条文を読みまして、政令をつくる、その政令の中にきちっと条件その他を書き込めばそれが可能であると、このように受けとめて行った次第でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、それじゃ法律の解釈の専門家の法制局長官にお聞きしたいんですが、法律と、その法律の中でその他政令で定めるということがたくさんありますね。その法律と政令の関係を、ひとつ法制局長官として、長官のはっきりした見解をここでお伺いしておきたい。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  法律と政令の関係というお尋ねでございますが、法律の、いわば法律という一つの法形式とそれから政令という一つの法形式、これとの関係につきまして、学説その他で言われておりますものも、いわゆる現行の憲法下におきましては、法律の執行のための執行命令というものと委任命令と二つが認められているであろう。そういう意味におきまして、法律の執行命令といいますのはいわば実施政令とかいうふうな言葉を使うこともございますが、それはその性質上、当然に法律の規定を実施するために必要な細目的事項を定める、かように言われております。また一方で、委任政令につきましては、その内容は法律による委任の範囲に限られる、こういうことでございます。  他方、法律が逆に政令に委任する場合のその限度でございますが、その範囲につきましては、憲法の四十一条で「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と、こういう規定がございます。そういう趣旨を没却しないと申しますか、そういう趣旨を否定し、いわば国会の立法権を没却するような抽象的、包括的な委任、これは許されるものではない。その反面、例えば手続的な事項、技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項、そういうものについての個別的、具体的な委任、これが行われるということでございます。  法律と政令の関係について申し上げれば、以上のようなことと存じます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 委任の範囲の問題について説明してください。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 委任の範囲につきましては、ただいまもお答え申し上げましたように、いわゆる実施政令、委任政令がございます。そのうちの委任政令の方で、いわゆる法律の側から委任するという観点から申し上げれば、憲法の四十一条が定めているその趣旨を否定し、いわば実質的に国会の立法権を没却するような抽象的かつ包括的なものであってはならない。例えば手続的な事項でございますとか、それから技術的な事項でございますとか、それから事態の推移に応じて臨機に措置しなければならないことが予想される事項、こういうものを個別的、具体的に委任する、こういうことでございますし、逆は政令の方から見ますれば、法律による委任の範囲内に限られる、かようは考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 一般的に今の法制局長官の御見解、私も賛成でございますが、それじゃこの特例政令は自衛隊法百条の五の委任の範囲内であるという理由をもう一遍明確に御説明願いたい。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) まず自衛隊法の百条の五でございますが、自衛隊法の百条の五におきましてはその第一項におきまして、「長官は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」、括弧は省略しますが、「の輸送を行うことができる。」、かように書かれているわけでございます。  それで、ここにおきます「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」ということにつきましては、これはいわゆるその代表列挙された者、これとかけ離れた者を規定することは予定されていない。しかし、かけ離れているか否かは、高位高官、いわゆるVIPであるか否かという社会的地位にのみ着眼して判断すべきものではなくて、その者の置かれた状況、国による輸送の必要性その他諸般の事情を総合して評価すべきである、かように考えておりまして、今回の対象者につきましてはこの範囲内にある。これが授権の範囲内であるということの御説明になると思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 今の見解は、これは文書で提出していただけますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) ただいま私が御答弁申し上げたものは、二月八日に衆議院の予算委員会に提出いたしましたものの一部を読み上げたわけでございます。そういう意味におきまして資料を御提出申し上げたいと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 衆議院で配られた見解がこれは政府見解という言葉があったんですけれども、そうすると、内閣法制局としての見解と両方もう一緒でいいですね。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 政府の見解でございますから、当然内閣法制局もそのような見解の中に入る、そのような見解を持っている、かように考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 政府の見解と法制局の見解が違ってもいい場合もあるんですよ、ちょっと言っておきますけれどもね。まあちょっと置いておきましょう。  そこで、私がここで申し上げておきたいのは、総理は議会生活が随分長い方でございますし、私は戦後民主主義の中でいわゆるデモクラシーというものを非常によく御承知の方だと思うわけです。そうすると、憲法を制定するときに憲法議会の中でいろんな議論があった。そこで法律と政令の問題についてさまざまな議論があった。このことは御承知かと思うんですけれども、いかがでございますか、その辺は。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 法律と政令の問題につきましては、私は、憲法制定議会とかその後の国会の中とか、いろいろなところで御議論があったということはよく承知いたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、私はここからいろいろ、皆さん政府の見解も大体わかりましたし、今の総理のお考えもわかりましたからお尋ねしたいんですけれども、法律というのは国会にのみ独占的に制定権が与えられている、これはよろしゅうございますね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と憲法に書いてありますから、そのように私も理解をいたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 法律を解釈するに当たっては、立法者の意思とその院における、議会における審議というものがその法の趣旨あるいは精神として解釈さるべきものである、これが通説でございますが、これもよろしゅうございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私の見解を率直に言わせていただければ、そこに法律に書いてあることを素直に読むべきである。勝手に、これはこちらのこれはこちらのと、物によって広くなったり狭くなったりいろいろしてはいけませんから、法律に書いてあることがきちっと守られるべきである、こう考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 その解釈について疑義が生まれたときには、立法者の意思、提案理由ですね、それから国会審議、どういうことが議論されたか、これに基づいてまず解釈すべきである、これがいわゆる法律を学ぶ人の、あるいは我々議会人の普通の常識だと思うんですけれども、その常識、違いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) それぞれを取り巻く環境や、その法律がどういうような必要に応じて生まれたかということは、その視点に立って見れば委員のおっしゃるとおりだと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そうすると、これは同意をしていただいたことになりますから大変議論がしやすいんですが、私は、衆議院があって参議院があって内閣がある。もちろん国会があって内閣という言い方をしてもいいんですけれども、その場合に、法律を制定するということは両院の議決がなきゃいけない。両院の合意がなきゃいけない。一院だけではいけない、法律は。そして、その両院の議決に基づいてでき上がった法律の中に委任政令がある。その委任政令に基づいて内閣がいろんなことを、仮に法律条項を決めた場合、一つの院からこれはやっぱりおかしいですよと異議があるようなことは本来すべきでないと思いますが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会に衆議院と参議院のあることをよく承知しておりますし、また憲法にその手続が書いてあることもよく承知しておりますし、こうして衆議院で通していただいても参議院に来てまたいろいろ御議論願っておるということも、政府はそういったことを十分認識し、またぜひ参議院の御理解もいただきたいと思うからしておるわけでありますから、前提の御議論には私は何も反論することはございません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 これは衆議院の議論でもう総理は何遍も随分長い時間答弁しておられますし、私もこれを質問するものだからあの長い質疑応答をずっと全部読んだんです。与党も野党も含めましてうんざりするぐらい長い。しかし、その中で私が率直に申し上げたいのは、本当にこれは与党の皆さんの中にもおかしいと言う人はたくさんおるんですよ。何なら名前を挙げてもよろしいけれどもね。  要するに、特例政令の今度のやり方は議会主義のあり方からいっていいのだろうかという疑念が非常に強いわけです、今日。そういう疑念があることはこれは御承知だろうと思うんです。内閣は内閣の政治的責任においていろいろ判断しておやりになる、その権限はお持ちでしょう、これは当然。しかし、そういう疑念があるという事実は今日あるわけですよ。そういう疑念があるという事実に対して、総理は、やっぱりそういうことは百万人といえども我行かんというかたい信念で貫き通すのが正しいとお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) たしか憲法の七十三条であったと思いますが、内閣が内閣の責任と権限において政令というものは制定するんだと。逆に言いますと、政令制定権は内閣にあるということは憲法に認められた権能であると私は受けとめておるんです。そして、内閣の責任において政令は定めるべきものであるということも、これは私はそのように信じております。  したがいまして、法律というものがあるけれども、その法律に、その他政令で定める者を輸送することができると、こう書いてあったわけでありますから、私は素直に読んで、内閣の責任で政令をきちっと定めよう、そしてその責任は内閣が持とうと、こう判断をしたわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 私が言うのは、そういうことができるかできないか。できるんですよ、内閣には権限がありますからね。しかし、そういうことは本来予測し得ない事態なんです。私も、戦後この新憲法のもとでのさまざまな法律論議が国会の中であったと思う。下級審、上級審もあったと思う。四十六年の最高裁判決もあります。しかし、内閣が政令をつくるときに、これだけ多くの疑念があって、世論も、いろんな法律学者もみんな言っている、盛んな議論をしている。こういう政令がつくられたということは私は寡聞にして知らないんです。できるかできないかということじゃないんです。本来、議会政治としてそういうことがあっていいのか悪いのかという総理のお考えを聞いているわけです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私の考えの結論は、内閣は政令をつくっていいという確信を持ってこの政令をつくったわけでございます。そうして、これは決して国会の唯一の立法権を侵害しようという意図は毛頭ございません。  したがって、法律の条文の中に「その他政令で定める者」ということが書いてなければ、書いてないのに内閣が勝手に政令を決めたということは、これは独断専行で許されないことでありますが、「政令で定める者」、こう書いてあるわけでありますから、それを素直に読んだということと、もう一つは、世の中に例示列挙とか制限列挙とかいろいろなことがございますけれども、国会の御意思として、こういった法律ができるときに、いろいろなことを幅として内閣に渡しておいてやろうというので「政令で定める者」ということが出たわけだと思います。いけないときはこういったことは出てこないわけでありますから、許された範囲内で、授権の範囲内で緊急に対処した、内閣が責任を負うべきことだと思っております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 それでは、百条の条項の中で土木工事もこれは政令でできますね、湾岸へ持っていって。よろしいか、そういう解釈で。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、あくまで避難民の移送のことを国際機関から要請を受けて、それにこたえる対処方法は何であろうかということの一点に絞ってずっと調べましたところ、飛行機によって輸送することができる。素朴に言えば、例示列挙に出された内閣総理大臣というのは私でございますけれども、人間という立場からいったら、今避難民として困っていらっしゃる人も人間の尊厳からいったら全く同じではないか。それならば、政令をつくって運んで差し上げることがこの気の毒な場面に人道的に基づいた我が国の国際協力の姿ではないか、素直にそう思ってこの政令を決めたところでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、これを提案した提案理由を六十一年の十月二十一日に栗原国務大臣が読んでおります。これは防衛庁ですかね、これをちょっと読んでいただけませんか。この部分の提案理由をひとつ読んでください。私が言うと間違って読むといけないから。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 提案理由説明でございますが、この関係部分でございますけれども、   第三は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、また、自衛隊は国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができることとするために、新たに一条を加えるための改正であります。これは、主要国首脳会議の際に使用したヘリコプターを今後自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。 以上であります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 ここには避難民とかそういうかけ離れたものは全然出ていないんですね、ここのところに。国務大臣の提案理由です。これと離れているということについて総理はどうお考えですか。(「それはかけ離れているよ、常識で考えれば」と呼ぶ者あり)

