外務委員会 第6号
- 発言数
- 474 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1991/04/23
会議録
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国際情勢等に関する調査のため、本日、海外経済協力基金理事天野貞夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(岡野裕君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件、以上四件を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、バングラデシュとの間で租税条約を締結するため、バングラデシュ政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成三年二月二十八日にダッカにおいて、我が方井口特命全権大使と先方カーン大蔵省国内資金担当次官兼国家歳入庁長官との間でこの条約に署名を行った次第であります。 この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際的二重課税の回避を目的として、バングラデシュとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。 この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得のうち、航空機の運用による所得に対する租税につきましては、相手国において全額免除とし、船舶の運用による所得に対する租税につきましては、相手国において、その国内法上の課税額の五〇%または課税対象総収入の四%のうちいずれか少ない方の額で課税できることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。 この条約の締結によって我が国とバングラデシュとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることになり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、ブルガリアとの間で租税条約を締結するため、ブルガリア政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成三年三月七日にソフィアにおいて、我が方田島特命全権大使と先方コストフ大蔵大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。 この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際的二重課税の回避を目的として、ブルガリアとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。 この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても相手国において全額免除することを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。 この条約の締結によって我が国とブルガリアとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることになり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、昭和四十七年二月に署名されたフィンランドとの間の現行の租税条約を改正する議定書を締結するため、フィンランド政府と交渉を行いました結果、平成三年三月四日にヘルシンキにおいて、我が方黒河内特命全権大使と先方スクールニク大蔵省国際租税審議官との間でこの議定書に署名を行った次第であります。 この議定書による改正の主な内容といたしまして、フィンランドの税制改正に伴い、現行条約に定めるフィンランドにおける対象税目の一部を改正し、船員税にかえて非居住者の所得に対する源泉徴収税を対象税目とするとともに、フィンランドにおける二重課税の排除の方式につき一定の所得を除き国外所得免除方式を定めている現行条約の規定を改正し、一定の配当以外の所得について外国税額控除方式とすることを定めております。 この議定書の締結によって我が国とフィンランドとの間の二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流の緊密化に資することが期待されます。 よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この改正は、平成二年六月に国際通貨基金の総務会で承認されたものであります。 この改正は、国際通貨基金に対する加盟国の債務の履行遅滞の増大に対処するとの観点から、国際通貨基金協定上の義務の不履行を続けている加盟国の投票権の停止等を規定することを目的とするものであります。 我が国がこの改正を受諾し、その早期の発効に寄与することは、国際通貨基金における我が国の国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここにこの改正の受諾について御承認を求める次第であります。 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(岡野裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 ─────────────
○委員長(岡野裕君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 先般行われました日ソ首脳会談について、政府から報告を聴取いたします。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 今次訪日は、日露、日ソ間の歴史始まって以来初のソ連元首の訪日であり、国民を挙げてゴルバチョフ大統領を歓迎したところであります。また、同時に大統領の滞在は、予定を三回超過した六回の首脳会談における日ソ二国間関係の根本にかかわる極めて率直で徹底した話し合いの場でありました。これらの話し合いの結果は、十八日深夜発表された日ソ共同声明に具現されております。日ソ間の最重要な議題たる領土問題の解決と平和条約の締結の問題を含め、今次会談の議論における話し合いと共同声明の内容は、今後の日ソ関係を新たに推進していく重要な基礎になるものと考えております。 領土問題については、総理、ゴルバチョフ大統領間で率直な話し合いが行われました。 一、従来の日ソ間の交渉の中において国後、択捉を含む北方四島が日ソ間の戦後処理の問題としての領土問題の対象であることについては、一九七三年の田中・ブレジネフ会談の際に作成された共同声明の中で「第二次大戦の時からの未解決の諸問題」との文言について、口頭でこれに「四島の問題が含まれる」ことが確認された経緯がありましたが、右口頭確認の事実すらもソ連側はその後否定するに至っていました。ソ連側が一度も文書により明示的に認めることのなかった国後、択捉両島が、歯舞、色丹両島とともに日ソ間の戦後処理の問題としての領土問題の対象となっていることが初めて日ソ間の文書において明示されたことは、平和条約交渉を一歩明確に前進せしめたものと考えます。(共同声明第四項第一パラグラフ) 二、以上の前進を背景として平和条約が領土問題の解決を含む最終的な戦後処理の文書であるべきことについても、極めて明確な認識が得られたこと。(第四項第二パラグラフ) 三、さらに、平和条約の準備を加速化することが第一義的に重要であることに合意したことも今後の平和条約交渉に弾みをつけるものとして重要であります。 四、歯舞、色丹両島の我が国への引き渡しを規定した一九五六年の日ソ共同宣言につきましては、双方の間で鋭意議論され、「戦争状態の終了及び外交関係の回復を共同で宣言した一九五六年以来長年にわたって二国間交渉を通じて蓄積されたすべての肯定的要素を活用しつつ」との表現の中に当然含まれると考えており、またソ連側に対しても明確にその旨述べております。(第四項第四パラグラフ) 五、他方、領土問題の解決それ自体については、今次ゴルバチョフ大統領の訪日においては打開は見られなかったという厳しい現実があります。 今回の訪日で確認されました四島問題を平和条約交渉の中心に据えて交渉していくとの立場に立ち、今後とも全力を尽くして平和条約交渉と日ソ関係の打開に努力していきたいと考えております。 二国間関係に関しては、発表された共同声明において、一、最高首脳レベルでの定期的な相互訪問、二、拡大均衡の原則に基づく実務関係の推進の必要性等を指摘しております。 さらに、二国間関係においては政治経済、科学技術、文化、人道の各分野にわたる十五の文書が発表され、日ソ関係の幅広い発展の方向性を示唆しております。特に、北方領土問題とともに戦後の日本の心の苦しみとなっていたところのシベリア抑留の問題については、ゴルバチョフ大統領が宮中でのスピーチにおいて「哀悼の意」を表明するとともに、協定が締結され、ソ連側からも多くの死亡者の名簿が提出されたところであります。 国際情勢の議論においては、 一、日ソ関係の正常化は、アジア・太平洋ひいては世界の平和と繁栄に資すること。 二、国連協力の重要性と旧敵国条項が意味を失っていることの確認。 三、中東の戦後復興における協調の重要性。 四、アジア・太平洋地域における諸国家の自主性の尊重。 五、朝鮮半島、カンボジアにおける協力、なかんずく、北朝鮮のIAEAの保障措置協定の速やかな締結の希望。 六、アジア・太平洋における広範な対話と交流の重要性と、自由と開放性の原則のもとでの経済協力の重要性等広範な諸点について意見の一致を確認いたしました。 このことは、日ソがその国力をもって国際場裏において果たしている役割を明確に反映したものと考えております。 以上、今次訪問は日ソ関係の今後の発展に一定の刺激を与える意義を持ったところであり、政府としては、引き続き、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、日ソ関係の正常化と抜本的改善に向かって粘り強く努力を積み重ねていきたいと考えております。 以上であります。
○委員長(岡野裕君) 以上で報告の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡部三郎君 大臣、先週は大変御苦労さまでございました。 今回の日ソ首脳会談は、率直に言いまして、懸案の北方領土問題がそれによって内容的に大きく前進したということでもなかった、また一九五六年の共同宣言の再確認が明確な形でなされたということでもなかったということから、我が党の中にも若干期待外れだという感じを持っている人もいないわけではございません。しかし、今御報告ございましたように、一時は訪日中止がうわさされる中で史上初めてソ連の最高首脳が予定どおりこの日本の土を踏んだ。さらに延べ十数時間に及ぶ会談を通じまして首脳同士が真剣に意見交換を行い、また詳細な共同声明も出た。特に領土問題につきましては、ソ連がその存在を正式に認め公式文書の上で初めて四島の名前が明記された。また、その帰属については領土画定問題と位置づけられ、その解決なくしては平和条約の締結は不可能だということを大統領に十分認識させたというようなことから、いわば問題解決のための土台づくりというものが十分できたのではないかと思うわけでありまして、これは今後交渉を継続していく上で画期的なことだと思いまして、総理初め関係者の御努力に対してまずもって敬意を表する次第であります。 最初に、会談を終えられました大臣の御所感をお伺いしたいと思います。 〔委員長退席、理事山岡賢次君着席〕
○国務大臣(中山太郎君) 今回のゴルバチョフ大統領の訪日、またその訪日は日露、日ソの間の歴史が始まって以来初めてのソ連元首の訪問であるということで極めて重要な意義を持っていると思います。しかし二国の間には、御案内のように、平和条約の締結がいまだされておらず、その障害となっている領土問題が二国間の大きな政治課題であることは論をまちませんが、この領土問題をめぐる議論とともに、いろいろ各般の日ソのこれからの協力のあり方について十三時間近い会談が六回にわたって行われて最終的に共同声明を発出することができたということは、これからの日ソの関係をさらに改善していく上で極めて意義の深かったものというふうに考えております。 特に、今委員から御指摘のように、領土問題がないという従来のソ連側の見解が続けられてきたのに対して今回、歯舞、色丹、国後、択捉という四島が明確に領土問題として文書上記録されたということは極めて意義の深いものというふうに理解をいたしております。
○岡部三郎君 土俵ができたわけでありますから、機会を逸することなくそれをフォローアップしていくということが必要であるということは言うまでもありません。 そこで、首相、外相の訪ソということが早くもいろいろうわさされておるわけでありますが、ただ今回の会談が領土問題について具体的な進展が乏しかったということは、何といってもソ連国内における社会経済情勢というものが大変混乱をしていてゴルバチョフ大統領の政治的な立場が非常に不安定だ、そのために決断を下せるというふうな状況になかったということが大きな原因ではないかと思うわけであります。しかし、こうした情勢がそれでは今後急激に改善されるかというと、その見込みはなかなか少ないのではないか。したがって、余り早期に会談を行っても相手の決断を促すことは大変に難しくて、むしろこちらが譲歩を迫られるというだけに終わるのではないかという懸念もあるわけであります。 そこで、こういった会談の時期等も含めまして今後の平和条約交渉をどのように進めていかれるか、お伺いをしたいと思います。私は、やはり領土問題というのはいわば百年の大計でありますから、余り急ぐことなくじっくりと腰を据えてやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおりでございまして、領土問題というものは両国の主権に関する重要な問題でございますから、しっかりと腰を据えて交渉することが極めて重要であると認識をいたしております。 一方、共同声明の中にも見られますように、日ソ間のいろいろな各レベルでの意見の交換というものは、激しく揺れ動く国際情勢の中でやはり極めて意味のあるものというふうに理解をいたしておりまして、私どもといたしましては、日ソの各種レベルにおいて活発な意見の交換をさらに行うということが重要であろうと考えております。
○岡部三郎君 今回の会談のたしか六回目でしたか、ソ連が日本のいわゆる政経不可分の原則というものを早くおろしてもらいたいということを粘り強く主張したというふうに聞いております。しかし、日本側は最後まで譲らなかったということでありますが、確かに領土問題が前進するという保証がないままに協力案件が先行するということは決して好ましいことではないわけでありまして、したがってこの選択は正しかったと思うわけでありますが、一方で声明の中には、政治、経済、社会の全般にわたって拡大均衡を図っていくのだという方針が明記されておるわけであります。 したがって、日本はこれから政経不可分の原則を片方で維持しながらなおかつ拡大均衡を図るというまことに難しい道を歩まねばならないということでありますけれども、具体的にはどのようなことをお考えになっておられるのか。これは当面の課題についてはこの前十五の条約等である程度決められたわけでありますが、さらにその中長期的な方針についても御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま先生から御指摘がございましたように、拡大均衡という原則が日ソ双方で合意されたわけでございますが、さしあたり私どもは、十五の協定の中の一つとして署名されましたペレストロイカに対する技術的面における全面的な支援というこの協定に従いまして、引き続きこの面での対ソ支援を積極的に進めていきたいというふうに考えております。これが一つの柱ということになろうかと存じます。
○岡部三郎君 それは当面の対策ですね。中長期的にはどうですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 中長期的な観点といたしましては、まさに拡大均衡という原則でございます。私どもも、今中山大臣から申しましたように、積極的に今後もこの平和条約の締結問題の前進というものをあらゆる角度から図りながら、それと均衡する形での経済協力も一方において進めてまいりたいと思うわけでございますが、さしあたりは従来どおり、具体的な案件が出てまいりました場合にケース・バイ・ケース、そういう原則に照らして政府としての方針を決めていくということになろうかと存じます。
○岡部三郎君 日本の専門家の中では、例えばシベリアやサハリン地域における油田なり天然ガスの開発あるいは石炭の開発等のエネルギー関係のプロジェクト、こういうものはソ連経済の支援ということもさることながら、これからの世界のエネルギー需給、特に日本の中東に七割もの石油を依存しているというエネルギー状況を改善するためにも非常に必要だ、いわば国益にかなうことだから、こういうことは協力先行でやるべきだ、こういうふうな意見がありますが、これについてはどうお考えになりますか。
○政府委員(兵藤長雄君) エネルギー面におけるソ連の経済の中におきます例えば石油開発の重要性ということは、私どもつとに認識しているわけでございますが、過去におきましても政経不可分という原則を貫く中で、例えばヤクート原料炭の開発プロジェクト、あるいは南ヤクート炭の共同探査のプロジェクト、あるいはサハリン沖オドプト、チャイウオの天然ガスあるいは石油の探査、これは今開発段階に話が移行しているわけでございますが、そういう開発の計画が一定の規模で進んでいるわけでございます。この背景になりましたものは、まさに今先生が申されました、特に中近東のエネルギー危機以降、日本全体のエネルギー政策、つまり供給源の多様化という当時の時代の要求というものも十分考慮に入れましてその枠内で、やはり世界一豊富なソ連のいろいろなエネルギー資源の開発というものをその枠内で協力していくという考え方に立ったわけでございます。 今後も、先ほど申しましたように、エネルギー資源の開発につきましても具体的なプロジェクトが出てまいりましたに応じましてケース・バイ・ケース、今申しましたような拡大均衡という枠内で検討を進めていくということになろうかと存じます。
○岡部三郎君 財界の一部などでは、今対日輸入代金の支払い遅延という問題が起きているわけですが、これに絡んでの緊急融資程度はやらないと拡大均衡どころか縮小均衡になってしまうのではないかといったような意見もあるようですが、これについてはどういうふうにお考えなのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) このたびのゴルバチョフ大統領御訪日の際には、その点での具体的な御要請はございませんでした。また、それ以前におきましても具体的な御要請を政府のレベルで受けたということはございません。したがいまして、今そういう話が具体的にソ連との間で動いているという事実はございません。
○岡部三郎君 今回ソ連は、四島に対する日本国民のビザなし渡航を認めるとか、あるいはこの四島の地域における共同の互恵的経済活動を開始するとか、あるいはこれらの諸島に配置されたソ連軍を削減するというような提案もあわせて行っているわけでありますが、この意図は一体何なのかということですね。 国民の間には、こういう提案を行うということはこの地域を特別な地域として考えているわけだから、いわば潜在的な主権を認めたようなものだというふうな非常に楽観的といいますか肯定的な意見も一方である。と思いますと片方では、いやそういうことによって四島の領有をなし崩し的に続けようとするもので、うっかり乗ると日本の主権もうやむやにされるぞというふうな否定的な意見、大変分かれておると思うのですね。それから外務省もこれに対しては非常に慎重な態度をとっておられる。そうした理由は一体どこにあるのか、その辺をお伺いしたいと思うのです。
○政府委員(兵藤長雄君) まさに今先生がおっしゃいましたように、ソ連側の具体的な提案の意図が那辺にあるかということはわからないわけでございますけれども、我が方といたしましては、従来から堅持をしてまいりました法的な立場というものがいささかなりとも崩れることがあってはならないというふうに考えておるわけでございます。 例えば無査証入国を認めるというお話でございますけれども、日本国民が旅券、パスポートを所持して例えば北方領土に入る、そのときに入国のスタンプが押されるということになれば、無査証でありましてもこれは我が国の法的立場を害するという議論になり得るわけでございますし、また仮に日ソの間に何らかの知恵を出し合うことによってそういう交流が可能になりましてもさらに難しい問題がある。例えば上陸した日本国民に何か事故があったという場合の先方の管轄権の行使というものをどう考えるか等々、大変に難しい問題がこの自由往来一つとってもあるわけでございます。にもかかわらず墓参という問題につきまして、日ソ間で一時は今申し上げましたような問題も含めまして法的な立場というものが深く絡んでまいりましたために長い間墓参ができなかったという状態がございましたが、これも日ソ間の肯定的方向で検討するという意思と知恵によりまして御承知の墓参については特別な合意ができたわけでございます。 私どもは、この墓参の合意を参考にしつつ、何らかの時代の要請に応じた交流の枠組みなりシステムをつくることができないかというソ連の提案を受けた形での検討は、ソ連側と早急に始めたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡部三郎君 欧米諸国は、バルト三国へのソ連の軍事介入とかあるいは国内でのさまざまな民族問題に対する対応、さらにIMFの調査の結果、現在の経済情勢のもとではこれ以上資金協力、資金援助をしても十分効果が上がらないのではないかといったような報告、こういうことを受けて最近対ソ支援に対しては熱意が大分冷めてきておるのではないかとも思えるわけであります。 日本は領土問題というものを抱えておりますから、これがソ連との交流の妨げになっておるということでありますけれども、そういうことが仮にないとしても、こういう問題はやはり我が国としてもソ連との交流を図る上で考慮に入らなければならない問題ではないかとも思えるわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 先生まさに御指摘のとおり、対ソ協力という点につきましては二つの側面があるわけでございまして、二国間としての側面、そこには先ほど申し上げました平和条約の締結、領土問題という問題が入るわけでございますが、他方国際的な側面という中に、先進国には特に昨年のサミットで打ち出されたような協調してやっていこうという考え方があるわけでございます。この二つを調和させながら我が国の対ソ支援の問題を考えていくということであろうかと思うわけでございます 私どもはまさにそういう考え方に沿いまして今日まで処理してきたつもりでございますけれども、例えば人道的な援助という面につきましては十二月の末に決定をいたしました医療、食糧援助、これは一部既にもう実施をいたしておりますし、一億ドルの輸銀のお金を使いました食糧援助につきましても、長い間ソ連の方からリストが出てまいりませんでしたためにかなりおくれておりましたけれども、リストの提出を待って今進めていこうという段階でございます。
○岡部三郎君 ゴルバチョフ大統領の国会での演説でも申されておりましたが、ソ連は今回アジア・太平洋地域における安全保障問題を話し合うために日米ソ、中国、インド、五カ国による多国間協議の機構を創設すべきだという提唱を行ったわけであります。 この内容については、どうもアジアの実情を十分わかった上での提唱とは思えないというふうな意味でアメリカ、韓国あたりからも早速異議が出ておるということでございます。アメリカからは時期尚早だと、韓国は大国主義だといったような非難もしておるわけでありますが、これについてはどういうふうに取り扱われるつもりか、お考えを伺いたいと思います。
○政府委員(兵藤長雄君) 私どもも、アジア・太平洋地域におきます安全保障というものは大変重要な今日的な話題になってきたということで、既にシェワルナゼ外務大臣が昨年の九月に来日いたしまして以来、中山外務大臣との間でこの問題についての対話を始めたわけでございます。 その際にも、あるいはそれ以来、中山外務大臣がソ連側に繰り返し強調をしておりますのは、アジア・太平洋の平和と繁栄の強化のためにはまずはそれぞれ個々の問題あるいは二国間の関係、例えば日ソ関係につきましては北方領土問題を解決しての平和条約の締結、それによる安定した政治的な基礎をつくるという問題の重要性、あるいは朝鮮半島につきましては朝鮮半島の緊張を一日も早く緩和していく、そのために既に韓ソ国交回復さらにその推進ということが進められており、日朝国交回復交渉が進められておるわけでございますけれども、その朝鮮半島の緊張緩和の問題、あるいはカンボジアの問題等々地域の対立、紛争の解決というものを当面図るということの重要性、さらにもっとその下敷きにございます経済発展、いろいろな形で違うその経済発展の問題をさらに根本的に考えていくということの重要性等を指摘しているわけでございまして、私どもいきなり、ゴルバチョフ大統領が御提案になりましたような五カ国の協議でありますとかあるいはそのほかのいろいろな御提案がございましたけれども、一つのフォーラムをつくるあるいは組織をつくるということに一足飛びに飛ぶというのは時期尚早であろうというふうに考えているわけでございます。 ゴルバチョフ大統領もそういうことを意識されまして、国会の演説でもプロセスの重要性ということを強調されたというふうに考えております。
○岡部三郎君 最後に、クルド人問題等についてお尋ねをしたいと思います。 緒方高等弁務官が帰国をされまして、大臣もお会いになったということでございましたが、どういうお話があったのか。また、それを受けてこのクルド人等避難民の救済につきまして日本政府としてはさらにどういうふうな支援策をお考えになっておられるか等についてお伺いをいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 昨日、UNHCRの緒方高等弁務官が来られましていろいろとお話を承りました。トルコ国境では非常に急峻な山岳地帯があって、そこにクルド避難民が集まっているという状態。一方またイランにおいては、国境の中にクルドの難民が入ってきておる。いずれにしても悲惨な状態で、一枚のテントで五名ぐらいが生活するような状態でありまして、この状態に対して国際的に早急にテント、毛布、医療品等の供給が必要であるというようなお話がございました。政府といたしましては、今まで二つのグループを既に他国に先駆けてイランに派遣をいたしておりまして、既に現地で医療活動を始めております。 なお、UNDROに対してこの湾岸で発生する難民を予想して三千八百万ドルの拠出をいたしておりましたけれども、難民の発生が予想をはるかに下回ったものでございますから千七百万ドルの金が実はキープされておりまして、その中から日本政府としては一千万ドルをクルドの難民に向けてもらいたいということで、この一千万ドルがクルド難民の支援に使われているということでございます。 なお、緒方高等弁務官からは引き続き日本政府にも協力、援助をお願いしたいということでございまして、政府といたしましてはここ二、三日のうちに追加の支援措置を決定いたしたい、このように考えております。
○岡部三郎君 ありがとうございました。終わります。
○堂本暁子君 今も御質問にございましたけれども、この日ソ共同声明を読ませていただきまして、ほぼ十三時間と今大臣もおっしゃいまして、大変行間にその御苦労がにじんでいるように私感じております。わかりにくいところもございますけれども、大変御苦労なさったことをそれなりに評価させていただきたいと思いますし、お役目大変に御苦労さまでございました。 確かに一つ一つ読ませていただくと、いろいろ両国の間で協議なさった言葉の積み重ねなのだろうと思いますが、自民党の方から、わかりにくいからもっとわかりやすく書き直すようにというような声も上がっているやに伺っておりますけれども、実際に書き直すなどということが可能なのでしょうか。大臣でも条約局長からでも。
○政府委員(兵藤長雄君) 最後のところがちょっと……。
○堂本暁子君 実際にわかりやすく書き直したらどうかという報道がなされましたけれども、これは書き直すことが可能なのか、そういうことをなさるのかどうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 読みにくい日本語になったということは大変恐縮でございますが、今先生御指摘いただきましたように、相当時間をかけてソ連側と交渉をし最後にやっと合意を見まして、ロシア語と日本語を両方正文にするということで双方読み合わせた上で海部総理とゴルバチョフ大統領が署名をいたしたものでございます。したがいまして、日本語についてこちら側で変えていくということは、これはロシア文についても同じことになるわけでございますけれども、日ソの首脳間の署名した文書でございますので、日本語自体を、つまり共同声明の日本語自体を変えていくということはこれはソ連側の了解なくしてできないことでございますし、それはできない、実際上は不可能だろうというふうに考えております。 ただ、おわかりにくい点がございましたら私どもの方でもこれをわかりやすく解説するというようなものを考えるということはもちろん可能であろうと、日本側内部の措置としてそういうことをさせていただくということは可能であろうというふうに考えております。
○堂本暁子君 では、原文に基づきまして主に先ほど大臣が御説明くださいました四項について幾つか伺いたいのですが、大臣はもう本当に長時間の交渉に当たられましたけれども、実際に交渉に当たられて、それまでもソビエトで何回かお会いになっているゴルバチョフさんだと思いますけれども、相当相手は手ごわいと申しますか、したたかなところがある大統領でしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私、モスクワで一時間五十分会談をやらせていただきましたし、また今回合計十三時間ぐらいの会談に立ち会っております。 やりとりはゴルバチョフ大統領と海部総理との二人で行われたわけでありますけれども、その間ずっと第三回を除いては全部私は同席をいたしておりましたが、大変実務的能力を兼ね備えた指導者ということでございまして、私もいろいろ各国の首脳会談に携わったりあるいはみずから当たったりしておりますが、なかなか自分でペンを持っていろいろな要点を書き上げていくというような最高指導者というのは極めて少ない。それだけに逆に申せば一言一句に至るまで極めて厳しい態度でこの二国間の交渉に当たられる指導者であるという認識を持っております。
○堂本暁子君 その交渉の結果でございますので、きょうは幾つかの点を伺いたいと思いますが、ビザなし渡航と、それから実際にちょうど会談にお入りになる前にここで五六年の共同宣言について伺ったので、そのことを再度確認させていただきたいと思っております。 四島の固有名詞が入ったわけですけれども、それだけ厳しい大統領、この四島の名前をここに明記するからにはそれなりの代償と申しますか、日本側への要求があったと思いますが、その部分はどこでございますか。
