農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1991/03/26
会議録
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 土地改良法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(吉川博君) 山村振興法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。 順次趣旨説明を聴取いたします。発議者衆議院議員鹿野道彦君。
○衆議院議員(鹿野道彦君) ただいま議題となりました山村振興法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 昭和四十年に制定された山村振興法に基づく山村の振興対策につきましては、昭和五十年及び六十年に法律の有効期限を十年間延長する等の改正が行われ、さらに平成二年には農林漁業金融公庫の融資の拡充措置を講ずる等三度にわたり法改正が行われ、産業基盤や生活環境などの地域格差の是正を図ることを目的とした各般の施策が推進され、一定の成果を上げてきているところであります。 しかしながら、山村の現状は依然として他の地域との格差が解消されず、また、林業不振や若年層を中心とする人口の減少など一層厳しさを増しており、森林の管理水準の低下も懸念される状況となっております。 山村地域は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等に重要な役割を果たしており、森林の良好な維持・管理を図る等国土保全の総合的な推進が喫緊の課題となっております。 以上のような実情にかんがみまして、振興山村の区域内において、森林、農用地等の保全に関する事業及び農林産物の製造・加工事業等を行う地方公共団体の出資による第三セクターを創設して、若者の就業の場を確保する等山村振興対策の一層の充実を図るため、ここに本案を提出した次第であります。 以下、改正案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一に、森林等の保全を図ることを山村振興の目標に規定することといたしました。 第二に、第三セクターは、森林、農用地等の保全に関する事業等の計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることといたしました。 第三に、計画の認定を受けた第三セクターに対し、保全事業等の用に供する建物、機械等についての特別償却、特別土地保有税の非課税措置を設けるとともに、固定資産税、不動産取得税の不均一課税を行った市町村に対し、減収補てんに係る措置を講ずることといたしました。 以上が山村振興法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(吉川博君) 次に、提出者衆議院農林水産委員長大原一三君。
○衆議院議員(大原一三君) ただいま議題となりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。 乳業施設資金融通制度は、酪農及び乳業の健全な発展に資するため、乳業を営む者に対し、農林漁業金融公庫から、その乳業施設の改良、造成等に必要な資金を融通することを目的として昭和三十六年に創設されました。 自来、本制度による貸付実績は、平成元年度までに三百七十三件、約二百四十五億円に上り、中小乳業を中心とした乳業の合理化と近代化及びこれを通じた酪農の健全な発展に大きな役割を果たしてまいりました。 しかしながら、最近における急速な国際化の進展、消費者ニーズの多様化・高度化、技術革新の著しい進展等、酪農・乳業をめぐる環境は大きく変化しております。このため、酪農・乳業の一層の発展を図るには、施設の改良、零細施設の統廃合、さらには立地移動による適正な施設の配置等を進めることが必要であり、乳業、とりわけ中小乳業の体質強化を図ることが喫緊の課題となっております。 本案は、こうした課題にこたえるため、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本制度をさらに平成八年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。 以上が提案の趣旨及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(吉川博君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより両案について質疑に入ります。――別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより順次採決に入ります。 まず、山村振興法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川博君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川博君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(吉川博君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 ことしもまた畜産物価格の決定をするという時期を迎えました。きょうは食肉部会、あすは酪農部会ということになりますが、ことしの酪農をめぐる情勢というのは例年とは違うのではないかというふうに実は認識をしているわけでありますが、三月十五日に畜産局長が畜産振興審議会に述べたその状況、局長の述べた酪農問題についての情勢分析といいますか情勢について、今の段階でこれはもうこのとおりだというふうに御認識なのかどうか、その辺をまず初めにお伺いをいたしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) お答え申し上げます。 先般、三月十五日でございますが、畜産振興審議会の総会におきまして、私ども畜産局長の報告という形で、最近の畜産をめぐる情勢につきまして報告いたしました。その中身につきましては、ここ数年の動きをここ一両年の話とあわせて申し上げてみたわけでございまして、その中身を繰り返させていただきますけれども、ここ数年の我が国の酪農の動きを見てまいりますと、戸数は小規模層を中心にここ数年、毎年四、五%程度の割合で減少しております。他方、乳用牛の飼養頭数は六十一年以降おおむね横ばいで推移しておりまして、戸数の減少によりまして一戸当たりの飼養頭数は着実に拡大しております。特に成畜三十頭以上のシェアは毎年増加しているということがございます。 酪農経営の状況といたしましては、生乳生産は飲用需要等の好調な伸びに支えられまして、六十二年度以降順調に拡大しておりまして、一頭当たりの搾乳量も増加しているわけでございます。一戸当たりの所得につきましても……
○菅野久光君 今までじゃなくて、最近のということで言ってください。
○説明員(長良恭行君) 六十年度以降、規模拡大の進展、乳量の増加、配合飼料価格の低下及びぬれ子価格の上昇等により好調に推移してきたわけでございますが、お話のございました平成二年度の状況について見ますと、こうしたここ数年来の傾向と同様に飼養規模の拡大の進展とか、あるいは配合飼料価格の低下とか、コスト低減に寄与する要因が見られるところでございますけれども、昨年後半以降、ぬれ子価格及び乳廃牛価格の低下の影響が見られる、こういうような状況を審議会に御説明したところでございます。
○菅野久光君 この報告を見ますと、「酪農経営の収益性は、昨年後半のヌレ子価格の低下等から一時より低下しているものの、飼養規模の拡大、一頭当たり乳量の増加等により、ここ数年来好調に推移している。」、こういうことなんですね。これは例年そうですが、ことしの場合は、平成元年の七月から昨年の六月までの統計といいますか、それを基本にして、そしてこれは書かれた。ただ、ぬれ子の問題は六月以降、七月からですから、そこのところをちょっと書いた。だから、後の「飼養規模の拡大」だとか「一頭当たり乳量の増加」とか「ここ数年来好調に推移している。」というのは、昨年の六月までの状況を指して言っているというふうに理解していいんですね。
○説明員(長良恭行君) 局長報告におきましては、単年度の状況ももちろん触れてはおりますけれども、数年の傾向と申しますか、それについて従来から触れておりまして、その中で先生御指摘ございましたぬれ子価格の低下等、この影響等についても触れておるところでございます。
○菅野久光君 ぬれ子のことについて触れてはいるけれども、「いるものの」ということだから、この言葉からいえば、ぬれ子の価格は下がったって酪農経営については好調に推移していることについては変わりはないという認識なんですね、この畜産局長の報告というのは。そこのところが非常に問題ではないかというふうに思うんですが、畜産局としてこの点について、私が今思うということについて何か思い当たるようなことはございませんか。
○説明員(長良恭行君) 好調というのは、ここ数年間の話を全体として申し述べて、その上で、最近の傾向といたしましてぬれ子価格の低下があるということを申し上げたわけでございます。先生御指摘のように、「ものの」という形で言うのがよろしいのか、あるいは好調で、私が先ほど申し上げましたように、ここ数年来の傾向ということで、飼養規模の拡大なり配合飼料価格の低下等、コス ト低減に寄与する要因も認められるところであるが、他方ではぬれ子価格等の低下の影響も見られる、こういうことで御理解いただきたいと思っております。
○菅野久光君 畜産振興審議会の委員の方は、畜産局長の報告を見て、それでこれからの畜産価格を決めよう、こういうわけですから、この文章でいくと酪農経営というのは好調に推移している状況の中で、ことしの畜産価格を、特に酪農の場合は保証価格なり限度数量を決めていこう、こういうことになるわけですから、そういう意味ではこの文章のままで判断を求めるということは間違いを犯すんではないかというふうに思うんです。それはただ思うということだけではなくて、現実的に一頭当たりの乳量の増加ということが言われておりますが、これは本当に増加しているんですか。
○説明員(長良恭行君) 一頭当たりの乳量の増加というのはここ数年の傾向として申し上げたわけでございまして、先生お話しございましたようなここ一年の動きとしては、私どももまだ精査している段階でございますが、従来と同じようなことが言えるのかどうか、そこは検討しているところでございます。
○菅野久光君 検討しているということですからあれですが、北海道乳牛検定協会で、六十三年の四月から元年の十二月まで、そして元年の四月から二年の十二月までということで比率を出しているんですが、乳牛検定成績による一日当たり乳量の前年比ということでいけば、二年の四月から十二月までは前年に比べて平均で九九・四%ということになっているんです。ですから、「一頭当たり乳量の増加等により」ということは、これは先ほど審議官が言われたように、以前からの状況がそうだったということであって、昨年の状況を見ると、北海道では、ほかの府県はちょっと私もわかりませんが、北海道では横ばい、あるいは若干下がっているというのが現状なんですが、その辺はどのようにお考えですか。
○説明員(長良恭行君) 先ほど申し上げましたように、局長報告での「一頭当たり乳量の増加」というのは、ここ数年の傾向として申し上げたわけでございますが、昨年一年間の一頭当たりの乳量がどうか、こういうお話になりますと、先生御指摘になりました検定協会の数字がございますけれども、全体としてどうなるかというのはまだ私ども把握していないわけでございますが、昨年の猛暑等を考えますと、従来より低くなっているのではないかというふうな感じは持っております。乳量がふえたか減ったかはわかりませんけれども、伸び率が少なくとも従来よりダウンしているだろう、こういうことは私どもも感じております。
○菅野久光君 伸び率がダウンする。「一頭当たり乳量の増加」ということと、そういうこととのかかわりというのは、どうもこの報告はやっぱり正確さを欠いているのではないか。もちろん以前の状況をやりながら最近はどういう状況かということをここで述べなければ審議会の委員の方々にまともな判断をしてもらうということはできないのではないかというふうに思うんです。そういう意味では極めて不適切な書き方ではないかというふうに思います。 そして、酪農経営の収益性の関係もここ数年来好調に推移している、こんな状況になっているんだったらいいんですけれども、実は農家の青色申告、いつも三月にやる税金の申告の状況を私も調べてまいりました。ある農家は、元年分と二年、それとの比率でいきますと、生乳の収益は九九・一%、大体横ばい。乳牛のこれは売ったお金でしょう、それは前年に比べて七七・五%。それから初生犢、まあぬれ子、これが六二・三%、元年に比べて二年の収益が。そういうことから所得金額でいいますと、元年分に比べて二年分は六八・六%の所得しかないというような税務署に対する申告です。 それから、これは北海道の十勝管内の農家の方ですが、この方は乳牛を元年は百二十頭飼っていたのが二年分は規模拡大をいたしまして、百四十二頭、二十二頭ふやしたんです。育成牛も七十七頭から九十四頭に十七頭ふやした。その結果がどんなことになったかといいますと、それだけふやしたにもかかわらず元年に比べて二年は、生乳は一〇五・七%、乳牛は七四・一%、初生犢は六五・三%ということなんです。ふやしたけれども、収入は生乳だってわずか五・七%しかふえてないですね。それに比べて支出があって差し引きいたしますと前年に比べて六二・七%の所得ということになるわけです。四〇%近く減っているわけですね。牛をふやして所得が逆に減っているというようなそういう状況で税務署に申告をしております。 また、別な農家を見ますと、これは販売金額ですね。生乳、乳牛。初生犢等を含めて前年に比べて一〇〇・七%伸びています。その中で生乳が一〇五・八%、乳牛は一〇四・二、初生犢は六九・七、いずれも初生犢、まあぬれ子は大幅に下がっているというような状況が言えると思います。この農家は乳牛を余りふやしていないんですね。元年は六十二頭、そして二年は六十五頭と三頭しかふやしておりません。育成牛は元年が三十七頭、二年が三十九頭、ほとんど変わらない。ここの収支は前年の収入に比べて二年は九六・二%、若干減ったということなんですね。だから、規模拡大をしたところは逆に大きな所得のマイナスを生じ、規模拡大をしないでやってきたところはほとんど前年とそんなに変わらない。これはその年度年度の税金の申告ですから、一戸一戸の問題ですから、それが必ずしも正確にということはないにしても、しかし私はこのことは一つの参考になる状況ではないかというふうに思うんです。 ですから、飼養規模の拡大ということで拡大したところは、お話を聞きますと大方三〇%から四〇%の所得の減になっているという報告を私は受けておるわけであります。そういうような報告を受けているんですが、ここ数年来好調に推移しているなんということになれば、これは酪農家の現状がそういう状況になっているということがわからないんじゃないかと思うんです。元年分所得税青色申告決算書、私が言っているのが適当につくられたものじゃないという証拠にこれもちゃんと持ってきましたから後からひとつ見ていただきたい、このように思いますが、そういったような状況であるという認識を政府の方はしているのかどうか、その辺についていかがですか。
○説明員(長良恭行君) 今御議論されておりますのは、先般公表された二年の生産費調査結果の後の話をいろいろ御指摘だと思いますが、私どもはその後の状況につきましてもいろいろ要素なりを分析なり詰めているわけですが、一つはえさの価格の低下なり規模拡大によるコスト低下ということもございますが、確かにぬれ子価格の低下というのは所得に影響を与えている要因であるというふうに理解しております。
○菅野久光君 元年の七月から二年の六月までのあの状況で、あるいは直近三カ月とそこのところで若干の調整をしながらやるということはわかっているんですが、こういうような現状の中でことしの畜産物の価格、特に酪農関係の保証乳価を決めよう、こういうことだという御認識があるかないかによって私は違うと思うんですが、いろいろ聞きますと、原料乳保証価格については大体二・六%ぐらい生産費が下がっているというようなことが言われておりますが、ことしの原料乳保証価格についての引き下げの要素は何か、それから引き上げの要素はどんなものがあるのか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 来年度の加工原料乳の保証価格につきましては、現在いろいろな要素を詰めているわけでございますけれども、確かにぬれ子価格の低下というのは一つの上げる要因ではあると思います。ただ、そのほかにも、えさの価格の低下でございますとか、規模拡大によるコスト低下というようなこともございまして、これらの要素を総合的に勘案して要素のとり方につきまして現在いろいろ詰めをやっておるわけでございます。恐らく、きょう遅くと申しますか、明朝までかかるかもしれませんが、精力的に検討している最 中でございまして、あすの酪農部会までには詰めなきゃいかぬという状況でございます。
○菅野久光君 今検討していてあしたかけるというようなそんなことじゃなくて、もう決まっているんだけれども今は言えないということなんですね。そこのところをはっきり言ってください。
○説明員(長良恭行君) まだ決まっていることはございません。
○菅野久光君 原料乳の保証価格について引き下げなきゃならぬということでいろいろお考えになっていることを推測いたしますと、ガットにかかわってオファーリストの問題がありますから、そのことが一つあるんじゃないか。それから、乳製品、でん粉に関する日米協議の問題。それから内外価格差縮小に対する要求、これは経済同友会だとか食品企業なんかがありますね。それから、生乳生産費を調べたところが低下している。大体引き下げの要素というのはこの四つぐらいが主として挙げられるんじゃないかと思うんです。 逆に引き上げなきゃならぬという要素として考えているのは、副産物価格の低落、ぬれ子だとか老廃牛ですね。それから生産資材価格、これが上がっています。それから先ほど言いましたが、一頭当たりの乳量の低下、金利の上昇、労賃の改善、それからヘルパーの活用に対する助成といいますか、酪農振興の意味を含めて。こんなようなものがあるのではないかというふうに思うんですが、どうもまず引き下げありきというのが今の政府の方針ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
○説明員(長良恭行君) 今先生が挙げられました要素、そのほかの要素、いろいろ現在詰めて検討している段階でございまして、例えば一頭当たり乳量につきましても、確かに従来よりは伸び率が下がっているけれども、前年と比べて減っているかどうか、この辺はまだ私どもいろいろ詰めている最中でございまして、いずれにしましても、こうしたいろいろな算定要素につきまして現在検討している段階でございます。
○菅野久光君 まあ検討検討と言えばあれですが、きょうの質疑などを通じて検討の中身について我々の意見というものをぜひひとつ取り入れていただきたい。私どもの意見は牛舎からの声だというふうに受けとめてもらいたいというふうに思うんです。 私は今日的な酪農の状況からいえばまさに構造的な危機ではないかというふうに認識をしております。それは乳価の引き下げが年々続いて、今の水準というのはおよそ十五年ほど前の水準になっている、そして小規模の酪農がだんだん消えていって規模が拡大されてきている、そういう状況があります。それを支えた要因というのは副産物、ぬれ子の価格が非常によかったということで、先ほどの農家の経営状況、税務署に納めた状況を見ますと、大体乳価でそれで収支がとんとんなんですね。あとはぬれ子がどう上がるか下がるかで所得が多くなるか少なくなるかということがずっと続いてきたというふうに思いますし、酪農を低コストの経営をするために大変な努力をしてきたという農家のそれもやっぱりあったというふうに思うんですね。しかし、昨年の七月以降ぬれ子が暴落をする、生産資材や金利が上昇する、そういうところに加えて自由化に対する不安。 本州、特に西日本などの状況をいろいろ聞きますと、リゾート開発で土地を求めるというような企業があって、そして先行き余り自由化の問題やら酪農に対する魅力というものがなくなってきているということから、今のうちに離農してそしてリゾート開発の関係でそこに就職をしていくということが非常にふえてきている。いわゆる土地の値段が上がる、それから転職が可能になっているというような状況などがあって、私どもが聞いているのでは、全く中核の酪農家であそこがというようなところが離農しているというのが今の実態なんですね。そういうのがふえてきているということなんです。 そこで、今の畜産物の価格を決めるに当たって乳価の引き下げというものがなお一層離農に拍車をかけてくるのではないか。今までは経営の悪い、しかも飼養頭数の少ない農家からだんだん離農していくというような状況があったんだけれども、これからはそれだけではなくて、これからの中核的な酪農家が離農するというような状況が生まれてくるのではないか。そういう意味でも、ことしの畜産価格をどのように決定するのか、乳価をどのように決定するのかということは極めて重要な問題になってきている。だから、ことし地域で畜産価格の決定に当たっていろいろ集会を持っていますが、その中に、酪農崩壊阻止、生産刺激乳価をということのスローガンを掲げながら集会をやっている。酪農崩壊阻止です。酪農危機突破じゃないんですね。今まではよく危機突破、危機突破ということがありましたけれども、もう危機じゃなくて崩壊を阻止しなきゃならぬというようなスローガンを掲げながら集会をやっているというそれぞれの地区の実態というものも認識をしてもらわなければならないんじゃないかというふうに思うんです。 特に西日本の関係は、一戸だけで酪農をやるというのはなかなか大変なものですから、いわば団地形成によって低コスト化などを図ってきております。そういうところでは、大農具やあるいは施設の共同利用それから収入だとか流通管理なんかもお互いに共同でやっているんですが、そこで一戸が抜ければもうやっていけないということで、そこの団地全体がやめてしまうというような状況にまで追い詰められていくのではないかというふうに思うんです。 そんなことなどを考えていくと、ことしの酪農の関係で言えば、乳価をどのように決めるかということが今後の日本の酪農に大きな影響をもたらす。ただ単に、昨年までの数字だけを見てこういう要素があるからということで、ある程度機械的といいますか、そういうことで価格を決定するということは非常に危険なことになっていく、そういうことを私どもは考えているものですから、それで先ほどから時間をかけて実は質問をしているわけです。そのような認識がおありかどうか、この辺は大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(近藤元次君) いろいろ今事務当局との質疑をお聞かせいただいて、いずれにいたしましても、統計の段階では先生御指摘のように、昨年の六月までが統計上出てきておるわけでありますから、それをもって試算をし、適正な諮問をする価格を出すわけでありますけれども、最終的に価格を決定する段階では、統計上出てこないわけでありますけれども、ぬれ子、老廃牛が急激に価格低下をしてきたな、そしてまた搾乳量も、昨年の暑さの関係ではないかと思っておるんですが、やや従来の伸びより低下をしてきておるなということも私は念頭に置いておるわけであります。数字的には統計上の調査の対象外になっておるわけでありますから、そこの部分を今度の価格にどのように反映させていくかということがこれから私として検討していかなきゃならぬことだろうと思うんです。 先ほど決算上のお話が出ましたけれども、多頭化をしたらそれが即反映することじゃなくて、将来的に少し長い目で見ていただかないと、それは従来の頭数でやる利益率と多頭化した利益率が、そのままずっと倍になったら倍の利益が出るという状況には、税務署へ申告する段階での利益率というのはなかなか出にくいのだろう、こう思っておるわけであります。そういう意味では、特に小規模酪農家が減少していく今、大変な移行時期に一面では現状はなっておるわけであります。 そういう点を考えて、これからの価格決定に当たりまして、今先生いろいろお話をされたようなことは各方面からまた私も聞かせていただいておる面でもございますし、統計上出てこない今日的な状況というものをどのように価格に反映をさせていくかということを事務当局が今熱心に徹夜をして作業をしておりますから、結果が出た段階で反映をさせていきたい、こう考えております。
