文教委員会 第9号
- 発言数
- 213 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1991/03/15
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 まず、政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、これを許します。馬場昇君。
○馬場委員 まず、文部大臣の文化行政に対する所信といいますか、さらに言うと姿勢といいますか、そういう点から質問をいたしたいと思います。 大臣は、先日のこの法律の提案理由の説明の中で、著作権制度については、「我が国の国際的地位にふさわしい内容とする必要がある」、こういうことをおっしゃいました。さらに、著作隣接権を、「我が国の国際的地位にふさわしい保護強化を図る」、こういうことをおっしゃったわけでございますけれども、この「我が国の国際的地位」というのは、我が国の文化水準の国際的地位のことを言っておられるのですか、何を言っておられるのですか、そこをまずお尋ねしたいと思います。
○井上国務大臣 私は、「国際的地位」ということは、教育水準また文化的水準すべてを含めて、今おっしゃったように、「国際的地位にふさわしい」という感じを抱いております。その面につきましては、予算面につきましては、先生方の御努力でいろいろ御配慮いただいておりますが、何としても、戦後四十余年におきます我が国の経済の発展は、すべてでございますが、国際社会において期待されている、積極的に頑張ってまいった、そういう中において国際的文化にふさわしい――また、今「国際的地位にふさわしい」という表現が使われておるがどうかということでありますが、そのような感じを今抱いております。これからいろいろ御指導賜らなければなりませんが、もっともっとその水準にふさわしいように努力をいたしたい、まずもってその努力を誓いたいと思います。
○馬場委員 日本国憲法の二十五条に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあるわけです。また、教育基本法の前文にも、「民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献」する、こうあるわけでございます。 そこで、具体的にお聞きしますけれども、この憲法二十五条、教育基本法の前文が我が国の国民の生活の中に、また国家のあり方の中に現在十分生かされていると思っておられますか。さらに言いますと、文化的生活が営まれておるかどうか、あるいは文化国家と言っていい、それにふさわしい状況にあるか、大臣のこの点についての認識をお伺いしたいと思います。
○井上国務大臣 今の憲法二十五条、先生言われたとおりでございますが、現在、日本の国民の間では、高い生活水準を基盤として、心豊かな実現を目指して一層多様で、しかも一人一人の個性的な文化活動が展開されて、文化の時代と言われているわけであります。確かにそう言われておりますが、まだまだこういう面においては努力をしなくちゃならない。こういう点につきまして、国としても、特に文化、スポーツ、そしてまた、格段の強化を図るため、先般基金を五百億、また二百五十億、それから民間資金もちょうだいするなどいろいろ特段の措置を講じてきておるところでありますが、先ほど申し上げましたように、今後とも我が国が世界の尊敬と信頼を得る文化国家として発展を遂げていくよう特段の努力をいたしたい、このように考えております。
○馬場委員 答弁を聞いておりますと、大臣の、文化的生活、文化国家というものに対して、今日の日本を見る目が少し甘いのではないかというふうな感じがいたします。我が国は経済大国になった、このことはだれでも認めておると思うのですけれども、文化国家になっておるということは、まだ余り、国民だけじゃなしに、世界の人がそう認めていないのじゃないか、そういう認識を持つべきだと私は思います。大臣も所信表明でそういうことをおっしゃっているのです。引用いたしますと、「二十一世紀に向けて、創造的で活力ある文化の薫り高い国家として発展し、世界に貢献していく基礎を築くとともに、国民一人一人が、その生涯にわたり、生きがいと潤いを持って一層充実した生活を営む」、その先が大切ですけれども、「全力を傾注してまいる所存であります。」こういうことを言われておるわけでございまして、やはり現状がまだ十分でない、二十一世紀に向かって全力を尽くすということをこの前の所信表明のときにおっしゃったのですね。そういう点について、全力を尽くすとおっしゃっておりますから、具体的にお聞きしたいと思うのです。 まず、国の予算は、その国の顔だ、こう言われておるわけでございまして、今日の我が国の文化予算を見ますと、決して文化の薫り高い予算、文化の薫り高い顔をしておりませんね。今審議されておる平成三年度の予算を見てみますと、文化庁の予算は四百五十九億円ですね。これは国家予算に比べまして〇・七%ですよ。そして文部省の教育予算に占める比率も、文化庁予算は一%にも満たないわけでございます。 二、三年前の資料で少し古いわけですけれども、外国の文化予算を見てみますと、イギリスは国家予算の〇・二六%、これを日本円に換算いたしますと九百八十五億円、日本の文化庁予算の二倍です。フランスは国家予算の〇・八二%、日本円に換算して千九百四十一億円、何と日本の文化庁予算の四倍ですね。イタリーも国家予算の〇・五%で千八百八十億円、日本の文化庁予算の四倍であります。 こういう諸外国に比べてみて、例えば日本の文化庁予算が国家予算の一%を確保したとしますと、七千三十四億円にならなければならないし、今の文化庁予算の十五倍必要になる。その半分の〇・五%を文化庁予算としましても三千五百十七億円で、今の予算の七倍になる。〇・一%にしたって七百三億円で、現在の文化庁予算に二百四十四億円がふえるということになっておるわけです。 こういうことから見ますと、日本の文化の国際的水準というのは、この予算を見る限りにおいても、世界的に見て非常に低水準にあるということはもうはっきりしておるわけでございます。大臣は、文化の薫り高い潤いのある生活を国民にさせる、文化国家として世界に貢献する、それに全力を尽くすとおっしゃったわけですから、少なくとも文化庁の予算は国の予算の何%ぐらいにしたいと、一遍にできなければ、こういうことで段階的に、例えば国の予算の一%なら一%に持っていきたい、そのことが、文化国家になるし、外国の文化水準に匹敵することになるわけですから、抽象的には要りませんけれども、一遍にそうするか、あるいは段階的にするかは別として、国家予算の何%ぐらいが文化予算は必要と考えておられるのか、どこに向かって努力されるのか、具体的に答えてください。
○井上国務大臣 大変ありがたい御後援をちょうだいいたしまして、文化庁も喜んでいると思いますが、きのうの野党の先生方の平成三年の予算に対します反対討論の中にも、確かに教育関係、文部省関係の予算はこれだけ伸びているというお褒めの言葉もちょっと二人からいただいているのです。私も聞いておりました。(馬場委員「それは聞き間違えているのですよ」と呼ぶ)いや、聞き間違い――それで、お一人の方はだめだと言っておりますが、福祉の面はもっとやれということで、こういう――これはやはり御案内のように、五兆五百五十九億四千四百万というこの一般会計、その中で二千五百七十二億、五・四%伸びている、片方は四・七%伸びの一般歳出の中でも、これだけ伸びた。これは五十五年の五・七%のときと比べて十一年ぶりに伸ばしていただいた、これは与野党の先生方のおかげでございます。 しかし、今言われましたように、この文化庁予算が文部省の中で狭いということは、やはりそれぞれ――きのうもやはり大変いい御質問をいただきました。また、私学の西原先生などは、私学全体の予算を我々上げてくれと言うけれども、しかし、それでは文部省の中の取りっこだ、文部省全体の予算を上げるというありがたいお話も承っておりますが、今馬場先生御自身も、日本国家がこれだけ世界にふさわしい、豊かな文化にふさわしいということは、これは文化の予算だけではなくて、文部省全体の予算の中でそう言われておると思いますが、今外国の例を言われました。確かにもうまさにそのとおりであります。これはよその国も、私もいろいろ勉強してみましたが、教育省あり文化庁ありスポーツ省あり、そういう中で日本は、全体文部省の中に、文化庁も独立しておりませんで、やはり文部省の中におりますが、それがいい悪いはともかく、私どもは、やはり今おっしゃるような、この文化の薫り高い二十一世紀に向かって創造性ある活力ある社会を築くためにはぜひ必要であるということを考えております。 今端的にこう言えということでございますが、これはもう一挙とは言えませんが、財政の中でぜひ私どもは一生懸命この予算を努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
○馬場委員 今の答弁を聞いていますと、文部省だけ、教育予算だけでも非常に小さいわけですね。その中の文化庁予算とおっしゃるからいけないのであって、国家予算の中で何%ぐらい必要か、努力目標にしたいという目標ぐらい持たなければ計画が立たないわけですね。 私ども社会党は、文化のための一%運動というのを提唱しておるわけです。少なくとも国の予算の一%は文化予算を組みなさい。いま一つは、国だけではなしに、地方自治体もその予算の一%は文化のために組みなさい。それだけではなしに、日本の企業も経常利益の一%を芸術文化の支援に充てるようにしなさい。もちろん、ここには税制を優遇するということも含めるわけですけれども、こういうぐあいにして、中央、地方、企業を問わず一%は文化予算に組めということを社会党は提唱しておるのですが、大臣は、私は一%じゃない、〇・五%だとかあるいは〇・一%とか、どのくらいを思っておられるのか、もう少し具体的に目標を言わなければ、努力する努力すると抽象的に言ったってだめですから、では大体一%はどう考えますか。
○遠山(敦)政府委員 先生、先ほど来文化予算についてもっと拡充するようにというお話でございます。確かに、今日経済的に豊かになった我が国におきまして、国民の文化に対する関心は大変高いわけでございまして、その国民の要請にこたえていくということは大変重要であると考えております。それで、文化庁予算、現在四百五十九億、これが平成三年度の予算要求で、ぜひお認めをいただきたいと考えている金額でございますけれども、ここのところ、この四年間で約百億の増を見ることができました。それまでの間は、四年間、昭和五十九年から六十二年にかけて三百六十三億でずっと抑えられてまいったのですが、その後六十三年から平成三年にかけまして百億の増ということで頑張っているところでございます。 端的に将来どれだけだという率を今申し上げることはふさわしくないかと思うわけでございますけれども、この間文化庁予算以外にも、昨年御協力により創設できました芸術文化振興基金で国からの五百億の出資、民間からの百億を目途とする拠出もいただくことになっております。そんなことで、私どもとしましても、ぜひこの点についても大臣の意を体して努力をしたいと考えているところでございます。
○馬場委員 私が質問していますのは、大臣、去年よりもことしはどうだった、去年はおととしよりもどうだった、これだけはふえた、そんなことをやっておったって文化国家にならない、文化的生活を国民は営めないということ。これはもう政治家として、文部大臣として、やはり発想の転換をして、一%は取りたい、確保したい、そのためには何カ年計画をつくるとか、こういうような目標を持って頑張ってもらわなければ、所信表明だとか、この間の提案理由の説明では、渾身の努力をするとおっしゃいますけれども、渾身の努力だって出てこなければ何もしなかったということになるわけだし、数字を挙げ、具体的にここまで行くのだということをぜひ行政の中でやっていただきたいと思うのです。やろうと思えばできるのですよ。 例えば、今遠山次長も大臣も、先ほど文部予算が少しふえているとおっしゃいますけれども、少なくとも昭和五十五年以前は一貫して日本の教育予算というのは国家予算の一〇%以上を確保しておったわけですね。ところが昭和五十五年、五十六年からだんだん下がってきて、今日では国家予算の七・二%に下がってきておる。国の予算の一〇%の教育予算が五十五年以前あったように、これを一貫して持っておれば、今よりも二兆円教育予算はふえておらなければならないのですよ、今日。そういうことを言ったって、この財政難の上でとおっしゃるかもしれませんけれども、例えば防衛予算を見ますと、その五十五年から今日まで約二兆円ふえているわけです。これは、自民党政府が国の政策としてふやそうという政策をして二兆円ふやしているのだから、教育予算をふやそうという政策を出してふやせば、今の財政状況の中でもできないことはない。そうして、やはり文化国家を建設するとか教育を振興するとか、そういうものを基盤に置いた政策とか方針というのを政府は出せばいいわけですからね。教育予算を見てみますと、ふえたとおっしゃいますけれども、ふえておりませんよ。例えば、教育予算の中での人件費というのは、今占める割合は御承知のように七八・五%ですね。ところが七八・五%の中の七割というのは義務教育国庫負担ですよ。義務的経費なのです。ところが昭和六十年からこの五年間を見てみますと、教育予算は四千八百億円ふえているのです、教育予算全体。その中で人件費は六千三百億円ふえているのですよ。そういたしますと、教育費は一銭もふえていない。マイナスになっている、人件費が六千三百億円ふえているのだから。文教予算というのは四千八百億円しかふえていない。人件費は六千三百億円ふえている。そうしますと、人件費がふえただけで教育予算というのは減っていることになるのですよ。 こういうことを考えますと、少なくとも大臣、この人件費というのは義務教育国庫負担が七割だから、これは義務的経費だからシーリングの別枠にするとか、その前に文化国家をつくる、二十一世紀を担う青少年を育成するというこの教育予算は、一〇%を必ず確保するのだという原則を打ち出すとか、その中でまた人件費は、当面の間は別枠にするとか、文化庁の予算も、これはもう教育予算の別枠にして、文化庁予算はこうだ、将来は文化省とかあるいは文化スポーツ省とか、そういうものを設置しようという目標に向かって、まず当面文化予算を別枠にするとか、こういうシーリングのやり方に対する変更、国の政策の重点を文教に置くとかいうことをやられれば飛躍的にふえるわけですから、それについてはどうですか。
○井上国務大臣 先生の御案内のように、文教予算についても、人件費、これは文部省だけではなく全体的に一〇%シーリングの中でやっておりますので、そういう点については極めて財政上厳しいと思いますが、今おっしゃったように、文化水準も上げようということで一生懸命やっているわけですから、八月の概算要求に沿って早い時期にヒアリングをして、少しでも我々として文化の薫り高い二十一世紀を目指して頑張りたいということを思っております。
○馬場委員 今、予算の編成に当たっての幾つかの提言もしたわけですけれども、ここでこういうことを一つ一つ詰めていく時間もないのですけれども、やはりゆとりある文化国家宣言とか、例えば地方自治体は文化都市宣言とか、今交通安全宣言とかなんとかいろいろやっていますけれども、これも必要でしょうけれども、国自体が文化立国とか文化国家を宣言するとか文化都市を宣言する。特に子供なんかについては子供文化都市宣言とか、こういうものを表にばんと出して、それに向かって予算を編成していく、こういう発想の転換をしなければだめだと思います。 今概算要求のことをおっしゃいましたけれども、時間がありませんけれども、ここでこういうことについて、予算の組み方とか文化立国のあり方とか教育立国のあり方、それを含めてぜひ概算要求の前に私たちとも、いろいろ提言を持っているのですから、文部省と十分話し合う機会というのをつくっていただきたい。そのことでつくっていただければ、そこでまた申し上げたいと思いますが、いかがですか。
○坂元政府委員 先生方からの建設的な、前向きな提言につきましては、私どもも十分意見を拝聴したいというふうに考えております。 それから、ちょっと先ほどの大臣の答弁に補足させていただきたいのですが、概算要求基準というのは、経常的経費がマイナス一〇%、投資的経費が対前年度マイナス五%あるいは前年度同額というようなことでここ数年間設定されてきておりますが、人件費につきましては、概算要求基準においては別枠で措置されておりまして、人件費だけについては義務的増分、言いかえれば定期昇給分等の義務的増分については別途大蔵省から別枠で、これは文部省だけではございません、各省共通でございますが、別枠で枠外として前年度の予算に上積みして概算要求基準で決まりまして、そういう概算要求をしておるということだけ補足させていただきたいと思います。
○馬場委員 それは前年度の給与改定分であって、毎年給与改定の予算が組んでないものだから、例えば三千億文教関係で給与費が要るとなってくると、その三千億をどこからひねり出すかということで、そういう中から、義務教育国庫負担の中から事務職員とか栄養職員を外せとかいう問題が毎年起こってくるわけですから、そういう点については、私が言うのは、そういうことが起こらないようなことをせよとか、それからシーリング、シーリングとおっしゃいますけれども、防衛費はシーリングから外れておるじゃないですか。そのように教育費を外せばいい、こういうこともあるわけですから、これは大臣、ちょっと言いますが、概算要求前には毎年やっているのですが、私たちが要求書を出して話し合いをするのですけれども、ことしは予算の編成のあり方等を含めて、例えばこういうところに目標を置こうとかいろいろ提言を持っていますから、予算概算要求前に私どもと十分話し合う機会をつくっていただきたい、これはどうですか。
○井上国務大臣 それは十二分にひとつ先生方の御意見もいただきたいと思います。
○馬場委員 何か大臣は人物が非常に温厚であられますから、なかなか迫力ある、一生懸命やるのだということが伝わってこないわけですけれども、ぜひ、内に秘めたる力、意欲はあられると思いますので、こういう予算の問題には政党制だとかなんとかはないわけですから、大いに一緒に頑張っていきたいと思っております。 次に、芸術家の生活の安定だとか、あるいはその育成というものについてお聞きしたいと思います。 近年、勤務時間がいろいろ短縮されるとか週休二日になるとかいうことで時間の余裕が国民の中に出てきた、こういう中で、国民の中に芸術活動に対する関心が非常に高まっておることはいいことだと私は思います。非常に高まってきております。そうすると、すぐれた芸術に接する機会をふやしてやるという、行政がまたこれに対応していかなければならないと思いますし、例えばコンサートホールなんかの施設面を充実することはもちろんでございますけれども、やはりすぐれた芸能家というものがたくさん育成されていかなければならぬ、私はこう思うわけでございます。 そこで、現在の芸能実演家の現状というのをどのように把握しておられるかということについてお伺いいたしたいわけでございます。 まず、いわゆる芸能実演家の生活の実態というものを見てみますと、少し古いのですけれども、昭和六十三年度の調査で、日本芸能実演者団体協議会、芸団協が千人余りの芸能人の実態調査をした結果でございますが、年収が一千万円以上は八%だ。何と二百万円以下が三〇%だ。そうして年収の平均が芸能実演家は四百七十二万円。平成二年のすべての公務員の平均年収は五百二十九万円。芸能実演家の平均年収は四百七十二万円。民間労働者の平均年収を見てみますと、電気ガス水道、こういうところの人は六百二十万円。金融保険業の人は五百八十万円。不動産業の人は五百三十万円。運輸通信が大体四百九十五万円。これが民間の労働者の年収。公務員に比べ、民間の労働者に比べ、芸能実演家が何と四百七十二万円。しかも、この内訳を見てみますと、芸能家が本来の、例えばコンサートをやって収入を受けるとか舞台で実演して収入を得る、これは何とその収入額の三割にしか満たないのです。そして、あとはその他から収入を得ている。例えば何か教えて、教授活動をしたとか、これで二〇%以上。それからイベントなんかに出演して収入を得るとか、これが五、六%。その他が三九%とか、こうなっておるわけです。これは芸団協の調査なんです。こういうのを見てみれば生活ができないという状態になっているんですね。これでは私は立派な芸能家というのは育たない。それからもう一つは、芸能家は従来芸能を実演するとかいうことで、本来の芸術活動で生活ができるようにしなければならぬ。ところがほとんどそれができていない。そうしますと、みずからの芸を磨くこともできないし、またそういう状態の中には後継者が育たない。こういうことになっておりますから、やはり私は、こういう芸能実演家の生活面というものを含めて、今後たくさんの優秀な人が集まるということを含めて、国や自治体というものが、そういう芸能家の生活に対して財政援助をやるべきじゃないか、こういうことを思いますが、いかがですか。
○井上国務大臣 今先生のお話を聞いて、私も今数字を見て若干驚いているんですが、そういう面について、財政が非常に厳しいということですが、平成元年の補正で五百億をいただきまして基金を、そして百億を民間にお願いした。既にその百億以上の民間資金の調達の御希望が、御希望というより御後援をいただくということでございますので、そういう面もこういうところへ使わしていただきまして、少しでも今おっしゃるような面に到達いたしたい、このように考えております。
○馬場委員 昨年発足しました芸術文化振興基金、これに今出ております三年度の予算で文部省が五億円の増額の出資、増資の概算要求をしたけれども、これは削られていますよ。そういうことを含めて、やはり国とか自治体とかいうのはいろいろ検討をしながら財政援助というのを大いにふやしていくべきだ。大臣も頑張っていかれると思いますので、これはぜひそうしていただきたいと思います。 民間からの寄附もいただくわけですよね。そこでもう一つは、企業とか個人の寄附による援助というのもやはり必要でありますから、それをやりやすくするためには、こういう芸術文化活動に寄附をすると、そこの税制面の優遇策という制度をやはりつくるべきじゃないか。文化芸術活動に寄附した企業とか個人とかに対しては税制面で優遇する、そういう制度をつくるべきだと思うのですが、いかがですか。
○遠山(敦)政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、私どもといたしましては、その芸術文化活動に対するいろんな施策を充実をして、また予算措置においてもできるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。 企業の寄附の件でございますけれども、税制上の措置につきましてかねてからいろんな形で努力をして、税制当局に要望してまいってきているところでございまして、これにより近年幾つかの制度の改善が図られております。昭和五十一年度には、芸術の公演、展示をみずから企画したりあるいは実施したりすることを目的とする法人に対して特定公益増進法人の制度が芸術の分野についても開かれたわけでございます。平成元年度には、こういう法人に加えまして、芸術の普及向上のための助成金を支給するような法人に対しても特定公益増進法人の対象として認められたところでございます。また、平成元年度におきましては、一定の公演、展示あるいはけいこ場の建設等に充てるために公益法人が募集する寄附金が指定寄附金の対象となるように、そういう制度を充実いたしましたし、また日本芸術文化振興会への寄附も指定寄附金とすることができまして、それによって百億を超える拠出の申し出をいただいたようなことでございます。 しかしながら、諸外国におきますような、企業の利益の何%かを寄附した場合に、それがすべて免税になるというような措置は、日本の場合にはまだ十分でないというふうに言えるわけでございます。 ただ一方、企業の間でも企業メセナ協議会を設けられる等の努力をしておられまして、そういうところとの連携も深めながら、税制の問題についてもできるだけの拡充について努めてまいりたいと考えております。
○馬場委員 これは大臣、やはり国とか地方自治体、さっき一%ということも言いましたけれども、こういう財政援助、これはまだ強化する必要がある。今遠山次長からもお話がありましたが、寄附した企業とか法人とか個人に対する税制面を優遇する制度というものをもう少し拡充して、きちんとしていただきたいということを希望を申し上げておきたいと思います。 やはりこういうことだものですから、芸術家が余り育ってきていないんですよね。例えば昭和六十三年度ですけれども、大学の芸術専攻をした学生の卒業後の進路を見てみますと、約三割の人が何にも職についていない、無業者になっておるのです。芸術を専攻した学生で卒業してから三割くらいの人は無業者になっておる。就職した人の六割くらいは他の業種に就職をしておられる。芸術とかなんとかを活動するところには行っていないのです。だから、せっかく芸術を専攻しておりながら、出たら職のない人が、職についていない人が三割もおるし、就職した人の六割は全然関係のない他の業種に就職をしておる。これじゃせっかく大学で芸術を専攻しておりながら、全然育ってきていない、活動をしていないという状況になっておるわけでございます。これはやはり先ほどから言っておりますように、生活ができない、それからまた活動する場の受け皿が少ない、こういう点がいろいろあるわけですから、これは現在やっている人の生活面と、そうして育ってくる人たちが十分活動ができるように、後継者が、たくさん芸術家が出てくるように、そういうことにぜひ力を入れていただきたい。所信表明で大臣はこれは言っておられるんですよね、私はよく読んでみましたところが。「芸術家等の人材の養成・確保やすぐれた芸術創作活動の助成に努め」ますということを大臣所信で、だれも質問せぬ前に自分から言っておられるわけですから、ぜひそれを渾身の力を振るって頑張っていただきたいということを申し上げたいと思いますが、頑張っていただけますか。
○井上国務大臣 一生懸命ひとつ大臣所信表明でお話しのとおりやりたいと思います。
○馬場委員 次に、文化庁に御質問申し上げますが、最近外国人の音楽家の来日が非常に多くなってきておる。これで我が国の音楽家の活動の場が狭められているのではないか、こういう懸念があるわけです。これについてそういう事実がございますか。
○遠山(敦)政府委員 来日演奏家と邦人演奏家による公演の回数につきましては、日本演奏連盟の資料によりますと、年によって若干の変動はございますけれども、日本の演奏家の公演回数、それから来日演奏家の公演回数、ともにふえている状況でございますが、相互の比率は日本人の公演が全体の七〇から八〇%、それから来日公演が二〇から三〇%という状況で推移をしております。
○馬場委員 我々が聞くところによると、やはり著作隣接権条約加盟の影響というのがあるのじゃないかということで、来日された音楽家の活動で日本人の方が狭められているということも聞いておりますから、そういうことについては、今お聞きしますとほとんど変わっていないということのようでございますけれども、よく留意をしておいていただきたいと思います。 具体的な問題で、実演家等の保護条約に加盟しておる国が今世界で三十五カ国あるのですけれども、アメリカとかソ連とかの主要国がこれに加盟していないのですね。これは理由は何ですか。
