法務委員会 第7号
- 発言数
- 213 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1991/03/15
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所金谷総務局長、泉人事局長、町田経理局長、島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ────◇─────
○伊藤委員長 内閣提出、司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る十九日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ─────────────
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡崎宏美君。
○岡崎(宏)委員 きょうは私は、司法試験法の一部を改正する法律案を審議するに当たって、国民の側から非常に知りたいと思っていることについてお尋ねをしてみたいと思います。 まず、今回この試験制度の改革を語られるときに、若い人たちが試験に合格をするのが減っている、それを改善していくために試験の制度を変えるのだ、あるいは合格枠を年々ふやしていきたいのだ、こういうことが言われておりまして、五百から六百、六百から七百という数字が挙がっているのですけれども、これまでの経過の中からなぜ七百なのか、そういう数字が出てきたのかということを、若干経過をお尋ねしたいと思います。
○濱崎政府委員 お答えをいたします。 今回の司法試験制度の改革につきましては、ただいま御質問にもございましたように、司法試験の現状が合格するまでに非常に長期間を要するようになっておりまして、非常に長い期間の受験勉強にたえる者でなければなかなか合格することができないという実情になってまいっております。このためにいろいろな弊害を生じてきているわけでございまして、それを緊急に改革しなければならないということで、具体的には昭和六十二年から法務省としてはこの改革について検討に着手してまいったわけであります。 その実情を改革する方策といたしまして、一つは合格者をいま少し増加させることが必要なのではないかということ、それからもう一つは、合格者を決定するシステムについての制度改革というものを考える必要があるのではないか、この二つの問題点について検討をしたわけでございまして、その結果、今回合格者を約二百人程度増加させるということと、制度改革としての合格枠制度というものを採用する、これをあわせて実施するということによってただいま申しましたような実情を改善しようということになったわけでございますが、その検討の過程におきまして、まず合格者の増加ということについて、いろいろ関係方面の意見を聞きながら考えてまいったわけでございます。 ただ、この合格者の増加ということを考える場合におきましては、司法試験に合格した者は、司法修習生として二年間司法研修所及び全国の各裁判所、検察庁、弁護士会において、国費の支給を受けながら、極めて充実した修習を行うということをやってきているわけであります。これによりまして、一応法律の知識を持っている者が法律実 務家として実務につける、そういう力を養成するということになっているわけでございまして、司法の適正な運営の確保という見地から、この充実した修習というものは欠かせないということでございます。そういった修習を行うという見地から考えてまいりますと、現実的に受け入れ可能な数というものにはおのずから限りがあるという問題がございます。 それからまた、司法試験に合格した者は、修習を経て特段の事情がない限り法曹三者のいずれかの道に進むということになりますので、合格者を増加するということは、同時に法曹人口のあり方といった問題にも触れなければならないという問題がございます。 そういうことで、緊急の改革として直ちに実現可能な員数はどうかということで、法曹三者あるいは関係各界のいろいろな意見を総合いたしまして、結局現状においては、この改革をするためにある程度思い切った数で早急に実現可能な人数としては、七百人程度ということにとどまらざるを得ないであろうということの了解に至ったわけでございます。そういうことで、当面の改革のスタートとしては、順次増加させていって七百人程度に増加させるということを前提にして制度改革を考えるに至ったわけでございます。
○岡崎(宏)委員 今の御説明をいただきましても、また私たちいただいた資料を見ましても、恐らく当面の策として、受け入れ可能な、現行の枠というものから出発をして七百という数字が、これは思い切ってとおっしゃるわけですが、出てきたのだろうと思うのですが、利用する側あるいは相談に駆け込みたい側からすれば、今の説明の中でも出てきた言葉ですが、適正かつ必要な人員といいますか、将来的なものも見越して、本当にこれから国民の皆さんが利用しやすい司法界といいますか、裁判所であり、あるいは検察官の方であり弁護士の方であり、この門をくぐり抜けて出ていく人たちが本当はどれくらいであればいいのかということについては論議があったのでしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおり国民の間からは、法曹が国民からはなお縁遠い存在になっている、あるいは裁判に時間がかかり過ぎるといったことから、国民の権利を擁護する上で問題が少なくない、社会の急速な進展に伴って生ずるいろいろな問題に必ずしも対応できていないのではないかという御指摘をいただいているところであります。 こういった国民の期待にこたえますためにどの程度の法曹人口が必要であるかということにつきましては、これまでも各界の意見を伺い、法曹三者で協議する中でも議論の対象としてまいりましたけれども、これはなかなか難しい問題でございまして、早急に答えが出るという性質のものではないわけでございます。しかしながら、方向といたしましては、各界の有識者から、司法試験の合格者をそういう要請に十分に対応できるように大幅に増加させるべきであるという強い意見を伺っております。司法試験制度を含めまして法曹養成制度の抜本的な改革ということにつきましては、今次改革を実現させていただくと同時に直ちに法曹三者を中心として真剣に検討いたしたい、その中で当然法曹三者のそれぞれの人口、法曹人口がどうあるべきかといったことは、その基本になる重要な問題として取り組んでいかなければならないというふうに思っておるわけでございまして、これから真剣に議論を続けてまいりたいと思っております。
○岡崎(宏)委員 私たちからすれば非常に不満なのは、ここは事業という言葉は当たらないと思いますが、普通何でも事を起こそうとするときには、一つの現状をどうとらえるかということがあり、そしてそれが十分なのか十分でないのか、十分でないとしたらそれはなぜかということが順番に解かれていって、そして将来的に、仮に時間がかかるとしてもこういうところまで近づけたいというものがあって、そして当面の策というものが逆に出てくるわけなのです。今回の議論を聞いておりますと、まず当面の策について非常に一生懸命言われているけれども、当面の策というのはあくまでも当面の策であって、それを繰り返しても根本的な解決にはなかなかならないのではないかという危惧を持ちますので、ぜひその論議を深めていただきたいというか、国民のそうした声というものが届くような場を考えていただきたいと思うのですが、もう少し現状についてお尋ねをしてみたいと思います。 さっきもお話の中にありましたし、私たちも正直に思うところですけれども、裁判にかけるとなると非常に時間がかかるというふうに思うのは率直な感想なんですね。実際、今全国の裁判所にどれほどの件数がかかっているんだろうか。私がちょっと教えていただいた数字があるのです。これはその年度で新規に受け付けをした件数だけなんですが、簡易裁判所で、それも民事にかかわるものだけですけれども、昭和五十四年で全国で七十七万一千七百七十八件、それが平成元年になると百十五万二千四百九件、地裁にいくと、昭和五十四年で五十二万六十四件、平成元年になりますと、これが六十五万一千四百五件とふえてきているわけですね。これは新規に受け付けしている分だけですから、係争中のものも含めれば、全国で一年間に裁判所が処理をしているというか抱えている件数は相当なものになるのじゃないかと思うのですが、一体どれくらいになりますか、ちょっと教えてください。
○金谷最高裁判所長官代理者 裁判所の事件というのはいろいろな種類の事件がございまして、例えば逮捕状請求で書面審査だけで処理するというような種類の事件から、法廷を開きまして、当事者が出席してそこで弁論とか証拠調べをして、普通は判決あるいは和解ということでいく、そういう事件があります。ごく普通に訴訟事件、要するに法廷を開きまして、そして判決あるいは和解で終わる、そういう類型の事件を念頭に置くのが一番わかりやすいかと思うのです。 そういう民事と刑事の第一審の訴訟事件の事件数ということで申し上げますと、一番近いところで昨年、すなわち平成二年に地方裁判所に提起されました第一審の訴訟事件の事件数は、民事訴訟で約十一万二千件です。刑事訴訟で約六万三千件です。それから第一審の訴訟は、地裁と並んで簡易裁判所も金額の低い事件あるいは罪の軽い事件を担当いたしますが、平成二年に簡易裁判所に提起された第一審の訴訟事件の事件数は、民事訴訟で約九万七千件でございます。刑事訴訟で約一万六千件でございます。
○岡崎(宏)委員 これに対応する裁判官の数はどれくらいになりますか。
○金谷最高裁判所長官代理者 裁判官の数は、全国で申し上げますと、覚えやすい形で申し上げますと、修習生から判事補になりまして十年たちませんと判事になりませんが、判事が約千四百、裁判官になりましてから十年たたない判事補が約六百、それから簡裁判事が約八百人です。 そういう裁判官が、簡易裁判所の事件も処理し、あるいは地方裁判所の事件、家庭裁判所の事件、高等裁判所の事件というものを処理いたしております。ですから、ただいま申し上げました第一審の訴訟事件を処理する裁判官の数というのは、これは生の数字は非常にとらえがたいものでございます。東京のように大きなところでは、民事の訴訟だけを専門に担当する部ということになっておりますが、地方の支部にいきますと、民事の訴訟もやれば刑事の訴訟もやり、また家庭裁判所の家事事件も少年事件もやる、あるいは令状請求も処理する、そういうふうにいろいろな担当をいたしておりますので、地裁の第一審の訴訟事件を担当している裁判官が何名かというのは、実は私どもも正確にとらえていないところでございます。
○岡崎(宏)委員 どれぐらいがかかわっているのか正確にとらえていないというお答えに対してさらにお尋ねするのは、これは答えが出てくるのかしらとふと不安になるのですけれども、では、担当している裁判官の皆さん一人当たり、年間おお よそどれぐらいの仕事量をこなしておられるのでしょうか。
○金谷最高裁判所長官代理者 とらえていないという表現があるいは適切でないのかもしれないのですが、要するにいろいろな事件をかけ持ちしている裁判官もおりますので、先ほど申し上げました第一審の訴訟事件に何人が関与しているかということは、統計技術的にも出てこないということでございます。 しかし、一人当たりどのぐらいの事件を担当しているかということになりますと、東京の場合とか大阪の場合とか、いろいろ個別の状況は私どもも当然承知しているわけでございます。そういうもので申し上げますと、地方裁判所の判事を念頭に置いてくださればと思いますが、都会地の裁判所では、民事訴訟を担当している裁判官は毎月二十件ぐらいの訴訟事件を割り当てられるということになっております。刑事訴訟事件について言えば、刑事訴訟事件だけを担当される裁判官では、十数件から二十件ぐらいの事件を毎月割り当てられる、そして現状ではそれを少し上回る事件を終わらせている、こういう形になっております。これは、毎月入ってくる事件がそのぐらい割り当てられるということでございます。 また、見方を変えまして手持ちということで言いますと、ある時点に現在自分の担当事件が何件あるか、そういう手持ちの事件ということで申し上げますと、東京あたりですと、民事の訴訟事件を担当している判事ですと二百三、四十件の手持ちを持っているという状況でございます。毎月二十件ずつぐらい入ってきて、二十件余りを処理する。しかし、訴訟は当然一定の手続を要します。事件が来たらすぐ毎日法廷を開くというわけにはまいりませんで、一定の手続を要し、相手の立証も必要なわけで、それには時間がかかりまして、それが現在のところ、地裁の普通の民事事件で一年ちょっとというのが、事件を受けてから終わらせるまでの平均的な審理期間でございます。 ですから、二十件ずつで一年ちょっと平均的にかかるわけですから、当然のことながら算術的に手持ちとしては二百三、四十の手持ちがいつもかかっている。それはためているという形よりも、ある意味ではランニングストック的な係属というものもその中にはあるわけですね。ごく普通に最短で処理しても一定の時間はかかるわけですから、事件が来て終わるまでの間はそれが裁判所の手元にある、そういうものも含まれるわけでございますが、手持ちとしては、民事訴訟事件ですと二百三、四十というものが都会、東京あたりの平均的な手持ちの事件ということになるわけでございます。
○岡崎(宏)委員 そうすると、私たちがこれまで素直な感覚として持っていた、裁判には時間がかかるというのはそのとおりだということになってくると思うのです。実際には、結果的に一人で二百件から三百件も持っていくということは、それに対して一つ一ついろいろな審理に対する期間もかかるわけですから、一人の裁判官の方の負担も非常に大きいのではないか。負担が大きいから、逆に国民の側からすれば、とことんやってもらえるのだろうか、本当に相談に乗ってもらえるのだろうか、自分のことがわかってもらえるのだろうかという不安も持たざるを得ないのではないかという危惧を少し持つのですが、大まかで結構ですから、一つの裁判に大体どれくらいの期間を要するのか、これまで非常に長くかかっているものはどれくらいかという内訳があったらちょっと教えてほしいと思います。
○金谷最高裁判所長官代理者 先ほど例に挙げました地裁の訴訟事件で申し上げますと、これは平成元年の統計になりますが、地裁事件の平均審理期間は、民事訴訟事件で一件当たり十二・四月でございます。一年強ということでございます。それから刑事訴訟事件で三ヵ月半でございます。ですから、平均的には民事訴訟は受け付けてから判決なり和解に至るまでの時間は一年で処理している、こういう形でございます。刑事訴訟は三月半で処理しているのが平均でございます。それは全平均でございます。しかし、訴訟の中にもほとんど争いのない訴訟もあるわけです。事実を認めている、ただ、金が払えない。それから両方に事実関係で非常に争いのある事件もあります。そういったことで、争いのある実質的な審理を行った民事訴訟事件、そして判決で終わった事件の平均を見ますと、これは少し長くなっておりまして、二十・一ヵ月という平均になっております。平均審理期間というところではそういう状況でございます。 そういう数字で見る限りは、トータルとして平均的に見ますと、訴訟はそんなに長くかかっているというものでもないわけですね。ただ、中には長くかかっている事件もございまして、平成元年末の手持ち事件の中で十年を超えている事件というのは、地裁の民事訴訟事件全体では、未済事件が十万六千件くらいのうち六百十二件ございます。刑事事件では、未済事件合計一万九千三百件くらいのうち、十年を超えるものが二百十九件ございます。最近で長いものと申しますと、例えば民事訴訟の関係ですと、公害の事件だとかあるいは薬害の事件、刑事事件でいいますと、大規模な脱税事件であるとかあるいは過激派の絡んだ複雑な事件であるとか複雑な背任事件、そういうものが非常に長くかかる事件の中にあるわけですが、最も長いところでは、最近では民事、刑事とも一審だけで十数年かかっているという非常に長いものもございます。 その原因はいろいろでございますが、事件が複雑であることとか、当事者が非常に多いということであるとか、あるいは刑事の事件では途中保釈した被告人が逃げていて審理がストップしたとか、そういうふうにもろもろの要素がございますが、大ざっぱなところ、そういう状況でございます。
○岡崎(宏)委員 確かに長いものが出てくると思いますし、それだけ複雑になっているのは確かだと思うのですが、そうであればあるほど、逆に言うとそれだけ求められているものが多いということですから、それに対応する人員の配置を考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。今もおっしゃった十年以上、例えば薬害だとか公害だとかいう問題にしても、これは当事者にとっては非常に切実な問題ですし、今、社会的にも裁判所に判断を求められている大きな課題なんですね。ところが、はっきり言って裁判官が不足しているのではないか、こういうふうに私たちは素直に思うのです。 この間経過をずっと見せていただいている中で、最高裁がこんなことをおっしゃっているようなので、これはどういうことなんだろうかとふと疑問に思うことがあるのです。それは、法曹三者協議会の中で、裁判官の採用人数に関しての最高裁の考え方という中で、増員に消極的と受け取られても仕方がない部分があるというふうにお聞きをしているのです。慌ててふやすこともないというふうな考えをおっしゃっているような部分がどうもあるんじゃないか。これですね。 裁判官の定員充足、定員増についての具体的プログラムを示せといわれても簡単には示せない。 これはさっきからお聞きしていることです。 法務省の「基本構想」に基づく改革が実施された場合、合格者の年齢層はある程度変化し、任官を希望する層が厚くなると思われる。しかし、どの程度の任官希望者がでるかはその時の情勢により変化があり、一概にいえない。これまでも同じ試験でほぼ同じ年齢構成であったにもかかわらず、任官者数は、ある年は五十名程度であったし、七十名程度の年もあった。したがって、改革が行われても任官希望者を推定することは困難である。しかし、任官を希望する層が厚くなることは事実である。 平均して十名─二十名程度の変動で推移してきた過去の実績をみれば、将来の採用数については政策的に変更しなければならないとは思わない。希望者が増えても定員政策上絞ることは有り得ない。 これは八九年十二月の法曹三者協議会で示されている考えのようです。 これは、ふやそうという気があるのか、ふやすつもりは余りないというふうに受けとめていいのか、この辺ちょっとよくわかりませんので、教えていただきたいと思います。
○金谷最高裁判所長官代理者 法曹三者協議会には私もずっと出席いたしておりました。かねがね弁護士会の一部等からは、裁判所が人的充実に非常に消極的であるというようなことも聞かれるわけでございますが、決してそうではございません。若干そういう誤解を招くようなこともあるいはあったのかと思いますが、その一つの原因としては、現在の訴訟がおくれているのは裁判官の不足のためである、こう決めつけた議論がございます。それに対しまして私たちは、訴訟のおくれているのは、その裁判官側の事情もあるけれども、大きいところでは、やはり訴訟手続の進め方にいろいろ問題があるからである、そういう訴訟手続の進め方に内在する要因の方が大きいのではないかというようなことも言ったわけでございます。 そういったところがあるいは誤解を招くもとになっているかとも思いますが、この場で率直なことを申し上げさせていただきますと、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、現在の事件数あるいは事件処理のやり方を前提としますと、裁判官が不足して事件処理に支障を来していることはないということは、はっきり申し上げられるわけでございます。入ってくる事件以上に終わらせる事件の方が上回っているわけでございます。もし裁判官が不足しておれば、入ってくる事件が処理できなくて年々未済事件は少しずつなりあるいは相当程度なりふえていく、これはどなたが考えられても理の当然でございまして、今は入ってくる事件以上にたまっている事件を片づける方に結果が出ているということでございます。 しかし、それで裁判官として十分かと私たち考えているかと申しますと、決してそうではございませんで、今、裁判官は、例えば土曜、日曜の休みでも、休むところを家で判決を書いたりというようなこともいたしておりますし、裁判官に相当努力していただいて、非常によく働いて、それでそういう結果になっているという面があるいはあろうかと思います。そういう意味で、もう少し裁判官もゆとりを持っていい形で審理をする、または裁判官の都合によって期日が入らないというようなことをできればなくした方がいいわけでございまして、私たちの方は、この法務委員会を煩わせまして、毎年続けて裁判官についてもずっと増員を行ってきております。昭和四十年以降で申しますと、判事で百五十人、判事補で七十六人、簡易裁判所判事で七十九人、三百人余りの増員を行っておるわけでございます。毎年毎年定員法の改正という法改正をお願いいたしまして増員しておりまして、そういうところからもおわかりいただけますとおり、私たち決して増員に消極的ということでもございませんで、三者協議会の席上でも、私たちの方は、いい人が裁判官になりたいといって来てくださるのならそれは歓迎するのだ、できるだけいい人を多数確保したいのだということを申しております。 ただ、裁判官の場合は、他の弁護士、検察官と違いますところは、一人で、あるいは合議体の場合ですと三人だけで独立に判断して事件を処理しなければならない、そういったところから、だれでもというわけにはまいりません。やはりそれにふさわしい資質のある人を採らなければなりません。そういった要素。あるいは事件数というのも、最近の事件数を見ましても増減の波が非常に多うございます。そういう事件数の状況がどうかとかどこに事件がたまるかとか、そういうことを私たちつぶさに見て毎年毎年こういう増員をお願いしておりまして、決して消極的なことではございません。 今後につきましても、今の裁判官の負担の状況でいいのかとかこれから事件数がどう伸びるかとか、あるいは経済情勢の変動に伴ってどのくらいの事件数が出てくるのかとか、非常に難しい予測ではございますが、そういうことをしながら、裁判官あるいは裁判所のその他の職員につきましても、人的手当ては十分なようにやっていかなければならない、こう考えておりまして、決して人的な手当ての面で消極的な姿勢をとっているということではございませんので、そのあたり十分御理解いただきたいと思います。
○岡崎(宏)委員 消極的でなければいいわけですが、ただ、裁判官が不足をしているというふうには思っていないということが前提であれば、私は、今の裁判官の方が悪いと言っているのじゃなくて、土曜や日曜まで含めて仕事にかかっているという、それでしか前へ進まないということの方がむしろ問題じゃないかというふうに思っているのです。本当に必要であれば、やはり必要だということをもっと皆さんにわかるようにしていかなければならないと思うのです。 それともう一つ、裁判官の人が求められているもの、裁判官だけではなくて司法界の人たちが求められているものというのは、今、社会というのは急激なテンポでどんどん進んでいて、これまでだったら予想し得ないような問題もたくさん出ているわけですね。それに全体が追いつかないものだから、まずは裁判所の判断にゆだねようというふうなことが結構たくさん出てきているわけでしょう。それは公害の問題であったり薬害の問題であったり、あるいは経済上の問題であったりするわけですから、裁判官の方というのは少なくともそういう変化というものをきちんと見ていく。それはゆとりがなければできないですし、その中から本当に国民の感情というもの、庶民感情というものが理解できるような態勢ができていなければ、これは一人の裁判官がどんなに頑張ろうと態勢としてはなかなか国民の側が求めるものになっていかないというふうに思いますので、裁判官が不足しているからおくれているのじゃないと、それはそうかもしれないけれども、事実として裁判官が不足しているというのは、私たちから見ては否めない事実ではないかなというふうに思うのです。 ちょっとこんな声も聞きましたので、ぜひこの声をお聞きいただいて、改めて消極的ではない姿勢をお示しいただけたらと思います。 これはお聞きいただく方にとっては非常に嫌な言葉かもわかりませんけれども、例えばある方は、裁判官の手持ちの件数が多いから強引な訴訟指揮や和解勧告や期日指定などがなされるのではないか、あるいは判決書の中で最近理由の占める割合が非常に減少して、判決の説得力を失わせて、だから上訴がふえているのではないか、裁判官が不足しているから支部に常駐する裁判官がなかなかいなくて保全処分などに影響を与えているんだ。私もこの試験制度を考えるときに、いろいろな資料を読んでみましょうと思って、見ている中で、結構こういう指摘があったわけです。 こういう声があるということは、やはりきちんと受けとめていかなければならないのではないか。努力はあると思いますが、やはりきちんと受けとめて、裁判官の増員についてもできるだけ努力をしていくということを改めて御決意をいただきたいと思います。
○金谷最高裁判所長官代理者 先ほどのお尋ねに対しまして私の答えましたことも、委員のおっしゃる趣旨と同趣旨のことを申し上げたわけでございまして、決して裁判官について手当てが必要ないということではございません。おくれの原因が裁判官不足にあるという言い方は、当たっていないところが多いという趣旨のことだけを申し上げまして、やはりもう少しゆとりも持って、そして負担がもう少し軽い形でいろいろなところに、御指摘のように最近の社会情勢の変化に伴いまして、裁判所に来る事件は複雑化、多様化いたしております。そういうものに対して適切に対応できるようなふだんからの研さんも積まなければなりませんし、そういうことを考えれば、裁判官についても積極的な人的な手当ての必要ということは、私たちは否定しているわけでございません。 これは今回の司法試験の改革とも絡むわけです が、裁判官の場合は弁護士さんからでも裁判官になれるわけですが、現実の問題として、三年ほど前に裁判所は弁護士さんから裁判官に迎えるということについて積極的な姿勢を示したわけです。一定程度の数は来てくださったわけですが、そちらの方から大勢裁判官に任官されるということは、事実上はなかなか期待が難しいわけでございます。裁判官をふやしていくにはやはり修習生から判事補になる、そこの時点で判事補をまずふやし、そして十年たてば判事がふえるという形でふやすという形にならざるを得ないわけでございます。私たちこの増員をお願いいたす前に、ことしですと判事補五名という増員、五名というみみっちい数字ではないかというような御批判もあるわけでございます。これはしかし、百人ふやすといいまして百人ふやした予算をいただきましても、それが埋まらなければどうにもならないわけでございまして、そういったところから、給源と申しておりますが、修習生から判事補への志望、このぐらいふやしてもこれは埋まるという見込みを見ながら、その増員の手当てというのを毎年繰り返しているという状況でございます。 そういった関係では、今回司法試験法が改正されて、そして裁判官にも大勢の優秀ないい人材が来てくれるというようなことは、私たちとしても非常に歓迎すべきところでございまして、必要な人員を大幅に確保したいときに、やはりそういう枠を広げればそれが埋まるというような形で裁判官志望があるということは、まことに結構なことでございまして、そのあたりのところをぜひ御理解いただきたいと思います。私たち決して増員について消極的ということではございませんで、委員のお考えになっているのとほぼ同じことを考えております。 ただ御質問の中で、いろいろ人的不足のために事件処理が雑になっているとか判決の理由があれだとか、確かにそういう批判はもう繰り返し弁護士さんの一部から出ております。裁判は人間のいたすことでございますので、常に完璧とは申しません。訴訟指揮に不適切な場合もございます。判決の書き方に下手な場合もあろうかと思います。しかし、人手不足のために非常に拙速的に処理しているとか粗っぽいやり方をしているということはございません。これは誇りを持って申し上げますが、やはり一人の人間の命、自由あるいは財産というものを預かりまして裁判するわけでございますので、そう軽々にそういうことでやれるものではございませんで、やはり日夜一生懸命やっておるわけでございます。しかし、それでもそういう御批判はありますので、御批判には耳を傾けますが、ただ、いろいろ着色して評価絡みで言う中には当たっていないものも少なくないと、私たち見ております。