○菅野久光君 いずれにしても、酪農がまさに危機的な状況というか転機といいますか、そういう のが今の状況だというふうに、いろんなところから話を聞いて私も認識し、また農民の方々もそういうことを認識しているから崩壊阻止という言葉になっていくのではないかということで、こういったような声を受けとめて、ことしの乳価の算定に当たってぜひひとつ考えてもらいたい。常日ごろ大臣が申されておりますように、説明のつくようなことをぜひやってもらいたいということを特に要望しておきます。 では、時間の関係もございますから、子牛価格の急落、これは去年の七月以降ですね。直近の中ではこれは出てくるというふうに思いますが、これの評価、それを適正に評価することがことしの場合に特に農家の方々が強く望んでいることだというふうに思いますが、その点についてはどうですか。
○説明員(長良恭行君) ぬれ子価格の織り込みにつきましては、生産費調査結果を基礎としまして、調査期間以降のぬれ子価格の動向も考慮しながら、明日開催の畜産振興審議会に諮りまして、適正に決定してまいりたいと考えております。
○菅野久光君 ここのところは特に下げ幅が大きいわけですから、そのとり方いかんによってまた大きく影響してくるのではないかというふうに思いますので、適正にということが本当に適正に行われるように強く要求をしておきます。 生産性向上を一生懸命農家の方がやられて、そのメリットが農家に還元されないで、それがみんな価格引き下げの方に吸収されてしまうということで、もう一生懸命努力しても努力しても価格が下げられるということで本当に農民の方々は大変なんです。その辺をしっかり評価をしてもらわないと希望の持てる酪農ということになっていかないんじゃないかというふうに思いますが、その生産性向上のメリットを酪農家に還元すべきだということについてどのようにお考えですか。
○説明員(長良恭行君) 農家の生産性向上分につきましては、やはりこれは消費者と申しますか、需要者と生産者双方に還元することが必要ではないかというふうに考えております。
○菅野久光君 そういう気持ちでおられるんでしょうが、現実的にはさっぱり生産者には還元されていないんです。価格というものは下げられても、消費者のところへ行ったらさっぱり下げられていないんですね。途中の流通というのが本当に問題だと私はいつも思っているんですが、価格の面について直接メリットが還元されないと農家が本当に一生懸命努力したかいがないわけですから、それではやっぱり困るというふうに思います。 搾乳量はここ何年かずっと向上してきたことだけは間違いがありません。しかし、それは黙っていて増加してきたのではなくて、えさの問題やらいろいろ努力をして増加してきた。しかし、そのことによって何が起きているかといえば、乳房炎、これが牛にふえてきているんです。そのために結局廃牛にせざるを得ないというようなことがあり、また無理して搾るということから牛の更新期間も短くなってきている。こんなようなことからいえば、この搾乳量の増加による生産性の向上、それが一つは乳価引き下げの要因になっているんですが、搾乳量の増加に伴って生ずる乳牛の償却費の増加は逆に乳価を引き上げる要因として考えられることではないかと思うんです。どっちの方を重く見るかという問題がありますけれども、そんなことがあるわけですから、その点については指摘だけしておきます。 それから家族労働の評価、これも非常に問題なんです。同じ人間がやるのに飼育家族労働、企画管理労働については北海道の製造業五人以上の規模労賃、そして自給飼料生産労働は農村雇用労賃、同じ人間が仕事をしているのにみんなそれぞれ違う人の算定をするということは、何か論理的に非常に問題ではないか、これはいつもそのことを問題にしているわけでありますが、その点についてもこれは今後考えていかなければ、今回これを変えてやれということもちょっとむちゃな話かもしれませんが、ことしやったから来年もということじゃなくて、来年はもっと何とか合理的な方法をということで、これも来年に向けてひとつ考えてもらいたいということを申し上げておきます。 基幹乳製品の輸入制限措置の問題でありますが、これはいよいよ二国間協議ということで三月二十二日から再協議が行われて、この話し合いは平行線で、次回の協議は四月以降ということになったわけでありますが、実は私は全国乳価共闘会議の議長という立場もありまして、この基幹乳製品が自由化されるということになれば日本の酪農というのは壊滅的な打撃を受けるのではないかということで、かねてから政府に対して、日米再協議に当たっても自由化には応じないでほしい、そして、ミニマムアクセスを導入しないようにということを強く求めてまいりましたが、政府としてこのことについてぜひ確約をしていただきたいというふうに思います。 この問題について、ウルグアイ・ラウンドの場でガット十一条二項(C)の強化、改善の提案を日本は行っておりますが、延長されたウルグアイ・ラウンドの場においても我が国の提案に同調しているカナダだとか、あるいはノルウェー、スイスなどと協調しながら、この基幹乳製品の輸入制限措置の堅持へ向けて最大限の努力をしていかなければならないのではないかというふうに思いますが、その点についてのひとつ決意を、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(近藤元次君) 先生御案内のように、三月二十二日に日米間で協議をいたしました。結果的にはアメリカ側からは二年前にクロの判断が出たわけですからそのまま自由化しろ、こういう要求でありました。 我が国の主張は、従来どおり十一条二項の(C)に疑義がある、こういうことでガット・ウルグアイ・ラウンドに今要求をいたしておるわけでありますから、この明確化をしない間に開放することは、現状を変更することはできない、こういうことで主張して、そして次回ひとつまた開こうということになっておるわけでありまして、来月以後開かれると思うわけでありますけれども、少なくとも今ガット・ウルグアイ・ラウンドでこの問題が我が国の主張の最大のポイントでありますから、ここが明確化をしない間に内容の変更をするというようなことには応じられないという不退転の決意で対処してまいりたい、こう思っております。
○菅野久光君 その点については、今までも本当に頑張っていただきましたが、もうここだけはひとつ頑張っていただきたいということを再度申し上げておきたいというふうに思います。 それから生乳の需給計画の策定の問題なんですが、酪農家が計画生産を余儀なくされている一方で、昨年初めて生乳需給表に特定乳製品の輸入枠を設定したわけです。輸入を前提とした生乳需給計画が設定されたわけですが、昨年はこの輸入枠だけでは足りないで、昨年の十二月に新たな輸入枠を設定して緊急輸入をしました。生乳需給計画で策定した輸入量を上回る輸入の実施ということで、これはもう政府の乳製品輸入拡大方針とも言える政策ではないか。計画生産に取り組む中で生産性向上に努力している酪農家の営農意欲を低下させる以外の何物でもなかったということが言えるというふうに思うんです。 そこで、ことしの生乳需給計画を策定するに当たっては、我が国の酪農・乳業の発展に資するために国産生乳の供給を原則としてこの計画を策定すべきだというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
○説明員(長良恭行君) 平成二年度につきましては、その需給計画でバターと脱脂粉乳の生産の跛行性というのがございまして、生クリームの消費の増等によりましてバターを十分つくれば脱脂粉乳が余るというようなことがありまして、脱脂粉乳に着目して生産を均衡させるとバターが不足するということで、当初の計画でバターにつきまして四千トンの輸入枠を設定したわけでございますが、昨年度は大変気候条件等もございまして、需要面では夏場の猛暑、しかも秋以降は暖かい、こういうようなことで、飲用向け生乳の需要と飲料向けの脱脂粉乳の需要が一時的に増加したという ことがございます。 それからもう一つ、生産面では夏場の猛暑によりまして牛が非常に疲れて、先ほど来お話しございましたように、生乳生産が伸び悩んだ、こういうことがありました。また、若い牛へ転換したということがございます。そういうようなことで、当初の計画に加えまして所要の輸入、これはバターと脱粉を行ったわけでございます。 来年度の生乳の需給計画につきましても今検討しておるわけでございますけれども、今申し上げましたような国内の生産がどういう形でこれから回復していくか。それから特に若齢牛が恐らく次第に生産力化してくるんではないかと思うんですけれども、そういうような生産事情でありますとか、今度は需要側でバターと脱粉の跛行性がどう働くかとか乳製品の需給事情のあれがどうなるか、そういうようなことを総合的に勘案いたしまして需給計画を現在詰めている最中でございます。
○菅野久光君 需給計画を立てながら実質的には需給計画は破綻をしてしまったという意味では見通しがやっぱり甘かったということと、計画生産というのは需給表に基づいて計画生産をしているわけですから、農家の方々に大変な不信感を抱かせたということにつながっていったというふうに思うんです。ですから、もっと国内の生乳の供給を原則としてひとつ策定してもらいたい。牛乳というのは工場で物を生産するのと違って、足りないからといってそれということですぐ搾れるものじゃないわけですね、時間がかかるんですよ。その点の見通しを誤らないようにしてもらいたいというふうに思います。 当然それとあわさる加工原料乳の限度数量の問題でありますが、少なくとも現行の限度数量を維持して不足分を乳製品の輸入で補うんじゃなくて、需要量に見合った限度数量が確保されるように限度数量を拡大していかなければいけないんじゃないか、そういうふうに思いますので、この点についての考え方をお伺いいたしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 限度数量につきましても現時点で確定的なことは申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げましたような全体の需給計画の中で、生産あるいは需要の需給関係がどういうふうに来年度見通されるか、その中で限度数量についても検討していきたいというふうに考えております。
○菅野久光君 少なくとも今年度のような緊急輸入などということが起きないように、しっかりした見通しを立てるように、特にその点は私の方から強調しておきたいと思います。 それから擬装乳製品の輸入ですが、ココア調製品だとか調製食用脂、こういうのが大変な量が入ってくるんです。自由化されているわけですからなかなか制限というのは難しいんでしょうけれども、これもまた大変な量になっているものですから、輸入制限も含めて何とか適切な対応がないものか、その点についてはひとつ研究をしてもらいたいというふうに思います。 それから、先ほどもお話がありましたが、子牛価格の急落に対する対策なんですが、最近の子牛価格の低下による酪農の収益性の悪化、これを改善していくためには乳価を引き上げていくことが最も手っ取り早い対策になるわけでありますが、そういうふうに乳価を急激に上げていくということもなかなか難しい。ということになれば、子牛及び経産牛の対策を強力に進めて、いわゆる副産物価格、これの低落によって収益が極端に悪くなるようなことのないようにしていかなければならない。そんなことで、肉用子牛生産者補給金制度というのをつくったわけです。 しかし、実際はぬれ子はこれに入っていないわけですね。制度としてこの中に入っていない。したがって、昨年のぬれ子の価格の低下で、酪農家一戸当たりの平均収入で、平成二年には元年に比べて二百二十四万円も低下したというような報告などもありますから、何とか肉用子牛生産安定等特別措置法に基づく不足払い制度をぬれ子を対象にするということができないのかどうか。 それとあわせて、この制度についても、なかなか加入が悪いんですね、乳牛の関係については。そんなような加入促進の問題も含めて、その点のお考えをお尋ねしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) ぬれ子の価格安定というお話でございますが、今先生お話しございましたような肉用子牛の生産者補給金制度といいますか、価格安定対策がこれは子牛の方についてございます。六カ月ないし七カ月齢の子牛の価格安定を通じて、間接的ではございますが、ぬれ子の価格安定に資するんではないかというふうに私どもは考えておるわけです。しかし、現在酪農家では約九割の方がぬれ子を哺育しないでそのまま出荷されているということで、私どもとしては、従来から酪農家の方がこうしたぬれ子の哺育育成をするということで、乳肉複合経営と申しておりますが、こういうような哺育育成に対しまして奨励金を出すような事業もやっておりますし、また酪農家の方がそういうぬれ子を育成して、子牛段階では価格安定の対象になるわけでございます。 そういうことでございますので、酪農家の方にいろいろお話を伺いますと、なかなか手間暇がないとか、酪農で手いっぱいというお話もあるわけですが、今後の肉用牛の生産増加といいますか、あるいは酪農家の所得増ということを考えます場合に、乳肉複合経営というのは我が国の肉用牛生産と酪農家の所得拡大という双方の意味から大変重要なことではないかということで、今後こういうことも大いに奨励していきたいというふうに考えております。
○菅野久光君 頭の中では、一週間以内だと対象にならないんだから、もうちょっと、一カ月なり二カ月なり養ってからやれば対象になるというようなことなんですが、今審議官も言われたように、言われることはわかるんですけれども、なかなか経営としてはそういったような形になっていかない。やっぱり乳搾るのは乳搾るの専門というような状況などもあるわけですから、その辺は農家の実態などもよく調査をして、そしてこういったような副産物の暴落などということがあったとしても、それに対応できるような対応策というものをぜひひとつ考えてもらいたいということを強く要望しておきます。 時間もありませんので、ヘルパー制度の問題でありますが、昨年はこれが大変な問題で、国の方も七十億という金を出して、そしてこのヘルパー制度というものについて一定の前進を見たわけでありますが、要員を確保するということがなかなか大変なんですね。それは、私もあのときに主張いたしましたが、やはりヘルパーの身分保障、これがしっかりできていないと困りますし、何か事故があったときの対策だとか、それから養成の問題だとか、そういったようなことを含めたヘルパーの制度化というものについて、せっかくやり始めたことですから、ぜひ真剣に取り組んでもらいたいというふうに思います。ここのところはいいです。 それから学乳制度の問題なんですが、これもことしから供給日数が交付開始日である九十日以下の学校は助成の対象外になったんですね。割合からいえば、全体の〇・三%、供給量から見た生徒の割合は〇・一%とわずかなように見えるんですが、実数で見ますと約百校で、一万数千人が対象だというふうに見られておりますが、これが学校や乳業者や酪農家に及ぼす影響はそんなにあるわけでありますから、ここのところもひとつ従来のような方向にまた戻して、牛乳の消費拡大も含めてやってもらいたいというふうに思います。これが九十日から百日だとか百十日なんかということに延ばされることのないように、今後とも強く要望しておきたいというふうに思います。 あと、飼料も昨年の七月から十二月まで大変価格は上がったわけですね。こういったようなものなども算定の段階でひとつ考慮に入れていただきたいというふうに思います。 最後に、固定化負債の問題でありますが、やはり農業経営の中で、特に負債を抱えているところ はその負債を償還する、そしてまた金利を払う、それが農家経営を大変圧迫しております。そんなことで、今までも負債対策についていろいろ政府の方でもやってもらいました。三・五%の資金をいろいろと使うということで、いろいろやっていただきました。それはそれなりに私どもも、それから農家の方もよかったということなんですが、さらにこれは自由化の問題などを含めて、酪農業の足腰を強くするという意味も含めて、この固定化負債に対する今後の取り組みも一層ひとつ進めてもらいたいというふうに思いますが、この点については大臣、大事なところなのでひとつお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 先生今御指摘のございましたように、かねて近代化を進めていく間に、生産調整というものと絡み合って、自殺を起こすような大変な負債で経営困難になった時期が、先生方の御協力をいただいてややこのところ経営が健全化の兆しが見えたかなと思ってまいりました。 ところが、近年また急激な規模拡大が進められておるような感じがいたしまして、経営力からいっても技術力からいっても、急激に規模拡大をしていることに対していささか心配を正直実はしておるわけでございまして、このことに適切な指導とまた対応を十分考えていきたい。過去のようなことのないように十分な留意をして、しかし、これからの酪農をめぐる情勢にしても、いわば副産物の価格にしても、決して甘い関係ではございませんので、それらについて指導と対策を十分していきたいと考えております。
○菅野久光君 終わります。
○細谷昭雄君 私は、主に食肉問題についてお伺いしたいと思います。 最近、大変畜産農家の離農が多くなっておるということが問題になっているわけであります。ここに私資料がございますが、例えば全国的にいいますと、この六十二年から平成二年までたった四年間でございますが、四年間に乳用牛につきましては年間平均にして三千五百五十戸、肉用牛については一万五十戸、豚につきましては五千四百二十五戸、採卵鶏については五千六百七十五戸、ブロイラーが七百九十六戸、全国的に平均しましてこれだけの農家が離農しておるという状況。秋田県全体から見ますと、私は秋田県ですので、四年間に平均乳用牛が十五戸、肉用牛が百四十二戸、豚が百二十五戸、採卵鶏が十五戸、それから単位農協、専門農協一つとりましても、私の地元の秋田県ではそれぞれこの四年間で六つ減少をしておる、これは乳用牛、酪農の専門農協でございます。 このように大変に離農農家がふえておる。畜産局長の説明によりますと、これは少頭飼育農家が減少しておるというふうに言っているんですが、中身を見ますと決して最近の状況はそうではない、むしろ中堅農家がどんどん離農しておるという状況がございます。 そこで、大臣にお聞きしたい。このような離農がどんどんふえておるというその現状を大体どういうふうにとらえられ、どこに原因があるとお考えなのか、時間がございませんので大臣からお聞きしたいというふうに思います。
○国務大臣(近藤元次君) 先生御指摘のような状況で、ここ数年五%程度戸数で減少をいたしておるわけでありますが、畜産全体から見てもどうも高齢化が進んできたり、あるいは一番の悩みが後継者でないのかなという感じがいたしておるわけであります。 私がちょっと心配して実は聞こうと思ったんですけれども、公的な調査がこの分野にございませんので、公的でなくても事務当局にできるだけこの減少する原因というものが那辺にあるかということをよく調査するように指示をしております。調査の結果が出たらまたそれなりの対応が進められる、こう考えておるわけですが、いずれにしても、やはり小規模の牛を飼うということになると経営上にも非常にそれだけで困難でありますから、複合経営の方がおやめになるという傾向が強いように私自身は感じておるわけであります。そういう経営上の困難があればやはり今の若い人たち、生き物を飼うというのは大変なことでもありますし、労働条件からしても環境からしても大変なことでございますので、そういう面で後継者が一番原因でないのかなという感じを私は持っておるわけでありますが、あと調査が出た段階でそれなりの対応をしていきたい、そう考えております。
○細谷昭雄君 大臣、ちょっと聞いておってください。 今牛肉の自由化が四月一日を控えておるわけであります。私はそういう先行き不安定が非常に大きな原因じゃないのかというふうに思っているんですが、そこでお聞きしたいのは、大臣は現在の状況というのを、牛肉自由化を前にしまして、いや大丈夫です、もう畜産局なり農林水産省、政府は万全の対策をとっておりますからまず大丈夫です。御安心くださいという状況なのか、それとも心配だなという状況なのか、それとも極めて危機的だというふうにおとらえになっておるのか、そのいずれでしょうか。
○国務大臣(近藤元次君) 正直言って、どういう状況が出てくるか不透明でないかな、こう思っておるわけであります。常識的には自由化が進んでくれば大変だなという意識を持つのが常識だと思うんですけれども、自由化が決まった時点で子牛の価格があんなに上がると予想しないで、私ども正直幾らまで下がるかなと思って心配して議論をしたことを考えてみると全く逆な方向に進んでまいりました。 ここに来て本格的に四月から自由化になって品質の差というものが極端に出てきたようなことを考えておるわけでありまして、日本の和牛の実力というものはかなりあるんだろう、こう思って、実はこれは対策をすれば順調に自由化になっても進んでいくんではないだろうかな。低位のもの、いわゆる海外から輸入されるようなものと競争する分野についてはかなり深刻に受けとめておかなきゃならないんではないだろうかな。この辺に向かって我々は今、四月一日からは、国内にもまだ牛肉は保管をしておりますし、価格の調整はいろいろ対応していかなきゃならぬと思っております。 あわせて、その自由化に対して七〇%の関税ということで、若干消費者から見ると二五から七〇に上がるというようなことで、自由化になったら肉はうんと安く買えるという期待をしておった人たちには必ずしも期待どおりにはいかないかもしれませんけれども、しかし一方農家では、七〇、六〇、五〇といくわけですから将来に対するまた一つの不安感がある、こう思っておりますので、この間にやっぱり安定をした経営をさせるために、私ども七〇%の関税もこれ専門にひとつ対応できる財源を確立したわけでありますから、この間に農家の不安のないように十分に対応していきたいというふうに受けとめておるわけであります。
○細谷昭雄君 端的に言いまして、むしろ一般の現場の農家の皆さん方は大変な不安を持っているというふうに私回ってみて感じておるわけです。ただ、今言いましたように個々の問題になりますと、比較的高級牛肉を生産するという意味での和牛、黒毛和牛等はいいわけですが、先ほど議論がありましたように、反面乳用牛のいわば価格というのは大変に下がっておるという状況もございますので、その意味では不透明と言えば不透明なわけでございます。 そこで、お聞きしたいんですけれども、本日いわゆる食肉部会に諮問されたわけでございます。そこで、きょうの総括表を見ますと、去勢牛肉で、安定上位価格で三十五円、安定基準価格で二十五円値下げになっておるわけであります。その他はほとんど同じと。反対に合理化目標価格につきましては、子牛の保証価格、これが先ほど議論になりました乳用種で合理化目標価格がマイナス二千円というふうに下がっておるわけであります。 私は、今日の日本の畜産にとって、どの方向に向かうかという岐路に立っておるというのが今日の状況であると思いますが、このような状況の中で、本日いわゆる畜産振興審議会食肉部会に諮問 されたわけでございますが、それに対する大臣の物の考え方、きょう諮問された考え方、それから今後どういうふうにしていくかということは今お話があってお聞きしたんですけれども、あえてこういう重要な時期に農林水産大臣として重責を担っておられますので、何とか希望の持てる、もう大丈夫なんだ、皆さんひとつしっかり頑張ってくださいというそういう明るい展望を持った農林水産、特に畜産行政をやられるのかどうか、この御決意を伺いたいというふうに思っております。
○国務大臣(近藤元次君) 平成三年度の畜産物価格につきましては、もう先生御案内のように、畜産物の価格安定等に関する法律の規定に基づいてきょう政府の案を提出いたしたわけでありますが、当然のことながら生産条件なり需給事情や物価の動向を考慮してその再生産を確保することを旨として定めておるわけであります。個々にわたって若干時間が許されれば、その部門、部門について簡単に一言私の所見を申し上げておきたい、こう思います。 豚肉の安定価格につきましては、私はかねがね四百円というのが念頭に実はございますので、その点について、これはいたずらに今変化をさせることの方がむしろ不安を与えるかなと思って、そのまま昨年どおりに考えさせていただきました。 牛肉の安定価格帯、これは価格帯になるわけでありますけれども、自由化後の実勢価格の水準を勘案して自由化への円滑な移行を配慮する点では、ここはこの程度の幅にさせていただきたいな。 一番関心のあるところが、何と申し上げても保証基準価格でございますから、これを動かすと大変な不安感が残るものですから、これは現状維持ということで動かさないでこのままにさせていただいたという私の気持ちでございます。 子牛の合理化目標価格につきましては、関税率あるいは品質格差等の算定上の諸要素の変化を織り込み輸入牛肉に対抗し得る子牛価格の水準として、肉専用種を据え置いて乳用種を若干引き下げさせていただき、肉専門にやっていただくという形の人たちに据え置きをさせていただいた、こういう状況で私の気持ちを申し上げさせていただいた。あと審議会のまた意見等をお聞きして最終決定をさせていただきたい、そう思います。