○遠山(敦)政府委員 実演家等の保護条約は、一九六一年にベルヌ同盟あるいはILO、ユネスコが中心になり作成された条約であるわけでございます。この条約は実演家に対する無許諾の録音等の防止あるいはレコード製作者に対する複製権の付与あるいは実演家やレコード製作者に対する商業用レコードの二次使用料の請求権の付与等の権利の保護を具体的に規定しているところでございます。 しかしながら、アメリカはレコード製作者に対しては複製権を付与しているのでございますけれども、実演家でありますとか放送事業者の経済的な利益は基本的には契約によって確保されるべしという考え方があるものでございますから、これらの実演家あるいは放送事業者には権利を付与していないところでございます。したがって、条約に加入していないあるいは加入できない状況であるわけでございます。 また、ソビエトにつきましては、隣接権ではなくて著作権の条約に関しましても、いわば基本的な条約でありますベルヌ条約にも加入しておりませんし、万国著作権条約には加入しておりますけれども、著作隣接権の分野では、実演家の関係の条約あるいはレコードの保護条約についても、いずれも加入していないという状況でございます。 これはなぜかと問われましても、アメリカなりソビエトなりの国内情勢によるものでございますけれども、先ほど大臣も申しましたように、やはり著作権の制度がどの程度充実しているかということは、一国の文化を示すバロメーターであろうかと思います。その意味では、私どもとしましては、両国が今後どのような形で体制を整備され、加入されるのかどうかということを注目してまいりたいというふうに考えております。
○馬場委員 次に移りますけれども、今著作権の認識とか、その普及というのは、やはりその国の文化のバロメーターだと言われたわけでございますが、著作権を通じてさらに文化の創造を再普及させていくということは、文化の振興にとって非常に大切であるわけでございます。そういうことからいって著作権の法律は、このごろずっと、私も何回か質問いたしましたし、何回か改正されて充実されていっておるわけですけれども、問題は、法の整備だけじゃなしに、著作権思想の啓蒙、これは絶対に必要であると私は思うのです。 それで、もう余り時間がありませんから、この著作権を啓蒙する予算というのはどんどんふえておるのですか。どうして啓蒙しておられますか。もう一つは、学校教育で、この著作権についてどのような教育を行っておるのか。やはり著作権の侵害というのは最大の罪悪だ、こういう考え方というものを普及させていかなければいけないと思うのですけれども、著作権の普及啓蒙のための予算は増額しつつあるか、学校教育ではどういう著作権の教育をしているか、どうですか。
○遠山(敦)政府委員 著作権思想の国民への普及というのは非常に大事なことでございまして、従来から文化庁では、この問題についての講習会を開きますとか、あるいは学校に対しましてはビデオ等の資料をつくりまして配付する等の措置をとりまして、この普及に努めているところでございます。 予算はどうかという話でございますが、講習会あるいは資料作成のための予算として約五百六十万円、著作権に対する理解を深めるためのビデオ作成の予算といたしまして、今年度から新たに五百万円を計上いたしまして、これは非常に有効に使われているという段階でございます。
○菱村政府委員 学校教育におきましてどのように教えているかという観点について御答弁申し上げます。 学校教育におきましては、他人の権利を尊重することを教えるということは大事なことでございますので、従前から社会科とか道徳で教えております。ただ著作権となりますと、これが知的生産物に関する権利でございますので、一般的にいって内容がかなり高度になります。したがいまして、義務教育段階で直接これを取り扱うというのは、実は子供の発達段階からいってかなり難しいものですから、従来はこの問題は取り扱っておりませんでした。高等学校ではもちろん専門科目がございますので、例えば商業法規とか工業経営ではこの問題を十分取り上げているわけでございます。 しかし、ただいま先生も御指摘になりましたように、著作権の理解を深めるということは、今後ますます重要になるだろうと思います。したがいまして、このたび改訂いたしました指導要領の高等学校のところで、指導要領自体では直接的には扱っておりませんけれども、その解説をしております文部省の指導書の中でこの問題を取り上げております。したがいまして、これからは高等学校の教科書には著作権の問題が出てくるのではないだろうかと期待しております。 いずれにしましても、これは重要でございますので、今後とも充実を図っていきたい、こう考えております。
○馬場委員 やはり著作権の認識とか普及ということがその国の文化のバロメーターとも言われておるわけですから、この啓蒙とか教育は全力を挙げてやっていただきたいと思います。 そこで、知的所有権の問題について、ガットのウルグアイ・ラウンドの中で何かこのことが問題になっておるということで、ウルグアイ・ラウンドで外国のレコードについて日本の保護措置の拡大が求められたということもあると聞いておるのですが、ウルグアイ・ラウンドでこの著作権にかかわることで問題になっておって、どうなっているのかということはどうですか。
○遠山(敦)政府委員 ガットのウルグアイ・ラウンドにおきましては、十五の交渉項目中、新たな分野といたしまして貿易関連の知的所有権が項目として取り上げられておりまして、昨年末までの合意形成に向けて議論が行われてきていたところでございます。また、それは今後再開される予定になっております。 その知的所有権に関する交渉は、TRIP交渉と呼ばれておりますけれども、著作権それから工業所有権の保護につきまして、適切、円滑な貿易促進の観点から、既存の関係条約を補強、補完する目的で新しいルールづくりを検討しているところでございます。 このTRIP交渉の議題の中で、例えば著作者人格権の保護の問題あるいはコンピュータープログラムの取り扱いあるいはレコードを代表といたします貸与権の問題につきまして議論になっているところでございます。しかしながら、今回の法改正に関連いたしましては、直接このTRIP交渉によって影響を受けるというふうには考えていないところでございます。
○馬場委員 これは大臣にお聞きしますけれども、やはり知的生産物、特に芸術関係のこういう知的生産物というのは貿易摩擦が少ないと私は思うのです。だから、今後日本はすぐれた芸術の知的生産物をどんどん外国に輸出して、それが日本の今後の生きる道の一つでもあるのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。そういう意味で、芸術の知的生産物をますます外国に輸出して、そして日本の生きる道という方向もここでひとつ一側面として切り開く、こういう考え方も必要ではないかと思うのですが、どうですか。
○井上国務大臣 今芸術文化、諸外国に、ウルグアイ・ラウンドと別に何のあれもあれですので、どんどんやれということでございますが、まさに私も、やはり諸外国との文化交流は、相互の啓発あるいは刺激を通じ、それぞれの文化の発展、向上に寄与するものとして重要でありますし、また我が国の文化を世界に向けて発信し、また文化面で世界に貢献するためには極めて重要なことだと思います。こういう観点から、今文化庁におきましても、かねてから舞台芸術公演の海外派遣あるいは青少年、アマチュアの文化活動グループ、芸術家、文化専門家等の人物交流事業の増進を図っているところでありますから、これは一生懸命やりたいと思います。
○馬場委員 今度の改正で、外国製レコードの複製について、頒布の目的で所持する行為を頒布と同様に処罰する、こうなっておるのですが、頒布を目的とした所持というのと、私的に持っている私的所持、これを区別するというのはなかなか難しいのではないかと思いますが、その処罰に当たっての個人の権利を侵害するというようなことはないのかどうか、お聞きします。
○遠山(敦)政府委員 頒布目的といいますのは、法律上の位置づけといたしまして、有償とか無償を問わないで複製物を公衆に譲渡し、あるいは貸与することというふうに規定をされております。したがいまして、典型的には市販する目的で持っているという場合でございます。先生御心配の私的な所持行為というのは、これは頒布目的でないわけでございます。その意味では、個人で鑑賞することを目的とするような私的な所持は、この頒布目的に当たらないわけでございまして、仮に無断複製物を購入した個人が持っていたとしても、これによって刑罰を受ける対象にはならないわけでございますので、私的な所持について、それを私的な所有権みたいなことを侵すというふうなことの御心配はないと思います。
○馬場委員 これは運用によっては人権侵害ということも起こり得る可能性がある問題だと思いますので、そういうことのないように十分お願いしておきたいと思います。 次に、障害者と著作権についてでございますが、視覚障害者には、この著作権法の三十七条で、公表された著作物は点字により複製することができる、一定の施設では録音することもできることになっておるわけでございます。しかし、障害者の場合、聴覚障害者については何ら著作権法上これを緩めて便宜を図るというようなことはないわけでございますが、日常生活を送るに当たって必要な情報の九割は耳から入る、こう言われておるわけでございますから、こういう点について、私はこの前審議されましたときに、著作権法の三十七条の中にかあるいは三十八条に、視覚障害者と同じように聴覚障害者の学校とか福祉を目的とする公共公益施設で聴覚障害者向けの字幕、画面の字幕とかあるいは手話のビデオカセット等の録画をすることができるということを一条入れてもらってはどうか。そうすると、大体視覚障害者、聴覚障害者も平等に著作権の中で優遇されることになるわけであります。そのときの大臣は、六十三年でしたから中島文部大臣でしたけれども、少なくとも聴覚障害者の方々によかれと思われる方策を編み出すために勉強してみたい、こういう答弁が行われておるのです。六十三年から二年たっているわけでございますが、現在、この聴覚障害者の著作権法上のこれを優遇する、著作権を適用しない、こういう問題について勉強はどこまでいっているのですか、どういう見通しですか。
○遠山(敦)政府委員 聴覚障害者のためにビデオ等に字幕を入れるための制度的な検討をというお話ではございますけれども、著作権をそういう形で聴覚障害者のためということで直接制度上制限することにつきましては、いろいろな問題もあるわけでございます。それは、例えば字幕を入れるに当たりまして、音声内容の要約をしたりあるいは省略が通常行われるわけでございまして、翻案権が働くというような話がございますし、その場合には著作者の人格的権利であります同一性を保持するという点が守られないという可能性もあるわけでございます。さらにはビデオテープなどの性格から見まして、単に聴覚障害者という特定の用途を超えて使われる可能性がある等のさまざまな困難があるわけでございます。そのようなことから、直ちに制度上確保するわけにはいかないわけでございますが、そのような事情を配慮いたしまして、文化庁といたしましては、この問題に関しましてできるだけ簡易に迅速にまた低廉な使用料による著作権処理のルールの普及が大事であろうということで、脚本家でありますとか原作者あるいは映画製作者の関係者に対して協力を呼びかけているところでございます。 これによりまして、具体的には社会福祉法人聴力障害者情報文化センターというのが、厚生省所管でございますけれども、ここが中心になりまして、地方のライブラリーとの間で字幕ビデオライブラリー共同機構を設立いたしております。これによりまして、聴覚障害者に対する情報提供の促進に努めているわけでございますが、そのセンターと著作権者等との話し合いにつきまして、私どもも積極的に取り組んでまいったところでございます。その結果、昭和六十三年までの間は放送局の制作番組につきましてルールが形成されたわけでございますが、平成元年には劇場用の映画について大手映画会社との間でルールが確立いたしましたし、平成二年にはアニメーション映画についても、そのルールが確立されたわけでございます。この共同機構に参加しております自治体も、昭和六十三年当時には六県市でありましたものが、現在三十五県市に拡大いたしております。そのような形で、この聴覚障害者のためのビデオに字幕を入れるという仕事ができるだけ早く、しかも低廉にできるということで、実際上の仕組みができ上がりつつあるというふうに御報告できるかと存じます。
○馬場委員 私的録音・録画問題対策協議会というのができておるのですが、この人たちが録音・録画、機器・機材の販売数にリンクした報酬請求権制度を導入してくれと盛んに要求しておるわけですが、文化庁はこれに対して何か対応してますか。
○遠山(敦)政府委員 私的録音・録画問題は、著作権法の三十条で私的使用の複製を許容しているところでございますけれども、科学技術の発達に伴いまして録音・録画機器が著しく性能もよく発達している。そういうことで家庭内における録音・録画が大変頻繁にかつ容易に行われて、権利者たちの権利が侵害されているということで、これは一つの大きな問題であるというふうに私どもも考えております。このため、かねてから私どもも、この問題についてどういうふうに解決していったらいいかということについて真剣に取り組んでまいっているわけでございます。既に昭和五十年代から検討を始めてまいっておりますけれども、特に昭和六十二年八月から第十小委員会を著作権審議会の中に設置いたしまして、鋭意検討を進めているところでございます。この小委員会では、今報酬請求権制度ということを前提にいたしまして、これを導入しているヨーロッパ諸国の状況等に留意しながら幾つかの論点について検討をしてまいっているところでございます。 その中身について申し上げる時間がございませんけれども、この制度の導入につきましては、メーカー等の御協力がどうしても不可欠なわけでございます。しかし、一方、メーカー等にとりましては、これの経済的不利益がさらに大きくなるのではないか、あるいは国際的な動向を見定める必要がある等の理由から、なかなかまだこの報酬請求権制度を取り入れることについては慎重なわけでございます。私どもとしましては、制度の面の理論的な問題のクリアと同時に、メーカーあるいは消費者側の御理解も得ながら、この問題の解決に向かって適切な対応をしてまいりたいと考えております。
○馬場委員 これで著作権についての質問は終わります。 時間が来ましたけれども、一つだけ大臣に。最近起こりました国公立大学の医療機器の汚職事件の問題です。大臣も千葉出身ですが、これは千葉大学でまず最初に起こったのですが、医療の中枢機関ですよね、国立大学の附属病院というのは。こういう国立大学病院が汚職の舞台になったということは大変な問題だし、それから医療用電子機器、先端技術はがんなどの未知の分野から人類を救うため物すごく必要なものですよね。そういう大切なところにこういう汚職が起こった。言うならば、そういう人間の心ががんにかかったような事件ですよね。これは全く許せないことだと思うのですが、関係者も襟を正して綱紀を引き締めなければならぬ。文部省に何か検討委員会をつくられたということでございますけれども、ぜひ国や医療界や業界による、今の倫理なき売り込みがなくなって、公正な競争のルールづくりというものを、関係者も悪いことをしたのは処分しながら、業者はこういうのは取引を停止しながらでも、きちんとした、こういうことが起こらないようなルールづくりというものを、大臣、責任を持ってやっていただきたいということを申し上げ、答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
○井上国務大臣 千葉大問題につきましては、私ども職員の綱紀の厳正な保持、購入契約における公正な手続、こういうことの確保について一生懸命指導してきたわけでありますが、教官が起訴されました。大変申しわけなく、まことに遺憾であります。このような事件の再発防止のために、この文教委員会において再三御指摘をちょうだいしまして、私なりにこういうものをつくりますということで、早速、省で幹部を集めまして、そして国立大学における大型設備の調達に係る仕様策定の在り方等に関する検討委員会、こういうものを会計課長を中心として設けまして、こういう問題のないように、適正な、今後調達のあり方について、国立大学に対しましても、厳正に指導してまいりたい、このように考えます。
○馬場委員 終わります。 ─────────────
○臼井委員長 次に、本案について参考人から御意見を聴取いたします。 御出席の参考人は、岡山大学教授・著作権審議会委員阿部浩二君及び社団法人日本レコード協会副会長佐藤修君であります。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 それでは、議事の順序について申し上げます。阿部参考人、佐藤参考人の順にお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際には、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。 初めに、阿部参考人にお願いいたします。
○阿部参考人 ただいま御指名いただきました阿部でございます。本日、著作権に関しまして私の考えを申し述べる機会をいただきましたことを、まず御礼申し上げたいと思います。 御承知のように、日本の現在の著作権法は昭和四十六年一月一日から施行されております。しかし、その前に、いわゆる旧著作権法でございますけれども、これは明治三十二年、つまり一八九九年に施行されております。それ以来、たび重なる改正がありましたけれども、抜本的な改正が昭和四十六年の現行法となっているわけであります。明治三十二年に施行されました旧著作権法、これはどういう性格を持っているのかということからお話を進めさせていただきたいと思います。 この旧著作権法は、一口に、端的に私の考えを申し上げますと、日本における著作権思想の普及、これが向上した結果としてでき上がったものであるというようには私には思えないのであります。明治年間におきまして、いわゆる治外法権ということがございました。それにつきましては、皆様御承知かと思いますけれども、諸外国とお互いに肩を並べていく、対等な立場でもって日本の国が進んで行こうという場合には、外国におけるところの諸立法と肩を並べる立法が必要となってくるわけであります。治外法権を撤廃するために、明治三十二年当時に日本におけるところの主要な法律が制定された。例えば民法とかあるいは商法、これらのものが制定されたということは御存じのとおりであります。その一環としてつくられたのが明治三十二年の旧著作権法であります。したがいまして、その範とすべきところのものは、その以前においては日本にはまずなかった、こう考えてよろしいかと思います。 その範としたのは何かと申しますと、一八九九年、既に制定されておりましたいわゆるベルヌ条約であります。このベルヌ条約は、その当時におけるところの世界における唯一の全世界的な条約であります。その条約に範をとってつくられたのが旧著作権法であります。したがいまして、明治三十二年の旧著作権法の中身と申しますのは、これはその当時においては世界に肩を並べることができる内容を持っていたということが言えるだろうと思います。しかし、そのことは、内実的にもなお著作権思想が日本において普及しておったということを意味するものではないというふうに言わざるを得ないことを非常に残念に思うわけであります。 しかし、それ以後いろいろと、その著作権思想あるいは無体財産に対する感覚、これが日本国内において醸成されてくるというふうなことがありますけれども、なお依然として、そのような思想というものが必ずしも熟成しているとは言えないというふうに私には思えるわけであります。 そういうわけで、明治三十二年、ベルヌ条約というものに範をとりまして、それからベルヌ条約は約二十年ごとに大きな改正があります。その二十年ごとの改正につきまして、例えば一九〇八年のベルリンの改正条約あるいは一九二八年のローマ改正条約、それらについても、その都度日本は加盟してきているわけであります。最後に加盟しておりますのは、一九七一年パリ改正条約であります。そのパリ改正条約におきまして、その前のブラッセルの改正条約は、ちょうど一九四八年の改正でございますので、日本は戦後間もないということで参加はいたしておりません。しかし、現在各国と肩を並べるところの条約に加盟というふうなことはなし遂げているわけであります。 と同時に、一九五二年にUCC、万国著作権条約が制定されておりますけれども、それに対しましても日本は加盟しているわけであります。一九五五年だったと思いますけれども、そこに加盟しているわけであります。さらには、レコード保護条約につきましても、御承知のように加盟しているということになっておりますし、あるいは隣接権条約には昨年加盟するというふうに、現在、世界における大きな著作権条約として四つございますけれども、その四つのすべてに加盟しているということが言えるわけであります。 したがいまして、法制度の面におきましては、日本は決して外国に遜色を持っているというものではないと考えてよろしいかと思います。ただ単に外国に遜色を持っているというようなことが見られないだけではなくて、ある面におきましては、さらに進歩していると申しますか、さらに一歩進んでいるというふうな面もあるわけであります。 例えば、現在この国会に上程されていると承っておりますところの著作権法の改正に関する百二十一条の二につきましても、別に条約上の義務ではないけれども、なお外国のレコード、それに関連して日本のレコード製作者も保護していこうというようなことも、間接的にではありますけれども、外国のレコード製作者を保護していこう、こういうようなやり方もとっているわけであります。 さらには、隣接権条約というものにつきましては、隣接権条約に加盟しましたのは一昨年でございますけれども、しかし、それ以前に、昭和四十六年におきまして、もう国内におきましては、それと同等の中身の隣接権に関する保護の規定を現行の著作権法の中において既に盛り込んでいるわけであります。隣接権条約に加盟していないという国も、現在これは珍しくございません。例えばアメリカ合衆国は加盟しておりません。しかし、日本はおくればせながらも加盟しておりますし、しかも、なお国内においては隣接権条約にマッチするような法制度を既にとっているわけであります。さらには、その隣接権条約におきますと、それらの隣接権者についての保護期間は二十年というのが保護の最低条件でございますけれども、これを三十年に延ばす、あるいは今回は五十年に延ばすというように、その一歩先に進んでいくというようなやり方も考えているわけであって、法制度の面につきましては、少しも遜色はないということをはっきり申し上げてよろしいのではなかろうかと思います。 ただ、外国から注文があり、あるいは日本国内においてもいろいろと審議されるような問題につきましても、まだ未解決の問題がもちろんあるわけであります。それらは何から生じてくるかと申しますと、情報伝達手段、それらの開発普及というところから出てくるわけであります。つまり、科学技術の発展から来ている、こういうふうにお考えになってよろしいかと思います。その科学技術の発展に伴いまして、著作権法というものが改正されてきていると考えても間違いではなかろうと思います。 それは過去の旧著作権法におきましても、大正九年には演奏、歌唱、これが著作物の中に加えられております。これは、筋としては余りよいというふうに私は思いません。さらには、昭和九年にはレコード製作者、レコードについての保護ということも考えられてきております。その間におきましては、映画についての保護も考えられてきております。そもそもの初めにおきましては、それらは著作物としての対象とはなっていなかった。しかし、レコードにつきましてもだんだんとそれらが開発されてくる。レコードはエジソンによるところの開発である。まあ、初めのエジソンの場合においては円筒でありましたので、余り役には立ちませんでしたけれども、ベルリーナでしたか、それらによるディスクの開発に伴ってレコードが世界的に普及する。それが著作権法による著作物としての保護ということにつながってくるわけであります。あるいは放送ということにつきましても、著作者の放送許諾権ということにつきましても、日本ならば放送が一九二五年に開設されましてから放送についての権利ということも考えられてくるわけであります。あるいは戦後になりますと、最近の例を取り上げますと、コンピュータープログラムもまた著作物というふうに明定されているわけであります。コンピューター著作物は、一見いたしますと通常の、昔のような小説や脚本とは性格を全く異にするというような印象を与えてまいります。これが著作物ではないと即断する方もいらっしゃったはずであります。皆様方のことを申し上げているわけではございませんが、そういうような見解もあったわけであります。 それはどこから来ているかと申しますと、ベルヌ条約、日本の公定訳は文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約と申すわけであります。明治三十二年にベルヌ条約を翻訳するに当たりまして、まさしくそれが適切であったというふうに考えるわけですが、その文学というもともとの言葉は何かと申しますと、これはリテラリーワークというふうに言われているものであります。そのリテラリーワークをその当時は文学的著作物というように翻訳した、まさに適切であったろうと思います。 しかし、それを文学というような日本語の範疇にとどめておいて理解することがそもそも間違いであるということを私は申し上げたいと思います。つまりリテラリーというのは、その当時、日本の著作権法の制定者といいますか起草者であられました方々であろうと、あるいはベルヌ条約を管理しておりますWIPO、世界知的所有権機関の見解でありましても、文字と記号によって構成されるところの作品というものがすべてこのリテラリーの中に入るのであると考えているわけであります。したがいまして、プログラムのようなものも、これは記号の連続であります。記号、〇と一というものの連続でありまして、一定の思想の結果がそこにプログラムとなってくる。したがいまして、外国ではこのプログラムを著作物と見ることについてほとんど抵抗がないわけであります。そのリテラリーという言葉の意味から申しましても、著作物の中にコンピュータープログラムも入ってくるというふうなことになってまいります。さらに、最近の日本における改正におきましては、データベースもまた著作物として考えてきているわけでございまして、そういうようにリテラリーと申しますか、それについての枠というか、懐というか、それが非常に広いというふうなことであります。それらのものを包含しながら、その作品を保護していくというのが日本の著作権法であり、そしてまたベルヌ条約の主として考えているところであります。 それに対して、ベルヌ条約と対比される万国著作権条約というのがございますけれども、これらはもちろん著作者を保護することも考えております。しかし、私から言わせますと、必ずしもそちらの方に基本的に重点があるというわけのものではなくて、むしろ一国の産業政策の方にウエートがあるというふうに考えてもよろしいのではないか。これは立法史と申しますか、歴史から考えてみても、そのように裏づけることができるのではないかと考えております。 条約と申しますといろいろな条約があるわけですが、それの中身は最低の保護を考えているのでありまして、少なくともこれだけのものを保護しなければならないと考えているのが条約の最低基準であります。それ以上のものを考えることは少しも差し支えないということになってくるわけであり、そしてまた各国がいろいろとその条約に加入することを勧奨するためにも、各国で受け入れやすいようなことを考えておる、受け入れやすいためには留保条項を考えていくというふうなこともやっているわけであります。 