○岡崎(宏)委員 ゆとりを持つためには人手不足をまずは解消するべきではないかと私は思いますが、そこのところでやりとりをすると随分時間がかかってきそうですし、増員については努力を続けていただけるということですから、裁判官の数についてお聞きをするのは終えたいと思います。 もう一つ、深刻な人手不足と言われている中で、検察官の問題があるというふうに聞いているのです。特に検察官の場合は、途中で退官をされる方が非常に多いというふうにお聞きをしているのですが、それは現状どうなっているのでしょうか、教えてください。
○井嶋政府委員 それでは、まず検事の定員といいますか欠員関係、その辺から御説明申し上げますが、過去十年間検事の定員は千百七十三名ということで、これは増減ございません、増員要求をいたしておりませんから。それに対しまして欠員というのがあるわけでございますが、毎年十二月末の数で申し上げますと、まず五十六年から申しますが、五十六年は三十九、五十七年が四十一、以下順次三十四、三十六、三十三、五十七、六十二、七十六、七十九、百七ということでございまして、この三年間を言いますと、六十三年が七十六、元年が七十九、平成二年が百七という数字になるわけでございます。 検事のそういった欠員は、当然定年退官でございますとか委員が指摘された中途退官というのがあるわけでございますから発生をするわけでありますが、この給源は何かと申しますと、それはメーンは司法修習生から任官する検事でございます。それ以外に、副検事から特別の試験を受けまして検事になるいわゆる特任検事という制度がございまして、これは年間数名でございますけれども、そういった給源がございます。そういった給源が結局最近減ってまいっておりますので、したがって欠員も最近ふえてきている、こういう関係になるわけでございます。 それでは、その給源である検事の任官者数がどうなっているかという数でございますが、これも今の欠員と対応して十年を申し上げますと、五十六年からでございますが、司法修習生からの任官者数は、五十六年が三十八、以下順次申し上げますと、五十三、五十三、五十、四十九、三十四、三十七、四十一、五十一、それで昨年が二十八、こういうことでございまして、最近やはり若干減少傾向があるわけでございます。 そういうことでございますから、この給源が減ってまいりますからどうしても欠員が広がっていくわけでありますが、もう一つ欠員が発生する理由である、中途退官者数の推移はどうなっておるかということでございますが、これも五十六年から申し上げますと、五十六年が四十三、以下順次五十五、五十四、四十四、五十、五十三、四十六、五十五、五十六で、平成二年は三十名、こういう数でございまして、中途退官者数というのは、今お示ししましたようにそれほど変化がないわけでございます。 そういう状況でございますから、やはり任官者が減少傾向にあるということが、検察官の人員の問題を考える場合に結局一番大きな問題であるというふうに考えるわけでございます。
○岡崎(宏)委員 大きな変化はないにしても、中途で退官をする人がやはり四十から五十いる。そしてさらに、任官を希望する人が減っている。これは一体どこに原因があるというふうに考えていらっしゃいますか。
○井嶋政府委員 まず、中途退官者がそれなりの数があるということは御指摘のとおりであります。これは大体毎年同じ数であるということを先ほど申し上げましたが、さらにその中をよく見てみますと、七割、八割は五十歳代の退官者なんです。これは、つまりそれなりに検察官としての仕事を終えて、結局は弁護士に転身するわけですけれども、弁護士をやろうという方でありまして、もう過去ずっと検察の人員の構成上そういうのが常態でございますから、私どもは、御指摘になるほど特に若い人の中途退官がふえてきたというようなことについては、必ずしも客観的データと合っていないということを申し上げておきたいと思います。 しかしながら、いずれにいたしましてもまず任官者が不足しているということは残念ながら事実でございますので、もちろんその原因につきまして私どももいろいろ検討するわけでございます。ただ、これは一概に申し上げることは非常に難しゅうございまして、推測といいますか、そういったものになるわけでございますけれども、まず言えますことは、今回改正をお願いしておりますけれども、平均受験回数六回あるいは合格平均年齢が二十八歳を超えるというような司法試験の現状からいたしますと、いわゆる何か組織に入って大いに活躍しようという人は、結局は若いときに、卒業したときに役所あるいは民間会社へ行ってしまう、何回も受けて頑張ろうという方は、それなりに独立性の強い、裁判官とかあるいは弁護士といったことをあらかじめ考えて受験するというような人が多いのじゃないかということから、全体的に受験者層の中に検事を希望するような層の人の方が少なくなってきているのじゃないかということが一つ考えられます。 それから、年齢が高くなって任官をいたしますが、結局初任給というのはもう皆同じでございますから、他の分野に行った同期の人と比べます と、給与的にもあるいは地位的にもそれぞれ相当の格差があるということから、検事任官を渋るということもあるかもしれません。 さらに、検事の仕事が非常に多忙をきわめておりまして、それとともに、職務柄緊張感を伴う仕事でございますからそれなりの覚悟が必要である。決して高齢になったら覚悟がなくなるというわけでもないのですけれども、そういったこともございますし、それから頻繁な転勤がございます。子供の教育とか親の扶養といったようなことを考えますと、また考えなければならない層の方が多いわけですから、そういったことを考えますと、やはり任官、特に検事になってあちこち転勤して歩くということにちゅうちょを感じるのではないか。 また、これは経済的な面でございますが、同期の弁護士と比べればやはり格差がある。同期の弁護士の場合は転勤もないということでございますから、そういう住宅の問題とか、そういった経済的な面も格差があるということが一つの原因になるかもしれません。 いずれにいたしましても、私どもは、そういったことを推定いたしまして、それなりに予算的なものあるいは法務行政で賄えるものにつきましては、従来も努力をしてまいりましたが、これからも努力をしてまいりたいと考えております。
○岡崎(宏)委員 原因となるものについて今おっしゃっていただいたことを裏づけるような、非常におもしろいアンケートの結果がありますので、改めてこれはお聞きをいただきたいと思います。 これは中途で退官をされた方を対象に行われたアンケートなんですが、本当に極めて現実的な課題が浮かび上がってくるような気がします。やめられた方に理由を聞くと、ほとんどの方が表面上は「家族・家庭上の理由」というものを挙げられているようです。 それをもう少し掘り下げて聞いてみると、こういう数字が挙がってきております。「人事に公正さを欠いている」四四%、「エリートと非エリートとの区別が明確になされている」五八%、「決裁制度の運用を改善し、個々の検察官により幅広い権限と責任を認めるべきである」五三%、「社会の巨悪を摘発する等の検察庁の使命感が薄れ、全体的に官僚化して事なかれ主義に陥っている」五八%、「転勤が多く家庭生活が安定しない」七六%、「給料が低い」四九%。 転勤だとか給料の問題になってきますと、本当に家族や家庭を理由とするのは非常に切実なものになってきているなと思うのですが、ここらあたりは大いに、しかもかなり近い範囲ででも改善の余地はありそうだと思います。そして、やはり気になるのは、検察庁の使命感が薄れ、全体的に官僚化して事なかれ主義に陥っているのじゃないかと思っている。要するに仕事に対する魅力、これは検察官の皆さんの置かれている位置からも恐らくくるのだろうと思いますが、魅力を感じなければこれからそこに職を求めようとする人もいないわけですから、ぜひ改善できる部分は改善をしていただきたい、そういうふうに思うのです。今、働く人は、これはどんな場面でもそうですけれども、ある現場では三Kと言われる、あるいは看護婦さんは八Kと言われているように、ひょっとしたら検察官の仕事も、これは閉ざされた世界でなかなか見えなかったけれども、そういうふうに言っても問題ないくらいなのかもしれないと、このアンケートを見ながら思ったのですね。 それで、今、改善をしたい、努力をしたいというお話も聞いたわけですけれども、これもさっき裁判官のところでお聞きをしたように、三者協議会の場でも法務省は頑張って検察官をふやそうとおっしゃっているかというと、なかなか、これはどういうふうに受けとめるのかなということもおっしゃっているようで、ぜひ確認をしておきたいと思います。 検察官を志す人の減少に関して、任官者の数の変動要因のすべてを分析することは必要でない、あるいは中途退官を押しとどめる方向で検察官の人材確保難を解決しようとすることは相当でなく、恐らく可能でもない、こういうふうにおっしゃっている。これは開き直りなのか、ふやす意欲もないのかととられても仕方がないのじゃないか。どうやって魅力ある仕事にしようか、人が寄ってくるところにしようかと思っていらっしゃるのか、こういう発言からはうかがえないなと思いますので、改めて真意をお尋ねしたいと思います。
○井嶋政府委員 今委員が仰せになった三者協議会の発言というのが、どの場面でだれがしたものかよくわかりませんが、私どもの少なくとも三者協に出ております委員は、そのような趣旨のことを申し上げるはずがないと私は思います。つまり、私どもも先ほど来申しますように、検事不足というのは現実にあるわけでございますから、中途退官もできるだけ減らすあるいは任官者をふやすということが結局勢力を維持するために必要なことであるということでございますから、それについての努力は、従来も重ねておりますし、これからも重ねていくということを申し上げておるわけでございます。 ただ、先ほど御引用になったアンケートというのは、私どもも承知をいたしておりまして、これは東京の三弁護士会がおやりになったことでございますけれども、私どもが考えておりますのは、そのアンケートについては必ずしも公平といいますか、客観性があるのかな、あるいは公平なのかなという点は実はあるわけでございますが、それは論争しても始まりません。ただ、途中でやめていく方は、私どもの把握する限りでは、一番大きなメーンのファクターは家庭の事情でございます。一身上の事情でございます。非常に多くの方は、もっと続けたいけれども、ここで転勤をすることになると家庭のことを考えなければならぬのだということで、本当に後ろ髪を引かれる思いでおやめになる方が相当おるわけでございます。 私たちはそういう現実を知っておりますから、その後いろいろ弁護士として活躍されて、そこで外からもう一度見直した場合に問題があるのかなという観点からごらんになれば、あるいはそういった結論が出てくるのかもしれませんけれども、それはそれとして、本当はやりたいんだけれども、家庭の事情でどうしてもだめだという方が非常に多いということを付言さしていただきたいと思います。 それから、先ほど申しましたように、中途退官あるいは任官者不足を解消するために私たちがやっております努力は、本当に真摯な努力でございまして、前にもう何回も御説明しておりますけれども、現在も検察庁の中で検察問題調査会というものをつくりまして、検察官の職務のあり方、職務の執行の仕方、あるいは人員の配置の問題、人事政策の問題、あるいはOA化の問題といったすべての問題を、将来に向かっての展望を開くために真剣に検討しておるということを申し上げておきたいと思います。
○岡崎(宏)委員 ですから転勤の問題というのは、どうやら管理当局の方も、そしてこうしたアンケートに答えられている方からも、非常にネックになっているということははっきりしているわけです。そういう具体的な改善を一方で考えないと、そして検察にとっての必要な人員というものを考えていかないと、試験制度における総枠は少しふやしていったとしても、検察のところに本当に人が来てくれるかどうかということになりますとどうも定かではないから、そういう改善をぜひやってほしい、こういうふうに思っているのです。特にこの転勤の制度は、例えば全国ということから少し枠を狭めていくとか、そういうことが考えられないのか、こういうことだろうと思います。 それこそ一般の国民というのは、よくテレビだとかあるいは映画を見ていると、検察官というのは、今はついつい悪役になっておりますけれども、しかし本来は社会の悪をきちんと摘発する、弱い者の味方であるという位置づけになっていけば、おのずと変わっていく。そのためには、検察の仕事に携わる人たちが、これは私は裁判官と本 当に一緒だと思いますけれども、ふだんから社会の動きをきちんとつかめるだけのゆとりがあるように、余りに自分の生活に疲れていくということになりますと、やはり物事を広く見ることができないことになっていきますので、ぜひこれは努力をいただきたいな、私はそういうふうに思っております。ぜひ一言、あえて御決意をいただけるならお聞かせをいただきたいと思います。
○井嶋政府委員 検察官の仕事と申しますのは、結局、国の刑罰権を実現するという、非常に重要で、かつ崇高な使命でございます。これは、本人それぞれがそれなりの決意と正義感と人権の感覚、そういったものを持ち合わせた人間でなければできないという職業でございます。ただ、そういったものに一たん身を投じた人は、それなりに皆頑張っておるわけでありまして、委員御心配のようなことはないわけでございますけれども、しかし残念ながら、やはり家族を中心とした生活があるわけでございますから、それとの絡みでどうしてもやめざるを得ないという人が出てくる、これは仕方がないことだと思っております。 しかし、そうは言いながらも、世の中は変わってまいっておりますし、国民の期待する検察というものは何なのかということも我々は常に考えなければならない立場ですから、先ほど申しましたように、最高検においてそういった問題の検討も真摯にやっておるということも御披露さしていただいたわけでございます。 特に転勤のことについてお話がございましたが、私どもも仕事柄一ヵ所に長く置くことができない職業でございますので、どうしても全国規模の転勤を余儀なくされるわけでございますけれども、まず、そういったその根本原則はそれで本当なのかということも含めまして、今いろいろ改善策を考えておるわけでございます。差し当たりは、平均的には二年の周期で転勤しておったのを三年ぐらいにしようというようなことも実は実施しておるわけでございまして、委員御指摘のようなことも含めていろいろなことを、あらゆることを我々も考えておりますので、ひとつ応援する気持ちで見守っていただきたいと思います。
○岡崎(宏)委員 それぞれ志を持ってその職についた者が、その職をやり遂げたいときに家庭の事情でやめなければならない、そういうことがないような条件整備というものをやっていただきたいし、その意思で動く限りにおいては、私たちはぜひ応援をしたいと思います。 最後に、これは一般的な感情として、裁判所というのは敷居が高い、あるいは検察の仕事をしている人あるいは弁護士さんもそうなんですけれども、一般の国民からすると非常に敷居が高いところです。裁判にかけなければいけないというふうになってきますと、どれぐらい自分はそれにかかる費用を準備ができているだろうかと、思わず自分の財布の中身を考えないと相談にも行けないというのが一般の人たちが持つ全体に対するイメージです。 裁判所の制度も百年になったというふうにお聞きするわけですが、国民の側が本当に自分の権利として利用できる、そういう制度により近づけていくためにいろいろな御努力をいただきたいと思いますが、ぜひそこらあたり、大臣から決意をいただければ、そしてその上で、だからより多くの人材を必要とすることとして試験制度の改善が図られるのならば納得もいくことではないかと思いますので、最後に御決意をいただいて、終わりたいと思います。
○左藤国務大臣 いろいろお話をいただきました。確かにこの法曹三者、裁判官、検察官、弁護士、そういった方々に国民の権利を適正に擁護していっていただこう、こういうことでやっていただいている仕事だ、これがまた裁判制度であるわけであります。そういう意味で、国民の皆さんにもっと利用していただきやすいといいますか、御理解をいただけるようなPRというよりも、そうしたことについて御理解いただけるような、例えば裁判官、検察官、そうした方々の処遇の問題とか、そういうようなことも含めまして、仕事をしていただきやすい、そしてまた国民の皆さんからも御理解していただきやすいような対策について、法曹三者で協力してやっていく、それには当然、そうした環境の整備には法務省も努力をしなければならない、このように考えております。
○岡崎(宏)委員 終わります。
○伊藤委員長 小森龍邦君。
○小森委員 それでは、続きまして私の方から質問を行いたいと思います。 まず、いきなり唐突というかぶしつけな質問を申し上げますが、数字を見ますと、二万五千人もの受験者がございまして、そして五百人程度合格をする、その競争率は実に五十倍、こういったことでございまして、これは我が国においても最も難しい試験制度であるということ、また世界的規模において見ましても、恐らくこれほど難しい試験は他になかろうと思われるぐらいの高い水準のものだと思います。 そこで、私は具体的な事情を承知しませんのでまことに幼稚なことをお尋ねするようでございますが、大体毎年満点ならば総数の点数が幾らで、そしてどれくらいのところがパスしておるのか、これをまずお答えいただきたいと思います。
○堀田政府委員 これは、各科目によりまして司法試験の考査委員の方がお決めになるところでございます。それで、満点をとる者はこれは事実問題としておりませんで、大体六割から七割ぐらいの成績をとるというあたりがトップでありまして、その辺を頂点にいたしまして、大体こまのような形を思い浮かべていただくと結構でありますけれども、そういうような点数の分布の形になっております。そのうち上の大体二%あたりが合格する。最終の姿で、まとめて申し上げますとそのような形になっております。
○小森委員 満点というのは、満点をとった人間が何名おるかという意味ではなくて、通常百点満点のうち八十点とかあるいは七十点とかという表現の仕方でありまして、ここでお答えいただきましたのは、六、七割程度の点数をとればという意味のことでございます。 それで大体わかったわけでありますが、そうなりますと、五百人ぐらいのところで切るというのは、これは定員のところで切るのか、あるいは成績がこれ以上あれば五百人のところは多少上回っても合格をさせるというのか、その辺はどういう扱いになっているのでしょう。
○堀田政府委員 これも、最終的に考査委員会議で決まることでございます。基本的に司法試験は資格試験でございますので、人数よりはその年度の成績が、これを法曹として養成するにふさわしい点をとっておるか、そういう基準が第一に働くわけでございます。そういう観点から、その年度の成績が例年に比べましてかなり落ちますと合格者の人数の方も減ってまいりますし、逆に相当成績がよければ例年より合格者の数が多いということで、合格者数は変動するわけでございます。 ただ、そういう絶体的な配慮のほかに、実際問題といたしまして、合格いたした者は二年間の司法修習をさせるわけでございまして、それには司法研修所の人的あるいは物的なキャパシティーの問題でありますとか、あるいは実務修習を受け入れていただきます各庁の能力の問題でありますとか、そういうあたりがございますので、おのずからそのあたりも参考にしながら、しかし基本的には絶対的な基準で合否を決める、こういうような形で司法試験考査委員会議が運用されておるものと承知いたしております。
○小森委員 ある年は例えば百点満点のうち六十五点が合格をし、ある年は百点満点のうち六十九点とか六十八点の者が合格をしてその一点下の者は不合格、こういう場合がもしあるとすれば、それは年度によって、いわばその年度の偶然的な状況で、受験をした個人は、ああ、ことしは運が悪かった、こんな形に本人はなると思います。 と同時に、また先ほど来の議論がありましたが、全体として足りないというのは国民の実感であります。これは後ほどまた角度を変えてお尋ねいたしますが、かかる非常に高度な難しい試験の 場合は、少々多かろうが少なかろうが、例えば百点満点の六十五点以上とった者は全員合格できるんだ、こんな物の考え方で運用できないものでしょうか。
○堀田政府委員 まず、合格させます基準点の選び方でございますけれども、これは例年考査委員会議の決定結果を見ておりますと、そう点数に差はございませんで、六百五十点といたしますと六百五十一点になったり六百五十四点になったりと、おおむねそのような感じで運用されておりまして、若干の点数の差が生じますのは、その年の問題のやさしさ、難しさ等によって若干変わりますけれども、非常に平均したところで基準が求められておるということがまず第一の前提でございます。その上で、その基準をどうするかということにつきましては、今回の法制度の改革にも関連いたしまして、それについての合格者の枠を定めようということで新しい制度が今回提案されているもの、こう理解しております。
○小森委員 例えば六百五十一点で通る年と六百五十四点とか五点でなければ通れない年とある。今の運用ならそういうことだと思うのですけれども、わずか三点とか五点との間で合格する者と不合格の者が出てくる、つまり例年の例によって点数でわずか数点の差で合格したり合格しなかったりする。そこらのところに、二万五千人の受験者の人数からすると、これはちょっと運のよい年なら通るんだがというような、そういう感覚から見て、これを私はボーダーラインと言いたいと思いますが、そのボーダーラインというのは、この二万五千人のうちに一体どれぐらいの人数がいるのですか。
○堀田政府委員 先ほどはトータルの姿で申し上げておりますけれども、少し砕きまして、この第二次試験の中には短答式、論文式、口述式とございますけれども、まず、短答式につきまして申し上げますと、例えば平成二年度でありますと約二万三千人が受験いたしまして、そのうち三千八百名程度が合格しておりますけれども、その合格点の一点下というところには数百人ほどの人がおるというのが実情でございます。 論文式につきましても、平成二年度の例で申しますと、約三千七百名受験いたしまして五百六名合格しておるわけでありますけれども、合格点より一割下あたりの範囲をとりますと、一千数百名がおるということでございます。 口述試験につきましては、これは五百四十名受験で四百九十九名合格いたしておりますけれども、不合格になった者もその点数は全員かなり接近したところにおるというのが実情でございます。
○小森委員 試験制度を難しく厳密に行ってよりすぐるということは、一面また評価をしなければならぬところがあるわけですが、社会の要請というものが、ここのところ、もう少し弁護士さんがいてくれればとか、検察官が足りないとか.裁判官もどうもじっくり考えてくれないでそそくさと判決を書いておるのではないかと思われるようなことが、それは私も裁判官のことについてもそういう感じを持っておるのでありますが、そこはかなり主観的な評価ということにもなりましょう。しかし、検察官が足りないということは事実なのであります。それから、後ほどお尋ねしたいと思いますが、弁護士資格を持った方の国際的比較においても、日本の場合は非常に少ないというふうに私は思うのであります。その国際的比較も、もしデータをお持ちならば後ほどお知らせをいただきたいと思っておりますけれども、そういうことでわずかの差のところまで肉薄してきておる者がかなりいるとすれば、これは大胆にそういう方を合格させて、そして司法修習を受けてもらって、今日の法曹の陣容をしっかり整えるということが大事ではないか。 これは、だれだってその日、その日のでき、ふできというものはあるわけですし、体の調子だって同じ健康な人間がけさときょうの昼ごろとは少しぐらい違うので、スポーツの選手でいうと、朝のうち駆けるのと午後駆けるのとではちょっと記録が違ったということもあるわけであります。だからといってその人の実力がそんなに違うわけではないのでありますから、そういったことについて、これは受験生も大いに努力をしておるのでありますから、もう少し大幅な緩和策が考えられないものだろうか、こういう気持ちを持つのでありますが、いかがでございましょうか。
○濱崎政府委員 委員御指摘のように、裁判が国民に近いものになる、国民に十分な法律的なサービスを提供することができるという観点から、法曹三者とももう少し人数を増加すべきなのではないか、また、司法試験も基本的には資格試験であるということならば、その資格があると認められる者はどんどん合格させるような制度にすべきではないかという御指摘は、私どもも、この問題を検討する過程においても、いろいろな方面から伺っておるところでございます。 方向としては私どもも同様に考えているわけでございますけれども、他方におきまして、法曹資格を得るためには二年間の司法修習を経なければならない。この司法修習は、司法研修所及び全国の裁判所、検察庁、弁護士会において極めて充実した個人指導的な形で行われております。そのことによって法曹となろうとするための能力を有する者が法曹として実際に活躍することができる能力を確保することができる、それによって司法の適正な運営が確保されるということでございますので、その充実した修習というものは確保しなければならないわけでございます。そういった前提で考えますと、司法試験には、基本的には資格試験でありますけれども、司法修習生の採用試験という実質もあわせ有するわけでございまして、この点も考えながら合格者数を考えていかなければならないという要請がございます。 また、法曹人口のあり方ということにつきましては、いろいろな考え方がございまして、具体的な数字についてコンセンサスを得るのはなかなか難しい問題であるということもございます。そういったことを踏まえまして、今回の改革においては、緊急の対応をする必要があるということから、関係方面の理解が得られる数字として七百人に増加するということで実施をいたしたいというふうに考え、それを前提にして合格枠制という制度をあわせて実施して、司法試験の改善を図ろうというふうに考えるに至った次第でございます。 将来の問題といたしましては、御指摘のような点を含めまして、また、この改革に伴って若干の増加をするということにしたその結果をも踏まえまして、法曹三者を中心に一生懸命考えてまいりたいというふうに思っております。
○小森委員 考え方というものが、本格的に物を改革するという考え方でなくて、片方は、例えば人数をふやす方は改革をしたい、しかし、例えば司法研修所の受け皿の方についてはややそこのところを固定しておいて、そしてここでふん詰まりになるから、だからちょっとこっちが難しいんだ、これでは根本的な改革にならないですね。こちら側の方を改革するということになると、こっちの方も改革しないと調整がとれない、実際に機能しない、こういう考え方を持ってもらわないと、戦後間もないころからいったら、人口だって倍になっているのですからね。にもかかわらず、司法試験でパスして法曹三者のところにそれぞれ配分される人間というのは余り変わらないという状況では、裁判とか司法に関する国民の権利も本当は守れないし、国民がなじめないのは当たり前のことだと思うのです。 したがって、今回出されております法律案によりますと、これは根本的な改革でなくて、そこのところをちょこちょことやろうというのですから、しょせん今幾ら言うてみたところでまともな回答は出ないですね、将来の課題といたしますというようなことになるぐらいで。これはやむを得ないと思いますけれども、観点とすれば、そういうことを考えないと根本的な解決にはならない。特に、国民の権利感覚というものが高まってくると、次第にこれは、個々人でなるべくいろいろなもつれごとを解決したいということも前段にはあ るけれども、法律的に問題を解決しようというのは、国民の権利意識の向上とともにだんだんその分野が大きくなってくると思うのです。 それがつまり、裁判の制度、裁判の仕組みの中で十分に受け入れられない、非常に国民との間が遠い、こういうことになりますと、これは大変なことだ。私など、こういう事件がありましてちょっと弁護士さんにお願いしたいのですが、弁護士さんを紹介していただけないでしょうか、こういうことをよく受けるのですね。一般の市民の方は、お医者さんならかかりつけのお医者さんみたいなものがおるわけですが、あの弁護士さんが私らのいつもやってもらう人ですというような人はないのです。それではうまくいきようがないのでありまして、たまに私時間をとって、弁護士さんに会うときに付き添っていきますと、弁護士さんと会っていろいろ話をするのに、裁判官か検察官に会って話しているように緊張して話しているのですね。 そうなると、弁護士は自分の味方だという大まかな観念というものはあるけれども、弁護士さんにも、事情なお自分の不利なようなことについては隠して説明するというようなこともあるのですね。それで私、弁護士さんというのは味方なんだから、全部言うておかぬと後で困るよとよく注意する。国民の感覚はそうなんです。それだけ弁護士さんというものも、国民の生活の全体からいうと、ちょっと人数が少ないために遠い存在になっている、こういうことがあります。これは、これ以上やりとりしてもいけませんので、そういうことを私の方から強く事情を訴えておきたいと思います。 それから、司法試験のことに関して、これは非常に魅力的な制度だと若いころから思っておったのでありますが、大学を出てない者が、一次試験を突破すれば二次試験を受けることができる、こういう制度がございまして、こういった制度は、社会が隆々と発展しておるときには、それこそ札幌農学校のクラーク博士ではないが、少年よ大志を抱け、この少年よ大志を抱けということが、現実に大志を抱いて、結果そのことが実現をするという社会、これが実は社会にまだ発展するゆとりのある時期の状況なんであります。「おれは河原の枯れすすき 同じお前も枯れすすき どうせ二人はこの世では 花の咲かない枯れすすき」となったら終わりなんであります。 ところが、先ほどの司法試験でも、大志を抱いてやった者でも、大方いいところまで行っておるのだけれども、もうちょっとのところで行けぬというのがぐちゅっとなるが、それよりももっと、大志を抱いてもその大志を実現することができない、こういうことが次第、次第に社会の厳しさとなって現実に展開しておると私は思いますが、司法一次試験をパスして二次試験をパスしたというような人が、人数としてはこの数年間どれくらいいらっしゃるのかということをお知らせいただきたいと思います。