○細谷昭雄君 以下かなりの項目にわたりまして質問したいと思いますので、審議官からなるべく手短にお答えはお願いしたいというふうに思っております。 最初に、肉用子牛生産補給金制度、これは不足払いでございますが、一月二十五日に決定をしそして適用されておるということですが、日本短角ないしは無角牛、これの今後の経営見通しを含めましてどういうふうになっているのかということ。同時に、今菅野委員からもお話がございましたが、短角、無角牛という現状から、乳用牛のぬれ子にまで波及するかどうか、この見通しについて。
○説明員(長良恭行君) 肉用子牛の動向でございますが、黒毛、赤毛和種につきましては比較的高水準で推移しております。乳用種も低下傾向で推移はしておりますけれども、なお保証基準価格を上回っている状況でございます。御指摘のその他肉専用種、これは特に短角種が中心でございますが、昨年猛暑等の影響もございまして非常にえさの生育も悪いというようなこともありまして牛の生育も悪いということもございまして、肉が下がったということで、これにつきましては生産者補給金を交付しております。 今後この制度の発動の見込みということでございますが、これは専ら肉用子牛の価格動向がどうなるかということでございまして、特に牛肉の輸入自由化の影響がどの程度あるか、こういうような要素を見きわめる必要がございまして、現時点で的確に見通すということはなかなか難しいわけでございますが、私ども今後の価格動向を見きわめながら制度運営を適切にやっていきたいというふうに考えております。
○細谷昭雄君 ぬれ子の価格が暴落したということは酪農経営には大変な打撃を与えておるわけでありますが、反面これが国内牛肉市場に及ぼす影響ということを考えた場合に逆な方向に出てくるんじゃないかというふうに思います。そこで、一方では酪農経営を圧迫し、一方では肥育農家をうんともうけさせるということになりかねないという状況からしまして、一体畜産局としましてはその対策をどういうふうに考えているのか、これについてお伺いしたい。
○説明員(長良恭行君) 確かにぬれ子が育成されまして子牛になって、それがまた肥育牛になるわけでございますけれども、正直申しまして昨年後半から先ほど問題になりましたようにぬれ子価格が下がっておりますが、その前、十四万とか十五万とか非常に高い時期がございました。これは私どもむしろ異常に高いんではないかというふうに考えておりまして、具体的な数字が幾らかということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、現在の乳用種の子牛の保証価格水準、これとの関係で言えば、子牛の方が安定すればぬれ子につきましても価格安定が、直接ではございませんが間接的に図られるんではないか、そういうふうに考えております。
○細谷昭雄君 この点の十分調整をとることを特に要望いたしておきたいと思います。 次に、畜産振興事業団ではあの昭和六十三年の日米・日豪協議ということを前にしまして輸入をどんどんふやしていったわけですね。現在在庫が六万トンと言われておりますが、この在庫状況と、これを自由化後どんどん放出するわけでありますが、これをどういうふうな形で放出するのか。畜産振興事業団によりますと在庫を解消しなくちゃいけないというふうになっておりますし、今までの業務の中でそういう輸入業務はもうあと全然終わりということになろうかと思うんですね。そういう意味でこれが無制限に放出したら大変な価格の上でも変動を来すんじゃないかというふうに思いますので、今のところどういう方針でこの放出をなされるのか、この点について農林水産省の考え方をお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 事業団は今六万トン弱の輸入牛肉の持ち越し在庫があるわけでございますが、自由化後の国内市場に混乱を及ぼすことのないように、食肉卸売市場を中心としまして時価を勘案した適正価格で計画的に売り渡しを行うということを考えております。あわせて、保有在庫の状況につきましても毎月公表することとしたいというふうに考えております。 事業団の在庫につきましてこのように定時、定量的に売り渡しが行われることによりまして、国内の輸入牛肉の需要者は事業団在庫からの輸入牛肉の供給を前提とした輸入牛肉の手当てができる、こういうこともございますので、言ってみれば不必要な輸入による需給と価格の混乱を未然に防止することができるんではないかというふうに考えております。
○細谷昭雄君 今一番最後にお話がありましたような消費者に対してもプラス、そして国内生産者に対しても不要な摩擦といいますか混乱を起こさせないようなひとつ十分な配慮をした放出をお願いしたいというふうに思っております。 なお、これは余談ですけれども、状況によりましては、こういうどうせ輸入した食肉でございますし、もう不要だということはないと思いますが、例えばソビエトとか東欧とか、食肉が非常に不足で困っているというところもございますので、いわゆる海外援助という形でこれを考えるということも一つの考え方としましてやっぱり考慮に入れていいんじゃないかというふうに私自身は思っているわけです。これは別に回答は要りません。 次に、一九九四年度以降の牛肉の関税率。これは九三年度までは決まっております。七〇、六〇、五〇%、その後が決まっておらないわけですね。これは一体どういうふうに対処するおつもりなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 今御指摘のとおり、昭和六十三年の日米・日豪の牛肉合意によりまして、牛肉につきましてはこの四月から輸入制限が撤廃されるわけですが、これに伴いまして関税率は平成三年度が七〇%、四年度が六〇%、五年度が五 〇%、ここまでは決まっております。平成六年度以降の関税率でございますが、これにつきましては現在行われておりますガットのウルグアイ・ラウンドで協議する、こういうことになっております。
○細谷昭雄君 その点が大変不安に思っておる点なんですよ。確かに、ウルグアイ・ラウンドでこれはやれというのが日本政府の考え方、それに対してアメリカとオーストラリアはちょっと違う考え方。二国間ないし四国間協議ということで折り合いがついておらないということなんですが、これをめぐりまして生産農家では大変な不安を感じておる、一体どうなるのかと。その点について今ここで議論しておる時間はないと思いますので、これは後に譲ります。この三年後の関税率をどうするのかという点については、国内の生産者を十分考えた上での対処を今後とも努力をしていただきたいという要望だけにとどめたいと思います。 それから、自由化というものは当然国内のコスト引き下げ競争、これを生むはずです。そして、現に畜産局でもコスト引き下げについていろんな強力な指導をするというようになっておりますが、これは日本国内の場合に私はやっぱり限界があると思うんです。それはなぜかというと、日本国内の場合、先ほど大臣からも高級牛肉といいますか、その志向というのが非常に強いと。これは裏返しますと、日本国内では良質でそして安全でしかも鮮度の高いもの、これをやっぱり志向すると思うんです。そうしますと、日本国内の生産という点でありますと、地形の上から、家族労働という点から、いろんな点でこれは合理化といいましても限界があろうかと思います。どの部門はもっともっと合理化できる、この部門はもう限界ですということをきちっとしなければ、単に画一的な合理化というやり方では農家に大変な失望感だけを与える。いわゆる未来に対する希望というのを持たせないということになると思いますので、どういう考え方を持っておられるのか、どういう指導をされるつもりなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 今後の我が国の牛肉の生産の増加なりコストの引き下げがどこまで可能かというお話でございますけれども、一つは、先ほども申し上げましたが、我が国の酪農を基礎にしましてこれにいろいろF1でございますとか黒毛をかけるとか、そういう形でふやす、あるいは受精卵を移植するとか、こういうような新技術を使った牛肉の生産の方向が一つございます。 それからもう一つは、伝統的な和牛でございますが、これは繁殖経営をどうするかというのがなかなか難しい問題でございまして、現在の一戸当たりの飼養規模につきましても約三頭ということで、しかも立地はどちらかといいますと中山間地が多いということであるわけですが、やはり飼料基盤をどういう形できちんとしていくかということが大きな問題ではないかというふうに考えております。その場合、特に中山間地では、離村されたり人が減ってその後耕作放棄地とか、あるいは担い手がいないというような既耕地もあるわけでございますので、こういうような土地をそういう農家に飼料基盤として集中させるような方法でございますとか、あるいはコストの関係はございますが、草地開発を進めるとか、いずれにしても何らかの形で規模拡大を進めて飼養管理の合理化なりコスト低減ということを肥育部門とあわせて繁殖部門においてもやっていかなければいけないんではないかというふうに考えております。
○細谷昭雄君 コスト引き下げということは私どもも必要だと思うんです。今言いましたように、農家が失望しないような、前途にこれをやればこういうふうになるんだなというきちっとした指針を与えるような面を今後とも十分心がけていただきたいということを要望したいと思います。 畜産経営の上でいわゆる後継者が育たないという点で、やはり環境が悪いということもあろうかと思うんです。この環境の改善対策というのをいろいろ農林水産省が現在行っております施策について拝見しておりますけれども、これは一層進めなくちゃいけないというように思うんです。 どうも、現場ではこういうふうな意見があるんですよ。確かに三分の一補助とか二分の一補助、いろいろあるんですが、基準とか形式が大変厳し過ぎる。これを買わなくちゃいけない、あれを持っていなくちゃいけない。もちろん後から会計検査があるという問題はございますけれども、農家からしますと、もっと実情に合った、もっと実態に即した、これは欲しい、これは要らないというのがあるというんです。それはもっとそういう基準とかそういう形式を緩和した、実態に即した補助体制、これは何も環境整備だけじゃございません。自給飼料の設備にしても、牛舎の設備にしても全く同様の意見が多く出されているわけであります。会計検査ということもあろうかと思うんですけれども、その実情にもっと即したやり方を考える動きはないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 事務当局が答弁すればいいんですけれども、私けさテレビを見ていたら、畜舎に非常口があるといってテレビでやっておりました、牛が非常口という字がわかるのかなというようなことで。だから、私も気にしておりましたので私から答弁をさせていただきたいと思います。事務当局も設備等については簡素化の方向に努力をしていただいておるようですけれども、これが建築基準法というようなもので、畜舎を建てるようなときには、私ども素人の常識からすると我々の住宅の建築基準法そのものの適用が必要かどうかというところにいささか私も疑問を持っておりますので、専門家じゃありませんのでその辺のところもなお検討させていただいて、必要であれば必要として、またいろんな設備が実はございますから、できるだけ地域の実情に合わせて、私ども農林水産省でありますから、何も鉄筋鉄骨でなけりゃならぬことはないので、木造で利用できる部分については、別の意味で普及もしておるわけですから、木材利用等の面も十分に考えて、可能な限り簡素化をさせていきたい、こう思っております。 設備投資が価格に反映して消費者にも迷惑のかかることでありますので、ここのところは十分指導していきたい、こう思っております。
○細谷昭雄君 この点は、ひとつ大臣新しい観点から強力な対策をお願いしたいと思います。 次に豚肉の問題に移りたいと思いますが、昨年の秋に価格が大変低落をいたしました。その原因は一体何であったのか。それから、現在、今後の価格の見通しはどうなのか。この点についてお願いしたいと思います。 あわせて、牛肉の自由化を迎えて、恐らくこの豚肉が下がったというのはそういう不安材料があったのではないかと、こんなふうにも言われておりますが、豚肉の差額関税制度、これはどうしても堅持しなくちゃいけないというふうに思いますが、この点についての考え方、運用についてもひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 豚肉につきましては昨年、お話しございましたように夏場、安定上位価格を超えて高騰しまして、秋になって安定基準価格を大幅に下回る、安定帯の外へそれぞれ出てしまうということで、もともと秋になりますと豚は卸売価格が低下する、こういう傾向があるわけですが、従来の季節変動が非常に大きくなったというふうなことがございました。 これにつきまして、私どもなぜこうなったかということもいろいろ市場関係者の意見等も聞いたわけでございますけれども、従来のパターンが加速化された背景には、加工原料用の需要が前年を下回ったというようなこととか、あるいは夏場は異常ともいえる高値であったわけですが、その反動ではないかというようなこともあったわけです。いずれにしましても、こういう価格の乱高下が養豚経営には大きな影響を与えるということで、私ども関係者にいろいろ要請したり、あるいはことしの一月からは畜産振興事業団の指定事業によりまして調整保管を実施いたしまして、現在では安定帯価格の水準の中で前年以上の水準で推 移しております。 牛肉自由化が予定されておるんでその影響ではないかということもございますが、豚肉の消費につきましては、日本では家庭用のテーブルミートと申しますか、この消費というのは四割ぐらいでございまして、六割はハム、ソーセージ等で消費されております。ですから、豚肉につきましては加工品での消費が主体でございますので、今後牛肉とは余り競合しないんではないかというふうに考えております。 それから、差額関税制度でございますが、これは御案内のように、一定の定率関税あるいは差額関税というものが基準輸入価格と輸入価格との差額という形で適用されておりまして、これは現在の豚肉価格安定制度とリンクした制度でございますので、安価な豚肉の無秩序な輸入を防止するということで、国内の豚肉の需給バランスを確保するとともに価格安定を図る機能を有しておりますので、豚肉の価格安定制度にとりまして大変不可欠な制度であるというふうに考えております。
○細谷昭雄君 豚のオーエスキー病が全国的にここ数年ずっと出ておるようでございます。この防疫対策をいろいろお考えになったようでございますが、この防疫対策と特にワクチンの実用化が現在どうなっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 豚のオーエスキー病のワクチンにつきましては、先般薬事法に基づく承認がなされまして、近々輸入あるいは製造が行われ、国家検定等の手続を経た後に使用されるということになっております。そういうことで今後ワクチンを利用した正常化というのを中心にオーエスキー病についての対策を進めていきたいというふうに考えております。
○細谷昭雄君 この表を見ますと、もう本当に東北で発生しているかと思うと今度は九州、九州かと思うと今度は東京というふうに神出鬼没みたいなあれなんですけれども、これは今後ワクチンの実施ということでこういう蔓延はとまるんでしょうか。病気そのものの蔓延はとまりますか。
○説明員(長良恭行君) オーエスキー病の防疫対策につきましては、従来もそうでございましたが、定期的な抗体検査を行いまして、陰性の豚については出荷あるいは導入の推進をして、この病気の発生を予防する。もう一つは、正常な状態を維持する、こういうことで病気の蔓延した地域ではワクチンを一定の枠組みで使って正常化を図る。正常地域ではできるだけ正常化を維持するような努力をする、こういうような形で防疫対策を進めていきたいというふうに考えております。
○細谷昭雄君 時間がわずかしかありませんので、先を急ぎたいと思います。 国内企業の中で、いわゆる海外で開発輸入をしておる企業がたくさんございます。私の手元でも十二、三の企業、それから大体三十社ぐらいが外国にどんどん企業として開発輸入のための進出をしておる。例えば丸紅は、オーストラリア最大の牧場、これを買収して、そして日本あてに年間一万五千頭分輸出を考えておる。三菱商事は、オーストラリアの自社牧場を持って、これまた対日出荷は年間七千頭、それからゼンチクは、アメリカに繁殖牧場を持って、これは年間子牛二千五百頭、これをいわゆる良質の霜降り肉という形で輸出をすると。伊藤萬、日本ハム、ニチレイ、ニチメン、伊藤ハム、西友、滝沢ハム、明治乳業、日本食品、以下同様でございます。 こういうふうにたくさんの企業がいわゆる自由化を目指して、結局はそういうふうな進出をしているわけでありますが、今後こういうふうな問題でどういうふうな影響が出てくるのかということ。同時に、消費者の側からしますと、どこの国であれ、入ってきたものに対しては小売店できちっとした輸入国の表示をしてほしいという要望がございます。これは、安全性その他についてですね。そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 私どもは、商社でありますとか加工メーカー等が外国へ進出して牧場等を取得した情報を把握しておるわけですが、現在約三十社の商社、食肉加工メーカー等が海外に進出いたしまして、行き先は米国とか豪州が中心で、一部カナダ、ニュージーランド等もあるようでございます。進出の形態としましては、牧場あるいは食肉処理場、パッカーと呼んでおりますが、こういうところの買収なり資本参加、業務提携というような話で聞いております。アメリカ、豪州につきまして、牧場への投資件数は十三件というふうに聞いておりますが、これらの年間の出荷可能頭数といいますか、フルに操業した場合の出荷頭数は約四十万頭ということになっております。仮にこの出荷可能四十万頭の半分が日本向けに輸出されると仮定いたしますと、約四万トンの牛肉の量になる、そういうふうな計算はございます。 そういうふうなことで、この四万トンが多いか少ないかという議論はあり得ると思いますけれども、私ども今後こうした対外投資の動向についても十分情報把握なりをしてまいりたいというふうに考えております。
○細谷昭雄君 これはもう企業の自由な経済活動ですから抑制するなどということはできませんけれども、こういう国内生産をある程度は保護をしていくということと、それから安全性という点で、やっぱり日本の企業がやっているんですから、十二分にこれは農林水産省としても実態の把握に努めていただきたいというふうに思っております。どういうふうになっているのかはもう全くわかりませんという、我々と同じ単なる新聞情報、そういう情報でしかわかりませんというのでは大変心細い話ですので、その点、今後、予算の関係もあろうかと思いますが、実態調査をいつかの時点ではしていただきたい、こんなふうに要望しておきたいと思います。 その次に、牛肉の卸売価格と小売価格がどうも違い過ぎるんじゃないか。これは一体どこに原因がありますか。流通に問題があるのか、そこら辺。生産者に対しては安く、消費者に対しては高くというふうな感じがするんですね。余りにも卸売価格と小売価格、これが違い過ぎるので、この点について、運動させるような努力を続けてもらいたいという要望も含めまして、どういうふうにお考えですか。
○説明員(長良恭行君) 牛肉の卸売価格と小売価格の関係について見ますと、ここ最近、傾向としては横ばいの状況でございますが、先ほど申し上げましたように、乳用種の品質の低い方のB2といいますか、そういうようなものが下がってきております。ただ、残念ながら、小売価格につきましては、卸売価格に相当した小売価格の調査がございませんで、小売価格は牛肉一本で統計が出てくるものですから、これは和牛の肉なり乳用種も全部含めた形になっておりますので、最近の乳用種の枝肉の値段が下がっているのが小売価格に反映しているかどうか統計上なかなか比較しにくい面があるわけでございますが、実際にはいろいろタイムラグとかそういう問題はあるとは思いますが、輸入の自由化後におきましては、まず牛肉の卸売価格は中長期的に傾向として低下していくというふうに考えますと、小売価格もそれに連動して低下していくべきだというふうに考えております。 ただ問題は、牛肉の場合、子牛価格の品質間格差にもございますように、和牛の場合と乳用種の場合とその他の牛で随分肉につきまして消費者の選好なり値段の幅が非常に違うという問題がございますので、なかなか難しい問題があるわけでございますが、基本的には小売価格と卸売価格は方向として連動していくべきだというふうに考えております。
○細谷昭雄君 時間が参りましたので、要望にとどめておきたいと思います。 食鳥検査制度が発足いたしまして、来年四月から実施されます。食鳥処理事業というのも整備することになっておりますが、これの万全を期していただきたいという要望。 それから、鶏卵が今のところ大変順調に伸びておるというふうなことでございますが、引き続き 需給に差し支えないようないわゆる卵価の安定対策を進めていただきたいという要望。 それから飼料、飼料は現在、政府によりますと、平成二年計画では四二・七%の粗飼料の自給率。平成三年度では、ことしは四三・二%。若干粗飼料の自給率を上げるという計画でございますが、ぜひこれはコストを下げるという意味でも、要するに粗飼料の自給率を上げるということは大変大事なことだと思いますので、この飼料全般の自給率を上げるという点に最大の努力を傾注していただきたい。 同時に、飼料価格が大きな変動を来さないように、いわゆる備蓄その他、これはもう十二分に配慮を願いたいということを要望申し上げたいと思います。 大臣も大変な御決意で当たられると思いますけれども、先ほどお述べになりました酪農家、そしていわゆる肉用牛繁殖農家、それから肥育農家を含めまして、畜産農家が何とかこれ以上離農しないような、明るい希望を持てるような施策というのを強力に進めていただきたいということを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(吉川博君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 私は繭糸価格について重点的に質問いたしますが、その前に、当面する重要課題である米の問題について大臣の所信と決意を伺っておきたい。 ブッシュ米大統領は、去る二十一日訪米した中山外相に対して、千葉市の幕張メッセで開催された食品展で米国産の米が日本政府の要請で撤去されたことに強い不満、不快感を表明して、これに関連して米の市場開放を促したということが言われておるところでありますが、米国産の米を撤去さす理由は一体何か。日本の法律、規則に違反する行為があったとするならば独立国としてこれは撤去を要請することは当然のことである。これにアメリカがいろいろ言うのは内政干渉である。日本政府は、撤去を要請した理由を堂々と主張して毅然たる態度をとるべきである。また、米問題は日米二国間で協議する問題ではない。あくまでウルグアイ・ラウンドの場で論議するべきものだと思いますが、大臣の見解をちょっと伺いたい。