こういうようなところから、一口に条約と申しましても、あるいは著作権法の条約に加盟していると申しましても、日本とアメリカの著作権法が、同じくベルヌ条約国に最近は入っておりますが、必ずしも同一だというふうな、同一のように全く同じ発想から考えると、時に思わぬ誤解を招いてしまうということも起こってくるだろうと思われるわけであります。コンピューターのプログラムに関しましても、プログラムで作成する著作物についても、どのように考えるかということは、ドイツであるとかアメリカ合衆国あるいはイギリスというところでは発想の違いがありまして、その解決についていろいろとこれから一致するというふうな努力を傾けていかなければならないと思いますけれども、そのような難問が一つあるということが言えるわけであります。 ただ、そういうような各国におけるところのいろいろな考え方の食い違いをさらに統一するために、現在WIPO、世界知的所有権機関におきまして、いわゆるモデル規定を作成するように努力しているわけであります。もう既に昨年四月に第三回目の専門家会議、政府間会議でしたか、それが持たれております。一昨年も二回にわたって持たれております。そこではいろいろな多方面にわたって統一的に、世界の国において同一に受けることができるような規定は考えられないだろうか。つまり、これはベルヌ条約、それからUCC、万国著作権条約というものとを統合するような意味において考えられないだろうかというふうに取り上げているわけであります。現在ベルヌ条約も八十四カ国、それからUCCも八十四カ国であります。しかし、それらの国がすべて一致しているというわけではございません。両方に加盟している国が六十数カ国、六十カ国でしょうか、それくらいの国がございます。そのどちらか一方にだけ入っているということになりますと、百何カ国になるわけであります。こういうような国々が世界的に同じような基盤に立って考えていくことが必要ではないのだろうか。これが文化に関するところの基本となっている著作権法ということを考えていきますと、その統一性といいますか相互の理解をまともにしていくためには必要じゃないかというのがこのWIPOの考えであり、そこに精力的にその審議を進めているというのが現状であります。こういうような現状に追いつくと申しますか、それにおくれないように日本の方でも考えていかなければなるまいというふうに思っているわけであります。 そしてまた、そのような視点から考えまして、現在私が属しておりますところの著作権審議会におきましてもいろいろな問題点を取り上げているわけであります。例えば世界的な難問とされておりますところのコンピューター創作物、コンピューター・ゼネレーテッド・ワークス、こう言っておりますが、コンピューター創作物については一体どのような性格のものなのか、その著作者はどうなのかということも考えております。あるいは出版者の権利についてはどのように考えたらよいのかということも審議の対象として一応の結論だけは得ているわけであります。あるいはそのほかにもいわゆる録音・録画に関する著作物の私的な複製に関する問題についても精力的にその審議を進めていく、そういうようなことも取り扱っているわけであります。現在、科学技術の発展というものはとめることはできない。とめることはできませんけれども、それに伴って生ずるところのマイナスをどのように考えていくか、そのマイナスをプラスに転ずるにはどのように考えたらよいのかというところにポイントを置きながら審議を進めております。 いずれにしましても、何よりも一番大事なことは何かと申しますと、著作権思想が国民においてどれだけ浸透していくのか、深まっていくのかということが基本になるのではなかろうかと思います。著作権思想のないところに、普及あるいはそれぞれの認識のないところにどのような立派な衣装を着せたといたしましても、それは単なる外からの見かけだけにすぎないということになるわけであります。著作権思想の普及こそが日本におけるところの将来の文化においての、文化すべてが著作権思想だけだとは決して申すわけではございませんけれども、大きな一翼を担うということになるのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。 私の時計でございますと、御指摘になりましたちょうど二十五分くらいでございます。これで、後また御質疑にお答え申し上げることができれば幸いかと思います。一応さしあたりこの辺にさせていただきます。失礼いたしました。(拍手)
○臼井委員長 ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお願いいたします。
○佐藤参考人 御紹介いただきました日本レコード協会副会長の佐藤でございます。 本日は、私どもに意見表明の機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。今回の著作権法の一部改正はすべて私どもレコード製作者にとり関係深い問題であります。当委員会での速やかな御審議をいただき、今国会の成立をお願いする次第でございます。 最初にレコード産業の構造とレコード製作の実態について御説明させていただきます。 業界規模は貸しレコード業が出現いたしました一九八〇年に二千九百二十八億円強の生産額のピークを記録した後、一九八四年まで下降線をたどり、同年には一九八〇年との対比で九三・六%の二千七百四十一億円まで減少いたしました。その後、百年に一度の技術革新と言われておりますCDの出現によりまして、金額では六年かかり一九八六年に、枚数では十一年かかって一九九〇年に、一九八〇年の実績を超えることができました。 オーディオ商品をパッケージ別に見ますと、パッケージと申しますのは、レコードでありますとかCDでありますとかテープでありますとか、そういう形態でございますが、パッケージ別に見ますと、一九九〇年の総生産金額のうち、レコードは〇・五%、ここで申しますレコードというのは、ビニールレコードのことでございます、レコードは〇・五%、ミュージックテープは一六%、CDは八三・五%であり、現在当協会会員社では、ただいま申し上げました〇・五%のレコードは製造しておりません。下請でごくわずかな製造が行われているにすぎません。 CD化は、ディジタル時代の幕明けであり、音声のみのCDだけではなく、技術の進展とともに、CD―G、CDグラフィックでございます、CD―V、レーザーディスク等のAVソフトの開発が盛んになりました。最近ではVSD、ビデオ・シングル・ディスク、CD―Ⅰ、CDインタラクティブですが、CD―ROM等のAV複合型ソフトの市場への導入も検討されております。 外資の参入状況について述べますと、世界第二位の規模を有する日本のレコード市場に対する、外国のレコード産業の参入への欲求は強く、外国のレコード会社と日本のレコード会社の資本提携が盛んになり、当協会加盟社二十七社の中で一〇〇%の外資の会社を含め十社が資本提携もしくは外資系の会社となっています。 この傾向は小売段階でも進み、一九八〇年代前半にアメリカのタワー・レコードが日本の市場に登場したのを初め、昨年には、イギリスのヴァージン・メガストア、HMVが参入し、いずれも今までの日本のレコード店にはない大規模な店舗面積、在庫種類を誇り、日本市場への定着を図っています。 関連業界に与える影響について申し上げます。 レコード産業を取り巻く業界は多岐にわたり、放送、有線放送、貸しレコード、カラオケ、BGM等、直接レコードを使う産業から、レコードソフトを再生するためのハードの産業に至るまで、市場規模にして、三兆五千億円から四兆円の規模を有しています。 この中で、レコード産業を見ますと、四千億円程度の規模にすぎませんが、当業界は音楽関連産業の中心に位置しています。レコード製作者のレコードのヒットによって、先ほど申し上げた放送、貸しレコード等関連産業が、産業として成り立っているのであります。人々に潤いを与え、関連産業に大きく貢献していると言えると思います。 アーティストの発掘、育成、ヒット化について申し上げます。 前述のように、関連産業を支えていくために、レコード会社は、有力な新人を発掘し、育成し、いかにヒット曲を生み出していくかを追求し続けています。 さらに、詳しく御説明しますと、ヒットするまで、そのアーティストの衣食住の面倒を見、トレーニングに努め収入を期待できないライブハウスで、伴奏の演奏家を手配し、演奏活動の場を与え、ヒットを生みだす努力を傾注しています。プロダクションとの契約では、育成費に五千万円を投資することも珍しくありません。ただし、これらがすべてヒットするというものでもありません。 レコード会社は、このようにしてヒット曲を多数所有することで利益を生み出し、再生産活動の糧とし、また同時に、利益としては期待できませんが、純邦楽、伝統芸能等の価値のあるレコードの製作に充て、音楽文化の維持、遂行に努めています。 次に、レコード文化と著作権制度について申し上げます。 レコード製作者にとり複製権は根幹の権利であります。レコード文化の創造を続けていくためには著作権制度は不可欠のものであり、制度は常に新しい事態に対応し改正されねばなりません。レコード製作者の複製権は旧著作権法時代から絶対的な権利として現行法に引き継がれているのであります。レコード製作に関する人々、作詞作曲の著作者、演奏者、歌唱者、そしてレコード製作者等の努力の結晶であるレコードの無断利用を放置することは、これらの人々の創造活動のサイクルを乱すものであり、侵害を排除することが求められるのであります。 レコード事業は御承知のとおり大量製造したレコードを大量に販売することにより成り立っています。海賊版や私的録音の増大は、レコードの販売を阻害し、レコード製作者の権益に重大な影響を及ぼすものであり、放置できません。レコード製作者は、著作者に著作権使用料を、演奏家に演奏料を一枚一枚のレコードの売り上げから支払っています。製造されたレコードが放送に、カラオケに、レンタルに利用されますと、さらにそれらの利用について使用料が支払われます。創作に関する人々の創作活動の根源にレコードが存在すると自負しております。創作に関する人々の創作活動の基幹となるレコード製作者の権利は複製権であります。 複製権が保護され、保護が延長されますことは、レコード製作者のみならず創作に関係する人々すべてにとって重大なことであります。 次に、最近衛星放送、通信事業の進展、ディジタル技術の進歩によりレコードを利用する新しい媒体が出現してまいりました。現在、私どもレコード製作者のレコードの利用に対する権利、いわゆる二次使用料を受ける権利は放送と有線放送に限られています。レコードは多方面で営利目的に利用されています。これらの利用に対しレコード製作者の権利は広く及ぶべきと考えるのであります。このレコード製作者の二次使用料を受ける権利は報酬請求権であり、許諾権ではありません。このため権利軽視の風潮を生じやすく、今後の改正が望まれるのであります。日進月歩の科学技術の発達、普及に対応し、適切な著作権制度を確立していただきたいのであります。 次に、今回の法改正についてレコード協会の意見を申し上げます。いずれもレコードの保護の強化につながるものであります。 まず、今回洋盤に貸与権が与えられることとなります。レコード製作者は昭和五十八年の暫定法及び昭和五十九年の改正法により貸与権が与えられました。しかし、この貸与権は邦盤に限られていました。貸しレコード業が出現して十年、貸与権が与えられて六年になりますが、これまで洋盤には貸与権が与えられなかったことから、外国レコード製作者はその不公平に対し強い不満を有していました。外国レコード製作者の貸与権保護は長年の宿願でありました。 今回、外国レコード製作者にも貸与権が与えられることになり、洋盤の依存度の高い我が国レコード産業にとり極めて有益な改正となります。なお、貸与権の行使に当りましては、これまでも日本レコードレンタル商業組合との間に円滑な秩序形成に心がけてまいりました。一方貸しレコード業者もレコード製作者にとって貸与権の必要は認めているものであります。 何とぞ、外国レコード製作者に貸与権を与えられ、不平等な現状の改善を図っていただきたいとお願いする次第であります。 次に、著作隣接権の保護期間の延長があります。 現在レコードの保護期間は三十年であります。近年における先進諸国の大勢としても、我が国の国際的地位の向上の点から見ても、たとえ条約上の義務が二十年であっても、五十年への延長をしていただきたいと考えるのであります。保護期間が五十年以上の国は、フランス、イギリス、オーストリア、スウェーデン、ドイツ、ドイツにつきましては演奏家のみでございます、アメリカ、アメリカにつきましてはレコードのみでございます、等が挙げられます。 日本の著作権保護は開発途上国の東南アジア諸国にとっても立法時のモデル的役目を果たすものであり、率先して範を示す必要があります。 録音・録画技術、機器機械の発展普及によって音質の劣化のない複製が容易となっています。レコードの物理的寿命もCDの出現により半永久的になっており、収録されているヒット曲の寿命も長いものが多くあります。音楽創造者の権利が長く保護されることは、音楽文化保存の役目を担うレコード製作者の保護の強化でもあり、音楽文化の保護につながるものです。 次に、法第百二十一条二項の改正があります。 一九七八年、昭和五十三年、レコード保護条約加入前の外国レコードについて国内リプレス盤からの無断複製に対しては罰則によって保護されてきました。 しかしながら、外国リプレス盤、輸入盤のことでございますが、外国リプレス盤からの複製は法の盲点として罰則が適用されません。このため、外国レコード製作者からは不公平であり差別であり、実態として法を無視した結果となっており、先進国日本への不満が寄せられています。 外国リプレス盤からの複製にも罰則が適用される今回の改正をぜひお願いいたします。あわせて、法施行と同時にこれらの不法複製レコードが市場から排除されるよう所持罪の適用をお願いするものであります。 今回の法改正は、我が国が世界第二のレコード産業国にふさわしいものとして国際的に高く評価されるとともに、我が国の文化に対する取り組みについて国際的な信頼を高めると確信いたします。 今後とも、レコード製作者への御理解と御支援をお願いし、お礼の言葉といたします。どうもありがとうございました。(拍手)
○臼井委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。 ─────────────
○臼井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
○真鍋委員 初めに阿部参考人にお伺いさせていただきたいと思います。 著作権は文化の基本であるというところから、また日本は四大条約のすべてに入っておる。そしてまた、この隣接権条約につきましても、条約に加入した段階で既に国内的には法制が整備されておった、こういう御指摘がございました。そういう中でこのたびの改正案、これはいろいろな意味で条約上の義務を超えておるということでございました。文化日本ということのためには非常に有益な改正であろう、こんな御指摘であったと思うわけでございます。 ところで、先生からごらんになりまして、今回の改正が実現した場合に、国際的な水準から見て一体どのあたりに日本が位置するのか。とりわけ経済大国と、自称の面もありますけれども、世界各国が認めておるわけでございます。一方で文化面の予算は少ないという指摘もずっとされておるわけでございまして、私どもとしては、この改正に大いに期待するわけでございますが、一体どのあたりに位置することになるのか、少し教えていただきたいと思います。
○阿部参考人 お答えいたします。 今回の改正のみならず、今まででも世界の最高のレベルにあるとは思いますが、今回の改正が通過いたし施行されましたならば、世界の最高のレベルに位置するのではなかろうかというふうに私は考えております。
○真鍋委員 世界の最高ということになりました。私どもが一番気にするのは、とりわけアメリカでございます。アメリカとの関係では、例えば実演者等の条約に入っておらないとか、日本との関係では、そういうなかなか解釈が難しい面が出てくるのですけれども、アメリカからいって、この改正でまだまだ足りぬのだ、こういう話が出てくる余地はありませんか。
○阿部参考人 欲には限りがありませんので、何が出てくるかはよくわかりませんけれども、アメリカに対しましても大きな顔ができるだろうというふうに私は考えております。 アメリカで実演家が保護の対象にはなっていないということは、アメリカの実演家の組合が非常に強力であり、あえてこのような隣接権条約に加入することについては必ずしも必要ではないというところではなかろうかというふうに私は考えております。
○真鍋委員 さらにまた、科学技術の進歩に伴いまして、著作権に関しては次から次へいろいろ新しい問題が出てくる、不断にこれを解決していく努力を続けておかなければいかぬ、こんな趣旨の御指摘があったと思うわけでございます。そういう意味合いからいきましたら、現在残されておる調整すべき問題点はどういうものがあるのか、あるいはまた近い将来、つまり我々が今から勉強しておかなければいかぬこういった問題にどういうものがあるか、ひとつ御指摘いただきたいと思います。
○阿部参考人 私の個人的な関心事になるということにそしりがあるかもしれませんけれども、私が現在最も頭を痛めておりますのは、コンピューター創作物についての権利の帰属であります。 コンピューターの創作物と申しますと、コンピューターのプログラムを創作する。これはコンピューター自体が自動的につくることが可能かどうかというような問題になってまいりますと、一体だれが著作者なのかということについての判断であります。自然人であるのかあるいはそのプログラムといいますか、コンピューターを設置している法人であるのかということになりますと、そこに関与する者としての自然人が非常に多数ございます。そういうものを非常に大きな経済的な価値を持っておるコンピューター創作物、こう私たちは簡単に申しておりますけれども、それの権利者は一体だれなのかということにつきまして、まだまだ議論を深める必要があるのではなかろうかというふうに思っております。一応のたたき台のような考え方はないわけではございませんけれども、しかし、それにつきましても、疑問点というふうなものがまだまだありますし、世界的にも、例えばWIPOの会議におきましても、モデル規定の中でもいろいろ取り上げられているところであります。 世界的にも未解決の問題である、こう言ってもよろしいかと思いますが、イギリスあたりでは、立法的な解決を若干しておりますけれども、それで果たしてよろしいのか。先ほど申し上げましたように、アメリカやイギリスの英米法系の著作権法に対する基本的な取り組み方というものと、ドイツや日本のようないわばベルヌ条約の生え抜きの国との間においてはいささかのギャップがございます。したがいまして、イギリスのものが全くそのまま、外国でやっているから日本でもそれでよいというわけにもいきませんし、その辺のところから考えて頭を痛めている第一がこれであります。コンピューター創作物に関してもっと勉強してみたいというのが第一であり、日本の国においてもその勉強が要求されている問題ではなかろうかというふうに思っております。 第二番目は、考えていかなければなりませんのは、外国からもあるいは日本国内におきましてもいろいろと要望がありますし、問題点となりあるいはしばしば誤解されておりますところのいわゆる私的録音・録画における著作物の複製の問題でございます。それに対する報酬請求権制度をどのように考えていくかということにつきまして、これからもますます勉強していかなければなるまいと考えております。 そのほかにも、例えば出版者の権利についてはどのように考えるか。出版者の権利というものを我々としては三、四年の期間を費やしまして相当努力をして一応の結論は出してみました。しかし、出版者の権利ということを世界的に見ましても、これは現在はイギリスのようなところでも考えております。しかし、それが日本の我々が考えているものと必ずしも同じだというわけでもございませんし、これも出版者の権利が一つの著作隣接権の対象として考えられるのではないかというところから、早晩世界においても問題視されてくるだろうと考えております。 そのほかにも、例えば図書館においていろいろな資料を無料で貸し出しておりますけれども、図書館活動を盛んにすればするほど、それだけ著作者、いろいろな人たちの収入減につながってくるわけであります。そういうところから外国、イギリスとか西ドイツでは、いわゆるパブリック・レンディング・ライトと一口に申しておりますが、図書等の資料貸し出し報酬請求権というような制度が設けられております。そのようなことも恐らくは今後世界的な舞台の中において浮かび上がってくる問題ではなかろうかと考えております。 そのほかいろいろとございますけれども、さしあたりそういう程度に申し上げさせていただきます。
○真鍋委員 どうもありがとうございました。 私はこのように考えるわけでございます。芸術文化というのはとにかく金目にしにくい面がございます。したがって、だからこそ昔からパトロンが必要だということであったわけです。我が国が文化大国を目指していくにつきましては、日本の社会がみずから選んだ道というのは、資産格差のない平等社会、だからこそ高い累進税率の所得税あるいは厳しい相続税制、こういったことで平等社会というものを一つの理想にいたしております。そういう意味からいきますと、芸術文化に対する栄養と申しますか、パトロンというのは個別にはなかなか出てこない状況になっておるわけでございます。そういう中では、私は、やはり日本というのは、大衆が全体として芸術文化に対して理解を深めて、それの理解者となって、それぞれがそれに対する参加料をみずから支払うことによって、その総和がつまりパトロンになるのだ、大衆全体がパトロンになるのだという道をとるしか私どもが文化大国を目指す道はない、このように思うわけでございます。 そういった意味合いでは、この著作権体系というものが何といっても一番大事なことでございまして、私は、この著作権法こそ現代の日本にとっての現代のパトロンではないか、このように考えるわけでございます。ぜひひとつ先生方の御尽力で、この著作権法体制というものを文化国家日本のためにさらに整備を続けていただきたい、御研究賜りたい、このようにお願いを申しておきたいと思います。 続きまして、佐藤参考人にお伺いさせていただきたいと思います。 レコード業界が新しい挑戦を過去十年にわたっていろいろ受けてこられた、それを深い理解のもとに解決、乗り越えてきておられるということを伺いまして、感銘を受けたものでございます。同時にまた、レコード製作者にもその許諾権をという御要望についてもしっかり勉強しなければいかぬ、こんな個人的な印象を持ったものでございます。 そこで、過去十年間、レコード製作者にとって当面の一番難しい問題でありましたレンタルとのかかわりにおきまして、少しく私見なり御質問をさせていただけたら、こう思うわけでございます。 昭和五十五年から十年の間にレンタル業界というのはあっという間に六千店に達したということでございまして、伺ってみますと、平均すると一店舗当たり会員が五千人ぐらいいるというのです。それで六千店というと、計算してみると三千万人になるわけでございます。これは大変な数字でございまして、とりわけこのレンタルに来るのが中学校、高校あるいは小学生の高学年、こういうことでございます。調べてみましたら、高校生、中学生、両方合わせても一千百万人しかおらぬ。もちろん会員のダブりはありますけれども、三千万という数字は大変にすばらしい数字でございまして、一説には会員でない高校生を探そうと思ったら困るぐらいだ、こんな話があるわけでございます。 私は、このことはレコード製作者の困惑とは別に、新しい日本の文化を創造する基盤を実はつくり上げておるさなかではなかろうか、こんな気持ちがいたすわけです。CDシングル、これは百円ぐらいで借りれるんだそうですね。だから小学生でも小遣いで借りられる。私ども昔を思い起こすわけですが、子供のころ親しんだメロディーというのは一生ずっと続きまして、このごろになると新しいニューミュージックは私らはもううるさくてたまらぬ、息子や娘のはうるさくてたまらぬけれども、彼らはそれでなければいかぬ、こういうことでございまして、今レンタルの歌手の中で邦盤が六割、洋盤が四割ということだそうですね。この四割の洋盤というのは大変すばらしいことだと私は思うのですよ。彼らが黒人のアーティストのすばらしい芸術を聞き親しみみずからのものにするということでございまして、国際国家日本としてこれから成り立っていくために、その人的基盤が今実は厄介者であったでしょうレンタル業界の中からはぐくまれてきておるという面もあるわけでございます。 そういった面で、このたびの著作権法の改正、いろいろな意味で外国の実演家、レコード製作者に金が渡っていくのですね。数字はよくわかりませんけれども、恐らく二十億ぐらい、あるいは二十億ちょっと超えるかもわからぬ。アメリカは実演家が外れますから減るのですが、実際的にはアメリカも入っておるとしたら三十億近い話になるのじゃないか。去年私はびっくりしたのですけれども、あの大蔵省が五百億円という大きな金をほうり込みまして芸術文化振興基金というのをつくった、民間と合わせて六百億を超える、こういう話でございます。しかし、そこから生み出される果実というのが二十七億円とか。あるいはもっと多いか知りませんが、そんな金額。それに近いのが今回の改正で外国に対して、援助とは言いません、当然の権利でございますが、出ていく、これはすばらしいことでございます。そういった意味合いで私はそういう感じを持っております。とりわけ湾岸には一人一万円出してびっくりしない日本人が、文化には一人当たり二十七円しか出さない、これでいいのか、こんなことも感ずるわけでございまして、ひとつそのあたり、いろいろございますけれども、このたびの外国の実演家あるいはレコード出版者に対して隣接権を認めるということに関しまして、どのような概観を持っておられるか、もう一度簡単に伺いたいと思います。
○佐藤参考人 ただいま先生がおっしゃいました、若い人たちが貸しレコードによって音楽に親しむ機会が多くなったのではないかということについては、必ずしも否定するものではないというふうに思っております。ただし、この問題につきましては、二つの面から考える必要があろうかというふうに思います。 一つは、著作権及び著作隣接権に基づく哲学的な物の考え方という面が一つと、産業的な経済的な面ではないかというふうに思っております。哲学的な問題につきましては、ここでは割愛させていただきますが、我々産業的な面で一つ問題にしておりますのは、レンタルを利用する人たちのアンケートをとりますと、一番の理由といたしまして、レコードを買わなくてもよいからという人たちが出ております。これは一人の人が幾つものアンケートに答える形でございますので、多項目に回答するアンケートでございますから、問題がありますといいますか見方はいろいろありますが、ともかく一番の理由としてレコードを買わなくてもよいからというのが、一九八七年にはレンタルを利用する人のうち七七・九%の人が、一九八八年のアンケートでは七六・九%の人が、そして一九八九年には六八・〇%の人たちがレンタルを利用するまず第一の理由に、レコードを買わなくてもよいからというのを挙げております。そして、それを裏づける資料といたしましては、レンタルした人たちがどういう利用形態があるかというと、借りた人たちの九三%が録音をしております。なおかつ借りた人の六一・五%の人が丸ごと借りたものを録音するという使われ方をしております。 我々が現在使用料としていただいているお金につきましては、考え方としてはレンタルに使うということだけでありまして、複製権を含めた使用料というふうに我々としては理解しておりません。我々がこのレンタルの使用料を複製権を含めたというふうに理解したときに、幾らぐらいが正しい値段であろうかということを昭和六十年に計算したのでございますが、細かい数字は覚えておりませんが、当時レコード三千円の中に含まれている音楽だけの値段としては、平均すると八百六十円強の金額がその時点では試算されたというふうに記憶しております。そのような意味で、経済的な理由からいたしますと、一つのレコード、これは物ではございませんで、中に入っている音楽及びその他のものにお金がかかっているわけでございますが、それが先ほど申し上げましたように、買わなくて済むから、録音するために使っているということが一番の問題ではないかというふうに理解しております。
