社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 302 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1991/04/18
会議録
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、育児休業等に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○木暮山人君 私は、社会党じゃなくて自由民主党の木暮山人でございます。 自由民主党を代表いたしまして、育児休業等に関する法律案に関しまして質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 近年の女性の職場進出、家族形態の変化、労働力不足基調等の中で、勤労者がその能力と経験を生かしつつ、仕事も家庭も充実した生活を営むことができる働きやすい環境づくりを進めることが重要な課題となっております。 特に、近年において出生率の低下傾向が見られ、二十一世紀には我が国が超高齢化社会になると予測される現況のもとでは、女性の活力を社会に生かすとともに、次代を担う者の健全な育成を図ることが活力ある社会を築くために不可欠であると考えます。 そういう観点から見ますと、育児休業制度は勤労者の雇用を中断することなく有効に能力を発揮できる制度として、勤労者にとってはもとより企業にとっても労働力不足基調のもとで有能な人材を確保し得るメリットの多い制度としてその必要性が広く認識されてきているところであります。 このような中で近年電機、自動車、電力といった基幹的産業を中心にその導入企業が相次ぎ、社会的関心が急速に高まるとともに、全勤労者に対する育児休業制度の法制化を期待する声が広がってきたところであります。 このような中で、本参議院におきまして育児休業制度検討小委員会において与野党ともに法制化に前向きの姿勢が示され、これを受けて政府において育児休業等に関する法律案が取りまとめられたわけです。 そこで、第一の質問でございますが、政府が本法案を国会に提出した際の基本的考え方についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。 二つの側面から御説明申し上げたいと思うんでございますが、まず一つは、ただいま先生も御指摘のとおり、いわゆる子を養育する労働者の雇用の継続を促進する、これが基本の一つでございます。同時にまた、労働者の福祉の増進を図るためにも男女労働者の権利として法制化をいたしたものでございます。さらにまた、私ども労働省といたしましては、労働者がその能力と経験を生かしながら、いわゆる仕事も家庭も充実した生活を営むことができる働きやすい環境整備を図らなければならない、これが喫緊の課題であるという認識でございまして、そのような中におきまして極めて本法律は重要な意義と期待を有するものである、かように理解をいたしております。 もう一つの側面から、この機会に申し上げますが、御承知のとおり先月の二十九日、国会に上程をいたしました。これを上程するに至るまでの経緯なり背景はもう先生御承知のとおりでございますが、一つは内外の世論の強い期待があるということでございます。もう一つは、特にただいま先生もお触れございましたように、参議院におきまして、特にこの社労委員会等におきましては、これが問題について長きにわたりまして、しかも深い論議をきわめていただいておるといういきさつがございます。 私どもはそのような内外の要請を尊重いたしまして、そしていろいろ事情も率直に申し上げましてございましたけれども、最終的には婦人少年問題審議会の建議なども得まして、同時に関係筋の世論なども可能な限り採択をいたしまして、現段階で整理し得るものを整理いたしまして、この法律を提出するに至った次第でございます。
○木暮山人君 ところで、昭和六十三年度の労働省女子雇用管理基本調査によれば、全事業所の一九・二%、女子従業員数の二三・五%において育児休業制度が導入されているだけであります。また、平成二年十月の日経連調査によりましても、関東経営者協会の会員企業のうち二五・九%に育児休業制度が導入されているだけであります。勤労者が千人以上の企業で三八・九%なのに対し、三百人未満企業では一二・五%しか導入されてない結果となっております。 ここで、労働省にお聞きいたしますが、このような中で労働省が法案を取りまとめるに当たりましてどのような点を配慮したのか、お聞かせいただけないものでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生先ほど来御指摘のように、民間企業におきます育児休業制度の導入は近時進められつつあるわけでございますが、その普及の状況は規模等により差異があるところでございます。 本法律案では、育児休業が直ちに認められる場合に、雇用管理の面で種々の困難が予想されます常時三十人以下の労働者を雇用する中小事業所につきまして、三年間の適用猶予期間を設けるなどの配慮を行っているところでございます。
○木暮山人君 今回の法律案により従来の育児休業の恩恵に浴さない勤労者に対し制度の適用がなされることになっているわけでありますが、中小零細企業の実態から適用猶予措置をとり、現実との調和を図りながら漸進的に適用を図っていくということですが、今回の中小企業における適用猶予措置があったとして、どの程度の勤労者が法施行当時から適用となるものか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(藤井龍子君) 総務庁で実施されております事業所統計調査、昭和六十一年の分でございますが、これによりますと常用雇用労働者の規模で三十人以上の民営の事業所で働く労働者は約千八百万人、全体の五一・八%を占めております。これらの方々が法施行時から適用を受けるということになるわけでございます。 ただ、三十人以下の事業所といいましても、大企業の支店などになりますと、本店あるいは本社で育児休業制度が導入される場合は同時に恐らく導入されると考えられるわけでございますので、適用猶予措置があったといたしましても、現実に育児休業制度の適用を受ける労働者の方々の数というのはこれよりは多くなるのではないかと私ども考えております。
○木暮山人君 今のお話をお聞きいたしますと、昭和六十三年度の調査で女子労働者の二三・五%に適用があったものが、今回の法案により平成四年四月一日からは勤労者の五一・八%に拡大されるわけです。さらに、平成七年四月一日からはすべての勤労者に適用がなされるわけです。 そこで質問いたしますが、平成四年四月からは従業員数三十人以上の事業所の五割強の勤労者が適用となるわけですが、従業員三十人以下の、特に中小零細企業にとりましては、平成四年四月以降三年間で育児休業制度を導入していくためには相当の負担がかかるのではないかと思います。 また、これら適用猶予企業に働く勤労者にとりましても、できるだけ早く育児休業制度が導入されることが望ましいわけですから、これら中小企業、零細企業が三年間で育児休業制度を導入するに当たりまして、どのような方針で臨み、またどのような援助措置をおとりになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 本法律案におきまして適用を猶予された事業所につきましても、この期間内のなるべく早い時期に制度の導入が図られるようにということが重要でございますので、そのための指導援助を行うことが必要であると考えているところでございます。 現在、育児休業制度の導入のために設けている育児休業奨励金制度がございますが、これは法律の施行に伴いまして基本的にはその使命を果たしたこととなるわけでございますが、施行後におきましても、適用猶予期間中の事業所において育児休業制度の導入の促進をすることが重要な課題であることにかんがみまして、こうした事業所の事業主に対します制度導入促進のための助成措置を平成四年度予算の中で要求をしてまいりたいというふうに考えております。
○木暮山人君 先ほどお話しいたしましたように、昭和六十三年度に女子勤労者の二三・五%に適用のあったものが、法律の成立によりまして平成四年四月からは全勤労者の五一・八%、さらに三年後の平成七年四月には一〇〇%になることで育児休業制度の法制化が育児休業制度の普及にいかに大きな影響を持つかが明らかであると思います。政府としても育児休業制度が、中小零細企業の状況を踏まえながら、できるだけ早急にかつ着実に普及していくよう、援助の御努力をなされるよう切望する次第であります。 さて次に、このような育児休業制度が法的に義務づけられる中で、事業所、特に中小事業主にとって大きな問題となるのが育児休業で勤労者がいなくなった後の代替要員の確保の問題であると思います。育児休業が行われることによりまして企業活動に支障が出るような状況になっては、まさしく角を矯めまして牛を殺すのたぐいの話になると思います。そのようなことがないように労働省といたしましてどのような対策をおとりになるつもりか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(若林之矩君) 育児休業にかかわります代替要員の確保というのは重要な問題であるというふうに考えております。 育児休業にかかわります代替要員の求人につきましては、雇用期間が六カ月、一年等、臨時、短期のものが多いと考えております。したがいまして、パートタイム労働者の活用によって対応できるということが多いというふうに考えているわけでございますが、まず従来から設置を進めてまいりましたパートバンク、パートサテライト、これは全国で平成三年度に八十五カ所になるわけでございますが、これの活用をまず考えております。さらに、一度退職いたしまして再び就職を希望されます女性の再就職の援助を目的といたしまして、平成三年度に東京、大阪に設置を予定しておりますレディス・ハローワークで臨時、短期の就業を希望される方を登録いたしましてスポット的な紹介を行うこととしておりまして、これも代替要員の確保に非常に有効なものというふうに考えております。 このような形で、パートバンク、パートサテライト、レディス・ハローワーク等の一層の活用を図るなど具体策を検討してまいりたいというふうに考えております。
○木暮山人君 代替要員の確保の問題は、今後育児休業が円滑に実施され、日本の土壌に根づいていく上で大きな比重を占めていると思われるので、政府における一層の御尽力をお願いしたいと思います。 今回の婦人少年問題審議会の建議において、一方で賃金の六割の所得保障が必要であるという意見があり、他方でいかなる支払いも事業主に義務づけるべきではない、あるいは何らかの給付を行うとすれば、現行社会保障制度の全体的な見直しが必要であるという意見、さらに、他の勤労者とのバランスを考える必要があるとの意見があったと聞いておりますが、自営業者や農業者との関係でどのような議論があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 婦人少年問題審議会におきます検討の中で、育児休業期間中の労働者に対する経済的援助の問題につきましては、先生御指摘のようにさまざまな議論があったところでございます。育児休業の対象とならない自営業者や農業者とのバランスも考える必要があるということで、制度として位置づけることには問題があるというような見解も見られたところでございます。
○木暮山人君 そのようなことで、諸外国における自営業者や農業者への適用の事例を、もしありましたらお教え願いたいと思います。
○説明員(藤井龍子君) 私どもで把握しております範囲内でお答えさせていただきます。 ヨーロッパ各国で育児休業制度が導入されている国が幾つもございますが、その中で育児休業中の労働者に何らかの形で手当の支給をしているという例も見られるところでございます。ただその支給目的、それから今御質問にございました支給の対象者の範囲と、こういったものは国によりかなりまちまちといいますか、さまざまでございます。例えばスウェーデン、ドイツなどにおきましては、家族政策的見地と申してよろしいかどうかあれでございますが、そういう見地から育児休業中の雇用労働者に限定せずに、自営業者の方あるいは専業主婦の方、こういう方々も対象として支給されているというところでございます。
○木暮山人君 時間がございませんもので、最後に、育児休業制度が社会的に確立すれば、出生率の向上、そしてそれがひいては現在のような労働市場における人手不足の解消にもつながり、二十一世紀の日本にとってなくてはならないものではないかと考えます。したがいまして、二十一世紀に向かいまして社会経済の発展に欠かせない法律であろうと思います。その点、労働大臣はどうお考えになっているかお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(小里貞利君) お話にございましたように、近年出生率が低下をいたしております。同時にまた、労働力需給が極めて不足基調で推移いたしておるわけでございまして、特に女性の活力が社会に生かされることは、そのような背景のもとにますます重要な課題になると、さように認識をいたしておるところでございます。 本法律は、育児休業制度の適用を受けることによりまして、女子を中心とする育児期の労働者が無理なく就業を継続できるようになり、それらの者のいわゆる能力や経験を社会に生かすための最も有効な手段の一つであると、こういうふうに申し上げられると思います。 今後、この制度が将来的に我が国の社会にしっかりと根づくよう、また根づかせるための今日が第一歩であると私どもは重要にその意義を認識いたしておるところでございます。同時にまた、申し上げましたように、社会的に本当にしっかりと根づくように労使がその必要性を十分に認識していただきまして育てていただきたいと、そういう期待を持っておるところでございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
○糸久八重子君 まず初めに、私は先般の代表質問の中で総理にも申し上げましたけれども、この育児休業法制化問題につきましては、四党共同法案にかかわって百十六国会で育児休業問題に関する小委員会を設置して以来、七回にわたって論議をしてきているところは御案内のとおりでございます。 昨年の十二月七日の小委員会で、それまでの与野党間の論議内容について整理、確認する中で、具体的な成案づくりについては政府にお願いをいたしました。しかし、成案づくりについては全く白紙で委任をしたわけではございません。与野党が歩み寄ったその内容は、これは小委員会委員の前島委員の発言でございますけれども、「まず第一に、男女労働者が等しく育児休業を取得し得る制度とすること。」、それから二番目に、「育児休業制度についての労働者の権利を実質的に確保できるような法律とすること。」、三番目に、「育児休業期間中の何らかの経済的援助の措置について検討すること。」、四番目に、「育児休業取得の実効性を確保するための措置について検討すること。」、五番目に、「中小零細企業につきましては、その経営の実態を踏まえて弾力的な措置を講ずること、」、この五点でございました。 しかしながら、政府案を見ますと、この中の経済的援助措置及びその実効性確保の措置など、私どもが約束をいたしました内容が法案の中に盛り込まれていないこと、あるいは不十分であること、それらに対して大変強い不満を表明せざるを得ないわけでございます。 政府はこれらの問題について、法案づくりについては真剣に検討したのかどうか、まずお伺いをさせてください。
○国務大臣(小里貞利君) 先月の二十九日、私どもが国会に提出をいたしました法案作成におきまして、基本的姿勢として最も重要な留意しなければならなかった事項の一つをただいま御指摘いただいたところであろうと思います。私どもはもとより、国会におきまする各般の論議を十分回顧いたしたつもりでございます。なかんずく、先ほどもちょっと申し上げましたように、参議院におきましては、相当比重をかけまして育休制度において長きにわたり論議をいただいた経緯も十分了知いたしておるところでございます。 ただいま先生が御指摘になりました小委員会の前島小委員長によるお取りまとめなども幾たびか読ませていただき、また私ども省内におきまして耳しげく論議もいたしたところでございます。同時にまた、行政機関として一つの諮問機関も持っておりますから、御承知のとおり婦人少年問題審議会等の御論議、そしてまた建議などもいただきまして、その中身につきましても十分論議をいたしました。国会におきまして十分審議を尽くしていただきましたそれらの経緯を可能な限り採択をさせていただきたい、そしてまた、それらがすなわち国民世論を代表する一つの至当なものであろうと、そういう認識で当たったつもりでございます。 中身につきましては、もう先生御専門家でございますから、特に申し上げる必要はないと思いますが、要点を簡潔に申し上げますと、ただいま申し上げましたように、育休制度は男女ともにこれは取得できるものでなければいけませんよと、これが一つございます。もう一つは、育休制度の中にいわゆる労働者の権利としてこれをきちんと確保しなさいという御意見がございます。これらは大きな要諦の二つの事項であろうかと思いまして、これも法律案文をお読みいただければ御理解いただけるものと思っております。 ただ、先生が三点目で御指摘になりました休業中の所得保障、この問題につきましては、申し上げるまでもなく本院におきまする論議の過程におきまして、率直に申し上げまして与野党見解が分かれていらっしゃったと、その経緯もございます。そしてまた、先ほど申し上げました婦人少年問題審議会におきましても公労使それぞれの立場から忌憚なく意見を述べていただきましたが、これらにおいてもその問題につきましては意見を一つにまとめるに至らなかったという経緯もございます。 しかしながら、これは立ち入ったことを申し上げまして恐縮でございますが、当小委員会におきまする与野党の論議のその背景をつぶさに検討させていただきましたが、同時にまた婦人少年問題審議会におきまする本件についての論議もお聞かせいただき、さらにまた建議でその問題についての意見も出てまいっておりますが、現段階においては一定の方向を整理することはなかなか至難であった、そして至難であると。だから、これは将来の問題として、広範かつ多角的視点から大いに論議されることを期待するよと、こういう公労使三者一体となった取りまとめも出てまいってきておりまして、私どもはこれを進んで採択したものではございませんけれども、最終的にはそういたさざるを得ない、また現段階においてはそれが可能なぎりぎりの線ではなかろうかとも思った次第でございます。 しかしながら、心情的には、もう幾たびも申し上げておりまするように、温かい目でただいま御指摘になったこれらの問題等については将来の問題として腰を据えて、そして大所高所から、しかも中期的展望に立つ、そしてまた現実的にそれぞれ見解の違う雰囲気の中であるけれども、可能な一つの一線をお互いに譲歩し合って、そして求めていかざるを得ないのであろうと、かように判断をいたしたところでございます。 何かとまたこの後御質問もあろうかと思いますが、基本的に感じましたところをお答え申し上げます。
○糸久八重子君 小委員会での与野党の見解の違いは確かにございました。それから婦人少年問題審議会の中でも、使用者側や労働者側では意見の対立があったであろうことはわかりますけれども、しかし法案の内容を見る限り、使用者側の方により顔を向けて取りまとめをしたとしか受けとめられないのですね。労働省というのは労働者の働く条件づくりを考え、そしてそれを推進していくことが仕事だろうと思います。それなのに、なぜ労働者側の立場に立って法案づくりができなかったのか、大変私はおかしいのではないかなと、そう思います。 加えて、冒頭申し上げましたように、政府案作成にはそれなりの経過がございました。したがって、これまでの国会審議の状況を踏まえることは当然のことで、これが生かされないということに私は怒りさえ覚えるわけでございます。労働省の立場から、この点についてもう一度お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 委員長、私先ほど小委員会の委員長を前島先生と申し上げましたが、これは小野先生だそうでございまして、訂正をさせていただきます。 なお、ただいまお話しの問題でございますが、率直に申し上げまして、私どもは労働者の福祉を守り、雇用の促進も図る、そして雇用の安定を促進するというのがもう大原則であり、また大きな使命であるわけでございまして、日ごろの行政、制度の運用におきましてもそのような気持ちで対応しなければならぬことは当然でございます。 今次の本件につきましても、そのような基本姿勢に立ちまして、さらにまた本法律はどちらかといいますと、労働者の福祉を守るという一〇〇%いわゆる大きな原則に立たなければならぬわけでございまして、いわんや今日の、先ほどからお話がございますように、産業優先の時代から労働力尊重の時代へと、いわば大きな一つの節目にある今日の重大な社会の労働雇用情勢を考えますときにはなおさらのことでございまして、私は少なくともそういう理念であるいは気迫で、決して力んで申し上げるつもりではないんでございますが、そういう気持ちで対応をさせていただいておるつもりでございます。 申し上げるまでもなく、労働省の幹部職員一体となりまして、そういう心得で今度の法律についてもうんと汗をかいていただいたと、こう思っておるところでございますが、四囲の情勢、話はくどいようでございますが、いろんな立場からそれぞれ率直に申し上げまして、自分たちの意見が至当なりにけりという、そういう前提でいろいろ出てまいったものですから、しょせんはこれを先生方の小委員会でお求めになりましたように、この通常国会で出しなさいと、そのための法体制の整備もしなさいということを求められましたので、それにこたえられる範疇において可能な努力を一応させていただきました、こういうふうに御説明をさせていただきます。
○糸久八重子君 もう一つ苦言を申し上げたいと思います。それは審議会についてでございます。行政府の一審議会の意見によって立法府の審議が拘束されてしまうということは、どう間違ってもないことだろうとは思いますけれども、審議会の答申を見ますと、使用者側の意見の中に、「いやしくも内容趣旨の変更等が行われることのないよう、強く要請する。」という異例の意見がついているわけでございます。これは立法府に対する立法権の制約ではないかと思いますけれども、どうしてこのような答申を出させたのか、大変私は問題だと、そう思います。答申を出させたということの労働省側の立場、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) ちょっと細やかなところは後ほどまた局長の方から補完をしていただきたいと思いますが、まず先生ただいま御指摘のとおり、第一点でございますが、婦人少年問題審議会に限らず、この種の審議会は、言いかえますと、やはりそれぞれの立場を代表していただきまして、極めて公正に、大所高所から、そしてまた将来も展望し、かつまた現実的に日本の政治、財政、経済、行政の諸状況を勘案しながら一つの意見を可能な限りまとめて答申をしていただいておると私は確信しております。それを私ども行政機関といたしましては原則として尊重していかなければならぬ、かように思っております。 特に婦人少年問題審議会は幾多の功績を残していただいておるところでございまして、そのような配慮を怠ってはならぬと思っておりますが、しかしながら先生御指摘のように、必ずしもこれを一〇〇%大きな、言うなれば大骨小骨にして、そして法律をつくらなければならぬという拘束を受ける性質のものでもない、私はさように思っております。行政は行政として、いわゆる六千万の労働者を対象にいたしました最終的な行政責任があるわけでございますから、そういう気持ちで対応しなければならぬ、かように思った次第でございます。 なおまた、一部修正云々のお話は少数意見であり、かつまた一つの要望であったと、こういうふうに私どもは判断いたしておるところでございます。
○政府委員(高橋柵太郎君) 今の大臣の答弁に尽きるところでございますが、先生御指摘の使用者側の意見、これは法律案要綱についての諮問に対する答申の際に、全体としてこれは「おおむね妥当と認める。」という御答申をいただいたわけでございますが、その際、使用者側からそのような御意見があったということでございます。
○糸久八重子君 伺うところによりますと、労働者側がその意見を付したので使用者側もそれを付したということだということなんですね。ですから、その辺のところはわかるんですけれども、しかしこの部分を読んでみますと、やはり立法府の審議よりも、あたかも審議会の意見が優先するような書き方だとどう見ても思うんですね、これについては。だから、私たちはこれを読みまして非常に不愉快に思ったわけです。そういう意味で労働省、もう一度お答えください。
○政府委員(高橋柵太郎君) これは、この育児休業等に関する法律案要綱をまとめる際に労使各側からそれぞれのお立場においての御意見、御要望等があったところでございまして、結論といたしましては、先ほどお話がございましたように、諮問につきましての要綱について「おおむね妥当と認める。」というような御答申をいただいたところでございます。労働者委員の御意見と並んで使用者側の委員からそのような御意見があったということは、これは記録にとどめられているところでございます。
○糸久八重子君 あくまでも審議会の一つの意見だということで、国会の審議を十分踏まえてこれからしていっていただきたい、そのように思うところでございます。 それでは、先に進みますが、権利の問題について入っていきたいと思います。 子供を養育する権利、それから子供を養育しながら働き続ける権利というのは子供の権利条約の前文、そして憲法の十三条、さらに二十六条にも示されているとおり、労働者の基本的な権利でございます。したがって、男女労働者は子供を養育しながら働き続ける権利を実現するための諸制度を権利として要求するのは当たり前のことでありまして、育児休業の請求は労働者の基本的な人権でありますし、国際的には差別撤廃条約とかILOの条約で確立をしておるわけでございます。 そこで、確認の意味でございますけれども、大臣も先ほど御答弁になりましたが、政府案の育児休業法は労働者にとって福祉的措置ではなくて、労働者の権利の規定と受けとめてよろしいでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の法律案におきましては、子を養育する労働者が継続して雇用されることによります福祉の増進ということを目的といたしまして、政策的に労働者の育児休業の権利の規定を設けることとしたものでございます。
○糸久八重子君 権利である以上、それを行使するかどうかは労働者の完全な自由にゆだねられなければならないのですが、その点はいかがですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) そのとおりでございます。
○糸久八重子君 育児休業の取得というのは労働者の基本的な権利でありますから、雇用形態とか、それから勤続年数とか、勤務している事業所とか、民間か公務員とかの別等によってその権利が奪われたり、権利内容が変更されてはならないはずだと思います。法案では雇用契約形式で取得資格を制限したり、事業所の規模で適用猶予されたりしております。労働者の権利という意味から考えれば全労働者を対象に、同時に制定、施行さるべきであると思いますけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 本法案の育児休業を取得する権利というのは、通常最長一年という期間をもって取得をされ得る権利でございます。したがいまして、このような制度の趣旨からいたしますと、例えばこの「期間を定めて雇用される者」というのが除外されていることとなっておりますけれども、これは最長一年という契約期間をもって雇用が終了し当事者の意思で契約を更新するかどうかを決める、こういう雇用形態というのは、一歳に達するまでの間の長期的な休業という育児休業の性質にはなじまないのではないかということを考え、このようにいたしたものでございます。 また、一定の規模の事業所の労働者につきまして一定期間の猶予措置をしているところでございますが、これらの規模の企業につきましても三年後には完全な権利性が出てくるわけでございまして、この法律の早期かつ円滑な実施のためにはやむを得ない措置であるというふうに考えているところでございます。
○糸久八重子君 それら細かいことにつきましては、後ほどまたお伺いしますけれども、次に移ります。 政府案では育児休業の定義として、「労働者が、この法律に定めるところにより、その一歳に満たない子を養育するためにする休業をいう。」、そうされております。ここで言う「子」には養子が含まれると思いますけれども、この点についてはいかがですか。
○政府委員(七瀬時雄君) この法律案のこの概念には養子が含まれることは御指摘のとおりでございます。
○糸久八重子君 ところで、養子縁組はまだしていないけれども、養子縁組を前提に養子となるべき者を引き取って実際に養育する者は育休をすることができますか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど局長が御答弁申し上げましたように、政策的に権利として規定するわけでございますので概念をきちんとしておかなければならない、そういう意味で、御指摘の方はいまだ子ではございませんので、法律上の育児休業の権利は発生しないということでございます。
