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120回国会衆議院1991/03/12

法務委員会 第6号

発言数
93
登壇者
11
会派数
4
開催日
1991/03/12

会議録

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 内閣提出、罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 私から冒頭、法務大臣に御所見を伺いたいと思うのですが、罰金額の引き上げに伴っていろいろな問題が生ずるということは、前回の委員会のときにも私、幾つか指摘をさせていただいたところでございます。物価にスライドすると言いながら全部が二・五倍ということではなく、寡額の上限を一万円というところから十万円以下まで引き上がっているというように十倍のところもあり、それでは、そういうふうな犯罪の性質によって十倍になっても、またはそういうこともあり得ると言いながら、犯罪の性格上二・五倍ではきかないような大きな金額になる可能性のある談合罪とか贈賄罪といった企業に関係するような法律は、それは罰金が百万円から二百五十万円と普通に二・五倍になっている。罪のいろいろな形を変えずに、手直しということでそこまでやることはいかがなものかというようなことを前回申し上げたわけでございます。  それに伴って、いろいろなその他の部分についても、略式命令でありますとか未決勾留日数の問題でありますとか、または執行をこれからどのように確保していくのかという問題についてもお尋ねいたしたところでございますけれども、この法 令の執行に当たって、法務大臣、どのような御決意を持っておられるか、所信をお聞きしたいと思います。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 今お話しのように、従来から刑法等の運用というものは厳正かつ適切に行われてきたものと私は承知いたしておりますけれども、今回のこの改正法、御承認いただき成立いたしました後も、やはり基本的な姿勢というのはいささかも変わるべきものではない、このように考えております。  そういうことで、今回御審議いただいております中で、罰金刑を含みます財産刑という問題を今いろいろ御論議いただいております。種々御指摘を受けたわけでございますが、法務省としましては、これらの御意見を踏まえまして、今後ともより適切な財産刑制度の実現を目指して努力していかなければならない、そういうふうに考えておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ぜひともそのように御努力を願いたいと思います。財産刑だから軽々に手直しをしていいということではありません。やはりこれも刑罰の一つでございますし、国民の経済生活に非常に重大な関係もあるところでございますので、ぜひとも抜本的な改革ということを目指して、そこまでの間に余り大きな手直し、それから矛盾のないような形でいろいろと御検討を願いたいと思います。  では次に、前回もちょっと取り上げたのですけれども、新宿区において元の陸軍軍医学校の跡地、現在そこに国立予防衛生研究所を建設中でございますけれども、その建設現場から三十五体にも上る人骨が掘り出されたという事件についてお伺いをしたいと思います。  科学捜査研究所の方でいろいろとお調べになったということで、前回伺ったのですが、この事件が新宿区の牛込警察署にまず通報されたときに、牛込警察署の方ではどのような手続といいますか、捜査方法をとられたのか、まずそこから伺いたいと思います。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  本件の通報を受けました警視庁牛込警察署は、平成元年七月二十二日に通報を受けたわけでございますけれども、直ちに現場に臨場いたしまして、いわゆる現場の状況につきまして調査をいたした次第でございます。この工事現場の工事関係者からの事情聴取並びに人骨様のものにつきまして発掘と申しますか、収集を行い、この骨につきまして警視庁科学捜査研究所におきまして鑑定をいたした次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 犯罪捜査の過程でございますから、まず現場写真をお撮りになったことだと思います。それから実況見分調書も多分つくられていると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しました通報のありました平成元年七月二十二日に、牛込警察署員が現場で写真を撮影いたしております。また、現場の状況につきましては、報告書にまとめてございます。  以上でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 それからもう二年ぐらいたつわけなんですけれども、これがなかなか外にあらわれない。もちろん捜査の過程で収集したものだから公開をすることは原則的にできないことはよくわかっておりますけれども、他に見るべきものがない場合、しかも、これは犯罪に関係ないという御判断があった場合、写真なり実況見分の報告書というものを私どもの方に見せていただくというわけにいかないのでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 警察といたしましては、捜査の過程で収集いたしました資料につきましては公表いたしておりません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 これは本当にどうなっているのか。三十五体ものたくさんの、言うなればばらばら死体です。ばらばらの死体。しかも一つではなく三十五体もあるという異常な、人骨が正規に埋葬されずに、しかも、もともとが陸軍軍医学校の跡地にあったという、そういう状況があれば、一体これはどういうことなのかというさまざまな憶測を呼びます。幾ら犯罪に関係がないと言われても、それはどういう状況かというと、骨がもう古くなって、二十年以上たっているので、これから先公判維持は関係がないということにもしもこれをおとりになってしまうとするならば、住民たちの疑惑はいつまでたっても消えることなく残ってしまいます。むしろ中身を公開していただいて、きっちりと、これはこれこれこういうわけで犯罪とは関係がないものだ、または全くわからないものだということがわかるような形で公開していただきたいものだと思います。  今はそれができないということであれば、伺っていくよりしようがないと思うのですが、最初、建設現場の作業員が掘ったらば骨がたくさん出てきた。写真はその状況のままで撮られたのですか。また調書も、骨がばらばらな形というか、発掘を一遍した、そのままの状況ということでその現状を報告されているのでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  写真に写っている中身の具体的な詳細については控えさせていただきます。その報告書でございますが、現場の状況につき客観的に報告しているという内容でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この骨をすべて拾い出して収集をされたのは警察でございますね。それで、その中から一応の鑑定に回すということで数体の部分を鑑定に回されたと聞いておりますけれども、どういう基準でその骨を選ばれたりしたのでしょうか。     〔委員長退席、星野委員長代理着席)