○真鍋委員 終わります。ありがとうございました。
○臼井委員長 次に、宇都宮真由美君。
○宇都宮委員 まず初めに、阿部さんにお伺いしたいと思います。 我が国の著作権法は、著作権とは別に著作隣接権という概念を設けまして、実演家とかレコード製作者等の権利を著作隣接権として保護しております。そして、保護の度合いとしては、著作権よりは著作隣接権の方がやや薄い、そういうふうに思うのですけれども、一方、アメリカの方は、著作隣接権という概念を持たないでレコード製作者の権利も著作権として保護していると聞いております。こういう関係で日米の関係におきまして何か不都合等生じることはないのでしょうか、その点、少しお尋ねしたいと思います。
○阿部参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、アメリカでは実演家につきましては著作隣接権者としては考えておりません。ただ、レコード製作者につきましては、レコードについての著作権というような対応をとっております。そのゆえんと申しますのは、アメリカの場合、あるいはイギリスの場合、レコードを著作物として考えておりまして、レコード製作者を著作権者として取り上げております。つまり、そこに先ほど申し上げましたように、英米法と、それからそもそも個人の権利から出発したベルヌ条約を眺めてみますと、その一番初めの前文のところに著作者の権利を擁護するということを中心に述べております。それに対して、イギリスあたりの著作権法の発達を見ますと、これは国王によって与えられた出版者の権利の保護、つまり産業、企業という、出版企業の保護というところから出発しております。間接的に著作者を保護するという体系をとっております。両者の接近というものはどんどん出てまいってきております。将来においては考え方も同じようになってくるのではなかろうか。その中間にありますのは日本じゃなかろうかというような気がいたしますけれども、そのような点から差異が出ております。したがいまして、日本とアメリカの場合におきましては、これは考え方の違いというところから、例えばアメリカが隣接権条約に加入しておるとするならば、そのレコードの保護やそのほか、あるいは実演家の保護につきましても、それほど相互においては支障がない意見の交換ができるだろうと思います。しかし、アメリカの場合においては、こう申すとまたおしかりを受けるかもしれませんが、都合の悪いことには触れないということがございますので、私としましては、向こうの方で入ってくれれば世界的にも調和がとれるのではなかろうかなというふうな感じは率直に持っております。しかし、現在のところそれが目に見えて出てきているかどうかということになりますと、例えばガットのTRIPの場におきましても、意見の違いというふうなものが出てきているのではなかろうか、こんなふうに考えております。
○宇都宮委員 それに続きまして、具体的な日米の取引といいますか、その場面ではそういう不都合というのは生じないのでしょうか。例えば一方の方が保護がされるのに一方がされないとか、そういう形での取引の現場での不都合というのは生じないのでしょうか。 それから、そもそもこういう二本立てで英米法系と大陸法系と存在しているということは、将来的に見まして、このままでいいのか。あるいはどっちかといえば、どっちかの一本にまとめるというか、そういう方向でいく方がいいのか。その点、どのようにお考えになりますか。
○阿部参考人 二つの点、具体的な例を取り上げてお答えしたいと思います。 例えば一つは、アメリカの著作権法におきましては、いわゆる著作者人格権というものの規定はございません。しかし、ベルヌ条約におきましては、著作者人格権、この規定というふうなものはございます。日本の著作権法にも著作者人格権の規定がございます。したがいまして、それならばアメリカで著作者人格権については保護しないのかと申しますと、イギリスの場合も、ごく最近の著作権法の改正によって著作者人格権の規定を中に挿入しているわけであります。アメリカやイギリスの場合には、著作者人格権の規定がなくとも、いわゆるコモンローによって著作者の人格権というものを保護しているわけでございまして、実質的に支障はない、こういうふうな考え方をとっております。そういう点から、この両方の法制度に違いがありましても、そういう別な方面からの保護というふうな形で、別なやり方、手段と申しますか、それによる保護によりまして、お互いに保護し合っているということになります。 あるいは、先ほど佐藤参考人の方からお話がありました洋盤についての、外国でリプレスしたものを輸入して、日本でさらにそれをリプレスするような場合においての保護、これにつきましても、アメリカの場合においては、これは著作権法による保護とかいうことではございませんで、いわゆるフリーライドと申しますか、ただ乗りの理論というのがございます。それがコモンロー上におきまして相当定着しているわけであります。そういう点で保護されてまいります。しかし、それは民事上におけるところの保護ということでございまして、刑事上の保護ではございません。 ただ、日本では、そのフリーライド、不当利得なり不法行為というように構成することが論理的にはできないとは私は思いませんけれども、実務上それが受け入れられるということになるかどうかということになりますと非常に疑問がございます。そういう点から、百二十一条の第二号というのは、著作権法自体の体系の中からいいますといささか異質なものであります。あれは不正競争防止に関するところの法律だ、こう考えても差し支えがない。ただ、それを罰則によって保護していこう、こういうやり方をとっております。したがいまして、そのやり方においてはいろいろと違いはありますけれども、意図するところ、そして目的とするところは、結局は一致するところがしばしば見られてきているということになるわけであります。 そういうわけで、私が先ほど申し上げましたように、将来におきましては、二つの大きな流れもあるいは合流するのではなかろうかというふうに考えている理由であります。
○宇都宮委員 もう一つだけ。この著作隣接権というものの概念なんですけれども、これは、要するに著作権というすごく創作性といいますか、それがある文化を大衆に伝達する、それによって文化が広がっていくというか発展していくという、そこのところに保護する理由というのがあるのではないかと思うのですが、やはり著作隣接権というものにも創作性ということは概念的に要求をされているのでしょうか。
○阿部参考人 著作隣接権につきまして創作性が要求されているかどうかという点でございますけれども、著作隣接権条約に加盟するという国は、ベルヌ条約か万国著作権条約かどちらかに加盟していることを必要としているということが取り上げられている。そこからもわかりますように、そこには著作物についての利用、それからまた創作性というふうなことを考えているわけであります。 そこの一つの例といたしますと、著作隣接権者というレコードの隣接権者、レコード製作者が隣接権者でございますけれども、リプレッサーは隣接権者にはならないわけであります。初めに固定した者、固定するに当たりましてはいろいろな創作工夫が必要であるというところから、初めのいわゆるオリジナルな原盤を作製する者だけが創作者、レコード製作者と考えているわけであります。そういうわけで、全然知的な創作性というものがないか、そういうことを考えていないかといいますと、それを基礎にして考えている、こう言って差し支えがないかと思います。 ただ、著作隣接権の方は、隣接権条約は一九六一年にローマで作成されておりますけれども、そのときに中心になりましたのは、これはベルヌ条約国とユネスコ、それからもう一つはILOが入っているわけであります。ILO、つまり世界労働機関であります。世界労働機関が恐らく隣接権についての口火を切った一番初めではなかろうかと思います。これも情報伝達手段の開発普及に伴って、いわゆる演奏芸術家の方の機械的失業が起こるのではないのだろうかということを、一九二八年のベルヌ条約のローマ改正会議のときに既に問題提起をしているわけであります。ILOはもう少し前から提起をしておりますけれども、そういうように、本来の著作権に関するものとは若干異なった面から、そういう失業救済という面から入っておりますので、あるいは知的創作物というふうなことについて若干の疑念を持つ方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そうではなくて、やはりベルヌ条約や万国著作権条約のどちらかに入っていなければ、これはだめだというような点にも、創作性そのほかの知的生産性、これが盛り込まれていると御理解いただいてよろしいのではないかと思います。
○宇都宮委員 もう一つ、先ほどからこれから出版者の権利ということが問題になるというふうにお聞きしたのですけれども、この出版者の権利を著作隣接権として認めていく場合に、大衆伝達というのは問題ないと思うのですが、創作性というところで問題になることはないのでしょうか。
○阿部参考人 出版者の場合もそれからレコード製作者の場合も、これは余り変わりがないのではなかろうか、同じように私は考えております。
○宇都宮委員 そうしましたら、次に佐藤さんにお伺いしたいと思います。 今回のこの改正によりまして、洋盤についても貸与権が認められたということ、そしてもう一つは、輸入盤についても複製が罰則で禁止されたということ、この点によって日本のレコードの製作業界とか日本のレコード市場あるいは利用者についてどのような影響というか変化というものが起こるとお考えになりますか、その点少しお願いします。
○佐藤参考人 輸入盤の問題から先にお話をさせていただきたいと思いますが、利用者というふうに言われますと、我々もどのようにお答えすることが適切かちょっとわかりかねるのですけれども、私どもの統計によりますと、一九九〇年、昨年、一九六八年以降一九七八年までの輸入盤からリプレスされたレコード及びテープが日本の国内では一千五十万枚売られているというふうに理解しております。それは正規の洋盤の一九%に当たる量でございます。この商品につきましては、レコード製作及びアーティストに対して何ら支払いがされておりませんので、そういう意味ではお客さんにとっては安く手に入ったということでありますから、日本のお客さんにとってどういう影響があるかという意味でいえば、安く手に入ったものが入らなくなったということしか申し上げられないのではないかというふうに思います。これはあくまでもお客さんというか利用者の立場に立った限定したものでございます。 それから、洋盤の貸与権が与えられたことによってどういう影響があるかということにつきましても、今までは洋盤についてレンタルレコード屋さんは利用料といいますかお客さんに対しては邦盤と同じ一定のお金を取りながら、権利者には何ら与えていない、著作権者のみお金を与えていたということでありますから、そういう意味では利益としては上がっているということになろうかと思います。邦盤、洋盤も同じ金額で貸し出しながら、権利者というのは洋盤につきましては著作権者のみでございましたから、実演家及びレコード製作者には支払われておりませんので、そういう意味では利用者にとっては直接の影響はないだろうというふうに思います。間接的に影響が出てくるとすると、レンタルレコード店の経営に何がしかの影響が出るかなというふうに思います。 以上でございます。
○宇都宮委員 そうしたら、今まで邦盤と洋盤で利用者にレンタル料に差を設けていなかったということで、この洋盤、外国のレコード製作者についても著作隣接権を認めて、それに対して利用料を払わなくてはいけなくなったということによって貸出料が値上がりするということはないわけですね。
○佐藤参考人 これはレンタルレコード店の競争の問題もかかわってまいりますので、使用料の中で関係団体に支払われる料金によって必ずしもレンタル店がお客さんからもらう金額が決まっておりません。別の見方をしますと、例えばビデオのように一万円以上するような商品も一晩二百円とか二百五十円とかいうような利用の形態もございますので、必ずしもそういう形で決まっておりませんので、今の段階で値上がりになるか値上がりにならないかについては、私の段階では申し上げられません。 以上です。
○宇都宮委員 どうもありがとうございました。
○臼井委員長 次に、平田米男君。
○平田(米)委員 両参考人に貴重な御意見をちょうだいいたしましたことをまずお礼を申し上げたいと思います。 まず、阿部参考人にお伺いをさせていただきたいのですが、八五年にはコンピュータープログラムの保護の明確化をいたしました。また八六年にはデータベースの保護ということで、日本の著作権法はこれで大きく変わったのではないか、こういう御意見をおっしゃる方がおいでになるわけでございます。芸術性、技術性、機能性、こういう三本のいろいろな、著作権という形ではあるけれども、内容の相違するといいますか観点からもう一度著作権というのを考えていかなければならないということをおっしゃる学者の先生方もおいでになります。またもう一つ、こういう二つの新しい著作を認めるということによって影響が出てきたというふうに言えるかもしれませんが、今まで著作権というのはどちらかというと物権的な性格を持ってきた、それがだんだん報酬請求権といいますか債権的なものにその権利の性質が移りつつあるのではないか、こういうようなことをおっしゃるわけでございます。 具体的な問題としては、先ほど先生がおっしゃいました幾つかの個別の問題が現実的にはあるわけでございますけれども、これからの著作権法の発展、展開というものを予測するのはなかなか難しいかもしれませんけれども、先生のお立場から見られまして、今後、日本の著作権法といいますか世界の著作権の考え方といいますか、そういうものを視野に入れながらどのような方向性をたどっていくのか、またたどっていくのがよろしいのか、少し詳しくお伺いできればと思うわけでございます。
○阿部参考人 ただいま御質問がありました著作権法が質的に変化してきたのではなかろうか、このような御指摘でございますが、私は必ずしもそういうふうには考えておりません。 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、著作権法のベルヌ条約がございますが、そのベルヌ条約に、先ほど申し上げましたように、リテラリーワークというような、日本では文学的著作物というように明治三十二年に翻訳しておりますので、そのような印象を、いわば小説とかあるいは脚本のようなものだけをちょっと念頭に置くということになってまいりますが、しかしそれは、その当時においてはまさしくそのとおりであった、先ほど申し上げたとおりであります。しかし、そのリテラリーという言葉は、言語とか記によって構成される作品である、著作物であるというのがヨーロッパあるいはベルヌ条約におけるところの解釈の通説であります。そういう点から非常に懐が広いということは、ヨーロッパあるいはアメリカの学者もそれ自体は認めているところであります。 したがいまして、新しい利用形態がふえてきているのであって、それを大きなふろしきの中にただ包み込まれているということであり、現在のプログラムのようなものにつきましても、そういう表現はしておりませんけれども、明治三十二年に水野錬太郎先生がもう既にそのような表現を、すべてのものを一切を含むのである、こういうことをそのような起草者が、それ自体が申されているわけであります。したがいまして、機能的な変化というのではなくて、その著作物としてあらわれてきている分野が非常に広がってきているというような理解で、そちらの方が正しいのではなかろうか。 ただ、それぞれの、例えば建築の著作物であるとか、あるいはそのほか絵画の著作物であるとかということになりますと、著作物の性質と申しますか、それは機能的な面においてもいろいろと違います。したがいまして、例えば小説のようなものならば勝手に改変するというわけにまいりません。しかし、建築の著作物であるならば、必要な限りにおいて改変することが許されるというようなことにもなってまいります。プログラムの場合におきましても、いわゆるバージョンアップと申しますか、質の向上と申しますか、それにつきましては、著作者の承諾がなくたって差し支えがない、こういうふうに考えられておりますので、それぞれの著作物の特性に応じて取り扱いがなされてくる、こういうふうに考えてよろしいかと思います。 先ほど申されました質的なあるいは機能的な変化というように、それをただ一つの著作物だけを考えるというのではなくて、大きなふろしきの中にあるリテラリーワークの中において考えますと、必ずしも変化をしているというふうなものではない。ベルヌ条約の範囲内において常に処理されているのであり、これが世界の通性と申しますか通説、あるいはWIPOであれ、ユネスコであれ、そのような考え方をとっているところであります。それに対して、いろいろな見解を述べることはもちろん自由であります。しかしそれは、そういう見解をとりますと、あるいは世界的な傾向から見まして、日本の方が後ずさりをするというような可能性がないわけではないということになってまいります。 率直に申し上げますと、コンピューターのプログラムにつきましての、これをどのようにして保護するかということについて議論がいろいろありましたけれども、その当時の日本における議論というものは、世界において、WIPOやそのほかの諸国におきましては必ずしも通用するものではございません。やはり二つの、こういうふうな機能的なものであるから別個のものである、特別法によって保護すべきであるという見解もございましたけれども、それはWIPOの場におきましたならば、ただ一蹴されたというふうなことになってくるわけであります。つまりリテラリーワークについての正確な理解は必要であるということになってくる。日本語だけで頼っていったのでは困るというふうに、私は率直に申し上げたいと思うわけであります。 それからもう一つ、債権的なものになってきたのではなかろうか。物権的なものというふうなことよりも、報酬請求権のような債権的なものになってきたのではないか、こういう御指摘であります。現象的に見ますと、債権的なものになってきたというように映るのは否定できないと思います。ただ、その基礎にあるのは、いわゆる許諾権というような基本的な権利を踏まえた上においての報酬請求権のような債権的なものの行使という分野がふえてきている。しかし、それは現実にはどういうわけかと申しますと、複製の手段、録音・録画、そのほかを含めまして複製手段についての技術の開発というところから来ているわけであります。現実的にはそのような面がふえてきていることは確かですけれども、しかし、基本になっておるのは、著作権としての排他的な複製権というものであります。したがいまして、その構成上におきまして物権的なものであるという点においては変わりはない。ただ、それをより具体的に、現実的に価値あらしめるための手段として報酬請求権的なものとして取り上げられてきている、このような御理解をいただければよろしいのではなかろうかと思います。 それから、将来におけるところの大きな問題としてどんなことを考えていかなければならないか。これはちょっと予測はできませんけれども、近い将来において世界的な問題となってまいりますのは、先ほど申し上げたコンピュータープログラムにつきますコンピューター創作物ということはもちろんですが、先ほど触れなかったものとして取り上げますと、衛星送信のようなものは世界的な問題になってくるだろうと思います。これは単に著作権法の問題だけではないというふうに考えております。例えば衛星送信が韓国の方に漏れていく、スピルオーバーと申しておりますが、そういうことに相なりますと、著作権法上の問題だけではない、日本の著作物が外国の方に無断で入っていくじゃないかと言われたようなときに、技術的な制約、技術的に解決できればそれで結構ですけれども、もしも仮にそれができないときにはどのような措置をとったらよいのだろうかというような問題も将来は起こってくるのではなかろうか。これはすべて技術、それらについての情報伝達手段の開発普及、これに伴って何が起こってくるか、技術の発展というふうなものを阻止することができない以上は、それに常に注意をしていかなければなるまい、こんなふうに考えております。
○平田(米)委員 大変貴重な御意見ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお伺いをしたいわけでございます。 貸しレコード、レンタルができまして、レコード業界が大変影響を受けられたというふうにお伺いしておるわけでございますが、幸いにもその業績が回復をしてきたということは大変喜ばしいことだと思うわけでございます。私は消費者の立場に立ってこの問題を考えましたときに、日本の場合、レコード等を購入する価格が諸外国に比べて高いのではないか、それが庶民の知恵といいますか、あるいは事業をやられる方の才覚といいますか、そういう中からレコード等のレンタル業というものが生まれてきたというふうに考えられるような気もいたします。高い、安いというのは諸外国となかなか簡単に比較はできないのかもしれません。しかし、消費者の意識としては、現にそういうものがあるのではないかと思うわけであります。 日本も世界第二のレコード等の市場を持っておるわけでございますから、何が一般消費者にそのような思いをもたらすのか、またそれに対して供給される側としてどのようなお考えなのか、また何らかの改善の方策等お考えなのかどうか。やはり廉価でいろいろな情報を国民ひとしく享受できるような体制をつくっていただくのは非常に喜ばしいことではないかと思うわけでございますので、そういう観点を含めて御答弁いただきたいと思います。
○佐藤参考人 初めに、業績の回復についてちょっとお話ししたいと思うのです。今業績の回復というふうにおっしゃいましたが、先ほど申し上げましたように、この回復と申しますのは、CDの開発によりまして、これは我々は百年に一度のイノベーションではないかというふうに言っておりますが、前にアナログレコードで出ていたものを出し直したことによって、この回復が図られたというふうに理解しております。これが行き渡りました昨年度は、残念ながら前年比一〇一%という数字でございました。そういう意味では必ずしも回復したとは言えないと思っております。 それから、価格の問題につきましては、これを構成している要因がいろいろございます。例えば一番大きい問題はロットの問題でございます。今諸外国と比して高いとおっしゃいましたが、実はこの諸外国というのはアメリカと比べたときのみでございまして、ヨーロッパと比べますと、必ずしも日本の方が高いということは言い切れない。物によってはヨーロッパの方が高いというものも散見以上でございまして、もっと大きく言えば、ヨーロッパの方が高いと言っても必ずしも言い過ぎではないのではないかというふうに思っております。 それでは、アメリカではなぜ安くできるのだということになりますと、アメリカでヒットいたしますと、世界が市場でございますので、一枚ヒットしたものが一千万枚とか二千万枚というのが必ずしも珍しくございません。日本でやっとこの間ユーミンのレコードが日本の市場で初めて二百万枚を超したということで喜んでおりますが、残念ながらユーミンのレコードも世界で発売するというわけにまいりません。そういう意味でロットの問題がございます。 それから、私の見ますところ、いろいろな種類のレコードが発売されているのは日本が世界で一番ではないかというふうに思っております。各国の古い文化的な財産を、必ずしもロットが高くないのが最初からわかっていながら、一千枚、二千枚程度しか需要がないというのがわかりながら発売しているのは、日本が世界では第一の国ではないかというふうに思っております。そのようなもので構成されておりますし、先ほど申しましたように、レンタルレコードの場合は、製作者に対して何ら製作という意味での負担がございませんので、そういうものがあろうかと思います。 ただし、我々もいつの時代でも値段を安くしなければいけないということは理解しておりまして、大体昨年及びことしの前半で、洋盤につきましては、今まで三千円で発売していたメーカーも二千円から二千五百円あたりに一生懸命下げるような努力をしておりますし、邦盤につきましても、形を変えていろいろな形でできるだけ安くするような努力は続けてまいる所存でございます。 以上でございます。
○平田(米)委員 以上で終わります。
○臼井委員長 次に、山原健二郎君。
○山原委員 お二人の参考人、本当にありがとうございました。阿部参考人の方からは条約を含めて歴史的な解明をしていただきまして、大変興味あるお話をお伺いしたところでございます。 最初に三つお伺いしたいのですが、一つは、法制面においては遜色はない、おくれはないというお話でございましたが、国際的地位にふさわしい著作権ということになりますと、今何が求められているかということを簡潔にお答えいただければと思います。お話しになったかもしれませんが、これが第一点です。 第二点は、私的録画・録音についての報酬請求権の問題ですが、機械、機器・機材にかかわる報酬請求権の導入について、既にこの委員会では十一回にわたって附帯決議がつけられているわけですけれども、それが前進しない隘路はどこにあるかという問題でございます。 三点目は、実演家、俳優の場合ですが、一たん映画に出演をいたしますと、これらの実演家に対しましては法的適用がされない、著作権法九十一条、九十二条が関連をしてくるわけですが、この実演家の権利保護につきまして、審議会においてどのような検討をなされておられるか、また先生の御見解を伺いたいと思います。