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 常識で考えればとおっしゃいますけれども、常識で考えて、あのときイラクのフセインがこのようなことをするということはおわかりにならなかったと思うし、その結果起こる避難民に対して、私は人道的な面で、非軍事的な面で協力ができるということはやるべきだと思ったんです。軍事的なことはしちゃいけませんが、非軍事的な面で人道的な対処ができるということは、今回の全く新しい、イラクによるクウェートの侵略、併合という、国際社会があれだけ総意をもってこれは許さないというような厳しい状況が起こったときに、日本が今の立場で何ができるだろうか、許される限りでできることで人的にも協力をしよう、できることならば汗を流して協力をしよう、こう考えたひたむきな努力の結果でもあるということをどうぞ御理解を賜りたいと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 法律の解釈や内閣が政令を制定するときには、これはいろいろな他の法律との権衡ということも考えながらやっていく。そして、今までの例も十分勉強しながらやっていくわけですね。この場合のような「その他政令で定める者」ということで、これだけかけ離れたものを扱った例がありますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げましたように、私はかけ離れているとは思っておりませんので、そのようにお答え申し上げます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 とにかく、どういう理由でここまで頑張るのか私はわけがわからないんだけれども、ほとんどの人が普通にこの自衛隊法を読んでいって、百条のところに南極観測からあるいは運動競技会に対する協力から、自衛隊が出ていく場合に一項一項全部法律になっているんです。そして、国賓等というのも法律になっているんですよ、「国賓等」として。その中で「その他政令」と来て、その他政令の中に施行令がある。これはどうも知らぬ人がおるみたいだからちょっと説明しておくけれども、施行令がある。施行令の中にちゃんと定めてあるんです、その「国賓等」の例が。それを引っ張り出して特例政令ということで持ってきたんです。だれが考えてもおかしいんですよ。しかし、私はここでおかしい気持ちはわかるんです。ひょっとしたら海部総理もいろんなことで苦しまれて、苦しまれた末に思いつかれたことかもしれぬと思うんです。しかし、それだからといって、日本の国の議会政治をこんな形で踏みにじってはいけないと私は思うんです。  だから、私は衆議院のを読んだんです。そうしたら、公明党も民社党も共産党も私どもも、野党はみんなこれはおかしいと言っているんです。民社党の中野さんは、総辞職をかけてまでやりますかということまで言っているんですよ。それぐらいいろんな声のあるものを、なおかつこの段階で総理が固執されるのか。政令でなしに、私が思うのは、もう一遍国民合意を求めて、各党と話し合いをして、国際協力というのはどうしたらいいかということをフランクに話し合いをしていく中から解決を見出すべきであると思うけれども、総理、それについての見解はどうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際社会に対する恒久的な協力のあり方については、先ほど申し上げましたように、政府はただいま三党合意の線に基づいて成案を得るべく努力を重ねておるところでありますが、今回のこの突発事項というのは、まさかイラクがクウェートをこのような形で侵略、併合する、そこから避難民が出てくるというようなことはだれも考えることのできなかった、同時に極めて心の痛む、繰り返してはならない問題でありますから、日本の政府としてできるだけのことをすべきである、こういう判断に立って、どこでどうするかを探したわけでございます。したがいまして、そのことは、何回も申し上げておりますように、内閣の責任において政令をつくり、内閣の責任においてこのようなことは行わせていただくんだということを申し上げ続けてまいりました。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 それでは、ひとつ最後に内閣の見解をもう一遍、時間がありますからあと二つぐらい私は聞きますけれども、まずここで確認しておく意味で私は聞くんです。  参議院において多数の議員が、この政令は政令として扱うべきでないと、こういう意見をまとめた、仮にですよ。要するに、参議院でなくても本当は衆議院でもいいんですけれども、両院が一番いいんだけれども、国会においてこれは多数の意見として、この政令は政令として扱うべきでないという意見が多数であったという事態があったときに、内閣はなおかつこの政令は有効であるとして、全然変更せずに強行してそのまま現存させていくおつもりですかどうですか。これは確認しておきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会の権限を無視しようとか、それを侵してまでというようなそんな思い上がった気持ちで申し上げるんじゃありませんけれども、政令をつくる権限と責任は内閣に憲法で認められておる権限だと私は考えており、また内閣の責任においてこれをつくりました。これは何度も申し上げてきたところでございます。  ですから結論として、お気に入るかお気に入らぬかということはそれは別でありますけれども、私どもは、政府としてはこれは全く非軍事的な面であり、人道上の措置であり、法律に根拠のある政令をつくってこれを行うわけでありますから、「内閣総理大臣その他政令で定める者」という、それを社会的地位だけで決めない、そのときの国の情勢において必要性が出てきてといろいろありますけれども、現に今行われたイラク周辺からの避難民の救済というのは、これは極めて人道的な急を要する、国としてもこれは対応していい問題で、国際機関からの要請もあったことでありますから、政府としてはその要請にはできるだけおこたえをしていくべきである、こう考えて、まず民間航空にお願いして、今回は困難な事情の中でも四機ベトナムまでの避難民移送をやってもらいました。  だからそういった意味で、今後対応があった場合に政府はどうするかというときの準備として政令をまとめたわけでありますから、これは内閣の責任と内閣の権限でやったのだということはどうぞ御理解をいただきたいと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 総理、私は三権分立ということはよくわかるんですよ。しかし、この場合の政令は内閣がだれから授権を受けたのか、だれから委任を受けたとお思いですか。今、憲法と言われたけれども、そうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 憲法のたしか七十三条であったと思いますが、内閣が政令をつくることができることに権限と責任を持たされておると、私はそのように受けとめております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 法制局長官、それでよろしいか。四十一条との関係はどうなるの。そんな憲法解釈はよくないよ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、政令に実施政令と委任政令があるということでございます。委任政令というのは、法律から委任を受けた形で定められるものである、こういうことでございます。ただ、委任を受けました範囲内におきましては、政府が、内閣がその責任で定めていくと、かような関係に立っていると存じます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 法制局長官の言うのは、憲法四十一条によって国会の立法権、それを内閣に委任しているんですよ。政令というのは政府の命令なんだ。法律に基づいて行う政府の命令なんです、政令というのは。それは憲法の中で内閣が独自で与えられている権限というのはちゃんとありますよ。ここは違うんだ、委任事項なんです。総理、ちょっと訂正してください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は私の考えを申し上げたわけでありますから、訂正することはいたしません。憲法七十三条で、内閣は政令をつくることができる、それは責任であり権限だと、このように受けとめております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そうすると、独立した権限ですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 内閣が法律の授権の範囲内でいろいろの政令をつくることはできる、独立の権限として与えられておると思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 授権の範囲内で独立というのは、授権されているわけでしょう。それでよろしいか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 内閣に権限を与えられているものであって、そして国会でつくられた法律の中に「内閣総理大臣その他政令で定める者」とちゃんと書いてあるわけでありますから、素直に読んで、これは授権の範囲内である、私はそう受けとめてきょうまでやってまいりました。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 その権限を国会から与えられていますね。国会の立法権によって、国会がすべて立法権を持っている、立法権によってでき上がった法律の中で与えられている権限であって、内閣の固有の権限でないんですよ。だから、政令をつくる場合にはあくまで限定があるはずです。というのは法の委任の範囲を超えてはならないという、これは法制局長官、昭和四十六年の最高裁の判決を読んでくださいよ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) ただいま委員御指摘の判決というのは、昭和四十六年一月二十日の最高裁大法廷判決のいわゆる農地売り渡し処分の取り消し等の請求事件だろうと思います。ここにおきまして、いろいろ前提その他細かいことはございますけれども、法の委任の範囲を超えた政令、これは無効のものというほかはない、こういうことでございます。法の範囲、委任の範囲ということの中で政令は成立することは事実でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 今の最高裁の判決について、総理、御見解を承りたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 授権の範囲内でという趣旨の今の答弁でありますから、私もそれは何回も申し上げておるとおり、そう思っております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 委任の範囲ですね、授権されているのは。だから、その委任の範囲を超えてはいけないんですよ。委任の範囲を超えているか超えていないかについて議論があるわけです。その議論が起こったときには何を参考にしなければいけないかというのは、これは私どもも大変尊敬しているし、みんな国会議員なら大体これを少々読みますよ、林修三さんの。この中にはっきり書いてあるんですよ。議論が出た場合には、立法した当時の立法者の趣旨、提案理由の説明、国会における審議、そういうものに基づいて解釈すべきであると言っているんです。従来、法制局はそういう解釈をしているんですよ。今度のは、素直に読めばというのは、これは素直じゃなしに随分曲がって読まなければ読めない。素直に読んだらつくれないんだ。法律でやらなきゃいけないんです、素直でやったら。  だから、ひとつ今のは、私はここでやっぱりこれは国会の記録に残さなければいけないぐらいの重大な問題だと思うので、私が今質問いたしました、国会の方が、両院とは言いません、たとえ一院であっても多数の国会議員がこの政令はふさわしくないと判断しても、なおかつ内閣はその政令を実効力のあるものとしてそのまま続けることがベターなのかベターでないのか、これについて海部内閣の、これは内閣共同連帯ですから、ひとつ正式見解を承っておきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、政治的な問題でありますから私から申し上げますけれども、内閣の責任と権限においてつくった政令でありますから、その責任も内閣で負わなければならない、私はこう考えておりますし、これは今回の事態に際して、この湾岸の問題で避難民の人を要請に基づいて移送するということは極めて人道的な問題であり、非軍事面の問題でありますから、日本が政府の責任において政令で行うことは間違っていない、私はそう受けとめております。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 委員の法令の解釈といいますか、有権解釈という点のお尋ねでございます。  法令の解釈につきましては、申すまでもないことながら、最終的には、先ほどの農地売り渡し事件ではございませんが、最高裁判所の判決によって確定するということだろうと存じます。ただ、それに至ります間におきまして、内閣が法律の委任に基づいて政令を制定する権限、これは先ほど総理からもお答えがございましたけれども、憲法の七十三条に規定してございますように、そのような権限はございます。そういう意味で、政令が法律の授権の範囲内である、あるいは範囲内であるか否か、こういう法令の解釈、いわゆる政令の制定の関係は、第一次的には内閣が行うべきものである、かように考えます。  もっとも、内閣がそのような解釈をするといっても違法な解釈に流れてはならない、これは当然でございますし、国会におけるいろんな御議論も十分参酌した上で決定すべきこと、これは当然でこざいますが、そういう意味で、憲法におきます法律の委任に基づいて政令を制定する権限、これが内閣にあることはまた申し上げてよろしいかと存じます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 じゃ、憲法制定当時の金森国務大臣の答弁と今の関係について説明してください。委任の限度の問題。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) いわゆる憲法制定議会におきます金森大臣の御発言ということでございますが、かなりいろいろな場面で仰せられておりますので、どの部分をということ、非常に委員、どの部分を意識してそうおっしゃられているのかちょっとはっきりいたしません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 委任の限度について国務大臣金森徳次郎さんが答弁しているんです。委任命令についての自由党小野孝議員の質問に対する答弁です。小野さんというのは皆さん方の大先輩です。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 当時の小野孝委員の御質問に対しまして金森国務大臣の答弁の部分、多少長うございますので、多分委員はこれをおっしゃられているのだろうと思う部分の一部分を読ませていただきます。答えておりますのは、国務大臣金森徳次郎でございます。途中からでございますが、  結局委任命令ヲ出スカ出サヌカ、如何ナル限度マデ出スヲ相当トスルカト云フコトハ、要スルニ法律問題トシテハ委任ト云フコトニ、自ラ一定ノ限度ガ起ツテ来ルノデアリマシテ、折角憲法ニ於キマシテ是ガ立法機関デアル、是ガ行政機関デアルト決メテ置キナガラ、其ノ縄張ヲ根本的ニ変ヘルト云フコトハ、是ハ憲法ノ禁ズル所デアル、例ヘバ裁判所ガ全部裁判ヲ株式会社ニ委任スルト云フコトガ、論議トナラナイ程ヲカシイト同ジヤウニ、極端ナル委任立法ガ論議トナラナイ程ヲカシイノト同ジ論理デアルト思フノデアリマス、 こういうふうなくだりがございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 さらに、政令というのは法律で定められたその趣旨の範囲内で大体できているんですよ。今までのを私ずっと調べたけれども、その他のというやつも全部調べてみた。ほとんど流れがある。今度のだけ流れがないんですよ。新しい法律と言ってもいいんです、これは。  そこで、この憲法制定当時の国会では国務大臣金森徳次郎が、「詰リ内閣ノ政令ハ法規ヲ定メ得ルノカ、非常ニ専門的ナ問題デアリマス、是ハ法規ヲ定メ得ル趣旨デハナイト云フコトヲ御答ヘ」いたしますと、こう答弁している。これは長官、間違いないですな。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。  ただいま委員御指摘の部分は、これは貴族院の本会議であろうと思いますが、佐々木惣一議員の問いに対しましての金森国務大臣のお答えだろうと思います。そこの部分だけ読みますと、  内関ガ政令ヲ作ル権能ガアルガ、是ハ我我ノ行動ヲ規制スル所ノモノ迄モ規定シ得ルノカ、詰リ内閣ノ政令ハ法現ヲ定メ得ルノカ、非常ニ専門的ナ問題デアリマス、是ハ法規ヲ定メ得ル趣旨デハナイト云フコトヲ御答ヘスルニ止メテ置キマス、 こういうことでございます。  ただ、この「法規ヲ定メ得ル」、法規とここで言っておりますのは、前のただいまの佐々木惣一議員の御質問も、いわゆる憲法の現行で申しますと七十三条のところの六号ただし書き、「但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」、こういうふうなくだり等を引かれましての御質問でございます。そういう意味で独立に法規を定め得る趣旨ではない、こういうことであろうと存じます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 時間が迫ってきましたのでもう一遍総理にお答え願いたいんですけれども、この特例政令については極めて限定された、こうおっしゃいましたですね。極めて限定的に運用するということをおっしゃった。その限定されるということの意味ですね。したがって、その限定されている条件が合わなくなればどうなるのかということについての総理のお考えをお聞きしておきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今回のイラクによるクウェートの侵略、併合という問題、それによってあの地域から付近の地域に出てくる避難民の人、これは今度のイラクの問題に限定された行為によって出てくる避難民の人であり、そして国連の委任を受けた国際機関の要請を受けたという場合に日本がそれに対応をする。既に民間機で対応はしておりますけれども、さらにいろいろな場合が予想される場合に、これに対して対応するために自衛隊の輸送機による輸送ができるようにする、こういうことでありますから、避難民が出てくる原因もイラクのクウェート侵略ということにきちっと限定されておりますし、国連の機関からの要請があった場合ということもさらに限定をされておるわけでございますし、政令自体が「当分の間」、この「当分の間」というのは何カ月ということではありませんのでいけませんが、この事態が変わり、避難民がなくなるまでというようなことでありますから、非常に限定をされておるというふうに私は受けとめております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 外務省にちょっとお尋ねしたいんですけれども、民間の人が飛行機を随分送っているその状況、それからまた、民間のボランティアというのが随分たくさんの資金等も集めているという状況、これについてどういうような状況になっているか、お知らせいただきたい。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。  今の先生の御質問は、特に避難民の移送との関連でのお話かと存じますけれども、日本のいろいろな民間団体、私ここに表を持っておりますが、十にも上る団体がそれぞれ資金募集の活動をいたしまして、その資金をあるいはIOMあるいは直接ジョルダンの民間航空会社に提供いたしまして、それに基づきまして今日までのところ六便ぐらいのチャーター運航が行われておりまして、千二百四十一人の避難民が本国に帰還しておると承知しております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 お金がどれぐらい集まっているか、どうですか。