○糸久八重子君 特別養子制度というのが八八年一月一日から施行されておりますけれども、その特別養子制度では六カ月の試験養育期間を経過しなければ特別養子縁組の審判が行われないわけですね。この試験養育期間内には法律上の親子関係は発生しないわけです。しかし、この期間のスキンシップというのは非常に大事なことから、実は家庭養護促進協会からこの期間中養子に準ずるものとして適用できないかとの要望があるのですけれども、この件については御検討願えますでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま申し上げましたように、いまだ親子関係になっていないということでこの法律案の適用は受けないわけでございますけれども、ただ、企業がその雇用する労働者の子の養育という観点からこの法律をいわば上回るような形で実態に即した制度をつくるということは、それはそれで結構なことであるというふうに考えておりますので、要は、企業内の制度としてどう考えていただくかという問題だろうと思っております。
○糸久八重子君 この問題は、実は共働きの家庭で特別養子制度の縁組をするということが近年非常にふえてきているわけですね。そういう状況ですから、今後の問題等もあると思いますけれども、今後とも検討をぜひともお願いしておきたい、そのように思います。 それから、まま子についてどういう扱いになりますか。再婚をしたけれども養子縁組をしない場合に、まま母やまま父、それはやはり今の規定からいうと除外をされるということになるわけですね。
○政府委員(七瀬時雄君) この法律案の解釈としてはそのとおりでございます。
○糸久八重子君 「子を養育する」ということについて、四党の共同法案では「その子と同居してこれを監護すること」としているわけですけれども、政府案についてはいかがでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘の四野党法案と同様の考え方でございまして、養育するというのは基本的には同居して監護する状態を指しているということでございます。
○糸久八重子君 それでは次に、実効性確保の問題に移っていきたいと思います。 先ほど確認いたしましたとおり、政府案では育児休業を権利として確立することとしているわけですが、そこでお尋ねいたしますけれども、年次有給休暇とか産前産後休暇も権利として認められておりますが、これらの場合罰則をもって担保されておりますね。罰則規定によって育児休業の権利を担保するのはもうこれは当然だと、権利という意味から考えれば当然だと思うのですけれども、この点についてはどう考えていらっしゃいますか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 罰則を設けるかどうかということは、その規定によって行おうといたします強制の程度等を勘案して決定されるべきものであるというふうに考えておりますが、男女労働者に子を養育するため最大一年の休業を認めるという制度は、この休業の普及状況等を考えますと、必ずしも国民すべてが罰則をもって強制することに賛同するとは考えられない分野であるとも考えております。むしろ、こういう制度は実効性をもって定着させていくことが重要でありまして、行政機関の指導、助言、勧告というやり方が最も現実的な手法であるというふうに私ども考えているところでございます。
○糸久八重子君 罰則を設けないのならば、行政指導とか、それから勧告を行うということのようでございますけれども、これではやはり限界があると思うんですよね。例えばこの育児休業の制度化につきましても、勤労婦人福祉法が制定されたときは、あれは一九七二年ですね、そのときから内容的に育児休業制度の推進ということが書かれていたわけですけれども、それから約二十年たっても普及率が一九・二%というようなことで、指導、勧告では全くこれは効果がないというふうに私は思うんですけれども、そういう部分ではいかがでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業というのは、実際に必要なときに休めるということが最も重要でございまして、法律案が可決成立し、そして制定され実行の段階になりましては、その社会に与える影響というのは大変大きいものがあるんだろうというふうに思っております。事業主に対する趣旨の徹底、そして事実上休業しやすくなるような雇用管理の改善指導など、私ども十分に行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○糸久八重子君 加えて行政指導では不十分だということは、例えば定年延長問題とか、それから退職問題とか雇用平等の問題とか時間短縮の問題等々、行政指導では率直に申し上げましてなかなか実績が上がらなかったということが、先ほど挙げましたのは育児休業制度なんですけれども、こういうことでも言えるのではないかと思うのですね。せめて、不利益取り扱いをしてはならないことは当然のことなんですから、禁止規定を設けるべきではないかと、そのように思うのですね。その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業の申し出あるいは取得を理由といたします不利益取り扱いの問題につきまして、これは何が不利益かという判断は非常に難しいわけでございまして、ケース・バイ・ケースの問題でございますので、法律で規定することは適当でないと考えたところでございますが、この問題につきましては、趣旨の徹底を図るべき重要な事項でありまして、不利益取り扱いがあってはならないことでございます。その趣旨の徹底の方法等につきまして、さらに法の施行に合わせまして十分検討してまいりたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 政府案の七条を見ますと、「事業主は、労働者が休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者を解雇することができない。」と規定されております。この点、四党共同法案では、「育児休業を理由として、」「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」としておるわけでございます。 育児休業を理由として解雇のほかに降格したり減給したり昇進をおくらせたりするなど、いろいろな形の不利益を労働者に与えることは十分考えられるわけですけれども、なぜ政府案は解雇だけを禁止したのでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま局長が答弁申し上げましたように、解雇はもとより不利益取り扱いを行うことは、育児休業を権利として認めているわけでございますので、そういう不利益取り扱いはあってはならないことであろうかと考えております。 ただ、育児休業の申し出あるいは取得を理由とする不利益取り扱いの禁止につきましては、何が不利益であるかということについての判断が非常に難しく、ケース・バイ・ケースの問題でございますので、そういう状況の中で法律に書くということは適当でないというふうに考えておりますし、審議会の御答申でも、建議におきましても、そのような意見が出されているところでございます。 ただ、冒頭申し上げましたように、不利益取り扱いということがあってはならないという、そういう趣旨の徹底については法の施行に際して十分私どもとして留意してまいりたい、このように考えております。
○糸久八重子君 何が不利益かということがよくはっきりしない、そうおっしゃいますけれども、それでは不利益取り扱いの禁止をしている規定、そういう労働関係の法規というのはないんですか。
○政府委員(七瀬時雄君) 不利益取り扱いを禁止している労働関係法規といたしましては、一つには労働基準法あるいは労働安全衛生法で最低労働条件の確保のための根幹である労働者の申告権について、要するに申告したことを理由にして不利益取り扱いをしてはならないという規定がございます。また、労働組合法では、労働基本権への侵害から労働者を守るために不当労働行為制度において不利益取り扱いをしてはならないという規定が設けられているところでございます。
○糸久八重子君 私の調査したところによりますと、まず地方公務員法、この五十六条に「不利益取扱の禁止」というのがあります、読んでおりますと長くなりますから省略いたしますけれども。それからあと女子教育職員等の育児休業法、現行法ですね、これにも第七条に不利益取り扱いの禁止がうたってございます。それから、ただいまおっしゃいましたけれども、労働基準法の百四条、ここにも不利益取り扱いがうたってございますね。それからあと賃金の支払の確保等に関する法律、そこの十四条にも不利益取り扱いの禁止をうたっておりますし、またおっしゃいました労働組合法の七条の中にも「不利益な取扱をすること又は」云々というふうに書かれておるわけで、かなりいろいろな労働法規の中に不利益取り扱いというのはうたっておるわけですから、じゃ、それらの労働法規の中にうたわれている不利益というのは一体何が不利益かがわからないということは言えないわけでしょう。 そこで、不利益取り扱いについて労働組合法、それはどのように不利益の問題を規定しておりますか。
○政府委員(七瀬時雄君) 労働組合法の規定でございますが、法律の七条一項一号によりまして、使用者が「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」はできない、こういう趣旨の規定が設けられております。
○糸久八重子君 労働組合法のいわゆる解釈ですね、解釈を読んでみますとこう書いてあるんですよ。「「不利益な取扱」とは、労働組合法第七条第一号の不当労働行為の場合と同様であって、解雇、配置転換、降職、賃金引下げ等他の者に比して不利益な取扱いをすることをいう。」、そのように不利益の規定というのはちゃんと書いてあるわけですよね。ですから、何が不利益かはっきりしないから不利益取り扱いは入れられないんだというのは、これはおかしいと思うんですね。いかがですか。
○政府委員(七瀬時雄君) 不利益取り扱いということが育児休業を制度として認めたことによってあってはならないということは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。何が不利益取り扱いかという議論をする場合に、一つは例えば解雇であるとか配置転換とか、そういう外形的に出てくるものとともに使用者側の主観的な要因というのもございます。そういったことから考えますと、例えば労働組合法の不当労働行為で正当な組合活動をやった場合というようなことと、育児休業をとったことによるいろんな処遇の問題を絡めた議論とは若干趣を異にする点があるのではないか、このように考えております。
○糸久八重子君 現行育児休業法についても不利益取り扱いの禁止ということをうたっておりまして、とにかく育児休業をとったことによっていろいろこうむる降格とか賃下げとか、そういう不利益な取り扱いをしてはならないわけですから、当然この法律の中に不利益取り扱いは禁止だということは書き込むのが私は当然だと思います。 この点について一言申し上げておきますと、十一月八日の育児休業検討小委員会で、これも前島委員の御発言でございますけれども、何が不利益な取り扱いに当たるかということになるとなかなか難しい問題がある、そうおっしゃっておりました。労働関係の法律の実情というのは、先ほど私が申しましたとおり、幾つかの法律の中には不利益取り扱いということはうたわれておるわけですね。だから、こういう労働関係の法律で不利益取り扱いというのを規定しているんですから、やっぱりそこのところをしっかりと受けとめていただかないと困るんですね。 あわせて、今年度の初め、四月一日に人事院は一般職の国家公務員の育児休業に関する法律の制定についての意見申し出を行いましたね。この申し出においても、職員は育児休業を理由とする不利益取り扱いを受けないものとすることとされておるわけです。 育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止というのは公務員であるか、また民間の勤労者であるかを問わず全労働者にひとしく保障されるべきものだと、そう思うのですけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。
○政府委員(七瀬時雄君) 国家公務員についての育児休業法制につきましては、現在人事院の意見の申し出に基づきまして総務庁において検討されているものと了解いたしております。公務員につきましては、法令によりそもそも身分保障がなされていること、さらには特定職種の公務員等に関する現行の育児休業法においても同様の規定を確認的に置いていることなども考慮して人事院の意見の申し出が行われたものと理解いたしております。 ただ、民間部門におきましては、その身分や勤務条件などが個別の労働契約あるいは労使協定で定めるところに従うものでございますので、不利益かどうかを判断するための比較の対象をどこに求めるか、またそもそもその取り扱いが育児休業を理由としているものかどうかについて、その判断がケース・バイ・ケースとならざるを得ないわけでございまして、かなりの困難を伴うものと考えられますので、法律で規定することは適当でないと判断したものでございます。 しかしながら、繰り返しておりますけれども、育児休業を取得したことを理由として不利益取り扱いをしてはならないという考え方は当然のことでございまして、その趣旨は十分徹底してまいりたい、このように考えております。
○糸久八重子君 我が国では年次有給休暇でさえその取得が本人の不利益となってはね返ってくるために取得しにくいというのが実情なんですよ。育児休業の場合には最大一年と非常に期間が長いわけですから、年次有給休暇以上にその取得がはるかに長期にわたっているものですから、これは本人の不利益となってはね返ってくることが強いのではないか、そういうおそれを持っているわけです。 そこで、育児休業の権利の実効性を確保するためには、賃金等の労働条件について不利益取り扱いの禁止を法律上明らかにするということは必要欠くべからざることだ、そういうふうに考えます。 今労働者が一番心配していることは、育児休業終了後、果たしてもとの職場に戻れるかどうかということも非常に心配しているわけですね。私どもは通常考えたら、もとの職場に復帰するのはこれは当然だと、そのように思うのですけれども、労働者が安心して育児に専念できるよう、育児休業取得後において原職または原職相当職への復帰を規定する必要があるのではないか、そういうふうに考えますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(小里貞利君) ただいまのお話の原職または原職相当職への復帰をきちんと担保する問題でございますが、この問題につきましても、実は先ほど申し上げましたように、各級の論議の段階でさまざまな意見が述べられたところでございます。私どももその趣旨なりあるいは御心配になる点は十分わかるところでございますが、この段階におきまして法律により一律に枠をはめることは果たして可能なのかどうか、非常に迷ったところでもございますが、現段階では適当ではなかろう、こういうふうに考えた次第です。 ただし、先生御承知のとおり、労働協約等によりまして、いわゆる育児休業制度におきまして、現状を見ますときに、いわゆる原職または原職相当職に復帰させる旨を規定しておる、そういう実例も相当ございますから、それぞれの企業におきまして、いわゆる人事慣行等もあろうかと考えます。そういう人事慣行等を考慮した上で適切な運用がなされるように私どもも十分留意して、そして指導、助言を申し上げていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○糸久八重子君 原職または原職相当職への復帰というのは、現段階では適当ではない、そうおっしゃいますけれども、私が昨年の十一月二十八日の検討小委員会でお話しいたしましたとおり、労働省が六十二年度育児休業制度実態調査をなさいましたけれども、その結果を見ますと、制度導入企業の九割近くが原則として原職復帰をしておりますね。四党共同法案の考えといたしましても、人事ローテーションの中で育児休業者のみこのローテーションから外し、もとの職場に固定するということなどは大変無理がありますから、そういう点を考慮して原職または原職相当職というふうにしたわけですね。 そういう意味で、この点についてもう一度見解をお述べいただきたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、原職または原職相当職に復帰させる、この問題につきましても種々議論があったところでございまして、ただ、民間の現在の技術革新あるいはサービス経済化進展という経済社会の、あるいは各企業におきます急速な変化の中で、法律で一律の枠をはめることは非常に難しいのではないかということで、今回この法律では規定をいたさなかったものでございます。 私ども、それぞれの各企業におきまして、それぞれの企業の実態等を考慮しました適切な運用がなされるように強く期待を申し上げたいと存じます。
○糸久八重子君 いろいろ不満が残りますけれども、まだ次の委員会がございますから、そこでまた詰めていきたい、そう思いますし、また同僚議員もいらっしゃいますので。 それでは次に、所得保障の問題についてお伺いをいたします。これは本法律の一番大事な部分なんですから、しっかりとお答えをいただきたい、そう思います。 私たちの立場では、育児休業の権利、これは育児休業は権利であるということを前におっしゃったわけですから、その権利を実効あるものとするために育児休業期間中の所得保障としては賃金の六割を育児休業手当として支給すべきである、そのように考えております。四党共同法案でもそのようにして提出をいたしました。しかし、その立場はしばらくおくといたしまして、昨年の十二月七日の育児休業小委員会での合意に基づいて、期間中の所得保障の問題、それを論議していきたいと思います。 まず、十二月七日の小委員会では、私たちは、育児休業中には何らかの所得保障の措置を講ずること、あるいは現行の特定職種育児休業法の水準を下回らないことを申し上げて、自民党の方から、所得保障の点は重要な論点であるから、政府の立場においても十分に多角的な検討がなされることを期待すること、あるいは現行の特定職種育児休業法の趣旨は十分理解していることと答弁をされておるわけでございます。 ところが、提出をされました政府案には、育児休業期間中の手当については何らの規定もありません。さらに、現行の特定育児休業法に定められております社会保険料に見合う給付の規定もございません。 まず、政府はこの法案を作成するときに与野党合意をどのように理解してこのような結論をお出しになったのか、説明をしていただきたいと存じます。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業期間中の経済的な援助の問題につきまして、何らかの経済的援助をすることについて検討することという参議院育児休業問題小委員会の経過を踏まえまして、婦人少年問題審議会におきましても約三カ月、延べ十一回にわたりまして真剣に御議論をいただいたところでございます。この問題につきましてさまざまな意見が出されたところでございますが、労働省としてはこういう審議経過等も踏まえつつこの法律案を作成したところでございます。
○糸久八重子君 それでは、育児休業をとるであろう平均的な女性労働者の育児期間中の社会保険料の負担というのは大体どのくらいと見ておられますか。
○説明員(藤井龍子君) 育児休業をとりそうな平均的な女性労働者といいますと、二十五歳から三十四歳ぐらいまでかなと思いますが、この方々の平均所定内給与は、賃金構造基本統計調査、平成元年のものでございますが、これによりますと十六、十七万円台というところでございますので、これに本年度までの賃上げ率を考慮して推計してみますと、大体労働者の社会保険料の一人当たり負担額は月額で二万一千円から二万二千円程度になるかと思われます。
○糸久八重子君 賃金の支給がなくなる上に、月額二万一千円から二万二千円という多額な社会保険料も取られるのでは、育児休業の権利を認めても、経済的な理由によって結局育児休業の権利が行使できないということも考えられるのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○政府委員(高橋柵太郎君) 婦人少年問題審議会の検討におきましても、安心して育児休業が取得できるように所得保障を行うべきであるという御意見もあったところでございますけれども、育児休業中の経済的な援助につきましてはさまざまな意見、見解の違いが見られる中では一定の方向を定めることは困難な状況にあるというふうにされたところでございまして、そのように考えております。 社会保険制度につきまして今御指摘がございましたけれども、社会保険制度におきましては、保険料という負担がある一方、健康保険制度に基づく診療等の給付あるいは年金制度に基づきます将来的な給付などもあるわけでありますことから、社会保険料の労働者の負担というのはそういう給付を受けるためのものでございまして、労働者が負担をするというのがこの制度の本旨であろうかというふうに考えているところでございます。
○糸久八重子君 いや、私がお伺いいたしましたのは、休業して、休んで全く所得が入らない、そしてその上、雇用継続という意味で社会保険料も払っていくということでは大変もう生活が苦しいから、それではとりたいんだけれどもとらないという労働者がふえてきてしまうんじゃないか、そういうふうにお伺いをしたんですけれども。
○政府委員(七瀬時雄君) ただいまの社会保険料の問題でございますけれども、そういった問題につきましては、育児休業制度を労使間で立派な制度に育てていく中で、労使間でよく十分話し合いをされた上で解決されていくべき問題であろうと考えておりますし、現実にも立てかえ払いを含めますとかなりの企業におきましてそういった措置をとっているという実情もございます。
○糸久八重子君 労働者が安心して育児に専念できて、そして生活を維持していくためには、休業期間中に何らかの生活保障をしていくということは不可欠なことだと思うのですね。民間の会社の調査によりますと、三歳未満の乳幼児の一人当たりの平均経費、これは衣類とかおむつ代とか医療費とかミルク代とか家具とか寝具とか、大体そういうものがどのぐらいかかるかといいますと、二万三千九百五十七円、合計二万四千円なんですね。そのぐらいかかっているわけですよ。その上に、本人負担の社会保険料、それからあと前年度所得にかかってくる地方税等もありますからね。そういうことになりますと、とにかく大変な支出になるというわけですね。 仕事と子育ての両立を支援していくための法律ならば、休業期間中にも何らかの所得の保障というのはぜひ必要ではないかなと、そういうふうに考えるんですけれども、いかがでしょうね。
○国務大臣(小里貞利君) 今先生が御指摘になってお尋ねいただいておるところは、率直に言いまして、私どもも深い関心を持ちまして検討いたしました事項の一つでございます。そしてまた、心情的には十分政治の問題としてもおもんぱかって検討する問題だなと、そういう切実な気持ちで対応をいたしましたことだけはひとつはっきり申し上げ、そしてまた、御理解をいただきたい点でございます。 ただ、残念ながらと申し上げますか、もう率直に申し上げまして、先ほども申し上げましたように、国会におきまする論議を見ましても、あるいはまた、婦人少年問題審議会等を中心にしたもろもろの関係筋の話を聞きましても、その問題については直接的に意見が相対する形で出てまいっておりまして、非常に私ども行政判断としても苦慮をいたした次第でございます。 同時にまた、先生が先ほど賃金なりあるいは社会保険料云々のお話がございましたが、その問題に直結する話ではございませんけれども、ちょっと質問の、発言のニュアンスとして、休業中の勤労者といえども負担があるんだと、そしてまた、前年度の地方税負担云々等のお話もございました。非常に痛く、そしてまた強く響きを感ずるところでもございます。 そういう問題に直結する問題ではございませんけれども、先生がお触れいただいたように、休業をしておりまする労働者にとりまして、やはり円滑にもとの職に帰ると、そして帰れるんだと、そして帰ったときのレベルなりもろもろのレベルにおいても変化はないんだと、そういう明るい一つの確信を持たせることは私は非常に必要である、こう思っております。 また、逆に経営者の立場からいいましても、今休業しておる労働者は他日、協約に従って必ず帰ってきてくれるんだと、一面におきましては、率直に言いまして、今日人材難でもございますから、切実な事業主は事業主としての休業中の労働者にかける期待感もあるわけでございますから、それらを双方からひとつ求めておるものを何らかの形で十分に取り次ぎをする一つの方途も私どもは必要だろうと、こう思います。 それに関連して、先ほど先生がお尋ねになった政府の給付措置についての答申云々もあるじゃないかというようなお話であったと思うんでございますが、なるほどこの答申の建議の中におきまして、それらのことも触れてございます。これは先生はもう専門家でありますから、御承知でございますから朗読も申し上げませんが、事業主としても職場復帰に必要な教育訓練や情報の提供などの措置を講ずる必要がありますよと、こういうこともきちんと指示してございますし、あるいはまた、国は、育児と仕事を両立させるという観点や労働者の能力の有効活用を維持促進させるという観点から、職場復帰に必要な教育訓練や情報の提供等を行う事業主に対しては必要な援助を行うことが適当でありましょうと、こういうことも書いてございますから、私どもはこれらのことについては最小限当面必要だろうと、こういう判断をいたしまして、その観点からかれこれ検討もさせていただいておるところでございます。
○糸久八重子君 大変含みのあるような御答弁でございますけれども、私どもはこの所得保障の問題はとにかく働く者にとっても勤労を継続するという意味では大変大事なことだし、また、大臣おっしゃいましたとおり、企業主にとりましても熟練労働者を確保できるという大変メリットがあるわけなんですからね。そういう意味で企業主に何らかの形で考えてほしいというのではなくて、国が積極的にこの問題については取り組んでいっていただきたい、そのように要望をいたします。 そこで、育児休業者本人に対する経済的援助の検討を進めるに当たりまして、具体的に私の方でお伺いをいたしますから、検討の課題となし得るのかどうか、私どもも大変知恵を絞りましていろいろ考えたわけでございますので、お答えをいただきたいと思います。幾つかございます。 それは、まず一番初めに、雇用保険法に基づく失業給付財源の活用、これは労使折半の保険料、国庫負担が入っているわけですけれども、それらの活用についてはいかがでございましょうか。
○政府委員(若林之矩君) 育児休業中の所得保障につきましての基本的な考え方は、ただいままで御答弁を申し上げているところでございます。 なお、今雇用保険制度についてのお尋ねでございますので、その点についてお答え申し上げますと、雇用保険制度におきます失業給付というものは、労働者が失業した場合に必要な給付を行う制度でございまして、たとえ休業中でございましても失業していないという者に対します給付をこの雇用保険制度の失業給付の制度の枠の中で行うということはできないというふうに考えております。
○糸久八重子君 それでは、雇用保険法に基づきます雇用安定等三事業、この活用についてはいかがでしょうか。
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘の雇用安定等三事業でございますが、これは失業の予防等を目的といたしまして、事業主に対しまして、事業主の負担によって各種の助成金の支給等を行うための制度でございまして、所得保障のために育児休業中の労働者に対する経済的な援助を行うということにこの制度を使うということはできないというふうに考えております。
○糸久八重子君 現在の育児休業制度の育休奨励金、これはここから出ているわけですよね。そして、この雇用安定三事業の収入というのは大体五千億から六千億と言われておりまして、地域雇用開発にも一千億ぐらい拠出しているというわけですね。 先ほど申し上げましたとおり、育児休業というのは熟練労働者を確保するためでもありますから、雇用確保という意味では雇用保険法というのは一番出しやすい部分じゃないかと思いますけれども、もう一度お答えください。
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のとおり、育児休業の奨励金制度というものがこの三事業で出ているわけでございます。これはその制度を導入することを奨励するという形での制度であるわけでございます。 ただいま三事業の収支について御質問ございましたけれども、大変景気の不況のときに思い切って多額の支出をするというような形で、比較的好況のときには積み立てを行っているわけでございますけれども、そのピークは六十一年度実績で五千七百億ぐらいでございましたけれども、過般の不況時に相当の支出を行っておるわけでございまして、現在はその資金の残高も半分ぐらいになっているというような状況でございまして、現在これをどうやって積み立てていくかということが一つの課題になっているところでございます。
○糸久八重子君 厚生省、見えていらっしゃいますか。 健康保険法に基づく出産手当、これは産前産後休業中の支給ですね、それの支給延長という形ではできないものでしょうか。
○説明員(堤修三君) 健康保険におきましては、被保険者が出産をした場合の保険給付といたしまして出産手当金の支給を行っておるわけでございますけれども、これは労働基準法におきまして母性保護の観点から産前六週それから産後八週の就労禁止という制度が設けられておることに対応いたしまして、その期間中健康保険において出産手当金を支給しようというものでございますので、その期間を超えて育児休業法により認められる育児休業期間にまで延長するのは困難ではないかというふうに考えております。
○糸久八重子君 社会保険料の本人負担分とか、それから事業主負担分の休業期間中の納付の減免とか猶予措置の検討などというのはできないものなのでしょうか。
