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120回国会参議院1991/04/18

商工委員会 第7号

発言数
215
登壇者
25
会派数
6
開催日
1991/04/18

会議録

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨十七日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。     ─────────────

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 再生資源の利用の促進に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 今回の廃棄物処理法、いわゆるリサイクル法案は、よく見てみますと、通産大臣を初めとする事業所管大臣に委任されている範囲が非常に大きくて、ガイドラインも政省令で決められ、具体的な中身がはっきりしないんでございます。つまり、事業所管省庁へ配慮して自由裁量を最大限に与える法律ではないかなというふうに思ってしまうんですが、例えば何を特定業種とするか、何が第一種指定製品なのかエトセトラ、こういうようなこと、衆議院の商工委員会の議事録を見ても明確な答弁が聞かれていないと思います。  このようなあいまいな法案を提案し、審議を求めるということは、あえて言わせていただくと、国会軽視ではないかなという気がするんですけれども、通産大臣の御所見をお伺いいたします。

岡松壯三郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(岡松壯三郎君) 今回の法律の立て方として、先生御指摘のとおり、業種についてもあるいは判断基準についても政省令に移しているわけでございますが、これは、この問題が再生資源の利用の促進ということで極めて事態が流動的な問題でございますし、また技術進歩等に応じて対応していかなければいけないという側面もあるわけでございます。技術進歩、経済事情等を反映しながら対応していかなきゃいけない。  そういうところから、弾力的に対応できるように政省令に移しているわけでございますが、もし御必要でございましたら、とりあえずどういう業種を予定しているかということについて私ども考えているものはこういうものだということは、もし必要があれば御答弁させていただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 二十一世紀を前にして、地球環境がむしばまれ、危機的な状況にあるということは広く認識されてまいりました。私たちの足元を見ると、ますますごみがあふれ、資源、エネルギーの消費が急増しております。今や、地球的規模での環境問題を解決していくためには、まず私たちの足元における身近な生活から見直していくことが大切となっている。そういうことでこの法案 が提出されたんだと思います。  そのためには、物を循環的に何度も利用するリサイクルを広め、ごみをできるだけ出さない、資源、エネルギーのむだ遣いをやめるなど、私たちの暮らしをより環境への負荷の小さいものに変えていこうとすることが極めて重要であるということで、この再資源法案でございますけれども、こうした循環型の社会に対する認識がどのような形で生かされているのか、まずお伺いしたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) まず冒頭に、先ほど委員から御指摘のございました問題点は、これまた委員のように大変御熱心にこの問題に取り組んでおられる方、まあ皆さんそうでございますけれども、なかんずく御勉強中に疑念が生じたということも間々にしてあることでございますから、必ず通産省で責任を持って、私も下命いたしまして、委員のところに直接またいろいろと細かい質問などを受けに行かせますので、どうかその点御理解賜りたいと思う次第でございます。  それからまた、今の質問でございますが、近年の経済社会状況というものをつまびらかに見ますると、国民経済の発展あるいはまた消費生活の多様化、ライフスタイルの変化というものに伴いまして、再生資源の発生量が増加していることは言うまでもないわけでございますが、その相当部分が利用されずに廃棄されているという状況にあるわけでございます。このような状況を放置することは、資源の大きな損失であるとともに、廃棄物の発生を増加させまして、環境の悪化を招くことにもなりかねないと思います。  通産省としましては、従来からも省資源、省エネルギーを実施しながら、なおかつ国民生活の向上を図るために各般の諸施策を講じてきたところではございますが、昨年末に産業構造審議会からいただきました答申にも示されておりますように、再資源化をなお一層強力に推進していくということが緊急の課題になっていると認識せざるを得ないのでございます。  このような認識のもとに、今般、再生資源の利用の促進に関する法律案の提出を行ってまいったわけでございます。この法律に定める諸措置によりまして再生資源の利用を促進し、そしてまた資源の有効利用を図ることは、環境の保全に大いに資することになると私どもは考えておる次第でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 今日、巨大な量の廃棄物の処分地が極度に不足しておりまして、廃棄物の域外処分や不法投棄が多発していることは御存じのことと思います。  また、廃棄物の質が多様化し、有害な化学物質を含む廃棄物や厄介なプラスチック型の廃棄物も増大しております。  廃棄物処理法の審議が衆議院でおくれておりますために、再資源法と廃棄物処理法は再生資源の有効利用のためには車の両輪となっているにもかかわらず、一方だけ出てきたと。この廃棄物処理法の成立がおくれることで再生資源法の運用には支障がございませんでしょうか。

岡松壯三郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(岡松壯三郎君) 本法案は、主として廃棄物になる以前の生産、流通における事業者の再生資源の利用の努力を最大限に引き出すための所要の措置をとることを主たる内容といたしております。他方、廃棄物処理法の改正法案でございますが、この法案は、廃棄物となった後の適正処理を円滑に進めることを主たる内容としておるわけでございます。  両法案は、それぞれ独自の目的、役割を有しておりまして、それぞれの役割分担のもとで廃棄物の処理、再資源化への対応を図るということでございまして、仮に両法案の成立時期が異なったとしても法律施行上の支障はなく、むしろ重要なことは、実施可能な政策を一日も早く実施していくということではないかというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、当省としては、両法案の役割分担は十分認識いたしておりますが、再資源化の促進の重要性、緊急性にかんがみまして、本法案の一日も早い成立を期待しておるところでございます。

三本木徹厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長

○説明員(三本木徹君) 廃棄物処理法の問題につきまして御説明をさせていただきます。  まず、廃棄物の問題は先生御指摘のように大変大きな問題となっておるわけでありまして、廃棄物の量を減らす、あるいは再資源化を進めていく、さらには適正な処理を確保していく、そしてまた、不法投棄が大変多うございますが、これらの防止を図るなど、大変これは一刻の猶予もできない状況にあるわけでございます。このため、政府といたしまして、この国会に廃棄物処理法改正案を御提出しているところでございます。  御案内のとおり、実は廃棄物処理法の改正案につきましては、廃棄物全体を適正に処理を進めていく、あるいはその中での再生も適正に進めていくというようなことも考えておりまして、いわばこの廃棄物の再資源化ということにつきましては、本日御審議いただいておられます再生資源利用促進法案とまさに車の両輪のような位置づけになっているものであります。したがいまして、私どもの廃棄物処理法改正案とこの法案、両法案が相まちまして減量化やあるいは再生資源対策の対応を図ることとしているわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 廃棄物処理法が一日も早く衆議院で審議されますことを願っております。通産省の側から役割分担というふうにおっしゃいましたけれども、連係プレーというのが非常に大切だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  法案の中身についてなんですけれども、この法案の主目的は何なのかということが、これを見ておりますうちにたびたび疑問として起こりました。法律の「目的」には、「もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」とありますけれども、再生資源の利用の促進の究極目標は環境保全にあるのではありませんか。今日、経済優先から環境保全型社会の形成への対策に政策を転換しなければならないという状況を考えますと、主目的に環境保全を基本理念として明記すべきではないかなという気がするんですけれども、いかがでございましょうか。

岡松壯三郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(岡松壯三郎君) この法律案では、再生資源の利用の促進に関する所要の措置を規定しているわけでございまして、資源の有効な利用を確保することに加えまして、この第一条にございますように、それがまた廃棄物の発生の抑制にもつながる、あるいは環境の保全に資するということも目的に加えまして、再生資源の利用の促進を図っていくんだ、よってもって国民経済の健全な発展に寄与するということを掲げているわけでございます。  このように、本法によって実現される再生資源の利用の促進というものは、資源の有効利用というより直接的な効果に加えまして、新規の資源の調達に伴う開発による環境負担を減らすとか、あるいはエネルギーの使用量の減少等を通じてやはり環境の保全にも好ましい効果を持つ、これを法律上有意義なこととして明確に位置づけておるわけでございます。  さらに、本法律案におきましては、こうした再生資源の利用の環境保全上の意義を明らかにし、これを国民に知らしめるということから、事業所管大臣の実施する対策の円滑な遂行上も有益であるという観点も踏まえまして、基本方針の内容としてこれを盛り込むことを決めておるわけでございまして、このようにこの法律では、資源の有効利用の確保と並んで環境保全の重要性を十分認識した上で法文が規定されているというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そのことで特にお願いしたいのは、環境庁長官のかかわりでございますけれども、これにつきまして、最終的な調整官庁としての環境庁長官の役割がこの法案の中で十分読み取れ、そしてそういう役割が与えられているのでしょうか、お伺いいたします。

岡松壯三郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(岡松壯三郎君) まず、環境庁長官は、環境の保全に関する基本的な政策を企画し、立案し、及び推進することを所掌する立場から、この法律の第三条に規定いたします再生資源の利用の促進に関する基本方針の策定、公表及び改定に関しまして、他の事業所管大臣とともに主務大臣としての役割を果たすことになっているわけでございます。  なお、本法による再生資源の利用を総合的、計画的に推進する上の基本方針が重要であるわけでございますが、この基本方針の策定に当たりまして七人の主務大臣が共同してこれに当たるということになっておりまして、その際、各省間で十分連絡を密にしていくということが大事であるということでございますが、この場合には、通産省が連絡役になって、必要に応じて各省間との連携を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

長谷川正榮環境庁企画調整局企画調整課長

○説明員(長谷川正榮君) 環境庁の方からも御説明申し上げます。  ただいま通産省の岡松局長から御答弁がありましたことで基本的には足りておりますけれども、基本方針の取りまとめといたしまして、七省庁の主務大臣が共同して行っていくことになりますけれども、環境庁といたしましては、環境保全の観点から再生資源の利用促進の意義を明らかにするとともに、環境保全上の配慮事項のような共通的、横断的な事項を盛り込みたいと考えております。御指摘のような縦割りの弊害が出ないようにしたいと考えております。  このような基本方針にのっとりまして、事業所管大臣が事業者は対して判断基準の策定、指導、助言、勧告の措置をとることによりまして、全体として環境保全の観点に立った再生資源の利用促進が図られるものと考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 環境庁を応援するわけじゃないんですけれども、ぜひ環境庁が主務大臣として関与することで、環境保全という目的のもとに整合性のあるリサイクルが促進されるように非常に期待しております。  このリサイクル法案でございますけれども、再生資源の利用に関する判断の基準となるべき事項は、その業種にかかわる再生資源の利用の状況、再生資源の利用に関する技術水準その他の事情を勘案してと、これは現実の経済の状況を見れば当然といえば当然なんでございましょうけれども、この促進法によってリサイクルが着実に進み、ごみの排出量が著しく低減されるという保証があるのかなといった疑問もあるわけでございます。  厚生省によりますと、年間のごみの発生量は、一般廃棄物が四千八百万トン、これは五年間で一三%増でございますし、産業廃棄物の方は三億一千二百万トン、これは五年間で七%増でございますが、特に産業廃棄物は経済活動の活発化で増大していることが見てとれます。  通産省は、この促進法で廃棄物の発生量がどのくらい減量されるであろうかといった予想を持っていらっしゃいますでしょうか。

合田宏四郎通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(合田宏四郎君) この再生資源利用促進法案によって廃棄物全体の減量がどの程度進むかという御質問でございますけれども、先生御承知のように、再生資源の利用につきまして必ずしも統計等が十分に整備されていない現状にございまして、その数値等についての正確な把握は困難でございます。  また、本法における政令指定の対象となっております業種でございますとか製品等につきましてまだ具体的に決まっていない現段階でございますので、本法の措置の定量的効果について具体的に申し上げることはできませんが、ただ本法の施行に伴いまして主要な再生資源の利用率等が向上すること、これは確実でございますので、そういうことによって廃棄物の減量化がより一層進むものであるというふうに期待をいたしておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 少し具体的な例についてお伺いさせていただきます。  古紙と輸入古紙についてなんでございますけれども、特定業種の政令指定の中に紙・パルプ製造業というふうに入っておりますけれども、古紙についていろいろちょっと勉強いたしましたらば、日本国内で使用されている紙を再び集めて再生するというリサイクルだけではなくて、古紙を輸入しているという現状があることを伺ったんですけれども、輸入古紙について本法案はどのような扱いをしていらっしゃるんでございますか。

合田宏四郎通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(合田宏四郎君) 本法案の趣旨、目的からいたしますと、輸入古紙についてその利用を促進しようというものではございません。ただしかしながら、紙・パルプ製造業が特定業種として指定をされ、判断の基準となるべき事項を定めます場合には、輸入古紙の国内古紙使用量に占める割合は大体四%前後でございまして低い割合でございますし、また輸入古紙と国内で発生する古紙との区別、これが非常に困難な場合も多いと考えられますことから、実際上の取り扱いといたしましては、輸入古紙も古紙全体の中の一環として取り扱われることもあるというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 地球規模から見ますと古紙であればどこでリサイクルされてもいいようなものでございましょうけれども、しかしやはり日本国内におけるリサイクルを促進するという意味合いにおきましては、輸入古紙が入ってくることによって日本の古紙回収業者が非常に不利な立場に立つといったようなことがあるんではないかと思います。  ひところ、私どもは古新聞、古雅誌という古紙回収業者の声をあちこちで聞いたものでございますけれども、最近とんと聞かなくなった。彼らもそれを生業としているわけでございますから、輸入の古紙が量は四%、五%という非常に少なくても、それがいわゆる価格調整の役をしていて古紙の値段が上がらないということが、そういう何というんですか、古紙業者の活動を減らしていると、そういうような気がするんでございますけれども、静脈産業、つまりそうした回収業者を育てるという意味におきましても、やはりもっと総合的な政策みたいなものが必要なんじゃないかと思いますが、日本のこの高い人件費の中でいかにやっていこうとしていらっしゃるのか、できたらなるべく具体的にお話しいただきたいと思います。

南学政明通商産業省生活産業局長

○政府委員(南学政明君) まず、古紙の輸入が国内の古紙の回収を妨げているのではないかというような御指摘の点について、考え方を説明させていただきます。  古紙の輸入の内訳を見ますと、平成二年で六割以上、多い年で八割以上が段ボールの古紙でございます。この段ボールの古紙というのは米国製段ボールで、ほとんどがバージンパルプでできているわけでございまして、日本のメーカーが段ボール古紙を輸入するというのは、バージンパルプの代替原料としての意味を持っているということも聞いております。また、輸入古紙の方が国内価格よりそうした意味で割高であるというようなこともありますので、輸入によって我が国の古紙価格が抑制されているというような事態にはないのではないかと、このように認識をいたしております。  次に、静脈産業、古紙回収業者の育成、支援策についてお答えをさせていただきます。  古紙回収業者は、家庭や工場から出る古紙を集めまして、これを製紙メーカーに原料として供給するという極めて重要な役割を担っております。そして、これから古紙利用率をさらに向上させていくということを考えますと、ますます重要な役割を担っていくものと考えております。したがいまして、政府としては、古紙回収業者に対しまして事業所税の減免、古紙こん包装置に対する税制上の優遇措置、こういうものを講ずるとともに、古紙回収業者が設備等を導入するための資金を借り入れる場合に、債務保証制度等によってこれを側面から支援しているところでございます。  さらにまた、古紙直納業者につきましては、今後中小企業近代化法に基づきまして構造改善事業に取り組んでいきたい、このように考えております。  さらにまた、古紙回収業者が安心して事業を継続できるということのために最も重要なことは、古紙の国内における需要の拡大を図り、これを定着させていくことであろうかと思いまして、私どもは、引き続き古紙の利用促進のために、官民一体となって努力をしてまいりたいと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 大いに頑張っていただきたいと思います。特にパルプの輸入というんですか、結構日本はしているわけで、古紙の再生利用によってその輸入が減るということになれば私は大変結構なことと思っておりますので、ぜひこの産業の育成に御努力いただきたいと思います。  次に、プラスチックについて伺いますけれども、プラスチックには多種多様なものがあり、自然界では分解せず、焼却すると高熱を発したり有害ガスが出るものもございます。本法案ではプラスチックについてどのような扱いを考えていらっしゃるんでしょうか、まずお伺いします。

内藤正久通商産業省基礎産業局長

○政府委員(内藤正久君) 委員御指摘のとおり、プラスチックは非常に種々雑多でございます。統計を通産省でとっておるものだけでも三十種類ございますし、そのほかエンジニアリングプラスチックというふうなものは百種類以上にあるということで、それぞれのプラスチックの特性に応じたリサイクルなり処理ということを考えていくのが基本かと思っております。  そういう点からいいますと、ガイドラインで提示しておりますように、一つはおっしゃるとおりの再生利用でございます。これは例えば飲料用PETボトルでございますとか発泡ポリスチレン、あるいは農業用に用いられております塩ビというふうなものがこの範疇で処理できるのではないかと思っております。  それからもう一つは、これが大宗になると思っておりますが、エネルギーによる回収でございます。現在は廃プラスチックのうちの一二%をエネルギー回収いたしておりますが、これをさらに拡大していくというのが、実はこれが大宗になると思っております。  それから三つ目は、排出を抑制するという観点からいえば、減量化することが特に重要でございますので、薄肉化でございますとかそういうことを推進したい。さらに、技術開発によりまして、自然の中でリサイクルするようなプラスチックを開発するということで、生分解プラスチックの開発を進めようとしておりますが、そういうふうなものが抜本的解決であると。  そういうことで、御指摘の法案の中でどう処理をするかということの場合に、プラスチックを一律にどうするということはできませんので、そういうふうな特性に応じてそれぞれの対応を図っていきたい。  それで、法案との関係では、再生利用というのがこの法案の趣旨でございますので、先ほど申し上げました農業用塩ビでありますとかあるいはPETボトルでありますとか、そういうものについてのリサイクルを今後引き続き検討していきたい。その端緒は今ございますので、それを芽を育てていきたいというのが考え方でございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 具体的な回収装置はできているんでございましょうか、つまり川下の方でございますが。

内藤正久通商産業省基礎産業局長

○政府委員(内藤正久君) 回収装置、缶のようにここにプラスチックを入れれば回収されるというふうなものは必ずしも開発されておりません。ただ、それを回収、一応集まってきたものを溶融して固形化いたしますとか、あるいは最近は植物性てんぷら油の廃油でございますけれども、それを沸騰いたさせまして、百六十度ぐらいでそのプラスチックを入れますと溶融いたします。そういうふうな研究が非常に進んでおりまして、それによるエネルギー利用というのは展望が見えておるものだと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 第二種指定製品になるのかどうかわかりませんけれども、第二種指定製品の表示についてプラスチックの指定というのは考えていらっしゃるんでしょうか。  これは資料いただいたんですけれども、米国のプラスチック工業会では、マークをつくって消費者にわかりやすく表示をしておりまして、例えばポリエチレンテレフタレートというんですか、ビニール、ポリプロピレンなどをわかりやすい表示がしてあるんですけれども、このように回収しやすいような形で表示をし、そしてそれが周知徹底されるようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。

内藤正久通商産業省基礎産業局長

○政府委員(内藤正久君) プラスチックで、先ほど申し上げました回収再生利用が可能なものについては、表示についても今後検討してまいりたいと思っております。  それで、具体的には、例えば農業用塩ビフィルムでございますけれども、これは既に三八%ぐらい回収しておりますが、これは表示がついておりまして、その表示のさらなる徹底を図ることによって五〇%ぐらいまで回収を上げていきたいというふうな具体的な目標を持っております。  それから、飲料用瓶でございますと、材質として、おっしゃいましたポリエチレンテレフタレート、PETが大宗でございますけれども、それ以外にローデンシティーポリエチレンとかあるいは塩ビでありますとかポリスチレンでありますとか、そういう材質がございますので、そういうふうなものの表示が簡単になるような、容易に識別ができるようなことの可能性については検討したいと思っております。  それで、御指摘のアメリカでの検討でございますけれども、昨年二州が採用いたしまして、ことしさらに六州が採用するということで、御指摘のとおり七種類に分類をした形になっておりますが、そのマークをごらんいただいておわかりいただけますように、一から七の数字が書いてあるだけで、これで本当に回収ができるのかなという疑問もございます。かつ、その利用されておりますのが十六オンス以上ということで、かなり大きな容器を対象にしておりますので、限度があるのかなと。したがって、我々検討するといたしますれば、例えば色地による区分けだとかもう少しさらに知恵も追加していきたいというふうに思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そこのところは大変うまくなさるだろうと信じてやみませんけれども、恐らくアメリカの場合ですと、素人にはわかりにくくても、専門の回収業者というんでしょうか、そうした川下産業がかなり発達しているんじゃないかと、そして自治体との連係プレーなど、または業界との連係プレーなど、かなり大規模な回収業者が育っているんじゃないかというような気がいたしますけれども、日本の現状はいかがでございましょうか。