丹波實外務省国際連合局長

○政府委員(丹波實君) 何しろ民間の方々が独自にしておられる活動でございますので、私たち詳細に全部を把握しておるわけではございませんけれども、アンマン―カイロ便の一機分が約五万ドルということでございまして、今日まで六便飛んでおるということで、今日までのそういう概要としての金額はそこから少しは出てくるんじゃないかと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 私もちょっと資料をいただいて調べてもみたんですけれども、もう百何十億円というお金が今たまりつつある、こういうふうに聞いておるんです。そういう形で民間の人がどんどんどんどんこの問題に取り組んでおるわけですね。そしてそういう中で、だから我々が何かをしなきゃいけないという国民的合意はあるんです、何とかしなきゃいけないというのは。それをこの政令で、これは衆議院でもあれだけ長時間論議した、恐らく参議院でもこの問題はみんななかなか納得せぬと思いますよ。そういうものがなるべくなら使われない方がいいというふうに私は思いますが、その辺の総理の御感想はどうですか、御感想。決意を聞くとぐあいが悪いだろうから、感想をひとつ聞かせてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政府が最初にIOMの呼びかけにこたえまして民間航空機をチャーターしたり、移送に関する費用のすべて三千八百万ドルを拠出いたしましたというのは、ヨルダン航空とかあるいはエジプト航空とか、あの辺の地域の航空会社が避難民の輸送にまず当たってやろうという意思と能力をお持ちのときに、それにかかる費用を日本政府が負担して出しておるということでございます。これがまず第一。  それから、日本政府としては、民間航空にお願いして既に四便ベトナムへの避難民の輸送を行ったことは事実でございます。同時にまた、今百億円以上の拠金を民間の方がお集め願っておるということは率直に私は評価をいたして、日本は国を挙げて難民対策に取り組んでこんなにお金も用意し、また飛行機もチャーターして出しておるぞということになろうと思いますが、これはIOMがあくまでやるべきその初動の費用は全部政府も負担して協力をしてきておるということでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 どうも総理のお話をずっと聞いていくと、どうしてもやっぱり最後になるとひっかかるわけですよ。  というのは、なぜここで自衛隊の飛行機というところにこだわるのかどうしても納得できない、ここのところが。私は、国民がみんなでこの国際的な問題を考えようという機運がある、それをなぜ政府が本気になって腹を割って話をしないんだと。自衛隊機を飛ばしたいんなら堂々と国会に法律改正を出して、もしそれがだめで否決されたら否決されたときの話としてそれはいいと思うんですよ。何か知らないけれども、おかしな感じでやっているようにしか思えないんです。私は非常におかしな気がいたしますから、今後のまた本予算のときに質問いたします。きょうはこの程度にとどめますが、政令改正に対しては、成案を出すにしろ何にしろ断じてこれは認めぬと、今から徹底的に追及するということを申し上げておいて、私の質問を終わりたいと思います。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、宮澤弘君の質疑を行います。宮澤君。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面の湾岸事態に関して政府の提出いたしました案件をめぐる幾つかの問題について質問をいたします。  幸いに、湾岸の危機は戦争が事実上終結をいたしました。クウェートは解放され、平和が戻ってまいりましたことはまことに喜ばしいことであります。しかし、フセイン・イラク大統領の暴挙によりまして多くの死傷者や避難民が出ました。また、地域は荒廃いたしまして深刻な環境問題も生じましたことはまことに痛ましいことであったと思います。一方、幸いに、心配をされました核兵器や生物化学兵器の使用が行われなかったことは、これは不幸中の幸いであったと思います。  まず、昨年からの経緯を振り返って質問をいたしたいと思います。  この湾岸の事態でございますけれども、これは全くイラクの違法不当なクウェート侵攻で始まりました。武力によって他国を侵略しあるいは併合することは許されないということは、これはもう国際秩序の基本でありますけれども、その基本を破ったのがイラクでありまして、これが出発点であります。また、我が国の国益の面から申しましても、湾岸に石油の七割を依存しているわけでありますから、そういうことで国益の面から申しましても、また湾岸の秩序回復の面から申しましても、国際社会の協調行動に参加すべき立場にあったわけであります。そして、このイラクの国際の平和秩序に対する挑戦に対しまして、国連中心に経済制裁を初め幾多の平和的努力が続けられたわけでありますが、にもかかわらず、期限の一月十五日を過ぎましてもイラクは撤退をいたしませんで、平和回復のためにやむなく武力行使が行われました。そして、その後もイラクは武力行使をやめませんで、さらに石油の流出でありますとか、あるいは油井の破壊というような環境問題等も生じまして、まことになりふり構わぬ暴挙であったと思います。これが湾岸戦争の実態でございますけれども、世の中の一部にはなお、なるほどイラクも悪いけれどもアメリカも悪いんだ、こういうことをなす向きがあります。  そこで総理、ここで改めて湾岸戦争の実態につきまして総理の口から国民に訴えていただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘がありましたとおりに、米ソの冷戦時代が終わりを告げつつある。それまでは米ソ二大大国の力の支配というものが平和を支える枠組みであったと私どもは受けとめてきましたが、それが冷戦時代の発想を乗り越えて、ようやく世界じゅうに平和と繁栄のために皆が協調していかれる希望の持てる世の中が来るのだと思った夢が打ち砕かれたのがこのたびのイラクのクウェート侵略、併合という暴挙であったことは、委員御指摘のとおり、私もそのとおりだと受けとめております。そうして、イラクのこういった暴挙に対して、イラクも悪いがアメリカも戦争をしたかったんだろうとか、早過ぎたろうとかいうふうに、どっちもどっちという態度をとることは、私は問題の本質からいいますと、何かいかにも物わかりがいいような、両方に物を言っても結局は一番の根本、一番の根源は、あすの世界を目指すときに力でもって現状を変えてはいけない、力の侵略は許さないんだという最も基本的な原則をあいまいにすることになると思いますから、私はあくまでもイラクのクウェートに対する侵略が今度の問題の発火点であり、一番悪いのはこの原則を踏みにじったことである、こう言わなければならないと受けとめております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 もう一つ総理に承りたいんですが、経済制裁をもっと長く続けるべきではなかったか、実力行使に入るのが早過ぎたのではないかという意見があります。また、地上戦につきましても、地上戦に突入するのが少し性急に過ぎたのではないか、こういう議論もございます。その辺について総理の御見解を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろんな角度からの御議論があったことは私も承知しておりますが、私はしかし、率直に申し上げて、八月二日にあのような侵略が起こってから、国連が何回も何回も決議をして反省を求め続けてきた。私どもも、この局面を打開できるのはイラクのフセイン大統領が局面を転回する決断をすることである、それは無条件で撤兵することだと言い続けてまいりました。しかし、一切のそういった国際社会の世論に耳をかそうとせず反省の態度がなかったので、十一月二十九日にあの決議六百七十八が生まれて、武力行使の可能性というものが国連によって認められたんです。しかし、その次の日にアメリカがイラクに直接対話の提唱をいたしました。あのと正直言って、これはまた平和の方につながっていく可能性がある、武力行使を直前で抑えることができるかもしれない、だからイラクのフセイン大統領は素直に無条件で撤兵に踏み切るべきだ、こう考えたんです。アメリカとイラクの直接対話も行われました、現実に。  しかし、結果としてはとうとうあのような状況に相なりました。これはやはり国際社会の総意というものを長い間、半年近くの長い間かかって、あらゆるところであらゆる人々が外交努力をして、フセインに無謀な占領を続けるな、侵略を続けるなと言い続けた国際社会の正義の声というものをやはり一刻も早く聞いて撤退すべきであったということが一番大きな現状でございますから、武力の行使に踏み切ったことは極めて残念なことでありましたけれども、委員お触れになったように、新しい質に転回していかなかった。化学兵器も生物兵器も使われなかったし、またミサイルを撃ち込まれ続けたイスラエルも自制をして、戦争が新しい方向に質的に拡大し、変わっていくのを自制によって防いだということはせめてもの不幸中の幸いであった。私は、こういった武力行使というものの持っておる厳しさというものは、やはりその大前提に立つ武力侵略はいけないんだという原則を世界の人がもう一回厳しく見詰め直さなきゃならぬ事実である、このように受けとめております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 次に、湾岸戦争が起こりましてから今までの我が国の対応につきまして、二、三伺いたいと思います。  端的に申しまして、今回の湾岸危機、これを契機として我が国は初めて本格的に日本の国際的な役割と申しますか、それについて議論をし、考え始めた。また、考えさせられたと言っていいかもしれません。私はそういうふうに思っております。非常事態における日本の国際関係とのかかわり方と申しますか、あるいは国際関係とのかかわり方で日本は一体何ができるのか、あるいは何ができないのか、こういうことの本格的な論議というものが今回初めて私はなされたのではないかと思います。  戦後四十五年たちました。幸い我が国は平和でございまして、国民すべて平和を謳歌し、平和になれ親しんでまいりました。マスコミの一部では平和ぼけというような言葉も使われますけれども、そういうような状況でございまして、したがって率直に申しまして、政府もこういうような危機管理体制について本格的にいろいろ考え、対策を講ずるというような姿勢必ずしも十分でなかったと思います。あるいはまた、私ども国会もそういう本格的な議論は今までなされなかったと思うのであります。もし今回のような湾岸危機がなければ、恐らく私どもはこういうような議論をこの国会の場でもなされなかったのじゃないか、そういうことを先送りをしたのではないかと思いますし、あるいはこれ以前に、もしそういう議論を徹底してやっておりますれば、今回の対応策もいわばもっと適切に対応できたのではないか、私はこういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、昨年の八月二日以来の事態というのは我が国にとって初めての経験であったと思います。そして、国会の論議などでも依然として各党の間には見解の相違はございますけれども、この種の危機対策についての諸問題について国会が真っ正面にこれを取り上げて議論したということは、これはもう大きな収穫であったと思います。日本が国際国家に成長発展をいたしますためにもいつか通らなければならなかった道ではないかと思います。  そして、これらの過程を通じまして、我が国は憲法の建前からいって軍事的な協力はできないけれども、非軍事的なものとしての財政的な支援というのは、これはやることが必要であるというようなことが明らかになりましたし、さらに昨年秋、国連平和協力法案でございますか、廃案になりましたけれども、そういうような審議も通じまして、非軍事的な面での人的貢献の必要性ということも議論をされたわけであります。いわゆる三党合意というようなものもその結果としてでき上がった。これも一つの成果だろうと思います。大方の国民各位のそういう人的貢献の必要性についての理解なり認識というものは、私はこの議論を通じて進んだと思うのでありまして、したがって、今回のこの議論というのは私どもにとって非常に貴重な体験であり教訓であったと、私はそのように思うのでありますけれども、この点について総理の御見解を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いつでしたか、新聞の署名の原稿の中に、日本はある意味で片隅の幸福型の国になってきたんではないか。それはアメリカが建国以来自由と民主主義、それにキリスト教の教義、道義という考え方を国家行動の判断の根拠とする理念型国家として行動し、また事実その能力と責任を果たしてきておる。日本が敗戦後のあの出発点に立って目指したのは、小さく自分一人の幸せをささやかに守っていこう。だれともけんかせず、人に迷惑をかけず、額に汗して働いて、ひっそりとささやかな幸福をかみしめていけばいい、そういう片隅の幸福型国家としてスタートしたのではないか。それが今日になってくると、日本が成長して、もう世界の片隅でひっそりと自分だけの幸せを追求しておるようなことでは済まなくなってきたんだ。貿易の残高一つを見ても、それが日米の貿易摩擦を生むように日本は大きくなってきたんだ。それだけに責任も果たさなければならないという指摘が鋭くなされておったわけでございます。  私はそういった考え方に立って、日本が今日平和を享受しながらここまで来たときには、世界で起こるあらゆる事態に対してこれは協力をしていかなきゃならぬ。お金を出すだけではいけない。人の面の協力も必要である。ただそれは、平和主義、国際協調主義の理念を掲げる日本国憲法のもとで大切なことは、正義と秩序を基調とする国際平和のために日本もできる限りのことをしようということであったと思います。  御指摘の前国会の御議論を踏まえて、国民の皆さんの間にも、お金だけ出して済ませようとするのはやはりいい考えではない。一緒になって汗も流しできるだけのことをしろ。ただ、日本国の憲法論議がよく出てまいります。武力による威嚇や武力の行使を伴うといること以外の面でできることがまだたくさんあるはずだ、そういったことに積極的に協力をしろ、こういう御議論や指摘は上がってきておりますし、また現にそれをしませんと国際的に孤立をする危険がある、私自身はそう思っております。  今後、国際社会において日本が名誉ある地位を占めることができるのかどうか、諸外国と対等に世界のことを論じ、世界の平和のために、世界の経済発展のために協力し、参加していくことができるのかどうかということ等についても根本に立って考え直していかなきゃならぬときでありますから、国際社会における日本の立場というものは新しい段階を迎えつつある、この委員の御指摘と認識は私も全く正しいものであると考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 八月二日以来の経緯を振り返ってみますと、私は非常に率直に申しまして、我が国は国際外交の外に置かれていたのではないかという気がいたすのであります。特に地上戦突入か政治解決かをめぐってソ連が提案をいたしましたその前後には、情報が非常は入らなかったのじゃないかというふうに私は考えます。もちろん、軍事行動に参加しているのではないのでございますから、軍事作戦について個々に相談があるはずがなし、また相談されてもこれは困るわけであります。  そういう意味で、我が国は実際上出る幕がなかった、こういうふうは言っていいのではなかろうかと私は思いますが、それにいたしましても、友好国であるアメリカからも和戦の動向をめぐって十分な情報が送られなかったのではないか、こういうような感じさえするのであります。在外公館の人手不足等のやむを得ない事情はあったと思うのでありますけれども、情報不足ということは否めない事実ではなかったか。私は非常に残念に思うのでありますが、総理の所感を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 多国籍軍に部隊を送って参加いたしておりませんから、おっしゃるように、多国籍軍の動きとか戦闘行為に入る入らないとかいうときに機微にわたった詳細な情報があったかどうかということは、これは大いに首をかしげなければならぬ面もあると思いますが、しかしそれはそれだと思います。  むしろ、直接武力行使をする前に何か和平の解決はできませんでしょうか、積極的に和平の努力をもっとされるべきではないかということを国連の事務総長にも申しましたし、また国連事務総長のイラク訪問前後のときには、国連事務総長のところへ日本としてそういう状況も持っていって、戦いになれば非常に厳しいことになる。私自身もイラクのフセイン大統領に、我が国の戦争体験を踏まえて、あのとき国際社会を敵に回して我が国がかたくなに戦争の道を選んだがために、その後随分長い間辛酸をなめて国民とともに苦しんだんだということ等を反省しながら、今回は国際社会の要望を入れて兵を引く決断をされることが大切だと思うと、いろいろなこと等も私自身の親書として伝えましたし、また外務大臣その他いろいろのレベルにおいて国連の事務総長を訪ねたり、ベーカー国務長官と会談をしたり、いろいろな努力もしてきたところでございます。  なお、不足であったんではないかとおっしゃる点については、もうこんなことが二度三度起こることは真っ平御免ですけれども、もしそういうときにはどうすべきかということは、在外公館の体制とか情報の取りまとめとかいろいろな問題についてはさらに細心の対応をしていかなければならぬ、これは御指摘を謙虚に承っておきます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私が出る幕がなかったと申しましたのは、軍事行動が中心でございますからむしろ出る幕がなかったのは当たり前だと思います。  私が申し上げたいのはこれからのことでございまして、我が国は国連中心主義の外交を展開してまいりましたし、これからも展開をしていくということになりますと、今後の平和回復の諸措置は国連を中心にして行われなければなりませんし、まさに今度は日本の出番である、これから舞台に大手を振って登っていかなければならない、私はそう思うのでございます。  戦後の処理というのは、軍事行動に参加をいたしました二十何カ国でございますか、あれだけではなくして、国連を中心とした国連の仕組みの中で進められなければならないと私は思いますが、それについての総理の御見解を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国連が世界の平和の枠組みづくりの中心になって戦後四十五年ぶりに初めて機能したというこの事実をとらえましても、私は今後の平和の枠組みは国連を中心に行われるべきである、こう考えております。また、特に今回の湾岸における平和回復活動に国連が果たした役割というものは、私はこれは評価されてしかるべきものである。こう考えますから、国連の事務総長が今後中心となって、世界の恒久の平和のためにどのようなことを国連が役割を果たしていかなければならぬか、日本としても積極的にこれには参加をして、協力をして、貢献もしていかなければならないテーマであると考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 それに関連をいたしまして、最近の報道によりますと。アメリカは近く国連を中心に新しい世界秩序を宣言するための首脳会議を開きたい、それを各国に打診をいたしている、こういう報道が一両日前にございましたが、そういうことはございますか。日本にも打診がございましたでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 湾岸戦争の終結後の国連を中心とした新しい枠組みづくりについてこれから関係国が協議をするというお話は、報道としてございますけれども、既にアメリカのベーカー国務長官のところにはフランスのデュマ外相とかあるいはドイツのゲンシャー外相等々がワシントンへ行くという話を私は聞いておりますが、日本は、ベーカー国務長官が湾岸を回られた後日米の外相会談でいろいろと相談をしようということになっておりまして、私どもは現在、これからの新しい枠組みづくりについて政府としても各国との協議をしなければならないと考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 まさにこれからが出番でございますから、その辺はひとつ万遺漏なく御措置をお願いいたしたいと思います。  次に、九十億ドルの追加支援の問題について伺います。  我が国の置かれた立場から申しまして、非軍事的協力というものについて資金援助を中心にやっていくというのは、これはもう当然のことでございます。今回九十億ドルの追加支援が行われることになりまして、これについては今回は前回に比べて大変速やかな決断がなされたということは大いに評価をいたしたいと思います。  私は、この九十億ドルというのは我が国の平和と繁栄を守る、平和憲法を守るいわば一種のコストである、こういうふうに考えられないこともないと思うのでありますが、いずれにいたしましても、日本円に直しますと一兆一千七百億円の大変大きなお金になりまして、あだやおろそかにできないお金であろうと思います。  そこで、先ほどもちょっと総理の口からも出たのでありますけれども、日本はお金で何でも済ませるというような批判があるという意味のこともおっしゃいましたけれども、しかしこれは国民が働いた大変大きなお金でありますから、これだけの大きなお金を国際協力できるということは、私は国民が胸を張って誇ってよろしいことだと思いますけれども、総理、どうお考えになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国際協力の中で、日本が例えば国連に対して分担金を上から二番目で出しているとか、あるいはいろいろな難民救済のときなんかも最初のアピールに全額でこたえるとか、お金を出す協力は今日までも随分してきたと思っております。けれども、そのことに対してアメリカやヨーロッパの論調や、あるいはアメリカの議会の意見などを取り寄せて読んでみますと、申し上げたように、お金だけで済まそうとしておるのか、お金だけ払って汗を流そうとしないのか、リスクを負担しようとしないではないか、仲間だというならばもう少し汗を流す人的な貢献もすべきではないかという論調がいろいろあるということを私はここで御披瀝しましたし、同時にやはり日本が、先ほど申し上げましたように、自分のことだけ考えて、人様に迷惑をかけないで小ぢんまりとつじつまを合わしていればいいんだという時代は終わって、とにかく貿易の帳じり、黒字だけでも平成二年は五百二十四億ドル、平成元年は六百四十三億ドル、これは通関ベースですから、もっと大きい黒字幅が言われる計算方法もあるんです。そういう国になりながら、それでお金だけで済まして、もうこれは聞く耳持たないよ。もっと協力をしろ、もっと一歩前へ出てきて、世界とともに生きる日本というならば、世界ともっと連帯意識を持って行動もともにしろ、こういう感覚があるのだと思っております。  