○説明員(堤修三君) 健康保険等の社会保険制度でございますけれども、保険料を負担していただいた方にそういう負担に対応いたしまして疾病等が生じた場合に保険給付を行う、そういう負担と給付の対応関係を前提としておるわけでございます。 さらに被用者保険の場合には定期的に賃金が支払われておる常用の雇用関係というものを前提として制度を組み立てておるわけでございますので、育児休業期間中において引き続き健康保険法等を適用するということといたします以上、保険料を免除するあるいは保険料の納付を猶予するというのは、そういう制度の前提からいたしまして非常に困難ではないかと考えております。 なお、現在既に育児休業制度が導入されております国あるいは地方公共団体の病院、社会福祉施設等の職員が負担すべき共済組合の掛金につきましても、このような考え方から保険料の免除等の措置は講じられていないというふうに理解をしておるところでございます。
○糸久八重子君 それじゃ労働災害保険の活用ということについてはいかがでしょうね。(「ちっとも聞こえへん」と呼ぶ者あり)
○委員長(福間知之君) 大きな声でお願いします。
○政府委員(佐藤勝美君) かしこまりました。 労働者災害補償保険は、業務上の災害または通勤途上の災害を受けました被災労働者またはその家族に、遺族と申しますか家族に対しまして必要な保険給付を行うとともに被災労働者の社会復帰の促進、援護等を図り労働者の福祉の増進に寄与することを目的としている制度でございます。 このような労働者災害補償保険の趣旨、目的にかんがみますと、御質問されましたような方向でこの制度によって育児休業に対する経済的援助を行うことはできないというふうに考えております。
○糸久八重子君 労働災害保険については労働福祉事業として健康確保のためとか、それから会社が倒産して賃金不払いになったような場合に賃金を出すとかというふうに割合に多方面にわたってこれは使われていると思うんですね。だから災害に関してしか使えないというのは非常に紋切り型の答弁ではないかなと思いましてね、一応これをお伺いしてみました。 それからあと新たな特別会計の創設、これは私ども四党案で示しました国と労使の三者拠出による保険方式というのはお示ししてあるわけですけれども、そういう基金制度のようなものを設けて例えば中小企業退職金の運用益の一部を借りてきてそこに入れておくとか、それから財形貯蓄から、これ発想は奇抜かもしれませんですけれどもね、財形貯蓄の方から借りてきてその基金の一部に入れていくとかというような、そういう新たな基金制度のようなものを設けていくという考え方もあるのではないか。このことは今後日本の国が高齢化社会を迎えるに当たってこの育児休業制度ができれば次はどうしても介護休業制度をつくらなければいけないと思うんですね。そうなるとこういうどうしても基金制度のようなものをつくってそこから休業保障というのをしていかない限り、なかなか働いていく者が休めるという状況ではないんですよね。ですからそんなような基金制度のこと等についてはいかがなものでしょうね。
○政府委員(高橋柵太郎君) 国労使三者負担によります基金制度を設けて休業期間中の所得保障を行う、そのための特別会計ということでございました。その点につきましては十分承知をいたしているわけでございます。しかし、この問題についてさまざまな意見、見解の違いが見られて一定の方向を定めることが困難な状況にあるということでございまして、本法律案に特段の規定を設けないこととしたところでございますので、したがって特別会計の創設自体についての考え方以前の問題といたしまして、そもそも育児休業中のこれらの問題についてはどうかという問題があるわけでございますので、現在このような特別会計云々という点につきましては考えていないところでございます。
○糸久八重子君 私どもは本当に無理は承知で、かなり奇抜な発想でいろいろこれはどうかこれはどうかと検討してみたわけです。育休中の労働者の経済的な援助ということについてはどうしても真剣に考えなければならない、そういうことでどこかに手がかりがないものだろうかということでいろいろと調べてみたわけなんですね。労働省としてもそんな冷たいお返事をなさらないで、私たちがちよっと無理な発想かもしれなかったけれども、こういうことも考えられるということをいろいろ挙げてみたわけですから、少しその辺のところを考えていただかなければいけないと思うんですよね。どんな措置を使っても、どんなことをしてもこれはもう経済保障はだめなんだと、そうおっしゃるんですか。
○国務大臣(小里貞利君) 極めて、聞きようによりましては、これはもう先生率直に申し上げますが、法案を提出してそして参議院で先議を願っておると、そして目下検討中だと、そしてあと一両週間のうちに結論を出さなけりゃならぬと、そういう重要な環境から考えまして、非常に私は重要なところを御指摘いただいておると思います。それだけに私も軽率にお答えすることもできないと思うんでございますが、しかしながら心情的にもよく理解できるところでございます。特に、先生が先ほど賃金はもとより、あるいは社会保険料等に相当する云々のお話もございましたが、それらについては先ほどはっきり申し上げましたように、まことにいわく言いがたいことでございますが、この段階ではお答えできませんと、こういうふうにお答えさせていただいておるところでございますが、それに直結するものでなくて、しかも先生がおっしゃるように何かひとつ知恵を絞れぬのかと、この際、先生が指摘なさるようなことに、実質、手続は別にいたしまして何か答えられるものはないのかと、そしてまた歩み寄れるものであれば妥結点を見出して、そして背景的な問題として、これをという先生のお気持ちもよくわかります。よくよく私どももただいま御指摘になりました点は、ここにおいでになる各位にもよく御相談をしながら、そして機敏にかつまた可能な範囲でぎりぎり対応を申し上げなけりやならぬなと、そういう感じも持っておるところでございます。
○糸久八重子君 ただいまの大臣の答弁で、この問題は全くだめだという冷たいお返事ではなかったと私は受けとめます。したがって、この問題につきましては、きょうでこの審議は終わりのわけではないわけですから、これから前向きな態度、検討を私の方で要求を特にしておきたい、そのように思います。 それでは次に参りまして、育児休業の期間、休業期間と、それからその取り扱いについてお尋ねを申し上げたいと思います。 休業期間の取り扱いについては、四党法案では、昇給、退職手当等に関しては休業期間の二分の一以上、そして年次有給休暇の算定に関しては出勤したものとみなすとしておるわけです。そしてまた現行の特定職種育児休業法でもその九条で、職務に復帰したときには、二分の一に相当する期間を引き続き勤務したものとみなすと、そうしているわけですね。しかし、本法案では労使間にゆだねられているわけですけれども、せめてこれは、私は代表質問の中でも申し上げましたが、年次有給休暇の出勤率の算定におきましては産前産後休暇のように、権利法なんですから、育児休業についても出勤したものとみなすべきと考えるのですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(佐藤勝美君) この年次有給休暇の付与要件とそれから育児休暇制度との関係に関するお尋ねでございますけれども、年次有給休暇の付与の要件であります出勤率の算定に当たりましては、育児休業をとった期間を労働日として出勤したものとみなす、先生の御提案のようにいたしますと、ほかの事由による休業の場合との均衡から見て、制度上いろいろ問題があるというふうに考えているところでございます。
○糸久八重子君 先へ進みましょう。短時間勤務制度について次にお伺いしておきます。 この制度は四党共同法案にはなかった点でございます。労働者にとって選択の幅が広がる可能性が与えられたものとして一応は評価したいと思いますが、幾つかの疑問もあります。 その第一としまして、第十条に「労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない。」とありますけれども、この「労働省令で定めるところ」というのは、具体的にはどういうものなのでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 労働省令で定める内容でございますけれども、ただいま先生御指摘ございましたように、育児休業をとらないで仕事を継続したいという人に選択の余地を広げるような趣旨で設けられておりますので、婦人少年問題審議会で十分御議論をいただいて決定していただくということになろうかと思いますが、私どもが現段階で例えばということで考えておりますのは、一つは所定労働時間の短縮でございますとか、あるいは始まる時間、終わりの時間を繰り下げたり繰り上げたりすることとか、フレックスタイム制を考えるとか、あるいは場合によっては所定外時間の制限でございますとか、あるいは企業内保育施設の設置というようなことも頭の中で考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、審議会で十分御議論をいただいた上で御決定をいただくということでございます。
○糸久八重子君 今おっしゃいましたメニューを一つ実施すれば義務を果たしたということになるんですか。
○政府委員(七瀬時雄君) この規定の書きぶりからいえば、労働省令で定めるいろいろなメニューを一つでも実施すれば、ここに書いてあることを満たしたということになるだろうと考えております。 ただこのメニュー、これは労使間であるいは事業主が、その企業の実情等を考えながら選択の余地を広げていくんだという趣旨を踏まえながらいろいろ考えていただきたいと、そのよすがにでもなればというふうなことで規定いたしておりますので、規定の文言上正確に申し上げればメニューの一つでも満たせばということでございますけれども、そういったことでいろいろな形で労使間で工夫をしていただきたいと、このように考えているところでございます。
○糸久八重子君 こんな場合も考えられますけれども、この場合いかがなんでしょうね。例えば夫婦がどちらも育児休業を取得していない、一年間の休業をとらない。夫婦でこの規定の勤務時間の短縮等の措置を利用するということは可能なんでしょうかね。例えば同じ日に妻は夜、そして夫は朝二時間時間短縮をする、そういうようなことはできるのでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま御指摘の事例の場合には、まとめてといいますか、全日制で育児休業をとる場合ではございませんので、夫婦の方におかれましてもいろんな工夫が必要だろうと思います。そういった事例の場合にも十分対象になるのではないかというふうに考えておりますけれども、十分審議会の場で検討させていただきたいと思っております。
○糸久八重子君 よくその辺のところは夫婦ともにとれるようになることを期待したいと思います。 これに関連して労働基準法の六十七条、「育児時間」というのがございますね。これは労働基準法ができた当時は授乳時間としての育児時間でしたけれども、最近の育児時間というのは保育所に送り迎えをする育児時間として使うことが非常に多いわけですね。そういう意味からいいますと、この際この育児時間、今は女子労働者のみなんですけれども、これを男女ともに請求できるように検討すべき時期に来ているんじゃないかと思いますが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘の労働基準法六十七条におきます「育児時間」につきましては、女子労働者が生後一年未満の生児を保育している場合、これに授乳その他種々の世話のために要する等の時間を確保するということが一つあるわけでございますが、あわせて一般に産後と考えられておりますこういう女子労働者の母性を保護するという観点からの規定であるというふうにも考えられているわけでございまして、女子のみを対象としているというふうに理解をいたしているところでございます。
○糸久八重子君 既にこの問題につきましては、町田の市職の中では男女とも育児時間をとれるというふうに非常に拡大解釈で有効的に活用しているところもございますしね。また、この育児休業が男女労働者がともにとれるというような規定になれば、やはりこの育児時間というのも当然男女労働者が適用という形になるのが私は当然だと、そのように思っております。意見として申し上げておきたいと思います。 それでは次に、十三条のところに国の援助措置というのがございますね。これは具体的には何を考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 第十三条に「必要な援助」という規定がございまして、ここで「必要な援助」と申しますのは雇用情報の収集、提供あるいは育児休業に関する資料の提供、相談等をいろいろ指すものと考えております。
○糸久八重子君 ちょっと先を急ぎますので、それではこれらの細かいことはまた次に譲りたいと思います。 中小企業に対する暫定措置、そちらの方に移りたいと思います。 附則の二条で、「常時三十人以下の労働者を雇用する事業所の労働者に関しては、」三年間適用を猶予されるとされておりますが、一体この理由は何でございましょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所、このような事業所におきましては、育児休業が直ちに認められますと、雇用管理の面において種々の困難が予想されますことから、いわば準備期間として三年間の適用猶予期間を設けることといたしたものでございます。
○糸久八重子君 仮に三十人以下の労働者を雇用する事業所が適用猶予された場合には、適用猶予を受ける労働者数というのはどのぐらいになりますか。
○説明員(藤井龍子君) 事業所統計調査、昭和六十一年総務庁が実施しておりますが、これによりますと、規模二十九人以下の民営の事業所で働く労働者、常用労働者でございますが、約千七百万人で、全体の四八・二%でございます。適用猶予というのはこれらの労働者になるわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、実際には規模三十人以下の支店等でも、本社で通用される場合は現実には一緒に適用されることになる、導入されることになるかと思われますので、現実に育児休業制度が適用されない労働者の数というのはこれをかなり下回るものと私どもは考えております。
○糸久八重子君 ちょっと訂正をしたいと思いますが、先ほど育児時間のところで町田と申し上げましたけれども、田無市でございますので、訂正をしたいと思います。 大変三十人以下の事業所のところで働く労働者の数が余計でございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、育児休業というのは権利法規でございますから、そういう意味からいいますと、企業の規模を問わないで取得できるようにするのが基本だということでございます。大企業とそれから中小零細企業で働く労働者の間で新たな格差を生むということになるのは到底許されない、そのように思います。しかも、今申し上げましたとおり、大多数の労働者が適用猶予になるということは大問題だと、そのように考えます。 これは何か三年間というようなお話がございますけれども、適用猶予措置の撤回、そして適用猶予期間の短縮について再度御検討いただけないものでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所におきまして雇用管理の面において種々の困難が予想されるということで、準備期間として三年間の適用猶予を設けているわけでございますが、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所においても三年後にはこれは強制的に適用になるわけでございまして、適用猶予措置としてはまさに最小限のものであるというふうに考えるところでございます。これらの事業所におきまして、この猶予期間中に休業制度の実施に必要な雇用管理の見直し等を行うことによりましてこの育児休業制度を実施できるような体制を整えていくことが求められるわけでございまして、三年程度の期間は必要であるというふうに考えております。
○糸久八重子君 すべての企業が同時に施行するというのはこれは基本的なことではございますが、小さいところでは直ちに施行ということは無理かもしれない、それで三年間の猶予ということをおっしゃっておられますけれども、しかし十分そういう周囲の状況が整うならば、三年待たなくても繰り上げて施行していくということは構わないのですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) そのとおりでございます。
○糸久八重子君 中小零細企業に対しましては、昨年四月に四党共同法案を再々提出いたしました際にも、施行期日を一九九二年四月として必要な準備期間を設けたわけでございます。また中小企業への配慮措置といたしまして、財政上その他適切な援助措置について検討が必要であると私どもは考えておりました。 そこで、お尋ねをいたしますけれども、経済的な援助措置を含めて、法の円滑な施行を促進するための援助措置というのは何か考えておられますか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所につきまして、猶予期間内にもできるだけ早く制度の確立が図られるように指導、援助をしていくことは必要であるわけでございます。現在、育児休業制度導入の促進のために設けております育児休業奨励金制度、これは法律の施行に伴って基本的にはその使命を果たしたこととなるわけでございますが、施行後におきましてこういう猶予期間中の事業所におきましての制度導入は重要な課題でございますので、そうした事業主に対する制度導入促進のための助成措置を平成四年度予算の中で私どもとしては要求してまいりたいというふうに考ているところでございます。
○糸久八重子君 今の問題もとにかく全労働者を対象とするということ、しかも権利法であるということから考えれば、当然全労働者が早期にこの育児休業を実施できるという状況をつくるのが労働省のお仕事ではないかと、そのように思いますので、ぜひいろいろな手だてを使って、早期にすべての労働者が育児休業をとれるような、そういうことの御配慮を格段とお願い申し上げたいと思います。 以上いろいろ申し上げまして、まだまだ一つ一つの条文の内容等についてお伺いしたいところがございますけれども、まだ審議もございますから、そちらの方に譲るといたしまして、きょうの私の質問はこの辺にしたいと思いまして、同僚議員にバトンタッチをいたしますが、その前に、私は四党共同育児休業法案の発議者といたしまして、そしてまた我が国の育児休業の法制化、制度化に長年取り組んできた立場から、労働大臣に重ねて特段とお願いをしておきたいわけでございます。 きょうも大変多くの方たちが傍聴に見えていらっしゃいます。この方たちはもちろんのこと、全国の労働者の方、つまり男女労働者の方がもう育児休業がいつ制定されるのか、一体どんなような内容の法律になるのか、そして私たちが本当に安心して育児休業をとれるようなそういう法律になるのかどうか、かたずをのんでこの審議を見守っているだろう、そのように思います。その点十分に御認識の上に、余りかたくなな態度をおとりにならないで、多くの労働者が喜んでもらえるような内容の育児休業法案を育てていっていただきたい、早期に内容充実も含めて。そのように私は特段と要請をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 大変ありがとうございました。
○委員長(福間知之君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、育児休業等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○日下部禧代子君 午前中の糸久委員の御議論を引き継いだ形で御質問させていただきます。 御承知のとおり、今回提出されております法案は民間労働者を対象にしたものでございます。第十七条を見ますと、国家公務員及び地方公務員は適用除外となっております。しかしながら、公務員に関する育児休業法が同時に制定されて、同時に施行されるということは当然ではないかというふうに思われるわけでございます。 去る四月一日、人事院から一般職国家公務員の育児休業法制定に関する申し出が行われております。国家公務員及び地方公務員に関する育児休業法案も早急に提出されるべきだというふうに思うわけでございますが、まず総務庁の方からお答えいただきたいと思います。いつごろということも含めまして御答弁願います。
○説明員(畠中誠二郎君) お答えいたします。 一般職国家公務員の育児休業制度につきましては、先生御指摘のとおり、去る四月一日に人事院から意見の申し出があったところでございまして、現在この意見の内容を踏まえ法律案の作成に向けて所要の検討を進めているところでございます。
○日下部禧代子君 もう少し具体的にはお答え願えませんですか。
○説明員(畠中誠二郎君) 現在、一般職国家公務員の育児休業制度について成案を得るべく鋭意努力しているところでございますが、この法律案の作成に当たりましては、現行の女子教育公務員等を対象とした育児休業法との調整の問題や特別職の取り扱いについて検討していただいております関係省庁との調整を行う必要がございまして、現段階ではまだ明確な見通しが立っておるませんので、いましばらく時間をちょうだいできればというふうに考えております。
○日下部禧代子君 次に、地方公務員の労働条件というのは国家公務員に準拠すべきものだというふうに言われております。したがいまして、自治省におきましても、当然総務庁の立案作業と連携しながら提出準備をお進めになっていらっしゃるはずだというふうに思いますが、この点いかがでございましょうか。自治省にお伺いいたします。
○説明員(石橋孝雄君) 地方公務員につきましては、ただいま先生の方からもお話がございましたんですが、地方公務員の育児休業の取り扱いにつきましては、国家公務員の取り扱いに準拠いたしまして法律案を準備してまいりたいというふうに考えております。
○日下部禧代子君 したがいまして、これはまだ全くめどが立っていないというふうに受けとめてよろしいのかしら、いかがでございましょうか。
○説明員(石橋孝雄君) 提出の時期につきましては、ただいま総務庁の方からも御答弁がありましたんですが、国家公務員の法案と歩調を合わせてといいますか、一緒の形で準備をしてまいりたいというふうに考えております。
○日下部禧代子君 それでは、これ以上御質問してもいつごろという御返答はなかなかいただけそうもございませんので早急にということを希望いたしまして、もう一つだけ希望をさせていただいておきます。 法案の内容に関しましては、昨年の十二月七日の育児休業制度検討小委員会で糸久委員が「育児休業の法制化に当たっては、現行の特定職種育児休業法の水準を決して下回らないものとすること」というふうにおっしゃっております。それに対しまして自民党の前島委員から、法制化問題の検討に当たっては現行育児休業法の趣旨は十分理解した上で進めてきたつもりでもあり、現行育児休業法の適用対象となっている方々にとっても、二十一世紀に向かって後退のない形で制度が構築されることが望ましいというふうにお答えをいただいております。したがいまして、今から御準備なさる、あるいは御準備なさりつつある国家公務員法あるいは地方公務員法における公務員に対する育児休業法の内容につきましても、こうした経過を十分に踏まえたものでありますように強く要望させていただき、そのことにとどめておきます。どうもありがとうございました。 さて次に、育児休業の法制化に関連して、保育所問題についてお伺いしたいというふうに思います。厚生省にお伺いいたします。 この育児休業法が実効あるものとなるためには、また、育児休業が本当の意味で個人個人の選択にゆだねられるためには、保育制度の拡充というものが重要な課題になるということは、もう言うまでもないことだというふうに思います。保育所という受け皿がきちんと整備されなければ育児休業法も絵にかいたもちになりかねません、つまり実際に職場に復帰できないわけでございますから。 それで、具体的に質問させていただきます。まず、育児休業を取得いたしますと、育児休業前に保育所に入所していたその生まれた子供の上の子供は、いわゆる保育に欠ける状態ではなくなるという理由によって退所させられるのが現状でございますね。この点について厚生省はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 保育所の問題でございますけれども、御案内のとおり、共働き等の理由で現実に家庭で育児ができない、保育に欠けるということはそういう状態であると認識しておりますが、そのような乳幼児を保育するというのが原則でございます。一方、育児休業でございますけれども、育児のために仕事を休むということがその趣旨であると理解をいたしております。 したがいまして、御指摘のような児童につきましては、保育所の入所の対象にならないと考えております。しかしながら、育児休業中であっても母親の健康状態その他の家庭の状況によっては入所措置の対象になる場合もございまして、育児休業中だからといって一律に保育所に入所させないといった取り扱いをするのではなく、個々のケースに即した判断を行うように市町村を指導しているところでございます。
○日下部禧代子君 では、一たん退所させられても育児休業期間が終わりましたならば優先的に再入所というふうな配慮はなされるということにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 保育所の入所につきましては、市町村の判断が第一義的にあるわけでございますけれども、育児休業を取得することによって措置が解除になりました上の子供たちについては、一般的には育児休業が終わりますと保育所への入所の必要性というものが再度出てまいるというふうに考えております。厚生省といたしましてもその児童につきまして、育児休業に際しまして育児休業をした親たちが円滑に職場復帰ができるような一つの大きな条件になるだろうと思っておりますので、十分必要な措置を検討しまして市町村を指導してまいりたいというふうに考えております。
○日下部禧代子君 次に、育児休業終了後に職場復帰をしようとした場合に、子供を預かってくれる保育所のめどが立たない場合には職場に戻ることは、これはもうほとんど困難でございます。育児休業というのは、期間を明示して取得するものでございますから、いつ子供を保育所に入所するのかというのは明確でございます。ですから、前もって入所の受け付けをするということなど、厚生省として保育所入所というものを円滑に進めるような特別な配慮がなされることを期待してもよろしいのでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 育児休業につきましては、終了する時期が取得前にあらかじめ定まっているということであろうと思います。したがいまして、当該児童がいつ保育所へ入所するかということが明確であるというような場合に、御指摘のように市町村におきまして育児休業終了前に入所の申し込みを受け付けをするということは育児休業制度の円滑な実施上非常に大切だろうというふうに考えております。したがいまして、育児休業が法制化された場合には、御指摘の趣旨を十分踏まえまして保育所への入所が円滑に進むように市町村を指導してまいりたいというふうに思います。
○日下部禧代子君 いわば入所の予約制度というふうなことというふうに考えてもよろしいのかしら、いかがですか。
○政府委員(土井豊君) 予約ということではありませんで、やはり現実に育児休業が終わって職場復帰をしたというような状態の時点で、行政としては必要な措置をとるという形ですけれども、前もってそういうことが予定されているという今回の制度にかんがみて、あらかじめそのような受け付けをしておいて、そういう状態が生じた場合にその時点ですぐに対応できるようにするということだと思っております。
○日下部禧代子君 今の言葉どおりに実際に実行していただかないことには、これは大変に大きな職場復帰に対する困難だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、昭和五十六年の臨調答申に基づきまして、政府は基本的には保育所の新設あるいは増設というものを抑制する方針をとっているというふうに私受けとめております。しかしながら、人口の急増地、例えば新興団地、そういったところなどでは保育所が不足しているのもこれまた紛れもない現実でございます。そういった場合におきます厚生省の対応、いわば地域におけるニーズというものにどのように適応なさるかというふうな点につきましても御答弁いただきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 保育所の数は全国で二万二千余ございまして、定員に対して入所割合は大体八二%ぐらいの状況になっております。したがいまして、全国的に見ると保育所は充足されているという状態でございますが、御指摘の人口急増等のその地域の実情に応じまして、まだ保育所が足りないというような、必要な地域もございます。そういう地域につきましては、これまでも保育所の新設等について、例えば昭和六十三年度では五十三カ所、平成元年度四十九カ所、平成二年度五十六カ所の保育所を、これは新設または定員の増という形でその増設を認めているというような状況でありまして、私ども地域の実情に即した保育所のあり方というものにつきましては、臨調答申の趣旨を体しながらも必要な新設あるいは定員増というような措置については、市町村の事情をよく勘案しながら今後とも努力してまいりたいと思っております。
○日下部禧代子君 当然職員もいろいろな、増加しなければならないという問題も出てまいりますけれども、職員の配置など、そういった受け入れ態勢についての整備ということについてはどのように考えられていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 育児休業中の復帰した後の保母さんの配置の問題かと思いますが、年度途中でございますので、現実にはなかなか正規の保母さんというのをそこで手当てをするということは困難なケースも多いと思いますが、財源的には入所する子供の数がふえますと、それに見合って人件費込みの必要な財源が保育所に行くというような仕組みで運営をしておりますので、現実には保育所におきましては、例えば非常勤の保母さんというようなものを探してくるとか等々のいろんな形で保母の確保に努力をしているところでございます。したがって、個々具体のケースに応じてなかなかどうなるかということについて一律にお答えしにくい点がございますけれども、今後とも保母さんの確保に努力をするという形で、財源的な問題じゃなくて具体的な問題として努力をさせていただきたいと思います。