○国務大臣(近藤元次君) 中山外相が訪米したその折に、ブッシュ大統領から、日本政府から逮捕するというようなことでその米の撤去を求めたことは甚だ遺憾であるというようなことの表明がなされたようであります。残念なことに、一部誤解をされて大統領が発言したのではないだろうかというふうに考えておるわけであります。 もとより撤去をすることにつきましては、市場開発や商業活動を目的とする展示等のための米の輸入については許可が必要だということは食管法の中に明記されておるわけであります。このことは昨年も行われて、昨年は撤去をしていただいたわけであります。今回の場合には、主催者である日本能率協会が昨年の米の撤去問題の経緯にかんがみて、本年は特に出展契約について、日本の法令で輸入が認められていないようなものは展示できないということをもって契約を結ばれておるわけであります。主催者及び政府からは事前に十分に時間をかけて、その旨は関係者に対して米の展示を行わないように数次にわたって申し入れをしてまいりました。 展示が開催されてから米が展示をされておりますので、撤去の申し入れをさせていただきました。展示したのはアメリカとオーストラリアと両国でありましたけれども、オーストラリアは直ちに撤去をいたしましたが、アメリカは撤去していただけませんでした。その後、私ども直接関係はございませんけれども、民間から告発が出て警察も調査に入ったようであります。私たちはブッシュ大統領が発言をしているように逮捕とかそういうことの言葉は一切使っておりません。また、その権限も農林水産省にはございません。再三再四にわたって撤去方を申し入れをいたしました。アメリカの在日大使館にもその旨外交ルートを通じて要請をいたしました。最終的にアマコスト大使から時間をかしてほしいということで、若干の時間の後に撤去をしていただいた。これが経過であり私どものとった処置であります。 なお、引き続いて米は二国間で交渉することについての御指摘がございましたけれども、そのような考え方は全くございませんし、アメリカからもそういうような申し入れもございません。仮にあっても二国間でやるという考え方は持っておりません。
○村沢牧君 経過は今大臣から答弁があったようなことだと思いますが、そういう事情であれば、日本政府としてアメリカから何を言われたとしても毅然たる態度をとって、日本にはこういう法律があるんですと、そのことを堂々と主張すべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(近藤元次君) 一部アメリカの新聞で逮捕云々というようなことが大きく取り上げられて、そういう点の誤解がありますので、両国間の関係で誤解を解消したい、その努力はしたいと思っております。しかし、このことについて、私たちは日本の法律は何人たりとも国内でお守りをいただくという立場は全く変わっておりません。私は誤解を解く努力はしますけれども、その問題を私ども要請をしたことは間違いであるというようなことはいささかも考えておりませんので、その旨は変更する気は全くございません。
○村沢牧君 変更する気持ちのないことは当然だけれども、そんなことを大統領に言われておるような日本政府であってはならないと私は思うんですよ。 私は、昨年の十二月、ウルグアイ・ラウンド閣僚会議に労農市民団体のガット要請団の団長としてブリュッセルへ行きまして、政府代表団を激励し、各国農民団体に対して我が国の立場と米の市場開放は絶対できないという労農市民団体の要求を実現するために直接影響力を強めてきました。 ウルグアイ・ラウンドは一括先送りになったわけでありますが、その後自民党の内部においていろいろな見解や動きがあることが報道されている。すなわち食糧安保論の戦術を転換し、ガット十一条二項(C)の規定を改正して米に適用したらどうか。あるいは新ウエーバーの制定あるいは代償基金の創設、そしてサミット前に政治決断をしなければならない。いろいろのことが取りざたされておりますけれども、これは単なるマスコミのうがった見方だけではないと思うんです。政府の見解を改めて聞きたい。
○国務大臣(近藤元次君) 最近特に、国の内外を問わずあらゆるところでいろんな御発言があることは私も十分承知をしておるわけであります。もとより私は、いろんな角度、いろんな事情から国会でも答弁してきましたように、稲作の重要性というのは我が国にとっては特別なものであり、世界にとっても重要性をかんがみたら日本の米にまさるものはないという認識の上に立っておるわけでありますから、国会の御決議の趣旨を体して、今後とも国内産で自給する方針は全く私は変えていない、そういうことでございます。
○村沢牧君 私が今言及したようなことはマスコミで現実に報道されておるわけでありますが、農林水産省としてはこれに関与しておりませんね。
○国務大臣(近藤元次君) 全く関与もいたしておりませんし、そのようなことを内部で討議も全くいたしておりません。
○村沢牧君 ただいまの答弁は農林水産大臣としては当然のことでありますけれども、しかし、政府の部内では、既に米の部分開放についてある程 度暗黙の了解がついている、機は熟している、きっかけがあれば一気に動くかもしれないというような声が政府の関係者の一部からも聞こえてくるんです。ブッシュ大統領の先ほどの発言もやらせではないかというようなマスコミの報道もあるわけですね。また、自民党農林関係の幹部の発言にも私はひっかかるものがあるんです。大臣の公式的な立場はそうでありますけれども、従来の戦術を変えて、どこかに落ちつけようとする着地点を大臣は農政専門家として頭の中に描いているんじゃありませんか。
○国務大臣(近藤元次君) ガット・ウルグアイ・ラウンドの経過、いろんなことを考えてみても、全くそういうことを考える今必要の時期でもなければ念頭にも置いておりませんし、あたかももう米がウルグアイ・ラウンドを進めない障害になっておるようなことがニュースに伝わったりしてきておりますけれども、先生御案内のような状況で、今日までガットの場での議論というのは、まず輸出補助金で年末に対立をして延会になったまま、まだ米が議題になる状況でも全くございませんし、そういう状況から考えてみても私どもがそういうことを検討する時期でもありませんし、検討するようなことは全くございません。
○村沢牧君 これまた当然のことですけれども、政府部内において、閣議においても完全に一致していますか。
○国務大臣(近藤元次君) 閣議において特別の発言はまだ米の問題でしておりません。総理並びに私が答弁をすることは全く一致をしておると理解しております。
○村沢牧君 米問題は、統一地方選挙が終わるまでは米国は強い要求をしないという日米間の暗黙の了解がついている、ところがブッシュ大統領、ベーカー国務長官、ヒルズ通商代表などが米の市場開放問題を取り上げて譲歩を迫ったことに対して政府あるいは自民党は大変困惑しておる、統一地方選挙への影響を懸念しておる、これもマスコミの報道であります。このことは、統一地方選挙が終われば政府の方針の転換があり得るということにも逆に言えば聞こえるんですけれども、こんなことは全くございませんか。
○国務大臣(近藤元次君) 統一地方選挙というものは国内ではかなり重視をしなきゃなりませんが、アメリカが統一地方選挙を重視するかどうかということも私ははかり知れないところでもございます。そういう報道がなされることはかえって迷惑だと実は思っておるわけであります。何かあたかも統一選挙が終わるまで何もしないで、終わったらやるようなことに、裏を返せばそういう理解をされるということは甚だ迷惑だと思って新聞情報等なりマスコミのニュースを聞いておる心境であります。
○村沢牧君 迷惑であるし、私もそんなことがあってはならないと思う。統一地方選挙が終わったから戦術を転換する、絶対ありませんね。
○国務大臣(近藤元次君) 全くそのようなことは今考えておりません。
○村沢牧君 米については衆参両院の本会議で三回にわたる国会決議がある、本院の本委員会は、過去五回に及んで農林水産委員会の決議があるんです。これは櫻内衆議院議長が過日農業新聞で、衆参で決議をしているわけだから法的なものよりももっと権威がある、国権の最高機関が自由化反対の決議をしているんだと言っていますが、この決議に対して改めて大臣の見解を伺っておきたい。
○国務大臣(近藤元次君) 櫻内議長の発言を私も聞かせていただきました。全く私も同じような心境でございますので、その趣旨を体して対処していく心構えでおります。
○村沢牧君 今まで答弁があったように、従来の方針は変えることがない、食糧安全保障、基礎的食糧の自給率を高めるために米の市場開放は我が国としては絶対に行わない、くどいようですけれども確認をしたい。
○国務大臣(近藤元次君) 何回も御答弁するわけでありますけれども、国内産で自給していく従来の方針を私は貫いていく決意であります。
○村沢牧君 その決意は賛成ですが、先日、農林水産大臣の所信表明をお聞きしました。農林水産省は、外へ行けば食糧安保ということはよく言うんですが、大臣の所信表明には食糧安保だとか基礎的食糧の自給率を高めるとか一言もないんですね。外国へ行って食糧安保と言ったって、大臣の所信表明に食糧安保が一言もない。大臣は自分で読んだから御承知でしょう。こういう姿勢であっては私は国民の理解と納得を得ることはできないと思う。きょうは時間がありませんからこの所信表明については申し上げません。ひとつ本当にそういう決意があったら所信表明で堂々と国会で言ってもらいたいと思うんですね。 そこで、実はこの問題について私も何回もこの委員会で質問いたしました。山本前農林水産大臣は、米のことは私に任せてください、もし自由化するようなことがあったとすれば私は農林水産大臣として重大な決意をする、こういう発言がありました。大臣も農政通の大臣でありますが、今後いかなることがあってもその方針は変えない、あなたの政治生命をかけても貫き通すという決意をこの委員会で表明してもらいたいと思う。
○国務大臣(近藤元次君) 人それぞれの決意表明の表現の仕方があると思いますけれども、私も山本大臣と同じ心境でもおりますし、また不退転の決意で私はこの問題に対処していくということを衆議院の農水委員会でも表明をしてきたところであります。同じ心境であります。
○村沢牧君 海部総理は四月四日から訪米されると言われておりますが、米問題などについて米国から譲歩を求められるというようなことがあるとするならば、国会開会中、しかも予算委員会中アメリカなんぞへ行く必要はないと私は思うんです。米を初め農産物貿易については本委員会でも多年にわたって論議し、委員会決議もあるわけです。この経緯を踏まえて、当委員会の皆さんの意見は一致をしておると思うんです。 そこで、私は委員長に要請いたします。 総理が四月に訪米される。米の市場開放などについて譲歩を求められるというようなことがあるとするならば、総理は我が国の立場、従来の方針、国会決議も踏まえて毅然たる態度をとることを理事会として直接総理に申し入れてもらいたい。委員長に要請します。
○委員長(吉川博君) 一応協議の上お諮りします。
○村沢牧君 ぜひ理事会の皆さん方、そのようなことでやってもらいたい。私は強くお願いしておきます。 次は、今度は本題の繭糸価格の問題に入るんです。 養蚕は我が国の伝統的な産業である。また畑作地帯、中山間地域の農業経営において複合作物として重要な位置を占めており、農業経営の安定、地域経済の発展に寄与してきた。この養蚕は年々減少して、養蚕農家は昭和五十年には二十四万八千戸あったけれども、現在ではその二割の五万二千戸になってしまった。こうした状況が続いていくとするならば、まさに我が国の養蚕、繭糸は壊滅的な状況になってしまうと思うんです。 そこで、率直に数字について伺いたい。最近年度の我が国の生糸の需要量、生産量、繭の生産量について、また同時に、生糸及び繭の生産量は昭和五十一年に比べてどうなっているか。数字的な答弁をお願いしたい。
○政府委員(安橋隆雄君) 最近の繭及び生糸の生産量、需要量についてのお尋ねでございます。 繭の生産量は平成元年には二万七千トン、平成二年で二万五千トンでございます。これに対しまして生糸の需要の方でございますが、製糸業者から絹織物業者等に引き渡された数量で見ますと、平成元年には十三万俵ということになっておりまして、繭の需要に対する生産の割合は六四%ということになっているわけでございます。 なお、五十一年と比べていかがかということでございますが、昭和五十一年度には繭の生産量が八万七千トンでございました。平成二年度ではただいま申しましたように二万五千トンでございま すので、五十一年度に比べまして平成二年度は二九%の水準でございます。 それから生糸の生産の方でございますが、五十一生糸年度には二十八万七千俵でございましたが、平成元年度は九万八千俵でございまして、平成元年度は五十一年に対して三四%の水準でございます。また、生糸の需要量の方でございますが、五十一年を一〇〇といたしまして平成元年には四一という水準になっておりまして、繭の生産量も減っておるわけでございますが、それからつくりました生糸の需要量の方も減っている。生産、需要とも縮小傾向をたどってきたというのがこのところの状況かと存じます。
○村沢牧君 生糸の生産量について言っていませんね。
○政府委員(安橋隆雄君) 生糸の生産量は、五十一年度は二十八万七千俵でございまして、元年度の生産量が九万八千俵でございます。したがいまして、五十一年を一〇〇といたしますと、平成元年度は三四の水準になっているわけでございます。
○村沢牧君 政府は重要農産物の需要と生産の長期見通しの中で、平成十二年生糸の需要が二十二万俵、生産が十三万俵から十五万俵、繭は四万トンから四万六千トンを見込んでいる。将来とも需要に生産は追いつかない。 ところで、今答弁があったように、平成元年の生糸の生産量は九万八千俵、それから繭は二万七千トンである。これは将来を見込んでもこの目標を達成するのは大変なことだと思う。この長期見通しというのは単なる目標ではないと思います。農基法に定めたこの見通しは政府の生産の誘導計画である。この見通しを現実のものにするためにはかなりの積極的な対策を講じなければならない。 そこで、農業の中で養蚕の占める位置というか役割についてどのように認識をして、そしてどういう方向を今後展開してこの長期目標を達成しようとしているのか。大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(近藤元次君) 養蚕は、農山村畑作地帯における農業経営に重要な作物として定着をしてまいりました。地域経済の発展に寄与してきたところでありますが、近年、繭生産量は減少傾向で推移しており、今後生産性の向上を図り低コスト養蚕を確立することが急務でなかろうかと、こう考えております。 このような基本認識のもとに、今後の養蚕業については、革新的な技術を活用した低コスト養蚕の実現。具体的な技術としては、桑以外のものを食べる広食性の蚕、家畜用飼料を中心とした低コスト人工飼料、ベルトコンベヤーを使ったような超省力飼育装置、早期多収の密植桑園等用途別繭生産の確立、絹と合成繊維を絡ませたハイブリッドシルク用等の推進により先進国型の養蚕業の確立を図ってまいりたい、そう考えておる次第であります。
○村沢牧君 農蚕園芸局長、今現実の状態、過去の経過から見て、この長期目標、まだ九年もあると言っても、達成するには農林水産省としても相当な努力をしなければならないと思いますが、あなたは担当局長としてどのように考えますか。
○政府委員(安橋隆雄君) 長期目標の意欲的見通しを達成するためには、先生御指摘のとおり、今の傾向から見ますと相当努力しなければならないというふうに考えているところでございます。特に生産対策といたしまして、日本の世界に冠たる技術で品質のよい繭をつくっていくというための生産対策の充実、これがぜひとも必要であるというふうに考えているところでございまして、そのために今後あらゆる努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○村沢牧君 平成二年度糸価の動向は安定帯の中で推移している。農水省に言わせれば、前年と比べて非常にいいというふうな見方をしているというふうに思いますが、平成元年と二年の平均実勢糸価と農家手取り繭代を比較した数字を示してください。
○政府委員(安橋隆雄君) 平成二生糸年度の糸価のまず動向でございますけれども……
○村沢牧君 動向は知ってます。数字を示してください、時間がありませんから。
○政府委員(安橋隆雄君) 安定帯価格の中で二千円前後の幅で変動しているところでございます。その実勢の繭価は千九百十二円ということになっているわけでございます。これは平成元年度よりは下がっているわけでございますけれども、安定帯価格の中心価格で形成されているというところの生糸価格を反映した繭価であるというふうに考えているところでございます。
○村沢牧君 私の持っている資料によりますと、平成元年度には算定糸価は一万六千三百三十四円、平成二年には一万二千百八十二円、七四%であります。また農家手取り額は、平成元年には二千四百七十四円、二年には千八百四十八円、七五%であります。こうした傾向に間違いありませんね。
○政府委員(安橋隆雄君) 先生の御指摘の数字で間違いございません。
○村沢牧君 ですから、元年と比べて二年が農家手取り繭代から見て七五%だ。これで安定してよかったなと、そんなこと言える立場じゃないじゃありませんか。 そこで、繭の生産費を発表してください。
○説明員(須田洵君) 統計情報部でございますが、平成二年産の繭生産費につきましては、明日公表を予定しておるわけでございます。したがいまして、いましばらくお待ちいただきたいと存じます。
○村沢牧君 明日発表する。本日委員会があって質問することはわかっている。そうだとするならば、計算は既にできている。そんなもったいぶらなくたっていいじゃないですか。しかし、毎年審議会の前日に発表しておる。慣例になっているようですね。ですから、それは認めておきましょう。 それで、次のことについて伺いたい。 平成元年度繭一キロ当たり生産費は三千六百十一円だと、平成二年度は元年に比べて増加するというふうに思うがどうか。生産費の区分の中で、金額的にも増加するものは何か。また、収益性は、所得、一日当たり家族労働報酬は前年対比かなり落ち込むのではないかと思われますが、どうですか。
○説明員(須田洵君) 繭生産費調査につきましての扱いは先ほど申し上げたとおりでございますが、生産費を構成いたします主要な費目の動向から見ますと、大体次のようなことかなという感じがしております。 平成二年産繭生産費調査の調査期間でございます平成元年十一月から二年十月までの間におきまして、肥料代あるいは農業薬剤等の価格につきましては、総じて小幅でございますけれども上昇していると思います。それから、労賃の単価につきましてもやや上昇していると見られるわけでございます。 一方、コストの減少要因といたしましては、凍霜害も少なくて、労働時間も若干減っている。一戸当たりの掃き立て規模もやや拡大しているということ等が挙げられると思います。 このような上昇要因、そして一方には減少要因というものがあるわけでございますが、かなり打ち消し合う面が大きいのではないか。結果的に見ますと、第二次生産費としましては前年産とほとんど差がないものになるのではないかという実感を持っております。
○村沢牧君 ほとんど差がないという話がありましたけれども、あしたになればわかることですからね。あしたじゃなくても私は見当ついておる。 そこで、所得だとか一日当たり家族労働報酬というのは、前の年に比べて五〇%以上下がる、そういうふうに思いますが、どうですか、間違いありませんか。
○説明員(須田洵君) これにつきましても、先ほどのように、具体的な数字は申しかねますが、生産費の水準が前年産とほとんど変わらないとすれば、あとは粗収益といいますか繭の値段、実際の農家の手取りといいますか、そういうものとの関連、先ほど御質問ございましたそれらとの関連で 申しますと、所得としては、この期間の前年に対する対比としてはかなりの減少になるのではないかというふうに見ております。
○村沢牧君 所得が五〇%以下になると、否定しませんね。数字を言えとは言いませんよ。否定しませんね。
○説明員(須田洵君) かなりの減少になるだろうということでございます。
○村沢牧君 かなりじゃない。五〇%だと私は言っているんだよ。まあ答弁しにくいようでありますが、五〇%以下になることは間違いない。 そこで、繭の生産費は、先ほど答弁ありましたように平成二年は明日出すとしても、元年は三千六百十一円かかっているんですね。平成二年はもっと上がるんですよ。さっき答弁がありましたように、平均糸価、これは実勢糸価ですよ、それを平均して一万二千百八十二円だと。ところが、農家の手取り繭代は千八百四十八円ですよ。非常によかったよかったと言うけれども。 平成元年の繭の生産費の内訳を見ると、労働費が二千七十三円かかっているんです。ことしはこれがもっと上がるんです。そうすると、農家の繭の手取りが千八百四十八円だとするならば、労働費すらこれは賄うことができないんですよ。ましてや物財費その他に回るところはさらにない。これでは再生産が可能な糸価とは言えないじゃありませんか。どうですか。
○政府委員(安橋隆雄君) 生糸価格あるいは繭糸価格というようなものの行改価格水準でございますけれども、生産条件というような意味で先生今おっしゃいましたような生産費というのが一つの指標になるかと思いますが、それ以外にも生糸の需給事情でございますとか、あるいはその他の経済事情といったものを総合的に勘案して決定することになっておるわけでございます。法の目的からいたしましても、蚕糸業の経営安定と生糸の需要増進というようなことを総合的に勘案して決めるということになっておりますので、私どもといたしましてはそういうことを総合的に勘案して決定してまいりたいというふうに考えるところでございます。
○村沢牧君 局長、私が申し上げたいのは、安定価格ではなくて実勢糸価を言っているんですね。あるいは実勢繭価を言っておるんですよ。例えば農家の手取りが千八百四十八円というのは、これは制度の中のあれじゃないんです、実際のことですよ。ですけれども、繭の生産費は先ほど来申し上げておりますように、昨年でも三千六百十一円かかっておるんです。ことしはもっと上がるんです。これは何も経済事情や何かしんしゃくしてやったものじゃないです。統計情報部の資料ですよ。この繭の生産費を基準として生糸の生産費はどういうふうに見るのか、あなたたちがこれははじくことである。統計情報部の資料に間違いないと思う。ですから、これでもって再生産が可能な実勢糸価でございますと言えないじゃありませんか、どうですか。
○政府委員(安橋隆雄君) 生産費調査によります生産費は、先生がおっしゃいましたように、平成元年度で三千六百十一円でございます。先生おっしゃいましたように、実勢繭価といたしましては平成元年が二千五百三十一円、二年で千九百十二円ということでございます。そのような意味で、繭の生産費が実勢繭価を一〇〇%カバーしているのではなくて、平成元年でカバー率七〇%、二年では五三%というような状況になっているわけでございますが、やはり今後の繭の生産、蚕糸業の安定ということを考えました場合には、コストの削減というようなことが国際情勢を前提といたしますと大変大切になってくるわけでございますので、より一層生産性の向上を図ることによりまして、品質のいい国産繭を供給していくということが肝要であるというふうに考えているところでございます。
○村沢牧君 局長の答弁も答弁になっておりませんが、コストの低減を図ることは当然のこと。コストの低減を図っていけば糸価が安くなる、安定制度の中で。これは、ひとり糸や繭だけじゃなくて畜産全体に、農産物全体に言えることなんです。 そこで、局長の答弁も、さっき私が平成二年度の平均農家の手取り繭代は千八百四十八円だ、間違いないかと言ったら間違いないと。今また答弁では千九百十二円なんて言っているが、一体どっちが正しいんだか。そんな答弁じゃだめだ。 そこで、現行の安定価格、これは生糸、繭の生産費あるいは需給事情に照らして非常に低過ぎると思う。需給事情は、今まで申し上げたとおりで、足らない。それから、生糸の生産費もかなり高くなっていますが、安定基準価格は一万四百円、上位価格は一万四千八百円ですね。基準繭価は千五百十八円。こんなに低い価格では安定制度の意味をなさないと思う。また、実勢価格を低いところに誘導する制度になっちゃう。ことしの価格決定に当たってはこれを引き上げるべきだと思うんですね。農水省が言ったかどうか知らないけれども、新聞ではことしは据え置きだなんということがいち早く発表されていますね。生産費もわからないうちに据え置きだなんということを、あなたたちが言ったかどうか知らないけれども、言われる方がおかしいんですね。 ですから私は、安定制度を維持するためにはこれは引き上げなければいけない。同時に、養蚕家の側に立っていただけば高いにこしたことはないけれども、しかしこれは絹業者等の関係もあるので、当面の糸価は最低でも一万四千円以上、それから繭価は二千三百円以上、こういうふうにしてもらいたい、切実な要求です。どういうふうに考えますか。
○政府委員(安橋隆雄君) 平成二年の実勢繭価と先生がおっしゃいました繭価とが違うということでございますが、これは製糸が支払った繭価と農家が現実に受け取る繭価とのちょっと統計上の違いで若干の誤差はございますが、傾向といたしましては、御指摘のとおり平成二年度は平成元年度と比べて、平成元年度自体が生糸の異常相場で形成された繭価でございますので、若干下がっているわけでございます。今後の価格でございますが、現在実勢繭価が、生糸相場から逆算いたしますと、大体一万三千五百円に対応する繭価としては二千百円をややオーバーする程度の繭価になっておりますので、こういった安定的な水準で、今後安定価格帯の中で繭価が形成され、それによって農家の所得の安定に資するようにしていきたいと考えているところでございます。