○阿部参考人 初めに、著作権法が国際的な地位にふさわしいものとしてどのようなものが考えられるかというようなお話でございますけれども、これから、先ほど申し上げましたようないろいろな点、例えばサテライトの問題であるとか、あるいはパブリック・レンディング・ライト、図書館等におけるところの資料等の貸し出し報酬請求権とか、こういうものを鋭意検討を進めまして、それらを著作権法の中に盛り込むか盛り込まないのか。世界的なべルヌ条約におけるモデル規定というものを考えながら、あるいはさらにもう一つ、私ちょっと言い落としておりましたけれども、ECの動きというものも、これは慎重に検討しなければなるまいというふうに思っております。一九九二年の共同体の形成ということを目指しまして、ECのディレクティブあるいはプロポーザルというものがよく出ております。その中には、重要な著作物に関するところの発言、そういう表現がございます。そういうものを慎重に検討しながら、とるべきものはとって、日本の著作権法の中をより内容豊かなものにしていかなければなるまい、こういうふうに考えております。これが第一点でございます。 第二点は、この私的録音・録画に関するところの報酬請求権に関しまして過去何回か附帯決議が出ておるということは、私も承知いたしているところでございます。その隘路はどこにあるのかと申しますと、やはり何と申しましても世界的な立法の状態、趨勢というところにあるのではなかろうかというふうに考えております。それはどういうことかと申しますと、確かに現在報酬請求権制度をとっている国は十数カ国ございます。しかし、それはほとんどヨーロッパにおけるところの国でありますし、そして重要な、日本に対して非常に大きな影響を持っておりますのはアメリカとイギリスであります。ところがイギリスにおきましては、つい最近までは報酬請求権制度をとるというような考え方を公に示しておりましたけれども、つまり、そこにおけるホワイトペーパーと申しますか、白書の中においてはそのような提言が見られたわけですけれども、一九八八年のイギリスの改正著作権法におきましては、これが全く落とされているわけであります。落とされた理由といたしましては、いろいろと述べられておりますけれども、それなりの理由が述べられておりまして、これからどうなるかわかりませんけれども、イギリスでは現在否定的な態度をとっております。アメリカにおきましては、御承知と思いますけれども、国会の附属機関でありますところの技術評価局というのがございます。オフィス・オブ・テクノロジー・アセスメント、こう申しておりますが、コングレス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ、アメリカ国会に附属するところの技術評価局であります。そこから相当膨大な私的な録音・録画につきましての報告書が出ております。その報告書を眺めておりますと、個々の私的録音・録画は、それについて報酬請求権制度をとることについてユーザーにとって必ずしも好意的な表現にはなっていないわけであります。あるいは御承知かと思いますけれども、アメリカでは、ベータマックスについてのソニーのいろいろな複製問題に関する、録音・録画問題に関する最高裁判所の判決もございます。そういう点からアメリカもこのような録音・録画問題については必ずしも好意的ではないわけであります。 そういう点から考えていきますと、それは外国は外国であり日本は日本であるということで、私は必ずしも外国の趨勢にこだわる必要はないというふうに思います。つまり日本的な解決の方法があるのではなかろうかというふうなことを考えまして、模索をしているところであります。現在どこに隘路があるのかと申しますと、一口に申せば、諸外国におけるところの趨勢が、それを採択するについて有力に働いているとは必ずしもいえないというところにあるのではなかろうかというふうに考えております。 それから最後に、映画に関するところの実演者の権利ということにつきましては、これは現在の著作権審議会におきましては、具体的な一つの柱立てとしての検討の対象としてはまだ取り上げられてはおりません。ただ、こういう問題があるぞということは折に触れて取り上げられておりますので、将来において、あるいは近い将来かとは思いますけれども、私が申し上げることではないかもしれませんけれども、検討の対象になるというふうには考えられてよろしいのではなかろうかと思います。ただ、今のところは個別的なタイトルとしては取り上げられてはいないということでございます。
○山原委員 ありがとうございました。 佐藤参考人には、ヒット曲を出すための御苦労の一端をお聞かせいただきまして、いろいろ考えるところがあるわけですが、特に、科学技術の限りない発達につれまして、それに対する対応の問題が一つあると思います。もう一つは、第二次使用料について適切な法改正が欲しいというお話があったように思いますけれども、この点についてもうちょっと説明をしていただけないでしょうか。
○佐藤参考人 私どもが今一番恐れておりますのは、まずDAT、DCCといいますか、ディジタルテープの出現でございます。今お客さんが家庭に持っておりますCDというのは、先ほど申し上げましたようにディジタルでございますので、それはそっくりそのままレコード業界で言います原盤と同じ効用を持っております。そして、その録音技術で、録音機器でありますDAT、DCCというのがそのまま家庭に入りますと、原盤と同じものを幾らでもコピーされてしまうという問題がございます。この点について我々は非常に不安を持っております。 それから、また一方、先ほどの阿部先生のお話にもございましたが、衛星放送というのが出てまいりまして、それによりまして空からディジタルで音が各家庭に到達するという中で、極端に言いますと、レコード会社が一年かかってやっと発売できたような、レコード会社にとっては非常に利益を生むようなアーティストのレコードが発売前に空からディジタルで各家庭に届けられて、それがそのままディジタルでコピーされるという問題が今当面の問題として具体化しつつありますので、そのような問題について非常に我々は懸念を持っております。つきましては、これにかかわる報酬請求権であります二次使用料でありますとか、その辺の問題について御検討いただきたいということで申し上げました。 以上でございます。
○山原委員 もう時間がなくなりましたが、最後に、これは阿部参考人もおっしゃいましたが、いわゆる著作権思想の普及浸透が一番大きな問題だというふうにおっしゃったように思います。時間があればお二人からお伺いしたいのですが、例えば著作権の普及ということに関しまして国会に対してどういう御要請があるかという問題です。しばしばこの委員会でも著作権思想の普及ということが論じられてはおりますけれども、しかし、到達するということにはなかなか困難な面があると思いますが、この点について御見解があればお伺いをいたしたいのでございます。
○阿部参考人 国会に対してどのような要望があるか、こういう御質問でございます。 私、品が余りよくないので率直にお答えいたしますけれども、著作権思想の普及にはお金が必要でございます。私、あきれたわけではございませんが、文化庁におけるところの、いろいろな絵画そのほかについての買い上げの費用、文化予算がどれほど少ないか。外国に比べましても大変なものじゃないかというふうに私は考えております。その辺について御配慮いただければありがたいと私は思っております。何十分の一というようなことを外国の人たちに言われますと、いささかどころか非常に肩身が狭い思いをしているわけでございます。率直に申し上げますと、そういうことでございます。
○佐藤参考人 現在、このことにつきましては、録対協で権利者が共同してPRを行っております。 国会へのお願いと申しますと、日本の場合は、物の価値につきまして、形のあるもの、物理的な物についての価値というのを評価するところがありますが、形のないものについての評価はまだまだ低いところがあろうかと思います。我々現場でいろいろ話をするときに、例えば教科書にでも、小さいときからそういうものの価値をみんなで認めるような教育をしてほしいというようなことは話し合っておりますが、現在我々がやっておりますのは、録対協でいろいろな活動をしております。 以上でございます。
○山原委員 時間が参りましたので、終わります。
○臼井委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、また貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。 どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。 ─────────────
○臼井委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平田米男君。
○平田(米)委員 今回、三点にわたって改正が行われるわけでございますけれども、改正が行われることによって、国内外ですが、どのような影響が及ぶか、いい面、悪い面、さまざまあるかとは思いますが、立場によって受け取り方がまた違うかと思いますけれども、どのような見通しを持っておいでになるか、お伺いをしたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 今回、改正をお願いいたしております内容は、著作隣接権にかかわる内容でございます。一つは、外国レコードの貸与についての貸与権を新たに設定するということでございますし、それからもう一つは、著作隣接権の保護の期間を延長するということでございます。さらは、外国からの輸入盤からの複製ということに伴う外国レコードの保護が十分でなかった点について改正をしようという中身でございます。 以上、申しましたような中身でございますので、これはまず第一には、対外的に我が国の著作権制度の中に置かれております著作隣接権の制度を充実するということによりまして、積極的な姿勢を示すことによりまして、国際的にも高い評価を得るものと思います。これは単に抽象的に国際的な評価を得るということではございませんで、外国のレコード製作者等からこの点について強い要望もあったわけでございまして、その点にこたえられるということがございます。 それからまた、国内的にもこのような措置をとることによりまして、例えば著作隣接権の保護期間を延長するというようなことは、直接に国内の実演家やレコード製作者等の権利が拡充することでございますので、国内的にも関係者の要望にこたえられるというふうに考えております。
○平田(米)委員 一つは、アメリカからスーパー三〇一条に絡んでいろいろ要求があったということで、これをクリアするということだというふうに理解をしてよろしいかと思いますが、もう一つ、レンタル業界の立場での危惧かとは思うのですが、貸与権を外国に付与するということで、国内は今まで話し合いでやってきたけれども、これからはその権利をそのままどんどん行使をされるのではないか、こういうようなことによって、相当影響があるのではないかということを危惧しておられる方が一部おいでになるようなお話を伺ったわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○遠山(敦)政府委員 外国のレコード製作者に対して権利を付与する、貸与権を付与するということでいろいろな混乱が起きるのではないかという御心配もあろうかと思いますけれども、この点に関しましては、国内において貸与権をどのように現実に使用料の支払いという形で解決していくかということについて、既にしっかりしたルールができ上がっております。外国との関係におきましても、これは法律が成立いたしましてから、具体的な使用料の支払いの金額でありますとか、そういうことの話し合いに入るわけでありますけれども、既に二次使用料の支払い等の件につきましての体系もでき上がっておりますので、特にレコードの面に関しましては、日本のレコード協会が窓口になりまして、諸外国のレコード関係者とのルートを開くということが考えられるわけでございます。その意味では、この法律の今回の改正によりまして混乱が起きたりということはないというふうに考えております。
○平田(米)委員 では、そのように理解をさせていただきます。 今回の改正によって日本の著作権法の国際レベルは大変に上がった、先ほど阿部参考人もそのようにおっしゃっておいでになったわけでございますけれども、文部省あるいは文化庁として日本の著作権法の国際的な位置づけ、これについてはどのような御認識なのか、確認の意味でお伺いをしたいと思います。
○井上国務大臣 我が国の著作権制度につきましては、これまでも何回も改正をお願いし、また改善充実を図ってきたところでありますが、現在主要な条約をすべて締結し、国際的にも遜色のないもの、こういうものと我々は考えております。 しかしながら、今後とも情報伝達技術の発達あるいは普及や社会経済事情の変化等に対応して著作権制度の改善を図っていく、これは非常に重要なことと考えておりまして、ガットを初めとする国際会議等を通じて、国際的な秩序形成にも積極的に貢献し、できるものだ、こういうように考えております。
○平田(米)委員 レベルが高いということだとしても、まだまだ課題はたくさんあるという御認識もお持ちだというふうに伺いました。 目下の課題としては、今幾つかあるわけでございますけれども、その中の一つ、複写複製関係の検討を第四小委員会がされました。そこで集中的権利処理制度の創設を提案されまして、現在日本複写権センターの設立が準備をされておられる、こういうことをお伺いしておるわけでございますけれども、その概要、そして設立のめどにつきまして御説明をいただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 文献複写機器が発達いたしまして、これによって出版物が複写される、それによって出版物の権利行使について非常に困難が生じているというふうなことから、集中的な権利処理制度をどうしていくかということについて、長年著作権審議会を中心にいたしまして検討を続けてまいりました。昭和五十一年の九月に公表されました著作権審議会第四小委員会の報告書、それから昭和五十九年の四月に公表されました著作権の集中的処理に関する調査研究協力者会議報告書におきまして、先生が今おっしゃいましたような機関の設立の必要性についての提言がなされているわけでございます。このような機関を設立することは関係者の多年の願いでもあったわけでございますし、また制度的に見ましても、多年の懸案であったわけでございますけれども、ただ、その利用の実態の把握が非常に難しい、それから権利者の権利の集中という面に非常に困難があるというふうなことから、まだ集中的な権利処理センターができ上がっていないわけでございます。 しかしながら、昭和六十三年十月に著作者団体、出版者団体、それから学協会の関係者によりまして、日本複写権センター設立発起人会が発足いたしました。それ以来、権利の集中化でありますとかあるいは権利行使のやり方等の具体的な内容につきまして鋭意検討が進められてきているところでございます。さらに、そのことを具体化するために、昨年末に学協会と出版者の団体におきまして、それぞれの関係する権利の集中化をどのように進めるかということを検討されました結果、それぞれ、学協会に関しましては学協会著作権協議会というのをおつくりになられ、また出版者団体におきましては出版者著作権協議会を発足されたところでございます。これによって日本複写権センターを将来つくるということについての所要の準備を行っているところでございます。 ただ、着々と準備が進められているというふうに申し上げたいのでございますけれども、設立発起人会を構成しておりましたいろいろな団体があるわけでございます。それぞれの団体が権利者から権利の委託を受ける、それによって権利行使ができるわけでございますけれども、その辺がそれぞれの団体の事情によりまして、あるいは権利者の、権利者といいますか、例えば作家とか論文を書いた人々、そういう権利者の考え方の違いによりまして、その権利の集中の仕方になかなか難しい面がございます。したがいまして、それぞれの団体間の協調の確保にも簡単でない面があるわけでございます。そのようなことから、目下、先ほど申しました二つの協議会、さらには既存の著作者団体の関係者による協議と諸準備が鋭意進められているという段階でございます。
○平田(米)委員 大変困難な作業を乗り越えながら着々と準備をしておいでになるということは、今の御説明でわかったわけでございますが、これは第四小委員会の報告が出たのが昭和五十一年の九月でございまして、ほぼ十五年近くたつわけでございます。問題の困難さからいってこれだけの時間がかかるのかもしれませんけれども、やはり早期に設立をされることがいろいろな方にとって望まれるわけでございます。めどをはっきりおっしゃるのはまだ難しいのかもしれませんが、目標としていつごろというふうにお考えなのか、もしそういうお考えがあればお知らせをいただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 当初の目標は、ことしの四月に新しくセンターができ上がるという目標で進んでおられたわけでございますけれども、先ほど来申しましたようないろいろな問題をクリアするのに時間がかかっておりまして、まだいつというふうには申し上げられないわけでございますけれども、私どもといたしましては、これらの関係者の協調関係が早期にでき上がって、可能な限り広い分野の著作物についての権利処理を行うことができるというような形で複写権の集中的処理機構が早く設立されるように、今後とも一層指導を強めてまいりたいと思っております。したがいまして、いつならできるというふうに、今は申し上げることはできないわけでございますけれども、できるだけ早い機会にそのようなものができ上がって、日本のこれまでの大きな問題に一歩前進が図られるように努力をしたいというふうに考えております。
○平田(米)委員 大変な中だとは思いますが、ぜひ御努力をいただいて、早期に設立をしていただければと思うわけでございます。 それに関連をすることになるかとは思うのですが、昨年の六月に第八小委員会から出版者の保護関係の報告書が出されておりまして、出版者の固有の権利を著作権法上認めるという報告をしておられるわけでございますけれども、これに対する文化庁のお考えをお伺いしたいわけでございます。 報告書によりますと、隣接権として認めて、簡易に複製されることに対する権利である、こういうようなとらえ方をしておられるわけでございまして、出版者の出版行為というものに権利の目的を置いて、複写機器あるいは写真機器による複製に対するものを考えておいでになって、中身としては報酬請求権である。存続期間とかあるいは保護基準等についても一つの考えを出しておいでになるわけでございます。 まだ一年はたっておりませんが、相当期間経過をしておりますので、文化庁なりのお考えをもうお持ちではないかと思います。特に、日本複写権センターの設立の場面でいかに出版者の権利を認めるか。この権利の名前、まだ明確になっておいでにならないようですが、版面権という言い方をしておいでになる学者もおいでになりますが、そういう考え方をとるのか、あるいは著作権の一部譲渡を出版者にする、そういう立場で出版者が複写権センターの中に入ってくる、こういう考え方もあるようでございますが、その辺、多岐にわたりますが、少し具体的にお考えをお示しいただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 出版者の権利に関します出版者の保護問題につきまして、著作権審議会第八小委員会が先生御指摘のように昨年六月に報告を取りまとめたわけでございます。その中で、「出版物の複写利用者に対しまして報酬を請求できる権利を著作隣接権として出版者に認めることが適当である」ということが書かれているわけでございます。 これは、先ほどの参考人の陳述にもございましたけれども、諸外国では出版者に一定の権利を認めている例は極めて少ないわけでございます。イギリスでは、発行された版、パブリッシュド・エディションの組版面を複製するということについて著作権を出版者に付与しているわけでございますけれども、著作権審議会の先般の御報告のように、これを著作隣接権として位置づけて保護していることは他に例がないわけでございます。その意味では我が国独自の保護方策を編み出したというふうにも考えられるわけでございます。 私どもとしましては、この報告書の趣旨を尊重してまいりたいと考えているわけでございますが、これを制度として位置づけ、そしてきちんとした報酬請求権の支払いの体系をつくり出すためには、どうしてもユーザー側の協力が要るわけでございます。ところが現在のところ、この出版者に固有の権利を付与するということに対しましては、大手利用者と目されます企業の団体が反対を表明しているわけでございます。 その反対の理由といたしましては、複写の増大が出版者の経済的利益を害していると言うけれども、その実態がよくわからないではないか、もっと十分に調査すべきではないかというふうなことを言われております。この件につきましては、報告書の中で調査の結果を載せているわけでございますが、そのような主張を一つなさっておられます。 また二番目には、現在の法制下でも欧米のような著作権譲渡の契約によって出版者の利益を確保できる可能性があるではないか、新たな権利をつくらなくても、契約でやればいいではないかというのが二番目の主張でございます。 それから三番目には、まだ国際的にも十分な合意が形成されていない、したがって国内的にももっとコンセンサスを得る必要があるのではないかというような主張がございまして、反対が表明されているわけでございます。このような状況では直ちに制度化ということは難しいわけでございますが、私どもとしましては、関係者の理解を十分得るために、また力を尽くしたいと考えているところでございます。 一方、先ほどの御質問にありましたような著作権を集中的に管理する機関を設立して、出版物の複写利用者から著作物の使用料を徴収する機会を確保する、そういう仕組みが先行することによりまして、複写問題に実質的に対応できていくのではないかというふうにも考えておりまして、現在関係者の動きを注目するとともに、私どもとしましては、できるだけの努力を今後も続けていきたいと考えております。
○平田(米)委員 いろいろな御意見があって、直ちにこの報告書のとおりにはいかないということはわかったわけでございますが、今後どのような手段、方法でこの問題に取り組まれるか。例えば懇談会等をおつくりになるとか、そういうお考えはあるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 制度論につきましては、明確にその方向性が示されておりますので、それを可能にいたしますためには、実態的な形でこの問題の前進が見られる必要があるわけでございます。その意味では、集中的権利処理機構、日本複写権センターができるだけ早い機会に成立して、この問題の解決について前進があるように、そこを見守ってまいりたいと考えております。
○平田(米)委員 そうしますと、複写権センターが先行する、先にでき上がるということになるわけでございますと、そのセンターができた後、この問題はどのような形になっていくのでしょうか。センターができるということになりますと、出版者はそこでやはり著作権者と契約して著作権の一部譲渡というような形になるのではないかと思うわけでございます。そうしますと、第八小委員会で出されたような著作隣接権の新たな設定の実用性といいますか、そういう点でいろいろ障害になってくるような気もするわけでございますが、その辺はどのようなお考えなのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 センターの設立とその中での関係者の権利関係がうまく実際的な動きを示すということは、新たに制度化する際にも、権利者、著作者と出版者との関係のあり方についての一つの前進にもつながることでございます。その意味では、このセンターの設立とその運営の前進ということをまず見守って、それによって制度の問題についても、また前進させていきたいと考えているところでございます。
○平田(米)委員 答弁の趣旨がちょっとよくわからないのですが、では、こういうふうにお伺いしたいと思います。 この複写権センターの中で、出版者というのはどういう権利を持って自己の立場を主張されるのか、どういうふうに考えておいでになるのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思うのです。
○遠山(敦)政府委員 センターにおきます出版者の位置づけといたしまして、出版者は著作者との契約に基づきまして徴収された使用料の一部を受け取る、それを受け取って、そしてそれを使用料として有効に使うということでございます。これは契約に基づく手数料的な性格のものでございまして、必ずしも出版者の権利保護として十分とは言えないわけでございます。また、出版者が著作者から著作権の委託を受けることができない場合、あるいは保護期間を経過した著作物の場合には、複写による被害から出版者の経済的利益を守ることができないという問題も確かにあるわけでございます。 しかしながら、新たな権利の法制化ということをいたしますには、権利の実効性を確保するという観点からも円滑な権利行使の見通しを得る必要があるわけでございます。その意味で、センターが早期に設立されることによりまして、出版物の複写についての権利処理のルールが確立されていくということは、問題の解決の前進につながると考えているわけでございます。
○平田(米)委員 その辺がちょっと私とお考えが違うようでございまして、権利を持って参加をして複写権センターができる、これは出版者としては非常に強い立場で入れるのではないかと思うのですね。これは契約上の権利しかないというのと、著作権法上の権利があるというのと、やはり立場が違うのではないかと思うのでありますが、複写権センターの設立が早く望まれているところでございまして、そこでさらに出版者の新たな著作隣接権を認めること、また、その前に作業することは、非常にまた時間がかかるということで、センターの設立がそれを待っていてはおくれてしまうということを考えれば、お考えのような趣旨も一応理解するわけでございます。 これに関連しまして、報告書の中で電子出版のことが挙げられておるわけでございますが、この電子出版の問題については、今後何らかの研究等をされるお考えなんでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 この第八小委員会の議論の経過におきましても、電子出版をどう扱うかということはかなり議論になったわけでございます。ただ、電子出版の実態がどのように変化していくかというのを見通せない面があります。やはり制度として位置づけていくためには、実態の把握が重要でございますので、将来において電子出版がどのような形で発展をし、出版者の権利とのかかわりでどう位置づけていくかが明確になった段階で、これはその位置づけができるのではないかということで、今回の報告書の中には将来の推移を見ながらというような形であったかと思いますが、書いてございまして、まだ明確に位置づけてないというのは、そういう考えからでございます。 〔委員長退席、渡瀬委員長代理着席〕
○平田(米)委員 そうしますと、現在のところでは、まだその具体的な対応はお考えになってないということでございましょうか。要するに、著作権の問題は非常に難しいようでございまして、一つの問題を法律まで高めて、著作権法の改正ということまで持っていくには十年以上の歳月を要しているのがどうも通常のようでございまして、時代におくれない、また世界におくれないという意味では、先手先手を打って対応していくのがいいのではないかなと感ずるわけでございます。そういう意味で、新しい問題に対しては、素早く対応していただくことが、国民のため、また世界の著作権法の進展のためにもなるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 その点は、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。今の点を報告書の中身に照らして申しますと、先ほど申しましたように、「電子出版」に関する技術の開発が目覚ましく進展しつつある現時点では、将来を見通した判断が難しいところから、今後の課題として別途検討することが適当であると考える。」ということでございます。しかし、ずっと放置していっていいということではないわけでございまして、できるだけ早くこのような問題についても議論をしてまいりたい。著作権審議会のいろいろな課題が今ございますけれども、その一つとして考えられていくべき問題だと存じます。