○日下部禧代子君 現在、保育所の入所というのは大体四月一日というのが入所の期日になっているようでございますけれども、四月一日にちょうどお預けするというふうなことはこれから不可能なことだというふうに思いますので、この育児休業制度が法制化された場合には、年度の途中での入所ということが大変増加すると思いますけれども、厚生省としてはそれに合わせた柔軟な対応というものをどのくらいお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 年度途中で子供たちが保育所へ来るわけでございますので、受け皿という問題だと思います。 一つは、保育所が定員いっぱいの場合に受ける余地があるかどうかという問題でございますけれども、既に公務員についての育児休業制度の際に同じような問題に直面をいたしまして、その際には弾力的な取り扱いということで、定員いっぱいいっぱいの場合でも、例えば五%の範囲内であればその定員をオーバーしても受けてよろしいというような指導をいたしております。 ただ、おのずから保育所としての運営について一定の限界があるだろうということでございますので、弾力的な運用を図りながらも保育所全体のきちっとした運営が確保できるということが一方では必要でございますので、両方をにらみながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○日下部禧代子君 育児休業制度の定着あるいは普及というものを図るためには、保育関係予算の十分な確保が図られなければならないと思うんですね。特に職員の処遇改善など人件費の確保というものは、これは必要欠くべからざるものだというふうに思うのですけれども、現在の補助制度というものだと夜間保育だとか延長保育の人件費というものはなかなか賄えないんじゃないか。熱心にやる市町村ほど自治体の持ち出しが多くなっているという現実ではございますが、この点に関しましてはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
○政府委員(土井豊君) 最近の女性の就労の増大でありますとか、あるいは核家族化の問題等々によりまして、子供を取り巻く環境が大きく変わりつつあると思います。私どもそうした中で保育所の行政というのは非常に重要であると認識をしておりまして、そのために保育所の予算については毎年度その時期に最大限の努力をして今日に至っているつもりでございます。 具体的に乳児保育あるいは夜間保育等々のものにつきましては、毎年度それなりの予算計上をしていろいろ御審議も賜っているところであると考えておりますけれども、特に職員の勤務条件の問題、これは最近における保母さんの確保の観点から非常に大切な問題であると思っておりまして、平成三年度予算におきましては、従来保母さんの勤務時間は週四十四時間という勤務体制で積算をしておりましたが、それを三十分短縮すると、近い将来にはできるだけ早い時期に四十二時間に持っていこうというような、勤務条件の改善ということの第一歩を踏み出したというような状況でございます。また、年次有給休暇をとる場合の代替要員の確保等についても若干ではありますけれども前進をさせておる、そのような形で今後とも必要な努力を続けてまいりたいと思っております。
○日下部禧代子君 これからますます就労形態、保育需要というものは多様化していくというふうに思われるわけでございます。そうした状況にきめ細かく保育サービスはきちっと対応できていくのかどうか。 例えば、平成元年度で夜間保育所は三十カ所、延長保育所は七百四十六カ所でございましたでしょうか、これでは進捗状況というのは余りに遅いようにも思えるわけでございますが、これからのさまざまな就労形態に対応したきめ細かい保育サービスということの点につきまして御答弁願いたいと思います。
○政府委員(土井豊君) お話しのとおり特別保育対策という多様な保育サービスが必要であるという認識をいたしておりまして、従来から乳児保育でありますとか延長保育、夜間保育あるいは一時的保育事業というようなものの推進に努めているところでございます。 なお、お話にもありましたが、延長保育、夜間保育等の進行状況がよくないじゃないかという御指摘については我々も反省をいたしておりまして、その点についてはさらに格段の努力をしてまいりたいと思っております。 さらにまた、新年度におきましては、新しい保育サービスといたしまして、夜十時ごろまでの保育を一般の保育所でやろうということで必要な予算を計上しておりまして、今お話しの延長保育等の反省に立ちましてきちっと保育所にも財源措置ができるということが必要であろうということで、保母さん二人、それから夜食を出すものですから、そのための職員一人、計三人の人件費を合わせまして年間五百万円ぐらいのお金がそのために保育所に行くようにしよう、実施時期はことしの秋以降ということで予算を組んでお願いをしたところでございます。 また、企業委託型の保育サービスというものも考えておりまして、今後とも必要な保育需要に対応した努力を続けてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○日下部禧代子君 今議論の対象になりました夜間保育、延長保育というものをともに市町村がなかなか積極的にやれないということには、人件費の問題もございますし、さらにマンパワーの確保ということがあると思いますが、このマンパワー確保の対策につきましての御見解をいただきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 保母さんの問題でございますけれども、平成二年三月の状況を申しますと、卒業生が約三万三千人ございます。そのうち一万一千人弱、約三三%、三分の一でございますが、この保母さんたちが保育所へ就職をいたしております。それから保育所以外の児童福祉関係あるいは社会福祉関係を含めますと、福祉関係に就職している者が四割という人数になっております。さらに幼稚園、これは文部省の所管でございますが、幼稚園の方を含めますと約三分の二がそのような専門の資格を生かしたような就職になっております。残りの三分の一が一般の会社に就職されているという状況でございます。 保母さんの確保の問題は、これからの労働力不足を考えますと非常に重要な課題であると思っておりまして、先ほども若干事例を申し上げましたけれども、いろんな勤務条件の改善について私どもも予算の際に努力をしながら、保母さんにきちっと保育所に来ていただけるような条件整備に今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。
○日下部禧代子君 それでは重ねて申し上げますが、やはりこの保育所の問題がきちんと整備されないことには育児休業というものはとるにとれないという状況だと思いますので、今のお言葉をさらに積極的に具体的にお進めくださいますようにお願いいたしまして、御質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 次の質問に移りたいと思います。 ところで、申すまでもなく、今論議されております育児休業法案は女性だけではなく男性、つまり父親も対象となっているわけでございます。仕事と家庭の両立というものを女性労働者のみの課題としてとらえていた時代から見ますと、我が国もようやく画期的な時代に入ろうとしているのかな、今までの時代からようやく脱皮していくというふうにとらえられるわけでございます。 ところで、一九七九年、国連において採択されました女子差別撤廃条約では、その前文におきまして、出産における女性の役割が差別の根拠となるべきではなく、かつ子の養育には男女及び社会全体の責任の分担が必要であるということを宣言しております。この性別役割分業見直しを具体化する世界的な潮流をさらに推し進めるのに大きな役割を果たしてきたのが、一九八一年に採択されました家族的責任を有する労働者の機会及び待遇の平等に関するILO百五十六号条約及び百六十五号勧告であるというふうに思います。 この条約及び勧告というのはそれまでのILOの施策というものを根本的に変えたものだというふうに私はとらえております。つまりILOのそれまでの施策というのは、例えば一九六五年の家庭責任を有する婦人の雇用に関する勧告、これは百二十三号でございますが、そのように家族責任を有する女性労働者の負担を軽減するという方向だったわけでございます。しかし、この百五十六号条約と百六十五号勧告の採択を契機に、ILOは家庭責任というものは男女がともに担うものであるということを前提にして、労働と家庭責任の調和という施策を積極的に導入するようになったわけでございます。 我が国の場合、考えてみますと、伝統的な性別による役割分担というのはまだまだ実際の生活においては根深いものがあるというふうに思います。いわゆる女性の内助の功によってようやく生活を送っているというのが一般の労働者の姿ではないかというふうに思います。家族的な責任を一身に担わされている女性が容易に社会に参加できない、労働に参加できないというのも、こういう今のような日本の現状では非常に難しいというふうに思うわけでございます。真の意味で男女が機会均等化して社会に参加する、そして家庭に対する責任を果たすような、そういった社会を実現するという観点から、ILOの百五十六号条約及び勧告というものは大変に重要だと思いますが、この点につきまして、労働省はどのような姿勢をおとりになっていらっしゃるのか、労働省のお考えを大臣に承りたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。 ILO第百五十六号条約は、ただいまも先生お触れになりましたように、家族的責任を有する男女の労働者の必要を考慮したことを措置することを求めておりまして、私どももその趣旨はもっともなことであると考えております。 お尋ねの今回の育児休業法案におきましても、その趣旨に基本的に沿ったものである、かように判断をいたしておるところでございます。
○日下部禧代子君 では、今論議されております育児休業法案はこのILOの条約あるいは勧告の趣旨に合致しているというふうにおとりでいらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) ILO百五十六号条約の趣旨に沿ったものになっているというふうに考えております。
○日下部禧代子君 そういたしますと、これまで国会ではこの条約及び勧告に対する批准問題についてかなり討議がなされてきたように私国会の議事録を読み返しまして思いますけれども、なかなか批准ということにはなっていかないように今の状況はなっているような気がいたします。批准をします前には、育児休業制度だけではなくって、家族介護休暇制度ということも整備しなければならないのではないかというふうに思いますが、百五十六号条約を批准しようとする場合に、現行の国内法の整備についてはいかようなものが必要なのか、どのような点が問題になるのか、その点について御答弁願いたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) ILO百五十六号条約、これは今回提案しております育児休業法案はその趣旨に沿ったものになっていると考えておりますが、なお条約上、文言等、必ずしもその解釈が明らかでない点等もございまして、本条約と国内法制全般につきましての整合性について引き続き検討を続けてまいる必要があるというふうに考えておりますけれども、今お触れになりました介護休業制度につきましては普及率もまだまだ低いということで、その法制化について直ちに国民的コンセンサスが得られるというのはなかなか考えにくいわけでございまして、むしろ啓発広報あるいは行政指導によりましてこの制度の普及促進に努めるということが現段階においては最も必要なことであるというふうに認識をいたしているところでございます。
○日下部禧代子君 私が申すまでもなく、女性が、あるいは子供を持つ労働者が働き続けることが困難であるという理由の大きな問題が育児であり、そしてもう一つが両親、老親の介護ということでございます。人生の最初と最後の問題でございますが、育児休業法だけでは家庭を持つ労働者が安心して働き続けるということにはならないんじゃないかというふうに思うのでございますが、そう思いますと、今の御答弁というのはいささか私は腑に落ちませんが、もう一度お答え願いたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 介護休業制度につきましては、これからの高齢化の進展あるいは社会の情勢の変化等によりまして非常に重要な課題であるというふうに私どもも認識をいたしてございます。しかしながら、この制度につきましての現在の普及状況等にかんがみますと、先ほど来申し上げておりますけれども、すぐ法制化というのはいかがかと、むしろ啓発広報、行政指導によってまずこの制度の普及促進に努めることが私ども最も行政の重要な課題ではないかというふうに認識しているところでございます。
○日下部禧代子君 普及を余りしてないということ、そのこと自体が非常にたくさんの問題を含んでいるんじゃないかというふうにとらえることの方が現在の実態に即した解釈ではないかなというふうに思うんです。とりたいけれどもとれない状況にある、だからこそこれはきちんとしなければならないというふうな法制化に向かっての前向きの姿勢をお言葉の中にいただきたいのでございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 介護休業制度、私どもの方もこの問題につきましては、その重要性にかんがみまして行政として昨年度来この問題を取り上げ、普及啓蒙に努めているところでございます。行政としても端緒でございますけれども、この介護休業制度の内容それ自体まだ民間におきましてもさまざまでございますし、またその内容等につきましてのいろいろ問題点もあるところでございますので、そういう問題点も十分に調査、把握をしながらこの問題について検討してまいりたいというふうに考えております。
○日下部禧代子君 今のお言葉、逆らうようでございますが、やはり男性のお言葉だなと。実際に老親の介護に当たっている女性でございますとそういうお答えは出てこないのではないかということ、これは私見でございます、お答えいただかなくても結構でございます。 今のお答えによりますと、このILOの百五十六号条約の批准につきましては、まだまだ我が国におきましては時期尚早ということでございましょうか、批准というのは間近だというふうに考えればよろしいのでございましょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) この条約と国内法制との整合性につきましては、引き続き検討を続ける必要があるわけでございまして、現在の段階でそのような時期を申し上げられるような段階にまで至っていないということでございます。
○日下部禧代子君 同僚の糸久議員も何年前でしたかしら、同じような御質問をなさいまして同じような御答弁をいただいているというふうに私議事録を読みました。どういう理由なのかを明確にしていただきたいというふうに思いましたけれども、きょうもちょっと空振りだったような気がいたしますが、またこれは続けていつの日にか聞かせていただくと思いますし、また後から御質問なさいます他党の皆様も御質問なさるかもわかりませんから、この問題に関しましては今までの御答弁で私今我慢いたします。ありがとうございました。とても我慢できない方がいっぱいいらっしゃいます。そのことをどうぞお心得おきくださいますように。 さて、次の質問に移りたいと思います。 我が国でも女子差別撤廃条約を一九八五年に批准しております。この条約を批准するために制定された、形の上ではされたわけでございますが、男女の雇用機会均等法がございます。男女雇用機会均等法が施行されましてからちょうど五年になります。多くの女性が期待をしておりましたほど男女平等は残念ながら進んでいないように私は受けとめるわけでございます。 例えば、労働基準法では適用されなかった募集の段階、採用の段階ではこの雇用機会均等法というものが非常に大きな力を発揮するのではないかということではございましたが、依然として、過去との程度の差はございますけれども、進捗を全くしていないということではございませんが、期待したほど募集の場合でも差別というのは完全に撤廃はされていないように思いますし、また女性の勤続年数というものが急速に長くなったというふうにもとることは難しいように思います。また雇用管理の形態におきましてもコース制というものがございまして、実質的には男女平等というふうにはなっておりません。また賃金におきましても、男女の格差というのは依然として男性の半分というのが現実だというふうに、これはもう皆様方御存じだと思います。労働省の毎月勤労統計調査、平成元年度によりますと、一人平均月間の給与額というのが男性が四十二万九千九百十一円に対しまして女性が二十一万六千四百二十六円でございます。半分でしかないわけであります。 大体この雇用機会均等法は通称でございます、御承知のように。勤労婦人福祉法の一部改正でございました。正式に言いますと、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律という長い題名でございまして、いわゆる雇用機会均等法というふうに通称で言っているわけでございまして、これは勤労婦人福祉法の一部改正という法律であったわけでございます。したがいまして、その法律というのは旧法の基本方針というものを受け継いでいるように思われまして、男女の役割分業を根本的に改めようとする姿勢が不十分と言わねばならないというふうに私は思います。 また、この雇用機会均等法では一定期間を経て見直すべき旨の規定が国会の審議の中で盛り込まれている過渡的な法律でもございます。今回男女ともに育児休業を認めるという法律が出されたことでもあります。この場合、雇用機会均等法につきましても本当に男女の平等を図る法律にするとともに、現在努力義務になっている規定というものを禁止規定にするなど見直しを図るべきときが来ているように私は思うのでございますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。 男女雇用機会均等法、昭和六十一年四月一日施行以来いろいろ御指摘いただきながらその功罪についての御説明をいただき、そしてまたこれが見直し等についてのお尋ねでございます。 私どもも決してこれが十分な成果を上げておりますとは判断いたしませんけれども、御案内のとおり、男女のいかんを問わず求人が増加をしてまいった、あるいはまた女子職員のいわゆる女子職域が拡大をした、あるいはまた具体的に女子管理職者がふえてまいりましたと、あるいはまたそのほか、いわゆる男女別制と申し上げますか定年制などが是正をされてまいりつつございます等々、そのほか雇用管理に関しまして、もろもろ各企業で努力が顕著に見えてきておると、さような判断をいたしておるものでございまして、いわゆる雇用機会均等法の趣旨に沿った企業が目に見えてまいりましたと、かように考えまして、言うなれば法の趣旨は着実に芽生えつつあると、あるいは浸透しつつあると、こういうふうに評価をいたしておるところでございます。 もとよりお断り申し上げましたように、これで決して十分なんて満足した気持ちは持っておるわけではないんでありまして、そういう努力を続けてまいりたいと思います。殊にまた、一部の企業におきましては問題のあるところも残っておるわけでございまして、労働省といたしましては、引き続き法の趣旨徹底を図り、そしてまた問題のある企業に対しましては強く指導し、中でも全国の婦人少年室などを通じまして指導、援助に努めてまいりたいとさように考えております。 なおまた、先生がお触れになりました法令の、いわゆる規定についてのお話でございますが、法の施行状況の的確な把握に努めることも大事だと思います。今施行いたしまして五年でございますが、必要に応じまして絶えず反省、回顧しながら、そして検討するべきところは率直に、そしてまた前向きで反省を加えてまいり、法施行後五年というところでございますから、法の一層の定着にこの段階では努めてみたいと、かように考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 それでは、今抜本的にこの法律を見直すというふうなことではなく、もう少し経過を見ながらこの法の趣旨が浸透するのをお待ちになるという姿勢というふうにとらえてよろしいのでございましょうか。
○国務大臣(小里貞利君) もろもろ国民世論をして御指摘いただくところは謙虚に是正に努めながら、そして一層現法律の定着に努めたいと、かように考えております。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 それでは具体的に、この点はどうかという点を二、三挙げさせていただきまして、お答えをいただきたいと思います。 男女雇用機会均等法の第七条、第八条でございますが、これは募集、採用、配置、昇進についての項でございます。これは努力義務しか課していないわけでございますが、男女が募集、採用、配置、昇進それぞれの段階におきましてひとしく機会を得るためには、これを禁止規定とした上で、その実効を担保する必要があるというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 募集、採用、配置、昇進の問題でございますが、これらの問題につきましては、均等法制定時におきまして、女子の就業実態、職業意識、さらに女子の就業に関する社会的意識等の我が国の社会経済の現状を踏まえたものであることが必要であるとして、将来の勤続年数を念頭に置いて雇用管理を行っているこれらの分野について努力義務規定にすることが適当であるというふうに、その当時判断されたわけでございます。 自来、労働省で実施した調査によりますと、この均等法の施行を契機といたしまして、男女を問わない求人の増加でございますとか、女子の職域の拡大でございますとか、募集、採用、昇進、配置等におきましても、男女の機会均等取り扱いというものが進んでいるわけでございます。 先ほど大臣が申し上げましたように、一部の問題のある企業も残っているところでございまして、法の施行状況等、実態を十分に把握させていただきました上で、慎重に検討を行ってまいる必要があるというふうに考えております。
○日下部禧代子君 次に、男女雇用機会均等法では、事業主と労働者の紛争の解決を図るために調停委員会というものが設けられております。しかしながら、この権限が弱く実質的には女性の権利が守られているとは言いがたいわけでございます。せっかく全国の四十七都道府県に設置されているわけでございますから、その機能及び権限を強化するように考え、何かまた適切な改正をするということはできないわけでございましょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 紛争解決を図るための機会均等調停委員会、この制度は女子労働者と事業主との間の紛争を本格的に解決するために置かれているものでございまして、実質的に女子の権利を守るということを目指すものでございますが、この女子労働者と事業主との間の紛争の解決につきましては、こういった調停による解決のほかに、当事者間の自主的な解決あるいは都道府県婦人少年室長によります紛争解決の援助を規定しているところもございまして、調停制度の存在自体こういった自主的な解決とか、あるいは婦人少年室に対する紛争解決の援助が求められた場合の迅速かつ円満な解決を促進しているというふうに考えておりまして、その効果はやはり大きなものがあるというふうに考えているところでございます。この調停委員会の存在につきまして、私どもはなお今後ともあらゆる機会をとらえまして、周知に努めてまいりたいというふうに思っております。
○日下部禧代子君 それでは最後に、大臣に御所見をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 今回、今論議されております育児休業法案というのは、ただ単に女性のためだけではなく、つまり女性のみ家庭と仕事の両立を求めるのではなく、男性に対しても家庭と仕事の調和というものをきちんと本当に調和しているのかということを問い直しているわけでございます。働きバチだとか、会社人間と言われるような生活が果たして人間らしい生活なのかどうか、そういうことを見詰め直すということでもあると思います。女性が家事、育児という役割にのみ固定されている社会において、男性もまた全人間的な真に豊かな生活というものは約束されないのではないかというふうに思うわけでございます。 育児休業の法制化というのも、そうした社会の本当の意味での豊かな社会の実現に向けた意識あるいは価値観の転換、そして社会システムの整備というものの第一歩だというふうに私は受けとめております。しかしながら、この育休法が本当にその趣旨、さらにきちんと実効あるものになるためには、とりわけ男性の意識の変革というものが大前提であろうかと思います。でなければ、育児休業はやはりまた女性のみがとるということになって、役割分業がかえって固定化してしまうということも起きてくるわけでございます。 その点も踏まえて、男性でいらっしゃる御自身のお気持ちもお加えくださいまして御所見を承りまして、私の質疑を終わりたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 男女の伝統的な役割と申し上げますか、その分担意識、これはもう現代基本的に改革いたさなけりゃならぬ、これはもうおっしゃるとおりでございます。同時にまた、これを社会的に支援する一つのシステムの問題もお聞かせいただいたところでございまして、ごもっともな御提言であると思います。ただ、個人のみならず、あくまで企業あるいは国等さまざまなレベルでシステムづくりが必要である、これももう私どもそのとおりだと思う次第です。 ただ、ちょっと仕事と家庭との調和のあり方としては、基本的にはやはり個人が主体的に選択して、それだけの目覚めと申し上げますか、自覚、そしてまた努力することによりまして築き上げられていくべきものであろうと、まず家庭にその一つの原点といいますか、土壌があるし、また自主性にあるとも言いたいし、そういう意味で、前段で申し上げましたような社会的な一つの支援のためのシステムづくり、これも必要であろうと思います。 労働省といたしましては、男性女性の別を問わず、働く人がその希望により仕事と家庭との調和を図る、そしてそのような基盤を整備してあげる、整備を推進する、これはもう当然のことでありまして、家庭における男女の協力と分担が当然という意識の醸成を努めていかなけりゃならぬ、こう考えております。また、多様なニーズに応じた育児や、先ほどちょっとお聞かせいただきました介護の問題等につきましても、支援対策あるいはゆとりのある家庭生活を送るための時間的な確保の問題等先刻来いろいろ御議論があるところでございまして、私どももその方向で努力をいたしておるところでごさいます。 なお、先ほど若干申し上げました役割分担意識の変革は重要な課題であると考えておりまして、労働省といたしましても、婦人週間などを初めあらゆる機会に啓発、助言に努めてまいっておるところでございます。
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
○木庭健太郎君 私も四党共同提案いたしました野党の発議者の一人でもございます。また、小委員会の中で論議を重ねてまいりまして、ようやく労働者の権利として育児休業を法制化するということに至ったことについては素直に評価いたします。 ただ、出てきた法案の中身を見たときに、午前中から論議になっておりますけれども、最大の問題である所得保障の問題について、なかなかというか一歩も出てこない。罰則の問題はもちろんあります。不利益取り扱いの問題もある。もうある意味ではさまざまな問題を抱え過ぎているような気も正直いたしまして、大臣もこの法案について、これは第一歩だというふうに午前中おっしゃっておりました。やはりまだまだこれをやるには難しいところがあるなという気もいたします。 私たちは、というより私自身思うのは、どうせ第一歩を踏み出すならば偉大な一歩を踏み出していただきたいな、そこから始めなければ、実効性のないものをやってしまえば、つくったものに魂を入れないような結果にもなるんじゃないかというふうに私自身は感じます。大臣も就任早々こういう大きな問題に携わり、意見の対立する中で一生懸命やってこられたと思いますけれども、今の気持ちを素直に少しお聞かせ願えればと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 大分先生は、もう大分どころでないこの問題につきましては深い御研究をいただいておる立場でもございますが、しばしば本会議等を通じましても申し述べてまいったところでございますが、今日国民内外の世論は、育児休業法の制定につきましては極めて期待感を持ちながら見守っておるところでございます。殊に参議院の過日における深い御論議の経緯等もございまして、中でもこの法制化は今次国会で実現するべく努力をしなさいという御要請も本委員会からはいただいておるところでございまして、私どもはそういうあらゆる角度からの要請にこたえるべくこの法案の準備を急いだつもりでございます。拙速はもとより慎まなければならないところでございますが、労働省は労働省としての責任ある立場におきまして従来各般の論議を進めてまいっておりましたいきさつも私も大臣就任と同時にいろいろと見聞をいたしたところでございます。 いよいよ先月の二十九日でございましたが、国会へ提出となったわけでございますが、これが決して私どもは、ある意味では完全無欠な法案でございますなんていう気負いは持っていないつもりです。責任ある行政機関として上程する以上は、これは立派なものであります、そして責任が負えます、そして国民の期待にこたえられるものでありますと、こう言わなければならぬということは十分自覚もいたしながらこの上程をいたしたつもりでございました。 なおまた、ただいま先生御理解いただいておりまするように、中を見ていくといろいろな面において我々の期待に対して乖離を見るところがある、そういうお話でございまして、私も決してその御意見を正面から否定するものでもございません。先ほど申し上げましたような諸般の厳しい、時間的なあるいはまた実質的議論の多面にわたったあの雰囲気の中におきまして、どういうふうに要約をするかという過程においてあの実情から見ますと、今次上程いたしましたものは、一応精いっぱい国民の前に労働省は、政府は汗をかいて期待にこたえようとしているんだなということはお認めをいただけるのではないかとも私どもは思っておるところでございます。 第一歩であるというお話でございますが、なるほど私どもはこれを大事な一里塚にいたしまして、これから皆様方の深い御理解によりまして法律とし、制度とし、行政として国民の前に公式の事業展開をせしめていただきまして、そしてその過程におきまして皆様方の論議を中心に、あるいは広く国民の各界各層の特に労使双方諸君の切磋琢磨を強く期待も申し上げておるところでございます。 いろいろただいま御指摘をいただきました問題点の中につきましても、全知全能を絞って検討いたした次第でございますけれども、そのような厳しい諸事情下でございましたので、ぜひひとつその私どもの気持ち、そして願意のあるところもお酌み取りいただきまして、せっかくの皆様方の機関と申し上げましょうか、国会の重要な要請におこたえいたしましてお出しいたしました法律でもあることをお考えいただき、よろしく聡明なる御判断をいただきたい、かように申し上げる次第でございます。
