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120回国会衆議院1991/02/08

予算委員会 第9号

発言数
404
登壇者
28
会派数
3
開催日
1991/02/08

会議録

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 これより会議を開きます。  公聴会の件についてお諮りいたします。  平成三年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、公聴会は来る二月十六日、十八日の両日開会することとし、公述人の選定等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 四日から、激しい議論が続いておりまして皆さんお疲れだと思いますので、私は、これから現実の問題を取り上げて具体的にお尋ねをしたいと思いますので、素朴に素直にお答えをいただければありがたい、こういうふうに思っております。  まず、政治の倫理に関連をしてお尋ねをしたいと思うのでありますが、国税庁にお尋ねをいたします。  最近、新聞に脱税問題が随分と出ておりますけれども、最近の脱税の件数と総額、そして平均して一件当たりの脱税額というのはどの程度か、お示しをいただきたいと思います。

福井博夫国税庁次長

○福井政府委員 最近の、一年間の脱税の状況というお尋ねでございますけれども、これにつきましては、私ども行っております税務調査の結果につきまして申し上げるのが適当ではないかというふうに考えるところでございます。ただこの場合、その調査の内容の中には若干計算の誤りというふうな単純なミスもあるということではございますけれども、こういうベースで全体を平均的に見てまいりますと、以下のような状況になっているところでございます。  最近一年間におきます調査一件当たりにどういうようないわゆる脱税があったかということでございますけれども、まず法人税につきましては、平成元事務年度の結果を申し上げますと、一件当たり申告漏れ所得金額が八百四十二万円ということになります。これによりまして追徴税額、これは加算税を含みますけれども、この金額が三百五十七万円ということになります。  続きまして所得税でございますけれども、これにつきましては、営庶業所得を有する者に対する調査結果ということを見てまいるのが適当であるというふうに考えますけれども、この結果によりますと、申告漏れ所得金額が四百六十九万円、これに基づきまして追徴税額が百二十一万円ということになるわけでございます。  なお、ただいま申しました調査でございますが、私ども一年間に、所得では十六万三千三百八十件の調査をやっておるところでございますし、法人につきましては、最近、十九万二千件の調査をやっておるというような状況でございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 十六万三千件の脱税事件がある。一件当たりの脱税額といいますか、所得隠しといいますか、八百四十二万円に上っておる。そして四百六十九万円、こういう状況でありまして、私は極めて不愉快に思っておりますが、総理はどうお考えでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 法と秩序をきちっと守って、皆が共同して暮らしていかなければならない社会でありますから、いやしくも脱税ということは、委員おっしゃるように極めて不愉快なことでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 国税庁にこの際伺っておきますが、例示をして、二十八億八千万円の個人的な営業収入、個人企業の営業収入あるいは会社の、企業法人であった場合の税額というのはどの程度になりますか。

福井博夫国税庁次長

○福井政府委員 お尋ねの件でございますけれども、課税所得金額が仮に二十八億八千万円ということで計算をいたしますと、これに所得税率を適用していくわけでございますが、若干所得税率が年によって違いますので、違った数字が出てまいるわけでございます。仮に六十三年分でございますと、個人事業者の所得、ただいま申しましたことのような数字であるという前提で、六十三年分が十七億一千九百十万円という数字になります。平成二年分で、所得税率が変わりましたのでこれで計算しますと、十四億三千六百十万円、こういう数字になってまいるわけでございます。  なお、法人につきましても御質問がございました。法人の場合には計算の前提が幾つか必要でございますが、仮に法人の種類が株式会社である、それから資本金額が一億円を超える、それからさらに一応支払い配当がないというふうな前提で、課税所得金額二十八億八千万円であるということを前提に計算いたしますと、法人税率を適用いたしまして、ただいま申しましたように六十三年一月から同十二月末までの事業年度につきましては、その計算結果は十二億九百六十万円、それから、税率が変わりまして平成二年の一月から同年末までの事業年度につきましては、十一億五千二百万円という数字が出てまいるところでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 どうもありがとうございました。  今、二十八億八千万の所得がある場合は、個人の場合は十七億一千九百十万円になります。よく覚えておいていただきたいと思います。企業の場合は十二億九百万円に上ります。  これは、この間起きた事件の中で、平成二年十二月の二十七日に公判請求をされた公訴事実に基づいて申し上げたいと思うのであります。時間がありませんからはしょって申し上げますが、六十一年の所得税問題、昭和六十二年分の所得金額の問題、昭和六十三年の所得金額の問題、これを総計しますと今国税庁にお話をちょうだいをいたしました二十八億八千万円になります。で、この公訴事実のことを調べてまいりますと、二十八億八千万円に対しては、その脱税額が十七億二百万円というふうに載っております。簡単に申し上げますと、六十一年、六十二年、六十三年分をそれぞれ合計をして二十八億八千万円、申告所得額というのは六千六百万円を所得申告をされております。脱税の割合は九七・七%に上ります。正当な所得税額は、今も申し上げましたように、また国税庁が言いましたように十七億一千九百十万円に上ります。納税額はどの程度されておるかといいますと五十六万円で終わっております。この人は六十二年、六十三年の、後で過払いであるということでまた返戻を受けておられます。脱税額は十七億二百四十四万円に上ります。これは公訴事実に基づいたものでありますが、正当な納税額に対するお払いになりました税金というのはパーセントにいたしますと〇・〇三%、これだけお払いでありまして、脱税額は九七・七%に上っておるということで、皆さんによく御理解をちょうだいをしたいと思うのであります。  今も総理に御意見を伺ったわけでありますが、私は、この状況を見て、極めて悪質な脱税である、こういうふうに断ぜざるを得ません。総理はどのようにお考えでありますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 具体的に御指摘のとおりの脱税である、そして先ほど申し上げましたように、これは決して許されるべきことではない、こう考えます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 ごく悪質で許されるべき事案ではないという御答弁でございました。  私はこの税額を見て、ここにもいらっしゃいます朝日新聞も出しておりますが、十七億円の税金がかかる、しかし今の税制で見れば、申告分離課税という姿でとりますと五億六千万円ということになります。十七億から五億六千万になるということであります。もっと具体的に申し上げますと、これの利益というのは株であったわけであります。株の取引であったわけです。この株の取引は、昭和三十六年に有価証券の譲渡による所得問題に法律で定められておりますが、原則非課税ということになっていますね、考えてみますと。原則非課税でありますが、年五十回以上かつ二十万株以上の経済的取引から生ずる所得については税金がかかるということになります、御経験のある方は御存じだろうと思いますが。そして、昭和六十二年に世論がやかましくなりまして、また国会でも議論になりまして、売買回数が五十回以上を三十回以上というふうに直しております。そして売買株数が二十万株から十二万株まで落としまして税金を取り立てる、こういうことになったわけであります。委員長もよく御存じのとおりであります。  この税金のあり方について、一昨年の四月一日から消費税が実施をされたわけであります。この消費税を実施をした際に、この株の取引の問題についても税制が改められました。申告分離課税は、国と県で二六%です。大蔵大臣に聞かなくてもその程度だろうと思っておりますが、時間の関係で私から読み上げますが、二〇%でございます、所得税は。しかし、源泉分離課税の場合は、譲渡代金の五%、これを所得とみなして二〇%の税率で源泉徴収をする、いわゆる取引総額に対して一%を掛ければ税金が出る、こういう仕組みに変わってきたわけであります。二十八億八千万で十七億円に上る税金は、今度の税制の改正によって申告分離課税でも五億六千万で終わる、こういうことであります。それに間違いないと思いますが、国税庁に確認していただきましょうか。間違いありませんね。

福井博夫国税庁次長

○福井政府委員 お答え申し上げます。  幾つかの条件を設定する必要があると思いますけれども、考えられる代表的な条件設定を考えますと御質問のような結果になろうかと思います。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 これで税務署から証明してもらったわけですから間違いないと思いますが、そういたしますと、一つ一つ考えてみますと、先ほど国税庁が言いましたように、汗水垂らして働いた個人企業の御主人の税金は、二十八億八千万で六十三年度までは十七億だった。今度の税制の改正で六〇%が五〇%に下がっていますから六十三年に、十四億三千六百万だ、こういってお話しになった。十四億円。そして企業の場合は十二億九百六十万から十一億五千万になった。これは税制の改正であります。安くなった。  しかし、株の取引を、例えば二十八億八千万円、簡単に計算でわかるように言いますと、二十八億円の利益を得るのは、いわゆる一〇%の利益があったとみなしてやれば二百八十億ですね、取引総額というのは。一〇%の利益。二百八十億の一%を払うということになると二億八千万で税金は終わるということであります。額に汗をして働く者は現状でも、会社の場合は十一億五千万払わなきゃならぬ、そしてまた個人企業の場合は十四億三千万円も払わなきゃならぬ。一方、不労所得といいますか、電話一本で勝負ができる株の取引については二億八千万ということになれば、余りにも私は不公平、不公正ではないか。総理は、戦争の問題についても公正な姿でやらなきやならぬ、公平な平和でなきゃならぬとおっしゃる。公平で公正な税制でなきゃならぬ。これを見て、今私がお話を申し上げました点からして具体的に公平、公正だと思われるでしょうか。いかがですか、総理大臣。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 国税庁次長にまず答弁させて……。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 いやいや、わかっていますからいいのです。基本的な考え方を述べてほしいのです。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 それでは、大蔵大臣。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 いや、事務的な、技術的なことではなしに、私は政治倫理について聞こうとしておるのですから。あなたは不公正だと思わぬのですか。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 総理大臣。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 最初からお答え申し上げておりますように、法と秩序のもとできちっとした暮らしをしていかなきゃならぬのが大原則でありますから、法の定めに従っていかなければならない。したがって、脱税ということは、これは極めて不愉快だとおっしゃいましたが、私もそのとおりであって、また、具体的にお示しになった事実については、数字も間違いないということが今確認されておるわけでありますが、私はこれは許されるべきことではない、こう思っております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 私は、第一段階はそれでいいと思うのです。あとは、これだけ税金が違いますよ、一人は二億八千万で済む、一人は同じ所得があっても十四億も払わなきゃならぬ、これは矛盾じゃないですかということを言っておるわけです。だから、矛盾は是正するのが我々の務めではないでしょうか。そういうことに照らしてあなたはどうお考えですか、総理大臣としてはどうお考えですかということを聞いておるわけです。お答えください。数字を言えば簡単だよ。小学校の生徒でもわかるじゃないですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 これは昨日来御議論がありますように、国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関だということが繰り返しここで議論されております。各党各会派の皆さん方の御議論によってあるべき適切な結論を国会でお出しいただければ、行政府としてはその法律に従った行為に移ることは当然のことであると考えております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 時間がありませんから多くを申し上げませんが、百条の五、そして政令の百二十六条の十六、これらについては踏み外して、立法府が頼みもせぬのに勝手にやっておいて、この問題については、いや、それは立法府で決めてもらえばそのとおりやります、そういう逃げではなしに、総理としては、公正、公平な税制のあり方からしてこれだけの金額の差というのは問題ではないだろうかという指摘をしておるわけですから、それらについてはどのようにお考えか。大蔵大臣は、私は先ほど言ったように、私が指名した人に物を言ってもらうということにしておるわけですから、結構ですから。また長くなるといけませんので、一人でしまってもらいたい。  だから、私は政治倫理の問題に関連をして総理はどう思うのですかということをお聞きしておるわけですから、総理大臣から答えてもらいたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 百条の五の問題はちょっと離していただいて、これは税の問題でありますから。  税の問題も、もしどこかに政府がそう思ったら政令で定める方法によれなんて書いてあれば、これは政府の責任で考えていろいろします。――ですから、感想は先ほど申し上げたように、国の唯一の立法機関で御議論願わなきゃならぬ。私の感想を言えば、従来原則非課税としてきたこの種の問題に原則課税というふうに質的な変換をしたということは、これは公平、公正の原則に入りたいということと、資産と所得と譲渡、そういったいろいろなところに空白地帯を置かないように、広くそれらの整合性の中で税というものは体系づけられるべきではないか。そこで、原則課税に変わったという考え方は私も支持しておりますし、そのために努力もしたわけでありますから、今後とも必要とあれば政府としてもいろいろ研究をさせていただきます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 私は、時間がありませんので、この案件は十五分で終わることになっていたわけですが、長くなりまして……。言うなれば、私が言っておるのは、非常に違うということを投げかけておきます。立法府の一員である私は、これは矛盾である、社会的不公平、不公正である、こういう認識の上に立ってあなたに質問しました。ただ、政府も十分検討してみたいということでありますから、この辺で終わらなければ先に行きはしない、こういうふうに思います。  今、二十八億八千万の株取引の脱税問題に絡んで御質問を申し上げましたのは、元閣僚であった方であります。今おやめでありますから、死者にむちを打つということは差し控えて、閣僚であったそういう方々は、株取引の問題は、そこに座っておる皆さんはそれぞれ情報をキャッチして株の高値安値を考えられるであろうということを、国民の側から見ると疑惑を持って見ておるわけです。枢要な地位におろから、だから株をやってもうけるんだろう。この辺の人だって、そういうふうにやらなくても思われる。迷惑至極だ。したがって私は、閣僚の皆さんは閣僚におる間は少なくとも株取引はやめていただかなければ国民の不信を払拭することはできない、こういうふうに思うのですが、いわゆる政治倫理の立場から総理はどういうふうにお考えであろうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国民の皆さんから信頼をいただく政治のためには、疑われるようなことはみずから自粛をして厳しく律していくというのは、委員御指摘のとおりだと考えております。  閣僚の関係につきましては、海部内閣がスタートいたしまして以来、閣僚は資産の公開、就任時の資産の公開はたしかきょう各閣僚が発表することになっております。また、株式の取引につきましては、これは閣僚であるという立場を考えて、厳に自粛をするということを申し合わせております。そうして、既に株式を保有しておる閣僚も、それは在任中は信託をするということも全員できちっと申し合わせをいたして、それを実行いたしております。そして、自由民主党の方でも、政治家の立場として、政治資金を株取引など投機取引のために使用することは禁止をするということを、これは党議で決定もいたしまして、今後ともこれらの問題については明確な基準と透明性を置いて行っていく決意でございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 閣僚の皆さんはそれぞれの立場でぜひ株取引は自粛をいただきたい。そして、私は冒頭に、資産公開を質問をしたい、そしてこれらの問題を挙げてさらに確認をしたい、こういうふうに考えておりましたが、奇しくも今総理から、いやに資産公開が今度の内閣は出ぬな、清新にして超重量内閣だということを聞いておったのにえらい出てこぬな、こういうふうに思っておりましたが、きょうそれぞれ御発表になるそうです。国民によくわかるように、株等はいわゆるその株価でやっておられるものですから非常にその計算がしにくいのでありますから、ぜひわかるように、時価でそれぞれ御発表いただければ資産公開で実によくわかる。そして、政治倫理の立場に立ってやっていただければ、このような汚辱に満ちたような稲村さんの、環境庁元長官の株のやり方というものが国民の目から見て極めて疑惑が多いということを十分心して対処、対応をしていただきたい、こういうふうに思う次第であります。  次に、差別問題についてお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  中曽根元総理、あるいは渡辺美智雄さん、そして最近では法務大臣等が人種差別の発言をされて多くのひんしゅくを買ってきた。法務大臣ですね、梶山前法務大臣ですね。人種差別発言が相次いで行われたわけでありまして、このような状態というものは、いわゆる日本はまだまだ差別感が非常にあるではなかろうか、こういうふうに私は世界から見られておるというふうに思い、極めて残念に思っております。  そういう状況を受けて、ネルソン・マンデラさん等の国会での演説も聞き、そして最近では、南アフリカの大統領は、あれだけ世界のひんしゅくを買っておりました人種差別法の根本的な問題としての二法律を撤廃をするという宣言をしております。総理はそういう面については極めて平等論を唱える方でありまして、その点だけでは尊敬をしておるのでありますけれども、この人種差別の撤廃条約の批准というのは、既に百三十ヵ国に及んでおります。日本もやらなきゃならぬ、常に我我は事あるごとに申し上げておるわけでありますが、総理はそれについてどのようにお考えであろうか、お伺いをしておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 基本的人権に関する問題につきましては私も積極的に取り組んでおる一人でございますし、また、過日国連で行われた子供のためのサミットでは、児童の権利条約に対してもその討議に加わってまいりましたし、署名がしてある以上、早くこれは批准をしなければならぬと今鋭意作業を進めておるところでありますし、また、基本的人権の問題につきましては、言論の自由と刑罰とをめぐる問題でまだまだ政府部内で今検討をしておる課題があるわけでありますけれども、これもなるべく早く解決をして前進していくことができるように、積極的に努力をいたします。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 人種差別撤廃条約については早期にやるというお話でありますから、次に進んでいきたいと思います。  部落差別事件の大きな課題、問題であります。私はここに差別の具体的な写真、その他を持ってきておりますので、これは総理や法務大臣や総務庁に見ていただきたいと思いますので、配らせていただきます。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 どうぞ。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 ちょっと残ったのはいいですから、全部の大臣にそれぞれ上げてください、ようわかるように。差別意識のある人に余計。  まず、法務大臣にお尋ねをしますけれども、最近の差別事件、どのような状況でありますか、法務大臣。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 お答えを申し上げます。  法務省の人権擁護機関が取り扱いました同和問題に関します人権侵犯事件、これを見ましても、まだ結婚差別とか就職の差別とかいろいろな事件が後を絶たないで、いまだに差別意識が認められるような状況にある、このように認識いたしております。件数を申し上げますと、昭和六十一年が七十六件、六十二年が七十四件、六十三年が三十九件、平成元年が三十二件、このようになっております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 情報はどうですか。差別情報があるでしょう、事件件数じゃなしに。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 人権侵犯の関係の事件としては、その事案数につきましては、昭和六十一年が一万五千百三十三件、六十二年が一万五千八十五件、六十三年一万四千九百八十五件、平成元年が一万四千八百十件。以上が全人権の侵犯の事件数だ、このように承知いたしております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 いいです、いいです。時間がありませんから。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 いいですか。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 いいです。私が言わない限りは結構です。もういいですから。  今お話がありましたように、六十二年からは半分ぐらいに件数が落ちておるのですよ。それは、地対財特法が出た途端に下がってきた。政府の方針が変わってきた。だから、情報としては今お話があったように一万五千にも及ぶ。法務局から上げてこなければそれは没。糾弾会等があっても事件にはならない。だから情報で処理される。だから少なくなったというようなお話もありますし、やはり賢明な法務大臣は後を絶たないという御認識でありました。極めて遺憾だと思っております。  次に、教育の水準の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、文部大臣、いわゆる高等学校の進学率、大学の進学率というのは、一般と被差別部落とを比べてどのような状況になっておるのか、伺いたい。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  文部省といたしましては、同和地区の教育水準向上のためこれまで、経済的な理由により高校、大学等への進学が困難な者に対する奨学金制度の充実を図るとともに、研究指定校や教員の加配等の措置を通じ、学力の向上に努めてまいりました。これらの措置によりまして、高校進学率や大学進学率につきましての格差はかなり減少してきたものと認識しておりますが、なお同和地区と全国平均との間には高校進学率で五%、大学進学率で一〇%程度の格差が見られるところでありますが、今後の対策につきましては、地域改善対策協議会の審議も踏まえながら十分検討してまいりたい、このように考えております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 文部大臣、高等学校の進学率の比率というのは、あなたがおっしゃったようなところにはいっていないのですよ。それは私の方がよく知っておりますが、高等学校の入学率は九五・一%ですね、今一般の入学は。そうですね。ちょっとお願いします。ついでに大学の分も言ってください、入学率。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  高等学校進学率は、平成二年で全国平均が九四・七%に対し、同和地区は八九・六%。また大学進学率は、平成二年で全国平均三〇・五%に対して同和地区は一九・九%であります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 大学の進学率は、一般地域と被差別部落とでは約半分しかないですね。もっと詳しく言います。それは三六・一%と一九%なんですね。ところが、一般地域では浪人で入っておる人がたくさんあるわけです。同和地区というのは浪人がないですね。一遍落ちればもう就職ということに大体統計上出ております。そうしますと、ちなみに申し上げておきますが、まじめな総理のところは七四・七%あります、愛知県は。これが昭和六十二年になって今や七八%にはなりましたけれども、これは重大な事態だ。なぜこの格差が五%から一一%にも開き始めたかというと、今までの被差別部落に対する奨学金、今井上文部大臣がお話しになったように。これは今までの奨学金は給付であったけれども、貸与に変わったのですね。貸して返せということになった。それから落ち始めたんです。ここに問題の焦点を当てて御検討をいただきたい、時間がありませんから、こういうふうに要望しておきます。  今度は、総務庁の長官にお尋ねしますが、被差別部落は統計によりますと、昭和十年に統計をとったものと昭和六十二年に統計をとったものと二通りあります。その差は千九十三であります、千九十三の被差別部落が未指定で現在あります。昭和六十二年から切ってしまったのです、地対財特法の成立と同時に。もう受け付けません、あっても。それはわかっておっても、窓口でさようなら、こういうことになっております。そういう状況であるというふうに佐々木長官は認識をしておられますか、これらの未指定問題についてはどのように考えておられるかということが一点。  二点目は、いわゆる来年度いっぱいで終わろうとしておる今日の現状でありますが、地域指定を受けていても事業をしないところがたくさんあります。それも御認識であろうか。それらの二点について御答弁をちょうだいしたい。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○佐々木国務大臣 これは野坂さん、私よりもはるかにお詳しいわけでございますけれども、御承知のとおり四十四年の同対法以来十八年間にわたりまして、この地域の指定の希望と申しますか、そういうものをずっと確認をしてきておりまして、相当長期間にわたっての確認でございますから、私どもはこれで希望地域は出尽くしておるんじゃないか、こう考えておりまして、今のところ追加指定は考えておりません。しかし仮に、そういう御希望が出てまいりました場合には、これはもう関係省庁、関係地方自治体、御相談の上、一般対策として重点的にこれは実行していかなければならない、こう思っております。  それから、地域指定を受けましても、諸般の事情、特に地元の調整等が難航しまして事業にかかってないところがあることは私も承知しております。この点につきましては、年度内と申しますか地財の特例法の期間中にこの事業が完成できますように、これは全力を挙げてまいりますけれども、それでもなおこの事業の完成ができない、こういうところもあろうかと思いますが、こういう点につきましても、一般対策として重点的にこれを実行していかなければならない、このように考えております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 私は、誠意を持って答えられておりますけれども、答弁は極めて不満であります。  地域指定をしていないところは残念ながら一般対策で優先的にやってやろう。一般対策というのは補助金が三分の一か二分の一以下です。これは三分の二なんです。事業が、ことしやって来年例えばだめだったら、経過措置については十分それが配慮されるであろう。しかし一般対策では、極めて厳しい環境の中にあってそういう措置はなかなかできにくい。だから私が言っておるのは、国が調べた統計で違うわけですから、それらの統計について、いやそれは掘り起こすということはようやらぬ、言ってくればやるけれども。しかし、統計が違うというところには疑問と疑念が起こるわけでありますから、それは県に対してどうかと、それが私は親切な同和行政であろうと思っておるわけです。それを、言ってこなければやらぬのだという一刀両断、切り捨て御免というのは私には納得しがたい。十分に配慮して検討して、同和対策協議会等で、地域改善対策協議会等で十分議論をしてもらいたい、私はそういうふうに思いますが、総務庁長官はそれについて御理解をいただき、御努力を賜りたいと思いますが、いかがですか。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○佐々木国務大臣 これは先生もうよく御承知ですけれども、いろいろなこういう地域指定に当たっては、地域の皆さんのお考えがございますから、こちらからいわば掘り出して指定を申し上げることが果たしてその皆様方の御意思に沿うかどうか、これは非常に微妙な問題だろうと思っております。そういう意味合いで、手を挙げるというと語弊がございますけれども、その辺はよくお互いに連絡をしながら、そういう地域の住民の気持ちもよくそんたくをしてよく連絡をとりながら考えてまいりたい、こう思っております。  私はさっきも、来年の三月でもってこの特例法が切れるわけでございますので、これは一般対策へどうやって移行するか、確かに先生おっしゃるとおりいろいろな財政上の特例もございますので、それをどうやって円滑に一般対策へ移行するか、これは大変大事な問題だと思います。そこで、昨年の暮れから地域改善対策協議会で、いかにして円滑に一般対策に移行するか、そういうことについて今御熱心に御検討いただいてございますので、その御意見等を踏まえて対処してまいりたい、こう思います。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 掘り起こすということは好ましいことではない、したがって、手を挙げた場合については十分検討するということであろうと思います。その点については一応の理解をいたしますが、これらの未指定問題については十分御配慮いただきたいと思います。  ただ、一般対策に移行すれば何ら関係ないわけですよ。私たちは、そこはおくれておるから、常にいわゆる基本的な人権を尊重して、自由と平等の原則である民主主義に日本をするために具体的にこの問題は進めていかなければならぬ、こういう認識でおるわけであります。したがって、今あなたがお話しになりました状況を各都道府県では随分心配をしておりまして、私どものところにたくさんの陳情もあります。ちなみに申し上げますと、四十七の都道府県のうちに二十八県議会で、何らかの法的措置が必要であるという決議をしております。約六〇%ですね。そして、市町村は三千二百七十四ありますが、そのうち千三百六の市町村は、これまた何らかの法的措置が必要であると決議をして皆さんのところにお送り申し上げております。約四〇%になります。  事態がここまで参りますと、さらに全国に蔓延をしてまいるだろうと思うのです。当然やらなければならぬ。民主日本をつくり上げるためには、具体的な問題として平等をしなければならぬ。総理が苦し紛れに言っておられましたね、百条の五の問題についても。この問題については総理大臣と被災民とは変わりはないではないか、人間同士だ。そのことだけは理解できる。そこだけですよ。そういう理解をして人間同士という格好でとれば平等でなければならぬ。憲法にも、法のもとにはすべて平等でなければならぬ、十四条にも明確にその必要性が書いてあり、本会議で総理大臣がそのことにお触れになって明確に示しておられるわけです。  したがって、百メーターまで走るのに八十メーターまで走って切ってしまって、またスタート台に帰るというようなことは断じてあるべき姿ではない。政治というのは地方の声を中央に吸い上げる、地方の声を国政に反映をする、そのことが政治の要諦でなければならぬと私は思うのです。それを上から抑えてもうだめだとふたをしてしまうようなことは民主政治とは言えない。佐々木満先生はそういう意味では実に民主的だということを聞いておりました。したがって、あなたの在任中に起きる問題ですが、今地域改善対策協議会で抜本的に議論をしておる。どうあるべきかということを議論しておる。したがって、これで打ち切りとかどうとか一般対策ということではなしに、全体的に御意見を聞いて、それを参考にし尊重して次の対応策を練るべきだ、こういうふうに私は思う。いかがですか。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○佐々木国務大臣 基本的な姿勢につきましては、私はおっしゃるとおりだと思いますので、そういう方向で進めてまいりたいと思います。今お話ございましたが、各地方公共団体、関係の県あるいは関係の市町村、こういうところからの御要望もいろいろ伺っております。また地域改善協議会でも、先般も地方公共団体あるいは関係団体の御意見等もお聞きをいただいておるようでございまして、そういうのを踏まえまして、いかにして一般対策へ円滑に移行するか、そしてこの問題がいかにして解決できるか、そういう方向へ向けて努力をしてまいりたいと思います。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 私が言っておるのは、全体的にすべての問題を網羅して、今の教育水準の問題、地域指定の問題、あるいは残事業の問題、たくさんの問題がある現状でありますから、差別事件は後を絶たないというこの現状の上に立って、一般対策移行という問題は別にして、民主主義の原点である自由と平等という問題についても議論されておるわけです。現実に当該運動団体等からは今話を聞いておるというのが現状であります。それらを踏まえて、ここまでよということではなしに、おおらかに十分な協議をしていただいて、そしてそれを尊重し参考にして対策を立てるということだ。その点についてはイエスかノーかだけで結構で、余分なことは結構ですから、もう一遍言ってください。