内藤正久通商産業省基礎産業局長

○政府委員(内藤正久君) 現在は、むしろ分別収集ということで、回収業者がこのプラスチックについては必ずしも発達しておりません。したがいまして、最近は、例えば流通業者あるいは生活協同組合等に持っていくことによっての回収というのがルートが開かれつつございますし、それから実験的に地方公共団体でも、例えばPETボトルでございますと、高知市でありますとか秦野市でありますとか、そういうところで実験が始まっておりますので、そういう収集システムをつくっていくことが重要であると思っておりますから、今後なお検討を続けてまいりたいと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 デポジット制度についてお伺いしたいんですけれども、多分第一種指定製品の政令指定の中に、大型家電製品とか自動車とかガラス瓶等、こういうのが入るんじゃないかと思います。  最近聞くところによりますと、自動車なんかが不法に放置されておりまして大変に問題であるということ、それから、これは成田空港に行く途中で見たんですけれども、自動車の山がありまして、そしてそこでたき火のような形で自動車を燃やしている、黒煙がもうもうと出ておりまして、そういうふうに何というんでしょうか、だから先ほどの続きになりますけれども、いわゆる回収というのがうまくいっていないんじゃないか、ある いは本当に零細な規制のかからない形の業者に任せられているという状況があるんじゃないかと思います。  最初から、このような大型のものに関しましては、企業がデポジットをとることによって引き取る、そういう制度をお考えになるおつもりはあるのか、または既になさっていらっしゃるんでしょうか。

合田宏四郎通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(合田宏四郎君) 先生御指摘のデポジット制度は、実は空き缶とか瓶とか非常に小さな、散乱性のごみと言っておりますけれども、そういうものにつきましては、アメリカの中で九つか十の州に、あるいはヨーロッパでございますと西ドイツ、スウェーデンで法律によって行われているところはございますが、ただいずれにいたしましても、まだはっきり申し上げまして試行錯誤の段階でございまして、そのコストとべネフィットを比較いたしますと、残念ながらコストの方が高くつくというような状況でございます。  お尋ねの大型家電製品とか自動車についてどうかということでございますが、デポジット、つまり預かり金をこれは多分全国画一的に徴収することになると思いますけれども、その場合には、地域間の処理費用の格差というのがどうしてもございますから、地域の間で不公平を招くおそれがあるというのが第一の問題点。それから、第二の問題点といたしましては、廃棄物を排出する時点で処理費用を徴収した方が廃棄物の発生抑制には有効であるというふうに考えられまして、その他にもいろいろ問題がございますけれども、したがいましてこのため、あらかじめ処理費用をデポジット、預かり金の形で課すような制度を法律上規定するということは相当問題が多い、適当ではないというふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そうすると、放置された自動車なんというのはどういうふうに扱われるおつもりなんでしょうか。シリアルナンバーなんというのは書いてありますからオーナーをトレースすることは不可能ではないんですけれども、日本では仮にそういうことが法律とされましても、現実に取り締まる役人というんでしょうか係の人がおりませんから、結局は捨て得というようなことになりかねない。すべての人が必ずしも環境意識が高いわけじゃございませんので、やはりここのところはきちんと詰めておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

山本幸助通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(山本幸助君) いわゆる廃棄の車でございますけれども、これは基本的には廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反ということで違法行為でございまして、これは取り締まり強化あるいはPRということで防ぐのが第一でございます。しかし、そうはいっても相当廃棄されているわけでございまして、これにつきましては私ども、特に自動車業界はこの点非常に関心を持っておりまして、通産省も指導いたしまして二つのことをやろうとしています。  一つは、不法廃棄車というのは、この処理は基本的には市町村の責任でございます。しかし、これに対する費用がいろいろ要るものでございますから、これについては自動車業界でもって持とう、負担しようということにいたします。  それから第二番目には、これを廃棄しようと思っている人もどこへ持っていっていいかわからないということでございますので、販売した店に持っていけば必ずこれは引き取るということの制度をつくろうと、こう思っておりまして、これは現在準備を進めておりまして、来月早々からもう実施しようということでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 どうもありがとうございました。大変進んでいることを伺って大変うれしく思ったわけですが、例えば一たん回収いたしました車なり大型冷蔵庫へそれをばらしましてそれぞれ回収するんだと思いますけれども、例えばフロンのような、有害廃棄物と言えるかどうか知りませんけれども、ああいう空中に散布されたならば大変危険だような製品に関しては、この法案では押さえているんでしょうか。

内藤正久通商産業省基礎産業局長

○政府委員(内藤正久君) フロン法のときにいろいろ御審議いただきましたけれども、廃車から出てまいりますフロンにつきましては回収が不能でございます。それで、自動車の冷媒用のフロンにつきましては、自動車が使用されている段階におけるなお残っておるフロンというものを、従来空気中に放出しておりましたのを再利用するということでそちらの方は可能でございますが、廃車になった後のものは不能でございまして、ただ、その点は、排出されたものの総量がオゾン層に及ぼす影響というところで、生産即放出というところで押さえておりますから、環境上の歯どめはついておるものだと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 このリサイクル法を見ておりますと、要するにごみとして出てくるもののコストをだれが負担するかと。公共団体が、地方自治体が負担するのか、それとも企業、生産者の方が負担するのか、それとも消費者が負担するのか。結果としては個人に帰するんだろうと思います。究極的には物の値段にはね返ってくるわけですし、あるいは税金の形ではね返ってくるんじゃないかと思いますけれども、やはり私はコスト意識というものをみんなが持つ必要があるんじゃないか。  例えば、東京都民一人のごみ処理の費用というのは、毎年上がっておりますけれども、去年の段階で二万七千円でございます。四人家族ですと十万円の費用がかかっているわけですけれども、私どもはそのことは余り知りませんから、比較的簡単に物を買っては捨てている、そういうようなことでございます。最初のうちはごみが島になって夢の島になったりして、それも悪くないなという時代もあったかもしれませんけれども、もう今は島をつくる場所もなくなってしまった。  そういう中で、もうちょっとごみの収集に関して消費者に負担をさせるということで、例えばパッケージなどを有料化するとか、きれいに包んでもらった場合には特別にお金を出すとか、それから一定以上のごみを出す人にはつまりごみ袋を有料化するとか、いろいろな方法があると思うのでございますけれども、大変これはポピュラーなというか一般消費者に受ける提案かどうかはわかりませんけれども、やはり意識を高めるという意味ではこうした考え方も必要ではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。

岡松壯三郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘の点幾つかございましたが、基本的には現在廃棄物の問題をもたらしている使い捨てライフスタイルの見直しにつながる御質問かと存じます。  確かに、この問題を昨年の夏以降産業構造審議会に部会を設けまして議論をしておりましたときにも、基本的な方向として、やはり今申し上げました点でございますとか、あるいは廃棄物についてルールを確立していく必要があるんじゃないか、すなわちポイ捨てあるいは先ほどお話が出ましたような不法投棄をなくしていくといったようなことも含めまして、リサイクルを進めていくためには、全体的な国民運動を進めていく必要があるのではないかというのを一つの大きな結論としていただいたわけでございます。  このようなことも、この法律が施行されました暁には、やはりここで事業者についての責務ということを中心にこの法律はでき上がっておりますけれども、同時に、議論してまいりますと、国、地方公共団体、事業者、事業者もメーカー、流通段階がございます、それから消費者の段階を含めまして、全体として国民運動として取り組んでいく必要があるというふうに考えているわけでございまして、この点は法律上、四条、五条あるいは八条、九条に記載しているとおりでございますが、このような形で取り組んでいく必要があるのではないか。  特に、先生御指摘の費用についての負担意識というものが大事だろうと思うのでございますが、今回の廃棄物法改正案の中にも、「手数料を徴収することができる。」という規定が設けられておりますが、また東京都の例を引用されましたが、東京都はこの七月から粗大ごみについて、たしか大型冷蔵庫については千円というようなことだったかと思いますけれども、個別の大型廃棄物につきまして手数料を徴収するというシステムを導入する条例が既に成立いたしております。そのような形で、コスト意識も含めまして、先ほど申し上げましたように国民運動としての展開、そして新しい社会システムをつくっていくという形で取り組んでいくべき問題であるというふうに考えている次第でございます。

三本木徹厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長

○説明員(三本木徹君) 先生御指摘の廃棄物のコストの問題でございますが、現在の法律におきましても、廃棄物処理法におきましても、まず工場、事業場から出てくる廃棄物につきましては、その排出者の責任ということで処理コストも負担しながら適正に処理をしていくという考え方に立っております。さらに、家庭から出てくるごみにつきましても、基本的にはこれは市町村の処理責任ということになっておりまして、市町村が今は税金でもって処理をしているという状態でございます。  昨年の生活環境審議会の答申におきましても、この廃棄物処理のコストにつきましては十分な認識になっていないのではないかということでありまして、ただいま私ども今国会に提案しております廃棄物処理法の中におきましても、特に家庭から出てくるごみにつきまして、市町村は、その粗大ごみや事業活動に伴って生じた一般廃棄物、ビルとかあるいはホテルとかそういったところから出てくる一般廃棄物でございますが、そういったものの処理、その収集あるいは運搬、さらには処分に要する費用というものを十分勘案した上で、その手数料を徴収できるような規定を置いてございます。そういったことを通じまして、処理コストというものを社会全体でカバーしていくという考え方をとっていきたいというふうに今考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。

池田治連合参議院

○池田治君 本法律案の内容や基本的な問題点につきましては既に言い尽くされた感がいたしますので、私は具体的な事例で質問したいと思います。これも、広中先生が今お触れになりましたので、重複する部分があるかと思いますが、せっかく質問通告をいたしておりますので、質問させていただきます。  まず第一に、広中先生は成田へ行くところとおっしゃいましたが、成田だけでなくて、全国的に地方では自動車が河川敷や空間あるいは山林等に投げ捨てられておるのが目立ちます。特に、選挙で回っておりますと、至るところにそういうのが目立って、安全性や美観の面でも大きな問題となっていると思います。  そこで、本法律では、再資源化しやすい自動車づくりをメーカーなどに義務づけておりますので結構なことでございますが、これだけでは問題は解決いたしません。基本的には廃棄する自動車についてディーラーの下取りの徹底や再資源化に必要な設備の地方での整備を進める必要があると思います。  そこでまず、廃棄自動車につきまして現在どのように処理を指導され再資源化されているのか、お伺いいたします。

山本幸助通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(山本幸助君) お尋ねの廃棄自動車の処理のことでございますけれども、まず中間処理業者は、ユーザーから直接直送あるいはディーラーを通じてこれを引き取りまして、まず第一に再生利用可能な部品等を回収するわけでございます。残りにつきましては、プレス等の処理を行った後に、鉄のスクラップ加工処理業者、ここに売られるわけでございます。この鉄スクラップ加工処理業者は、これをシュレッダーマシンにかけまして加工処理をしまして、いわゆる金属スクラップとして回収して再資源化を図るということでございます。  ちなみに、廃棄自動車一台につきまして、重量ベースで言いますと大体八割ぐらいが中古品あるいは今言いました金属スクラップとして、再利用、資源化されているという状況でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 今シュレッダーマシンの話が出ましたが、大型のごみを処理するにはどうしてもこのシュレッダーマシンが必要だと思いますが、大都会には業者がたくさんいまして大分配置されておりますけれども、地方にはなかなかそういう機器がないということでございまして、地方から都会へ送るには輸送コストもかかってくる、重いものでございますから。そうすると、再資源化のコストがかかる上にまた輸送のコストがかかるということで非常に合理的でないと思いますが、地方におけるシュレッダーマシンの配置状況、及び導入促進策を考えておられるのかどうか、お伺いいたします。

山本幸助通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(山本幸助君) 今先生御指摘のシュレッダーマシンでございますが、これは現在大体全国で百六十台稼働いたしております。大体能力的には需要に合っているというところでございます。  都会に集中しているんではないかということでございますけれども、実際は関東及び関西、この東京、大阪周辺というのは廃車の出る率も大体五割以上でございまして、この地域に今言いましたマシンも五割以上あるということでございまして、大体平均しているんではないか。県別に見ますと、ほぼ各県にございますけれども、中にはない県もございますけれども、そういう場合には、近くの県からトラックで輸送するという形でもってシュレッダーマシンを使っております。  なお、導入促進につきましては、これについて導入した場合の債務保証それから税制措置等がございます。こういうものを使いながら、必要に応じまして導入を促進したいというふうに考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 地方にもあると伺いましたけれども、それでもなお地方では自動車の山が山林や河川敷にできるわけですから、もう少し促進策を急いでいただくようお願いします。  次に、廃棄自動車の不法放置をなくするためには、このような再資源化施設の整備と同時に販売店における下取りの徹底を図るべきと考えますが、通産省は、下取りに対してどういう取り組みをされておりますか。

山本幸助通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(山本幸助君) 自動車を使い切って廃棄したいという人も、どこへ持っていけばいいのかわからないというのがございます。その点を解決するために、自動車業界を通産省も指導いたしまして、実は来月からでも実施しようという二つのことがございます。  一つは、廃棄を希望する人はもともとそれを買った店へ持っていけば、その店でもってそれに対する回収するいろんな手続をやってくれるということでございます。場合によっては多少お金を取られる場合もありますけれども、必要に応じてそうしたあっせん等をやりますということでございます。これが第一点でございます。  第二点は、実際に野積みになっているような不法放置の車でございますが、これについては市町村がこれに対する片づけをする責任がございますけれども、これについてはお金のかかる場合も相当あります。そうしたお金につきましては、自動車業界がこれを負担するという制度を実施したいというふうに考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 これは、自動車はよくわかりましたが、あと大型冷蔵庫とかテレビとかそういったものはいかがでございますか。

山本幸助通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(山本幸助君) 冷蔵庫やテレビは、若干車と違いますのは、これはいわゆる一般の廃棄物としてごみと一緒に回収されるということでございますので、普通に決められた日に置いておけば、それに対しては一般のごみとして収集される。これに対して車の場合には、そうした一般のごみじゃございませんで、全く別でございます。  ただし、冷蔵庫とか家電につきましても、最近の状況で、これについてもっと十分な回収体制が必要じゃないかということで、これも実は近々発足するんでございますけれども、各使用した人がこれを最寄りの販売店へ持っていって置いておく、そうすると、そこに巡回する車が来ましてそれを集めて車の中でガチャンとつぶしてそれを一定のところへ持っていく、こういう巡回型の車を回転させたらどうかと考えておりまして、とりあえず東京からこれも近々に発足させる。これがうまくいくようでしたら、これをさらに全国的に展開したらどうかというふうに考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 ぜひ巡回型の車で大型ごみの処理もしていただきたいと思います。  市町村が、外へ出しておれば、ごみを回収してくれると今おっしゃいましたけれども、現実に、私は那須高原の別荘地へ時々仕事で行くんですが、そこへ行きますと、もう大型の冷蔵庫は別荘地へぽんぽんぽんぽん捨てられるわけですね、テレビとかなんかは。市町村が容易に回収してくれるなら、それは捨てる必要はないと思うんですよ。現に捨てられている以上安易な考えはできないと思いますので、市町村に対する周知徹底もさせていただきたい、かように思っております。  次に、自動車を初め製品の開発につきましては新技術が次々と開発されておりますが、これに比べると、再資源化や廃棄物処理の技術開発はおくれているようでございます。このような分野では、地域に密着した地方自治体の独自の技術開発も重要だと考えますが、技術開発の推進などは、地方自治体がそれぞれの実情を踏まえて国に先んじて取り組むことができるよう、国も積極的な支援をすべきだと思いますが、通産省のお考えをお聞かせください。

合田宏四郎通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(合田宏四郎君) 先生御指摘いただきましたこの技術開発の重要性につきましては、昨年十二月の産業構造審議会の廃棄物処理・再資源化部会の答申におきましても、特に重要な問題であると指摘をされまして、再資源化を促進するために国及び民間による技術開発の推進が必要であるという旨の御指摘を受けたところでございまして、ただいま御審議いただいております本法案でも、第七条で技術開発の重要性を規定し、かつ第九条で、地方公共団体が国の技術開発政策等に準じて再生資源の利用を促進するよう努めなければならないというふうに規定がされておるところでございます。  それから、第二点の御指摘の、地域に密着した再資源化技術の開発の重要性でございますけれども、これは通産省といたしましても十分に認識いたしておりまして、従来から再資源化技術の開発に努めてきたところでございますが、平成三年度予算におきましては、この産業構造審議会の答申を踏まえまして、技術開発に係る予算を大幅に拡充いたしております。  具体的に申し上げますと、廃棄物の処理あるいは再資源化技術の開発、普及を行うための実証プラントの設置、運転に対する補助金を倍増する等の措置を講じたところでございます。また、工業技術院の筑波にございます公害資源研究所でございますとか、あるいは四国とか北海道、名古屋等の地方に工業試験所がございますが、そういうところにおきまして再資源化のための基礎的な技術の研究開発を行っておりまして、それぞれの地域の実情や特色等を反映するように研究開発に取り組んでいるところでございます。  通産省といたしましては、今後とも、再資源化促進のために、地域の実情等を踏まえつつ、必要な技術の開発に鋭意努めてまいりたい所存でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 もう最後で、大臣にちょっとお尋ねします。  廃棄物問題は大変これ深刻な問題でございまして、こういう法案ができる原因にもなったと思っておりますが、リサイクルに本格的に取り組むこの法律への期待と通産省の責任は極めて重いものがあると思っております。そしてまた、きのうのゴルバチョフさんもおっしゃいましたように、地球環境の保全が世界共通の課題となっている今日でございますので、資源も大量に日本は輸入しておりますから、それだけに我が国は世界に先駆けてこのような法律もできたと思っておりますが、資源をたくさん使う我が国はリサイクルをやって資源を大切にしようというのはこれは我が国の一種の責務でもある、こう考えておりますが、この法律の実施に当たって、最高責任者である通産大臣の御所見を最後にお尋ねします。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 広中委員に引き続きまして、池田委員から大変に懇切丁寧な御質問も賜りましたり、私どももまだ足らざる点、気がつかない点が多々あると思うのでございますが、それも一つ一つをまだ今からその問題点の取り組みにも時間を費やしていかなきゃならぬことは申すまでもないと思いますけれども、問題に取り組んだ以上、またこの法案を成立させていただきます以上、私も責任者といたしまして、懸命に鋭意努力してこれを定着し、なおかつ発展させていくように、今や地球環境上の一つの大きな問題点にチャレンジしているんだという意識を忘れずに、頑張りたいと思っているまず所念だけ申し上げておきたいと思います。  国民経済の発展やあるいはまた消費生活の多様化、ライフスタイルの変化というものに伴いまして、再生資源の発生量が極めて増加したことは申すまでもないわけでございますけれども、その相当部分が利用されずに廃棄されている状況に現在はあるわけでございます。これももう御指摘賜りました。このような状況を放置することは、資源の大きな損失であるとともに廃棄物の発生を増加させ、なかんずく、少ない面積しか持たない日本の国にとりましては、環境の悪化を招くことにもなりかねないことは厳然たる事実だと思うのでございます。  通産省としましては、従来からも省資源、省エネルギーを実施しながら国民生活の向上を図ることに各般の諸施策を講じてきたところではございますけれども、昨年末に産業構造審議会からいただきました答申にも示されておりますように、再資源化をなお一層強力に推進することが緊急の課題である、このように認識しておる次第でございます。これに対しまして、さらに産業界、事業者の協力だけではなく、消費者のこれまた幅広い協力が必要になってくるのではないかな、このように感ずる次第でございます。  再生資源の利用を促進するためには事業者の努力を最大限に引き出すことが特に重要と考えておりまして、このような認識のもとに今般本法律案を提案しているところでございます。さらに、本年度予算、税制、財政投融資の各分野におきまして、再資源化促進関係施策の充実にこれまた努めているところでございます。  通産省としましては、本法律の成立を待つや否や、関係省庁とも緊密なる連絡を横並びでとらせていただきまして、そしてその運用に向けまして万全を期し、そして再資源化の促進に向かって全力を傾注していきたいと考え、また取り組んでいく所存であることもお訴え申し上げたいと思います。決して、所管争い、あるいはまた所管のいろいろの分野が多岐にわたって、どこが一体主管しているかというようなことの言われることのなきよう、横の緊密なる連絡だけは私も責任を持ってやらせたいと思っております。  また、委員が御指摘のとおり、我が国が世界に先駆けてこのような法律を制定し、リサイクルに取り組むことは、地球環境の保全が世界共通の課題となっている現在、まことに意義深いものと考えるものでございまして、通産省としましては、各国におきましてもこうした取り組みがなされていくように、さまざまな場を通じまして呼びかけてまいりたいと考えておる次第でございます。  これが最後の御質問だというように承りましたものですから、ちょっと長目に話しました。