○木庭健太郎君 汗をかかれたとは思います。ただ実質的に、つくったとしても実効性がなかったらどうなるんでしょうかということはいつまでたってもぬぐい去れない事実でございます。 その問題ばかりやっているといけませんので、まずちょっとお聞きしておきたいんですけれども、現行の育児休業制度について、これまで既婚女子労働者の生活実態調査というのがございまして、その中で少しアンケートをとっていますし、また企業に対しての実態調査というのも労働省はやっていらっしゃるようですけれども、実際にこの育児休業制度を取得した人たちの声をきちんとアンケートをとるなり、この法案をつくるに当たって何かやられたんでしょうか。
○説明員(藤井龍子君) 今先生御指摘なさいましたとおり、既婚女子労働者の生活実態調査の中で若干の調査をしてございますが、現在のところ全国的に業種をなべてといいますか、統計的に実態調査を労働者の方々にしたものは私どもはございませんが、審議会等におきますヒアリングの機会あるいは私ども育児休業制度導入のためのさまざまな普及促進事業を行っております。その中で育児休業を取得された方の御意見を承っていろんなパンフレット、資料等をつくってございます。そういう機会を通じて育児休業を取得された方々の実態は把握しているところでございます。
○木庭健太郎君 私はこの制度というか、この制度を法に変えるときに、一番大事なそういう現場の人たちの意見をどれだけ多くとっていって、そういう人たちが何を感じ、一体どういう法を望んでいるのかというのを率直に聞くべきだと思うんです。 これいただいたんですけれども、東京都の品川労政事務所ですか、そこが「ざ、育児休業のすべて」というので、育児休業制度の意識・運用実態調査やっています。これ少し見たときに一番感じたのは、利用する際の不安で、最も多かったのは休業中の収入の問題でございます、五八・六%。この制度について、育児休業制度のデメリットは何かというと、圧倒的に多かったのは家計苦と、これが四三・一%、所得保障の問題を一番に挙げているようでございます。 生の声もありますんで、せっかくの機会ですから読ませていただきます。三十一歳、勤続三年、子供一人の方ですね。「収入がゼロなのに毎月保険料と年金を何万円も払うので、ものすごく大変だった。二人で働いていたペースでお金を使ってしまう。」。今度は三十歳、勤続十二年、子供一人の方、「育児休業制度は、とてもいいと思いますが、社会保険料を毎月支払いに行くことが、家計にひびいていたので、これで、会社を辞めた人を何人か聞いているのでなんとかしてほしい。」。もう一人、三十七歳、勤続十九年、子供二人、「休業できたのは、ある面では良かったと思いますが復職後の返済金額が多額のため、しばらくは低収入で、みじめでした。」と、これは企業がそういう形でお金を貸しているケースなんですけれども、実際にこういうことがあるわけです。 こういう率直な声に対して、労働省としてどう認識されますか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘受けまして、私もこの品川労政事務所が作成した「ざ、育児休業のすべて」というものに目を通させていただいたところでございます。 メリット、デメリット両様評価をいたしているわけでございまして、デメリットとして先生お挙げになりましたが、またメリットといたしまして、子育ての満足感が得られる、六三・八%、継続就労への励みになる、五八・六%など、いい面も評価していただいていることは、法案化のために非常に私ども力強い限りだなというふうに思っております。 確かに、休業期間中の労働者の経済的援助の問題につきましては、いろいろと御意見があるということは私ども十分に承知をしているわけでございますけれども、他方におきましてこれに相反する意見も見られるところでございまして、このように意見、見解の違いの見られる中ではなかなか一定の方向を定めることは困難な状況にあるというふうに考えております。
○木庭健太郎君 それはメリットがあるから私たちもきちんと野党で共同提案して、やりたいということで法案出しているわけですよ。今回、政府案が出た中で、どこが問題なのか、所得保障は一番大きいでしょうと、実際声として出ているわけでしょう。それを本当にしっかり認識してもらわぬと困るわけですよ。そういう声を踏まえないで、それは確かに審議会でいろいろな意見が出たでしょう、出ることも結構です。でもその前に、実態としてそういう意見をきちんと聞けということを言いたいわけです。 企業で現在、育児休業制度をやっていて、有給のところというのはありますか。
○説明員(藤井龍子君) 有給というお尋ねの御趣旨がちょっと正確に私どもとらえてお答えできるかどうかあれでございますが、昭和六十二年度に私どもで育児休業制度実態調査というのを実施してございます。これによりますれば、社会保険料労働者負担分を全額事業主で負担されているものが二三・〇%ございます。それから一部負担されているものが一八・六%でございます。それから、このほか事業主が立てかえ払いをしているという形のものもございまして、これが二九・六%になっているところでございます。
○木庭健太郎君 この使用者側委員の方の意見、三項目目を読みましたら、「労務の提供が行われないにもかかわらず賃金若しくは類似の支給を企業に義務づけること、あるいは雇用関係が存続し、また、任意性のある育児休業に対して保険ないしこれに準じた制度を設けることは、必要がない。」と、使用者側意見でございますね、これ。でも実質使用者の中には、労使協定もちろんあるんでしょうけれども、自主的にこういう有給やっているところはあるわけですよね。これについてはどんなふうに考えられますか。
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘のとおり事業主が、例えば社会保険料の労働者負担分を負担しているというケースがございます。私どもといたしましては、労使で育児休業を育てていく中で事業主にもいろんな形でメリットのある制度でもありますし、労使間で話し合いをされた上で十分話し合いを尽くされて適切に対処されて社会保険料相当分を払うというやり方をするのも一つの道であると、こういうふうに認識いたしております。これを法律とかあるいは指導とかということで枠組みをつくるということは適当ではないのではないかというのが私どもの考え方でございます。
○木庭健太郎君 ちょっと話を変えまして、午前中から一・五七という合計特殊出生率の問題が挙がっていまして、自民党の木暮先生からそういう問題が出てきた中で、この育児休業は大切だというようなお話がございました。労働省として、この少子社会というのですか、こういう問題について労働行政なり労働環境なりと何かこの一・五七という少子社会の問題が密接にかかわりあった部分はどんなところがあるのか、全然関係ないのか、関係あるならばどういう問題なのか、もしそういうので御意見があったら伺っておきたいんですけれども。
○政府委員(高橋柵太郎君) 出生率の低下の問題でございますが、最近の出生率の低下は主として二十歳代女子の未婚率の著しい上昇によるものであるというふうに承知をしております。 なお、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議というものが政府部内におきまして平成三年一月に取りまとめました「健やかに子供を生み育てる環境づくりについて」というものにおきましては、出生率の低下をもたらした要因として、女性の社会進出に伴い、女性の経済力が向上し、また、独身生活の楽しみが増大してきたのに比べ、結婚、育児に対する負担感が重くなってきているということが挙げられているところでございます。
○木庭健太郎君 そうすると、この問題は余り労働行政とは関係ないという認識なんですかね。働く環境の中でも、例えば今こういう問題が起きたときに変えていかなくちゃいけない問題があるんじゃないかというふうな認識は全然ございませんか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 言葉が少し足りないかと存じますが、子供を産み、あるいは何人産むと、これは個人の価値観によるものでございまして、直接行政的にこれに云々することには限度があるわけでございます。 しかしながら、現実に理想的な子供を何人産みたいという御本人たちの御希望がありながら、実際に子供の数というのはそれをかなり下回っているわけでございます。それにはいろいろな要因なり環境があるわけでございますので、私どもはそういう環境、十分に育児と両立をしながら仕事も続けられる、仕事をしながら育児もできる、そういう環境づくり、環境整備に努めていくことが私どもの課題であるというふうに考えているところでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ人手不足の問題も午前中挙がっておりました。労働省としてこの人手不足の問題は深刻な問題だととらえられているんだと思うんですけれども、特にその中で女子労働力の問題というのも非常に大切な問題だというふうに認識されていると思うんですが、その辺をちょっとお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(若林之矩君) 最近の雇用失業情勢を見ますと、景気の持続的な拡大を背景といたしまして求人が堅調に推移いたしておりまして、有効求人倍率は大変高い水準でございまして一・四倍台でございます。また、完全失業率も低い水準でございまして二%というような状況でございます。 こうした中で労働力が不足する事業所の割合が増加をいたしておりまして、特に中小企業を中心に人手不足感が広がっておるわけでございます。今後につきましても、今お話しございました最近の出生率の低下を反映いたしまして、労働力人口の伸びの鈍化が予想されるわけでございまして、基本的には人手不足基調で推移していくものというふうに見込んでおるわけでございます。したがいまして、労働力の確保という問題は中長期的かつ構造的な課題として対応していかなければならない問題だ、こういう認識でおります。 女性の就業環境の整備を図るということは、まず何よりも女性の方々の社会参加に対する意欲を実現していくということであるわけでございますが、あわせて労働力を確保して我が国の活力ある経済社会を維持していく、こういう観点からも極めて重要なことであるというふうに認識をいたしております。
○木庭健太郎君 総務庁の方にお伺いしたいんですけれども、この前、本会議のとき、特定職種の育児休業法というのは、できた背景、それからいろんな要因も今回の育児休業法とは違うんだというようなことを、たしか総務庁長官がおっしゃったと思うんです。 ぜひちょっと確認をしておきたいんですけれども、これは一応議員立法ですが、総務庁として、この法案ができたのはどういう社会的背景があって、なおかつこれについて社会保険料に見合う給付をしていますよね。これはどういう背景からしているのかというのを簡潔によろしくお願いします。
○説明員(畠中誠二郎君) 現行の特定職種を対象とする育児休業法は、先生御指摘のとおり議員立法でございまして、また当庁の所管ではございませんが、総務庁の認識をお尋ねでございますので、私どもが理解している範囲でお答えさせていただきます。 まず、現行の育児休業法の制定の趣旨でございますが、義務教育諸学校等の女子の教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の職務の特殊性等にかんがみまして、これらの者について育児休業に関する制度を設けることにより、これらの職場において重要な役割を担う女子教育公務員等に必要な人材を確保し、もって我が国における教育、医療あるいは社会福祉の水準の維持を図るという政策目的から現行法が制定されたものというふうに理解しております。 次に、育児休業の期間中の給与の点でございますが、現行の育児休業法でもノーワーク・ノーペイの原則から無給とされております。ただ、現行法の附則で「必要な給付を行うことができる。」とされておりますのは、教育、医療等の業務に不可欠な役割を担う女子教育職員、看護婦等の人材を確保し、もって教育、医療等の水準の維持を図るという本法の目的を達成するための政策的な配慮から、ノーワーク・ノーペイの原則を貫きつつ、特例的に当分の間の措置として設けられたものというふうに理解しております。
○木庭健太郎君 ありがとうございました。 本当は、こんな少子社会の問題とか人手不足の問題は聞きたくないんですよ。本来なら、育児休業というのは労働者の当然の権利であるし、そんな要素なんかなくたってきちんとやるべき問題だと私は考えるわけです。ところが、実際に現段階に至って使用者側からは、そういう労働者の権利というものに対してはなかなか認識を得られていないという現実も事実あるわけです。その現実を私は踏まえないといけないと思います。 それならば、一定の方向はいろいろ見出せないかもしれないけれども、私は労働省としては、これから本当に人手不足になるんです、もっとひどくなるんですよ、少子社会の中で大変になるんですよというのを、労働者を守る側の労働省が使用者に対して声を強くして訴えるのが本当だと思う。特に人材確保という問題がこれからどんな職種でも大切になってくるわけです。かつて特殊な職業についてそういう問題がございました。でも、今あらゆる職業、特に中小企業なんかどこでも人手不足だとおっしゃっている。そういうところに人材を確保するためにも、こういう制度がなかったらもう今や人は集まりませんよと、そういうことを労働省が先頭に立って、逆に言えば訴えていくべきだと思うんです。それをやらなけりゃ、幾らたっても実効性なんてできないと私は思うんですよ。 特に実効性確保の意味では、先ほどから言っておりますけれども、これは最低限の話ですが、今の特定職種の育児休業法と同じだけの社会保障部分というのは何が何でも確保しなければ全く実効性がないですよね。その辺についての御見解を、午前中も聞いておられましたけれども、再度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 私どもが日ごろ労働行政を進める上におきまして、最も重要な、基本的なところをただいまお聞かせいただいておるところでございます。 午前中の質問者に対してもお答え申し上げたところでございますが、端的に申し上げまして、経済大国から生活優先へ、あるいは産業優先の時代から労働力尊重の時代へと、これが私どもの最も基本的な認識のよりどころである、こういうふうに私どもは自覚をいたしておるつもりでございます。したがいまして、昨今のもろもろの施策を進める上におきまして、私どもは世論政治でございますから、行政はまたアンフェアであってはなりませんから、各界、各層の御意見を謙虚にお聞きしなけりゃならぬ、こう心得ております。 中でも、他の行政と若干立場を変えてと申し上げてもあえて私は言い過ぎでないと思うんでございますが、私ども労働行政というのは何と申し上げましても六千万、その中のいわゆる就労者五千万、これを大きなベースに置いて政策を進めていかなければならぬわけでございますから、先生のお尋ねの中で言葉として申されましたように、勤労者の立場に立つ、主体的にその仲間の一人である、この使命感というものが一番重要だと、私は本当に非力でございますけれども、そのような心得で対処させていただいておるつもりでございます。 申し上げるまでもなく、今日のこの育児休業法案作成の過程におきましても、私のみならず労働省の幹部職員は、そこを一つの基調に置きまして汗をかいていただいた、本当に苦労いただいたとかたく信じております。しかしながら、そういう観点から作業を進めていく上におきまして、各界、各層の意見も耳しげく、足しげく出てまいりましたが、最も私どもが一歩下がって聞こう、あるいは断固勇気を出してひとつ相手の意見を矯正していこうと心得たのは、今先生がおっしゃったある意味では経営者の諸君であります。私は、そのような一つの却退をして勇気を失っちゃいかぬ、きちんとけじめをつけるところはつけて最大にそのサイドの譲歩を求めなければ、この種のお互い見解がさまざま対峙しておる背景のもとに一つの作品というものはできないと、こういうふうに、世の中の動き、あるいは手続の原理も知っておるつもりでありますから、でき得る限りそういう面は私どもが身近な話しやすいところから説得に努めた、あるいは理解を得るために努めたつもりでございます。 なおまた、この機会に申し添えさせていただきますが、そういう一つの背景もございますので、さらにまた参議院におきまする論議の審議の経過もございます。それぞれ御意見をお持ちの各位様でございますが、そしてまたこの問題については達見した御意見をそれぞれの立場でお持ちでございますが、どうかひとつこの際、一つの作品をつくるために大乗的な立場から、お互いに歩み寄っていただけるものであれば大変ありがたいなと、こういうような気持ちも念じておるところでございます。
○木庭健太郎君 踏み込んだ御意見だと理解しておきます。 ただ一点、午前中も論議しましたけれども、労働者が休業中に逆に支払いを続けなくちゃいけないという社会保険料負担の問題、この問題だけは、先ほど午前中の大臣の答弁を聞きまして、私が聞いた限りでは、心情的にこの問題について理解できるとおっしゃいました。そして、歩み寄れるものがあればよくよく相談しながらぎりぎり対応しなければならないというお答えをされています。これでよろしいですか、確認させておいてください。
○国務大臣(小里貞利君) これは糸久先生に対してはちょっとお許しいただきますが、午前中の糸久先生の御質問、幅広くいろいろございました。そしてまた、論旨を、発言の目標を幾つか置いてお尋ねいただいたわけでございまして、その質問、答弁の流れの中の一部として私が申し上げましたこと、事実でございます。 どうかひとつ、その前後を今ここで再び繰り返すことはまた時間の都合もこれありどうかと思いますが、私が申し上げておりまするのは、まず休業中の経済的負担等についての強い力説がございました。それに対応いたしまして、いろいろそのことにかかわる国会内外の世論等も十分私どもは参酌いたしたつもりですと、端的に言って賛成反対さまざまありましたと、しかしながらそういう中において心情的には糸久先生の御指摘になったことは私は個人としては理解できないではないと、そういう意味のことを申し上げたことも事実であります。 しかしながら現段階においては、その辺の調整作業をして一本化した妥結を見るに至らなかったので、ああいうぎりぎりのものを出させていただいた次第ですと、こういうふうにも申し上げました。あるいはまた、その後賃金及び社会保険料等負担云々については、直結してお答え申し上げることはできませんけれどもという、また前置きで私の気持ちを申し上げた次第でございまして、さらに私が発言いたしましたその背景については、またこれからいろいろ各位の論議によって整理していきたいと、かように考えております。
○木庭健太郎君 済みません、同じ問題で何回も。 ちょっと話変えまして、今回労働省が中小企業の人材確保法、略称ですけれども、これを出された背景はどういう背景でしょうか。簡単にお願いします。
○政府委員(若林之矩君) 中小企業の中長期的な需給の問題、先ほど申し上げたとおりでございまして、中小企業が労働力を今後確保していきますためには、国民のゆとりと豊かさ志向の高まりを反映して変化している就業者の方々の意識に対応していくことが必要でございまして、大企業に比しておくれております労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生の充実等の雇用管理の改善に取り組みまして、魅力のある職場づくりを進めていくことが重要であると、こういうことが基本的なあれでございます。 これに対しまして、労働力の確保を図るために中小企業者が行う雇用管理の改善にかかわります措置について、労働大臣及び通産大臣が作成しました指針に沿って計画の認定を受けた事業協同組合等及びその構成中小企業者に対しまして、財政上、金融上、税制上にわたります総合的な支援措置を講ずるということで、ただいま先生御指摘の中小企業労働力確保法を提案させていただいているところでございます。
○木庭健太郎君 そうすると、労働省としては、中小企業というのは今福祉とか制度とか、そういう面をもっともっと充実していかないと人が集まらないなと、人手不足倒産の問題も出ていますし、そういった面をまず充実することが必要だと考えていらっしゃるわけですね。
○政府委員(若林之矩君) 例えば、若い方々の意識というものを調べてみますと、やはり週休二日制があるかないかということが仕事につくのの大変大きなファクターになっているというようなことでございます。職場環境も福祉施設もそうでございまして、そういったものを整備して魅力のある職場をつくっていくということが、何よりもまずそこで働かれる方々の福祉の向上でございますけれども、これがひいては中小企業の人材確保のための大きな問題点である、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
○木庭健太郎君 そうすると、そういうことを一方でやろうとして、今回の育児休業法では中小企業を外すんですよね。何か同じ労働省内の政策であって矛盾するんじゃないですか。育児休業制度というのは、福祉の面でも最も要望の強い一つなんですよ。それを中小企業はやらないと。もう一方では私たちに法案出してきて、中小企業はそういうものが要るんだと、ぜひこの案通してくれと。言っていることとやっていることが二つの法案並べたときに相矛盾しませんか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の育児休業法案におきましては、育児休業の取得ということが労働者だけの申し出に係りまして成立をする、取得し得るという制度でございますので、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所のようなところにおきまして育児休業が直ちに認められる場合には、雇用管理の面において種々の困難が予想されるということで、準備期間として三年間の適用猶予措置を設けたものでございますが、この間におきましても、なるべく早期に制度の確立をすることは必要でございますので、私どもといたしましては指導、援助を十分にやってまいりたいというふうに思っておりまして、必ずしも中小企業人材確保法案の国会提出と逆行するものではないというふうに私どもは理解をいたしております。
○木庭健太郎君 私は納得がいきません。こういう育児休業法をやるときは、制度的に中小企業がとりやすいような制度を先に充実してやることが一番の先決課題ですよ。もう前々からずっと何回も論議されていますから、それこそ繰り返し言います。何回でも私は言っておきます。そうしなかったら三年間おくれるんですよ。またこの三年間に中小企業と大企業の格差が開くんですよ、人の問題でも、人材集まらないわけですから。本当に一貫した政策やられるならば、私は発想として、確かに難しい面があるならば、その難しい面に対してどれだけ補助してやるかということを逆に考えなければいけないと思います。これは要望というか強く要請をしておきます。 こういう問題を話してしまって、中身に入る時間が余りなくなりましたが、何点かちょっとお聞きします。今度は法案そのものの問題でございます。 今回の育児休業法案を見まして一番感じますのは、具体的内容がどちらかというと省令に委任している部分が幾つも幾つも出てくるんですよね。非常に多いと私は感じます。だから、内容を吟味する以前に、こんなふうに省令事項ばかり多くなった理由というのは何かあるんですか。
○説明員(藤井龍子君) お答えいたします。 今回の育児休業等に関する法案では、育児休業の申し出など、その他手続的に定める必要のある事項が大変多いものですから、労働省令をたくさん設けるという形になっているわけでございます。しかしながら、労使協定で定めることができる休業申し出のできない労働者の範囲などにつきましては、非常に重要なものでございますので、その適正及び公平性を担保するために公労使三者構成の婦人少年問題審議会の意見を聞くということに法律上なっているところでございます。
○木庭健太郎君 そうすると、この省令あるいは指針というのもありますけれども、この内容はいつ明らかにされるのか、また審議会への諮問というのはいつごろをめどに行うのか、わかれば教えてください。
○説明員(藤井龍子君) 法律を成立させていただきますれば、今後できるだけ速やかに明らかにできるように努めてまいりたいと思っております。労働省令のほかに労働大臣が定める指針、これも婦人少年問題審議会の審議にかけるということになっておりますので、成立後速やかに審議会を開催してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○木庭健太郎君 そうはいっても、少し確認しておかないと何が一体でき上がるのかわからないし、具体的にちょっと何点か聞きます。内容です。 本法律案の三条一項ですけれども、雇用期間が一年に満たない者等については、労使協定により育児休業の申し出を拒むことができるとされています。第三号には「育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として労働省令で定めるもの」についても申し出を拒むことができるとされています。この「省令で定めるもの」というのは一体どういうものを指すのか、教えてください。
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘の三条一項三号でございますが、これはいわば二重のチェックがかかるわけでございまして、審議会の意見を聞いて労働省令で定めるということで範囲を確定するとともに、労使間の協定でもその除外をチェックする、こういうダブルチェックの機能になっていると思います。 具体的に三号でどういうことを規定するかということにつきましては、やはり合理的な理由があるものであって、審議会の御納得を得られるようなケースが実際上生じ得るかどうかという点もございますので、法律を通していただいた後審議会に諮って決めたいと思っております。現段階では具体的にどういうケースということまでは持ち合わせておりません。
○木庭健太郎君 そうすると、次に移りますけれども、例えば雇用期間一年未満の労働者であっても、実際の育児負担は一年以上雇用されている者と同じなわけですよね。そういった者たちに対して、第十条の規定に従った勤務時間の短縮等の措置の必要性というのがより高まると思うんですけれども、これらの者に対しては勤務時間短縮等の措置を当然受けることができるというふうに理解していいのか、十条の規定に関しても労使協定で措置の対象外とすることができることになるのか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(七瀬時雄君) まず基本的な考え方としては、十条の勤務時間の短縮等の措置につきましては、条文から明らかなように、日々雇い入れられる者を除き期間雇用の方々も含まれるということが原則論でございます。ただ、この法律全体の趣旨からいたしまして、労使間で合理的な協定を定めまして、それで一年未満の方について別の扱いをするということも、合理性が認められ協定でなされる限りは許容されるものである、このように考えております。
○木庭健太郎君 そうすると、今度は八条の問題で聞きます。 八条は、第一項で育児休業に関する事項を周知させるための措置、第二項で当該労働者に係る第一項の事項についての取り扱いの明示について、それぞれ努力義務規定が設けられております。ただ、ここにも第一項三号に「前二号に掲げるもののほか、労働省令で定める事項」というのが出てまいりますけれども、これは具体的に何を想定されているのかお伺いしたい。
○政府委員(七瀬時雄君) 同じようなお答えで恐縮でございますが、施行までの間に十分検討いたしまして審議会にお諮りすることになるわけでございますが、現在考えておりますのは、例えばの話でございますが、お子さんが仮に不幸にもお亡くなりになったことによって育児休業が終了した場合における取り扱いでございますとか、事業主が立てかえ払いをした社会保険料の決済方法とか、そういうようなことが頭の中に入っております。いずれにいたしましても、審議会の意見を聞いて省令をつくっていくということになろうかと思います。