佐々木満自由民主党総務庁長官

○佐々木国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。幅広く検討して、それを私ども御答申をいただいて対処いたします。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 はい、わかりました。  それでは総務庁長官は、地域改善対策協議会等で抜本的にすべての問題を網羅しながら話し合って、そしてその意見を尊重して進める、こういうふうに御答弁がありましたが、総理大臣も同じ御意見だと思いますけれども、意見が同じだと言うか違うと言うか、それだけでぴしゃっと答えてください。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 総理大臣。ぴしゃっと答えてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 協議会の御意見を幅広く承りながら、ぴしゃっとやってまいります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 大変ありがとうございました。緊迫すると常に、やはり文学部の出身者は違う、こういうふうに感銘をいたしております。  私は次に、予定時間を随分オーバーしておりますけれども、米問題のみに絞って、他の農業展望等の問題については一般質問で農水大臣とじっくり四つに組んで議論したいと思います。  十二月のブリュッセルの閣僚会議では、十二月七日、意見まとまらずして、中断というよりも継続をするという確認のもとに進められてまいりました。このガット・ウルグアイ・ラウンド問題についてでありますけれども、一月の十五日に高級会議が開かれまして、わずかに四十分間で終わった、こういう状況ですね。その後、農水大臣なり総理の命を受けて塩飽農林水産審議官は、食糧の安全保障の問題やいわゆる削減実績のクレジットの問題をひっ提げて、それを迫っております。今日まで鋭意努力されました歴代の農水大臣や外務大臣あるいは通産大臣のいろいろなお話がございましたけれども、努力されたことについては敬意を表しております。  私が聞きたいというのは、現在日本の食糧の状況は一体どうかと考えてまいりますと、過去五年間で日本の輸入食糧というのは七七%の増なんです。金額にして今や二百九十七億ドル、日本円に直して四兆五千億円の輸入を現実にやっておる。世界一の輸入大国、食糧の。これが現実です。農水大臣の御存じのとおりであります。したがって、今度の米の輸入自由化の問題、市場開放の問題、いろいろな動きがあるわけであります。これらについて、今の情勢をどのように判断をしてどのように対応しようとされておるのか、まずお伺いをしたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 お答えをさしていただきます。  現状認識については、今、野坂委員の御指摘のとおりの状況になっておるわけでありますけれども、ダンケル事務局長が今プラットホームをつくるのに慎重な中にも大変な御努力をしておられるわけでありますから、今委員御指摘のように、従来輸入国としての我が国の主張をそのプラットホームの中にどうしても盛り込んでいただくという最大の努力をしていかなければならない、こう思っておるわけであります。そのことは、一部、委員が今御指摘になりましたように、食糧の安保の問題、量的な制限の問題、そしてまた何年度を基準にするかという三点を織り込んでいただくことでなければ、これからの交渉に当たっての我が国の基本的なスタンスがとりにくい、こういう状況でもございます。ただ、今委員が御指摘のように、日本は国の内外を問わず、何となく閉鎖的な国の印象を持たれておって、これだけの輸入国である、特にアメリカからの農産物の輸出には二〇%、今我が国が輸入しておるうちの三三%はアメリカからも輸入しておるというような状況というのを国の内外の国民に理解をしてもらうことが、まず努力をしていかなければならない交渉の前提でなかろうか、実はこう思っておるわけであります。  交渉に当たっての決意は、従来の方針どおり、総理がまた所信表明でも申し上げたとおり、国会等の御決議もございますので、それを踏まえて交渉に当たっていきたい、こう考えております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 きのうの日経の夕刊に、アメリカの輸出補助金の問題が出ておりますね。御承知かと思います。あのガット・ウルグアイ・ラウンドの会場では、御承知かと思うのですけれども、九七年度までに三〇%の削減をやれ、こう言っていますね。そう言っています。日本は昨年の九月二十八日でしたか、たたき台を出していますね、日本の考え方を。日本の考え方をちゃんと出している。アメリカ、ECは出さなかった。そして十二月に誠心誠意やったけれども、話し合いはまとまらなかった。成立できなかった。それだけの補助金を切れと言いながら、アメリカは九〇年度の三億一千万ドルの実績に対して、農産物の補助金というのは九億ドルにして、一九九二年には十二億ドルにするということはもう既に発表されておりますね。私たちは、議論と――よく日本たたきが行われますけれども、提案をしたアメリカがむしろ補助金を増大をして三倍、四倍にするということについては解せぬところがたくさんあります。しかし、それも国内事情であろうと百歩譲って考えると、日本の市場開放はだめ、米の輸入自由化はだめということは明らかに私はよくわかるのであります。  お話がありましたように、米の輸入自由化問題については三回の国会決議をしております。後には引けない、重く受けとめておるということは総理からも何回も聞きました。一歩も引くことなく、重大決意をもってこの米の輸入自由化はやらない、雑音がいろいろありますけれども。今や日本の農民は、自分の田んぼであっても自分の思うようなものはつくれない。基盤整備事業をやれと国からおっしゃるからそれをやる。しかし、三割は減反をしますという判こを押してから進めるのであります。大きな矛盾であります。しかし、食管制度を守り、米の輸入の自由化を水際で我々は追い返させていかなきゃならぬ。そのためには涙をのんで、歯を食いしばって国の農政に協力をしなきゃならぬ。三割も減反されております。だから国会が決議しておる。基本的な食糧は国産で、自給でというそのあらわれであります。安い方がいいと言っていらっしゃった消費者の皆さんも、今や安全で安定的な食糧を供給してくれというのがほうはいとしての世論であります。有機栽培、減農薬、無農薬という格好で、また生産者はそれにこたえています。それであるならば国論は一致してまとまった。だから何としても、院内外での状況から見て、米の輸入自由化はやるべきでないということが今や明確になってきたと思います。  どんなことがあってもそのことは、自由化は許さない、そういう重大な決意で農水大臣は対処されますか、もう一遍。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 今、委員、生産者の立場に立って御説明がございましたけれども、当然御案内のように、消費者もやはり同じような立場であると同時に、またいろんな御意見が実はございます。しかし、これだけの最大輸入国であって食糧に不安を持たないで国民がいられるということは、主食である米が自給できておるということが何よりも国民に安心感を与えておるものだろう、こう思うわけであります。  もう一つ。では、日本に米が過剰であるものですから、世界的に米が過剰のような認識を持たれておる人もおられるようでありますけれども、世界のマーケットの中には三%程度しか全量で出ていないわけであります。必ずしもその中には日本の嗜好に合うものでないものがたくさんあるわけでありますから、そういうことを考えてみたとき、生産者、消費者の立場を考えても、いずれにいたしましても、米の自由化、開放というのは重大問題でありますので、先生御指摘のような決意でこれに取り組んでいきたい、こう思っております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 農水大臣の御決意のほどは承りました。  やはり内閣の長は総理大臣でありますから、内閣全体を引き具して指導性を発揮してもらわなきゃならぬ。そういう意味で総理大臣の重大な決意をもって、三回にわたる決議、国民の要望、生産農民の強い願望、これらを受けて、米の輸入自由化は断じて行わないと明言をいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 再三申し上げておりますように、基礎的食糧は国内産で自給するとの原則で対処してまいります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 ありがとうございました。  大体明快になってまいりましたけれども、これからアメリカやその他に行かれると、ついついいろいろなお話が出てきて迷惑をしておりますので、私は、閣僚の皆さんに一人一人決意のほどを米の問題については語っていただきたいと思いますが、全く時間がありません。大変委員長には恐縮でありますけれども、この際お許しをいただいて、今の総理大臣の御意見に反対である閣僚があれば手を挙げていただきたいと思うのです。議事進行で――ありがとうございました。別に一人もありませんで、全閣僚こぞってこの問題には取り組むという姿勢を示していただきましたことを、全農民にかわって厚くお礼を申し上げます。  最後に、私は、総理大臣は、もしこの輸入自由化の問題に穴があくということになれば、これだけの大勢にしてもらったのですから、政治的責任を穴があいた場合はおとりいただくことになりましょうかという、責任をとる、とらないでお答えをいただきたい、そういうふうに思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今まで申し上げてきましたように、原則を持ってきちっと対処してまいります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 責任をとるか、とらぬかと聞いておる。それでは、責任を持ちますというところまでおりましょうか。それでは、責任を持っていただけますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 昨年のサミットの場においても私はその考え方を責任を持って申し上げ、サミットの宣言にも「食糧安全保障についての関心を考慮する枠組みの中で」ということもきちっと書いてあります。私は責任を持ってそういったことを発言をし、閣僚の皆とも実施をしておるところであります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 ありがとうございました。大体いい答弁でした。  それでは、責任を持って発言をし、責任を持って実施をするということを委員長にも御確認をいただきたいと思っております。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 御満足いただけましたか。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 それでは、湾岸問題についてお尋ねをいたします。  今この湾岸問題は四日、五日、六日、七日と四日間、連日御議論がございまして、大体私たちにも頭に入りました。多くを申し上げませんが、私は、現実問題としてこれからお伺いをいたしますが、総理は御存じのとおりに、世論というのを随分尊重されますけれども、これらについての世論は御存じでございましょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな機関がいろいろな角度から世論調査をされておることは、私は承知しております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 今回の政令の改正といいますか、一項を設けたということについては、議論の中で、緊急的な問題だ、臨機応変の問題だ、期間は限られておる、こういうふうなお話をちょうだいしました。  その中で議論になったのは、今避難民をどうするかということだということが言われておるわけであります。この避難民の皆さんを救出をし祖国にお送りするということについては、日本社会党はもろ手を挙げて賛成であります。ただ手段の問題であります。今は一番の目標というのは輸送である、避難民の輸送に重点を置いておるんだ、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろ具体的な場面があろうと思いますが、私は、避難民の移送はもちろん大切なことでありますが、そこにいらっしゃる避難民に食糧を供給したり暫定的にテントで暮らしてもらったりする、そういった避難民の毎日の保護ということもこれは大切なことではないか。とにかく、基本的人権尊重の立場で避難民の移送ということが極めて大切だということを申し上げておるわけであります。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 まず輸送が一番緊急の問題であるという認識であります。その輸送をするに当たって、一番安全な方法をとらなければならぬということに私どもは思料しなければならぬだろうと思うのです。一番大切なことだ。どうやって安全に輸送するのか。しかも外国人の方をお乗せする、在留邦人の方もございますが。そういう方々を輸送するに当たって、いわゆる自衛隊機の方が安全なのかあるいは民間機の方が安全なのか、どちらが安全だとお思いになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 そのときの環境条件によって、どちらも安全とも言えるしどちらも安全でないと言えるわけでありますから、そういったことをまさに判断するために国連がIOMという国際機関に委任をして、避難民の移送について状況を十分判断しながらそれぞれの各国に要請して、どうしたら安全に輸送できるかを考えて国際協力をさせろ、こういうことになっておるのだろうと私は受けとめております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 その辺はすっきりしませんね。あなたらしくない。それは自衛隊を出さなければならぬからそういうふうにおっしゃっておるだろうと思いますが。  イラクは、きょうの新聞にもテレビにも出ておりますように、九十億ドルを拠出をするということが決まった以上、我が国に対するものであれば敵国だ、こういう認識をしておりますね。そうすると、民間航空機が飛ぶ場合、これはまあ民間でありますから、軍用機の日本の飛行機が飛ぶ場合、軍用機であるC130は、軍用機であるという、戦闘参加の意思ありというふうに認識をして、いい悪いは別にしてフセインは、敵国の飛行機である、標的はあれだ、130だということになり得る可能性が私はあると思うのであります。  そうすれば、安全問題ということになれば、私は、総理大臣はそう言っていらっしゃいますが、ほかの者は常識的に民間の方が安全であるというふうに思うに違いない。だから世論は御存じですかと冒頭に聞いたのです。みんなそう言っています。現にきょう、民間団体が募金をして既にヨルダン航空の飛行機で飛んでおるじゃないですか。そういうことを考えてみれば、私たちは一般的、常識的に見て安全度は民間航空は高いと思いますが、私の意見は間違いでしょうか、一般的に言って。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 一般的に申し上げますと、先生のおっしゃる視点における結論、それはそういうことが言えると思いますし、また、長距離を飛ぶということについては、経験とか日ごろの体験からいって民間航空機の方が経験を持っておるという意味で、第一陣の具体的要請は民間航空でこたえておるのは、そういったことも総合的に念頭に置いて政府は対応しておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 ヨルダンの一つの方途としては、アンマンからカイロへと二機ないし四機お運びになる、こういう格好でありますね。もし自衛隊機が、C130が飛んだ場合、この自衛隊機はイラクは撃ち落とすぞ、こういうふうに言っておるわけでありますから、無手勝流で行くというわけにならぬと思うのですね。その場合はどういうふうにお考えでございますか。今までの答弁は、そのときになって考えてみなければならぬ、こういう悠長なお話でありますが、まさに緊迫をしておるという総理大臣の認識でもありますから、今からお考えになっておかなきゃならぬと思いますが、あなた方の側ではどういうふうにお考えですか。丸腰ですか。機関銃やけん銃はお持ちにならぬか、そういうふうな点についてお伺いします。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  繰り返し申し上げておりますように、自衛隊機が現実に輸送の任に当たるかどうかはまだ決まっていない、これが大前提でございます。そして、現実にそういう任に当たります場合には安全の面には十二分の配慮をしてまいる、これも当然でございます。  そして、先ほど来お話がございますのは、もし自衛隊機が例えばカイロ―アンマン間を飛行するという場合に、民間機に比べてその危険度が高いではないか、イラクは日本の自衛隊の航空機に対しては民間機より以上の危険性をもってやってくるのじゃないか、それをどうするのか、こういうことでございます。  まず最初に申し上げますけれども、イラクが日本国の自衛隊機に対しましてどういうふうに対処するか、それにつきまして、先ほど先生御指摘のような趣旨の発言がかって日本に駐在しますアル・リファイ大使からも表明されたという報道がございました。そのとき、御承知のとおり、今回の自衛隊機、仮にその任務に当たるとしましても、これは完全に非軍事的な、そして人道的な立場からの行為でございますので、もし伝えられるような大使の発言があったとするならばそれは全く筋の違ったものである、こう考えまして、外務省を通じまして早速大使の方にその旨を申し入れていただいたわけでございます。その際、アル・リファイ大使は、自分は日本の自衛隊機を対象にしてそのような発言をしたわけではない、こういうふうな釈明をしておられた、このように考えております。また国際法上も、あらゆる観点から見まして、自衛隊機に対して、今回のような任務に当たる自衛隊の輸送機に対してイラクの方がもし万一そのような行動をとったとしても、これはどういう角度から見ましても正当化されるものでないのは当然のことでございます。  さて、その上に立ちまして、現実にその任に当たります場合に、もしそういった自衛隊機に対するミサイルあるいはそういった砲火による攻撃であるとか、航空機による攻撃であるとか、そういうことがかなりの確度をもって予想されるような場合には、当然これは運航しない、もとよりでございます。そういったことで、安全には万全を尽くしてまいりたいと思います。私どもが考えております安全対策というのはむしろそういうケースではございませんで、避難民の方々をお運びするときにゲリラやテロ、特にハイジャックなんかの対象になる可能性があり得るので、そういうものにどういうふうに備えていくかということをその中心に考えておるわけでございます。したがいまして、どういう措置を考えていくかは別でございますけれども、例えばそういった自衛隊機を撃墜しようなんという意図を持った行動がある場合に備えて武器を持つなんということは、これは全く想定していないところでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 あなたの話を聞いておりますと、突如として丸腰では行かぬということになろうと思いますけれども、相手は敵国の軍用機だ、こういって撃ってくると、それでは何もしないということなのか、一つ。  情報として、テロやハイジャックがあるだろう、そういうテロやハイジャックに対する対策というものは一体ないのか、丸腰か。また、いわゆる命をかけて、いい悪いは別にして、イラクの人が紛れて乗ってきた、ハイジャックをするか、爆弾でみずからも死ぬ、全員死んでいく、九十二名の諸君や操縦士は一体どうなるだろうか。そういうことについても厳重にやらなければならぬと思いますが、そういうことを予想して第一段階は、自衛隊は丸腰かということがもう一遍聞きたい。テロやハイジャックに備えて、それらの対策は一体どうなのか。もし外国人の皆さんがそういう状態になったときにはだれが補償するのか、保険が掛かるのか、どのような姿になるか、墜落をした場合の想定ということも考えていかなきやならぬだろうと思うのですが、それに対しては日本政府はどうお考えですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申します。  まず、自衛隊機を標的にしてそれを撃墜しようというような、そういう情勢があるときには――あり得ないと思いますし、そもそも運航しない。それからまた、したがいまして、そういったものに対応する、対処するための武器を持つなんということは考えていないということは、先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。  さて、第二段のテロ・ゲリラ、ハイジャック、そういったことが可能性がある、それにいかに対応するかという点でございますけれども、これは先日から繰り返し申し上げておりますように、私どもといたしましても、自衛隊員あるいはその航空機そのものの安全ももとよりでございますけれども、何といっても避難民の方々を安全にお運びする、こういった観点から最大限の配慮をしてまいります。それにはまず、全般的な状況、環境かどうかということを国際機関、あるいはあちらにございますいろいろな政府その他とも共同しながら見ていくのは当然でございますし、その上に、そういったテロ等を考える人間が紛れ込まないようにあらゆる面で事前のチェックをしてまいります。それから、現地の警察等も当然そういった警備体制をとっておりましょうし、その任に当たるとしますならば、輸送機に乗るまでの事前のチェックも万全を期してまいりますし、あらゆる面からそういった安全対策をとってまいりたい、こう思っておるわけでございまして、さらにその上に御指摘のような面での備えをするかしないかということは、具体的な任務を遂行する、そのときに状況がどうかということは、もう少し詰めながら判断してまいりたいと思っておりまして、現在はまだ国連の委任を受けましたlOMという国際機関からの要請もない段階でございますので、今どうするかということをまだ決められない、決めることがまた適当ではない段階だ、このように考える次第でございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 さっぱりわかりませんね。ボディーチェックその他をして乗せない、当たり前なことです、これは。それでも入ったらどうするんだということを聞いておるのですね。そして飛行機が落ちてみんな亡くなったという事態が想定される場合、だれが責任持ちますか。これは非常に簡単ですよ。運んだ者ですかということを聞いておるのです。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど申しますように、そのような事態が起こらないように万全の措置は講じていく、あらゆる面からそういう配慮を払っていくということが大前提でございますので、万が一にもそういうことが起こらないようにしてまいるということに尽きるのでございますが、先生その万が一どうなのかということでございましょうから、もうそういうことがあってはならないことでございます。それを避けるために全力を傾注してまいりますけれども、もし不幸にして、万といいましょうか億に一と申しましょうか、兆に一と申しましょうか、そういうことがございましたときには、それはやはり我が国としましても十分な対応はしてまいらなくちゃならないものだと心得ております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 だから、私がお話をしておるのは、いわゆる万が一そういうことがありますから、それぞれの対策をする。どちらが安全かといえば、民間の飛行機の方がはるかに安全度が高い。それは、民間団体の要請を受けてわずか六百五十万円でヨルダン航空はそれぞれの皆さんをお運びしておるというのがきょうから行われておるわけですからね、現実に。だから、要請がない、これだけ急ぐ、緊急避難だということを言いながら、片一方はゆっくりしておる。しかも、地上戦があるかないかというのは、あるような状況じゃないですか。例えば、パウエル参謀本部議長あるいはチェイニー国防長官はサウジの最前線に飛んで、きょうアメリカにお帰りになってブッシュ大統領と、地上作戦をやるかどうかではなしに、やる時期はいつかということを決めるために行ったんじゃないですか。再三再四総理大臣は不拡大方針、即時停戦、そういうふうなお話でありますが、裏腹に現実はそう動いておる。だから、我々はそれに対応してできるだけ早く避難民をお運びをするということが大切だ。そのためには平和な間の方がいい。lOMの方にでも連絡をして、民間航空機を出しますという格好にした方が我々の方はいいではなかろうかというふうに思うのですが、外務大臣、いかがなものでございましょうということが一つ。  それから、防衛庁長官はそういうことは、危ないときは飛んでいかぬ、だから、自衛隊は飛ぶ飛ぶといって、結局は、緊急で非常に不安なので、不穏なので、世論も悪いし、今度の選挙危ないしということになれば、やる姿勢だけでやめよう、そういう結果になるんではなかろうかなと期待をしておるわけであります。  それで、言うなれば防衛庁では、最近の新聞を見ますと、自衛隊員の派遣の問題に絡んで万が一のことがあるだろうということで、賞じゅつ金に関する訓令というのを出して、それを当てはめるという話を新聞では散見をするわけでありますが、賞じゅつ金というのは自衛隊でいうとどういう款項目から支出をされるわけでありますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 お答えをいたします。  委員は民間航空機の方を使った方がいいじゃないかというお話でございます。今日現在民間の方方の御協力で、lOMからの情報では、井上正信弁護士が二月六日アンマン―カイロ間、イエメン人百四十三名を運んでおられます。それから、二月八日に湾岸避難民救援実行委員会、日本カトリック司教協議会、プロテスタント系団体がスーダン人百七十五名を運ぶということでございます。問題は、このlOMからの要請状を私もう一度委員にここで申し上げさせていただきたいと思いますが、こういう文章になっておるわけでございます。  国際社会が湾岸における緊急避難計画を実施した一九九〇年九月から現在の間に至る支配的だった状況と異なり、本件のごときさらなる輸送協力に要する、商用機ですね、いわゆる民間航空機の数は、その努力を増加しても不足するであろうと国際移住機構は予測している。民間航空機がたくさんあります、しかしそれは不足しますよ、不足する可能性がある。それでその結果、国際移住機構が、短期の通告でも必要があれば湾岸地域からの避難民を輸送するために、及び救援物資の湾岸地域への運び入れのために使用可能な輸送量を確定するために、本件輸送に使用し得る民間及び軍用機の調査を開始した。  これが要請書の内容でございますから、民間航空機も調べる、しかしそれじゃ足らなくなる可能性がある。そこで民間航空機が足らなくなった場合には難民がほっておかれるわけですから、それで提供できる軍用機で輸送機が提供できる国はひとつ知らしてほしいというこの要請書が来ておるのが一月の十七日。それに対して日本は、そういう民間と自衛隊の飛行機の輸送機を出すことを検討しますということで調査をしているというのが、これがスタートでございますから、その点ひとつよく御理解をいただいておきたいと思います。  これで前段階の御説明を終わらせていただきます。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま外務大臣からの御答弁もございましたように、やはりlOMの方からの要請を受けまして、そしてその後日本の政府におきましても、やはりまず民間機の活用により対応できるかどうか考え、それによれない場合に、必要に応じ私ども自衛隊の方の輸送機が当たるということになっておることは御承知のとおりでございます。  それでなおまた、先般来報ずるところ、多くの民間の方々が拠金をされましてヨルダン航空などを使っておられる、これは本当に重要なことでもあり、国際的にも評価されるものだと私も考えております。ただ、一点申し上げさせていただきますと、これはやはりlOM、そういった任に当たるところに対するいわば金の面での協力なんでございますね。これにつきましては、国といたしましては既にlOMに初動経費として三千八百万ドル出しておることは御承知のとおりでございます。そういうことはもちろん大切なことでございますし、高く評価されるわけでございますが、それと同時に、国際社会ではやはり日本も金だけではなくて汗をかけということが求められておる面もあると思います。そういった面で、やはり先般も民間の航空機、日本の航空機、行っていただいたわけでございますが、それでなお対応できないときに私どもが任に当たることがあり得る、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。  さて、それから自衛隊員が出てまいります場合に、こういった任務に当たるに際して不安があってはいけない、そういうことでいろいろな処遇の面等でいろいろ検討しているのは御指摘のとおりでございます。その中の検討項目の中で、賞じゅつ金という制度がございます。それにつきましても、今回の任務に当たるときにどのようにするか、これも検討しております。さて、それの予算科目がどうかという御質問がございました。この点につきましては政府委員から答弁させていただきたいと存じます。

坪井龍文防衛庁人事局長

○坪井政府委員 お答えいたします。  賞じゅつ金は、項、防衛本庁の中の目、報償費というところから支出されております。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 今の答弁、よく聞こえなかったのですが……。簡単に言いますと、民間航空機を最大限使用します、もし足らなかった場合だけが考えられます、全力を挙げて民間航空機でやります。今から金だけではなしに汗を流せとおっしゃったのですけれども、我々は金を出す、金を出すために汗を流しております、この点だけは明確にしておいてもらわなければ、あぶく銭で株をやってぽっともうけたのと違うのですから、日本の国民は。だから、そういう努力の結晶で汗を流したという認識で、だから民間航空機で出さなければならぬ。――今武部さんが後ろの方で言っておるように、いわゆるそれだけじゃない。あのアンマンに日本の日の丸を立てて行かなければならぬ、やったという格好をとらなければいかぬ、こういうことでは私はないと思うのですね。そういうことだったら意味がない。自衛隊機を出すことによって協力をしたというあかしを立てたい、そのために政令を変えるというようなことであれば、極めて重大だと我々は受けとめていかなければならぬ。避難民の輸送に焦点を当てて、民間航空機をあらゆる手段を通じて、金があるならば余計汗かいて、よそよりも高く出して借りるということでもやる措置こそが今求められておる事態ではないか、私はそう思うのです。  したがって、民間航空機を四回も出した、こういうふうにおっしゃいますが、どのような多くといいますか、一回のチャーター機料というのはどのくらいなんですか、一機。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先般、カイロ―ホーチミン間運航されました救援機につきましては、一便当たり大まかな数字で約一億円のチャーター料でございました。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 よくわかりました。  それらは危険な地域を通るとして、操縦士等は、あるいは乗員はすべて日本航空や全日空が責任を持って面倒を見るということになっておりますのか、あるいは国が操縦士や乗務員についてはそれぞれの手当てをしておるのか、まとめて一億円、あるいはもしも墜落をした場合は、その補償はない、政府は関係ない、すべて受注をした側にあるのかどうか、その辺も詳しく御説明をいただきたいと思います。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 要すれば、詳細につきましては運輸省当局から御聴取いただきたいと思いますが、今の保険料その他は全部先ほど申し上げた一億円の中に含まれてございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 今、高い安いは私わかりません。ただ、アンマンからきょう飛び立っていく、日本の切なる願いで出される皆さんですね、それについては六百五十万というふうに書いてあったわけでありますから。百三十四人が乗ってアンマンからイエメンに飛んだというふうに書いてあるわけであります。金額も書いててあります。もちろんその程度のお金は要るだろうと思うのでありますが、ぜひそれらに含めて民間航空機の補償に全力を挙げていかなければならぬと思います。民間協力の皆さん方も非常に協力をしたいという申し出が具体的にほうはいとして起きております。それは、政府主導でなしに発生的に起きた民間の善意だろうと私は思っております。それは、直ちに戦争をやめてほしい、早期に停戦をしてほしい、平和を回復したいという祈りにも似た願いのあらわれだ、こういうふうに認識をいたしております。  去年、医療団をサウジアラビアの方に派遣をされております。百名を募集して医師がたしか七名と看護婦、看護士といいますか、そういう方々が、看護婦さんが四名と、調整員と書いてありますが、よくわかりません、これが十四名、合わせて二十五名行っていらっしゃいます。場所はサウジアラビアというふうに募集もされました。募集は百名であったのが、そういう現実の十一名と十四名という格好になったのはどういう状況なのでしょうか、お伺いをいたします。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  昨年のいわゆる我が国の中東貢献策の一つとして計画をいたしました医療協力は、百名をめどに医師団を現地に派遣し得る体制を速やかに整備することとし、とりあえず先遣隊を早急に派遣するということでございまして、その趣旨に沿いまして九月に先遣隊十七名を、この先遣隊という趣旨から考えました規模のものでございますが、これをサウジアラビアに派遣をしたわけでございます。それで、この先遣隊が現地政府の関係者等と協議を行い、また現地医療事情の調査等も行ったわけでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 行った人がいろいろと不満を述べておりますね。何もしなかったと、結論を言うと。この間行かれたのは、木戸さんら医師二人を含む第二次九人が現地に入ったと書いてありますが、結局一カ月行って、言葉もわからないし体制もわからないし、一カ月が来た。かみ合わないわけですね。それは外務大臣もよく御存じだと思う。どの程度の効果があったのか。七人のお医者さんのお話は新聞に出ておりますけれども、全く治療活動ができなかった。サウジはなかなか厳しいのでというようなことが前提にしてありますが、効果はなかったのですか。どのような状況だったのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 行かれた先生方から私も直接お話を承りましたが、先方の希望している条件と我が方が考えていた医療協力との大きな考え方のずれがあったということが一番大きな問題だったと思います。そのような中で、戦争状態にもまだないアルホバルという拠点をつくって、そこでいわゆる診療行為ができるような一つの病院のようなものをつくり上げるということについては、サウジアラビア政府が一つの、例えば日本で言えば厚生省の認可基準のようなものを持っておりまして、その基準に合わなければ認可をおろさない、こういうことが向こうから非常に厳しい条件として出てまいったわけです。そのために、その条件に合うだけの人間を確保することができない。ここに一つの大きな問題がございました。  しかし、一応百人を送るという計画を当初に立てたものですから、ずるずる行っておったのではこれは非常に大きなむだが起こるということで、私は、現地の情勢等も調べまして、これはこれ以上継続することは無意味な結果に終わって結局税金がむだに使われるということで決断をして、この派遣を中止をさせて、各医療機関団体の責任者に二回にわたってお集まりをいただきまして、一体どのようにしたら日本がこの中東で医療の貢献、協力ができるかといういろいろな御意見を聞きましたら、結論として、戦争のあるようなところに自分たちのいわゆる弟子あるいは医局員に行けということはなかなか言えない、しかも要請されるものは一つのチームでないと効果がない、こういうことが大方の結論でございまして、焦点を、戦争のいわゆる戦傷病者を治療するということでなければ、例えば難民の医療ということに限定すればまた変わった角度からこの協力が可能になるのではないか、こういうふうな結論になりまして、ただいま自治大臣、厚生大臣、文部大臣等がそれぞれの所管の医療機関に希望者の応募をやっていただいている最中であるということでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 文部省、厚生省、自治省はそれぞれ関係機関に一月の十八日と一月の二十二日にこの要請をしておりますね。現状を御報告をいただきたい。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  医療団派遣につきましては、医学部を置く各国公私立大学に対しまして、協力の意向のある医師の推薦を依頼する文書を出しました。今後、各大学からの回答を受けて、協力意向のある医師を外務省に推薦する予定であります。現況は、今私ども八名、そして七名が国立大学、こういうことであります。

吹田愰自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吹田国務大臣 お答えいたします。  自治省といたしましては、自治体病院の医師、医療団、こういった方々に対する参加の問題でありますが、やはり自治体病院を開設されておる人あるいは職員を任命しておる人、それが地方公共団体長であるということからいたしますと、その団体長の理解と協力をまず得なければならぬということから始まるわけでありまして、これに対しまして関係都道府県知事などに対しまして要請をいたしております。まだ今日の段階ではきちっとした問題は出ておりませんが、今後さらにこういったことについての具体的な数字等も出てまいるものだと思っております。  以上であります。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○下条国務大臣 お答え申し上げます。  厚生省といたしましては、先ほどもお話がありましたように、十七日に各国立病院の中の有力な院長に連絡をとりました。それからまた、二十二日に病院長に対しましてさらに具体的に指示をいたしました。それからまた、二十三日に会議を持ちまして、これは各地方の、全国の代表であります医務局長会議を招集いたしまして、私からじかに要請をいたしました。また、一月二十五日には一般の厚生省所管の医療機関に対しましてまた御依頼をいたしました。その結果、数チームを編成するに足る医師の協力の申し出がございました。ただ、先生御承知のように、チームを編成いたしますには、医師とそれから看護士または看護婦及び調整員、この総合的なメンバーで編成しなければなりませんので、あと医師以外の分についての協力要請を目下している最中でございます。  以上でございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 九月においでいただいたのは、募集人員は百名、これに対して調整員を含めて二十五名、医者は七名でした、そのうち。今度は募集が何名なのか、はっきりしていませんね。一体どういうわけか。目標は何名なのか。  それから、九月の場合は行き先がサウジアラビアとなっておりました。今度はペルシャ湾岸諸国のいずれかの国と書いてありますね。なぜ行き先もはっきりさせぬのか。さっぱりわからぬで、そして民間の病院で手を挙げて行くということになる、選考の中で。そして一週間前に外務省の在外勤務員ですか、外務省の公務員として雇ってもらう。そして一週間で用意をして現地へ飛ぶ。自衛隊は不足した場合の予備だといいながら、今小牧に集めて毎日訓練しておる。日本の気候ととにかくペルシャ湾岸だが、どこに行くかわからぬけれども行け、そのかわり一週間前に通知してやる、通知されたらトランクを提げて持って行け、この程度で、訓練も何もしていないですね。一体どういうことだろうか、行くなということだろうかということでありますが、その身分の取り扱いあるいは傷病した場合、そういうことや、国民の皆さんは、もっともっと認識をするならば民間協力する。消費税で、あのときぐらい新聞に橋本さんの顔が出て、消費税のことを随分広告、何千万かあっただろう。今度はうんともすんともテレビには出ぬですね、募集は。これはどういうわけだろうかということを、よっぽど何か隠し事があって、出ないからまた防衛医官を派遣しようという作戦かなとさえ我々には思われるような行動が随所にあります。訓練もない、身分や給与のことも明らかでない、死んだ場合、負傷した場合も明確でない。そういう点については一体どういうふうになって募集されるのですか。選考の基準を示してもらいたい。そして諸手当を全部明確にしてもらいたいと思うのです。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  まず、今後の医療団の派遣の場所あるいは時期の問題でございますが、私どもといたしましては、これまでの経験からいたしまして、やはり実際に医療団に対する必要がまず生ずるということ、それから、それがいずれかの国であります場合に、その派遣先の国の意向がこういう医療団を受け入れるということ、それからもう一つは、医療団の安全の確保、そういういろいろな点を十分に見きわめた上で派遣をすることとしたいと考えております。そういう意味で、現在国内的には、先ほど厚生大臣、文部大臣、自治大臣からお答えのございましたような措置をとっておりますし、また、私ども、対外的には関係の国際機関あるいは関係諸国と連絡を保って、その情勢の把握に努めておるわけでございます。  それから、実際に派遣をするということになりました場合には、結局、行っていただく方は外務省の在外職員という身分を持っていただきます。それで、その身分に伴う基本給、それから在勤手当というのがございますが、在勤手当、それから赴任、帰朝旅費、その他の諸手当を支給するということでございます。  それからまたもう一つ、補償の問題について御指摘がございましたが、これは国家公務員災害補償法によりまして補償をいたしますのと、それから保険を掛けるということで対応をすることになっております。このような情報につきましては、それぞれ厚生省、文部省、自治省、また私ども自身も、いろいろな形でできるだけ関係者の方に御説明を申し上げておるところでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 どこに行くんですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 先ほど申し上げましたように、派遣先につきましては、実際に避難民がそこに出てきて、それでそのために需要があり、相手国もそういう医療団を受け入れるということを確認する必要がございます。したがいまして、今のところまだ、そういう意味での難民がどこの国に出てくるか、まず出てくるかどうか、それからどこの国に出てくるか、例えばシリアであるかヨルダンであるかというようなことははっきりいたしませんので、それを常時私どもとしては情報収集をしながら、必要が生じたときにそのどこかの国に派遣をするということになるわけでございまして、これは確かに関係者の方とお話をしております過程でそこがはっきりしないので、最終的に、具体的に行くということが言えないというお話がございますが、これは事柄の性質上、今の状況ではそういう前提でお考えをいただいておるということでございます。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 よくわかりにくいですね。例えば二十五歳の看護婦さんが十年間勤務しておって、民間の病院だったらやめるわけですね、外務省の職員になるわけですから。やめる。休職かやめるか、そういう条件もはっきりしていないんですね。そして、勤めて行って、例えばサウジアラビアは割合在勤手当は高いわけです、基本手当は。七十万。そしてヨルダン等は五十六万円ですか、調べてみると。五十六万円でも物価が高いから、そこでそれだけに生活費が要るという現実ですね、お医者さんに聞いてみると。そして、二重生活になりますね、一カ月行くのに奥さんを連れていくわけにならぬわけですから。そういうことで、死んだら大体八百十七万円ですね、そういう方々が死ぬと。えらい目をして行って八百万。両目そして手も足も、太ももから切った場合、年金は年間二百八十万六千円。こういう労働条件なんですね。だから、一般的にテレビやラジオでも募集はできない。ボランティアでやろうという意欲のある人はたくさんいる。しかし、そういう条件も示さない。自衛隊は行くのか行かぬのかわからぬと言いながら訓練をさせておる。民間人はあした行け、こういう格好で行くんですか。  ということは、余りにも政府のやり方は粗雑過ぎる、私はそう思われてならぬ。そして、条件も不明確、そして身分の保証もない。そういうことを一つ一つ検討してみれば、皆さんの、文部省は七名出る、一月の二十二日で、緊急の事態は毎日テレビに出ておる、しかし応募がないという現実は、これらの問題が明らかではない、選考基準は全く不明確ということで、私たちは手を挙げる人はないであろうと思っております。もっと親切に、自衛隊だけではなしに民間の皆さん方にどう協力をしてもらうか。我々社会党は、避難民の輸送や、そして多くの避難民の病気その他の問題については積極的に支援して、戦費ではない、そういう民生の安定のために金も使ってもらいたい、そのためなら我々は出しますということを明確にしておるわけであります。それらの点についてもぜひ私たちは、もう一度緻密に御検討いただいて、湾岸諸国の経済の安定や民生の安定、避難民の輸送等に民間航空機は民間の手で、ぜひ日本の意地を見せるということが必要ではなかろうかと思うのであります。  私は、時間がありませんから、最後に、総理大臣にお願いを申し上げたいと思います。  総理大臣は、イラク、フセインがクウェートから撤退をすればすべて戦いは終わるんだ、まずそのためにそのことをやらせなきゃならぬというお話を何回も聞きました。それとは、この地上戦が始まるということになれば戦線は拡大をされるんではなかろうかということを恐れます。そのために、できるだけ早く避難民を輸送するために民間航空機を出してもらいたい。きのうも話がありました。毒ガス、化学兵器を使った場合に対抗として核兵器をという声もないではない。私たちは恐れます。もし核兵器が使われたら人類は絶滅をするというあかしをまた出すのかということについては耐えられません。そのために、イラクに対しても友好国等を通じて化学兵器の使用はやめてもらうようにという要請をすると同時に、ブッシュ大統領にも、あなたの言う正義の戦いであれば、人類絶滅の核兵器というようなものは使わないで、ぜひそのことだけは思いとどまってほしい、今や地上戦の時期というものが検討される場合に、私は緊急だと思います。やむを得ない、アメリカ任せだということで見送るということになれば、一九四五年の八月六日あるいは八月九日に広島や長崎に落ちて被爆した日本の国民の要求することは、私は、務めだと思う。使命だと思います。そういうことだけはかたくブッシュ大統領に、核兵器の使用はまかりならぬ、どういう形でもそれだけの使用はやめていただくように強く海部総理から要請をすべきだ、こういうふうに私は思うわけでありますが、御返答を、御答弁をちょうだいしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 平和回復活動が一日も早く終わるように、同時にまた、アメリカのいろいろな発表ぶり等も見ておりましても、被害を最小限度にして、犠牲を最小限度にしながら食いとめなければならぬという基本を世界に向かって言いながら作戦行動をしてきたことも、これは私も承知いたしております。  また、日本は原爆の被爆国として、核兵器が使われる戦争というものは、これは許してはならないという基本的な気持ちが世界の中にあること、しかし、いろいろな面から考えて、化学兵器や核兵器が今日、今使われないでおりますけれども、このことについては片方だけの手を縛るのではなくて、私は、今仰せのようにイラクにも、そしてアメリカを初めとする多国籍軍にも、日本のこの気持ちというものは十分きょうまでも伝わっておると信じておりますが、あらゆる外交手段を通じてさらに伝わるように努力を積極的に重ねて、一日も早い正義と秩序に基づいた平和が回復するように心から念願して行動をいたします。