○堀田政府委員 一次試験に合格いたしまして二次試験に合格した者の人数でございますけれども、昭和六十一年度で六名、以下四名、七名、三名で、平成二年度は八名でございます。
○小森委員 まだ我が国社会に多少希望の持てる余地があったのだということを確認しまして、非常にうれしく思いましたが、そういう個々人が努力をされるということの一面と、さらにまたそういうことの余地をも考慮しながら運営をしていく。 私はよく、いろいろな社会的な運動で青年諸君に言うて聞かすのは、人間というものは単純に一つの知識だけで評価をしてはいけない、トータルだ。こういう法曹関係の方は特に詳しい法律専門知識がなければならぬから、そういうことを一般的に言うことはできませんけれども、そうであったとしても、やはりトータルな人間的力量ということが大事でございますので、辛酸をなめ、努力して、あらゆる経済的な条件とか、学問をオーソドックスに受けることができなかった者が独学自習をしてそれに肉薄していくということは、すごい人格というものがそれについていっておるわけですね。すごい人間的馬力というものがついていっておるわけであります。したがって、そういう立場の方の将来が開けるような、そういう余地をも考慮しつつひとつ司法試験制度というものに当たっていただきたい、こういうことも強く要望をいたしておきたいと思います。 次の質問は、今度の配慮によりまして、大体一年から三年までの、つまり一回から三回までの受験者を一定割合で合格させよう。それは、こういう大事な問題について、一定程度年をとるまではなかなか司法修習生にもなれない、社会的に活動できない、その間は受験勉強でくくりつけというのではいけないから、したがって一年から三年までの間というのは、ある程度四年以後の受験者の得点よりも低くても、その割合だけは通す、こういう意味だと思いますが、そういうふうに解してよろしいでしょうか。
○濱崎政府委員 今度の合格枠制は、合格者の一部については、受験期間が一定期間以内の者から定めるということでございますので、御指摘のとおり、そういう制約のない一般枠の中で合格しなかった者であって三年以内である者については別枠で合格させるということでございますので、当然両者の間で合格点には差が出てくるということに相なります。
○小森委員 そうなりますと、これもまた運、不運が関係してきて、司法試験に通る、通らない、そしてもう幾らやってもいけないということで断念をするということになりますと、大変大きなさま変わりがその人の人生について回るわけであります。だから、私が思うのは、一回から三回までの間の人を一定の割合で合格させるというならば、足りないことは事実なのでありますから、特に検事に任官する人が文句なしに足りないことは明確なのでありますから、だから一つの考え方として、一回から三回までの者を一定の枠というか、そういうもので合格させるというなら、その最低で合格をした者と、何回も苦労して、七回も八回もの者のあたりを合否を決定するときに、点数の上で考慮するということは考えられないのですか。
○濱崎政府委員 御指摘を正しく理解しているかどうかわかりませんけれども、三年以内の者について特別に、具体的には二百人程度を合格者とするということを考えているわけでございます。その場合に、現在の実際の試験のデータから試算してみますと、それと同じ点数の者を全員合格させるということになりますと、恐らく合格者の数は千数百人程度にならざるを得ないことになるわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたような事情で、そういう人数を直ちに合格者とすることができないという実情のもとにおいて、現在生じている問題点を緊急に改善する方策として、三年以内は合格しやすい制度にすることが適当であるという判断をしているわけでございます。 そういうことで、三年以内の人と四年以上の人との間で、これは画一的にそういう取り扱いをすることになるわけでございますけれども、その間でもっと折衷的な考え方というのはなかなか考えることができないということで、そういう方向で改正をお願いしているわけであります。
○小森委員 私の質問を正しく理解していただいて答えられたわけですけれども、意には沿わない答えなのであります。 私が強調したいのは、一回から三回までの最低のラインの合格者のラインのところまで持っていくと千数百人にも及ぶだろうということを言われまして、なおさら驚いたのですけれども、それくらい接近する者が多いという意味ですね。そうなれば、六回とか七回、八回、九回、回数の多い人が最終的にどれくらいおられるのか知りませんけれども、やはり一回から三回までの人の最底辺のところへぴしっと合わすと千数百ということになると、それは今の司法研修制度ではとても受け入れられないわけでありますから、受験した回数の高い人のところを幾らか考慮していただいて、人 生のみねをまいてもらう、屋根がわらのいいのをつけてもらうということ、実力はそんなに違わないと私は思いますから。 実力はあっても、一つの事件に取り組むのに、一生懸命その事件の中身を勉強しなくて、あれは条文のあの辺だろうということで、お医者さんが時々簡単な診察をして、風邪か風邪でないかわからぬのに、患者にこれは風邪でしょうなと言ったら患者もそうでしょうなと言って、それで風邪だということになる場合があるでしょう。あれと同じようなことになってはいかぬわけです。 だから問題は、人間のある一定の知識があれば、人間のトータルな力量なんでありますから、そこをひとつ考えて、ここへ提案されるのは、ちゃんと案を練って腹をくくって出ておられるのだから、ここのちょっとの議論でそれが変更されるということはあり得ぬと思いますけれども、今のようなやり方は、厳密に考えると合理的な差別とは言えないと私は思います。合理的な差別でなくて、つまりこそくな調整ということになると思います。極めて合理的な判断で法律的に物に対処しなければならない、その一番最初の関門が、合理的な差別とは言われないこそくな制度でやっとくぐり抜けられたというようなことでは、やはり司法に携わる方々の将来の人生観にも影響します。だから、そういう点は私の気持ちとして申し上げておきたいと思います。 さて、いろいろ配慮をいただいておるようでございまして、教養科目の問題ですね。教養科目というのは、この資料集によりますと、司法試験法の一部を改正する法律案参照条文というパートの四ページの「七 次の科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目」、このところなんですか。 〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
○濱崎政府委員 私ども非法律選択科目というふうに呼んでおりますが、巷間には教養選択科目というふうに言われております。御指摘のところでございます。
○小森委員 結局、ここに挙げてあるのは七科目ありますが、今度の考え方は、この七科目をどうするというのですか。
○濱崎政府委員 第六条第二項の七号でございますが、これを削るという改正をするわけでございます。その関係は、新旧対照条文でごらんいただきますと、その三ページになりますけれども、この七号を削るという改正をしようとするものでございます。
○小森委員 専門科目の勉強に集中するということでは、気がいらいらしなくて効果のあることだと思うのです。しかしながら、私が申し上げましたように、これは人間社会のことなんですから、人間ということの基盤を忘れてはいかぬのです。どんな専門があろうが、どんなことがあろうが、それはやはり人間としての共通点というか、その広いすそ野の上に高い頂上というものが築かれる。三千七百七十六メートルの富士山、あれを飛行機から見ると、とてつもないすそ野があるのですね。 私は、これは同和教育論の展開におきましても、まだ文部省と長時間とって渡り合ったことはないけれども、今我が国の教育が非常にひずんでおるのは、すそ野を切ってびいっと頂点だけを目指すという要するに大学受験競争、これを私らは差別と選別の教育と言っていますけれども、一人のすぐれた、頂点をきわめる者が出てくるということは、それのすそ野がずっと広がっておって初めてその頂点をきわめられるのであります。だから、専門知識がすばらしいものになるということは、物すごいすそ野がその人の知識の中にあってできるのであります。最近、学際的研究という言葉が使われるでしょう。国と国との関係、国際問題だとか国際的研究ということが言われますが、学問と学問の関係の関連性ぐらいはその人の知識の中になければ、自分の専門が本当にまとまり切れないのであります。 例えば、物理学とか化学とかを専門に研究された方がテレビ対談などに出られても、実にすぐれた人生論を展開され、すぐれた社会観を展開されるというのは、やはりそういう専門領域において頂点に達せられた人は、ずっと教養というものを身につけておられる。だから、物理学と哲学との間の学際的研究はできているのです。私らが社会運動の観点から、例えば人権なら人権、解放運動なら解放運動のことを念頭に置いて聞いておって、おう、実は私らが思うておるところはあそこだ、物理学のことを説明しておられるのを聞きながら、私らが日ごろ思うておるところはあそこだということがしばしばあるのであります。 そういうことで、この教養科目の問題が、では大学の法学部でどうなるのか。ここではとりあえず短期間法律問題を、司法試験の受験についてはやってもらうのだというが、では大学の法学部の教養科目はどうなるのかということも考えてもらわないと、私は心配なのであります。ちょっとその心配事項を申します。 今まで検察官が、もちろん司法試験をパスして、司法修習を終えて検事になって、ある事件を担当されて、そして公訴を提起される。そのときに起訴状というものを書かれます。これが、常識があるかないか、知識の上にすそ野があるかどうかということが大きな問題となるのであります。 私は、昨年の今ごろでしたか、ちょっと申し上げたと思いますが、被差別部落の青年と隣村の娘さんとが仲よくなって、戦後のことでありますからいわゆる自由結婚という言葉がはやっておった時期でありますが、親、兄弟の了解を得ずして二人が同棲をした。そうしたら警察が来て、これは結婚誘拐、営利誘拐だといって引っ張っていって、二人を裂いてしまった。当然これは逮捕して、連れて帰って起訴という段取りになりました。その起訴状の中にどんなことが書いてあるかというと、被告人何々村のだれべえはいわゆる被差別部落の出身者である、よって、一般の娘たちと尋常一様の手段では結婚することができないと思念し、結婚誘拐、営利誘拐をはかったるものなり、こう書いてあります。それで、私これを知って、まだ二十そこそこぐらいでしたけれども、高校を卒業した当座でございましたけれども、これは大変な問題だということで、先輩の皆さんとあれこれ討論して、これはけしからぬということで検察庁の方に抗議を申し入れたら、いや、これは悪かった、削る、こうなったのです。 しかし、そのとき私は知ったのですけれども、起訴状の文章を削除するということは、何か見ると、横にサイドラインを引いて、このサイドラインの部分を削除するということで刑事訴訟法上の扱いは削除することになるらしいのです。やはり裁判官は絶対にそれを読むのです。これは削除しますといって、ここは、裁判官、あなたの頭の中へよく入れておけよという意味になりますね。だから、これは刑事訴訟法の何条か知らぬけれども、検察官が裁判官に予断と偏見を与えるものであるといって、ずっとその裁判はそこがもつれていったことがあるわけであります。 裁判官自体も、部落問題とか人権問題とか十分に承知をしていない。それは我々の住む世界とは違う世界の、我が国社会の最底辺のところで、おれたちのようなエリートの関知するところではないと思って育っているかもわかりません。そうすると、それを見て、ああそうか、わかった、これは一応、法律上こんなことを書いておったら問題になるから削るにしくはないと思うが、なるほどわかった、うん、承知した、合点だ、こういうようなことになる可能性があるわけであります。 これは最高裁までいきまして、そして広島高裁に差し戻しになってとうとう無罪にまでなりましたけれども、人間一人の権利を守るためのその間の労力というのは物すごいですよ。 そういうふうなことになってはいかぬから、要するに教養、ここにあるいろいろの、政治学とか経済原論とか財政、会計、心理、経済政策、社会政策などの中のどれかは厳しい難関を通過する、しかしそうでないならば、私は一概なことは言いませんが、大学でどうするのかというような問題があると思いますので、そういう知識のすそ野ということについてはどうお考えでしょうか。
○濱崎政府委員 非法律選択科目というふうに呼ばせていただきますが、この科目は昭和三十三年の司法試験法の改正で導入されたものでございまして、将来法曹となる者が法律以外にも広い素養を備える必要があるという趣旨から取り入れられたものでございます。法曹として、法律の知識、能力だけではなくて、幅広い素養がぜひとも必要であるということは、現在においても変わりはございません。まことに委員御指摘のとおりであると思います。 しかしながら、司法試験の実情が合格までに極めて長い期間を要する、そういう長い受験勉強に耐える者でなければ合格することは極めて難しい現状になり、そのために法曹となるにふさわしい人材を適切に法曹界に確保する上でいろいろ問題が生じておる。これをぜひとも改善する必要があるという観点から考えました場合には、試験科目を現在よりもできるだけ少なくして、受験者の負担をできるだけ軽減する、それによってより短い期間に合格する可能性を高めるということが望ましいというふうに判断したわけでございます。 この科目が導入された趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますが、この科目が加えられた所期の目的を達しているかどうかという観点から考えてみますと、ただいま申しましたような試験の実情の中で、ここに掲げられている七つの科目から、自分が興味がある、あるいは勉強がしやすいという科目を一つだけ選んで、そして長い期間をかけてその問題について受験技術を研さんするという実情、そういったものを考えてみますと、それが本来の目的を達する上では適切な効果を発揮していると言えないのではないかという意見が、かねてから非常に強く大学関係者等から言われておりました。そういった御意見を踏まえ、そして先ほど申しましたように負担をできるだけ軽減してより短い期間で合格できるようにするという観点から、今回この科目を削るという改正をするのが相当であるというふうに判断したわけでございます。 この点につきましては、法曹三者、大学関係者あるいは受験生、そういった方面の大分の意見が一致するところでございまして、法曹としての素養という点につきましては、第一次試験の合格、あるいは大学における一定の課程を修了していれば第一次試験が免除されるわけでございますが、そういう教養課程において担保される。そのほか、司法修習生に関する規則におきましても、司法修習は、高い識見と円満な常識を養い、法律に関する理論と実務を身につけ、裁判官、検察官または弁護士となるにふさわしい品位と能力を備えるという観点からなされるべきものとされておりまして、司法研修所等におかれましても、そのための適切な努力をされているものと承知しております。 むしろそういった一般的素養は、できるだけ司法試験を合格しやすいものにするということによって、かえってそれだけ余裕を生じてそういう勉強の機会がふえるということが考えられるのではないかというふうに思っているわけでございます。
○小森委員 それはそういう考え方もあって、しかし現実に物事を進めていかれる政府側がやられることなんでありまして、そういう考えでやられておるわけで、これはどうも今のところやりようがないですけれども、そういう説明もあるが、一面、前よりはすそ野が小さくなるという危惧もある、きょうはやむを得ぬからこの程度でお聞きをしておいていただきたいと思うのです。 そこで私は、そのことを皆さん方にできるだけ深く理解をしてもらうために申し上げたいと思いますが、これは本年の二月十五日、名古屋地方裁判所におきましてのある事件についての起訴状に基づく検察官の意見なんでありますが、アイヌ人と、国籍からいうならばこれは日本国民ですけれども、民族からいえば大和民族というか、アイヌの側からは和人と言っていますが、アイヌ人と和人との間のいさかいで、つまり、殴りどころが悪かったのでしょうか、ついに傷害致死に至らしめたという事件があるわけであります。 そこで、こういうことなんですね。「本件犯行は、被告人が、酩酊した被害者」名前はちょっと言えませんが、Oと言いましょう、「被害者Oに毛の生えたほおを触られたり、」これはアイヌ人の方がなでられたのですよ、「触られたり、腕の毛を引っ張られたりされながら、「こら、アイヌ。」などと差別的言辞で侮辱されたことなどに激昂した末敢行したもので、」敢行というのは殴ったもので、「なるほど同人には犯行を誘発した落度が認められるものの、被告人は、右Oの右行為に対し、口頭で静止を求めたり抗議したりするなど回避の措置を特段採ることなく、激情の赴くままいきなり犯行に及んでいること、」こういう説明をしておるわけですね。 結局、今まではこういう事件は、大概の場合起訴状に、原因不明、原因を書かずに殴ったとか切ったとかいうようなことで起訴状を書き、その起訴状の説明をするというのが検事のとる手段であったわけです。しかし、今回はこういう書き方で、これはアイヌ人に対する差別事件がもとだということは一応書いています。その限りでは、私は、差別に対してはもっと鋭く見なきゃならぬという今日の社会の一般的な常識を検察官も一応ある程度頭の中に入れてやっておるということが言えると思うのです。 ただ、本当に差別というものについて深く物が考えられれば、ここでも、原因はそうなんだがと言いながら、すぐ「なるほど同人には犯行を誘発した落度が認められるものの、」「口頭で静止を求めたり抗議したりするなど回避の措置を特段採ることなく、」ということで、やられた方がいつまでも常に紳士的でなければならぬというような、そっちにだけ条件をつけた上で物事の判断をする、これが、私は教養が足りないと思うのです。人権感覚が足りないと思うのです。 戦後間もないころ、私が高校を卒業した直後に起きたさっきの事件なんか、たまさか書いたというたらろくなことを書かぬ。そして大概の場合は書かずに物事の審理を進めていく、こういうことになっているのですね。だから、私がさっき申し上げたように、いかにしてそういう人権に対する感覚というものが徹底していなければならぬかということを感ずるのであります。 我が国政府が非常にもたもたいたしまして、入管法の問題、今度出ますけれども、あれは海部総理が韓国の大統領と話し合って最終的に政治的決着をつけたのですが、あそこに至るまでの数カ月前に、私は人権擁護局長に韓国と我々の関係、朝鮮半島と我々との関係について、我が国が政治的に考えなければならぬいかなる問題点があったのかと、どうするのかと尋ねておるのじゃなしに、どういう問題点があったのかと言うても、答えないと言うてここでがたがたやったことがあるでしょう。それで今度はまた答えると言うて私の部屋に言うてきたから、ではそれでよかろうと言うたけれども、本当に項目程度で、本当は各省の自分の専門の、人権なら人権ということが政府全体にどういうふうに集約されるかということが行政運営の一番大事なところでしょう、これはまた入管法のときに私は言いますけれども。そういうことできちっとした考え方がなければならぬのであります。 これは近く判決が出ます。量刑のところは言いませんけれども、最後の求刑のところでも、どういうことになっているかといったら、そこまでやるほどのことはなかったと。弁護人は、それは当たりどころが悪かったとか、状況が悪くて傷害致死に至らしめたのだと一生懸命弁護していますけれども、飲んでぐでぐでになって、それこそ今度は防御する方が防御することができないような状況になっておったことも大きな要因だということを弁護人も言っておりますが、果たしてこれはどういう判決が出るか、これまた人権に対する、あるいは社会問題の現状に対する認識がどうあるかということによって左右される裁判だと私は思っています。ひとつ簡単にお願いします。
○井嶋政府委員 今委員御指摘の事件は現に裁判 中でございますから、その当否、中身についてここで議論するのは適当でないと思いますので、私はそれには触れませんが、御指摘のあった客観的事実についてだけ説明させていただきます。 先ほど起訴状にというお話でございましたが、起訴状自体にはそういう用語は使っておりませんで、起訴状の記載は、被害者から、「Oから人種差別的言辞で侮辱されたことなどに憤激し、」と書いてあります。委員御案内のとおり、起訴状朗読の後に検察官が立証すべき事項ということで冒頭陳述というのをいたしますが、冒頭陳述の中で、先ほど委員御指摘のような状況の説明の中でそういった言葉がかぎ括弧つきで、言われた言葉として書いてあるということでございます。 起訴状の記載というのは、委員御案内のとおり予断排除の原則というのがございまして、客観的に、裁判官に予断を与えないために整理をして書くわけでございます。しかしながら、例えば今のように、そういう言葉自体が名誉棄損になるような場合にどうしても言葉を引用しなければならない、あるいは動機として書かなければならぬ場合に書かなければならぬということがあるということだけは御理解いただきたいと思います。
○小森委員 私はそんなことを言っているのではないのです。このことが差別的な文書だということを言っているのではないのです。こういう事実というものを踏まえてやるような傾向になり出したということは一面評価しなければならぬが、そうならばなおさら深い教養とか深い知識があってこういう論理展開、事実認定というものが行われなければならぬということを言っているわけですから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 それで、こういう問題との関係で、今アイヌの、これは北海道日高支庁二風谷という、私が再再足を運んでいくところでありますが、この二風谷というところにダムの建設が行われておりまして、その土地が強制収用にかかり、もともとその土地は北海道旧土人保護法という名称自体が大変差別的な法律によって、一万五千坪ですか、給与地として、その法律ができたときにアイヌの皆さんに農耕を主たる仕事とするようにということで給付したことがあるわけでありますが、それが今度のダム建設に基づいて、いやだいやだというのに強制収用されて、さらに、建設大臣にもう一つ高いレベルでそれは不当だということを審査してくれと言っておる、そういうときに、税金がかかって、加算税まで来ておるということが社会問題化しております。 時間がありませんからそのことに関係して簡単に質問いたしますが、現在北海道が、道庁として、ウタリ協会が提唱するところの旧土人保護法を廃止してアイヌ新法をつくってくれ、諸外国にも先住民族に対する適切な政策をとるということが行われている国もたくさんあるのだから、やってくれと言うてきておると思います。これは我が国政府のどこが窓口で、今どの程度なっておるか。もう一、二回質問を繰り返したいので、簡単にお答えいただきたいと思います。
○中西説明員 今のお尋ねの件でございますが、アイヌ新法問題につきまして北海道庁からの要望を受け、現在政府部内に関係省庁から成る検討委員会を設置いたしまして検討を行っておるところでございます。議長役は私ども内閣内政審議室が務めておるということでございます。 新法問題につきましては、いろいろな論点、多岐にわたるわけでございまして、また要望にございます先住民族としての権利とは一体何であるか、内容その他法制上の問題も多々あるわけでございます。それで、現在北海道庁にも会議に来ていただきまして、一緒になって議論をしておる、そういう段階でございます。
○小森委員 いつも日本の政府は、自分がやるまいと思ったら、いや研究をしておるとか、そのことにかかわる法の概念、法律的にどうだとかこうだとか言うて——人種差別撤廃条約のことについてもこの間私は外務大臣に尋ねました。外務省としてはやりたいと。ははあ、どの省とどの省が邪魔しておるなと、私はぴんときているのです。これはまた私の思うところの省と一遍やらなければいかぬと思うのですけれども。その際に、あの人種差別撤廃条約の五条が問題だというから、その五条とほぼ同じ中身の問題は、既に批准しておる国際人権現約の中にちゃんともう批准をしておる中身があるのに、まだそんなことを言っておる。これは恐らく法務省が一番反対しておるのじゃないか。今大臣出られたから、時間もないし問われないけれども、そういう気持ちを持っているのです。 そこで、今お答えになりましたことも、もういろいろな国で、そういう先住民族に対する政策というものはどうあるべきか、ある一定の先鞭をつけたものがたくさんあるのですね。それを日本がまだ今ごろやりかけておるのですよ。実際やっておらぬのでしょう。やりかけておるのですというぐらいでは物が済みませんので、これはひとつ速やかに物を動かすように取り組んでいただきたい。速やかに機能させてもらいたい。もし機能がうまくいってないなら、こういうことを私は言ってまたしかるべきときにお尋ねをしますし、最悪の場合には議論の場を使わず、文書ででもどこまで物が行っておるかということを国会質問を通じてやりたい、私はこういう気持ちの用意がありますので、ちょっとその気持ちだけ話してください。
○中西説明員 私どもとしましては、一つ一つ問題点について詳細に議論し、鋭意検討を進めるつもりでございます。
○小森委員 抽象的なことではいけませんので、ひとつ一生懸命やってください。 終わります。
○田辺(広)委員長代理 引き続いて、鈴木喜久子君に発言を許します。
○鈴木(喜)委員 引き続き、今の司法試験改革についての問題を質問させていただきます。 司法試験法の一部を改正する法律案の中で第八条が一番の中身になっている部分だと思うのですけれども、これをずっと読んでみますと、ここに書いてあるのは、 司法試験管理委員会は、司法試験における受験者が合格までに要する期間の実情その他の状況に照らして必要があると認めるときは、第二次試験の論文式による試験における合格者を定める方法として、多様な人材の合格の可能性を損なわないように配意しつつ、司法試験管理委員会規則で定めるところにより、合格者の一部につき、第二次試験の短答式による試験を初めて受けた時から一定の期間内に当該論文式による試験を受けた者のうちから定めるべきものとすることができる。 という文章で、極めて抽象的な書き方だと思うのですね。 司法試験管理委員会が必要があるというふうに認めるときは、管理委員会規則で定めるところによっていろいろ、「一定の期間内」も「合格者の一部」もどのくらいかということも具体的には何も書かずに、「第二次試験の短答式による試験を初めて受けた時から一定の期間内に」というのも三年か五年か一年かもわからないし、「合格者の一部」というのも七分の一なのか十分の一なのか三分の一かもわからない。そういうものは「規則で定めるところにより、」という形で書かれています。このまま素直にこの文言を読みますと、今言ったように管理委員会規則と管理委員会でもって決めればどうにでもできるというふうに読めてしまうのですが、その改正するべき内容については、要するに「規則で定めるところ」、それから「必要があると認めるとき」の具体的事情についてはどのような形で現在決められているのか、具体的に明確に教えてください。