したがいまして、お金を出し得るということも、それを支持してくださる国民の皆さんの御理解と御支援のおかげでありますから、そのことは率直に感謝しますが、それだけではいけないというのも国際社会の世論であると私は受けとめますので、出ていって許される限りのことはしますという日本の態度を示すべきである、私はそう受けとめております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 誤解のないように申し上げたいんですが、私もお金だけの協力でいいと言っているんじゃございません。確かに人的協力というものを考えていかなければならない。しかし、何かお金を出すことが肩身の狭いような言い方を世の中でされる向きがありますから、これだけのお金が出せるということは、これは日本としても誇っていいことではないか、そういうことを申し上げた次第でございます。  そこで、九十億ドル拠出の根拠の問題で、これは衆議院でも、また先ほど同僚議員との間でもいろいろ論議がございました。  私ども選挙区へ帰りますと、財政的な応分の支援をしなければならない、これはみんなわかります。そのとおりだと申しますけれども、それでは一体その九十億ドルというのは何なんだろうということになりますと、なかなか理解が得られない面もございます。  しかし、今ここで問答をいたすつもりはございませんで、問答を避けまして、これまでのいろいろな議論を私聞きましたので、それについての私の意見と申しますか、感想を申し上げますからよく聞いておいていただいて、最後に総理のひとつ所感を承りたい、こういうことにいたしたいと思います。  総理は、日本の置かれた立場、国際的な地位というようなことからいって応分の負担をしなければならない、その場合に具体的な判断基準として、あるいは日本のGNPが世界のGNPの一五%であるとか、あるいは日本の貿易額が世界の貿易額の一〇%であるとか、あるいはまた衆議院では、石油が一バレル十ドル上がるとどれぐらいの負担になるとか、そういうようなことをおっしゃったというふうに私は記憶をいたしているのであります。そういうものを総合的、自主的に判断をして決めたんだというふうに言っておいでになります。まさに自主的に判断なさる、これはもう当然でありまして、日本国が拠出をするのでありますから日本国の総理大臣が自主的に判断をなさる、これは私は当然だと思いますけれども、その総合的とおっしゃるところがどうもわからないところがあるのでございます。  無論、この種の予算でございますから、普通の予算のように大蔵省の主計局の主計官が一々積み上げてできる予算でない、これはわかります。湾岸の平和活動がどういうふうに展開をするかもわからないのでありますから、その積み上げでないということはこれはわかるのでありますけれども、しかし、といって、それでは、例えばある朝総理がぱっと目を覚まされて、天啓といいますか、神のお告げのように、うん、九十億ドルだと、まあまさかそういうことではもちろんこれはあり得ない。総理はやはり御自身としていろんな基準というものを考えて頭の中で整理をされている、私はそういうふうに思うのであります。  先ほどGNPの一五%を日本は世界のうちで占めているんだ、これはなかなかやはりわかりがいいと思います。国民としても、それならばまあ一五%ぐらいは負担してもいいんじゃないかというふうに思うのでありますけれども、問題はそれじゃ一体そのもとでございますね、何の一五%かというところがなかなかこれはぴんとこない面があるんだろうと思います。  俗なことを申し上げて恐縮でありますけれども、例えば町内会の運動会が全体で十万円かかる。そうすると、あそこの家は御大家だから二万円出したらいい。あの会社は出入りのトラックが住民に迷惑をかけているから三万円出しなさい。あとはひとつみんなで均分に千円ずつ負担しようじゃないか。例えばそういうように初めに大体かかるお金というものがあって議論が出てくるんだろうと私は思うのでありますが、そういう点で総理は総合的にお考えになったというお話でありますけれども、その一番もとの一体どのぐらいかかるんだというようなことも恐らく頭におありになって、それをいろいろな基準というものに照らし合わせてお考えになったんだろう、私はそう思うのでございます。,  一方、アメリカの戦費でございますね、戦費に関しては総理大臣も大蔵大臣もいろいろな計算の仕方があるんだ、いろいろな試算があるんだ、先ほども二百八十億ドルから八百六十億ドルでございますか、そういうことがあるとおっしゃいました。大蔵大臣がアメリカに行かれてブレイディ財務長官といろいろな話をなさって、大蔵大臣も実に幅があるんだ、試算に幅があるということをおっしゃった。それで衆議院でありますか、そういういろいろ話をしていろいろな感触を得て帰ってきて、それに基づいて総理大臣に報告をして、総理大臣がお決めになったんだ、こういうふうに報告をされておいでになる。そういうふうに大蔵大臣がアメリカでいろいろ話をせられて得られた感触、総理大臣に御報告になった感触の中には、先ほどのお話のように二百八十億ドルという試算もある、四百五十億ドルという試算もある、八百六十億ドルという試算もある、そういうようなものを大蔵大臣から御報告をお受けになって、そういう向こうのいろいろな情報というものも頭に入れて御判断になった、そういうふうに考えるのが至当ではないだろうか、私はそういうふうに考えております。  ある財界人で、九十億ドルというのは日本の名目GNP一日分だということをあのとき言った人がおりますが、なるほどそれはそれで非常にわかりやすいというか、説明がしやすいことであるのかもしれません。  いずれにいたしましても、私は今までの問答を承っておりまして、そういうような感想と申しますか、意見を持つわけでありますが、総理は一体、私が今申し上げたことについてどういう所感でありますか承りたいのでございます。これは国民が関心を持っておりますことでありますので、今後もひとつ国民の理解がより深まるようにいろいろ説明その他についてまたお考えをいただきたいと思うのでありますけれども、とりあえず私が今申し上げたことについての御所見を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) さすが宮澤議員でありますから、私はうなずいて今いろいろ承っておりましたけれども、結論を申し上げますと、やっぱり私は総合的に判断をして、そして自主的に九十億ドルと決めた。その間、例えば橋本大蔵大臣のお話も中山外務大臣のお話も報告として確かに受けとめました。  しかし、アメリカにも今申し上げた議会予算局の数字のほかに財務省の意見やあるいはホワイトハウスの意見や国防省の意見や国務省の意見やいろいろな情報が私のところへも入ってまいりましたが、何よりも私が頭を痛めたのは、一体決めるときに、これは結局は国民の皆さんに御理解と御納得をいただかなきゃならぬものでありますから、GNPは日本は今地球の一五%近くになったな、貿易は九%ぐらいだな、毎年貿易の結果五百億ドル、六百億ドルというその貿易の黒字が残って、しかもアメリカ一国との間では五百億ドル近くの貿易インバランスがあって、それが貿易摩擦を生んだこともあるんだな。あるいはまた、去年一年間の海外へ旅行をしてきた人々の使ったお金は一体どれだけであったか聞いてみたら、二百二十億ドルでございますという報告も来ました。どれ一つとらえてもびしっと一つとして合うものでもございませんので、やっぱりこれらを全部、自分の知り得た情報を全部総合して総合的に決めさせていただいたんですから、どうぞそこのところは御理解をいただきたいと思います。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 まあもう一息というところではなかろうかと思いますが、国民も非常にこの問題については関心を持っておりますから、どうかひとつ国民に今後も納得いくように御説明を願いたいと思います。  大蔵大臣に承りますが、この九十億ドルの財源といたしまして、今回、法人税と石油税、これについて一年間増徴をするという手段をとられる議案を提案いたしておいでになります。この二つの税金をお選びになった理由を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 率直に申しまして、ここまで結論をまとめます間、随分悩みました。そうして、やはりまず第一に考えましたことは、赤字国債という手法によってこの九十億ドルの負担というものを後世にツケ回しはしたくないということでありました。  そういう考え方のもとにまいりますと、政府が、既定の予算あるいは平成三年度の予算を含めまして、予算という形で国民に対し提供すべきサービスを減らすという努力によってそのお金を生み出すのか、あるいはそのサービスという部分に傷をつけないようにするためには新たな臨時の国民の御負担をお願いするのか、そのいずれをとるべきかということでありました。一時期私はサービスという部分に手をつけず全部を臨時的な御負担でお願いすべきではないかと考えた時期がございます。しかし、その後のさまざまな御論議の中から、政府自身ができる限りの節減合理化に努めると同時に、それで足りない部分について臨時的な御負担をお願いしなければならないという決断を下しました。  その上で、税制上の措置によるとするならば、国民の御協力を得る上でわかりやすい内容であるということが一点、また国民生活に与える影響ということも考慮の対象に入れました。同時に、収納確保の確実性、あるいは納税者の御便宜といったものも考えの中に入れました。こうしたものを考えましたあげく、法人臨時特別税及び石油臨時特別税という二つの税目に絞ったということであります。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 ただいま幾つかの基準を承りましたんですが、国民生活に与える影響ということをおっしゃいました。これは恐らく国民生活に打撃を与えない、そういう意味合いの影響ということで言われたんだと思いますが、また逆に申しますと、今回のような事態に対して国民が痛みを分かち合うというような見地から、何かやっぱり自分の懐に直接響くということが必要ではないか、またそれが世界各国に対して、なるほど日本国民もいろいろ考えてくれているなということにもなるんだ、こういう見解がございまして、大蔵省がこの二税に至るまでにも所得税というものを対象にするかしないかということについて恐らく御検討になったのではなかろうか、こう思いますが、いかがでございますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今たまたま所得税を例示に挙げられましたが、例えば衆議院におきましての御論議の際には、消費税の見直しを急ぐことによってその中で対応することは考えなかったのかとか、さまざまな御指摘をちょうだいをいたしました。中には、今後御審議を願う予定で今国会に提出をいたしております地価税をもってこれに充てるというような御主張もございました。  私どももさまざまなことは確かに考えてみたことがございます。ただその中で、消費税は両院の合同の協議にゆだねられているものでありますから、これを我々が対応の考えに入れること自体が院に対して失礼に当たる。これはもう我々として頭から外しました。また、地価税のようにできておらない税をもって新たな財源とすることは別途の問題を生ずる、そうした考え方をとりました。  所得税につきましても、確かに国民お一人お一人に対してじかにという考え方を私のところに具申された方がないわけではありません。しかし同時に、所得税に偏り過ぎた税体系というものを直そうと努力をしてようやく今動いておりますさなかに、もう一度それを承知の上で所得税に負担を求めるということは、給与所得者に非常に大きな影響のみを及ぼす結果になるのではなかろうか、そのような考え方が脳裏をよぎったことも事実であります。  こうしたことをいろいろ考え、本当に考えに考えましたあげく、私どもとしては法人臨時特別税と石油臨時特別税という二つの税目に絞って今御審議をお願いを申し上げたいと考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 今回九十億ドルの財源として、臨時に一年間二つの税目について国民に負担を求めるという提案をされているわけでありますが、私は、今後中東の復興その他に関連をいたしましても、またそれとの影響でアジア地域に対する支援の問題にいたしましても、日本に対する財政支援の期待というのは非常に高まってくると思うのであります。一方において、ドイツは東独の問題で手いっぱいでございますし、アメリカもまた景気は下降ぎみ、それから大きな財政赤字を持っております。ということになりますと、ますます日本に頼ってくると思うのであります。  しかし、我が国自体といたしましても、例えば経常黒字も恐らくことしあたりは三百億ドルぐらいじゃございませんでしょうか。そういたしますと、今の九十億ドルの三倍程度のものしかない。加えて、大蔵大臣もよくおっしゃいますが、随分大きな、百七十兆円でございますか、国債を抱えておりますし、また四百三十兆円の公共投資の約束もございます。私は財政運営なかなか大変だと思うのであります。つまり、中東問題を契機にして新しい財政需要が加わってまいりましたから、それを今後どういうふうにさばいていかれるか。それはもう簡単に言えば、歳出を切るか歳入をふやすしかないということであろうと思うのでありますが、その辺についての新しい需要が加わった。今後財政運営をどうしていくかということについての大蔵大臣の御所見を承りたいのが一つ。  それから、大蔵大臣も御承知かと思いますが、かねて国際協力税をつくったらどうかという議論がございます。これは今のODAの財源に充てるということが一つの考えでございましたけれども、今回のような世界的な大きな資金不足、日本に対していろいろ資金を求めてくる、それに対する協力という意味からも国際協力税というような考え方を今後考えることができないか。  この二点について御所見を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変一般的なお答えから始めて恐縮でありますけれども、国際協力税という趣旨の提案というものは、確かにODAなどの財源を確保するという御趣旨から以前からも御論議のあったテーマでございます。しかし、国際社会における日本の責任増大、今後の社会経済情勢に財政が弾力的に対応していくことは、これは確かに必要なんでありますけれども、そのための方策として、高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないということを基本にしながら、公債依存度の引き下げなど行財政改革を推進する中、各年度の予算編成の過程におきましてそのときどきのやはり財政事情あるいは社会経済情勢などを総合的に勘案しながら、私はODA等について予算を組んでいくべきではないかという基本的な考え方を持っておりました。  今御指摘のように、確かに我が国の財政状況は、赤字公債依存体質から脱却したと言いながら、年度末には百六十八兆に達する、を超える国債残高を抱えるわけでありまして、その累増に歯どめをかけること自体が極めて大きな問題であります。そうした中におきまして、たとえ国際協力のためと言いながら、一つの財源を固定してしまうことの是非、また国内の経済情勢のいかんにかかわらず一定の税目をすべてODAに充てることの是非、さまざまな問題がこれにはあろうと考えてまいりました。  しかし、今たまたま委員から戦後の資金不足というお言葉が出たわけでありますが、実はこの湾岸の情勢というものにかかわりなしに、昨年のヒューストン・サミットの前から、私ども各国の財政当局者にとりましては、東ヨーロッパにおける計画経済から市場経済への移行、さらにソ連のペレストロイカの進展状況、累積債務国の状況等々を考え合わせましたときに、遠からず世界的な資金不足について我々は直面しなければならない、そのためにはG7の各国としての足並みをそろえていく中で、各国がその貯蓄の率を高める努力をしていかなければならないというのが真剣な論議になっておりました。今、その上に湾岸地域の復興支援という新しいテーマが加わってきたわけでありまして、この問題を処理していくのは確かに委員の御指摘のとおり非常に大きな問題になろうと思います。日本の立場といたしましては、国際社会の中で日本がどれだけの責任を受け持つべきであるのか、またそのやり方はどんなやり方にするのか、こうした点に十分論議をいたしながらその責務を果たしていくべきであろう、そのように考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 何分大変な時期に大蔵大臣を御担当になって御苦労だと思います。要するに、多くの財政需要がたくさんございますのでそれをどうさばいていかれるか、重点的、計画的な財政運営をお考えだと思いますが、御努力を賜りたいと思います。  次に、戦後の中東対策について二、三承りたいと思いますが、中東対策は具体的には五つぐらいの柱があると思います。緊急援助があり、それからやや中長期的な経済復興の問題、環境汚染対策、それから軍備管理、さらにパレスチナ問題を含む中東の包括的な和平。  そこで、外務大臣に承りますが、とりあえずの緊急援助というものを一体今どういうものをどういうふうに準備しておいでになるか、概括的に承りたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、戦後のこの地域の援助というものにつきましては、この八月二日以来の戦争前の状況でも影響を受けた周辺国に対する経済援助、また南西アジア、フィリピンまで含めた地域の発展途上国に対する経済の援助、それは午前中の質問でもございましたけれども、出稼ぎ労働者の送金がとまる、あるいは石油の値段が上昇する、あるいは貿易がとまるといったようなことで、いろいろな国が経済的な打撃を相当受けておりまして、これらに対する援助をしなければならないことが一つでございます。  また、後の問題といたしまして、政府が今現在考えておりますのは、環境調査団というものを派遣いたす準備をいたしております。それは関係各省庁から何人かのエキスパートを選びまして、今回の大気汚染、海洋汚染あるいは地域のいろんな問題についての環境調査団というものを派遣する準備をいたしておることもこの機会に申し上げておきたいと思います。  また、この湾岸の戦後の安全保障の問題、これは中長期の問題になりますが、この問題につきましては、この三月五日にシリアのダマスカスだと思いますが、GCCの国々とエジプト、それからシリア等が集まりまして、外務大臣がこの地域のこれからの安全保障問題を含めた中長期のことをテーマに議論をするという情報を持っております。なお、この地域の安全保障につきましては、あくまでも地域の国々がイニシアチブをとって考えてもらうということが一番大きな問題だろうと思います。  経済の復興につきましても、クウェート、非常に大変な災害を受けたクウェートでございますけれども、クウェート自身は一千億ドルを超える在外資産を持っておりますから、日本からの資金援助ということは当面考える必要はないわけであります。また、サウジアラビアも大変な資金を持っております。そういうことで、我々は経済的にこの国々の希望というものはどんなことを協力していったらいいのか、あるいは環境汚染に対する技術的な協力をどうしたらいいかといったようなことを、相手国の政府の意思も十分承りながら政府としては対応するべきだと考えておりますが、さしあたり、現在用意しておりますものは環境調査団、これの派遣でございます。  なお、クウェートにおきましてコレラが大量に発生をする危険があるという情報を持っております。政府はWHO等とも連絡をしながら、この地域において伝染病が発生した場合に、国際緊急援助隊の方々にお願いをして、この二次災害、三次災害に対する日本の人的協力ができないか、こういうことで目下検討、準備を進めている最中でございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 戦後の中東対策につきまして総理に二点承りたいと思います。  第一点は、フセイン体制というものに関係をいたす問題でございますが、人道的援助は別といたしまして、フセイン体制が続く限り我が国はイラクに対して援助をしないのかどうか、その辺の態度、お考えというものを承りたい。  それからもう一つは、今、中東で、何と申しますか、復興ビジネスと申しますか、戦後の復興に対しているいる西欧の諸国が受注合戦をいたしておりますですね。それに対して我が国はやはり余りこの際に、戦争が済んでまたお金もうけに来たのかと言われても困るということで、経済界においては自粛の姿勢がある。また、それについて通産大臣もそういうような趣旨の御発言があったと思います。そこで、総理とされても、こういう際に一体我が国企業の、何といいますか、ビヘービアというのでございますか、こういうことがどうあるべきであるかということについてお考えがございますれば承りたいと思います。  その二点を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) フセイン体制がどうなるかということについては、これは予断と憶測でもって物を言うべきものでもなかろうと思いますし、またイラクの国民がそれは当然定めるべきことであると思いますけれども、私は、イラクという国家はいずれにしても平和国家として国際社会に受け入れられるような国としてまた国際社会へ戻ってきてほしい、このことを強く願っております。そして、イラクがそのような行動になるときには、これは私もラマダン副首相との会談のときにも申し上げたことですが、国際社会の原理原則に従って国際社会にきちっと復帰をしてきた暁には、イラクも含めてすべてのあの地域の平和と安定のために日本は努力をしなければならぬという基本的な考え方は伝えてあります。  いずれにいたしましても、今後のイラクの成り行きというものは見詰めていかなければならない重要な問題だと思います。そのとき、人道的な立場に立っての食糧援助とか医療、医薬品の援助、これは別でございます。しかし、イラクと日本との間にはきょうまでも長い間のいろいろ積み重ねの歴史等もありますから、イラクがどのような姿かたちで国際社会に復帰をするのかということが当然大前提になってくるものと思っております。  また、企業のビヘービアについての問題でありますけれども、要するに今ちらほら入ってきますいろいろな海外の情勢でも、多国籍軍に参加をして貢献した国とそうでない国と何か一線を引こうというような、そんな思惑のような意見が出ておることもこれは承知いたしております。同時にまた、企業の皆さん自身も、また私どもも、日本はとにかく商売になるとすぐ出てくる、それ以外のときには遅いというような、そういう好ましくない風潮があること自体も大変残念でありますから、相手国の意向とか相手国の要請を十分踏まえて、その地域のイニシアチブを尊重しながらの協力をする場面があるならば、使命を果たす場面があるならば、それは喜んで応じていったらいい、こう考えております。当面、こちらから押しかけていってどうのこうのということは、今いろいろな方面においても注意をしておるところでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 外務大臣、先ほどちょっと伺うのを忘れたんですが、当面の対策といたしまして、クウェートの日本大使館というのはいつ再開をされる見込みでございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) クウェートにおきます日本大使館の再開につきましては、黒川大使を派遣いたすことにいたしまして、既に先週日本を出発いたしております。  