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 まず一般に、白骨といいますか骨からいろいろなことを鑑定と申しますか、いろいろ情報を得るというためには、骨の保存状態がいいといいますか、そういうことが理想的なわけでございます。今回発見されました人骨は、大変入りまじった状態といいますか、しかも消失している部分もかなり多くあるというふうに思われましたので、したがいまして、発見されたときの状況から比較的原形をとどめた骨を抽出した、こういうふうに報告を受けております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 それが大体五体分くらいあったということなんでしょうけれども、その余の骨については、原形をとどめていないというか、保存が悪いという御判断のもとに何も手をつけておられずに、だれが保管しているのでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  これは、鑑定を行いました後に、七月二十七日に鑑定をすべて終わっておりますから、一部は二十五日に、それからほかのものにつきましても二十七日に、新宿区の方に引き渡ししてございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 この鑑定をするときにどのような方法でやられたかということなんですけれども、外観から見たということのほかにやられたことは、紫外線照射検査ですか、それによってなされたという、その二通りでなされたのですか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  まず、今回の鑑定を具体的に若干申し述べさしていただきますが、まず人骨か否かについて調査をいたしたわけでございます。人骨か否かという検査につきましては、形態学的検査を行いまして、頭蓋骨及び骨片から人の骨である、こういうふうに推定いたしました。  また、性別の推定につきましては、頭蓋骨について、みけんと申しますか、あるいは眉弓、まゆの上の部分のところ、こういったいろいろな特徴点がございます。これも形態学的に検査をいたしまして、五個の頭蓋骨のうち二個は男性、一個は女性のものと推定いたしました。残りの二個につきましては、今申し上げました特徴点というのが非常に欠損いたしておりまして、性別の推定はできませんでした。大腿骨及び脛骨につきましては、骨の長さなどをはかって調べる、いわゆる人類学的と申しますか計測方法によりまして、大腿骨並びに脛骨いずれも男性のものと推定いたしました。  年齢の推定につきましては、頭蓋骨のうち女性と推定された方の頭蓋骨、これにつきましては、 頭蓋縫合と申しますか、いわゆる頭蓋骨の真ん中を前後に走っている縫い目と申しますか、これの癒着が年齢によって違いますので、この消失の度合いによって年齢の高い低いというものを推定いたしております。したがいまして、本件につきましては、これの癒着による消失の状況からおおむね二十歳代の骨であろうかというふうに推定いたします。残り四個の頭蓋骨につきましては、成人に達しているということは推定されますが、何歳かということは推定は不可能でございました。大腿骨及び脛骨につきましては、骨の両端が完全にくっついておりましたものですから、成人に達していることは推定されましたが、それ以上の詳細な年齢は推定不可能でございました。  死後経過時間につきましては、これは先ほど紫外線照射と先生おっしゃいましたけれども、まず骨の色調、色合いの観察、それから骨の表面のいわゆる脂肪分の状況、こういったものを調べる、私ども、外観検査と申しますか、そういった検査を行いました。さらに加えまして、紫外線を骨の断面部に当てまして、これによる螢光の発生の度合いを調べる、いわゆる紫外線照射検査をあわせて行いました。これらのもろもろの検査の結果、五個の頭蓋骨と骨片はいずれも死後少なくとも二十年以上経過しているもの、こういうふうに推定されたわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 少なくとも死後二十年以上経過しているという点がわかったということですけれども、じゃ今度は、長くともどのくらいは経過していないといいますか、要するに二十年から五十年の間であるとか百年の間であるとか、そういう方はわかるのでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答えいたします。  少なくとも二十年以上経過しているということ以外には推定されることはありません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 これも不思議な気がします。これが何百年もたっているものであれば、当然今度は文化財の問題でありますとか遺跡の問題でありますとか、そういう問題が生ずるわけでございますから、どのくらいまでたっているかということが大ざっぱな関係でもわからなければいけないと思うのですが、その点も何もお調べになっていないということですから、これについても鑑定の結果報告書というものが存在しているわけでございますから、私それを見せていただければ一番いいことだと思うのです。それも公開というか公表されないのでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  捜査の過程で収集いたしたものについては、公表を控えさせていただきます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 ここらあたりが私の一番何とも腹立たしいところでございますけれども、今すぐにここで公開されないということであれば、お聞きする以外ないので聞いていきます。  実はこのことに関しまして、この鑑定書の依頼の項目なんですけれども、その中には人種というのが抜けております。前回お聞きしたときに、人種の場合、それは調べなかったのではなく、調べようとしたのだけれども調べることが不可能であったのだというようなことを、初めはそうじゃない、人種は調べてなかったとおっしゃったのを訂正されて、そして、調べたけれども調べようがなかったというか、わからなかったのだというお答えをいただいたのですが、実はその鑑定書というものの中の調査依頼の項目の中に、そもそも人種ということは入っていなかったのではないでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  鑑定の依頼の内容の具体的な詳細につきましては、要するに捜査上必要なことについての鑑定ということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 それではお答えになっていないと思うのです。  今聞きましたのは、それは捜査上必要がないというふうに人種の問題について判断されたから、人種については調査を依頼しなかったということなんでしょうか、それともしたということなんでしょうか。非常にあいまいだと思いますけれども、ここにまた国民の疑惑が生ずるわけでございますから、明確にお答えをいただきたいと思います。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  人種という具体的な項目での依頼はなかったというふうに理解いたしております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 前回も申し上げましたけれども、人種ということが犯罪の捜査の中に必要がないかどうかということになりますと、これは重大な問題だと思います。警察で調べるときに、やはりこの被害者が何人(なにじん)であったのかということ、または少なくともどういった系統の人であったのかということを調べないという方がおかしいと思うのです。まず、鑑定の依頼書の中から、性別や推定年齢や、また死後の経過年数というものを調べると同時に、人種と出てくるのが当然のことだと思うのですけれども、それをあえて除外したということは、犯罪に関係ないから除外したということでは説明にならないと思うのです。そのことは、犯罪捜査の中、またはそういうことに人種というものが全くかかわりがないということが言えますか。やはり属地主義、属人主義の問題もございます。ですから、そういうことについては調べるのが当然なのに抜かしているということであれば、そこに何らかの警察の意図が働いていたのではないかというふうに思われても仕方がないと思いますけれども、いかがでしょうか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答えいたします。  御指摘のような意図はございません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 意図はございませんということで信じられるものならこんなところでこういうふうに申し上げて聞くこともないのですけれども、ここについてはもう少し明快なお答えをいただきたいと思います。意図はないからといっても、ではなぜ人種を除いたんですか。その点についてお答えいただきませんと何とも言いようがないのです。そこのところでもう一度お答えください。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 先生、人種について除外したのではないか、こういう御指摘でございますが、人種について除外したということではございませんで、本件人骨からわかる範囲のことすべてについて慎重に鑑定をする、こういう内容の依頼でございました。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 またお答えが二転三転と、よくわからないのです。今のでいきますと、人種について除外したわけではないというお答えに今度は変わっているのですね。さっきは人種はやらなかったと。一体どっちなのか、どうしてそう明確に答えが出てこないのか、ますます疑問が深まってしまうのですけれども、この点いかがですか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 お答え申し上げます。  人種についてという具体的な項目はなかったと先ほど申し上げましたが、これは人種を除外したということではございませんで、現在の警察の、科学捜査研究所の能力の範囲内でできる限りの鑑定をする、こういう依頼でございました。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 その鑑定の依頼書の中に、具体的に人種という言葉がなかったことは明確にわかりました。そして、それは何でもできる限り調べるというようなこともあったのだと口頭で言われましても、一体どうなのか、これはまだまだわからず、これからも究明していかなければならないことだと思います。  ですから、そのことについて結果を見ましても、鑑定書の中に一言も、人種についてはこのような鑑定が不可能であった、これこれの理由で、例えばもはや古いので鑑定することが不可能であったとか、そういうふうな形での報告というものが一行も見当たらないわけでございます。私もそれを承知しておりますけれども、その点に間違いありませんか。