○政府委員(兵藤長雄君) 今大臣から御報告申し上げましたように、この四項の交渉は大変厳しい交渉でございまして、いろいろな部分が複雑に絡み合い、ソ連側が要求しソ連側が重要としたところ、それから私どもが非常に重視したところ、複雑に関連しながら最後までもつれ込んだわけでございます。しかも、この交渉はまだこれが全部ハッピーエンドになって終わったというようなことではございません。まだこの後が続いていくわけでございます。 そういうことでございますので、その交渉の過程の中身でございますが、それをここで御披露するということは御容赦願いたいと思いますけれども、先生仰せのとおり、この四島の名前を明記する、しかも帰属と。この帰属の問題なのだという言葉でソ連側に認めてもらうということについては大変に交渉が難渋をいたしたわけでございます。
○堂本暁子君 その少し先ですけれども、「双方の立場を考慮しつつ」とございます。この「双方の立場」、日本の立場は四島一括返還、もうずっと伺っていることですが、先方の立場はどういうことですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 当然のことながら今回いろいろな点での実務的な前進はあったわけでございますけれども、ここに書いてございます帰属あるいは主権の問題についてはソ連側の立場は相変わらずかたい。その点についてのソ連側の立場は変わっていないわけでございます。私どもも四島一括返還を求める立場は変わっていないわけでございます。その変わらない双方の立場というものをここで念頭に置いているわけでございます。まさにその交渉は今後も続けられていくということでございます。
○堂本暁子君 確認させていただきたいのですけれども、そうしますとソ連側の立場は五六年の共同宣言なのか、それともグロムイコ書簡なのか。書簡というか覚書の方ですね、六〇年の。それとももう領土問題は解決しているという立場なのか。どういう立場をその会談の中で相手はとっていたわけですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 一九五六年の共同宣言につきましては、この共同コミュニケには直接言及がないわけでございます。また、グロムイコ書簡もないわけでございます。この点につきましてはここに書いてございますように、「千九百五十六年以来長年にわたって二国間交渉を通じて蓄積されたすべての肯定的要素を活用しつつ」というふうに書いてあるわけでございまして、この文章をそのまま読めば、これは一九五六年以来の重要な外交文書も含めた肯定的要素を含むと書いてございますので、私どもは当然ここに日ソ共同宣言、松本・グロムイコ書簡等の今おっしゃいました文書が入るというふうに解釈するわけでございます。 一方、ソ連側でございますが、ゴルバチョフ大統領は今回日ソ共同宣言を確認して帰る、確認するということにつきましては、推察でございますけれども、恐らくいろいろな国内の政治的な状況というものから考えてそれはどうしてもできないという立場を貫かれたわけでございます。したがいまして、そこに一つの議論の平行線というものがあったわけでございます。それが基本的にすれ違った点でございますが、しかしながら、にもかかわらずソ連側は今回、北方領土問題というものは四島の帰属をめぐる問題なのだ、その四島というのは具体的にこういう問題なのだということを明確に認め、それをこの文書に書き込むということは明確に合意したわけでございます。
○堂本暁子君 松本・グロムイコ書簡ではなくて六〇年のグロムイコ覚書というものの方が問題だと思うのですけれども、今明確になったとおっしゃいますが、新聞の報道によりますと、国際的義務を履行するというのを入れるという案があったと。これは十七日の会談だと思いますが、ソビエト側から国際的義務を履行するというそういう申し入れがあったのに対して、四島の主権を確認したいという日本側の、これは報道で読んだことですが、日本側は主権を確認しないと困るということで、それでは四島の名前を入れるというような段階になったというふうに読んだのですね。もしそうであるとすれば、その国際的な義務ということでしたら共同宣言は国際法上完全なそういった義務の履行をされるべき性格のものだろうと思います。 そういったものからこの四島という名前が入ったときに、ここでどう縦から読んでも横から読みましても、帰属という言葉は入っていますけれども、日本の潜在主権を認めるという言葉はないわけでございまして、むしろあいまいになったという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) この交渉の過程におきまして、ゴルバチョフ大統領から共同宣言の確認をしてもいいということを示唆した発言があったとは私は記憶をいたしておりません。 〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕 今回は、先ほど申しましたように、共同宣言の確認ということが非常に国内政治的にも難しいという点、ソ連の国内世論あるいは最高会議を初めといたしますソビエトの議会等のことを言及されておられましたけれども、共同宣言の確認がすぐに二つの島を返すような認識がソ連の方にもございますけれども、そういう国内事情というものを背景にどうしても今回は日ソ共同宣言をいかなる形でも公的な文書で確認することはできないという姿勢はゴルバチョフ大統領は終始一貫をしていたというふうに私は記憶をいたします。
○堂本暁子君 まだ二週間しかたっておりませんけれども、この同じ席から兵藤局長に私は再三そのことをこの間御質問申し上げて、局長は日米安全保障条約を認めるというソ連と日本の外相の確認がある以上は五六年からのスタートである、そのことは確認しておりますというふうにおっしゃいました。ということは、外務省としてはこの辺の認識は大変甘かったわけですね。
○政府委員(兵藤長雄君) 私が申し上げたのは、日ソ共同宣言がこの交渉の出発点になるということは申し上げたわけでございますけれども、日ソ共同宣言を確認したということは私は申し上げた記憶がないのでございますが、私が強調いたしたあるいは強調しようと思いましたのは、この領土問題の核心は日ソ共同宣言で国際的に批准を了しました条約でソ連が引き渡しを約束いたしております歯舞群島、色丹島ではなくて、問題は北方四島一括の他の部分、つまりソ連側が今まではこれが交渉の対象だとも認めたことのなかった国後、択捉両島の帰属をめぐる問題、ここが一番の問題であるということを強調させていただいたつもりでございます。 まさに今回の交渉でもこの四島の問題が日ソ交渉の対象の中核であるということ、これを最重要視して交渉に当たるというそういう方針で臨んだわけでございます。その点につきましては、先ほど御指摘のように、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島、この四島の島の名前も明記した上で、この四島の帰属をめぐる交渉がまさに領土問題だ、こういうことになったわけでございます。
○堂本暁子君 きのうの決算委員会で、グロムイコ覚書についての話を出しましたということが総理の口からあったそうですが、どういう出し方をされたわけですか。 今のお話ですと、結局どんなことをしても五六年の共同宣言についてはもう明記しないということははっきり今伺いました。そういたしますと、次にやっぱり問題になるのは、それでは六〇年のグロムイコ覚書も相手の立場を認めるのかということになるわけですけれども、これは日本側からはどういうことを確認なさったわけでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) このグロムイコ書簡が総理の方から出まして……
○堂本暁子君 書簡ですか覚書ですか、いつのグロムイコ書簡ですか。
○政府委員(兵藤長雄君) それは伺いたいのですが、私は……
○堂本暁子君 私が申しているのは六〇年のグロムイコの覚書でございます。安保条約のできたときです。
○政府委員(兵藤長雄君) 私も同じことを考えて御答弁を申し上げようと思っていたわけでございますが、一九六〇年のグロムイコ覚書が出ましたのは、まさにちょっと私が引用させていただきました肯定的要素というものの中にあらゆる文書が入るというふうに理解するというときに、グロムイコ書簡、日ソ共同宣言、田中・ブレジネフ書簡等々と例示をされた、そのときに日ソの覚書の名前を出されたというふうに記憶をいたしております。
○堂本暁子君 そうすると、覚書はその中に入るのでしょうか、入らないのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) これはこの文章をお読みいただきました当然の解釈として、私どもはグロムイコ書簡も日ソ共同宣言も当然入ると。つまり「千九百五十六年以来長年にわたって二国間交渉を通じて蓄積されたすべての肯定的要素」というふうに書いてあるわけでございますから、この共同宣言の文章の当然の解釈としてこれは入るというのが私どもの解釈でございます。
○堂本暁子君 先ほど言われましたように、その五六年の宣言を入れられないということですね。少なくともあの宣言には、平和条約が締結されたときは二島は、歯舞、色丹は返すとはっきり書いてございます。今度記者会見なんかのときのゴルバチョフ大統領の発言には、今まではっきりしなかったこと、実際に成立しなかったものについては私どももその文書の一つの部分を復活させることはしないと。これはさんざんもう報道もされ、先ほども問題になった部分です。 そういたしますと、より明確になったと先ほどおっしゃいますけれども、読み方によってはむしろあいまいになった。そして、四島の名前こそ出ているけれども、具体的な国際的な約束事、条約という形でいいますと五六年の共同宣言すらあいまいになったということはないのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) この点につきましては、海部総理は繰り返し法律論として一九五六年の共同宣言がいかに重みをなす二国間の、つまり日ソ両国間の基本的な国際条約であるか、その国際条約を一方的な声明とか宣言とかというようなもので無効にするということは、これは国際法の理論として到底認められないという議論を展開されたわけでございます。それに対しましてゴルバチョフ大統領は、一度もその日本側の法律論に乗ってこられませんでした。まともなお答えはなかったわけでございます。つまり、海部総理の法律論に対する法律論としてのゴルバチョフ大統領からの否定というものは全くございませんでした。 ゴルバチョフ大統領が展開をされた議論は、今御紹介になられた記者会見のお話もそうでございますけれども、あくまでも政治論でございます。いろいろな角度の政治論を展開された上で、今、今回この共同宣言というものを確認することはどうしてもできないのだという議論を展開されたわけでございます。
○堂本暁子君 何かちょっと楽観できないような印象をここで受けるのですけれども、とにかく私としてはこれからの交渉にぜひ頑張っていただきたいということでこの間ここで伺ったときに、もう自信を持って局長おっしゃったにもかかわらず、やはりいささかグロムイコ覚書も気になります。実際にそれを含めてという今の御答弁でもございましたから、法的な問題として否定はしないとしても、例えば田中・ブレジネフの会談を見ても口頭のものというのはいささか不安定な要素がありますし、かえって両方の解釈がすれ違う、それから混乱する原因すら生むのではないか。そういった意味では楽観できないのではないかと思いますが、先へ進みます。 そして、その次のパラグラフですけれども、ここでは三つ、主に戦後処理の文書、それから長期的展望、安全保障の問題ということを書いておられますけれども、これはこういった問題が平和条約を結ぶときの基本姿勢であるというふうに了解してよろしいですか。
○政府委員(兵藤長雄君) そういう御了解でよろしいのだろうと思います。特に安全保障の問題につきましては双方にとってそれぞれ基本的な問題でございます。双方これを書くということで共通の認識があるということであります。
○堂本暁子君 安全保障の問題、今どちらにとってもとおっしゃいましたし、この間のときも日米安保条約は認めているのだということですけれども、再度確認ですが、この安保条約を害さない、これを含むと。それからさらに先日の国会での演説でも、ソ連、アメリカ、日本の三国協議もいいのではないかというような箇所もございましたが、そういった認識でよろしいわけですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 日米安全保障条約あるいは安全保障体制というものを容認するという発言はゴルバチョフ大統領からも今回もございましたし、従来御報告申し上げておりますように、ソ連側の日米安全保障条約あるいは日米安全保障体制に対する認識が明確に変わっているということは今回も変わりはなかったというふうに考えております。
○堂本暁子君 次へ参ります。 次のパラグラフですけれども、「ソ連側は、日本国の住民と上記の諸島の住民と」というこの書き出しの部分から終わりまで、終わりと申しますのは次のパラグラフへ行く前ですけれども、そこを読む限りでは、これはソ連側が四島は自分のところの領土であるということを前提にして述べているというふうに読み取れると思うのですが、この点はどう理解したらよろしいのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) ここはここに書いてあるとおり、ソ連側はこれこれ、これこれの提案を行ったと、ソ連側がこういう提案を行ったという事実だけを書いているわけでございます。それに対して「日本側は、これらの問題につき今後更に話し合うこととしたい」というふうに述べた。まさにここに事実関係が示されているとおりでございまして、ソ連側は提案をしたという事実を書き、日本側はこれについて何ら評価なりあるいは約束なりをここに書いてないわけでございます。 まさに先生がおっしゃいますように、あるいは先ほど岡部先生からも御懸念の表明があったわけでございますが、ソ連側の意図が那辺にあるのかということは明確ではございません。しかし、私どもは一方で、例えば人の往来をするということ自体は、例えば北方四島の住民を日本に呼んで日本の実情を見ていただくということ自体、私どももこれはいいことだというふうに認識はしているわけでございますけれども、そういう枠組みをつくるに際して、まさにおっしゃるように、万が一にもそのことによって四十五年日本政府、日本国が貫いてきた北方四島についての法的な立場がいささかなりとも害されるということになれば、これは私どもとしても到底そういうものは認めるわけにまいりませんので、双方の法的な立場を害さない何らかの実際的に可能なシステム、可能な枠組みが何とかできないものかということを考えて私どもは話し合いに応ずるという姿勢をとったわけでございます。 私どももこれを全く問題にせずということで書かないという方法もあったわけでございますけれども、そこは一つの時代の流れというものを踏まえまして何かそういうものが可能かどうか話し合ってみようということを日本側が申した、そのことが書かれているわけでございます。
○堂本暁子君 ビザなしで渡航できる共産圏の国というのはほかにございますか。
○政府委員(兵藤長雄君) 今この時点で共産圏という名前で呼べば、大変にその国民にとってはあるいは侮辱なんだろうと思いますが、旧……
○堂本暁子君 じゃ、それを言いかえまして旧共産圏。
○政府委員(兵藤長雄君) 旧共産圏という言葉を使わせていただくと、東欧諸国でございますが、ここはすべてソ連と同じような査証制度をとっていたわけでございますが、少なくとも一部の国、例えばハンガリーですとかポーランドですとかチェコスロバキアにつきましては今までと同じ制度で運用するということは余りにも時代の要請に合わないということで、既に別のシステムという ものの導入ということで話し合いを進めておるところでございます。 ソ連との間におきましては、まだ基本的なその面での変化がないという認識で従来の出入国制度を維持しておるところでございます。
○堂本暁子君 けさの新聞でも見ましたけれども、協定はいつごろから実際に具体化すると申しますか機能するような形でおつくりになるおつもりですか。
○政府委員(兵藤長雄君) これはまず事務的な実務的なレベルで私どもも日本政府の中におきまして、例えば出入国の問題でございましたら法務省その他関係省庁とも十分に御協議をさせていただいた上で一つの日本側の考え方をまとめまして、その上でソ連側とできるだけ早く実務的な交渉に入ってまいりたい。少なくともこの自由往来でございますね、人の行き来の問題につきましては入ってまいりたい。 さしあたりは自由な往来といいますか、ソ連側の言葉によれば自由な往来、何らかの形でソ連の北方四島の方々が日本に来られて日本の実情を見ていただく、あるいは日本の方々が、墓参と同じような方式を念頭に置いているわけでございますけれども、今とは違った形で入っていただく、そういう交流ができないか、これだけを、まずこの可能性を追求していきたい。そのほかの面につきましては、それを見まして考えたいと思います。
○堂本暁子君 ちょっと先を急ぎますので、結構でございます。ありがとうございました。 今私が伺ったのは時期だけなのです。いつまでにやるおつもりなのか、めどを伺っているのでありまして、内容は結構です。
○政府委員(兵藤長雄君) その点は、先ほど申し上げましたように、できるだけ速やかに実務的な交渉を始めたい。時期についてはまだソ連側と合意いたしておりません。
○堂本暁子君 数カ月の単位でお考えですか。例えば二カ月後とか半年後とか一年後とか、その単位ではどうでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) これはまだ国内官庁との御相談を始めておりませんので、私が具体的にいつになったら始めるということを申し上げる段階でございませんが、可及的速やかに始めたいと私は考えております。
○堂本暁子君 一つ、けさの新聞に報道関係のビザなしということが書いてございました。今までサハリン経由で北方領土に取材に入ることを自粛するように外務省では求めてこられましたね。実際にこの間北方領土に入った社の数、それから外務省がどのような制裁をしてきたのか、そのことをお聞かせいただきたい。
○政府委員(兵藤長雄君) ちょっと私、突然のお尋ねでございますので、これは外務報道官組織というところで扱っておりますので、ちょっと何社がお入りになったかという今正確な社は持っておりませんけれども、従来の日本国政府の立場、特に一昨年でございましたかの閣議了解というものがございまして、この閣議了解に基づいた御協力をお願いしているわけでございますけれども、残念ながらそれに反してソ連側の入国制度に基づいて北方領土に行かれたという社に対しましては、例えば後援名義の付与について考慮するとか、あるいは若干の取材について御遠慮をいただくといった措置を従来から実行していたというふうに承知いたしております。
○堂本暁子君 外務大臣にちょっと伺いたいのですが、大臣との懇談にも出られないというふうに聞いております。私が聞いて知っている範囲ですと、新聞三社それからテレビ三社だそうですが、大臣は報道ということについて、大変原則的なことですけれども、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。私も報道出身なので大変こういうことは気になります。
○国務大臣(中山太郎君) 日本の憲法でも報道の自由ということは認められております。ただ、お尋ねの問題点、つまりビザなしで入域した場合ということは、現在領土問題をめぐって二国間での交渉が継続されている渦中でございまして、閣議了解でこの地域に入らないのが好ましいということを申し合わせておりますので、そういうことで外務省としてはこの問題の解決のために協力を要請している、このように御理解をいただきたいと思います。
○堂本暁子君 その閣議了解の内容でございますけれども、であればむしろその閣議了解の内容を問題にしたいと思うのです。どうして今報道関係の人がビザをとって四島へ行くことが国益に反するのですか。
○政府委員(兵藤長雄君) これは先ほどもちょっと御説明をいたしたわけでございますけれども、私どもが四十五年間貫いている建前、つまり北方四島は我が国の領土である。したがって、ソ連が事実上今施政を及ぼしているわけでございますけれども、ソ連側の施政権があるということを認めるわけにはまいらない。施政権を認めないという立場に立ちますと、ソ連側の事実上の施政の行使、具体的にはいろいろあるわけでございますけれども、を認めるわけにはいかない。出入国についてもその一つであるわけでございます。先ほど申し上げましたように、査証を受け取る、あるいは旅券を持っていくというときに、仮に北方領土入国のスタンプが押される、あるいは北方領土に行くというビザが出るということは、これはまさにそういう行為に当たるというふうに私どもは認識をしているわけでございます。例えば漁業の面でなぜ許可証をとっちゃいけないのかというのと同じことでございます。 したがって、そういう小さな一つ一つのことではございますけれども、やはり報道関係者といえども私どもが申し上げております法の立場を害するという行為の中に入るというのが私どもの認識であるわけでございます。
○堂本暁子君 昨年、その閣議決定の後、多分前欧亜局長だと思いますが、各社お回りになって自粛してほしいということをおっしゃった。そのときに、であるとすれば、私も実際身分証明書を持って沖縄へ行ったことがございますけれども、そういった身分証明書を発行するなり、そういうことを外務省でおっしゃるのであれば法的なものを、国益に反さないような形のことを考慮してほしいということを去年申し上げたというふうにおっしゃっていらっしゃいます。そういうことを検討してほしいと。 国民は、もうこれだけ大問題なわけですね、日本のそれこそ戦後ずっとの領土問題、そのことについてどういうところなのか現地のことを知ろうという気持ちが国民にあるのは当然のことです。私たちがもし報道の場におりましたならば、どうしてもそれにこたえるのが報道の使命でもありますし責任でもございます。だからこそ憲法で保障された報道の自由だと思うのです。そういうことに対して外務省は本当に誠意を持って対応なさったのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) まさに北方領土の実情の報道の重要性という側面は私も大変よくわかります。わかりますからこそ、私どもは今回ソ連側からの提案というものがありましたときにこれを直ちに拒否するという姿勢に出ませんで、何とかこのソ連側の提案を受けて、まさにおっしゃるように報道というものも念頭にあるわけでございますけれども、今までのようなことではなくて新しいシステムのもとで入っていただいてその報道をしていただくという可能性がないかどうか、何とかそういうシステムをつくりたいということを考えているわけでございます。
○堂本暁子君 私は、そのまさに法的なレベルの問題の国益、それからもっとまさにグローバルな範囲で長期的展望に立った視座の中で国益を考えるということだと思うのです。 ここはもうぜひ大臣に伺いたいのですけれども、その長期的な視野で、私たちは交渉の内容までは立ち入ることできませんけれども、外務省だけでできる交渉ではない、これは日本国民がバックアップして、本当に日本の領土なのだというそういった世論が起こることが一番大事だと思います。何で北方領土の日などというのを定めていらっしゃるのか。とすれば、それができるのは私は報道関係だと思う。とすれば、法的なレベルはそういうことがあったとしても、そのことを国家的見地から考えてどうしてもっと早くになさらないのか、私はここにとても大きな落とし穴があるような気がしているわけです。今局長がおっしゃったように、その報道のことも考えてソ連側のここのところは入れたとおっしゃいました。しかし私は、これを入れたことが今後どういう意味を持ってくるのかということを真剣に考えなければならないと思うのです。 まず報道のことから伺いたいのですけれども、そういった本当にグローバルな視点に立ったときの国益、そのときに報道がなす重要な役割ですが、例えば外務省よりも先にアメリカのテレビの方が湾岸で戦争が始まったことを知らせた、そういう時代でございます。そのぐらい報道を軽視していただいては困るのですけれども、大臣にもう一度、報道の自由並びに国民の知る権利について外務省としてはどのような見解をお持ちか伺いたい。
○国務大臣(中山太郎君) 報道の自由は憲法によって保障されているというのが原則であります。そういう原則に立って、この領土問題は未解決ということから今日までいろいろな経過がございましたけれども、今回のソ連側のこの共同声明に盛られた文言に照らして、我々の考え方は、外務省としては今後従来の考え方を変えて柔軟に報道が十分できるような形で対応していきたい、このように考えております。 ただしその場合、この地域に入りました場合に、例えば軍事施設を報道した場合のいわゆる相手側の法律によって裁判にかかるといったような事態、これも事実発生する可能性が十分ございます。例えば漁業のために不法入漁した場合に逮捕される、拿捕される、こういった問題がございましたから、相手の国内法で裁判権の問題が一体どうなるのか、そういうことも十分精査をいたしました上で、報道機関にも外務省としては自国民としての保護をどのようにできるかということを検討した上で最終的に結論を報告したい、このように考えております。
○堂本暁子君 その閣議了解なるものですけれども、これは即刻もうやめていただくことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣に伺います。
○国務大臣(中山太郎君) 閣議了解の点につきましてこれを取り消せというような御意見もございますけれども、この問題、今申し上げましたように、国内諸官庁との意見の整理をいたしましてその上で判断をさせていただきたいと思います。
○堂本暁子君 私はやはりもっと早くに、まさに森山官房長官がこの閣議の後で、ソ連側とは報道関係については特別な交渉をするというふうに発言しておられます。そのことも実行されなかったわけです。そのことが実行されていれば違った方法が、私たちが沖縄へ取材に行ったような形がとられていたのではないか。そういうことで言えば後手に回ったというふうに私は思います。 そして、今局長が言われたように、もしこのことを墓参と報道を念頭に置かれて「ソ連側」ということをここに明記されたということは大変なことではないかというふうに思うのです。ですから、報道の自由というもの、そういったものをもっと政府として大事に考えていてくだされば、昨年の間に森山官房長官が発言されたらば直ちにその交渉に入っていただけた、そしてもう自由に報道されればこの機会にもっと世論が四島返還ということで日本じゅうにわき上がったと思うのです。にもかかわらず本当に隠れたような形で、しかもそんな制裁などという、大臣懇談にも出られない、それから後援にはしないとか、これはやっぱり政府による報道の規制であるのではないかというふうに私は感じます。それは私も三十年間報道の仕事をしてきましたので、このことに対しては大変に政府の姿勢が高圧的で前近代的で時代錯誤である、本当に外務省はすべての報道機関を敵にお回しになるつもりなのかと思いながら見ておりました。 そう思っておりましたけれども、むしろこれを見て一番ぎょっとしたのは私自身でございまして、それはなぜかと申しますと、しつこく私はいつまでにどういう形ではっきりこういうことのルールをおつくりになるのですかということを伺いましたけれども、そういったこれからルールができるまでの間、一体報道はどうするのか、これからもそういった制裁をお続けになるのか。そういう自由に行き来ができないような形を今つくっているわけですね。そういったことも、伺うとお答えが長くなるのでやめますけれども、気になります。その辺のところもはっきりそういった大所高所から長期的な展望、国際的な展望で報道のあり方というものを外務省としてぜひお考えいただきたい。さもないと大変なことになる。 今回だけではございません。イラクの場合も同じようなことを感じました。あらゆるところでもう国際化時代の中で、外交と報道というのは表裏一体の関係にあるということでもっと外務省が真剣に考えていただきたい。部屋に入ってはいけないとかソ連課へ来てはいけない、こんなのは実にこそくでくだらないと私は思います。こういうことを報道関係に対してなさるということ、私が記者で霞クラブにいたらもうどんなに腹が立ったかと今でも思っております。違う立場に立ちましたので、ちょっと思い出していささかやりきれない気持ちになっているところです。 次に、ビザなしの問題に入っていきますけれども、ここで大変問題だと思いますのは、ビザなしで入るということ、このことが一つの既成事実をつくるという、むしろマイナス面とプラス面があると先ほどもございました。そういったことでこれからソ連の側のどういう影響が出るというふうに外務省では今考えていらっしゃるのか、これは大臣にぜひ伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) ビザなしで入域するということにつきましては具体的に条約的な問題でございますので、法制上の問題から御答弁をさせていただきたいと思います。
○政府委員(柳井俊二君) 法制的な問題についてお答えを申し上げますが、ビザなしということでございますれば、先方のビザを取得しないということにおきましてはソ連側の許可が要らないという点で一見問題がないように見えるわけでございますが、しかしながらこれがもし例えば西ヨーロッパの国々に行きますような場合と同じような形を想定いたしますと、我が国の国民が日本のパスポートを持ちまして例えばドイツなりなんなりに入る、そこで例えばフランクフルトでドイツに入国したというスタンプが押されるわけでございまして、ビザなしという場合におきましてもやはり先方の管轄権を認めるということになるわけでございます。 したがいまして、このような形であれば、またこのような入域の手続が積み重ねられるということになりますと、やはり先方のソ連側の北方四島に対する事実上の施政というものを認めるというふうに解されるおそれがあるということで、この点は慎重に考えるべき問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○堂本暁子君 おととしの十一月になりますが、ヤコブレフさんが見えたときに、これは中山大臣に私は、ヤコブレフさんは盛んに第三の道ということを言っている、大臣はどうお考えになりますかということを質問申し上げました。大臣はそのときに、日本としては四島一括返還、その原則を守っております、政経不可分というふうにおっしゃいました。大変に小さなこんなべた記事でしたけれども、ヤコブレフさんはまさに私の言った第三の道に決まった、そのとおりであるというふうにおっしゃっておられる。私は、このビザなし渡航がまさにこの第三の道だったということにはたと思い当たりまして、この中でもしかしたらキーの部分があるとすればまさにこのビザなしなのではないか。 四島返還ということの法的なこと、主権のことに日本が非常にこだわっておられた、それは当然のことでございます。そのことは私も賛成です。 しかし、やはりこちらはおか目八目なのかもしれませんが、その間に相手はバイパスをつくっていた。そのバイパスこそがこのビザなし渡航なのではないか。ましてをや、そういった報道関係からの問題とこれは絡んでいたということを考えますと、何世紀にわたる国の領土というものが、外務省の非常に小さい部分と言ったらしかられるかもしれませんけれども、報道の問題ですとかそういったことのために、もっと報道のことを大所高所からお考えいただいていたらここの「ソ連側」というのは入れなくても済んだことなのではないか、ここに書き込まないで外交交渉だけでもっとやれたことではないかというふうに思うのです。ビザなし渡航というのをここに書き込んだというのは相当に大変なことではないか。 しかも、すぐきょう一週間とたたない間にこれの実務的交渉に入った。これは日本側から交渉を求めているのですか、それとも相手側から交渉を求めているのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) これは話し合いをしようということが合意されたわけでございますから、双方の合意に基づいて実務的な話し合いが行われるということでございます。