○木庭健太郎君 この努力義務規定にかかわる育児休業に関する事項の中には、例えば具体的に私もちょっと聞いておきたいんですが、年次有給休暇の算定基礎と休業期間の関係とか、それから賞与と休業期間の関係とか、退職金の算定基礎となる勤続年数と休業期間の関係というようなものも含まれるというふうに理解していいんですか。
○説明員(藤井龍子君) また同じようなお答えになって恐縮でございますが、法八条第一項第三号の労働省令、ここで定める事項につきましても、今後施行までの間に十分検討をさせていただきたいと思っておりますが、先ほど審議官からお答えいたしましたように、子供さんが亡くなられたとき育児休業が終了する、そのときの取り扱いに関することとか、あるいは立てかえ払いをしたときの社会保険料の取り扱いとか、そういったようなことを考えられるかなと思っているところでございます。 それから、今先生御指摘なさいましたような事項いろいろございましたが、こういったようなものも第八条第一項第二号に該当することもあり得るのではないかと現在のところ考えているところでございます。 いずれにいたしましても、省令につきましては、公労使三者構成の婦人少年問題審議会にお諮りして、各方面の御意見も十分承りながら速やかに制定してまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 この八条の規定を見ていると、事業主というのは、ここに掲げてますけれども、せいぜい待遇、賃金、配置について周知、明示さえすればいいことになりますよね、この条文だけ読むと。だからこの条文というのは明示すべき範囲を定めているにすぎず、内容は問うてないのでありますから、これでは実質的に労働者が育児休業する権利を保障するかどうかというのがある面では疑問だと思うんです。しかもこの規定は努力義務規定でございますから、これでは育児休業中あるいは休業後の労働条件について、一つの見方をすれば何らの保障も設けないのと同じであるというふうにもとられます。労働者が育児休業しないように幾らでも低い労働条件を設定する可能性だってあると思うんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘のとおり、八条はそういう定めをするようなことを努力義務として設けておりまして、内容については労使自治の原則ということで規定していないわけでございますけれども、いわばこういう中身を明らかにするという形で育児休業をとりやすくするような雰囲気を醸成していくというのがこの規定の趣旨でございます。御指摘のとおり中身については触れておりませんけれども、育児休業に関連する諸条件が一括して労働者にわかりやすくなっておるということは大事なことではないかと思いましてこのような規定を設けたわけでございます。
○木庭健太郎君 だから、保障規定を設けなくてもということになっているやつは、労働省としてこの育児休業の法というか、制度を設けたこと自体で事業主の労働条件に関する裁量の範囲を制約することになっているというふうに思っていらっしゃるのかどうかちょっと聞きたいんですけれども。
○政府委員(七瀬時雄君) はっきり申し上げまして、内容について制約するということではございませんで、手続的な観点から育児休業に関連する諸条件を明らかにするという形で、それを通じてやがて労使間でいろいろな話し合いがなされて適切な処理がなされていくことを期待している、こういう趣旨でございます。
○木庭健太郎君 聞いていてやっぱりかなり厳しいものがあるなと思うんです。本委員会の小委員会の議論で、たしかそういう特段の規定を設けなくても制度自体を否定するような不利益取り扱いは許されないという考え方、これは自民党から示されたんでけれども、この制度自体を否定するような不利益取り扱いの内容というのは一体どこまで指しているのかというのが私たちよくわからないんですよ。 労働者が育児休業をしにくくしてはならないということと理解してよろしいのかどうか、どうでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘の問題、まさにケース・バイ・ケースの問題でございますので非常にお答えしにくいわけでございますが、育児休業の取得が全く不可能になるというような取り扱いがあるとすれば、それは制度自体を否定する不利益取り扱いになるわけでございますので、こういうものは許されないというふうに私ども考えております。
○木庭健太郎君 最後です。 そうすると、労働省にしても労働者が育児休業できないようでは困るというふうにきっと考えていらっしゃるというふうに理解しますと、今度は労働者の側にとってみれば、育児休業することによって不合理に差別されることがないというようにしてもらわなければ安心して育児休業がとれないわけですよね、それは明らかなんですから。この点は法律上明記する必要があると思うんです。特に原職または原職相当職への復帰とか、不利益取り扱いの禁止を何らかの形で法律上明記すべきだと考えますけれども、その点について大臣から聞いて終わります。
○国務大臣(小里貞利君) 先生のただいまの御指摘を決して否定を申し上げるものでもございません。そうなければならないと思っております。原職または原職相当職にふさわしく復帰していただきたい、それを私どもも全面的に念願いたしておるところでございます。 しかしながら、今次の法律案の中におきましてはそれを明記することができませんでした。私も残念に存じておりますけれども、そういう形で一応責任を持ちまして提出をさせていただきましたので、幸いにいたしましてこれが法律となり、執行、制度の段階に至ったときには、先ほどもいろいろ関係局長等がお答え申し上げましたように、これがまた具体的に手がたく厳正な執行を期するために婦人少年問題審議会等でも意見を十分聞くことになっております。これはまた先生も御承知でございますが、婦人少年問題審議会というのは私どもは非常に高く評価を申し上げております。それぞれの労使、そして公益代表の皆様方が顔を出しておいでになっておりまして、熟度の高い論議をいたしておられますから、このような関心を集め、次元の高い法律であっただけに、またその段階におきましても、政界あるいは経済界、労働界から、それらの審議が行われる機関に対しましても集中的にいろんな意見をお述べいただきますことを私どもは大いに期待を申し上げておるところでもございます。 ただいまお話がございました解雇以外の不利益取り扱いの問題等も、これは不利益な取り扱いがあってはならぬわけでありますから、労働省としてはその責任があるわけでございますので、指導なりあるいは勧告等を厳重にとり行って、そして万全を期していきたい、そういうふうに思っております。
○沓脱タケ子君 最初に、私は大臣に対して政治的な決意をお聞きいたしたいと思います。 育児休業制度の必要性あるいは法制化につきまして国民的な合意というのがやっと成立をしたと考えます。やっとといいますのは、今まで否定的な立場をとり続けてまいりました経済界のおくれた姿がやっと合意にたどりついたという意味でございます。しかし、ここまで来ればもう後戻りはないと思いますが、そういう点では大臣も御異論はなかろうと思います。 私は、大臣は大変よいときに労働大臣に御就任になられたと思うんですね。育児休業法の法制化などというまさに大きな節目といいますか歴史的なときに御就任になっておられますので、ぜひよいものにつくり上げていただきたい、そのことを願うわけでございます。 端的に言いますならば、玉のような子供ではなくても、せめて未熟児ではなくて普通の子供ぐらいの立派なものにつくってもらいたい、そういうことを願ってやまないわけですけれども、そういう点で大臣の御決意を最初に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 沓脱先生から大変有力な激励をいただきながらお尋ねいただいておるところでございます。先生のおっしゃるように、はっきり申し上げまして特定の経営者あるいは事業主等の意見に偏重しない最も公正な、そしてより多くの国民の皆様方の納得をいただける、中でも勤労者の皆さんに当面は若干しのいでいただかなけりやならぬところもあるかと思いますけれども、ああ平成三年のあの国会において、あの法案をつくってスタートしてよかったと、必ず早晩喜んでいただけるような法律に仕上げていかなけりゃならぬ、そういう私どもは気持ちを持っておるところでございます。 いわんや財界云々の話などは、私どもは勇気を出して、先ほども申し上げましたように、主体性を持って私どもの公正な行政は行政として説明をし、そしてまたそれ以上の無理を言うところは断固切り捨てて、そして皆様方の納得のいただきやすい法案の作成に努めたつもりでございまして、その点ひとつ御理解をいただきたいし、また沓脱先生御督励の精神に沿ってやることをお誓いも申し上げる次第です。
○沓脱タケ子君 余り大演説やってもらいますと、時間が短うございますので。 それで、法制化で国民的なコンセンサスを成立した。しかし所得保障だとか不利益取り扱いの禁止などという点を見ますと、財界だけが反対をしている。しかも本法案は労働者の権利として育児休業制度と言うておりながら、残念ながらきっちりとそうなっていないといううらみを残しております。残念ながらこの点を指摘しておかざるを得ないと思うんですね。 具体的にちょっとお聞きをしたいんですが、休業中の所得保障の問題というのが一番大きな問題になっております。午前からの質疑を伺っておりましてもよくわかりますが、実際に安心して休めるためには原職に復帰をするということ、それから代替要員が何らかの形で保障、手だてがあるということ、同時に一定の所得保障があるということ、これがもう安心して休むための大前提なんですね。 大臣、安心して休めるということ、休めるために必要な所得保障、もういろいろ御見解は伺ってまいりましたけれども、労働大臣としてお述べになるお立場というのはよくよく拝聴いたしました。しかし、いろいろな状況から、御主張の中から酌み取っていただいて、一人の政治家として、やっぱり所得保障がなければならぬなと、必要だなと思いませんか。
○国務大臣(小里貞利君) 私は大臣を拝命いたしました前後に、労働省の事務当局の方から一連の労働行政についての一応の説明を受けました。中でも、当面重要な法律政策案件等の中で育児休業法の制定化についての一連の論議を最も腰を据えて伺ったつもりでございます。 そのときさまざまな感じを受けましたけれども、その中の一つとして育児休業制度は、これは大変重要な意味を持った法律案である、同時にまた、ただいま先生が御指摘になりました休業中の問題あるいは原職または原職相当職への復帰の問題、あるいは不利益取り扱いの問題等々、これは労働者にとりましては、当該者にとりましては胸に痛く届く話でありますから、最も注意をして読ませていただき、あるいはまた検討もさせていただいたつもりであります。 概念としては、みんな温かい目を持って今御指摘の三点、四点は見詰めるべきだと、そして不安感の中でこれがとり行われることは政治としてよくないなと、こういう感じを持たれることは私は共通だと思うんです。野党の先生はもちろんのこと、与党の先生方も原則ノーワーク・ノーペイだよと言いながらも、あの先ほど午前中お話が出ました小委員会の取りまとめの中をよく吟味してみますと、与野党ともにその問題については気持ちとしては温かい一つの見詰めるものを持っていらっしゃる、私はそういうふうに私なりに一応理解をさせてもらったものですから、これは温かく見守っていく必要がある、そういう大変たった一言でありましたけれども、まさに片言隻句でありましたけれども、やっとあれだけのことを言ったつもりであります。 その後作業を進めてまいったのでございますが、かれこれ事情もございまして、当面は私どもとしてはこれが許されるぎりぎりのものだろうと、こう思いまして上程をいたしておるところでございまして、今後国会を通じ、あるいは国民世論を背景にして忌憚なく、そして大幅に論議を広範にしていただくことを期待申し上げておるところでもございます。
○沓脱タケ子君 大臣の御心情を傾けていただいたわけでございますが、大臣がお感じになるように、育児休業に関するどんな調査を見ましても所得保障の要望の強くない調査はないですね。そういった国民的な反映で、国会におきましても野党の各会派こぞって所得保障の要求をしてきたわけでございます。 時間の都合もありますから詳しくやっているわけにはいきませんけれども、そういう中で今回提出をされました法案について、これは午前中の審議、同僚委員の御質疑の中にも出ましたけれども、当委員会の審議のいきさつや結論とこの提出された法案の間に依然として乖離を解消することはできないなという点は私も率直に指摘をしておきたいと思うんです。 それは、当委員会の育児休業制度検討小委員会の結論で小野小委員長の報告にもあるように、「政府に、小委員会のこれまでの検討状況を踏まえ、法案の作成に当たらせることにつき合意に達しました。」というのが報告であります。その際に、野党は一致して所得保障を要望いたしまして、その際自由民主党からも、「育児休業期間中の何らかの経済的援助の措置について検討すること。」と明確な表明がございました。こういう経過から見まして、この法案はやっぱり乖離がある。自民党も検討を要請されたこの所得保障をどう検討されたのかなと、委員会の審議経過、いきさつ、結論、これとの関係ではその審議の経過というのは無視されたのかなという印象が強うございます。 これは御意見を伺いたいのですが、私は結果としてこれは考慮されなかったような結果になってしまっているのではないかというふうに率直に感じるんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(小里貞利君) 要点を整理して時間の関係もございますからお答え申し上げますが、先生ただいま昨年の十二月十八日の小委員会の取りまとめでお尋ねいただいておるところでございますが、このときには、私どもの理解するところ三つの要点を指摘しておいでになると思うんです。 それは、一つは先生ただいまお話しのように、通常国会において育児休業制度の法制化を実現するべきであるという旨与野党委員の意見の一致を見ましたよと、これが前提でございます。そして、その前提におきまして、中身においては少なくとも午前中お話がございましたように、男女ともにこの育休の制度の対象になるんだ、それが一つ。それからもう一つは、育休の中におきまする労働者の権利として認めるんですよ、こういうことが中身で整理してございます。 そこで、いよいよ中身に入っていくんでございますが、先生もただいまなるほど見るべきところをよく見ていらっしゃるなと思ったのでございますが、特に率直に申し上げまして、この第三項に対する自民党の所見、これを私も実は何回も読み返しました。けさほどまで実は省議におきましてここに座っておられる幹部の諸君にも、あなた方はこの字句をどういうふうに理解するのか、またその時点においてどういうふうにこの背景を認識しておられるのかということを何回も実は繰り返して聞いたところであります。何回も聞いたところでありますということによって、沓脱先生に私の心情も実は御理解をいただきたい、こういう気持ちも持ちながらお答えを申し上げておるところでございまして、残念ながら積極的にこの社会労働委員会における審議の経過は注目をさせていただきましたけれども、結果はこうなりましたという意味におきまして、反省をも込めながら若干申し上げておる気持ちもあるわけです。 しかしながら、午前中の答弁でも申し上げましたように、その辺の事情はいろいろ御指摘いただく気持ちはよく心情的にはわかりますので、その御質問なり要請に当面は直結するものではないでしょうけれども、何らかひとつ私どもはやはり行政として、また政治として温かい配慮を表現するものがあっていいんじゃないか、そういう気持ちも実は含み合わせながらお答えを申し上げておるところでございます。
○沓脱タケ子君 大変丁寧な御答弁をいただいておるんですが、受け取る私どもにとっては、財界が反対をしたというあの法律案要綱の答申に対する使用者側委員の御意見というのが厳然たる事実としてあるわけですね。「労務の提供が行われないにもかかわらず賃金若しくは類似の支給を企業に義務づけること、あるいは雇用関係が存続し、また、任意性のある育児休業に対して保険ないしこれに準じた制度を設けることは、必要がない。」、非常に明確な使用者側の意見が出されておるわけでございますので。こういう意見が厳存をしておって法案が全く所得保障なしと出てまいりますと、使用者側、財界の意見が一番大事なところに反映をさせられてしまっているというふうにしか見えないわけですよ。 そこで私、大臣、こういう点は財界にも考えてもらわなきゃならぬのじゃないかなと思うんですよ。だって今日世界的な水準から見ましてちょっと日本の財界、使用者群というのは保守的過ぎやしないか、かたくなになり過ぎていはしないか。経済界といったら労働者福祉については何でも反対というのはこれは考えてもらわぬといかぬ時代に来ているのではないかということをしみじみ感ずるわけでございます。 そういうことを考えますにつけましても、諸外国の育児休業制度の事例などまちまちのようですけれども、一定の所得保障は何らかの形で保障していく。EC指令案でも、今検討中だそうですけれども、これははっきりと育児休暇取得中労働者は育児休暇手当を支給されるという問題を中心に、これは一つの項目ですが、現在検討中。何かイギリスが反対だからというので延びているんだそうですけれども、こういうものを見ますと、世界第二の経済水準を持つという我が国で、これらの諸外国に遜色のない立派なものをせめてつくるという立場は、これは政府としても財界としても経済界としても、おとりになって当然ではなかろうか、そういう点はひとつきちんと踏まえておいていただきたいものだと思うんです。御答弁伺いたいと思うんですが、あとの時間の都合がありますから、次に参ります。 育児休業中無給で所得保障がないと労働者の実態というのはどういうことになるのかということで、具体例について申し上げておきたいと思います。 これはお手元へ資料を差し上げてあると思います。委員の皆さんにも差し上げたと思いますが、この一枚の紙の上側は、御夫婦の夫の方の給料支給明細書です。下が育休をとった妻の給料の支給明細書になっています。 これをごらんいただきますと、基本給、勤続給合わせまして十七万八千六百円ですね。その三段目には欠勤控除額で十七万八千六百円。そのあと健保料、年金料合わせて社会保険料として二万八百五十二円。それから住民税が七千三百円、組合費が三千五百四十八円、その他とあって、結局この十七万八千六百円の支給額をもらっていたはずの人が、育児休業をとった期間の欠勤控除額十七万八千六百円を引かれますから、マイナス三万四千七百円、つまり毎月こうなるんですね。 無給というのは、給料がゼロになるんじゃないという論議は何遍もやられてまいりましたが、差し引き三万四千七百円払うんですよ、会社に。借金になるか払うか。これは中企業の労働者の方で、ちょうどたまたま十二月に第一子を御出産をされて、産休が済んで育児休業をおとりになっておりますので、ことしの三月の給料明細書なんですね。 それでは御夫婦でどうなるんやということになると、上欄は御主人の側の、夫の側の給料明細書ですね。十八万六千四百円。財形積立一万円入っていますが、それを含めまして差し引き支給額十一万九千九百七十円ですね。これはまあ大変ですが、この十一万九千九百七十円から奥さん、その妻が会社に借金をしている分を払いますと、残りは何ぼかというたら八万五千二百七十円ですね。その方のお住まいは、家賃が六万二千円。今度は残るのは何ぼやいうたら、二万三千二百七十円。二万三千二百七十円で、そこへちょっと右肩に書いてありますが、電気料金だけで一万一千百八十四円。光熱水費が大体二万三千円ぐらいかかりますわな。そうすると、これ、光熱水費で全部ほとんどゼロになる。 大臣、これでどないして食べていけと言う。この状態は珍しいことないんです。全ぐ普通の勤労者の御家庭の実態だと思いますよ。給料、特別に高くも安くもない。二十八歳です、育休をとっておられる女子労働者は。これ、何とかせぬといかぬなと思いませんか。ちょっと御感想だけでも。
○国務大臣(小里貞利君) 言葉として誤解をしてもらっては困るんでございますが、私はもうすぱっと申し上げまして、ただいまの先生のお話をお伺いしながら、このようないわゆるすそ野で生活をしていらっしゃる大事な勤労者の生活こそ、私どもが最も注目をするべきであると、かように認識をする次第でございます。 先生が御指摘いただきましたようなことなども私どもは念頭に置きながら、この育休制度も根づかせていただいて、そして大いに切瑳琢磨してもらって、十分こたえられるように仕上げていただきたいものだと、かように念願を申し上げております。 それから先生ちょっと先ほどの御質問に若干この際触れさせていただきたいと思うんでございますが、実は先生の御指摘になりましたこと、決して否定するわけでもございませんし、その趣旨に沿った一つの私どもは検討といいますか、一つの含みも持っているということを御理解いただく意味で申し上げるんでございますが、実は私どもが婦人少年問題審議会からいただきました建議の中でも、きちんと事業主というのは、いわゆる育児休業期間中に何らかの給付を行うことも肯定をいたしております。これは決して否定はしていないんです。これはひとつ労使間で今後大いにその趣旨を踏まえて妥当な方向を見出していくように労働省は奨励せぬかと、こう言っております。 また私ども国としてもそれらの給付について、先ほど先生がお触れいただきました給付について、その中でも断っておきますが、糸久先生の御質問にお答え申し上げたように、当面は労働者に直接給付することは準備できませんでしたけれども、その他の方法で、例えば事業主等を対象にいたしました一つの云々のこともここに書いてあるものですから、私どもはこのことも心得ておきますということを申し上げておるわけでございまして、例えば簡単に申し上げますと、円滑な職場復帰に資するよう、必要な措置がとられることが育児休業制度の本来の趣旨から望まれるところであり、このために事業主としても職場復帰に必要な教育訓練や情報提供等の措置を講ずる必要がありますよと、私どもはこれも積極的にこの法案をお認めいただいたときにはやるつもりでございます。 同時にまた、国としてもこれらの一連の事業が計画をされた、そしてまた労使双方が認めたというような状況下におきましては、これも対応措置を怠ってはならぬ、こういうふうに実は心得ておるところでございまして、たびたび申し上げまして恐縮でございますが、糸久先生ほかお尋ねいただきましたときに含みのある答弁はしているなということを言外にお漏らしになりました先生もあったかと思うんでございますが、そういう含みでございます。
○沓脱タケ子君 大変丁寧な御答弁をいただいた。私は具体例を出したのは、とにかく所得保障を、せっかく法律をつくっても、一定の何らかの所得保障がなければ休みたいけれども休めないということの裏づけとして御理解を賜ったら結構だと思うんです。 大臣から大変懇切な御答弁がありましたので、私も考えておることをちょっと申し上げておきたいんですがね。例えば、育児休業を想定できる女子労働者の社会保険料本人負担分、これ試算をすると大体年間二百二十億か二百三十億程度だということですね。そうしたら、これ考えてみますと、三倍にしたところで六百五十億あれば間に合うんですが、雇用保険勘定の中の雇用保険三事業費が四千六百億ですね。四千六百億あるわけなんで、例えば二百三十億にしたって、この分だけ賄おうと思ったって五%以下で足りるんですよ、実際は。だからもうほんのわずかな金額でやれるわけなんで、これだけで賄えとは申しません。国が少々お金を出せばこれの三倍ぐらいのことは簡単にできるんじゃないか。本当に煮詰めて真剣な検討をしてもらえれば、こんなことの実現はそんなに困難ではなかろうと思うわけですが、そういう点でぜひ真剣な御検討をいただきたいと思うんです。 私に与えられた質問時間もう終わりですので、よいものをつくりたいという私どもの熱意から、次回にその他の原職復帰の問題や代替要員の問題あるいは不利益取り扱い、休業中の勤務の取り扱いとか、中小企業対策とか、そういった点につきましては、次回に譲りたいと思っているんですが、今指摘を申し上げましたように努力をしてもらえればそんなに難しくないということが私どもなりに考えても出てくるわけなんで、ぜひこの委員会開会中に、次回の委員会までの間にぜひ知恵を出していただきたい。可能な実現方にこぎつけてもらいたいと思っているんです。 特にこの間の本会議見て私思いましたよ。すべての野党が言葉の使い方こそ違え全く同じ問題点を追及したという点では、まさに圧巻であったと思うんですよ。これだけ国民的なコンセンサスが得られているという点が明確なわけでございますので、ぜひそういう点で可能な改善策のために全力を挙げて御努力を賜りたい、そのことについて御見解を伺いまして、私終わりたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) もう時間もありませんから、率直に申し上げまして、二百三十億円前後のお話、これは先生の御発言の趣旨の範囲におきましてはなるほどそういう数字かな、そういう感じで私も聞かせていただきました。それからイコールそのような三事業にかかわる一つの資金を財源として、そして当面労働者の賃金云々に直結せしめる話については、先ほどからしばしば申し上げておるとおりなかなか厳しいところでございます。 しかしながら、別途にもう少し考えてみろ、知恵を絞ってみろという先生の督励のお話、次回の委員会もあることでございますから、私もまた御相談申し上げるところもたくさんございますから、限られた時間内でございますけれども精いっぱい皆さんの意見を聞いてみたい、そしてまたそのときの資料にさせてもらいたい、こう考えております。
○乾晴美君 私も育児休業等に関する法律案についていろいろ質問をさせていただきたいと思うんですが、この法案を手にいたしまして、非常に難しい文言が使われているな、理解しにくいなとまず思いました。これは全労働者に対して行われる法律ですから、殊に第四条の二項は非常に難しいという印象でございます。これは大臣、簡単に言うとどういうことを書いていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(小里貞利君) ちょっとお待ちください。
○乾晴美君 済みません。それじゃ時間私短うございますから次のときでも結構でございます。お勉強してきていただいて。非常にこの法案難しいということを申し上げたかったわけでございます。
○国務大臣(小里貞利君) お答えしましょうか。
○乾晴美君 また次のときで結構です。 一九八五年の六月に我が国が批准しました女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約というのがございますわけですが、その中に、「子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し」ということがあるわけなんですが、これはもう世界の共通の理念であると思います。 今先ほどから伺っておりますと、大臣も男女でこの制度がとれるんだから男性にも男性にもって言うんですけれども、しかし、これまでの家庭と仕事の両立ということになりましたら、女性だけにそういうことが非常に強調されているということで、男性の働き方というか労働のあり方、そういうことに対しては余り見直されてなかったではないか。午前中に日下部委員もそういうことを御指摘していたと思いますけれども、私もやっぱり同じように思うわけですね。男性の家庭責任への参加というのが現実には極めて少ないのではないかというように思っております。 女性の働く意識として、よく結婚とか出産退職型が二割だと、継続就業型が二割だと、再就職型が五割だと、不就業型は一割などと、こう言われるわけですね。これはともすればパート型の、まあ言えば再就職型を望む女性が圧倒的に多いんだよというようなことを強調されているようにもとれるんですけれども、これは今まで育児とか介護とか家事の家庭責任というのがほとんど女性だけが担ってきたということの反映だろうと思うわけですね。 それで、男性の働き方をどのように見直していこうとなされているか。そしてまた家庭責任の分担につきましてはどのように考えられているかということで、労働大臣の御所見を伺ってみたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) まず質問の第一点失礼いたしましたが、これはもう先生のおっしゃるとおりです。法律に限らず行政は公のものでありますから、国民全般にわかりやすく表現をするあるいはそのほかのいろんな面等において配慮することは当然である、こう思っております。なおまた、中身はもう先生御承知のとおり、期間変更等の手続の問題でございますからあえて申し上げません。 第二問でございますが、いわゆる伝統的な家庭内における男女の役割、この問題について大きな意識変革も必要だと、ところが、男の方はもう少しその辺を奮発してもっと督励するべきではないか。そしてまた、そうすることによっていわゆる社会が期待する男女共同の育児あるいは共同責任下における育児、そしてまた勤労体制というものが成り立つんだというお話でございますが、全くそのとおりでございます。ただ、基本的には個人が仕事と家庭との調和のあり方については主体的に選択をする、そして努力をして築き上げるべきものであると、この辺は一応の前提において考えるべきものではなかろうか、かように思います。また、その選択を容易にするために基盤整備を行政が主になって行わなきゃならぬことは申し上げるまでもないところでございます。 以上、簡潔でございますが、答えといたします。