井口憲一警察庁刑事局鑑識課長

○井口説明員 鑑定の結果につきましては、先ほど申し上げました鑑定の結果、頭蓋骨二個につきまして性別あるいは年齢等が判明した、それ以外のことはわからなかったことでございまして、推定が可能なものにつきまして鑑定書といいますか、その結果として出された次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲共同

○鈴木(喜)委員 時間が来ましたのでここでやめなければなりませんけれども、この問題は日本人だけの問題ではなく、アジアの各国またはヨーロッパの国においても取り上げられ、新聞にも報道されて、一体これはどういうことなのかということで非常な関心を持たれている事案でございます。  その中で、今の警察のそこでの調べ方、検査の仕方、鑑定の依頼の仕方というものは非常に多くの問題を含んでおりまして、また、そういう世界の各国から非常な不信感を持ってとらえられる問題になると思います。また、心情的に言いましても、どこの方だかわからない、その故国で眠りたいと思っておられる方をそこにきちんとした形で葬って眠らせてあげることもできない、葬儀屋さんの段ボールにそのまま骨が入って今も保管されているというような状況は早くなくしてあげたい、そういう思いがいっぱいであるわけですけれども、その中で、警察の方が調べられるときにわざわざ人種を外して調べながら、そしてわからなかった、犯罪に関係がないからこれでおしまいだというような形では、とても国際的な信用は得られないと思います。これからいろいろな究明が続くとは思いますけれども、その点よく御了解いただきまして、これからの調査についても御留意いただきたいと思います。  終わります。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 御苦労さまでした。  小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 先日の法務委員会での質問の引き続きということでございますが、地方自治法の第十四条に罰金百万円という枠を決めて、自治法の定めるところ、以前は十万円でありましたのを今度は百万円ということに定めるわけでございますが、先日尋ねました件について、これまで長らく続いておることですから憲法には反しない、こういう答えが出ることは想定できたわけでございますが、どういう法理論でもってこれが合憲か。憲法第三十一条には、法律の定めによらなければならない、こうなっておるわけであります。法律とは、私の解釈するところは、ここでは広義の意味の法令ということでなくて、衆参両院で可決をされた法律、こういうふうに解釈しておるのでありますが、どういうふうな論理をもってそれが憲法の制限しておることに抵触しない、こういうことになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 お尋ねの件につきましては、昭和三十七年五月三十日に最高裁判所大法廷の判決がございます。それを引用して御説明いたします。  この事件は、昭和二十五年に成立いたしました大阪市条例、題名は、街路等における売春勧誘行為等の取締条例でございます。この罰則、ひいては地方自治法十四条五項の合憲性についての判示でございます。  憲法の三十一条、今委員御引用になりました法定手続の保障の規定でございますが、「憲法三一条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法七三条六号但書によつても明らかである。」この憲法七十三条六号ただし書きというのは、御案内のとおり法律の委任によって政令に罰則を設けることができるということの趣旨を定めた規定でございます。ただ、法律の授権が特定性を欠いたり白紙委任的なものであったりしてはならないことは言うまでもないということでございます。  しかも、この立法形式といたしましては、条例は法律以下の法令であるといっても、「公選の議員をもつて組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であつて、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」というような趣旨で、地方自治法十四条五項の合憲性を判示したものでございます。  私どもは、前回も申し上げましたけれども、こういった考え方に従って条例が制定され、その合憲性が担保されておるというふうに考えておるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 政令はもちろん議院内閣制に基づいてできる内閣が定めるものでございますが、政令の場合は一般的には罰則は設けられない、こういうふうに私は理解をしておるのであります。政令と条例、条例は公選制による議会が定めることであるからと、こういうところに一つのひっかかりというものがあるのだろうと思いますけれども、しからば内閣も議院内閣制、時たま議員でない者が加わられることはありますが、また可能性としては半数以下、例えば二十名の閣僚がおれば九名ぐらいまではなれるということはありますけれども、現実の問題としてはほとんど議員である、こういう場合に、政令解釈との関係で矛盾は来さないでしょうか。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 今も申し上げましたが、憲法七十三条六号ただし書きでございますが、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と書いてありまして、反対解釈として、法律の委任があればできるという規定が憲法にあるわけでございます。おっしゃるように政令というものは条例とは違う立法形式の法令ではございますけれども、同じような意味で法令としての根拠規定を持っておるわけでございます。罰則を設けることができる規定を持っておるわけでございますから、性質が違うという御指摘は正しいかもしれませんけれども、認められた授権の範囲であると思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 余り時間がとれませんから、前よりは少し詳細な説明をいただきましたので、次の問題に移りたいと思います。  法制審議会のことでありますが、この法制審議会は、いろいろなことを審議していただきまして、そのときどきの具体的な答申、態度を決めてもらっておるわけでありますが、先日も私指摘をいたしましたが、罰金の問題についてもやや糊塗的な感じを受けておるわけでありまして、もう少し現実に合った、総論にもきちっとこたえられるような、そういう取り組みができないものだろうか、これは以前私がここで申し上げたことなんでございます。  そこで、きょうお尋ねをしたいのは、法制審議会の構成、例えば委員というのはどういうふうな層からどういうバランスをもって出るのか、わけても刑法の部会、それはどういうふうになっておるのか。  それからもう一点、ついでにお尋ねしておきますが、どうも政府の審議会というのは非公開が原則のようでありまして、それでは国会で審議する前の事前の動きというものが、発表された段階における新聞紙等を通じて見るというような格好になりまして、世論的に詰めるというか、世論とのコンセンサスというか、つまり国民合意というか、そういうものが前段での取り組みとしては非常に手薄のような気持ちがいたします。その辺のところも、どういうお考えでやっておられるのかということをお尋ねしたいと思います。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 法制審議会は、委員御案内のとおり組織令を根拠にする機関でございますが、「法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項について調査審議する」という審議会でございまして、非常に重要な審議会であるというふうに考えております。同審議会は、法務大臣及び三十名以内の委員をもって組織されまして、法務大臣が会長として会務を総理し、委員は、関係各省の職員及び学識経験のある者のうちから法務大臣が任命することとされております。また、同審議会には部会を置くことができることとされておりまして、今御指摘の刑事法部会もこのようにして設置された部会でございます。部会に属する委員は、審議会の承認を経て 会長、つまり法務大臣が指名することとされております。  ところで、法制審議会の総会委員、つまり本委員会の委員の選任でございますが、まず第一のグループは、基本法令の各分野における最もすぐれた権威者ということでございます。第二グループは、裁判官、検察官、弁護士等の法律実務家、第三のグループが関係省庁の担当官、第四のグループが言論界等学識経験者から選ばれております。部会委員は、この総会の委員のうち、それぞれ専門の方におりていただいてなっていただく場合のほか、今申しました総会委員の選任基準に準じて選考されました、総会委員よりも若干若い、それぞれのグループの代表の方に集まっていただいておるということでございます。  このように委員は、主として法律学者、法律実務家、関係省庁の職員及び学識経験者ということになっておるわけでございますが、何しろ冒頭に申しましたように、大変重要な基本法の審議を行うものでございまして、この権威を高からしめるためにも、法務大臣が選任をいたしますけれども、慎重に各界の権威の方をお願いするというスタンスで選任をいたしております。  それから審議会の議事の公開の問題でございますが、委員御指摘のとおり、この法制審議会におきましても会議の中身は公開をしないという原則をとっておりまして、規則にもそのように書いております。これは結局、各委員の自由な、つまりそれぞれのお立場を離れた本当に自由な、その方のそれぞれの学識でもって議論をしていただくというようなことを確保するという趣旨で公開をしないということになっておるわけでございます。しかし、今委員御指摘のように、審議会の重要性にかんがみまして、各人の御発言を詳細に公開することはいたしませんけれども、その趣旨に反しない限り、会議における議事の中身を概要として取りまとめてその都度公表するといった形で、その限度で公表し、それぞれの審議会の方向性と申しますか審議しておる段階といいますか、そういったものがおわかりいただけるようになっておるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 きょうは大変時間が少ないわけで、再度お尋ねすることは省略をしたいと思います。  ただ問題は、他の審議会で大臣が座長をするという例があるのかというのはちょっと疑問でありますが、それは疑問を投げかけたという程度にさしていただきます。  実は、法制審議会の委員をそういう形で、主として専門家をお選びになっておるということでございますが、やはり専門家と同時に、幅広い社会的な常識というか民主的な感覚、それは言論界などからも出しておられるということでございましょうけれども、実は法制審議会のメンバーの中に、これは既に故人になっておられますので名前を挙げませんけれども、私が出席をいたしましたある会合で、ずばり差別発言をなさった方がございます。それは仏教の研究会でございましたので、仏教にかかわってそういうことの発言があったわけでございます。  これもやや専門にわたりますので、その理論づけは省略していたしませんけれども、京都の本願寺の近所に特殊部落があるが、それは仏の慈悲を慕って集まってきたのである、こういう意味のことで、言葉の使い方もおかしいし、また、法務大臣は僧籍にあられる方でございますが、仏の慈悲というものはそういういわゆるお恵みを振りまくというものではないのでありまして、苦しむ者と深く共鳴し共感する同一地平におけるものでありまして、それが同情心と違う点なんであります。だから、仏教の基本的理解もおかしいしということで本願寺の方へ指摘をいたしたことがありました。  ところが、その人の学問的業績を私ある時期ちょっと調べる機会がありまして調べておりましたら、あのナチス・ファッショの刑法学に傾倒しておるというか、それを評価しておる人物だということがその著作からわかりました。  そんなことで、私がここで申し上げたいことは、要するに幅広く民主的感覚というものが入らないと、事生命財産というものに対して、公権力の強制力をもってやろうとする法律を事前に審議する、物を考えて構想を立てるところでありますから、その点はひとつお願いをしておきたいと思います。  さて、残された時間余りございませんが、罪刑法定主義に関係してこれをお尋ねするのでありますが、先般来大変問題になっております、君が代とか日の丸を学校の入学式や卒業式のときに使え、つまり教育の中身の中に織り込めということなんです。それが要するに新学習指導要領という一つのパイプを通って、そして校長の業務命令というところまでいきますと処罰の対象になる、こういうことでございまして、御承知のとおり新学習指導要領というのは、法律でも何でもないわけであります。政令よりもさらにまた低いものだと私は思いますが、そういう下位法も下位法、随分下位にあるものを根拠に強制力によって拘束されるということは、罪刑法定主義の考え方からいって一体整合性があるのかということをお尋ねしたいわけであります。これについては文部省自体がまずどういう考え方を持っておるかということをお尋ねしたいと思います。