○平田(米)委員 前向きな対応をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 この複写権センターが設立された暁には、使用料が徴収をされて、それが分配をされるわけでございますが、その使用料の分配に当たりまして、その一部を個人に分配をしないで出版文化の発展のために公的に使うというようなお考えは今のところあるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 その問題は、複写権処理センターといいますか、その機構の構成員の方々によって決まる話でございますけれども、現在のところでは、出版社の関係者からは使用料として入る収入の一部をそのような形で公共的なものに使いたいというようなお話は聞いてございます。ただ、それを決定するのは関係者の権限であるわけでございます。
○平田(米)委員 次に、私的録音・録画の問題についてお伺いをしますが、この問題につきましては昭和五十二年から第五小委員会で検討されまして、昭和五十七年からは著作権問題に関する懇談会の中でさらに検討をされました。さらに昭和六十二年からは第十小委員会で検討を始められた、こういうことでございまして、なかなか結論が出ないという状況にあるわけでございます。大変長年月がかかっておるわけでございますけれども、その結論が出ない理由は一体どこにあるのか。また文化庁としてこういう現状をどのようにお考えになっておられるのか。そしてまた、今後どういう対応をするお考えなのか、明らかにしていただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 私的録音・録画の問題につきましては、確かに先生御指摘のように、既に昭和五十二年の十月に第五小委員会でこの問題の審議を開始したところでございますけれども、当時はまだこの問題についての国民の理解も十分でない、あるいはこの問題の対応策についての国際的なコンセンサスもないというふうなことで、その審議の結果がまとめられた昭和五十六年の報告書では、「現在直ちに特定の対応策を採用することは困難であるという結論に達した。」と述べられているわけでございます。しかしながら、その後も昭和五十七年二月には著作権問題に関する懇談会を発足いたしまして、ここには権利者ばかりではございませんで、機器・機材のメーカーの団体の関係者あるいは学識経験者等から成ります方々によって著作権問題に関する懇談会と称して五年間にわたり話し合いが進められたところでございます。しかし、この懇談会におきまして、この問題を解決するための具体的な方策につきまして、やはり関係当事者の合意を形成するに至るのは困難であるといたしまして、再度その著作権審議会において検討するように問題が返されたわけでございます。そのことに伴って昭和六十二年の五月から第十小委員会が発足して現在に至っているわけでございます。この小委員会におきまして今鋭意いろんな角度で御議論をいただいております。特に、その中で論点となっておりますのが、私的複製に関する現行の規定、出版者の権利が別途あるわけでございますが、そういう規定とそれから報酬請求権制度の関係あるいは録音・録画を行うものでないメーカーが報酬を支払うということにするとした場合には、その理由はどうなるのか、あるいは著作物等の録音・録画をしない場合の取り扱いや徴収、分配の対象あるいは方法など制度的な、どちらかといいますと法律的な内容について今詰めを行っているところでございます。 どうしてこのような問題がこれだけ時間がかかったのかということでございますが、先ほどの参考人のお話では、国際的な情勢がまだ十分成り立ってない、イギリスとかアメリカでこの問題についても明確な方向が見られないばかりか、むしろ好意的でないという表現でありましたけれども、権利者にとって好意的でないような考え方も浮かび上がってきているというふうな状況もございます。確かに国際的な面もございますし、特に日本の国内でメーカー側が、やはり著作者等の不利益の内容がまだ立証されていない、あるいは諸外国との関連も考えまして、今直ちに賛成することはできないということで、否定的な態度をとっておられるところでございます。 私どもといたしましては、やはり権利の創設につきましては、その関係者が合意を見ませんと制度が空になってしまうわけでございまして、それで大変長く時間がかかっている、それだけに大変難しい問題でございます。したがいまして、今後ともこの問題について関係者の理解が深まるように配慮しつつ、しかし、一方で制度的な面で詰めるべきところは詰めて議論をして進めてまいりたい、そんなふうな形で対応をいたしたいと考えております。
○平田(米)委員 日本は大変な経済大国になりまして、大変な貿易の黒字を得ているわけでございますが、その大半がハイテク製品でございまして、その中でこういうオーディオとかビデオ、そういうものの機器の輸出というのは非常に大きな部分を占めておるわけでございます。こういう問題について、日本が世界の大供給国であるという立場から考えますと、やはり世界の模範になってこの著作権とこういう機器との関係を結論を出す、こういう姿勢が大事ではないかなというふうに私は思うわけであります。それは確かにいろいろな利害の立場がございまして、いろいろ調整に時間がかかるということは、それなりに理解をするわけでございますけれども、やはりドイツとかフランスとかあるいはオーストリアの国などは、既にもうそのような制度の実現をしているという実態もあるわけでございまして、やはり日本がそういう機器の大供給国であるという立場からするならば、先頭を切って制度の設立といいますか問題解決を実現をしなければならない責任がある、世界に対して責任があるというふうに私は思うわけでございますが、大臣、こういう問題につきまして世界的視野でどういうお考えをお持ちなのか、御所見をお伺いできればと思います。
○井上国務大臣 先ほど私お答えいたしましたように、今後とも情報伝達技術の発達あるいはまた普及や社会経済事情の変化、こういうものに対応して著作権制度の改善を図っていくことが重要であり、ガットを初めとする国際会議等を通じて、この国際的秩序形成にも積極的に貢献をしたい、こういうお話をいたしました。これを契機に著作権制度の一層の充実はもとより、我が国の文化の発展と充実、さらには国際貢献のため引き続き最大限の努力をいたしたい、このように考えております。
○平田(米)委員 今湾岸危機、湾岸戦争から日本の国際貢献ということがすごく言われておるわけでございます。私は、世界の平和のためにいろいろやる、これも国際貢献。しかし、日本は文化の国として文化面でどしどし国際貢献をしていく、こういう姿勢が必要ではないかと思うわけであります。先ほど佐藤参考人からも日本のレコード等の値段が少し高い、まあアメリカに比べて高いだけであるという御説明がありましたが、それはロットが小さいからだということをおっしゃいました。アメリカは二千万、三千万というロットで売れるけれども、日本は二百万が最大である、こういうようなことで価格競争も厳しいものがあるというお話がございました。これがどんどん世界に出ていけば、日本の文化が世界に受容されれば、そういう問題も解決をしていくわけでございます。そのためには、やはりそれを支える著作権法が世界をリードするものであってこそ初めてできるんではないかと思うわけであります。ウルグアイ・ラウンド等で日本が積極的な使命を果たしていくという大臣の御所見、大変高く評価をするわけでございますが、単に積極的だけではなくて、まさに世界のリーダーとして欧米を引っ張っていくだけの高い使命感といいますか見識といいますか、そういうものを持って臨んでいただきたい、こんなふうに私思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○井上国務大臣 まさに委員言われるとおり、私どももその面について一生懸命世界のリーダーになるという誇りを持ってこれから頑張っていきたい、このように考えております。
○平田(米)委員 時間がなくなりましたので、著作権法の問題はちょっとこの程度にさせていただきまして、三月の十三日に指導要録の改善方針が取りまとめられましたので、非常に国民に関心のあることでございますので、この時間を少しいただきまして、お伺いをさしていただきたいわけでございますが、この改善方針のねらいと概要、時間がありませんので、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○菱村政府委員 指導要録は学習指導要領が変わりますと大体その都度変えてきておりますので、これまで指導要領を戦後十年ごとに改訂していますので、今回も平成元年に告示しました学習指導要領の改訂に合わせて改訂をした。この趣旨は、要するに指導と評価は一体であるという観点に立っているわけでございます。 そこで、今回の改訂のねらいでございますが、一つは、この改訂によりまして、新しい学習指導要領が目指している学力観、要するに新しい教育課程で目指しております学力観と申しますのは、知識の詰め込みではなくて、みずから学ぶ意欲とかそれから思考力とか判断力とかそれから表現力、そういう能力を育成しよう、それが新しいこれから求められる学力観だと思うんですが、その新しい学力観に立った評価、その評価によってその新しい学力観が教育の実践の場に定着していくことをねらう、そういうことが一つございます。 それから二番目に、子供たち一人一人の可能性を積極的に評価して、そして豊かな自己実現に役立つようにしよう。すなわち、従来指導要領では子供たちの長所、欠点などを書くことになっていたわけでございますが、これからはむしろその長所を積極的に評価してやる、そして子供たち一人一人が持っている可能性を伸ばすような評価に役立てたいということが二番目でございます。 三番目に、指導要録につきまして、従来から保存管理の面でいろいろ問題が指摘されておりまして、とりわけプライバシーとの関係でいろいろ指摘されておりましたので、今回指導要録に記録する内容を分けまして、要するに、ずっと保存する学籍の記録と指導の記録を別様にしまして、学籍の記録は従来どおり二十年の保存期間にしましたが、指導の記録、これは本来は学校を出て次の学校を終わるくらいにはもう用がなくなるはずですし、それからある小学校の成績がいつまでたっても固定しているはずはないので、その子供たちはどんどん伸びていくわけですから、小学校時代の記録ないしは中学校時代の記録にしましても、その指導の部分は五年保存すればいいだろうということに改めた、そんなところが中心でございます。
○平田(米)委員 今回の改善につきましては、マスコミ等でも画期的転換であるというふうに高く評価をしているようにも伺います。指導と評価は一体だから当然このように変えられたという御説明でございますが、これからさらに、今父兄あるいは生徒の立場からしますと、この指導要録は見ることができないものでございまして、見ることができるものとすれば通信簿ということになるわけでございます。その通信簿の内容に今回の指導要録の改善方針が反映をされるということが一つ重要ではないかというふうに私思うわけでございます。どちらかといいますと、これまでは相対評価が通信簿の中身の重要な部分だったというふうに理解をしておるわけでございますが、観点的学習状況の評価というものを絶対評価として位置づける、そしてそれを主としていくということになるわけでございますが、それをできれば通信簿に明確に載せると同時に、やはりもう一つさらに加えて、大変いい子はいいわけでございますが、もう少し頑張ってほしい、こういうレベルの子に対しては、そういう評価だけを書くのではなくて、やはりどういう対応をして学習を進めていったらいいのか、そういう指導内容もコメントできるようなシステムができないものか。そうすれば、教師、児童生徒、父兄の三者一体が一つの問題に対して同じ情報を得て取り組める姿勢の第一歩が築いていけるんではないか、こんなふうに思うわけでございます。その通信簿の中身については文部省等が規制をするものではないというふうには伺っておるのでございますが、やはり指導のあり方といいますか文部省の姿勢のあり方といいますか、そういう観点からお考えをお伺いをしたいと思います。 〔渡瀬委員長代理退席、委員長着席〕
○菱村政府委員 まさに御指摘のとおりでございます。今回の指導要録の改訂がぜひ通信簿に反映してほしいというふうに考えております。通信簿はもともと、先生も御指摘のように、文部省が規制しているものではなくて、学校が自由に、創意工夫に基づいてつくられているものでございますが、指導要録の考え方というのがやはりどうしても学校では反映するという面もございます。したがいまして、今回指導要録をこのように改めましたので、これからは子供たちの学習指導の過程や成果、それから一人一人の可能性、そういうものを評価しまして、その学習を支援してやる、まさに家庭との連絡をよくして、そういう子供たちを支援してやる。ですから、学習のおくれがちな子につきましては、先生の御指摘がありましたように、その努力の跡を評価してやる、ないしはどう努力したらいいかということをサゼストしてやる、そういうような通信簿になることを私どもも期待しております。今回のいただきました提言にも、通信簿についても触れておりまして、まさに先生今御指摘の方向で改善すべしというコメントがついております。私どももその方向でこれからの指導助言をしたいと考えております。
○平田(米)委員 大いに期待させていただきたいと思います。 この中で、内申書については、指導要録とは、その目的、機能を異にしているということを留意すべきであるということをおっしゃっておいでになりまして、内申書には、この指導要録の考え方を反映をさせないというような方向性の考え方を示しておいでになるようでございますが、どうもそれは相対評価によらないと入学者の選抜がしにくいというような固定的観念が前提にあって、こういうような考え方になったんではないかと思いますが、私は入学者の選抜も絶対的評価でも、また絶対的評価の方がよりすぐれた選抜ができるんではないかという考え方を持っておるわけでございます。 これについてお考えをお伺いしたいという点と、もう時間がありませんので、もう一つあわせて御質問をしますが、この指導要録の開示の問題でございます。これは内申書の開示の問題も今問題になっておるわけでございますが、子供の権利条約では、子供の自己の教育情報に対するアクセス権を保障しておるわけでございますが、我が国はいまだこの条約を批准はしておりませんけれども、しかし子供を大人と同様に一個の人格として尊重をする、こういう立場に立って前向きに考えていく、こういう姿勢が私はこの指導要録の改善方針にもあると思うわけでございます。そういう姿勢から考えれば、この開示の問題も積極的に取り組んでいかなければいけないのではないか、そのように思うわけでございます。二つ目の質問につきましては、大臣からぜひお考えをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○菱村政府委員 それでは、内申書のことにつきまして、私の方から申し上げます。 内申書は御指摘のように、これは選抜資料でございますので、どうしても選抜ということになると、全体の学校、学級内でどういう位置にあるかということがわからないと選抜の役割を果たせないということで、従来からこれは相対評価が中心になっております。したがいまして、その性格は今後ともやはり維持せざるを得ない。そうでないと選抜の資料としてなかなか役に立たないということになるのだろうと思います。ただ、これもやはり先生御指摘がありましたように、じゃ絶対評価が全く意味がないかといえばそんなことはないので、絶対評価の記述を選抜の資料に使うということはあり得るわけでございます。現在も内申書で部分的に、例えば学生時代にどういうクラブ活動をしたとかどういうことで一生懸命やったとかどういう表彰を受けたとかいうような、個人の努力の跡などを記述する欄がございます。そういうものを相対評価の評定とあわせて活用するということが行われておりますので、今回の指導要録の改訂に伴いまして、もう少し絶対評価的なものも選抜に加味したらどうかという御指摘は、十分これから私どもも、それから学校も工夫しなければならない点だろうと思います。 それからもう一つは、この入試選抜における内申書のウエートのかけ方自体も、これはメリット、デメリットございますし、このごろはデメリットもいろいろな観点で指摘されておりますので、そこももう一度考え直してみる必要があるだろうと思います。ちょうど今中央教育審議会でも、その点は問題にしておりまして、先般の審議経過報告にも触れておりますので、正式な答申が出ましたら、また内申書自体のあり方につきまても検討をしていきたいと思います。
○井上国務大臣 今先生と局長のお話を聞いておりまして、絶対的評価を重視するという点、大変ありがとうございます。私どももそういうようにいたしたい、このように感じます。 また、指導要録の開示問題でございますが、学習の評価などは子供の望ましい人間形成を目指して、そして教師が指導に役立てるためのものであると考えております。そして、この指導要録の児童生徒本人及び保護者への開示問題については、今後なお私ども慎重に検討すべき課題である、このように考えております。
○平田(米)委員 以上で終わります。
○臼井委員長 次に、宇都宮真由美君。
○宇都宮委員 まずスーパー三〇一条との関係についてお伺いいたします。 一昨年の三月三十日ですか、米通商代表部が貿易障壁年次報告、いわゆるバリアー報告というのを公表いたしましたけれども、その中に障壁三十五項目が示されております。その中に、レコードをめぐる著作権の問題が入っておりまして、その内容は、まず一つは、輸入レコード、CDに貸与権、いわゆるレンタル権が認められていない、レンタル店は著作権料を支払わずに利用しているということ、二つ目は、著作隣接権の保護期間が短いということ、三つ目は、一九七八年以前、一九六八年以降ですけれども、その録音をもとにした外国製のレコード、コンパクトディスク、CDに著作権が認められていない、この三点が指摘されております。 このバリアーレポートというのは、四月末に行われますいわゆるスーパー三〇一条の発動を決めるときの基礎資料となる。このままではレコードをめぐる著作権がスーパー三〇一条の制裁対象になる可能性が多い、そういう状況になってまいりました。今回の著作権の改正には、この三点がすべて盛り込まれているわけです。バリアーレポートで米国より不公正だと指摘された部分がすべて今回の著作権法の改正で行われているということ、このことについて、このバリアーレポートで指摘されたことと今回の改正とについて、ちょっとその関係をお伺いいたします。
○遠山(敦)政府委員 先生御指摘のスーパー三〇一条との関係でございますけれども、アメリカでは不公正貿易慣行国に対する対抗措置を規定しましたいわゆるスーパー三〇一条を盛り込みました包括貿易法が一九八八年八月に成立いたしまして、その法律に基づいて、アメリカ通商代表部が今お話しの諸外国の貿易障壁に関する年次報告書を公表したわけでございます。 この中で、我が国におけるレコードの保護に関しまして三つの点を指摘しております。一つは、レコードの貸与権が外国人に認められていないこと、二つ目は、一九七八年以前のレコードが保護されていないこと、それから、保護期間が短いことの三つの点が指摘されたわけでございます。 これらアメリカ側の指摘の点につきましては、これはアメリカ側の指摘をまつまでもなく、それぞれ著作権審議会のこれまでの報告あるいは国内の関係者からの要望に基づきまして、私どもも既に問題意識を持って検討していたところでございます。それで、昨年春、アメリカ側にはこの国内状況を十分説明いたしまして、我が方の考え方について御理解を得たものでございます。 国内でどのように検討していたかということでございますけれども、今回の法改正のうち、外国の実演家、レコード製作者にレコードの貸与に関する権利を認めるということにつきましては、既に昭和六十三年の一月の著作権審議会の報告において方向が示されていたものでございます。 それから、外国レコードの無断複製等を禁止しました著作権法第百二十一条第二号の強化の問題につきましては、この号が輸入盤を対象としていないという盲点があるということで、従来から国内の関係者からもその是正が求められてきたところでございます。 そして、第三点目の著作隣接権の保護期間の延長の問題に関しましては、かねてから著作権審議会におきましても議論されてきたことでございまして、主要各国における動向あるいはガット・ウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉での動向などを配慮して、国際的な状況の変化に対応して、十分な適切な対応を期待するということがあったものでございますが、今回の改正点に加えたところでございます。
○宇都宮委員 この今回の改正点につきましては、以前から審議がなされていたということはわかったのですけれども、しかし、時期的に見まして、そのバリアーレポートで指摘されたのが昨年の三月であるということ、そしてまた、その内容につきましても、バリアーレポートで指摘された点が今回直されているということ、その他湾岸戦争におきます九十億ドル問題等の政府の対応等、その他政府の対応等と比べましても、客観的に見ましたら、やはり米国に言われて、アメリカの圧力によって今の時期に改正するようになった、そのように評価されても仕方ないのじゃないかと思うのですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
○井上国務大臣 そういうことはございません。毎年やっていることでございますから、お願いしていることですから、それとは全然関係ございません。
○宇都宮委員 今回たまたま同時期になされた、そのようにおっしゃるわけでしょうか。
○井上国務大臣 そのとおりでございます。
○宇都宮委員 わかりました。 先ほど遠山次長のお話の中にも出てきたのですけれども、特に外国の実演家、レコード製作者に対してレコードの貸与権を認める、このことは一九八八年一月二十七日、既に著作権審議会第一小委員会の報告でも示されていたわけですね。そうしますと、この著作権法の改正というのは、前回の改正は一九八八年に行われているわけでございますから、いわゆる外国の実演家、レコード製作者に貸与権を認めるということにつきましては、前回の改正のときにも既に可能であったのではないかと考えるのですけれども、この点何かできないわけ等あれば教えていただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 レコードの貸与権につきましては、先生御存じのように、昭和五十九年の著作権法の一部改正によって日本独自の措置として創設されたものでございます。外国の作詞家、作曲家等の著作権につきましては、ベルヌ条約等の内国民待遇、他の締約国の国民にも自国民と同様の保護を与えるべしという原則があるわけでございますが、この原則に従いまして、日本の著作者と同様の権利を与えたのに対しまして、外国の実演家とレコード製作者につきましては、これらのものの国際的保護に関する条約でございます実演家等保護条約にその当時我が国はまだ未加入でございました。国際的な保護関係がなかったわけでございます。また、その条約上も貸与に関する権利について規定していなかったわけでございます。そのために、条約上の義務でもないというふうなことから権利を付与していなかったものでございます。 その後、御指摘の昭和六十三年一月に取りまとめられました著作権審議会の第一小委員会の報告書の中で、貸与に関する権利は、条約上の義務ではないものの、我が国に広範に普及しているレコードレンタル業において外国レコードも多く貸し出されている実態を勘案して、実演家等の著作隣接権の国際的保護の充実を図るという基本的な考え方を踏まえて、実演家等保護条約により保護される実演家及びレコード製作者並びにレコード保護条約の締約国のレコード製作者についても、レコードの貸与に関する権利を認めることが適当であるということが明確に書かれていたわけでございます。ただ、そのための法改正をするに当たっては条件がございまして、関係者による条件整備が行われて、円滑な利用秩序が維持、形成されることについての見通しを得ることということが前提とされていたわけでございます。 このような背景があるわけでございまして、そのために、平成元年の実演家等保護条約の加入に伴います著作権法の一部改正をお願いしたわけでございますが、そのときに既に改正を図るべきかということを検討したわけでございますけれども、当時国内におきまして、この貸与権の行使をめぐりまして、国内のレコード製作者とレンタル業者との間で訴訟が係属中であったわけでございます。そのために、どうしても円満な利用秩序が形成されているとは言えない段階であったわけでございます。このために、外国の実演家、レコード製作者への権利付与は時期尚早ということで今日まで延びてきたわけでございます。 ところが、関係者による話し合いが進められまして、ようやく昨年末、両者の間で今後における貸与権の行使につきまして基本的な合意がなされたところでございます。今後円満な利用秩序が形成されるという見込みが立ったものでございますから、今回法改正を行うこととしたわけでございます。この点が、先ほど先生御指摘でございましたけれども、アメリカの圧力を待ってということではございませんで、国内のそういう権利関係の利用秩序というものが明確に見通しが立ったという背景を踏まえて法改正をお願いしているところでございます。
○宇都宮委員 国内における円滑な利用秩序が形成されていないということが外国の実演家とかレコード製作者に貸与権を認めることができない理由になるということは、どういうことなんでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 国内でレコード製作者とレンタル業者との間の利用のルールができていることが前提となって、そのルールに準じて外国のレコード製作者と日本のレンタル業者との間のルールができ上がるわけでございます。国内の関係において係争中というふうな場合には、まだ国内の体制がしっかりしていないということで、外国との関係のあり方についても方法が見定まらないわけでございます。その意味で国内の円滑な利用秩序の形成というのが基本であるということが条件になったわけでございます。
○宇都宮委員 その円滑な利用秩序の形成ということは、先ほど訴訟が行われたということなんですけれども、訴訟の結果を待ってと、そういうことだったのでしょうか。それとも政府の方で、市場に任せなければいけない部分もあるかとは思うのですけれども、円滑な秩序の形成について何らかの指導的な役割は果たされたのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 貸しレコード問題につきまして、レコード製作者とレンタル業者との間で一部レコードの貸与の禁止措置をめぐりまして訴訟が起きていたわけでございます。それで訴訟の問題が解決することを待つと同時に、それと並行いたしまして、両者の間でレコードの貸与に関するルールづくりについて話し合いが行われてまいったわけでございます。この話し合いの結果がほぼ合意を得まして、昨年末に両者の間でどのような形で今後貸与の問題、特に禁止期間をどのように定めていくかということについての合意があったわけでございます。そこで対立点がなくなったわけでございます。したがいまして、訴訟の関係は恐らく和解に持ち込まれるのではないかという見通しもあるわけでございます。
○宇都宮委員 その合意の内容がわかれば少し教えていただきたいのですけれども。