○乾晴美君 この法案の中で、男女で育児休業がとれるということは非常に進歩だと思うんですけれども、その視点でちょっと見てみますと、労働省の昭和六十二年の育児休業制度実態調査を見てみますと、育児休業の男子への適用は「適用あり」とする企業はわずか〇・六%ということであります。「適用しない理由等」というので、複数回答ではあるわけなんですが、「要望がない」というのが六七・一%、そして「時期尚早である」というのが二二・〇%となっておるわけですね。「今後適用を検討する」というのはわずか二・〇%なわけです。現実的に男性が育児休業を取得するということは意識の面でも実態面でも大きな壁があるというか困難が伴うということが予想されているわけですね。 そういうことでありますので、もっと企業とか国民各層の意識改革を図るということで、法制面においても男性の育児休業取得促進についての国、事業主の責務に関する理念規定というのを追加して入れるべきではないだろうかなと思うんですが、労働大臣いかがでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の法律案におきまして、男女労働者にひとしく育児休業の取得を認めることといたしているわけでございます。 先生の御意見といたしまして、男子労働者について取得促進を図るように理念規定を設けるべしと、こういうことでございますけれども、法案そのものが男女労働者にひとしく休業の取得を認めるということになっていることでございますので、本法律案に加える必要はないのではないかというふうに考えております。
○乾晴美君 でも、指導をしていかないとなかなか進まないのではないか。意識面でも大事だということ、法制面でも大事であるということを申し上げたわけです。 では、次の問題に移りますけれども、先ほどから問題になっておりますが、諸外国では育児休業請求権そのものを定めている法律と育児休業期間中の所得保障を規定している法律とは別々のケースというのが多いようであります。仮に、我が国において育児休業期間中の所得保障に関して一定の給付を行っていくということが合意ができれば、その法制面での対応としてはこの育児休業等に関する法律案の中に記述していくことになるんでしょうか、それとも別の法律で対応していく形になるのか。また、どちらが望ましいと思っているかということをお聞きしたいんですが、先ほど午前中から聞いておりますと、それより以前の問題で、出すか出さないのかわからぬのに答えられぬということではなくて、そういうことがもし合意ができた場合にはどうなるかということでお答えいただきたいと思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 諸外国の制度を見ますと、育児休業中の労働者が何らかの形で手当の支給を受けている例が見られるところでございまして、その支給目的、支給対象者とも国によりさまざまでございますし、また、先生御指摘のように、育児休業を取得する権利と休業中の手当との関係につきましては、同じ法律で規定されている国、別の法律により、例えば社会保障制度で保障されている国々等があるわけでございます。 育児休業期間中の経済的援助の問題をめぐりまして、先ほど来御論議がございますように、さまざまな意見、見解の違いが見られまして一定の方向を定めることが困難な状況の中で、先生、仮定の御質問でございますけれども、育児休業中の所得保障を行うとした場合に、法制面の対応については現在お答えすることはできないというふうに思っております。
○乾晴美君 午前中からも随分論議されているわけですが、重要ですから私もお尋ねしてみたいと思います。 年次有給休暇だとか昇給、昇格、退職金の算定などに当たっては、育児休業を取得した期間出勤したものとして取り扱うべきだというように思うわけです。現在、労働基準法では、業務上障害になる休業だとか、また産前産後休暇を取得した場合の年次有給休暇の算定に当たっては、明文で休業期間中を出勤したものとすると規定しておるわけなんで、育児休業を権利として保障する以上は育児休業期間も勤続期間に算入していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 年次有給休暇につきましては、御指摘のように、業務上負傷した場合、それから産前産後の場合には出勤したものとみなすことにいたしておりますが、この育児休業をとった期間につきまして出勤扱いにするということは他のもろもろの休暇の取り扱いとの関係でバランスを失するのではないかと思っております。 ただ、この育児休業期間中をいわば欠勤扱いにするということでいいのかどうかということについてはもちろん問題がございますので、その点については育児休業をとった期間はいわば分母分子から除外するというような扱い方が妥当なのではないかというふうに考えているところでございます。 また、昇給、昇格、退職金のお話がございましたけれども、これは民間の場合には、そもそも昇格とか昇給、退職金をどういう基礎条件の中で設定していくかという決め方自体が労使間の自治にゆだねられているわけでございますので、その前提となる期間の取り扱いを法律で一律の枠をはめるということは適当ではないと、このように考えております。
○乾晴美君 分母分子をなくしていくということは、その年休というのが一年間休ませていただいた次のときはゼロになるということではないわけですね。
○政府委員(七瀬時雄君) 恐らく典型的なケースを考えてみれば、これは法律が通りました後どういう運用をするか検討させていただくところでございますが、仮に分母分子から除外するという扱いが一番現実的、妥当であるという解釈になりますれば、例えば一年間のうち、女性の場合を考えてみますと、産後の休暇が入っておりますので、分母分子から除外すれば次の年の年休の要件を基本的には満たすということになろうかと思います。
○乾晴美君 きちっと勤続期間の中にも、いわゆる年休だけでもなく、勤続年数の中にも入れてくれたらもっといいなというようにも思います。 年休というのが、私、ちょっと心配しましたのは、零歳児がどれぐらい年間病気になっているか、休んでいるかというのを見てみましたら、平成元年度では零歳児では二九・二日間も休んでいるわけですね、これはある大阪市の例なんですけれども。一歳児では二二・六日も休んでいるわけですね。これだけ平均で休んでいるということになりましたら、年休がゼロになると大変だなというふうに思ったわけですね。これをきちっとした形で入れていくという意味で、労働基準法の三十九条七項に入れられないものだろうかと思うんですがね。この「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び産前産後の女子が第六十五条の規定によって休業した期間は、第一項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。」というようなところにこの育児休業法案も入れないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど申し上げましたように、年次有給休暇の要件をいわば基準法のような最低基準という形で定めていく場合に、選択的に取得する育児休業制度について業務上負傷した場合とか産前産後の場合と同様な取り扱いをすることは無理があるのではなかろうかと思っております。 ただ、育児休業をとった期間についてそれを欠勤扱いにして年休をとることが著しく困難になるようなことがないように、解釈上十分配慮した検討を行いたいというふうに考えております。
○乾晴美君 それでは、次の問題に移らせていただきますが、私も原職復帰ということも非常に大切だろうと思うわけですね。 労働省の昭和六十二年の育児休業制度実態調査によりますと、制度のある企業ではもう既に九割近くが原職復帰させるとしているわけなんですね。先ほどもなかなか難しいというようなことだったと思いますけれども、大臣も法案中に明記することができなかったのが非常に残念であるというふうにお答えなんですが、もう九割近くまでが復帰させているんですから、思い切って入れますというように使用者側の方に説得していただけませんでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたし、私どもも育児休業を労働協約で設けております使用者あるいは労働者の方々からお話を聞きますと、やはり原職あるいは原職相当職に復帰するという形が一番現実的である場合が多いというようなお話は確かに聞くわけでございますし、実際に労使で育児休業とった後、一番戻りやすいような配慮をお互いの話し合いの中でやっていくということは必要なことだろうと思います。 お話がございましたように、現実にもかなり高い割合で原職あるいは原職相当職に復帰しているのも事実でございますが、これは企業の人事管理の問題ともいろいろ関係いたしますし、育児休業をとって戻ってきた人の職場復帰を容易にするためにいろいろな措置を配慮することもあり得るわけでございますので、原職あるいは原職相当職という形の枠を一律に法律ではめることは、これはなかなか適当なことではないんじゃないか、原職復帰というのが一番いい場合が多いなという気持ちは十分持っているところでございます。
○乾晴美君 安心して育児休業をとれるということは、原職に返れるということが保障されていることだというように思います。 次の問題に移らせていただきますが、今度は健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議というののまとめの報告書を見せていただいたんですが、これは政府における位置づけなり取り扱いはどういうようなんでしょうか。政府の施策の基本計画と考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 最近の出生率の動向等も踏まえまして、政府として健やかに子供を産み育てる環境づくりを推進するという見地から内閣に関係十四省庁からなります連絡会議を設置したところでございまして、去る一月二十三日、「家庭生活と職業生活の調和」、「家庭生活と生活環境の整備」及び「家庭生活と子育て支援」を柱とする総合的対策の取りまとめを行ったところでございます。今後この取りまとめを踏まえまして、安心して子供を産み育てやすい環境づくりに向けて総合的に取り組むことといたしているところでございます。
○乾晴美君 この報告書の中で、「家庭生活と職業生活の調和」ということと「職業生活と家庭生活の両立支援」というように言葉を二つ違うものを出してきているんですが、この違いは何なんですか。
○説明員(藤井龍子君) この報告におきましては、調和と両立というのをほぼ同じ意味で使われているというふうに承知しております。
○乾晴美君 それじゃ、続けていきますが、この報告書の中で、「女性の職業生活と家庭生活との両立を支援することが極めて重要な問題である。 そうした観点から、育児休業制度の確立に向けてさらに一層の普及促進に努めるとともに、育児休業制度の法的整備の在り方について検討する。」というようになっておるわけなんですが、このような考え方に立てば、職業生活の支援が極めて重要であるというのであれば、先ほどから問題になっております休業後の原職復帰は当然のことだろうと思いますし、また家庭生活の支援をするということで考えるのであれば、休業中の所得保障も当然であるというように思うわけです。 そしてまた、「基本的な考え方」の中でも、「今後、家庭を築き子どもを生み育てていく人々が、より喜びや楽しみを感じることのできる社会づくりに向け、政府として積極的に努力していく必要がある。」と、こういうことであれば、先ほど木庭委員もおっしゃいましたけれども、企業の規模にかかわらず育児休業制度を進めていくということが大切ではなかろうか。中小企業への適用を除外するというのではなくて、中小零細企業がなぜできないかという問題点の施策を積極的にやっていかなきゃならないんだろうと思いますし、男女が平等にとれると言いつつそういうことを置いていくということは、育児休業法は女性の問題だというようにとられているからそういうふうになっているのではないかというようにも思ったりするんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 最後の方からお答え申し上げます。 三十人以下の企業云々のお話でございますが、これはもう御理解いただいておると思うんでございますが、仮定いたしまして法律が成立した場合の話でございますが、三十人以下の中小企業であっても、平成四年から私どももやりましょうというその中小企業は即刻やれるわけでございますし、また最悪の場合、三年間経過いたしましても平成七年からは完全に中小企業といえども実施しなければならぬわけでございます。 もう一つ、今回このような措置をとりましたのは、きょうはここに資料を持ってきておりませんが、私も統計で確かめてみました。三十人以下の企業の女性労働者の占める比率、これは大企業に比較をいたしまして非常に高うございました。そういう面があってたまたまこの育児休業制度を活用する女性の割合が多くなるんじゃなかろうかという配慮も私はあるかと思っております。 それから規模が小さいということは、雇用管理上、労働者のやりくり、人事異動、配転等にそれだけ弾力性がない、あるいは言葉をかえて言いますと、ノーハウが弱い、あるいはまた、そのほか代替要員等員数が少ないわけでありますから、それだけ応用がきかないという側面もあろうかと、したがって、こういうことになるんだから、零細企業は、悪い条件を持っているけれども三年間の猶予を与えるんだからそのうちに準備をしておきなさい、そして平成七年になったら完全に実施するんですよ、こういうような一つの予告期間、予備研修期間を設けたというふうにも私は理解できるかと思う次第でございます。 それから、原職及び原職相当職への復帰というのは望ましいことである、本当に私はそう思っております。これからもまた、労働省の指導、助言等によりまして努めてまいらなければならないことである、かように思います。
○乾晴美君 努力して頑張っていこうということなんですけれども、労働者と事業主の権利義務関係を担保する罰則規定がないということについて最後に意見を申し上げたいと思うんです。 この間、四月十六日付の朝日新聞によりますと、特集「ゴ問ゴ答」というところに出ておるわけなんですけれども、男女雇用機会均等法は努力義務規定であったために、違反しても罰せられないから、技術系を中心に非常に差別募集がまかり通っているという記事なんです。四年制大学では五0〇・〇%、高卒では四九・九%が女性に門戸を閉ざしておるということだと思うんです。 それと絡めて、この法案の第一条に「労働者の福祉の増進を図り」というようにあるわけなので、雇用の継続だけではなくて安心して休業できるということも福祉の増進だと考えますと、私は罰則規定をやっていかないと実効あるものにならないのではないかというように思うわけです。これの御意見を伺わせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(七瀬時雄君) 先生、ただいま雇用機会均等法の努力義務規定のお話がございましたが、努力義務から今回、罰則はついておりませんけれども、政策的に労働者の権利としてやるということで非常に画期的なことだろうと思っております。 罰則につきましては、この種の問題を定着させていくのに罰則をもってやるということが本当にいいのかということについて国民的なコンセンサスが得られている状況にはないというふうに、率直に言って私どもは認識いたしております。この種の問題を実効あらしめるためには、やはり息の長い私どもの指導であり、助言であり、勧告である、そしてそういうやり方が一番真に制度を定着させていくための現実的な方法であるというふうに考えておりますので、この点についてはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
○乾晴美君 指導、助言していく中で婦人少年室なんかがかかわってくるんだろうと思うんですけれども、非常にそこの中の問題点もあると思うんです。でも、きょうは時間がございませんので、次の機会に譲ってこれで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○勝木健司君 私は、男女労働者がひとしく育児休業を取得するためには、取得しやすいような育児休業制度をつくらなければならないというふうに思います。そのための環境整備をしていかなければならないというふうに思うわけであります。労働者が取得しやすい育児休業制度にするためには、不利益取り扱いの禁止にしても、また罰則を設けて担保するということも当然必要な措置でありますが、労働者が最も必要だと痛感をいたしておりますのは休業中の所得保障だろうというふうに思います。 ある組合の調査によりましても、現に育児休業制度を利用している労働者の七〇%が無給のため生活が苦しく、休業中の生活費を補うために貯蓄を取り崩しておるということでありまして、またせっかくの育児休業の制度を上限まで利用しなかった理由のトップに、やはり経済的な不安というのを挙げておるわけであります。 そこで、この所得保障に関連してお尋ねをいたしますが、昨年の十二月七日に当社会労働委員会の育児休業小委員会において、政府において立案をさせるということで合意を見たわけであります。政府においてもこの育児小委員会の協議、論議あるいは経緯を尊重するということであったわけでありますが、その際、先ほど同僚委員からもありましたけれども、自民党委員から育児休業期間中の何らかの経済的な援助の措置について検討することということの発言があったわけでございます。この発言というのが審議会の場とかあるいは法律の立案過程におきまして一体どのように取り扱われてきたのか御説明をいただきたいというふうに思います。 また、私たちの方での、現行の特定職種育児休業法の水準を下回らないことという条件につきましても、同じようにどのように取り扱われてきたのか御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生お尋ねの育児休業期間中の経済的援助の問題につきましては、何らかの経済的援助を検討することという参議院育児休業小委員会の経過なども踏まえまして、婦人少年問題審議会におきまして約三カ月、延べ十一回にわたりまして真剣な御議論をいただいたところでございます。特にこの問題につきましては、大変議論が伯仲をいたしまして、さまざまな意見が出されたところでございますが、一定の方向が見出し得なかったところでございまして、これらの審議経過等も十分踏まえながら、しかし現段階において育児休業を権利として取得できるような基本的枠組みをつくることがまず必要なことであるということで本法律案を作成したところでございます。 それから第二点でございますが、現行育休法についてのお話がございました。今回の法律案におきまして、義務教育諸学校の女子教育職員等に関する現行の育児休業法について何らその水準を引き下げるような改正を行っているものではございません。また、公務員でございます教育職員、看護婦、保母等の職員につきまして、現行育休法は人材を確保することを目的としたものであるというふうに承知をいたしているところでございまして、本法律案におきますように、民間の事業所におきます子を養育する労働者の雇用の継続を促進することによって労働者の福祉の増進を図ることを目的とするこの法律案とはその目的を異にするものであるということで、現行の育児休業法の考え方及びその施策をそのまま当てはめることはできないというふうに考えておるところでございます。
○勝木健司君 私は、本会議におきましても質問をさせていただいたわけでありますが、現在国家公務員等の教員及び看護婦等のいわゆる特定職種の女子職員を対象にする育児休業法におきましては、本人負担に係る社会保険料相当分は使用者たる国が負担しているという現状であります。また、四月一日の人事院の意見の申し出によりますと、引き続きこの措置は継続をするということとしております。当然の措置であろうというふうに私も思うわけでありますが、一方、民間における育児休業についても同様な措置が行われる必要があるというふうに思います。 ある調査によりましても、現在の制度に改善を望むことで最も多いのが社会保険料の会社負担でありまして、六〇%以上の人々が要望をいたしておるわけであります。そうでなければ新たないわゆる官民格差というものが生ずることとなるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、労働大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(小里貞利君) まず、先生先ほど若干お触れになりました休業中の保障問題、これも若干触れさせていただきますが、しばしばお答え申し上げておるところでございますが、今次の法律案におきましてはかような形になったわけでございます。特にまた、参議院の社労委員会等におきまして要約をしていただいておりまするその中身におきましても、くどいことを申し上げるようでございますが、前後から見まして完全に意見が一致したなという理解はいたしがたき状況でもございまして、非常に苦慮いたしたところでございます。 しかしながら、いろいろお話がございまするように、休業中の労働者の皆さんが復職、復帰にかけまして、あるいはまた事業主が今休業しておる勤労者の当該者は早晩帰ってきていただけるだろう、そしてまたそのときに会社のあるいは事業場の発展のために貢献していただけるんだと、そういう相互に信頼と期待がキープできるように、やはり中間過程等においても何らかの措置をする必要がある。また、そのことは婦人少年問題審議会等でもお聞かせをいただいておるところでございますから、私どもはそのことを目下検討もさせていただいておるところでございます。
○政府委員(高橋柵太郎君) 現行育休法との関連で、民間との関連についてのお尋ねでございます。 この問題につきまして、先ほど申し上げましたように、現行の特定職種育児休業法と今回の法律とは目的を異にするということもございまして、現行育児休業法の目的を達成するために支給されております育児休業給の考え方を今回の法案にそのまま当てはめることはできないというふうに考えているところでございます。
○勝木健司君 私は、人材の確保、民間でも官公でも、国家公務員でも全く同じような目的であろうというふうに思うわけであります。また、小里労働大臣、就任直後でしたか、育児休業中の所得保障問題について、野党側が育児休業期間中賃金の六割を国や企業が保障するよう求めていることについては、なるほどという感じを持っておる、注目しなければいけないだろうという御発言をされておりました。私はそれを聞いて大変意を強くいたしたわけでありますが、提出されました政府案には所得保障のことは何ら触れられておりません。 そこで、私も労働大臣と同じ九州人としてざっくばらんにお伺いをしたいわけでありますが、期本的な姿勢といたしまして完全にノーワーク・ノーペイを貫き通すというお考えなのか、それとも原則ノーワーク・ノーペイではあるが、労働者に何らかの経済的支援の措置の必要性というものをお認めになられるのか、あるいはこれらのことも含めてとにかくすべて今回は労使の話し合いにゆだねるという姿勢なのか、この問題について率直な、また忌憚のないお考えをひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(小里貞利君) 私は、率直にこれも申し上げたいと思うんでございますが、ただいま先生御指摘になりましたように、参議院の社労委員会における審議を見詰める必要がある、これは注目に値すると、こう申し上げました。その中でも先ほど申し上げたような意味をもって申し上げたわけでございます。 それからまた、外国におきまする、先ほどからいろいろ説明がございましたように、先進国の諸実例はどうなっているかということも実はかたずをのんで期待をしながら調査をせしめてみました。その結果も、きちんとこのような実例が具体的にあるじゃないかという、相当な我が国のこの問題を検討するについての影響力を持った実例等が実は決定的なものが出てこなかったと、正直に申し上げまして、そういう一つの索漠な背景も若干ございました。 それからもう一つは、先生お話がございました原則ノーワーク・ノーペイですよという御意見は私は決して無視はいたしません。 それから、それよりも実はこの問題は選択制あるいは任意制でありますよ、だからそういう大多数のこれを応用しない人々の、労働者とのバランスをどう判断するかということも考慮の一つになったことは事実でございます。 それからもう一つ、法律論として、実体上特定の法律をもちまして、特定の事業主に対しまして、労働者に対して支払うべしという条件を法律上制約としてつけることは果たして是なるのか否なるのか、これらの議論も出てまいりまして、実は総合的に研究をし、なおかつまた結論が出たと、私はこれでもう結論が出ているとは申し上げませんけれども、大方限られた期間内におきまする一つの要約としてこういう形になりましたと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○勝木健司君 私は、労働大臣の今後の方向も含めて、どういう方向で取り組んでいかれるのかということをお聞きしたかったわけであります。先ほどのいろんな先生方への答弁の中でも、含みのある御答弁をされていますから、まあ結構でございます。 育児休業中の所得保障の財源につきまして、私たちは労働者、使用者、国がそれぞれ三分の一ずつ負担するという案を提案いたしておるところでございます。いろいろな考え方があり得るわけでありますが、その中の一つとして雇用保険を活用するという考え方も出てくるわけでございます。また、健康保険法では、産前産後に出産手当金として標準報酬の六〇%相当が支給されておるわけでありますが、これを育児休業期間中にも支給できるように延長するという考え方も一つの方法であります。 そこで、私は、例えば児童手当はすべて国と地方公共団体が負担していく、そして児童手当の事業主負担部分をすべて育児休業期間中の所得保障の財源に充てるべきではないかという考え方を持っております。その方が児童手当の性格、そしてまた育児休業の趣旨に合致するのではないかというふうに思っておるわけであります。 そこで、このことに関連してお伺いをいたしますが、この児童手当の事業主負担でありますが、現在養育者が被用者であるときはその費用の十分の七を負担をしておるわけでございます。また、特例給付の場合は全額事業主負担であります。そこで、この事業主負担はどのような経緯で一体導入をされたのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 御承知のとおり、昭和四十七年に児童手当制度が発足いたしましたが、児童の養育家庭の生活の安定、それから次代を担う児童の健全育成、資質の向上という児童手当制度の目的にかんがみまして、児童の養育費用を社会的に分担しようという考え方のもとに負担割合が定められたわけでございまして、お話のとおり国、地方公共団体、事業主がそれぞれ今お話がありましたような割合での負担をするという考えに立ったわけでございます。 なお、昭和五十七年からサラリーマンの子供についてのみ特例給付という形で特別の所得制限を設けまして特別の給付を行っておりますけれども、これにつきましては全額事業主の拠出という形で処理をしているところでございます。その基本的な背景としては、初めに申しましたような児童手当の目的についての社会的な分担、それについての責任を担うという基本的な考え方があったものというふうに私ども考えておりますし、それからもう一方では次代を担う健全な労働力をつくるというような考え方もあったであろうというふうに考えております。
○勝木健司君 事業主の負担額は、厚生年金の保険料等の算定基礎となります標準報酬月額等をもとに一定の拠出金率を算定をされておるわけでありますけれども、そこでこの拠出金率は幾らに現在なっておりますでしょうか。そして、今回法律が通りますと児童手当額は引き上げられますが、そのときの拠出金率は幾らになるでありましょうか。それからそれに対する事業主の年間の負担額は一体今現在幾らになっておりますか。あわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 拠出金率でございますけれども、厚生年金の標準報酬に対する拠出金率は現在千分の〇・九ということに相なっております。それから現在御審議を賜っております児童手当制度の改正が実現した場合の平年度の姿でございますけれども、千分の一・二程度というふうに推計をいたしております。 なお、金額でございますけれども、平年度化した場合の負担金額でございますが、一千四十億円程度というふうに推計をいたしております。現行は八百億円弱というお金でございます。
○勝木健司君 厚生省、ありがとうございました。 そこで、労働省にお伺いしますが、一年間に育児休業を実際に取得する労働者の数でありますけれども、一体労働省では男性はどのくらい、また女性はどのくらい育児休業を実際に取得するというふうに予想されておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
○説明員(藤井龍子君) 現在まだ法律が成立してございませんものですから余り確定的な数字をお答えすることはできないかと思います。と申しますのも、育児休業が法制化されましたのを利用される率というのがどうなるか、それから期間とかなんとかもいろいろ推測の域を出ないところがございますので、なかなかお答えしづらいところでございますが、大変大ざっぱな数字で申し上げますれば、男女合わせてで申しわけございませんが、約十万人程度になるのではないかなと考えておるところでございます。
○勝木健司君 私は、先ほども申し上げたわけでありますが、新しく全労働者を対象とする育児休業制度を創設しようということであります。まさに男女共生時代の、そういった意味では新しい社会のシステムをつくっていこう、構築していこうというわけでありますので、そこで、今後例えば、今申し上げましたように、児童手当の事業主負担のあり方についても私はそうだと思いますけれども、今ある各種のいろいろな制度、またこの仕組み等について、先ほどもありましたが、お互いに知恵を出し合って見直しをする必要が今あるんじゃないかというふうに思っておるわけでありますが、労働大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(小里貞利君) 先生の御指摘のとおり、育児休業制度は新しい社会システムの構築の有力な一つでございます。そうでございますけれども、それに伴いまして、いわゆる例えば労働省所管の各種保険制度、これを見直す必要はなかろうと、私どもはそのように考えておるところでございます。