野坂浩賢日本社会党・護憲共同

○野坂委員 意向はわかりましたが、相手の出方論ということではなしに、正義と平和という意味に立って、核兵器の実力行使だけは何としてもとどめなければならぬ、そのことは強くブッシュ大統領に直接お話しをちょうだいをしたいと思います。  従来議論されておりますいわゆる自衛隊の政令問題、海外派兵問題、あるいは九十億ドルの戦費捻出問題、支援問題、そういうことを一つ一つ考えてみますと、憲法に違反をして法律に違反をするという、そういう委任権とあなた方の受任というそういう問題からしても、有権解釈ともいう問題は極めて私たちは遺憾に思っておるところであります。私たちは、今自衛隊を派遣して、本当に今まで持っておった平和憲法の、というのは、自衛隊を海外に派兵させないというのが国際公約であります。そういう意味を含めて、下手なことをすれば日本を危うくするものである。しかし、今この機会に日本は海外の派兵は断じてできないのです。国際公約であります。そのことを内外に宣明をして、そのかわり経済の復興や安定、民生の安定のためには九十億ドルと言わず、もっともっと国民の理解を得て、平和な社会、平和な世界をつくるためにはあらゆる努力を惜しまないということをこの際こそ明言すべきではなかろうかということを、強く私たちの考え方を申し上げて、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ────◇─────     午後一時開議

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。串原義直君。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 まず、私は、厚生大臣に伺いたいわけであります。  心身に障害を持つ人々が複雑な社会情勢の中で生活をしたりしていくということは、これはなかなか大変なことですね。それに対して、政府はそれぞれの立場、配慮をして施策を講じているわけでございますが、その中で特に身体障害者に対して措置されておりますところの運賃の割引制度、これは善政と言えますね。この善政が実は精神薄弱者、知恵おくれの人たち、これには適用されていない。これは長い要請がそれぞれの機関、自治体からあったというふうに聞いているわけでございますけれども、私は、全国でこの療育手帳を受け取っている人たちが四十万近いと言われているわけですね、これらの人たちも身体障害者と同じようにこの割引制度というものは適用さるべきものではないか、こう考えているのであります。実は調べてみますというと、七十二国会、百十三国会でもそれぞれの団体から請願書が出ていて、その請願書が採択をされた、こう聞いているわけでありますけれども、厚生大臣の所見を伺います。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○下条国務大臣 お答え申し上げます。  身体障害者それからまた精神の弱い方、こういう方々に対して、それぞれ厚生行政といたしまして行き届いた制度上の措置を講ずるように努力しておるわけでございますが、ただいまお話しの精薄の方々に対する運賃問題は、いわば前からの懸案となっておるわけでございます。  この運賃割引問題につきましては、これはもう何と申しましてもその所管の官庁またそれを扱う公共機関、それが直接的に御判断される問題でございますけれども、我々の方といたしましては、そういう問題の中でも、その利用者の便とか、あるいはまた一般の方々が結局は御負担されるという問題等々ございますので、簡単には結論を出しにくい問題ではございますが、精薄の方々がやはり行動されるについて付き添いの方がついていかざるを得ないというような点から申しまして、この問題は真剣に取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 なかなか難しい、こういう話もございましたね、今。ところが、これは身体障害者の皆さんと同じ条件にある皆さんだというふうに思うのです。でありますから、ぜひ身体障害者の皆さんと同じレベルで取り扱いのできる政治をやってやるべきではないか、その辺は、大臣どう思いますか、一言。

下条進一郎自由民主党厚生大臣

○下条国務大臣 この扱いについて、全く同じようにするかどうかということにつきましては、やはりそのほかに難病の方々とか、いろんな問題も絡んでまいりますし、直ちに結論づけて全部同じにするということはなかなかできにくい面も若干あるわけでございます。そういう点を含めながら検討し、この問題の解決に何とか早く結論づけたい、関係官庁と協力をしてさらに検討を進めてまいりたい、こう思っております。     〔委員長退席、近藤(鉄)委員長代理着席〕

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 運輸大臣、厚生大臣はできるだけ早い時期に結論づけて、身体障害者と全部同じというわけにはいかないだろうけれども、できるだけの配慮をしてあげたいという意味の答弁がありました。あなたは、運賃ということを私は申し上げましたから、運賃制度にかかわる担当の大臣としてどうお考えになりますか。