○堂本暁子君 ここでさらにその先に言っている「共同の互恵的経済活動」、今度は財界からも投資をしたい、それから沿岸貿易の希望というのもたくさん来ると思うのです。今度報道だけの問題ではございません。政経不可分とおっしゃいますけれども、今度言葉が変わりましたが、均衡と言いながらここから実質が崩れていく。それに対して外務省はどう対応をしていらっしゃるのか。そして、どういう考えでこれから、報道に関しては今伺いましたけれども、報道だけではない、墓参だけではない、ここで経済的な交流が始まったときに、政経不可分というのはここから第三の道で崩れていく。だからこそヤコブレフさんがもうまさにあのときから、おととしからずっとソ連側が引いてきた路線に日本がまんまとと言っては言葉が悪いかもしれませんが、その路線に乗ったのが私は最低ここの部分ではないかというふうに読めて仕方がないのです。 こういった経済問題についてはどうなさるのか、その点も伺いたい。
○政府委員(兵藤長雄君) 経済的な側面につきましては、ここに書いてございますもののほかに日ソ共同声明第九項というのがあるわけでございます。まさに経済と政治の関係、あるいは政経不可分という言葉で申しますれば、そこの糸を切るか切らないかという緊迫した話し合いが行われたことも事実でございます。 私どもは、引き続き拡大均衡という原則で進めていくということははっきり書いていたわけでございますし、今ここにこういう文章が書かれたからその原則が崩れていくのだ、あるいは崩していくのだというような認識は持っておりません。引き続き今までの方針というもののレールの上で考えていくということでございます。
○堂本暁子君 ここはなし崩しにいかないようによほど慎重に、しかも早急な取り決めをなさる必要があると思いますけれども、大変に後に影響が出る可能性もあるのではないか。そこのところを大変大事に思います。 報道関係としての最後に、一つ私はお願いをしておきたいのですが、大臣がモスクワで特派員の数について外相同士の会談をなさったというふうに聞いております。田中元総理のときに二十人と決められていた特派員の問題、これもこれだけの大きな問題を抱えているときに二十人で報道するなどということはあり得ないことですし、大臣は今度三十人という交渉をお持ちになったように聞いています。でも私は、さらに無制限に広げてもいいのではないか。そういうことでモスクワの特派員の問題についても、先ほど申し上げたような観点から、またこういう後手後手にいろんなことが回らないように御配慮いただきたいということをお願いして、次に移りたいと思います。 次の問題の「肯定的要素」、これは時間が大変私が思っていたより迫ってまいりましたので、その次に参ります。 十八項の国連憲章における旧敵国条項ということがここに記載されております。このことについて、これは公式な外交文書に旧敵国条項が載ったのは多分初めてであろうというふうに思いますけれども、私はこの中で五十三条とそれから百七条ですか、国連憲章の中にその敵国条項というのがあってもどういうことか余りよくわかりませんが、政治的にはこれが載っていることは理解できます。しかし、今度は先ほどの問題と立場が逆になりますけれども、法律的にはこの旧敵国条項の項目を解決する方向へということでここにお入れになったこと、これはどういう意味を持っているのか、この点をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘になりましたように、五十三条それから百七条におきまして国連憲章上いわゆる旧敵国条項というものがあるわけでございますが、このいずれにつきましても、国連憲章のいろいろな原則につきまして第二次大戦の旧敵国については例外的な措置がとれると、簡単に言えばそういうことでございまして、いわばさきの大戦の一つの名残のようなものであるわけでございます。そこで、中山外務大臣も大変に精力的にこの問題に取り組んでこられたわけでございまして、今やこのような古い条項はいわば時代錯誤である、したがって我が国としてはこのようなものは削除すべきであるということを強く主張してこられたわけでございます。 ソ連との間におきましても、これまで外相会談等を通じましてこの主張をしてきたわけでございますが、この共同声明で書きましたことは二つあるわけでございます。 一つは、ここにございますように、「双方は、国際連合憲章における「旧敵国」条項がもはやその意味を失っていることを確認する」ということでございまして、この点は我が国が国連加盟国になったということで主権平等というあるいは平和愛好国であるということが認められたわけでございますので、その意味でこの旧敵国条項というのは我が国には適用がないということで認識が一致しているわけでございます。その点を確認したと。また、ドイツとの関係におきましても同様な認識、であるということでございまして、この点の認識は一致しているわけでございます。 第二点は、しからば今後どうするかということでございますが、我が国の立場あるいはドイツ等いわゆる旧敵国の立場からいたしますれば、これは当然国連憲章から削除してしかるべきものであるということでございます。しかし、削除というものも一つの国連憲章の改正になるわけでございますので、国連憲章を改正するということについては、この条項について問題はないとしても、またいろいろ波及することもあるのじゃないかということで、国連加盟国、なかんずく常任理事国の間にいろいろな意見があるということで、その方法についてはそういう点も考慮してこれから相談していこうという点が第二点でございます。
○堂本暁子君 ここもるる伺いたかったので、せっかく国連局長おいでいただきましたけれども、実際に拒否権の問題をどうするのか、それからいまだに拒否権のあるあり方の国連の民主化との関係は日本としてどうするのか、その辺のことを伺いたいと思いましたが、次回の外務委員会に譲らせていただきたいと思います。 あと中国とかアメリカとか、どういうことを交渉していらっしゃるのか、そういった点も今回のこのソ連も含めてぜひ伺いたいのですが、もう一つどうしても、きょうはわざわざOECFの天野理事においでいただいておりますが、私がこの間予算委員会のときにフィリピンのカラカの発電所のことを質問させていただきましたが、二号炉のことについて伺いたいのです。 現在、事業はどの辺まで進展しておりますでしょうか。
○参考人(天野貞夫君) ただいま言われました案件は、ルソン島におきます電力需要の増加による電力供給不足に対処するために、現在稼動中のカラカ石炭火力発電所第一号と同規模の第二号機を 建設しようというものでございます。それで……
○堂本暁子君 その内容は全部わかっておりますので、できましたらその受注の問題。実際にENが結ばれたのは随分前でございます。先日は環境の問題、一号炉で大変環境の問題が起こっている、ついては二号炉は今進めないようにしていただきたいということをお願いし、それから中山大臣もそういうことについては直ちに調べるようにいたしますというふうに御答弁くださいました。 そこで、OECFとしてはどういう対応をなさったのか。それから、現在それを実際に同じ規模のものをつくると今まさにおっしゃったことがもう実行されたのでは、一号炉では公害が出ているわけですから、その一号炉の公害、それからJICAさんの調査もございます。そういったところの問題を十分に考慮して先方に連絡しているのかどうか、フィリピン政府に。その点を確認させてください。
○参考人(天野貞夫君) 二号機の進捗状況について申し上げますと、現在本体工事の契約について目下交渉中でございます。したがいまして、工事そのものはまだ開始されてございません。
○堂本暁子君 入札は終わりましたでしょうか。
○参考人(天野貞夫君) 入札につきましての公示並びに評価、この作業は終わってございます。
○堂本暁子君 いつ入札は終わりましたか。
○参考人(天野貞夫君) 公示がございましたのが一九八九年十一月でございます。それから、開札がございましたのが一九九〇年の三月でございます。 それから、私どもの手続に従いましては、この入札を評価いたしまして、その評価結果の同意を私ども海外経済協力基金に求めてくるわけでございますが、その申請を受領しましたのが十二月でございます。
○堂本暁子君 それは結局十二月に落札した業者をお認めになったということですか。
○参考人(天野貞夫君) 違います。私どもは手続的にはその同意申請を受けまして基金内部で検討いたしまして、それの評価の結果が妥当かどうかということを踏まえた上で、確認した上でその同意を与える、こういうことでございまして、私どもがその同意を与えるというのは三月になりまして同意を与えたということでございます。
○堂本暁子君 三月何日でございましょうか。
○参考人(天野貞夫君) ちょっと私、日にちまで存じておりません。申しわけございません。
○堂本暁子君 私が質問させていただいたのは二十九日です。そして、一号機と二号機のフィージビリティースタディーは同じものであるとそのときに御答弁がございました。それが同じものであるとすればまた公害の原因になるわけです。早急に相手側に、今そこまで進んでいるのであれば、入札まで終わっているのであれば、それを評価するような段階までいっているのであれば、再考を求める必要があると思いますが、それはどうしていらっしゃるのか。 そして、あれだけ問題になっているからそれを再考するということをおっしゃった以上は、今のままの計画では受注できませんね。このことをきちんと確認させていただきたい。
○参考人(天野貞夫君) この工事の契約そのものにつきましては、先ほどお述べになりました環境対策の問題というのとは別個のこととお考えいただきたいと思います。 それで、環境対策につきまして現在私どもがどういうことをやっているかと申し上げますと、私どもはフィリピン側の実施機関、これに第二号機の着工前にフィリピン国における天然資源環境庁の基準、これをクリアすべくばい煙とかあるいは炭じんとかそういった問題について所要の対策を実施しなさい、いたしますということで私どもは承知いたしております。
○堂本暁子君 そうだとすれば、全く二十九日の予算委員会の中の御答弁は行政としては執行していらっしゃらないということですね。 あのときにはっきりそちらでおっしゃったことは、一号機と二号機とは同じフィージビリティースタディーであるということでございます。とすれば、一号機がこれだけ公害を出しているとすれば、JICAの中ではっきり言っていること、その中では指摘しております。こういった石炭ではだめである、それから排煙脱硫装置もついていない、そういったことをるるJICAの方からは出ているわけです。そのことを再検討しない限りこれは地元の市議会でも工事をしてもらっては困るということを言っているにもかかわらず、また日本がここで強制的に、強制的というのはおかしいですけれども、そういった受注の企業間のスケジュールに乗って進めたらばまた公害の原因になるわけです。 今度は相手側の、前は民間の企業の仕事ですが、今度は日本のODAでございます。ODAがそういう公害の輸出をしては困るのだということで質問をしたにもかかわらず、それから後になってこういう一号機と同じそのままの計画で二号機でどんどんそういうことの事業が進んでいるというのは私には理解できませんが、これはもう大臣と局長に伺います。
○政府委員(川上隆朗君) 先生御指摘のカラカ一号機、二号機の関係でございますが、今二号機につきましての環境問題につきまして基金からも御答弁がございましたけれども、カラカ一号機につきましては、先般の予算委員会の御討議の後、我々といたしましてもフィリピン大使館を通じまして現在の検討状況がどうなっているのかということを先方から情報として入手いたしております。 これは時間がもうございませんので簡単に申し上げますと、環境天然資源省とそれから当局者でありますフィリピン電力公社との間に若干の環境問題についての意見の相違があって、今その点につきまして、これは一号機でございますが、裁定委員会というものにかかっているというのが現状だと承知いたしております。したがって、一号機の環境対策につきましてはフィリピンの国内において相当厳しい議論が行われているというふうに承知いたしております。 さらに二号機でございますが、二号機につきましても基本的には同様でございまして、先般既に御答弁申し上げましたけれども、本件事業がフィリピン国の環境基準を満たすものであるか否かということを現在フィリピン政府部内で最終的な検討段階というふうに我々承知いたしておりまして、その後確認を行っておる次第でございます。その過程で今月十八日に地元で公聴会が開催される運びになったということを確認しておりまして、現在その結果につきまして情報の入手に努めているという状況でございます。
○堂本暁子君 受注契約はもうやっていらっしゃるわけですか、先方で。
○参考人(天野貞夫君) 先ほども申し上げましたとおり、私どもは先方の行いました評価結果の申請を受理しまして、それを検討しましてそれに同意を与えるという段階でございます。これから契約が参ります。
○堂本暁子君 もう時間になりましたのでやめさせていただきますが、受注をしていないということですね。
○参考人(天野貞夫君) まだ契約が行われていないという意味におきましては、受注は行われておりません。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
○清水澄子君 もう既に新聞情報等で、政府はあす四月二十四日の閣議でペルシャ湾への海上自衛隊の掃海部隊の派遣を決定される、そして二十六日にはもう出発である、こういうことが報道されておりますけれども、一体国会というものは、私たち国会という場所はこういう重大な問題について何ら十分な審議もしないで、そういうことが政府のみの決定で強行されていいものかという多くの疑問を持っております。時間も短いのですが、非常にこれは重要な問題ですので私はここで幾つか御質問をいたしますけれども、それにつきましてぜひ正確にお答えをいただきたいと思います。 まず、運輸省の方いらっしゃいますね。現在運輸省の得ているペルシャ湾の船舶航行に関する警戒情報についての資料を提示していただきたいと思います。
○説明員(村上伸夫君) 先生から資料要求がございまして御提出申し上げているわけでございますが、我々が得ている情報といたしましてはアメリカ政府の海事局から出された勧告がございます。これは私どもリベリアの関係の民間機関から入手したものでございます。
○清水澄子君 いつごろ入手されましたか。
○説明員(村上伸夫君) 四月の初めであったと記憶しております。
○清水澄子君 四月八日ごろと。
○説明員(村上伸夫君) 四月八日でございます。
○清水澄子君 そうですね。 アメリカ大使館で確認されてこれがそのとおりだと。どこに機雷が敷設されているかというこの図ですね。(資料を示す)これはアメリカ大使館で確認されましたね。
○説明員(村上伸夫君) 内容につきましては、在京の米大使官を通じましてこの情報は米国が自国の関係船舶にあてた航行上の注意である、勧告であるということを確認しております。 ちなみに、運輸省といたしましては、この情報を日本船主協会に伝達したところでございます。
○清水澄子君 経団連の平岩会長が同じく八日に非常に異例の会長見解を発表しておりますね。それは日本の湾岸貢献策に絡んで、平和時に限定する、アジア諸国が理解を示す、法制上も問題がない、この三条件が満たされれば政府としてペルシャ湾に掃海艇を派遣すべきだと、こういうことが述べられた日といみじくも同じ日にこれを入手されているわけですけれども、運輸省は経団連に何らかの働きかけをされたのでしょうか。
○説明員(村上伸夫君) そのようなことはございません。 御案内のように、四月八日付で日本船主協会及び全日本海員組合から政府にあてて、ペルシャ湾の航行について安全上の問題がございますので政府に格段の配慮を願いたいと、こういった要望書が出てまいっております。
○清水澄子君 このペルシャ湾の航行情報というのは、海上保安庁の水路部が出している航行情報の性格とどこが異なるのでしょうか。
○説明員(村上伸夫君) ペルシャ湾に関連いたしましていろいろな情報を入手することがあるわけでございますけれども、これは我々今申し上げましたように、関係の船社その他に連絡するのが通例でございます。海上保安庁の水路部におきましては、各国が出した航行警報その他というのがございますけれども、これは海上保安庁の判断で必要なものについては航行警報なりそういった形で発出しているところでございます。 ちなみに、今御質問がございました米国政府の海事局から出された勧告につきましても、これは海上保安庁としても近々水路通報として文書の形で発出を予定するというふうに聞いております。
○清水澄子君 普通の海上保安庁の水路部の出す航行情報の場合はいろんな船舶、日本の船舶もそこは通れるわけですね。この場合はアメリカの旗を掲げる船舶に対しての連絡じゃないのですか。
○説明員(村上伸夫君) 米国政府が出したこの情報自体は、先ほども御答弁申し上げましたように、アメリカ政府が自国の関係船舶、文書によりますとアメリカ国籍の船舶あるいはアメリカの船会社がコントロールしている、支配している船舶に出されたものでございます。 ただ、航行の安全に関する情報というのは、これは日本の船もアメリカの船もリベリアの船もパナマの船も変わらないわけでございまして、今そういった観点から我々としては入手した情報を我々の関係の船社の方に連絡しているということでございます。
○清水澄子君 この情報によりますと、ペルシャ湾のいわゆる北緯二十八度より南の方は爆発する可能性のある機雷はないと書いているんですね。そして、いわゆるイラク、クウェートの一番奥の北部の方にまだ少し危険なものがある。だから、普通商船がこのクウェートの港湾に入港の場合は要請があれば護衛艦がエスコートしますから、ぜひアメリカの中東軍司令官に連絡ください、こういう文書になっておりますね。これは日本船には適用できないものでしょうか。
○説明員(村上伸夫君) 米国の政府の勧告を読みますと、エスコートを希望する商船の対象は特に限定はしておりません。 ただ、今先生のお言葉でございますけれども、この情報を見ますと、埋設した機雷というものがある一定緯度の海域にあるということが書かれているわけでございまして、浮遊する機雷についてはそれを触れていないというふうに書かれております。また、航路につきましても、そこの書かれているところについての安全を保障するものではないということも同時に書かれているわけでございます。
○清水澄子君 そのことは、一番北部で同盟国の軍用艦が通常の任務についている期間には浮遊機雷に関する警戒をしなきゃならないというのがこれに出ているわけですね。ですけれども、北緯二十九度より南の方はクウェートの港湾に商船は入れます、それはしかしまだ危険な場合がある、おそれがあるからエスコートしてほしいときには連絡なさい、こういうふうな内容なんです。 今ペルシャ湾の日本の船舶の安全性ということを考えましたときに、もしもっと危険である、この情報以外にもっと危険であるというふうにとらえるならば、どこからの情報がそういうことは一番確かなものでしょうか。
○説明員(村上伸夫君) 先ほどもお答えいたしましたように、私どもが入手している現時点の最新の情報というのは今先生がお示しになられました情報でございます。 ただ、ペルシャ湾の湾奥部というのは機雷が埋設されておりましたりあるいは浮遊機雷の危険性というものがあるわけでございまして、現実に船舶が行っているということは日本の関係の船会社なりあるいはそれに乗り組んでいる日本人の船員がそこにおるわけでございまして、そういうことも踏まえまして日本船主協会及び全日本海員組合から政府に対しまして、航行の安全及び船員の人命の安全という趣旨で政府に対する配慮要請というものが出されてきたと承知しております。
○清水澄子君 それでは、今まだ機雷の敷設危険区域というのが二十七度以上北の方にあるのだと言われているわけですが、そこに航行する日本船というのはどういう航行目的で行っておりますか。それから何隻ぐらいそういうところへ入っていますか。
○説明員(村上伸夫君) 三月以降、日本関係の船舶、日本籍船及び日本の船会社が用船した船舶がペルシャ湾に一日当たりをとりましたときに平均して在湾しているのはたしか十五隻程度であるというふうに記憶しております。
○清水澄子君 二十七度以北ですよ。
○説明員(村上伸夫君) 現在までのところ日本関係船舶の行っておりますところは、サウジアラビアのラスタヌラ及びジュベール、イランのカーグ島というところまでになっております。
○清水澄子君 そこで、はっきりしましたのは、日本の船はそこまでは行っていない、そしてこの米軍の情報が一番正確な新しい情報であるということですね。ありがとうございました。 そこで、防衛庁に伺いたいと思います。 今運輸省より提出のありましたMARAD勧告というのでしょうか、これについての関連の質問からしたいのですけれども、防衛庁は少なくとも掃海部隊をペルシャ湾に派遣しようとしているわけですから、このMARAD勧告よりももっと詳しい機雷敷設危険区域の情報をお持ちなのだろうと思いますが、それについていかがでしょうか、資料を提出いただきたいのですが。
○政府委員(畠山蕃君) 防衛庁といたしましては、外務省ないしは運輸省からの情報をもとに機雷の敷設状況を把握しているわけでございまして、防衛庁が独自のルートで別途の情報を持っているということではございません。
○清水澄子君 防衛庁というのは独自には情報を持たないのですね。全部外務省と運輸省からいただくわけですか。そして出兵はするのですか、もう二十六日に。
○政府委員(畠山蕃君) 外国の土地の問題でありますから、外国における地域の問題でございますから、外交ルートを通じて情報を把握して、それに基づいて判断をしているというところでございます。
○清水澄子君 そうでしたら運輸省がこれが一番新しいものだと言えば、これは米軍の情報によるものということですから、外交ルートといってもこれ以外にはないということですね、防衛庁は。ないのですね。 これにはちゃんとどこに機雷が敷設されているかという図もはっきりあって、一番奥の方なんですね。ですから、その情報に基づいて防衛庁は二十六日に出航されるわけですね。そうしますと、じゃどの地区の機雷敷設危険区域を自衛隊の掃海部隊が担当されるのか、この地図でどこか指していただけますか。どこへ入るのですか。
○政府委員(畠山蕃君) 現在まだ最終的に派遣が決定されているわけでございませんで、現在具体的な検討の詰めを行っているところでございます。そのような具体的な現地におきますオペレーションにつきましては、これから派遣されることになりますと恐らく現地において各国との協議も必要な限り行った上で、どこの地域を行うかあるいはどのような形でやるかといったようなことが具体的に決まっていくものと承知しております。
○清水澄子君 部隊というのはそういうものでしょうか。二十六日に出発というのに、まだ確かに決定していませんね、出動というのは。あすとか言いますね。でも、それも今は決定しているという報道なのですけれども、もうあしたあさってという、こういうときでもまだどこへ行くのかわかりませんという形でそういう指示とか命令が出せるものなのですか。
○政府委員(畠山蕃君) ぜひ御理解いただきたいのですが、ペルシャ湾の地域の一定の場所に非常に我が国の船舶の航行の安全を害する機雷が多数存在しているという厳然たる事実があるわけでございます。それの除去について各国と協調してこれを行うということでございまして、その具体的な海面の場所といったことについてはドイツが派遣した場合でも恐らく事前の段階であらかじめ海面のどこと決まっていたわけではないであろう。各国が協調して行うというときにそれを協議して、それぞれの担当区域を分けるなりあるいは時間的分担を行うなりという形で協議してその担当を決めているというふうに承知をいたしております。
○清水澄子君 非常に何か不明確ですが、では日本の船舶の公海上の安全というのですけれども、こういう場合には公海といっても領海や相手国のクウェートやいろんな国の近海での掃海ですね。公海というより近海ですね。これでは領海に掃海艇が侵犯する危険性というものがあると思うのですけれども、そういう場合、相手国の主権の侵害との問題というのは何も今は考えないで行くわけですか。
○政府委員(畠山蕃君) 当然内々に外交ルートを通じまして各国にといいますかその関係国に、そこの掃海についての情報の入手とともに、今御指摘のその地域における掃海ということについての打診を行っているところでございまして、当然領海に入ります場合にはその国の同意が何らかの形で必要になるということであるわけでございます。
○清水澄子君 では、ちょっと外務大臣にお答えいただきたいのですけれども、今そういうところに内々に打診をしているということをおっしゃいました。内々というのは外交ルートを通してですよね。それから、相手に打診を行っているというわけですけれども、相手国の了解がなければ入れないわけですね。そういう場合に一体これはどこから、クウェートから機雷を撤去してほしいとかイラクから撤去してほしいと依頼があったのでしょうか、正式に外務省に。
○政府委員(渡辺允君) まず依頼があったかという御質問でございますけれども、その関係国から特にそのような依頼があったということはございません。 それから、外務省といたしましては、まだ派遣は決定されておりませんが、種々の状況の調査等をこれまで行ってきておりますので、その範囲内で内々の相手国との接触等はございますが、いずれにいたしましても、その要請があったという事実はございません。
○清水澄子君 ないですね。こういう軍というものが出ていく場合に要請がなくて出ていく、しかも今のこういう近海、その国の非常に近いところですから近海、領海を侵しかねないわけですね。相手国の主権の侵害との関係が出てくるのですけれども、そういう場合はどういうふうに外務省はお考えになりますか、ここでもう出発するという場合に。
○政府委員(渡辺允君) 私どもがこれまで承知をいたしておりますところでは、現在ペルシャ湾の北西部に敷設されております機雷というのはその大宗が公海上にあるものというふうに理解をいたしております。仮にそのうちの幾つかのものがいずれかの国の領海内にあるとすれば、それはその領海内に入る場合には相手国の同意を心要とするということになると思います。
○清水澄子君 日本政府が公海上にあると勝手に決めても、これは敷設された場所、きちっとどこにあるかということまで地図に米軍はちゃんと指定しているわけですから、それは非常に苦しい答弁だと思いますが、絶対これは納得できない問題だと思います。 そこで、防衛庁にもう一度お伺いしますけれども、相手国の沿岸部や領海でのいわゆる機雷の掃海作業というものは、これは公海で航路の安全のためのものではなくなると思うのですね。その場合これは一種の軍事行動にはならないのですか。
○政府委員(畠山蕃君) 軍事行動になるかという点でございますけれども、全くそれは性格の違う行為でございます。
○清水澄子君 どういうふうに性格が違うのですか。相手国の領海や沿岸部で機雷の掃海、機雷という性格の掃海作業をするとき、これは全く性格が違うというのは何でしょう。
○政府委員(畠山蕃君) 戦闘行為が行われている最中であれば、機雷を敷設した国はその相手国をいわばやっつけようということで機雷を敷設しているわけでございますから、その機雷を除去する行為はそれに対する敵対行為というふうにみなされることに相なろうかと思います。しかし、現段階はまさに実態的にも形式的にも停戦が完全に成立しているわけでございますから、平和時において公海ないし領海上にございます危険物を除去するという行為でございます。したがって、無主物となった機雷をそういうことで除去するわけでございますから、これは戦闘行為では全くございません。
○清水澄子君 普通のごみか危険物でしょうか、機雷の作業というのは。
○政府委員(畠山蕃君) 繰り返しになりますが、遺棄された機雷ということになりますので、公海ないし領海に存在する危険物の除去ということでございます。
○清水澄子君 そこで、防衛庁は先ほど航路の情報は外交ルートを通してと言いましたけれども、機雷の情報はどこから得られるのですか。どこがこの機雷の情報を一番持っていると思われますか。そして、どこの部隊と一緒にこの作業をしなければならないというふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(畠山蕃君) 機雷の情報、機雷の敷設状況についての情報をどこが持っているかという御質問かと思いますが、それは必ずしも確認しておりませんのでわかりませんけれども、当然米海軍が一番それを持っているのではなかろうかと推定いたします。 しかしながら、どこの国の軍とともに行動しなければならないかという点については全くそこは各国との調整次第の問題でございまして、それがゆえにどこの国とでなければならないとか、どういう形でオペレーションをしなければならないということは画一的には決まらないということであろうと思います。
○清水澄子君 でも、他の国の部隊と共同作業をすることはやはり確実ですね。それで情報は米軍である。この二つを見ましてもやはりそれは共同作戦行動ですね、機雷を掃海する作業は。そのことはもう既に集団自衛権の行使というふうに見られると思いますが、このことは後ほどお聞きしたいと思います。 そこで防衛庁、この掃海艇、掃海母艦にはどのような装備がされておりますか。
○政府委員(畠山蕃君) 掃海艇には二十ミリの機関砲が装備されておりますが、これは機雷の処分用に使用される目的でございます。 それから、掃海母艦にはこの二十ミリ機関砲のほかに三インチ砲、それから短魚雷発射管が装備されております。
○清水澄子君 だから、これは一応機雷を破壊するものだとは言いながら攻撃的な、何か一度起きたら攻撃的にも使える武器が装備されているということですね。 そこでその次、この派遣する掃海部隊の派遣期間はどれくらいを考えておられるか。それから長期に及ぶ場合には湾岸地区での補給基地はどうなさるのか。それから乗組員の休養交代はどのように考えていらっしゃるか。
○政府委員(畠山蕃君) 防衛庁といたしまして現在指示を受けて検討を具体的に行っている最中でございまして、先ほど申し上げましたように、詰めの段階ではありますけれども、まだその具体的な細かい点については詳細お答えできる段階になっておりません。 特に乗組員の休養交代といったようなことにつきましては、これは必要性があるかどうか、乗組員の疲労の度合いとか実際の活動状況等を見ながらこれから決めていくべき問題だと心得ております。