○村沢牧君 私の持ち時間もぼつぼつ終わりになりますから、まだ質問することはたくさんありますが、はしょって要求もし、最後に答弁をいただきたいと思う。 今局長や農水省の皆さん方は、今の糸価あるいはまたそこから推定される繭価ですね、まあまあというものだということが頭の中に常にありますから、これでは私は養蚕の振興にならないと思うんですね。だから実勢糸価を高める方法は、一つは、農水省として考えなければならないのは、輸入をもうこれ以上は余り大幅にやっちゃいけない。平成二年度の輸入生糸の中国との関係でも四万俵も協定しておる。これは非常に多過ぎる。協議中で、まだ輸入の残についてはこれから話をしていくということでありますけれども、これ以上輸入しちゃいけない。平成三年度の一元化の問題についても、これは十分配慮しなければいけない。私は強く要請しておきたい。 それから、事業団の在庫についても、今までは事業団の在庫があり過ぎたからということで、事業団の在庫を減らすために期中改定をやったり糸価を下げてきた。これについても、この放出は慎重にやらなければならない。流通の改善もしなきゃならない。 そこで、今日まで養蚕がこういうことになり、このまま推移すれば深刻な状態になるということは、ただ養蚕農家が高齢化したとか後継者がいなくなったということじゃない。政府の責任も重大なんですね。これを無視することはできない。過去に、基準糸価を下げたり、据え置きしたり、しかも甚だしいときには期中改定を年に二回もやったことがあるじゃありませんか。そのときには桑を こぎなさいと言う。それで繭が足らなくなったら、今度は桑を植えてください。こんなことをやっておって養蚕の振興になりますか。あるいは生糸の振興になりますか。だから、政府の責任が私は極めて大きいと思う。もちろん養蚕家は養蚕家として努力をいたしますが、そのためにもことしの糸価については、私が指摘をしたような現状でありますので、大臣、十分ひとつ検討して、農家の要望にこたえてもらいたい。そして、安定価格制度は絶対守ってもらいたい。このことを要望いたしまして、答弁があったら簡潔にひとつお願いしたいと思う。
○国務大臣(近藤元次君) 価格安定制度、一元輸入制度は重要な制度でありますので、これは引き続き守っていきたい、こう考えております。
○鎌田要人君 あと六日でいよいよ牛肉が自由化されるわけでございます。恐らくこの輸入自由化という事態を迎えまして、消費者サイドからは、今まで世界で一番か二番か知りませんが、高い牛肉を食わされておったので、自由化歓迎という声もあるようでありますが、果たしてそうなるか。何よりもやはり畜産農家が自由化という事態のもとでいろいろ思いもかけないような事態というものに遭遇するのではないか。現に、農水省初めいろんなところで自由化が及ぼす影響ということについても分析をし、これに対して対処おさおさ怠りないところであろうと思うわけでございます。このような未知の事態というものに対しまして、当の畜産の生産に従事される方々はもちろんでありますが、関係団体、行政、政治一丸となって、畜産の国民のニーズに対応しましての食肉の供給あるいは畜産経営の安定、両方を達成してまいらなければならないということで、改めて覚悟を強くいたしておる次第でございます。 それに関連をいたしましてまずお伺いいたしたいと思いますのは、六十三年の六月に日米・日豪交渉で自由化が決まりましたときに、六十三年度から毎年六万トンずつ輸入総枠を広げるということになっておりまして、今日に至っておるわけでございますが、これが我が国の畜産物の価格、当の牛肉はもちろんでございますが、当然代替生産物としての豚あるいは鶏、こういったところにも影響があるわけでございましょうし、また畜産経営、こういった面にどのような影響を及ぼしておると把握をしておられますか、簡潔にお述べいただきたいと存じます。
○説明員(長良恭行君) 最近におきます輸入牛肉の価格は、今お話がございましたような事情でかなりの程度低下しておりまして、国産牛肉の価格も輸入牛肉と品質的に競合する度合いの高い乳用牛の牛肉を中心に低下しております。高品質な和牛につきましては、品質的に見まして輸入牛肉と異なったマーケットを形成していることから、現在までその価格は堅調に推移しております。そういうことで、肉専用種の肥育経営及び繁殖経営につきましては、収益性はおおむね順調に推移しております。 乳用種の肥育経営につきましては、近年規模拡大の進展とか枝肉の価格の堅調から収益性は安定的に推移してきたわけでございますが、最近は低規格物を中心といたしました乳用種枝肉価格の下落から低下しております。このため乳用種肥育経営が肥育素牛を購入する際の負担軽減を図るための措置を講じまして、肥育経営の安定に努めておるところでございます。 それから、ほかの畜種に与える影響ということでございますが、豚肉価格につきましては、牛肉と競合する可能性が高い家庭用の需要の割合、これは大体四割程度でございますが、六割ぐらいが加工用の原料等として、この需要割合が高い。また、加工品を含む豚肉の需要につきましては、かなり国民生活の中で定着しておりますので、牛肉の自由化によりまして、豚肉につきまして急激かつ大幅な影響はないんではないかというふうに考えております。 また、鶏肉価格につきましては、牛肉に比較しまして価格的に相当安価でございますし、さらに鶏肉につきましては健康食品として独自のマーケットが確保されておる、こういうこともございまして、牛肉との競合性が低いんではないかということで、それほど大きな影響はないんではないかというふうに考えております。
○鎌田要人君 ありがとうございました。 これまでの三年間、六万トンずつの輸入枠の増加に対する影響ということにつきましては恐れるような事態というものには至っておらないということのようでございますが、いよいよこの四月からの自由化ということを迎えまして、マスコミ等の報道するところによりますと、既に都内のデパートがアメリカの高級牛肉、脂肪の低いものを入れる、こういうことがございましたり、あるいはまた輸入商社、食肉メーカー、こういったところが現地で買い付けをやる、そういうことで既に牛肉の価格も上がっておる。したがいまして、消費者が期待されるほど牛肉の価格も下がらない。まさに私はそういう意味で、牛肉が自由化したならば投機的な商品になる可能性が十分にあるという危惧すらも持つわけでございます。 さらに加えまして、アメリカのことでありますから、日本の市場を目がけて例の輸出補助金、まことにこれは私は手前勝手な制度だと思うわけでありますが、輸出補助金をうんとつけて、日本に殴り込みをかける、こういったようなこと等になりますと、今の肉用牛等でも、すそ野のあたりには大きな影響を受ける。何よりもそういったことで牛肉の価格に乱高下が起こってくる、こういったようなこと等も、これは私だけでなくて、専門家の方でも指摘をされる向きがあるわけでございます。まさにそういう意味での、四月一日以降にどのような畜産物価格に対する変動あるいは畜産経営に対する影響があるというふうにお考えになっておられますか。お教えいただきたいと存じます。
○説明員(長良恭行君) 牛肉の輸入につきましては、今お話しございましたように、四月一日以降自由化されまして、ある意味では今までの割り当てがないわけでございますので、どなたでも輸入できるわけですが、私ども先ほど申し上げましたように、一つは畜産振興事業団がかなりの在庫を抱えておりまして、六万トン弱でございますが、これを毎月定時定量に売っていく。市況に悪影響を与えないような形で売っていくということを既に明らかにいたしておりますし、また国境措置につきましても、初年度は七〇%、その後は六〇%、その後は五〇%、そこまでは決まっております。 関税につきましてもだんだん三年間は下がっておるわけでございますので、一度にどっと輸入するようなことはないんではないかというようなことも考えておりますし、またそういうふうに期待もしておるわけでございますが、万一輸入が急増した場合には、緊急措置も設けられるようになっております。また、経営対策につきましては、肉用牛、特に子牛に自由化の影響というのが一番出やすいということでございますので、既に自由化に先駆けまして一年前から肉用子牛の価格安定制度、生産者補給金制度を設けたわけでございます。これらの措置を通じまして、極力国内の経営なり影響が緩和されるようなことを考えていきたいというふうに考えております。
○鎌田要人君 そこで、いみじくも子牛の価格に自由化の波がまず一番影響が出てくるだろうというお答えが今ございました。最近におきます子牛の価格の動向はどのように把握をしておられるでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 最近の肉用子牛の価格でございますが、肉専用種は枝肉価格が堅調でございます。そういうことで、非常にそれを反映いたしまして堅調に推移しております。他方、乳用種につきましては、平成二年度に入りまして低下しておりまして、品種間格差が拡大しているということでございます。 品種で申しますと、肉用子牛の価格につきまして黒毛和種と褐毛和種、これにつきましては枝肉価格が堅調ということで、今後とも比較的堅調に推移するのではないかと見込んでおりますが、乳用種につきましては枝肉価格が低規格ものを中心 に低下しているということがございますので、子牛価格も低下しておりまして、今後とも低下するおそれがあるというふうに考えております。 その他肉専用種というのがございまして、これは代表的なものは日本短角種等でございますが、これにつきましては昨年秋、天候の関係等もありまして価格が下がったということがございます。現に補給金も交付されたわけでございますが、今後生産条件がよくなれば回復することも見込まれるのではないかというふうに見ております。 以上でございます。
○鎌田要人君 この肉用子牛の価格の問題でありますが、これは私も地方で経験がございますが、昭和五十八年、九年、あのころに非常に下がったことがございます。当時子牛の価格安定基金制度がありまして、それの保証基準価格が鹿児島は三十万です。四十万ぐらいの子牛の価格が見る見るうちに三十万の壁を切り、二十万の壁を切り、十五、六万までいっちゃったんです。原因がよくわからない。後になってそれぞれ分析をすれば恐らく分析ができるんだろうと思うんですけれども、多分にやはり気配的なといいますか、例えは悪いんですが、かつてトイレットペーパーを買いに走ったようなああいう心理的な、今売らないとあすはもっと下がるぞと、こういった一種の心理的なパニック状態で価格が動くことをそのときに私は痛感したんです。 今度は御案内のとおり、反動的にここもう四、五年高値安定をしておりますけれども、今のこの状態が全体的にはじりじりと下降ぎみだということは間違いない。五十万円台でありましたものが、鹿児島の状況では、一月が四十八万、二月が四十七万ぐらいに下がってきておるわけです。そういう状況を見ておりますと、この自由化の影響ということで、何かのきっかけでまたある程度、もう高値で熱し切っておりますから、この価格がいつ五十八年のときのような一路低下ということに雪崩を打たないとも限らない。この危険性を非常に私は感じておる次第でございます。それは私の所感でありますが、反面この子牛の生産費の動向はどうなっておりましょうか、これをお伺いいたしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 子牛の生産費につきましては、農林水産省の統計情報部で和子牛生産費調査がございます。六十三年以降子牛一頭当たりの第二次生産費で申しますと、六十三年が四十二万円、元年が四十一万六千円、平成二年が四十二万二千円と、年によって変動がございますけれども、ほぼ一頭当たり四十二万円程度で推移しております。
○鎌田要人君 実は私がこれをお伺いしますのは、昨年御案内の牛肉の輸入自由化に対応いしましてこれに対する緊急の対策の一環として、子牛の生産者補給金制度ができました。これまでの子牛の安定基金制度をさらに拡充強化する形で不足払いの制度ができました。これは非常に私は善政、またこれから自由化を目の前に控えて頑張っていこうという畜産農家に大きな希望の灯をともしてくれたと高く評価するわけでありますが、問題はその保証基準価格でございまして、これにつきましては、この生産農家の方では三十五万程度の保証基準価格を設定していただけるのではないか、またいただきたいと、こういう強い希望がございます。ところが、これにつきましては多くを申し上げませんが、三十万四千円ということで、当時の価格安定基金のときの保証基準価格は三十万でありましたから、ちょっと期待外れという不満があったことも事実でございます。 またその後におきまして、今お答えがございましたように、短角牛につきましては、合理化基準価格まで割り込んで、先般この補給金制度の発動を見たということ等もございました。本日農水大臣の方から畜産振興審議会の方に向けまして、牛肉、豚肉のいわゆる支持価格あるいは子牛の保証基準価格なり、あるいは合理化目標基準価格等の御諮問がなされたわけでありますが、子牛の保証基準価格につきましては据え置き、あるいは合理化目標価格につきましては乳用種は二千円前年よりも減少する、こういうことでかなり生産者の皆さんたちは、不安を解消するのにしてはちょっと意外な感じを持ったのではないかという気がいたしております。 農水大臣、御就任に際しましての所信表明の中におきまして、畜産物の自由化を控えて、総合的な施策というものを講じてまいるということを力強くおっしゃっていただいたわけでありますが、この施策のやはり一番大きな柱をなすものは、この子牛の保証基準価格であり、あるいは合理化目標価格であり、それを包摂しての生産者補給金制度の円滑な運用であろうと思うわけでございます。 そこで、大臣に締めくくりの意味におきまして、本日御諮問になられました価格というものが農家にとりまして再生産を維持、確保でき、あるいはまた生産意欲を将来に向かって駆り立てるような水準のものであるという、もちろんそういう御自信のもとでお出しになられたと思うのでありますが、この価格の諮問についてのお考え、あるいは予測しがたい状況の中にあります自由化というものに対して、さらに万全の対応をしていかれるわけでありますが、その辺の御決意のほどをお伺いすることができればありがたいと存じます。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕
○国務大臣(近藤元次君) いろんな角度から先生御熱心に御経験やら御勉強していただいておることの御披露をいただいたわけであります。まさに自由化が四月一日、覚悟と準備はしてきたといえども、生産農家にとっては大変不安なことでなかろうかとそう思っておるわけであります。私どもも必ずしもすべてが予定ができるというわけではございませんで、不確定な要素もたくさん実はございますし、中長期的に見たら、やはり積極的に高品質のものをつくるためにどのような支援をしていくかということに改めて私ども力を注いでいかなければいけないときがやってきたなという感じはいたしておるわけであります。 生産農家、農業、何事によらず、激変が一番対応しにくいことでございますので、この緩和策というものは私ども十分注意をしながらここ一、二年対応を考えていかなければいけないということで神経を使っておるつもりでございます。今回、審議会に諮問をさせていただいたところについても、実質面と自由化、ぬれ子、老廃牛の価格の低下というようなことに現実の問題が私ども統計調査の段階とは期間が違った面で実は出てくる、そういう一部実質面と精神面と両方の配慮を農家に対してしていかなきゃならない、こういう感じを持っておりましたので、実勢価格に合わせるということでも、自由化の影響を受けない期間をできるだけとらせていただいたというのが基本的に私の念頭に実はございました。そして、今後対応していくにしても、今ここで余り価格の変動をさせない、今の価格をきちんと明確にしておいた方がいいのかなということで精いっぱいそういう配慮をしながら据え置きにさせていただいたり、ごくやむを得ざる分を減額をさせていただいたというのが私の偽らざる心境でございました。 今後、ここ数年というのは、激変をすることだけは対応できない生産農家に対して配慮していかなきゃなりませんし、一方、消費者につきましては選択の幅が広くなっていくだろうと思っているわけです。品質の格差なり、あるいは国内、輸入それぞれのその品質と価格との選択の幅が広くなるということで消費者にもまたメリットが出てくるんではないだろうか、そういうことで今回の諮問をさせていただきました。 今後、十分先生御経験の中から御指摘がございましたように、過去のあの変動のようなことになると、今、今日の畜産を経営する人たちにとってはまさに後継者が少なくともいなくなってしまうというそういう環境の中であるだけに過去のようなことを再び起こすことは畜産農家を壊滅させるということにつながっていくのではないかというふうなことを考えて、予算的には十分配慮させていただいておりますので、運用よろしきを得て対処してまいりたい、そう考えております。
○鎌田要人君 ありがとうございました。 農家の期待というものにこたえまして、冒頭に申しましたように、私どもも政府の立場から、また行政の立場からも万全の対応をさらにしてまいらなければならないと考えておる次第でございます。 なお、これに関連しまして、技術的なことにわたって恐縮でございますが、この特別措置法の第何条でございましたか、ちょっとここに控えてきておりませんが、物価その他経済情勢に重大な変化があった場合にはこの保証基準価格等の改定ができるという条文があったように記憶をいたします。この条文の趣旨とせられるところ、特に自由化等に伴いまして思いもかけない事態というものが生ずる、価格の変動等が生ずる場合を想定して設けられたこの条項であろうと思うわけでございますが、この条項を挿入せられた趣旨についてお伺いしたいと存じます。
○説明員(長良恭行君) 子牛の保証基準価格につきましては、肉用子牛生産安定等特別措置法第五条第六項におきまして次のように規定されております。「農林水産大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、保証基準価格等を改定することができる。」、こういう規定がございます。 これは私ども社会経済情勢なりが相当大規模で急激に変化したような場合で、具体的にというのは申しにくいわけでございますが、恐らくこういうことが行われるようなときには子牛の保証基準価格だけでなくて、ほかの類似の行政価格も改定されるようなそういうような変化が起こったときではないかというふうに考えられるわけでございますが、手続的には法律の規定に則しまして畜産振興審議会の意見を聞いて決める、こういうことになっておりますが、やはり農産物の行政価格がこの子牛だけでなくて全体が変わるようなそういう基本となる経済事情の急激な変化があったような場合ではないかというふうに考えております。
○鎌田要人君 いや、私がお伺いしたかったのは、こういう事態を想定してわざわざこういう規定が入っている。この年度一遍決められたものを改定するというのはこれはよくよくのことですから、恐らく自由化に伴っていろいろ予測できない事態というものが生じた場合に備えての一種のセービングクローズ的なものかどうかということを伺いたかった。
○説明員(長良恭行君) この法律は、確かに自由化を契機にできた法律でございますが、先ほどの条項におきまして「物価その他の経済事情に著しい変動」、こういう一般的な言い方をしておりますので、先ほども申し上げましたような大規模なかつ急激な社会経済情勢の変化があったようなときというふうに考えられるのではないかと思っております。
○鎌田要人君 最後にもう一つお伺いいたしたいんですが、たしか昨年この保証基準価格等を決めましたときに、子牛生産拡大奨励事業、まあ関連対策事業の中でいろいろ事業をつくっていただいたわけです。その中の一つとして子牛生産拡大奨励事業がございまして、これが事業実施期間平成二年度ということになっておりますが、事柄の性質として当然今年度においてもこれは同じ事業というものが行われてしかるべきだと思うわけでございますが、その点はどう考えておられるんでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 肉専用種繁殖経営におきます子牛生産拡大意欲の向上を図りまして、繁殖雌牛頭数の拡大と経営の維持強化を図ることを目的としまして、現在子牛生産拡大奨励事業を実施しております。この事業は、肉専用種の雌牛頭数の増頭をした人あるいは維持をした人に対しまして、指定市場の平均売買価格、これは四半期ごとでございますが、一定の水準を下回った場合に、その期間中に販売または保留をした子牛に対しまして奨励金を交付する。これによりまして肉用牛資源の増殖を図ることとするわけでございます。 黒毛和種を例に申し上げますと、黒毛和種の子牛の平均売買価格が三十五万円以下となった場合には、雌牛の増頭者に対しまして子牛一頭当たり二万八千円を、また子牛の平均売買価格が三十二万円以下となった場合には、雌牛の維持者に対し子牛一頭当たり一万八千円を交付する、こういう事業がございます。この事業につきましては依然として肉用子牛の増殖を図る必要がある、こういうことで平成三年度にも継続の方向で検討しておるところでございます。
○鎌田要人君 終わります。
○刈田貞子君 私も引き続き牛肉の問題についてお伺いします。 一九七八年、中川・ストラウス会談、一九八四年、山村・ブロック会談、一九八八年、佐藤・ヤイター会談、歴代の農林大臣が牛肉・オレンジの自由化問題について対応してこられて、いよいよ四月一日からその自由化ということが始まるわけでございますが、この問題について消費の段階の立場と、それから生産段階における影響とあわせてお伺いしてみたいと思います。 まず、午前中の細谷委員、あるいはまた前段でなさいました鎌田委員の方からもいろいろお話がございましたけれども、私からは、まず自由化後における牛肉の需給問題についてお伺いをしたいというふうに思います。 本日開かれております畜産審議会の食肉部会に局長が出されている報告書によりますと、牛肉の需要というのはかなり高い伸びを続けてきておるということから始まりまして、対前年度比は、六十二年度で九・三%、六十三年で九・〇%、それから元年が少し落ちて二・三%、平成二年は一〇%の伸びを示しているというふうに言われております。こうした牛肉の需要が自由化後どうなっていくのであろうか、この影響性の問題でございます。 それからあわせて今度は供給の方、生産としてお示しになっていらっしゃいますが、これは微増傾向にあると書いてある。きょうの報告書です。肉専用種では増加基調にあるが、乳用種では平成二年では横ばいであったのが後半から少し回復をしてきて微増状況にあるのだ、わずかな増加が平成二年は見込まれるであろうと書いてございます。これが生産状況ですね。 そのほかに、先ほどからお話がございましたように、六十三年の日米・日豪合意に基づいて三年間六万トンずつの積み増しをしてきたものが平成二年度では三十九万四千トンございましたですね。その在庫、先ほど来事業団の在庫六万トンとおっしゃっておられましたが、そのほかに民間が抱えている在庫六万トンがありますですね。ですから、十一万トン強というものがあるわけですね。そういう状況の供給関係の中で、この四月一日以降需給関係はどんな状況が出てくるのかということをまずお伺いいたします。