近藤信司文部省初等中等教育局小学校課長

○近藤説明員 お答えをいたします。  確かに、日の丸を国旗、君が代を国歌であるとする一般的な法令の規定はないわけでございますが、日の丸、君が代が国旗、国歌であるとの認識は、長年の慣行によりまして慣習法あるいは事実たる慣習として定着をしていると考えられるわけでございます。政府におきましても、これまで国会等におきましてその旨答弁をしているところでございます。こういった点を踏まえまして、学校教育におきましても学習指導要領で日の丸を国旗、君が代を国歌として取り扱ってきているところでございます。  今お尋ねの、平成元年三月に告示をされました新しい学習指導要領におきましては、今後の国際化の進展を踏まえ、これからの国際社会に生きる子供たちが国旗、国歌に対して正しい認識を持ち、それを尊重する態度をしっかりと身につけることが大切であるという観点に立ちまして、入学式、卒業式における国旗、国歌の指導の明確化を図ったところでございます。  文部省といたしましては、入学式、卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱の指導が、この学習指導要領に沿いましてすべての学校において実施される必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 法律的なことを、罪刑法定主義の関係をちょっと答えていただけませんか。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 日の丸あるいは君が代の問題につきまして今文部省の方から御説明がございましたが、私ども所管の罪刑法定主義ということとの関連で御質問でございますが、ただいまの問題は直接に私ども、例えば日の丸を国旗として掲揚するようにとかあるいは君が代を特定の式典の際に歌うようにという指導があったといたしまして、その指導に従わないという事態があったときに直ちにこれを処罰する法律というのは、私ちょっと存じておりません。したがいまして、いわゆる罪と罰とを定めるという意味での罪刑法定主義には具体的には直接関連する問題ではないと考えております。もちろん、それに伴いましていろいろ身分上の不利益といいますか、例えば懲戒処分を受けるとか、そういうことはあり得ると思います。これはしかし、直接には私どもの言っておりますところの罪刑法定主義の問題ではないという理解でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 政府の仕事というものは非常に多岐にわたっておりまして、きのうも私はある分科会でそういうところに直面したのですが、それは私らのあれではございませんのでと言うて、本当は関連して常識的に一定の水準をもって処理しなければならないことだと思うのですけれども、現実に人が公権力の強制力によって拘束される、幾らか不利益な目に遭うとかいうことは、広義な意味の罪刑法定主義だ、こう思います。きょうはなか なか立ち入った議論をするほどの時間がございませんので、やむなくそれはそれで承っておきたいと思います。  それで、もう一つ文部省にお尋ねをしたいと思いますが、文部省の中庭に、これが君が代に言う「さざれ石のいわほとなりて」という岩だというのがあるのでありまして、私のように長く土建業というか建設業に携わった者は、何だ、それは玉石まじりの少しかたい塊ではないか、こういうふうに思ったのでありますが、余りちゃちなことをすると、国歌というのは法律的な根拠がなくて、それを慣習だと言うが、慣習というのは人々の伝統的な行動形式の中にまで出ないと慣習とは言われないわけでありまして、これが人々の伝統的な行動形式の中にも出てこないから、ある程度権力的に文部省が先頭を切ってまず子供たちのところからやろうとしておるのですから、慣習などと言えるものではないのですが、それはさっきの話の続きでちょっと棚に上げておくとして、あれは石灰質が雨などによってある程度粘着力を持ってきまして、その間に石と石を挟んで、まあ簡単に言うたら、私流に言えば玉石まじりの塊だ、こういうことになるのでありまして、ああいうようなことをされると子供たちの科学的常識まで損なうのじゃないですか。その点、いかがでしょうか。