池田治連合参議院

○池田治君 どうもありがとうございました。  世界のリーダーシップをとっていただくよう切にお願いをいたしまして、私は終わらせていただきます。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  再生資源の利用の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  吉田達男君から発言を求められておりますので、これを許します。吉田君。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 私は、ただいま可決されました再生資源の利用の促進に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     再生資源の利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、リサイクル社会の構築を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、事業者又は建設工事の発注者に、環境の保全に配慮しつつ、再生資源の積極的な利用に努めるよう、指導すること。  二、特定業種、指定製品及び指定副産物の指定に当たっては、それぞれの固有の実情を踏まえつつ、可能な限り広範囲に行うとともに、判断基準については、事業者の一層の努力を促すものとなるよう定めること。  三、地方自治体が、当該地域の実情に応じた施策を実施できるよう、積極的に支援すること。  四、再生資源としての利用の促進が特に必要な製品については、生産者・流通業者の販売ルートによる回収等の協力が得られるよう、関係業界を指導すること。  五、再生資源の利用を効果的に実施するため、再生資源の回収及び利用状況等について、鋭意調査・資料収集を行い、これらの情報の提供に努めるとともに、国民の自主的な努力に対し、積極的な支援を行うこと。  六、本法施行後、環境の保全等を図る見地から、その施行状況を踏まえ、必要に応じ所要の措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 前会一致と認めます。よって、吉田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中尾通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中尾通商産業大臣。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。  ありがとうございました。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 次に、産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中尾栄一君) 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国では、近年の技術革新の一層の進展のもとで、産業技術に関する研究開発が高度となり、国際的に共同して研究を進める必要性が増大をしております。しかしながら、特に国際共同研究の必要性の高い政府等の委託に係る産業技術に関する研究開発につきましては、その成果の取り扱いの諸外国との相違が外国企業の参加の障害となっており、研究開発の円滑な遂行を困難にしております。このような状況に対応して、政府等の委託に係る産業技術に関する国際共同研究を促進するための措置を新たに講ずるため、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、政府の委託に係る産業技術に関する国際共同研究については、その成果として得られた特許権等の一部を研究を実施した企業等に帰属させることを規定するとともに、研究を実施した企業等が無償または低廉な対価で実施することを認めることといたします。  第二に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託に係る産業技術に関する国際共同研究については、その成果として得られた特許権等の取り扱いについて、政府の委託の場合に準ずることといたします。  第三に、政府等は、その委託に係る産業技術に関する国際共同研究が、産業技術の分野において国際貢献に資するものとなるよう配慮することといたします。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。  本案に対する質疑は後日行うことといたします。     ─────────────

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 次に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 それでは、質問に入らせていただきます。  一番最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、今度の独禁法の改正が国際関係への配慮から、それが一つの動機になっているというふうに伺っております。例えば、提案理由によりますと、「国際的により開かれたものとするため」という文句が特に入っているわけであります。  考えてみますと、やっぱりこの発端になりましたのが恐らく日米構造協議の問題だろうというふうに思います。構造協議の最終報告を読み返してみますと、アメリカから日本に要請をしましたのは六項目ございまして、そのうちの四項目が実は競争政策に関係する要請であったというふうに思います。  そしてまた、最終報告が出ましてそれですべて終わったのか、あとはフォローアップだけでいいのかと思いましたら、実は最近の報道によりますと、例えばアメリカでありますけれども、フォローアップだけじゃなくて、点検だけじゃなくて、新しい要請を用意している、あるいは新たに交渉のテーマに加えたい、こういうふうな報道があるわけであります。  私がお伺いいたしますのは、経済の国際化が非常に進みまして、もはや日本だけの競争政策ではもう通用しない、しかし通用しないんだけれども、後から後から国際的に問題が出てくる、これは一体どういうところに問題があるんだろうと。この点につきまして、その基本的な認識についてお伺いしたいというふうに思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりましたように、競争政策についての国際的な政策協調というのが今日大きな要請になっておる、好むと好まざるとにかかわらず、この問題を視野に入れて対応しなければならないという点につきましては、御指摘のとおりだと思います。  そこで、独占禁止政策なり競争政策について、特に日米間におけるこの問題の所在なり、これに対して我々がどう対応していくかという点に絞ってお話を申し上げますと、まず競争政策なり独占禁止政策の枠組みといいますか、基本的な理念については、日米間で相違があるということではございません。これは、日米間のみならず、OECD加盟諸国も含む先進諸国間におきまして、この競争政策の基本的枠組みに対する認識、いわばパラダイムは共通にしておるというふうに言っていいと思います。  ただ、日米二国間で問題となります点につきまして、これまでの日米構造協議等を振り返ってみますと、私どもこれは二つぐらいの問題領域があると思います。  一つは、我が国の取引慣行等を含む、我が国の市場の現状についての認識ないし評価の問題であります。経済はグローバル化しておるわけでありますけれども、現実を直視いたしますと、世界経済を構成している各国の市場は、それぞれ全部性格なり質を異にしておるわけで均質のものではないわけであります。日本とアメリカともそうでありますし、EC各国の市場もそれぞれの歴史的生い立ちの中で慣行等が形成されてきた。そういった市場の実は合成体が現在の世界経済であろう。したがいまして、二国間で話をする場合にも、それぞれの国の市場の問題についての議論なり評価というのがまず第一に問題になります。  二つ目は、そういった市場に適用されるべきいわば競争政策のパラダイムの具体的な形として、独占禁止法という我が国の制度なり、制度の運用の問題がある。これは当然のことながら各国ともそれぞれの制度が違うわけであります。我が国の独占禁止法の制度なり運用とアメリカの反トラスト法体系ないしその運用とは違うわけであります。こういった相違点の中で実は議論をしておるというのが現状であると思います。  ただ、この一年間のフォローアップの経過を見ますると、私は、事態はかなり進展してきておるというふうに考えております。  一つは、最初に申し上げました、我が国の市場の現状に適用されるべき独占禁止法の基準を明確にするという形で、昨年来ガイドラインの作業をいたしておりまして、このガイドラインの作成に当たりましては、国内においても問題の所在を各方面でよく認識していただく、各国にも我が国の独占禁止法の考え方というものを正確に理解してもらうという観点から、原案ドラフトの段階で、国内各方面はもとよりでございますけれども、アメリカを含む各国、国際機関に一斉に競争政策を送付いたしまして、コメントを求めるという手続をとったわけでございます。  最近、アメリカ政府からも正式にコメントが参っておりますけれども、このガイドラインの全体の考え方、枠組みにつきましては、アメリカ政府としてもこれを評価し、支持するという回答が既に参っておりまして、ただ、個々の技術的な問題等につきましては、いろいろコメントがございます。これはアメリカのみならず国内からも各国からも寄せられておりまして、そういったものを精査しながらこのガイドラインをなるべく早い機会に仕上げていく。しかし、基本的な考え方は、我我は変更する考えはないということでございます。  第二の制度なり運用の問題でございますけれども、まず第一点は、現在御審議を賜っております課徴金の引き上げ、これが大きなやはり独占禁止政策の強化の中心的な我々の取り組みになっておるわけでございます。この水準自体について、日米間でいろいろ議論はございますけれども、私どもは、日本の制度の枠組みのもとにおいて、今回御提案申し上げておるものは、抑止力を最大限に発揮するという点で適切なものであるという考えを持っておりまして、これについて現在御提案申し上げている内容を変更する考えはございません。  ただ、残された問題としては、例えば刑事罰の活用あるいは強化の問題、それから損害賠償制度の活用の問題、これについても着々と作業を今進めておるわけでございます。  一方、基本的にはこの独占禁止法を強く運用するための公正取引委員会の機能を強化するという点においても、予算面での御配慮もいただきつつ、現に着実な成果を上げておるわけであります。  そういたしますと、このフォローアップ一年間の進展というのは、かなりのものがあるというふうに我々は考えておるわけであります。およそ、二国間で話をするときに、我々としては自国の主張すべきことはきちんと主張しなければなりません。しかし同時に、各国とも独占禁止政策を強化している現状でございますから、国際的な相互主義の世界のもとでは、日本もやるべきことはやるということでなければならないと思います。  したがって、今後最終報告に向けまして、二国間の問題というのは言うまでもなく、双方が問題の解決についての合意点に達するために、やはり相互理解というのは双方が努力を共有すべき問題でもありますから、我々としては、そういった視点に立ちまして、今後粘り強くアメリカと対話を重ねていくというふうに考えております。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 我が国の態度としまして、今おっしゃったことはアメリカは要請項目に挙げている、交渉のテーマにすると言っておりますけれども、我が国としてはあくまでもフォローアップの段階、フォローアップの課題としてこれから対応していく。相互理解というのはいろいろなレベルがありますから一概には言えませんけれども、あくまでも今までの継続、つまりフォローアップのテーマとして対応していく、そういうふうなお考えでございますか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 基本的にはそのとおりでございます。  ただ、抑止力等の点につきましては、例えば刑事罰の強化そのものは最終報告に日本側の検討項目としては入れておりませんけれども、これは日本側の自主的な対応としてこの問題をアメリカに提示する、考え方を提示するということはあり得ると思います。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 委員長は、今国際関係の中で二つの点を挙げられました。つまり、取引慣行が違うという点が一つと、それから制度が違うということですね。ドイツもアメリカも大体二つの施策ですよね。例えば、アメリカでいきますと損害賠償それから刑事罰、それから、ドイツでいきますと制裁金と損害賠償という二つで、我が国は大体三点セットになりまして、後からお話しになるだろうというふうに思いますけれども、制度が違うということがあります。  ただ、私が心配をいたしますのは、後から後から独禁政策なり競争政策なりについて外国から問題が出されてくる、解決したと思ったらまた出てくるというふうなことに対して、一体どうなんだろうか。取引慣行が違うという点を申されましたけれども、一つだけやっぱり考えられますのは、例えば取引慣行の中で大きな問題になりましたのは、組み立てメーカーと部品メーカーの関係ですよね。問題になりました、これは。  そして、昨年の経済白書でこの問題はかなり突っ込んで取り上げられまして、例えば各メーカー間が長期的に情報を交換し合って開発をしていくというのが日本のやっぱりすぐれた部分ですよね。ところが、これがいわばこのまま長期にずっといきますと、外に対して排他的になる、差別化するという点がありますよね。ですから、委員長がおっしゃったように、各国には各国の取引慣行があるんだからということでは実は済まないわけですね。  例えば、外国の部品メーカーがこれに参入したいというふうになりましたら、現状ではこれはなかなか参入できないわけですね。そういうふうに考えてみますと、いわば国際的なトラブルの背景には、何か国際的な、普遍的なものそのものがあるんじゃないだろうかという感じを率直に持つわけであります。その普遍性があって、各国の取引慣行の相違とか、そういうものが加わってくる。これは単なる透明性じゃありません。いい悪いの判断をやっぱり普遍性でしなきゃならない。こういうふうなことがあると思いますけれども、委員長は、この点につきましては、どういうふうにお考えですか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 今委員が御指摘になりました点は、日米構造協議でもいわゆる系列問題として取り上げられた分野の問題が多いかと思います。  この系列問題については、国内でもいろいろな議論があるわけでございますけれども、我が国の特徴として我々が考えておりますのは、一つは、法人企業による法人企業の株式の取得が非常に広範に行われておるということと、もう一つは、我が国の今日の経済成長の過程におきまして、急激にメーカーが成長した段階で生産周辺なり流通部門がまだ未成熟であったがために、メーカーがこれを組織化していったという歴史的な経緯があると思います。  しかしながら、そこによって組み立てられた日本の経済構造なり流通構造は、それ自体ある意味では、長期的な視点に立った経営あるいは取引関係ということで、経済効果として評価される面もあるということは、これは各方面で指摘されている問題でありますし、アメリカ自身もよくそれを理解している方面では、日本の取引の継続的な関係自体が悪であるあるいは経済的にマイナスであるというふうな意見は、私はないんだろうと思います。したがって問題は、その継続的取引の経済的合理性というものは一方で肯定しつつ、しかしこの合理性を主張するためには、その取引が常に競争にさらされていなければならない。つまり、そこで独占禁止法なり競争政策の規制が行き渡っているということが併存することによって、日本の従来の利点とされた取引慣行の合理性も実は主張できるわけであります。  その意味で、我々は、いわゆる系列問題について、それ自体を悪というふうなそういう議論ではなくて、日本の経済取引慣行の中に競争政策と併存させながらいかに効率を上げていくか、そのことでないと、また対外的な理解も深まらないというふうに考えておるわけでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 話は大体同じところに向かっていっていると思いますけれども、具体的な問題として考えてみますと、委員長も、独禁政策、競争政策の有効性、これが機能していないとだめだというふうに言われましたけれども、我が国の制度の場合には、さっきも言いましたけれども、アメリカ、ドイツと違って、例えば課徴金問題と刑事罰と損害賠償という三点セットですね。向こう側は二点セットでございますけれども。  そうしますと、この三つの措置といいますか、実効性を上げるための措置自身が、例えば昭和五十二年で独禁法が改正されました以降、うまく機能していたのかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 五十二年の改正によりまして、今のカルテルの課徴金という制度ができました。それは、この制裁措置としてそれまでは刑罰しかなかったというわけでございますけれども、刑罰の制裁というのは、実際四十九年でございましたか、石油カルテル事件等の例にも見られますように、非常に行政コストもかかるし、迅速に処理できないと。そのための機動的な抑止措置として、実は五十二年に現在の課徴金制度が設けられたわけであります。  その当時、私ども当時の国会記録等を拝見いたしますと、やはり刑事罰と課徴金が併存すると、これは二重処罰の問題があるのではないかという議論が盛んに国会でも突っ込んだ議論がされております。ただし、この課徴金というものは、刑事罰と抵触するような二重制裁体系ではないんだということで、御承認を得て今日のこの法律ができておるわけであります。ただ、課徴金というのは当時日本に、あるいは世界的に見ても、非常に新しい制度として導入されたものでありますから、政府は、以来今日に至るまで違反行為に対する抑止については、この課徴金制度を定着させるために専らこれに全力投球してきたわけであります。  今日、この制度が定着し、同時に各国ともカルテルに対する運用の強化、あるいは米国の場合は刑罰をかなり引き上げておるわけでありますけれども、そういった状況にかんがみますときに、我々としては、ただいま国会に御審議をお願いしております課徴金の引き上げと同時に、この現行の刑罰についても、今後は悪質なものについては刑事訴追を積極的に求めていく、もう一方の刑事罰という抑止措置もこれ活用していく、そういうことを行わなければならない段階でありますし、既にそういった方針を明らかにしておるわけでございますが、同時に、刑事罰の制度自身を強化するということも検討すべき段階に来ておると考えております。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 過去の経過をちょっと振り返ってみますと、例えば課徴金問題はございますけれども、それを除きましても、刑事罰、これはもう専属告発制度でございますから、公取が告発しなければ訴訟になりませんよね。これが過去ゼロであったということです。一回もなかった。課徴金重視できたけれども、刑事罰については全然やっていない。公取はやっていないわけです。それからもう一つ、損害賠償について見ましても、例えば五十二年からずっとあるわけでありますけれども、六件しかないですね。しかも、その効果といいますのは、和解が一件あるだけでありまして、原告の勝訴は一件もないということでありますね。  委員長は、例えば課徴金と刑事罰と損害賠償の三点セットだ、これは外国と違うというふうにさっき言いましたけれども、実は一点だけはある程度機能しているかと思います、課徴金については。それ以前についてとそれ以後について、五十二年を境にしましてかなり抑止効果があったんじゃないかというふうに感じられますけれども、あとの二つについては、私は全く機能していなかったんじゃないかな、こんなふうに思います。  ここが実は国際的にも問題になっていったんじゃないか、そういうふうに思いますけれども、委員長としては、どういうふうにお考えですか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 先ほど申し上げましたけれども、刑事訴追、刑事告発というものを今後積極的に活用するということにつきましては、昨年六月にこの方針を公表することにより、同時に法務大臣も検察長官会同でそういった指示をなさいまして、いわばそれまでの政府の方針を大きく切りかえた。これからいかにそれを実施に移すかという段階に来ておると思います。  損害賠償制度につきましては、詳細については後ほど担当事務局から申し上げますけれども、この問題について我々がアメリカと議論したときに、独占禁止法のみならず、日本では私的紛争が起こった場合に、いわゆる訴訟という手続を経て問題を解決するといういわば社会的な慣習というものが非常にない、そういう点が一つあると思うわけであります。しかし、それはそれといたしまして、我々としては今後、独占禁止法二十五条の制度を広く世の中にPRすると同時に、先般の研究会の御報告にもいただいておりますように、やはり被害者を公正迅速に救済するために、いわば民法の不法行為の救済の特別な扱いとして二十五条の規定があるわけでありますから、公正取引委員会としては、被害者の立証負担をできるだけ軽減するという対応を明らかにすることによって、本当に被害者が損害賠償を正当な権利としてのものであれば、それを請求できるような雰囲気というものを私どもはつくっていかなければならないだろうというふうに考えております。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 委員長は、これからこうするということを言っているわけでありまして、五十二年から刑事罰がゼロである、それから損害賠償の勝訴が一件もない、しかも全体で六件だという評価を実は聞いているわけでありますけれども、時間の関係がありますから別にしまして、それは言いにくいことはよくわかりますから。  ただ、私は、国際問題、つまり経済が非常に国際化をしていった場合に、後から後から問題が出てくるというのは、やっぱり我々の制度は普遍性を欠いているんじゃないか、制度というよりも考え方の上で欠いているものがあるのじゃないだろうか。御承知のように、課徴金というのは行政措置でありまして制裁ではございません、ある意味において。制裁的な側面があったとしても、非常に薄いわけであります。  ところが、外国が求めているのは、例えばドイツの制裁金にしましても、これははっきり制裁ですよね。我々の制度、運用の中で、制度にはあるわけですけれども、つまり機能の上で制裁機能を持っていなかった。制裁機能の前提にありますのは、例えばカルテルとかそういう問題は、社会的に大きな犯罪なんだという意識が我々の考え方の中には希薄だったんじゃないだろうか。法に対する国民の意識という問題もありますけれども、これが国際性を持つ、普遍性を持つためには、やっぱり制裁機能もちゃんと持たなきゃいけない。これから恐らくその検討に入るだろうと思いますけれども。  その前提になるカルテルとか競争制限の問題については、社会的な犯罪なんだというある種の普遍性がなければ、後から後から問題が出てくる、そんなふうに考えます。つまり、特殊性を強調するだけじゃなくて、もう一つ普遍性を問題にしていかなければいけない時期へ来ているんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、お答えをいただきたい。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 独占禁止法違反あるいは企業の違反行為に対する社会的な価値観の問題を御指摘になったわけでありますが、行政官としての我々からこういうことを申し上げるのはあるいは適当かどうかということでございますけれども、端的に言いまして、アメリカの場合は、反トラスト法というのは十九世紀末にできた法律でありますし、それから各企業が一九六〇年代以降かなり厳しい社内拘束力を持った企業マニュアルというようなものも持っており、その意味で、独占禁止法違反に対する社会的価値観に日米間で風土上の差があるということは、私は否定できないと思います。ただ、我々はそれが日米の国情の違いだと言っているのではなくて、冒頭に申し上げましたように、競争政策のパラダイムというのはおよそ各国共通に今なりつつありますし、またそういうものに協調していかなければならない。  したがって、今の段階で我々がやることは、公正取引委員会として今後さらに独占禁止法の運用を明確にかつ強化することによって、脱税に対する社会的価値観というのもこの二、三十年で日本では非常に大きく変わってきておるわけでありますから、その意味でこれからこの独占禁止法の問題について国内の関心が高まり、もちろん我々は国民の要請にこたえてやるべき義務を果たさなければならないわけでありますけれども、そういうことによって、日本の社会全体あるいは取引社会全体が、決して世界に比べて異質な方向に向かっているのではなくて、望ましい方向に向かいつつあるということは、私は、期待を持って、あるいは望みを持って、そういうことは言えるというふうに考えております。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 望ましい国際的な方向に向かいつつあるというふうなお話ですから、次の問題に移りたいというふうに思います。  今度の改正の一番ポイントになりますのは、やっぱり課徴金問題だろうというふうに思います。課徴金問題について伺いますけれども、課徴金の性格としては、カルテルとかそれから違反利得でございますね、これを徴収するというのが原則でございますね。これはペナルティーでない、罰則でないという考え方を行政組織として持っていらっしゃいまして、違反利得を徴収するという意味で、この一定率の課徴金というのは合理性を持っているんだろうか。  例えば、違反利得という条件はいろいろありますよね、いろいろある。二〇%の違反利得を獲得したということもございますし、六%を下回る三%の違反利得を獲得したとか。いずれにしましても、違反利得を徴収するという性格、これは制裁じゃないという考え方があると思いますけれども、違反利得を徴収するという考え方の上で、果たして一定率というのが合理性を持っているのかどうか、この辺はどんなふうにお考えですか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) カルテルの性格につきましては、今委員から御指摘がありましたように、カルテルによる経済的利得を国が徴収することによって、社会的な公正を確保すると同時に、カルテル禁止規定の実効性を確保する行政上の措置ということでございます。  このカルテルによる経済的利得というのは、一般にはカルテルがなかった場合の収益に対するカルテルを行った場合の収益の増分ということができるわけでございますけれども、カルテルの経済的利得を算定するためにはカルテルがなかった場合の利益ということを推定しなければならないわけですが、これは実際には存在しなかったものでありますから、そういう意味では、カルテルによる経済的利得を個別、具体的に明確に把握するということは、現実には困難なわけでございます。  一定率が合理性があるかどうかということで、これにつきましては、課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会において十分御検討をいただいたわけでございますけれども、課徴金制度は行政上の措置であるということから、明確かつ透明性のある客観的な基準による方式が適当であるということ、それからまたカルテルによる経済的利得を個別に算定するとなりますと膨大な事務上の負担が生じることが予想され、その措置の迅速性ということを考慮しますと、簡明な方式とすることが適当であるということでございまして、こういうことから、現行の売上額に一定率を乗じる算定方式といるのがやはり一番妥当であるといる結論になったわけでございます。  それで、なおその一定率を、どういう率がいいかということにつきましては、カルテルによる経済的利得を反映する指標といたしまして売上高営業利益率が最も適しているということで、今回改正法案で御提案いたしましたような率になったわけでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 二つ答弁をされましたけれども、前の方の問題に戻りまして、例えば違反利得が推定できない、つまりそういうものはあり得ない、あり得なかったというふうなことを言っていました。そして、だから一定率、抑止効果も数字を示すことによってあるというふうなお話でございました。私は、やっぱり違反利得は違反利得として徴収する、その原則からは余り逸脱してはいけないんじゃないか、こんなふうに考えます。  一つ申し上げますと、例えば損害賠償制度研究会の報告の中で「損害額の算定」という項目がございまして、その中には、「事案に即した合理的推定方法を示すべきである。」というふうに書いてありまして、その方法として、今ちょっと言いましたけれども、前後理論であるとかあるいは物差し理論を取り入れたアメリカの判例、あるいは独禁法以外の分野の我が国の判例を参考にした統計的分析方法をつくるべきである、こういうふうに言っておりますね。  つまり、これは損害額ですよ、損害があるということは片方で利得があるということですね。これは対応関係なんで、イコールじゃありませんけれども。そうしますと、この研究会で出された問題は推定方法をきちんとしなきゃならない、今までその点が非常にあいまいだったんじゃないかというふうなことであります。損害と利得の関係はありますとね、片方がもうければ片方は損をするという関係があるわけです、これはイコールじゃありませんけれども。ですから、二番目におっしゃられた現実に存在しないということじゃなくて、現実に存在したかもしれない方向に向かって、いわば近似値を求めていくという方向がやっ ぱりとられる必要があるんじゃないだろうか。  さっき申し上げましたけれども、六%というのは割合大きい数字になる可能性がありますよね。例えば、一つの製品で大量生産しているところというのは素材産業が多いわけでありますけれども、この素材産業のメーカーで二兆五千億円ぐらいの売上高を持っているところがございますよね。素材産業というのは少品種大量生産でございますから、例えば一兆円なら一兆円の売り上げに対して六%掛けましたら、これは六百億になりますね。実行期間が三年ですから、掛けましたら千八百億円になりますね。これはやっぱり巨大産業でも大変な問題です。  それからもう一つは、六%以上に違反利得があった場合に、六%だけ払えばあとは残存利得になっていくという問題があります。そういう点では、やっぱり推定方法をきちんと確立して、できれば違反利得の近似値に向かっていく、その方が合理的ではないだろうか。例えば、アメリカにしましてもドイツにしましても上限が決められておりますね。上限を決めて、それから個別に裁量権を持たせるというふうに決めております。つまり、この方が僕はやっぱり合理的だというふうに思います。一定率というものは、いろんな問題をこれからはらむんだろうというふうに思います。  そういう点では、なぜこうしたか、あるいは推定方法をきちんとするという研究会の報告が出ているわけでありますから、これに関係しましてどうなのか、その辺をひとつお答えいただきたい。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 今御指摘いただきました損害賠償制度研究会の報告書で、損害額の算定につきまして提言があるわけでございますが、この提言と申しますのは報告書にありますように、事実の認定につきまして、広範な裁量権を持つ裁判所がその損害を認定するに際しまして、公正取引委員会が裁判所の判断に資するための意見をできるだけ具体的に出すという、その具体的な意見の出し方としていろいろ提言をいただいたわけでございます。  ただ、私人が実際にこうむった個別具体的な損害の回復を目的として、司法手続によって損害額を算定する損害賠償請求訴訟において、公正取引委員会が意見の提出を行うということと、それから課徴金のように公益上の観点から行政手続によって課すということは、性格が違うんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  課徴金の算定に関しましては、あくまでも行政上の措置として利得を徴収するには、どういう方式が最適かという点から検討を行っているわけでございまして、課徴金制度の場合には、行政上の措置でございますので、簡明さですとか迅速性ですとか透明性というものが求められるわけでございますが、損害賠償制度の場合には、私人が相互間で利害を調整するというものでございますので、簡明性ですとか迅速性、透明性といった点の要請の程度というのは、民事上の制度であるという性質上、それほど大きくないんじゃないか。その辺にやはり損害賠償請求の問題と課徴金とは区別して考える必要があるんじゃないか、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、後の点でございますが、外国の場合には、課徴金とは違いまして制裁を目的とするわけですから、上限が決められておりまして、その中で裁量で具体的な金額を決定するということになっているわけでございます。日本の課徴金の場合には、行政上の措置としての制度の性質上、やはり客観的な基準によるべきであるということでございまして、特に裁量を認める場合には、透明性を欠くおそれがあるとか、あるいはまた運用が大変複雑になるということによりまして、措置の迅速性、透明性というメリットが損なわれるということがございます。  そこで、この課徴金の懇談会におきましても、裁量の必要性につきまして御検討いただいたわけでございますけれども、裁量制を導入することには積極的な理由が見出しがたいという結論をいただいているわけでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 その経過の説明はいいわけでありますけれども、私が言っておりますのは、つまり推定方法があれば違反利得に近い数字が出る、近似値が出るじゃないか。それは、もう損害賠償の研究会の方でも推定の方法についてこれだけ述べているわけですから、推定の方法がきちんとしていれば、例えば課徴金にも使えるだろう、損害賠償にも使える。私が言っておりますのは、一定率じゃなくて、つまり違反利得を徴収するといういわば原則に対して、その方法としてどっちがいいだろうか。  私たちも御存じのように実はいろいろ検討いたしました。例えば、一〇%を上限にして裁量を求めるという案を私たちは検討したわけでありますけれども、その背景には合理的な課徴金のあり方ということが根本にあったわけであります。完全に合理的なあり方という点については、十分なお答えをいただけなかったわけでありますけれども、しようがないから次に移ります。  例えば一定率を前提にしてみますと、恐らく私が聞いている範囲では、昭和五十二年でしょうか、三年でしょうか、そこから平成元年までの、さっき言いましたように営業利益率を計算したことで、それが六%の根拠になっているということでございますけれども、ただ、経済のこの十何年間の動向を見てみますと、日本が経済大国になったというのは、八五年のプラザ合意以降、円高不況を乗り切った後でありますね。そして、現在名実ともに経済大国になっているわけでありますが、それ以前とそれ以後、プラザ合意以後の円高不況を乗り切って現在に至った、これは経済のレベルとか質とかでちょっと違うんじゃないだろうか。一律に五十二年から平成元年までを平均して六%を出す、これはもうある程度統計の大量観察でございますから、量が大きいほど安定はしますけれども、しかし質の面を見ますと、必ずしも果たしてそう言えるかなという感じがいたします。  今課徴金を設定しますのは、これから九〇年代ずっといくわけでありますから、その辺の計算もされたと思いますけれども、その傾向みたいなものはどんなふうになっていますか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) ただいま委員御指摘の、課徴金の一定率を設定するに当たってその指標として用いた売上高営業利益率、これの捕捉の方法でございますけれども、私どもとして考えておりますところは、こういったものは短期的な景気変動とかあるいは一時的な企業の収支状況、こういったものに左右されることのない安定的なものであることが大事である、かように考えておるわけでございます。この点は、実はこの課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会におきましても、御指摘をいただいているところでございます。  こういった観点を踏まえたり、あるいは今回の改正がいわば課徴金制度が導入されて以降の今日までの経済的情勢の変化、これを踏まえて行われるものである。こういった趣旨から考えまして、ただいま委員御指摘のように、結局、昭和五十三年度から平成元年度までの間における平均的な売上高営業利益率といったものを指標としてこの一定率を算定した、こういった経緯があるわけでございます。  ただいま委員お触れになりました、例えばプラザ合意以降の状況ということでございますけれども、私どもの感じからいたしますと、おおむねのところで恐縮でございますけれども、いわば昭和六十年以降の今申し上げた利益率というものの状況も、ただいま御提案申し上げている課徴金の一定率の基礎に用いた数字とさほど大きな違いはない、このような感触を得ているところでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 わかりました。  それでは、時間がありませんので、刑事罰の問題に移らせていただきます。  例えば、ことしの一月二十九日、研究会をやられて、その趣旨なんかを読んでみますと、委員長がさっき言われたように、重大事犯については刑事罰の適用を考えておるというか、つまり刑事罰の活性化をこれから図っていくというふうに言われましたけれども、刑事罰の活性化ということに絡みますと、つまりその趣旨の中にも立法問題の検討に資するためという項目がございますから、これは刑事罰について法改正を考えていらっしゃるのかどうか、この点簡単にお願いをいたします。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 一月から、刑法学者、独占禁止法学者にお願いいたしまして、検討していただいておりますテーマは、現在の独占禁止法の刑事罰を仮に強化する必要がある場合に、基本的にどういう問題があるかということを今検討してもらっておるわけでございます。  端的に申し上げまして、独占禁止法のみならず、各種の事業犯罪につきましての我が国の刑罰の体系というのは、それを行いました従業員等のいわゆる行為者をまず罰する、同時に事業者つまり企業自体にも刑罰を求める。その場合の行為者の刑罰の水準と、事業者つまり企業自体に求める刑罰の水準というのは運動しているわけです。これは独占禁止法だけではないわけでございます。  ただ、これからの経済社会を考えた場合に、企業自体に刑罰を求めるという考え方からすれば、今の両罰規定というものが果たして妥当かどうか、これを切り離すべきではないかという点につきまして、既に法制審議会等でも検討が始まっているように私ども聞いておりますけれども、独占禁止法につきましては、そういった基本的な考え方から、これを切り離すことが妥当かどうか、切り離すとすれば、どういう量刑水準にすべきかということについて、今問題の検討をしていただいておりまして、私どもとしては、研究会にお願いしておりますのは、遅くとも秋ごろまでに御結論を賜りたい。  その御結論を得ましたならば、今言いましたような関連の問題もございますので、関係方面とも十分協議、調整を経まして、やはり立法化に向けて努力していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 もう一つ、法務省の刑事局との間に告発問題協議会というのをつくりまして、刑事罰の積極的な姿勢を公取が示しているわけであります。  例えば、最近のカルテルの事犯なんかを見ていますと、かなり巧妙になってきていますね。証拠を残さない、口頭だけのやりとりであるというふうに変わってきていると思います。そうしますと、公取の権限ではなかなかこれをしっかりとつかまえることができない。例えば、口頭でやっていますから、これを確証するためには、身柄の拘束が要る。捕まえてきて白状させるといいますか、それをしないと、やっぱり事実がつかみ切れないというふうなことがあるだろうと思います。  そういう点では、告発問題協議会の中で今考えていらっしゃるのは、特定問題について中央レベルで情報交換なり意見の交換をするということですね。そういうふうに見ますと、また逆にこういうこともあると思うんです。特定問題を刑事局、高検の方に言って、情報あるいは内密に捜査に当たらせるという面と、刑事局の方からの情報で特定問題を確定していくという双方向があると思うんです。お互いに話し合うという場合には、こっちが問題を出してやってもらうというやつと、向こうの情報でこっちの問題を固めていくという二つの方向があるだろうと思います。  そういう点では、むしろ中央レベルだけじゃなくて、例えば公取には地方事務所がございますね、それから検察庁の方もブロック別にございますね、そういう点では対応できるのじゃないだろうか。むしろ、中央レベルの協議を地方レベルまで広げていって、中身としては双方向の情報の収集ができる、そして効果を上げられるような方向をやっぱり考えていくべきだろうというふうに思いますけれども、その点については、今どういうふうにお考えですか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 今委員から御指摘がございましたように、私ども、現在事案を処理していくときに、一相手方の対応が非常に巧妙になっておりまして、難しい場面に遭遇しているような事態があることは事実でございます。そのために、私どももかなり組織、人員を含めて強化の方向でここ二年急速に予算措置等を含めたお願いをして、実現してきております。  そういった量的な面と同時に、私ども技術的にも、現在の法律で許された限りで、まだまだ工夫のできる余地が実は内々あるわけでございまして、そのための勉強をし、かつ識者等からも御意見を賜るというふうなことで、私ども現在工夫をしてやっているところでございます。  具体的にどういうふうにやるようにしているかということは、ここでは申し上げるのはちょっと御容赦いただきたいと思いますけれども、それなりに私ども最善を尽くした努力はいたしております。  と同時に、今御指摘いただきましたように、昨年十二月に法務省との間で、検察当局が地方を含めて捜査等の過程で得た独占禁止法違反に係る情報、これを公正取引委員会へ通報することについて合意ができておりまして、公正取引委員会としては、この情報により得られたもの、そういった情報についても積極的に活用して違反行為の排除に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