○遠山(敦)政府委員 合意の内容でございますけれども、すべての国内レコード、シングル盤を除くわけでございますが、これを対象にいたしまして、まずことしの八月から、発売後一週間の貸与を禁止することにする、そして段階的に禁止期間を延長いたしまして、最終的に平成五年一月以降は発売後三週間の貸与を禁止するという内容でございます。
○宇都宮委員 このバリアーレポートで米国がレコードの著作権に関する問題点を指摘しておりますけれども、そのときに米国は、このような日本の不公正な措置といいますか、こういう状態のために米国の企業がこうむっている損害は莫大であるというふうなことを言っておりますけれども、今回改正する前に、米国が、自分の国の実演家とかレコード製作者に著作隣接権が認められていないということ、そしてまた、外国でリプレスしたレコードの無断複製等が禁止されていないということ、それによって米国がどの程度の損害をこうむっていたと考えられるか、あるいは今回これを改正することによって、米国側にはどれくらいの利益が見込まれると、もしその試算がございましたら教えていただきたいのですけれども。
○遠山(敦)政府委員 アメリカ側の指摘も大変抽象的でございます。アメリカ側からもその積算の根拠といいますか、そういうものは示されたわけでもございません。また私どももこれだけの額が損害をこうむっているということを直接聞いたわけでもございません。そのために具体的な内容についてはお答えする立場にないわけでございます。
○宇都宮委員 今まで米国側はどれだけの損害をこうむっていたかということ、米国からも示されていないということなんですけれども、今回、例えばレコードのレンタルについて外国の実演家、レコード製作者等にも権利を認めたということで、米国にどの程度の増収があるかということは、ある程度試算できるのじゃないかと思うのですけれども。
○遠山(敦)政府委員 今回の外国レコードの保護に関する措置はアメリカのためだけではございません。世界の、外国のレコード製作者に対する保護でございます。そのために、アメリカに対してどうかということは大変難しいわけでございますけれども、では、まあ外国の権利者ということに置きかえてみてどうかということでございますが、国内のレコードレンタル店でレンタルに供しているレコードの内訳は、邦盤が六五%、洋盤が三五%と言われております。六割四割というお話もあったわけでございますが、私どもがとらえておりますところでは、現在、邦盤六五%、洋盤が三五%であるわけでございます。それで、外国の権利者に、仮にその権利を認めました場合にも、実際にレンタル店においてどの国のレコードが使われているか、あるいは洋盤の三五%のうちの全部が保護期間内のものであるかどうか、その辺はわからないわけでございます。したがいまして、どの範囲のレコードについて使用料を支払う必要があるかどうかということについては、にわかには申し上げられないわけでございます。 しかしながら、平成元年度のレコードレンタルにかかわります国内権利者への支払いが約五十億円に近い額になってございます。これは国内の実演家分が約二十三億円、国内のレコード製作者分としまして約二十二億円が支払われているわけでございます。これが邦盤六五%に対応する額であるといたしますと、仮にレンタル店で利用されております外国レコードすべてについて支払いを要するものと考えまして、あえて推定をしてみますと、外国権利者に対しましては年間二十億円前後となるかと考えられます。このほかに、外国の著作者、外国の作詞者でありますとか作曲家には貸与権が既に認められているわけでございますけれども、これにつきましては、平成元年度に約十四億円が支払われているところでございます。 念のために申しますけれども、先ほど申しましたように、そのレコードの利用の中身は、洋盤につきましても、国別の中身を見ますと、必ずしもアメリカばかりではございませんで、イギリス、フランス、あるいは西ドイツ等の国々のレコードも使われているところでございます。
○宇都宮委員 どうもありがとうございました。 このレコードの貸与に関してなんですけれども、現在、実演家、レコード製作者に対するレンタル料といいますか、利用料の支払いですね、これは国内の場合、どういうふうにしているのか。そして、この権利を外国の実演家、レコード製作者に認めた場合にはどういう形で支払われることになるのか。その点少し御説明いただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 これは少し関係団体が多いわけでございまして、解説になって恐縮でございますが、レコードの貸与に関する権利処理は関係団体の別に応じまして処理をされております。 音楽の著作権につきましては、社団法人日本音楽著作権協会というものがございますが、ここが内外の権利者にかわりまして、レンタル店との間で貸与許諾契約というものを結びます。そして貸与回数の実績に応じた使用料といいますものを徴収して、徴収された使用料は、それぞれの作品の使用頻度に応じまして、内外の権利者に分配されているところでございます。 それから、実演家の権利につきましては、社団法人日本芸能実演家団体協議会が国内の権利者にかわってレンタル店との間で貸与許諾契約を結んでおります。それに基づきまして、貸与回数の実績に応じた使用料を徴収しておりまして、徴収された使用料は、音楽の場合と同様に使用頻度に応じまして、それぞれの権利者に分配しているところでございます。 それから、レコード製作者の権利につきましては、国内の各レコード製作者とレンタル店との間の貸与許諾契約に基づきまして、社団法人の日本レコード協会が全体の窓口となって使用料を徴収しているところでございます。徴収の方法といたしましては、音楽あるいは実演家の場合と異なりまして、貸与回数を見越した一括額といいますものを、そのレンタル店へレコードを販売する際に上乗せをして徴収しているわけでございます。それで、その徴収額に応じて各レコード製作者に分配をしているところでございます。 まあ、その意味では、音楽、実演家、レコード製作者、それぞれの権利者の態様によりまして、徴収、支払いの方法も若干異なっているわけでございますが、いずれも個別にその権利者が徴収するというスタイルをとりませんで、団体がその窓口になってレンタル業者との間で契約をし、そして利用料を徴収し、そして権利者に分配をする、そういう形をとっているわけでございます。
○宇都宮委員 そうしましたら、日本の場合は、その団体が個々の権利者にということなんですけれども、外国の場合だと、やはり外国にもこういう団体があって、その外国の団体と日本の社団法人レコード協会ですか、そういう団体との取引といいますか、そういうことになるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 音楽の著作権につきましては、もう既にでき上がっているわけでございますが、今回の改正で、外国の実演家にも権利が認められるわけでございますけれども、そういたしますと、今後関係者の間で協議の上、決定される事柄でございます。それで、既に先行しております放送にかかわります二次使用料の例がございます。この例に倣いまして、外国の実演家団体との間で相互管理契約を結ぶことになろうかと思います。それで、これは日本の芸能実演家団体協議会が、外国の実演家にかわりまして、レンタル店との間で国内権利者と同様の契約を結ぶことになろうかと考えるわけでございます。そして徴収されました使用料は、相互管理契約というものの内容に従いまして、外国団体へ直接送金されるか、あるいは相互管理ということで協議会内に、日本での外国の実演家に対する使用料は、日本で保留して日本で使うということになるか、その辺は関係者での話し合いになろうかと思います。 それから、外国のレコード製作者にも権利が認められるということになりますと、日本の各レコード製作者が関係の深い外国のレコード製作者から権利の委任を受けます。権利の委任を受けまして、そしてこれまでの国内レコードに準じた方法で取り扱われることになろうかと思うわけでございますが、この点も今後の関係者の協議が行われることによって明確になってくるかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、既に先行しているやり方もございますし、国内のやり方もございますので、それに準じた形で権利行使がなされることによって混乱状況は避けられるのではないかというふうに考えております。
○宇都宮委員 今後もレコードの対応をめぐりまして、円滑な利用秩序を確立するためには、国内はもちろんですけれども、今回外国の権利者にも認めましたので、その関係者との話し合いといいますか、そういう交渉を行う場面というのがふえてくるというか話し合いを進める必要があると思うのですけれども、このためにどのように条件整備を進めていくか、どのような措置をとろうとそういう関係者を指導なさろうとしているのか、政府の方にお考えがございましたらお聞きしたいと思うのですけれども。
○遠山(敦)政府委員 制度の問題につきましては、法律上明確に規定することによりまして権利を付与するわけでございまして、それに伴って実際にどうやるかという問題はそれぞれの関係者の話し合いで行われるわけでございます。先ほども申しましたように、今既に確立されているいろいろなルールに乗っかって、恐らく新しい権利の行使についても、使用料の支払いあるいは徴収の方法等が確立されていくのであろうかと思います。 私どもといたしましては、関係者間の話し合いが円滑に行われますように、必要とあれば指導助言をする、支援をするという形でかかわるということになろうかと思います。
○宇都宮委員 では、原則としては自由市場といいますか、関係者の自由な契約に任せて、要請があれば出ていく、そういうお考えでございますか。
○遠山(敦)政府委員 この問題は、著作権、著作隣接権、いずれも私権の範囲内でございます。出ていくといいましても、権限を持ってということでございませんで、制度の説明でありますとかいろいろな関係者の期待するところを明らかにするというような援助はできようかと思いますけれども、その本質的なところは関係者間の努力によって利用秩序が形成されることを期待しているところでございます。
○宇都宮委員 次に、今回の改正でもって、二番目といいますか、著作隣接権の保護期間を三十年から五十年に延長した、このことに関してお尋ねしたいと思います。 この権利が二十年から三十年に延長されたのがわずか三年前なわけですよね。そして、この五十年に改めたという理由につきまして、先進諸国の体制とか我が国の国際的地位の向上、実演家等の役割ということ等を考慮して五十年にしたということが今回の改正で言われておりますが、三年間のうちに特に先進諸国の体制が変わった、あるいは我が国の国際的地位が向上した、そういう状況があるというふうにはちょっと思われないのです。今回ここで、三年前にはしなくて、今ここで五十年にしたという理由がございましたら御説明いただきたいのですけれども。
○遠山(敦)政府委員 三年前の改正の際にも、著作権審議会の報告の中で、国際的な状況の変化等の動向を踏まえて、必要に応じて検討を行うことが適当である、こう記されているわけでございます。 それで、じゃ六十三年から今日まで何も動かなかったではないかということでございますが、実は世界の情勢が急速に変わってまいっております。この点について、少し各国の立法例をお話しさせていただきますと、各国ともにそれぞれの背景があって、必ずしも一様なものとはなっていないわけではございますが、例えばイギリス、フランスは、実演、レコード及び放送のすべてについて五十年の保護期間を既に定めております。それからドイツは、レコードと放送につきましては二十五年の保護期間でございますけれども、実演につきましては、昨年七月から保護期間を五十年に延長したところでございます。それからイタリアは、実演について二十年、レコードについて三十年の保護期間を定めておりますけれども、放送については保護期間を定めていないわけでございます。なお、一九九二年のEC統合を控えまして、ドイツあるいはイタリアにおきましては、著作隣接権全体の保護期間を五十年にしようということで検討が行われている段階でございます。そのようなことで、ドイツの動きあるいはECの動きというのは非常に動きが急になってまいっております。一方で、アメリカは、実演家等保護条約に加入していないわけでございますけれども、レコードについてだけは保護が手厚いという状況がございます。 今申しましたように、各国の動きが急であるということもございますし、特に六十三年に保護期間を二十年から三十年に延長しましてから今日までの間に保護期間を延長した主な例は、先ほど申しましたドイツの例、それからチェコスロバキア。この国では、実演、レコードについて二十五年から五十年への改正がございました。またフィンランドでは、現在法案が提出中と聞いておりまして、著作隣接権全般について二十五年から五十年に延ばすということで法案が提出中というふうに聞いているわけでございます。また、ガット・ウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉におきます著作隣接権の保護期間の検討におきましても、先進諸国間では五十年という方向が大勢となっているわけでございます。 このように見てまいりますと、やはり六十三年からのわずかの期間ではございますけれども、各国の情勢が著作隣接権の保護を手厚くという形で大きく動いているということを御了解いただきたいと存じます。
○宇都宮委員 ただ、三年前でも五十年として著作権あるいは著作隣接権を保護していた国は多数あるわけで、経済大国あるいは文化に関して先進国、そういう自負というものがあるのであれば、何も諸外国の様子を見てからこちらが五十年にしなくても、むしろ諸外国に率先して早く保護を手厚くするということは何ら構わないと思うのですけれども、その点、著作権というものに対する、あるいは著作隣接権に対する保護といいますか、それに対してどういう姿勢で臨むのか。先ほど午前中にも、著作権思想ですか、そういう言葉が出てましたけれども、そういうことについてどういうふうにお考えになられているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 大臣には後で至らない点を補足していただけたらと思いますけれども、著作隣接権の権利の拡充という場合には、権利者の意見を尊重しながら制度を考えていくという点も、もちろんそれが中核であるわけでございますけれども、一方で著作隣接権を拡充するということに伴いまして、例えば放送事業者の使用料の負担というふうなことも起きてまいるわけでございます。したがいまして、ユーザーの状況、そことのコンセンサスの形成ということも大事なわけでございます。 先般、六十三年のときに二十年から三十年ということでございましたけれども、それは一気に二十年から五十年という状況にはその当時ではなかったわけでございます。その後三十年に延ばし、また国際的な情勢を見て今日の改正に至っているわけでございます。そのように著作隣接権を非常に重視してきたということは、我が国の著作権法の改正の歴史でも明らかであるわけでございます。明治三十二年にできました旧法にはなかった著作隣接権の制度でございますけれども、昭和四十五年に改正されましたときには、既にそのほとんどの内容が取り込まれていたというふうなことからもおわかりいただけるかと存じますけれども、実演家等の権利を守るというスタンスで著作権審議会の審議が行われ、また制度改正についても、我々も関係者の合意が得られたものについては、逐次必要な改正を行ってきているというところからも、これへの取り組みの姿勢を御賢察いただけるのではないかと存じます。
○井上国務大臣 この二十年から三十年、また三十年から五十年と、この前に変えられた方がいいのじゃないかということでありますが、今次長が申し上げましたように、私ども世界の趨勢、またいろいろな進歩、また国際社会の問題ということで、この前は二十年から三十年、そして今回は三十年から五十年、こういうことでお願いをしたわけであります。
○宇都宮委員 わかりました。 では、次の質問に移らせていただきます。今回の改正の三番目の部分、一九七八年以前の輸入版というのですか、外国リプレス版からの無断複製も禁止された、この点についてお尋ねしたいと思います。 今までは法の盲点として一九七八年以前の外国リプレス版からの無断複製というのが合法とされていたんですけれども、これが合法とされることによって無断複製物というのがどの程度市場に流通していたのか。その法の盲点をくぐってどういう状況が起きていたのかということ。それともう一つは、この無断複製の禁止に触れるとして、今まで刑事犯として罰則の適用がされたことがあるのかどうか。そのあたりの状況についてちょっと教えていただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 無断複製物を製造して、無断複製物がどれくらいあったかということでございますけれども、社団法人日本レコード協会の調べによりますと、このような無断複製物を製造している業者の数は十七社、その製造枚数は一九七八年以前の外国レコードにつきましておよそ一千万枚とされております。そのうち現在百二十一条第二号の保護対象となっております一九六八年以降のものがおよそ二百五十万枚あるというふうに推計されているところでございます。 なお、この規定が既に使われて処罰が行われたケースがあるかということでございますが、まだ一度も実際にこの規定が働いたという例はございません。
○宇都宮委員 今まで結局原則としてレコードからの無断複製というのは禁止されているわけですね。その行為に対して罰則を付することによって禁止しているということなんですけれども、今までその罰則が適用されたことがないということは、きちんと法のとおり禁止されていたからなのか、それとも現実には行われていたけれども、罰則の適用ができなかった、そういう事情があるのかどうか、ちょっとそのあたり教えていただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 その点は大変興味深いところであるわけでございますけれども、これまで現行の百二十一条の第二号の規定が適用された例はない理由といたしましては、この規定で取り締まろうといたしますと、その無断複製業者が、その取り締まりの対象となるレコードは、この号の適用対象外でありますいわゆる輸入版から複製行為を行っているものであるという抗弁を行ってきたというところでございます。したがいまして、こちらの条項で捕まえようとしても、それはそのときに処罰の対象となっていなかった輸入版からとったものだということで、この条項の適用の対象とならなかったということがございます。このたびの改正によりまして、輸入版からの複製等も禁止されることによりまして、改正後のこの条項の規定は適用される事例が多くなるのではないかというふうに予想されます。
○宇都宮委員 確かに外国リプレス版からの複製なんだという抗弁ができなくなりますから、今回の改正によってレコードの無断複製というものが行われなくなってレコード製作者の保護には厚くなると思います。 それで今回、午前中の馬場さんからの質問のときにも出ていたと思うのですが、要するに、頒布目的の所持についても罰則の対象になったということなんですけれども、今までそういう頒布目的の所持について対象としていなかった、そういうことについては、特に理由があるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 六十三年の法改正の際に、頒布目的の所持罪が著作権あるいは著作隣接権等の侵害物については導入されたところでありますけれども、この百二十一条の第二号の罪については導入されなかったのは先生御指摘のとおりでございます。これはなぜかと申しますと、その当時この号の禁止の対象となるような無断複製物といいますものが必ずしもレコード製造業者などの大きな脅威となるには至っていなかったということがございます。それから、この号で輸入版からの無断複製等を禁止の対象としていなかったこともございまして、この号の適用案件がなかったという背景がございます。そのために前回の改正の際には所持罪を導入しなかったわけでございます。
○宇都宮委員 頒布目的であるかどうかということは、どういうところで区別なさるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 頒布目的といいますのは、有償あるいは無償を問わないで、その複製物を公衆に譲渡しあるいは貸与するということであるというふうに著作権法上規定をされております。これはわかりやすい言葉でいいますと、市販の目的を持って所持しているというふうな場合がこれに該当するわけでございまして、例えばコンパクトディスク等の無断複製物についていいますと、具体的にはその無断複製物を小売店で市販の目的のために店頭に並べている、あるいは売るために倉庫に保管している状況にある、そういった行為が頒布目的の所持に該当するわけでございます。
○宇都宮委員 そういう点ははっきりしている事例だと思うのですけれども、数によっても、あるいはもし一枚でも頒布目的と言われることがあるか、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 一枚はどうかというのは大変難しいわけでございますけれども、やはり捜査の段階で全体状況を把握しながら頒布目的かどうかというのは判断されるべきかと思いますけれども、ただ、この罰則規定は親告罪になってございます。したがいまして、権利者がこの条項に当たるとして親告いたしますと、それによって捜査が開始されるということでございますので、その意味で今の御質問については明らかになろうかと思います。
○宇都宮委員 次の質問に移らせていただきます。 現在、出版物のコピーについてなんですけれども、「著作権の制限」というところで、著作権法三十一条によりまして、図書館等における複製、コピーといいますか、著作物の複製については、著作権法に触れないで複製をすることができる、そういう規定があるんですけれども、その中の「図書館」と言う場合には、「図書館法第二条第一項の図書館」、それと「学校教育法第一条の大学又は高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設」、これについては、著作権法の第三十一条、そして同施行令第一条第一項によってコピーすることができる、コピーしても著作権法に触れないというふうになっているんですけれども、この「図書館」のところに高等学校の図書館は入っていないということがありますね。そして現在、高等学校の図書館にはほとんどの図書館にコピー機が添えられているという状況があります。その場合、学校の先生が教材用にコピーする、そういう場合にはコピーしてもいいことに著作権法の第三十五条ですか、そういうようになっているんですけれども、生徒がそこで自分の勉強の資料とするために本をコピーするという場合、やはりこの三十一条によって許される行為にはならないと思うのです。そういう場合は、全くこの著作権法に触れることになるのか、それともどこかでその行為が許されるというふうになっているのか、そのあたりちょっと御説明いただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 今のお尋ねでございますけれども、著作権法第三十一条におきまして、公共図書館でありますとかあるいは大学図書館などの政令で規定されました図書館などが厳格な条件のもとに、そこの図書館資料を用いて著作物を複製することは可能であるというふうになっているわけでございます。先生先ほどお読み上げいただきましたけれども、そこに述べられておりますような公共図書館等は、これは一般公衆の利用を目的としておりまして、図書館資料を収集あるいは保存する業務を行うものであるわけでございます。また、その中の各号に掲げてございます大学図書館等は、広く専門の学芸を教授、研究する大学に附属するものでございまして、それらの図書館等は公共的あるいは学術的な機能が大きいわけでございまして、それに着目をして著作権を制限したものであるわけでございます。しかしながら、高等学校の学校図書館につきましては、公共図書館でありますとかあるいは大学図書館等に比べまして、その性格上、違いを持っております。そこは著作物を複製できる図書館等には含められていないわけでございますので、学校図書館において複写を行う場合には、これは厳格に言いますと著作者の事前の許諾が必要であるわけでございます。事前の許諾を得ること自体大変手間暇のかかるものでございますので、このことについて集中的な権利の処理を行うような機構というものが望まれているわけでございます。 一方で高等学校の中に設置してあります複写機器を用いまして生徒自身が著作物を複写することについてはどうかということについて触れさしていただきますと、高等学校の中に設置してある複写機器でありまして、図書館の中に置いてあって、図書館がその図書館の目的として複写をするということではない場合でございます。その場合には生徒自身が著作物を複製するということは、これは三十条に戻りまして、個人的な利用であるわけでございまして、法的には違法とはいえないということでございます。
○宇都宮委員 まず一つは、高等学校の図書館は、この三十一条に言う「図書館」には入らないということなんですよね。その理由というのは、どこが根本的に違うのかということですね。それをまず教えてください。
○遠山(敦)政府委員 図書館の中での種類によりまして、一方では認められ、一方では認められないということは、ある意味ではバランスを欠くかのようではございますけれども、やはり立法の趣旨が図書館等の公共的あるいは学術的機能に着目して、著作権を制限できるものとそうではない性格のものがあるということの考え方によっているわけでございます。したがいまして、これは著作権者の権利を守るという考え方とそれから利用者の目的等のバランス上、制度的には今申しましたような形になっているわけでございます。
○宇都宮委員 では、高等学校の図書館で生徒がコピー機を用いてコピーするという場合は、三十条によって違法とはならないということなんですけれども、ということは、結局まず一つは、高校の図書館に備えつけられたコピー機というのは、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動コピー機ではないということが一つ言えると思うんです。それとあとは、何といいますか、例えば高等学校の一学年全員がコピーした場合でも、一人一部ずつ全生徒がコピーした場合でも、この三十条によって著作権法違反にはならない、違法にはならないということが言えるんでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 今の話でございますけれども、その図書館にある複製機を用いてという場合は三十一条で禁止されるわけでございますね。学校図書館に置かれている複写機を使っての複写というのは、高等学校の場合禁止されるわけですね。それで図書館ではない、高等学校内に設置してあります複写機器を用いて生徒自身が著作物を複製することについては、個人的な利用である限り違法ではないということは、先ほど申したとおりでございますけれども、先ほど留保条件をちょっとつけるのを忘れたわけでございますけれども、高速ダビング機のように公衆の使用に供することを目的として設置してある自動複製機器を用いて複製する場合には、私的複製といえども許されていないという法制がございます。その趣旨は行き過ぎた複製行為に歯どめをかけるということを目的とするものでございます。そのことから考えますと、著作権法の附則の五条の二におきまして、当分の間の措置としまして、文献複写機器というのは除かれているわけでございますが、本来の法の趣旨に照らしまして、公共的な機関であります学校が複写機器を設置しまして生徒に自由に複写させるというふうなことを奨励するというふうなことになりますと、これは大量の複製物を全国の学校において作成する結果になるわけでございます。したがいまして、著作権保護という観点からは、こういう使い方はいかがであろうかというふうに考えられるわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっともう少し整理さしていただきたいと思うのですけれども、そうしますと、いわゆるコピー機ですよね、何枚も何枚もできるコピー機というのは、この三十条に言う「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」ということになるんでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 そのとおりでございます。