○説明員(長良恭行君) 今後の牛肉の需給でございますが、私も農産物の需要と生産の長期見通しでも、中長期的に見まして牛肉の需要は引き続きかなりの伸びが期待されるというふうに見ております。これに対しまして、国内生産なり輸入ともに安定して増加する、こういうふうに考えております。畜産物の需要の中でもやはり牛肉が一番大きいんではないか。ある意味では農産物全体で考えてもよろしいのかもしれませんが、食糧に対する需要の中で牛肉というのは非常に大きい部類に属するんではないかというふうに考えております。 国内の生産でございますけれども、これにつきましては、一つは酪農の方に基盤を置きます乳雄の肥育というので供給が一つございます。それからもう一つは和牛の方でございますが、この二つが大きな生産の資源でございますけれども、それぞれにつきまして、長期的に今後新技術あるいは飼料基盤の整備等によりまして生産を拡大していきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 さっきのお話で、自由化しても一度にどっと入ってくるような状況にはならないというふうなお話でしたよね。一方で先ほど私申し上げましたこの報告書によりますと、牛肉の需要は伸びているということなんですが、物すごくこれから先伸びていくという状況にあるのかどうな のかということも含めて実はお伺いをしようと思ったんですが、よろしゅうございますか。 私の見解からいうと、恐らく四月一日以降の国境措置七〇%の関税率はかなりきついものになるだろう。そうすると、市場ではそう消費者が期待するほどに下がらないのではないかというような感じも実は持っているんですよ、私の感じですが。だけれども、マスコミを通じてあらゆる報道がありますが、輸入牛肉が消費者の潜在需要を掘り起こして、これによって牛肉市場のパイを広げて、そして国産も恩恵をこうむり、共存共栄が実現するなどというふうに書いてあるんですが、こういう状況が創出されるでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 先ほど我が国の長期見通しを申し上げましたけれども、牛肉につきまして、国内生産は今後ふやしていかなければならないと思いますが、今後増大する需要のある程度の部分はやはり輸入の増ということで対応していかなければいけないんではないか、そういうふうに考えております。
○刈田貞子君 今までの実績からいうと、輸入が四十万トン、国内生産は八十万トン、それより伸びますか、下がりますか。
○説明員(長良恭行君) 先ほど申し上げました農産物の需要と生産の長期見通しでございますと、平成十二年度でございますが、需要量は、百五十一万トンから百七十三万トン、これは枝肉ベースでございますので、部分肉に換算しますと七掛けをしなければいけないわけですが、そういう需要の伸びを見ております。
○刈田貞子君 価格の関係でございますけれども、今言いました七〇%の関税率というのはかなり大きいものですね。輸入牛肉はそんなに下がらないのではないか、これが一つあるでしょう。それから、いわゆる肉専用種、これは私はやっぱり今の高水準でずっといくと思うんですね。問題は、今下がっているところのいわゆる乳用種、特にB2規格以下のものですね。こういうものは今下がっている。この種のものは今後どうなっていくのでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 輸入牛肉につきましては、傾向的に価格が下がっていくと考えております。その影響が大きいのは国内産の乳用種の低規格といいますか、そういうものが影響を受けやすいんではないか。これに対しまして和牛の方は、独自の需要があるということで影響度合いは少ないんではないか、現在までの動向を考えますとそういうようなことがうかがえるわけでございます。
○刈田貞子君 三月初めごろから新聞の折り込みなんかにいわゆるビーフビジネスというんでしょうか、キャンペーンがすごいんですよ。それで、おいしそうな牛肉の絵のついた広告がいっぱい入っている。えらい安い値段がついている、単位が一つ違うのではないかと思うくらいね。あれはやっぱり自由化を前にした一つの商戦だと思うんです。ビジネスだと思うんです。四月一日以降もこんな安い値で輸入牛肉が売れるのかなというふうに思いながら新聞の広告を一生懸命見ておるわけですね。私は恐らくこれを境に上がるのではないかなんというふうに思う。だって関税七〇%は非常に大きいわけでしょう。だから、これは上がるのではないかなというふうに思うんですが、その辺のところをどうお考えになるのか伺うのをまず一つおいておきます。 今度はB2以下の問題ですけれども、これは値が下がっていけば消費者にとってはありがたいわけですが、問題は、生産者の段階における課題を考えると、これは生産農家に対して非常に大きな影響が出ていくわけでございます。そういうB2以下の規格のものが下がることによって乳用種の肥育経営に与える影響はどんなふうに考えられるのか。そういうものに対する対策を今後どのようにしていくのか。恐らくそれは輸入牛肉が入ってきて、その安い価格がその競合するところの乳用種分の価格を引き下げるという効果をもたらすわけでしょう。だから、輸入自由化が始まることによってこうした生産農家に与える影響というふうにとらえるならば、それに対する対策をどのように考えればよろしいですか。
○説明員(長良恭行君) まず輸入牛肉によって影響を受けやすいと言われる乳用種につきまして、本日、畜産振興審議会に諮問いたしました、この委員会にお配りしました食肉価格の諮問値がございますが、牛肉の安定価格制度というものがございます。これは基準価格と上位価格とありまして、その範囲で安定させるということでございますが、この対象になります肉はB2、B3が中心でございます。これは別に和牛でも乳用種でもよろしいわけですが、実際の問題として和牛の大半はAクラスの方にいっておりますから、かなり乳用種のB3とB2と。今の価格の状況を見ますと、B3の方は比較的まだ安定しておるわけですが、B2の方がやや下がってきている、こういう状況でございまして、この価格安定制度によりまして、肥育経営なりの安定を図っていきたいというふうに考えております。 また子牛の方は、先ほど来御議論になっております子牛の保証基準価格というのがございます。これによって、補給金によりまして一定の措置をとっていきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 そこで、いわゆる生産者対策として一つ大きな役割を果たしておりますところの肥育経営農家対策として肉用牛肥育経営安定緊急対策事業がありますが、これのことについてお伺いしたいんですが、これが九月までで切れるということになっていますね。これは第三・四半期が一つの区切りだから九月まででこの緊急対策事業はおしまいですというふうに言われているんですが、これは指定事業でしょう。実は、高かったころ買った子牛を一生懸命育てて、今ここで成牛にして市場へ出していくという段階のところで経費すら回収できないというような状況が出てきているし、今後も出てくる。 先般、宮城の人に聞いたら、一頭二十五万六千円ぐらいで素牛を買って、四十万で十頭売ったというわけです。経費が大体五十万四千円ぐらい素牛分を含めてかかっているというんです。経費が回収できないという言い方がなされていました。そうすると、やっぱりそうした農家に、素牛が下がってきているのは昨年の七月以降にかけてですから、それ以前に買ったものを育ててきている肥育農家にとってはこの緊急対策、この指定事業というのはとても大きな意味を持つと思うんです。これは今後さらに継続を希望しているところが多いのですが、これはいかがでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 今お話のございました肉用牛肥育経営安定緊急対策事業でございますが、これは肥育農家の経営安定を図るために六十三年度の自由化関連対策として措置されたものでございます。 中身につきましては、肥育経営がちょうど今そういう時期にもありますが、高値で肥育素牛を買いまして、出荷の時期に枝肉が下落して収益性が低下した、こういうときに一定の対策奨励金を出しまして、素牛の導入とか育成に要する経費の負担軽減ということになっておるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、六十三年度の自由化関連対策ということで本年九月までということになっております。十月以降の肉用牛の肥育経営につきましては、現時点で的確に見通すことはなかなか難しい問題もございますけれども、自由化後の枝肉価格水準の動向によりましては、こうした肥育経営に収益性の低下が心配される、そういうこともあるわけでございますので、そうした情勢を踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 私のところへもこの指定事業は何とか継続してほしいという要望が多うございますので、ぜひ念頭に置いていただきたいというふうに思います。 それから、和牛の肥育経営の収益性、肉専用種の方の肥育です。これの方の状況は、さっきも価格のところで申し上げたように、市場価格が割合に堅調であるということで、また安定しているのではないかというふうな見通しにはなっているのですが、いろいろ聞いてみますと、ここでもやは り高齢化が進んでいる関係から子牛の生産農家が激減をしているという状況があるという報告を受けました。私のかかわっております島根県の子牛生産農家では、十年間で四〇%がいなくなっちゃった。これも非常に大きな問題だろうというふうに思うんですが、この和牛の肥育経営の収益性の問題、ないしは今後のこうした生産農家の見通しをどのように見ておられますか。
○説明員(長良恭行君) 和牛の肥育経営の収益性でございますが、これまで和牛の枝肉価格が堅調でございますので、数年安定的に推移してきております。ただ問題は、和牛の肥育経営のコストの六割というのが肥育素牛でございまして、これが非常に高水準で推移しておるわけでございますので、将来枝肉との関係で、枝肉が下がるようなときには肥育経営の収益性が下がる、こういうことも心配されるわけでございます。 先ほど申し上げましたような自由化関連措置ということで、和牛につきましても収益性が低下した時点で肥育素牛を導入する際の負担軽減を図るための措置というのがございまして、今後肥育経営を取り巻く諸情勢の変化を踏まえて適切に対処していきたい、かように思っております。
○刈田貞子君 それから繁殖経営の問題ですけれども、これ先ほど午前中から話が出ておりましたが、比較的肥育経営の規模拡大が進んでいるというふうに御報告なさっておられますし、私どもも視察等をしてみてそう感じます。 ただ、先ほどからお話がありましたように、この繁殖経営の規模拡大は一向に進んでおらないという状況でございますね。この対策を今後具体的にはどのように進めていかれるのか。今後特に低コスト生産というような問題も含めまして、これから後のさらに三年後をにらんで、繁殖経営というこのテーマもやはりこれからの大きな課題ではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 国内の和牛の生産拡大にとりまして繁殖経営というのが大きな部門であることは確かでございます。残念ながら現在飼養規模が平均しまして三頭ちょっとだと思いますが、非常に小さいということで、ただ緩慢ではございますけれども、繁殖雌牛五頭以上の頭数シェアも着実に増加しておりまして、今五頭以上飼っておられる農家のシェアが半分ということになっております。 ただ、なお規模は小さいということで、今後繁殖経営の規模拡大をどういうふうにしていったらいいかというのが大きな課題になっておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、繁殖雌牛の導入によりまして頭数拡大あるいは飼料作物の生産を拡大する、飼料基盤を整備するというのが一つの大きなことでございます。 それからもう一つは、事故率の低下なり分娩間隔の短縮等そうした技術面での生産性の向上等がございますし、また受精卵移植技術等を活用して双子生産技術、これはかなり普及に時間がかかるわけでございますが、そういうような増産技術、こういうようなことを使いまして生産を中長期的に拡大する方向でいきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 低コスト生産ということを考えた場合に、今言われた飼料の問題、それから事故率の問題、後でまた歩どまりの問題、それから労働力の問題等々いろいろあるんですが、やっぱり一番もとになるのは素牛価格の問題だと思うんです。これがやはりこれからの我が国の肉牛生産にとっては大きな課題になろうかと思いますが、本日この肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格を諮問されているわけですが、大臣先ほどきょう示されたこの基準価格及び合理化目標価格に対して御見解を述べられておられましたが、保証基準価格は生産者の中に不安が残るので据え置きにした。それから、合理化目標価格については、関税率及び品質格差等を勘案してマイナス二千円としたというふうなことをさっきおっしゃられたように思うんですが、この子牛価格の基本的な考え方についてお伺いします。
○国務大臣(近藤元次君) 改めてまた正確に御答弁させていただきます。 子牛の保証基準価格につきましては、来年度は自由化初年度であり、繁殖経営の生産費の動向等を考慮して据え置きにさせていただいたわけであります。 それから、子牛の合理化目標価格につきましては、関税率や品質格差等の算定上の諸要素の変化を織り込んで輸入牛肉に対抗し得る子牛価格の水準として、肉専用種は据え置き、乳用種は若干引き下げさせていただいたわけであります。
○刈田貞子君 それで、私ども六十三年に、この牛肉自由化の問題が三年後ということで決まったときに、「国際化に対応した牛肉政策の確立について」という我が党の私案を発表したことがございます。今それを私読み返してみますと、やっぱりこの素牛生産を一番主軸に置いてつくってございます。 その中で、これはかつて私もこの委員会でも発言をしたことがあるのですが、肉用子牛について輸入をするという問題、これはどうなのかということで提案をした経過があるわけでございますが、この我が党の政策の中にもそのことが実はうたってありまして、肉用子牛の輸入ということについては大きな関心を持っておるところでございますが、今回この肉用子牛の関税割り当てが関税率審議会で、平成三年にいわゆる無税枠ゼロということを大蔵省が決めたんですか。これに対して農水省はどういう見解をとられるのかお伺いしたいんですが、五十年代には五千頭から六千頭、それから六十二年で二万五千頭、元年、二年は二万八千頭の子牛を輸入していますね、いわゆる無税枠の中で。それをゼロにしてしまったということは、私どもの考え方としては大変残念でございますが、お伺いするところでは、いわゆる子牛価格が下がってきているからというような理由をおっしゃっておられましたが、これは非常に不安定要素があるわけですから、この辺のところの考え方はどういうふうに考えたらよろしいのか、お伺いします。
○説明員(長良恭行君) 現在子牛につきましては関税割り当て制度というのがございまして、これは昭和四十六年の十月に自由化されたわけですが、その際に、安価な子牛の輸入増大から国内の子牛生産農家を保護するために子牛について一頭四万五千円の暫定税率を設定したわけでございます。その後一定の範囲内で無税枠というのがあるわけでございますが、それがここ最近の例では、割り当て頭数は二万八千頭ということになっております。肥育用子牛に限らないわけでございますが、関税割り当て制度と申しますのは、当該物品の国内需給動向等を勘案して定めることとされておるわけでございまして、肥育用子牛につきましても国内需要の見込み量と国内生産見込み量を推計しまして、そこに過不足がありますとその数量を必要輸入量として関税割り当てを行う、これが基本になっておるわけでございます。 最近の牛肉の需給の動向につきましては、牛肉の輸入枠の大幅な拡大でありますとか在庫の増大に伴いまして輸入牛肉の需給なり価格は緩和しておりますし、国産牛肉につきましても輸入牛肉と競合度の高い乳用種を中心に価格低下がある。全体としましては需給緩和傾向で推移している。そういうことで、子牛価格につきましても牛肉価格の動向を反映しまして、乳用種でありますとか日本短角種等で低下傾向で推移しているわけでございます。特に短角種につきましては、合理化目標を下回り、不足払いの発動、こういう状況になったわけでございます。 特に子牛の需給につきましては、本年四月からの牛肉の輸入自由化に伴いまして一層の牛肉の供給拡大、需給緩和が見込まれる。子牛につきましても、牛肉の需給緩和に伴い需要が弱まる一方で雌牛の飼養頭数の増大から供給の拡大が見込まれる。こういうことで、子牛についての需給は緩和傾向で推移しているんではないか。平成三年度におきましては、これは農林水産省の方の判断でご ざいますが、以上のような子牛等の需給動向を考えまして、関税率審議会で関税割り当て数量をゼロとすることはやむを得ない、そういうことで先般決定したわけでございます。
○刈田貞子君 たしか十六年ぶりに廃止したというわけなんですね。私どもの党といたしましては残念な気がいたします。 それから、時間がございませんので次の問題は、先ほど細谷委員の方からもお話がございましたように、開発輸入の問題についてお伺いをしたいと思いますが、先ほど大手の商社の資本投資の状況のお話がございましたが、加工メーカー、それから商社あるいは量販店等がアメリカを中心に、オーストラリア、ニュージーランド等たくさんの資本を投資して、そして外地において食肉を生産しているという状況でございますね。もちろん我が国にも十五社のアメリカ、それから六社でしたかオーストラリアのパッカー等がもう既に入り込んで事務所を開設いたしておりますね。ですから、乱入もされている部分があるんですが、お伺いしたいのは、こうした海外に多くの資本が食肉生産のために進出していくということが牛肉の自由化ということのそもそもの目的を達することになるのかどうなのかなという思いがあります。 今我が国は、アメリカの議会等によって海外における我が国の自動車業界がたたかれておりますけれども、その二の舞を踏むことにはならないのかどうなのかなというようなこともあって実はこうした問題をお伺いしているわけですが、私がいただいた新聞でも、ジャスコとか西友とかダイエー、それから高島屋、東急ストア等々量販店でさえこのぐらいの資本を海外にみんな投資し始めております。さっき言った商社は言うに及ばずでございます。そうしますと、これは自動車業界の二の舞をいくのかな、それとも、いや鉱工業生産とは違うのだというお立場をおとりになるのか。その辺についてお伺いします。
○説明員(長良恭行君) 日本側の企業が商社、食肉加工メーカー等を中心で約三十社、米国、豪州を中心に海外に進出していまして、牧場、パッカー等の買収を行っておりますが、これにつきましては日本企業の海外進出自体は基本的には届け出制ということになっておりまして、なかなか特別な規制というのはできにくいんではないかというふうに考えております。
○刈田貞子君 特別な規制は難しいと思いますし、これはもちろん自由主義経済の中でごく当然のものではありますけれども、将来的にそういう形の、さっき自動車業界の話をしたんですけれども、そんなふうなことが出てきはしないかという思いがありますので、今後こうした動向に農林水産省もきちっと目を向けておかなければならないのではないかというふうに思います。 最後に、今回の自由化を前にして一つの事業として、これは前からやっている事業でしょうか、食肉等安全対策体制整備事業、指定事業ですよ、三億四千三百万円ほどの予算を持っておられますが、食肉等安全対策整備事業がこのようにあるにもかかわらず、実は我が国の食肉の安全性に関する機能というのは非常に粗末なのではないかというふうに思います。 それは、先般の総務庁の行政監察が出ていますね。総務庁の「動物用医薬品等に関する行政監察」の中で、成長ホルモン剤、特に合成成長ホルモン剤についてのチェックが我が国では十分になされていない、今どの程度の成長ホルモン剤を使っている肉が輸入されているのか実態が把握されていないのではないかという指摘がございます。非常に多くのことが書かれておりまして、私は、この安全対策等を事業として進めておられるからには、こうした問題にも今後取り組んでいかなければならないのではないかというふうに思います。合成ホルモン剤三成分、ゼラノール、トレンボロン、メレンゲステロールというのがあるんですね。この三つの中のメレンゲステロールだけは厚生省で一つ基準を持っているんです、残留基準を。あとの二つは基準を持っていないんですね。したがって、チェックもしていない。こういう問題についてもこれから考えていかなければならないのではないかというふうに思いますが、これは厚生省をお呼びしてお伺いすると一番いいんですけれども、実はこの総務庁の勧告は農水省に対してなされているんですね。だから、農水省がこの総務庁の行政監察に対してどうこれからお答えになっていくのかということも含めて答弁を求め、私の質問を終わります。
○説明員(長良恭行君) 食肉を初めとします食品につきましては、国内的には食品衛生法のもとに規制、チェックの上流通しておるわけでございまして、また輸入食品につきましては、輸出国政府の責任によりまして安全証明がなされており、通関時には必要に応じて厚生省による検査が行われておるわけです。もちろん農林水産省といたしましても、国民に安全な食品を供給することは重要な課題であると考えておりまして、平成元年度から畜産振興事業団の指定事業といたしまして、民間における食肉中の残留物資の自主検査体制を整備しておるところでございます。 お話がございましたホルモンにつき、合成ホルモンと天然ホルモンとあるわけでございますが、私ども動物用の医薬品としましては合成ホルモンは認めておりません。したがいまして、そういう動物用の医薬品としての合成ホルモンは製造されないわけで、使用もされないというふうに考えております。ただ、輸入牛肉についての合成ホルモンのチェックにつきましては厚生省の所管ということになりまして、私どもは食品行政というよりは動物用医薬品の使い方についての指導といいますか、規制、こういうものを担当しておるわけでございます。そういうことでホルモンにつきましては、合成ホルモンで国内で農家の使い方が悪かったから、あるいは途中でおかしかったから入ってくる、こういうことはないはずでございます。
○林紀子君 私は初めに、緊急でしかも重要な問題として、二十一日に行われましたブッシュ・中山会談でのブッシュ大統領の発言をめぐって、大臣にお伺いしたいと思います。 ブッシュ大統領は、アメリカの議会に対日不満があるが、それは貿易問題であると指摘、九一年国際食品・飲料展で米国産米が撤去された問題について、非常に残念であると強い不快感を表明して日本の対応を批判した、こういうふうに伝えられております。しかし、幕張メッセの国際食品・飲料展でのアメリカの米展示問題といいますのは、先ほど大臣の方からもお話がありましたけれども、昨年から大きな問題であった。そして、食糧庁は食管法違反であることを開催前からアメリカ大使館にも主催者にも指示、指導していたというふうに伺いました。それにもかかわらずアメリカは米の展示を強行した、試食を強行した。同じような企画をしたタイやオーストラリアはこの食糧庁の指示に従ってそれを取りやめているということも聞いておりますので、それと比べてみましてもアメリカの無法ぶりというのは歴然としていると思うわけです。それに加えてブッシュ大統領がこういうことを言った。大変許せない態度だと思うわけですが、農水大臣としてはこの問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(近藤元次君) 先ほども御答弁で経過、内容について詳細に御報告申し上げたところでありますから、簡潔に申し上げたいと思います。 経過について、先生今御質問の中に述べられたような経過が実はございましたので、恐らくブッシュ大統領、報告あるいは新聞を見られたのか定かではありませんけれども、いずれにしてもああいう発言をされたということは誤解に基づくものではないだろうか。その表現の中に、私ども農林水産省を通して逮捕するような発言は一切なかったわけですから、そういうことを言及しておるということは恐らく誤解に基づいたものではないだろうか。そういう立場で、両国の友好関係からいっても誤解の解消はしなければならない、そう判断をいたしておりますし、農林水産省が撤去を求めたことは何人たりとも我が国の法律は守って いただくという立場で正しかった、こう信じています。
○林紀子君 先ほどお昼のニュースを聞きましたら、アメリカのマディガン農務長官がそれに加えて近藤大臣に対して抗議の書簡を送ったということで、大臣は既にそれを受け取っていらっしゃるというお話も聞きましたが、内容はどういうもので、それに対してもどういう対処をするかということが、まあ今の今来たばかりかもしれませんけれども、お答えいただけたらお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) ちょっと私も、抗議ということは何もなかったので、誤解をされると悪いので、書簡をいただいたということにさせていただきたいと思います。 さっと、昼休みであったんで全部私の記憶が定かでないし、かいつまんでお話し申し上げると、アメリカの米の業者が展示をしたということで強い抗議と撤去があったことは残念だ、日本の工業製品もかなりアメリカに自由に入っておるというような表現の中で、少なくとも販売促進というようなことの理解をしなかったようですし、日本の食管制度の法律の内容も承知をしていない手紙ではないだろうかと思います。いわゆる米を売りに行ったわけではなくて、展示をしたということだけでも抗議をして撤去させたというようなことでございますので、これもいささか日本の国内法、食管法というものを承知していなかったんではないかなというふうに私は受け取って、今、国会で答弁したようなことを、より正確に内容を細やかにしてアメリカに回答する予定でございます。