近藤信司文部省初等中等教育局小学校課長

○近藤説明員 お答えをいたします。  私は不勉強でございまして、そういう学問上の事柄について十分先生にお答えができないのでありますけれども、私どもが国歌君が代の斉唱の指導といいますか、これを学校教育において明確にしてまいりたいと考えておるわけでありますけれども、国歌君が代の歌詞の意味につきましては、日本国及び日本国民統合の象徴である天皇を持つこの日本の国の繁栄を願った歌である、こういうふうに理解をしておりますし、学校教育におきましても、国歌君が代は我が国が繁栄するようにとの願いを込めた歌である、こういうことを理解させるよう配慮する必要がある、こんなふうに考えておるところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲共同

○小森委員 それは思想は自由ですから、どういうお考えを持たれるかは勝手でありますけれども、少なくとも国民から信託された、正当に選挙された国会における代表者を通じて政治というものを信託されておるわけでありますから、可能な限り多くの人がなるほどと思うような所作、態度をとっていただかなければならぬと思うのであります。  そこで、きょう念のために「さざれ石のいわほとなりて」というのは一体どういうものかということについて、手っ取り早いので広辞苑を見たら、やはりああいう状態で玉石がまじっているようなのを「いわほ」というのじゃないのです。一つの塊でなければいかぬ。しかも、それもある程度かたい岩石で、そしてそれががっと高く突出しておる、「いわほ」の「ほ」は、つまり高千穂の峰の穂という字がちょっとかかっておるのですね。だから、そういうようなことを言うて、これは私は猿芝居に近いと思いますけれども、そのようなことまでして人の気持ちを引きつけなければならぬということは、慣習たる行動形式ではなくて、政府がこの問題については強弁をしておる、こういうふうに思うわけでございます。  残念ながら、またの機会にこのことはやらせていただくとして、きょうは質問を終わります。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 公明党の冬柴鐵三です。  最近、犯罪学あるいは刑事政策学の中でダイバージョンという言葉が使われるようですが、その意味と、その刑事政策学的な意義というか、簡単に御説明をいただきたい、このように思います。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 お尋ねのダイバージョンという言葉の意味合い、役割でございますが、近代国家におきましては、通常犯罪を処理する手順と申しますかプロセスと申しますか、それは、犯罪が発生いたしますと、警察がまずあり、検察があり、刑事裁判があり、行刑があり、最後に更生保護がある、こういったいわゆる手順、プロセスを経て刑事司法が実現されておるわけでございますが、ダイバージョンと申しますのは、そういったプロセスから離脱をさせて処理をするという意味合いであると言われておりまして、一九六〇年代後半のアメリカにおいて主張された議論でございます。  当時のアメリカの犯罪情勢、特に非常な犯罪の激増、それから過剰拘禁状況といったような刑事司法そのものの破産状態を踏まえて、そういったものがもたらすいろいろな弊害、あるいは訴訟経済といいますか国家経済といいますか、そういったようなものを考えて、軽微な犯罪とか少年犯罪とか、あるいは家庭内の犯罪といったものについては、ひとつそういった刑事司法のラインから外した処理の仕方がないのか、またそういった方式を確立すべきであるといったようなことが主張され、そういった手段がとられるようになったということがダイバージョンの定義かと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 そういうものが主張された背景は別にいたしましても、要するに自由刑による矯正というものの欠点、これはもうラベリング、いわゆる犯罪者としての烙印、それからプリズニゼーション、施設の中に長く収容しますと、外界から隔絶されるために、施設ぼけといいますかそういうものができてくる、こういうことも回避しなければならないというふうな点に着目をいたしますと、広い意味でこの財産刑というのは、同じ刑ではありますけれども、今のような烙印とかあるいは施設ぼけということから回避できるという意味ではすぐれたものではないかというふうに思うわけであります。  我が国では、捜査段階における微罪処分とかあるいは起訴猶予制度とか、あるいは最近略式命令なんかもそういう一つの役割を果たしているように私は思うのですけれども、罰金刑等の財産刑についても、広い意味でそういう今御説明いただいたような役割をお認めいただけるかどうか、その点だけで結構です。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 先ほども申しましたように、ダイバージョンの定義そのものを先ほど申したようなものに限定をいたしますと、財産刑、罰金は起訴あるいは裁判といった手続を経て行われる一つの刑罰でございますからダイバージョンの一種だというふうには言えないかもしれませんが、しかし、おっしゃるように自由刑がもたらしますいろいろな弊害を回避するという意味合いが一つそのダイバージョンの大きな動機になっておるということから考えますと、広く考えますと、そういった意味で自由刑の有する弊害を回避する面があるということは御指摘のとおりかと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 こういう観点に立ちますと、明治四十年につくられたこの刑法、その中での法定刑というものが、そういう考え方を導入することにより現代的意味において見直すことが可能になると思うのですね。そういうふうな観点に立って刑法典を見てみますと、財産罪、特に窃盗、詐欺、横領、それから贓物犯の中でも贓物収受罪について自由刑しか定めがなくて、罰金刑がないということは非常に不便な感じを私は受けるのですが、どのように考えますか。感じだけで結構です、お答えいただきたいと思います。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 前回の委員会でも御議論が出たと思いますけれども、財産犯に罰金刑が規定されておりますのは、背任罪と遺失物横領罪と贓物故買罪、この三つだけでございます。そこで、刑法制定当時は基本的には財産罪には罰金刑はふさわしくないと考えられておったのではないかという御説明をしておるわけでございますが、今日のような社会的状況に照らしてこのような立場が妥当であるかどうかということについては、検討を要する問題であるということでございまして、前回御説明いたしましたように、刑事法部会財産刑検討小委員会のテーマとして引き続き検討しようということにしておるわけでございます。御指摘のようなダイバージョンの考え方が即その形になるのかどうかは別といたしまして、そういったことは十分念頭に置きながら検討するということであると申し上げておきます。  ただ、今回の改正は、そういった実質的、個別 的な見直しはしない改正であるということだけは御理解いただきたいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 念のために伺っておきたいのですが、自由刑、特に懲役刑の受刑者の中で、いつの年度でも結構です、手元に統計があるところで結構ですが、今挙げましたような財産罪ですね、窃盗とか詐欺、横領、そういうものについて、受刑者の中でどれぐらいのパーセンテージを占めているのか、それぞれお示しをいただきたい、このように思います。