○濱崎政府委員 まず御質問の趣旨は、これに基づいて規則をどういうふうに定める予定であるのかということが第一点と承りました。 この点につきましては、この法改正が実現し次第管理委員会において所要の管理委員会規則を定めるということを予定しているところでございますが、その規則におきましては、この改正法律の 八条二項に規定する合格者の決定方法は、合格者総数のおおむね七分の五に相当する部分を受験期間にかかわりなく定め、その余の部分を受験期間が三年以内の者である者のうちから定める、こういう趣旨の規定を置くということを予定しているところでございます。 それから、管理委員会が規定しておりますような状況に照らして必要があると認めるという場合の基準をどういうふうに考えているのかというお話がございましたけれども、これも法律的には管理委員会が定めるというものでございますけれども、この点については、委員御案内のとおり、この制度改革についての法曹三者の基本的合意において、平成八年の試験からこの合格枠制を実施するかどうかの基準について合意をいたしております。その合意の線に沿った形で司法試験管理委員会において基準を定め運用していただくということを予定しているところでございまして、その点の大筋については、既に司法試験管理委員会において内部的に了解していただいているところであります。
○鈴木(喜)委員 この試験法の改正によって一番影響を受けるのは、受験生でございます。受験生が見ることのできるのはこの司法試験法でございまして、そこでの改正の条文を見て、今おっしゃっていただいたようなことは一つも見えてまいりません。ですから、今そういう意味で、私どもはいろいろなところで質問をし、お聞かせいただいていますので、内容については承知しておりますし、いろいろと報道もされているところですけれども、今明確にしておきませんと、先般の自衛隊機を飛ばすのを特例政令でやられるような、そういった内閣の姿勢というものから考えますと、どこでどのような形で解釈をされて何か決められるかわからないという大変な、こういった管理委員会規則に預けてしまう、委任してしまう内容が決まってないということに、まさかとは思いつつ、一つの不安が残るわけでございます。 ですから、もう一度伺わせていただきたいのですが、今の七分の二のところはわかりました。七分の五が合格者総数の中で受験歴に関係なく決定して、七分の二は初回から三年の者の枠からできる。では、この場合に考慮される受験歴というのは、一体何年のときの試験から起算するのかということ。もう一つは、その状況に照らしてということについて法曹三者の合意があるとおっしゃいましたけれども、その具体的な内容はどういうことなのか、お知らせください。
○濱崎政府委員 まず、この受験期間の算定における、受験はいつの試験からカウントするのかということでございますが、この点につきましては、この改正法律の附則第二項におきまして、第八条二項の方法による合格者の決定に当たってカウントする第二次試験には、「平成四年以前に行われたものを含まないものとする。」という形で規定しております。したがいまして、法律上平成五年以降の試験からカウントが始まるということが明確になっているわけでございます。 なお、これは平成四年以前のものを含まないという形で消去法で書いてありますけれども、管理委員会規則の方ではより明確に、平成五年以降に行われた試験からという形で明らかにすることといたしたいと思っております。もちろん、この規則も官報によって公告されるわけでございますし、それ以外の方法でもその内容の周知に私ども努めるつもりでございます。 それから、基準についての三者合意の内容についてお尋ねでございましたけれども、この点は、検証期間を平成三年から五年間とし、その間合格者の増員と運用改善を行いまして、七年の終了後速やかに合格枠制の実施について決定する、その場合の検証基準といたしましては、次のいずれにも該当する場合には合格枠制による合否判定を行うことをしない、該当しない場合には行うこととするということでありますが、その一つといたしまして、平成七年の試験結果において、合格者のうち初回受験から三年以内のものが三〇%以上であるか、あるいは五年以内のものが六〇%以上に達していること、これが一つでございます。さらにこれに加えまして、平成八年以降においてこれらの数値が安定的なものであって、しかも上昇する、そういう少数回受験者の割合が上昇する傾向が見定められ、その数年後には三年以内の合格者が四〇%になるか、または五年以内の合格者が七五%になるということが見込まれる、こういう二つの基準が満たされた場合には八年からの実施は見送る、こういう内容でございます。
○鈴木(喜)委員 その見込まれるところも非常に難しい判定だと思います。見込みということになりますと、上昇傾向が認められるかどうかというその判定自体かなり難しいところがあると思いますので、この点のそこでの司法試験管理委員会またはここでは改革協議会というところが判定するのだと思いますけれども、その中での判定ということについて、この場合には慎重な形で大いにそれを行っていただきたいと思います。 そうでありませんと、非常に大きなパーセンテージで、最終的には四〇%の三年以内の合格者、または五年以内の合格者が七五%ということになりますと、現状から合わせますと大変なところでございますので、これになるかどうかということの見通しというのは大変難しいものがあるのではないかと思います。この点非常に御配慮いただきまして、もしもこの合格枠という制度を使わないでいった場合に、合格者数は一体何人まで、一応上限は今大体五百人前後ということですけれども、いずれにせよ合格者の人数の枠をどのくらいまで引き上げられるのでしょうか。
○濱崎政府委員 平成八年から合格枠制による判定を行わないという場合の数というふうに伺いましたが、いわゆる検証期間中にも早速平成三年が六百、平成四年も同じ、五年から七年までは七百人程度に増加させることを予定しているわけでございまして、もし平成七年までの検証の結果によって用意した合格枠制による合否判定を見送るということにいたしました場合にも、引き続き七百人程度の合格者数を維持していくということを、現在のところ考えているわけであります。
○鈴木(喜)委員 いずれにせよ、合格枠を使うにせよ使わないにせよ、一応七百人がとまりで、八百人、九百人、千人というふうにふやしていくという予定は今のところ考えておられないんでしょうか。
○濱崎政府委員 今次改革のために当面の関係者の了解ができるところということで、七百人という数字が出てきたわけでございまして、これが将来とももう上限であるという考えは私ども毛頭持っておりません。順次もう少しふやしていくということについてコンセンサスができ、条件整備が整うということになれば、そういう改善を図っていくということはこれからの検討課題であるというふうに思っております。 御案内のとおり、三者の方によりまして、司法試験制度の抜本的改革等について将来改革協議会という場を設けて鋭意協議するということを予定しておりますが、合格者の増加といったことはその中の一つの重要なテーマであろうと考えられます。そういう中でも鋭意意見交換をして、どの程度まで増加させるのが適当であるかということについて意見を闘わし、検討していくということを考えております。
○鈴木(喜)委員 私は千人ぐらいまではぜひともふやしていっていただきたいと思っているわけですけれども、単純な増員でなぜいけないかという問題、私は去年もこの問題については取り上げて、いろいろとお話を伺ったことがございますけれども、なぜいけないのかということがまだよくわかりません。若い人を下の方からピックアップすることがどうしてそんなに必要なことなのか。若い人というか、受験歴の少ない人ですね、そういうふうな人をピックアップすることがどうして必要なのか。 長年受験をするということ自身の受験生が受ける非常な苦しみは、私も身をもってわかっておりますけれども、それを緩和するというような意味合いとは余り考えられずに、そうではなくて、非 常にいい人材、若くいい人材が司法試験離れを起こしてしまって、司法試験を受けるのは割に合わないということで、初めから他の各方面の方に行ってしまう、その点が法曹界にとっては非常に重大な危機になるのではないかというような気持ちがおありなのだろうということばわかるのですね。しかし、そのためにどうして定員増だけでなく、そういった形でやらなければいけないかということの合理性には、なかなか結びつかないような気がします。 特に、先ほども小森委員の方からの質問のときにおっしゃったお答えの中で、私こういうふうに伺ったのですが、今のところ五百名前後ぐらいの人数を採るということがある、これから司法修習を受けて法曹界に送り出すにふさわしい、それだけの基礎的な知識、能力を持った者を選ぶと大体そのぐらいのところになる、だから、それが一点、二点ということであれば、差異が非常に近いこまのように分布されている形で、その辺に集中しているかもしれないけれども、大体今採るところが、評価で言うと問題の難しさというのはその年によって難易はあるけれども、一応そのあたりが法曹にとってふさわしい能力なり基礎知識なりを持っている者である、そういうようなお答えがあったと思うのです。それと、受け皿の問題との兼ね合いももちろんある。 そういうふうなことからいいますと、もし現在おっしゃっているように七分の五と七分の二というような形で考えた場合に、平成二年の部分について、受験生たちというか、合格者からの問題でいきますと、従来どおりに採用するというのが約五百三十二名に当たっているということで、そこで切りますと、そのあと大体二百六十人ぐらいですか、それが三年以内の受験者の中から選ばれる人になる。そうすると、二百数十名というのを合格歴三年ということで限って、平成元年度の資料で見てみますと、合格点から見て大体十五点マイナスというところに一番最低の二百六十番目ぐらいの人がいくことになる。トータルしてみますと、その人は上から見た場合に大体二千番ぐらいに当たってしまう。そうすると、五百三十二番で通常の枠の中でやった人と二千番で受かった人は、千五百番ぐらいの差ができてしまう。 そういう千五百番というふうな差が、番数だけで言うのもおかしいのですけれども、点数で言っても十五点の差があるということになると、そこで基礎的な学力についても非常に差が出るのではないか、修習の中で追いつくような差ではなくなるのではないかというおそれがあると私は思います。この点で、法曹に必要な成績とおっしゃるけれども、十五点もの差がある、番数にして千五百番も違う、そういう人までをすくい上げるということは、それは受けて受かる人は受かりやすくていいかもしれないけれども、全体として、法曹の質として一体どういうことになるのかなということ。先ほども小森委員の方から合理的な差別とは言えないのではないかというお話があったと同じように、私もそれだと余りにも大き過ぎるのではないかなという気がいたしますけれども、いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 この合格枠制を実施した場合に、いわゆる一般枠と制限枠との合格点に差異が生ずることに相なります。その具体的な数字は今ちょっとあれでございますが、七科目合計で十数点、一科目平均で二点程度の差が生ずるというのが現在の実情に当てはめた場合の推定でございます。 この点数の意味でございますけれども、現在の試験の実情は、大変厳しい競争試験の実質を持っておりますために、考査委員は非常に神経を使って細かい採点をしている、そして順位をつけざるを得ないということで、そういう細かい点数をつけ、その差が今のような形であらわれているわけでございますけれども、その程度の差が果たしてどういう重みを持っているのか、意味を持っているのかということとも関連すると思うわけでございます。 そういう観点から考えてみました場合に、これは考査委員の先生方の実感をも踏まえてのものでございますけれども、試験に合格した者は、いきなり実務につくわけではございません。二年間の充実した修習を経て実務につくわけでございます。そういう修習を前提とした、将来の法曹となろうとする者に必要な線という観点から考えた場合には、その程度の差というものは問題にする必要はないのではないかという感覚を伺っておるところでございます。 それから、昭和四十年代におきましては、三回以内で合格する者の割合が半数を占めておったわけでございます。それがだんだん現在のような異常な状況になってきているわけでございますが、そういう少数回で合格した者の質に問題があるということはかつてなかったはずでございます。そういった状況が現在変わっているというふうには思われないわけでございます。そういう意味で、合格者の質は、そういう判定方法をとりました場合にも全く問題がないのではないかというふうに考えているところでございます。 〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
○鈴木(喜)委員 いろいろな点で、私は今そこに異論を感ぜざるを得ないのです。確かに四十年代に平均が三・何回というようなことで、四回弱ぐらいのところで出ていますから、そういう方々が受かっていられたことはもちろん間違いないし、その方々に実力がないなんということを私は一言も言っているわけではありません。そうではなくて、それはそのときの問題、そしてそのときの全体のレベルが、司法修習を受けて立派に法曹としてやっていかれる、全体のレベルがそういうことで判定されたのであって、それは今現在資質の問題を——現在こちらの合格者が五百何番までで、そしてそれと同時に受ける人が、三回以上受ける人が千番なり千何百番なり、もし差異があった場合にどうなのかという問題なのです。 例えば、四十年代にそういう差異のある方というのは、例えば初めて受けた人は一体どうなのかとかいうことで、それは全部合格をするという、同列のところでどこまでの合格者を見るか。もちろん現在だって初めてで受かられる方も非常にたくさんいらっしゃるわけだし、そんなことを問題にしているわけでは全くないわけです。ただ、そんなにその人たちだけを救うような形をした場合に、レベルに差ができるのではないかということを私は問題にしているわけです。 それは、もちろんそういったことでなくて、それが修習中に全部集中的ないい修習をして、そしてその中で法曹として立派にやっていくということであれば何も問題はないけれども、どうなのだろうかという疑問なのですが、それには答えていただいてない。修習中の充実した修習ということをおっしゃっていますけれども、それは後で問題にしたいと思うのですけれども、人数が多くなったときに充実した修習が果たしてできるかということについてはまたもう一つ大きな問題があるように思います。 それで、それに行く前に、長年かかっていない時期があった。今はどうしてこんなに長年かかるようになってきたか。大体の統計で見ますと、初めは三回とか四回ぐらいが平均であったものが、現在は五回、六回というところが受験歴の平均になってきていると思います。平成元年でも六・五、それから平成三年でも六・六ぐらいの回数ということが受験歴で出てきているようですけれども、なぜこんなふうにふえてきているのかということになると、これはやはり、一つは基礎的な学問をする時間が、大学教育の中でやられていない。要するに、試験を受けるという人は大学を卒業したときにまた司法試験用に一から勉強する。そうでなければ大学に入っても司法試験、司法試験ということを考えて、例えば二年生ぐらいのときからもう一生懸命司法試験用の勉強というのを学校の学部の勉強とは別にやらなければ、なかなか例えば在学中に合格をするというような形ができてこない。だから、どうしてもそういうことでいくと、司法試験のために、法曹になるための基礎的な学力をつけるための時間というのが大学教 育の中でなされずに、そこからまた何年か、それが今の非常に膨大な情報量やら受験産業やらということからいろいろやっていきますと、どうしても三年ぐらいはかかってしまう。その三年の上の上積みがあと二年であり、一年であり三年である。大体そのぐらいになる。そういうふうに考えることができると思うのです。 そうなりますと、それは司法試験だけの問題ではなく、大学教育そのもののあり方という問題にもかかわってくると思うのです。それをただ単に、そういうことを抜かして、例えば受験歴三回まではどうだというような形でやった場合には、その基礎的な部分が大学でやられていればいいのですけれども、やられていない場合には、やはりその点で、今度は合格された方が修習ということの中で、また物すごい苦労をされることになるのではないかというような気持ちもあるのですが、この点、大学教育との関係も踏まえましてどのようにお考えか、短くお答えください。
○濱崎政府委員 合格までに要する期間が長期化している原因に関連する問題でございますけれども、そういう観点からこれまでのいろいろなデータを詳細に分析してみました結果といたしましては、司法試験受験者が合格するまでどういう成績推移をしているかということを見てみました場合に、三年程度の比較的短期間で急激に成績を上昇させるというのが一般的傾向であり、それで、しかしそういった成績上位の受験者群の中に到達したけれども、さらにその後の厳しい競争に勝たなければならない。その中で相対的にすぐれた成績をとらなければならない。そのために何年かかかってようやく合格点に達するということであろうと思うわけです。その三年程度の期間に到達する点というのは、必ずしも法律の、これは言葉の問題かもしれませんが、基礎的なということではなくて、これはかなり高度のところまで達しているというふうに見ることができるのではないかというふうに思っております。 そういう実情を踏まえまして、そこに到達してさらに厳しい競争を経なければならないというところを何とか緩和するという方策、しかも長期間かかって合格する人の合格可能性も損なわないで確保するという方策として、今回の合格枠制というものを考えて、またその合理性を見出しているということでございます。 大学教育との関係については、御指摘のとおり日本の大学教育、法学部の大学教育というものが、そのまま法曹実務家としての知識、能力を備えるにたえ得るというものとはほど遠い状況にあるというのは御指摘のとおりでございまして、この問題を考える上において各方面から聞いた意見の中でも、それとの関連性を考えなければならないという強い御指摘をいただいておるところでございます。 また、その問題については、私どもの方で緊急に改善するということが難しい問題でございますので、そういう状況の中で、緊急の改革としてどうしてもこういう制度が必要であるというふうに考えたわけであります。
○鈴木(喜)委員 ぜひともその点も含めてお考えいただいて、ただ単に回数が若いからということだけで優遇をするという形が、長い目で見た場合に、法曹界全体にとって果たして本当にプラスになることなのかどうか、その点をよく御審議をいただきたいというふうに思います。 今おっしゃっているこういう形での試験方法が実施されれば、当然さっきの基礎的か高度かという問題はあるにしても、ここで受ければ受かるか受からないかというボーダーまで達しているというところまで受けずにずっと過ごして、また大学を出てから何年か勉強して、そこから初めて受けようということになるような傾向、いわゆる受験をする年齢がだんだん高くなってしまうのではないかということは考えられると思いますので、各国の情勢でもそういうことがあるように聞いておりますので、年齢の若い人をそこから採用したいということは、なかなか難しいことになるのじゃないかということも一応考えていただきたいと思います。 そういったいろいろな抜本的な改革またはこの司法試験法の運用その他について、今後その改革のあり方を定めるために法曹養成制度等改革協議会というものがつくられるというふうに聞いていますけれども、その基本的な理念というのはどのようなものでありましょうか。これも簡単にお答えいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、この制度改正の実現とあわせて、法曹三者、それ以外に大学関係者とか学識経験者をも含めまして.司法試験制度の抜本的改革を中心的な検討課題とする協議会を設置するということを予定しております。この協議機関は、そういう構成で将来の抜本的改革について調査研究、検討を行って、その結果成案が得られればその内容を法曹三者に提言するということを目的としております。 協議事項といたしましては、司法試験制度、さらには法曹養成制度、これについて国民的見地に立った抜本的改革を検討する、そしてこれに関連する周辺の事項、国民の立場から見た法律専門職のあり方でございますとか法曹人口の問題でございますとか、そういった関連する問題について協議検討する、そのほかに先ほど委員からも御指摘がありましたこの基本的合意に係る検証に必要な事項についても、この場でやろうということを考えているところであります。
○鈴木(喜)委員 今、国民的見地に立った抜本的改革というふうに言われています。ちょっと国民的見地というのはどういうことを言っているのかわかりません。ここでそれをもし表現を変えて、これは非常に公正、平等、統一というような理念に沿ったという意味と同じと解釈していいのでしょうか。
○濱崎政府委員 この国民的見地に立ってと申しますのは、とかくこの法曹養成制度、司法試験制度といった問題は法曹三者の頭だけで考えているのではないかという御指摘をいただいておりますので、そういうことではなくて、国民の目から見てどうあらねばならないかということを踏まえて検討するのだ、そのために構成メンバーとしても大学関係者や学識経験者を入れる、あるいはそのメンバーということでなくても各界各層からの意見を幅広く聞きながら研究検討を続けていく、こういう趣旨で国民的見地に立ってという表現をしているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 そういうことであれば、今私が申しましたように、単に法曹界ばかりでなく、そういった形でいろいろな人たち、国民各層の意見というかそういうものも取り入れた形でという意味で、そしてその内容についてはやはり公正で平等、統一的なものであるということについては、必ずしも矛盾することではないと思います。それはそのように、私はここで一応念押しをしておきたいと思います。もしそれが違っているようだったら、後でお答えください。 それで、そういう基本理念、基本的な方向ということのほかに、この協議会でやることに、現在の司法試験の改革について検証をする、検証した結果今ここでいろいろ合意がなされました結果とまた違った内容がここで決められるということがあるのでしょうか。決められるというか、そういう形で意見を提案するというのですか、提示するというのですか、そういう形でなされることもあり得るということなのでしょうか。それからもう一つ、そうした協議内容については公開をされるのでしょうか。その点を伺います。
○濱崎政府委員 この抜本的改革という表現を使っておりますのは、今回の改革は差し迫った状況に対応するための緊急の改革であるという位置づけをいたしまして、より抜本的な改革を鋭意検討するということでございますから、当然この合格枠制とは異なった解決策ということが検討され、成案として得られるということはあり得ることでございます。もしそういう成案が得られれば、またそれを踏まえて三者で協議をして、それに向けての改革に努力をする、それによってこの合格枠制の必要がなくなればそれに制度として置きかえ ていくということを予定しているわけでございます。 それから公開の問題でございますけれども、これは、法曹三者を初め各界各層の人が自由に意見を言っていただくということを担保する趣旨から、やはり議事そのものを公開するというわけにはまいらないかと思っておりますけれども、その協議内容を実質的に公表する、あるいは公開するという方向での努力をいたしたいと考えておりまして、その点も法曹三者で了解をしているところであります。
○鈴木(喜)委員 ぜひともその協議内容の公開も、具体的によろしくお願いをしたいと思います。そして、この協議会で出てきた内容についてそれをまた検討する法曹三者ですか、そこでのこれからの運営もそのような形で行われるということもぜひともこの際確認をしていただきたいと思います。いつどこでどんなものがまた取り交わされてしまうかというようなおそれのないように、すべて協議というものについてこうしてやるということを、今現在なされていると同様にいつも手続的に担保をしていただきたいというふうに思います。 次に、司法修習の制度、今の多くなってきた合格者を修習させるという研修所についてちょっと伺いますけれども、まず、研修所の施設が現在の湯島の施設では手狭になるというふうに考えられます。移転の計画はもう既にあるように聞いていますが、その点いかがでございましょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 この改革が成立いたしまして司法修習生が七百人程度になりますのは平成六年の四月というふうに見込まれるわけでございますけれども、そうなりますと、現在の湯島の司法研修所では収容ができません。それからまた、松戸に合宿舎がございますが、これは現在のところ二百室しかございませんので、そちらの方も手狭になってまいります。その二つの施設につきましては、私どもとしては、別のところに土地を求めましてそこに新しい研修所、合宿舎を建てて収容したい、こういう計画を立てております。
○鈴木(喜)委員 既に具体的にどこにということも決まり、しかもその今の七百名にふえるまでには全部そういうことが終わるということでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 現在東京近郊にそういう土地を求めるべく、関係機関と鋭意努力しておりまして、七百人になりますまでには完成できるように、そういう見込みで進めているところでございます。
○鈴木(喜)委員 それでは研修所の問題はそのくらいにしまして、実務修習の問題について伺いたいのですけれども、これは東京地裁で平成四年度からの問題、検討課題というかそういうもので来ているのですが、四十六期の修習生、平成四年に修習を開始する人たち、それ以降増員があるということで、地裁と検察では従前の方法では対応できないので、別添の資料というのがありまして、平成四年以降三班制にして、弁護士会において実務修習開始当初または最後に全員を引き受けてほしい、というような提案を受けたけれどもどうしようかというのが、弁護士会での話として出ているのです。こういうことになりますと、三班になって、検察は検察で大きく固まり、裁判所は裁判所で大きな、東京修習なら東京修習の全員の人数が集まり、弁護士会は弁護士会でやる、こういう形で、今までの制度とは違った形での運用を考えておられるようなんですが、その点はいかがでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 現在東京におきましては、司法修習生を毎期九十九名程度収容していただいております。ところが、御承知のように実務修習は一年四カ月でございますが、その間の八カ月は二期分が重なるわけでございます。現在の数ですとそれでやっていけたわけでございますが、これが六百人になり、さらに七百人になりますと、東京の方にも九十九名じゃなくてもっと多くの修習生を収容していただかなければならないという状況になるわけでございます。 そういたしますと、現在の四班制ですと二期分が重なるために、どうしても四班平等な数じゃございませんで、いびつな形になっております。それを三班制にいたしまして二期分が重なる部分だけ弁護士会で修習をしていただく、そうしますと、弁護士会はかなり事務所がたくさんございますから、収容能力がたくさんございますから、そこが収容できる。そのほかの二班は今までどおりそれぞれ検察庁、裁判所に分かれてやるということを一つの提案として申し上げているわけでございまして、これも、今までの修習制度を変えるわけでは全くございませんで、ほかのところでは三班制でやっているところがございます。そういったことを参考にして今御協議をいただいている、こういうことでございます。