そうして、黒川大使はまずサウジアラビアに入りまして、サウジアラビアをベースにして、サウジアラビアにありますクウェートの政府並びにクウェートに対してサウジから現地調査ができれば、できるだけ速やかにクウェートシティーを訪ねたいという考え方を持っておりますが、いずれにいたしましても、イラク軍が埋設した地雷、あるいは水道、ガス、電気といったような公共サービスの部門のことがまだ十分把握されておりませんので、現地で館員とともに、再開がいつごろできるか、それまでの準備作業に当面没頭するように命令を出しております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 そうすると、いつごろということは今のところはっきりおっしゃりかねるんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) まず、大使館の内部がどうなっておるかということの確認をすることが第一の問題であろうと思います。御案内のように、もう季節的に猛暑が来るのが間近でございまして、電気による冷房の機能がどうなっているか、ここいらからチェックをしないと、人間がそこで作業をすることができない、生活することができないということでございますので、そういうものが確認され次第直ちに再開をいたす考えでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 次に、国連の平和維持機能について二点承りたいと思います。  私は、国連の平和維持機能につきまして第一番目に重要なことは、紛争を事前に予防することであると思います。そして、そういう見地から申しますと、結論だけを申しますが、国連自身が加盟各国の軍事情報を収集分析する、そういう常設の機関を設けるということが私は必要ではないかと思います。また、それと関連をいたしまして、国連がいわば軍事衛星という偵察衛星でございますか、これを飛ばして各国の軍事情勢を把握するというようなことも考えられないことはないと思うのでありますが、国連が軍事情報を収集分析するそういう常設機関をつくることが私は必要だと思います。そうでありますれば、その件を我が国としては国連の場で大いに主張して推進すべきではないかと私は思いますけれども、外務大臣の御見解を承りたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 地域の紛争が発生する事前の情報を国連がキャッチして、それに対する予防措置を講ずるという予防外交が必要であるということは委員の御指摘のとおりでございます。昨年の秋の国連総会におきまして、日本政府の考え方として、国連事務総長のもとに地域紛争の予防措置をとるようなシステムを完備することが緊急の課題であるということを国連総会において既に提唱いたしておりますが、御指摘のような線に沿いまして政府としては今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 どうかひとつ日本が率先行動的に実践をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、私は国連の平和維持機能のもう一つの問題はPKOの問題だと思いますが、それ前に総理大臣、国連憲章の第七章に国連軍という規定がございますね。国連軍の創設ということが割合に近い将来できるというふうに総理はお思いになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国連の機能を強化して平和を維持していく枠組みの中心にならなければならぬということは私は強く求めております。それがただいま御指摘の本当の意味の純粋の国連軍になるためには、まだまだいろいろ国連内部で討議しなきゃならぬ問題、準備しなきゃならぬ問題も残っておるかと考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 今、総理の御答弁をいただきましたけれども、私も早い機会に国連軍ができるというふうには思いません。そういたしますと、どういたしましてもPKOの機能を強化する必要があると私は思います。  一つは、PKO自身というのは、御承知のように、これは明文の規定で国連憲章に載っているわけではございませんで事実上ああいう運営が行われておるわけでありますから、私はPKOというああいう平和維持機能の一つの組織、運動を国連憲章の中に位置づけていくということが必要であると思います。同時に、これに対して我が国がどういうふうに参画をしていくかということについては、なお検討を進めるべき問題があると思います。  まず、PKOというものの制度を国連憲章の中に明文的に位置づけるということについてはどうお考えでございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) その方向に賛成でございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 同時に、国連におきまして、PKOにつきましては御承知のように三種類ございまして、平和維持軍、それから監視団がございますね。平和維持軍につきましては昨年の国会以来いろいろな議論がございまして、我が国憲法上の制約からいって平和維持軍に参画することについては問題がありはしないかというような法制局長官の見解がございました。しかし、停戦監視団というものは、これは別に武器を持っているわけではございませんし、停戦監視団について我が国が参画をすることについては、これは憲法上の制約というものは余り考えなくていいのではないかと思いますけれども、法制局長官いかがですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕  昨年秋の国会におきましていろいろ申し上げたところでございますが、そのときの考え方も、平和維持活動のために編成された国連軍、過去の例を見ましても、いろいろなタイプがございますので一概には申し上げにくいということが一つでございます。それから、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、我が国としてこれに参加することは憲法上許されない。これに対しまして、国連軍の目的、任務が武力行使を伴わないものであれば、我が国としてこれに参加することは憲法上許されないわけではない、こういうふうなことを申し上げてきたわけでございます。  今先生御指摘の停戦監視団というものにつきましても、私は実態を十分存じませんが、今のような判断基準で考えていくべきものと、かように考えます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 今後のそういう平和維持活動との関連で、国際緊急援助隊が今制度化されております。この国際緊急援助隊というのは、御承知のように、自然災害を主として編成されておりまして、医療チーム、救助隊、それから青年海外協力隊のOBチーム、それから災害復旧に関する専門家というような四つのグループがございますが、今回のような湾岸の事態に対して国際緊急援助隊を派遣するわけにはまいりませんか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、この国際緊急援助隊の法の定めるところは自然災害ということが原則になってございます。そういうことで、戦争による直接の被害の救済というものにつきましては、この法律自身がその機能を果たすことはできないと考えておりますけれども、二次的な問題、例えば先ほど申し上げましたように、クウェートにおけるコレラの発生のような情報がございますけれども、そのように二次、三次的な被害の発生ということにつきましては、国際緊急援助隊で十分対応できると政府は考えております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 国際緊急援助隊につきましては、法律ができますときに、自然災害が主であるけれども、チェルノブイリのようなああいう事故にも出られるんだというような解釈が私はあったと思うのであります。そういうことからいいますと、今回のような復興の事態にも私は行けるのではないかと思います。この点はひとつ御研究をいただきたいと思います。  それから次に、少し基本的な問題で、これは私の意見を申し上げながら総理の御見解を承りたいということになると思うのでありますけれども、私はかねてから外交には外交の哲学なり理念というものが必要であって、どうも日本外交はその点欠けているんじゃなかろうか。経済大国日本が世界のために一体何をしようとするのか、日本の外交の旗印と申しますか、それがどうも明白でないんではなかろうか。日本から世界へのメッセージという点において欠けているんではなかろうかと、私はかねて思っておりました。  この点につきましては外務大臣と御議論を申し上げたことがございますので、きょうはひとつ総理大臣の御意見を承りたいと思いますが、外交の理念とか哲学とか申しましても、世界の恒久的平和を目指すとか、あるいは自由と民主主義の確立というのは、これはまあ地球的な非常に普遍的な旗印でございます。私は、これはやはり日本固有の旗印、日本固有の日本外交の顔というものが必要ではなかろうかと思います。  非常に抽象的に申し上げておわかりにくいかと思うのでありますけれども、例えばアメリカは民主主義のチャンピオンと言われておりますが、人権外交を旗印としております。これも時に色あせたり厚化粧になったりはいたしますけれども、しかしアメリカといえば人権、人権外交といえばアメリカというふうに一つの旗印になっております。私はそういう旗印が必要だと思うのであります。第三次の行革審でも、これは総務庁長官に承ろうと思いましたが承る時間がございませんので私が簡単に申しますけれども、第三次の行革審でも世界の中の日本部会というのがございまして、そこで外交の基本理念をつくっていこうじゃないか、こういう動きがあることは総理も御承知だろうと思うのであります。  ただ、私は今、外交の哲学とか理念とか申しましたけれども、これは口で言うほど簡単ではないと思います。外交の理念と申しましたけれども、あるいは考えようによってはこれは一種の国家目標でございますから、したがって外務省ばかりでなく、政府全体あるいは我々国会も含めて国民全体が考えなければいけない問題。それからもう一つは、そういう外交の行動原理というものをつくりますと、それはやはり断固としてそれを守る勇気がなければならない、気概がなければならないと思うのであります。ほかの国にたとえ不快に思われても、一度掲げた旗印というものは高く掲げていかなければならない。必ずしもそれが一〇〇%そうであるかないかは存じませんけれども、例えば一昨年の天安門事件でアメリカが中国に対する支援というものを抑制的に考えたというのは、そういうアメリカの人権外交の一つの例だろうと思います。  日本は理念なき大国というような批判をしばしば受けるわけでありますけれども、このためにも日本外交の行動原理というものが必要だと思います。国際的に通用する日本の旗印というものが必要じゃなかろうか。例えば地球環境問題でありますとか、あるいは軍備管理の問題でありますとか、我が国が取り組むにふさわしい地球的な、グローバルな問題があるわけでありますから、それらの問題を頭に置いて理念化していくということが必要じゃなかろうか。第三次行革審でも検討を始めるということでございますので、どうかひとつ総理自身もそういう見地からお考えをいただけないか、お答えをいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 平和と繁栄のためにはもちろんであるが、環境対応とか、あるいは世界の武器拡散を禁止していくような方面に向かっての努力をしていけ、研究の課題をいただいたと思います。私も、こういった問題については、真の世界の平和のために積極的に検討をし、そのような旗印を立てていかなければならない、こう考えます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 多少私が申し上げることとずれがあるようでございますが、いずれまたその点は申し上げたいと思います。  もう少し具体的に申しますと、今回ODAにつきまして、総理も国会の答弁で、いろいろ政策的な配慮、武器輸出国とかその他について少し考えなきゃいけないんじゃないかということをおっしゃいました。その背後には、やはり日本外交の基本的な理念といいますか、旗印、考え方というものが私は当然あると思うんですね。ですから、ODAについて、これはお役人の間にはなかなかそう一概にできないんじゃないかというような議論があるようでありますけれども、私はそこは踏み切りだと思うのでございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 原則的な姿勢というものをはっきり掲げていただいて、例外的にはそれはいろいろございますよ。原則を掲げてもそれがすぐ一〇〇%全部に適用されるわけじゃございませんけれども、せっかく総理も国会でそういう御答弁をなさったのでありますから、ODAのひとつ戦略的な用途というものをお考えいただきたい。  ODAの戦略的用途と申しますと、一時、東西対立時代の戦略的用途ということが言われます。結局、東は東で自分の味方の方に大いにお金を出すし、西は西で出す。しかし、私が申しますのはそういう意味じゃございませんで、ODAを世界の繁栄のために使う、そういう戦略というものをODAの中に入れていただきたい、こういうことでございますので、どうかひとつこの点についてはこれからも十分御研究をいただきたいと思います。ちょっと総理のお答えは私が申し上げましたことと少しずれがございますので、これはいずれまた申し上げ、お答えをいただきたいと思います。  それから、外務省の予算につきまして申し上げたいと思います。  今回の湾岸危機以来、外務省は大臣以下大変御苦労になったと思います。特にクウェートやイラクの現地の大使館を初め現地の方々は、日夜を分かたぬ活動を続けられました。まずこれらの方々に御苦労さまでしたということを申し上げたいと思います。  そこで、二、三具体的なことについて御質問をいたしたいと思いますが、まず一つは外務省の定員の問題でございます。  かねてから外務省は人手不足だということを言われておりましたけれども、やはり今回そういうことを内外の人が切実に感じられたんだろうと思います。外務省の定員はほかの西欧諸国と比べますと、これは政府委員に御答弁をいただくよりも時間がございませんので私が持っております手元の資料で申しますれば、今外務省の定員というのは四千何百人でございますか、アメリカは断然多いんで一万五千九百人でございますからこれは比較になりませんが、例えばイギリスが八千二百四人とか、イタリーが四千八百五十何人。大体現在の外務省の定員、本省と出先を合わせまして、アメリカの四分の一、イギリスの二分の一、それからイタリーやカナダより少ないのでございます。行政改革なりそれに伴う定員削減の要請というのは、これは重要なことは私もわかっておりますけれども、せめて西欧のイギリスでありますとかフランスでありますとかイタリアあたりには持っていきたいなというふうな感じを持つわけでありますけれども、これは大蔵大臣や総務庁長官のお立場はあると思いますが、総理大臣の率直な御所見を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 方々で外交官の数が諸外国と比べてイタリア以下であるとかいろいろな御指摘を耳にしてまいりましたが、それでも外務省の関係者は日夜よく努力をしておるものと私は受けとめております。しかし、物には限度というものもございましょうから、今後それらの問題が解決できるように努力もさせていただきたいと考えでおります。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 さすがに苦労をされておられるだけあって、物には限度があるということをおっしゃいました。私はやはりもうかなり限界に来ているんじゃないかと思います。大蔵大臣もおいでになりますので、よく御相談をいただいて善処をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、緊急事態に対する物的な、設備と申しますか、施設の問題でございますが、平成三年度の予算案に外務省としては初めて在外公館緊急備蓄、こういう項目ができました。千五百万円計上されております。恐らく大蔵大臣はその辺の細かいことまで御存じじゃないと思いますが、初めてこれは計上されました。これは中身は何かと申しますと、緊急時の在外公館の職員の食糧、水などの備蓄のための経費でございまして、内訳を見ますと、一公館当たり十日分というものを備蓄する。主に発展途上国百二の公館が対象でございまして、それを三年計画でやっていく、その経費がことし分が千五百万円だ、こういう予算であります。  初めてこういうものが計上されたということは、これは進歩であるということは間違いないのでありますけれども、しかし最低限生活に必要な水、食糧の備蓄を三カ年でやっていくというのはいかにもなまぬるいと私は思うのでございます。とてつもないお金がかかるのなら別でありますけれども、一カ年分が千五百万円でございますから、三カ年分ぐらいは一度におやりになったってそう日本の懐が痛むわけでは私はないと思います。つまり、これは緊急対策でございますから。この点につきましても、先ほど私申しましたように、そういう細かいところまで無論大蔵大臣は御存じじゃないと思いますけれども、総理大臣、どうでしょうか、やはり緊急に必要な施設、設備につきましてはこれも関係大臣と御相談をいただいてやはり緊急に整備をなすったらいかがでございましょうか。百二の公館を三カ年でやるなんということは今回の一つの教訓からいっても少しなまぬるい。どうお考えでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私に聞いてもわからないだろうから総理と言われるのはもっと無理でありまして、私なりにお答えをさせていただきたいと思います。  大使館緊急備蓄は、今委員が御指摘のとおりであります。しかし、今回整備をいたしますのは、例えば自家発電機の整備拡充ということで、順次各公館に設備をそろえておりますが、今六十公館に約七十五台そろえてきました。今回また五台を追加いたします。また、有事の無線網の整備拡充、既に七十八公館終わりましたが、これから十公館整備をしてまいります。こうして計画的に進めておることは事実であります。ですから、ちゃんときちんきちんといたしますから御心配ないように、どうぞよろしくと協力のほどお願いいたします。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私の申し上げ方が悪かったのかもしれません。私は、大蔵大臣はそういう細かいところまで目が届いて御存じであるかどうかということを申し上げたんで、大蔵大臣は外務大臣と御相談になってこういう予算を提出しておいでになりますから、今大蔵大臣にそのことを伺うよりも全般の総括をしておられる総理大臣に承っている、そういうことでございますので、どうかひとつ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。しかし、今大蔵大臣から御答弁をいただきましたので結構でございます。  それから、最後に外務大臣に承りたいんですが、四月の十六日からでございますか、ゴルバチョフ大統領が来日をいたしますね。今のところはその予定はそのとおりだろうと思いますが、大統領の来日に際しまして広島でありますとか大阪でありますとか、地方都市から来日を求め、招待のことが非常に多いわけでございますね。その辺のことがどうなっているかということが第一点でございます。  それからもう一点は、ブッシュ大統領が日本に来られるはずであった。ところが、湾岸危機が生じましたために一時停止でございますか、国を離れるわけにはいかないということになったわけでありますが、もう湾岸危機がこういうことで終結をいたしました。そこで、恐らくこれから日本政府としては積極的にそれじゃおいでなさいということをお申し出なさると思うのでありますが、その辺のお考えと、それでは大体いつごろ来日するんであろうか、お見通しがあればその二点を承りたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) ゴルバチョフ・ソ連大統領の来日の日程につきましては、四月の十六日から十九日までということで、私が訪ソいたしましたときにもそういうお話がございましたし、現在その日程で準備を進めておりまして、今月末に予定されている日ソの外相会談、これは東京でやりますが、ベススメルトヌイフ外相が来られて大統領訪日に対するいろいろな最終的な詰めをする状況に現在達しております。  なお、地方都市にどのようなところで今計画が行われているかといることにつきましては、欧亜局長から後ほど御報告をさせていただきたいと思います。  なお、アメリカのブッシュ大統領は、かねて日本を訪ねたいという公式訪問の御希望がございまして、海部総理からも御招待を申し上げられておりますけれども、湾岸のこのような情勢が一段落をいたしますと、私はぜひひとつ早く訪日されることを期待したいと思っております。三月ということを当初考えておられたようでございますが、米国政府の日程等もございましょうから、そういう点は私ども改めて外交チャネルを通じて早期の日本公式訪問をぜひ実現させていただくように努力をいたしたいと考えております。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○政府委員(兵藤長雄君) ゴルバチョフ大統領の地方旅行につきまして御報告申し上げます。  ゴルバチョフ大統領の訪日の日程は、今外務大臣から御報告をいたしましたように、十六日から十九日までの三泊四日という日程で固まったわけでございますが、何分初めての国賓の御訪問でございます。首脳会談その他国賓としての行事、その他各方面から寄せられたいろいろな御希望というものを考えますと、果たして東京以外の地方旅行はお出かけいただく時間があるのかどうか、この辺につきまして今ソ連側と鋭意詰めてございます。したがいまして、まず最初の問題は地方旅行に行っていただく時間があるかどうか、この辺について近々にソ連側と結論を出すべく今鋭意検討中ということでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で宮澤弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 次に、小川仁一君の質疑を行います。小川仁一君。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 まず初めに、予算の修正はついてお伺いします。  予算の提出に当たっては、財政法第二十八条によって予算添付書類をつけることになっております。多国籍軍への戦費として九十億ドルを援助するため平成三年度予算を修正するということですが、私は平成三年度一般会計予算修正書しかいただいておりません。財政法によって提出が義務づけられている一般会計歳出予算各自明細書及び財政法第二十八条による予算参考書類を御提出いただきたい。政府の責任でございますから、総理、ぜひこれは御提出をいただきたいと思います。