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 私どもの統計のとり方が御指摘の罪名に正確に沿う形になっておりませんので、若干ずれるかもしれませんが、その点御了解いただきたいと思います。  平成元年の懲役刑の新受刑者の罪名別構成を調べてみますと、総数が二万四千三百八ございます。そのうち窃盗罪で受刑を開始した者が六千三百二十四名でございますから二六%、それから詐欺が千六百二十九名で六・七%、横領と背任が一緒になっておりますが、この二つを合わせますと百九十三名で〇・八%、それから贓物も収受と故買全部一緒になっておりますが、それを含めたものが十二名で〇・〇五%でございます。  ちなみに、窃盗は御承知のとおり受刑者数で常に最大数を占めると言われておりますが、最近はむしろ覚せい剤の方がやや上回っておりまして、同年度では覚せい剤の方が若干パーセンテージは高くなっております。  以上でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 法務大臣には通告していませんけれども、今挙げたように覚せい剤という事犯が、受刑者が非常にふえているわけですが、その中でも窃盗が二十数%を占めておる。これは選択の余地がないわけでして、入れるか入れないかのことになってしまって、要するに犯罪者としての烙印をそこにはっきりさせてしまう。罰金刑でも烙印なのですけれども、対外的に、中へ入ったというのと世の中にいるというのとは随分違うわけで、そういう意味では、窃盗等の財産罪にもぜひこの財産刑も選択できるような方法、もう十年以下の懲役一本やりじゃなしに、または何万円以下の罰金というものを定める方向でお考えいただきたいと思うのです。今財産刑小委員会で検討中だとおっしゃいましたけれども、法務大臣としてもその点について所感をお述べいただきたいと思います。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 今お話しの問題につきましては、法制審議会の刑事法部会小委員会ですか、ここでもって財産刑をめぐる基本問題というのを御検討いただいております。  私も、そういった問題で罰金刑の刑罰としての機能というもののいろいろな問題をもう一度よく考え直して、今日における我が国の犯罪情勢も、御指摘のような問題、罰金刑を含めた財産刑の運用の実態をよく検討した上で、実態的にも手続的にもこの問題をひとつ根本的に検討する必要がある、このように考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 次に科料の点についてお伺いしたいわけです。  今回、平成三年ですね、科料の多額を一万円ということにされているわけですけれども、明治四十年に刑法が施行されたときには科料の多額は二十円ということになっていたと思うのです。それから終戦直後の昭和二十三年は、罰臨法が施行されて、このときには千円というふうになっていたと思うのです。明治のことはわかりませんけれども、昭和二十三年といえば、たしか新円の切りかえとかいうことで一カ月一人百円とか、そういう時代の千円ですから相当大きな金額だし、明治の二十円というのも、これは大変大きな金額だったのではないかと思うのです。何か当時の、この二つの時代の資料で、二十円とかあるいは昭和二十三年の千円というのがどの程度のものだったのか、ちょっとお示しいただきたいと思うのです。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 明治四十年ごろの物価統計その他がございませんので、前回の委員会でもちょっと申し上げましたが、ある出版社がまとめました本によって申し上げますと、当時の二十円という金額は、御指摘のとおり大変大きな金額であったと思います。小学校の教員の初任給が月額で十三円の時代でございますし、大学を卒業した銀行員の初任給が三十五円。当時の大学というのは非常にまれな時代ですが、そういう時代でございます。ちなみに当時の国会議員の報酬月額百六十七円という時代だったようでございます。  昭和二十三年の二十円、これは千円になったわけでございますが、これを的確にあらわす数字も余りありませんけれども、同じような数字を持ってまいりますと、小学校教員の初任給月額二千円でございますからその半分、かなり大きな金額であることは間違いございません。当時は非常に物価の変動が激しい時代でございますから、この二十三年というのもいつをとったのかちょっとわかりませんが、そういうような数字でございます。ちなみに、当時の日本酒一級一本五百五十円という時代だった、こうなっております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 今の一万円というのは、本当に低いように思うのですね。それで、法務大臣の提案理由の説明では、罰臨法の改正の昭和四十七年から比較して、こんなに期間がたった、物価も上がった、給料も上がった、たしかこういう説明があったと思うのですが、昭和四十九年に改正刑法草案というのを法制審議会で決定されて発表されて、ちょっとした六法の後ろには資料として載っておりますけれども、これを見てみますと、四十七年の罰臨法施行二年後の四十九年では、当時科料の多額を一万円未満にもうしているわけですね。そうすると、それから十数年経た今日、物価の上昇、そういうものを考えますと、これは一万円は全然上がっていないのじゃないか。そもそも罰臨法の改正のときにちょっと低きに失したのが、いまだ後遺症になったのじゃないか。それを今またやってしまいますと、次にはまたこの一万円に引っ張られてしまうのではないかということを心配するのですけれども、その点について、科料刑の刑事政策的な意義をどう考えていらっしゃるのか、その点、一万円の意味とあわせて御説明いただきたいと思います。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 ただいま先生御指摘のように、今回の改正案は、四十七年の改正後の物価変動を基準といたしまして、二・五倍という数字を持ってきて一万円ということにしております。四十九年の改正刑法草案の考え方は、既にその当時五百円以上一万円未満ということで、これを基礎といたしますと金額はかなり大きなものになるということも御指摘のとおりでございます。ただ、今回の改正は、先日の委員会以来申し上げておりますように、いわば最小限度の、ミニマムの、現在の法体系を前提としたまま、そのまま一応スライドさせてみよう、その後の基本的な問題は引き続き検討していこうという考え方でいたしておるものですから、御指摘のような不十分な点があるということは、私ども重々承知いたしておりますが、一応の手当てということで御理解いただければと思います。  科料の刑事政策的意義という御質問でございますが、これは大変難しい問題でございまして、罰金と科料が一体どこが違うのだろうかということだろうと思います。いずれも同じような、金額の剥奪をするという財産的な制裁を加えるという点で共通しておりまして、異なるのは金額の範囲が違うのだということと、現行刑法上は、罰金の方は執行猶予をつけることができるけれども、科料はつけられないという差別がございます。