○勝木健司君 見直す必要はなかろうということですか。時間もありませんので、また次に譲りたいと思います。 最後に、この育児休業法、二十一世紀に向けて、また国際的動向も踏まえながら構築をしていかなければいけないということであります。育児休業の休業保障の問題については、先ほど同僚議員からもありましたけれども、とりやすいような環境をそれぞれの国が、所得保障を初め、年次有給休暇との関係あるいは年金期間への算入など、そういう取り扱いについていろんな工夫がなされておるわけであります。 その中で、本当に育児休暇をより実効性のある内容にしていこうということで、全日休暇型の育児休暇とか、あるいは労働時間を短縮できる育児休業制度というものを導入しているのは御存じのとおりであります。 時間の関係で省略をいたしますが、スウェーデンとか、あるいはドイツ、あるいはフランス、ベルギーなどがそういう短時間勤務制度というものを設けておるわけであります。我が国でも、日本生産性本部の「女子労働新時代と雇用管理の指針」の中に企業独自の短時間勤務制度が育児休暇あるいは再雇用制度以上に好評というふうに報告をされております。 そこで、この短時間勤務が仕事を中断することなく継続できること、あるいは職場復帰が困難でないこと、また所得への影響が少ないことなどのメリットが大いにあるわけでありますし、また、特に男性労働者も取得しやすくなって、両親が交代で一定期間を申請していく。そして仕事と育児を両立していくことも可能になっていくわけでございます。そういった意味で、男女の家庭責任の分担も行いやすいという大きな利点があるわけでございます。 そこで、大臣はこの短時間勤務制度の利点についてどのようにお考えになっておるのか。そして、あわせてこの勤務時間の短縮の措置というのも育児休業と同じように請求権を保障する義務規定というものにしていくべきじゃないか、労働者の自由な選択によりましていずれも請求できるようにしていくべきだというふうに思うわけでありますけれども、御所見をお伺いして私の質問を終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(小里貞利君) 後段の方は局長からお答え申し上げますが、前段で先生御指摘の点、そのとおりであると思っております。
○政府委員(高橋柵太郎君) 勤務時間の短縮の措置を請求権とすべきであると思うがどうか、こういうお尋ねでございました。勤務時間の短縮の措置は、育児休業と並んで大変必要性が高いというふうに考えられますことから、事業主に今般の法案におきましてその実施の義務を課したところでございますが、内容等につきましては、事業の種類、労働者の状況等によってそのニーズや対応可能性がさまざまでありますことから、必ずしも特定したものとはしなかったところでございまして、御指摘のように請求権とすることは現段階においては適当ではないというふうに考えておるところでございます。
○勝木健司君 終わります。
○西川潔君 本日、私が最後になりますが、諸先生方と重複する部分も多々ございますが、どうぞひとつ復習、おさらいの意味も含めましてよろしく御答弁のほどをお願いいたします。 私の方は、まず最初に、対象となる子供の範囲についてお伺いしたいと思います。今回の法律案には、「労働者が、この法律に定めるところにより、その一歳に満たない子を養育するためにする休業をいう。」、こう定義されておられますが、「その一歳に満たない子」の範囲からまずお伺いいたします。
○説明員(藤井龍子君) この法律で一歳未満の子を養育する労働者という場合の子でございますが、これは当該労働者と法律上の親子関係のある者を意味いたします。したがいまして実子のほか養子を含んでおります。
○西川潔君 そこでお伺いしたいんですが、例えば里親などのように、子を養育する親と子の関係は法律上の親子関係がある場合に限られないということも多いわけです。私も法務委員会で三年勉強させていただいたんですが、昭和六十三年に施行されました特別養子制度では、養親を希望する夫婦と養子となる子供がよい親子関係を築いているかどうかを確かめるために試験養育期間を六カ月以上経過しなければ特別養子縁組を成立させることができないわけであります。このため、この法律案の子の対象者に里子や特別養子制度における試験養育期間中の子供などの場合には法律上の親子関係がなくても育児休業の適用を認めていただきたい、こういうふうに思うんですが、お願いいたします。
○説明員(藤井龍子君) ただいま御説明申し上げましたように、この法律では、法律上の親子関係のある子供ということで定義させていただいております。したがいまして、今先生御指摘のございました試験養育期間中の子供さんの場合は含まれないということになるわけでございますが、もちろんそういったような場合でも、労使でこの育児休業制度の趣旨を十分踏まえてお話し合いいただきまして適切な対応をしていただくということは可能であるし、私どもとしても大変望ましいことではないかと考えているところでございますので、ぜひそういった方向での解決がなされればと考える次第でございます。
○西川潔君 そのとおりでありますが、例えば子供さんを養子さんにいただくわけですけれども、随分気を使われて御夫婦で他府県に宿がえをなさったりされるわけですけれども、我々の方にはそういうお便りもいただく。そして、御近所では、御夫婦はさも最近生まれたような形でもって他府県に行かれるわけですね。そして男のお子さんですか、女のお子さんですか、おめでとうございますというような状況の中にあって、こういうことはぜひ行政の方から温かい御指導をいただきたいと思うんであります。 次に、お伺いいたしたいのは、労使協定を要件といたしまして、雇用期間が一年に満たない労働者には育児休業することができないとされておりますが、労働基準法の産前産後休暇の場合は一定期間の勤務を要件とされておりませんが、今回その要件が盛り込まれたのはどうしてでしょう。
○政府委員(高橋柵太郎君) 産前産後の休業と異なりまして、育児休業、これは本人の自由な選択による休業でありますとともに一年間という長期にわたる可能性があるわけでございます。したがいまして、事業主の負担の程度を勘案いたしまして、休業の要件として一定期間の企業への勤続を求めるということも、労使の合意があればやむを得ない場合があると考えられるわけでございますので、労使協定がある場合には、こういう年次有給休暇の発生要件と同程度のものといたしまして、一年の雇用期間を要件とすることを認めたものでございます。
○西川潔君 それでは、次に所得保障についてお伺いいたします。 育児休業中安心して生活を送るためには、やはり生活保障という観点から、賃金の六割相当額を支給していただきたいな、こういうふうに私も思うんでありますが、大阪の方でもいろんな方にお話をお伺いすると、やっぱり潔さん、何やかや言うても先立つものは金やでと、こういうふうに言いますと、大阪の人はがめついなというふうによく言われるんでありますが、まずはお金です。お金がなければ日々の生活は幸せではありません。幸せの演出はお金がしてくれますし、健康あって、命あってではございますが、本当にまずお金であると思います。 今回の法律の中では特にこの部分が重要視されているんですけれども、一方、企業側からいたしますと、病気休職者にも払っていないのに育児休職者だけを優遇できないというような話も聞きますし、余り優遇されると周囲の反発をまた西川さん、心配するんやという御意見も聞きますし、きょう持ってきた資料にも、新聞などにも、たくさんこれが載っております。賃金保障に匹敵するぐらいの有給保障はなかなか難しいということもよく理解はできるんですが、何とかならないものかなと、ただし、少なくとも現行の育児休業法において公務員である教員、看護婦さんに支給されている社会保険料相当額程度の有給保障をぜひとも支給するべきだ、またしていただきたい、こう思うんであります。 労働省の昭和六十二年度育児休業制度実態調査の結果を読ませていただきました。育児休業制度のある企業のうちに社会保険料労働者負担分を事業主が全額もしくは一部負担しているところが四一・六%、さらに立てかえて払っていらっしゃるところを合わせますと七一・二%の企業が労働者の社会保険料負担に対して何らかの措置をとっておられるわけですが、このような実態も考慮していただいて、未来の日本を支える子供たちを立派に育てていく労働者が安心して育児休業をとれるように、何らかの所得の保障なり温かい経済援助なりをぜひぜひ御検討していただきたいんですけれども、労働大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(小里貞利君) 私は、学校の先生あるいは保母あるいは看護婦さん等のいわゆる現行保障措置、これは決して否定をするものでもございませんし、またこれがそのうち何とか処理されることを決して期待もするものではございませんけれども、御案内のとおり、この制度はまず当分の間という一つのただし書きが入っておることも事実でございます。あるいはまた、先ほど御説明申し上げましたように、おのおのの行政事業水準維持のためにという、あの法制定前後の事情も若干あったと、それから人材確保という面もその前後にあったと、そういうような積極的な特殊な事情もあったということを認識するわけでございますが、その職種よりも、むしろ先生今お触れになりました民間企業におきましてもう既に育休制度を取り入れておりますと、しかも休業中の労働者に対しまして、労使が話し合いをして、そして何らかの措置を講じておりますというところに注目するべき事実がある、こういうふうに私は判断をいたしております。 どんなもんでございましょうか、私は今回この育児休業制度を強力に制度化いたしまして、そして一般企業でございますが、公務員は後を準拠して追っかけてまいりますが、仮定して、国会の理解をいただきまして、これが幕開きをすると、そして具体的にこれが展開されるとなると、私は少なくとも法的環境整備というものは平成三年以前よりもこれは非常に強度なものに進展をするわけでございますから、大分環境も変わってくる。そういたしますと、私どもが今日悩まさせていただいておりまするさまざまな意見も接点がおのずから出てくるのではないか、そういう一つは期待感も持たせていただいておるところでございます。 そのほかについての私どもの当面の措置については先ほどそれぞれ申し上げましたので、御理解いただきたいと思います。
○西川潔君 法は家に要らずと申しますが、幸せな家庭には法律は不必要でございますが、この法律だけは本当にいい形で夫婦の中に、家庭の中にぜひ入ってきていただきたい法律であります。 朝からの大臣の答弁を僕も聞かせていただきまして、今回出てきました法律をよく読ませていただいたんですけれども、勝木先生ともお隣同士でお話しをさせていただいたんですが、何か今回勝木先生、小里労働大臣は脈があるなと、この法律の行間をきっといい形で埋めていただけるようなそういうエネルギーを感じるんでありますが、我々はもう少し、別にお世辞を言っているわけでも何でもないんですが、かなりの期待をさせていただいてもよろしいんでございましょうか。
○国務大臣(小里貞利君) 大変経験の乏しい非力な私でございますけれども、労働省は労働行政を弾力を持ちまして、そしてまた世論を尊重して推進する大変優秀な幹部職員に恵まれておりますから、皆様方のこのような論議に十分注目をさせて努力させていただきたいと思っております。
○西川潔君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。答弁を見せていただきますと、ほかの政府の方々より大臣が皆さん省庁を本当に引っ張っていっているようなそんなエネルギーを感じますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次に移らせていただきます。 ある企業では、小学校の就学前の子供を抱える社員に対しまして、毎日の就業時間を一時間から約三時間短縮して託児所、幼稚園の送り迎えをしやすくして、仕事と育児が可能となるよう育児勤務制度を導入されているようでございます。今回の法律案の中には、育児休業をしない労働者に対して就業しつつ子供を養育することを容易にする勤務時間の短縮などの措置を講じなければならないとされておりますが、具体的にどのような措置をお考えなのかお伺いしたいと思います。
○説明員(藤井龍子君) お尋ねの点は、第十条にございます育児を容易にする措置ということと思いますが、その措置につきましては、労働省令で定めるということになっておりますが、具体的内容につきましては、成立後婦人少年問題審議会に速やかに諮りまして決定させていただこうと思っておりますが、現在のところ頭の中に思い描いておりますのは、一つは所定労働時間の短縮といったようなこと、それからフレックスタイム制を育児をされている労働者の方に適用していただくというようなこと、あるいは所定外労働を制限するといったような措置、こういったような措置をただいまのところ考えているところでございます。なるべく早くお諮りして定めていきたいと思っているところでございます。
○西川潔君 よろしくお願いいたします。 次に、労働者が勤務時間の短縮の措置をとった場合、育児が終了してもそのまま勤務時間の短縮が続きまして実質的にパートタイマーとなってしまうのではないかなというような不安があるということを随分身の回りの方に聞くんです。そのようなことがないように行政としてどのような御指導をなさるのかお伺いしたいと思います。
○説明員(藤井龍子君) 法律案の十条では勤務時間の短縮等の措置を事業主に義務づけているわけでございますが、これは一歳に満たない子供さんを育てられる労働者に対する措置でございますので、御指摘のように一歳を超えるといいますか、期間が終了した後もその御本人の意思に反して勤務時間が短縮される、いわゆるパートタイム労働といいますか、そういったようなことが続くというものはないのではないかと考えておりますが、私どもこの法律案の趣旨が十分施行後生かされていくよう指導をしてまいりたいと思っております。
○西川潔君 このあたり本当に日々お仕事をなさっている方には大変心配な不安な部分でもありますので、ぜひよろしくお願いをしておきたいと思います。 次に、勤務時間の短縮の措置を行うに当たっては保育所などの託児施設の整備充実が今後ますます必要であると私は考えます。今後どのような対策を講じていかれるのか、これは厚生省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) 最近における女性の就労形態の変化に伴いまして保育需要も多様化していると認識しております。このために厚生省といたしましては、乳児保育でありますとか延長保育、夜間保育、一時的保育事業等々特別の保育対策のきめ細かい展開を図ってまいりたいというふうに考えております。 平成三年度の予算におきましても、今申しましたようなそれぞれの保育対策を前進させておりますし、それに加えて新しい保育サービスといたしまして、一般の保育所におきまして夜十時ぐらいまで保育所を開くという形でのサービスあるいは深夜、休日における事業所の企業委託型保育サービスといったようなものもことしの秋以降展開してまいりたい、努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○西川潔君 そこで、以前の小委員会におきましても質問をさせていただいたのですけれども、第一子を保育所に入所させている場合、第二子が生まれまして、先生方もお伺いしたのですけれども、僕の方からもお伺いしたいと思います。 育児休業を取得した場合に第一子を保育所から今度は退所させなければならない。その子供の気持ちを思いますと、せっかく環境にもなれたわけですから、残りの保育期間が短いケースなどの場合、その子がかわいそうな気がいたします。一方では共働きの家庭で保育所に預ける必要性が高い方々のことを考えますと複雑な気持ちがいたします。ですから、こういう人たちに対して厚生省はどういうふうに考えていただけるのかということをお伺いしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) 育児休業を取得した場合の上の子供の問題かと思います。 基本的には、お母さんが育児休業を取得して、あるいは父親の場合もあろうかと思いますけれども、家庭にいるという状態でございますので、家庭に親がいるという点を着目すると、これは親が子供の面倒を見るという仕組みになっておりまして、したがって保育には欠けないという状態になるものですから、基本的には保育所はお預かりしないというのが今の保育の仕組みでございます。ただ、その場合でも、例えばあとわずかで学校へ進むというようなケースの場合、絶対無理かというようなケースもあろうかと思いますけれども、私的契約児ということで保育所の定員に若干の余裕がある場合に私的契約という形でお預かりするケースというものは保育所の実情が許せばこれはあり得ます。 それと同時にもう一つの問題は、育児休業を終えて職場復帰した場合に、もとの保育所あるいは近くの保育所へきちっと入れるかどうかという問題かと思います。先ほど日下部先生の御質問にもあったと思いますけれども、それにつきましては、私ども実情に即したような対応を努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○西川潔君 足かけ私もこちらの方へ参りまして五年になるんですけれども、こうして御質問をさせていただいて御答弁をいただいて、そして実情に即してというふうにお話をよくお伺いするんですけれども、子を持つ親としてそういう施設に参りますと、なかなか窓口では難しいことが多々ございまして、預かられへん、預かれ、もうそれは本当にけんかみたいなことが毎日のようにあるわけでございまして、机の上だけの、ここだけのという部分ではうまくいかないんでありますが、そのあたり特にお願いいたしたいと思います。 次に、保育所に子供を預けながら働いておられる親御さんのお話をお伺いいたしますと、子供さんのことで一番心配しておられるのは子供が病気になったときのことなんですね。例えば朝ふだんどおり子供が保育園へ行きます。そして後で風邪だとか下痢をしているとか、子供に熱が出たということで職場へ連絡が入ってまいります。すぐに親として行かなくてはいけません。そういうときに大変大事なお仕事がある。込み入った仕事中のときなど大変でございます。 そこで、ぜひ僕がお願いいたしたいのは、例えば小さな子供が病気になった場合、その看護のために親が休める制度も必要ではないかなと。平成元年の既婚女子労働者の生活実態調査によりますと、小学校就学前の子供を抱える女子労働者の四六・八%が子供の病気を理由に休暇をとっておられるわけです。その割合は自分の病気の場合の三六・八%をかなり上回っております。そしてその取得日数も三カ月間で二・四日となっております。このような現状を考えますと、小学校就学前の子供を抱える労働者に対して病児看護の、病気の子供の看護のための特別な休暇を年次有給休暇とは別に何とか認めてもらえないものかなというふうに思うんでありますが、労働省はどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 子供が病気になった場合の病気看護のために特別の休暇というものを制度化する、あるいはこれを法制化するということのお尋ねでございますが、この問題につきましては、各民間企業等におきましても、一部そういう制度を先駆的に導入しているところも見られつつあると思いますが、よくそのような普及状況等を見きわめまして、その問題点等についても把握をしつつ、その必要性について慎重に検討すべきものと考えているところでございます。
○西川潔君 時間が参りましたので、この質問を最後にさせていただきます。 通告をいたしておりますが、次回に譲りたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。 子を養育する労働者にとりましては、育児休業制度や勤務時間の短縮などのある程度長時間にわたる制度が必要なことは言うまでもありませんが、その一方で子供が病気になった場合などの突発的な事態に対応できるような制度も必要であると思います。 そこで、この法案が成立した場合、労働大臣が定められる指針の中にこのような病児看護休暇につきまして盛り込んでいただきたいと私は思います。病児看護休暇制度につきまして、最後に労働大臣の御所見をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 病児看護休暇を盛り込むべきである、そういう趣旨のお話であると思うんでございますが、このような休暇に対する先生の温かいお気持ちは十分傾聴に値すると思います。この件はまず原則的には労使間で話し合って解決をされるべき問題でもあろうかと思いますが、特に今回の育児休業法におきましては、事養育をする労働者のいわば雇用の継続を目的としておるものでございますので、この法律案に基づく指針の中で規定することはどんなものであろうか、そういう感じを受けますが、しかしながら、指針の中に入れる入れないは別にいたしまして、当然労働省の行政指導の対象として注目するべき一項であろうと、こういうふうに考えます。
○西川潔君 よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○委員長(福間知之君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 午後五時まで休憩いたします。 午後四時二十三分休憩 ─────・───── 午後四時五十九分開会
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。小里労働大臣。
○国務大臣(小里貞利君) ただいま議題となりました中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年の景気の持続的拡大を背景に特に中小企業において人手不足感が広がっているとともに、近年の出生数の減少に伴い、我が国の生産年齢人口は一九九五年をピークとして減少に転ずるなど我が国が戦後初めて経験する状況となることが見込まれます。 一方、国民のゆとりと豊かさ志向の強まりを背景に、就職に際しても短い労働時間、良好な職場環境、充実した福利厚生施設等が重視される傾向にありますが、これらの分野における中小企業と大企業との格差は大きく、中小企業は労働力の確保に当たって不利な立場に置かれているとともに、今後の労働力需給の動向にかんがみると、中小企業における労働力の確保は、中長期的かつ構造的な課題として対応していかなければならない問題であります。 このような状況にかんがみ、中小企業における労働力の確保を図るためには、中小企業者が行う労働時間短縮等労働条件の向上、職場環境の改善、福利厚生の充実等雇用管理の改善に係る措置を促進し、中小企業の職場としての魅力を向上させることが重要であり、そのための支援策を総合的に進めていくことが重要な課題となっております。 政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、中央職業安定審議会及び中小企業近代化審議会での御議論を踏まえつつ、労働省と通商産業省が協力して労働力の確保を図るために中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置を総合的、体系的に促進するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一に、労働力の確保を図るために中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置に関し、通商産業大臣及び労働大臣による指針を作成することとしております。 第二に、構成中小企業者の労働力の確保を図るための労働環境の改善、福利厚生の充実、募集方法の改善その他の雇用管理の改善に関する事業について事業協同組合等が計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができることとしております。 第三に、計画の認定を受けた事業協同組合等及びその構成中小企業者に対し、雇用保険法の雇用福祉事業としての助成及び援助、雇用促進事業団による資金の貸し付け等、中小企業信用保険法の特例措置、中小企業近代化資金等助成法の特例措置、中小企業投資育成株式会社法の特例措置、委託募集の特例等の措置を講ずることにより、中小企業が行う雇用管理の改善に係る措置を総合的に支援することとしております。 なお、この法律は、公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(福間知之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 ─────────────
○委員長(福間知之君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。下条厚生大臣。
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、我が国の人口構造は急速に高齢化するとともに、核家族化、女性就労の増大、出生率の低下など、児童や家庭を取り巻く環境は著しく変化しております。このような環境変化を踏まえ、二十一世紀の社会を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを総合的に推進していくことが重要な課題となっております。 児童手当制度については、昭和六十年の法律改正において、制度のあり方をさらに検討すべき旨が法律に規定され、また、昭和五十七年から実施されている特例給付の期限が平成三年五月までとされていることもあり、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりの重要な柱として、制度全般の見直しを行うことが必要となっております。 こうした状況を踏まえ、中央児童福祉審議会において幅広い観点から検討をいただき、その意見具申の内容に即して、世代間における社会的な扶養及び経済的な支援の必要性の高い児童養育家庭に対する育児支援の強化という観点から、支給対象を第一子に拡大するなど、我が国の実情に即して児童手当制度の見直しを行うため、本改正案を提出した次第であります。 次に、改正案の主な内容について御説明申し上げます。 第一に、児童手当の支給対象につきましては、第二子以降としている現行制度を改め、第一子に支給対象を拡大することとしております。 第二に、支給期間につきましては、経済的支援の必要性が高い時期に給付を重点化する観点から三歳未満とすることとしております。 第三に、手当月額につきましては、現行の倍額とし、第二子については、五千円、第三子以降については一万円とし、今回新たに支給対象となる第一子については、第二子と同額の五千円とすることとしております。 第四に、平成三年五月で期限切れとなる特例給付につきましては、当分の間継続することとしております。 第五に、制度改正の実施時期につきましては、平成四年一月一日とすることとしております。なお、特例給付の実施時期につきましては、平成三年六月一日とすることとしております。 第六に、制度改正の実施につきましては、現行制度の受給者に配慮し、制度の移行を円滑にするため、経過措置を設け三年間で段階的に実施することとしております。 その他所要の規定の整備を行うこととしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれました状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲を拡大することとし、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。 第二は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十八年四月二日以後に戦傷病者等の妻となった者に対し、その特別な労苦に報いるため、特別給付金として額面十五万円、五年償還の国債を支給するものであります。また、昭和五十八年四月一日から昭和六十一年九月三十一日までの間に、夫たる戦傷病者等が平病死した場合、その妻に特別給付金として額面五万円、五年償還の国債を支給することとしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正につきましては、平成三年四月一日から施行することとしておりますものを、衆議院においては、公布の日から施行し平成三年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(福間知之君) この際、児童手当法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理粟屋敏信君から説明を聴取いたします。粟屋君。
○衆議院議員(粟屋敏信君) 児童手当法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。 修正の要旨は、児童手当制度の目的を踏まえ、この法律の施行後における児童手当制度の実施状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、給付及び費用負担のあり方を含め、その全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとすることであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(福間知之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時九分散会