○鈴木(喜)委員 わかりました。 私が一番心配しているのは、こういった体制によって裁判所なら裁判所が物すごく大勢の人を一遍に集めてしまうということになれば、勢いやるのは、例えば一つの部に二人ぐらいの修習生が行って、そこで実際のものについての起案をしたり、そういうふうな形ではなくて、もっと統一的な、要するに、いわゆる白表紙と言われている、研修所の中で実際にあったものをちょっと勉強用に変えたという教材があるわけですけれども、その白表紙によっての起案ということが、実務修習の裁判所とか検察庁とかそういうところでも多くなってしまうのではないか。要するに実務修習としての、生の裁判に携わるという機会が、大勢いるということによって少なくなってしまうのではないかということをちょっとおそれているわけです。もう一つは、分離修習ということの可能性がどこかに出てきはしないか、また、そういうおそれがないかということを心配しているわけなんです。 その二点、研修所での修習と余り変わりがなくなってしまうようなことが検察庁、裁判所においてないかどうか、それから、分離修習のおそれがないか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の二点とも全く考えておりませんで、これまでの修習を維持していくという前提において、できるだけ多く収容する方法として考えているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 ぜひともそれをお願いいたします。私たちも、裁判所というのは実務修習のときぐらいしか、すぐ弁護士になってしまいましたら、生に触れる機会はございません。そしてこれからも法曹一元化ということを考えますと、それは大変貴重な体験になるところでございますので、ぜひとも無味乾燥な白表紙ではなく、生の事件に触れるという機会をたくさんつくっていただきますようにお願いを申し上げます。 それから、もう一つ裁判所の方に伺いたいのですが、先ほどもかなり質問の中に出ていたと思いますけれども、修習生がこういう形で多くなってきた場合の任官者の数、これは採用する数を多くするというような計画はおありでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 今回の改革は、多数回受験者の合格可能性を保障しながら少数回受験者の合格可能性を拡大しようとするものでございまして、その結果、多様な人材が法曹界に参入しやすくなるというふうに考えております。その結果、裁判所といたしましても、有為な人材を後継者として多数確保することができるのではないかというふうに期待しております。 そういうことになりまして裁判所にふさわしい修習生が多数任官を希望してくることになれば、それに応じて判事補を採用していくつもりでございます。そういう観点のもとにことしは五人の判事補の増員をお願いしたわけでございます。この定員枠の拡大につきましては、今後も、事件数の動向でありますとか司法修習生からの任官希望者の動向等を踏まえて、検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○鈴木(喜)委員 何かこの間も、去年も言ったよ うな気がするのですけれども、五人とか三人とか、何か非常に少ない数の定員の増加ということなんで、非常に心細い気がするのです。もっと予算をきっちり取っていただいて、たくさん裁判官も採用していただけたらいいと思うのです。特に今度、一九三一年から三四年に生まれた裁判官の方が、一九九六年から一九九九年ぐらいに定年退官される可能性がある。そうすると、その方々は今裁判官の中で割と大きな比率を占めておられるということで、かなり大勢の欠員が出るのではないかと思われるのですけれども、この点について、何かあらかじめの対応とか考えていらっしゃいますでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判官の構成といたしまして、ただいま委員の御指摘になったような状況にあることは事実でございます。その対策といたしましてまず第一に考えられますことは、裁判官を新しく採用するということでございますけれども、その給源といたしましてはやはり修習生からの採用でございます。そういう観点のもとに、私どもここ数年、修習生からの大量の判事補採用ということを努力しているわけでございます。おかげさまで昨年は八十一名を確保できました。ことしは九十名を超える任官者の確保ができる見込みになっております。私どもといたしましては、最低七十名、できることならば八十名という数をコンスタントに採用していくということを考えておりまして、それでもって対応していきたいと考えております。 それからもう一つは、現在おります裁判官の中途退官を低く抑えるということも一つの重要な施策になろうかと思います。そのために執務環境の整備でありますとか宿舎の整備、それから地方にはできるだけ若い時代に行っていただいて、ある程度の年配になったら一定のところに落ちついていただく、そういったことで転勤の負担を軽減するということも考えております。 それからもう一つは、弁護士からの採用問題でございます。これはもう御承知のように、六十三年に私どもとしては呼びかけまして、一定数の方に来ていただきましたが、せんだっての日弁連の司法シンポジウムなどを拝見いたしますと、経験十五年じゃなくて、もっと若い層でも希望者があるぞというお声もあります。それから一定年限であれば任官してもいいぞというお声もあるというふうに聞いておりますので、そういった方々にも来ていただく道を考えまして、弁護士からの採用ということについても拡大してまいりたいと考えている次第でございます。
○鈴木(喜)委員 その点は、私も気がかりだったので、ぜひともお聞きしたかった点でございます。先ほどの岡崎委員の質問で検察官のところがあったのですけれども、やはり中途退官者の割合が多い。これは私も前回お聞きしたことがあると思います。中途退官の中でも四十代、五十代、要するにベテランと言われている方々、先ほどの御答弁のときには、検察官としての職務というのがある程度もう終わった、終わったと言ってしまってはあれですけれども、完成したというか、そういう方だというふうな認識もおありになるように伺ったのです。ただ、その方の、個人はそうなんですけれども、後進を養成する、育成するという意味では、このベテランの方が中堅の方またはまだもう少し若手の方々を養成して、立派な判事、検事を育成していくという形での先輩の判事さん、検事さんというものがいていただくのといただかないのでは、その後の方々、若手また中堅の方々の定着率というのにも非常な影響を及ぼすと私は思います。 その意味も兼ねまして、中途退官ということについては、裁判官と検察官と比べますと、その部分での定着率は、差がパーセンテージで非常に大きくございます。これも公知の事実で、何回も問題にされているところですけれども、そうした若手または中堅をより一層ベテランですばらしい判事、検事に育てる、その部分に非常に力を入れるという意味でも、中途退官者は、もうこの方はこれで使命が終わったのだからやむを得ないというふうに思われるのではなくいっていただきたい、特にこれは検察の方、先ほどの岡崎委員の質問に関連してでございますけれども、そういうふうに思うわけです。 これは裁判官も同様でございますので、ぜひともそうした形での御配慮、特に、今もう随分されていると思いますけれども、夫婦で裁判官をされている方々の勤務先等の御配慮等にも十分に気を使っていただきたいというふうに思います。 この点について、一言だけ検察とそれから裁判所の方々からお答えをちょうだいしたいと思います。
○井嶋政府委員 検察官の中途退官の実情は先ほど岡崎委員にお答えしたわけでございますが、その際にも申しましたように、大体毎年五十名前後の退官者があるわけでございます。平成二年度は、現時点でまだ三十名ということで少ないわけでございますが、大体五十名前後の退官者があるわけでございます。 その中身を申しますと、先ほど申しましたように大半、七、八割が五十歳代なんでございますが、五十歳代といいましても、実情を申し上げますと六十に近いわけでございます。つまり、定年が六十三でございますが、それなりのポストが、ある程度限られた数でありますがございます。そういったポストにつかれてできるだけ早く次の転身を図りたいといったような考えの方が多いわけでございますから、結局定年までは行かずに六十近くになったからといっておやめになるのが五十歳代の大半でございまして、実はもっと四十に近いというわけじゃないわけでございます。 それから、四十代、確かにおっしゃるとおり、中堅、ベテランがやめていくのは影響があるのではないかという御指摘はまことにそうでございまして、確かに検察の全体の力としてベテランがやめていくということはそれなりに損失であるわけでございますけれども、他方その分また若手が伸びていく、そのすき間を埋めていく、そこでまた若手も伸びていくのだというようなこともございまして、このパターンというのは、少なくとも戦後の検察はこういうパターンで来ておるわけでございますので、中途退官ということを私はそう重視してないのでございますけれども、しかし、損失であることには変わりないわけでございますので、一生懸命そういったことのないように、あるいはまた、待遇もよくするように、転勤の回数も減らすように、その他いろいろな施策を考えながら対応しておるわけでございます。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判所におきましても、裁判所に入ってきていただいた方々については、ともかく、中堅の部総括と私ども言っておりますけれども、そこまで育ってもらうようにいろいろ考えているわけでございます。 それから、女性裁判官のことにお触れになりました。私どものところに女性裁判官たくさんおりますが、結婚しておられる方は八十八名でございます。そのうちの四十三名の方は裁判官同士の結婚でございます。これにつきまして私ども、人事異動でも同居ということについては配慮しやすいので、できるだけ配慮をしております。それから、部外の方と結婚しておられます四十五名の方、これはなかなかうまくいかないところもございますが、できるだけ配慮してやっていくつもりでございます。
○鈴木(喜)委員 そのお答えのとおり、よろしくお願いいたします。大変安心をいたしました。検察官の方は、もう少し御努力をよろしくお願いを申し上げます。 それで、大臣に最後に伺いたいと思いますけれども、合格者の増加ということ、そして、それが国民的な問題としての、法曹に対する国民の理解と支持というものを得るために合格者に対する条件整備はどうあるべきかという点、また、もう一つは、公正な裁判を維持するための法曹ということの育成についてどういったお考えをお持ちか、法曹一元化の問題も含めて、御所信を最後に伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 御指摘のように、司法試験の 合格者を増加させることにつきましては国民の皆さんの御理解と支持を得なければならない、それは大切なことであろう、このように考えております。そのために、なお一層国民の権利を適正に擁護していく必要があり、裁判制度を一層国民に利用しやすいようにするための方策について、法曹三者で十分協議をしていただきたい、我々もそういうことを希望しておるところです。 それから次の、公正な裁判を維持するための法曹の育成のことについての考え方ということでお尋ねがありました。司法制度が国民の信頼にこたえ得る公正なものであるためには、その制度を支えていきます裁判官、それから検察官、そして弁護士、皆さんが豊かな人間性と申しますか、そして人権感覚を備えた柔軟な思想、思考力と旺盛な意欲を持って、そして、かつ、国民の法曹に対する負託に十分こたえることができる能力を持っていただかなければならないわけでございまして、そのための法曹の育成といいますか、これにはそういった見地から行われるべきものである、このように考えております。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 午後零時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時七分休憩 ────◇───── 午後零時三十二分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤克介君。
○小澤(克)委員 司法試験法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。 まず、この法案を提出するに至った過程で、法曹三者間で合意ができているというふうに承っております。そしてまた、今回この法案審議に当たって、法務省の方から私どもにいただいております資料の中にも、「司法試験制度改革に関する基本的合意」、日付が一九九〇年十月十六日付というものが資料として添付されてございます。これが今回の改正法案の実際の運用において極めて重要な意味を持つものだと思うわけでございます。 本来ならば、これ全部私の方からお尋ねして、あるいは読み上げていただければいいのでしょうが、若干分量がございますし、時間の節約の観点から、何らかの形で議事録に添付していただけるような御配慮を、まず委員長にお願いしたいと思いますが、これを前提に質問をするという観点から、よろしくお願い申し上げます。
○伊藤委員長 はい。承知しました。 ───────────── 〔文書は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○小澤(克)委員 それでは、続いて質問をさせていただきます。 それで、実は今回の法改正で、いわゆる回数制限じゃなくて、厳密に言えば年数制限でしょうか、これを一定の要件のもとに導入する、こういうことになっているわけでございます。それで、この年数制限については、率直に言いまして、やはり私は賛成しがたいものだというふうに思います。その理由については後で時間があれば細かくお話ししたいと思いますけれども。しかし、そうは言っても現在の司法試験の実態がこのまま放置できないということについては、これはもうほとんど異論のないところであろうかと思います。 非常に合格者が高齢化している、またその受験回数が非常に多回にわたっているという実態を放置できないということは、そのとおりだろうと思うわけでございます。このような状況を何らか打開しなければならないという共通の意識から、ともかく法曹三者で合意ができたということに関しては、これはやはり尊重しなければならないかな、かように考えるわけでございます。 そこで私としては、この合意内容の中で、法曹養成制度等改革協議会が設置され、ここで今後とも協議をしていくということがうたわれていることについて大変期待をするわけでございます。 そこで、この協議会についてどのようなスタンスで臨まれるのだろうか。とりわけ「法曹三者は、司法試験制度の抜本的改革を実現する」、これが目的であるというふうになっておりますので、この抜本的改革というのはまずどんなことをイメージしておられるのか、あるいはその射程距離、射程範囲といいますか、どんな事項を検討しようとされるのか、これについて、三者のうちの法務省、それから最高裁に対してお尋ねをしたいと思います。
○濱崎政府委員 御指摘の法曹養成制度等改革協議会、これは、御指摘のありました法曹三者が、今回基本的に合意をするに至りました一つの大きな柱でございますので、この協議会については法曹三者とも熱意を持って真剣に取り組むという考え方でございます。 そのどういうことを検討するかということでございますが、昨年十月の基本的合意が成立しました後、この協議会のあり方について、さらに法曹三者で協議を続けてまいりました。その結果、先般、その検討事項につきましては次のようなこととするということで、合意ができております。 一つは、というかこれが中心でございますが、「司法試験制度と法曹養成制度の国民的見地に立った抜本的改革及びこれに関連する事項」、そしてこの具体的な中身といたしましては、「国民の立場から見た法律専門職の在り方、司法試験制度・法曹養成制度と大学法学教育の関係、法曹人口を含めて法曹三者のバランスよい後継者確保のための方策、現行制度を含む司法試験制度の運用のあり方及び改善など」、そういうことを検討している。いま一つは、今般の基本的合意にかかわりますいわゆる検証のための必要な事項、そのための調査検討を行うということにいたしております。 その「国民的見地に立った抜本的改革」というけれども、一体どういう方向を目指しているのかという御指摘でございますが、これについては、方向ということは全く白紙の状態で臨もうということであります。ただ、その中では、今個別的な事項として指摘申し上げました法律専門職の職場としてのあり方、それから大学教育との関係、法曹人口の問題、こういったことが抜本的改革を考える上の極めて大きな、中心的な課題であろうというふうに考えているところであります。
○泉最高裁判所長官代理者 裁判所からお答え申し上げます。 法曹養成制度等改革協議会に臨みます最高裁判所のスタンスといたしましては、現在のところ白紙でございまして、いろいろな方々の御意見を伺いながら、あるべき法曹養成制度を考えていきたいと考えている次第でございます。 ただ、私なりの考え方を述べさせていただきますならば、法曹養成というものは、大学教育と司法試験と司法修習、この三つが三位一体となって理想的なものを形づくるべきだと考えておりますが、現在のところ、大学教育と司法試験の間に断絶があるのではないかというふうに考えております。何らかの形でこの二つの連携というものを強めた制度ができないものかということを私としては考えている次第でございます。
○小澤(克)委員 それからこの改革協議会の構成等についても、先ほどちょっと言及のありました、この三者でまとまった要綱である程度固まっているようでございますが、これについてもちょっと御紹介いただけますでしょうか。これは法務省から。
○濱崎政府委員 この改革協議会は、法曹三者、大学関係者それからさらに学識経験者、それぞれ数名ずつの委員をもって構成するということでございます。
○小澤(克)委員 何を検討するのか、あるいはその構成等についてもほぼ固まったようでございます。先ほども申し上げたとおり、私はこれに大変 期待をしているわけでございます。 今協議事項として、法曹人口も含めて協議の対象とするというお話がございました。それに関連して、私が思うに、とにもかくにも法曹人口が余りにも少な過ぎる、これが最大の問題ではないだろうかと実は思うわけでございます。資料等を見ましても、これは法曹全体一人当たりの国民数、それから弁護士一人当たりの国民数についての資料、これがいつ時点というのはちょっとはっきりいたしませんが、比較的最近だと思います。日本が、弁護士一人当たりの国民数が九千百九十九人、それから法曹全体一人当たりの国民数が六千七百六人。これに対してアメリカが、弁護士一人当たり三百五十八人、法曹全体で三百三十三人。イギリスが同じく八百七十九人、六百十人。西ドイツ千二百九十一人、八百九十八人。フランスが三千四百六十八人、また法曹全体一人当たりでは二千五百五十四人。こういう資料をいただいているわけでございます。これは昭和六十一年五月の資料だそうでございますが、これを見ましても、とにかくもうけた違いに日本は法曹人口が少ないということが顕著であるというふうに思うわけでございます。 このことが何といっても一番の問題点ではないだろうか。言うまでもなく、法曹人口が少なければそれだけ国民全体に対する法律サービスは、サービスというのは、弁護士に限らず検察や裁判も含めての広い意味で使わせていただきますが、どうしても水準が低くならざるを得ないわけでございます。それから、法曹全体としての役割、地位がどうしても低くならざるを得ない、地盤低下といいますか、こういうことが言えると思います。 それから、これは余り取り上げられてないかなと思うのですけれども、私は、リーガルマインドを備えた厚い層が存在するということ自体が極めて重要だろうと思うわけですね。法の支配というと何か人が人を支配するような、余りよくない印象がありますけれども、そういう意味ではなくて、リーガルコントロールということが行われるには、何といってもその担い手である法曹の数がなければ、これはもう話にならぬだろうというふうに思うわけでございますし、それから、必ずしも法律職についていなくても、リーガルマインドを備えた分厚い層が存在するということが民主社会の一つの重要な要素ではないだろうかとも思うわけでございます。 その意味で、少々問題があってもとにかくまず数をふやすべきだというふうに、非常に単純といいますか、あるいは乱暴かもしれませんが思うわけですが、その辺についてはどんな御認識でしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘の問題については、今次改革に関する検討の経過で各界各層の意見をいろいろ承ってまいりましたけれども、その中で御同様の指摘を数多く伺っております。 具体的には、この検討を始めるに当たりまして、昭和六十二年に、各界の有識者で構成する法曹基本問題懇談会を設けまして各層の意見を伺ったわけでございますが、その中でも有力な意見として主張されておりましたし、また法制審議会及びその部会の席においても、有力な意見として主張がございました。ただ、どの程度の法曹人口があればいいかということについては意見がいろいろ多様でございますけれども、方向として、これからの複雑化、多様化、国際化する社会に適切に対応していくためには、将来法曹人口を増加するという方向で考えなければいけないということは大方の一致した考え方であろうと思っております。 ただしかし、現実には今次改革においては五百人程度から七百人程度に増加するということにとどまらざるを得なかったわけでございますが、こういう程度にとどまった理由につきましては、午前中も御答弁申し上げましたけれども、充実した司法修習を維持するという観点からの制約、それから法曹人口のあり方についていろいろな多様な考え方がある、日弁連会内にも非常に多様な考え方があるということから、大幅な一気の増員ということについては容易にコンセンサスが得られなかった、まず実現できるところからということでこういうことになったわけでございます。 これから検討する改革協議会におきましては、その抜本的改革を考える上での一つの大きな基本問題でございますので、そういう御意見を十分に踏まえて法曹三者の理解を深め、検討を進めていきたいと考えております。
○小澤(克)委員 資料によりますと、仮に今後千人ずつ司法試験の合格者を出していったとしても、これで弁護士人口が現在の二倍となるのに十六年ぐらいかかるのでしょうか、そういうようなシミュレーションの結果も出ているようでございます。午前中の質疑の中からも、今回の七百人というのは何もこれが最終であるとは思っていないというお話がございまして、私も期待しておるわけですけれども、とりあえず千人ぐらいは必要なんじゃないかなと実は思うわけでございます。先ほどから繰り返しておりますけれども、やはり分厚いリーガルマインドを備えた層が国民の中にないと、法の支配ということが貫徹されないと思うわけです。今回の予算委員会等でも問題になりました例の自衛隊機派遣に関する特例政令でございますか、あのようなものが突如出てくるなどということは、本当に法の支配について国民の間に理解があればあんなことはあり得ないはずかなと思うわけでございまして、その意味で我が国の民主主義の水準がまだまだ低いなということを実は痛感したわけでございます。 それは余談といたしまして、そこで、今回の司法試験法の改正の契機となりましたのは、最初に申し上げたとおり、余りにも合格者の年齢が高齢化している、それからまた、受験回数が何回にも及んでいるということが、いろいろな意味でのゆがみを生じさせているということであろうかと思います。これは、受験希望者が多くて、一方合格者の数に制約があれば、これは必然的に難しくなるのは冷厳な数字が示すところだろうと思いますね。そうなればすぐには合格できないということで、どんどん高齢の方にずれ込んでいかざるを得ない、こうなるわけでございます。 したがって、何といっても数をふやすということが基本ではないだろうかと思うわけでございます。過去においても、合格者の数をふやした時点では、年齢の若返りということが、その時点では実現しているわけですね、ところがまた、そうなると、枠がふえれば受験者もふえるということから、またまた数年たつと再び高齢化の傾向に戻るということが繰り返されてきたということであるわけですけれども、何はともあれ合格者の数を増すというのが基本ではないだろうか、こう思うわけです。 その次に、今回年数制限ということを、場合によっては、今後の進展によっては導入するということでございますが、私はこの方法については、最初に申し上げたとおり賛成できないわけでございまして、できればこの制度が現実に取り入れられることなくこの司法試験制度の改革が進めば理想的だなと、実は考えているわけでございます。 そこで、何とかこの高齢化、多回数化を打破するにはどうしたらいいかということでございますけれども、要は、結局は合格するであろう人を、どうせそうならばなるべく早く合格させてやろう、こういうことに尽きるだろうと思いますね。それはそれで大変結構なことだと思います。で、結局は合格するのであればなるべく早く合格させてやろうということは、その裏として、批判を覚悟で非常にあからさまに言えば、その他の人にはなるべく早くあきらめてもらおう、こういうことになるわけです。そこで今回の年数制限という発想が出たのだろうと思います。三回までは合格しやすくする、それを過ぎると合格が難しくなる、その段階で相当数の人が結局あきらめてくれるのではないだろうか、こういうことだろうと思いますけれども、私は、そうはならないのではないかなというふうに思っています。 なぜかといいますと、この司法試験を受けることを決意する方々というのは、大学卒業時に就職 するかしないかについてかなり悩んだあげくに、最終的に司法試験を受けることにするんだという決断をした方々でございます。そうすると、どうしてももうほかに道はないんだということで、この司法試験合格へ向けて邁進する。そうだとすれば、三回以下であれば有利であるとすれば、必ず、これはもう目に見えているわけでございますけれども、受験を手控えするということになります。 相当程度勉強が進んで合格圏に達するまではずっと受験しないで頑張る、そしてまあ水準に達したということになれば受け始めるということで、明らかに合格者の受験回数は減るであろう。これは顕著な効果があるだろうと思いますが、年齢が若年化するとはどうしても思えない。かつ、合格水準に達したかどうかを判定するのはだれに判定をしてもらうかといえば、結局予備校だろうと思います。予備校はいろいろな情報を集めております。例えば今の大学受験でも、予備校の集めた偏差値の情報がなければ志望校も決定できないという状況があるわけでございますけれども、それと全く同じ状況がこの司法試験に関して生ずるだけではないだろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点、いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、この合格枠制のもとでは、受験期間が起算される年以降の受験を差し控えることによりまして、合格の可能性が高まった時点で受験を開始するということによって、受験勉強期間が比較的長い者であっても制限枠から合格する恩恵を受けるということが、制度的には可能でございます。ただ、制度といたしましては、すべての受験者に対して平等に合格の可能性を拡大するためには、受験期間を基準とすることが望ましいわけでございまして、これにかえて年齢を基準にするということは適当ではないであろう。いつの時期から受験を開始するかということは受験者の自由な判断にゆだねるほかはない事柄でございますので、こういった制度で十分な効果が上がるものというふうに考えているわけでございます。 この合格枠制につきましては大学関係者から圧倒的な支持をいただいております。三者協議におきまして法務省から示した基本構想の中で取り上げられておりました甲、乙、丙案、三案のうち、結局丙案ということで絞られてまいりました一番大きな理由は、その三つのうちでは丙案を支持するという学校が圧倒的に多かったということにあるわけでございますが、その丙案、すなわち合格枠制を支持する理由の大きなものといたしまして、初めての受験から三年間の合格性を高めてその間の受験を促すということは、最近の大学生の進路選択の事情に最もよく合致するということが挙げられております。 