村岡兼造自由民主党運輸大臣

○村岡国務大臣 精神薄弱者に対する運賃割引については、利用者の負担によりこれを実施する場合には事業者の自主的な意思決定が必要であります。しかし、昨年二月、長年の懸案でありました内部障害者に対する割引の拡大を実施したばかりであり、事業者側から国の社会福祉政策として行うべきだとの指摘も受けているところであります。精神薄弱者関係者から運賃割引の実施を強く要請されておりまして、また先生からも要請がございましたが、自民党の安倍晋太郎議員あるいは自民党の仲川幸男議員が国会請願の紹介議員ということ、あるいは自民党の精神薄弱者対策議員連盟等を通じ来ておりますし、また、地方の方からもこういう要請がたくさん参っておりますことは承知いたしております。  したがって、厚生大臣もお話しになりましたが、今後厚生省と十分相談しながら、この問題の解決に前向きに真剣に取り組んでまいりたい、こう思っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 政府部内でよく連絡をおとりをいただいて、今両大臣が答弁いただいたように、前向きに早期に解決、答えを出してやってください。要請をしておきます。  次に、国有林野問題につきまして伺います。  国有林野事業の再建問題につきましては、我が党は過去数年にわたりまして鋭意検討を重ねてまいりました。そうして昨年末、六つの法案の準備を完了したところでございます。さらに、昨年の通常国会などを含めまして、国政の場でも何回か論議をいたしまして、政府に要請をいたしました。さらにまた、林政審議会での真剣な討議、林野庁の労使間協議を経て、年末に林政審答申、国有林野事業経営改善大綱の閣議了解等、一定の再建方策が固まったところであります。  平成三年度を初年度とした確実な再建に向けての農林大臣の決意、そして政府全体で支援するということを含めて大蔵大臣の所信を伺いたいのであります。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘のような経過もございましたが、また関係者が長いこと大変な努力をしてこられたにもかかわらず、累積債務が二兆円を超え、その利息の支払いだけでも一日三億五千万という膨大なものに達してまいりました。経常の運営ではこれの返済をするには困難な事態を迎えてまいりまして、今お話のございましたように林政審からも答申も出てまいりましたし、閣議でもその旨で改善大綱を了承してきたところでもございます。この間におけるまた関係者の大変な御努力をいただいてまいりましたので、政府もこの国会に関係法律の改正を行いながら支援をし、所期の国有林野の目的が達成するように努力をしていく決意であります。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今農水大臣からもお答えがございましたけれども、国有林野事業につきましては、ここ何年かの間党派の壁を超えて、関係の皆さんの間で真剣な議論が進められたことを私もよく存じております。昨年の十二月、御承知のように閣議了解をされました国有林野事業経営改善大綱、これを踏まえまして、引き続き要員規模の適正化、組織機構の簡素化、事業運営の合理化、自己収入の確保といった経営改善努力を徹底していただくことが不可欠でありまして、これらの努力を基本としながら所要の財政措置を講じ、経営健全化のために適切に対応してまいりたいと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 その国有林野事業経営改善大綱におきましては、「国有林野事業経営の基本方針」として、国有林野事業の経営が借入金依存から脱却をして可及的速やかに健全性を確立するために、累積債務について経常事業部門と区分をいたしまして適切な累積債務対策を講じるとともに、と、こううたわれているわけでございます。また、平成三年度予算案を見ますというと、一般会計繰り入れ対象を拡充をいたしまして、繰入額も大幅に増額するなど、経営の健全性を確立するための各種の措置についてその拡充が図られておりまして、関係者の努力には敬意を表したいと思っているところであります。  そこで、今回の経営改善のポイント、累積債務と経常事業部門の区分、累積債務対策について、平成三年度予算案でどのように措置をされ、今国会に提案を予定しておりますところの国有林野事業改善特別措置法の一部改正案でどのように取り扱うことにするのか。これは農林大臣の考えをお伺いをいたします。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 今先生からお話のございましたように、昨年末の閣議了解に基づいて、国有林野事業の経営の健全性を図るために、まずみずからの経営努力をしなければならないわけでありますから、自主的な改善努力の徹底をまず図りたい、こう思います。  累積債務については、経常事業部門と区分をし、適切な累積債務対策を講じることといたしておるわけであります。そのために、予算書にも累積債務と経常事業部門との区分を明確にしなければなりません。平成三年度予算案においても、厳しい財政事情のもとでありますけれども、累積債務対策費として百億円を計上しておるところであります。  また、本国会に提出を予定しております国有林野事業改善特別措置法の改正法案についても、累積債務として処理すべき債務の範囲を明確にするとともに、累積債務の処理に関することを経営改善計画の項目に追加をすることにいたしております。  平成二十二年度までにわたって収支の均衡のある回復等の経営の健全化を確立することを目的として、平成十二年度までには経常事業部門の財政の健全化を完了することを旨として、平成三年度以降十年間を改善期間とする予定でございます。  資産処分の収入を累積債務に充当するとともに、退職手当及び借りかえの借入金についての償還金を一般会計から繰り入れ対象といたしております。  公益的機能発揮のためには、一般会計繰り入れ対策を拡大する等々について規定の整備をすることといたしております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今御答弁をいただいたのでございますが、それと同時に、国有林野事業の再建というのは緒についたばかりですね。道なお遠しと言わざるを得ないわけであります。再建に向けた政府全体の支援が一層強く求められるところであります。関係省庁の一致した協力を強く要請いたします。  そこで、要員の削減、組織機構の改組改編と言ったらいいんでしょうか、その実施に当たりましては、今までと同様に労働組合等々と十分協議をいたしまして、あるいは自治体の意見を聞くということも含め、つまり労使合意の上で円満に実施することが重要である、こう考えるわけであります。したがいまして、関係団体あるいは労働組合等々の要望を十分尊重するよう強く要望をしたいのでございますが、大臣の所見を伺います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 今回の経営改善対策を考えるに当たりましても、労使大変熱心に御協力と御理解をいただいてきたところでございます。当然、現場で働いておる皆様方からこの点の御理解をいただかなければ実効は上がってまいりませんので、労働組合の皆さん方は言うに及ばず、市町村関係者ともよく話を進めながら、このことに対処してまいりたいと思うわけであります。  いずれにいたしましても膨大な累積債務で、少なくとも、働けど働けどその経営改善ができにくい状況の中を、一般会計からも厳しい財政の中で繰り入れをして、累積債務といわゆる経常の部分とを区分をさせていただいたわけでありますから、そういう意味合いでは、経常の部分について健全な経営をできるというためには労使の協調なくてできないことでありますので、十分話し合いの上で努力をしていくということでお答えにさしていただきたいと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そこで大臣、営林支局のあるいは営林署の組織改組ですね。これは地域の実情を把握してやってもらわなきゃいかぬ。非常に地域と密接に関連のある役所ですね。御承知のとおりであります。したがいまして、十分この改組に当たりましては、労働組合の話し合いはもちろんですけれども、地域の自治体等団体と協議の上で、理解の上で実施してもらわなきゃいかぬ、こう思うんです。いかがですか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 これだけの累積債務を国民の血税で補てんをしていくわけでありますから、みずからの自主努力をしていくということでなければなりませんし、当然のことながら、これがそれぞれの機構においてその地域に役割を果たしてきたことも、御協力もまた地域からいただいたことも理解をいたしておるわけでありますので、十分話し合いをしながら進めさせていただき、痛みをともに受けることになろうかと思いますけれども、話し合いは徹底してやらせていただきたい、そう思っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 平成四年度を初年度といたしますところの森林整備についての五カ年計画、この策定が決まりましたことは、我が国の森林保全育成を計画的に進めるための画期的な事業だ、方針だと思うのでございますが、この計画は、全国森林計画の計画量を達成することを目的にしたつまり長期計画にしなきゃいかぬ、こう考えるのでございます。いかがですか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 森林計画は十五年間という期間の中で計画をされておるわけでありますけれども、先生御指摘のように今度、来年度を初年度として私ども今準備をさせていただいて、森林整備計画というものを改めて五カ年ごとにつくっていきたいと思うわけでありますから、森林計画の十五年の長期にわたる中の五カ年ごとの整備について作成をいたしたい、こう考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 この問題、山を守る問題、国有林再建の問題は、まだ伺いたいことがありますけれども、次の機会に譲ることといたします。  そこで総理、昨年私は、昨年の議会ですね、この委員会であなたに要請をいたしました。山の問題は与野党の問題ではない、保守、革新なんというそんな問題じゃない。国有林再建は国民の願いでもあります。だから国を挙げて、国会を挙げて対応しなきゃいけないと思います。だから、与野党が話し合って何としても解決しなきゃならぬということを提案をして、総理もそのとおりだ、自民党ほか関係者にも話をして進めようという御答弁をいただいて、あなたもしかるべく対応していただきました。その結果、先ほどからお話があったように、ここまで国有林再建の方向が進んできた。しかし、今御答弁をいただきましたけれども、まさに入り口に立ったところですね。計画はできたといえども入り口に立ったところであります。特に国有林再建につきましては、環境問題等等重要な課題です。まさに入り口に立ったというふうに思いますだけに、総理はより一層関係省庁、関係団体と打ち合わせをされて、指導性を発揮しながら前向き、積極的に国有林再建に取り組んでもらいたい。そして、山を守る行政推進のために取り組んでもらいたい。御所見を伺います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 前国会でも委員からの御指摘をいただいたことも覚えておりますが、私は、日本の国土の中で非常に貴重な、大きな部分を占める森林というものは、日本の文化が森の文化と言われるように、非常に歴史的にも文化の上でも生活にも影響をしてきた大事なものであるという認識をそのときも申し上げたつもりでおりますが、今日それらが荒廃しないようにそれらの問題についてどう取り組むかということは、山に担当の役所だけではなくて、国会の御議論等も通じて、国民的なレベルで御理解と協力を願っていかなきゃならぬ問題であるということを私も理解をし、そのような指示もいたしております。  現場では皆それぞれの経験を踏まえて、また関係各省庁もそれに取り組んで、今ここで御議論になりましたような膨大な負債をどう解決していくか、また山を今後どう守っていくか、自立していくためには今度はその他の国民の皆さんにもどういうようなことで御協力をお願いするか、いろいろな問題が広がりつつあることもよく承知いたしておりますが、しかし、基本はやはり担当の省庁において、今、先生、窓口、第一歩とおっしゃいましたが、そこからさらに合目的的に前進していかなければならぬと思いますので、より一層そういった基本的な考え方を持ちながら、努力を積極的に続けてまいりたいと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉につきまして伺うわけでございますが、昨年の末に交渉が、まあ失敗したと言ってもよろしいと思うのでございますけれども、交渉が成立しなかった。ことしになりましてからも、いささかドンケル事務局長等々を中心にして努力をされているようでございますが、このウルグアイ・ラウンド農業交渉の見通し、どうでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、委員も今御指摘のように、昨年の十二月の三日から七日までブラッセルで開かれましたが、会議は最終日に至りまして、いわゆるノンペーパーをめぐる各国の意見の対立で延会になったことは御案内のとおりであります。本年一月十五日になりまして、ダンケル事務局長を中心に各国の代表をジュネーブで呼び込みを始めまして、いわゆるたたき台と言われるプラットホームづくりにかかっているのが今日の状況でございますけれども、各国ともなかなかまだ自説を譲らず、このたたき台なるプラットホームができるという状況には相なっておらない、これが今日の状況であろうと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そうすると外務大臣、今のところでは見通しがつかない、なかなか各国の合意が得られなくて見通しがつかない、こういう理解でよろしゅうございますか。下手をするとことしの夏あたりはとてもとてもうまくいかないだろう、こういう言われ方もしていますね。年末まで行くんではないか、こんなことも言われておりますが、その辺はいかがなんでしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 政府といたしましては、ガットの最も大きな受益国として、ガット・ウルグアイ・ラウンドが不調のままに話し合いができずに貿易のルールが混乱してくる、二国間の制裁措置が起こり、保護貿易主義が台頭してくるということはいかにしても避けなければならないと考えておりますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させるためには、やはり各国がいろいろと話し合いを進めていかなければならない。特に農業交渉が最大の課題になっていると考えておりますが、政府としては国会の御決議の趣旨等も踏まえて、ただいま鋭意努力をしている最中でございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 つまり、簡単には交渉成立、入り口に入るというわけにいかない、現在のところそうお考えなわけですね。  そこで農林大臣、伺いますが、昨年私は機会を得てアメリカに参りました。そして、米は市場開放できません、こういうことを強力に私たちの立場でも主張してまいりました。ところがアメリカ側は、ぜひ市場開放を急げという意味の発言もございました。アメリカの幹部からですね。ところが、その後アメリカは、いわゆる九〇年農業法と言われる法律を昨年夏成立させましたが、これを分析をしてみますというと、従来以上に農業保護を強めるという内容なんですね。どう分析しても私にはそう読める。アメリカという国は、なかなか自分のことは守りながらも都合のいいところがあるなあと、率直に言って私はこう思ったのであります。今、総理、大蔵大臣、外務大臣、みんなそうだそうだというんでうなずいていてくれるんで、やっぱりそうかなあと、こう思っているのでありますが、つくづくそう思いました。  しかるところ、この新聞を見ますというと、先ほど野坂浩賢委員も指摘をしておりましたが、アメリカ九二年度の予算、数字を見ますというと、詳しく読む時間はありませんけれども、輸出の補助金を大幅に増額をした。これは九〇年農業法との関連でしょうね。数字をちょっと申し上げてみますというと、一九九〇年の実績に比べて九二年は四倍の十二億ドルを見込んでおる。我々日本の国会議員からすると、ちょっと判断がつかないみたいな大増額、飛躍ですね。まあ御都合のいい話だな、自分のことはそのままにしておいてと実は率直に思います。所見を伺います。どう思いますか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドの話が始まって四年経過をいたしておるわけであります。その間に我が国では、血のにじむ思いで牛肉・かんきつの自由化に踏み切ったわけであります。そういう意味合いからすれば、我が国は自由化の方向に向けては、今農業関係各国から見れば極めて開放的な姿勢を示している国だ、こう私は認識をいたしておるわけであります。  今、輸出補助金のことについて触れられましたけれども、この問題が昨年末に行われたECとアメリカ側との輸出補助金についての議論から今日まで延会になっておるわけでありまして、新聞報道等によれば、日本がかたくなに閉鎖的であの昨年末の閣僚会議が延会になったというようなことが報道されておるということは、そういう経過から見ても私ども甚だそのことについては遺憾である、そういう認識をいたしておるわけであります。  今回もまた、ECにおいても同じように農業改革が出されたわけでありますから、そういう意味合いから、過去のウルグアイ・ラウンドが始まってからの経過を見ても、我が国、最大の輸入国として、従来の方針どおり貫いていくということの決意をまた新たにいたしておるわけであります。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大臣、今申し上げましたこと、率直に言って、この点についてはアメリカさんはまことに自分勝手、自分の都合のいいことだけおやりになるではないか、こういう評価になりませんか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 それは、アメリカ側のその輸出補助金増額、農業保護的な農業政策が出されたことを承知をいたしておるわけでありますから、私どもとしてはその分については甚だ遺憾だ、そういうふうに思っているわけであります。それゆえに、なお今回我が国が農業、この問題の交渉に当たっての決意をまたさらに新たにいたしておるということでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 総理にも伺います。  さっき総理は私の意見にうなずいておられました。何としてもこれはアメリカ、自分のことだけ都合よろしくという理解です、私は。農林大臣も遺憾だというふうに今おっしゃいました。総理、あなたがこれから国際会議にお出かけになったときに、あるいはアメリカの首脳とお会いになるときに、率直に言ってもらいたい。どう判断をしても日本の常識では、都合がいい政策だな、こうとれます、もう少し日本の政治の中に理解が得られるような、とりわけ日本の農民に理解の得られるような方策をとってもらわないと実は困ります、こういう立場で機会があったら主張してもらいたい。総理、いかがです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 農業問題については、御指摘になったアメリカの上院の九〇年度農業法の中身は、私も率直にこれはと思った点がありましたから、保護がふえていくのではないか。アメリカにはアメリカの抱えるそういった農業上の非常に難しい問題があって、いろいろ国を挙げて対応しておると思うのです。また、時々問題になるウエーバー条項というのもまさにそうではないでしょうか。けれども、ECへ行くとECに、やはり可変課徴金というのに代表されるように、農業問題についてはいろいろな意見があります。各国とも難しい問題を抱えております。  私は、日本の立場というものは、例えばこの間のサミットのときもヒューストンで、その名もライス大学という大学が会場でございました。そこでいろいろ日本の抱える特殊な事情等も申し上げて、世界での食糧の輸入国であること、当時はカロリーベースの自給率は四九%のときでした、今は四八と言われておりますけれども。そういったような事情等も言いながら、食糧輸入国の立場、日本の立場、そういったものを十分踏まえていろいろ議論に参加し、日本の立場も主張してまいりました。  結論は、ウルグアイ・ラウンドを壊すわけにいきませんから、これは保護主義を防圧して、自由な貿易のできる多角的な姿というものを世界に築き上げていく努力を皆がしておるのですから、各国の抱える難しい問題を各国の立場を十分主張することによって共通の認識を得るような努力をするのが、国際会議の場で日本が果たさなければならぬ努力だ、私はこう思っております。したがって、この間のウルグアイ・ラウンドの経済宣言でも、これは御承知のとおり、「食糧安全保障についての関心を考慮する枠組みの中で行われるべきである。」ということが会議の終わりの宣言に書き込まれるように日本の立場の主張はしたわけでありますから、今後とも日本の抱える厳しい問題を諸外国の厳しい問題とともに共通の場で議論しながら、共通の認識が得られるように、原則を踏まえて努力をしてまいります。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 農林大臣、先ほどECの話も大臣から出ました。アメリカの九二年度予算に計上された輸出補助金増額の方向、不満であるということをECも表明しているやに聞いているところであります。  そこで、それと関連して伺いたいわけでございますけれども、一月二十一日、ECの農林大臣理事会、農相理事会にマクシャリーEC農業担当委員がEC共通農業政策の大幅な改革の考え方を示した、こう伝えられているわけであります。その内容は、膨れ上がる穀物、酪農製品などの過剰在庫を削減していくため、大幅な生産削減と生産者への価格支持水準の引き下げ、及び、できるだけ多くの農家を残すために小規模農家ほど生産調整の割合を減らす、価格引き下げに対する所得補償の割合を高める、こういう大胆な、私にとりましては大胆と思うのですけれども、大胆な改革の中身になっているというふうに聞くわけですね。このEC農政の改革の動きというものが今後の農業交渉への影響、どんなふうになるのだろうか、私は大いに関心を持つわけであります。  そこで農林大臣、EC提案の中で、我が国が交渉の中でこの点は賛成してもいいな、この点はなかなか賛成できないな、いろいろあるでしょう。感想を含めて、ECの考え方、提案に対する所見を伺いたいのでございます。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 今ほど先生がお話をされたことについては、EC内の閣僚会議の中でマクシャリー委員から提案をされたことでございます。そして、これとガット・ウルグアイ・ラウンドとはリンクをさせたくないということもまた話をされておるわけでありますから、その提案はEC内の閣僚会議においても議論百出をしてまとまらないような様相が新聞報道で伝わっておるわけでありますし、私ども内部の情報からいっても、これはなかなか意見が対立をしてこの問題をまとめ上げるとしたらガット・ウルグアイ・ラウンドは相当延期をしなければまとめ上げられないのではないだろうか、したがって、ECの農業改革とガット・ウルグアイ・ラウンドのECの主張とは分離をしてやりたい、こう言われておるわけでありまして、この問題によってウルグアイ・ラウンドに影響が出てくるということは、今の段階ではここでコメントできない状況であると判断をいたしております。  ただ、その提案が、すぐ賛成するとか反対するとかいうことがガット・ウルグアイ・ラウンドの中で議題にはなる要素がない状況で判断はしにくいわけでありますけれども、相当大胆な農業改革が出てきたなという感じがいたしております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そこで、今御答弁の中にもありましたけれども、アメリカはちょっと世界が驚くような政策をとり始めたということが一つありますね。それから、ECの今お話しのような内部における話し合いもそうそう簡単にまとまるというふうには思えない。したがって、先ほど外務大臣から言われましたように、このガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、そうそう簡単にテーブルを用意するというところまでいかないだろう、こう思うのでございます。  しかし、そこで農林大臣、いま一点お聞きをしておきますけれども、従来から食糧安全保障等三点について我が国は提案をしているわけでありますね。この点が受け入れられなければ、お話しのように、外務大臣が言われたプラットホーム、たたき台ですね、このたたき台にも同意をするわけにはいかない、こういう姿勢でこれからも貫く、こういうことで進めますか。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドが始まって四年の間、我が国の政府としてこの問題については最大の努力を払った三点であります。そして、中間合意にも食糧安保、基礎的食糧というものが明記を、努力の結果出てまいりました。その後におけるサミットにおいても食糧安保の問題が確認をされてきております。そういう経過からして、この問題は必ず今度プラットホームができればその中に入れてもらえるものだと信じておりますし、その努力を続けていくつもりであります。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 通産大臣、伺います。  総理も本会議で米は自給をいたします、従来と変わりません、明確に答弁された。先ほど我が党の野坂浩賢議員に対しても明確に、まさにぴしゃっと御答弁になりましたですね。そこで、通産省は通商交渉の窓口でありますから、時によると雑音みたいなのが出がちであった、従来は。これではいけないわけですね。したがいまして、今までの政府の方針、我が国の方針、総理の明言、これを踏まえてあなたは新しい通産大臣として、米の市場開放には応じない、こういう姿勢でこれから対処いたしますね。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○中尾国務大臣 この米の問題につきましては、もうただいま総理が申し上げましたとおりでございまして、国会における決議などの趣旨を体してそして対処していくというのは、これは基本的な方針でございます。  他方また、自由貿易というものを私どもは多く享受をしながら受益国家になっておるわけでございますから、その国際的経済秩序というものを十分踏まえて、なおかつその担い手としてウルグアイ・ラウンドというものに、交渉に成功することには全力を挙げなければならぬという、先ほど委員も申し上げましたようなそのプラットホームに私どもがお互いに着いて、そしてお互いの各国には立場がございますから、それをちょうちょうはっし、甲論乙駁、討論をし合いながらも、必ず詰めていかれる段階は来る、私はそのような認識に立つものでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 それでは次に、湾岸戦争に関連をいたしまして伺うことにいたしたいと思います。  この湾岸戦争追加支援につきまして、九十億ドルの支援という金額がことしの一月二十六日のアメリカ・ベーカー国務長官、これは日本の報道でもなされたわけでありますけれども、私の手元にありますのはアメリカから渡ってまいりましたペーパーでございますが、いろいろありますけれども、ベーカー国務長官の記者会見、日本政府に九十億ドルを要請した、こういうふうに表現をしています。それから、この記事はニューヨーク・タイムズにも同機の表現が明確に載っているわけであります。これは一月二十九日のニューヨーク・タイムズの記事だそうであります。いろいろありますけれども、九十億ドルは、我々、というのは米国が日本に要請したものであります、こう言っているわけですね。  それから日本の各紙、これはいろいろありますけれども、その中で一つ引用さしていただきますというと、こういう記事があるのです。大体日本の各紙の報道、大同小異。九十億ドルの追加支援はニューヨークでの主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議のため訪米した橋本大蔵大臣が、二十日、ブレイディ米財務長官と会談した席で、応分の協力は惜しまないと日本側の意向を伝え、その後二度会談した結果固まった、こう言われているのであります。この報道はテレビでもなされたというふうに私は記憶をしておりますし、内外の各紙が、日本、アメリカ等々の各紙も挙げて、九十億ドルという話はアメリカと日本との話によって、むしろアメリカの要請によって決まったものである、こう報道されているわけですね。とりあえず今私はここで三つ報道に基づきまして読み上げました。これ、総理は承知だし、お読みでございましょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな報道があったことは私も読んでおりますし、承知しております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 外務大臣、この当委員会で総理大臣は繰り返し、国際社会に貢献するためという表現を使いまして、GNP、対外資産など幾点か挙げまして総合的に独自に決めたというふうに説明をされたのでございますが、一月十四日、外務大臣はアメリカにいらっしゃってアメリカの首脳と会談をされた、そのとき要請はなかったのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 当時私は米国政府の首脳と会談をいたしました。そのときに私に対してそのような要請はございませんでした。ただ、私はこのように申しております。この一月十五日の国連安保理六百七十八号の決議のいわゆる最後の日、これまでに全力を挙げて和平の努力に尽くしてもらいたい、これが日本政府のアメリカ政府に対する大きな要請である、しかし、イラクがこのタイムリミットを超えて、クウェートから撤退をせず、安保理の決議を受諾しないといったような場合に、アメリカが中心となったような多国籍軍が中東の平和回復のための努力を行う場合には、日本は全面的にこれを支持するということを申しております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今大蔵大臣は席を外されているようでありますけれども、あなたとアメリカとのその話し合いの中で、アメリカが元気が出たという報道もあるわけですね。これは事実はわかりませんよ。そういう報道もあるわけですよ。そして、大蔵大臣には伺いませんけれども、大蔵大臣とアメリカとの話し合いの中で九十億ドルというのはほとんど決まった、こういうふうに先ほど申し上げるように各紙の報道が行われている。実は本当はそうではないのではないでしょうか。アメリカの要請によって日本が決めた、引き受けた、九十億ドルは、こういうことではないでしょうかね。それは、前と同じ答弁は総理、要りません。国際貢献に云々ということ以下は、そういういろいろな話はいい。わかったから。何度も何度も聞いていますから、わかりましたから、もういい。ずばり一言、アメリカから要請のあったものでは絶対にありません、日本独自のもので全然アメリカとは関係ありません、こういうことなんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日本が判断をし、自主的に決めたものでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今の総理の答弁、だんだん後で困ってくるんじゃないかなと心配をしながら私は質問をいたしますけれども、そうすると、アメリカの国務長官、首脳、割合に適当な発言をなさる方と、こういうことになるような感じがしてくるわけですね。記者会見のときにしゃべったのも、何だか思いつきで発言されたような感じがする。しかし、それにしてもアメリカ首脳の発言、それからアメリカからの報道、九十億ドルという金額、総理が今独自の立場で判断して決めたという九十億ドルの金額、日本の国内で話し合って決めた金額が一致することもあるでしょうけれども、何とも、海の向こうのアメリカで言われた金額と日本で決めた金額とまさに完全に寸分違わずに一致する、九十億ドルという金額が一致する、これは私にとりましては、偶然とはいいますもののちょっと信じられないことなんですね。こんなに一致するということはあるんだろうか。まさに摩訶不思議なという表現はいかがと思うけれども、アメリカで言っていることと報道されたことと日本政府で決めた金額と全くちゃっと符合する。これはまた不思議な話だなと私は思うのですけれども、この現実をどう表現いたしますか、総理。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私の記憶に誤りなければ、あのころ違った数字もいろいろ報道されておったと覚えておりますし、また、議論の中でも、どうしようかという日本政府の最終的な金額を決定しようというときにも、いろいろな意見やいろいろな提案があって、数字が幅があったこともそれは事実ですが、最終的に九十億ドルと決定をしたということでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 ちっとも胸に落ちませんね。とにかく二つの別な国が、答えは一つである。出かけたころの話も一つである。これは以心伝心というんですかな。実に不思議な話だな、こう思うわけであります。しかし総理、この摩訶不思議な一致した数字、総合的に判断して計算の基礎はないんですよということを通すならば、国民はとてもとてもそれは、無理ないな、この辺で理解しなきゃいかぬなということにはなかなかなりませんよ。何か計算の基礎がなければ承知できないでしょうね、国民の皆さんは。それは一兆数千億なんという大きなお金でなくとも、一千万程度の予算でも大変な作業と書類を重ねて予算化するのが予算作成の作業でしょう。特にその辺は、大蔵大臣は厳しいような顔をしている。顔つきもそうだし中身もそうだ。ところが、何とも九十億ドル、一兆二千億ですか、この膨大なお金が、表現はよろしくないけれども、おつまみ金みたいでぱっと決まる。計算の基礎がないのですよ、何となく決めたのでございます、これでは国民は納得しない、こう思います。これで最後まで、総理、具体的に解明をしないで、総合的に判断したものでありますだけで国民の皆さんは理解してくれると思いますか。     〔近藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 言うなとおっしゃったけれども、もう一回言わせてください。  ブッシュ大統領がアメリカの議会で行いました大統領の予算教書の中にも、当のアメリカ、要するに多国籍軍の一番大宗を占めて行動をしておるアメリカの大統領自身が、どれくらい費用がかかるかということを具体的に明確に積算する根拠がないんだということをきちっと議会で言っておるわけでありますし、いわんや我々が、どれだけかかって、じゃどうしてというようなことを正確に示せと言われても、積算の根拠をお示しできませんので、私が何回もここで申し上げましたことは、日本は一昨年、世界との貿易で七百六十九億ドルの貿易収支の黒字が残っておる。また、世界に対して日本は対外資産保有の最大の国になりましたが、二千九百三十二億ドルある。地球がたたき出す総生産が、粗っぽく言うと二十兆円ですけれども、アメリカが五兆円、日本は三兆円ということも申し上げました。それは、総合的に判断するために精いっぱい、日本の今置かれておる国際的な地位、経済影響力の大きさ、また平和な世界の中で、どれだけ日本は今日世界との相互依存の中で今日の生活を維持しておるのか、いろいろなことを総合的に判断した結果、自主的に今回は九十億ドルと決断をして決めたわけでありますから、そこで、この間もここでどなたでしたか、ベーカー長官は九十億ドル、アメリカのものだと言っておるが、どうだというような御指摘がありました。そういうアメリカで行われた報道は私は全部知っておりますけれども、金額においても違う発表、違う意見、違うものが随分ある。例えば、アメリカの議会の予算局の試案では二百八十億ドルから八百六十億ドルまでいろいろの差のあるものを出して、出てきておる。またブッシュ大統領が予算教書、二月四日の分ですが、それに使った三百億ドルの仮置きというのは、これはアメリカの会計検査院が、戦争開始がないものとして試算をした数だとか、いろいろなものがアメリカの国会、アメリカのマスコミにも出ておるわけでありますので、日本は日本の立場で、どれほど世界の平和の中で享受してきたか、どれほど日本が相互依存関係の中でプラスをしてきたかということを総合的に判断して、御理解と御協力を得たい、こう思って決めたのですから、あくまで自主的な判断、決定でございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 わかりませんね。今お話しのように、そうであるならば、日本のGNPはこれこれであります、これと判断してこういうことになります、まず第一はですね。在外資産がこれだけある、これに対してこういう計算基礎で第二はこの数字になりますと、それぞれの計算基礎があって九十億ドルになったというお話ならまだまだ理解できるのですよ。一応日本の経済項目を並べておいて、でありますから総合的に判断して九十億ドル、これではまさに包み金みたいなものだ、そう判断を国民はするでしょう。これでは理解を得られませんよ。いま少し正確な、率直に言うと正直な計算基礎というものを示してもらいませんと、なるほどなというふうに胸に落ちない。全然私には胸に落ちない。そうでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今いろいろおっしゃるような、かくすればかくなるという胸に落としていただけるような計算の前例とか比較すべきものというのが全くなくて、サダム・フセインがこのような時期に侵略、併合をする、それを国際社会みんなが集まって排除しよう、侵略を排除して平和を回復しよう、こういう大きな目的に向かって国連が決議をして、適切な支援を要請する、こういう要請が来たわけでありますから、要請を受けて、国際社会に生きる一員として要請にはこたえなきゃならぬ。  同時に、私も、これからの世界で力の強い者が弱い者をいじめて、侵略して併合して、それに対してまあまあと言いながら見過ごしてしまってはいかぬから、みんなの力で分に応じたものでこれを排除しなければならぬ。日本は力でもってお役に立てませんので、せめてその要請にこたえて、当面の費用の一部は日本からも出そう。そして総合的に判断したのが、では、日本は国際社会の中でこれぐらいのGNP、世界で二番目の所得の国、そしてまた、一番多い海外資産保有国、そういったことを全部いろいろずっと総合的に判断したわけでして、どれをとらえてどうすればどうなるかという具体的的な根拠をお示しすることは、これは大前提が大前提でありますから、ちょっとここで御納得いただくように申し上げるのは不可能なことではないか。そこで、私は、念頭に置いたいろいろな日本の立場、地位というものを御説明を申し上げて、総合的な判断の基礎にしたんだということを申し上げておる次第でございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 どうしてもやはり私は納得できない。理解できない。その計算基礎というもの、積算基礎というものが国民に納得されるものでなければならない、つくづくそう思う。聞けば聞くほどわからなくなってしまう。まさにおつまみ金ですね。私は納得するわけにはまいりません。  そこで、外務大臣、先ほど同僚野坂浩賢議員の質問の中で、医療団派遣につきまして質問があったときの御答弁、戦争をしているところへ行ってくれということだから、これはなかなか条件そう簡単ではないという意味の御答弁がありましたね。私もそう思う。つまり、この中東において起きておりますところのイラク、多国籍軍の戦いというものは、一口に言ってこれは戦争ですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 戦争という言葉を私は使ってはおりません。つまり、武力によるクウェートの制圧、侵略に対する平和回復の手段としての武力の行使、このような言葉を使っております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 総理、率直に一言で結構です。つまり、このイラク、多国籍軍の戦いは戦争でしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 普遍的な武力行使である、こう思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 総理、戦争と武力行使とどこが違うのですか、教えてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 定義は専門的な用語で専門家に答えてもらいますが、私の素朴な考え方は、要するに今までの戦争というのは、一国と一国がその国のいろいろな問題をめぐって、あるいは宣戦布告をしたりしなかったり、国権の発動としてのことをやる、それが戦争。今度のような場合は、国連が決議をして、何回も何回も決議をして、国際社会の総意として、決議を守って平和の破壊をやめろ、平和秩序を回復しろ、何回も決議をしても反省もそれから原状回復も行われないので、国連の決議によって行われる武力の行使でありますから、これは通常の今までの意味の戦争と私は違うと受けとめていますから、当初から、国連決議に基づく武力の行使である、私はそういうふうに申し上げております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大蔵大臣、戦争じゃありませんか、この戦いは。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私が申し上げたいことは、八月二日にイラクがクウェートに侵略し、占領し、たび重なる国連の原状回復の勧告にも従わなかった結果、多国籍軍が平和回復の努力を払っておると理解をいたします。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 それでは、けさのテレビにも、NHKを初めといたしましてテレビにも、字幕にも全部湾岸戦争、こう出ている。ニュース解説もオール湾岸戦争という表現を使っていらっしゃる。外国も全部そういう表現を使っているわけであります。これはもう新聞もそうですね、湾岸戦争。全部そうですよ。ごらんください。これは私が言っているんじゃありませんよ。だからどうですか、こう聞いているのでありますが、つまり、総理以下日本の政府は、戦争ではない、こう否定するのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 国際法の関係がございますので手短に私の方から御答弁させていただきます。  先ほど来、総理、大蔵大臣から的確にお答えになっておるとおりでございまして、国際法上、古くは戦争というものが必ずしも国際法上禁ぜられていなかった時代がございます。しかしながら、現在国連憲章のもとにおきましては、武力を伴う紛争、これを戦争というかどうかは別といたしまして、武力の行使という考え方でとらえているわけでございます。例えば二条の四項に、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」というふうに規定してございまして、現在は、いわゆる戦争というものは違法であるというふうにとらえられているわけでございます。  現在の湾岸地域における武力紛争は何かという点につきましては、これまで政府側よりしばしば御答弁申し上げているとおりでございまして、この国連憲章で禁じられた武力の行使をイラクが行いましてクウェートを不法に占領した、そしてこれに対して国連が、力を合わせて現在これの排除を行うために武力を行使しているということでございます。ただ常識的に俗に戦争という言葉はしばしば使われるわけでございますけれども、これまで総理初め御答弁されておられますところは、この厳密な正確な意味で武力の行使という言葉を使っておられるわけでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 今の答弁は言うならば理屈みたいなものですね。理屈みたいなものだ。戦争と武力行使、どこが違う。今の答弁ではちっともわからないわけでありますが、つまり、私はずばりお聞きしたいのは、湾岸戦争、湾岸戦争というふうにテレビも新聞も世の中でも全部そう呼んでいるのに、戦争ということを否定するのですか、今の戦いは、こう聞いているのです。日本政府は戦争を否定いたしますか。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 柳井条約局長。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 条約局長はわかった。これはいいんだ。政府に聞いているんだ、政府に。政府の見解。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 せっかく来たから指名するから。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お許しをいただきましたので、簡単に御答弁させていただきます。  先ほど申し上げましたとおり、いわゆる戦争という観念は現在の国際法上は禁止されているものでございます。先ほども申し上げましたとおり、国連憲章のもとではあらゆる形態の武力行使が禁止されているわけでございます。これに対して、国連憲章で認められた例外はございますが、武力行使という観念でとらえられているわけでございます。ただ、俗にあるいは常識的な意味におきまして武力紛争を戦争と呼ぶことは、これはございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 最後に局長が言われたけれども、常識的な意味で、そう言っているんですよ、私は常識的な意味で。武力行使だ、それは確かに。けれども、戦争じゃありませんか。今局長が言われたように、常識的には武力行使、戦争でしょう。外務大臣、これは戦争でしょう。武力行使という戦争でしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 国連憲章のもとでの、国連加盟国として日本が使います用語の中で、私も今いろいろと国連決議をもう一回見直しておるところでございますけれども、この中には戦争という言葉はなかなか出てまいらないのでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 そういたしますと、毎日毎日テレビ、新聞を見ている、湾岸戦争というニュースと活字を見ている素朴な国民、これは九九・九%戦争だと思っています。戦争と表現をしております。それは活字の上では、法律の上では今局長のような答弁もあるかもしれませんよ。常識的にはということを最後に局長言われたけれども、武力行使は通常我々の常識では戦争なんですね。紛れもない事実なんですよ、このことは。だから、戦争であるということを否定するとするならば、私は、詭弁ではありませんか、こう言っているのであります。  文部大臣、私はあなたに聞きましょう。今、湾岸戦争、湾岸戦争、こう言われていますけれども、また各種の報道もなされておりますが、学校の子供たちに、戦争ではありませんよ、あの戦いは、こう教えることができますか、教えますか。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  私も今条約局長のお話を聞いて、まあそうかなという感じを抱いたわけであります。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 大臣、そうだなでは済まないんですよ。つまり、子供たちにそういうふうに教えますかと聞いたんだ、私は。そうかなではないんです。あの戦い、毎日大変なことをやっているよ、よろしくない、けれども戦争じゃないんですよ、あれは武力行使というものなんですよ、こんなことを教えますか。あの戦争はよろしくないですな、一刻も早くやめなければいかぬ、こう言うべきじゃありませんか。そういうふうに子供には教えませんか、こう聞いているのです。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  湾岸戦争につきましては、学習指導要領上、主として社会科の地理や公民などで指導することが考えられる、そういうことですね。今回の、条約局長今説明いたしましたが、学習指導要領上、主として社会科の地理や公民などで指導することが考えられる……(串原委員「湾岸戦争と表現してね」と呼ぶ)いや、今の条約局長の話を聞くと、やはり条約局長の方が正しいのかなという感じがいたします。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 まさに私は、戦争だと国民の九九・九%考え、それから毎日毎日テレビ、新聞は報道している、外国もそう言っている、それは言いたくなくて日本の政府だけが否定をしている、まことに変な現象だという理解にきょうはしておきましょう。つまり、どういうふうに解説をいたしましても、武力行使は戦争です。常識的に戦争です。最後に一言局長が触れたように戦争です。したがって、この戦いの諸経費は戦費なんですね。残念ながら戦費です。これを否定するわけにはいかない。  そこで伺いますけれども、アメリカは戦費調達の増税はしない。これは二月四日の毎日新聞ですね。ちょっと急いで読みますけれども、「ダーマン米行政管理予算局長官はNBCテレビのインタビューで、「戦争が短期で終われば」」ここにも「戦争」という活字が出てくる。「終われば、戦費は外国からの五百十億ドルの貢献額でほぼ全額を賄えるので、増税の必要はない」、こう予算局長官が言っている。さらに、「ブレイディ財務長官は三日」やはり同じテレビ、これは「米テレビ」とだけしか出ておりません、日経には。「のインタビュー番組で」、ここにも出ておりますね。「「湾岸戦争の戦費の大半を外国が負担するので戦費調達のための増税は不要」と述べた。」こう言っていますね。一番最後に大物、アメリカ大統領、これもやより、これは朝日の記事を引用させてもらいます。二月六日の記事ですけれども、「五日の記者会見で、湾岸戦争による米国の財政負担が、九一会計年度に計上されている調整費(百四十億ドル)と、それ以外の費目予算をあわせた計百五十億ドルの枠内はおさまるとの見通しを明らかにし、これに同盟、友好諸国からの貢献を加えた資金で戦争が遂行されることにより、戦時増税の必要は全くない」、こう見解を表明した。  これ、総理大臣見ましたか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな報道なされておりますことはよく知っております。そして、時々アメリカの言いなりになるな、アメリカがそう言っても日本の自主的な判断があるだろうと御指摘ありますが、私はそういったものは読みますし、アメリカの意見も報道を通じて知りますけれども、日本は日本で独自の立場で判断をしておるんだ、考えておるんだということを何回も繰り返して申し上げておるところでありますから、私のそういう物言いもどうぞ並べて見てください。お願いします。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 総理は私の立場、日本の立場で考えた、考えていると言うわけですけれども、私の言いたいのは、この報道が毎日テレビを通じて行われている。新聞でも報道されているわけですね。率直に言って日本の国民、また九九%なんという数字を使って悪いけれども、ほとんどの人たちが、アメリカはあれだけの戦争をやって、ほかの報道にもよりますというと、国防予算を一%減らしている。国防予算は来年度減らそうとしている。今度の湾岸戦争による増税はアメリカはしない。けれども、日本は何となしに九十億ドルというのを数字を決めて、それも増税によって賄います。おい、どうなっているんだ、ちょっと納得できないじゃないか、こういう国民感情がいっぱいなんですね。率直に言ってそうなんですよ。そう思いませんか、国民の一人として。ですから、アメリカは、戦時増税はしない、今度の湾岸戦争にかかわる戦費調達は増税でしない、しなくても賄えます、こう言うんですね。日本は、お手伝いをするために九十億ドル出します、何となしに決めて、九十億ドル出すんだけれども増税によります。何とも国民感情として胸に落ちない。どうしても胸に落ちない。特に台所を預かるお母さん方、女性の皆さん、まさに一〇〇%近くこれは胸に落ちないんじゃないですか、このことは。これはどう説明したらいいんでしょう。総理、教えてくださいよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 何回も申し上げてきたことの繰り返しになりますけれども、戦後きょうまで日本がこの平和な環境の中で生活をしてきたということ、同時にまた、世界の二十八の国が、この平和の世の中に力でもって侵略、併合するようなことはいけない、今現にいろいろな、人権はもちろんのこと平和も力で奪われてしまったあのクウェートの現状というものを見ながら、イラクに対し一日も早く撤兵しろということも言っておる二十八ヵ国の行動、それには生命の犠牲も含んで第一線で頑張っておる世界の若者たちがおるという中で、日本が平和を今享受しておるわけでありますし、今後日本が生きていくためにもそれは必要です。もし日本が、小ぢんまりとつじつまを合わせて、一国だけで国境を閉鎖してどこの国にも世話にならない、生きていけるんだという一国平和主義なら結構です。それはできません。貿易のいろいろな数字を私が挙げましたのもそういうことが背景にあるわけですし、何よりも世界の大義からいって、平和を守らなければならぬという国連の決議と、その要請を受けてできる限りの協力をすべきであると自発的に決めることを、どうか国際国家日本であろうとするならばわかっていただきたいし、お認めいただきたいし、きょう平和で豊かなこういう暮らしをしておるのも、きょうまでの世界の秩序が、そして日本を取り巻く世界の環境が日本にそれを許したんだということもどうか御理解をいただけば、この際みんなの力で平和を破壊した侵略者を排除して新しい国際秩序をつくっていこう、それに日本も参加をするんだ、その考え方、それに従って積極的に協力していこうという政府のこの姿勢を、どうかわかってください。お願いします。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 わかりませんね、やっぱり私には。  これは大蔵大臣、答弁要りませんよ。あなた答弁要らない。答弁されちゃいかぬから答弁要らないと言っているんだけれども、きのう同僚の戸田議員に答えて、アメリカも増税しておりますという意味の答弁なさった。――五十嵐さんでしたかな。それは訂正します。あれはどう判断しても、あれからずっと私は関係書類見たり検討してみた。確かに増税をしている。けれども、あれは一口に言うアメリカの双子の赤字克服のために増税をしたものであるという判断に私は立っておりますので、あれは全く別な意味に理解をしないと間違いだ、こう思いますだけに、私はあえてここで強調さしてもらっているところなんですよ。  だから、今総理が言われたように、確かに平和大事ですよ。国民感情として、アメリカはあれだけの戦争をやっているのに増税は一銭もしない、今の会計予算の中で賄っていけます、それはまあアメリカの都合でいいんですね。これはやむを得ないですね。確かに、クウェートがイラクに侵略されたという事態は承知できない、イラクはとんでもないということは同じであります。だからといって、アメリカがこの戦争遂行に当たって増税をしないのに、日本が増税をしてふろしきへ包んで九十億ドルをお届けをいたします。これも一戸にすると五万円平均と言われていますね。これは奥さん方はなかなか理解できませんよ。総理、さっき私に言った程度で理解してくださいと言っても、なかなか理解されないと思う。従来から答弁してきた以上の別な角度での解説なり理解を得られるような言葉がなければ、なかなか理解されるというわけにはいかないだろうと私は思う。これは、私一人理解をしてくれとかする、そういう意味ではありません。そんなことじゃありませんよ。大変な人たちが、多くの国民が理解してもらえない、こんな話は私は強行採決をやって無理強いをしてなんていうことをやるような性質のものじゃないと思いますだけに、もう一つ総理、国民の皆さんに、なるほどな、そうかと理解できるような言葉ありませんか。大事なところですよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日本の置かれている立場からいったら、平和を守るということが何よりも大切であり、またこれからの世界で力でもって一国を侵略したり併合したりするようなことはいけない、その国際社会の大義を守るという立場に日本は明確に立っておるわけでありますから、そのためにきょうまで日本が置かれてきた平和な環境の中、平和な暮らしの中でどれだけ幸せを享受してきたのか。お金の問題についていろいろな議論は、これは総合的な判断でありますから、すとっと腹に落ちるように言えと言われてもなかなかいわく言いがたい難しい問題がありますけれども、この武力行使が行われるその直前の去年の十一月、そのときの石油の一リットルの値段、当時我々は通産省を指導して、原油の価格が非常に不安定であるけれども、国民生活に直接影響するように安くできるものは安くする努力をしろということで、毎月毎月その努力をして、この三カ月連続で、私の記憶に誤りなければ一リットル当たり六円の値下げが行われてきたということは、これは事実でございます。また昭和六十年、そのころの輸入の牛肉の値段でも、ばら肉の中肉が百グラム百五十円前後しておったものを非常な努力をして百三十円前後に下げてきたという事実、こういったことは御家庭の奥様方もどうか思い出していただきたいと私は思うんです。  世界のそういう自由な交流の中で、交易の中でそういうふうに下がってくることや、その中で受けた幸せは黙って知らぬ顔して、さあ困った、国が血を流してこの平和を守ろうとしておるときに、そんなものは腹に落ちない、そんなものは協力しない、日本は日本だけでやっていくんだからいいんだ、やりたいやつがやっておれ、それでは国際国家日本は成り立ちません。ですから、私はそういったことを総合的に判断をして、日本がこういうときには協力をして世界平和のためにもお役に立ちたいんだ、その一部だ、こういうために総合的に判断をして決めたのですから、その日本における地位とか、最近のもので下げたものとか、いろいろなものについても総合的に判断して、このぐらいのことはお役に立たなければならぬ、立つべきだ、それでなければ国際国家日本とか恒久な平和を念願しますとかいろいろなことを言えなくなってしまいますから、そういう努力の一環としてぜひお認めをいただきたいと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 私は、日本だけ都合よろしくやっておればいい、そんなことを一言も言った覚えはないし、つゆほども考えていない。国際協力が大事なことはよく承知しているつもりであります。国際連帯の重要性もよく認識しているつもりであります。だから、金をお互いに出せるような、理解できるようなことをしようではありませんかという立場で言っているのであります。理解されないような言い方では、やり方では、国民の皆さん理解してくれませんよ、こういうことを言っているわけであります。  ここだけで時間とるわけにいきませんから、あとは集中審議のときに譲りますけれども、しかしどうしても、先ほど申し上げたように、大変な戦争をやっている当のアメリカが増税はしない、増税をする必要ないと大統領が言われている。日本だけが一戸五万円の平均増税負担をしてこの戦争に支援をする、協力をする、わからないな。これはもうわからないのは当たり前です。でありますから、これは承知はすることができません。  そこで、集中審議のときにあとを譲ることにいたしたいと思っていますけれども、ここで総理、もう一度聞いておきますが、これ、戦争が一日も早く、あしたにでもやめてもらいたい、心から世界も願っているわけだし、私も願っているし、総理も願っているでしょう。ところが不幸にして、世の中でよく言われますように、今年度三月末あるいは戦争が始まってから三カ月等々ということを言われておりますが、それ以上に、不幸にして――全然望んでいませんよ、そんなこと。望んでいませんけれども、万一この戦争が延びたとしたら、追加支援をするのですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 先ほど答弁は求めないと言われましたので、事実関係の説明だけ申し上げさせていただきたいと思います。  日本だけが増税というお言葉でありますけれども、事実として、アメリカは昨年の九月三十日、行政府と議会が合意をいたしました増税策をまとめました。そのときには、千三百三十八億ドルの増税というものがうたわれておりました。十一月の五日に決定がなされました増税策は、千三百七十二億ドルに徴税強化というものをわざわざ別項を立てましてプラス九十四億ドル、計千四百六十六億ドルの増税を十一月五日で大統領が署名をし、十二月一日から既にガソリン税は上がりましたし、一月一日からそこにまとめられました各増税は実行をされております。それが関係があるかないか、委員とはどうも私と違うようでありますけれども、増税は現に行われております。  また、ドイツにおいても、五十五億ドルをアメリカに提供し、五億四千万ドルをイギリスに提供することを決定すると同時に、その財源は増税をもってするという大統領のはっきりした発言が行われ、そのための今税目の検討がされておるという事実は、どうぞ御認識をいただきたいと思います。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 これはここで大蔵大臣とやりとりしたいと私は思いませんけれども、あなたはそうおっしゃるけれども、これはアメリカの双子の赤字と言われる財政再建のための増税なんですよ。大体去年この増税の方向が出た。その準備は、もっと数カ月前から始まっていたのですよ。そして、事実戦争状態に入ったのはことしなんですよ。クウェートがイラクに侵略されたというのは八月二日、それ前にこの増税計画はちゃんと準備されているわけですよ。――数字は若干動いたかどうか、それはわかりませんとしても。だから、アメリカの大統領ですら、増税はしなくとも戦争は遂行できます、予算内でできます、こう言っているのであります。私は、これはもうここであなたとやりとりしようとは思わない。これはもう財政再建の増税である、こういうことであることを強く強く指摘をしておきたいと思う。  そこで伺いますけれども、この九十億ドル、GCCを通じて支払われる、こういうことを今までの質疑の中で伺ったのでございますが、それだけ繰り返し繰り返し総理が答弁してきたように、私たちは、戦費に使ってはいけません、協力できるはずがありません、日本の憲法上から言っても、戦費ではうまくない、平和活動でなければいけません、だから非軍事に使ってもらうようにいたします、総理はこういう答弁を今までされてまいりましたね。そのことはそれといたしまして、もう一度大事なことですから確認をいたしますが、つまり軍事、軍事行動、こういうものには支出してもらわない。食糧とか輸送とかいろいろ挙げてありますね。数項目ほど挙げてありますが、その項目で、つまり通常言われるところの戦費には使ってもらわないようにいたします、こういうふうに言われました。そうですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 平和回復活動を支援する、その一部として我が国は湾岸平和基金に拠出をいたします。そうして輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連などの経費に充当する方針で、このことは最終的には湾岸基金の運営委員会で決められることになっておりますが、我が国の意に反する使途に充てられないよう確保できる仕組みとなっておりますということを、私はここで何回も繰り返して答弁してまいりました。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 それ、総理、非軍事に使ってください、こういうことですということじゃないんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 あくまで私が申し上げました項目で運営委員会に使ってくれ、ここで御議論になりましたときに、武器とか弾薬とかも全部あれではないかとおっしゃいましたから、そうではなく、こういうことに使うんですと言って細かく挙げたわけであります。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 どうも非軍事という言葉を使いたくないようですな。  それでは、このGCCにおける交換公文ですね。交換公文、公の公文、つまりこれは、ずっとゆうべも繰り返し読んでみましたけれども、公の手紙である。一番最初に「書簡をもって啓上いたします。」なるほどそういうものかな、こういうふうに感じましたが、お互いに交換する公文ではあるけれども、こちらからは、文書である、手紙である、したがいまして、私たちの日本の立場、意思を伝えることをこれに書けるわけですね。書いて当然でありますね。したがいまして、今総理が言われたように、つまり軍備――今軍備と言いましたが、これは取り消しますが戦費、非軍事のお金に使うという意味で、この交換公文にそのことを明記いたしまして公文を出しますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先生、今、従来の二つの交換公文に言及されましたけれども、そこに先ほど総理が言われました一般論、つまりこの拠出金は「湾岸の平和と安定の回復のため国際連合安全保障理事会の関連諸決議に従って活動している各国を支援するために次の使途に、使用される。」ということで、今までのところは資金協力とそれから物資協力が掲げてございますけれども、この資金協力が具体的に何に使われるかというのは、これも今まで御説明申し上げておりますが、従来はこの交換公文を受けまして運営委員会でそれぞれ決定をしておりまして、運営委員会で、この資金協力は航空機及び船舶の借り上げ経費その他の輸送関連経費を対象とするということになっております。  この次に関しましては、先ほど総理が申されました具体的分野を運営委員会の決定事項として決めていただくというのが日本政府の基本的な考えでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 その意思を、交換公文の「資金協力」、この下に括弧をして記入すべきではないんですか。日本の意思がそれで通るじゃありませんか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 重要なことは、先ほども総理が申されました日本政府の基本的な考えがしっかり確保されるということでございまして、私どもは、それは、交換公文上は今申し上げましたような一般的な書き方で対応して、それを受けまして運営委員会で従来からも決めておりますので、今回も国会で御承認をいただければ、その後、交換公文は一般的な形で結び、運営委員会で決める、そういう形で日本政府の基本的な考えは確保することができる、こういうふうに考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 総理、そういう意味も、かつて局長から答弁があった。今聞いてもやはり同じ答弁ですね。私は、日本の立場を明確にしていくことこそが大事だとこの際思いますね。特に、今度の九十億ドル、賛成ではないけれども、出すとする場合に、本当に理解して出さざるを得ない、金額は別ですよ、非軍事で必要だ、難民救援も含めて、そういうことも含めて出すことが必要だということになるならば、この交換公文の中に「資金協力」、括弧して出すべきじゃありませんか。書くべきじゃありませんか。書いてこそ国民の皆さんが、ああなるほど、これで戦費に使われないのかなというチェック、これができるんじゃありませんか。そういうことを事務当局にも、そうやった方がいいではないかということを事務方に、総理、指示するつもりはありませんか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先ほど総理が述べられました基本的な考え方はきちんと運営委員会の決定事項に反映されるようにいたします。  それから、運営委員会の決定事項は通常、私ども不公表ということにしておりますけれども、これに関しましては、きちんと国会の場その他を通じまして発表さしていただきたいと考えております。したがいまして、今先生が御指摘の点は、交換公文に書くとか書かないということよりも、よりそういうことが実際にきちんと確保されることであると私は理解いたしますが、それは今私が申し上げたような形でしっかり確保できる、従来も確保してまいりましたし、今後も確保できる、こう考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 ちょっとチェックできると思いませんね、私は。  しかし、時間が参りましたからちょっと進めますけれども、きのうですか、これは朝日ですけれども、この記事を見て私はショックを受けた。ある意味でショックを受けました。「イスラム圏高まる「反日」民衆の見方は参戦国」、こう出ているのですね。こんなことにならなければいいがということを考えておりましたけれども、こういう報道がされたことも私はショックです。つまり、いろんな報道をこのごろ聞きますというと、各国々で終戦に向けての作業が行われ始めているようであります。期持をしているところであります。それは、表面もあるし水面下もあるようでございます。我が国は、平和憲法を持つ我が国こそ大きな声で、それはイラクがクウェートに侵入したことはよくない、一日も早く撤退しなさい、当然のことでありますけれども、それだけ演説をしていても解決をする問題ではない。この「イスラム圏高まる「反日」」という報道に私はショックを受けたんですけれども、外務大臣、具体的に行動を起こす決意を伺います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 このアラブ地域の特殊性というものは、委員も御存じのとおり、長い歴史の中で今日の姿が形成されてきておるということは私どもよく認識をしております。今新聞でお示しのようなこと、それも含めて、このイラクによるクウェートの侵攻というものが、安保理決議を受けて撤兵を行い、そして正統政府が復活するというもとにおいて、初めてこの中東地域の和平の会議というものが私は構成されてくるだろうというふうに見ております。しかし、その時点に至りますまでの一つのこの地域の特性というものが私はあると思います。  それは、イラクとそれからシリアとのかねてからの対決、またシリアとイスラエルの対決、またエジプトとシリアとの対決、イランとイラクとの対決、いろいろと入り込んだ今までの歴史、また、イラクが、今回のようにアラブ軍までを含めた多国籍軍によって平和の回復の行動が行われるという中で、新しいアラブ社会というものがどのように構成されていくのか。恐らく、この戦闘が終わる、こういうふうな状況の中で、国連がどのように関与いたしますかは別として、いろんな関係国が新しい中東地域の安全保障と経済の復興のための話し合いをする舞台が必ずつくられるものと私は確信をしております。  そのためには、今までこの地域に日本は日本なりに協力もしてきておりますし、また、我が国の国益にとりましては、七割近い原油をこの地域に依存しておるという特殊な立場にもございますから、日本は経済国家として、この地域の経済の復興、戦災の復興、このようなものにこれから十分な協力をする用意と考え方があることはこの機会に明快に申し上げておきたいと思いますし、国連の事務総長とお目にかかった際にも、和平努力について日本政府はできるだけの事務総長を助けて努力をするということをお約束しておりますから、これから、外務省といたしましても、新しいイラクのクウェートからの撤退と安保理決議が受諾されるという事態から起こってくるあらかじめのいろんな情報についての収集に、目下全力を挙げておるところでございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 実は外務大臣、私は、まさかこんなことになるとは思わなかったのでありますけれども、だから申し上げるのでありますが、昨年の九月、社会党日中特別委員会訪中団に参加をいたしまして、この予算委員会の中での和田静夫議員も一緒でありました。国会議員七名行きました。その際に、中国におられる日本全権大使、橋本さんですか、日本の、この橋本さんと話し合う機会を得まして、長時間御指導をいただきました。大使は率直にこう言いました。外務省はイラク、イランを初めとする複雑な歴史的な要素をはらむ中東地域問題について知らな過ぎる。余りにも日本外交はアメリカ寄り過ぎます。留意すべきことはアメリカとの関係を一歩も二歩も距離を置くことであります。それが将来の日本外交にとって重要な課題だと考える。これは一言半句違う言い方は――違うかもしれませんよ。半句とは言いませんが、間違いなくこのこと、これは和田静夫委員とも話し合って発言していることでありますけれども、こう発言をされて、その発言がまさに大使、確信を持って言われておりました。私たちは、イラク事件が起きておるときであるだけに、非常に感銘を受けて御指導いただいたところであります。その他の話がありましたけれども、時間をとりますからここではやめることにいたしますが、これは心して聞くべき話ではないでしょうか。  まさにそうであるとするならば、今後の日本外交、点検をしなければならぬなとつくづく思う次第であります。今外務大臣も、中東湾岸地域は複雑な情勢がある、こう言われておりました。まさに私もそうだと思うんです。民族問題、宗教問題、先進諸国に、昔、好まざるにもかかわらず国と国との線を引かれたということもあるでしょう。この事態を踏まえて、私は日本の将来にとって、御指摘のように石油の七〇%をあそこに依存している我が国にとりまして中東問題は重大関心事でなければならない、こう思いますね。したがいまして、そういう話を橋本大使がしていて、それが明けて一月十五日ああいう事態になりましたので、やりきれない気持ちで実はいっぱいなんですよ。  そこで、大臣、伺いますけれども、湾岸戦争に突入しないように、国連での論議、各国々より、湾岸地域の国々等からも提起のありましたアラブ国際会議、これを持つことを日本政府は支持をいたしますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員お話しの会議の名称は中東和平会議というものではあろうと思いますが、それは従来から日本政府が支持をしてきた考え方でございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 もう一つ伺うことにいたしますが、パレスチナ問題を含む非常に難しい情勢にある中東湾岸地域に対する総括的な話し合い、この話し合いをすべきではないかと今こそ日本はアメリカに提言すべきときではないのかな、それが真の同盟国じゃないのかと思います。大臣、どうですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本政府といたしましては、かねてパレスチナ問題の平和的な解決というものに重大な関心も払い、努力もそれなりにしてきたことは御承知のとおりであります。私はPLOのアラファト議長とも直接話し合いをいたしておりますし、イスラエルの前の外務大臣とも話し合いをいたしておりますが、今回の事件の背景の一つにあるこのパレスチナ問題――今の国連の安保理の決議は、クウェート侵略とそれからイスラエルのパレスチナ地域のガザあるいはジョルダン川西岸地域の占領からの撤退という問題とリンケージさせない形での国連決議というものを今実行しているわけでありますけれども、私はやはりこの問題が解決される後において、中東全域の将来の恒久的な和平を構築するためには、パレスチナ問題というものの解決は避けて通ることはできないと思います。  日本政府の考え方としましては、イスラエルのパレスチナのガザ地域あるいはジョルダン川西岸地域からの撤退、パレスチナ人の民族自決権による国家の成立及びイスラエルの生存権の確認、この三原則を確実に守ることによってこの地域の安定が来るし、日本はそのような話し合いができた場合において、PLOに対してはテロの活動の停止も申し入れておりますし、これによって我々はこの地域の経済復興に協力をする用意があることも先般来申してきたところでございまして、日本政府といたしましては、この湾岸地域の恒久和平のために国家としてそれなりの協力をいたす覚悟でございます。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 先ほどから申し上げておりますように、我が党は、平和を一日も早く招来させなければいかぬ、そういう意味でむしろ戦後の、この戦争は一日も早く終わらなければいかぬが、必ず終わるであろうこの戦争、戦後の復興に対して貢献することが日本の唯一無二の貢献策ではないか、協力ではないか、こう思っているわけです。我が党は、難民の輸送について具体的に昨日も同僚議員から指摘をいたしました。軍隊の飛行機でない輸送方法を全力で準備をする、対応していく、医療での貢献、あるいは、食糧と簡単に言いましても、戦争が終わった場合の食糧輸送をどうするか、確保をどうするか、大変な問題であります。それから、油によってあの湾岸地域が大変な汚染をされている。この復旧に協力することもこれは大変な作業であります。また、難民の輸送だけではなくて、生活など暮らしの救援、これも考えなければいかぬ。これらにつきましてまず全力投球でお手伝いすることが日本の真の支援対策ではないか、支援の方法ではないか、こう考えています。  そこで、外務大臣、一日も早い終戦を願いつつ、ここまで来た事態でありますから、政府といたしまして、名称は別といたしましても、一応申し上げますと、湾岸戦争戦後復興連絡会議とも言うべき連絡会議みたいなものを構成をして、今私が急いで申し上げましたけれども、これらのことを戦争が終わったらどうやって総理が言われるように国際社会の一員として貢献するか、急いで対応する施策を準備すべきではないか、こう思うのです。いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 極めて重要な私は御指摘だろうと思います。  私どもは既に外務省内におきましても、この地域の平和が来た場合にどのような対応をするのか。御案内のように膨大なコストが使われ、我々の国も国民の税金を拠出して応分の責任を果たす、こういう状態の中で、この地域は、油を莫大に持っている国家と油に恵まれないアラブの国が併存をしている、こういう地域の特異性を持った地域でございますが、この地域の復興のためには、日本独自でやるものと、各国が協力をしながら、この地域の豊かな資源と資金を持った国家が応分の資金を提供しながら、日本も資金を出す、あるいは技術も出す、こういうふうな形での多国籍間の協力というものが極めて望ましい。それに対応する日本政府の考え方というものは既に我々の頭の中でいろいろと交錯をいたしておりまして、御指摘のような方向に向かって我々が、一日も早い戦火の終了を待つとともに、そのような新しい中東地域の和平の構築と繁栄のために努力をしていく構想を検討しなければならないと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 検討しなければならない、こういう答弁でありましたが、私が今、時間の関係でちょっと急ぎましたけれども、指摘をいたしました作業は一週間や十日でできるものじゃありませんね。例えばという表現をいたしましたが、連絡会議等々、対策本部でも結構でしょう、名前はどうでもいい。真剣に取り組んで、なるほど日本は戦後復興のために汗を流す、そういう考え方でいてくれるんだな、国民の皆さんも、そういうことであるならばということで理解をするでございましょう。いよいよ幾日かのうちに陸上戦が始まる、膨大な犠牲が出ると言われているわけであります。したがいまして、真剣にこの際、停戦に向けての先ほど申し上げるような我が国の行動、具体的な行動を起こすとともに、ただいま私が申し上げました、とりあえず提案をしたわけでありますけれども、そういう意味で政府内に若干の組織をつくりながら検討をしていく、こういうことで対応してもらいたいと思うわけであります。検討に入っているということでありましたから、再度外務大臣の答弁を求めまして、終わることにいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 政府といたしましては、この地域の平和と繁栄のために積極的に政策を検討することを始めてまいりたいと考えております。