○清水澄子君 派遣する期間も想定しないで部隊を出すのですか。補給する場合に食糧とか水とかいろいろ補給しなきゃならないでしょう。そうすると最低は想定なさるのじゃないですか。何にもないのですか。
○政府委員(畠山蕃君) 目的はあの地域の危険物の除去ということで我が国船舶の安全を図るということでございますから、その目的が達成される期間ということが必要であろうというふうに思っておるわけでございます。それがどのぐらいの期間に及ぶかというのは各国との協調の行動の成果のいかんにもよるわけでございまして、あらかじめ特定することは不可能かと思います。
○清水澄子君 非常にこれは問題ですよね。アメリカの掃海部隊は最低六カ月かかるということを言っています。だけれども、そういう期間も考えない。そんな部隊はないと思いますね。補給するためにどこに補給基地を求めるかというのはこれは常識ですけれども、今ここで議論をしても時間がありませんので、次に行きます。 では、掃海作業というのは機雷という爆発物を扱うわけですけれども、もし何か犠牲者が出た場合はどのような補償をなさるのでしょうか。
○政府委員(坪井龍文君) お答えいたします。 自衛官の災害補償は防衛庁職員の給与等に関する法律に規定がございまして、国家公務員災害補償法というのを準用しております。したがいまして、一般職と同様の補償を行うということになっております。したがいまして、自衛官が任務を遂行中に万一事故に遭遇しましてそういった被害を受けた場合には、公務上の災害ということで所与の補償を実施するということになります。 さらに、現在の災害補償には特例の規定もございまして、一定の生命、身体に対する高度の危険が予測される状況下においての職務遂行、そういった場合にその職務に起因する災害のときには通常の補償のほかに五割増しの範囲で加算措置ができるというような規定もございますので、そういった規定も適用されることになろうと思います。
○清水澄子君 もう既に日本は朝鮮戦争のときに、昭和二十五年ですね、実際は国民には知らされなかったのですが、機雷の掃海艇をアメリカ軍が仁川上陸するときのために行かせているわけですね。その当時の海上保安庁初代長官が、そのとき日本人が十九人死傷者を出している、それについて何ら補償が明確でなかったといういろいろ本を出していらっしゃいます。きょうはちょっともうそこは述べませんけれども、非常にそういう点、一方は非常に危険な軍事的な行為であるにもかかわらず補償というのはやっぱり不明確だと思います。 次に、外務省にお聞きをしたいわけですけれども、外務省は外交上の問題から、第八ハーグ条約、これはこのまま締約国なのですが、これによりますと、機雷の除去というのは敷設した者が取り除くべきであるというわけですし、ですからまず外務省はイラクに機雷の除去を要請されたか、そしてイラクにその能力がないとすれば、イラクはその遺棄を宣言しておりますか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のハーグ条約でございますけれども、これは自動触発海底水雷ノ敷設ニ関スル条約を御指摘になっているものと思います。 この条約につきましては、御承知のとおり、いわゆる戦時法規が当時、一九〇七年でございますが、いろいろつくられましたわけですけれども、現在いわゆる戦争というものを認めておらない国連憲章のもとにおきましてはこのような戦時国際法がそのままの形で適用されるというものではないと思います。いずれにいたしましても、イラクはこの条約の締約国ではございません。また、この条約は、当時の戦時法規の多くがそうでございましたが、いわゆる総加入条項というのが七条で規定されておりまして、全交戦国が条約当事国でないと適用されないという関係にございます。したがいまして、イラクが敷設した機雷に関しましてこの条約が適用されるということはないわけでございます。 なお、そういう前提でこの条約の規定そのものを見ます場合に、いわゆる戦争終了後の機雷の処理につきましての五条の規定の趣旨は、御指摘のとおり、機雷の敷設を行った交戦国がその除去の第一義的な責任を負っているということでございますけれども、これはその他の国がこのような機雷を除去して航行の安全を図るということを禁止するとかあるいは排除するというものではないわけでございます。
○清水澄子君 ハーグ条約のこの条項は、現在でも条約当事国であるかどうかを問わず一般に拘束力を有する慣習法を宣言したものだというふうな戦争法規の解釈が辞書でも全部出ておりますから、これはやっぱり国際的にも国際法として通用しているものだと思います。 さきに私が質問しましたように、外務省はイラクが機雷の遺棄宣言、それをされたということを確認していらっしゃいますか。それともイラク政府に対してそのことを何か確認されましたか。
○政府委員(柳井俊二君) イラクとの関係でございますけれども、御案内のとおり、国連決議六百八十六号というものがあるわけでございますが、この決議がいろいろ停戦の条件を定めているわけでございます。この三項の(d)というところにこの関係の規定がございまして、この(d)項のもとでイラクに対しまして機雷等の敷設状況等につきまして情報を提供しろということを言っているわけでございます。また、イラクはこれに応じてそのような情報を提供しているというふうに承知しております。
○清水澄子君 きのうイラク大使館に伺いましたところ、情報は提供しているけれども遺棄を宣言していないということを言っておりましたけれども、これも非常に不可解なことだと思います。 そして同時に、国連のイラク停戦決議にも機雷の処理については明記されていないのですね。そういうものは本来国連中心主義でいくということを今まで主張してこられた政府ですから、そういうことをイラクに要求し、そして各国がどういう協力をし合ってこの処理をしていくのかということをむしろ国連が決議をされたらいいと思うのですが、国連に対してそういう働きかけはなさらないわけですか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま読みました国連決議でございますけれども、この決議六百八十六号のもとでなぜイラクに情報提供を求めているかと申しますれば、これは当然にこの機雷を除去して航行の安全を図るということを前提としているわけでございます。したがいまして、この機雷の除去ということを明文で定めているわけではございませんけれども、当然の前提といたしまして機雷の除去ということをこの国連決議のもとでも想定しているということが言えると考えております。
○清水澄子君 外務省は、日本の船舶の航行安全を確保するために、先ほどの米軍の情報によりますと、クウェート港湾に入港の場合には要請があればエスコートしますよということを自分の国の船に対しては、商船に対しては指示しているわけですから、日本は九十億ドルも支援をしたわけですから、なぜ政府は日本の船舶の護衛をアメリカに依頼するという行為をなさらないのでしょうか。
○政府委員(渡辺允君) 特に米国に我が国船舶の護衛を要請するというようなことはいたしておりませんが、事実の問題といたしまして、先ほど運輸省からも御答弁がございましたように、現在の時点におきましては、諸般の考慮から日本の船舶が実際にペルシャ湾内で入っておりますのはサウジアラビアのジュベール等の港及びイランのカーグ島等でございまして、この地域には現在日本の船舶は実際には運航していないという状況であろうかと思います。 ただ、今後のことを考えます場合には、当然この地域にございます機雷が船舶の航行の安全に重大な障害になるということは申すまでもないかと考えております。
○清水澄子君 それでは、内閣法制局にお伺いしたいと思います。 今いろいろ外務省、運輸省そして防衛庁にもお伺いしましたけれども、この掃海部隊というのは文字どおり機雷の掃海を目的としているわけでして、これはやはり敷設そのものが武力行使の一環で、幾ら停戦とはいえそれを除去する作業は、本来敷設した国が遺棄宣言をするとか、除去することを依頼してきてその上でやるということだと思うのですが、そういう意味ではこれは自衛隊を海外に出動させるには余りにも根拠が弱いと思うのです。そして、その根拠だけではなくて特に憲法との関係上、やはり米軍の情報により米軍とも一緒に共同作業をするわけですが、これは集団自衛権との関係は一切ないとお考えですか。
○政府委員(大森政輔君) この際に、海上自衛隊による掃海に対する基本的な私どもの考え方というものを御説明しておきたいと思います。
○清水澄子君 時間がありませんから短く。
○政府委員(大森政輔君) まず結論的に申し上げますと、遺棄されたと認められる機雷、これは浮遊しているか定置されているかを問わないわけでございますが、その機雷につきまして、それが我が国船舶の航行安全にとって障害となっている場合に、その航行の安全を確保するためにこれを除去する行為というものは武力の行使には当たらない。これはもういろいろな機会に述べているところでございます。 では、なぜかということ、これが非常に重要なわけでございまして、説明しておきますと、外国による武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去する行為、これはその外国に対する戦闘行為として武力行使に当たるというわけでございます。したがいまして、遺棄された機雷ということになりますと外国による武力攻撃の一環としての意味を失っている。したがって、これを除去する行為というのはその外国に対する戦闘行為ではない。単に海上の危険な妨害物を除去するというもので武力行使には当たらないというわけでございます。 したがいまして、集団自衛権云々ということでございますけれども、そもそも遺棄された機雷の除去というのは武力の行使に当たらないわけでございますから、集団的自衛権云々という問題も起こりようはないというわけでございます。
○清水澄子君 それですと自衛隊法九十九条といいますのは、これを根拠にされているわけですけれども、この九十九条というのは「自衛隊の任務」の三条とは無縁に雑則というのは決まるものでしょうか、切り離して。任務というのは我が国を防衛する。海外の派兵というのはこの自衛隊法には一切載っておりませんね。だけれども、雑則ではできることになるのでしょうか、日本の法体系は。
○政府委員(大森政輔君) 雑則中に九十九条があるから云々というお答えは非常にまさに雑な答弁になりますので、私どもは決してそういうことを言っているわけではございません。 先ほどから防衛庁からもるる答弁がございますように、この九十九条と申します規定は、我が国の領海内における船舶の航行安全と、そして公海における我が国船舶の航行の安全確保を図るための一種の警察行動であるということでございます。そして、九十九条をお読みいただければわかりますように、同条は掃海の地理的範囲について何ら明文で限定していないというわけでございます。したがいまして、九十九条に基づいて具体的にどの地域にまで海上自衛隊を派遣し得るかどうかということは、この掃海の任務が一種の警察行動としての性格を持っているということを踏まえまして、我が国船舶の航行の安全を図る必要性の観点から具体的な事例に即して判断すべきである、まず九十九条はそのように理解しております。 それで、三条との関係でございますが、三条は自衛隊の本来の任務が我が国の防衛と公共秩序の維持というものにあるということを規定しております。それに対しまして九十九条の掃海任務といいますものは、これは自衛隊の本来の任務とは別にいわば付随的任務として海上自衛隊に付与されたものである。この三条の規定の趣旨から、当然に九十九条に基づく行動の地理的範囲というものが限定されるものではないというのが私どもの考え方でございます。
○清水澄子君 もう時間がないので、あとちょっとお願いします。 そういう詭弁ばかり伺っていると、本当に日本というのは実に不思議な国だと思います。では、この間、避難民輸送のためにどうして百条の五にもう一条つけ加えなければ海外に出せないとなさったのか、そういう点も非常に問題がありますが、もうお答えは同じことですから結構です。 そこで最後に、外務大臣、ぜひお聞かせください。 まず憲法、これまでいろんなところで論議され、政府の見解は日本はやはり専守防衛でいくのだということをずっとおっしゃって、その専守防衛ということで憲法上もそういうことが認識されて、そして自衛隊法もやっぱりそういう専守防衛、それから日米安保条約もそうなっていますね。実際はちょっと違う、もう拡大していますけれども、一応国民に説得する法理論としては今まで政府はそれをおっしゃってきた。この三つ、三重において専守防衛政策というものを日本はこれまでとってこられたのですけれども、今度はそういうものはもう全部法律上は何の問題もないということで発表されていますね、今回も。こういうことについては本当に法律上、今回掃海艇の部隊を出すことは日本の法律上は一切何の問題もないということを確信していらっしゃいますか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は確信しております。
○委員長(岡野裕君) もう時間です。
○清水澄子君 じゃ、最後に一言だけ。 確信をされているのですね。それを聞きまして、こんなにどこからも要請されていなくて、しかも法的裏づけが一切なく法を無視しても強行されるという、これは法治国家の基本を根本的に私は揺るがしていると思うのです。そして、これは行政の独断による独裁だと思います。そういうことを確信をなさっているということならば、私はアジア諸国との国際的な関係もつくりにくいだろうと思います。かつての軍国主義時代でも私はこんな悪質なことはよう考えなかっただろう。そういう意味でも海部内閣はこの日本の歴史に残るそういう事実をつくり出したと思いますけれども、外務大臣もその一人です。 ですから、私どもはこの問題は絶対に、兵を出すときは非常に簡単です、しかし一度出せば後はもう次々と本当にいろんな問題が出てきますので、こういうことにつきましてもっと本当に、憲法があり、多くの国民が日本の進路を、本当に平和という問題でもっと世界に貢献できる道を考え出したいと今必死なのです。そういうことについて本当に大臣はもっと、海部内閣を支える特に外務大臣として、今回のこの掃海艇派遣は非常に外務大臣も私はやっぱり不本意ではないかと思う。今までのはありますよ、平和協力をいろいろ説得なさった。今回の場合は何ら影響も受けていない。
○委員長(岡野裕君) 清水君、五分経過しておりますので、おまとめをいただきます。
○清水澄子君 そういう意味で、一言この問題についての大臣の御見解をいただきたいと思います。
○委員長(岡野裕君) 中山大臣、簡単にお願いします。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、簡単にと言われるが、委員長、お許しをいただいて、大事なことでございますから。 我が国は、国際紛争を解決するための手段として、武力による威嚇または武力の行使によってそういうことはやらないということが原則でございます。私は外務大臣として、今回のただいま議論になっておりますこの公海上における機雷の排除について掃海艇を出す出さないの問題につきましての第一の重要な案件としては、この地域に戦闘がない、戦闘行為は一切行われていないということを国連、国際機関によって確認されるということが絶対の条件であると、このように私自身は考えておりました。ただいまこの戦闘状態は、すべて国連の安保理の停戦決議がイラクによって受諾されたという事態において、戦闘行動には一切関係のない日本政府が行動をとるということであるということを原則として私は外務大臣として確認をさせておいていただきたいと思います。この前提が崩れれば、私は、委員の御指摘のように、日本は基本的な問題で一つの大きな過ちを起こすことがあると考えます。 もう一点は、この掃海艇の足が非常に短いということでペルシャ湾に至るまでの間いろいろな国に寄港しなければならない、こういう問題がございます。当然アジア諸国もこれに含まれるわけでございまして、もしこの掃海艇を派遣する場合にアジア諸国がこれらの行動が軍事行動につながるものと判断をされる場合には、アジア諸国は戦後の一貫した考え方として恐らく寄港を拒否するものと、私はそのように考えております。 そこで、この掃海艇派遣に当たっては、寄港地の国家がどのような判断で寄港を認めるかどうかということが一つの大きな附帯条件となって存在するわけでございまして、現在外交ルートを通じて相手国とこの掃海艇派遣の可否について、寄港の可否について鋭意折衝を行っているという段階であることも申し添えておきたいと思います。
○委員長(岡野裕君) 御苦労さまでした。 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ─────・───── 午後一時三十二分開会
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○黒柳明君 大臣、掃海艇派遣の問題は法的に不備はないと。不備があるなんて言える立場じゃないわけですから、これはもう当然不備はないと。この発言は当たり前だと思いますが、いずれにしましても自衛隊派遣、六隻か七隻か武装集団が一万キロかそこらを隊を組んで行くわけですよ。本格的な初めてのケースですね、練習、訓練を除いて。 こういう事態について大臣は重大なことだと。善悪ということじゃありませんよ。初めての自衛隊の海外派遣ですから、この事実は重大なことだと、こういう認識に立っていますか。
○国務大臣(中山太郎君) 立っております。
○黒柳明君 当然立たなきゃならない。にしては余りにも、昨年あの協力法にしてもあるいは自衛隊機にしても相当審議をやりましたね、今度は突然ふっと来て、掃海艇という話が出てから二週間ですかね、全く国会における審議は行われていない。本会議やるやらない、これもいわゆる総理、外務大臣の海外訪問ということを逆算してスケジュールが組まれた。全く国会における審議がされておりませんよ。その事実をどう認識しますか、大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 国会の御審議ということも、当然のことながら、私は決定がされてない時点で審議が行われているという状況ではないかと思います。決定をする前に、国民を代表される国会を構成される政党の代表者の方々に政府としてこのような問題について意見の交換を行う、あるいは了解を求めるというようなことが行われることは当然のことであろうと考えております。 そういう観点から考えますと、私どもはごく近い時期に海部総理みずからが各党の代表者にいろいろと意見を求められ、あるいは政府の考え方について説明を行われるものと理解をしております。
○黒柳明君 ばかにお上品な発言しなくたって別にいいんですけれども、党主同士が話したって時間の制約がありますし、これは実際の公的な場にあるし、オープンじゃありませんからね。ですから、記者会見はやるでしょう。必ずしも密室ということじゃありません。だけれども、国会の審議の場に何にも俎上に上ってこない。こういうことで派遣するということは私は非常にうまくない。この一点ですよ。 派遣すること自体について、あるいは社会党さんの中でも今の時期はという意見も出たらしい。我が党もそうなんです。ですけれども、全くこれだけの大問題を国会で何にもあれしないで、それで逆算して決められるということがうまくない。どうですか。今の憲法あるいは自衛隊法も含めて、こういう国際紛争あるいは自衛隊の海外派遣、当然こういうことを前提にしてつくられたものじゃない、こう思いませんか、大臣。それを今になって九十九条で行けるんだと、こういうことじゃないですかね。
○国務大臣(中山太郎君) 私の認識といたしましては、国際的な紛争を解決するための方策として、いわゆる武力の威嚇あるいは武力の行使というものは一切行うことは相ならないということが原則として我々国民の意識の中にあると思います。そういう原則を踏まえて、この掃海作業というものが国際貢献に役立つ一つの方法ではないか。あるいは自国の船員の安全あるいは船舶の安全というものについて、これを政府として法的な面から見て、あるいは憲法の上から見て、そのような行為が違法に当たるものではない、あるいは違憲に当たるものではないという判断のもとにおいてこういうふうな検討が現在行われているという認識を持っております。
○黒柳明君 現在検討なんて、余り検討の時間はないわけですし、一方的にどんどん政府が、自民党が進める。自民党の中でも、きょう昼に見ていたら反対の人がいた、まあこの際認めてくれ、こう言っていた、こういうようなことですけれども、やっぱり国際貢献にプラスになる、そんなことだれも否定しませんよ。なるでしょう。ですけれども、現行法の中で、あるいは国民の合意なしに拙速に出すということについては私は問題。前にもこれは同じ論議。時間もありません、そんなもの は。法改正、そうすればどこの党が賛成してどこの党が反対するなんて決まっているわけじゃないんです。あるいは特別立法、なぜそこをやらないで、時間があるいはモンスーンがと。モンスーンなんか関係ないですよ、そんなものは。あくまで日本の法治国家としての法体系をどうするか、中長期的な視野に立ってやらなきゃならないんでしょう。何か拙速過ぎる。 法制局、あれですか、そうすると逆に言うと九十九条で機雷の除去、もう地球上どこでも行けるということになりますか、自衛隊は。明記されていないんだからペルシャ湾へ行ける、こうなるともうどこでも行ける、こういうことになりますか。
○政府委員(大森政輔君) 九十九条の意味につきましては午前中にもるる御説明申し上げたわけですが、決してどこにでも行けるフリーハンドがあるというようなことを今まで一度も申し上げたことはございません。 すなわち、我が国の領海内における船舶の航行の安全確保並びに公海における我が国船舶の航行の安全を図るための警察行動というものに関する規定である。したがいまして、我が国船舶の航行の安全を図る必要性のない海域というところに、仮にそれが国連協力、国際協力の面から非常に要請されたといたしましても、それだけの目的で行けるものではないということを別の機会にも申し上げているわけでございます。
○黒柳明君 それと同時に、そのたびそのたびにやっぱり選択の余地がある、判断を下す、こんなことも政府答弁にあったわけですわな。 そうすると我が国の船舶との関係だと、三年前ですとプルトニウムの輸送についての護衛艦、これはいいんですか、今の論理を当てはめると。それから国際貢献だからというと、今度は災害なんか起こった場合の自衛隊派遣、これもオーケーになりますか。今までこれはさんざん論議されてきたわけです。ですけれども、その時点においてはこれはまかりならぬ、そこまでは踏み込んではいないと、こう言っていた。ところが、今のペルシャ湾の自衛隊派遣、我が国の船舶との関係ないし国際貢献となると、どこかに大規模な災害が起こったとかあるいはプルトニウム、これのハイジャックならぬシージャックの可能性があるからそれじゃ護衛艦がと、これはいいんだ、こういうことになりますか。
○政府委員(大森政輔君) まず災害派遣との関係でございますが、この自衛隊法の災害派遣に関する規定をごらんいただきますと、都道府県知事その他政令で定める者からの要請ということが前提になっております。大体、知事の要請ということでございますから……
○黒柳明君 どこにいるの。アメリカにどこに知事がいるんですか。日本の知事は日本だ。
○政府委員(大森政輔君) ですから、都道府県知事ということを書いておりますので、その災害は国内災害を主として想定しているものであろうという限定がかかるわけでございます。 次に、プルトニウム輸送云々ということのお尋ねでございますが、これは多分自衛隊法八十二条に基づく海上における警備行動としてプルトニウム輸送の護衛をどの海域ですることができるかどうかの問題であろうかと思います。これにつきましては、これも条文で限定しておりますように、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」という限定を加えておりまして、しかも第一次的には海上における犯罪の予防、鎮圧というのは海上保安庁の所掌であるというふうに決められておりますから、この八十二条に定める「特別の必要」として人命、財産の保護という面からの制約がかかっている。どこへでも行けるというものではないということでございます。
○黒柳明君 災害発動、これは国内的なものである、だから国際的な大規模災害が発生しても行けない、こういうことですな。それでいいわけね、逆に言うと今おっしゃったことは。都道府県知事なんというのはこれは日本に限られる。だから、海外で国際的な災害が起こった場合にはこれは国際貢献、そういうことが当然出ますよ、これから。国際貢献ですよ。自衛隊が丸腰で行けばいいんじゃないか、こういうことになりますよ。だけど、今おっしゃったあれではそれはできない、知事の要請がないからできないと。知事というのは日本国内ですからね。こういうことでいいんですね。
○政府委員(大森政輔君) 自衛隊法八十三条に基づく災害派遣についてはおっしゃるとおりでございます。 しかも、若干補足いたしますと、国際緊急援助隊法に基づく派遣というものにつきましては防衛庁長官は協議機関になっておりませんので、その関係からも自衛隊が派遣されることは予定しておらないということでございます。
○黒柳明君 大臣、これから党首会談があるわけです。一番心配するのはPKOですよ。ここまで三党合意を早くやったらよかったんだ。まあ早くやったらよかったなんというのはちょっとあれですけれども、これを今までずるずる引っ張ってきた。PKOと今の掃海艇派遣は若干次元は違いますよ。次元は違いますけれども、PKOだって平和活動です。掃海艇だって警察活動。決して戦時に突っ込むわけじゃないですね。 そうすると、幾らその平和活動といっても自衛隊派遣まかりならぬ、除け、結構ですと、こうなったのが三党合意でしょう。これから話をしようと。片っ方だって結局、乱の中に行くわけじゃないですよ。平和なんですよ。戦争終わったんです。そこに自衛隊派遣、これは若干次元は違いますけれども、状態としては全く同じですよ、平和維持ということ。それで、片っ方は自衛隊派遣しちゃいけないと合意しながら、片っ方は政府・自民党が突出して自衛隊を派遣する。完全にこのPKOが壊れますよ、大臣。だめになっちゃいますよ。もっと時間をと。もっとといったって、一カ月置け、一年置け、それだからといってそんなことは間に合いませんでしょう。壊れちゃいます。これを一番心配しています。 大臣、どうですか。構わないんですか、PKOの方はぶっ壊れても。それが一番心配なんです。
○国務大臣(中山太郎君) PKOとこの掃海艇の派遣問題というものは非常に似た問題でございますけれども、PKOそのものについては自民、公明、民社の三党合意の覚書に基づいて引き続き御協議をいただいている案件でございます。そういうことで、私どもはこの三党の間で御協議をいただくことが国家あるいは国際社会のために大きな貢献ができるものと考えております。
○黒柳明君 それは政府の、自民党の見解でしょう。我が党は我が党の見解があります。我が党は同じ次元においてこれをとらえているわけですよ。平和活動、平和維持活動で、片っ方は自衛隊派遣して片っ方は派遣しない。それについて片っ方は合意して協議して、片っ方は反対して、そんなばかな二またはかけられません。時間をもうちょっとかけなさい。若干、二週間でも三週間でも延長してでもこの場合は討議しなさい。その場を経てやればこれは国民の合意も形成できますよ、世論調査じゃ六〇%が賛成しているとかなんとか出ていますから。だけど、余りにもこれは突出していますよ。余りにも現行法の中でやっぱり詰められていないところがありますよ。国会での審議がやられな過ぎますよ。 大臣、それで今どうなんですか。機雷が何か千二百発とか千七百発とか、それはどっちなんですか。残りが九百とか七百とかちょっと新聞によって情報が違うんですが、今何発ぐらい残っているんですか。
○説明員(野上義二君) 御説明申し上げます。 当初およそ千二百個程度の機雷が敷設されたと理解しておりますが、私どもの知り得ております限りにおいては、三月末の時点において三百個強が除去されたと理解しております。
○黒柳明君 そうすると、千七百とかなんとかというのは違うんですね。
○説明員(野上義二君) 千七百というような数字は承知しておりません。
○黒柳明君 そうすると、それは三月現在。四月、五月、二カ月かかるわけですね。二カ月かかるから幾つなくなるか、これはわかりませんな。少なくなるからますます時間がかかるんでしょうな。 きのう、これは一民放のあれだと、ワシントンの国際戦略所の部長さんが、もう六月あるいは五月に行ったって百個残っていないよ、行ったってむだだよと、非常に権威ある人がそういう発言していましたな、公的な場で。それについてはどうですか。どういう感想をお持ちですか。
○説明員(野上義二君) 三月末の時点で私ども調べたところでは三百個でございましたけれども、その時点におきまして残りの除去についてはその後から約半年ぐらいかかるというような見通しもございました。
○黒柳明君 もございましたであって、外務省ないしはどこかで綿密に調べたわけじゃないですよ。非常に情報というものがはっきりしていない。これは私も聞きました。 そうなると、二カ月かかって行くわけでしょう。その時点において何だというようなことはまさかないでしょうね。必要なかったんだと。自衛隊機だってあれだけ論議して、特別政令はもうバアになっちゃう。それ自体結構ですよ。稼働されるよりもいいですよ。だけど、全く国会を無視して、要するにせっかくの野党の一部もけって、それで出したはいいけれども、行ってみたら全くお呼びじゃなかった。そんなばかなことは絶対ないでしょうな。その見通しはついているんでしょうな。私たち知りません、そんなわけはないでしょうな。行けばあと一カ月後に成果は出ますよ。行った、機雷がもう本当になかった、あるいは少なかった。何しに来たんですか。手間をとった。そのうちに、どこをやるんだこうだなんて言っているうちに実際の作業がわずかでおしまいになっちゃう。そんなばかなことはないでしょうな、絶対に。見通しついているんでしょうな。
○説明員(野上義二君) 最終的にいろいろ検討している段階でございまして、実際にどういった国がどういった速度で現在の機雷の除去を行っているか私ども今慎重に調査しているところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、三月末の時点ではその後の……
○黒柳明君 わかった。 大臣、私たち別にこのことを一〇〇%悪いと思っていないんです。半分は賛成したんです、我が党でも。だけど待てよ、こういうことなんです。いいですね。決して反対じゃない、全面的に。 今言ったように、私もいろんなところに聞いた。非常に不確かです。何個あるかも不確か、どれだけどういうふうに除去するかも不確か。さっきも話があったように、どういうふうにだれが主体性を持っているのか非常に不確か。それで行きます。しようがないでしょう、政府と自民党がやっぱり与党ですから。それで行って着いた。二カ月たつわけです。それが向こうへ行って九百個の役に立たなかった、あるいは中途半端だった。行ったけれども余り評価されなかった。こんなことは間違ってもないでしょうね。あったら、これはもう大臣、一つの責任者として責任をとるでしょうね。とらなきゃ困りますよ、これは。これだけの大問題を国会素通りしてそれで行ったんですから。 私たちも野党なりに責任を持ちます。持つといったってやっぱり大したことはありませんよ。大したことはありませんけれども、それなりに責任を持ってやってきた。出すならきちっとやってもらいたい、国際的に評価されるように。もしそうじゃなかったら、大臣、責任を持ちますね。そこだけ一言教えてください。