すなわち三回、三年程度の受験で転身するということになった場合は、その程度であれば就職競争の中において特段の不利益がないということで、法曹となるに適していると思われる学生に対して司法試験に対するチャレンジを勧めやすい、そういうところで、三年間頑張るということでやってみなさいということで勧めやすい、それならば非常に多様な学生が司法試験にチャレンジするであろう、こういう大学の先生方の意見を反映しているものでございまして、そういった選択が受験者にとって一つの現実的な進路選択の道になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう受験層が多く出てくれるということ、これが法曹を支える人材の登用の面で非常に有意義なのではないかというふうに考えているわけでございます。 また、大学を卒業しました後、就職の道を選ばないで司法試験の合格を目指しながら、他方で長い期間にわたって試験を受けないで頑張るということは、これは実際問題として人の人生設計にかかわる問題でございますので、極めて困難なことではないかというふうに考えられます。毎年受験して合格の可能性を追求しながら勉強していくということであればともかく、実際受験をしないで何年間も浪人するということはかなり耐えがたいことではないかというふうに思っております。 また、この合格枠制は、初めて受けてから三年間というものは合格の可能性が相当に高まるわけでございますが、その後の合格可能性を否定しているものではございません。これは基本的にはこれまでと同様に確保するということを考えているわけでございますので、そういう観点から考えても、そういう動向が一般的に見られるということは心配しなくてもいいのではないかというふうに考えているところでございます。 また、現在実際に長い期間受験を継続している人たちも、多くは初めから六年計画、八年計画で勉強するということではなくて、三年程度で合格する可能性を目指しながら、結局合格しないで、他に道がないということで頑張るということであろうと思うわけでございます。そういうことで、これは将来の予測の問題でございますけれども、この制度のもとで何年間も受験を手控えて勉強に専念するという者が、それはある程度、若干は出てくるということは考えなければなりませんけれども、それが大勢になってこの制度が実効性を失うということはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○小澤(克)委員 これは、結局はやってみないとわからないことだろうと思いますけれども、私は、甘いのではないかなと思います。 予備校が今大変な隆盛をきわめているというようなことをちょっと聞きまして、最近の実情を知らなかったものですから改めてそのパンフレット等集めてみたのですけれども、大変びっくりいたしまして、こういう大変立派なものができておりまして、受講料が大変高いのですね。これはとり方にもよるのでしょうけれども、年間で五十三万八千円などという、これを三年も四年もやったら大変なことになるわけでございますが、大学に入っても講義に余り出ないで、最初から予備校で専ら試験勉強だけやってというようなことになって、そして予備校の方でおまえそろそろ合格水準だよと認定されれば、よしと言って受けるというようなことになるのが、私には目に見えているように思うわけでございます。 思うに、三回ならばなお就職等の可能性がふさがれないというお話がありましたけれども、その辺必ずしもそうではないのではないだろうか。大学を出て二年、三年浪人いたしますとなかなか、少なくとも一部上場の会社などにはなかなか就職もできないということになろうかと思うわけでございます。 私が思うには、この年数制限というのは、非常に直接的ですけれども方法として稚拙ではないだろうかな。むしろもっと誘導的に、余り挫折感を抱くことなく転身できる可能性をたくさんつくってやる、それからもう一つは、一たん転身しても場合によってはリターンマッチできるという可能性をあくまでも残しておいてやる、そういういろいろなメニューといいますか、道をあけてやることがいいのではないだろうかというふうに思うわけです。 そこで、これは大変私の独自の考え方かもしれませんけれども、やはり日本型ロースクールというようなものを本気で検討しなければいけないのじゃないかなというふうに思います。特に、予備校が非常な隆盛をきわめているというようなことになりますと、これはどう考えてもいびつなことでございまして、そうであるとすれば、法律専門職になるためのコースを正規なものとしてつくってやるというような意味合いも込めて、そういうことを本気で考えなければいけないのではないのだろうかなと思います。例えば学部卒業時に、そこで企業、官庁等に就職するか、あるいはさらに法律専門職養成の学校、ロースクールといいますか、そこに行くか、選択する。そこで二年程度かと思いますけれども、実務家などを講師として、かなり技術的な側面の強い法律について、学者養成とは違った実務家養成というカリキュラムで学んで、そこを卒業した段階で法律専門職として企業、官庁等に勤める道もあるし、それから、その段階で何らか国家試験のようなものを受けて法曹 へ入れる。ここで国家試験に合格した者は、私は批判を覚悟で思い切って言いますと、論文試験免除ぐらいにして、そして今の司法試験と口述試験だけ一緒にドッキングして、そして研修所に入るというようなコースを考えたらどうかなと思うわけでございます。このヒントになっているのは、今自然科学系の工学部あるいは理学部などの方は、学部だけの授業では足りないということで、大学院に進みましてマスターコースでなお勉強を続ける、そして、学者養成、学者になるということではなくて、マスターコースを出てから企業あるいは官庁系の研究所などに専門研究者として入るということがもう広く行われているわけでございまして、したがって、その意味では、工学部などに関しては、大学院というのが必ずしも学者養成コースだけではなくなっているという側面があります。法律は非常に技術的な側面の強いものでございますから、こういった法律専門職養成のマスターコースのようなものを正規の制度としてつくるべきではないだろうか、これが先ほどから言っている日本型ロースクールということになるのでございますけれども。こんな発想がそろそろ必要なのではないだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 先ほど最高裁の方からも御答弁ございましたように、今後司法試験制度の、あるいは法曹養成制度の抜本改革を図る上におきましては、司法試験と大学教育のギャップを埋めるということが重要な課題であるというふうに考えておりまして、この点もまた、この改革についての法制審議会及び法制審議会の部会での議論で支配的な意見として述べられております。ちょっと読んでみますと、「司法試験と大学教育のギャップが大きな問題であるので、この問題の解決について、司法試験制度の側と大学制度の側の双方からの努力が必要である」という意見が支配的であったわけでございます。この抜本的改革につきましては、今後、先ほど申し上げました改革協議会で議論されることになっておりまして、その中では、これまでの議論にとらわれることなく、自由な発想で検討をしていこうという基本的態度で臨みたいと考えております。 委員御指摘のお考え方、まことに参考にすべき示唆に富むお考え方と承りました。そういう問題、先ほど御指摘のありました合格者の大幅増加も含めて、いろいろ検討すべき問題がたくさんあろうと思いますけれども、示唆に富んだお考え方として承って、参考にさせていただき、検討をしてまいりたいと思っております。
○小澤(克)委員 これからこの改革協議会でいろいろ御議論いただくわけでございますから、余り先走ってこういう国民代表議会であれこれ言うことはどうかなと思う面もございますけれども、私は、やはりこのくらいのことを考えなければならないところに来ているのではないかと思うわけでございます。ですから、この司法試験についてはある程度実績のあるような大学に、今言いましたような法律職養成のマスターコースのようなものをつくって、全体の定員が合計で五百人程度のものをつくりまして、ここを出て国家試験に合格した者は司法試験の論文免除、口述試験だけ。そして現在の司法試験はそのまま残す。これはいろいろな形で、一たん企業、官庁等に入った方、あるいは司法一次からの方等々のリターンマッチの機会として、これはこれであくまでも保障しておく。そうすると、トータルで千人ぐらいになるわけですけれども、そのようなことを進めていって、そしていずれ将来は、このロースクールがむしろ主流になって、現在の司法試験はリターンマッチになる、今の司法一次のような機能を果たすというようなところまでいけば、私が最初から申し上げているかなり分厚い法曹層といいますか、ができるのではないだろうか。リーガルマインドを備えた層として国民の間に多数存在するということが実現していくのではないかなと思うわけでございます。ぜひ御検討を願いたいと思います。そういう形で大学教育とのリンケージも実質できるのではないかなと思うわけです。 と申しますのは、比較的最近合格されたような方々のお話を実際に聞いてみますと、大学卒業あるいは一年留年程度で合格された方、非常に優秀な方でも、学部の授業をまじめに受けて、予習復習やって、それで合格したという方はいないんだそうです。本当に教養課程のころから司法試験目指して、学校とは余り関係なく、場合によっては予備校等の助けをかりながら大変な勉強をして、その結果比較的卒業あるいはそれに近い年次で通っているということだそうでございまして、そうなると、卒業と同時に、あるいは卒業後短期間に通った方でも、実際には大学教育と全く切断されたところで勉強しているということだそうでございます。 これはいかに何でもおかしなことでございますし、また、最初に申し上げたとおり、とにかく受験者数が多くて合格者数が少なければ、どうしたって難しくなって高度化するのは必然でございますから、こうならざるを得ない。そういたしますと、司法試験それ自体をなるべくやさしくして、学部の授業を受ければ通るようにするというのが理想でございますが、それはなかなか非現実的ではないだろうか。そうだとすれば、予備校のような不正規な教育機関でただ受験技術だけを学ぶよりは、今言ったような、学部を出てから法律職養成課程というものに二年間程度行くというようなコースをむしろつくってしまった方が現実的ではないだろうか、ということも考えるわけでございます。 それから、司法修習制度についてお尋ねいたします。 これは午前中にも他の委員から既に質問がありましたけれども、私は、現在の統一修習というのは非常にすばらしい制度だと、私自身の体験からも思っております。これについては、今後数がふえていくという中でいろいろな技術的な困難もありましょうけれども、私はこれはぜひ堅持していただきたいなと思うわけでございますけれども、この辺については、修習は最高裁判所の所管でございますので、最高裁からお答えを願います。
○泉最高裁判所長官代理者 現行の統一司法修習制度が、戦後発足いたしましてから四十年以上経過いたしまして、現在では定着していると言っていいかと思います。法曹の一体感を醸成するなどの点で大変意義がある制度でございまして、その統一制度を維持するという前提のもとに今回の改革案が成っているわけでございます。ただ、今後設置されます法曹養成制度等改革協議会におきましては、現在の統一司法修習制度が果たしてきた役割を十分尊重しながら、国民の負託にこたえる試験制度、修習制度はどうあるべきかということについて、各方面から御意見を伺いながら、十分協議を尽くすべきものと考えております。
○小澤(克)委員 この統一修習は、実は法曹一元を前提とした制度であるはずでございます。ところが、法曹一元の方が、これが理想的であるということは最初から言われながら、全然実現していない。むしろ事態は逆の方向に、いわゆるキャリア裁判官、官僚裁判官といいますか、の方向へとこれまで来たというのが実態であったと思うわけでございます。 ところが、最近に至って、例えば前の最高裁の長官であられた矢口洪一さんも、やはり法曹一元が理想である、そして十年、二十年と弁護士などをやられた方の中から裁判官を任用していくことが必要である、一挙には難しいにしても、やはり弁護士からの任用をふやしていくべきであるというようなことを言っておられるということも拝見しております。本来、憲法が裁判官の任期を十年というふうに限っているのは、法曹一元を前提として、弁護士あるいは検事の経歴のある方の中から、あの方ならというような、皆さんが推薦されるような方が裁判官になって、十年原則でおしまいというのが憲法の予定した姿ではないだろうかというふうにも思うわけでございます。 この法曹一元についてどのような評価をされ、あるいはそれに向けて進めていこうという考えがおありなのかどうか、これを最高裁にお尋ねいた しまして、時間が来ましたのでおしまいとさせていただきたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 法曹一元制度につきましては、委員も御承知のとおり、例の臨時司法制度調査会におきまして、「法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。 しかし、この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。 したがつて、現段階においては、法曹一元の制度の長所を念頭に置きながら現行制度の改善を図るとともに、右の基盤の培養についても十分の考慮を払うべきである。」こういうふうな意見を述べております。ここにありますとおり、法曹一元制度は検討に値する一つの制度であるというふうに私どもも受けとめておる次第でございます。 ただ、現在判事、判事補だけで申しましても、全国約二百の都市に約二千人配属しておりますけれども、これを弁護士経験者で充員するということになりますと、司法試験合格者の枠を大幅に拡大して弁護士を大幅に増員するとともに、地域的分布の平均化を図るということが必要であろうかと思います。それと同時に、弁護士に対する国民の信頼度を高めるといった制度も必要かと思います。私ども、法曹一元制度が実現するためにはかなりの道のりを要すると思いますが、私どもは、そういった念頭のもとに、最近におきまして弁護士からの裁判官任官という道を拡大すべくいろいろな方策をやっているという現状でございます。
○小澤(克)委員 時間が来まして、大臣に質問しなかったのは大変恐縮でございます。それで、お願いだけさせていただいて終わりにしたいと思いますけれども、法曹三者で設置されました法曹養成制度等改革協議会でぜひ精力的に、かつ誠意を持って、今後の司法改革についての合意を得ていただくように、大臣に特にお願いをいたしまして、時間が来ておりますので答弁要りませんが、質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 中村巖君。
○中村(巌)委員 今回の司法試験法の改正でございますけれども、これは法の改正としては、条文上で八条に二項を加えるということで、「合格者の一部につき、第二次試験の短答式による試験を初めて受けた時から一定の期間内に当該論文式による試験を受けた者のうちから定めるべきものとすることができる。」すなわち、一定の期間内に試験を受けたその者に対しては、合否の判定上優遇をいたしますよ、こういうことを決めよう、こういうことであるわけですけれども、法律としては極めて抽象的だけれども、今回の司法試験改革の問題としては、その背後に一定の意味合いが込められている、こういうふうに聞き及んでおりますけれども、その中身というのはどういうことでございましょうか。 〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
○濱崎政府委員 司法試験の実情につきましては、もう既に委員御案内のところと思いますけれども、もともと大変難しい試験でございましたけれども、次第に合格までに長期間の受験勉強を要するという状況になってきております。合格者の平均の受験回数が六回から七回、それに伴いまして年齢も二十七歳ないし二十九歳、平均年齢がそういう状況になってきておりまして、それに伴いまして、法曹の後継者の養成上いろいろ耐えがたい問題を生じつつある。一番大きな問題は、何といっても法曹となるにふさわしい人材が試験にチャレンジしてくれない、チャレンジしても簡単にあきらめてしまうという、いわゆる試験離れという現象を来しておる。それから、そういう長期間を経て初めて合格するという姿になっているために、任官者の希望がどうしても勢い減少してくる、こういった法曹三者のバランスよい後継者の確保という点から非常に大きな問題を生じつつあるわけでございまして、このまま放置いたしますと、その傾向はさらに一層強まっていくということが懸念されるわけでございます。 そういうことで、どうしても緊急にこのための改善策を講じなければならないということで、昭和六十二年ごろから法務省として、関係方面と協議しながら、具体的な検討を詰めてまいったわけでございます。その解決の方向といたしましては、抜本的な方策といたしましていろいろな方策が考えられるとは思うわけでございますけれども、しかし、そういう抜本的な大改正を実現するということについて、関係者のコンセンサスを得るということのためには、まだまだ時間が必要だ、しかしそれまで待っておれないということで、関係者のコンセンサスが得られる範囲内で、しかもそういう司法試験の現状を改善する効果がある、そういう制度として、今回この今御指摘のありました合格枠制というものを採用することにしたわけでございます。 この合格枠制というものを採用するに至った経緯におきましては、当初は、受験回数制限というような構想から出発したわけでございます。これは、初めての受験から何年間の間しか受験資格を認めないという制度でございますけれども、この案につきましては、余りに変革が急激に過ぎる、長年勉強を続けてじっくりと合格ラインに達するというような人の道を閉ざすということは忍びない、そういう人材も法曹として必要であろうというような意見が一方に強かったということを踏まえまして、この合格枠を二つつくるという制度が考えられるに至り、これで大方の了解が得られるに至ったわけでございます。 この制度の基本的な考え方は、長期間の受験によって合格するという可能性もこれまでと同じように維持しながら、一方、もう少し短い期間で合格する可能性というものを高める、この両方の要請をあわせて実現しようということがこの制度の基本的な考え方でございます。
○中村(巌)委員 端的に伺えば、今回の改正というものは、一九九〇年十月十六日付となっている「司法試験制度改革に関する基本的合意」、こういうものを実現化しようというための法改正である、こういうふうに伺ってよろしいのですか。
○濱崎政府委員 司法試験法というのは法務省で所管しておりますので、この改革の必要性を認識し、そのための具体的な施策というものは、まず第一義的に法務省として考えなければならない問題でございますが、その立案をするに当たっては、問題が法曹三者に密接にかかわる問題でございますので、法曹三者の理解が得られる形で立案しなければならないという考え方で、三者の協議会を詰めていったわけでございます。そこで合意した内容を、法務省としても適当であるという考えのもとに、この法律案を立案させていただいたわけでございます。
○中村(巌)委員 「司法試験制度改革に関する基本的合意」というのは、いろんなことが書いてあるわけでありまして、改革協議会の問題とか司法試験の運用改善についてとか、あるいはまた合格者の増員及び検証等について、あるいはその後の見直しとか、抜本的改革との関係とか、司法試験管理委員会の運営というようなことにわたって書いてあるわけですけれども、これを法務省としては全部実現をしていきたいということで、その中の一環として法改正を要する部分というのが、今回の提案の司法試験法の八条に二項を加える、そういうことに結局なる、こういうことですか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおりでございます。 あわせて、この合意の文面にはあらわれておりませんけれども、司法試験科目の一科目削減ということもその合意の前提了解事項になっておるわけでございます。
○中村(巌)委員 例えば、この改革協議会をつくるというようなことは、これは法制化をする必要がない事項だ、こういうことになるわけですか。
○濱崎政府委員 この改革協議会は、法曹三者だけで構成するわけではございませんで、言ってみれば、法曹三者の合意に基づいて任意に協議の場を設けるということで発足させようと考えているものでございまして、これについては、特段の法制上の手当てをする、そういう組織としては考え ていないわけであります。
○中村(巌)委員 この合意にある以上、司法試験の合格者をふやしていく、当面七百人、さらには九百人以上にふやしていくというようなことも法務省としては実施をする、こういうことになるわけですね。
○濱崎政府委員 合格者の数の決定というのは、これは法制的に申しますと、司法試験の合格者は司法試験考査委員の合議で定めるということになっておりますので、そこで決定される。その考査委員の会議におきましては司法試験管理委員会が意見を述べることができるということになっておりまして、人数の点におきましてもこの管理委員会の立場において意見を述べ、それを踏まえて考査委員会議で決定されるということでございます。 法律的にはそういうことでございますけれども、この合意に基づいて合格者の増員を実現するという運用をされるということが期待されているところでございます。この点につきましては、既に司法試験管理委員会といたしましては、この合意を踏まえた運用をするということについて内部的な了解をしていると承知しておりますし、また、考査委員会議の場におきましても今次改革の方向については説明し、了解をいただいているところでございますので、そういう形で運用されるものというふうに期待しております。 なお、一言付言しておきますと、合格者を九百人以上とするという部分でございますけれども、これは単年度の合格者を九百人以上にするという方向を示しているわけではございませんで、この合意で言っている検証期間の五年間、平成三年から七年までの間の現行制度との対比における増加数、それがこの数字によりますと、百、百、二百、二百、二百、合計八百でございますが、その合計数が八百にとどまらないで九百以上となることを目途とする、こういう趣旨でございます。
○中村(巌)委員 今のところはわかりました。「九百人以上となることを目途とする。」というのはそういう意味ですね。累計していってそうなるようにする、そういうことですね。 さらに、基本的合意の中には、この三年以内合格者を優遇するその措置というものは、平成三年から五年間の検証期間を置いて、その後にその一定の検証基準をクリアするというか、できなかった場合にはこうするんだ、こういうことを含めてのとりあえずの抽象的な形での法改正、こういうことになるわけですね。この法改正が含意しているものというものはそういうことなわけですね。
○濱崎政府委員 法務省の立場からの考え方を申し上げさせていただきますと、合格者数を平成三年度から百、さらには五年の試験からは二百程度増加するということによって、先ほど指摘しましたような司法試験の現状が抱えている問題、これを解消するということは、かなりと申しますか極めてと申しますか、困難なのではなかろうかという基本的な認識を持っております。したがいまして、そういうことが確定的であれば、これは最初から確定的に合格枠制を実施するという内容の法律あるいは規則を定めるということが考えられるわけでございます。しかしながら、将来の予測の問題でございますので、それはそういう合格者の増加、それにさらにいろいろ運用改善を加えることによって、あるいはそこまでしなくてもいいという結果が出る可能性もあるということを踏まえまして、こういう三者の基本的な合意に至ったわけでございます。そういう合意を踏まえまして司法試験管理委員会が状況を判断して、平成八年度からの実施を決定するという制度にいたしたわけであります。
○中村(巌)委員 法案の「一定の期間内に当該論文式による試験を受けた者のうちから」というのは、言うまでもないことかもしれませんけれども、この合意にあるところの要するに三回以内の受験者、こういうことを意味しているのであり、それと同時に、「試験を受けた者のうちから定めるべきものとすることができる。」という法文は、結局、この検証の結果でそれが必要ないとなったらばやらない、こういうことを意味している、こういうことですね。
○濱崎政府委員 法律では、合格者の一部について一定の期間内の者からというふうに書いておりまして、その具体的な内容は管理委員会規則で定めるということを予定しておりますが、その管理委員会規則では、この期間は三年とする、それから「合格者の一部につき、」という部分については全体の七分の二程度とするという内容の管理委員会規則を予定しているわけでございます。そういう形で法曹三者の合意を実現いたしたいというふうに考えているわけでございます。 それから、実施の時期の問題でございますけれども、これは改正法律の附則の第二項におきまして、この制度の運用に関しましては平成四年以前に行われた試験を含まないという規定を置いております。裏返して言いますと、平成五年以降の試験からカウントして、そして、初めて試験を受けたときから何年内であるかどうかということを判定するわけでございます。これは法律では平成四年以前のものを含まないという形で、裏側で書いておりますが、より明確には、規則の方で平成五年の試験からカウントするということがはっきりするように規定することを予定しておるわけでございます。そして、平成五年の試験からカウントして三年内ということでありますので、この制度を運用することができる、司法試験管理委員会の判断によって実施することができるのは、結局そのことから、平成八年の試験から以降ということになるわけでございます。その平成八年の試験から司法試験管理委員会の判断によって実施することができる状態になるわけでございますが、それを現実に実施するかどうかということは、この合意を踏まえた司法試験管理委員会の判断によって決定される、こういうことになるわけでございます。
○中村(巌)委員 今の点ですけれども、そうすると平成五年の試験からカウントされてしまうわけですね。そうすると、五年、六年、七年、三回以内の受験者というのは、五年からカウントされると平成七年で三回以内になってしまうんじゃないですか。
○濱崎政府委員 平成五年の試験からカウントいたしますので、平成五年の試験におきましては、これまで多数回受けていた受験生も含めまして、すべての受験生が一年以内ということになるわけです。いわば一年生でございます。平成六年の試験では一年生と二年生、平成七年の試験では一年生から三年生までということになりますので、平成七年の試験まではすべての受験者が初めての受験から三年以内の者ということになりますので、この三年以内の者と四年以上の者を区別しようとしてもできないわけでございますから、平成七年の試験まではこの制度はワークし得ないということになるわけでございます。 なお、その関係はこの法律では規定しておりません。管理委員会規則にゆだねております受験期間を何年とするかということによって変わってくる問題でございます。規則におきましては、この期間を三年とするということを予定しておりますので、規則で三年と定められることに伴いまして、法律上もこの制度は平成七年までは実施できないという結果になるわけでございます。
○中村(巌)委員 検証の期間というのは平成三年から五年間ですから、そうすると平成八年の試験にこの丙案というものを導入できるかどうかということになると、それは検証期間内になってしまうのではないですか。そんなことはないですか。
○濱崎政府委員 そういうことで、平成八年の試験からこの制度を現実に使えるということになるわけでございますが、この検証というのは、その前に直ちに平成三年から先ほど御説明した増員を行い、あわせて可能な限りの運用改善を行い、その間平成七年の試験までは増員だけがされるわけでございまして、合格枠制による別枠の合否判定ということは行われません。そういうことをやった効果がどういう形であらわれてくるかということを見て、それを検証して、その増員だけの効果 によって、あわせて運用改善を行いますが、それだけの効果によって合格枠制というものを使わなくても合格枠制というものを使った場合と大差のない効果が将来において期待されるという結果が得られた場合には、あえてこれを使う必要はないだろうということでその実施を見送る、こういう考え方でございます。