串原義直日本社会党・護憲共同

○串原委員 終わります。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 これにて串原君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。  まず最初に、五日の本委員会で我が党の市川書記長が自衛隊機の派遣問題について、過去の政府答弁と今回の政令とは整合性がない、政府答弁の変更かと質問をし、整合性を立証する政府答弁を後日文書で提出するように求めました。その回答を要求したいと思います。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 ただいま草川君から要求のありました、去る五日の市川雄一君質疑の際に政府に対し文書で回答を求めておりました自衛隊法百条の五の授権の範囲と今回の政令制定との関係について、提出の用意ができておれば委員長に提出してください。  全委員に配付させていいですね。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 はい、結構です。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 それでは、全委員に配付いたさせます。  この際、工藤法制局長官より発言を求められておりますので、これを許します。法制局長官。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 ただいまの文書を読ませていただきます。   自衛隊法第百条の五の授権の範囲と今回の政令制定との関係について  一 自衛隊法第百条の五の授権の範囲について   (一) 自衛隊法第百条の五第一項によれば、航空機による輸送の対象は、国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者と規定されており、 (「括弧があるよ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。     輸送の対象は、「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」と規定されており、政令で定める者の範囲を特に限定していない。 (「法文どおり書いてこい、法文どおり。その下に括弧があるじゃないか」と呼ぶ者あり)