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府としては、国際的な貢献がなし得るものという考え方のもとに立って現在検討いたしておる段階でございまして、これを実施するという段階に当たりましてはその目的が完遂されるということが考えられなければならない重大な案件であると考えております。
○黒柳明君 まあ結構ですよ、あさってやると全然答弁は違うわけですけれども。もう行くことは決定しているわけですから、だから冗談は別にして、行くならば実を上げてもらいたい。国民の税金で行くんだから、反対を押し切って行くんだから、それが中途半端だったらこれは何のためか。そうでしょう。協力法だってあれだけ論議した。それは飛行機だって行かないにこしたことはないけれども、論議した。パアになった方が結構ですよ。今回は行くんですから、それが実を上げなかったら内閣は責任をとる、内閣でなかったら外務大臣だけでも責任をとると、このぐらいの腹を決めて出してもらわなきゃ困りますよ。野党もそれなりに一生懸命責任を持って国のために頑張ってやっているんです。それを政府が突出してぱっぱっぱっと非常に不確かな情報で行く。行くのは結構ですよ。結果から見てもしだめだったら外務大臣だけでも責任をとりますよと、そのぐらいの気概がなかったらだめですよ。だったら私たちもついていきますよ。 どうですか、大臣。そんな中途半端な答弁じゃなくて、もう一カ月後には結果が出るんですよ。そんな蛇の生殺しみたいなものはだめですよ。私たちも責任を持ってそれなりに真剣にやってきているんですから、もし実質的な貢献が鈍かったら、批判されたら、外務大臣だけでも責任をとると、そのぐらいのことは発言してくださいよ。腹を決めてやってくださいよ。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の問題につきましては、船舶がもしペルシャ湾に出航するということになりますれば、当然直接に行けるわけではございません。いろんな国の港に寄港をしてそして補給をしながら行かないと、船足が短いわけでありますから、そのような各国との了承のもとにこのような国際的な事業が行われるわけでございまして、外務大臣としてはその点では責任を持って各国との交渉にも現在当たっているということを御理解いただきたいと思います。
○中西珠子君 歴史上初めてのソ連の元首の来日が実現しましてゴルバチョフ大統領夫妻を迎えられ、外務大臣を初め外務省のスタッフの皆様方は大変な御苦労だったと推察いたします。そして、感謝の念をあらわしたいと思います。 十数時間、六回にわたる日ソ首脳会談が行われて、一時は危ぶまれた日ソ共同声明がついに発せられたことは、新しい日ソ関係を打ち立てていく上でも重要な基礎になるものと評価いたします。また、北方四島の名前が日ソ間の文書で初めて明示されたということは平和条約交渉の一歩前進となるものと期待しておりますけれども、これからどのような段取りで次の交渉をなされますか、お伺いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の日ソ首脳会談において十五項目にわたるいろいろな協定もできまして、これからはこの協定書に基づいて日ソ間での新しい関係を発展させていくということにつきまして、できるだけ近い機会に日ソの外相会談を持ってさらなる進展を図るために協議をいたしたいと考えております。
○中西珠子君 殊に領土問題につきましては、ソ連の国内の非常に困難な事情、ゴルバチョフが置かれている苦境というものを考えますと、またゴルバチョフに対する反対勢力の台頭、領土問題に対して否定的な態度を持っている人が非常に多いということを考えますと、殊に共同声明に盛られた北方領土問題がそう早く前進するとは思えないのですけれども、なかなか難しいことだとは思いますが、政経不可分の原則はどこまでも追求していらっしゃるおつもりですか。
○国務大臣(中山太郎君) 政経不可分、無原則な政経分離は行わないという考え方で基本的な政府の方針は堅持してまいりますけれども、このような国際情勢全般、またソ連における政治情勢の激動期に当たるわけでございまして、私ども日本政府といたしましては、担当の部局も含めて、外相レベルまで含めてできるだけ頻繁に絶えず接触をしながら相互に関係の改善の方途を探るということがこのような時代には極めて必要であるという認識に私は立っております。
○中西珠子君 毎日新聞の四月十八日付の報道によりますと、ほかの新聞もそれぞれ報道しておりましたけれども、殊に毎日新聞がはっきりと、ゴルバチョフ大統領が現在の日ソ経済関係は正常な状態ではないとまず言いまして、日本政府の政経不可分の方針については、政治の経済に対する命令は受け入れられないとして厳しく批判したと、こう書いてあるわけですね。そして、日本企業に対して非常に具体的に、資源開発、ナホトカの自由経済地区を含む極東地域の開発だとか先端技術の開発、軍需産業の民需転換、また中小企業への協力などについて日本企業の協力を求めたと、このように報道しているわけでございます。 これに関して通産省はどのように受けとめておられますか。
○説明員(佐野忠克君) 今回のゴルバチョフ大統領の訪日においていろいろな協力提案があったことは、日ソ関係、経済関係の拡大へのソ連側の強い熱意を示すものと受けとめております。 しかしながら、日ソ関係、経済関係そのものも日ソ関係全般の均衡のとれた拡大の中で発展をしていく必要があると考えておりまして、その意味で日ソ間の最大の懸案でございます領土問題等を棚上げにしたままで経済関係のみを進めるとの無原則な政経分離の方針はとるところではございませんで、これらゴルバチョフ大統領のお話しになられた点等々を踏まえながら慎重に対応していくことが必要ではなかろうかと考えております。
○中西珠子君 韓国がソ連と非常に経済協力をやっていますね。どんどんどんどん韓国がやっているところにおきまして、日本企業の中では日本ももっとできるといいなと思っているのも多いのじゃないでしょうかね。
○説明員(佐野忠克君) 韓国が金融支援のような形で約三十億ドルの資金供与を提案したというような報道は聞いておりますが、私たちが現在のソ連経済を考えてみますところでは、それ以前にソ連の現在の国内の経済状態等々をいろいろな形での改善をしないとなかなか日本との経済関係の発展においても障害があるのではないかというふうに考えておりまして、ゴルバチョフ大統領とともに訪日をされましたカツシェフ対外経済関係大臣と中尾通産大臣が会談をされたときにもその点を御指摘したところでございます。
○中西珠子君 同じそのときに、経済七団体の歓迎昼食会で日ソ地域開発銀行の設置をゴルバチョフが提唱したとありますが、こういったアイデアにつきまして、また日本政府からのソ連に対する金融支援というものにつきまして、大蔵省はどのように考えていらっしゃいますか。
○説明員(溝口善兵衛君) 対ソ金融支援をどのように進めていくかにつきましては、政府内で外交当局を中心といたしまして検討すべき問題でございますが、基本的には外務省から従来御説明申し上げておりますように、無原則な政経分離はとらないという基本方針に基づいて対応しているところでございます。 それからさらに、領土問題に仮に進展がございまして金融支援を行い得るような状況が出てきた場合におきましても、ソ連国内の政治経済情勢、政治経済改革がどのように進むかとか、あるいは連邦とソ連国内におきます共和国との関係がどのようになるかなども十分留意しながら考えていかなければならない問題だというふうに考えております。
○中西珠子君 ルーブルの兌換制の問題はどうですか。
○説明員(溝口善兵衛君) ルーブルの兌換制の問題、詳細私は今承知しておりませんけれども、それはソ連国内の問題で、ソ連政府がどういう政策をとるかという問題ではなかろうかと思います。
○中西珠子君 やっぱりルーブルの交換制の問題も大きな障害になり得ると思うのですけれども、結構です。 それで私、委員長、通産省から申し入れがありまして、何度も何度も申し入れがありまして、今は日ソ関係のことをお聞きして、午後というよりもっと後で四時過ぎになったら四つの、条約が三つとそれから協定が一つですね、これの通産関係の質問をすると申しましたら今まとめてやってほしいと言うのですね、何か課長の都合がありまして。それが何回も何回も申し入れがあってちょっと断り切れないほどで、今やってよろしいでしょうか。
○委員長(岡野裕君) 時間がありますので、その中でおやりをいただきたいと思います。
○中西珠子君 ですから、ちょっとお急ぎらしいですから。
○説明員(佐野忠克君) 申しわけございません。若干不手際がありまして失礼いたしました。
○中西珠子君 それで、後で審議することになっております例えばブルガリアとの租税条約、それからバングラデシュとの租税条約、フィンランドとの租税条約の改正、そういった問題について承認する前に、やはりそれぞれの現地で操業とか生産、営業をやっている企業が大体どんなところがあるのかということをお聞きしたいと申しましたら、代表的な企業の話をするのは通産で、それから数値的にまとめているのが、例えば直接投資というふうに数値的にまとめているのは大蔵省で、それから分野別にまとめているのが外務省と、こういうふうにいろいろ分野が分かれて縄張りが大変おありになるらしいと承りましたので、通産が今どうしても早く答えたいとおっしゃいますから、それじゃお聞きすることにいたしましてよろしいですか。
○委員長(岡野裕君) 所定時間内でお願いいたします。
○中西珠子君 はい。 ブルガリア、フィンランド、それからバングラデシュ、これはどういう代表的な企業がそれぞれ操業していますか。分野もついでに教えてください。――あなたの担当じゃないのですか。
○説明員(佐野忠克君) 私の担当の世界はフィンランドでございまして……
○中西珠子君 じゃ、フィンランドについて言ってください。
○説明員(佐野忠克君) フィンランドにつきましては、日本企業の基本的進出というのは幾つかの自動車会社が販売関係のものを持ってございます。それが一点と、森林関係で日本企業がパルプ等で合弁企業を持っているところがございます。そこが一番大きいところかと存じます。
○中西珠子君 自動車関係は全部、すべての自動車業界が行っていますか。
○説明員(佐野忠克君) すべてではございません。直接投資ではなくて単なる契約を結んでいるところもございますし、大手で向こうに直接投資をしている会社がございます。
○中西珠子君 じゃ、バングラとブルガリアのことはあなたは答えられないわけね。
○説明員(佐野忠克君) 申しわけございません。
○中西珠子君 おかしいですね、話が違う。とにかく私は時間が来ましたからやめます。じゃ、後からお願いします。
○説明員(佐野忠克君) 申しわけございません。
○立木洋君 三月のときだったですか、ゴルバチョフ来日に際しての領土問題についてお尋ねしましたが、あのときなかなか状況は厳しいですよと私は申し上げました。そして同時に、やはり国際的に公正な原則の立場に立って問題を解決するということが非常に重要だということを強調したわけですが、言うまでもなく領土問題というのはカイロ宣言、それを受けたポツダム宣言で明確にされていますように、領土不拡大の原則というのが明確になっているわけですね。この点を正す、原則に基づいてこれを正すということがやっぱり基本だと思うのです。それで、それを犯したスターリンの当時の指導部自身の誤りが是正されなければならない。それが根本的な問題だと思うのですが、この点は日本政府はきちっと会談の中で主張されたのかどうかということ、それに対してソ連側はどういう答え方をしたのか、まず基本的に、短くて結構ですが。
○政府委員(兵藤長雄君) その点はまさに海部総理から、日本の主張の一つの重要な根拠として領土不拡大方針というものを、戦後の処理の過程として大西洋憲章から引き起こしまして説明をいたしました。その点は明確に主張をいたし、さらに水津満参謀が水先案内人でおりてきて、得撫島まで来て択捉を見て、ここは日本固有の領土であるから米国の占領地であると言って反対した事実、これはとりもなおさずスターリンの拡張主義というものの具体的な例であるという主張をいたしました。 それに対して、ゴルバチョフの方はヤルタ協定というものを持ち出しまして、これは戦後のこの協定によって決着済みであるという論理を中心とした反論をいたしました。
○立木洋君 外務大臣、国会演説でゴルバチョフ大統領が述べているのでは、「当時下された決定」、つまり第二次世界大戦後の決定ですね、これについては「異なる世代の異なる世界観をもった人々によって採択されたものです。私たちはそれに責任を負うことはできません」と。つまり、主権国というのはやっぱり系統性がなければならないわけだし、それを私たちが責任を持つことはできない、かつてスターリン時代がやったことについてはと。こういうふうな対応の仕方については、これは厳しく指摘をされなければならない論点だと思うのですが、この問題は会談の中で取り上げて指摘をしましたでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 国会でのこのゴルバチョフ演説を直接引用してという形ではございませんでしたけれども、いわゆるスターリン時代の拡張主義ということについては、西側ヨーロッパとの若干の例を引きつつ、海部総理はその点については厳しく指摘されたところでございます。
○立木洋君 結局、ソ連側は最終的に領土問題の返還だとか引き渡しという言葉は一切使っていないわけですが、これについてソ連側が最大の論拠にしたのは何でしょうか。つまり、返還するというようなことを一切言わなかった最大の論拠にしたのは何でしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 法的な議論としてソ連側が強く援用いたしますのはヤルタ協定の議論、戦後の現実という議論、それに加えまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、ソ連の国内情勢の厳しさということを政治論として指摘されたというふうな気がいたします。
○立木洋君 先ほどもちょっと答弁の中で述べられていましたけれども、五六年の日ソ共同宣言についての言及をあくまで彼らが拒否した、これを記入することを拒否した論点は、何か法的な内容が全くなかった、政治的な話だけだったと言いましたけれども、言うならば結局それはソ連の現在の実情で今はこれを記入することができないという回答の仕方なのですか。どういう内容の回答の仕方か。
○政府委員(兵藤長雄君) 私が先ほど申しました国内情勢というのはあくまでも私の推測で申し上げたわけでございますけれども、事実関係をもう一回整理させていただければ、海部総理は日ソ共同宣言につきまして法律論をやって攻めたわけでございます。それに対して法律論としての回答は全くない。全く別の次元の政治論と申しますか、チャンスを失ったとか、記者会見でも述べておられたようなたぐいの議論で終始をするということでございました。場合によっては、ソ連の世論あるいはソ連のいろいろ最高会議その他の議会の動向等にも言及されつつ、国内の困難な情勢ということもまたあわせて強調されたわけでございます。
○立木洋君 日ソ共同声明の中での第四項の「千九百五十六年以来」云々というところに関してですけれども、この点についてゴルバチョフ大統領が十九日午前に記者会見で述べておる点について言いますと、宣言という言葉をなぜ使わなかったのかという点については、「歴史的なものになったもの、また国際法的結果となった部分を取り入れたが、実際に成立しなかったものや、チャンスを失ったもの、歴史が別の道を用意したものについては復活させなかったためだ」と。そうすると、先般の質問のときに言ったように、つまり一九五六年のこれは確認されたとあなたはおっしゃらなかった。そういうことについての問題になっているということだったのですが、これについても彼らは、つまりあのときの内容についてはこの部分は失効したというか、別なものになってしまったのだという形で今後とも拒否する態度をとる可能性というのは多分にあるのじゃないかと思うのです。 そうすると、ここで言われている肯定的な部分というのは日本側の一方的な解釈であって、まさに玉虫で、ソ連側としてはそういうふうな態度をとっているというふうに見れるのじゃないかと思いますが、その辺の判断はどうなのですか。 〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
○政府委員(兵藤長雄君) ゴルバチョフ大統領が法律論としてこの日ソ共同宣言が失効しているということを明確に述べたということは、先ほど申し上げましたように、ございません。しかしながら、片や日ソ共同宣言をこういう公文書の中で確認するということについては最後まで同意しなかったという事実があるわけでございます。 したがいまして、御指摘の文章の中に共同宣言も読み込めぬかということをぎりぎり詰めていけば、書けないとおっしゃったわけですから、答えは当然先ほど先生がお読みになったような政治論からの答えが出てくるわけでございます。
○立木洋君 今まで日本の国内でいろいろ議論になっていました千島の範囲の問題ですが、放棄したのは北千島である、南千島は放棄した千島ではないということが国会ではずっと答弁されてきているわけです。ですから、四島一括という主張の根拠になっている。そうすると、南千島は放棄した千島ではない。つまり国後、択捉はサンフランシスコ条約で放棄した千島ではないという問題については、日本政府は提起し、ソ連側はそれを確認したのでしょうか。国後、択捉は放棄した千島ではないということをソ連側は確認したのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 私どもは、そこの議論を深追いするということはいたしませんでした。 と申しますのは、ソ連側は交渉の過程の中で北方四島を話し合いの対象とする、国後、択捉というものを書くという姿勢を明確にいたしてまいりました。片や私どもは、サンフランシスコ平和条約で放棄した千島列島の中には国後、択捉、歯舞、色丹は入らないという従来の主張、これは展開をしたわけでございます。
○立木洋君 それについては向こう側、ソ連側は、確認もしないし反論もしないし黙っておったということですか。
○政府委員(兵藤長雄君) それに対して、明確にこの点をとらえて議論を挑んできたという事実はございませんでした。
○立木洋君 そうすると、大臣、日本側の主張は非常に無理があるのです。 つまり、領土不拡大の原則と言うのでしょう。領土不拡大の原則を守る。スターリンがかつて誤ったのだからそれを直しなさいというのが主張の基本ですね。ところが、それなら北千島というのは、日本がいわゆるカイロ宣言で言われたように、強欲だとか武力で取り上げた領土じゃないのでしょう。これは平和的な形で日本の領土になった。だから、日本としてはこれを放棄する必要は全くないわけです、北千島は。そうすると、国際的な公正の立場に立って領土問題を解決するというのが基本ならば、こちらから北千島は要らぬのだというふうな態度になってしまうということは、領土不拡大の原則ということがやっぱり徹底して追究できるそういう立場に立脚できないからそうなってしまうのじゃないですか。今、兵藤さんが言われた深追いしなかったというのは、そこに無理があるから深追いできなかったのじゃないですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 今おっしゃったようなことでは全くございません。 もう一つ海部総理が展開をいたしましたのは、固有の領土論でございます。千島列島は、御承知のとおり、かつてロシア帝国の領土であったわけでございます。それゆえにこそ、一八五五年の日露通交条約で国境線を得撫と択捉の間に定めた。 したがいまして、千島列島とそれから北方四島とは歴史的な経緯も異なるわけでございます。ただ、先生のおっしゃるとおり、これをカイロ宣言で言う暴力、どん欲によって奪取したという地域かと言われれば、私どもの認識はそうではないわけでございます。しかしながら、一度も外国の領土になったことのない固有の領土かと言われれば、それはそうではないという差があるわけでございます。 サンフランシスコ平和条約の二条三項で千島列島を放棄したという意味は、私どもはこの千島列島に関する権利、権原はすべてここで放棄をしているという立場でございますので、これを新たにソ連に対して提起するということは日本政府の四島一括の基本方針、日本共産党の御方針が違うことは承知いたしておりますけれども、とは異なるわけでございます。したがいまして、あくまでもその方針にのっとってゴルバチョフ大統領と海部総理との話をしたということでございます。
○立木洋君 結局、私はそこにやっぱりどうしても無理があるだろうと思うのです。 だから、北千島というのはいわゆる戦後処理の原則からいっても放棄する必要の全くなかった領土であるという点はどうですか。つまり、正常にいけば何も放棄する必要のあるそういう弱みのある問題では全くないと、日本が。
○政府委員(兵藤長雄君) 御意見は御意見として拝聴いたしますが、サンフランシスコ平和条約で既に日本はここを放棄いたしておるわけでございます。 私どもが言っております領土不拡大という場合には、あくまでも一度も日本の領土権を離れたことのないもの、歴史的にずっと日本の領土であったもの、これが固有の領土であり、その固有の領土は第二次世界大戦の敗戦国といえどもここから奪わないというのが領土不拡大方針の基本であろうという解釈に立脚してそういうことを申し上げているわけでございます。
○立木洋君 歯舞、色丹、それから国後、択捉、それから北千島、これは全部歴史的な経緯が違うということはそれぞれはっきりしているわけです。しかし、領土不拡大の原則に基づいて戦後処理の誤りを正すという基本を貫くならば、どうしても北千島は放棄しなければならなかった島だったのか、南千島は放棄しなくていい島なのだけれども、北千島は放棄しなければならなかった島なのかというとやはりそうではない。だから、そういうふうなことをきちっと踏まえる立脚点が明確になっていないとやっぱり今後問題が引き起こされる。 先ほど私が言いましたように、向こう側としては、日ソ共同宣言までをもあの部分は歴史的に別の道を選択したのだからといって失効を宣言しかねない状態にまでゴルバチョフの発言はなっているわけですから、さっきの記者会見で言えば。そう言えばそういうことになるかもしれませんとおっしゃるように。そうすると、今度新しい論点を持ち出してきて、そしてあなた方は北千島や南千島をあのサンフランシスコ条約で放棄したじゃないか。国後、択捉の帰属についてはここで四島は書いたけれども、しかし帰属がどうなるかということを決めたわけじゃない。返還を決めたわけでは全くない。帰属をどうするかということを今後話し合いましょうということを決めただけだということを新たな論点として向こうで出してくる可能性がありますね。そうした場合に、こちら側があくまで戦後における領土問題の処理の原則というのはやっぱり領土不拡大の原則だと、これを明確に貫いていく立場というのが私はどうしても必要だということを申し上げておきたいのです。 そうすると、大臣、やっぱり一言あなたに言っていただかないとあれだけれども、そういう経過を踏まえて、そして一つは今後の問題で極めてこの問題についてはきちっとした立場をとらないと私は大変だと思うのです。なまぬるい問題じゃないですよ。安易な問題じゃないですよ。それと同時にもう一つは、この間小沢元自民党の幹事長が行かれたことは一体何だったのか、プラスになったのかどうなのか。外務大臣のお立場としてどういうふうにお考えになるのか。今後のあり方と二つお答えいただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) 今後の日ソの交渉におきます領土の返還問題については、委員御指摘のように、領土不拡大の原則というものがあるわけですから、これについては我が方は従来どおりの考え方で、ヤルタ会談、ヤルタ協定に関する考え方というものは今日なおそれが生きているという考え方で臨みたいと思っております。 なお、小沢前幹事長の訪ソの一件につきましては、これは結果として何があったかということは直接伺っておりませんから、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○理事(岡部三郎君) 午後三時二十五分に再開することとし、暫時休憩いたします。 午後二時二十一分休憩 ─────・───── 午後三時三十三分開会
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○猪木寛至君 きょうはソ連関係にひとつ絞って質問をさせていただきますが、今回の首脳会談におきましては、中山大臣、本当にお疲れさまでございました。 そこで、日ソ首脳会談の後ソ連ではどんな反応が起きたのか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(高島有終君) 詳しいソ連における反応は現在取りまとめ中でございますけれども、全般的にソ連側におきましても、ソ連のマスコミ等の報道に見る限り、肯定的な反応が行われているというふうに承知いたしております。
○猪木寛至君 私の方の得た情報では、大変静かで今回の会談は成功であった、そしてまた日ソに新しい関係ができたというような報道を聞いておりますが、二十四日、あしたですね、共産党中央委員会総会というのが催されるようですが、これについての情報というのでしょうか、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
○説明員(高島有終君) ただいま先生御指摘のとおり、明日から共産党中央委員会総会が開かれるというふうに私どもも承知いたしております。ただ、この共産党委員会の中で今回のゴルバチョフ大統領の訪日がどのように取り扱われるかということにつきましては、私ども現時点におきましては正確な情報は得ておりません。
○猪木寛至君 今回、日本の海部総理といろいろと話をされて共同声明が発表されているわけですが、これはやはり今のゴルバチョフ大統領の地位というか立場という問題で、今回一番期待された北方の問題というものが明記されなかったというか、具体的には表に出てこなかったわけですが、その辺が今ゴルバチョフ大統領自身の立場というものを一番物語っているのではないかなと思います。 そして、私が一つ得た情報なんですが、あす行われる共産党中央委員会総会での一番の追及というのは、ペレストロイカによって国をばらばらにしてしまった張本人、これが大統領であり、そして書記長の座から引きずりおろすという勢力があると聞いておるのですが、この辺の情報についてはいかがでしょうか。
○説明員(高島有終君) ただいま先生御指摘のとおり、ソ連の国内の状況では改革派からのゴルバチョフ大統領に対する批判がございます一方、保守派と申しますか、ソユーズといったグループの中にもゴルバチョフ大統領に対する批判勢力があることは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、ゴルバチョフ大統領があくまで民主化とそれから国内の自由化及びペレストロイカ推進に指導力を発揮されるということを期待しているところでございます。
○猪木寛至君 我々もそれを期待しているのですが、現実に起きている状況というのは大変厳しい。そして、もしかしたらあすの総会で書記長の座をおりなきゃならぬということもあるかもしれない。その場合には大統領の権限というだけになる。 外務省としては大変答えにくいかもしれないのですが、要するにこれからどうソ連が変革していくかわからない状況だと思うのですが、今新しく出ましたソユーズの指導者、これは名前でもし挙げられるのであれば例えばどういう方でしょうか。
○説明員(高島有終君) 申しわけございませんが、私ここに名簿を持ってきておりませんが、軍の関係のアルクスニス大佐というのがソユーズの代表的な指導者というふうに承知いたしております。
○猪木寛至君 そのアルクスニスという方なんですが、この二、三日うちに来日するという情報を得ているのですが、これは外務省としては。
○説明員(高島有終君) 私どもといたしましては、そのような情報は現時点におきましては承知いたしておりません。
○猪木寛至君 大変これからのソ連の状況の中で役割を果たしていく人なのかもしれませんし、私もぜひ一度会ってみたいなと思っておりますが、外務省としては、もし来られたときには全くタッチしないのですか。
○説明員(高島有終君) 先方がどういう目的で、かつどういう資格で来日され、どういうことを希望されるかということにもよるかと思います。そういう中で、先方の希望によっては私どもそれなりに話をする可能性も否定しているわけではございません。
○猪木寛至君 そういう状況なので非常にこれからどう変わっていくかわからない世界情勢の中で、私の情報が当たっているかどうかわかりませんが、大変そういう状況であるということをちょっとお伝えしたいと思います。 そしてもう一つは、今回の日ソ首脳会談についてアメリカの反応というのはどういうものでしょうか。
○説明員(高島有終君) 全体といたしましてアメリカ側は、今回の首脳会談を肯定的に評価しているというふうに承知いたしております。
○猪木寛至君 今回、残念ながら北方の問題とそれから平和条約というところまで、ある程度前進はあったと思うのですが、私はおととしでしょうかソ連に行きまして、そういう状況では大変まだ現段階では難しいというお答えをもらったのです。そのときに、とにかくそういう環境づくりという部分でスポーツとそれから文化、スポーツ文化交流、例えば東京とモスクワを姉妹都市というような、姉妹都市というか交流都市というような形で私が提言したことがあるのですが、その後安倍元幹事長が行かれまして千人交流というのでしょうか、正式には安倍基金というのですか、そういうもののその後の動きというのはどうなっているのでしょうか。
○説明員(高島有終君) ただいま先生御指摘になられました交流は、いわゆる八項目提案の重要な一部になっているところと承知いたしております。 その後の実施状況という点で申し上げますと、昨年九月に約百八十名に近い人たちが既に来日いたしておりますし、さらに九一年、本年につきましては二百名から五百名程度の人たちの招請を実現するという方向で準備されているというふうに承知しております。
○猪木寛至君 それは例えば今回の日ソ会談においてゴルバチョフ大統領も言われているとおり、交流を高めていくというその辺の効果というのはどうでしょうか。
○説明員(高島有終君) 安倍八項目の内容とそれから政府が拡大均衡の中で実務交流として実施しようとしてきたことは、かなりの程度において重なっているということは御承知のとおりでございます。 そういう意味では、今回ゴルバチョフ大統領来日の際に署名されました十五の実務関係の文書の中でも、例えばペレストロイカ支援に対する協定、あるいは展覧会、見本市の相互開催の勧奨に関する共同声明、漁業分野における協力の発展に関する共同声明あるいは文化交流に関する交換公文、文化財の保護に関する覚書、それから日本研究センターの活動に関する協力についての共同声明といった分野はまさに政府の側でも推進しているものでございまして、このような実務取り決めの形で既に署名されたものでございます。政府のレベルにおきましても、こういう分野ではこういう交流を実施し日ソの相互理解の増進に資したいというふうに考えているところでございます。