庄司中日本社会党・護憲共同

○庄司中君 どうもありがとうございました。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時九分開会

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。     ─────────────

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 休憩前に引き続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 質問をする前にちょっとお断りをしておきたいと思うのですが、私の担当の時間が非常に短いということもございますし、それから午前中審議をした事項がありますので、重複を避けたいと思います。したがって、きのう通告をしてありました問題が全部できないかもしれませんが、あらかじめお含みをいただきたいと思います。  最初は、昨年六月、日米構造協議が最終的に合意をしたわけですが、当委員会にかかわります排他的な取引慣行なり系列取引にかかわる独禁法の改正という問題が今議題になっているわけですが、それらの問題について、日米間の正確な合意の内容をまずお尋ねしておきたいと思います。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 日米構造問題協議の最終報告の中で、競争政策に関連する措置につきましては、六項目にまとめられている中、四項目にわたっておりますが、その中心になりますのが「排他的取引慣行」という部分でまとめられているところでございます。  項目だけを申し上げますと、課徴金の引き上げ、それから公正取引委員会の審査体制の充実、それから法的措置による違反行為の排除、それから刑事罰の活用、強化、それから損害賠償制度の活用、それから流通・取引慣行ガイドラインの作成など、独占禁止法違反行為に対する抑止力を強化し、法運用の透明性を高めるための措置が盛り込まれております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 今回提出をしました独禁法の一部改正、それから今研究をいろいろされている諸問題がありますが、これらは日米最終の合意事項に対して、信義に反しないといいますか、信義を重んじて、十分に日本政府としてはとっている措置だというふうに自信がございますか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 最終報告以降今日まで、日本側としては、この報告に述べた事柄につきまして着実に作業を進めてきたわけでございます。  ただいま事務局からも御答弁申し上げました項目に即して簡単に申し上げますと、課徴金問題については、現在御審議を賜っているところでございます。ただ、この引き上げ幅につきましては、日米間で抑止力の面から、必ずしも認識は一致をいたしていないと言った方が現状であると思います。しかし、私どもは、日本の法制下におきまして、今回の課徴金の引き上げ幅は許容される最大限の範囲であるというふうに考えております。  ただ、これとの関連で、抑止力を強化するという問題が仮に十全でないという問題があるとすれば、これは刑事罰の強化の問題でございまして、実はこの課徴金問題を検討していただきました官房長官のもとに設置されました懇談会におきましても、今回の課徴金の引き上げはこれぐらいにする、しかし同時に、今まで議論の対象になっていなかった刑罰の強化についても検討すべきであるという御指摘がございましたので、これにつきましては、もちろんフォローアップの最終報告に成案を得るわけではありませんけれども、そういった方向で日本政府としては対応するということは言及をいたしたいと考えております。  それから、審査体制の強化につきましては、これは平成二年度、三年度、国会の御承認も賜りまして、人員、予算等で御配慮をいただきました。その結果、法的措置による違反行為の排除の問題につきましても、先般終わりました昨事務年度とその一年前を比べますと、違反に対する正式措置の件数はおよそ三倍ぐらいの割合でふえております。  それから、刑事罰の、制度の問題でございませんで、活用の問題につきましては、今後悪質な事件については刑事罰、刑事訴追を積極的に活用するという政府の方針は既に確定をいたしておりまして、今後これの実施段階でもって事実でもって、アメリカがこれを理解するかどうかということにかかる問題であると考えております。  それから、損害賠償制度の活用の問題につきましては、私ども早ければ五月中にこの活用方針について、例えば損害額の意見の問題とか資料の提出の問題についても方針を確定し、少なくともこれは最終報告のフォローアップで、ある程度具体的に米側に提示するという運びになると思います。  それからガイドラインにつきましては、米国政府も含めて内外からコメントをとっておりまして、大変コメントが多く寄せられております。当初の予定では、五月中に何とかこれをまとめたいということで作業をしておったわけでございますけれども、現在もその目標をおくらせているわけではございませんけれども、このガイドラインが具体化してまいりますれば、やはり最終報告によって日本政府が措置を講じるといった内容が具体化されるわけでございます。こういったものを含めまして米側と対話を重ねるということでございまして、これは日本側の努力と同時に、アメリカ側の理解のための努力も求めたいと考えております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 今後、時間をかけて幾つかの手順を経てやるわけだろうと思うんですが、少し気になりますのは、この課徴金の水準につきましては、午前中も議論がありましたように、それぞれの国の取り扱いが違いますから、考え方が違うわけですから、そう完全に一致するわけではないと思いますが、しかし客観的に見ますと、課徴金の水準についてアメリカ側から一定の意見が出されているやに聞いているわけです。  それは、今委員長が言うとおり、十分我が国の三点セットというものを踏まえて説明し、理解を求めるということになっておりますけれども、さらに、その日米合意事項の趣旨に沿ってはいないじゃないかというふうなことで、法律の改正についての要求や、あるいは課徴金の水準の問題について、さらにアメリカあるいはEC側から意見が出るようなことの懸念はないかどうかということをもう一度お伺いしておきたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) フォローアップの一月の会合のときに、このとき既に日本政府として六%に引き上げるという決定を行っておった時期でございますが、そのときには、アメリカ側はこの六%が不十分であると、一〇%以上であるべきだという議論をしたことは事実でございます。このアメリカ側の一〇%という根拠は、米国の刑罰の運用のガイドラインにおいて、カルテルについては売上額の一〇%がカルテル利得であるというのが、米国の事情による米国の考え方でございます。  私どもは、この六%の根拠につきましては、既に懇談会で十分議論をいただきまして、過去およそ十年間以上にわたる売上高営業利益率の平均をもってこの水準とすると、しかもそれが刑罰と併存している我が国の課徴金の性格から見て、合理的な範囲内で許容される水準であるという結論をいただいておりますので、これはさらにアメリカにこの事情を粘り強く説明するということでございます。  抑止力として不十分ではないかという議論については、私どもは見解を異にいたしておりまして、今日のように所有と経営が分離しているような経営実態の中で、売上額に対して六%という社外流出というのは、経営者にとっては大変な圧力になるわけでありまして、私どもはこれは抑止力として十分であるということであります。これは、あくまで双方の議論の問題でありまして、我我は国会でこの法律の御承認を得ますれば、政令によりまして三ヵ月以内ということでございますので、でき得れば私どもは七月一日から実施させていただきたいと考えておりますけれども、新法が実施されました後、事実でもって私どもは証明される話であるというふうに考えております。  したがいまして、追加的にさらに課徴金の引き上げ幅について法改正を行うべきである、あるいは将来検討を行うべきであるという要請が仮にございましても、私どもは受け入れる考えはございません。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 十分決意のほどはわかりました。  さてそこで、今までは湾岸戦争がありましたから、その意味で鳴りを潜めておったのかもしれませんけれども、アメリカの議会側の対応を見ておりますと、日米構造協議というやり方も一つの方法なんだけれども、もう少し別な角度から、言いかえてみれば、三〇一条条項を背景にした交渉を再開する、その方がアメリカにとって効果が上がるという雰囲気が非常に強くなってきたわけです。  その代表的な見解の一つの中に、アメリカの独禁法を、アメリカの国内はもちろん適用になるわけですが、域外適用という議論が起きているわけです。私どもは、これは法体系なり理論的にもむちゃな要求だとは思いますけれども、しかし、アメリカやECが共同してこういう考え方を広めるということになりますと、かなり国際的に問題を生ずることになると思うんです。  そういう意味で、政府側が分析しておりますECなり米国側の対応、将来展望、もしおわかりになっておれば、ひとつ御紹介いただきたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 独占禁止法のいわゆる域外適用の問題でございますが、私どもが承知している範囲では、ECとの関係で具体的にこういう懸念なり議論というものが今行われる可能性がある、あるいは行われるということは考えておりません。むしろ、この問題はアメリカとの関係でございます。アメリカ国内に、いわば相手国の反競争的な行為によって米国の輸出業者が輸出を妨害された場合、それの効果的な政策手段として反トラスト法をアメリカ国外の取引について適用すべきではないかという声があることは事実でございます。  この問題につきましては、日米構造協議の場というよりは過去いろんな機会をとらえまして、アメリカ政府当局者に、私ども日本政府ないし公正取引委員会としての考え方は、明確に伝えてございます。現状を言いますと、米国の司法省が反トラスト法の域外適用について、現在重大な政策変更を行った、あるいは行いつつあるという状況にはございません。ただ、国内にそういう声があるものですから、いろんな角度から検討しておることは事実でございます。  我々の考え方は、域外適用の問題というのは、それぞれの国の管轄権にかかわる、あるいは主権にかかわる重大な問題でございますので、およそ独占禁止法の管轄権というのは、当該国の市場に影響を与える範囲で、お互いが管轄権を持つということが基本である。いわんや、国内の事業者を保護するために貿易政策の一環として独占禁止法なり反トラスト法を適用するというのは、そもそも競争政策の目的に合致しないということは、明確に申しておるわけでございます。何らかのそういう政策変更の動きがある場合は、当然のことながら、我々としてもガイドラインのドラフトを各国に提示するという手続をとっておりますから、アメリカ側からも事前にそういった措置をとる場合には、日本政府なり公正取引委員会の意見を求めてまいると私は思っております。今のところはそういう状況にはございません。今申しましたような考え方で今後とも米国と対応していきたいと思っております。  ただ、管轄権はお互いに尊重しながら、しかし国際協調、政策協調というものはやはり必要になりてくるわけでございますから、むしろ双方がそれぞれの国の独占禁止法なり反トラスト法の適用を行うに当たって、各種の協力関係というものをどういうふうに構築していくかということは、これからの課題になるかと思っております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 国際信義にかかわる日米構造協議の問題ですから、あれは政府がやったことだというふうに我々も冷たく考えているつもりはないんです。梅澤委員長が言われましたような、今後のことも含めてしっかりした対応をそれぞれしていただきたいし、また我々議会としてもそれを確認しておきたいと思うんです。  三つ目の問題について、建設省とそれから公取に伺います。  米軍の横須賀基地におきます建設工事の入札にかかわる問題なんですが、中身は私ども勉強しているつもりですから結構ですが、その結末はどういうふうに公取はなされたのか、あるいは建設大臣はどうなされたのか、結末だけひとつ明らかにしていただきたい。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 今委員からの御質問の件でございますが、昭和六十三年の十二月八日に、当方は、当時談合に参加しておりました米軍工事安全技術研究会の会員ら七十名に対しまして、総額二億八千九百八十九万円の課徴金の納付を命じております。なお、それとあわせて当該関係者らに対しまして警告を発しております。警告いたしましたのは、当時、違反行為がなくなってから一年以上経過しておりまして、また違反行為者である研究会が既に解散いたしておりましたことから、警告という措置になったわけでございます。内容は、自後、談合の再発を防止するような措置を関係者に求めたものでございます。