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 ちょっと聞いてください。はい、読んで。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員    (二) 前記の政令において、前記文言に代表列挙されたものとかけ離れたものを規定することは予定されていないが、かけ離れているか否かは、高位高官であるか否かという社会的地位にのみ着眼して判断すべきものではなく、その者の置かれた状況、国による輸送の必要性その他諸般の事情を総合して評価すべきである。   (三) 湾岸危機(イラクのクウェイトに対する侵攻及び占領以降国際連合安全保障理事会決議第六七八号に基づく国際連合加盟国のイラクに対する武力行使に至る一連の事態及びこれに引き続く重大緊急事態をいう。以下同じ。)という我が国にとっても重大な緊急事態に伴って生じた避難民については、国連の委任を受けた国際機関の要請を受け、人道的見地から国際協力としてこれを輸送することが適当であると認められる場合には、そのような避難民は、航空機を用いて国が輸送する対象として、前記の代表列挙された者とかけ離れた者である、ということはできない。したがって、かかる避難民を輸送の対象と定める今回の政令は、自衛隊法第百条の五の授権の範囲内にあるといえる。  二 過去の国会答弁との関係について   (一) 過去に、在外邦人の救出を自衛隊が任務として行うことと法改正の必要性との関係についての答弁が政府によりなされているが、これらの答弁は、自衛隊法に自衛隊機による国賓等の輸送の規定を加えるための同法改正案を御審議願う際等に、自衛隊に、自国民の保護としての在外邦人の救出を一般的な任務として恒常的に行わせるためには、法律上任務を付与する明確な規定が必要であろうという趣旨のことを述べたものである。      他方、今回行おうとしている航空機による避難民の輸送は、湾岸危機という我が国にとっても重大な緊急事態に伴って生じた避難民について、国連の委任を受けた国際機関の要請を受けて、人道的見地から臨時応急の措置として行うものであり、このような個別具体的な事態に対する臨時応急の措置としての輸送は、自衛隊法第百条の五の規定が予定する範囲のものである。   (二) なお、昭和四十八年及び五十五年の法制局長官答弁は、昭和六十一年に自衛隊法第百条の五の規定を追加する以前の答弁であり、同条の規定について述べたものでないことは明らかである。   (三) 以上から、今回の政令の制定は、御指摘の答弁と矛盾するものではない。 以上でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 今これをいただいたわけでありますが、百条の五のこの答弁の中には、正確に「内閣総理大臣その他政令で定める者(次項において「国賓等」という。)」という、そのような正確なお言葉もこの(一)の中にはないようであります。  あるいはまた、この委員会で当初、長官は、避難民の輸送を臨時応急の措置としてきたというようなことを答弁しておみえになりました。ところが、これを少し見る限りでは、国として輸送の必要性という観点から考えるべきだ、こういうように軌道修正をしておみえになるのではないか。でございますから、これでは「御指摘の答弁と矛盾するものではない。」と、こう言っていますけれども、我々は納得できないということだけここに明確に申し上げておきまして、本問題についてはまた別の機会に問題提起を同僚議員からさせていただきたい、こういうように思います。  そこで、総理とまず大蔵大臣に最初に御質問をしたいことがあるわけであります。  これは、総括質問の最初からこの九十億ドルについての積算の根拠についていろいろな意見が出て、総理も大蔵大臣も、実は先ほども出ておりましたけれども、自主的な判断で所要経費の一部を決定したという、こういう御答弁です。  たまたま米国の議会予算局ではいろいろな試算が出ていて、長期と短期というような言い方の数字を置いておみえになったようでございます。問題は、その長期は八百六十億ドルでございますか、戦争長期化のケース、それから戦争短期化のケースは二百八十億ドル、このことを言っておみえになったので、多分資料は同じだと思うのでございますが、私手元に米議会予算局の資料を取り寄せました。今申し上げたように、数字が同じですから多分これは同じ数字だと思うのですが、問題は、この湾岸戦争の費用試算の中身は、一九九一年度、九一年の九月まで、戦争短期化のケース、これは人件費、戦争遂行直接経費、主要武器補充、弾薬補充、医療費、その他経費というように分かれておりまして、先ほど私が申し上げましたように、短期では二百八十億ドル、長期では八百六十億ドルという数字になるわけであります。  問題は、主な前提なんですね。この中には何が前提かといいますと、兵員が四十万人。これは、実際は五十万人ですからこれは直さなければいかぬわけでありますけれども、当時では議会では四十万人。期間は数週間、短期の場合、地上戦十五日間、長期化のケースは数カ月間、地上戦三十日。戦死者・負傷者、短期の場合三千人、長期の場合は四万五千人。死者、短期の場合が六百人、長期の場合は死者七千八百人。被害、戦車、短期百台、長期九百台、戦闘機、短期百機、長期六百機。弾薬、ミサイル、短期一万五千発、長期三万発、弾薬同じく艦砲射撃が短期の場合は五百発、長期千五百発。こういうような試算になっているわけであります。当然大蔵大臣も総理大臣もこれを読んで本委員会で御答弁をなすっておみえになるわけであります。  私は、この試算をさらに分析をしていきますと、言わずもがなのことでございますが、過去のベトナム戦争の経過あるいは朝鮮戦争の経験がこの根拠になっている、こういうようなことも触れているわけでございますけれども、少なくともその戦死者の数まで予測をされた数字というのが提言されている。これは、ここに今日の近代戦争の恐ろしさ、あるいは冷酷さ、あるいはまた恐怖を私、実はこの数字を見て覚えたわけであります。  問題は、この数字を見て、本当に戦争の恐ろしさ、恐怖、玲酷さというものを私は痛感したわけでありますけれども、総理と大蔵大臣はそういう前提をネグって、いわゆる長期と短期、こういう計算があるからその数字ということは余り問題ではないというように私はすりかえて言われているのではないかと思うのでありますけれども、この際せっかく国民の目の前にこの予算書を言われたわけでありますから、その前提を見られてどのような判断をなすったか、基本的な大蔵大臣と総理の考え方だけまずお伺いをしたい、こう思うのです。どうでしょう。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今委員がお述べになりました数字は、まさに米国議会予算局の数字として私自身もしばしば答弁に使わせていただいた内容でございます。  ただ、これは事実問題としてお話を申し上げたいと思いますが、これは議会の数字でありましたために、ブレイディ財務長官と私がニューヨークでお目にかかりました時点では、ここまでの数字とはまた異なった数字がいろいろと出ておりました。というよりも、率直に言って、今後の戦争の推移の中で一体我々がどれぐらいの支出をしなければならないのか、あるいはその作戦行動の進展によってどれほどの犠牲を、人的犠牲の意味であります、を払わなければならないのか、現時点において想定できないというのが現実の話でありました。そしてその中において相応の協力をしてほしいというお話があり、まさに私はそれに対して相応の、応分の協力という言葉を使ったと思います、応分の協力を惜しまないということを確かに申しております。  これは私自身の率直な感じでありますが、私がニューヨークに着きました時点では、アメリカの空気はまだ緒戦の戦果というものに酔ったムードがございました。しかし、現地におりました間にまず第一に、捕虜となった米軍兵士の顔がテレビに映し出される、続いて戦死者の名前が画面に登場し、その御家族に対して慰めの声をかけてあげてほしいといった呼びかけがなされ、数日の間にその雰囲気は刻々と厳しいものに変わっていったと私は実感をいたしております。  私自身は小学校二年で第二次世界大戦の敗戦を迎えたわけでありますが、私自身も空襲の中を逃げて走った記憶を持っておりますだけに、そのころの記憶と重ね合わせながら、本当に一体この戦いというものがどうなるんだろうという恐ろしさを心の底から感じました。と同時に、現在も感じております。  そして今、往々にしてテレビの報道等の中でイラクの状況が映し出されておりますけれども、一体全くテレビの画面に映し出されないクウェートの状況はどうなんだろう、イラクに制圧されたままのクウェートの人たちは一体どのような生活をしておられるんだろう、その方々には犠牲者はないだろうか、そういう思いに駆られ続けております。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろアメリカ側から報道に出てくる試算の一つに、今お示しになった議会予算局の試算の短期の少ない方の分、長期の多い方の分、それぞれに私も当時から見ておりました。国連の決議に基づく平和回復のための武力行使に随分とうとい命とお金がかかるものだということにまず心を打たれると同時に、一日も早くこれが平和的に回復されるように、局面転換できるのはやはりイラクの決断でありますから、その意味でその決断の一刻も早いことを強く願いながらこの数字を見ておりました。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私がなぜこの問題を申し上げたかというのは、数字の突き合わせとか数の問題というよりも、この数字を見たときの直観する、政治家としての、日本の国の総理として、あるいはまた日本の国の本当の主要なまさしく日本の国を背負う大蔵大臣として、どういう感情があったのかということを聞きたかったわけです。なぜそういうことを聞くかというと、その感情によっては、これは大変だと。今大蔵大臣が言われたように、この悲惨さということが行われるならば次のアクションが私は出ていいというのです、日本の国のアクションというのは。例えば、イラクのフセインが悪いということはもう前提でお互いに議論しておるわけですけれども、ところがイラクのフセインなかなか今なお降参していませんね。非常に根強い抵抗をしている。なぜか。大変な武器を持っておるからでしょう。ところが、彼らが持っている武器というのは一体だれが提供したか。アメリカでしょう。ソ連でしょう。中国でしょう。フランスやドイツでしょう。こういう国々に対して、日本はやはりこの問題については国連の場で大国の責任を追及しようじゃないか、大国にも責任があるということを私は一面今言ってもいいと思うのです、世界に向かって。  私はこの数字を見たときに、もろちん今言われたように、国連の決議の実効性を確保する、こういうことは我々もやむを得ないという立場に立っておるんです、それは。立っておるからこそ逆に、早目に早目に、何ともならない、いても立ってもいられないという気持ちで、世界に対する大国批判をやるとか、あるいは世界の和平会議というのを一歩別の立場から問題提起ができる発想が生まれないのかということが言いたいわけです。その点はどうでしょう。お二方に改めてお伺いします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御指摘の点は全く同感でありまして、今ここで同感と申し上げておるだけではなくて、私は九月にニューヨークに参りましたときに、ニューヨーク大学の講演の中でその問題を明確に触れて、今後こういった問題をなくするために、これを供給し続けた問題、核兵器の拡散を防止すること、生物兵器、化学兵器など大量破壊兵器の廃絶に向けての今努力が国連を中心に行われておりますが、さらにそれを徹底していかなきゃならぬことを、通常兵器の移転についても一層の透明性と一層の公開性を求めていくことが、こういった問題を再発させないためのまず第一に今の時点で皆が考えなきゃならぬ問題だということを提起してまいりましたが、今後とも国連の場を通じての日本の積極的な努力を振り向けていかなければならないテーマであるし、そのように考えております。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 事実問題をもってお答えを申し上げたいと思います。  この一月のG7と昨年の九月のG7との間に非常に大きな違いが一つございました。それは、昨年の九月のG7の際には、湾岸に兵力を展開していない国は日本とともにドイツが存在しておったわけであります。もろちん、そのころはまだ西ドイツでもありました。そして今回一月のG7には、ドイツは、NATOのエリアの中とはいいながらトルコまで現実に戦闘機を派遣し、その要員を派遣し、そしてそれをもってG7の席上で、周辺国支援の論議の際に、我々も軍隊を動かした、だから負担を減らしてほしい、それだけの費用がかかるようになった、負担を減らしてほしいという発言をいたしました。  私が答えたのは、たった一言でありますが、日本はどこにも武器を売っていないよという言葉であります。そして、結局その周辺国支援について今回のG7は結論を得るに至りませんで、事態の推移を見守るということになりましたけれども、私は、その時点で軍隊を出していない、日本だけだという、ある意味ではこれは非常なつらさでありました。現に戦死者が出ておる状況の中でありますから、軍隊を出していないという各国の視線に対して、私は確かにつらい思いをいたしました。しかし同時に、イラクに対して兵器を製造し売りつけていない日本というものに対して、誇りを持ってその一言を述べることができました。  以上であります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 今、総理と大蔵大臣からそれぞれ、総理はニューヨーク大学で、これはこの前もここで答弁なすっておみえになりますから我々も承知をしておりますが、日本の熱意というのを、やはりこの際国連という場を通じて、大きな大きな力を、こんなに平和の熱意を持っておるということを私は示すべき時期だと思うのです。私は、こういう機会が来るのではないか、こう思うのでありますけれども、もう皆さんも御存じのとおり、米国は地上戦突入の時期を探る、本格的な検討に入るという意向を明らかにしたようだと、こう報道は伝えておりますね。チェイニー国防長官、パウエル統合参謀本部の議長、これを今週中に前線に派遣する、こういうニュースがあります。これは、もし地上戦に入ったとするならば、人命の損失は私が先ほど申し上げた程度ではおさまらぬと思うんですね。戦いは長期化するということはどうしても考えなければいけない。当然泥沼の戦いに入る可能性がある。この時期を私は非常に大きな転換点として日本はとらえて、日本は独自の和平提案なり国連に向けての何らかのアクションをこの際起こすべきだと思うんです。従来の立場で協力するのはいいんですよ。協力をしながらも、一歩違う発言をする、和平への積極的な提言をする一番いいチャンスがここ数日の間に私は来ると思うのです。あるいは、こういう報道があっただけでも、それはちょっと待ってくださいよ、これは大変取り返しのつかぬことになりますぞ、人の命がどれだけ多く出るかもわかりませんよということぐらいは、私は、今の答弁の中から、総理、大蔵大臣あれだけ言ってみえるわけですから、それは言えるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 一日も早い終結と、人命を一人でも少ない犠牲で終結させたいということは、これは当初から武力行使の目的が侵略の排除、平和の回復ということでありますから、その目的に向かっての終結の一日も早いことを願うとともに、そういった考え方やそういった意向を我が方も強く持って臨んでいきたいと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いや、私はここでの決意表明を聞いているんじゃないんですよ。要するに、総理みずからが何らかの具体的なアクション、行動を起こすべきではないだろうかと言っているのです。今の決意というのはもう何回か言っておみえになりますし、それは当たり前の話なんです。私は、そういう当たり前の話をもっと具体的に進めた御発言がこの際あってもしかるべきではないか、胸が痛まないのですかということを申し上げているんですよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この平和回復の状況を見て、私は皆さんと同じように強く胸を痛め、一刻も早く解決されるようにここでお答えをし続けておるのです。お尋ねに正直に率直に答えておりますが、この問題は、現に人の命が犠牲になっていく問題でありますから、それらが一刻も早く終結するように、そのことに関しては大きく心を痛めております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 じゃ、もし、これは仮定の話です、地上戦に入ったとするならば、どういう態度を表明されますか、総理は。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 多国籍軍に軍隊を送って参加していない日本でありますから、これは、そのようなことになる前に決断をして、フセイン・イラク大統領が世界の世論と我々の願いにこたえるべきだということを強く主張します。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ついでながら外務大臣にお伺いをしますけれども、もし多国籍軍が地上戦に入ったという場合を想定する場合に、多国籍軍の中にも意見対立は出てくるのでしょうか、あるいはそういう兆しは既に一部報道にはあるようでございますけれども、どのように把握をされておみえになるのか、お伺いをします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 多国籍軍における考え方の違いが地上戦闘に入った場合に起こってくるのではないかというお尋ねでございますが、私は、現在のところそのような分裂行動というものは起こり得ない状況である、また、そのようなことは考える状況にまだ来ておらないと思います。  ただ、一点この機会に、日本政府が先ほど軍備の問題で今までどのような発言をしてきたかということでございますが、日本政府としては国連総会において明確にこのように申しております。  軍備管理・軍縮に関して、昨年以降の東西関係の改善と相まって、米ソ戦略核削減交渉及び欧州通常戦力交渉が加速され、さらに東西関係全般の改善をもたらしていることは、まことに喜ばしいことであります。しかし、今般の湾岸における事態は、まさにこの観点からの警鐘と言えましょう。我が国の厳格な武器輸出規制政策は、国際的な平和と安全の維持に大きく貢献してきたものと信じております。以下、相当長文にわたりまして、日本の非核三原則それから武器輸出の原則、こういうものを国際社会で強く訴えて、国際社会の我が国の考え方に同調を求めてきております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 今外務大臣は、意見の対立は多分ないだろうと、こうおっしゃっています。しかし、私は必ずこれは、そうとは限らぬと思うのです。既に我々が承知をしておる範囲内では、地上戦というものに対する踏み込み方についてはいろいろな御意見があるやに我々も聞いておりますし、またこれは湾岸紛争の、湾岸戦争の一つの大きな分岐点だと思うのですよ。その分岐点に対して、私は、総理はいま一度踏み切った答弁があってしかるべきではないだろうか、こう思うのです。  これは繰り返しを言っておってもあれでございますから、もう一つ、これも非常に気になる発言でございますけれども、例えば、例えばの話でありますが、イラクがクウェートから撤退をする、湾岸戦争が終結をした後も米軍が引き続き軍事力を維持し続ける、プレゼンス、存在というんですか、をするとのアメリカの国防長官の発言があるわけでありますが、政府はこういうような動きについてどのような見解を持っておるのでありましょうか。よその国のことだからとおっしやるのか、あるいは中東だからとおっしゃるのか、あるいはそういうことは当然だとおっしゃるのか、我々も今後のためにお伺いをしておきたい、こう思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の発言は、チェイニー国防長官が講演等の機会におきまして、米国は従来から湾岸地域に海上兵力を有しておったわけでございますけれども、それと同様に、今次事態の解決後においても、その海上兵力という意味でのプレゼンスを持ち続けるということを述べているというふうに理解をいたしております。また、ブッシュ大統領それからチェイニー国防長官、いずれも、米国はその域内の諸国によって必要とされる限りにおいて米軍の存在を置くものでございまして、必要とされなくなれば引き揚げるということを従来繰り返し述べておるわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 その説明はいいんですが、それに対して外務省なり総理ほどのような御見解を持っておみえになるのか、お伺いをします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私は、平和回復が達成されたならば、その後であの地域における恒久の安定的な平和を確保しなければならぬと考えますから、それはどのような枠組みになるのか、例えばあの地域全体の安全のために、これはそのアラブの湾岸地域の国々のイニシアチブを尊重すべきですが、かかわってきた周辺の関係諸国もその相談に乗りながら、将来に向かっての何らかの機構なり枠組みなり、どう表現したらいいんでしょうか、平和が確保されていくようなものを皆の力でつくり上げていかなければならぬだろう、こういう考え方を持っておりますから、それは世界の平和を願う国連が、本来ならば国連がそれらの中で主導的な役割を果たし、その地域にそういったものができてくるということが大切だと思います。  日本の外交としては、国連の場を通じてそういったことを主張していくべきであって、そのためには経済の安定とか経済の発展も大事でありますし、日本はそういった方面のことについては、力ではお役に立てないけれども、協力をして平和確保のために参加していくことができるはずだ、こう考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もちろん国連を中心にというようなことを念頭に置かれるのはそれは結構でございますけれども、やはり私は、これは中東ということを考えるとするならば、おのずとアメリカというものは手控えなければ中東の真の和平というわけにはいかぬと思うのです。ここが非常に問題だと思うのです。これは、後ほどパレスチナ問題も言いますけれども、それを一般は、中東のこの長い長い歴史的な紛争というのは火を噴いているわけです。あるいはまたペルシャという、イランというのがある。ペルシャと、いわゆる同じイスラムにしてもいろいろな長い対立がある。そういうものを念頭に置くとするならば、単純にこれはひとつ国連にお任せしましょうというわけにいかぬ。やはりそれは中東は中東で考えてもらわなければいけない。  それで、日本はまた別の立場から、先ほど大蔵大臣が答弁されたように手を汚していないんだから、中東に対する一定の協力というのは別にある。私は、そういう視点でこのアメリカのプレゼンスという問題についても反応を示してもらいたいと思うのです。何も長々と経過を聞こうと思っていないのですよ。基本的な中東に対する物の見方というものを総理から我々は聞きたいわけですよ。ところが、今の総理の中東に対する将来の展望を含めた哲学というのですか、哲理というのですか、物の見方というものが伺えないから我々は非常に不満だということを申し上げておるわけです。もう一度御答弁願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私は、アラブのイニシアチブであの地域に恒久の平和が確立されるようなものをつくらなければならない、アラブのイニシアチブを大事にしながらいろいろな国が集まって機構なりなんなりをつくらなければならぬけれども、その根底の役割を究極的に果たすのは国連の場だということを、基本的な考え方を率直に先ほども申し上げましたが、繰り返し改めて申し上げさしていただきます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 じゃ、こういうことでどのような態度をとられますか。  UNRWAの話になりますけれども、国連パレスチナ難民救済事業機関というのがあることは御存じのとおりです。これが今緊急の食糧援助計画を各国にアピールをしております。ECはもう全体で素早い対応を示しております。私が今さら言うまでもございませんけれども、先ほど外務大臣も答弁をなすっておみえになりましたが、ヨルダン川西岸とガザ地区にパレスチナ人というのは百七十万おります。これは難民じゃありませんよ、九十万だけが難民で、あとは普通の生活をしておる方ですから。ところが、一月十六日以降イスラエル政府によって外出禁止令になって、もう町が閉鎖されております。出口、入り口は、本当に人間一人通る程度の入り口しかない。だから当然食糧が不足になっております。買い物にも行けないわけです。外出禁止令ですから仕事がないわけです。現金収入がない。もちろん占領地経済全体が大変な悪化をしておりますね。そこで、この国連パレスチナ難民救済事業機関というのは、一人一日千カロリーの食糧をとりあえず三カ月間各国に出していただきたいという緊急援助のアピールをしております。今申し上げたように、ECは千二百万ドルぽんとこう出しましたね、素早く。日本政府は今もってノーアクションですよ。  これはどのように判断をしたらいいんでしょうかね。総理の今の中東というもの、アラブというものを念頭に置いて、しかもその裏にはイスラムというものを頭に置いて中東というものを考えられるならば、当然この問題は速やかに、どの国よりも早くそのUNRWAの協力に応ずるべきじゃないでしょうか。これは将来大変私は日本の中東政策に生きてくる行動だと思うのですが、その点はどのようにお考えになるのか、答弁願いたいと思うのです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 パレスチナの占領地域におけるイスラエルの厳しい制圧について、日本政府は、既に昨年来イスラエル政府に対して外交チャネルを通じて厳しく、このパレスチナ人の自活のための自由といいますか、そういうものを認めるように要請をいたしております。  なお、食糧援助におきましては、昨年末に第一回、日本政府は既に実施をいたしておりますが、細目につきましては近ア局長から御報告をさせます。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 占領地のパレスチナ人に対する援助につきましては、従来から日本がUNRWAを通じて現金拠出のほかに食糧援助をやっております。一番最近の例が、先ほど大臣から御答弁のございました、昨年の十二月に十億円余の食糧援助を行っております。その後、一月の二十四日になりまして御指摘のアピールがございまして、現在、これにどう対応するか鋭意検討中でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 だから、その鋭意検討中はいいけれども、こういう問題は、早く早く手を打たれるのが今総理が言われたようなことになっていくんじゃないでしょうか。ただいまのところまだ検討ですから、そんな検討する必要ないでしょう、これ。もっとクイックアクションでやれるはずじゃないでしょうか。もう一度、これは総理に決断を示していただきたい、こう思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 突然の御質問でありましたので、具体的なことを今確認いたしました。できるだけ早急にやるようにいたします。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 突然じゃないですよ。ずっと私はこれは予告してあるのですからね、それは聞いておってくださいよ、こういう重要なことは。  私は、いずれにいたしましてもこういうことに早く手を打つことは、結果としてアメリカに対しても国連に対しても新たな信頼が生まれてくる、こう思うのです。何も私は政府の揚げ足をとった質問をしておるつもりはありません。こういうときにこそ、みんなで協力をし合って世界の危機というのを一日でも早く解決するようなことをお互いに知恵を出し合いながらやるべきだ、こう思っておるところです。その点は、ぜひ対応を立てていただきたいと思います。  そこで、今度は二番目の話になりますけれども、自衛隊のC130の準備状況の問題について触れていきたいと思います。  私の基本的な考えというのは、昨年のあの国会で自民、公明、民社、それぞれが今後の国連平和あるいは平和協力隊にかわるべきものの合意があるわけでありますけれども、それを全く無視して今回の輸送協力まずありき、こういう形で海外派遣の実績づくり、既成事実を積み上げていこうとする態度に、私は実は我慢がならぬわけであります。そういう立場から、一体今自衛隊の隊員の皆さんはどのような考えを持っておみえになるのか、いろいろな意見を聞きながら今からの質問をしていきたい、こう思うのです。  まず、これは官房長官にちょっとお伺いをいたしますけれども、今問題になっております自衛隊法百条の五は、たしかかつて総理府においてサミットの要人輸送のために購入をしたヘリコプターの維持管理を自衛隊に移すために制定された条文であったのではないかと思うのですが、官房長官、その点どうでしょう。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○坂本国務大臣 百条の五ができましたきっかけとしては、委員がおっしゃったようなことだと私も思っております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 ですから、これも防衛庁にお伺いをしたいと思うのですが、今のような経過があるわけですから、この五の二項に航空機を保有できると明記してあるわけでありますけれども、この航空機というのは一体どういう航空機を指すのか、また保有できると明記をした理由は何か。これは今のような経過からいうと、やはり政府専用機のようなものを念頭に置いてこの法律ができたわけでありますから、そういうようにこの条文を受けとめている方々が多いのではないでしょうか、こう思うのですが、その点、長官どうでしょう。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、百条の五の第二項におきましては「国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。」そのような規定がございます。ここの二項の規定では航空機の種類は必ずしも限定されているわけではございませんけれども、御指摘のように、主としてこの国賓等の輸送のために使う輸送機をということが二項の規定でございます。しかしながら一方、一項の方におきまして、任務遂行に支障のない範囲内で輸送ができるという規定もあるわけでございまして、この百条の五の輸送の任務に用いる飛行機は二項で規定される航空機だけではない、その他の航空機であっても主たる任務に支障のない限度内において国賓等の輸送に供することができますし、現にYS11などをそういったふうに運用したこともございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は、日本のあの自衛隊の隊員というのは実に勤勉で非常によく勉強されて、非常に国の平和のために一生懸命努力をするという気持ち、みんな持ってみえるのです。国会で昨年の平和協力隊の議論も非常によく勉強しておみえになる。そういう結果も承知をしてみえる。ところがことしの、御存じのとおり一月の十七日、国連のこういう行動、その後日本政府の対応、それを伝える日本の各種の報道を見て、本当にすべてがすべてとは言いませんけれども、我々を含めて政治家に対する大変不信感を持っておみえになりますね。我々は行けと言われたら行きますとみんなおっしゃる。みんなおっしゃる。ところが、日本の政治家というのはどうしてこういう議論をされるのですかという不満があるのですよ。実は私はそれは、純情な自衛隊の隊員にも相済まぬ経緯ではないだろうか、こう思うのですよ。大変無理な、常識ではわからないような理屈というのが今政府によって行われているということだけを私まず最初に問題提起をしたいと思うのです。これは長官、また後で隊員のことも聞きますけれども、篤と、まず前提として私は、この湾岸協力あるいはまた日本の今後の防衛力のあり方、わかりやすく、国民が理解をして、よろしいと言うような運営をぜひしていただきたい、こういうように思います。  そこで、これは外務省に一番最初に具体的なことでお伺いをしますが、今回出動するC130は護衛機なしで行くわけでございますけれども、この自衛隊機というのは国際的には軍用機として評価されるのですか。どうでしょう。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、自衛隊は憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の厳しい制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なっている面もあろうかと思います。また、自衛隊の国際法上の地位につきましては条約等の具体的な規定に照らして判断すべきものと思いますけれども、一般的に見まして国際法上は軍隊として取り扱われます。そして、自衛隊に所属する航空機は、すなわち自衛隊機は、国際法上軍用機に該当するものというふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 今、軍用機としての評価、こういう答弁がありましたけれども、このC130の派遣は、一応飛ぶ場合には民間空路を使用するという答弁が出ておりますね。ところが、実際戦闘空域になってまいりますと、特に中東の今回行く、どのような経路でジョルダンに入るのか、あるいはまたエジプトに入るのか、さまざまな状況変化があると思うのでありますけれども、米軍あるいはまたは多国籍軍から情報というものを提供を受けながら飛ぶわけになるのですか。それとも、今のように民間機で、この場合は裸で行くんだから民間だけの情報で行くんだというふうになるのか。技術的なことでございますが、お伺いをしたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、今回参ります輸送機は避難民の輸送ということで参りまして、そして通常民間機が飛ぶのと同じような飛行ルートを飛ぶということでございますので、その飛行ルートにございます各国の航空コースの管制当局、そういったところとのコンタクトのもとに飛行するということになる、このように想定されます。もとより具体的にこの任に当たる場合の話でございますか。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 これも仮定の話になりますけれども、いわゆるIFFコードというのがあるわけですが、敵味方識別信号、こういうものの供与というのは受けることになるのですか、それともないまま行くわけですか。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○畠山(蕃)政府委員 お答えいたします。  いわゆる敵味方識別信号というのは、飛び立つ前に相手国の当局からそれぞれ特別のコードナンバーをもらう、これはそういう形で実行されることになろうかと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 午前中の質問で、もしトラブルということの質問がありましたね。それで長官は、万万が一あった場合には日本政府が責任をとる、こういう話でございましたが、その中には、もしイラク側の攻撃によって被害が出た場合でも日本政府が対応するのですか。どうあろうとそういう場合だったら、実行できるかどうかは別ですけれども、攻撃されたイラクに請求するのじゃないですか、それは。午前中はそれも国が責任を持つとおっしゃいましたが、見解をお伺いしたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  午前中の質疑におきまして私が答弁いたしましたことは、そういうことが起こらないようにありとあらゆる配慮をしてまいるという前提で、そして万一あるいは億に一つでもそういうことになりました場合には、日本の政府においても適切な対応をしなくちゃいけない、対処をしなくちゃいけない、そういうふうに申し上げたと存じます。  なお、その法律的な観点につきましては、所管の外務省の方から国際法上の観点から御答弁を補足いただきたいと思います。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  万が一という理論的なことになるわけでございますが、自衛隊機をイラクが一方的に攻撃した、撃墜したというような場合につきましては、このようなイラクの行為は我が国に対する国際違法行為でございまして、国際法上、我が国としましてはイラクの国家責任を追及し得ることになるわけでございます。したがいまして、その国家責任の追及の態様といたしましては、国際法上、損害賠債の請求も行い得るということでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 仮定の話ですから議論はこれ以上やりませんけれども、しかし、前段の答弁では軍用機として識別されるということになってまいりますと、非常にこれは難しい議論になると思います。これは改めて別の機会で議論をしたいと思うのです。  時間がございませんので、ちょっと皆さん、今から私が発言するのは去年の話になりますから、ことしの話と間違えないように聞いていただきたいと思うのです。去年、自衛隊のやはり輸送協力というのが問題になって、国会でもいろいろと議論をした。防衛庁は昨年、いわゆるこの輸送協力を受け持つ隊員に対して、あるいは基地に対してどのような海外出動についての準備を指示をしていたかどうかをお伺いしたいと思うのです。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○畠山(蕃)政府委員 お答えいたします。  去年はそういう準備はいたしておりません。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 航空自衛隊の幕僚監部としてC130の派遣検討をしていたと我々は聞いておりますけれども、どの程度まで検討されたのかお伺いします。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○畠山(蕃)政府委員 去年のことでございますが、いろいろな意味からその研究をしているということはあるいはあったかもしれません。正確なことは、恐縮でございますが、私今現在承知しておりません。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私、何もこれは今、きょうここで急に発言しておるのじゃないですよ。何回かレクチャーをやって発言をしておるということだけ承知をしておってください。  昨年の八月、これは在日米軍が中東に当然のことながら行く。ですから在日米軍の輸送というのは非常に手薄になる。だから日本で肩がわりをしてもらいたいという話し合いは、私、昨年あったと思うのですが、その事実も否定されますか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま草川委員御指摘の問題は、在日米軍のかなりの部分が出ていく、したがいまして日本の国内における輸送について肩がわりを、そういう御趣旨かと存じます。  私の承知しておりますところでは、具体的なそういう要請とかその話はあったとは承知しておりませんが、御承知のとおり、日米で共同訓練ということが行われることがございます。そういったときには、教育訓練の一環として相互に輸送手段を提供するということはあり得るわけでございまして、そういったものとの一環として、駐留する米軍を日本の国内で教育訓練の過程において日本の輸送機が運ぶということがどうだということが現場レベルで話題になったということはあったというふうに仄聞しております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 そこで、時間がどんどん過ぎましたので一つだけ問題提起をしますが、実は、昨年のときに各基地にある――各といってもC130は小牧基地だけでありますけれども、いわゆる砂漠作戦用の迷彩用の塗料の見積もりを行っておる事実があるわけですよ。ですから、私は先ほど来から聞いたわけです。だから、そういうことをやっていいのか悪いのか、あるいはそんな程度のことは日常活動、ルーチンワークで何が悪いんだ、こういう議論になるのか。しかし事は今回の場合も後で同じなんですけれども、少なくとも輸送隊としては、これは府中にある基地司令の方かどうか知りませんけれども、昨年来からC130というものがいつでも中東に派遣できるようにわざわざカムフラージュ用の塗料の研究までしていた。一体どれくらいかかるんだろう、それはどこの工場に入れたらいいんだろう、こういう指示までしておったわけでありますが、その事実は御承知でしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  私、ただいま委員御指摘の事実については承知しておりませんけれども、先ほど防衛局長の答弁でも若干ございましたけれども、具体的に何かの任務に従事する場合に、事前の準備もございますが、その前に検討あるいは調査あるいは研究という段階もいろいろあるんだと思います。それは、そういった任務を具体化する可能性と申しましょうか蓋然性、むしろ可能性と言っていいのでございましょう。それの程度に応じていろいろなことがあり得るのだと思います。しかし、委員御指摘の事実については承知しておりません。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 この問題は、だれがどうのこうの言ったというようなことを私が申し上げますと差しさわりがありますし、それが本来の目的ではございませんので、これは私が責任を持ってそういう話があったということだけは申し上げておきます。  そこで問題は、ことしになるわけでありますけれども、長官の指示、いわゆる中東における避難民の輸送に関する長官指示というのは一月の二十四日ですよね。一月の二十四日以前にC130のいろいろな緊急整備をするという――ごめんなさい。もう一回整理をしますと、一月二十四日に長官が指示をした具体的な内容は五つあります。その四に、C130H型機の緊急整備という項目があるのです。緊急整備というのは一体どういうことか、お伺いしたいと思います。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  今回のケースにつきましても、いろいろな段階におきまして、それに必要な調査なり研究なり検討を行わせてまいりました。御指摘の一月二十四日と申しますのは、安保会議におきまして政府としての対応策を決定したその日でございます。その中に、自衛隊についても今回のような任務があり得るということが、必要に応じそういう任務が課されるということがあったものでございますから、私の方から航空幕僚長に対しまして必要な検討や準備を進めるように指示いたしました。  その中での緊急整備という点でございますが、これは具体的には事務当局から必要ならば補足させたいと存じますけれども、今回想定されるこのような任務に備えて必要な整備をしろと、しかし、定期的な整備をやっておりまして、そのときにそういった今回の予想される、想定される任務を念頭に置きながら整備をやるようにと、そういう指示でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は事前に防衛庁とお話をして、いわゆるC130の整備というのはどういうものがあるだろうというので、私が得た資料では、整備、飛行前、飛行後の点検、定期検査、特別検査、定期修理、こういう資料がございましたので、そうではないでしょうと、いわゆるこういう時期ですから、今長官が答弁されたようなことを私は申し上げた。そういう事実はないというレクチャーでの話でございました。  そこで、基地では既に十七日、十八日、十九日からもう想定をされた大変な準備活動が始まったわけですよ。それで残業がある。普通は土曜日は残業はないんだけれども、深夜残業もある。日曜日、普通は休むんだけれどもみんな出勤をしておる。大変なことですね、どの程度こういうような出勤をされておるのですかと言って防衛庁に資料を請求をいたしました。どの程度の方々が準備をしておるのですかと私は質問したんですが、残念ながら今日まで、土曜出勤者あるいは日曜日出勤者何名という返事が我が手元に来ないんですよ。もうこれ九日間になりますよ。基地の従業員の勤務態様を私が要求して一週間かかって、十日近くかかっても来ないというのは一体どういうことなんでしょうね、これ。きょうくれますか。ここでも出さぬでしょう。きのう来から言っているんですが。そんなことなぜ秘密なんですか。みんなで御苦労さんですね、大変ですねと言っているわけ。それがどうして出ないんですか、そんな対応が。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 ただいまの委員からの御指摘の件、私現在まで承知しておりませんでしたけれども、恐らく今回の問題につきましては、この国会におきましてもいろいろな御論議がございます。したがいまして、私どもの方といたしましてもあるいは自衛隊におきましても、いろいろな所要の準備は進めておるわけでございますけれども、それもやはり余り先走ったことはやっちゃいけない、必要な限度内でやらなくちゃいけないということで、非常に神経を使いながら現場でもやっておるんだと思います。そんなこともございまして、言葉はちょっと適当でないかもしれませんけれども、余りにも少し神経過敏になり過ぎているところもあるかもしれません。まあいろいろございますけれども、この国会の審議のために必要な委員からの資料御要求でございますならば、私、常識的に考えましてどうしてもお断りしなくちゃならぬ事情があるとも思えないのでございますけれども、私もその事務に余り詳しくございませんので、検討いたしまして早急に対応さしていただきたいと存じます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私は持ち時間が非常に短いので、これ以上議論を進めませんけれども、私が言いたいのはいわゆる文民統制なんですよ。シビリアンなんですよ。現場の基地の従業員の人が、どうなるのでしょうか、みんな心配しながら対応しておるわけですよ。我々だっていろいろと会う機会があるわけです、我が選挙区の人ですから、これ、みんな。そうでしょう。一体どう答えるんですか。本当に草川さん、行くんですか、行かぬのですかという質問ばかりですよ、今。家族の方だって山ほどいますよ。保険に入ろうと思ったって、戦争免除を外してくれないのでしょう。保険会社、引き受けないんだから。当然家族としてはそういう質問をしますよ、我々に。どう答えていいのか。それで一体本当に残業をやっているんですか、公休出勤やっているんですか、いつからやっているんですかと、こう聞いたら、その資料はないとこう言うのですから。そんなばかなことで我々は本当にこれだけの重要な話にどう審議していったらいいのか。初歩的な話ですよ。  ですから私は、ここでいわゆるシビリアンという問題について一体防衛庁長官はどのようにお考えになるのか。だから、日常活動でここまではいいというのはどんどんやってくださいよ、それは。我々も理解をします。こういうように、先走ってはいけないというのだが、実際先走っているじゃないですか。去年も先走っている。ことしも先走っている。我々が知らないだけの話ですよ。これがひとり歩きをすることが怖いんです、今私が言うのは。だから、今回の場合は非常に小手先のことをやるから、大手を振って国民に問題提起をしていないからこういうことになるのですよ。そうでしょう。大手を振って日本の国はどうあるべきか、輸送協力はどうあるべきかということで議論しなさいよ。我々だって、去年の暮れにあれだけわいわいわいわいやって、泥をかぶりながら、いろいろな批判を浴びながらも、日本の将来のためには自民と公明と民社が将来のあるべきことを決めたんですから。なぜ我々にそういうことを言わぬのですか。今ちょっと総理がいませんけれども、答えてください。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 こういった任務に当たってまいります自衛隊の隊員の立場あるいはその心情、それから家族のいろいろなお気持ちに対して大変な思いやり、お心遣いをちょうだいしておりますことに対して、心から感謝申し上げたいと存じます。  さて、シビリアンコントロールいかんということでございますが、我が防衛庁の中におきましても、文民統制の徹底というものには常に心を砕いておるところでございます。そういったことでございまして、今回のケースでも、先ほど申しましたようにいろいろな検討や準備を進めますけれども、それも文民でございます防衛庁長官の私の指示を待って現地においては進めておるわけでございます。先ほど申しましたのも、残業等々というような話がございました、その資料を御提出しなかったことにつきまして、少し神経質になり過ぎたのじゃないかと申したわけでございますけれども、それだけではなくて、現地におきましては、文民統制の観点からいいまして行き過ぎがあっちゃいけないという点についても非常に心を砕いておりまして、具体的に私の方に指示のないことはそんなに進めていないと存じます。むしろ外へ出す、外へと申しましょうか、資料とか情報をあちらこちらへお出しすることがあるいはいろいろな論議を巻き起こしちゃいけないというところに神経を使い過ぎているんだと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 今の長官の答弁がまさしくシビリアンコントロールの問題なんですよ。長官、知らないでしょう。それで、そんな残業であろうと公休出勤であろうと心配することないじゃないですか。しかし、それを部隊が隠そうとするところに私は基本的な文民統制の第一歩の過ちがあると、こう言っているのですよ。  これは総理、ちょっと今途中でお見えになりませんでしたが、私の問題提起は実にささいなことだけれども、これがひとり歩きをすると私は怖いということを言っているんですよ。文民統制の基本的な決意をこの際総理から答えてください。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 総理の前にお答え申し上げます。  資料提出の件については調査させまして早急に対応させたいと存じますけれども、決して先走った行動をしているわけではございません。確かに、今回超過勤務であるとか残業とかいうことがあったという事実は承知しております、具体的な人数とか時間は承知しておりませんが。そうしてまた、そのような作業と超過勤務なども、私からの指示に基づいての行動でございます。先ほど、二十四日に私ども指示をやりまして、その前の十何日のことのお話がございましたけれども、二十四日に私が指示いたしましたのは、正式の文書による指示でございます。実はその前に、十七日に総理が記者会見におきまして、こういった自衛隊の輸送機の派遣の可能性も検討するという御発言がございました。そして同日、事後的に安保会議でもそういったことについて決定がございました。そういったことを踏まえまして、その段階で、私の方から既に航空幕僚長に対しましてある程度の検討を進めるように指示しておりますので、そういった現地における超過勤務等のことも、シビリアンである私のそういった指示に基づいての行動であると思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もう一回念を押しますけれども、長官の言われたのは今の答弁にあるように二十四日以降の話ですが、私の問題提起は十八日からのことを申し上げているのです。総理のこの湾岸についての御説明が自由民主党との間であったのも、あれはたしか十八日じゃなかったですかな。十七日だったですかね。十七日の午前中に長官は、湾岸問題については防衛庁に対しては公式の要請なしという答弁。その十分後に海部総理は官邸で、その用意ありという御発言なんですよ。だからあなたの方も知らなかったのですよ、朝の記者会見では。十分後の総理の方でそれが証明されておるのです。それは時系列的にどういうことをやったかというのは私、ちゃんと書いてあるのですけれども、もう時間がございませんので、総理からシビリアンについての基本的な考え方をいま一度明確にしてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 確かに十七日に私の談話でその可能性について検討をするということを言いまして、それから長官にその可能性について検討をしろと指示をしたわけであります。  それから、シビリアンコントロールというのは、あくまで日本の自衛隊のいろいろな行動については文民である我々がきちっといろいろなことを指示し、守るべきものは守り、指図すべきものは指図をしていく。そしてそのシビリアンコントロールの最後は、この国会で自衛隊の年間の経費その他の問題についても十分御議論を願って決めていただくということでありますから、その線だけはきちっと守っていかなければならぬ線であると私は自覚をいたしております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 時間がないので次に移ります。  ゴルバチョフ大統領の来日と北方領土問題についてです。  時間がございませんので簡単に、前略をいたしましてポイントだけ申し上げますと、昨年の七月、ロシア共和国最高会議は、レニングラード、シベリア南部のチタ州、沿海地方、そしてサハリン州、これは樺太ですけれども、などを自由経済地区とする宣言を採択をしました。この自由経済地区構想というのは主に海外からの投資促進が目的で、ロシア共和国のソ連邦からの経済的独立に向けた第一歩だと評されておる問題です。これを受けてこの構想に最も熱心だと言われるサハリン州は、サハリン州における自由企業活動地域の法的地位に関する州の条例を昨年の九月に採択をいたしました。その後、この条例はロシア共和国最高会議に送付されまして、早ければことしの四月から五月ごろにはサハリン州を自由経済地区にする法案が承認されようとしておるところです。外務省にこのサハリン州における自由経済地区の進捗状況はどうかということを質問しますが、時間がございませんので、大体これは私ども聞いておりますので後で結構です。  問題は、このサハリン州を含む自由経済地区の対象は全部で十一カ所あるのです。サハリン州だけが先行するということは考えにくいというようなことを外務省は言うのではないか、こう思うのでありますけれども、それは後ほどにいたしまして、この自由経済地区になることが近いとの期待が諸外国からも非常に高まっておるので、的確な情報をつかんでもらいたいということを問題提起したいのです。  なぜかというと、外務省はこの具体的なことを承知しておみえになりません。承知をしておるなら後で言っていただきたいのですが、私が調べたところによると、主な内容が五、六点あるのですが、一つは、外国資本一〇〇%の投資が可能だという条件があります。それから、サハリン州――私が何回かサハリン州と言っておりますのは、向こうのサハリン州というのは北方領土が入っているのですよ。それを念頭に置いて聞いていただきたいのですが、サハリン州にとって有益な条件を提示した外国企業に対しては、最大限七十年間の土地使用を認めると言っておるわけです。進出した外国企業は、事業内容によって税制面で有利な条件が与えられる。事業により得た利益は、納税後外貨で国外へ持ち出しができる。投資金は償却後外貨で国外への持ち出しができる。収益がソ連通貨の場合、サハリン州内での新たな投資が許 される。また国外への持ち出しもできる。製品の輸出ができる。こういう条件になっておるわけでありますけれども、この投資に対しての条件を定めるのは、サハリン州政府内に設置をされた経済委員会の権限。  ソ連側の主張によりますと、今私が申し上げましたように、北海道の一部であった歯舞諸島、色丹島、また日本固有の領土である国後、択捉両島はこのサハリン州の中に含まれているわけであります。ここが我々は非常に注意をしなければいけない、注目をしなければいけないわけでありますけれども、サハリン州が自由経済地区となった場合、外国企業が北方四島に進出をした場合、北方領土問題に大きな影響力を与えることは当然のことですね。北方領土に外国企業が進出をしている計画について外務省はどのように把握をしておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○兵藤政府委員 お答えをいたします。  まず、最初の御質問でございますが、サハリン州の自由企業活動地域がまだ発効に至っていない理由、これは私が承知しておりますところでは、先生仰せのとおり十一の地区が指定されたわけでございますけれども、そのときにロシア共和国最高会議が、同時にこの個々の具体的ないろいろな施行の細目、これはそれぞれの地域のソビエトがまず法律を採択する、しかる後に共和国最高会議に提出をする、こういう手続でございます。そのとおり、まさに仰せのとおりサハリン州は提出をいたしました。ところが問題は、ロシア共和国最高会議がこれを承認をいたしませんでした。これを拒否いたしました。したがいまして、その後に諮問委員会が設置をされまして共和国とサハリン州の間でなお話し合いを続けている。この話し合いは、先生仰せのサハリン側の考え方に対してそもそもの根本論、つまり資源の所有権がどうなるか、課税、関税の権限がどうなるか等々、共和国と州との権限につきましてまだ明確なラインが出ていないということが私は最大の原因だと承知しております。  それから二つ目の問題、先生が仰せになりました北方領土との関連でございますが、これは実は一月の初旬に在ソ大使館に届けられましたソ連外務省の口上書に、ソ連邦のかなりの部分で閉鎖地域を解除するという通告が参りました。その通告の中に仰せのとおりサハリン州、もう少し詳しく申しますとサハリン州の中でも今まで完全に閉鎖地域であった北方領土の一部が入っておりました。これに対しまして、私どもは早速外交経路を通じまして、ここは日本の領土である、したがってその行政措置というものは私どもは認めるわけにはいかないということをきちんと既に申し入れてございます。仰せのとおり、ここは日本の領土である、したがって合弁であれ何であれ、そういう活動というものは私たちの日本国政府の立場と相入れないという認識で私たちもおります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 その具体的な外国企業の進出計画を掌握しておみえになりますか。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○兵藤政府委員 北方領土との関連という御下問であれば、私どももいろいろ内々調査をいたしましたけれども、具体的な計画があるという確認はいたしませんでした。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 私どもがサハリン残留韓国・朝鮮人問題を長い間やっておりますので、それなりのお話を現地の方々、これは一般民衆というよりはかなり高いレベルの方々の御意見等も聞いてまいりまして調べたことを今から申し上げますので、これを確認していただきたいと思うのです。  一つ、中国のある機関が一九九一年より南千島に公共施設(住宅、学校、病院等)を建てる権利を取得した。二番、中国のある機関が南千島の漁業権と水産物加工工場をつくる権限を取得した。三番目、韓国系のある企業、名前が若干あれでございますけれども言いません、ある企業が南千島に土地を確保し、漁業権と水産物加工工場をつくるライセンスを持った。四、米国のある人物が、名前はわかっておりますが申し上げません、南千島の島を一つ確保し、レジャー施設の建設を計画しています。同氏は、レニングラード市のボランティア運動に既に百万ドルを寄附している人物と伝えられております。五番目、韓国のある企業が南千島への進出についてサハリン州と現在話し合いを進行中であります。六番、米国の企業が南千島における水産物加工工場設置のライセンス取得のため州政府と打ち合わせを行っております。七番、米国とスウェーデンの合弁企業が南千島にレジャー施設を建設するため州政府と交渉中であります。八番、北朝鮮が南千島における七十年間有効の漁業権と工場や住宅等を設置する権利を取得しつつあり、部分的にはことし取得できると言われております。  今現時点では、先ほど局長が言われましたように、共和国の法案が承認をされていないので、この中には、外国資本一〇〇%の投資ではなくて、ソ連側との合弁事業が中心と思われますけれども、いずれにしましても、北方領土を含むサハリン州南千島郡でこれだけの計画が進められているわけでありますから、私は、外務省は知らないというわけにはいかぬと思うのであります。ですからこれは、一方では北方領土の問題は、返還運動はこれから進められるわけでありますけれども、外国企業がそこでもう既得の権利を取ってしまうということになりますと、これはこれでまた大変厄介な話になるわけでありますから、私は実はここで、嫌みではございませんけれども、外務省というのはどういう情報調査をやっているのか。この私の提起したことが違うなら違うでいいのです。別に全く違うなら違うでもいいのですけれども、承知をしないというのは問題ではないか、こう思うのですが、お答えを願いたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○兵藤政府委員 ただいま先生がいろいろ列挙されました例の中で、例えば冒頭に挙げられました中国が関係をいたします件につきましては、私どもも中国の外務部を通じていろいろ調査をいたしました。先ほどお答えをいたしましたように、北方領土におきまして具体的にそういう計画が進んでいるということまでは確認をいたしませんでした。そのほかに挙げられました例の中で、サハリン州、北方領土じゃなくていわゆる樺太で計画されているものということで承知しているものもいろいろございます。  なお、お教えいただきました事例、私ども把握しているものも多々ございますけれども、それにつきましても引き続き調査を進めてまいりたいというふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 それから、報道によりますと、ソ連側は、北方領土の国後島の古釜布、それから色丹島の穴澗の二つの港を外国船に開放すると言っておりますが、この報道について外務省ほどのような見解を持っているのか、また、もし開放されて日本船が寄港した場合の展開はどうか、お伺いしたいと思います。

兵藤長雄外務省欧亜局長

○兵藤政府委員 この事実関係は、先ほど御報告申し上げましたように、本年初頭にソ連邦政府がとりました全ソ連邦の領土の中で開放地域をふやしていくという措置の中で、サハリン州、沿海州、その他日本列島に近接した地域におきましても若干の部分が閉鎖地域から開放地域に切りかえられたという通報、その中で、仰せのとおり北方領土、国後島、択捉島、色丹島の一部につきましても、閉鎖地域から開放地域に指定がえになったということは事実でございます。その中に、古釜布、穴澗両地域が含まれております。  しかしながら、私どもソ連邦海運省に照会いたしましたところ、町として開放地域というふうに指定をされましても、それが自動的にいわゆる港として開放されたということにはならないということでございまして、今のところソ連邦海運省では、この二つをいわゆる外に開かれた、指定された海港というふうには認識していないという答えでございました。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 総理に、ちょっと時間がございませんので、この問題について最後に。  過日、総理は訪韓をされました。韓国の企業の中にも私が先ほど触れたような進出があるわけでありますから、私は北方領土問題で日本の立場を支持すべき話し合いがなされるものだと思っておりましたが、一月訪韓の場合はそれがどうもなされなかったようでございます。その点について総理はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 一月訪韓いたしましたときは、主として日韓の新時代を開くということで、委員からも御指摘もいただいておった在日韓国人の地位の問題について解決する、これも一つの大きな問題でございました。  なお、韓ソの国交回復の問題とか日本とソ連の間の北方領土の問題とか、これにつきましては、私は日本の北方領土問題を含む対ソ政策について我が国の立場の説明をいたしました。ただ、北方領土の問題は日ソの二国間の問題として解決すべき問題でございますので、そのような姿勢で取り組んでいくという立場を伝えたわけでございます。日本の立場は韓国の盧泰愚大統領もよく理解をしておっていただく、このように私は受けとめております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 もうあと五分よりありませんので、本来はこれは少し時間をかけて議論しなければいけないことでございますが、通産大臣にいわゆるウルグアイ・ラウンドの問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  もう私が言うまでもなく、現在のこのラウンド交渉というのは危機です。世界で最も自由貿易のメリットを受けているのは我々日本である、これはもう間違いがない。もしこのウルグアイ・ラウンドが失敗に終わった場合はどういうことになるのか。先ほど来の答弁にもありますけれども、我々なりに一つの意見があるわけであります。今、通産大臣に見解を聞くというのは非常に酷だと思うのでありますけれども、これだけ世界の中で孤立をしてはいけないといって我々は今議論しているわけですよ。だから当然のことながら、私は、世界の貿易という面から考えて、そしてお互いに痛みを分かち合いながら、我々はそろそろ決断をすべきだ、あるいはまた対応を立てないと取り返しのつかないことになるのではないだろうかという率直な意見を我々は持っておるわけです。しかし、非常に強烈な政治力もあるわけでありますから遠慮しがちに我々はこの質問をするわけでありますが、ひとつ通産大臣の御見解を賜りたいと思います。