○中村(巌)委員 それがためには、平成七年の試験が終わって速やかにその結果というものを、データを出してやって、次の八年度からこの別枠の試験をやりますよということを公示しないと、何か非常におかしくなってしまうので、まずその検証が半年もかかっていたのではどうしようもないということになるのじゃないでしょうか。
○濱崎政府委員 御指摘のとおりでございまして、平成七年の試験結果が十月末ごろに出るわけでございますが、その結果が出て、そして平成八年の試験は、その公告が二月初めにされますので、それまでの間にこの判定を行うということが必要でございます。これは検証期間中毎年毎年その結果を検証していきますので、その前の年には平成七年の結果の予測はある程度できるというようなこともございます。そういうことでございますので、その判定をめぐって困難を生ずるということはないのではないかというふうに考えております。
○中村(巌)委員 話は少し変わりますけれども、この司法試験の制度の改革というものは極めて重要な事柄でありまして、言ってみれば日本における司法制度の中の人的な部分を法曹と言うとすれば、法曹のあり方というものが現行制度のもとでは司法試験によって決まってしまう、こういうことになるわけでございます。 とにかく判検事、弁護士というものはおおむね司法試験を合格しなければならないわけでありますからそういうことであるわけで、この司法試験制度というものが発足して昭和二十何年から今日まで四十年以上、この間試験科目が変わったりあるいはまた択一式の試験が採用されたり、そういう程度のことはあったわけでありますけれども、基本的には変わらないできた。それが今日の日本の法曹というもの、ひいては司法制度というものを規定しているということになる。つまり、今日日本の司法の規模がこの程度のものであるということが司法試験の結果によって決まっていると言っても過言でないということだろうと思うわけでございます。 今日本がこれだけの人口を有した中で、法曹人口がこれだけでいいのか、あるいはまた司法の規模というものがこれでいいのかということになると、多々意見があって、恐らく私は、日本の国情の中で司法というものの大きさが余りにも小さ過ぎるのではないか、こんな感じがしているわけでございます。しかしこうなってしまったのも、言ってみれば今日まで司法試験という扉を、入り口を狭くして、近年においても四百五十か五百人ぐらいの合格者しか出さないというようなことにしているからであるわけでありまして、そういった意味で、過去の問題でありますけれども、今日までの司法試験制度のあり方、それが今の司法を規定づけているということについて、これは一体どういうものなのかということについて、法務省としてどういうふうに考えておられますか。 〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、合格者の数につきましては、昭和三十年代の後半に漸次増加を図りまして、昭和四十年ころにおおむね五百人程度という運用が始まり、以後ずっとその運用が定着してきたわけでございます。毎年、多少の出入りはございますけれども、ほぼ五百人前後ということで推移してきたわけであります。 この五百人程度でずっと、もう二十何年も続けてきているということがどうしてかということでございますけれども、これは、昭和三十年当時の受験者の著しい増加ということと修習制度の受け入れ態勢ということとの兼ね合いから、五百人程度まで増加することが適当であるという判断でそういう運用が行われてきたものと承知しておりますが、この合格者の数をどうするかということにつきましては、御指摘のありましたように国民の法曹に対する要請という問題のほかに、修習受け入れ態勢ということを考えなければならないわけでございます。 委員も御案内のとおり、二年間国費を支給して司法研修所及び全国の現場において非常に精度の高い修習を行っておりまして、これによって法曹の実務家としてスタートするに足る力をつけていくということでございまして、このことによって司法制度の適正な運営が確保されるということで、この充実した修習体制というものは極めて重要な要請であろうと思うわけでございますが、そういう体制の制約というようなことから、その後ほぼ五百人前後ということで推移してきたというのが実情であろうと思います。 国民の要請にこたえるために法曹人口がもっと分厚いものでなければならないのではないかという御指摘、これは、今次改革に当たりましていろいろな各方面の意見を聞いてまいりましたけれども、その中でも各界から非常に強い意見として指摘されております。法制審議会の今般の審議におきましても、法曹人口の抜本的な増加ということが極めて有力な意見として述べられているところでございまして、私どもとしても、基本的な方向としては、これからのあるべき姿として、可能な限り法曹の人口をふやしていくという努力をしなければならないというふうに思っております。 また、しかしながら今回の緊急の対応ということで、そういういろいろな制約のもとで了解に達することができる数字、かつ司法試験の現状を改めるために相当の効果が期待できるという数字として、五百人程度を七百人程度まで増加させるということで改革を実現したいと考えるに至っているわけでございます。
○中村(巌)委員 結局今日まで、私もそうだろうと思っているのは、やはり司法研修所の研修の施設のあり方あるいはそれに対する財政の問題、そういうことが司法試験の合格者の規模というものを決めてきてしまっているのじゃないか。本来的にはそういうことであってはいけない。今の研修制度というものを維持をするということは極めて重要でありますけれども、言ってみれば、例えば法曹たるべき者としての基本的な知識なりなんなりの水準、そういうものに達している人たちがたくさんいるにもかかわらず、そこまでを合格させられない、こういう物的、財政的な問題、これが今日の状況をつくり出しているのじゃないか。アメリカみたいに、司法試験というかバーイグザミネーションに簡単に合格できる、そういう制度がいいのかどうかということは別ですけれども、余りにも今までのやり方がおかしかったのではないかな、こういうような感じがしているわけですが、合格できる法曹としての知識なり能力なりの水準というものと合格者の数というものとの関係を、どういうふうにお考えになりますか。
○濱崎政府委員 司法試験は、基本的には、法律にも書いてございますように、法曹三者となろうとする者に必要な学識、能力というものを判定する資格試験であるという位置づけがされております。ただ、他方、先ほど申しましたような事情から、司法修習生として採用するための採用試験あるいは競争試験という実質も、これは否定することができないのではないかというふうに思っております。 法曹となろうとする者にふさわしい知識、能力というものがどういうものであるのかということは、これは絶対的な基準があるわけでもないだろうというふうに思います。おのずからそういった国民の法曹に対する要請といいますか、適正な法曹人口といったものとの兼ね合いで考えられるという問題ではなかろうかというふうに思っております。ただ、現在の実情にかんがみますと、必ずしも今の合格者のラインに到達しなければ法曹となろうとする者にふさわしい知識、能力に欠けるという実情とは言えないということを率直に認めざるを得ないと思っておりまして、今回の改革も、そういうことを前提にいたしまして、合格者 をいま少し増加させ、そしてその増加させるに相当する部分については、受験期間が一定期間のものである者から合格させるという制度をとろうとしているわけでございます。
○中村(巌)委員 要するに、合格水準のバーを高くするから、結局学習量の増大というか、膨大化を必要とするようになって、そのためになかなか受からない、受験回数が余計なければ受からない、こういう結果を来しているのだ、こういうことだろうと思うのですね、本来的にこの問題の本質は。しかも、それで合格水準を高くするのは物的あるいは財政的なものがないからせざるを得ないのだ、こういうことであるならば、改革の方向性はできるだけ、いわば合格水準に達したというか、そんなに今みたいに膨大な学習量がなくても合格水準に達し得るのだとすれば、達した者を全部合格者として救い上げるような方策を法務省自体あるいは裁判所自体が努力すべきであったのではないか、その努力を今日まで怠っておいて、若年の合格者が出ないからそれをちょっと優遇するような方策をつくってというのは、何か筋が違うような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 これまで合格者を五百人程度に抑えてきたことが現在のような問題を生ずるに至った原因ではないか、という御指摘を含んでいると存じますけれども、確かにそういう面もあることは、全く否定するものではございません。しかしながら、これまでの間に合格者を大幅にふやしておればそういう事態に至らなかったということが考えられますけれども、合格者をいま少しふやしておればこういう状況になっていなかったということでは決してないと思っております。それは、受験者数の大幅な増加、それから家庭状況、社会状況、経済状況の変化によって、長年、長期間にわたって無職で受験勉強に専念することができるような社会情勢にだんだんなってきた、そういうことによって今日のような状態がもたらされているというふうに考えているわけでございます。 それから、合格者の増加という問題につきましては、今修習の受け入れという観点からのみ申し上げましたけれども、これについては、司法試験の合格者は特段の事情がない限り修習生として採用される、そして修習を終了すれば特段の事情がない限り、かつ本人が希望する限り法曹三者のいずれかになれるという制度のもとでは、法曹人口とのかかわりということを考えなければならないわけでございまして、法曹人口のあり方につきましては、委員御指摘のような大幅に増加すべきという御意見のほかに、他方にもいろいろな意見があるわけでございます。この合格者を大幅に増加するということになりますと、そういったものについてもコンセンサスを得ませんとなかなか実現できないというのが実情でございます。そういう中で、何とか今回七百程度までということで了解ができたという問題もございます。その点も御理解賜りたいというふうに思います。
○中村(巌)委員 合格水準という関係では、恐らく法務省としては、今五百人のものを平成五年からは七百人にした、それでも水準はほとんど変わりがないのだという認識に立っているのだろうと思います。そうならそうで、あるいはそれを仮に千人にしてみたところでそんなに変わりがないのではなかろうか、千人にしたから質の悪い法曹ができてきて困ってしまうのだ、そういうことはないのだろうというふうに思っているわけで、そういう意味で、今日までも御努力が足りないし、これからも努力をしていかなければならないというふうに思っているわけです。それは物的な、あるいは財政的な裏づけさえあれば決して不可能なことではないし、また、法曹人口という面をおっしゃられましたけれども、確かに弁護士会の一部には近視眼的な人間がおって、人間がふえると仕事が減って飯が食えなくなるということを言う人もいますけれども、私が思うには、やはり法曹人口がふえることによって司法全体が大きくなる、そのことによって仕事自体がふえていくんだ、また潜在的な弁護士の仕事というか、そういうものがたくさんあるのじゃないか、こんな感じがしているわけです。その意味で、七百人と言わず合格者数をさらにもっとふやす方策をぜひ法務省にお考えをいただきたいと思っているところでございます。 今後七百人程度に達する、あるいはそれ以上になるということになりますと、それに対して修習を行うべき物的あるいは財政的な手当てが必要になるわけですけれども、とりあえず司法研修所等を今後合格者の増大に向けてどうするのかということを、最高裁にお伺いしたいと思います。
○泉最高裁判所長官代理者 今回の改革によりまして、司法修習生の数が平成四年四月から六百人に、また平成六年四月から七百人になることが見込まれております。現在の湯島の司法研修所におきましては、六百程度でございますと何とか収容が可能かと思っておりますが、七百人になりますととても収容ができません。したがいまして、私どもといたしましては、平成六年四月の七百人程度への増加を一つのめどといたしまして、司法研修所を東京近郊の別の都市に移しまして、そこで近代的な総合研修施設を建て、収容すべく、現在関係機関と折衝している、こういう状況でございます。
○中村(巌)委員 巷間伝えられているところによると、何か朝霞の方へ研修所をつくるんだ、こういうようなお話でありますけれども、こういうことは事実でしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、和光市と練馬区にまたがります地帯に国有地がございますが、そこが有力な候補地となっております。
○中村(巌)委員 その計画は具体化をされてはいないのかもわかりませんけれども、もうわずかな期間で七百人に達する時期が来るわけでありますから、その場合に、七百人程度収容できるそういう施設をつくったというのでは、またそれがネックになって合格者をふやせない、こういうことになってくるわけですから、その辺については、今の計画があるかないかは別として、相当大規模なものを構想されたらいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。
○泉最高裁判所長官代理者 先ほどから出ております法曹養成制度等改革協議会におきまして今後の抜本的な改革を協議することになっておりますが、そこにおきまして、司法修習生の数につきまして法曹三者にどの程度の数がいいか協議をいたしまして、そこで三者のコンセンサスというものが得られまして、その数がさらに七百を上回るというものでございましたら、裁判所といたしましてはそれを収容する施設をつくるべく、これはもちろん最大限の努力をするつもりでございまして、施設のために修習生を抑えるといいますか司法試験の合格者を抑える、そういったことのないように私どもとしては尽くしてまいりたいと思っております。
○中村(巌)委員 そして、研修所の施設だけではなくて、修習には実務修習というようなものも必要であるわけですけれども、私は、工夫をすれば実務修習も対応できると思っておりますが、裁判所のお考えとしては、どのくらいの修習生であれば実務修習が対応できるというふうに思っておられますか。
○泉最高裁判所長官代理者 司法修習におきまして一番の問題は、御指摘のとおり実務修習でございます。特に実務修習の一年四カ月の間に八カ月間は二期がまたがるということがございまして、なかなか実務修習庁の収容が難しゅうございます。現在三十七カ所の裁判所、検察庁、弁護士会に実務修習をお願いしておりますけれども、あと十三カ庁残っております。十三カ庁フルに活用し、かつ現在の修習制度を維持するといたしますと、七百人、これは七百五十人程度になっても構わないのですが、七百五十人程度であれば収容が可能である、こういうふうに考えております。
○中村(巌)委員 ちょっとまた別のことを聞きますけれども、この「司法試験制度改革に関する基 本的合意」の中には、法曹養成制度等改革協議会というものを設置するのだ、こういうことになっておるわけでございます。これは最初、法曹三者の協議が始められたときに、法務省の方としては余りこういうことはお考えになっておられなかったのではないか、弁護士会が強くこういうものをつくれということを要求した結果、こういう制度をつくりましょう、こういうことになったのではないかと思われるわけですけれども、法務省としてはこの改革協議会で何をやりたいという積極的な考え方を持っておられますか。
○濱崎政府委員 この改革協議会というのは、具体的な御提案は日本弁護士連合会の方からございまして、それを受けたということでございます。しかしながら、法務省といたしましても、この三者協議を始める前に、昭和六十二年に、司法試験制度、法曹養成制度について各界有識者から御意見をいただくために、法曹基本問題懇談会という大臣の私的な諮問機関を設けまして、そこで御意見を伺ったわけであります。その中で既に、司法試験制度についてはもっと抜本的な改革を検討すべきである、ただしかし、今すぐそういった改革の実現の可能性が乏しいということであるならば、それまでの緊急の改正も考えなければいけないという御意見をいただいているわけでございます。 そういう御意見を踏まえて、法務省として当面の緊急に関係者が合意できる改革案を詰めてまいったわけでございますが、あわせて合格者の増、大学教育との関係等の問題も含めました、抜本的な検討をしなければならないという認識は持っておったわけでございます。 この協議会の場でどういう方向で検討していくかということは、現在法務省としては全く白紙の状態で臨みたいというふうに考えております。ただ、これまで、今申しました法曹基本問題懇談会あるいは法制審議会の場等で、抜本的な改革のあるべき方向についていろいろなお考えを伺っております。そういった御意見を踏まえて、しかしながら今方向をどうということは確定しないで、さらに一層各方面の意見を聞いて、法曹三者で改革案を詰めていきたいというふうに考えておる次第であります。
○中村(巌)委員 具体的に伺えば、こういう協議会をいつごろ発足させるのか、そして、どういう構成でおやりになるのか。そして、今そういう御答弁をいただきましたけれども、法制審議会だって何だって、ただフリーハンド討議をしてくれ、こういうことはないわけで、法務省の方で一定の整理をして、そしていろいろ諮問をする、こういうことになっているけれども、この場合にはそういうことは考えておらないのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
○濱崎政府委員 この協議会は、今般の改正法案を成立させていただき、そして、それに基づく司法試験管理委員会規則を制定する、そういう今次改革の作業が終わりました後、直ちに開会いたしたいというふうに考えておりまして、そのための準備の会合は、早速に来月早々にも開きたいというふうに考えております。 構成メンバーについては、およそのところは既に法曹三者協議会の場で合意ができておりまして、法曹三者、それから大学関係者その他の学識経験者、それぞれおよそ数名ずつというような構成で考えているところでございます。 その協議事項といたしましては、司法試験制度、法曹養成制度の抜本的な改革ということが中心課題でありますが、その中で具体的に考えるべき問題といたしましては、国民の立場から見た法律専門職のあり方、それから試験制度、養成制度と大学法学教育との関係、それから法曹人口を含めて法曹三者のバランスよい後継者の確保のための方策、こういったことを検討の柱として検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 現在のところ、まだこの運営について法務省がどういうイニシアチブをとるとかどうとかということは考えておりません。これは、まず関係各方面の自由な御意見を伺って、それから具体的にどういう方向で進めていくかということを考えてまいりたいと思っております。
○中村(巌)委員 この協議会がいつごろをめどに結論を出そうとするのかということは、極めて重要だと思うのですね。ということは、若年の受験者の優遇制度というものが、一定の検証期間を経て、平成七年の検証の結果によって導入をされる、こういうことになるわけですけれども、それ以前に改革協議会の結論というものが出されたら、今の若年者優遇制度、そういうものが破棄されてしまうというか、それはもうやめた、今度はこういう方策によるんだ、こういうことになり得る可能性というものもあるのではないかというふうに思われるからでございまして、改革協議会の結論によっては、今なされているこの部分の合意というものはやめて、新しい制度を発足させるということもあり得るわけですか。
○濱崎政府委員 この改革協議会の場で、どのくらいの期間をかければ抜本的改善策について成案が得られるのかということは、これはなかなか見通しのつけにくい問題でございます。抜本的改革と申しましても、どの程度の大きな変革になるのか、大変な大きな変革ということになれば時間がかかりますでしょうし、もう少し変革の程度が低いもので何かいい案ということになれば、あるいはそういうものがもしあれば、比較的短期間に結論が得られるという可能性もあろうかと存じております。 今回の緊急の対応ということの検討も、具体的な検討を始めましてからでも、昭和六十二年から現在までかかってきておるわけでございまして、そういう経過から考えましても、抜本的改革というものについて答えを出すにはある程度の期間が必要であろうというふうに考えております。ただ、それはできるだけ早くできることが好ましいということでございます。もし平成八年の前にそういう改革が実現すれば、今回の制度とそれを置きかえるということも可能性としては否定できないであろうというふうに思っております。
○中村(巌)委員 今平成三年ですから、平成七年までには四年間もあるわけです。その間に一定の成案が得られないということは、いつまでたっても得られないということに等しいわけです。ただ、何か今の御答弁を伺っていると、改革協議会は弁護士会がつくれと言うからつくるんだ、だけれども余りそこへ期待してないんだ、恐らく結論は出ないで、今の合意したところを、並びに今度の改正法に基づいたところを実施することになるんだろう、こういうような感じがして、法務省に余り熱意が感じられないような気がするのですが、いかがでしょうか。
○濱崎政府委員 熱意のほどを形でもって申し上げるのは大変難しいことでございますけれども、これは真剣に取り組んでまいる所存であります。ただ、大変大きな問題でございますので、必ず五年内に成案が得られるということを申し上げることができるような性質のものではないと思っております。
○中村(巌)委員 それはできるだけ法務省も御努力を願って、今の合意に基づく線よりももっといい改革をできるようにしてほしいと願っているわけでございます。 次に、結局今次改革について言えば、法務省としては何とかして法曹人口の若年化というか、若年合格者数をふやしたい、専らそういう意図に基づいて改革を図っているというふうに見えるわけでありますけれども、極めて根源的な話でありますけれども、若年化というのは何で必要なのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
○濱崎政府委員 今次改革の目的は、端的に申し上げて、合格者は若ければ若いほどいいというふうに考えているわけでは決してございません。将来の法曹となろうとする者といたしましては、いろいろ多様な人材が必要であろうというふうに思っております。それは、社会的経験を積まれた後に法曹界に入りたいという熱意を持っておられる方も、資質のある方は比較的スムーズに合格できるような試験にしなければならないという観点か らもこの問題を考えておるわけでございまして、現在の実情におきましては、大学法学部を卒業した者にとって大変厳しい試験になっておりますけれども、同時に、それ以上に、会社等に勤めながらこの試験にチャレンジするという人にとっても、もっと厳しい試験になっているというふうに考えられます。そういった者も含めて、もう少しスムーズに合格することができるような試験にいたしたいということでございます。 現在の実情のもとにおきましては、社会的、経済的にも、あるいは自分の進路に対する考え方の上におきましても、長い期間の受験勉強に耐えられる人でなければ大変合格がしにくいという試験になっておりまして、司法試験の合格者がそういう人だけによって占められるということであっては将来の法曹の養成という観点から適当ではないのではないか、そういう観点からこの改革を考えているわけであります。
○中村(巌)委員 言葉は悪いですけれども、理屈をつければ何とでもつけられるのですけれども、私が端的に見るところによると、例えば検察官というものが応募者が大変少ない、なり手が少ない。それはなぜ少ないのかということになれば、結局は若い修習生がいないからだ、若い修習生をふやせば検察官の任官者もふえるだろう、だから何とか若い合格者をふやしたい。そこで、そういう気持ちで法務省は今次改革をしゃにむに推し進めているかのように見えるわけでありますけれども、それは違いますか。
○濱崎政府委員 ただいま申し上げたことは、また間接的には合格者の平均年齢の若年化という効果も生ずるということ、それを否定しているわけではございません。また今次改革の目的の一つとして、任官希望者を十分に確保したいという要請もあるわけでございます。ただ、それだけの目的としてこの改革を考えているわけではない、法曹三者それぞれの後継者という観点からこの問題を考えているということについては御理解を賜りたい。また、そうでなければ裁判所も日弁連もこの改革について理解を示していただくということにはならなかったはずではないかというふうに思います。
○中村(巌)委員 私もそう思いたいわけでありますけれども、確かに今の試験制度がこのままでいいとは到底思えないわけであります。しかし、改革協議会というものをつくってそこで抜本的に考えようという、そういうことを一方で考えつつ、他方では早急に何とか、早急にといってもそれは検証期間もあることですからすぐにはならないわけでありますけれども、若年化を図ろうとすることには多少疑義を感ぜざるを得ないというのが正直なところでございます。 それと関連しまして、検察官が大変足りないのではないかというふうに思いますけれども、検察庁としてはいかがでしょうか。どう考えておられるでしょうか。
○井嶋政府委員 検察官の不足問題につきましては、午前中にもいろいろ御説明を申し上げましたが、要するに午前中御説明しました数が示しますように、慢性的な欠員状態になっておるわけでございます。それで、その給源が何かということになりますと、メーンは司法修習生からの任官者であるということも申し上げたわけでございます。それとともに、欠員を発生させるのが中途退官者であるということも申し上げたわけでございます。 そういった状況でございまして、特にその中で最近問題だと考えておりますのは、中途退官者の問題ではなくて、むしろ任官者の数がだんだん減ってくるという傾向であるということでございます。そこで、先ほど調査部長から御答弁申し上げておりますが、やはりこの司法試験が、現状を考えますと、本当に当初目的とした法曹三者がバランスよく後継者を確保するという点において、少なくとも任官者をバランスよく採るという面においては現状はバランスを欠いておるのじゃないだろうかということでございますから、やはり任官者不足ということが大きな動機であることは、これは否定はいたしません。要するに、任官者も在野もバランスよく採るというのが目的なのでありますから、そこでバランスを失しているものはひとつ元へ戻したい、それは言い方を変えれば検事不足を解消するためだとか、あるいは若手をたくさん入れて検事を多くしようということではないかと言われればそのとおりかもしれませんけれども、もっとそういう広い意味でお考えいただきたい、このように思います。 検事の数が不足しているかということにつきましては、数的にはそういうことを申し上げるわけでございますけれども、しかし現実には、幸い最近事件数も少なくとも形式的には減っております。ただ、質的には非常に難しくなりましたから、そういった意味で、検事が手をかける手数というものは従来よりもふえております。また、それ以外にいろいろ活動する分野もふえてきております。そういったことを考えますと、現時点では検察官の数はそういった要請に十分にこたえ得るかということになりますと、私はまだ胸を張って十分だとは言い切れない、やはり不足しているという認識は十分持っておるわけでございます。
○中村(巌)委員 中途退官者の話は午前中にも伺いましたけれども、検察庁は五十幾つになるとポストがない人を肩たたきでやめさせちゃうというか、公証人になったらいいんじゃないかとか、いろいろな形でやめさせちゃうから五十過ぎの退官者が多くなる、こういうことも事実なんだろうと思います。しかし、検事が足りないから十分な検察ができませんよ、こういうことはおっしゃりたくないのだろうから、どうしたって検事が不足して不足して困る、こうはおっしゃらないんだろうと思いますけれども、やはりきちっとした検察をやっていくためにはもっともっと検察官をふやさなければ話にならないんだというふうに思うわけです。検察官がふえないという理由は、司法試験が難しいからという、ただ単にそれだけのことじゃないんだろうと思います。検察庁としては、任官者がふえない、言ってみれば不人気であるということの原因をどういうふうにお考えになっておられますか。