○猪木寛至君 その内容的な部分というか、具体的に例えばスポーツならスポーツ、それはわかりますか。
○説明員(高島有終君) この中でスポーツに関連するものといたしましては、九一年四月一日から九三年三月三十一日までの間における文化交流に関する日本国政府とソビエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の実施に関する計画の承認に関する交換公文というものがございまして、この中でスポーツの交流も一部取り入れられているというふうに承知いたしております。
○猪木寛至君 たまたま私がスポーツの話をしたのは、実はこれは私が議員になる前にですが、ソ連が大変まだ鉄のカーテンが重いときにソ連のレスラーをプロに転向させまして、それからまたその後ボクシングで契約をいたしまして、既にソ連の選手がきのうまた一人日本チャンピオンになっております。前にも一人チャンピオンになっております。今度は二人目ができまして、ことしじゅうには恐らくソ連のチャンピオンが生まれるのではないかという、「ロッキー4」という映画を御存じかもしれませんが、そういう映画が現実になるような方向で今進んでいます。 とにかく今回も大変政治の場では難しい問題、なかなか本音が語れない。今回ゴルバチョフ大統領が一番欲しかったものというのは、聞くまでもないと思いますが、それは何でしょうか。
○説明員(高島有終君) 日ソ関係をあらゆる分野においてより近い緊密な関係にし、より協力し合える関係に持っていくということが基本的には双方の主たる目的ではなかったかというふうに考えます。
○猪木寛至君 まさにそれは表向きの話であって、やはりソ連が抱えている一番の問題は経済問題を何とかしてほしいと、日本から何とかそれを取りつけていこうということだったのじゃないかと私は思うのです。恐らくあしたの総会においてはその辺が随分論議されるのじゃないかなと思います。そしてまた、日本としては一番のどから手が出るというか、どうしても日本としては主張しておきたかった北方領土問題、結局これは双方すれ違いに終わってしまったということだと思うのですね。 外務省あるいは政府としては、大変前進であったという部分、確かにこれは大統領が来られて画期的なことではあったに違いない。しかし、先ほど立木先生の方からも話があったとおり、小沢元幹事長が行かれたときに外務省は同行されていると思うのですが、恐らくその辺の北方問題というものが相当感触として強く出ていたのじゃないか。それで、いざ終わってみるとそういうものがなかったということで、これは外務省としてはやはりちょっと当てが外れたのではないかなと私は思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○説明員(高島有終君) 確かに先生御指摘のとおり、領土問題の解決自体という点で具体的な打開が見られたということではございません。しかし、今回のゴルバチョフ大統領の訪問とその首脳会談を通じまして、日ソ間の文書において初めて国後、択捉を含めた北方四島が平和条約において解決されるべき領土問題の対象であるということが明確に確認されましたし、これは今後日ソ関係を新たに推進していくという観点では重要な契機になるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○猪木寛至君 これは海部首相が発言した首脳会談終了後ということで新聞に出ておる記事なんですが、平和条約交渉で新しい関係がつくられた。もう一つは、ゴルバチョフ大統領は記者会見を終えた後、これまで成立しなかったチャンスを逸したものを復活させなかったというような全く食い違っている部分、これは私がいろいろ外国を歩いたときに外務省の職員の人から聞いている話なんですが、非常に外交文書というのは難しいという話で、例えば外務省の中の英語というのか、何か質問に対して答えるときには、お言葉を返すようですがというような答え方があるそうです。こういうようなものは我々にとっても非常にわかりにくいし、きょうの新聞に出ているように、外交文書特有の言い回しで難しく、誤解を生みかねない趣旨というような記事も出ておりますが、やはり日本の態度のあいまいさというか、それは一つの言葉の中にもあるのかもしれませんし、それについてはどうでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) 外交文書一般ということでお答えしたいと思いますが、御指摘のとおり、確かに外交文書あるいは条約あるいはさらに国連の決議というものの中には非常にわかりにくいものがございます。これは一つには交渉によっての妥協の産物であるということがあらわれてくるのではないかと思います。それからもう一つは、やはりいろいろな言葉でつくる関係上、特に国連のように数カ国語でつくるというような場合におきましてはその間の言い回しの違いとかそういうことが出てまいりますので、なかなか日本語だけで起案をする場合に比べましてわかりにくくなるという面が多いのではないかというふうに思います。
○猪木寛至君 最後に外務大臣にちょっとお伺いいたしますが、先ほど申し上げたあしたの総会というのは大変ソ連にとって重要な会議だと思うのですね。その結果によっては何か大きくソ連の動きが変わるようなことにもなりかねない。 外務省としても言いにくいかもしれないのですが、やはり今後のソ連を見ていくときにその辺は将来ゴルバチョフだけというわけじゃない。その後にどういうふうに変わっていくか、展開していくかというような戦略というか、見通しは立てておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) ソ連政府の指導者の立場がその後どう変わるかということを、現在日本の政府の外交を預かる者の立場としてここで明快に申し上げることは遠慮させていただきたいと思いますが、外交の継続性というものがございますから、指導者がかわりまして外交政策が大きな変化をするといった場合は別でございますけれども、特段の変化がない場合は継続的な一つのラインの上で交渉は進められるものと考えております。 いずれにいたしましても、日ソ間の協議はこれから頻繁に行う必要があるというふうに認識をいたしております。
○猪木寛至君 終わります。 ─────────────
○委員長(岡野裕君) この際、山岡賢次君から発言を求められておりますので、これを許します。山岡君。
○山岡賢次君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案によるクルド人等避難民の救済に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 クルド人等避難民の救済に関する決議(案) 湾岸戦争に引き続くイラク国内の混乱により、クルド人を主とする多数の避難民が生じ、多大の苦難を強いられていることにかんがみ、政府は、国際機関等とも協調しつつ、医療・食料等人道的見地に立つ緊急の支援をさらに強化し、もって、これら避難民の苦難を除去するよう努力すべきである。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(岡野裕君) ただいまの山岡君提出の決議案の採決を行います。 本決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、中山外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。 政府といたしましては、イラクからのクルド人を中心とする大量の避難民の流出という事態に対し、人道的観点から既に資金、人、物資の面での支援を行ってきているところでありますが、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に尊重いたしまして、現地の情勢、ニーズを踏まえつつ、今後とも心要に応じ追加的協力の可能性につき検討してまいる所存であります。 ─────────────
○委員長(岡野裕君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件、以上四件を便宜一括して議題といたします。 趣旨説明は先刻聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○肥田美代子君 私は、日本とバングラデシュとの租税条約についてお尋ねしたいと思います。 まず、租税条約締結の意義について御説明ください。
○政府委員(野村一成君) ただいまバングラデシュとの間の租税条約というふうに御質問がございましたけれども、租税条約一般につきまして共通したメリットといいますか意義がございまして、やはり国際的な二重課税というものが経済的あるいは人的な交流の妨げになるということから租税条約を結ぶということになっております。やはりそれ相応の経済的あるいは人的交流を今後促進していく、そのためにバングラデシュとの租税条約が貢献するものである、そういうふうに考えておる次第でございます。
○肥田美代子君 バングラデシュから今回の条約締結について申し入れがあったのはいつごろでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 日本側に最初この条約の締結について要請がありましたのは、一九七九年でございます。
○肥田美代子君 そうしますともう十年たっているわけですけれども、十年間も過ぎたという理由について御説明いただきますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かにそれから今日まで十年ぐらいの年月が過ぎておるわけでございますけれども、私ども一般的に租税条約の締結に当たりましては、日本と相手国、この場合はバングラデシュでございますが、その間の経済的あるいは人的な交流の実態を考慮してその都度必要性を検討するわけでございます。 さて、一九七九年に最初の申し出があったと申し上げましたけれども、当時先方の要請はありましたけれども、日本からバングラデシュへの投資につきましては年に一、二件あるかないかのような状況でございました。貿易の金額も少なかったと思います。他方、その後近年に至りまして、例えば一九八八年から八九年にかけましては我が国からバングラデシュへの進出企業の数も非常にふえてまいりまして、そういう中でバングラデシュからも改めてこの条約の締結について要請がなされましたし、日本側もそういう実態を踏まえてこの要請に応じて交渉を始めました。そして、九〇年にと申しますか昨年でございますけれども、条 約の締結の交渉を開始いたしまして、本年の二月に両国間で交渉の妥結を見たということでございます。
○肥田美代子君 そうしますと、今回の租税条約で三十八カ国なのですけれども、まだ新しく日本と締結を希望している国は何カ国くらいございますか。
○政府委員(野村一成君) 新たに条約の締結を希望している国は十四カ国ございまして、そのうち三カ国とは締結の交渉を行っているという状況でございます。
○肥田美代子君 その国をちょっとおっしゃっていただけますでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 失礼いたしました。 まず交渉を実際行っている国、三カ国と申し上げましたけれども、トルコ、ユーゴ、アルゼンチンでございます。ほかに申し出のある国としまして十一カ国ございまして、フィジー、チュニジア、アルジェリア、ルクセンブルク、クウェート、サイプラス、バルバドス、ポルトガル、モーリシャス、マルタ、アラブ首長国連邦、以上でございます。
○肥田美代子君 改正を希望している国は何カ国ぐらいございますか。
○政府委員(野村一成君) 現行の条約の改正を希望している国が七カ国ございます。国としましては、インドネシア、アイルランド、スリランカ、ノルウェー、オランダがございます。また、現在改定交渉中の国として二カ国ございまして、ニュージーランド、マレーシアでございます。
○肥田美代子君 その中で今回バングラデシュが選ばれたというのは何か理由があるのでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 先ほど冒頭に申し上げましたけれども、やはり経済的あるいは人的交流から来るニーズ、あるいはさらにそれの将来の発展ということを考えまして国際的な二重課税防止の仕組みをつくっておくという必要、そういう点につきまして双方の認識が一致したということでございます。
○肥田美代子君 それでは、現在バングラデシュに直接投資している日本企業の数とその業種についてお願いします。
○政府委員(谷野作太郎君) 件数にいたしまして、ちょっと古いものでございますが、八九年度末の累計で申し上げますと二十四件でございます。金額にいたしまして累計千六百四十三万ドルでございます。 したがいまして、まだまだ決して大きな数字ではございませんけれども、他方、こういう条約の締結を経ましてこれが呼び水となってこの数字がもう少し増加の方向に向かうということが期待されるわけでございます。
○肥田美代子君 そうしますと、この条約締結後、進出を希望しているというか、予定している企業の数はどのぐらいありますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 具体的に件数まで私ども必ずしも把握いたしておりませんけれども、ただ御承知のように円高の状況がずっと続いておりますものですから、一般論といたしまして、特に中小企業の方々から海外に進出したいという御希望をバングラデシュも含めまして随分御照会を受けることがございます。
○肥田美代子君 今、中小企業というふうにおっしゃいましたのでそのことを伺いたいのですけれども、日本では今人手不足で、その解決のために安い労働力のバングラデシュに出向いて仕事をする、そういうことになりますとある意味ではまた安い賃金で働かせるということで反日感情なんかが出ないかなという心配があるのですけれども、それはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かに、現地へ進出される方々につきましては現地の社会への貢献、なるべくそこに溶け込んでいただくというようなことは私どもからお願いをしておるわけでございますけれども、他方一般論といたしまして、これはバングラデシュも含めてでございますけれども、相手方は大変日本からの企業の進出を希望しておるわけでございます。 これは資本も参りますに加えまして技術、直接投資で事業を、企業を起こせばそれに伴って技術の移転も行われるわけでございます。それがまた相手国の経済に大きく寄与するということでございまして、バングラデシュも含めて日本側からの企業の進出は大変期待熱いものがございます。
○肥田美代子君 そういう相手国の期待を裏切らないためにも外務省はそのあたりにしっかりと目を光らせていただきたいと思うのですけれども、日本の政府から対バングラデシュの政策について何か今お考えのものはありますか。
○政府委員(谷野作太郎君) これは先生御承知かと思いますけれども、あの地域は押しなべて大変日本に対する感情はいいものがございます。なかんずくバングラデシュにおきましては大変日本に対する親近感が強うございます。他方、政治の面におきましては、御記憶のように、最近政権交代がございまして、それを受けて今バングラデシュにおきましても民主化への道を非常に懸命に歩んでおるところでございます。 私どもは、先ほど申し上げたような現地の強い期待、それから政治の状況がそういった民主化の方により進みつつあるということでございまして、バングラデシュとの関係は私どもといたしましても、政府といたしましてもこれから引き続き大切にしていきたいと思っております。政変の前でございましたけれども、そういうことで、御記憶のように昨年五月、独立して初めてでございましたけれども、総理大臣に御訪問をいただいたわけでございまして、大変な現地からの御歓迎、歓待を受けて帰ってこられました。
○肥田美代子君 今、暫定政権ですよね、バングラデシュは。その暫定政権とこの条約を結ぶことについては構わないのですね。
○政府委員(谷野作太郎君) 暫定政権でありましょうとも、これと関係を取り結んでいきますことは一向に構わないと思います。御案内のように、タイについても同じような状況がございまして、それが日本と先方の国との関係を発展させるために直ちに障害になると私どもは思っておりません。
○肥田美代子君 バングラデシュについて一つのいいニュースを新聞で見たのですけれども、国連の予防接種運動が大変功を奏しているという。それで、どうしてバングラデシュでその予防接種の運動が成功したのかということについて何か把握していらっしゃることがあったら御説明いただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 申しわけございません。ちょっとその点は不勉強でございまして、勉強させていただきます。 ただ、一般的に衛生状況が決してよくないという土地柄ではあるわけでございます。
○肥田美代子君 その報道では、一九八五年から五年間の間に予防接種の接種率が一、二%であったのが六〇%から八〇%ぐらいまで伸びたということなんですね。ですから、確かに国連の大きな努力もあったのですけれども、地道に国民が努力をされたのだなという気がしているわけです。それで、乳児の死亡率を下げること、それからその後産児制限を広めて人口コントロールをしまして、次に来るのが義務教育の普及だと思うのです。産業の育成とかということは多分その次に来る段階であると私は思うのですけれども、バングラデシュは今確かに予防接種の部分で成功したという状況にありますから、国家建設の出発点に今あるような気がするのです。 例えば今いろいろな日本からの援助が問題になっています。発展途上国に対して大きな大きな開発計画を持っていきますとどうしてもその国の中で消化不良を起こして、むしろその国民にとって不幸な状況が起こるというのは確かに幾らも例があるものですから、私は、例えばの話ですけれども、ユニセフがした予防接種の運動なんというのは実に草の根の運動であるけれども、国のために大変いいことであったと思いますし、そのことがやっぱりバングラデシュのこれからの運命を決めていくように思うのです。 そのバングラデシュでの識字率についてどのように把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) ユネスコの統計資料というのが手元にございますけれども、これによりますと、ちょっと古い資料で恐縮でございますが、一九八五年現在十五歳以上の人口のうち非識字者は約三千七百万ということでございまして、率に直して申し上げれば約六七%に及ぶ大変高いものがございます。
○肥田美代子君 今データをいただいたのですけれども、特に子供のことを考えますと、小学校の就学率というのは割合に六七%ぐらいでいいのですけれども、入ってから一年か二年でもう学校をやめちゃうわけですね。それはやっぱり働かなきゃいけないという事情があるし、バングラデシュの厳しい識字にまつわる状況というのを私たちは考えなきゃいけないと思うのです。 昨年国連の国際識字年でございましたけれども、その昨年度の国際識字年に対して政府はどういうふうに対応されたのでしょうか。
○政府委員(丹波實君) おっしゃるとおり、一九八七年の国連総会が一九九〇年つまり昨年を国際識字年と宣言したわけでございます。日本といたしましてもこの国際識字年に国際協力をユネスコを中心として行うことが非常に重要であるという認識のもとに種々の国際協力を行ってきたつもりでございます。 具体的には、御承知のとおり、昨年三月タイで万人のための教育世界会議というものが行われました。世界の百五十カ国、約千五百人の代表が参加いたしましたけれども、これには日本政府としても代表を送って参加いたしております。そのほか、海部総理がニューヨークで子供のサミットに参加されたり、それから財政的な援助としてはアジア・太平洋地域における識字事業に協力するということでユネスコに信託基金を設置したりした活動を行ってきております。
○肥田美代子君 その昨年の子供のための世界サミットの場所で私も海部総理の演説を聞かせていただいたのですけれども、そのときに私は大変感動したわけです。 海部総理のその演説の中でこういうのがあるんですね。「教育環境に恵まれない開発途上国では子供達が人間らしい尊厳に満ちた生活を営むため、基礎教育を整備し、児童の識字率を改善することに最大の目標が置かれるべきであり」と、そのために識字の政策を政治の最優先にしようということで今回、今おっしゃいました識字信託基金というのを提唱されたわけですけれども、その信託基金について少し詳しくお話しいただけませんでしょうか。
○説明員(牛尾郁夫君) お尋ねの識字信託基金でございますが、先ほど外務省から御答弁がありましたように、ユネスコが世界の識字問題に対応するために国際協力を呼びかけまして、そのユネスコの協力呼びかけに対して具体的に講じた措置の一つでございます。 文部省において予算措置をいたしたわけでございますけれども、平成二年度予算において初めて七十万米ドルを計上いたしまして、またさらに先日御承認をいただきました平成三年度予算においても前年度同額の七十万米ドルを計上いたしているわけでございます。 この識字信託基金の使用目的でございますけれども、世界で最も非識字者の多いアジア・太平洋地域の識字問題への対応のために使うということでございまして、具体的にはその識字教育に携わる要員の研修事業でございますとかあるいは教材開発事業でございますとか、さらには幾つかの地区を定めましてパイロット事業として識字教育を行うことでございますとか、そうしたいわば識字問題のソフト面での使用を目的として拠出をされた、こういうことでございます。
○肥田美代子君 私はその信託基金ができたことは大変うれしく思うのですけれども、この予算、今七十万ドルとおっしゃいましたですね。この金額が私は海部総理の演説のすばらしさに比べると随分低いのじゃないかという気がするのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。それはもちろん主観的なのですけれども、余りに理想と現実が違い過ぎるのじゃないかなという感想を持ったのですけれども。
○説明員(牛尾郁夫君) 各国の教育の発展と申しますのは、御案内のとおり、何よりもまずそれぞれの国の努力によってなされなくてはいけない、こういうことでございます。それに対してユネスコなどの国際機関あるいは先進諸国が援助をするわけでございますが、基本はやはり各国みずからの努力によって進められていくべきものでございますので、国際機関からの援助あるいは先進諸国からの援助と申しますのは、そういう各国の自助努力を助長するようなきっかけとなるような、そうした事業に使われるような援助を行うことが最も有効であるというふうに考えているわけでございます。 そうした観点から申しますと、先ほど申しましたように、識字要員の研修事業でありますとか教材開発事業などに使うこの識字信託基金の七十万米ドルというのは、そうした目的に照らしていえば適当な金額であろうかというふうに考えているわけでございます。
○肥田美代子君 今教育は各国の自助努力でとおっしゃいましたけれども、例えば初等教育を受けるように援助するというのもやっぱりある意味で開発計画の一つだと思うわけですね。ですから私は、産業とか大きなプロジェクトについてお金を出されるのももちろん日本としては大切なことですけれども、教育について余りにも各国の自助努力ということで今までないがしろにされてきたのじゃないかと思うのです。 本当は私、こういう開発途上国に対して一番大切な援助というのは、まず子供たちが初等教育を受けられる、それが基本じゃないかと思うのですけれども、どうお考えでしょう。大臣、もしよろしかったらお答えください。
○国務大臣(中山太郎君) まさに次の時代をつくる子供たちの教育というものは極めて大事なことは申すまでもありません。日本政府といたしましても、今までこの初等教育等についての施設及び器材の供与について協力をしてまいりましたが、先般ペルーのフジモリ大統領がお越しの節に二時間余りいろいろと懇談をいたしましたが、フジモリ大統領もペルーにおける初等教育の貧困について大変嘆いておられまして、日本政府としてはその点についてもこれから積極的に協力をするということもお約束をいたしましたけれども、やはりそのようなことで国際協力をしていく。そして、この識字に関する子供たちの能力というものを高めていくということがやはり将来の知的な国際社会をつくるのに、またその国家の建設にも極めて重要であるという認識をいたしております。
○肥田美代子君 ありがとうございます。そうおっしゃっていただけることが私は本当に心強い思いがいたします。 それで、この信託基金と申しますのはアジア・太平洋地域の非識字をなくすための基金であると聞いておりますけれども、アジア・太平洋地域に今どのぐらいの非識字というか、初等教育が必要な人がいると思われますでしょうか。
○政府委員(丹波實君) ユネスコの統計資料、一番新しい資料は実は一九八五年のものしかありませんけれども、これによりますと、アジア・太平洋地域におきます十五歳以上の人口のうちいわゆる非識字者は約六億七千万人、非識字率は約三六%ということになっております。これは世界の非識字人口の約四分の三であるということでございます。
○肥田美代子君 そうしますと、概算で結構ですけれども、その人たちが非識字者でなくなって識字者になるためにはどのぐらいの予算が必要だと思われますか。
○政府委員(丹波實君) ユニセフが一九九一年版の世界子供白書というものを出しておりますけれども、これによりますと、これは世界すべてのことを言っておるわけですが、二〇〇〇年までに世界のすべての人に初等教育を普及させるためには、これから十年の間、約五十億ドルの追加予算 が必要であるということを言っております。
○肥田美代子君 そうしますと、今回海部総理がサミットに出席されて、二〇〇〇年までの行動計画が大会宣言で発表されたわけですけれども、この十年の間に五十億ドルが必要だということになりますと、日本がこの信託基金にかけるお金というのはやっぱり少な過ぎるのじゃないかという気がするのです。それで、ましてや昨年とことしが同じというのも私にはちょっと解せないのですけれども、この予算についてもう一度見解をお話しいただけませんでしょうか。昨年とことしが同じというのはいかがなことなのでしょうか。
○説明員(牛尾郁夫君) 平成二年度の予算で七十万ドルを計上いたしまして、それをユネスコに拠出をいたしまして、ユネスコではその事業に実際に取りかかりますのはやはり昨年の末ぐらいからことしに入ってからということでございます。新たな予算措置を検討するにいたしましても、最初に計上いたしました識字信託基金がどのように使われていくか、そうした実績も場合によって見つつ次の段階を考えるということでございますので、初年度出した額をその次の年度直ちにふやしていくということはなかなか難しい面があろうかとは思っております。
○肥田美代子君 恐らく海部総理がおっしゃったあのときの気持ちというのは、本当に世界から非識字をなくそうという大変輝かしい発想だったと思うのですね。その輝かしい発想をもっともっと日本としては永続しそれから発展させていくために、私はこの基金にもっとお金をつけるべきだと思うのです。そのことがやっぱり私は、日本を世界にどういう顔をした日本であるかということを知らしめる一つの方法になると思うのです。 それで、今後識字問題克服のために我が国がどういうふうにして、どういうふうな態度で、それからどういうふうな考え方でもって進めていこうと思われるか、最後にお聞かせください。
○国務大臣(中山太郎君) ユネスコに信託基金を出すという一つの方法がございます。この一つのプールされた基金で識字率を高めていくということも国際的にやっていく。そのほか二国間の援助につきましても、一般無償資金協力による小中学校の校舎の建設、また文化無償による教育器材の供与、また小規模無償資金協力による小学校舎の建設や、黒板、机等の供与といったようなことが従来されているわけであります。 この間、フジモリ大統領はこうおっしゃいました。新宿にあるペルーの大使館を一つ売ったらペルーに二百校学校ができるとおっしゃっていました。それに対して、日本の小学校のような設備は要らない、ペルーに合った学校のシステムでいいと、こういうことで、早速調査団を出そうということにいたしておりますけれども、そういうふうな二国間の協力をいろんな国にこれから日本としては進めていくということとあわせて、ユネスコに基金を積んでいくという二つの方法を並行してやっていきたいと考えております。
○肥田美代子君 ありがとうございます。終わります。
○田英夫君 まず、国際通貨基金協定の改正についてお尋ねをしたいと思います。 今回の改正は、債務履行遅延国に対するいわば制裁措置ということだと思いますけれども、今それをIMFとしてやろうという必要性についてまずお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(須藤隆也君) 今回のIMF協定の改正は、IMFにおける債務履行の遅滞問題が次第に深刻化してきたことにかんがみまして、IMF資産の健全性を確保するという目的のために債務の履行遅滞対策を強化する一環として合意されたものでございます。 制裁というよりも、むしろ現在の協定下におきましては、一般資金の利用不適格宣言を受けた後その状態を長く続けた場合には強制的脱退の方法しかないわけでございますが、脱退という極端な措置をとる前に投票権の停止とか関連の権利を停止する措置をとることによってIMFの枠内で債務遅滞の問題を解決しようということで、当該国の自助努力を促す方法の一つとして考えられたものでございます。
○田英夫君 よくわかるのですけれども、IMFから融資をしてもらおうというのはもう当然発展途上国なわけで、経済的にみんな苦しい、つい返済が遅延する、こういうことなのでしょう。 今度のは制裁措置ではないという意味のお答えがありましたけれども、やはり内容はかなり、投票ができないとか役員になれないとかということですから一種の制裁だと言わざるを得ないのですが、発展途上国に対して支援をしようという精神からするとかなり厳しいのじゃないかなという気がするのですけれどもね。
○政府委員(須藤隆也君) おっしゃられますとおり、債務の支払いを遅延している国に対しましては今度の改正によってある程度の規律が厳しくなるわけでございますが、発展途上国の中にも苦しい経済の中からきちんと返済している国もたくさんあるわけでございます。そういう国は返さない国があることによってむしろ被害を受けているわけでございまして、そういう観点から、開発途上国全体の資金利用の機会を増加させるというためにも債務の履行を促進する必要があるという側面が一つございます。 それから、IMFといたしましても単に罰を与えるだけということではありませんで、例えば一九八八年の九月の暫定委員会におきまして強化された協調的アプローチという一連の措置に合意がされているわけでございますが、これは例えば債務の遅滞を起こしている国がIMFと経済調整プログラムに合意してそれを実行していった場合、主要な先進国が支援グループをつくって援助していこうというようなこともやっておりますし、それから今度の改正の裏腹になっております第九次増資によりまして発展途上国全体も五〇%増の資金の利用が可能になるということもございますので、単に規律を厳しくするということじゃなくて、発展途上国全体に対してはいろいろ配慮をしているということが言えるかと思います。