木下博夫建設省建設経済局建設業課長

○説明員(木下博夫君) 事案につきましては、今公取の方からお答えいただいたとおりでございますが、建設省は建設業法の担当とそれから発注者の立場がございまして、建設業法の関係につきましては、公取が処分した直後でございますけれども、いわゆる監督処分をやっております。それから、発注者としての立場につきましては、建設省の直轄工事における指名停止をやりました。あわせて、こうした事案に対して我々日ごろから厳正に対処するということでございましたので、大臣の方から、関係業界、団体に対しまして厳重なる指導をするようにということで、それぞれの団体に対しまして文書を発送した状況でございます。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 建設省は、そのほかに何か特別な改善策を講じたでしょうか、今お話しのあった以外に、措置を、行政指導を行ったことがありますか。

木下博夫建設省建設経済局建設業課長

○説明員(木下博夫君) 当該事案につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、やはり建設業は、先生御承知のとおりでございますが、個別の注文を受けるような請負契約という特殊な状況でございまして、ともすればこうした事案の発生しやすい環境にあることは私も承知しておりますので、日ごろから業界に対しては広く注意をしているところでございますが、その後、最近につきましては、建設業界あるいは発注者の両方の立場から日ごろ意見をいただきまして、入札、契約問題に対して現在総合的な検討をさせていただきまして、より競争性あるいはより透明性の高い入札制度、契約制度をいたすように検討いたしまして、指導しているところでございます。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 公取としては課徴金、それから文書で警告した、それから建設省もしかるべき措置をとった。その効果がどうかという点は後でまた議論をしますが、当時の新聞にも出ておりましたが、米軍の方とカルテルを結んだ百四十社に対しまして損害賠償の請求をされたわけです。結果としてまとめた事柄があるわけですが、建設省、その内容はどういうふうになっていますか、お答えをいただきたいと思います。

木下博夫建設省建設経済局建設業課長

○説明員(木下博夫君) 当時のことでございまして、建設省といたしまして、この問題につきましては一応純粋なる民事上の案件だというふうに理解しておりまして、直接的には建設省はこの問題に対してタッチしておりません。  ただ、当時のことを振り返りますと、アメリカ政府から、関係した業界あるいは業者に対して、相当強い口調で損害賠償請求が来たわけでございまして、業界の関係者はそれぞれ置かれております環境の中で判断されたと思いますが、私ども伺っておるところでは、その当時アメリカ政府との協議の結果、いわば和解金といたしまして四十数億のお金を支払ったというふうに伺っております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 アメリカ側が損害賠償金を求めたのはどういう法律で、どういう手続で行われたのか、どういうふうに承知をしていますか。

木下博夫建設省建設経済局建設業課長

○説明員(木下博夫君) 建設省として承知しております詳細はございませんけれども、いわば業界等から私ども聞いておる限りでは、アメリカの反トラスト法等で訴訟をすることを用意しているというふうな催促状が関係者に渡った、こう聞いております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 そのアメリカの法律で日本で起きた事案について、言ってみれば恫喝というか恐喝というか、本来アメリカの法律でアメリカの裁判所でやるということはこれはあり得ると思うんですけれども、日本の国内でアメリカの法律をどう適用されようとしていたのか、そういう問題について研究をしましたか、建設省どうですか。

木下博夫建設省建設経済局建設業課長

○説明員(木下博夫君) ケースとして私どもの得ております資料というのは、正直申し上げて余り多くは持っておりませんが、アメリカにおきましては、こういう事案につきましては確かに先生おっしゃるように相当厳しい対応をやっておるようでございます。  例えば、資産の差し押さえとかあるいは相当高い損害賠償とかいうことでございますが、このケースの際にそれをするのかどうかというのは、当時の経過では余りはっきりとしたことを聞いたということは私伺っておりませんが、ただ、先ほど申し上げましたように、やはり各業界あるいは業者等が置かれておる環境の中で関係の方々が御相談された結果、和解ということになったと私は承知しております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 こういう重大なトラブルについて、建設省が十分事情を聴取して、非公式に私は相談があったんじゃないかと思いますけれども、解決をしませんと、今後も起き得る話なんですね。  そこで、今いみじくも話がありましたが、アメリカ側は損害賠償という手法できましたね。それで、今お答えがありましたように和解金という示談でまとめているわけです。こういうことがあっていいかどうかというのは少し問題意識を私は持つわけですが、公取委員長、これは払うことが正しいんですか、払ってはならないんですか、はっ きりひとつ態度を示してもらいたい。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) これは、今建設省からお話がございましたように、当事者間の民事上の和解ということで決着がつけられた話のようでございます。  制度の議論として申し上げますと、横須賀事件というのは、あくまで日本国内市場で行った独占禁止法違反事件でございますから、日本の法律に基づきまして不法行為で日本の裁判所で決着をする道と、もう一つ米国の場合は、これは恐らく米国政府が受けた損害ということで米国法の損害賠償の道がある。これは当然のことながら米国の裁判所で解決される話であります。  本件の場合、公正取引委員会は、これは民事上の話でございますから、あくまで関与をしておりませんし、詳細は存じないわけでありますけれども、そういった日本の法律による不法行為の損害賠償という道、それから米国裁判所による米国法に基づく損害賠償の道という、訴訟ではその二つのオプションがあった問題でございますけれども、その前の段階で当事者間で解決してしまったということでございまして、これが適当であるか適当でないかというのは、これはあくまで当事者間の問題であると言わざるを得ないと考えております。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 私は好ましくないやり方だというふうに思うんです。アメリカは、日本の中の十五のプロジェクトについての参入を今予定しておりますけれども、もっと広げろという要求もたくさんありますね。それから韓国の業者も今入っております。これから、そういう日本が工事を発注する、あるいは米軍が発注する、いろんなスタイルのものが出てくると思うんです。そうなりますと、今のようなケースがどうしても起きやすいわけです。いわゆる示談でまとめて、それで後は知らぬというふうな不愉快なまとめ方というのは、国益のためによくないと思うんです。  私は、こういう場合にきちっと公取委員会が告発をするとか、あるいは何らかのルールをきちっと定めておいた方がいいのではないかというふうに思うわけですが、その点はどうでしょうか。今回の事件を境にして研究をされているでしょうか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 独占禁止法違反事件につきまして、独占禁止法二十五条なり民法七百九条で訴訟が提起されます場合には、公正取引委員会として、その法律で求められております公正取引委員会の活動として、これに関与していくということは当然のことでございますが、本件の場合は、先ほど申し上げましたように、そういう訴訟行為に入る前に、日本の不法行為の損害賠償なのか、あるいは反トラスト法の損害賠償なのか判明しないままに、実は当事者間で和解してしまったという事件でございます。  今後こういった事件が起こりました場合に、アメリカ法に基づいてアメリカの政府損害というものについて彼らが米国政府の立場で対応するというのは、あくまでこれは米国政府の民事事件における一方当事者としての行為でございますので、それ自体を問擬するということが適当かどうかという問題はございますけれども、将来、これは委員がおっしゃいますように余り不明朗あるいは根拠の定かでないという印象を受けたままこういった問題が処理されるというのは、これは日米間にとっても余り好ましい問題ではないわけでございます。  したがいまして、今の委員の御指摘を受けまして、今後これは外務省等とももちろん御相談申し上げなければなりませんけれども、どういった対応をすべきなのか、しばらく検討をさせていただきたいと思います。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 その点は、公取あるいは建設省その他の省庁を含めて、政府全体としてひとつ勉強をしておいてもらいたいというふうに思います。  次に、独禁法の運用と改正の問題については、冒頭梅澤委員長からお話がありましたから重複を避けますが、一つだけ申し上げますと、五十二年の改正で初めて課徴金制度ができた、したがって、その定着というものを重点にしてきたけれども、これからは刑事罰と課徴金について力をともに入れていきたい、こういうお話で、それは結構なお話ですが、この刑事罰の問題は理屈の上からは道筋がきちっととられているんですけれども、告発をする者、訴訟を起こす者の立場からいいますと、手続が非常に厄介なんです、これは官庁すべてそうだと思うんですが。そういうものについて、日本弁護士会などからもっと簡便な方法がないだろうかというふうな注文がついておりますので、お答えは要りませんが、ここは十分にひとつ検討してもらいたいと思っております。  それから次は、行政指導の問題です。  日米合意事項の中でも、非関税障壁の一つとして行政指導ということがしばしば指摘をされているわけです。そこで、行政指導の性格なりあるいは効果という点で若干伺いたいと思います。  平たい言葉で申し上げますと、政府がよく答弁をする言葉の中に、行政指導を前向きに行いたいと思います、前向きに行政指導を行いたい、そういう答弁をするときもあります。それから、適切に行政指導を行うつもりであります、厳格に行政指導をやります、こういう答弁がどの委員会でも必ず出てくるんです。そうしますと、その行政指導というのは下から上までかなり幅のある機動力に富んだ性格ではないかと、私は常に疑問に思うわけです。  そこで、今までたくさん昭和五十四年から出ておりますガイドラインとか、それから今も問題にしました米軍基地の入札の後で建設省が出しました通達、それから公取が出しました通達というものを読んでみますと、ある部分は厳格に行政指導をしますという中身になっておる、ある部分は適切に行政指導をやります、ある部分は前向きに行政指導をやりますというのが混然として入っているわけです。ですから、行政指導というのはそもそもどういう性格でどういう効果をねらっているかということについて、私疑問を持つわけです。  ですから、例えばガイドラインについての行政指導というのはこういう性格のものです、あるいはこういう効果をねらった中身でありますというふうな、何か具体的な御答弁がいただけるでしょうか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 行政指導一般としていろいろな態様があり、またそれぞれ目的も一つ一つ異なることがあらうかと思いますが、またそれの性格論につきましては公正取引委員会としてお答えするというのも、これはいかがかと思いますけれども、公正取引委員会として、例えば今ガイドラインというお話がございましたが、それとの関連で少しお話し申し上げたいと思います。  私どもいろいろな事柄につきましてガイドラインをつくっているということでございますけれども、このガイドラインという意味は、いわば独占禁止法、この規定が非常に抽象的であるいはわかりにくいというような面もあるものでございますから、これをできるだけわかりやすくその考え方あるいは解釈なり運用の方針というものをお示しする、そういった性格でつくったのがこのガイドラインというものでございます。  したがいまして、このガイドラインをつくったということ自体があるいは行政指導と言えるのかどうか、これはいま一つ定かじゃございません。  それからまた、例えば私どもの立場からいたしますと、独占禁止法違反というものは絶対に起きてはならないものというように考えているわけでございます。それとの関連で、もし独占禁止法に違反するおそれのある行為が見られるといったような場合に、これについていろいろと御注意申し上げるといったようなことも、これは一つの指導であるといった面もあろうかと思います。  それからまた、企業の方々から独占禁止法についていろいろ御相談を受けることがございます。そういった場合に、これについていろいろと御指導申し上げるというのもあるいは行政指導というふうに言えるのかもしれませんが、かようにいろいろな態様あるいはいろいろな局面でいろいろな形で行われるものでございますから、なかなか一概に申し上げにくくて恐縮でございますけれども、私ども、ちょっと気がついた範囲で申し上げるとすれば以上でございます。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 法制局に伺いますが、昭和四十九年の三月十二日、価格カルテルと行政指導に関する政府統一見解というのが出されて、答弁されております。さてその後、行政指導と生産調整という問題で、東京高裁が昭和五十五年に判決を出しております。それから、行政指導と価格カルテルという表題で、最高裁から昭和五十七年三月に判決が出ております。新しいニュアンスの行政指導に対する判決だというふうに私は理解をしているわけです。  そこで伺いますが、昭和四十九年に出された政府の統一見解は、その後最高裁なり高裁で出ましたこの判決を得てから、統一見解は多少でも変更する余地があるというふうにお考えですか。それとも依然として四十九年の政府の統一見解で大丈夫、行けるというふうにお考えですか。その点だけ伺っておきます。

越智正英内閣法制局第四部長

○政府委員(越智正英君) お答え申し上げます。  ただいま先生がお示しなさいました昭和四十九年の内閣法制局答弁の基本的な考え方は、現在も変わっておりません。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 きょうは時間が足りませんので、この最高裁の判決、高裁の判決を得た後の考え方は、多少私も考え方を変えていますが、きょうは議論するつもりはありませんが、政府の統一見解は、昭和四十九年から今日に至るも全く変化はないという答弁であったということだけ理解をしておきたいと思うんです。  次に、課徴金の改正の問題については、午前中お話がありました。私も多少意見はありますけれども、今回はこれに賛成をしておりますので、特別にきょうのところは申し上げません。  別の問題でちょっとお話を承りますが、東京ラウンドが終わった後、昭和五十二年か三年ごろだったと思うんですが、私は当時大蔵委員をやっておりまして、記録を見ますと、当時日米の貿易摩擦もかなりあったわけです。その当時、随分日本から輸出をされた品物が、アメリカの商務省なりあるいは財務省なり裁判所でダンピングとして取り上げられまして、相当日本側ではシロだというふうに主張したんですけれども、大部分のものがクロで処理をされた経緯を私も委員会で質問したことがあったわけです。  最近、EC並びにアメリカ国内におきまして、日本製品のダンピング問題が相当出ているわけです。通産省にきのう資料をお願いしておったわけですが、手元にありませんので、過去十年ぐらいの間にダンピングの問題でこのくらい取り上げられて、そのうちクロがこれだけ、シロがこれだけという数字がありましたら、ちょっと概況だけお話しいただきたいと思うんです。

麻生渡通商産業省通商政策局次長

○政府委員(麻生渡君) 八一年から九〇年までの十年間、アメリカで日本からの輸出がダンピングであるということで調査を受けました総数は五十五件でございます。そのうちクロとなりましたものが三十二件、アメリカ側と日本企業が価格約束を、いわば和解でございますが、やりましたものが二件、シロとなりましたものが十四件、それから途中で提訴が取り下げられましたものが三件、現在調査中のものが四件でございます。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 割合にアメリカはダンピング問題について非常に熱心でありまして、アンチダンピング法というのが非常によく活用されているわけですね。これは結果として、企業の問題ですけれども、国家間の信頼の問題ということに発展しかねないわけでありまして、またそれも摩擦の一つになっているわけです。よくよく調べてみますとケースがあるわけですね、タイプが。解釈を間違っていたとか意識をしながらその細い道を通ったとか、いろんなケースがあると思います。しかし、こういうものを、これは企業の問題だといって、放置をしておくわけにいかないと思うんです。したがって、ある程度の行政指導といいますか、それが私は必要ではないかと思うんですが、そのことについて、通産省なりあるいは公取なりその他の機関で、勉強されたことがおありでしょうか。

麻生渡通商産業省通商政策局次長

○政府委員(麻生渡君) 日本の企業が海外に輸出をしたり、あるいは現地でいろいろ経済活動を行う場合には、現地の通商関係の法令を遵守することは当然でございます。そのような観点から、私どもは常々日本の産業界によく現地のこのような法令を研究してこれを遵守するように理解を求めておるというところでございます。また、不公正貿易関係のいろんな各国のルールにつきましては、公正貿易センターというような機関もございまして、そこでいろんな具体的な事例などを研究いたしまして、この情報を産業界に提供するというような活動に対しましても、通産省といたしまして支援をしておるという状態でございます。