○井嶋政府委員 今中途退官者のことに触れられましたのでちょっと申し上げておきますけれども、確かに中途退官者、例年大体五十人前後あるわけでございますが、六割ないし七割が五十代でございましてそれほど危惧すべき状態ではないわけであります。 裁判官と比較していただけばおわかりいただけると思いますが、裁判官の場合は、独立して裁判という事務をおやりになるわけでございますから、定年近くまででも地裁とか高裁におられるわけでありますが、検察官の場合は、いわゆるピラミッド型の行政組織をつくっておるわけでございまして、決裁を中心とした一体の組織をつくっておるわけでございますから、どうしてもある程度の年限がたちますと決裁官という形になり、それぞれのポストへついていくということになるわけでございます。そしてそういったポストも限られておりますから、やはり後進に道を譲る、開くということが必要でございまして、そういう点では、この法曹三者の中でも特に行政官庁と似た組織になっておるということを思っていただければ御理解いただけると思うわけでございます。 そういった中で、しかしできるだけ検察の力を減殺させないために頑張ってもらいたいということも言っておりますし、また若干家庭の事情その他個人的事情で三十代、四十代でやめる人もおるわけでございますけれども、それにつきましても転勤の問題が一番大きな問題でございますので、それに対する対応を考えるといったようなこともやっておるわけでございます。 検察が不人気だからじゃないかということを言われるわけでございますが、何か検察を不人気にしたいようなお口ぶりでございますけれども、どうもそうではなくて、一番の問題は、先ほどから申しますように個人的事情であるというふうに御理解いただきたいと私は思います。もっとも、検察にとりましては執務のあり方その他いろいろ問 題もございます。社会状況の変動に伴いまして、それに対応した的確な検察をするために組織をいろいろ見直し、洗い直しをしております。そういった中で、おっしゃるような意味で不人気が挽回できればいいなと思っておるわけでございます。
○中村(巌)委員 裁判所の方にも伺っておきますけれども、裁判所もやはり裁判官は足りないのではないか。それと同時に、やはり裁判所も今日まで裁判官をふやすための努力が足りないのじゃないか、こういうふうに思っております。確かに修習生からしか判事は採れないわけでありますから、本人がなりたくないと言えばこれは困るわけでありましょうけれども、やはりそれなりに修習生に対する働きかけ等々によって、裁判所というものをさらに量的にも拡大をする、そういう方向に向かわなければいけないのに、今まで余りにも裁判所も消極的に過ぎたのじゃないか、こういう感じがしますけれども、いかがでしょう。
○泉最高裁判所長官代理者 現在の我が国の裁判所に対しまして、適正の点はともかくといたしまして、迅速性の点でしばしば問題の指摘をいただいております。 その関連といたしまして、我が国の裁判所の員数が少ないのではないかという御指摘を受けるわけでございますが、裁判所といたしましては、ここ毎年のように裁判官の増員に努めてきておりまして、昭和四十年から数えましても三百五人の裁判官の増員を果たしてきたわけでございます。ことしも五名の判事補の増員をお願いしているところでございます。 ただ、裁判所といたしましても、若い修習生がなかなか任官してくれないという事情はあることはございまして、できるだけ若い人たちに魅力のある職場づくりということに励んでいるわけでございます。 その一つといたしまして、裁判所の紛争解決機能が十分に果たせるようになればそれに対して魅力を感じてくれるのじゃないか、それから訴訟手続につきましても、旧態依然としたものじゃなくて生き生きとした訴訟手続をする、また職場の雰囲気もよくするということで、若い人たちが魅力を感じてくれるような職場づくりといったものに今励んでおるところでございます。 そういったことで、昨年は八十一名、ことしは九十名を超える任官者が確保できそうでございますので、今後ともこういった努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
○中村(巌)委員 最後になりますけれども、今回の一連の改革、法案の上ではわずかのことでありますけれども、全体として見れば、検証後に法案に書かれているようなことが実現されるということを含めて、今次改革が一体どういう結果を来すことになるのか。言ってみれば、例えば若い人たちが法曹界に入ってくるようになるのかどうかということ。 例えば、先ほども指摘をされたと思うのですけれども、三年間しか受けられないということになれば、一定の合格点数に達するまでの実力を蓄えた後に試験を受けるというやり方を、いわば今の中高校の偏差値じゃありませんけれども、一定の偏差値に達しないと受けないというようなことによって、なかなか意図していた方向にいかないというような問題も出てくるのじゃないか。こういうこともあって、今回改革全体の効果を法務省としてはどう予測しているのか、お伺いをしたいと思います。
○濱崎政府委員 この合格枠制が実施されました場合に、短期間で合格する者の数がどういうことになるかということにつきましては、最近の試験の結果にその制度をそのまま当てはめた場合の数字といたしましては、三回以内で合格している者の数が現在では百人に満たないという数字でありますけれども、これが別枠で約二百人増加するということになりますので、三百人弱の者が三年以内で合格するという結果になるわけでございます。そのこと自体によって、短期間の合格者の数が相当に高められるということになります。 さらに、この制度を継続的に実施することによりまして、現状では四年以上かかって合格している者のうちからもかなり多くの人が三年以内の制限枠で合格して、合格すればそれだけ受験競争から離れていくわけでございますから、そのために、これまで比較的長期間の受験を継続して上位に位置しているという者が次第に減少することによって、いわゆる一般枠、そういう制限のない枠においても競争状態が緩和されて、比較的短い期間で合格する可能性が一層高まるというプラスアルファも期待されるものと考えております。 ただ御指摘のように、いわゆる合格可能性が高まるまで受験を控えるというような現象、これがすべての受験者がそういう行動に出るということになりますと、期待した効果が実現できないという結果になるわけでございます。しかし、先ほども御説明申し上げましたように、今回の改革案は、三年たったらもう合格の可能性がないということではございません。四年以上の者でも具体的には従前と同じ程度の合格可能性が確保されるということでございまして、そのことが今次改革について大方の賛同を得られるようになった一つの大きな原因であろうと考えておるところです。 そういうことでございますので、そういう状況の中で、何年間も試験を受けないまま専ら予備校に通って受験勉強を続けるという行動に出る者がどの程度あるかということを考えますと、それはそれほど、皆無であるとは考えませんけれども、この制度の効果を大幅に減殺するほどの数にはならないのではないかと考えております。 なお、現在の受験者は、大学三年生のときから試しに受けるという人がかなりいる。それも現在のデータの収集の上においては回数にカウントしておりますから、その人が四年生で合格すれば二回、卒業一年目で合格すれば三回の受験で合格したということになるわけでございます。そういった三年生のときから試しに受けてみるという行動は、かなりといいますか大幅に減少するのではないかと考えておりますけれども、それ以上に、大学卒業後何年間も受験を手控えるということは、それほど懸念する状況にはならないものと考えております。
○中村(巌)委員 時間ですから終わりますけれども、私は、この改革案そのものを、総体としていえば決して反対するものではありませんけれども、考えてみますると、丙案というか、三回以内の受験者を優遇するという案が実施されたとするならば、そこはそれなりにやはり平等でないというか、平等性が若干でも損なわれるじゃないか、こういうことで、何とかもっと抜本的ないい改革案がないのかな、そんな気がしてならないわけでございます。 そういうことを申し上げて、質問を終わります。
○伊藤委員長 木島日出夫君。
○木島委員 今回の司法試験法の改正が、昨年の十月十六日に行われた法曹三者の司法試験制度改革に関する基本的合意、これを実行するためである、そしてこれを実行するためにどうしても法改正が必要となる部分について、今回改正法案を国会に持ち出した、先ほど来の答弁であります。 そこでお聞きしたいのですが、司法試験法第八条によりますと、「司法試験の合格者は、司法試験考査委員の合議によって定める。」というのが現行法なわけです。何人合格者を採るか、それから合格者をどういう基準で採るかについては、現行法は一応何も定めてないわけですね。そこでお間きしたいのですが、今回八条第二項を入れなければならないと考えた基本的理由は何なのでしょうか。
○濱崎政府委員 お尋ねは、今回の三者合意に基づくいわゆる合格枠制を導入するに当たって法改正を必要とする理由ということであろうかと受けとめました。 現行のもとにおいても、だれを合格させるかということは考査委員会議が定めるということになっておりますので、その際どういう要素を考慮していいのか、考慮して悪いのかということは、かなり裁量の幅がある問題であろうというふうに 考えられます。ただ、これまで長年にわたりまして司法試験制度は、いわば試験の結果としての成績、それのみによって合否判定をするという運用が行われてきておりまして、そのことは受験生の広く了知するところとなっているわけでございます。そういうことで長年定着してきたということを前提に考えます場合に、改めて合否判定において受験歴あるいは受験期間といったものを考慮するという制度をとることにつきましては、やはりそれは国会で御審議をいただき、法律の形でそういうことが可能であるということを明確にした方がいいのではないかという問題が一点ございます。 それから、受験歴をこういう形で考慮するということ、これは考査委員の合議という形でそういう運用をすることも、あるいは可能かもしれませんけれども、考査委員というのは、毎年の試験ごとに法務大臣から任命されるという立場にございます。したがって、考査委員会議は、一定の継続性を持って司法試験の実情を把握し、それに対する施策を考えるという立場にはございません。そういう、ある程度継続的な司法試験の実情を把握し、そのためにこのような合格枠制をとるべきかどうかというような判断は、むしろ司法試験制度を管理運営する独立の行政機関として位置づけられております司法試験管理委員会がそういう判断をして、その判断のもとに一定の合否判定のルールを画一的に定めるということ、それに従って、その制度のもとに考査委員会議が判断するということにした方がいいのではないかというふうに考えたわけであります。 そういうふうに、司法試験管理委員会が合否判定方法を具体的に定めて、それに従って考査委員会議が合否判定をするという仕組みにする、すなわち、その限度で考査委員会議の合否判定が制約を受ける、こういう制度にするためには、やはり法律でそういうことができるということを明確にする必要があるであろうというふうに考えたわけであります。
○木島委員 昭和二十四年に現行司法試験法ができてから四十年近く、合否判定の決定方法が基本的には平等を原則として運用されてきたことは間違いありません。年齢とか受験回数とか男女の性別とか、そういうものは一切捨象して、成績順でトップから順次並べて、そしてそのときどきに必要な合格者数で足切りをしてきて、三百人の時代もありましたし、五百人の時代もあった。しかし、基本的には選考方法が平等の原則で行われてきたということはそのとおりだと思うのです。 そこで、私が聞きたいのは、今そういう原則で運用されてきた、これから五年後に場合によっては別の基準で合否の判定をする、新しい原則を入れることになるから今回法改正が必要だというのが最初の理由のようなんですが、今まで運用は平等を原則としてきた、しかしその運用を変えるから法改正が必要なのだというのは、理屈が通らないのですね。法改正が必要なのは、これからやろうとする、五年、六年後からやろうとするいわゆるダブルスタンダードは現行法ではできない、現行の司法試験法ではできないというお考えがあるからこそ、今回司法試験法改正が出てきたのじゃないですか。単なる運用の問題じゃないのじゃないですか。
○濱崎政府委員 現行法のもとで合否判定において受験歴といったことを考慮することができるかどうか、この点については両方の考え方があろうというふうに考えております。私ども基本的に、先ほど申しましたように、考査委員がその合否判定の裁量の範囲内においてどの程度のことを考慮できるかという問題であろうというふうに思っております。その観点から、受験期間というものを考慮することができるという立場に立てば、その観点だけから考えますと必ずしも法改正は要しないという考え方もあり得るわけでございますけれども、両方の考え方があり得るだろうということで、その観点からも法律によるのが適当ではないかというふうに考えたわけです。 あと一点の方は、これはもっと法改正を必要とするという考え方が強いであろうというふうに考えております。
○木島委員 法をどう解釈するかについていろいろな意見の相違があるから、念のため八条二項をつくったという答弁ですが、それでは改めてお伺いします。 現行法の第一条に司法試験の目的が書かれているわけであります。そこで、法務省は、現行司法試験の基本的性格、理念はどこにあると考えているのでしょうか、御答弁を願います。
○濱崎政府委員 司法試験制度は、法曹三者の後継者を確保するための実質的に唯一の試験として機能しているものでございます。したがいまして、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者が適切に後継者を確保し、もって国民の司法に寄せる期待にこたえられるように機能する、そういう機能が期待されているものであるというふうに考えております。 また、法曹三者のそれぞれの職責を考えてみますと、司法試験の合格者が特定の経歴あるいは資質を有する者に偏ることは望ましくないと考えられます。そういう観点から、法曹となるにふさわしい多様な人材が合格し得る、こういう試験である必要があろうと考えております。そういった観点から、十全の機能を果たし得るという試験制度でなければならないと考えております。
○木島委員 現行司法試験法第一条に基づく司法試験法の根本理念は、一つは統一である。これは、裁判官と検察官と弁護士、それぞれの法曹になろうとする者について、別の試験ではなくてこれを一緒に同じ試験で行うという、統一の試験であるという統一の大原則、これが学者やその他法曹界から指摘されているところだと私は理解しています。 もう一つは、分離である。これは、行政官とは違う。大蔵省の役人とか文部省の役人とか、そういう行政官になる試験とは全く別で、法曹のみになろうとする者に対する試験であるということ、これがもう一つの大原則。 もう一つは、平等の原則といいますかね、先ほど来私が質問している、この試験については法曹になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とするのだから、年齢とか性別とか経歴とかそういうものは一切問わないということがこの第一条の文言から読み取れるということ。それの一つのあらわれなんでしょうか、開放性といいまして、どんな職業についていた者であれこの試験は開放する、こういう原則が司法試験の理念として備わっていたのだ、そのとおりに戦後四十年間、この法ができてから今日まで運用されてきたのだというのは専らだれもが認めていることだと思うのですが、こういう見方は結構でしょうか。法務省、時間がないから簡潔に。
○濱崎政府委員 基本的には委員御指摘のとおりであるというふうに思っております。
○木島委員 そこで、お伺いをいたしますが、今回の法八条二項の追加によりまして、この原則の一部が変わる、崩れるわけでありますね。もし仮に、例えば平成九年から七百人を合格させるという場合に、五百人は年齢や受験回数に関係なく一番から五百番までは合格させる、五百一番から七百番までについては初回受験から三年以内の者に限って選抜していくという姿になるわけですね。そういう理解でいいのですね。
○濱崎政府委員 そうでございます。
○木島委員 そこで、前の委員からも質問されていたので、私改めて聞きますが、もしそういう姿になった場合に、例えば平成二年の試験結果からかんがみまして、五百一番の成績順位だった、しかしその人が初回受験から三年以上過ぎていたということになると、落第になるわけですね。逆に、たまたま初回受験から三年以内の受験者であった、それで、上からずっと数えて二百番以内に入っていれば合格するわけですね。そうすると、最大格差、隔離といいますかね、五百一番でありながら不合格になった、しかし千何番で合格した、そういう最大格差、隔離は何番ぐらいになる のでしょうか。法務省の方から端的に数字をお答えいただきたい。
○濱崎政府委員 合格点直下には、非常に接近した点数で多数の受験者が分布しておりますから、番数で申し申すと千番以上の差になろうと存じます。
○木島委員 番数で大体千番の逆転現象が起きる。点数にして一科目二点ですから、七科目で十四点から十五点の逆転現象が起きると先ほどおっしゃいましたね。私は法律家として、まさにそういう制度を導入することが今まで守ってきた平等の原則の根本的な転換であるということで、一番そこがひっかかっておるわけです。 そこで、最高裁にお伺いしたいのですが、こういう逆転現象、五百一番でありながら不合格、それから約千番下の人でありながら、若年といいますか、初回受験からたまたま三年以内であったために救われて合格、これが、憲法十四条の法のもとの平等という大原則から見てこういう制度がいいのかどうなのか、最高裁としてどうお考えなのか、御答弁願います。
○泉最高裁判所長官代理者 三回以内の受験者について合格枠制を設けるというこの制度は、すべての受験生に保障されているわけでございますので、その意味におきまして、憲法十四条に違反するものではないというふうに考えております。
○木島委員 受験生一人一人から見ますと、だれもがこの初回受験、二回受験、三回受験、それからオーバーしてしまう四回以降受験になることは確かです。そういう面で、受験生個人の立場から見ると、すべての受験生が平等であることは間違いありません。しかし、この試験について二万人が受験をした、同じ試験問題で受験をして一生懸命答案を書いた、たまたま五百一番だったが合格をしなかった、それから千番以下の人が合格をした、私はそれを言っているのですよ。個人のサイドから見ると確かに平等でしょう。しかし、当該試験だけを見てみれば、五百一番の成績でありながら不合格、千五百番でありながら合格、まさにそれは大変な、差別という言葉を使っていいのかどうかわかりませんが、法のもとの平等から見てゆゆしい事態だなと私は率直に感ぜざるを得ないのですが、そこでどうか。
○濱崎政府委員 単年度の試験だけを切って見ますとそういう見方がされがちでありますけれども、これは私どもとしては、あくまでも個々の受験生にとって不平等がないかどうか、人単位で考えるべき問題であろうというふうに思っております。そういう観点も考慮いたしまして、この制度が施行される前の受験回数はカウントしない、今回の受験が将来の受験にどういう効果を及ぼすかということをみんなが知っている状態でこの制度を実施するということにいたしましたのも、そういったそれぞれの平等という観点から、その方が十全であろうというふうに考えた結果にほかならないわけであります。結局、司法試験に課せられた機能を十分に発揮するためにそういう制度をとることの合理性の問題ではないかというふうに考えている次第であります。
○木島委員 昨年十月十六日の法曹三者の基本的合意の問題について、内容についてお伺いをいたします。 法務省としては、本改正法案が成立をいたしますれば、この法曹三者の基本的合意に忠実に従ってこれを実行していくと聞いてよろしいですか。
○濱崎政府委員 そのとおりであります。
○木島委員 それから、他の委員からも再三質問をされておりましたが、この三者合意の中にある法曹養成制度等改革協議会の問題について、その目的、構成、協議事項、運営その他質問されておりました。実は、私「「法曹養成制度等改革協議会」の要綱」という文書を持っているのですが、これは法曹三者で基本的な合意がなされたものなんでしょうか。
○濱崎政府委員 お手持ちのものがそれであるかどうかは確認できませんけれども、最近の法曹三者協議会の場で「「法曹養成制度等改革協議会」の要綱」という内容をもって合意をいたしていることは事実であります。
○木島委員 その合意の時期をお知らせください。いつ合意したのでしょうか。
○濱崎政府委員 三月四日の三者協議会でございます。
○木島委員 本法案が可決されれば、今の三月四日の要綱、これの趣旨に忠実に従って法務省としては今後とり行っていくとお聞きしてよろしいですか。
○濱崎政府委員 そのとおりでございます。
○木島委員 わかりました。そこで中身についてお伺いいたします。 基本的合意によりますと、合格者の員数について「平成三年から六百人程度に増加させ、平成五年からは七百人程度にする。(合格者の増加数は、平成三年から七年までの間に合計九百人以上となることを目途とする。)」という文章があるのですね。ところが、先ほど来の答弁を聞いておりますと、ことし六百、百人プラス、来年百人プラス、再来年に二百人プラス、その次に二百人プラス、そして最終五年目に二百人プラス、そうすると、八百人にしかならないのですが、この合意と全然違うのですが、どうしてなんですか。
○濱崎政府委員 先ほど来六百、七百という数字で御説明しておりますのは、合意の概要、実行すべき概要という趣旨でお答えしたわけでございます。正確に申しますと、委員御指摘のとおり、これは現在の合格者数がほぼ五百人程度であるということを前提といたしまして、平成三年からの五年間で差し引き合計八百名の増員ということになるわけですが、もう少し多目に合格者を採って、それをいわゆる検証の素材とするという趣旨から、単純に合算しますと八百名になるところを、毎年少しずつ多目に合格させて、九百人以上になるということを目標にしようという合意でございます。 したがいまして、これを単純に百人を五年間で割りますと二十人ということになりますが、毎年の合格者数、これはその年の全体の成績でございますとか、そういった事情で、きっちり五百ということになる、あるいは五百二十になるというわけにはまいりません。したがいまして、毎年の合格者数にはおのずからある程度のでこぼこが生じることにならざるを得ませんけれども、平均して二十人程度になるように合格者を多目に採るという運用をするということを考えているわけでございます。ただ、その合格者数の上増し分をどの年で実現するかということについては、いろいろな諸条件も考慮して考えなければなりませんけれども、全体としてそういう数字になるようにいたしたいというふうに考えているところであります。
○木島委員 私は、日弁連の会長以下幹部からお話を伺いまして、この文章を日弁連の幹部がどう読んでいるかといいますと、合計九百人以上となることを目途とするということは、限りなく一千名に近い数字を日弁連は考えているし、そういう合意なんだというふうに解釈しているのですよ。そういう日弁連との合意だったのですか、限りなく千名近いという。今の答弁だと、どうしても、もう九百名が限度ですね。
○濱崎政府委員 こういう合意に至りました経緯といたしましては、日弁連からの検証の提案の中におきましては、五年間で二百人ずつ、合計千名の増員をして、それを検証対象にするという提案がされたわけであります。それに対しまして、私どもあるいは裁判所といたしましては、緊急の状況にあるのであるから、この合格枠制を実施することができる時期はできるだけ早い時期にする必要がある、片や研修所あるいは実務修習の受け入れ態勢の整備という観点から考えて、いきなり平成三年から二百人ふやすことは困難である、そういった双方の事情の歩み寄りによって、平成三年、四年は六百人程度にするということに落ちついたわけでございますが、その中で八百人という数字が提示された段階で、日弁連からは、これを限りなく千名にするという形で御提案があったわけであります。 その限りなく千名に近づけるという要請と受け 入れ態勢等の関係、その調整の結果九百人以上という表現で落ちついたわけでございまして、その九百人以上という表現を、これはゼロから出発した場合には限りなく千人に近いというふうに言うこともできるでございましょう、そういう事情でございます。
○木島委員 まさに玉虫色の表現になっていますね。 次に、検証基準についてお伺いいたします。 平成七年の検証時点でアとイのいずれにも該当する場合には、平成八年から丙案による合否判定を行うことはしないという文章ですね。そうすると、これは読み方としては、アあるいはイいずれかに該当した場合には、平成八年の合否判定は丙案による例の特例措置を使うというふうに解釈すべきなんですか。端的に答えてください。
○濱崎政府委員 このアとイの関係でございますが、イというのは、アの要件が満たされませんとイに進みません。そういう関係にございます。したがいまして、理論的に言いますと、アだけ達成されたということでイが達成されないということになれば、合格枠制の実施をするということでございます。
○木島委員 そうなんだろうと思います。 そこで、イの問題についてお伺いいたします。 このイの要件は、「平成八年以降において」「数年の後に三年以内合格者が四〇%程度又は五年以内合格者が七五%程度になることが見込まれること。 この予測に当たっては、」云々とあって、「三者の認識を一致させることとする。」という文章ですね。まさに平成七年の時点で、十月に合否が決まります。そうすると、翌年のもう二月ですか、告示するのは。そうすると、本当に四カ月くらいの短い時間しかないときに平成八年以降の予測をしなければいかぬわけですね。これは大変難しい。やってないことですから、やったことの検証じゃないわけですから。将来予測はどうなるだろうかという予測なんですね。しかもこの文章によりますと、法曹三者の認識が一致しなければだめだというわけですね。 さてそこで、将来予測について、日弁連の予測と法務省の予測あるいは最高裁の予測が食い違ったときには、この運用はどうなるのですか。特例措置は使われるのですか。
○濱崎政府委員 アの要件を達成したけれどもイの要件がどうなるかということに争いが生じたという場合の御指摘でございますけれども、この検証、最終的な判定は平成七年の試験結果を見て行うわけでありますけれども、平成三年以降の増員の効果というものは、毎年の試験結果を見てどういう効果があるかということを検証していくということを考えておりまして、それもこの合意の内容になっております。そういうことで毎年の検証を積み重ねてまいりますから、その前の平成六年の試験結果が出た段階での将来予測はもう既にある程度できるわけでございます。そういうことを積み重ねてまいっておりますので、平成七年の試験結果によって将来予測をするということは、そのとき初めて始めるということではございません。 ただ、ここで法曹「三者の認識を一致させることとする。」と表現しておるのは、法曹三者の一部が一方的に協議を打ち切って独走するというようなことはしない、とことんまで認識が一致するまで徹夜を続けてでも検討する、議案の協議を続けるということをうたったものでございます。この基本的合意の冒頭の文章におきまして「合意内容全般の実施にあたっては、三者の信頼と良識に基づいて行うものとする。」ということをうたっている、それもそのことを踏まえたものでございます。せっかくここまで三者の合意ででき上がった制度の運用に関する問題でございます。したがいまして、その認識が一致するまで、短い期間でありますけれどもそういう努力を傾注するということをうたったものでございます。
○木島委員 時間がないから終わりますが、合意そのものが、私の短い質問でも非常にあいまいな部分が多々ある。日弁連の認識と法務省の認識と裁判所の認識が食い違う可能性が非常に大きい合意になっておる。将来、五年後の検証に当たって、それから翌年の司法試験を実際どういうふうにやるか、特にダブルスタンダードを導入するかどうかの結論をつくるときには、ぜひとも日弁連との合意を基本に据えてもらいたい、認識が食い違ったまま突っ走るというようなことだけはしないでほしい、ということを私お願いしたいのですが、ここだけ法務大臣の御答弁を。
○左藤国務大臣 今お話しのとおり、これは十分協議をしてやるべきである、このように考えております。
○木島委員 終わります。
○伊藤委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十一分散会