○田英夫君 IMFから融資を受けるということになれば、それがいわば誘い水になって民間からの融資も受けられるというようなことが現実だろうと思うので、本当は返済をするならまずIMFに返済をしていく、順位からいえば。そうすれば民間の方の問題は後からついてくるということになるので、その点は確かに融資を受けている国の方も考えなければいけないのだろうと、これもよくわかります。 そこで、この債務履行の遅滞図というのが九カ国ありますね。それから、その結果として資金利用不適格国になっている国が八カ国ありますね。それをずっと比べてみると、実はカンボジアだけが不適格国には指定されていない。そこで、なぜかなという気がするのですが、このカンボジアとベトナムもここに名前が出てきますけれども、カンボジア、ベトナムが融資を受けたのは一体どこの段階、つまり政権がかわっていますからね、どの政権のときの話なのでしょうか。
○政府委員(須藤隆也君) カンボジアにつきましては、現在遅延している債務は一九七五年三月以前のものでございまして、三月以降債務履行遅延の状態にございます。それからベトナムにつきましては、一九八四年の二月以降債務の履行が遅延状態にあります。 カンボジア、ベトナムの債務の履行遅延の発生時期でございますが、一九七五年の三月といいますとカンボジアではいわゆるロン・ノル政権の末期に当たりまして、その翌月の四月にはポル・ポト派によりましてプノンペンが陥落してポル・ポト政権が成立しているわけでございます。他方、ベトナムにつきましては、一九八四年といいますと旧南北ベトナム統一後のベトナム社会主義共和国政府になってからの債務ということが言えるかと思います。
○田英夫君 両国とも、特にカンボジアの場合は政情を考えると返済できなかったのだなということもよくわかるし、同時に一つ伺っておきたいのは、現在のIMF加盟はベトナムの場合はわかり ますね、これは政権が一つですから。カンボジアの場合はどの政権なのですか。現在のプノンペン政権なのか、それとも三派の民主カンボジア連合政権ということですか。
○政府委員(須藤隆也君) 御指摘のとおり、カンボジアにつきましては代表権の問題がございまして、IMFにおきましてはどちらの政権をも正式には現在も承認しておりません。いわば没交渉の状態になっております。代表権問題が解決した晩には、どちらの政権を代表と認めるか、その債務の継承をどの政権が行うかというようなことについて話し合いが行われるものと思います。
○田英夫君 それが不適格国に指定されていない理由と考えていいのでしょうか。
○政府委員(須藤隆也君) そのとおりだと思います。
○田英夫君 そこで、カンボジアの問題を少し伺いたいと思うのですが、カンボジアの問題というのは今アジアで朝鮮半島の問題とともに不安定要因といいましょうか、早く解決をしなければならない大きな問題だろうと思います。次第に和平の方向へ向かって煮詰まっていっているという感じがいたしますが、政府としては今の状態をどういうふうに見ておられますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私もそういうふうに期待したいと思いますが、最近の状況につきましては御案内かと思いますが、若干御説明いたしますと、いわゆる包括的和平文書というものがございます。そこで、次の段取りはカンボジアの各派の方々がこれを受け入れるかどうかということでございまして、時間をとりますので詳しい御説明は省きますものの、そこの段階に来ましてこの文書を受け入れるに当たって特にプノンペン政府側におきまして大きなちゅうちょが出てきておるということで、私は残念ながらまだもう少し時間がかかるような気がいたします。
○田英夫君 プノンペン政権というのが確かに今一つの焦点になっているわけですが、たまたまフン・セン首相が病気療養のために日本に来ているというふうに聞いています。入院中だということですから接触もなかなか難しいかもしれませんが、この来日中に、もちろん非公式にならざるを得ませんけれども、接触をされるおつもりはありますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 実は昨日、病院に入られます前に若干のお時間がございましたので、私、宿泊先のホテルに訪ねまして若干時間をいただいてフン・セン氏と議論をさせていただきました。
○田英夫君 もう東京会議も昨年ありましたし、プノンペン政権の考え方というのは十二分におわかりだと思いますが、きのうの会談の結果、今問題になっている包括の問題について何らかの明るい見通しが出てきたとか、そういうことはありませんか。
○政府委員(谷野作太郎君) 先ほど御説明を省略いたしましたが、いわゆる包括的和平文書につきましてプノンペン側が問題にしておりますのは三点ございます。第一点は、暫定的な行政期間があるわけでございますが、その期間中国連の関与をどの程度認めるかというのが第一点。それから第二点は、停戦、武装解除に至る過程がございますけれども、その段取りをどうするか、だれがどう保障するかという問題がございます。そして第三点は、これもプノンペン側にしてみれば私は当然の心配だと思いますが、いわゆるジェノサイド、ポル・ポトのああいった過去の悪政、それを何とか将来的に防止する仕組みをつくってほしいということでございます。 さて、そういう前提でその点をめぐりましていろいろお話し合いをいたしましたが、大まかに二つのことを言っておられました。 一つは、やはりクメール・ルージュの脅威に将来的に何とか自分たちは対抗していかなければいけないと思うということで、いわゆる先ほどの第二点目の武装解除の問題につきまして、これはやはり武装解除をしてしまうということについては大変大きなちゅうちょがあるということを言っておりました。他方、包括的な和平文書にはとりあえずそこが書いてあるわけでございますから、なかなかあるいはそのままのめないというのが第一点でございます。それから第二点は、包括的和平文書ではやはり今のままではジェノサイドの復活防止のための具体的な措置がもう一つはっきり明記されていない、そこをきちんとしてほしい。大まかに言ってその二つのことを私どもに言っておられたような気がいたしました。
○田英夫君 大変よくわかるのですね。 もう一つ、これは大臣直接おやりになりましたけれども、北京においでになったときにシアヌーク大統領と会われて、日本として今ポル・ポト派と言われているクメール・ルージュとの接触をやりたい、そういう意味のことを言われたのに対してシアヌーク大統領が、それならキュー・サムファン副大統領をピョンヤンに呼ぶからピョンヤンで会ったらどうですかという答えがあったというふうに言われておりますが、これは事実でしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 事実でございます。ただし、クメール・ルージュの代表を特定の人物を指定されたことはございません。ただ、クメール・ルージュの代表をピョンヤンで日本の代表と会わせるだけのことは自分がやりましょうと、こういうお約束はいただきました。
○田英夫君 クメール・ルージュと接触されるということは、私から言わせれば少し遅きに失したと思いますが、大変結構なことで、確かにさっきアジア局長お答えになったプノンペン政権の包括和平に対する態度と、もう一つはやはりその裏返しであるクメール・ルージュの取り扱いというのが一番問題なわけですから、日本としてこの問題に深くかかわっていかれるということは大変大事なことです。特に中山外務大臣はたしか大臣になられた一番最初のお仕事がカンボジア問題だったと、お仕事といいますか外へ行かれた最初だったと思うので、大変熱心にやっておられますから、そういうことからするとピョンヤンで会ったらどうかというシアヌーク大統領の提案に対して、これは実行に移されるおつもりですか。
○国務大臣(中山太郎君) 日程がセットされれば必ず実行したいと考えております。
○田英夫君 それは外務大臣が行かれるのか、外務省の幹部が行かれるのか。
○国務大臣(中山太郎君) 外務省の幹部を予定しております。
○田英夫君 それは本当にできるだけ早く実現できるといいと思いますね。シアヌーク大統領は、御存じのとおり、ピョンヤンが非常に居心地がいいようでありまして、金日成首席が非常に立派な迎賓館をつくって、私も行ったことがありますけれども、そこへ来いということだと思うのですね。 もう一つ、この間クメール・ルージュの外務次官であるイエン・チリト女史が日本に来ておりました。この代表団とは、もちろん公式じゃないでしょうけれども、接触はされたでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 女性の方でございますけれども、私も過去二回ぐらいお目にかかったことがございます。そこで、最近また東京に見えているということでございまして、私ちょっとどうしても時間がとれませんでしたものですから、私よりむしろ物のわかった担当の課長に命じまして、担当の課長が時間をとってお会いいたしました。 先方の話しておられたことは、これはあちらの側に立てば当然なのでございましょうが、大変へン・サムリン政権、あるいはベトナムに対する強い不信の念をるる述べておられた。そして、せっかく用意された先ほど来お話が出ております包括的和平案というものを、そのまま無修正で何事もつけ加えることなくプノンペン側はこれを受け入れるべきであるということを非常に強い口調でおっしゃっておったようでございます。 他方、先ほど申し上げましたように、それをすることについてプノンペン側に大変大きなちゅうちょがいまだあるということでございます。私はきのうもフン・セン氏には、気持ちは若干わかる面もあるけれども、そこはやはり大人になって、現在せっかく関係国の善意と努力で用意したこの包括的和平案というものを受け入れられたらどうだということを強く申し上げた次第でございます。ただ、引き続き大変強いちゅうちょがあるということで、そのまま今病院に入られている状況でございます。
○田英夫君 たまたまプノンペン政権のフン・セン首相とクメール・ルージュの外務次官ですけれどもイエン・チリトさんが相次いで日本に来たということですが、ピョンヤンで会われればもっとより高い地位の人が来るのでしょう。 その辺がうまく進んでいくということになれば、ただ問題は、ピョンヤンで接触されるのはかなり地位の高い人になるでしょうが、この間クメール・ルージュのイエン・チリト団長と一緒に来ておりますロン・ノリンという人がいます。この人は日本の外務省で言えば参事官ぐらいのクラス、ただそれは国の大きさ違いますから、しかも一派ですから対等に比べるわけにいきませんけれども、この人ともこの間話していると、あのクメール・ルージュのグループの中でもそういう若い人などはやはりこれから先のことを見通して、やがて和平が来てそして選挙で新しい国づくりというようなことにつながっていったときに、今までのクメール・ルージュのあのイメージでは到底選挙に臨んで多数を獲得していくというようなことはできないだろう。したがって、かなり大きな政策の転換といいますか、イメージの転換といいますか、そういうことをやらなくちゃいけないだろう。選挙ということになれば、今までの三派というのは政権と称していましたけれども、当然それぞれが一種の政党のような格好になってきて、それにまだプラスアルファがついてくるから、今は四派ですけれども、政党が幾つできるかわかりませんが、そういうことを想定しているというのですね。そのときに、自分たちももっとソフトなカンボジアの国民の皆さんに安心して受け入れてもらえるような政策、それから態度をとっていかなくちゃいかぬだろうということを個人的には言っておりました。 そういうことをぜひ日本政府も把握をしていただいて、今度は逆にフン・セン首相以下のプノンペン政権に安心をさせるといいますか、そういう仲立ちが大切になってくるのではないだろうか。 同時に、やはり舞台は国連になるのでしょうね。その辺はどうなのだろうかと思います。つまり、包括和平案というものが出てきて舞台が国連に移ってというか、国連を舞台にして最後の和平の詰めが行われることになるのか。関係国がありますね、フランスとかASEANとか中国とか、日本を含めてそういうところだけでやっていくのか。その辺のこれからの段取り、見通しを政府はどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 先ほどちょっと出ましたパリ会議というのがございましたが、私どもの見通しは、恐らくそこへ終局的には帰ってくるのだと思います。 今後の段取りといたしましては、パリ会議の共同議長国でありますインドネシアとフランスの外務大臣がカンボジアの各派をジャカルタに集めまして、先ほど来お話が出ておる包括的和平案を何とかのんでもらうという、そういう方向の努力が始まるのだと思います。それがうまくいきますれば、その後に両共同議長国が描いておりますシナリオは、パリに舞台が移りまして、関係国とおっしゃいました、日本も含んでおるわけでございますけれども、その事務レベルの調整委員会というのがございますが、事務レベル、局長レベルの調整委員会でこの包括的和平案を練り上げていく。そして、時期至らば閣僚に、外務大臣レベルにお越しいただいて、そこで和平文書の署名がなされるということだと思います。 ですから、道筋は国連というよりむしろおっしゃいました関係国、そのパリへの道だと思いますが、もちろん和平ができますれば、先ほど申し上げましたように、暫定期間等におきまして国連の役割というものは非常に大きなものがあるということだと思います。
○田英夫君 私は、国連の舞台ということを言いましたのは、事実上和平案がまとまってそれを四派が皆認めるという格好でまとまっていく、そこまではその形でいわゆる関係国でいいと思うのですが、最後に国連がどうしてもやはり舞台になってほしいのは、日本の問題につながるのですけれども、いわゆるPKO、カンボジア和平後のPKOという国際協力の中で日本が中心的役割を果たす必要があるのじゃないか。今、湾岸のときは何となく欲求不満なようなところがお互いにあるわけですね。アジアのカンボジアですから、これは非常に重要なことだと思うのです。 ただ、憲法はここでもやっぱり問題になりますから、停戦監視団とか平和維持軍とかというようなことには日本は協力しにくいということになれば、国連の舞台で最後に和平後の詰めが行われれば、例えば選挙へ持っていく、そうすると選挙監視団と。あるいは一般的にどうもPKOというのを国連憲章で内容まで決められているように思っている方もあるようですが、そうではないのですから、民生を安定させるといいますか、復興のための通信とか輸送とか住宅とかというようなことに日本が積極的に協力していくというのも、国連で決議をし事務総長がこれを要請すれば一種のPKOになるわけですから、これに日本は積極的に参加をする。そういう意味を込めて最後のところの詰めは国連の舞台がどうしても必要じゃないか、こう考えるわけですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 先ほど谷野局長がお答え申し上げましたように、具体的な和平会議というものは恐らくパリの閣僚会議で行われると思いますけれども、そこには国連の事務次長が一昨年私が参りましたときも来ておりましたし、インドネシアのジャカルタでの会合等も国連からの事務次長が参加をいたしておりまして、国連を抜きに関係国だけで後のいわゆる戦後処理というものが行われることは考えられない。そういう意味ではパリ会議に接続する形で恐らく国連が停戦後のいわゆる平和維持あるいは停戦監視あるいは選挙といったような一連の行政事務といいますか、そのようなことがセットされるものだと私は考えております。
○田英夫君 次に、これは朝、堂本委員が取り上げられた問題ですけれども、私も長い間ジャーナリストであった立場から一言申し上げないわけにいかないということで、北方領土の取材に対してとられた外務省の措置に対して大変私は疑問を持っております。同時に、外務省の担当の方とも話をしてきましたから、外務省、政府のこの問題についてのお考えというのも十分理解できます、その論理は。閣議了解という形をされたこの論理は十分に理解できます。結局国益を守ろうということですから、その問題と国民の知る権利、言論の自由という問題との絡みの中の非常に苦しい問題であることは事実だと思います。したがって簡単に、外務省がとられた措置は全くけしからぬというふうにだけ言うつもりはありませんけれども、従来からずっと長い間この問題を現場のジャーナリストとして体験してきた身からすると、実は民主主義の非常に根幹に触れてくる問題ですから重視をしていただきたい。 もう時間がありませんから余りやりとりはしませんけれども、外務省の中でも、特にゴルバチョフ大統領が来られて共同声明の中にもこれに触れる問題が、堂本さんが取り上げたとおり、盛り込まれておりますから、この機会にやはり早急に、制裁措置という言い方をまたとらざるを得ないのですが、これは私はやめていただきたい。ジャーナリズムの立場からすれば、本当は取材の自由というものは非常に絶大なものでなければならない。 私もベトナム戦争のさなかに日本の国としては敵に等しい北ベトナムに入っていって取材をした経験があります。その結果として与党の皆さんの、いわば権力を握っている側の皆さんの圧力で私自身首になりましたから、そういう経験を持っている者としては、外務省の皆さんは決して権力を握っているなんて思ってはいないでしょうけれども、実際にはそういうことになるのですよ。私、自分のことを余り詳しく言うのは嫌ですから申し上げませんけれども、それは事実です。画面からおろされたのですからね。そういうことにつながりかねませんから、この問題は非常に慎重かつ重要視していただきたい。 実際、私もテレビで北方領土の紹介を見ましたけれども、非常に勉強になりました。日本人との混血の青年が出てきて、なるほど混血がいるわけですね、考えてみれば。そういうこと余り想定していませんでした。ソ連の人がだあっと来て何か仕事をしているのだろうと思ったら日本人との混血の人が出てきて話をしている。そういうものを見たりして、私はむしろあの報道によって北方四島の現状というものを国民の皆さんが知って、その結果として関心が高まったといういい役割が非常に大きかったのじゃないかと思うので、この際、もうこれ以上申し上げませんけれども、早急にこの問題については結論を出していただきたい。 大臣一言だけひとつお願いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の日ソ共同声明の精神を十分踏まえて、私ども早急にこの問題に結論を出して前向きに対処したいと考えております。
○田英夫君 終わります。
○中西珠子君 国際通貨基金、IMF協定の第三次改正は、債務の不履行を続けている加盟国の投票権の停止などを規定するというのが目的だそうですけれども、現在IMF協定上の義務の不履行を続けている加盟国にはどんな国がありますか。そして、この改正が発効いたしますと真っ先に投票権の停止をされそうな国はどこですか。
○政府委員(須藤隆也君) 昨年のIMFの年次報告によりますと九カ国が六カ月以上の債務履行遅延に陥っておりまして、国名を挙げさせていただきますと、スーダン、ザンビア、ペルー、リベリア、パナマ、ソマリア、ベトナム、シエラレオネ及びカンボジアでございます。このうちカンボジアを除く八カ国がIMFの一般資金を利用する資格の喪失の宣言を受けております。 今度の協定改正が実現いたしますと、これらの債務履行遅延国のうちさらに相当期間債務の履行を怠っている場合には投票権の七〇%の多数決によって投票権の停止ができるということでございますので、自動的になるわけではございませんで、その国別にケース・バイ・ケースに判断されて投票権の停止が行われるということになると思います。
○中西珠子君 自動的になるとは思っていないのですけれども、相当期間というのはどのくらいですか。
○政府委員(須藤隆也君) IMFの協定上は明示の規定はございませんが、大体六カ月程度が相当の期間と了解されております。ただし、具体的には個々の国ごとに決められます。
○中西珠子君 六カ月とおっしゃいましたか。短いですね。非常に短いですね。 この協定改正の発効要件というのは相当厳しくて、総投票権数の八五%を有する五分の三の加盟国が受諾すること、その受諾をIMFがすべての加盟国にあてて公式の通報によって確認した日に効力を生ずるとなっていますね。現在、既に受諾している国というのはまだ少ないらしいのですが、どういう国が受諾していますか。
○政府委員(須藤隆也君) 今月の十八日現在で十七カ国が受諾しておりますが、国名を申し上げますと、オーストリア、ブルガリア、ブリキナファソ、サイプラス、ドミニカ、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、大韓民国、レソト、モルジブ、メキシコ、モンゴル、スワジランド、スウェーデン及び英国でございます。
○中西珠子君 今の状況から考えて、発効はいつごろとお考えになっていますか。
○政府委員(須藤隆也君) IMFの暫定委員会の話し合いによりまして、九一年の末までに発効することが望まれると各国とも努力目標として掲げておりますが、具体的にいつ発効するかは、投票権の八五%と加盟国の五分の三が必要でございますので、状況によって変わり得るとは思います。
○中西珠子君 九一年の末というのが努力目標だそうですけれども、現在の状況からいうとちょっとなかなか難しいのじゃないですか、この発効要件から考えますと。 それで、この改正が発効してIMFは出資総額を五〇%増加させる、我が国の出資比率もドイツと並んで第二位となるというふうなことを聞いていますが、私たちの国日本にとって協定の改正が発効することのメリット、また増資に応じることのメリットは何ですか。
○政府委員(須藤隆也君) 今回の協定の改正は、先ほど申し上げましたとおり、IMFの資金基盤の強化が緊急かつ重要な課題になっているという状況のもとで、債務の履行遅滞問題の解決を促進することによってIMFに対する信頼の確保を行う、それからIMFの資金の健全性を確保し、さらに資金基盤の強化に資するということを目指しているわけでございまして、この協定の改正を受諾することは主要な加盟国であります我が国にとって重大な責務であると考えますが、同時にIMFの基盤が強化されて円滑に機能するということは国際通貨・金融秩序の安定と世界経済の持続的な成長のためにも資するものであると思われますので、そのことは同時に特に我が国の経済にとっても重要な意味を有するものと考えられます。 それからさらに、御指摘のとおり、この協定の改正は第九次増資の発効要件の一つとされておりますので、我が国がこれを早期に受諾することによって増資の早期発効が実現すれば増資の効果も出てくるということで、この点からも我が国にとっても望ましいことであると判断しております。
○中西珠子君 第九次の増資で日本はどのくらい出すことになりますか。
○説明員(井川紀道君) 今回の増資は五〇%増資でございまして、全体でIMFの資金規模が九百十一億SDRから千三百六十七億SDRになるわけでございます。ちなみに、現在一SDRが約一・三三ドルでございます。 我が国は今回の第九次増資によりましていわゆる出資シェアが約四十二・二億SDRから八十二・四億SDRに増加するわけでございます。
○中西珠子君 IMFについてはそれで結構でございます。一応これは日本としてやらざるを得ないことだと思いますが、ただ余りにもシビアなやり方で債務履行ができない国の投票権をさっさと、相当期間、六カ月ということだそうですが、停止してしまうというふうなことは余りしないでいただきたいと思うわけです。 次にブルガリアと日本の間の租税条約締結についての承認に当たりまして、ブルガリアの中に一体その租税条約を締結しなきゃならないほど日本の企業が行っているのかどうか、どのくらい投資しているのか、またこれからうんとふえていく見込みがあるのか、また現地で操業、営業している企業というのは私が昨年の秋にブルガリアに行きましたときには何か余りないような感じでしたのですが、これからうんとふえる見込みがあるのかどうか、そういった点についてお答え願いたいと思います。
○説明員(高島有終君) 現在、我が国のブルガリアに対する直接投資案件は件数で三件だけでございます。また、その金額も約五十万ドルといった低いレベルにとどまっております。 ただし、先生御承知のとおり、一昨年の後半以来ブルガリアにおきましては民主化とあわせまして経済改革、特に市場経済の導入を目指した改革に鋭意取り組んでおりまして、現在確かにその関連もございまして経済は困難な状況にございますが、同時にこのような改革を進めるために先進国からの投資に非常に強い期待を持っているわけでございます。 日本といたしましても、従来からの伝統的な友好関係に加えましてこのような投資、振興という形でブルガリアの経済に貢献できることになりますればそれは非常に結構なことだという考えで、まさにそういう観点で日本とブルガリアの間の経済関係を安定させるという意味合いにおきましても今回のこの租税条約を重視しているという次第でございます。
○中西珠子君 ブルガリアの市場経済移行に当たりまして、日本政府から技術協力とか何かそういった援助をやっているのですか。
○説明員(高島有終君) 先生御承知のとおり、一昨年来の東欧の大きな民主化改革の動きに対しましては、先進二十四カ国がグループをつくりましてそこで調整を行った上で支援していくという体制がとられております。そして、ブルガリアもこの支援対象国になっております。 我が国といたしましても、当面技術協力に重点を置いた形でブルガリアに対する支援を行っていくという形で既に動き始めているところでございます。
○中西珠子君 このG24の調整によって日本は技術協力の面では大いにやっていこうというふうなことをなさって、研修生受け入れをやっているわけですか。これはどういう分野でやっているのですか。
○説明員(高島有終君) 内容的に申しますと、今後詰めていくことになるわけでございますけれども、研修生の受け入れ、それから我が方からの指導者の派遣といった分野が考えられております。 分野別に申しますと、まだ全貌が必ずしも詰まっているわけではございませんけれども、ブルガリアの市場経済導入に役に立つような経済分野のみならず、例えば環境分野等も含めてやっていきたいというふうに考えているところでございます。
○中西珠子君 ブルガリアで大体どういう企業が代表的に操業しているのでしょうか。
○説明員(高島有終君) 先ほど申しましたように、現在日本から合弁の形で出ているのは三社のみでございます。その分野といたしましては、例えばファナック・マシネックスという会社がございますが、これは日本側の富士通ファナックが五〇%とブルガリア側のマシネエクスポルトという会社が五〇%を持った企業でございます。さらに、これは流通分野でございますが、ソフィア三越というものがやはりブルガリアに進出しております。また、これも流通分野で、教育・医療関係機械、コンピューターソフトの開発といった点につきまして東京丸一商事等が出資しておりますメディコムという会社がございます。
○中西珠子君 ソフィア三越というのは、これは流通関係だけじゃなくて何か生産もやっているのですか。
○説明員(高島有終君) 確かに流通だけではございませんが、軽工業分野の技術導入あるいはノーハウの提供、第三次産業分野の商品開発のノーハウ提供といったものも対象になっております。
○中西珠子君 それでは次に、バングラデシュについて伺います。 バングラデシュとの租税条約の締結に当たりまして企業としてはどういう企業が進出しているのかとか、投資総額はどのくらいなのか、直接投資で結構ですが、そういったことをお答えいただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 日本銀行の統計というのがございますけれども、これによりますれば、一九八九年三月末現在、日本からバングラデシュへの直接投資の累計額、まず件数で二十四件、額にいたしまして累計で千六百四十三万米ドル弱でございます。進出いたしております企業の業種といたしましては、エビトロール漁業あるいは造船、農機具サービス、それから繊維部品の製造等々でございます。
○中西珠子君 代表的な企業はどういうところでしょうか、日本企業として。
○政府委員(谷野作太郎君) いずれも自分のところが代表だという気概で行っておられるのだと思いますけれども、何といいましても土地柄、例えばエビトロール漁業、こういった漁業面での仕事というのは大変実績も豊富なものがあると思います。他方、最近おもしろい例といたしましては、ゴルフシャフトの加工を現地でするということで進出した事例がございます。
○中西珠子君 それは安い労働力を求めて行ったわけですか。バングラにゴルフ場があって、バングラの人がゴルフをやるとは余り思えないのですけれども。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かに、バングラデシュのみならずこういったアジアの諸国に企業が進出されます場合に御念頭にあります一つは、現地の賃金が日本に比べて比較的安価であるということだと思います。それは十分に御念頭にあって進出されるのだと思います。
○中西珠子君 先ほど私が質問いたしましたときに、フィンランドにつきましてはちょっと代表的な企業をお教えいただけなかったのですけれども、もしお教えいただけるとすればどうぞ答弁してください。
○説明員(高島有終君) フィンランドにつきましては、投資総額、一九五一年から八九年まででございますが、十三件、約八百七十万ドル強ございます。 代表的な企業といたしましては、商社が大きゅうございますけれども、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事、日商岩井、また製造業では吉田YKKというジッパー製造販売企業が出ておりますほか、眼鏡レンズの関係でのHOYA、それからゴム製品の製造販売で住友ゴム工業、それから紙製品で丸紅、日本甜菜製糖といった企業が進出いたしております。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。 このフィンランドとの租税条約は改正なんですね。改正なさった理由はどういうところでしょうか。
○政府委員(野村一成君) このフィンランドとの租税条約の改正につきましては専らフィンランドにおきまして税制の改正が行われたということで、大臣の趣旨説明にもございましたけれども、対象税目が変わったりあるいはそれについての方式を変更した、それを条約に反映したということでございます。
○中西珠子君 先ほどちょっと質問が入れかわりまして、日ソ関係のことが聞かれなかったので今聞かせていただきますが、ゴルバチョフ大統領が国会に来ましたときもアジア・太平洋地域の安全と協力に関する五カ国会議、米ソ日、中国、インドの五カ国会議というものを提唱しましたね。これにつきましては日本政府は時期尚早、アメリカも何だか時期尚早と言っているらしいのでございますが、ASEANとか韓国の反応はどうだったのでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) ASEANの反応が注目されるところでございますけれども、私どもが内々聞いておりますところでは、ASEANもこの種の政府レベルのしかも安全保障を主体とした枠組みをアジアで網羅的に設けるということについては、まだアジアの現状はそこまでいっていないのではないかということでおよそ一致した考え方だと思います。したがって、時期尚早という意味におきましてはASEANの国々も同じ考え、認識を持っていると思います。