穐山篤日本社会党・護憲共同

○穐山篤君 たびたびこういうものが起きるのは我々としても不愉快でしょうがないんです。最近、ECではコンデンサーの問題が取り上げられておるし、それからアメリカではディスプレーの問題が取り上げられているわけですね。そうなりますと、午前中も、先ほども私申し上げましたが、日本という国は三〇一条を発動しない限りらちが明かないという話にどうしても発展しやすいわけです。したがって、ここはまじめな意味で、公平な競争をするように指導してもらいたいということを申し上げておきたいと思うわけです。  時間があと五分しかありませんので、まとめてお話を申し上げるわけですが、委員長、課徴金は行政上の措置、抑止力ということは結構なんですけれども、これから損害賠償請求だとか、あるいは刑事罰の運用を強化するということになるわけですが、例えば一つの現場で、横須賀の問題で結構ですが、事件が起きる。課徴金を召し上げる、警告もする、一たんはそれでおさまりますね。課徴金の効果というのは、もとの企業まで精神的にあるいは道義的に課徴金の効果というものがなければうそだと思うんです。  横須賀に参入しました企業が地方公共団体でもかなり公共事業を請け負っているわけです。そこで、談合でやっつけられたり、あるいは手抜き工事で問題になったり、あるいは労働災害を起こして問題になったり、指名停止に一週間とか十日とか一ヵ月になるわけです。そこだけは指名停止になりましても、日本じゅうでは仕事をやっているわけです。課徴金というのはそこの部分では効果がある。しかし、課徴金というのは、そこの部分を含めてその企業あるいは事業あるいは企業群というものがもっと節度ある態度を示さなければ、本当の意味の課徴金というものは効果がないというふうに思うわけですね。  ですから、もう少し私は、これ以上悪いことはできない、道義的にもそんなことは一切考えていないというような方法を考える必要があると思うんです。例えば、課徴金を取られた、このセメントの会社でも相当の課徴金を取られたんですけれども、平然としてその日もその次の日もテレビでコマーシャルがどんどん流れている。企業として社会的な責任が全く失われているんですね。こういう問題について研究をしてもらいたいということを一つ申し上げておきます。  それからもう一つ、きょうは官房長官をお呼びしたんですが、日ソの交渉の関係で来られないということで、申し上げるわけですが、公取の機能強化、充実という問題であります。  梅澤委員長以下、委員の方々が考えられて、機能の強化、運用の改善を図るという部分については随分研究をされ、あるいは具体的に定員も今回十一名ふえるということなんですが、公取全体の問題については内閣がある意味では責任を持って対処してもらいたいという意味で官房長官をお呼びしたわけですが、きょう出られないというお話がありました。  機能強化の話につきましては、おとといもきょうもお話がありますから、特徴的なことだけを委員長から伺っておきますが、政府に対する私の考え方というのは特別に持っております。したがって、別の機会に内閣を代表します官房長官には、公取のあり方の問題あるいは機能の強化というものについて別に提案するということを申し上げて、私の質問は終わりますけれども、梅澤委員長の部分にかかわる問題だけについては、特徴的なことをお話しいただきたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 違反行為に対する効果的な抑止ということで、課徴金といった制度だけで万全を期し得るか、もっとほかの手段を考慮すべきではないかという御指摘でございます。  何と申しましても、やはり課徴金の水準が相当高いということが、特に所有と経営が分離されております現時点では、トップマネジメントと申しますか、経営者にやはり違反行為に対する、あるいはそれを思いとどまる圧力として働くということがまず大事だと考えております。同時に、悪質なものについては、当然刑事責任が追及されるというリスクというものを企業が負っているということを独占禁止法の運用で明らかにしていくということがまず基本であると思います。  そのほか、いわば委員がおっしゃいましたのは、広範な意味での社会的制裁と申しますか、そういったものについて考えるべきではないかということでございますが、この点につきましては、まず私どもが今やっておりますのは、違反行為が起きた場合に、その企業の名前あるいは違反行為の事実というものを、昨年の十月からでございますけれども、正式審決の場合はもちろんでございますが、警告事案についても原則すべて公表するという方針に切りかえております。それから、これは建設省の方でも大変努力されておるわけでございますけれども、入札の場合の指名停止等の制裁処分を行う。したがいまして、私どもの方の立場では、例えば公共工事等で談合事件が発生いたしますと、当該事業主体から御要請のある場合もございますけれども、御要請がなくても、私どもは違反行為に参加した事業者の名前を全部通告することにいたしております。  基本的には、こういった社会的制裁というものが広範に行き渡り、同時にそれを受けてやはり国民全体の厳しい目というものが成熟してくることによって、おのずから私は社会全体としての抑止力が高まるのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、委員の御指摘の趣旨に沿いまして、私ども公正取引委員会として、違反行為の未然防止のためにやるべきことがほかにないかどうか、今後とも検討してまいりたいと思います。  後段の御指摘につきましては、後ほど私からも官房長官にお伝えいたします。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 このたびの独占禁止法改正が、日米構造協議の中で我が国の公正取引委員会のあり方が協議の対象となった、その時期と重なるような形で提案されたこと、つまり外圧への対応、対症療法として生まれたんではないかといったような疑念が出てくることを大変に残念なことに思います。たまたま偶然であったとしたら大変失礼な言い方だと思いますけれども、しかしながら、公取みずからが経済秩序の確立とか消費者への利益という視点に立っているということが、私の目からは運用上見えてこなかったということを申し上げさせていただきたいんですが、梅澤委員長の御所見をお伺いいたします。  そして、公取はどのような理念のもとにこの委員会を過去、戦後ずっと運営されてきたかということも、あわせてお伺いしたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) まず、御指摘の後段の方からでございますけれども、公正取引委員会の使命と申しますか、独占禁止法の目的というのは、独占禁止法第一条に明記されておりますように、これは制度が創設されましたときから一貫して、国民経済の健全な発展と消費者の利益の確保というのが最終の目的であり、そのために公正でかつ自由な市場メカニズムというものを維持し、この働きを強めていくというのが基本でございます。したがいまして、公正取引委員会が創設されて以来今日に至るまで、この理念というものはいささかの変更もないわけでございます。  ただ、そのときどきにおきまして、競争政策ないし独占禁止政策の重点というものをどこに置くのかというのは、これは過去四十年間における日本の経済成長なり経済構造の変化の過程でいろいろ変わってきておるわけでございます。特に、五十二年改正以後、基本になっております考え方と申しますのは、独占禁止法による規制の分野というのは大まかに言って三つぐらいあるわけでございますけれども、私的独占なり経済力の集中という観点では、戦後独占禁止法ができて以来、この方面では非常に独占禁止法はいわば一〇〇%に近い役割を果たしてきたんではないか。そのために、今日のこのある一面では激しい競争経済というものを日本がつくり、それが今の日本の経済の活力の源になっておる。  今なぜ独占禁止法を強化しなければならないかという点になりますと、それは、独占とか経済力集中の分野ではなくて、ある一面では競争が非常に激しくなってきた。激しくなってまいりますと、やはり企業は競争を回避するという誘惑もある側面では強くなってくるわけでございます。したがいまして、本来競争すべき事業者と談合で話し合って競争を回避する、あるいは不公正な取引方法によって市場メカニズムをゆがめる、こういった面に今後重点を置いていかなければならないということでございます。  それから、今回の課徴金の引き上げからする御提案を含めて、いわば外圧と申しますか、特にアメリカから言われて及び腰でやっているんではないかという御指摘があったと思いますけれども、この問題の一つの契機として日米構造協議があったことは事実でございます。  しかし、それはあくまで契機でありまして、私どもが考えておりますのは、各国ともこの二、三年独占禁止政策を強化しておるわけでございます。したがいまして、政策協調ということは、日本の現在の世界経済における地位から見まして、これは好むと好まざるとにかかわらず、日本のためにもこの政策協調というものをやっていかなければならない。したがって、あくまで受け身の考え方ではなくて、日本のために必要であるという視点で私どもはやっているつもりでございます。特に、政策協調といいましても、国際関係というのはあくまで相互主義の社会でございますから、自分の方でやるべきことをやる、そのことによって今度我々が主張することの発言力も強めていく。  そういうことでございますので、委員がおっしゃいました受け身で及び腰ではないかという点については、私どもはそういうことではないということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 私も国会に入らせていただき、議員にならせていただいてもう五年になるわけですけれども、まず感じましたことは、消費者の視点から見ますと、日本の社会というのはどちらかというと生産者中心の社会であるというような気がいたしまして、大変に公取のあり方について興味を持ちまして、比較の視点を得たいと思いましてアメリカに伺いました。  アメリカの公取なども数度訪れているわけですけれども、そのときに、委員長がおっしゃいましたように、最近アメリカも公取の組織を強化していると言われましたけれども、おっしゃるとおりで、レーガン政権時代は公取は眠れる獅子であった――眠れる巨人であると言ってらしたんですけれども、私は日本の公取はどうだったのかなと。巨人とは言いがたいんではないかな、少なくともアメリカと比べてはそういうことが言えるんじゃないかなというような気がして、以下個々の問題について伺わせていただきます。  まず、今問題となっております課徴金でございますけれども、これは日米構造協議の中でもウィリアムズ次席代表などから強力に引き上げるようにといった示唆があるようでございますけれども、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。今の改正、前法よりも三倍に引き上げられたということでございますけれども、しかしながら、EC、アメリカと比べますとまだまだ低過ぎるのではないか、そのようなお考えをお持ちになりませんでしょうか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 今回課徴金を引き上げるわけでございますけれども、独占禁止法違反行為に対します抑止力を国際的に比較するというのは大変難しいわけでございまして、アメリカのように刑事罰だけのところもあればヨーロッパのように課徴金だけのところもあるわけです。これに対しまして、日本では課徴金と刑事罰と両方持っておるわけでございまして、課徴金につきましても、今回カルテル利得の徴収という性格から見た合理的な範囲内で、しかもカルテル禁止規定の実効性を確保するための十分な効果ができる水準ということに引き上げたわけでございます。  それで、アメリカからは確かに一〇%というような意見も来ているわけでございますが、この点はつきましては、我が国の課徴金というのは刑事罰と双方を持っているという制度、しかもその二重処罰になってはいけないという範囲内で最大限のものを考えておるわけでございます。それからまた、上限ではなく、課徴金というのは違反行為に該当しますと必ず取る制度である、こういうようなことを説明しておるわけでございます。  今回課徴金が引き上げられ、また刑事罰についての強化も図られるということはなれば、国際的は見てもそれほど遜色のないものではないか、こういうふうに考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 しかし、お言葉でございますけれども、確かに日本は課徴金、アメリカの場合は罰則でございますけれども、その罰則が非常に高いし、そして非常に訴訟しやすく、また体制としても法務省ですか、法務省とそれから公取と両方でやっておりまして、そういう点では比較しましても日本の課徴金というのは決して高いとは言えないんではないかと。むしろ、課徴金よりも罰則の方が当たるような場合もあるんではないか。しかしながら、日本では罰則が科されるケースというのは非常に少ないんではないんですか。現状をちょっとお知らせください。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 確かに、昭和五十二年に課徴金制度ができましてから、この課徴金制度の定着に努めてきたということから、告発については五十二年以降一件もございません。  ただ、これからは今後刑事罰の活用につきましては、積極的に告発もしていくということを昨年の六月に表明しておりますし、また現在刑事罰そのものの引き上げというようなことにつきましても、研究会を設けまして検討しているところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 刑事罰が少ないことで随分御同情申し上げなきゃならないと思いますけれども、審査体制、人数の点でも非常に少ないということで、これからどんどん強化されることをぜひ応援させていただきたいと思いますけれども、同時に検察庁との連係プレーというんでしょうか、それが十分ではないんではないかということが指摘されていいのではないかと思います。日本では、法務省の中に公取関係の違反事件を扱う独立した部署というのはございませんよね。それは事実でございますか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 日本の法務省の中には、独占禁止法だけを特別に扱うという部署はないと承知しております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 そうすると、検察庁としては公取から依頼があったときに初めて調査を開始するとか、そういうようなことになるんでしょうか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 検察庁の中に経済係というのがございまして、そこは私どもと連携をとることになっております。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 独占禁止法の刑事告発につきましては、これは委員も御案内のとおり独占禁止法でいわゆる専属告発と申しまして、独占禁止法違反事件について刑事訴追する場合には、公正取引委員会委員長が検事総長に告発すると、それを受けて検察庁が起訴をするかどうかを判断するという体制になっておるわけでございます。  今後、この刑事告発の効果的で機動的な運用というものはぜひ必要なわけでございまして、これは我が国では行政告発による刑事訴追が一番効果的に行われているのは実は国税の例がございまして、国税ではかなり以前から検察庁と協議体制というものを確立しておるわけでございます。したがいまして、公正取引委員会も、本年一月に最高検察庁と公正取引委員会事務局審査部で告発問題協議会を設置いたしまして、今後この場を通じまして双方に情報を交換し、告発、起訴というものが機動的に適正に行われるようにという体制を敷いたわけでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 ケースによりましては、地方でローカルにしかかかわりのないようなことも結構あるんではないかと思いますけれども、それが最高検察庁との話し合いということでは十分対応し切れるんでしょうか。もっと地方の検察庁レベルで地方の公取の出先というんですか、出先機関との連係プレーも必要なんではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。もう既になさっているんだったら大変結構なことだと思いますけれども。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 今検察庁とそれから公正取引委員会との連携については、委員長が申し上げたとおりでございます。これはすべて当方も傘下に地方事務所をそれぞれ持っております。それから、検察の方も地方にもちろん出先があるわけでございまして、いずれも組織を挙げてそういう取り組みをしようということでございますので、地方の案件でも決しておろそかになる、あるいはそういうことになるということではございませんで、むしろ私どもとして告発に相当するような案件であれば積極的な連係プレーができるようになる、こういうように承知をいたしております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 いろいろ御検討いただいて大変いい、すばらしいと思いますけれども、今度は消費者の側、消費者といっても業者を含めてでございますけれども、訴える側の問題についてお伺いいたしたいと思います。  まず、公取にどのくらいの訴えというんでしょうか、問い合わせがあるのでしょうか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 私どもが、今訴えというふうはおっしゃっておりましたけれども、独禁法の規定の中に、何人も独禁法に違反する事実があると考える場合には公正取引委員会に処理を求める、そういう規定があるわけでございますが、そこで言う申告というふうに理解してよろしゅうございましょうか。――年間、年によって変動はございますけれども、大体二千件から三千件ぐらいの間のものでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 その中に、外国からの参入に関して不公正な取り扱いを受けたといったような種類の申告はございませんでしょうか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) そうですね、私の感じで申しわけありませんが、ぱらぱらという感じというふうに御理解いただければと思います。ちょっと正確に私ども今そういう数字持ち合わせておりませんけれども、そんな感じでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 構造協議のそもそもの出発点というのは、幾つか理由もありますけれども、中に、どうしても日本の中に参入できないという外国企業が、すべてじゃございませんけれども、ちゃんと参入している企業もあるわけですが、そういう人たちの不満がきっかけになっている部分もあるというふうに伺ったものですから、このような質問をさせていただきました。  ところで、一般の訴訟の場合ですけれども、我が国のシステムでは、一般の人たちが直接検察庁に訴え出ることは、訴訟を起こすことはできないわけですか、公取を経由せずに直接訴えることはできますでしょうか、できないんでしょうか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 独占禁止法違反につきまして刑事罰を求めて告発するというのは、これは公正取引委員会だけに認められておりますので、一般の人が検察庁に持っていくということは認められておりません。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 これを直接告発できるようなシステムに変えるということは、不可能なことなんでしょうか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 今、審議官から申し上げましたように、独占禁止法違反の罪については専ら公正取引委員会が検察庁に告発をすることになっているわけでございます。  その趣旨でございますけれども、これは専門的な調査判断を要する独占禁止法違反行為の認定、それを排除するための措置についての判断、これはかなり専門かつ独立の行政機関である公正取引委員会に集中させた方が一体的な運用を確保できる、そういう趣旨で設けられた法律であろうかと思います。私どもとしては、やはり一体的な運用というのは非常に大切なことではないかなというふうに考えているわけでございます。ただ、このように一体的な運用を私どもに求められていること自体、同時に私どもが告発権限を厳正に行使すべきことを前提にしているんだろうというふうに考えておりまして、その責務の重大さは痛感している次第でございます。  したがって、先ほど来委員長が申し上げておりますように、特に近時、昨年の六月以降、私どもとしてはこの告発権限を積極的に使っていかなきゃいけないという認識のもとに、そのような方針を明らかにしているところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 公取の方といたしましては、業者から記録を入手することはできますでしょうか、違反の疑いがある場合です。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 先ほど、一般の方々、市民の方々、それから企業の中の方々からもございますけれども、私ども違反事実の端緒と申しますものをそれぞれ申告を受け付けているわけでありますけれども、私どもがそういった端緒を踏まえて違反があるというふうに考えております場合には、それぞれ各企業から、あるいは企業に立ち入ったり、企業から資料をいただいたり、そのような調査をしながら違反事実を固めていっているわけでございまして、当然のことながら、今先生から御質問がございました違反事実に関連した資料を私どもは徴求できる権限を持っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 しかし、それは原告側というんですか、いわゆる訴え出た方の側には示すことはできないんですか。つまり、公取の中だけにとどめられるわけですか、その記録が。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 私どもそういった権限を持っております一方で、当然のことながら、企業の秘密については同時に配慮しなければいけないことになっておりまして、私どもの公表に当たっては、そういうものを手に入れた、私どもの知り得た情報を公開するに当たってはそれなりに厳しい規制があるわけでございます。  したがって、私どもが違反事実に関連した情報そのものを一般的に公表することはしておりませんし、できないわけでございます。ただ、違反事実が認定ができますと、それに関連した部分については当然のことながらすべて配慮措置等の中で明らかにしているわけでございますので、そういう形で皆さんに知っていただける、こういうことになろうかと思っております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 公取委員会が消費者の代弁者として、不公正な取引に目を光らせるために独禁法の法改正、そういうふうなことをさらに進められるおつもりはあるのか、お伺いしたいんです。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 我が国の独占禁止法を各国の独占禁止法と比べまして、それぞれ各国皆独自性を持っておるわけでございますけれども、これは比較法学的に見まして学者の中の多くの意見だと思いますけれども、今の日本の独占禁止法の規制の内容は各国の水準と比べて遜色はないということでございます。  したがって、五十二年に大きな改正がございました現在の独占禁止法の基本的な枠組みを変更する必要は私どもはないと考えておりますけれども、ただその中で、ただいま御審議いただいております課徴金の問題、それから今後これは政府の作業でどうなるかという問題もございますけれども、もう一つの抑止措置である刑事罰、この点についてはやはり強化の方向で検討する課題は残っていると考えております。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 日本の社会には、先ほどもお話に出ましたように、いわゆる自由主義経済のもとでの非常に競争の激しい分野があるわけですけれども、同時に非競争分野というのもあるようでございます。つまり、政府の規制、保護、そういうものを指すんだと思いますけれども、政府の規制制度があるために、参入規制、そして価格規制が実際に行われて、そしてその分野では非常に競争が微弱となっています。一説によりますと、政府による規制産業はGNPの約四〇%に上っており、日本が自由主義経済のもとにおける競争社会だということは言いにくいというような指摘がされております。  また、日本には独禁法の適用除外制度があって、競争制限的なカルテル行為に対して独禁法が適用されないという問題もございます。今日では四十二の法律、六十八の制度があると言われておりますが、これらの法律、制度の多くは昭和二十年から三十年代に制度化されたもの、つまり、日本の経済がまだ非常に競争力の弱かった時期にできたんではないかと思いますけれども、その後長期にわたってこの適用除外制度の中で安住している産業も少なくないんではないか、そういうふうに思われます。それが例えば我が国の物価を世界の中でかなり高いものにしているというようなことも指摘されるんじゃないかと思います。  公取委員会は、国際的に開かれた公正な社会を築いていくために、こうした独禁法適用除外制度を見直していくおつもりはあるのでしょうか、お伺いいたします。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 委員御指摘のように、カルテルなど競争制限的な行為、こういったものは独占禁止法で原則的に禁止されているわけでございます。ただ、一部例外的に特定の政策目的を実現するためということで、法律に基づきまして一定の要件と手続に従いまして独占禁止法の適用を除外する、こういった制度があるというのは、そのとおりでございます。  ただ、これはあくまでも例外的なものでございますから、私どもといたしましても、これは必要最小限にとどまってしかるべきものであるというように考えており、また絶えずその必要性が今なおあるかどうかというような観点からも見直しをしていかなければならない、そのように考えております。現に、こういった作業を私どもずっとやってきておりまして、最近では、この適用除外制度それ自体、あるいはこれに基づきます適用除外の例えばカルテルなどの件数も大幅に減ってきているところでございます。  こういった適用除外制度というのは、まさに委員仰せのとおり昭和二十年代から三十年代にかけてたくさんでき上がったものでございます。この当時と申しますのは、日本の経済というのは非常に脆弱でもありましたでしょうし、また慢性的な労働力過剰といったような状況でもありましたわけでもございます。企業それ自体の経営力も決して万全とは言えなかった、こういった時代でもございましたでしょうし、あわせてまた、国際収支の面においても非常な不安定な状況に置かれていた。こういった状況において、いかに日本の経済を健全なものにするかということでいろいろな政策をとられたその一環として、独占禁止法の適用除外というものがその当時多く認められたといういきさつがあるわけでございます。  こういった観点から考えてみますと、現在こういった制度がなお維持されるかどうかということについては、本腰を入れた見直しをしていかなければいけない、かように考えております。公正取引委員会がこういった見直しをするのは当然でございますが、政府におきましても、例えば行革審の報告書などでもこの点を鋭く指摘してございますし、それから先ほど来お話のございました日米構造協議の最終報告におきましても、こういった適用除外制度の見直しということが指摘されているところでございます。  私どもも、こういった内外からの指摘も十分踏まえまして、現在公正取引委員会の内部に学識経験者の方々にお集まりいただきまして研究会をつくりまして、この研究会でこの適用除外制度の見直しをお願いしているところでございます。いずれ結論が出るわけでございますので、この結論も踏まえた上で、公正取引委員会としては適用除外制度の見直しに最善の努力を尽くしていきたい、かように考えているところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 規制緩和が叫ばれているところでございます。航空運賃、バス、電車の運賃レートとか電話料金、宅急便レート、いろいろなところでいわゆる料金を申請してそして許可されるといったような形で、さまざまなそうしたものが構成され、一定の価格で運用されているということは、私は、消費者にとってなかなか納得のいかないことだというふうに思い始めておりますので、ぜひこの点でも積極的な対応をなさっていただきたいと思います。  次に、系列でございますけれども、これは現在アメリカが一つのカルテルとして問題視し始めていることなんでしょうか。系列というのは日本の商慣行の一つだと思いますけれども、これなどは公取のお立場からいたしますとどのようにお感じになるのか、そして現実に、通産省としては、これが構造協議のテーマになっているかどうかについても、お答えいただきたいと思います。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) いわゆる系列問題につきましては、日米構造協議の最終報告の中でも取り上げられているという点は委員御承知のとおりでございます。  公正取引委員会の立場からこの系列問題を考えてみたときに、系列といってもいろいろな態様もあり、また論者によっていろいろとその内容とするところに違いもあるわけでございます。ある面では経済合理性を備えた面もあろうかと思いますが、また他の面では場合によっては競争をゆがめるような、そういうおそれということについても公正取引委員会としては関心を持っていかなければいけないことではないか、かように考えているわけでございます。  したがいまして、私どもは、これは日米構造協議の場においても申し上げたわけでございますけれども、系列問題について独占禁止法に違反するようなことがあってはならないということで、もし独占禁止法に反するいわゆる系列取引といったものがあれば、これは当然のことながら徹底的に排除していかなければならない、かように考えているわけでもございます。  また、それの一つの手段として、そもそも系列問題について独占禁止法はどのように考えているかということに関して、実はガイドラインをつくってそれでその関係を明らかにしていきたい、かように思っているわけでございます。今このガイドラインにつきましては、ドラフトを数カ月前に提示いたしまして各方面の意見を伺っている最中でございますが、間もなくこれも完成しようかと思っております。こういったガイドラインなどによって、この系列問題に対する独占禁止法の考え方というものを明らかにしていきたいと考えております。  他方、これは一般的な調査という話になってこようかと思いますけれども、日本経済あるいは日本の産業におけるいわゆる系列というものの実態について調査を行い、その正確な把握に努めるということも、公正取引委員会に与えられた使命かというように考えておりまして、そのような調査もあわせ行っていくということで現在対応しているところでございます。