中尾栄一自由民主党通商産業大臣

○中尾国務大臣 草川委員は非常に卓越した御意見をいつも吐いておられますが、私も全く同意見でございます。  戦後四十数年、日本の国が灰じんの中から立ち上がりましたのは、何といいましても自由と民主主義、それを基調とした自由貿易でございましょう。今から十年前までは、アメリカとのインバランスだけでも百億ドル前後でよかったのですが、今は、先ほども総理が御答弁なさったように、対世界ではIMFベースで八百億ドル近くになんなんとする。これは世界全部百数十数カ国の中で日本の国が、もうこちら側がむしろ売り付け側であって、ほとんどの国々は買い付け側であるということからしても、日本の国はもう自由貿易、開かれた社会の中でしか生きられない、これはもう宿命でございます。  したがって、こういう閉ざされた社会でなく開かれた社会の中にある日本、この中からいきますれば、ウルグアイ・ラウンドはもう百カ国以上が四カ年かけてこの問題を煮詰めておるわけでございまして、かといいまして、それぞれの国々、それぞれの立場がございますからそれぞれに言い合っておるわけでございます。そのプラットホームはどういう角度でもってこれが進展するかは今からの課題でございますが、我々も全力を投球してこの成功に導かなければならぬ、この点においては草川委員と全く帰一する意見でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 総理、時間がないので非常に恐縮でございますが、これは最後の一問でありますが、もちろん公式的な意見はわかっているのです、もう何回か聞いていますから。しかし一面、私は先ほど言いましたように、このラウンド交渉のもし失敗をした場合の日本の受けるべきはね返りというのですか、これは大変なものであるということは十分予想されますね。  それで、これはこの委員会でどの程度総理がお考えを示されるのかどうかわかりませんけれども、私は、もうそろそろ決断をしながら、世界の中での日本のいわゆるリーダーシップというのは発揮すべきところは発揮しなければだめだ。そして、もしそれを国内の政治勢力に遠慮してやらないということになると、結局また外国の圧力に負けてこういうことになりましたよという結論しか日本に伝わってきませんね。そうすると日本というのは、いわゆる諸外国に対して非常に強い不信感を持たざるを得なくなります。総理の決断の時期が私は迫ってくると思うのですが、どのようにお考えになるのか、最後に一言お伺いをして、私の質問を終わりたい、こう思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドは、もしまとまりませんと、おっしゃるように多角的な世界の自由貿易体制に深刻な影響が及ぶ大問題でございます。私は、どんなことがあってもこれは各国がまとめ上げるための努力をしなければならぬし、また、しておるさなかだと感じております。担当閣僚ともよく話しておりますが、各国の持っておりますそれぞれの問題、今十五の項目、十五の分野で議論されておりますが、象徴的なのは食糧の部分だと思います。アメリカもしかり、ECもしかり、日本においてもそうであります。  これは、やはりそれぞれの国の立場、それぞれの国の抱えておる問題点を率直に話し合って、各国が共通の理解、共通の認識を得るような努力をまさにしなければならぬときであると受けとめておりますので、日本の食糧輸入国であるという立場、現在の諸政策、それを率直に伝えて、ウルグアイ・ラウンドの成功に向けて努力をしていかなければならない、こう判断をしております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 以上で、終わります。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、和田静夫君。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 まず、今どんな中東和平、安全保障構想というものを政府はお持ちになっているか、説明を願いたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 中東の安全保障という問題につきましては、現在のところ、ただいまイラクがクウェートを侵攻して、まだ国連安保理決議が実現せずに、現在多国籍軍による平和の回復が行われているという最中でございますが、やがてこの問題も解決する日が必ずやってくるに違いない。そういう場合に、この地域のいわゆる中長期的な観点からどのような構想がまとめられるべきか。それは、軍事的には安全保障であり、経済的には経済のいわゆる再建問題、また、この地域が抱えております膨大な債務の解消問題、このような問題につきまして、恐らく、私は、国連が中心となったいわゆる多国籍間の和平の会議というものが開かれるものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、この地域はアラブの世界、アラブの国同士の中でそれぞれの激しい対立のあった地域でありますし、今回またアラブ同士が戦うというような状況にもなっている中で、この地域が長期の和平構想のために、かねて抱えてきたパレスチナ問題の解決も含めて、長期の安全保障構想、あるいは経済計画、あるいは債務の弁済問題、石油の問題、いろんな問題をこれから協議をしていかなければならない多くの課題を抱えていると認識をいたしております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 今の湾岸戦争の停戦のために何をされようとしていますか、また、していますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 当面、この地域の和平といいますか平和が回復するためには、国連の事務総長の努力を全面的に支持をするというのが日本国の基本的な姿勢でございますし、先般私がデクエヤル事務総長に会見をいたしました際にも、もし和平が不調にしてうまくいかなかった場合にも、必ず和平の交渉をされる時期がやってくる、その場合の国連事務総長を日本政府としては全面的に支持をするということを申しておりますし、現在各国間でのいろいろな外交チャネルを通じて、いかにしてこの地域の和平を回復するか協議をやっているところでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 それでは、この戦後復興のためにどういう構想をお持ちですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この地域の戦後の復興という問題になりました場合には、もちろんクウェートのいわゆる戦災地域をどうするか、この問題が住民も含めて大きな課題になってまいりましょうし、当然安保理決議が受諾されるということでないとこれは和平が来ないわけでありますから、クウェートの正統政府の復活、あるいはまたクウェート正統政府が持っておったいわゆる資産、これがどうなるか、あるいは安保理決議に見られますようないわゆる賠償の問題、こういう問題も含めて、イラクの政府との間にどのような交渉が行われていくのかということが、当面平和回復活動が終わった後のクウェートとイラクの関係の問題になってまいろうかと思います。  一方におきましては、やはりイスラエル問題を含めたパレスチナ問題の解決のための国際会議というものが当然予定をされておりますし、また今まで、例えば石油を、豊かな資源を持っている国から貧しい、油の出ないアラブの国々には相当な資金の配分が行われている経過がございます。また、抱えた債務を、どのようなコストで石油の価格を安定させればその債務の弁済ができるかという、この地域が抱えた大きな経済問題がございますから、私どもといたしましては、あらゆる角度からいろいろな関係国との間の協議を通じてこの地域全体の将来の構想というものをつくり上げていく、しかし、その中には当然アラブの人たちがアラブの問題を解決するという基本の考え方がどうしても必要になってくると私は思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、結局イスラエルも含めたところの中東の安全保障会議が、好むと好まざるとにかかわらず必要だと考えているわけです。政府はそういうような戦後安全保障構想というようなものを具体的にはお持ちですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 具体的に日本がどのような構想を提示するかということをお示しする段階ではまだございませんけれども、いろいろと考えとしては、私どもは構想を練っている最中でございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 もう一言言っておきますが、イラクのクウェート侵略は極めて不法である。ところが一方、イスラエルのゴラン高原やヨルダン川西岸地域の占領、これも言うまでもなく不法である。そうしますと、私は、不法侵略がなくならない限り本当の平和は来ないだろう、これは常識だろうと思うのですが、その点は外相はどうお考えですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本政府といたしましては、イスラエル政府に対しまして、占領をしているガザ地区あるいはジョルダン川西岸地区からの撤退ということを強く要請をし続けております。この撤退と同時に、パレスチナの方々には、イスラエルの国家としての存在を認めるべきであるという主張をいたしております。また、イスラエルに対しても、パレスチナ人による国家の建設を含めた民族の自決権というものを認めるべきであるという考え方を明確に提示をいたしております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そこで、アメリカ軍を中心とした多国籍軍を断固支持する、全面的に協力する、これだけでは、破壊と戦争の長期化、泥沼化に貢献することになるだけだろうと私は思うのですね。停戦、和平の実現、そのために積極的に取り組むべきです。  今月の四日に、イランのラフサンジャニ大統領がイラクとアメリカに停戦実現のための直接交渉を提案をした。そして、親書をイラクに渡したと言われているわけでありますが、イランのこの提案をどのように総理はお考えでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな立場の人がそれぞれの気持ちを持って行動をされるということ、そのこと自体についての報告は受けておりますが、私は、あくまであの地域において原則的な、国連決議の趣旨を受けた恒久の和平につながっていくような展開がされることを強く希望しておる次第であります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 アメリカはもっと今の総理よりも突っ込んだことを言っていまして、湾岸戦争後のイランの役割の重要性をもう既に強調していますね。中立の維持というものを大変高く評価をしていますね、イランの。このイランの調停工作を、しかし今のところは、そういう前提はあるけれども拒否をしています。それはわかっています。国連決議に賛成をして多国籍軍に加わっているフランスそしてソ連も、イランの提案を基本的には歓迎していますね。これは内外に明らかにしています。それから国連事務総長も、イランの調停に期待をしていることを述べています。  そうすると、私は、総理、日本というのはもう一歩踏み込んで、日本もアラブ・イスラム諸国内での和平の努力を評価をして積極的に支持をする、それぐらいの決断はイラン提案を中心としてもう行ってもいいときではあるし、見解を出してもいいときではないかと思っているのです。  ところで、斉藤駐イラン大使がイランのラフサンジャニ大統領に、調停努力に対する期待を表明をした親書を送ったと言われるわけでありますが、駐在の大使といえば日本政府そのものでありますから、恐らくその内容というのは明らかになることだろうと思うのですが、ここのところは総理、御存じでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 事実関係でございますので私からお答えを申し上げますが、総理親書ないしメッセージとして伝えられておりますものは、イランの国祭日に際しまして、総理からラフサンジャニ大統領あてに贈られた祝辞でございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そうすると、総理、その内容はどういうことでしょう。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 これは国祭日を祝しまして、両国間の友好関係のさらなる発展を希望するという内容でございます。今回のメッセージはそういうものでございます。  それから、昨年外務省の松永顧問が総理の御指示のもとにイランを訪問されましたときに、ラフサンジャニ大統領に対する和平努力を慫慂するメッセージを伝達をいたしております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 それで、その松永大使並びに今度の斉藤駐イラン日本大使、これらが海部総理の親書を手渡された。私は、そのいきさつから見ても、イラン大統領が今回提案をしたところの停戦、和平に向かっての提案というのは、海部総理によって強く支持される、そういう行動を日本の政府はおとりになる、そのことがあってしかるべきだと思うのですが、いかがお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 イランに対しては、あの地域の和平のために、イラクが局面を転回するための決断をするように、同時にまた、将来に対して和平がいくように努力をしてもらいたいということや、日本とイランとのきょうまでの特別な関係等もございましたので、親書を出したり、革命記念日というのですか、それでありましたから、それに対する祝意を伝えたり、いろいろ連絡をいたしておりますから、その努力に対しては一刻も早く実ることを期待しておることは当然のことでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 今イラクへの過剰な攻撃というのが一方で問題になっています。イラク無力化が進んでいるという報道もあるわけですけれども、日本の政府はこういう事態というのは容認をされますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 これは安保理決議を受けての多国籍軍の平和回復への努力の一つでありますけれども、この各国、参加国の中で、アメリカあるいはフランス等はイラクの崩壊あるいは分割、そのようなことは考えておらず、また民衆に対する直接攻撃を避けるように配慮をするということをそれぞれ申しております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 問題は、民衆に対するところの直接的な攻撃が、誤爆であろうが何であるかはわかりませんが起こっている。そうすれば、それを我々としては、そのことを通じてイラクの無力化が進むのだという容認の立場に立つのか、アメリカを中心とする多国籍軍のそういう行動については、その部分については厳重な注意を喚起をしながらやめさせるという立場に立つのか、これはどうでしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 我々は国連加盟国として国連の安保理の決議を支持しておるわけでありますから、この国連安保理の決議を受諾するということがまず最大の前提条件であると考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、今の論理は論理として、都市破壊が行われる、民衆に対する直接的な膨大な被害が及ぶという行為については、やはり注意を喚起をするぐらいのことの行動があってしかるべきだと思う。これは意見でありますからそう述べておきます。  そこで、前の臨時国会あるいはそれ以前の国会でいろいろ問題にしてきました、もう一遍尋ねたいのは、一体多国籍軍とは何なのか、多国籍軍の法的な根拠は今日どういう状態にあるのか説明してください。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答えを申し上げます。  昨年の国会におきましてしばしば御議論のあった点でございますが、特に十月の末に政府側の考え方をいわゆる統一見解という形でお示ししたことがございます。これは繰り返すことは避けますけれども、基本的なところは、イラクの侵略に対しまして安保理が六百六十号以来の累次の決議を採択いたしまして、これの実効性を確保するために国連の加盟国が兵力を提供して湾岸地域に展開した、そういう性格のものであるということを御説明したものでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、相変わらず、日本の政府が国連に拠出をしようとした、しかし国連は、展開をしておる多国籍軍は国連とは直接関係がないからそういうような援助資金を国連として基金としていただくわけにはいきません、したがって変遷をしていって、後ほど触れますがGCCにたどりついた、こういう経過を全部踏まえながら時間がない中での論議でありますから実は質問しているのですが、私は、総理以下が随分しょっちゅう言われるところの国連を尊重して、我々もそう思います。その国連を尊重して湾岸戦費を負担するというのならば国連に拠出すべきではないかということは、牢固として一貫性がなければならぬのじゃないだろうかというふうに考える。どういうような形で今出していらっしゃろうが、今また出そうとされようとしているものが戦費であるという、一言で言えばそれに間違いがないことは、当初来社会党が主張しているところでありますけれども、したがって、実質的に参戦をしているという形に戦略資金という視点からいえばなっているわけであります。  日本国憲法の精神からいって、国連に拠出するなら筋としてはある意味では通るかもしれませんけれども、特定の国に出すというのは私は憲法上やはり疑義が残ったままだと思うんですが、法制局長官、いかがですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる今回の支出の問題でございますが、我が国がGCCの湾岸平和基金に対して支出する、それは国際社会の平和と安全の回復活動をする各国の輸送、医療、食糧、生活、事務関連等の経費に充てられる、このようなことは、いわゆる憲法の掲げる平和主義あるいは国際協調主義、こういったものの理念に反するものではないと考えますし、またあるいは、委員お尋ねは憲法九条の話と関連してのお話かもしれませんが、憲法九条が禁止いたします武力の行使、これは実力組織による実力の行使に係る概念であるということから、我が国が単に経費を支出することは武力の行使に当たるものではない、これは従来もこのようにお答えを申し上げているところでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 GCCへの拠出というのは、これは何と言われようが、事実上は特定の国への戦費の拠出である。国連への拠出とはこれはもう明確に異なっているわけですね。経過から見てもそうだし、日本政府もそう考えたから国連に対するところの申し入れを過去においてやったわけですから。したがって、これは明確に私は憲法上疑義があると思うのですよ。この点を、将来の事態も予想しての話でありますが、どういう定義を定められるのか、ここのところは明確にしてもらいたいのです。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 ただいま委員お尋ねの定義という問題でございますが、私どもの方といたしましてお答え申し上げますのは、先ほど申し上げましたように、武力の行使の概念、こういうものにつきまして、実力組織による実力の行使に係る概念である、こういうことで、憲法九条との関係につきましては、単に経費を支出することは武力の行使に当たらない、かような立場をとっております。これは繰り返し申し上げているところでございます。  今の定義という御質問には、ちょっと私の方、今の私のお答えで尽きるんではないかと思っております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、やはり憲法上非常に疑義が残ります。ここのところをやりとりしていると、ここだけで時間をとられますから、それでは法制局長官、これは文書にまとめて、委員長、後で出してください。よろしいですね。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 わかりました。そのように諮ってみます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 じゃ理事会でお願いします。  そこで、総理は、総合的な判断から当面必要な額として九十億ドルを決めたという答弁を繰り返されてこられましたし、総合的な判断の結果ならば、私は、なぜ百億ドルにならなかったんだろう、二百億ドルにならなかったんだろう、あるいは五十億ドルにならなかったんだろう、それでなくて九十億ドルとどうしてなったんだろう、やはり不思議は不思議なんですね。そうすると、やはり何らかの根拠がなければならない。積算の根拠がなくて九十億ドルと決めたというのならば、それは日本としては、状況にかかわらずこれ以上の額は出せないんだということを明確にここでされた、それが概算上九十億ドルだ、こういうふうな理解でいいんですかね。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 その前に和田君に申し上げますが、先ほどのお話、後刻理事会で協議させていただきます。  総理大臣。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私が総合的に判断してと申し上げておりますのは、いろいろな数字をここで繰り返し述べるのはもうやめておきますけれども、たくさんありまして、そういった数字の中から今回、日本の置かれている国際的な立場とか、あるいは諸外国からの日本に対する期待とか、あるいはまた二十八にも及ぶ国がこの平和回復活動には直接参加をしておるという実情や、いろいろなことを考えますと、一日も早く終わることを願いますが、しかし、当面その一部を日本が協力をするということになるなれば九十億ドルが妥当であるというふうに総合的に判断をして決めて、それの拠出をする。そしてそれが、国連にそのような場がございませんので、デクエヤル事務総長とも私は会って時間をかけて話しましたけれども、それならば、この湾岸の平和回復に使われるお金ですから、湾岸の平和基金に拠出するのが現在の仕組みの中で最もふさわしい、こう判断をして、そこに拠出することにしたわけであります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 最後の部分ですが、九十億ドルというのは、今一部として負担というお話がありましたから、九十億ドルが限界ではないということで、含みのある答弁でしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いかに何でも湾岸の平和協力活動に要るお金を全部負担するというようなことはとてもできない話でありますし、また、世界一の地球上のGNPを占めておるアメリカ一国でもできなくなったから皆で協力をしろというのが国連決議の趣旨でありましたから、協力する立場に立って応分の拠出をする、それは一部である、とても全部はできません話です。そういう意味の一部ということです。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 という論議がずっと続いてきて、きょうの十二時の報道を見ていましたら、アメリカのブレイディ財務長官がアメリカの議会でもって九十億ドル問題に触れて、これは一月から三月分としてアメリカ側から要請をした、そして、一月二十一日に橋本大蔵大臣と詰めた話を橋本・ブレイディ会談でもってやった、そういうふうにきょうニュースでやっていましたよ。こうなってきますと、海部総理がこの予算委員会を通じて当初来答弁を一貫して引き受けられながら述べてこられた九十億ドル問題と、アメリカ議会におけるところの財務長官が、橋本大蔵大臣の名前を挙げながら、詰めはアメリカ側から要請をした九十億ドルということを前提にしてやったんだということを述べている。さて、我々はどちらを信用したらいいんだろうということになりますね。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、少なくとも事実関係としてまず第一に申し上げたいことは、二十一日はG7そのものの日でありまして、ブレイディ財務長官と私の会談というものは二十日に行われましたということをまず申し上げます。そして、その時点において確かにいろいろなお話がございました。その全部を私は公開するわけにもまいりませんけれども、その時点において数字が確定していない状態であったことは事実であります。なぜならば、その時点においてアメリカ政府そのものが、これは現在もそうでありますけれども、一体今回の湾岸情勢の推移の中でどれぐらいの費用がかかるかということについての積算を持っておりませんでした。これがまず第一であります。  それからもう一つ申し上げたいことは、財務長官の議会の証言というもの、先ほど私もメモで見ましたけれども、その九十億ドルの支援というものは、アメリカ及びイギリス及びフランス三カ国に対してということを言っておられると思います。しかし、少なくとも私が承知いたします限りにおいて、フランスからそのような申し入れを受けておりません。事実問題としてそこは異なっております。私自身はそのような状況であったとは考えておりません。また同時に、財務長官が私に御交渉になりますとしても、仮にそれが事実だといたしましても、イギリスに、あるいはフランスにという交渉をなさるはずはない。それは当然のことながら御理解がいただけると思います。事実問題として相違をいたしております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、そこのところは問題にしているのではないのです。九十億ドルというのは我々アメリカの側から要請をいたしました、こう財務長官が述べている。ここのところは、やはり九十億ドルというものが解明されないわけですから、この予算委員会では具体的には、どうもやはり本当だろうと思うのが常識じゃないだろうか。総理、いかがでしょう、ここのところは。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 アメリカ側からいろいろな数字が出てきておったことは、報道で和田委員も御承知と思います。いろいろな数字が流れ、いろいろな計算、仮定計算が置かれたり希望が述べられたことも、それは新聞報道でよく承知しておりますが、最終的には日本が自主的に判断をして決めて、これだけ協力、出そうと決めたわけであります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 この報道を受けて、栗山事務次官がきょう午前中記者会見をやられました。栗山さんは、当面のことに対して九十億ドルは決めた、その後のことについては云々、こうなっているわけでありますね。そうすると、やはりこれから要請があれば、九十億ドルをはるかに超えていく額については受けて立つ用意があるというふうに認識をしておいてよろしいんですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今その栗山さんのは私存じませんので、それは外務大臣から御説明があると思いますが、その三月という数字につきまして、私は一つ思い当たることがございます。  それは、アメリカの会計年度と日本の会計年度の差は、確かにそのときに私は申しました。すなわち、日本の会計年度は三月三十一日をもって終了し、四月一日から新会計年度になる。アメリカの会計年度との違いということは、確かに私はその時点で申しております。三月という月の表現がもしあるといたしますならば、私は少なくともその席上、日本の会計年度とアメリカの会計年度の違いについては申しておりますから、あるいはそういう受け取りがあったのかもしれません。少なくとも、三月三十一日が我が国の会計年度であるということはその時点で申しております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 あとの部分はどうなるのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 けさの栗山外務次官の記者会見の問題について、ここに詳細な記録がございますから、御紹介をして明らかにしておきたいと思います。  栗山次官は、   一部に、外務省首脳が九十億ドルの我が国の多国籍軍支援について、九十億ドルに加えて追加の支援の必要があるとの考えを述べたとの報道があるが、外務省あるいは外務省首脳がそのような考えを述べたことは無いので、この機会に明確に述べておきたい。 それに対する問い。   ブレディ長官が、九十億ドルについて、米の要求に日本が答えたもの、また更なる追加要求があり得ると述べたが、この発言につきどう思うか。 これについて栗山次官が、   ブレディ長官発言についてはまだ確認できないので、それについて直接コメントできない。いずれにせよ九十億ドルについては、国会その他の場で政府が説明している通り、諸般の要素を考慮して日本政府が自主的に決めたものであり、そのようなものとして是非理解して頂きたい。 問い   ブレディ長官は追加要求したいと述べているが如何。 栗山次官   日本の支援は、当面の経費について日本として応分のできるだけのことをするということで九十億ドルを決めたわけで、それ以降についてどうこうするということは申し上げられない。 以上で、これが栗山次官と記者との懇談の中身であります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そこで、今後九十億ドルを上回るものについて、もう私たちは報道その他を通じて、アメリカ側からのプラス要請があるということが大体常識化をしてきています、戦争が続いていけばの話でありますが。その場合には受けて立って考慮をされていく、そういうことですか、橋本さん。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私はむしろ、何としても、それよりも一日も早くイラクがクウェートから撤退し、中東に和平が回復されることを願っております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 プラス要請についてはそれに受け答えをしていかないという、そういう立場というものを堅持をされる、そういうことですかね、今の答弁。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は外交当局ではなく財政当局の責任者でありますから、現時点において、一日も早くクウェートからイラクが撤兵をすることにより湾岸に平和が回復し、我が国が、これ以上の多国籍軍に対する追加支援といった資金要請よりも、その湾岸の回復のために負担ができる日の来ることを願っております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 戦後処理やその後の回復のために負担をすることについてはやぶさかではないと、大蔵大臣の立場と答弁はわかりました。  外務大臣は、今大蔵大臣に私が質問をしたことについてはどういうふうにお考えになっていますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 大蔵大臣と同じ考えであります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 予算を組むときには、これは各省庁から予定経費の細かい見積もりを受けて、それに基づいて決定するのが手順なんですね。これは委員長だって、厚生大臣その他おやりになっておわかりのとおりでありますが、そのときに使途を明確化しておくというのは、これは日本の予算、財政の基本であるはずであります。使途を明確化せずに総量でもって予算を組めるというのは、これは軍事予算だけだということになるわけでありますが、憲法、財政法に根拠があることが前提で予算が組まれるわけでありますね。ところが、この今の軍事予算のことを考えてみれば、そういう前提はない。そうすると、現行法体系の中で予定していないことを基本法の改定を行わずにやるということは、これは許されないんじゃないでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 予算法定主義であることは当然のことであります。そして、この湾岸の平和回復のために我が国が負担すべき経費につき、平成二年度補正予算(第2号)を提出させていただくつもりであるということ、また、その財源について、これを確保するための施策もあわせて国会に提出させていただきたいということを私は申しております。その国会の御審議の上、これが決せられて初めてこの負担は我々ができることになるわけでありますから、憲法あるいは財政法の趣旨にそぐわないものではない、そのように考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私はそこのところはちょっと疑問がありますので、後ほど若干のことを述べたいと思うのですが、どうもこの九十億ドルの拠出の根拠となる法律というのを見ていませんからね、一体何なんだろうということを今の段階では言わざるを得ないのでありますが、金額の積算の根拠もあいまいである、それから拠出の根拠となる法律も現在においてはないということになりますと、そんなものに予算をつけるということは、これは到底認められないということはこれまた常識なんでありまして、そこのところは今の段階では強調をしておきます。  条約局長は、昨年のたしか十月五日の安保特別委員会における社会党を代表した私の質問に対して、現行法令の範囲内あるいは予算の範囲内、そういうもので締結し得るものについては、政府の権限の範囲内で交換公文を結べる、こういうふうに答えられたのであります。それじゃその交換公文をお出しなさいと言ったら、そのときは、出せません、こう言っておったのですが、その後、次の平和協力法案の特別委員会ではそれはお出しになって、その後交換公文をお出しになっています。九十億ドルも、総理は結べば出すと言っていますから我々の手に来るというふうに考えていますけれども、今の経過からいうと、つまり今回の国会に交換公文の基礎的なものについては諮る必要がある。そうでなかったならば、交換公文は出先の大使の手によって勝手に結ばれることになるし、国民の税金がそういう意味では勝手に使われるということになる危険性さえあるわけでありますからね。したがって、交換公文の基礎になるものについての論議保障というものがこの予算委員会に私はなされなければならぬと思うのです。いかがでしょう。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  いかなる国際約束を国会にお出しするか、その締結について国会の御承認をいただくかという点につきましては、委員御案内のとおり、昭和四十九年二月二十日に大平外務大臣答弁という形で統一的な見解が示されておるわけでございます。これもまた御案内のとおり、この見解は、それまでの憲法慣行と申しますか、慣行を集大成いたしまして、これを踏まえてこれを整理した形でお示ししたわけでございます。また、その後もこの見解と申しますか、基準に沿って条約の締結、国際約束の作成ということをやっているわけでございます。  長い答弁でございますので繰り返しませんけれども、基本的なことだけ申し上げますと、このとき大平外務大臣は、国会の承認を得るべき条約、この条約の範囲につきましては、御承知のとおり憲法七十三条第三号においては定義がないわけでございますが、この国会の承認を得るべき条約というものの範囲につきまして、三つのカテゴリーを挙げられたわけでございます。  第一のカテゴリーは、いわゆる法律事項を含む国際約束でございます。すなわち、国際約束の締結によって我が国の国内法を改廃するか、あるいは新しい立法をつくるというような場合でございます。このような義務を負う条約は、国会の御承認を経て締結すべきであるということでございます。  次に、いわゆる財政事項を含む条約、国際約束も国会承認条約に該当いたしますということをおっしゃっております。この点は、現在御議論いただいている点に非常に密接に関係いたしますので、正確を期すためにこの点だけちょっと読ませていただきます。  大平外務大臣の答弁は、   次に、いわゆる財政事項を含む国際約束も国会承認条約に該当いたします。憲法第八十五条は、「國費を支出し、又は國が債務を負擔するには、國會の議決に基づくことを必要とする。」旨定めております。したがって右の憲法の規定に基づき、すでに予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束の締結には国会の承認が得られなくてはなりません。 このように言われたわけでございます。  したがいまして、これまで締結してまいりましたGCCとの交換公文について言いますれば、また今後予算の御承認をいただいた後に締結することになるであろう交換公文について言いますれば、今お読みいたしました「すでに予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束」というものではなくて、この予算の範囲内で支出を行うというものでございますから、予算の御承認を得た後に結ぶ交換公文は、いわゆる行政取り決めとして外交関係の処理ということで締結できるという考え方でございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 ちょっと橋本大蔵大臣、別に皮肉るつもり全然ありませんが、一昨日の朝日新聞の記事の中に、海部総理が九十億ドルの使途についていろいろここでお答えになりました輸送関係、生活関連なんという云々、それについて大蔵大臣は、使途の制限をするといってみても、これは言葉の遊びだと述べられた。これはまあ私たちと同じことを大蔵大臣はお考えになっているんだなと。あれは難しいことを言って答弁をしているけれども、結果的には言葉の遊びなんだというふうに大蔵大臣はお考えになっているというふうに報道がありましたが、これは九十億ドルのやはり使途についての本当の姿をどこかで大蔵大臣は語られたのではないかというふうに理解をしましたが、そうでしょう。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今委員は朝日新聞を引用されましたが、そのほかの新聞でも皮肉たっぷりに、私がそう言ったと書かれておりました記事を読んでおります。しかしそういう意味では、例えば法制局長官をある場所で私が一喝したといったような、全く私自身としてどこでそういうことをしたんでしょうと長官にお尋ねをしたような記事も今まで出ておりました。そして、少なくとも私は今までそのようなことを、特定の方に対しましても不特定多数の方に対しましても、申し上げてはおらないと思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 もうここのところはそんなに深くやりませんがね。そういうことをちょっと見てみると、読んでみると、なるほど、例えば我が党の嶋崎質問に対して橋本大蔵大臣の答弁などというのは、速記録を起こしてありますが、微妙にその肝心なところは、やはり総理と違っていますよ。武力行使に対する協力資金を出すんだと。読み上げてもいいんですがね。ちょっと違っているものですからね、なるほど我々が考えていることと財政の担当者として、責任者として、一面では大蔵大臣がお考えになっていること、危惧されていることというのはやっぱり気脈通じているんだなということを思ったがゆえに述べただけであります。  外務大臣、先ほどちょっと私質問を落としたのですが、戦後処理の中で自衛隊が参加するということは、これはないでしょうね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 どういう御趣旨でお尋ねになったか私には少し理解いたしかねますけれども、自衛隊が戦後処理について国外で活動するというようなことは、自衛隊法の中にまだ任務として規定をされていないというふうに私は理解をいたしております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 湾岸平和基金からの支出の対象国、米英に始まって十カ国をここで答弁をされました。そこで湾岸に派兵している国というのは二十八とかいろいろ言われているのですが、三十カ国弱と言われているのですが、他の国への支出というのは、これはなぜないのでしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今の御質問に関連して少し補足させていただきたいと思いますが、委員のお尋ねのことを、真意を理解しがたいということをまず冒頭に申しておりましたが、どういうことを指して自衛隊が戦後の処理に関連をするのかどうかという、具体的な事例をお示しにならずにお尋ねになったものですから、私は抽象的にお答えを申し上げたわけでありまして、その点をもう一度改めて御質問いただけば、私の方からそれに対しての考え方を申し述べさせていただきたいと思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 今、後の私の質問。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先般も私どもの湾岸平和基金が対象にしております国の範囲について申し上げましたけれども、これは湾岸の平和と安定の回復のため、国連安保理の一連の関連諸決議に従って活動している各国全般を指しておりまして、湾岸地域へ軍隊を派遣している国がその中心となりますが、後方支援その他の形態で協力している国も対象にしております。現在のところ、先生まさに御指摘のように十カ国が対象になっておりますけれども、端的に申し上げますと、今までのところ具体的な要請があった国はすべて取り上げておりまして、それ以外の国からは具体的な要請がないということでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 この湾岸平和基金の使途を決める場合、運営委員会という答弁がずっとあったのですね。時間が経過してきましたから、そこのところ実は聞きたいところですが、運営委員会でいく。  そこで、私は、過去の十九億ドルについてもいろいろ支出が述べられました。その方法についても昨日の論議を通じて若干は明らかになってきています。ところで、問題にしたいのは、この運営委員会から報告が外務省に来るということになるようでありますが、実際に使われている内容の検証というものはどういう形で行われるのでしょう。特に、前国会の経過からいうと、武器や弾薬には使わないということが明確になって出ていっているお金でもありますからね。それらの検証というものはどういうふうにされるのでしょう。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 現在までのところ、日本が湾岸平和基金に拠出いたしましたのは全体で約二千五百二十九億円でございますけれども、その約七割が支出ないし契約済みでございまして、これは資金協力、具体的には輸送関連経費、それから物資協力と二本立てで行っておりますけれども、それぞれちょっと形態が違いますので、それぞれの形態に即して申し上げたいと思います。  物資協力に関しましては、契約が結ばれました後、運営委員会よりその内容につきまして日本側に通報が行われておりますので、私どもはその物資協力の対象として運営委員会で水関連、防暑機材等ということを決めておりますが、それに即して適切な契約が行われ、適切な形で支出が行われるということが、その段階で再度確認ができる形になっております。  それから資金協力について申し上げますと、これは従来から申し上げておりますように、航空機及び船舶の借り上げその他の輸送関連経費でございますけれども、資金協力に関しましては、どの時期の輸送関連経費に充てられたのか、海上輸送を対象にしたのか航空輸送を対象にしたのか等につきまして、協力相手国より運営委員会に報告がございまして、その運営委員会から私どもに報告が来て確認できる形になっております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 今、例えば九一%はアメリカ軍の援助に使われたということがここで述べられたわけでありますが、武器弾薬に使わせないという国会であのときは明言をされていたわけですから、それに基づいて十億、十億と出たわけでありますので、これは会計検査院長なんですが、特命で報告についての検証を外務省に対して行う、九十億ドルという重大な問題が出てきていますから、それぐらいのことがあってしかるべきだと思うのですが、検査院長、どうお考えですか。