○林紀子君 それから、きのうは中山外務大臣も帰国をなさって、中山外務大臣も交えて海部総理そして近藤大臣も一緒にこの問題についてお話をしたということも新聞で報道されているわけですけれども、海部総理はどういう見解を示していらしたのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 中山外務大臣がブッシュ大統領あるいはアメリカの要人にお会いになったときの報告を実は聞かせていただいた会議でありまして、その中で、ブッシュ大統領から幕張メッセの米の撤去の問題について発言があったことが私に対して御報告がございました。総理はもう既にそのことは承知済みでございますから、それは誤解に基づくもので、誤解は解消した方がいい、こういう発言がございましたし、私もそのとおりだと思っております。
○林紀子君 海部総理は、四月の四日に米どころのカリフォルニアで会談をブッシュ大統領とするということも伝えられているわけですけれども、先ほど来お話がありますけれども、三度にわたって国会では米の国内での完全自給ということを決議しているわけですし、また国民に対する公約であるということも言えるわけですから、海部総理がブッシュ大統領と会うときにはこの問題の誤解を解くと同時に、米の完全自給、このことはきちんとブッシュ大統領にも伝える、そういうことを近藤大臣の方から進言するべきだとも思いますけれども、その辺の御決意はいかがでしょうか。
○国務大臣(近藤元次君) 海部総理は、国会でも答弁しておりますように、進言をする必要がないぐらいかたい信念でその問題が出れば対処するであろうと思います。米の問題が出るか出ないかは予想がつきませんけれども、私の方からは今日的なウルグアイの交渉の状況その他については御報告はさせていただきますけれども、そのことについて私は海部総理大臣が変更するとか国会答弁と違うようなことの対応をするということは全く考えておりません。
○林紀子君 今回のアメリカのやり方につきまして、ブッシュ大統領の発言は内政干渉的な行為であるとか大国主義以外の何物でもない、こういう言葉を使って解説をしたマスコミもあるわけですけれども、やはり国民はこのことを大変注目しておりますし、ここで日本が毅然とした態度をとるということは、そして米の自由化を認めないということをきっぱりと言うことは本当に日本が独立国であるあかしであるということまで考えられると思うわけです。そういう意味では、今近藤大臣のお話がありましたけれども、内閣一致してこの問題に対しては毅然とした態度をとっていただきたいということを改めてお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 生乳の品質向上ということを理由に、余りに行き過ぎた乳質規制が行われている例というのを大変多く見受けるわけですけれども、私の手元に今新潟県の酪農業協同組合連合会の「生乳成分検査実施要領」というものがございますけれども、それによりますと、新潟県では昨年の七月から、乳脂肪率が三・五%を割った生乳を出荷した酪農家から高額の格差金を徴収している。三・四から三・五未満のグレードC、こういうふうに位置づけまして、キロ当たり二円五十銭の格差金を取っている。三・三%から三・四%未満のグレードDでは一キロ当たり十円。三・〇から三・三%未満の乳脂肪率のグレードEでは二十五円もの格差金が取られている。格差金というよりも、もうこれは罰金という名前にふさわしいのではないかと思いますけれども。全国的にも三・五%を基準に〇・一%乳脂肪率が上下するごとに、北海道では一円の格差金、その他では八十銭の格差金というのが取られているということですけれども、この格差金というものが妥当なのかどうかという問題はありますけれども、全国的なものに比べましてもこの新潟県の格差金というのは大変ひどいものではないかと思うわけですね。 また、体細胞数の規制、これは法的には特に規格がないにもかかわらず、北海道ではホクレンが三十万個以下の目標を掲げて、各農協単位で自主規制措置がとらされている。農協によっては三十万個以上の生乳が出荷された場合には、一回目は警告ということになるそうですけれども、二回目以降は改善されるまでローリーが集乳に来ない。三日に一度は指導者が来て酪農家がノイローゼになる、こういうことも報告されておりますし、熊本県では昨年の十月から三十万個以上のものについてはキロ五円から三十円のペナルティーを科している、こういう話も聞いております。 品質向上ということをうたい文句にして自主規制の行き過ぎ、こういうものについては農水省の方からもきちんと指導するべきだと思いますが、この辺はいかがでしょうか。
○説明員(長良恭行君) ただいまお話がございました事例は農業者の団体といいますか、指定生乳生産者団体というのが各県に一つございますし、今のお話は新潟県酪農連でございますか、農業者の方々、酪農家の方々の自主的な組織といいますか、協同組合としてつくられた組織の内部の一種の取り決めだろうと思っております。 それで、よく言われる話ですが、乳質規制が行き過ぎではないかという話がございますが、一つは生産者団体と乳業メーカーとの間でまず生乳の取引というのは交渉で決まるわけですが、これは自由で対等な交渉によって決められるというのが基本でございまして、取引当事者間で十分議論を尽くして、双方にとって納得が得られる取引内容が設定される、そういうようなことで従来私ども指導してきたわけでございます。最近飲用牛乳の需要がふえておりますが、これはそうした品質向上も大きな貢献をした要素ではないかということで、必ずしも現実的でない規制がいいとは思いませんけれども、そうした品質向上、付加価値の努力というのは、やはり生産者の団体の中で皆さん方が十分話し合って決めるということ自体は重要なことではないかというふうに考えております。
○林紀子君 確かに生産者の団体の中で決められたもので、ですから自主規制というふうに言われていると思いますけれども、しかしこの背後には乳業メーカー、特に大手のメーカーがこういうことを強制している、これが非常に大きいのではないかと思うわけですね。消費者のニーズだ、これによって消費者の消費量が高まったんだという話も聞くわけですけれども、決してこれは消費者のニーズではない。 ここに一つアンケートがございますけれども、首都圏の中堅乳業連絡協議会、全農とも取引をし ている中小の乳業メーカーでつくっている協議会だそうですけれども、昨年の三月の五日にここで実施したアンケートを見せていただきました。過熱する高脂肪率競争、これはメーカーと小売店のエゴむき出しの競争で、真の消費者のニーズとは言えない、こういう結果がこのアンケートにも出ておりますし、高乳脂肪率の表示アピールは消費者が求めているからやっているのかという問いに対して、そうだという方が十七件、そうは思わないという方が二十七件いた、こういう数字も発表になっているわけです。そして乳業メーカーが脂肪率三・五%以上、細菌数、体細胞数三十万個以内を要求しているというのは、昨年四月十三日の中酪会議乳価取引等対策委員会で報告をされている。そういうことでは、やはりこれは乳業メーカーの圧力が非常に大きいということが考えられるわけです。乳脂肪率三・五%というものをクリアするために酪農家の方たちがどんなに苦労しているか。乳質の規格をクリアできない乳牛はすぐ入れかえするなど乳牛の淘汰が増加して、乳牛の減価償却費が増加している、北海道からの報告です。高脂肪率のため、えさをかえ、牛六頭を入れかえ、朝五時から夜十時まで牛の世話をしている新潟県からの報告。青刈りのデントコーンや草を食べさせて飼っていた酪農家もアメリカ産の干し草スーダングラスを買って与えるようになった、農民連からの報告。こういう苦労をしているわけです。 乳業の大手三社というのはどういう状況になっているかといいますと、九〇年の三月決算によりますと、売上高は当初予想を上回って過去最高を記録した。雪印は前年比四・三%、明治乳業四・七%、森永乳業二・九%、それぞれ増加している。そして有価証券報告書では、景気は予想以上に順調だ、近年にない活況を呈している。こういうことを報告しているということなんです。ですから、酪農家は本当に苦労に苦労をして、そして大手乳業メーカーは非常に売上高を伸ばしている、こういう状況じゃないかと思うわけです。ですから、こういうことを考えますと、産地間競争をあおる乳業メーカーのこうした姿勢こそ農水省の方はきちんと見ながら指導をするべきだと思いますけれども、これはいかがですか。
○説明員(長良恭行君) 生乳取引におきます乳脂率基準でございますが、近年におきます乳質向上の実態を踏まえるとともに、牛乳成分のグレードアップによって消費拡大を図る、こういうことで生産者団体と乳業メーカーとの間の合意によりまして、六十二年度から三・五%に引き上げられております。 生乳の乳脂率でございますが、全国的に見ますとほぼ三・五%以上を確保している状況にあるということがございますし、個々の酪農では仮に基準に満たない場合でございましても、乳業メーカーに引き渡す際にはほかの酪農家の生乳と合乳といいますか、まぜて、それで対応できるということもありますし、さらに三・五%未満の生乳でありましても飲用牛乳以外の用途には使用できるということがございますので、また私どもも乳業メーカーが三・五%未満の生乳を実際に受け取り拒否をした、こういうような実態はないというふうに考えております。 それから生乳の取引につきましては、乳脂率三・五%をベースに乳脂率の格差に応じた支払いが実施されておるわけでございますので、生乳の品質に応じた乳価が支払われているんではないかというふうに考えております。
○林紀子君 今のお答えでは全然指導をするのかどうかということについては触れられなかったわけですけれども、やはり酪農家が本当に苦しんで、これが離農の大きな原因になるだろうということも言われているわけですから、本当に酪農家を守るという立場で農水省は御努力をいただきたいということをお願いしたいと思います。そして、さらにこの乳脂肪率が三・五%から三・六%に引き上げられるのではないかという懸念もあるということですけれども、まさかそういうことはないと思いますけれども、最後にこれはどうなのかということもお答えいただきたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 飲用牛乳につきまして、特定地域の産地を限定して乳脂肪率を三・五から三・六%に引き上げる。スーパーとか消費者向けにメーカーが出すときに三・六%ということはございますが、あるいは季節によって、冬場だけ飲用牛乳について、売る方が売る際に三・六%に切りかえるというケースはございますけれども、農家から取引する生乳の取引基準について三・五%から三・六%に引き上げる動きがあるとは聞いておりません。
○井上哲夫君 私は、きょう畜産農家と環境問題ということでお尋ねをしたいと思います。 先回、この委員会で私は、農振地域での農業集落排水事業の一層の拡大によるいわば農村地帯の下水道の整備が急務であるという観点から質問をさせていただいたわけでありますが、今回は畜産農家におけるふん尿対策、まあ大変びろうな話になりますが、その問題についてお尋ねをいたしたいと考えております。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 午前の細谷委員の御質問にも畜産農家における離農の数がこの四年間で決して無視できないほど大きな数字に上がってきた。しかも、その内容は必ずしも小規模の畜産農家が離農していったとは言えない。逆に中堅の農家の離農の方が実態に合っているんではないか、こういう質問がありまして、大臣等の御答弁の中にも、この原因が後継者問題あるいは経営の将来の見通しが厳しいということもあるが、なお環境問題もあるかもしれない、こういう趣旨のたしか御答弁があったと思います。さらに細谷委員は、環境問題については、今畜産農家を取り巻く状況の中で、いわゆる建前じゃなくて中身のある対策を考えないといけないという趣旨で質問をされてもおりますので、まず畜産農家における環境問題の対策について行政の側で今どのようにこの問題を受けとめているかについてお尋ねをいたします。
○説明員(長良恭行君) 畜産経営に起因します環境問題につきましては、最近、全体の件数は減少傾向にありますけれども、苦情発生件数は、五十六年が五千百六十一件でございましたが、平成元年には三千六百件と減ってはおりますけれども、その苦情発生件数の約四割を養豚関係で占めております。養豚につきましては、規模拡大と戸数の減少に伴いまして飼養農家に対する苦情発生率が増加する傾向にあるということがございます。この主たる要因でございますけれども、飼養規模の拡大に伴いまして飼養頭数に見合ったふん尿処理施設の設置が不十分である、また還元農地が不足している、こういうようなことが原因ではないかというふうに考えております。 このため家畜の飼養規模に見合った処理能力の家畜ふん尿の処理施設を設置いたしまして、家畜ふん尿を堆肥化するということで、土地還元を基本としたリサイクル利用を進めていくことを基本にいたしまして、共同利用による投資経費の軽減を図る、地域の畜産農家の組織化、集団化あるいは耕種部門との連携のもとに家畜ふん尿の効率的な処理利用をより一層推進していくことが重要であるというふうに考えております。 農林水産省といたしましては、こうした考えに立ちまして、農家に対する巡回技術指導の実施でありますとか、共同利用家畜ふん尿処理利用施設の設置に対する助成、それから経営適地への集団的な移転に対する助成でありますとか、家畜ふん尿処理機械施設の設置に係るリース事業あるいは融資制度等々の対策を講じているところでございます。今後とも農村地域の混住化あるいは養豚経営の規模拡大が進展する反面、国民の環境保全意識がますます強まるということも予想されますので、畜産経営に係る環境問題が広域化、複雑化するということもございますので、地域ぐるみで畜産環境保全に取り組む体制を整備するということとあわせまして家畜ふん尿処理施設等の総合的な整備を図るための対策でありますとか、あるいは快適な畜産環境をつくり上げるための畜産経営の周辺環境の整備と生産基盤の整備を一体的に推進 するための対策、こういうような新規事業を平成三年度の予算要求に計上しているところでございます。
○井上哲夫君 今のお話の中にありますように、畜産の環境苦情といいますか、それは非常に高い、特に養豚の場合には残念ながら非常に高いということでございますが、こういう意見もあるわけですね。どんどん外国から飼料を買って、それを食べさせて出てきたふんが果たして日本の畑や田んぼで本当に堆肥として受け皿は合うのか、本来からいえばもう外国の場合には、自分の畑や森でつくった飼料で出てくるものをまたそこで還元ということは数字上合うけれども、日本の場合にはと、こういうふうな意見も実は新聞記事に載っていたのを記憶しておるわけでございますが、今基本的に堆肥に還元するという場合に一番困る点は、やはりふんの方じゃなくてもう一つの方だ。それともう一つは、今おっしゃいましたが悪臭の問題というのは堆肥に返す過程で本当に完全に対応できるのかといいますと、これなかなか実情はそうではないと私は現場を見て思ったわけであります。 悪臭に対する苦情の例は、別に畜産農家に限らない、工場でもあるわけですが、非常に多くありまして、悪臭の防止というか脱臭といいますか、そういう対策について特にどのようにお考えになってみえるか、お答えをいただきたいと思うんです。
○説明員(長良恭行君) 畜産の事業場から発生する悪臭としましては、今先生お話しございましたように、アンモニア等が悪臭物質として問題になるケースが多いわけでございますが、これまで悪臭防止法で法律に基づいて知事による改善命令が畜産事業場に発動されたというケースはないと聞いております。ただ、養鶏の方で一件あったというふうに聞いております。 それから、畜産事業場から発生いたします低級脂肪酸につきましては、家畜のふんが嫌気性の状態に置かれたとき、つまり堆積して放置されたときにアンモニアとともに発生しておるわけでございますので、従来のアンモニア等に対する臭気対策と同じように、家畜のふんを畜舎に堆積したりみだりに放置しない、清掃をしてふん尿の搬出頻度をふやす、それから、ふん尿の処理、利用、管理につきましては、適切な水分調整や切り返しを励行いたしまして好気性の状態にする、こういうような日常の飼育それから家畜排せつ物の管理といいますか、それを徹底するように指導してまいってきておるわけでございます。 それから、畜産経営の環境整備のために機械、施設を貸し付けます畜産環境整備リース事業というのがあるんでございますが、この中でも事業内容を拡充いたしまして脱臭装置とかそういうものもリースで貸し付けをいたしたいというふうに考えております。
○井上哲夫君 こういう環境問題というのは、経営が非常にこれから不透明になっていく畜産農家にとってこの問題は当面の緊急な対策問題だという意識を持たないと、結局は後継者の問題もそこへくるとかいう形になろうかと思うんですが、農家が環境対策の設備をやっても、例えば今おっしゃいましたように規模が拡大すると拡大に応じた施設に切りかえなきゃいかぬ、こういうふうな点で行政の方が指導なり、監督というとおかしいですが、そういうものを小まめにやっていかない限りこの問題はいつも後追いになるのではないかなというふうに思うわけであります。その点で、例えばリース事業も挙げられましたが、既存の施設についても例えば後からチェック、監視あるいは指導といいますか、そういうふうなことはなされておるわけでしょうか。
○説明員(長良恭行君) 環境対策につきましては、既存の畜産農家の施設につきましても、先ほども申し上げましたような技術についての徹底ということで、技術的な指導事業をやっておりますし、また、共同利用の処理施設をつくる場合にはその施設設置に対して助成を行っております。それから、集団で団地をつくって移転する場合の共同利用畜舎への助成等も行っております。
○井上哲夫君 何か聞くところによりますと、ことしの予算で、畜産環境整備の対策事業で、特別対策事業というんですか、公共事業の関係だというふうに聞いておりますが、こういう特別対策事業と名づけて新しく予算をつけ、環境対策に本格的に別の角度から乗り出されたと聞いておるんですが、この内容についてお尋ねをしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 今お話しございましたのは、私ども平成三年度の予算で要求しております新規事業で、畜産環境整備特別対策事業ということで、公共事業でございますが、今までお話しございましたように、混住化、都市化が進展する中で畜産経営の安定的な発展を図るためには、悪臭でありますとか水質汚濁等の環境問題を解消し、地域の生活環境を改善していくということが大変重要になってきております。 それで、この事業は、畜産の生産基盤整備と周辺環境整備を一体的に推進するということで、ただ防止的な政策というより、快適な畜産環境を整備するということで考えているものでございまして、中身としましては、草地等の造成整備とか道路、用排水施設、こういうような基盤整備が一つございます。それから、もう一つは家畜排せつ物の処理施設等の施設整備。三番目が環境保全林でありますとか緑地帯、遊歩道、環境保全施設、こういう施設整備なり基盤整備を一体的に実施できるということで、単なる公害防止というよりはむしろ快適な環境をつくり出す、こういう考え方で公害処理とあわせて始める事業でございます。
○井上哲夫君 今のことに関連しまして大臣にお願いをしたいわけでございますが、今までの環境対策はともすれば後ろ向きというか、後処理の対策が多い。今のお話による今回の事業の内容を私も説明を受けましたところ、従前の後処理的なものじゃなくて、むしろ前向きといいますか、畜産農家を取り巻く周囲の全体の環境をよくしていこう、それによってイメージも変わってくるし、それが今後の畜産農家に新しい展望を開くことにもなる、こういうことで、まだ始まったばかりなので極めて試行錯誤が続くかもしれないと思うんですけれども、えてして今御説明にもありましたが、道路とかあるいは遊歩道とかいうふうなことですが、それは単なる例示にすぎないぐらい弾力的にといいますか、思い切った周囲の環境も含めた総合対策のような形のものにしていっていただきたい。 私も自分の足の回れるところで養豚農家を中心にしていろんなところを少し見て回りましたが、ちょっとした公園とか遊歩道だけでなくて、それこそコンサートができるようなそういう森と広場をくっつけたようなそういうものまでむしろ畜産農家の周りの中に取り組む。それによって全体の環境がむしろよくなるし、いわゆる意識も変わってくる、こういうふうなことになろうかと思うんですけれども、その意味で、こういう事業を含めて環境対策について、大臣のお考えを改めてお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 畜産農家の環境問題は古くて新しい問題だと言ってもいい、大変長く畜産農家自身も努力をしてまいりましたし、農林水産省も努力をいたしたところでありますが、近年特に全体的な環境問題がクローズアップしてきてから、農家自身も環境問題というのは一つの自分の仕事の中で解決しなきゃならぬという意識も高まってきたように感じております。とりわけ環境対策にいろんな幾つかの制度を持っておりますけれども、要望がだんだんと強まってきていることはそれを意味するものだろうと思うんです。 しかし、個別の畜産農家だけでやっていいかどうかということになると大変またそれなりの問題がありまして、機械設備が老朽化する、あるいは稼働率が悪いというようなことになりますので、そういう意味では、個別で処理をするときも考えて、できるだけリースでできるものはリースでした方が、やっぱり設備投資あるいは稼働率、機械の近代化、いろんなことを考えてみて、リースというようなものがかなり要望が強くなってきてお るので、ここは関心の高いところではないかなと思っております。 もう一つは、先生から今御意見をちょうだいいたしましたように、やはり下水道の処理場をつくってみても、大規模であればそこにいわばテニスコートをつくったり野球場をつくったり緑樹をやったり、もうタイル張りの処理場というのが大体今下水の処理場になっておるわけであります。大きいか小さいかだけの違いでしかないわけでありますし、そういうものを地域全体で、村全体でそういう形で処理をしようとすれば、今先生のお話のようなことは私ども補助の対象として当然、下水の処理場が補助対象でやっておるわけですから、私どもそういう面では十分検討に値すると思っておりますので、今の御意見などをちょうだいして、内容も大事でありますが、処理場というものは景観も一つは大事なものだと、こう思っておりますので、検討させていただきたいし、環境問題は積極的に取り組ませていただきたい、こう思っております。
○井上哲夫君 終わります。
○橋本孝一郎君 牛肉の自由化の影響に関連する問題について二、三お尋ねしたいと思います。 四月一日から牛肉が自由化されるということは既定の事実でございますが、それだけに競争力の弱い部分は非常な不安を持つわけであります。したがって、的確な展望に立った目標なり方針というものを示していくことはこれは重要でありますけれども、そういう観点から、過去の目標とか、あるいはそういうビジョンとの関連で自由化の影響についてお尋ねしたいと思います。 九〇年代は、前半は七〇ないし五〇%の高関税によってある程度保護されておるわけでありますけれども、後半にはその保障がないわけであります。 一九八八年の農林水産省農業総合研究所の牛肉輸入自由化の需給、価格への影響という幾つかのシミュレーションの分析の中で、自由化が最も国内牛肉需給及び価格に影響を及ぼすと仮定したケースでは、二〇〇〇年の国産牛肉の枝肉価格は八八年に比べて七〇ないし八〇%へ、また子牛価格は五〇ないし六〇%まで下落すると予測しているわけでありまして、自由化が国内の需給に与える影響をどう見ておるのか、まず一つこの点をお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 牛肉自由化の国内の需給なり経営に与える影響でございますが、一つは国境措置がございます。先ほど申し上げましたように、関税措置が初年度が七〇%、次年度が六〇%、三年度が五〇%ということになっておりますし、そのほかに輸入が急増した場合には緊急措置がとれるということがございます。国内的には、価格安定対策ということで、肉用子牛の生産者補給金制度が自由化に先立ちまして一年早く昨年の四月から発足いたしておりますし、食肉の価格安定制度、本日審議会で御審議いただいておりますが、そういう制度もございます。 また、畜産振興事業団は、本年四月から輸入牛肉の売買操作の業務はしなくなるわけでございますが、現在持っております六万トン弱の在庫につきましては、これを毎月一定量定時に市況に悪影響を与えない形で売っていく、こういうふうなことになっておりますので、国内対策、国境措置等をあわせまして、できるだけ自由化の影響が緩和される形で、傾向としましてはやはり輸入牛肉は価格が下がっていって、それが国内価格に品質の競合度の強いものから徐々に影響が出てくるのではないかという感じはいたしますけれども、できるだけそういう影響を緩和するとともに、国内生産につきましてもコストの低減と品質の向上ということで対抗力をつけていくことが重要ではないかというふうに考えております。