横田捷宏通商産業省大臣官房審議官

○政府委員(横田捷宏君) 系列関係を背景とした取引についての問題のある側面、それへの対応というのは公取の方からお話がございました。他方、これはアメリカの研究者等も認めている点でございますけれども、系列にそれなりに一定の経済合理性もあるわけでございまして、安定的な取引関係によって効率的な事業活動ができるようになる、あるいは長期的視点に立った経営でございますとか研究開発等々ができる、こういったメリットもあるわけでございます。  そういう中で、特に系列を背景としたグループ内の取引、こういったものが透明性を欠きましたり、内外差別になりましたり、極端には独禁法上の問題を起こすおそれがあるといった点を問題視しておるわけでございまして、私ども通産省におきましても、こういう系列関係を背景とした取引がより透明で、かつ内外無差別になる、これは国内においてもそういったことは要請されるんだと思いますけれども、そういった意味で、昨年発表されました官房長官談話もそういうことをねらいにいたしているわけでありまして、調達活動の一層の透明性を進めていこうとか、あるいは商慣行の是正とも絡めて本件を検討していこうといったような形で、産業界とも話し合いをいたしておるところでございます。

広中和歌子公明党・国民会議

○広中和歌子君 最後に、製造会社が同種の製品の輸入総代理店になっているといったようなケースがありまして、これは公取が御指摘いただいて違反になったんではないかというふうに思いますけれども、ともかくもう時間でございますので、ぜひ国際化の中で公取の運用の改善とか機能強化をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) ただいま御指摘になりました輸入総代理店の問題につきましては、これの問題が独占禁止法上どのように考えられるかということにつきまして、ガイドラインをつくろうとしている段階でございます。今そのガイドラインのドラフトが開示されているところでございますが、その中には今お話のあったような競争業者間での輸入総代理店契約といったようなものについての独占禁止法の考え方も示されているところでございまして、いずれこれが完成することになるというところでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 今回の改正は、課徴金を引き上げて独禁法違反行為に対する抑止効果を強化するものといたしていますが、本当にその効果を上げるためには、課徴金による不当な利益の吐き出しとあわせて刑事罰及び損害賠償制度の三つがいわば三位一体として活用されることによって抑止力が発揮されると考えるのでありますが、その点についてまず冒頭、委員長の基本的認識を伺いたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 今仰せになりましたように、独占禁止法違反行為に対する抑止力として日本の独占禁止法で期待されておりますのは、課徴金の問題と刑事罰の問題と損害賠償制度の問題でございます。  課徴金については、ただいま御審議を賜っているところでございまして、私どもはいわば三位一体と申しますか、この制度のもとで今回御提案申し上げておりますものは、許容される範囲の抑止力が強化できる水準であるというふうに考えております。刑事罰の問題については、問題が二つございまして、現行の刑事罰の活用をする問題と刑事罰の制度そのものを強化する問題がございまして、後者につきましては今後なお時間をかけまして検討しなければならないと考えております。損害賠償制度につきましては、私どもは現行の独占禁止法二十五条を中心といたします損害賠償の体系を変更する必要はないと考えております。  むしろ、この二十五条の活用を促すために、公正取引委員会としては何をなすべきかということが問題であると考えておりまして、これについては近々まとまりましたものを公表いたしたいと思っておりますけれども、それは、原告、被害者に対して違反行為の事実の存否について資料提供等の面で公正取引委員会が具体的にどういう対応をするのか、それからもう一つは、裁判所から損害額について意見を求められました場合に、公正取引委員会として、違反行為の類型ごとにその当該事案についての損害額の合理的な推定方法というものを、公正取引委員会の意見としてなるべく具体的に裁判所に提供するという方向で、今検討しているわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そこで、今の三位一体論に基づいて伺うんですが、公取による刑事罰を求める告発は、先ほど来のやりとりにもありましたが、課徴金制度の安定を優先させるという立場から、七四年の石油業界のやみカルテルに対する告発以来実施されておりません。しかし、去年の六月の独禁法に関する損害賠償制度研究会、また十二月の課徴金に関する独禁法改正問題懇談会報告では、これを強化していく方向を明らかにしています。とすれば、具体的に伺いますが、昨年明るみに出たセメント業界のカルテルについて告発しなければ公取は責任を果たしていないと言わざるを得ぬのですが、この点はどうなんでしょうか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) セメントのカルテル事件につきましては、先般およそ百十二億円余の課徴金を命じました。違反行為の内容は、供給数量の制限と値上げカルテルでございます。  私どもが今後刑事告発を積極的に活用すると同時に、それは法務省、検察庁と緊密な協力体制でもってこれを行うということを実は昨年の六月に公表いたしたわけでございます。その場合に、今後は告発の重点として、値上げカルテル、それから数量カルテル、談合、共同ボイコット、地域分割等を特定しておるわけでございますが、実は昨年の六月の時点で、従来の十年余にわたる政府の方針を一大転換いたしたわけであります。これを公表いたしましたのは、むしろ企業に対するある種の法的安定性という意味も持っておったわけでございます。  ところが、このセメントの事件と申しますのは、その公表以前に私どもは調査に着手したことはもちろんでございますけれども、カルテルそのものがこの六月以前に既に終了しておった事件でございますので、そういったものを勘案いたしまして、このセメントカルテル事件については改めて告発するということは考えておりません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 このセメント業界というのは、御存じのようにこれまでも公取の方からやみカルテルの排除勧告を四回も受けているんですね。今回の分を含めれば五回、九件について勧告されております。まさに、そういう意味では常習犯ではないですか。その常習犯であることを御承知の上で、六月が一つの区切りだからその後に大転換をしたから刑事告発しなかったというのは、私はこれは余りにもやっぱり怠慢だと言わざるを得ぬのです。こういう事態の経緯を見ますと、課徴金だけの抑止力では本当の効果が上がっていないということを私は物語っていると思うんです。  そこで、今委員長がおっしゃったので確認をいたしたいのですが、研究会の報告以前、六月以前だったので手を打たなかったというならば、今後行われるやみカルテルについては告発を実施する、こういう構えであるということを確認してよろしゅうございますか。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) 昨年六月に私どもが方針をいわば転換したといいますのは、研究会の報告ではございませんで、これは公正取引委員会として方針を公表したわけでございます。  その場合に、重点となるカルテル事件については先ほど具体的な形態を列挙いたしましたが、そういったカルテル事件であって、国民経済なり国民生活にとって重大な影響を与えるものであり、しかも悪質な事件である。その悪質性の一つの判断要素として、違反行為を繰り返してやっておるというようなことは含まれると思います。  したがいまして、このセメントの事件について告発しなかったという理由は、先ほど申し述べたとおりでございまして、この事件については改めて告発するということは考えておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、今後この種のカルテルが起こりました場合には、これは積極的に告発権を発動するということでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 その点は了承しました。  また、常習犯であるということも客観的にお認めになったんですが、ひとつ厳しく対処していただきたいと思います。国民また消費者は、公取がカルテルに対して毅然とした態度をとることを期待し、また求めていると思うんです。  ところが、率直に言って、公取は消費税の導入の際にどういう対応を示されたのか振り返ってみますと、八八年の七月の初めまでは、転嫁カルテルについては弊害があるということで、これを認めないという立場を表明してこられました。その理由として、独禁法の適用除外カルテルはやみカルテルを助長しやすい、また価格カルテルは便乗値上げのおそれがある、さらに、大企業に有利で、中小企業に不利であるなどを挙げて、転嫁カルテルを認めず独禁法の運用の枠内で対応するとされてこられました。これは、私は道理のある立場だと思います。  ところが、結局は消費税の転嫁カルテル、表示カルテルを認めてしまい、四千五百八十九件のカルテルが認められるという結果に相なりました。調べてみると、過去にカルテルが一番多かったのは一九六六年、昭和四十一年でありますが、そのとき一千七十九件でありましたが、これと比べて圧倒的に多い数です。  私は、このことがカルテルマインドを業界に助長させ、便乗値上げに道を開いたことは明白である、こう言わざるを得ぬのですが、この消費税の転嫁カルテルによる影響について、公取としてはどのように総括をなさっておられるのか、伺いたい。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 委員御指摘の消費税のカルテルの話でございますけれども、私どもはこの消費税カルテル制度が認められて、これが先月三月三十一日をもって終了したわけでございますけれども、この制度の導入が競争政策の基本に一切かかわりのないものである、根本を何ら揺るがすものではないと、こういった認識を持っております。  と申しますのも、この消費税カルテルは二種類ございまして、一つは、転嫁の方法に関するカルテルでございます。これは転嫁の仕方についてのカルテルで、しかもこれは言ってみますと、価格形成力の弱い中小事業者、これに限って特別に認めようというものでございます。その場合であっても、商品の本体価格については一切話し合いを認めない、こういったカルテルは一切許容しない、これはあくまでも独占禁止法に違反するものである、こういった立場を当然のことながら貫いてきたわけでございます。  それから、もう一つのカルテルは、これは消費税の表示の仕方についてのカルテルでございます。こういったもののカルテルをその当時、いわば消費税というものが我が国の経済社会にとって極めてなじみの薄い制度であった。そのために、消費者の方からは、この消費税の導入によって便乗値上げが行われるんじゃないか、こういった不安もございましたし、また中小企業を初めとして産業界の方からも、消費税の転嫁が正しく行われるんだろうかといった不安があったわけでございます。こういった不安をいわば解消するため、あるいは消費税導入時における混乱を防止するために、こういう制度が導入されたというわけでございまして、その内容は今申し上げたとおり、競争政策の基本に何ら支障を来すものではなかったという認識でございます。  むしろ、このように商品の本体価格について一切カルテルは認めないという方針を明らかにされたことによりまして、例えば価格カルテルによる便乗値上げ、消費税の導入に際しての便乗値上げといったようなものの予防、防止に非常に大きな効果があった、かように認識しているわけでございます。こういった制度も先月の三月三十一日をもちまして終了したというのが現状でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 これもまた、三月三十一日で済んでおるから、もう素知らぬ顔をなさっていますが、消費税など付加価値税を導入している国は四十数ヵ国ありますが、便乗値上げ阻止のための独禁政策を強化した国は数々ありますが、我が国のように独禁法の効力を停止してまで価格転嫁を認めようというふうに緩和した国はほかに一つもありません。  実際に、消費税の導入直後に第一波の便乗値上げが起こりました。公取自身、カルテルの疑いがあるとして三十四業種、団体に是正の警告をしているではありませんか。そうでしょう。我が党の調査では、この第一波の後第二波の便乗値上げが、八九年の九月から十一月に製紙業界のティッシュペーパー、トイレットペーパー値上げがありました。十一月には北海道の日本石油などの灯油のやみカルテルがありました。十二月には雪印乳業などのチーズの値上げが相次いで起こっております。さらに第三波として、九〇年の三月以降にビールの値上げ、楽器、冷凍食品、菓子類、食肉加工品、加工食品、めん類、調味料、セメントなどがありました。第四波には、去年の九月の石油値上げに始まるスパゲッティ、パン、コーヒー、アルミ、そして今問題になっておる鉄鋼へと、こう続いているんです。  私は、消費税がもたらしているこういうカルテルが認められたこと、つまり公然と業界での協議が認められたことがカルテルマインドを助長したことは明白である、こう言わざるを得ぬのですが、私どもの指摘した事実に即して、認識を伺いたい。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 先ほど来申し上げましたこと、あるいは委員が冒頭にお話しになりましたことは、消費税の導入に際して、いわばそれに便乗してカルテルが行われているのではないかといった御指摘だったかと思います。  この点につきましては、私どももその当時非常に強い関心を持ちまして、大きな監視網を張ったりして対応してきたところでございますが、消費税の導入に先駆けて一部の業界に独占禁止法で問題となるような行為があったことは事実でありまして、またそのことについては的確な措置をその当時とってきたわけでございますが、それ以降において、消費税に便乗したカルテルというものは幸い見当たらなかったというように考えているわけでございます。  今、委員いろいろ御指摘のケースあるいは業種、商品などがございますが、こういったものについて、もしこれが独占禁止法違反であれば、それなりの措置をとってきておりますし、またそうでないものについては、例えば独占禁止法で価格の同調的引き上げに対する値上げ理由の報告を徴収するといった制度もありまして、これに係るものはそれの対象として業務を遂行してきたということがございます。  いずれにいたしましても、独占禁止法違反というものは決してあってはならないことでもございますから、日ごろそういったものの監視に不断の努力を注いでいるということでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私が指摘したことは、決して過去の話じゃなしに、やはりこれからも大いに懸念される問題であるということを指摘しておきます。  今、三月三十一日付をもってもういわば時間切れになった、こうおっしゃったんですが、だとすれば、私は、二年の条件つきだから自然にもう立ち消えになったということにとどめるんじゃなしに、この際に、このカルテルをきっぱりと廃止させる措置、例えば文書で通知するとか、こういうカルテルマインドを払拭させるような明確な措置をとられるべきであると思いますが、この点はいかがでしょうか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 私どももそういった点については関心を持っているところでございます。それで、むしろこのカルテルというのは本年の三月三十一日をもって終了するものであるということを、この制度を導入した際にきちんとPRをするということも大事であると考えまして、そういったPR活動を一生懸命やってまいってきております。  それから、このカルテルを行うに当たりましては、公正取引委員会に事前の届け出が必要になるわけでございますけれども、その届け出をしてもらう際に、この届け出書にはっきりと三月三十一日をもって終了するんだということを産業界の方に確認させるための届け出書に対する記載事項というものを明確に設けておりまして、そういった措置を実は事前の段階で既にとってきているということでございます。  そういったことでございますので、先生の御心配の御趣旨について私どもも同じような関心を持ち、また適切な措置をとってきた、かように考えているわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私が今言っているのは、三月三十一日で終わったんだから、その時点で公取として積極的なやっぱりイニシアチブをとるべきだ、何らかの措置を明確にすべきだと思うんですが、それは御検討いただけますか。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 今申し上げましたとおり、このカルテルを実施する際に、はっきりと企業にそういったことを約束させているということで……

市川正一日本共産党

○市川正一君 スタート地点とゴール地点で、終わりましたよということを。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 用は足りていると思います。  それで、今私どもは、この三月三十一日で終わって、それから半月余りたっているわけでございますけれども、幸いこれまでのところ特段の不都合もございませんので、いましばらくは事態を見守っていきたいと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 もう成り行き任せですね、いろいろ聞いてみると。今の点は、ひとつ成り行きを半月ほど見るというんだから、見た上できちんとやりなはれや。  それで、私もう時間もありませんので、同調値上げについてひとつ伺います。  それで、おととしまでは公取白書に年一回しか同調値上げについては発表されておりませんでした。私は、これでは同調値上げの監視にならぬと思うんです。たまたま去年、ビールについては衆議院の物特委員会に報告がありました。残念ながら、参議院の商工委員会、本委員会には報告されておりませんのですね。私は、これからは白書を待つのじゃなしに、必要とまた要請に応じて適宜本委員会にも報告をしていただきたい。また、今までの報告は経過だけであって公取の見解は述べられておりませんでしたが、今後は公取の見解も合わせて表明さるべきじゃないかと思うんですが、以上二点についてお聞きしたい。