中村清会計検査院院長

○中村会計検査院長 一般的な言い方をしますと、財政支出についてその使途を確認するということは会計検査院にとりまして基本的な任務である、こういうふうに考えております。  しかし、今度の問題につきましては、私どもとしましては、外国政府あるいは国際機関、基金、そういうものに対しまして直接検査する権限というものは持っておりませんし、そこに及ばないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、外務省を通じてその実態を把握する、その努力を続けていきたい、こう考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 その努力をぜひ私はおやりになってしかるべきだし、やってもらいたいというふうに求めておきます。  私はもう少しこれは実は、GCCそのものを調査をして報告書を国会に提出するぐらいの意欲を会計検査院長お持ちになってもいいと思うのです。恐らくお持ちだろうと思う。お持ちだろうと思うけれども、今は壁があることも知っている。特に私は、マルコス疑惑は両院を通じて参議院予算委員会で初めて取り上げて、あのマルコス疑惑のときに会計検査院法の改正やらその他のことをいろいろやった経験を私は持っています。その後、肩越し検査が出てくる。主権国を侵さない形で、その主権国が監査、検査をするものに対して、何といいますかオブザーバー的な立場で会計検査院が一定の役割を果たすというような道をあそこで開いたんですから、ああいうところで主権を持った国に対するところの検査のあり方というものをああいう形で開いたわけでありますから、今度の場合はもっと私はやりやすいんだろう。しかし、あなたに今うんとやれと言ったって、これ以上ということがありますから、これは政府全体もひとつ明朗に、国民の多くの税金を使っていくわけでありますから、そういうことについてはお考えになってしかるべきだと思っていますが、総理の見解を承ります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この使い道の問題につきましては、重ねて申し上げますけれども、湾岸平和基金に出して、そのときに輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連などの経費に充当するという我が国の方針を伝えて、また、それが確保されるような仕組みとなっておると私は申し上げてまいりましたけれども、そのことが確実に伝わっていきますように、今後のこれは心構えというよりも、実際その衝に当たる大使に対して、こういった議論を国会でいろいろ交わして国民の皆さんにも御理解と御協力を願って提出するものであるからということを、私が伝えたいと思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そこで私は、この九十億ドルの問題の最後にしたいのでありますが、多国籍軍の支援、これを湾岸平和基金に拠出する合理的な理由というのをこの際一遍聞きただしたいのです。  過去のことはわかっていますよ。先ほどからわかっています。国連の問題、それから総理がお述べになったことはわかっています。今日戦争が始まって多国籍軍に出していく、こういう状態の中でのいわゆる合理的な理由なんですが、既に昨年支出されている二十億ドルについては、あのときのいきさつからいって、まあいろいろの認識の仕方、言い方のあれがありますが、私は、武器弾薬の購入に充てさせないという条件があったものだから、支出した二十億ドルの使途が明らかにならないように湾岸平和基金を経由をすることによって憲法問題をうやむやにしようとしたのではないだろうかということを立脚点にしながら質問した記憶を持っていますが、そのことはそれとしておいて、この湾岸の戦争が国連決議に基づいて行われているものであって、その資金援助は憲法違反でないということを自信を持って法制局長官が言い切ったということになれば、あるいは総理もそう自信をお持ちになっているということになれば、湾岸平和基金を経由する必要は私は全くないのではないだろうかというふうに実は思うのです。それどころか、湾岸で国連決議に基づいて活動している国やあるいは組織、機構――いや、これは資料を求めたんだけれども外務省は出してこないんですがね。そういうところから必要額と使途を聞いて、そして日本の独自の判断で支出すれば、積算根拠はこれほどはっきりすることはないわけで、アメリカ側から要請を受けたんじゃないとかあったとかいうような論議も、そうすれば起こってこないはずであります。  私は、総理が述べられた答弁で、輸送、医療、食糧、生活、事務に充当する方針を貫くこと、この輸送については私はなお大変な疑義を持っていまして、傷病兵輸送があるのではないだろうか、軍人輸送があるのではないだろうかなどというようなことを含んだ輸送だろうというふうにも一面では考えられないわけではありませんが、今そのことは述べようとは思いません。今私が申し上げたような手法になっていけば、国民はもっとわかりやすいのではないだろうか。なぜ、日本の国民の税金を拠出するのにGCCが配分に口を出すという、そういう不可解な状況をつくり続けなければならないのだろうか。単純に本当に疑問に思うのですがね。これはどうです。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先般来御報告を申し上げておりますように、そして先生も先ほど触れられましたように、今まで十カ国を対象にしてそれぞれの国から大変評価を受けているわけでございますけれども、まさにこのGCCという、今回の湾岸問題の当事者でございます、そういう当事者である国際機関と日本国政府が約束をいたしましてGCCの下に湾岸平和基金というのを設けまして、多国籍軍の中心がアメリカでございますからアメリカに中心が参りますけれども、それ以外の国々に対しましても支援をするという姿勢を示し、現にアメリカ以外にも九カ国が対象になっているわけでございまして、私どもはまさに先生が今御指摘のようにそういうことも念頭に置きましてこの平和基金というものを設けて、そこでそれぞれの国々からの具体的な要請を日本政府の代表が入りまして審査して、そしてそこから支出するという、こういうメカニズムをつくったわけでございまして、今までの経験から申し上げますとこれはきちんと機能しております。したがいまして、今後もこれはきちんと機能させていきたい、こういうふうに考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 ここのところは、今私が述べたことは検討に値することだと実は思っていますよ。国連に申し入れた、それから湾岸協力基金にいった経過は全部踏まえながら言っていることですからね。外務省の役人さんたちが出した知恵であそこまでいったことも経緯としては私たちは知りながら、今述べたようなことを見解として述べているわけであります。  そこで、少し具体的なことでお聞きしますが、戦闘地域周辺に自衛隊機を出すからには、攻撃を受けた際にどういうように対処するのかというのは、けさ来も論議がありましたが、これは既に検討されている――検討されずにこんな不用意なことを政令でお決めになるというふうには思いませんから、この輸送機の防衛措置というのは、これはどういうことになるのでしょうかね。防衛庁としては多国籍軍に護衛を頼むというような意向がもたらされているようでありますけれども、総理、これは事実でしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  私どもの方で輸送の任務に当たることになりました場合には、安全については万全の配慮をしなくてはいけないのは当然のことでございます。しかしながら、今戦闘が行われているというお話がございましたけれども、現実にそういった空域において戦闘行為が行われているような状況の中では、輸送の業務そのもの、運航そのものが行い得ない状態になっておるのじゃないか、こう考えております。したがいまして、私どもの今考えております安全措置というのは、そういったケースではなくて、その輸送をしますときにゲリラとかテロとかそういうものの対象になり得る可能性がある、そういったものにどういうふうに対応していくかということをあれこれ今研究している、こういうことでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そうすると、輸送機そのものの護衛というようなことについては全然考えていない。例えばエジプトとの関係を断交しましたよね、イラクは。したがって、大変危険な地域になったことはもう明らかなんですね。いつ何が起こるかもわからない状態にあることも明らかなんです。護送そのものについては考えていないということですか、今は。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  何といいましても私どもの場合には、まだIOMからの要請とか、その後での政府部内のいろいろな手順を踏んでからのことでございますから、今の段階でいろいろ仮定の上であれこれ申し上げるのは必ずしも適切でないと思うのでございます。したがいまして、カイロ―アンマン間ということがいろいろ言われております、私どもも申し上げたことがございますけれども、これも一つの想定でございまして、やはり避難民が具体的にかなり出てくる、そうしてそれをいろいろな輸送手段で輸送をする、そのときにその輸送手段の一つとして自衛隊の輸送機が当たるというそういうケースでございますから、そのときにはやはり全体として輸送機が飛べるような状態でなくてはならないというのが大前提だと思います。したがいまして、現実に、これはちょっと仮定の話でもございますが、空中戦だとかそういった状態が想定されるようなケースではそもそも輸送の任務には当たらないんだ、またそういうふうな要請も国際機関からもないのではないか、こう考えておりますので、輸送機そのものの護衛のために特段の措置を講ずるという状況にはならないのではないか、このように考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、防衛庁長官の願いだとか総理以下の願いだとか、特に総理は危険なところには出さないんだということを前の国会では何遍も言われたのですから、そういう願いは全部わかっておりながら述べているのですが、イラクの側も大使が明らかに述べていますように、日の丸のついた輸送機が来れば当然それは攻撃目標になる、こう言っているわけでありますから、どういうような事態が起こるかは、これは予測しがたい。したがって我々は、それに対するところの搭乗員などの十分な生命の保全なり安全なり、飛行機そのものに対する安全なりというものを考えながら、それに対する護衛というものは、それは考えるのが当たり前でありまして、そこのところは何も無策ですか。無策のところにあなたは行きなさいよ、こういう形ですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 ただいま和田委員御指摘のイラクの大使の発言につきましては、けさほど野坂委員の御質問に対してお答えしたところでございますけれども、過日そのような報道がされたということがございました。私ども早速外務省の方にお願いいたしまして、今回自衛隊の輸送機が輸送の任務に当たるとしてもこれは全く人道的な立場に出る、そしてまた非軍事的な行動である、避難民を輸送するということであるから、イラク側においてもそのことをよく理解するならば、報道されるような発言があるはずはないということで、外務省当局からアル・リファイ大使に対して、大使を招致していただきましてその真意を確かめていただいたところでございます。大使の方も、決して自衛隊の輸送機をということを言ったわけではないということはあったそうでございます。  そしてまた、国際法上から見ましてもその他あらゆる観点から見ましても、イラクが今回想定されるような任務に当たる自衛隊の輸送機を攻撃するということは、いかなる観点からいっても正当化されないことであることは当然だと思います。そしてまた、先ほど申しましたけれども、私どもといたしましては、そのような輸送に当たる航空機そのものが例えば攻撃の対象になるとか、あるいは撃墜される可能性があるというような状況のもとではその運航ということは行われない、こう考えている次第でございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 これはくどいようですけれども、前段のお述べになったことはよく私もわかっています。しかしながら、九十億ドルというものの支援を決めて、そしてこれは戦略資金だという形で相手方がこれを認識をした場合においては、当然日の丸に向かって撃ってくるということはもう明確なこととして読めるわけでありますね。私たちはその読んだものに対してどういうような一体保全があるのだろう、また、そういう場合に操縦員としての自衛隊員の交戦権などというものはどういうことになりましょう。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 繰り返しになりますけれども、私どもは、今回の自衛隊の輸送の任務というものが、全く平和的な人道的なそして非軍事的な行為であるということ、このことはイラクにおいてもそれはある程度わかるはずでございます。そういうこともございます。そしてまた運用の面におきましても、先ほど来申しますように、そのような戦闘だとか攻撃の対象になり得る可能性が高いというような状況のもとではそもそも輸送しないということでございますので、そこのところは御理解をちょうだいしたいと思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は理解するわけにはいきませんし、どっちみち出ていくことは反対でありますからあれですが、大変危惧されることでありますから問題の提起にしておきますが、派遣される輸送機というのは、一体これはどこの所属ということになりますか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答えを申します。  航空自衛隊の所属でございまして、現在は小牧の基地におります。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 そうしますと、防衛庁長官、あなたの指揮下から外れることはないということになりますね、この飛行機は。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 自衛隊法に基づきまして、私の指揮下で行動することになると思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 それは、当然指揮権は防衛庁長官御自身にある、こういうことでしょう。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 さようでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 その指揮権をお持ちの防衛庁長官にお伺いをしたいのでありますが、先ほども言いましたように、ヨルダンやエジプトが戦闘地域となったとき、特にエジプトの場合に国交断絶がもう起こっていますから、輸送機はどうするのだろうか、帰国への道につくのだろうか。そういうときに帰国命令はあなたがお出しになる、こういうことでしょうか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答えを申し上げます。  くどいようでございますが、実際に自衛隊が輸送の任務に当たるまでにはまだ幾つもの過程、前提があるわけでございまして、そういった状況の中でお答えするのはあれでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった任務に当たる、あるいはそういう状況の変化に応じてその任務を終えてどこかへ移る、あるいは帰国する、そういった場合につきましても、最終的には防衛庁長官でございます私の立場で判断をし指示をする、こういうことになると思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 政府は、この湾岸に二十八カ国が軍隊を送っているということを非常に大きくとらえられて、湾岸戦争には世界じゅうの国々が参加しているというような印象のあるような御答弁をずっと繰り返されてきているのでありますが、これは注意して見なければならぬのは、国連常任理事国でも参加をしていない国がありますし、私は先日ECを訪問して帰ってきましたが、EC十二カ国の中でも多国籍軍への参加の道を開いているのは少数派であります。あるいは国連都市で有名な中立国オーストリー、ウィーンを考えてみた場合に、政治はニューヨーク、経済はジュネーブ、社会はウィーン、そして隣に広大な土地を今用意をしながら坪一シリングで貸して世界の環境も国連機構の中ではウィーン、こういうような形でもって都市づくりをやっているオーストリーも、御存じのとおりに今度の問題には参加をしていない。そうすると、何も圧倒的世界の多数の国が多国籍軍に参加をして今度の戦争を遂行しているわけではありません。  私は、大切にしなければならないのは、これらの国々、今申し上げたような中立国であるとかそれらの国々としっかり連携を保ちながら、一番最初に申し上げた例えばイラン大統領の提案に基づくところの停戦、和平への道づくりというものを海部総理が先頭になっておやりになるという、そういう視点というものは今私は非常に大切にされるべきだ、こう思っているのであります。そういう観点というものをやはり大切にしなければならぬ。日本のように石油の七〇%という観点だけではなくて、近くに所在をするたくさんの国々が停戦、和平に向かっての努力を始めているわけでありますから、それらの国々と日本の外交状態というのは非常によく今日まで来ているわけですから、そこらにも視点を置いた行動というものをお考えになるべきだと思うのですが、総理、御認識はいかがでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 原則に従った恒久の平和が中東に生まれること、それを目指してのいろいろな努力がいろいろなところで起こるときに、私は、積極的に原則に従った和平樹立のために日本としてもあらゆる機会をとらえて外交努力を、きょうまでも続けてまいりましたが、今後もその心で行動してまいりたいと思っております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 具体的にこれこそ目に見える言論、行動が海部総理の手によって起きてくることを、私は強く期待をいたします。  外務省の国連局長、ちょっと恐縮ですが、あなたは四日にここで答弁をされて、憲法にはいろいろ制約があるが、一番重要なことは、米国や他の国があそこで血を流している、この痛みを日本は共有するという考え方を世界に示すことという答弁をされたのですが、これはとりようでありますけれども、私はそうでないことを願って質問するのですが、憲法を守るよりも血を流せということを述べられたのですか。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 これはもちろんそうではございませんで、抽象的な、精神的な意味で申し上げたつもりでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、この問題を取り上げたのは、少なくとも国家公務員である国連局長でありますから、憲法九十九条の趣旨というものをしっかりわきまえた言動というものをとり続けるように今後は注意を喚起をしておきたい、こう思うのです。  そこで、日本はヨルダンやエジプトなどでも多国籍軍のスポンサーではないかということを盛んに言われていて、現地の新聞なんかそういうように書いているのですが、そこに民間機ならいざ知らず自衛隊機、それも米軍と同じ形の軍用機が飛んでくれば、先ほど来防衛庁長官がお考えになっているようなこととは逆に、住民は多国籍軍機と見ないだろうか。イラクは既にそういうふうな見方をするというようなことがあった。ここで日本が人的貢献、日の丸のついた飛行機による目に見える貢献に固執することは、私は、自衛隊機に乗る自衛隊員のみならず、イラクから難を逃れてきた避難民までも危険にさらすことになるだろう。これが真に人道上の行動と言うことができるだろうか。また、この自衛隊機がヨルダンにおりたことがきっかけとなってヨルダン国内に暴動が起きたり、あるいはイラクが攻め込むなどの事態になったとき、政府はどのような責任をおとりになるのだろうか。先ほどは全責任をとるのだという答弁が我が党の質問に対してありましたが、私は、人道上ということが総理が言われるように強く主張をされ、前面に出されるのであったならば、何にも増して難民の安全の確保をされた輸送方法というものを考えるべきである。  そういう観点に立った我が党の松浦議員提言もあり、海部総理のそれを前向きに受けとめて努力をされるという答弁も、質問があり答弁がありましたが、例えば、赤十字の旗のもとで難民救済というようなことをもっと具体的に果たしていく、そういうような知恵というものを今お考えになるというようなことはありませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 赤十字の旗のもとでは、赤十字関連の指示を受けて医療班の第一班が日本赤十字から出ていっておることは、これは御承知のとおりでありますが、国連が避難民の移送についてはIOMに頼むと言って委嘱があって、その国際機関がやっておるわけでありますから、そのIOMとこの移送の問題については話をしていくというのが国連中心の私は筋だと思いますけれども、赤十字がそういったことをするかどうかということは、今ちょっと突然の御質問で専門知識が私ございませんから、専門知識ある人あったら答えてください。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 世界には先生御承知のとおりたくさんのNGO、民間団体ございまして、赤十字もその一つでございますけれども、世界の赤十字がまさに各地連絡を取り合ってこの湾岸地域の避難民の救援活動を行っております。日本の赤十字社も医療団を派遣したりしておりますけれども、政府としては現地あるいは東京におきまして、随時意思疎通をして協力してまいりましたし、今後ともしてまいる所存でございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私はあえて先ほど出されました公明党に対する政府の統一見解に触れようと思いません。これは恐らく集中審議その他で突っ込んだ論議がなされると思うのでありますが、この中にも実は出てくるんですが、法制局長官が御答弁をされたことによりますと、この自衛隊法百条の五の「その他政令で定める者」は、置かれた状況や国としての輸送の必要性から規定されているということでありますね。海外の邦人救出はこの条項に従って今回と同様な特例政令を定めればそれで可能ということになる論理につながっていくと思うのですが、つまりは一般的任務とするには法改正を行わなければならないが、特例の、今度のようないわゆる特例政令という形ですれば法改正なしにできないことはないという、そういうことに今度はなったわけですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 お答えいたします。  ここで書きましたのは、やはりそういう百条の五で考えております国による輸送の必要性、こういった観点から評価すべきであるということでございますし、そういう百条の五の仕組みの中に当てはまるものとして今回のものが入るであろう、かように、いわばこの大きな二の方では述べているわけでございまして、そういう意味では緊要性、公共性といったようなものを判断して、個別に判断していくべきことであろう、かように考えられます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私の質問に対してお答えにならないんですが、例えばここで一つだけ言えば、「代表列挙されたものとかけ離れたものを規定することは予定されていないが、」云々と、ここのところでは、これはこの委員会でも問題になったところでありますから深くは言わないのですが、例えば大森内閣法制局第二部長が、「その他政令で定める者」の内容というのは「「国賓、内閣総理大臣」という例示、列挙がございます。したがいまして、この例示、例挙されたものとおよそかけ離れたものを予定してないという場合にこのような表現を使うわけでございます。」と、これはもうはっきり言い切っているわけですね。私は大変あなたの言っていることは話にならぬと思うのですが、どうぞ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 先ほどお出しいたしました文書でも、これの一の(二)で書いてございます、その「かけ離れたもの」であるかどうかという判断、確かに過去におきましてそういうかけ離れたものを予定していないという答弁がございます。そういうものも明らかに意識いたしまして、これはこの委員会におきましてもたびたびお答え申し上げているわけでございますが、いわゆる高位高官、VIP、こういった社会的地位のみに着眼して判断すべきではない、こういうことでございまして、そういうことで、国による輸送の必要性、例えば公共性ですとか緊要性ですとかこういった観点、これから判断されるべきもの、こういうふうに考えておりますし、そういう意味で今回のものはかけ離れていると言うことはできない、かようにお答えしているところでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 これは、私は統一見解に基づかずに質問していたつもりだが、統一見解そのものをやはりお書きかえになるわけですかね。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 まさに今お答えしておりますように、国による輸送の必要性その他の事情を総合して評価すべきであるということでございますし、一の(三)の最後のところに「かけ離れた者である、ということはできない。したがって、」というふうに書いてあるところでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 法制局長官、あなたはやはり本心でこれをやられたというふうには考えられないな。もう何か非常にあなたらしくないような歪曲した答弁をずっと繰り返さなければならない苦衷というのは私はよくわかりますけれども、しかし法制局長官の答弁で間違っていれば、それはそのまま許しておくわけにいかぬですから、ここのところは集中審議でもっとぐっと突っ込んだことをやりましょう。  そこで、これとの付随で二、三例を挙げてちょっとお聞きしておきたいのですが、まず、米軍ないし何なりが、何でもいいのですが、戦闘地域ないしその周辺から兵隊を運ぶことを依頼してきた場合に、特例政令をつくれば可能になりますか、将来。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 かけ離れているかどうかという判断でございまして、そういう意味では、直ちにそういうものを輸送することができるとは私の方は考えておりません。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 これは特例政令をおつくりになってもそのことは不可能だというふうに認識してよろしいですね、今の答弁。  さらに、逆に、戦闘地域ないしその周辺地域に向かって輸送するという場合は一体どうですか。同様ですか。――逆に、戦闘地域ないしその周辺地域に向かって輸送するという場合にはどうでしょうか。特例政令でいけますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 政令で規定してございますのは、こういう「湾岸危機に伴い生じたイラク、クウェイト及びこれらの国の周辺の国からの避難民として、避難民についての」いわゆる「国際機関から我が国に対し」て要請のあった、その要請の内容は「その本国への輸送その他の輸送」ということでございますから、あくまでも国際機関の要請ということでございます。この国際機関というのはIOMを指していう、かように考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 いや、それは現行の政令でお答えになっていますが、私は今のような形で政令をおつくりになっていくというような手法でいったら、こういうことは可能ですか、こういうことは可能ですかと言って尋ねているので、ちょっと答弁は食い違っているのですが、例えば、負傷したところの兵隊さんやら、あるいは病気の兵隊もしくは民間人などというようなものを国際機関から運びたいと言ってきた場合に、また特例政令でもってこれはやりますよ、そういう手法は通りますかという意味の質問をしているわけであります。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 私の方からお答え申し上げたいのでございますけれども、私ども現実に考えておりますのは、今国連から委任を受けたIOMから要請があった場合に、その被災民を、避難民を運ぶということを考えておるわけでございまして、今先生御指摘のようなその戦闘地域からとかそこへとか、そういう輸送なんというものは全く考えていないところでございますので、そういうことを申し上げておきます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 政令のつくり方を質問しているんで、防衛庁長官、関係ないです、そんなことは。政令のつくり方を質問しているんですよ。具体例を挙げながら政令のつくり方を質問しているんですから、答えてくださいよ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 例えばアメリカの兵隊等というお話でございますけれども、これはこの前の臨時国会でも問題になったわけでございますが、いわゆる武力の行使との一体化という議論があろうかと思います。そういうふうな行動に該当する場合、これはそもそも、自衛隊法云々よりもう一つ先のというか上位の憲法との関係で問題になろうかと思うわけでございます。  それから、それ以外の場合をいろいろおっしゃいますが、そこについては具体的な事情を何とも私の方で把握いたしかねます。また、仮定の問題でございますので、そういうことで抽象的に申し上げるのは極めて困難かと思います。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 残念ながら形骸的な答弁になっていますが、私は全く具体的に二、三質問しておかなかったら、百条の五の論議のときのことが非常に歪曲されてこういう特例政令ということになってきていますから、将来に向かっての危険性のあることを尋ねているのであって、ここのところは本当ははっきりしてもらわないと困るわけです。  例えば、今度は防衛庁長官でいいんですが、自衛隊のこのC130H、私も安保をやっていましたからこれはどんなものであるか知っていますよ。中もどんなふうになっているか知っていますよ。これが例えば主として人を運ぶ目的でつくられているのか、荷物等を運ぶ目的でつくられているのかということを、輸送機と言う以上考えてみなければならぬと思っているんですが、人を運ぶには旅客機ほど向かないですよ、あれは。いかがですか。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  C130Hは今航空自衛隊が持っておりますけれども、航空自衛隊並びに陸上、海上、その三自衛隊のいろいろな輸送任務に当たっております。具体的には、兵員の輸送にも当たるわけでございますし、あるいは空挺団、パラシュート降下のための兵員を運ぶこともございます。そうしてまた、荷物を運ぶこともあるわけでございます。そして、積載量で申しますと、人員だけの場合には九十人、それから荷物だけでまいりますと二十トンまで、こうまいります。そして、民間航空機に比べて人を運ぶのにどうかと言われますと、それはもう航空機の用途から申しまして、その乗り心地というのは、それは民間航空機の方がお客様を運ぶ専門の機材でございますから、それには及ばないのは事実でございます。しかしながら、兵員を運ぶためには内部に一応四列に座席を出せるようになっておりまして、決して民間航空機のシートほどはよくはございませんけれども、私もちょっと念のために現実に座ってみました。決して見てくれはよくはありませんし、民間航空機ほどではございませんけれども、ある程度の限定された距離、限定された時間内でございましたら、それは十分にそういった人の輸送に適するものだと思いますし、現実に今回の避難民の発生以来、そのC130が避難民の輸送に当たった例も幾つかあるわけでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私が言いたかったのは、実はそこにないのですよ。百条の五にいうところの航空機には、実はこの条項の制定の段階ではC130Hのような輸送機は想定されていたのだろうか、私はいなかったのだと思うのですよ。東京サミットの際のヘリコプター三機、あるいは先ほどもう一つの飛行機の話がありましたけれどもね、防衛庁長官から。法制局長官、あのときの立法の趣旨、提案理由もちゃんとあるわけですよ。そういう想定はなかったでしょう。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 私の方から事実関係についてお答え申し上げます。  自衛隊法の百条の五で使用します航空機につきましては、自衛隊の所有している航空機のどれであるという限定はない、このように承知しております。確かに百条の五の第二項におきまして、国賓等の輸送を主たる任務とする機材を、航空機を保有することができるという規定がございますが、これは今御指摘のヘリコプター、スーパーピューマでございますけれども、これは自衛隊の隊としての主たる任務でございますね、日本の国を防衛するという、そういった任務につけ加えられたといいましょうか、従たるといいましょうか、そういう任務である百条の五の任務をやることを主目的とした機材を持てるということを規定したわけでございますけれども、百条の五の任務を果たすためにほかの機材を用いてはならないということではございません。そのことは百条の五の第一項の中で、自衛隊の任務の遂行に支障のない限りという言葉がございます。これは、例えば自衛隊の主たる任務でございます日本の国を防衛するために必要ないろいろな輸送をする航空機、そういったものをこの百条の五の任務のために使用することもできる、こういうことになっている、このように承知しておりますし、現実にこれまでもそういった運用がなされたことがございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 輸送機を想定していたとすれば、私は、日本の政府は大変外国の元首に対して失礼なことを考えておったのだなと思うから実は質問しているのですよ。C130Hで外国の要人、元首などの国賓の輸送をするいうようなことは、これはとても考えずに百条の五ができ上がっている、そう思わざるを得ませんよ。もしあの輸送機でもって国賓級の方々をお運びしようなどということを本当に考えていたということ、そんな非常識は通りませんよ。私はそう思いますよ。それはそうでしょう。あの立法のときには、C130Hでもって国賓を運ぶなどということをお考えになっていなかったでしょう。これは法制局長官。

畠山蕃防衛庁防衛局長

○畠山(蕃)政府委員 実例でもってお答え申し上げますが、大喪の礼ないし即位の礼のときに、まさにバートルとかYSを用いて国賓等を輸送した実績がございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 法制局長官、お立ちにならないのですが、これはもう立法の趣旨は明らかでありまして、「これは、主要国首脳会議の際に使用したヘリコプターを今後自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。」というのが明確な立法の趣旨説明なんですよ。それは官報にちゃんと出ているのですからね。非常に曲解をされたそういう答弁を繰り返されるというのは、私は、好ましいことではないと思いますよ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 立法の動機がまさに東京サミットで導入いたしましたヘリコプター、これを今後いかに活用していくか、そういう点にありましたこと、いわば立法に当たりましての契機がそのようでありましたことを全然私は否定しているつもりはございません。ただ、一方、そのときにおきましても、例えば輸送の地理的範囲といったような、ちょうどこの百条の五が追加になりますときの国会におきまして、地理的範囲というふうなことで海外へ輸送するようなことも考えられるというふうなことを答えていることもございます。また、そういう意味では、ヘリコプターだけを念頭に置いていたというか、そういうことでもございません。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 あなたはそういうことを言われたって、私たちは内閣提出の防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨説明に基づいて論議をやってきたことでありまして、その趣旨説明を否定はされていないわけですがね、そこのところが趣旨説明以上のものに拡大をされて答弁をされるという、そういうのを肯定するわけにはいきませんよ。――いや、立法の問題ですよ、これは。防衛庁長官に聞くことではない。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答え申し上げます。  実は、自衛隊法百条の五を制定いたしましたときに、その審議の過程でいろいろ御議論がございました。それで、ただいまの御質疑に類似するようなケースもあったわけでございます。これは衆議院内閣委員会の六十一年十月三十日の答弁でございますが、その中で政府委員の方からこのように答えております。「その際、それに用い得る航空機というものが今回の改正に伴って総理府から移管されるピューマだけということでは必ずしもございませんで、自衛隊が持っておる航空機、他の航空機を使うことも可能であろうと思います。」このように御答弁申し上げているところでございまして、百条の五の制定の過程におきましても、ただいま私ども申し上げているようなラインで考えておったところでございます。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 今回の特例政令は、湾岸危機による避難民が対象で、その避難民がいなくなれば効力を失うということになるという説明でございます。  そこで、今後どこかで避難民が生じたり、あるいは現在他の地域における避難民について輸送が要請されたときは、また特例政令という形でもって定められる、それとも二度とこういうような手法は用いられない、どちらでしょう。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 お答えいたします。  私どもは今回のこの湾岸の緊急の情勢、そういう事態、そういった中で避難民が発生してきて、それの輸送を行わなくちゃいけない、そしてその場合に、我が国にもその任務が、そういった仕事、役割が期待されるというこういった状況を踏まえまして、どういうふうに対応するか、政府としていろいろ検討してきたところでございます。  そういった中で、民間機によれる場合は民間機によるんだが、民間機によれない場合に必要に応じて自衛隊の輸送機を使うことがあるだろう。そうして、そのときに法的根拠としてどういうふうにということで検討してまいりまして、今回のような特例といいましょうか、今回の政令を制定したわけでございますが、将来具体的にどのような事態が出てきたらどうするかという御質疑でございますが、それはやはりそういった事態が出てまいりました場合に、政府全体としてまずどういうふうに対応していくか、これを考えまして、その際に法的な検討もなされるべきものだ、こう考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 私は、例えば政府専用機を自衛隊の所管にするとかいろいろなことが将来構想されますから、政府専用機をお使いになるとかいろいろなことも構想の中に入ってくるのでしょうが、今ちょっと具体的なことをいろいろ言ったのは、こういうことを実は詰めて法制局長官、考えてみたかったのですよ。  戦後、戦争放棄を定めた日本国憲法を頂点とする日本の法体系というものを考えてみたのですよ。そうすると、戦争軍事体制とは全く縁のないものとしてつくられてきましたね。これは大蔵大臣、財政法だってしかりですがね。後ほどこれ、時間があれば論議するところですが。そうすると、自衛隊にしても政府は領土、領空、領海外に出さずに専守防衛に徹する、すなわち、個別的自衛権のみを有するという憲法解釈のもとに、先ほども答弁がありましたように特殊な軍隊としてつくり上げられてきたわけですよ。そういうような法体系及び特殊な軍隊を持つ日本が世界の他の国国と同じような行動を自衛隊の輸送機なら輸送機に課すということは、私は非常に法体系上無理があると思っているのですよ。したがって、言ってみれば一番問題の授権の範囲というものが出てきます。授権の範囲の中に、これはたくさん論議をしたいところですが、既に専門的な論議に類する論議が我が党の藤田議員、嶋崎議員あるいは松浦議員からやったところでありますから、私は重複を避けます。どう言われてみたところで、またこの統一見解をすらっと眺めてみただけでも、授権の範囲にこれが該当してくるというふうには、今の私の法体系論理からいっても、ならないのですね、ここは。ここのところはやはりはっきりしてもらいたいと思うのですよ。

池田行彦自由民主党防衛庁長官

○池田国務大臣 私の方からお答えすべき面もあると思いますので、その面についてお答え申し上げます。  自衛隊は、もとよりその任務は我が国の安全を守る、専守防衛でございます。それはそのとおりでございますので、一般に言われる軍隊とは違った性格のものであるということは我々十分承知しております。しかし、そういうものだから、国内を守るものだから海外には出ないんだ、こういうお話でございましたが、これにはかなり前提があるわけでございます。私どもが繰り返し申し上げておりますのは、日本の憲法上、海外派兵はできない、つまり武力行使の目的を持って武装した部隊が外国の領土であるとかあるいは領海、領空へ出ていくということ、これは憲法上認められないことでございまして、いわゆる海外派兵は認められていない、こう言っているところでございます。  それに対しまして、今申しましたような武力行使の目的を持っているというような場合でなく、海外に自衛隊が出ていくというのが認められる場合がございます。これは法的にその根拠があればいいわけでございますが、必ずしもその場合に、こういった場合に自衛隊は海外に出ていくことができる、そういうふうに法律に明示されてなくても、法律的に認められるというケースはあるわけでございます。  それは、先ほどちょっと御示唆もございましたけれども、防衛庁設置法の方でいろいろ目的がございます。六条十二号でございましたか、教育訓練、そういった職務がございますが、そういった場合には国内で行う訓練もございますし、また海外へ出て訓練をするケースもあるわけでございます。現実にやっております。そういったもののほかに、そういった自衛隊の、いわば本来の主たる任務以外のところでも海外に出るケースがある。そういったことで、例えば百条の四でございますとか百条の五であるとか、こういうものがあるわけでございまして、自衛隊が海外に出てはいけないんだということはないわけでございます。海外のいわゆる派兵はいけないけれども、そういったものに至らないものの場合には海外に出るケースがある。そしてそれには法律のもちろんその基礎が必要でございますが、それは必ずしも法文上にはっきりとこの場合には海外へ出ていくことができると書いてございませんでも、そのように読めるというケースがあるというのは皆様方御理解いただいていると思います。  そして、私どもは今回のケースにつきましては、百条の五のその授権の範囲内である、このように考えておるわけでございますが、その授権の範囲内であるか否かという点につきましては、先般来法制局長官からるる御説明のあるところでございまして、私もそのように考えております。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 もう時間もなくなってきましたから、日銀の参考人、済みません、きょうは入れませんので恐縮ですがお帰りになって結構です。  私は、憲法四十一条の唯一の立法機関としての国会の立法機能を無視するという点で、どんなふうに言われても自衛隊法の規定をいわゆる特例政令でくぐろうとするやり方、潜法性を持ったこういうやり方、これは完全に行政府による立法府の権限侵害であります。今回のいわゆる特例政令について、政府は、自衛隊法百条の五による授権の範囲内であるということを今も防衛庁長官は言いましたが、私たちはこの政令は授権の範囲を大きく踏み出したものと解釈をして、それで論議をしてきたわけであります。当然私は、院の意思ですね、院の意思というものが明らかにならなければなりませんから、これは議長の手元においてこれに対する院の見解というものを私はまとめるべきだと思っております。それは、幸いにして賢明な予算委員長はこれを受けられまして、随分努力をされているようでありますが、私は、理事会で鋭意協議をされているうちに時間が経過して論議が保証されないということになるのでは困るのでありまして、これは早く結論を出してもらいたい。それはどうなっているんですか。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 ただいまの和田委員の御意見については、先般の嶋崎委員よりの御意見もあり、委員の御意見を踏まえて、さらにあわせて理事会で協議させていただきます。――和田委員、審議続行ください。和田君。――和田君、すばらしい御質問に皆さん期待しているようですから、御質問を続行ください。

和田静夫日本社会党・護憲共同

○和田(静)委員 委員長、私、早期にこれについては今協議をされたように結論を出していただきたい。集中審議も予定をされていることですから、委員長の予算委員会の運営の見識を信用いたしますから、そういう意味でやっていってください。  それで、私は政府に対して、議長のもとでこういう有権的な見解が出されるまでは、いわゆる特例政令の停止を真摯に考えてもらいたい。私は強くそのことを要求をいたします。  私は幾つかの質問を残しましたが、残余の質問については、それじゃこれでとめておきましょう。

渡部恒三自由民主党

○渡部委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十二日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十二分散会

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