保田博大蔵省主計局長

○政府委員(保田博君) 御指摘のとおりの資料につきましては、目下鋭意作業中でございます。  修正の趣旨につきましては、既に二十五日に修正書という形で御提出をいたしましたが、これに関連する諸資料の手直しには多大の手数がかかります。予算書それから予算の説明等につきましては、今週末までにぜひ間に合わせたいと思って努力をいたしております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 予算委員会というのは二十八条による予算の書類があって審議するわけですから、今週末まで出なかったら今週末まで待ちましょう。

保田博大蔵省主計局長

○政府委員(保田博君) 何しろ物理的に必要な時間でございますので、どうかお許しをいただきたいと思います。週末までには間に合わせます。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。    〔午後四時三十五分速記中止〕    〔午後四時五十二分速記開始〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後四時五十三分休憩      ─────・─────    午後五時五十二分開会

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成三年度予算の修正案はついては去る二月二十五日国会に提出済みでありますが、これに関連する財政法第二十八条に定める参考資料につきましては、目下鋭意作成作業中であります。何分膨大な資料でございますので、平成二年度補正予算二案の御審議に間に合いませんことを心からおわび申し上げます。できるだけ早く提出いたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。今後このような事態を招かぬよう努力いたします。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 了解をしたわけじゃありません。では、角度を変えて質問をいたします。  政府がこの平成三年度一般会計予算修正書だけで審議をしてくれというのでありますから、角度を変えて質問をいたしますが、自衛隊の各装備の削減とそれに伴う歳出削減は、予算修正書のどこを見ればわかるのですか。防衛庁長官、お願いいたします。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 御提出しております平成三年度一般会計予算修正書の中に記載してございますが、詳細につきましては政府委員から答弁させます。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 今大臣から御説明いたしましたように、平成三年度一般会計予算修正書ということで、今次国会に提出中の平成三年度一般会計予算については別紙により修正を行うということで、それぞれ何々を何々に修正するというような格好で修正をしておるわけでございます。  それで、なお、今のを読み上げますと、1 甲号 歳入歳出予算中、歳出、総理府防衛本庁武器車両等購入費六千二百七十五億三千百五万三千円、これを総理府防衛本庁武器車両等購入費六千二百六十七億七千四百九十八万一千円に、総理府防衛本庁航空機購入費四千二億三千八百九十万四千円を総理府防衛本庁航空機購入費四千一億八千五百四十三万三千円に、総理府防衛本庁艦船建造費四百十六億九百八十四万八千円を総理府防衛本庁艦船建造費四百十四億九千三百八十万三千円に、総理府防衛本庁施設整備等附帯事務賢三十三億九千六百六十六万七千円を総理府防衛本庁施設整備等附帯事務費三十三億一千七百三十九万円に、総理府防衛本庁計三兆九千二百九十四億九千八十八万六千円を総理府防衛本庁計三兆九千二百八十四億八千六百二万一千円に、総理府所管合計八兆一千四十九億二千二百二十一万円を総理府所管合計八兆一千三十九億一千七百三十四万五千円に、大蔵省大蔵本省国債費以下は防衛費の削減ではございませんで、大蔵省の関係でございますので省略させていただきます。  それから提出書類の六ページでございますが、2 丁号 国庫債務負担行為中というところでございますが、それの総理府防衛本庁教育訓練用器、材購入五百八十六億二千三百八十六万六千円を、これは事由等いろいろ書いてございますが、額だけ申し上げますと、総理府防衛本庁教育訓練用器材購入五百七十七億七千飛び飛びの……(「どこの何ページと言わなきゃわからないよ」と呼ぶ者あり)六ページでございます。五百七十七億七千四万三千円に、総理府防衛本庁武器購入二千四百三十二億二千九百三十七万五千円を総理府防衛本庁武器購入二千八十一億八千九百二十六万円に、七ページでございますが、総理府防衛本庁通信機器購入七百十億九千六百六万五千円を総理府防衛本庁通信機器購入六百八十七億一千六百四十万三千円に、総理府防衛本庁弾薬購入千五百四十三億一千二百十六万一千円を総理府防衛本庁弾薬購入一千五百十一億四千三百二十五万円に、八ページでございますが、総理府防衛本庁航空機購入二千八百八十九億一千九百五十一万八千円を総理府防衛本庁航空機購入二千七百五億七千五百五十九万四千円に、総理府防衛本庁艦船建造四百八十億一千三百五万七千円を総理府防衛本庁艦船建造八十三億九千三百八十一万七千円に、それぞれ修正するというものでございます。  以上でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 今最初に読み上げた組織と項と金額はわかりましたが、修正金額はどこに書いてあるんですか。しかも、私がお聞きしたのは、一つ一つの装備ごとに御説明くださいと、こう申し上げているから、どうぞひとつ御説明ください。これに書いてないんだ。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) お答えします。  装備につきましてお答えしますと、今の予算書について数字で申し上げて、それぞれの額をそれぞれの額に改める、すなわち減額しておるわけでございますけれども、これをまとめて申し上げますと、特に主要項目でございますが、九〇式戦車につきましては約二十三億円、八九式装甲戦闘車については十二億円、百五十五ミリりゅう弾砲FH70については約十七億円。(「どこに書いてあるんだ」と呼ぶ者あり)これはそのそれぞれの中身でございますので……。  それから、八七式自走高射機関砲については二十七億円、対戦車ヘリコプターAHISにつきましては四十七億円、観測ヘリコプターOH6Dについては六億円、それから多用途ヘリコプターHU1H改につきましては十一億円、輸送ヘリコプターにつきましては四十五億円、ミサイル艇につきましては六十六億円、練習艦はつきましては三百三十億円、輸送機C130につきましては四十九億円、中等練習機につきましては二十七億円、そのほか正面で三百二十七億円、正面合計九百八十六億円でございまして、後方で十六億円減をしておりまして、合計で千二億ということになっています。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 だから、各自明細が要るんですよ。あなたが説明したのは、たった一枚出したこの修正書のどこに書いてあるか、書いてある場所を説明してください。そうしないとおれにはわからぬ。おわかりになった人もあるかもしれないけれども、おれにはわからぬ。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 現在お出ししておる書類はこの資料でございまして、この資料の今私が申し上げたものを積み上げたものが、例えば航空機購入費であれば航空機購入費の欄、艦船建造費であれば艦船建造費の欄に入っておるわけでございますが、その細部についてはここには載っておらないということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 書いてないと言うんだからどうにもなりませんね。  ただ、私はこれをいただいたんですよ、平成三年度一般会計予算修正書。それで今度の防衛費問題を審議するから、中身を聞いているんだ。幾らこれを見たって今言ったことなんか説明されておりませんから、ちょっとこれ、どうしてくれるんですか。弱っちゃったな。やっぱりさっき言った一番先の問題が出てこないと解決しない。説明がつかない。はっきりしてくださいよ。とにかく審議ができませんよ、これじゃ。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 確かに個々の減らす金額はそれぞれのものはわかりましたが、こっちで私が引き算して計算すればいいんですか。やっぱり予算書なんというものはそういう出し方はないでしょう。急いでプリントして持ってきてください。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  平成三年度防衛予算の削減内容がどういうふうになるかという点につきましては、あらかじめ委員の方からその資料の御要求がございまして、それに応じてお手元に参っているものと存じます。  そして、なお予算書の中でというお話でございますけれども、こういった各装備ごとの金額はどうなのかということは、従来からその予算書あるいは各目明細等においてもそれは表示されていないところでございますので、必要に応じ、今回委員に御提出いたしましたように、御説明あるいは資料を御提出申し上げているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そうすると、さっき大蔵大臣に謝られちゃったけれども、やっぱりそこに戻るんですね、各目明細書に。各目明細書を出さないでおいて、これが各目明細書と同じ役割で修正書を比べてみろなんという話は幾ら何でも無理だろうと思いますが、じゃちょっと角度を変えてみましょう。  今お手元に配付しております「平成三年度予算の修正による防衛庁装備品の削減」、これに入りますが、これは平成三年度総理府所管一般会計歳出予算各目明細書、平成三年度一般会計予算、それから財政法第二十八条による平成三年度予算参考書類と、防衛庁からいただきました平成三年度防衛予算の削減内容について作成をしたものです。これはどうですか、間違いありませんか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) ただいま配付されたものにつきまして、あらあらの検討を加えましたところにおいては、おおむね間違いがないのではないかというふうに……

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 どこか間違ったところがあったら言ってよ。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 完全にこれが正しいとかということはちょっと今の段階では言えませんけれども、ほぼこういう数字等になるのではなかろうかというふうに思っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 例えば表の一行目の九〇式戦車というところを見てください。防衛庁の資料によれば九〇式戦車となっています。ところが、平成三年度当初予算では戦車二十八両となっています。財政法二十八条による平成三年度予算参考書類も同じです。修正案では二両減らして二十六両調達することになっていますが、それで間違いありませんね。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 間違いございません。ただ、先生のおっしゃるのが、戦車二十八両と書いてある、九〇式戦車と書いてないじゃないかというようなもし仮にお尋ねであるとするならば、これにつきましては、この各目明細書においては戦車二十八両と書いてございますが、我々が御提出しております「予算(案)の大要」等ではこれが九〇式戦車であるということで、九〇式戦車を二十八両から二十六両に二両削減したということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 型式の指定がないのに、戦車二十八両からなぜ九〇式戦車を二両減らすのか、そういう説明がつかないじゃないですか。説明してください、わかるように。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) この予算各目明細書にございます二十八両の戦車は、私どもが九〇式戦車を要求し、その九〇式戦車二十八両が認められたものでございまして、「予算(案)の大要」という別途配付しております資料で、この戦車が九〇式戦車であるということも別に資料として御提示しているところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 予算書のどこに九〇式戦車と書いてありますか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 予算審議の参考とするために防衛庁としては毎年「予算(案)の大要」というものを配付しておりまして、これがその現物でございますが、これにそれぞれの戦車の型式等が書いてございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 参考資料に予算書じゃない資料をいろいろ持ってきて説明されてもわかりませんから、予算書で説明してください。(「配ってないよ」と呼ぶ者あり)予算委員には配ってないと言う人もありますよ。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 先生のお手元にあろうかと思いますが、「平成三年度予算及び財政投融資計画の説明」というものがございます。これの中の三十三ページに、読み上げますと、陸上自衛隊においては、九〇式戦車二十八両、八九式装甲戦闘車十一両云々云々の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしているという項がありまして、そこで九〇式戦車二十八両ということを……(資料を示す)

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そんなものもらった覚えない。  この配ったというものには「未定稿」と書いてあります。未定稿というのは正式の書類じゃないんです。私はそんなものまで全部、予算書から何から突き合わせて理解をするなんというふうな形で予算委員会をやるわけにはいきませんので、やっぱり突き合わせたやつをつくってくださいよ、正規に決まったものを、未定稿じゃなく。

保田博大蔵省主計局長

○政府委員(保田博君) 一つだけ釈明をさせていただきますが、予算委員の皆様方にお配りしてございます予算の説明は法定の資料ではございませんが、御審議の参考のために我々がつくっておるものでございます。  なお、未定稿という記入がございますけれども、これはもし万一ミスがあったらということでつけてあるだけでございまして、いいかげんなものであるから後々それを訂正をするといったような性質のものではございません。提出いたしましたらそれをずっと使っていただいており、ミスも過去に十数年、多分ほとんどないと思います。そういう信頼できる書類だと御理解をいただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 じゃ、ちょっとお聞きしますが、多用途ヘリコプターというのがありますね。これはおたくの方の装備品の書類には、HU―1Hと書いて、そして改と書いてある。ところが、当初予算には改という字がないんです。細かいことかもしれないけれども、これは機種が違うんじゃないですか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) HU1Hにつきましては、各目明細等ではHU1Hと記載してございます。HU1H改とは書いてはございませんが、先ほどから申し上げておりますように、五十六年三月に本院の予算委員会で審議が行われまして予算についてのいろいろな資料を提出せよという中で、防衛庁からはその年度以降「予算の大要」というような資料をお配りしているわけでございますが、その「予算の大要」に、先ほど私が申し上げた書類でございますが、そこのところに航空機についてはかくかくしかじかのものを買うということで、陸上自衛隊の部分については、多用途ヘリコプターHU1H改を十三機買うということが書いてございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 当初予算の各目明細には型式を書いておかないで、あなたが去年の六月だか何かに出したやつに書いてありますと言われたって、これわかるわけないじゃないの。  輸送用ヘリコプターを聞きましょう。  同じように、当初予算にはCH47、五機と書いてある。輸送ヘリコプターCH47Jと書いてない。これも去年の話を言われるのですか。加てて、これは各目明細の言うように五機でいいんですか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) お尋ねのCH47につきましては、私ども各目明細では確かにCH47と書いてございますが、先ほど申し上げました大要において、輸送ヘリコプターCH47Jということで書いてございます。  この数字でございますけれども、五機というのは、輸送ヘリコプター全体にまとめますと、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターが四機、それから航空自衛隊の輸送ヘリコプターが一機ございまして、その細目の段階ではまとめて五機になっておるわけでございますけれども、ここで私どもが言っております輸送ヘリコプターを減らすのは、陸上自衛隊の四機をそれから訂正をするということでございまして、それで御理解をいただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 これ、一機何億するんですか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 先ほど来申し上げております「予算の大要」におきましては、そのとき御指摘いただきましたので単価等も入れてございますが、この輸送ヘリコプターについては四十四億五千万ほどでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 四十四億もするようなものを、航空自衛隊の方には書いてないで、陸上の方には五機と書いてある。しかも、五機から一機減らしたら、修正では三機になっている。冗談じゃないですよ。この当初予算の各目明細自体が航空と陸上を一緒くたに書いている。こんなふうな各目明細ありませんよ。書き直してください。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) これは先生、従来から陸上と航空を特に分けず一緒に書いておるわけでございまして、ことしだけ新たにそうしたわけではございません。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 わかりませんな。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 それじゃ、もう少しこの表によって御質問します。  一番下に参ります。携帯式地対空誘導弾スティンガー、これは当初予算には何も書いてありません、私の調べたところでは。しかし、二十四減らしてゼロにしている。予算の各目明細にないものを減らすというのはどういうわけですか。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 丁寧にきちっと答弁してください。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 今先生御指摘のスティンガーにつきましては、予算の各目明細にないわけじゃございません。各目明細にはすべからくすべてのものがここに記載されているわけではございませんで、今のスティンガーにつきまして申し上げれば、この防衛本庁の武器車両等購入費の武器車両等の購入に必要な経費ということで、いろいろ地対空誘導弾装置ホーク改良用装備品、地対艦誘導弾発射装置等並んでおりまして、その後、ペトリオット等の購入という等の中に入っておるわけでございます。すべての装備品を並べて記載するというわけにはいかないということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 私が要求して出したという資料の中にもこれは入ってないんです。書いてないのに減らしてゼロなんという話は、どこにあるあそこにあるって、あなた方は知っているかもしれぬけれども、おれには全然わからぬ。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  私ども予算を御審議願うに当たりましては、予算書あるいは各目明細あるいは二十八条による参考書等、財政法上求められている資料を提出しております。しかし、それはその目的によりましてすべての項目を表示するわけにはまいりませんので、それぞれの書類に応じて精粗があるのはやむを得ざるところかと思います。  しかしながら、そういった予算の細目につきましてさらに研究したい、さらに調べたい、そういうこともございますので、法律上の必要書類じゃございませんけれども、例えば大蔵省からは先ほどお話がございました予算の説明というものも出ているわけでございますし、私ども防衛庁の方からは、先ほどもちょっと局長が触れました大要というものを出しておるわけでございます。そして、さらに必要がございますならば、この委員会の場において、あるいはそのほかの場でその予算の中身について御説明しておるわけでございまして、ただいま御指摘のスティンガーにつきましても、先ほど局長から御説明申し上げましたように、各目明細の中でも、そこまで具体的に表示するわけにはいかないけれども、等ということで入っているということでございますし、また委員に御説明申し上げました資料の中では、その他ということで百三十七億円の減額があるということで御説明しておるわけでございます。そういった点について、さらにその他の中身は何かという御質疑がございますならば、適宜必要に応じて御説明してまいるところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 一千二億も減らすというのですからね、やっぱりきっちり減らす項目を当初予算の各目明細書に出すのが予算の審議として筋じゃないですか。  先ほどからいろいろおっしゃっていますけれども、防衛予算の大綱だの防衛予算の概要なんというのは、これは未定稿とも書いてあるし、これは政府を拘束する書類ではありません。後から書き直したって構わないんです、こんなもの。やっぱり財政法二十八条で提出を義務づけられている三つの書類、これがあって私はまともな審議ができると思いますが、今の御説明をいろいろ聞いて、それはどうこれはこう、まだあるんですよ、練習艦にしても何にしても。これじゃとても私は審議できませんから、整理して出してください。当初予算の各目明細の書き直しを要求いたします。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  法律上義務づけられております予算書あるいは各目明細、さらには二十八条参考書の中にもそれぞれの費目が入ってないわけではございません。具体的にこれがどうということは表示がなされていないにいたしましても、どこかの項目に金額として入っているわけでございますので、それは確実に今回の修正という措置があればそこの額が減るわけでございますし、政府としてもそのような修正されたものとして、その予算の御承認をちょうだいいたしました後においても修正されたものとして執行せざるを得ないわけでございます。決して予算書等の法律上の必要提出書類の中に含まれていないというわけではないということは御理解をちょうだいしたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 修正予算の各目明細は出てないでしょう。書いてあると言ったって書いてないんです、出てないんだから。やっぱりこれは当初予算を直す以外方法はないですよ。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。    〔午後六時四十七分述記中止〕    〔午後七時二分速記開始〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。  政府委員の方に申し上げます。  ただいまの質疑の中で、当初予算に削減を予定しておる明細がないではないか、その中の表示は、その他もしくは等で処理しておるではないか、これではわからぬではないかという御指摘でございますので、そこのところは丁寧にきちっと答弁してください。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 失礼いたしました。  それでは、先ほど来申し上げました個別のもののほかに、その他として先生のお手元にも百三十七億円の減という資料がお出ししてございますと思いますが、その「その他」の内訳でございます。乙類と申しまして通信機器でありますとか施設の器材等でございますが、これらが二十三億円、改良ホークの改善のための経費が五億円、それから八八式の地対艦誘導弾の経費が五十七億円、携帯式地対空誘導弾、先ほど来のスティンガーでございますが、これが五億円、その他、いつまでもその他はあるんですが、その他弾薬等が三十二億円、これから九〇式の戦車シミュレーター等が十六億円ということで、合計百三十七億円の減。それに個別に挙がっておりますものを加えますと全部で千二億円の減になるということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 当初予算各目明細書に記入しているものとあなたが御説明になるものは、一つは型式指定もなければ、あるいは予算の各目明細にないものを減らしたり、あるいは輸送用ヘリコプターなどは航空自衛隊と陸上を一緒にして計算をしたり、まだ練習艦は聞いておりませんが、非常に私が苦労してつくった一覧表ですよ。これが間違いないかと念を押したんだ。そしたら間違いがないと言うからそれに基づいて聞いているのに、あなたの説明ではこれの解決がつかない。  したがって、あなた方の方で防衛庁の当初予算各目明細書をお出しくださいと私が申し上げた。そうすれば、あなた方が御説明になったこの資料がきちっとわかる、これだけで。予算の審議というのは、こう説明したとか、大綱が出ているからとかという話だけれども、こんなのは未定稿だから後でいつでも変えようとすれば変えることができる、議決の対象になっているんじゃないんですから。私たちが議決の対象にしているのは二十八条によるものだけです。したがって、二十八条にそれがきちんと書かれなければ議決できないから、私は各目明細を含めて議決にたえ得るような予算書を出しなさい、こう言っているんです。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 今先生御指摘の点についてお答えしますと、先ほど来御説明しておりますように、スティンガーにつきましては記載がない、そのとおりでございます。そこのところにはないわけでございますが、我々がお出しした説明資料にはその旨、またその説明資料を補足して先生に対する御説明の中では携帯式地対空誘導弾がスティンガーである旨の御説明をしており、しかもその各目明細書にはすべてのものを記載するわけにまいらないわけでございますから、そこで、等ということで記載がされておるということを先ほど来御説明しておるわけでございます。  それから輸送ヘリコプターにつきましては、その各目明細書におきましても陸上自衛隊と航空自衛隊を合わせまして航空機購入費の中で五機と、陸の四機と空の一機を合わせて五機ということで掲載されておるわけでございまして、先生が先ほど五機となっているじゃないかというふうに言われるのは、空の分の一機が入って五機となっておるということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 いろいろ聞いてもわからないから、私が幾つか質問したやつを整理して書いてくれませんか。そうすれば、あしたの朝までにでも出していただけば質問をやらぬでもいいでしょう。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後七時十三分休憩      ─────・─────    午後九時二分開会