それからまた、罰金の場合、多くの場合に法令上の資格制限を伴う場合がありますが、科料はそういうものはないというような区別があります。  そういう区別を前提といたしますと、比較的軽微な犯罪に対する軽微な制裁というようなところでなお意味があると考えられるのか、あるいはこのようなものはもう意義を失ったということで財産刑を一本化するのか、ここら辺も財産刑検討小委員会の一つの検討課題と考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 時間が迫ってきましたが、次に、諸物価の上昇と十九年の経過ということで罰金を二・五倍と最終的にされたわけですけれども、制裁という意味では、諸物価というよりも労働賃金 を基準にすべきだったんじゃないかなというふうに思うわけで、もう少し引き上げてもよかったのじゃないか。そうじゃないと、刑法を一回つくってしまうと、臨時の手当てだというけれども、次にやれるのはやはりもう十年、十五年先になると思いますよ。ですから、そういう意味で、余り臨時、臨時、手直しということではいけないのではないかと思います。  それからもう一つ考えてほしいのは、「一件当たり平均罰金額年次比較表」というのを資料でちょうだいしました。これは非常に興味深く見せていただいたのですが、これによりますと、罰金の多額というものを各罰条で引き上げてなくても、実質上は裁判所の刑の宣告の中でスライドさせているという事態がはっきりするわけですね。例えば傷害罪では、昭和四十八年を一〇〇とした場合に平成元年では二五三というように、二・五倍事実上引き上げておる。風営法にすれば八四七という引き上げをしている。こういう実態があるのに、また多額を上げて、それでまた年間百億円の増収になっちゃうから予算関連だ、こうおっしゃるわけですが、そうすると、これは物価上昇よりずっと上をねらっているのか、こういうことも思われるわけですが、その観点、もう簡単で結構ですが、それはどうですか。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 まず最初の、経済変動の指標をどこにとるべきかということ、特に罰金の痛みとの関係で労働者賃金にとるべきだという御指摘でございますが、確かにそういった御指摘も一つの理由がございまして、私どももそういった面でやろうという検討もしたわけでございます。ただ、前二回罰臨法のときに、やはり貨幣価値の低下ということで対応するという趣旨で消費者物価をとっておりますので、今回も結局それによろうということにしたわけでございます。ただ、将来の財産刑のあり方の問題として、消費者物価、貨幣価値がいいのか、いわゆる賃金がいいのかということは、さらに議論を尽くしていきたいと思っております。  それから、今おっしゃったように、科刑の実情を見ますと、平均的に、相対的に量刑が上がってきております。高くなってきております。それを物価の上昇にスライドしようじゃないかという御指摘ですが、確かにそういった点はございますが、その結果頭打ち現象といったものも徐々に出てまいり出しておるわけでございますし、さらに、そういう結果をもたらしますと、裁判所の裁判の量刑の裁量の幅が比較的に狭くなっているということが言えるわけでございますから、やはり法定刑そのものとして伸ばしてあげないと、量刑の幅も狭くなる一方で困るではないか、ここが一つ改正の必要性であるわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 もう時間が終了したのですが、あと一言だけ。  法務大臣、今までの罰臨法、いわゆる罰金等臨時措置法、これは臨時の措置だったわけですが、今回は刑法の一部改正なんですね。ですから、罰臨法、臨時措置の手法を踏襲するということは将来に非常に禍根を残すと思います。したがいまして、そういう観点で、早急に今言われたような財産刑についての見直しとか、あるいは罰金と科料の併合の問題とか、重大な問題をここで息を抜かずにすぐにスタートしていただいて、そして将来また、前の改正のときこうだったからということで足を引っ張られないようにしていただきたいと思いますので、その点についての決意だけ伺いたいので、お許しをいただきたいと思います。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 罰金刑の問題だけでなくて、刑法全体にいろいろな問題があるわけでありますが、特に今御指摘の点につきまして、法制審議会の審議を促進していただき、早い段階でまとめて改正していく方向でやっていただかなければならない、私はそういうふうに考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私に与えられた時間は十分しかありませんので、簡潔にお聞きいたします。  今回の刑法等の一部を改正する法律案で私一番得心がいかないのは、やはり刑事訴訟法との関係で、逮捕、勾留にかかわる罪の基準となる罰金の額、限界罰金額、それから公判期日における被告人の出頭義務及び免除の基準となる罰金の額、いわゆる限界罰金額、これを、刑法三法は逮捕、勾留は三十万円、行政罰は二万円、条例による罰金も二万円にするという、そのダブルスタンダードを置いているということだと思うのです。  既に先日の審議の際にも他の委員から再三指摘をされたところでありますが、法務省の説明は、今回の改正が刑法の体系には触れない、経済の変動に基づいて罰金額を引き上げるだけなのでこういう形になるんだという説明であります。それはわかります。しかし、先日の私の質問に対しても、今回刑法三法の罰金がここまで引き上がることに準じて、例えば行政罰についても、現在農水委員会で審議が行われている森林法の改正等についても、森林法にかかわる罰金の額が刑法に準じて大幅に上がるわけですね。幸いにして森林法に関する罰金については逮捕、勾留にかかわるものはありませんけれども、将来これから、先日の法務省のお答えによりましても、行政罰則は上げる方向に指導するということでしょう。そうしますと、法務省の指導によって行政罰が上がったものについては、刑法三法の罰金額に準じて刑訴法六十条等を適用しなければバランスを失するんじゃないかと思うわけですね。ところが、今回の刑法改正の附則にもそういう規定が全然ない。これは私、欠陥法と言わざるを得ないと思うのですが、どうでしょう。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 この刑事訴訟法六十条等の運用に関しますお尋ねの、いわゆるダブルスタンダードの問題でございますけれども、これは前回御説明しましたとおり、行政罰則中に法定刑が必ずしも刑法ほか二法と同程度の水準に達していないものがある、それを整理するのには時間がかかる、そういった観点から、整理されるまでの間、実務の混乱を避けるために、かつ適正な行政手続を行い得るようにするためにとった措置であるということでございます。御指摘のような附則は、そういった趣旨から考えれば本法案の趣旨に反することになると等しいと思いますので、その附則を設けるということは不可能かと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 今のお答えですと、この刑法改正が成立をして、引き続いて各省庁において特別法、行政罰則の改正が行われたときには、それでは、その場合は逐一刑法三法と同じ扱いをするというふうに指導されるということでしょうか、そう聞いてよろしいですか。