糸田省吾公正取引委員会経済部長

○政府委員(糸田省吾君) 価格の同調的引き上げに対する報告徴収の制度でございますけれども、これは独占禁止法の中で公正取引委員会が値上げ理由の報告をとった場合にはその概要を年次報告で国会に報告する、そのようになっておるものでございますから、従来、年次報告で一年に一回報告を申し上げてきたというところでございます。  昨年、ビールの同調的引き上げのケースの場合には、これは国会の方からいわば国政調査権の行使という形で、年次報告を待つまでもなく、値上げ理由の報告をしていただきたいという御要請があったわけでございますので、私ども調査が終了し、御報告できる体裁が整ったその段階を見きわめまして、年次報告の前に御報告したというケースがあるわけでございますが、基本的には、この法律に書いていますとおり年次報告で御報告申し上げるということかと思っております。その他の場合につきましてもそれぞれ必要に応じて適切な対応をしていきたい、かように考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 参議院商工委員会、すなわち本委員会が要請をすればいただける、こういうことで確認しておきます。  最後に、この独禁法は消費者利益のために運用されるわけでありますが、公取委員会には一人も消費者の代表が入っておりません。そこで、委員長に最後にお伺いしたいんですが、大蔵省、通産省の出身者はいらっしゃいます。もちろん任命は総理大臣が行うのでありますが、公取委員長としては、消費者の代表を加えるべきであるという認識をお持ちなのかどうか。さらに、公取の懇談会、研究会が十三ありますけれども、そのうち消費者代表が参加しているのは二つだけであります。独占禁止懇話会は二十七人中十一人が業界代表で消費者代表は二人だけです。こういうところにもっと消費者代表をふやすべきではないかと思うんですが、この二点について御見解を承って、質問を終わりたいと思います。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) まず、前段の問題について私からお答えを申し上げたいと思います。  公正取引委員会は、独占禁止法の定めによりまして五人の委員が任命されるわけでございます。法律もしくは経済に学識経験のある者ということになっておりますが、公正取引委員会は行政機関自体としては内閣総理大臣の所管に属するものでございますし、委員の任命権者も内閣総理大臣、もちろん両院の御同意を得るわけでございます。したがいまして、委員の構成等はついては、私からとかくの所見を申し述べるのは差し控えたいと思います。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 公正取引委員会におきましては、独占禁止政策を有効かつ適切に推進するため各界の有識者と意見を交換する目的で、あるいはまた特定の問題について理論的、実務面から専門的検討を行う目的で、各種の懇談会や研究会を開催しております。これらの懇談会、研究会の目的はさまざまであり、その目的と必要に応じて適切な分野の有識者の方々の御参加をいただいているところでございます。  公正取引委員会といたしましては、今後とも懇談会、研究会のメンバーの人選については慎重に行ってまいりますとともに、独占禁止政策への一層の理解を求める観点から、消費者の方々を含め広く各界との意見交換の充実を図ってまいりたいと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 終わります。

池田治連合参議院

○池田治君 課徴金の引き上げ等を中心とした本法律の一部改正につきましては、反対をするものではございません。むしろ遅過ぎたと考えております。  しかし、課徴金を引き上げただけで違反行為の抑止力があると考えるのも絵にかいたもち的な考えないしは発想でございまして、現実化するためにはある程度情報収集は正確なものをしていかなければ意味がないと考えておりますが、現在この違反事件に係る情報の収集はどのように行われているか、御説明を願います。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 現在、独禁法違反に係る情報の端緒でございますけれども、大きく四つございます。これは、第一が一般の市民の方々、企業の方も含めてでございますけれども、一般人からの申告、第二番目が我々の独自の調査に基づくもの、それから三番目が検事総長の調査請求、四番目が中小企業庁長官からの請求でございます。  ただ現実には、実際私ども取り上げております端緒といたしましては、やはり第一の一般人からの申告が最も多うございますし、それから確度も高いことからかなりの比重を占めている、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。

池田治連合参議院

○池田治君 先ほど広中委員の質問に答えられて、一般からかどうか知りませんが、申告のある件数は幾らかと問われましたら二千から三千ぐらいだと言われましたけれども、二千と三千とは大分開きがあるんですが、この差というのは、単なる一般の人からの電話で違反行為があるよ、ビールが上げられたよという簡単な情報も含めるから正確なものにならないのか、書面でもってきちっとやったというような場合だけにすれば少なくなる、こういう意味でしょうか。  そしてまた、その二千ないし三千の中には、どれだけが違反行為となって課徴金が課せられるような事件になるでしょうか。検察庁へ行きますと、告訴事件がいっぱい出ますけれども、百あってそのうち九十七、八までは立件できないというような事実があるようでございますが、公取の方はいかがでございますか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 先ほど二千件から三千件というふうに申し上げましたのは、年によって波動がございますので概略申し上げたので、正確に申し上げれば、例えば昨年度は二千四百十件でございます。多い年に三千件を超えている年もある、こういうことでございますので、その点はまずお断りをさせていただきたいと思います。  それから、申告の中身はまさに千差万別でございまして、電話だけ一本かかってくる場合もございますし、非常に細かくいろんな書類を添付して、こういうふうに違反事実があると思うんだけれども取り上げろというふうなものまで、かなりそこは千差万別でございます。実際、課徴金に結びつくのは、課徴金の運用状況につきましては既に資料は提出してあろうかと思いますけれども、昨年度、平成二年度では十一件でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 二千件のうち十一件でございますか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 年度によってずれがございますからあれですけれども、課徴金に最終的に結びついた実績で比較すれば、昨年度については、課徴金納付命令を命じたものは十一件でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 申告があって、それを審査して、それで審決をして課徴金を課すということですが、課徴金を課していいかどうか、その申告内容を調べるということが重要な仕事になってくると思いますけれども、これは何人ぐらいが担当されておるんですか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 最初に、二千件から三千件から十件かという今率直な御意見がございましたけれども、二千件から三千件の中のかなり多くのものは、一時的な廉売、例えば牛乳とかお豆腐といったような廉売行為について訴えられるものが比較的多うございまして、そういう意味では、二千件から十件というふうに御理解いただくと、ちょっと私ミスリードしてしまうような気がいたします。そういう意味では、カルテル等についての申告ということ、そういうふうな分類を今ちょっと私数字は持ち合わせておりませんけれども、そんなに多いわけではございませんので、それをまずお断りさせていただきたいと思います。  審査部の今の職員は百六十五人でございます。これは地方事務所も含めて百六十五でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 そのうち、情報収集を担当される方は、何人いるんでしょうか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 本局で十四名、それから各地方事務所で一人おりますので、合計二十一名でございます。

池田治連合参議院

○池田治君 この十四名の方は、一般からの通告といいますか申告があった場合に、その申告を受けつけて、それで審査に回した方がいいかどうかを判断なさるわけですか。それとも、積極的に外へ出て違反行為があるかどうかを価格を見て調べるとか、談合があるかないかを調べるとか、そういう積極的な行動もされておりますか。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 両方やっております。ただ、数から申し上げますと、先ほど一般からの申告を取り上げたケースが多いというふうに申し上げましたけれども、したがいまして、一般の申告を受けてそれを事件に取り上げるかどうか、かなり周辺部の調査を含めた調査を外へ出て追跡調査をやっております。その部分と、それからある特定の問題意識を持って職権探知ということで、みずから事件をつくり上げていくための作業もあわせていたしております。

池田治連合参議院

○池田治君 事件をつくり上げていく作業もするということでございますけれども、検察官や警察官と違って、捜査権というものは確立をされていないわけでしょう。そうすると、おのずからそういうものに限界があると思いますので、どうしても捜査人員の増員ということが必要になると思いますが、この点増員する計画はあるのですか。審査部門の増員は昨年六月になされたということですが、もう少し私は情報収集部門を充実していかなければ、審査だけやって、審査の前段階で詰まるのではなかろうか、こう懸念をしておりますが。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) トータルの人員で今審査部がふえていることが一つございますけれども、それ以前に、昨年度実は情報担当部門の二つ目を設けまして、従来一つのセクションでやっておりましたけれども、本局については二つ目のセクションを実はつくっております。そういう意味でかなり充実ができたというふうに考えております。もちろん、私の希望としては、さらに充実していただくことはより望ましいわけではございますけれども、とりあえず昨年度そういう実績がございます。

池田治連合参議院

○池田治君 審査前段階をぜひ充実させていただいて、重要な取引、公正な取引を確保するようひとつ頑張っていただきたい、こう思います。  次に、損害賠償制度のことについて一言申し上げますが、今まで民事で損害賠償請求を被害者がしましても裁判所で勝訴したためしがない。裁判所もまた公取に対して求意見を求めて、求意見に対してお答えになっていると思うのですが、そのお答えにもかかわらずそれが敗訴してしまうということは、何らかの求意見に対する応答に公取の方が何か手抜きがあるのか、裁判所が公取を無視して軽視してやるのか。いずれにもあると思うのです、少しずつの原因は。  そこで、公取にお尋ねしますけれども、求意見に対する対応は、どういう形で対応なさっておりますか。例えば、ぴらぴら紙に書いてさっと求意見を回すのか、それとも証拠をつけたり資料をつけたりして裁判所へ回すのか。こういうところは、どういうふうにされておりますか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 独占禁止法に基づく損害賠償制度につきましては、今どういう対応をしているかということでございますけれども、一応裁判所から意見を求められたときには、文書をもって意見を出しておるわけでございます。  なお、現在この損害賠償制度をもう少し活用するためにはどうしたらいいか、特に裁判所の求意見に対する対応につきまして専門家から成る研究会に御検討いただきまして、その報告をいただいております。その報告に基づきまして、今後特に原告の立証負担を軽減するという観点から、幾つかの施策を講じているところでございまして、例えば裁判所から損害の意見を求められた場合には、できるだけ詳しく公正取引委員会の考え方を示す、それからまたその根拠となる資料を可能な限り添付するということとしておりまして、現在その取り組みの一環といたしまして、損害額についての合理的方法に関する検討を専門的な立場からお願いしているところでございます。  それからまた、訴訟が提起された場合に、裁判所から文書送付の嘱託等があった場合には、事業者の秘密の問題ですとか事件処理上の問題に配慮しつつ、違反行為及び損害の額に関する立証が必要な範囲で、資料を提出する筆蹟極的に対応することとしております。

池田治連合参議院

○池田治君 今、損害額の算定についてのみお答えになりましたけれども、事件を成功させるには、やはり違反行為という事実関係そのもののまず立証が必要です。その上に、違反行為がありてかつ被害があらわれたという因果関係の証明も必要です。これらについても、どのような見解を持っておられますか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 失礼いたしました。今、損害額と言いましたが……。  違反事実の内容につきましては、公正取引委員会が審決を出しますときに、違反事実をできるだけ具体的かつ明確に記載するという形で対応することとしております。

梅澤節男公正取引委員会委員長

○政府委員(梅澤節男君) ちょっと補足して申し上げますが、おっしゃるように被害者、原告でございますが、訴訟を提起される段階と、訴訟を提起された後裁判所で当事者間の争いが始まるというこの二つの段階があるわけでございますが、訴訟提起前につきましては、ただいま審議官が御答弁申し上げましたように、我々の審決が確定した段階で訴訟が提起されるということでございますから、この審決の内容、違反事実についてできるだけ具体的に明確にしていく。したがって、被害者本人なり弁護士さんが、その審決書を読まれれば、十分に訴訟が提起できるということをまず想定しているわけでございます。  訴訟が提起された後は、これは恐らく原告からの証拠並びに資料提出要求等を通じて、裁判所から文書嘱託が私どもの方に参ります。その場合につきましても、事業者の秘密あるいは今後の調査上支障があるというような場合を除きまして、事件記録なりこちらが押収いたしました証拠等は、できるだけ積極的にこれを提出していく。その次に、違反行為の存否の問題はそういうことでございますが、因果関係とか損害額の段階に入ってきますと、今度は損害額について、個々の違法類型ごとに合理的な推計方法というのを、今専門家に研究してもらっておるわけでございますが、推計方法というものを一応決めて、それに基づいてなるべく具体的な意見を述べる、同時に、その意見の根拠となるような資料も積極的は添付して裁判所に提出する、そういった段取りで今検討いたしておりまして、その具体的な対応方法につきましては、近々まとまりました段階で、公表いたしたいと考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 裁判提起前の問題についてはよくわかりましたが、提起前につきましては、今までも結審があればそれをもとにして訴訟は提起できたわけでございますので、それほど問題はないかと存じます。  要は、訴訟の土俵に上がってからどう立証していくかの問題だと思うんです。これについて公取に求意見が来るわけですので、公取としてはできるだけ細かい意見を書いていただいて、なおかつ資料、証拠等も提出いただく。これは民事訴訟だから原告の評価は勝手にせよと言われるのなら何も証拠まで出す必要はございませんけれども、せっかく調べられたわけですから、これは全部裁判所へ出して、原告の勝訴への立場を援助ということではございませんが、せっかく結審なさっておるわけですから、審決のすべての資料を出していただく、こういうようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、その次に損害額の算定の問題、これはちょっとお触れになりましたけれども、まあ一般的には購入価格から違反行為がなかった場合の購入価格を差し引いたのが損害額と言われておりますけれども、なかなかこれも難しい点がございまして、違反行為がなかった場合の購入価格といいましても、その過程で大量生産だったのが少なくなったり、少し生産していたのが大量生産になったりしていくと、価格の値崩れということも起きるわけでございまして、なかなかこの問題も一刀両断にはいかないと思いますが、これについて、公取が今考えられておることがわかりますれば、お教え願えませんか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 損害額の算定につきましては、アメリカ等ではいろいろ前後理論ですとか物差し理論というような理論を取り入れまして、積極的に損害の認定を行っているということでございますので、そういう例を参考にしながら、あるいは統計的手法なども考えられるわけでございます。現在、先ほど来申し上げておりますように、研究会で検討をお願いしているところでございまして、その結論はまだ出ていないのでございますが、近々報告がいただけるものと考えております。

池田治連合参議院

○池田治君 民事問題も研究会で検討なさっておるそうですし、刑事問題につきましても、告発問題協議会とか刑事罰研究会とか、これも今そこで研究中だと言われますので、これ以上突っ込んだ質問をしても意味がないと思いますから、これで私の質問は終わります。  また、次に改正が今度ありますときにお目にかかって、質問をしたいと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 いろいろといい質問をたくさん考えてきたんですけれども、全部市川先生にやられまして、私は、残ったかすを少し、二つ三つお聞きしたいと思います。  さっきから課徴金のことが問題になっておりますけれども、大企業に対しての六%、これも何かあいまいでよくわからない点もあるんですが、特に中小企業の課徴金が非常に安くなっています。卸売、小売に対してちょっと甘過ぎるんじゃないかという感じもしますし、現代のように大手企業が非常に多角経営化して子会社をたくさん持っている、結局資本金の少ない会社、自分の子会社をトンネル会社として利用するんじゃないかということがちょっと気になるんですが、そういうことはお考えになっていらっしゃいますか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 今課徴金の一定率で、卸、小売業の問題と中小企業の問題が先にありましたので、これについてお答えいたしますと、卸、小売業と申しますのは、商品を右から左へ流通させることによって、それに対するマージンとして対価を受け取るという側面が強くて、ほかの業種における取引と違うというようなことから、同じ率を掛けますと非常に大きくなるということで、そういう理由で少ないわけでございまして、実は卸、小売業の平均的な営業利益率に設定した、それ自体が低いわけでございます。  それからまた、中小企業の問題でございますけれども、カルテルによる利得という場合に、一般に企業の価格交渉力に応じてどの程度上がるかということですが、企業の価格交渉力といきのは企業の規模が小さい場合には必ずしも十分でない、あるいはまた結果といたしましても中小企業の利益率というのは大企業に比べて幅がある。こういうことから、大企業と中小企業を分けた率を適用しているわけで、決してそちらが甘いということではございません。  それから、先ほど大会社の子会社というお話でございましたが、この辺につきましては、カルテルの実態に沿いまして具体的に中小企業なのかどうかということを判断いたしまして、中小企業の率を適用するかどうかということになるかと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 今まで刑事告発がされた例というのは、昭和二十四年から昭和四十九年までたった六件だったそうです。それで非常にびっくりするほど少ないんですが、最近のいろんな文書を読みますと、今池田先生もおっしゃいましたけれども、告発問題協議会ができたとか、それから刑事罰研究会ができたとかということで、ことしじゅうにそういう話し合いが行われるらしいんですが、結論は秋に発表するというよるなことも聞いておりますけれども、今後の取り組み方ほどうなっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

柴田章平公正取引委員会審査部長

○政府委員(柴田章平君) 私ども、刑事告発につきましては、昨年の六月二十日でございますけれども、基本的な対応ぶりとして次のような発表を行いました。   公正取引委員会は、独占禁止法違反事件の告発及び刑事訴追が適切に行われるよう、平成二年四月、法務省刑事局との間に告発は関する手続等を検討するための連絡協議会を設置し、年内に結論を得ることを目途に検討を進めている。   公正取引委員会は、今後、  (一)一定の取引分野における競争を実質的に制限する価格カルテル、供給量制限カルテル、市場分割協定、入札談合、共同ボイコットその他の違反行為であって国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案  (二)違反を反復して行っている事業者・業界、排除措置に従わない事業者等に係る違反行為のうち、公正取引委員会の行う行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案  大きくこの二つのグループに分かれるかと思いますが、  について、積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針である。   なお、今後、告発に当たり、検察当局との間に、個々の事件の具体的問題点等についての意見・情報を交換する場を設けることとしている。 ということで、この場所で今申し上げたように、四つの類型を中心に告発するという方針を内外に宣明をいたしたわけでございます。  それで、これを受けまして法務省との間で連絡協議を続けてまいりまして、そしてことしの一月十日でございますけれども、告発問題協議会を設置するということをその結論として私ども両者で合意をし、内外に宣明をしているわけでございます。これで両者の連係プレーがうまくワークするといる体制までつくって、積極的にこれから対応していきたい、こういうふうに考えている現状でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 これが最後の質問です。  これは文書で読んで、読み違いじゃないと思うんですけれども、一九八五年、今から六年前から去年の四月まで約五年間にわたっての責任が問われたというケースがあったという話を聞きましたが、今度の法改正では、そういう五年間とかということじゃなくて、三年を限度にしているというようなことになっておりますけれども、これは五年が三年に短くなるということは、やはり三年で打ち切られてしまうということは、企業に対してとても甘いのではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがなものでしょうか。

矢部丈太郎公正取引委員会官房審議官

○政府委員(矢部丈太郎君) 今回提出しました改正法案におきましては、カルテルの計算の基礎となります売上高につきまして、一応三年という限度を切っているわけでございますが、この理由でございますけれども、現在のもとにおきましては、いつからの売上高を計算に入れるということについて何も限定がございませんので、極端に言いますと昭和五十二年の制度制定のときから入るわけでございます。  ただ、こういう非常に長期にわたりますと、法律関係の社会的安定の観点ですとか、あるいは長期にわたって売上額の報告を企業から求めなきゃならないわけですので、企業側の負担といるような観点もございますので、抑止効果から見て支障の範囲内ということで、実行期間としてさかのぼり得る期間に合理的な限定を付したわけでございます。  それで、具体的な期間といたしましては、他の時効・除斥期間ですとか、事業者あるいは官庁の帳簿書類の保存期間、それからカルテルの実際の存続期間などを総合的に勘案いたしまして、三年を限度とすることが制度の趣旨から見て合理的であると考えたわけでございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 終わります。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  吉田達男君から発言を求められておりますので、これを許します。吉田君。

吉田達男日本社会党・護憲共同

○吉田達男君 私は、ただいま可決されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、独占禁止法違反行為の排除と防止の徹底及び公正かつ自由な競争の促進を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、巧妙化するカルテルに対して、排除措置命令、課徴金制度を実効性あるものにするため、情報収集、立証方法の改善を図り、独占禁止法の厳正な運用に努めること。  二、違法カルテルの抑止に資する刑事罰制度の活用を図るため、公正取引委員会と検察庁との連携体制を一層強化し、刑事告発を積極的に活用すること。  三、独占禁止法第二十五条に基づき独占禁止法違反行為に対する損害賠償請求訴訟を有効に行うには、原告の立証の負担の軽減を図ることが重要である。このため、裁判所からの要請により違反行為と損害との因果関係、損害額の立証に必要な範囲でその根拠となる資料を事業者の秘密保持の問題等唯配慮しつつ積極的に提供するよるにすること。  四、同調的価格引上げ理由に関する報告徴収制度については、制度の趣旨に沿い、公表内容及びその方法について一層の充実は努めること。  五、公正取引行政に対する期待にふさわしい事務が提供できるよう、公正取引委員会の機構及び定員の着実な整備、充実に努めるとともに、消費者の声が十分尊重されるよう、制度の適正な運用に努めること。  六、最近の規制緩和の流れに則し、政府規制分野及び独占禁止法適用除外分野の実態の調査・公表に努めるとともに、これらの制度について必要最小限のものとするとの観点からその見直しを行い、市場メカニズムの一層の活用を図ること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、吉田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坂本内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂本内閣官房長官。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) ただいま御決議がありました附帯決議につきまして、その御趣旨を尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

名尾良孝自由民主党

○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会

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