○中西珠子君 アジアにおいては二国間の安全保障条約で今アメリカが主導権を持ってやっているわけですけれども、将来はどういうことになるか。将来はやはりソ連も入れて、ただの五カ国というと大国主義というふうな批判も出ますでしょうけれども、ただの五カ国だけではなくてASEANも韓国も北朝鮮もみんな入れたような多数の国でやはり安全や協力の問題を話し合うということが将来は望ましいのではないでしょうか。 大臣はいかがお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(中山太郎君) 地政学的にもあるいは民族学的にも宗教的にも、生活水準のレベルが非常に低いという点でも、ヨーロッパと比べてみて、ヨーロッパにおけるCSCEのような考え方でアジアで五大国のいわゆる安全保障の会議を開くという考え方については私はまだ時期尚早ではないかと。現実に朝鮮半島は私はこれから相当活発に動き出すと思います。それから、先ほど田委員からもお話がございましたように、カンボジアもそんなに遠くない時期に解決のめどがついてくる。私はアジアで相当活発に動き出すという認識を、先日北京に行きましたときも中国政府の幹部から、北朝鮮を孤立させないという考え方で日朝間の交渉を進めてもらいたいというような要請も来ておりますから、やっぱり局地的な朝鮮半島、カンボジア、そういったような地域の紛争をまず解決をし、ここで安定した上で全体的な安全保障の枠組みというものをそれぞれの国が、大国主義でなしにいろんな国が寄って協議をすることがアジア・太平洋のためには好ましいと、私はそのように考えております。
○中西珠子君 アジアの一員としての日本がやはり主導権を持ってこういうアジアの安全保障、それから協力の問題、共存共栄の問題を大いに頑張ってやっていただきたいと大臣にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中山太郎君) 委員も御案内のように、今までなかなかアジア・太平洋の外相が一緒に集まるということはなかったのですね。ASEAN拡大外相会議あるいはASEAN外相会議というものがございますし、アジア・太平洋経済協力閣僚会議というものもございますけれども、なかなか韓国も含めての会議というのは少ないわけです。そういうことで去年日本が提唱し、インドネシアと共同してアジアの外相会合というのを国連総会の日に我々が主宰してやりまして、ソ連もこれに参加をしたということでございますが、これは大変な好評を得ておりますので、引き続き日本政府としてはそのようなことでさらにアジア・太平洋の緊張を緩和するためにみんながとにかく集まる機会を一回でも多くつくるという考え方で進めてまいりたい、このように考えております。
○中西珠子君 非常に結構だと思いますので、大いにやっていただきたいと思います。よろしくどうぞ。 終わります。
○立木洋君 租税条約について先にお尋ねしますが、今度のフィンランドとの租税条約の改正について、この二十三条では、日本の子会社からフィンランドの親会社に対する配当についての課税をフィンランドは免除するということになったわけですね。論理的に言えば、仮にこの規定を利用して第三国の企業がフィンランドに名目的な法人を設立して日本で投資所得を得ると、その配当についてはフィンランドでは課税しない。つまりその分だけ所得が増加するわけです。さらにこれをタックスヘーブンに移すようにしてやれば、中間段階での税なしで投資者の居住地国に持っていくことが可能になるというふうに考えられるのですが、いかがでしょうか。 私、十一分しかないので簡単に答弁をお願いします。
○説明員(河上信彦君) ただいまの御質問は租税条約を通じます不正な利用ということかと存じますが、こうしたことは決して考えないわけではないわけでございます。私ども税制の当局といたしましては、情報交換を密接にする、こうした規定が租税条約におきましてございまして、ここら辺を活用して適切に対処しようというふうに考えております。
○立木洋君 国際課税の問題というのはいろいろ今問題になってきているわけですが、OECDのモデル条約のコメンタリーでも、実際問題として納税者が国家間の税法上の相違等を利用することは十分可能な形になっているというふうに言われていますし、また租税条約のネットワークが拡大するにつれ、条約上の軽減措置及び国内法上の特別措置の恩恵を受けようとする動き、いわゆる租税条約の乱用ですね、こういう問題がさらに強まるであろうと。この間の新聞の報道なんかでも、多国籍企業というのはタックスプランニングと称して節税の研究をやっているのは常識だということまで書かれているわけです。 納税者が通常の場合であれば受けることのできない租税条約上の恩恵を受けようとするようなこういう動き、条約あさりなどというふうなことが言われていますけれども、こういう実態というのは日本では今どんな状況になっているのか、それに対する対応として政府としてはどういうふうな対応を考えておられるのか、述べていただきたいと思います。
○説明員(河上信彦君) 個々の実態につきましては個別の取引等に関係いたしますものでございますので、私どもとして正確に把握しておりませんが、ただいま申し上げましたとおり、言うならば第三国の居住者が租税条約上の恩典を利用するといった問題につきましては、租税条約にございます情報交換の規定、これを活用して適切に対応したいと考えておるところでございます。
○立木洋君 国内の企業が海外の系列法人と行った取引価格を操作して海外に移して利益を得ようとするような実態というのが数件新聞では報道されているわけですが、こういう状況についてはどの程度の広がりがあるというふうに見られているのか。
○説明員(河上信彦君) ただいまの御質問は、関連企業間におきまして取引価格を通じます所得を国内から国外に移す、こういう問題かと存じますが、この点につきましては昭和六十一年に国内税制の整備といたしまして移転価格税制を設けていただいたところでございまして、この制度を通じまして適切に運用しておると、こういったところでございます。
○立木洋君 この移転価格税制の適用の件数というのは今まで何件ありますか、八六年以降、発効してから。
○説明員(河上信彦君) 具体的なこの税制の執行は国税庁の所掌に属するところでございまして、私ども今手元にございませんですが、昭和六十一年に制度自体ができたということでございまして、まだそう大きな数になるということではないというふうに思います。
○立木洋君 最近、二月の二十八日か、東京国税局はアメリカの損害保険会社のAIU日本支社に対して、日本支社が受け取る再保険手数料が通常の取引より低いなど、本来日本支社の利益となるべき法人所得約六十億円が海外の関連会社に移されているとして、初めて外国の企業に対する移転価格税制を適用して更正処分を行ったということがあります。 外資系企業の防衛体制がかたいというふうなことでなかなか実態は掌握しにくいということも一方では言われているのですけれども、こういう問題について今後どういうふうに対応していこうと考えておられるのですか。
○説明員(河上信彦君) ただいまの御質問もこの移転価格税制の具体的な執行に関するものと思われまして、国税庁の所掌に属するところでございますが、課税当局といたしましては与えられました調査期間等の条件のもとでできる限りの対応を現在しておる、こういうふうに聞いておるところでございます。
○立木洋君 どうも十分に答弁もらえるような方が来られていないようだけれども、主税局。
○説明員(河上信彦君) 主税局でございます。
○立木洋君 そうしたら大臣、もうこの質問は終わりになるからちょっと答えていただきたいのですが、二重課税の防止の問題それ自身も私たちは問題があるというふうに考えているのですが、しかし実際的には今国際的なこういう状態というのは非常に激しくなってきて、国際課税の問題、課税権をどうするかというようなことが国際的にも摩擦になってきている。これが大変なことに私はなるだろうと思うのです。この問題についても外務省では、ただ二重課税の防止というふうな問題でこういう条約を取り決めるだけということにとどまらないで、本当に適正なあり方というのはどうあるべきかということをやっぱり相当考えなければならないと私は思います。 だから、二重課税の防止ということが相当広範な枠に広がってきますから、この抜け目をふさぐだけじゃなくて二重課税の防止それ自体の問題も問われているという状態になってくるのじゃないかと思うのですが、今後の国際的な展望も含めて外務省としてはどういうふうに考えておられるのか、最後にお伺いします。
○国務大臣(中山太郎君) 企業のいわゆる国境を越えたいろいろな活動がさらに活発になっていくという認識を我々は持っておりますが、税制とそれから外交との関係、これを今後十分注意してやってまいりたい、このように考えております。例えばECの統合などがこれから一つの大きな参考になっていくのではないか、こういうふうに私は認識をいたしております。
○立木洋君 十一分というのは短くて大変なんです。 それから次に、IMFの改正の問題についてですが、これももう私は一問しか質問できませんからできれば大臣にお答えいただきたいと思うのですけれども、先ほど問題になっていましたIMFの改正の問題について、制裁措置というふうなことではないというふうなことのようです。しかし、この問題についての改正が出たときに、やっぱり協議の中で発展途上国から懸念が出ているのです。そういうふうにしてもらうとこれからなかなか困るというふうな議論も出されている。 実際問題というのは、先ほどいわゆる累積債務の状態の解消を促進するのだというふうに須藤さんは言われましたけれども、解消を促進するならば、つまりそういう問題を、累積債務がこういうたくさんな状態になってきているという根本的な問題を解決していくという努力がないと、やはり制裁を加えればうまくいくという問題では私はないだろうと思うのです。特に途上国の場合にそういう事態が起こってくるというのは、これはUNCTADの会議がずっと開かれていわゆる格差をなくしていこうというふうなことが問題になりながらも、なかなかそういう問題が解決されていかない。先進国の工業製品の価格だとか一次産品の価格なんかでも開きが広くなっていくし、極めて劣悪な交易条件に置かれていますから、そういうことを克服しておまえたちでちゃんとやれといったってなかなかそこにできない問題がある。ですから、累積債務というのも相当膨大になってきているわけですね。 この問題について、先ほど問題になったIMFだとか世銀なんかで調整融資の問題も考えられていますけれども、しかしそれをやってもやっぱり国内でその国の需要を抑える、抑制というふうな問題になってくるから社会的に大きな影響が生じてくる。これはなかなかこういうふうなIMFでの事実上制裁になるような形での問題では根本的な解決にはならないだろう。 だから、そういう点についての本当に真の解決という問題とあわせて大臣はどういうようにお考えになっているのか。その御答弁だけをいただいて、もう時間になりますから質問を終わります。
○国務大臣(中山太郎君) 途上国全体の累積債務が一兆三千億ドルぐらいに上っていると思います。そして、北のいわゆる先進国と途上国との資金の流れを見ると、新しい融資よりもむしろ元利の償還の金額の方がオーバーしている、つまりショートしている状態になっていると思います。 そういうことで、日本政府としてはアルシュ・サミットで一九八七年から五年間で六百五十億ドルの還流の援助をするように考えておりますけれども、やはりこの途上国における累積債務問題の解決という問題は、累積債務の削減といったもので一方的に削減していくということで果たして問題が解決するのかと言えば、その国の自助努力をむしろ妨げることになっていくのではないか。こういう複雑な要素が絡み合ってこれだけの大きな国際的な金融上の問題が起こってくる。さらにこれから考えられることは、国際的な資金の需要が非常に高まってくるということから考えると、高金利の問題がさらに出てくる可能性がある。 こういうことを含めまして国際金融の占める問題というものは非常に大きいということで、日本としては債権国家として十分これから発展途上国の債務の問題、これを解決するために一層努力をしていかなければならないと考えおります。
○中村鋭一君 今回のこの協定で、改正前に債務不履行をしている国が幾つかあると思いますが、それらの国々に対しては本改正前の今の現状でどのような救済措置を講じておられるのか、まずそれを説明してください。
○説明員(井川紀道君) これまでIMFが債務履行遅滞を起こした国に対してどういったような措置をしてきたかということでございますけれども、債務履行遅滞が大きな問題としてクローズアップされましたのが一九八五年以降でございますけれども、八八年九月に暫定委員会が行われまして、ここで国際的な協調体制のもとでアリアといいますか債務不履行を起こしておる国に対して救済しようという一つの方針がまとまりまして、これまでガイアナとホンジュラス、この二カ国の債務履行遅滞が解消されております。 それからさらに、昨年五月の暫定委員会におきまして、この国際的なサポートグループ方式による救済をさらに強化するということで、IMFと合意いたしました経済調整プログラムを一定期間成功裏に実施した債務履行遅滞国に対しまして、いわばまとめてIMFの資金を与えることによって一気に履行遅滞額を解消する、こういったようなスキームも導入されております。
○中村鋭一君 ということは、今回の改正はその理由としても挙げられておりますが、「加盟国の投票権の停止等を規定することを目的とするものである」、だからこれまでのやり方ではふぐあいといいますか不都合が大分増大をしてきたので、このような投票権の停止等を伴う措置を決めるために改正をしなければならないのだと、そのように理解しておいてよろしゅうございますか。
○政府委員(須藤隆也君) 現在の協定のもとにおきましては、一般資金の利用資格がない旨の宣言を受けた後は強制脱退の手続しかないわけでございまして、強制脱退というと相当の荒療治になりますので、その中間的な措置を取り決めることによってあくまでもIMFの枠内で解決を図ろうという趣旨で考えられたものでございます。
○中村鋭一君 そこで、「一般資金を利用する資格の喪失の宣言から相当の期間」、こうあります。これは先ほど中西委員もお尋ねでございましたが、まずこの期間は、改めてお尋ねいたしますが、大体何日ぐらいを指していらっしゃいますか。
○政府委員(須藤隆也君) 改正後の協定の第二十六条の二項(b)というところに「相当の期間」と書いてあるわけですけれども、これにつきましては協定上は明確な定めはございません。したがいまして、具体的には各国の事情に応じて理事会で決定されることになるわけでございますが、一般的には六カ月間程度が妥当と考えられているものと理解しております。
○中村鋭一君 その一般的には六カ月というのはどういうことですか。協定等ではっきりと決めているのじゃなくて、投票権を持っている国の間で暗黙の了解で一応六カ月というようなことがオフィシャルでなく話し合われたと、そういうふうに理解しておいていいわけですか。
○政府委員(須藤隆也君) おおむねそのような理解でよろしいかと思いますが、協定の起草の過程あるいはこの改正案に合意する過程において、主要な国の間で大体そういう理解でいこうじゃないかという暗黙の了解というような形でございます。
○中村鋭一君 ということは、暗黙の了解で六カ月がおおむね妥当であるというその根拠は、例えばそういう話し合いの中で、もう少し一年ぐらい見てやったらどうかというような話もあれば、いやそのための改正なのだからそういう不都合を生じている国に対しては六カ月も要らぬじゃないか、これは通告をしてもう一カ月ぐらいでもいいのじゃないか、そういう意見もあったのでしょうかね。
○政府委員(須藤隆也君) 六カ月程度というのはあくまでも一つのめどといいますか、その程度が妥当ではないかという一つの物差しのようなものでございまして、具体的にはその国の事情に応じまして、あるいはその国がIMFと話し合いによって経済調整計画のようなものについて話し合う姿勢があるかどうかとかいろんな要素を勘案しながら、みんなで、しかも七〇%の賛成で決めることになっておりますので、個々のケースに応じて弾力的に運営される余地は大いにあろうかと思います。
○中村鋭一君 ですから、今あなた六カ月とおっしゃいましたね。それは今暗黙の了解とおっしゃいましたね。暗黙の了解で非常にそこの部分がファジーであって、そうしてここにもはっきりと「相当の期間」とこのように決めてあるわけですから、それならば別に一応の指標として六カ月ということを話し合う必要も私はなかったのじゃないか、こう思いますし、六カ月という数字が出るのだったらそのことをはっきりと規定をなさればよかった。例えば六カ月を一年とするとか、そこのところが非常にあいまいなままに残されていますね。 この条文では「宣言から相当の期間」とあるのに現実に暗黙の了解では六カ月という具体的な数字が出ているわけですから、日数の。その辺の整合性がどうなのだろうかということをお尋ねしているわけですが、もう一遍答弁いただけますか。
○説明員(井川紀道君) これは協定の解釈というよりも現実に実務でどういうような取り扱いを今後IMFの中で行われるだろうかということでございますので、私どもの方からお答えさせていただきたいと思います。 ただいま外務省の方から御説明がありましたように、「相当の期間」ということにつきまして六カ月というのは一つのめどとしてあるわけでございますけれども、例えばIMFに対して債務履行遅滞を起こしまして、その次の段階であります一般資金、この資格を喪失するまでの期間、いろいろマニュアルなどを見ますと六カ月から十二カ月ということが書かれてございますが、現実的に国によって、もう金利も元利も全く払っていない国からあるいは少なくとも金利だけは払っている国、さまざまな国がございます。現実的に、先ほど来から御紹介しております債務履行遅滞国が一般資金の利用資格を失ったと、ここに要した期間でございますけれども、三年から一年ということでかなり幅がございます。したがって今後は、ただいま先生から御指摘ございましたように、個々の実態に応じて弾力的に、こういった措置がむしろアリア発生国に対して励みになるような形で理事会の場で弾力的にケース・バイ・ケースで恐らく議論されていくということではないかと思います。 これはあくまでもこれまでの実務から見た今後の実際の取り扱いについての予想でございますから、我が国としてもその中でいろいろ御議論いただいたような御意見も踏まえながら、理事会の場で我が国の意見を反映させていきたいと思っております。
○中村鋭一君 まさにそういう答弁を期待していたわけでありまして、こういうことを取り決めするのはいいのですけれども、やはり発展途上国の皆さんはそれは金を払えれば払いたい、債務は履行したいと思っていらっしゃるわけですから、痛みを受ける側の立場に立って運用の妙を発揮してくださるように強くお願いをしておきたいと思います。 最後に、出資金に応じた投票数と聞いたわけですが、これはどのような基準に基づいた割合でありますのか。一口に言えば、出した金に応じてパーセンテージで投票権が与えられている。これはほかのいろいろなケースの投票権と随分違った形だと思うのですが、その辺のいきさつと、それから停止等の措置を規定する場合に七〇%という数を具体的に挙げていらっしゃいますが、普通こういう例えば賛成か反対かという場合は過半数ですね。半分を一票でも超えればこれは採択、可決というふうなのがむしろ常識的であると思うのですが、今回この七〇%という数字をここに設定されたのはこれはどういう根拠なのか、最後にお答えをいただいて、私の質問を終わります。
○政府委員(須藤隆也君) 投票権数につきましてはIMFの協定の第十二条に規定してございますが、各加盟国は基礎票として一律二百五十票ございます。それにプラスしまして各国の割り当て額につき十万SDRごとに一票を加算していくということになっておりまして、日本の場合ですと、基礎票は二百五十ありまして割り当て額が四十二億二千三百三十万SDRございますので、四万二千二百三十三票を足して四万二千四百八十三票、そういうふうな計算で各国とも同じような計算になっております。 それから、なぜ七〇%かという御質問でございますが、一般的には過半数の五〇%による決定が多いわけでございまして、先ほど来話に出ております基金の一般資金の利用を停止する場合は五〇%の過半数で決定ができることになっております。他方、強制脱退というような非常に重要な手続の場合には八五%の特別多数決ということになっております。今回の措置はちょうどその中間の措置ということで、五〇%と八〇%の中間で七〇%ということが妥当ではないかという考えに基づいておりますが、IMF協定の中には同様に、この八五%ほど重要ではないけれども単純多数決で行うほど日常的ではないというものについては七〇%というのが幾つかございます。
○中村鋭一君 間をとったわけですね。 終わります。
○猪木寛至君 先ほどフジモリ大統領の話が出ていたのでちょっとお願いなんですが、今ペルーでコレラが非常にはやっている。この間新聞に出ていたのですが、中南米全体で死者四万人という予測がありました。米州保健機構のゲラ会長は、コレラが今のベースで広がっていけば中南米全体で六百万人が感染し死者は四万二千人に達するであろうと述べたという報道がありました。死者はペルーで千百四十人、エクアドル五十九人、コロンビア二人ということですが、事実ブラジルの方からこの間電話が入りまして、ブラジルの方にも相当広がってきたという話も聞いたものですから、ぜひ大臣、これは積極的に支援をお願いしたいと思います。 それから、先ほどからも話が出ておりますが、今回の投票権の停止措置ということ、この投票権の停止措置は実際どのような効果が出るのでしょうか。
○政府委員(須藤隆也君) 投票権の停止の改正案でございますが、一般資金の利用不適格宣言を受けた加盟国に対しまして強制的脱退を勧告するほかに手だてがないという従来の事情を改めまして、投票権の停止をすることによって当該国の自助努力を促そうということでございまして、IMFの枠組みの中で債務履行を実施せしめる効果が期待されると考えているところでございます。 また、この結果、国際金融機関としてのIMFの資金基盤の健全性の向上、それから他の加盟国の負担の軽減にも資することになるものと考えております。
○猪木寛至君 IMF資金を実際に利用している国はどこでしょうか。その中で一番大口で引き出している国。
○政府委員(須藤隆也君) 本年一月末におきましてIMF資金の大口の引き出し国としまして上位十カ国を挙げますと、メキシコ、ベネズエラ、アルゼンチン、インド、ブラジル、チリ、スーダン、ザンビア、フィリピン、パキスタン。特に大口の国の中には中南米諸国が目立ちます。地域の割合で申しますと、中南米諸国が全体の約五〇%の利用残高となっております。
○猪木寛至君 今回の湾岸危機で国際収支困難に陥った国はたくさんあると聞いております。まず、それはどこの国でしょう。
○政府委員(須藤隆也君) 特に東欧とかアジアの一部、それからジャマイカのような国もございますが、具体的にはチェコスロバキア、ハンガリーインド、フィリピン、ブルガリア、ルーマニア、コスタリカ、ポーランド、ジャマイカというような国が影響を受けたという報告を受けております。
○猪木寛至君 IMFの湾岸危機に対する対応について今どういうことをやられているか、ちょっとそれを聞かせてください。
○政府委員(須藤隆也君) 湾岸危機によって非常に大きな影響を受けた国に対しましてIMFとしてもできるだけの協力をすべきであるという考えに基づきまして、昨年の九月のIMFの暫定委員会におきまして、湾岸危機に迅速に対応するためにIMFの資金の利用に柔軟性を与えていこうということで合意がなされまして、具体的には昨年の十一月の理事会におきまして、輸出変動偶発補償融資という制度がございますが、これを積極的に活用していく、あるいはその他のIMFの資金の利用の枠を拡大するとか利用の条件を緩やかにするというような一連の対応策を決定して実行しているわけでございます。
○猪木寛至君 租税条約について質問させていただきます。 先進国間で租税条約を締結する場合の規範としてのOECDモデル条約がある一方で、開発途上国との間で租税条約を締結する場合の規範としての国連モデル条約がある。この主要相違点ということでその違いを聞かせてください。
○政府委員(野村一成君) 先生御案内のように、OECDモデル条約と国連モデル条約があるわけでございまして、違いの主な点としましては二点ばかり指摘したいと思います。 一つは、税の源泉地国における課税権の範囲を拡大しているということでございまして、これは例えば日本とバングラデシュの間を例にとりますと、経済の流れというのは圧倒的に日本からバングラデシュに向けてのものが多いわけでございますけれども、その場合にその源泉地国でありますバングラデシュにおける課税権の範囲が少しでも多くなるように配慮しているという点がございます。例えば国際運輸所得でございますと、通常これは居住地国課税ということになるわけでございますけれども、バングラデシュとの今回の御承認を求めております条約では、船舶の所有権につきましては五〇%までにつきましてバングラデシュの課税権を認めているという点がございます。 それからもう一点、これも開発途上国サイドへの配慮でございますけれども、開発途上国の経済発展のための措置としましていわゆるみなし税額控除のシステムをとっていることかと思います。先ほどの例で、バングラデシュの方でどうしても企業誘致をしたいという場合に、その誘致した企業に対する租税の減免の措置をとっている。そういう場合に、その効果を減殺しないためにみなし税額控除ということをとっておるわけでございます。これはOECD条約にないことでございまして、今回御承認を求めております二つの条約いずれにつきましてもそういうシステムをとっておる次第でございます。
○猪木寛至君 我が国とバングラデシュ及びブルガリアとの間の経済関係を初めとする二国間関係の現状及び今後の見通しということで、その辺を聞かせてください。
○政府委員(谷野作太郎君) 私の方からバングラデシュとの関係を御説明したいと思います。 バングラデシュが独立したのは七一年でございましたが、自来日本との関係は大変に良好に推移しておると思います。特にバングラデシュにとりましては日本は何といいましても最大の援助国だということもありまして、バングラデシュの国民の対日感情も非常に良好なものがございます。また、近年先方から大統領がお見えになりましたりあるいはこちらから総理大臣がお越しになるということで相互訪問も始まっておりまして、こういったことも含めて、あるいは経済、文化、多くの分野において緊密化の方向に推移しておると思います。 貿易の額も申し上げますか。
○猪木寛至君 はい。
○政府委員(谷野作太郎君) 経済関係若干の数字を申し上げたいと思いますが、統計によりますれば八四年には三・二億ドルでございました。輸出の合計でございます。それが九〇年には四・四億ドルということでございますから年々着実に増加してきておるということでございますけれども、他方我が国の輸出入に占めるバングラデシュの比率と申しますものはまだまだ小そうございまして、〇・六%ということでございまして、少しでもこれが増加の方向にいくことが期待されるということでございます。 投資につきましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、中小企業を主体といたします進出が最近顕著でございまして、金額もそういうところで増加の方向にございます。金額につきましても先ほどもお答えいたしましたけれども、件数にいたしまして、八九年末の数でございますが二十四件、金額にいたしまして千六百四十三万ドル弱でございます。
○説明員(高島有終君) ブルガリアとの関係につきましてお答えいたしたいと思います。 日本とブルガリアとの関係は、ブルガリアの民主化改革が始まる以前から政治面でも極めて良好な関係にございましたが、一昨年後半の改革以降もこのような良好な関係が引き続いているわけでございます。 他方、経済関係につきましては、例えば貿易額で申しますと、一九八八年に輸出入合計で二億一千万ドルという過去のピークに達しております。その翌年もほぼ同じような実績がございましたが、昨年九〇年におきましてはブルガリアの貿易額全体が低迷し、その結果といたしまして日本とブルガリアの貿易総額も八千九百万ドルと大幅な減少を来しております。この背景には、ブルガリアの市場経済導入を中心とした経済改革に伴う経済困難に加えまして、東欧全体のコメコン体制の大きな変動あるいは湾岸戦争の影響、さらには昨年ブルガリアを襲いました干ばつによります農業の不振といった困難が重なったという事情がございます。 私どもといたしましては、先ほど御説明いたしましたように、G24の調整を通じましたブルガリアに対する支援が効果を発揮いたしましてブルガリアができるだけ早く経済改革に成功し、その結果といたしまして日本とブルガリアの経済関係もさらに今後進展するということを期待しているところでございます。
○猪木寛至君 終わります。
○委員長(岡野裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、租税条約三件及びIMF協定の改正に対する反対討論を行います。 第一に、租税条約については、三件それぞれ間接外国税額控除ができるようになっております。これは八九年の外国税額控除制度改正のときにも、親会社自身が払っていない間接控除額が相当高い水準になると指摘されているところで、問題であります。また、ブルガリアについては、十年間の期限はあるものの、ブルガリアが決めた特別措置については日本においてみなし外国税額控除ができるようになっております。さらにバングラデシュとの租税条約では、日本とバングラデシュが合意した特別措置にみなし外国税額控除が認められております。相手国で一銭も払っていない税金を払ったことにして日本の税金をまけてやるというのでは、二重課税防止どころではなく大企業に対する優遇と言わなければなりません。一方で中小零細企業は重税にあえいでおり、海外に進出する企業だけを優遇するようなことは認められません。こうした規定を持つ租税条約には反対であります。 第二に、IMF協定の改正については、債務返済不履行の責任を発展途上国にのみ問うことは正しい解決の方向ではありません。南北問題の中心課題である累積債務問題を根本的に解決することが求められるところであります。また、発展途上国は、投票権を停止するなどで今以上に発言権が低下することに強い危惧を示しております。制裁的措置の強化は南北問題の解決に資するものではありません。日本政府が南北問題の真の解決のために積極的に対処することを求めて、反対討論を終わります。
○委員長(岡野裕君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、以上四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十九分散会