井嶋一友法務省刑事局長

○井嶋政府委員 そういう趣旨ではございませんで、要するに行政罰則を整理する際には、刑法等の罪と同様な趣旨の規定がある場合には同じようになるんではないか、こういうことでございますけれども、それは一律にそうなるわけではなくて、それぞれの行政罰則が持っております目的なり、規制しております範囲なり保護法益なりといったものがそれぞれあるわけでございますから、そういった中で、それぞれその法律にふさわしい、かつまた刑法等との罪の定め方とのバランスを考えながらそれぞれ個別にやるわけでございまして、一律に、同じ類型の行為だから同じ法定刑だという形をとることではないということを御説明しているわけでございますので、個別にそういったことすべてを考えながら処理をしていくということを申し上げているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私が言ったのは、法定刑そのものをバランスとれということは前回言ったのであって、きょう言っているのはそうじゃなくて、刑訴法の逮捕、勾留の要件が、刑法三法については三十万円以下は住所不定の場合以外は逮捕できない、しかし行政罰則や条例に基づく罰則は罰金二万円以下のみが住所不定の場合に逮捕、勾留ができるということになるわけでありまして、余りにも行政犯罪と条例に基づく犯罪について逮捕、勾留の要件が軽過ぎるということを今指摘しているわけであります。  前回私が刑法三法の罪と行政罰等のバランスをとらなければいかぬと言ったのも、それにかかわるわけであります。法務省の指導に基づいて今後これから他の省庁がバランスをとるために行政罰を例えば一万円から三万円に引き上げる、あるいは一万円から十万円に引き上げる、それは結構でしょう、それは大変必要なことだと私は思います。ところが、今度の刑訴法の改正によって、法務省の指導に基づいて行政罰則を上げた途端に、今度は逮捕、勾留の限界罰金額を超えてしまうということになるわけですね。行政罰について二万円を超えてしまうと逮捕、勾留がしやすくなるわけですから、そうしますと、まことにこれは刑訴手続上アンバランスが逆に今度は生じてしまう、それを私今指摘しているわけです。それを救済する措置を今回の刑訴法改正に入れなければ、日本の刑事訴訟法の運用上大問題が残るのではないかということなんですね。そこについてお聞きしたいと思います。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 確かに御指摘のように、今一万円のものを、例えば今度五万円にいたします、そういたしますと、現在のいわゆるダブルスタンダードで逮捕、勾留の制限にかからない罪になってしまう、結果的にそういう事象がおこる、それに対応する方策をこの法律の中に定めておくべきであるという御指摘かと思います。  それは確かに、結果的にそういう事態が生ずる場合もあると思いますが、私どもの基本的なスタンスは、あくまでもこのダブルスタンダード、暫定的なものであって、これを統一的にするために行政罰則の見直しを行い、それと並行してといいますか、それが行われた段階を見つつ刑法、刑訴法を一本化するという考え方を前回から申し上げているわけでございますので、それをできるだけ早い時期にしたいということで、御理解をいただきたいと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 まことに理解できないのは、今暫定的だから理解いただきたいとおっしゃいましたが、実は昭和四十七年に前回の罰金の引き上げをやった罰臨法の改正の審議のときに、やはり同じ問題が指摘されておりまして、あのときは公判への出頭義務の問題で、なぜ刑法三法と行政罰等に差別を設けるんだという、やはり私と同じような質問が出されたのに対して、あの時期の答弁はこれは暫定なんだ、今刑法の全面改正が行われているから、そのときにしっかりこういうのは正すんだという答えになっておるわけです。今から十九年前の話です。罰金の改正はこの十九年ぶりの本格的な改正ですね。今後、これから二十年ぐらいは動かないかもしれないわけですね。しかも、今回は刑法本法の改正でありますし、また刑訴法本法の改正になるわけですね。固まってしまうわけです。ですから、これから行政罰則や条例の罰則の引き上げのときには、救済措置をしなければ本当に不公平になると私は思うわけです。  もう一つ言います。新規立法がこれから行われた場合、行政関係の立法、新しく公害関係の法律とかごみの関係の法律とかこれから出てくるときに、罰則を、とても二万円以下の罰則なんて今あり得ませんから二十万にする、あるいは十万にする、そういう場合には、このダブルスタンダードでいくと、行政罰ですから逮捕、勾留がしやすい方になってしまう。これは本当に不公平だ。せめて新規行政立法で罰則ができたときには刑法三法の罪に準じて考えるというような規定を置かなければ不公平になると思うのですが、新規立法についてはどうでしょうか。

東條伸一郎法務省大臣官房審議官

○東條説明員 新規立法についてだけ特にそういう手当てをすることはどうかというお尋ねでございます。  確かに一つ一つの問題を考えますと、そういう問題が出てくるかと思います。ただ、私どもの立法のといいますか、罰則についての協議を受けた場合のスタンスといたしまして御理解をいただきたいと思いますのは、確かに四十七年のときにそういうことで問題を積み残してしまったということはございますが、私どもといたしましては、将来といいますか、三十万円なら三十万円というスタンダードに一本化することを前提として、しかも現在の罰則体系の中で新しい罰則を定めるときに正しい法定刑のあり方というものを検討していくというスタンスで臨みますので、その時点で一時期一種のずれといいますか、かぶりといいますか、そういうものが出てくるということはまずやむを得ないことかなという理解でいるわけでございます。ただ、それをできるだけ早い時期に解消したいということを考えているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わりますが、これはもう一時期なんかではなくてかなり固定化されてしまうということで、別途、刑法、刑訴法等の改正でこういう問題が生じたときには救済措置をとる必要があるということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 次に、ただいま可決いたしました罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律案に対し、塩崎潤君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。小澤克介君。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは案文を朗読いたします。    罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。  一 逮捕・勾留等の限界罰金額における刑法等三法の罪とその他の罪との間の区別を早期に解消し、一元化を図ること。  一 罰金が選択刑として定められていない財産犯及び公務執行妨害罪に罰金刑を導入することを検討すること。  一 罰金刑に限らず他の刑罰を含め、現行刑罰の適正化を図るとともに、尊属殺重罰規定の見直し、刑罰法令の現代用語化等について検討すること。  一 行政罰則の適正化を図るとともに、その見直しを検討すること。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、左藤法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。左藤法務大臣。

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律案につきましては、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、可決されましたことに対して、心からお礼を申し上げます。   なお、ただいまの附帯決議につきましては、そ の趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。     —————————————

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 この際、内閣提出、司法試験法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。左藤法務大臣。     —————————————  司法試験法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

左藤恵自由民主党法務大臣

○左藤国務大臣 司法試験法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  司法試験は、近年、合格までに極めて長期間を要する状況になっており、その結果、将来の法曹となる者が大学教育から離れた後長期間の画一的な受験準備を余儀なくされ、法曹実務家としての修練を開始する時期が相当遅くなっていること、法曹となるに適した人材が司法試験の受験を敬遠する傾向にあること、法曹三者のバランスよい人材確保が困難になってきていることなど、法曹の後継者を適切に確保し、養成する上で、多くの問題を生じております。  この法律案は、このような司法試験の実情にかんがみ、多様な人材の合格可能性を損なわないように配意しつつ、法曹としての資質を有するより多くの者が比較的短期間に合格することができる試験制度にするため、司法試験法の一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。  第一に、合格者の決定方法に関し、司法試験管理委員会が、司法試験における受験者の合格までに要する期間の実情その他の状況に照らして必要があると認めるときは、司法試験第二次試験論文式試験の合否決定において、司法試験管理委員会規則で定めるところにより、合格者の一部について、初めて第二次試験を受けたときから一定期間内の者から定める方法によるべきものとすることができることとしております。  第二に、司法試験第二次試験の試験科目に関し、受験者の負担を軽減するため、論文式試験及び口述試験の試験科目のうち非法律選択科目を廃止し、その試験科目を七科目から六科目に削減することとしております。  以上がこの法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時六分散会

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