○橋本孝一郎君 品質なり、それによって状況が変わってくると思うんですけれども、六十三年二月に第二次酪肉近代化基本方針というものが決定されましたが、策定時期が自由化決定前であったため、七年度の輸入見込み数量である三十二ないし四十万トンを目標年度より五年も早く二年度に達してしまった。二年度の輸入量は国内消費量の半分近い三十九万四千トンで、店に輸入牛肉があふれている現在の状態では、既に自由化されているような錯覚すら起こすわけでありますが、これはそういう意味で今後どういうふうに推移していくか非常に心配なのであります。 したがって、牛肉の需要の長期見通し、牛肉の国内生産数量など、早く目標設定というものが必要ではなかろうかと思うわけであります。例えば第三次酪肉近代化基本方針というようなものをつくることを示すべきだと思いますけれども、その考えがありますかどうか、あったらお伺いしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 今お話がございました長期見通しにおきましては、平成十二年度に牛肉につきましては、需要を百五十一ないし百七十三万トンということで、基準年度でございます六十二年度の一・七倍から一・九四倍ということに見通しをしております。また、国内の生産につきましては、平成十二年度におきまして基準年度であります六十二年度の四割増しということで七十九万トンということで意欲的に見通しておるわけでございます。その結果、輸入量は七十二万トンから九十四万トンと相当増加すると見通さざるを得ないわけでございますが、問題は、この長期見通しを達成する前提となります肉用牛の振興を図るため、どういう方策なり生産を担うべき肉用牛経営の指標やコストダウン目標、こういうようなことが非常に重要でございまして、私ども実は昨年の三月に畜産振興審議会に対しまして今御指摘のありました新たな酪肉近代化基本方針の作成に関し諮問を行ったところでございます。 これにつきましてはできるだけ早く成案を得たいというふうに考えておりますけれども、この国内の肉用牛の生産にとりまして、一つは生産コストの目標でありますとかその背景となります肉用牛経営の指標というのがございます。それからもう一つは、飼料作物の生産指標でありますとか飼料自給度の向上とか、こういうふうなことで、特に私ども一番中で難しい問題といいますか、いろいろさらに重点的な作業をやらなきゃいけないと考えておりますのは、一つは、将来その普及が見込まれます受精卵移植技術等の新技術なり、交雑種雌牛の繁殖利用あるいは肥育雌牛の一産取り、こういうような技術があるわけですが、こうした新しい技術が将来どの程度普及して定着するか、これを十分見きわめないといかぬという問題が一つございます。 それからもう一つは、先ほど来繁殖経営対策ということでいろいろ御議論がございましたが、何といっても大家畜につきましては粗飼料の生産基盤を整備する、それはまた粗飼料の生産コストを低減しなければいかぬわけでございますけれども、そのためには大家畜の経営に土地利用を集積しなければいけないわけです。そういうような問題がございます。また、飼料作物の生産につきましても、新たに飼料作物のコストダウンといいますか、飼料作物は自給飼料でございますのでなかなかコストという概念は入れにくいわけでございますが、生産性の向上なりコストダウンということを自給飼料にどういうふうに入れていくか、こういう問題もございまして改定作業がおくれている状況にはございますが、私ども作業を急ぎまして、できるだけ早く新しい方針を出したいというふうに考えております。
○橋本孝一郎君 畜産新技術の問題もその実用化についてこれからの問題だと思いますけれども、畜産行政全般としてこれは大臣にお尋ねしたいんですが、一応現在一定の保護制度というものは、これは当然競争力の弱い立場からすれば必要であると思いますけれども、これもやはり限界も来るわけであります。どうすれば保護主義から脱却して国際競争に生き残れるかという、新技術の開発その他いろいろな規模拡大を含めて総合的にやっていかなきゃならぬと思いますけれども、いずれにしても農家はどのような目標を立てて実施していけばいいのかということで非常に迷っておると思いますので、そういう面についての大臣の御所 見をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 先生も質問時間が短いようでありますから、事務当局がいっぱい書いてくれましたけれども、大変いいことがいっぱい書いてあるんですが、これは後でまた……。 私のこれから自由化に向かう考え方は、大変不透明なことがいっぱいあるわけでありますけれども、そしてまた段階的に関税が引き下がっていって後はどうなるかという不安感もあるし、いずれにしても生産者が国内産を安定的に再生産ができるという体制が消費者にも最終的には喜ばれることにならなければいけない、こう思っておるわけです。そのことは、これから荒波に乗り出していくのに一体輸入の肉というのがどういう変化をするかということも若干私ども予測しがたいところもありますけれども、少なくとも今の感じでは、消費者ニーズにこたえていく生産が必要だということになると、かなり安全性と品質というのが日本の消費者の一つのニーズだろうと思うんです。安い部分についてはこれから自由化によって、ここ一、二年は別としても、かなりこたえていけるようには中期的に見れば必ずなっていくだろうと思うんです。 そして、我が国の国内産の肉を安定的に生産をして供給していくというのは、やっぱり品質を向上させていく、そして安全性を保って、もう一面では再生産をするためにはコストを下げるあらゆる努力をしていくということにつきましてこれから柔軟に対応していかなきゃならぬと思うんです。量の調整ができないわけですから、量の調整ができないときには消費者ニーズにこたえていくという生産をしていただく、コストを下げて所得が安定をするということに向かって柔軟な対応をここ二、三年はしていかざるを得ないんではないかなと。 それにしても子牛というものが基本になるわけでありますから、今回も子牛の対策に対して一千六億というようなかなりの額の予算を準備させていただいておるわけでありまして、あと内容的にはいろいろな細かなことがたくさんもうそれこそあるわけで、先生それはもう御承知ですから、短い質問の時間ですから私が答弁すると御迷惑がかかりますので、従来の方針にさらにそういう考え方で対処していきたい、そう考えております。
○橋本孝一郎君 最後に、輸入肉の安全性についてお尋ねしたいと思います。 既にもう質問にも出ておりましたけれども、もう少し別な角度から申し上げたいと思いますが、輸入肉の増加は当然あるわけでありますけれども、安全性に対する消費者の要望がそれだけにまた高まることも予想されるわけであります。 これは厚生省の関係ですけれども、ECでは八九年一月からホルモン剤を投与したアメリカ産牛肉の輸入を禁止しました。ECがこうした牛肉の輸入を禁止したのは人が食べた場合の影響に懸念を持ったからであろうと思うのでありますが、輸入牛肉に対して消費者は安全性に大変な疑問を持っておると思います。日本において輸入肉に対してどのような対応がなされているかお伺いしたいわけであります。 また、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける検疫だとかあるいは衛生分野における交渉はどのようになっておるのか、この点についてお尋ねをして終わりにしたいと思います。
○説明員(難波江君) 私から輸入牛肉の安全性の問題についてお答えをさせていただきます。 牛肉を初めといたしまして輸入の食肉につきましては、従来から輸出国における規制の状況等各種情報の収集に努めるほか、輸入時に残留のモニタリング検査を行っておりまして、問題が生じた場合には輸出国に対して残留防止対策の整備を求めるとともに、我が国の輸入時における監視、検査体制を強化する等によりその安全性の確保に努めているところでございます。今後とも監視体制の強化により安全対策の充実にさらに努めてまいりたいと考えているところでございます。 なお、先生御指摘のホルモンにつきましては、食肉中の残留ホルモンの検査方法を開発いたしますとともに、現在食肉についてのホルモンの残留実態調査を行っているところでございます。今後これらの残留実態調査結果及び安全性等に関しますFAO、WHOの合同の食品規格計画における検討状況等国際的な評価の動向も踏まえながら、必要に応じまして残留許容基準の設定等所要の措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
○説明員(野村瞭君) ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける検疫・衛生分野の交渉状況についてお尋ねがございましたが、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきましては、御存じのように貿易障害の除去のために種々の交渉が行われているところでございますが、食品衛生の分野につきましても、農業交渉グループの中でございますけれども、例えば国際基準に基づく各国の基準の調和の問題でありますとか、あるいは国内基準を定める際の手続の透明性の確保などの問題が話し合われているところでございます。 厚生省におきましては、科学的な根拠に基づきまして食品の安全性の確保を図ることを前提としまして対処をいたしているところでございます。したがいまして、今申し上げました国際基準に基づく調和という問題につきましても、原則的にはその必要性を理解するところではございますけれども、各国によりまして食生活のパターンでありますとか、あるいは衛生状況等が異なっているわけでございますので、国際基準より厳しい措置もとることが認められるべきだということを主張しておるところでございまして、今後ともその方針で臨んでまいりたいと考えておるところでございます。
○橋本孝一郎君 終わります。
○喜屋武眞榮君 けさから皆さんそれぞれのお立場で質問をされましたが、私は特殊事情下にいまだに置かれておる沖縄県の農業問題について、まず大臣に次のことをお尋ねしたい。 沖縄県の農林水産業の振興策に関する根本的問題に対する御見解をあらかじめお聞きしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 沖縄はもう言うまでもなく我が国でただ一つの亜熱帯地帯でございますし、農林水産業が特に期待をしていいところではないか、こう考えておるわけであります。第二次沖縄振興開発計画、昭和五十七年から平成三年までの間の計画に基づいて農用地、農業用水等のいわば基盤整備を進めながら、生産性の向上や豊かな太陽エネルギーを有効に利用した野菜、花卉の生産の拡大等の努力もまたしていただいているように聞き及んでおるわけであります。飼料基盤の整備による畜産の振興なり森林資源の整備拡充等、特色のある森林資源を生かした林業の振興や亜熱帯性海域という地理的、自然的特性を生かした栽培漁業等による生産性の高い農林水産業の確立を図ることを基本として、各般の施策を積極的に推進してまいりたい、こう考えておるわけであります。 私も一度沖縄に、衆議院の農林水産委員会から、ちょうどサトウキビの伐期のころに機械開発のために視察しろと、こういう御下命をいただいたのですが、国会の事情があって先般官房長にかわりに行っていただきました。いろいろ沖縄で御努力をいただいておる人、大変新しいものに挑戦をしていただいておる人がおられるという報告を受けて、私も近々またお伺いをしたいと思っておるわけであります。 そういう意味で、今後いろいろまた先生からの御意見なり御指導をいただきたい、こう考えております。
○喜屋武眞榮君 ただいま述べてくださった御見解は一応の、私をして言わしめれば一般論の御見解だと私は理解いたしたい。特殊事情下にある沖縄への認識をさらに正しく深めていただきたい願いを込めて次のことを申し添えておきたいと思います。 沖縄を論ずるならば、何といいましても、今さっきおっしゃっておられた我が国唯一の亜熱帯地域である、二つには無限の太陽エネルギーを包 蔵しておる、三つには我が国で最も降雨量の多い県である、だが最も水に不自由な県である、ここに政治の課題があると思うんです。次には、台風銀座という異名もあるとおり、毎年のように大なり小なり台風がやってまいります。次には、我が国の百分の一にも足りない小さい島に、米軍専有基地の日本における七五%があるというこの事実を抜きにしては沖縄の開発、沖縄の発展は論じられません。次に、そういった現実を避けて沖縄の農林水産問題を論ずるということは何かしら歯が抜けたような気がしてなりませんということを、私は一般論で申されたと厳しく申し上げたつもりであります。 そのことが国民所得と県民所得の比較、失業者の比較、預金額の比較、借金の比較、すべてに影響していることを知っていらっしゃると私は思いますが、唯一の亜熱帯農業の沖縄の現実をどうとらえていくかということを抜きにしては沖縄の産業、経済発展も期待できないということを、繰り返すようでありますが私はなお数字的に述べたいんですが、時間の都合で次に移りたいと思います。 まず畜産の問題、特に牛と豚の問題。牛肉の自由化の問題が四月に迫っておるということに対して、何と申しましても肉用牛の低コスト生産を一層推進していくことが緊急の課題であると思うんですが、そのためには経営規模を拡大してコストを下げること、二つに飼料の自給率を向上させること、三つに生産費の中でウエートの高い配合飼料費の比重を引き下げていくこと。この点、沖縄ではこの角度から眺めて非常に有利な条件があるということを申し添えておきたいのでありますが、まず一点は、亜熱帯地域という特性から粗飼料の生産性が高くて、飼料費の低減による低コスト生産を行っていく上で非常に有利な条件であるということ。次に、沖縄の肉用牛生産がこの有利な条件を十分に生かしていくためには、畜産基地建設事業等による草地開発の一層の推進が必要であると思われますが、政府とされましてはどのように対応していらっしゃる御見解か、それをまずお聞きいたしたいと思います。
○説明員(長良恭行君) 沖縄県につきましては、今先生お話しされましたとおり、肉用牛につきまして粗飼料の生産性が非常に高いということで、私ども従来から畜産基地建設事業ということで草地開発を推進して肉用牛生産の振興に役立てたいと考えてまいったわけでございますが、今後とも現地の実情を踏まえまして計画的な草地開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 私、先ほど有利な条件が、原因がと、こう申し上げた中身は、粗飼料として、沖縄産のパイナップル、全国で唯一のパイナップル、そのパインのかす、サトウキビの搾りがらのバガス、それからサトウキビの梢頭部、葉っぱとか根っこの幹のところ、この三つが農場から生まれる副産物として最も家畜の飼料に、牛、豚、馬の飼料に通しておるということは既にもうこれは沖縄では常識になっておるわけですが、それを合理的に一層有効に活用していくことによってコストの低減が図られるわけでありますが、このことに対して政府はどう対応してくださるか、お聞かせください。
○説明員(長良恭行君) 肉用牛の振興を図ります際に、草地開発や高収量の草種の導入にあわせまして、今お話しございましたようなパインかすでありますとかサトウキビの梢頭部、こうした副産物を重要な飼料資源として活用するということは大変重要なことだと思っております。 私どもも農林水産物の副産物の飼料化を促進するために、飼料化するための施設整備等を行う事業がございますので、今後ともこうした事業を活用いたしまして、パインかすでありますとかサトウキビの梢頭部、そうした副産物を初め低利用、未利用資源の活用を推進していきたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 言葉をかえれば廃物利用ということにも言えると思うんですが、この廃物をいかに粗飼料として、完全飼料として生かすか。これは国の技術と金の投資によって十分活性化できると私は信じております。ひとつその点御研究をお願いしたいと思います。御協力をお願いいたします。 次に、沖縄が地域特性を生かした肉用牛の産地として全国に比較しても非常に有利な立地条件がある、こう言われておりますが、確立していくためには何と申しましても飼養管理の改善それから家畜改良の促進と、課題となっておる事項は多いと思うんですが、政府は沖縄の肉用牛生産の振興について一層の積極的な対応を迫られておると私は思うんですが、御見解を承りたい。
○説明員(長良恭行君) 沖縄の肉用牛生産振興のためには、先ほどもお話が出ました需給指導、生産基盤の整備あるいは畜産基地整備のほかに、肉用牛の生産から肥育までの地域一貫生産体制をつくる体制の整備でありますとか、特に沖縄県におきまして重要な問題として、肉用牛にとりまして牧野ダニの正常化ということで家畜衛生対策も非常に重要な施策でございます。今後、こうした事業を活用しまして肉用牛生産が振興できるように私どもできるだけの御協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 私は、畜産について沖縄が非常に有利な立地条件にあるという背景をいろいろ知っておりますが、ここでは時間の都合で後日に譲りたいと思うんですが、実はかつて、終戦直後でした。あの東大の国際的な家畜の権威の学者だと私は信じており、まあそう聞いております大内力先生が沖縄に来られて私にこうおっしゃいました。ずっと東南アジアもお回りになって、その後沖縄にもいらしたことがありますが、私にこう言っておられました。 沖縄の黒い牛、黒い豚が今おりますかという質問がありました。ところが、沖縄戦で家畜という家畜はほとんど兵隊あるいは住民の食糧に変わったいきさつ、あるいは砲弾のえさになったいきさつもあるわけですが、本島ではなかなか見つかりませんでした。離島にはおるという話は聞いております。それが今、現状ではどのように繁殖しておるか詳しくは調べておりませんが、その沖縄の黒い牛、黒い豚は特に政策的にも力を入れた方が大事ですよと。なぜですかとお聞きしましたら、沖縄における家畜のねらいは、量で稼ぐのではなく質で争うことが有利である、すなわち牛にしても豚にしても肉質が全国的にあるいは世界的にとおっしゃっておりました。黒い牛と黒い豚をうんと奨励しなさい、質で争った方が有利ですよと、こう私におっしゃっておられたんですが、御参考になるかどうか知りませんが、あるいは既に御案内かしれませんが、以上申し上げまして、大臣の御見解を承って私の質問を終わります。
○国務大臣(近藤元次君) お答えになるかならぬかちょっと自信がないんですけれども、いずれにしても沖縄が農業にとって日本の国の最適地であり、また歴史的に見て沖縄特有の黒い牛、黒い豚というものについての御見解を今お聞かせいただいたわけであります。とりわけ飼料作物が適地である中では、私も食糧自給率について常に御叱正をいただいておるところでありますけれども、でき得れば飼料作物を総点検いたしまして、牧場で十分に使われていないところがどの程度あるか今調査をしていただいたり、また新たに牧場に適地があるかどうかというようなことも検討してきておるわけでありますけれども、今後なお一層沖縄についての今お話しのようなことも勉強させていただき、一見は百聞にしかずということがありますので、私も衆議院農水でお約束を申し上げている沖縄にできるだけ早い機会に一度農林水産大臣ということを念頭に置いて、何回も行っているんですけれども、農林水産大臣を念頭に置いて特別に行ったわけじゃありませんので、今回視察をさせていただきたい、そう考えております。
○喜屋武眞榮君 ひとつよろしくお願いします。
○委員長(吉川博君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。 ─────────────
○委員長(吉川博君) 細谷君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細谷 君。
○細谷昭雄君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案に係る畜産物価格及び繭糸価格に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 畜産物価格及び繭糸価格に関する決議(案) 我が国農業をめぐる内外の厳しい現状を踏まえ、政府は平成三年度畜産物価格、繭糸価格等の決定に当たっては、次の事項の実現に努め畜産業及び蚕糸業の安定的発展に万遺憾なきを期すべである。 一 加工原料乳保証価格については、昭和五十四年度以来十年余の長きにわたり生乳の計画生産を行っている現状を踏まえ、また、最近における副産物価格の低下及び酪農家に与える影響等を考慮し、生乳の再生産が損なわれることのないように決定すること。 加工原料乳限度数量については、最近における特定乳製品の需給の動向等を踏まえ適正に決定すること。 二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。特に、牛肉の安定価格については、肉用子牛合理化目標価を考慮することにより急激な変化が生じないよう措置すること。 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態を十分踏まえ適正に決定すること。 また、肉用子牛生産者補給金制度への加入が促進されるよう更に指導を強化すること。 四 粉乳・れん乳等の基幹的乳製品に関する米国との再協議に当たっては、今後とも国内供給を基本とし、現行輸入数量制限措置を継続する方針を堅持すること。 また、本年四月からの牛肉の輸入自由化に当たっては、輸入の動向に最大の注意を払い国内の畜産業に悪影響が及ぶことのないよう対応に遺憾なきを期すること。 五 農業の国際化に対応し、かつ、消費者のニーズに合った畜産物を供給するため、生産、流通、消費に至る各段階のコスト削減と効率化を更に促進するとともに、安全性の確保に努めること。また、国産畜産物の需要拡大策を推進すること。 六 畜産経営の安定と発展を図る上で環境問題の重要性が増している実情にかんがみ、環境保全対策を推進すること。 また、豚のオーエスキー病に対処するため、ワクチンの早期実用化を初めとする防疫対策、清浄種豚の円滑な流通の促進対策等を推進すること。 七 繭糸の安定帯価格については、繭生産及び生糸価格の動向等蚕糸業をめぐる情勢を十分考慮し、蚕糸業の健全な発展に資するよう決定すること。 また、良質な国産繭及び生糸の安定供給を図るため、繭糸価格安定制度の適切な運営を期するとともに、低コスト高能率養蚕経営の実現等生産基盤の強化に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(吉川博君) ただいまの細谷君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川博君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、近藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤農林水産大臣。
○国務大臣(近藤元次君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産及び蚕糸業をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
○委員長(吉川博君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十二分散会