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  社会党の出席がありませんので、ただいま出席を要請いたしております。しばらくお待ちください。    〔資料配付〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君、よろしいですか。    〔小川仁一君「まだ見ておりません。」と述ぶ〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君、質疑を続行願います。    〔小川仁一君「今急に出されてすぐというわけにはいかぬでしょう。――ちょっと資料の説明を、出した人来てくれないかな。」と述ぶ〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君、立って質問してください。  速記をとめて。    〔午後九時七分速記中止〕    〔午後九時二十分速記開始〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。  小川君要求の資料は提出されましたので、まず政府委員から説明をいたさせます。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 先ほど先生からの御要望に基づきまして作成しました資料の概要を説明させていただきます。  先ほどの先生から御提出いただきました資料の各項目並びにそれ以外に今回削減いたしました全項目について、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊別に、当初の数量、金額、修正後の数量、金額、その差額の数量、金額ということで、一番下の合計欄にございますように千一億六千七百万円の減ということで、これが今回の削減の全容でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 これは議決対象になりますか、なりませんか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  私ども政府といたしまして国会に御提出申し上げ、その議決をお願いしておりますのは平成三年度の予算でございます。その予算の御審議の参考に資するために御説明申し上げる、そういった性質の資料でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 空欄の部分は何ですか。数量の空欄部分、これがはっきりしなきゃどうにもなりませんよ。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 若干のところに空欄がございますが、例えば陸上自衛隊の乙類というところでございますが、これにつきましては、通信、施設等の器材でございまして、ここに個数をもって掲上できないということをもちまして書いてはございません。そのほか、弾薬のところもそうでございます。それから、ホーク等の部分につきましては内容の変更でございまして、数量等書いておりませんので、差額のところの数量欄には出ておらないということでございます。個数等で教えられるところはすべて入れておるわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 まず、これは「当初」と書いてある。私がさっきから問題にしているのは、当初というのは平成三年度の当初予算という意味でお書きになったとすれば、これは当初予算書の変更と受け取るべきがこれから議決をする上で非常に大事なポイント。そうでなければ、議決の対象にならないものを説明されても、議決対象になるものには中身が書いてありませんから、審議になりにくい。  二つ目、弾薬やその他、あるいは施設の個数にしても、書かれないということはないでしょう。どうせここまで出すのなら、みんな書いて空欄を埋めてくださいよ。そうすればはっきりします。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 先生今御質問のうちの最初の部分ですが、「当初」と書きましたものは、当初まさに出したものでございますが、先般のこのうちから千二億円削減しましたものが修正後でございまして、これが新たに提出されておるものでございます。  それから空欄の点につきましては、御質問があり次第いろいろ御説明しますが、ここに一つというような形で書くことは難しいということで御理解をいただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 理解しない。(発言する者あり)

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 静粛に願います。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) さらに引き続き説明させていただきますと、弾薬につきましては数量が入っておりませんが、これは各種の弾薬をそれぞれ少しずつ切って充てておりますのでここに数量は入っておりません。それから、九〇式戦車シミュレーターというのはたくさんの機器が集まって、俗に言えば一式ということになろうかと思いますけれども、いろんな機器を寄せ集めたものをもってこのシミュレーターを構成しておるというものでございます。それから、電波監視装置というのも各種の機器が寄り集まりましたそういう装置でございますので、数え方とすれば、一式というか式というような単位になろうかと思いますけれども、そういうようなものでございます。乙類は先ほど御説明したように通信とか施設器材等の多様な品目を寄せ集めたものでございまして、そういうように御理解をいただきたいと思います。  ここに「当初」と「修正後」とございますが、当初と申しますのは当初の予算案としてお出ししたものでございまして、言うなれば修正前の予算ということでございまして、二十八両を要求しておったわけでございますが、修正後においては二十六両の要求になって、二両減で二十二億九千百万円減になっておるということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 余り予算委員会というのはなれないものですからいろいろ失礼な面があると思いますが、予算というのは数量掛ける単価、それを積み上げて調整をして、そして最終的に決定するものというふうに私は理解しております。そういう面からいきますと、弾薬だって、これは迫撃砲だ、それは百五十五ミリりゅう弾砲だ何だというものの数量と単価を出して出せば出せないはずがございませんので、お出し願いたい。  それから第二は、一式というふうな形で存在するというのがございました、事務費は別でしょうけれども。一式という形になりますというと、一式幾らということになって、それに掛ける数量で幾らというものでこの金額が出てきたわけですから、その基礎がなくて金額だけ出したってこれはちょっと説明にはならないものだというふうに考えておりまして、出していただきたいと思います。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 二つの点から御説明させていただきたいと思いますが、第一点は、経理局長がただいま御答弁申し上げましたように、乙類にしろ弾薬にしろいろんな種類のものがございまして、それを集めて何個ということの意味合いがないという意味で申し上げているわけでございます。  それからその弾薬について、それじゃそれを個別に全部展開してそれの単価と数量を出すということになりますと、これは実は従来から装備の弾薬は、実際の防衛上の体制にかかわるということで、そこのところについては詳細を申し上げるのは差し控えさせていただいておるということはございます。  それから乙類につきましては、これは現在正確な数字はわかっておりませんけれども、種類が千に余るという数字でございますので、しかもいろんなものでございますので、これを単位を無視して何個という形にすることが無意味だというだけのことでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 弾薬の総数量を聞こうなんて言ってないですよ、私は。ことし減らす分だけを聞かせてくれと言っているんです。それだけです。だから秘密に入らないはずです。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 恐縮でございますけれども、減らす分についてどうだということにつきましても、これまでも弾薬の定数ないし現実に持っておりますものを前提として、その一部について、こういう種類の弾薬のこういう部分についてどういう考え方に基づいて減らすというようなことについては控えさせていただいておるところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 納得しません、今の答弁。再答弁を。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君に申し上げますが、答弁いたしておるわけでありますから、ひとつ質疑を続行願います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 納得しません。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。    〔午後九時三十七分速記中止〕    〔午後九時五十八分速記開始〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  弾薬の内訳につきましては、その種類だとか数量であるとか、そういう点につきましては、これは防衛上の秘密になっておりますので、この削減の一部とはいえども、それをお話し申し上げますと全体が推測されるということもございますので、どうかその点は御理解いただきたいと存ずる次第でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 池田さんにそう言われると、大変弱いです。  ただし、まだ聞きたいことがあります。  八八式地対艦誘導弾が八基、当初。修正後八基。八基と八基で差額が出ているのはどういうわけですか。基数が同じなら差額が出るはずはない。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 八八式地対艦誘導弾でございますが、これは八基、八基でございますけれども、これに伴います弾がこれは減少しているということでございまして、これは定数の、大体その所要の半分程度にその弾薬のところを削っておる。誘導弾の基数、ランチャーじゃなくて、誘導弾、弾をここのところから削っておるということでございます。ランチャーは八基のままでございまして、それに必要となる誘導弾を、弾を定数のおおむね半数程度ということで節約を図った、そこを削減したということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 こういうのは私にはわからぬのです。八基、八基で減っている。こんなのはもう少し丁寧に説明できませんか。  その上の改良ホークの改善はどうですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) ただいままでの分と同様の考え方でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そこには弾と書いてない。下の方は弾と書いてあるからわかりますが、上の方は弾と書いてないです。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 大変申しわけございませんが、これは非常に急いで作成いたしました資料でございまして、表現が必ずしもすべて適切だとは思っておりませんが、ただいまのところを御説明いたしますと、改良ホークといいますのは、ホークについて改善三型というものにこれを置きかえるわけでございまして、それに伴います弾がここでは削減されておるということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 今防衛庁のリストを見ましたが、例えば九〇式戦車についても、先ほど私が配った資料によれば、型式が当初予算にない。ところが、七四式戦車でいえば一台四億円、九〇式戦車でいえば一台十二億円。したがって、予算明細書に型式の記入がないということは、結局、予算書とこれとを比べますというと何台かということがわからないんです。あるいは減らすと言って七四式をふやしておるかもしれない。防衛上の秘密だと言って数字とか数量を言わないというとそういうからくりが出てくるわけでありますから、これはいいかげんなものじゃないですか、どうですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  予算書あるいは明細書、あるいは説明の資料等によりまして、それぞれその説明の仕方が詳しいものもあればそうでもないものもあるのは、性格上やむを得ないということを御理解いただきたいと思うのでございます。  しかしながら、今回、いろいろな経緯がございまして千二億円弱の防衛費を削減するという措置、この措置につきましては私ども誠実に履行してまいる所存でございますので、どうかそこのところは御信頼いただきたいと存じます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 今、誠実とおっしゃいましたけれども、誠実なら先に各目明細書や財政法第二十八条による参考書類を出すべきなんです。しかし、先ほどお話がありましたからやめますけれども、話が逆なんです。書類は出さないでおいて、数量だけ出して説明していくというこのやり方が逆だということは御認識いただけますか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  あるいは各目明細等の点につきましては私からではなくて大蔵省から御答弁申し上げるべきかもしれませんが、先ほど主計局長からもお話しございました、鋭意作業を急いでいるけれどもまだそこのところ少し間に合わないのでと、こういうことでございますので、どうかその点は御理解いただきたいと存じます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 誠実とおっしゃるのならば、説明や概要とかこういうふうなもので書かないで、最初から当初予算の中できちっと書いていただけば、等と書かないでスティンガーと書くのにどれくらい違いますか。予算書を見ましたが、悠々書くだけの余白があるんです。それはちょっと嫌みになりますからそれ以上はやめますけれども、それだけの誠意がなくて、何か防衛予算というのはごまかしてやっているんじゃないかという印象が我々にはあるんです。数字を聞くと、これは秘密上答えられませんと言う。こういう不信感というものを払拭するためには、今申し上げたことについて、さらに型式、装備名をきちんと今後は記載する、こういうお約束ができますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 予算書あるいはその説明資料等への記載は従来からもさまざまな御指摘をいただき、そのたびに勉強しながら、どうすれば一番御理解がいただきやすいかの工夫をいたしてまいりました。今回さまざまな御意見をちょうだいいたしましたが、これは実務上可能かどうか私にも十分わかりません。しかし、いずれにせよ、予算書並びに関連する資料ができるだけわかりやすい形に今後とも努力をいたしていくということは申し上げたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 続いて、練習艦一隻の予算がついていましたが、修正予算でゼロになりました。これはもう要らない、こういうことですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 練習艦につきましては、現在まで使っておりました練習艦の「かとり」というのがございまして、これが平成五年度に老朽のために使えなくなる。その後継艦といいますか、代替艦としてこの練習艦を平成三年度の予算として契約をして、その取得期間等を考慮してそれに置きかえていくということを考えておったわけでございますが、今回削減したことによりまして、少なくとも平成六年度にはこれが練習艦なしの遠洋練習航海というようなことになるという事態でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 六年度まではゼロ。六年度以降はどうなりますか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) この練習艦につきまして、今後六年度におきましては護衛艦等を使って行うとか、いろいろ工夫をしてまいりたいというふうに思っております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そうすると、六年以降は決まっていないということですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 新中期防の全体の中でどういうふうにしていくかということでございまして、まず平成三年度において削減し、六年度までにはこれが調達できないという事実はそのとおりでありますが、それ以後のことにつきましては今後の検討課題ということになろうかと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そうすると、三百億は減らないということですね、新中期防の全体からは減らさないと。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) この練習艦だけの問題ではございませんで、一千二億円という今回の削減措置が結果として新中期防の総額に反映されることになろうということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 どうもわからないんですね。  新中期防に、削減したものが総枠の中でまた六年以降生き返ってくる可能性があるということですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 今回の削減措置が新中期防の各年度の実施につきまして非常に困難を伴うということは事実でございまして、新中期防開始後三年後の見直し等の場面におきまして、結果として総額に反映されるということで御理解いただきたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 練習艦三百三十億円になっていますが、この練習艦の取得に係る国庫債務負担行為の実施年度と、総額は幾らですか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 練習艦は三年国債でございまして、平成三年度、四年度、五年度で執行されるわけでございますが、この三百三十億の年度ごとの内訳につきましては、今ちょっと手元に持っておりませんので、調べまして御報告したいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 調べるまで待っています。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 練習艦につきまして今私の手元に届きましたものでは「四年度の歳出分は百四億、五年度は二百二十五億円、これはある種の前提を置いて常に見積もっておるものではございますが、そのような数字になっております。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 総額。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君、立って御質問ください。――いま一度御質問願えませんか。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 総額も聞いたんです。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 総額は、先ほど御指摘のとおり、ここにありますように三百三十億三千五百万円でございます。  そのうち、先ほど私がお答えしましたのは、三年度において一億、四年度において百四億、五年度において二百二十五億円であるということでございますが、現時点で年割り額を確定することはもともと難しいわけでございますが、それから契約締結に当たって不都合が生じ国の予算執行上不利になるという場合もありますから、これは従来から一応の前提を置いてお答えをしておるものでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そうすると、その分は今回は減ると。しかし、総額が減らないから、平成六年度予算では削減した練習艦の予算が復活することがあり得るということですね。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、今回のこの一千億の削減という平成三年度予算における削減の措置がこの新中期防全体の執行に影響を与えることは事実でございまして、三年後の見直し等の場面におきまして結果として総額に反映されることになるということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 小なくとも練習艦の分は総額から減りますね。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 繰り返しになりますが、結果として総額に反映されるということでございます。    〔小川仁一君「減るかと聞いたのに、反映するというのでは答弁にならぬ。」と述ぶ〕