○宇都宮委員 そうしましたら、そういうコピー機が高校のどこに備えつけられているかということはちょっとわからないのですが、そういうコピー機が図書館に備えつけられている場合と、そのほかの場所に備えつけられている場合、あるいは例えば学校が備えつけるのかあるいはリースで備えつけるのかとか、そういう備えつけ方によって、その行為の評価といいますか、それは変わってくるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 三十条におきまして、自動複製機器を用いて複製することについては禁止されているわけでございますけれども、この点につきまして、附則の五条の二によりまして、経過的に「当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まない」という規定がございます。これによりまして、学校に置かれるような場合でも、文献の複写のための複写機器につきましては免除されるわけでございますけれども、先ほど申しました図書館における複製といいますものが禁止されますのは、図書館の行為として行われる場合は、その三十一条によりまして禁止されるわけでございます。
○宇都宮委員 そうしましたら、図書館の行為としてではなくて、生徒が自由に利用できるように高校に備えつけている場合は図書館の行為ではないですから、生徒がすることは構わないのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 結局そこのところは、法律の目的に照らしますと、やはり高速ダビング機のようなものを用いてどんどん複製が行われてしまうということは非常に問題であるわけでございまして、五条の二におきまして、当分の間の措置として文献複写機器の使用については除かれておりますものの、やはり法本来の趣旨に照らしますと、どんどん使われるということは問題であるわけでございます。 私どもとしましては、学校において複写機を設置し、生徒に自由に複製することを勧めるのは望ましいこととは考えていないわけでございまして、学校関係者の自制と著作権保護の意識の啓発というものを期待しているところでございます。
○宇都宮委員 確かにおっしゃるとおりで、生徒にしてみれば、今の時代に何かの文献を自分が要るところだけコピーをして、それを利用するということに対して法に触れるという意識はむしろ何らないのではないかと思うのです。ただ、それでも著作権法に触れる場合が多い、法に違反する状態がある意味では多く存在している。その状況は決して好ましい状況ではないわけで、そういう状況を改めるために、やはり学校等における著作権に関する啓蒙方法あるいはそのような活動が重要になってくると思います。そのあたり、政府の方も、また文部省といたしましても、学校あるいは社会一般で広く著作権の広報活動に頑張っていただきたいと思います。 それから、このことに関しまして、午前中の参考人のお話にも出ていたと思うのですけれども、出版権ですね。出版権を著作隣接権として保護する、まだ保護されてはおりませんけれども、そういう考え方があると思うのですけれども、この出版者の権利の保護について、保護する必要があるとすれば、これからどういう形で保護しようとなさっているのか、あるいは保護する必要がないと考えられるのか、そういう方針といいますか、考え方といいますか、そういうのがあればちょっと御説明いただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 いわゆる出版権といいますものは、現行の著作権法上規定されておるわけでございますけれども、先生のおっしゃったのは恐らく版面権の話ではないかと思うわけでございます。著作権審議会では第八小委員会におきまして、この点について長い御検討をいただきました。そして、その結果、平成二年六月に報告が取りまとめられたわけでございます。その際に、出版物の複写利用者に対しては報酬を請求できる権利といいますものを著作隣接権として出版者に認めることが適当であるというふうな御報告をいただいたわけでございます。この点につきましては、諸外国に例はないわけでございます。その意味では我が国独自の制度上の考え方であろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、昨年のこの報告書の趣旨を尊重してまいりたいと考えているわけでございます。ただ、この問題を制度化してきちっと位置づけ、本当に実効あらしめていくためには、関係者の合意というものが必要でございます。その意味では、関係者の理解を十分得ることが必要でございまして、私どもとしても、なお適切に対処してまいりたいと考えております。
○宇都宮委員 出版権、正確には版面権と言うのですか、この権利について午前中の阿部参考人でしたかのお話だと、レコードの製作権、レコード製作者の権利と同じように考えているというふうなお答えであったと多分思うのですけれども、著作隣接権といえども創作性が必要であるということで、その意味で出版権の創作性というのはどこに認められるのか、そしてまた、同じように考えていいのかどうか、そういう考え方なのかどうか。版面権ですか、その権利を著作隣接権として認める時期、見通し、そのあたりにつきまして教えていただきたいのです。
○遠山(敦)政府委員 出版者の権利を著作隣接権で考えるという場合に、著作権というのは、創造性を中心とした著作者の精神的な活動あるいは「思想又は感情を創作的に表現したもの」というふうに著作権法上は定義をされておりますけれども、そういうものである。一方で著作隣接権というものは、創作性がどこまであるかというのは論議の多いところでございますけれども、午前中の話にもございましたように、例えばレコード製作者が音を固定するときに、どういう演奏家のどういう演奏をレコードに固定していくかということにつきましては、ある知的なプランというものがあって、それに乗っかって固定がされていくわけであります。その意味では、出版者の関係につきましても、どのような著作者の著作物をどのような形態で出版物に取りまとめていくかあるいはそのレイアウトはいかん等々の、ある意味でのプランニングと申しますか企画の面での知的行為というのは十分あるわけでございます。さはさりながら、著作権そのものと違いまして、著作隣接権は、著作物を公衆に伝達する上で重要な役割を持っているということで著作権法上の権利を認めているわけでございます。我が国の著作権制度の中では、著作隣接権の問題は著作権に準じて非常に重要視してこれまでまいっているわけでございます。出版者の権利につきましても、るるお話し申しておりますように、著作権審議会の示された方向というものを尊重しながら、実際的にその内容を確保され得るような形で事態が推移することを見守りながら適切に対処をしていきたいというふうに考えております。
○宇都宮委員 そうしましたら、その出版者の権利を著作隣接権として保護するために現在クリアしなければならない問題点というのはどこのところにあるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 この問題のネックになっておりますのは、やはりこれの大手のユーザーでありますところの経済界、その団体が明確に反対を表明しているという点がございます。 また、コピーの問題につきましては、単にメーカーのみならず学校でもあるいは大学でも研究所でもいろいろなところが関係をしてまいってくるわけでございます。さらには、それを使う個人の問題もあるわけでございます。いわば制度としての方向づけというのはなされたわけでございますけれども、実際にそれを具体化し、現実化するには、多くの方々の御理解がなければならない、そういう点が今の最大の課題であるわけでございます。
○宇都宮委員 では最後に、著作権というのはどうも目に見えないといいますかなかなか私たちも実感として権利というものをちょっと――理屈ではわかるのですけれども、なかなか体でわかりにくい、そういう部分があると思うのですけれども、著作権を保護することについて、これから日本としては世界の中でこの著作権を保護するという点に関してどういう立場を占めたいと思うか。そしてまた、この著作権というものをやはり子供のときから教育といいますか、どういうものかというのを教える必要があると思うのですね。その点に対して文部省としてはどういうことを考えられているのか、方針といいますか姿勢といいますか、そのあたりについて御説明いただきたいと思います。
○井上国務大臣 著作権保護の実効を上げるために、情報伝達技術の発達や社会経済事情等の変化に即応した著作権制度の整備、改善が必要でありますが、それと同時に、先生言われるように、国民の一人一人の著作権保護の意識を高めることが必要であろうと思います。そのためにも、今後とも学校を含め、広く国民階層に著作権思想の普及、今行われております一般を対象とした著作権の講習会であるとかあるいはこの説明会、さらにまた都道府県の職員を対象とした講習会あるいは図書館やいわゆる視聴覚ライブラリーの職員を対象とした講習会、また子供たちには、高校生など若い方々にはアニメーションによるビデオの資料、こういうものを制作し、また配付を行って、そして著作権思想の普及に努めてまいりたい、このように考えております。
○宇都宮委員 どうもありがとうございました。
○臼井委員長 次に、山原健二郎君。
○山原委員 著作権法の改正案について質問いたします。 今回の改定は、権利者の長年の要望もありますし、そういう意味では評価できるものです。ただ、今もお話がありましたように、昨年スーパー三〇一条の対象となって政府が重い腰を上げるという形態ではまことに情けない話でございまして、政府自体著作権問題に積極的に対応する必要があるということを最初に申し上げまして、私の質問は、未解決の部分と関係者の要望の強い問題に限って簡単に質問をいたします。 まず第一点は、衆参両院におきまして、実に十一回にわたって附帯決議が付されましたが、その中身を申し上げるまでもありませんけれども、「私的録音・録画問題については、国際的動向にかんがみ、録音・録画の機器・機材に係る報酬請求権制度の導入など抜本的解決のための制度的対応について検討を進めること。」こうなっているわけですね。いまだにこの問題が前進しないということになりますと、国会の権威の問題にもなってくるわけでございますが、これはどこに問題があるんでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 私的録音・録画の問題につきまして、再三にわたり附帯決議がついているということももちろん私ども認識しているわけでございまして、この問題につきましては、昭和五十年代から繰り返しいろいろな形で議論を重ね今日に至ってまいっているわけでございます。 そのことが実現されないネックは一体何かというお話でございますけれども、関係者の間では、かねてからドイツ、フランス等がとっております報酬請求権制度を我が国にも導入すべきであるという御主張がございます。このような報酬請求権制度を導入することといたしますと、幾つかの問題があるわけでございます。 一つは、報酬を最終的に負担することとなります消費者の理解を得ることができるかどうかという点がございます。それから二番目には、録音・録画機器あるいは生テープのメーカー等の理解と協力が不可欠であるわけでございますけれども、このメーカーの方々の現在のところのスタンスは、経済的な不利益の実態がよくわからないあるいは国際的な動向を見きわめる必要があるということなどを理由といたしまして、現段階では時期尚早ということで反対の姿勢を崩していない状況であるわけでございます。殊に国際的動向につきましては、先ほども参考人の意見で述べられましたけれども、アメリカそれからイギリスという大きな著作権についても影響力のある国々においては、この報酬請求権制度についてまだ制度化していない、していないだけではなくて、イギリスにおいては、この権利を新たに法制化しようとする動きがストップしておりますし、アメリカにおきましては、また反対の動きも出ているというふうなこともございまして、なかなか困難なわけでございます。 さはさりながら、日本としてどうしていくかということにつきまして、私どもといたしましては、著作権審議会における議論などを通じまして、今後ともこの問題につきましては、関係者の理解が深まるように配慮をしながら、十分な議論が行われて、適切な結論ができるだけ早く得られるように努めてまいりたいと考えております。
○山原委員 結局、メーカー側の経済的不利益、国際的動向という二つの問題が大きく出てくるわけですけれども、国際的問題でいえば、今おっしゃったとおり、今ドイツ、ポルトガル、スペインでは、機器と機材に、またその他八カ国が機材に導入しておりますし、実施しているわけですね。オランダ、ベルギーなど多数の諸国が法案を審議中という状態でございますから、国会はいつも附帯決議をつけてつけっ放しの、全く今のお話では成立の見通しがないということでは、まさに権威の問題でございますが、この問題は決着がつくんでしょうかね、一言言ってください。つきませんか。
○遠山(敦)政府委員 一言で答えられるのでありますれば、昭和五十年代から今日までこのような形で議論が続いてきたということはないと思われるわけでございます。ただ、誤解を生じないように申したいと思いますけれども、著作権審議会におきましては、この問題を解決するための具体的な方策についての制度的な検討を行っておりまして、第十小委員会の下にワーキンググループを設けたりいたしまして、法律的な側面から緻密にこの問題の問題の所在、あるいはその解決の仕方について、目下審議を重ねているところでございます。
○山原委員 私どもの附帯決議をつけるだけでなくて、やはりこの問題については進める方向で努力する必要があると思いますね。文化庁だけの仕事としてはなかなか隘路がたくさんあるという感じがします。 もう一つ、映画に関する問題でございますが、映画の著作物における俳優等実演家の権利の見直しの問題です。 著作権法上、実演家は録音権、録画権、放送権、有線送信権を持っておりますが、一たん映画に出演すると、これらの法的権利は適用されなくなり、報酬を支払われないという状態になるわけです。昨年の二月からことしの一月までテレビによる劇場用映画が放送された件数をまとめたものがありますが、それによりますと、テレビ東京の百八十二本、NHKの衛星放送の百四十六本を筆頭に、全局で六百六十八本の邦画が放送されております。ところが、これらの映画の出演者に対しては、一部を除いて何ら報酬が支払われていません。この四月から民間の日本衛星放送が本格放送されますが、年間五百本を予定しております。再放送を含めると千本を軽く突破すると言われています。名画の放送についても既に盛んに宣伝がなされております。 今、映画出演者に対しても権利をという運動が起きておりますが、実演家の権利保護をどのようにお考えになっておるでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 映画に出演します実演家は、最初の出演料の提供は受けるわけでございますけれども、一般的には、その映画がその後どう使われようと権利が認められていないというのは確かにその御指摘のとおりであります。この点は世界各国におきましても、また実演家等保護条約におきましても同様の取り扱いになっているところでございます。また、この問題は、映画の著作物にかかわる権利の取り扱い全体とも関係する問題でもありまして、大変難しい問題をはらんでおります。また、各国において長年定着してきている取り扱いでもあるという点もあるわけでございまして、直ちに制度改正の対応を行うというにはなかなか困難な課題が横たわっているわけでございます。 他方、欧米諸国では、条約上の権利は明確に定められていないわけでございますけれども、契約のための交渉をする場合に問題の解決が図られているということがございます。我が国におきましては、残念ながらその点では、契約社会ではないために、権利関係を契約できちんと交渉するという土壌がないわけでございます。これが問題を困難にしている点があるわけでございますが、最近ごく一部ではございますけれども、カラオケビデオに映画シーンを用いるというふうな場合に契約による改善の努力がなされているというふうな例もあるわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、その歌手あるいは俳優等の実演家が我が国の文化の創造と発展に寄与している役割というのは大変大きなものがあると考えております。そのようなことから、このような関係者における努力の推移も見守りながら、また国際的な動向あるいは国内的な合意形成も留意しながら、今後さらに、例えば著作権審議会の場で検討する等の対応をとってまいりたいと考えております。
○山原委員 困難なことはわかりますけれども、これ以外にも劇場用映画のCATV、それから劇場用映画、テレビ映画の市販やレンタル使用、またテレビ映画の繰り返し放送があります。そういう点から見ますと、これに何らの配慮もなされていないというのが現状で、なぜ商業用レコードの放送での使用からは二次使用料が徴収できて、映画のテレビでの放送からは何も徴収できないのか、また、なぜレコードには実演家に貸与権が認められていて、映画やビデオには認められないのかという声が出てくるのは、私は当然ではないかと思います。また、本委員会でも、この問題につきまして六回にわたって衆参で附帯決議も付されておりまして、実演家権利の擁護のためにどのようなことがなされるべきかということが問われておると思います。 二月二十六日に芸団協主催の「ちゃんとつくろう映画利用のルール」が開かれましたが、ここで俳優の森繁久弥さんがこう訴えています。テレビではあんなにたくさん放送してもいいのかと思うほど映画が流されています、でも我々出演者には何らの報酬もなければ放送しますよという連絡もないのです、こんな話を今ごろしていることがおかしいんで、文化がお粗末過ぎますよ、こういうふうに述べているのですね。それから、日俳連の常務理事をしております江見さんが、「役者には木戸銭無用と旧作ラッシュ」という、これは俳句でしょうか、披露しておりまして、無断使用はテレビに限らずビデオやカラオケのディスクなどにも利用されていると報告をいたしております。 そういう意味で、映画に関する実演家の権利の法的見直し、あるいは実態的に利益の確保が図られるように早急に検討を進めるべきだと思います。私はこれは次長でなくて大臣の御決意を伺いたいのですが、この点、いかがでしょうか。
○井上国務大臣 今先生のお話でありますが、いずれにしても歌手や俳優、こういう実演家の方が我が国文化の創造と発展に寄与している役割には重要なものがある、これは私どもも認めておりますし、また、その関係者間におきまして努力の推移を見きわめながら、また国際的な動向や国内的な合意形成にも留意しつつ、今後さらに著作権審議会等の場で検討してまいりたい、このように考えます。
○山原委員 せっかく著作権法がこの委員会で問題になっておるときですから、附帯決議として出された問題を本当に促進をしていくという意味で、一遍に解決せよと言っても今御答弁ができないかもしれませんけれども、これは実現していく必要があるということを申し上げて、私はこの問題についての質問を終わりたいと思います。 最後に、写真の問題でございますけれども、このごろ高画質のカラー複写機の登場によりまして、著作権管理の問題が新たに浮上しています。いずれは貸しレコードのように、高価な写真集や画集がコピー目的でレンタルされたり、また出版物から拡大コピーをつくって展示用などに無断使用されるケースも生まれてくるだろうと指摘をされております。このような高性能コピー機の登場による写真や美術の著作権保護をどのようにすべきかということについてお考えになっておれば、お答えいただきたいと思います。 時間がございませんので、続いて、高性能コピーが登場する以前から出版界はコピーによる売上部数の減少という実害を受け、学術書などは違法コピーにより出版が成り立たなくなるという例も生まれてきておることは御承知のとおりであります。関係団体の協議によって、コピー利用者から著作権使用料を徴収するという集中管理機構として日本複写権センターの設立が進められておるようでもありますし、著作権審議会の第八小委員会も許諾権を伴わない報酬請求権が適切との最終報告をまとめているように伺っているわけですが、ただ、経団連の強い反対がありまして、日の目を見ていない、こういう実情があるようです。コピー利用について著作権保護はどういうふうになっておるのか、簡単にお尋ねしたいのです。
○遠山(敦)政府委員 複写機器の発達は、我が国の科学技術の発達の進度に応じまして大変著しいものがございます。最近では、ハイテクコピーなどの出現によりまして、御指摘の高画質のコピーもできるようになりつつあるわけでございまして、このような技術の発達、普及に伴いまして、著作者あるいは出版者の経済的利益をどのように守っていくかというふうなことは、今後の著作権制度の大きな課題であるというふうには考えている次第でございます。 特に、御指摘のございました出版者の権利の事柄につきましては、現在著作者団体あるいは出版者団体、学協会の関係者による努力が重ねられておりまして、著作権を集中的に管理する機関が早期に設立されるように準備が進んでいるわけでございます。これについて一層の指導あるいは支援をしたいと考えておりますし、また出版物の複写から出版者を保護するための方策につきましては、著作権審議会の第八小委員会が既に報告を出されているわけでございます。これは著作隣接権の一つとして出版者の権利を認めようとする御報告でございまして、この件につきましても、ユーザーであります経済界が現在は反対を表明しておられるわけでございますが、関係者の理解を得ることが先決でございまして、その推移を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
○山原委員 いずれにしましても、高性能コピーの登場によりまして、写真などの著作権保護に問題が出てくると思いますが、これらにつきましては積極的に取り組むことを要請をいたしたいと思います。 その点で、一つだけ最後に伺っておきたいのですが、写真の場合は著作権保護の期間は公表後五十年でございますが、死後五十年に改めるべきであるという意見が強いし、また要請も強く出ているわけでございます。この点についてどのような検討がなされておるか、お伺いいたします。
○遠山(敦)政府委員 写真の著作物の保護期間につきましては、これは映画の著作物等と同様でございまして、公表後五十年と定められているところでございます。著作権が著作者の死後五十年ということに比べますと、保護は弱いわけでございます。 このことはどうして生じているかと申しますと、一つは写真におきましては、著作者名の表示を欠く場合が多い、あるいは著作者の特定が困難であるという写真特有の著作物の特質がございますし、あるいは映画の著作物の保護とのバランスあるいは旧法におきましても、また国際条約におきましても、一般の著作物とは異なって、写真の著作物については、その保護期間を短く定めているのが現状であるわけでございます。現在の写真の著作物につきましては、保護期間の関係で、昭和三十二年以降発行されたものにつきましては、現行法下でも公表後五十年間保護されるということになってございます。したがいまして、現在の保護の実情は、旧法下で保護されておりました写真の著作物は、現在では平成十九年まで保護されることとなっておりまして、現時点で写真の保護期間について早急に検討する必要性は、実際上は少ないわけでございます。 ただ、この問題に関しましては、文化庁といたしましては、国際的な保護の動向を勘案しながら、写真の著作物の特性あるいはその利用の実態の推移を見きわめながら、今後検討してまいりたいと考えております。
○山原委員 新進の作家として出現した方が、若いときに撮った写真、それが公表後五十年ということになりますと、前の著作権のときにもこれが問題になっておりましたので、なお御検討いただきたいと思います。 終わります。
○臼井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ─────────────
○臼井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ─────────────
○臼井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、木村義雄君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田正雄君。
○吉田(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 レコードの貸与に係る円満な利用秩序の維持形成のため、レコードの貸与に関する内外の関係者の話し合いの促進など必要な諸条件の整備に努めること。 二 私的録音・録画問題については、国際的動向にかんがみ、録音・録画の機器・機材に係る報酬請求権制度の導入など抜本的解決のための制度的対応について検討を進めること。 三 ビデオディスクの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化している等の実態を勘案して、実演家の権利の適切な保護等について検討すること。 四 複写複製問題については、文献複写に関する著作権の集中的処理体制の確立に努めるとともに、出版者を保護するため出版物の版面の利用に関する出版者の権利の創設について検討を進めること。 五 コンピュータ創作物に係る著作権問題については、今後における技術の発達普及に十分対応できるよう配慮しつつ、検討を進めること。 六 視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。 以上でございます。 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○臼井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井上文部大臣。
○井上国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして今後努力をいたしたいと考えております。 ─────────────
○臼井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕
○臼井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時九分散会