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 今回の平成三年度におきます約一千億円の削減の措置が結果として総額に反映されることになるということを申し上げているわけでございます。    〔小川仁一君「減るのか減らないのかと聞いておる。反映なんというのは、影が映っただけだからだめだ。」と述ぶ〕

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君、質問は立って願います。質問は立って願います。答弁はいたしておるのでありますから、質問は立って願います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 じゃ、はっきり聞きますよ。その答弁をさせてくださいよ。  減るのか減らないのかということを聞いておるんです、中期防が。それだけなんだ。反映なんというのは、夕日も反映するし朝日も反映する。そんなものは減るか減らないかとは関係ない。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  今回、平成三年度の予算で国庫債務負担行為も含めまして約一千億円の減額という措置を講じたわけでございます。こういった減額をやりましたので、これは平成三年度から六年度あたりにかけまして四年度にわたって、現実に平成三年度中に契約は締結されて、それで支払わなくてはいけないというものが支払えなくなるわけでございます。  それからまた、中期防全体でどうなるかという点でございますが、これは先ほど防衛局長も申しましたけれども、これから各年度各年度の予算の編成の際におきましても、私どももとより経費の節減に努めるのは当然でございますが、それに加えまして今回の一千億円の削減があった、削減の措置をとったということを十二分に念頭において予算を編成してまいります。そういった過程を通じまして、結果におきまして今回の減額措置が中期防の総額に反映される。総額に反映されるということは今回の減額措置が反映されるわけでございますので、減額されるということでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 それでは、新中期防の総額二十二兆七千五百億円を二十二兆六千五百億円に減額して構いませんね。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  中期防は、その性格といたしまして、これから平成三年度から七年度の五年間において整備すべき主要な装備でございます。そういったことを一つ決めておる。それからまた、防衛費の総枠の限度を決めておるわけでございます。そういったものでございますし、現実に年割りがどうなるなんということを決めておるわけではございません。そういった中期防といった計画の性格、それとまた年度年度の予算の性格がございますから、平成三年度の予算において削減という措置をとったからといってそれが直ちに中期防の減額に反映しなくてはならない、連動しなくてはならない、その段階で直ちに連動しなくてはならないというものではないということは御理解をちょうだいできるかと存じます。  そうしてさらに、この中期防の中には三年後に必要に応じて見直すという規定がございます。そのときの国際情勢であるとか技術水準の動向であるとか、あるいは財政経済事情等を勘案いたしまして必要に応じてこの総枠の範囲内で計画を見直す、修正する。範囲内でございますと減額するわけでございますね。そういう規定がございますが、その三年後の見直しの際に、今回平成三年度の予算の減額措置が講じられた、このことも重要な要素として勘案いたしまして対応していく、こういうことでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 わからないんだな。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 小川君。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 ちょっと待ってください。  じゃ総理にお聞きします。  あなたは、防衛費を一千億減額されるということを天下に明らかにしたようでございます。ここではごまかしをやめて、今回削減した装備は新中期防中には復活させない、新中期防の総額二十二兆七千五百億円を二十二兆六千五百億円に減額しますと、こう言えば一千億の減額になります。さっきの答弁で、二十二兆七千五百億円が存在すれば一切減額にならないと思います。総理の御見解をお聞きしたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一千億円余りの減額の措置につきましては、政府としては誠実に対処してまいります。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 おれの質問に答えてないよ。  じゃもう一遍。私が聞いているのは、二十二兆七千五百億円を二十二兆六千五百円に減額しますかと――ちょっと間違っていた。二十二兆六千五百億円だ。二十二兆六千五百億円に減額しますかと。一千億の減額をしますかしませんかということと、同時に、新中期防の別表も直すことをお約束願いたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 何回も申し上げておりますが、今回の防衛関係費の一千億円余りの削減と新中期防の三年後の見直しとの関係については、政府として誠実にこれを処置いたします。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 私の聞いていることの答弁になりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、申し上げたように、一千億円余りの削減、これははっきり言っておりますし、それは誠実にこれを処置します、こう申し上げておるんですから、そのとおりに受けとめてください。何回でも同じことを答えます。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  今回の一千億円の減額措置は、先ほどから申しますように、結果においてその総額が減額されるわけでございますし、また中期防の修正ということにつきましては、三年後に見直すという事項が中期防自体の中に入っておるわけでございますから、その時点において今回の減額措置を重要な要素として勘案してまいりたいと存じます。  それから別表という点でございますが、この点につきましては、今回も減額措置でございます。ただ、減額措置にいたしましても、予算と中期防は直ちに連動するものではないということは先ほども申し上げましたけれども、ましてや別表につきましてはすぐ連動する性格のものではございません。しかし、結果において反映されるということは、その結果において総額も反映されて減りますし、そのときに別表で予定いたしました調達の数量があるいは変動するということは、それはあると思います。その意味においても、結果において反映されるということは言えると思うのでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 わからないよ。おれは別表を直すのかと聞いたのだから、その答弁。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 質問を続行してください。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 そうしますと、別表については減らないということなのかどうかはっきりしませんが、例えば装備品の削減で九〇式戦車が二両減ったということは、最後まで二両減るということですか、それとも減らないこともあるということですか。それを一つ一つお答えください、各削減の品目について。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) 先ほど来防衛庁長官からお答え申し上げておりますとおり、今回、平成三年度におきます約一千億の削減の措置が当然に現段階において新中期防計画の全体に連動するというものではございませんで、これは単年度予算と中期計画というものの性格上から来るものでございます。そういたしますと、先ほど来申し上げていますとおり、別表の数量も含めまして、今回の削減の措置を重要な要素として勘案して、三年後に見直す等の場合におきまして総額に反映されていく、別表の数量にも反映されることあるべし、こういうことでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 自民党の皆さん、一千億は減るんだ、こうおっしゃっているようですが、それで間違いないですか、総理。それに間違いないですか。一千億は減るんですね。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、今回、平成三年度予算で一千億の減額をした、この措置を三年後の見直しの段階におきましても重要な要素として勘案してまいるということでございますし、また、結果的には今回の減額措置が総額にも反映する、すなわち減額される、このように御理解いただきたいと存じます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 総理は誠実だと言うし、あなたは今おっしゃったように言う。防衛局長の言うこと、三人が違うんですよ、私が聞いているには。したがって、ひとつ御統一して御答弁願います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 何回もお答えしますが、今回の防衛関係費の一千億円の削減、それと新中期防の三年後の見直しとの関係については既に申し述べたとおりでありますが、政府として誠実にこれを処置してまいります。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 誠実に対処するということは、一千億減るということですね。それなら二十二兆六千五百億にしたらどうですかと聞いているんです。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  先ほど総理からも御答弁ございましたように、私ども防衛庁といたしましても、当然内閣の一員といたしまして、今回の減額措置は誠実に措置していくものでございます。  ただ、そのときに、現段階でそれがすぐに中期防に連動すべきものかどうかということは別問題でございまして、先ほど来申し上げておりますように、結果におきまして今回の減額措置が反映する、すなわち減額につながるということが一つと、それから三年後の見直しに今回の減額措置を重要な要素として勘案するということでございます。そういったことは各年度各年度の予算編成におきましても、私ども今回のその削減措置を十分念頭に置いて誠実に、そうしてまた経費の削減に努めてまいるということで、どうか御理解と御信頼をちょうだいしたいと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 なして一千億減らすと言えないんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) もう一回申し上げますが、今回の措置により一千億円余りを削減するということは誠実に処置をいたしますと何回も答えておりますが、一千億円の削減ということでありますから、これは誠実に行うということをどうぞお受けとめいただきたいと思います。防衛庁にももちろんそのことは政府の一員として措置をいたさせます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 じゃ、誠実に対処するということは一千億を減らすことだ、こう理解いたしますが、よろしゅうございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一千億円の削減を誠実に処置いたしますと言っております。処置するんです。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 じゃちょっと話題を変えまして、安全保障会議というのをおやりになっておりますが、安全保障会議に出されました資料は私いただいておりますが、これと防衛庁の削減の資料と、数量とかあるいは機種の型式とかが違っているわけであります。当初予算にないもので防衛庁が出した削減資料にもないものを安全保障会議が御討議をしたようでございますが、これは随分乱暴でいいかげんな討議をしたような感じがするんですがね。一体どんな討議をしたんですか、総理、数量とかその他について。そして総理以外の御出席の方も、おやりになった過程がはっきりしておられるなら、御記憶があったら、お一人ずつ伺いたいと思います。  例えばCH47Jなんというものはなかったのに、これが当初予算ではCH47、こうなっているといったような、こういうものは余り御論議なさらないでおやりになったんでしょうか、いかがでしょうか。

米山市郎内閣安全保障室長

○政府委員(米山市郎君) 安全保障会議におきます議題につきましては、安全保障会議設置法の第二条の第一項の第五号で「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」ということで、毎年の装備の主要事項につきまして安全保障会議において御審議をいただいて決定をしているわけでございます。  今回はその十二月二十九日におきます決定の一部修正という形で、十二月の二十九日に安全保障会議において決定をした事項の変更部分につきまして、一月の先般の安全保障会議におきまして修正の決定をいたしているわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 別に批判をする意味じゃありませんが、数量とか予算内容とかというものが全然討議されていなかったじゃないかと、安全保障会議。そうでもなければ鋭敏な閣僚の皆さんがこんな間違いをするはずはないわけでございまして、どうか今後ともきちんと間違いのないような御討議を願いたい。  それで、ちょっとまた話題を変えまして、C130の派遣問題でございますが、総理、これは本気で自衛隊機を派遣する気でございましたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) IOMという国際機構から要請がございました。そのときにIOMの認識としても、今回のイラクによるクウェートの侵略、侵攻に伴ってあの周辺諸国に出てくる避難民の数というものは予想できない。けれども、それは本国へ移送しなければならない。各国ともに民間機、軍用機を問わず対応をして、協力できるものがあるものは協力してほしいという要請が来ましたから、本気でそれに取り組まなければならないと考えました。同時に、第一回のとき以来民間航空にお願いして、いろいろなことをでき得る限りしてもらうようにしてきました。今度の場合もベトナムは対する移送はそれで行ったわけでありますけれども、それでも国際機関からの要請もあり、また、避難民の状況というものが具体的に把握できないときにお受けしますという、協力しますという意思表示をする以上は、これは本気でなければそんなことは答弁できませんし、本気であるからそのような対応をいろいろ検討したところであります。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 真剣に対処されたようですから、具体的な計画とそれに必要な予算をお示し願いたい。予算はどれくらいかかる予定で、どの程度の支出をお考えになっておられたか、お知らせ願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) きょうまでのたびたびの御議論も踏まえ、また、国際的に人的な協力をするときは相手国の意向というものも極めて大切になりますし、大前提として言えば、国際機関からの要請を受けたときにそれに対応する、こういうことでございます。そして、その国際機関が民間航空を使い、いろいろしますときの費用は、日本が率先して三千八百万ドル、まずIOMに払い込みをいたしました。そのお金によって当初の避難民の輸送は、日本の日本航空、全日空はもちろんのこと、その他の外国の民間航空機の場合もそこから費用は支出されたものと思っております。  また、具体的な要請はまだ来ておらないわけでありますから、具体的な要請がどのくらいの形で、いつごろどこへ来るかということもそれは具体的に決まっていなかったことでありますから、具体の要請を受けた場合にそれの対応がそこで検討されることになってくる、こういうわけでありまして、準備と心構えと対応をしたということであります。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 準備命令を出したことは私も聞いております。しかし、来たら何日ぐらいで出してやる予定でしたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 担当の防衛庁長官からお答えをいたさせます。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  IOMからの具体的な要請を受けました場合、我が国といたしまして、まず外務省が担当でございますので、その外務省の方からまた安保会議へそういった情勢についての御報告なりなさり、その上で私どもの方に御依頼がある、こういうことになろうかと思うのでございます、想定される形としては。そういった具体的な外務省からの御依頼を受けましてから、どこへ何日間かということでございますけれども、これは要請のあります場所、任務等がどのあたりになるか、これによっても違うわけでございますが、御承知のとおり、C130という航空機は航続距離がそんなに長いわけではございませんので、途中何カ所かで給油をする必要がございます。そういったことでございますので、出発いたしましてから四日くらいはかかるのではないか、このように私ども考えておるところでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 給油と言いましたが、じゃ具体的にお聞きしますが、自衛隊機の油代はどの予算からお出しになり、また自衛隊員が、仮にカイロでもアンマンでもいい、そういうところで滞在する費用はどうなるんですか。また、自衛隊員がそういう場所に行った場合に新しい手当を支給する検討をなさっておりましたか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○政府委員(畠山蕃君) ただいま防衛庁長官からも申しましたように、まだ具体的な要請が来ておりませんで、外務省からの依頼も来ておりません。したがいまして、どのようなルートでどういう任務を負うかということが、運航計画が決まっていない状況でございます。航空燃料費、隊員の宿泊、食糧費等の経費が予想されるわけでございますけれども、そういった現在の避難民の輸送を実施する場合の輸送計画というものが当然固まっていない状態でございますので、現段階でこれを見積もることは困難でございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 やるとすればどの予算費目から出すかと聞いているんです。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) お答えいたします。  お尋ねのまず油でございますけれども、これにつきましては、目、油購入費ということになろうかと思います。また、宿泊等につきましては、目、庁費等で措置することになろうかと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 教育訓練費からは出しませんか。

村田直昭防衛庁経理局長

○政府委員(村田直昭君) 今お尋ねの項目については、油購入費なり庁費から支弁するわけでございますけれども、要請の内容によりましてはさらに検討する必要があろうかと思います。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 これはもう今から出していくという可能性はないものだということはわかっておりますけれども、しかし計画もしてなかった、どこから予算を出すかも決めなかった、隊員が出ていくのに新しい手当も検討していなかったということになりますと、これは違った言い方をしまして、怒らないでくださいよ、総理、格好はやると言って中身は何にも準備していなかった。本心はやる気がなかったんじゃないですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたように、私どもといたしましては、要請があった場合に備えていろいろ必要な準備等はしたわけでございます。しかしながら、具体的な要請がございません段階で、どのような形態でどのような規模の輸送を行うか、それは固めようがないわけでございますから、したがって具体的な輸送計画の立てようもない。したがってまた、その経費についても積算のしようがないということでございます。  しかしながら、もし具体的な要請があり、さらに一連の国内の手続を経まして外務省から御依頼を受ければ、それに対応して輸送計画なりそれに必要な予算措置なりは早急にできるだけの心構え、そうしてそれなりの準備はしておるわけでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 自衛隊費には海外にそのような形で出す費用がありません。  そこで、総理、もう暫定政令をこの場で撤回するとおっしゃいませんか。それでこの問題はけりがつくと思いますが、いかがでございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今回の湾岸危機をめぐって周辺国に出てくる避難民が、国際機関の正式な要請もなくなり、完全になくなったときにこの政令は失効をさせるというものでありまして、今この段階では、まだそれは不透明な、不確実な見通しでありますので、ここでただいま撤回するわけにはまいらないのでございます。

小川仁一日本社会党・護憲共同

○小川仁一君 終わります。

平井卓志自由民主党

○委員長(平井卓志君) 以上で小川仁一君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の審査はこの程度といたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後十時四十八分散会

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